衆議院

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第16号 平成26年5月14日(水曜日)

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平成二十六年五月十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    秋本 真利君

      穴見 陽一君    安藤  裕君

      石川 昭政君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝俣 孝明君    黄川田仁志君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      菅原 一秀君    田中 良生君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    中谷 真一君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      藤井比早之君    細田 健一君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      泉  健太君    奥野総一郎君

      岸本 周平君    近藤 洋介君

      馬淵 澄夫君    伊東 信久君

      木下 智彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    三谷 英弘君

      小池 政就君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   井上 源三君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 熊谷  毅君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     加藤 洋一君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役副社長)       山口  博君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十四日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     中谷 真一君

  石崎  徹君     藤井比早之君

  勝俣 孝明君     秋本 真利君

  枝野 幸男君     奥野総一郎君

  岸本 周平君     馬淵 澄夫君

  辻元 清美君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  秋本 真利君     勝俣 孝明君

  中谷 真一君     石川 昭政君

  藤井比早之君     安藤  裕君

  泉  健太君     辻元 清美君

  奥野総一郎君     枝野 幸男君

  馬淵 澄夫君     岸本 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  安藤  裕君     黄川田仁志君

  石川 昭政君     穴見 陽一君

同日

 辞任         補欠選任

  黄川田仁志君     石崎  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役副社長山口博君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣府政策統括官井上源三君、厚生労働省政策統括官熊谷毅君、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官加藤洋一君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君及び資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。宮下一郎君。

宮下委員 皆様、おはようございます。自由民主党の宮下一郎でございます。

 本日は、お時間をいただきまして、今回の電力システム改革の目的やメリットを具体的にどのような方策やプロセスを通じて実現していくのかという観点から質問させていただきたいと考えております。

 昨年のこのシステム改革第一弾の法案では、第二弾、第三弾を含めました全体像を示すプログラム規定も盛り込まれておりまして、その審議の過程では、今回の電力システム改革全体の目指すべき目標としまして、安定供給の確保、また電気料金の最大限の抑制、そして需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大、こうした大きな三つを実現していくんだという方向性が示されたところでございます。

 そこで、まず、一つ一つ御質問させていただきますが、安定供給をどのように確保するのかについて、何点かお伺いをしたいと思います。

 今回の法案では、新たな仕組みとして、小売電気事業者に供給力確保義務が課せられておりますけれども、小売電気事業者はどこから供給力を確保することとなるのか。この点、改めて具体的にお教えをいただきたいということが一点。

 また、特に小売電気事業者が、例えば需要者のニーズに応える格好で、太陽光発電などの変動の大きい再生可能エネルギーによる供給力を確保した場合には、どうしても、夜間の電力を補完したり、また、天候不順の場合の変動をならすためのバックアップ電源もあわせて確保して、セットで安定供給を実現する必要があると考えるわけでございますけれども、需要家に届いた電気が、電圧や周波数の安定性の確保を含めまして、どのような仕組みで安定したものとなって安定供給は確保されるのか、この点についてお伺いをしたいと思います。

上田政府参考人 小売電気事業者に関する安定供給力の確保に関するお尋ねがございました。

 まず、小売事業者そのものは、今回の法案によりまして、その小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保する、いわゆる供給力確保義務というものがございます。この供給力確保義務の実施に当たりましては、実際問題、みずから電源を所有するという形態もあれば、他の発電事業者と契約をするという形態もあれば、あるいは卸電力取引所から電力の調達を行う、さまざまな手段を用いてこの供給力を確保するということになると考えております。

 二点目の、では、太陽光発電などの再生可能エネルギーは変動が大きいわけでありまして、この場合の供給力の確保をどう考えるかということでございますが、この場合につきましても、その電源特性に応じまして、一定の供給力として活用することが太陽光等でも可能でありますが、このような場合でありましても、小売電気事業者は、日照あるいは風況などの自然条件にかかわらず、その小売供給の相手方の電気の需要を上回る供給能力を確保するということが必要になってくるわけでございます。

 このため、小売電気事業者は、例えば、変動があれば、その変動を吸収したり、需要の変動に対応した出力調整が可能な例えば火力発電、そういったものと組み合わせて確保する手段により、需要に応じた供給力を確保するということが考えられるわけでございます。

 最終的にはどのように安定供給を確保するのかという点につきましては、今のように、小売電気事業者に供給力確保義務を課すということが原則でございますが、想定外と申しますか、そういったことによりまして小売電気事業者が需要に応じた供給力を確保できない、こういうケースも想定されるわけであります。この場合には、いわゆる送配電事業者が、電圧あるいは周波数の維持義務というのがございまして、この中で、日々の電力需給の状況を監視し、エリア全体の需給バランスを調整するという役割を担っておりますので、最終的な安定供給の責任というものは送配電事業者において果たされているもの、このように考えております。

宮下委員 ありがとうございました。

 ただいまは、いわばミクロレベルでの安定性をどう確保するかという視点からの質問をさせていただいたわけですが、マクロレベルで安定供給を確保するというのはさらに大きな課題だと思っております。

 今回の法案では、その確保ための一つの柱として、日本全体の中長期的な供給力が不足すると見込まれる場合に、広域的運営推進機関が電源入札を行う仕組みが盛り込まれております。

 お配りした資料、三枚物の最初の資料ですけれども、概略的なイメージが示されております。しかし、よく説明に使われるこの絵を見ただけでは、実際にどのような仕組みで入札が行われて、そして、入札によって建設された発電所による電力供給を広域的運営推進機関がどのようにコントロールをして供給力不足解消につなげていくのか、その仕組みがちょっとわかりにくいというところがございます。そこら辺をもう少し具体的に御説明をいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の広域的運営推進機関の電源入札でございますけれども、広域的運営推進機関は、電気事業者から需要の見通しや電源開発に係る供給計画を受け取ることとなっておりまして、それに基づきまして、向こう十年間の全国の需要を把握する、それから、みずからも長期的な需要想定を実施いたしまして、これらの情報をもとに、建設期間等も考慮した上で、電源入札の発動の必要性とタイミングを判断するということとなります。

 将来の供給力が不足すると見込まれる場合につきましては、電源の新規建設あるいは維持、更新に必要な資金の一部を補填することを条件に、広域的運営推進機関が、発電所を建設する、あるいは維持、運用する者を募集するという形になろうと考えてございます。その際、補填のために必要となる資金につきましては、託送料金の一部といたしまして全国の需要家から薄く広く回収する予定ということでございます。

 こうした公募プロセスを経て、かつまた一定の補填を受けて確保された電源でございますので、ある意味、公益性があるということでございますので、発電所の運用につきましては、電力需給の状況に応じまして、例えば卸電力取引所への売電など、一定の要件を課すということを検討してございます。

 今後、具体的な設計につきましては、引き続き、総合資源エネルギー調査会のもとの専門家のワーキング等で議論をしていきたいと考えてございます。電源入札の仕組みを導入することによりまして、安定供給に支障がないように万全を期すこととしたいと考えております。

宮下委員 ありがとうございます。

 これが今回の法案に盛り込まれた安定供給の一つの仕組みなわけですけれども、これだけでいいのかということも含め、もう一つの柱として、今、容量メカニズムの導入ということが検討されていると承知しております。

 ここで、改めまして、容量メカニズムとはどういうものなのか、また、その機能や方式、いろいろあるというふうにも聞いておりますが、その類型、また、現在の検討状況についてお伺いをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案では、これまで御答弁申し上げましたとおり、安定供給の確保に万全を期すこととしておりますけれども、委員御指摘のように、このほかに、発電所の将来の投資回収の見込みを立てやすくし、建設、保持のインセンティブを高めるということを目的といたします、いわゆる容量メカニズムというものの創設について、現在検討を行っております。これは、将来の発電能力に着目してその取引を行って、国全体の供給力を確保するという仕組みでございます。

 具体的には、発電事業者が持っている、あるいは将来持つことが見込まれる発電能力、いわゆる何万キロワットという発電設備の容量の価値に着目した取引を行う仕組みをつくり、これによりまして、将来的に供給力が必要となる小売電気事業者がこの取引によってそのコストを負担するということで、発電事業者の投資回収の予見性を高めつつ、全ての小売事業者が公平に負担していく制度ということを想定してございます。

 海外では、発電能力を取引する市場を創設し、そこで定まった価格に応じて小売電気事業者が支払いをするいわゆる容量市場の方式、あるいは、緊急時に不足すると見込まれる電源につきまして送配電事業者があらかじめ確保しておく、戦略的予備力と呼んでいますけれども、そういった方式などが検討され、また一部の地域で導入されている状況がございます。

 我が国におきましても、昨年二月の総合資源エネルギー調査会の専門委員会で取りまとめられた報告書におきまして、容量メカニズムの創設について指摘もされておりまして、自由化後を念頭に置いた各発電事業者の動き、あるいは海外の状況なども勘案しながら、その具体的な検討を行っていきたいと考えてございます。

宮下委員 ありがとうございます。

 ぜひ、そうした海外の取り組みも参考にしていただきながら、多角的にこの供給力の確保ができるようなシステムの構築、さらに御努力をいただきたいと思います。

 あわせまして、原子力の再稼働等々で日本全体の供給力の予備力を確保していくというのは卸電力取引所の取引活性化にもつながると思いますので、さまざまな取り組みを通じて、供給力の確保、政府としてもお取り組みをいただきたいと思っております。

 次に、電力システム改革の目指す二つ目の目的であります電気料金の最大限の抑制、この点に関連して質問をさせていただきたいと思います。

 世の中には、自由化してしまって大丈夫なのかと。当面は料金規制が一般電気事業者の皆さんにはかかるわけですけれども、各国でも自由化で決して電気代が安くなったわけではないんじゃないか、大丈夫なのかという声があることも事実であります。

 今回のお配りした資料二枚目に、それをどう実現するかということで、これまでの御説明にも使われた図をお配りしておりますけれども、電気料金の低廉化が実現するための一つの方策、今回の電力システム改革においては、いわゆる時間別料金の設定によりますディマンドレスポンスを活用してピーク時の需要を抑制して、それによって余分な供給力確保のためのコストを削減する、日本全体として供給にかかわるコストが減るんだ、これが一つの説明の柱になっていると承知しております。

 ただ、これを実際に一般家庭を含めた需要家において電気料金の低廉化につなげるというためには、もう一工夫必要なのではないか。特に、スマートメーターの普及、整備というのはインフラとして必須だと思いますし、また、供給側におきましても、時間別料金に基づいて電力メニューの供給をしていく、こうした全体としてのインフラがもう一歩必要なのではないかと考えます。

 このディマンドレスポンスの効果を、実際の一人一人の家庭、また企業において実現していくための取り組みをどのように行っていくのか、その具体的な道筋についてお伺いをしたいと思います。

木村政府参考人 御指摘のディマンドレスポンスでございますけれども、需給の逼迫への対応のほか、御指摘のとおり、供給コストを削減するといった効用があるというふうに考えてございます。

 この方式といたしましては、一つは、電気料金を変動させることで需要を抑えるというやり方、それから、需要の抑制を行うことに対しまして報酬を支払うものと、大きく二つございます。

 経済産業省では、平成二十四年度から北九州市等でいわゆるスマートコミュニティーの実証というのを行っておりますけれども、そこで、まず、電気料金を変動させることで需要を抑制するいわゆる電気料金型のディマンドレスポンスというものの実証実験を行いまして、約二割のピークカットというのが可能であるということを継続的に確認してきております。

 それから、電気料金の多様化に必要なインフラでございますスマートメーターにつきましては、本年三月に行われました経産省のスマートメーター制度検討会におきまして、電力会社が従来の導入計画の前倒しを表明しております。例えば、東京電力の管内では二〇二〇年度末まで、日本全体では二〇二四年度末までに全世帯、全事業所に導入を完了する計画となってございます。

 今後、まずは、この電気料金型ディマンドレスポンスの効果につきまして、今年度も引き続き実証を続けまして、その効果が持続的に得られるということを確認したいと考えてございます。

 あわせまして、スマートメーターの早期導入を進めまして、これらが、電力システム改革で小売の自由化が進むことによる、さまざまな事業者が参入し多様な料金メニューが提供されるということとまさに相まちまして、電気料金型ディマンドレスポンスの取り組みが全国的に広がっていくものと考えてございます。

 あわせまして、電力会社との間であらかじめピーク時などに節電する契約を結んで、電力会社の依頼に応じて報酬を得る、そういう、節電した場合に報酬を得るネガワット取引というものもございます。

 これにつきましては、やはり、これまで、信頼性が十分確認されていないというようなことで、国内においてそう普及はしていないわけでございますけれども、その実現に向けて、現在、ネガワット取引の信頼性、例えば、ディマンドレスポンスのレスポンスタイムでございますとか、削減可能性でございますとか、費用対効果といったようなものを検証するために実証実験を開始しているところでございます。

 今後とも、需要家のエネルギー消費行動をよりスマートの方に変えるということで、仕組みを構築してまいりたいと考えてございます。

宮下委員 ありがとうございました。

 今の点で追加で若干お伺いしたいのは、新しいスマートメーターをほぼ全戸、全需要家に設置するというのは、投資コストがかかるわけですけれども、このコストは誰がどういうふうな仕組みで負担するのか。

 ちょっと、素人考えでは、今まで必要なかった新しい機械を大量につけなきゃいけない、その部分を電気代等々で負担するとなると、その分上がっちゃうんじゃないのという懸念もないことはないわけですけれども、それよりも効果の方が大きいということだとは思うんですが、まず、どういう格好でスマートメーターのコストは負担されると想定されるのか。そのコストパフォーマンス等々についても御見解があったら、お伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 スマートメーターにつきましては、制度改革法の一般送配電事業者の事業として、一般送配電事業者がスマートメーターを設置するということになろうと考えてございます。そのコストにつきましては、送配電の託送料金ということで回収されることになろうということでございます。

 スマートメーター導入に当たっては、初期コストはかかりますけれども、将来的には、需要に応じた供給源のサービスが多様化できるというメリットもありますし、コスト的に見ますと、将来的には、検針員の仕事がなくなるということで合理化の効果もあって、経済的にもペイをするというふうに考えてございます。

宮下委員 トータルとして、やはり、電気料金の抑制につながる、こういう改革に向けて制度設計もぜひお願いをしたいと思います。

 これに関連しまして、今、北九州でのお話もありましたけれども、経済産業省も後押ししていただく格好で、現在、四カ所でスマートコミュニティーの実証実験を行っていると承知をしております。私も、昨年十月に豊田市の取り組みを視察させていただきました。

 スマートコミュニティーは、ディマンドレスポンスにとどまらずに、再生可能エネルギーを導入促進するとか、地域内で託送料なしでエネルギーを融通する、そういうことによって電力消費の最適化を行うとか、さまざまな可能性があると認識しております。

 一方で、この電力システム改革で、個々の需要家と電力網をつなげるという中に、スマートシティー、スマートグリッド、そういったものが入るというのはどういう位置づけになるのか。この電力システム改革の中で、むしろ、スマートシティーという取り組みもこれから推進していこうとしているのか。いやいや、これは全国大のシステム改革の一つのモデル実証なんだという位置づけなのか。今後、スマートシティーやスマートコミュニティーをどう位置づけていくのか。その点についてお伺いをしたいと思います。

木村政府参考人 まず、スマートコミュニティーでございますけれども、これは基本的に、地域単位で需給を調整するエネルギーシステムでございます。平常時には、エネルギーマネジメントの効果的な活用によりまして大幅な省エネルギーを実現する、非常時には、大規模電源に頼ることなく分散型エネルギー源でエネルギーの供給を確保する、そういう効用があるものと理解をしております。

 御指摘のとおり、北九州市等でスマートコミュニティーの実証を進めてございます。そこで、例えば、コミュニティー単位でのエネルギー需給管理システムでございますとか、あるいは、ディマンドレスポンスに対応した、HEMS等でエアコン等の自動制御を行うような技術でございますとか、あるいは、電気自動車から家に給電するためのV2Hの技術といった、そういう個々の技術が確立してきてございまして、基本的には、スマートコミュニティーを構築するための技術基盤というのは整ってきているという理解をしてございます。

 今後、やはり、スマートコミュニティーを普及していくためには、例えば、蓄電池ですとか、エネルギーマネジメントといったシステムを構成する機器の例えば価格を下げていく必要がございますし、それから、需要を抑制するためのディマンドレスポンスの取り組みというのが普及するための、例えばシステム改革を初めとする基盤整備というのが必要になるというふうに考えてございます。

 したがいまして、スマートコミュニティー自身は分散型のエネルギーシステムとして基本的には構築をしておるわけなんですけれども、そこで得られた成果そのもの、例えばディマンドレスポンスでございますけれども、これは、一エリアにとどまらず、例えば、現在でございますと、一般電気事業者の供給区域全体の中で十分応用が可能なものでございますし、そういった面で、お互いが補完関係にあるようなものとして今後も推進し、かつ、その成果というのを国全体の利益として均てんしていくということも視野に入れながら進めてまいりたいというふうに考えてございます。

宮下委員 それから、ちょっと前に戻りまして、スマートメーターを前倒しで推進していただくということなんですけれども、逆に言うと、こういうインフラはエリアを決めて順々に整備していきますよというような話になるのかなと思うわけですが、一方で、この法律が通っても、スマートメーターはこのエリアはついていない、こういう事態も起こり得るわけですね。

 そういった場合に、いやいや、せっかく法律も通ったんだし、私は、今までの一般電気事業者さんじゃなくて、新電力ないし再生可能エネルギー中心の電力メニューで買いたいんだ、だからスマートメーターを何とかしてくれ、こういうニーズは必ずあるんじゃないかと思うんですが、これには対応できるようなことになるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 スマートメーターにつきましては、先ほど、一般送配電事業者が設置をすることが原則になっておりますけれども、それぞれ各電力会社、一番遅くても二〇二四年末までに設置をするということを表明してございますけれども、小売が自由化された後、電気の小売事業者の切りかえを希望する需要家に対しましては、その期間前にあっても、要望に応じてスマートメーターへの交換を遅滞なく行うことを各社表明しておりますので、自由化制度発足以降も、そういう希望をする需要家に対してはスマートメーターの設置がなされるものと考えてございます。

宮下委員 ありがとうございました。

 それでちょっと安心をいたしましたけれども、ぜひ、多くの皆さんが前向きに、スマートメーターもつけてくれという世の中になっていただくといいなと思います。それには魅力的な商品パッケージもないといけないという裏表だと思います。

 電気料金を抑制するためのもう一つの大きな柱が、広域メリットオーダーの実現であると言われております。

 きょうお配りした資料の三枚目に、このぐらいメリットがあるんだという試算、これは経産省側が出されている資料がございます。

 これで見ましても、広域的な、日本全体での連系線制約を取り去っていくことによって一千七百億円程度のコスト削減効果がある、こういう試算がなされているところでございます。

 これはいわばマクロの試算であるわけですけれども、それでは、ミクロの世界から見て、この広域メリットオーダーの実現が、どのようなメカニズムを通じて各需要家、各家庭や企業の電気料金の抑制につながるのか、その具体的イメージをお答えいただきたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のこの資料、私どもの方で試算をさせていただいたものでございますが、広域メリットオーダーの効果といたしまして、今の連系線制約のもとでエリア内のメリットオーダー、このメリットオーダーといいますのは、小売電気事業者が区域を越えてまで安い電源を調達してくるということでございますが、それを行うことで約一千百億円、さらに、連系線の制約の解消をする追加効果で六百億円、合計千七百億円程度の効果がある、こう試算をしているわけでございます。

 このメリットオーダーは実際にどういうメカニズムになるかと申し上げますと、今も少し申し上げましたが、実際には、小売の電気事業者が電気を調達する、その際に、卸電力市場を活用し、あるいは場合により相対契約というのも可能でしょうが、みずからの区域を越えて全国から安い電源を調達するということによりまして、全国レベルでより安い低廉な電力を活用するということによって得られる効果でございます。

 そういたしますと、小売電気事業者は、これによりまして電源調達コストを抑えることができるわけでございますので、その結果、消費者に対してより低廉な料金設定が可能になる、そうした小売事業者を選択した消費者は小売電気料金の抑制という利益を享受できることになる、こういうメカニズムでございまして、こういったメカニズムが幅広く行われることによりまして、我が国全体のエネルギーコストが削減をされていくことになるというふうに考えております。

 したがいまして、これの実現のためには、小売電気事業者が卸電力市場を積極的に活用して全国レベルでの電源調達を行っていただくこと、あるいは、電源を保有している発電事業者が積極的に卸電力市場に玉出しといいますか、そっちに活用していくこと等々が必要でございます。

 政府といたしましては、こういった仕組みをつくるとともに、地域間連系線等の広域的な送電インフラの増強といったことを行うことにより広域メリットオーダーが実現するように努力をしていきたい、こんな感じでございます。

宮下委員 ありがとうございました。

 それでは最後に、電力システム改革の目指す三つ目の目的であります、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大に関連して質問をさせていただきたいと思います。

 今回の法改正によりまして、小売参入の全面自由化が実現しますと、家庭も含めた全ての需要家が自由な料金メニューを選択することが理論的には可能になるわけでありますけれども、そのためには、そのメニュー自体が信用できる、つまり、需要家に対して必要十分な情報が的確に提供されることが必要なのではないかということを感じるわけであります。

 特に、初めの質問で申し上げた例の場合のように、太陽光とか風力、変動の大きな再生可能エネルギーを選択したいという需要家に対して、小売事業者みずからバックアップ電源を調達してセットで売るということに多分ならないと、夜間は電力供給できないわけですから当然そうなると思いますが、その場合に、電源構成はこれこれですと適正に説明することが必要なのではないかと思うわけであります。

 より具体的に言えば、バックアップ電源をLNG火力でやっていますよ、ないしは石炭火力でやっているので低廉ですよとか、蓄電池でやっていますとか、同じ石炭火力でも、従来型のものなのか、この月曜日には磯子第二発電所も見てまいりましたけれども、ああいった高効率で環境負荷の少ない最新鋭のものをバックアップ電源として調達しておりますよ、こういうようなことはやはり知った上で選びたいというのが需要家なのではないかというふうに思います。

 こうした情報の適正性の確保につきましては、やはり国が責任を持っていただくということが必要であろうというふうに思いますが、今回の法案ではどのような仕組みを通じてその適正性の確保、実現を図ろうとされているのか、特に、国を代表し、省を代表して、大臣からお考えを伺いたいと思います。

茂木国務大臣 電力システム改革によって多様な料金メニューも出てまいります。そして、場合によっては、特定のエネルギー源を使った発電を売る、こういった事業者も出てくるかもしれませんが、実際には再生可能エネルギーだけじゃないのに、あたかも再生可能エネルギーを全て使っている、こういう事実に反する宣伝を行うということはあってはならないと思っております。

 このため、今回の法案におきましては、需要家保護を図る観点から、小売電気事業者に対して、料金等の契約条件を需要家に対して説明する義務を課すことといたしております。

 また、委員御指摘の電源構成についても、例えば、一〇〇%再生可能エネルギー電気であるなど、その電源構成を商品特性として需要家に宣伝し、電気を供給する場合には、契約条件に関する説明義務の一環として電源構成の適正な説明を求めていくことを考えております。

 もし適正な説明が行われないという場合には、これは業務改善命令の対象にもなってまいりますし、言ってみますと、消費者にとって誤解を生むような説明を行う、この場合には不正競争防止法に基づいて最終的には刑事罰になる可能性もある、このように考えております。

宮下委員 ありがとうございました。

 このシステム改革は国民みんなにとってメリットがあった、こういう改革になりますように心から祈念をして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹です。

 私が一番最初に予定していたディマンドレスポンスの質問は、先ほどしていただきましたので、これに関しては後回しにさせていただきたいと思います。時間があれば質問させていただくということにしたいと思います。

 では、まず初めに、沖縄地域の電力システム改革についてお伺いしたいと思います。

 昨年の五月、宮崎委員もこれに関して質問をされましたけれども、私も、昨年初めて沖縄の方にも行ってまいりまして、さまざま沖縄の方のお話も聞いてまいりましたので、少し沖縄地域の電力システム改革についてお伺いしたいと思います。

 今、十電力ありますけれども、沖縄電力だけは、沖縄地域はほかの地域と連系線でつながっていないというような特殊性もありますし、また離島の数が非常に多いというような特殊性もございます。こういったことで、沖縄地域の特殊事情を考慮するために、昨年五月の宮崎委員の質疑の中で平政務官が、沖縄の特殊性についての事情をしっかり把握するために、沖縄の需要家また事業者等の御意見をお聞きすることなど、積極的に対応していきたいと思いますというようなことでおっしゃっておりました。

 その後、さまざまな意見聴取をされたと思いますけれども、その意見聴取の状況、またそこで浮かび上がった新たな沖縄の特殊事情等、このあたりについて教えていただければと思います。

上田政府参考人 電力システム改革に当たりまして沖縄をどのように扱っていくか、どのような特殊性があるのかという御質問かと思います。

 先生御指摘のとおり、第一段階の電気事業法の附則のプログラム規定におきましても、沖縄地域における電気事業の特殊性を踏まえた措置を講ずる、こう書かれているわけでございます。

 こうした地域固有の特殊事情を考慮するために、必要な実態調査あるいは事業者からの意見聴取等を行ってまいりました。具体的には、システム改革の制度設計を検討しております総合資源エネルギー調査会のワーキンググループの中で、沖縄における一般電気事業者であります沖縄電力株式会社、あるいは卸電気事業を沖縄において行っておられます電源開発株式会社から、沖縄地域の電力供給をめぐる実情についてヒアリングなどを行っております。

 そうした結果、私ども、沖縄についてどのように考えているかということでございますが、沖縄は、先生の御指摘もございましたが、まず第一に、広大な海域に島が点在をしている、その結果、独立した小規模な電力網というものが必要になってきているということが一つでございます。

 二番目に、したがいまして、本土の電力系統と接続が、連系されておらない、したがって、広域融通ということが非常に難しいということでもありまして、卸電力取引所を通じた電力取引というのもなかなかできないということがございます。

 また、三番目に、電力需要そのものも大きくなく、また、地理的あるいは地形的制約ということから、大規模な発電、例えば原子力発電あるいは水力発電というものの発電事業を行うことが困難でございまして、火力発電に依存せざるを得ない、こういったことが沖縄における構造的な特殊性であると考えております。

 沖縄電力におかれましては、こういったことを踏まえながら、本土並みの料金水準の確保を経営目標にしているわけでございますが、今回の法案では、今のようなことを背景にしながら、離島に対する措置、送配電に関する措置等々を講じているところでございますが、基本的には、沖縄に関するそういう認識のもとにさまざまな措置を講じているところでございます。

國重委員 ありがとうございました。

 今、沖縄地域の構造的な特殊性として三つ挙げていただきました。独立した小規模な電力系統が必要だとか、広域融通の枠外にあるとか、また、大規模な原子力発電とか水力発電、こういったことも困難だというようなことだったと思いますけれども、このような特殊事情がある。

 今回、電力システム改革をやりますけれども、このメリットというのを沖縄地域の需要者にも及ぶようにするための取り組み、これは今後、政府としてどのように取り組まれていくのか、大臣にお伺いいたします。

茂木国務大臣 まず、昨晩は、はなし家の林家まる子さんとのかけ合い、すばらしかったな、こんなふうに思っておりますけれども、一部の人しかわからない話題でありますが。

 小売全面自由化によります恩恵を現実に沖縄地域の需要家にも及ぶようにするためには、沖縄地域において新規参入を計画する小売電気事業者が電源を調達するための選択肢の拡大、沖縄という離島においてもそれがどうできるかということが一番大きな問題だと思っておりまして、具体的には、まず、沖縄地域内の既存の電源であり、これまで沖縄電力のみを販売先としてきた卸電気事業者、電源開発でありますが、この電源を沖縄電力以外の新規参入の小売電気事業者が利用できるようにすることによって、小売電気事業者の沖縄地域への参入と競争を促すことが極めて重要だ、このように考えております。

 このため、電源開発の売電先の多様化に向けた具体的な取り組みとして、国から沖縄電力と電源開発に対して、両者間の既存の契約の見直しを積極的に行うよう検討を促しているところであります。

 今後、両者によります検討の進捗について国として随時モニタリングを行っていく、こういった形で、供給先が多角化しないとやはり小売の競争というのも進まない、こういう観点から、沖縄におきましても電力システム改革のメリットが需要家に十分行き渡るような状況をつくってまいりたいと考えております。

國重委員 茂木大臣、ありがとうございました。

 先ほど、茂木大臣に言っていただきましたが、私はきのう、先輩議員のパーティーの司会をさせていただいて、司会デビューということでやらせていただいたんですが、そこで、私の義理の妹が林家家の一門でして、それで一種のかけ合いの漫才、司会をさせていただいたら、茂木大臣が一番最初のバッターとして、お祝いの挨拶をいただきまして、そこで、今までいろいろなパーティーに行ったけれども、こんなに司会が初めに話すパーティーは初めてだというふうに言われました。私は、経産委員会の質問は、弁護士のときのようにぽんぽんぽんぽん、質問の時間はできるだけ短くやっていますが、きのうは結構長くやらせていただきました。本当にありがとうございました。

 私も、こういうことで沖縄のことが少し頭から飛びましたけれども、戻します。

 電力システム改革に関して、今、沖縄地域の方にも、需要者にもしっかりとこの恩恵が及ぶようにするための取り組みについて、茂木大臣に御答弁いただきました。

 次に、個々のことについて、重複になるかもしれませんけれども、お伺いしていきます。

 では、この電力システム改革については、沖縄地域の小売全面自由化については本土と全く同様の制度とするのかどうか、これについてお伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 需要家の選択肢の拡大、それから多様な電源の参入といった電力システム改革の目的を達成するということにつきましては、沖縄地域、特殊性はありますけれども、その必要性については他の地域と変わらないということでございますので、小売の参入の全面自由化につきましては、基本的には他の地域と同様の制度改革を進めることを考えてございます。

 参入自由化に当たっては、具体的に申し上げますと、例えば、最終保障供給サービス、あるいは沖縄本島と連系していない沖縄の離島に対する離島供給サービス、こういったものにつきましてもきちっと同様に手当てをしたいと考えてございますし、例えば低圧託送の創設、あるいは同時同量制度の見直し等につきましても、本土と同様に必要な措置を講じて、小売参入の全面自由化を実施したいと考えてございます。

 ただ一方、現行の規制料金は、沖縄につきましては、二千キロワット以上というふうになってございますので、経過措置として、競争環境が十分整うまでの間、一定期間規制料金を残すという措置につきましては、これは現行の二千キロワットの規制料金がございますので、二千キロワット未満の需要家に対して経過措置料金を残すということを考えてございます。

國重委員 ありがとうございました。

 小売全面自由化も、経過措置に関しては若干違うけれども、基本的には本土と同じというような御答弁でした。

 では次に、沖縄地域の小売電気事業者の供給力確保義務を含めた安定供給、これはいかに確保していくのか。これについても本土と同様の取り扱いでいいのかどうか、これについてお伺いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 小売電気事業者につきましては、今回の法案によりまして、正当な理由がある場合を除き、その小売供給の相手方の電気の需要に応ずるために必要な供給能力を確保することが義務づけられております。

