衆議院

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第17号 平成26年5月16日(金曜日)

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平成二十六年五月十六日(金曜日)

    午後零時十一分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大久保三代君

      大西 英男君    大見  正君

      勝沼 栄明君    勝俣 孝明君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      菅原 一秀君    瀬戸 隆一君

      田中 良生君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      根本 幸典君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    枝野 幸男君

      菅  直人君    岸本 周平君

      近藤 洋介君    松原  仁君

      伊東 信久君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      浜地 雅一君    三谷 英弘君

      小池 政就君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   内閣総理大臣       安倍 晋三君

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   財務副大臣        古川 禎久君

   経済産業副大臣      赤羽 一嘉君

   内閣府大臣政務官     小泉進次郎君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   環境大臣政務官      牧原 秀樹君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房原子力災害対策担当室長)

   (原子力規制庁放射線防護対策部長)        黒木 慶英君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 塩川実喜夫君

   政府参考人

   (財務省主税局長)    田中 一穂君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           田中 正朗君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 熊谷  毅君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房技術総括審議官)      平野 雅司君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  秋元  司君     勝沼 栄明君

  穴見 陽一君     大西 英男君

  勝俣 孝明君     大久保三代君

  細田 健一君     瀬戸 隆一君

  岸本 周平君     松原  仁君

  辻元 清美君     菅  直人君

  國重  徹君     浜地 雅一君

同日

 辞任         補欠選任

  大久保三代君     勝俣 孝明君

  大西 英男君     穴見 陽一君

  勝沼 栄明君     秋元  司君

  瀬戸 隆一君     細田 健一君

  菅  直人君     辻元 清美君

  松原  仁君     岸本 周平君

  浜地 雅一君     國重  徹君

    ―――――――――――――

五月十五日

 原発からの速やかな撤退に関する請願(穀田恵二君紹介)(第八四八号)

 原発からの速やかな撤退で原発ゼロに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第八四九号)

 原発からの撤退に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第八五〇号)

 原発ゼロを直ちに決断することに関する請願(笠井亮君紹介)(第八五一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気事業法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房原子力災害対策担当室長兼原子力規制庁放射線防護対策部長黒木慶英君、警察庁長官官房審議官塩川実喜夫君、財務省主税局長田中一穂君、文部科学省大臣官房審議官田中正朗君、厚生労働省政策統括官熊谷毅君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君、原子力規制庁長官官房技術総括審議官平野雅司君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松原仁君。

松原委員 自由化を進め、電力に関する国民の選択肢を拡大していくということは、極めて重要であります。一方、しっかりと効果を上げるためには克服しなければならない課題があり、根本にかかわる課題を考える部分につき、重点的に質問してまいりたいと思います。

 欧米の先行事例を見ても、電力の小売自由化が効果を上げるためには、電力の需給に余裕があることが必要であります。しかしながら、現在は、原子力発電所の全てがとまっている中で、需給は逼迫していると認識をしております。需給逼迫の状況において小売自由化を実施しても効果が上がらないことも考えられるわけでありますが、このことについての御認識をお伺いいたします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、需給が非常に逼迫しているこの状況下におきましては、仮に自由化というものを実施しても十分な効果が上がらないのではないかという懸念がございます。

 しかしながら、今回の法律案の施行というものは今から二年後の二〇一六年を目途に実施するということを想定しておりまして、この間に、例えば、電力の全面自由化を想定いたしまして多くの新規参入者あるいは電力会社が新規の発電所の建設や能力増強、こういう動きというものは既に具体化しているという状況にございます。

 それから、原子力発電所につきましては、御案内のとおり、今十原発十七基の安全性に関する適合申請が行われているところでございまして、原子力規制委員会によりまして新規制基準に適合すると認められた場合には、その判断を尊重しつつ、原子力発電所の再稼働を進めるということでございますので、原子力発電所の再稼働というものも期待されることがあるというふうに考えております。

 さらに加えまして、今回の法律案で全面自由化が行われますと、いわゆるディマンドレスポンスということを可能とするような多種多様な料金メニューが提供されることになりますから、需給逼迫の改善にも資するということだと考えています。

 等々の事情を勘案いたしますと、需給状況というものは相当程度改善していくことになるのではないかと考えているところでございます。

 また、小売参入の自由化の効果というものは、料金の最大限の抑制あるいは経営効率化、さまざまな形で期待されているところでございまして、電力システム改革はこうした電力会社の努力を加速するということでございまして、スケジュールどおりきちんと進めていくことが重要であると考えております。

松原委員 今のお話でありますが、現在は厳しい、しかし未来は明るい、こういう話でありますが、未来というのは不確定であって、極めてそこは厳しく考えていく必要があろうかと思っております。

 需給の逼迫の解消については、今お話がありました原子力発電所の再稼働も一つの選択肢であるという議論がかねてからあります。しかし、仮にそういう議論が現実化する場合にも、国民の理解を得ることが極めて重要であります。

 再稼働について、国民の理解を得ることができるスキームを前向きに考えているのか、そしてそれをどのように構築するおつもりか。これは国民的な大議論であろうと思っておりまして、大臣にその御見解をお伺いいたします。

茂木国務大臣 委員も御案内のとおり、現在、十原発十七基の適合申請が行われております。今後、原子力規制委員会によりまして安全性が確認された段階で、立地自治体等関係者の理解を得るために、事業者が丁寧な説明を行うのはもちろんでありますが、国としてもしっかり説明していくことが重要だと考えておりまして、国の中でも役割分担が必要だと思っております。

 規制基準への適合はすぐれて規制委員会において説明を行っていただく、またエネルギー政策全体における原子力の位置づけ等々におきましては我が省、経済産業省において責任を持つ、さらには防災計画をやったり避難の問題につきましては内閣府の防災担当、こういった役割分担のもとに適時適切な説明を行っていきたいと考えております。

 今回決定を見ましたエネルギー基本計画におきましても、御指摘の国民の理解に関しまして、「エネルギーをめぐる状況の全体像について理解を深めてもらうための最大限の努力を行う一方で、エネルギー政策の立案プロセスの透明性を高め、政策に対する信頼を得ていくため、国民各層との対話を進めていくためのコミュニケーションを強化していく。」としているところでありまして、原発を立地してもらう関係の自治体はもちろんでありますが、消費地も含め、国民各層に対するしっかりした説明を丁寧に今後進めていきたいと思っております。

松原委員 これは、技術論でさまざまな切り口というのはあろうかと思いますが、最終的には国民の大多数の合意形成をどうするかというすぐれて政治的な課題でありまして、このことに関しては、通常のやり方でそこまで持っていけるのかということもあって、この場では、きょう時間にゆとりがあれば後でまたさらに質問したいと思いますが。この部分に関しては、その山を議論していかなければいけないと思っているところであります。

 次に、電力自由化の果実が国民に行き渡るには、適切な新規参入を促し、国民が電力会社を選べる環境をつくることが不可欠であります。諸外国の電力自由化の事例では適切な新規参入の成果が出ているものと評価しているかどうか、お伺いいたします。

上田政府参考人 委員御指摘のとおり、国民が電力自由化の果実を享受するということのためには、新規事業者の参入による事業者間の競争促進を図ることが重要でございます。

 諸外国でございますが、例えば、アメリカのテキサス州におきましては需要家の事業者変更率が非常に高いということで競争が一定程度進展していると考えられるわけでございますが、フランスにおきましては規制料金の体系に残る需要家が多いなど、十分に新規参入が進展しているとは言いがたい状況にあると考えております。家庭の年間事業者変更率という数字がございますが、フランスの場合、現在約四%ということでございます。

 こういったように、小売参入の全面自由化ということを実施すればおのずと新規参入が自動的にふえるというわけではないと考えておりまして、新規参入をふやしていくためのさまざまな環境整備ということが重要であると思います。卸電力市場の活性化あるいはインバランス制度の適切な設計等々の環境整備をしっかり進めていくことによって、新規参入を増大させる必要があると考えております。

 なお、フランスの教訓につきましては、今回の法案では、既存の電力会社に経過措置として規制料金は残すわけでございますが、一旦供給者を切りかえたり料金メニューを切りかえた需要家が再び規制料金を選択するということを認める制度としているところでございます。

松原委員 何か先に御答弁が若干あったかもしれませんが、日本のように電力卸売市場が未成熟な中で適切な新規参入が進むと考えているのかということに関してお伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、新規参入の促進のためには卸電力市場の活性化が大変重要な課題だと考えてございます。

 卸電力市場の活性化につきましては、電力システム改革の一環といたしまして、既に昨年三月より、現行の法律の枠組みにおいてその活性化を図る措置を講じております。

 一点目といたしまして、電力会社が余剰電力を卸電力市場に売電する取り組みを進めております。また、卸電気事業者と一般電気事業者の間で既存契約がありますけれども、これを見直しまして、売電先の多様化を図るという取り組みを行っております。国としても、こういった事業者の取り組み状況をきちっとモニタリングするということも行っております。

 ただ、足元、原子力発電所がとまっておりまして余剰電力自体が少ないということがございますので、再稼働等によりさらに余剰電力がふえれば活性化するということが考えられます。

 また、今回の法案では、卸電力取引所を法定化いたしまして、経済産業大臣が卸電力取引所に対して報告徴収等の監督をすることができるようにしておりまして、こういったことを通じまして卸電力市場のさらなる活性化に取り組んでまいりたいと考えております。

松原委員 適切な新規参入の促進に向けて、インバランス制度も含め、諸外国の教訓も見ながら、どのような対策を講じようとしているのか、これは電力自由化の果実をどうつくるかということでありますが、大臣の御決意をお伺いいたします。

茂木国務大臣 極めて重要な御指摘だと思っておりまして、今回、小売事業者にも空売り規制等々をしっかりかけてまいりますが、最終的には送配電事業者がエリア全体の安定供給の義務を負う形になるわけでありまして、その際の新規参入を促進し、また事業者間の適正な競争を図るという観点から見ますと、御指摘のインバランス料金が適正な水準に設定されること、そしてインバランス料金が事業者にとって公平に設定されることは極めて重要だと考えております。

 例えば、インバランス料金が余りに高く設定をされますと、小規模な事業者ほど需要の変動には対応が難しいわけでありますから、これが参入の障壁になることも考えられるわけであります。

 例えば、諸外国の例を見てみますと、インバランス料金の設定において、需給が逼迫をしていないときには安くして、需給の逼迫時には取引所の市場価格が高くなるのに連動してインバランス料金も高く設定するなど、取引所価格に連動する方法を取り入れる、こういった工夫もなされておりまして、これらの方法なども踏まえて、事業者間の公平に配慮しつつ、かつ新規参入の障壁とならないよう、しっかりと制度設計に取り組んでまいりたい、このように考えております。

松原委員 これも時間があればと思っておりますが、こういった公平さというのは非常に難しい概念だと思っております、何を公平とするか。一方において、電力の供給がきちっと長期的、安定的に行われるというのは、それを超えて重要なテーマであります。そういった極めて重要なさじかげんというものに関して、さらに一層の検討をしてもらいたいと思います。

 諸外国の先行事例を見ても、自由化を行って市場に委ねると、今のに絡んできますが、変動性の高い再生可能エネルギーのバックアップ電源設備の保有や、中長期の電源投資が難しくなり、安定供給に支障が出るケースが出ているとも聞いております。そうした事例についての分析は行っているのかどうか、お伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、海外におきまして、自由化を進める中で、十分な新規の発電投資が行われず、供給力の確保に懸念が生じている例というものがございます。

 私ども、そういうことにつきまして分析をしておりまして、こういったケースにおきましては、小売電気事業者に十分な供給力の確保の義務づけがなされておらず、発電所建設にインセンティブが付与されていなかったり、あるいは将来の発電所の不足が見込まれた場合のセーフティーネットの仕組みが導入されていないというような点が問題であろうかと思っております。

 そういった点につきましても私どもも十分分析しながら、今回の電力システム改革の制度設計をしているところでございます。

松原委員 今申し上げたように、一番重要なことは、エネルギー安全保障という観点から、中長期的な安定供給の確保をするということであります。もちろん、自由経済でありますから、その中で自由競争をし、消費者が選択できるというのも当然必要であります。今回はそういった趣旨のものであろうと思います。私は、日本はそういった経験がほとんどないわけでありますが、中長期的な安定供給というのは、政治がまさにそこは担保していかなければいけない大きな課題だと思っております。

 日本とそうした国々の環境の違いを踏まえた上で、我が国の制度設計において、中長期的な安定供給の確保についてどのように解決しようとお考えか、大臣にお伺いいたしたいと思います。

茂木国務大臣 先週の前半、国会のお許しもいただきまして、ローマで開催をされましたG7のエネルギー大臣会合に出席をしてまいりました。ウクライナ情勢を踏まえまして、今まで以上に、エネルギー安全保障、こういったことが中心になった議論であったかと思います。

 エネルギーの安全保障そして御指摘の安定供給、なかなか一朝一夕にはでき上がらない。発電そして送配電、相当な設備投資も必要になってくるということでありまして、中長期的な視点からの取り組みが極めて重要だ、このように考えております。

 今回の法案では、海外の教訓も踏まえた制度設計とする、こういう観点から、具体的には、小売事業者に供給力確保義務、いわゆる空売り規制を課すことによりまして、小売事業者の要請に応じて発電所が順次建設される仕組みとするほか、将来的に発電所が不足すると見込まれる事態においても、広域的運営推進機関にセーフティーネットとしての発電所の建設者の募集を行わせることで、最終的には必ず発電所が適切に建設される仕組みとしております。

 自由化を行った結果として、電力の安定供給、最も大切な部分が損なわれてはならないわけでありまして、安定供給の確保に今後とも万全の措置をとってまいりたいと考えております。

松原委員 今後の円滑な廃炉や、事故を起こした教訓として、安全対策の着実な実施など、原子力をめぐる第一線の人材や技術の継承が図られることは極めて重要であります。特に、東京電力については現在も人材流出がとまらないと聞いております。この原因が何であるか、お伺いいたします。

赤羽副大臣 今後の円滑な廃炉や電力の安定供給において、人材や技術の継承、確保が大変重要であるという松原委員の御指摘は、そのとおりだというふうに思っております。

 残念ながら、今回の福島第一原発の事故をきっかけに、東電の状況を見ておりますと、平成二十三年度に四百八十八名、平成二十四年度に七百十二名、平成二十五年度に四百六十五名といったペースで人材が流出しているというのが実態でございます。

 この要因は、個人的な要因、さまざま理由はあるかと思いますが、一般的には、急激な処遇条件の変更、また将来の先行きに対する不安等々、そういった理由で離職されている方が多いというふうに承知をしているところでございます。

松原委員 今お話を聞きまして、この三年間で千六百人ということでありまして、第一線で恐らく未来のエネルギーの供給を担う優秀な人材がどんどんとそこから去っていくということは、私は大変なリスクになる可能性があると。

 人材流出が長期的に続くとどのような弊害が出るか、このことについてお伺いいたします。

赤羽副大臣 今回の廃炉・汚染水対策をとっても、東電そのものが炉の設置者でもありますし、現場を一番知悉もしておりますし、これまでもそれなりの人材が供給されていた。そういった人たちが継続的に流出をされるということ、目の前の話としての福島第一原発の廃炉・汚染水対策、この流出が続くということが大変危機的な、心配な状況になってしまうということも、危機感を持って今対処しておるところでございます。

松原委員 いわゆる人材がどんどん出ていくという環境の中で、東電については国が第一株主であります、大きな責任を持っている。この人材流出についても、ある意味で国も責任を担っている、こう考えるわけであります。

 こうした人材、技術のレベルについて、そもそもどのような評価をしているのか、もう一回お伺いいたします。

赤羽副大臣 今申し上げたとおりで、ちょっと重ねての答弁になりますが、東電は炉の設置者として現場に精通をしておりまして、これまでもさまざまな作業に取り組んできていただいておりますし、相応の人材や技術のレベルを有しているものと認識をしております。

 ただ、私も現場に通っていて、今の廃炉カンパニーの責任者であります増田さんと話をしていると、当時、増田さんは第二発電、二Fの責任者でありましたが、改めて反省を込めて言われたのは、やはりある意味では下請任せになっている、東電自体が何でもかんでも全ての作業ができるという体制になかったということを本当に改めて反省したという御発言が私は大変記憶に残っております。

 また、地下水の挙動、これは大変重要なテーマでありますが、こうした土木関係についてもやはり得手不得手が企業の中にあって、今回、そういったことを東電任せにするのではなくて、国も挙げて、また土木関係、地下水の挙動に詳しい専門家、業界の皆さんのお力もかりながら、しっかりと国の責任を果たしていこう、こう考えているところでございます。

松原委員 時間があれば、ここもまたさらに後で深掘りをした議論をしたいと思っております。

 大臣にお伺いいたしますが、第一株主は国である。国は、人材、技術の継承、確保に対していかなる対策を講ずるのか、お伺いいたします。

茂木国務大臣 東電においては、福島の再生に正面から向き合うと同時に、廃炉・汚染水対策のためにも十分な体制を確保することが最優先であります。御案内のとおり、東電は、四月から社内分社化によりまして福島第一廃炉推進カンパニーを発足させまして、グループ全体から必要な人的、資金的リソースを投入して、体制の整備に当たっております。

 東電の新・総合特別事業計画、一月に大臣認定しました計画におきましても、東電が人材を確保し技術、技能を継承するため、二〇一五年度より採用を本格再開するとともに、人材と技術力の継続的な育成を図る、このように記載をされているわけでありますから、政府としても、東電において必要な人材や技術が確保されるか、しっかりと注視をしていきたいと考えております。

松原委員 ここも、人間ですからマインドの問題というのがありまして、今大臣がおっしゃったさまざまな施策もありますが、結果として今残っている東電の方々も、やっていけるぞ、これから日本のためにさらに汗を流すぞというふうに手に力が入るような、第一株主として矜持を示していただきたいというふうに思います。

 次に、米国スリーマイル島の事故や、ロシアはチェルノブイリの事故というのを過去に経験しているわけでありますが、事前にこういったものは予測できたかどうかお伺いいたします。

平野政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の事故の発生が事前に予測されていたという情報は承知しておりません。また、当時、それらを予測することは困難であったものと考えております。

 原子力規制委員会といたしましては、あらゆる事態が常に起こり得るという姿勢で安全性の向上を追求していくことが重要と考えております。

 新規制基準におきましても、シビアアクシデントを起こさないための対策に加え、万一シビアアクシデントが発生した場合への対策も求めているところでございます。

松原委員 日本の近隣である中国や韓国の原子力発電所の設置状況、新設計画、これからどんどんとつくられるというふうに聞いておりますが、その把握、認識をお伺いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 世界、なかんずくアジアにおきましては、将来的には原子力の伸びが予想されております。

 御指摘のありました韓国でございますけれども、現在、二十三基二千七十二万キロワットの原発が設置をされております。本年一月に国家エネルギー基本計画を閣議決定しておりまして、設備容量で二〇一二年末で二六%の原子力比率を、二〇三五年までに二九%、規模でいいますと四千三百万キロワットまで引き上げることを決めております。約二千百万キロワットを新設するということでございます。

 また、中国でございますけれども、現在、二十基千八百七十五万キロワットの原発が設置されてございます。本年四月に行われました国家エネルギー委員会におきましては、経済成長を維持しつつ、クリーンエネルギーによる電力の確保に向けまして、新規の原発建設を加速し、二〇二〇年までに八千八百万キロワット規模にする方針が表明されたと承知しております。

松原委員 原発が何基新設かというところは把握しておられませんか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な基数がございませんので、足元が千八百七十五万、これを二〇二〇年までに八千八百万ということは、約八千万キロワット近くということですので、一基当たり百万から百五十万ぐらいでございますので、その規模によって基数が変わりますけれども、大体、百万でいうと七十基とか、百五十万でいうとそれ以下ということでございます。

松原委員 実際はどうなのかわかりませんが、今のを概略で計算すると七十基とか、すさまじい数の原発が中国で発電所としてつくられる可能性がある、こういうことであります。

 冒頭、スリーマイル、チェルノブイリ、事前に予測できなかったという話がありましたが、事故は予測不可能な中で起こっており、原子力発電所の数の増加は、当然リスクの増加と捉えることができるわけであります。その場合、その影響というのがさまざま発生をするわけであります。PM二・五も日本まで届いているということも言われております。

 近隣諸国の原子力発電所の増加が結果的にリスクの上昇につながる可能性があるとすれば、これが日本に与える影響についてどのような分析をしているのか、どのような対策を練ろうとしているのか、お伺いいたします。

黒木政府参考人 お答えいたします。

 近隣諸国の原子力発電所において事故が発生した場合の我が国への影響についての御質問であろうと思いますが、このような場合の影響を具体的、網羅的に事前に評価、把握することは困難でありますが、国外で発生する原子力関係事象に関しましては、関係機関が緊密に連携して適切な対処を行うために、内閣官房副長官を議長とする放射能対策連絡会議が設置されているところでございます。

 以上でございます。

松原委員 私はこれは極めて重要なことだと思っております。特に中国において、わかりません、しかし、五十基、六十基、七十基という数の増加が仮にあるとするならば、そして、今言ったようにスリーマイル等も含めて事前にそれを予測されていなかったとするならば、我々は、さまざまな議論をする中で、もちろん、先ほどの再稼働については大臣が国民的な合意をつくるための努力をされると思いますが、そういったことも含めて、このリスクをどういうふうに評価して、どう備えるか、それに対して無関係であっていいのか、大きな議論があるかと思っております。

 このことについて、大臣、質問通告していませんが、何かお答えできますか。

茂木国務大臣 当然、さまざまなリスクに対して、国として万全の体制で臨んでいかなければならない。そして、例えば近隣諸国の問題、それから世界的な原子力の安全の問題につきましても、我が国として、福島第一原発の過酷な事故を経験したわけでありまして、その経験であったりとか教訓を世界と共有していくことは我が国の責務でもある、そのように考えております。

松原委員 電力のみならずガスのシステム改革が進み、エネルギー総合産業として競争力のある産業となり、同時に国民にとって利益を享受できる世の中にしていくことが必要であります。

