衆議院

メインへスキップ



第4号 平成26年10月29日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十六年十月二十九日(水曜日)

    午前十時十八分開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 鈴木 淳司君 理事 田中 良生君

   理事 牧原 秀樹君 理事 三原 朝彦君

   理事 若宮 健嗣君 理事 田嶋  要君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    石崎  徹君

      岩田 和親君    小田原 潔君

      勝沼 栄明君    勝俣 孝明君

      川田  隆君    黄川田仁志君

      今野 智博君    佐々木 紀君

      白石  徹君    助田 重義君

      関  芳弘君    武村 展英君

      辻  清人君    冨樫 博之君

      中村 裕之君    根本 幸典君

      福田 達夫君    細田 健一君

      松島みどり君    宮崎 謙介君

      八木 哲也君    簗  和生君

      山田 賢司君    山田 美樹君

      生方 幸夫君    大畠 章宏君

      岸本 周平君    近藤 洋介君

      今井 雅人君    木下 智彦君

      小池 政就君    椎名  毅君

      國重  徹君    杉田 水脈君

      柏倉 祐司君    塩川 鉄也君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   平井 興宣君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            黒田 篤郎君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十九日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     今野 智博君

  大見  正君     勝沼 栄明君

  根本 幸典君     小田原 潔君

  宮崎 政久君     助田 重義君

  八木 哲也君     簗  和生君

  木下 智彦君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  小田原 潔君     根本 幸典君

  勝沼 栄明君     山田 賢司君

  今野 智博君     穴見 陽一君

  助田 重義君     川田  隆君

  簗  和生君     八木 哲也君

  今井 雅人君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  川田  隆君     宮崎 政久君

  山田 賢司君     中村 裕之君

同日

 辞任         補欠選任

  中村 裕之君     大見  正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣府政策統括官平井興宣君、経済産業省産業技術環境局長片瀬裕文君、経済産業省製造産業局長黒田篤郎君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君及び中小企業庁長官北川慎介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。勝俣孝明君。

勝俣委員 自由民主党の勝俣孝明でございます。

 本日は、宮沢経済産業大臣就任後、初めての経済産業委員会での質疑に、トップバッターで質問に立たせていただく機会をいただきまして、大変光栄に感じております。ありがとうございます。

 しかしながら、本日で、臨時国会が召集され、ちょうど一カ月であります。私たち経済産業委員会としてやらなければならない課題は、まだまだ道半ばである経済再生、特に地方経済の再生、エネルギー政策など山積しているわけでありまして、より一層気を引き締めて、さらにスピードアップして、こうした課題に全力で取り組み、政策議論を深めていかなければなりません。大臣、どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、私も、さきの通常国会が終わり、きょうまで、地元の沼津、伊豆半島でありますけれども、中小企業、小規模事業所をくまなく歩いておりますけれども、アベノミクスの成果が全国津々浦々まで届いているかといえば、私の地元では、少しずつではありますけれども、徐々に工場を新設、増床したり、これは大変好評でございますけれども、ものづくり補助金を利用し設備投資に踏み切ったりと、前向きな取り組みが聞かれるようになりました。

 しかしながら、エネルギーコストの上昇や消費税引き上げ等々、まだまだ中小企業、小規模事業所を取り巻く環境は大変厳しいものがあるということも事実であります。こうした状況の中で、地方に生きる人たちも、皆さん大変に汗を流し、本当に頑張っておられます。私たちは全力で、全国三百八十五万社の中小企業、小規模事業所対策を行い、地方創生に取り組んでいかなければなりません。

 大臣、中小企業、小規模事業所を中心とした地域活性化、地方創生に対する意気込みをお聞かせください。

宮沢国務大臣 今議員がおっしゃった御指摘は、本当に大変大事なものだと思っております。

 成長戦略ということに我々は取りかかっておりますけれども、私は、成長戦略というのは、日本経済のエンジンを取りかえるようなものだと実は思っております。

 かつてのエンジン、高度成長期から使ったエンジンは、アメ車のようなものでありまして、排気量は大きい馬力も大きい、しかし、残念ながら燃費は悪いし環境性能が悪い。これをハイブリッドのように、小型で排気ガスも本当にきれいだし燃費もいいというような、そういうエンジンに日本経済のエンジンを変えていくという作業が、恐らく我々がやらなければいけない作業だと思っています。

 そして、そのためには、恐らく、人件費が安いからといっていずれ海外に出ていくような産業ではなくて、高付加価値で少量生産といったような産業、企業をたくさん育てていくということだと思っているんです。

 恐らく、これから第二のトヨタをつくろうということではなくて、もっともっと、富士山ではなくて小さな小さな山を全国につくり上げていくという作業が我々がやらなければいけない作業で、そのためには、まさに少量生産ですから中堅企業、中小企業の出番であります。

 また、東京にいる必要はない、関西にいる必要はない、地方にいるのが恐らくコスト的にもいいしということで、農業の六次産業化も含めてですけれども、やはり成長戦略を成功させるための鍵は、中小企業、中堅企業に、ベンチャーであり、第二の創業であり、新しいものに挑戦していただいて、そして地方で元気になっていただく、こういうことだろうと思っています。

 そういう中で、御指摘のものづくり補助金というのは、ある意味では大変成功した補助金でございまして、なかなか、渋い財務省を相手に闘わなければいけませんけれども、皆さんのお力添えもよろしくお願いいたします。

勝俣委員 ものづくり補助金は大変好評でございましたので、また継続を御検討いただければというふうに思います。

 次に、成長戦略における研究開発への投資及び研究技術の事業化、産業化に関する取り組みについて質問させていただきます。

 大臣は所信の中で成長戦略の着実な推進を掲げておりますけれども、私も、アベノミクス三本の矢の政策のうち、二本目と三本目の矢である機動的な財政出動そして成長戦略によって需要をつくり出すということが、日本経済の再生における重要な要素であるということを認識しております。

 異次元の金融緩和政策によって市場には潤沢に資金が流通しておりますけれども、これをいかに金融機関を通じて前向きな融資や投資といったものに向けていくかが非常に重要になってくるというふうに考えております。そのためには、成長戦略の中でしっかりと需要をつくり出して、設備投資や研究開発、また消費を促していくということが必要であります。

 先日、めでたく日本人がまたノーベル賞を受賞しました。青色発光ダイオードの発明によってノーベル物理学賞を受賞されましたけれども、iPS細胞の作製による平成二十四年のノーベル医学・生理学賞を受賞した山中教授に続く快挙でございました。

 いずれの受賞者の皆さんが言っているのは、やはり基礎研究の重要性であります。この基礎研究によって、種をつくり、それが芽を出し、花を咲かせる。要は、研究開発からそれを実用化して需要をつくり出すことによって産業化できるわけであります。

 iPS細胞も、山中教授がマウスで初めて作製してから八年たって、ようやくことし九月に目の網膜細胞を人に移植するという世界初の手術が実施をされました。要は、ようやく種が芽を出したわけであります。

 このように、企業も研究開発に積極的に投資をして種、シーズをつくって、それをしっかりと育て芽を出し、実用化し需要をつくり出していくことが産業化につながり、我が国経済のパイをふやしていくということになるわけであり、この一連の流れをしっかりと構築していくということが成長戦略の一つの成功の鍵を握るのではないかというふうに私は考えております。

 そこで、企業に研究開発への投資をどのように促していくのか、そして、こうして生まれた研究技術をどのように事業化、産業化していくのか、具体的な取り組みをお伺いいたします。

宮沢国務大臣 研究開発というのは将来の日本を担う大変大事なものであるということは、本当に私自身もそう思っております。一方で、基礎研究というのは目立たないんですね。大学で行われていますけれども、なかなか目立たない。しかし、日本では、まさに発光ダイオードがそうであったように、かなり優秀な方がいろいろなことを研究されている。

 これは文科省の方でいろいろ今応援しているわけでありますけれども、経済産業省としては、まさに事業化というところが一番大事でありまして、研究開発と事業化の間に、いわゆる死の谷と言われて、実はいいアイデアでも、非常にいいものなんだけれどもニーズに合わないというようなところがあってなかなかマッチングしないというようなところがありまして、そういうことにつきましては、とりあえず最近のことでいいますと、産総研とかNEDOでいろいろ機能強化をして、そういうものをつなぐようにしていくとかというようなことも考えております。

 また、日本の企業というのは自己完結型の研究が多いということで、なかなか外と組むようなことがない、オープンイノベーションということができていないというようなことがありまして、そういうものもしっかり取り組んでもらうような税制を、たしか今年度の税制改正で入れましたけれども、またその拡充ができないかというようなことを今政府部内で検討中であります。

 法人税率、表面税率全体を下げるという動きの中で、なかなか渋い財務省がおりますものですから、これまた大変なことで、私も少し立場が変わりましたけれども、頑張っていきたいと思っております。

勝俣委員 いずれにしましても、一連の流れ、橋渡しの強化というものが大変重要になってくるかと思いますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 最後になりますけれども、国際競争力の強化のためのグローバル人材の育成について御質問をさせていただきたいと思います。

 大臣も所信の中で、新興国を初めとする海外の成長を取り込んでいくため、インフラシステムの輸出、中小企業を含む我が国企業の海外展開の支援、クールジャパン戦略に取り組んでいくと力強く述べられておりますけれども、このような政策を着実に実行していくためには、やはりその根本を支えるグローバル人材の育成促進というものが大変重要であるというふうに私は考えております。

 ことし、文部科学省では、急速にグローバル化が加速する現状を踏まえて、社会問題に対する関心と深い教養に加え、コミュニケーション能力、問題解決力等の国際的素養を身につけて、将来、国際的に活躍できるグローバルリーダーを高等学校の段階から育成する目的で、スーパーグローバルハイスクールを指定いたしました。

 グローバル人材の育成は、成人になってから、社会人になってから短期的に育てていくということも大変大事なことなんですけれども、我が国が国際競争力を高めて成長していくためには、やはり、高校生、若いときからじっくりと長期的に世界に通用するグローバル人材というものを育てていくことも重要であるというふうに認識しております。

 そこで、我が国が国際競争力を高めていくために大変重要な要素となるグローバル人材の育成における経済産業省の具体的な取り組みをお伺いいたします。

山際副大臣 委員御指摘のとおり、グローバル人材の重要性は論をまたないと思うんですが、グローバル人材といっても各分野において恐らく必要とされる素養というのは変わってくるんだろうと思います。

 経済産業省としてグローバル人材というものをどう捉えているかという話でございますが、当然、ビジネスをやってまいりますから、国際交渉力がなきゃいけないということがありますね。それより何より、まず相手国の異文化というものに柔軟に対応できる、そういう許容力というものが必要だと思っております。そして、なかんずくビジネスをやろうとすれば、当然その国の人たちとのネットワークを構築する能力というものが必要になってくる。

 こういう認識に基づきまして、経済産業省といたしましても、特にこれから発展をしてビジネスの相手国になる開発途上国に対しまして、平成二十四年度からインターンシップ事業というものを始めてございます。

 具体的には、平成二十四年には八十六名、二十五年には百五十二名、本年度、平成二十六年には百九十三名の若い方々を海外に派遣いたしまして、三カ月、六カ月、さらにはもう少し長い期間、しっかりと異文化というものを学び人脈をつくる、そういう具体的な取り組みをやってございます。

勝俣委員 人材の育成というのは大変重要な要素であるというふうに考えておりますので、ぜひともよろしくお願いいたします。

 いずれにいたしましても、臨時国会において残された時間は大変短いわけでありますので、スピードアップで政策議論を深めて、早期に地方創生が実現できるように、政策の実行をお願い申し上げ、質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 我が国の経済は難題が山積しておりますけれども、宮沢新大臣には、リーダーシップを発揮して、実感ある景気の回復の実現、また、力強い経済政策を何としても前に推し進めていただきたい、こう思っておりますので、どうかよろしくお願いいたします。

 先日、十月二十四日から二十五日にかけまして、日韓議員連盟の一員として、私は韓国に行ってまいりました。そこで韓国の国会議員らとともに、経済科学技術委員会でエネルギーに関して議論をしてまいりました。

 宮沢大臣は、所信の中で、責任あるエネルギー政策を推進していく、安定的かつ低廉な燃料の調達に取り組んでいくとおっしゃいましたが、私は、エネルギー安全保障に向けた日韓の協力が非常に重要だと思っております。

 福島第一原発事故の発生以降、我が国では、火力発電とりわけLNG火力発電の稼働力が非常に高まっております。

 昨年の化石燃料の輸入額は約二十七兆円。これを受けて、貿易赤字は過去最大の十一・五兆円を記録いたしました。

 我が国は、LNGの購入について、アメリカに比べて四倍から五倍の単価での購入を強いられておりますけれども、これは、LNG価格が原油価格に連動して決められる契約が一般的に採用されていること、また、輸送費がかさむことなどがその背景としてございます。

 LNGの輸入量で見れば、日本は世界一位、韓国は世界二位でございます。日本と韓国を合わせたLNGの輸入量は、世界のLNG貿易量の何と半分以上を占めます。

 先日、東京ガスと世界最大のLNG輸入の企業である韓国ガス公社、KOGASがLNGの共同調達に向けた協定を締結いたしましたが、今後、日韓両国がLNGの共同調達をより一層進めることによってスケールメリットを背景にした交渉力を強化していくことは、大臣のおっしゃられる安定的かつ低廉な燃料の調達にとって重要なポイントの一つになると言えます。また、来月にはLNG産消会議が東京で開催される予定でございます。

 LNG共同調達に向けた日韓両国の協力について、大臣の認識、今後の取り組みを伺います。

宮沢国務大臣 御質問を受けまして、きのう少し勉強をしていまして、ああ、すばらしい動きがあるんだなと思ったのが率直な印象でございました。

 ともかく、大震災以降、日本のエネルギーというのは、ある意味でひどい目に遭っているわけでありまして、最近ちょっと価格が下がってきておりますけれども、燃料価格が上がってくる、そして円安であるというようなことで、大変日本国経済の基本を揺るがすような事態というのが起こっていると思っております。

 そういう中で、今お話にありましたように、東京ガスとKOGASが提携するというようなことは、やはり日本のLNGが高いという話はずっと聞いてきておりまして、大臣になってからいろいろ聞いていますと、輸入するときにいろいろコストがかかるという部分が随分あるようでありますけれども、シェールガスで持ってこられれば随分違うのだろう。

 そういうことも含めて、やはり安定的な資源をどうやって安価に我々が輸入して、そして、日本経済のために、翻っては国民のためにそういうことをやっていくということは本当に大事なことで、ぜひともこういうものを、日韓ガス対話というようなことは既にやっておりますけれども、我々としても応援していかなければいけないなと思っております。

國重委員 大臣、どうかよろしくお願いいたします。

 大臣は、所信の中で、我が国の新たな成長基盤を構築していくものの一つとしてロボット技術の活用を挙げられました。さきの通常国会は成長戦略実行国会と銘打たれた国会でしたけれども、三本目の矢である成長戦略をいよいよ着実に進めていかなければなりません。

 ことしの八月、私は神奈川県藤沢市にあります湘南ロボケアセンターを視察してまいりました。そこでロボットスーツHALを見ましたけれども、その効果に非常に驚きました。

 私たちが体を動かそうとするときに脳から筋肉に神経信号が送られます。そのときに、皮膚の表面にかすかな、微弱な生体電位信号というのが流れますけれども、それを皮膚に取りつけたセンサーが感じ取って、ロボットスーツHALは動きます。人の意思をロボットが感じて、立つ、座る、歩く、人の動作をアシストする、すごい時代に入っております。

 脳性麻痺で、生まれつき歩行に障害があって、小学校、中学校、高校、大学と両手でつえをついて歩いていた東京都在住の女性がいます。この方は、社会人になった後の二〇〇九年五月に脊髄症となって車椅子生活を送るようになります。その女性が婚約をしまして、何とか結婚式のときにバージンロードをつえを使わずに自分の足で歩きたい、こういうふうに強く願いまして、ロボットスーツHALを使って約半年間トレーニングを重ねます。その結果、二〇一一年十月、バージンロードをつえなしで自分の足で歩くことができるようになりました。

 また、医療用のロボットスーツHALを使って約二カ月間で六十回のトレーニングを集中して行った結果、屋根から転落して脊椎損傷となって車椅子生活を送っていたドイツの方が、このロボットスーツHALがなくても歩けるようになるまで回復しております。

 私、そこでこういう動画を見させていただきましたけれども、非常に感動いたしました。

 生活や人生が劇的に改善する、変わる可能性を秘めたロボット、成長戦略におけるロボットの活用について宮沢大臣は具体的にどのように考えているのか。大臣の認識、見解をお伺いします。

宮沢国務大臣 私も、ひょんなことからロボットの関係にこの春ぐらいから実は引き込まれておりまして、それは地元の広島の企業ですけれども、自動車の一次下請の企業。

 自動車というのは、いろいろな部品が流れてきたものをこの自動車用に集めて、そしてオートメーションのラインに乗っけていくんですけれども、流れてくる部品を選ぶ作業というのが案外大変で、それで目を持ったロボットが欲しいと。そして、目を持ったロボットというのは実はかなり高額で、そういうラインで使えるような値段ではなくて、もう少し安価にそういうものを使えるようにしたい。

 そうしますと、そういう技術を持っている人とニーズがある人、この辺をインテグレートしていくといういろいろな作業が大変なようでございまして、その広島の企業の方は総理に手紙を出したりされて、その結果というわけではないんですけれども、ロボット革命実現会議というものが実は動き始めております。

 ロボットというのは、今のような生産現場だけではなくて、おっしゃったような医療、介護というようなこともあれば、また人手不足の解消といったようなことにも使えるわけでございまして、これから労働力が減っていく日本、人口減少社会の中で、やはりロボットというものをしっかり、ある意味ではどんどんどんどん発展させていく。

 それこそ私の世代ですと、ロボットというのは鉄人28号かアトムぐらいだったわけですけれども、どうもそういう人型のものではなくて、いろいろなものがこれから成長していくだろうということも承知しておりますので、やはりそういうものを我が国の大きな産業に育てて、そして、恐らく我が国はある意味では高齢化先進国でありますから、そういうことも含めて、海外に成長戦略の一つとして輸出できるような、そういう産業に育てていきたいなと思っております。

國重委員 大臣、どうかよろしくお願いいたします。

 先ほども御紹介いたしましたロボットスーツHALですけれども、日本では介護などの現場で福祉用として今実際に貸し出されております。ただ、医療機器としては未承認で、医療用の治療として使うことは日本ではできません。保険も適用されません。

 一方、EUでは、二〇一三年八月、去年の八月には、医療用HALが医療機器認証を取得しております。さらに、医療先進国ドイツでは、医療用HALを使った治療が労災保険の適用対象になっております。これで、患者一人当たりの、HALを使った週五回、三カ月間の集中治療にかかる三万ユーロ、日本円にして合計約四百十万円が労災保険で全てカバーされております。だから、先ほどの車椅子の生活を送っていた男性の方が集中トレーニングをした結果、実際にHALがなくても歩けるようになるまで回復した、こういったドラマが今生まれております。

 日本生まれの技術であるにもかかわらず、また、HALを使って医療機器として用いたい、こういう要望が日本国内にもあるにもかかわらず、医療用のHALの導入はヨーロッパに先を越されております。我が国が直面する超高齢化社会の課題を解決しながら新産業を生む医療福祉用ロボットの必要性は年々高まってまいります。欧米との差を縮めて、タイムリーに、スピーディーに医療福祉用のロボットの普及の整備を進めていくことが重要です。

 そこで、宮沢大臣にお伺いします。

 成長戦略をマネジメントする、トータルコーディネートする産業競争力担当大臣として、政府一体で医療福祉用ロボットの実用化のスピードアップをして、その普及を促進していく必要があると考えますが、これに関してどのように取り組まれていくのか、大臣の見解、決意をお伺いします。

