衆議院

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第22号 平成26年6月6日(金曜日)

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平成二十六年六月六日(金曜日)

    午前十時三分開議

 出席委員

   委員長 富田 茂之君

   理事 塩谷  立君 理事 鈴木 淳司君

   理事 宮下 一郎君 理事 山際大志郎君

   理事 渡辺 博道君 理事 田嶋  要君

   理事 今井 雅人君 理事 江田 康幸君

      秋元  司君    石崎  徹君

      越智 隆雄君    大西 英男君

      大見  正君    勝俣 孝明君

      國場幸之助君    佐々木 紀君

      菅原 一秀君    田中 良生君

      武村 展英君    辻  清人君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山田 美樹君    枝野 幸男君

      岸本 周平君    辻元 清美君

      中根 康浩君    伊東 信久君

      木下 智彦君    丸山 穂高君

      國重  徹君    三谷 英弘君

      小池 政就君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       茂木 敏充君

   経済産業大臣政務官    田中 良生君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            松永  明君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     國場幸之助君

  福田 達夫君     大西 英男君

  岸本 周平君     中根 康浩君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     福田 達夫君

  國場幸之助君     穴見 陽一君

  中根 康浩君     岸本 周平君

    ―――――――――――――

六月五日

 原発からの撤退を求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二二〇号)

 即時原発ゼロを求めることに関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一二二一号)

 直ちに原発ゼロを求めることに関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第一二八二号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

富田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、中小企業庁長官北川慎介君及び中小企業庁事業環境部長松永明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

富田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

富田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。中根康浩君。

中根(康)委員 おはようございます。民主党の中根康浩です。

 私が用意をさせていただきました配付資料につきまして、一部、理事会において配付が許可されなかったということでございますが、これについては、どういう資料が配付できて、どういうものであったら配付できないか、私は今のところ納得はできておりませんが、しかし、今後の議論の一助にするいいきっかけであろうと思いますので、ぜひ、国会全体で、配付資料のあり方についてはきちんと決めていただきたいと思います。

 集団的自衛権でも、あるいは特定秘密でも、これは線引きが難しいわけであります。国会での自由な議論を制約することにならないような形での配付資料のあり方についての議論を、この経産委員会が発信源となるのであれば、委員長にもぜひリーダーシップを発揮していただきながら、御議論を進めていただければありがたいと思います。

 先ほどまで厚生労働委員会で、新成長戦略の目玉と言われているいわゆる残業代ゼロ制度、これについての配付資料であったわけでありますが、きょうも、残業代ゼロ制度について、後ほど議論をさせていただきたいと思います。

 それに関して、アベノミクスと言われるもので、では経済はどうなっているんだろうということを、改めて、全てを切り出すわけにはいきませんけれども、まず、賃金はふえているかどうかということでいえば、配付資料の一番にお示しをさせていただきましたように、四月の勤労統計、実質賃金、これをごらんいただくと、速報ではありますけれども、マイナス三・一ということで、実質賃金は下がっているわけであります。ベア、ベアと言っておりますけれども、物価上昇以上には賃金は上がっていないということになります。

 消費増税とあわせて、国民の暮らしは、決して、もてはやされているほどアベノミクスではよくなっていないということが、一つ、この実質賃金がマイナス三・一%という数字から読み取ることができるかもしれないということであります。

 特に、正規と非正規では賃金はどうだろうかということでいえば、配付資料の二番目にお示しをさせていただきましたように、正社員と非正規社員では、その賃金格差は歴然としているわけであります。

 明らかに、このことからも、正社員をふやさなければ賃金は伸びない、そして財政再検証も行われた年金も持続可能なものになっていかない。

 あるいは、賃金が伸びなければ、資料三、四というところをごらんいただければいいと思いますけれども、特に男性は、所得が一定程度なければ結婚もできないということになります。そして、もちろんいろいろな形態はありますけれども、基本的に、我が国においては、結婚しなければ子供はふえていかないということになっております。

 資料四の、就労形態別配偶者のいる割合、男性ということで見た場合に、正規社員の方と非正規の方の結婚していらっしゃるかいらっしゃらないかの割合は、これもまた賃金と同じように、あるいはそれ以上に、歴然とした差があるということをここから読み取ることができると思います。

 しかるに、今、今月六月の下旬にも示されようとしている新成長戦略、骨太の方針というものに盛り込まれようとしている労働政策、これはいずれも、非正規社員をふやして、つまりは、賃金を減らして結婚もできない状況をつくってしまうということになります。つまりは、少子化対策に逆行するものばかり。

 例えば、今厚労委員会でやってきたと申し上げましたいわゆる残業代ゼロ制度というもの、あるいは労働者派遣法、私どもはこれは改悪だと思っておりますけれども、この改悪、あるいは解雇の金銭解決制度というものが、それに当てはまると思います。

 こういったものが次から次へと成長戦略の目玉だという形で導入をされていくと、目標としている人口一億人の維持ということも結局実現が困難になってしまって、人口が減る、消費が伸びない、結局、賃金が伸びない、また子供が減るという負の連鎖に陥ってしまうということになると思います。

 では、ここで、まず一つ目、大臣にお伺いしたいと思いますけれども、新成長戦略の目玉として位置づけようとしている労働法制の見直しということなんですが、これは岩盤規制だと言われております。

 総理がどこか外国で、岩盤規制だから、ドリルの刃を最高速で回して今突き崩しているところでありますというようなことも御発言をされておられるわけでありますけれども、この資料五を見ると、各国の雇用保護に関する規制の強弱ということですが、日本は、矢印をつけておりますように、OECD平均のラインよりも下回るところに位置づけられているわけであります。日本の雇用ルールというのは、どちらかというと、OECDの比較でいえば、緩い方だと言ってもいいぐらいの状況にあるのかもしれません。

