衆議院

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第18号 平成26年5月21日(水曜日)

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平成二十六年五月二十一日(水曜日)

    午後二時五十四分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      青山 周平君    秋元  司君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝俣 孝明君    今野 智博君

      白石  徹君    新開 裕司君

      菅原 一秀君    田中 良生君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮崎 謙介君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山田 美樹君

      岸本 周平君    辻元 清美君

      伊東 信久君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      三谷 英弘君    小池 政就君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業副大臣      松島みどり君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (内閣官房原子力規制組織等改革推進室長)     鎌形 浩史君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      高橋 泰三君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          片山  啓君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十一日

 辞任         補欠選任

  佐々木 紀君     今野 智博君

  福田 達夫君     新開 裕司君

  宮崎 謙介君     青山 周平君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     宮崎 謙介君

  今野 智博君     佐々木 紀君

  新開 裕司君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

五月二十日

 小規模企業振興基本法案(内閣提出第五一号)

 商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 小規模企業振興基本法案(内閣提出第五一号)

 商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房原子力規制組織等改革推進室長鎌形浩史君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長高橋泰三君及び原子力規制庁長官官房審議官片山啓君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平です。

 本日は、質問の機会を与えていただいて、ありがとうございます。

 きょうは一般質疑なんですけれども、昨日、小規模企業振興基本法の本会議での質疑がありました。同僚議員の近藤洋介委員からも質問をさせていただいたところでありますので、きょうは、中小企業白書を中心に、関連する、いわば前座として、来週の審議の前取りをさせていただきたいと存じます。

 まず、大臣政務官にお伺いをしたいわけであります。

 日本経済全体、これは本当に、私ども野党もアベノミクスが成功して景気の好循環をもたらすことは望んでいるわけでありますけれども、例えば私の和歌山一区の地方までは、まだ残念ながら、好況感というのはなかなか届いておりません。

 私の後援会の幹部の皆さんは中小企業のおやじさんばっかりなんですけれども、なかなかそこはしんどいよということであります。地方の中小企業あるいは小規模の事業者までが景気回復の実感を持つということが重要であろうと思います。

 一方で、和歌山のような田舎ですと、輸出産業というのは余りないんですね。ただ、原材料を輸入して、加工して国内で売るところというのが結構あります、地場産業が結構多いわけですけれども。そうすると、原材料の高騰、円安による高騰、あるいは電力、ガスの高騰で、仕入れはかかるんですけれども、逆に、まだまだ、お得意先、お取引先が値上げにすんなりと応じてくださるわけにもなかなかいかない、こういう状況がございます。

 そんな中で、中小企業、特に小規模事業者の現状について、経済産業省としてどのように把握されているのか、お伺いしたいと存じます。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 まず、経済産業省が全国の中小企業、小規模事業者二万社を対象といたしまして調査をいたしました。その結果、一月―三月期の全産業の業況認識というものは、現在の調査方式となった一九九四年以来最も高い水準になっております。景気回復の実感は、少しずつですけれども、中小企業や地方経済にも波及し始めているということがうかがえるものであります。また、事業者の認識といたしましても、仕入れ単価が上昇してきている中でも、採算は改善傾向にあります。中小企業の価格転嫁は一定程度は行われているということが見てとれます。

 しかし、今委員御指摘のとおり、まだまだ中小・小規模事業者にそれまでのアベノミクスの実感というふうには、現状なかなか厳しいというものもあります。特に、為替レートの変化に伴います原材料ですとか燃料の仕入れ価格の上昇分をやはり十分販売価格に転嫁できていないという指摘もある。これも事実であると認識しているところであります。

 また、四月―六月期の全産業の業況認識の見通しは、やはり大幅な減少となっております。実際に、経済団体等の調査でも、消費税増税による反動減の影響が見られるというものであります。

岸本委員 今大臣政務官おっしゃったとおりでありまして、一―三、四―六をどう見るかということだと思います。

 今私が申し上げたのは、基本的に昨年、一三年の状況ということで、一―三はやはり駆け込み需要がございましたので、全体として、GDPの数字があらわすように、それは駆け込み需要ですから、そこは少し割り引かなきゃいけないし、一方で四―六の反動減をどう見るか。これもまた、余り数字が落ち込み過ぎたからといって、それを過大視する必要もないと私は思います。それは、駆け込みがあって反動があるということです。

 それを踏まえた上で、今後のアンケート調査なり統計の数字を見ながらであろうかと思いますけれども、夏に向けて、本当に小規模事業の方々が、きちんとした景気の好転が仮にあるならば、その恩恵を受けることができるのだろうかという問題意識でありますので、そこは今お聞きしていますと、よく似た問題意識で御答弁されていましたので、安心をして、ぜひしっかりと御指導を賜りたいということを申し上げておきたいと思います。

 それで、実は今、手元に、中小企業憲章というものを持っております。これは、平成二十二年の六月に閣議決定をいたしました。民主党政権時代、幾つかいいこともやりました。中でも特にいいことの一つでありまして、幾つかやっているんですよ、幾つか。幾つかやっている中の特によいことということで、皆さんお持ちいただいていると思いますけれども、中小企業憲章、これは本当に特にいいことだと思います。自信を持ってお勧めできるわけであります。

 これを、例えば中小企業の団体が幾つかございます。特に、個人で頑張っていただいている中小企業家同友会というのが全国にあります。先生方の御地元にもおありだと思いますし、和歌山にもあります。中小企業家同友会、そして、全国組織の全国協議会というのがありまして、ここの皆さんはこの中小企業憲章というのを非常に大事にしてくださっております。例えば、彼らの全国協議会で、中小企業憲章・条例推進ハンドブックというのも、改訂版を出していただきながら、御説明をいただいているわけであります。

 また、来る六月三日ですけれども、実は国会の中で、全国協議会の皆さんが主催で、中小企業憲章・条例推進月間キックオフ集会も開かれます。私も参加しますから、ぜひ経済産業委員会の皆さんは奮って御参加をいただきたいと思います。これは、本当にそうやって地道に地方の方々が応援をしてくださっているというわけです。

 政務官にお聞きしたいんですが、幾つかこういう団体はあると思うんですけれども、中小企業施策に非常に協力的な団体とはこれまでどのような協力関係を持ってこられたのか、御説明をいただければと存じます。

田中大臣政務官 お答えいたします。

 まず、中小企業憲章でありますが、私も政務官になったときにすぐにこれをいただきまして、今、机の一番上に、引き出しにしっかりと置いて、事あるごとに読ませていただいているところであります。

 政府といたしましては、全国三百八十五万の中小企業、小規模事業者の実態をやはり的確に把握したり、また必要な施策をきめ細かく届けていくためには、事業者同士の情報共有を促して、そして経営資源の補完に取り組む中小企業団体との協力というのはもうまさに不可欠であります。

 このために、同友会を初めといたしますさまざまな中小企業団体の自主的な取り組みに対して経済産業省としても積極的に協力して、さまざまな経営課題に対する意見、こうしたものを伺っております。また同時に、施策の説明、周知も、こういう同友会を通じてしっかりと図っているという状況にあります。

岸本委員 ありがとうございます。

 それで、この中小企業憲章の中身なんですけれども、これは伝統的な中小企業施策の集大成であります。

 私も、官僚時代、自民党政権のもとでの中小企業予算も担当したことがありますけれども、これは党派は関係ないと思います。中小企業施策というのは、やるべきことは決まっておりまして、ただ、なかなかそれが実行に移せてこなかったというところがあったり、あるいは、これもみずからの反省で申し上げると、中小企業庁といえども、現場の本当の、ぎりぎりのニーズがなかなか把握されにくい。これは、当然ですけれども、担当者が一年、二年でころころかわるものですから。

 予算要求のポンチ絵は、パワーポイントは上手につくるんです。多分、経産省で中小企業庁が一番上手だと思います、パワーポイントのつくり方は。中身じゃないですよ、パワーポイントのつくり方です。すばらしく上手につくるんです。だけれども、そのことと、本当に中小企業の現場を知っているかどうか、これは、むしろ我々政治家の方が、もう後援会がみんなそうですから、中小企業のおやじさんばかりに、こづかれるというと言い方はあれですけれども、怒られながら、尻をたたかれながらやってきているわけで、これこそ政治家の一番知っているところだろうと思います。

 その意味で、この中小企業憲章に盛り込まれる内容は、これはもう党派は関係なく同じ方向であろうと思いますので、これは、私が自民党政権のもとでも官僚としてやってきた政策とほとんど変わりません、同じだと思います。

 その上で、しかしながら、これをまとめて憲章にしたという価値はあると思いますし、そのことで、中小企業家の同友会も含め、全国に浸透したということもありますが、もう四年たちました。閣議決定から四年たって、今、これは多分、党派関係なく、中小企業庁の施策として続いていると思いますので、この憲章の精神が今の中小企業施策にどのように反映されてきたのか、大臣政務官に御説明をいただきたいと思います。

田中大臣政務官 まず、平成二十二年に閣議決定されました中小企業憲章でありますけれども、これは、当然、中小企業政策の基本理念ですとか行動指針、こうしたものがしっかりと定められている。そして、何といいましても、中小企業、小規模事業者、これを、地域経済の雇用を支える、あるいは経済を支える極めて重要な存在であるとしっかりと定義されていることは確かなものであると考えております。

 また、そんな中で、この趣旨を踏まえて、枝野前大臣のもとで立ち上げられました“ちいさな企業”未来会議ですか、こうしたものも引き継ぎながら、今は“ちいさな企業”成長本部というものを開催しております。昨年六月にこの行動計画を取りまとめたところでありますけれども、昨年の二月から今まで五十三回もこれを開催しております。そして、行動計画の策定及びフォローアップを実施してまいりました。

 私自身も、もう数回、この“ちいさな企業”成長本部ということで全国を回っているところでありますけれども、しっかりとこれからもフォローアップした結果を取りまとめて、また、成長戦略等の改定等にもつなげていきたい、そのように考えております。