宮沢国務大臣 そのとおりですと申し上げればいいような御質問だったわけでございますけれども、HALにつきましては、福島県を中心に、いろいろ政府としても応援をしております。

 ヨーロッパに負けるわけにはまいりませんし、一方で、日本の場合、なかなか保険収載という話になってくると手続が難しいところがあったり、そういうような問題もありますけれども、できるだけ早く、本当に、社会保険で見られるようなものに、逆に言うと、これは恐らく、安価な生産ということは、大量生産を相当しないとなかなかそういうことにはならないのかもしれませんけれども、そういうことも含めて、産業競争力担当大臣としてしっかり向き合ってまいりますので、よろしくお願いいたします。

國重委員 大臣、どうかよろしくお願いいたします。

 最後の質問に参ります。

 我が国には、先ほど申し上げましたロボット技術を初め、世界をリードしている技術分野が数多くあります。しかし、幾ら技術力が高くて製品の性能がすぐれていたとしても、安全性などで国際的に認められた基準に合っていない、あるいは基準に適合していることを客観的に示せない場合は、海外への売り込みは難しくなります。

 大臣の所信の中で、戦略的な標準化の推進に力を入れると述べられておりますが、標準化と認証、これは日本の産業競争力を強化していくために必要な分野であります。

 特に、欧米に比べて弱いのが認証です。我が国の認証機関は、欧米と比較して歴史が浅い、また、政府の検査業務などの執行機関として設立された機関が多くて、業務が細分化されており、その規模も小さいのが現状でございます。

 実績のある、力のある欧米とむやみに勝負をしても得策ではありません。国際標準や認証が未確立の新たな成長分野について、研究開発の段階から市場化までを視野に入れて、標準化と第三者機関が認証する仕組みを一体的に推進できる体制を構築することが大切であると考えますが、これに対する見解、今後の取り組みについて伺います。

片瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、研究開発の成果が実際に事業化に結びついて、さらに産業競争力強化につながっていくためには、研究開発段階から標準化あるいは認証基盤の整備に戦略的に取り組むということが非常に大事だと思っております。

 具体的には、NEDOにおきまして、まず、標準化については、中期計画におきまして技術開発段階から標準化に戦略的に取り組むということを明定しておりまして、それに基づいて二十一のプロジェクトで現実に研究開発とそれから標準化を一体的にやっております。

 また、認証につきましては、御指摘のように、非常に日本の企業にとって戦略的であり、かつ研究開発が活発に行われている分野についても戦略的に認証基盤の整備に取り組んでいくことが必要であると思っておりまして、これまで九つの分野につきまして、FS、可能性調査ということを実施いたしまして、それに基づきまして、生活支援ロボット、それから制御システムセキュリティー、これについては実際に認証基盤を整備済みでございます。さらに、現在、大型蓄電池のシステム、それからパワーコンディショナー、これについても認証基盤を今建設中でございます。

 これ以外の分野につきましても、今後の標準化の進展あるいは研究開発の進展ということを踏まえながら、順次整備に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

國重委員 どうかよろしくお願いいたします。

 以上で私の質問を終了いたします。ありがとうございました。

江田委員長 次に、生方幸夫君。

生方委員 おはようございます。

 江田委員長におかれましては、委員長就任おめでとうございます。私は、経済産業委員会に入ったことがなくて、初めての質問でございますので、よろしくお願い申し上げます。

 まず最初に、前回の当委員会で、我が党の近藤委員が小渕前経済産業相の政治資金の問題について質問をいたしました。委員長もお伺いしていたというふうに思います。

 そのやりとりの際に、近藤議員から小渕前大臣に対して、きっちり調査をしてこの委員会に説明してほしいということを申し上げ、小渕前大臣からも報告をするという答弁がございました。その報告書というのはもう届いておりますか。委員長です。

江田委員長 今、生方委員の方からの委員長に対する御質問でございますので、このまま答えさせていただきますが、結論から言うと、現段階では、資料は委員会に提出はされておりません。

 去る十七日の委員会におきまして、小渕経済産業大臣に対して資料提出の要求がなされましたけれども、その後、小渕大臣は大臣を辞任され、一連の件について外部の第三者機関に調査を委ねることを表明されておりまして、また、小渕議員本人は刑事告発をされているところであり、当時の状況と大きく変化をしております。

 そのため、先日の委員会において、資料の取り扱いにつきましては、今後の調査の行方を見守って、引き続き理事間で協議をしていくということになっておりますことを私から申し上げさせていただいたということでございます。

生方委員 小渕さんが大臣をやめたからといって、この問題がけりがついたわけではないのはもう御承知のとおりでございます。報告書がきちんと当委員会に提出をされ、それを受けて討議をすることが何よりも大事だというふうに私は考えております。

 もう一度、前回の委員会のときの答弁をここで御紹介いたしますが、我が党の近藤洋介議員が、書類はきちんと委員会の求めに応じて、かつ、委員会の求めに応じられなくても、できる限り速やかに出すという姿勢は貫かなければいけないという質問に対して、小渕前大臣は、できる限り速やかに、御指示がありました資料については提出をさせていただきたいと思っておりますし、こうした疑いのあるものにつきましてしっかりと検証させていただいて、お示しをさせていただければと思っていますというふうにお答えになっております。

 小渕さんの件については、この間指摘をされた以外にも、写真入りのカレンダーを選挙区に配ったとか、これも写真入りのワインを選挙区に配ったとか、さらにネクタイを選挙区に配ったとか、政治資金規正法ではなくて公職選挙法に抵触する問題も指摘をされております。

 それから、ちょっとこれは関係ないかもしれませんけれども、母親が小渕前大臣が理事を務めていた法人の所有物件に家賃ゼロで住み続けてきたなどということも指摘をされております。

 前回の委員会では、週明けにも調査結果を報告するというふうに小渕さんは言明をされておりました。しかし、その後、記者会見で、調査委員会を立ち上げるというふうに変わりました。これは、幾ら客観的といっても、身内が指名した人物の調査では、どこまで真相が明らかになるか疑問です。

 しかも、収支報告書は全て自分が処理したと言っている元秘書、中之条町長ですが、この方はもうおやめになっている。きょうの日経新聞によれば、この方は日経新聞のインタビューに答えて、自分が全てやったんだということも言っております。この人に聞けば、観劇会の収支が何でこんなに大きく食い違っているかということはわかるはずですね。

 国会には国政調査権があるわけですから、幾ら刑事告発をされたからといって、それで済むわけではない。まして、前回の委員会で、当委員会に調査報告書を出すというふうに小渕さんが言っていた。だから、当委員会としては、その調査報告書を受けて質疑をしなければ、次に進みようがないんですよ。

 政治と金の問題というのは、また政治と金の問題かと言う人がいるかもしれないけれども、これは政治の信頼にかかわることなんですよ。政治の信頼を取り戻さなければ、どんなにいい政策を打ち立てても、それは推進できないんですよ。

 だから、私は、まず最初に、この委員会を始めるに当たっては、小渕前大臣からの調査報告書を受ける、それを受けてからじゃなきゃ質問ができないというふうに思います。

 委員長、もう一度重ねて言います。

 この間の委員会で、小渕前大臣は、この委員会に調査報告書を提出するというふうに言っていた。自分で記者会見では調査委員会を立ち上げるとはいっても、自分の元秘書が町長をおやめになっている。私に責任があるというふうに言っているんですから、その町長に聞けば、少なくとも、観劇会の収支が何でこんなにずれていたのか。きょうの日経の記事によれば、単純なミスだったと。単純なミスであんな間違いをするわけないですからね。

 だから、少なくとも、小渕さんが聞ける範囲で聞いたことをこの委員会に調査報告書として提出をし、小渕前大臣に出ていただいて質疑をしなければ、小渕さんが大臣をやめたから済むわけじゃなくて、小渕さんはまだ依然として衆議院議員としているわけですからね。きちんとしてもらわなきゃ困るんですよ。いかがですか。

江田委員長 今、生方委員からの委員長への御質問であろうかと思いますのでお答えをさせていただきますが、先ほども申しましたように、確かに十七日の当委員会におきましては、小渕前経済産業大臣が、週明けにも資料をできるだけ早く提出して説明をするということも申されたかと思います。

 しかし、その後、小渕議員が大臣を辞任されたということ、そしてまた、外部の第三者機関に調査を委ねるとおっしゃった、そして、本人は刑事告発をされておられるということ、こういう劇的な変化が週明けに起こったわけでありまして、そういう状況の中で、調査報告書がすぐに出てこないというような状況になったわけであります。本人も記者会見の中で、一議員としてもこの説明責任は後々果たしますとおっしゃっておられます。ですから、その調査を行われているのだと思われます。

 そういう状況の中で、いつ出てくるかわからない調査報告書を待って、この委員会が本来の国民から負託された経済産業施策に関する議論ができないというのはよろしからぬことだと思っておりますので、そのように理解をして、理事会で協議をしてまいります。

生方委員 もう一度委員長に申し上げますけれども、これは小渕さん自身が、できるだけ速やかに当委員会に調査報告書を出すというふうに言っているんですよ。近藤委員が、それは遅くても来週の初め、だから、少なくとも今週の初めには提出するんでしょうねということを言っているわけですよ。

 だから、幾ら客観的な調査委員会を立ち上げても、小渕さん御自身が調査をした範囲で報告できるものを報告しなさいということを委員長から前大臣に言うべきじゃないですか。それをこの委員会でみんな聞いていたわけですから。それで、そのとおりだということで、小渕さんもそのとおりだというふうに答えているわけですからね。

 少なくとも、向こうから調査報告書が来ないから、それを待っているだけであるというんじゃなくて、委員長の職責として、あなたはここでこういうふうに言ったんだから、速やかに当委員会に報告書をわかっている範囲でいいから提出してくれということを言うべきじゃないですか。

江田委員長 理事会で協議をいたします。

生方委員 理事会で協議をしてくれるのもいいんですけれども、委員長のお立場として、委員長も前回のやりとりを聞いていたわけですよ。それで、小渕さんが、きちんと答えます、調査をしますと。小渕さんは誠実に当時答えてくれていたわけですよ。だから、その後、客観的に情勢が変わったといっても、事実関係は何も変わっていないわけですよ。

 少なくとも、小渕さんが自分の身内、自分の秘書に聞けばわかることが幾つかあるはずですから、そのわかった範囲のことをここへ提出していただく。それから、そこでわからないようなことはまた調査報告書、誰か客観的な人たちが出したら、またそれも提出をしていただいて、小渕さんもきちんとここへ出てきていただいて説明をしていただかなければ、これは、経産大臣になったわけですから、おやめになっても、経産大臣として所信を述べたすぐ後でこういう話が出てきたわけですから、それを黙って見過ごすわけにはいかないので、委員長としてもぜひとも、委員長のお立場として、出しなさい、あのときあなたはこう言ったんだからということをきちんと言うべきだと思いますよ。

江田委員長 ですから、その資料の取り扱いにつきましては、十七日の委員会の前後においてそういう大きな変化がございました。ですから、この資料の取り扱いについては、そういう生方先生の御指摘も含めて、理事間で引き続き協議をしていくということをお約束はさせていただいておるわけでございますので、そこでしっかりと詰めてまいりたいと思います。

生方委員 委員長の立場でそこまでしか言えないのかもしれませんけれども、委員長ですから、この間、委員会で小渕さんが言ったように、調査報告書をこの委員会に提出すると言ったので、記者会見は、あれは記者会見で一般国民に対してそういうことをやりますよと言ったのであって、これは違うわけですね。

 国政調査権が国会にはあるわけですからね。当委員会において発言したことについて、当委員会で責任を持って議論をするというのが当委員会が果たすべき役割ですよ。だから、きちんと理事会で協議をしながら、理事の御同意もいただいて、きちんとこの委員会に次回でもお示しをしていただくようにお願いをして、次の質問に移りたいと思います。

 小渕前大臣の退陣を受けて、宮沢新大臣が誕生いたしました。宮沢さんのおじさんは宮沢喜一元総理で、私も予算委員会で何度も質問させていただき、大変尊敬もしていた総理でございました。

 宮沢総理のおいっ子ですから、スキャンダルとは最も遠いものである、能力もきちんとあるんだろうということで期待をしておりましたが、一日もたたないうちにいきなりスキャンダルが出てきて、さぞ大臣もお困りだとは思うんですけれども。

 まず、SMバーなんていうことは余り委員会で聞きたくもないんですけれども、これは誰がどういう目的で行って、何でこれが政治活動になってしまったのか、今まで大臣がお調べになって、その事実関係というのをここで述べていただきたいと思います。

宮沢国務大臣 こういうことでお騒がせしていることは、本当に全く申しわけないと思っております。

 報道がございまして、私も突然のことだったものですから、まず自分自身が行っていないことは自分自身ですのでよくわかって、それであれば地元の事務所かなということで事務所に問い合わせをいたしました。すぐにある程度判明したわけでございますが、その名前のお店に地元の秘書が政治関係の方五人と御一緒に二次会だか三次会だかで行った、そして、そういうお店だけれども少しは政治関係の話もしました、こういう報告でございました。

 それは、何をしたかどうかということよりは、問題は、そういうお店に行った、支払いしたお金を政治資金で払うということはあってはならないことでございますので、もうすぐに、その日に自分でまず弁済をしてくれと、そして、それに合わせて資金報告書を訂正するということにいたしました。

生方委員 大臣はよく自分は行っていないからというふうに申しますけれども、自分が行っていないのは当たり前の話で、自分が行っていないから問題ないというわけじゃなくて、秘書が行って、行くのは勝手ですよ、しかも政治資金報告書に政治活動として掲載しているのが問題だということをわかっていないんじゃないですか。自分が行っている行っていないなんて、何にもこっちは問うていませんよ。あなた行きましたかなんて言っているわけじゃないんですからね。

 これを政治資金の政治活動として報告をすれば、こういうことが話題になれば、国民が、政治家というのはいかにいいかげんなことをやっているのかという話になるじゃないですか。SMバーに行って、政治関係の方で政治の話もしたなんて、誰がそれを信用するんですか。何でそんなところに行って政治の話をしなきゃいけないんですか。政治の話をするのなら事務所ですればいいじゃないですか。今のお答えもおかしいですよ。そう思いませんか。SMバーに行って政治関係の方だから政治の話もした、それはちょっとおかしいと思いますよ。

宮沢国務大臣 時系列で先ほど申し上げたわけで、私が行った行かないが大事な要素だということではなくて、報道があってすぐにわかったことは、知らない店だということだったわけです。そして……(生方委員「短目でいいですから」と呼ぶ)それはしっかりとお話しさせていただかないといけないと思っております。私自身は、正式に報告書を見ておりましたけれども、正直言って名前だけではわからなかったんです。それで話を聞きまして、それは議員がおっしゃるとおりで、政治資金で支払っていいものではありませんから、そういう措置を講じた、こういうことでございます。

生方委員 宮沢大臣の件については、出の問題だけではなくて入りの問題も指摘をされておりますね。二〇〇七年から八年にかけて、広島県の外国人企業からみずからの政党支部に計四十万円の献金を受けたというものです。

 政治資金規正法では、御承知のように、外国が日本に及ぼす政治的な影響を防ぐために、外国人や外国人の株主が過半数を占める企業からの政治資金団体への寄附は原則として禁止をされております。

 宮沢大臣は、今回調査するまで全く知らなかったというふうにお答えになっておりますが、これはどういう企業で、大臣とはどういう関係があることから献金を受けたんですか。

宮沢国務大臣 企業は、広島県、地元の遊技業を経営している企業でございます。私自身は経営者の方とは面識は全くございませんが、後援会の関係者の方が、献金をしてくださるそうだということで御紹介というか御連絡くださって、そして献金を受けたということでございます。

生方委員 この問題に関しては、大臣も御記憶だと思いますが、二〇一二年に、我が党の当時の田中けいしゅう法務大臣に同じような問題が発生をしたときに、きのうの本会議でも問題になりましたが、当時の自民党総裁であった安倍総理は辞任を要求いたしました。田中けいしゅう法務大臣は三週間後に辞任をしたという経緯がございました。

 安倍総理は、当時、「なぜ外国人の献金が禁じられているか、これは国会議員が持たなければならない基本的な認識なんですね。」と言っているんですよ。「日本の国益を考え、そして実行していく。そして内閣の一員になれば、守秘義務がかかります。その人物、またそういう可能性のある人物が外国から絶対に影響を受けてはならないということなんですね。そして影響があると疑われてもならない。これは非常に重要な認識だと思いますよ。」というふうに、これは当時の安倍自民党総裁が言って、厳しく辞任を求めたんです。

 きのうの本会議で安倍さんは何と言ったかというと、実態を承知していなかったため、誤って寄附を受けたということなんだから、全く問題はないと。与党と野党と変わっただけで全く言うことが違っては、これは国民が総理を信用できますか、こんなことで。これは本当に困るんですよ。

 さらに、総理は、その当時、外国人から献金を受けてはいけないと言ったとき、「例えば私はですね、献金をしていただく場合はですね、相手の方に不愉快な気持ちにならないように配慮しながら、日本国籍を有するかというのを紙でお渡しするようにさせていただいております。」というふうに言っているんですよ。

 宮沢大臣は、当時の自民党総裁のこうした方針を知っておりましたか。

宮沢国務大臣 田中大臣の辞任された経緯について私はよく承知はしておりませんけれども、私自身が外国人株主が過半数を占める企業から寄附を受けた当時は、まず、日本法人であり、また、法人名からは外国人が過半数の株式を保有するということは全くわからない、さらに、私自身、経営者本人とは面識がない、そして、後援者の方からの御紹介だったということで、実態を承知していなかったために、誤って寄附を受けてしまったということでございます。

生方委員 だから、今の総理が言っていたのは、相手の方に不愉快な気持ちにならないように配慮しながら、日本国籍を有するかということを紙をお渡しして確認しているというのは、もう既に、前に言っているわけですよ。

 宮沢大臣も、大臣に就任するとき、こういう問題があったら困るということで、これだけ外国人からの献金というのが問題になっているんだから、調べるのが普通でしょう。問題が発覚してから調べたというんじゃ、それは遅いもいいところじゃないですか。無責任じゃないですか。

 大臣に就任する前に見て、例えばその方がパチンコ屋さんであれば、ひょっとしたら外国籍かもしれないなということは考えますよね。そういうチェックを何で自分自身でしないで、指摘をされてから改めて調べたらそうでした、だから返します、返せば済むだろうという問題じゃないんですよ。姿勢の問題なんですよ。

 大臣に就任するときに何できちんとチェックをしないのか、そこが問題なんですよ。いかがですか。

宮沢国務大臣 大臣に就任するときにというお話ですけれども、ともかく、内々の打診を受けて二時間後には官邸に入るということでございまして、そういうチェックというのは、正直言ってなかなか時間的になかった。

 それから、個人の方であれば、おつき合いをしているということであれば、ある程度そういうことがある、ないということはわかってくるのかもしれませんけれども、会社ということになりますと、正直、なかなかわかりにくかったということでございます。

生方委員 前回の委員会でのやりとりを皆さん聞いていたと思いますが、小渕さんも、知らなかったでは済まされないという認識を持っていたわけですよ。だから、知らなかったで済まされないから大臣を辞任したわけですよね。

 それは、宮沢大臣だって、知らなかったでは済まされないんですよ。なってから初めて知ったというのじゃ困るんですよ。あなたの政治資金報告書なんですから。私のじゃないんですから。

 それを、知らなかったで済むわけじゃなくて、知らなかったことが現実に起きてしまって、記載を訂正しなきゃいけなくなった責任というのは極めて大きいんですよ。小渕さんはおやめになったんです。知らなかったでは済まされない。

 宮沢さんは、知らなかったで済ますおつもりですか。

宮沢国務大臣 寄附をいただいたときに、外国人であるとか外国人が過半数以上の株式を保有している会社であるということを認識していたかどうかということは、やはり一つ大事な要素だと私は思っております。

