衆議院

メインへスキップ



第21号 平成26年6月4日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十六年六月四日(水曜日)

    午前九時四分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    穴見 陽一君

      井上 貴博君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大見  正君

      勝俣 孝明君    金子 恵美君

      佐々木 紀君    白石  徹君

      菅原 一秀君    田中 良生君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    湯川 一行君

      枝野 幸男君    岸本 周平君

      近藤 洋介君    辻元 清美君

      伊東 信久君    木下 智彦君

      丸山 穂高君    國重  徹君

      三谷 英弘君    小池 政就君

      塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業副大臣      松島みどり君

   財務大臣政務官      葉梨 康弘君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            小野  尚君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            長谷川 靖君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           神田 裕二君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           西山 圭太君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            松永  明君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月四日

 辞任         補欠選任

  宮崎 謙介君     金子 恵美君

  八木 哲也君     湯川 一行君

  山田 美樹君     井上 貴博君

同日

 辞任         補欠選任

  井上 貴博君     山田 美樹君

  金子 恵美君     宮崎 謙介君

  湯川 一行君     八木 哲也君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 小規模企業振興基本法案(内閣提出第五一号)

 商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第五二号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、小規模企業振興基本法案及び商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官小野尚君、金融庁総務企画局参事官長谷川靖君、厚生労働省大臣官房審議官神田裕二君、経済産業省大臣官房審議官西山圭太君、中小企業庁長官北川慎介君及び中小企業庁事業環境部長松永明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 おはようございます。民主党の近藤洋介です。

 質問の機会をいただきまして、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。

 きょうは、小規模企業の振興基本法、大事な法律の質疑であります。関連法の質疑であります。

 まず最初に、これは、同僚議員からも既にこの委員会の質疑で話題といいましょうか、取り上げられている話をちょっとさせていただきたいなと思うんです。

 中小企業白書、ことしの白書を私も読ませていただきまして、最初いただいたときは、この白書、何か枕になるぐらいで、えらい太いなと。九百十ページ、資料も含めると大変大著の白書で、最初いただいたときはしばらく積ん読にしておったんですが、この法律もあるので、また、こう言ってはあれですけれども、白書は基本的には読むという習慣をつけているので読み始めたんですが、読み始めたらなかなかとまらない、いい白書だ、こう思います。別に褒めたからどうというわけではないんですけれども、ここ二十年来で一番いい白書じゃないかなと思います。

 調査なくして政策なし、こうよく言われるわけでありますが、ことしの白書は、全体的に体系立てて分析がされているということに加えて、現場の状況も非常によく調査をされている白書でありますし、経済産業省の白書、毎年いい水準を保たれている白書は通商白書、これは毎年楽しみに読ませていただいております。いいできの白書が多いなと思っています。

 加えて、最近なかなかおもしろいのは、ものづくり白書。これも、ことしのものづくり白書はもう閣議決定されたのかどうかわかりませんが、毎年一定の水準。毎年楽しみに読ませていただいております。通商白書は伝統的になかなかいいものをつくり、ものづくり白書もなかなかいい分析をされている、中小企業白書もことしは非常にいいできの白書をつくられたと思っております。

 大臣、経済産業省の評価というのは、私も政務の経験をさせていただいて、表彰制度というのがあるわけでありますが、いい業績、いい仕事をされた職員をそれぞれ大臣官房が評価をされるわけですけれども、私が在任中、政務官なり副大臣なりをやったときは、白書をつくった部隊を表彰した記憶というのは余りないですが。

 地味な部隊であります、白書をつくる部隊というのは。ただ、こういった白書をつくる部隊というのはなかなか表に、法律をつくる人たちというのは、つくれば非常に評価をされて、役所的にも点数が上がると言っては失礼ですけれども、評価をされるんでしょうけれども、いい白書を書いたら評価されるというのは余りないのかもしれないので、ぜひ心にとめて、多分、茂木大臣は大変見識の高い大臣であられますから、そういうところにも目くばせをされているんだろうと思いますが、こういう調査部隊にもそういう光を、別に中小企業白書に限らずでありますが、いい調査分析をした部隊に対しての評価、法律をつくるのと同等以上の評価を与えていただきたいということをまず冒頭申し上げたいなと思います。

 あえて議事録に記載する形で私も発言をさせていただきましたが、これについて、ちょっと通告にはないんですけれども、大変恐縮ですが、調査部隊の重要性というのでしょうか、白書を書く部隊に対しても光を当てていただきたいということ、中小企業白書への感想でも結構なのですが、大臣、冒頭に一言、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 近藤委員の方から中小企業白書につきまして大変高い評価をいただいたこと、省全体としても、また、現場でさまざまなヒアリング等を行いましてこの白書を作成したわけでありますが、心から感謝を申し上げます。また、委員の白書を拝見しますと、至るところにポストイットを張っていただいている、読み込んでいただいたという跡がわかるわけであります。

 今回の白書におきましては、小規模企業においても、一くくりにはできない、やはりいろいろな類型というものがある。例えば、大きく分けますと地域需要志向型と広域需要志向型ということで、それぞれが目指すべき道も違う。同時に、創業期に抱える問題、第二の創業期に抱える問題、さらには海外展開をするに当たって抱える問題、こういった形で問題整理もさせていただいているところであります。具体的な事例も盛り込む形にいたしました。

 今後は、その表紙、白書ですから白いわけでありますけれども、今デザインを募集しておりまして、全国の中小企業経営者の笑顔でこの表紙を埋めたいな、こんなふうに考えているところでありますけれども、中小企業の皆さんが本当に笑顔を持てるような状況を一日も早くつくるためにも、この白書の分析も極めて重要でありますが、分析を踏まえて政策をきちんと打ち出し実行していく、このことが何よりも求められている、このように考えております。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 ぜひ、きちっとした調査に基づいた実行を進めていただきたいと思いますし、また、重ねて申し上げますが、こうした地味な調査というのは本当になかなか骨の折れる仕事でありますけれども、そうした作業をいとわず、各部局にも、政策をつくる前にきちっと調査するということ、進めるよう指導していただければと思うわけであります。

 さて、具体的に、質問に移りたいと思います。

 まず、最初の質問です。小規模企業、中小企業を取り巻く金融について、金融庁の政府参考人、財務省に伺ってまいりたいと思います。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますけれども、この資料の二枚目に五月二十日付の日経新聞の一面の記事、及び、その次のページに麻生財務大臣兼金融担当大臣が経済財政諮問会議で配付した資料を添付させていただいております。

 五月十九日の経済財政諮問会議で、麻生財務大臣兼金融担当大臣が、民間金融機関の目きき、経営支援を促すため信用保証を見直すといった趣旨の発言及び資料を添付しております。この三枚目の添付資料のところに、ポンチ絵の資料でございますけれども、左側のところに、「効果的な資金供給」「民間金融機関の目利き・経営支援を促す信用保証の見直し」という文言が書かれております。

 この文言が書かれていることを踏まえて、この日経新聞の記事が、「中小融資の保証縮小」といった大きな見出しの記事が書かれているわけでありますが、まず、金融庁の政府参考人に、「信用保証の見直し」、この意味は一体何なのか、お答えいただけますでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の御発言でありますが、麻生大臣は、地域経済の活性化を図っていくに当たって、地域の金融機関が果たすべき役割は大きいとの認識のもと、五月十九日の経済財政諮問会議におきまして、金融機関が一層の目きき力を発揮することや経営支援を図ることを促し、担保や保証に過度に依存しない、事業性を評価した融資を進めていくことが重要であるとの趣旨で御発言されたものと承知してございます。

 中小企業向けの信用保証制度につきましては、中小企業の資金繰りを支援していく上で一定の役割を果たしてきておりますが、これに頼り過ぎますと、中小企業と金融機関の双方がモラルハザードを起こしかねないという指摘もございまして、これまでも累次の見直しを図ってきたものと承知してございます。

 いずれにいたしましても、まずは、この制度を所管されています経済産業省におきまして、今後検討されるべきものと存じております。

近藤(洋)委員 御答弁ありましたが、麻生大臣の発言を受けた形で、大きく「中小融資の保証縮小」と出ておるんです。

 まず、現状をお伺いしたいんです。これは中小企業庁に伺いたいんですが、信用保証制度、この資料の一ページ目、セーフティーネット保証で全額保証という制度、これはもともと、全額保証の制度は当初から全額保証というのが基本だったわけでありますけれども、その全額保証を一旦見直しをして、やはり民間企業も一部リスクをとるべきだということで、八割保証という原則に一旦変えたわけであります。八割保証に変えて、二割は民間がリスクをとるという責任共有制度を導入して、導入したのは、私ども、当時野党でしたけれども、理解を示しました。

 その上で、それを導入したやさきにリーマン・ショックという事態になり、この表にありますように、この折れ線グラフを見ていただくとわかりますけれども、全額保証を千業種にどおんと広げてきたわけであります。千業種に広げて、現在、一〇〇%保証は、千業種あったものを随時また縮小してきているわけでありますが、この全額保証制度、今は二百六業種が全額保証、こういう形になっているのがこの資料を見ていただければわかるわけであります。

 まず、この一〇〇%保証の対象基準というのはどういうものになっておるのか。また、この制度の基本的な概要というんでしょうか、改正を私、今申し上げましたけれども、簡略に、政府参考人、御答弁いただけますでしょうか。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 信用保証制度は、制度創設以来、融資額の一〇〇%を保証するという制度でございましたが、御指摘のとおり、平成十九年に、融資額の八〇%について保証協会が保証を行い、残りの二〇%を金融機関の負担とする、いわゆる責任共有制度を導入いたしました。

 その後、平成二十年九月、リーマン・ショックの発生を受けまして、業況が一時的に悪化している業種を指定しまして、緊急避難的に資金繰りを支援するセーフティーネット保証につきまして運用してまいりました。これはあくまでも例外措置ということでございますので、本年三月から制度本来の運用に戻すということでございます。

 この対象業種の指定の基準でございますが、需要が著しく減少して、その業種の最近三カ月の月平均売上高が前年同期の月平均売上高に比較しまして五%以上減少し、かつ、最近月の売上高が前年同月の売上高に比して七%以上減少している、こういった基準で指定をいたしてございます。

近藤(洋)委員 要するに、売り上げがどんと落ちた業種に限って全額保証を適用している、あとは震災とか大きな災害を受けた地域、そうしたものに限って、考え方としては特例的に認めているということでよろしいわけですね、長官。あくまで特例的に認めておる、こういうことでよろしいわけですね。

 それで、確認でありますが、今現在は二百六業種でありますけれども、既に、六百四十二業種から、この三月から現在に至って二百六に減らしておりますけれども、これはどういう経緯でどんと減っているんですか、長官。

北川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、六百四十二から百九十六、そして二百六というふうに動いておりますけれども、これは、今申し上げた基準を適用いたしまして、このようにいたしているところでございます。

近藤(洋)委員 今の適用基準を運用した結果こういう形になっている、こういうことですね。これは政府の御答弁であります。

 そういう状況の中で、この麻生発言を受けての報道ぶりなんですけれども、まず、金融庁側に伺いたいんです。

 この資料及び麻生大臣の御発言は、金融担当大臣としての発言なのか。この資料も「麻生財務大臣兼金融担当大臣提出資料」、これは両方の名前がかぶっているのでよくわからぬのですが、財務大臣としての発言なのか、金融大臣としての発言なのか。これは、きのうもちょっと、通告したときに両省で何か綱引きがあったやに聞いているんですが、一体どちらの発言なのか確認をしたいんですが、どちらとしての発言なんですか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 麻生大臣の御発言は、財務大臣、金融担当大臣、両方の立場からの御発言であるというふうに承知してございます。

近藤(洋)委員 両方の立場というのは微妙でございまして、では、ちょっと中小企業庁長官、これも事実関係なので。

 信用保証制度はたしか黒字ではないと思います、赤字だと思いますが、直近、幾らの赤字になっているかお答えいただけますか。国庫負担がどれぐらい発生しているか、お答えいただけますか。大体で結構でございます。赤字か黒字か、何円規模の黒字、赤字になっているか。

 縮小はしているというふうに聞いております。ただ、しかしながら、信用保証制度は三千億円規模の赤字が発生をしているはずでありますが、黒字ではないはずでございますが、保証料だけでは当然黒字にはなっていない、国庫による負担が生じているはずでありますけれども、長官、その事実関係をお答えいただけますか。

北川政府参考人 約二千億円程度の赤字となってございます。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。済みません、通告なく恐縮でございます。ありがとうございました。

 そうなんですね、赤字なんですね。そうすると、財務大臣の立場からすると、この赤字を少しでも黒字にしたいというか、赤字を切りたいという立場になるのは当然で、信用保証制度を、要するに全額保証は減らしたいという力が働くのは、これは財務大臣としての立場なんですね。ところが、中小企業金融の立場となると、これはまた違う立場になるわけであります。ですから、両方の立場というと、これは非常に微妙になるわけであります。したがって、私は多分この記事は誤報だと思うんですが。

 ここで経産大臣にお伺いしたいんですけれども、現実問題として、全額保証、今、二百六業種になっております。直近の業績が悪化した場合は全額保証にする、ただ、原則は責任共有制度で八割保証である、二割は民間企業にリスクを担ってもらうという制度である。この八割、二割という比率、本当にこれがいいのかというのは、私は個人的にはよくわかりません。本当は七割ぐらいがいいのかもしれませんし、そこの決めの問題というのはよくわかりません。

 しかし、ちょっと確認をしたいのは、現時点で、この信用保証制度の見直し、麻生財務大臣兼金融担当大臣が、民間金融機関の目きき、経営支援を促す信用保証の見直し、ここに紙で書いていますけれども、担当の経済産業省としては、この一〇〇%保証を、枠を、制度運用を小さくする、例えばさらにもっと厳格に適用する、ないしは八割保証を七割にする、保証の割合を変えるとか、ないしは運用基準をもっと厳しくするといったことを具体的に考えていらっしゃるのか。

 この事実関係、対象の縮小等を現実に検討されているのかどうか、お答えいただけますでしょうか。

茂木国務大臣 まず、五月の十九日の経済財政諮問会議そして産業競争力会議の麻生大臣の発言でありますけれども、私も出席をしておりまして、たしか指名を受けたときは麻生副総理と呼ばれて、麻生副総理が発言をされておりました。それは事実として申し上げます。別に財務大臣と呼ばれたわけでもなく、金融担当大臣でもなく、麻生副総理ということで。ただ、細かい説明はされておりませんでした。

 問題認識としては、やはり信用保証制度、責任共有制度である。また、麻生大臣は企業の経営もされておりましたから、ある意味、一〇〇%保証して銀行は何もリスクをとらない、こういう制度はおかしいだろう、こういう基本的な問題認識は持っていらっしゃるんだろう。