岸本委員 ありがとうございます。

 ちょうど私も、田中政務官の前の前ぐらいの政務官をやっていましたときに、“ちいさな企業”未来会議で全国を回りました。そこで意見を聞かせていただくことは本当に役に立つということでありますので、ぜひ引き続き頑張っていただきたいと思います。

 その上で、これからの中小企業施策について、二つの方法が必要なのではないかと考えています。これは、恐らく政府とも同じように、さっき言いましたように、中小企業施策は党派は関係ありませんので同じことになろうかと思いますけれども、何より起業と創業を活発化すること、これが一番大事であろうかと思います。

 これは、私も、地元に戻って政治活動を始めて、特に四年間浪人をしておりまして地べたをはい回ったときに思ったんですけれども、地方へ行きますと、終身雇用というのはないんですね。中小企業というのはもう皆さん転々と職をかわられますし、そんな中で、転々と職をかわりながら非常に小さなビジネスを始められる方も案外多い。そして、なかなか長続きしないので、うまくいかなくて、また何かの商売、小さな会社の社員になる、そういうことを繰り返している。非常に実は職の流動性というのは高いと思いました。

 地方のそういうところは、東京のサラリーマンとは違って非常に職の流動性が高い。それから、ある意味たくましい。やってみて失敗するんだけれども、またしばらくどこかで勤めて、またやるみたいな方が案外多いなということですが、しかし、なかなかうまくいかないんですね。そこを何か、起業、創業を活発化して長続きさせてあげられるような、背中を後押ししてあげるようなことが大事なのではないかなということであります。

 特に、中小企業白書、こんな分厚いものですけれども、これは経産委員会の先生方は当然お読みいただいていると思いますが、ぜひ読んでくださいね。さっきちょっと、パワーポイントは少し冷やかしましたけれども、これは本当によくできています。これだけじゃなくて、役所の白書というのは実はよくできているんです。全ての的確な情報と、その年々の問題意識ですね。これは、大臣以下政務三役と官僚の皆さんの問題意識が集約されているんです。どこの役所の白書も本当によくできています。

 これは笑われるかもしれませんけれども、CIAのアメリカの担当者に聞くと、日本にいるCIAの、彼らは分析が仕事です、経済関係の分析の仕事の六、七割が各省の白書を読むだけで終わってしまうというぐらい、その官公庁部門の人は。それぐらいここは情報の宝庫なんです。ことしもよくできていると思います。これは担当された方々にエールを送りたいと思います。

 そういう中で、この中小企業白書にもいろいろある中で、実は起業を希望する者が減っているというショッキングなデータがここにありました。そういう意味で、これも政務官にお聞きしたいと思いますけれども、そういう、案外職の流動性がある中で、チャレンジはするんだけれどもうまくいかない地域の小規模の皆さんに対する起業、創業の後押し、どういうことを今お考えなのか、お聞かせ願えればと存じます。

田中大臣政務官 まず、我が国の起業の希望者というところの数値でありますけれども、一九八七年には百七十八万人、起業希望者という者がおりました。しかし、この二〇一二年には八十四万人に減少している。今委員が御指摘いただいたとおりの認識であります。

 こうした中で、やはり、我が国の起業、創業を促進して、そしてまた活発化させていかなくてはなりません。そんな中で、起業に対する意識の変革ですとか、チャレンジ精神、再チャレンジ精神、こうしたものを育成していかなきゃいけない。また、一企業の内部で十分に成長できないが潜在力のある事業、こうしたものをスピンオフまたはカーブアウトの形で外に切り出すということも必要であります。また、起業家に対して資金あるいは経営ノウハウ、こうしたものもしっかりと提供していく、これも重要であります。こうしたさまざまな側面からの改革あるいは環境整備、こうしたものに挑戦する、これを徹底的に支援していきたいということであります。

 そのために、既に、産業競争力強化法の制定ですとか、創業補助金による支援、こうしたものを行ってきております。引き続き、政府としても、施策を総動員するだけではなくて、官民の英知を結集して、着実に取り組みを進めてまいりたいと考えております。

岸本委員 ありがとうございます。

 もう一つの問題点は、やはり事業承継なんですね。

 これも、先生方もそうだと思いますけれども、私も、地元の応援していただいている社長さんが会長になり、そして、後継ぎがいれば、そしてまた順繰りに、専務が社長になり継いでいく。これは、二世、三世で中小企業を続けるということも物すごく大変だと思いました。長続きさせているというのは、これは本当にすばらしい努力と才能だと思います。しかし、場合によったら、後継ぎがなかなか決まっていない小規模事業、中小企業もたくさんあります。そうすると、社長がだんだん高齢化していく、後継ぎもいない、そういうような問題が結構あります。

 割といい企業もあるんですね。うまくMアンドAで買っていただいて、従業員がそのままうまくその会社で働き続けられるというようなケースもあれば、いや、なかなかもう、借金もないし、じゃ、迷惑をかけないうちに畳むかということで店じまいをなさるというような場合も、後継者がいないからということで、ある。そういうのを見ると本当に残念でならないわけであります。

 経営者が高齢化していくその中で、事業承継税制はもうこれまでの積み重ねで改善はされてきているわけでありますけれども、もう少し、ビジネスの中身からするところの高齢化と事業承継の問題について、これもまた大臣政務官から、今の施策の方向性についてお伺いをしたいと思います。

田中大臣政務官 事業承継でありますけれども、やはり、事業承継時の年齢が若いほど、承継後に業績が向上する、そういう傾向も見られるところであります。そして、委員御指摘のとおり、若い経営者への事業承継、これを促していくことは極めて重要なものであると認識しております。

 そのために、経営者ですとか地域金融機関などの支援者向けの事業承継セミナーというものを今開催しております。来年一月から施行される新たな事業承継税制の周知に加えまして、若手の経営者への早期のバトンタッチに向けて、今、計画的に取り組みを推進しているところでございます。

 一方で、近年は、後を継いでくれる親族がいないということで、後継者探しに悩む経営者もふえております。このような経営者と、意欲ある若者あるいは女性とのマッチングを行う後継者バンクというもの、これが、静岡の事業引継ぎ支援センターにおいて四月から先行的に開始したところであります。こうした取り組みをぜひとも全国にも広めていきたい、展開していきたい、そのように考えております。

岸本委員 ありがとうございます。

 ぜひ、その創業、起業の部分と事業承継の部分、車の両輪だと考えますので、中小企業施策の中で位置づけていただいて、御指導をよろしくお願いしたいと思います。

 あとは、さっき地域、地域と申し上げていますけれども、地域には、県もあれば市町村もあります。それぞれの担当がいます。あるいは商工会議所、商工会もあります。それぞれ皆さん努力をされているわけですけれども、なかなか地域によっては、温度差といいますか、うまくいっているところもあれば、うまくいっていないところもあるというわけでありますし、これも実際に、中小企業庁の施策ですら物すごく量が多いと思います。大変なメニューがたくさんあって、いろいろな助成の仕組みがあります。それは、税もあれば補助金もあれば、いわゆる政策金融もあれば。税も、地方税もあれば国税もある。

 非常にきめ細かな政策があるんですけれども、あり過ぎて、これは多分、政務三役の方も、レクチャーを受けて所管事項説明を聞いても、本当に細かい一本ずつまでは聞けませんし、そんなことをしていたら一日かかってしまいますから、実は、きめ細かい政策のどれがうちに当てはまるのか、この企業に当てはまるのかというのは、見ただけではわかりません。その上に、和歌山県庁もやっているんです、和歌山市役所もやっているんです。

 そうすると、メニューはいっぱいあるんですけれども、一つは、それぞればらばらに立案されているということもあるだろうし、あるいは、県庁の担当者、市役所の担当者も全体像がなかなか見えない。

 すると、案外、商工会議所の古手の担当者とか商工会の名物経営指導員みたいな人は、全部頭に入っているという方がたまにいるんですね、プロの方は。そういうところに相談に行くと、三つぐらいぽんぽんと、これがいいですよみたいなことは相談に乗っていただけるんですけれども、なかなかそうはいかないということであります。

 地方も含めたいろいろな支援策について、事業者が、本当に自分が必要とするような政策がフィットするような仕組みづくりというのも必要だと思うんですけれども、その辺は何かお考えはありますでしょうか、政務官。

田中大臣政務官 今委員御指摘のとおり、この中小企業三百八十五万者に支援策をきめ細かく届けていくということは極めて重要なことであります。

 このために、中小企業庁では今、ポータルサイト、ミラサポというものを設置しているところであります。中小企業者、小規模事業者、この目線から、やはり、国、都道府県、そして市町村の施策、これを一覧で見ることが必要だ。その中で、目的や分野に応じて、検索もできます、かつ比較や一覧ができる、そういう施策マップというものをウエブ上に、今、サービスを開発しているところであります。六月からはこうしたものも正式にスタートできる、今そういう状況にあります。一方において、国もそうであります。例えば、総務省ですとか厚労省、他省庁の中小企業、小規模事業者向けの支援策、こうしたものも一覧できるような、今、そういったシステムを進めております。

 そしてまた、平成二十六年度より、地域の支援機関と連携しながらさまざまな経営相談に対応する、よろず支援拠点というものも、今、各都道府県に設置をして、さまざまな支援策を実行しているところでございます。

岸本委員 ぜひ、その辺は指導力を持ってお願いしたいと思うんです。

 質問じゃないんですけれども、一つつけ加えておきますと、地方の政府、地方公共団体と、経済産業省なり、あるいはブロックの経済産業局の立場というのは、これは難しいんですね。現場で我々は間をとっているんですけれども。つまり、当然ですけれども、地方自治ですから、地域主権ですから。

