衆議院

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第6号 平成27年4月1日(水曜日)

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平成二十七年四月一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    井上 貴博君

      石川 昭政君    大見  正君

      岡下 昌平君    鬼木  誠君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    黄川田仁志君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      白石  徹君    鈴木 憲和君

      関  芳弘君    武村 展英君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      福田 達夫君    細田 健一君

      堀内 詔子君    宮崎 政久君

      若宮 健嗣君    逢坂 誠二君

      神山 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    中島 克仁君

      渡辺  周君    落合 貴之君

      木下 智彦君    國重  徹君

      藤野 保史君    真島 省三君

      野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   財務大臣政務官      竹谷とし子君

   文部科学大臣政務官    赤池 誠章君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 林崎  理君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            佐々木清隆君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            西田 直樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          菅原 郁郎君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            佐藤 悦緒君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  白石  徹君     鬼木  誠君

  細田 健一君     堀内 詔子君

  田嶋  要君     逢坂 誠二君

同日

 辞任         補欠選任

  鬼木  誠君     鈴木 憲和君

  堀内 詔子君     細田 健一君

  逢坂 誠二君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 憲和君     白石  徹君

  中島 克仁君     田嶋  要君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官林崎理君、金融庁総務企画局審議官佐々木清隆君、金融庁総務企画局審議官西田直樹君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、経済産業省経済産業政策局長菅原郁郎君、中小企業庁長官北川慎介君及び中小企業庁事業環境部長佐藤悦緒君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐々木紀君。

佐々木(紀)委員 おはようございます。

 本日は、株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案の質疑の時間を賜りまして、ありがとうございます。

 それでは、早速ではございますけれども、質疑の方に入らせていただきたいと思います。

 商工中金は、昭和十一年に国と中小企業組合が半分ずつ共同出資をして設立されました、まさに中小企業による中小企業のための金融機関であると言えると思います。その後、民間でできることは民間でとの政策金融改革の観点から、平成二十年に株式会社化されるとともに、将来は完全民営化を目指すということになりました。

 しかし、リーマン・ショックや東日本大震災による経済危機を経験し、危機対応業務の必要性がクローズアップされ、その担い手としての政府系金融機関の存在が不可欠と認識されるようになり、平成二十一年と平成二十三年の二回の法改正によって、完全民営化の期限は先送りをされてきました。つまり、先行きが不透明な経済状況にあっては政府系金融機関の果たす役割は重要であり、完全民営化の時期を慎重に判断してきたということではないかというふうに思います。

 今回、法改正をするに当たり、多くの中小企業経営者の方々からさまざまな御意見を伺いました。その多くが、政府系金融機関としての商工中金を残してほしいという声でございました。

 商工中金の今後果たすべき役割や課題、特に民業圧迫の懸念への対応について、質疑を通じて明らかにしていきたいというふうに思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 今回の改正案は、三度目の完全民営化の先送りということになります。なぜ今の時期に完全民営化を当分の間先送りするという判断をしたのか。リーマン・ショックや東日本大震災といった過去二回の先送りの際には、先送りやむなしという判断はわかるわけでありますけれども、今回は、現下の中小企業を取り巻く経済状況をどのように分析した結果、このような判断をなされたのか。

 私は個人的には、完全民営化はデフレ脱却や景気回復を確実なものとしてから実施することが必要であろうかというふうに思います。いまだ担保や保証に過度に依存する民間金融機関の目ききだけでは大変不安であります。

 アベノミクスの効果により、さあ今からと経営マインドが上向き投資意欲が高まっているところに完全民営化ということになれば、水を差すことにもなりかねないわけであります。アベノミクスの温かい風が全国津々浦々まで行き渡る当分の間、先送りする判断は大変適切だというふうに私は考えておるわけでありますけれども、政府の御見解をお伺いしたいというふうに思います。

宮沢国務大臣 今御質問がありましたように、二回民営化を先送りして、そして二回目の延長のときに今年度末までの検討期限というものが設けられまして、なぜ今かといえば、そういう検討期限があるということであります。

 委員おっしゃいましたように政投銀と商工中金というのはほぼ同じような状態にあるわけでありますけれども、内閣府におきまして、政策金融の必要性等々について昨年の秋に検討していただき取りまとめをしていただきましたし、また自民党におきましても、ことしの一月の初めに検討していただいて報告書をまとめていただいたわけであります。

 やはり、大規模な景気変動や自然災害の際における金融支援は、現時点では民間金融機関による対応が事実上困難でありまして、政府系金融機関による一定の割合が必要というのが両方ともの結論であり、また私どももそう考えて今回の法律を出させていただきました。

 具体的な中身は、もう御承知のとおりでありますけれども、完全民営化の方針は堅持しつつ、民間による危機対応が十分に確保されるまでの当分の間、商工中金に危機対応業務を義務づけまして、政府が必要な株式を保有すること。さらに、民業補完といったこともありますので、他の金融機関等との間の適正な競争環境を確保するための措置についても講じております。

 そして、リーマンとか大震災と少し状況が違うではないか、こういうお話でありますが、日本経済は、安倍政権になってから二年余りでありますけれども、マクロの数字としてはやはり緩やかに回復してきているということは事実であります。

 ただ一方で、昨今の状況を見ますと、例えば、電力料金は産業用で震災前に比べて三割上がっておりますし、また、円安等によりまして原材料を初めとして仕入れ価格が上昇している一方、それが特に中小企業、小規模事業者の場合は価格に転嫁できないという悲鳴のようなものが、委員のところにも入っていると思いますし、私のところにもたくさん入ってきております。

 そういう状況に鑑みまして、また中小企業においては大変厳しい状況が、全ての中小企業とは申し上げませんけれども、続いているという認識のもとに、こういう法改正をお願いしております。

佐々木(紀)委員 大臣、ありがとうございます。

 大変、中小企業を取り巻く環境が厳しい状況だからといったこと、また本当に適切だというふうに思います。確かに、今の状況で政府が株を手放すということになりますと、中小企業にとっては大きなリスクであり負担になるわけであります。

 商工中金の株式というのは、構成する中小企業団体及び構成員に限られているわけでありますので、政府が株を放出する際、買い取るのはこういった構成員である中小企業なわけであります。お金を借りるために株主となっているにもかかわらず、さらに出資を求められるということになりますので、現下の経済環境では到底無理であろうというふうに思います。今後は、経済の回復状況を見きわめながら、適切なタイミングで、政府保有株式は速やかに処分していく方向性を出すべきではないかなというふうに思います。

 それで、今ほどの御答弁の中にもありました、政府系金融機関はあくまでも民間金融機関の補完に徹するというお話がありましたけれども、その業務は政策目的の範囲内に限定すべきであろうかというふうに思います。民業を圧迫しないように、商工中金の役割や業務領域、業務の進め方を明確にしておくことが大切であろうかというふうに思います。今回の法改正で、危機対応業務を責務と規定したことは大変有意義なことであろうかというふうに思います。

 アベノミクスのおかげで、今は飛ぶ鳥を落とす勢いの会社でも、リーマンや震災のときには商工中金に助けられた、おかげで今の成長があるといった企業もたくさんあるわけでありますから、この危機対応業務、政府系金融機関の責務として、今後もしっかりと取り組んでいっていただきたいというふうに思います。

 それでは、商工中金の融資姿勢について少しお伺いをしたいというふうに思います。

 商工中金の一番の特徴は、構成する中小企業団体及び構成員に限って金融サービスを提供する組織金融にあろうかというふうに思います。

 日本のものづくりというのは、川上から川下まで幾つもの企業がかかわって一つの製品をつくっております。例えば、繊維業界でいえば、糸をつくる会社、織ったり、編んだりする会社、生地に色をつける会社、縫製する会社から成るわけでありますけれども、このどの工程が欠けても製品はつくれないわけであります。

 いい製品をつくるためには、これら川上から川下まで一連の企業が協力し、時には協力企業会を結成し、技術力の向上やコストの削減に取り組んできました。そして、こうした企業グループや業界で組合をつくって、商工中金に加盟することで金融サービスを受けてきたという経緯もあります。こういった経緯を踏まえて、商工中金が金融サービスを提供する場合は、単に個々の企業の事業評価や与信度だけではなく、その企業の業界内の立ち位置や技術力、重要度にも着目し、業界や産地を守るという視点を持って取り組まなければいけないと考えます。まさに地方創生の視点であります。

 斜陽産業であって、後継者のいない細々とやっている町工場への融資は、民間金融機関にとっては大変ちゅうちょしがちであります。当該企業だけを見ると支援しにくいケースでも、業界や協力企業会あるいは商工中金に加盟する他の構成員との関係にも着目した結果、支援の必要性が見えてくる場合もあります。

 商工中金ならではの強みを生かした支援として、一企業ごとに見るのではなく、産地や業界、ひいては地域経済の活性化といった観点で行う面的な支援こそが商工中金だからできる支援だと考えます。民間金融機関が敬遠する分野に対し、政府の補助金や支援制度を絡めながら、あらゆる側面から支援を行い、支援の可能性を探ることが政府系金融機関には求められると考えますが、いかがでしょうか。政府の御見解をお伺いします。

関大臣政務官 佐々木委員がおっしゃられたことは本当に大切なことだと思います。

 危機対応につきましては政府系金融機関が資金の融通を行う必要があるというのは、本当におっしゃるとおりだと思います。さらに、それに加えまして、地域の経済をしっかりと守っていこう、この点も非常に大事だと思います。そういうような際に商工中金と競合しやすい地方銀行の全国組織でございます地方銀行協会、さらには信用金庫の全国組織でございます全国信用金庫協会も、セーフティーネットとしての役割を認めているところでございます。

 政府におきましては、成長資金の供給促進に関する検討会という場におきまして、全国銀行協会や全国地方銀行協会から三つのことが言われております。

 一つは、危機対応は通常のリスク、リターンの分析でははかり切れない点があるということ、もう一つは、全国一律に対応が必要であるというふうなことも言われておりまして、さらには、危機対応業務に必要なシステムを構築し常時稼働させておかねばならないことに対するコストが大きい、こういう点から、危機対応というのはなかなか困難であるということも言われております。