 我々もその認識は共有をしておりまして、千業種を超えたというのはリーマン・ショック以降の緊急的な事態でありまして、今、通常の運用の状態に責任共有制度のもとで戻させていただいたという段階でありまして、現時点において、さらなる制度の見直しについて検討に着手したとか、検討の方向を決めたという事実はございません。

近藤(洋)委員 大臣御答弁いただいたように、私も、一〇〇%保証というのはやはりおかしいと思います。ですから、責任共有の枠組みを入れたということは正しいと思います。これは全くそうだと思うんですね。現時点において、ただ、経済産業省としてはそういう検討に着手したことはない、こういうことであります。

 では、金融庁にちょっとお伺いしたいんですけれども、まさに麻生副総理がそういう発言をした。そうすると、逆に言うと、事はまた面倒くさくて、副総理というと格が上でございますから、上の方が御発言をされたということでありますが、私は、信用保証制度というものが、確かに金融機関の目きき能力の阻害要因になっているという指摘は一理あると思っているんです。

 確かに、保証があるがゆえに、特に一〇〇%保証などというものが逆にあったからこそ、金融機関は全く、きちんとした、事業を見ずにお金を貸し続けてしまったということになってしまったんだろうと思うんですね。ですから、それはそれで、確かにこれは問題であった、だから責任共有制度を導入したわけであります。

 ただ一方で、麻生副総理がおっしゃるように、今の責任共有制度がある上で、さらにまたその信用保証を仮に副総理がおっしゃるように見直しをしても、今の金融機関の状況の中で信用保証制度をさらに縮小したからといって、では、今、それについていくだけの金融機関になっているのか。金融機関が、では、それだけの目きき能力を今持っているのかということも、他方で私は、能力に対して疑問を持つわけであります。本当に金融機関がそこまで、ハンズオンでというか、持つだけの能力になっているのか。

 もちろん、金融機関の中には、大変能力を発揮されている金融機関は一部にはございますけれども、大方の金融機関は、まだまだそうした目きき能力があるとは到底思えない。ですから、今の状況の中で、いたずらに信用保証制度を縮小してしまうと、逆に、金融機関の中小企業向けの融資を縮小させるだけではないかという危惧も持つわけであります。

 ここはやはり金融機関側に対しても相当自己改革を迫らないと、これは問題ではないかと思うんですが、それこそ金融庁、そこはしっかりやるべきだと思いますが、いかがでしょうか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに御指摘のとおり、金融機関の目きき能力を高めていくことは極めて重要でございます。そのような観点から、実は、私どもの二十五事務年度の監督方針におきましても、地域金融機関においては、「いわゆる目利き能力を育成・発揮し、担保・保証に過度に依存することなく、借手企業の事業価値を的確に見極めるとともに、事業価値の向上に資する取組みを行っていく」ということが書かれておりまして、このような観点から、引き続き、金融機関に目きき能力の向上を促してまいりたいと思います。

 また、最近では、私どもは、金融機関が中小企業に対する目きき力を発揮しまして、新規融資や経営改善、事業再生の支援に積極的に取り組んでいくことを促進する観点から、先進的な取り組みや、広く実践されることが望ましい取り組みの事例につきまして、取り組み事例集、「新規融資や経営改善・事業再生支援等における参考事例集」というものを昨年十月につくりまして、また、本年四月には、その事例集の追加版を公表いたしまして、金融機関に対しまして広く還元することによりまして、金融機関の創意工夫を凝らした目きき能力を高める取り組みを促しているところでございます。

近藤(洋)委員 では、引き続き、金融機関の現状について参考人にお伺いしたいんです。

 一〇〇%保証というものに対して、当然、保証がついていますから、一〇〇%ですから、企業が払う金利というのは、借り手側は低くなって当然だと思うんですね。現状で、一〇〇%保証は、金利は、ほとんどただでもいいんじゃないか、限りなくゼロでいいんじゃないか、私はこう思うわけであります。だって、ノーリスクですから、金利はゼロでもいいぐらいだと思うんですが、それでも、保証つきでも金利を払っているわけですね。

 通常の貸し出しと比べて相当低くてしかるべきだと思いますが、現実として、金利というのはどの程度低いものなんですか。

小野政府参考人 お答え申し上げます。

 一般に、民間金融機関の貸出金利につきましては、その取引ごとに、信用保証の有無以外にも、その企業の経営状況や信用保証以外の担保や保証等の状況を含めまして、さまざまな要因を勘案いたしまして設定されておりまして、一〇〇%の信用保証があればどの程度金利が低くなるかということを一概に申し上げることは困難であることにつきまして、御理解をいただければと存じます。

 いずれにいたしましても、金融機関が金利設定を行うに際しましては、委員御指摘のとおり、信用保証による信用リスクの低減を十分考慮した上で、適切な金利の設定等を行っていく体制が整備されていることが重要と考えているところでございます。

近藤(洋)委員 茂木大臣、これは前からの議論でして、金融機関は本当にただ乗りしているんじゃないかという議論なんですね。一〇〇%保証というのが、かつてずっと当たり前で、かつ、中小企業、小規模企業は保証料も払っているわけです。保証料も払って、かつ金利も払っている。金融機関は、ノーリスクで金利も取っている、ノーリスクで利益も得ている、これにずっと安住してきたわけですね。

 もちろん理屈はあるんですよ。金利というのは、リスク分だけじゃありません、一般の行員の給料もあります、システムの金もあります、いろいろな理屈はあるんですが、それは百も承知ですけれども、やはり金融機関のただ乗り論というのは前からございまして、そういうところに安住していることが逆に金融機関を育てなかったということにもつながってきたのではないか、私はこう思うんです。

 信用保証制度を所管する大臣としても、そういった金融機関の体質改善に対してやはり大臣として問題意識を持っていただいて、金融機関のあり方について政府として対応を促していただきたいと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 やはり金融機関には、バンカーとしての責任であったりとか自負というのを持ってほしいなと私は思っております。

 かつて、アメリカのピッツバーグ、ここには、鉄鋼が栄える時代がやってまいります。そのときにカーネギーという鉄鋼王が生まれるわけでありますけれども、あのカーネギーがあそこまで事業を拡大できた、これは、メロン銀行というしっかりした銀行が、目ききを持って、大きなリスクをとってそこに対する融資を行ったから、あれだけの産業が生まれた。これは間違いないことなんだと思います。

 かつて、日本の金融機関も、そういう側面というのはあったと私は思っております。

 私の地元には、足利銀行という銀行がございます。この足利銀行は、もともと民間でつくった銀行です。繊維の町でありまして、どうしても、繊維という事業は景気の波が極めて大きいということで、当時、大きな繊維業の旦那衆が集まりまして、民間で自分たちのための金融機関をつくろうということで、足利銀行を設立いたしました。ですから、足利銀行はずっと、頭取ではなく社長と呼んでおりました。そして、初代の社長は、何と二十五歳の荻野万太郎という人間を使うわけでありますけれども、やはりそういった気概をこれからの地域の金融機関にも持ってほしいな、そのように私は思っております。

 先ほど、金融庁の方から、さまざま、やはり金利というのは単純に保証だけでは決まらない、こういう話がありましたが、なかなか、そういう決まらないという話はするんですけれども、その前段で、保証がついていればリスクは少ないのは当たり前なんですよ。ですから、その分の金利というのは当然安くなるべきだ、私はこんなふうに考えておりまして、昨年の五月に、経済産業省として、金融庁を通じて、各金融機関団体に対して、信用保証を利用した融資について、金利を含め適切な融資条件を検討するよう要請をしたところであります。

近藤(洋)委員 ぜひ進めていただきたいと思います。

 今大臣おっしゃったように、まさに、かつての銀行はそうだったと思うんですね。大臣の御地元の足利銀行は、なるほどなと思いました。私の地元の米沢も米沢信用金庫というのがあって、そこも、大臣の足利銀行と同じように、米沢信金も、繊維の町なので、繊維の旦那衆がつくった信用金庫でありまして、やはりそういう金融機関というのは、地域に根差してやっている。だから、そういう地域金融機関を育てなきゃいけないと思うわけであります。

 もう一点、大臣にお伺いします。

 廃業支援なんですが、廃業支援というんでしょうか、金融に絡めてなんですけれども、この新しい法律でも大変画期的だなと思う点があって、十六条ですか、いわゆる新陳代謝という中で、承継と廃業についてきちんと位置づけて進めていこうということを書き込まれた。私は、これは画期的なことだ、こう評価したいと思うんです。

 そこで、その具体策なのですけれども、例えば、金融絡みでいうと、廃業に追い込まれて廃業するのではなくて、追い込まれる前に店じまいをするためにも、ある程度の、一定の資金需要が必要になってくるときも当然ある。

 カーテンコール融資というんでしょうか、民間金融機関が一部行っているような、こういう金融。これはもちろん、民間金融機関において行われるのも一つなんだと思うんですけれども、こういったことを例えば政府系金融機関においても対応するといったような、廃業における金融のあり方、さまざまな廃業支援のパッケージ策、金融に限らないとは思いますけれども、一つはそれもあろうかと思うんですが、こうしたこともこれからぜひ取り組んでいただきたいと思うわけですが、いかがでありましょうか。

茂木国務大臣 日本として、今後、開廃業率一〇%を目指すということでありますけれども、アメリカであったりとかイギリスは一〇%を超えているわけですけれども、開業率だけ高いわけではなくて、当然廃業率の方も高くて、新陳代謝を生み出す。廃業率を高めることが目的ではなくて、やはり時代環境に合った事業構造なりをつくっていくためには、円滑なエグジットといったことも必要だ、そのように考えております。

 そのためには、もうどうにもならない状態になって、ぎりぎり追い込まれてということではなく、委員のおっしゃるように、余裕のある段階で、自分の生活についても、極端に言うと老後についてもある程度安心感が持てる状態で退出をするということが必要なんだろう、このように考えております。

 そのために、特に事業者が廃業を決断する上で大きな課題となっております経営者本人の個人保証については、御案内のとおり、この二月に経営者保証に関するガイドラインの運用というものを開始したところであります。そして、この中では、早期に廃業や事業再生を決断した場合に一定の生活費を返済の対象から外すこと、こういったことも定められております。

 また、個人事業主や小規模企業の会社の役員が廃業や退職をした場合に、将来の生活の安定や事業の再建等に必要な資金を確保するために、経営者向けの退職金制度であります小規模共済制度を用意しておりますが、その中でも、小規模企業共済制度については、経営者の引退を円滑化するために、掛金の範囲内で廃業資金を貸し付けする制度の創設であったりとか、事業承継時に受け取れる共済金を廃業時並みに引き上げる、こういう制度の機能強化についても現在検討を進めているところであります。

 同時に、単なる廃業ではなくて、それから業種転換をしていく、こういったことも円滑に進めるということから、撤退コストの軽減、こういったことも今検討の俎上にのせているところであります。

近藤(洋)委員 ぜひそうした、まさに撤退コストの低減、転換を促す環境づくり、これをパッケージで御検討いただき、取り組んでいただきたいと思うわけであります。

 金融の話はこれぐらいにして、次に、ちょっと順番を変えて、人づくりについて一点だけお伺いしたいと思うんですね。

 やはり小規模企業についても、最終的には人材なんだろうと思うんです。そこで、ものづくりの分野で経営指導が大事だ、こういうわけでありますけれども、残念ながら、商工会議所、商工会、経営指導員、現場で確かに頑張っています、でも、私の地元でもそれは、例えば米沢商工会議所にしろ東根市商工会にしろ、一人当たりの指導員が受け持つ企業というのは大体五百社ぐらいあって、これはもう全部見るというのは容易じゃないわけであります。

 そうすると、やはりいろいろな意味で、商工会議所のレベルアップ、指導員のレベルアップ、人材増強と単純に言うのは簡単なんですけれども、それではなかなか限界があるなと思うわけであります。

 そこで、特にものづくりにおいて最近私が注目をしているのは、例えばなんですけれども、東京大学の藤本隆宏先生と、あと山形大学の工学部の柴田孝先生がものづくり指導を展開されていて、例えば、シニアアドバイザー、要するに企業のOBを活用した中小企業向けの事業、ものづくり支援を展開しています。

 これは、何でここで取り上げたかというと、経済産業省も東北経済産業局も支援をして、地域も経産省も応援をしていただいているから、経産省が応援した事業として大変成果を上げている。とりわけ、四期連続赤字だったある二十人ぐらいの小規模企業、製造業が、四期連続赤字でもう首をつろうかと思った経営者が、今、売り上げ減でも三期連続黒字になりましたといったケースがとことこと出ている、こういうことなんですね。

 経産省にお伺いしたいのは、設備投資補助金も大事です、機械を設備するのも。だけれども、人をつくるというか、生産技術革新というか、こういう分野にやはり注力すべきではないか。

 設備を幾ら新しいのをつくっても、生産技術を革新するということをやはり促していかないと、新しい設備はつくったけれども動かせないとなったら何の意味もないので、これは別に、東大、山形大学の共同プロジェクトに限らず、全国にはいろいろないい大学、工学部があるでしょうから、そして企業のOBも活用して、そうした中小企業の製造業の支援というのを、ぜひ経産省が、地方経済局も音頭をとって、生産革新というのを進めたらいいのではないか。

 大した予算はかからないと思うんですね。私は、数十億あれば十分、相当な効果が出る、数十億も要らないのではないかと思うわけであります。

 ぜひ、こうした生産革新を中心とした人づくり、中小企業の支援ということにも、小規模企業、特に小規模企業のものづくり支援を進めていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 日本のものづくり、まさに委員がおっしゃるように、生産ラインの革新であったりとか、言ってみると、日々の改善、そこの中ですばらしい製品を生み出してきたのは間違いないと思っております。

 御紹介いただいた東大と山形大学のプロジェクト、藤本隆宏先生ですよね、私の大学の同じクラスですから、ずっと一緒にやってまいりましたけれども、本当に若いころから、土屋教授のもとで、いわゆるものづくりの現場というのを見てきまして、すり合わせの技術の重要性等々に恐らく日本でも最初に注目をされた先生ではないかな、こんなふうに思っております。

 ものづくりにつきまして、例えば、ものづくり補助金、平成二十五年度の補正で一千四百億円に拡充をいたしましたが、これまでの試作品だけではなくて、生産プロセスであったりとか業務プロセスの改善も対象に加えさせていただきました。

 同時に、ソフト面の支援策として、中小企業基盤整備機構において、中小ものづくり企業に対して、大手や中堅メーカーでの実務経験や指導経験を有する専門家を派遣して、生産技術の改良や生産プロセスの改善に係る助言を行う事業を実施いたしております。