 突き崩さなければならない岩盤規制だと目のかたきにされるような状況にあるのかどうか、大臣の御見解を伺いたいと思います。

茂木国務大臣 まず、安倍政権としては、経済の好循環を実現していかなければいけない、そのように考えておりまして、アベノミクスによって得られた企業の収益、これを賃金や雇用の拡大につなげ、それが消費の拡大につながって、それがさらなる投資を生む、こういう好循環をつくっていくために、政労使の場等々も活用させていただきながら、企業に対しても積極的に、賃上げであったりとか、また非正規の方の処遇の改善、さらには取引先中小企業また小規模事業者との取引条件の改善等々を要請してきておりまして、一定の成果が出ている、このように我々は考えております。

 同時に、我々として、労働制度全てを変えるということではなくて、ゼロベースというよりも、時代に合わせた制度をつくっていきたい、このようにしているわけでありまして、決して、労働制度そのものを目のかたきにしている、こんなことは全くございません。

 そういった中で、終身雇用制度であったりとか年功序列、こういった我が国の従来の雇用システムは、大量生産時代の高度成長期を支えて、我が国の発展にも大きく貢献してきたのは確かだと思っております。

 ただ、これによりまして、現在の状況を見てみますと、我が国の労働者の働き方は画一的になりまして、欧米に比べて多様な雇用形態の導入がおくれている、また、個々人の能力や付加価値よりも均質な労働力が重視された結果、先進国の中で最も労働時間の長い国の一つになっている、こういう二つの特殊性を持つことになったのは事実である、このように考えております。

 しかし、最近、グローバル化が大きく進展をする、また、国内でも労働人口が減少する中で、女性であったりとか、また高齢者の活躍を推進していくことが求められるようになってきておりまして、これを背景に、労働者の個人個人の多様なニーズであったりとか働き方の選択に応じた、それぞれの能力、付加価値を最大化していく必要が高まってきております。

 したがって、今後の課題としては、先進国でも最も長いと言われる我が国の労働者の長時間労働の是正、これを前提にする。当然、ブラック企業対策等々については徹底的に取り組み、また、労働者の健康管理等々につきましても、企業において、より責任を持って取り組んでもらう。こういったことを前提にしながら、裁量性の高い業務を行う労働者に対象を限定した上で、国際水準から見てもより成果に重点を置いた労働時間制度をつくっていく必要があると考えております。

 その際、労働時間の長さにとらわれず、成果で業績や報酬を評価するような新しい働き方の選択肢、こういった選択肢を打ち出すべきだと考えております。

 このことが、日本企業の生産性の向上、そして競争力の強化にもつながり、また、個々人が活躍できる社会の実現にもつながるということでありまして、まさに成長戦略に位置づけるべき施策、こういうことで検討を進めております。

中根(康)委員 国際比較をしても長時間労働である、労働時間が長い、問題はそこの見方だと思うんですね。

 長時間労働がだらだら残業だということ、これは厚労委員会でもそうなんです、だらだら残業だから、それをやめさせるために成果主義を取り入れるとか、あるいは、一年に百人も過労死が生じているのに、それは、だらだら残業をして自分で首を絞めているから過労死になっちゃうんだというようなことを発言される方もあるわけなんです。

 長時間労働が、働く人たちに、きちんと報われているか、報酬としてきちんと評価されているか、そこがまず問題にされなければならないのに、長いからといって、だから成果主義を取り入れるという理屈には、私はならないんだろうと思います。

 それで、改めてお伺いいたしますけれども、今回導入しようとしている、派遣法の見直しによって派遣を使いやすくする、ある意味、一生涯派遣という形態しか選択できないような形にする、あるいは、残業代ゼロ制度で報酬と労働時間を切り離す、これは明らかに長谷川ペーパーに書いてあるわけなんですね、そういう働き方を導入する、こういったことは、正規社員よりも非正規社員の方をふやすということにつながるのは明らかだと思います。

 それで、改めて申し上げますが、先ほども資料をお示しいたしましたけれども、正規社員よりも非正規社員の方が半分程度しか賃金水準はない、あるいは、正規社員の方と非正規社員の方を比べれば三分の一ぐらいしか結婚できない、こういった状況があるにもかかわらず、非正規の社員の方をふやしていくという労働制度の導入がどうして成長戦略に位置づけられるんでしょうか。

菅原政府参考人 今、成長戦略を議論している産業競争力会議でございますけれども、委員が申された労働者の派遣法の話については、議論の対象にはなっていないというふうに承知しております。常に国会でそこは議論がされているという理解でございます。

 そのほかの、非正規をふやす目的でやっているのではないかということでありますけれども、あの民間議員のペーパーを見ていただければ御案内のとおりでございますけれども、むしろ、非正規社員を正規社員にする、多様な正社員制度をどう推進するのかというのも、一つの大きなテーマになってございます。

 そういう意味では、多様な正社員化を今後進めるに当たって、どういうモデルケース、もしくはどういうルールをこれから定着させていくのかということについても、議論の中では積極的に展開しているところでございます。

中根(康)委員 私は、経産省の、例えば医工連携であるとか、農商工の連携であるとか、中小企業をいろいろマッチングさせて新たな技術や製品や産業を生み出していくとか、こういったことについては、ぜひ、どんどん推し進めていただきたいと思っておりますが、しかし、今回、残業代ゼロ制度というようなものを経産省が主導して導入しようということに対しては、これは異議を唱えていかなければならないと思っている一人でございます。

 ここからは、配付することが拒否されたものによって議論を進めていきたいと思いますけれども、ある記事によりますと、残業代ゼロ制度は、産業競争力会議で長谷川ペーパーとして示された、生産性向上のため労働時間と報酬のリンクを切り離す、この労働時間と報酬のリンクを切り離したというところは、もう長谷川ペーパーに一番冒頭に掲載されているわけでありますので、これは事実であります。この切り離した成果主義というものを浸透させていくということになっております。

 それで、ある記事によりますと、それを書いているのは、長谷川さんではなくて、実際には経産省の官僚が振りつけをしているということが示されているわけであります。

 この残業代ゼロ制度を導入すると、給料は上がる、労働時間は短くなるという、天国のような働き方が実現をされるというようなことが、厚生労働委員会で、これは内閣官房の日本経済再生総合事務局次長の赤石さんという方と私とのやりとりで御答弁がなされているわけでありますけれども、私は、この成果主義というものは、決してそんな天国のような状況を生み出すものばかりではないと思っております。