 こういうふうな中におきまして、やはり政府系金融機関は危機対応というのに重要な役目を担わないといけないなという認識を持っておるところでございます。

 それに加えまして、もう一つ、新規事業とか海外への展開など前向きなことに対する投資におきましてもリスクが高い事業というのはございます。また、黒字が出てくるのに時間がかかる事業もございますので、こういうふうな長期のリスクマネーの供給につきましても、民間金融機関ではなかなか対応できないところがあります。

 しかし、今日本の高い技術力の中小企業が海外に出ていくというふうな、それが地域の経済を守っているということも多々あるわけでございますので、こういうふうなところに対応しますために、日本政策金融公庫による資本性劣後ローンとか、また、商工中金によりますグローバルニッチトップ貸し付け等の長期のリスクマネーの供給、こういうところで民間企業をリードしつつ呼び水の効果を上げていこう、そして地域を守っていこう、そしてまた危機のときには対応していこう、こういうふうな考え方を持っているところでございます。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 大変丁寧に御回答いただきました。ありがとうございます。

 私も、今ほど政務官が言われたようなことを本当に痛感しておりまして、民間金融機関は、優良企業や正常先への融資には大変熱心なわけでありますけれども、要注意先などには事業性評価より担保や保証を優先する余り、厳しい評価となる傾向があります。今はPLがバランスをしていて大変頑張っている会社であっても、過去の負債で悩んでいる企業には大変冷たいといったことも言われるわけでありますから、そういった企業へも、しっかり事業性を評価して、将来性を見て融資をしていく、支援をしていくということが必要なのではなかろうかというふうに思います。

 そしてまた、今ほども、前向きな融資とか黒字化までに時間がかかる際の長期のリスクマネーの提供といったようなお話もございました。民業圧迫という批判を受けないためにも、民間金融機関がちゅうちょする分野について積極的に取り組んでいくということが大事なのではなかろうかなというふうに思います。

 今ほどもありましたように、事業性や将来性があるけれども担保や保証力が足りない中小企業への支援、これが大事なのではないかと。こういった伸び盛りの中小企業にリスクマネーを供給することは、本来、銀行として積極的にすべきことなのでありましょうが、民間金融機関は、どうしても担保評価を優先して、融資をちゅうちょする傾向にあります。あるいは、銀行が所属するエリア、都道府県以外の圏に進出する場合であるとか、あるいは海外で業務を拡張する場合といったこともちゅうちょしがちだということもあります。

 商工中金は、地域活性化に資する支援、つまり、地方創生の観点から、地方の民間金融機関と連携しながらその全国ネットワークを活用した支援を行うことで、地域の中核企業を支援し、あるいはグローバルニッチトップ企業などの将来性のある成長分野に取り組む企業や、その海外展開に対し積極的に支援することも求められているというふうに考えます。

 このように公的金融機関が積極的にリスクマネーや成長マネーを供給することで、ちゅうちょしていた民間金融機関も追随もしくは協調して支援を行うことができる呼び水効果もあるという御回答もいただきまして、本当に私もそのとおりだというふうに思います。民業圧迫との非難を受けないように融資姿勢が問われるわけでありますけれども、まだまだ現下の経済状況においては、政府系金融機関としての商工中金の果たすべき役割は多いということがわかりました。ありがとうございました。

 ちょっと時間も押してまいりましたので、あと二問だけ、させていただきたいというふうに思います。

 まず、政府の方針に基づいた運営ということについて、平成二十五年十二月に、中小企業、小規模事業者への融資については経営者の個人保証に過度に依存しない融資を促すために、経営者保証に関するガイドラインを公表しました。

 しかし、ある企業経営者から伺った話では、このガイドラインに沿った融資は、政府系金融機関である商工中金の方が民間金融機関より早く対応し、確実に実行されているというふうに伺いました。つまり、民間金融機関の取り組みは鈍いということだというふうに思います。

 民間に先立って政府の方針を浸透させる上でも、政府系金融機関の果たすべき役割は大きいというふうに考えますけれども、政府の御見解をお伺いしたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、まさしく昨年二月から経営者保証に関するガイドラインの運用を始めておるところでございます。

 このガイドラインでは、個人と会社の資産を区分してしっかり管理していれば、個人保証がなくても融資が受けられるようにすることや、早期に事業再生や廃業を決断した場合には、経営者に一定の資産を残すことを可能にしているものでございます。

 それで、政府系金融機関に対しましては、このガイドラインを踏まえ、民間金融機関にまさに率先した積極的な対応を要請しておりまして、日本政策金融公庫及び商工中金においては、ガイドラインの運用を開始した昨年二月から本年一月末までの一年間に、合計約四万六千件、二兆円を超える実績を上げているところでございます。

 まさに委員御指摘のように、政府系金融機関は、民間金融機関に先立って実績を上げ、政府の大きな方針である個人保証や担保等に必要以上に依存しない経営者保証ガイドラインを浸透させる上で、大いに必要であると承知をしているところであります。

佐々木(紀)委員 ありがとうございます。

 最後の質問で、中小企業信用保険法について伺います。

 NPO法人について、地域の経済の担い手として存在感が増してきているわけでありますけれども、今般の改正において信用保険の対象として追加されたことは大変意義があるというふうに思います。地域経済の活性化や雇用の創出に果たすNPOの役割は中小企業、小規模事業者と変わらないから、同じように扱うべきだという趣旨だというふうに考えます。

 しかし、NPOに対する融資審査は、企業に対する審査に比べ、特有の困難さがある上に、返済可能性の不確実性が高いなどの要素もあります。

 そこで、ほとんどのNPOが利用するであろう特別小口保証制度を全額保証とすると金融機関のモラルハザードの発生が懸念されるので、部分保証も可能とするよう法改正がなされたことは、より実態を踏まえた措置だというふうに思いますが、その一方で、これまで特別小口保証を利用し全額保証を受けてきた小規模企業者にとっては、今後、部分保証になるのではないかという懸念もありますが、政府の見解をお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 結論をまず申し上げますと、従来から特別小口保険の対象としている小規模事業者につきましては、今回の改正を踏まえての見直しを行う予定はございません。引き続き一〇〇%保証として運用する考えでございます。

佐々木(紀)委員 時間が来ましたので、終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

江田委員長 次に、福田達夫君。

福田(達)委員 自由民主党、福田達夫でございます。

 本日は、委員長及び理事の皆様、質問の機会をありがとうございます。

 今、佐々木議員の方からきめ細やかな質問がありましたので、少しスコープを変えて、広い範囲でもって御質問させていただきたいと思います。

 私は、二年三カ月の間、四回ほど質問させていただきまして、そのほとんどの時間を中小企業に割かせていただいておりまして、中小企業マニアかというふうに言われておりますけれども、確かに中小企業というと、社長さん、それから社員さん一体となって汗を流してやっていらっしゃる経営というのに非常に魅力を感じます。けれども、私が目をつけておりますのは、日本全体の構造の中でも中小企業というものは、やはり今、目をつけなければいけない、手を入れなければいけないものだというふうに認識をしております。

 もともと総合商社の調査部の人間として、この日本という国が二十年間、五百兆円というGDPの壁を越えられない、そういう国というものを事業体として考えたときに、セクター別に見ていくと、いわゆる大企業についてよりも、非常に伸び悩みをしている中小企業もしくは地方というものに対してどういうふうな手を打つか。企業と違って不採算部門を切り捨てられませんので、その不採算部門とか、もしかすると何か新しい価値があるかもしれない。ここに手を加えることによって、大企業がしっかりと伸びていく、しかし一方で中小・小規模も一緒になって伸びていく、この構造をつくることが五百兆円の壁を越える一つの入り口であろうという観点から、私は中小企業というものに目をつけているわけであります。

 また、そのことによって、今現在、中小企業が税を納められていない状況になっている、これを、やはりこの国を支える柱として税もしっかり納めていただく。このことを日本全体として考えても、中小企業というものに目をつけるべきである。

 また、今我々が政府、与党、野党関係なしに考えなければいけない地方創生ということに関して言いましても、今言ったような中堅企業が世界で戦える、そういうものになっていっていただいてという企業については、ある規模の市とか、もしくは中枢的な都市に集まっているであろう。

 一方で、町、村であるとか、そこに人は住んでいるけれどもなかなか市場の世界では生きてはいけないかもしれない、しかし、社会政策としてやらなければならない小規模事業者、この中堅、中小及び小規模事業というものに経済政策と社会政策の両面からしっかりと政治が手を入れることによって、人がその地域に住んでいいという安心感をつくっていく。その安心感が、その地域に再投資をして、さらにその地域にある新しいもの、これから生まれるかもしれないものを磨いていく、そういう意思を国民の方々に持っていただきたい。

 この二つの観点から、中小企業というものは、実は地方創生という面からも、また、この国が中国、アジア等の新興国に対して総体的な国力を保つためにも非常に重要だというふうに思っておりますが、その点につきまして、中小企業の政策について、大臣の御所感をいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 我が国の生産の七割は中小企業、こういうことでありまして、我が国経済において大変ウエートの高いのが中小企業。ただ一方で、一言で中小企業、中堅、小規模と言っても、いろいろな種類の、まさにこれから大きな企業になって発展していくようなところもあれば、大企業の下請のようなところもあれば、また中小零細でなければできない仕事をしているところもあればというようなことで、なかなか中小企業政策というのは多岐にわたって難しい政策であることは事実だと思っております。

 一方で、例えばお隣の韓国と比べますと、企業等々、事業体の数としてはそんなに違わないはずでありますけれども、やはり中小企業の持っているウエートというものはかなり違って、日本の方がはるかに高い。そして、恐らくそれが日本経済の強みであり、韓国経済の弱みになっているんだろうというふうに認識をしております。

 そして、今おっしゃった地方創生の観点でありますけれども、私は、成長戦略を担当する大臣でもありますけれども、成長戦略というものは、いろいろな意味を持っていると思いますが、一番大事なことは、日本経済といいますか、日本の企業の構造改革ではないかと思っておりまして、いわゆるかつての薄利多売型から高付加価値、少量生産のようなものに変えていく。要するに、第二のトヨタのような大きな山をつくるのではなくて、小さな山をたくさんつくって、それを足し合わせると富士山よりも大きくなるという政策が私は成長戦略だろうと思っております。