 また、予算といたしましては、ものづくり現場での技術、技能の継承が課題となっていることを踏まえまして、将来、工場長など、ものづくり現場で中核となる人材が、現場の生産効率を上げるための製造ラインの見直しであったりとか品質管理手法を学ぶ研修費用を補助している、こういった事業も行っております。

 おっしゃるように、そんなに、百億単位のお金がかかる事業ではないと思っておりまして、しかし、ある程度の金額で非常に効果の出る事業ではないかな。今後、委員の御指摘も踏まえながら、どういう事業が望ましいか、検討してまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 前向きな答弁、ありがとうございます。ぜひ御検討いただければと思うわけでございます。

 財務大臣政務官、お忙しいところ、恐縮でございます。葉梨政務官にお伺いします。

 法人減税について、麻生財務大臣が、昨日の記者会見で、骨太の方針で法人実効税率の引き下げ、来年度から明記、これはいいけれども、引き下げに当たっては、責任ある代替財源をきちんと示されるのであれば別にいいです、こういう御発言をされています。

 この責任ある代替財源というのはどういう意味を指しているのか。すなわち、法人税引き下げ分を、ちゃんと減税分を示せということなのか、どういう意味なのか。それも、責任あるというのは、単年度で、その年度で税を出せということを示しているのか。いわゆるペイ・アズ・ユー・ゴーのことを言っているのか。きちんと、解説といいましょうか、御説明いただけますでしょうか。

葉梨大臣政務官 大臣は相当はっきりおっしゃられておるわけでございますけれども、一つは、法人税の改革につきましては、成長志向ということで、我々参考にしておりますのは、欧州各国で課税ベースを拡大しながら税率を下げた、そういう例も参考にしておるわけでございます。それともう一つ、大臣もおっしゃられていますけれども、やはり二〇二〇年のプライマリーバランスの黒字化は必須である。

 そういう中で、責任ある代替財源の確保ということなんですけれども、今言われましたように、単年度ぎりぎりという話かどうかというのは、例えば課税ベースを拡大して税率を下げるというのも、正確に言うと、一年かっきりというわけではないんですけれども、やはり責任ある形での代替財源というのがおおむねこういう形で示される、つまり、それに見合う、減税に見合う分のこういうような財源がありますよということが、責任ある形で具体的に示されるというようなことであろうかなと私自身は解釈をしております。

近藤(洋)委員 政務官、ありがとうございます。

 ぎりぎりの御答弁をいただいたと思うんですけれども、その年で全てきちっとというのは、全て賄うというのは、私は、個人的にはなかなか難しいのではないかと思うんですね。それは政府で議論されるんでしょうけれども。

 そこで、経産大臣、代替財源議論の中で、外形標準課税の対象の拡大も取り上げられている、こう聞くんですね。これは、中小企業、小規模企業にとってみますと、具体的な姿がまだ明らかになっていませんから何とも言えませんが、こうなると、法人減税のメリットというのは一気に吹き飛ぶわけでございまして、一体何のための法人減税か、こうなるわけであります。

 経産大臣、責任ある代替財源として今大変取り上げられている外形標準課税の対象拡大について、どのように御認識をされていらっしゃいますか。

茂木国務大臣 まず法人税の今後のあり方については、レベニュー・ニュートラルであるべきだ、これは基本的に世界的な考え方だと思います。

 あくまでレベニュー・ニュートラルでありますから、そこは当然、課税ベースの拡大であったりとか、租税特別措置の見直しを行うと同時に、確かに今税収が上がっているんです、アベノミクスの経済効果による税収増、こういったものも含めて、レベニュー・ニュートラルなものをつくっていくというのが基本的な考え方ではないかな、そんなふうに思っております。

 そこの中で、外形標準課税の拡大ということですけれども、議論の俎上に上がっているかどうか、私はわかりません。余りそういう認識はまだ持っていないわけですけれども、もしそれが議論の俎上に上がるとしましたら、安倍政権としては、今、賃金の上昇、それから雇用の増加というものを目指しているわけでありまして、明らかに、外形標準課税の強化というのはこれに逆行いたします。

 同時に、中小企業は付加価値額の八割が従業員への給与に充てられているということでありまして、給与に対する課税をした場合の影響は甚大である上に、赤字企業にも課税をされるために、赤字中小企業、百七十五万社が増税になる。

 さまざまな影響があるということでありまして、俎上に上っているかどうかはよくわかりませんが、もし俎上に上るとしたら、慎重な上にも慎重な検討が必要である、そのように考えております。

近藤(洋)委員 全く私も大臣と同じ思いでございます。これは、なかなか容易ならざる話になるだろうなと思うわけであります。

 もちろん、一般論でよく言われる話ですけれども、八期連続赤字、九期連続赤字のある中小企業があって、何でそんなに連続赤字なのに存続できるんだ、そしてそういった社長さんが何で豊かに生活しているんだ、おかしいじゃないか、感情論としてよく聞く話はあります。

 しかし、それはそれでもう一回整理をした方がいいとは思いますけれども、いたずらに外形標準課税という議論になっていくと、これは大変な混乱、インボイスと同じ話になります。軽減税率を入れればインボイスを入れざるを得ないというのは政府、財務省の公式見解でありますから、インボイスを入れたら中小企業にとって大変なマイナスになる、大混乱になること、きょうはちょっと時間で聞けませんでしたけれども、これと同様の話になるということを指摘して、時間ですので、質問を終わります。

富田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 日本維新の会の今井雅人でございます。

 質問時間をいただきまして、ありがとうございます。

 先日、岸本委員が中小企業白書をぜひ読んでくださいということで、近藤委員もしっかり読んでおられまして、私も読もうと思ったんですが、ちょっと党内事情でなかなか時間がございませんでした。またゆっくり読ませていただきたいというふうに思います。

 まあ、冗談はともかくとして、先ほど金融の話が出ておりましたので、これは質問を通告しているわけでもありませんし、ちょっと自分の意見を申し上げたいと思うんです。

 この委員会でも何度も申し上げているように、やはり公的な金融というのは必要最小限にするべきであって、一〇〇%の保証というのは緊急保証に限定して、どんどん金融機関にある程度のリスクをとらせてくださいという話で、そういう方向の御答弁もいただいておりますので、それは非常に重要なことだというふうに思います。

 それで、先ほど近藤委員の方から、金融機関の審査能力をもう少し高めるべきだということがありました。そのとおりなんですけれども、もう一つ、私も地方なので、ぜひ考えていかなきゃいけないのは、金融機関の再編の問題であります。

 私のところにも信金、信組がたくさんありますけれども、御案内のとおり、この間も衝撃的な人口予想が出ていましたが、明らかに人口が減少しているところで商圏が狭まっていく、何とかそれぞれの金融機関の皆さんは頑張っておられますけれども、当然、現在でも預貸率三〇%台なんというところが結構たくさんあって、貸せないわけです。

 それは、能力がないという問題も一つあるんですけれども、もう一つ、やはり体力がないんですね。貸す体力がなかなかないので貸していけないという事情もあって、将来のことも考えると、やはり地方の金融機関の再編というのは進めていかないと、地域にとって後々大変大きな問題になるというふうに思っています。

 都市銀行もずっと再編で来まして、私はもともと三和銀行ですけれども、そこからだあっと、跡形もなく、今大きい銀行になっておりますが、最初に東海銀行さんと一緒になりましたが、私は、東海銀行という銀行がなくなったのは、ある意味、非常に残念だなと思っているんですね。

 というのは、東海銀行というのは、やはり東海地方のある意味リージョナルバンクになっていたわけで、その地区に合った金融というのをやっていたはずなんです。ほかのメガバンクというのは大体全国展開をしていましたけれども、東海銀行の場合は割とそれに特化していたということでありまして、東海銀行が消えたことによってリージョナルバンクが一つ消えてしまったというか、一つの形が消えてしまったと思うんです。

 それで、ここでもう一度金融機関のあり方をそういうふうに考え直す時期だと思っていまして、私たちの党は、今、実は道州制というのを一丁目一番地にしていますが、この道州制を考えるに当たっても、やはり道州に一つないし二つのスーパーリージョナルバンクをきちっとつくって、その州の銀行、中核的な銀行というのをつくっていくというのが、私は、道州制の中においても一つの大きなテーマだと思っています。

 道州制に限らずなんですけれども、御所管ではないということはわかっておりますけれども、新聞報道では、政府もそういうことを検討しているという記事を先日拝見した記憶はあるんですけれども、地方の成長戦略の一つとして、金融機関の再編統合、こういうこともぜひ政府として今後取り組んでいただきたいなということを最初にちょっと御要望申し上げておきたいんですけれども、この点について、いかがでしょうか。

茂木国務大臣 今後の道州制を考える上で、大きなくくりとしては、やはり地域の経済圏というものが出てくると思います。

 そして、そのもとに基礎自治体といいますか、これはむしろ、生活圏であったり文化圏、江戸時代でいいますと三百諸侯の時代とか、そういう一つの文化圏なりがベースにありながら、より大きな経済圏というのが大きな固まりになってくる。当然、金融でありますから、経済圏をターゲットとするような、エリアとするような金融機関というのが出てくるというのは、物事の流れとしては極めて自然なことなのではないかな、そんなふうに私は思っております。

 メガバンクの方も大きな統合が進んだわけでありますが、それと比べますと、地銀、第二地銀、信金、信組、まだその部分については、私は、もう一段の工夫であったりとか、さまざまな経営のあり方の見直しというのが必要ではないかなと。もちろん、これは強制してやるという種類のものではないかもしれませんけれども、方向性としては、私も同じような認識は持っております。

今井委員 ありがとうございます。

 地元の金融機関の皆さんとよくお話をするのですが、それぞれの皆さんは本当に頑張っておられるので、できれば単体で頑張っていただくというのを応援したいんですけれども、ただ、将来図を考えるに当たって、やはりそれだけではやっていけないだろうなと。

 ある程度の規模ができれば、これは体力がつきますから、融資余力も出てくるわけです。だから、もちろん審査能力もそうなんですけれども、体力をつけるということ、これもやはりぜひ同時にやっていただかないと、公的な保証を少し縮小していくに当たっては、民間の金融機関が貸してくれるという体制をつくるということなので、金融庁の方にも、そのあたりのバランスを考えながら、もちろん官が主導するものではありませんけれども、現実、合併とか統合が起きるときというのは公が絡んでおることが多いですから、どこまで踏み込むかは別にして、そういうことは大きな図をぜひ描いていただきたいということをお願いしておきたいというふうに思います。

 それでは、本題に入りたいと思います。

 今回、小規模基本法のそもそも論の話なんですが、この小規模基本法というのは、二十人以下の小規模の人たちを一生懸命応援していきましょう、ある意味、選手宣誓のような基本法だというふうに思いますけれども、これはどこかで議論があったかもしれませんが、私の中でやはりどうも整理がつかないのは、一方で、廃業、起業を進めていくということが日本の成長戦略の一つだ、イノベーションをつくっていくんだという柱がありながら、もう一方では、現在の企業を一生懸命守っていきましょうという法案になっているわけです。

 先日も、参考人で板橋の方が来られて、やはり経営指導するに当たっては、まずは、できるだけ廃業をしないように、廃業させないように、こういう指導から始めますということをおっしゃっておられまして、それは当然の部分はあるんじゃないかなと思うんですけれども、私の中でどうも整理がついていないのは、この廃業、起業を進めることと、今の小規模、現在の人たちを守っていくということがどう両立し得るか。

 例えば、フィールドがあるのかもしれませんね。こういう分野はやはりどんどん新陳代謝を促し、こういう産業分野はそうじゃないとか、あるいは地域性というのがあるのかもしれませんし。

 経済産業省としては、その辺の整理というのはどういうふうにされておられるか、まず、基本的なお考えをお伺いしたいんです。

茂木国務大臣 業種とか地域でくくるのはなかなか難しいかと思うんですけれども、企業を考えると、二つの行き方がありますねと。

 一つはやはり、これまで持ってきている技術であったりとかノウハウ、そういったものを継承しながら事業を維持していく、現在の環境の中ではそれすら難しい、そういったものも支援していこう。ただ、これは単純に今と同じことをやりなさいというよりも、その事業の枠の中で、常に改善をするとか、そういったことをやっていく企業なんだと私は思います。十年前と全く同じことを十年後もやるというのが事業の持続的発展ということではないと思っております。

 その一方で、思い切って業種転換をしてしまう、一回事業を閉めて、新しい事業で成長を目指す開廃業、こういったこともあっていいんだと思っておりまして、その両方ができるような支援措置を国としてとっていきましょうということでありまして、これまでの成長発展だけではなくて、事業の持続的維持、こういったことも今回位置づけさせていただいたのは、オプションとしてもう一つふやして、それに対する支援策も充実をしたということであります。

 恐らくこれは、企業が、基本的にはすぐれて経営者が決めることだと思っておりますけれども、そこの中で、例えば今回、支援体制も強化をさせていただく、実際に経営していながら、本当にこの事業を続けていていいんだろうか、業種転換した方がいいのではないか、一旦閉めた方がいいのではないか、そういったことも含めて支援機関もアドバイスできるような機能を強化していくことが必要だ、こんなふうに考え、今回の法案を提出させていただいた次第であります。

今井委員 基本的な整理はそういうことなんだと思うんですけれども、恐らく、現実的に起きることは、ずっと状況が悪くて、本来は廃業しなきゃいけないんだけれども、やはりなかなか踏み切れない人たちというのはいるわけで、国も助けてくれると思うし、もうちょっと頑張ろうかという方が当然出てこられると思うんですね。もちろん、そうじゃない方がほとんどですけれども、そういう方も出てこられて、結局、そこはもう新しい道に行った方がいいのに、かえってブレーキがかかっちゃったということは、何となく想像がつくんです。

 そういう局面の企業が出てくるんじゃないかなというふうに僕は少し危惧をしておりまして、もちろん、現在の小規模の人たちを一生懸命応援するのは当たり前です、私もこの法案は賛成ですけれども、そういうやや弊害みたいなところも起きかねないと思うので、ぜひそのあたりのところは、制度を考えるに当たっては注意をしていただきたいなということを、ひとつお願いしておきたいと思います。

 次に、去年五月にこの委員会で私がお話しさせていただいたことなんですけれども、私は下呂市というところの出身でありますが、人口も随分、合併のときに四万人いたんですが、もう十年たって三万四千人ぐらいになって、物すごい減り方をしております。そこに大手の家電が大挙してやってきて、こんな三万人ちょっとしかいないところに三つもできちゃいました。さらには、コンビニが最近どんどん入ってきていて、もともとは地元のローカルなコンビニのチェーン店ですけれども、そこしかなかったのが、全国的なチェーン店がどっと今入ってきているという話を、ちょうど一年ちょっと前にさせていただいたんです。