 成果を上げられる人もいれば、成果を上げられない人もいる。そもそも、成果の測定は誰がどのように行うかということも、幾ら質問しても全然明確な答えが出てこないわけであります。

 この残業代ゼロ制度と我々が言っているものについては、七年前に、安倍総理が、第一次安倍内閣、安倍政権において、いわゆるホワイトカラーエグゼンプションという形で御提唱されたわけでありますけれども、このときだって、九百万円という年収要件がついていたわけなんですね。

 九百万円という年収要件がついていて、このホワイトカラーエグゼンプションを、対象とする人を一定程度絞り込んだにもかかわらず、世論の評価は、それは過労死を招くものだ、過労死促進制度だというようなことで、当時の政権は導入することを断念したわけなんです。

 しかし、今回は、この九百万円という年収要件すらついていないということであります。

 誰に、どのように、この残業代ゼロ制度を適用していくかということについて、厚生労働委員会においては、高度な技能を持つ人、あるいは幹部候補生、いろいろなことを言っていますけれども、そういったことは全て曖昧なもので、きちんとした明確な線引きというのは結局はできないわけなんです。それを客観的に、誰もが一定の納得ができるような要件というのは、数字としてあらわれる年収要件ということなんです。

 残業代ゼロ制度を導入する際には、最低でも年収要件を入れるというお考えはありませんか、大臣。

茂木国務大臣 まず、先ほどもお答えを申し上げましたけれども、私は冒頭、この議論の中で、ブラック企業対策、恐らく労働基準監督署もさらにしっかりした対策をやっていただく必要があると思っておりますし、企業にも、従業員、社員の健康管理をさらに徹底してもらう、こういう前提の上でという話であります。しかも、全員に適用するということではなくて、限定的に、こういった選択肢も示すということであります。

 残業代ゼロという話でありますけれども、むしろ、成果に重点を置いた労働時間、報酬制度、こういったオプションをつくり、そして個々人がそれを選べる、別に全員に強制するものではないと考えております。

 もちろん、工場のラインで仕事をされる方、さらにはオフィスにおいても極めて定型的な業務をされる方、こういう方は当たらないんだろうと思っておりますけれども、例えば、新商品の企画開発をする、また金融商品について新しい商品をつくる、これの責任者等々においては十分導入の可能性がある。

 これを年収で区切るのか、どういった形で区切るのか、こういうことにつきましては、今後、産業競争力会議であったりとか労政審の場において議論が深められるものだ、このように考えております。

中根(康)委員 私がこの残業代ゼロ制度を経産委員会で議論させていただいているのは、厚生労働委員会では、田村大臣は責任ある答弁ができないんです。産業競争力会議の常任メンバーではないからです。だから、我々、内閣官房の赤石次長を呼んできて、赤石さんと今議論をさせていただいておるんですね。

 それで、これから骨太の方針に位置づけるまでの間に、田村大臣がきちんと発言できる、厚生労働省としての立場を明言できる、主張できる機会はあるんですかと言っても、それはお答えになられません。赤石次長も、そういう機会があるとは言われません。

 つまりは、もう厚生労働大臣として、産業競争力会議で、少なくともこの六月中に発言する機会はないと我々は受けとめさせていただいております。だから、常任メンバーである茂木大臣ときょうこうした形で議論をさせていただくというのは、とても有意義なことだと思っているわけであります。

 それで、希望する人のみということは、安倍総理もそういうふうに、三つの前提のうちの一つ目として掲げておられるわけなんですが、本当に、希望する人だけということになるのかどうかというところなんですね。

 希望する人というのは、自分で時間管理ができる人、成果を設定できる人、こういったような条件、これがこういう残業代ゼロ制度にふさわしい人だということになっていて、本人が希望すれば、それを導入する、当てはめるということなんです。

 では、希望しない場合にどうなるかというと、もうこの人は自己管理できない人なんだ、あるいは、将来出世の意欲はない人なんだということで、その部署の上司の方から決めつけられてしまって、希望しないということがその人の将来の処遇に大きく影響するのではないかという懸念は拭い去ることができないわけで、結局、希望しないという選択肢はあり得ないということになってしまいかねないということだと思います。

 この残業代ゼロ制度、赤石次長が、先ほども言いましたように、この制度を導入する、我々は、成果主義、成果をどうやってはかるんだ、誰がはかるんだということを、そんなに簡単に決められるのかということを申し上げております。それで、むしろ、赤石さんは、長時間労働が防げる、労働時間が短くなるんだと言っています。成果が上がらなかったら報酬は下がるんじゃないですかと言っても、報酬は下がることはありませんと言っておられます。

 そんな天国のような働き方があるんでしょうか。そんなすばらしい働き方だったら、まず、御提唱されている経済産業省からそれを導入するということはお考えになりませんか。

 先ほど赤石さんに、公務員から導入することは考えていますか、選択肢の中に入りますかと言ったら、公務員から導入することもあり得ますということを言っておられました。

 前回も同じように、我々民主党の議員が、では、厚生労働省から始めたらどうですかと言ったら、厚生労働省の役人はこんなことをやっていましたよ、こんなことを。これがどういうサインかわかりませんけれども、大体推測できますよね。

 経済産業省、すばらしい制度なら、まず率先して経済産業省からこの残業代ゼロ制度を導入しますか。

茂木国務大臣 まず、成果がはかれるということでありますけれども、今も企業はきちんと成果をはかっております。そして、先ほど申し上げたような事業につきましては、比較的成果も出ます。最終的には、それは業績としてあらわれるものであります。

 一方、強制をされるのではないかという話ですけれども、今、ビジネスの現場は百八十度変わっていますよ。逆に売り手市場ですから、本当に優秀な人間を確保するために企業は非常な努力をしております。そういったいい処遇ができない企業には優秀な人間は入らない、これが今の現実になっている、こんなふうに考えておりまして、私は、十分こういった制度は導入できる、このように考えております。