 したがって、少量生産ということになりますと、まさに中堅企業、中小企業が本当に頑張っていただかなければいけないということだろうと思っておりますし、農業も含めて、そういう頑張る中小企業が津々浦々まで存在してもらうような政策というのが一番大事。

 要するに、大量生産であれば、大体、海岸ぺりのコンビナートに大きな工場があるという時代から、海がなくても十分やっていける産業になっていくというような意味で、地方創生といった意味にも大変資することになりますし、そういうことを、成長戦略の成功であり、地方創生を目指していくというのが我々の立場だろうというふうに思っております。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 まさに中小企業政策をやっていて一番難しいのは、大臣がおっしゃいましたとおり、非常に多種多様。もう業種でも多様、規模でも多様、その存在する地域によっても多様、また、その産業もしくは企業のライフステージによっても、同じように見えても全然違う、非常に千差万別であるということだと思っております。

 やはり、その中において国ができることというのは最大公約数的な仕事になってしまうわけでありますけれども、実は、私はこの国の中小企業政策でもってまだまだできるんじゃないかなと思うのは、国全体としてやっと人口について議論が始まって、二〇五〇年に一億人、二〇六〇年段階で九千万人でもって安定するという目標を掲げたわけであります。実は、この九千万人という数字に対しまして、九千万人がちゃんと生活するためには、やはり七割から八割の雇用が必要である。概算しますと、七、九、六十三、六千万人程度の雇用はつくる必要がある。

 今のままの大企業と中小企業の雇用数の割合でいえば、八割が中小企業、小規模事業者でありますから、これに八を掛けますと、大体やはり五千万人ぐらいの雇用は中小企業、小規模事業者でもって二〇六〇年段階でつくっていなければいけない。

 しかも、所得というものが、これから先人口が減る中においても、しっかりと生活ができる、しかも国際経済の水準の中で生活ができるという所得を守る、これがある意味、我々が、中小企業政策、そして目指すべき一番大きな方向なのかなというふうに思っております。

 その大枠の中で、例えば市町村とか県の枠を超えた、私がいます群馬県というものは、三・一一のときに余り被災しなかったので、ここが北関東における経済を回し続ける最先端だというふうなことを言っていたんですけれども、やはり群馬県、栃木県、茨城県、自動車産業でいいますと、これはつながっております。やはり茨城、栃木が被災すれば、サプライチェーンの関係でもって途切れてしまう。

 逆に、こういうサプライチェーンによって、一方でもって、内燃機関の自動車というのは、国際競争が厳しくなる中で、また、その下部構造については、アジア等と戦わなければいけない。その観点から、五千万の雇用をつくる中小企業を維持するためにも、例えば、自動車産業、内燃機関の自動車産業のティア2からティア4については、県をまたがっても産業構造のリストラクチャリングをしていくような考え方、こういう考え方が中小企業政策には必要なのかな。

 大きな国が示す中小企業政策の方向性に対して、一方で、市であるとか県であるとかというものは、自分のところについて、自分自身が持っている資産というもの、まだ顕在化していないアセットというものを見つけ出して、それを磨いていくということをやっていく。この両面で、大きな目線と小さな目線、これを組み合わせることによって中小企業というのは本当の意味で生きていくと思うんですけれども、国と地域、地域といっても、地公体のみならず、地銀さんである、商工会議所である等の地域のプレーヤーとのすみ分けについてどういうふうにお考えか、これは、中小企業政策で一緒にさせていただいていましたが、関政務官、一言お願い申し上げます。

関大臣政務官 福田委員におかれましては、もう日ごろから中小企業マニアと言われているぐらい本当に中小企業をやってくださっているのを私もよくよく承知しておりまして、本当にいつも貴重な御意見をありがとうございます。

 国と地方の役割の違いというのは、確かに、それぞれあると思います。やはり大事なのは、地域の経済特性に合わせたブランド、地域ブランドというふうなものをしっかりとみんなが応援しながら育てていくということを、しかも横のつながりをしっかりと持ちながらやっていくことだと思います。

 ですので、今国会にはふるさと名物を支援するための法案というのを出させていただいておりますけれども、この法律のもとでは、市区町村が、商工会、商工会議所、農協、また観光協会、地銀、信金等々、こういうふうなそれぞれ横に独自でつながりを持っている組織を活用しながら、地域ぐるみでふるさと名物を製造販売する中小企業、小規模事業者を応援していこうというふうなことを今促しているところでございますし、私も、地元の神戸のふるさと名物でどういうことができるのかなと、今みずから考えながら取り組んでみようかなと思っているところでございます。

 こういうふうな際に非常に重要になりますのが、地域経済を活性化していく際に、地方銀行も、今、金融機関ということでいろいろな情報が入ってまいりますから、認定経営革新等支援機関ということでその認定を受けまして、中小企業、小規模事業者、各地域の部分を応援していこうということでございます。

 また、二十六年度の補正の方では、地域創生交付金というのを四千二百億円、予算の面でも措置をしたところでございまして、その中には、プレミアム商品券やふるさと名物商品・旅行券など、独自の地域活性化もやっているところでございます。

 やはり先般も政府の方針でも出ましたが、大きな方針のアベノミクスと、もう一つ大切な柱としてのローカルアベノミクスという、地域に特化したような考え方というのは我々も非常に重要だと考えて、それに即した法律また対応策を進めていこうと考えております。

福田(達)委員 ありがとうございます。

 まさに、ローカルアベノミクスという言葉は、中小企業政策調査会事務局長を務めていただいた関先生とともにつくった言葉であります。

 本当に地域の強みを生かすには、やはり地域の方々の目線、それをサポートする国という、言ってみれば、我が国が発展途上の国々に対して開発経済でもってやってきた手法、オーナーシップは相手側が持っている、それに対してどういうサポートをするか、この枠組みがまさにそのまま生きるというふうに私は思っております。

 ただ、それを考えるときに、これは地域の主体的に考える方々にとってもなんですが、我々にとっても問題なことが実は二つございます。

 経済というのは、簡単に言うとフローで、付加価値を貨幣換算して、その積み重ねが一年間にどれだけあるか、これが景気というものであります。それを地域ということに限って言いますと、実はきょう、資料を三枚おつけしております。この資料の一枚目でございますが、この真ん中の四角が、県でもいい、市でもいいし町村でもいいです、ある地域だというふうに考えると、この地域にどれだけのお金が一年間に入ってきて、どれだけのお金が出ていった、そのネットのお金の量と、それから、そのお金が地域の中でもって何回転するか、これによって大体景気というのは決まっていくわけであります。

 これは前に民主党のどなたかが、片山元鳥取県知事の言い方でもって、国際収支ベースでもって掲げたものがありましたけれども、実際、施策に落とし込むときには、やはり政策というものはプレーヤー、主体者に働きかけるものですから、国際収支だと、お金の流れとしての分類はいいんですが、やはりお金を動かしている主体ベースに分けていくと、私の考えではこの五つぐらいに分かれていくのかなと。この四角の中に入っている銀行、法人、個人、地公体、その他、これぐらいに分かれていて、それぞれにお金を稼ぐ力をどういうふうにつけていくかというのが政策として具現化していくものではないかなというふうに思っております。

 問題は、このお金の流れというものが地域ベースにはわからない、データとして存在をしていないというのが今この国の現状ではあります。

 GRPでありますとか、ある程度の仮説を使ったものはできますし、また、これは開発の当初から僕もかかわっておりますけれども、ビッグデータによる地域の経済の捉え方というものも今トライはしていますけれども、総合的にこれが、例えば、銀行が、法人が、個人が、地公体が、観光がどれくらいの量の金を域内に引き込んでいるのか、そして、それがどれだけ出ていってしまっているのか、また、それがどういうふうに回転しているのかということは、実は、誰もこのデータを持っていないというのが現状であります。

 また、二枚目でございますが、今のはフローなんですけれども、一方でストックというものもあります。このフローのものがだんだんとしみ込んでいって、お金であれば貯金であるとかそういう形でたまっていくもの、このストックというものが、実は、地域においては我々が考えているよりも非常に大きな意味があると思っているんですけれども、このストックの量もわからない。

 なぜかといえば、預金が地銀にだけあるのであればわかりますけれども、保険であるとか株式であるとか、全く違うところの、東京にあるようなものということについては全然見ることができない。しかし、このフローというものが相当分厚くあるのではないかという仮説はできると思っています。

 実は、ストックのお金をフローに回してくるということもしっかり考えて地域の経済というものは考えなきゃいけないんですけれども、そもそもこれのデータがないということ、これは質問というよりは、なかなか難しい話でございまして、お金も随分かかる話であります。これは一つ提議として挙げておきたいなというふうに思っています。地域にオーナーシップを持ってやってもらう際に非常に大きな課題があるということ、これは一つ提議をしておきたいというふうに思っております。

 一方で、もう一つの問題点が、では、オーナーシップを地元に持ってもらってやるときに、結局、経済政策というのは三つ手法がある。財政政策とそれから金融政策、そして法律をいじる、規制緩和とかでありますけれども。このうち、財政は地方公共団体も持っている、そして規制緩和についても特区などを通して間接的にはできるんですけれども、金融政策だけはどうしようもない。

 ここから初めて、今回の質問で、商工中金にかかわってくる、政府系金融機関にかかってくるわけでありますけれども、どうしてもリスク要因が見えにくいお金の使い方について、しかし、地域にとって間違いなく必要であるという政治的な役割において、やはりこれを全て株式会社である民間金融機関にお願いすること、これはなかなか難しいという観点から、私自身は、商工中金等の政府系金融機関というものが今現状においては必然性が間違いなくあるというふうに思っています。

 間接的、政府経由ではあるかもしれないけれども、やはり地公体が政治的な意思でもって何とかしたいと思ったときに、自由になるとは言いません、しかし、ある程度のそんたくはしてくれるというテンタクルがない限り、地方が主体性を持とうと思ってもなかなか難しい。これはぜひ今現在は維持しておかなければいけないと思っております。