 その後どうなっているかといいますと、まず家電の方ですけれども、三店舗が激しい競争をしまして、とうとう一つ撤退しています。割を食らったのは地元の電器屋さんでして、大変苦労して、廃業されている人もいらっしゃいます。さんざんやった後、撤収ですよ。それで何も残らなかったという状態が現実に起きていて、まあ、予想はできたことだけれども、やはり起きちゃったなということが今起きております。

 コンビニはどうなったかというと、非常に商圏の狭いところに乱立をしたので、今はもう消耗戦になっていまして、あそこはフランチャイズですから、地元の方が引き受けてやっているんですけれども、やっている人が、本当にやめておけばよかったということで、やめるにやめられないし、どうしようという状態になってしまっていて、結果的には、ちっちゃい商店の人たちはもうやっていけないんですね。

 ですから、小規模企業を守っていこうという一つの大きな目標の中で、私の地元では本当にこういうことが、去年、起きていると言って、たまたま今回、この法案ができて、やはりもっとそういうことが起きちゃっているということをぜひわかっていただきたかったんですね。

 当時、こういう状況が全国的に起きているんじゃないでしょうか、一度中小企業庁あるいは経産省の方で状況をちょっと確認していただけませんかということをお願いしたと思いますけれども、現在、こういう現象というのはやはり全国的に発生しているということで、そういうことはいかがでしょうか。

松島副大臣 今委員がおっしゃったような状況は、どこの地域にもあることだと思います。

 そして、それに対して我々がこの一年間に方策を考えてきたことを幾つかお話ししたいと思います。

 一つは、この四月に中心市街地活性化法を改正いたしました。あれは、真ん中に核となる商業施設をつくる場合に、地元の納得の上でつくる場合には三分の二の補助金、五億円まで、民間の施設に国のお金を入れる、ある意味で画期的な。

 地元が納得できるというのは、よそから呼んできてもいいし、自分のところの、下呂市の場合はあるかどうかわかりませんけれども、もともとあった地方のデパートだとかショッピングセンターで、これはと思うものを大規模改装する、生まれ変わらせてお客様も集める、そういう形の場合にもその補助金を使うことができます。

 そしてまた、これまで、よく商店街としての対策だけをやってきたんですけれども、空き店舗なんかがふえて、商店街全体でイベントをやるというよりは、一つ一つのお店が生き残る、これを考えなきゃいけないというのが結構あると思います。

 新しい取り組みとして、二十五年度補正予算に小規模事業者持続化補助金というのをつくりました。これは、上限五十万円、三分の二の補助率なんですが、例えば、お店がチラシを印刷して新聞に折り込むとか、商談会に参加する運賃、交通費だとか、あるいは、新しいお客様を、私も地元で言っているんですけれども、若い人たちに飲食店に来てもらおうと思ったら、和式トイレじゃだめだから洋式トイレに切りかえるとか、あるいは、畳、座敷だったらきついのでテーブルを置くとか、そういうことに、上限五十万円ですけれども補助金を出す、こういった試み。

 あるいは、ものづくり・商業・サービス革新補助金。これは、これまでのものづくりだけだったものから、対象分野を広げて、商業、サービスを入れたわけですけれども、ここにおいても、小規模事業者が使いやすいように、全体は上限一千万円なんですけれども、小規模事業者の場合は上限七百万円、同じような審査の書類を書くのは、確かに、スタッフがいなくて難しいということで、上限は下げたかわりに倍率が低くなるように、そういう努力もしております。

 先ほど委員がおっしゃいました、廃業との兼ね合いでございます。

 これも、私も地元で聞いておりますと、製造業の方なんかは、あのとき自分は廃業してよかったんだ、引き継がなかったから、今、悠々自適というか、引退生活を送れているとか、逆に、息子がいるから、どうしてもバトンタッチしなきゃいけないから苦労している、いろいろなお話を聞きます。

 ですから、それは、業種とかで分かれるんじゃなくて、その家の後継者の問題とか、経営者の年齢とか、いろいろあるんだと思います。

 廃業をある意味で支援するためにも、さっきおっしゃった、金融機関が、一〇〇%信用保証がついちゃうと、どんどん貸し込んで、金融機関は損をしないのでどんどん貸し込んで、行き着くところまで行って、全部身ぐるみ剥がされる。ですから、あのガイドライン、個人保証は要らないんだというあのガイドラインとともに、ある時点では、やはりやめたければやめられる状況を。

 その一つといたしましては、みんな廃業後の生活が不安だったりしてやめられないので、この個人保証のルールを改めたということに加えて、小規模企業共済制度というのがあります。百二十三万者が入っていただいて、これは経営者のための退職金制度でありますが、これがなかなか知られていないのをもっとPRすること、そしてまた、掛金の範囲内で廃業資金を貸し付ける制度を創設したり、事業の承継時に、自分の子供でもそれから他人であれ承継したときに、この小規模企業共済からお金を受け取れる、そういう共済金を、廃業したのと同じぐらい、人にバトンタッチしたときにももらえるというような制度の機能強化などをして、廃業すべきときにはすることの恐怖を取り除く、そういうことをやっていく。両方で頑張っていきたい。

 同時に、もちろん、商店街対策も拡充をしてまいっております。

今井委員 これは悩ましい問題で、なかなか解決方法がないんですけれども、ただ、やはり、一気に地方の小規模企業が崩れていくという原因になっていると思いますので、実態も少し調査して、対策をまた具体的に考えていただきたいと思います。

 時間が大分なくなってまいりまして、きょうは金融庁の方に来ていただいているんですが、ちょっと届かないと思うんですけれども、商工会のあり方について少しお伺いをしたいと思うんですね。

 現在、商工会あるいは商工会議所があって、根拠法が違うので並立しているわけでありますが、合併したところでは、依然として旧町村のところに商工会が残り、商工会議所があるというところもあれば、商工会議所にもう一本化しちゃったというところもあります。

 やはり、一本化してしまうと、そのもともと商工会のあった小さいエリアが一気にがあっと何もなくなってしまうということが起きておりまして、そういう現象を見ているので、今も、例えば、私のいるところでいうと、可児市というところが兼山町と合併して、そこに商工会がありますけれども、可児市にはもともと商工会議所があって、これをもう廃止して一緒にしようという動きもあるんですが、やはり地元の人たちはすごく怖いんですね。

 その気持ちもよくわかるんですけれども、一方で、やはり商工会の小さい単位でやっているところはどうしても内向きになって、仲間内でいろいろなイベントをやろうぜというところにとどまっちゃうわけです。

 本来、これから人口がどんどん減っていくということを考えれば、商圏をふやしていかなきゃいけないですね。外に商圏をふやしていかないと生き残っていけないんですが、小さい単位の商工会ですと、どうしても目が内向きに行ってしまう。でも、では、大きい単位にすればいいか、合併しちゃえばいいかというと、合併すると、また今度はそれぞれのところが薄くなっちゃうという問題も起きる。

 そこで、今も結構やっているんだと思いますけれども、やはり商工会の広域の連携をきちっとつくっていくことが、まずは一番大事だと思うんですね。もちろん今回の法律にもそういうことは入ってはいますけれども、もう思い切って、例えば、財政支援とかいろいろな支援をするに当たっては、広域な取り組みをしていくところを優先的にとか、そこに重点的に支援をしていくとか、そういうことをして、やはり商工会の人たちの目をどんどん外に向けさせるということを政策的にやっていった方が結果的には小規模企業の人たちは生き残っていけるというふうに思っているんですけれども、その点についてのお考えはいかがでしょうか。

田中大臣政務官 委員御指摘のように、商工会また商工会議所の広域連携というのは大変重要なことだと思っております。その上で、小規模事業者に経営支援サービスをいかに届けていくかということ、これにやはり力を入れていくべきだと考えております。

 今回の法の改正案におきましても、商工会、商工会議所が共同で、もしくは一方が他方を連携機関と位置づけて支援計画を申請することも認めております。

 また、商工会については、都道府県単位の連合会が、体制面が脆弱な単会に対して経営指導員を派遣したり、また、広域的な連携を強化する体制を整備するように国としても指導していくということであります。

 より質の高いサービス、このための改善をしていきたいと考えております。

今井委員 問題意識は持っていただいているようですので、財政措置とかをいろいろするに当たって、もっと思い切って、やはり重い腰を上げさせないとなかなか自分では動けない、気づかないという部分もありますので、刺激を与えるという意味でも、そういうところに重点的に措置をしていただきたいというふうにお願いを申し上げておきたいと思います。

 時間が参りました。

 きょうは、実は貸金業法についてお話をさせていただきたかったんですが、ちょっと時間がなくなりましたので、金融庁の皆さん、大変失礼をいたしました。

 これで終わらせていただきたいと思います。

富田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 日本維新の会、木下智彦でございます。

 本日もよろしくお願いいたします。また、日本維新の会、私はしばらくこの名前のままになるかと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします。

 きょうは、小規模企業の関連の法案ということでお話を聞かせていただきたいんですけれども、この話、大臣がいつも言われているとおりで、小規模企業もしくは中小規模の企業が今までの日本を支えてきたという思い、私もそういうふうに感じさせていただいておりますし、本当に、今までの日本をつくってきた、私のような若造が幸せに暮らせるような世の中をつくってきたのは、この小規模企業、中小規模の企業の皆様の努力があったからだというふうに理解しております。

 それで、この法案の中、書いてあることは全て、言ってしまえば、もっともだなというふうに思っておりまして、頑張るように、日本が、政府が支えていくんだというふうな形のことが書いてある。まあ、言えば、文句のつけようがないものなんじゃないかなというふうには思っているんですけれども、余りにも当然過ぎて、細かいところで、これってどういうふうにやっていくのかなというようなところが、まだまだ少し漠としてわかりづらいところがあるので、その辺についてお話を聞かせていただければなというふうに思っております。

 まず最初に、この基本法案の中で、日本全国に景気の好循環を浸透させ、地方に強靱で自立的な経済を構築するためにも、雇用を支え、新たな需要にきめ細かく対応できる小規模企業の役割が重要だというふうに書いてあります。これも、本当にもっともなことだなというふうに思っています。

 そういいながら、この概要、体系の中に一つあったのが、小規模企業の振興に関する基本施策というところで、いろいろなことが書いてあります。その中に、国内外の多様な需要に応じた商品の販売または役務の提供の促進、もしくはそういう多様な需要に応じた新たな事業の展開の促進というふうに書いてあります。これも当然のことだろうというふうに思っているんです。

 さっきの、地方に強靱で自立的な経済を構築するということと、国内外にということで、恐らく、そういう小規模企業に関してもグローバルに活躍していくような場をもっと後押ししてやろう、これがうまく両輪でやっていければなというお話だと思うんですけれども、では、それって具体的に、例えばどういう感じのことを想定したらいいんだろうなと思っていて、その辺について、まずお話しいただければなと思います。

松島副大臣 木下委員がおっしゃいます小さい企業のグローバル展開、国内の需要、地域の需要だけでなくて、外の需要も取り込むということですね。

 これについて、私ども既に行っている事業がございます。

 具体的には、JAPANブランド育成支援事業というのがございまして、四者以上の小規模事業者が連携して、みずからの持つ素材や技術などの強みを踏まえて戦略を決めるというとき、まず、策定する段階において、これは一〇〇%の補助で上限二百万円というのを行っております。そこで、こういうやり方があるんだ、こういう組み合わせでやれば外国へ打って出られるんだということの見きわめがつきましたら、商品の開発とか海外展示会への出展について、補助の上限を二千万円、補助率三分の二という形で支援を行っております。これは、このグループの中で、八割以上の事業が小規模事業者を、どちらかというと、中小企業向けの事業ですけれども、八割以上のその組み合わせの中に小規模事業者が含まれています。

 委員の御地元である豊中市、私も小学校六年生までそこに住んでおりましたけれども、小規模事業者六者を含む十三者が連携されて、日用品、ハンガーとか照明とかマガジンスタンドとか、そういう生活雑貨を一つのデザインコンセプトで統一して、それをまとめてブランドとしてヨーロッパ市場を開拓する、そういうのを目指す事業を今の支援事業で補助金を出して応援しているところであります。

 また、実際に行ったときに、この事業にかかわらないんですけれども、中小企業海外展開現地支援プラットフォーム、ちょっと長いんですけれども、こういう事業がございます。これは何かというと、海外で、ジェトロや大使館、あるいは現地の日本商工会議所、そういったところが力を合わせて、日本から出ていこうとするそういう中小企業、小規模事業のグループを支える、会社の法務や労務、知財、いろいろな問題がある、それを課題解決のために支えるというようなことをやっております。

 平成二十四年度補正事業は、二億五千万円で、既に、ジャカルタとかバンコクなど八カ国十カ所に設置しまして、ことし始まりました平成二十五年度補正予算、これは三億円に増加させて、新しく五カ国七カ所、例えばプノンペンやダッカ、こういったASEAN諸国に対しても、さらにまた、デュッセルドルフやシリコンバレーといったような先進国に対しても、医療機器やハイテク、IT産業などに取り組む小規模事業者に重点を置いた支援を行っていく。ぜひ、それで海外の需要を取り込んでいただきたいと思っております。

木下委員 大先輩からお話しいただきまして、ありがとうございます。いつ会えるかなと思っていたので、本当に楽しみにしておって、済みません、私の回のときだけいつも席を立たれるもので。

 お話しいただいたとおり、今のJAPANブランド育成というお話で、ことしの予算の中では全部で十四・六億円計上されているということで、確かに、そういう形でいろいろなことを支援していくという形になるんだと思うんです。日本全国いろいろなところに、いろいろな技術であったりアイデアであったり、そういうものがある、それをうまく拾っていって助けてあげようというふうなことになるんだと思うんですけれども、そこと、地方に強靱で自立的な経済を構築するというところが、一つ一つが頑張っていけば、当然のことながら、地方の経済は自立していくような形になるんだろうと思うんですけれども、地方地方でやはり特色のあるような産業があって、そういうところとの連携があって、それでまた海外に展開していく、ましてや、こういう小規模企業の方々は、一人ではなかなか海外に打って出られないというふうなことだと思うんですね、そのために後押しするんだよというふうな形なんですけれども。

 その一歩、最後の部分、要は、地域の連携であるとかそういったところと、それから海外に出ていくというところがかみ合うような形に、ワンストップにその施策が絡み合っていかなければならないんじゃないかなというふうに思っておりますので、単発で今、特に海外展開の部分をお話しいただきましたけれども、そこも含めてもう少しやっていただければなと思うので、よろしいですか。

松島副大臣 確かに、おっしゃるとおりで、そしてまた、今回の国会で議論が出ました、特許など知財についての改正の議論の中で、地域ブランドというのにも力を入れていくという話。