 そういうことになりますと、特に今は、比較的、県なり、あるいは中核市なり市町村に権限をおろす方向に来ています。それはいいことだということですから、おりています。おりていますけれども、それはまさに、地方のそれぞれの首長さんの熱意、あるいは、したがってそれにもかかわりますけれども、御担当者の方々の問題意識に実はすごく依存しまして、悪い言葉ですけれども、かぎ括弧つきの「お役所仕事」という言葉がありますように、これはなかなか進まない場合もあるんですね、実は。

 前から大臣ともやっていますけれども、実証特例の問題で、今いろいろと先例がたくさんあることもお聞きしているんですけれども、幾つか、私も現場で頑張っていらっしゃるのを横目で見ていて、余り介入できませんので、今は昔と違いますので、政治家がしゃしゃり出る時代ではありませんので、横目で見ているんですけれども、例えば、かなり地方に運用がおりているような場合は、実証特例を使わなくても、地方公共団体でかなりできるんです。そういうこともわかってきました。

 しかしながら、そこが、むしろ地方公共団体の職員さんが遠慮なさる。しかし、遠慮されるけれども、中央政府として、経済産業省として、やってくださいとは言いにくい。やれますよ、できますよとは言えても、やってくださいとは言えないという、非常にそこの難しさもありますので、今政務官がおっしゃられたことはそのとおりなんですけれども、それが生きていくためには、非常に難しい問題がある。経済産業局が出しゃばり過ぎてもいけないし、しかし、出しゃばらないと地方が動かないということもある。

 これは、卵と鶏みたいな話ですけれども、地域主権を大事にしながらやっていかなきゃいけない現場の問題もあるということを指摘した上で、最後に、大臣に幾つかお聞きしたいと思います。そういうことについて、もし御感想があればお伺いしたいんです。

 この白書は、本当に、さっき言いましたように、花火図なんというのは、よく分析できていると思います。これはこれからのツールになると思います。この花火図が非常に、ビッグデータを使ってよいものになっていると思うんです。

 さっき言いましたが、これが、経済産業委員会の委員全員が、読んでくださいとは申し上げましたが、委員長は読んでいらっしゃると思いますけれども、国会議員もなかなか読まない。地方には配られるんですけれども、地方で皆さん本当に読んでいらっしゃるのか。

 これはぜひ、広報の観点からも、これだけじゃありませんけれども、例えば中小企業施策についてはこれはバイブルですから、こういうことを、例えば今年度の中小企業白書をもう少しうまく、世の中、特に中小企業にかかわっている方々に宣伝していただきたいんですが、大臣、いかがですか。

茂木国務大臣 まず、民主党政権下でおつくりをいただいた中小企業憲章。中小企業の存在意義、それから中小企業政策のあり方について、基本理念、そして基本原則、行動指針といった形でコンパクトに、そして極めていいものをまとめていただいた、このように思っているところであります。

 かつて中世の都市も、憲章、チャーターを持っている町というのがありまして、自分たちの町のなりわい、例えばパリでいいますと、もともとガリアの中でもパリシー民族が住んでおりまして、パリという町ができ上がっていくわけでありますけれども、そして、何を共有し、どういう方向に向かっていくかということで憲章を定めるわけであります。

 まさにこの中小企業憲章は、中小企業、小規模事業者が向かうべき方向を明確に示していただいている。こういったものも踏まえながら、我々としても、継続性のある中小企業政策を進めてまいりたいと考えております。

 そして、ことしの中小企業白書につきましては、既に岸本委員の方からも主要なポイント、創業の問題であったりとか事業承継の大切さを取り上げていただいたところでありますけれども、読んでいただかないとやはり意味がないということで、既にことしの中小企業白書を中小企業庁のホームページにアップをしておりまして、一万件以上のアクセス、こういうものがあるわけであります。

 そして、これを実際に六月以降店頭に並べさせていただく。非常に中小企業庁はパワーポイントのつくり方が上手だとお褒めもいただいたところでありますけれども、今ちょっと表紙を考えていまして、これを全国の中小企業の笑顔で埋めようということでその公募も行っているところでありまして、そういった笑顔の表紙の中小企業白書というものが店頭にも並ぶようになってくると思っております。

 もちろん、この中小企業白書でまとめた考え方は、これから経済産業省の職員それから地方の経済産業局の人間を通じまして、中小企業の関係者、関係団体等々に広く、説明会等を通じてお伝えしていきたい、このように考えております。

岸本委員 ありがとうございます。それでは、その笑顔の表紙を楽しみに待たせていただいて、エールを送りたいと思いますが、最後に、少し先走りますけれども、来週審議していただきます小規模企業振興基本法の関係で、今大臣がおっしゃったことに加えて、今回の法律改正、大変大きな法律であります。これについての決意をいただいて、私の質問を終わりたいと思います。よろしくお願いします。

茂木国務大臣 中小企業施策、中でもその九割を占めます小規模事業者は、地域の経済そして雇用を支える極めて重要な立場でありますが、御案内のとおり、人口の減少であったりとか経営者の高齢化、こういったさまざまな課題を抱える中で、この振興が必要だということで、昨年は、通常国会におきまして、小規模事業者に焦点を当てた八本の関連法案をまとめて、小規模企業活性化法を成立させていただきました。

 今回は、それをさらに一歩進めるといった形で、小規模企業振興基本法というのを閣議決定して、この後御審議をいただきたいと思っておりますが、基本法案としては、昭和三十八年、中小企業基本法以来、経済産業省として戦後二本目となります基本法という形でありまして、しっかりと成立を期したい、このように考えておりますし、同時に、全国の小規模企業者の期待も大きい。これからしっかり国を挙げて小規模事業の振興に取り組んでいくという明確なメッセージを送ることにしていきたいと思っております。

岸本委員 大変心強いメッセージをいただきました。我々も、党派を超えて小規模企業の事業者の繁栄のために御協力をしてまいりますので。ありがとうございます。

 これで質問を終わります。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。本日もよろしくお願いいたします。

 まず冒頭、ちょっとこれは別の話なんですけれども、先日、十七日に、大臣は中国の商務大臣とお会いされて、経済的な面で連携を強めていこうというふうなお話をされておりました。私も、本当にこれはすばらしいことだなと思っておりまして、きょうは自民党の先生方のお時間がないということなので、私がかわりに少しお話をさせていただきたいんです。

 やはり、今、集団的自衛権の話であるとか、そういうお話がばんばんばんばん流れている、ただ、集団的自衛権を行使するような、そういう局面にならないことが一番重要だろうと思っております。その中で、やはり、大臣が言われているような、経済的な結びつきをしっかりと強めていく、これが一番重要なんだろうと思っておりましたので、きょうちょっとお話をさせていただきました。

 そうはいいながら、中国は、この間の商船三井の船の差し押さえであるとか、経済的な活動の中でもさまざまな手段をとってくる。その中で、やはり、まともなルールに従ってこちらが臨んでいくということで、彼らも考え方が変わってくるんだろう。ましてや、中国のみならず、アジア全体の経済的な結びつきを強めていくことで、やはりきちっとしたルールができて、その中で関係がつくられていく、これが一つ、一番重要な、平和的な両国間の関係をつくっていくんだと思っておりますので、ぜひとも今のスタンスでどんどんと、やはり一番重要なのは経済的な結びつき、そういう意味では大臣のお力が一番重要だろうと思っておりますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 では、本題に入らせていただきたいんですけれども、先ほど岸本委員が、次の法案の小規模事業者のお話をされていたんですけれども、少し後戻りをして申しわけないんですが、先日、総理もこの委員会に来ていただきまして、大臣からもいろいろ御答弁があった。その中で、私がもう少し聞きたいなと思った点についてお話をさせていただきたいと思います。

 冒頭、違うお話をしてまた恐縮なんですけれども、もう一つその前につけ加えさせていただきたいんです。

 今、福島第一原発のALPSが三つとまっているという話が、きのう、報道に出ておりました。相当技術的には難しいことをやっているのでこういうことは出てくるんだろうと思うんですけれども、やはり、政府が前面に立って推し進めていくという中では、こういったところに関しても、指揮監督、それから管理というものを強めていっていただきたいなということも、もう一つつけ加えさせていただきます。

 では、本題に入らせていただきます。

 一番最初に、先日の総理も入られた本委員会の中でうちの今井委員の方から話があったところなんですけれども、高レベル核廃棄物の最終処分地について、こういうお話をさせていただきました。

 今井委員の方からは、やはり今までは、手挙げ方式だった中でなかなか決めていくことは難しかった、地元の賛同を得られるという状態にはなかったと。これは、私どもの代表であります橋下大阪市長も同じような意見を持っておりまして、というのは、岩手県の、体に影響がない、基準値以下だというふうに言われている瓦れきを受け入れるに際しても、相当な反発があった。本当にすごかったです。私も体験しました。というのは、一昨年の総選挙のときに、街宣カーで普通に走っていると、瓦れきの話をすごい大きな声で、普通の路上に出てきて、車をとめられたりとかするんですね。それぐらい激しい抵抗があった。

 あの、人体に影響がないだろう、基準値以下のものである、岩手県の瓦れきだというのでもあれぐらいの抵抗があったという中で、やはり、今度の高レベルの核廃棄物の最終処分地、これを決めていくとなったら、手挙げ方式じゃなく、政府が候補地を決めたというふうに言ったとしても、相当これは大きな反発があるのではないか。その中で決めていくことが本当にできるのかどうかというのがどうしても疑問を感じてしまうんですね。

 もう一つ思っていたのは、この間の御答弁の中で、総理それから大臣もお話があったんですけれども、要は、安定的な地層について、科学的な根拠に基づいて候補地を決めていきます、ここまでのお話は、明確に、政府としてやりますというふうなお話をされました。

 ただし、私が重要だと、今井委員も重要だというふうに言っていたのは、やはり、政治家の役割、政治の役割として最終的なことを決めていくような形ができなければこれは前には進まないんじゃないか、そういう思いであの質問があった、私はそういうふうに理解しております。

