衆議院

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第15号 平成26年5月9日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十六年五月九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 渡辺 博道君

   理事 田嶋  要君 理事 今井 雅人君

   理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      石崎  徹君    越智 隆雄君

      大見  正君    勝沼 栄明君

      勝俣 孝明君    今野 智博君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      菅原 一秀君    田中 良生君

      武井 俊輔君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      福山  守君    細田 健一君

      松本 洋平君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    枝野 幸男君

      岸本 周平君    後藤  斎君

      近藤 洋介君    辻元 清美君

      伊東 信久君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      三谷 英弘君    小池 政就君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    河津  司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           村上 博之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   参考人

   (電気事業連合会会長)  八木  誠君

   参考人

   (東京ガス株式会社代表取締役社長)        広瀬 道明君

   参考人

   (中央大学法科大学院教授)            安念 潤司君

   参考人

   (京都大学大学院経済学研究科教授)        植田 和弘君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月九日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     武井 俊輔君

  佐々木 紀君     今野 智博君

  白石  徹君     福山  守君

  宮崎 謙介君     松本 洋平君

  岸本 周平君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  今野 智博君     佐々木 紀君

  武井 俊輔君     穴見 陽一君

  福山  守君     白石  徹君

  松本 洋平君     勝沼 栄明君

  後藤  斎君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  勝沼 栄明君     宮崎 謙介君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本日は、本案審査のため、参考人として、電気事業連合会会長八木誠君、東京ガス株式会社代表取締役社長広瀬道明君、中央大学法科大学院教授安念潤司君、京都大学大学院経済学研究科教授植田和弘君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人各位に一言御挨拶申し上げます。

 本日は、御多用のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。参考人各位におかれましては、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、参考人各位からお一人十五分程度で御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答え願いたいと存じます。

 なお、念のため申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださいますようお願いいたします。また、参考人から委員に対して質疑をすることはできないことになっておりますので、御了承願います。

 それでは、まず八木参考人にお願いいたします。

八木参考人 電気事業連合会の八木でございます。

 本日は、このような機会を賜りまして、まことにありがとうございます。先生方におかれましては、平素、私ども電力会社の事業運営に関しまして多大なる御理解、御協力を賜っておりますことに、この場をおかりいたしまして厚く御礼を申し上げます。

 まず初めに、東京電力福島第一原子力発電所の事故に関しまして、今なお多くの皆様に多大なる御迷惑と御心配、御負担をおかけしておりますことに、同じ電気事業に携わる者といたしまして、改めておわびを申し上げます。

 私ども事業者は、こうした事故を二度と起こさないという強い決意のもと、震災直後から徹底した安全対策に努めるとともに、新規制基準の内容を踏まえながら、安全性向上のために必要な対策を講じてまいりました。今後とも、原子力発電所のさらなる安全性、信頼性の確保に向け、たゆまぬ努力を続けることにより、社会の皆様からの信頼回復に努めてまいります。

 折しも、先般、震災後初となるエネルギー基本計画が策定されたところでございます。その中で、原子力発電につきましてはエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源と位置づけられ、原子燃料サイクルについても引き続き推進することが明確化されました。私ども事業者といたしましては、こうした方針が示されましたことは大変意義があるものと受けとめております。

 しかし、その一方で、原子力発電への依存度については可能な限り低減させるとの方向性も示されており、将来の見通しが不透明な部分もございます。今後、各事業者が将来に対する予見性を持って電気事業に取り組んでいけるよう、長期的な視点でのエネルギーミックスの姿についても早急に明確化していただくことをお願いしたいと思います。

 それでは、今回御審議されております電気事業法の改正法案につきまして、私どもの基本的な考え方を申し上げたいと思います。

 昨年十一月に成立した改正電気事業法の附則では、三段階のスケジュールで改革が進められることとなっております。現在、その第一段階であります広域的運営推進機関の設立に向けまして、新電力や発電事業者も含めた関係者間で検討が進められているところであり、私どもといたしましても、これまで実務を担う中で培ってきた知見を生かし、最大限の協力をしているところでございます。

 今回の法改正は、この改革プログラムの第二段階に当たるものであり、電力システム改革の目的の一つである需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を図るため、電気の小売業への参入を全面的に自由化すること、いわゆる小売全面自由化を主たる内容とするものであると理解しております。

 この小売全面自由化は、御家庭用のお客様を含みます全てのお客様がみずから契約する電気事業者を選ぶことができるという点で、自由な選択を御希望されるお客様の期待に応える制度であると考えております。

 私どもとしましては、電気料金メニューの多様化や選択肢の拡大を通じまして、お客様に選択していただけるよう、積極的に取り組んでまいる所存でございます。

 ただし、今般の改正案につきましては、私ども一般電気事業者にのみ、引き続き小売料金規制及び供給義務が経過措置として課せられることとなっております。制度変更に伴う需要家保護策の一環としての暫定的な措置と理解はしておりますが、電力市場を全面自由化し公正な競争を実施していくという環境のもとでは、これらの措置はいわば非対称とも言える規制でございます。諸情勢を総合勘案した上で、早期にこれらの措置を撤廃していただくようお願いしたいと思います。

 また、電力の安定供給の実務を担う立場として、全面自由化のもとでの安定供給確保策について、引き続き慎重かつ丁寧な検討が必要であると考えております。

 これまで、私ども一般電気事業者は、発送電一貫体制により供給責任を果たしてまいりました。今回の全面自由化により、発電や小売の分野へ新たな事業者の参入が見込まれており、各事業に参画する事業者それぞれが連携して安定供給を実現していくこととなります。

 各事業者は事業の採算性を最優先に経営判断を行うこととなるため、例えば、発電事業者にとっては、稼働率の低い電源設備の保有や、将来の需要を見据えた電源投資は難しくなることなどが考えられます。このため、こうした環境下でも、将来の需要に応じた供給力が確実に確保される仕組み等を構築していく必要があると考えております。

 実際に、海外における自由化の先行事例を見てみますと、英国や米国テキサス州等におきましても、供給予備率の低下等により将来の電力需給に対する懸念が生じていることから、対策の必要性が指摘されているところでもございます。

 改革の第二段階となるこの小売全面自由化は、契約件数にして全国で八千万件を超えるお客様が対象となっており、国民生活にとって極めて影響の大きい制度改革であります。改革に当たりましては、新たな事業環境に適合した安定供給の仕組みがしっかりと構築されるよう、私ども事業者も引き続き協力してまいりますので、詳細制度設計を着実に進めていただけますようお願い申し上げます。

 さて、こうした小売全面自由化を進めるに当たりまして、この改革をお客様の利益につながるものとするためには、新たな制度と整合性のある環境が整っていることが不可欠であると考えております。したがいまして、この観点から、小売の全面自由化を実施するまでに解決すべき二つの課題について申し上げたいと思います。

 まず一点目は、電力需給状況の改善についてであります。

 震災以降、現在まで、震災前の電力供給の約三割を占めておりました原子力プラントの再稼働が進まず、電力の需給は大変厳しい状況が続いております。これまで、各社における最大限の供給力の積み増し努力と皆様の節電の御協力によりまして、何とか安定供給を維持してまいりましたが、この冬も北海道電力管内を初めとして極めて厳しい状況が続きました。

 ことしの夏につきましても、このまま原子力プラントが再稼働できない場合、本来、高稼働を予定していなかった老朽火力プラントをフル活用する緊急避難的な対応が続くこととなります。安定供給に最低限必要となる供給力は辛うじて確保できる見通しではございますが、設備の疲労が蓄積し、トラブルリスクも高まっている現状を勘案いたしますと、極めて予断を許さない需給運用になるものと考えております。

 現在、原子力プラントについて新規制基準に対する適合性審査が進められていますが、いまだに再稼働の見通しが立っておらず、今後も供給力不足が継続することが懸念されます。

 全面自由化を実効的なものとするためには、供給力が十分に確保され需給状況が安定していることが大前提であり、現在のように需給が逼迫する中では、たとえ全面自由化を進めたとしても、発電余力がないため競争が活性化せず、お客様の利益につながりにくいものと考えられます。

 私どもとしましても、できる限り早く原子力プラントを再稼働できるよう最大限の努力を続けてまいりますが、今回の改正法の施行に当たっては、全面自由化を実施できる需給状況かどうか見きわめた上で、改めて実施の時期を御判断いただきたいと考えております。

 二点目は、競争下において原子力事業を進めるための環境整備についてであります。

 原子力発電は、他の電源に比べまして、三つのEの観点からベースロード電源としての強みを有する一方で、建設から運転期間中はもとより、運転終了後も廃炉や使用済み燃料の処理処分に至るまで、安全性を確保しつつ長期にわたる事業を確実に遂行しなければならず、そのための巨額の投資が必要であるという特徴を有しております。

 私ども事業者は、これまで、こうした他の電源にはない特徴を有する原子力発電につきまして、国策民営の原子力推進政策のもとで長期的な見通しを立てることができました。加えて、総括原価方式等の諸制度により、費用回収についても一定の予見性を持って原子力発電の維持活用に必要な投資を着実に行うことができ、そのための資金を市場から調達することも可能であったと考えております。

 しかしながら、現在、新たなエネルギー基本計画において原子力依存度を可能な限り低減するという方向性が示されたことで、長期的な見通しが不透明となってきております。

 さらに、今回の法改正によりまして、事業者は、発電から廃炉、使用済み燃料の処理処分に至るまで、長期にわたり、かつ見積額の変動リスクも抱える費用の回収を全面自由化による競争環境の中で行っていく必要があり、長期の事業継続に関する予見性が従来よりも低下することとなります。これは、原子力発電の維持運営に必要な資金の調達にも影響を及ぼしかねないと考えております。

 私どもといたしましては、エネルギー基本計画に記載されているとおり、安全を大前提に、原子力発電を重要なベースロード電源として活用していくためには、民間事業者が予見性を持って長期の事業を計画し実行できる環境の整備が何よりも重要だと考えております。こうした観点から、ぜひとも、全面自由化の実施に先駆けて、民間事業者が長期にわたる原子力事業を担える、新たな国策民営のあり方を検討していただきたいと思います。

 例えば、これまで原子力事業者が一体となって支えてきたバックエンド事業等の原子燃料サイクルの推進に当たりましては、競争が進展していく中でも長期にわたる処理処分のプロセスに支障を来さないよう、海外の事例を踏まえ、国の役割を明確にした上で、事業者が果たすべき役割、責任を整理していただきたいと思います。

 また、原子力損害賠償制度についても、海外の事例を踏まえつつ、事業者負担のあり方について適切な見直しを行っていただきたいと考えております。

 政府におかれましては、こうした原子力事業環境の整備に向け、早急に検討の場を立ち上げ、検討に着手していただきますようお願いしたいと思います。

 以上二つの点につきまして、小売全面自由化が実施されるまでの間に必要な対応をしっかりと行っていただきたいと考えております。

 最後になりますが、低廉で安定した電力供給は我が国の国民生活、産業活動の基盤となるものであり、電力システム改革は決して失敗が許されるものではありません。

 この点で、真に国民の皆様の利益につながる改革とするためには、改革の各段階において安定供給確保に向けた検討、検証をしっかり行うとともに、内容、スケジュールの両面で、原子力政策を初めとするエネルギー政策と整合を図っていくことが極めて重要であると考えております。

 また、現在、国の審議会において、電力のシステム改革の進展に合わせ、ガス事業のシステム改革、全面自由化についても検討が進められておりますが、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大という観点から、この点でも平仄を合わせていただくことが大変重要と考えております。

 私ども事業者といたしましては、電力、ガスといったエネルギー種別の垣根を越えた総合エネルギー事業へと進化し、我が国エネルギー事業全体の競争力強化と発展をリードするという強い気概を持って事業に取り組んでまいりますので、その鍵を握りますエネルギー市場全体の改革については、ぜひ整合性のとれた形で進めていただくようお願いしたいと思います。

 こうした私どもの考えを含めまして、十分な御審議を賜りますようよろしくお願いを申し上げまして、私の意見陳述とさせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、広瀬参考人にお願いいたします。

広瀬参考人 ただいま御紹介をいただきました東京ガスの広瀬でございます。

 まず、本日は、このような機会をいただきまして、まことにありがとうございます。また、平素より私どもの事業運営につきまして御協力、御理解を賜りまして、重ねて御礼を申し上げたいと思います。

 本日は、私ども東京ガスグループの天然ガス普及拡大に向けた取り組みと、さらには、それを通じた新しい電気事業への取り組みの考え方につきまして御説明を申し上げたいと思います。

 資料に基づいてお話をさせていただきます。

 最初、目次があろうかと思いますけれども、まず最初に私どもの今のガス事業の概要につきまして御説明した後、現在私どもは発電と卸売を中心に電気事業に取り組んでおりますのでその現状、そして最後に今後の新しい電気事業への取り組みの考え方、こういう順番で御説明をさせていただきたいと思います。

 まず、一ページ目でございますけれども、当社のガス事業の概要についてでございます。

 当社グループの供給エリアはこの黄色に塗られたところでございまして、現在、首都圏を中心に一都八県、約一千百万件のお客様に都市ガスをお届けしております。都市ガスの販売量につきましては、周辺事業者の皆様二十二社への卸売を含めまして、トータルでは百四十七億立方メートルということになっております。

 これらの都市ガスを供給するために、主に低圧管を中心に六万キロを超すようなパイプで供給している、これは地球一周半ぐらいに相当する長さでありますけれども、それを維持しながら都市ガスの安定供給をしている、こういう状況でございます。

 続きまして、二ページは、天然ガスの基幹インフラ、基地と幹線の現在の取り組み状況でございます。

 現在、私どもは東京湾内に三つの基地を構えております。一つは千葉県の袖ケ浦、そして神奈川県の扇島と根岸、この三カ所でございます。これに加えまして、現在、外海の茨城県茨城港に四つ目の基地となります日立基地を建設中でございます。これにつきましては、二〇一五年度中に竣工、運開する予定ということになっております。

 高圧幹線でございますけれども、従来は、その茶色のところですけれども、東京湾を取り巻くように環状幹線がございます。これに加えまして、日立基地を拠点として首都圏全域を新たにカバーするような環状幹線を現在建設しておりまして、いわゆる幹線の多重化に取り組んでいるところでございます。

 これらのインフラ整備によりまして、首都圏の旺盛なガス需要にお応えするとともに、神戸製鋼所さんが現在栃木県での内陸型の大規模天然ガス発電を検討されておりますけれども、そうした需要に対しても十分対応できるようなインフラ整備を行っているところでございます。

 次に、三ページはLNGの調達の状況でございます。

 御承知のとおり、天然ガスは世界に広く分布しておりまして、現在、東京ガスは、五カ国十プロジェクトから年間一千二百八十万トンのLNGを調達しております。これは、日本全体が約八千七百万トンでございますから、そのうちの約一五%程度を私どもが調達している、こういう状況でございます。

 調達先のところを星印で示しておりますけれども、現在、オーストラリアのプロジェクトを中心に権益を一部取得しております。括弧内の数字がその権益比率になっております。

 数字を見ますと、非常に比率が低いんではないか、こういうふうな感じもあろうかと思いますけれども、LNGのプロジェクトは兆円単位の非常に大規模なプロジェクトでございますから、リターンとリスクを見きわめながら、適切な投資規模を判断しております。

 後ほど詳しく御説明しますけれども、現在、北米のシェールガスの導入に向けて力を入れているところでございます。

 シェールガスにつきましては、次の四ページを御参照ください。

 我が国のエネルギー政策におきまして、現在最重要課題の一つが、天然ガスの調達力を向上させて、少しでもLNG価格を低減させるということであります。

 そのために私どもは、今、多様化政策ということで、調達先の多様化、契約内容の多様化、そして商流の多様化といったことで、いろいろなオプションを使いながら交渉力を高めているところでございます。

 北米からのシェールガスの導入につきましては、まさに多様化政策の一環として、今後大いに期待をしているところでございます。

 また、現在、当社グループでは十隻のLNG船を管理し、輸送コストの低減にも努めているところでございます。

 以上がガス事業の状況であります。

 続きまして二つ目のパートでありますけれども、現在の私どもの電気事業への取り組みでございます。

 五ページをごらんいただきたいと思います。

 私どもは、現在、天然ガス火力を中心とした発電事業を展開しております。左から、LNGをまず調達いたしまして、各種の電源によって発電をし、それを新電力等を通じてお客様にお届けする、このうちの発電事業と卸売を今実施しているところでございます。

 私どもといたしましては、LNGの調達力、あるいは豊富な発電実績といった強みを生かしながら、現在、少しずつ事業拡大を行っているところでございます。

 次に、六ページでございますけれども、これは私どもの発電事業、発電所の状況でございます。

 この図からもおわかりのとおり、私どものLNG基地の近傍に発電所が集中をしております。これは、大型の火力発電所の場合には非常に多くの燃料を必要といたしますので、天然ガス設備の充実した箇所の近傍に発電所を建設しているということでございます。

 それから、これらの発電所につきましては、大消費地でございます首都圏の近傍ということで、現在の首都圏の厳しい電力需給緩和に微力ながら貢献させていただいているというふうに考えております。

 次に、七ページをごらんいただきたいと思います。

 こちらは、私どもが二〇一一年に公表いたしました中長期ビジョン、チャレンジ二〇二〇ビジョンにおける多様な電源への取り組みでございます。

 高効率の天然ガス火力発電所に加えまして、環境性が高く電源セキュリティー向上など付加価値を兼ね備えました分散電源、コージェネやエネファームの普及拡大につきましても、大変高い目標ではございますが、引き続き取り組んでまいりたいというふうに考えております。

 私どもといたしましては、このような電源のベストミックスの実現をすることによって、お客様の選択肢の拡大あるいはみずからの市場への参加を促すということで、今回の電力システム改革の基本理念にも沿ったものであるというふうに考えております。

 最後に、三つ目のパートでございますけれども、新たな状況を踏まえた私どもの今後の電気事業への取り組みにつきまして御説明をさせていただきます。

 まず、電気事業への当社の取り組みスタンスについて御説明を申し上げます。

 今回の電力システム改革の目的は大きく三つあるというふうに考えております。一つは安定供給の確保、二つ目が電気料金の最大限の抑制、そして三つ目が需要家の選択肢、事業者の事業機会の拡大ということになると思います。

 私どもは、事業機会の拡大ということに関しまして、先ほど御説明しましたとおり、現在は発電と卸売が中心でございますけれども、今回の法改正を機に、まさに小売部門にも参入を検討していきたい、そういうきっかけをつくっていただいた、背中を押していただいたということでは、大変ありがたいというふうに考えております。

 また一方で、お客様の選択肢を拡大するということでは多くのプレーヤーが参画することが重要でありますけれども、その一員として私どもが期待をされているということにつきましても、十分に自覚をし、認識しているところでございます。

 こうした観点から、二〇一六年に予定をされております電気の小売全面自由化に対しましては、当社としても積極的に対応して、安定供給の確保と電気料金の抑制に少しでも貢献をしていきたいと考えているところでございます。

 そして、これらにつきましては、私どもが長年事業基盤としておりました首都圏を中心に事業展開を想定しているところでございます。

 次に、九ページでございますけれども、これにつきましては、電気事業を推進するに当たりましての発電から小売の各段階で想定しております取り組みと課題、左の方に発電、送配電、小売と三つの部門で整理されております。

 一言ずつ申し上げますと、四角に囲まれているところでありますけれども、まず発電段階におきましては多様な電源の活用、送配電段階におきましては送電網の公平な利用、小売段階におきましては選択肢の拡大とサービス向上が重要というふうに考えております。

 次に、十ページでございます。こちらでは、電源の多様化の推進ということにつきまして申し上げたいと思います。

 一日の電力需要カーブと各電源の供給イメージでございますけれども、ここにありますように、多様な電源の効果的な活用を推進することが極めて重要ではないかというふうに考えております。

 私どもといたしましても、天然ガス火力を中心といたしました電源立地の推進、ベースロード電源の調達、活用、そして先ほど御説明しました分散電源の普及拡大の推進、そういった総合的な取り組みをこれから進めてまいりたいと考えております。

 そのためには、電源立地におきましては、アセスの運用や電源線の接続などにつきまして、より透明性、公平性を担保していくということが必要ですし、ベースロード電源の調達、活用におきましては電源の流動化が重要というふうに考えております。

 十一ページ目につきましては、もうちょっと詰めなければいけませんけれども、私どもの今後のイメージとして、これから小売段階にどういうふうな形で進めていくかということでございます。

 電気、ガス等のエネルギー全般につきまして、まず、右側にありますけれども、お客様のエネルギー診断をしっかりといたしまして、お客様にソリューション提案をする、そしてエンジニアリング、メンテナンス、これらをワンストップサービスで提供することを検討していきたいというふうに考えております。

 その際には、グループ内の力だけでは当然のことながら限界がありますから、いろいろな皆様方とのアライアンスを検討していきたいと考えております。

 十二ページ目につきましては、特に小売段階での課題ということでございます。

 これからいろいろなことを検討していかなければいけませんけれども、まず、社内におきましては、運営体制の構築や業務フローの設計によって、効率的な体制を早急に構築していく必要があるのではないかというふうに考えております。

 また、お客様が小売事業者を乗りかえたい、いわゆるスイッチしたいという御希望があった場合、これがスムーズになされるよう、あるいは切りかわった後の業務についてもスムーズに進めるためには、システムの基盤整備が大変重要になります。今回の全面自由化では、対象となります件数が大幅に増加いたしますので、スイッチングあるいはデータのシステム化が極めて重要になるかと思います。

 最後に、今後のスケジュールについて一言御説明をさせていただきたいと思います。十三ページでございます。

 私どもは、この四月に、全面自由化に対応するための専門組織としてプロジェクト部を設置いたしました。具体的な検討をスタートしたところでございます。今後、どういうふうなビジネスモデルをやっていくのか、あるいは社内の体制をどうするのか、あるいはシステムの構築をどうするのか、さまざまな課題が山積しております。これを二年、実質的には一年だと思っておりますけれども、その中でこれから検討を早めていきたいというふうに思っております。

 以上御説明しましたように、電気の小売事業に対しましては、大変魅力ある事業である一方で、いろいろな、私どもにとっては高い大きなハードルがあることも事実でございますし、時間的な制約も非常に大きなものがございます。ただ、そういった中でも、今後、最大限の努力で取り組んでまいる所存でございます。

 以上で、私からの意見とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、安念参考人にお願いいたします。

安念参考人 ただいま御紹介いただきました中央大学の安念と申します。

 本日は、こうした機会をいただきまして、まことに光栄に存じます。

 以下、本案、すなわち電気事業法等の一部を改正する法律案に対して、基本的に賛成する立場から意見を申し述べます。

 基本的に賛成とは、多くの部分に賛成するが全部に賛成するわけではないという意味であります上に、賛成すべきか反対すべきかについて私の知識をもってしてはどうにもわからないという点も多々ありますので、私の賛成というのはそういう甚だ頼りないものでございますので、その点をお断りしておきます。

 本案は、一九九〇年代から続いてきた電力自由化の総仕上げではないにせよ、中間決算というよりは、むしろ第三・四半期決算というべき位置づけを与えられるものと存じます。

 電力自由化において先行した欧米諸国の経験に照らしましても、電力自由化は大体において、もともと垂直統合されておりました電気事業のうち、川上の発電と川下の小売における参入を自由化し、一方、必然的に自然独占となる送配電部門は、小売、発電部門に対して中立化させると同時に、料金規制その他の接続条件の規制をして政府が監督するという形態をとっておりまして、多分、電気というものが、例えば送電が要らないというような夢のような新技術が発明されない限りは、これ以外には電力自由化の大きな道筋というのはないと存じます。

 本案に即してみますと、電気事業を川上から順に発電事業、送配電事業、小売事業に分けまして、発電事業については届け出制、送配電事業については許可制、小売事業については登録制をそれぞれ採用しているわけでございまして、これまでの欧米諸国の道筋におおむね倣ったものでございます。したがって、本案が成立するといたしますと、電力自由化は八分どおり実現されることになると考えてよろしかろうと存じます。

 この点に関連いたしまして、送配電部門の中立性確保は電力システム改革のいわゆる第三段階において法的分離の形で完成されることとなっておりまして、その旨の規定が、昨年十一月に成立いたしました電気事業法の一部を改正する法律附則十一条二項に規定されております。

 しかし、同項ただし書きにも機能分離でもいいんじゃないかみたいな書き方がなされておりまして、中立性確保の要するに手段でございますから、どうしてもどちらかでなければならない、特に法的分離は確かにわかりやすいというメリットがあるのは私もそのとおりだと思うんですが、どうしてもこれでなければならないと力むほどのことではなくて、できるだけコストが安くて有効な手段であればよいというふうに考えております。

 私が本案の実現しようとする電力自由化に基本的に賛成する理由は、いかなる業態においてもそうであるように、イノベーションは自由化を必要条件とするからです。

 確かに、電気事業は成熟産業です。大規模な発電所で生産した電気を送電線で需要地まで運び、配電線で各需要家に届けるという形態は、十九世紀の末に、マンハッタンのダウンタウンにあるパールストリートというところに発電所を建設してこのモデルを確立いたしましたトーマス・エジソンの時代から根本的には変わっておらず、今後も見通し得る近未来には大きな変化があるとは思われません。しかし、発電部門においては、より高効率で環境負荷の小さい電源の開発を目指して競争が促進されると思います。

 また、イノベーションは、何もこうしたハードの技術体系についてだけ生ずるものではございません。

 アメリカのビジネス雑誌でフォーブスというのがございますが、その日本版の二〇〇三年に「世界を変えた創意と革新八十五年の軌跡」という特集記事がございました。そこで挙がっております数十の二十世紀の偉大なイノベーションの中には、もちろん、コンピューター、原子力発電、それから携帯電話、ワールドワイドウエブ等が入っているのでございますが、一方で、スニーカー、タッパーウエア、三点式シートベルトというのも入っております上に、さらにラルフ・ネーダーが主導した消費者運動というのも入っております。

 ここは、アメリカ人の視野の広いところだと私は思います。つまり、ハードからソフトまで全部がイノベーションである、何も先端技術にかかわるものだけがイノベーションではないというのは、よく言われることではありますが、非常に重要なことだと思います。

 要するに、競争が導入されることによって、売り方の競争、売り方の工夫というのが大いに展開されるのではなかろうかと期待しております。つまり、電気というのは均質な商品でございますけれども、それに付加価値をつける、こういう競争が盛んになるのではないかと思われます。

 さらに、各企業の自由度が高まりますので、企業間の離合集散が大いに進むであろうということも期待されます。折から、ごく最近のことでございますが、ゼネラル・エレクトリックがフランス重電大手のアルストム社の一部門を買収する、さらにそこに横から、横からと言っては失礼ですけれども、東芝も参戦するというようなことがございまして、なかなかおもしろい展開ではなかろうかという気がいたします。

 日本の既存の電力各社は、いわゆる一般電気事業者でございますが、国内的にはいずれ劣らぬ大企業ではありますが、諸外国のエネルギー産業との比較でいえば、最近ではむしろ小粒であるという感じがいたします。今後、燃料の獲得競争が世界的に激化するであろうことを考えますと、強力な総合エネルギー企業が、産業政策によってではなくて、市場における自由な競争の中から育っていくということが期待されるのではないかという気がいたします。

 ついでに申しますと、電気に関する最大のイノベーションは、むしろ電気の生産側よりも利用、使用の側から生じたと思います。もともとは電灯にしか使っておりませんでした。しかし、今日の電気通信における電気の使い方の驚くべき展開を見ますと、むしろ自由化によって電気の新たな用途の開拓というのが期待されるのではないかと思います。

 エジソンは偉大な発明家でございましたが、彼が先ほど申しましたパールストリートの発電所をつくった当時、彼が電力を何に使うかということで強く推奨したのは、交流電流を利用いたしました電気椅子による死刑の執行だったのでございます。これから見ると百数十年、電気の使用法というのは驚くべき発展を遂げたと思いますし、これからの自由化によってますます発展するのではないかと期待しております。

 最大の眼目は電気料金でございますが、電気料金の値下げが実現するかでございます。それは私は、しない可能性も十分ある、むしろ値上げされる可能性もあるだろうと思います。

 足元で電気はいわば品薄でありまして、どんな商品も品薄であれば値段が上がるのが当然、このように私は考えます。そして、あくまで自由な競争のもとであれば、今よりも価格が上がってもそれはそれで仕方がないと私は考えております。人為的に抑制するよりも、上がるものは上がればよいし、そうなると今度は新規参入のインセンティブも出てまいりますので、その方が自然で健全な姿だと私は思っております。

 ただし、いかなる業態にも当てはまることですが、新規参入がふえてプレーヤーの数がふえれば、当然、価格が下がるというわけではないことを今申しました。ある財の供給量に変化がなければ、プレーヤーの数だけふえましても、供給に要する総コストがふえてしまって、社会的にはかえって不経済になるということもあり得ることです。要するに、供給量がふえなければならない、あるいは供給可能性がふえなければならないのでして、これによって初めて、需要家は価格の低下という目に見える恩恵を受けることができることになると思います。

 私の申し上げたいことは要するに原発を再稼働することが必要であるということでございますが、この点、最近マスコミなどでは、電力各社が原発の再稼働の申請をしているという極めてミスリーディングな言い方をしていることを大変遺憾に思っております。

 現在、電力各社が申請しておりますのは、原子炉設置変更の許可、工事の計画の認可、それから保安規定の変更の認可の三種類の許認可の申請でございまして、これは原子炉の運転の停止とは論理的には何の関係もございません。つまり、現在の申請及び原子力規制委員会における審査と原子炉の稼働とは完全に両立するのだということでございます。できれば、当委員会においてそのような見解を表明していただけると大変ありがたいと存じます。なぜなら、これは当委員会が可決をなさった法律の解釈なのでございますから、御自分がおつくりになった法律の解釈を公にして何らはばかるところはないのではないかと、私は僣越ながら考えております。

 非対称規制が存続するもののようでございます。みなし小売電気事業者、本案附則二条二項に定義がございますが、現在の一般電気事業者の小売部門のことでございます。このみなし小売電気事業者には当分の間、供給義務、本案附則十六条、それから料金規制、本案附則十八条が残ります。

 地域独占という保護を奪われたのに義務だけ残るのは不平等ですし、実際問題としても、非対称規制はやめどきというのが大変に難しいと言われております。さらに、規制料金下ではそれよりも低廉な価格を提供できる事業者しか参入できず、新規参入意欲をかえってそぐことにもなりかねません。

 これらの非対称規制は第三段階の改革で撤廃されるものと理解しておりますが、しかし、昨年十一月に成立いたしました電気事業法の一部を改正する法律附則十一条四項によりますと、この先ももっと料金規制は残るやに見える条文がございまして、私はこの条文の運用について非常に危惧をいたしております。できる限り非対称規制は早期に撤廃すべきである、このように考えております。

 副次的な論点でございますが、スト規制についてちょっとだけ申し上げさせていただきます。

 現在、電気事業の事業主及び従業員は、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律によりまして、要するにストライキが禁止されております。本案附則五十条はこの法律の文言を改正しておりますが、結果は現状と変わらないもののようです。スト規制は時代おくれでして、実効性にも乏しいと思われるので、反対します。少なくとも早期に廃止すべきだと思います。

 なぜかと申しますと、今どき組合が本気でストを打つという構えの会社があるとすれば、それは、非常に経営者の腕が悪くて、職場にも不満が満ち満ちているということだと思うんです。そうした状況のもとでストだけ禁止をいたしましても、社員はどうするかというと、会社に出てきて働かない、それだけのことでございますので、こういう規制をしても私は意味がないと思います。

 ちなみに、この法律ができましたのは昭和二十八年のことでございまして、しかも、法律自体に、制定後三年たったら存廃について国会で議論するということがわざわざ書いてございます。制定後六十年たちました。この間、電気事業と並んでもう一つの規制対象である石炭鉱業の方は、法律に先んじて事実上国内から消滅いたしました。この法律も消滅してよろしいのではないかと私は思います。

 東電の問題でございます。直接の関係は本案とございませんが、しかし、間接には私は大きいと思います。

 現在の東電は、こう言ってはなんですが、生殺しのような状態と言ってよろしいと思います。国は、過半数の株主、支配株主でございます。国が過半数の株主になった以上、みずから経営責任を負うべきでございます。私はそう思っております。要請とか指導をするのではなく、自分で責任を負うべきでございます。それから、電気事業法がございますから、電気事業法に基づいて強制力のある処分をすることもできます。要するに、国は前面に出る、つまり、法律に基づく権限をきちんと行使して、自分で責任を負うべきであるというふうに私は思っております。

 原発の問題も東電の問題も本案と論理的に関係がないだろうという御指摘があるのは私もそう思いますが、しかし、関係がないのはあくまでも論理的にであって、実際問題として、東電がふらふらと言っては失礼ですけれども、そういう状態、原発は立ち上がらないという状態で電力自由化をしてみても、例えて申しますと、横綱と大関が全部休場している大相撲みたいなものでして、甚だおもしろみがない。要するに、ユーザーにとって受けられる利益は甚だ限定されるものとなると思います。

 したがって、東電問題と原発の再稼働の問題とは、別に私は、電力自由化を進める上での前提条件だとまでは申しませんが、少なくとも同時並行的に解決しなければならないことは確かであるというふうに考えております。

 競争促進の見込みがあるのかということが最大の問題でありましょう。もちろん保証はございません。自由というのは全て保証がないことをいうのでございますから、当たり前のことでございます。しかし、兆候はございます。特に、東電のこのたび経済産業大臣の認可を得ました総合特別事業計画を見ますと、例えば供給区域を越えて顧客を獲得するという極めて旺盛な企業家精神が満ち満ちておりまして、大変な窮境にありながらこのような精神を発揮することに私は非常な感銘を覚えた次第でございます。保証はないが兆候あるというふうに言ってよろしかろうかと存じます。

 時間を超過しつつありまして、申しわけございません。

 最後にこう申し上げます。

 電力自由化の行方にバラ色の未来図が描けるわけではありません。それには大きなリスクがあります。電気料金は高どまりするんじゃないか、送電線、連系線、周波数変換所などに十分な投資が行われないのではないか、今までうまくやってきた給電指令がうまくいかないのではないか等々、心配の種は尽きないところでございます。しかし一方、改革をしないことにも大きなリスクは伴います。つまり、起こり得たかもしれないイノベーションのチャンスが失われるからでございます。

 つまり、どっちにしても大きなリスクがあり、それは定量的に比較可能なものではございませんが、その上で進むべきか退くべきかを決めなければならない。このようなことを決められるのは、官僚とか専門家とか有識者とか、そういう人々ではありませんで、ただひとり、選挙された、全国民を代表する政治家によってしかなされないのでございます。一有権者として、本案について、国権の最高機関にふさわしい熟議がなされますことを心から期待いたします。

 御清聴いただきありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 次に、植田参考人にお願いいたします。

植田参考人 御紹介いただきました京都大学の植田です。

 このような機会を与えていただきまして、大変光栄に存じます。

 最初に、私の基本的な立場のようなことを少し御説明した方がいいかというふうに思っておりますけれども、私は、電力システム改革を進めるべきだ、こういうふうに思っております。

 それはなぜかということですが、私の認識では、現在は電力・エネルギーシステムの歴史的転換期にある、こういうふうに私は思っております。

 それはどういう背景を持っているかということでございますけれども、一つは、当然ですけれども、一種の技術進歩があったということですね。これは小規模な分散型の電源というようなものが大変効率性も高まってきている、こういうことがあります。このことが情報通信技術と相まって、非常に大きな、膨大な、新しい技術的な領域をつくろうとしているということです。これは、スマートコミュニティーというようなところもございますし、電源をためたり、つないだり、組み合わせたり、そういうようなことができるようになってきたわけですね。そうすると、そのことが非常に大きな威力を発揮する、こういうことになってまいりました。ですから、私たちはどういう電力・エネルギーシステムをつくっていくのかということが一番大きな問題である、私はそういうふうに理解をしているものであります。

 そういう技術的な変化、それから情報通信、制御技術との結合、そのことが需要家主導の市場をつくるというような可能性、あるいは電源の選択権、そういうことを広げるというようなことを技術的にも可能にしている、さらにそのこと自体が非常に効率的なものであるというような大きな可能性が開かれているわけでありまして、そのことが例えば地球温暖化防止というようなことにも寄与していく、ちょっと大げさな言い方ですけれども、人類史的貢献をなす可能性がある、こういうふうに申し上げてもいい一大領域だ、こういうふうに思っております。

 したがいまして、日本は率先してこの問題に取り組んでいくというふうに、これは福島の原発の事故の反省ということももちろんありますけれども、そのことだけではなくて、そういう大きな転換期だという認識が私は必要だと。そういう点で、三段階の電力システム改革というのは進めていくべきだ、こういうふうに思っておるものであります。