 地域ブランド、もう既に確立した有名なところですと、確かに、燕の洋食器だとか三条の刃物だとかございます。こういうのに負けないようにいろいろなところを仕掛けていくことも、商工会議所や商工会の御努力をいただいてやっていく。

 全体としての底上げ、それが海外へ、一社一社では海外へ出るような力もない、別業種が一緒になることもあるし、同じような業態で出ていくということもあると思っています。

 例えば北海道、今経済産業局が一生懸命やっているんですけれども、中東向けに、食品の加工業だとか、夕張メロンのゼリーだとか、そういうことを出そうとしている。そういうような形で、地域を挙げてというような試みも当然出てくると思っております。

 それは、海外に出ていくだけでなくて、日本に外国からのお客様、既に年間一千万人を超す。ことしは、もっとずっとふえると思います。そこで、十月から、免税店が大幅にふえます。免税というのは、これまでは家電製品などだったんですけれども、今度は、日本で人気のある、外国から人気のある食品についても、医薬品とか化粧品、これは買いたい方が多いので、ちゃんと税務署に届けていただいたら、その場で免税になるというような、これを例えば豊中ぐるみだとか十三ぐるみとか、東京のどこそこでも一体となってということをやっていくと、また海外のお客様も多く取り入れることができる、そんなふうに思っております。

木下委員 ありがとうございます。具体的にお話しいただいて、わかりやすかったです。

 そこで、商工会であるとか商工会議所の役割というふうな形のことも少しお話しいただいていましたが、今回のテーマ、法案の中で、こういった小規模の事業者に対して経営の支援をしていこう、要は、経営コンサルタント的なそういう役割がもっと促進されるようにしようというようなことが、簡単に言えば、一部で書いてあるというふうに思っているんですね。

 ここも、すごく当然の話といえば当然の話。今までの商工会もしくは商工会議所の役割というのも、当然のことながら、一種の経営コンサルタント的な役割だったと思うので、あえてここでもう一度そういうことに言及されているんだろうなというふうに思っていて、ますますそれの後押しを強化していく、そういう思いがここに入っているんだろう。これはわかるんです。

 私、そこで、具体的に、商工会、商工会議所の経営コンサルタント的な立場であったときということをちょっと考えてみたんですね。

 商工会もしくは商工会議所、商工会なんか全国で千六百カ所以上ある、商工会議所も五百何カ所あるというふうに書いてあって、たくさんありますと。そういった形になるということは、どういうことかというと、地域ごとに、いわばそういう団体がある、その人たちのところに、地域の人たちが、地域の企業、小規模事業者なんかが相談に来るということになると思うんですね。

 これは、一応お役所の方に説明を受けたんです。例えば、困った人がいたとき、具体的に言うと、どんなことが考えられますかねと。そうした場合に、商工会であったり商工会議所の人たちが、その地域の中で、例えば、そういう商品のニーズのあるようなところ、大規模に人が集まったり大規模に物が売れるようなところが地域にあったら、そこに販路を紹介してあげるとか、今まで地域でも小規模事業者が気づかなかったような販路を紹介してあげることによってチャンスが生まれてくるんだろうというような、そんなお話をされていたんですね。

 ただ、一社で考えたら、それは当然あり得ると思っているんですけれども、経営戦略を、一つの会社に、こういうことがありますよと言っても、同じ地域に同じような業態の人たちがいて同じように困っていた場合に、同じところを紹介することはできないだろうなと私は思ったんです。

 そんなことは偶然だろうというふうに、中で話しているときに言う人もいたんですけれども、でも、地域ごとに産業というのは結構特色があって、同じような商品であったり、ものづくりであったら特にですけれども、木工製品を扱っているようなところは木工製品の原材料がたくさんあったりするからそういうところがたくさんあってということを考えると、同じような業態が同じような地域に固まっていることが多い、そして、同じような問題を抱えていることが多いんじゃないかなと私は思っているんです。

 それを考えたときに、こういう地域ごとに経営コンサルタント的な仕事をされる人は、どうやって実際に販路の紹介ができるのかな、ここはちょっと、私、疑問に思ったところ。

 それからもう一つは、たくさんあるということは、一つ一つの組織は小さいです。私の地元なんかでも商工会議所はあります。皆さん頑張っていらっしゃいますけれども、構成員はたくさんいるけれども、実際にいつもいらっしゃる方というのはほとんど限られている。その中で、同じ人が、要は、競合するようなところの事業戦略を立てなければいけないというようなことも考えられるんじゃないかなと思っていて、そういったことの懸念というのはあると思っているんですけれども、その辺を捉えられて、商工会もしくは商工会議所にどういうふうに動いていただきたいのかというところが、ちょっとこれでは私はわからなかったので、イメージがつくように説明していただければなと。

松島副大臣 おっしゃるとおり、商工会議所の経営指導員の方から見ると、誰かのことを一生懸命教える、それを育てるということはライバルの足を引っ張ることになる、そういうことなんだと思います。

 同時に、一つは、教えてほしいといって食いつく側、自分は困っているんだけれども、こんなことをしたいからと、そういうアプローチを上手にやってくるところには、教えるのがうまくマッチすると思うんですよね、全ての小規模事業者が上手に商工会議所を頼っているふうでもございませんから。

 そういう面と同時に、でも、一社でうまくいったら、先ほど先に申し上げてしまったんですけれども、ほかのものもあわせることによって、より大きな機能ができる。ああ、この地域のこれはいいんだなというようなことで。

 大阪商工会議所でも、地域活性化ということで、食の都と水の都の魅力を組み合わせたような、パッケージのプログラムを開発しているようですけれども、これもやはり、恐らく、たこ焼き屋さんが一店よりは、二、三店並んでいる方が、お好み焼き屋さんとか、きつねうどんが並んでいる方がやはり人は来やすいから、そういうような盛り上げ方もあるだろうと思っております。

 もう一つは、全然発想を変えて、その地域で売り込むんだったらあれですけれども、例えばITを活用して、商工会議所の経営指導員の人たちにも、もっとIT技術をわかってもらおうということで、経産省としても、ことし、一千人に講習をすることにしておりますから、そういうことを使って、皆さんの販路開拓として、ホームページをこういうふうに使って、それからネット販売をしてというような指導をすれば、それはライバルとならない。

 それぞれのお店が似たような業種であっても、その地域のブランドで全国に売っていく、あるいは海外にも発信していく、それで、足の引っ張り合いとか、一社だけえこひいきしてやるということにならずに済むと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 具体的にはそういうお話だと思うんです。ただ、私が思っているのは、言ってしまうと、商工会もしくは商工会議所の人たちはすごく頑張っていらっしゃいます、頑張っているんですけれども、私が例えば商工会議所のメンバーであったとして、相談を受けたといったときに、困ってしまうなと思うんですよね。同じような地域で同じような産業を何とか守り立てたいと思っていても、こっちの人にはこっち、この人にはこっちと、地域が小規模であれば小規模であるだけ、そういうものを紹介するというのもなかなか現実的には難しいのかなと思っています。

 それを考えたときに、これを言うと、いい悪いというのはちょっとあるんですけれども、例えば、商工会もしくは商工会議所、今までも既に横連携というのは相当されているというふうに思うんですけれども、その地域ごとというのも、そこの地域に、商工会の中に、名簿には載っているけれども実際に企業として活動しているようなところがもう本当に数社しかないとかというようなところも出てきていると聞いていて、それを考えると、連携だけじゃなくて、場合によっては、統合であるとかそういうことも視野に入れていかなきゃいけないんじゃないかなというのが私が思っていた結論でございます。

 もう一つあるんですけれども、この間、板橋の専門の方が来られて、いろいろお話をされていて、ああ、すばらしいな、きめ細かい経営戦略の支援であるとかというのをされているんだなと思ったんですけれども、そこの資料に書いてあったのが、結局、その後ろに、たくさんの弁護士の方であったり、公認会計士の方であったり、そういう人たちがいっぱいいて、そういう人たちを無料相談で紹介できますよというようなことが書いてあります。

 ということを考えると、結局は、一つ一つの商工会もしくは商工会議所の人たちだけでは、専門的なことには、これから先、対応していくのも相当難しい。高度なことになって、先ほど言っていたグローバル化の話もそうですし、先生おっしゃられていたITの技術のこともそうだと思っているんですけれども。そういったためには、商工会であるとか商工会議所の組織自体ももう一度少し考え直さなければいけないんじゃないかな、そういう懸念も持っておりますので、その点について、御準備いただけているのであれば、御答弁いただければと思います。

田中大臣政務官 商工会、商工会議所も、経営指導員も含めて、その規模ですとか体制、これはさまざまであります。経産省としては、そういうことも踏まえて、今年度より、年間約千七百人の経営指導員に対して、販路拡大ですとか事業機会の拡大に向けたさまざまな支援ノウハウ、これを習得してもらうための研修というものも行ってまいります。

 また、加えて、今回の法改正においては、当然、商工会、商工会議所が他の会と共同で経営発達支援計画の申請を行うこともできるように制度設計しています。また、この支援計画に基づいて、都道府県、市町村、地銀、信金、NPO、さらには地域の大企業ですとか中堅企業、こうしたものとの連携を促進していく。また、専門的な課題については、全国四十七の都道府県によろず支援拠点、これを設置いたします。こうしたことで、地域ぐるみで小規模事業者支援を徹底していきたい、そのように考えております。

 また、さらには、この計画、全国レベルで支援するという観点から、全国商工会連合会ですとか日商からも情報提供を行う、あるいは、中小企業基盤整備機構からノウハウですとか情報も提供する、こういう仕組みも盛り込んでおります。

 とにかく、小規模事業者を支援できる体制をしっかりと構築していきたい、整備していきたい、そのように考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 時間がなくなりまして、最後に一つ、もう一度お話しさせていただきたいんです。

 先ほど近藤委員もお話しされていた話で、外形標準課税について。先ほど、大臣、物すごく心強いお話をいただいたと思っているので、ほとんど僕も聞くことがなくなってしまったんですけれども、やはり、地方税、特に地方事業税の部分、それを今、与党の中で、もう少し、法人税減税に合わせて、財源確保というところで、外形標準課税の対象枠を広めていくことも検討に入れるというふうにおっしゃられていました。

 これは、繰り返しになりますけれども、やはり中小の企業が、もしかすると、とても苦しいことになるんじゃないかなと。先ほど大臣もおっしゃられていましたけれども、今の安倍内閣が推し進めようとしている賃金上昇、それから雇用の拡大ということに逆行するような可能性というのはすごくあると思っているんです。

 それからもう一つは、地域によっては、大企業がないところがあるんですよ。小規模の企業しかない、もしくは中小しかないようなところがある。そうなれば、どんどんどんどん、今言われているような、地方が力をつけなきゃいけない、強靭な経済をつくっていかなきゃいけないと言いながら、これがもしも、バランスもあるんだろうと思いますけれども、変なふうに推し進められてしまうと、ますます一極集中、私どもが言っている東京に一極集中するような形のことが起こってしまうのではないかと思っているので、その辺を懸念しております。

 そこで、大臣、もう一度私は聞きたいんです。大臣がはっきりとおっしゃられていたこと、これを慎重にしなきゃいけないとおっしゃられていたこと、もう一度御答弁いただければと思います。よろしくお願いします。

茂木国務大臣 きょうは、せっかく木下委員と松島副大臣の間で、まさにスノーホワイトのお姫様と王子様のような議論が展開されて、割り込むようで恐縮なんですが。

 法人税改革は、日本の持続的な成長のために避けては通れないと思っております。当然、財源も必要でありますが、これはレベニュー・ニュートラルと。タックスレート・ニュートラルである必要はない、こんなふうに思っておりまして、成長による増収分と、同時に課税ベースの拡大等々によって賄っていく。

 そこの中で、外形標準課税、これは御案内のとおり、主に支払い給与に対して課税するものでありまして、これは、今、安倍政権で進めております好循環の実現のための賃金の上昇、雇用の増加、これに逆行するものであります。

 また、中小企業は、付加価値額の八割が給与、つまり、労働分配率が八割という状態でありまして、もしこの外形標準課税の強化ということが行われましたら、そこに対して大変重い税負担になる、こういったことも考慮して、慎重な上にも慎重な検討が必要である、そのように考えております。

木下委員 ありがとうございます。安心しました。

 やはり一回は大臣のお話がなければ、私はなかなかここから帰る気にならないので、一言でもお話しいただければと思いました。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、三谷英弘君。

三谷委員 みんなの党の三谷英弘でございます。

 本日も、小規模企業振興基本法、この質問、二十分しっかりと質問させていただきたい、こんなふうに思っております。

 先ほど木下委員の話にもありましたけれども、きょうは松島副大臣にもお越しいただいておりまして、実は、前回、ちょっとある方から、天下の副大臣の名前を間違えるなんて失礼だというようなお叱りをいただきまして、そういうつもりでもなかったんですけれども、きょうはちょっと正面から、そういう意味では誤解のないように申し上げたいなと思うんですが、すてきなお召し物でございますね。きょうもよろしくお願いいたします。

 それでは、質問の中身に移らせていただきたい、このように考えております。

 今回の小規模企業振興基本法という中身についてなんですが、私も、疑問点といいますか問題意識というのが、日本再興戦略の中にありました開廃業率を一〇%に上げていくという話と、それから今回の基本法における持続的発展、これをどのようにバランスさせていくのかということが問題意識としてあったんですが、先ほど今井委員の質問の中にもありまして、こういうオプションをしっかりと加えていくというようなことであるということですので、それであればということで理解はしたんですが。

 その延長線というわけでもないんですけれども、今回、質問させていただく趣旨というものが、開廃業率、ビジネスを始めていく、そして終えていく、開業する、そして廃業する、これは人生にも例えられるところではあるかと思いますけれども、引き際の美学というか、その終わり方、どのようにビジネスを終わらせていくのかということをしっかり議論していかないと、なかなかどうして、次への創業ということに向けていく、そのエネルギーを改めて蓄えていくということはできないのではないか、このように考えているわけでございます。

 その意味で、現状の認識からちょっと質問させていただきたいというふうに思うんです。

 今、中小企業というものが二〇〇九年から二〇一二年の三年間で、約三十五万者減少している。四百二十万から三百八十五万者。そのうち、小規模事業者の減少というのがほとんど、三十二万者を占めているということで、二〇一四年、この前の中小企業白書においては、このままのペースで減ると二十年後には半分になってしまうというふうに指摘されているということでございます。多産多死というような言葉がありますけれども、現状では少産多死というような状況ではないかというふうに思われております。