 その上で、公務員全体としてこういう制度を導入する、成果に応じた報酬ということはあり得ると思っておりますが、公務員の労働条件につきましては、人事院を初め所管の部署において検討される、どこかの省だけ導入をして、違う省は導入しない、こういうことは余りないのではないかなと考えております。

 ちなみに、一般論として申し上げますと、私も、経済産業大臣として、省の人間の労働環境の改善に努めていかなければいけない、このように考えておりまして、一般論でありますけれども、例えば、質問の通告が前日から当日の朝にかかる、こういった状況が改善をされますと、労働環境の改善にも資する、このように考えております。

中根(康)委員 何を喜んで拍手しているか、よくわかりませんけれどもね。むしろ、当日の朝だったら残業しなくていいじゃないですか。

 今でも成果主義がきちんと実現されているということであるならば、わざわざ新しい制度を導入しなくてもいいじゃないですか。これが、よく言われているように、ベースアップをした見返りに、人件費抑制のために残業代ゼロ制度が導入されるのではないかという多くの方の見方があるわけなんです。

 私は、経済産業省主導で成長が図られていく、日本がどんどん暮らしやすい国になっていくということであるならば、それはどんどん応援したいと思いますけれども、では、この残業代ゼロ制度というものが、真っ当な理由で導入されるのか、本当に国民の暮らしにとっていいものなのか。

 そして、先ほどから申し上げておりますように、日本が成長していくために、もちろんもっとほかに要因があるかもしれませんけれども、賃金が上がって、賃金が上がることは大事でしょう、だから総理はベースアップ、ベースアップと企業にお願いしたんでしょう、賃金が上がって、そのことの結果として、結婚しやすい社会をつくる、そして子供をふやしていく、人口を減らさない、むしろふやしていく、まさにこれが好循環だと思うんです。

 この好循環をつくっていくために、残業代ゼロ制度というものが、寄与するものなのか、あるいはそれを阻害するものなのかというのを、もっと制度設計をきちんとして、本当に自信を持って、これが国民の皆様にとっていいものですよということであれば、六月下旬の骨太の方針にしっかりと明記をすればいいし、それが自信のないものであるならば、あえて六月の下旬の成長戦略に盛り込まずとも、もう少し時間をかけていいものに煮詰めていって、その上で、正々堂々と、自信を持って発表してもらえればいいわけであります。

 今、この制度の導入が本当に国民のためになるかどうか、まさに議論が二分されている状況の中で、骨太の方針に、六月の下旬に盛り込んでいくということが、経済産業省として、あるいは安倍内閣として、正しいやり方かどうかということを一度立ちどまって御検討をいただけないかということでお願いをしているわけであります。

 立ちどまってといいますか、産業競争力会議では、先ほど申し上げましたように、厚生労働大臣ですら、そこに、まともに議論に参画できないんですよ。ましてや、働く側の立場の人は全く意見が反映されない。成長戦略としてばんと打ち出した後で、労政審で御意見を聞いてまいりますということでは、決して順序が正しいとは言えないと思います。

 この六月末までの間にまだ二、三週間あるわけでありますので、厚生労働大臣の意見を聞く、あるいは働く立場の人たちの意見を聞く、この作業を積み上げるということを、茂木大臣、約束していただけないでしょうか。

茂木国務大臣 厚生労働大臣から全く意見を聞かずに議論を進めてきた、こういうお話があるかもしれませんが、私も産業競争力会議に毎回出席をしておりますが、この成果に重点を置いた労働時間制度を選択的に導入する、こういう議論の回には毎回厚生労働大臣も参加をして、厚生労働大臣としての意見も述べた上で、議論を積み重ねてきております。

 そして、申し上げておりますのは、我々は、定型的な業務、ラインの業務、これはやはり時間に制約をされます、きちんと時間ではからなければいけない、そしてそれに応じた残業代というのは支払われるべきである。

 一方、それとは違った業務につきたいという人に対して選択肢を与える。

 例えば、女性がこれから幹部の職員として仕事をしていく。育児と重なる。なかなか朝、仕事ができない方もいます。夕方保育園に迎えに行かなければいけない人もいます。その後、自宅で仕事をする。

 さまざまな働き方があってもいい、そこの中で優秀な女性がきちんと成果を出せる、そういったことが評価できるような選択肢を与えるということは必要なことだと思っております。

中根(康)委員 もう時間が来たので終わりますけれども、そういった、今大臣おっしゃったような働き方は、裁量労働制だとかフレックスタイムの有効な活用によって、一定程度実現できるわけであります。

 報酬と労働時間を切り離すという全く新しい成果主義を導入するわけであります。それが無限定に、希望しない人まで当てはめられることがないように、最低でも年収要件をそこに盛り込んでもらわなければ困るということを最後にお願いして、きょうの質問を終わります。

 ありがとうございました。

富田委員長 次に、丸山穂高君。

丸山委員 維新の会の丸山穂高でございます。

 先ほど、中根先生から役所の労働条件の話が出まして、私も、経済産業省に、一番最初の一年生のときから、労働環境としては一番大変な時期に勤めさせていただいて、いろいろ修行もさせていただいたので、そのときのことをすごく思い出しながら今の御議論を聞いておりました。

 本当に、役所の、特に若手は労働環境がすごく大変でございまして、私も、当時、残業時間だけで二百五十から三百ぐらい、土日も、来るときは来ますし、そして、何より夜が遅くて、先ほど国会対応の話もありましたけれども、国会対応だけではなくて、八時や九時から会議というのが当たり前にあったり、そして、帰る時間がないので、最初は椅子で寝ていたんですけれども、腰と首が痛くなってしまうので、寝袋を用意しまして自分の席で寝たんですけれども、今は省エネの時代なので、夜は一斉に冷房がきかない状態になるようなときでして、そうすると、どこが涼しいかと寝る場所をどんどん探していくと、近くの審議官室のところは鍵が閉まっているんですけれども、ちょうど、出ていかれる前までつけられていた冷たい風がその閉められた部屋の下から流れていたりするんですけれども、そこのところの近くで寝袋で寝たとか、そういった思い出を思い出してまいりました。