 その点でいえば、何度か今井委員の方から質問がありましたけれども、同じように、安定的な地層、科学的根拠に基づいて、科学的な検証をして候補地を決めるという形です。私は思ったんですけれども、科学的根拠で候補地を決める、私はこれに政治の役割はほとんど要らないんじゃないかなと、ちょっと言い過ぎかもしれませんけれども。というのは、誰が見たとしても、科学的にここが候補地として適しているのであろうということを決めることには、政治家の役割というのはほぼほぼないのではないかというふうに思っているんです。

 そこで、私、もう一度聞かせていただきたいんですけれども、やはり政治の役割、これは何かというと、最終的にここでやらせてくださいと。地元からいろいろな意見があるかもしれないけれども、もう既に、廃棄物が出てくるといったときに、それをしなければ、結局は、あの御答弁の中であった、次世代にそのまま残すことはしません、次世代に先送りすることはしませんというふうなことにはならないのではないかというふうに私は思っているんですけれども、その点についてもう一度、大臣の御見解を聞かせていただければと思います。

茂木国務大臣 まず簡単に、冒頭お触れいただいた中国の高商務部長との会談でありますが、国会のお許しをいただきまして、週末、中国の青島で開かれましたAPECの貿易大臣会合に出席をいたしました。その機会を捉えまして、高部長とはバイの会談を行ったわけでありますが、まず、日中、最も重要な二国間関係の一つである、もちろん問題はあるけれども、戦略的互恵関係、こういった大局的な視点に立って、二国間の経済交流、そしてまた関係の強化に努めていこう、そういうことで一致をしたわけでありまして、今後、例えば省エネの分野であったり環境の分野であったり、さまざまな分野で協力の枠組みを進めていきたい、このように考えているところであります。

 その上で、高レベル放射性廃棄物の最終処分の問題でありますが、委員も御案内のとおり、これは諸外国も三十年以上にわたって大変悩みながら最終処分地の選定プロセスを進めているところでありまして、現段階で最終処分地が決まっているのは、北欧のスウェーデンとそしてフィンランドだけという状況でありまして、日本も処分制度を創設して十年以上処分地が決まってこなかった。

 この背景には、一つには、地層処分の安全性について十分な国民的な理解がいただけていない、そしてもう一つ、委員からも御指摘がありましたように、地方からの手挙げ方式ということで、地方の説明責任であったり負担が重くなり過ぎてしまう。

 こういったことで、昨年の五月から総合資源エネルギー調査会の放射性廃棄物ワーキンググループにおきまして専門家によります審議を重ねて、昨年末、十二月に、最終処分関係閣僚会議において基本的な取り組みの方向性を決めたところであります。

 基本的なことをかいつまんで申し上げますと、一つは、現時点で最も有望であります地層処分、これを前提に取り組みを進めつつ、当然技術が進んでくることも考えられますので、将来世代が最良の処分方法をさらに選択できるように、可逆性であったりとか回収可能性、こういったものを確保するということであります。

 そしてもう一つが、全国を広く対象に公募を行うだけではなくて、国が科学的により適度の高い地域、科学的有望地を提示していく。ただ、科学的に有望地を提起するというのは、全国を見たら、数値としてこの地域が一番低いからこの地域ですというのよりも、この地域だったら十分地層処分にたえられます、そういう岩盤であったり、そういったものを持っていますということで、ある意味、日本地図をそういう地層的に、科学的に問題ない地域を塗り分けるというようなことになってくると思います。その上で、そこの中である程度絞り込みといったものを行いまして、国として重点的なその地域に対する理解活動を進めるということになってくると考えております。

 そういった意味で、単純に、科学的にここですと決めるというよりは、ある程度、そういう候補地がかなりの数がある中で、国として重点的に地域の理解を求める活動を進めていくという意味で、国が果たすべき役割は極めて大きいのではないかな、こんなふうに考えております。

木下委員 詳しくお話をいただきました。

 ただ、今のお話を聞いていてまず最初に思ったのが、要は、マップをつくっていくんだということだと思うんですね。まず最初に、日本全体の中で、そういうことができそうなところをしっかりと色分けしていくんだろうというふうに今理解をしたんです。

 全然それは間違ったことではないと思っているんですけれども、今まで十年間ほとんど進まなかったというお話を聞いていて思ったんですけれども、本当であれば、そういうことはもう既にでき上がっていてもよかったのではないかな。今のお話の中で、それを否定するようなお話ではないですけれども、やはりそういうことがやれてこなかったということが一つまず大きな問題だろう。それを今度から変えていかれるんだというお話ですから、それを否定することではございませんが、そういうちょっと悲しい思いを一つしました。

 それからもう一つ、最後、こういうふうにして決めるというのではなく、その中で、国として住民の理解を得るように進めていくというお話をされておりました。

 ただ、これが本当にできるんだろうかということだと思うんです。それが一番難しい問題。これは一番感じていらっしゃるんだと思うんですけれども、今の政治のやり方、地元の住民から投票されて、それで政治的に活動していくという中では、どうしてもそこに、矛盾と言ってはあれかもしれませんが、ある種の矛盾がやはり出てくるのではないかと思っているんです。

 では、そうしたら、どうして決めるんだというのは、これは相当難しいことだと思っておりまして、ここの悩みが、私ども維新の会の中でも相当かんかんがくがく議論しておりますが、どうやってやっていくのかというところがなかなか出てこない。ましてや、先ほどの話の繰り返しになりますけれども、我が党の橋下代表なども、実際にああいう瓦れきを受け入れてみて受けた反発、あれを見ていては、これだと言ったとしても、なかなか理解を得られないと思っていて、ここをどうするのか。

 ここをどうやって決めていくんだという部分が見えなければ、今、国としてと、これは力強いお言葉だということは理解できるんですけれども、そうはいいながら、具体的にどうやったらいいのか、自分の頭で考えてみて、これがわからないんですよ。これはどうやっていったらいいのか、何かアイデアはございますでしょうか。

茂木国務大臣 まさに今後のプロセスになりますので、ステップを踏んで、まずは科学的な有望地をお示しするという中で絞り込みを行う。そして、その住民の皆さんに対する理解活動、それは、首長さんもあるでしょうし、議会の関係者であったり、さまざまな住民の代表の方にしっかりと説明をし、また、得心がいくような御質問もいただく、さまざまな御要望もいただくということなんだと思います。

 それは、実際にやってみないと、なかなか、今こうやりますということを全て申し上げられるわけではありませんが、そういった対話を通じて、納得がいく、理解をいただけるようなプロセスを確立していくということに尽きるんじゃないかなと思っております。

 確かに難しい作業、困難な作業であることは間違いないと思っておりますが、既に一万七千トンの高レベル放射性廃棄物がある、ガラス固化体にして二万五千個分ということでありまして、これは次世代には先送りできない、こういう思いで取り組んでまいりたいと思っております。

木下委員 何か私の悩みを聞いていただいたような形になりましたけれども、ありがとうございます。

 では、次のお話をさせていただきます。

 これも、先日、今井委員の方から質問をさせていただいた話なんですけれども、エネルギー基本計画の中に出てくる「もんじゅ」の取り扱いについて。

 「もんじゅ」については、今、管轄が文部科学省ですけれども、エネルギー基本計画の中に入ってくる中で、これから先、核燃料サイクルに組み入れていくのかどうかというようなお話を聞かせていただきました。その際に、大臣の方から御答弁がありましたのが、研究の結果を踏まえて、今後検討していきたいというお話がありました。これも否定するものではないんですけれども、ここでちょっと私の方から、そうはいいながら、研究であったとしても、その研究機関として持つリスクということについて少しお話をさせていただきたいと思います。

 三月十一日、私はまだサラリーマンだったんですけれども、あの事故があった後、自分でどういうことが起こったのかというふうなことを理解するために、さまざまな本であるとか資料とかを読みました。

 私がこんなところで講釈を垂れるような話ではないのかもしれないんですけれども、そこで物すごく不安に思ったことが一つあります。それは、あの高速増殖炉で同じようなことが、同じようなというのは、そのレベルの差があるので何とも言いがたいとは思うんですけれども、何か事が起こったときにどんなことが起こるんだろうというふうなことなんですね。私の知る限りでなんですけれども、これは意外と国会の中で余り論じられていないんじゃないかなと。

 というのは、普通のと言ったらあれですが、福島第一原発のような軽水炉の中では、温度が上がって、水をずっと今でも入れ続けている、ああいう状態が起こっています。

 本で読んでいた中で、ああ、こういうことなのかというふうに思ったのが、要は、核分裂をして、中性子がどんどん飛ぶ。それで、また次に、新たに燃料にぶつかって核分裂が起こる。それによってエネルギーを発散させて、そのエネルギーを発電に変えるというのが原子力発電の簡単な仕組みだと。

 その中で、あの福島第一原発で水を使って、あの格納容器の中に水が入っているのはなぜかというふうなことを調べてみたら、結局は、核分裂が起こって中性子が飛ぶ際に、中性子の速度の減速材として水を使っている。これはどういうことかというと、その中性子の速度を落としてやって、そして次の新たなウランにぶつけてやる、それで核分裂が起こる。これはスピードが遅い方が効率的に発電が起こるという仕組みだということらしいんですね。

 あのチェルノブイリは何を使っていたかというと、水のかわりに、かわりと言ってはあれですが、水ではなくて炭素、黒鉛と言うらしいですが、これを使っていた。これも同じように、中性子の速度を落としてやるというふうな、そういう役割があるらしいんですね。

 返すところで、「もんじゅ」はどういうふうにしているのか、何で高速増殖炉と言うんだろうと調べてみると、要は、中性子の速度を速い状態で落とさないようにすることがまず高速という意味らしいんですね。

 それは何かというと、もともとプルトニウムの周りにウラン238というものを配列してあげて、中性子を飛ばしてやって、速度が速い状態でそのウラン238にぶつけてやる、するとそのウラン238はプルトニウム239というものに変わる、それで増殖はしていくらしいんです。そのためには、スピードを遅めることをしない。