 電力システム改革が先行する形で、現在まだガスのシステム改革についての全体像が示されていませんが、これを同時並行的に進めていく、その考えについて、大臣にお伺いいたします。

茂木国務大臣 極めて重要な御指摘だと思っておりまして、電力は電力、ガスはガスという形ではなくて、今後は、エネルギーの需給体制全体として、幅広い視野からのさまざまな改革が必要だと思っております。電力システム改革と相まって、ガスが低廉、安全、そして安定的に供給され、消費者に新たなサービスなど多様な選択肢が提示されるガスシステム、こういったものを構築するために、昨年の十一月に総合資源エネルギー調査会にガスシステム改革の小委員会を設置して、検討を開始したところであります。

 ガスシステム改革を進めることによりましてエネルギー間の相互参入が可能となりまして、既存のエネルギー企業がさまざまなエネルギー供給サービスを行う総合エネルギー企業へと発展できる環境が整備される、このように考えているところでありまして、このような観点から、ガスシステム改革もできるだけ早期に検討を取りまとめ、速やかに実行に移してまいりたいと考えております。

松原委員 時間が終わりまして、最後の質問はいたしませんが、一昨日、近藤洋介議員の質疑の中でスト規制法についての議論があったわけであります。厚労省においては、しっかり意見を聞く、対応するという約束をしたわけでありますが、少なくともその検討の際には、結論ありきではなくて、ゼロベースで見直すということを強く要請しておきたいと思います。

 以上で質問を終わります。

富田委員長 次に、伊東信久君。

伊東(信)委員 日本維新の会の伊東信久です。本日もよろしくお願いいたします。

 電事法についてさまざまな御質問、御答弁、議論が今までされてきたわけなんですけれども、本日は、そういった議論の中で、いわゆる発電能力、ポテンシャルを取引する新たな市場、すなわち容量市場についてお聞きしたいと思っております。

 さきの電力システム改革の小委員会で、関西電力の野田執行役員が電気事業連合会の代表として、自由化による競争の進展で需給構造が大きく変わる可能性がある、日本の将来の供給力は万全とは言えないという発言をされたわけですね。

 電力の自由化によって、発電なり小売の競争が激化します。来年、第三弾として発送電のところに踏み込んでいくわけなんですけれども、それに伴って発電所への投資などが抑制されて、特にことしの夏の話もあるわけなんですけれども、全体で供給力不足に陥る懸念が生じます。

 すなわち、供給量に対して対価が支払われる仕組み、つまり発電能力、ポテンシャルに支払われる仕組みが構築されれば、投資もしやすくなるということですね。いざというときのための発電能力に対して対価が支払われる容量市場のシステムに関して、やはりもっともっと検討なり議論をするべきだと思うんですけれども、この容量市場の創設に関しての見解をお伺いしたいんです。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 安定供給確保のためには、発電所がきちっと投資されるということが重要でございまして、今回の法案では、小売電気事業者に供給力確保義務を課す、それから広域的運営推進機関による発電所の募集というセーフティーネット措置というのが講じられております。

 ただ、それのみならず、発電所の設置ということにつきまして、例えば海外では、将来の発電能力を取引する市場を創設し、そこで定まった価格に応じて小売電気事業者が支払いをする、いわゆる容量市場の方式などの検討が進められたり、実際に導入されている例がございます。

 我が国におきましても、昨年二月に総合資源エネルギー調査会電力システム改革専門委員会で取りまとめられた報告におきましても容量メカニズムの創設について指摘をされておりまして、自由化後を念頭に置いた各発電事業者の動き、あるいは海外での検討状況なども勘案しながら具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 大体はわかりました。

 今、検討を進めていきたいということなんですけれども、すなわち、容量市場というのは現在取り扱われている需給電源ではなくてポテンシャルに対してもきちっとサポートしていくということなんですけれども、現在の進捗状況、もしくはこういった議論がなされたということ、もしくは具体的にこういう動きがあるという、この容量市場に関してのもう少し詳しい進捗状況というのはお聞かせ願えますでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 容量市場でございますけれども、例えば、アメリカなどにおきましては発電事業者が容量市場に電源を入札するとか、あるいはスペインなどでは発電事業者が保有する容量に対して公的主体が容量に応じた報酬を定期的に支払う方法とか、さまざまな導入が進んでおりますし、まだ導入がされていないところでも、フランスあるいはドイツなどで検討が進められてございます。これは将来の発電所の投資回収の見込みを立てやすくするというシステムでございまして、これによりまして発電所の建設、保持のインセンティブを高めていくという内容でございます。

 将来の発電能力の価値に着目した取引を行う仕組みということでございますけれども、海外での事例を見ますと、将来の発電能力の取引をする市場を創設いたしまして、そこで定まった価格に応じて小売電気事業者が支払いをする容量市場というやり方や、別途のやり方といたしまして、緊急時に不足すると見込まれる量の電源を送配電事業者があらかじめ確保しておく、これは戦略的予備力と呼んでおりますけれども、こういった方式などの検討、導入が進んでおりまして、こういった海外の事例も見ながら、私どもとしても具体的な制度設計を含めまして検討してまいりたいと考えております。

伊東(信)委員 海外の事例を出していただいて、検討していく、そういったことだと思うんですけれども、実際に市場に対して、勉強しない子供に対してあんたはやればできる子なんやからと促すお母さんみたいな感じにならないと、きちっとそういうところを検討して進めていっていただければと思うんです。

 でも、しかるに、ことしの夏においても、やはり供給電源に関しての不足が懸念されていくわけですね。このことに関連して、本日、閣議前にことしの夏の電力需給対策を決定されたみたいで、その中に、関電、九電に対する予備力の積み増しのことであったりとか、火力の総点検であったり、自家発の導入支援であったり、もちろん節電・省エネキャンペーンということが出ているんです。

 この容量電源も含めて近々に並行してやっていくと思うんですけれども、容量電源と本日決定した対策とのバランスというか、方策としてはどのようにお考えなんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、本日、今年度の夏の電力需給対策を決定いたしました。特に、需給バランスの厳しい中部、西日本につきまして、さらなる予備力の増強あるいは節電のキャンペーンなどの実施等々の措置を決定したところでございます。

 これは、近々、ことしの夏の、これから数カ月の話でございますので、既存の電源を中心とした電力の需給対策、ある程度のさらなる予備力の積み増しというのを努力いたしますけれども、基本的には、現在ある発電所を活用していく、需要をコントロールしていくということでございます。

 それから、先ほど御指摘がございました容量市場でございますけれども、これは、将来的な、中長期的な電源の不足に対しまして、将来の発電能力の価値を市場で取引することによって発電所の建設のインセンティブを付与するということでございますので、足元の対策と中長期的な対策ということで、組み合わせながらやっていくものだと考えております。

伊東(信)委員 まさに電力市場という言葉が、実現性というか、言葉とマッチしていくようなことが今回の電事法でなされていく可能性を秘め、また、なされていかなければいけないと思うんです。

 その中で、電気事業と電気通信市場、今回いろいろ議論されている中でも質疑も答弁もあったわけなんですけれども、電気自体のクオリティーは変わらないと思うんです、クオンティティーは変わると思うんですけれども。その中で、どうしても、インターネットの普及とか、そういったところと比較されたり例えられたりしているわけなんです。

 先ごろ、ちょっと前のことなんですけれども、いわゆるニコニコ動画であったりとかインターネットテレビであったりとかして、いわゆる電波事業にかかわる方じゃなくて一般の方が発信できる、今はそれをまた会員登録さえすれば自由に見られる世の中になっているわけなんですけれども、ある地域にお住まいの御年配の方がいつも元気にしゃべっているのに、しゃべり方がおかしくなったりとか、ディスレクシアというんですけれども、ろれつが回らなかったりしていてこれはおかしいということで、居どころを調べてそこの御家庭に行ったところ、ひとり暮らしの方で、脳梗塞が起こっていて、一命を取りとめた、そういった事例もございました。

 やはりこれは、いわゆるインターネットの普及ではいい方の付加価値であると思うんです。電力市場が自由化して各サービスに付加価値がつくと、本当にいろいろな可能性があると思うんですね。つまり、電力においてもエネルギーという枠を超えてインフラ全体の産業の整備につなげていくことが本当に肝要であると思いますし、今の事例じゃないですけれども、思いもしなかったアイデアもいろいろ出てくると思うんですけれども、大臣の所見というのは、いかが思っていらっしゃるんでしょうか。

茂木国務大臣 驚異的なガンマGTPの数値を誇ります伊東議員から御質問いただきましたが、確かに、通信であったりとか放送の世界はインターネットの出現によってさま変わりをした、大きなマーケットが開かれている、このように考えております。

 今回、電力システム改革を行うことによりまして、これまで地域独占であった市場に新たな参入者がふえてくる、そして、これまで一般電気事業者が独占的に電気を供給していた七・五兆円の電力市場が開放され、全国で八千四百二十万の家庭、低圧需要家、潜在的な顧客が生まれるということでありまして、まさにマーケット、大きなビジネスチャンスが生まれると思っております。

 そして、それだけにとどまらず、エネルギーの供給ということでいいますとガスもあるわけでありまして、ガスについても改革をしっかりと進める、このことによりまして、電力システム改革、ガスシステム改革、そこの中で総合的なエネルギー企業が生まれ、そこから新しいビジネスであったりとかサービスが生まれてくる、こういう時代をつくってまいりたいと思っております。

伊東(信)委員 ありがとうございます。

 私のガンマGTPにも触れておられたので、もともとアルコール性肝炎の治療薬で使われていたのが胎盤エキス、プラセンタというお薬なんですけれども、それを使うことによってお肌がちょっとつるつるになったり、ちょっと若返りということでアンチエイジングの世界に広がっていったのが、いわゆるアンチエイジング市場でございます。

 本当に、ガスも含めて、電気も含めてさまざまな可能性があると思いますので、そのあたりのところを政府と民間のところでしっかりとタッグを組んで、この電気事業が前向きに進んでいくことを祈念して、私の質疑を終わらせていただきたいと思います。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 本日は、この法案の最後の審議になるということで、今までたくさんの審議をしてまいりました。ただ、私はまだ思っているんですけれども、果たして公平な競争による自由化が本当に進むのかということ、それから、まだまだ課題は残っているんじゃないかなという疑問がまだここへ来てあります、正直な話。そうはいいながら、最後の十五分間なのでささっとお話をさせていただきます。

 前回は、自由化ということで、今回は第二段階ということなんですけれども、全体的なところでいうとどういうふうな形で自由化がなされるのか、そういう観点で質問をさせていただきました。特に小売の自由化という部分で、小売市場がどういうふうな形になっていくのか、そのイメージについて大臣に御答弁いただいたんですが、きょうは発電に焦点を当てまして、発電部分は自由化が進みつつありますけれども、さらなる自由化、全面的な自由化ということを考えたときに、発電の部分がどういうふうな予想を形づくっていくのかということを少し質問させていただきたいと思います。

 そこで、まず最初に、前回も小売のときにどういうふうな事業者が新たに参入してくるのかという話を聞かせていただいたんですけれども、今回は発電について、これから先どういう事業者が新規参入してくるのか、大臣はどういうイメージを持っていらっしゃるかということを教えていただきたいと思います。

茂木国務大臣 発電部門におきましても今後自由化が進み、そして発送電分離が図られる中で、さまざまなエネルギー源における発電というものが進んでくる、恐らく再生可能エネルギーについては相当な参入業者が出てくるのではないかな、こんなふうに想定されておりますが、もちろん、この発電事業者は再生可能エネルギーには限定されない、このように考えております。

木下委員 そうですね、恐らく再生可能エネルギーに限定されることなく、さまざまな電源をつくっていく、そういう事業者が出てくるんだろうと思います。

 そこで考えられるのが、やはりどうしても私が本当にどういう形になるのかなと思うのが、原子力発電をつかさどるような新規参入事業者が出てくるかどうかということなんです。さまざまな人の意見を聞かせていただきました。そうすると、実質的にはないんじゃないだろうかというような話もあったんです。ただ、法律的な側面を鑑みると、それを妨げるようなものではないというふうに思っているんですけれども、その点についてはいかがお考えでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御案内のとおり、発電事業は今回の法律では届け出制ということになってございますので、届け出を行った事業者は、原子力発電であれ、火力発電であれ、いろいろな発電事業を行うことになっているわけでございます。

 外資が原子力発電に参入するかどうかというところにつきましては、私ども、基本的には、発電事業に関しましては自由化ということの中で多様な事業者の参入を認めるという方向で考えてまいりたいと考えておりますけれども、原子力事業あるいは送配電事業というものにつきましては、外資が参入する場合には、従来から外為法に基づきまして、公の秩序の維持ということを妨げるおそれがないかという観点から審査をしてきているわけでございます。そういった観点から、仮にそういう事態がある場合には慎重な検討を行う必要があるものと考えております。

木下委員 今、外資というふうにおっしゃられました。私は外資かどうかというのは聞かなかったんですけれども、当然外資が考えられる。では、日本の中で、日本の企業は考えられないのか。今の御答弁だと、恐らく日本の企業の場合はそれを妨げるものではないだろうということだと理解しました。

 当然のことながら、エネルギー基本計画の中で重要なベースロード電源というふうにうたっているわけですから、それだけのニーズがあるということもあるので、新たな参入事業者が出てくることは、それがビジネスチャンスと思えば、出てきてもおかしくないんじゃないかなというふうに思っております。

 さっきの外資の話なんですけれども、外資ではなく、要は、日本にそれだけの技術を持った新たな参入事業者がいるのかどうかというところが一つポイントなのかなと。というのは、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、いろいろな人に話を聞くと、実質的にはないんじゃないだろうかと言う人が多いんですね。なぜ実質的にないの、どうしてそう思うのと聞くと、技術的な面というのが一つ、それからもう一つはコストですねというふうに言う方が多いんですね。

 技術のところで考えると、外資じゃなくて、日本の企業が外国の全面的な技術提供を受けて、日本で事業としてやっていくということは当然考えられることだろうなと。それを妨げるものではないだろうし、今言っていた外為法云々に抵触するような話ではないのかなというふうに思っているので、そこはそんなに私は問題だとは思っていないんです。

 いろいろな人の意見なので、それについてどうこうという話ではないのかもしれないんですが、コストの面で合わないんだろうと言う人がすごくたくさんいる。これは何を示しているかというと、これは僕はおかしいなと思うんですけれども、原子力発電はもともとコストが安いと言われていたというふうにいいながら、ほとんどの人の認識がそうではないということを示しているんじゃないかなと思うんですね。

 もう一つ、それ以外には、世界最高レベルの規制基準を守ること、そのためのコストも相当高くなってくるだろうということで、これから先の原子力発電は今までのやり方とは少し変わってくるんじゃないかなということも考えられますと。

 それからもう一つ大きなことというのが、これは数カ月前に私お話しさせていただいたんです、エネルギー基本計画のときに。再稼働の話とか、そういうことをしたときに一つ大きなコストになり得るのは住民感情だろうと。住民感情という部分で考えても、そこに対応したコストが新規参入事業者が出てきたときには賄い切れないんじゃないかという意見が多いんですね。

 それを考えてみると、今までの一般電気事業者の場合は、コストの中に算入されていなかったところですけれども、立地交付金というのがあります。原子力発電を推進していこうと思えば、その辺の手当てを政府はやはりやっていかなきゃいけないんだろうというふうに思っているんです。

 では、新規の参入事業者が原子力発電をやります、安全基準もクリアできましたという形のことを宣言して、実際に届け出もちゃんと取れたという状態になると、そのときに、そういう事業者のやる発電設備の周辺に立地交付金というのは支払われるというふうに考えてよろしいんでしょうか。

茂木国務大臣 まず一点、ぜひ御理解いただきたいと思っておりますのは、原発につきましては、既存の原発の安全性の審査が最優先でありまして、政府として現段階で原発の新増設については想定していない、こういう前提でありますが、原発事業者にはさまざまな制度的な要請に応える必要がございます。

 そしてまた、御指摘のような国のさまざまな支援策もあるわけであります。それにつきましては、既存の事業者、そして新規の事業者がもし何らかの形で、例えば既存の施設を取得したりした場合はイコールフッティングになる、このように考えておりまして、原子力発電に係る電源立地地域対策交付金の交付であったりとか、逆に、使用済み核燃料の再処理、最終処分の費用負担に関する制度などにつきまして、新規参入事業者も既存の原子力事業者も同様に扱うことになると考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 イコールフッティングということで、それこそ公平な競争をさせるというためには必要なんだろうと思うんですけれども、ただ、今のお話を聞いていて、それを想像すると、本当にいいんだろうかなというところは残ってしまうわけですね。

 既存の原発再稼働で、新たなものは考えていないという形なんですけれども、当然のことながら、さっき言いましたベースロード電源ということを考えたら、今の一般電気事業者がやっているようなやり方ではなく、もっとオープンに、もっと安全に自分たちはできるんだ、そういう事業者が本気で出てきたときにどうするかということは、ちゃんと考えなきゃいけないのかなと思っているんですね。これは私、実はすごく重要な問題だろうと。そういうことをちゃんと整備しなければ、これから先のエネルギー基本計画にのっとった形のエネルギー政策というのを将来像をしっかりと創造した上でつくっていくためには、非常に重要なことなのではないだろうかというふうに思っております。

 もう一つ、その点について、もう時間がないので聞かせていただきますが、同じように考えたときに、万が一そういった事業者が福島第一原発事故と同じような事故を起こしてしまった場合、その場合は今の法体系では事業者が責任を持つというふうな形に一応なっているんですけれども、今ですら実質的に賠償を負うことはできない状態になっている。新規参入事業者が出てきたときに、それを負い切れるというふうな保証は私はないと。

 しかも、今までは政府が全面的に一般電気事業者を後押ししてきたわけですね。これから先、自由化がどんどん進んでいったときに、政府が全面的にそういった事業者を後押しするようなことができない。イコール体力的には相当厳しくて、今の状態の中ではやはり賠償を負い切ることはできないというふうに私は思っています。それを考えた場合にやはり気になるところは、文科省の管轄だということですけれども、原賠法の整備というのは絶対的に必要だと思っているんです。

 ですから、私が何を言いたいかというと、恐らく、今回の電力システム改革、自由化をどんどん進めていくといったときにも今言ったようないろいろな課題が出てくる、この法律だけではなく、その他周辺の法律の整備も非常に重要なことになってくるのではないかなと思っているんです。

 それを考えたときに、やはり何を考えなきゃいけないか、そこまでのことを全部網羅的に、誰がどうやってやっていくのか、今までの経産省、資源エネルギー庁の管轄の中だけでそれが最後まで判断できるのか。やはり総合的にそういったものを監視し、指導していく、公平性を保ちながらやっていくような、私どもが主張しておりますような第三者、独立機関というふうなものをつくっていく必要があるのではないかと思っているんですけれども、最後に、その点について御見解をいただければと思います。

茂木国務大臣 電力システム改革を進める中で、きちんとマーケットが機能しているか、また、発電部門と送配電部門、小売部門、そこの中で送配電部門の中立性が確保され、それに向けた行為規制も行われているか、こういったことについてはしっかりと監視、監督をしていかなきゃならない。そのための規制機関、これは二段階目の改革と三段階目の改革にかかわるわけでありまして、行為規制をどうしていくか、こういったことも含めて今後しっかり検討してまいりたいと考えております。

木下委員 今後というふうなお話がありましたが、私どもは、今やらなければならないのではないか、今でしょうというお話だと思っておりますので、ぜひとも御検討のほど、これからもよろしくお願いいたします。

 以上です。終わります。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日は、質疑をさせていただく部屋が違うということで、ふだんと違う緊張感が漂っているのではないかというふうに思っております。ふだんですと、茂木先生の茂木教室みたいな感じでいろいろな知見を披露していただくことも多いんですけれども、今回はわずか十分ということで、その中で三つ質問させていただきたいというふうに思っております。ぜひともスムーズに質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、一つ目について質問させていただきます。電気事業法第三十七条の取り扱いについて、改めて大臣の御見解を伺いたいなというふうに思っております。

 これは、改めて言うまでもありません。一般担保権つき社債というものを認めていくのかどうかということでございます。

 今回の全面小売自由化というような状況の中で、独占市場の中で強大な力を持っている事業者がいる。そういうときには、競争市場をつくっていくときにはもちろん、新規参入業者というものに対する逆に言うと非対象規制、そういったものをむしろ競争を促進する側の規制として、そういったところにむしろある程度のくびきを課していくということが、競争市場の育成のためには必要ではないかというような状況でございます。

 一般担保権つき社債というのは、独占的地位を有するものにさらに優遇措置を認めていくようなものですが、これについてもう既に何度も質問が出ていたかと思いますが、私自身はまだ直接伺ったことがなかったので、これを現段階で認めていくということの根拠について、お答えいただければと思います。

上田政府参考人 一般担保に関する規定の取り扱いでございます。

 御案内のとおり、現行のまさに電気事業法三十七条にそういう規定があるわけでございますが、この一般担保につきましては、第一弾のプログラム規定におきまして、改革の第三段階たる法的分離の実施に際して、金融市場の動向を踏まえて検討を行うということになっているわけでございます。

 それから、今回の第二弾の法案におきましても、法的分離を実施する場合には、必要な資金の調達に支障を生じないようにしつつ、電気事業を営む者の間の適正な競争関係の確保等を通じた電気事業の健全な発展を図る、こういった観点を踏まえて、第三段階の時点で検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずると書いているわけでございます。

 御案内のとおり、今回の法案というものは、一般電気事業者という概念は見直しまして、いわゆるライセンス制、送配電、小売、発電という形になっていくわけでございますけれども、現存しています一般電気事業者は引き続き大規模な発電あるいは送配電設備の多くを保有し続けるという実態もございまして、電力の自由化はもちろん進めていきますが、こういった実態は変わらないということも含めまして、引き続き今回は一般担保つき社債の発行を認める規定を設けている、こういうことでございます。