 ここで、小売の供給の相手方の電気の需要といいますのは、温度の変化等による需要の変動分も含めた最大需要のことでございまして、小売電気事業者はこれを上回る供給能力を確保するということが必要になります。これは沖縄地域の特殊性にかかわらず、小売電気事業者が果たすべき義務と考えてございまして、沖縄地域でも他の地域と同様の制度としたいと考えてございます。

 また、想定外の事態が発生する場合において、例えば小売電気事業者が需要に応じた供給力を確保できないようなケースにつきましては、一般送配電事業者がエリアの需給バランスを維持する義務がございますので、これは一般送配電事業者が果たす義務として、沖縄地域も他の地域と同様の制度としたいと考えてございます。

 ただ、沖縄地域は、先ほど御答弁申し上げましたように、他の地域と電力系統が連系しておりませんので、広域系統運用というものが不可能でございますので、沖縄における一般送配電事業者は広域系統の融通を前提としない前提で調整力を確保する必要があるということでございますので、こういった特殊性を踏まえながら、沖縄地域における一般送配電事業者が安定供給に必要な調整力の量をしっかり確保できるような具体的な制度設計を行ってまいりたいと考えてございます。

國重委員 ありがとうございました。

 では次に、沖縄地域における電力システム改革について、広域的運営推進機関が行う業務、また広域メリットオーダー、これはどうしていくのか。

 先ほどは、供給力確保義務に関しては同じだ、ただ、連系線がないので多くの予備力が必要になる、こういう特殊性もある、こういうことに関してはしっかり勘案していくということでしたけれども、広域的運営推進機関が行う業務、また広域メリットオーダー、これについてはどうするのか、お伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 広域的運営推進機関は、電力の供給計画の取りまとめとか、あるいは広域な系統の融通等々の事務を行いますけれども、そのうち、供給計画の取りまとめ、それから広域的運営推進機関が制定する電源と系統の接続のためのルールとか、そういったものにつきましては、原則として、沖縄地域においても他の地域と同様に適用することになると考えてございます。

 他方、沖縄地域につきましては、他の地域と系統が連系しておりませんので、例えばエリアを越えた電力融通のようなルールというものにつきましては、沖縄地域は適用されないというふうに考えてございます。

 また、広域メリットオーダーにつきましては、これは当然のことながら、沖縄地域は他の地域と連系をしておりませんので、広域連系を前提としたメリットオーダーについては、他の地域と同様なものを実現することは困難であろうと考えてございます。

國重委員 ありがとうございました。

 沖縄地域は、九州等とも連系線でつながっていないので、広域メリットオーダーに関しては、ほかのところと同じようにすることは難しい、それはそのとおりだというふうに思いますけれども、そうすると、広域メリットオーダーがない、また離島の割合も非常に多いということになると、送配電にかかる費用、ひいては電気料金がほかのところよりは高くなるということになります。

 現実に、沖縄地域の電気料金というのは、ほかのところに比べて高くなっております。最近、東京電力のところが若干高くなっているというような特殊事情はありますけれども、中長期的に考えれば、やはり、沖縄地域の方の電気料金というのはどうしても高くなってしまうというような事情があると思います。

 では、このような特殊事情がある沖縄地域に関して、今回、電力システム改革で、安定した電力の供給とともに、低廉な電気料金というのも一つの目的にありますけれども、今言ったような送配電、ひいては電気料金がほかに比べて高くなってしまう、このような不利な状況を勘案して、何か政府として支援策を行っていくつもりはあるのかどうか、現在の支援策を踏まえて答弁いただければと思います。

井上政府参考人 お答えをいたします。

 沖縄の電力事情でございますけれども、既にるる御指摘をいただいておりますとおり、沖縄本島を含む三十八の有人の島々に電力を供給する必要があるわけでございますけれども、広大な海域に島々が点在をしておりまして、独立した小規模な電力系統が必要でございます。また、本土の電力系統と連系をされておりませんで、広域融通の枠外にあるなど、電力供給面におきます構造的な特殊性を抱えておりまして、本土と比べて電気料金が高くなりやすい性質を有しているものと内閣府としても認識をいたしております。

 このため、これまでにも、沖縄の発電用石炭とLNGに対しましては、石油石炭税の免税措置を講じております。また、沖縄電力の有する電気事業資産の固定資産税につきましては課税標準を三分の二といたしておりまして、これらを通じて、沖縄における料金水準の低減、電力の安定供給の確保を支援してきたところでございます。

 内閣府としては、引き続き、沖縄県とも連携をしながら、沖縄における電力の安定供給の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。

國重委員 ありがとうございました。

 今、既にさまざまな施策はとられているけれども、電力システム改革については、実行それ自体、まだ始まっていないので、これが実行された暁には、しっかりと注視をして、何か沖縄が不利になるような状況があれば、またしっかりとしかるべき支援策をとっていただければと思います。

 続きまして、次は、卸電力市場の活性化に関する取り組みについてお伺いいたします。

 平成二十四年度の国内の全電力販売量のうち、卸電力取引所での取引量というのは約一%にとどまっております。これに関して、今、一般電気事業者が自主的な取り組みで、これまで以上にしっかりと余剰電力を売るというようなこと等、新たな取り組みもされております。

 先日、五月七日の参考人質疑で松村参考人が、自主的な取り組みだけでは限界がある場合には、何らかの強制的な手段が必要になるんじゃないか、例えば、売り量を一定量出させることとか、一定量については相対取引をさせることなどの手段があるというようなことを述べられておりますけれども、これについての政府の見解についてお伺いいたします。

上田政府参考人 委員御指摘のとおり、卸電力市場の活性化につきまして、私ども、システム改革の一環といたしまして、去年の三月から、一般電気事業者が余剰電力を卸電力市場に売買する取り組みというものを開始しておりまして、そのモニタリングを行っております。おっしゃるように、まだ十分ではありませんが、スポット市場の売り入札量は五倍ぐらいになっておりまして、約定量も一・五倍程度に拡大をしているという状況にあります。

 私ども、こういった余剰電源の市場への供出というものは非常に重要な取り組みであると考えておりまして、卸電力市場の活性化ということを引き続き進めていきたいと考えております。

 現在、御案内のとおり需給状況が非常にタイトでございますので、供給力の増加部分を卸電力市場に直ちに出していくということはなかなか難しい場面もあるわけでございますが、将来は、需給状況が改善していくという状況下では、そうしたことが期待されるわけでございます。

 それで、松村参考人の方から、卸電力市場の活性化が十分機能しないような場合については、卸市場活性化策、例えば、強制的な電源供出、相対取引といったことについても検討する必要があるというお話がございましたことは承知しておりますけれども、私ども、基本的には同様の認識でございまして、ただ、今行っておる取り組みというものの状況をいま一つしっかりモニタリングし、さらに、関係電力会社等々に卸電力市場への供出を促してまいりたいと考えております。

 そういったことが十分に機能しなかった、その結果として卸市場の活性化が十分進展しない、あるいは需要家の選択肢が非常に限定的となってしまう、こういう場合につきましては、強制的な供出といったことも含めて、今後検討してまいることになると考えております。

國重委員 ありがとうございました。

 続きまして、電力先物市場についてお伺いいたします。

 電力先物の導入に関しては、電力調達の価格リスクをヘッジすることによるものと認識しておりますけれども、改めて、電力先物導入の意義についてお伺いいたします。

赤羽副大臣 今長官からの御答弁にもありましたように、まず、今の電力の需給状況を改善するということがシステム改革の大前提だというふうに思っております。そして、その改善する中で、國重委員もこの前の参考人質疑で御指摘されたように、競争基盤を整備するために卸電力取引所を活性化させる、取引を厚くするということが私も大前提だと考えております。

 今回の電気事業法の改正によりまして、今言いましたような卸電力取引所の取引量を増大する、そうさせていくということを考えているわけでありますが、そうした場合に、取引価格は需給により変動するために、事業者として価格変動リスクを回避する必要性が生じるわけでございまして、そういった意味で、今回の電力先物取引の導入の意義はあるのではないか。

 具体的には、一つには、小売電気事業者があらかじめ調達価格を確定させること、二つ目に、発電事業者があらかじめ販売価格を固定化し、事業運営を安定化させること、そして三つ目は、需要家があらかじめ電力の購入価格を固定化させること等々のニーズが想定されるわけでございます。

 しかし、繰り返しになりますが、スポット市場の厚みを持たせてやっていかないと先物がなかなか育っていかないのではないかというふうにも私は考えておりますので、そうしたことも踏まえながら、一体となって取り組みを進めていきたい、こう考えております。

國重委員 ありがとうございます。よくわかりました。

 続きまして、今のものに関連しますけれども、現在の先物市場の取引額、これについては二〇〇六年以降激減しておりますけれども、これについての理由、それと、電力先物市場を先行した諸外国において生じた弊害とそれを踏まえての今後の対策についてお伺いいたします。

寺澤政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、二〇〇三年ごろをピークとして商品先物市場の規模は縮小し、現時点では、ピークに比べて四分の一以下という規模にまで大幅にマーケットが縮小しています。その原因としては、特に大きいのは、二〇〇四年に例えば再勧誘の禁止といった規制を導入したことも含め、累次にわたりさまざまな規制強化をした、これが大きくきいているのかな、影響しているのかなと考えております。

 次に、海外の経験でございます。

 電力先物市場については欧米が先行したわけですけれども、公表された事例でいいますと、米国と北欧において数件の相場操縦があったというふうに承知しています。具体的に、例えば取引所の取引時間が終了する直前になって大量の取引をして価格を操作する、こうした事案があったと承知しています。

 こうした海外における経験も踏まえて、こうしたことが起きないよう、我が国では相場操縦の禁止規定を盛り込んでいます。これに違反した場合には厳格な罰則を入れていまして、具体的には、五年以下の懲役または五百万円以下の罰金というのを用意しています。

 また、東京商品取引所は、二十四時間体制でマーケットをウオッチしていて、不正な行為を厳しくチェックします。また、政府も同様に市場、マーケットを監視して、万が一不正な行為があれば、取引制限も含めて厳格な措置をスピーディーに対応していきたいというふうに考えておる次第でございます。

國重委員 ありがとうございました。

 注視をして、しっかりとした対応をまたよろしくお願いいたします。

 続きまして、小売全面自由化が進んだ場合の再生可能エネルギーの固定価格買い取り義務者、これについて、小売事業者なのか、それとも送配電事業者になるのか。昨年六月五日の政府参考人の答弁では、システム改革の詳細設計と並行して、どちらがいいのかということを議論させていただきたいというような答弁がございましたけれども、小売事業者になるのか、それとも送配電事業者になるのか、どちらになるのか、また、その趣旨も含めて御答弁いただければと思います。

木村政府参考人 固定価格買い取りの義務者でございますけれども、現行制度でまず、電気の需要家に電気を販売する事業を営む、いわば小売機能を有する事業者に買い取り義務を課すことが適切であるという判断のもと、一般電気事業者のみならず新電力に対しましても、再生可能エネルギー電気の買い取り義務を課すという措置を講じております。いずれにしても、買い取った電気を最終需要家に売らなければならないという点は改正の前後で同じでございます。

 したがいまして、今回の改正案では、制度の安定的な継続の観点から、引き続き、電気の需要家に電気を販売する事業者として新設されます小売電気事業者に買い取り義務を課すことが合理的であると考えまして、かような改正を盛り込んでいるところでございます。

國重委員 ありがとうございました。

 時間が迫っておりますので、あと一問、二問程度で終わりたいと思います。

 小売全面自由化後の需要家保護のための措置としまして、小売電気事業者に対して、契約条件の説明義務を果たすことになっておりますけれども、わざわざ説明義務をここに設けていますけれども、この具体的な内容、これについてお伺いいたします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 小売電気事業者が需要家に対して説明すべき事項の具体的内容でございます。

 詳細は今後経産省令において定めることとなりますが、例えば、小売電気事業者の名称であるとか、適用される料金やメニューの内容であるとか、料金の支払い方法であるとか、苦情あるいは問い合わせの連絡先であるとか、あるいは付随するサービスがある場合にはその内容といったことが想定されますし、また、電源構成を特徴としたメニューを提供する事業者については、その電源構成の適切な説明を行う、こういったことを想定しているところでございます。

國重委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 質疑の機会をいただきました。この電力システム改革に関しましては、本法案の審議に関しましては、民主党政権で先鞭をつけたものでありまして、その改革の実現に当たっては、ぜひとも前向きな建設的な議論をさせていただきたい、このように考えております。

 昨年も質疑をさせていただきましたが、今回、第二弾改正ということで、電気の小売の参入全面自由化を内容とするものということでありますが、二〇〇〇年の小売の部分自由化からもう十年以上も経過しているにもかかわらず、二〇一二年度でも、新規参入自由化部分、シェア三・五%など、非常に低迷した状況です。

 なぜ競争が進んでこなかったか、自由化が進まなかったか。その一つとして考えられるのは、いわゆる卸の電力市場が十分に機能してこなかった、これがやはり大きいのではないかというふうに考えます。電源の流動性、すなわち、商品が提供されなくして新規参入者がふえるわけはありませんし、また、区域外の大手電力業者、大手電力会社も、必要な電源を手ごろな価格で入手できなければ、市場が活性化するわけはありません。

 そこで、きょうは、卸電力市場活性化に関して議論をさせていただきたいわけでありますが、そのために必要なことは二点あると考えております。

 一つは、水力を中心とする、自治体が行っている公営電気事業の一般競争入札への移行であります。これに関しましては、昨年の第一段階改正の段階で、私、質疑をさせていただきました。また、経産省においては、茂木大臣にも、検討する、このようにお答えいただいたいわゆる交付金の規則の見直し、これも速やかに実施をしていただいたところであります。

 そして、もう一つございます。活性化の重要なポイントとして、石炭火力を中心とする電源開発の電源、すなわち電発電源のいわゆる切り出しという問題に関して、ここをしっかりと進めなければ活性化というのはなかなかに進むものではないということを、この審議の中で確認していきたいというふうに思います。

 まず、電発電源の切り出しということでありますが、これに関しましては、聞きなれない方もいらっしゃるかもしれませんが、電源開発は、ほぼ全量無期限で、長期の相対契約で一般電気事業者、大手電力会社に供給をされています。いわゆる売電をされているわけであります。このような状況で、今日、電発電源は非常に安定した安価な電力供給源ということで使われてきているわけでありますが、もともとは、一九五二年の電源開発促進法に基づいた政府出資の会社でありました。

 二〇〇三年の電気事業分科会では、民営化に向けたその方向性というものが議論をされております。二〇〇四年十月に完全民営化となるわけでありますが、いわゆる電力供給を、大手電力会社へのバックアップという形だけではなくて、あり方として、お配りをさせていただきましたお手元の資料1にもありますように、二〇〇三年、平成十五年でありますが、ここでは、「民営化後の電源開発株式会社の在り方」として、「卸電力市場など制度改革による新たな仕組みのなかで重要な役割を果たすことが期待される」と。すなわち、卸市場における供給者という位置づけが明確にこのときにも望まれていたというわけであります。

 この電源開発の発電能力というものは、大手電力会社と比しても大変大きなものです。沖縄、四国、北海道、北陸、中国、これらを上回り、東北電力と並ぶ、匹敵するような発電容量を持っておりまして、また、主たる電源は、コストが非常に低い、あるいはベース電源となる水力、石炭火力が中心となっております。ちなみに、水力は五〇・五、石炭火力は四九・四という内訳になっているように、電源開発は、安定した電源を安価に供給する、この使命をもとに、今日も大手電力会社に供給をされているということになります。

 さて、こうした電源開発の電源があるわけですが、一方、卸売市場でいいますと、先ほど申し上げたように、相対取引でなされているということでありますが、一般市場、日本卸電力取引所、ここでのスポットの市場価格がどうなっているかということを、これは事務方にお尋ねしたいんです。二〇一三年度の平均は、価格、キロワットアワー当たりで結構ですが、お答えいただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 スポット価格の平均でございますが、二〇一三年度ですけれども、キロワットアワー当たり十六・五円でございます。

馬淵委員 この十六・五円というのがその取引所で取引される価格であります。

 大手電力会社から取引所に供出される電源というのは、コストが高い、いわゆる石油火力などが提供されているということになっておりまして、市場、取引所での価格というのは非常に高くなっている。逆に言うと、新規参入者にとってはなかなかに厳しい状況になっております。

 一方で、電源開発から電気の供給を受けている大手電力会社が一体幾らで電源開発から仕入れているのかということであります。

 ここで、電源開発の二〇一四年三月期の決算説明資料、これはお手元の資料2をごらんください。ここでは、二〇一三年度の卸電気事業の売上高が、丸囲みにしております。イと書いておりますが、四千百十八億円であります。これに対して、販売電力量、これは資料の3でありますが、これをごらんいただきますと、五百四十三億キロワットアワーであります。これで割りますと、一キロワットアワー当たり販売単価が出てくるということになります。

 その価格というのは、この資料に私の方で計算をしております。これは電発にも確認をしておりますが、約七・六円、これが電発が大手電力会社に提供している売電価格であります。先ほど申し上げたように、卸取引市場では十六・五円。これの半値以下で電発は電源を供給しているということであります。

 また、これは資料の4をごらんいただきたいと思いますが、コスト等検証委員会、これは経産省資料でありますが、二〇一〇年モデルということで試算をしたものであります。

 これに関しましては、石炭火力、このコスト等検証委員会では九・五円という計算をされております。先ほど申し上げたように、取引所では大変高い電源の電力が供給されているということから十六・五円でありますが、コスト等検証委員会でも九・五円、このような状況である。新規参入者の電源調達の四割がLNGということでありまして、これは、ごらんいただきますと十・七円、このように出ています。

 このように、新規参入者が本来取引所で買うのは十六・五円、しかし、大手電力会社は、このように大変安い七・六円で調達をしている。この価格でいかに市場に出していくかということが極めて重要であるということになります。

 したがいまして、供給量の面からいっても、また調達コストの面からいっても、競争促進のためには大手電力会社の既得権である電発電源の切り出しというものが極めて重要になるということをまずは皆様方に確認いただきたい、このように思います。

 そして、この切り出しの重要性というのは、もう過去においても繰り返し指摘をされてきました。二〇〇五年以降、これに関しましては重要性が問われ、またその試みがなされてきたわけであります。

 しかし、結果はどうかといいますと、なかなかその成果というのは得られていない状況だ、このように考えられます。

 資料の5をごらんください。現時点におけるこの電発電源の切り出しということでありますが、電力会社の自主的取り組みということで行われているものであります。

 その中で、ここにありますように、この表でごらんいただきますと、切り出しを自主的に行ったのは中部電力と関西電力の二社のみであります。その他の大手電力会社は、対象電源や切り出し量を示しておりますが、その実施時期については、未定、あるいは、原子力再稼働後の需給、収支、経営状況次第と極めて曖昧。中でも四国電力は、数万キロワットといって数値すら示していません。

 このような状況でなぜ進まないかということを少し検証したいと思うんですが、ここで5の資料をごらんいただきますと、切り出しができない理由、これは電力会社がヒアリングに対してこう答えているんですね。できない理由は二点あります。御案内のように、この資料を見ていただきますと、厳しい需給状況、電力の需給が非常に逼迫している。あるいは、収支状況、経営が非常にタイトだ。この二点を理由に挙げられています。果たしてこれは妥当なんでしょうか。

 これについて確認をしていきたいんですが、まず需給状況であります。

 電力需給に関して厳しい状況だという話でありますが、例えば供給余力というものを鑑みますと、ことしの八月の需給の見通し、これは資料がございませんが、これを見てみますと、ことしの八月、予備率が最低限度、三%ぎりぎりで夏を迎えるというのが関西電力と九州電力であります。先ほど申し上げたように、関西電力はもう既に切り出しを行っています。九電は切り出しを行っていない状況の中で三%ぎりぎり。これも、いわゆる周波数変換装置を通じた電力融通を行っての上なんです。

 しかし、需給の逼迫ということについて、今まさにオープンにしようとする中でいうと、切り出された電発電源というものがどこに行くかというと、消えてしまうわけではありません。いわゆる卸市場に出ていくわけですから、何らかの形で、別の電気事業者を通じていわゆる供給され、需要家の中にそれが届いていくわけですね。つまり、マクロではこの電発電源というものはしっかりと需給対象として使われるわけです。影響を与えるものではありません。あくまでも、この予備率というのは、地域独占の電力会社の立場から見たときに言える数字であって、総体で見れば何ら影響を与えるものではありません。

 このような状況の中で、果たして切り出しが需給状況に影響を与えるのかということになります。ここに関しましては、資料の6に若干の計算をしてみました。ここは、資料6でごらんをいただければと思いますが、切り出し可能と言っている設備容量がどの程度の割合を示すものかということであります。

 この6の資料をごらんいただきますと、東北電力十万、北陸五万、中国二万、四国は数万と言っていましたので二万と仮置きをいたしました。九州電力一・五万。これらは、ごらんいただいてもわかるように、設備容量の〇・〇七%から〇・六二%の範囲であるということで、少なくともこの予備率を見ている限りにおいても、ぎりぎりなのは九州が三%ということでありますが、東北電力などは七・五%、これは数値をお配りしておりませんが、決して需給逼迫という状況と必ずしも言いがたいということも言えるのではないかと思います。

 繰り返し申し上げますが、総体としては、電力の需要家に届いていくわけですから、切り出しを行って、我が国における電力供給が滞るということではないということであります。

 さらに、厳しい収支状況、この理由についての妥当性も確認をしていきたいと思いますが、これは、まず経産省、事務方にお尋ねします。

 切り出しを行っていない五社、東北、北陸、中国、四国、九州、これら電力会社の二十五年度決算における当期純損益を端的にお答えいただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 順に申し上げます。東北電力の当期純損益、二十五年、三百六十億の益でございます。それから北陸電力、二十五年、十六億円でございます。それから中国電力、赤字の百八十八億円でございます。それから九州電力、赤字の九百九億円でございます。

富田委員長 四国。

高橋政府参考人 失礼しました。

 四国電力でございますが、黒字の二百八十億円でございます。

馬淵委員 経営状況が厳しいということは私は否定をいたしませんが、全てが赤字というわけではないというわけであります。

 このような中で、もちろんコストというものが限界的に利益にきいていくこと、これはもう当然であります。資料の6にも、そこでかかわる、収支に与える影響というものをざくっと計算しておりますので、ごらんをいただければというふうに思います。

 確かに、赤字会社においては一円たりとも利益を圧迫するようなコスト増というのは避けたいんだというのはよくわかります。経営者としては当然そこにこだわるわけでありますが、ただ、繰り返し申し上げますが、全て赤字会社でどうしようもないからできないという話じゃない。需給の観点から非常に厳しいんだという話、あるいは収支に関して厳しいんだという話、これはそのまま丸のみ、うのみにできる状況かというと私はそうではないなというふうに、個別で見ればうかがえるのではないかと思います。

 逆に言いかえれば、経営者の立場でいえば、これはみずからが取り組む自主的な取り組みなんですが、それこそ赤字の中であれば、一円たりともこのような切り出し、コスト増要因は避けなければならないと働くのは当然であります。したがって、そこは何らかの措置が必要ではないかということが当然問われるのではないか、このように考えます。

 そこで、制度措置の検討ということについて確認をしていきたいわけでありますが、これも少し試算もしてみました。

 大手電力会社が電発電源の切り出しができない理由の、先ほど申し上げた需給状況や収支状況ということでありましたが、では、実際に切り出した電源が市場に対してどのような影響を及ぼすかということなんです。

 資料の7をごらんください。これもこちらで試算をいたしました。現状の卸電力市場のスポット取引の電力量、実績、平成二十五年度は百三億キロワットアワーであります。これに対して、先ほど出てきた切り出し可能な数値、四国電力は二万キロワットと仮置きいたしました、設備の利用率八〇%、これで十四・四億キロワットアワーです。すなわち、取引電力量で一四%の増加となります。つまり、市場に安い電源が供給されてくるわけですね。

 これによって、では、市場調達価格はどうなるかといいますと、これは資料8をごらんください。これによって得られる電力量が十四・四億キロワットアワーであります。また、現在のスポット価格十六・五円に対して、仮に、コスト等検証委員会の数値九・五円、あるいは、電源開発の電源としてこれが切り出されたとした場合は七・六円です。いずれの場合を計算しても、ここにありますように、十五・六円から十五・三円。すなわち、一円程度の引き下げが可能となります。

 このように、大手電力会社はできない理由を掲げておられますが、その一つ一つを見れば、妥当性に関しては、いささか疑義が生じる点もある。

 その上で、電力市場の活性化には欠かすことができないこの切り出しについて、影響は明らかにあるんだ、大きな影響を及ぼすと言っても過言ではないと思います。しかし、経営者は、みずからがみずからの利益を圧迫するようなことは、なかなか自主的な取り組みではできません。ならば、これはやはり制度的措置が必要ではないかということになります。ましてや、これからオープンな市場になっていくとすれば、競争相手の競争力を高めることというのはなかなか避けたいと思うのは、これは当然ではないかということになるかと思います。

 そこで、もう一つの理由はないのかということでありますが、資料の9をごらんください。これは、平成二十四年、二〇一二年四月三日に、電力システム改革専門委員会で提出された資料ですが、ヒアリングの結果によるものです。

 いわゆる電発電源の切り出しがなぜできないかということについて、先ほどの二点もありましたが、もう一つ加えてあるんですね。これが、株主との関係の、説明で困難、あるいは代表訴訟のリスク、こういうふうにおっしゃっておられます。このように、東電、東北電力、中電といった方々が、いわゆる株主代表訴訟にたえられないじゃないかと。

 こういった状況の中で、この資料では、ならば、この自主的な取り組みというのはなかなか困難ではないかということも指摘をしています。この9の資料の二つ目にありますように、「電源切り出しと適正な電力取引についての指針」としては、「自主的な取組を促すという手法自体の限界を示しているのではないか」、そしてさらに、その下にあります「オプションについての基本的な考え方」でありますが、「一定の電源切り出しを法令による強制的な枠組みとして定めることも必要ではないか」、このように指摘をしているところであります。

 大手電力会社が、自主的な取り組みを行うと言いつつ、一つも前に進まない、ある意味、既得権のように電発電源を持っている。この切り出しに対しては一向に応じようとしない中で、やはりここは、政府が代表訴訟リスクを軽減させていくということは、一つは、制度的措置の早期の検討が必要ではないかということになるのではないかと思われます。

 そこで、大臣にお尋ねをしていきたいわけでありますが、昨年の第一弾改正の中では、附則の十一条一項二号で、二〇一八年から二〇二〇年までの間に、いわゆる小売電気料金規制の撤廃、全面自由化だということを定めました。そして、それに向けて環境整備が必要だということで、料金規制の撤廃を一八年から二〇年までの間に行う。その前段階として、競争環境整備を行う。さらに、その環境整備を行うための措置が必要であり、その検討が前段階。逆算すると、このようになってきます。

 あと四年から六年の間に、今申し上げた逆算の過程でいうと、この制度的措置の検討というのはもはや待ったなし、早急に検討を始めなければならないのではないか、このように考えるわけであります。

 資料の9の下の段のところでありますが、これが、昨年の十月二十一日の提出資料、再掲とありますが、「制度的措置の検討に要する期間の確保」については、「外部環境等を考慮しつつも、必ずしもその回復を待たずともモニタリングおよび評価は早期・適時に行っていくべきではないか」、こう示されております。

 以上のことを踏まえまして、大臣は、来年の通常国会に第三弾の法案を提出されるということになるかと思いますが、それに向けて、それまでに少なくとも制度的措置のメニューを示すお考えはおありでしょうか。御答弁をお願いします。

茂木国務大臣 ずっとお話をされたので、この制度的措置のどの部分について法案で措置するか、具体的に聞いていただけますとお答えできるかと思うんですが、多分三つか四つのことをお話しされた上で、やりますかと言われますと、どの点なのかわかりませんので、恐縮ですが、もしよろしければ具体的にお願いいたします。

馬淵委員 自主的取り組みということには限界があるということが報告書でも上がってきています。それに対して、ここで、昨年の十月に、「モニタリングおよび評価は早期・適時に行っていくべきではないか」としています。これは、自主的取り組みが果たして進むのかということのモニタリング並びに評価なんですね。

 これを、早期、適時というのはいつなのかという話なんです。来年の通常国会で第三弾の法改正が出てくる前に、少なくともこの秋には取り組みを始めなければならないではないかということを私はお尋ねしております。そのことに対してお答えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 卸電気事業者の電源の切り出しの問題、大きな話で申し上げますと、卸電力市場をいかに活性化するかということにもかかわってくるわけでありまして、これについてはモニタリングも行っております。そしてやはり、卸電力市場というものが大きくならないと本当の意味での実質的な自由化というものは進まない、こんなふうに今考えているところであります。

 いつと期限を区切るわけではありませんけれども、電力システム改革は、二〇一八年から二〇二〇年度で、全体のスケジュール的には制度的な措置をするということを基本にいたしております。もちろん、料金規制等、競争環境が整うかどうかを見きわめた上で、全面的な撤廃を行う問題につきまして、若干時期がずれるという問題も出てくるかもしれませんが、基本的にはそこまでにさまざまな対応をとっていかなければいけないと思っておりまして、電力の卸売市場のモニタリングにつきましても、そういったことを視野に行っていく。

 そして、最終的に、需要家の選択肢がどうしても限定的になるということが明らかになった場合には、例えば海外で行われているような強制的な電源供出、こういった事例も参考にしながら、制度的措置を伴います卸市場の活性化策を検討したいと考えております。

馬淵委員 ごめんなさい、再度確認ですけれども、すなわち、早期、適時にモニタリング評価を行っていくということについては、大臣としては、それは制度措置というものを早期、適時に検討を行う、そのようにお考えだということでよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 電力システム改革といいます改革を進める、これと、例えば卸市場が拡大をして、鶏が先か卵が先か、こういう部分は当然出てくると思いますが、いずれにしても、この市場がきちんと大きくなっていく、こういった状況を見きわめつつ、もし、このままでは大きくならない、システム改革を進めるスピードよりもどうしてもおくれてしまうということになりましたら、強制的な措置も含めて検討する必要があると思っております。

馬淵委員 もう前向きな御答弁をいただいていると受けとめますが、ただ、お言葉を返すわけではありませんが、自主的な取り組みは十年来進んでいないんですね。

 それは、東電のあの遮水壁や凍土壁のお話も一緒ですが、経営者側が事業継続をやっていこうとすると、やはりジレンマに陥るんですよ。市場のオープン化、市場の活性化には必要かもしれないが、みずからの身を削ることはどうしてもちゅうちょしてしまうんです。

 だから、私が申し上げているのは、この制度措置は、電力システム改革の全体の制度措置を言っているんじゃありません、今回の論点は電発電源の切り出しについてです。進まなかったことに対して、もはやそこに踏み込まねばならないのではないかということを私は問うているわけであります。