 小規模事業者の急激な減少というものの原因と対策について、政府としてどのようにお考えなのか、お答えいただければと思います。

茂木国務大臣 おっしゃるように、ここ数年間をとってみますと、中小企業の減少、中でも小規模企業の減少が著しい、このように考えておりまして、恐らく大きな原因というのは、人口の減少であったり、さらには高齢化の進展、そして競争の激化、地域経済の低迷、こういう構造変化があると考えております。同時に、経営者本人の高齢化等々の問題もある。

 そこの中で、規模が限られておりますから、こういうさまざまな環境変化に対してどう対応したらいいか、このノウハウであったり、また能力、こういったものが十分でない、こういう要因があるんだろうと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 そういう中で、次々と、今会社を畳む方が少なからずいるというわけでございます。将来的には、不死鳥は自分が年老いると火山の中に飛び込んでまた新しく生まれ変わるというような話もありますけれども、一旦終わらせて次に生まれ変わる、死というのはそのための一つのステップだというような、そういう捉え方もあるわけでございますが、どうしても今の日本だと、会社を畳むとか、清算する、倒産するということに対して、もちろん社会的にはネガティブに捉えられますし、それだけではありません。やはり、人に迷惑をかけたんだから、しばらくはちょっとおとなしくしろよというような、そういう雰囲気もあるのではないかと思う方も少なからずいるところだろうというふうに思います。

 最近も、具体的には申し上げませんけれども、いわゆるネオヒルズ族というような一群の方々がいまして、そのある意味リーダー格の方が会社を壮大に倒産させたというような話もありまして、今その方は次に向けてしっかりと頑張っていこうというような動きを見せているところではございますが、はたから見ると、もうちょっと静かにしていたらどうかというような思いも、ちょっとある部分もあるので、自分自身、そういった、人に迷惑をかけて倒産した以上は、ちょっと謹慎しろみたいな思いもないわけではないです。それは、広くあるところではないかと思います。

 ただ、やはり、今は、ある程度高齢の方が、会社が傾くという中で、とにかくぎりぎりまで粘って粘って粘って、どうしようもなくなって倒産する、そして、もう首が回らなくなって、みずからの命を絶つみたいな方も少なからずいるということを考えると、ある意味、もう少し撤退ということを気軽にしてもいいんだよというようなことを広めていかなければいけないんじゃないかというふうに思っております。

 先ほど来の御答弁の中でもあったかというふうに認識はしておりますけれども、もう一度、この点について茂木大臣の御認識を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 やはり、再チャレンジをできるような環境をつくっていくということは日本で今極めて必要だと思っておりまして、長くデフレが続く中で、企業の経営者全体も縮み志向でありましたが、これも変わってきております。

 また、一度失敗しても再チャレンジできるような環境をさまざまな面で整えていきたいと思っております。

 もちろん、謹慎しろ、事業としては積極的に頑張ってもらう、ただ、プライベートな面は、そこまで同じようにやっているのかという御指摘は、いろいろな方についてはあるのではないかな、こんなふうに考えるところがあるわけでありますけれども。

 やはり、撤退をする時期は極めて重要だと思っておりまして、そこで持ちこたえてちゃんと再生できるということであれば別なんですけれども、どうやってもじり貧になっていくというときは、どこかで見きわめをつけて、そこで廃業するなり、それによって全く業種転換をする、こういった判断はある程度早目に行った方がいいんだろうと思っております。

三谷委員 ありがとうございます。

 自分が今までずっと弁護士として仕事をしてきたときには、いわゆる企業法務というふうに言われる仕事をしておりまして、中小企業、そういったことをこれから立ち上げていく二十代、三十代の社長の方々とのつき合いもそこそこあったわけでございますが、ああいう方は、どんなに失敗しても、もう一度立ち上がって頑張っていこうというようなマインドを持たれていらっしゃる方が多いとは思います。

 一方、この世界に入っていろいろな方とおつき合いをさせていただく中で、自分で会社を運営している、それこそ五十代、六十代の方々が、なかなかお金がうまく回らなくなってきた、そして本当に借金がたまってきてどうしようもないというような中で、倒産してもう一回事業を立ち上げればいいじゃないかということはやはりそんな簡単には言えないということも、それは本当にそういう方々を見て理解をいたしました。

 今必要なのは、そういう方々にしっかりと、今回は畳んだ方が楽になるんだよ、そして、畳んだ上で、次、もう一度会社をこういうふうな形で立ち上げたらどうかというような、そこは本当に、ハンズオンというか、しっかりとした支援をしてあげる、それはお金の面だけではなくて人の面でも支援をするということが必要ではないかというふうに考えております。

 その中で、本当にこれから開廃業率一〇%というものを目指していくということであれば、それはもちろん若くて勢いのある社長さんばかりじゃないわけですから、そういう方々に対して、ある意味、五十、六十になって会社を畳んだ方がもう一度立ち上げる、そういう側面も含めた開業支援というのも必要になってくるのではないかというふうに思いますけれども、その点も含めて、今後どのような起業促進策というのをお考えなのか、お答えいただければと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘の、例えば、五十歳、六十歳で事業にある程度の限界が見えた方をどうするかというのを含めてでございます。

 基本的には、そういう方を中心に、中小企業再生支援協議会ということで、各県でそれぞれつくっておりまして、事業をこれからどうするかという真摯な御検討をまずいただいて、金融面でも御協力できることがあれば御協力して、また次のステップへ進むようにするというのが、まず、これまでやってきたところでございます。

 それに加えまして、この二月から、経営者保証ガイドラインということで、事業のこれからを考えるに当たって、うまくいくような方法をとってきているところでございます。

 また、先般御審議いただきました産業競争力強化法によりましても、創業のチャンスは全国どこにでもあるということで、市区町村による創業支援ということも改めてつくってございます。

 先ほど副大臣から御答弁申し上げた創業補助金、こういったものも進めながら、総合的に対応してまいりたいと考えております。

三谷委員 ありがとうございます。

 本当に、今申し上げたとおり、若い方は、ほっておいても再チャレンジや頑張っていくというような方々はそこそこいるとは思うんですが、ある程度の中高年の方々で会社を畳まざるを得ないという方に対して、どのように次にもう一度頑張ってもらうというような支援をしていくのか、これが本当に難しいことではないかというふうに思っておりますので、この点について引き続き検討を重ねていただければということをお願いさせていただきます。

 それから、みんなの党といいますか、我々としては、歳入庁というものを設置して、税金だけではない、社会保険料というものをしっかりと徴収をしていかなければいけない、徴収漏れというものが十兆円に上る額としてあるんじゃないかというようなことを申し上げさせていただいているところではございます。

 もちろん、一方で、税金と違ってという言葉が適切かわからないですけれども、社会保険料は会社の業績によらず払わなければいけない、その負担が非常に重いということもまた事実でございまして、徴収漏れというものをすることによって何とか会社が生き延びているというような、ある意味、そういう現状というのもまたあるのではないかというふうに思っております。

 その意味で、我々としては、歳入庁というのを設置する、そして、徴収漏れは見逃してはいけないと同時に、徴収しないことが常態化しているのもおかしな話ですから、その点についてしっかりと、企業によっては社会保険料というものを何らかの形で負担を軽減するような、そういう施策というのを進めることも必要ではないかというふうに考えておりますけれども、この点についてのお考えはどうなんでしょうか。

神田政府参考人 社会保険料につきましては、必要な給付との見合いで、労働者に支払われる報酬を算定基礎に、負担能力に応じて労使に御負担いただくということにしております。

 例えば健康保険で申しますと、労働者の健康が保持されれば事業主の方にもメリットがあること等に鑑みまして、事業主にも必要な御負担をいただいているということですので、事業規模で特定の目的で軽減するという性格のものではないというふうに考えております。

 具体的に申しますと、例えば加入事業所の八割弱が従業員十人未満の事業所であります協会けんぽにつきましては、健保組合ですとか共済組合と比べまして所得水準が相対的に低いということから、医療給付費に対しまして一定の国庫補助を行っておりますが、その補助率を、現在一三%のところを一六・四%に特例的に引き上げる等の措置を二十六年度まで講じているところでございます。

 それから、高齢者医療制度に対します支援金につきましても、現在、加入者数に応じて御負担いただくべきところを、各保険者の負担能力に応じた負担としまして、所得水準の低い保険者の負担を軽減するという観点から、その三分の一を総報酬に応じた負担としているところでございますけれども、さらにそれを全面的に総報酬割にしていくということも検討しているところでございます。

 こうした措置によって、実質的に小規模の企業の負担が軽減されているものというふうに考えております。

 それから、先ほどございました、滞納している事業所についてでございますけれども、経営状況の悪化などによって保険料が一時的に納付できないという申し出があった場合には、日本年金機構において、実情を丁寧に聞き取った上で分割納付などの相談に応ずるなど、事業所の実情に配慮した対応をしているところでございます。

三谷委員 今、るるお答えいただきましたけれども、では、実際上、徴収漏れというものが起きているのか起きていないのかというところだと思いますね。

 今お話をいただいたとおり、実際、そういう分割納付を申し出ているところに対しては、そうやって分割でというような話はされているということでございますし、保険料の補助率を上げるという対応もあるというところではございますが、一方で、徴収漏れ、しっかりと本来は徴収すべきものが徴収できていない、そういうような分割納付の申し出もされていないというものもあるんじゃないですか。

神田政府参考人 先ほど申しましたように、納付が困難であるという申し出をしていただいた場合には、それを丁寧に聞き取ってきめ細かな納付指導を行うということでございますが、繰り返し納付指導をしたにもかかわらず、そういう指導に応じていただけない事業所につきましては、滞納処分等を迅速かつ確実に実施をするという対応をさせていただいております。

三谷委員 この点についてはしっかりと、中小企業、特に今回の法案で申しますと小規模企業というものを経営されている方々に、本当にストレスなく今までどおり経営をしていただくという観点から、本当の意味で、本音と建前を使い分けるという形ではなくて、しっかりと、取れるんだったら取る、取れないんだったら取れないということを、見逃すみたいな話ではなくて、それを正面から捉えていただいて、対応していただきたいなということはお願いさせていただきます。

 時間も大分過ぎてまいりましたが、幾つも質問はありますが、もう一つ、今回の、中小企業庁の中の組織についての質問もさせていただきたいと思います。

 中小企業庁というもの、今回、基本法をつくるんだ、そして今まで以上にしっかりと、小規模企業を含めて、そういったところに脚光を浴びるような政策を進めていくということを言いながらも、以前、これはとある方から教えていただいたことなんですが、中小企業庁には小規模企業部というものがあったということなんですね。それが平成十三年に廃止された。現在は、経営支援部経営支援課の中に小規模企業政策室がある。

 省庁の中でいうと、部があって課があって室がある。ある意味、小規模について取り扱う場所が二段階格下げになったというような状況だということですが、これは、今年度中に課を設置する、ある意味一個引き上げるというようなことなんですが、それによって具体的に何が変わるのか、また、将来的にはこれをまた部に引き上げる、そういったことも検討されるのかについて、お答えいただければと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、かつて小規模企業部というのがございました。それが今、小規模室になっておりますけれども、これは、今年度中に小規模企業支援課、仮称でございますが、担当課をつくりたいと考えております。これによりまして、行政官庁の中に専属の課長というものを置くことによりまして、各省庁あるいは地方公共団体との調整、連携がハイレベル、我々なりにハイレベルにできるのではないかと考えてございます。

 これによりまして、さまざまな施策も取り込みました、政府全体の施策を取り込んだ基本計画などもつくっていく、こういうことで、総合的、効果的な施策の企画立案に向けて進めるのではないかと思います。

 今後につきましては、また改めて今後考えていきたいと思います。

三谷委員 ありがとうございます。

 質問の時間も基本的には終わってしまったというところではございますが、きょうは、せっかく松島副大臣にお越しいただいていたにもかかわらず、御答弁をいただく機会がなかったということで、次回以降に期待したいと思います。

 まさに多産多死というようなところがありますが、先に政党の方がまさに多産多死状態になっているんじゃないかというような状況でございますが、我々みんなの党としては、あくまでも、持続的発展ではなくて成長発展を目指して頑張りたいというふうに思っておりますので、今後ともよろしくお願いします。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 結いの党の小池政就です。お疲れさまです。

 先ほど木下委員も言っていたんですが、私のときもいつも松島副大臣が出ていかれるのがすごく寂しくて、しかも、大体、三谷委員のせいによってちょっと怒った顔をして出ていかれるので、本当に残念だなと思うんですが、ただ、きょうちょっと松島副大臣はまぶし過ぎたので、少し落ちついてこれで質問ができるかなと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 きょうは、最初、近藤委員からも質問がありましたテーマと少しかぶるような内容についてお伺いをさせていただきたいと思いますが、ちょっと違う角度からの質問になるかと思っております。

 私たちも、中小企業また小規模事業に対しての後押しは必要だということは共通しているところでありますが、やはり、程度の問題でありますとか、また、公平性というものもしっかり考えていかなくてはならないということを留意しているところであります。

 きょうは、財務省の方から葉梨政務官に来ていただいておりますので、最初に少し税の方についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 中小企業向けに対しては、消費税におきましては、簡易課税制度、それから免税点制度というものが設定されておりまして、それぞれ、免税点制度というのは、売り上げの消費税と仕入れの消費税、本来はその差額を国庫に納付するものを、それを免税でいいですよということになっている制度でありまして、また、簡易課税制度というのは、仕入れの消費税の税額というのを、本来の税額ではなくて、みなし仕入れ率というものを適用して、低い方でいいですよということになっている制度でありますが、まずこの意義についてお伺いさせていただけますでしょうか。

葉梨大臣政務官 お答えいたします。

 小池先生の資料をいただいているわけですが、イギリスはちなみに簡易課税、免税点とも制度としてあるということをまず申し上げた上で、意義ですけれども、基本的に、中小企業の事業者の事務負担に配慮する観点から、この二つの制度が設けられております。

 ただ、現在、私どもにおいても、余りこれを広範に認めますと、委員おっしゃられましたように、課税の公平性に反することとなりますので、累次の税制改正でそれぞれ見直しを図っておるところでございます。

小池(政)委員 済みません、意義のところですけれども、事務負担の軽減ということでよろしいんでしょうか。(葉梨大臣政務官「はい」と呼ぶ)いいですね。ありがとうございます。

 その前提ということなんですが、やはり程度と、それから、実態は、本当に事務負担はどうなのかなということも見直していく必要があるかと思います。

 きょう、皆さんに資料を配付させていただいております。この一ページ目は、日本では消費税、他国では付加価値税もありますが、それに対する制度、免税点制度それから簡易課税制度というものを示しているところであります。