 全体的な評価というのはそういうことになるわけですが、留意すべき点がございます。このことを三点だけ絞って、お手元にお配りさせていただきました。ハンドアウト用にメモのようなものをつくっておりますけれども、それで説明させていただきたいと思います。

 この第二段階は、小売の全面自由化というのが一番の大きなものであります。これは先ほども議論がありましたけれども、自由化は何のためにするのかということになりますと、自由化が自己目的ではありません。自由化はできるわけですけれども、そのことに伴って競争が促進されないと、想定している、自由化によって得られるであろうと思われていることが何も得られるとは限らない、こういうことになります。

 今回の法改正は、二〇一三年四月に閣議決定された電力システムに関する改革方針に基づく第二段階で小売全面自由化ということなんですけれども、ですから、ポイントは、自由化ということ自体ではなくて、実際に競争が起こるのかということに留意しないといけない、こういうことで、公正な競争が促進されるためにはどうすればよいのかという問題を抜きにして、自由化だけで議論をしてはいけない、こういうことかと思います。

 これは実は既にいろいろな形で部分的には自由化を進めてきたところがありまして、例えば大口市場でもやったわけですけれども、ここのところは、現実にPPSはまだ三・五%のシェアしかございません。ですから、実質的には競争になっていないじゃないか、こういう問題があるわけですね。ですので、よく言われる規制なき独占の危険性というものが自由化した場合にあるということはよく認識しておく必要がある。

 だから、自由化したから成功しましたではなくて、自由化したことを通じて本当の意味での競争が促進されるということになって、規制なき独占というようなことにはならないという状況がつくられたかどうかということが大事だということでありまして、そのためには私は施策が必要だという立場であります。放っておいたらいいという立場ではありません。

 それはやはり、競争的な卸電力市場を整備する必要がある。市場というのは、ワークするためには何らかの市場の制度的基盤みたいなものが必要でありまして、その制度的基盤はどういうふうに設計しておくかということが非常に大事な問題ということになります。

 ですから、もちろん卸電力市場が自発的に育つんだったら全然いいんです、しかし、そうならない可能性がかなり高いというふうに見ざるを得ないんじゃないか。これは諸外国の例を見てもそういう点があると思いますので、どうやって競争的な卸電力市場を育てていくかという施策の問題がある、こういうことかと思います。これが具体化されるということがあって初めて今回の法改正は生きてくる、こういうことだというふうに思っております。

 どういうふうにやるかというのは、それこそ議論していかないといけないところでありますが、世界的にやられているようなことをいろいろ見ておりますと、一般電気事業者に対して卸の電力市場に一定発電量を供出させることを義務づけるというようなことももちろんあるというふうにも思いますし、だから一定期間は価格について競争できるように、新電力との間で価格差をつける、こういうことも考え得る施策であります。

 こういうことを注意深く検討していくということが必要でありまして、そのことを自由化を進めることとセットにして考えていく、こういうことが一点目であります。

 第二点目であります。

 これは実は、今回の法案をよく読んだんですけれども、入っておりませんので、入っていないことを言っていいのかどうかちょっと私も気になったんですけれども、しかし、ちょっと重要だと思いましたものですから、意見を述べさせていただきたいということでございます。

 御存じのように、平成二十五年の閣議決定で電力システムに関する改革方針を出されているわけですが、そこではこういうふうに書いてあります。「電気事業に係る規制をつかさどる行政組織のあり方を見直し、二年後を目途に、独立性と高度な専門性を有する新たな規制組織へと移行する。」こういうふうに明記されております。これをなぜ取り上げるかというと、先ほど私が申し上げた競争促進ということを本当にやろうと思いますと、この規制組織は決定的な役割を果たすんじゃないかというふうに思うからであります。

 ただ、今回の法案では何にも出ておりませんので、現時点においてどういうことが考えられているのかもよくわかりません。でも、二〇一五年四月、つまり来年四月設置、もともと方針はそうなっておりますので、たしか私の理解では、第一段階の改正法の附則にもそういうふうになっているのではないかと思います。したがいまして、今回の法案になぜないのかなと思ってしまったわけですが、秋に出てくるのかなとも思いますけれども、その点で、どういうものをつくるのかということが大事になるというふうに思っております。

 ここからは単なる私見にすぎませんのであれですけれども、私は、この競争促進をさせるための規制組織というのはかなり重要な役割と思っておりますので、かなり権限を持った、専門性を持った、独立性を持った、そういう組織でなければならないというふうに思いますので、そう考えると、いわゆる独立行政委員会的なものになろうかなというふうにも思わないではない、こういうことです。これは議論すべき点だと思っております。

 それから、先ほどもちょっと出ておりますが、だんだん電気だけとかいうことでなくなってきますので、本当は、私が想定している、あるいは政府が言っている規制組織は、電気だけじゃなくてガスも含めてというようなことになっていくのではなかろうか、あるいはそうすべきではなかろうか、こういうふうに思っておる次第であります。

 最後であります。

 もちろん、今回のこの法改正は第二段階でございまして、第二段階ということなのでこの法改正だけで評価しにくいところがございまして、第一と第三とに挟まれているわけでありますので、全部がつながって本当の意味での電力システム改革になる、こういうことであります。私は、やはりこういうものは、将来の見通しがはっきりすること、そしてその見通しをぶれないで確実に進めていく、こういうことをはっきりさせることがとても重要なことだ、こういうふうに思っております。

 第三段階、法的分離ということでございますが、技術進歩の速度も速いし、この動きからすると、もし可能であるならば、もっと早く第三段階を実施することも十分可能ではなかろうか、こういうふうに実は思っておる次第でありますし、手順前後というふうに書きましたのは、本当は、多分、法的な分離をすることでそれが一種の競争環境を整備するということにもつながりますので、そのもとで小売の全面自由化というのが、順序的にはそういうことになろうかというふうにも思いますので、そういう点も気になった次第であります。

 全体的には、私は、小売の全面自由化ということについて、それが実質的な効果を本当の意味で発揮するためには、何よりも競争促進が十分進められる、動いていくということが大事なので、それが本当に進んでいるかということをきちっとモニターして、そのモニターの結果を踏まえて、うまく競争促進が進まない場合にはより強力な手段を講じるというようなことも明記する、明らかにしていくというようなことも本当は必要ではなかろうか、そういうことも思った次第です。

 以上、三点にわたって、留意すべき点ということで意見を述べさせていただきました。

 どうもありがとうございました。(拍手)

富田委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより参考人に対する質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鈴木淳司君。

鈴木(淳)委員 自由民主党の鈴木淳司です。

 きょうは、四人の参考人の先生方、お忙しいところ当委員会までお出かけいただいて、本当にありがとうございました。

 それぞれ、事業者の代表の方、また今回のシステム改革をリードされたいわゆる学識の方々、とても現場の迫真性ある意見であったり、刺激的な意見も含めて非常に参考になりました。ありがとうございました。

 時間的な制約もあるので早速質問に入りたいと思うんですが、今回、システム改革第二弾は、昨年に成立した第一弾を受けてでありますから、もうこれは国会としては前に進めている、そして同時に、安倍総理が先般ダボスでも宣言されたように、まさに成長戦略の一丁目一番地でもありますし、絶対に失敗は許されないという改革でもあろうと思います。ですから、もう自由化あるいは改革の是非ではなくて、いかに改革を成功させていくのか、その議論をぜひしたいというふうに思っております。

 参考人の方々の中には競争環境の整備そのものが重要だという御意見もありましょうけれども、やはり結果を出して、改革そのものが自己目的ではなくて、安価で安定的な電力供給を実現し、事業機会を拡大し、結果的にイノベーションを起こす、これを起こして初めて成功でありますから、その観点でぜひ議論をしたいと思います。

 まず、議論のスタートでありますので、これまでシステム改革を進めてきた欧米の先進事例、先行事例から我々は何を学んだらいいんだろうか、何に留意すべきなんだ、これをまず確認したいと思います。それぞれ四人の参考人の方々に御意見をいただければありがたいです。

八木参考人 電事連の八木でございます。私の方からお答えを申し上げたいと思います。

 海外の先進事例に何を学んだかということの御質問でございますけれども、自由化そのものについて、いろいろな諸外国の事例がございますが、自由化そのものを実施していくに当たっての制度設計という面で、このつくり方によっては自由化がうまくいかない例もありますので、やはり制度設計をしっかりやるというところがポイントなんじゃないかと思っております。

 特に、大きな点では二点、海外の事例で私ども参考になると思っていますのは、一つは米国カリフォルニア州での例であります。過度な規制によって、事業者が適切な費用回収ができないという事例がございました。

 カリフォルニアでは、御承知のように、全面自由化に当たって、事業者が持つ火力発電所を全て売却して、これを卸の市場で調達するということになったわけですが、なかなか電源の建設が進まない等々、あるいは需要が伸びたこともあって、卸の市場の調達価格が非常に高くなりました。一方で、小売の方、事業者の小売側の電気料金は規制で凍結をされましたので、結局、調達価格と販売価格の間に逆ざやが生じて、事業者が経営破綻したという事例もあります。

 そういう意味では、事業者が健全な事業継続をするための費用をきちっと回収できる制度設計、これが一点、ポイントではないかと思います。

 それから二点は、先ほど陳述の中でも申し上げさせていただきました英国の例、あるいは米国テキサス州の例のように、将来的な課題として、自由化になりますとそれぞれの事業者が最適な経営を求めますので、いわゆる電源の建設という意味ではなかなか進まないところがあります。

 これは、電力の安定供給という意味では、基本的にはそれぞれの小売事業者がみずからの需要に対する供給力を確保する義務にはなっておりますが、やはり系統全体としては、例えば需要変動等のバランスが出てきますので、安定供給するためには予備力をきちっと確保するという機能が必要でございますが、米国テキサス州あるいは英国では、自由化時点では非常に潤沢な予備率があったのが、将来的にこれが低下してきて、大変な安定供給への懸念が出てきております。

 ぜひ、日本においても、中長期的な供給力を高める、そういう意味での仕掛けといいますか、制度設計といいますか、私どもとしてはこの二点の制度設計に特に重点を置いていただければと思っております。

 以上でございます。

広瀬参考人 私どもは、むしろ新規参入者という立場で、欧米で自由化になったときに、何か原則とかあるいは方程式のようなものがあるかどうかというのが当然気になるわけでございまして、少しずつ調査をしておりますけれども、残念ながら、こうすれば新規参入者としてうまくいくとか、なかなかそういうものが難しいというふうに思っております。

 これは恐らく、いろいろな歴史的な経緯とかそれぞれの国の状況、例えばイギリスは自国で相当な資源を持っているとか、いろいろな要素があってそれぞれの事情があるのではないかということで、私どもも、これからさらに、少しそういったことを勉強しなければいけないというふうに考えております。

 以上でございます。

安念参考人 さしたる知見を持っているわけではございませんが、もともと日本と欧米との違いが幾つかございまして、一つは、欧米では小売業者がもともと非常に多数いた国が結構多かったという点、それからもう一つは、これはヨーロッパ大陸でございますけれども、国境を越えた電気の融通が結構できたということがございます。

 日本はもともと、比較的最近まで小売業者も一般電気事業者であったわけだし、それから、ある種の夢物語としては国境を越えて電気を買うという話もありますが、これはちょっと、恐らくコスト倒れするだろうと思います。

 その二つが諸外国というか先行事例と違っておりますので、その点を留意しなければいけないんですけれども、ただ、それにどう留意するかと申しますと、実はそれほど、違うねというだけの話であって、だから日本の制度設計はこうでなければならないというような、具体的な結論は余り導けないような気が私はいたします。

 それから、カリフォルニアの例はよく出されますが、これは、そんなことわかり切ったことでしょうというだけの話で、世の中にはばかな人がいるという実例としてはおもしろいんですけれども、ちょっとエピソード以上にはならない。

 それよりも私が印象深いのは、イギリスの事例でございますが、ナショナルグリッドという送配電業者がえらくもうかっているのはなぜなんだろうと。つまり、本来、自然独占で規制が残るわけですから、変な言い方ですけれども、大体とんとんにならないとおかしいはずなんですが、そこがそうなっていない。そして、もうかっているのは、結局エンドユーザーが負担しているわけですから、その仕組みはよく研究する必要があるのではないかと思っております。

 以上でございます。

植田参考人 私も、諸外国の例を単純に先進事例と言っていいかどうか、それ自体も議論のあるところかというふうに思います。自由化を先行的に試みたという点ではそのとおりなんですけれども、成功したとか失敗したというのは、この評価がまた、例えばドイツで再生可能エネルギーがすごくふえておりますけれども、これは非常にうまくいったという評価をされる方もいらっしゃれば、もう一方では、電気代が随分上がったんだ、こういうふうに言われる方もいらっしゃる。そういうものじゃないのかなというふうに実は思います。

 そういう意味でいうと、トータルに全体の電力システム改革の進め方ということを、我が国の事情やこれまでのあれからしたときにどういう進め方をすることが、しかし、私自身は、最初に申し上げたように、この電力システム改革を進めることの歴史的意義は大変大きいので、その進め方について本当に知恵を絞るべきだ、こういうことです。

 細かい点だけ申し上げますと、先ほど私が申し上げた話の筋は、どうやって自由化が本当の意味を発揮するための競争促進につながるか、こういうことでありまして、そのために諸外国で工夫している制度はそれなりにございます。

 例えばカリフォルニアでは、電力会社に対して一定量、発電所を売却することを義務づけている、こういうこともございますし、たしかテキサスでしたでしょうか、あそこは州の公益事業委員会というのが非常に強力な権限を持っておりますので、価格統制的なことをやっていくとか、そういうことで競争促進を進めるというようなことはやっておりますので、その限りでは一定の効果を発揮するというようなことを一応分析することはできる。

 しかし、私は、それだからといって、そういう方法で全部いいというふうに言わないで、トータルのシステム改革の進め方、こういう議論をした方がいいかな、こういうふうに思っております。

 ありがとうございました。

鈴木(淳)委員 ありがとうございました。

 私は、今回のシステム改革の成否の鍵というのは、自分なりの理解では、競争と協調をいかに両立させるか、競争と協調の調和といいますか、結果的にそれが全体最適をどうつくるかということだと思うんです。

 電力は極めて国民生活や産業基盤の基本的なインフラでありますから、失敗は許されない改革なんですね。したがって、なかなか何が起こるのかはわかりにくいところもありますが、そうはいっても、やはり、想定される懸念は相当慎重に検討しながら、対策を練ることは必要なんだろうというふうに思うんです。

 先日の参考人の質疑の中でも、ある参考人から、規制なき独占もだめだが、規制だらけの自由化はもちろんだめだ、その中をどうとっていくんだという話でありますが、全く同感です。基本的に自由化を進めながら、結果的に競争と協調を実現、両立させていく、その際の留意点とは一体何だろうかというのは難しいテーマなんですが、これを考えるわけです。

 事業者たる広瀬参考人にお伺いしたいんですが、これからシステム改革で多種多様な新規事業の参入が考えられますし、業種、業態を超えた競争が始まるということになりますね。事業者の立場から見て、本来の目的たる安価、安定的な電力供給の実現のために、競争と協調の両立の観点から何がポイントになるんだろうか、難しい質問で済みません、そう思うので、それをまずお尋ねしたいと思います。

 同時に、これはぜひ植田参考人、また安念参考人にもお伺いしたいんですが、競争の促進の環境整備はもちろん大事です。ただ、競争になるだけで本当に結果的な全体最適というのはできるのかという問題もありまして、絶対失敗は許されないとすると、やはりそこをしっかり工夫しなきゃいけないのかなと思いますが、安定供給も含めた、ここの競争と結果的な調和というものをつなぐ工夫があるのか否か、またその必要があるのかないのか、これについて両参考人にお伺いしたいと思います。

八木参考人 お答え申し上げます。

 競争と協調ということ、これは本当に大変重要な御指摘だと思っております。

 今回の全面自由化等々の目的は、大きく言いますと二つある。小売の料金における最大限の抑制、そして電力の安定供給を確保する。

 この二つのポイントから考えますと、やはり最大限の料金の抑制をするためには、下流部分といいますか、小売事業者がお互い切磋琢磨して競争する。すなわち、お客様にいろいろな料金のメニューを提言したり、あるいは選択肢を提言することによって、お客様に選んでいただける、お客様のお役に立つ、そういう選択肢を提言し、競争しながら料金の低減に努力する、これがポイントだと思っております。

 一方で、協調という観点におきましては、上流部分におきまして、例えば発電会社における燃料調達等々において、やはり電気料金を下げるという意味では、上流側の発電部門においては、燃料調達におけるアライアンスとか、こういう協調も必要ではないかと思っております。

 加えて、もう一つ大事なことは、安定供給が損なわれないという意味では、発電事業者、流通事業者、小売事業者がやはり一体となって安定供給にそれぞれの役割を果たす必要があります。

 特に、端的な例は非常災害時でございます。非常災害時の電力の安定供給というのは、発電事業者と送電をつかさどる事業者、小売事業者が常に自分のエリア内で連携をとると同時に、場合によってはエリアを越えて、例えば他電力に、電気の応援融通のみならず人的、物的な応援をしないといけないと思います。

 したがって、主として電気料金の低減という意味では競争という点がポイント、安定供給という観点では協調という観点も大事じゃないか、そういうふうに私は考えております。

 以上でございます。

広瀬参考人 競争と協調ということにつきましては、誰と競争、協調するのかということは枠組みが変わるとちょっと違ったことになると思うんですけれども、私どもと東京電力さんの関係ではよく競争と協調というようなことを言われております。

 従来の考え方は、大きさは相当違いますけれども、首都圏のエネルギー供給につきましては、長年、東京電力さんと私どもが二本柱で担当させていただいたということで、特に、東京電力さんと東京ガスの間では、LNGの調達、あるいは調達した後のガスの製造、あるいは発電、そういうインフラのところまでにつきましては協調する。

 特に、日本の場合には資源を全て外国から輸入してきますので、日本に来るまでは一緒にやった方が当然トータルのコストが下がります。したがって、これはお客様のためにもなるのではないか。

 ただし、マーケットのところにつきましては、お客様によってはオール電化がいいというお客様もいれば、あるいはガスで煮炊きをしたい。まさにマーケット、エネルギーの利用の仕方についてはそれぞれのお客様の好み、あるいは考え方がありますから、そこについてはお互いに切磋琢磨して、いい提案をしていこう、今までの枠組みではそういう考え方でやってきた。

 どういう競争と協調になるかというのは今後の枠組み次第だと思いますけれども、従来はそういう考え方で私どもはやってきたということでございます。

 以上でございます。

安念参考人 協調と競争という大テーマでございますが、協調については、今までも協調し過ぎておりましたので、少しはよそよそしくなられた方がよろしいと私は思っております。

 既に、為政的な手当てといたしましても、先生御案内のように、広域的運営推進機関がありまして、全国一円の需給のバランスをよく見るという仕組みになっております。それから、今後、やはり協調という面では、結局のところ、送配電がうまくいくかということ。つまり、周波数を維持する義務があるということは、生産と消費の同時同量を達成しなければならないということでございますが、これが非常に微妙なと申しますか、非常にアーティスティックなわざであろうと思います。これをどのように実現していくのかという技術的な手だてを考えていくことが大切なんだと思います。

 ただ、この手のものはいずれも、余り凝ったことを考えますと、絵としては美しいんだけれども実際にはワークしないということがありますので、やはりこの点に関しましては、私は現場の知恵が大変重要だと思っております。

 それから、競争についてでございますが、これはもう理屈は簡単でございまして、値上げしようと思えば、もっと安い業者がいつ食いついてくるかわからないという環境をつくるということでございまして、その環境をつくるのは、要するに供給の余力がどこかにあるということでございます。それは休んでいてもいいんです。しかし、高くすると、さっとそこに行って客をとってしまうぞというその構えがあるということが大切でございまして、ちょっと手前みそになってしまいますが、やはり原発というのはどうしても必要だというのはその点だと思うんです。

 ただ、日本の場合は、燃料をほぼすべて外国に依存しておりますので、外国との価格交渉で非常に強いアッパーハンドを持つということはここ当分不可能でございます。ということは、我々は分散するしかない。分散することによってできるだけ安い電源を確保していくしかないわけで、分散をするということは、燃種も分散しなきゃいけないし、それから調達国も分散しなければいけない。つまり、弱い者は皆そうでございますが、保険を掛けて分散するというやり方をとるしかなくて、そのことによって国内における競争も維持発展させることができるのではないかと考えております。

植田参考人 私は、競争も協調も、ある場面において当然合理性があるということなので、何が重要かと言われると、どういうルールのもとで競争があるのかというルールが重要ですね。

 言いかえると、協調というのが合理的であれば協調するということが起こってくる、当然そういうことが起こり得る環境がどういうふうにつくられているかという観点が私は重要である、こういうふうに考えております。ですから、競争という場合も、どういう競争かという問題がありまして、一応私のあれでは、公正な自由競争といいますか、そういう枠組みをどういうふうにつくるか、こういうことが大事だという観点であります。

 同時に、競争と協調という話をある時間断面だけで考えてしまいますと、私は今回の電力システム改革の持っている大きな意義を失うところが出てくるとまずいと思うんですが、やはり非常にダイナミックにシステム改革を進めることが大きなイノベーションを生み出していく、そういう要素を持っていることはぜひ留意しておく必要がある、こういうふうに私は思っております。

 以上でございます。

鈴木(淳)委員 ありがとうございました。

 まだまだお尋ねしたいことはたくさんあったんですが、時間が参りましたので、これで失礼いたします。ありがとうございました。

 終わります。

富田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、大変お忙しい中、電気事業法の改正の審議に当たりまして、参考人の先生方に御出席をいただきまして、先ほど貴重な御意見を伺いました。心から感謝を申し上げます。六十年ぶりの大改革というものでございますから、その懸念点もありましょう。そして、それをやはり前進させていかなければならない、そういう観点から充実した議論を進めていきたいと思っております。

 まず、安定供給の確保についてお伺いをさせていただきたいと思うんですが、改めて今回の電力システム改革の目的を考えてみますと、第一に電気の安定供給の確保でございます。そして、第二に電気料金の最大限の抑制であり、第三に電気の需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大すること。この三点が電力システム改革の目的であります。

 今回の電気事業法改正においては、これまで安定供給を担ってきた一般電気事業者の送配電部門である送配電事業者が安定供給義務を課されることになり、引き続き重要な役割を担っていかれるものと認識しております。加えて、今回、新規事業者による参入が期待される小売電気事業者に対しては、供給力確保義務が課されているわけでございます。我々としても、自由化後も電気の安定供給を堅持していくためには、送配電事業者に課された安定供給義務と小売電気事業者に課せられた供給力確保義務が確実に遂行されることが必要不可欠、そう考えているわけでございます。

 そこで、八木参考人また広瀬参考人にお伺いをさせていただきます。

 このように、小売事業者の供給力確保義務が安定供給確保上必要不可欠ではあるわけですが、厳し過ぎても参入障壁となる可能性もあります。このバランスが難しいところでありますけれども、両参考人、このバランスについてはどのようにお考えか、お伺いをいたします。

八木参考人 八木でございます。

 安定供給の問題ということで、私ども懸念している問題は大きく三つほどございますが、今先生の御指摘の問題点もその一つでございます。

 今回の場合、小売事業者に自分の需要に対する供給力の確保が義務づけられておりますけれども、小売事業者さんが自分のお送りする需要に対する供給力を確保する、これは当然でございますが、そこで需要の変動というのはやはり起こり得るものでございますので、そういう需要変動に対応できる予備力までは確保する義務はないということになっております。したがいまして、小売事業者の変動分は、系統全体として、エリア全体で必要な予備力を確保していくということが大事なことになってまいります。

 先ほども冒頭の事例で申し上げましたように、中長期的に考えますと、英国や米国では自由化当初は非常に予備力がたくさんありましたが、電源建設へのいわゆるインセンティブが余りないということから、自分のお送りする需要以上の予備力を持つ必要性がないということも含めまして、予備力がだんだん低下してきている、こういう実態がございます。

 したがいまして、系統全体を安定供給で運用していくためには、やはり必要な予備力をいかに確保していくかということが大事だと思います。この問題についてはまだこれからの大きな検討課題になっておりまして、システム全体としていかにこの確保できる仕組みを検討するか、欧米等々で検討されております、例えば容量メカニズムの仕組みをつくるとか、そういう仕組みを入れていくことが大変大事なことであるというふうに認識いたしております。

 以上でございます。

広瀬参考人 私どもも今エネルギー事業者でございますので、エネルギーにとって一番大事なのは先生おっしゃるとおり安定供給ということで、電気の場合には私どもは新規事業者ですけれども、そういう観点からすれば、新規事業者、小売部門に進出する場合でも、それなりのしっかりとした供給は必要なのではないか。

 その場合に、一つは、みずから電源を持つということも必要でしょうし、あるいは、場合によったら違った方法で、こういうようなものがきちんとできているということが必要なのではないか。特に、発電の場合には私どもガス事業の投資規模とは桁が違うぐらい大きいわけですから、事業者としての一定のリスク管理をしながらやっていくということ、これは事業者責任でありますけれども、一方で、発電所をつくる場合には、環境アセスの問題ですとか、系統電源につなぐアクセスを、これからも公平性あるいは透明性を担保していただく、そういったことが必要なのではないか。

 ただ、電源を確保するというのは非常に時間がかかりますから、それまでは、卸市場を充実すること、あるいはそういった厚みを少し考えていただくといったことで、電源が無理な場合でも、そういったことできちんとした調達量が確保できるというような仕組みが必要なのではないかというふうに考えております。

 以上でございます。

江田(康)委員 もう一度、八木参考人にお聞きをいたしますが、先ほどお答えの一部もあったわけでございますけれども、そして、先ほど鈴木先生からもございましたが、自由化していけば、稼働率の低い電源設備の保有とか、将来の需要を見据えたそういうような電源投資は難しくなる、こういう中で供給力を確保する新たな仕組みが必要ということを先ほども強調されたわけでございます。今回の改正案では、これに対応して、一つには小売事業者への供給力確保義務を課しているということと、広域機関による電源入札の制度を整備しているということがあります。

 これは先ほどの鈴木先生のEU指令の中でもとっている対応かと思いますが、この二つのことを八木参考人に、供給力を確実に確保する仕組みというのは示していらっしゃるのか、これ以外の措置が必要か、先ほど少し出てきましたけれども、改めてお伺いをいたします。

八木参考人 基本的には先生がおっしゃるとおりのことだと思っています。

 申し上げましたのは、一つ、小売事業者に供給力の確保義務がございますが、大事なことは系統全体としての予備力を誰が持つかということであります。つまり、お客様の需要に対する供給力を持っているだけでは系統の安定供給はできません。例えば需要の変動あるいは電源トラブルが起こる場合があります。そういう場合に予備力として、適正な予備力をいかに中長期的に確保していくか、そういうセットになると思います。

 したがいまして、小売事業者に供給力確保義務は当然でございます。それ以上に、系統全体として予備力を確保するという意味で、一つは電源入札の制度、あるいは、もう少し系統全体で予備力を確保するような市場といいますか、そういう容量メカニズムを私は申し上げました。例えばそういうことも含めて、少し幅広にこれから御検討いただければ。

 大事なことは、中長期的な予備力がなくなることによって安定供給が損なわれることが問題でございますので、ぜひそういうことがないような、いろいろな厚みを持った対策を検討していただきたい趣旨でございます。

江田(康)委員 大変よくわかりました。

 続いて、電力システムの改革の目的のもう一つ、電気料金の最大限の抑制ということに関連してお伺いをさせていただきたいと思います。

 これは競争環境の整備と並行しているわけでございますけれども、電気料金の抑制を達成するためには、高コスト構造だった従来の総括原価方式を撤廃して地域独占の解消を行う、また、それに加えて新規参入の促進を図る、これらが非常に重要であるということでございます。

 安念参考人にお伺いをいたします。

 先ほど、電気料金については楽観できない、電力市場に十分な競争的な環境をもたらすことに成功したならば、その環境の中で電気料金が上がることには何の問題もないという革新的なお言葉でございましたが、このことについて、まさに安念参考人は電気料金審査委員会の委員長として総括原価方式による料金認可プロセスを目の当たりにされてきたお方でございます。総括原価方式についてどのような考えを、評価をされているか、その上で、自由化によって料金が上がったとしても十分な競争環境をもたらすことに成功すれば問題ないと言い切られた、その根拠を教えていただきたいと思います。

安念参考人 江田先生御指摘いただきましたように、電気料金審査というのをやってまいりまして、人工的に価格を決めるということは本来できないことだということを痛感いたしました。

 見えざる手というのをアダム・スミスがどういう意味で使ったかはアダム・スミス学者がいろいろ研究しているそうでございますが、結局、自由な市場のもとでできた価格は理屈抜き。例えば、なぜペットボトルに入っている水が百五十円あるいは百六十円なのかということを、我々顧客は、まず人件費は幾らなんですか、光熱費は幾らなんですか、そんなことは一々言わないわけです。

 つまり、もうでき上がったものはしようがないでしょうというふうに受け入れている。つまり、総括原価方式というのは精緻にすればするほどフィクションであるということが明らかになりました。もちろん規制産業でございますからあの方式はやむを得ないんですが、あくまでもやむを得ないだけの話であって、私はとてもいいとは思えませんでした。

 先生が御指摘の、自由市場であれば値上がりしたってしようがないじゃないかというのは、私は全くまさに御指摘のとおり、確信犯的にそう思っております。それは、自由市場というのはそういうものだからだとしか申し上げようがない。

 つまり、品薄であれば高くなるし、それから豊富であれば安くなる、それだけの話。したがって、豊富にするような方途を考えればよろしいのであって、それはとにかく発電の容量というものをふやしていけばいいだけの話。特に、現在は、先生御案内のとおり、実は原発なしでも何とかかんとか切り抜けられるようになっているわけです。ということは、原発が立ち上がればうんとその需給が緩むわけですから、当然安くなる方に少なくともベクトルは働くだろう、このように思っております。

江田(康)委員 明確な答弁でございました。

 それに加えて、政治としてはこのままではいけないわけでありまして、電気料金の抑制を達成する、そのためにはやはり新規参入の促進を図ることが必要でありまして、そのためにはやはり卸電力市場の活性化、先ほど供給力が確保されればということでございましたけれども、その卸電力市場の活性化が必要不可欠でございます。

 現在、卸電力市場は、もう先ほどからありますように、全電力量の一%にも満たない、そういう取引しか行われていない、その結果として新規参入が阻まれてきた、実質的な競争環境が整っていなかった、こういうことであります。

 そこで、八木参考人と広瀬参考人と植田参考人のお三方にお聞きをさせていただきますが、卸電力市場の活性化のために、現在、政府においては、一般電気事業者に対して余剰電力を卸電力市場へ売電するように自主的な取り組みを促しているところでございますが、これで十分とは思われていないと思いますが、どういうお考えか。それで、自由化が進展しなかった過去の轍を踏まないためにも、強制的に卸市場に電気を売買するような措置も必要とお考えだと思いますが、このような考え方について、お三方にお聞きをしたいと思います。

八木参考人 卸電力取引市場の活性化につきましては、かねてより、私ども、御指摘を受けまして鋭意取り組んでいるところでございます。一昨年の十一月に、我々電気事業者としても自主的にこの取り組みを推し進めて卸の電力取引量を拡大するということで、今着実に進めておりまして、二十五年度にはたしか四割ほど前年度からふえている実績でございます。

 この件につきましても、行政におけるモニタリングにおいて、我々の表明に沿った対応ができているという評価はいただいているところでありますが、やはり、現在の状況の中で、先ほど安念先生おっしゃいましたように、我々事業者としては、これだけ需給が厳しい、原子力プラントがとまっている中で、はっきり申し上げて、全ての電源を供給力として使っておりますので、卸市場に出せる余裕のある電源、もう一つはっきり言えば、安い電源が出せる状況にはないというのが現実であります。

 したがいまして、今後引き続き、我々としては、需給状況によって電源の状況も変わりますので、自主的に最大限の努力はしてまいりますが、やはり需給状況が緩和されるということ、それは、当面における安全性が確認された原子力プラントが再稼働していくことによって、我々が市場に売りを出せるという環境が整うんじゃないかと思っております。

 したがいまして、当面はやはり需給逼迫を早急に解消して、そして我々が自主的に取引市場にそれを出していく。それでもって市場がうまくいかないならば強制的な玉出しというのもあると思いますが、今の段階で強制的な玉出しをしても、これは現実として非常に難しいといいますか、需給が逼迫し電気料金の低減にもなかなかつながらないと思いますので、当面は需給改善に最大限努力した上でというふうに理解しております。

 以上でございます。

広瀬参考人 私どもは、現在、自前の電源としては百万キロワット程度でございます。二〇一六年の新しい制度の時点でも恐らくそれほどふえていないし、一応私どものビジョンでは二〇二〇年にそれを五百万キロワットというふうなことを考えておりますけれども、非常にこれも厳しい。ということになれば、お話しのとおり、卸市場を活性化していただいて、ある程度そこからの調達も踏まえたトータルとしての電源調達、こういうふうなことをぜひ実現していただきたい。

 ただ、そのために具体的にどういう方法にするかということにつきましては、今、いろいろな厳しい状況も十分私どもは認識しておりますので、そういった推移を見ながら今後検討していただければ大変ありがたいと思っております。

 以上でございます。

植田参考人 この点は、私が最初に申し上げたこととある意味で重複するかというふうに思います。

 端的に言って、自主的取り組みに任せておいて卸電力市場が活性化するのであればそれでいいわけですけれども、今、どう考えてみても、余剰電力ですから、自主的取り組みが急速に進む状況ではないというふうに私は認識をしておりますので、やはりここは何らかの仕組みを導入して、卸電力市場の活性化、競争促進策を導入するというのが、このシステム改革を成功させる上では決定的に重要な意味を持っているというふうに理解をしております。

江田(康)委員 これに関連して、広瀬参考人と八木参考人に、最後に一つずつお伺いをさせていただきます。

 広瀬参考人には、新規参入が活発化するためにはベースロード電源が流動化することが必要という御指摘がございました。これは、卸市場にベースロード電源が出てくることが必要との御発言だと思いますけれども、そのためにどういうような措置が必要と思われるかというのを、両参考人にお聞きせないかぬのですけれども、広瀬参考人にお伺いをさせていただきます。

 八木参考人には、それについてどう思われるかということと、先ほど、原子力事業を担える新たな国策民営のあり方を検討していただきたい、このことがひいてはということでございました。自由化はしっかり進めながら、それとはまた別に議論が今後行われていくものと私は認識しておりますけれども、新たな国策民営のあり方というのは具体的に何を想定されているか、最後に御質問します。

広瀬参考人 やはり電力事業に参入するためには、多様な電源、特にベースロード電源というのは非常に大事でございます。

 私どもは、今LNG一本でございますので、当然のことながら、石炭も含めたベースロード電源について検討をしておるところでございますけれども、なかなかやはりそこは難しいところがありますので、そういった意味でも、ベースロード電源につきまして、何らかの形で、卸市場にそういったものが出てきていただけるような仕組みにしていただくと非常にありがたいということでございます。

八木参考人 ベースロード電源に関しましては、基本的には、それぞれ新規事業者の電源開発が促進できるような仕組みというのがベースだと思いますが、我々事業者としては、新規参入者の供給力が不足した場合に我々一般事業者が御協力するという意味では、ベースロード電源的な位置づけで常時バックアップの電源制度というのを組み込んでおりますので、これを御活用いただけるということで一助になるのではないかと思っております。

 それから、原子力の環境整備、つまりは全面自由化における新たな国策民営のあり方ということでございます。

 先ほど申し上げましたように、原子力というのは、他の火力、水力発電と違っておりまして、つまり、建設から運転期間中のみならず、廃炉あるいはバックエンドの処理といいますか、他の設備にない特徴を有しておりまして、やはり相当長期間にわたる事業であり、また相当高額な投資がかかる。

 これをやはりきちっと回収できるという意味で、従来は、ある意味では国策、国のエネルギー政策のもとで、総括原価方式というもので回収ができたわけです。

 今回の場合、国のエネルギー基本計画で原子力をベースロード電源と位置づけていただきましたが、将来の依存度を下げていくという話、あるいは総括原価方式がなくなるということで、この回収見通しが立たない。

 すなわち、一番のポイントとなりますのは、バックエンド事業に関する予見可能性の確保、あるいは費用が確実に回収できる、この辺において、新たな事業者と国の役割分担といいますか、こういう環境整備。

 それからもう一つは、原子力損害賠償制度でございます。

 原子力の場合は、今回、このような、一旦事故が起こりますと大変大きな影響が出るというのを改めて我々も感じたわけでございます。やはり諸外国の事例を考えますと、今、日本の原子力事業者には事故時の無過失無限責任というのが課せられておりまして、あるいは毎年負担しております一般負担金については将来に対する備えということでございますが、この負担すべき水準というのもある意味では明確になっていない。