 それに今前向きな御答弁をいただいた。うなずいておられるということですから、それでよろしいということで受けとめますが、極めて重要だと申し上げたいと思います。鶏、卵ではなく、もはや、もう前に進まないことが明らかなものを、しっかりと確認をして進めていく。繰り返し申し上げますが、大手電力会社の既得権になっているんです。これに切り込むということが電力システム改革のまさにかなめじゃないですか。大臣が最も大きな使命を背負っておられると私は思いますよ。だから、ぜひそこは制度措置まで含めて取り組むんだという決意をしっかりと持っていただきたいということを、改めて。

茂木国務大臣 先ほど、電力会社がなかなかこの切り出しが行えない理由、収支の状況を挙げている会社もありますけれども、基本的には、電力需給の逼迫の問題を挙げている会社が大半であります。これはやはり、地域ごとの独占のもとでやってきたということが大きな問題なんだと私は思います。

 ですから、十年間できてこなかった一つの理由として、やはり地域独占で電力の供給を行ってきたということに問題があるわけでありまして、電力システム改革の中ではその部分は変えるわけであります。そのための取り組みも行っておりますから、その理由はもはや何年か後には電力会社としては使えなくなる、このように思っております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 きょうも私はいろいろなところから話を聞いておりまして、これは電力会社さんが大変注目して聞いておられます、どうなるのかと。そういう意味では、前向きな御答弁をいただいたと受けとめます。

 その上で、もう一点課題があると思っているんです。それは、先ほど、資料5、また戻っていただくと、いわゆる需給状況、収支状況もありましたが、もう一つ、原発の再稼働ですね。電発電源の切り出し時期について、「原子力再稼働による需給改善後」というのが出ております。すなわち、原発再稼働と関連づけているということであります。

 しかし、この再稼働に関しては、原子力規制委員会の新規制基準適合性審査あるいは地元調整など、非常に不透明な部分が出てまいります。したがいまして、卸電力市場を活性化するときに原発再稼働と絡めてしまうというのは、私はこれは違う、このように思っております。

 そこで、大臣に確認ですが、先ほど来、まさに電力会社にそういうことを言わせなくなるのがこの仕組みなんだというお話でありましたが、この再稼働を待たずして電力の、電発電源の切り出しということを進めていく上において、自主的取り組みの評価を行い、早期、適時適切に制度措置を検討すると。先ほど、それはすなわち前向きにやるんだというお答えをいただいていますが、再稼働とは切り離して行うべきだということでお考えなさっておられるでしょうか。いかがでしょうか。

茂木国務大臣 再稼働そのものと直接関係する問題ではないと思っておりますが、電気事業者においては、電力の安定供給、そして、今後の、さまざまな発電部門、送配電部門に新規の投資を行っていく、そのための収益の確保等々は必要になってくるわけでありまして、そのために、電力会社としてしっかりした、できるだけ低コストの電源を確保する、これは事業者としては当然考えることだと私は思っております。

馬淵委員 直接関係ないんだということを御答弁いただきました。もちろん、事業者として安定供給のことは考えなければならないが、そのことが理由ではないんだということを御答弁いただいた、私はこのように受けとめました。

 ここは重要なポイントです。繰り返し申し上げますが、大手電力会社がさまざまなやらない理由を並べるんです。そこに対してはしっかりと、明確に、卸市場の活性化が電力システム改革にとって極めて重要だという位置づけから進めていただきたいということをお願いしたいと思います。

 いわゆる電発電源の切り出しに関しては、前向きに進めていただけるということを確認できたと思います。

 その上で、先ほど申し上げた、昨年私が質問させていただきました、いわゆる公営電気事業の一般競争入札への移行、これは昨年六月五日に質疑をさせていただいて、交付規則の見直し、これに茂木大臣から検討の答弁をいただいて、七月三日付でこの制度改正をいただきました。早急な御対応を心から感謝申し上げます。

 一方、その後、では、この一般競争入札が進んだのかということであります。

 事務方に簡単に御答弁をいただけますでしょうか。

 これは東京都以外に、一般競争入札は進んでいますでしょうか、実績はありますでしょうか、端的にお願いします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 昨年三月、東京都が実施して以降、その後、その他は行われていないというふうに承知しております。

馬淵委員 これは行われていないんですね。

 制度改正していただきました、私は、これは大変前に進んだと思っています。既得権を一つ打ち崩しているわけです。しかし、実績はないんです。ない理由というのが、やはり一つは、複数年契約があります。長期の契約を結んでおられる。

 この複数年契約に関しましては、二〇二〇年以降まで契約が残っているというところが多数ございます。それを競争入札に切りかえるんだとしたときに出てくるのが違約金の問題です。

 長期の契約を解除するならば違約金を払えということで、これは現在、競争入札に切りかえるという中で新電力、エフパワーと契約をしたところ、東京電力の売電契約の見直しに対して、東電側から東京都へ五十二億の違約金が請求されるということになりました。

 これを見て、当然、公営電力事業会社というのは二の足を踏みますよ。このようなお金が、なぜ五十二億なんというものが請求されるのか。これは、いろいろな評価ということが本来ならばなされなければなりませんが、一方的に東電側がこの請求をされたということでありました。

 当時の都知事は、ぼったくりバーみたいな請求だ、このように、東電の途中解約の違約金の支払いに対して大変憤っておられるというのも記事に出ております。

 やはりここは、一般競争入札を進めていくためには、解約ということを前提に考えなければならないと思います。

 そこで、私は、その予見可能性を持たせるためには、政府側が解約時のガイドラインたるものをやはり提示しなければならないのではないかと思います。いわゆる違約金のルールですね。少なくとも、これは検討して提示をしていくことが必要であり、そうでなければ、これは規則を変えても結局進まないですよという話になっちゃうんですよ。

 ですから、ここはまず大臣に御答弁をいただきたいですが、ガイドラインの提示というものを検討していただきたいということが一点。

 そして、もう一つあります。

 それは、やはりもう一つの大きな進まない理由としては、自治体がやっている公営電気事業というのは、これは水力ですから、その位置が集中してしまっています。水がたまらなかったりすると、電力供給が非常に不安定になる。

 こういうことが考えられる中で、一つのアイデアとして、公営電気事業のリスクヘッジを容易にするために、例えば、公営電気事業者同士で合弁化する、あるいは、その後供給されるであろう売電収入で得られる収入をあらかじめ証券化するなどの金融商品、金融手続、こういったものを取り入れてスキームを考えていくということが必要ではないかと私は思っています。

 これは御提案なんですが、この二点について、大臣、もう最後、時間はありませんが、御答弁いただけますでしょうか。

茂木国務大臣 答弁の前に、先ほどの問題で、原発の再稼働そのものとは直接に関係しません。ただ、原発の再稼働と全く関係しないかという部分については、後半の私の答弁でお話をさせていただいたと思います。

 その上で、東京電力と東京都の契約解除、御案内のとおり、両当事者によりまして合理的な違約金を算定することが合意されまして、現在、裁判所におきまして調停を粛々と進めているところであります。

 確かに、これはモデルケースになるものだと思っておりまして、今回の調停の結果も踏まえて、ガイドラインの策定も含め、必要な対応を検討したいと思っております。

 将来の話でありますけれども、やはり私は、公営電気事業者はもっと積極的にいろいろなことをやってほしいと基本的には思っております。合弁という形がいいかどうかは別にして、セキュリタイゼーション、将来の形としては私はあり得ると思っております。

馬淵委員 ありがとうございました。

 質疑を終わらせていただきます。

富田委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 私は、きょうは、エネルギーの、電気の需要サイドの話、省エネの話を中心に質問をさせていただきたいと思います。法案よりは少し広目の話になりますけれども、よろしくお願いをいたします。

 先ごろ閣議決定されましたエネルギー基本計画、このエネルギー基本計画とは何か。エネルギー基本法を見ますと、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るためのエネルギーの需給に関する基本的な計画、こういうふうに定義されているわけであります。

 ある種、当たり前なんですが、供給だけじゃなくて需要も含めて計画をしろということでありますが、今回のエネルギー基本計画の中で、エネルギーの需要についてどのような施策が書かれているのでありましょうか。例えば、第三章のところにも、やはり、この法律のとおり、「需給に関する長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策」とうたわれています。この需要面について、少し御説明願いたいと思います。

赤羽副大臣 奥野委員も御承知のように、三・一一東日本大震災による東京電力の福島第一原発の事故発生以来、我が国は、新たなエネルギー制約に直面をしているわけであります。そうした前提の中で、供給サイドだけではなくて、需要サイドをどう省エネ化していくかというのは大変重要な視点であるというふうな認識でいるということをまず申し上げておきたいと思います。

 そして、今回のエネルギー基本計画の中で、今御指摘いただきましたように、第三章の第二節、「徹底した省エネルギー社会の実現と、スマートで柔軟な消費活動の実現」という項目を立てさせていただきまして、省エネルギーの取り組みを記載させていただいているところでございます。

 具体的に、簡単に申し上げさせていただきますと、一つ目に、業務・家庭部門、いわゆる民生部門においての省エネにつきましては、特に住宅、建築物の省エネルギー化を進めるべく、二〇二〇年までに新築住宅・建築物については省エネルギー基準の適合を義務化するということも表記させていただいております。また、加えて、昨年は、皆様の御理解をいただきまして、省エネ法の改正を行わせていただきました。断熱材等をトップランナー制度の対象にしているといったことも表記させていただいているところでございます。

 次に、運輸部門につきましては、省エネに資するモーダルシフトを進めていくということを全体的に表記させていただいておりまして、特に、次世代自動車を二〇三〇年までに新車販売の五割から七割の普及を目指しているということも考えております。加えて、省エネに資する高度道路交通システムの推進といったものも書かせていただいているところでございます。

 そして、産業部門につきましては、BEMSの導入ですとか、あと、製造業のプロセスの省エネに資する設備投資に対する支援など、多様な施策を用意することで、企業自身が最善の省エネルギー対策を進めていく環境を整備しているところでございます。

 そして、加えて、「エネルギー供給の効率化を促進するディマンドリスポンスの活用」ということも書かせていただいておりまして、まず、二〇二〇年代早期に、全世帯、全事業所にスマートメーターの導入を図っていく。加えて、需要家サイドの消費パターンを変化させた、先ほど、國重委員とか、午前中の御質問もあったかと思いますが、ディマンドレスポンス、電気料金を変化させるだけではなくて、節電に対しての角度からの新たな取り組み、仕組みをつくっていくといったものも、取り組みの中で大変重要な位置づけとして考えているところでございます。

 以上でございます。

奥野(総)委員 野心的な施策も含めて、個別の施策はいろいろ書かれているのでありますが、では、何のため、どこを目標にして、全体として、省エネ、幾らエネルギーの需要を抑制するか、こういう具体的な数字は書かれているのでありましょうか。

赤羽副大臣 今、一部申し上げました、例えばハイブリッド自動車、電気自動車、プラグインハイブリッド自動車等々、いわゆる次世代自動車につきましては、二〇三〇年までに新車販売に占める割合を五割から七割にするですとか、そういう個別なものは表記させていただいているということになっております。

奥野(総)委員 個別を幾ら言っても、やはり、日本全体として幾らエネルギーの需要があるのかと見通しを立てた上で供給サイドも考えていかなきゃいけないと思うんですね。ですから、全体があって、では、個別、それぞれどれだけ需要を減らしていくのかというのがないとやはり方向性が見えないと思います。需給の計画といいながら、実は、そういう意味の需要についての大きな長期的な見通しは一切書かれていないんですね。

 同じように、供給サイドも、エネルギーミックスについては今回具体的には出ておりませんで、各エネルギー源の位置づけを踏まえて、原発の再稼働やあるいは固定価格買い取り制度の導入状況、あるいは地球温暖化に関する議論の状況を見きわめて、速やかにエネルギーミックスについては示す、こう書かれているだけであります。

 しかし、当然、エネルギーの需要が幾らかということもあわせて示されないと計画を立てられないと思うんですが、エネルギーの需要についての中長期の見通しがこのときにあわせて示されるのか、あるいは、その際にあわせて省エネの具体的な数値目標的なものも示されるのか、そういう検討をする用意があるのかということを伺いたいんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 エネルギーのベストミックスを示す際には、今までの需要に合わせて供給を積み上げるという発想から、需要そのものもピーク時を中心にスマートにコントロールしていく、こういう発想に転換をするわけでありますから、省エネをどこまで進めるか、それによって電力需要がどこまで減るか、こういった省エネの目標も当然一緒にお示しをすることになります。

奥野(総)委員 今、前向きな御答弁、省エネの目標も示されていくということを承りました。

 その際、我が政権のときに、いわゆるエネ環会議、革新的エネルギー・環境会議というものがありまして、そこでは具体的に、二〇三〇年までの数値目標ということで、省エネについては、一千百億キロワットアワーということで、省エネ目標、削減の目標が示されていたわけでありますが、この検討というのは引き継がれるのでありましょうか。エネ環会議で具体的に示されたもの、個別の積み上げの中には、今回のエネルギー基本計画の中に住宅の省エネとか踏襲されているものもあるのでありますが、このエネ環会議の目標というのは、参考にされる、あるいはそれが引き継がれるのでありましょうか。

茂木国務大臣 前政権においてもさまざまな検討を行った中で、大切な問題、我々として重要であると思っている問題については、民主党がやったから全部否定します、こういうつもりはございません。きちんと引き継ぎたいと思いますけれども、エネ環戦略ですか、そのものを引き継いで次のベストミックスということを決めることは想定いたしておりません。

奥野(総)委員 あのときもかなり精緻な議論をして積み上げられているわけでありますから、そこはしっかり使っていただきたいというふうに思います。

 今御答弁で、具体的な省エネの目標も当然示されるということをおっしゃられました。

 例えばフランスなんかは、最終エネルギー消費量について、二〇三〇年までに毎年二・五%削減する、あるいはドイツはもっと野心的でありまして、二〇五〇年までに一次エネルギー総供給を五〇%削減する、これは消費と裏返しの話ですから、半分に減らす、こういう非常に野心的な計画を立てているわけであります。

 今おっしゃられたような省エネ目標、こういった形で国としての中長期の目標を示されるということで、もう一度、確認ですが、よろしいでしょうか。

茂木国務大臣 先週、ローマで開かれましたG7のエネルギー大臣会合、これに出席をしてまいりましたけれども、ここにおきましても、省エネをどう進めるかということは大きなテーマとして取り上げられたわけであります。ちなみに、共同声明の中にもそのことは盛り込まれておりますし、同時に、G7全体として、原発についても、ベースロード電源、こういう明確な位置づけが声明の中でもなされているところであります。

 ドイツなんかと個別に議論をしますと、こういった、二〇五〇年に五〇%、こういう目標を持ちつつ、もう少し短期のところで、再生可能エネルギーについては相当コストが上がってきている、こういう課題もあるようでありまして、それぞれの国が抱えている課題というものは大きいな、そんなふうに思っております。

 恐らく、エネルギーのベストミックス、日本でお示しをするときに、二〇五〇年というかなり遠い将来というよりも、もう少し近い将来、ベストミックスをどうするかということを書き込み、そして、ベストミックスを、目標を設定して、その達成は十年以内ということで進めていくという目標で書き込みをしていきたいということを考えております。

奥野(総)委員 原発再稼働ありきということではなくて、なかなか再稼働もスムーズにいくとは思えませんので、やはり需要の抑制が大事という中で、ドイツはかなり進んだ施策をやっているという例でありますけれども、我が国は逆に、特に民生部門については省エネ施策、まだまだ余地があると思うんですね。ですから、しっかり目標を定めていただいて、使うからしようがないんだ、だから原発もしようがないんだというのではなくて、できる限り努力をした上でのベストミックスを考えていただきたいと改めて申し述べさせていただきます。

 それで、今大臣の方からもございましたが、需要のコントロールをしていこうということが今回の電気事業法の改正の中でも狙いの一つとしてあると思うんですね。エネルギー基本計画の中でも、「電力システム改革等の構造改革によって、供給量だけでなく需要量を管理することを含め、」という記述もありますし、また、「電力システム改革による小売事業の自由化によって、より効果のある多様な電気料金設定が行われることで、ピーク時間帯の電力需要を有意に抑制することが可能となる」、こういう記述もあると思います。

 では、今回の改革、小売の全面自由化、経過措置を置きながらの自由化ということがエネルギーの需要管理にどうつながっていくのかということを伺いたいと思います。

赤羽副大臣 委員もよく御承知だと思いますが、現在、経済産業省は、全国で北九州や豊田市、国内四地域でディマンドレスポンスの実証実験を実施させていただいております。北九州市では、家庭に供給する電気料金を変動させる実証実験を実施しておりまして、通常時のキロワットアワーの料金を十五円という割安な料金に設定するかわりに夏場のピーク時には百五十円まで引き上げるといった料金体系を導入した結果、夏季のピーク時の電力消費量が二割も削減するという具体的な効果があらわれている。

 こういったことも踏まえて、今回出させていただいております法案につきましては、まず小売電気事業者への参入の全面自由化を行うということとしておりまして、このことによりましてさまざまな料金メニューの設定が可能になる、こう考えております。これは、需要抑制やピークカットにつながる料金メニューが提供されることになると期待もしております。

 また、一般電気事業者につきましても、経過措置としては料金規制は残すものの、需要家にとってメリットのある料金メニューを国の認可を得ることなく自由につくれるというふうにしておりますので、既存の一般電気事業者におきましても、同様に自由な料金メニューの提供が拡大するとも考えておりますし、そうも期待しております。

 こうして、料金メニューを需要家が自由に選ぶことが可能となり、その結果、柔軟な電力供給体制が実現されるように、そう進めていけるように頑張っていきたい、こう考えております。

奥野(総)委員 競争が進んで、いろいろな事業者が参入をしてきて、いろいろなタリフ、約款、料金メニューが出てくるという中で、当然、ニーズに応じたもの、夜間の電力使用、夜間は安く、昼間は高いというメニューを選ぶ人もいればということで、そういうことがなされるという御趣旨と伺いました。

 例えば、ドイツなんかは実際そうなっていて、料金メニューが多過ぎてわけがわからなくなって、逆に一事業者当たりの約款の数を制限する、こういう事態もドイツなどでは起きているようでありますが、では、果たして我が国でそのとおり競争がどんどん進んでいくのか、ここが一つ、私的には疑問であります。

 現在も、既に電力量の六〇%が自由化をされてきているわけであります。大口の利用者については、需要家については自由化が進んでいるわけなんですが、新規参入の特定規模電気事業者ですかの参入も認めてきて、広げてきているわけですけれども、では、具体的に、これまで特定規模電気事業者はどれほど新規参入があったのか。この六〇%の電力量のうち、どのぐらいがこの新規参入事業者によって賄われているのかということを伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。

赤羽副大臣 今お話がありましたように、我が国で、二〇〇〇年以後、段階的に自由化を拡大してきて、全需要の約六割まで自由化範囲を拡大しているわけでありますけれども、その部分について、新規参入のシェアは約三・五%にとどまっている。今委員御指摘のように、活発な競争が行われているとはとても言えないような状況だというのは、御指摘のとおりでございます。

奥野(総)委員 これは、理由は何ですか。

赤羽副大臣 まず、電源の大半を保有する一般電気事業者による、例えば区域を越えた競争がほとんど起こっていない、また卸電力取引市場の活用への取り組みが不十分である、その参加もしにくいような、環境の整備ができていないということが一つと、もう一つ、発電分野にもそもそも参入規制や料金規制があるということ、三つ目には、送配電網へのアクセスの中立性の確保に課題がある。そして、家庭等の小口部門は小売が自由化されていないということから、一般電気事業者は、ある意味では、自由化分野で積極的な競争を行わなくても一定の独占市場が確保されている。そういった状況がある中で、なかなか自由化が進んでこなかった、事業参入による競争が起こってこなかったというふうに考えております。

奥野(総)委員 今回、そうした問題点を把握された上で、それに対する対処をいろいろされているということだと思うんです。

 私は元郵政省にいたので、通信関係はよくわかっていますが、通信でやはり問題になったのは、NTTが持っているネットワークにどう接続させるか、イコールフッティングをどうしていくか。接続料金をできるだけ低くして参入障壁を低くして、家庭まで延びているNTTのネットワークにどうアクセスさせるかというのが一つポイントになったわけであります。

 電力もそこは多分似ている面がありまして、送配電網にどうやってアクセスをイコールフッティングでしていくか、一般事業者と同等にどうやってアクセスをさせていくかということが鍵だと思いますし、そこで、託送料金なんかも、新規参入事業者が払う託送料金と、その内部、社内で、これは分社化すれば明らかになるんですが、分社化しない状況において、内部取引で払われている託送料と、これは完全にイコールフッティングじゃなきゃいけないと思うんですが、そのあたりは、きちんと今回は配慮されているんでしょうか。

赤羽副大臣 先ほど申し上げました、なかなか新規参入が進んでこなかった要因に対しまして、今回、まず一つは、発電の参入規制や料金規制の撤廃をする、また、法的分離の方式によりまして送配電部門の一層の中立化を進める、そして、小売の全面自由化も含む電力システム改革を行うこととしたわけでございます。

 特に、今回の改革の第二段階であります小売全面自由化の実現に向けまして、よく大臣が答弁でおっしゃられておりますが、一般のビジネスでいうと、商品の品ぞろえがふえる、消費者にその情報が提供される、そして消費者が契約を変更するのが容易になることが重要だ。

 こういったことというのは、実は、今御指摘にあったように、通信の自由化がうまくいったということと同じような話なんだろうなというふうに聞かせていただきましたが、電力システムの改革でいえば、ちょっと繰り返しになりますが、一つ目には、発電余力の売買による卸電力市場の活性化とその実施状況のモニタリングをしっかりしていく、二つ目は、スマートメーターの導入等によりまして需要家が選択しやすくするための基盤整備をしっかりと進めていく、三つ目は、電力会社を切りかえる具体的な仕組みづくりなどの取り組みを行っていきたい、こう考えておるところでございます。

奥野(総)委員 イコールフッティングが大事だというのは重々おわかりのことと思いますから、そこはぜひしっかりやっていただいて、ふたをあけてみればほとんど新規参入がない、まあ、何社かはあるんでしょうけれども、絵に描いた餅だ、タリフも約款も、メニューが少ないということであれば今言ったような効果は生まれないわけでありますから、そこはくれぐれも留意していただきたいと思います。

 今、スマートメーターの話が出ましたが、スマートメーター、これは二〇二〇年代早期にということで、二〇二四年ぐらいまでですか、前倒しでやっていこうということになっているようであります。これは恐らく、事実上行政指導でやっているということですか、設置義務があるわけでもないし、電力事業者が任意にやっていくということでありますが、これはきちんと本当に計画どおり目標は達成されるんでありましょうか。そのインセンティブは働くんでしょうか。

上田政府参考人 電力会社のスマートメーターの導入計画でございます。

 これは、実は、電力会社のみならず、家電メーカーあるいは通信事業者、それから学識経験者といった方々がお集まりいただいたスマートメーター制度検討会というのを私どもは設けております。その中で、本年三月までに電力会社が公表を行っております。その中で、先ほど御指摘のございました、日本全体でいえば、二〇二四年度までに全世帯、全事業所に導入を完了する計画となっているわけでございまして、そういう公的な場面における電力会社の表明ということでございます。

茂木国務大臣 政府としてもこの点はしっかりとウオッチをしていかなければいけない、フォローしていかなければいけないと思っておりますけれども、例えば電気事業でも、進んだことというのは、最終的に、携帯電話があらわれて、そしてスマートフォンがあらわれる、需要家にとって使い勝手のいいものが出てくると、基本的にそういったものは進んでいくんだと私は思っております。

 ネットワークの中立性を確保する。電気事業におきましても、通信と同じように、さまざまな行為規制等々を今後定めて、しっかり送配電網の中立性が確保されるようにしていきたいと思っております。

 若干通信と違うのは、通信の場合は、発電的な部門が特に重要になるわけではなくて、むしろラストワンマイルをどうするかということによって本当に競争が制限される、こういう問題があったわけでありますけれども、電気においては、十分な発電量をどうやって確保していくかということが本来的な自由競争にもつながっていく。こういった観点も含めて、三段階の改革をしっかりとやり遂げていきたい。

 そのためにも発電部門と送配電部門の分離ということを行うわけでありまして、これは、通信の場合はそういったことを行わなかったわけであります。まずはデータを分離し、そして最終的には今のドコモが独立するような形になってまいりましたけれども、電力においては発電部門というのもかなり大きな割合を占めますから、これと送配電部門が最終的に分離をされない限りきちんとした中立性は保てない、こんなふうに思っております。

奥野(総)委員 通信も、NTT東西、いわゆる足回り、ラストワンマイルのところをきちんと分社化して、見える形にしたということですね。同じことが言える。送配電網は競争部門ではありませんから、きちんと規制をして、公正中立になるように政府が常に目を光らせておかないと競争は進まないということだと思いますので、そこをぜひしっかり、先ほど馬淵委員からもありましたが、まず分離をきっちりやっていただく、その上で、さらにそこをしっかり監督していく、送配電会社についてはしっかりした監督が必要だと思います。

 続きまして、今度は住宅部門の省エネの話を少しさせていただきたいと思います。

 日本の省エネというのは、確かに、省エネ法ができて進んできたわけですね。一九七三年比で見ると、エネルギー消費量は、産業部門は二割削減されて〇・八倍ということで、確かに省エネの効果が出ているわけでありますが、一方、民生部門については、一九七三年と二〇一二年を比べると二・四倍になっている、家庭が大体二・一倍ということで、二倍にふえている。

 これはいろいろな要因があるんでしょう、核家族化がさらに進んで戸建てがふえたとか世帯数がふえたとか、いろいろ要因があるんだと思いますけれども、これからの課題として、とりわけやはり家庭の省エネということが一つポイントになってくるかと思います。

 そこで、一つ、戸建ての住宅について、日本は躯体の性能がよくないんじゃないか。それは、外国、ヨーロッパとかに行けば、石づくりの重厚な家があって、断熱がきちんとされていて、夏は涼しく、冬は暖かい、こういうことになっていますが、日本の住宅は冬は寒いんですね。

 これは、私が聞いた話だと、平均的な夜の寝室は、暖房をしないで、みんな布団をかぶって寝ていますから、平均気温は大体十度、こう言われています。そうすると、ヒートショックとか、急に布団から出てショックを起こして、心筋梗塞、心臓とかをやられて亡くなる、こういう方も随分いらっしゃると聞いています。

 これは笑えない話なんですが、エスキモーの氷の家というのは、あれは氷でできていますが、その居室の室温は十三度から十五度なんですね。彼らなりにやはり知恵を絞ってやっている。日本の住宅の方が寒い。これは冗談のような話ですが、そういう話もあります。

 また、住宅のストックを見ていくと、四割が無断熱というデータもあるんですね。日本人はやはり、住宅は夏を旨とすべしでしたか、徒然草か何かもありましたけれども、夏向きにつくる。暑くて湿気の多い夏が過ごしよければいいんだという発想で、逆に言えば、冬は物すごく寒いというのが日本の住宅であります。

 ですから、こういう状況でありますから、住宅のエネルギー使用量がふえているにもかかわらず、我々としては実感がないんですね。政府に協力して、冷房をしないとか、暖房を切るとかいっている割には、ただ苦しいだけということなんですね。

 これは、住宅の性能を上げていけば、エネルギーを使わなくても、より暖かく、より涼しくということも可能になる。ですから、住宅の性能アップということを、ぜひ国を挙げてやっていただきたい。これは日本が非常におくれている部分だと思うんです。

 そこで伺いたいんですが、住宅の省エネ政策の現状について、今、どういう施策をやられているかということを伺いたいと思います。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 住宅に関する省エネ規制の現状ということでございますが、今、施主に対する規制と、建て売り住宅の販売者に対する規制、この二つに大きくは大別されているところでございます。

 まず、施主に対する規制といたしましては、床面積が三百平方メートル以上の住宅については、断熱性能などの省エネ基準を設定して、そして、建築や大規模増改築等を行う前に、熱の損失の防止のための措置内容等を自治体に届け出させ、その内容が著しく不十分である場合には、自治体から指示ですとか勧告、こうしたものを行うというものであります。

 また、建て売り住宅の販売者に対する規制といたしましては、建て売り住宅に対する、いわゆるトップランナー制度というものを導入しております。これは、建て売り住宅について、ある時点で最もすぐれた建て売り住宅の省エネ性能を踏まえた基準を設定する。年間約百五十戸以上の新築建て売りを販売する事業者に対して、将来の目標年度においてその基準を満たすということを求めるものであります。

奥野(総)委員 今お話がありましたが、例えば、三百平米以上の住宅と言いますが、どれぐらいの方がそういう三百平米以上の住宅を建てるか、あるいは百五十戸以上のトップランナーですが、住宅メーカーと言いますが、小さい工務店さんなんかは入らないわけですよね。そういうことを考えると、では、どれだけがこの規制の対象になっているかというと、非常に疑問なんです。

 では、それによってどれだけ住宅の性能アップ、省エネ化が進んだかということでありますが、これは平成十一年基準でやっているんですかね、一九九九年基準。この平成十一年基準を、現在の住宅のうち、どのぐらい満たしているのか。新築、それから今言った改築、ストックも含めて、数字を挙げていただけますでしょうか。

木村政府参考人 新築住宅につきましては、平成十一年基準で見ますと、省エネ基準への適合率は、二〇〇八年以前は二割にも満たないという水準でございましたけれども、現在では約五割まで向上してきているというところでございます。

 既存の住宅も含めまして、省エネ基準にどれぐらい適合しているかというのは、済みません、データはございませんけれども、適合状況自体は上がってきているというふうに理解をしてございます。

奥野(総)委員 先ほど、需要の管理ということで、省エネの話で施策は何がありますかと伺ったときに挙がっていましたが、二〇二〇年までに新築住宅・建築物について段階的に省エネルギー基準の適合を義務化すると、野心的な、これは、実は似たようなことをエネ環会議の中でも言ったわけでありますけれども、一見、野心的ということでやられているようでありますが、これの基準というのは、今言った平成十一年基準を中心に考えておられるんでしょうか。

木村政府参考人 住宅、建築物の省エネルギー基準につきましては、昨年の一月に見直しを行いました。したがいまして、二十五年基準というのがあるわけでございます。

 従来から規定しておりました住宅、建築物の断熱性能に加えまして、特に、住宅につきましては、冷暖房設備でございますとか換気設備、給湯設備、照明設備といった、そういうエネルギー消費量を総合的に評価する基準になってございます。

 今後、適合義務化に際して適用する住宅、建築物の省エネ基準につきましては、見直し後の省エネ基準を踏まえまして、したがいまして、平成二十五年基準をまずはベースにいたしまして、今後の基準達成率といったようなことを勘案しながら、国土交通省とも協議をしながら検討してまいりたいと考えてございます。

奥野(総)委員 平成二十五年基準というのは、今度、住宅を全体としてエネルギーの管理をしていこうということで、一歩進んで、あるべき方向には進んでいるとは思いますが、諸外国に比べて、やはりまだまだ緩い部分があると思うんですね。