 この中身を見ていただくとわかりますように、それぞれ、免税点も簡易課税制度も、日本が売り上げの金額としてはかなり高いところに設定されているということが特徴的であるとともに、また、これによって益税というものが発生しているところでございます。益税という形で、本来国がしっかりと税収を上げるべきものが、これが事業者に留保されてしまっているというようなものが、免税点でいいますと三千五百億円程度、それから簡易課税制度でいいますと一千五百億円程度。これは、平成二十六年四月二十八日、参議院の決算委員会で愛知治郎財務副大臣の答弁からもいただいた金額でございまして、これは恐らく増税前でございますから、増税になれば、またさらにこれが膨らむという状況であるかと思います。

 この際に、やはり程度の問題、それから益税の状況を踏まえて、これを少し見直す必要があるんじゃないか。今までも確かに税制改正によって少しずつこの見直しは進んでいるところでありますが、これについての見直し、今後の予定はどうなっているんでしょうか。

葉梨大臣政務官 確かに資料にあるとおりでございますけれども、もともと、御案内のように、消費税が入りましたときに、免税点も三千万円、簡易課税も五億円の売り上げということで、非常に高い、ハードルじゃない、逆ハードルですけれども、そういうところから始まった中で、累次の税制改正がある中で、先ほど申し上げましたような、公平性の観点から見直しが行われております。

 そして、例えば昨年でございますけれども、昨年についても、事業者免税点制度については、制度の悪用を防止する観点から、一定の大規模法人が設立した資本金一千万未満の新設子会社については、設立当初二年間の免税点制度の適用対象外にする、あるいは、簡易課税について、金融、保険業について六〇%から五〇%、不動産業について五〇%から四〇%というような引き下げ、これ自体を、検討の上、導入させていただいておるわけでございます。

 今後も、このような制度の見直しというのは、その状況に応じて我々もしっかりやっていかなきゃいけないというふうに思っていますけれども、基本的に、この免税点制度それから簡易課税の制度につきましては、制度自体は、一応枠組みとしては、先般の社会保障・税の一体改革におきましても制度自体は残しておこうと。ただ、具体的な、今も申し上げましたような中身については、さらなる見直しは、今後もその状況に応じて行っていかなければならないものと考えています。

小池(政)委員 状況に応じてということでありますが、これだけ財政が逼迫して、かつ益税がこれだけ出ているという状況の中で、ぜひ前向きに取り組んでいただきたいと思います。

 特に事務処理にいたしましても、既にIT等の普及によって事務処理の緩和というのはかなり進んでいるところでもありますし、また、特に簡易課税制度におきましては、実態として、本則課税と、それからみなし仕入れ率を使った課税、それぞれ幾らかというのをみんな比較して、それによって低い方を節税対策という形で使っているケースというのがほとんどでありまして、それを見ても、やはりここは制度自体を見直すべきではないかなと思っております。

 特に、簡易課税制度というのは、もともとインボイス方式を導入されているヨーロッパ等で進められた制度で、帳簿方式のこの日本で果たしてこれはこのまま本当に維持されていていいのかなということも感じてしまうわけでございます。

 また、益税というのは、確かに、結果として中小企業の人たちに対する優遇策ということになるかとは思いますが、消費税を負担している消費者の本意には、必ずしもそれは当たらないものでありますから、そこをしっかりと認識して取り組んでいただきたいと思います。

 今度は、先ほど近藤委員がおっしゃっておりました信用保証についてお伺いをさせていただきたいと思います。葉梨政務官はこれで結構ですので。どうもありがとうございました。

 信用保証でありますが、先ほどの議論にもありましたが、まず茂木大臣にお伺いさせていただきたいと思うんです。

 信用保証、確かにその意義というものは理解できるところでございますが、やはりこれも、手厚過ぎる信用保証というところには弊害というものも潜んでいるところであると思います。その弊害について、どのようなことを考えていらっしゃいますか。

茂木国務大臣 信用保証制度は、もともと、融資額の一〇〇%を信用保証協会が保証する制度でありまして、これによりまして中小企業等々に対する資金提供の円滑化を図る、こういう目的があるわけでありますが、一〇〇%信用保証するということで、弊害としては、民間の金融機関にとって貸し倒れのリスクが発生しないわけでありまして、金融機関が融資先の事業の内容を見て融資を行う、さらには、経営状況が悪化してきた中小企業、小規模事業者に対して経営改善等を指導したり一緒に考えるということについてもインセンティブが働きにくい、また、さらに申し上げると、金融機関のモラルハザードというのを招きかねない、こういう側面もあると理解をいたしております。

小池(政)委員 ありがとうございます。

 金融機関それから事業者のモラルハザードということもおっしゃるとおりだと思いますし、また、先ほどの質疑にもありました年間数千億円の財政負担というものもしっかりと考えていかなくてはならないと思っております。

 これについても、資料をちょっと見ていただきたいと思います。先ほどの資料の裏になるんですが、こちらは、まず、金融機関へのアンケートで、新規融資に際して重視する取り組みはという質問に対する回答であります。

 本来の信用保証というのは、中小規模の事業がどういう状況にあるかという、その情報が貸す側の金融機関になかなか伝わっていないという情報の非対称性を少しでも緩和しようということから、新しいところに貸していくための手助けというのが一つの大きな意義かとは思うんですが、このアンケートの上の方、信用保証つき融資、こちらを見てみると、信用保証によっても、新規融資に際しては、もともと既に貸し出されているメーン先の融資増額という形で、今までもう既に貸し出ししているものをさらに増額するということであったりとか、ほかの金融機関が貸し出ししているものをふやすとかいうものを結果として優先されてしまっていて、新しいところになかなか貸し出しがされていないというような実態があるところでございます。

 それから次の資料、これは程度の話でございますが、これはまた先進国の比較になります。

 先ほどの委員も何%ぐらいかなということをおっしゃっておりましたが、こちらには、保証料率、保証の限度額、それから保証割合というものがそれぞれ比較されているところであります。また、承諾実績も、ちょっと古いんですけれども、二〇一一年の比較となっております。

 この中を見てもわかりますように、日本の場合は、保証限度もかなり高いし、また割合も八〇から一〇〇パー、それから結果としての承諾実績、これが桁違いに大きいんですね。約十一・六兆円、ほかの十倍以上、件数も八十六万九千九百七十二件ということで、平成二十五年度末では、保証債務残高が約三十兆円あるところであります。また、全額保証については、これは十八兆円ぐらいあるというような状況になっているところでもありまして、これで、かつ、一〇〇%の保証がついているものに対しても、また保証料率という形で、さっき、金融機関がただ乗りじゃないかという話もある中で、そのようなものも課されているというような状況であります。

 それについて、今回、最後のページになりますが、信用保証の見直しという案が出てきたところであります。

 先ほどの話は多分ちょっと否定的な意見かとは思うんですが、私は、こういう状況を踏まえた上で、やはり見直しというものは考えるべきではないかということを思っております。特に、今回クローズアップされたのは左側の黒い四角で囲んであるところでございまして、「民間金融機関の目利き・経営支援を促す信用保証の見直し」ということが今回この記事に出されているところであります。

 確かに、茂木大臣がおっしゃったように、この内容については触れなかったとは思うんです。このときの諮問会議、五十分で十人近くの方から説明資料が出されて、しかも、それに加えて二つの配付資料があったということでございますから、恐らくここまでは触れられていなかったとは思うんです。

 ただ、この手法というのは、真ん中にありますように、経営改善でありますとか、生産性、効率性の向上、それから新陳代謝の促進につながっていかなくてはならないというのがやはり前提であると思いまして、その中で、果たして、今見てきたような状況の信用保証、少し見直す必要があるのではないかということを思うんですが、大臣、いかがお考えでしょうか。

茂木国務大臣 信用保証制度は、先ほど申し上げたような問題点もあるということから、二〇〇七年に、融資額の八〇%について信用保証協会が保証を行い、残りの二〇%を金融機関の負担とする、いわゆる責任共有制度を導入して、これを中心とする運用に移行したわけであります。

 その後、リーマン・ショックがありまして緊急避難的な措置をとりましたが、本年の三月から、業種の指定基準を本来の運用に戻して、現在は、責任共有の原則に従った制度での運用を行っております。

 そこの中で、民間金融機関の目ききであったりとか経営支援を促す、このことはいずれにしても極めて重要な問題であると考えておりまして、それを行うためにどういった対応が必要なのか、制度の見直しであったりとかさまざまなことを含めて、何が最も有効であるか、不断に検討を進めてまいりたいと思っております。

小池(政)委員 もう少し踏み込んで、ぜひ具体的に考えていただきたいと思います。

 時間となってきましたので、もう少し全般的な大臣の意思、姿勢をお伺いさせていただきたいと思うんです。

 今回は特に小規模に光を当てた取り組みということで、私たちもそれは本当に支援を行っていくべきだとは思うんです。ただ一方で、やはり国としてのリソースが限られている中で、前回、二者択一ではないというお話もありましたが、平成十一年の中小企業法の抜本改正にあったような、トレードオフとかゼロサム的な要素というのは拭えない中で、結果として、やはり、公平性がしっかり確保できるようにとか、成長とかそういうところに促進を促すような仕組みであるとか、また、頑張っている人がその負担が上がらないようにするとか、そういう観点も大変大事だと思います。

 それから、新陳代謝を妨げてはいけない、また、行政への依存体質、これは絶対ふやしてはいけないという観点もしっかり持って取り組んでいただきたいと思いますので、その点について、大臣の姿勢、また意見を最後にお伺いさせていただきたいと思います。

茂木国務大臣 もちろん、日本全体として産業の新陳代謝を進めるということは重要でありますし、企業も個人も、頑張っている人、額に汗をかいている人が報われる社会、こういったことをつくっていくことが基本であると考えております。

小池(政)委員 どうぞよろしくお願いします。

 私も、政治家になってみて、こういうことは、どんどん支援しろとか、どんどん補助金をつけろという方が確かに言いやすいということはあるんですが、ただやはり、中長期的なことを考えていくと、しっかりここは主張しなければならないし、ここはしっかりと考えていかなくてはならないということを思っていますので、ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

富田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 小規模企業振興基本法案について、二回目の質問をいたします。

 最初に大臣に伺いますけれども、小規模企業の振興に当たって自治体の果たす役割についてですけれども、小規模事業者の支援に当たっては、要するに、個社の支援だけではなくて面的な支援が必要だということも大臣はおっしゃっておられました。

 そういった面的な支援に当たって、自治体の果たす役割が極めて重要ではないかと考えますが、大臣のお考えをお聞かせください。

茂木国務大臣 まさに御指摘のとおりだと思っておりまして、小規模企業の活動は地域に根差した活動であり、同時に、そういった小規模企業が地域の経済や雇用を支えている。

 小規模企業が活性化することが地域の活性化にもつながる、さらには、地域の底上げそのものがそこの地域における中小企業の活性化にもつながる、こういう表裏一体の面があると思っておりまして、今後施策を進める上では、国の役割、そして地方公共団体の役割、きちんと役割分担のもとで連携をとっていかなければいけないと思っております。

 国につきましては、小規模企業振興基本計画を策定するなど、全体的な方針を定めるとともに、施策の実施状況であったりとか目標の達成状況をレビューし、それをまた国会の方に報告させていただく、こういう役割を担うことになります。

 一方、地方公共団体は、国と連携を図りつつ、それぞれの地域の特性に応じた施策を企画立案して実施することを責務とするとともに、小規模企業に対する地域住民の理解を深める、こういったことを求めていきたいと思っております。

 その上で、国、さらには地方公共団体、そして商工会、商工会議所、地域の金融機関等の支援機関が適切に連携をして面的な支援を行っていく、こういったことが重要であると考えております。

 本法案、成立をさせていただいて、その上で実際に施行するに当たりましては、全国知事会であったりとか市長会、それから町村会の会合であったりとか、個別自治体への説明等々を通じて周知徹底を図ってまいりたいと考えております。

塩川委員 小規模事業者支援に当たっての自治体の役割について答弁をいただきました。

 自治体が小規模企業を支援する根拠というのは、そもそも、職住近接、職住一致という環境のもとで、やはり、地域経済の担い手であるだけではなくて地域社会の担い手ともなっているという点でも、この小規模事業者の支援というのは自治体にとっては大変大きな意義のあることだと思っております。

 そういう中で、今、各地で自治体の独自の取り組みも進んでおります。高度なものづくりの集積もあります東大阪市も、一九九九年に中小企業の悉皆調査も行って、二〇一三年、昨年には中小企業の振興基本条例もつくりました。

 そういった中で、地元の労働組合や団体などがつくっております東大阪産業政策会議というのがありまして、東大阪市のものづくりを発展させるための調査報告書をことしの三月にまとめております。

 その実態調査、従業員九人以下の小規模事業者を中心とした調査ですけれども、その実態調査が明らかにしたのは、ものづくり産業集積の力、ネットワークの重要性だった。そういう点でも、個社の支援だけではなく、面的な整備、ネットワーク、産業集積への支援が必要だということであります。

 そこで、経済産業省にお尋ねしますが、この法案の参考人質疑におきまして、中小企業家同友会全国協議会の国吉副会長から、自治体の取り組みにおいて、中小企業振興基本条例、悉皆調査、産業政策会議、この三点セットの重要性が強調されましたが、政府としてはどのように認識しておられますか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 地方公共団体の取り組みは大変重要だと考えてございます。そのうち、今御指摘いただいた三点につきまして、いずれも中小企業庁としても重要と考えてございます。

 まず第一の振興条例でございます。

 これは、中小企業家同友会全国協議会によるお調べによりますと、現在、三十一の道府県、百十六の市区町村において中小企業振興条例が制定されておりまして、特に三重県におきましては、中小企業・小規模企業振興条例と、小規模企業を特記した条例を制定したと承知してございます。このように、小規模事業者振興に積極的な自治体との連携を強化してまいりたいと思います。

 第二に、実態調査についてでございます。

 今般の基本法案におきましても、国として、機動的に実効的な施策を講ずるため、毎年、我が国の小規模事業者の動向を把握し、国会に報告することといたしております。これに加えまして、各地方公共団体において実態調査を行われるということは、実情を踏まえた効果的な施策を講ずるという観点からも有用な取り組みであろうと考えております。

 第三に、会議体ということでございます。

 国といたしましては、昨年二月から、中小企業、小規模事業者、そして地方公共団体、中小企業団体、士業団体、さまざまな方と一緒に意見交換を行う“ちいさな企業”成長本部、これを五十四回開催してございます。基本法第七条におきましては、地方公共団体は小規模事業者に対する地域住民の理解を深めると定めてございます。地方公共団体が地域の関係者を集めていただいてさまざまな方向性を共有されるということは望ましいものと考えてございます。

 以上でございます。

    〔委員長退席、江田(康)委員長代理着席〕

塩川委員 三点についての答弁をいただきました。

 東大阪のものづくりを発展させるための調査報告書でも、東大阪市役所の行政職員に対して求めることは、中小企業の状況をもっと知ってほしい、こういう回答が事業規模を問わず最も多かったということです。