 ただ、中に入っている冷却材は何を使っているかというと、これが高濃度のナトリウムが入っている。しかも、高濃度のナトリウムが、液体の状態にするには九十八度以上の温度が必要、具体的には摂氏五百度ぐらいのナトリウムがあそこの炉の中に入っているという状態なんです。

 ただ、そこで、ああ、そういうことなんだ、高速増殖炉というのはそういうものなんだ、だから高速増殖炉と言うんだということがまずわかったんですけれども、それでよくよく考えてみたら、調べたら本にも書いてあったことなんですけれども、一番問題なのは、福島第一原発では、炉がああいう形になってしまったときに、水をどんどんどんどんかけて温度を下げていった。

 ナトリウムは、これはまず最初に、空気に触れるだけで燃えてしまいます。ましてや、水がかかると、化学反応を起こして爆発をする。もっと調べていくと、下手をすると鉄も溶かしてしまう可能性がありますし、コンクリートを生成する際に水分が含まれておりますので、コンクリートに当たるだけでも、コンクリートを溶かすだけならまだしも、火災もしくは爆発を起こす可能性がある。これはすごく大変なことなんだなと。

 というのは、チェルノブイリの話を少しさせていただきましたが、あの黒鉛、炭素に関しても、普通に水をかけてしまうと、炭酸ガス、可燃性のあるガスが発生する可能性がある。もう一つは、チェルノブイリが大変なことになった、ああいう被害が起こった一つは何かというと、あの炉で火災、爆発が起こっただろう、空中に浮いて爆発が起こったんだというふうな話がありますが、それによって、中の放射線を含んだ物質がすごい広範囲に広がったという状態なんです。

 たまたまと言ったら申しわけないですが、福島ではそれは起こらなかった。ただ、同じようなことがあの「もんじゅ」で起こったときに何が起こるかというと、必ず爆発もしくは火災が起こってしまう。このリスクというのはすごく大きいと私は思うんです。ですから、昔にナトリウム漏れが起こりましたけれども、あれを収束したというのは、相当奇跡に近いような、そういう状態だったんだろうと私は思っているんです。

 余り長々と話すと、へえという話だけで終わってしまいますが、こういうリスクがあるんだということを踏まえた上で研究をされていく、そして研究の結果を検討していくということ。それから、研究結果によってどういう検討をしていくかというところでも、同じようなそういうリスクがあるんだという認識を少し持っていただきたいなと思っております。

 余り質問せずに自分が話してしまっては申しわけないので、もしもその辺について御見解等々があれば、よろしくお願いいたします。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 「もんじゅ」について、委員御指摘のとおり、高速炉ということで、ナトリウムを冷却材とするというものでございます。

 「もんじゅ」につきましては、一昨年に点検漏れの事案が発生しておりまして、これは文科省の所管ではございますけれども、昨年五月に原子力規制委員会より厳しい措置命令を受けておりまして、今、原子力機構の管理運営体制の見直しということにつきまして、文部科学省を中心に取り組まれているということでございます。

 「もんじゅ」につきましては、エネルギー基本計画におきまして、廃棄物の減容、あるいは有害度の低減、それから核不拡散関連技術の向上等のための国際的な研究拠点として位置づけて、これまでの反省等をしながら、徹底的な改革を進めて、成果の取りまとめを目指す、そのための実施体制の再整備や新規制基準への対応など、克服しなければならない課題について取り組みを進めるということでございますので、当然のことながら、今の規制庁の指摘、あるいは新規制基準への対応を経た上で研究が進められるというふうに認識しております。

木下委員 ありがとうございます。

 文部科学省の部分だったので、お答えしにくいところをわざわざ答えていただいて、本当にありがとうございます。

 私が言いたかったのは、要は、そういうリスクがありますよと。国際的な研究拠点になるというふうなことを考えても、やはりそういうリスクを踏まえた上で、最先端の技術というのをどう進めていくのかということはしっかり考えなきゃいけないですし、最終的にどういう形になるかわかりません。商用の稼働がするのかもしれませんし、そうでないかもしれない。このまま研究機関となるのかもしれない。ただ、皆さんも含めて、こういう本当の中のリスクを余りテレビでも言わなさ過ぎると私は思っていまして、別に否定的なことを言っているわけではなく、ちゃんとしたリスク認識があるべきなんだろうと思っていたので、ちょっと長々とお話をさせていただきました。

 それから、最後になります。これはさらっとお話しさせていただきたいんです。

 今度は、うちの丸山委員が質問した件なんです。

 それは何かというと、電力システム改革の後に、後というのか、電力の、今まではやはり供給のコントロールという部分が大きかったが、需要のコントロールについてもぜひともやってほしいということで、大臣の方からしっかりとやっていくというふうな御答弁がありました。大臣が言われていたのは、スマートにコントロールしていくんだというふうにおっしゃられていたんです。

 これはしつこいようですけれども、需要をコントロールしていく一つの、スマートにコントロールする、まさしくスマートメーターの活用等が一番重要なことなんだろうというふうに思っているんですね。

 ただ、その中で一つ大きな問題があると思っているのは、スマートメーターなどを使ってデータをとり、電力会社が発電をコントロールする、それから、消費者の方も自分がどういうふうな使い方をしているんだというコントロールをする、これは一つ重要なことなんですけれども、もっと重要なことは、供給側も需要側も含めてしっかりとデータを分析することというのが重要だ。

 何が言いたいかというと、そのデータを分析するやり方なんですね。今、ビッグデータのいろいろな活用方法を考えられています。まさしくこれはビッグデータだと思っております。

 ビッグデータの活用の中で、先月、三谷委員が話をしていましたけれども、それについての基準がなかなかちゃんと整備されていないという話がありました。

 何かというと、要は、電力の消費の仕方の中で、多分こういうこともあるべきだろうと思うのは、では、その電気は何に使われているのか、例えば、冷蔵庫であるのか、クーラーなのか、照明なのか、それから、そこの世帯がどういう構成なのか、年代はどれぐらいの年代なのか、そういうことをしっかりと見て、それを分析していく。ただ、そのかわり、それはビッグデータとして活用するだけであって、何も個人を特定するようなものではないはずなんですね。だからこそビッグデータというふうに言われるゆえんだと私は思っているんです。

 ただ、今の法律の中では、個人情報保護法の中で、個人を特定するものはだめですよというふうに言っているが、それ以外ではパーソナルデータ、個人に関連するような情報、例えばどういう使い方をしているとかそういうことまでするとパーソナルデータに当たり、まさしくプライバシー権についても侵害するおそれがあるといいながら、これは法律ではまだ規定が決まっていないということなんです。

 ここで何か、どうこうしてくれという話ではないんですけれども、スマートに電力の需要をコントロールするというふうな話になったときに必ず必要になるのは、ビッグデータの取り扱い方法。

 最後に一つだけ言いたいのは、私は結論だと思っているんですけれども、今のやり方でやっていると必ずそこに頭打ちが来てしまう。なぜならば、心配する人たちのために法整備をしていこうというふうにやった場合に何が起こるかというと、さっきの手挙げ方式ではないですけれども、要は、そもそもは規制するんだから話が始まってしまうということなんです。ですから、ビッグデータについては、そういうやり方をするのではなくて、もともとは、そういう個人を特定するような形には使いませんよ、ですから、デフォルト状態ではそのデータを利用できるようなことをデフォルトにして、それでも嫌だという人が手を挙げて、私のデータは使わないでください、こういうふうにすることだと思っています。私はそういう議論が余りされていないと思うので、大分飛躍していますけれども、ちょっと一言これが言いたかったわけです。

 大臣、何かこういうことに関して御所見等あれば、最後にしたいと思いますので、よろしくお願いします。

茂木国務大臣 ビッグデータの活用は、電力の分野だけではなくて、今後極めて重要になってくると思っております。さまざまな属性別にデータの収集ができ、分析ができるということで、極めて重要であります。

 これをパーソナルデータとどう切り分けていくか、こういう明確な基準を早急につくるということがビッグデータを活用する上では最も大きな課題の一つである、このような認識を共有いたしております。

木下委員 ありがとうございます。

 その辺の認識は大臣が一番持っていらっしゃると思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。

 きょうは初めての上位打線ということで、これが法案審議だったらもっといいのになと思うんですが、どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、前回東電の副社長に来ていただきまして、安全対策費についてお伺いさせていただきました。その件から少し御確認をさせていただきたいと思います。

 東電の副社長は、新規制基準の前は千二百億円ぐらいの見積もりだったのが、それを規制基準を見直したことによって一千五百億つけ足して、二千七百億というのが今の見積もりですよという話があったところでございます。

 そのときに、きょうはちょっと東電以外のところも含めてということなんですが、まず、基本的なところといたしまして、安全対策費の取り扱いについてお伺いをさせていただきたいと思います。主にどのようなところに使われているのかということと原資について、参考人の方からお伺いさせていただけますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 各電力会社において原子力の安全対策ということで取り組みが行われておりますけれども、それぞれ各事業者のプラントの状況によりまして、どういうことを計上するのかということが違いますけれども、例えば津波の対策とか、非常用電源の確保とか、免震重要棟あるいはフィルターつきベントなど、規制対応、さらに安全性を向上させるためにそれぞれの事業者におきまして必要と考えられるものを判断して安全対策費に計上しているというふうに理解しております。

小池(政)委員 もう少し、その中身と、それから原資についてお伺いさせていただきたいんですが、確認といたしまして、今おっしゃったような津波対策とか耐震対策等につきましては、これは発電コストという形で計上される、減価償却費という形で計上される。また、立地自治体におきます安全対策というものもございまして、それについては電促税という形でこれは収入を得ている。そのような認識でよろしいんでしょうか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 電力会社が行う原子力発電所の安全対策に関する費用でございますけれども、これは電気事業の実施のために必要な費用でございますので、電気料金の原価に含まれ得るということでございます。