 例えば、日本でいうと窓枠。窓枠はほとんどアルミサッシなんですね。ほとんどの御家庭はアルミサッシを使っておりますが、アルミサッシというのは、断熱性でいうと非常に劣っている。紙の障子と変わらないという話もあります。熱がどんどん逃げていくんですね。当然、窓から熱は出入りをしますから、窓の断熱性を高めていかないとなかなか躯体の効率は上がっていかないと思います。

 なぜ日本でアルミサッシ、諸外国は樹脂とか木製がほとんどなんですね。ここを変えていかないとなかなか性能アップにつながらないと思います。なぜアルミ製がメーン、中心であるのか、そして、その原因を解明した上で、では、これからどうやって窓、住宅の性能を上げていくかということを伺いたいと思います。

木村政府参考人 アルミサッシでございますけれども、まず、加工が容易である、それから腐食をせずに劣化が少ない、強度、防火性能にすぐれている、あるいは安価といったことでございまして、もともと日本でも木製あるいはスチール製といったようなものもあったわけでございますけれども、そういうものに取ってかわるような形で、高度成長期に生産ラインが整備をされ、現在においても住宅において広く使われているというふうに認識をしてございます。

 業務・家庭部門の省エネは特に重要でございまして、高性能な建築材料を導入していく、このために省エネ型のサッシの普及が必要であるということは御指摘のとおりでございます。

 そのため、昨年五月にまず省エネ法を改正いたしまして、建築材料につきましては、トップランナー制度の対象に加えたわけでございます。

 サッシにつきましては、トップランナー制度に具体的な基準として加えるべく、現在、検討を行っているところでございまして、可能な限り、意欲的な目標を設定したいと考えてございます。

 このトップランナー制度を通じまして、高機能なサッシの、市場におきますシェアを高めていきたいというふうに考えてございます。

 それから、既築の住宅に対しましては、省エネ型のサッシを含む高性能建材の導入補助を行ってございます。この中には、当然、アルミサッシは含まれないということでございます。

 さらには、先ほど御指摘いただきました住宅の省エネ基準、平成二十五年基準をクリアしていくためにも、これがその追い風となって導入が進んでいくということも期待をしてございまして、いずれにいたしましても、こういった取り組みを通じまして、樹脂サッシ、あるいはアルミ樹脂の複合サッシといった、省エネ型のサッシの普及に努めてまいりたいと考えてございます。

奥野(総)委員 省エネを進めていこうというお考えはよくわかるんですけれども、やはりもっと高い目標を持っていかなければならない。

 先ほどドイツの例も挙げましたけれども、EUを見ても、ゼロエネルギービルディング、ゼロエナジーハウスについて、例えば、新築公共施設については二〇一九年に全部、それから、全新築建築物については二〇二〇年ということでゼロエネルギーにしていこう、こういう野心的な指令も出ています。それを受けて、ドイツは、二〇五〇年では既存建物のほとんどをゼロエネルギーにしていこうという野心的な計画、直近では、二〇二〇年には全新築建築物をゼロエネルギーにしていこう、こういう計画を立てています。

 我が国ももっと野心的にやっていかなきゃいけないと思うんですね。今、化石燃料に払っているお金が国内のリフォーム産業、住宅産業に回るわけです。電気を使わないことによって、そのために投資する、断熱材とかに、国内産業に金が回るわけですから、ぜひこの施策を進めていただきたいと思います。

 大臣、最後にいかがでしょうか。

茂木国務大臣 やはりこれまで、私は、日本においては、住宅への投資は十分ではなかったと思っております。ゼロエミッション、省エネ住宅をつくっていく、極めて重要な課題だと思って、取り組んでまいりたいと思います。

奥野(総)委員 これで終わります。どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 私からは、きょうは確認の質問をさせていただきたいと思うんですが、昨年の第一段階の閣法、原案の附則第十一条の六項というのがございまして、お手元の資料でつけてございます。

 これを読み上げますけれども、「政府は、電気事業の監督の機能を一層強化するとともに、電気の安定供給の確保に万全を期するため、電気事業の規制に関する事務をつかさどる行政組織について、その在り方を見直し、平成二十七年を目途に、独立性及び高度の専門性を有する新たな行政組織に移行させるものとする。」とありますが、過去の答弁の中に的確な部分が見当たりませんでしたので、改めて大臣にお伺いします。独立性というのは何からの独立性を意味するのでしょうか。

茂木国務大臣 独立性、特定の利害関係者からの影響を受けないということでありまして、最終的にはそれが事業ということになってまいりますが、例えば、さまざまな人事そして資金面というつながり等が独立性を阻害する要因としては考えられると思っております。

田嶋委員 この点は、先週の参考人の先生で植田先生という方が資料を配付されて、三つの重要なポイントのうちの二点目に書いてございました。独立規制機関の設置というところでございます。そういうのがあったわけでございますが、その植田先生も独立性ということを、これは経済産業省との距離ということで御指摘をされているような、はっきりは書いていませんけれども、そんなようなニュアンスで説明をされていたと思います。

 つまり、彼の言葉で、一省庁の内部組織では行政裁量の問題を生むんじゃないかというようなことも書いてありました。そういう意味で、規制機関としては、国民の信頼を得るためには独立をというところを強調されていたわけでございますが、今の大臣の御答弁ですと、この独立ということは、経済産業省あるいはエネ庁ということではないという理解をいたします。

 そこで確認でございますが、植田先生のように、あるいは私もざっと読むと、独立性というのはむしろそういうことではないか、そういうことというのは、一省庁の内部組織ではだめだというようなことをおっしゃっているというふうに私は思ったのですが、そうじゃないということなのであれば、改めて確認ですが、三条委員会という選択肢は排除されるのでしょうか。

茂木国務大臣 経済産業省との関係で独立していなくてもいいということは、私は申し上げておりません。かといいまして、経済産業省とだけ独立していればこの機関としてきちんとした機能が果たせるか、こういう観点からの独立性を考えなけりゃいけない。

 イメージを具体的に申し上げたいと思うんですけれども、新しい規制組織、例えば卸電力取引所の活用状況のモニタリングであったりとか、需要家への料金メニュー等の説明義務が果たされているかなど、改革の第二段階以降の自由化された市場における電力取引の適切な監視を行っていく。それから、送配電事業者の役員の兼職制限であったり、意思決定の小売、発電部門からの独立など、第三段階における送配電部門の中立性確保のための厳格な行為規制など。こういったものを実施する機関でありまして、そのための独立性が必要なんだと思っております。そういった意味で先ほどの答弁も申し上げた次第であります。

田嶋委員 三条委員会は排除しているかいないか、どちらでしょうか。

茂木国務大臣 今、私が申し上げたような目的を達成するのに最もふさわしい組織形態というものを今後検討してまいりたいと考えております。

田嶋委員 先ほど御答弁で二重否定が冒頭あったような気がしますけれども、もう一度確認ですが、経済産業省からの独立性ということも重要だという御認識だという理解でいいですか。

茂木国務大臣 特定の利害関係者からの独立という中には、ある意味、行政をつかさどっております経済産業省も含まれると思っております。

田嶋委員 そうしますと、私、もう一つ、この閣法の原案の言葉で、先ほど強調させていただきました、「新たな行政組織に移行させるものとする。」こういうふうにもともとからあるわけでございます。これを読みますと、要は、移行させていない現状では何がしか課題が残るというか問題がある。すなわち、この一行目に、監督の機能を一層強化する方法としては、現状のままで人員強化をするとか、もっと専門性の高い人を入れるとか、そういうアプローチもあるような感じがするわけでございますが、何ゆえ閣法のこの附則の中で、万全を期するために、そして一層強化するために新たな行政組織への移行というふうに明記をしたのか。逆に言えば、新たな行政組織への移行ではない形にするとしたら何が問題だということをおっしゃりたかったんでしょうか。大臣。

上田政府参考人 私どもは、現在、こういった電気事業の規制に関する事務は、資源エネルギー庁、中でも電力・ガス事業部がつかさどっているわけでございます。

 しかしながら、今回の法律、この三段階、達成する中で、小売部門の自由化であるとか、送配電部門の中立性であるとか、法的分離の際の人的な兼業をどのようにしていくかということの、その規制そのもののレベルを飛躍的に高めなければいけない、こういうことから、私どもは、今の電力・ガス事業部のみでは十分ではなく、その機能を一層高めていくということが必要であると考えております。

 それから、具体的な中身につきましては、先ほど大臣から申し上げました、この第二段階と第三段階のさまざまな規制のあり方ということを踏まえた上でしっかりと検討をしてまいりたいと考えております。

田嶋委員 そういう意味では、今のままの状況より、やはり経済産業省からの独立性というものは強い方向へ、形として新しい組織に移行させるという結論だという理解でよろしゅうございますか。

茂木国務大臣 結構です。

田嶋委員 以上で質問を終わります。

富田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 限られた時間でございますので、早速質問に入りたいと思います。

 私は、きょうは主に労働基本権の部分について、電力システム改革にかかわる労働基本権について議論をさせてもらいたい、こう思います。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、これは前回の、第一弾の電気事業法の一部を改正する法律案に対する附帯決議、衆議院、参議院ともに同じ文案で附帯決議を衆参両経産委員会で決めさせていただきました。

 この附帯決議というのは、前回の国会の審議の中で、与野党で法案の修正協議をさせていただいて、その修正協議の中で附帯決議も含めて、相当議論を重ねて附帯決議を決めさせていただきました。その練りに練った附帯決議ですから、通常ですと、参議院において若干文言が変更されることもよくあることでありますが、ここの部分については一言一句変わらずに附帯決議がそのまま付されているという背景があるということをまず冒頭に申し上げたい、こう思います。

 まず最初に、厚生労働省にお伺いをしたいと思います。

 電力分野の労働争議の規制、いわゆるスト規制でございますが、昭和二十八年に制定された、電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律に基づいて、電力労働者の争議行為を事実上禁止しております。これは昭和二十八年制定という随分古い法律でありますが、当時は炭鉱労働も争議も華やかなりしころの時代でありますが、今や、炭鉱労働は国内においてはごく少数になっておりますので、実質的には、主要産業という意味におきますと、電力にのみ非常に強い規制がかかっているのが現状であります。

 ガス供給や電気通信、運輸などほかの公益事業は、ともに労働関係調整法といった法律によって公益事業規制があるものの、電気事業に対するスト規制のような事実上のスト規制は存在をしておりません。公務員のように人事院勧告のような救済制度もないわけであります。

 そこで、厚生労働省にお伺いしたいのですが、なぜ電力産業に従事する労働者の方に対してのみ、憲法上保障された労働基本権を制限するのか。六十年ぶりに電力システム改革が進むといった現時点において、今日的な意義が果たして存在するのかどうか。今日的意義があるのであれば、端的にお答えいただけますでしょうか。

熊谷政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生今お話ございましたように、現行のいわゆるスト規制法におきましては、争議行為によりまして電気の正常な供給に障害が生じ、それによりまして国民経済や国民の日常生活に支障が生じないようにするというために、関係労使の争議行為のうち、電気の正常な供給に直接に障害を生じせしめる行為を禁止しているものでございます。

 この、電気の正常な供給に障害を生じせしめることで国民経済や国民の日常生活に支障が生じないようにするということの必要性は、現在でもなお変わっていないというふうに私どもは考えておるところでございます。

近藤(洋)委員 電力の安定供給の必要性は今も変わっていない、それはそのとおりでありますが、統括官、私が聞いているのは、ですから、今日的な意味はどうかということを聞いているわけであります。

 すなわち、この電気事業法のシステム改革というのは、まさに昭和二十年代後半に現在の九電力体制ができ上がって、それを六十年ぶりに見直して、参入の自由化も図り、料金の自由化も図り、そして電力においては発電、送電一体体制も見直すという大改革を進める中で、今日的な意味が、電力のみに安定供給といった御答弁のみに、意義がどこまで存するのかということを伺いたかったわけでありますが、安定供給一点張りではなかなか納得性は得られないのではないか、こう思うわけであります。

 続いて伺いたいと思いますが、次に、経済産業省事務方にお伺いします。

 この附帯決議は、「自由な競争の促進を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性を図る観点から再検討を行うものとすること。」という附帯決議となっております。再検討。この第二弾の法律を今国会に提出するに当たり、具体的にどのような再検討を経済産業省において行ったのか、お答えいただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のスト規制法につきましては、厚生労働省専管の法律でございますので、経済産業省として、その法律の内容につきまして具体的な検討を行っているものではございません。

 ただ、経済産業省の所掌事務でございます、電気の安定的かつ効率的な供給の確保という観点から、法案についての内容の確認はしておりますけれども、この法律の視点である労働法制の観点からの検討は行っておりません。

近藤(洋)委員 労働法制の検討は行っていないと。すなわち、労働法制の検討は厚生労働省内において行われるものである、こういう御答弁でよろしいわけですか、部長。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 これは厚生労働省専管の法律でございますので、この法案の改正につきまして、経済産業省として具体的な検討をしているものではございません。

近藤(洋)委員 では、厚生労働省に伺います。

 この附帯決議を受けて、厚生労働省において具体的にどのような再検討を行ったのか。

 例えば、関係者の意見を公の場できちんと聞く。労働法制の見直しでありますから、労政審の場を開き、そこできちんと関係者、政労使の意見を聞くというのが通常のプロセスでありますけれども、そうした場を具体的に設けたのか、公の場を設置したのかどうなのか。具体的な当事者の意見をいつ聞いたのか。お答えをいただけますでしょうか。

熊谷政府参考人 お答え申し上げますが、今回、先生から今ほどお話がございましたように、関係労使からの意見を聞くための公の場を設けたということはございませんでしたけれども、私ども、電気事業に対するスト規制のあり方に関する関係者、関係労使の意見は、いろいろな機会を通じて承知をさせていただいておるところでございます。

 そういったものを承知した上での検討というものを行いまして、近年、科学技術の進展や国民の生活様式の変化等に伴いまして、国民経済、国民の日常生活両面での電気の安定供給の重要性が増しているということから、今後ともその必要性は変わらないという判断に至ったものでございます。

近藤(洋)委員 ですから、統括官、承知しているというのは、それは改革の必要性は承知しております。

 具体的に、厚生労働省として公の場は設けていなかったと。では、その当事者、労使ともに、経営側、また組合側、いわゆる労使の意見をいつ、本件についてきちんと面談形式において聞く場を設けたのか、お答えいただけますか。いつ設けたんですか。一度も設けなかったんですか。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 今般、改めて関係労使の意見を聞く場を公に設けたということは、先ほども申し上げたように、していないわけでございますけれども、いろいろな機会を通じて、関係労使の方の御意向、考え方というのは伺っておるところでございます。

 例えば、特に労働側ですと、平成二十五年二月にまとめられました電力システム改革専門委員会の報告書におきまして、この問題に対する電力総連としての考え方というのはきちんと書かれておるのは十分承知した上で検討をさせていただいた、こういうことでございます。

近藤(洋)委員 紙に書いているのを読むのは、それは私も読めますし、誰でも読めるので、当該責任官庁としてきちんと意見を聴取したということは、要するに一度もなかった、公式にも非公式にもこれまで一度もなかったということでよろしいんですか。イエスかノーかでお答えください。

 非公式に面談してきちんと意見を聞いたというのはいつかというのもお答えください。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 この法案を国会に提出する時点、そのころ、ちょっと今正確な日付は覚えておりませんけれども、電力総連の方には、私どもの考え方というのは説明をし、電力総連の方々の考えというのも、その場では直接お伺いをいたしておるというところでございます。

近藤(洋)委員 きのう、ちゃんとこれは通告していますので、統括官、ちゃんと答えていただきたいんですけれども。何も意地悪して聞いているわけじゃない、ちゃんと通告しているんです、これは。

 私は、きのうのレクでは、二月の中旬に事務官が行って厚生労働省の考え方を通告したというふうに聞いているんですが、その事実関係でよろしいですか。

熊谷政府参考人 失礼いたしました。

 今確認いたしましたところ、本年の二月十四日にそのようなことを行ったということでございます。

近藤(洋)委員 これは大事なことなんですよ。統括官、要するに二月十四日というのは、ですから、今お認めになったように、こういう法案ができましたという報告をしに行っているんですよ、報告。

 すなわち、二月十四日というのは閣議決定の直前ですよ。閣議決定の直前に、こういう法律ができましたという報告だけしに行っているわけです。意見を聞きに行って法案をつくったわけじゃないんです。もう既にその時点では法案は事実上でき上がっている。内閣法制局からも全部全てきちっとクリアをとってほぼでき上がった時点で、こういうものができましたということを報告しに行っただけで、意見を聞きに行った場ではない。

 すなわち、一体何をやってきたということなんですね。きちんと面談をしに行かずに、意見も聞かずに、公の場も設けずに、それだったらせめて、何度かきちんと話を聴取していくならばいざ知らず、何もせずに、法律の出る直前になって、ただ担当官が、こういうことになりました、以上という会合では、余りに不作為ではないですか。

 しかも、統括官、この附帯決議を何と心得ているんですか。「再検討を行うものとする」といった附帯決議を、きちんと我々、しかも自民党、公明党、民主党、各党何度も吟味をして、法案修正の議論の中で、ここまではきちんと書くということを踏まえて、衆議院、参議院とも同じ文言で通しているんです。

 かつ、十一月の臨時国会には成っておりますが、この法案は、本来ならば六月の通常国会でセットできていたんです。さまざまな国会の事情の中で残念ながら通常国会の成立はできませんでしたが、事実上、この附帯決議もセットできていたんです。その半年間、厚生労働省は一体何をやっていたんですか。何もやっていなかったんじゃないですか。この不作為の責任は極めて大きいと言わざるを得ません。

 安定供給というお答えでありましたが、経済産業省は、安定供給はもちろん大事です、私もこの場でも何度も申し上げましたし、それは大事ですが、しかし、このシステム改革を進める上で、ほかの、電気通信であるとか運輸であるとかさまざまな公益事業、ガス事業も、きちんと、先ほど申し上げたように、既に労働関係調整法によってさまざまな規制がかかっているんです。緊急調整条項もありますし、制限も既にかかっているわけでありますね。緊急決定の五十日間の争議行為の禁止等々、かかっているわけであります。何で屋上屋をかけるような、電力のみにこういった規制がかかるのか、私は極めて疑問ですし、参考人の意見からも、時代錯誤も甚だしいといった意見も出ております。

 こういう中で、経済産業省は、このスト規制があることが安定供給に欠くべからざるものだというふうな判断をされているのか。安定供給の観点から、果たしてこのスト規制がどうしても必要だという判断なのか。ぜひとも温存してほしいということで、厚生労働省にエネルギー政策上働きかけをしているという事実はあるんですか。いかがでしょうか。

茂木国務大臣 そういう事実はございません。

 その上で、この附帯決議、これは「電力システム改革の遂行に際しては、」ということでありまして、今お願いしておりますのが第二弾の改革であります。

 御案内のとおり、第二弾におきましては、一般電気事業者や卸電気事業者の概念そのものはなくなりますが、実態としては、送配電が基本的に一体の形での電気事業というのが営まれる。そういう中で、厚生労働省として、まさにスト規制法、この労働基本権に関する問題、そして労働関係の調整を所掌している立場から、この段階においては、再検討をした結果、先ほどの答弁のようなことになったということであります。

 第三段階になりますと、今度は発電部門そして送配電部門の分離、こういったものが行われるわけでありまして、その段階におきましてこのスト規制法をどうするかということは、改めて厚生労働省において検討される、そのように理解をいたしております。

近藤(洋)委員 大臣、御答弁ありがとうございます。

 だとすると、大臣、でも今、厚生労働省の対応を聞いておわかりいただけるように、やはりせめて政労使の場ぐらいきちんと設けて、話ぐらいきちんと聞かないと、これはちょっとお話にならない、こういうことだと思うんですね。

 そこは統括官、これはもう終わってしまって、法律が出ているわけですから、もうやってしまったことをとやかく言うつもりは、これをもってしてこの法案全てをだめだと言うつもりはありませんが、ここは非常に問題だと言わざるを得ないと思いますし、大臣、それは閣内においてきちんと、所掌する厚生労働省の問題とはいうものの、電力システム改革の大きな、やはり働いている方々がきちんとした環境で働いてもらうということは大事なことでありますから、大臣にも、経済産業大臣というお立場でありますけれども、ぜひ目くばせをお願いしたいと思います。

 厚生労働省、ちょっと御答弁をお願いしたいんですが、今の対応、これまでの過去の対応は、私は非常に問題があったと思います。誰が聞いてもそうですよ。非常に問題があった。きちんと意見を聴取する場を設けなかったというのは非常に問題です。国会決議を無視された、こう言わざるを得ません。

 きちんとした公の場を設けて意見を聴取すべきだと思いますが、具体的につくるという御予定はあるのかないのか。少なくとも、きちっとつくる、早急につくるということをこの場でお約束していただけませんでしょうか。厚生労働省、いかがですか。

熊谷政府参考人 今後のことにつきましては、今後のいろいろな電力システム改革なり、電気事業をめぐる状況の変化に応じて、私どもも検討していくということであろうと思います。

 そういう中で、きょうのこういう御指摘も踏まえまして、関係労使の御意見を聞くことも含めまして、十分今後対応してまいりたい、検討してまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 検討じゃなくて、対応してまいりたい、こういうふうに言わなきゃだめです。聞くところは聞くのが仕事なんですから、皆さん方の。調査なくして政策なしで、そんなのは当たり前のことですよ、関係者の。

 もう一回お答えください、聞くと。聞くことは当たり前のことなんですから。廃止するのが私の主張ですけれども、廃止するのを約束せいとまでは言いませんけれども、聞くということぐらいは言うべきだと思いますが、いかがですか。

熊谷政府参考人 お答え申し上げます。

 関係労使の意見を聞くということで対応をしてまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 当たり前のことを申し上げているので、ぜひよろしくお願いいたします。

 時間が迫ったので、最後、ちょっと話をかえて、これは大事な問題なので。一問だけになってしまうんですが、資料の二枚目、核燃料サイクルについて大臣にお伺いしたいと思うんですね。

 原子力についてはまたぜひ機会をいただければ、こう思うんですが、電力自由化の中で、原子力発電事業者の事業環境を整備するということが重要になるわけであります。原子力発電所が発電をすれば、必ず使用済み核燃料が出てくるわけであります。これをどのように対処するか、処分するかということで、エネルギー基本計画の中にも、我が国は核燃料サイクルを進めるということが明記されておるわけであります。

 資料には、この核燃料サイクルの、発電所から出る使用済み燃料をどのように処分しているかという一つのチャート図であります。もう時間ですので多くは説明をしませんが、発電している原発から出る使用済み核燃料は、これは五十四基の発電所がかなりの分発電をしているという前提の数字でありますが、震災前は年間約一千トン発生していたわけであります。

 大きく分ければ、六ケ所村の再処理工場に当てられるものと、そして現状は、もう一つ、今後、六ケ所村の再処理工場では処理し切れないと予想されるものについても、電力会社は二種類に分けて使用済み燃料を会計上、処理を、対応してきました。やや話が複雑なのですが、同じ使用済み燃料についても二種類の扱いの処理をしていたわけであります。

 すなわち、六ケ所村の工場、日本原燃に対して渡すものについては、法律上も、税制上は無税で損金算入することができるという形になっている。片や、中間貯蔵を当て込んでいるといいましょうか、六ケ所には、現在の再処理工場では処理しない見込みのものについては有税で積み立てるという二種類の会計処理を現在しているわけであります。

 同じ使用済み燃料にもかかわらず、二つの会計処理をしているというのが現状であります。

 大臣、お時間も迫っているので、現時点において、原子力発電所が、少なくとも今の政府においてはベースロード電源として活用するという前提に立つと、使用済み燃料は今後も発生するということでありますけれども、一つの使用済み燃料で二種類の会計処理というのはやや不自然ではないか、こうも思いますし、今後、電力システム改革を進める上で、扱いが不確定なもの、不安定なものを民間企業が保持し続けていくということ自体もやはり極めて不安定、不自然という気がするわけであります。

 システム改革と同時並行で、こうした核燃料サイクルの使用済み燃料の扱いも含めて、これは一つの代表例でありますけれども、早急に、第二弾の改革が実現するという平成二十八年までには一定の結論を、やはり政府としても、原子力をめぐる環境整備、特にこの使用済み燃料の扱いを中心に出すべきだと思いますが、大臣、この点についての御所見はいかがでしょうか。

茂木国務大臣 六ケ所で再処理される使用済み燃料の再処理費用につきましては、どうやるかはもう決まっているわけでありますね。平成十七年に制定をされました再処理積立金法に基づいて、料金原価に算入をし、また税法上の損金算入が行われるということになっております。

 例えば、使用済みのMOX燃料を初めとしまして、六ケ所の再処理工場で処理できない、処理しないものについては、その処理方法について、今後、具体的に計画を固める。計画が固まっていない以上、その会計処理について、料金原価に算入をしたりとか税法上の損金算入を行うというのは、今の段階では難しいんだ、そんなふうに思っております。

 核燃料サイクルをめぐりましては、委員御指摘のように、さまざまな課題、解決をしなければならない問題もありまして、それも、御案内のとおり、短期で解決できる問題と、かなり中期的な課題として取り扱わなければならない、こういったものがあります。

 御指摘の点につきましては、その性格を考えた場合に、来年の法案提出までに処理しなければいけないという課題ではないと考えておりますが、中期的に重要な取り組み、解決をしていかなければならない、方向性を出さなければならない課題である、そのように考えております。

近藤(洋)委員 ぜひ、二十八年までにはということで申し上げましたが、これは大事な課題なので、また引き続き議論をさせてもらえれば。

 大臣、お時間だということを聞いておりますので、時間ですので終わりたいと思います。

富田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時四十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

富田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 午後一のバッターに立たせていただきましたので、魔の時間でありますので、てきぱきとやらせていただきたいと思います。

 この法案に関する質疑もかなり時間をかけてやってまいりまして、論点がどこにあるかというのはかなり整理されてきたなという感じがしますので、きょうは、既にいろいろ議論になっていることについて、私自身が少しイメージが湧かないようなこともありますので、その辺をちょっと確認してまいりたいというふうに思います。

 最初に、再生可能エネルギーの固定買い取り、FITの件なんですけれども、午前中の質疑で、國重委員のところだったと思いますけれども、御質問で、買い取りの義務者が誰になるんですかということで、送配電業者ではなくて小売事業者であるという御回答がありました。

 改めて確認しておきますけれども、その上で、現在、FITは、新電力と一般電気事業者と、全員に負荷を平準化して出すという形になっていますけれども、新しい小売の自由化をした場合には、参加している小売事業者全員でこれを押しなべて負担する、こういう理解でよろしいですか。

木村政府参考人 電力システム改革の後でございますけれども、基本的には、今委員御指摘のとおりでございまして、小売電気事業者に該当する事業者皆が買い取り義務というのは一様に負うという理解でございます。

今井委員 その上でなんですけれども、レクのときにもちょっとお話があったんですが、例えば、これは発電する業者が買い取り業者にこれを買ってくれと言ったら買わなきゃいけないという制度でありますから、言ってみれば、発電している方がどこに売るかを、選択権を持っているようなものなわけですね。

 お聞きすると、再生可能エネルギーを積極的に買いたい、うちが買いますというところも恐らく出てくるだろうということもありますけれども、自分が希望しないのに、買ってくれと言われたら、それは買わなきゃいけないというのが出てくるわけですね。

 そうすると、参考人のところでも意見がありましたけれども、このFITというのは、言ってみれば、究極の総括原価というか、原価が決まっているものでありますので、それを強制的に買ってくれということになると、果たして競争力の維持からしてどうかということになってくると、一番大事なのはやはり、回避可能費用が本当に正確に反映されているか。つまり、最終的にキックバックが戻ってくるわけでありますけれども、このキックバックが市場の値段よりも高かったり安かったりすることで、この再生エネルギーを欲しいなと思うか、これはちょっと勘弁してよという、こういうバイアスが働いてしまうのはもう御案内だと思います。今、多分、調達委員会か何かで計算しているんだと思いますけれども、今後、ここの公平性をどう担保するかということ。

 それから、価格は、コストも常にやはり変動するわけですから、この見直しをどれぐらい頻繁にやるかということも実は大事なんだと思うんです。見直し期間が余り長いと、その間に差が出てきて、結局そこに不公平感が出てきて、再生可能エネルギーの方が有利になったりとか、不利になったりとか、こういう状況が発生しかねないと思うんですね。この辺についてのお考えをお伺いしたいと思います。

木村政府参考人 まず、基本的に、小売電気事業者につきましては買い取りの義務というのが課されております。法定されております買い取りの拒否事由に該当しない限り、基本的には、買い取りをしない、えり好みするということ自体ができないということがまず前提でございます。

 その上で、公平性及び見直しの頻度についてのお尋ねでございますけれども、まず、回避可能費用自身は、法律上、再生可能エネルギー電気を調達しなかったとしたならば当該再生可能エネルギー電気の量に相当する量の電気の発電または調達に要することとなる費用の額というふうに明定をされておるということでございまして、通常、国民負担として観念されている賦課金を適正な水準に保つためにも、この規定に基づきまして、実態に即した算定方法を採用するというのが非常に重要なことだというふうに考えてございます。

 あと、競争条件との関係でございますけれども、現在は、小売電気事業者たる新電力の回避可能費用につきましては、各一般電気事業者の回避可能費用の加重平均を採用させていただいております。これは、法律上の定義に該当する費用の額の把握方法といたしまして、今のような一律に考える方式と、それから、やはり、小売電気事業者ごとに額が異なるというふうに考えて、小売電気事業者ごとに個別に設定する方法というのもあるんだろうというふうには考えてございます。

 実際問題といたしまして、個別に見ていけば恐らくイコールフッティングになるのかなという気もいたしますけれども、ただ、再エネが入らなかったときに何で埋めるかという問題でございますので、あくまでも仮定の世界の話だ。したがいまして、今、例えば、原子力を多く調達している事業者さんだからといって、それが原子力に置きかわるかどうかというのはよくわからないというようなところもございますので、現在のように一律に決めていくというのも一定の合理性はあるというふうに考えております。

 いずれにしても、この問題、例えば、卸電力取引市場がどの程度今後成熟していくかというような、その市場の実態なんかも見ませんと、一概にどちらがいいというようなことも現状ではなかなかちょっと決めかねるようなところもございますので、市場のゆがみが生じないように、かつ、再生可能エネルギーの導入が促進されるように、最大限、そこは適切に設定するように、不断の検討を進めてまいりたいと考えてございます。

今井委員 割と踏み込んで話していただいたと思うんですが、標準化するのか個別にやるのか、両方方法があるのでちょっと考えるというようなことをおっしゃったと思います。

 先ほども申し上げたとおり、売る側に選択権があって、買い取り側には選択権がないんですね。例えば、A社に集中して行ってしまった場合は、A社が全部買い取らなきゃいけなくて、仮にそれが割高だったら、そこは困っちゃうわけですよ、ほかに競争力がなくなってしまうわけなので。ですから、ほかの電源と本当に公平性を常に保っておかないと、買い手側に選択はないですから、非常に不公平が出てくる。考えれば考えるほど、そこに不公平が一番出てくるんじゃないかなと僕は思って、どうももやっとしていたんですけれども、その点をやはりよく考えていただかなきゃいけない、そういう御認識はあったと思いますけれども。