生方委員 二時間しかなかったからとかいうことじゃなくて、献金を受けるときに、これだけ問題になって、外国人企業から受けてはいけないというのはあなたも御承知のとおりなんですから、きちんとチェックするべきでしょう。幾ら自分が知らなかったからと、大体、知らない人から献金をもらうこと自体が私はおかしいと思いますけれどもね。

 知らなかったで済ますおつもりなのかもしれませんけれども、これ以外に不適切な支出、収入というのはなかったというふうにここで断言できますか。

宮沢国務大臣 今調査中ではありますけれども、恐らくないだろうと思っております。

生方委員 もしそういうのが出てきた場合は、どうなさるおつもりですか。

宮沢国務大臣 恐らくないだろうと思っております。

生方委員 それはまた出てきたときの中身にもよるでしょうけれども。

 少なくとも、ここまできちんとやっているんですから、これから、こういう問題が出て、こんなところでこんな質問をしている暇はないんですよ、本当は……(発言する者あり)わかっているじゃないんですよ……(発言する者あり)何を言っているんだ、本当に。政治と金の問題は政治の信頼にかかわるから質問しているんじゃないか。わかっていない、全然。わかっていないから、あなたたちだって、調べれば出るかもしれないんだよ、本当に……(発言する者あり)何なんだ。ちょっと委員長、やじを……。

江田委員長 静粛にお願いします。

生方委員 これは委員長も御承知のとおり、政治と金の問題がきちんとしない、私が冒頭申し上げたように、これがきちんとしなければ、幾らいい政策を掲げても国民が支持してくれないんですよ。支持してくれなきゃ政策が実行できないんですよ。だから、私は質問しているんですよ。それを、何か、わかっているとかなんとかというのは本当に失礼な話ですよ。

 これ以外に……(発言する者あり)

江田委員長 静粛にお願いします。

生方委員 失礼ですよ、本当に。質問に対してやじを飛ばすというのは。

江田委員長 続けてください。

生方委員 これ以外にも宮沢大臣に質問しなければいけない問題があって、東電株の問題ですね。東電の株を五百八十八株持っていた。それに十二株足して六百株にした。これは不適切じゃないか、利益相反になるんじゃないかということを指摘されて、きのうの本会議で宮沢大臣は、この東電株はとりあえず信託をして、大臣が終わったらそれを売却するというふうに言っておりました。

 まず、私は、最初に指摘されたときに、信託をしちゃった後か前かは知りませんけれども、とりあえず売ってしまうというのが一番じゃないですか。東電というのは、日本の国からお金が一兆円以上も入っていて、事実上国営化されているわけですよ。経産大臣がどういう政策をとるかによって東電株は上がったり下がったりするわけで、宮沢さんが大臣が終わったら売ると言っても、人間ですから、福島に寄附をするというふうに言って、寄附をしていいのかどうか私はよくわかりませんけれども、寄附をすると言っていたら、それは少しでも高く寄附をしたいということになれば、株を持っている以上、やはり経産大臣としての政策が東電の株に影響を与えてしまうということを国民は見ているわけですよ。だから、幾ら信託をされても、それが終わった後に寄附すると言っても、これは適切な所持じゃないんですよ。

 だから、指摘されたときに、最初は売るとも何も言わない、信託するから問題ないという意識を持っていたのが、きのうの質問から変わったわけで、本来であればそれは持ってはいけないはずだし、経産大臣になる可能性もあったわけですから、その前に処理をしておくというのが当然だと思うんですけれども、いかがですか。

宮沢国務大臣 六百株、二十万円の東電株を私は保有しております。

 まず、なることが決まった後で売ったらというお話につきましては、正直、内々御連絡を受けたのは、恐らく時間的にも売れる時間ではなかったということが一点。それからもう一つは、内々でも経産大臣として決まったときに、売るという行為自体も、在任中に売買してはいけないということからいうと、やはり問題がある行為だろうという気がいたします。

 もしも東電にその時点で何らかのマイナス要因が、私は知らないけれども、あったかもしれないわけでございまして、そういう売るという行為自体も恐らくしてはいけない期間に入っていたんだろうと思います。

 そういうことで、今回は、大臣等規範にのっとりまして、保有株式を、東電株を信託銀行に信託いたした上に、取引は自粛することといたしました。そして、先日本会議でも申し上げましたけれども、在任期間が終わった後には、福島の復興に役立てるため、保有している東電株を処分して全額寄附をいたしますし、それはしっかりと皆様にわかるような形で寄附をさせていただこうと思っております。

 そういった意味では、正直、この話を表でさせていただいてから、私自身は、実質的には自分が東電株の保有者というような意識がないというのが状況でございます。

生方委員 これは売れる、売れないという問題があるでしょうけれども、基本的には、やはりさっき申し上げたように、経産大臣で、その政策が東電株に影響するわけですよ。それは売らないで信託をしていても、ずっと持っていることは持っているわけで、その後どこへ寄附しようが、寄附が本当にできるのかどうかわかりませんよ、寄附行為というのは我々厳しく制限されておりますから。できるかどうかわからないとしても、適切ではないと思うので、もし例外的にでもできるのであれば、それは宮沢大臣の名義じゃなきゃいいわけですから、外してもらえばそれで済むわけですよね、いつ売ろうが、誰が売ろうが。そういう処理をした方がわかりやすいというふうに私は思いますよ。

 こういう問題で何度も何度もお答えになっていて、大臣としての所信を聞いて、我々はそれに対する質問をしなきゃいけないんですけれども、だけれども、その前にやはり信頼を取り戻さなきゃいかぬ。今の大臣の答弁をずっと聞いていても、残念ながら余り信頼を取り戻すような答弁になっていないんですよ。

 だから、宮沢さんのお人柄というのは、私は誠実な方だというふうには思っておりますけれども、でも、自分は内閣の一員として、自分がやめたら大変だから、何とかここはしのがなきゃいかぬという考えじゃいけないんですよ。これは政治と金の問題なんですから、きちんとそれを晴らして、それで初めて新大臣としての政策を述べるべきだというふうに私は思っております。

 宮沢大臣以外にも、きのうも国会で追及されましたが、次から次へと第二次安倍内閣の新大臣に疑惑が生じている。これは、その前の大臣にはなかったのかあったのか知りませんけれども、とりあえずそういう問題が全く起きなかったのに、第二次内閣になった途端にこれだけ不祥事が相次いでいる。

 多分、ほかの委員会でもみんなこの問題をやらざるを得ないんですよ。さっき言ったように、政治と金の問題というのは政治の信頼にかかわることですからね。だから、新しい大臣がいかに国政を停滞させているのかという責任は極めて私は大きいというふうに思います。

 本当の質問に移りますが、私たちは、あしたの予算委員会でも宮沢大臣に対して質問することになっております。我々は、宮沢大臣の資質に重大な疑義を持っているということでございますので、個々の政策の質問に関しては、宮沢大臣ではなくて副大臣にお伺いをしたいというふうに思いますので、宮沢大臣は、御退席なさりたければ御退席をされても結構でございます。

 それでは、質問に入らせていただきます。これは高木副大臣にさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。

 九電が九月二十四日に唐突に接続拒否を通達した。太陽光が発展をしていって、新規の事業者が大分出てきて、太陽光が普及していくのは大変いいことだというふうに私は思っていたのに、唐突に九電が接続拒否をした。これは副大臣も御承知のとおり、FITのときに、電力会社は新エネルギー、再エネを買わなければいけないということが条件になっております。それで、私もちょっと九電の方を呼んで調べました。

 九電の方に言わせると、電気の需要が最も少ない時期の電気使用量が八百万キロワットである、ことし三月に駆け込みで申請をした企業がたくさんあるということで、それを全部足すと千二百六十万キロワットになってしまい、最低の八百をオーバーしてしまうから、このまま接続をすれば停電になってしまう可能性もあるので接続を拒否したというふうに九電側は説明をしました。

 今現在、水力以外の再エネで九電が接続しているのは三百九十万キロワットなんですね。これは風力も入りますから、太陽光パネルのものはもうちょっと少ないんです、三百四十ぐらいだったというふうに思いますが、それぐらいなんですね。

 太陽光の平均の稼働率は、平均でいうと一二・五%なんです。九電の話によると、最大でも、昨年の八月実績で八六%、大体どこでも七〇%程度が最大出力であろう、そうすると、三百九十全部仮に太陽光だとしても二百三十万キロワットぐらいにしかならないんですよ。八百万キロワットには当分ならない。

 これは、接続を認可したからといって、すぐあしたから電気を提供するわけじゃないんですね。これは、土地を確保、まあ確保しているところもあるでしょうけれども、そこに太陽光パネルを置いて接続するということで、とても今すぐにやめなければいけないという状況ではなかったはずなんですね。

 こういうことが起これば、もちろん事実起こったんですけれども、九電が接続拒否したら、それに次いで東北電力とか四国電力とかも、いや、うちもそうだというふうに言って、接続を拒否して、もう再エネ業者は大混乱に陥っているわけですよ。

 混乱に陥ることはわかるというふうに思うんですが、これは、最終的に接続を留保するというのを誰がいいよと言うのか知りませんけれども、恐らく資源エネルギー庁がいいよと言うんでしょうけれども、何でこの時点で九電の言い分をそのままのんで、接続拒否をオーケーしたんですか。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

木村政府参考人 九州電力からは、七月ごろから太陽光の系統接続に関する状況について話を聞いておりまして、八月末ころに、接続の申し込みに対して回答保留を考えている旨の正式なお話をいただきました。

 その後、九州電力では、再生可能エネルギーを可能な限り受け入れる方策をぎりぎりまで検討はしたものと思いますけれども、九月二十四日に残念ながら保留措置をとるに至ったものと承知をしてございます。

 これは九州電力自身の御判断ということで理解をしておりまして、経済産業省には、接続申し込みの回答保留を、例えば認めるでございますとかあるいは指示したりといったような権限はございませんので、八月の時点で回答保留の指示をしたということもございません。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

生方委員 法律では、買い取らなければいけないということになっています。例外的な措置として、停電等が起こるおそれがあったときには接続を拒否してもいいというふうになっていて、今の話だと、九電側が接続をしないよと言ったらもうそれでいいということになっちゃったら、法律と違ってくるじゃないですか。いかがですか。

高木副大臣 今御指摘がありましたけれども、だからこそ系統ワーキンググループをすぐつくりまして、九月の下旬でございますが、その上で、今現在、九州電力が保留をする、これが適正なのかどうか、もっと言いますと、それだけの受け入れができるのか、その許容範囲がどこまでなのかということを精査させていただいております。

 その結果、逆に言えば、今保留しているものが受け入れられる可能性もございますし、また、その後、そういった精査を踏まえまして、逆に送電網の、これからの検討事項もあると思いますけれども、そういったものを勘案して最終的に判断がされるものと考えております。

生方委員 新たにワーキングチームをつくり上げて、私もその第一回会合には行きましたけれども、それならば、ワーキングチームを打ち立てて、こういう条件であればこうだということをきちんと決めて、それから、では接続を留保するという決定を下してもよかったんじゃないですか。

 もう大混乱なんですよ。私のところの千葉県なんかだって、湖の上に太陽光パネルを置いて、これからメガソーラーでやっていこうというところが、これから先どうなるかわからないということで、みんな留保しちゃっているようになっちゃっているんですよ。

 まだ水力を除いた再エネというのは二・二%しかないんですね。これは、二〇三〇年までに二一%にしようというのが政府の方針ですね。これは前小渕大臣も言っておりましたけれども、特にこの三年間は再エネを加速するんだ、これは安倍さんも言っているわけですね、そういうふうに。

 それにまさに水を差すようにこんなことを言うというのは、本当に再エネを加速させる気があるのかどうか、疑問にも思ってしまうんですけれども、いかがですか。

高木副大臣 まず、事実確認させていただきますと、今回の保留の問題につきまして、太陽光発電の認定件数及び接続の申し込みが昨年度末、ことしの三月ですね、急増し、その申し込みを接続した場合に電力の安定供給に支障を来す可能性が生じる、こういうふうにして、九州電力の方は保留に踏み切ったと。

 しかしながら、先ほど申し上げましたように、いわゆる混乱をしているということも経済産業省としても認識をしておりますので、すぐに系統のワーキンググループを立ち上げて、そこで検討をさせていただいている。これも早急にやらなければいけないという認識でございます。

 その上で、この作業部会で早急に結論をつけていただいた上で決着をつけるんですが、今御質問のありました再エネをふやしていくという、これは本年のエネルギー基本計画でも、二〇一〇年に決定をした計画を踏まえまして、二〇三〇年代、二〇%に、二〇一〇年の計画で打ち出しましたけれども、それを上回るという方針はいささかも変わりがない、こういうふうに申し上げたいと思います。

生方委員 これは資源エネルギー庁が十月十五日に出した資料ですけれども、この中で、「導入目標・シミュレーションについて」という導入目標の中で、「太陽光や風力は安定的なエネルギー供給源として見込むことが難しいという特性上、一定の予備力を常に抱えながら導入を促進しなければならないという海外事情を見ると、費用対効果の観点から、再エネ比率二一%を目指して強力に政策を推し進めていく必要性がどこまであるのか。」というふうに書いているんですよ。

 これだけを見ると、本当に資源エネルギー庁は二一%までする気があるのかどうか。何で今の時点で太陽光を全面的に見直すということを言わなければいけないのか、私は理解できないんです。二・二%ですよ、現状。それなのに、もう二〇%になったというんなら見直してもいいですけれども、そのまだ全然下の段階で、しかも、経産省は、二〇一〇年に、太陽光発電が千キロワットを上回ると蓄電池の設置や送配電網の強化が必要というふうな研究結果を出しているわけですよね。

 これはヨーロッパのあれを見たって、FITが導入されて一定の価格で買い入れるということになれば採算性が合うわけですから、いっぱいふえるわけですよ。向こうは二十倍とか三十倍になっている。ドイツなんかもう七〇%ぐらいまで再エネでやったってオーケーになっているんですよ。

 こういう施策を全然とってこなかったから、急にここに来て、いきなり接続拒否になって、再エネ業者はもう大変な混乱に陥ってしまうというのは、これは経産省が、エネルギー庁も含めて、きちんとした方針を立てて、きちんと受け入れ体制をつくってこなかった責任というのは極めて大きいんじゃないんですか。

木村政府参考人 まず、事実関係だけ申し上げさせていただきますと、恐らく委員が引用された資料でございますけれども、これは小委員会で私どもが配付した資料だと思いますけれども、これはあくまでも委員の多様な意見をまとめたものでございまして、政府の見解ではないものでございます。

生方委員 そうはいっても、各新聞を見ていただければわかるように、太陽光見直しかと。特に太陽光に関してだけ、見直しという雰囲気を出すような報道がいっぱいなされているじゃないですか。委員のと、では、こんなものを載せることないじゃない、わざわざ。

 だから、きちんと経産省が方針を出さないと、混乱したままだったら、このままだったら、太陽光、ふえませんよ。これは、きょうはもう質問時間がないですけれども、原発の再稼働と密接にかかわっているわけですよ。

 九月十日に規制庁が今度の川内原発については少なくとも基準はクリアしているというのを出して、すぐ、それを受けた形で九電が接続を拒否したと。九電にあるわけですからね、川内原発は。誰だって、その裏には原発を稼働させたいんだなという思いがあるというふうに思うんですよ。

 これは発送電分離しないと、もともと無理なんですよ。九電にしてみれば、自分の設備を使いたいのは当たり前の話で、新たに再エネをつないだら、自分のところの設備をとめなきゃいけないということになりますから。これは、自分からしたら、できるだけ効率のいい原発を使いたいというのは、企業の経営者から見れば当たり前の話で、だから、やはり、再エネをきちんと日本に定着させるためには、発送電分離、もうこれは既に決まっておりますけれども、早急にこれを進めなきゃいけないというふうに思いますが、最後にそれだけお答えいただきたいと思います。

高木副大臣 発送電分離を含めた電力の改革につきましては、来年の通常国会で、新たにまた第三弾の法案も検討しております。

 また、エネルギー基本計画、先ほど申し上げましたけれども、二〇三〇年代を目指してのこの基本計画は、いささかも変わりがない。その上で、ベストミックス、いわゆるエネルギーミックスをどう考えるかということを今検討させていただいております。

 ですから、今委員のおっしゃられたような、例えば太陽光はこれで終わりなんだ、そういうことをまだ国としても、政府としても決めておりませんので、ベストミックスを含めましてしっかりと検討を進めて、これも来年早々に、検討をさらに加速させていかなければいけない、このように認識をしております。

生方委員 再エネの問題と原発の再稼働の問題とは関係ない問題ですから、再エネの問題は再エネの問題としてしっかり取り組んでいただくようにお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

江田委員長 次に、岸本周平君。

岸本委員 民主党の岸本周平でございます。

 本日は、大臣所信に関する質問の機会を与えていただきまして、委員長初め理事の皆さんに感謝を申し上げます。ありがとうございます。

 きょうは、大臣とさしで、アベノミクスの評価について議論をさせていただきたいと思います。ぜひ、つまらない役所の答弁書は無視していただいて、エコノミスト宮沢さんとしての御見解を賜れればと思います。

 まず、アベノミクスについてでありますけれども、これは成功していただければこんなすばらしいことはないわけでありまして、私も一国民としては、うまくいっていただくことを願いたいと思います。

 しかし、やはりオーソドックスな経済学を学んできた人間とすると、いささかリスクが高過ぎるのではないか。いや、一か八かだというふうによく安倍内閣の閣僚の皆様はおっしゃいますけれども、これまで、これは自民党政権もそうですし、我々の政権もそうですけれども、経済政策において一か八かというのは、仮にうまくいかなかったときの責任を政治家ごときがとれるのか。国民に多大な御迷惑をかけたときに、これは次に落選するとか大臣の職を辞するとかということで責任はとれないだろうということですから、これまでの歴代政権は比較的オーソドックスな考え方でやってきたということではないかと思います。

 アベノミクスの第一の矢は金融政策でありますが、これは単なるコストの先送りであります。

 今、短期国債はマイナス金利であります。マーケットがゆがみまくっておるわけですね。日銀が新規発行の七割を買う。これは新発だけじゃないんですよ、セカンダリー、買っていますからね。物すごく買っているんですね。短期まで買っている。まさに、本来これだけの物価上昇に見合う金利のコストを、思い切り人為的に下げて、コストを先送りしているだけであります。

 二番目の財政政策。これは単なる需要の先食いであります。さらには、その需要の裏づけとなる財政のツケは子孫に回すということであります。

 しかも、昨年度は、そのばらまき財政政策のおかげで二・三%の成長を遂げました。しかし、潜在成長率は、これは推計によりますけれども、大体〇・三、高く見積もる推計でも〇・五。〇・三でしょう。ゼロ近辺です。潜在成長率がゼロ近辺で、無理やり財政を吹かして二・三%成長するということは、結果として、これは完全雇用が達成されていると見てもいいのではないかと思います。それは、まさに今の労働需給に如実にあらわれているというふうに考えるわけであります。

 そうだとすると、完全雇用のもとで財政政策や金融政策をするというのは、これはもう明らかにおかしい。今、そういう状況にあるのではないかと私は認識をしております。

 それで、最後の三本の矢、これは大事です。民主党政権のときにも成長戦略をやっておりましたし、これは大事です。つまり、生産性を上げることが一番大事なんだろうと思います。それは、一人当たりの生産性を上げることによって経済全体の生産性を上げていく。

 そこで、大臣のトータルの御見解とともに、その前に、何で日本が潜在成長率が下がってきたのか。これは、八〇年代は五ぐらいあったんですね。八〇年代の五が九〇年代はまだ四ぐらいあって、つるべ落としに落ちてきて、今はゼロ近辺ということですけれども、この原因についてどのようにお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 私は、岸本議員とは随分古いおつき合いで大変親しくさせていただいておりますけれども、経産大臣になってこういう場でこういう議論ができるようになるというのは大変うれしいなと思っております。