 一方でもって、ユーザーサイドから見ましても、ほとんど間接金融しかない今の地域の現状においては、民間金融機関ではお願いできない部分で政府系金融機関が有利性を持っているというふうなユーザーサイドの意見もあります。

 資料三は、私が地元でもって商工中金のユーザーさんと勉強会をやっております。これは何かというと、一方でもって、私はもともと商社の人間であります、やはり自立的な市場というものを信じております。いかにすれば、今現在、政府系金融機関が果たさなければいけない役割というものを民間金融機関に少しでも担ってもらえるかということ、これを見つけ出すためにユーザーさんサイドからの勉強会をやっておりまして、そこでもって出てきた意見の抽出なんですけれども、ちょっと時間がないので、細かく話はいたしません。

 やはり、この国は高度に発展した自由主義社会でありますし、地域の金融機関において、ある程度のバッファーという間接部門の機能もしっかりと持っていただきたい。さらに言えば、地域に対して産業の青写真を描くとか、この地域の人々とかこの地域の発展を担う役割として、まず県庁を初めとした地公体がある、しかし、その横にしっかりと地銀さんがいらっしゃるという構造というのは、やはり目指すべき方向なのかなというふうに思っております。これをどういうふうに誘導していくのか、どういうふうに指導していくのかということについては、後ほど金融庁さんからもお伺いしたいです。

 また、一方でもって、今現在、商工中金に対するユーズは間違いなくあります。民業圧迫と言われる部分も民間金融機関にできるだけ乗り越えてほしいと思っておりますけれども、やはり商工中金が果たすべき役割というものを、民間金融機関との間で、先ほどちょっと佐々木委員に対する御回答でもありましたけれども、いま一度、民間金融機関の存在というもの、さらに民間金融機関がもう一歩踏み込んで役割を果たしていただきたいという期待を踏まえた上で、どう商工中金があるべきかということについて御回答を求めたいと思います。

西田政府参考人 お答えいたします。

 議員御指摘のとおり、地方創生でありますとか地域経済の活性化に向けては、地域銀行を初めとした地域金融機関が果たすべき役割は大変大きいと認識しております。

 このため、地域金融機関におきましては、先生からもお話がありましたように、まず、それぞれの地域の経済あるいは産業の現状とか課題について適切に把握、分析するということが必要でしょうし、こうした分析結果も踏まえながら、活用しながら、さまざまなライフステージにある中小企業、小規模事業者を初めとする企業の事業の内容や成長可能性あるいは将来性というものを適切に評価すること、そして、それを踏まえた解決策や対応策というものを検討し、提案して、その実行を支援していくということが重要であると考えております。

 その際、特に、担保や保証に必要以上に依存しない、目きき能力を発揮しました企業の事業性評価に基づく融資でありますとか、コンサルティング機能を発揮した企業の生産性向上や経営改善等の支援、こうした取り組みを一層強化していくことが求められていると思っております。

 このため、金融庁といたしましては、金融モニタリング基本方針というものに基づきまして、今後とも引き続き、検査監督というものを通じて地域金融機関による取り組み状況というものを確認するとともに、組織全体としての積極的な取り組みというものを促してまいりたいと考えております。

関大臣政務官 では、短く端的に申し上げます。

 福田委員がつくってくださったこの資料は非常に大事で、マネーフローの点は我々もよく考えていかないといけないと思っておりまして、今ビッグデータの活用によりましてこの分析をやろうと思っております。

 私が高校生のときは携帯電話はありませんでしたが、今は携帯電話は一人に一台ずつ持っているような時代でございまして、お金の流れというのはすごく変わっていると思います。例えば、一人が月に五千円使ったとすると、私の選挙区、神戸、四十万人いますが、二百四十億円が一年間で、携帯電話代金で、昔、高校時代にはなかったような、そんなお金がその本社のある東京なんかに集中しているのかなと。

 地域から東京にどんどんお金が集中するマネーフローが発生していて、地域経済を生かしていくためにはどうやっていったらいいのかな、こういう点は、本当にマネーフローの点からもしっかりとやらないといけないと思います。

 また、商工中金が、先ほど福田委員からお話のあったような、政府系金融機関としての重要な対応としまして、グローバルニッチトップ企業ということで海外展開するようなところに対するリスクマネーをしっかりとったりして、ことしの二月まで、一年間で百二件、百二十九億円の融資を、これも民間企業と協調できているというところに価値があるかと思いますが、こういうふうなところをしっかりと進めていきまして、地域経済の活性化、そしてリスクをとっていこうというその方向性で景気回復を進めてまいりたいと思います。

福田(達)委員 ありがとうございました。

 しっかりと地域にある資源も生かして、しかもそれはFTが必要なので、やはり地域金融機関の場合は、これは非常に大きいと思います。遺産相続のときにがっと全部財務省に行ってしまいますので、それをしっかり生かす意味でも、しっかり地域の資源を生かす。そのために、中小企業政策は非常に重要だということを共有させていただきまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 経済産業委員会におきましては、今国会で初めての質問をさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

 早速、質問に入らせていただきます。

 まず、中小企業信用保険法の改正に関してお伺いいたします。

 人口減少、また地方から大都市圏に若者が出ていく、労働人口も地方で減少していく、それに伴って、地方経済が落ち込んでいく、また住民サービスも低下していく、こういった社会問題が今顕在化しております。これに対して、地域のさまざまな主体と連携をしまして課題解決のために事業活動を展開しているNPO法人が存在感を増しております。住民の皆さんに必要なサービスを提供したり、また、地域経済、雇用の担い手としての役割を今発揮しております。

 ただ、NPO法人は信用力が乏しいということで、借り入れ先については個人のものがほとんどで、金融機関からの借り入れはなかなか難しいという現状がございます。

 金融機関からの借り入れに際して問題点がないという事業者は三割弱いるものの、残りの七割強の事業者は何らかの問題を抱えている。主として、社会的ミッションを理解してもらえないとか、担保、保証を求められることが問題点として挙げられております。

 そこで、今回の改正では、事業を行うNPO法人を新たに信用保険の対象に加えて、地域経済、雇用の担い手であるNPO法人の資金調達の円滑化を図っております。

 この改正に関して、宮沢大臣に要望ないし質問をさせていただきたいと思います。

 昨年の三月五日、参議院の予算委員会におきまして我が党の山本香苗議員が要望させていただきましたけれども、今回、NPO法人を信用保証の対象とするに当たっては、中小企業と連携するNPO法人とか中小企業支援に資するNPO法人に限るといった特殊な扱いをするのではなくて、ほかの中小企業と同様に、事業を行っているNPO法人は全て対象として入り口を広げた上で、その後にそれぞれの事業性をもとに保証の諾否を決定していただきたいと思います。

 宮沢大臣、これについてどのような運用を考えられているのか、見解をお伺いいたします。

宮沢国務大臣 今回、NPO法人につきまして信用保証の対象とする法律案を御審議いただいているわけでございますけれども、これは、やはりNPOの地域における活動というのは大変大事であるということ、それから、融資が受けにくいという状況があるものの、例えば政策金融公庫とかまた信用金庫協会の資料によりますと、少しずつ融資が行われ始めている、こういう状況に鑑みて、NPO法人につきましても信用保証の対象にしようということで御提案をさせていただいております。

 今御質問のあった件につきましては、中小企業支援と連携するNPO法人に限定するといった考えは一切持っておらず、全てのNPO法人が対象になっている、こういうことであります。

國重委員 ありがとうございます。

 今、NPO法人につきましても、中小企業と同様に、ストレートに信用保証の対象にするというような御答弁をいただきました。ぜひよろしくお願いいたします。

 次に、NPO法人を信用保証の対象に新たに加えるにしても、NPO法人の事業性等、これを適切に評価することはそうそう簡単なものではございません。これまでNPO法人に融資をしたことがある金融機関も、実際にそのNPO法人に訪問をする、また理事長に面談をする、さまざまな手法を使って、相当の労力を割いて今融資をしてきております。

 今回の改正によりまして、NPO法人が金融機関から融資を受ける際に、信用保証協会が保証するか否かを今後審査することになりますけれども、事業性等の適切な評価を行うことができなければ、NPO法人の資金調達の円滑化という今回の改正の目的を達成することはできません。

 そこで、信用保証協会が今の体制のままでNPO法人の事業性等を適切に評価できるのか、また、保証協会が実効性のある審査をするために、今後どのように政府として支援していこうと考えているのか、お伺いいたします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のように、信用保証協会におきましても、NPOの事業性、あと返済可能性といったものがどうであるかというのを見きわめるということがまさに肝要であると思っておりますので、今、信用保証協会の方で、先行事例等々も参考にしながら、最後の詰めを行っているところであります。

 あと、委員から御質問がございましたように、審査体制は十分なのかという御質問がございました。

 信用保証協会の審査体制につきましては、現在、全国五十一の信用保証協会に約六千人の職員が従事しております。そのうち約二千二百人が保証審査や金融相談に対応しているところであります。現在、中小企業約百四十六万者に保証業務を実施しておりますが、NPO法人の全体数が御案内のように約五万弱ということでありますので、現在の信用保証協会の体制で十分な審査を現在の状況でも行うことができるというふうに考えております。

國重委員 次に、株式会社商工組合中央金庫法の改正に関してお伺いいたします。

 現行の商工中金法では、その附則におきまして、政府は、平成二十六年度末を目途として、商工中金による危機対応業務のあり方、商工中金の株式の処分のあり方、商工中金に対する国の関与のあり方について検討を加え、必要があると認めるときは、その結果に基づいて必要な措置を講じると規定されております。

 今般、政府は、リーマン・ショックを契機とする国際金融危機、また東日本大震災、二度の危機における対応をどのように総括、検討して今回の改正に至ったのか、具体的な答弁を求めます。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 過去二回の危機をどのように総括して、どのような改正に至ったかという御質問でございます。