三谷委員 この点について大臣の御見解をぜひとも伺いたいんですが、もちろん、第三段階で改めて議論するということですけれども、それだったらやはり新規参入業者に対しても認めればいいという話になりますし、新規参入業者に認めないということであれば、現時点でも認めない。議論を今行うべきだ、先送りする必要はないのではないかというふうに考えておりますが、この点について、手短に大臣の御見解を伺いたいと思います。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

茂木国務大臣 最終的に、発電部門そして小売部門は完全な競争体制に入るわけでありまして、その発電そして小売部門につきまして、資金調達の制度についてイコールフッティングでなければならない、そのように考えております。

三谷委員 ありがとうございます。恐らく思いは同じではないか、そのような感慨を持ちました。

 続きまして、二点目の質問をさせていただきます。先日もこれに絞って質問させていただきましたけれども、原発のコストについてという点でございます。

 これは資料でもお配りさせていただいておりますけれども、政府のケースですと、試算結果で八・九円というようなものがあります。これに関して、例えば建設費用というものが違うでしょうというようなことから、原発コスト修正一、二というものがある。それを見ていくと、原発コストは、そんなに建設費用がかかっていないということであっても十四・三円、もっともっとかかるよということであれば一キロワットアワー当たり十七・四円。全然原発の方が安いというようなことにはならないわけでございます。

 もちろん、この試算だと、事故のリスクというものをどこが負担するのか。基本的に四十年に一回事故が起きるというような前提でこの試算はされているでしょうというような批判もあるところでありますが、今回の事故で起きた損害を全部差っ引いたとしても、これは相当程度原発の方が高いというような形になっているわけでございます。

 その点について、エネルギー基本計画の中で書いてある、原発というのは低廉なエネルギーであるというような表現を維持されるのかどうかについて、お答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 お示しをいただきました原発コストの修正一、二、それぞれに費用が膨らんでおりますが、事故リスク対策費が特に大きくなっております。

 政府ケースの場合の五・八兆円は御案内のとおり二〇一一年の試算でありまして、五十基について四十年に一回の事故という形ですから、二千炉年に一回という形になります。それに対しまして、今回の新たな規制基準は百万炉年に一回という形でありまして、確率的には、事故が起こる可能性といいますか、これは試算時よりも低くなっている。

 同時に、さまざまな安全対策をとることによりまして、万が一事故が起きた場合の被害等も最小限に食いとめる、こういった対策をとってまいりたいと考えているところでありまして、八・九円以上、事故対策費が倍になった場合でも九・四円ということですから、石炭火力の九・五円よりはさらに低い水準ということでありまして、全体のエネルギーの中で低廉なベースロード電源である、こういう位置づけについては変わらないと思っております。

三谷委員 そこについては平行線となってしまうのはやむを得ないことかというふうに思っておりますが、事故リスク対策の五・八兆円を倍にするということだけではなくて、それでも四十年に一度事故が起きるみたいな世界のことを想定はしているわけですけれども、そういうことだけではなくて、それだけ事故がなかなか起きないような構造にしていくということを世界的に要請されているからこそ、今物すごく建設費用というのが高くなっているというようなことを、しっかりとそこに目を向けていただきたいということでございます。

 電源立地地域対策交付金というものも当然ながら広がっていくということになりますから、前回のコスト等の計算というのは私の理解によれば民主党政権の中での試算だったということでございますが、必ずしもこれにとらわれる必要はないと私は思っているので、ぜひとも、改めて政府の方で検討していただきたいということをお願いさせていただきます。

 三点目に移らせていただきますが、系統接続の公平性の問題というものもあろうかというふうに思っております。もちろん、現状において供給される玉が少なかったら競争なんか起きないよというような指摘は全くもってそのとおりだろうというふうには思っておりますが、その中で再生可能エネルギーというものをふやしていくということにどれぐらい政府が積極的に取り組んでいらっしゃるか、これは重要な観点ではないかと思います。

 自然エネルギー財団が二〇一三年に行った太陽光発電事業者へのアンケート調査の結果では、事業断念の理由、事業遅延の理由として、発電設備の系統への接続というものが問題だということを挙げた事業者が二割、また系統連系を事業リスクとして捉える事業者が四割に上った。系統接続の公平性というものが新規参入業者からするとなかなか担保されていないというようなことが問題意識として挙がっているところでございます。

 こんな中で幾ら小売の自由化というものを進めるといったって、本当の意味での競争はなかなか進まないのではないかというふうに思っております。系統接続の公平性を担保するための取り組みが不十分ではないかと考えているわけでございますが、この点について政府の御見解はどのようになっているでしょうか。お答えいただきたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、再生可能エネルギーの導入を促進するためにも、系統接続の公平性ということは非常に重要であると考えております。この公平性の確保という観点からは、今回、第一弾、第二弾、第三弾と三つの段階があるわけでございますが、それぞれの段階に応じて対応がなされます。

 例えば、第一弾改正では、広域的運営推進機関というものが送電網への接続に関する情報提供あるいは接続の受け付けということを行うという形になっております。これにより、送配電網の公平な利用や円滑な接続が進むということが期待されます。

 それから、今回の第二弾におきましては、送配電部門の中立性を確保するために、送配電事業者に対しまして、特定の発電事業者、特定の小売事業者等々を差別的に取り扱うということを禁止しているわけでございまして、仮に違反があったような場合については是正命令を出すことができるということでございます。

 また、第三段階では御案内のとおり法的分離ということでございまして、これによりまして送配電部門の一層の中立性、独立性の確保が図られると考えられております。

 こういったことを通じまして、系統接続に関する公平性、中立性を確保してまいりたいと考えております。

三谷委員 時間になりましたので、以上です。ありがとうございました。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。お疲れさまです。

 きょうはいつもと違う部屋ということで、こういうタイプの部屋ですと私が去年いた財務金融委員会を思い出してしまうんですが、あのときは、茂木大臣の高尚な話とは違う角度から、麻生大臣からいろいろな話を伺いまして、漫画「ナニワ金融道」とか、そういう話を伺ったことをよく記憶しております。

 きょうは十分ということでございますので、細かい話よりは、大臣の姿勢、またこれからのアイデア、意見というものについてお伺いさせていただきたいと思います。

 まず一点目でございますが、今回の自由化第二段階におきまして、私たちが審議の中で修正案を出そうということに至った経緯について少し御紹介をさせていただきたいと思います。先ほど木下委員にもその件に触れていただきましたが、きょう皆さんにお配りをさせていただいております資料で簡単に説明をさせていただきます。

 目的については私たちは共有するところでございまして、三点あるということでございますが、改革の流れにつきましては、政府の方からは、送配電の前に小売の全面自由化ということでございます。

 であるからこそ、私たちは、小売の全面自由化におきまして、自由化の設計が非常に重要だという認識を持っておりました。特に競争環境の整備と新規参入の促進というものが大事なわけでございまして、その際に、この下にあります三点、系統接続拒否の低減でありますとか、競争政策の実施、卸取引市場の活性化等が大事であるということから、これまで具体的な方針として、右にありますような広域系統運用、非対称規制、玉出し、入札徹底等の議論がなされたところであったかと思います。

 その際に少し浮かび上がってきた政府案の課題といたしましては、広域的運営推進機関の中立性及び実効性の不明な点、これは私も確認させていただきましたが、例えば議決権の問題でありますとか、人事の問題という点が挙げられるかと思います。

 また、新規参入事業者に対して不利になり得る競争環境というところで、きょう大臣もおっしゃいましたけれども、インバランス制度でありますとか、また、参考人に確認した際に、メーターの情報提供というものもこれに当たると。それから一般担保の問題というものもございます。

 そして最後に、自主性のもとに非積極的な市場拡大ということで、卸についても、これまで議論がありました例えば随契の問題ですとか、高い違約金の問題ですとか、そういうことがある中で、なかなか法律に規定されていないところも多々あるわけでございます。

 それをしっかりと監視、改善するということから、しっかり独立した、専門性を持った組織でそれに取り組んでいこうということを打ち出させていただいたわけでございます。このEU指令にもありますように、このような機関の必要性と、また、彼らはアンバンドリングについても、ここにしっかりと取り組んでいかなくてはならないという役割を付しているわけでございまして、その意味から、私たちが今回改めてその方針を明確に示させていただいたところでございます。

 そこで、大臣にお伺いさせていただきたいんです。やはり第二段階では競争環境の整備と新規参入の促進が非常に大事なことでありまして、これから、委員会で確認した中でも、検討を進めていくという話が多々あったわけでございますけれども、そこの観点からしっかりと制度設計をしていただきたいと思いますので、その点、どうぞよろしくお願いいたします。

茂木国務大臣 今後、詳細な制度設計に入っていく分野というのは多いわけでありますけれども、そこの中におきまして、一つは、制度さえ整備されればいいということではなくて、実質的な競争が起こる、このためにどんな措置が必要であるか、こういった観点も必要でありまして、卸市場は玉がなければどうにもならないということで、それをふやすための方策であったり、そういったものも考えていかなければいけないと思っております。

 また、一般担保の問題につきましても、安定供給の観点から、資金調達の環境がどうなっていくか、こういったことは極めて重要な視点でありますが、同時に、発電部門、小売の部門が自由化をされていくわけでありますから、既存の事業者、そして新規の事業者は最終的にはイコールフッティングな環境でなければいけない、こういった基本的な原則のもとで詳細な設計を進めてまいりたいと考えております。

小池(政)委員 最終的にはイコールフッティング、そのとおりでありますけれども、やはり新規参入を促していく、そこはなかなかまだイコールになっていないので、その点、ぜひお願いいたしたいと思います。

 また、最後ということで、ちょっと前向きな話でございます。

 自由化の意義、期待というところで、安念参考人がおっしゃっていたのは、イノベーションに尽きるということでございました。私も、そこは本当に共感しているところでございます。技術面だけではなくて、サービスについてもこれからイノベーションが起きていくだろうということでございますが、大臣はどのようなイノベーションが起こるということを想像されますでしょうか。

茂木国務大臣 フランスの哲学者のアランは、悲観はムード、そして楽観は意思と言っております。電力改革もそういった意思に従って進めていきたいと思っております。

 今回の小売参入の全面自由化によりまして、七・五兆円の電力市場が開放されまして、顧客でいいますと八千四百二十万の潜在的な顧客が生まれるということでありまして、大きなビジネスチャンスが生まれると思っております。

 イノベーションという観点からも、発電の高効率化を図るような技術開発の問題、そしてまた再生可能エネルギーとかコジェネといった分散型電源を活用した新しい電気の地産地消のビジネスモデル、こういったものも生まれてくると考えております。さらには、電気にとどまらず、ガスであったりとか通信など、電気以外の商品、サービスを組み合わせたビジネスというのも考えられると思っておりますし、電気自動車と電気の供給を一緒にしていく、家電と電気の供給を一緒にしていく、こういった将来像も考えられるのではないかな。

 さまざまなビジネス、そしてそのビジネスを具体化するためのイノベーションが次々に生まれてくる、またそのための環境をつくっていきたいと考えております。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 やはりさすが大臣だなという、高尚なお言葉もいただいたところであります。

 おっしゃるとおりであると思いますし、また、松村参考人も、自由化によって一般電気事業者の知恵の範囲を超えたイノベーションが起こるということを期待しているところでございます。技術的には、よく言われる、電気には色がつかないということも、実は今そこが進みつつありまして、電気に色をつけられる、そういう仕組みというものも少しずつ進んでいるところでございます。

 それを踏まえると、私は通信とか配電網についても大きなイノベーションが生まれると思っておりまして、これからそういう多分野の人たちを含めた設計、取り組みということをお願いさせていただきたいと思います。

 これで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 電気事業法改正案について質問いたします。

 最初に、経済産業省に、新・総合特別事業計画、新総特について、今後の収支計画はどのように記載をされているのか、その際に柏崎刈羽の再稼働がどのように位置づけられているのかについて、御説明をいただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の東京電力の新・総合特別事業計画におきまして、柏崎刈羽原発につきましては、収支計画におきまして、「柏崎刈羽原子力発電所六・七号機は、審査期間等に関して、原子力規制委員会が審査作業の目安としていた期間を踏まえ、原子力の新規制基準施行後の認可となった電力他社の料金改定における原子力再稼働の織り込み方等も参考に、二〇一四年七月から順次稼働するものと計画上仮定した。」と記載されていると承知しております。

 なお、この記載につきましては、あくまで収支計画上の仮定として置かれたものと理解をしておりまして、実際の再稼働につきましては安全確保が最優先でございますので、再稼働のタイミングに対してこの記載が予断を与えるものではないと考えております。

塩川委員 新総特におきましては、柏崎刈羽について、二〇一四年七月から順次再稼働と記載をされているということであります。

 そこで、原子力規制委員会の田中委員長にお越しいただきました。

 昨年の泉田新潟県知事と広瀬東電社長とのやりとりを踏まえて、東電柏崎刈羽原発六、七号機の原子炉設置変更許可申請書の件ですけれども、泉田知事は、柏崎刈羽原発六、七号機の規制基準適合申請に対する規制委員会での審査に当たっては、避難計画との整合性をとらない限り、フィルターベント設備の運用は開始できないということを東京電力の申請書に明記してもらいましたと述べておりますけれども、そのようなことでよろしいでしょうか。

田中政府特別補佐人 ただいま御質問のありました件ですけれども、東京電力から提出されました設置変更許可申請書においては、「格納容器圧力逃がし装置及び代替格納容器圧力逃がし装置は、立地自治体の了解の後に運用開始するものであり、既に設置している耐圧強化ベント系と併せて、立地自治体と協議のうえで定める事業者防災業務計画に基づき、避難状況の確認等を行うことを手順等に明記する。」と記載されております。

塩川委員 いわゆる避難計画との整合性をとらない限りフィルターベント設備の運用は開始できないということを東電の申請書に明記してもらったかどうかという確認なんですが、原発の安全性を高めるというのであれば、原子力施設への厳しい規制を求めるだけではなくて、住民の防護対策が欠かせない、まさにそここそ問われるべきところであります。広域避難対策や避難困難者への対応など、避難計画が欠かせません。

 田中委員長にお尋ねしますが、泉田知事は、避難計画と整合性がとれないままゴーサインを出すのであれば、規制委員会は住民の安全を全く守る意思がないことを示すことになるとも述べておりますが、この点についてはどのように受けとめておられますか。

田中政府特別補佐人 フィルターベントにつきましては、深層防護の考え方に立って、さらなる対策として、万一、炉心が損傷し、格納容器の圧力が上昇した場合も想定し、格納容器の破損による放射性物質の大量放出を防止するための圧力低減対策として整備を求めているものでございます。この要件を満たしているかどうかを私どもとしては厳正に審査していくことにしております。

 また、原子力災害対策指針との関係においてですけれども、私ども原子力規制委員会は、人と環境を守るということが最大の使命であります。ですから、そういった観点において、こういったさまざまな規制基準を設けております。

 なお、原子力災害対策指針においては、原子力発電所からおおむね五キロ圏のPAZについては予防的防護措置として放射性物質の放出前から避難や屋内退避を開始していただき、また、五から三十キロメートルに相当しますUPZ圏内においては放射性物質の放出前から屋内退避を行っていただくことになっております。

 現在、こうした考え方に基づいて、各自治体において避難計画の策定が進められていると認識しているところでございます。

塩川委員 人と環境を守るということをおっしゃるのであれば、まさに住民の安全確保こそ欠かせないわけでありまして、新潟県からは原子力規制委員会に要望書が出されているわけです。それは原子力施設の安全対策のみならず住民等の防護対策について求めるもので、そういう中においては、しっかりとした、避難困難者への対応をどうするのか、広域避難をどうするのか、こういう問題についてきちんと示していただきたいというのがあるわけですけれども、それが示されないままに進んでいることが問題だということを言っているわけです。

 そういう点でも、重ねて伺いますけれども、避難計画がまともにつくれない、そういう整合性がないままゴーサインだけ出すようなことがあれば、規制委員会は住民の安全を全く守る意思がないということを示すことになるというふうに思うんですけれども、いかがですか。

田中政府特別補佐人 先ほどの繰り返しになりますけれども、原子力災害対策指針の作成については私どもの仕事でありますので、それについては指針を提示しております。その中で、先ほど申し上げましたように、五キロ圏のPAZについては予防的防護措置として放出前から避難や屋内退避を開始していただく、また、五から三十キロ圏のUPZについては放射性物質の放出前から屋内退避をしていただくことになっております。

 なお、具体的にそれをどういうふうに行うかということにつきましては、それぞれの地域によって状況が違いますので、各地元自治体が中心になって策定をしていただいているというふうに認識しております。

塩川委員 そもそも指針に、広域避難の場合、受け入れ先がどうなるのかということなど書いていないわけですよ。受け入れ先がなければ避難できないんですから。そういった問題を含めて、そもそも指針そのものが不十分だということを言わざるを得ませんし、本来の原子力の規制ということであれば、私は、きちんとした避難計画を含めた住民の安全確保策に対してしっかりと示すことこそ本来の規制基準であるということを申し上げておくものであります。

 大臣に最後にお尋ねいたしますが、避難計画は自治体の仕事だから規制委は関係ないというわけにはいかないということも申し上げたわけですが、原子力の安全というのは住民の安全を確保することであります。そういった住民の安全確保策が図られないままの再稼働などは認められないのは当然のことであります。

 柏崎刈羽原発の再稼働なしには成り立たないのが新総特でありますが、その新総特の具体化を図るというのが本法案であり、これは結果として原発の再稼働を後押しする法案とならざるを得ないのではないのか。この点についてお伺いをして、終わりにしたいと思います。

茂木国務大臣 この法案、電力システム改革の第二弾をしっかりと進めるための法案である、このことは委員会の中でも丁寧に御説明を申し上げてきたところであります。

 また、柏崎刈羽を含みます原発については、いかなる事情よりも安全性を最優先し、その安全性については独立した原子力規制委員会が世界で最も厳しい規制基準のもとで判断していくことになります。

 同時に、規制委員会が策定をいたします災害対策の指針は、各自治体におきまして防災計画、避難計画をつくる上で大きな助けになるものである、このように理解をいたしております。

塩川委員 一般担保つき条項の改正で、新総特の目指す東電のホールディングカンパニー化、分社化を後押しするわけで、そこにおいては、まさに新総特では原発の再稼働は大前提となっているという点でも、再稼働を後押しする、そういう中身だということを申し上げて、質問を終わります。

富田委員長 これより内閣総理大臣出席のもと質疑を行います。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。渡辺博道君。

渡辺(博)委員 自由民主党の渡辺博道でございます。

 本日は、総理に対する質疑の時間をいただきまして、委員各位の皆さん方に心から感謝申し上げる次第であります。

 第二次安倍内閣が発足いたしまして、今月の九日で五百日を超えました。その間、閣僚の顔ぶれは一人も変わらず、交代が一人もいなかった。これは、第一次佐藤改造内閣の四百二十五日を超え、戦後最長の記録を更新しているところであります。このことを受けまして、与党の一員として、私も大変心強く思うところであります。

 これは当然、総理の力強いリーダーシップのもと、また各閣僚のチームワークにより取り組んできた結果であると思うところであります。とりわけ、当経済産業委員会においては、茂木大臣の深い見識と丁寧な答弁は高く評価するところであります。本日もフランスの哲学者のお話がありました。

 こういった状況の中で、今、電気事業法の改正が審議されているところでありますが、きょうは総理が御参加ということでございますので、若干、経済成長の視点から御質問させていただきたい、このように思うわけであります。

 本年四月、消費税率が八%に上がりました。私は景気の回復にどのような影響があるのか大変心配していたわけでありますが、昨日、甘利経済財政政策担当大臣の談話が発表されました。その中によりますと、「駆け込み需要の反動により、消費に弱い動きも見られるが、こうした動きは想定されていたことで、一時的なものと考えており、雇用・所得環境が改善するなかで、消費は次第に持ち直していくと期待している。」と述べられております。

 でも、地元に行きますと、なかなかそうではないなというふうに実感しているんです。それは、地元の商店街のお話、また中小企業の経営者のお話を聞いていても、いや、まだまだ景気はそういう状況にはないよというお話であります。こういった状況を踏まえていきますならば、当然のことながら、しっかりとこの数値を把握していかなければなりません。油断は大敵だ、そのように思います。今後の景気の動向について必ず注視していかなければならない、そのように思います。

 ことしは我が国にとってデフレからの脱却と経済成長の正念場であり、諸施策を総動員して経済再生の道筋をしっかりと整えていかなければならないわけであります。

 総理は、就任以来、東南アジアを初めとして先般の欧州と歴訪をしてまいりました。そして、就任以来、訪問した国の数は三十七カ国であります。延べにしますと四十三カ国、大変精力的に各国を回られております。

 特に、ことし一月、ダボス会議におきまして、世界経済フォーラム年次総会の基調講演においては、電力自由化をアベノミクス第三の矢の先頭バッターとして位置づけられたところであります。これが失敗するならば世界からの信頼を失うことになるため、これは全力で取り組んでいかなければならない課題だ、そのように思うわけであります。

 また、先般、総理は、欧州歴訪の際にも、各国首脳との会談やOECD加盟五十周年に当たり行った基調講演においてアベノミクス効果について述べられ、精力的に、積極的に発信をしたところであります。加えて、国内においては、被災地を初めとする全国各地に出向いていき、地域経済の状況や地域の現場の話を聞いてこられたわけであります。

 総理は、本当にこのように国会で忙しい中、世界を俯瞰するような外交をすると同時に全国各地に出向いていった、このエネルギーに私は敬服するわけであります。

 そこで、これらのことを踏まえた上で、安倍総理に、安倍政権の最重要課題であります経済政策であるアベノミクスの効果において、現時点でどのように考えておられるのか、お伺いをしたいと思います。

安倍内閣総理大臣 安倍内閣の第一の使命は経済の活力を取り戻していくことでありまして、そのために、デフレから脱却して、そして経済を成長させていくことであります。

 三本の矢の政策によって、GDPにおきましては六四半期連続でプラス成長ということになりました。

 そして、国民にとって最も大切な雇用につきましても、有効求人倍率は、我々が政権をとって以来、十六カ月連続で上昇しているわけでありまして、仕事を探す人の数だけ職のある一を超えまして一・〇七まで来ているところでございます。