 それから、御指摘のございました地方自治体が行っております安全対策でございますけれども、電気料金との関係で申し上げますと、エネルギー特会の電源開発促進勘定から立地自治体に対して、今、原子力安全に対する費用が支出をされておりまして、その電源開発促進税につきましては、電力会社の販売電力量一キロワットアワー当たり〇・三七五円計上されているということでございます。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 それでは、原価に算入されているもの、また電促税におきまして計上されているもの、これはそれぞれどのような形で、どういう組織でチェックされているのか、それについてお伺いできますか。

高橋政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、電力事業者の行う安全対策の費用でございますけれども、これは電気事業の実施に必要な費用でありますので、電気料金の原価として手当てをされることが必要だと考えております。

 他方、こうした費用を料金原価に算入することに伴いまして電気料金の値上げが必要となる場合におきましては、認可が必要となるということでございますので、その審査におきましては、料金原価が最大限の経営効率化を踏まえたものであるかどうか、これにつきまして、電気料金審査専門小委員会における中立的、客観的な検討を踏まえながら、原価に算入するかどうかを審査するという形になってございます。

 原子力の安全対策に要する費用も例外ではございませんで、これまでの査定等におきましては、こういった原子力安全対策等を含みます工事、委託事業に関する費用につきましては、外部入札を実施する等々の効率化努力を促しながら、一〇%程度の調達価格の削減を織り込んで料金原価を算定してございます。

 それから、電源開発促進税でございますけれども、電気料金に含まれている一キロワットアワー当たり〇・三七五円につきましては、これは法律上、税率が決まっておりますが、税収の中からどれだけ安全対策費用に支出するかというのは、毎年予算に計上するという形でございますので、その予算の審議において決定されるということでございます。

小池(政)委員 ありがとうございました。

 電力会社が計上しているものについては、今おっしゃいました電気料金審査専門小委員会というところのチェックがあるということでございまして、私もこれはちょっと拝見しているところでありますが、今おっしゃった調達コストの効率化等ということもあるんですが、ただ、あくまで、こちらで行っているチェックというのは経営の効率化の観点からのチェックでございまして、安全面のチェックというのは規制委員会が行うわけなんですね。規制委員会は安全が達成されていればいいということから、経営合理性の面では規制委員会の方は見ていないわけであります。

 ただ一方で、この専門小委員会の方は、安全面は見ることはなくて、あくまで、対策がなされたものに対して、それがありきということで、では、果たして調達がどうやったら安くできるかということを今取り組んでいるところでありまして、そうすると、ちょっと構造的に、安全対策というものを、あるハードルがあって、それを超えれば幾らでもお金をつぎ込むことはできてしまうんじゃないかというような、そのような課題というものがあるんじゃないかなということを、昨年から私はこれを指摘させていただいておりまして、ここはちょっとモラルハザードの危険があるよということを少し、去年挙げていたところでございます。

 今回、ちょっとそれに関連するような事柄といたしまして、これは浜岡原発でございますけれども、業者が、所得隠しという形でニュースになりました。地元の建設業者等をまとめている法人が、安全対策というものを、発注するということを一手に引き受けて、今回の安全対策がかなり膨らんだということもありまして、この法人がかなりの所得を得ていた。ただ、その一部が計上されていない、所得としてしっかりと報告されていないということから、国税庁が今回指摘に踏み切ったわけでございます。

 私は、これは今回、所得隠しということで出てきておりますが、ほかの原発におきましても、安全対策特需というものがあるように、このような構図というものは結構ほかでもいろいろある中で、氷山の一角だと思っているわけでございます。

 その点、ちょっと大臣にお伺いさせていただきたいと思うんですが、この件に関しての問題意識をどのように捉えていらっしゃいますでしょうか。

茂木国務大臣 委員も御案内のとおり、国税当局が行います個別の対応についてのコメントは控えさせていただきたいと思うんですが、その上で、確かに、安全性の審査、これは規制委員会において行う、そして一方で、最大限の経営の効率化を図っているかどうか、電気料金の審査専門小委員会で客観的な検討を行いまして、厳正に審査をするということでありますけれども、同じ安全対策をするにも、いかに効率的にやるか、こういう視点は必要だと思っております。

 確かに、安全性とコスト、これが完全に一致するものではない、こういうことは委員御指摘の部分、私は非常に大切な視点だなと思っておりますが、料金審査において、同じ安全対策をするにしてもより効率的にということで、例えば電力会社に対して資材等の調達における競争発注比率を高める、こういったことを求めるなどして、国としても、電力会社の不断の経営の効率化、これの確認を行ってまいりたい、そのように考えております。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 私も、今の現状で難しいということはよくわかっております。だからこそ、自由化市場における市場圧力でありますとか、また発送電分離が早急に必要だということでございまして、それを進めなければ、過剰対策という形で、今、安全対策は重要だということは誰しもが認識しているところでございますが、それにかこつけた過剰なコストというものも、総括原価の中で消費者が負担することになってしまっておりますので、その点を認識していただきたいと思います。

 また、電力会社がやっている安全対策については、その自由化また発送電分離ということがこれからの一つの対処かとは思うんですが、ただ、電促税については、そのまま残ってしまいますので、これももう少し考えて、また議論をさせていただきたいと思います。

 また、今回、地方からの声といたしまして、前回、最後の電力システム改革の審議の中で大臣に答弁をいただきました、プルサーマルを推進していくということでございましたが、この点についても難色を示す、そういう自治体が幾つかあるわけでございます。それについて、どのような取り組みといいますか、どのような反応というものをこれから考えていらっしゃるんでしょうか。

茂木国務大臣 現在、プルサーマル計画を有する原発を含めて十一原発十八基の適合申請が行われているところでありまして、今後、原子力規制委員会におきまして安全性が確認された段階で、立地自治体等関係者の理解を得るために、事業者だけではなくて、国としても、プルサーマルの推進の観点も含めてしっかりと説明をしていくことが極めて重要だ、そのように考えております。

 安全性については、どう適合審査を行ったか等々、規制委員会を中心に説明を行う。また、エネルギー政策全般であったりとか、そこの中における原子力の位置づけにつきましては経済産業省が中心ということになってくると思いますし、また、避難計画、防災計画につきましては内閣府の防災担当と、役割分担をしながら、連携をして、しっかりした説明を行っていきたいと思っております。

小池(政)委員 自治体の中には、静岡もそうでありますし、また北海道函館市等もありまして、プルサーマルの必要性という話ではありますが、前回の質疑で指摘させていただいたように、プルサーマルを優先するという判断の前に、まず、今、日本に余剰プルトニウムはこれだけあるんだということを認識した上でしっかりと考えていただきたいと思います。

 この件はこのところでいいんですが、また、今度は原子力に関連しまして、今回、原子力規制庁とそれからJNESとの統合というものが行われたところでございます。これはつい最近のことでございます。今度はJNESから原子力規制庁というところに統合されるということで、公務員が多くふえるということが今までにない例であるかと思うんですが、その際に、統合予算について、その規模はどうなっていくのか、また、その原資というものはこれからどうしていくのか、その点についてもお伺いさせていただけますか。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力規制委員会とJNESの統合に伴って予算の規模がどういうふうに変化をしたかということでございますけれども、統合前の平成二十五年度の当初予算でいきますと五百七十三億円でございます。統合後の平成二十六年度の当初予算でいきますと六百十八億円ということで、増加してございます。

 この影響について申し上げますと、事業といたしまして、福島県沖の海洋モニタリングの強化でございますとか、原子力の安全研究に係る予算の増額といったようなところが主な増加要因になってございます。

 人件費について申し上げますと、統合前、二十五年度当初予算で百億円が、二十六年度の当初予算で百十六億円と、ふえてございます。これにつきましては、実は、平成二十五年度の補正予算の際に八十一名の定員増というものを統合とは別にお認めいただいたというところがございまして、二十六年度にその分の人件費の増が反映されているというふうに考えてございます。

 また、原資についてのお尋ねでございますけれども、規制委員会の予算は、一般会計とエネルギー特会と復興特会の三会計の予算から成り立ってございます。したがいまして、それぞれの会計別の原資が充てられているというふうに考えてございます。

小池(政)委員 今おっしゃったエネルギー特会の中に電促税もあるわけでございまして、ここも、やはり安全対策という形で、震災、この事故後、かなりふえているところでもありますので、そこの透明性、また検証等もしっかり行っていただきたいと思います。

 時間がなくなってきましたので、最後に大臣にお伺いさせていただきたいと思いますが、今回、このような統合の取り組みといたしまして、やはりJNESの専門性というものを規制庁に取り込んでいくということもあるかと思いますし、また、よく今回の事故の際に言われる、規制のとりこということで、規制する側が規制される側に取り込まれてしまって、それによって安全神話というものがこれまでできてしまった。

 その際に、やはり、JNESと規制庁は一緒になるわけでございますけれども、そこの専門性を高めると同時に、ほかからまた規制庁に、経産省とかほかの省庁から来るそういう人たちのノーリターンルールというものもしっかり確立しながら、かつ、そこで人材育成等も行っていくということがこれから本当に重要なことだとは思うんですが、規制のとりこ、これについて、大臣はこれからどのような対応等を考えていらっしゃいますか。

茂木国務大臣 福島第一原発の過酷事故を経験した我が国は、規制水準さえ満たせばリスクはないという安全神話と決別して、原子力にかかわる産業界の自主的な、また継続的な安全性向上、こういった取り組みが必要であると思っております。

 規制機関として、しっかりした体制をつくるということも重要であります。その独立性を確保する、こういったことも重要でありますが、事業者みずからがより規律を持って安全性向上に取り組むということが極めて重要だと考えております。