 やはり、一番総括として具体的なものといたしましては、リーマン・ショック、東日本大震災という非常に大きな二回の危機があったわけでございますが、こういった危機に関しましても、先ほど大臣等から御答弁申し上げましたけれども、危機対応業務を行う民間金融機関が結局出現してこなかったということだと思います。

 しかしながら、大規模な景気変動や自然災害の際における金融支援はどうしてもやらなければならないということでございますので、民間金融機関による対応が事実上困難で、実際、危機対応業務を行う民間金融機関が出てこないというところでは、政府系金融機関による一定の役割がぜひとも必要だということでございます。

 そのため、このような役割というのを具体的にするためには、将来的な完全民営化の方針は堅持しつつ、民間による危機対応が十分に確保されるまでの当分の間、商工中金に危機対応業務を義務づけ、政府が必要な株式を保有するとともに、他の金融機関等との間の適正な競争環境を確保するための措置に関する事項の報告も義務づけるといったことを具体的にさせていただくということにさせていただきました。

國重委員 ありがとうございました。よくわかりました。

 では、今回の改正に当たって、商工中金の株主であり、また貸付先でもある中小企業団体等、この意見はしっかりとヒアリングしたのか、意見聴取をしっかりとしたのであれば、中小企業団体等の商工中金の危機対応業務、また株式の処分のあり方、これに関してどのような意見が述べられたのか、お伺いいたします。

佐藤政府参考人 今般の商工中金法の改正に当たりましては、政府系金融機関の機能論について議論された政府の成長資金の供給促進に関する検討会における議論や、与党内におけるさまざまな議論を踏まえつつ、経済産業省といたしましても、個別に、民間金融機関や中小企業者、中小企業団体の関係者の方、また株主の代表といった方、幅広く意見を伺いました。

 あと、委員御指摘のように、具体的にはどのような意見だったかということでございますが、例えば、事業者にとって一時的に経営状況が悪くなった際にも長期的な視点で継続的に支援が受けられるという安心感が重要、商工中金は一時的に経営状況が悪くなったときでもスタンスが変わらないという安心感がある、政府、組合、商工中金の三位一体の体制は中小企業のセーフティーネットとしてかけがえのないもの、商工中金には金融面のみならず情報提供、経営相談も担ってもらったなど、商工中金のセーフティーネット機能の重要性を主張する意見が多く見られたものでございます。

 また、商工中金に対する国の関与のあり方や株式処分のあり方は、商工中金の財務基盤や株価、危機時のセーフティーネット機能の維持等に大きな影響を与えるものであります。

 そのため、商工中金の株主である組合及びその構成員の中小企業や中小企業関係団体、これは日本商工会議所、全国中小企業団体中央会からでありますが、政府が保有する商工中金の株式は処分すべきではなく、商工中金の現在の組織と機能を維持するよう要望が寄せられたところでございます。

 今般、政府が当分の間、商工中金が危機対応業務を的確に実施するために必要な株式を保有することにいたしましたが、まさにこうした中小企業者の方の意見を十分踏まえたものであるというふうに承知をしております。

國重委員 わかりました。民間金融機関もしっかりと今後危機対応業務ができるようになるまで、しっかりと商工中金もその役割を果たしていかなければならないと思います。

 商工中金を民営化するためには、今後、民間金融機関が指定金融機関となって、今商工中金が行っている危機対応業務を行っていけるようになることが必要でございます。震災や金融危機が起きたときに、企業の資金繰りを支えたり、壊れた工場また店舗などを再建する設備資金を提供したりする金融機関が不可欠です。さもないと、経済危機のときに中小企業の資金調達が困難になって、我が国経済を支える中小企業がばたばたと倒れていくことになりかねません。

 しかし、現時点で、指定金融機関になった民間金融機関というのは一件も存在しない、平成二十年十月から参入可能であったけれどもいまだかつてないというのが現状でございます。

 政府は、この原因をどのように分析し、民間金融機関が指定金融機関となることを促すために今後どのような取り組みを行っていくつもりなのか、お伺いいたします。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 理由でございますが、先ほども申し上げましたが、政府の成長資金の供給促進に関する検討会その他の場において民間金融機関の方から意見としてお伺いいたしましたところ、三つほどございまして、一つは、危機対応は通常のリスク、リターンの分析でははかり切れないということ、全国一律での対応が必要とされること、危機対応業務に必要なコストを構築し常時稼働させておかなければならず、コストがかかるといったことで、なかなか踏み切れないというような意見、理由の方をいただいたところであります。

 ということもございまして、今後の対策でございますが、商工中金による地域金融機関へのノウハウの提供及び協調融資の積み重ね、今般設置を検討している商工中金と民間金融機関との意見交換の場を活用して、民間金融機関が危機対応を行えるようインセンティブづけをしていくというふうに考えております。

 さらに、今回の法改正にあわせて、現行の指定金融機関を活用した危機対応制度のもとで、民間金融機関が指定金融機関になるための申請手続の簡素化でありますとか、指定金融機関の危機対応業務の実施要領のひな形を公表するなど、業務内容の一層の明確化をするといった施策を講じていきたいというふうに考えております。

國重委員 ありがとうございました。ぜひよろしくお願いいたします。

 政府系金融機関である商工中金、これは適正な競争関係に配慮する、つまり、民業圧迫を回避しなければならないというふうに定められております。

 ただ、これとは全く別次元のことで、政府系金融機関である商工中金が、例えば経営者保証ガイドラインに基づく個人保証に依存しない融資を行うなど、新たな融資を積極的に取り入れて民間金融機関をリードしていく必要があると考えます。これについての見解を伺います。

関大臣政務官 國重委員のおっしゃるとおりでございまして、我々も、民間金融機関を率先していこうという考え方を持っておりまして、商工中金、日本政策金融公庫で、このガイドラインに沿いまして、昨年二月から本年一月までに、一年間で四万六千件、二兆円の実績を上げているようなところでございます。委員のおっしゃる方針はまさに大事なことだと考えております。

 また、リスクマネー、黒字化するのに時間がかかるところにつきましてもしっかりと対応していこうということで、日本政策金融公庫による資本性劣後ローンの実施とか、商工中金によるグローバルニッチトップ貸し付け等の長期リスクマネーも、民間金融機関をリードすることの意味を持ちまして、実施を進めているところでございます。

國重委員 ありがとうございます。

 では、最後の質問に移らせていただきます。

 完全民営化の実現に向けて努力することは、私もこれは大事だと思いますけれども、単なる官から民へ、こういったスローガン先行、硬直した理念先行ではなくて、しっかりと現実を見据えて、地域の経済、雇用の担い手である中小企業の血液である金融をしっかりと支援して、持続的な発展を促していくことが重要だと思います。

 政府は、こういった現実をしっかりと見据えた上で、引き続き商工中金の株式を保有することによってその財政基盤を盤石なものとする、そして、危機対応業務などを通じて中小企業金融をしっかりと支えていくことが重要であると考えます。これについての宮沢大臣の見解をお伺いいたします。

宮沢国務大臣 まさにおっしゃるとおりでありまして、今部長からも御説明しましたように、危機対応業務を民間でもやっていただくように努力はしていかなければいけませんが、残念ながら、現時点においてはそういう動きはないということ、また、今の円安による原材料高等々によって中小企業が大変厳しいというような状況を鑑みますと、商工中金また政府系金融機関の役割というのは大きいと思っておりまして、そういうことも考えまして、完全民営化の方針は維持しつつ、当分の間、政府が必要な株式を保有する、こういうことにしたものでございます。

國重委員 ありがとうございました。

 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 おはようございます。民主党の田嶋要でございます。

 きょうは、中小企業金融関係の二法案に関する質問でございます。

 今の日本にとって、やはり中小企業をもっと応援して、創業、廃業も含め、新陳代謝を高めていく。日本の経済がまだまだ体温が低い感じがいたします。ほかの国に比べて、やはりもっともっと活性化していく必要があろうと思います。大変重要なテーマでございます。

 そこで、まず、これは通告してございませんけれども、大臣に御意見をいただきたいと思います。

 ちょうどたまたま、官民人事交流、こういうものも届きました。経産省は国土交通省と並んで大変多くの官民交流をされているのは大変結構なことでございますが、私は、経産省、中小企業庁というのは、まさに民間、これからどうやって企業をふやして成長を遂げていくかということを一番考えなきゃいけないところとして、こういったことを非常に力を入れていただきたいというふうに考えてございます。

 今のところ、中小企業庁等と交流されている民間の方々は銀行出身の方とかがおいででございますが、私は、自分で会社を立ち上げた、そしてエグジットまで果たした、要するに潰した、失敗した経験もあっていいと思うんですが、そういった方を中に入れる必要もあると僕は思うんですね、これから。

 外でいろいろな有識者に意見を聞く、それも大事なことです。それはやっておられると思いますが、やはり空気を共有して、そういう方々が霞が関に来れば、ベンチャー支援といいながらベンチャーと全く違う空気がここに広がっているということも、彼らにもわかると思うんですよね。

 そういう意味では、今までの官民交流に加えて、やはりベンチャー、そういう方はおいででございませんが、そういう方に入っていただくようなこともこれから考えていただけないかなと思うんですけれども、いかがですか。

宮沢国務大臣 今、成長戦略の見える化をしようということで、事務方に指示を出しております。先ほどの答弁でも申し上げましたけれども、やはり成長戦略の大きな担い手は中小企業だろうと思っておりまして、そういう、成功例、失敗例を含めて、いろいろな知恵の泉みたいなものを出して、中小企業の方に意欲をかき立てていただくというようなことを実は考えております。

 そうした観点で、今おっしゃった、会社をうまくエグジットした人、潰した人というような方が、中小企業庁だけではなくて経産省、政策全般に、もしも来ていただける方がいらっしゃれば、それは大変戦力になるなという気もいたしますが、何となく、私が存じ上げているベンチャー企業の経営者の方というのは、役所の枠にはなかなかおさまり切らない方が多いのかなという気もいたしておりまして、そういう可能性はまた追求していきたいと思っております。