 また、賃金におきましても、連合の五月九日の公表資料によりますと、月例賃金について賃上げ率が二・一一%となっておりまして、一時金は年間分の月数回答で五・〇五カ月となっております。過去十年の同時期比では最高水準となっているわけであります。

 こうしたいわば景気回復の波を全国津々浦々に広げていくことが大切でありまして、渡辺委員が千葉県の松戸に帰られても、松戸の皆さんも景気回復を実感しているよ、こう言っていただけるようにさらに努力を重ねていきたい、そのためにも成長戦略を前に進めていきたい、こう考えているところでございます。

渡辺(博)委員 ありがとうございます。真っ先に松戸が回復できるように、私自身も努力をさせていただきたいと思います。

 さて、電力システムの改革については、私は、大いなるイノベーションが発揮できる、そのような状況にあるというふうに思っております。この日本の社会を大きく変えていく要素である、そのように思っているんです。

 その中で、まずは、今まで集中的な電源でありましたけれども、これを地域分散型にシフトしていくのではないかな、そのように思うんです。それは、さきの震災において大変皆さん方も体験をしました、統一的な今のような電力会社、九電力が全部対応していくとやはり電力不足が生じたということも経験をしました。したがって、シフト、分散化していくことがこれから大変重要だというふうに思います。

 その中で、電力システムの改革が進む中では、特に地方自治体、そしてまた地方の意識も変わってきております。分散型エネルギーの技術やエネルギー分野のインフラシステムを地域から海外に輸出するという動きも出てきているわけであります。とりわけ、北九州市の例でありますけれども、もう既に、スラバヤ市、インドネシアでありますが、こことの戦略的環境パートナーシップというものを締結しております。今まで地方自治体はそんなことを考えたことはないと思います。これもひとえに電力システムの改革を前提に物事が行われている、そういうわけであります。

 こうしたエネルギー分野におけるインフラ輸出が今後地域経済の活性化や我が国の経済成長に大きく貢献してくると思われますが、安倍総理は、成長戦略の大きな柱の一つであるエネルギー分野のインフラ輸出について今後どのように推進していかれるのか、お伺いをいたします。

安倍内閣総理大臣 今委員が指摘されましたインフラ輸出の推進は、アジアを中心とする新興国の成長を取り込んでいく重要な成長戦略の柱であると思います。そのことによって日本の経済も成長していきます。

 特に、エネルギーインフラは、厳しいエネルギー制約のもとで、エネルギーを効率的に活用するための技術やノウハウを蓄積してきた我が国の強みを生かしていくことができる分野であります。このため、私自身がトップセールスで海外に出向きまして、実証事業などあらゆる施策を総動員して、官民一体となった取り組みを強力に進めていく考えであります。

渡辺(博)委員 総理、ありがとうございました。

 時間が参りましたので、以上をもって質疑を終了させていただきます。

富田委員長 次に、江田康幸君。

江田(康)委員 公明党の江田康幸でございます。

 本日は、法案審議の締めくくりに当たり、総理に御出席をいただきました。そして、質問の機会をいただきましたこと、心から感謝申し上げます。

 十分という極めて限られた時間でございますので、総理に全て質問をさせていただきます。

 まず、エネルギー基本計画についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 東京電力福島第一原子力発電所事故から三年が経過する現在も、約十四万人の人々が困難な避難生活を強いられております。こうした中、新たなエネルギー基本計画は、原発事故で被災された方々の心の痛みにしっかりと向き合い、寄り添い、そして福島の復興再生を全力でなし遂げること、また、震災前に描いてきたエネルギー基本戦略は白紙から見直して、原発依存度を可能な限り低減させることを出発点として策定されたものであります。

 今回のエネルギー基本計画については、原子力をベースロード電源と位置づけていることなどでさまざまな議論を呼んでいるところでありますけれども、本計画で、原発事故の反省を踏まえて、原発を五割とした以前の計画をゼロベースで見直し、徹底した省エネルギーや再生可能エネルギーの最大限の導入を進めて、原発依存度を可能な限り低減させることが初めて明記されたことは、大変に重要なことだと思っております。

 現実を見据えて、国民生活や産業、地球温暖化などの課題にもしっかりと応えながら、原発の安全性を大前提として原発の依存度を着実に低減させていくことこそ、原発事故の深い反省に立った責任あるエネルギー政策のあり方であると考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 先般閣議決定されましたエネルギー基本計画につきましては、江田委員を初め公明党の皆様に大変建設的な御議論をいただいたと思います。そして、与党において丁寧に議論を進めていただいた結果、しっかりとしたエネルギー政策の方向性を示すことができました。

 本計画に記載したとおり、原発については、安全性の確保を大前提に、徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度は可能な限り低減するというのが基本方針であります。

 今後、このような方針を踏まえまして、国民生活や経済活動に支障がないよう、責任あるエネルギー政策の推進に全力を挙げて取り組んでまいります。

江田(康)委員 ここで重要になってくるのが、いかにして原発の依存度を低減していくかということであります。その最大の鍵は、再生可能エネルギーの最大限の導入促進にあります。しかし、現状では、総発電量に占める再生可能エネルギーの割合は約一〇%であり、水力を除いた割合は一・六%しかないわけでございます。

 だからこそ、公明党は、国民生活への影響を考慮しつつ原発依存度を可能な限り低減するために、省エネルギーとともに再生可能エネルギーの数値目標を基本計画に盛り込むように強く訴えさせていただきました。

 その結果、エネルギー基本計画には、数値目標として、これまでの計画を踏まえて示した水準をさらに上回る水準の導入を目指すこと、すなわち、二〇二〇年一三・五%、二〇三〇年には約二割を超えることを目指すことが明記されたわけでございます。これは極めて野心的な目標であり、高く評価されているものであります。

 改めて、今回の基本計画において、原発依存度の低減を実現する再生可能エネルギーの位置づけについて、総理の御所見をお伺いします。

 加えて、さらに大事なことは、いかにしてこの目標を達成するかにあります。政府は、私たち公明党の主張を受けて、目標達成の司令塔となる再生可能エネルギー等関係閣僚会議を設置されました。その第一回会合が開催され、政府が一丸となって最大限の導入を実現していくこと、また局長級の関係省庁連絡会議を創設することが決定されたわけですが、迅速に対応が始まったことを評価いたします。

 今後、この会議が再エネ導入を加速するエンジンの役割を果たすために、会議で決定された再生可能エネルギーの最大限導入に向けて具体的にどのように取り組むのか、また、原発依存度の低減を実現する再生可能エネルギーの導入拡大に向けた総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 再生可能エネルギーの普及は、エネルギー安全保障の強化、低炭素社会の創出に加えまして、新しいエネルギー関連の産業創出、雇用拡大の観点からも極めて重要であります。

 先般閣議決定いたしました新たなエネルギー基本計画においても、再生可能エネルギーを二〇一三年から三年程度、導入を最大限加速させていき、その後も積極的に推進していく方針を明確にしたところでございます。

 委員御指摘のように、公明党、御党が推進を要望しておられました再生可能エネルギー等関係閣僚会議を新たに創設いたしまして、第一回会合では、省庁間で連携して取り組むべき施策について閣僚間で議論がなされたところであります。

 引き続き、固定価格買い取り制度の着実な運用に加えまして、送電インフラの整備や規制改革、技術開発など、再生可能エネルギーの最大限の導入に向け、必要な施策を総動員していく考えでございます。

江田(康)委員 最後に、電気事業法改正案についてお伺いをさせていただきます。

 今般の電気事業法改正案は、電力システム改革の第二段階である小売の全面自由化を実現するものであり、電力システム改革の目的の一つである需要家の選択肢が拡大されることは明らかであります。

 一方で、小売の全面自由化を進めていく中で、安定供給の確保について、電源投資や予備力の確保が困難になるのではないかとの懸念や、電気料金の抑制について、自由化をすると逆に料金が上がってしまうのではないかとの懸念が指摘されております。

 こうした二つの懸念を払拭するために、今回の改正案においては、小売電気事業者に対する供給力確保義務や、広域的運営推進機関による電源入札を盛り込んでいるところであります。

 さらに、電気料金の抑制のためには新規参入が促進されることが重要でありますが、そのために不可欠な卸市場の活性化を政府も進めるとともに、一般電気事業者による自主的な取り組みだけでなく、現在の一般電気事業者などに対して一定量の電源供出を求めるような制度的な措置も必要なのではないかという議論がなされてきたところでございます。

 法案審議の締めくくりに当たり、この二つの重要な点について、総理にお伺いをいたします。

 電気の小売自由化を進める上での懸念を払拭すべく、自由化後の安定供給確保についてどのような方策をとるべきとお考えでしょうか。そして、電気料金抑制の一つの大きな鍵になる卸市場の活性化に当たっては、現在の一般電気事業者などに対して、自主的な取り組みだけでなく、一定量の電源供出を求めるような制度的な措置も検討すべきだと考えますが、総理の御所見をお伺いいたします。

安倍内閣総理大臣 電力システム改革を行った結果として、我が国の電力の安定供給が損なわれるようなことがあってはならないと思います。

 小売全面自由化の実施に当たっては、これまで安定供給を担ってきた各地域の電力会社の送配電部門が、引き続き安定供給の中心的役割を担うことになります。加えまして、小売や発電を行う事業者や、電力の広域的な運営の司令塔として創設する広域的運営推進機関においても、供給力確保に一定の役割を担う仕組みとしています。

 また、低廉な電力供給を実現していくためには、卸電力市場の活性化は重要な課題であります。現在、既存の電力会社が発電余力を取引所で売買することによる卸電力市場の活性化に取り組んでおりまして、国としてその状況をモニタリングしておりますが、その結果、十分進展しない場合には、今後、御指摘のような制度的な措置も検討したいと思います。

 いずれにせよ、安定供給に万全を期しながら、卸電力市場の活性化などによりさまざまな電力事業者の切磋琢磨を促すことで、活力ある日本経済を支援していく考えであります。

江田(康)委員 本日は、エネルギー基本計画と電力システム改革について、総理から力強い答弁をいただきました。六十年ぶりの大改革を成功させるべく、政府においては総力を挙げてこれに取り組んでいただきたいことを申し上げて、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋委員 民主党の田嶋要でございます。

 きょうで電事法の審議は最終ということでございますが、限られた時間、安倍総理、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 先ほど来お話が出ておりますが、安倍総理、電力システム改革に関しまして、海外の節目節目で発信をしていらっしゃいます。一月にはダボス会議で、発送電分離を実現すると。そして、五月にはOECDの閣僚理事会でも、やはり先ほども出ましたアベノミクスの第三の矢、成長戦略との関係で、発送電分離、電力システム改革という話がございました。

 そこの議事録をちょっととってみたんですけれども、具体的には、日本の電力市場では六十年以上、地域に一社の巨大電力会社が発電から送電、小売まで独占してきた、これを二〇二〇年を目途に完全に競争的な市場へと改革します、私は改革を恐れません、このようにおっしゃっているわけでございます。別のところで、いかなる岩盤も私のドリルの前には無傷ではいられない、こういう発言もあるわけでございます。

 そこで、最初に総理にお尋ねしますが、今の地域独占のあり方も総理の目から見ると岩盤であるというふうに理解してよろしいですか。

安倍内閣総理大臣 電力システム改革を日本ができるかどうか、これは世界が注目をしているわけであります。いわば電力会社が地域独占という形で今日まで続いてきた、これを変えることができるかどうかということについては、大変難しい改革であるという認識、これは内外の共通した認識だろうと思います。そういう意味においてはこれはまさに岩盤であろう、この岩盤を打ち砕いていきたい、このように考えているところでございます。

田嶋委員 その点に関しましては、同じ方向を私どもも向いているというふうに思います。

 次にお伺いします。

 確かに岩盤であって、一説によると、先進国では日本だけがまだこのステージを経ていない、こういった改革を電気の世界に関して行っていないという話もあるわけでございますが、と同時に、きょうの午前中、私どもの松原委員から質問がございました。若干タイミングに心配をする声もございます。右肩上がりの時代の日本とは若干違う、そしてまた、あの三・一一の後、今大変需給が逼迫をしていて、本当に大丈夫かという声もあるわけでございます。

 先ほどは、まだ実行するまでには二年あるという上田長官からの御答弁もございましたが、改めて総理にお尋ねをしたいと思います。

 私が本会議で質問をさせていただいたときにも、総理からは、このシステム改革によって企業の電気料金が下がって一般家庭の電気料金が上がる、そんな事態は想定していないというふうに御答弁されました。しかし、今厳しい状況にある。

 改めて、総理、このシステム改革で恐らく一般の国民が最も注目しているのは当然ながら電気代がどうなるかということであって、多様なサービスがどうとか、そういうこと以前に、やはりコモディティーでありますから、その部分が一番注目されていると思います。どのような影響、今後のシナリオを想定されておるのかということをもう一度御答弁いただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 電気料金の水準につきましては、委員御承知のように、資源価格の変動など改革以外のさまざまな要素にも左右されるわけでありますが、電力システム改革を進めることで電気事業者間の競争の促進や新たな電気事業者の参入等を図って、電気料金を最大限抑制していくというのが基本的な考え方であります。また、今回の法案では、一般家庭向けの電気料金については、競争が働くまでの間、国の認可等の規制を残すこととしているため、事業者向けの料金が下がり一般家庭向けの料金が上がるような事態は想定はしていないわけであります。

 六十年ぶりの抜本的な改革を通じて御家庭の皆さんに実感をしていただけるように、料金抑制効果をもたらせるように、しっかりと取り組んでいく考えであります。

田嶋委員 企業が下がって家庭が上がる想定はないと。御家庭の皆様に実感をしていただくというのは、何を実感するということですか。最大限の抑制ということは、最大限下げるということとは一緒じゃないと思うんですね。最大限抑制というのは上がるのをなるべく抑えるというニュアンスにもとれますけれども、何を実感していただくということでしょうか。

安倍内閣総理大臣 最初に申し上げましたように、資源の価格等変動的な要素がたくさんあるわけでありますから、そこに競争の原理を入れることによって、よりサービスを高めていくという努力の競争が起こるはずでございますから、その中においてサービスを実感していただけるようにということであります。その中におきまして、当然、そのサービスという意味の中には電気料金ということも入ってくるんだろう、このように思うわけであります。

 そこで、今委員から抑制という意味ではないかという御指摘があったわけでありますが、しかし、それが例えば資源等の影響によりまして上がる傾向の中におきましても、努力して抑制がなされていくということも含めて申し上げたところでございます。

田嶋委員 要するに、このシステム改革の結果として、全体として本当に家庭の料金が下がるかどうかはわからない、しかし、ほかのいろいろな要素で上がる可能性をこのシステム改革をやることでなるべく抑制する、そういうふうに理解いたしました。

 そこで、もう一度確認でございます。ということは、下がる可能性があるあらゆる選択肢はやはり駆使をして、そして少しでもほかの事情によって上がるプレッシャーは抑えなきゃいけない、それが電力システム改革の肝だというふうに私は思いますが、総理、そういうことでよろしいですか。

茂木国務大臣 今回の電力システム改革は、三・一一の原発事故等々を踏まえまして、我が国が今新たなエネルギー制約に直面をしている、これまでの地域独占の体制で行ってきた電力の供給のあり方を抜本的に見直す、こういう観点から進めております。

 安定供給を図り、コストを低減する、こういったことを基本目標に行っておりまして、総理から先ほど答弁がありましたように、料金について最大限の抑制を、これはほかの要因によっても変わってきますけれども図っていく。同時に、ピーク時とオフピーク時の料金体系を変える等々によりまして、需要家の皆さんにとっても、やはり電気についてもいろいろなものが選べるようになった、こういったことを実感できるような状態をつくってまいりたいと考えております。

田嶋委員 最大限の抑制でございますから、本当に言葉はしっかり使われていると思います。要するに、最大限下げるとは言っていないんですね。つまり、家庭の料金もふたをあけたらやはり上がる可能性があるということも含めて、それでもこのシステム改革はやり切らなきゃいけないというニュアンスに私は理解をいたしております。

 そこで、次の質問、総理に質問通告いたしておりますが、資料も配付させていただきました。本当にやるべき全てを検討してきたか、あるいはしているかということでお尋ねをいたしたいと思います。

 総理は、ついせんだって、テレビでのインタビューで、小泉元総理の原発ゼロに反論をされた中でこうおっしゃいました。日本は島国だ、ドイツは原発をやめても、原発政策を維持するフランスから電気を買うことができる、日本はそれができない、そういうふうにおっしゃっているんですね。私は、えっと思いました。確かに日本は島国であります。しかし、イギリスは電気をいっぱい買っています。イギリスは電気をいっぱい売ってもいます。島国であるということは、ドイツのように陸続きだからということとは本質的に私は何も変わらないというふうに思っております。

 つまり、国際的な連系ということが、発送電分離のシステム改革の中で、安倍総理は一切頭の中に入っていない、つまり、日本の国内に閉じた改革に終始させようというふうに考えているということがこの発言から露呈したと私は思うんですが、安倍総理、その点はどうですか。

安倍内閣総理大臣 国際連系線を通じた電力輸入は、選択肢の一つとして排除されるわけではありませんが、仮に国際連系線を通じて電力供給の一部を海外に依存する場合には、相手国の政策変更による供給途絶などの懸念や、緊急時における電力確保や大規模停電の影響が伝播するおそれがあります。安定供給の課題などもあるわけでございます。

 私も、具体的な国名を総理大臣として挙げるわけにはいかないわけでございますが、英国もドイツもそうでありますが、いわばEUの一員でございまして、その中におきまして、基本的な価値等を完全に共有しているグループの中の信頼感が構築されている中で供給をし合っているということになるわけでありますが、そこでエネルギーを依存するというのは、国にとって極めて重大な、いわば経済、生活のツールを握られるわけでありますから、そこの信頼関係を持てるかどうかということが大変重要ではないか、このように思います。

 いずれにせよ、どのような事態にあっても、国民生活や経済活動に影響がないように、電力の安定供給に万全を期していくことが重要でありまして、国際連系線についても多面的かつ十分な検討が必要と考えております。

田嶋委員 総理、ありがとうございます。

 方向性として選択肢の排除はないというのは、以前も茂木大臣もそのように委員会でおっしゃっていただきました。それはいいのでございますが、最近出ましたエネルギー基本計画には一言も言及がありません。つまり、全部国内の問題として見ていらっしゃるのは、やはりそのとおりだと思うんですね。そして、政府の関係からは、一般財団法人日本エネルギー経済研究所、昨年、電気の連系に関するいろいろな調査の研究結果も出てございます。もちろん、おっしゃるとおり、いろいろな難問はある、それはそのとおりだと思うんです。

 しかし、配付した資料をちょっとごらんいただきたいと思います。どこの国かというのはここに書いてあるとおりでございますが、日本の電気料金はやはり高い。そして、ピークがやはりほかの国とはずれるわけですね。これは当たり前のことですけれども、時差もございます。そして、夏だ、冬だ。日本は特に夏が大変。今回も、きのう発表されたようでございますけれども、九州電力など大変厳しい。一方、ほかの国は冬がピークだと。ピークがずれれば助け合える可能性がやはりあるわけでございます。

 次のページをごらんください。

 総理がおっしゃるとおり、これはなかなか心配だ、そのとおりです。誰も大丈夫、大丈夫とは言いません。しかし、イギリスを見ても、電力消費の約二%をそういう形で純輸入している。逆に言えば、それ以上はやらない。昔はやっていましたけれども、やはりいろいろな事情でその程度に抑えなきゃいけない、常にそのことを考える。

 と同時に、この下の表を見ていただくとわかるとおり、半世紀かけてやってきているんですね。そして、どうやってこれがスタートしたか。これは釈迦に説法だと思いますけれども、第二次大戦後、二度と不幸な歴史を繰り返さないために石炭鉄鋼共同体というものをつくった。そういうことをスタートして、むしろ逆に、一方的に首根っこを押さえられるようなことではなくて、お互いに運命共同体となることで支え合いながら、不慮のことを引き起こさないというのが当時のヨーロッパの英知だったわけです。

 それがそっくりそのまま役立つかどうかはわかりません。しかし、検討には値するのではないかというふうに私は考えてございます。

 一番最後のページをごらんください。ページの三でございますが、ヨーロッパの現在の電力のやりとりでございます。

 総理がおっしゃいましたドイツ、ドイツはフランスから買っている、全くそのとおりですね。フランスは原発依存の大きい国であります。しかし、これをごらんいただくと、ドイツはあちこちの国に売ってもいます。そして、結果として純輸出国でもあるんです。つまり、あっちから買ったり、こっちへ売ったりということをやっている。つまり、全て純粋の経済原理にのっとって、安ければ買う、高ければ売れる、こういう状況があるわけでございます。

 時間が限られておりますが、ぜひ総理、そういう意味ではこれはやはりしっかりと、民間はやる気がいっぱいあるんですね、しかし、欠けているのは政治の意思です。政治の意思として、これはやはり検討すべきですよ。だめという結論ならやめればいい。しかし、これは価値があると思います。

 この電力鎖国を続けると、日本の国益を実は損なうかもしれない。本当に今苦しい状況にある中で、全てをそこにかける必要は何もないわけですよ。ちょこっとだけつながっていくということが今の電力鎖国の状況よりも我が国の国益にかなうのであればそれはやればいいし、一国とだけつなぐんじゃなくて、将来、ネットワークをつくっていくということが、私は日本の国益にかなうというふうに考えております。総理、最後に、そのことに関してどのように考えていらっしゃるか、御答弁を賜りたいと思います。最後はぜひ総理にお考えを聞きたいです。