 そういう点では、基本条例をつくることに多くの関係者が参加をすること、施策を練り上げていく上で関係者が集まった恒常的な機関としての産業政策会議を位置づけるということ、そういう取り組みを進める上でも、やはり、悉皆調査を行うことによって、行政マンが、地元の企業にこんなにすばらしい値打ちがあるんだ、あるいはこういう深刻な実態にあるんだ、こういうことをつかむということが施策に生きていくという点でも、この三点セットの重要さというのを改めて感じているところです。

 そこで、第七条に地方公共団体の責務が規定されております。これは中小企業基本法の規定と同じ書きぶりではありますけれども、施策の策定や実施の前提として、地方公共団体の区域の自然的経済的諸条件に応じた施策、自然的経済的諸条件を述べておりますけれども、これはどういうものを指すのか。商業集積とかものづくりの集積とか産地といった産業集積も含まれるのか。この点について御説明いただけますか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 法案の第七条、地方公共団体の責務を規定してございます。そのうち、御指摘の自然的経済的社会的諸条件、これは、例えば、自然的条件としては天候、地形、地理的環境、また経済的条件としては、各都市などからの距離、交通網、産業の発達程度、こういったもの、あるいは、社会的条件としては、人口の構成の度合い、社会資本の整備状況、こういったものを勘案してございます。

 御指摘のものづくり産業の集積あるいは商業集積といった経済状況、産業集積につきまして、地域の諸条件に応じて形成されるものでございますので、このような規定の諸条件に含まれるものと考えております。

塩川委員 先ほどの引用で社会的が抜けておりました。失礼しました。

 今のように、それぞれにおいての諸条件を把握するという点におきまして、こういったものづくりや商業の集積、産業集積も当然当たるということであります。

 そこで、第十一条では、国による小規模企業の実態調査とその公表を義務づけております。先ほどの答弁でもございました。

 国として、商業集積やものづくりの集積、産地とか企業城下町といった産業集積の実態調査をきちんと行うということなんでしょうか。この点についてお答えください。

北川政府参考人 お答えいたします。

 より効率的、効果的な政策を展開していくためには、実際の企業間取引あるいは産業集積、こういったものをしっかりと把握しておくことが必要不可欠と考えてございます。

 さまざまな調査をやってきておるところでございますけれども、今般、経済産業省といたしましては、民間調査会社の企業間取引に関するビッグデータを活用いたしまして、全国の企業間の取引ネットワーク、そしてまた、それぞれの地域の産業集積の実態を把握するシステムの開発に着手したところでございます。これは、今般の中小企業白書にもその概要を紹介してございます。これから深めてまいります。

 このシステムでは、産業別に、企業間取引、産業集積を地図上で空間的に見える化することとともに、五年程度の時系列でも分析することが可能となりますので、産業集積の生成過程、衰退過程も追いかけることができると考えております。

 この企業間取引、産業集積は、市町村、都道府県といった行政区域と関係なく形成されるという実態もございます。こういったことを反映した政策も打てると思いますし、これを用いますと、地域活性化の切り札と今後なると考えていますコネクターハブ企業、地域中核企業ですけれども、域外から付加価値を獲得して域内取引をしていく、こういった企業も発見できると考えてございますので、そこを応援するような施策が今後の地域活性化の観点から重要であろうと考えてございます。

 こういうところも含めて、産業集積を十分調べてまいりたいと考えております。

    〔江田(康)委員長代理退席、委員長着席〕

塩川委員 今紹介されたのは、地域産業構造分析システムの開発ということだと思いますけれども、そういう点では、コネクターハブ企業を抽出することで国や自治体の効果的な政策資源投入につなげるという説明であるわけです。これも一つの方法でありましょう。

 同時に、コネクターハブ企業、中核企業を支えているのが、その周辺にもあります小規模企業でありまして、この前の参考人質疑でも大田区の諏訪参考人が述べていましたように、小規模企業が存続してこそ地域の中核企業も生き残れる、そういう点での、面として存在する小規模企業ネットワークの実態把握こそ必要だということで、コネクターハブ企業が、いわば小さなトリクルダウン的な発想ではなくて、やはり面的な、そういう小規模企業の集積、そこに大きな意義がある、こういう角度での調査というのをしっかりやっていただきたいと思っております。

 そういう点でいいますと、やはりそれぞれの歴史的な経緯で地域の産業も集積をされております。そういう意味では、以前は産地についての概況調査というのがあったわけですけれども、年間生産額五億円以上の産地を対象とした調査結果を取りまとめていたこの産地概況調査は、二〇〇六年度に廃止をされたままであります。ぜひ、産業集積というんだったら、こういう産地概況調査を今日的にしっかりと行っていくということも必要じゃないかと思うんですが、この点などいかがですか。

北川政府参考人 委員御指摘の、かつては産地実態調査と呼んでいたと思いますが、産地概況調査はずっと長い間やってございました。ただ、さまざまな御意見もあり、産地というものもだんだん時代によって変わってきているという実態もございましたので、一旦廃止をしております。

 今後、産業集積の実態を調べる中でどのような方法が適切か、また考えてまいりたいと思います。

塩川委員 もともと地域産業集積活性化法の中で位置づけられていて、それが二〇〇六年で廃止をされて、その後は企業立地促進法の中に位置づけるんだという説明だったわけですけれども、実態としては何もされなかったということでありますから、本来引き継がれるべきものであったはずが、なくなっているわけですから、これは改めて位置づけし直す、やはりそういった角度でしっかりと取り組むことが必要だと思うんですが、改めていかがですか。

北川政府参考人 今後、どういった調査が必要かも含めて、改めて検討してみたいと思います。

塩川委員 この間、下請中小企業の短期動向調査も二〇〇五年度で廃止をされております。自治体の施策の具体化に生かせるように、国が小規模企業の重層的なネットワークを実態把握するということは欠かせないと思います。技術やノウハウの向上、安定的な雇用の維持等を含む小規模企業の持続的な発展のために、ぜひとも国として力を尽くすことを求めるものであります。

 次に、税のことについてお尋ねをいたします。

 小規模企業の持続的発展を脅かすのが消費税増税であります。

 トヨタ自動車が四月二十三日付で広告を出しておりました。この広告では、「この四月から消費税が八%に上がった。家計のやりくりは大変だが、これを機会に生活を見直せば、ムダはいくつも見つかるはず。」「節約は実は生活を豊かにするのだと気づけば、増税もまた楽しからずやだ。」ということで、増税を楽しむというのがトヨタだそうですけれども、大企業の元請から、乾いたタオルをさらに絞るようなコストダウンを迫られる重層下請の事業者は、消費税の価格転嫁も困難だ、こういう声も上げているわけであります。赤字でも消費税は納税をしなければならない、何が増税もまた楽しからずやだ、こういう声が上がっているわけであります。

 昨年の消費税転嫁法案の議論の中でも、安倍総理は、こういった重層下請構造のもとで、やはり大企業と下請事業者という関係においては、大企業が納入業者に対して相当強い立場に立っているのは事実ということを認めておりました。

 茂木大臣にお尋ねいたしますけれども、こういった重層下請構造のもとでは、やはり下請事業者にとっては消費税の価格転嫁そのものが困難だという実態に置かれているんじゃないのか、こういう実態について経産省として把握をしているのか、この点をお尋ねいたします。

茂木国務大臣 まず、自動車を初めとする産業構造でありますけれども、日本の場合は、一台の自動車をつくるのに、恐らく数千社から万に及ぶ多くの企業の技術や人材があってつくられる。これだけすばらしい日本の自動車がつくれるというのは、そういった中小企業の集積があってこそ、そういう思いを持っております。

 そこの中で、この四月から、増大する社会保障費の財源を捻出すると同時に、日本の財政状況を改善していく、こういう観点から消費税の引き上げをお願いしたところであります。

 五月の消費税の転嫁状況に関する月次モニタリング調査、いわゆるウエブ調査では、全て転嫁できていると答えた事業者が全体では八一・九%でありまして、四月の調査と比べて二・五%改善をいたしております。このことを踏まえますと、消費税の転嫁がおおむね円滑に行われている状況にあると認識をいたしております。

 一方で、全く転嫁できていない、こういうふうに答えた事業者の方も全体で三・一%でありまして、四月の調査と比べて〇・六%改善が見られるものの、依然として転嫁ができていない事業者が一定程度存在することも事実であります。

 したがって、引き続き、消費税の引き上げ分を適切に転嫁できるように、現在、全国に四百七十四人配置しております転嫁対策調査官初め、省を挙げて転嫁対策に取り組んでまいりたい、こんなふうに考えております。

塩川委員 重層下請構造のもとで恒常的にコストダウンを強いられている下請事業者が消費税の転嫁は困難だという実態の把握についての直接のお答えではありませんでした。

 四月増税前の二月、愛知県労働組合総連合が、愛知県の西三河地域の中小企業アンケート調査に取り組みました。消費税が価格転嫁できないという事業者が三割という回答だったそうですが、その事業者に、転嫁できない、あるいは転嫁しない理由を聞くと、その半数が親企業からの要請と回答しています。

 アンケートの中では、末端企業が単価を下げることに協力し、親企業が収益を上げた、自分たちだけ給料を上げて喜ばず、少しは潤いを分けてください、円高のときに単価を下げ、円安になっても知らぬふりか、また、賃上げどころか企業自体の廃業も考えるこのごろです、現に近辺の同業も多く廃業しています、下請単価引き下げばかりで消費税の価格転嫁も困難だ、適正な下請単価への是正とともに営業破壊税の消費税増税には断固反対でありますと。

 一方、二〇一四年三月期の決算で、豊田章男社長は、この四年間懸命に努力したことにより日本においても税金を納めることができる状態になってうれしいとおっしゃったそうでありますが、トヨタの連結ベースの税引き前の当期純利益は、平成二十二年三月期が二千九百十四億円、二十三年三月期が五千六百三十二億円、二十四年三月期が四千三百二十八億円。この間、利益を上げているのに法人税の納税がなかった。これは、一連のこの間の大企業減税の結果でもあるわけで、外国税額控除ですとか、研究開発減税ですとか、外国子会社配当益金不算入制度、欠損金の繰越控除制度などが積み重なる中でこういった事態が生まれている。

 大臣、最後にお尋ねしたいのが、政府・与党では、さらなる法人税の減税の代替財源として、法人事業税の外形標準課税や法人住民税の均等割の拡充などを検討されていると報道で承知をしておりますが、中小企業四団体の税制改革要望では、外形標準課税の中小企業への適用拡大には断固反対としております。さらなる大企業減税のための財源対策として、中小企業増税は許されないと思いますが、大臣の答弁を求めます。

茂木国務大臣 まず、日本の競争力を高め、企業のさらなる投資を促し、経済を本格的な成長軌道に乗せていくためには、法人税の改革、法人税減税、そして、国際的に見て遜色のない法人税実効税率、これを一日も早く実現していくことが日本経済にとって極めて重要であると考えております。

 その財源として外形標準課税を使うということになりますと、御案内のとおり、外形標準課税は主に支払い給与に対して課税をするものでありますから、安倍政権が目指しております経済の好循環、賃金の上昇、雇用の増加、こういった方向性に逆行するものである。また、特に中小企業は、付加価値額の八割が従業員への給与に充てられるということでありまして、相当な重い税負担になる。こういう観点もしっかりと踏まえて、慎重な上にも慎重な検討が必要だと思っております。

塩川委員 黒字の大企業に減税で、赤字の中小企業に増税ということでは日本経済の基盤を掘り崩すだけだということを申し上げて、質問を終わります。

富田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

富田委員長 これより両案に対する討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、内閣提出、小規模企業振興基本法案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、内閣提出、商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 ただいま議決いたしました両法律案に対し、宮下一郎君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、日本維新の会、公明党及びみんなの党の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。田嶋要君。

田嶋委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    「小規模企業振興基本法案」及び「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案」に対する附帯決議(案)

  小規模企業は、経済を牽引し、雇用を確保する力であり、地域社会の主役として地域経済と住民生活に貢献し、伝統技能や文化の継承に重要な機能を果たす国家の財産ともいうべき存在である。しかしながら、小規模企業の多くは、資金や人材などに制約があるため、外からの変化に弱く、不公平な取引を強いられるなど数多くの困難に晒されてきた。日本経済の再生を果たすためには、成長力の基盤である小規模企業の健全な発展を促し、小規模企業がその個性や可能性を存分に発揮することを通じて、活力ある地域社会ひいては我が国の産業競争力の向上を実現していくことが国家的課題であることに鑑み、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 全国の小規模企業に支援施策を確実かつ効率的に届けられるよう、事業者にとって分かりにくいものとなっている施策体系を整理・統合し、施策の積極的な周知に努めるものとする。特に、小規模企業に蓄積された有益な経営資源の継承及び産業の新陳代謝を促進するため、創業・事業承継・廃業については、これまで行われてきた種々の施策の再評価を行った上で、相互の関連性を踏まえた段階ごとのきめ細かな支援策を拡充するとともに、事業者に対する情報提供、相談体制を整備することにより、その円滑化を図ること。その際、廃業については、経営者が廃業を決断するに当たって過度な経済的・精神的負担を負うことなく適切なタイミングで事業を終了することができるよう環境を整備すること。

 二 小規模企業振興基本計画については、関係省庁の一層の連携のもと、小規模事業者の意見を十分反映した上で策定を行い、その実効性を中長期的に担保するために、政府一体となって必要な予算・税制等の措置の拡充に努めるとともに、適時適切に施策の評価及び見直しを行うなど、PDCAサイクルを確立すること。

 三 商工会及び商工会議所が小規模事業者の支援ニーズに的確かつ十分に応えられるよう、経営指導員等の資質向上及び有為な人材の確保に必要な措置を講じ、商工会及び商工会議所とその他の小規模事業者支援機関との連携を確保することにより、小規模事業者の有する課題解決に対し実効性の高いものになるよう努めること。

 四 地域経済の活性化や地域コミュニティの維持に資するため、主に小規模企業やNPO法人によって担われているコミュニティビジネス、ソーシャルビジネスなど地域問題解決型ビジネスについても、起業や事業の維持発展に関する支援の対象に含めること。

 五 法人事業所及び常時従業員五人以上の個人事業所に義務付けられる社会保険料が、小規模企業の経営に負担となっている現状があることに鑑み、小規模企業の事業の持続的発展を図るという観点に立ち、従業員の生活の安定も勘案しつつ、小規模企業の負担の軽減のためにより効果的な支援策の実現を図ること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

富田委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

富田委員長 起立総員。よって、両案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、茂木経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。茂木経済産業大臣。

茂木国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

富田委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時五十六分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.