田嶋(要)委員 そういう面もあろうかと思いますが、ただ、よくネックになる、給料が高く払えませんという話がありますね。エグジットした方はもはや給料は問題じゃございません。そういう方は、大体二年ですよね。二年、三年、やはり、実際どうやって霞が関は応援をしているんだ、そういうことにいろいろ物申したい方も僕は中にはいると思いますよ。

 そういう意味で、そういう方も探していただくということがやはり大事じゃないかな。今回これが届きましたので、一言申し上げたいと思います。

 それからもう一つ、本当に本気でベンチャーをふやしていくということを霞が関が考えるのであれば、私は、霞が関の人事ローテーションがたった二年でかわっていくというのは本当にいいのかなと。民間企業は、場所にもよりますが大体三年から五年ということを伺っておりまして、なぜそんなに短いのか。箔だけはいっぱいつきますね、肩書きがいっぱいつきますから。

 しかし、それは本当にいいのか。やっている方にとっても、大体言うじゃないですか、予算で動いているわけですから、一年目は大体初めてのことだった、二年目でようやく調子が出てきて、いよいよというときにローテーションで人事異動というようなことになってはいないのかな。

 大臣は霞が関のことはよくお詳しいと思いますので、このあり方というのは、私はもう少し延ばしてもいいんじゃないかなと。本当に伴走型の支援を国としてできるためにはそういったことを柔軟に考えるべきだと思いますが、いかがですか。

宮沢国務大臣 恐らく幾つか理由があってだろうと。大体基本は二年で仕事がかわる。私自身も、一年でかわることもあれば、二年続けたこともある。三年やったことはたしかなかったと思います。

 恐らく一番の理由は、いわゆる今で言う総合職、我々のころは上級職と言っておりましたけれども、事務系でいいますと、省内全体だけではなくて日本全体を考えるというようなことで、ゼネラリストたるべきというような考え方が基本的にあるんだろうというふうに思います。

 おっしゃるように、専門家を育てるということも実は大事でありますから、二年にこだわることは恐らくないんだろうと思いますが、一方で、民間でいいますと、全ての企業というわけにはいきませんけれども、一カ所に長くいるということは上司も長くいるということでありまして、逆に言うと、折り合いの悪い上司と評価が低いままずっといってしまうとか、色がついてしまうとか、また人事にかなり色がつくというような問題等々もあって、そういうものを避けるといったことも恐らく観点の中にはあるんだろうなという気がいたします。

田嶋(要)委員 そういったことは民間にも当然あるわけでございますが、やはり押しなべて、スペシャリスト対ゼネラリストという議論はずっと昔からあるわけでございますが、ちょっと短過ぎるんじゃないかなという印象。部署によってはやはりそこら辺をもっと柔軟にやってもらえないかというふうに私自身は考えております。

 それでは、もう少し関連した質問をさせていただきます。

 信用保証の関係、私は、NPOに広げるということ自体には基本的に賛成でありますし、むしろもっと早い時期からアクションをとっておくべきだったのではないのかなという気もいたしますが、ただ、今回私がいろいろ問題、課題を感じますのは、その根っこのところの信用保証制度そのものでありまして、信用保証、信用保険の制度そのものでございます。

 その前段として、まず、開業率、廃業率の点を確認させていただきますが、資料をごらんください。資料の一でございます。

 改めて、日本の中小企業三百八十五万者といいますけれども、果たしてこれは多いのだろうか少ないのだろうかということをざっくり見てみました。これは霞が関、経産省からいただいた資料でございますが、これをごらんいただきますと、大体ほかの国並みかなと。アメリカだけは個人事業主が入っておりませんので、二千万以上の個人事業主がいるということで、アメリカは飛び抜けて中小企業が多いですね。しかし、イギリスと比べても、人口を見ても大体同じぐらいあるのかな、そういうような印象を受けますが、企業の数が余り問題というわけではやはりないのかな、特別日本がおかしな状況にあるわけではないということでございます。

 次の二ページをごらんいただきたいと思います。これは有名な、開業率、廃業率ということでございます。

 この点に関しまして、まず大臣にお伺いいたしますけれども、大臣でなくて結構ですね。我が国の低い開業率、廃業率に関しては、いわゆる再興戦略でどのようにうたわれているか、御答弁をお願いします。

菅原政府参考人 一昨年まとめられました日本再興戦略におきましては、我が国の開廃業率は現状四、五%で推移しておりますが、これに対し、産業の新陳代謝を促すことで、「開業率が廃業率を上回る状態にし、開業率・廃業率が米国・英国レベル(一〇%台)になることを目指す」という目標を掲げております。

田嶋(要)委員 大臣、これはなぜ米国、英国並みというふうにほかと比較するんですか。

宮沢国務大臣 恐らく、論理的には、例えば、法人税率であれば国際水準を目指す云々というようなことがあって、それは企業が国際的に活動しているわけでありますから理屈としてはありますけれども、では、開業率、廃業率を高くする、ある意味では新陳代謝をしていくということが日本経済にとって大事だといったときに、やはり高い目標ということで英米の例を引いてきたのだろうと思っております。

田嶋(要)委員 やはり、経済がつながっているということで、より新陳代謝の進んでいる国の経済を参考にする。そして、今回は、再興戦略の中でわざわざそういう国の名前を引いて、それを国家目標ということに定めた。私は、それは間違ってはいないと思います。

 であるならば、その制度の中身も、日本だけが突出して何か異常値のようなことがあれば、そこはやはり、なぜこういうことになってしまっているのかということを改めて制度設計から考え直していく、立ちどまって考える、それもスピーディーにそういったことに取り組んでいくということが私は非常に大事になると思います。

 ベンチャーの世界でございますので、やはりスピード勝負でございますので、そういったところをぜひ、霞が関、特に経産省には御期待を申し上げたいと思います。

 それでは、この開業率の引き上げのためにどういった政策が講じられるかということに関してお尋ねします。

菅原政府参考人 お答えいたします。

 開業率を引き上げるためには、まずは起業に対する意識の変革が重要でございます。潜在力のある事業の切り出しなど、既存企業で十分に活用されていない経営資源の再活用、さらに起業の際に必要となる資金や経営ノウハウを適時適切に提供するというようなことが重要になります。

 具体的には、初等教育レベルからの起業家教育の着手や、昨年度新たに創設した日本ベンチャー大賞などを通じて社会の意識改革に取り組むとともに、大企業とベンチャーとの連携、マッチングを促進するためのベンチャー創造協議会の創設、産業競争力強化法に基づく市町村による継続的な経営指導に対する支援、エンジェル税制、創業融資、創業スクールなど、起業家に対する資金及びノウハウの提供、さらには、今国会に提出しております中小企業需要創生法案による、政府調達の際に、中小・ベンチャー企業の商品・サービスを優先する制度の創設など、さまざま総合的な政策を切れ目なく展開することを目指しております。

田嶋(要)委員 その中でも、初等中等教育の分野に関するどういうプログラムか、そしてその予算を簡単にお答えいただきたいと思います。

菅原政府参考人 初等中等教育に対する取り組みは、今年度予算、現在御審議中の平成二十七年度予算で四千万円を要求してございます。

 この中で、小中学生段階からの起業家教育の普及を図るという目的のもとに、まずは今年度は、十程度の小中学校において、起業家などの外部講師を派遣する授業や、地域の企業や商店街への訪問授業、自分で模擬的に会社を設立して商品を販売してみる体験学習などを行う、起業家教育のモデル事業を実施してまいりたいと思います。

 今後、このモデル事業の成果を見ながら、文部科学省と連携して、教育マニュアルの作成等に生かしていく所存でございます。

田嶋(要)委員 連携する文部科学省は、こういった教育の場でのベンチャー、特に初等中等でどういった予算でどういうふうな取り組みをされているか、御答弁ください。

赤池大臣政務官 委員御指摘のとおり、社会、産業の変化が大変激しい時代において、未知の課題に挑戦をして解決をしていく力、付加価値を創造していく、起業家や企業経営者のみならず、どのような立場においてもそのような力が求められているというふうに考えております。

 次代を創造することが求められている子供たちに、挑戦する心、創造性、探求心といった起業家精神や、情報収集や創造性、判断力、実行力、対話力といった起業家的資質、能力を育んでいくことは大変重要であると文部科学省としても考えている次第でございます。

 先ほど経産省の方からお話がありましたとおり、初等中等教育段階における起業家教育の普及に関する検討会を昨年度立ち上げて、その具体的な指導事例集、きょう、ちょっとこちらをお持ちしておりますけれども、小中高二十校ほど、指導事例集を文科省も協力して作成させていただいているところでございます。

 また、高校段階、スーパープロフェッショナルハイスクール、これは商業高校、専門高校を中心とした学校で指定をさせていただいたり、また、スーパーグローバルハイスクールという形で高等学校段階においても支援をさせていただいている次第であります。

 さらに、三月二十七日に告示をさせていただきましたが、新たに道徳の教科化に向けて、実は道徳の教育の中にも、小学校段階から働くことのよさを知り、みんなのために働くとか、より高い目標など、そんなような形の中での展開をさせていただいております。

 予算に関しましては、トータルで起業家予算というのは文科省としてはまとまっていないものですから、それぞれの事業でそれぞれちりばめられているということで、今回事前通知がなかったものですから、トータルでは予算自体は求めておりませんけれども、そのような形で、さまざまな形で取り組ませていただいております。

田嶋(要)委員 勤労とか仕事、道徳の話はちょっと違うと思うんですけれども、私が申し上げたいのはベンチャーですね。会社をみずから起業することのおもしろさ、そして社会に対する価値の創造、そういったことを教えるということですね。勤労が大事だとか、そういうことはまた、それはもちろん別に大事ですけれども、それはそれということで。

 その部分に関して、今の御答弁、予算は今回ないということを事前に私は聞いておったわけで、通告していなかったので恐縮でございます。しかし、私は非常にこれも弱過ぎると思います。先ほど、四千万円、モデル事業二十校ずつという話もございましたけれども。