 大臣、今のような点を、再エネをふやすということも大事なんですけれども、競争環境をつくるに当たっても、実はここはとても大事だと思いますので、ぜひここは注意して、価格設定というか費用設定をしっかりやっていただくようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。

茂木国務大臣 再エネの導入加速に当たっては、コストといいますか、それが価格になってくるわけでありますけれども、これによりましてさまざまな影響といいますかが出てくるわけでありまして、最大限の注意を払いながら今後の対応を図ってまいりたいと考えております。

今井委員 よろしくお願いします。

 再エネの導入促進という面だけではなくて、競争力の公平性という意味でもここは非常に重要なポイントになってくると思いますので、ぜひここは詳細に検討していただきたいというふうに思います。

 次に、これも、午前中、田嶋委員の方から質問がありましたけれども、昨年の法案にあった附則十一条の件に関してでありますが、先ほどもありましたように、平成二十七年、つまり来年度、この組織をつくるというたてつけになっているわけであります。

 参考人の意見にも実はあったんですが、最初の閣議決定では二年をめどということであると、普通に考えれば来年の春、来年度のその三本目の法案が出てくるときでありますけれども、そこでその組織をつくるということであれば、もう既にいろいろな措置あるいは検討がされていなければとても間に合わないんじゃないかなというふうに思うんです。

 今の、来年の設立に向けてどういうスケジュール感を考えておられるのかをまず教えていただきたいというふうに思います。

上田政府参考人 新たな規制組織に関する検討のスケジュールということでございますが、御案内のとおり、今回、新たな規制組織については第二段階の法案には盛り込んでおりません。しかしながら、小売参入の全面自由化というものは、平成二十八年を目途にスタートすることになっております。

 したがいまして、私どもは、第三段階の法案の提出を来年、平成二十七年の通常国会において措置する、提出を目指しているわけでございますが、平成二十七年に規制組織を設立することができれば、その平成二十八年からの小売の自由化には十分間に合う、こう考えておりますので、平成二十七年に規制組織を設立するという方向でスケジュールを考えているところでございます。

今井委員 スケジュール感としてはそれでいいと思うんですけれども、もう平成二十六年の五月ですから、そろそろこれは検討に入っていていい時期じゃないかなと思うんですが、この検討状況は今いかがなんでしょうか。

上田政府参考人 この点も何回か御質問いただいているわけでございます。

 この点につきましては、改革第二段階におきますその自由化の中でも、例えば卸電力取引所の活用状況のモニタリング、あるいは需要家への料金メニュー等の説明義務が果たされているか等々の電力取引の適正な監視ということが一つの業務かと思います。

 また、第三段階におきましては、送配電部門の中立性確保のための厳格な行為規制を実施するということを考えておりまして、そうしたことを監視していくのがこの新しい規制組織であると考えております。

 特に、第三段階の法案におきましては、送配電部門の中立性を確保するための行為規制を導入することを現在検討しております。これは、具体的には、送配電事業者の役員の兼職に関する規制、あるいは、意思決定の小売、送配電事業部門からの独立、こういったことが想定されているわけでございまして、こういった第三段階におけます規制の具体的内容というものを詰めた上で、組織のあり方ということについても検討していきたい、こういう状況でございます。

今井委員 検討しているのかしていないのか、ちょっとよくわからなかったんですが、いずれにしても、二十七年には間に合うということの答弁だったと思います。

 その上で、先ほどもちょっと大臣から既に御答弁あられましたけれども、この組織、行政組織、事務をつかさどる行政組織ですけれども、どういう独立性を保つのかということで、先ほど、人とお金、人事と予算、こういうものが独立しているというか、圧力がかからないものということと、それから、行政からはどうですかというお話の中で、やはり行政からも一定の圧力がかからないような形の組織だというような御答弁があったと思うんです。

 ということになれば、経済産業省の下とか、そういう役所の下ではない、外部に組織をつくるということに自然となるのではないかなと思うんですが、そういう理解でよろしいんでしょうか。

茂木国務大臣 午前中も答弁を申し上げましたが、この新たな規制組織、既に検討を進めていますのは、どんなことをしなければいけないかということで、一つは、卸電力取引所の活用状況のモニタリングや、需要家への料金メニュー等の説明義務が果たされているかなど、改革の第二段階以降の自由化された市場における電力取引の適切な監視を行う、それから、第三段階におけます送配電部門の中立性の確保のための厳格な行為規制を行うということになると、人とかお金の面で、そういう監視をする相手、行為規制をする相手、これから当然独立していなければいけないということであると思っております。

 それで、立ち上げの時期でありますけれども、恐らく、第三段階、行為規制等々が決まってくると、組織のあり方、これも決まってくるんだと思います。ただ、実際に組織を立ち上げる時期が、例えば国会に法案を提出した時期でないと間に合わないということじゃない。二十八年の実際に自由化が始まった段階、ここまでにはきちんと立ち上げるということで、二十七年をめどという形にさせていただいているところであります。

 先ほど申し上げましたのは、私は行政からの独立ということは申し上げていないと思います。エネルギー政策をつかさどっておりますのは、経済産業省におきまして資源エネルギー庁ということでありますから、今資源エネルギー庁がやっているのと同じことをやりますか、同じ場所で同じことをやりますかというと、それから比べた場合は当然独立性が高まります、そのことについてはそういう理解で結構です、こういったことで申し上げたつもりです。

今井委員 では、ちょっと私の理解が違っていたかもしれません。

 先ほども田嶋委員の指摘がありましたけれども、先日の参考人の植田参考人が、やはり三条委員会のような独立したものをきちっとつくるべきだという御意見がありました。

 実は、我が党も同じ考え方をしておりまして、この今回の法案には、そういうのは原案には載っておりませんので、ぜひ三条委員会のような独立した組織を、今じゃないですよ、つくるのは来年だと思いますけれども、来年につくるという規定を今回の第二弾に入れていただきたいというようなお願いというか、修正案をお願いしようということで今準備をしておりますけれども、先ほども、三条委員会はいかがですかというところでお答えになったのは、ちょっとどっちでもとれるような御答弁だったので、改めてお伺いしたいと思います。

 大事なことは、今おっしゃっているとおり、そういう業務が独立してきちっと公平にできるということなんですけれども、その中で、三条委員会は絶対だめというわけではなくて、いろいろな選択肢はある、そういう理解でよろしいでしょうか。

茂木国務大臣 二点申し上げたいと思うんです。

 一つは、組織のあり方というのは、二段階だけの検討ではなかなか決まらない。三段階の送配電部門の中立性の確保、このための具体的な、役員の兼職の規制であったりとか、そういう行為規制のあり方、こういったものを確定しないとなかなか新しい規制組織は決まらないという部分がありますので、現段階においてどういう組織がふさわしいですよとまでは申し上げられないというのが一点ございます。

 それから、そういった意味で、あらゆる可能性を今の段階から排除するものではありませんが、例えば、公取と比べた場合に、新しくできてきますこの規制組織、全くエネルギー政策とは別個に物事を進めるということには恐らくならないんだと思います、私は。そういったことを考えたときに、本当に三条委員会がふさわしいかどうかということは今後議論していくことだと思いますけれども、いや、エネルギー政策とは全く別の組織なんですという形には、恐らく、組織のあり方としてはなってこないんじゃないかなと思っております。

今井委員 はい、わかりました。

 我々は、三条委員会ぐらい独立した方がいいということを主張させていただきますけれども、重要な点は、やはり公平な競争環境をきちっとつくっていくということでありますから、そういう環境ができるような十分な組織ができれば、それはそれで一つの考え方だと思いますので、まだ一年、来年三本目が出てきたところでまたこれは議論になると思いますので、そこで、どういう行政組織で、本当にそういうことが担保されているのかということは、今後議論してまいりたいというふうに思います。

 続きまして、これもいろいろな方が御質問されておられますが、どうもちょっと私もイメージがまだ湧かないのは、卸電力取引所市場の現物市場と先物市場の関係なんです。

 現物市場は、いわゆる現業をやっていらっしゃる人、電気事業にかかわっていらっしゃる人の中だけの、インナーの市場ですよね。先物市場は、過半数はそういう方が入っておられますけれども、半分近い方は外から入ってこられるわけで、実際、金融のいろいろ取引が起きるわけです。

 もちろん、先ほどから取引、価格操作とか、そういうものはしっかり監視していくというのは御答弁ありましたけれども、私はずっと金融でトレードしておりましたので、やはり先物市場というのはどうしても暴走する局面があります。それは、別に不正な取引をしていなくてもそういう動きをしてしまう、そういう性格のものでありまして、通常は現物市場の価格をベースにして先物市場の価格というのは決まるんですけれども、時々、先物市場が先に走り過ぎてしまって現物市場を引っ張ってしまう、こういう余り起きてはいけないようなことが実際は起きるんですね。

 やはり、電力というのは非常に公共性の高いものでありますから、そういう事態が起きるのは非常にまずいというか、あるべき姿じゃないというふうに思っておりまして、私も、穀物とかいろいろな、ああいう先物取引をしたことがあるので、本当に大丈夫なのかなというのがちょっと心配なんですけれども、そのあたりの御見解をちょっとお伺いしたいと思います。

寺澤政府参考人 お答えします。

 今委員が例示で穀物の例を出されました。穀物について例をとると、穀物の先物市場価格が上昇すると、これはもうかるわということで売り惜しみがある、あるいは買いだめ、買い占めが起きる。これは実際の現物にも起きるということなので、穀物については先物が上昇すると現物も上がっていくということ、それは委員の御指摘のとおり可能性としてはある。

 他方、電力については、事実上、穀物と違って貯蔵がきかないということなので、では、一年先の電力先物市場で値段が上がると仮になったとして、今の電気を買い占めしても、今使うしかない。今売り惜しみするといっても、売り惜しんだ分だけ一年後売れるわけじゃないということなので、穀物のような貯蔵がきくような一般的な商品と比べて、貯蔵性がない電力については御懸念のようなリスクというのは相対的には小さいというふうに考えます。

 その上で、先物市場が暴走する可能性はあると思います。それは一般にそうでしょう。だから、マネーゲームになっちゃいけないということが極めて重要でございます。

 したがって、いきなり電力先物を上場するのではなくて、マーケット参加者が、委員御指摘のように、電力を実際に需給する、いわゆる当業者が過半数を示しているかどうか、また、これまでこの委員会の御議論があったように、卸電力市場の厚みが十分あるかどうか、そういうのをきちっと見きわめた上で、電力先物を上場するかどうか、慎重に考えた上で認可をしていきたい。

 その上で、では、第二段階として、上場した後も、相場操縦について禁止規定を入れるとともに、さらに、マネーゲームというか、金融機関というのはあり得るわけですけれども、金融機関のようなマーケット参加者に対しては、当業者とは違って、取引数量の上限を設定するということも考えています。

 さらに、三段階として、それでも異常な価格変動というのは、それは起きるのは起きると思います。短期的なものですと、委員よく御案内のような、サーキットブレーカーということで一時的に取引をストップするだけじゃなくて、さらに異常な価格変動があった場合には、マーケット全体の取引を制限したり、あるいは特定の市場参加者の取引を停止させるという強力な介入権限が用意されています。

 こういう三段の構えによって、電力先物市場におけるマネーゲームが起きないように万全を期してまいりたいと考えている次第でございます。

今井委員 買いだめができないのでというのは多分一定の合理性はあると思いますね、今のお話はある程度理解できるなと思いましたので。恐らく大丈夫じゃないかなと思いますけれども、もしそれでも不測の事態が起きたときは、また見直しをするということをぜひしていただきたいというふうに思います。

 次に、これもいろいろ議論が、きょう質問もあったと思いますが、例の一般担保つき社債に関してでありますが、これをどうするかということで、来年の発送電分離、法的分離をした段階でこの問題を検討するということなんですけれども、ちょっとその文言の細かい話で恐縮なんですが、確認をしたいんです。

 一般担保つき社債に関して、こういうふうに書いてあります。法的分離の実施に際して、改めて検討を行い、必要な措置を講じると書いてありますが、これは法的分離の実施に際して検討を行うのか、法的分離の実施に際して必要な措置を講じるところまでやるのか、この文の読み方がちょっとよくわからないんですが、どちらを表現しておられるんでしょうか。

上田政府参考人 今の一般担保の規定に関しては、今回の附則の四十一条でございますけれども、第一段階のときの措置にも書いてありますが、今回の法律案にも、その四十一条で規定を置かせていただいています。

 それで、政府は、中立性確保措置を法的分離によって実施する場合には、幾つかずっとあるんですが、今の一般担保の措置のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとすると、今回の法律の四十一条に書いてあるわけでございます。

 したがいまして、私ども、この第三弾改正に際しましては、検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずるというこの法律の規定に基づいて対応していくことを考えております。

今井委員 細かい話をして恐縮ですけれども、もう一回確認しますけれども、検討をして必要な措置を講ずるというのは一連の流れですね。

上田政府参考人 検討を加えまして、その結果に基づいて必要な措置を講ずるということまでが一つの措置であると考えております。

今井委員 ありがとうございます。

 そこが大事なところで、検討しましたけれどもやりませんというのと、検討して講ずるということは大きな違いなので。

 早期にという話でありましたけれども、どの時期にやるかというのは、実はこの段階で資金調達の問題がありますので、非常に時期的には難しいんじゃないかなと思うんですけれども、これはずっとほっておくわけにもいかないわけであります。

 私が心配しているのは、来年の法案が出たときというのは、まだいろいろなものがスタートしていないわけですよね。スタートしていないんです。広域の機関が始まるか始まらないかという時期で、いろいろなものがスタートしていないわけでありますので、その段階になると、まだスタートしていないのでこの問題はちょっと先送りですという、発送電分離を実際やってから、実施になってから考えますというような、そういう先送りにならないようにしていただきたいということなんですね。

 そこで、何年後にこういうふうにしますという、はっきりした年度まで書けるかどうかは別問題でありますけれども、こういう方向でいきますというところまでは、やはりしっかりと方針を出していただきたいと思うんです。来年の発送電分離を法案として出すときにはその方向まで出していただきたいと思うんですが、そういうことでよろしいですか。

上田政府参考人 やや繰り返しになって恐縮でございますが、法律に基づきまして、検討を加えた上で、その結果に基づいて必要な措置をとる。

 どのような必要な措置なのかということにつきましては、電力の安定供給に必要となる資金の調達に支障を来さない、そういう観点、それから対等な競争条件の確保、こういった観点、さまざまな観点がございます。こういったことを踏まえながら検討した上で、必要な措置を講ずる。

 ただ、その措置が具体的にどのようなものになるかということは、まさに今後の検討課題であると考えております。

今井委員 済みません、先ほどはちょっと総括原価の問題と混同してしまいまして。総括原価の方も同じ話なんですね。これも一定の競争条件がちゃんと整ったら廃止していくということで、では、一定の競争条件が整う状況というのはどういう状況なのかというところを、やはりもう少しクリアにしていく必要があると思います。この段階ではまだそういう明確な答えはないようでありましたけれども、ぜひ来年の三本目の法案の審議のときにはその方向性もきちっと出していただきたい。この一般担保つきの問題とあわせて、総括原価をどういう環境が整ったら廃止していくのかということももう少し具体的に詰めておいていただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

 それと、少し細かい話になりますが、非常に重要だなと思いましたのが、先日の参考人の質疑の中で、東京ガスの広瀬社長だったと思いますが、スイッチングをするときに、現在の大口の需要者のところでも紙ベースで結構いろいろな書類のやりとりがあって切りかえるのに大変だ、これが小口になったらとても処理もできないし、ユーザー側もこんな事務手続では面倒くさくてかえないという状況なので、この問題をぜひ改善していただきたいという話を、幾つか話している中の一つで話しておられましたけれども、非常に重要な問題だと思います。

 ユーザーがかえるインセンティブというか、そこをハードルを低くしてあげないと、やはりこういうものというのは競争は起きないと思うんですね。恐らく、そういうことに関して既に検討されていると思いますけれども、現在どういう検討がされているか、ここでちょっと教えていただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 需要家による小売電気事業者の切りかえ、いわゆるスイッチング、これは新規参入者が入ってくるために大変重要でございますけれども、これを円滑に行うためには、一般送配電事業者が保有するその需要家の情報を、需要家の本人の了解、承諾を得た上で、小売電気事業者に対して円滑に提供できる仕組みをつくることが必要でございます。

 このスイッチングを円滑化、進めていく上で、関係者としまして、現在供給を行っている小売電気事業者、それから今後新たに供給を行う小売電気事業者、それからそのエリアの一般送配電事業者と、関係者が非常に多いものですから、かつまた、それぞれの地域の一般送配電事業者ごとに提供される情報の内容とかタイミングが異なると、全国大で事業を行う小売電気事業者は非常に仕事がしにくいということになります。

 したがいまして、今、こういう課題を克服するために、広域的運営推進機関を活用したシステムの検討が進められておりまして、これは、今の一般電気事業者や新電力を初めとしまして、関係者間で検討が進められてございます。

 この基本的考え方につきましては、総合資源エネルギー調査会のワーキンググループで方針を示しておりまして、需要家がスイッチングを行う局面で、新しい小売電気事業者が、広域的運営推進機関が運営する情報システムを通じて一般送配電事業者から必要な情報を速やかに取得できる仕組みというものを、これは小売参入の全面自由化の実施時期までに構築するということで検討を進めているところでございます。

 あわせて、小売電気事業者が需要家に電気の供給を行うために、例えば託送契約の締結というような手続もございますので、その標準化もあわせて進めていきたいと考えてございます。

今井委員 とても重要なポイントだと思いますから、しっかり詳細を詰めていただきたいと思います。

 あと三問ぐらい残っているんですけれども、あと一分しかありませんので多分終わらないと思いますので、ちょっと早いですけれども、これで終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございます。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 まず最初に、これはちょっと通告にないことで、政府に対して要望させていただきたいことが一つございます。

 電気事業にかかわることだと私は思っているんですけれども、今世間を騒がせております漫画で「美味しんぼ」という漫画がございまして、そこの中の内容で、福島第一原発に行ってあの構内まで入った、それから大阪の、被災地の瓦れきを収容したところに行って取材をしてきて、そうしたら、そこでたくさんの人たちが鼻血を出しているというような形。

 ましてや、そこの作中に入っている前双葉町長のお話として、同じように本人も鼻血がどんどんどんどん毎日出るんだと。きのうもテレビで取材を受けておりまして、それは事実だというような話をしているんですね。そのテレビのキャスターも、そんなにたくさんの人たちがそういう鼻血を出したりしているということがあたかも事実かのような、そういうようなコメントをしているということがありました。

 当然、この経済産業委員会のメンバー、皆様は福島第一原発へ何回か行っていらっしゃると思います。私も何回も行かせていただいておりますけれども、鼻血が出た人なんて多分いらっしゃらないと思うんですよね。その上、疲れたりとか、そんなこともないし、私なんかは大阪に住んでおりますので、瓦れきがあるところと両方を経験していますけれども、そういうこともない。

 政府としてはそういう事実が確認できないというふうにしているかと思うので、やはり、あの漫画も三十年ぐらい連載をしているような漫画で、しかも、その中に出てくる方も被災地の元町長であったりと。世の中の風評被害とかを考えたときに、政府としてしっかりと適切な対応をしていただきたいなと思いまして、通告にはなかったんですけれども、まず一言、お話をさせていただきたかったわけでございます。

茂木国務大臣 コミックでも、例えば「夏子の酒」とか「神の雫」のように、相当正確かつ専門的な記述で、それによって日本酒やワインに対する造詣を深めた人も私は多いんじゃないかなと思っています。

 例えば、生ガキには酸味が強くて硬質な個性のある比較的安いシャブリが合う、こういう表現が「神の雫」に出てくるわけでありますけれども、いわゆる比較的安いシャブリ、これはシャブリの丘の低い場所にあるわけでありまして、もともとそこは海に沈んでいたんですね。そのために、土壌の中にカキの貝殻もまじっている、ミネラル分も豊富だということで生ガキに合うと。これは事実なんですね。

 読者の方も、コミックを読むに当たってこういった点を勘案しながら愛読している、こういったことも私は考える必要があると思っておりまして、御指摘の点に関しては、双葉町であったりとか福島県といった地元の自治体が抗議、申し入れを行っているところであります。

 政府としては、放射線の健康影響につきまして、専門家の評価として、東京電力福島第一原子力発電所の事故の放射線被曝が原因で住民に鼻血が多発しているとは考えられない、そのようにされていると承知をいたしております。

 現在、福島は、復興、再生を一層本格化させる、そして軌道に乗せていくという段階でありまして、地元の方々の不安であったりとか風評被害を招かないように、科学的知見に基づいた正確な情報を伝えていくことが極めて重要であると考えております。

木下委員 事前の通告がないにもかかわらず、しっかりとした御答弁をいただきましてありがとうございます。そういった意味で、これから先も、ぜひとも適切な対応をとっていただきたいなと思っております。

 茂木大臣のように、漫画を見る際にもその内容をこうやってしっかり覚えていらっしゃるような、そういう読者がたくさんいる中で、ああいう内容を描いてしまうとやはり影響は大きいと思いますので、ぜひともそういったところを考えていただきたいと思います。

 この話は、本当は私がするんじゃなくて、この後の伊東委員が医学的根拠に基づいて質問をこの後続けてやられるということですので、またよろしくお願いいたします。

 では、本題のお話をさせていただきます。

 まず、今回の法案、私も何回かここに立たせていただきまして、ずっと言ってきたことなんですけれども、自由化をしていくんだと。この中で、まず小売参入の自由化ということで、最終的なゴールとしては電力の全面的な自由化をしていくんだというお話ですが、今回の法案の中でも、そのステップについては書いてあり、そして、自由化ができるような環境を整えて、そのまま進めていくんだということが書いてあります。

 私自身も、これも以前お話しさせていただきましたが、電力事業の自由化をして健全な市場をつくっていくんだ、消費者に利便性であったり電気料金などのメリットをもたらそうという、その趣旨については非常に賛意を示すところではございますが、そうはいいながらも、やはりどうしても、自由化の道のりそれからゴールといったところが、まだまだ私たちですら見えていないところがあると思っております。

 きょうは、そういった意味で、これからの、果たして電力が全面的に自由化されたときに、どういうふうな市場ができ上がっているのか、これがやはりイメージがある程度できなければ、この話はどうしても何か空論になってしまう可能性が私はあるなと思っていて、常々、では、自由化されたらどんなことが起こるんだろうというふうなことを考えておりました。

 その中で、少し大臣にも御所見をいただきたいんですけれども、小売の自由化を行ったら、さまざまな事業者、さまざまな事業者というのはもともと電力をやっていなかった事業者ですが、が新規参入してくる。そうしたときに、彼らが持っていたもともとのサービスと融合して、電気の小売事業を行う可能性が高いというふうに私は思っているんですけれども、どんな事業者が入ってくることが想定できるのかというところで、大臣のイメージはどういうイメージを持っていらっしゃるでしょうか。

茂木国務大臣 恐らく、一つは、エネルギーを扱っている事業者、電気でなくてもそういった事業者の参入というのは想定をされる、このように今考えております。それから同時に、ある意味、顧客を持っているといいますか、例えばマンションであったり、さまざまな形で顧客をつかんでいる事業者というのも、小売に対する参入というのは可能であろう、こんなふうに私は考えております。

 同時に、委員もお勤めでありました商社、ほとんどの事業をやりますから、そういった全く違った業態といいますか、既に今、商社でもエネルギー関連の事業をさまざま展開されておりまして、そういった参入も進んでいくのではないかなと思っております。同時に、例えば再生可能エネルギーの発電を行う事業者が、発電だけではなくて小売を行う、こういったことも場合によっては想定されるのではないかなと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 しっかりとイメージを持っていらっしゃるんだなと。

 お話しいただいたとおりで、私も思っているのは、マンションなんかもそうですし、それ以外にも、顧客を持っているというところでは、一般の電話事業をやっているところ、携帯電話事業なんかもそうですし、この間、参考人で来られたときにお話があったガスの事業者であるとか、あとはケーブルテレビだとか光ケーブルのインターネット接続事業者、インフラ事業者ですね、そういった感じのところが一つは考えられるかなと。

 そこの特徴というのは、大臣もきょう午前中にちょっとお話しされていましたが、電気事業と電話の事業、通信の事業との違いというところは、ラストワンマイル自体をどこが持つかというところがポイントだとおっしゃられていたんですけれども、私が思うのは、これから先のその自由化がされたときに、電気に関してもラストワンマイルをコントロールできる、そういった事業者が一番勝ち組に入っていくのではないかなという気がしております。というのは、今の新規で参入してくるであろうところは、ほとんどがラストワンマイルというものをある程度保持している会社なのかなというふうに思っているからです。

 その意味で、では、送配電の近未来。小売から送配電にちょっと飛びますけれども、送配電の近未来像としても、やはりそういう意味では、情報通信と同じようにラストワンマイルというのが重要でしょうということがちょっと言いたかったので、そういうお話をさせていただいたんです。

 今、そこで、では、そのラストワンマイルが電気の中でどういったところで課題になっているのかなということを考えてみました。そうしたら、このごろようやく一般的になりつつあるものとして、一般的になっているかどうかというとちょっと疑問ではあるんですけれども、私の中では大分進んできたなと思っていることが一つあります。

 それは、PLC、パワー・ライン・コミュニケーションと言われているもので、電気のメタルの線、あそこの中の違う周波数帯を使ってインターネットの情報通信をそのまま流してあげようと。

 今の状態の中ではどういうことが起こっているかというと、一戸建ての家であったり、一つの集合体、一つの建物の中でコンセントに差しますと、そのコンセントの横に通信用のモデムを置いてあれば、それをうまくPLC機器に接続すれば、家の中のどこのコンセントに差してもインターネットにつながるような、そういう仕組みがもう市販されております。結構、その手の人たちには普及がし出しているんですね。

 これは、どこのメタルの線を使ってもある程度基本的にはできるということなので、非常に便利かなと思っているんですが、このPLCは、本来は、一つの家屋の中だけでインターネット、LANをコンセントを通じてやるものでは本来的にはなくて、町の中の電気が通っている電線に同じように通信を飛ばして、飛ばすというのか乗っけてあげるという形のことも技術的には本当は可能で、そういうことをもともと考えてつくられている技術だと私は思っております。

 ただ、いろいろ弊害がありまして、そのまま電線の中に違う周波数帯の通信を流すと、例えば短波のラジオであるとか、ああいったものに周波数帯が近いところにノイズが出てしまうということがあって、今のところは規制されていて、戸内だけでやられているということなんですね。

 ただ、私、もう少し考えてみると、では、そういう例えば光ケーブルであったりケーブルテレビインターネットをやっている事業者はどうしているかというと、家の中までそのケーブルを引き込んで工事をしてやっている。これは結構大変な負担なんですね。

 恐らく、今回の自由化がされていったときに彼らはどういうことを考えるだろうと思ったら、彼らが望んでいることはどういうことかというと、家の前の電柱の上にある変圧器、あそこから先を自由化してほしいと言うんだと思うんです。電線をそのまま通ってきて、横にケーブルテレビも通っています。変圧器より先の部分でインターネットの通信を乗っけてあげれば、そこらじゅうで通信が可能になってくる、こういうことが考えられるんじゃないかな。必ず、自由化というふうな話になってきたときに、彼らが強く要望してくるところは、こういったものも考えられるんじゃないかなと。

 一つの私のただの思いつきですので、どうなるかわかりません。ただし、こういうこともあるんじゃないかなと思っているんです。

 ただ、そうなったときに何が必要かというと、これもまたしつこくずっと言わせていただいていますが、スマートメーターの機能拡張というお話を以前からお話しさせていただいていますが、私の言っているスマートメーターの拡張は、皆さんに説明してもなかなか理解していただけなかったんですけれども、要は、そうなったときに、変圧器よりも家側にあるスマートメーターにいろいろな機能を乗せるというのは、そこまでのことに踏み込んだ形にならなきゃいけないんじゃないかな。

 だから、今の一般電気事業者、今の電力会社が例えば導入の入札をしたりとか規格を決めたりとか、そういう形のことをしていてはいけないんじゃないかなというふうに、そういう思いで今まで質問をさせていただきました。

 ちょっとだらだらと話が長いので、私は何が言いたいかというと、こういうことがどんどん起こってくる可能性がある。そのイメージが、今のこの経済産業委員会もしくは経済産業省の下でそこまでのイメージができているかというと、多分できないと思うんです。私でも今一つだけしか思い浮かばず、今そういう話をさせていただきましたけれども、やはり、そういうことを考えたときには第三者の目というのが非常に重要なんじゃないかな。

 私はそう思うので、この前に今井委員が三条委員会の話をしていましたけれども、三条委員会というよりも、そういう目を持ったような人たちがこの電力自由化について意見をオープンな形で言えるような、そういう組織をつくっていくことが本来必要なんじゃないかなと思っています。

 ちょっと話が長いので、今までの中で、もしも、大臣、御所見等ございましたら。

茂木国務大臣 恐らく、電気通信事業と電力の違いということでいいますと、一九八五年、電電公社が民営化をされる、この段階におきましては、いわゆる基幹のネットワークについて第二電電とかと共有をするという中で、NTT東西ともにラストワンマイルを持っているのに対して、その接続料を幾らにするか、第二電電等々についてはそれが大きな課題でありまして、そういった意味で、ラストワンマイルを、言ってみると、電力と違うのは、発送電が分離されているわけじゃないんです、東西が分離されております、NTTの場合は。それに対して、今後は、発電と送配電は電力では分離をされて、そして、送配電の、家庭の部分まで送配電部門が持ちまして、それについて中立化をしていく、ここに一つの電気通信事業と電力事業の違いがあるんじゃないかな。専門的には後で田嶋先生にお聞きいただいた方が私はいいのではないかなと思うところもあるんですが。

 そこの中で、最終的に、では、パワー・ライン・コミュニケーション、恐らく、私、途上国なんかでいいますと、これを使わないとだめな国というのがあると思うんですね。日本では、では、それを使って新しいサービスをやっていくということは、言ってみると、小売事業者というよりも、送配電事業者も含めて、中立性が保てる中でどうビジネスモデルを組み合わせていくか。小売事業者と送配電の持っている一部の施設を使いながら、そしてスマートメーターも使ってやっていくということですから、そういった配慮が必要であるとは思っております。

 ある意味、さまざまな事業が展開をされる中で、売るものが単に電力じゃなくなってきて、さまざまなパッケージングというものが生まれるということは、私は、事業の形態としては、ビジネスモデルとしてはあり得る、そして、そのツールとして、恐らくスマートメーターというのは相当有力なツールになってくるわけでありまして、単純に、これを電力用だけに未来永劫使い続けますということにはなってこないんだと思っております。

木下委員 まさしくそのとおりだろうと私も思っております。

 私も、実は、商社にいましたけれども、何をしていたかというと、第二電電ができたときの回線を売ったり、携帯電話事業者に数年間出向したりしておりまして、その辺の話は知っております。