 役所の環境が非常に厳しいのは理解しております。一方で、昨今、質問を出す時間をなるべく早目にしろという議論ももちろんわかるんですが、例えば二日前、三日前であると、我々も、その前の日に何か新しいことが起きたり、そして、何より新しい情報が入ってきた中で、やはりこれはお聞きしなければいけないというものが出てくることもございます。

 例えば、その前日の夜遅くとか、また、その日の朝にも出てこないというのは、それはおかしいと思いますけれども、やはり、適切な時間、何より野党と与党と、国会での審議のあり方もございますので、非常に難しい問題だと思いますが、それだけではない役所全体の進め方というのを、一番トップでいらっしゃる大臣も含めまして、政府の方々にもお願いしていきたいと思います。何より自分も体験した一人として、強くお願いしていきたいところです。

 今ちょうど中根先生より、雇用の、労働の話がありまして、私も、くしくも、一番最初に外国人労働者の受け入れの話を経産省の大臣以下皆さんに少しお伺いしたいと思っておりました。

 委員の皆さんも御地元を回られていて、特に建築関係の人材の不足の話を陳情でよくお受けになると思います。

 一方で、移民に関しては、他国の例を見ていますと、早急にやれば、なかなか根深い問題をはらんでいる国があったり。

 私も、移民に関しては、全てが反対だという立場でもございません。日本はそもそも島国でございますけれども、古来、大陸の方から、北から南から、またミクロネシアの方からたどってこられた先祖がつくったこの国の成り立ちということを考えれば、一概に全て反対というのも、私は変な話だと思います。

 一方で、外国人労働者の話、先ほど来雇用の話がありましたけれども、国内の受け入れ状況も十分じゃないんじゃないかという議論を聞いております。

 外国人といえば、EPA関係で、連携協定関係で、インドネシアやフィリピンの方々を特に受け入れるという形でやっておられたり、また、高度人材の関係で受け入れということを進められている、高度人材優遇策みたいな形でおやりになっていらっしゃると思うんですけれども、不正行為がふえているという話だったりとか、また、目標値に関して、ようやく年収制限を大幅に緩和して、目標に達するかどうかという話が上がっております。

 一方で、私は、ちょうど若い世代でございますので、若い世代の雇用に関しても非常に危惧しております。海外の方々が入ってこられたときに、若い世代の雇用がどうなっていくのか。そして、もっといけば、労働力が足らないのは、最終的には、少子化も含めまして、そういった、もっともっと根深い部分に問題があるんじゃないかと思います。

 先ほど、年収の関係で、若い人が、子供を産みにくい、結婚ができないというお話がございました。私も独身でございますし、何より若い世代の話を聞いていても、なかなか子育てしにくい時代になっております。

 一方で、政府としては少子化担当大臣を置かれておりますけれども、若者の価値観や、若者の、子供を育てようという思いにつながるような、大きな動きが政策としてあるかどうかといえば、私はそこは甚だ疑問に感じざるを得ないところでございまして、これは、ただ単に外国の労働者を一時的に受け入れたらいいとかそういった問題ではなく、もっと根深い部分があるんじゃないかと私は思うんです。

 このあたり、経産省さんとしてどのようにお考えなのか、お伺いしたいと思います。

菅原政府参考人 委員の方からも今いろいろ御指摘、御紹介がありましたけれども、今、日本の政府としては、外国人労働者については、いわゆる専門的、技術的分野の外国人について、積極的に、日本に入ってきてもらい、日本の経済社会の活性化の促進の一助になってもらうという基本方針を持ってございます。

 その一環として、今御指摘にもありました高度外国人材ポイント制度、これを一昨年から導入いたしまして、高度人材の在留資格の緩和というのに踏み切っております。

 あとは、平成五年から、これも御紹介のありました技能実習制度というのを導入しておりまして、これまで約八十万人の技能実習生を受け入れております。これは、技術移転を通じた開発途上国への国際協力という大きな目的のもとに進められてきておりますが、これについては、もう少し間口を広く、要件を緩和してはどうかという議論がございまして、現在、政府内で、これについての要件緩和。

 あとは、御指摘のありました建設人材、これは、二〇二〇年までの、オリンピック・パラリンピックの東京開催も視野に、期間限定で導入する。これも、単純労働ではなくて、技能実習の経験者という、高度技能を持った人に限定して期間限定でやるというような形で、一定の技能を持った人に日本で活躍してもらう。

 これが、これまでの日本国政府のポジションでございます。

 議員の御指摘のありました、いわゆる単純労働者、外国人労働者の問題につきましては、入管法に基づく出入国管理基本計画というのが平成二十二年三月に定められておりまして、その中では、我が国の産業、治安、労働市場等への影響など国民生活全体に関する問題として、国民的コンセンサスを踏まえつつ、我が国のあるべき将来像とあわせ、幅広く検討、議論していく必要があるということで、いわゆる単純労働者の問題については、議員の御指摘にもあったような、若者に対する影響、治安、その他いろいろ懸念があるわけでございますので、これについては、国民的議論を踏まえながらそのあり方について検討していくというのが現在のポジションであると理解しております。

    〔委員長退席、渡辺(博)委員長代理着席〕

丸山委員 やっていただくことを、しっかりやっていただきたいんです。

 一つ、今お話しした中で、気になるのが、全体としてどういう方向に行くのかというところが非常に抜けていて、それがやはり若者なり我々若い世代の不安につながっているなというのを強く感じます。

 受け入れも結構ですし、恐らく、海外の事例も含めまして、また、国内でも、例えば浜松だとか、海外の方が来られている、いろいろな事例もございますので、きちんと御研究されていることだと思いますけれども、一方で、どれぐらいの規模の方をどのように受け入れて、今までの日本国民がどういうふうに数としてなっていくのか、そして、少子化対策をどうやっていくのかも含めて、全体のビジョンが今こそ必要なんじゃないかと私は考えております。