 もう少し申し上げますと、私は、経済学を全く学んだことのない者でありまして、決して理論派ではありません、かなり実務派に近い方でありますが、岸本議員の方がしっかりとしたエコノミストでありますから、きょうは教えていただくところは教えていただこうと思って立っております。

 潜在成長率が下がってきたというのは、やはり要素で二つは間違いないと思っていまして、それは、労働人口がどんどん減ってきたというようなことが一つあるだろうと思います。それが非常に大きな要素としてあるし、もう一つは、やはり企業の投資というものが国内で本当に極端に少なくなってきたということ、この二つが要素かなというふうに私は思っております。

岸本委員 全くおっしゃるとおりだと思います。さらに、ほかの方によると、労働力人口が下がってきた、人的資本の投入量が下がってきたと。毎年の労働力人口の伸びが、足元がマイナス〇・六%でありますけれども、一%近いマイナスでありますから、労働と資本とTFPでありますから、どうしてもそれはしようがない。

 しかし、おっしゃるとおり、実は投資だと思うんですね。実は、民間純資本ストック、民間の投資から減価償却を引いた民間資本ストックが、二〇〇八年からずっとマイナスです。八、九、一〇、一一、一二とずっとマイナスです。一三、一四はまだ統計が出ていません。これがアベノミクスのあれで上がっているとは思われませんので、設備投資は。ですから、これはやはりとんとんぐらいでしょう。そうすると、民間資本ストックがふえないんですよね。

 民間資本ストックがふえない。また、それはアニマルスピリットとかイノベーションのスピリットが企業経営から消えたということなのか、海外で投資されているのかは別にして、だけれども、根っこは国民純貯蓄も減っているんですね。国民純貯蓄がまさに資本ストックの原資でありますから、国民純貯蓄も二〇〇九年からずっとマイナスです、一二年まで。一三、一四は統計がまだありません。恐らくマイナスです。これは理由は簡単で、社会保障予算のために財政が赤字だからです。財政が膨大な赤字を出しているので、国民純貯蓄はマイナス。つまり、日本は既に富を蓄積する国から富を費消する国になってしまっている。そんな経済の生産性が上がるはずがないわけであります。

 そこは、もちろん規制緩和、規制改革によって、魅力ある投資先を見つけていただくことによって何とか資本の投下を促すということ。それから、やはりそうは言っても技術力は高いわけですから、TFPを高めていくということだろうと思います。

 その上で、さっき私が申し上げましたように、今、完全雇用だと思うんですね。完全雇用なのに、今度、もちろん消費税の話も時間があれば聞きますけれども、消費税引き上げに対して補正予算を打たれる、これは本当に政策として正しいんでしょうか。いや、政治家としてはつらいですよ、あるいは内閣を預かる立場であれば、民主党であってもひょっとしたらそうするかもしれません。しかし、これはどう思われますか、宮沢さん。

宮沢国務大臣 私は、完全雇用といえば恐らく完全雇用なんだろうと。いわゆる肌で感じる雇用という感じで、仕事をしたい人云々というようなことを考えていくと、四%を切ってくると、社会的に言うと完全雇用に近いんだろうと思っているんです。

 一方で、経済理論的に言う完全雇用等々と財政とか云々という話になってきますと、世の中、私は経済学というのは実は余り好きじゃなくて、ともかくいろいろな前提があるんです。その前提の場合はこうなるということであって、その前提は今の現実と合っているかどうかということは言っている人しかわからなくて、というので、おっしゃる理論があるということは知っていますけれども、本当にそうかなという気もしております。

 そして、財政出動の話について言いますと、ことしの秋、暮れに財政出動するかしないか、流れはするんでしょうけれども、これから決まることだと思います。

 そして、正直、我々からいいますと、四―六の落ち込みは少し予想よりは大きかったわけですが、七―九という数字が、気候要因によるものがどの程度あるのかなと。気候要因がかなりあるのだろうと私は思っていますけれども、その辺の雰囲気というものをやはり見ていかなければいけない。

 そういう中で、ある程度の財政出動というのは、特に、政治的に言いますと、円安の影響といったものが随所に見られておりますから、そういうものを含めて政治的にはやっていく必要があるんだろうなと私は思っています。

岸本委員 今、円安というお言葉がありましたので、少し為替の話をしたいと思うんですが、為替の話については、大臣というお立場ですから非常に答えにくいと思いますので、直接お伺いすることはしません。

 ただ、円安のメリット、デメリットがあるわけですが、円安の最大のメリットであるはずの、輸出がふえて国内生産がふえて結果として雇用者の賃金が上がるというメカニズムが、今回、この二年間全く働いていないということについての御所見をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 本当に予想外だったわけです。

 同じように予想外だったなと思いましたのが、ちょうどリーマン・ショックが起きたときに、私は与謝野大臣の下で副大臣だったんですけれども、与謝野さんは堂々と、これは金融問題であって日本の金融機関は関係ないから、日本は風邪を引いた、蜂に刺された程度だ、こうおっしゃっていたのが、半年たってみたら、欧米の需要がどんと落ちて、日本の車産業を中心に、本当に日本が一番被害が大きかったというのが、これは正直言って予想外だったこと。

 今回も、もう少し輸出が伸びると私も思っていました。要因分析をすれば、やはり新興国の需要減退とか、それから生産の海外移転に加えて、どうも日本の企業が現地での輸出価格を下げていない、逆に言えば量はふやさずに利益を出すという方向に行っているといった、三つぐらいの要素に分けられるというふうに私は聞いております。

岸本委員 ありがとうございます。

 その意味で、全くそのとおりなんですけれども、そうはいうものの、リーマン・ショックの後もそうでしたけれども、日本の輸出の製品そのものの国際競争力も、トータルの新興国向けを含めて、やはり弱い部分があるのではないかということもあると思います。

 あとは、何より、やはり国内生産から海外へシフトするのは、例えば自動車なんかはマーケットの近いところでつくるんだというのは十年前からの戦略なんですね。たまたま私はトヨタに二年おりましたので、貿易摩擦に関係なくマーケットの近くでつくるというのは戦略であるので、出ていった。一方で、先ほどの労働力人口のマイナスもあって、どうも製造業の方はなかなか人手がないので、そういうことをむしろ国内でやるよりも海外の方がイージーだということもあったんだろうと思うわけであります。

 いずれにしても、円安がバラ色の絵を私たちにはもたらさなかった。たまたま、一回限り、売り上げが一緒でも利益がふえたわけでしょうけれども、この利益がふえたのも、価格を据え置いたからであります。

 円安で帳簿上はプラスになります。帳簿上は、一回限り決算書がきれいになります、美しくなりますから、株価も上がりました。株価が上がると、企業が持っている株価の評価が上がりますので、ますます株価が上がる。大変いい循環が去年起きました。ことしはそれが起きていないわけですけれども。

 それはいいですけれども、一方で、円安で消費者は困っているわけです。実質賃金は下がっているわけです。ということは、これは実はゼロサムなんですね。

 円安で今言ったような効果が一三年度に起きて、これはめでたしめでたしじゃなくて、片一方で、消費者の所得が単に企業に移転しただけだと思うんですが、いかがですか。

宮沢国務大臣 なかなか今の議論は難しくて、すぐにはついていけなかったんですけれども。

 円安で輸入物価が上がって、それが消費者の負担になっている……(岸本委員「いや、実質所得が減るので消費に影響を与える」と呼ぶ)円安で。

 ただ、円安で実質所得が減る。それは輸入したものについては……(岸本委員「いや、物価が三%上がります」と呼ぶ)そうですけれども、一方で、円安によって恩恵を受けた企業等々にいた方の給料が上がるという要素も恐らくあって、マクロでどうか、ミクロでどうかというのは正直難しい議論をされ始めたなと。

 ただし、円安というのは、間違いなく日本の輸出産業にはいいけれども、日本の価値がある意味で下がるということですから、本来、円安をどんどん望むというのは邪道な政策だろうと私は思います。

岸本委員 ありがとうございます。全くそうだと思います。少し言葉足らずだったんですけれども。

 つまり、例えばこの四、五、六の四半期を見ていただいたときに、直近でもいいんですけれども、まさに消費税が上がっています。これは非課税がありますので、消費税の引き上げ分で二%ぐらい押し上げていますが、実は、課税対象だけ見るとかなり三パーに近いんですね。三パー上がっています。プラス、円安による輸入物価上昇でやはり三パー上がっているんですね、その物品のとり方によりますけれども。

 課税対象でとると、輸入物価による円安効果で三パー、消費税で三パー、六パー上がれば、ごく一部の大企業が給料を上げたかもしれませんが、そんなものは打ち消して、実質賃金がマイナスの中で、相当消費にはこたえていて、今の消費低迷は、もちろん消費税もありますけれども、ある時期をとれば、全く同価値の重みが円安による物価上昇にも求められるわけです。

 それを、大臣、もしよかったら、経産省の優秀な官僚がそこに座っていますから、ちょっとその目で試算をさせていただいて、そこの研究を、多分一晩やれば、その辺の彼らがすぐやりますから、それをまた一般質疑で次にやらせていただきたいと思いますけれども、どうですか。

宮沢国務大臣 まず、消費税の方からいいますと、今言っていただいたのは私としては大変ありがたい話で、転嫁対策のめちゃくちゃな法律をつくったのは、私が主導して、何とか転嫁がうまくいったということは非常によかったと実は思っております。

 そして、消費税も含めて物価が上がる。なかなか実質賃金がついていかない。ついていっていないのは確かだと思いますけれども、ある意味で、物価上昇局面においては給料はやはり常に遅いんですね。恐らく二、三年で追いつくというのが給料だろうと思っていまして、その間、我々はどういう政策を打っていくかということだろうと思っております。

岸本委員 ぜひ、優秀な官僚の諸君に試算をさせていただいて、そういう議論を進めたいと思います。

 時間もありませんので、消費税の再引き上げについて。これも大臣としてのお立場ではなかなかお答えにくいかもしれませんけれども、三党合意に基づいた法律によって、もし法律改正しなければ、来年の十月に引き上げが行われるということであります。

 あのときの議論は、リーマン・ショックのようなマイナス成長のときは延ばしましょうという議論を三党でやりました。IMFも下方修正しました。日銀もしましたが、まだプラスなんです。〇・六とか、IMFでいうと来年〇・七とか。この状況で消費税の再引き上げについて、今の宮沢大臣の御所見をお伺いしたいと存じます。

宮沢国務大臣 あのときに結構責め立てたのは私でありまして、当時の安住大臣が、当時は今よりはるかに悪かったわけですが、今のような経済状況であれば当然トリガーは引かずに予定どおり消費税を引き上げることになりますということを衆議院で言っていたものですから、参議院で当時の野田総理にそれは同じ考えかというのをしつこく聞いて、五分ぐらいたって、そうだとお認めいただいて、当時の議事録を先日見ましたけれども、こんなにしつこくやっていたのかなというふうに思いましたが、まさにそういう判断をされておりました、当時の立法者としては。

 そして、今の状況ですけれども、当然、リーマン・ショックのような状況が今のところ起こってきていないということは確かですが、税がそうですけれども、特に消費税は、日本の場合、政治そのものでありまして、政治的判断というのは非常に難しいんだろうと思います。

 財務省より財務省寄りと新聞に書かれましたけれども、そういう立場の人がいれば、何にも増して、全くいろいろな状況を無視してとりあえず引き上げ判断をするということになるでしょうけれども、やはり政治は生き物でありまして、今の経済状況、特に七―九の数字、先ほど言いましたけれども、本当に天候が悪かった要因以外何かいろいろなものが隠れていないかというようなことを含めて見ていかなければいけないし、一方で、では延ばすということになりますと、それは将来的な金利がどうなるかということをやはりしっかり見ながらいかないと、どちらもある意味でリスクがある。その辺の判断を十一月から十二月期にかけてされる、こういうことだろうと思っています。

岸本委員 大変バランスのとれた御答弁、ありがとうございます。

 私も元財務省ですけれども、財務省ほど財政規律のない役所はないわけでありまして、この話をすると時間がかかるので後にしますが、財務省ほど財政規律の緩い役所はないんです、実は。きょうはやりませんけれども。だから私はやめて、財政規律を守るために政治家になっているのであります。

 そういう意味で、ただ、日本政府としてのコミットメントですから、やはり延ばした場合のマーケットに与えるリスクを考えたときに、よっぽど慎重に御判断をいただきたいと思います。それは、国務大臣宮沢洋一としてぜひ閣内で御発言をいただければと存じます。

 最後にもう一つ、法人税減税についてお聞きいたします。

 これは同僚議員の皆さんも既にお忘れかと思いますが、自民党時代に十数年間全く手をつけていなかった法人税率を下げたのは民主党政権であります。十数年ぶりに下げたのは民主党政権なんです。実効税率を五%下げたんです。しかし、その後震災が起きたものですからちょっと戻しまして、実はフルに実効税率を下げているのはこの四月からなんですね。この四月から初めて法人税の引き下げの効果が出てくるわけであります。

 法人税あるいは所得課税というのはやはりかなり人為的なものですから、特に法人は実在論とかいろいろありますけれども、歴代そういうところの税は低くして消費税を取っていくという、直間比率の見直しというのがベースでありますので、私は法人税の引き下げは賛成でありますが、しかし、財源を無視してやるのはどう考えてもおかしいわけで、いっとき、自然増収とか一回限りの税収の上振れを財源に充てるなどという信じられない議論まで政府の審議会であったと仄聞しておりますけれども、それはおかしい。

 やはり財源をきちんと担保した上で、法人税の枠の中で、まさに課税ベースを広げて法人税は積極的に下げていくべきだと考えておりますが、財源も含めて、宮沢大臣の所見をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 基本的に財源を手当てしてやっていくというのは、財政の健全化というのが恐らく我が国にとって、最初から岸本議員がおっしゃっているように、かなり狭い道を何とかすり抜けて成長させていこうということを我々やっているわけですから、やはり基礎的要素としては、財政の健全化をしっかりやっていくということがなければ実はこの狭い道は通れないわけでありまして、そこはしっかり押さえていかなければいけないと思います。経済界の中には、上振れ分だけで十分実効税率が数%下がるということをおっしゃっていた方もいますけれども、そういうわけには恐らくいかないわけであります。

 相当これは知恵と力が要る話になると思いますけれども、私は、逆に言うと、その当事者から少し一方の応援団という立場になりつつございまして、そういう中で、いわゆる税収中立ということはなかなか難しいところがあって、ある程度の幅を見ながら財政健全化が図られるような、そんな知恵を恐らく今後出していかなければいけないんだろうなというふうに思っております。

岸本委員 大変バランスのとれた御答弁をいただきましたが、さっきお願いした試算も含めて、引き続き一般質疑の場で論争をしたいと思います。

宮沢国務大臣 それでは、すぐにできるかどうかは別にしましても、試算については少し検討させます。

岸本委員 それでは質問を終わります。どうもありがとうございました。

江田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午前十一時五十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。よろしくお願いします。

 きょうは十五分ということなんですけれども、まず最初に、私は十月十七日にこの経済産業委員会で質問に立たせていただきまして、当時の小渕大臣にいろいろ御質問させていただきました。

 その中で、一つ、恵友会、小渕恵三さん、お父様の団体から小渕優子さんの資金管理団体に資金が行っている件をお伺いしましたら、承知していない、調べてお答えしますという御回答でありましたので、そのお答えをお伺いに実は参ったというのが、きょうここに立っている一番の理由なのであります。

 それと同時に、あの委員会の場でいろいろな贈答品のお話をさせていただいたんですが、有権者には配っておりませんというふうにおっしゃられたんですけれども、まあ営業日でいうとその翌日にワインを有権者に配っていたという報道が出まして、この件に関しても私に対する答弁が虚偽だったのかお伺いしようと思ったんですが、その前におやめになってしまいまして、その回答をいただいていないんですね。

 ですから、ここに出ていただきたいということで理事会の方でもお願いをいたしまして、衆議院規則の第四十六条に委員外議員の発言ということは必要であれば認められているということがありますので、その点について出ていただきたいということでありますが、理事会のお話を伺っておりますと、なかなかそういうお答えをいただいていないということであります。

 大臣、お答えをすると言ったことに対する説明責任というのは、政治家としてどうお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 委員会なりの場で、また国会の場で説明をするということにつきましては、先ほども生方委員と委員長のやりとりを聞いておりましたけれども、まさに院でお決めいただくことだろうと思います。

 また、一般論として申し上げれば、国会の場でない場という意味でありますけれども、恐らくどこかの場で、小渕議員が有権者、国民に対してしっかりとした御説明をされるんだろうと私は思っております。

今井委員 外で御説明をなさるというのも一つのやり方かもしれませんが、今回の場合は、委員会の場で質問をして、その場でお答えになるという答弁をされておりましたので、その流れからすれば、当然、委員会の方で答弁をされるというのが筋じゃないかなというふうに私は思います。

 先ほど民主党の生方委員が委員長に直接質問されたというふうに伺っております。私は質問はいたしませんけれども、ぜひ、やはり質問したことには答えていただくということは基本だと思いますから、理事会の方でもしっかり協議をしていただきまして、小渕元大臣にこの委員会の場で答弁をしていただくようにお願いを申し上げたいと思います。

江田委員長 理事会で後刻協議します。

今井委員 よろしくお願いします。

 それと、きょうは新しい宮沢大臣ということで、少しお伺いしたいと思います。

 あすの予算委員会でも少しお伺いするつもりなんですが、まずちょっと御確認をさせていただきたいのは、一部の議員の皆さんの発言の中で、宮沢大臣は三・一一の福島大震災以来、福島の方に足を運んだことがないということを指摘された方がおられましたけれども、これは事実かどうか、お答えください。

宮沢国務大臣 就任の記者会見でもそういうお話があって、行っておりませんということを申し上げました。そして、その後、いろいろな方から御質問を受けました。

 私は、福島には入っておりませんけれども、復興基本法を自民党で中心になってまとめて、また、与党協議、修正協議で復興基本法をつくり、また、それに基づいて復興庁の設置法についても同じようにしっかりとした復興庁にしたというようなことをやった後、自民党におきまして、当時は震災復興本部、その後、復興加速化本部というものがございまして、大島先生が本部長ですけれども、私も三、四人の中心メンバーの一人といたしまして、ずっと復興にはかかわってまいりました。

 ただ、一方で、私自身の担当は福島以外ということでございました。ということもあって福島には入っておりませんけれども、一方で、福島の問題、除染にしても、また帰還にしても、いろいろな意味でいろいろな相談に乗っておりまして、特に除染のところにつきまして、スキームづくりというのは実はかなり関与させていただきまして、相当程度福島の状況というものについては勉強してまいりましたし、知り得る立場におりました。

 そして、今週の土曜日、一日に福島に入らせていただくこととしております。

今井委員 これは私の個人的な意見ですけれども、SMバーの領収書とか、いろいろ話題になっていますが、あれは正直言って、ああいう領収書を全部チェックするというのは私は無理だと思うんですよ。あのお店がSMバーだったかどうか、それを大臣がおわかりになるのは、そこまで言うのはちょっと酷だなというのは私は個人的に思っておりますので、そこは余り申し上げるつもりはないんです。

 ただ、やはりあれだけの事故があって、福島の方が非常に苦しんでおられるというところで、その現場を見に行くというのが、普通、政治家の最初の行動じゃないかと私は思うんですね。私も二週間ぐらいたってからたしか福島に伺いましたけれども、それを一度も行っておられないということ自体が非常にどうなんだろうという気持ちがまずあります。

 実は、この間の国会まで、私はこの経済産業委員会の理事をやらせていただいていましたけれども、この委員会の方でも福島の原子力発電所を二、三回視察に行っているわけです。この委員会ですら福島を見ようということで行っているわけでありまして、そこの所管の担当大臣ですから、その方がその場に行っておられなかったというのは、外でいろいろなことを見てきたということはありますけれども、私も原発を見せていただきましたが、行ってわかることというのはあるんですよ。訪れてみて初めて、ああ、なるほど、こういうことなんだということがわかるんですね。