安倍内閣総理大臣 今委員が御指摘になったように、いわばエネルギー源においてさまざまな可能性を追求していく、それはそのとおりなんだろう、このように思います。

 EUにおいては、先ほども申し上げましたように、いわば石炭の共同体からさらには関税へと発展をしていくわけであります。その意味におきましては、まだ日本は海を隔てた隣国とはそういう状況にはなっていないわけでありますが、まず信頼関係をより向上させていく必要も当然あるんだろうな、こう思います。しかし、既に申し上げましたとおり、国際連系線を通じた電力供給の海外依存については安定供給のリスクというのが非常に高いわけでありまして、多面的かつ十分な検討は必要だろう、このように思うわけでございます。

 いずれにせよ、先ほども申し上げましたように、委員の御指摘の点も今後とももちろん検討をしながら、我々でエネルギー政策をより安定したものにしていきたい、このように思っております。

田嶋委員 もう一歩踏み込んでほしかったんですけれども、総理、五年前はだめでも今なら可能性は高まるということはよくある話ですね、技術革新等々で。今何が起きているかというと、電力システム改革です、七・五兆円のマーケットが今回自由化されんとしているんですね。当然、投資家から見ればビジネスチャンスは大いにふえるわけであります。

 そういう観点からも、今こそ、クローズドした、国内に閉じた電力鎖国の発想ではなくて、やはり、ほかの国がどこでもやっているようなことを日本もしっかり検討して、結果として経済にペイしない、そういう形になればやらなきゃいいだけの話ですから、ぜひとも排除せずに、排除しないというだけじゃなくて、前向きに、同時並行で検討していただきたい。茂木大臣も総理も、どうぞよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。

富田委員長 次に、近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 早速質問に入りたいと思います。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますので、その資料を見ながら質問していきたいと思うのです。

 先ほど同僚の田嶋委員から、我が国の電力の状況、まさに国際的な連系線がございませんから、田嶋委員のお言葉をかりれば今は電力鎖国状態でありますが、その電力の国内の需給見通しについて、けさ方、関係閣僚会議でその需給見通しと対策が公表をされました。

 まず最初に、総理に御認識を伺いたいと思います。

 最初の表を見ていただければおわかりのとおり、この夏の需給は大変厳しい状況であります。原発の稼働がゼロとなる初めての夏となるわけでありますけれども、特に厳しいのは中日本、西日本の状況であります。国際的にも最低限必要だと言われている予備率が三%を切っておる。特に厳しいのは、関西電力一・八%、九州電力一・三%という状況であります。

 こうした状況の中で、まず総理にお伺いしたいのですが、世界的には予備率というのは、例えば米国の場合は一〇%、状況によっては一五%の予備率を持つというところもございます。欧州においては五%なり数%という水準であります。三%を割るというのは大変厳しい状況であります。ですから伺うんですけれども。

 電力不足による大規模停電というものが起きた場合、これは絵そらごとではもはやなくなってきている、こう思うわけでありますけれども、この場合の社会的、経済的な影響というのは極めて甚大であろう、こう思うわけですね。私は、我が国の信用の失墜ということも含めて、その意味は極めて重いと思うわけでありますけれども、電力不足による大規模停電、いわゆるブラックアウトが起きてしまった場合の影響を安倍総理はどのように認識されているのか、お答えいただけますか。

安倍内閣総理大臣 確かに、委員が御指摘のように、電力というのは、かつては我々、当たり前のように電力の供給を享受していたわけでございますが、しかし、仮に電力不足による大規模停電が発生した場合には、照明や冷暖房、工場等の操業停止にとどまらず、水道、ガスなどの生活インフラ、あるいは信号、鉄道などの交通インフラ、金融決済機能などの情報インフラにも広範な影響が及ぶわけでありまして、国民生活や経済活動に重大な支障が生じるわけであります。これは、ある意味では、国民の生命の安全をも脅かす事態になると認識をしております。

 こうした事態を招かないように、電力の安定供給に万全を期していく考えであります。

近藤(洋)委員 まさにブラックアウトというのは、総理に御答弁いただいたように、生命の安全を脅かす、病院もどうなる、決済機能もどうなる、また工場の操業、経済環境だけではなくて、私は、日本においてそのことが起きたら、特にメガシティーで起きた場合、日本国の信用問題にもかかわるんだろう、こう思うわけです。

 我々民主党政権のときに、計画的に停電したあのことですら、あれだけの混乱が起きたわけですから、突然大規模停電が起きたらどうなるか。それは大変背筋が寒くなるわけであります。

 そこで、茂木大臣にお伺いしたいのです。

 けさ方の関係閣僚会議で、この二・七%というのは昨年の水準に比べれば半分の予備率でありますし、三%を割り込む状況の中で、節電要請について、数値目標というのを設定しないで行うということとなりました。

 なぜ、これだけ厳しい状況にもかかわらず、もちろん数値目標をつくった上での節電要請のマイナス面も私は理解しないではありませんが、あえて設定をしなかったのか。その理由について、大臣、お答えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 確かに、この夏の電力需給の予想、中部そして西日本を中心に大変厳しい状況にありまして、御指摘の関西電力管内そして九州電力管内は特に厳しいと考えております。

 そこの中で、東日本に若干の余裕、もちろん、今、老朽化した火力等々のたき増しを行っておりまして、ブラックアウト等々の事態にならないように、予断なく今後の状況を見守っていきたいと思っておりますが、東から西へ電力融通を行うことによりまして、西日本におきましても三・四%の予備率が確保できるという形であります。

 ただ、それにおきましても極めて厳しいということから、今回、けさの電力需給に関する検討会合におきましては、関西そして九州電力に対して、きちんとした予備力の積み増し、具体的には二十四万キロワットの積み増しを要請したところでありますし、火力につきましても総点検を行う、こういった要請も行っているところであります。さらには、省エネに対します大々的なキャンペーン等々を行う、また発電事業者に対する支援策等々をあわせて行っていきたいと思っております。

 御案内のとおり、東西の融通の余力は六十万キロワットということになるわけでありますから、今後の状況等々を見ながら、さらなる措置が必要な場合には、数値目標つきの節電協力要請を含めまして、追加的な需給対策も必要に応じて検討してまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 二ページ目をごらんいただければと思いますが、火力発電の総点検といっても、退役軍人で古い火力発電所が今頑張って一生懸命稼いでいる、しかし、古くなればなるほど、計画外停止、すなわちトラブルによる停止がふえるというのは統計上明らかなわけであります。それだけリスクが高まっている、こういうことなわけですね。

 我々の野田政権においては、命を守るために、いろいろ政治的なリスクを負いながらも、大飯原発再稼働を決断したわけであります。いろいろ政治的なリスクを抱えながらも決断をさせていただいたわけでありますが、今は大飯は動いていない。こういう状況の中でもしブラックアウトが起きたら、それこそアベノミクスが吹き飛ぶなんというものではない、日本の信用自体が吹き飛ぶ事態になるので、ぜひ、経産大臣におかれましては、万全の注意を払って、数値目標の設定もにらみながら対策を講じていただきたい、こう思うわけであります。

 続いて、総理にお伺いします。今、原子力発電所は全てとまっておるわけでありますが、原子力事業についてお伺いします。

 我が国は、国、要するに政府が原子力発電に関する方針を定め、その環境を整え、その方針に沿って、実際の事業は民間企業、電力会社が担う、いわゆる国策民営方式をこれまで採用してまいりました。

 三・一一の大震災を受けて、我々民主党政権時代は規制行政を改革し、またエネルギー政策を見直したわけでありますが、安倍政権でもエネルギー基本計画を見直した。いずれにしろ、安倍政権においても、国策民営の進め方の方針は維持されるということで、確認ですが、よろしいですね。

安倍内閣総理大臣 我が国においては、国は、原発の安全性や適切な事業運営を確保すべく、制度の整備や規制の実施、そして政策の方向性の決定等の役割を担い、原発の運営自体は民間事業者が責任を持って行うこととしてまいりました。福島第一原発事故後も、その方向性に変わりはございません。

近藤(洋)委員 国策民営の方針は変わらない、こういうことであります。

 そこで、三ページ目の資料に添付させていただいていますが、総理は、五月一日のロンドンのシティーでの晩さん会のスピーチで、私は責任あるエネルギー政策を決定した、これは多分エネルギー基本計画のことだと思いますが、こう言った上で、下線の部分でありますが、「世界のどこにも劣らないレベルの厳しい安全基準を満たしたところから、目下ひとつとして動いていない原子力発電所を、ひとつ、ひとつ、慎重な手順を踏んで稼働させていくことにしました。」こうおっしゃっております。

 この発言を踏まえてお伺いしたいのです。

 責任あるエネルギー政策と総理が表されているエネルギー基本計画、四ページ目でありますけれども、原子力について、政策の方向性の一行目であります。「いかなる事情よりも安全性を全てに優先させ、」から、原子力規制委員会の「その判断を尊重し原子力発電所の再稼働を進める。」この最初の一文、これは極めて大事な文章なんですが、実は主語がありません。誰がという主語がない文章であります。

 総理の発言とほぼ同じ文章なのですが、総理の発言は、私は進めますと書いておりますけれども、このエネルギー基本計画には主語がございません。当然、エネルギー基本計画の主語は、安倍政権または政府ということでよいと思いますが、総理、よろしゅうございますね。

安倍内閣総理大臣 原発については、福島の事故の教訓を踏まえ、安全を確保することが大前提であります。その前提のもと、独立した原子力規制委員会が世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づいて徹底的な審査を行い、これに適合すると認められた原発について再稼働を進めていく方針であります。

 また、再稼働を進める際、地元の理解を得ることが重要であり、国も前面に立って、誠実に説明等を行ってまいります。先日のスピーチも、このような方針を踏まえて行ったものであります。

 エネルギー基本計画は、責任あるエネルギー政策を再構築するため、政府として中長期的かつ総合的な政策の基本方針をまとめたものでありまして、御指摘の再稼働の記述についても、政府として取り組むことを示したものでございます。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。やはり文章には主語がないと、責任が誰がというのがわからぬ、不明確でございます。これは大事なところなので、確認ができました。

 その上で、総理にお伺いします。

 要するに、政府、安倍政権としては、環境を整えるという御答弁でございました。もちろん、安全基準は規制委員会、そして、その上で環境を整えていく、こういうことだろうと理解をいたします。そこで、原子力の損害賠償制度についてお伺いしたいと思うんですね。原発事故が起きた際の損害について、どのように対処するかという制度であります。

 大震災を受けて、民主党政権下で原子力損害賠償支援機構法を制定した際に、原子力損害の賠償制度の全体について、見直し規定を盛り込んでおります。資料の六ページ目に、その法案の抜粋を書いております。

 この損害賠償制度ですが、昭和三十年代に制定された原賠法では、御案内のとおり、事業者に対して原則、無過失無限責任を課しております。無限に責任が問われる。天変地異ならば、ただし書きというのがありますが、今回の東京電力についてはそれは適用されませんでした。いろいろな議論がありましたが、適用されなかったわけであります。

 この問題について、当時は、できるだけ早期に抜本見直しをする、このように附則第六条で書いております。さらに言えば、原賠機構法で、各社が一般負担金という形で、奉加帳方式でお金を出している、この問題についても早期に見直しをする、民主党政権下でつくった法律ではこのように附則で書いております。

 参入の自由化や発送電の分離といった電力システム改革が進む中で、原発を運営するリスクについて、先ほども木下議員が御発言をされておりましたけれども、国と事業者の明確な責任分担、さらには費用分担の見直し、すなわち、事故に対する損害賠償制度の抜本的な見直し、再設計というのは、システム改革と同時並行に進めるべきというか、これはコインの裏表の話だろう、こう考えるわけであります。

 これは原子力の再稼働を進めるとした政府においては極めて重要な点かと思いますが、総理の御認識はいかがでしょうか。これは、総理、御通告をしております。

安倍内閣総理大臣 福島の一日も早い復興のためにも、東電福島第一原発事故の結果生じた賠償、廃炉、生活再建の問題を全て東電に押しつけるのではなく、国もしっかりと前面に出て、とるべき責任、果たすべき責任を果たしてまいります。

 政府では、昨年末、帰還に向けた取り組みの拡充と新たな生活の開始に向けた支援の拡充の両面から福島を支援します、予防的、重層的な汚染水対策の実施など東京電力福島第一原発の事故収束に向けた取り組みを強化いたします、国が前面に立って原子力災害からの福島の再生を加速する、この三つの方針を打ち出したところであります。

 今後、この方針を踏まえて、地元とも十分に協議をしながら、まずは福島復興の道筋を具体化していきます。

 また、これまでも、原子力損害賠償紛争解決センターの整備や時効特例法の制定などの所要の措置を行ってきたほか、福島の廃炉・汚染水対策についてより着実に廃炉を進められるよう技術支援等を行うため、原子力損害賠償支援機構法の改正が行われたところであります。

 これらは、政府として、原子力損害賠償支援機構法制定時の附帯決議において、できるだけ早期には一年、早期には二年とされている趣旨を尊重し、機構法附則で検討すべきと定められた事項の一環として行ってきたものであります。

 原子力損害賠償制度等のさらなる見直しについては、新しいエネルギー基本計画における原子力の位置づけ等を勘案しつつ、現在進行中の福島の賠償の実情等を踏まえながら、引き続き、総合的に検討を進めてまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 総理、もし今国会に提出された機構法の改正がこの附則の意味合いを付した改正だとしたら、それは全く筋違いの改正となっております。要は、資金負担をどうするかという回答には、今国会で提出された機構法の改正は全くなっていないからです。

 さらに言うと、できるだけ早期にといった改正は、そもそも無限責任を定めた現在の制度をどうするかといった問題なんです。総理の後ろに控えられている事務方の方々も大活躍をされてつくった法律ですから、よく首相官邸も認識しているはずでございます。

 この問題について、きちんと、どうするかという回答を出さない限り、原子力の再稼働を進めるというのは全くの絵そらごとだということを申し上げなければいけません。要は、安倍政権の姿勢が、海外では一生懸命派手なことを言っているけれども、実態が伴わないと言わざるを得ないんですよ。

 総理、もう一回お伺いします。

 原子力の事故が起きたときに誰がどう責任を分担するのか、民間企業では負い切れないリスクをどう線引きするのかといったことについてきちんと法的な対応をとらないと、誰も原子力を動かすことができない、リスクに対応できない、だからそこをきちんと法律を整備すべきではないですかということを申し上げていますが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 原子力につきましては、さまざまな課題に対応していかなければいけないと思っております。

 一つ重要な課題は、やはり安全性をどう確保するかということで、民主党政権下におきまして、原子力規制委員会、独立した新しい委員会をつくりました。そして、その委員会が世界で最も厳しい規制基準も制定をしたところであります。

 御指摘の資金負担の問題も出てまいります。そして、将来的に、燃料サイクル、どう回していくか。さらには最終処分。御案内のとおり、既に、最終処分を行わなければいけない高レベル放射性廃棄物が一万七千トンに上っているわけでありまして、これは次世代には先送りできない課題であります。さまざまな課題につきましてしっかりとした検討を加え、そして実行に移していきたい。

 そういった中で、今御指摘の問題につきましては、まさに今、福島におきまして賠償が進んでおります、この実態も見ながら、同時に、全体のエネルギー政策の中で原子力をどう位置づけるか、こういったことにつきましてもしっかり見きわめた上で検討を深めていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 大臣、原子力を位置づけるのはもうエネルギー基本計画で決めているじゃないですか。そして、再稼働を進めますと海外でもおっしゃっているじゃないですか。だから、もう安倍政権の位置づけははっきりしているんですよ。その上でどうするかというのを聞いているんです。

 総理、いいですか、本件は内閣総理大臣の指示じゃなきゃできないんです。何となれば、今ある東電の問題も、これは総理と直結するからなんですよ。

 反対するのはどこの役所か。財務省です、結局、負担金をどう整理するかという線引きをするから。この問題に手をつけようとすると、財務省がまず真っ先に反対します。そして、文部科学省は法案を担当しているけれども、はっきり言ってほとんど当事者能力はないでしょう。経済産業省もかかわってきます、環境省も出てきますが、いずれにしろ、財務省も含めて連携をして問題を解決しなければいけないから、これは、茂木産業大臣の御答弁はせっかくいただきましたけれども、総理大臣が指示をして各省連携でスキームをつくれ、そして原賠法を見直して、機構法も見直して、もっと言うと東京電力の債務を確定して、その上で再生を図れとしないと、東電問題も解決しませんし、もっと言うと原子力を稼働するための環境も整わないということなんです。

 総理、いかがですか。少なくとも各省連携で検討を急がせるべきと思いますが、お答えいただけますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 原子力損害賠償制度等のさらなる見直しにつきましては、新しいエネルギー基本計画における原子力の位置づけ等を勘案しつつ、先ほど大臣が答弁いたしましたように、現在進行中の福島の賠償の実情等を踏まえながら、確かに幾つかの官庁がかかわっているわけでございますので、政府として、関係省庁の連携のもとでしっかりと検討を進めてまいりたいと思います。

近藤(洋)委員 ここは一番肝なんですね。この問題にきちんとけりをつけてスキームをつくるということが、本当に電力システム改革を実態的なものにできるかどうかの肝になる。それができなければただ矢が折れることになるということを申し上げて、ほかにもお伺いしたいことがございましたが、原子力をめぐる問題、自治体との関係の調整、安全協定のあり方等々通告したものがございますが、次回に譲りまして、時間ですから質問を終わりたいと思います。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 きょうは、質問時間をいただきまして、ありがとうございました。

 私は、最初に、エネルギーのベストミックスについてお伺いをしたいと思うんです。

 まず、基本的な認識です。この委員会でもエネルギーのベストミックスを早急に決めなきゃいけないということでいろいろ議論してまいりましたけれども、総理にまず基本的な認識をお伺いしたいんです。

 今回、電力システム改革をやるわけでありますが、エネルギーのベストミックス、まさにこれは電力の問題でありまして、この両輪というのは、つまり、電力を自由化していくということと電力の構成を決めていくということは両輪で同時に並行させなきゃいけない、そういう御認識はまずおありになりますか。基本的な御認識をお伺いします。

安倍内閣総理大臣 エネルギー政策は、国民生活や経済活動に支障がないように、責任あるエネルギー政策を決めていく必要があるわけでありますが、まさに改革と同時に、我々はあの福島の悲惨な事故を経験しております、そしてまたCO2を削減していくという責任も負っている、かつ低廉で安定的なエネルギーを供給していかなければいけない、こういうことでございますから、まさにある意味では車の両輪という言い方もできるかもしれない、このように思います。

今井委員 私もそういう認識であります。

 その上で、まだエネルギーベストミックスをいつまでに決定するかということは明確には決まっておりませんし、そういう答弁もいただいておりません。できるだけいろいろな状況を見ながら早急にということであります。

 実は、この委員会での議論の中にもありましたけれども、期限を切らざるを得ないような状況がやってくるということです。それは来年の後半に予定されておりますCOP21でありますけれども、恐らく日本政府はここで新しいCO2の削減目標というのを出さなきゃいけないと思うんですね。このCO2の削減目標をつくるに当たっては、えいやという数字を出すわけにはいかないわけです。責任ある数字を出さなきゃいけない。

 そうすると、この数字をつくるということは、それと同時にエネルギーベストミックスの構成が決まっていなければ、当然、CO2の削減目標というのは具体的な数字はできないはずなんです。ですから、この数字をつくった段階ではベストミックスというのが決まっていなければ論理的に成り立たないというふうに私は思うんですが、この点についての御認識を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 エネルギーのベストミックスを決めていく、ここにおきましては、確かに御指摘の環境負荷をどうしていくかといった議論も極めて重要でありますが、同時にエネルギーのコスト、安定供給、安全性と総合的に考えていかなければいけないと思っておりまして、ベストミックスを決定するに当たりましては、あらゆる意味でこういった特性を持っている電源はないわけでありますから、現実的かつバランスのとれたエネルギー構成をつくっていきたいと思っております。もちろん、COP初め地球環境問題に対します国際的な議論、こういった状況も踏まえて決定していくということにしたいと思っております。

 エネルギー基本計画を決定させていただきました。できるだけ早く、まずはエネルギーミックスの目標を設定する、そして、目標を設定してから十年以内と我々は申し上げておりますけれども、実際にそのような需給構造をつくり上げる、これに向けて全力で取り組んでまいりたいと考えております。

今井委員 いろいろ御説明いただきましたけれども、私の質問には全然答えていただいておりませんでして、総理にもう一度お伺いしたいと思うんです。

 まだ自民党が野党だったときに、当時私も民主党におりましたけれども、三・一一の事故があって、その後、原発ゼロだというふうに、突然そういうことを言い出した方がいらっしゃいました。それに対して、その前に大胆なCO2の削減目標をまた一方で出していて、これはどういうふうに整合性がとれるんだということを当時の自民党の皆さんは物すごく厳しく追及されていたと思うんですよ。それは論理的だと思います、反論できなかったと思います。これは民主党も大変反省しなきゃいけない点だと思うんですね。それと同じことなんです。同じですよ。

 だって、今回もしCO2の削減目標をつくるのであれば、そこには数字の根拠がなければ、これはまたおかしい、それは全然整合性がとれないじゃないか、そういうことになりかねないわけで、私が申し上げているのは、当然、両方の数字というのはリンクしていなければ目標はつくれないはずなんです。ですので、CO2の目標をCOP21で出さないというなら別ですよ、そこで出すのであれば、そのときまでにベストミックスが決まっていなければこの数字はつくれないということなんです、論理的に。

 論理的にそれは無理ですよね、そこは当然、整合性をとるためには同時に決定されていなければできませんよね、そういう御質問をしているんですけれども、それはいかがでしょうか。総理にお伺いします。では、次に総理にお願いしますね。

茂木国務大臣 事実関係から申し上げますと、確かにエネルギーによって環境負荷は違うわけでありますけれども、今後、例えば石炭火力を考えたときに、効率が上がることによりましてこれは変わってくる問題でありまして、そうすると、ベストミックスイコール、例えば石炭の割合が何%ということが環境負荷の何%とダイレクトに結びつくものではない、そのように考えておりますけれども、ことしから来年にかけましてCOP等での議論も進みます、そういったスケジュールを全く無視してベストミックスをつくることではない、そういったものもにらみながら設定していきたい。