 そういう意味では、諸外国の事例を見ながら、原子力の損害賠償制度における国と事業者の役割分担をきちっと見直し、明確にしていただくということが、我々民間事業者が原子力をやっていく上での長期の予見性が立つことにつながります。ぜひそういう新たな国策民営のあり方を検討していただければと思っております。

 以上でございます。

江田(康)委員 時間が参りました。

 参考人の皆様方、大変貴重な意見をありがとうございました。参考にしていきたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 おはようございます。

 参考人の皆さん、本当に貴重なお時間をいただいて、また貴重な御意見、参考になります。ありがとうございました。

 まず、四人の参考人の方々にお伺いしたいと思っております。

 まず最初に、私は基本的に電力システム改革には賛成の立場で質問させていただきたいと思いますが、安念参考人もおっしゃいましたように、改革というのは本当に難しいと思いますし、今回、この改革をするリスク、しない機会費用、それは本当にイーブンぐらいのところではないかと思っております。

 私も、官僚時代、改革派官僚などと言われて有頂天になって改革してきましたけれども、結果としてなかなかうまくいかないケースもあるわけであります。古くは国鉄改革は恐らく成功事例でありましょうし、テレコム改革も、なかなか電波オークションまでいきませんけれども、成功事例の一つかもしれませんが、その他、なかなかうまくいっていない場合もあると思います。

 これまでのパラダイムは、総括原価方式で料金を決める、地域独占を認める、あるいは電力債における一般担保制度、送配電と発電を垂直統合するという大きな枠組みで電力事業者に供給義務を課してやるというパラダイム、これは高度成長の時代は非常にうまくワークしたと思うんですね。電力需要がどんどんふえていく中で、どんどん設備投資をしていただく場合のすばらしいスキームであったと思います。これはいわゆる計画経済的資本形成と呼ぶべきものだと思うんですけれども、ある時期は成功した。

 しかし、これから電力需要は恐らく伸びない、むしろ下がっていくときに、既存の電力設備をどうやって上手に使っていくんだろうかということも大きな課題になる中で、これはやはり自由な競争に任せていった方がいいんじゃないだろうかということなんだろうと思います。

 ただし、電力自由化という大きな目的を達するために、さはさりながら、一方で、これまでと違う、セット化された規制ではない、かなり細かな規制がどんどん入ってくるたてつけに今でもなっております。恐らく、先々、問題が起きるたびに、マスコミにバッシングされたらエネ庁はばんばんと規制をしていく。これは過去の例からも明らかであります。

 その際に、例えば供給力確保義務あるいは価格の非対称規制、あるいは卸電力市場に係る、箸の上げおろしまで監督するかのような規制が恐らく相当入ってくるのではないか。これは実は結構人為的なんですね。競争がうまくいくまで価格規制は残します、競争がうまくいくかどうかの判断は人為的な判断です。総括原価で決められた大きな枠組みは制度です。もちろん、総括原価方式はよくないという部分はあるかもしれませんが、制度ですからそんなに人為的な思惑は入らないんですけれども、今後、自由化のために入る規制は案外人為的な規制が多いんです。経済産業省の積年の恨みをここで晴らされちゃ困るわけです。

 ですから、本当に自由化を進めるんだけれども、これはしようがない、もうやるしかない。しかし、それに対応するための規制とのバランス、これについて、事業者の方は申しにくいと思うけれども、勇気を持って四人の方、順番に御発言をいただければと思います。

八木参考人 八木でございます。

 基本的には今回の全面自由化というのは、大きく私どもが理解しておりますのは、これまでの電力の安定供給を確保しつつ、やはり電気料金の最大限の抑制をしていく、こういうことだと思います。

 そういう意味では、基本的には、電気料金の抑制というところにおいては、全面自由化における、各事業者が切磋琢磨してお互いお客様に選んでいただくためのいわゆる競争をするということでありますので、基本的には今回は過渡的な措置であると理解しておりますが、事業者側に料金規制とか供給義務とか、そういう規制をやはり長くかけるというのは余り好ましいことではなく、やはり公正な環境にするということが大事ではないかと思っております。

 一方で、電力の安定供給の確保ということについて、この点におきましては、規制というよりも、やはり全体の電力の安定供給、そごが起こらないようにするという意味では、どうしても、自由化の中でいきますと、各事業者が自分の経営を最大化することを優先しますので、全体最適ということが薄れます。そういう意味では、全体最適な系統安定運用が保たれるような仕組み、制度設計という面において、やはり国に積極的にお力をおかしいただきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

広瀬参考人 私どもも長年、規制の中で事業を行ってきましたので、これから新しいそういった枠組み、時代の中で、思考方法も含めて、あるいはビヘービアも含めて、これから変えていかなければいけないのではないか、こういうふうに思っております。

 確かに、エネルギーの場合には経済的な規制は今後なるべく少なくしていくということでありますけれども、一方で、いろいろな社会的な規制、例えば保安とか、そういったところは当然のことながら残るでしょうし、それから経済的な規制も、場合によったらある程度、エネルギーの場合にはマーケットとインフラの整備と原料の調達というのは結構リンクをしておりますので、その辺をこれからどういうふうに全体最適に持っていけるのかというのが非常に大きなポイントになるのではないかなというふうに思っております。

安念参考人 私は、基本的に自由化というのは、どんなものでもそうですが、うれしくてやるようなものじゃないと思っています。

 今、岸本先生御指摘のように、従来の総括原価方式、地域独占に象徴される制度というのは、要するに、日本経済が何もしなくてもなぜかうまくいっていて右肩上がりだったときには、みんなハッピーでよかったねという、それだけのことです。

 我々は、もう何世代もその右肩上がりの経済しか知らなくて、縮小していく、シュリンキングなエコノミーというのにどう対処していいのか、方法が実を言うとよくわからない。よくわからないから自由にするしかないよねというのが私は自由化だと思っております。

 なぜテレコムが成功したのかというと、これは成長産業だったからですね。端的に成長産業だからうまくいったので、やはり成功するものは皆、右肩上がりなものが成功するんです。

 ですから、私は、電力システムの自由化というのは、そんなにハッピーなことが起きるとはもともと思っておりません。それは、電力会社が悪いとか官僚が悪いとか政治家が、そういうことではなくて、老年になってきた、私自身がそうであるように、だんだん足腰が痛くなってきたというのは、もうそれはしようがないということだと思う。

 その中で、できるだけ痛みを少なく、特に弱者に痛みが集中しないような方策を考えることができたら、衰えつつある国にとってはほぼ満点の答案が書けたということになるのではないかと思います。政府の規制は、私は、ほぼそれに集中すればよろしい、だから少々の痛みはしようがないと割り切るべきだと思っております。

植田参考人 最初に御指摘いただいたように、私も同じ認識を持っておりますが、パラダイムの転換だというふうに思います。そのパラダイムの転換にふさわしいシステムに変える、そこのところが大事な問題で、どういうふうにふさわしいシステム構築をしていくかというのがこの自由化に問われている課題というふうに認識しております。

 御指摘いただいたとおりだと私も思っておりますが、実際に、私も最初に申し上げたように、競争促進が本当にされているかどうかというのを、誰が見て、どう評価して、そこが十分じゃないからこういう手を打てというのを誰がやっていくのか、そこが確かに大変大事な問題というふうに私も認識をしております。

 そういう意味では、私が申し上げた新たな規制組織というのはそういう役割を持つのかなということを実は思っている次第でございまして、やはり、おっしゃったとおりで、今どういう状況にあるかという評価自体がある意味では人為的ですし、その評価に基づいて行われる施策も人為的だといえば人為的だ。言いかえると、その評価とか施策が信頼されるかどうかということがとても私は大事なことだというふうに思っておりますので、信頼されるような施策や評価を行うことのできる規制組織とはどういうものか、こういうことを検討するのが課題というふうに思っております。

岸本委員 ありがとうございます。

 ちょっと先ほどの発言で、私は経済産業省の積年の恨みという言葉を使いましたが、積年の悲願とかえさせていただいて、おわびをしたいと思います。ちょっと本音で語り過ぎてしまいました。

 それで、次なんですけれども、まさにパラダイムが変わるわけですね。私自身がこの改正に自分を納得させた唯一の理由は、恐らく、送配電と発電を分けると、垂直的統合というものが電力自由化によって水平的統合に結びつくのではなかろうかということであります。つまり、横では自由になっていくわけですから、今、九電力あるわけですけれども、発電会社が二つになり、まあ一つはひどいですけれども、二つ三つになるのではなかろうか。

 私は実は安念参考人とは大学の同級生で、当時を思い出しますと、同級生はみんな第一勧銀に行くか富士銀行に行くか悩んでいたわけですよ。それで、今ふたをあけたら、みずほで副頭取で席を並べているわけですね。

 つまり、自由化ということはそういうことなんだろうと思います。ガス会社さんも含めて総合的なエネルギー会社、まさに関西電力と東京ガスが合併することだって、あり得ないと今は思っていますけれども、あり得るかもしれないんです、メガバンクは三つになっちゃったんですから。

 そういう意味で、まさにこれからはファイナンスが一番大事だと思うんですね。戦略的なファイナンス政策を打てる事業者、電力であろうとガスであろうと、場合によっては鉄屋さんであろうと、そういうところがMアンドAを積極的に行うことによって、恐らく五年後、十年後、全く新しいスーパーエネルギー事業会社ができていることこそが、私は、電力自由化の最大の目標であり、そのことのために私どもはこれを賛成して進めたいと思っておるんですが、この見方について、四人の参考人の方の御見解、感想を聞きたいと思います。

八木参考人 まず、私ども電気事業者といたしましては、今回の電力システムの改革のみならず、並行してガスのシステム改革も進んでおります。私どもとしては、やはり、基本的にはお客様のお役に立つ企業であるという意味では、エネルギー全般を担当するというのが自然ではないかと思います。

 そういう意味で、今後のエネルギー市場における垣根を越えて、むしろ我々は、電気だけでなくガスも含めて、お客様にベストなエネルギーを御提供できる総合エネルギー事業者という方向性を目指していくべきかなというふうに思っております。そういうふうな形で各社が切磋琢磨をする、こういうことだと思っております。

 一方で、水平部分のいろいろなMアンドA、今後の事業形態についてはいろいろな形があろうと思いますが、電力の中が例えば発電と小売と系統に分かれたときに、それが水平部分で統合する場合でも、大事なことは、それによって、競争環境はいいとしても、安定供給が損なわれない仕組みがきちっと組み込まれているということだと思います。それが前提条件でないと、MアンドAが目的になったのではいけないのではないかというふうに思っております。

 以上でございます。

広瀬参考人 私どもも、二年前に策定しました二〇二〇ビジョンにおいては二つのキーワードがございます。一つは、総合エネルギー企業になろう、もう一つは、大変おこがましいんですけれども、グローバル企業になろうということでございます。

 私どもは、これからもベースはガス事業、それから首都圏をベースにする企業であることは間違いないんですけれども、その一方で、ガス以外のいろいろなエネルギーにチャレンジしよう、あるいは、首都圏から日本、さらには世界にいろいろな事業を展開しようというようなことを目指してやっておりますので、今おっしゃったような方向性につきましては、私どもも全く同じような考え方でございます。

 エネルギーは場合によったら規模の経済が結構働くところがございますので、そうした中で、これから規模を追求する中でまたいろいろな動きが出てくるのではないかというふうに考えているところでございます。

 以上でございます。

安念参考人 同級生だから申し上げるわけではございませんが、岸本委員のおっしゃることに一〇〇%賛成でございます。

 広瀬社長が今おっしゃいましたように、エネルギー産業、特に送配電については相当程度規模の経済というものは働くと思いますので、企業規模がMアンドAによって大きくなっていくというのは、経済的にも合理性のあるところだろうと思います。

 先ほど申しました、東京電力がこの窮境にありながら外に打って出るという姿勢を見せているのは大変よいことでございまして、大変失礼ながら、このままいくと、ひょっとすると関西電力さんも東電大阪支店になってしまうかもしれない、しかし、その東電だってひょっとするとアレバの日本支社になってしまうかもしれない。

 非常に大きな電力会社と小ぶりの新電力との直接対決というのはなかなか難しいことでございますが、そうしますと実は資本市場による規律というのが大変重要になってまいります。つまり、いつMアンドAをされるかわからないという恐怖が経営者を規律するというのは大変重要なことだと思っております。

 その観点から申しますと、エネルギー産業に対する外為規制を全部外すことは私はできないと思うんですが、安全保障上どうしてもエッセンシャルだと思う部分以外は、資本市場の規律にできるだけ、ここで言う資本市場というのは東京市場という意味ではなくて、グローバルな資本市場の規律に委ねるということが日本の利益になると私は考えております。

植田参考人 私も、エネルギー相互間の垣根を越えていくことが大変重要である、こういう共通認識を基本的には持っておりますが、ちょっと違った観点で、日本の最終エネルギー消費を見ますと、電力よりも熱の方が多いですね。ですから、総合的にエネルギーを利用するという観点からすると、電力の議論だけではなくて、熱利用をどうするか、あるいは交通燃料をどうするか、それを総合的にやることが実は温暖化防止の観点からもとても重要な問題だと思うんですが、そういう点からも重要な意味を持っていると私は思っております。

 以上です。

岸本委員 ありがとうございました。

 最後になりますけれども、今の電力の需給が逼迫している状況の中で、本当に今改革をしていいのかということについてお聞きしたいと思います。八木参考人も冒頭懸念を述べられました。安念参考人も、原発再稼働の問題や東電の問題を使われて懸念を表明されたと思います。

 まさに供給力が余っているときにこそやるべき改革なのではなかろうか。そうだとすると、安倍内閣、お急ぎなのはわかりますけれども、ここで二年、三年、慌ててやる必要が本当にあるんだろうか。これは本当にクルーシャルだと思うんですね。スケジュールはあるかもしれませんけれども、今の状況で本当にやっていいのかどうか。特に、法のたてつけが、実はテレコムと一緒で、一般電気事業者にかなり泣いてもらうたてつけなんですよ。今赤字できゅうきゅうとされている一般電気事業者を泣かせて新電力に兵糧を渡すような改正が、今本当にいいんだろうかという懸念を持っております。

 簡単で結構ですので、四人の参考人の方、今がそのタイミングかどうかについて、御所見を承りたいと存じます。

八木参考人 冒頭の陳述で申し上げましたとおり、今本当に全国的に電力需給が大変厳しい状況になっております。したがいまして、欧米の先進国の事例でも、大体、自由化が進められたときには、比較的需給に余裕がある状況の中で進められている。むしろ、逼迫した中で失敗したのがカリフォルニアだと思っております。

 そういう意味では、大変残念ながら、今原子力プラントの再稼働に我々として全力を尽くしておりますけれども、今はまだちょっと見通しが立っておりません。したがいまして、こうした需給状況の改善といいますか、今後の自由化を進めるに当たって、確実にその状況を確認した上で次のステップへ入っていただくことをぜひお願いしたいと思っております。

 以上でございます。

広瀬参考人 今回の電力システム改革について、非常にいいというか、ありがたいのは、非常に丁寧に、一つ、二つ、三つとステップを踏みながら、時間をかけながら検討を進めているというのは非常に私はいいのではないかなと。

 第二段階は二〇一六年ということでありますけれども、まさに第三段階のときには、改めて、安定供給なり、料金の低減化なり、あるいはお客様のための選択肢の増大なり、そういったものが多角的というか総合的にまたいろいろな検討、議論がなされるのではないか、こういうふうに理解をしております。

安念参考人 私は、今でも五年後でも同じことだと思います。そのことの意味は、今であっても結構ですが、そのときには条件がありまして、岸本先生に二つの動議を出していただかなければなりません。第一、本案附則十六条、十八条、すなわち非対称規制を定めておりますこの両条を削除するという動議。第二に、現在いわゆる再稼働の申請中であっても適法に原子炉の運転を開始できるのだということの決議案の動議。この二つでございます。

植田参考人 私は、電力システム改革は、昨年閣議決定を行って、三段階で進めていく、こういうことが既に決定されておりまして、これをぶれずに進めるということが、関係者みんながそういう方向で進むのだということを前提に動き出す、こういうことになりますので、その点が重要だというふうに理解しております。

岸本委員 時間が参りました。本当に参考になりました。ありがとうございました。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 きょうは、四人の参考人の皆さん、貴重な時間をいただきまして、そして御所見をいただきまして、ありがとうございました。

 二十分ですので、早速質問させていただきたいと思います。

 まず八木参考人にお伺いしたいんですが、今回の法案の中で、いわゆる一般担保つき債券、これをどうするかというのが一つの課題だと思うんですね。現法案ではこれは第三段階の発送電分離をしたときにまた具体的に検討するということになっておりますけれども、もちろん資金調達の面で既存の一般電気事業者の皆さんはこの制度というのは必要だというお考えもあるかもしれませんが、自由化をしていく上に当たって競争条件をフェアにしていくということも当然必要なわけでありまして、いずれかの段階ではこの問題はやはり解決しなきゃいけないということなんだと思うんです。これに関しての御見解をまず教えていただきたいと思います。

八木参考人 八木でございます。

 一般担保制度につきましては、これまでも、安定供給など、私ども電気事業者が公益的課題を実現していく上では大変重要な役割を果たしてきたというふうに思っております。

 また、本法案の中におきましても、今後の電力安定供給に必要となる資金調達に支障を来さない、そういう方策を講じる、こういうことがうたわれておりまして、そういう意味で、我々がこれから全面自由化になっていった場合にも、やはり電力の送配電部門というのは安定供給の責務を担いますし、膨大な流通設備がございます。これは御承知のように、高度成長時代にできた設備がこれから更新の時期に入ってまいります。こうした設備をきちっと改善していくための投資、これがしっかりできること。

 あるいはもう一つ、先ほど申し上げました、原子力というのが長期を見通して非常に費用のかかる事業である、こうした事業を我々がしっかりやっていくに当たってその資金調達ができる、そういう意味では、この一般担保制度の取り扱いは大変重要なものだと思っております。

 したがいまして、第三段階において議論されるということでありますが、こうした点については慎重な御判断をお願いしたいというふうに思っております。

 以上でございます。

今井委員 ありがとうございました。

 先ほども申し上げましたように、もちろん安定供給という面も含めて資金調達はしっかり担保してあげないといけないということは、途中段階では必要だと思いますけれども、やはり競争を促すということでありますので、競争条件を一緒にするということをやっていかなきゃいけないと思います。また来年この議論は出ると思いますので、またいろいろ御意見をお伺いしながら考えていきたいというふうに思います。

 続きまして、広瀬参考人にお伺いしたいと思うんです。

 先ほどいろいろお話をいただきまして、なるほどと思いました。特に、資料の十二ページの、これはきのうもレクで少しお話しいただいたときになるほどと思ったんですが、消費者から見て切りかえが手間でしようがないという状態になってしまったら、せっかく自由化して選ぶ権利があっても面倒くさくてやらないということが起きてしまうので、現状でも紙ベースとかいろいろあるというふうにお伺いしましたので、小口化してしまうととんでもない事務量になっちゃうし、この問題は本当に現実的な問題で、非常に考えなきゃいけないなということを改めて思いました。これから制度設計をしていくと思いますけれども、またここについては随時御意見をいただきたいと思います。

 きょうは、ちょっと別のお話で、先ほどLNGのお話をされておりました。シェールガスとかの獲得の状況もお伺いしまして、調達の多角化と価格の多様化というのをおっしゃっておられましたけれども、よく言うのは、今、日本のLNGの価格というのは原油価格と連動していて非常に高いというふうに言われています。

 私が理解しているところによると、再来年ぐらいに更新期が結構集中してくるんじゃないかなというふうに思うんですけれども、例えば新しい料金体系を交渉する、それがどれぐらいの実現性があるか、それをしていくと調達コストというのはどれぐらい下がっていくと、具体的には言えないかもしれませんが、どのように期待されておられるか、そのあたりについての見通しを教えていただければと思います。

広瀬参考人 現在、大変LNG価格が高騰しておりまして、その面では大変お客様に御迷惑をかけているということに対しまして、大変申しわけなく思っております。

 LNGにつきましてはいろいろな歴史的な経緯がございまして、導入時にどちらかというと石油代替ということで導入した経緯がございますので、お客様というかマーケットの方も、逆に石油連動というのはそれなりの意味があったというふうに思っております。ただ、おっしゃるとおり、時代も変わってきておりますので、現在、長期契約、あるいは石油連動のそういった契約について少しずつ見直しをしているというところでございます。

 実際の交渉段階では対抗手段がないと交渉というのはなかなか難しいものですから、言ってみればいろいろな武器を持って、それをまさに多角化と言っているわけですけれども、そういったことで交渉しているというのが現状でございます。ただ、現在は、原子力も動いておりませんし、日本の場合にはLNGがどうしても必要だというふうなことで、非常にきつい交渉になっていることは間違いないと思います。

 ただ、先般、G7のエネルギー大臣会合で仕向け地条項の緩和について共同声明にもうたわれたりとか、そういったいろいろな動きが今ありますので、私どもはそういった動きにつきましては非常にありがたいと思っております。

 そういったことも踏まえて、今おっしゃったように、長期契約ではありますけれども、契約更改というのがまたその中に何回かございますので、そういったタイミングを捉えて、シェールガスとかいろいろな代替手段を我々は持っているんだというようなことを示しながら交渉に臨んでいるというのが実態でございます。

今井委員 ありがとうございました。

 原発を再稼働するしないにしても、仮にしたとしても、今までの分を全部動かせるわけでもありませんし、地球温暖化という問題があって、来年の年末にはCOP21がありますから、余り石油、石炭にも頼れませんので、そういう意味においてはLNGの位置づけというのは非常に重要ですし、価格という面が本当に一つネックになってくると思います。我々も全面的に協力したいと思いますので、ぜひ交渉をしっかり頑張っていただきたいというふうに思います。

 次に、安念参考人にお伺いします。

 先ほど、東京電力が生殺し状態だとおっしゃっていましたけれども、生殺しという言葉はちょっと我々はあれなんですが、私自身も実は今回のいろいろな東京電力に対しての国のあり方というのに疑問を感じておりまして、あのやり方でよかったのかなと。非常に曖昧になってしまった部分が残っていて、正直言えば、私はもうとにかく一回整理した方がよかったんじゃないかなというふうに思っていますが。

 いただいた資料によると、安念参考人もそのように考えておられたそうですけれども、現時点ではなかなか現実的なチョイスではないわけでありまして、東京電力を今後どういうふうにしていったらいいかということについて御見解をいただきたいと思います。

安念参考人 在野の一学者の勝手な感想にすぎませんが、まず、東京電力が負担する債務を確定するしかございません。

 これはもう現実的に考えるしかないのでございまして、東京電力はもともと、平時といいますか、巡航状態でも一年間に経常利益が二、三千億の会社でございます。現に、既に原賠機構から五兆円ほどのお金が入っているはずでございます。これは先生御案内のとおり、何と特別利益として認識するというやり方をとっているわけでございますが、借金です。

 二、三千億の経常の会社が五兆を超えるような債務を返し続けるなどということは、私には到底できることではないと思います。少なくとも正常にできることではない。多くの専門家が当初から言っておりましたように、限定された債務を弁済する部門と、通常に、健康にビジネスをできる部門とに分割することがどうしても必要だと思います。

 それからもう一つ、例えば除染とか引っ越し等の費用というものを全額東電が負担することは、私は現実問題として無理だと思います。倫理的にどうだということを言えばそれはそうかもしれませんが、私は、現実的に無理なものは無理だという判断をどこかで、できるだけ近いうちにしなければいけないというふうに思っております。

今井委員 おっしゃるとおりで、五兆円の借金をしていてどうやって返すんだという問題がありまして、電力の自由化をするに当たっては、先ほども参考人はおっしゃっていましたけれども、直接関係なくても、これは実は関係があるんですね。非常に密接に関係しておりますので、東京電力を最後どうしていくかということは、これを進めるに当たってもやはり真剣に考えなければいけない。

 僕は、決して彼らを悪者にしちゃいけないと思うんです。ですけれども、安定的に経営を続けていくための対策というのは、今のままだとやはり非常に不安だなというのは思っております。またこの委員会でも議論していきたいと思いますけれども、またお知恵をおかしいただきたいと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、植田参考人にお伺いしたいと思います。

 先ほどの御指摘の中で、独立規制機関の設置というのがありました。実は、我が党も全く同じ問題意識を持っておりまして、今回の法案の中にそれが盛り込まれていないということは大変問題だということで、ここは修正すべきだというふうに思って、修正案を考えているところであります。

 そこでお伺いしたいんですが、ここで今、三条委員会のような極めて独立した委員会を設置すべきというふうに御指摘がありました。私も全くそう思っておるんです。ともすれば、実は特定秘密保護法案の監視機関をどうするかという議論でもさんざんいろいろな意見が出ましたけれども、ひょっとすると、例えばエネ庁の下にそういう機関を置いて、そこで監視します、それでどうですかというような案が出てきかねないというふうに思っているんです。

 こういう機関をどういう位置づけで置くべきであるか。つまり、完全に独立して三条委員会のようなものにする、あるいは省庁の中、監督官庁の中に置いても構わない。その辺についてはどういうふうにお考えか、御意見をいただきたいと思います。

植田参考人 私は、今の点は最も重要な問題というふうに認識しておりまして、だからきょうは留意点ということでお話しさせていただいたんですが、まずもって政府が閣議決定をしたところに、独立性と高度な専門性を有する新たな規制組織、こういうふうになっている。このことを実際に実現しようとすると、どういう組織形態が考えられるかということを考えていくと、かなり自然に、内閣府に独立行政委員会的なものを設置するという考え方にならざるを得ないんじゃないか。

 これは大変大事なことなんですが、独立性と高度な専門性を有して、権限を持って、そういうものが本当に動いてくれることが、私は、電力システム改革の進め方に対する国民の信頼を回復するというか、得るためには不可欠の条件というふうにも言っていいと思います。行政の恣意性で左右されるような動き方じゃないんだということがはっきりするという点でとても重要な意味を持っている、こういう理解をしております。

今井委員 私も実は同意見でありまして、やはり独立した状態で、郵政民営化のときのような委員会をしっかりつくって監視していくべきだというふうに思いますので、大変参考になりました。ありがとうございます。

 次に、せっかくですからちょっとお伺いしたいことがありまして、八木参考人と安念参考人にお伺いしたいんです。

 以前、この委員会で文科省と経産省の皆さんと随分意見のすれ違いで議論したことがあるんですけれども、原賠法の三条の件なんです。私は、原賠法と規制基準との間にグレーゾーンがあるというふうに申し上げているんですが、この間の東日本大震災が結局、免責と認定されませんでした。千年に一回と言われているものが免責と認定されなかったということなんです。

 ではどういうケースなんでしょうかと言うと、昭和三十年代の答弁を持ってこられてお話しされましたけれども、例えば、地球上で経験したチリのマグニチュード九・五の地震とかを超えるもの、つまり人類が経験したことのないようなものでありますという御答弁でありました。つまり、それ以下のものというのは無限責任ですよということなんですね。

 ところが、一方、規制基準というのを規制委員会がつくっていますけれども、あの基準をどういうふうにつくっていますかということを伺いますと、その地域で過去に起きた一番大きな天災に備えての基準になっていますということになっていますと。

 そうすると、例えば、どこでもいいです、川内原発でもいいんですが、そこで過去に起きたことがない大きな天災が起きました、しかし地球上ではこれぐらいの規模はありましたというものが起きて、原発がまた仮に事故が起こりましたとした場合に、事業者はちゃんとその基準に従ってきちっと手当てをしてきて、不備もなくやっておりました、しかし、それ以上のものが起きてしまったので事故が起きましたと。

 ではこれは電力会社の瑕疵でしょうかと言ったら、そうじゃないんですね、ちゃんとやってきたわけですから。だけれども、あなたの無限責任ですと言われてしまう。そういうゾーンがあるということを指摘したわけです。

 この考え方についての御所見をいただきたいんですけれども、なぜ八木参考人にお伺いしたかというのは、このゾーンが残っていると、これは事業リスクなんですよね。事業者はこんなリスクを抱えて、果たして本当に原子力政策を進められるんでしょうか。やはりここのところをクリアしておかないと、不透明なところが多過ぎて、これから自由化でいろいろな競争をしている中で、そこまでリスクがとれるかということが起きるんじゃないかなと私は思っておりまして、その点についての御見解を御両人からいただきたいと思います。

八木参考人 冒頭の陳述の中でも申し上げさせていただきましたように、全面自由化における中で、いわゆる国策民営のもと、民間事業者が原子力をこれからも実施していく、そのための事業環境整備というのをぜひお願いしたいとお願いしましたが、その中の一つとして、この原子力損害賠償制度のあり方について、これは一度見直しをぜひお願いしたいと思います。

 御指摘のように、現時点では、事業者に対する無過失の無限責任が課せられております。そういう意味では、諸外国の事例を見ますと有限責任が多いというのが事例でございますし、また、今回、一般負担金をお支払いさせていただいておりますが、これは一応、理由の上では、将来のリスクに備えるという意味での一般負担金でございますけれども、この金額自体もまだ水準が明確になっているわけではございません。変動するリスクもございます。

 やはり、我々がこれからも全面自由化という中で原子力事業を民間としてきちっと遂行していくためには、先生御指摘のような、日本の原賠制度のあり方をいま一度きちっと整理していただくということが大変大事なことでございまして、そういう意味では、諸外国の制度も参考にしながら、ぜひ一度御検討いただければというふうに思っております。

 以上でございます。

安念参考人 御質問についてでございますが、もし、原賠法三条一項ただし書きに言う異常に巨大な天災地変というものが、人類がかつて経験したことのないような規模のものを言うのだという見解があるとすれば、私はそれは間違っていると思います。なぜなら、そのようなものに対して備えることはおよそ不可能だからでございます。

 つまり、我々は一定の限界を持って物事に備えるのでございますから、およそ青天井なものに備えるということは意味のないことになりますので、そのような解釈はとれないと思います。

 ただ、新規制基準を守るということと、民法七百九条の特則でありますところの原賠法三条一項がどう解釈されるかというのは、一方は行政に対する責任、いわば国家に対する公法的な責任、一方は私人間での民事的な責任でございますから、その責任の水準が同じでなければならないという論理的な必然はないと思うんです。ただ、論理的な必然はないというだけの話であって、同じである方が私はプラクティカルだろうと思うんです。

 今回の事故について申しますと、先生御案内のとおり、かつての原子力安全委員会の指針では、全交流動力電源の長時間の喪失というのは想定しなくてよいという指針になっておりました。それにもかかわらず、それを想定しなかったのがおかしいという非難の仕方は、私はやはりおかしいと思います。もちろん、これも御案内のとおり、東北電力の女川原発が実に見事な対応をなさいましたので、それとの対比において、私は、東電は少なくとも道義的には非難されるべきだと確信しておりますが、それは法的な責任とは別のものだと考えなければならないと思っております。

 いずれにいたしましても、民事上の責任において一番悪いのは、責任の限界が決まっていないことです。決まっていれば、それが低くても高くても、それは結局どうやって保険でカバーするかという話になりますので、とにかく決めるということが大切だと思います。

今井委員 ありがとうございました。

 私も、論理的にこれは一緒である必要はないと思うんですが、やはりここのゾーンがはっきりしないと事業リスクが出てしまうという問題が起きるということで、これを疑問視しておるということでございます。

 時間が参りましたので、終わります。大変貴重な意見をありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、非常に貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございます。時間も二十分と限られておりますので、早速質問に移らせていただきます。

 まず、植田参考人に御質問させていただきます。

 いただいている資料の中でも、また先ほどのお話の中でも、現状、大口の小売市場というものが事実上の独占状態にあるというようなことが指摘されておりました。これを今後、小口の方についても小売全面自由化というものを進めていくといっても、なかなかそれだけで本当の意味での競争というのは実現されないのではないかというふうな観点から、第三者のいわゆる三条委員会、そういったものを設けていくということが重要ではないかということをお話しされておりました。

 先ほどの今井委員の質問にもそういったことがありましたが、植田参考人の御意見として、三条委員会というところにどういった権限を持たせるべきかということについて、率直な御所見を伺えればと思います。

植田参考人 まず、私が申し上げた競争的な卸電力市場を整備していくためには、自由化しただけではだめで、自主的な取り組みだけでやっているとうまくいかないことが多いわけですから、実際そういうことが前例でもあるわけなので、そういう場合には新たなルールをきちっと入れるということを、わかっている場合には最初からそういうことをしていく、そういうことが必要だ、こういう趣旨だったわけですね。

 そのことと、それを踏まえつつも競争促進を進めるという場合には、競争促進がうまくいっているかどうかということをモニターする、あるいはそこをきちっと評価する。その上で、十分でない場合には何らかの施策を、あるいは一種の新たな仕組みを導入するというようなことに対して何らかの勧告をしたりするような、何か強い権限を持って措置を講ずることのできる機関が必要ではないかという趣旨ですね。それは、もともと独立性があるということと、非常に高度な専門性を持っている、この二つの点が大変重要です。

 独立性という意味合いは、先ほども議論がありましたけれども、これが一省庁の内部組織的なものになるのは、私は余りうまくないというふうに思っているというのが大事な点です。

 それは、行政の裁量でいろいろやられていくことが、かえってうまくいかない、いろいろな問題点を引き起こすという例がこれまでも大変多く見られたわけでもありますし、専門性を持った独立した組織、公益事業委員会的なもの、そういうものがアメリカの州なんかでもありますけれども、そういうところが一つの参考になるかもしれませんけれども、価格に関する問題ですとか、あるいは先ほど申し上げた、卸電力市場を活性化させるための量を確保するためにどういう措置をとるか、そういうことについて何らかの判断と、導入するだけの権限を持つというようなことがあっていいのではないかというふうに考えているものです。

 以上です。

三谷委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、しっかりとした権限を持って、ほかのところから左右されない、そういった判断をしっかりしていただけるような機関というのをつくるべきだろうというふうに思っております。

 広瀬参考人に質問させていただきます。

 東京ガスさんというのは、これから小売の全面自由化というものを受けて、恐らく新規参入される最大の事業者さんになるのではないかというふうに考えられていると思いますけれども、その中で、二点だけ質問させていただきたいと思います。

 まずは、これから小売参入の全面自由化を受けて、いわゆる消費者に向けての小売を始めていくに当たって、価格の面で、今までの電気事業者、それにしっかり伍していくというような成算がおありかどうかということを伺わせてください。

広瀬参考人 お客様が一番関心を持っているのは、やはり価格かなというふうに思っております。したがって、私ども新規参入の立場としては、そこをどういうふうに乗り越えていくかということで、強大な電力会社さんと同じことをやっていたのじゃ、これはもう当然のことながら、かなわないわけですから。

 私どもとしては、一つは、いろいろな料金メニューというか、私どもはたまたまガス事業者、ガス屋ですから、ガス屋が電気事業に参入する、どうやってそこに価値をつけるかといったことを、これから二年間で具体的に、それはメニューになるのかサービスになるのかわかりませんけれども、それを検討していきたいということです。

 参入するということは、ただ登録するだけではなくて、実際にお客様にスイッチしてもらわないと参入したことになりませんので、自主的に参入するという意味では、何らかの形でお客様に実際に電気を送るということをもって参入とすると、おっしゃるとおり、料金政策というのは非常に大事なポイントになるのではないかというふうに考えております。

三谷委員 恐らくは熱利用ということで、今まで以上に、コジェネを含めていろいろな形でのサービスを提供されていくんだろうというふうに思っております。その中で、電気料金というのも一つの重要なファクターになるのではないかと思っております。

 先ほど来の参考人の皆様のさまざまな御意見を伺っておりますと、押しなべて電気料金という表現が使われますけれども、正確に言うとこれは、そのソースといいますか、何によって発電される電気なのかということによって、当然ながらコストが全然違う。これを平たく電気料金と言うのはどうなのかなというふうに思っております。その中で、ベースロード電源というものを開放していくこともやはり必要なのではないかと考えております。

 これは、通信業界でいわゆる通信の自由化という話があったときの、いわゆるラストワンマイル問題と非常に類似の状況を感じているわけでございます。通信自由化というのは認めるよ、でもそれぞれの家までの電話線は各自で引いてねという話をされたのでは、幾らその業界が成長産業であろうとも、当然ながらそれは発展することはなかった、本当の意味での競争が始まることはなかった。そういう一番難しいところについては大手事業者さんには泣いていただいて、その意味で新規参入を認めていった、それによって成功したという例があるわけです。

 そういう意味では、ベースロード電源というものを開放する、これを求めるのは当然じゃないかと思いますけれども、その辺について、広瀬参考人の御意見を伺いたいと思います。