 見ると聞くでは大違いということは実はたくさんありますから、そこにやはり足を運ばれていなかったというのは私は一つ問題があるんじゃないかなというふうに、今度十一月一日に行かれるということですけれども、今までやはり行っておられなかったというのは、ある意味、少し反省すべき点があるんじゃないかなと思いますが、いかがですか。

宮沢国務大臣 いろいろ御意見があろうかと思いますけれども、私としては、福島の復興については相当力を入れてきたつもりでございます。そして、現場を見てわかることもある、それはそうだろうと思います。

 ただ一方で、何となく、私の生まれといいますか、父から聞ける話は、やはりそれぞれのところでそれぞれの方が役割を果たしていく、それが一番大事なことで、逆に言えば、私が、ある意味では、そういうものを見て、それを何かするという担当ではなかったときに、逆に、入ることによって本来する業務をできなくなるというようなことがあってはならないなというようなことを常に、福島だけのことではありません、私は。

 例えば災害につきましても、あの広島の土砂災害がございましたけれども、やはりすぐに入って、ある意味では、働いている方にいろいろ本来の仕事をしていただく時間を割くよりはと思って、実はしばらくして私自身の足で入れるようになってから伺いましたけれども、それと同じような感じが実はあったということは確かであります。

今井委員 この話はこれぐらいにしておきたいと思います。

 それで、少し政策の話になるんですけれども、原子力政策に当たりまして、原子力賠償法の見直しというのが今、ある意味、それを見直す、検討すべきという、法案にもそういう条項があるんですけれども、以前この経済産業委員会の参考人質疑のときに電事連の会長が来られまして、やはり現行の原賠法では事業者リスクがどこまであるのかわからなくて、これから原子力事業なんてとてもできませんと。彼らは、有限責任で、あるところまで決めていただきたいという要望がありました。

 無限責任にするのか有限責任にするのかという問題はありますが、いずれにしても、一度私もこの問題を取り上げたことがあるんですけれども、原賠法というのは本当に表現が抽象的でグレーゾーンがありまして、このグレーゾーンがあると原子力事業者は新規の原子力はもう事実上、手が出せません。それは実際にそうおっしゃっています。だから、この問題はやはり早急に解決すべきだと思うんですね。

 もちろん、文科省の管轄ですけれども、やはり原子力事業者を管轄する大臣として、この必要性についてどうお考えかをちょっとお聞かせいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 あらかじめ申し上げておかなければいけないのは、原子力発電所の新増設ということはこの段階で頭にないということだけは申し上げておかなければいけないと思っております。

 その上で申し上げますのは、いろいろ御意見があることは承知しております。そして、今の原賠法自体が大変古い法律で、委員おっしゃるように、なかなかわかりにくいところもある。したがって、発災直後は、経産省と財務省で相当な綱引きまであったということも確かであります。

 そういう中で、法律の附則で、副大臣等会議というようなものが設けられておりますけれども、一年内と言われていたものが、いまだかつて、正直言ってなかなか結論らしいものは出てこない。

 やはり原子力の位置づけというものを、本来は、もう一度、国の関与を含めて考えなきゃいけないだろうと私自身も思います。今回の東電の事故というものを見ていまして、そしてその後の東電というものを見ていまして、この枠内で我々は大変よくやってきたと思うんです。賠償につきましても、いろいろな知恵を出して、政府の全面的な責任ではないものの、それなりに政府が力をかし責任を負うという形のスキームが今できておりまして、そういったものも含めて、やはりすぐには正直言ってこれは結論が出るような話ではないと思います。

 というのも、法律を変えた途端に、では、そのお金はどうするんだと、日本人は真面目ですから。相当額の予算を用意するのか、予算を出せるようなスキームをつくるのか。もうちょっといいかげんな制度でもいい国であればいいんですけれども、我々が相当きっちりしたものをつくるとなると、また、東電の話が今こういう状況で進んでいるということになると、大変重要な問題だと思いますけれども、少しお時間をいただかなければいけないと思っております。

今井委員 この問題もいずれやりたいと思います。

 もう時間がありませんので、最後に。

 午前中も再生可能エネルギーの買い取りの保留の話が出たように伺っていますけれども、今の対応をちょっとお伺いしたいんです。

 現在のように保留状態になりますと、認可を受けて、もう既に投資をかけて準備をしていたが接続できなかった。そうすると、この間も事業リスクを抱え、しかも借金をしていますから、それも返済しなきゃいけない。どんどん事業計画が後ろに行っちゃうわけです。こんな状況になったら、もう事業者は本当に入れなくなっちゃうんですね。この先、新規の人たちも、もうこんな事業リスクはとれないといって参入できなくなりますから、早急にこの対応をしていただきたいということでありますけれども、今の状況というか、これからの予定をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 私も、大臣になりまして詳しくこの話を聞きまして、なかなか難しい制度をつくったなというのが正直なところであります。経産省の認可というのは極めて形式的なものであって、法律的には最後に接続するかどうかという判断が電力会社に残されている。

 したがって、認可即事業開始ではないという制度であるにもかかわらず、ある意味では投資は先に行ってしまっているというような状況ですので、恐らく、ある程度の制度はあるようですけれども、認可の状況とか接続の申し込みというような状況について、もう少し前広に事業者の方にしっかりと、ウオーニングというんですか、注意警報を出すような制度が本当は必要なんだろうと思っておりまして、そういうことは検討してまいりたいと思っております。

今井委員 時間が来ましたので、終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 大臣は、きょうもいろいろ政治資金規正法や公職選挙法についてのお尋ねがあったと思います。政治家として説明責任を果たすのはもとより、現行制度の政治資金規正法や公職選挙法の限界もあるんじゃないかというふうに私自身は感じています。

 例えば、セクハラだとかパワハラだとかアカハラと言われているんです。相手が不快に思うようなことを尋ねたり、言ったりやったりした場合には、相手に損害賠償で訴えられちゃうんですね。それで、きょうの質問の中にもあったように、国籍を尋ねてみたり、赤字かどうかとか、外国法人で株を五一%以上持っているのかどうか。それを尋ねなければならないのは、政治家が貴重な寄附をいただく立場にあるからだと思うんです。そういう立場にありながら、大臣として今のこの法律のあり方についてどう感じて、どう考えておられるのか、率直にお聞かせをいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 私自身、監督不行き届きがあったり、また、相手を知らなかった、誤って記載してしまったというようなことをした当事者でございますから、こういう問題については申し上げる立場にないわけでございますが、唯一申し上げられるのは、どんな法律にせよ制度にしろ、決まっている場合にはそれに従って行動するというのが、法の原則といいますか、我々が守っていかなければいけないことだろうと思っております。

鈴木(義)委員 法律をつくるのは私たち国会議員ですから、法に従うのは当たり前なんだと思うんですけれども、私がお尋ねしたかったのは、結局、法の限界が見えてきてしまっているんじゃないかということなんですね。それについて、直していこうとするのか、現行のまま遵守すればいいという考え方か、大臣にお聞かせをいただければと思います。

宮沢国務大臣 現在当事者である私が余りコメントをしてはいけない話だろうと思っております。

鈴木(義)委員 今、当事者ということでお答えいただいたんですけれども、それはそれで、たまに大臣は答弁の中で、一私人としてとか、大臣の前の職の立場で答弁をされて会場が沸くときもあるので、それは使い分けられているのかなというふうに思いますが、ぜひこれからも、説明責任を果たすに当たっては、先ほどの今井委員からもお尋ねをさせていただいたように、御自分の責任で、この場で質問を受けて答弁をされたことに関してはきちっとやはり履行する責任が私たちはあるんじゃないかと思いますので、ぜひ、そこのところは強く受けとめていただければなと思います。

 次に、政策的なものでお尋ねをしていきたいと思います。

 大臣は、所信で中小企業、小規模事業者対策と地方創生に取り組んでいくと述べられています。

 私の地元は三郷市というところなんですけれども、町工場がたくさんあります。そこで本当に少人数でアルミの加工業をやっている社長さんとお話をしたら、あるメーカーさんから、プロトタイプの試作品をつくってくれ。さあこれから、ではプロトタイプの試作品をつくったら仕事がたくさん来るのかなと思っていたら、さもありなん、そのメーカーさんは中国で安くその製品をつくってしまった。

 中国でつくったのはいいんですけれども、ふぐあいが出てしまった。それで、ふぐあいは中国では直せないから、日本のそのプロトタイプの試作品をつくった下請さんに、これを直してもらえないかということで、自分のところのメーカーの技術者を連れて、カメラで直すところを撮らせろとか、ビデオで修理するところを撮らせろとか、そういったことを求めたんだそうです。

 その社長さんは、それをやったら自分たちは飯の種がなくなってしまうということですから、お断りしたんだと。それが、名前は申し上げられませんけれども、日本の、すぐ誰でもわかる大手のメーカーさんなんです。

 そんな中で、大臣が所信で中小企業とか小規模事業者を助けていくんだというような発言の中で、平成十八年度から国は補助金を一括交付金という形で都道府県や自治体に支給することになったんですね。しかし、今回の地方創生の事業等では、過去に行っていた補助金行政に先祖返りしているような話も散見されるんです。

 例えば、県や市町村を飛ばして直接商工会や商工会議所を窓口にして、経産省でいえば、私は埼玉ですから関東経産局なんでしょう、そこが窓口になって事業を遂行するという話も聞いています。

 それが、十八年のときは一括交付金で都道府県や市町村を介して中小企業、零細事業者を助けていこうじゃないかという考え方だったのが、ここ五、六年の間でまた方向転換したのかというのをまず初めにお尋ねしたいと思います。

関大臣政務官 鈴木委員の中小企業に対する思い、本当に非常に大切なお考えだと思って、私も同じ考え方を持っております。

 アベノミクスの効果を全国津々浦々まで行き渡らせまして、景気回復を地方でも実感していただこうと、本当に今、正念場の時期だと思っております。また、人口減少もさらに大きな課題で、同じような全国に対する景気回復をいかにやっていくかということは、大きな課題の一つとして、今、地方創生ということに対する重要性というのは、本当に我々も同じ課題意識を持つところでございます。

 御指摘の中小企業への施策に関してでございますけれども、これまで、国が全国統一的な観点から補助事業の審査並びに採択を行う場合におきまして、国の事業としまして、国の出先機関や支援機関経由で事業が実施されてきておると承知をしているところでございます。

 一方で、事業の実施に関しましては、地域の実態をよく把握している県や市町村と連携することによりまして、より効果的な事業の実施が実現可能になるという点もよく承知をしているところでございます。

 具体的なところを自治体との連携に関しまして申し上げますと、例えば、認定事業者に対しまして補助金や低利融資の支援を行っております中小企業地域資源活用促進法では、県が地域資源を指定しまして、国に対する認定は、県を経由して、その際は県は申請に意見を付記することなどをやりながら実施をしているところでございます。

 また、一方、今度は市町村に関するものでございますが、産業競争力強化法に基づきます創業支援事業計画におきましては、計画を策定した市町村と連携した民間支援事業者に限りまして補助金によって創業支援体制の構築を支援しているところでございます。

 さらに、地域の商店街は今非常にいろいろ大事な項目があります。商店街を支援する方法では、地域商業自立促進事業におきまして、地方公共団体からの支援計画書の提出をいただいてから地方公共団体の意見を取り入れる、この方針で進めているところでございます。

 このほか、先般の通常国会で成立しました小規模企業振興基本法におきましても、国そして地方公共団体が相互に連携をしまして小規模企業の振興を図るということになっております。今後とも、地方公共団体の意見をしっかりと取り入れ、また、連携もしっかりしながら取り組んでまいりたいと思っております。

鈴木(義)委員 長々と答弁いただいたんですけれども、私がお尋ねしているのは、補助金行政をやめて一括交付金で自治体を介して地域の振興を図っていこうというのが平成十八年にあったわけですね。

 今御答弁いただいたのは、県を介したり市町村を介したりしてやっているんだというんですけれども、今回やろうとしているのは、市町村を飛ばして、県を飛ばして、結局、関東経産局が直接窓口になって、市だとか県を介さないで商工会と商工会議所を窓口にして、もっと言えば、地域には商工会の会員じゃない人もいるわけです。その人たちにも商工会を窓口にして補助金を出しましょうというふうな制度なんです。

 そうすると、八年前にスタートして、そのときに一括交付金でやろうといった制度から、がらっと変わる施策に転換したのかというお尋ねなんです。

関大臣政務官 確かに、施策と経過のところにつきましては、変更の部分はあったとは思います。

 しかしながら、一方、中小企業という経済主体に対する支援を、今、全国津々浦々、景気回復という非常に大事な時期において、今回、経済団体の方々がいわば運営の主体となっていらっしゃる商工会とか商工会議所、そして、その方々が認めております団体、そこのところの経済のプロの方々が、その申請におけます全国統一的な考え方、基本理念を持って、審査そしてそれぞれの企業への助言をさせていただくという、統一見解ということと経済に非常に精通した方々の団体に見ていただくという、非常に価値のあるやり方であると承知をしております。

鈴木(義)委員 私の尋ね方が間違っているのか、だったら、今までと同じように、都道府県だとか市町村を介してきちっとリサーチをして、そこにきちっと補助金を出せばいいだけの話じゃないですか。何でわざわざ国が、県だとか自治体を、ニーズが一番よくわかっているところを飛び越えて、商工会や商工会議所と話をして、それから先に補助金を出すのかと尋ねているんです。

 そのたびにいろいろな施策を国がやったり県がやったりして、受ける側ばかりなんですね、商工会とか商工会議所というのは。あれをやれ、これをやれ、それをやれと。それで、ころころころころ。今回は、市町村や県は全然知らなくて国だけから言われたこと。あるものは、県を通さなくちゃ話になっていかない。そういうことはもうやめた方がいいんじゃないかというので、一括交付金の制度がスタートしたんじゃないのかということなんです。

 では、例えば、中小企業基盤整備機構が行っている高度化事業、これは御案内のとおり、昭和二十二年からスタートしている協同組合共同施設費補助金に期限があるというふうなペーパーを見たことがあります。これがA方式とB方式に分かれているんだそうですね。

 一つの都道府県内で事業をやろうとして、協同組合をつくって施設整備をしたいといったときにいただく補助金の場合は、県を経由して機構からお金を融資して、県がそこにプラスアルファの融資をして実施をする。

 そういいながら、二県にまたがった場合、仮に私が、埼玉の出身ですけれども隣の千葉県で事業をやりたいといったときには、今度はB方式というやり方で、機構が審査窓口と債権管理をするんだそうです。

 今、前段でお話ししたA方式というのは、審査をするのも県、債権管理するのも県なんですね。

 そうすると、今政務官がおっしゃったように、ケース・バイ・ケースなんだといいながらも、結局、こういった古くからやっている事業の中で、まあ実績は上げてきたんだと思うんですけれども、審査だとか債権管理については、機構がやるんだったら機構がきちっと責任を持ってやった方がいいと思うんですよ。それに手なれた職員もいるだろうし、きちっと債権管理もできるだろうし。

 そこのところがいつも、農政じゃありませんけれども猫の目行政というんですか、ころころころころ、景気が悪くなるたびに、あれをやりましょう、これをやりましょう、それをやりましょうといって、何年かするとまた変わっちゃうんです。そうじゃなくて、一貫性を持って、中小企業、零細を助けるんだったら、きちっとルートを決めてやった方がいいんじゃないかという時代に入ってきているのにもかかわらず、国がまたころころ変える。私はそのようにしか受け取れないんですけれども、その辺についてもう一度御答弁いただきたいと思います。

関大臣政務官 今御指摘を賜りました高度化事業の審査主体というところでございますが、これにつきましては、今鈴木委員がおっしゃったように、高度化事業は基本的には都道府県が審査を行うというA方式でございまして、平成二十五年度末時点での貸付残高は、A方式というのは一千百一件ございます。

 また、委員もおっしゃっていたB方式、いわゆる複数の都道府県にまたがる事業についてのみなんですが、それは中小企業基盤整備機構が審査をとり行っております。B方式と呼ばれておりまして、これは都道府県ではなくて中小企業基盤整備機構がしております。これは都道府県にまたがりますので、数とすれば少ないんですが、A方式の一千百一件に対しまして二十件ということで、五十分の一ぐらいの量です。

 通常、県ごとに一つの事業に対する考え方が相違しましても困りますし、二つまたはそれ以上にまたがるときは、やはり統一的な見解を、その事業に対しての審査並びに管理方式をとらないといけないと思いますので、そういう際につきましては、国でやります中小企業基盤整備機構が審査をとり行わせていただいている次第でございます。

宮沢国務大臣 今お話を承っておりまして、地方創生の方の補助金云々というのはどういう形になっているか、私はまだ正直に言って伺っていないんですけれども、この高度化事業は、まさに県が判断をする、自主性を重んじる事業であるという基本があって県にお願いしている。しかし、またがるときには一つの県ではないから中小企業事業団、こういう整理だろうと思うんです。

 先ほどの件を含めて、やはり地方の自主性をある程度尊重する事業なのか、それとも国がある程度ルールを決めて一律にやる事業なのかというところの頭の整理をしっかりしておかないと、それが入りまじってしまうと、恐らく委員御指摘のようにいろいろな問題が出てくると思いますので、それは少し整理はいたします。

鈴木(義)委員 整理というんであれば、A方式、B方式なんかやめちゃって一本化してもらいたいんですね。先ほど前段でお話ししたように、この事業は、県を、市町村を通して出す補助金、あとは飛び越えてやるもの、あとは国が受けてやります、もうみんなばらばらなんです。

 例えば、一つは連帯保証人を求めているような制度になっているんです、高度化事業については。今はどんどん連帯保証人を求めない、例えば株式会社であっても、代表者にも連帯保証人を求めないんです。でも、この制度は連帯保証人を今でも組合員に、全部に連帯保証人を求めるんです。

 そういったことも含めて、時代が変わっているんだったら先取りして、国がやはり方向を示していくべきだと思うのに、それを今まで怠っていたんじゃないかと思うんです。そこのところは検討してもらうというんだったらそれで結構なんですけれども、私は一本化してもらった方がいいと思うんです。

宮沢国務大臣 この制度の連帯保証人については、若干少しいろいろ申し上げなきゃいけないのかなと思います。私も若いころ、課長補佐で当時の中小企業事業団の予算の査定などをやっておりまして、高度化事業というのは大変なじみがあって、当時は結構出ておりました。

 正直言いまして、その後二十年、三十年たって、組合というのが余り元気のないところがいろいろふえてきているという現実がございます。そして、真面目に資産査定すると、純資産マイナスといったような組合も恐らくあるんだろうと思います。そういう中でいろいろ高度化事業を進めていかなきゃいけないという中で、組合だけを対象にして、それでは融資をしますよということになりますと、かなり厳しい状況、なかなか融資ができないというようなことが現実に恐らく起こってくると思います。

 委員おっしゃるとおり、保証人をとらない、保証をとらないというのが大きな流れですから、できればそういう方向にということはあるんですけれども、この事業だけは、正直、組合役員等々の連帯保証をとらないと、廃業してしまう人とか、それこそ夜逃げしてしまう人とか、いろいろいる中で、大変厳しい状況の中で何とかこの事業を今後も続けていく、それなりのニーズに合致させて融資をしていくということになりますと、その連帯保証のところを外すというのはちょっと難しいという気がいたします。

 ただ、一方で、運用の仕方として、いろいろな知恵を出しながら、余り御負担にならないようなことをやっていく必要があるんだろうというふうに思います。

鈴木(義)委員 日本はやはり、投資と融資というのが言葉では区分されているんですけれども、投資が融資なんですね。リスクをとらないんです。

 百万円の担保があって、九十万円お金を貸してくれという人がいれば、私だって融資ができますよ。だって、今の日本の金融機関というのはみんなそうじゃないですか。何かといえば担保を出してくれ、いけなかったら保証協会をつけてくれと。保証協会は何といったら、税金も入りながらそこで裏負担をしているだけの話で、融資なんですね、投資じゃない。