 できるだけ早くと申し上げております。それは二年も三年もかかるものではない。今までも答弁しているとおりであります。

安倍内閣総理大臣 基本的には、今、今井委員が御指摘になったような問題意識というのは我々は当然持っております。その上において、エネルギーのベストミックスと地球温暖化ガスの削減目標が整合的であることが必要である、まさにそれは当然なことである、こう考えているわけでありまして、両者の検討に当たっても十分に配慮を進めていく考えであります。

今井委員 茂木大臣は先ほどそう説明されましたけれども、石炭でどれぐらい技術革新が起きるのかとか、そういう予測値も全部含めた上でベストミックスを決めなきゃいけないというふうに私は思っていますので。もちろん、そういうものも加味されるわけです。それは将来的にこれぐらい減っていくだろうということを全てやると、石炭がこれぐらいになる、原発は残さないとやれませんねとか、そういうことが決まっていって、そこからCO2がこれだけ削減できると。それは当たり前の計算式ですから、そこは同時にやらないと整合性がとれなくなりますよということだけは御指摘をしておきたいというふうに思います。

 次に、先ほど茂木大臣も少し触れられておりましたけれども、エネルギー基本計画の中での、今までずっと積み残しになっていた課題です。要するに、核のごみをどうするかということで、ここには、「廃棄物を発生させた現世代の責任として将来世代に負担を先送りしないよう、高レベル放射性廃棄物の問題の解決に向け、国が前面に立って取り組む必要がある。」ということであります。

 まず、これは大変大事なことで、先送りをしないということは本当に私は大切なことだと思うんですが、この文言の意味を総理にお伺いしたいんです。これはできるかどうか、御決意としてで結構ですけれども、最終処分地の選定まで安倍総理の任期の間に決めます、それぐらいの気合いを込めて取り組みます、そういう意味でよろしいんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 高レベル放射性廃棄物の最終処分場の選定は大きな課題であります。仮に原発をゼロにしたとしても、最終処分場が必要であることから逃れることはできません。むしろ、最終処分場をしっかり確保することこそが政治の責任である、こう認識しております。

 最終処分場の選定は国民や地域の御理解をいただきながら一歩ずつ進めていくことが不可欠でありまして、これまでのやり方を見直して、責任を持って最終処分場を確保すべく、科学的根拠に基づきまして国から適地を提示するなど、国が前面に立って取り組みを進めていく考えでございます。

今井委員 いろいろな分析をして候補地をつくるということはまず第一歩でありますから、当然やっていただくということで評価したいと思うんですけれども、現実問題、この先そういう選定ができるかという問題です。

 先日、我が党のエネルギー調査会で橋下代表が、この件についていろいろ意見があるのでとお話をされていましたけれども、一番の彼の問題意識は決められるかということなんですね。

 というのは、三・一一の原発事故の後、いわゆる震災瓦れきを各自治体に受け入れてくださいということでお願いしましたが、非常にわずかな自治体しか受け入れてもらえず、大阪は受け入れましたけれども、それを受け入れるに当たっても物すごいエネルギーがかかった。あのケースは実は岩手県の瓦れきでありますから、本来は放射性物質とは余り関係のないものでありましたけれども、それでもやはり感覚的に、それは困るということで、住民の皆さんは受け入れを拒否したわけです、いろいろなところで。ましてや、こんな最後の処分場、これを果たして日本の国のどこかで受け入れるところがあるのかという問題です。

 どの土地にもそれぞれの選挙区があって、必ず国会議員の皆さんがいらっしゃいます。その国会議員の皆さんが、うちで受け入れてもいいよ、わかりました、それぐらいの気持ちがなければ決めようがない。辺野古ですら、あれだけ沖縄でもめているわけです。この処分地が本当に決められるかということは、科学的な問題ではなくて、いわゆる姿勢の問題だと思うんですね。もう命がけで、私が決めていきますと。国が前面に立つということは、私が住民を説得して、そこに決めます、そういう意思がなければ処分地というのは決まりません。

 ですから、安倍総理にお伺いしているのは、そういうお覚悟がありますかということをお伺いしているんです。

茂木国務大臣 確かに、国が前面に立って候補地を選定していく、こういう意思は重要だと思っておりますが、これまで日本において十年以上、最終処分場が決まってこなかった。これは、地層処分の安全性についての十分な説明、理解を得るプロセスというのがとられていなかった、同時に、今までは手挙げ方式でありましたから、地元の自治体の負担が極めて大きかったということで、まずは科学的に、地層的に安定しているところは日本列島の中でどこなんですか、こういったことをお示しする。かなりの候補地が出てくると思います。

 同時に、最終的に処分したにしても、今後、技術的な進展というのが考えられるわけでありまして、取り出しが可能になる、可逆性を持ったプロセス、こういったものも考えていかなきゃいけない。その上で、当然、地元の方の理解を得るというプロセスが必要でありまして、その面においては、国も前面に立って取り組んでいきたい。

 総理の方からも答弁させていただきましたように、この問題は次の世代に先送りできない、この我々の世代で解決する、こういった思いで取り組んでいきたいと思っております。

今井委員 総理ももう一言、お覚悟をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今まさに茂木大臣から答弁させていただきましたように、我々の世代でこの問題に解決のめどをつけていかなければならない、このように考えております。

今井委員 では、よろしくお願いします。

 茂木大臣、もう一点、「もんじゅ」なんですが、これは文科省の担当ではありますが、基本的な考え方をお伺いしたいんです。「もんじゅ」についていろいろ書いてあるんですけれども、これは結論、「もんじゅ」というのは、今後、運転を再開していくのかどうなのか、再開できると思っておられるのか、そこについてお伺いしたいと思います。

茂木国務大臣 若干所管外でありますけれども、エネルギー基本計画では、「もんじゅ」に関しまして、「廃棄物の減容・有害度の低減や核不拡散関連技術等の向上のための国際的な研究拠点と位置付け、これまでの取組の反省や検証を踏まえ、あらゆる面において徹底的な改革を行い、もんじゅ研究計画に示された研究の成果を取りまとめることを目指し、そのため実施体制の再整備や新規制基準への対応など克服しなければならない課題について、国の責任の下、十分な対応を進める。」こういうふうに書いてありまして、一つはやはり国際的な研究拠点としての位置づけ、そして研究の成果につきましてはまだまとまっておりません、今後まとめるわけでありまして、そういった成果についてどうであったか、それを見きわめた上で、今後の対応というのは決まってくると思っております。

今井委員 そういう答弁になると思いますけれども、どうして私がこの二つの問題を取り上げたかというと、やはり核燃料サイクルと処分地の問題を解決しない限り原子力政策というのは前に進めないということでありまして、もちろん安全基準をきっちりつくる、それから先ほど近藤委員が説明された、責任のあり方をもう少ししっかり整理する。そして、何よりもこの処分の問題です。ここをやはり前に進めていただきたいということで、お願いしておきたいと思います。

 あと二分になりましたので、いろいろ質問はありましたが、最後に、通告していないんですけれども、総理に一つお伺いしたいんです。

 八日に、菅官房長官が、日本の株価が下落しているということを記者に問われまして、OECDの世界経済見通しが下方修正されたり、ウクライナの情勢があるので下落しているんだろうという話をされたんですが、実はその日、ニューヨーク・ダウは史上最高値を更新しているんです。アメリカの株は上がっているんですから、世界経済の影響で日本株が落ちているというのは全く論理性がありません。ですから、あの動きはやはり国内事情だというふうに言わざるを得ないんです。

 この電力システム改革というのは同じ話でありまして、競争環境をきっちりつくって新しいイノベーションを起こす。先ほどもありました。イノベーションを起こすということのための電力システム改革、そういう目的もあるわけです。今、農業のいろいろな改革案が規制改革会議から出てきましたけれども、そういうものも含めてもっとやってくださいということを市場が求めているので株価がああいう反応をしているんだと僕は思いますし、少なくとも官房長官のおっしゃったことは全く論理性がないと思っておるんですが、最後にこの点、日本の株価の動向についての御所見だけいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 株価については、私が直接言及しない方がいいんだろう、このように思います。さまざまな要素があるんだろうと思います。

 確かに、地政学的な状況の変化というのもあるでしょうし、それぞれの国がそうした影響を受ける、この影響度が違うという判断もあるんだろうと思いますし、為替との関係もあるんだろう、このように思います。

 いずれにいたしましても、まさにマーケットは私たちが改革をしっかりと前に進めていくことができるかどうかに注目しているわけでありますし、また、マーケットの注目いかんにかかわらず、日本が経済を成長させていくことができるかどうか、我々が改革を進めていくことができるかどうかにもかかっているんだろう、このように思っております。

今井委員 私たちは、電力システム改革には全面的に賛成です。ですから、どんどん前に進めていただきたい、イノベーションを起こしていただきたい。ほかの分野でも、どんどん安倍ドリルを鋭くしてぐいぐい食い込んでいっていただきたい。そういう願いを込めて今質問させていただきましたので、今後ともぜひ頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 日本維新の会の丸山穂高でございます。

 私からも、早速ではございますが、時間が短うございますので、まずは、最終処分場を含めまして、いわゆる核のごみの処分の話につきまして、総理や大臣にお伺いしていきたいと思います。

 まず、総理にお伺いしたいんですが、このゴールデンウイーク、連休の間に総理は欧州全体を歴訪されまして、フランスの方でオランド大統領とお会いになられました。

 報道ベースで伺っている形では、武器の共同開発、防衛装備品協力に関する協定の締結に向けて交渉に入るという形で合意をされたというふうな報道がなされておりますが、同時に、安全保障だけじゃなくて、今回は核のごみ、エネルギー関係も合意をされたことがあるというふうに伺っております。それは、いわゆる次世代の高速炉アストリッドの共同開発の推進につきまして日仏で合意をということでございます。

 これは、先ほど「もんじゅ」のお話が少しほかの委員の先生からもありましたけれども、この「もんじゅ」の技術をフランスと共有するのかどうかというところが少し気になるところです。というのは、エネルギー基本計画で、「もんじゅ」の記述を先ほど大臣が一言一句読んでいただきましたけれども、その「もんじゅ」の記述の前の同じ「核燃料サイクル政策の推進」の部分に、米国や仏国、フランス等と国際協力を進めつつ高速炉等の研究開発に取り組む、そして改行して、「もんじゅ」については廃棄物の減容、有害度の低減や核不拡散云々等という形の国際的な研究拠点と位置づけるという書きぶりをされております。

 今回、フランスに行かれて、いわゆるアストリッドの共同開発を進められるというふうに伺っておりますけれども、このあたりの「もんじゅ」の研究技術も御提供されるのかどうかも含めまして、核のごみ処理の技術開発の件につきまして、総理の御答弁をいただければと思います。

安倍内閣総理大臣 放射性廃棄物の処理処分の問題は、原子力を利用する各国との共通の課題でございます。放射性廃棄物の減容、有害度低減等の技術開発に向けて、米国やフランスなどとの国際協力を進めつつ、高速炉等の研究開発に取り組むとの方針であります。

 昨年六月にオランド大統領が訪日した際、高速炉開発における協力を深めていくことに合意をいたしました。アストリッド開発計画への参加の可能性について協議を進めてきたところであります。

 今般、この協議がまとまったことから、先日の訪仏の際に、研究の実施主体や協力機関、意思決定のメカニズムなど、協力の枠組みを決定したところでございます。詳細なスケジュールや具体的な内容については、「もんじゅ」の研究開発への活用の有無も含めまして、今後具体化されていくことになります。

丸山委員 「もんじゅ」の活用の有無も含めて、まだ具体的ではなく、今後決めていくということでございます。

 少し通告とは順番が飛んでしまって、最終処分場の話につながっていくんですが、先ほど今井委員からもありまして、私も聞いていて、もう少し伺いたいと思うところがあるので重ねて伺いたいんですが、核のごみが一万七千トンあるのを、大臣も、そして総理も、次世代には先送りできないと強いお言葉をいただいております。

 まず、この次世代という言い方が私は気になるんですけれども、例えば、私は今この場にいる中で一番若い人間の一人だと思います。ちょうど三十歳になったあたりでございます。私の世代は次世代に入るのかどうか、そのあたり、先ほどの答弁につきましてお答えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 世代の定義、ジェネレーションですから、一般的には三十年ということになると思います。

 欧米諸国におきましては、この最終処分場の選定、三十年以上なかなか決まらない国が多い。日本においても十年ということでありますけれども、今後、このプロセスを我々として全面的に見直す中で、次世代に先送りしないということでありますから、期間としてはジェネレーションよりは短い期間になると考えております。

丸山委員 今、大臣より、三十年がジェネレーションの定義で、ジェネレーションより短い期間になると聞きましたけれども、総理もそれでよろしいんですね。

安倍内閣総理大臣 今、茂木大臣から御説明したとおりでございます。

 委員は三十歳でありますから、私は六十歳にまだなっていませんので、五十九歳でございますから、これは大体、私から丸山さんのジェネレーションということになるとも言えるかもしれません。

丸山委員 今、非常に大事なお話を伺いました。我々の世代が総理の世代になったときにはこの問題は解決しているんだという強いお言葉だと思いますので、しっかりやっていただきたいんですが、通告でお願いした中でお話を聞きたかったのは、これは、やろうやろうという決意は大事なんですけれども、やはり具体的にどういうふうにやっていくかというのが一番肝の部分だと思います。

 経産大臣のお答えで、国から候補地を出していかれるという具体的な方法論は述べられました。非常に大事な部分だと思っておりまして、国民に御理解いただいて一歩一歩という御表現だと少しぼやけていたものが、国から候補地を出されるということでございますので、この候補地、もし三十年後に出しても遅い話でございますし、かといって、きょう、あす出せるものではないと思うんですが、このあたりのスケジュール感、どのあたりで候補地を出していただけるということでしょうか。

茂木国務大臣 これは、科学的に検証を行った上で候補地を出す。政策というよりも、科学的に、地層としての安定性であったりとか、そういったものの調査を行って候補地をお示しするということでありまして、それほど長い期間をかけて選定プロセスをするということよりも、客観的に、また独立したプロセスを経て、候補地をできるだけ早くお示ししたいと思っております。

 ただ、候補地といいますのは、例えば全国一カ所、二カ所というよりも、地層として、地域としてどうだ、こういう概念としてお示しすることになるのではないかなと思っております。

丸山委員 今のお話だと、そう遠くないところで、できる限り早いところで、地域として指定されるということなんですけれども、それはさらに漠然とされているんですが、例えば地域といいましても、関西だと、関西というのか、それとも大阪というのか、それとももっと基礎自治体レベルになるのかで全然違うと思うんです。これはもちろん今後の科学的な部分も含めまして検討される部分だと思うんですが、このあたり、もう少し大臣の今のイメージを。

 なぜこういうお話をするかといいますと、我々の認識としては、最後にこれを政治家として、国家として決めたのであれば説得していくのは大事な部分で、一方で、日本全国あまねく選挙区に全政治家がおるところでございますから、この説得は最後は地元の方にも必要でしょうし、何より全政治家が必要なんだと私は思うんです。このあたり、非常に大事な認識のところだと思うので、もう少し踏み込んで御答弁いただければと思います。

茂木国務大臣 地層の安定性等で考えますと、言ってみると、一つの県がそのまま単位になる、こういうふうには考えておりません。

 ただ一方で、市町村におきましても、かなり大きなといいますか、面積的に広いところもあるわけでありまして、ある意味、そこの色塗りをするような形になってくるのではないかなと思っておりまして、一概に、県単位です、市町村単位ですというよりも、地層の安定した地域といいますか、地区という形でお示しをすることになるのではないかなと思います。

丸山委員 非常に踏み込んで御発言いただきまして、ありがとうございます。

 しっかりとこの問題を本当に、次世代にとっても大事な問題ですので、きょう強く御決意いただいたように、三十年でやっていただけるということでございますので、よろしくお願い申し上げます。

 続きまして、最終処分場の関連で、少し通告からずれてしまうんですけれども、原発のお話に続けていきたいんですが、まず、原発の依存度の関係でお伺いしていきたいんです。

 私も、自身の政治信条として、いきなり原発をゼロにするというのはないと考えておりますし、もちろん、原発をできる限り減らしていきたいというのが維新の会としての党の政策なんですが、これも別に五年というわけではなくて、もうちょっと長期のスパンでうちとしても考えているところでございます。また、エネルギー基本計画でも、政府の方でも、できる限り依存度は低減していくというのはお書きになっているところだと思うんです。

 このあたりのベストミックス、先ほどうちの今井委員よりお話がありましたけれども、総理として、原発は三・一一のあの事故以上になるとお考えなのか、それとも減るとお考えなのか、減る場合にはどれほどだとお考えなのか。そのあたり、詳しくお伺いできますでしょうか。

安倍内閣総理大臣 エネルギー政策につきましては、国民生活や経済活動に支障がないように、責任あるエネルギー政策を構築することが何よりも重要であります。

 原発については、安全性の確保を大前提に、徹底した省エネルギー社会の実現と再生可能エネルギーの最大限の導入を進め、原発依存度は可能な限り低減していくというのが基本的な方針であります。

 何よりも、我々は、三年前、あの福島第一原発の過酷な事故を経験しているわけであります。この経験を前提に我々はエネルギー政策を考えていかなければならないわけでありますが、同時に、安定的な、そして低廉なエネルギーをしっかりと確保していく、提供していくということも国の責任でもあるわけでございまして、今申し上げましたように、再生可能エネルギー等の最大限の導入を進めていくという中において、可能な限り低減していくということであります。

 原発依存度を含む日本の将来のエネルギーミックスに関しましては、新たなエネルギー基本計画も踏まえまして、再生可能エネルギーの導入状況、そして原発の再稼働の状況などを見きわめまして、できるだけ早くエネルギーのベストミックスの目標を設定していきたいと思います。

丸山委員 現段階で御答弁できないのは重々承知しておりますがお聞きしたいということで、特に茂木経産大臣にお伺いしたいんです。問いの三で通告させていただいておりますが、エネルギー基本計画でも、ベストミックスをできるだけ早期にと。先ほど、大臣の御答弁でも、そう遠くない、つまり、そんな二年も三年もかけることはないという御答弁だったと思うんです。

 私も、できる限り我が党としても需給の関係がどうあるべきかというのを検討させていただいている中で一番驚いたのは、エネルギー需要の方の将来予測が政府としてもいまだないというところでございます。やはり、需要のものがなければどれぐらい供給していいかというのができないのが需給の関係だと思いますので、そうした中で、政府として将来予測がないのは非常に問題だと感じているんです。

 それは、一律に全てをこれにあるというのは言えないと思うんですが、例えば人口動向でも政府で幾つかお分けになってやられたり、民間でもやられていたりすると思うんですけれども、こういったエネルギー需要についても今後審議会等で検討されて、数値としてお示しになるということでよろしいんでしょうか。

茂木国務大臣 電力システム改革を進めるに当たりましては、需要サイド面でも思い切った対策をとっていきたい、こんなふうに考えておりまして、私は、先週、ローマで開かれましたG7のエネルギー大臣会合に出席しまして、日本の電力システム改革の説明をする中で、需要面もコントロールする、こういう話をしっかりさせていただきました。

 その上で、パリのOECDの閣僚理事会に行ったわけでありますけれども、順路からするとジュリアス・シーザーとは逆でありますが、ルビコンは間違いなく渡った、こういう思いで、電力システム改革を進めたいと思っております。

 これまでの電力の需給のあり方は、需要は所与のものだ、こういう前提で、供給を積み上げるという発想でありましたけれども、今後はやはり、ピークコントロールを中心にしながら、ディマンドそのものもスマートにコントロールするようなことをやっていきたい。

 省エネにつきましては、エネルギー基本計画でも、それぞれの供給対策の前の章、この部分で取り上げているところでありまして、ベストミックスと同時に、どれくらいの省エネを行っていくか、これにつきましてもしっかりお示しをしたいと思っております。

丸山委員 ありがとうございます。

 ルビコンは渡ったということでございますけれども、やはり、今回の電力システム改革、我が党としても規制緩和の関係はすばらしいと考えておりまして、できる限りしっかりとやらなければいけません。細かい部分も詰めるのがやはり大事なんですけれども、一方で、大胆に三段階に分けてやられているということに、茂木大臣のリーダーシップ、そして総理のリーダーシップも含めまして敬意を表するところでございます。

 一つ、委員会審議で大臣にはお伺いしたので、できれば総理にお答えいただきたいんです。

 ずっと出てきてまだ見えないところがございまして、それは附則の部分でございます。独立性と専門性を有する規制組織という形で、附則には、前回の第一回目の改正で書かれております。

 具体的に述べさせていただきますと、「政府は、電気事業の監督の機能を一層強化するとともに、電気の安定供給の確保に万全を期するため、電気事業の規制に関する事務をつかさどる行政組織について、その在り方を見直し、平成二十七年を目途に、独立性及び高度の専門性を有する新たな行政組織に移行させるものとする。」という形で、附帯決議ではございません、附則でついてございます。

 これは、大臣にもお伺いしましたし、事務方の方にも委員会では何度もお伺いしたんですが、この独立性が非常に私は我が党としても重要だと考えておりまして、新しい組織をつくっても、具体的に申しますと、資源エネルギー庁の下にあるだとか、結局、役所と変わらない、ほかのものと違ういわゆる三条委員会のようなものではなくて、独立性がないということもあり得ると思うんです。

 この独立性の定義が一番大事で、どういったものになっていくかというのに影響を与えていくと思うんですけれども、この独立性の解釈と、どのような機関を想定されているか、総理の御見解をいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回の一連の電力システム改革を進める中で、政府が全面自由化された電力市場の監督を適切に行うためには、電力事業の規制に関する事務をつかさどる行政組織のあり方を見直すことにより、その機能を一層高めることが必要であります。

 この新たな規制組織は、例えば改革の第二段階以降の全面自由化された市場における電力取引の適切な監視や、第三段階における送配電部門の中立性確保のための厳格な行為規制などを実施するための機関であり、特定の利害関係者などからの影響を受けることなく、高度な専門性に基づいた中立的かつ客観的な判断を行う組織とする必要があります。