広瀬参考人 先ほどもちょっと申し上げましたけれども、私どもガス事業者としては、ベースロード電源を何とか、いろいろ今検討していますけれども、特に石炭火力については私どもは全くノウハウがございませんので、いろいろなアライアンスなんかも含めて、ベースロード電源の調達を、みずから努力して獲得するというのがまず最初にあるんだろうなと。

 その後、おっしゃるとおり、当然のことながら時間的ないろいろな制約もありますので、当面は、卸市場の中でそういったものがうまく回って、ベースロード電源的なものも厚みとしてマーケットに出てくるということについては、非常に大きな期待をしているということでございます。

三谷委員 続きまして、安念参考人に御質問させていただきます。

 先ほど来の話の中で、非対称規制というものは基本的にはあり得ないというような御趣旨のことを言われておりましたが、これは、自由競争をどのように促進するかという観点で考えると、私自身は、非対称規制は場合によっては必要だ、そういうふうに強く確信しているわけでございますが、非対称規制は許されないというお立場であれば、逆に言いますと、非対称優遇というのも許されないというふうに当然ながらなるのではないかと考えております。

 その意味で、今の電気事業法三十七条において、現行の一般電気事業者が引き続き一般担保つき社債を発行できるというような措置が残されているということについて、どのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。

安念参考人 比較的に体力の小さい新規参入者に対する優遇をなくすのであれば、既存のインカンベントに対する優遇もなくすというのは論理的に全くそのとおりと思っております。

 ただ、一点補足させていただきますと、非対称規制というのは、私は理論的には正当化できる場合があると思っております。問題は理論的にはというところでございまして、非対称規制というのは、その非対称規制が残存している状態しか現実の状態としては我々は把握できませんので、その非対称規制からいつ脱出するかの見きわめがほとんど不可能であると私は思います。その点で、非対称規制が全てだめということではないんですが、これを使いこなすのはもうほとんど神わざに近いのではないかと思っておりますので、その意味で、非対称規制はよくないという趣旨のことを申しました。

 全部を平等に自由化するのであれば、全て平等であるべきだという先生の御見解は全くそのとおりだと存じます。

三谷委員 現状の大口の小売の自由化というものを見ても、新電力が入っているのはわずか三%、四%程度というような現状を見て、本当に小売自由化を進めていくというような思いがあるのか。これはもう今までの一般電気事業者というものが独占的な市場を形成しているわけですから、それを踏まえて、それでもなお、どのタイミングで撤廃すべきかどうかわからないからという理由で非対称規制を入れてはいけないというのは私はちょっと行き過ぎではないかと思いますが、それはともかくといたしまして、八木参考人にその点について伺いたいと思います。

 今までの大口の小売の自由化というものの中で、ほとんど競争が起きてこなかった、特に電力間競争がなかったということについて、これをどのように見ているのか。反省すべきは反省しというふうに思っているのか、それは当然だと思っているのか。そこについてまず御意見を伺いたいと思います。

八木参考人 八木でございます。

 各社の競争戦略については、個社の判断でありますので、なかなかお答えしづらいところではありますが、一般論的に私が理解しておりますのは、電力各社においても、自由化以降、新電力あるいは他電力が自分のエリアに進出してくるということについては当然想定いたします。その中でどういう行動に出るかというと、やはり自分たちの需要をとられないように、まずはみずからの管内のお客様にしっかりと電気を送る、そういう意味での価格面やサービス面を強化して、お客様に提案して契約していただく、そういうやり方をやってきているわけです。

 だから、結果として電力間競争は一件しか起こっておりませんが、我々としては、十分、他電力や新電力を意識した潜在的な競争は行われてきて、お客様にとってそれは還元されていると。

 具体的に申し上げますと、一九九五年、平成七年の第一次の電気事業制度改革が実施されてから、電気料金というのは十五年間で一七%下がったわけでございます。現在は需給が逼迫しておりますけれども、これはちょっと置きまして、一七%下がっておりまして、これは他の都市ガスあるいは水道、鉄道なんかの料金に比べますとはるかに下がっているということで、お客様にそういう成果を還元しているというふうに思っています。したがって、私は潜在的な競争が行われてきたというふうには思っています。

 ただ、現時点で、確かに、結果を見ますと電力間競争というのは実績がない。今回、全面自由化ということで、これから規制需要も含めて全てのお客様への小売が自由化されます。こういう面では、今、電力各社は積極的に電力間競争をしようということで、例えば中部電力さんはダイヤモンドパワーというPPS事業を買収して首都圏に進出しています。

 それから、私ども関西電力は、子会社でありますけれども、関電エネルギーソリューションという会社、これはユーティリティーサービスということで、お客様の電気、ガス、水道、あらゆるものを全て引き受けてやっているんですが、ここがPPSとして首都圏で事業を開始しております。ですから、いわゆる電力本体というよりも、当社の場合はグループとして首都圏に進出していくということで、これから、やはり電力会社としては電力間競争ということを相当意識した行動に既にもう出始めているという認識でございます。

 以上でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 基本的には各会社に任せるということで、それをもっともっと促進するべきだというようなことまでは考えられていないとすれば、今後、消費者に対する小売の全面自由化を進めていってもなかなかそれが進んでいくというような状況にはならないのではないかと思いますので、その意味で、いわゆる非対称規制の必要性というのは、当面においてはですけれども、必要かなというふうに改めて思った次第でございます。

 さらに、安念参考人にもう一度質問させていただきたいと思います。

 先ほどのお話の中で、原発による電気は安いんだというようなことをおっしゃっていたというふうに認識しておりますが、そこについては、私は実は、その点についての市場はある意味ゆがめられているのではないかというふうに思っております。

 本当に安いのかということなんですが、一般的に、会社がその事業を進めていく上で保険に入ると思うんですね。自社では賄えないような損害が起きたときの保険に入る、これは民間企業では当然のことです。自己防衛としても当然です。その中で、原発のリスクというものを仮に保険会社に保険料を払って、それが見合うとすれば幾らぐらい保険料を毎回払えばいいのか、それを上乗せしたら電気料金というのが一番高くなるんじゃないかというような考えはあるんだと思います。

 その点についての御認識を伺いたいのと、もしそういう保険を引き受けてくれる民間の会社があるんだったら、その名前を一つでも御紹介いただければと思います。よろしくお願いします。

安念参考人 保険は諸外国では引き受けているはずでございます。日本で余り原発に関する保険の制度が発達していないのは、やはり、安全神話があって、保険なんか、高額の保険を引き受けなくてもよいという、何となくそういう雰囲気があっただけだろうと思います。

 原発について安いというのは非常に限定的に使わなければならない言葉でありまして、その点については私は先生のおっしゃることに全く賛同でございます。

 つまり、既存の原発については建設費はもう考えなくてよろしい。これはサンクコストでございますので、結局のところ、燃料費だけを比較すればよろしい、経済的なコストだけを言えばですが。その点で安いということでございまして、規制が強化されれば当然どんどんコストが高くなってまいりますので、それは現時点での燃料費、そういう限定つきの話でございます。

三谷委員 それは、新規の原発の方が安全性が高いとすれば、逆に安全面でのコスト、リスクというのは既存の原発の方が高いわけですから、潜在的なリスク、コストというのは既存のものを動かした方が高いんじゃないかというふうに思いますが、その点について御意見を一言だけ伺えればと思います。

安念参考人 リスクを高く見積もれば先生のおっしゃるとおりでございます。

 こんなことは釈迦に説法でございますが、リスクというのはハザードの規模掛ける確率でございまして、この確率のことは本当のところは誰もわかりません。ハザードの規模だってわからないんですが、ハザードの規模は例えば三兆円なら三兆円、五兆円なら五兆円と仮に決めることはできると思いますが、確率の方は例えば五百炉年に一回といったような仮置きの数字だけでございますので、率直なところ、こればかりは何とでも操作できるように思います。

三谷委員 ありがとうございます。

 植田参考人に質問させていただきます。

 とにかくいろいろな競争を促進していくという意味では、いわゆる再生可能エネルギー、自然エネルギーというもの、これは競争政策として一つそれを促進するというのは必要ではないかというふうに思っているんですが、その中で、最近いろいろな言い方がされておりますけれども、いわゆるフィード・イン・タリフ、FITの役割。現状いろいろな批判があると言われておりますけれども、その中でもなお価値があるということであれば、ぜひともその内容についてお話しいただきたいと思います。

植田参考人 FITは、導入したことによって人々や企業のマインドが変わったと思います。再生可能エネルギーは価値があるということで、投資しようとか、そういうことになったわけですね。それを適切に運用していくというのが今度のエネルギー基本計画でも書いてあります。

 その適切にという内容は、FITだけで再エネをふやすということにはならないので、系統連系を強化することとか、あるいは規制改革をする、これはセットですね、それをきっちり進めていくということが大変大事なことですし、負担の問題も、回避可能原価問題とかいうことを改善していくとか、幾つか課題があると思いますが、課題を克服しながら運用していくということで、人々や企業のマインドを変えたことを生かしていかないといけない。

 急速にふえていく可能性を、ポテンシャルを大変大きく持っている国ですから、そうしていくべきだというふうに思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 時間も限られております。最後に、安念参考人にもう一度伺いたいと思います。先ほども今井委員から質問のありましたいわゆる東電の問題でございます。

 資料を読ませていただきましたけれども、東電解体スキーム、新しく東電A、東電Bというふうに分けていくということで、私もその内容については、全面的というほどではないですけれども、非常によいやり方ではないかというふうに思っております。

 この際、一点だけ念のため確認させていただきたいんですけれども、東電のAというものを上場廃止するということが書いてありますが、このときの上場廃止というのは、基本的に一〇〇%減資するというような理解でよろしいのかどうか。確認させてください。

安念参考人 そのとおりでございます。

 つまり、これは株主責任を問うというある意味で政治的、象徴的な意味でございまして、経済的な意味が格別あるわけでございません。御指摘のとおりと存じます。

三谷委員 これで質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就でございます。おはようございます。

 私で六番目となりますので質問もだんだん重複してくるところでございますが、なるべく重複しないように、少し変化球的な質問もあるかもしれませんが、答弁は変化球じゃなくて直球で結構ですので、よろしくお願いいたします。

 まず、植田参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 きょうおっしゃいましたのは、規制機関、規制組織の役割、本当にそのとおりだと私たちも認識しているところでございます。本日は、その役割また位置づけ等を御紹介いただきましたが、このタイミングについてもお伺いをさせていただきたいと思っております。

 植田参考人は第三段階の発送電分離はできる限り早くすべきだということをおっしゃっているところでございますが、予定としては、それまでに期間があいてしまうところであります。その前に第二段階の自由化が行われるというところでございまして、第二段階の自由化が行われても、既存の大きな電力事業者が残ってしまうということから、私自身、この規制組織の役割、監視の役割は非常に重要だと思うんですが、その点についていかがでしょうか。

植田参考人 私は、先ほども申し上げましたけれども、せっかく、二十五年、昨年決めた政府の方針というのを、揺るがずに、ぶれずに、確実に進めていく。確実に進めていくことが、信頼の回復とか、事業者のマインドに確実性、確実に進んでいくんだという気持ちを起こさせるということがとても大事です。

 私はそういう観点でしたので、二年後を目途にと最初の政府方針にはありますし、昨年の第一段階の改正法の附則にも来年四月というふうになっておりましたので、まだ可能性はあるんだと私は理解しているんですが、この秋のところでは国会にこれが出てくるべき、そういうことではないかというふうに、私はある意味で期待も含めて持っております。

 以上です。

小池(政)委員 また植田参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 資料の中には、電促税に関しましても、その特別扱いに対する意見でございますとか、地方における経済効果についても、かなり不明じゃないかということをおっしゃっているところでございますが、その点についてもう少し詳しくお聞かせいただけますでしょうか。

植田参考人 直接この第二段階の法律改正とはかかわらないかというふうに思うんですが、私自身は電源開発促進税という交付金のシステム自体については余り肯定的な評価はしていない、こういうことでございます。

 そもそも、なぜそういう交付金を出さないといけないのかということ自体が一つの大きな問題であるというふうに私は思っておりますし、実際にそうしたら経済効果というものがどの程度あるのかといいますと、原発はとりわけそうですけれども、高度な複雑なプラントですので、地元の企業が潤うというようなことはほとんどないわけですね。

 ですから、地域の経済循環という観点からすると、むしろ農林水産のような業にはマイナスの影響があるわけですので、どちらかというと経済効果的にはネガティブな要素も大きいと言わざるを得ない。もちろん税収が入るんですけれども、固定資産税とか税収が入るのが一番大きいというふうになりまして、しかし、それはだんだんなくなっていきますので、減っていくわけですね。そうしますと、また次をつくらないと税収が回復しない、こういう構造を持っているように思います。

 そういう点で、今申し上げたような理解をしている、こういうことでございます。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 次に、安念参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 参考人は発送電分離の重要性ということをまず最初におっしゃっていまして、その具体的な方針についてお伺いさせていただきたいと思うんです。

 今の予定でありますと、法的分離にもし問題があるのであれば、機能分離ということも考えられるというような法案のたてつけになっております。その上には所有権分離ということもあるわけでございまして、送配電の中立性を確保するということから、理想的にはどのような方針というのが正しいというか適正なのかということについて、お伺いさせていただけますでしょうか。

安念参考人 先ほども申しましたように、大切なことは送配電部門の独立性を担保することでございまして、いかなる分離も全て手段でございますから、結局、そのコストパフォーマンスでいえばよろしいだけのことだと思います。現在も既に、先生御案内のとおり、情報遮断や会計分離がなされておりまして、それ相応には分離されております。

 これで不十分だから機能分離だということであると思うんですが、さて、それ以上は私は、相当程度にやはり象徴的なものであって、どれがどれだけ実効性があるのかということになると、そんなに違わないんじゃないかという気が実はしております。

 法的分離になりますと、確かに非常にわかりやすいです、とにかく法人が分かれるわけですから。わかりやすいんですが、ただ、そうなりますと、今度はIT周りとかいろいろなところの投資もやはりどうしても大きくなってまいりまして、果たしてそうした投資を償うだけのメリットがあるのかとなると、これは私には何とも、わからないとしか申し上げようがございません。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 また、先ほど一般担保の話が出ましたけれども、これも安念参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 こちらも事前にいただいた資料になるんですが、安念参考人としましては、一般担保については、実効性という意味でそもそもこれは担保になり得るのかという話をされているところでありますし、また、送電網に対してこの担保があるということは、それが恐らく潰れないということ、利用可能性ということもなかなか考えられないんじゃないかということから、この制度自体の意味というものを特に感じられていないようにお伺いさせていただくんですが、その理解でよろしいんでしょうか。

安念参考人 私は金融のプロでは全然ございませんので、確たることは申し上げられませんが、御指摘のとおりではないかと思っております。

 これはひょっとすると、法律家でいらっしゃる委員長にお尋ねいただければいいかもしれませんけれども、そもそも、民法の先取り特権に劣後する一般先取り特権というのは一体どういうふうに実行するのか、何の物の本にも書いてございません。もちろん、会社更生になりますと若干優先されるわけでございますが、これは会社更生にもならないだろう、担保権の実行なんということもないだろう、実効性を発揮することはないはずだという前提でできている、一種のトークンのようなものなのではないかと思います。

 この制度自体は、戦後間もなく発足したものでございまして、たしかアメリカからの見返り資金がどうとかいう話でございまして、要するに、日本の中で資金が本当に絶対的に不足していたので、もうこれしかないというやり方でやったはずなんですが、今日の日本でそれほど大きな意味があるとは、素人ではございますが、私は思っておりません。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 次に、広瀬参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 今回いただきました資料の七ページに、計画といたしまして、エネファームにつきましては、この七年間で十倍という形の非常に意欲的な目標を立てていらっしゃるところでございますが、分散型電源というか、熱電併給かとは思うんですが、その意義ということと、普及の課題等がもし考えられるのであれば、お伺いさせていただけますでしょうか。

広瀬参考人 エネファームにつきましては、〇九年に市場投入しまして、もう五年経過して、今お話しのとおり着実に実績を上げております。

 ただ、まさにこれからが正念場ということで、エネファームがここまで普及した最大の理由は、官民が一体となってやってきたというところが結構大きいのではないかなと。

 民の方は、エネルギー事業者だけではなくて、住宅メーカーさん、そして実際につくっているメーカーさん、あわせて政府からいろいろな助成策が投じられておりまして、そういったものが一体としてここまで来ております。そういった面でいきますと、ちょうど今、上昇期から安定期に入る段階でございますので、ここで一回また落ちてしまいますと本当に大変なことになりますので、もうしばらくは今みたいなスキームの中でそれぞれが努力をしていく。

 おっしゃるとおりいろいろな課題がございまして、まずコストダウン、それから集合住宅向けのエネファーム等々、課題がありますけれども、今、メーカーさんも私どもも住宅メーカーさんもみんな赤字覚悟で頑張っているところでございますので、将来的には非常にこれは環境にいい、優しい、あるいは省エネになる機器でございますので、何とか一本立ちができるように、ここ数年がまさに正念場、そういうふうに理解をしています。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 また広瀬参考人にお伺いさせていただきたいと思います。

 これからの電気事業への取り組みというところになるんですが、その際に、例えば、インバランスでございますとか、周波数等を調整するような役割ということも多分考えられるのではないかなということを思っておりまして、また、実際にこれから消費者に対するサービスを考えたり提供していく際に、かなりデータを開放して提供してもらわなくてはならないということを、恐らく新規の事業者の方は思っていらっしゃるんだと思っております。

 例えばスマートメーターでありますとか送配電のデータでありますとか、そういうものについての開放の方針、またその必要性についてお伺いさせていただけますでしょうか。

広瀬参考人 お話しのとおり、私どもが小売に参入する場合に、いわゆるスイッチング、切りかわるときのコスト、これをどうするかというのが非常に大きな問題でございます。大口の場合には同じイニシャルでもランニングで相当回収できますけれども、小口になればなるほどそこは厳しくなる。

 そういう面で、スイッチングがスムーズに行えるような、例えばいろいろな書式、手続ですね、それから今お話のあったいろいろな情報について、きちんと新しい事業者の方に必要なものがバトンタッチできる、そういったものについてこれから制度設計の中で十分御配慮いただければありがたいと思っております。

小池(政)委員 そこで、八木参考人にお伺いさせていただきたいんですが、現在のスマートメーター導入に至る現状、また課題。また、もしわかるのであれば、データの検針と提供の頻度というのはどのくらいと考えていらっしゃるのか、お伺いさせていただけますでしょうか。

八木参考人 スマートメーターにつきましては、本来、メーターは十年を満期にして、それに伴ってメーターをかえるということが最も効率的であり、電気料金への影響もないということで考えておりましたけれども、いろいろと全面自由化等々、電力システム改革等の動きの中で、事業者としてもスマートメーターの設置を積極的に前倒しするということで、電力各社は本年三月に、十年かかるとしておりました設置計画を前倒ししまして、二〇二〇年代の早期にスマートメーターを全世帯、全事業者に導入するということで今鋭意取り組んでおるところでございます。そういうことで、引き続き、今後の状況を見ながら、このスマートメーターの前倒しについては検討してまいりたいと思っております。

 それから、検針というのは、基本的には従来のメーターですと毎月一回の検針でございますけれども、スマートメーターは、通信機能があれば使用量を随時、瞬時に吸い上げできます。これは基本的には三十分ごとのデータでございますが、吸い上げできます。ただし、スマートメーターを設置しただけで、メーターの通信機能でのデータ吸い上げができなければ、従来のように検針の方が行って現地でデータを拾ってくるということになります。ですから、今後通信機能をいかに早く設置、拡大して、できるだけ機械側で処理をできる、こういうふうにしていくことも大事なことだと思っています。

 また、これから、お客様の情報というのが新しい小売事業者にとってはなかなか切りかえのときに見られないのではないかという、いろいろな御意見もいただいております。このため、広域的な運営機関が設置される際には、この中に必要な需要家の情報を小売事業者が見られるようなシステムを組みまして、そこに全部集約して、小売事業者が見られるような形にしていくということに今取り組んでおります。

 したがいまして、できるだけ通信機能が早く設置できれば、そうしたこともタイムリーにできるのではないかと思っていますが、我々としては、通信の敷設というのはなかなか時間もかかる問題でございますので、基本的には、そういうこともできるだけ早く普及させ、お客様の、いわゆる自由化の活性化にそごがないようにしてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 基本的には検針と提供が大体同じぐらいになっていくということであると思いますが、出だしのところはどのくらいタイムラグというのが出てきてしまうんでしょうか。つまり、三十分ぐらいでリアルタイムで検針がされていくということでございますが、実際にそれを提供する際には、それが三十分ごとなのか、もしくは一日に何回なのかということについて、もしわかればお伺いさせていただけますか。

八木参考人 これは、具体的にどういう提供、お出しの仕方をするかというのはちょっとまだ決まっておりませんが、今、私ども、例えば関西電力におきましては、スマートメーターを設置していただいているお客様には、三十分ではなく一時間ごとのお使いになっている量をデータでお示しするようにしておりますが、これは今後どういうふうにしていくかということについては、現時点ではちょっとまだ私どもも検討中でございます。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 それでは、広瀬参考人、また八木参考人にお伺いさせていただきたいんです。

 先ほど協調という話がありまして、その中でも広瀬参考人からは、燃料を日本に持ってくる、この段階では協調の意義というのはあるんだという話をされていたところでありますが、例えば、電力それからガス、垣根を越えて燃料調達等についてこれから協力、協調を行っていく、そのような見通しというのはあるんでしょうか。よろしくお願いします。

八木参考人 実は、これまでも私どもも東京ガスさんとLNGの調達を御一緒にさせていただいたケースも多々ございます。また、今シェールガスについてもそういう事例もございます。基本的には、どうしても日本はエネルギーがほとんどございません、これから諸外国からエネルギーを調達するに当たっては、いろいろな多角化をするとともに、料金もいろいろ多様な指標のもとに、それでトータルとしてやはり価格を下げるという努力は必要だと思っています。

 そういう意味では、これからお互いやはりいい関係で、引き続き、個別プロジェクトごとになろうかと思いますが、そういうアライアンス、連携をしながら調達していくという方向にあろうかと思っておりますし、関西電力としても、東京ガスさんのみならず、いろいろな方々とできるだけそういう方向を志向していきたいというふうに思っております。

 以上でございます。

広瀬参考人 今お話がありましたとおり、実際に、私どものLNG調達につきましても、半分まではいきませんけれども、相当程度、東京電力さんとの共同購入でございます。

 これまでは、どちらかというと仕向け地が相当限定的でありましたので、地域のエネルギー事業者が一緒になるというケースが多かったんですけれども、これからは、そういったものも相当いろいろな緩和がされると、今度は地域間のエネルギー事業者ごとのアライアンスみたいなものがふえるのではないかということで、今お話のあったとおり、実際にシェールガスは関西電力さんと一緒に、そういうことでございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 時間になりましたので、これで終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、皆さんからそれぞれ貴重な御意見をいただきまして、本当にありがとうございます。

 最初に、安念参考人にお尋ねいたします。

 冒頭の意見陳述で、電力の労働者へのスト規制法の問題についてお話がございました。スト規制の廃止というのは当然で、重要な指摘だと思います。

 この点につきましては、昨年の電気事業法改正案の質疑に当たりまして、この衆議院経産委員会の附帯決議がついております。その中にもスト規制法の扱いについて書かれているわけです。そこでは、スト規制法については、「自由な競争の促進を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性を図る観点から再検討を行うものとする」とあって、その再検討が、今回の法改正案の、いわば用語の整理みたいな、ああいうことであってはならないんだろうなと思っているんですけれども、このことについて一言、御感想があれば。

安念参考人 全く先生に同感でございます。あのような古色蒼然たる規制がなぜ残っているのか、大変不思議でございます。

 今どき、まともな企業でストライキをやるというところがあるんでしょうか。もしあるのなら、余りまともでない企業であって、そういうところが電気事業に携わるのは甚だ好ましくないと存じます。

 いずれにいたしましても、単に古色蒼然というだけではございませんが、そもそも実効性が甚だ疑わしい。というのは、いよいよ保安要員が必要だということになれば、それはストライキなんか禁止したってしようがないのであって、個別のこのポジションにこういう人間を張りつけなきゃいけないというプログラムをつくっておかなければいけないのでして、実効性の面でも、私はほぼないというふうに思っております。

塩川委員 ありがとうございます。

 続けて、安念参考人にお尋ねいたします。

 いただいた参考資料に、本来、東電は会社更生の申請をすべきだったというお話がありました。これは、安念参考人が電気料金の委員長のときにもこういう発言をしたということも報道されたことであります。もちろん、三年たって今さらということも述べておられるんですが、改めて、本来、東電は会社更生の申請をすべきだったという、その趣旨について簡単に御説明いただけないでしょうか。

安念参考人 裁判官の前での手続以外では、公正、透明な形で各プレーヤーの法律上の権利義務を確定するということができないからでございます。時間がたてばたつほど、それから裁判所の外であればあるほど、さまざまな、率直に申しまして大変に欲の深いプレーヤーが跳梁ばっこすることになりまして、何が何だかわからない。要するに声の強い者が勝つ、そういうスキームがだんだんとつくられてまいります。

 私は、会社更生が理想的だとは申しません。これはもう先生が御存じのとおりだと思いますが、会社更生というのは今回のように莫大な数の損害賠償債権の債権者がいるというようなことを念頭に置いておりませんので、恐らく、大量処理をするための特別立法は必要だったとは思いますが、会社更生以外の方法は基本的なスキームとしてはなかったのではないかと考えております。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、広瀬参考人にLNGの調達価格について一つ教えていただきたいんです。

 昨年の当委員会でもLNGの調達価格の問題の質問をしたこともあるんですけれども、実際、東京電力さんと一緒に発電所の共同運営やLNGの一部を調達するということもされておられるということで、電気料金の三分の一を占める燃料費のうち、LNGの調達価格というのが、アメリカと比べても非常に大きな開きもあります。

 また、輸入LNGの揚げ地によって価格がかなりばらばらで、結構、二倍以上の開きがあったりということもありますし、同じ揚げ地でも半年ほどで一・二五倍とか開きも生まれる、その辺が国民、需要家、消費者サイドからするとよくわからない。そういう点でも、この透明化を図るという趣旨からも、揚げ地によって調達価格が変わるように見える、こういう実態というのは何なのかということについて少し御説明いただけないでしょうか。

広瀬参考人 LNG価格につきましては、今お話があったとおり、各税関単位で既に金額がはっきりしています。そういう面では非常に透明性はあるんですけれども、おっしゃるとおり、結構ばらつきがあるということも事実でございます。

 LNGの場合には、先ほどもお話ししましたように長期プロジェクト、相当長い契約で、十五年とかです。その上で、あるタイミングで料金の更改をしていく。その時々のLNGの需給でプロジェクトごとに、たまたま需給が緩んだときには、いわゆる石油価格との連動ですからそれとの関係で、売り主のいろいろな都合によって場合によったら安く購入できるケースもあれば、たまたま全体的にエネルギーが上がった場合には、それが高いと。したがって、どちらかというと、場所というよりもプロジェクトごとに価格が違うということは事実でございます。

 したがって、それが何年間にわたって平均化されると、ほぼだんだんそれが合ってくる、こういうような仕組みで、いずれにしても、昔はこの世界はなかなか情報開示できなかった時代もありましたけれども、最近ではそういった声が非常にやはり強いものですから、いろいろな情報公開に努めているところでございます。

塩川委員 ありがとうございます。

 次に、八木参考人にお尋ねいたします。

 四月十五日に、関西経済連合会と九州経済連合会が「原子力発電所の一刻も早い再稼働を求める」という提言を政府に出しました。

 この中では、「現在、新規制基準に対する適合性の申請を行なっている関西電力の大飯・高浜、九州電力の川内・玄海の各原子力発電所については、できる限り早期の再稼働が実現するよう、安全審査の最大限の効率化を図ること。」を求めております。

 つまり、原子力規制委員会に審査を促進してくれと催促するような趣旨の内容でありますけれども、この関西経済連合会、関経連の会長は関電の会長でもございます。

 ですから、いわば関電、電力会社のトップが原子力規制委員会に審査の促進を働きかける、こういうような形は国民の理解を得られるんだろうかと率直に考えますが、この点についてはどのように受けとめておられますか。

八木参考人 関西経済連合会及び九州経済連合会が国に対して提言を出されたことについては承知しておりますが、私ども業界としてはそれに対して直接コメントする立場にはないというふうに思っております。

 ただ、明らかなことは、私ども関西電力は、関西地域の企業の方々に当社の電気をお使いいただきまして電気料金をいただいておりますけれども、明らかに原子力プラントが再稼働できないということによりまして、昨年の四月、五月に料金の値上げをさせていただきました。これは自由化部分が四月、それから規制部分が五月でございます。そういう意味では、原子力プラントが停止していることによって、企業の活動に大変大きな影響があるという認識はしております。

 したがいまして、関西経済の企業の皆様方のお話を伺いますと、一つは、需給の不安が拭えない中での、例えば企業の成長のための設備投資をするに当たって少し逡巡するというような御意見もありますし、やはりできるだけ電気料金を下げていただきたい、こういう御要望等もいただいております。

 したがいまして、恐らく関西経済連合会としては、原子力プラントが停止することによる影響面を、実際に影響を受けておられる立場としての切実なる御意見といいますか、御要望をなされたものだというふうに理解しております。

 以上でございます。

塩川委員 関電の会長でもある方が関経連の会長でもあるわけで、つまり、原子力事業者の代表の方が結果として再稼働を進めてくれと原子力規制委員会に要請する形になっているということに、国民の皆さんからの理解が得られるんだろうかと。そのことについてはありませんか。

八木参考人 確かに関西経済連合会の会長は弊社の森が担当しておりますけれども、あくまでも関西経済連合会は関西企業の皆様方の集まりでありまして、関西企業の皆様方の議論の末の結果でございますので、結果としてそういう形ではございますが、関西経済界の皆様の総意の意見ということで私どもは理解いたしております。

 以上でございます。

塩川委員 国民の皆さんの判断もあろうかと思います。

 次に、昨年の参考人質疑でもお伺いしました、電気料金の見える化のことです。

 去年、私の方で、原発に係るいろいろな経費について、内訳として消費者、需要家に明示したらどうかという質問に対して、八木参考人は、料金の中身をできるだけ明細に詳しくしていくという方向性については理解できる、どこまで見せるかというのは今後の検討課題というふうにおっしゃっておられました。

 原発関連の賦課金には、使用済み燃料再処理等発電費や特定放射性廃棄物処分費、原子力発電施設解体費、原子力損害賠償支援機構一般負担金、電源開発促進税等々あるわけです。これら原発関連の賦課金について、家庭の電気料金の明細書にきちっと明示をするということをやったらどうかなと思うんですけれども、その点はどうでしょうか。

八木参考人 前回の参考人招致のときにも塩川先生からそういう御質問をいただきました。

 まず、御家庭のお客様に電気料金の検針票、それからいわゆる請求書等をお配りしておりますけれども、これは、あくまでも電気の需給契約に基づきまして御使用いただいた電気の量、それに伴う電気料金をお知らせするという趣旨のものでございます。

 その中で、電気料金については、いわゆる認可といいますか、約款でいただいておりますので、それは明らかにその数字で出しておりますけれども、それ以外に、例えば再エネのサーチャージとか消費税とかいう枠組みの外にあるものについては、その部分を明記させていただいているところであります。

 今先生御指摘のように、確かに電気料金の構成比の中にはいろいろな項目があるということで、これは、電金料金を認可する際にはそこまで明細を出して御審査いただいておりますが、一方で、電気の請求書、検針票というのは、ある意味では詳細なデータを御希望されるという御意見の方もいらっしゃいますが、一方で、やはりシンプルでわかりやすいものであるという御意見、いろいろございます。したがいまして、帳票のスペースの問題とか、お客様にとって見やすい点とか、そんなことを勘案して現行方式とさせていただいています。

 したがいまして、もしお客様で本当にそういうような具体的な原価の構成までお知りになりたいという方々に関しては、既に年度の決算等々におきましてホームページの中でそれを公開してございますので、今、そうしたことの情報公開を進めているところであります。

 先生のそういう御意見も今回もう一度頂戴いたしましたので、どういう形で電気料金への御理解がいただきやすい方法があるかについては、引き続き、今後、情報公開のあり方については検討させていただきたいと思います。

 以上でございます。

塩川委員 丸めた数字ということでなくて、個々の御家庭でどうなのかということがわかるような見える化を図るということで、ぜひ具体化を図っていただきたいと思います。

 植田参考人にお尋ねいたします。

 電力システム改革を考えるその前提というのは、当然、エネルギー政策そのものをどう考えるかということであります。このエネルギー政策を考えるときに、やはり、福島原発事故から何を学ぶかというのが問われていると思います。この福島原発事故を踏まえて、エネルギー政策はどうあるべきなのかについて、植田参考人のお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

植田参考人 とても大きなテーマなので簡単に答えられるものではありませんが、もちろん、福島の事故を反省しということを踏まえますと、福島のような事故を二度と起こさないということを政策の一番の基本に置くということは一番大事な点だというふうに思っております。それが具体化されるべきだというふうに思います。

 それは、いろいろな側面がありまして、もちろん原子力発電の安全性問題とかそういう側面もございますが、同時に、私は、電力システム改革も、福島原発事故が起こった背景としてあった電気事業のあり方そのもの、これを変える必要があるということとつながりがあるというふうにも理解をしております。そういう点で、電力システム改革を進めるというのは、もっと長期的な見通しもあるわけですが、福島の原発事故を受けた場合には、より一層進めるべき分野というふうにも理解しておるものです。

 以上です。

塩川委員 福島の事故を二度と起こさないという点で、原発の安全性の問題もあるというお話でございました。

 その点で、政府が原発の再稼働に当たりまして世界で最も厳しい水準の規制基準という説明をしておりますけれども、この点について植田参考人に伺いたいんです。厳しい規制基準と言うのであれば住民の安全が第一というのが本来であって、そういう点でこの新規制基準をどう見ることが必要なのか、この点についてお考えをお聞かせいただけないでしょうか。

植田参考人 まず、規制基準についてですけれども、私は、先ほど申し上げたように、福島のような過酷事故を二度と起こさないということが基準であります。世界最高であるかどうかということではありません。世界最高だったら起こさないのかということが問われているというふうに思っております。

 ですから、大事な点は、本当に福島の事故を二度と起こさないようになっているかということでありますし、その上で、規制基準にかかわって、これは安全性とは何かという問題だというふうに私は理解しておりますが、現状、政府が安全性と言う場合には、一言で言うと、原子力規制委員会の安全審査をパスするということを安全性というふうに言っているように私には聞こえます。

 しかし、大事な点は、住民が安全かどうかという問題がもう一つあります。これは福島の事故の反省と非常にかかわりますけれども、あのときに避難がうまくできたかという問題は大変大きな問題でありまして、ですので、事故を二度と起こさないというふうにすると同時に、事故が起こった場合に避難が差し当たり具体的にできること、そういうことが確保されるということは、私は一種の前提条件ではないかというふうに思っている次第です。

 大事な点は、避難計画というのは、実は避難を受け入れるところがないと避難できないんですね。ですから、避難の受け入れ計画もはっきりしていないと本当はいけないというふうに思っておりますが、そこも余りはっきりしていないんじゃないかというふうに思っておりまして、その点で、ちょっと現時点の安全性というものの中身が十分じゃないというふうに思っている次第です。

 以上です。

塩川委員 最後にもう一点、植田参考人に再生可能エネルギーのことでお尋ねします。

 地域分散型の再生可能エネルギーの成長には電力システム改革が欠かせないというお話がございました。この間、FITで太陽光発電などの普及も進んでいるわけですけれども、風力とかマイクロ水力とかバイオマス、こういったエネルギーの普及促進を図るために、まだまだちょっと時間がかかるというのはあるのかもしれませんけれども、何が今必要なのか、このことについてぜひ御教示いただけないでしょうか。

植田参考人 私、先ほど申し上げましたように、FITができたことによって人々の気持ちだとか企業家のマインドは大きく変化して、ぜひ取り組もう、こういうところが、企業の中でも、あるいは全国各地で非常に広がっているということだと思います。

 差し当たりはどうしても、風力でも最低四年ぐらいかかりますし、地熱になると十年かかります。ですから、今始めるといっても、成果が出てくるのはもうちょっと時間がかかることは確かなんですね。

 動きがあることも事実であります。ですから、何が大事かというと、まずもって、FITで見通した、政府はこの制度を適切にずっと運用していきます、再生可能エネルギーを急速にふやしていきますと。できれば、本当は目標値のようなものを明確にして、そういう方向性をはっきりさせる、そのことが人々や投資家や企業家を安心させるというか、投資しようという意欲が湧く、ここが一つの鍵ですね。