 そういう意味で、携帯電話の話なんかも出てきたのでちょっとお話ししますと、恐らく、自由化したときに、そういう新たなサービスが乗っかってくる形になる。そうしたら、もう一つ考えられるのが、サービスだけじゃなくて料金のお話だと思っております。

 料金の話はどういうことが考えられるかというと、例えば、大きなシェアを持つ携帯電話事業者が電力のサービスメニューと携帯電話のサービスメニューを一緒にした場合、顧客が何千万人もいるといったときに、そうしたときにどういうことが起こるかというと、その顧客を何千万人分まとめましたから、だから発電事業者には、発電事業者から買うときにボリュームディスカウントをしてもらう、それによって電力が安く供給できますよ、そのかわり携帯電話は自分の会社のものを契約してくださいというような、こんな感じのことが起こる。

 そうすると、恐らく消費者の価格のメリットというのは出てくるんだろうなというふうに思っていて、そういうことが、携帯電話だけじゃなくてインターネット環境、インフラ事業者であったりケーブルテレビインターネットの会社であったり、いろいろなところでそういうふうなことが出てきたり、あとはマンションをやっているディベロッパーなんかもそういうことをやってくる可能性はあるのかなと思っているんですね。

 そうなると、料金というのは相当多岐にわたって、監視すると言ったらあれですが、ちゃんと分析をするのがめちゃめちゃ大変になってくるんじゃないかなと思っています。

 私なんか、それこそ携帯電話の会社に行っていたときに、この間もちょっとお話がありましたけれども、携帯電話の料金を価格決定するときに、ほとんど見ていてもわからないですよね。お店に行って、何が得で何が安いのかわからない。これは余り言ってはあれですけれども、携帯電話事業者に勤めている人でもほとんどの人が、わからない人が多いらしいんですね。

 彼らは何をしているかというと、びっくりしたんですけれども、大手の広告会社の人たちが、広告と一緒に、広告のところに、何円になります、他社よりこうやって安いですよと、ああいう戦略までも大手の広告会社がほとんどやっているらしいんですね。それぐらい複雑になっている。こういう時代が恐らく電気にもやってくるんじゃないかな、そういうことを考えております。

 そうなると、また一つ考えられるのが、何度もしつこいように言いますけれども、第三者による委員会であるとか監視するような機関であるとか、そういった人じゃないと、政府の中だけでそれをやっていても、さまざまな社会のイノベーションに対応した形で自由な競争環境というのを判断することは、私は難しいんじゃないかなというようなことを考えているので、そういうお話をさせていただきました。

 次に、ちょっとお話を続けさせていただきます。

 今まで、携帯電話であるとか、そういう通信の方の話をしたんですけれども、同じように考えられるのが、都市ガス会社といったような、水道は公共の団体がやっている場合が多いのであれですが、特に都市ガス会社なんかは参入してくる可能性がある。

 そのときに、私は、いろいろな選択肢があっていいから、消費者にとってはいいんじゃないかなというふうなことも考えつつも、ただ、この間も参考人のお話なんかを聞いていて思ったのが、やはりこういうサービスに新たに参入してくるような事業者も、ある程度独占状態、地域の独占もしくは寡占状態にあるような、そういった事業者が電気に参入してくる可能性が大きいんじゃないかなと思っております。

 それを考えたときに、私は、そうはいいながら、競争環境がどんどんどんどんできてくるのでそんなに問題はないかなとは思っているということをつけ加えさせていただいた上で、大臣に御所見をいただきたいんですけれども、果たして、そういったところが入ってくることで自由化がなされたというふうに断言してしまっていいのかという疑問は、世の中では残るんじゃないかなと思っているんですが、その辺についてはどうお考えでしょうか。

茂木国務大臣 まず、電気事業について申し上げますと、これは、例えば違う事業を営んでいようが、また例えば、ビジネスはやっていないけれども巨大な資産を持っている人がその事業に参画をする、こういったことを想定したときに、不当に安いといいますか、完全に原価割れした価格によって電力販売を行って、電力市場の健全な発展に支障が生ずるおそれがあると認められる場合には、経済産業大臣が業務改善命令を発動することが可能であります。

 また、原価割れした価格によります電力販売、これは、一般的な競争ルールであります独占禁止法上の不公正な取引方法の一類型であり、不当廉売に当たる可能性があると考えておりまして、新しく参入する事業者の形態が何であるかということ以上に、電力事業としてやっていること、これが法的に見て問題があるかどうかという観点からは、適正な価格設定等々であるかどうかということは十分判断できると考えております。

木下委員 済みません、ありがとうございます。

 私の聞き方が悪かったので、多分、その後に質問させていただきたいことを先にお答えいただいたんです。ごめんなさい。

 先に聞きたかったのは、まず最初に、独占的であったり寡占的であったりするほかの事業をやっている人たちが参入してきて、また、そういった人たちの中で競争が起こることはいいんだとは思うんですけれども、結局は、既に独占的な何かインフラを持っているような会社が参入してくることだけで自由化というのがなされたと断言できるのかどうかというお話をちょっと聞かせていただきたかったんです。ただ、今のお話の中にも、私は、ある意味、含まれていたかなと。

 その後にちょっと聞かせていただきたかったのは、そうなった場合に、やはり同じように独占的もしくは寡占的な状態にあるところが、自分たちがもともと持っていたサービスとそれから電気事業とを組み合わせることによって、あたかも電気料金はもう原価割れしているんじゃないかと思えるような、それぐらい安い値段設定で提供をする、こういう広告を出したりとかした場合に、そういうことが認められるのかなということをちょっと聞かせていただきたくて、それに対するお答えが多分こういうお話だったんだろうなと思っています。

 ちょっとそこがやはり問題だなと思っていて、要は、適正な価格、原価割れしていないかどうかということなんですけれども、今お答えいただいたとおり、当然、原価割れしていることが明らかであった場合は、これは規制の対象にするべきだと私は思っているんですけれども、これが、会社によっては、小売だけじゃなくて、同系列の中で発電事業もやっているような会社は出てくるだろうと思っているんです。そうしたときに、発電のコストがどれぐらいなのかということが果たしてちゃんと、原価がどれぐらいだということが適正に、新たに参入してくる者に対しては、見ることができるのかどうかという疑問が私は残るんじゃないかなと。

 今までの電力事業に関しては、総括原価方式で、発電のコストが幾らだったかということはわかります。ただ、これから先、新規の参入業者が入ってきたときに、本当の意味での発電コストがどれぐらいなのかということは、これは誰がどうやって判断するの、どうやって見るのと。ましてや、先ほど言いましたように、ボリュームディスカウントなんかがあったりしたときに、ボリュームディスカウントの率がどれぐらいになるというところまで誰が手を入れて見ていくのか。

 これはすごく私は疑問を感じておりまして、こういうことこそ第三者の目で見ていく必要があるんじゃないかなと思っておりますが、この辺についてはどういう御見解等ありますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 電気料金の適切性の情報開示というお話だと承っておりますけれども、今回の法案では、今の一般電気事業者につきましては、経過措置として規制料金が残りますので、この内容につきましては、審査の過程で情報公開もされることになろうと思っております。

 それから、新規参入者につきましては、規制料金は残りますので、この規制料金よりも安い料金で新規参入されるということになりますし、また、基本的には、自由化後の市場におきましては、適切な競争を通じて料金が設定されるということで、そもそも、自由化部門においては、コストの開示ということは制度として想定はしてございませんけれども、先ほど大臣から御答弁がございましたとおり、不当に安く廉売するような、かつ、それによって競争を阻害するような行為につきましては、法律に基づいて取り締まるということでございます。

木下委員 そうなんです、競争を阻害するような行為になれば規制していくと。

 ただ、私、何度もこれは比較して申しわけないんですけれども、今携帯電話がこれだけ普及しているのは何かというと、世の中で携帯電話端末ゼロ円で売り出したからなんですね。それで、毎月の料金幾らと。これは自粛して、端末は適正な価格で売られるようになりましたけれども、一時期そういうふうになって爆発的に普及したというのをまざまざと見ておりますので、それを考えたときに、競争というのは、どういう状態で競争が阻害されたというのか、これを判断するのは相当難しいと私は思っているんです。

 逆に、あそこの会社がそういうことをやったら、うちももっと魅力的なメニューをつくって、価格設定もこうやってやろう、そういうところが生き残ってくる。それによって競争がなされる。これによって消費者が一番メリットを感じられれば、それが一番いいことなんじゃないかな。

 そうなったときに、その判断を誰がどうやって下していくことができるのか。私は、理想は、何もしなくても、そういう形の器をつくってしまって自由に競争させる、それがいいんだろうと思っているんですけれども、まだ電力システム改革は途上における状態の中で、そういうことも起こってくる可能性があります。そうした場合に、今の体制の中で、そういった監視をし、適正な措置をとっていくということが、今の経済産業省、資源エネルギー庁の下に機関をつくっていくだけではできないんじゃないか、そういう思いで私はこのお話をさせていただきました。

 時間がもう数分になってしまいましたが、もう一つ残っていて、先ほど今井委員も話していた一般担保つき社債のお話をさせていただこうと思っておりましたが、大まかなお話については全て御答弁いただいているのかなと思っております。

 ただ、私、一つだけ気になることは何かというと、本当に政府がこの一般担保つき社債について将来的になくしていくのかということを、やはりずっと懸念しております。前の今井委員に対する御答弁では、どうしてももう少し踏み込んでほしいなという思いがございまして、これから先もその辺のお話をまたお話しさせていただければなと思います。

 今井委員も早く終わりましたが、私もこれで終わりにさせていただきたいと思いますので。

 どうもありがとうございました。

富田委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久です。よろしくお願いいたします。

 電事法の改正についての質疑をさせていただくわけなんですけれども、先ほど木下議員から前振りというか、御紹介もいただいたんです。

 私は立場的に、日本維新の会の人間ですので、我々が負託を受けましたさきの衆議院選挙の維新の会の公約において、二〇三〇年の原子力発電所のフェードアウトであったりとか、日本維新の会の中でもエネルギー調査委員会をつくっておりまして、その中の私の担当が新エネルギー、再生可能エネルギーの小委員長でありまして、その調査を進めていっているところでございます。一方で、科学に携わる者として、原子力エネルギーの科学的な平和利用、平和応用ということに関しても知見があったつもりでございます。

 その中で、いたずらに風評被害、風評をあおるような、もしくは、さも科学的に正しいかのような、そういった報道というのはやはりちょっと残念に思うというよりも、正直、怒りを覚えるところもありましたので、今回ちょっと、この小学館のビッグコミックスピリッツ連載の「美味しんぼ」についての御意見といいましょうか、果たして正しいのか正しくないのか、言えるところまでは言っていこうというのが私のスタンスですので、御質問をさせていただきたいと思います。

 まずは、気になるところ、やはり鼻出血、鼻血のことなんですけれども、主人公が福島の方を視察している、いろいろ調査しているときに鼻血が起こったということなんです。

 出血というのは赤のイメージが強いのか、はたまた、生物が守るべき生命の維持に対してなのか、出血に対して、やはりかなりのインパクトを覚えるところがございます。

 私は、医療に関してのいろいろな経歴があるんですけれども、救急医をやっておりまして、かつ、今、常々言っていますけれども、椎間板ヘルニアのレーザー治療をやっていまして、レーザーに関しては、レーシック以外はほとんどやったことがございまして、例えば、アレルギー性鼻炎の炭酸ガスによる治療であったりとか、扁桃腺のレーザーによる切除であったりとか、耳鼻科のこともやっておりました。かなり鼻出血に関しては知見がございます。

 何が問題かというと、このコミックの中で水分子のことを書いておりまして、鼻の粘膜や毛細血管の細胞は七、八〇%は水でできていますと書いておりまして、それはそうだと。水分子は、放射線で切断されて、強いラジカルと呼ばれるものになると書いてあるんですね。

 H2O、水ですよね。ふだんは、HプラスというイオンとOHというマイナスになる。電子が移動するからですね。移動せずに原子の形になって、水素原子のまま、OH原子のままに分かれてしまうのがラジカルという言葉なんですね。これは、かなり強い放射線のエネルギーによってなるわけなんです。

 もっと読み進めていくと、これが戻ったとき、オキシフルとして消毒薬に使われると書いていますけれども、過酸化水素分子になることがある、しかも、毒性が強いと書いてあるんですよね。

 これはオキシフルとか書いていますけれども、皆さんも使われたことがあると思うんですけれども、消毒薬で使うオキシドールなんですね。けがをしたときに、私が子供のときは赤チンというのがあったんですけれども、ヨードチンキになって、イソジンになったわけなんですけれども、それ以外にオキシドールというのがあって、しゅわっと泡が立つものです。

 扁桃腺の話をしましたけれども、扁桃腺をレーザーを使わずに切除した瞬間に、そのオキシフル、オキシドールをしみ込ませた脱脂綿を切除したところに当てるんですね。そうすると、泡がしゅわっと立って、その細かい泡が止血する、そういった応用として私は使っておりました。つまり、実際に血管の中にというか、血管に触れるようにそのオキシフルを使っていたわけです。

 つまりは、このラジカルが血液中に存在したら、それは即座に、過酸化水素水になったら、酸化還元反応によってまた泡が出てきて、酸素と水に戻るわけなんですよ。にもかかわらず、このことによって血管が破れて鼻出血が起こったような、鼻血が起こったような書き方をこのコミックはしております。

 私は、いろいろな新聞の報道を見たりとかテレビの報道を見たりしましたけれども、このことについて触れている報道、新聞はわずかでありまして、たしか一社かそれぐらいしか見当たらなかったんですけれども、この現象は、つまり、ラジカル反応は、体の中で自然に起こることもある、これも事実なんですよね。だけれども、実際、このことによって鼻出血が起こったと。

 このラジカル反応は何で起こったかというと放射線によって起こったというような書き方をしているんですけれども、これについての科学的な検証とか反論とか、つまり科学的な検証というのは、政府はやられておりますか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 環境省さんでも、これは県の調査などをもとに、こういうものがどの程度行われているかということについては状況把握に努めておられます。

 また、国連のUNSCEAR、これが、東日本大震災の被災に伴いまして確定的な影響というものが住民に対して起こっているかということにつきましては、確定的な影響が生じていないということで専門家の御評価をいただいているところでございますので、そういった科学的見地に基づきましたいろいろな御評価を私どもとしてもしっかりと掌握しながら対応していくことが肝要ではないかと考えているところでございます。

伊東(信)委員 ここはやはり、政府として毅然とした態度を見せていただきたいわけなんですね。オキシフルの話、ラジカルの話は、本当はできるだけ短くいきたいわけなんです。

 つまりは、科学的な見地に基づいて、それはわかります。今、環境省であっても、各省庁においても、政府においても専門家の意見を聞くというのはわかりますけれども、こういったことを堂々と載っけているのであれば、科学的に言いますと、それに対しての反論が必要なんですけれども、このラジカル、過酸化水素水による血管の破綻というのを、現在、調べているのか、調べていないのか、もしくは知見として出ているのか、もしくは、このこと、このラジカルだけでいいです、ラジカルと放射線の影響について調べているのかどうかという質問です。

加藤政府参考人 放射線によりまして住民に影響が出る場合に、まず確定的に影響が出るかどうかということをしっかり理解した上で、その状況に応じた対応というのをとることが必要かというふうに考えてございます。

 ただいまの福島県の方々の被曝量というものを考えます場合に、恐らく確定的な影響が出るであろうという閾値を超えた状況ではないということでございますので、まずは健康の状況等につきましてしっかりと把握をしながら、必要に応じた対応をさらに考えていくということ、現状ではそのようなことではないかと考えております。

伊東(信)委員 恐らく、このことに関して検証はしていない、そういう御答弁だと思うんですけれども、それはそれでいいです。言ったら、一つの漫画のことに関して、正しいかどうかわからないことに関して、そこまで踏み込むのかというような、そういう意味だと解釈しました。

 ただ、これに対しての反論はやはりすべきだと思います。なぜかといいますと、いろいろな反論、いろいろな意見、いろいろないわゆる世間の対応というのをこれから紹介していくつもりなんですけれども、この作者なり出版社は、十九日にさらにこの話を載せる、いろいろな意見を集約して載せると書いてあるんですけれども、こういった、十二日に発売されたこの号、そして五日に発売された号、これを見る限り、恐らく、十九日もやはり、独自の調査で独自の知見で書かれる可能性が高く、先ほど木下議員が質疑の中で説明していましたけれども、これを例えば次の媒体、テレビであるとか新聞報道をされた場合、メディアのニュートラルな中立性という名のもとに対立意見も載っける、公平に載っけるということで出された場合、さも正しいかのような、そういった議論もされてしまうわけです。その前に政府としてきちっとした態度をとっていただきたいということです。

 さまざまなこれに対する報道、先ほどの答弁の中でも出ていましたけれども、住民の中でも、一Fで働く作業員で、大体住民の被曝線量で大半が十ミリシーベルト以下もしくはその前後であろう。

 放射線障害による出血の最大の原因というのは、血が固まりにくくなる、出血がしやすくなる血液の成分というのは血小板であるんですね、この血小板が減少するということです。例えば悪性腫瘍、がんとかで放射線治療をしているときのいわゆる合併症、ふだんは副作用というんですけれども、それで血小板が減少する、パンサイトペニアといいまして、赤血球も白血球も全部減っちゃうわけなんですけれども、血小板が減るので、リスクが上昇するのは大体一千ミリシーベルト以上と言われているんですけれども、いやいや、そうではなくて慢性も怖いのよということをこの漫画は言いたいのかもしれません。

 お手元の資料に、再三言っていますけれども、私はふだんはレーザー治療でレントゲンのもとで手術をしていますので、外部被曝の線量測定個人報告書と私自身の検査結果を出しましたけれども、余りうれしくない話ですけれども、実効の、等価線量として、今までの累計として二〇〇六年から二十二・一ミリシーベルト浴びております。単年度では一・二から七・九、水晶体とか、目の部分とか、今でこそゴーグルをしていますけれども、昔はゴーグルがなかった時代もありましたので、割かし医療従事者の方では、放射線技師に対抗して、もしくはそれ以上に、外部被曝線量というのはお示しのとおりです。

 その中で、この検査結果を見ていただいたらわかるんですけれども、私は、一九六四年一月四日生まれ、五十歳ですけれども、非常に健康なんですね。どの検査結果を見ても、肝臓の機能もいいですし、腎臓の機能もいいですし……(発言する者あり)ありがとうございます。結構飲むんですけれども、でも大丈夫なんですよ。赤血球も白血球もヘモグロビンもそうなんですけれども、血小板の数も正常値なのでありますね。ましてや、国会議員ラグビーチームのキャプテンもやっておりまして、非常に元気なんですよ。福島の方も何回も行かせていただきまして、これプラスアルファ浴びているわけなんです。

 ただ、一個人のデータなんですけれども、血小板減少に関して私自身はこのような知見があって、いたずらに風評をあおるようなこの漫画の報道というのはやはり非常に残念というか、それ以上に怒りを感じるものであります。

 このビッグコミックスピリッツというのは、私は結構毎週買っておりまして、この間終わりましたけれども、「ラストイニング」という非常に精神的な駆け引きを展開している野球の漫画であったりとか、ウシジマくんという、ちょっと闇の金融の話とか、「アイアムアヒーロー」という近未来のパンデミックのお話であるとか、非常に味わい深い漫画もある、コミックもある中、かなり残念な感じで、リアルタイムにこれを読んだときはちょっと衝撃を感じました。

 その中で、一番被害をこうむっているのは、やはり福島の住民の皆さんだと思うんですね。この風評被害というのはかなり大きなものであって、福島県の被災地の方々の産業とか住民の方々の不安とかに関して、政府としてはいかなる見解なり、いかなる対処をされるつもりでしょうか。

加藤政府参考人 お答え申し上げます。

 福島県の風評被害に関しましては、非常に大きな政策課題だというふうに認識しております。

 特に食品等につきまして、なかなか、特に西日本の方に販路が回復できないということがございますので、そういったものにつきまして、さまざまな展示会をやり、販売促進会をやる、そういうこともやっております。

 また、工業品に関しましてもそのような可能性がございますので、放射線量をおはかりするような御支援を申し上げるなどして、風評被害が発生しないようにすることが大事だということでございまして、所要の予算措置等を講じまして、引き続き風評被害対策を講じてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 食品の話をされたと思うんですけれども、やはり科学的な話をしたりとか、政治の世界でもそうなんですけれども、区別というのが大事だと思うんですね。

 つまり、いわゆる電力の政策と原発の話、ここは一つに考えなければいけないとしても、これからの原発の話と福島の復興の話は別なんですね、補償の問題も含めて。一緒に考えるとかなり話がややこしくなるというか、議論が進まない部分もございまして、国民の皆さんの中で一番どなたが被害をこうむっているかというと、これはもう、とりもなおさず福島県の方であるわけなんです。

 食品の話をされましたけれども、福島原発からのいわゆる廃棄物であったりとか燃料からの直接の放射線とは別に、放射線を含んだ物質、これを体内に取り入れる、中から放射線が出てくる、これを内部被曝というわけなんですけれども、内部被曝の問題と外部被曝の問題はやはり区別して考えなければいけないわけですね。

 この中で、瓦れきの処理の問題もございます。これは区別して考えようというのが我々大阪でありまして、大阪でそれを受け入れて、この災害廃棄物の処理を大阪府、大阪市で行ったわけなんですけれども、この大阪の焼却場の近くに住む住民八百人ほど、お母さんたちが調査した、放射線だけの影響とは断定できませんが、目や呼吸器系の症状が出ていますということなんですね。このことに関して、大阪府、大阪市は、保健センター、医師会を通じて調査をいたしました。作中に表現のある状況はなかったということなんですね。

 先ほど私が言ったラジカル反応というのは、いわゆる化学反応とか医学的なことでありますけれども、これは調査によってわかることでございます。このことによって大阪も被害をこうむったので、出版社に対して、大阪府知事、大阪市長から抗議文を出しております。このようにして、このコミックの影響というのは、私はやはり無視できないものだと思います。

 福島県と、加えて大阪に、大阪の住民の皆さんに被害を拡大しているというよりは、そのことによってさらに福島県の皆さんの心情を深く傷つけ、ましてや、産業に対しても影響を及ぼすような表現だと思うんですけれども、この大阪の瓦れきの処理に関して、政府の見解はどのように思われていますか。

茂木国務大臣 十二日月曜日に、政府としても官房長官が、専門家の見解として、東京電力福島第一原子力発電所の事故の放射線被曝が原因で住民に鼻血が多発しているとは考えられない、このように国民に向けて説明をしております。同様に、同日、大阪府、大阪市が小学館に抗議文を送付しておりまして、そこの中でも、震災の瓦れきを処理した大阪の焼却場周辺の住民が鼻血などの症状を訴えているという事実はなく、不適切な表現である旨抗議をしている、そのように承知をいたしております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 いずれにしても、血小板が減少しているか否か、つまり、鼻出血を出しているか。仮に出しているのであれば、その方のこういった検査データもこのコミックは果たして出してくれるのだろうかということですね。フリーラジカルの話は、明らかに科学的に理論が破綻しております。私は、言い切ります。

 そのことを表現の自由と果たして片づけていいのかということです。漫画であるからそこまで規制をするものではないというような御意見もあろうかと思いますけれども、私自身は表現の自由を超えていると思うんです。そのあたりに関しては、いかが御見解をお持ちでしょうか。

茂木国務大臣 なかなか、医学の専門的なことは伊東先生ほど私は知見がございませんので、答えにくい部分もあるんですが、先ほどの検査結果でも、お酒を飲むのにガンマGTPが十八というのはすごいなと驚愕の念を持ったところであります。

 それは別といたしましても、やはり、こういったさまざまなコミックであったりとかアニメ、私は、先ほど木下委員の答弁の中でもお話を申し上げましたが、社会的にも影響は大きいんだと思います。例えば、先ほどはちょっとシャブリの話をしたんですけれども、同じ「神の雫」の中で、シャトー・ジスクールという赤ワイン、これが非常にリーズナブルだと。これはボルドーの五級のワインでありますけれども、そう書かれてから急に値段が上がるというか、こういうことで私も若干の被害を受けた一人なんです。

 さらに、「巨人の星」、これがインドで今アニメでやっておりまして、「スーラジ ザ・ライジングスター」、これはもともと講談社でありますけれども、やっているわけでありますけれども、基本的には「巨人の星」そのものであります。

 三つ違います。一つは、この主人公、スーラジでありますけれども、星飛雄馬役になるわけですけれども、野球ではなくて、インドの国民的なスポーツでありますクリケットをやっている。それから、相手役の花形満も出てきますが、日本ではスポーツカーに乗っていましたけれども、インドではちゃんとスズキの車に乗っているということであります。一番の大きな違いは、星一徹、これが、家族、星飛雄馬、そして明子さんの前でちゃぶ台返しをやるんですね。「巨人の星」のときは、御飯というか、テーブルの上にお茶わんとかが置いてあるところでちゃぶ台返しをやったんですけれども、やはりインドにおいては食物を粗末にしてはいけないということで、一旦全部片づけた後でちゃぶ台返し、テーブル返しなんですけれども、やると。

 やはり、そういうコミックというものも、それがどう社会的に影響を及ぼすか、こういう観点も私は重要なんだと思います。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 確かに、インドには、ちゃぶ台がないと思うのでテーブルだと思うんですけれども。食生活も違うので、やはりカレーとかそういうのが散乱するとかなり悲惨な状況になると思うので、そのあたりの考慮もあったのではないかなと思うんです。

 いずれにしても、政府の方針であるところのクールジャパンではないですけれども、いわゆる紙媒体による社会的な影響というのは、全く無視のできない状況であります。ですので、やはり、コミックであるからといって流すことなく、政府としての厳しい態度を、今後、十九日の次の、まあ、余り言い過ぎると何かかえってこのコミックの宣伝になってしまいますので、この辺が難しいところなんですけれども。

 ただ、守るべき方はやはり福島の被災者の方という、このスピリットのもとに、スピリッツだからスピリットと言っているわけじゃないですけれども、これは済みません、これは申しわけなかったです、きっちりと守るべきところは守ってほしいのと、政府としての毅然とした態度と、一刻も早くこの科学的検証はしてください。

 きょう、七問ほど用意していたんですけれども、大分時間を過ごしましたので、できたら次に進みたいと思います。

 電力システム改革についてお尋ねしたいんですけれども、どうしても三・一一とそれに起因する原発の事故によって、原発の信頼の低下、あとまた、地域をまたぐ供給力の広域的活用対策とか、再生可能エネルギーの問題など、従来の電力システムの問題がさまざま出てきておりまして、電力の安定供給、このことが政府が取り組む大きな課題となっているのは言うまでもないお話でございます。

 私自身の前回の質疑でも取り上げましたけれども、電力系統全体のシステム統合についてお尋ねしたいんです。

 現状においてやはり問題になるのは、接続地点の問題。そういった場合、近隣地域における系統の十分な容量の送電を確保するために、増設計画策定などのいわゆる局所的な問題と、もう一方では、再生可能エネルギーを導入した、このことを前提とした調整メカニズムを構築するための系統全体の供給バランスと、つまりは、局所的な問題と系統全体のバランスの二面があると思うんですね。どっちも大事だと思うんですけれども、どちらに比重を置くというわけじゃないんですけれども、この二面に関して、政府の対応策というのを示していただきたいと思います。

上田政府参考人 委員御指摘のとおり、局所的問題と申しますか、特定地域あるいは特定地点をめぐる課題、それから、より広域で解決していくべき課題、この両方があると私どもは考えております。

 それで、局所的な課題、特定の地域、地点における課題といたしましては、例えば、電源を設置し、設置を検討するという者にとりまして、近くにある送配電設備の送電の可能性についての情報が適切に開示をされるといったこと、あるいは、電源の送配電網へのアクセスが非常に中立性が確保されているといったこと、さらに、送電線の運用や送電線の整備、あるいは運用のルール、こういったものが適切に整備されているといったようなことが考えられております。

 こういった問題につきましては、電気事業法の第一弾の改正によりまして創設されます広域的運営推進機関における送配電等の業務指針、こういったルールの設定ということを行っていくわけでございますが、こういったこと、あるいは、第三弾で検討しております、送配電部門の一層の中立化のための電力会社の法的分離などの対策ということが重要であるかと考えております。

 それから、より幅広い、広域的な問題もございます。例えば、全国レベルで発電所が適切に建設されて維持、運用されていくか、あるいは、エリアを越えた送電が現在より柔軟に行えるよう広域的な送電線の運用の調整が行えるかどうか、あるいは、エリアをまたぐ送電の可能性について情報が開示されるかどうか、あるいは、必要な地域間連系線の整備が計画的に進むかどうか等々が考えられるわけでございます。

 これらに対応するためには、広域的運営推進機関が、地域をまたいだ電力融通の指示、あるいは電源や送電線に関する整備、時々の需給状況の管理など、広域的な系統運用を進めていく、それとともに、今回の法案におきましても、安定供給を確保していくための発電、送配電、小売の各事業者に対してそれぞれの義務を課していく、こういったことが重要であると考えております。

伊東(信)委員 そういった中でも、系統全体の問題に関して、再生可能エネルギーの導入も考えられるわけなんですけれども、さらに、電力の周波数とか電圧を保つための需給を合致させる調整機能を構築するのが大事なわけなんです。

 東西とか管内をまたがる地域の電力調整を強化するための区間の連系強化とか広域運用の仕組みづくりをするために、前回もお聞きしたと思うんですけれども、ここで私としては周波数の問題に行きたいわけなんですけれども、こういった電力管内をまたがるところの管区間の連系の強化、広域運用のための仕組みづくりの具体策について、もう少し詳しくお話しいただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 広域的な融通、運営ということでございますけれども、電事法の第一弾の改正におきまして、広域的運営推進機関を設立することになっております。これによりまして、北本連系線などを含め、あるいは周波数変換設備、それから地域間の連系線というような、送電インフラを増強するための計画を広域的運営推進機関が取りまとめる。それから、送電網の広域的な運用の調整、例えば風力発電につきまして、風況のよい北海道や東北から大量に発電が可能となっても、エリアで吸収できないということなので、それを東京管内に送る、そういった出力変動の吸収などの調整業務を行うということにしております。

 また、連系線の強化の具体的な取り進めでございますけれども、まず、周波数変換装置につきましては、二〇二〇年を目途に現在の百二十万から二百十万まで増強をする、それ以降にできるだけ早期に三百万まで増強するということ、それから北本の連系線につきましては、現在の六十万から九十万キロワットまでの増強を早期に実現するということが決まっておりまして、今、これに向けて準備を進めているところでございます。

伊東(信)委員 御答弁の中で周波数の問題が出てきたと思うんですけれども、政治というのは、ことしはことしの政策がございまして、五年後、十年後のロードマップもございまして、だけれども、やはり大事なことは未来への責任ということなんです。

 原発政策もそうなんですけれども、電力の自由化に関して、来年以降の送配電の法的分離とかいうところでかなり期待はできると思うんですけれども、やはり周波数に関して、わかります、そのシステムを変えていく中でかなりのコストがかかっていくのは。しかしながら、やはり、目指すべきものはというよりも理想は周波数の統一だと私は思うんですけれども、そのあたり、政府の見解を聞かせてください。