 資料の二の下をごらんください。起業家マインドと起業家教育でございます。これは一つの研究報告ということで、イギリスとかでやっている研究のGEMグローバルリポートというところからでございますけれども、左側は事業機会の発見能力ということで、チャンスが訪れると考えるか。それから経営能力、自分が新しいビジネスを始める知識、能力を備えていると考えるか。そういうことの自己評価でございますが、同じ質問をしてこれだけ、自信過剰か謙虚かということもあるかもしれませんけれども、なぜこんなに違うのかということをやはり真摯に受けとめるべし。

 そして、その右側の、実際にそういう教育を受けた人の割合というのも、どういうふうな調査をしているかわかりませんけれども、やはり同じ物差しで見てみると、日本が突出して低いということがございます。

 先ほど経産省の方からいろいろなことをやってきているということで、総花的にいろいろやっているのはきのうきょうに始まったことではございませんが、私、このことをいろいろ考えるにつけ、やはり教育の根っこの部分から考えていかないと、なかなか創業率は上がっていかないし、ベンチャーを多く生み出す国にはなっていかないんじゃないかな。

 既に今もう成人として脱サラしてベンチャーをやりたい、そういう人はそういう人で結構なんですが、もう少し中長期的な目線に立って、教育の部分、今回十八歳に下がることも含めて、いわゆる主権者、有権者教育の話も言われておりますけれども、と同時に、やはり社会にどうやって新しい価値を生み出すか。かつての日本の本田宗一郎さんとかソニーの盛田さんとかそういうことも含めて、どうやったら、ないところに物を、価値を生み出していくかということを教える教育というのをやらないと。そして、今ごろ四千万円というのは、二桁、桁が違うんじゃないかという気が私はしますね。三桁かな、二桁違うと思います。

 どう思いますか、大臣。

宮沢国務大臣 もちろん教育だけで全てが解決するというわけではありませんけれども、小さいときからの教育といったものが大変大事だろうと思います。

 ベンチャーもそうなんですけれども、金融についての教育というのが恐らくそのもっと基本にあって、どう考えても、例えば〇・〇一%の金利で相当巨額なお金を銀行に預けているというのは、国債であれば〇・三%でもっと安全なわけでありますから、余り合理的な行動を日本人はどうもしていないというのが私の印象でありまして、金融というのは、金もうけと言ってしまえばそうかもしれませんが、そういう基本とまさに企業経営的なものとあわせてやはりしっかりと小さいときから教育していくということは、もう一度徹底的にやらなければいけないことだろうというふうに思います。

田嶋(要)委員 いい御指摘をいただきました。私もそれはセットだと思います。

 よく言われる金融教育も足りないということで、私もビジネススクールに行かせていただきましたけれども、やはりアメリカに行くと話していることが全然違いますね。そういうことを四半世紀も前に経験させていただきましたが、金融教育とセットにして、付加価値をどうやって、それもキャッシュフローの話に最後は行き着くのかもしれませんが、どういう新たなキャッシュフローをつくり出すかということも含めて、やはりこれはもっと本腰を入れてやっていただきたい。ちょっと、文科省は経産省がやる仕事じゃないかと思われていたら、これは大間違いだと私は思いますよ。

 これは本当に、どっちがやっていただいてもいいんですけれども、まさにベンチャーマインドを持ってやってもらわなきゃ困ると私は思うんです。もう一度、何かありますか。

赤池大臣政務官 委員御指摘のとおり、予算でいいますと、先ほどスーパープロフェッショナルハイスクールという形でいきましたが、一億二千三百万円、今年度計上させていただいております。

 現在、首相官邸で教育再生実行会議という形で、総理直轄で下村大臣を中心にまとまっておりまして、その中でも、第七次提言の中で起業家教育というのを正面に据えて、提言を受けてしっかり文科省としても取り組ませていただきたいと思います。

 以上でございます。

田嶋(要)委員 初等中等ということで申し上げましたけれども、私はそんな金をかけずにできることはいろいろあると思うんですね。私もたくさんベンチャーの仲間がいますけれども、彼らは無料奉仕したがりますよ。だから、日本じゅうの小学校、中学校に無料で授業に行ってもらえばいいじゃないですか。そんなことだったら、そんな何百億もかけずともやれることもあります。

 ロールモデルといいますか、人の話を一回聞いただけで、それがきっかけで人生が変わる子供たちは必ずいますから。そういう中から本当の新たなベンチャーが私は生まれてくるんじゃないかなと思うんですね。ぜひこれは本当に、二年でローテーションしちゃいますから、役所の人は。だから、今のローテーションしない間にちゃんとこれはやるようにしてください。しかも、両方の役所が協力して、お願いしたいと思います。

 それからもう一点、開業率、廃業率という話があるんですけれども、これは大臣、廃業と開業というのは因果関係があるものだというふうにお考えですか、どうですか。

宮沢国務大臣 二〇〇八年の中小企業白書では、開業と廃業について高い相関関係があるということを言っております。相関関係があることは間違いありませんけれども、例えば、では、その地域に同業の人が入ってきて大変競争が厳しくなって廃業するとか、その地域にある業種がなくなったので開業するというような、明らかな因果関係が全てあるわけではなくて、なかなか因果関係があるかどうかという御質問については、ある場合もあればない場合もある、こういうことだろうと思います。

田嶋(要)委員 相関性しか見えないですよね、まさに。私もそのように思います。

 それで、やはりどうしても目は開業率の方に行ってしまうし、先ほどの御答弁の中でも、開業率が廃業率を上回るようにとおっしゃいますけれども、私はそんなにそこは考えずとも、まずはどっちも上げなきゃいけないんじゃないかな。つまり、廃業を余り暗いことと考えずに、やはり同じ人間がやるんだから、アメリカの人なんかは、三つも四つも会社を潰して、最後に成功に行き着く人もたくさんいらっしゃるわけでございますね。

 そういう意味では、開業も大事だけれども、廃業の方も前向きに考えたらいいのかなと思うんですが、廃業に関してはどういう施策をこれまで行ってきましたでしょうか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 新陳代謝という観点から、廃業を望む経営者の方にとって廃業しやすい環境を整備するということは重要だと考えております。

 具体的には、三点ほど施策を申し上げますと、一つは、経営者保証ガイドラインの運用によりまして、早期に廃業を決断したという方について、経営者に一定の資産を残すことを可能としております。それから、廃業を含むさまざまな経営課題がございますので、よろず支援拠点におきましても、廃業を含め、相談をいたしております。これを各県に設置しております。それから、廃業時のセーフティーネット。生活がありますので、その点に関しまして、小規模企業の経営者に退職金を支給する小規模企業共済制度の機能を強化しまして、廃業資金を貸し付ける制度を考えているところでございます。

 また、廃業の中には、事業の先行き不安あるいは後継者不在、こういう問題もございます。雇用の観点もございますので、こういった廃業につきましてしっかり対応することは重要と考えております。小規模事業者持続化補助金、あるいは事業引継ぎ支援センター、こういったことを措置しまして対応しているところでございます。

田嶋(要)委員 会社がなくなるなくならないよりも、やはり大事なことというのは一人一人の人が幸せになることであるのは言うまでもないわけでありまして、そういった観点から、私は、今回のこの信用保証のことも廃業の問題に非常につながっている、そして、見直しが必要ではないか、今のままNPOに拡大をするということだけでは、私は、まずい形が量的に拡大していく、そういう懸念もあろうかと思います。

 お手元の資料をごらんください。

 時間が限られていますので質問を少し飛ばしますが、資料三、責任共有制度が二〇〇七年からスタートして、保証承諾のフローそれから債務のストックはこういう状況でございます。私は、量的にだんだんどちらも減ってきているということは結構なことで、もちろん、リーマン・ショックや三・一一という苦難がございましたので、ようやく正常に戻ってきているのは多としたいし、そして、リスクの共有ということも当然の状況として評価はできると思います。

 しかし、次の四ページをごらんいただきたいと思います。

 四ページの一番下、英語で恐縮ですが、これは、GDPの中で一体今の保証というもの、具体的には先ほどのストックがどのぐらいの割合を占めているかという各国の比較表でございます。

 そして、そのすぐ上の表もごらんをいただくと、保証承諾の実績ということも各国で比較をしてございますので、まずこちらを見ていただきますと、日本は十一兆六千億円というのが二〇一一年。それは、アメリカのようなめちゃくちゃ中小企業の多い国の一兆五千八百億の六倍、七倍という水準にあるということであります。イギリスは、大体日本の人口の半分で、企業の数も半分ですが、そこでは四百六十一億円、そういう非常に少額しか保証がないわけでございます。

 もう一つ上、一番上のテーブルをごらんください。

 保証に関しては、これはちょっと年が違います、二〇〇八年でございます。この二〇〇八年、日本はアメリカのおよそ十倍の保証額をフローとして出している。しかし、加えて、実際に公的に貸し出しをしている額も、アメリカとイギリスはそういうものは基本的には存在しない。つまり、保証でやっている。民間が融資をして、保証は公的にやっているということだから、よりその保証の存在は価値があるわけでございますが、日本は公的融資も三兆を超えるものがある、そういう状況なわけでございます。

 そして、一番下のグラフにもう一回戻っていただきますと、GDP比七・三%。これは、日本と韓国、台湾と東アジアに集中しているところに何らか文化的な、そういう背景もそれは感じますよ。感じますけれども、そこを割り引いても、これは私は異常値だとしか言いようがないと思うんですよ、本当に。

 こういうことがずっと続きながら、廃業率、創業率だけをアメリカ、イギリス並みにといっても、それはお題目にすぎない。やはり、なぜこういう状況にあるのか、なぜこういう状況が変えられないのかというふうな仮説を立てて検証していただかないと、ほかの国といろいろなパラメーターを比較して、どこが日本は違うんだと。間接金融中心だからという説明もいただきました、役所の方から。しかし、間接金融中心だといったって、イギリスなんかはもっとそういう部分が大きかったんですね、数字上は。しかし、イギリスは全然低いわけです。要するに保証の水準が低い。

 そういうことを考えると、私は、こういった状況に関して、非常に問題だ、課題がある、問題というよりは課題があるというふうに考えますけれども、大臣はどのような御所見でございますか。