 同時に、それを実際にやろうと思ったときに、いろいろ障壁、障害があるわけですね。これは系統の問題であったりさまざまな規制であったりしますから、そういうものをセットにして取り組んでいくということが大変重要なことだというふうに思います。

 ですので、企業家や地域の人々の中でせっかく起こってきているマインドを、政府がそれを支えて大きくしてやるという方向をはっきり示すということ、それを具体的な手当てとあわせて取り組むということが一番大事だというふうに思っております。

 以上です。

塩川委員 時間が参りました。ありがとうございました。

富田委員長 これにて参考人に対する質疑は終わりました。

 この際、参考人各位に一言御礼を申し上げます。

 参考人の皆様には、貴重な御意見をお述べいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。(拍手)

 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時二十四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時五十一分開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として消費者庁審議官河津司君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、経済産業省大臣官房審議官村上博之君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。後藤斎君。

後藤(斎)委員 お疲れさまです。

 この法案に先立って、昨年、プログラム法が議論され、成立いたしました。その際にも、私の方から大臣に、供給力の問題、そして料金の問題についてお尋ねいたしました。それから一年がたって、第二弾という形で、小売の全面自由化というものを踏まえた議論が今進んでいるというふうに承知をしています。

 大臣、まずお尋ねしたいんですが、消費者と言われている家庭や企業、そして今まで電気を発電していた九電力会社を中心とした供給体制から、その供給主体、発電事業者もこれから多数になる可能性も当然あり、そしてその中から供給力やメニューがどうなるかという具体的な方針というものが、この法案の成立の後にまた確定してくると思っています。

 私は昨年も大臣にお尋ねしたんですが、そうはいっても、今まで発電をし、送電をし、そして小売をしていた、その一体の中から生まれてきたいい部分というものは、安定供給という部分と、確かに原料である化石燃料が増加すればそれに伴って料金は上がってしまうわけですけれども、そういうものも踏まえた、ある程度の公共料金という概念の徹底した仕組みが今まであった。それを変えなければいけないということで今議論が進められているわけです。発電事業者から見れば、小売が受け取ってくれなければそれをお金にすることは当然できないわけですから、今の仕組みのもう少し具体的な、運用の仕方も含めた方針が示されなければ、やはり供給力というものが非常に不安になるというふうに思います。

 これは、ヨーロッパやアメリカで、いわゆる自由化の先進的な国にしても、そういうものを前提にした中でいろいろな見直しもされてきました。そういう部分で、供給力についてやはりまず不安なきようにということが、消費者、企業、家庭から見れば絶対不可欠な要素だというふうに思うんです。そこの部分について、まず大臣から、こういうふうな仕組みでやるから絶対大丈夫なんだということを、改めて大臣の口からお答えいただきたいというふうに思います。

茂木国務大臣 エネルギー、電力にとりましては、委員おっしゃるように安定供給が最も大切な課題でありまして、電力システム改革を進める中でも、安定供給には万全を期していきたいと思っております。

 そのために、第一弾の改革におきまして、全国レベルでの電気の融通が可能になる、全国大でできる限り電力を有効活用していく、このための法律の成立をしたところであります。

 そして、小売の自由化を今回進めていくわけでありますけれども、空売り規制を行うということによりまして、きちんと需要家に対して契約に沿った電気の供給が行われる。さらには、最終的な供給責任、これは、第三段階におきまして発送電分離が行われた際に、送配電部門といいますか事業者が担う、こういう形になります。さらには、全国レベルでそういったものに不足が生じる懸念がある場合には、広域的運営推進機関が入札を行える等々、さまざまな仕組みをとることによりまして安定供給を図ってまいりたい。

 一方で、現下のもう一つの大きな課題は、委員おっしゃるように、できる限り燃料費を抑制する、電気料金を抑制するということでありまして、このために、さまざまな分野からの新たな競争を促すような競争環境をつくり、また、特に需要の面におきましても、新たな料金メニュー等々を提示することによりましてピーク時を中心にしてできる限り需要も抑制されるということで、これまでのように、需要が伸びるからそれに合わせて供給を積み上げる、こういう発想から脱却していくということも必要だと考えております。

 第一段階の改革におきまして、全体の改革についてのプログラム、これも附則の中でお示ししたところであります。そういったものに沿いながら、着実に改革を進めてまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 その中で、昨年成立したいわゆるプログラム法の中の附則の十一条の六項の部分では、大臣がおっしゃられた、電気事業の監督機能の一層の強化とともに電気の安定供給の確保に万全を期するため、電気事業の規制に関する事務をつかさどる新たな行政機関、これは平成二十七年、来年を目途に、独立性、高度の専門性を有するという形で新たな行政組織に移行させるということが書いてあるんですけれども、今度の法案ではその記述が基本的には見当たりません。

 そうはいってもやはり行政機構を新たにつくるわけですから、本当であれば、この第二弾のタイミングで何らかの方向感というのは出していかないと、巷間、ことしじゅうに、議論を秋までにして来年の常会の第三弾に向けてやるというお話も漏れ伝わっていますけれども、行政機構というのは、その中にいる人の問題も含めて、簡単に右から左というわけには多分いかないと思うんです。

 まず、昨年のこの附則の十一条六項の新たな行政組織というのが来年、二十七年を目途というふうに明記してありますけれども、この検討状況と、これをもし仮にこの国会で政府としてやるつもりがお考えにないのであれば、どのような段取りで新たな行政組織というものを内容も含めて詰めていくのか、その点について大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 細かい部分につきましては、もしよろしければ参考人から追って答弁させていただきたいと思います。

 おっしゃるように、今回の電力システム改革は六十年ぶりの大改革ということになるわけでありまして、相当な準備が必要だということで、最終的な発送電の分離、そして料金の自由化等、二〇一八年から二〇年をめどということで進めるわけでありますが、第一弾の法案を出しましたときに全体の改革のプログラムを示しましたのも、関係する事業者等々がこの電力システム全体の改革についてのスケジュール感を持ち、また十分な準備期間を持ちながら改革が進められるようにということで、第一弾の法案の中にプログラム法といった形で附則を盛り込ませていただいたところであります。

 これをごらんいただきますと、どういったスケジュールで改革が進んでいくのかは明示をされているというふうに考えておりまして、今回の第二弾、そして第三弾、これは具体的に、第一弾のプログラム法で盛り込んだ中の中核の部分について法改正をお願いする、こういう趣旨で今回の法案を提案している次第であります。

後藤(斎)委員 長官で結構ですから、具体的に、先ほどお尋ねした新たな行政組織なるものが法律の附則には二十七年を目途というふうにありますけれども、内容も含めて今どのような検討状況で、どのような形で政府としてのお考えをまとめていくのか、御明示をお願いしたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、先般成立いたしました第一弾の改正電気事業法の附則の改革プログラムの中で、平成二十七年を目途に、独立性及び高度の専門性を有する新たな行政組織に移行させるということが定められているわけでございます。

 この新たな規制組織でございますが、例えば、改革の第二段階以降の自由化された市場における電力取引の適切な監視を行う、あるいは第三段階における送配電部門の中立性確保のための厳格な行為規制を行う、そういったことを実施するために、独立性と高度な専門性を有する組織とすることが重要であると考えているわけでございます。

 具体的には、これまで、第二段階における全面自由化後の電力市場ということにつきまして、例えば託送料金の値上げを認可制、値下げを届け出制とするといったこと、あるいは現在の一般電気事業者に対しまして当分の間小売料金規制を経過措置として残すこと等々、今回の法案につきましてまさに今御審議いただいているところで、そういったことを具体化しているわけでございます。

 ただ、この新たな規制組織の具体的な組織の設計につきましては、第二段階の現在御審議いただいている制度の検討に加えまして、今後、第三段階で措置をいたします送配電部門の中立性確保のための行為規制の詳細設計等も踏まえて検討してまいりたいと考えているところでございます。

後藤(斎)委員 それでは、今の長官の御指摘だと、今回、法律の議論が第二段階目が進み、それを踏まえて、第三段階目の来年の常会を目指して新たな行政組織というものをおつくりになるという前提で、今政府としてはお考えになっているということでよろしいんでしょうか。

上田政府参考人 まさに、第一弾の改革プログラムで平成二十七年を目途に新たな行政組織に移行させるということでございますので、それに間に合うように私どもは準備を進めてまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 よく目途というのが、後ろにずれ込むときに目途という言葉を使いがちでありますので、三段階目も含めて完成図ができたときには、やはり内容をこれから、長官がちょっと幾つか触れていただいたように、本当に大切な部分を新たな行政組織が対応するということは今お答えをいただいたんですね。それでやれば、私どもの考えも含めて前広に、組織の形というものを明示していただきたいということ。

 あわせて、そこに高度な専門的な人材というのが、ちょっとどういうふうなイメージか、誰がどういうふうな形で任命されるのかよくわからないんですね。その人選の手順というもの、基準というものも含めて、やはりできるだけ早く素案をつくっていただいて、議論に付していただけるように改めてお願いしておきたいと思います。

 次の点なんですが、これも大臣に昨年お尋ねしましたけれども、電気料金が、基本的に自由化という言葉が前提につくと、安くなっていくだろうというのが通常あると思います。これは、電気料金ではない、我が国のいろいろな財やサービスというものも多分そうだと思います。

 一旦規制がかかっているものからそれを緩くしていくと、少なくとも消費者にとっては価格が下がっていって、それが消費者利益になるという考えが大前提に普通はなりますから、三年前の三・一一以降も、やはり発送電というのは一体ではなくて分離した方が、より規制が緩和され、競争条件も一定程度確保され、それで消費者にとって、企業にとっても家計にとっても価格が低減するということで、プラスになっていくという思いが強いから支持をするという形になると思います。

 ただ一方で、諸外国の先進事例を見ますと、必ずしも電気料金が下がっているのではなくて、むしろ、特にヨーロッパのように急速に再生エネルギーの価格やシェアが上がった国では、そこを今、抑制を何とかしようとしている。すなわち、電気料金が全体としては上がってしまっているというふうなこともあります。

 我が国も、三年前に、発送電分離というシステムの新たな部分をどうつくるかということとあわせて、再生エネルギーの固定買い取り制度というものを法的担保で対応を進めてきました。そういう意味では、電気料金が下がっていくんだということが消費者の方々に明確になってこなければ、この改革はやはりもとに戻すというふうな事例になってしまうと思います。これは、ヨーロッパの一部の国やアメリカの一部の州では、既に自由化した部分を改めて規制の対象にしたりしている事例も散見されるというふうに物の本には明示してあります。

 大臣は電気料金の今後の方向感についてどのように今御認識をお持ちなのか、お尋ねしたいと思います。

赤羽副大臣 後藤委員の御指摘はもっともだというふうに考えておりますが、今回の電力システム改革の目的の大きな一つに、電気料金を最大限抑制することを目指しているわけでございます。

 御承知だと思いますが、これまでの地域独占ですとか総括原価方式の見直し、またコスト競争力のある事業者の新規参入、そしてディマンドレスポンスを可能とするさまざまな料金メニューの拡大、また、それに加えまして、地域間連系線の増強ですとか卸電力市場活性化等による全国レベルでの低廉な電源の活用といった取り組みをしていくことになるわけでありますが、こうしたことが小売参入を全面自由化するだけで直ちに実現するわけではなくて、今後、競争がどの程度進展するか、需要家の行動がどう変わるか、また不確定な要因に左右される面も多い。諸外国の例も、後藤委員御指摘のとおりであります。

 こうした海外諸国の経験も踏まえた制度設計を行うということで、今回の改革では、具体的には、競争環境が整うまでの間、これまでの地域独占の電力会社に対する料金規制を継続することとしております。この仕組みのもとで、規制料金より安い、新たな電気料金が期待されるものと考えております。

 また、既存の電力会社も、規制料金は残すものの、自由な料金メニューもつくれるようにすることによりまして、経過措置の期間においても電気料金を規制料金以下に引き下げる効果も期待しているところでございます。

 さらに、既存の電力会社が、卸市場の活用ですとか、競争をしっかり行っているかどうか、市場監視などを通じまして、適正な競争環境の実現に全力で取り組んでまいる所存でございます。

 以上でございます。

後藤(斎)委員 今、赤羽副大臣がお答えいただいたようなことが総論だと思うんです。ただし、これも昨年も議論させていただいて、既に本法案にもそれぞれの委員の方から御発言があったと思うんですけれども、やはりこれから太陽光発電を中心とした新たな発電事業者という方々が従来以上にたくさん出てくる。特に、ソーラー発電は、私のような田舎でも、空き地があれば、誰がつくっているのか知りませんけれども、新たなソーラーパネルがぺたぺた張ってあるというふうなことだと思います。

 これも昨年、大臣に確認させてもらいましたけれども、その中に外資という部分が入っているのかどうかというのも、確かに百坪くらいだと十キロか二十キロにしかなりませんから大きな変動要因にはなりませんが、メガソーラーであるとか、そういうふうな水準になってくればやはり周波数の部分も含めていろいろな悪影響を与えかねないということで、大臣は昨年、私の質問で、外資の問題についてどうお考えですかという形でお尋ねしたら、「どこまでの外資の参入が安全保障を侵さないか、こういう観点から検討してまいりたいと思っております。」というお答えをいただきました。

 そういう点でいえば、発電事業者がどこまで余力を持つかどうかは別としても、今まで以上に元気よく設備投資をしていくような環境づくりということで、再生エネルギーがスタートしたときに、特に太陽光発電の分についてはこんなに高いのかというふうな水準も一時期ありましたけれども、それがだんだん下がっていくというのも事実だと思います。

 特に、外資というものがもちろんすべて悪いというわけではありませんけれども、やはり供給の信頼性というか、本当にちゃんとやってくれるのかということを、首を縦じゃなくて横に振るような方も当然いらっしゃると思うんです。

 そういう部分で、外資という問題についても、特に発電事業については一定程度のチェックというものを、新しい行政機関の監視機能なのかどうかは別としてもやはり導入していかなければいけないというふうに考えていますけれども、経産省はどのようにお考えなのか、お尋ねしたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 外資に関するお尋ねでございますけれども、基本的には、電気事業に対します外資の参入につきましては、外為法に基づきまして、公の秩序の維持を妨げるおそれがないか、すなわち、我が国の電気の安定供給の確保に支障を生ずるおそれがないか、こういった観点から個別に審査を行うことになっております。

 今回の法律に基づきまして、小売の全面自由化を実施した後におきましても、引き続き、我が国の電気の安定供給の確保といった観点から問題がないと認められる限り、さまざまな発電事業あるいは小売事業というものに対して、基本的には多様な事業者のむしろ参入を認める方向で考えてまいりたいと考えております。

 ただし、一般論として申し上げれば、例えば、発電事業といいましても原子力事業をどう考えるか、あるいは一般送配電事業者に対する外資の参入申請があったような場合にどう考えるか、こういった場合については、公の秩序の維持、こういった観点から慎重な検討を行う必要があるものと考えております。

後藤(斎)委員 ただ、長官、これは大臣もぜひお聞きいただきたいんですけれども、実際、都道府県にしても、一カ月か半年か一年かは別としても、まとまった再生エネルギーの出力であるとか箇所数であるとかいう報告は、現時点でもエネ庁から報告があるようであります。

 一方で、市町村にどの程度の小規模水力や太陽光の施設がいつ存在して、誰がその事業者なのかというのは、電力事業者からお聞きしてエネ庁は全部知っているようですけれども、県も市町村も、いわゆる地方自治体は何も知らないわけです。

 この問題点というのは、先ほど長官からお答えいただいたように、外資であるか否かということも、自治体は県も市町村もわからないわけです。そういう情報もないということになれば、今、市町村も都道府県も再生エネルギーの比率を高めていこうというふうにいろいろな計画を立てているにもかかわらず、どこに誰がそれを所有しながらやっているのかということは、特に市町村から見れば固定資産税がどうかけられるかという、これは対にもなるわけですよね。ですから、そこをもっと情報開示を、今さら義務化ができるかどうかは別としても、もっと積極的に地方自治体にそういう情報提供をしなければならない。

 今長官が、外資でも安全保障上問題がなければ大丈夫ですよと。例えばそれがソーラーであれば、百キロワットなのか、ワンメガなのか、そういうふうな水準も基準もない中で、エネ庁の限られた人数、地方経産局の職員も活用してチェックするというふうにお話を伺っていますけれども、それでも、各ブロックで十人とか二十人の体制で、各市町村や県にいつも情報公開をやること自体ができませんから。

 まず市町村の窓口をどこか決めて、県も含めて、やはりきちっと積極的にエネ庁として特に発電事業者の方々には情報提供をしていくという制度をつくっていかなければ、監督、監査もできないし、それが外資であるかどうか、安全保障上の影響があるかどうかはわかりませんから、その体制を、基準も含めて、私はぜひ積極的な情報発信というか提供というものは各地方自治体にやってほしいと思いますけれども、その点についてはどのようにお考えでしょうか。

木村政府参考人 固定価格買い取り制度に基づきます情報提供についてでございます。

 まず、固定価格買い取り制度では、国が、国民負担による支援の対象として適格な発電設備であるかどうかということを認定してございます。したがいまして、このために必要な再生可能エネルギー発電設備に関します情報につきましては、発電事業者から提供を受けております。また、運転開始後、設備設置に要しました費用の報告というのも求めているということでございます。

 現在は、これはやはり国民負担で支えられている制度であるということもございますし、それから透明性が重要であるということを踏まえまして、資源エネルギー庁のホームページ等におきまして、認定設備の件数、合計出力、あるいは稼働に至った件数、合計出力につきまして、毎月都道府県ごとに公表させていただいているところでございます。

 個別に自治体等から、例えば徴税事務等の便宜の観点から、例えば個別の事業者ごとの情報についての提供の御要望といったものもいただいております。こうした情報は一義的には行政文書でございますので、情報公開法のルールが基礎になるというふうに考えてございますけれども、地方自治体に対して個々の発電設備の情報につきましても可能な限り提供することとしておりますし、また実際に、自治体から個別事業者について認定申請に係る情報の提供を求められて、そこで名称ですとか設備の所在地あるいは出力といったような情報を開示したこともございます。

 今後とも、行政情報を適切に取り扱うという観点と、税法、あるいは国民負担で支えられる制度という視点を織り込みながら、適切に対応してまいりたいと考えてございます。

後藤(斎)委員 部長のお話も何となくわかるんですが、既に例えば東京都は、太陽光発電、特に屋根台帳というのをつくって、一目でわかるような積極的な情報公開、発信をしているわけなんです。

 私はここまで細かくエネ庁がやったり県や地方自治体に情報提供しろとは言わないんですが、今部長がお答えになったように、再生エネルギー発電設備認定申請書の頭の部分に載っている、誰が設置者で、どのくらいの量を出力し、どんなエネルギー、バイオマスなのか太陽光なのか、この頭の部分だけでも整理を一覧表にして、それぞれの市町村に行政内部だけでお使いくださいということであれば、県ごとに出力や認可件数をまとめているものをもう少しブレークダウンしたものを出していけば、そういうことに使っていけるわけです。

 国の機関の中で情報共有するのとあわせて地方自治体とも、例えば十キロワットで区切ればそんなに何千万件もあるわけじゃないでしょうから、一定の実務の時間はかかるにしても、それは地方自治体からもやはりエネ庁の方にも多分要望がかなり行っていると思うので、そこについては検討するじゃなくてもう少し前向きにするということを、大臣でなくて赤羽副大臣でも結構ですから、イエスというふうに言ってください。

茂木国務大臣 必要な情報は提供したいと思います。ただ、実態としてどれだけのニーズがあるか。別に、固定資産税でしたらちゃんと取れるわけですから、本当に地方自治体にニーズがあるのか。無理な行政的な仕事をふやす必要はないと思っております。

後藤(斎)委員 市町村や都道府県ごとに、再生エネルギーをたくさんふやしていこうといういろいろな計画をそれぞれやっているわけですから、どういうところにどういう方が事業主体でやっているのかという情報は、言われたから出すんじゃなくて、出すよという前提でやればスムーズに情報提供も進むと思うので、今大臣の必要であればということは積極的に解釈して、前向きにやるということで理解をさせていただきたいというふうに思います。

 実は、もう一つ、順番が逆転しますが、都道府県、いわゆる企業局が、山梨では水力発電という形が中心になって、大臣の栃木でも水力発電所が中心になって、いわゆる公営企業、自治体が発電している設備が全国で二百五十万キロワット程度あるというふうに言われています。

 私は、今回の小売業の自由化についても、去年お話をした発電の部分についてもそうなんですが、やはりここの自治体の関与というのが、実は電気というものは今まで地域独占で電気事業者の方たちに全てお任せしていたものを、これからは発電も、送電は中立性、公平性を持ちながらも、小売は全面自由化していこうという方向感になるわけですよね。それぞれの地域で、三年前の計画停電を関東地域が、例えば東電さんの部分でしたときも経験したように、自治体はどういう責任を負うんだということがかなり言われたと思うんです。

 私は、いろいろな手段を講じながら、公営電気事業、いわゆる自治体がもう少し主体的に電力供給に参加するような支援の仕組みというものを、誘導の仕組みという言葉に置きかえてもいいと思うんですけれども、していくことが必要なのではないかなと。

 特に、一番感じるのは、ほとんど公営企業の部分は水力発電がメーンでありますけれども、さっきお話をしたように、ソーラーにしても、例えば山梨の事例を見ても、土地の整備はしても、上物の運営管理については違う事業者を指定管理みたいな形でお願いしてしまうということであれば、これからお尋ねしますけれども、やはり自治体としての収入というのが、小売も自由化になれば、もしかして、例えば東京電力管内でいえば東電さんに今まで随意契約で売っていた金額が七円、八円だとすれば、小売事業者が必要であればもう少し高い値段、一、二円高い値段で売れる可能性というのも当然出てくるわけです。

 これは、大臣たちが検討会で政府の中でやられた中でも、基本的には地方公共団体における電気の売電契約についても一般競争入札をやるべきだという大前提と、どうしても随意契約を認める場合というのが地方自治法施行令の百六十七条の二にありますけれども、これを幾ら読んでも、今度は複数の小売事業者が出てくればやはり競争入札に付していくことが必要だということで、自治体収入にとってプラスになるし、地方の中に住んでいる家庭や仕事をしている企業にとっても、自治体が一定程度発電してくれればやはり安心だということに当然なると思うんです。過度に自治体がそれをやっていくと、いろいろな悪影響もありますけれども。

 特に、再生エネルギーが日本よりも非常に進んでいて、その発電シェアも高いドイツの一部の市においても、発電だけではなくて送電網ですら市が市民のファンドか何かをつくって買い取ったという事例もこの数年であるという話を聞いておりますので、やはりもう少し自治体が主体的に電力供給に参加するような誘導の仕組みというものをつくるべきだと思うんですけれども、大臣、どのようにお考えでしょうか。

茂木国務大臣 基本的には委員と同じ認識を持っております。

 従来は、一般電気事業者のみが小売事業を行っておりまして、また、総括原価方式による買い取りということで、事実上唯一の売り先ということで、買い手市場になっていた部分もあるんだと思います。

 今回、第二弾の電気事業法改正によりまして小売の全面自由化を図っていきたいと考えておりまして、公営電気事業者を初め、地方自治体が小売電気事業の登録を行って、地域で発電した電気をその地域の一般家庭に小売したり、地域での発電による電気を地元の消費者に積極的に選択してもらう、言ってみると電気における地産地消、こういったものを進めていくことは必要だと思っております。同時に、発電も自由化を行うことによりまして、新電力であったりとか卸電力取引所など新たな取引先が生まれることによりまして、地方自治体が発電した電気の販売の多様化、こういったものも進んでいくというふうに考えております。

 今後、電力システム改革を進める中で、地域の電力供給の担い手として地方自治体が今まで以上に積極的な役割を果たせるような環境整備もしていきたいと思っておりますし、また、地方自治体にもそういった当事者意識をぜひ持っていただきたい。

 これは、電気だけではなくて、例えば水道でもそうだと思うんですけれども、日本のやはり水道の汚水率の低さとかは最高なわけですよ。海外でいろいろなこういう水ビジネス等々を展開していくというときに、オペレーションでいいますと、これはどちらかといいますと、企業というよりも地方自治体のノウハウなんですね。こういったものをなかなか地方自治体が外に出ていってやろうというふうになっていなかった、これをやはり変えていきたいと思っております。

 同じような形で、電気につきましても、ある程度地方自治体が自分たちの地域でできる限りのことはやってみたい、こういう気持ちを持っていただくということも極めて重要だ。それに必要な制度の整備というのはしっかり進めていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣がおっしゃるように、自治体が関与しないいろいろな組織体系というものは実は余りない。特に、電力事業者の方々が地域独占という形で発送電一体でやっていたものが大きく変化するわけですから、私は、今まで以上に自治体の主体的な参加というものができるような導入の支援の仕組み等は、この法案ができてからになるのかもしれませんけれども、来年度に向けて対応をぜひ具体化していただきたいと思います。

 あわせて、小売が全面自由化となると、いわゆる公共料金という定義自体が電気料金も継続していくのかなというふうに思ってしまうのは、多分私一人じゃないんだと思うんです。

 特に、先ほども長官からお答えいただいたように、当分の間については今までどおり、電気事業者に一定の、届け出制も含めて縛りをかけていくと。経過期間が過ぎれば少なくとも全面自由化ということですから、大臣に今は届けの部分はあるかもしれませんが、経過期間後の取り扱いについても一部経産大臣がかかわって、例えば、現行であれば消費者庁が中心になって対応を進める物価安定関係閣僚会議での議を経て水準を決めるというふうになっていますけれども、この点については、小売の全面自由化後の電気料金というのは、公共料金としての扱いを今までどおり受けるのか、受けないのか。そして、あわせて、消費者庁が主管している物価安定関係閣僚会議との関係も含めて、それぞれで結構ですから、御答弁をお願いしたいというふうに思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、現行の電気事業法の規制料金でございますけれども、これは、各省庁の物価担当官の申し合わせに基づきまして、重要な公共料金ということとされてございます。

 御指摘の小売全面自由化後の電気料金でございますけれども、現在御提案申し上げております法案におきましては規制料金が経過措置として継続するということでございますが、これにつきましては、現行規制部門の料金との連続性が高いということから、引き続き重要な公共料金等に該当するのではないかと私どもは考えてございます。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の電力システム改革は、電力の小売業への参入を全面自由化して事業者間の競争を促進していくというようなことによって料金を抑制するということだと承知しております。消費者庁といたしましては、この改革によりまして事業者間の競争が現に実現していくということで料金が抑制される、消費者利益が確保されるものというふうに理解しております。

 電力システム改革の議論をしております経済産業省の制度設計ワーキンググループには消費者庁もオブザーバーとして参加しているところでございまして、今後とも、この改革の進捗を注視しながら判断していきたいというふうに思っておるところでございます。

後藤(斎)委員 消費者庁にもう一度お尋ねしたいんです。消費者庁として、今回の小売の全面自由化といういわゆる第二弾の電気事業法の法改正については、消費者の視点という観点からはどのような評価をお持ちでしょうか。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど申し上げましたとおり、電力システム改革によりまして事業者間の競争が促進する、させるということも含めまして、料金の抑制を図ることを目的の一つとしているということを承知しておりまして、こういった競争が実現されるということによる効果といたしまして、消費者利益が確保されるというふうに考えておるところでございます。

後藤(斎)委員 今、消費者庁からも答弁いただいたように、実際に電気料金が下がっていくというのが当然期待されるわけなんですが、なかなかそうはいっても、新しい電力会社、発電事業者になったり小売事業者になったりする方たちが情報を同じように共有できる形ができるかどうかというのも非常に大切だと思っています。

 特に、新電力の方々、今までの電力事業者の方々から見れば、情報のイコールフッティングというのが十分でないという指摘もありますし、先ほども、地方自治体にできるだけ、エネ庁は電力事業者が持っている情報を地域別に分類しながら提出してほしいという要望もさせていただきました。

 そういう意味で、必要なデータが入手できる仕組みが具体的にあるかどうかによって、小売が全面自由化になったときに消費者に真に料金の引き下げがされるということも含めて形をつくるには、情報インフラの整備、情報の共有性というものも当然非常に大切だと思いますけれども、その点、経産省は今どのように御認識をしておられますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、情報が新規参入者にも公平に行き渡るということが、競争を促進するために大変重要だと考えてございます。例えば、スマートメーターから収集される情報などにつきましても、これは、今の一般電気事業者の小売部門を含めた全ての小売電気事業者の間でイコールフッティングが確保されるということが大変重要だと考えてございます。

 今回の法案におきましては、一般送配電事業者が特定の小売電気事業者を差別的に取り扱うことを禁止しているということでございまして、これに違反した者に対しては罰則つきの是正命令を発することとなっております。

 経産省といたしましては、今後、一般電気事業者あるいは新電力からの意見を整理いたしまして、情報の提供の内容それからタイミングにつきまして、イコールフッティングが確保できるようなルール整備を進めてまいりたいと考えてございます。

後藤(斎)委員 大臣、多分最後になると思いますけれども、これからいわゆる水素エネルギーを活用した社会というものは一つの目標にあるとも言われています。今回の電事法自体の部分では、その方向感というのはまだ十分ではないと思っていますけれども。

 去年までよく言われていた、二〇一五年、来年には燃料電池車も五百万円台のものができてくるであろう、ただ、一方で水素充填をするステーションが進んでいないので、補助金も出しながら、まず百カ所からスタートしようということで、そのインフラ部分の整備というのはあるにしても、やはりこれは、人口が集中しているとか、企業活動が集中している、いないだけではなくて、特に水素燃料電池の先進的な地域と言われているカナダのオンタリオ州についても、研究とそれを支える関係の企業群、そして研究開発を支える助成金とか税の控除、いろいろな部分を一体で対応していかなければいけないというふうに言われています。

 特に、昨年も大臣から、福岡県北九州市の事例を挙げて御答弁いただいております。昨年は、トリプルコンバインドはどうなっているのかというふうなお尋ねをしていますけれども。

 やはり、規制の見直しと実証の部分と導入の補助というものを、ばらばらではなくて一体でやっていかなければそのスピード感というものは加速しませんし、山梨でも山梨大学の渡辺先生がやって十年近くになりますけれども、燃料電池の小型化の部分についてはめどが立っているものの、大型化、いわゆる水素発電所的なものについてはまだまだもう少し時間がかかるというふうなことも言われています。

 ぜひ内陸部においてもこういうものができるような形で、地域の分散電源の大きなこれからの主体として、先ほどの規制改革や研究開発そして導入補助というものを一体的にやっていく必要性があると思いますけれども、最後に、大臣にこの点について御確認したいというふうに思います。

茂木国務大臣 先月決定いたしましたエネルギー基本計画におきましては、将来の二次エネルギーでは電気そして熱に加えて水素が中心的な役割を担うことが期待される、こういたしております。その一方で、御指摘のように、水素に関しましては技術面、コスト面、制度面、インフラ面等々いまだ多くの課題が存在している、このように確認をいたしておりまして、水素そして燃料電池の実用化や普及を加速させるべく、規制の見直し、そして実証であったりとか技術開発、さらには導入支援というものを一体的に進めていきたい。

 家庭についてはかなり進んでいます。ただ、業務用等の大型化、これについては今研究開発という段階であります。

 さらに、水素ステーションにつきまして、新しいステーションをつくる、もしくは既存のガススタンドへの併設、さらには軽量な炭素繊維を活用した水素タンク等々の技術開発をしっかり進めていきたいと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、冒頭もお願いしたように、安定供給という部分と低廉な電気料金になっていくような仕組みというものは、我が国だけではなく、先進事例が諸外国にはありますから、そういうものをきちっと検証しながら、国民にとって、消費者にとって、そしてまたそこに働く人たちにとってもプラスになるような仕組みにぜひ具体化をしていただくように、最後に強く要望して、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、辻元清美君。

辻元委員 本日は、電気事業法改正、いわゆる電力システム改革について、さまざまな参考人の皆様の御意見も参考にしながら御質問させていただきたいと思います。

 電力システムを改革する際の最も重要な目的、これは、公平な競争環境が担保され、ひいては新しい経済システムの構築につながり、さらに、消費者にとって選択肢の拡大と合理的な電気料金の提供による環境や生活面での向上が見込まれる電力市場環境になることである、参考人の皆さんの御意見を集約いたしまして、私はこのように考えております。

 さて、そこで、一番最初の公平な競争環境の担保。本日の参考人の皆様の御意見の中にも、この中で特にポイントとなりましたのが、非対称規制についてどうするべきかという点と、独立した規制機関というものの必要性について、きょうの参考人からもたくさん意見が出ました。

 まず最初に、非対称規制について、基本的な認識を大臣にお聞きしたいと思います。

 公正な競争環境の担保のためには、適切なとあえて申し上げますが、適切な非対称規制が必要であるという認識でよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 言葉の定義は別といたしまして、競争環境が整うということは、競争条件が同じになっていく、そのために必要な施策はとっていくつもりでおります。

辻元委員 そうしましたら、政府にお伺いしますが、いわゆる非対称規制として今どのようなメニューをお考えになっているか、また、一部自由化されておりますが実施されているか、お答えください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 非対称規制と呼ぶかどうかということは別にいたしまして、今回御提案申し上げている電気事業法の改正案につきまして申し上げますと、適正な競争環境が整うまでは、既存の電力会社に対する規制料金を継続するということをまず講じてございます。

 また、既存の電力会社が余剰電力を卸電力市場に供出するということにつきましては、これは国として促しているという措置を講じてございます。

 こういった取り組みが着実に実施されるよう、今回の法案では卸電力取引所を法定化し、経済産業大臣が取引所に対して報告徴収等を行うように手当てをしたところでございます。

辻元委員 今、二点おっしゃいました。一つは卸電力市場、それから料金の規制。そうしましたら、この二つについて現状の確認をさせていただきたいと思います。

 まず最初に、卸電力市場活性化の現状について。

 これは、本委員会の四月二十五日の答弁で、一般電気事業者が余剰電力を卸電力市場へ売電する取り組みを開始しておりまして、その状況をモニタリングしております、その結果、売りの入札量は前年と比較して約五倍程度、それから約定量は一・五倍程度にそれぞれ拡大をしてございますという答弁です。

 ここでお聞きしたいんですが、売りの入札は約五倍なんですけれども、約定量がわずか一・五倍ということ。これはなかなかうまくいっているとは言いがたい状況ではないかと思うんですが、この理由はどういうところにあると認識しておられますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、卸電力市場への取引でございますけれども、スポット市場への売り入札量は前年と比較して五倍程度、それから約定量は一・五倍程度と拡大してございます。

 売りの入札量が五倍にふえている一方で、約定量が一・五倍にとどまっているという理由でございます。これはさまざまな要因があるところでございますけれども、一番大きい理由といたしましては、やはり、一般電気事業者が自社の小売供給に用いる電源として安価な電源を使っていく、逆にその余剰の部分は比較的高い電源というものになるということでございますので、その結果、買い手の求める価格水準に合致しないことがあり、取引が成立しないということが一番大きいのではないかと考えてございます。

辻元委員 結局、卸電力市場の活性化と言われているわけですが、売れへんものと言うたら悪いんですけれども、理由は二つあると思うんですね。

 一つは、今おっしゃったように、既存の電力会社が、安い電力は自分の顧客に回して、高価格、特に揚水発電のような、一時原発を動かしていたときはその余剰電力で動かさなければ採算がとれないような、高コストの電力しか市場に回していないということ。それと同時にもう一つは、売り入札が夜間にされていることが多くて、既存の電力会社は余っている夜間電力を回しているけれども、新電力の顧客はオフィスビルなどが中心ですので昼間の取引、しかしここは少なくなってしまう。

 ですから、今こういう現状で、実際には全電力の販売量の約一%にしかすぎない。そうすると、今回、全面自由化になって果たして、今と同じように自主的に促しているだけで卸市場が活性化するのかどうかという点が非常に大事なポイント、先ほど非対称規制の話でも出てきた一つのポイントですけれども。

 今は、自主的な取り組みをやってくれということで、やっと促すようになって五倍になっています。このままでいいのか。実際に今のように、高い電力で余り売れないものだけを市場に回しているようでは、幾らモニタリングしても現状は変わらないのではないか。

 そこで、先日の同じ委員会での御答弁で、自主的取り組みで実質的な競争の実現が見込まれない場合は、この後です、制度的な措置を伴う卸市場活性化策を検討したいと。制度的な措置。

 この制度的な措置の中に、さまざまな専門家も指摘していますけれども、きょうも少し話が出ましたが、一般電気事業者から一定量を玉出ししてもらうと。やはり一定量がきちんと卸市場に入っていかないと適正な価格であったり適正な競争になっていかないじゃないかというような、この玉出しも含めて一定の数値目標を設定して、これを制度的な措置としてさらに一歩進めるというようなことは今検討されているんでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、私ども、このモニタリングの結果、卸市場活性化が十分進展しない、そういう場合には、電力システム改革の専門委員会の報告書でも、制度的措置を伴う卸市場活性化策を検討するとされております。