 こうした目的を達成するために最もふさわしい組織形態というものを今後検討していきたいと考えております。

丸山委員 最後に、特定の利害関係者というお答えがありましたけれども、これは経産大臣の御答弁だと経産省も含むというお話だったと思いますが、それでよろしいんでしょうか。

茂木国務大臣 基本的には、市場の監視であったり行為規制を行うわけでありますから、そういった関係者に対して客観的、独立的な立場から監視ができる組織にしていかなければならない。

 ただ、今は資源エネルギー庁でそれにかわるような仕事をしているわけでありますから、現状の資源エネルギー庁の中の組織として、同じような形で残るということはないと考えております。

丸山委員 ありがとうございました。以上で質問を終わります。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 本日、総理をお招きしての委員会の質疑、十四分という限られた時間ですので、早速質問に入らせていただきます。

 きのうのきょうということもあります。集団的自衛権についての取り組みを初めとしまして、日本を成熟した国家にするべく本当に難しい問題に正面から取り組まれていること、この点については本当に敬意を表したい、このように考えております。

 ただ、そういった難しい議論を進めていくという上では、やはりもちろん高い支持率、国民からの期待というものは欠かせない。そして、その高い支持率、期待というものはどこから来るのか。さまざまな要因はあるだろうというふうに考えておりますけれども、今の日本の好況、経済が上向いているということとはやはり切っても切り離せないだろう、このように考えているわけでございます。

 アベノミクス、三本の矢というふうに言われておりますが、一本目の矢、二本目の矢ということで、それが非常に功を奏してきたことは事実であろうというふうに思っておりますが、果たしてこの三本目の矢というものをどのような形で、どのような強さで放てるのかということが、まさにこれからの日本の経済というものを大きく左右する、そして、当然のことながら、今首相が取り組まれている難しい、本当に国益にとって重要なテーマというものの帰趨をも左右しかねないのではないか、このように考えているわけでございます。その意味で、今海外の機関投資家からも、本当に日本が改革を進めていくのかということで、半分期待、半分疑心ということで、半分疑われているような状況ではないかと思います。

 年初に行われましたダボス会議のスピーチにて、二〇二〇年の姿として最初に出てきたのが、電力の自由化された社会です。そういった難しい問題の議論を進める上でも、本当の意味で日本経済を強めていくというような観点での決意というのを改めて伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 我が国の電力市場では、経済社会情勢が大きく変化する中にあって、六十年以上にわたって、国の規制のもとで、地域ごとの独占を基本とする供給体制や、コスト削減が働きにくい仕組みが続いてきたのは事実でございまして、ダボス会議でも申し上げたとおり、私は、久しく不可能だと言われてきたことを実現に移す大胆な改革に取り組んでおりまして、電力自由化はその最初の動きの一つと言っていいと思います。

 二〇二〇年を目途に電力市場を完全に競争的な市場へと改革することで、これまで国内に閉じた成熟産業だと考えられることの多かったエネルギー分野においてダイナミックなイノベーションを起こし、新たな成長の機会を生み出していく決意でございます。

三谷委員 その意味で、しっかりと電力の自由化というものは進めていかなければならないということですが、当然のことながら、電力の自由化を進めていきましたということで、法案を通したらそれでおしまいということではないはずでございます。

 しっかりと電力の自由化を進めていったその暁には、市場経済のもと、さまざまな競争がなされていく、こういったことまで導いていかなければならないというふうに当然ながら考えていらっしゃると思いますが、その中で、もう既に小売が自由化されていた大口市場に関しては、もう御存じかと思いますけれども、新規参入者のシェアはわずか三%しかなかったというような状況があるわけでございます。今までの自由化されていた大口の小売市場、この中で十分な競争が行われていたというふうに評価されているか、総理の見解を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 事実関係でありますから、まず私の方から答弁をさせていただきます。

 これまで自由化された約六割の市場につきまして三・五%の参入ということでありまして、この数字から見ても、活発な競争が行われているとは言いがたい側面が強いのではないかなと考えております。

 進んでいない要因でありますが、一つには、電源の大半を保有する一般電気事業者によります、区域を越えた競争であったりとか卸電力市場の活用への取り組みが不十分であったこと。それから、発電分野にも参入規制や料金規制があること。そして、送配電網へのアクセスの中立性確保に課題があること。そして、家庭等の小口部門は小売が自由化されていないということで、一般電気事業者にとっては自由化部門で積極的な競争を行うというインセンティブが働かない。こういった要因があるのではないかなと考えております。

 これらの課題に対応して、電力市場における本格的、実質的な競争を促すために、今回の電力システム改革を進めさせていただいております。

三谷委員 今の茂木大臣の答弁を聞いていただきまして、安倍総理として、今までの大口の小売市場というものは競争が十分でなかったというふうな見解をお持ちかどうか、その点についてお答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 我が国では、二〇〇〇年以降、電気の小売事業への参入を段階的に自由化してきたわけでありますが、先ほど大臣から答弁させていただきましたように、全需要の六割まで自由化範囲を拡大してきたところであります。

 しかしながら、現状では、小売市場における新規参入のシェアは自由化された需要の三・五%にとどまっているというのは事実でございます。また、一般電気事業者による地域を越えた直接的な競争もほとんど生じていないというのが現実でございまして、活発な競争が行われているとは言いがたい面もある、このように認識をしております。

三谷委員 そのような答弁をいただけて本当にほっとしております。

 といいますのも、参考人としてお越しいただきました電事連の会長のお言葉によれば、三・五%だけでも今まで十分に競争は生じてきたんだということを正面からお答えいただいたというようなことがございましたので、総理はその見解とは違うということが確認できただけでも、私、この国にとって、電力の自由化にとってよかったのではないかと考えております。

 では、そのお答えをいただいた上で、これから小売の全面自由化を進めていかれるというわけですが、その先に、どのような状況が整えば、全面自由化された小売市場というものの中で十分な競争が行われたというふうに評価されるのかということについて、お答えいただきたいと思います。

安倍内閣総理大臣 十分な競争が行われているか否かを評価するに当たっては、さまざまな要素を勘案して、総合的に判断することが必要だと思います。

 具体的な要素としては、例えば、新規参入の状況、既存事業者間の競争の状況、さらには需要家の選択の状況、すなわち競争により需要家の選択肢が生まれ、供給者を切りかえている状況や、料金メニューを切りかえている状況といったものが考えられるわけでありまして、こうしたさまざまな要素を勘案して、総合的に判断する必要があると思います。

三谷委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、その点から今後もしっかりと見ていただければというふうに考えております。

 続いての質問に移らせていただきます。

 三つ目の問題として、原発の再稼働というものがあろうかというふうに思っております。

 今回のエネルギー基本計画の中でも、原発というものは運転コストが低廉であるという旨の表現があります。しかしながら、原発が安いというふうに言われておりますけれども、この委員会の中でも何度も確認をさせていただきましたけれども、一つ一つの費用を積み上げていけば、必ずしも原発のコストは安くないのではないかというような考えを私は持っているわけでございます。

 もちろん、アベノミクスの本質というものはどこにあるかということで、これが円安誘導策であるというような評価も私は耳にしたことがございます。その観点からいえば、もちろん、円安に振れていくということですから、いつまでも化石燃料の輸入ということで、輸入の費用にどんどん日本の財産というものを外国に出すわけにはいかないということから原発の再稼働を急ぐというのも経済的にはわかるところではございますが、エネルギーの輸入費用を下げるという要請についてどのように応えていくか、これはさまざまなやり方があろうかと思います。

 私は、この点について、少なくとも、その問題は別にして、消費者の観点、そして電力の自由化を進めていくという観点、消費者はどうしても価格に左右されて契約先を選んでいくという観点からいくと、いつまでも原発が安いということにとらわれ過ぎていては、今総理がおっしゃっているような電力の自由化、健全な競争というものがなかなか進んでいかないのではないか、このような危惧を持っているわけでございます。

 この点について、総理のお考えをお答えいただきたいと思います。

茂木国務大臣 原発は重要なベースロード電源ということでありまして、これはコストが安いという側面もありますが、継続的、安定的に供給できる、こういう側面も持っているということであります。

 委員には、午前中、具体的な資料もお示しをいただきましたが、恐らく政府が二〇一一年に行いました試算との大きな違いということでいいますと、何点かありまして、一つがいわゆる事故対応費用についてでありますけれども、二十兆円という数字であったと思います。二〇一一年段階が六・八兆円ですから、三倍近くになっているということであります。

 ただ、事故の発生確率でいいますと、二〇一一年の試算の段階は、五十基に対して四十年で一遍ということですから、二千炉年で一回の事故。これに対しまして、今回の新しい規制基準では百万炉年に一遍ということでありますから、その意味での事故対応費用、さらには万が一事故が起こったときに被害を最小限にする対策もとっておりますので、この部分というのは若干数字についてギャップがあるかなと思っております。

 同時に、建設費につきましても、フィンランドのオルキルオト発電所など近年建設されている海外のプラントを参照しておりますけれども、御案内のとおり、この発電所等々はプラントのふぐあい、溶接の不備等によりまして建設期間が長引いてしまった、こういう要因もあるわけでありまして、その分、若干高目に数字が出ているのではないかな、このように思っております。

 八・九円以上、こういう試算でありますが、事故対応費用が倍になったにしましても九・四円ということですから、石炭火力の九・五円よりも安いといいますか、全体的には低廉な電源と位置づけられる、このように考えております。

三谷委員 その点については、比較的低廉なぐらいな表現に抑えておいた方がいいんじゃないか、それは率直な考えです。

 時間も限られておりますので、次に移らせていただきます。発送電分離の最終形態について、最後に伺いたいと思っております。

 再生可能エネルギーの普及というものを促進させていくためには、新規参入業者が再生可能エネルギーにどんどんビジネスチャンスを見出していかなければならないというような状況はあろうかと思いますが、系統接続ということが障害となってビジネスを諦めてしまうというような方々も少なからずいるということは、この委員会でも以前取り上げさせていただきました。

 その中で、やはり所有権の分離というところにまでこの発送電分離を進めていくということが必要ではないか。もちろん、憲法上の制約というのは理解をしております。ただ、電力の自由化というものを絶対に成功させていかなければならないんだというような観点から、そこまで政策論としてしっかりと見据えていくということが必要ではないかと考えておりますけれども、総理の御見解を伺いたいと思います。

安倍内閣総理大臣 今回の電力改革を何としても成功させたいという意味においては、委員と同じ気持ちでございます。

 法的分離の方式は、所有権分離の方式と比較した場合、グループ一体としての資金調達を行うことができる点などがメリットと考えております。

 委員御指摘のとおり、再生可能エネルギーの導入を促進するためにも、系統接続の公平性を確保することが必要であります。このため、中立性を確保するための人事、予算等についての規制を行いつつ、法的分離を実施する前提で改革を進める予定でございます。

三谷委員 ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就でございます。きょうはどうもお疲れさまでございます。

 先ほどと違って大分緊迫したムードになってまいりましたが、茂木大臣からは、悲観はムード、楽観は意思という言葉をいただきましたので、意思を持ってやらせていただきたいと思います。

 まず、今回の電力システム改革について、総理にお伺いをさせていただきたいと思います。

 その目的については私たちも本当に共感するところでありまして、何とか達成をしていきたいと思っているところでございます。ただ、この改革にはリスクが伴っているところでございます。特に、中途半端な改革というものはかえって国民生活に大きな影響を与えるということでもありまして、その点について、この委員会を通してこれまで議論を重ねてきたところでございます。

 その中で、一つ、今回の懸念といたしましては、システム改革の第二段階、今回議論されているのは全面自由化でございますけれども、これは、第三段階の発送電分離、完全に送配電網を中立化するということでございますけれども、それより前倒しになっているというところに懸念がありまして、また、参考人からも幾つか指摘をされているところでございます。

 この点について、総理がリスクとして考えられている点、またそれをどう乗り越えられるかということについて、お伺いさせていただけますか。

安倍内閣総理大臣 小売の全面自由化により、発電分野、小売分野のそれぞれにおいて活発な競争が行われるためには、送配電網の利用が公平そしてかつ中立に行われることが極めて重要である、こう考えています。競争が不十分な状況において料金を完全に自由化してしまった場合には、これまでの地域独占のもとで供給を行ってきた既存の事業者が結果として価格決定権を握ってしまうということになるおそれもあるわけであります。

 こうしたリスクも勘案いたしまして、今回の法案では、送配電部門の差別的取り扱いの禁止等を規定するとともに、既存の事業者には競争が働くまでの間は規制料金を残すことといたしまして、需要家保護に万全を期することにしております。

小池(政)委員 今回私たちが指摘させていただいているのは、入り口の段階で新規の参入者にとっては大変まだ厳しい状況にありまして、むしろ既存の電力会社に対する一般担保等の優遇があるという中で、やはり競争政策をもう少し考えていかなければならないということを訴えさせていただいているところでございます。その点、しっかり考えていただきたいと思います。

 また、電力システム改革の中で少し抜けている観点といたしまして、先ほども少し指摘があったところでございますが、東電がこれからのシステム改革の中でどう位置づけられるかというところでございます。このまま維持されるのか、むしろ大きくなるのか、小さくなるのか。また、これからの東電の企業価値がどうなっていくのか。その点についてお伺いさせていただけますか。

茂木国務大臣 小売の全面自由化が進む中で、東電を含めまして各電力会社は競争環境に置かれることになりまして、その中で一層の経営効率化が求められることに加え、需要家のニーズに対応した新たなサービスの提供を行うことや、業種の垣根を越えたビジネス展開などが求められることになってきていると思っております。

 東電においては、ことしの一月に認定いたしました新・総合特別事業計画において、この改正法案の施行を前提として、二年後の二〇一六年の四月をめどに、自主的に分社化を行いまして、持ち株会社のもとに、燃料・火力、送配電、小売の各事業会社を設置することとしておりまして、その上で、持ち株会社が、グループ全体のリソースを活用して、賠償、廃炉・汚染水対策に責任を持って取り組むことにしているわけであります。

 東電には、電力システム改革を先取りして、分社化などこれまでにない改革や経営努力を行い、電力の安定供給そして新たなサービスの提供を行いまして需要家のニーズに応え、持続的に企業価値を向上させることを求めていきたいと考えております。その結果として、国民負担の抑制につながり、また廃炉や賠償の円滑な実施、そして福島再生の加速化につなげていきたいと考えております。

小池(政)委員 私も新総特を読んでおりますので、東電のこれからの取り組み等は理解しているところでございますが、果たして、政府が東電のこれからの企業価値をどうやって捉えているか、もう少し確認させていただきたかったところでございます。

 総理に、ちょっと別の角度からお伺いさせていただきます。

 当然、株価等のお話はできないところではあるかと思いますが、東電に関しましては、除染におきまして、国は、持っている株の売却益というものを二兆円ほど東電から回収するということを既に決めているわけでもございます。また、賠償におきましても、特別負担金という形で現在においても五兆円もの大きな金額というものを東電から回収するということを既に決めている中で、果たして、これから十年間、また五十年間、もしかしたらもっと長い期間において東電がこのまましっかりと自分たちの責務を果たして、また、国が除染、賠償において国民負担というものをふやすことのないような、しっかりとしたことを言える体制になっているのかどうか。

 その点についてお伺いさせていただけますか。総理からお願いします。

安倍内閣総理大臣 先ほど、どのような努力を求めていくかということについては大臣から答弁をさせていただきました。

 このような努力を求めていくということと同時に、我々も求めていくわけでありますが、東電自体が意欲を持ってみずからの企業価値を高めていくことが東電で働く人々の誇りにつながっていく、そういう意識を持って頑張っていただきたい、こう思うわけでありますが、それは結果として、今委員が御指摘になったように国民負担の抑制にもつながり、また廃炉や賠償の円滑化、さらには福島の復興の加速化にもつながっていく、このように考えております。

小池(政)委員 既に、今申し上げましたようにかなり大きな金額というものを課しているわけでございますから、しっかりとした見通しというものを持っていただきたいと思います。

 また、東電に限らず、原発事業者に関してでございますが、これもこれまで指摘がありましたように、これからの国と事業者の役割分担ということにつきましては、当然、リスクを明確化しないと、恐らくこれからの事業者というものは維持も新設等も難しいという観点もあるかとは思います。また一方で、それが明確化されていない中で、国からはさらに優遇策というものも与えて、むしろ市場に彼らを引き寄せてしまう、そういうことも考えられるんじゃないかという不安があることから、原発の賠償機構法の審議が今回ここで行われましたが、もっと抜本的な改革というものをぜひこれから検討していただきたいと思います。

 最後に、この電力システム改革の中で少し抜けている点といたしまして、また事業者の参考人の方からも指摘があった件といたしまして、原発のバックエンドをどうするかというところでございます。

 その中で大変重要な事柄の一つといたしまして、日本が保有しているプルトニウムを今後どうしていくのかということが問われるわけでございます。安倍総理からは利用目的のないプルトニウムは持たないということは本会議でも答弁をいただいておりますが、具体的にこれからどうしていくんでしょうか。教えていただけますか。

安倍内閣総理大臣 核不拡散に貢献し、そして国際的な理解を得るためにも、今委員が述べられたように、利用目的のないプルトニウムを持たないとの原則を堅持いたします。

 今後とも、我が国は、核兵器非保有国でありながら原子力の平和利用を進める模範国として、プルトニウム利用の透明性向上を図り、核不拡散等に貢献してまいりたい、このように思っております。

 このため、原子力委員会において、プルトニウムの適切な利用についてしっかりと確認を行っていく考えでございます。

小池(政)委員 同じような答弁は、三月に行われました核サミットの際に、総理が記者会見で問われたことに対しての答弁もそのようなことでございました。ただ、そこには、これからどうしていくんだということが抜けているわけでもございますし、利用目的のないプルトニウムは持たないということでございましたら、今少なくとも国内で保有している十トン近いプルトニウム、これは利用目的があるんでしょうか。総理にお伺いさせていただきます。

茂木国務大臣 プルトニウムにつきましては、当面、軽水炉で利用する、つまりプルサーマル計画を進めるということであります。

 平成二十二年の九月に電気事業者が示したプルトニウム利用計画では、十六基から十八基の軽水炉で、MOX燃料として大体年間五・五トンから六・五トンのプルトニウムを利用することとされていると承知をいたしております。

小池(政)委員 今、大臣から、プルサーマルを進めていくということのお話がありました。基本計画におきましても、使用済み燃料の再処理の推進ということがあるわけでございますが、再処理はプルトニウムをむしろふやす方向に行くわけでございまして、プルサーマルといっても再稼働の見通しが全く立っていないわけでございます。

 また、経済性、資源性、安全性等を鑑みても、これまで、例えば原子力委員会からも、やはり再処理よりも地層処分が適正なんじゃないかと。それから、経産省の原子力小委員会でもそのような方針を示しているところでございます。また、基本計画の中には、「プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮しつつ、」という事柄が明記されているところであります。

 ここで総理にお伺いさせていただきたいんですが、原発の再稼働が見通せないうちは当然であるかとは思いますし、現在、国内で十トン近く、海外も含めて四十四トン、大きな余剰があるということを踏まえて、再処理というものは見直すべきではないでしょうか。この点についてお伺いさせていただきます。

安倍内閣総理大臣 今後、電気事業者は、原発の再稼働時期や六ケ所再処理工場の操業開始時期の見通し等を踏まえまして、六ケ所再処理工場が実際に竣工し、この工場でプルトニウムの回収が開始されるまでに新たなプルトニウム利用計画を策定、公表することとしております。かつ、その内容や妥当性について原子力委員会が確認することとなっております。こうした仕組みのもと、プルトニウムの適切な管理と利用を図っていく考えでございます。

小池(政)委員 時間がなくなりましたので、これで終わりにさせていただきます。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 今回の電力システム改革そして電気事業法改正案は、東日本大震災と東電福島第一原発事故、これを契機として行われるものであります。ですから、原発問題と不可分ということで、この立場でお尋ねいたします。

 総理は、今月の初め、五月一日に、シティーにおけるスピーチをされました。その中では、「世界のどこにも劣らないレベルの厳しい安全基準を満たしたところから、目下ひとつとして動いていない原子力発電所を、ひとつ、ひとつ、慎重な手順を踏んで稼働させていくことにしました。」と発言しておられます。

 この点ですが、本法案の参考人質疑におきまして、植田和弘参考人は、規制基準にかかわって、安全性とは何かというときに、原子力規制委員会の安全審査をパスするという安全性とともに、住民が安全かどうかという問題がある、事故が起こった場合に避難が具体的にできることが確保されることは前提条件だ、大事な点は、避難計画というのは実は避難を受け入れるところがないと避難できない、避難受け入れ計画もはっきりしていないといけない、このように述べております。

 総理にお尋ねします。

 総理は安全基準について触れたわけですけれども、総理のおっしゃる安全基準の中には、原子力施設の安全基準の話だけではなくて、このような避難計画を含めた住民の安全確保のための安全基準というのは含まれているんでしょうか。

安倍内閣総理大臣 原発については、福島の事故の教訓を踏まえて、安全を確保することが大前提であります。その前提のもと、独立した原子力規制委員会が世界で最も厳しいレベルの規制基準に基づいて徹底的な検査を行い、これに適合すると認められた原発について再稼働を進めていく方針であります。

 そして、再稼働を進めていくに当たって、地元の理解を得ることが重要でございまして、このため、各自治体が作成する地域防災計画、避難計画については、住民の安全、安心を高めるため、政府としてもしっかり支援し、継続的に改善充実を図っていきます。

 これまでに、昨年九月に決定した原子力防災会議の方針に基づきまして、関係自治体における計画の充実化を支援するためのワーキングチームを地域ごとに設置し、関係省庁を挙げて取り組んでいるところであります。

 この結果、泊、伊方、福井、島根、玄海、川内の六地域において、関係市町村全ての避難計画が策定されました。これらの地域についても引き続き要援護者対策や移動手段確保など計画の具体化のための支援を行っているところでございまして、さらに各ワーキングチームにおいて個別地域の防災体制について確認していく方針でございます。