 でも、言葉では、こういった議論の中では投資とか融資とかと使うんですけれども、日本で言っているのはほとんど融資、貸したら返してくれ。それで中小零細に頑張れと言ったって、それはなかなか、やはりリスクがあるものに踏み出せるかといったら、踏み出せないんですよ。

 だったら、リスクを誰がとるかといったら、国が中小零細を支えていくんだというふうに大臣がおっしゃるんだったら、国がリスクをとらなくちゃだめじゃないか、こう考えるわけですね。だから連帯保証人も外した方がいいというのは、そこなんです。

 誰がリスクをとるんですか。金融機関がとったってとれないんだから。だったら、国が産業振興で特に中小零細を育てていくんだ、新しいイノベーションを起こすんだということであれば、国が責任を持ってリスクをとるしかないんだと思うんです。

 ただ、税金を使ってリスクをとるわけですから、それにはそれなりの審査は必要ですけれども、やはり手なれた人がきちっと審査をする。だったら、都道府県に任せるよりは、機構できちっとした目ききのある人がやった方がいいんじゃないかというふうになっていくんだと思うんですね。そこのところをもう一度、確認の意味で。

宮沢国務大臣 機構でやるという選択肢は当然あるわけですけれども、恐らく、機構でやるということになりますと、相当数の組織が必要になり、相当数の人員が要るということになりますと、正直、全てをやるというのはなかなか難しいんだろうと思います。

 そして、先ほどのリスクの話ですけれども、この機構自体は、まさに出資金を常に相当入れているように、相当リスクをとって事業をやっている組織であることも間違いないと思っております。

鈴木(義)委員 時間がないので、最後に一点だけお尋ねしたいんです。

 中小企業の育成策の中で研究開発税制、これは財務省の所管になるかもしれませんけれども、中小企業が約七〇%で五千五百社、この研究開発税制を活用しています。

 御案内のとおり、中小企業というのは全国で二百五十万社あるんだそうです。このうち黒字になっているのが大体七十万社ぐらい、そのうち研究開発税制を使っているのが五千五百社、金額にして二百五十一億なんですね。研究開発投資額とすれば、全体として三千四百九億円のうち七・三%しかないんです。片や、大企業は、研究開発投資が全体で十二兆円ぐらいあるんです。このうち研究開発税制というのは二千四百七十五社で三千七百四十九億円、三・一%を使っているんですね。

 この税制を一つ見たって、中小企業に、もっと元気を出すのであれば、もっとやはり、優遇という言い方が合っているかどうかわかりませんけれども、呼び水を上げなければ。国は民間研究開発投資、三年以内にGDP比三%の目標を掲げたんですけれども、実際は今二・五、六%ぐらいしか行っていないんです。

 これだけ中小と大企業の開きがある中で、これをどう捉えて、今後推進していこうというふうに考えるのか。大企業だけでいいんだったら三%に達することは可能かもしれません。でも、大臣が所信で述べられている、中小・小規模事業者を助けていくんだといったときに、税制面からもやはり後押しをしなくちゃ、これはどんどんふえていかないんじゃないかと思うんですけれども、最後に御答弁いただければ。

宮沢国務大臣 実際の数字は存じ上げませんけれども、中小企業の研究開発税制の利用が大変少ないということは確かだと思います。

 恐らく、それも、中小企業といっても研究開発をするのは一部の中堅企業。中小といっても、資本金は少ないかもしれないけれどもかなり大きな企業であり利益の出ている企業に限られていて、一般的な中小企業、小規模事業者ということでいえば、自社で研究開発をするというよりはそういうところにいろいろなアイデアなりが行くような制度をどうつくるかということが大事なことで、そういう方から今応援しているということだと思います。

鈴木(義)委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

江田委員長 次に、小池政就君。

小池(政)委員 小池政就でございます。

 私も昨年来、経済産業委員会では質疑をさせていただいておりまして、ことしは理事のオブザーバーの一人としても毎回出席をさせていただきました。この委員会は、決して揚げ足取りや足の引っ張り合いではなくて建設的で、前大臣は有意義な雑談等もまぜながら、エネルギー問題をどうしていくかということを議論してきたところであります。

 それだけに、この経済産業委員会が、臨時国会が始まって以来このような状態になっているというのは非常に残念なところでございます。ただ、国民からは政策を議論しろという声もありますから、しっかりと、きょうは、今喫緊の課題となっている問題についてお伺いをさせていただきたいと思います。

 接続の問題は、参議院でも衆議院でも経済産業委員会で取り上げられているところでございまして、これまでの議論を見ると、不作為じゃないか、それはそうだと思います。また、今まで知っていたのに何でできなかったんだ、いつの時点で知っていたんだ、そのような議論が続いてきたところでありますけれども、もう少し構造的なところから、どうやって改善すべきかというところを少し探っていきたいと思っております。

 大臣もこれまでそのような議論はされてきたところかとは思いますし、先ほども、午前中少し触れられておりましたけれども、今回の問題がここまで拡大していった、その構造的な問題、課題はどこにあると考えていらっしゃいますか。

宮沢国務大臣 恐らく二つの方向からお話ししなきゃいけないと思いますけれども、固定価格買い取り制というのは本当に重要な制度で、再生エネを最大限導入するという政策からいったら一番効果のある制度で、非常なスピードで再生エネが伸びてきたわけでありますが、残念ながら少し問題点も明らかになってきている。

 一つは、大変、予想した以上に早いスピードで普及をしたものですから、送配電といった能力を、思ったより超えるスピードで伸びてきてしまったという点が一点。もう一つは、最も値段が高いものの一つであります太陽光発電というものが圧倒的に多くなって、コストは平均的に言うとかなり高いものになっている、こういう流れが一つあろうかと思います。

 もう一つは、結局、システムそのものの問題です。まず、太陽光発電をする方が認可を役所から受ける。法律的に言えば極めて形式的な認可をする。そして、接続を求めて電力会社の方に行く。そして、電力会社が最終的に、幾つかの断れるという要件がある中で接続するかどうかというところです。要するに、いわゆる出口でしか量のチェックができないという問題が、再生可能エネルギーが急速に導入される中で起こってきたというのが今回の話だろうと思うんです。

 したがって、今我々としては、ともかく目の前の話ということで、何とか年末までに、送電能力が、もう少し厳正に、もっとあるんじゃないかというチェックをするとともに、少し送電のやり方を効率的なものにして枠をつくれないかというようなことを検討しております。

 ただし、制度そのものは、今申し上げましたように、今の法律をもとにしますと、認可を受けるというのは極めて形式的で、基準に従えば認可を受けてしまう。しかし、実は接続できるかどうかはその時点ではわからないという状況があるわけです。今の法律を変えるかどうかは別にしまして、今の法律を前提にしますと、やはり早い段階でそういうリスクがあるというようなことについては、これだけたくさん来ているということについては、ある程度、事業を希望する方にその情報が手に渡るようなことをもう少しきっちりやっていくシステムができないのかなということを今考えております。

小池(政)委員 後段は重要な問題意識かとは思いますが、前段の導入のスピードが早過ぎたというのは、私は責任というものを少し軽く感じているのではないかなということを考えております。

 というのは、もともと経産省自身も目標値というものを定めてきているわけでもあります。また、総務省は当然連携していると思いますけれども、緑の分権会議ということで、各都道府県またその下におきます市町村において、土地の利用実態等を踏まえながら、そこに再生可能エネルギーの賦存量がどのくらいあるかということをかなり細かく、メッシュで見ながら、ずっと積み上げを行ってきているわけなんです。

 私は地元が静岡市なんですけれども、その中で、やはり上から地図で見て、こういうところもあいていたんだと思うぐらい、かなり細かく、もう既に数年前から賦存量を調べているわけでございます。その中で、価格を設定する際に、どのくらい入るかということは当然予見性があった問題であります。そこはしっかりと認識していただきたいと思います。

 また、当然、FITを導入する際にスペインの事例も学んでいらっしゃるわけでありますから、価格設定がどれだけ大事かということをもう一度しっかりと認識していただきたい。

 それから、後段の認可手続に関する点、これは問題意識としてはおっしゃるところでございます。ここももう一度見直してみますと、経産省だけが果たしてどれぐらい入るかということを認識できるような、そのような制度になっているわけでございます。とりあえず、設備の認可については経産省に全部振ると。

 一方で、一般電気事業者に接続申請がされるのは五十キロワット以上ということで、それ以下はそもそも審査の手続の必要がないという中で、やはり最初に知るのは経済産業省であり、その事態を把握している中で、大臣はなるべく早く伝えるべきだったということをおっしゃっていますけれども、当然、目標を持ちながら、そのような事態を把握している経産省というのがここはやはり機能しなかったというのが大きな問題点だということもぜひ認識していただきたいと思います。

 このままですと、またこの問題というものは続いていくわけでございますけれども、今申し上げたような、この情報を経産省が知りながら、一般電気事業者に対しては法律的に何かしらの対処を行うことができないということをほかの委員会でも聞いてはおりますが、どのような具体的な取り組みというものを行っていくつもりでしょうか。

上田政府参考人 太陽光を初めとする接続保留問題でございますけれども、先ほど大臣が申し上げましたように、特に系統の問題につきましては、系統ワーキンググループというものを新エネルギー小委員会、審議会のもとにつくらせていただきまして、この場で、現在、電力会社等がおっしゃっておられるような接続可能量というものが果たして妥当な水準であるかどうかということを検証するとともに、では、どのようにすればそこを拡大できるのかということにつきまして検討を行うことにしております。

 あわせまして、これはエネルギー基本計画の時点からでございますけれども、固定価格買い取り制度そのものにつきましても、さまざまな課題がその当時から御指摘をいただいておるところでございまして、夏以降、新エネルギー小委員会の場におきまして、こういった制度的な課題、新エネルギー全体を最大限導入という観点からどのようにしていけばいいかという課題につきまして検討を行わせていただいているところでございます。

小池(政)委員 中身を全くお答えしていただいていないんですが、これからということでございますから、先ほど申し上げたような、そもそも、一般電気事業者と経産省、そこの情報も差異があって、そもそも、見積もりがあったにもかかわらずこのような事態になっているということをしっかりと検証していただきたいと思います。

 そこで、これからの影響についてでございますけれども、経産省は、今回の件は一般電気事業者の能力の問題だというような形で、客観的というか、当事者意識というものが少し薄いんじゃないかなというところで、本来自分たちにも関係があるということを考えていただきたいわけでございますが、経産省のみならず政府も同じでございます。

 成長戦略におきましては、再エネの導入ということをかなり高らかにうたっております。新たな成長戦略、日本再興戦略ということで、二〇二〇年、二〇三〇年、今四兆円の市場規模が、国内では十兆円、それから十一兆円になる、また、雇用規模についてもかなり明確な数値をうたっているところでございますが、このような方針はこれからも維持するということでよろしいでしょうか。

宮沢国務大臣 再生可能エネルギーを最大限導入するという政策はいささかも違っておりませんので、おっしゃるとおりでございます。

小池(政)委員 また、福島でございます。

 先ほども指摘がありましたけれども、大臣がまだ事故以来行かれていないという福島においては、実は政府以上に、再エネに対する取り組みというのをかなり前向きに進められようとしているところであります。

 福島県の推進ビジョンということでありますけれども、一次エネルギー供給に占める再エネの割合、彼らのビジョンでは、二〇二〇年度までに約四〇%、二〇三〇年度までに約六〇%、二〇四〇年ごろをめどに一〇〇%というような方針を示して、かなり前向きに取り組みを行っていたところでございますが、ただ、今回の東北電力のような現状になって、かなり、志というか勢いというのが少し水を浴びせられたような状態になっているところでございます。

 福島に対しても、彼らの思い、実現するということを支えていくという思いをぜひ大臣からも示していただきたいと思います。

宮沢国務大臣 当然のことながら、福島の復興というのは日本再生のある意味では象徴であります。また、福島の復興のかなり大きな部分を再生エネが担っているということもよくわかっております。

 したがって、東北電力の、これから起こるかもしれないような問題が、福島の今の動きに決して水を差さないような知恵をいろいろ出していかなきゃいけないということで、事務方にも指示を出しているところであります。

小池(政)委員 これは本当に早急に取り組んでいただきたいと思います。

 また、これはちょっとFIT法とは違ってくる話かと思いますけれども、来年以降の電力自由化を見込んで、既に電気事業者が動きを始めていることもあります。

 今までの域内にとどまらず、域外においても自分たちで発電を行っていくというような取り組みがあるところでございます。

 例えば、中国電力が、関西電力とか九州とか四国とかそういうところに、連系線を使いながら自分たちの余剰電力を販売していくというような取り組みも行っているところでございますが、その点についての影響はどうでしょうか。

木村政府参考人 まず、今回の接続申し込みへの回答の保留との関係で申し上げますと、固定価格買い取り制度に基づいた再生可能エネルギー発電に関する接続申し込みを対象にしたものでございますので、このことによりまして電力会社の管外を越えた既存の越境電気取引に影響を与えるものではないというふうに考えております。

 将来の導入可能量との関係で申し上げますと、例えば卸電力取引のようなものでございますと、再生可能エネルギーを優先することになっておりまして、こちらはとまるということになります。

 今委員御指摘いただきましたような、小売のような形態かと思いますけれども、基本的には、再生可能エネルギーの導入に対して、さらにそれを優先するというような仕組みになっていると思います。そうなりますと、再生可能エネルギー自身の接続量に影響があるのかということになるわけでございますけれども、基本的には国全体としての需要は変わりませんので、国全体としての再エネの導入余地というのは増減はしないというふうに考えてございます。

小池(政)委員 ちょっともう一度確認をさせていただきたいんですが、今、このような形で接続が保留されている地域というのは、いろいろな問題がある中で、需要が少なくて供給が上回ってしまうというようなことも一つ原因としてあるわけでございます。

 そこに今、一般電気事業者が、計画として、これから余剰電力を販売するというような取り組みについては、これも当然保留の対象になるんでしょうか。

木村政府参考人 基本的に、そのこと自体は保留の対象にはならないというふうに考えてございます。

 ただ、電力会社の供給区域の外からの供給によりまして、当該一般電気事業者にとっての需要が小さくなってしまうということは起こり得ます。これによりまして、再生可能エネルギーの導入可能量が少し減少するということはあり得るんですけれども、それは、そこに供給される一般電気事業者の需要が逆にふえるということになりますので、国全体としては変わらないというふうに考えてございます。

小池(政)委員 そこはちょっともう一回考えさせてもらいたいと思うんですが、今おっしゃったような下げ代、もしかしたらそれを少なくしてしまうかもしれない。今そもそも需要が少ないので、それをさらに再エネに優先して外から新たな余剰電力を受け取るというようなことは、今とめられている事業者にとってみて、どう思うのかということをもう少し考える必要があるのではないかなと思っております。

 そこで、ちょっと時間がなくなりましたので、最後は優先給電の話であります。

 一応、接続拒否事由の中に優先給電の事項はあるわけでございますが、これは今のところは行われていないと。電力会社にも確認していますし、また宮沢大臣もこれまで行っていないということをおっしゃっているところであります。

 これは当然であって、九電においても導入容量自体がまだ少ないわけでございますから、今、認可は確かに多いんですけれども導入容量自体は少ない中で、このような優先給電が行われる状態にないということでございますが、では、果たしてどのようなときにどのくらい優先給電というものが行われると想定されていますか。

木村政府参考人 御指摘のとおり、優先給電でございますけれども、今の時点で再生可能エネルギーの出力抑制に至ったという実態は承知をしておらないわけでございます。

 火力電源等の出力抑制等の程度につきましては、再生可能エネルギーの導入量、あるいは各地域の需要に応じまして、再生可能エネルギーの出力抑制を可能な限り回避できるように安定供給に最低限必要な出力まで絞っているというふうには承知をしております。

 最終的に、再生可能エネルギーの出力抑制がどのような局面で生じるかということにつきましては、ちょっと今の時点で確定的なことを申し上げられる段階にはないというふうに考えてございます。

小池(政)委員 今の状態というのは、そもそも導入容量が少ない中で保留がされているわけでございますから、そうしたら、優先給電の規定自体、そこに至ることは多分ないんじゃないかということが想定されるわけでありまして、ここに優先給電があるとは言っても、そもそもこれは実行されない、そういう規定ということを私は認識しているところでございます。

 ぜひ、これからまたしっかりと建設的にこの問題を対処できる取り組みを実際議論させていただきたいと思います。私たちもしっかりと皆さんに案を示していきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、杉田水脈さん。

杉田委員 次世代の党の杉田水脈です。本日はどうぞよろしくお願いいたします。

 きょうも、午前中からの質疑を聞いておりますと、小渕前大臣がこの場で答えると言ったからこの場で答弁してもらえないと困るだとか、あと宮沢大臣の、外国人が多く株を保有する企業からの献金の話だとか、東京電力の株の問題なんかが取り沙汰されておるわけなんですけれども、外国人の献金の問題は、過去にもさまざまな政治家の方がこの問題で大臣をやめられたりしたようなこともございます。

 ただ、これは、献金を受けた方、いただいた方が日本人なのか外国人なのかがわからないような状態になっている今の日本の社会制度がおかしいというところが根本的な問題としてございますし、立法府に身を置く我々として、全体で考えていかないといけない問題でもあるというふうに認識はしております。

 その話はちょっとおいておいて、我々次世代の党は、こういった問題は、ここの経済産業委員会でやるのではなくて、やはりみずから申し出ていただいて政倫審でやっていただきたいということをずっと全ての委員会で主張してまいりました。また、この経済産業委員会の理事会の中では、委員長やそれから与党側の理事の方々の発言の中でも、やはり政倫審でやるべきじゃないかというような御意見をいただいております。

 そこで、大臣にまず冒頭お尋ねしたいんですけれども、今既にこういった問題が出てきておりますが、これについて、みずから申し出て政倫審を開いて、きっちりと国民に向けて説明をしていただけるかどうか、そういう意思があるのかどうかをお尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 私自身といたしましては、ある意味では、徹底的な調査をいたしまして、出てきたものについて御説明をして、しっかりと私自身の口で御説明を既にさせていただいたと実は思っておりまして、特段、今、政倫審ということは考えておりません。

杉田委員 今までの説明で十分か不十分かというようなことに関しましては、これは大臣自身のお考えだけではやはりなかなか納得がいかない国民の方もたくさんいらっしゃると思いますし、与党の中でも野党の中でも、やはり不十分だという声がまだまだあるのではないかと思いますので、政倫審ということもしっかり考えていただきたいということをまず要求させていただきたいと思います。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 私、このたび宮沢新大臣が出されました大臣所信と、それから前回の小渕前大臣の大臣所信とを、ずっと二つの大臣所信を読み比べをさせていただきました。ほとんどが同じ内容、順番が変わったりとか優先順位が変わったりとかはしておるんですけれども、ほぼ同じ内容なんですけれども、一点、ごそっと抜けている段落があるんです。

 そこの部分が、いわゆる女性の活躍に向けた機会創出を書かれた部分なんですね。ダイバーシティ経営企業百選だとか、なでしこ銘柄の選定だとか、女性起業家向けの創業スクールの開催だとか、そういったことが書かれた段落が前の小渕大臣の所信の中にはあったんですが、今回の宮沢大臣の所信の中にはこの段落がごそっとないんですね。その理由をまずお尋ねしたいと思います。

宮沢国務大臣 実は殊さらな意味は正直言ってないのでございますけれども、まず、私自身が大臣になって指示したことは、小渕大臣が所信を述べられて間もないわけでありますし、与党が変わったわけでもないし、私自身と小渕大臣の、細かなところでいろいろな違いがあるにしても、基本的な考えは一緒なので、ある意味で重ねてしまうわけなので、少し短目なものにしてほしいということは事務方に言って、案が出てきたものを私が見て最終的に仕上げました。