 その具体的内容につきましては、先生御指摘のとおり、卸市場の状況や電力市場における競争の見通しなどを見きわめながら、例えば一定量といいますか、そういったものの電源の供出といった方策も含め、検討することはあり得ると考えております。

 ただ、私ども、今現在におきまして卸電力市場の活性化は非常に重要だと思っておりますが、この法律におきましては、そういった方向で、一つは卸電力市場そのものを非常に法律的に見て信頼のあるものにしていこうということで、御案内のとおり、今回の法案におきまして、卸電力市場にも法律上の位置づけというものを与えているところでございます。

 そこで、不正取引の防止、市場監視、卸電力取引所の運営の適切性確保などにつきまして国が一定の関与を行うということでございまして、具体的には、さまざまな市場への参加要件などにつきまして卸電力の取引所が業務規程で定めまして、国はその認可を行う等々、あるいは事業計画の決定、役員の選任については国の認可を必要とする等々で、卸電力市場の信頼性そのものあるいは透明性そのものを高めていくという努力を行いたいと思います。

 もう一つは、現在の需給状況、御案内のとおり、原子力発電所の状況もございまして、非常に需給がタイトな状況では、玉出しといっても、現実問題として出していくものがなかなか見つかりにくいという状況もございますので、供給力の増加等々の状況も見ながら、こういった取り組みを進めていきたいということを考えております。

 私どもといたしましては、このモニタリングというものを当面しっかり続けながら、今のような状況も踏まえつつ、今後の状況を把握しつつ、そういった先生の御指摘のことも念頭に置きながら、将来の課題としては念頭に置きつつ今のような取り組みを進めていくというのが私どもの考え方でございます。

辻元委員 これは永遠にやろうという話ではなくて軌道に乗るまで、今、玉出しの件を一例で申し上げましたが、なかなかほかに案がないというような状況だと思うんですね。ですから、強力にちょっと検討していただいた方がいいと思うこと。

 それからもう一点、先ほど御答弁にありました料金規制についてお伺いしたいと思います。

 これも、電力システム改革の第二段階から第三段階までの間に一般電気事業者について規制料金を維持するという御答弁、これは以前もされておりますけれども、実際に競争環境を整えていくまでに、余りにも今まで大きな電力会社が一手に握ってきたもの、新規参入を促していくといってもなかなか競争条件がそろわない。これは誰が考えてもそうなんですが、今のところ、この第二段階から第三段階までの間ということで時限措置として規制料金というものを考えていく、実施していくということなんですけれども、果たして時限措置だけでいいのか。

 これも、例えば新規参入の割合が三年以内に一割とか、五年以内に三割にするぞというような数値目標を決めて、時限措置だけじゃなくて、市場のシェアの何割を達成するまで、料金についても一定の規制をしていくというようなことも含めて御検討をなさるのかどうか。これはいかがでしょうか。

茂木国務大臣 法案をよくごらんいただきますと、時限措置といいますか、これは年限を限るというよりも競争環境が整うまでの間という形でありまして、競争環境が整うという幾つかの要素があると思います。そこの中には、委員御指摘のような、シェアがどんな形になるか、また、需要家から見たら新しい電力とか自由化されたメニューを選ぶ割合がどれくらいになるか、幾つかの指標を総合的に見ながら、競争環境が整ったと。これを見る前に料金規制の撤廃をしますと、諸外国での事例もあるように、かえって料金が上がってしまう。こういうようにならないような環境をつくるということが極めて重要だ、こういう観点から検討してまいりたいと思っております。

 立ったついでに、先ほどの件でありますけれども、卸電力市場、これは育てていかなければいけないと思っております。

 ただ、そこの中で現状を見ると、やはり需給が相当タイトなんですよ、今の状況でいうと。そうすると、一〇%出せと言っても出せるような環境の中にない中で、玉出しだけという話にならない部分はあるんだと私は思います。ただ、ある程度そういった意味で供給力も確保できるような体制をつくっていくということが、電力市場の信頼性を高め、透明性を高めるのと同時に必要になってくると思っております。

 市場というものでありますから、委員も同じお考えだと思いますが、強制的につくるものでは基本的にはないと思っておりますけれども、どうしてもできない場合は、需給についてもう少しタイトでないような条件が生まれたら、最後の手段としては、ある程度の量を供出させるということも考えざるを得ないと思っております。

辻元委員 バランスだと思うんですね。やはりこの市場を、ある程度ぐっと我慢しながら、しんどいところもあるけれども活性化していくことが、その後の需給には非常に適正に、今よりも楽になっていくということも考えられるし、今苦しいということもあるんですけれども、そのバランスを、では、どこで誰がそれを適正に管理していくのか、この点はちょっと後で、独立した機関のところでお聞きしたいと思いますが。

 今大臣がおっしゃった点で一点、今までの答弁ですと、第二段階から第三段階までの間は規制料金という答弁だったものですから私は時限かなと思ったわけですが、そうではなくて、やはり状況を見ていくということを今大臣から確認させていただいたと思っております。

 次に、ネットワークの中立化ということも出てまいりました。特に、今回の改正後は、一般電気事業者の送配電部門が一般送配電事業者として送配電事業を行うことになります。

 しかし、現在の一般電気事業者に由来する一般送配電事業者が、もともと同一会社であった系列の小売部門の接続を優遇しないかとか、新しく新規で入っていったところにきちんと中立性を担保して、接続拒否のようなことはなくきちんと対応されていくのかということも幾つか意見が出ました。

 ここでお伺いしたいんですが、特にこの中で、託送供給約款というのが現在もございますけれども、今後これをさらに、いろいろなところが参入してきますので、対応できるように内容も充実しなきゃいけないし、かつ、今後、独立した行政機関で送配電についても適正な処理がなされているかということをチェックしていくことになると思いますが、どのような審査を、そして今後どこがどのように監督、監視を行っていくのか、教えてください。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、今回の法律案における考え方でございますけれども、今回の法案におきましては、一般送配電事業者の禁止行為というのを定めております。御指摘のとおり、送配電部門の中立性を高めていくというのは今回の制度改正においては極めて重要な点でございますので、一般送配電事業者につきましては、特定の電気供給事業者に対しまして差別的な取り扱いをすることを禁止するという規定が定められているところでございます。第二十三条でございます。

 また、託送供給等約款の認可基準、この託送供給等約款は認可に係らしめているわけでございますが、その認可基準といたしましても、「特定の者に対して不当な差別的取扱いをするものでないこと。」ということを明記しておるところでございます。

 この託送供給約款の認可そのものは、今回の法案では経産大臣が行うということを規定しているところでございますが、全体の市場監視、中立性の監視等々につきましては将来設立される新たな規制組織の制度設計の中でも検討してまいりたいと思うわけでございますし、また、第三段階におきましても、いわゆる法的分離を行うことにより送配電部門の中立性を一層高めていく、そういうことを考えているところでございます。

辻元委員 今、ネットワークの中立性の担保という点から質問したわけですが、それ以外に、自由化されていくということは、消費者にとって健全な市場が担保される必要がある。

 その観点から見ますと、消費者の選択拡大のめどとなる市場での達成目標がしっかり示されて、その目標が達成されているのかしっかりチェックする。そして、達成されていない場合は一定の強制措置をとったり、経過をウオッチしたり、さらには評価する。さまざまなことを一定の信頼性のある独立した機関がチェックしていく。きょうの参考人のお話の中にも、この独立した機関というものの信頼性がない限り市場は育たないんじゃないかというような御意見もございました。

 これは、いわゆる本法の附則第十一条第六項の電気事業の規制に関する事務をつかさどる行政機関、ここでさまざまなことが監視も含めてなされていくと思うんですが、この検討状況をお伺いしたいと思うんです。

 特に、この間も、総合資源エネルギー調査会の総合部会電力システム改革専門委員会でも、独立性の担保ということはさまざま指摘されております。

 その中でも、例えば高橋委員がドイツの独立機関の事例の御報告もされておりまして、ドイツも、九八年に小売の全面自由化が行われ、発電部門と小売部門については事後規制だったわけですけれども、なかなかうまく競争が進まなかった。特に業者間の交渉に託送料金なども委ねられていて、なかなかうまくいかなかった。二〇〇五年に独立性の高いネットワーク庁が設置されて、事前規制を行い、そして市場の管理、送電料金の認可、送電網の建設計画の認可、さらにはさまざま情報公開の基準など、極めて高い権限を持って仕事をしてきた。その結果、大きく改善されているという報告もございました。

 この中で、高橋委員を中心に複数の委員が、日本でも独立した規制機関はもちろん不可欠と。その際に、きょうの参考人の意見にも出ておりましたが、三条機関をつくるべきである、合議的な意思決定をする形にすべきである、日本ではネットワーク規制だけではなく競争監視もここですべきではないか。

 さらには、幹部レベルについては、各省庁へ戻ることができないノーリターンのルールをしっかり定めるべきではないか。人事面についても意見が出ております。

 また、調査権や勧告権に加えて、先ほど申し上げました許認可権も一定持たせないと強い権限が出ないのではないか。さらには、この独立した機関をしっかりつくるという方針を示すことが、これは政府の税制調査会の委員でもある大田委員の意見ですけれども、今後、法的分離への移行がスムーズにいくという鍵にもなる。ですから、この規制機関が全ての今回の電力システム改革がうまくいく大きな鍵を握っているという意見が多々出ております。

 こんな中で、実際に今検討されていると思いますけれども、三条機関とするということを検討しているのか、また、ノーリターンルールなどを実現していこうという方向で検討されているのか、この点はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 詳細につきましては事務方から答弁をさせていただきますが、新しい規制機関は、大きく分けますと二つの仕事をやっていくことになると思います。

 その一つは、改革の第二段階以降の、自由化された市場における電力取引の適切な監視ということになってくると思います。そしてもう一つは、第三段階におけます送配電部門の中立性の確保、つまり法的分離を行うわけでありますから、そこの中で、送配電部門が今まで一緒にやっていた発電部門に対しても新規に対しても中立的でなければならない、これに対する行為規制を行っていかなくちゃならない。そのためには、人事の問題を含めて、そこの行為規制をどうするかということを考えなきゃならない。

 そういった意味におきまして、第三弾の例えば行為規制をどうするか、これにつきましては来年法案を提出したいと思っておりますが、この全体像が決まらないと、逆に、新しい規制機関を今決めてしまうのはある意味拙速な部分があるな、こんなふうに思っております。

 そして、新しい規制組織は独立性と高度な専門性を持つ組織である必要があると思っておりますが、独立といったときに、インディペンデントであるということは重要なんですけれども、それが完全にほかのところからアイソレートされている、孤立されて実態もわからないような状況になってしまったら本末転倒だ、このようには考えております。

辻元委員 事務方から答弁をさせますと大臣がおっしゃったので、追加はございますか。

上田政府参考人 大臣の御答弁に追加するということは通常ないわけでございます。今申し上げられたとおりでございますけれども、第一弾の中で、平成二十七年を目途にということで新たな行政組織に移行させるということが定められているわけでございますので、私ども、今まさに大臣から申し上げましたように、今回の法改正の趣旨、それから第三弾における具体的な法改正の趣旨、こういったものから、どのような規制機関にするのが適当なのかどうかということにつきまして、しっかりと検討してまいりたいと考えております。

辻元委員 原子力規制委員会のときも、その独立性について、独立性が本当に十分に担保されることが信頼性につながるという議論がございました。

 今回もそうだと思うんですね。ちゃんとジャッジするところが公正にジャッジしてくれているんだということが、市場というのは信頼で成り立っている、それから情報公開。各国を見ますと、例えばデンマークなんかでも、電力に対しての情報公開と信頼性、特に情報公開では、これは何で発電されて、量とか価格だけではなくて、あしたの電力の需要予測まで出た上で市場を活性化させていく、また、消費者の安心それから信頼をかち取るというような努力をしていますので、独立性と情報公開ということをしっかり担保する制度設計にしていただきたいということを強く要望して、終わります。

富田委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久でございます。よろしくお願いいたします。

 日本維新の会ですので、今の流れをくむつもりはないんですけれども、やはり発送電分離について、私も気になるところでございますので、このことについて質問をさせていただけたらと思うんですね。

 先ほど大臣は答弁の中で、来年法案を出して、二〇一八年に実施予定だと思うんですけれども、当然のことなんですけれども発送電というのは発電設備、送電設備、いわば発送電の間でバランスのとれた長期的な計画が必要だとは思うんですけれども、まずは、来年以降、第三段階に法的分離となっていくわけなんですけれども、現在の時点で、発送電分離に関して、長期的な投資計画などの政策の支援内容というのはある程度決まっているでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 第三弾で発送電の法的分離を今後進めていくわけでございますけれども、送配電事業者が長期的な投資がきちっとできるという観点は大変重要だと思っております。

 今回の法案でございますけれども、小売の全面自由化後におきましても送配電網の建設、保守が確実に行われるよう、送配電事業者につきましては、料金制度により投資回収を保証する仕組みとしてございます。それによって、送配電投資の不足により電気の安定供給が損なわれることがないよう、必要な措置を講じているところでございます。

伊東(信)委員 であるならば、先ほど、拙速な計画はまだちょっと必要ではないのではないかということを大臣も述べられたんですけれども、例えば、昨日の日経新聞で、アメリカのゼネラル・エレクトリック社、GE社と東芝がフランスのアルストムと今交渉していまして、買収に名乗りを上げています。その中で、東芝は、買収が成功すれば、送配電の部分の買収を提案しよう、そういったことを画策しているわけなんですけれども、それによって、ヨーロッパにおける送配電のところに日本の企業が参入していくわけです。

 であるならば、一般送配電事業者も送配電事業というのを十分やれる余力がある、ポテンシャルはあるのではないかなと思うんです。このことも含めて、この第三段階、発送電の法的分離というのはもっと早められるのではないかという考えもあるんですけれども、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 発送電の分離、第三段階、二〇一八年から二〇年をめどにということでありますけれども、これは、単に普通の企業を二つの会社に、例えば、製造部門と販売部門を別の会社に分けるというだけではなくて、当然、それが全くつながらないような状況では仕方ないわけでありますから、さまざまな接続のルール、そして、それに必要なシステム、こういったものもつくっていかなきゃなりません。

 恐らく、そのシステムの設計だけでも一年はかかる、さらにはシステムの開発となりますと数年かかる、そういった時間、タイムスパンも考えながら、今回の改革についてはスケジュール感を持って進めていきたいと思っております。

伊東(信)委員 大臣、ありがとうございます。

 設計と技術、システムの構築において時間がかかるとおっしゃっていただいたので、政策面というか、そうではなくて、テクニカルなことであるならば、言葉尻を捉えるわけじゃないんですけれども、では、早まる期待も持てるわけですよね。単にそういう解釈もできるということです。

 結局、エネルギーというのは、安全性と、何といっても安定性なんです。安定性の面で、例えば、昨日も二十一世紀政策研究所の沢主幹に、それは参考人ではなくて、我が党に来ていただいていろいろ再びお話も伺ったんですけれども、エネルギーの安定性をかつて脅かされた経験者からすると、料金による安定性の崩壊というよりも、やはり燃料自体が枯渇することに不安を感じる、そうおっしゃっていたわけですね。この電事法というのは、自由化することによって料金体系が安くなる、料金的なことに対するメリットがあるわけなんです。であるならば、発送電分離に関して、そのこととは別になりますので、技術面で何とか推し進めていければ、そういうことを期待しております。

 自由競争によるメカニズムにより、価格競争が使用者にとってはメリットがあるであろう。であるならば、需要と供給のバランスが今度はうまく保たれなければいけない。では、電力供給が、つまり、さっきエネルギーの燃料の枯渇と言いましたけれども、電力供給の安定性が保たれなければどうなるかということなんですね。

 また、これはきのうの産経新聞なんですけれども、新電力の参入が二百社を突破したということですね。例えば、宅配水のアクアクララであるとか通信大手のソフトバンク、ワタミ、パナソニック、トヨタ、けさの参考人質疑で関電の方が言っていました中部電力のダイヤモンドパワー、大阪ガス、東京ガス、さまざまな会社が入ってきております。

 その中で、どれもベースロード電源とはなり得ないんですけれども、太陽光パネルもベースロード電源にはなっておりません。しかしながら、日本向けの太陽光パネルの出荷量が、中国のインリーグリーンエナジーという会社が、ことしは昨年の二・五倍に伸びているということなんですね。

 ベースロード電源以外がどんどん盛り上がっているという中において、安定性のある電力供給バランス、もしくは、今度は海外のところが参入していって、日本の産業に対しての不利益とか、そういうことも含めてどのようにお考えでしょうか。

上田政府参考人 まず再生可能エネルギーでございますけれども、確かに太陽光パネル、固定価格買い取り制度を導入して以来、大幅に増大をしているところでございます。

 ただ、そうは申し上げましても、御案内のとおり、再生可能エネルギーの発電電力量に占める割合というものはまだ非常に小さく一・六%、水力もまぜて約一割という状況でございます。私どもも最大限、むしろこれらの導入を進めていきたいと考えているところでございます。

 外国企業、確かに太陽光パネル等につきまして日本市場でたくさん売っておられる企業がありますし、また今先生から小売事業に関する新規参入の可能性のある企業、あるいは関心を持っている企業、さまざまな企業に関するお話がございました。私どもも、いろいろなところからそういった情報がございまして、外資系の企業につきましても、そういった関心を有するところも今後出てくるものと考えられます。

 外資が国内に参入することにつきましては、外為法の規制があるわけでございますけれども、発電事業や小売事業といった分野につきましては、基本的には外資におきましてもその参入を促進していく必要があると考えておりますけれども、送配電事業あるいは原子力事業といったところにつきましては、外為法の考え方にのっとりまして慎重に対処をしていきたいと思います。

 いずれにいたしましても、全体が自由化をしてまいるわけでございますので、その中で再生可能エネルギーの導入を最大限進めながら、また発電事業、小売事業に関する参入を進めながら、全体として活性化した電力市場を目指すというのが私どもの目的でございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 いろいろ申し述べた後の質問だったので、最終的にどうお答えいただけるか、ちょっと迷っていらしたと思うんですけれども、今の答弁はよくわかりました。

 その中で、再生可能エネルギー、もちろん外為法の関係とかいろいろあるとは思うんですけれども、例えば、以前に私が医療機器の話をしたときに、規制のために日本の医療機器の開発がおくれていると。実際、我々が使う医療機器とか人工関節は全部アメリカの企業だということをお話ししたと思うんです。つまり、例えば太陽光パネルにしても、何となく報道ベースによると海外からの参入ばかりがちょっと目立っているような気がしまして、そのあたりに対して、国策として、日本の企業の発展のために何か国として政策はありますかということなんですけれども。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 実は、太陽光パネルの技術でございますが、これは経済産業省といいますか、昔の通産省が一九八〇年代ごろから何十年もかけて開発された技術が二〇〇〇年ごろから花開いたということでございます。その技術が非常に世界に伝播をしております。それで、多くの企業が現在参入しておりますが、現在、太陽光パネルにおきまして最大の課題というのはやはり発電の効率を上げていくということでございますが、そういった技術につきましては、日本の企業はなお世界のトップランナーを走っていると考えております。

 政府といたしましては、固定価格買い取り制度そのものは、そこで買い取りする相手というものは、国内企業であろうが海外企業であろうが同一に扱っていくというのが原則であると考えておりますが、技術開発等々の点で、なお先ほどの発電効率を上げていったり、さまざまなところで柔軟に使えるような太陽光パネルの開発を目指したり、技術開発を中心としたさまざまな形の支援措置を通じまして我が国の太陽光パネル全体の産業の底上げを目指していきたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 とはいうものの、民間の企業に頑張っていただかないといけないわけでございます。

 送配電の方にまたちょっと話を戻していきたいと思うわけなんですけれども、一般送配電事業者と特定送配電事業者の両方が入ってきた場合、二重に設置された場合、社会的、経済上の不経済の発生が起こるということです。次の第三段階まで法的分離というのはちょっと先送りするというお話でしょうけれども。

 どうしても私は自分の専門のところで考えてしまう傾向にあるんですけれども、私自身が外科医としてヘルニアの治療をするときにレーザー光線を使うわけなんですけれども、レーザー光線を脊椎の中の椎間板に当てるわけなんですね。どうやって当てるかというと、中に針を通して、その針の中空の部分に光ファイバーを通すわけなんです。光ファイバーを通してレーザー光線を通すわけなんですけれども、レーザー光線の太さとファイバーの太さが違うんですね。どうするかというと、レンズを使って集光して小さくして中を通していくわけなんです。

 この応用というのは結構いろいろ工業的な技術にも応用できまして、もちろんファイバーの中に入るときに光線自体は消耗してしまうし、ファイバーからレーザー光線が発せられるときにも、反射がありますから消耗していくんですね。不思議なことに、レーザー光線が弱まるから不効率になってくるわけなんですけれども、不効率な分、無駄に焼けないということで安全性が確保されるという、ちょっとわけのわからない医療の論理みたいなものがありまして、我々の場合はそれでやっていけるわけなんです。

 そういった不効率をまた今度技術で解消していく上で、今アジアで、ニューギニアの方なんですけれども、NECが中心になって、地下に光ケーブルを通していく、そういったことをやっていくんですね。赤道直下のインドネシア東部とニューギニア島に地下の海底ケーブルを掘りまして、そこでアジアのITのインフラに日本が参入していくということなんです。何が言いたいかというと、地下のケーブルと通信で結ぶことができるんだったら、電気でもそういったことも、ケーブルを通すことはできるんじゃないかということです。

 日本において、都市部においていわゆる景観や災害対策として地下のケーブルをもっと推し進めていけば、例えば本土と北海道を結ぶ地中ケーブルとか、例えば洋上風力とかはもともと地下のケーブルを電気が通るので、日本の技術力をもってすれば可能ではないかと、私はちょっと技術的に思ってしまったんですけれども、そのあたりはいかがでしょうか。

茂木国務大臣 電線の地中化等々、これは景観上の問題もありますけれども、さらに送配電を安定化させていくという上でも重要だと考えております。

 例えばフランスへ行きますと、最近はかなり田舎の地域でも全く電線が見られませんよ。それだけ地中化というのが日本より進んでいる。それによって空間、土地のより有効な活用というのも進むものだと思っております。

 ただ、地下埋設を行うに当たりましては、ほかのケーブル等々の工事との共用化であったりとか、それにかかるコスト等々も勘案しながら進めなければならない問題でありまして、基本的には、事業者において設備を配備するという中でできる限り進めてほしい事業だと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 私は、もともとの生まれが神戸でして、平成七年度にはもう既に大阪にいたんですけれども、実家の方は完全に一カ月間、平成七年の阪神・淡路大震災でライフラインがストップしてしまったという経験を持っておりまして、やはり災害に対するライフラインの安定性ということを考えてしまうわけです。実際、ガスも水道も結局とまってしまったんですけれども、それは地下の問題ではなかったので、こういったことは、今の答弁で前向きなことを考えていただいているということでいいと思うんです。

 ちょっと答えにくいとは思うので、もしどなたか答えられたらと思うんですけれども、では、災害対策として原発自体を地下に技術的につくれるかどうかということに関しての何か議論というのはされたでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電所の立地の態様でございますけれども、先生御指摘の地下原発ということについて、一部の研究者の中でその可能性について研究している動きは承知してございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 どうしても、科学に携わる者というのは、イノベーションというのは、もとのシーズからの広がり、シーズを太い木にするまでいろいろ考えるわけなんですけれども、今やそこにバイオとかが入ってきて、いろいろな技術があるもので、私ども、いろいろな応用を考えてしまってこういった質問になってしまうんです。

 その質問ついでになりますけれども、では、小売参入の全面自由化によって、先ほど新聞のあれでも、製造業ではトヨタとか、非製造業ではソフトバンク、二百社ほどあると言いました。ソフトバンクが通信事業において、かつては独占状況にあった通信回線を使って新規参入、事業拡大に成功しているわけなんですよね。

 だから、先ほどの法的分離を早くした方がいいんじゃないかという質問とちょっとコントラに、反対の質問になるんですけれども、実際に独占状態にある通信回線、現在ある通信回線を使ってソフトバンクが成功した例を考えまして、新規参入事業者が送電網を公平中立に使用できることがやはり確保されることが重要になってくるわけなんですけれども、このことに対して、では、法的分離を来年以降にするのであれば、ことし、経産省としての送電網の効率性に対する具体的措置、措置違反に対する対応の内容について、朝から同じような答弁になると思いますけれども、確認したいのでもう一度お願いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。送配電網の公平な利用ということにつきましては、第一段階から第三段階までの改正により、それぞれ対応していきたいと考えてございます。

 まず、昨年の第一段階の改正でございますけれども、広域的運営推進機関を設立するということになってございまして、この推進機関は、送電インフラの増強計画の取りまとめ、あるいは送配電網の広域的な運用の調整、それから送電網への接続に関する情報提供及び接続の受け付けを行うということで、送配電網への公平な利用や円滑な接続に向けて役割を果たしていくということが期待されてございます。

 それから、今回の第二段階の改正でございますけれども、発電事業者や小売電気事業者といった新たな事業区分が創設されることになりますので、これらの方々が電気事業者として広域的運営推進機関の会員となるということになりますので、こういった人たちが参加をして、公平なルール策定が主体的に行われるということも期待できるわけでございます。

 また、一般送配電事業者に対しましては、業務上特定の小売電気事業者を差別的に取り扱うことを禁止している、これに違反した場合には国が是正を命ずることができるようになっております。

 さらに、第三段階では、法的分離を行うことによりまして、送配電部門の中立性を一層高めていくというふうに考えてございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。今のお話はよくわかります。

 では、送配電に係るルールを策定して、監視して、紛争時のあっせんをして、かつ調停を行うことのできる第三者機関というのは、朝から同じような質問もあったんですけれども、経緯と現状、機関の創設についてどのような議論がされているか、もう一度教えてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の機関というのは広域的運営推進機関のことだと承知しておりますけれども、これは、昨年成立をさせていただきました電事法の改正第一弾に基づきまして、現在、広域的運営推進機関の設立準備を進めてございます。

 具体的な取り組みといたしましては、まず、総合資源エネルギー調査会のもとに設置されました専門家によるワーキンググループにおきまして、その詳細な制度設計につきまして検討をしているところでございます。具体的に申し上げますと、運営に関する組織の形態、東西の周波数の変換設備や地域間連系線などの広域的な送電インフラの整備あるいはその利用に関するルール設定など、そういった課題につきまして、学識経験者などにも参加いただきながら議論を進めてございます。

 広域的運営推進機関は、電気事業者が発起人となりまして、設立の認可申請を国に求める仕組みとなってございまして、ことしの一月には、その設立に向けて、既存の電力会社、あるいは新電力、再生可能エネルギー事業者などの事業者から成ります設立の準備組織が発足してございまして、具体的な制度設計、業務運営方法等につきまして準備を進めているところでございます。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 どうしても接続の問題、交流電源、周波数の問題になると思うんですね。

 私は、私の知り得る知識で、技術的にそういったことの解消は不可能ではないと思っておるわけなんです。その辺は科学的な議論になるわけなんですけれども。であるのならば、不経済とかコストの面を考えるに当たって、小手先の改革ではなくて、もういっそのこと全国統一周波数にしてしまうというのは果たして可能でしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 東西の周波数統一についての御質問だと受けとめておりますけれども、これは、かつて私ども、総合資源エネルギー調査会のもとに研究会を設置いたしまして、コスト、実現可能性等を含めて検討をいたしました。

 そこでの議論によりますと、東西の周波数を統一する場合でございますけれども、既存の電気事業者の設備の交換というものが必要になりまして、このコストが約十兆円かかるのではないかというふうに見込まれております。

 それから、需要家の方でも、自家発の機器あるいはモーターなどの工場等で使用するような設備に対して、周波数が変わる方向に対しては取りかえ等の多大なコストがかかるということ、それから、場合によってはそのための操業停止をしなきゃいけないというようなこと等の課題があるということが指摘されておりまして、統一するには相当、コスト面あるいは実現可能性についていろいろ課題があるということが検証されてございます。

 そういった考え方がございましたので、現在の取り組みといたしましては、東西の周波数につきましては、二〇二〇年度の運用開始を目標に周波数変換装置を増強するということを進めておりまして、現行の百二十万から二百十万まで九十万キロワットの増強をするという計画で今取り組んでおります。

伊東(信)委員 とはいうものの、実際に変換装置も結構コストがかかるわけですよね。今の答弁、コスト面とか経済面とか社会的な実現性というところですよという答弁で結構です。私は技術的には可能かどうかということがお聞きしたかったわけで、それが前に出ないということは、やはりコスト面とのことです。コストを技術面で解消できるかというのは、またそれは技術者の課題でありますので、そのあたりに関してはよくわかりました。

 もう時間も大分押し迫ってきたので、最後に、二点ほどお聞きしたいことがあって、それについてお聞きします。

 一つ目は、先ほど通信の例を出しているんですけれども、新しい通信サービス、東海地方の方なんですけれども、フリービットというモバイルコストの会社が昨今話題になっています。フリービットというのは、非常にモバイルのコストが安い、安いんだけれどもちょっとつながりにくい。つまり、質は落ちるけれども安いということなんですね。

 電気事業においてこれが当てはまるかどうかはわからないんですけれども、この新通信サービスのフリービットになぞらえて、電気事業と関連して御意見があるかというのをお聞きしたいんです。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 いわゆる電気の場合は、一般送配電事業者が周波数維持義務、需給調整義務を負っておりますので、そこのところに流れ込んできた電気というものの品質は基本的には同一のものになります。したがって、そこから小売事業者が販売する電気というものの品質は基本的には同一のものになると考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 とはいうものの、電気の場合、質に差があるわけじゃないので、つながりにくくて大丈夫かというと、そうはいかないこともあると思います。まあ、そういうお答えになるだろうなと思っていましたけれども。ただ、自由化になるとこういったいろいろな予期せぬことも出てくるのではないか、そういったお話でございました。

 それでは、最後に、これは感想をというお聞きの仕方になるんですけれども、昨日の新聞報道でもあったんですけれども、日本の元首相である小泉純一郎氏と細川護熙氏が、再生可能エネルギーの普及を研究する一般社団法人自然エネルギー推進会議というのを設立されたということです。政治的な活動なのかどうかというと、一般社団法人なので何とも言いがたいところもあるんですけれども、一国の首相であられたお二人が法人を設立されたということに関して、できれば大臣の御感想をお聞きしたいんです。

茂木国務大臣 その前に、先ほどの答弁の関係でありますけれども、これから例えば、日本では再生可能エネルギーの導入を進めていく上でやはり太陽光、風力等は安定性に欠ける部分がありますから、系統内に大型の蓄電池を導入する等々によりまして、電力としての質をむしろ上げていくことが必要だと思っております。

 一方、最終的な小売におきましては、海外の事例でもあるんですけれども、例えば、電力がどうしてもピーク時に足りなくなったときは十五分間だけ停電をする、そのかわり安い料金で契約する、こういうものも出てくるわけであります。そういったさまざまなメニューというのは、違った意味では、これは急に停電するのではなくて、ちゃんとそういう連絡もするわけでありますけれども、そういった契約というのもあるんじゃないかな、こんなふうにも考えております。

 そこで、御質問の一般社団法人の設立に関してでありますけれども、報道で私も承知をいたしておりますが、御案内のとおり一般社団法人は設立するのに認可が必要なわけでもありませんので、まさに個人の自由である、このように考えております。

伊東(信)委員 個人のお考え、感想を聞かせていただきまして、ありがとうございます。余り要らぬことは言わぬでおきます。

 ただ、大臣、さすがといいましょうか、フリービットに関する質問の。趣旨はそういうことですよね、勝手に停電するのではなくて、停電する時間を決める、そのかわり値段が安くなるよ、こういったこともあり得るんじゃないかということをお聞きしたかったので、まさしくお答えをいただきまして、ありがとうございます。

 本当にちょうど時間になりましたので、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高です。

 私からも、引き続きまして、電事法の改正につきまして政府の皆さんにお伺いしていきたいと思います。

 まず、電気と直接ではなく、少し離れてしまうんですが、密接に関連するガス関連のお話について、まず口火を切って質問させていただきたいのです。

 五月二日に経産省内でガスシステム改革小委員会を開催されたというふうに聞き及んでいるんですが、その場へ東京電力さんと関西電力さんがお越しになって、ガス会社が保有する供給設備の利用条件や、託送供給のときに電気と違ってガスの場合は地域独占というよりはいろいろな事業者でかなり導管の網目を持っていますので、そういった意味での料金のお話について、小委員会の場で改革要望という形でお話があったのか、それとも御意見というお話であったのか、その辺がちょっとわからないんです。そういうのがあったという報道を一部聞いておるんですが、このあたりにつきまして、まず、事実かどうかを含めて、この小委員会の詳細をお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 電力システム改革と相まちまして、ガスにつきましても、低廉、安全かつ安定的に供給され、消費者に新たなサービスなど多様な選択肢が広がっていくということも大変重要でございまして、このため、新しいガスシステムの構築に向けまして、昨年十一月より、総合資源エネルギー調査会にガスシステム改革小委員会を設置しておりまして、検討を開始してございます。

 この小委員会は計八回開催をしてございます。ことし三月までに、二十二の都市ガス事業者、それから二つの事業者団体からヒアリングを行いまして、その結果を踏まえまして、四月からは、小売の全面自由化を念頭に置きまして、制度設計の検討を進めている状況でございます。四月には小売事業、それから、先生から御指摘がありました五月二日の会合におきましては導管事業に係る規制につきまして審議をいたしました。

 検討に当たりましては、ガス事業者のみならず新規参入者からも意見を聴取することが重要だと考えてございまして、五月二日の小委員会では、東京電力それから関西電力などがオブザーバーとして出席をされまして、それぞれ公平な条件でのガスの導管の託送供給利用が重要だというような要望の意見を述べられてございます。

丸山委員 東電さんと関電さんが言っているものは、同時同量規制といいますか、これは今回の改革、電力にもあるまさしく規制の分野でございます。簡単に申し上げますと、託送供給するときの条件として、電力の場合はプラスマイナス三%というふうなことだそうですけれども、ガスの場合は一〇%で、需要に合うように供給側も設定しなければいけないという制度でございます。

 そうした中で、今回、小委員会で挙げられたとお聞きしているのは、新規参入者に関しては一時間当たりで供給単位をそろえなければいけない、一方で既存の事業者に関しては一日単位で製造量と需要量を合わせればよいということで、かなり新規参入者にとってデメリットの部分が大きいんじゃないかというお話がございます。

 今回、電力の場合も同時同量規制は残るということだと思いますけれども、こうした規制に関してどのように政府としてお考えなのか、そのあたり、もう少し詳しくお伺いできますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のように、五月二日の小委員会でも、関西電力から、新規参入者が既存のガス導管による託送供給を利用する場合、供給先でのガスの使用量と導管への注入量につきまして、一時間以内で一致させることを求める同時同量制度が運用されているということでございまして、これにつきまして、一時間ではなくて一日以内の範囲での一致でよいのではないかというような制度の柔軟化の要望が出てきてございます。

 五月二日の小委員会では、そういった意見も踏まえまして、今後さらに引き続き、この同時同量制度を、新規参入者の参入の障害にならないような観点も含めまして、詳細な検討をさらに進めていくという形になったところでございます。

丸山委員 恐らく、このガスの分野、新規参入が電力よりはかなり進んでいるというふうに聞き及んでいます。聞いているデータでは、一五%程度が新規参入事業者だということで、そして一方で電力の方はまだ四%ということで、非常にガスの方が進んでいるんですが、さらに改革が必要ということで今やられているということでございます。

 そうした中で、新規参入の方である、特に関西電力がかなりガス事業者の次ぐらいに高いシェアを、たしか四位か五位ぐらいだというふうに伺っているんですが、占めているということで、中部電力さんや東京電力さんもある程度のシェアを占めつつあるということで、今後、恐らくこれが自由化されていけば、規制緩和が進んでいけば、よりこうした他業種の、特に電力が多くのガスを輸入されていますので、ふえてくるのは容易に予想できる中で、ある意味当事者の方からこういう意見が出ているというのは非常に重要な指摘だと思うんです。

 今、検討していくというお答えが参考人からありましたけれども、今、改革小委員会を立ち上げられていて、議論されて、八回おやりになったということなんですけれども、これはどのようなスケジュール感で検討を進められているんでしょうか。詳しくお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ガスシステム改革は、新規参入者も当然参入して、より低廉かつ安全なガスが安定的に供給され、消費者に対する新たなサービスが生まれてくるということが大変重要でございます。