 アーノルド・トインビーは、歴史を失った民族は滅びると言っております。ここで言う歴史とは、誇りのことであります。まさに事業者にも、極めて重要な、そして厳しい役割を担っている、こういう誇りを持って、安全性の追求に終わりはない、こういった努力を続けてほしいと思っております。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 名言の方がちょっと頭に入ってしまったんですけれども、おっしゃるように、やはり、事業者もやっていくということではありますけれども、規制基準を満たせば何でもいいということでもないですし、また、最初に私が申し上げたように、基準を満たせばもうコストも何でもありということではなくて、国民負担ということも考えながら、しっかりこれからの事故の防止等に向けて取り組んでいただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 きょうは、きのう、きょうの朝日新聞で報道されております、政府事故調が作成をした吉田昌郎福島第一の所長の聴取結果書、この中身について、関連して質問いたします。

 きのうの朝日の一面の記事では、「所長命令に違反 原発撤退」「政府事故調の「吉田調書」入手」とあります。東電の事故調査報告書を拝見いたしましたら、東日本大震災四日後の二〇一一年三月十五日の朝、第一原発にいた所員七百人のうち約九割が十キロ南の第二原発に避難したことが記載されております。

 そこで、東電の廣瀬社長においでいただきました。事実関係の確認ということで御答弁いただければと思います。

 この第二原発に避難をしたメンバーの中には、現場で事故対応を指揮するはずのグループマネジャーと呼ばれる部課長級の社員もいたというのは事実でしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 当時は、大変厳しい状況になってきたというのを吉田は判断しておりまして、まずはとにかく安全なところに一時的に退避をしようという命令だったというふうに思っております。

 そうした中で、引き続き事故対応に当たる必要な人数、約七十名でございますけれども、これらを残し、ほかの者を退避させたということでございますので、必要な対応メンバーというんでしょうか、これについては七十名確保されていたというふうに考えております。

塩川委員 必要な対応メンバーは確保されていたということですけれども、そうしますと、避難をした中にはグループマネジャー、事故対応を指揮する、そういうメンバーの人たちも第二に避難をしていた、そういう人も含まれるということはどうですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 事故対応といいましても、食事の準備をする人間から、もう本当に総出でやっていたのは事実でございますので、いろいろな係の、GMというのはいわゆる普通の会社で言う課長クラスの職種でございますけれども、グループマネジャーと申しますけれども、そうした人間がもちろんいたのは事実ですが、最低限必要な七十名を残して、そのほかの人間を一時的に退避させたということでございます。

塩川委員 政府事故調の聴取に対する吉田氏の発言が報道で紹介されていますが、本当は私、二Fに行けと言っていないんですよ、福島第一の近辺で、所内にかかわらず、線量が低いところに一回退避して次の指示を待てと言ったんだ、これはそのとおりでしょうか。

廣瀬参考人 この点に関しては、今回、当時免震重要棟にいて吉田の指示を直接聞いた人間から改めてその点を確認し、ヒアリングをいたしましたところ、吉田の指示は、線量の少ない一Fの敷地内がもしなければ、二Fも避難先として検討せよという指示だったというふうに申しております。

塩川委員 ここでは、二Fに行けと言っていないというふうに吉田所長の言葉が紹介されているんですけれども、それは違うということですか。

廣瀬参考人 私ども、吉田の政府事故調での聴取内容というのは存じ上げているところではございませんけれども、今回改めて、聞いた側の人間にどうだったんだろうかという確認をいたしましたところ、先ほど申し上げたようなことを聞いて、その上で二Fへの一時退避を行ったということでございました。

塩川委員 廣瀬社長の答弁の中にもありましたけれども、二Fに全部行けという指示ではなかったということですよね。ですから、そういう意味では、所内の線量の低いところも含めて避難をするという指示ではあったということですね。

廣瀬参考人 先ほど、当時いた人間に確認しましたところ、もちろん、当然、一Fの構内で避難ができるような線量の状況があればそういうことだったんだと思いますけれども、そこがなかった場合には二Fも考えろということでございました。

 今、翻って考えてみて、当時、十五日の朝というのは非常に危険な状態で、前の日からいろいろな準備が行われているという中で、当然、吉田も免震重要棟の中におって、爆発音を聞いて、大変なことになったということで避難命令を出すわけですけれども、その中で、一Fの構内のどこが線量が少ないのかというようなことをわかった上でそうしたような指示をしているわけではないと思っております。したがいまして、私どもの認識は、吉田の指示は、とにかく安全なところに一時的に避難をしろということだったというふうに思っております。

 一方で、そうした中で、結果として二Fに避難するわけですが、問題となっている一時避難については、私どもは安全に行われたというふうに思っておりますので、これはこれで一つ、安全に行われたということです。

 なお、一方、先ほども申しましたけれども、必要な人間は一Fにとどまり、事故対応を行っておりましたし、また、一旦二Fに退避した人間も、数時間の休憩をとった後、一Fに戻り、そこでまた事故対応を継続しております。したがいまして、この間、九割方の人間が二Fに退避をしたということによって一Fの事故対応が滞ったであるとか、そうしたようなことはなかったと私どもは認識しておるところでございます。

 したがいまして、また、そうした二点のことも踏まえて、私どもの事故調査報告の中でも、今回の問題となっております一時退避の行き先、どこに退避をしたのかということについて、議論にはなっておりません。要するに、安全に一時退避行動がとられた、その間、特に、人が遠くに行き過ぎてしまったので事故対応ができなかったという事実がないということをもって大きな話題というか、議論になっておりません。

 一方で、先ほども言いましたように、改めて吉田の発言内容について、聞いた側の人間から先ほどのようなことをヒアリングしておりますので、私どもとしては、今回の御指摘の件について、二Fに一時的に退避したことが吉田の所長命令の違反だというふうには考えておりません。

 御存じのように、今一Fでは大変な厳しい作業が行われておりまして、汚染水問題、それから一Fの廃炉問題について、当時残っていた人間のかなりの多くが引き続き今そこで、厳しい環境のもとで作業を行っております。彼らのそうした心情を考えますと、今回、九割の人間が所長命令違反だという報道がされたことに対しては、極めて残念なことだというふうに私は思っております。

 今後も、頑張って、気持ちを切らさずに、そこで高い使命感、責任感を持って仕事をしていただかなければいけないんです。社長としても、その辺を腐心して、そうしたことがないように、しっかり今後とも作業に当たっていただけるように取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。

塩川委員 一点確認ですけれども、七十人の方が残った、残りの九割の方は二Fに皆さん避難をされた、そういう整理でよろしいですか。

廣瀬参考人 九割の人間は二Fに一時退避をしたということでございます。

塩川委員 その点でも実際どうだったかという検証が問われるわけで、東電としてのお話はそういうことかもしれません。そういう点でも、政府事故調の、これも後で政府の方に開示を求めたいと思いますけれども、事実関係の検証が必要であります。本当に必要な人員が確保されていたのかという問題については、まさにあの事故の局面ですから、高い放射線量下の過酷な環境の中でどういう実態だったのかということ、それが指揮命令との関係でどうだったかということについて、民間の東電の社員が対応するという局面でのこの問題点についてしっかりと明らかにしていくということが必要であります。

 あわせて、ドライベントの話がありました。きょうの報道では、「吉田調書などによると、三号機は十四日未明、注入する水が枯渇して危機を迎えた。東電はウエットベントで格納容器の圧力を下げようとしたが下がらず、十四日午前六時二十三分、次善の策としてドライベントの検討を始めた。」これはそのとおりでよろしいでしょうか。

廣瀬参考人 当然、いろいろなケースを考えていろいろな策を考えておくということだと思います。そうした一環で、ウエットベントをしながら、ドライベントをどうしていくのかということについての検討も始めていたというふうに思っています。

塩川委員 その検討に当たりまして、いわゆる放射性沃素がどれぐらい放出されるかという予測を行っていたということも報道されておりますけれども、「午前七時前の時点で甲状腺がんを起こす放射性ヨウ素が南南東の風に乗って北北西方向に広がり、三時間で福島県北部の相馬郡付近が二百五十ミリシーベルトになると予測。」をした。その後も、「再度、ドライベントを実施した場合の放射性物質の拡散を予測していた。」こういう拡散予想を繰り返し行っていたというのもそのとおりでしょうか。

廣瀬参考人 あらゆるケースを想定して、どういうことになるかということは当然のことながら慎重に検討していたというところだというふうに思っています。

塩川委員 二百五十ミリシーベルトになる、こういう予測もあったということでしょうか。

廣瀬参考人 いわゆるシミュレーションでございますけれども、そうした数字で行われていたということでございます。

塩川委員 こういった、三号機で、放射性物質の拡散予測を含めて、ドライベントの実施を検討したということであります。

 これについて、住民に知らせるという考えはなかったんでしょうか。

廣瀬参考人 まず、そもそも今のシミュレーションは、そうなった場合にどういうことになるかということを、あらかじめ事前にいろいろなケースを検討しておくということでございました。

 その以前に、三号機の場合は、四回にわたりウエットベントを行ってきておりますので、そうした段階では、当然のことながら、地元の自治体であるとか政府の関係機関には通知をして、そうしたことをやってきた。

 そういう中において、そうでないケースも考えておこうということでございますので、まだその段階に至っていないという、それをせずに済んだということだというふうに認識しております。

塩川委員 結果としてドライベントということを行わなかったわけですけれども、こういうドライベントを行う、まさに環境に放出するわけですから、そういったドライベントを行うという選択肢が具体的に検討されたときに、住民に知らせようという考えはなかったということですか。

廣瀬参考人 これについては、どの段階で、どのぐらいの状況でそうした判断、通知をするかという問題だというふうに思っております。

 これについては、状況状況によって刻々と変わりますし、もちろん政府関係機関とも当然御相談をしていかなければいけないと思っておりますけれども、そうしたことについての事前の予行演習的なことでしょうか、そうしたようなことについては今後ともしっかりやっていかなければいけないと思っておりますけれども、あの時点でそうした判断はしなかったということだというふうに認識しております。