 このあたり、恐らくリーダーシップの必要な部分でございますので、政務の皆さんのお力で、何とか、ばらばらではない、五月雨式ではない、総合的な、国民の、特に若い世代が納得できる、外国人の受け入れも含めた、少子化対策も含めたビジョンをお示しいただくよう、強くお願いします。

 この話だけで終わってしまいそうなので、飛ばして、次の話になりますけれども、安倍内閣、いろいろ改革を進められておりまして、少し話が変わりますが、法人税の話も昨今いろいろ出てまいりました。

 来年度、二〇一五年から、現状三五%前後でございますが、これを引き下げるということを骨太に明記されるという旨の報道がございました。特に、世界の中でも、アジアの中でも法人税が高いんじゃないかと言われている中で、私としては非常にすばらしい方向性だと思うんですけれども、一方で、もちろん問題も、代替財源の問題とかございます。

 このあたりも含めまして、経産省としてどのように今お考えなのか、いま一度お伺いできますでしょうか。

茂木国務大臣 丸山委員、経産省に在籍されたころ、寝袋を持って仕事をされたということでありまして、これから、山岳部の人間を優先的に採らなくてもいいような状況をつくらなきゃいけないと思っているところであります。

 法人税の改革についてポイントを幾つか申し上げますと、経済のグローバル化が大きく進展をしている中で、日本企業が競争力を高めて、また国内外から投資を呼び込むためには、事業環境整備の一環として、法人実効税率、日本はやはり高いので、これを国際的に見て遜色のない水準としていくことが喫緊の課題であると考えております。

 同時に、改革のタイミングでありますけれども、プロポーズもそうだと思うんですが、いいディナーのときにプロポーズすればいいんですけれども、次の日になっちゃうと、うまくいかないんですよ。税も一緒だ、そんなふうに思っております。

 今、どう動いているか。企業は六年ぶりに賃金の引き上げを実施したわけでありますけれども、これから、夏から秋にかけて、アベノミクスによって得られた収益を国内の投資に向けるのか海外に投資していくのか、こういう判断をするわけでありますから、まさに、この夏、六月のタイミングで大きな方向性を示す必要がある、このように考えております。

 一つは、二〇一五年度から引き下げを実施していく、同時に、全体の引き下げのスケジュール、こういったものを示すということが、企業に投資を促す上でも重要であり、そして、それが、最終的には税収の増にもつながっていく、このように考えているところであります。

 財源をどうするか今後議論をしていかなきゃなりませんけれども、いわゆるレベニュー・ニュートラルである、こういったことは国際的に見ても極めて重要なことであると考えておりますが、レベニュー・ニュートラルはタックスレート・ニュートラルとは違うんだと私は思います。税率だけ一緒にすればいいという話ではなくて、当然、それは、課税ベースの拡大であったりとか租特の見直し、こういったことも進めながら、アベノミクスによって生まれた税収増、こういったものも含めてレベニュー・ニュートラルな財源確保をしていく必要がある、このように考えております。

丸山委員 山岳部の方を採っていただいてもいいんですけれども、できれば、山岳部の方を採らなくていいように、残業がなくなるように、我々議会の方も襟を正していかなければいけないと思います。

 今お話ありましたように、税率もそうですけれども、後ほどお話ししようと思いましたけれども、電力料金の話も含めまして、今、海外への企業さんの移転の話、非常に多く私自身も伺いますし、ニュースでも伺いますし、大臣もいろいろなところでお聞きになっていると思います。そうした中で、やはり、この法人税の話にしても、スピード感が大事だと思います。

 ただ、一方で、先ほど、賃金が思ったより上がりづらいという御指摘もありました、数字をどうとるかというのはいろいろな観点がございますけれども。そういった意味で、このあたりの点は、国民全員が、消費税が上がる中で法人税減税ということでございますので、注視しております。まだ検討中だとは思いますけれども、しっかりと進めていただきたいと思います。

 少し話が変わるようですが、実は、企業さんが外に出ていかざるを得ない状況という点では関連しているんですけれども、日本の二酸化炭素等温暖化ガスの排出量の増加について少しお伺いしていきたいと思います。

 先日、四日の日経新聞で出たものでございますが、経産省の集計で、CO2などの温暖化ガスの排出量が二〇一〇年度から二年で約七%ふえている、この理由は火力発電の割合が高まっていることという報道がございまして、このあたり、事実ベースかどうか。

 そして、恐らく、COP21を見据えて現在国際的な枠組みの議論が始まっているところだと思いますけれども、このあたりの関係性も含めまして、御答弁いただければと思います。

    〔渡辺(博)委員長代理退席、委員長着席〕

田中大臣政務官 委員御指摘のとおり、この新聞記事にもあるように、二〇一一年の東日本大震災以降、我が国の温室効果ガスの排出量は増加をしております。そして、二〇一二年度の排出量でありますが、震災前の二〇一〇年と比較すると、七%増加をしている状況にあります。

 部門別の内訳では、電力部門以外の排出量、これは若干減少している状況にあります。しかし、電力部門の排出量については、震災前に比べて約三割増加をしているということであります。この要因としては、原発停止に伴う火力発電のたき増しが考えられるところであります。

 我が国の温室効果ガス排出量の約九割はエネルギー起源のCO2が占める、こういう状況にあります。今後も、地球温暖化対策にも貢献するエネルギー政策をしっかりと推進していくことがやはり必要だと考えるものであります。

 具体的には、徹底した省エネルギー社会の実現、そして、再生可能エネルギーの最大限の導入、世界で最も厳しい水準の規制基準の適合が認められた原発は再稼働していくという、これらの対策を推進してまいります。

 エネルギー起源のCO2の排出削減につながるような取り組みをしっかりとこれからも推進していきたいと考えております。

丸山委員 今お話しになりました省エネの話も再生エネルギーの話も、ともすれば、私ちょうど三十歳でございますけれども、私が生まれる前ぐらいからもう既に出ている話で、一方で、急にはできないというふうに言われているものでございます。