 先ほど申し上げましたように、ガスシステム改革の小委員会、今まで八回開催してございます。今後のスケジュールでございますけれども、さらに検討を進めまして詳細を詰めていきたいと思っております。具体的な制度改革のスケジュールにつきましては、電力システム改革の進捗も見つつ、できるだけ早期に検討を進めて、改革のスケジュールの実行に移していきたいと考えてございます。

丸山委員 非常に先が見通せない中で御発言は難しいとは思うんですけれども、今の御発言で、電力システム改革に合わせて進めるというお話がございました。ということは、恐らく五年、十年というスパンというわけではなくて、もう少し、できる限り早目にという形で、一年とは言わないですけれども、十年もかけることはないという認識でよいんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 何年ぐらいということについては、今具体的な数字はございませんけれども、これは当然、電力システム改革を進める上で、ガスシステム改革も平仄を合わせながら進めていくということは大切なことでございますので、電力システム改革の進捗も見ながら具体的な検討を進めてまいりたいと考えてございます。

丸山委員 電力システム改革の議論のお話の中で、どうして最初の質問でガスの話をさせていただいたかというと、非常に私はガスの方も重要だと思っておりまして、現在、電力の話を中心に委員会でさせていただいておりますけれども、ガスの規制もうまいこと緩和を重ねていけば、電力との相乗効果が非常にあるんじゃないかなというふうに考えております。

 そして、恐らく同じような意図で経産省も小委員会の方で今議論をされていると思うんですが、政府として、電力とガスのあり方といいますか、規制緩和とあわせてどのような方向に持っていって、それを、今政府が抱えている需給の問題を含め、いろいろなエネルギー全体の問題に絡めていこうとされているのか、このあたり、政府の御答弁をいただきたいんです。

茂木国務大臣 今週の前半、ローマで開かれました初めてのG7のエネルギー大臣会合に出席をしてきたわけでありますけれども、エネルギーセキュリティーという問題がウクライナ情勢を背景にしてここまで真剣に話をされたのは初めてのことだと思います。御案内のとおり、ヨーロッパは電力においてもロシアの天然ガスに大幅に依存をしているという状況でありまして、これは、電力、ガスと分けて考えること自体が、ある意味、少し狭隘な、狭い議論に入っている部分があるのではないかなと思っております。

 もちろん、電気事業者と比べまして、日本の場合、ガス事業者は二百社を超えておりますので、改革が全部電力と同じということではありませんけれども、それぞれの事業者が相互参入等々を行うことによりまして総合エネルギー企業へと発展をしていくということを考えますと、それによりまして新たな投資も生まれる、事業全体としての効率性も高まる、また新しい市場も開拓されるということでありまして、エネルギー全体としての安定性、そして効率性にも寄与するものだと考えております。

 そういった意味で、二百以上の事業者を電力システム改革と同じように全部一律で進められるか、こういったことにつきましては今後検討していかなきゃなりませんけれども、基本的には、電力改革は電力改革で、ガス改革はガス改革でというよりも、日本の今後のエネルギーの需給構造をどうするか、こういう広い観点から検討していくことが望ましいんだと思っております。

丸山委員 ありがとうございます。

 今の大臣の御答弁を伺っておりますと、そして、周りのお仕えされている皆さんのお話も聞いていますと、大臣はこの電力システム改革にかなりお力を注いでいらっしゃるし、思いもお持ちで、大臣がいらっしゃらなければこれだけどんどん進むことはないと思いますし、すばらしいと思うんです。

 今のお話だと、電力は、プログラム法もおつくりになって、かなり年次を決めてつくられている。どちらかというと、野党の我々からすれば、まだいろいろなものが出てきていないのに急がれているなという感じを受けるんです。

 我々としては、進めるには賛成なんですが、一方で、例えば機関もまだ明確にできていないのに第二段階が始まるということです。そして、これから少しお話ししようとしています外部の行政組織についてもまだ見えない段階で今議論をしているという、非常に不透明な中で我々も議論しなければいけないことに、きちんとチェックをすべき野党としては、一抹の不安を感じながら議論をさせていただいている。ただし、できる限り明らかにしていこうというのがやはり立法府のあり方だと思います。

 そうしてやらせていただいている中で、一方で、ガスについては、どちらかというと、そこまで年次を明確にされたりということがないのはどうしてなのか。

 いろいろな理由があるんだと思うんですけれども、今のお話であれば、少し電力よりも複雑といいますか、二百社程度あるのでというお話をされていましたけれども、それ以外に、何か大臣としてガスよりも電気だというのはどのあたりにあるのか。きょうはお時間をたくさんいただいていますので、少し詳し目にお伺いしておきたいと思うんですけれども、大臣、よろしいですか。

茂木国務大臣 ガスよりも電気だというつもりで先ほど答弁したわけではないのでありますけれども、電気につきましては、少なくとも、三・一一、東日本大震災、そして福島第一原発事故、これを契機といたしまして原発が全て停止をする、こういった中で、安定供給もかなり厳しい状況になってきている。さらには、原発停止に伴い、海外からの燃料調達費が大きく膨らんできている。そして、今まで以上に、ピークコントロール、さらにはディマンドコントロールというのを進めていかなければならない。

 これまで地域独占で六十年来進めてきた電力の需給体制というものの限界が見えた、本当に切迫した改革だということで、今回の電力システム改革。ただ、そうはいいましても、スケジュール的には、現実的にできることをしっかりやっていこうということで、三段階に分けた改革を進めさせていただいているところであります。

 例えば、新しい規制機関について申し上げますと、これは、自由化された市場の監視というのも行ってまいりますが、同時に、第三段階で実施をいたします発送電分離に伴います送配電部門の中立性、行為規制等々がしっかり行われているかどうか、このチェックもしていくわけでありまして、この行為規制のあり方が決まらないのに、独立の規制機関のあり方というのは決まってこないんだと思っております。その意味では、スケジュールどおり、行為規制を含めた法案は来年に出すということでありますし、新しい規制機関についても来年にその形を決めていくということでありますから、整合性そのものはとれている、そのように考えております。

 同時に、ガスシステム改革につきましては、電力システム改革と比べますと、専門委員会等々での議論というのは実際に時間的には後から始まったわけでありますけれども、だから、電力だけ進めて、ガスは後でいい、そういうふうに考えているわけではありません。

 また、ガスにつきまして、スケジュールを決めずに、のんべんだらりと改善をしていこうとも思っておりません。ある程度の検討が進んだ段階で、電力と同じ形になるかどうかは別にいたしまして、きちんとスケジュール感を持ったガスシステムについての改革の全体像がお示しできれば、そういうふうに思っております。

 そこの中で電力と若干違いますのは、ガスについてはかなり大きな企業というのがあるわけであります、それから中堅となっているような地域のガス会社がある、さらにはどちらかといいますと小規模なガス会社もありまして、そこの間のパイプライン等がつながっていない、こういう問題もあるわけでありまして、そういった現状も踏まえながら、改革のあり方はどうすべきかということは考えていかなくちゃいけないと思っております。

丸山委員 明快な御答弁をありがとうございます。

 特に、ガスについても、のんべんだらりとやるつもりはない、ある程度見越した段階で、そのスケジュール感も含めてお示しになられるということでございますので、しっかりとやっていただきますよう、重ねてお願い申し上げます。

 少し話がかわりまして、参考人質疑を受けてお伺いしたいなと考えているところがございます。それは、電力システム改革の周知、消費者、需要家の方々に対する周知のお話でございます。

 参考人質疑の前に、実は辻委員からも御質問がたしかあって、アメリカにいらっしゃった御知見で、電気が自由化されているところにお住まいのところ、インターネットで比較サイトがありまして、そこで比較することができて、非常に情報も集まりやすいという例をお話しされながら御質問されていたのが印象的だったんですけれども、そうした中で、御答弁が少し具体的なところまで踏み込まれていなかったので、追加でお伺いしたいんです。

 参考人のお話でも、やはり、この改革がしっかりとワークしていくためには消費者の理解が不可欠だというお話がありました。具体的には、娘さんのお話をされていて、娘さんに聞いたけれども、そんなのやるのというお答えが来て不安に思われたという話をされていて、私も実際家族に聞いてみたら、そんなのやっているんだと言う。まだまだ、今から、改革の途上なので、ここから周知なんだとは思うんですが、これがうまいこと働くためにはやはり理解を広めていく方策が、ここにも汗をかかないと少し企画倒れになってしまいかねないというふうに思います。

 特に、小売自由化がなされたときに、知ってもらわないと選択してもらえませんから、このあたりをどのように政府としてやっていかれるのかという御答弁で、たしか高橋参考人がお答えになられたときに、まず、今回の法案において事業を適正かつ確実に遂行する体制の整備についての書類の提出を求めるというスキームがある、そしてその中に、消費者への契約条件の説明義務や苦情や問い合わせへの対応義務を課している等々幾つかあります、それにもし違反する場合には必要な改善措置を命じることができるという形できちんとアプローチしていきたいという御答弁をされているんです。

 一つ大事なのは、もちろん周知するように業者側に言わせるというのは恐らく大事な部分ですが、一方で、先ほどの辻委員のお話のインターネットでの比較じゃないですけれども、結局、比較するというような部分でうまいことできないと、コストがかかり過ぎて、消費者側がきちんと情報を整理したり、ほかにもこんなものがあるんだというのを知ることができなかったりするという問題がまずあるということと、そもそも、選べるということも知らなければ大問題でございますし、もう少し、業者側に対するアプローチ以外でも、政府としても広報なりなんなりが必要になってくるんじゃないかと思うんですけれども、このあたり、周知についてどのようにお考えなのか、政府の御答弁をいただければと思います。

田中大臣政務官 委員御指摘のとおり、電力会社ですとか料金メニュー、また電源、そうしたものを選びたいという多様なニーズに応える、消費者が電力自由化によるメリットを享受するということ、これはしっかりとやはり周知していかなきゃいけない。消費者に対して、新たな制度ですとか、電力会社を切りかえる具体的な方法、こうしたものもしっかりと周知広報すること、これも必要ということはもう大前提であります。

 さまざまな方法が考えられますけれども、例えば、今御指摘あったように、ウエブサイト、経産省においてもホームページを活用した周知を徹底する。あるいは、パンフレット等の広報資料の作成も配布も行っていく。また、全国各地に担当官を派遣しまして、説明会なども開催していく。それ以外にも、新聞とか雑誌、いろいろなメディアを通じた広報も進めていきたいと思っています。また、消費者団体あるいは経済団体等を通じた広報ですとか説明会、いわゆる勉強会、こうしたものを開催したりして、とにかく、みずからが供給を受ける小売電気事業者を需要家が自由に選ぶことができるという政策目的をぜひ達成していくように努めてまいりたいと思います。

丸山委員 しっかりやっていただきたいと思います。経産省さんが持っている施策で、なかなか知ってもらえず、使ってもらえないという、いいものが結構あると聞いておりますので、このあたり、やりようがあると思います。

 特に、電力なので、消費者の方は一番、電気料金、電気代というのは如実に反応されるところなので、ぜひうまくやっていただいて、このあたりの自由化がより進むように、周知の方をよろしくお願いいたします。

 もう一つ、先ほど参考人質疑で今井委員からお話をさせていただきまして、我が党としては、少し懸念というか、重要性を感じているところが、独立性と専門性を有する規制組織のお話でございます。

 第一段階の改革で、附則で行政組織の立ち上げを検討するという話が書かれておりますけれども、参考人質疑でも各先生方から、またきょうは後藤委員も先ほど御質問されておりましたけれども、このあたり、非常に懸念されているお声があるんです。

 御答弁を聞いていると、先ほどの大臣のお話でも、まず広域機関がある程度見えてこないとこのあたりの議論が進まないというお話がありましたが、お伺いしたいのは、第一段階の法律は既に昨年成立しておりまして、もうかれこれ一年経過しておる次第でございます。その法案の附則に行政組織への移行について書かれているわけですけれども、これまで何か政府内で、これに関して動いたものがあるのか。進捗状況等、その辺、具体的にありましたらお答えいただければと思うんです。

上田政府参考人 御案内のとおり、本件につきましては、第二弾改正の今回の法改正、さらには、先ほど大臣からも御答弁申し上げました第三弾改正で措置する中立性の確保のための行為規制の詳細設計、こういったことを踏まえる必要があると考えておりますので、現段階では、過去、いろいろな検討を、例えば審議会等々の場で行ってきたということではございません。

丸山委員 今の御答弁ですと、つまり、この一年間は何も動かれていないということだと思うんですけれども、今後、ある程度、今お話しされた部分が明らかになってきて、そして、そこから立ち上げるというのでは、やはり少し遅いんじゃないかなと。

 例えば、まず、どういうものになっていくのか。もし広域機関になった場合にはこういうふうにやっていくという形でも構いませんし、やはり、ある程度前もって、この三段階の中でももう既に一年たっているわけでございますので、これに関して、移行するというふうに附則で書かれておりますので、このあたり、きちんとやっていくのが筋ではないかなというところが一つ気になるところ。

 もう一つ、先ほどお話しされていたので、重ねて大臣にお伺いしたいんですけれども、広域機関とかを含めていろいろな部分が明らかになってこないとできないというのは、わからない部分ではないんですけれども、このあたりのスケジュール感のお話、もう少しイメージをお話しいただきたいのと、もう一つ、上田参考人がお話しされていたと思うんですけれども、いわゆる三条委員会のようなもので、特に一省庁の内部組織的なものではない方がいいんじゃないかというお話もありました。

 この機関に関して、どのようなイメージを大臣としてお持ちなのか。まだ今の段階は検討前で大まかにしか言えないとは思うんですけれども、細かい部分をお聞きしたいわけじゃなくて、大まかなイメージとして、この性質やら、スケジュール感につきまして、もう少し詳しくお伺いできますか。

茂木国務大臣 先ほども若干申し上げましたが、新しい規制組織でありますけれども、一つは、自由化された後の電力市場についての監視の役割を担う。そしてもう一つは、第三段階になりますが、法的分離を行う際の送配電事業の中立性の確保に対して、行為規制がしっかり行われているかどうか等々の監視、チェックを行う。大きく分けるとこういう二つの機能を担うことになるわけであります。

 今後、第三段階の具体的な制度設計を行いまして、来年に法案を国会に提出させていただきたい。それに合わせて、この独立した規制機関の姿についても見えてくるものだ、また検討を進めていかなきゃならない、このように考えております。

 こういう段階でありますから、どういった組織が望ましいか、例えば三条機関にするのかどうするのか、こういったことも含めて今後の検討課題になってくる、このように考えております。

富田委員長 丸山穂高君、ちょっと委員長から御参考までに。

 一年経過しているという前提で御質問されていますが、昨年の国会で電事法を質疑されましたけれども、参議院で流れていまして、十一月の十三日に成立していますので、まだ半年です。

丸山委員 詳しい御指摘をありがとうございます。

 成立という意味ではおっしゃるとおりでございますが、ここの委員会の審議ではまさしくこの議論を一年前にやらせていただいていますので、そういった意味で、今の委員長からの御指摘もそうなんですけれども、やはり成立してからじゃなくて、むしろ、もう既にやろうという御意思が大臣の中でもあって、来年に法案を出したいという明確な御答弁が今あったんですね。

 となると、やはり、早目早目に手を打っていかれるのが役所としては大事なところでございますし、むしろ我々も、そうされていくものだと思って、昨年の審議ではさせていただいて、恐らく、第二段階、第三段階で、そのあたりをより詳しくお聞きしながら、問題があるならば、もっとこうした方がいいという御提案ができるんじゃないかと思っていたところなんですが、この第二段階でもまだその辺が見えてこないというお話でございます。来年の通常国会にお出しになるということであれば、もうことしじゅうにはある程度きれいにまとめていかなければならないので、おやりになるんだと思います。

 もちろん、大臣は、スピード感をお持ちの大臣で、すばらしいと思います。ニュースで、安倍内閣の閣僚は五百日かわらず、これは戦後初ということでございますので、やはり安定感のある大臣が、特に重量級の経産大臣も含めまして、そろっていらっしゃるなというふうに思うところです。一方で、大臣は非常にスピード感を重視される大臣だと私は議論させていただいて思いますので、しっかりこのあたりも、我々野党も舌を巻くようなスピード感を持ってやっていただけますよう、重ねてお願い申し上げます。

 最後に、関連して、電力需給検証小委員会で報告書を出された件につきましてお伺いしたいと思います。

 この夏の電力需給の逼迫においてどのような措置をしていくかということでございますが、重ねて、ちょっと問いが逆になってしまうんですけれども、この小委員会の報告書を出された点も踏まえて、数値目標のある節電要請を五月中に行うかどうかという話もたしかされていたと思うんです。このあたり、最新の状況につきまして、担当者の方で構いません、御発言をいただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 四月二十五日に、総合資源エネルギー調査会のもとにあります電力需給検証小委員会を開催いたしまして、二〇一四年度夏の需給見通しについて報告書の取りまとめが行われました。

 その取りまとめた需給見通しにおきましては、原発の再稼働を見込んでいない上に、さらに本年三月末に発生をいたしました電源開発の松浦火力発電所二号機のトラブルによりまして、中部及び西日本全体での予備率が二・七%というふうに見込んでございます。

 余力のあります東日本から周波数変換装置を通じまして西日本に六十万キロワットの電力融通を行うことによりまして、中部、西日本全体で予備率が三・四%になりますけれども、さらに中部、西日本で大規模な電源脱落が発生をいたしますと、融通の余力が残り六十万キロワットしかございませんので、需給状況はさらに厳しいものとなる可能性がございます。

 こういった厳しい情勢にございますので、相当な需給対策が必要と考えてございまして、今後、速やかに、夏の需給対策を検討の上、決定したいと考えてございます。

丸山委員 その具体的な対策につきまして、報告書を拝読していますと、四つほど具体的に挙げられているのが目にとまりました。

 一つは、先ほどお話しされた周波数変換装置、いわゆるFCをお使いになった電力融通にあらかじめ頼らずとも電力の安定供給を確保できることを目指すという話をされている、二つ目に火力発電設備の保守、保安の一層の強化、三つ目に具体的でわかりやすい節電メニューを示しつつ必要な節電要請を行う、四つ目にいわゆるDR、ディマンドレスポンス等の促進を図ると、具体的にお書きになっているんです。

 まずお伺いしたいのは、三つ目の具体的でわかりやすい節電メニューにつきまして、今までもやってこられていると思うんですけれども、最近若干気になるニュースを見たので、海外の事例なんですが、それに重ねてちょっと政府の見解をお伺いしたいんです。

 具体的にはエジプトのお話でございまして、エジプトも今、電力危機とも言えるような電力の状態でございますけれども、この電力危機を回避するために、節電効果を狙って、二〇一一年までやられて一度廃止したサマータイムをこの夏に復活されるという報道がありました。

 その他の国でも、特に緯度の高い欧州の方ではサマータイムが進んでおりますけれども、一方で、いろいろな議論を聞いていますと、サマータイムが本当に節電に寄与するのかという疑問の声もあって、非常にこの位置づけは難しいところだと思うんです。

 まず、三つ目の具体的でわかりやすい節電メニューはもちろんおやりになるんだと思うんですけれども、大きな対策としてサマータイムが位置づけられるのかどうか。サマータイムの節電効果も含めて、現時点で政府として取り組みもしくは御見解がありましたら、そのあたりをまずお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 きのう、ローマの後パリに行きまして、パリから帰ってきたんですけれども、今、パリは、サマータイムですから、夜の九時半ぐらいまで明るい状態であります。

 フランスでは三月の最終日曜日からサマータイムが始まるということでありまして、標準時を一時間前倒すということによりまして、早朝の比較的涼しい時間から活動できる、また夕方の時間帯も有効に活用できるということで、朝の冷房需要であったりとか夕方の照明需要の削減につながることなどから、電気の使用量を減らす効果がある、こういう指摘もあります。

 まさに委員御指摘のように、大体、サマータイムを導入している国は緯度が高い国なんですね。それで節電ということもあるんだと思いますけれども、どうしても冬場になりますと日光の照っている時間が少ないということで、夏の間といいますか、サマータイムの間、仕事が終わってからでもできるだけ日差しを楽しみたい、こういう効果の方が私は大きいんじゃないかなと思っていまして、赤道直下の国でサマータイムをやっている国というのは少ないんじゃないかな、こういうふうに思っております。

 それから、電力の消費量全体を減らすという意味では、その効果についても指摘があるところでありますが、ピーク時のことを考えますと、特に日本の場合はピークをどうするかという問題が必要でありまして、昼と夜を逆転して何とかすれば、今の午後の一時、二時のピーク時を回避することができるかもしれませんけれども、昼と夜を逆にするようなサマータイムというのをやっている国はないと思いますから、そうなりますと、なかなか、サマータイムを導入したからといって、ピーク時がその時間帯からずれるということは考えにくいわけであります。

 むしろ、ピーク時におきまして企業が操業をシフトするなどの需給調整契約であったりとか、ディマンドレスポンスの取り組みを促進する、この方がピーク対策としては効果が大きい、そのように考えております。

丸山委員 私も全く同意見でございまして、特にピーク時を抑えるためにはサマータイムは余り効果がないんじゃないかと思っています。帰っても結局御家庭で冷房をおつけになったりしますし、働く場合にも、特に昼間の電力に関しては変わらないので、サマータイムよりも、昼休みを二時間にするとか、そうした方が逆に効果があるんじゃないかとか思うところですけれども、そのあたりはお話を伺って納得したところなんです。

 重ねて、最後にお伺いしたいのは、ピーク時を抑える、まずは需給の中の需要を抑えるという意味で、今大臣は大事だというお話をされていましたが、今回、この報告書の中では逆にピーク時の供給を上げるという観点も書かれているなと思ったのが、先ほど申し上げた、二つ目の火力発電の設備の保守、保安の一層の強化という表現をされているところでございます。

 今般問題になっている原子力はベースロード電源という形で定義されておりまして、ベース電源だということであれば、つまり、ピーク時に関してはやはり火力発電等の発電をふやさざるを得ないというところだと思うんですが、その一方で、火力発電所の再稼働に対して二の足を踏んでいる電力会社も多うございます。

 特に、先ほど、需給が逼迫している、予備率が三%いけるかどうか融通しなければわからないと言っていた関西電力は、うちの地元の岬町多奈川に火力発電所があるんですが、これは二〇〇五年に停止して、その後稼働していない状況でございます。設備が少し古いので、また新しくするのに二千億ぐらいかかるので難しいという話を関電は言っているんですけれども、一方で、東京電力の方はより困っているということもあって、もっと古い横須賀の火力発電を再稼働させているなどあるんです。

 一方で古いものに対して再設備しなければいけない等、電力会社もかなり負担がある中で、この二番目の火力発電設備の保守、保安の一層の強化というのが、非常に電力会社さんも興味があるというか、大事な観点だと思うんですけれども、ここに関して、最後に、どのようなことを具体的にお考えなのか、このあたりをお伺いして、終わりたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 震災後、原子力が現状とまっておりまして、火力発電、老朽火力を含めましてフル稼働の状況が続いております。

 そういった中で、老朽火力を使っておりますので、さらにトラブルによって電源が落ちてしまうというリスクが高まっているということで、先ほど申しましたように、この夏、需給が非常に逼迫しておりますので、老朽火力を使っておりますけれども、それがまたさらなるトラブルで電源が脱落するとさらに需給が逼迫するということがないように、予防的に、そういうトラブルを防止するための点検を強化することが必要と考えておりまして、そういった取り組みにつきまして、この夏の対策として具体的にどういう取り組みをするかということを今検討しているところでございます。

丸山委員 しっかりやっていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日、この電気事業法改正案第二弾につきまして、二十五分間、質問の時間をいただいておりますので、しっかりと質問してまいりたいと思います。

 質問に先立ちまして、ゴールデンウイーク期間中に安倍内閣の閣僚の方々がさまざまなところに視察を含め国際会議に出席されていたということ、それをやゆするような報道等もあったのは承知しておりますが、しかしながら、やはりしっかりとそういったところに顔を出すというようなことは非常に不可欠ではないかと思っております。そういったことではなくて、しっかりと我々みんなの党としては中身というもので政府の皆様と議論させていただきたい、このように考えておりますので、これから引き続きどうぞよろしくお願いいたします。

 それでは、質問の中身に移らせていただきます。

 本日は、参考人の質疑がありました。恐らく、大臣はお忙しいと思いますので、その中身を録画なりとも見ていただく時間はなかなかないのかなというふうには思っておりますけれども、なかなかどうして非常に難しいなということを感じたのが率直な感想でございます。現時点では、大口の小売の自由化というものが進められている中でもほとんどいわゆる電力間競争が進んでいないというような点があります。

 その中で本当の意味で競争を進めていくためには、全面的な小売の自由化というものが認められて以降は今まで以上にそれぞれ相互に切磋琢磨をしていただかなければいけないというところではあろうかと思いますけれども、果たして、経済産業省の皆様、そして大臣の、今のままいけばちゃんとした競争が行われるというようなことに本当になるのかどうか。私は、きょうの午前中の参考人質疑を踏まえまして、非常に暗い気持ちになったというのは事実でございます。

 その中でも、もちろん悪いことではないと思うんです。既存の企業、特に市場の中で牛耳っているというような表現が適切かわかりませんけれども、高いシェアを誇っている企業が、市場が開放されるということはもちろんそれによってデメリットをまずは一義的にはこうむるわけですから、そういったところに対して余り積極的にならないというような状況というのは、企業の判断としては当然のことだろうというふうに思います。

 ただ、残念なことは、それ以上に政治の側が、それに対してどれぐらい積極的に取り組んでいくのかというところの覚悟がなかなか見えなかった。特に、もしかしたら委員の個別の事情なのかもしれませんが、自民党よりも民主党の方がむしろ後ろ向きなんじゃないかというような状況すら見てとれたという状況がございましたので、これは本当に全党それぞれが前向きにしっかりと取り組んでいかなければいけないということを改めて実感したような次第でございます。

 それでは、この中身についてまた進めさせていただきますけれども、以前、原参考人のお答えの中で、アベノミクスの三本目の矢というものの中で一番目に出てくるのがこの電力の自由化であるというような話がありました。電力の自由化というものをすることが目的ではない、それによってしっかりと競争が進んでいくことが重要なんだ、そうしなければアベノミクスとしては失敗だというような評価をされるんだという趣旨のことをおっしゃっておりました。

 この点について大臣の御認識をまず伺いたいと思いますが、電力の自由化というものが失敗できないものなんだというような決意というか認識をお伺いできればと思います。

茂木国務大臣 電力システム改革は目的ではなくて手段でありまして、それを通じまして競争環境が整い、新たな参入が生まれ、そしてまた消費者、需要家にとってもさまざまなメニューが選択できる、こういう事業環境なりが整うことが必要だ。

 また、それを通じて新たな事業、市場が生まれる、そしてまた、今後は例えば再生可能エネルギー等々が拡大する中では大型の蓄電池を初め技術開発等々も進んでいく、さらには送配電網の整備ということで投資も膨らむということでありまして、こういった、委員おっしゃるように、電力システム改革をしっかりとやり遂げるということによりまして成長戦略につなげていきたいと思っております。

 参考人質疑、私もこれまで国会議員として何度も質問したことがございます。やはり国会で行われることでありますから、私の方から余り踏み込んだことを申し上げることはできないんですけれども、懸念について率直に専門家の皆さんからお話をいただくというのはいいことなんだと思います。政府の出している法案について、大政翼賛的にみんないいことだというよりも、専門家から見て、いいことであるけれども、こういうこともクリアしてほしいという御意見を賜るいい機会だと思っております。

 私も昨晩、海外の方から、サウジでビジネスフォーラム、そしてまたローマの方でG7のエネルギー大臣会合、そしてまたパリの方でOECDの閣僚理事会、WTOの非公式閣僚会議に出席しておりまして、きょう午前中は時間がありませんでしたのでなかなか拝見できませんでしたが、議事録等々でまた貴重な御意見については伺いたいと思っております。

 フランスの高名な哲学者がこんな言葉を残しております。悲観はムード、楽観は意思である。

三谷委員 ありがとうございます。浅学非才の身なので、理解するのにもうちょっと時間がかかるかもしれません。

 そういう意味では、しっかりと競争を拡充していくということに向けてどれぐらい取り組んでいくのかというのは、これからの課題になってくるんじゃないかというふうに考えているわけでございます。

 現状ということで、今の大臣の御意見というか御決意を伺った上で伺いたいんです。現状の大口の小売の自由化というものが進められていた中で、事実上の独占状態というものはほとんど解消されていなかったというようなことにつきまして、この点を率直に、本日、電事連の八木参考人に話を伺ったわけですけれども、その回答としては、いやいや、十分競争は起きているんですよというような答えがあったわけでございます。今までの、競争が起きているかどうかについての認識というのが、少なくとも私とは違ったわけでございます。

 今までの大口の小売市場が自由化されて以降、本当の意味での競争が起きてきたのかということについての大臣の御認識を伺いたいと思います。

上田政府参考人 私の方から事実関係を申し上げさせていただければと思います。

 御案内のとおり、今、大口の需要が自由化されておりまして、これは需要でいいますと、需要の約六割が既に自由化されているわけでございますが、現状では新規参入者のシェアはこの自由化された需要の三・五%にとどまっておりまして、事実上、独占状態が続いていると考えております。

 また、電力事業者がそれぞれ独占でございますが、大口の範囲につきましては実は他の電力事業の地域に進出することは可能でございますけれども、それがほとんどされていないということでございまして、活発な競争が行われているとはとても言いがたいと考えております。

 なぜそうなのかというその要因についてでございますが、新規参入が進んでいない要因は、一つは、やはり、一般電気事業者が卸電力取引市場の活用に余り熱心でなく、またそれを促進するような仕組みも不十分であったと考えております。それから、発電分野についても参入規制や料金規制があるということも要因でございますし、送配電網へのアクセスの中立性の確保というものについても課題があると考えております。

 また、一般電気事業者の区域を越えた競争が進んでいない要因といたしましては、家庭等の小口部門の自由化が行われていないというわけでございますので、何もこの自由化分野で積極的に他人の領域に攻め込まなくても一定の独占的な市場が確保されているといったことから、これらについての競争というのは十分進んでこなかったというのが私どもの認識でございます。

三谷委員 ありがとうございます。

 その認識を踏まえて、これを改善していかなければいけない、このように私としては考えるわけですけれども、今回の小売の全面自由化というものの中でももちろんそうですけれども、大口の小売の自由化というものが進められている中で、本当の意味で競争というのは、もちろん一般消費者のレベルもそうですけれども、大口の需要家に関してもやはりもっともっと競争を進めていかなければならないんだろうというふうに考えております。

 そういった競争を進める施策として、今の問題点の分析を踏まえて、具体的にどのようなことをされていくのかということについて、お答えいただければと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 ではどのようにしていったらいいのかという御質問でございますけれども、我々は、電力市場に実質的な競争を拡大していくという必要があると考えておりまして、一般的に言えば、制度といたしましては、発電の参入規制あるいは料金規制を撤廃していく、法的分離の方式による送配電部門を中立化していく、あるいは小売全面自由化を含む電力システム改革全体を行うということが基本的な方向性であります。

 実質的な競争を拡大するためにはどうしたらいいのかという点につきましては、今のような制度改革を踏まえつつ、その一環ではありますけれども、例えば発電余力を卸電力市場において一層売買していただけるように、これは先ほどからも御議論がございましたけれども、卸電力市場そのものを法律に位置づけまして、より中立的で公正な仕組みに変えていくとともに、そこに対する玉出しといいますか、そういったことを促しながらモニタリングをしっかりしていくといったこと、あるいはスマートメーターを導入いたしまして需要家が選択しやすくするための基盤整備を進めていくといったこと、あるいは電力会社を切りかえる、スイッチングと申し上げていますが、そういった具体的な仕組みづくりということを進めていく。そういった取り組みによりまして、実質的な競争が拡大するように努めてまいりたいと考えております。

三谷委員 今お話をいただいた点につきましては、もちろん、スマートメーターの設置に関しては、一般の消費者というレベルに関してはこれからというふうに認識はしておりますけれども、大口の需要家に関してはもう相当程度進んでいるものというふうに理解をしております。その意味で、今からでもそういった施策はとれるんじゃないかというふうに思っているわけでございます。何もこの法律を通した後、二〇一六年まで待つ必要はない改革というのは非常に多くあるんじゃないかというふうに思っております。

 その意味では、これから法律が通って、この法案が施行された以降はそういったことをやっていくというのは当然ですけれども、それまでに至る間においても、今お話しいただいたものでも、具体的に進められるものについては進めていくことはできるんじゃないかと思っておりますけれども、この点についての御見解、御認識をお願いします。

茂木国務大臣 基本的には、法律に定めていないことでできることにつきましては政府としても進めていきますし、また、例えば東電のように電力システム改革を先取りして分社化を進める、こういった会社もあるわけでありまして、これは法律でやれるようになっていないことまではできません、法律を変えなくちゃなりませんけれども、それ以外のことで現実的に前倒してやれることは、政府としても、また事業者としても進めるべきだと考えております。

三谷委員 そして、本日それぞれの委員が指摘されておりました、いわゆる規制機関の点について伺いたいと思います。この規制機関、この点について事前に明確に質問通告できていなかったのはちょっとおわびをしなければいけないんですが、きょうの議論を踏まえましてということで御容赦いただきたいと思います。

 その中で出てくるのが、市場を監視するという言葉なんですが、幾ら市場を監視だけしていたってなかなかそういった競争は進まないということですので、市場を監視した結果、具体的に何につなげていくということを想定されているのかということについて、もしお答えできるなら、お答えいただきたいと思います。

上田政府参考人 今回、新たな規制機関が、自由化された市場における電力取引の適切な監視であるとか、送配電部門の中立性確保のための厳格な行為規制を監視していく、そういったことが主要な業務であると考えられているわけでございますが、そういったところで仮にさまざまな問題があれば、この新しい電気事業法に基づいて、例えば業務改善命令をかけていくとか登録を抹消するであるとか、さまざまな法律上の手段をもちまして、これらについて具体的な規制につなげていくということになると考えております。

茂木国務大臣 市場を監視するといいましても、社会主義ではありませんから、市場というものが我々が目指している自由な市場になっているかどうか、その障害があるかどうか、こういった点についてチェックしていくというのが基本的な役割だと思っております。

三谷委員 まさに今大臣がおっしゃったとおりだと思います。適切な競争が行われているかということについて、それをしっかりとモニタリングしていく、そして場合によっては業務改善命令なり登録の抹消ということまでできるような権限を持たせる、それがこれから考えていく規制機関としては必要なんじゃないか、このように考えておりますので、その点を含めて御検討いただければと思います。

 そして、今回、消費者に対する小売の自由化ということもありますので、その点について伺いたいと思います。

 よくこの点について言われるのが、通信の自由化に関するものと比較されて、通信の自由化に関しては非常に多彩なメニューがあって、消費者の保護という観点からどうなのかというような声もあるところではありますが、そうはいっても消費者はそんなにばかじゃないというふうなことも一方であるかと思いますので、現状では問題ないんだよ、そういった指摘も十分あるところでございます。

 消費者庁に伺いたいんですけれども、今後、情報提供というのを十分にしていかなければなかなか乗りかえなりができないということの中で、どういった情報を提供することが消費者保護の観点から必要なのかということについて、見解を伺いたいと思います。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 電気料金、現在事業者間の競争が制限されている、これを自由化していくわけでありますけれども、経過措置として、いわゆる認可という仕組みも残るというふうに承知してございます。そういった中で、やはり企業側、事業者側と消費者の持てる情報の格差というものがあるわけでございまして、そういう意味では、料金につきまして、消費者に対する情報提供あるいはその根拠の説明というようなこと、あるいは多様なメニューの説明、そういったことが消費者の利益保護という観点からは重要であるというふうに考えておるところでございます。

 これまでの料金の値上げ認可申請に関しましても、料金の水準あるいは内容、それからサービスにつきまして十分な情報提供あるいは明確な説明ということを事業者に求めてきておるところでございますので、今後とも、経産省とともに、消費者への情報提供が十分に行われていくように取り組んでまいりたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういったところでしっかりと協議を進めていっていただければと思うんですが、今回、消費者庁にお越しいただいたのは、もう一つ理由がございます。

 今回の法改正を含めて、電気に関しても先物取引の対象になっていくということで、それが解禁されるということになっておりますが、その先物取引に関しては、最近非常に話題になっておりますのが、いわゆる不招請勧誘の解禁という問題でございます。もちろん、みんなの党といたしましては、基本的には市場に任せる、できるだけ規制が少ない方がいいというところはありますけれども、場合によっては適切な規制をすることも妨げるものではないと考えております。