塩川委員 当時、政府による情報規制もあったわけであります。そういう点でも、政府の情報規制のあり方の検証も求められておりますし、住民に知らされなかったという点が、やはり、今後の対応を考えても、重大な点だろうと思います。

 こういった一連の報道が、政府事故調の吉田所長からのヒアリングの記録、聴取結果書ということのようですけれども、こういった記録について、当然、東電側についても、関係者からのヒアリングもあるでしょう、吉田所長からのヒアリングもあるでしょう、そういった関連の資料をしっかりと東電として開示をしていく。今答弁されたような中身について、具体的なヒアリングの調書とかそういうことを含めて、きちんと開示をいただきたいんですが、この点はいかがですか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 御存じのとおり、私どもも事故調査をやり、事故調査報告書というのを公表させていただいております。

 その調査の段階では、さまざまなデータを収集して、分析して、調査をして、解析をする、あるいは、関係者の証言をいろいろ、聞き取り調査するということをやっていくわけですけれども、そうした中で、しっかり、矛盾がないかとか、あるいは合理的に説明がつくのかというようなことを検証してまいったわけでございます。その結果、そうしたことを反映して、事故調査報告書として、東京電力として取りまとめて、公表させていただいているところでございます。

 もちろん、この取りまとめに当たりましては、私どもだけでなくて、第三者の先生方に入っていただいて、そうした取りまとめを行い、東京電力の事故調査報告書として公表させていただいているところでございます。

塩川委員 今やりとりした詳細までは事故調査報告書には書かれていないわけですから、その点も含めて、しっかりとした、背景となるような資料を明らかにしていただきたいと重ねて申し上げておくものです。

 内閣官房にお尋ねします。

 この件について、菅官房長官が記者会見でも述べておられます。この吉田昌郎所長が政府事故調に答えた記録である聴取結果書の開示をぜひ求めたい。

 その際に、報道によると、官房長官が、現在、事故があったときに対応する人には、この調書を職員立ち会いのもとで開示して対応できるようにしていると述べているんですけれども、これはどういうことなんでしょうか。どういう人が対象なんでしょうか。見た人がいるんでしょうか。

鎌形政府参考人 お答え申し上げます。

 政府事故調が行った吉田元所長へのヒアリング記録についてのお尋ねでございますが、政府事故調及び国会事故調のそれぞれが、そのヒアリングの内容も踏まえまして、報告書を取りまとめ、公表しているところでございます。

 吉田元所長を含め、政府事故調が行った関係者からのヒアリングにつきましては、非公開を前提に、任意の協力を得て行ったものでございます。

 また、吉田元所長の公開についての考え方でございますが、政府事故調が行ったヒアリング記録について、国会事故調から政府事故調に対して提出依頼がございました。その際に、吉田元所長は、第三者に向けて公表されることは望まないこと、また、ヒアリング記録は国会事故調にて厳重に管理し、調査終了後は政府事故調に返却することなどの条件を付す旨、上申書を提出されています。

 このように、吉田元所長は、ヒアリング記録の外部への開示を望んでおらず、政府としては非公開の扱いとしているというところでございます。

 それからもう一点、政府事故調の資料についての政府内の扱いでございますけれども、政府事故調の資料につきましては、事故原因究明の観点から、政府職員の閲覧が必要な場合には、担当職員、私どもの部屋の職員の立ち会いのもとに資料が閲覧できるという扱いはしてございまして、これまでの実績につきましては、原子力規制庁の職員が閲覧したことがございます。

 以上でございます。

塩川委員 田中原子力規制委員長は、知らない、読んでいない、出れば読ませていただきたいと言っているわけですけれども、少なくとも、規制委員長とかであれば見ることができるという説明ということでしょうかね。

鎌形政府参考人 もちろん、どなたがというよりはどういう目的でということで、事故原因の究明ということであれば閲覧が可能だというのが今の取り扱いでございます。

塩川委員 事故原因の究明を求めているのは国民全体なんですよ。国民の要望なんです。そういう点でも、きちんと開示をするということこそが、国民の、あの事故から学ぶ、そういうことであれば、行うべき政府の対応じゃないでしょうか。

 ですから、そういう点でも、泉田新潟県知事などが、事故の検証のためにも公表すべきだと。多くの所員が撤退したことについて、労働法制の制限があり、一定の放射線量を超えると使用者が労働者を働かせると違法になる、こういう問題もあるわけで、あの事故の局面でどうだったのかということをはっきりと明らかにすることこそ、今行うべき点です。

 そういう点でも、大臣にこの点、政府全体として、こういう情報について開示をして、真相究明を求めていく、教訓化を図っていく、こういうことをぜひ図っていただきたいと思いますが、一言。

茂木国務大臣 原発については、その安全性を最優先して、二度と過酷な事故を起こさないように全力を挙げていく、このことが基本だと思っております。

 その上で、万が一原子力事故が発生した際の、オンサイトの事故の収束については原子力規制委員会が担当しており、また、政府事故調査委員会に関しましては、先ほども答弁がありました内閣官房が担当しておりますので、私がお答えする立場ではないかと思いますが、あえてコメントということで求められましたら、大変厳しい環境のもとで困難な作業を続けている作業員の方々が事実に反して批判されることがあってはならない、このように考えております。

塩川委員 まさにその現場の状況をリアルに明らかにしてほしいというのが要求なんですから、それに応えるような対応をぜひお願いしたい。

 委員長に要望ですけれども、こういった政府事故調の資料について委員会として開示を求める、この点について、ぜひお取り計らいをいただきたいと思います。

富田委員長 後刻、理事会で協議いたします。

塩川委員 原発事故時の政府や東電の対応をしっかりと明らかにするということが今求められているということを最後に申し上げて、質問を終わります。

     ――――◇―――――

富田委員長 次に、内閣提出、小規模企業振興基本法案及び商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 これより順次趣旨の説明を聴取いたします。茂木経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 小規模企業振興基本法案

 商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

茂木国務大臣 小規模企業振興基本法案並びに商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。

 まず、小規模企業振興基本法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 全国三百八十五万の中小企業、中でもその九割を占める小規模事業者は、地域の経済や雇用を支える極めて重要な存在であり、経済の好循環を全国津々浦々まで届けていくためには、その活力を最大限に発揮させることが必要不可欠であります。

 しかしながら、小規模事業者は、人口減少、高齢化、海外との競争の激化、地域経済の低迷といった構造変化に直面をしており、売り上げや事業者数の減少、経営層の高齢化等の課題を抱えております。

 昨年の通常国会では、八本の関連法案を一括で改正する小規模企業活性化法を成立させていただきましたが、中小企業基本法の基本理念にのっとりつつ、小規模企業に焦点を当て、小規模企業活性化法をさらに一歩進める観点から、小規模企業の振興に関する施策について総合的かつ計画的に、そして関係者が一丸となって戦略的に実施するための新たな施策体系を構築することが必要であります。

 以上が、本法律案を提案した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、小規模企業の振興についての基本原則として、小規模企業の事業の持続的な発展を位置づけます。また、個人事業者を初めとする従業員が五人以下の事業者を小企業者とし、その円滑かつ着実な事業運営のための配慮を定めております。さらに、国及び地方公共団体の責務等を明らかにしております。

 第二に、毎年、国会に、小規模企業の動向及び小規模企業の振興に関して講じた施策に関する報告等を提出することとしております。

 第三に、小規模企業の振興に関する施策の総合的かつ計画的な推進を図るため、小規模企業振興基本計画を定めることとしております。

 第四に、小規模企業の振興に関して国が実施すべき基本的施策として、国内外の多様な需要に応じた事業の展開の促進、小規模企業に必要な人材の育成及び確保、地域経済の活性化に資する小規模企業の事業活動の推進、適切な支援のための支援体制の整備、施策の実施に際して必要な手続の簡素化等を定めております。

 続きまして、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 全国三百八十五万の中小企業、中でもその九割を占める小規模事業者は、地域の経済や雇用を支える極めて重要な存在です。しかしながら、小規模事業者は、人口減少、高齢化、海外との競争の激化、地域経済の低迷といった構造変化に直面しており、売り上げや事業者数の減少、経営層の高齢化等の課題を抱えております。

 このような厳しい経営環境において小規模事業者が持続的に事業を発展させていくためには、国内外の需要の動向やみずからの強みを分析し、新たな需要を獲得するために事業を再構築していくことが必要です。他方で、多くの小規模事業者にとっては、独力でこれらの取り組みを行うことは容易ではありません。

 したがって、半世紀以上にわたり小規模事業者から経営の相談に応じ、指導を行ってきた商工会及び商工会議所が、小規模事業者による意欲ある取り組みを強力に支援し、小規模事業者の持てる力を最大限に引き出していくことが必要であります。

 以上が、本法律案を提案した理由であります。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、小規模事業者の事業の持続的発展を支援する体制の整備であります。商工会及び商工会議所が、その強みを十分に発揮しながら、小規模事業者による事業計画の作成及びその着実な実施を支援することや、地域活性化にもつながる展示会の開催等の面的な取り組みを促進するため、商工会及び商工会議所の作成する支援計画を認定する仕組みを新たに盛り込みます。

 第二に、商工会及び商工会議所を中核とした連携の促進であります。商工会及び商工会議所による支援計画において、地方公共団体や地域の金融機関その他の支援機関等と連携することで、地域ぐるみで幅広い視点や専門的な知識を結集して小規模事業者を支援することのできる仕組みを盛り込みます。また、連携主体が一般社団法人等の場合に中小企業信用保険法の特例を講じ、資金調達の円滑化を図ります。

 第三に、独立行政法人中小企業基盤整備機構を活用した支援措置の充実であります。計画の認定を受けた商工会及び商工会議所等に対して、独立行政法人中小企業基盤整備機構による高度な経営支援に関する情報を提供することにより、小規模事業者の支援の実効性を確保します。

 以上が、両法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

富田委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

富田委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 両案審査のため、来る二十八日水曜日午前九時、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時四十六分散会


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