 やはり何かしら、このままずっと、原発が再稼働を目指していらっしゃる中で、とはいえ、以前のような位置を原発が占めることが非常に難しくなっている昨今の世の中で、どうしてもこの火力発電の分野に頼らざるを得ないというところでございます。

 その一方で、今回、COPを見据えて、CO2の排出の枠というのがバランスの中で非常に重要になってくるところでございますけれども、アメリカの方でこんな動きがあるというのを伺っております。

 オバマ政権が、火力発電所からのCO2の排出量を制限する新規制を米国の方で出しているということでございます。この観点は、非常に今の日本に一つ必要な観点ではないかなというふうに自分は思っております。

 やはり、あの事故以降、火力発電の割合が急激にふえてきております。その中で、ここのCO2削減をどう抑えるかという部分が、COPを見据えて、日本において、アメリカももちろんそうなんでしょうけれども、日本はもっとここの部分に対して真剣に取り組まないと、このままの状態をずるずると続けることになりかねないんじゃないかということです。

 アメリカの場合は、排出量の制限の新規制ということでございますが、一方で、そういった機能を導入するには、電力会社も多大なコストがかかります。地元が関西ですので関電の方の話を聞いても、やはりコストの面でなかなか厳しいというお話もあります。

 こうした部分に対する補助も含めて、また規制も含めて、あらゆる点から火力発電関係からのCO2の排出を抑えるというのは非常に重要な施策だというふうに考えるんですが、このあたり、経産省さん、どのようにお考えでしょうか。

茂木国務大臣 米国の場合、エンバイロンメンタル・プロテクション・エージェンシー、いわゆる米国環境保護庁の方が、米国内の既設の火力発電所から発生する二酸化炭素の排出量を二〇三〇年までに二〇〇五年比で三〇%削減することを目指すという新たな規制のガイドラインの案を公表いたしまして、これは、この後、パブリックコメントであったりとか公聴会で議論が重ねられ、来年の六月までに最終案が策定をされることとなっており、その動向を注視してまいりたいと思っております。

 米国を見てみますと、シェールガス革命によりましてかなりエネルギーが安価に調達できるようになった、こういったことから、環境負荷、こちらの方に議論の重点が移っている部分もあると思います。

 一方で、今、途上国というのを見てみますと、何にしても、まずは、例えば、産業発展を進める上でも電力の安定供給を図るということに重点が置かれる部分がございます。

 エネルギー源、それぞれ特徴が違っておりまして、安定供給、コスト、そして環境負荷、安全性、全てを満たすエネルギー源というのはないわけでありますから、それをどうバランスよく現実的に組み合わせていくか、こういったことが極めて重要であると考えております。

 日本においても、環境負荷の低減は重要な要素だと考えておりまして、低炭素社会の実現に向けて、新しいエネルギーの基本計画でも、エネルギー政策の基本的な視点、スリーEプラスSということになるわけですが、その一つとして環境への適合を位置づけて、再生可能エネルギーの最大限の導入であったりとか、徹底した省エネ、ディマンドコントロールなどを進めているところであります。

 確かに、化石燃料、石炭等についてはCO2の排出が多い、そのように言われておりますが、日本の高効率の石炭火力は今でも世界の最高レベルであります。これが、二〇二〇年代になりますとさらにレベルが上がり、二〇三〇年代になりますと、恐らく、大型の蓄電池と組み合わせるといった技術によりまして、より技術が進んでいくということになります。今の磯子のレベルをアメリカ、それから中国、インドの石炭火力に適用しますと、それだけで年間十五億トンのCO2の削減が可能ということでありまして、まさに、日本が一年間で出している量以上のCO2の削減も可能ということであります。

 省エネであったりとか、再生可能エネルギー、こういう導入にも努めますが、火力の分野においても、効率化の技術、こういったことを進めることによって、CO2の削減、こういったものも図ってまいりたいと考えております。

丸山委員 大臣がおっしゃるように、最先端の火力発電所におきましては、かなり技術が進んでおりまして、排出量を抑えられたと聞いていますが、一方で、三・一一以降、老朽化した施設も今一斉にできるものは稼働するという方針でやっておりまして、ここの排出に関しましては、CO2の削減という意味では、かなり厳しいところがあるんじゃないかなというふうに私は認識しております。大臣も今うなずいていただいているので、同じ認識だと思うんですけれども。

 この観点、役所でももちろん検討されているんでしょうが、このあたり、やはり、外に出していくというのは非常に大事な姿勢だと思いますので、今アメリカの動向も注視されているということでございますので、しっかりやっていただきたいんです。

 火力発電所のCO2の排出を抑えるということは、それはコストがかかりますので、電力料金に派生していくという形になるんですが、一方で、電力料金の問題は、先ほど来お話しさせていただいたように、海外へ国内の企業が逃げるという状況につながりかねない、非常に大事な問題でもございます。

 先日、いわゆる電力の多消費業界さんから、鉄鋼とか川上産業が多いと思いますが、そうした電力を多く消費する産業関連の十一団体の方々から経産省さんの方に電力料金の引き上げによってかなりコスト負担増になるという報告書が提出されたという報道をキャッチしましたけれども、この点、まず、事実かどうか。そして、どういう御要望なのか。そして、それに対して、経産省さんとして、それぞれどのようにお応えできるのか。

 今、本当に厳しい状況でございます。関西電力圏内でも、この春までに、例えば金属熱処理業さんでは、二社ほどなくなっているという話と、一方で、海外の移転の話も、かなり、うちの地元でも幾つか出始めております。

 そうした中で、経産省さん、こういう業界の声、要望をお聞きになって、どうお捉えになって、そしてどう対応していかれるのか、お答えいただけますでしょうか。

田中大臣政務官 この五月二十七日に御要望をいただきました。これは、電力価格の高騰等を受けて、原発の再稼働、再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度の検討、そして省エネルギー投資支援策の拡充等、こうしたものを求めてきているものと承知をしております。