 その中で、この不招請勧誘というものが、これは危険なものだというところで規制されたところから、そう大して時間がたっていない中で今回解禁されることについての懸念は非常に強く示されているところですけれども、今回それを解禁することについて検討されている経済産業省の理由というか、そこについての御認識を伺いたいと思います。

寺澤政府参考人 お答えいたします。

 背景としましては、商品先物取引については、取引量がピークから四分の一と大幅に減少しています。他方で、商品先物についてのトラブル、クレームも、ピークに比べて国内取引だと二十五分の一に大幅に縮小している。

 こういう背景がある中で、昨年の六月の規制緩和実施計画、これは閣議決定ですけれども、そうした中で、勧誘規制について顧客保護に留意しながら市場活性化の観点から検討する、こういう閣議決定がなされています。これに基づきまして、私ども、去る四月五日にこの規制の見直しについてパブリックコメントにかけたところであり、ちょうど一昨日、五月七日にパブリックコメントを締め切って、非常に多数の方から幅広い意見を頂戴しております。

 そうした意見を踏まえながら、また消費者委員会等々さまざまな人の意見を踏まえながら、昨年の規制緩和実施計画の趣旨に沿って、顧客保護に留意しながら市場活性化の観点から検討するという閣議決定に基づいて、しっかりと具体的に検討を進めていきたいと考えておる次第でございます。

三谷委員 今の点について、消費者保護の観点からどのように考えるか、消費者庁の見解を伺いたいと思います。

河津政府参考人 消費者先物取引におきます不招請勧誘規制ということは、長年にわたる深刻な消費者被害があって、それに対応しようということで、国会での慎重な議論があった上で、平成二十一年に法改正され、二十三年から施行されたというふうに認識をしてございます。

 昨年六月の閣議決定におきましては、顧客保護に留意しつつ市場活性化の観点から検討を行うということになっておりまして、現在、経産省、農水省、消費者庁で協議の場を設けてございます。その場でも、顧客保護に留意をして検討を行っていくということを確認しているところでございます。

 消費者庁といたしましては、消費者取引の安全を確保し、消費者被害の未然防止、拡大防止をするという観点から、しっかりと議論してまいりたいと思っております。

三谷委員 ぜひともしっかりと議論していただく。消費者被害がまた拡大するというようなことがあってはならないと思いますので、その点についてしっかりと検討していただければというふうに思います。

 残る時間、エネルギー基本計画について若干質問させていただきたいというふうに思います。この点は非常に自分の首を絞めるような話でもあるんですが、伺いたいなと思っております。

 エネルギー基本計画の中でも、原発の依存度というものをしっかりと低減させていくんだというようなことが記載されておりました。我々みんなの党といたしましても原発ゼロを目指していくわけですが、ただ一方で、それはどのようにやるかというと、倫理的なアプローチで、危ないから全部だめということではなくて、市場経済に任せるという中で、その選択の中でゼロを実現していくというようなことをうたっているわけです。もちろん、そういった中で、原発依存度の低減というのも、同じように、基本的には小売の自由化という中で、市場の中で選んで原発の依存度を低減させていくということだと思います。

 ただ、やはり今のように、原発によって生み出される電力のコストが安いというような状況ですと、なかなか消費者の選択、市場の選択の中で原発の依存度を低減させるということは事実上難しい、むしろ不可能じゃないかという指摘があるところではないかと思いますけれども、この点について、どのように原発依存度を低下させるおつもりなのかということについてお答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 この電力システム改革もしくは小売参入の全面自由化、こういったことが起こりますと、多様な料金メニューが生まれることによりまして、需要家の側にとってもメニューが選べます。さらには、エネルギー源といいますか、電源も選べるような形になると思います。

 ただ、御懸念の点は理解したつもりでありますけれども、需要家も、単純に料金の水準だけではなくて、例えばピーク時とオフピークの値段の差であったりとか、電源の種類といったことでもそれぞれ選べる形になってまいります。そして、事業者の側からしますと、当然、ベースロードとミドルとピークを組み合わせながら電気として販売するという形態が多くなってくるんだと思います。

 基本的に、全部分けて、電力を売る人とか火力を売る人、こういう形にはなかなかならないんだと思うんですね。言ってみますと、消費者の側にとっても、確かに値段も大切ですけれども、栄養のバランスとか、それから味の趣味もある。レストランの側にとっても、単品というか一つのあれではなくて、いろいろなものをまぜてミックスした料理を提供するということですから、値段が安いから、きょうもコロッケ、あすもコロッケ、こういうことにはならないんじゃないかなと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。懐かしいお話が出てきました。

 それに関連してではございますけれども、きょうもコロッケ、あしたもコロッケとならないように、いろいろな電源の多様化というものを進めていく中で、自然エネルギーの普及というものをやはり進めていくということも必要なのではないかと思っております。

 持ち時間がなくなっておりますので、最後に一問に絞らせていただきたいと思います。

 そういう意味では、自然エネルギーをふやしていくということは安全保障上の観点からも必要ではないかと思っておりますが、その観点から、今施行されておりますが、非常に批判も強くなっている制度でもありますフィード・イン・タリフについてどのように評価されているのか、最後に大臣の御所見を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 フィード・イン・タリフ、導入されまして十九カ月ということでありまして、これによりまして将来的な投資の見通しも立ち、再生可能エネルギーの導入というのが進んできております。

 一方で、当然、コスト、これは最終的に需要家が負担するということになりますので、ドイツなんかではこれが相当高い負担になってきているのも現実の姿でありまして、今後を考えたときに、このコスト低減をどうするかということも含めて、制度のあり方については、今後、必要な見直しも検討していかなければいけないと思っております。

三谷委員 時間がなくなりましたので、以上にします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就でございます。

 大臣、きょうはパリ帰りということで、時差が少しあるかなと思うんですが、お疲れさまでございます。私も、きょうは朝からトリプルヘッダーでございまして、さっきの三谷委員より多分反応が鈍いと思いますので、ぜひヨーロッパの高尚な話は今度また聞きたいなということで、よろしくお願いいたします。

 まず、接続について、前回ちょっと御質問させていただいたその延長で、もう少し確認させていただきたいことがございます。

 広域機関の組織のあり方、議決権のあり方ということが少しずつ明らかになってきたところでございますが、前回確認したように、事業者主体でやるということと、また社員は出向が主体ということでありまして、広域機関という性質上、やはり送配電部門をわかっている既存の電力会社から大勢が恐らく来ることになるだろうという中で、果たして中立性というものが本当に確保されるのかどうか。もう一度確認させていただきたいと思いますので、お願いいたします。

上田政府参考人 広域的運営推進機関でございますが、この中立性の確保というのは私どもも極めて重要であると考えております。したがいまして、この広域的運営推進機関は、既存の電力会社だけではなくて、新規参入者を含めましてあらゆる電気事業者が会員となる民間の組織ということを予定しております。

 また、その会員となる電気事業者には、送配電部門の業務を担う一般電気事業者、それから新電力のような送配電部門を利用する事業者、そのように立場の違う者が含まれているわけでございまして、組織運営に当たっても実質的な公平性が確保されていることが重要でありまして、先般の議決権の問題もございますが、例えば役員の選任、解任等につきまして国の認可を要するということもございまして、こういった点も確認してまいりたいと考えております。

 加えて、広域的運営推進機関は、御指摘の系統アクセスの受付業務を初め、事業者間の利害にも関係する業務に当たることになるわけでございまして、業務の運営に当たりましては、電力会社出身の人材以外の人材を配置いたしまして、意思決定にきちっとかかわっていくなど、中立性、公平性、こういうものが十分配慮されるように求めていきたいと考えております。

小池(政)委員 以外の人材もということでありますので、ぜひお願いしたいということと、また、電力事業者からの出向についても、長期的にはやはりその組織の中でしっかりと働いていただくために、ノーリターンルールとか、そういうこともぜひ検討はしていただきたいと思います。

 また、この広域機関でございますけれども、議決権の件につきましては前回確認させていただきまして、何でESCJで入っている有識者が入っていないんだということは指摘させていただいたところでございます。

 今の案によりますと、小売、送配電、発電、それぞれが一対一対一という形で決まっていくということでございます。小売、発電というのはこれから数がふえていくとは思うんですが、送配電のところは恐らく数というのは現状、もしくはふえてもそんなにふえない中で、そこの中における既存の電力会社の相対的な位置というのは全体からしてみればかなり大きく残ってしまう、そういう予測がされるわけでございますけれども、その中においても、この議決権はこのようなルールの中でしっかりと中立性が担保できるのかどうか、お聞かせいただけますでしょうか。

上田政府参考人 議決権の問題ですが、先般も御質問いただいたと思いますが、私ども、専門家の中でのワーキンググループの議論におきまして、総会の議決権について、小売参入全面自由化時点での発電、送配電、小売の事業者区分ごとに議決権が対等となるように設定する方向性が示されているわけでございまして、いずれにいたしましても、現在まさに、既存の電力会社のみならず新電力あるいは再生可能エネルギー事業者等々が参画して発足した準備組織というものがございますが、この中で、発電事業者グループ、送配電事業者グループ、小売電気事業者グループの議決権を対等とした上で、特定の立場の事業者が突出することがないよう配慮をするというようなことを検討されているというふうに承知しております。

 いずれにいたしましても、現時点におきましては、広域的運営推進機関の発起人となろうとする者を含んだ事業者の間で検討が行われているところでございますが、これは最終的には政府の認可に係らしめているわけでございまして、認可の申請があった時点で、その中立性といったことについても十分検討した上で、認可について判断することといたしたいと考えております。

小池(政)委員 今、配慮するとおっしゃったんですが、ただ、現在のルールにおいてどのように配慮するかということが見えない中で今のルールをそのまま進めていけば、先ほど申し上げたように、少なくとも送配電事業者グループにおきましては既存の電力会社がその意思というものを強く残してしまうことになるわけでございまして、ほかと比べれば大きな議決権を所有することになってしまう。その点についてもう少し具体的にお聞かせいただきたい。

 それから、グループ内での傾斜配分ということも検討されているということでございます。親子会社への考慮等、それを考えるというのはしかるべきだとは思うんですが、もう一つ、広域運営への貢献度ということも含めて傾斜配分ということを考えるというような文言も見えるわけでございます。そうすると、結果として、貢献度ということは、恐らく既存の電力会社がそこで優遇されてしまうような予測もできるわけでございますが、その点についてもお聞かせいただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今長官から答弁がございましたように、発電事業者グループ、送配電事業者グループ、小売電気事業者グループの議決権を対等とするという方向で検討してございます。

 もちろん、送配電事業といいますと、既存の、今の一般電気事業者の送配電事業者が中核になりますけれども、発電事業者グループにおきましてはいろいろな参入者が入ってまいります、新電力も入ってまいります。小売の方ももちろんそういうことでございます。その中で、今御指摘のあった傾斜配分みたいな議論もありますけれども、実質的な運営の中立性、ガバナンスの中立性が確保できるような形で、今、内部のガバナンスも含めまして、これも専門家、有識者も入って検討してございますので、そういった形で中立性を確保していきたいと考えてございます。

 また、広域的運営推進機関のガバナンスにつきましては、専門家という観点からは評議員会というものが法律上置かれることになっております。この評議員会は推進機関の運営に関する重要事項を審議する機関ということで、これは、学識経験を有する者の中から、経済産業大臣の認可を受けて、理事長が任命するという仕組みにもしてございまして、そういったことも含めましてガバナンスの中立性を確保するように努めてまいりたいと考えてございます。

小池(政)委員 評議会というのは、前回私も指摘しましたけれども、あくまでアドバイザリーボードみたいな、客観的なところから声を上げるというような位置づけでございまして、今までのESCJと比べてそこは弱くなっているということもありますし、また、今指摘した点、これから配慮するということでございますので、ぜひ、今のような仕組みの中で、電力会社がこの機関の中でも大きな権限を持たないように、そこはしっかりと考えていただきたいと思います。

 また、広域機関にはこれから中長期的な投資も促していくというような役割が付されるわけでございますが、その際に、広域機関側の観点から考えますと、投資リスクというものもそこにはあるように思われるわけでございます。

 例えば、発電事業者が広域機関に対して十年ほどの計画を出すということを義務づけているところでございますが、果たしてそれが実際に実行されるかどうかということは担保されていないところでございます。実際に、開始すらわからない中で、それでも広域の系統の投資を始めなくてはならないというたてつけでございますと、かなりリスクが生じることになってしまうのかなということが考えられるんですが、その点についてはどうなっているんでしょうか。

上田政府参考人 御質問は、送配電事業者というのは発電事業者の投資計画などを踏まえながらむしろ送配電計画を進めていくということになるんですが、それが十年間という長期の中でどういうふうになるのであろうかという御質問かと思いますけれども、広域的運営推進機関、現在でも、系統への連系希望者が供給開始に至る前に託送契約を廃止した場合には、一般電気事業者がその費用の請求を受けることができることとされているわけでございます。

 広域的運営推進機関の設立後は、この広域的運営推進機関が、送配電業務の実施に関する基本的な指針といたしまして、送配電等業務指針を策定する業務を担い、この中で設備形成や接続に関する事項を定めることとしておりますので、現行の仕組みというものもございますので、これを踏まえながら、発電事業者と送配電事業者との間で合理的な設備形成あるいは系統アクセス、こういったことが可能となるようなルールの整備を図ってまいりたいと考えております。

小池(政)委員 もう少し確認させていただきたいんですが、踏まえながらというのは、お互いがやりとりしながら、その進捗を踏まえながら投資も進めていく、そのような考えなんでしょうか。

上田政府参考人 長期的な供給計画等を出さすことになっておりますので、これを踏まえまして、広域的運営推進機関が系統の整備をしていくわけでございます。一般送配電事業者の供給計画も、広域的運営推進機関の広域的な計画と整合性を持ったものにする必要があると考えておりまして、そういった形での送配電網の整備というのが進むと考えております。

小池(政)委員 たびたびで済みませんけれども、そうすると、退出規制というものはかけずに、あくまで事業者同士がそこら辺は確認し合いながらやっていくというようなことになるんでしょうか。

 これを国内だけではなくて、特に小売それから発電におきましては外資もこれから受け入れていくということを政府としても方針を示しているわけでございまして、その際に、果たして、国内以上にやはり外資の利益とか事業を鑑みた上での退出というのは考えられるわけでございまして、その点についてどう考えられているのか、もう少し確認させてください。

上田政府参考人 発電事業者が撤退した場合の投資をどうするかという御質問かと考えますが、発電事業者が投資を完了した後に事業から撤退する場合を考えてみますと、設備そのものが稼働可能な状態であれば、一般的には、その設備を売り払って、別の事業者が発電設備を運用いたしまして新たに事業を行うということになりますので、直ちに送電網が不要となるということではないと思います。

 ただ、確かに設備の老朽化等々のさまざまな事情によりまして、発電事業者が設備を直ちに廃止して事業から撤退するということも可能性としてないわけではないと考えておりますけれども、ただ、これは自由化を実施するか否かということは問わず、そういうことは起こり得るわけでございます。第一弾の電気事業法の改正の際に全ての電気事業者に対しまして供給計画の届け出を義務づけいたしまして、十年間の設備計画の提出を求めるということで、発電設備が仮に廃止される場合にも、可能な限り早期にその計画が把握できるような仕組みとしているわけでございます。

 こうした仕組みを使いまして発電事業者の計画変更を可能な限り早期に送配電事業者が把握いたしまして、計画的な送配電設備の投資あるいは補修ということを行うことができるように手当てをしてまいりたいと考えております。

小池(政)委員 聞いた中で、やはり投資リスクということを考えると、それがスムーズに進んでいくかなということは少し懸念として残ってしまうような気がいたします。

 大臣にお聞かせいただきたいと思うんです。ちょっと外資の話が出たんですが、これまでもこの審議の中で、外資規制に関して大臣からの答弁もあったところでございます。ただ一方で、ヨーロッパをごらんになってわかりますように、送電等につきましても海外から受け入れているというようなケースもあるわけでございまして、今回の参考人の陳述の中でも、それは利益にもなり得るんだということをおっしゃっていた参考人の方もいらっしゃいました。

 そういう観点もありますし、また、これから経済連携が進んでいく中で、相互主義的なそういう観点というものもそこには出てくるかとは思うんですが、安全保障ということもある一方で、そのような観点からこれからどのように考えていくのか、お聞かせいただきたいと思います。

茂木国務大臣 小池委員も御案内のとおり、ヨーロッパの場合は陸続きでありますので、送電網も国境を越えた整備というのが、島国である日本と比べると容易な面というのはあるんだと思っております。

 外資の参入規制について申し上げますと、御案内のとおり、外為法に基づきまして、公の秩序の維持を妨げるおそれがないか、すなわち、我が国の電気の安定供給の確保等に支障を生ずるおそれがないかといった観点から、当然、個別に審査を行うことになってくると考えております。

 大型の発電設備、送配電と発電でいいますと、大型の投資をしたら、すぐに撤退というのはやはり何となく考えにくいと思います。恐らくその場合は、まだ設備としての耐用年数が残っていれば、事業者がかわってもその設備というのは基本的に経済的に言って使い続けられ、それとやはりセットで送配電網の設備のいわゆる減価償却等々も進んでいくと考えておりまして、確かに太陽光であったりとか分散型のエネルギーでありますとそういったケースも考えられると思いますが、送配電網全体の整備計画が個々の分散型電源の導入であったりとか撤退等によって大きく変わるものではない、こんなふうに考えております。

 そういった中で、外資については、外資も含めて今後参入規制というものが撤廃されていくわけでありますから、発電部門そして小売の部門について基本的には参入を促進する、こういった方向だと考えております。一方で、送配電網につきましてはかなり公共財的な側面を有するわけでありまして、仮に送配電事業に対して外資の参入の申請があった場合には、公の秩序の維持の観点からどうであるか、慎重な検討が必要だと思っております。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 それでは、もう少しテクニカルな質問があったんですが、ちょっときょうは時間がないので飛ばさせていただきまして、競争政策のところについてお伺いさせていただきたいと思います。

 前回ちょっと大臣にお尋ねしようと思っていたんですが、今回のこの自由化の制度設計の中におきまして、新規の参入を促すような競争政策というのはどこに入っているのか、また、具体的にどのようなものがそれに当たるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

上田政府参考人 電力市場に対する新規参入の促進策というのはどのようなものがあるのかというお尋ねかと存じますけれども、御案内のとおり、従来、十分な新規参入が行われてきたとはなかなか言いがたい状況であるわけでございます。

 今回は、新規参入を促すという観点から、法律の中で、発電の参入規制や料金規制を撤廃する、法的分離の方式による送配電部門の中立化を図っていく、あるいは小売の全面自由化等々の改革を行う、それとともに、実際上、自主的な競争を増大するために、例えば既存の電力会社が余剰電力を卸電力市場へと売電するよう国として促すというような仕組み、あるいは卸電気事業者と一般電気事業者の間の既存契約の見直しを促すということで、売電先の多様化を図っていくといったこと、さらに、こういったことにつきまして着実に行われるよう、事業者の取り組み状況のモニタリングということを国として実施しているところでございます。

 これらの取り組みがより着実に実施されますよう、今回の法案では卸電力取引所を法定いたしまして、経済産業大臣が取引所に対しまして報告徴収等を行うことができるようにしているわけでございまして、こういったことを通じまして新規参入を促していきたいと考えております。

小池(政)委員 今、長官がおっしゃったのはあくまでイコールフッティングの観点からのお話でございまして、それが整えられたとしても、今回の法案におきましては、既存の電力会社に対して一般担保等の優遇措置というのも残されているわけでございます。

 そこに対して、先日の松村参考人は、是非はともかくとして、それが不可避なのであれば、それを上回るような非対称規制というものも考えるべきだということをおっしゃっていらっしゃいました。

 この非対称規制ということの話の中では、よく規制料金のお話をされるわけでございます。これも長官で結構でございますが、この規制料金が具体的にどのように非対称規制に当たるのか、新規参入にどのようにこれは資することになるのか、それについてお伺いさせていただけますか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 この自由化の中で、料金規制というものを、実質的な競争、適正な競争環境が整う、それまでの間、当分の間はこれまでの地域独占の電力会社に対する料金規制を継続するということにしているわけでございます。これを非対称規制と呼ぶかどうかは別といたしまして、私どもは、実質的な競争環境が整うまでの間の、既存の電力事業者に対するある種の特別な措置というふうに考えているところでございます。

小池(政)委員 最近かなり非対称規制という言葉を、呼ぶかどうかという話になってきているわけでございますが、去年の当委員会におきましては、糟谷電力・ガス部長がはっきりと、非対称規制とおっしゃっているわけでございます。

 また、今、この規制料金につきましては、確かに規制という形で、上げるのは認可制でありますけれども、下げるのは届け出制になっているわけでございます。また、規制料金だけではなくて、私は質問主意書でも確認しているんですが、一方で自由料金も設定することができるということになっている中で、どのようにこれが新規参入を促す非対称規制になるのかどうか、それについて具体的に教えてください。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のシステム改革は競争の促進と安定供給の両立を図るということでございまして、第二弾の自由化後も続く規制料金でございますけれども、これは、今の一般電気事業者が非常に設備の規模も大きく、これまで安定供給の供給義務を果たしていたということも考えまして、現行の一般電気事業者のみに経過措置としてその規制料金で供給することを義務づけるという形に、それは義務づけになってございます。

 そういう意味では、その部分については現在の一般電気事業者のみに義務がかかっているということでございまして、当然のことながら、新しいメニューでそれより安いメニューをつくることは競争促進上重要なことでございますので、一般電気事業者も、これから入ってくる新規参入者も自由料金の設定は自由にできますけれども、規制料金につきましては現行の一般電気事業者のみにかかる義務でございます。

小池(政)委員 いや、その義務づけが全くわからなくて、下げることもできるわけでありますよね。自由料金制度というのもそこにあるということの中で、ではどうやって、新規参入の人たちがでっかい電力事業者とガチで闘うことになるわけでございますが、その料金に対して新規を促すような制度になるのかということが、ちょっと時間がないので、わからないということを指摘させていただきます。

 今回私たちが規制機関の話をしているのは、政府側がそれをなかなか示してくれないということだけではなくて、今回の法案でも示し続けている、自由化の中における設計というものが非常に不安なところがあるからでございまして、それをしっかりと改善していくということは、絶対にここは重要だということからも指摘させていただいているところでございます。

 時間になりましたので、これで終わりにします。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 電気事業法の改正案について質問いたします。

 最初に、関連して大臣に要望なんですけれども、先んじて原賠機構法案の議論を行いました。その際、廃炉の業務を追加するという際に、では運営委員会でどういう議論をしているのか明らかにしてほしいということを要望しまして、それは一カ月前の話なんですけれども、ここまで来ましたら、やっときょう出てきたのが、廃炉・汚染水対策に関しての運営委員会の議事録部分だけなんですよね。

 これはやはり全体も明らかにしていただいて、今後きちんとした役割を果たすという点でいえば、しっかりとした情報開示が重要だ。そういう点でも、過去の三十数回の原賠機構の運営委員会の議事録について出していただきたい、この点を改めて要望したいんですけれども。

茂木国務大臣 御要望として承りました。

塩川委員 参議院の方でも原賠機構について今審議中でありますし、そういう中では、やはりしっかりとした今後さらなる情報開示を求めるという議論もしているというふうに承知しておりますので、そういうものをしっかりと受けとめて、全体を出していただくということで、ぜひお願いしたいと思うんです。

 改めて、一言、いかがですか。

茂木国務大臣 改めて、二度にわたります御要望として承らせていただきました。

塩川委員 ぜひ要望を受けとめていただいて、具体化していただきたいということであります。

 それで、法案の関係ですけれども、現行の電気事業法では、一般電気事業者が発行する社債について、優先弁済の特例規定である一般担保規定を置いております。今回の改正案では、二十七条の三十において一般担保を規定しております。資料の配付をしておりますけれども、その一枚目に対照表を載せておきました。

 そこで、経産省にお尋ねします。

 今回の改正案では、自主的に分社する一般電気事業者があった場合に、分社後の持ち株会社や子会社も引き続き一般担保つき社債が発行できるという趣旨になっているのかなと思うんですが、その点、確認でお答えいただけますか。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 御指摘のいわゆる一般担保の規定でございますけれども、現行の電気事業法第三十七条におきまして、一般電気事業者の社債権者に対して、その会社の全財産について優先弁済権を認めてございます。この規定は、大規模な発電設備、送配電設備を保有する一般電気事業者が、電気の安定供給に必要な資金調達の円滑化を図るものでございます。

 今回の法案でございますけれども、一般電気事業者という概念を見直しますものの、現存しております一般電気事業者が引き続き大規模な発電設備、送配電設備の多くを保有し続けるという実態も踏まえまして、電力の自由化を進めつつ、引き続き一般担保つきの社債を認める規定を設けてございます。

 今回の法案における規定、二十七条の三十という規定になりますけれども、これにつきましては、現行の一般電気事業者に相当します小売と一般送配電と発電をいずれも営む事業者、これを兼業事業者というふうに定義していますけれども、この事業者が引き続き一般担保つき社債を発行できる旨を規定しておりまして、さらに、この兼業の事業者が会社を分割あるいは譲渡した場合に、分割後の各社に対しましても、発行する社債について、一般担保つきの社債が発行できる旨を規定しているものでございます。

塩川委員 分割後の持ち株や子会社も一般担保つきの社債が発行できるということであります。

 これはワーキンググループで議論がありまして、一月二十日の事務局ペーパーの中にこういう趣旨のことが書かれているわけです。現在の一般電気事業者が自主的に行う分社化を妨げないという趣旨で、二十七条の三十の二項、三項が対応するところだと思いますけれども、そういう規定が入っているということです。

 これは一月二十日でしたけれども、それに先立つ一月十五日に、原賠機構と東電が提出しました新・総合特別事業計画、新総特について茂木経産大臣が認定をいたしました。

 そこで、経産省にお尋ねします。

 資料の二枚目の方にも紹介しましたけれども、新総特の東電の事業運営に関する計画の中の(5)に金融機関及び株主への協力要請とあって、その1に自由化後の資金調達を見据えた金融機関への協力要請ということが書かれております。左側の下から二行目のところに線を引いておきましたけれども、東電が二〇一七年の三月期に分社化し、ホールディングカンパニー制に移行する際に金融機関の了承を求める前提として、所要の立法措置が整備された場合においてとあります。ここで書かれている立法措置に当たるのが今回の法案ということでいいんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 現行の電気事業法におきましては、一般電気事業者が送配電業務や家庭への小売を行うことを想定してございまして、いわゆる発電、送配電、小売を垂直一貫体制で行うということを想定し、規定がなされているものでございます。

 今回の法案におきまして、発電事業、送配電事業、小売電気事業と事業類型を見直すということになりまして、各事業に応じた規制措置を規定しております。これによりまして、現行の一般電気事業者が各事業の特性に応じて自主的に分社ができるようになるものと考えてございます。

 いわば現行の電気事業法は一般電気事業者という存在を前提としておりましたので、一般電気事業者というもとでは分割ができないということでございますので、各事業類型に応じた規制を導入することによって、会社の分割が自主的にできるようになるというふうに考えてございます。

塩川委員 確認的に、ここで言う所要の立法措置は、今回の法案ということでよろしいですね。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 ここで言う、この総特に書いてある立法措置というものにつきましては、今回の法案のライセンス制の導入というところによって、一般電気事業者というものを送配電あるいは小売、発電というふうに分けることができるようになったというところを指していると考えております。

塩川委員 そこも入るんでしょうけれども、先ほど説明していただいたように、一般担保についても分割後も使えますよという規定も含めて、この所要の立法措置に含まれているということであります。

 そこで、この一般担保については、附則の四十一条で、中立性確保措置を法的分離において実施する場合についての規定の中でも、電気事業を営む者の間の適正な競争環境の確保という観点から一般担保の扱いについても検討するとあります。

 ここに、電気事業を営む者の間の適正な競争環境の確保というのは、昨年の改正法で、附則の十一条にはなくて、今回新たに入れた部分かなと思っておりますけれども、そういう点では、新たな文言が今回入って、それはこの趣旨からいえば一般担保をなくす方向なのかなというふうにも読めるわけですけれども、この点はどうなんでしょうか。

上田政府参考人 御指摘との関係では、一般担保につきましては、第一弾のときについては、プログラム規定におきまして、改革の第三段階たる法的分離の実施に際して金融市場の動向も踏まえて検討を行い、電力の安定供給に必要となる資金の調達に支障を来さないよう経過措置等の必要な措置を講じるということを規定いたしておりました。

 今回の法案でございますが、現存している一般電気事業者が引き続き大規模な発電設備、送配電設備の多くを保有している実態も踏まえまして、電力の自由化を進めつつ、引き続き一般担保つき社債の発行を認めるという規定を設けているわけでございますが、一方で、今回の法案は小売事業の自由化ということを主たる目的としているわけでございまして、競争部門たる発電、小売部門における対等な競争条件を確保するということも重要でございます。

 このため、法的分離を規定する第三段階に際しましては、事業者間の適正な競争関係を確保するという観点も含めまして、一般担保のあり方につきましてゼロベースで検討していく、そういう趣旨でございます。

塩川委員 ゼロベースで見直すですから、結果がどうなるかというのは当然あるんでしょうけれども、方向は適正な競争環境の確保ということですから、やはり、そういう優遇するような措置を見直そうという方向での規定というのが新たに入ったというふうに受けとめております。

 そうすると、今お聞きした二十七条の三十の二項、三項で、自主的に分社化、分割した電気事業者についても持ち株それから子会社が当分の間発行する社債とここに書いてあるということは、一方で一般担保をなくすような方向での適正な競争環境の確保をうたいながら、他方では今回の法改正の中で分社化後の東電が一般担保つき社債を発行することを認めるような中身にもなっているということで、これはそれぞれ方向性が逆なんじゃないかなと思うんですけれども、この辺はどうなんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般担保につきましては、第二弾の段階では、現在の一般電気事業者の設備の保有の実態に変更がないことから引き続き措置をすることとしておりますけれども、第三段階におきましては、資金調達の安定性と競争条件の確保という観点から見直すということになっております。

 今回の、分社化した場合の各社の一般担保の規定ですけれども、第二弾における状況のもとでの規定でございますので、第三段階への検討に即して、また必要な見直しがあれば見直すことになると思います。そういう意味では、当分の間ということで規定がされているものでございます。

塩川委員 もちろん、第二段階の話というのはあるんでしょうけれども、既発債については一応規定としてはあるわけで、新発債、今後発行するという点では、分社化後に発行するものも入るということでいいますと、その方向というのが、一般担保をなくすという方向とやはりそごがあるんじゃないのかというのは率直に思うんです。

 もともと、東電改革としての新総特は電力システム改革の先取りと言ってきておりますので、この電力システム改革という名で東電の後押しとなっているというような、ここの中身になりはしないのかという点は、その辺はどうなんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 この規定は、別に東京電力のみならず、第二弾の段階で自主的に分社される企業があればあまねく適用されるということですので、特に東京電力のためだけに規定を設けたわけではございませんで、自主的に電力システム改革を先取りして分社化されるという企業であれば適用される条文でございます。

塩川委員 電力システム改革の先取りで分社化するのであれば、本来、法的分離の方向での流れだと思うんですけれども、であればやはり一般担保の見直しということが必要じゃないのかということは重ねて申し上げておくものであります。逆方向という現状というのがあるんじゃないのかという指摘であります。

 次に、大臣にお尋ねします。

 新総特、これは資料の二枚目の右側のところにアンダーラインを引きましたけれども、「HDカンパニー制への移行に際しての既存社債の権利保護については、新たな競争環境下における東電の今後の事業収益の改善との両立を図る観点から、各子会社が連帯債務または連帯保証を負担することなく、それぞれの子会社の総財産を担保とする子会社の社債を持株会社に対して発行する方法等によることとし、」とあります。

 一方で、昨年三月二十一日、参議院の経済産業委員会で、大久保委員の質問に対して大臣は、NTT法の改正の部分についての質疑だったわけですけれども、平成九年のNTT法改正では既に発行されている社債に係る債務について関係会社間の連帯債務とするといった措置を講じている、こうした立法例を参考にしつつ今後具体的な方策を検討していくと述べていました。

 ですから、関係会社間の連帯債務というそのNTT法改正の立法例を参考にするといいながら、この新総特においては各子会社が連帯債務または連帯保証を負担することなくという措置を東電が行うことを大臣が了承したわけですけれども、これについて説明いただけますか。

茂木国務大臣 申し上げますけれども、私からNTTの問題を出したわけじゃないんですよ。そのことについて聞かれたので、NTTの分割のときはどうしたかということについて事実関係を述べたわけであります。その上で、いわゆる既発債については、財産上の権利に実質的に影響を与えないための制度の手当てについて検討していく、そしてその検討を行っているということでありまして、別に私からNTTのを、こうだから電力についてもこうするという話で申し上げたんじゃない。一部をとって、私から言ったような印象を与えるような質問は非常に私としても困惑いたしますので、ぜひよろしくお願いいたします。

塩川委員 ですから、NTT法改正の議論がありましたという前置きでお話ししたわけで、私が取り上げたのは、そういうNTT法改正の立法例を参考にしつつ今後具体的な方策を検討していくと大臣が答弁したことについて、それとは違う方向が新総特にありますね、これはどのように説明されますかということをお尋ねしたんですけれども、改めていかがですか。

茂木国務大臣 財産上の権利に実質的に影響を与えないということを私は申し上げたわけでありまして、当然、新総特に記載されている内容、これは利害関係者であります社債権者等の協力を取りつけた上で対応していくという位置づけのものでありますから、私の答弁と全くそごを来さないと思っております。

塩川委員 NTT分割の議論の中では、会社分割における債権者保護の方法として最も典型的なのは全当事会社による連帯債務を負わせることだ、アメリカでも、一つの会社が複数に分かたれる場合には、旧会社の債務につき新会社の全てが連帯債務を負うべきだと解されている、そういう話なんかもあったものですから、大臣の方がもちろんお詳しいと思ったので、その辺のお話も聞けるかなと思ったんですけれども……(茂木国務大臣「話しますよ、幾らでも」と呼ぶ)はい、わかりました。経緯についてはわかりました。

 私は、だから、こういうのを見ると、資料の三枚目にあるように、これは新総特の話ですけれども、下の段に今後の資金調達の考え方とあるように、要するに、それぞれ子会社が大いにもうけてもらおうというスキームというのが新総特で掲げている中身ということで、今回の一般担保規定の改正、あるいは新総特を踏まえたような措置というのが、いわばこういう東電の事業会社の成長を確保する、そういう方策になっていくということで、連帯債務とか連帯保証がないことで、分社化後の子会社の実質的な経営の自由度が高まっていく、そういう趣旨の流れだろうと思っております。

 こういった議論については、第五回の制度設計ワーキンググループの議論の中で、SMBC日興証券マネジングディレクターという肩書の円尾委員が発言しておりましたけれども、世界じゅうのどこを見ても、一般担保がなければ資金調達ができないという電力会社は皆無だ、民営化以降のJパワーも無担保で社債を調達している、一般担保に関する本質がどこにあるかといえば、一般担保のありなしではなくて、原子力のリスクがさまざまに顕在化してきたことで、これをどう分担していくのかが不透明だというところにあるということで、いわば原子力のリスクの問題なんだということを強調しているわけです。そういう点でも、この三枚目の図の右上がホールディングカンパニー制ですけれども、原発について、これは持ち株の方で持つという仕組みにもなっております。

 そこで、新総特を見ると、今後の収支計画においては柏崎刈羽の再稼働が掲げられているわけです。柏崎刈羽の六号機、七号機は二〇一四年度の前半に稼働を目指したい、一、五号機については二〇一四年度の後半に再稼働を目指したいというのが収支計画になっているわけで、私は、大臣も認定した新総特というのが結局は柏崎刈羽の再稼働なしには成り立たない計画なんじゃないのか、この妥当性が問われているんじゃないかと思うんですけれども、この点について最後に大臣に伺って、終わりにしたいと思います。

茂木国務大臣 NTTもそうでありますが、電気事業も高度成長期においてどう資金調達をしていくか。

 田嶋委員の方が多分私より電気通信についてはお詳しいと思うんですけれども、積滞解消、こういう言葉のもとで、通信設備の増強というのを図ってきたところであります。その社債を、民営化するに当たって、どう分けるかという議論でやってきました。

 今回の電力の安定供給を図っていくためにどういう資金調達をするというのと、若干議論としては違う部分があるというのをまず御理解いただきたいと思っております。

 そして、新総特に記載されている事項につきましては、どの一つが重要ということではなくて、それぞれが、電力の安定供給であったりとか、さらにはコストの低減も含めて、事業者として果たすべき役割が記載されており、それぞれが全うしてほしい、このように考えております。

塩川委員 新総特の具体化を後押しするのが今回の法案、この点を指摘し、きょうは終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次回は、来る十四日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十六分散会


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