 そして、そういう中で、この部分について、私が女性や高齢者に冷たいというわけではなくて、同じ政策を続けていくということだけは申し上げておきます。

杉田委員 もし小渕大臣がこのまま大臣としてこの席にいらっしゃいましたら、私は、一体このなでしこ銘柄とは何なんですかとか、では、女性起業者向けのスクールをやるんだったら、男性起業者はどうするんですかといったような質問をどんどんしていこうと思っておりました。

 我々次世代の党といたしましては、女性をある一定の割合に管理職に上げるだとか、女性だからといってそういうふうなことをするということには真っ向から反対をしております。やはり男性も女性も能力で選んだ結果、そういうふうな形で三割になったとか五割になったとかというのが自然の姿でありまして、最初から数値目標とかを設けるのはナンセンスだというふうに考えております。

 その中で、やはり、女性の大臣だからこういった女性の活躍とかを推進するような発言をしていただこうとか、では、女性の大臣じゃなくなったからこの部分は省こうとかいうのでは、何のためにこの政策があるのかという目的が全くわからなくなってしまうと思います。

 なので、私は、これを削ったから大臣が女性の活躍を軽視しているとか、そのようには全く思っておりませんので、やはり、女性だから過剰にするというようなところの意識を逆になくしていただきたいということを申し上げたいと思います。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 大臣は、大臣に就任されてからさまざまな新聞なんかのインタビューに答えていらっしゃるんですけれども、読売新聞だったと思うんですが、そのインタビューの中で、原子力発電の割合についてお答えをしていらっしゃいます。

 原子力発電の割合については、東日本大震災前の水準、三割を目指すことには絶対ならないというふうに述べて、三割を下回る水準にする考えを示したというふうに新聞の方では報道されておるんです。また、この新聞の方は、原子力発電について閣僚が具体的な水準を示したのは初めてのことであるというような形で報道されておるんですけれども、この三割未満にする、三割を下回るという水準を出した根拠をお答え願いたいと思います。

宮沢国務大臣 読売新聞を見て、私も、経済産業大臣の発言というのは私が思った以上に重いなと実は思いました。

 私があのときに申し上げましたのは、極めて機械的なことを実は申し上げておりまして、二〇一〇年の原発比率は三割、したがって、エネルギーの需要が今後急激に落ちるということがなければ、これから廃炉もあるわけですから、必然的に三割よりは下がるでしょうということを申し上げました。

杉田委員 廃炉もあるので三割よりは下がるでしょうと。要するに、事故前の割合が二八・六%であったとこの報道にも書かれておりますが、なのでそれを上回ることはないだろうという軽い気持ちでお答えになられたわけで。明確に具体的な水準を示したのは初めてと非常に大きく報道されておりましたので、何か非常に熱い思いを持ってこの発言をされたのかと思いましたが、そうではないということが今わかりました。

 ただ、これは重要な問題ではございます。今後、ベストミックスのこととかもきちっと考えた上で決めていかないといけない問題でございますので、しっかりとこの委員会の場で議論をしてまいりたいというふうに思います。

 もう一点、大臣の発言に関して、ちょっとこれも新聞記事からで申しわけないんですけれども、お尋ねしたい点がございます。

 「廃炉にする場合は、電力会社が損失の計上を迫られ、立地自治体の地域経済への影響という問題も起こるので、経産省として対応策を検討したい。」というふうに大臣はおっしゃっていらっしゃいます。これは毎日新聞だったかと思うんですけれども。

 そうなんです。私が非常に疑問に思っていますのが、今世の中で、さまざまなところで、メディアなんかで取り上げられるのが、ほとんどが再稼働の反対運動なんです。再稼働反対ということでデモをされたりとか現地に行かれたりとか、国会でも毎週毎週、本当にうるさいぐらいなんです。すごいデモがなされているんですが、廃炉の反対運動というのはないのかなと単純に思うわけなんですね。反対運動、まあデモをしていらっしゃる方はいらっしゃらないと思うんですけれども。

 これは、廃炉になりますと、廃炉が決定された自治体は、それまで出ていた補助金など、そういったことが全くそこでストップをしてしまうわけなんですよ。地域経済としては、それに非常に頼って今までやってきているようなところもあります。自治体の財政という面から見てみれば、この補助金等がストップすることによって、下手をすれば赤字再建団体、財政再建団体に陥ってしまうようなところも出てくるんじゃないかというような大問題だと思うんですけれども、こういったことに対する懸念の声だとか地元の声だとかというのは、大臣、聞いていらっしゃいますでしょうか。

宮沢国務大臣 廃炉というものが、かなり現実的なものとして考えていかなきゃいけないという時期に入ってきたわけでございまして、そういった意味で、経産省で少し勉強を始めております。

 その状況については、担当部長から御説明させます。

多田政府参考人 それでは、私の方から補足的に申し上げたいと思います。

 私ども、日ごろから、立地自治体からはさまざまな機会に御意見を承っております。

 原子力発電所の廃炉につきましても、これまでのところ、立地地域の安全確保と産業経済への影響に配慮した国の責任ある方針を示すべき、こういった御指摘なり御要望なりというのは頂戴しているところでございます。

 他方で、廃炉そのものに反対、こういった御指摘は頂戴しておりません。

 個別の原発の廃炉は事業者が判断すべきことでございます。円滑な廃炉を進めていく上で、使用済み燃料の取り扱いでございますとか、そういったことを含めた安全性の確保、あるいは立地地域における経済への影響、これらについて、私どもとしてもさまざまな課題があると認識をしております。

 御指摘の交付金制度の問題もございました。

 この点につきましては、立地自治体から、例えば原子力発電所が廃炉となった場合の立地地域経済の停滞に対し、独自の産業、雇用対策を実施するための新たな交付金制度を創設してほしい、こういったような要請もあることは事実でございます。

 私どもといたしましては、こうした点も含めまして、原子力小委員会を総合エネ調の下に設けて、多くの立地自治体において、電源立地地域対策交付金あるいは固定資産税収入など、原子力関連の歳入の割合が高い、限られた国の財源の中で、電源立地地域対策交付金の制度趣旨や現状をどう認識し、将来に向けたバランスのとれた展望をどう描くか、こういった論点を提示しながら御議論をいただいているところでございます。

杉田委員 大体、原発が建つということになりますと、今後新たに新設されることはまず考えにくいと思うんですが、これまでの経緯を見てまいりますと、それが本当に地元の世論を二分して、そこの首長選挙の論争の一つのあれになったりとか、そういうふうなことがずっと行われてきたわけなので、立地の自治体にしてみれば大変な問題だと思うんですね。

 先ほど御答弁いただいた中で、廃炉に関してさまざまな声や指摘や要望をいただいておりますというふうな、ざくっとした答弁だったんですが、こういう声というのは、どういうところで吸い上げていらっしゃるんですか。

多田政府参考人 例えば、今手元にも持ち合わせております、どこの場所というのはお示しいたしませんが、要請書といった形で具体的な御要望を頂戴する、あるいは日ごろから立地自治体の関係者の方が私どもを訪問していただく、こういったことがあろうかと思います。

杉田委員 だからといって、やはり廃炉にするのにも非常に巨額な金額が必要になってくると思います。廃炉にするだけではなくて、では、廃炉が決まった自治体にまで、そこの自治体のために、今まで出していた交付金の額とかは減ると思いますけれども、それをずっと出し続けるというのは、今の日本の財政状況においてどういう影響を及ぼすのかということもしっかりと考えていかないと、なかなか決断が難しい部分にあるのではないかとは思います。

 ただ、やはり私非常に思いますのは、最初に申し上げましたように、再稼働反対などというのは非常に大きな問題となりまして、デモとかもされていますし、それがまたマスコミで報道されて非常に大きな問題として取り上げられるんですけれども、ともすれば、こちらの方の、立地自治体の、今度廃炉になるそこの自治体での人々の生活というようなことは、先ほども、要望書で本当に粛々と行われてくるわけなんです。ここがクローズアップされていかないというような非常に不公平な部分というのもあると思いますので、そういった声を出せない方々の、やはりサイレントマジョリティーの方々の生活ということにもきちっと思いをいたして考えていくのが経済産業委員会での責任であるというふうに思いますので、今後もよろしくお願いいたします。

 それでは、次の質問に移ります。

 我が党、次世代の党が、水素エネルギーの利用にだんだんとシフトしていくべきじゃないかというようなことを平沼党首の代表質問の中で質問させていただきました。どのようなスピード感で今後この水素エネルギーの利用などを進めていくのかということについてお尋ねしたいと思います。

上田政府参考人 水素に関するお尋ねでございます。

 水素は、御案内のとおり、さまざまなエネルギー源から生産することが可能であるということでありますし、また、利用段階でCO2を排出しないということであります。

 ただ、水素は、石油、石炭のようないわゆる一次エネルギーではございませんで、いわゆる二次エネルギーという扱いになるわけでございます。つまり、電気あるいは熱といったような二次エネルギーということになるわけでございまして、実はエネルギー基本計画の中におきましても、私ども、将来の二次エネルギーは、電気、熱に加えて、水素というものが中心的役割を担うことが期待されているというふうに書かせていただきまして、今はほとんど水素を二次エネルギーとして利用するということはないわけでございますが、将来は、電気、熱と並ぶような一つの二次エネルギーとして中心的役割を果たしていただくというふうに期待をしているわけでございます。

 どのようなスピード感で進めていくかということでございますが、ことしの六月に、水素・燃料電池のロードマップというものを経済産業省で作成いたしました。これで、当面の取り組み、それから二〇二〇年、さらに長期的な取り組みというものをかなり詳細に書かせていただいております。

 例えば、足元の話で申し上げれば、年度内に燃料電池を活用した自動車というものが投入される予定でございますけれども、こういったものにつきまして、私ども、かなりの金額の助成をさせていただきたいということで概算要求をしておりますし、その燃料電池自動車の普及の基礎となるいわゆる水素ステーションの整備につきましても、既に四十五カ所を採択しております。これも百カ所を目指していきたいと考えております。

 また、中長期的には、水素を海外から運んでくるメカニズム、あるいは再生可能エネルギーからCO2フリーの水素をつくるシステム、こういったものにつきまして中長期的に取り組んでいく、こういう所存でございます。

杉田委員 ありがとうございます。

 いずれにしろ、水素の利用につきましては、今後も詳しく質問をしていきたいというふうに思います。

 時間がないので、申しわけありません、最後の質問に移りたいと思います。

 原発の危機管理のことなんですけれども、冷却ができないことが危険だという認識は、今や全国民が持っている危機感だというふうに思います。我々、このことも代表質問の中で質疑をさせていただいたんですけれども、テロリストから狙われるような事態を想定した場合、次世代の党といたしましては、ぜひ自衛隊を配備して原発の安全というものを守っていただきたいというようなことをそのときに質問させていただいたんですが、今のとおり警察がしっかりと行いますという答弁を首相の方からいただきました。

 これに関して、原発を所管する経済産業大臣としての危機意識というのをお伺いしたいと思います。お願いいたします。

宮沢国務大臣 総理が本会議でお答えされたのは、原子力発電所の警備については、公共の安全と秩序の維持に第一義的な責任を有する警察機関において行っている、その上で、仮に一般の警察力をもって対応できない場合には、内閣総理大臣が自衛隊に治安出動等を命令して対応することとなると承知、こういうことを実は答弁させていただいております。

 もちろん、その前段階として、原子力規制委員会において相当な、新しい基準を設ける等々ということをやり、そして、警察においてもしっかり警備をしていただいているというのが現状でございます。

杉田委員 やはり、テロなどに備えてはさまざまなシミュレーションというのを行っていかなければいけないというふうに思います。その中では、当然、警察だけではなくて、警察と自衛隊の連携だとか、そういったこともきちっと計算をしておく必要があるのではないかというふうに思っておりますので、この問題もさらに深めてまいりたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。終わります。

江田委員長 次に、柏倉祐司君。

柏倉委員 みんなの党の柏倉でございます。よろしくお願いいたします。

 宮沢経産大臣、御就任おめでとうございます。

 宮沢喜一総理のおいっ子様ということで、宮沢喜一総理は、私は一年生なんですが、私ぐらいになりますと、もう伝説といいますか伝記上の人物でございまして、テレビを見ますと、たまに白洲次郎さんのテレビがやっていたりして、そこで宮沢喜一先生が日米の、講和条約に汗をかかれるような、そういったシーンもあるわけでございます。雲の上の人ということなのでございますが、国会議員になって、宮沢経産大臣とこのように至近距離で議論ができるというのは非常にありがたいことだというふうに感じているところでございます。

 そこで、残念ながら、私も一点だけ、政治とお金のことについてお聞きしたいと思います。

 これは細かいことがあるのでしょう。私が今一番、大臣に関して、政治とお金のことに関して地元の有権者の皆さんに聞かれることは、前段で民主党さんからも質問があったと思います、前原外務大臣、田中けいしゅう法務大臣が同じように外国人からの企業献金を受けて辞任をなさった、それとどこが違うのか。

 あのとき、確かに安倍総理は、辞任すべきだということを、私も医者をやっていましたけれども、鮮明に覚えております。綸言汗のごとしという言葉がございます。素朴な庶民の今の質問というのは、恐らく、ある意味そこにも一つ集約できるのかなと思います。

 ぜひその一点だけお答えいただければと思います。

宮沢国務大臣 柏倉議員から丁重な御挨拶をいただきまして、ありがとうございます。

 岡山大学の医学部を御卒業されているということで、私の地元は広島県福山市でございますけれども、岡山県の医学部出身者のお医者さんばかりでございまして、大変懐かしい思いがいたしました。

 今委員から厳しいお話がございました。

 どこが違うか。私も前原大臣、また田中大臣の事情をよく知っているわけではございませんけれども、私自身の場合は、献金してくださった企業、会社が、まず、日本法人であり、かつ、法人の名前からは外人が株式の過半数を所有しているというようなことを想定するような名前ではなかったということ、また、私自身、その経営者の方とは全く面識がないということでありまして、それに加えて、これは特段違いがない話かもしれませんけれども、私どもの後援会の後援者の方が紹介していただいて御寄附をいただいたということで、正直言って、詳しく最近チェックするまで実態を全く承知しておりませんでした。

 そのために誤って寄附を受けたということでございまして、この辺の認識の違いというものが前原大臣の場合などと少し違っているのではないかというふうに私は考えております。

柏倉委員 一問ということでしたので、お答えいただいてありがとうございました。この問題に関しては、引き続き、しかるべき議論がどこかでまた行われるというふうに考えておりますので、ぜひ、責任を持ってお答えをしていただければと思います。

 今、大臣の方から私の自己紹介までしていただきまして、ありがとうございました。地元は、育ち、生まれは栃木なんですが、縁あって岡山の地で医学を学びまして、今おっしゃったように、福山という土地は、私もいっぱい知り合いがございます。民間の病院なので言えませんけれども、ある病院ですとか、あと、市民病院、そこの救命救急なんかの今部長をやっているのも私の同級だったりして、そういうところに担ぎ込まれることはないかと思いますけれども、御健康にはぜひ御留意いただければと思います。

 それでは、本題に入らせていただきたいと思います。

 まず、化石燃料の高騰に係る問題ですね。

 我が党は、脱原発を訴えているわけでございます。安易な原発の再稼働、原発依存への回帰ではなくて、それ以前に、燃料費抑制のための措置を早急に講じるべきであるというふうに訴えているわけでございます。

 まず、原油価格なんですけれども、現在、世界的に急落しているということなんです。その背景は諸説あると思いますが、残念ながら、それがガソリン価格にそれほど日本国内で反映されていないわけでございますね。まだまだ一リットル当たり百六十円以上、こういった形で、地方経済、特に地方というのは車なしには生活できませんので、これは圧迫をしているということでございます。

 消費者にとって有利な原油価格の低下というのがなぜ起こらないのか。早く原油価格を低下させてほしい。世界の原油価格は下がっているのに、なぜ日本の場合は高どまりしているのか。これをぜひ低減させていただきたい。

 この具体的な措置に関して、ぜひ御答弁いただければと思います。

宮沢国務大臣 ガソリンの小売価格というのは、かつては輸入価格との間にかなり時差があったわけですけれども、何年か前に元売のところでかなり方式が変わってきておりまして、実は今、かなり正確に輸入価格を反映するようになってきております。

 今週の全国平均のガソリン小売価格は、先週より一リットル当たり二・一円下落して百六十一・八円となっております。七月半ばの最高値からの下落幅が八・一円、七月半ばから今週まで八・一円下がってきております。それに対しまして、この間の輸入原油価格の下落幅というのは九・二円でございまして、おおむね相当なところで推移をしてきております。

 産地の原油価格というのは下がっておりますけれども、やはり円安というものがかなり効いてきて、特にここのところ、また少し円が安くなっているというようなところが効いてきて、こういう形になっているんだろうと思います。

柏倉委員 今、円安のお話が出ました。地方で生活していますと、円安で非常に直接打撃を食うわけですね。一般の日常生活物資、食料品、こういったものを、年金暮らしのお年寄りは今、もう台所は火の車だ、何とかしてくれという中で、また、病院に行くにも車で行かなきゃいけない。その原油価格、何とかもっと国の力で安くならないのかいというのが偽らざる地方の声でございます。

 ぜひ、御就任、まだ間なしですけれども、積極的に原油価格の低下に取り組んでいただきたいと思います。

 あと、液化天然ガスですね、LNG。これもやはり海外に比して高どまりしている。米国では、これは百万BTU当たり四ドル以下なのに、我が国では十六ドル、こういった形で、相当高いわけでございますね。これを何とかできないのか、こういった声も、地元の中小企業さん、製造業さんからやはり言われるわけでございます。一刻も早い貿易赤字の解消のためにも、積極的に政策資源を用いたバーゲニングパワーの向上を図る必要があると思います。

 現在、この液化天然ガスの輸入価格を低減させる、その政府のお取り組みをお聞かせください。

上田政府参考人 天然ガスの価格のお話でございます。

 今委員御指摘のとおり、例えばアメリカで四ドル、日本では十六ドルというお話でございました。これは、アメリカの場合は、天然ガスそのものの、気体の天然ガスの価格でございます。日本の価格といいますのは、海外における天然ガスをまずマイナス百六十二度で液体にいたしまして、それを魔法瓶のようなタンカーに詰めて日本に持ってくる。そうしますと、その輸送費等々で約六ドルぐらいかかるわけでございまして、仮にアメリカのシェールガスが四ドルであるとしますと、日本にLNGの形で持ち込んだ場合の価格というのは、プラス六ドルの十ドルぐらいになるわけでございます。

 他方で、御指摘のとおり、現在の日本の、これは中東それから東南アジアの価格が多いわけでございますが、LNGの日本着の価格は十五ドル、十六ドル、百万BTU当たりでございます。という水準でありまして、やはり非常に高い水準であるということは間違いないところでございます。

 私ども、この燃料費の低減というものは非常に重要な課題であると思っておりまして、一つは、今申し上げましたような、アメリカからのシェールガスあるいはLNG輸入の実現をして、アメリカの安い価格の天然ガスを何とか日本に持ってこようと考えております。

 それからもう一つは、豪州、カナダ、モザンビーク等での日本企業の権益の確保を通じました供給源の多角化を進めてまいりたいと思います。

 さらに、これは十一月初旬に日本で開催する予定になっておりますが、LNG産消会議というのがございます。そういうところを通じました消費国間の連携強化等を通じまして、買い主側のバーゲニングパワーを強化していきたいと考えておるわけであります。

 先ほどアメリカのシェールガスの話を申し上げましたけれども、今のところ我が国企業は、合計で約千七百万トンぐらいのアメリカからのLNGの引き取り契約を締結済みでございまして、これらが二〇一六年度以降に順次供給される予定でありまして、従来より二割から三割程度、安価に調達することが可能になると見込んでいるところでございます。