 このエネルギーコストの低減でありますけれども、日本経済を本格的な成長軌道に乗せていくというためには、やはり喫緊の課題と認識をしているところでございます。原発の停止によって、我が国は化石燃料への依存度が高まりました。また、燃料価格の高騰、こうしたものも相まって、我が国の電力業界の燃料費負担が拡大をしている状況にあります。また、電力料金も大幅に上昇しているという状況にあります。

 中小企業を含む我が国の産業が大きな影響を受けているということをしっかりと受けとめて、産業界と同じ思いを持って、エネルギーコスト高騰対策に全力で取り組んでいきたいと考えております。

丸山委員 非常に難しいのは、一方で、CO2の関係から、火力発電所のコストも含めて、CO2の排出を抑えるために電力コストが上がっていき、そして一方で、原発の問題もあって、火力発電所だけじゃなくて、あらゆる点で電力料金が上がっていく。さらに、業界さんから見れば、この上がることで厳しいので、できれば下げてほしいと。

 やはり、最終的には、大臣のおっしゃるベストミックスというか、バランスも含めた大きな方向性を早急にお示しにならないと、国全体としての行き先も、そして業界団体さんも、経営の見通しを、海外に出すという合理的判断もとらざるを得ないときが企業さんもあるんでしょうけれども、一方で、それでも国内に踏みとどまれるのかどうかという判断も今の段階ではできないというのが、正直、企業さんの声だと思います。

 大臣のお答えで、二、三年をかけずに、しっかりと早目にこのベストミックスを含めて国の方針を決めていくというお言葉をいただいておりますけれども、これは本当に喫緊の課題でございますので、しっかり、役所も含めまして意識いただいて、国民の皆さん、そして企業の皆さんを安心させる、方向性を示せる、こっちに行きますと言っていただけるような、曖昧ではないものを早急に出していただくようお願いいたします。

 時間がなくなってきたので、最後、一つだけどうしてもお聞きしたいことがございまして、それは、少し話が変わるんですが、経営改善計画策定支援事業という経産省さんの補助金事業でございまして、これについてお伺いしたいと思います。

 これは、いわゆる経営改善計画をつくって、そのときに費用の一部を支援するという事業でございます。これが、日刊工業さんの記事によりますと、昨年三月、二〇一三年三月に始めたものが、かなり利用が低調でございまして、二万社の目標に対して二千六百社にとどまっているということでございます。これは事実ベースなのかどうか。

 そして、このままだと、補正予算、一二年度の補正予算だそうなんですが、四百五億円程度のほとんどが未消化になるというような内容で書かれております。このあたり、事実ベースかどうか。

 そして、もし本当だとしたら、なぜこうなっていて、まだ期間がございますので、私、この支援も非常に大事な一点だと思いますので、どうすればより利用してもらいやすいようになるのか、お伺いしたいんです。

 というのは、前回の小規模企業の支援の法律でもそうだったんですけれども、やはり、企業さんのお声を聞くと、使いにくいというお声が非常に多いんです。各委員からそういうお声はすごく出ておりまして、経産省にももちろんそういうお話が入っていると思います。

 これもまさしく同じ観点なんじゃないかなという気もするんですが、この原因分析と、そして、今後どうされるのか、事実ベースからまずお伺いしたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の経営改善計画でございます。これは、税理士などの専門家、そして金融機関、こういった認定支援機関の方々によりまして経営改善計画を支援していただくということでございますが、昨年三月の事業開始以来、ことしの五月三十日までの相談受け付け件数、これは一万一千九百二件でございますけれども、実際の利用申請に至った件数は、二千七百三十九件となってございます。

 利用申請がこのような状態になっている背景といたしましては、二点考えてございます。

 一つは、本事業では、中小企業、小規模事業者の方が金融機関からの支援を必要とするという場合、専門家の助けを得て経営改善計画を策定するということを想定しておりますけれども、この専門家と金融機関の連携、これが余り十分ではなかったのではないかということ。

 それから、二つ目でございますが、事業開始当初と比べまして、業況全体が持ち直している中、事業者の危機感、これが少しは薄らいでおって、あえて経営改善計画をつくる必要がないというふうに思われているおそれがあるという点でございます。

 いずれにいたしましても、経営改善を進めることは非常にまだ引き続き重要だと我々は認識してございまして、三つほど、改善の方法を考えております。

 一つは、事業者の負担軽減。

 いわゆる使いにくいということでございまして、この一層の活用促進に向けまして、昨年十二月、この要件の中に、リスケなどの債務負担の軽減という要件があったんですけれども、これを撤廃いたしまして、財務上の問題を抱えておられる中小企業、小規模事業者の方であれば、リスケを前提としないで、ニューマネーの調達のみ、これも対象とするということで、制度改善を行いました。

 二点目でございますが、専門家と金融機関の連携促進。これは重要でございます。

 これは、中小企業再生支援全国本部というところで、宮崎、和歌山、長野、青森、岡山といったモデル地域をつくりまして、そこで、現場で関係者を巻き込んで動いていこうということで取り組みを開始しております。これによりまして、地域内で自律的に進む仕組みというものをつくりまして、これを全国展開していきたいということでございます。

 三つ目でございます。これは報道にもございますが、一部の税理士団体、有力な税理士団体でございますけれども、そこが、本事業の利用促進に向けた実践的な研修を開催するという取り組みを開始しておられます。中小企業再生支援全国本部もこれを支援していきます。この団体では、七千件の実践を目指したいということを考えておられるようでございます。

 今後とも、経営改善に向けまして、成功事例のPR、あるいは周知活動の強化、そして、さまざまなお取り組みの支援ということを通じまして、推進してまいりたいと考えております。

丸山委員 時間がなくなったのでこれで終わりますけれども、やはり、目標をお立てになって、しっかりおやりになるということ。今役所内でも対応策を考えられているということですが、しっかりやっていただきたいんです。

 景気が徐々に上向き始めているとはいえ、収益構造に大きく問題を抱えられた企業さん、まだまだあると思います。これは、非常に大事な時期でございますので、しっかりと取り組んでいただきますようお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

富田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時七分散会


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