上田政府参考人 御存じのとおり、日本は、現在、五十ヘルツと六十ヘルツに分かれているわけでございまして、この周波数をむしろ統一すべきでないかという議論は過去から多々ございました。私どもも、総合資源エネルギー調査会のもとに研究会を設置いたしまして、このコストあるいは実現性を、可能性を含めて検討したことがございます。

 そこでは、一つ、やはりコストの問題が大きゅうございまして、例えば、電気事業者の設備を交換するのに約十兆円かかるということに試算がされております。それから、電気事業者のみならず、需要家方、これは交流でございますので、自家用の発電機あるいはモーターといった工場等で使用する設備の取りかえに非常にコストがかかる、それからその期間は操業停止になる、そういった問題をどうするか。

 さまざまな課題があるということで、むしろ周波数変換装置を増強するということがより的確であり、周波数の統一については、さらなる検証、さらなる検討が必要であるというのがそのときの結論でございました。

伊東(信)委員 どうしてもコストの話になると思いますし、御質問してもそういった答弁になるのはわかるんですけれども、ただ、五年後、十年後を超えて、未来への責任という点においても、そういったいろいろな可能性の部分に関しては検討いただきたいということと、あと、重ねて、福島の方、被災者の方の心情を考えるに当たり、このコミックの問題も、科学的な検証も含め、調査も含め、早急なる対処をお願いすることで、私の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、もう大分、法案審議という意味では大詰めに差しかかってきたかなというふうに思っておりますので、限られた三十分という時間、しっかりと質問させていただきたい、このように思います。

 まずは、これもまた私の質問通告になかったんですけれども、先ほどの木下委員そして伊東委員の話を受けまして、私も、そうはいっても、自分が衆院選に立候補するときに、自分が集めていたフィギュアを全部捨てさせられたというようなエピソードもあるぐらい、そういったいわゆるサブカルが好きでございまして、そういった観点から、この問題は少しは首を突っ込まなければいられないというような思いになったので、少しだけ質問させていただきたいというふうに思います。時間が限られているので、短い時間でちょっと進めたいと思います。

 先ほどの茂木大臣のさまざまな答弁のあり方を聞いていて、さすが大臣だなと、改めて大臣の見識の深さというものに、本当にそういった思いをしたわけでございます。

 何かといいますと、どうしても、「美味しんぼ」の表現を含めて、こういったものがありますと、そういった表現はけしからぬ、そういった表現はしてはいけないというような形になりがちではあるんですが、ただ、先ほど木下委員の質疑に対して大臣がどう考えたかというと、そういった誤解がないようにしっかりと啓発活動を行ってまいりたい、そういった趣旨のことをおっしゃっておりました。

 まさに、当方としては、その点に関して、我が意を得たりというふうに考えているところでございます。これは何かといいますと、とんでも本とかとんでも話、いろいろありますけれども、そういった、科学的な知見からすると全く信用できない、本当にあり得ない話ということをする自由も当然ながらあるわけでございます。

 例えば、ビルの屋上でみんなで手をつないで輪っかになって歌を歌えばUFOが飛んでくるみたいな、そういった話もあるわけでございますけれども、常識で考えたらそんなことはないというふうに思うけれども、そういったことを言っても構わないだろう、それを守っていく。

 大事なことは、そういう表現をもって、もちろん、ほかの人に誤解を与えるというようなことがあるのであれば、そうではないということをしっかりと全く別な表現をもって打ち消していく、しっかりとした説明を行っていく、このようなことが必要ではないかというふうに考えております。

 この程度の事案で、しょせん、たかが漫画だというような話も一部ではありますけれども、そこの点についても、茂木大臣は先ほどから、「神の雫」とか、いろいろなそういった話をされまして、漫画だからといって軽んずることはないということで、しっかりと真正面から受けとめて本件を見ておられるなというふうに思いました。

 その観点から、改めてこの問題について大臣の御所見をいただければと思います。

茂木国務大臣 先ほど来申し上げておりますが、福島の再生、復興、まだ道半ばではありますが、これから本格的な復興の段階に入っていく、この復興が妨げられるようなことがあってはいけない、誤解を生むようなこと、風評被害を生むようなことがあってはいけない、そういったことはやはり全国民で共有すべき問題だ、そんなふうに私は思っております。

三谷委員 私もそのとおりだとは思っております。その意味では、今回、小学館さんが、今回の問題を受けて、しっかりとこの問題についてどのように考えているかということをスピリッツの中で紹介されるということでしたし、こういった問題があるからといって、内容についてそれを変更しろというような対応をとらなかったというのはよかったなというふうに思っております。

 今、クールジャパンというふうに言われております。クールジャパンというものを考えるときに、例えば日本のコンテンツを世界に持っていくといったときには、当然ながら、日本のコンテンツでそのまま海外に持っていったらちょっとこれは通らないというような、例えば非常に若い女性、児童のそういった裸が出てくるようなものというものもあるけれども、では、クールジャパンを進めていくからといって、政府が主導して、そういった、世界で売れないような表現を規制するのかといったら、違うだろうと思うわけでございます。

 こういった件で表現の自由というのをいろいろ考えるというのは非常にセンシティブな部分もあるかとは思いますが、表現の中身についてはできるだけ、それを左右するのではなく、しっかりと正しい情報を提供するということをもって、「美味しんぼ」の件も含めて、復興に全国民一丸となって当たっていければ、このように考えているところでございます。

 それでは、多少時間をいただいてしまったんですけれども、本題に入らせていただきます。

 電力の自由化というものの中で、今回、第二弾、小売の自由化というものがございます。小売の自由化を進めていきます、全面自由化を行っていきますといったときに、なかなかどうして、高いエネルギーにあえて乗りかえていくという消費者がそうはいないんじゃないかというような指摘というのは、これは少なからず当たっているのではないかというふうに思うわけでございます。

 その中でも、例えば、先日参考人としていらっしゃっていただいた、消費者の代表として河野参考人にお越しいただきましたけれども、本当に安くないエネルギーに乗りかえるというのはどれぐらいいると思いますかと言ったら、なかなかそういう人はいないんじゃないかというような趣旨を回答されたということもありますので、やはり、安いかどうか、価格で勝負できるかというのは一つ重要なファクターになってくる。

 この観点から、本当の意味で原発の依存度を低減させていく、これが今のエネルギー基本計画の中での方向性でございます。我々みんなの党としても、市場原理の中で原発ゼロを実現していく、これを訴えているという観点からは、やはり原発のコストというものがほかのものより高いんだ、もしくはほとんど変わらないというようなことまで論証をしていく必要があるのではないか、このように考えているわけでございます。

 この観点から質問させていただきます。今の原発のコストですけれども、二〇〇四年段階での原発のコスト、それから、今回、コスト等検証委員会の報告、平成二十三年の十二月に出された原発のコスト、それぞれ幾らというふうに考えられていたか、そして、いるかということについてお答えいただければと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電のコストでございますけれども、これは、福島第一原発事故後の二〇一一年の十二月に、コスト等検証委員会ということで試算をしてございます。

 この試算は、OECD等の電源別発電コストの分析でも採用されている国際標準と言われる手法に基づいて計算されたものでございまして、この試算では、原子力のコストについて、一キロワットアワー当たり八・九円以上というふうにされてございます。この以上というのは、事故対応の追加費用も見込んでいるということでございます。

 それで、足元でございますけれども、この事故対応費用について、福島第一原発の事故対応費用をもとに、その試算では五・八兆円と仮定を置いていますけれども、仮に一キロワットアワー当たりで換算しますと、〇・五円と試算されてございます。

 さらに、事故対応費用が一兆円増加するごとにキロワットアワー当たり約〇・一円増加するという試算でございますので、仮に事故対応費用がその当時の試算の倍、十兆円以上になったとしても、まだ、石炭火力、これは九・五円と当時試算されていますけれども、それよりも発電コストが低いということを意味してございます。

 それから、今後は、世界で最も厳しい規制基準に基づいて、独立した規制委員会によって安全性が確認された原発しか稼動できないということから、事故確率というものが、これは規制委員会の安全目標、百万年に一回の事故というふうに目標を置いていますけれども、事故の発生確率はこの二〇一一年の試算よりも低くなるのではないか。この二〇一一年の試算では、五十基で四十年に一回事故が起こる、要するに二千炉年で一回事故が起こるというふうに試算をしてございますので、それよりも事故の確率は低くなるのではないかと考えられます。

 また、当時と比較して石炭あるいはLNGの化石燃料の価格が上昇しておりますので、これらの発電コストの増加も考えられますので、こうしたことから、現段階で具体的な試算はございませんけれども、原子力発電のコストは他の主要電源のコストと比較して必ずしも高くなく、低廉な電源というふうに考えてございます。

三谷委員 そのような回答になるだろうというふうにまずは思っておりました。だからこそ、引き続きちょっと質問をさせていただきたいというふうに思うわけです。

 今のお話の中で、賠償の費用の点というのがありました。ただ、コストというのは賠償費用だけではないわけでございますから、いろいろなコストを積み上げていくということによって具体的なコストを出していくわけでございます。

 その中で、具体的に質問させていただきますが、今回の原発のコスト、まずは資本費、運転維持費、核燃料サイクル費用、福島第一原発の事故を受けた追加的安全対策に要する費用、政策経費、広告費、寄附金、事故リスクへの対応費用、こういったものが発電コストとしては考えられなきゃいけないということは、このコスト等検証委員会の報告書の中に書いてあるわけでございます。

 まず、先ほど一点質問をさせていただいて、答えはちょっといただけなかったんですけれども、二〇〇四年の段階では、これは五・九円だったわけでございます。それは一応事実関係の確認というだけでお答えいただきたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇四年の試算で五・九円ということでございますが、これは、事故リスク対応費用、政策経費等を含まない前提でございます。

三谷委員 つまり、二〇〇四年から今の二〇一三年にかけて、五・九円がもう既に八・九円以上ということで、もちろん計算の内容が変わっているということによりますけれども、それだけまずは上がっているということがあるわけでございますが、では、八・九円以上ということで本当によいのかということを一つ一つ分析していかなければいけないというふうに考えております。

 まず、この中での資本費というものの中で、いわゆる建設費が含まれているわけですけれども、今回のコスト等検証委員会の報告書の中では、一キロワットアワー当たり二・五円というふうに試算を変えているわけでございます。これは、建設費用が一キロワット当たり三十五万円、〇四年の試算に比べて七万円上昇したということによって二・五円に上がった。それだけで、一キロワットアワー当たり〇・二円上昇しているということでございます。

 しかしながら、本当にプラス〇・二円だけでよいのかというような、そういう試算、その計算というのは本当に正しいんですかと。これは全て検証できるように全部計算式の中身が書いてあるわけですから、それに一つ一つ計算をしていかなければいけないと思うんですが、実は、非常に最近原発の建設コストというものが上がっているということは触れなければいけないだろうというふうに思っております。

 具体的にどう上がっているかというと、現在フィンランドで建設中のオルキルオト三号機というのは、もともと三十二億ユーロ、四千三百二十億円、一ユーロ当たり百三十五円換算でやるとですが、三十二億ユーロから、これは九年たってみると、何と八十五億ユーロまで、二・六倍に建設コストがはね上がっている。フランスで建設中のフラマンヴィユ三号機というのも、二〇〇七年の段階では三十三億ユーロというふうに予想されておりましたが、二〇一二年、五年たったところ、何と八十億ユーロ、二・四倍。もともと四千五百億円ぐらいから一兆一千億円。発電コストが二倍以上両方とも上がっているというところがあるわけでございます。それをしっかりと見ると、今の〇・二円プラスというところだけで本当によいのかどうか。

 一つの試算では、ここの点についてどういうふうな試算をしているかといいますと、二・六円というふうに想定していたものを三・〇円に設定した、そういうような設定もあるわけでございます。この辺の、建設費の上昇についてどのようにごらんになっているか、お答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどのコスト等検証委員会の試算はモデルプラントで試算をしているものでございますけれども、今先生から御指摘がありましたフィンランドのオルキルオト発電所につきましては、プラントのふぐあいとか溶接の不備等によりまして建設期間が長期化するというような個別、特有の事情が影響したものでございまして、必ずしもこのフィンランドの事例がこの試算に一般的に当てはまるものではないと考えてございます。

三谷委員 もちろん、フィンランドだけじゃなくてフランスもあるということでございます。

 そして、今までの原発というものをつくってきた中で、福島第一原発の事故を受けて、それだけ今まで以上に安全に対するコストというのは当然ながらかけていくとすれば、今までの原発に比べて建設費用は上がるというのは当然のことじゃないかというふうに思うわけでございます。その点で、もう既に、八・九円以上というような試算がもうちょっと高いんじゃないかというふうになるというのは理解をしていただけるのじゃないかというふうに思いますが、でも、問題はそれだけではありません。

 全部で三点はあるわけでございますが、原子力のコストというものの中でもう一つ、事故リスクの対応費用というものでございます。

 これは、どのような形で事故リスクを見ていくかということでございますから、例えば、何万年に一度というふうに見るのか、それとも千年に一度というふうに見るのか、それとも四十年に一度というふうに見るのか、そういった形でいろいろあるわけでございますが、少なくとも現時点においては、今回の福島第一原発の事故による損害というものは原発を使っていなければ当然ながら発生しないということでございますから、原発のコストに乗っけるというのは、これは当然のことではないかというふうに思うわけでございます。

 その中で、今、八・九円というような試算の中で損害が出されておりますが、いろいろな見解があるわけでございます。本当に損害の費用というのが十兆円ぐらいで済むのかどうかということでございます。

 この点は、日本経済新聞、日経新聞ですね、日経新聞が母体となってつくっております日本経済研究センターという公益社団法人がありまして、その会長さんは前社長でございますが、その日本経済研究センターが出している中期予測の論点という資料の中にはどう書いてあるかというと、「森林など汚染地域を一〇〇%除染すると今後四十年間に百五十兆円前後の費用がかかる見通し」だというふうに書いてあるわけでございます。

 もちろん、百五十兆円が全部そのまま損害として乗っけなきゃいけないということを言うつもりはありませんが、今の六・八兆円だ何だという金額は余りにも損害の額の算定としては少ないんじゃないかというふうに思いますが、この点についていかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 このモデルプラントのコスト等検証委員会の試算では、事故費用として五・八兆円という前提で計算をしておりまして、仮に事故費用が一兆円ふえるとキロワットアワー当たり〇・一円ふえるということでございますので、事故費用を幾らに想定するかによってコストは変動いたしますけれども、仮にその想定の倍の十兆円以上になったとしても、石炭火力の九・五円よりもまだ低いということでございますので、その見積もりとしてはこういう形で考えてございます。

三谷委員 いや、そこに関しては、損害の費用が幾らによって値段が変わる、コストが変わるというわけですから、引き続き九・五円以下というふうになるというのは、そういう回答になるのはおかしいんじゃないですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 福島の第一原子力発電所の事故の対応につきましては、損害賠償、除染費用、それから除染のための中間貯蔵施設等々の費用等、全体を勘案いたしまして、現在、原子力損害賠償支援機構の資金交付の枠として九兆円の設定をしてございますので、今後、この九兆円をきちっと賠償に充てていくということでございますので、今委員御指摘の研究機関の試算の数字の根拠等を私ども承知しておりませんけれども、現状としては今そういう状況でございます。

三谷委員 この点、今の損害に加えて、東京電力が二〇一二年十一月に政府に支援要請したというところで、除染及び賠償で十兆円はかかるというようなことがもう既にあるわけでございますが、果たしてこれが十兆円だけで済むのかというような話が当然ながら出てくるわけでございます。総額として損害額が幾らになるかということによって、これはある意味、青天井にコストが上がっていくということでございます。

 これは、先ほど百五十兆円と言いましたけれども、それは余りにもおかしいだろうということで、今、現実的な試算、では現実的なものがどこかといったところでこれを考えたとしても、仮に二十兆円だというふうにそれを見るという試算もあるわけでございますが、そうだとすると、一・八円コストが上がるということになるわけでございます。八・九プラス一・八は、それだけで十・七円になるわけでございますから、当然ながら、石炭火力を上回る費用になるということになるわけでございます。

 でも、問題はそれだけではないわけです。ほかにも上がるものがあります。

 政策経費というのがございます。政策経費というのは、この平成二十三年度のコスト等検証委員会の報告書では、電源立地交付金一千二百七十八億円を含み、全部で三千百九十三億円、これは平成二十三年度単体でございますが、これが変わるだろうというふうに言われております。

 どう変わるかというと、緊急時計画区域の拡大、もともと十キロの半径というものが、今回の事故を受けて三十キロになった。もちろん、三十キロになったとすれば、面積でいうと九倍ですが、少なくとも、それ全部に対してこの電源立地対策交付金を渡すのもそれはもう非現実的ではないだろうというふうに思いますので、そういう意味では、これをどう見るかということでございますが、大体、面積でいうと九倍、ただ、二、三倍ぐらいにこの電源立地対策交付金というものをしておくということでも、一千二百七十八億円の費用が三千億円を超えるという形になるわけでございます。これは、自然エネルギー財団の原子力コスト再検証というような論文にそこの中身は書いてあるわけでございます。

 そこの電源立地対策交付金の金額が当然ながら上がるとすると、これによってもまた費用が上がっていく。一キロワットアワー当たりおよそ〇・七円上がるというような計算になるとすれば、当然ながら、もうこれははるかに十円を超えていくというような、そういう費用になってくるということでございます。これでもなお原発が一番安いというようなことをおっしゃるのかということについて、できれば、今の議論を聞かれていた大臣にお答えいただければと思います。

茂木国務大臣 原発が最も安いかどうかは別にしまして、さまざまな電源の中で、安いコストで発電をでき、しかも安定的に電力を供給できる、こういう観点から、石炭火力や水力と一緒にベースロード電源、こういう位置づけをさせていただいているわけであります。

 そこの中で、福島のあの事故対応コストがどれだけかかっていくか。将来のことについてもお話をいただきましたが、二〇一一年の段階の試算と比べますと、どれくらいの割合で事故が起こるかということに対しましても、現在、原子力規制委員会におきましては百万炉年に一回以下ということで、割る方の分数もまた変わってきているというか大きくなってきている部分もありまして、その部分が一概に、八・九円だったものが、事故対応コストが倍になりまして、〇・五円上がって九・四円だから九・五円の石炭より高いか安いかとか、もうちょっと上がるかというよりも、相対的というか、比べてみたときには低いコストの電源に属するということでありまして、これはG7のエネルギー大臣会合、先週ローマで行われましたが、ここには、もちろん、ドイツであったりイタリア、こういう国のエネルギー担当大臣も出席をしておりますが、全体の一致した共同声明として、原子力につきましてはベースロード電源、こういう位置づけになっております。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう意味でも、大事なことは、もちろん今大臣がおっしゃったコストというところだけではないだろう、それは私も理解をしているところでございまして、具体的にどれぐらいの安定供給できる電源があるんだというような観点というのは忘れちゃいけないだろう、それはもちろんそのとおりだとは思います。ただ、一般的に言われております、原発をゼロにすると電気料金はとにかく高くなりますということは、本当じゃないだろうというふうに思うわけでございます。

 これも、環境省のエネルギー・環境会議が出している、エネルギー・環境に関する選択肢というような資料がありまして、その中で、シナリオごとの二〇三〇年の姿、ゼロシナリオ、一五シナリオ、二〇から二五シナリオ、この数字は原発の依存度でございますが、発電コストという意味では、この表に書いてあるとおり読めば、ゼロシナリオだと十五・一円、一五シナリオだと十四・一円、二〇から二五シナリオでも十四・一円。一キロワットアワー当たり一円違う、大きいじゃないかという声もありますけれども、でも、先ほど申し上げたさまざまなコストの計算をし直せば、全くもって、原発ゼロにしても高くなるというふうには必ずしも見えないということは、これは指摘をしなければいけないだろうというふうに思います。

 大事なことは何かというと、高いコスト、高くないというところを言うだけではなくて、今の日本経済の中で、しっかりとこれは忘れてはいけないのは、原発を使わないと海外からどんどんどんどんいろいろな燃料を輸入しなければいけない、そこの費用が赤字ということになって日本経済に深刻な打撃を与えてしまうんじゃないかというような指摘というのは、これはもちろんあるだろうと思っておりますし、今のアベノミクスの政策の中で一つ円安ということに振れている中で、こういった政策を、赤字垂れ流しというような状況をどうするかということ、これを考えていかなきゃいけないのはもちろんなんですが、ただ、まずは、消費者の観点から、原発を使うことが安いんだという一本調子でいくということについては、しっかりとこれは違うんじゃないかということを申し上げたいというふうに考えております。

 その中で、では、具体的にどのように海外からエネルギーを輸入する状況から脱却していくか、これも考えていかなきゃいけないわけです。高いエネルギーを調達するということを変えていくためには、もちろん、海外のシェールガスとかそういったところに今、各国から調達できるように、さまざまな企業が各国に行って契約を締結しているわけですけれども、エネルギーの安全保障の観点からも、やはり自然エネルギーというものをもっともっとふやしていくということは、エネルギーの自給率を高めていく上でも、そして日本のこれ以上の赤字というものをとめていく上でも、一つ重要な視点ではないかというふうに考えております。

 その意味でも、非常に積極的な自然エネルギーの育成策というものをとっていただく。これは、前回大臣にも伺った、フィード・イン・タリフについてどう思うか、これを質問させていただきましたけれども、そこで、何とか自然エネルギーの市場というものを今まで以上に活性化していかなければいけない、このように考えているわけでございます。

 その中で質問させていただきますけれども、今の電力の完全自由化というものが進んだ中で、これは消費者が勝手に自分のエネルギーを選んでいくという形になりますが、今のエネルギー基本計画の中では、大体、二〇三〇年に約二割というようなものを超えていくというようなことを目指すということですから、そういった目標を市場原理の中だけで達成できるというふうにお考えなのか、それを脱却するために、打破するために、乗り越えるためにどのような政策をとっていくべきだというふうに思われるか、改めて大臣の御所見を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 まず、原発とも関連して、我々は、もちろんコストだけではなくて、エネルギーを考えたときに、安定供給の問題、そしてコストの問題、さらには環境負荷の問題、安全性の問題、総合的に考えなきゃなりませんし、残念ながら、全ての特性において秀でているエネルギー源というのはないわけでありますから、現実的にバランスのいいミックスは考えていかなきゃいけないと思っております。

 そこの中で、再生可能エネルギー、国産そして分散型のエネルギーということで極めて重要であると考えておりますが、マーケットメカニズムだけに任せて導入が進むかというと、そうではないという観点からFITも入れさせていただいているわけでありますし、そして、風力等でいいますと、送電インフラ、こういったものを、しっかり生産地から消費地に運ぶという意味でつくっていかなきゃならない。また、風力等でいいますと、環境アセスメントの問題、こういった課題にも対応していかなきゃならない。そして、電力、この再生可能エネルギーを安定性を高めるためには、大型の蓄電池の技術の開発、こういったことも重要であろう。もちろん、福島県沖で初めて実施をしております浮体式の風力や新しい風力のあり方についても実証、技術開発を進めていきたいと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 エネルギーに関しては幾つも幾つも問題点、論点はある中で、本日は、そのコストの点について着目して質問させていただきました。本当に一つ一つ乗り越えていかなければいけないだろうというふうに考えておりますので、これからもよろしくお願いします。

 本日の質問は以上です。ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。

 きょうは十一番目ということでありまして、前に十番のときは、大臣から、野球じゃなくてサッカーだったらエースだよと慰めていただいたんですが、もうサッカーのスタメンも危なくなってきました。(発言する者あり)ありがとうございます。頑張っていきます。

 きょうは、最初に、お忙しい中、東電の副社長に来ていただいておりまして、幾つか内容を確認させていただきましてから法案の審議をさせていただきたいと思います。

 まず、副社長にお伺いさせていただきたいんですが、今回の新総特を拝見させていただきまして、これから自由化、またシステム改革が進む際に、送配電の中立性でありますとか、また、送配電の新規参入に対する電線の増強ですとかいうことがある程度想定されてくるとは思うんですが、その際に、東電として、その送配電への投資の見込みでありますとか、また、その基準がどうなっているかということについてお伺いさせていただきたいと思います。

 基本的には、恐らく制度といたしましては、電源線とか送配電増強等に関してはそれを使う人の事業者負担かと思いますし、また、東電としては、修繕とかメンテ中心であったりとか、自社の発電見込みがあるというときには、それも含めて増強とかを考えるのかなと思うんですが、その点についてお伺いさせていただけますか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 送配電の設備投資でございますけれども、主に、送配電設備の新増設を行う拡充の投資と設備の老朽更新などを行う改良の投資がございます。

 拡充の投資では、新たな発電所でありますとかお客様へ接続いたします新設の工事等、こうした工事によりまして、既存の送配電網が所定の信頼度あるいは品質を保てないような場合に設備増強を行う対象は出てくるというのが一つでございます。

 改良投資につきましては、既存の設備が、老朽化等によりまして、所定の能力でありますとか法令に定められた基準を維持できなくなる前に設備を取りかえる、こういった更新工事が対象となるわけでございます。

 弊社の送配電網を管轄しておりますパワーグリッドカンパニーで申し上げますと、二〇一二年度からの五年間で約一兆四千億円、年平均で申しますと約二千八百億円の設備投資を行う計画となってございます。

 引き続いて、発電所のアクセスにかかわるものを東電の計画にどういうふうに織り込むかという御質問かと思いますが、原則といたしまして、発電事業者の皆様から当社の送配電網への接続についてお申し込みをいただいた後に設備投資計画に織り込む、こういう基準になっているところでございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 一点確認なんですけれども、新総特の中で、二〇一六年度までに、前回総特に対して、設備投資で累計三千億円以上、設備関係費用で一千五百億円以上のコスト削減を進めるなど、託送原価を低減するということがありまして、これを前提としてこれから投資計画等が決められていくという考えでよろしいでしょうか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 必要な投資を見きわめた上で、その個々の案件につきましては、あらゆる角度からのコストダウンを織り込んだものが今申し上げた計画になっているということでございます。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 次に、今度はスマートメーターについてお伺いさせていただきたいと思います。

 スマートメーターに関しましては、計画を三年前倒しということで、ことしの九月からそのデータを用いた先行実証を開始するというような予定であるかと思いますが、そのメーターに関しての、検針でありますとか、また検針されたデータの提供、集約でありますとか、その予定というのはどうなっていますか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 スマートメーターに関しましては、ことしの四月から、スマートメーターの通信機能に関する技術検証を目的といたしまして、東京の小平市の一部におきまして設置を開始しているところでございます。現在、約一千台の設置が完了しております。

 今後、今年度は約百九十万台のスマートメーターを設置するという予定でございまして、三十二年度までの七年間で、当社のサービスエリア、お客様の総数は二千七百万でございますが、全てのお客様にスマートメーターを設置するという予定でございます。

小池(政)委員 今、頻度の話がなかったかと思うんですけれども、月一でやっている検針がこれからどうなるのか、また、そのデータをどうしていくのか、その点についてもお伺いさせていただけますか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 現在構築しておりますスマートメーターのシステムにつきましては、国内外からのさまざまな御意見をリクエスト・フォー・コメントという形でいただきまして、その御意見を踏まえまして、三十分ごとの電力の使用量を一日に四回から六回、データサーバーへ伝送する方向で検討を進めているところでございます。

 この三十分値の伝送の頻度につきましては、今後、国の電力システム改革小委員会の制度設計の中で議論されるというふうに認識しているところでございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 次に、一般担保つき社債についてでありますが、こちらも新総特にその方針はあるんですが、改めて、この一般担保つき社債、私募債スキームは減らしていくということではあると思いますが、これについてはどのような方針を持っていらっしゃいますか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 ことしの一月に認定をいただきました新・総合特別事業計画におきましては、一般担保による与信の総量が震災時における額の範囲を超えると見込まれた場合につきましては、新総特の着実な履行が前提でございますが、新たな一般担保は付与しないこと、さらには、一般担保の総量が毎年度継続的に減少していく運用を行うこととしているところでございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 それでは、最後の質問になります。

 原子力発電所への安全対策費についてでございますが、これが震災の後、その見積もりといたしまして、金額も含めてどのように推移していったか、またその経緯についてお伺いさせていただけますか。

山口参考人 お答え申し上げます。

 福島第一原子力発電所の事故の後、柏崎刈羽原子力発電所に対しましては、新しい規制基準施行以前から計画してまいりました安全対策費、これが約千二百億円でございます。新しい規制基準が施行された後に計上いたしました対策費が約千五百億円でございまして、現時点で、合わせますと約二千七百億円、こう想定しているところでございます。

 以上でございます。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 副社長については、これで結構でございます。ありがとうございました。

富田委員長 山口参考人、御退席いただいて結構です。

小池(政)委員 それでは、今の御答弁を踏まえて確認をさせていただきたいと思います。

 この電力システム改革に伴って、少し心配な点も幾つかあるんですが、まず一点目は、接続の件についてでございます。

 今、東電の方からも、設備投資については、基本的には、自分のところの修繕、メンテであって、かつ、総特の中には、コストダウンということの中で考えていくという話でございましたが、やはり、これからの新規参入ということを考えるのであれば、それをある程度、改善もしくは増強していかなくてはならないところでございます。これが今の制度の中で果たしてできるかなというところでございます。

 まず、現状を確認させていただきたいのが、北海道におきまして、太陽光が、認可が非常に多くて、百六十万キロワットぐらいですか、百五十六万キロワット、認可したはいいものの、実際、送電網の整備を見てみたら、四十万キロワットぐらいが上限だったというのが去年の末ぐらいの段階でございます。

 その後、それが現在どうなっているのか。その百五十六万、認可された人たちはこれからどうされていくのかということについて、まず事実確認をお願いさせていただけますか。

木村政府参考人 北海道におきましては、固定価格買い取り制度の施行後、やはり土地が安いこと、それから日照条件がいい場所が南の方にも広がっておりまして、そういったところに大規模な太陽光の立地が集中するということが起こっております。また、電力需要がほかの地域に比べて少のうございますので、大規模太陽光発電導入量が限界に近づいているという状況は事実でございます。

 経済産業省といたしましては、北海道電力の変電所側に世界最大級の大型蓄電池、これは六万キロワット程度でございますけれども、これを設置し、不安定な再生可能エネルギー電源の受け入れ量の拡大を目指すといったようなことに取り組んでおります。

 それから、太陽光発電の導入量の拡大に向けまして、北海道地域に限定した接続条件の改正というのを行っております。いわゆる三十日までしか出力抑制というのは無補償ではできないというルールなんですけれども、三十日を超えて出力抑制を無補償でお願いするということがあり得るという条件をのんでいただける事業者さんであれば、接続の上限にかかわらず接続できるというような改正も行ってきたわけでございます。

 引き続きまして、将来的な再生可能エネルギーの受け入れ容量の拡大を目指しまして、さまざまな技術開発でございますとか、あるいは再エネの適地と消費地を結ぶ広域的運用の拡大に向けたインフラの強化等についても、しっかり取り組んでまいりたいと考えてございます。