柏倉委員 ぜひ積極果敢な政策で、液化天然ガスの値段も下げていただきたいと思います。地方はこういったことがボディーブロー、ジャブできいてきていますので、ぜひ積極的にお願いします。

 今、化石燃料のお話をさせていただきました。次は、ガス、特にガスシステム改革について質問させていただきたいと思います。

 来年の通常国会にガス事業法改正案が出るというふうに聞いております。その骨子、コンセプトは、電力システム改革、発送電分離と同じように、ガス導管事業と小売事業の分割をしっかりして、多くの事業者の参入を促して競争を促進させる、これが大きなコンセプトだと思います。

 その絶対的に必要なインフラとして、パイプラインがまだまだ全国的には乏しいのかなと。六五%の需要には対応しているということですが、残りの三五%には対応していないというような状況だと思います。

 幾らガスの小売事業を自由化しても、このパイプラインの設置を積極的にやらなければ、やはり自由化による恩恵を消費者は得られないわけですね。

 このパイプラインの設置、敷設に関して、今後どのように進めていくのか、答弁をお願いします。

上田政府参考人 日本のガスのパイプライン、導管がつながっていないというのは事実でございます。東京―大阪間をとりましても、実はまだ全部つながっていない状況にございます。

 これはどういうことかということでございますけれども、日本の場合、御案内のとおり、海外と違いまして、国内の天然ガス、国産の天然ガスがほとんどないわけなので、海外から先ほどお話しのLNGの形で持ってきまして、東京湾あるいはいろいろなところの港にLNGの基地というのができまして、そのLNGの基地を中心として放射状にパイプラインが需要地に引かれている、そういう構造であるために、例えば東海道あるいは日本全体を縦断するようなパイプライン網の形成がされていないというわけでございます。

 この形成を促進するということは非常に重要な課題であると私ども思っておりまして、現在、ガスシステム改革、さまざまな課題、今先生が御指摘のことも含めて検討しているところでございますけれども、その中で、より一層、パイプラインがつながりやすいような仕組みということにつきましても検討をしてまいりたいと考えております。

柏倉委員 私は今そのパイプラインの図を見ているんですけれども、首都圏ではある程度網羅されている。ところが、四国は全然ないわけですね。九州も、北九州―博多間ぐらいしかない。こういう状況の中で積極的にガスシステム改革の恩恵を有権者に享受していただくには、やはり喫緊の課題としてガスパイプライン事業をしっかりと進めていっていただきたいというふうに思います。

 それとちょっと真逆の質問になるんですけれども、現在、ガスパイプラインによらないいわゆるガス、これは地元のLPガス事業者が担当しているわけでございますね。これは三五%いるわけですけれども、私自身も地域密着のLPガス事業者さんと交流がありまして、このガスシステム改革の話をすると、やはりなかなか、積極的に進めるにも、こういった人たちがどうなっていくのかということも考えながらやらなきゃいけないのかなというふうに思うわけでございます。全国でガス導管の整備が進むと、こういった地元のLPガス事業者さん、これは淘汰されてしまうんじゃないかという不安がどうしても上がってきているわけですね。

 それに関して政府はどのように考えているのか、何がしか、業種転換等、補助を出していくのか、それとも、何かほかの生き残りの道を模索すべく指導していくのか、現状の政策を聞かせてください。

上田政府参考人 LPガス事業者が自由化の中でむしろ淘汰されてしまうのではないかという御質問かと思います。

 現状、実は先ほど、LPガスと都市ガス事業者というのはかなりの程度すみ分けしている部分もございまして、面積でいいますと、いわゆる都市ガスが導管を張りめぐらしているのは日本の国土の五%でございます。残りの九五%の地域におかれましては、導管がございませんので、実はLPガス事業者の方が活動しているわけでございまして、LPガス事業者は我が国に現在二万社ありまして、我が国の世帯でいえば、総世帯の約半数近くにエネルギーを供給しているという状況でございます。

 LPガスは、御案内のとおり、非常に持ち運びが容易である、あるいは貯蔵が容易であるということから、私ども、平時の国民生活、産業活動を支える重要な存在であるとともに、東日本大震災以降、特に緊急時における最後のとりでというような意味としてLPガスを位置づけているわけでございます。

 私ども、LPガス事業者につきましては、例えばタンクの強靱化であるとか入れかえであるとかさまざまな政策も含めまして、さまざまLPガス事業者に関する政策措置をつくってきているところでございますけれども、このシステム改革の中で、LPガス事業者と既存の事業者が、縦割り型のシステムというものが改革されまして、総合エネルギー企業といったものも含めまして、より競争が活性化する中で、むしろLPガス事業者におかれましてもシステム改革というのは一つのチャンスである側面というのもあると考えておりまして、そういったLPガス事業者につきまして、私ども引き続き支援をしてまいりたいと考えております。

柏倉委員 震災の折の最後のエネルギー供給という意味でのLPガス事業者というのは、もちろんそうだと思います。

 ただ、この改革の中で、どのように具体的にLPガス事業者さんの役割を位置づけていくのか、それがちょっと今の答弁で明確に理解できなかったものですから、そこのところをもう一度、済みませんが、説明をお願いします。

上田政府参考人 御案内のように、LPガスは、先ほど申し上げましたように、緊急時の最後のとりでであるとともに、現在でも国土の九五%はLPガス事業者がいろいろなところでガスボンベで使われておられるわけでございます。

 LPガス事業につきましては、事業の透明性の向上も含めまして、さまざまな施策を講じているところでありまして、LPガスそのものはもう完全に自由な市場でございますけれども、そういった自由な市場の中で、LPガス事業者がより活性化できるような政策を引き続き講じていきたい、こういう趣旨でございます。

柏倉委員 もう時間が来ましたので、引き続き、この問題に関しては具体的な政策というのを問い続けてまいりたいと思います。

 きょうはどうもありがとうございました。

江田委員長 次に、塩川鉄也君。

塩川委員 日本共産党の塩川鉄也です。

 宮沢新大臣にお尋ねをいたします。

 宮沢経済産業大臣の東電株六百株の保有の問題というのが、大臣の職務権限との関係で大きな問題となっております。

 まず、東電株保有の事実関係についてお尋ねをいたします。

 大臣は、昨日の参議院経済産業委員会の質疑の中で、東電株は三十年前から持ち続けていると答えておられます。そうなりますと、大蔵官僚の時代なのか、いつ、どのような理由で保有されたのか、この点についてお聞かせください。

宮沢国務大臣 ちょうど学生時代から勤め始めてしばらく独身の時代に、正直、今持っている株、東電と、三菱石油だったのがJXになったんでしょうか、それと川崎重工。ですから、三十年以上前に買った株であります。

 インサイダーかと言われますと、実は、私自身は、一九八八年の法律ですか、インサイダーの法律というのは、実は私、課長補佐で中心になってつくった人間でございまして、当時の自民党に行きますと、厳し過ぎる、もっと緩くないと株取引はできないとか、野党の皆さんに行くともっと厳しくしろと言われて、大変苦労しながらつくった法律でございますが、そのつくった立場から言いますと、インサイダーというおそれは全くない状況で購入したと思っております。

塩川委員 学生時代から勤め始めたころに購入されたということで、インサイダーかどうかというのは今後の話としてもあるわけですけれども、どういう理由で購入されたのかというのはいかがですか。

宮沢国務大臣 学生時代にアルバイトをして少しお金ができたり、まだ独身で少しお金があったときに、株でも買おうということで買った株でございまして、実は、その後、全く売買しないまま、ずっとその三種しか持たずに議員になりました。

 そして、経緯だけ申し上げますと、ちょうど二〇一〇年の十二月、たまたま特定口座に入れておりましたりして、キャピタルゲインのもとになる数字が、昔の株で購入価格がわからなかったので、一回売って買い戻して取得原価をはっきりさせておいた方がいいですよという証券会社の勧めがちょうど二〇一〇年の十二月にたしかあったんだと思います。そのときについでに、東京電力株については、五百八十八株だったので、単位株に端株整理しておいたらどうですかというので、たしか六百株にしたんだと思います。それでまた、その後一切売買していない、こういうことでございます。

塩川委員 三つの株について、お金があるときに購入された。その後、二〇一〇年の十二月の話を今されまして、五百八十八を六百にする、その理由、経緯については、今お話しのように、簿価を把握するためということと、単位株との関係で六百にそろえたというお話であります。

 このように、三十年以上東電株を売らずに持ち続けた理由というのはどのようなものなんですか。

宮沢国務大臣 正直、株式取引に全く関心がなくなったからだったと思います。

塩川委員 その上で、それでは、経済産業大臣としての権限との関係で、東電株のことについて質問をいたします。

 過去、経産省では職員による株取引に係る事件が続発をしております。例えば、この十年で見ましても、二〇〇五年にチノン株に係るインサイダー事件がありました。産業再生法に基づく事業再構築計画の審査、認定作業に従事する過程において知り得たチノン株のTOB情報を入手し、その公表前に自分と妻名義で同株四万一千株を購入し利益を得たという事件もあります。

 また、二〇一一年には、エルピーダメモリとNECエレクトロニクスの株に係るインサイダー取引事件もあって、商務情報政策局の担当審議官だった人物が、半導体業界を担当していた二〇〇九年に、産活法の認定を受け経営再建中だったエルピーダメモリとNECエレクトロニクスの株を公表前の情報をもとに購入したというものです。

 いずれも企業再建支援策にかかわってのインサイダー取引の不祥事だったわけであります。

 大臣にお尋ねしますが、このように、経済産業省というのが、個別企業への再建支援策を行っている、こういう企業再建にかかわる法制度を企画立案し執行する、当然その企業の機微情報にも接する、こういう役所だからこそこのような不祥事が生まれたんだと思うんですが、その点についての認識をお聞かせください。

宮沢国務大臣 いわゆる職務上知り得た秘密の大変多い役所であるということは、私は経産省については言えると思います。したがって、こういうような規制をかけているんだろうと思います。

塩川委員 経産省がそういう企業秘密を知り得るような、そういう中にある役所だということで、実際、その企業再建にかかわるこういった法制度の企画立案、執行し、機微情報を扱う役所だからこそ起きた不祥事であり、そういう点でいいますと、今、経産省において一番の企業再建の案件といえば東京電力であります。

 大臣にお尋ねしますが、経済産業大臣は、この間、原子力損害賠償・廃炉等支援機構の担当大臣でもあります。ですから、経産大臣は、機構、そして東電への国債の交付に関する認定権限を持っているわけであります。

 つまり、東電がお金が必要だというときにこれを出すといった点では、いわばこの経産大臣の権限というのは、東電の存立に直結するような、生殺与奪にかかわるような重要な権限であり、まさに経産大臣が東電の生き死にを左右するような権限を持つということについては、認識はお持ちですか。

宮沢国務大臣 東京電力の再建について、非常にいろいろな権限を持っていることは承知しております。

塩川委員 この間、実際、一連の東電への支援策も行われてきました。

 例えば、東電の福島原発事故に伴う廃炉費用を電気料金に転嫁しようとする仕組みであります廃炉会計規則の省令改正というのも、まさに、事故を起こした東電に対しても廃炉に係るこういう規則を適用することによって負担軽減を図る、そういう仕組みになっておりました。

 また、この前の電気事業法の改正におきましては、発送電部門の分社化をして持ち株会社化を図る、こういったホールディングカンパニー制に移行する、東京電力は既に今カンパニー制に向けての移行を始めておりますし、これ自身が総特にも盛り込まれていることですけれども、東京電力の現行の社債の発行についても優遇する措置を継続するという規定も盛り込まれたところであります。

 そういう点でいえば、まさに東電への個別の支援策につながるような施策の具体化を図ってきたというのが経産大臣の仕事だったわけであります。

 そこで、昨年の十二月に、「原子力災害からの福島復興の加速に向けて」、いわゆる福島復興指針が閣議決定をされました。

 ここの中の、「国と東京電力の新たな負担の在り方」として、「機構が保有する東京電力株式を中長期的に、東京電力の経営状況、市場動向等を総合的に勘案しつつ、売却し、それにより生じる利益の国庫納付により、除染費用相当分の回収を図る。」とあります。

 つまり、機構を通じて出資をした金額が株として上がる、上がった場合のその売却益を除染費用に充てるというのがこのスキームになっているわけです。

 ここでお尋ねしますが、機構が保有する東電株式については、どんな株式なのか、幾らで購入したのか、この点について事実関係を教えてもらえますか。

上田政府参考人 原子力損害賠償・廃炉機構でございますが、平成二十四年の七月に、廃炉等を担う東電の財務基盤強化のために、一兆円の東電株式の引き受けを行いました。

 具体的には、優先株式という形で、議決権つき株式を一株当たり二百円で十六億株、それから議決権なしの株式を一株当たり二千円で三・四億株引き受けております。

塩川委員 合わせて一兆円ということであります。

 そこで、福島復興指針によると除染費用というのは幾らで見積もっておられるか、大臣は御存じですか。

宮沢国務大臣 たしか二・五兆円ぐらいだったと思います。

塩川委員 「環境省の試算等によれば、」という仮置きの部分もありますけれども、二・五兆円という額が示されています。つまり、プラス二・五兆円ということは、一兆円を三・五兆円にしようということになるわけです。

 このように、機構が保有する東電株の売却益で二・五兆円の除染費用相当分を回収するために必要な株価というのはどのぐらいになるものなんでしょうか。

上田政府参考人 これは今、新・総合特別事業計画におきまして、機構は二〇二〇年代半ばには一定の株価を前提に保有株式の売却を開始し、二〇三〇年前半を目途に保有する全株式を売却するということになっていると承知をしております。

 そして、その売却益はお話しのとおり除染費用に充てることになっておりますけれども、その具体的な売却価格を示唆するような株価の水準を申し上げるということは、それ自身が市場に影響を与える可能性がございますので、大変恐縮でございますけれどもお答えを差し控えさせていただきたいと思います。

塩川委員 これは単純な数字の話だと思うんですけれども、もちろん幅もありますから当然株価の上がり下がりもあるでしょう。

 しかし、二・五兆円を出すということが必要な額というのは当然見込まれるわけで、例えば、報道ベースにおいても、政府は一株百円で売れば除染費用を賄えるとはじくけれども、売り出し前の株価は千円を超えなければ平均九百円での売却は見込みにくい、こういうのなんかは妥当な話だと思うんですけれども、大臣はいかがですか。

宮沢国務大臣 単純計算をすると、恐らく先生がおっしゃったような額の前後になるんだろうなと、私も先日、役所が説明に来た紙を見ながら、暗算で線を引くとそんな感じかなという思いはしておりました。

塩川委員 千円前後というお話ということです。

 今、東電株価が三百九十円前後でしょうか、そういう意味では、千円ぐらいにするという点で、これはやはり国の後ろ盾なしには東電株価が上がらない。東電の、先ほども言ったような生殺与奪の権限を持っている経産大臣ですから、その果たすべき役割というのが大変大きいという問題にもなってまいります。

 福島原発事故後に東電株の最高値がついた、それがいつぐらいで、幾らぐらいの額というのはおわかりになりますかね。

宮沢国務大臣 恐らくそのときにも私は株主だったと思いますけれども、全く見ておりませんでした。

塩川委員 これは、昨年の五月二十一日に八百四十一円というのがついております。ですから、千円との関係でも、八百四十一となるともう少しという話になるわけです。

 では、こういうタイミングで八百四十一円がついたのはどういう背景があるのかということを見ると、この二〇一三年五月二十一日の前々日の十九日付で読売新聞が、柏崎刈羽原発の一号機、七号機の運転再開について、原子力規制委員会に東電が申請をする方針を固めたという報道があった。また、一週間前の十四日には、安倍首相が、原発事故の後処理など、全てを東電に押しつけるのは間違っているという報道があった。つまり、市況においては、原発事故の原因者である東電の責任と負担を軽減、棚上げするということ、それと原発の再稼働をするということが東電の株価を引き上げているということになる。

 ですから、率直に言って、東電の株価を引き上げるという方針を貫くとなったら、東電の負担を減らして、国、国民の負担に転嫁をする、利用者に転嫁をする、また、原発の再稼働をする、そういうことに行かざるを得ないのではありませんか。

宮沢国務大臣 まず、電力の価格につきましては、しっかりと厳正に対処をしていきたいと思っております。

 一方で、再稼働の話につきましては、実はこれは私どもに全くと言っていいぐらい権限のない話でございまして、そういう申請が出た後ですけれども、原子力規制委員会において新規制基準で御判断をいただく、そして、その後、最終的には事業者が判断する、もちろん地元の理解というプロセスはございますけれども、そういう中で経産大臣として何かを決めるという立場でないことは確かでございます。

塩川委員 東電の役職員に経産省が出向して、こういった再稼働を求めるような総特の計画もつくっているわけですよ。あるいは、川内原発においても、前任の小渕大臣が手紙まで出して、応援しますという中身まで書いているわけですから、こういう点では深く深くかかわっているのが経済産業省、経済産業大臣の原発再稼働の問題なんじゃないでしょうか。

 そういう点でも責任というのがまさに問われるわけで、今、東電を初め電力業界というのが原発の再稼働を強く求めています。しかし、世論調査を見ても、国民の多数は反対の声を上げているわけですね。

 大臣は、二十三日のマスコミの取材に対して、東電の応援といった意味があるので売らずに持ち続けたと述べておられます。しかし、原発再稼働問題のように、東電の利益と国民の利益が一致をしない、東電の利益と国民の利益が反するような場合があるわけで、こういった東電の応援という発言は、東電を監督する立場の経産大臣としては極めて不適切ではないかと考えますが、いかがですか。

宮沢国務大臣 応援をするといった発言をしっかりとお話をそのままにさせていただきますと、私は、発災した後、東電の株価が大変低くなったわけでありますけれども、もちろん、その後、いろいろな機会に売るというチャンスが恐らく、八百幾らというのは知りませんでしたけれども、あったんだろうと思います。

 しかし、東電が、まさに国策会社として、原子力の補償であり、また廃炉、汚染水処理というようなことをやっていかなければいけない、大変大切な会社だと私は思ったものですから、この株は一生持っていこう、このまま持っていこう、そして、ある意味では、大変少ない株かもしれないけれども応援していこう、そういう気持ちでずっと実はおりました。

 ただし、今回、経産大臣ということになりましたものですから、先ほどのインサイダーのお話もございました。信託を既に済ませまして、取引は在任中は自粛するということにいたしました上で、先日、国会の場で申し上げましたけれども、大臣をやめたときには、直後に東電の株は処分いたしまして、これを福島復興のために、どちらの財団法人等がいいのかこれから考えますけれども、寄附をさせていただこう、そう思っております。

塩川委員 原発事故を起こした東電のステークホルダーの責任が問われたのかというのが一貫して議論になっているわけであります。そういう点でも、経営責任なり株主責任なり貸し手責任の問題が問われたのか。そういう点で、株主の責任が不問に付されている。それどころか、東電株引き上げ方針によって、株主が利益を得るようなことというのはどう考えてもおかしい。

 東電株を保有する宮沢大臣に経産大臣の資格があるかどうかを問われる問題だということを重ねて申し上げておかなければいけません。

 株を売りますと言って、それについて、寄附をします、それについてはちゃんと説明しますというのであれば、それ以前の話として、こういった、東電に対しててこ入れをするかどうかという問題について透明化を図って、疑念が持たれないような、そういったスキームについてきちんとした説明責任を果たすとか情報の開示を果たすとか、そういうことこそ行うべきじゃありませんか。

 この点のことを重ねて求めておきます。

宮沢国務大臣 今、疑念を起こすようなスキーム云々という御質問があって、私も中身がいま一つわからなかったんですけれども、疑念を抱かせないような透明的な手続というものは非常に大事だと思っております。

塩川委員 引き続き質問します。

 終わります。

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.