 引き続き、政府を挙げて自治体を力強く支え、地域の防災避難計画の充実に向けてしっかりと取り組んでいく考えでございます。

塩川委員 避難計画、国は支援はするけれども、それをつくるのは自治体だという点で、総理の安全基準の中に、住民の安全確保のための安全基準が含まれているというお話はございませんでした。

 現状として、UPZのエリアでの避難計画の策定数というのは、まだまだ策定されていないところが現に残されておりますし、全自治体が避難計画を策定したところもあるのも実際ですが、避難計画が一つも策定されていない地域というのも現に残されているわけであります。

 原子力防災会議では、地域防災計画の充実に向けて、避難計画や要援護者対策等の具体化を進めるに当たって、自治体のみでは解決が困難な対策については、国が具体化、充実化を支援するとしています。

 そこで、内閣府に確認でお尋ねします。

 避難計画を立てるのであれば、これは当然、避難元の計画だけではなく、避難先の計画が必要であります。こういった避難の受け入れ計画というのは、実際にどういうふうになっているんでしょうか。

黒木政府参考人 お答えします。

 平成二十六年の三月末時点で、七十一市町村につきまして避難計画が作成されているところでございますが、受け入れ側自治体及び施設が具体的にこの避難計画の中に記載されております。避難計画を踏まえた具体的な避難の受け入れに関する調整や準備につきましては、避難元自治体と避難先自治体で順次実施されるものでありまして、必ずしも受け入れ計画という形で作成されるものではないと認識しております。

 なお、現時点では、住民の全部または一部が他府県への避難を予定しておる自治体は二十四市町村ございまして、他府県への避難先となる自治体は約百四十市町村でございます。

 いずれにしましても、政府としては、関係自治体の地域防災計画、避難計画の策定や充実のため、各地域にワーキングチームを設置し支援を行っており、この取り組みの中で、避難の受け入れ準備の状況についても適宜把握してまいる所存でございます。

 なお、特に、先ほど申し上げました他府県への避難を予定している自治体に関しましては、その住民の皆様に対しましてはしっかりとした支援を行ってまいる所存でございます。

 以上であります。

塩川委員 しっかりと支援という話でありますけれども、現状では、具体的に避難受け入れ計画があるわけではありません。協議を始めるという段階にとどまっているわけであります。福島第一原発事故は、自力での避難が困難な方々に避難を強いたことで多くの悲劇も生んだわけであります。この点での要援護者対策も具体化が十分されていないという現状もあるわけです。

 福島県では、十四万人の方々が避難生活を強いられたまま三年が過ぎました。東京二十三区の二倍の広さの地域が無人の地となって、三年がたっているのが今回の事故であります。

 私は、先月、いわき市内の、楢葉町からの避難者の方がいらっしゃる仮設住宅に行って、お話を伺いました。

 その方のお話の中では、今までは田んぼをつくったり、畑をつくったり、山からタラの芽やワラビ、フキをとってきたりして、自給自足の暮らしをしてきた。それが原発事故で追い出されて、中には十二回も避難場所を変えてここにたどり着いた人もいる。壁一枚で隣の音も聞こえてくる仮設住宅暮らしは、みんなストレスがたまり、トラブルも多い。放射線量が高いところに帰れなんてとんでもない。調査はセシウムだけで、その他の放射性物質は測定していない。山の放射線量が高い。水のことが心配だ。楢葉町に流れる水源となっている木戸川のダムの水がどうなっているのか。一つ一つ不安が解消されていかないと戻るに戻れない。これが原発事故被害者、避難者の方の声であります。

 総理にお尋ねしますが、このように、現状の原発事故においては避難が長期化しております。その避難者の生活を支え続けるような避難計画というのが本当につくれるんでしょうか。

茂木国務大臣 福島県の、いまだ十四万の皆さんが大変厳しい避難生活を続けていらっしゃる。一日も早くふるさとに戻れるように、また希望される皆さんが新しい生活を始められるように、政府としてもさまざまな対策に万全を期していきたい、そのように考えております。

 その上で、地域の防災計画、避難計画についてでありますけれども、これは委員も御案内のとおり、どの地区単位で避難を行うか、また、どこに学校や高台があるか、そして避難経路をどうやって確保していくか、さらには、その町内にひとり暮らしの、独居老人の方がどう住んでいらっしゃるか、そういう住民の生活実態なども踏まえながらつくっていかなきゃならないということを考えますと、やはり、その地域の状況に精通した各自治体が、住民の避難先となる自治体との調整も含めて、実効性のある計画を策定することが極めて適切である、そのように考えております。

塩川委員 原発の事故に基づいて避難計画を立てようにも、実際にどこに避難すればいいのか、どのぐらいの時間がかかるのか、あるいは避難が困難なような人たちをどうするのか、一つ一つについて当然のことながら難問になっている。さらに言えば、今回のような、三年に及ぶような長期の避難計画というのはそもそも立てられるのか。これが多くの自治体、そして住民の皆さんの声じゃないでしょうか。

 総理にお尋ねしますけれども、今回のような重大事故によって長期の避難が強いられる、こういう長期に及ぶような避難計画というのを本当に立てることができると思いますか。

安倍内閣総理大臣 政府としては、先般の事故によっていまだに十四万人の方々が避難生活を余儀なくされている、こうした点も十分に反省し、そして踏まえながら、今後、避難計画について通常は受け入れ側の自治体とも調整した上で作成されていくわけでありますが、我々はまさに、状況を把握し、関係自治体を力強く支え、地域の防災・避難計画の充実に向けて今後ともしっかりと取り組んでいきたいと思います。

塩川委員 自治体や住民の皆さんの立場から、この避難計画を立てる際のさまざまな問題が出ているにもかかわらず、御支援する、頑張ると言うだけで、これで本当に答えとなるのか、このことがまさに問われているんじゃないでしょうか。避難計画を規制基準に含めていない、こういうあり方そのものが問われているところであります。

 大臣に重ねて楢葉町の避難者の要望をお伝えしたい。帰るか帰らないか判断しろと言われても、事故収束の見通しが立っていない、放射性廃棄物と一緒に暮らすことになる、何より福島第二原発を廃炉にすると東電は言っていない、福島第二原発が存在する限り不安で戻れないという声なんですよ。福島第二の廃炉なくして復興はないというのが、被災地、この原発事故の被害者、避難者の声である。

 総理にお尋ねしますが、福島第二を廃炉にしないということが復興の妨げになっている、こういう認識はお持ちですか。

茂木国務大臣 政府としても、福島第一原発の廃炉・汚染水対策に全力で取り組まなければいけないと思っております。

 そういった観点から、福島第一の五号機、六号機につきまして、ここにおきまして、さまざまな機材を運び込む、さらにはその施設を使うことによりまして一号機から四号機の作業についてのさまざまな実験等を行う。こういう観点から、総理みずから東電に要請して、東電におきましても福島第一原発の五号機、六号機の廃炉を決めたところであります。

 福島第二原発につきまして、地元の皆さんからもさまざまな御意見をいただいているところであります。

 現状におきまして、福島第二原発につきまして、適合審査申請の行われております十原発十七基と同列に扱うことはできない、このように考えております。

塩川委員 廃炉という話を出しているわけではありません。

 福島第二の廃炉はオール福島の声であります。これにこそ耳を傾けるべきだ。多数の住民が居住して避難が困難なような地域にはそもそも原発を置くことができないんだ、これこそ問われているということを強く申し上げて、質問を終わります。

富田委員長 これにて内閣総理大臣出席のもとの質疑は終了いたしました。

 内閣総理大臣は御退席いただいて結構でございます。

 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 この際、本案に対し、今井雅人君外一名から、日本維新の会及び結いの党の二派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。小池政就君。

    ―――――――――――――

 電気事業法等の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

小池(政)委員 ただいま議題となりました電気事業法等の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、日本維新の会、結いの党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 本修正案は、電気事業分野における公正な競争環境の整備と新規参入の促進の観点から、検討事項について定める附則第四十一条に所要の修正を行おうとするものであり、その内容は次のとおりです。

 第一に、政府は、いわゆる一般担保の措置に関し、その廃止に向けて速やかに検討を加え、必要な措置を講ずるものとするとともに、その際の観点について、電気事業を営む者の間の実質的に対等な条件のもとでの競争関係の確保を追加することとしております。

 第二に、昨年の電気事業法改正法附則の改革プログラムで定められていた電気事業の規制に関する事務をつかさどる行政組織の新たな行政組織への移行に当たって、踏まえるべき事項を規定することとしております。

 その概要は、新たな行政組織は、独立性と高度の専門性を確保するため独立行政委員会とすること、所掌事務については、自由化される電気事業に係る市場の監視に関する事項を主たる事務とすること、その事務には、特定小売供給に係る料金の設定や発電量調整供給に係る制度の運用等についての検証及び改善に関する事務が含まれること等であります。

 以上であります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。今井雅人君。

今井委員 私は、ただいま議題となりました電気事業法等の一部を改正する法律案について、政府原案及び日本維新の会、結いの党共同提出の修正案ともに賛成するという立場で討論を行います。

 今回の法案が昨年成立した電力の自由化に関するプログラム法案の第二弾で、小売の自由化の実施に関する内容となっています。それ自体の趣旨には我が党は賛成です。しかし、今回の法案では、電力の自由化に当たって最も重要と考えられる課題への結論が先送りになっている点が懸念材料です。

 まず、昨年の電気事業法の一部を改正する法律案では、附則十一条に「電気事業の規制に関する事務をつかさどる行政組織について、その在り方を見直し、平成二十七年を目途に、独立性及び高度の専門性を有する新たな行政組織に移行させる」とありますが、現在もその組織について具体的な検討は進んでおりません。さらには、この行政組織には、電気の安定供給の確保だけではなく、競争環境が整っているかについてもチェックさせるべきと考えます。この点に対して、修正案では、独立性及び高度の専門性を有する点を担保するため三条委員会のような独立性の高い組織を早期につくることになっており、内容は妥当であると考えます。

 また、現在の一般電気事業者には、一般担保つき社債の発行が従来どおり認められます。競争環境にはない送配電会社はともかく、発電会社が一般担保つき社債を発行することは速やかに廃止されるべきであります。これに関しても修正案にて早期廃止の検討が提案されており、内容には賛同できます。

 さらに、今回の措置後も、現在の一般電気事業者には総括原価方式が残ります。電気料金の思いがけない高騰を防止するために、競争環境が整うまで一定の措置が必要であることは理解しますが、あくまでも過渡的な措置であり、環境が整えば早急に廃止していく必要があることは言うまでもありません。総括原価方式廃止へのスケジュールを今後具体的に明らかにしていく必要があると思います。

 以上のように、原案には何点かの懸念は残るものの、方向性自体は我々の考え方と同じものであるため、賛成するものであります。

 その上で、仮に修正案が否決されたとしても、これらの点については、来年提出されるであろう発送電分離を含む第三弾の法案時には一定の結論が出ていると期待をし、今後の委員会質疑の中で検討の進捗状況等を確認しながら、積み残された課題への対応を明らかにしていくことを申し上げて、私の政府原案、修正案への賛成討論といたします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘です。

 私は、ただいま議題となりました電気事業法改正案について、反対の立場から討論をいたします。

 平成二十四年の安倍政権の発足以来、アベノミクス三本の矢と称する経済対策が極めて有効に作用し、日本経済を立て直しへと導いた総理の手腕は率直に評価すべきです。また、旧来からの岩盤規制のもと、既得権益を享受している方々からの強い要望、要請に屈することなく、改革への道を歩まれている茂木大臣の熱意には敬意を表したいと思います。

 アベノミクス三本の矢の三本目の象徴が電力の自由化とも評すべきところ、電力の自由化はあくまでも手段であって、本当の目的は電力の自由化を通じた競争の促進、ひいては日本経済の活性化です。しかしながら、この電力の自由化が形ばかりに終わってしまうおそれは決して少なくありません。日本経済を本当の意味で復活させるためには、まさにそのような事態は避けなければなりません。

 これを前提に法案及び現状を見ると、まず、今までの小売市場の自由化ではほとんど競争が進んでこなかった、そういった問題点を受けてもなお、具体的に競争を活性化する方策の検討が不十分と言わざるを得ません。大口小売の競争がほとんど進んでいない状況下で、単に小口の小売市場まで全面自由化を進めてみても、競争が進まないことは必然と言わざるを得ません。それへの対策についても、卸電力市場の活性化に向けた意気込みを繰り返すのみで、具体的な方策がなかなか見えてきません。

 また、私は、競争原理の中での原発ゼロ及び再生可能エネルギーの普及を進めるべきだと考えておりますが、今の原発のコスト計算を維持するとともに、系統接続に公平性が必ずしも担保されていない状況下で幾ら小売市場の全面自由化を進めたとしても、再生可能エネルギーが比較的価格競争力のある形で豊富に市場に流れてくることは考えにくいと言わざるを得ません。茂木大臣も固定価格買い取り制度については比較的積極的に捉えていただいているようでございますが、今後の議論によっては全く安心できる状況ではありません。

 さらに、今回の改正案では、電気事業法三十七条に基づく一般担保権つき社債の発行が引き続き認められることになっています。新規市場育成のため、発電事業者の新規参入を促進させるべき時期に、その動きに全く逆行するような、既存の発電事業者のみを優遇する措置を継続させるべき理由はありません。このままでは形ばかりの競争促進と評価されても仕方ありません。

 今回の法案は電力の小売の全面自由化を進めるもので、その方向性には強く賛同するものの、以上申し上げた懸念を払拭することができず、結果として何ら競争市場を育成できず、電力システムが中座するおそれが強いものと言わざるを得ません。そして、この電力システム改革が当初の目的を達成できない場合の日本全体への悪影響を勘案するならば、やはり現在の法案のまま、懸念に目をつぶって賛成をすることはできかねます。

 また、日本維新の会及び結いの党共同提出の修正案につきましては、以上の討論の趣旨を踏まえ、相違がございますので、反対させていただきます。

 以上で討論を終わります。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 私は、日本共産党を代表して、電気事業法等の一部を改正する法律案について反対の討論を行います。

 本法案は、三年前の東日本大震災と福島第一原発事故の教訓を踏まえ、戦後の電力システム改革の第二段階のものとされていますが、以下、重大な問題点を持つものです。

 第一は、新たな一般担保条項の問題です。

 新エネルギー基本計画は、原発を重要なベースロード電源と位置づけました。東京電力の新・総合特別事業計画、新総特は、本年七月以降、柏崎刈羽原発を順次再稼働させるとともに、二〇一六年度に東電をホールディングカンパニー制に移行し、持ち株会社グループの分社子会社の成長計画を大前提としたものです。政府はこれを電力システム改革の先取りと位置づけています。

 しかし、実質債務超過の東電は、本来、破綻処理し、株主や貸し手の責任を問い、一時的に国有化するのが筋道です。ところが、法案は、メガバンクの身勝手な要求に応じて一般担保つき電力債の発行を新たに持ち株会社や子会社にも認めて、新総特の実行を後押しするもので、いわば東電条項ともいうべきものです。これは附則の見直し方向とも合致しません。

 参考人質疑でも明らかなように、原発など大規模集中電源の開発のため巨額の設備資金調達を保障する一般担保の公益特権はその役割を終え、今や足かせです。きっぱり廃止することこそ本則にすべきです。

 第二は、本法案の目玉である小売参入全面自由化とエネルギー産業の再編問題です。

 発送配電一貫体制の大手電力会社を三つの類型に分けることは当然です。しかし、原子力、火力など巨大な独占的発電事業者が届け出制にされることに伴い、原発付加金などの料金コストが一層見えなくなり、さらに公聴会の廃止により、消費者、国民にとって託送料金など原価情報のブラックボックス化が進むことは容認できません。

 本法案によって従来の電力独占のガリバー支配を打ち破れるのか、また、既存電力大手と新規参入の鉄鋼、ガス、石油、総合商社や外資企業などの巨大独占大企業間の再編が、中小企業、市民、地域経済と乖離して進み、単に利権の場がふえるだけならば、形を変えた電力市場の規制なき独占となりかねません。

 質疑で明らかになったように、再生可能エネルギーの爆発的普及の障害となっている原発優先給電の仕組みを変える方策も展望も見えません。

 需要家の選択肢の拡大と系統運用など情報の全面的開示を両立させる制度設計、国民に開かれた公正な市場と競争条件の整備、そして新しい独立した強力な民主的規制機関の創設による国民的監視の強化など、電力独占への民主的規制と再エネ、地域循環システムへの大転換を柱とする電力民主化こそ求められています。

 なお、維新、結いの党の修正案は、以上述べた根本的問題点を解消するものではないので、賛同できないことを申し述べ、討論を終わります。

富田委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、今井雅人君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立少数。よって、本修正案は否決されました。

 次に、原案について採決いたします。

 原案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、宮下一郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会及び公明党の四派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。田嶋要君。

田嶋委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    電気事業法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、電力システム改革を着実に推進するため、本法施行に当たり、以下の点に留意すること。

 一 電力システム改革の目的である「電気の安定供給の確保」と「電気の小売に係る料金の最大限の抑制」の実現のため、原子力発電の稼働が進んでいない中で海外からの化石燃料の輸入が増加し、国民負担の増大が懸念されていることにも鑑み、第三段階までの法的措置の期限を待つことなく、スマートメーターの普及、発電所の環境アセスメントの緩和等の施策を引き続き検討し、可能なものについては可及的速やかに措置を講じること。特に、電力が市場に十分に供給されることが市場における競争環境上重要であることに鑑み、平成二十八年を目途に電力の小売全面自由化の実施が予定されていることを踏まえ、必要となる電力の需給状況の安定が確保されるための有効な措置を講じるべく努めるものとすること。

 二 原子力政策の抜本的見直しが求められる中、競争環境下における原子力発電の在り方及び我が国における核燃料サイクル政策の位置付けについて早急に検討の上、電力システム改革と同時並行的に適切に措置を講じること。また、原子力事業者において今後国内において増加する原子力発電所の廃炉の円滑な実施や新規制基準への対応、使用済核燃料の処理、地球温暖化対策及び電力安定供給への貢献等の課題への適切な対処が可能となるよう、事業環境の整備に向けて、平成二十八年を目途に電力の小売全面自由化の実施が予定されていることを踏まえ、必要な措置について速やかに検討し、遅滞なく実施するものとすること。

 三 昨年成立した改正電気事業法附則第十一条第四項の趣旨を踏まえ、今後、第三段階の法的措置の実施を通じて達成するものとされている「送配電部門の中立性の確保」及び「電気料金の全面自由化」は、競争促進の効果と電力の使用者の利益を併せて実現する観点から同時に実施することを原則とすること。また、これらの事項を含む今後の電力システム改革の詳細な制度設計及び実施については、当該改革に当たっての課題検証とその結果に基づく課題克服のために必要な措置を講じて進めるとともに、今年策定された新たなエネルギー基本計画の内容と整合性をもって第三段階の改革まで着実に進めるものとし、関係方面に十分な説明を行うものとすること。

 四 電力市場における適正な競争を通じて、電力システム改革の目的の一つである「電気料金の最大限の抑制」が確実に達成されるために必要な措置を講じるものとし、規制料金の撤廃は需要家保護の観点からその時期を十分に見極めて行うとともに、新規参入事業者が公平な条件で競争できるような価格形成が図られるようにするなど、適正な電気料金の実現のための措置を講じること。

 五 電力の小売全面自由化に伴い、新規事業者に対する送配電網への公平な接続の保証や需要家情報の共有等を通じて、新規事業者が電力小売市場に参入することが阻害されることなく、現在の一般電気事業者と公平に競争できる環境を整備すること。また、新規事業者の電源調達を容易にするため、引き続き、地方自治体による電源の売り入札の促進に加え、電力会社における余剰電力の供出の促進等を通じ、卸電力市場の活性化に向けて必要な措置を講じるものとすること。

 六 再生可能エネルギーによる発電を利用する新規事業者の電力市場参入を促すための送配電網の整備や参入手続における一層の規制緩和等の措置を講じるとともに、再生可能エネルギーによる発電が健全かつ着実に行われるための制度を整備することにより、我が国においてその導入が最大限促進されるよう努めること。

 七 電力の小売全面自由化に伴って電力の安定供給が損なわれることのないよう、昨年の電気事業法改正によって法定された広域的運営推進機関の機能の適正な行使等を通じて、必要な供給予備力が常時確保されることなど、電力システム改革の目的である「電力の安定供給の確保」が達成されるための万全の措置を講じるものとすること。また、発電事業者、小売電気事業者をはじめ、電力市場に参加する事業者が連携して電力の安定供給のための責任を果たす上での仕組みについて十分な検討を行い、適切な措置を講じること。

 八 電力システム改革の遂行に際しては、今日まで電力の安定供給を支えてきた電力関連産業の労働者の雇用の安定や人材の確保・育成、関連技術・技能の継承に努めるとともに、改革の過程において憲法並びに労働基準法に基づく労使自治を尊重するものとすること。また、当該労働者について一定の形態の争議行為の禁止を定める「電気事業及び石炭鉱業における争議行為の方法の規制に関する法律」については、自由な競争の促進を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性を図る観点から、電力システム改革に関する法体系の整備に併せ、所管省庁において有識者や関係者等からなる意見聴取の場を設けその意思を確認し、同法の今後の在り方について検討を行うものとすること。

 九 電気事業の規制に関する事務をつかさどる独立性及び高度の専門性を有する新たな行政組織は、実効性のある送配電部門の中立性の確保、電気の小売業への参入の全面自由化等の電力システム改革を推進する上で、必要な電気事業の規制に関するモニタリング、電気事業への参入の促進、市場における適切な競争環境を阻害する要因の除去、対等な競争条件の確保等を実施するための必要最小限な組織とし、肥大化は極力避けること。また、この観点から、新たな行政組織への移行が平成二十七年を目途に着実に措置されるよう、引き続き詳細設計に向けて検討を進めるものとすること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、茂木経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。茂木経済産業大臣。

茂木国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

富田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

富田委員長 次回は、来る二十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時二十四分散会


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