小池(政)委員 そこで、ちょっと気になるのは、送電網、また電線の整備につきましては、基本的には、特定負担という形で、原因者が特定できる人にはそれを負担させるということでございますけれども、では、それが果たして、再生可能エネルギーのポテンシャルがあるところに対して、その負担を持って本当に導入できるかどうかというところはわからないところでございます。

 例えば、物すごい再生可能エネルギーのポテンシャルはあるけれども、送配電のコストを考えてみたら、個人では到底参入することはできない。また、特定の個人に、個人というか企業におきましても、多分そこで発電できるのは、最初の設備とかだったら十年ぐらい、長くても二十年。では、その中で何十年も続く送配電のコストを持たせるのかどうかという際に、果たして、この再生可能エネルギーの促進ということを考えていく際に、そういうポテンシャルをどうやって今の制度で生かしていくことができるのかということを考えていかなくてはならないかと思っております。

 その際、例えば、政府といたしましては、風力に関しては、北海道でつくられた事業者のSPCに対して政府が後押しの支援をされたりとか、また、蓄電池等への支援、取り組みとかもされているということでございますけれども、そのような観点からも、これから再生可能エネルギー、特に太陽光等を含めて、政府から見て、なかなか市場に任せていても、固定価格買い取り制度等に任せていても導入できない、そのようなところに対してどのような取り組みというものを考えているのかどうか、お伺いさせていただけますか。

茂木国務大臣 委員の方から御指摘がありましたように、どうしても風力等々、ポテンシャルの高い地域が偏っておりまして、経産省としても、北海道、東北で地域内の送電網を整備実証する風力発電事業者を支援する補助事業ということで、平成二十五年度の予算で二百五十億円、二十六年度予算で百五十・五億円、措置をしておりまして、現在、稚内の地域それから北海道の日本海沿岸でFSの調査も実施しているところであります。

 もちろん、個々の事業者だけではなくて、今後は電力のさらなる広域的運用の拡大、こういう観点から、政府が示す方針に基づいて、地域間の連系線等の送電インフラについて、広域的運営推進機関が中心となって、その増強を進めることといたしております。

小池(政)委員 機関が中心ということでございますけれども、その負担というのは今、事業者負担というか、特定負担みたいな形になっていますので、そこについても、ぜひ前向きな検討、対応等をお願いさせていただきたいと思います。

 また、次に、先ほど東電の副社長から、メーターの件のお話がありました。その点についても少し指摘をさせていただきたいと思います。

 東電の方からは、メーターを取りつけた際に、検針は三十分ごとですよ、そのデータの提供については一日に四、五回ということでございますから、六時間ごとということになるわけでございます。今後は議論ということでございました。

 先週は、こちらに参考人で来ていただきました、電事連の会長でもあります、関西電力の八木社長にお伺いさせていただきまして、現在は一時間に一回、使用量と料金を提示していると。通信機能はこれからということで、それは時間もかかるし、ちょっとこれからどうなるかという話でございました。

 その状態の中で、今回始まる制度におきましては、新しい事業者、小売も含めた事業者に対しては、インバランス制度というものがかけられるわけでございます。三十分同時同量か計画値同時同量か選ぶということでございますが、情報もない中で本当にこれができるのかどうかといったら、大変難しいわけでございますし、きょうの午前中にもありましたディマンドレスポンスというのも、その中では非常に難しい状況になってくるわけでございます。

 私たちは、スマートメーターが入った最終段階をよく想定して話をしてしまうわけでございますが、その途中段階というのは、やはり、今の制度に即してみて、なかなか厳しい状況というのが予想されるということもあるわけでございますし、また、通信設備がどのくらいかかるかもわかりません。

 それに対しても、ぜひ政府の方からもそれを促すように努力していただきたいと思いますし、また、それは大変難しいということなのであれば、例えば小型のバッテリーの普及を促進するとかいう形で、このままですと、インバランス料金制度等によりまして、新規の人たちがより大きな負担を背負うことになったりとか、また、小売の人たちが新しいサービスを提供しようとしても、そもそもデータがないし、情報がわからないということから、思ったような自由化の設計というのは多分難しいかと思っております。

 その点についても、ぜひ大臣から、その方針についてよろしくお願いさせていただきたいと思います。

茂木国務大臣 スマートメーターの技術というのは、これからどんどん進んでいくと思っておりまして、最初は三十分単位とか何時間置きというものが、かなりリアルタイムに電力の消費量等々が、コンピューターの端末とつながったり、いろいろな形でできる時代というのは来ると思っております。

 同時に、メニューを提供するに当たっては、実際に使っている状態を見ながらメニューを提供しなくても、サンプリングにしても、新規参入者も、例えば、一般的な家庭ですと使い方はこうですという中で、料金メニューとしてはこういうのがありますと。かけ放題は幾らとか、二段階になるとか、大体一般的な人はこうですよとか、三人家族の人はこうですよというパターンで、こちらの方がお安くなりますよとか、夜遅くまで起きている方にはこういう料金メニューもありますよと。

 いろいろな形のお示しというのは、一般的なサンプリングといいますか、平均的な電力の消費のこれまでの実績等からもメニューというのはつくることそのものは可能ではないかなと私は思っております。

小池(政)委員 小売のメニューの方はそうかもしれませんが、実際のインバランスとか、そっちについては実績に対してかかってしまうわけでございますから、そこはしっかりと前向きに即座に対応していただきたいと思います。

 また、次に、一般担保の話でございます。

 東電の副社長からもお話をいただきました。震災前の数字を前提としてという話だったかと思いますが、これから減らしていくということでございます。

 また、私たちも、原賠機構法の議論の中で、私募債スキームというものをできる限り減らしていくべきだという議論がありまして、大臣もその方針について答弁をしていただいたところでございます。

 ただ、現在も、東電だけではなくてほかの電力におきましても、私募債という形じゃなくて公募債という形でも一般担保つきの社債というものは多く発行されているところでございまして、ことしに入っても、関電を含めて多くの電力会社が社債によって資金を調達しているところでございます。

 一般担保つき社債についても指摘をさせていただきたいと思いますが、参考人質疑の中では、安念参考人がこの実効性について非常に明確なお話をしていただきました。多分、議事録で確認していただいているかとは思いますが、関電の八木社長が苦笑いしている中で、安念さんがはっきりと、一般担保つき社債は余り意味がないんじゃないかという話をされていたことが大変印象的でございました。その実効性だけではなくて、私は、二点、これからのシステム改革に即しても、一般担保つき社債というのは少し懸念が残るところでございます。

 一点目は、競争環境についてでございます。

 自由化時については、やはり、特にイコールフッティングの観点からも、これが本当に優遇されるような形で残すべきなのかどうか。既に卸電力については無担保で資金を調達している中で、果たして、特に発電について、これを残すかどうかということが考えられるわけでございます。

 それから二点目については、私は、これは今後の選択肢の足かせになるんじゃないかということを考えておりまして、例えば東電に関しましては、これまで法的分離の話が出た際には、電力債があるということが一つのネックでありまして、賠償が影響を受けてしまうんじゃないかということからも、大臣も、この電力債、一般担保つきの社債について懸念を示されたところでございますが、これがあるから、なかなか法的分離というものも考えにくいという現状がある。

 それから、これからの発送電分離につきましても、最終形がどうなるかという、その是非は抜きといたしましても、所有権分離がなかなか難しいのは、ここでもやはり財産権という問題があるということから電力債の問題というのが出てくるわけでございまして、そういう意味からも、できる限りこれは減らしていくべきだということを考えているところでございます。

 特に、小売は、そもそも担保があるのかどうかというのがわかりませんし、送配電も、総括原価方式がある中で一般担保が果たして意味があるのかどうかということを考えてしまうわけでもございますし、今度は発電に一般担保をつけた際には、発電こそ、賠償資金でありますとかそういうものは発電部門からこれから供給される中で、そこにさらに一般担保をつければ、またその賠償が劣後してしまうかもしれないということから、ここはしっかりと考え直すべきじゃないかなということを思っているわけでございます。

 ここで、ちょっと大臣にその方針についてお伺いさせていただきたいんですが、東電の際には、私募債の見直しが望ましいというお話もされておりまして、全体のスキームの中で、一般担保もやはり早期に見直していくべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 東電は今、一般担保、私募債を減少させるべく努力をしている、また、金融機関との間でも鋭意調整をしている、こういうことであります。

 確かに、電力システム改革を進める上で、一般担保の取り扱いは極めて重要な課題になってくる。今回の第二段階の法案におきましては、一般電気事業者、この定義自体は見直しますけれども、基本的には、これまでの一般電気事業者について、今後とも大規模な投資等々が求められるということから、一般担保をつけるということを認めておりますけれども、今後、第三段階、発送電分離をする段階でどうするかという問題につきましては、一つは、先ほどもお話がありましたように、送配電部門等に対する設備投資がこれからも必要になってくる、そういったものの資金調達をどう賄うか。円滑な資金調達が行われて、円滑な設備投資が行われる状態をどう担保するかという観点が一つございます。

 その一方で、新規の参入とのイコールフッティング、特に発電、そして小売の部門というのは完全に競争部門ということになってくるわけでありますから、そこについてイコールフッティングをどう担保していくか、こういう観点を踏まえて、今後検討してまいりたいと思っております。

小池(政)委員 おっしゃいましたイコールフッティングの観点、また、発送電分離の障壁になりかねないという観点からも、私は、第三段階ではなくて、その前からしっかりと議論すべきだということを考えております。

 最後に、東電の副社長からも、原子力発電所の安全対策費の話をお伺いさせていただいたところでございます。震災後におきましても、もともと一千二百億だったのが二千七百億ということになったということでございまして、これは東電に限らず、ほかの原発についても同様でございます。

 これは、もう時間がなくなっているので、これからまた改めて機会を持って議論させていただきたいと思うんですが、これは去年、原子力の特別委員会で指摘したところなんですが、ここが問題なのは、安全対策というのが聖域になりつつありまして、基準を超える安全対策であればもう何でもかんでも入れていい、かつ、それについては、自分たちのことをわかっている関係企業に大体お金が流れていくわけでございます。

 それが一部、国税庁によって所得隠しみたいなことで少し出ているところではございますが、全体の構想と膨れ上がる現状、これもこれから改めて考え直さなくてはいけない点かとは思います。その点について、また、多分来週の一般とかになると思いますけれども、議論させていただきたいと思います。

 私も、切りがいいところで、ちょっと早いですけれども、これで終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、当初予定していた順番を変更しまして、託送料金の方から最初にお尋ねしたいと思います。

 制度設計ワーキンググループの事務局提出資料、去年の十月二十一日に「小売全面自由化に係る詳細制度設計について」というのが出ておりますけれども、その中で、「託送料金原価に含まれる費用の扱い」というようなペーパーがあります。このポンチ絵で、冒頭のところに、「現行託送制度においては、電気の全需要家が公平に負担すべきものとして、送配電部門に係る費用のほか、「電源開発促進税」や「原子力バックエンド費用(既発電分)」の費用を託送料金を通じて回収している。」「小売全面自由化後の託送制度においても、電気の全需要家が公平に負担すべき費用については、負担の公平性や事業者間の競争条件の確保を前提に、託送料金で回収できる仕組みとすることが必要」ということで、託送料金で回収できるものは何なのかという整理としての文言があるわけですけれども、ここで挙げられている託送料金との関係で、電気の全需要家が公平に負担すべき費用というのはいかなるものなのか、その辺について簡単に御説明をいただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 この資料で例示をしております電源開発促進税それから原子力のバックエンドの費用ということを託送料金で回収しているわけでございますけれども、電源開発促進税につきましては、現行制度におきまして、一般電気事業者の送配電網を介して供給する電気に課税をしてございまして、新電力の供給する電気も含めまして、託送料金を通じて課税をされているという状況でございますので、そういう税の性質上、需要家が公平に負担すべきものということで整理をしているものでございます。

 それから、使用済み核燃料の既発電分、使用済み核燃料再処理費用等の費用でございますけれども、その既発電分ということでございます。これは、平成十七年十月より使用済み燃料の再処理費用についての積立制度を創設いたしておりまして、その費用は基本的には発電費用として原価計上することになっておるんですけれども、その制度の発足前に発電した部分につきまして、積立制度創設前の発電分の再処理費用につきましては、制度創設前には合理的な見積もりができなかったということで、当時の検討会などで整理をした結果、その発電によって利益を受けた全需要家から公平に回収する必要があるということで、託送料金として回収するということで整理をされたものでございます。

 個別の事情に応じて、こういった観点から検討していくべきものだと考えております。

塩川委員 個別の事情に応じて検討していくというお話でした。

 その中で、具体的に説明がありました電源開発促進税や使用済み燃料再処理等の既発電費のことが今ありましたけれども、資料をお配りいたしました。原発関連についていろいろな賦課金があるわけですけれども、ここで紹介をしているのが、営業費などでも項目が立っているものですけれども、使用済み燃料の再処理費、これは今説明があった既発電費と発電費が入っているわけです。それから、特定放射性廃棄物処分費、原子力発電施設解体費、原子力損害賠償支援機構一般負担金、電源開発促進税、こういうものがあるわけです。

 そこでお尋ねしたいのが、これらの費用については、現在どこに含まれているのか。託送料金なのか、発電の方なのかどうなのか、その辺はどうなっているんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど私が御答弁申し上げました電源開発促進税、それから使用済み核燃料の再処理費用等の既発電分につきましては託送料金で回収してございますけれども、それ以外の、原子力発電の解体費用、それから損害賠償一般負担金等については発電の費用として計上されております。

塩川委員 一般負担金もそういう整理ということでよろしいですか。

高橋政府参考人 原子力損害賠償支援機構法に基づく一般負担金につきましても、原子力発電の発電の費用として計上しております。

塩川委員 これらの費用については今後どうなるのか。この電力システム改革が進められる中で、今後、託送料金に含まれることはあるのか、それとも違う整理なのか、その点についてはどうでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 システム改革の進捗に合わせまして、今、一般電気事業者の経費に係っているものについてどのような費用で回収するかということでございますけれども、基本的には、託送につきましては、託送業務に係る費用を回収するということでございます。

 先ほど申し上げましたとおり、全需要家が公平に負担するべき費用として、負担の公平性あるいは事業者間の競争条件の確保を前提に、託送料金で回収すべきものがあるかどうか、これについては必要に応じて検討していくということでございまして、今現状は発電費に入っておりますけれども、今後については、もしそういう必要があれば検討していくということでございます。

塩川委員 電源開発促進税などは法文上も託送料金と書いてあるわけですけれども、その他不明なものもあるんですが、これについてどっちかということについては、この場じゃはっきりしないということですか。そこら辺が見えるような形で説明いただきたいんですが。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 電力システム改革に応じて、どういうものを託送料金で回収するかということでございますけれども、例えば、広域機関が電源を入札するときにその補填をするための費用などは、この制度上、託送料金として全需要家から公平に回収すべきものだというふうに私ども今考えておりますけれども、それ以外のものについて、現時点で、こういったものが、どういうものがそれに該当するかということにつきましては、具体的には検討してございません。

塩川委員 具体的に、こういうものは、どういう形で賦課されるのかについての見える化が必要だと考えます。再エネ法においては、賦課金については明細のところにも出される。それは総括原価の外だからという説明なんかを電事連会長なども説明しておりましたけれども、そういうことにとどまらず、しっかりとした、原子力関係のいろいろな賦課金があるわけですから、そういうのをきちっと明示することが必要だということが求められております。

 その関係で、使用済燃料再処理等既発電費の部分ですけれども、これを託送料金に乗せるという際の議論があったわけですよね。

 それが、二〇〇四年の「総合資源エネルギー調査会電気事業分科会中間報告 バックエンド事業に対する制度・措置の在り方について」の中で、この使用済燃料再処理等既発電費については、託送の仕組みを使い、最終需要家から回収することとしたわけですけれども、その報告書の中を見ますと、送配電費用とは性格が異なるものだ、そこで、「請求書等に、既発電分の金額を明記するなどの方法をとることが適当」としておりました。

 この中間報告では、送配電費用と違うんだから、送配電費用と性格が違うものを入れるとするのであれば、それがわかるようにする必要があるでしょうということで、請求書等に金額を明記するなどの方法をとることが適当としたんですけれども、これはどのようになったんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済燃料再処理等既発電費につきまして、これは、平成十六年の経済産業省の審議会において回収方法を検討した際に、受益者負担、競争中立性の観点から託送料金のスキームを用いることとされましたけれども、当然、送配電費と費用性格が異なるということから、両者が混同されないよう、その請求書等に金額を明示することを求めておりまして、そのような対応がなされております。

塩川委員 例えば、御家庭のところなんかにもわかるようになっているんですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 一般電気事業者におきます自由化部門の小売料金の請求においては、この明細の単価の記載がございます。それから、新電力に対しまして一般電気事業者から、託送料金の請求料金明細書につきましては、この単価の記載がございます。規制料金の小売料金については、この記載はございません。

塩川委員 でも、このときのやりとりというのは、別に自由化も例示としてありますけれども、それはPPSの方にもしっかりとわかるようにしましょうねという趣旨であるわけですが、基本は全需要家との関係で書いているわけですから、全需要家であれば、御家庭も含めてしっかりと請求書等でわかるようにしましょうねというのが本来の趣旨なんじゃないですか。

 そういうことをやることの方がより実態に合ったものになる、この趣旨に合うものになると思うんですけれども、それをなぜしないんですか。

高橋政府参考人 当時の議論では、先ほど申し上げたとおりでございますけれども、これは規制料金の料金水準につきまして規制で査定をしてございまして、その際の内訳は情報公開されておりますけれども、実際の原価自体は、料金算定後、実際の需要や発電量が変動いたしまして、個々の費目が日々の料金において実際どれだけかかるかというのは、規制の査定の部分と実際部分が離れる部分がございまして、原子力関係のこの費用につきまして記載をしていない扱いとなっているということでございます。

塩川委員 家庭も含めてもこういった既発電分について負担をするという趣旨になっているわけですから、そういうのがはっきりと見えるということこそ、本来この趣旨にのっとったやり方だと思うんです。

 その点、大臣にもお尋ねしますけれども、きちんとした、こういった賦課されるような経費について、やはり全需要家、家庭も含めてわかるような、そういう見える化を図る必要があるんじゃないのか。今言ったこういう既発電分も含めて、例示をしたような原発関連のいろいろな賦課されているこういう費用について、家庭にもわかるようなそういう明細の開示ということが必要だと思うんですけれども、大臣の御答弁をいただきます。

茂木国務大臣 一般論で言えば、できる限り情報について家庭も含めた需要家に開示をしていくということだと思いますけれども、電力の明細書をごらんになっても、どこまで細かいものを各家庭が求めているか、事情はそれぞれ違うんだと思います。求める方に対して適切な形で情報を提供する、そのあり方については今後検討してまいりたいと思っております。

塩川委員 現段階についてのきちんとした開示ということが求められるということと、同時に、今回の法案との関係でも、これは、切り分けられた送配電事業者の託送料金との関係で、結局、公聴会はなくなります。BツーCとの関係で公聴会があったんだけれども、BツーBだから公聴会はないということです。

 でも、これは、需要家に負担を求めるというものであれば、何が入っているかわからないまま政府や事業者にお任せというわけにはいかないわけですから、こういった託送料金について、やはり改定をするようなときにはしっかりと公聴会を行うということが必要だと思うんですが、この点はいかがですか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 電力システム改革が進展した後の託送料金でございますけれども、これは一般送配電事業者と小売電気事業者との間の事業者間の取引に係るものでございまして、消費者と直接契約を結ぶものではないということで、私どもとしては、広く一般の意見を聞く、そういう公聴会を開催する必要はないというふうに考えてございます。

塩川委員 最終的な需要家の負担というところにあらわれるわけですから、そういう点ではしっかりと消費者、利用者にわかるような形というのは求められる。その一つが公聴会だったわけですから、それをなくす必要はないということを重ねて申し上げておくものであります。

 次に、固定価格買い取り制度の関係で、再エネについてですけれども、優先給電のことについて御質問をいたします。

 最初に、固定価格買い取り制度における再エネの優先給電とはどのようなものなのかについて、御説明をいただけますか。

木村政府参考人 再生可能エネルギーの優先給電でございますが、一般電気事業者が、再生可能エネルギー発電事業者から再生可能エネルギー電気の買い取りを求められた場合に、みずからが保有し、または別途調達をしております一定の電源、これは再エネ特措法上は火力でございますけれども、を抑制してでも再生可能エネルギー電気を優先的に受け入れなければならない、そういったルールを優先給電と申しております。

塩川委員 この点では、原子力はどういうふうに位置づけられているんでしょうか。

木村政府参考人 現行のルールでございますが、これは非常に込み入った条文になってございますけれども、再エネ特措法の施行規則で、回避措置ということで規定をしてございまして、その中で、回避措置の対象にならない電源として、太陽光、風力、原子力、水力及び地熱ということで規定をしておりますので、原子力発電につきましては出力抑制の対象にはならないということでございます。

塩川委員 出力抑制の対象として原発は入らないということですと、結果とすると、再エネよりも原発が優先されているということですよね。

木村政府参考人 あくまでも、再生可能エネルギーの特別措置法における体系上の整理といたしましては、優先給電の対象としては原子力は火力並みではないということでございます。

茂木国務大臣 先ほど、優先給電のルールについては政府参考人の方から答弁をさせていただきましたが、原子力については優先給電のルールはありません。その意味では、再生可能エネルギーの方が優先給電という形になっている、このように理解いたしております。

塩川委員 一般電気事業者が保有する発電設備の出力抑制は最初にやりますと。三つ例示がありますけれども、その一番目として、そこからは原子力は除くとなっているわけですよ。

 そういうことになれば、優先給電という、そもそも再生可能エネルギーを大きく普及しようという立場でいったときに、実際に優先給電というときに原発が対象外となっているという点でいえば、実態とすれば、私は、優先給電、原子力は特別扱いですねという話だと思いますけれども、どうですか。

茂木国務大臣 原子力に優先給電のルールがあるということなんですか、委員がおっしゃるのは。

塩川委員 例えば、ドイツの再生可能エネルギー法では、系統運用者は、再エネ電源を在来型電源よりも優先接続、優先給電するという義務がある。

 そういう点でいえば、私がお聞きしたいのは、再エネ電源について、原発を含めた在来型電源より優先給電する義務を系統運用者にかける、原発を含む在来型電源より再エネ電源を優先給電する、こういう義務を課すことが必要なんじゃないのかということを申し上げているんですが、どうですか。

茂木国務大臣 ドイツにおいては、固定価格買い取り制度を定めた再生可能エネルギー法におきまして、再生可能エネルギーを優先給電する規定が置かれておりますけれども、御案内のとおり、ドイツは、系統が他国と連系しておりまして、再生可能エネルギーの変動分を他国と融通し合える。そこの中には、フランスから原子力の発電も入ってくるんですよ、実際に入ってきているんです、それは。

 それに対して、日本の場合は、他国と系統が連系しておりませんから、変動分、融通が困難な状況にありまして、ドイツと同じ状況で一概に語れる問題ではないと思っております。

塩川委員 もともとドイツでも、実際には、再生可能エネルギーについてさまざまな調整をすることによって、基本は、輸出入の割合というのはごく一部ですよ、そういう意味では、風力についても。

 日本でいえば、今はそもそも原発が稼働していないわけですから、そういうことを考えても、そもそも再生可能エネルギー、風力発電などを急速に普及しようという立場に立ったときに、しっかりとそういう余地を残す上では、原発などの在来電源よりも再エネ電源が優先給電されるという仕組みにすることが急速な普及につながるんじゃないのかということを申し上げているんですが。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 大臣からの御答弁がございましたけれども、再生可能エネルギーは、天候等によりましてすごく出力変動がございますので、それのために優先給電というか出力を調整しなきゃいけないということになりますので、そういうことにつきましては火力電源などで対応するということでございます。

塩川委員 原発の発電を抑制的にするということを本来の基本としていくということであれば、今言った優先給電のあり方の見直しが必要だということを申し上げておきます。

 次に、電力各社の風力発電についての連系可能量についてですけれども、これはどんな状況になっているのかについて御説明ください。

木村政府参考人 一般電気事業者が現在公表しております風力発電の連系可能量でございますが、北海道電力は五十六万キロワット、東北電力が二百万キロワット、北陸電力が四十五万キロワット、中国電力は百万キロワット、四国電力が四十五万キロワット、九州電力は百万キロワット、沖縄電力が二・五万キロワットというふうに承知してございます。

 なお、東京電力、中部電力及び関西電力につきましては、管内におきます電力需要が大きく、調整力が十分確保されているということから、現状、風力発電の連系可能量の設定というのは行っておりません。

塩川委員 風力においては、やはり東北あるいは北海道の管内というのは非常に賦存量が大きいということで有望性もあるわけですけれども、そういったところにこの間ふえてきてはいるものの、一定の上限もあるということであります。

 この点で、ドイツなどの事例を見ても、系統運用者は、再エネ電源の接続のために遅滞なく電力系統を拡張する義務を課されています。第九条ですかね。

 そこでお尋ねしたいのが、連系可能量についてこういった制約を取り払って、再エネ電源接続のための電力系統の拡張義務、これをしっかりと課していくということが必要じゃないかなと思うんですが、そこはどうでしょうか。

木村政府参考人 我が国では、風況がよく、大規模な風力発電の立地可能な場所が北海道あるいは東北というところに偏ってございまして、こうした電力の生産地と消費地を結ぶ送配電網の強化というのが不可欠であると考えてございます。

 経済産業省では、風力ポテンシャルが集中しております北海道、東北で、地域内の送電網を整備実証する風力発電事業者を支援する補助事業を実施しておりまして、こういったものを通じて、送配電網の整備を進めてまいりたいと考えてございます。

 また、風力発電の導入拡大に当たりまして、東京電力、中部電力、関西電力の三社はやはり調整力を十分持っております。したがいまして、それを有効活用する観点からは、やはり、十分な調整力を保有する地域と、北海道、東北といったポテンシャルが集中する地域の間の広域連系の強化といったものを目指してまいりたいと考えてございます。

 事業者の取り組みといたしましては、北海道電力と東京電力、あるいは東北電力と東京電力が、そういった例えば地域間の連系線も活用したその導入拡大に向けた実証のような事業も行っておりますし、また、電力の広域的な運用を拡大するためには、今後、広域的運営推進機関が中心となりまして、地域間連系線等の送電インフラの増強を進めることにしてございます。

塩川委員 地域間連系線の話もありましたし、この電力系統の拡張義務というのをやはりしっかりと課していくということが、風力発電の普及に当たっても非常に重要だということです。

 その上でやはりネックになるのが、その費用負担の問題が出てくるわけです。こういった系統への接続費用、系統増強の費用負担というのが再エネの事業者に大きくかかるということであれば、実際にはなかなか、二の足を踏むということも出てくるわけですけれども、こういった系統への接続の費用負担というのは、現行はどのようになっているんでしょうか。

木村政府参考人 電力会社の設備までの接続費用でございますけれども、まず、これは再生可能エネルギー発電事業者が負担をするということになってございます。他方、その費用につきましては、通常要する接続費用という範疇で、買い取り価格の算定に当たりまして、その基礎となる通常要する費用として、要は、買い取り価格の中に織り込んでいるということでございます。

 それから、接続をすることを原因といたしまして、電力会社自身の設備の増強が必要になる場合というのもございます。この場合は、やはり電気料金の無制限な上昇というのを回避する必要がございますので、原則として再生可能エネルギー発電事業者が費用負担を行うということにしてございまして、この費用負担について合意に至らない場合には、接続拒否の要件に該当するということになってございます。

塩川委員 系統への接続費用負担というのは再エネ事業者の負担というお話でした。

 これが再エネ事業者への参入障壁となっているというのは、先日のNHKのクローズアップ現代でも、こういった番組として紹介されておりました。

 青森の下北半島の事例として、風力発電を行う事業者の例が紹介されていましたけれども、これまでは、近くの変電所までみずから送電線をつくって電気を送ってきたわけですが、さらに規模を拡大しようとしたら、電力会社から、この変電所は容量がいっぱいで、これ以上受けられないと言われた、接続できると言われた変電所までの距離は四十キロだ、費用は四十億円、維持管理も求められ、その負担の重さから、事業の拡大に踏み切れずにいるという話です。

 経産省の資料の中で、海外の事例を紹介した中に、ドイツの事例の紹介のところで、ドイツでは、再エネ法に基づき、再エネ電源は従来電源に優先して系統に接続される、接続の申し込みがあった場合は、原則として全て接続、この場合の系統増強費用は、原則、系統運用者の負担となるとあります。これはそういうことでよろしいでしょうか。

木村政府参考人 御指摘ございましたドイツの再生可能エネルギー法でございますけれども、系統運用者が再生可能エネルギー発電事業者から接続を求められた場合には、経済的に期待可能でない系統増強が必要となる場合を除きまして、最適な連系点で優先的に接続する義務というのが課されているというふうに承知してございます。

 ここで経済的に期待可能でないというのは、運用に任されておりますけれども、通常は、発電事業者が建設しようとする発電所の建設コストの二五%程度が目安になるということでございます。

塩川委員 経済的に合理的でないような場合については系統増強の責務を負わないという条項が設けられていて、それは具体的に何か法文で、法令上の定まったものではありませんけれども、もともと、その議論の中で、たたき台の文書の中には今言ったような二五%という話が出ていて、それとの関係で、系統増強費用が発電設備建設費の二五%を超える場合には、経済的に合理的でないという場合とする基準の目安となっているということです。

 私は、でも、こういった系統増強の費用負担を再エネ事業者に転嫁することなく行うべきで、紹介いただいたような経産省のこの文書でも、ドイツの系統運用者の取材が出ておりまして、その中には、「経済的により合理的な地点への連系を提案することはあるが、系統増強費用を理由に連系を拒否することはない。仮に連系を拒否したら、新聞に取りあげられてしまう。」と紹介されているように、やはり大きな世論もあって、こういう再エネを普及しようということですから、系統運用者の方で安易にこれを拒否するようなことはできないという点でも、やはり基本としたこういう方向性を示すということが、風力発電を初めとしたような再生可能エネルギーの普及につながるんじゃないのか。

 そういう点でも、系統増強の費用負担を、再エネ事業者らに負担を求めることなく系統運用者の方でしっかりやる、こういうことをそもそも原則とするということが必要じゃないのか。このことについて、大臣の方ではいかがですか。

茂木国務大臣 先ほど来、ドイツの事例をとられて、いろいろな御提言をいただいているところでありますが、日本としても、今後、電力システム改革等を進める中で、他国の事例等々も参考にしながら制度の見直しを進めていきたいと思いますが、御案内のとおり、先ほども申し上げたように、日本の置かれている地政学的な立場もドイツとは違うわけでありますし、保有しております固有の電源等々も違っております。全てがドイツと同じにいく、そのようには考えておりません。

塩川委員 日本の余りにも少ない再エネの状況というのは、島国だということを理由にするわけにはいかないということを申し上げて、質問を終わります。

富田委員長 次回は、来る十六日金曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時十五分散会


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