宮沢国務大臣 開業率。開業、廃業といいますけれども、開業というのは政策的にも大変応援しやすいわけであります。一方、廃業というのは、私は、廃業ができる環境を整えるということは政策的にやっていかなければいけないし、大変大事なことだと思いますけれども、まだやりたい方にやめろよということはなかなか政治としては言いにくい。また、それが恐らく、韓国、台湾、日本、文化的なとおっしゃった、まさにアジア、儒教の流れをくむような、そういう流れから来ているんだろうなという気はいたします。

 ただ、やはり日本経済全体として見ますと、やめられるうちに早くしっかりやめていただくという政策は本当に大事でありまして、個別に相談を受けるとなかなかそこまでは後援会の小企業、中小企業には言えないんですけれども、やはりそういうことはしっかりやっていかなければいけないんだろうと思います。

田嶋(要)委員 心情的には全く一緒でございます。しかし、では、アメリカ、イギリスはどうやってやっているんですか。よく研究してください、本当に。

 廃業といってもいろいろあって、会社を潰すだけじゃないですよね。承継だってもちろん廃業になるのかもしれませんし、それから、売却、エグジットということもカウントされるのかもしれません。いろいろな形式があると思いますから、そんなに寂しい話ばかりじゃないんじゃないかなと僕は思うんです。

 大体、まあ、アメリカは極端に大きいですが、イギリスはもっと研究していただいて、同じだけの廃業率、創業率を目指すと言っているんですから、ほかの部分、しっかり研究をお願いしたいと思います。

 資料の五をごらんください。これも同じような数字ですけれども、下は同じような、先ほどの、七倍ぐらいに信用保証を拡大させてしまっている。私は本当にこれでいいのかなという感じがしますし、後ほどやりますけれども、国の負担、財政負担に当然はね返っておるわけでございます。

 上の表、これは、冨山先生、先々週のあれでもGとLで指摘しました。その本の中でも、冨山先生もこのことの問題点を強く指摘しておりますが、要するに、全然保証なしでやっていける会社も若干ふえてきているけれども、過去からの経験は、九八年以来、特に、全部保証つき、そういうお金しか借りられない企業がすごくふえてきているということでございます。もともとの一九九〇年のころとは全然違うわけですね。

 もともとは、この一番色の濃いところ、つまり、自分で自立して借りられる部分もあるけれども、保証をつける部分もあるということでございまして、二〇〇七年からリスクの共有ということが責任共有ということになりましたので若干改善はされましたけれども、制度の始まったころから見ると、相当中身は変容してしまっているということがやはり言えるのではないかと思います。ぜひともそこはしっかり見直しをしていただきたいというふうに考えてございます。質問はいたしません。

 そして、次でございますけれども、では、国の予算に対して国の負担はどうなっているかということでございますが、これも少し飛ばしまして、資料の七をごらんいただきたいと思います。

 かなり増減があるのは、やはり三・一一とかリーマン・ショックとかで毎年違いますが、この予算措置というのは、お金の流れとしては、大臣、基本、三つありまして、要するに、公庫に入る出資金、それから協会の本部に入っていく補助金、そして全国の五十幾つかに入っていく基金補助金ということでございますが、それを三つ足し合わせると、大体十六年間で八兆三千億でございますから、平均すると五千億円毎年入っている。とてつもない金額が入っているわけでございます。

 先ほどのGDP比でございますけれども、例えば、もしGDP比の保証の規模を半減させると、どのぐらいのお金が捻出できるんですか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 平成二十五年度末時点の保証債務残高は二十九・八兆円でございまして、GDP比は約六・二%になります。

 財政支出につきましては、将来引き受ける保証債務の事故率を想定した上で、あらかじめ必要額を出資金等で措置しているものでありますので、残高の多寡とは必ずしも関連するものではございません。

 ただ、平成十年度から平成二十五年度にかけて、信用補完制度に対しまして計八兆三千七百億円の予算を措置しております。これは年平均五千二百三十一億円ということになりますので、仮に事故率等が一定で、将来にわたって信用保証の利用が半減すると仮定した場合、予算額はおよそ半額の二千六百億円となると見込まれます。

田嶋(要)委員 ベンチャーを応援するための初等中等教育に四千万円ですね。今の桁、もう桁違いですよね。もう少しこっちを締めることで捻出できる。財務省の顔色を見なくとも、中で、こちらをもうちょっと締める。先ほどの台湾や韓国も高いですけれども、日本は、ちょっとこれは本当に考え直さなきゃいけないと思いますよ。

 そこをもう少しめり張りをつけることによって捻出されたものを、もっと子供たちの考え方を変えていく、挑戦する意欲をかき立てるような教育に少し振り向けていただけないでしょうか、大臣。

宮沢国務大臣 私も財務省におりましたけれども、財務大臣ではないものですから、なかなか、振り向けますとも言える立場ではありませんが、今のお話を承っておりまして、やはり、ラストリゾートといいますか、特に零細企業にとって、信用保証の果たしている役割というのは大変大きいんだろうというふうに思っております。

 ただ、一方で、信用保証制度というのは、いわゆるメーンバンクとしての機能ではなくて、中小企業、小規模事業者等々、金融機関がついた上でやっているわけでありまして、やはり、日本の金融機関といったものが、企業の将来性について、先ほども御議論がございましたけれども、まさにキャッシュフローをしっかりと把握する。

 その中には恐らく目ききの機能といったことも大変必要になってくると思いますけれども、そういうものをしっかり発揮していただいて、担保とか保証とか保証人とかいうことに頼らずに、しっかりそういうことをやっていただくことによって、恐らく、日本の中小企業を含めての新陳代謝というものが進んでいく。そういう中でこの問題は解決していくのではないかと思っております。

田嶋(要)委員 評論家的コメントではなくて、今回、NPOに広げるとおっしゃっておりますから、いい形で広げていただきたいと思います。

 ですから、量的にこういう状況というのは本当に国民負担が広がっている。平成二十四年六月に行われた行政事業レビューでも、やはり、諸外国の例も参考にしながら、不断に制度の点検を行うということで、抜本的改善ということで取りまとめがなされております。そういう意味でも、ぜひお願いをしたいと思っております。

 一つ追加でお配りした資料の十をごらんください。

 一つの例でございますけれども、これはまだ十分検討を加えておりませんが、新規保証承諾というのがございまして、それは初めての事業者に対して保証を出すケースですね。これを見ていただくと、一〇%ないんです。つまり、ほとんどは、同じ会社に二回目、三回目、四回目。ということは、書類審査だけで終わっている可能性も高いんですよ。

 では、例えば、何で全国五十二カ所にこれからも必要なんですか。先ほどの話だと、五十一カ所で六千人の職員がいらっしゃるという御答弁が前の委員のときにございました。本当にそれだけ要るのか。こういうことが実態なのであれば、当然、現地に足を運ぶこともあるでしょう、新規の場合は特に。そういう場合を除いても、日本全国で相当スリム化ができるのではないかという感じもいたします。

 それから、資料の八をごらんください。

 地方自治体もお金を出しています、出捐金や貸付金ということで。この出捐金も、不思議なことがありまして、横浜、川崎、岐阜、それから名古屋だったかと思いますが、この四カ所だけは、都道府県にあるのに加えて、この四カ所の自治体にもあるんですね。これは普通考えたら変ですよね。

 いろいろな過去の歴史はあるかと思いますが、それが県民にとっての負担に当然なっているわけでございます。特に岐阜市なんというのは、岐阜市にいる人は岐阜県民でもあるわけだから、二重に負担をしているということであります。これはフローではありませんので一回きりの負担でございますが、それでもやはり問題だ。

 そして、三つ目でございますが、下の、平成十二年の附帯決議。今から十五年ぐらい前でございますが、天下りの問題ですね。これは、このように附帯決議をきちんと立法府として書いておりまして、その抑制に努めなきゃいけないということでございますが、次のページをごらんいただきたいんです。ちょっと字が細かくて済みません。その平成十二年以来今日まで十五年が過ぎて、今どういう状況になっていますか。結果だけ御答弁ください。

宮沢国務大臣 先日の予算委員会でも御質問があって、私、ちょっと具体的な数は持っておりませんけれども、各県で相当数の方が県から天下りをされて、しかも、長い方は四十年とか何か勤められているという数字を拝見いたしました。そこまではいいですか。

 その十二年の附帯決議を踏まえての対応でございますけれども、平成十四年また二十年、二十二年、二十五年に中小企業庁長官から各都道府県知事、市長に対して通達を出しておりますが、なかなか効き目がなかったということで、昨年の十月に信用保証協会法施行規則及び信用保証協会向けの監督指針を改正いたしました。

 関係する自治体からの理事については、公募や複数の候補者から選定するなど、透明性の高い手続を経られるような基準としたところでございます。

 これらの制度改正を踏まえまして、今後しっかりとした対応をしていくことを期待しておりますし、私どもとしても目を光らせていきたいと思っております。

北川政府参考人 理事長等で天下りでないところは名古屋市のみでございます。それ以外、今、三団体で公募をしておるところでございます。

田嶋(要)委員 附帯決議以来何もしていないとは申し上げませんが、これはごらんいただいても、めちゃくちゃ時間がかかっているわけですね。十五年ほどの月日が流れていて、今少しの自治体は動き始めているということでありますが、これではベンチャーの世界のスピードにはとてもついていけないわけでございます。これは本当に、創業率、廃業率を高める、いい仕事をするためには、やはり、先ほど財務省の話がございましたけれども、中で使い道をもう少し変えた方がいいと私は思いますよ。

 こういうところでしっかり、今三点申し上げましたけれども、何で四カ所が二重に存在するのか、それから天下りの問題はほとんど動いていない、それから新規保証承諾が一割もないわけであります。スリム化できる行政コストというのはたくさんあると思いますよ。

 そういうところをしっかり見直していただいて、そして、何といっても枠を、例えば、今一〇〇%がなくなって上限は八〇%ですけれども、ほかの国はもっと低い部分にあるわけですから、そういうところもしっかり見直していただいて、めり張りのある保証という形でNPOに対象を広げていただく。そこで捻出される予算を、余り財務省の顔色をうかがわずに、自分たちで捻出して、それを教育投資に回してください。人への投資がやはり一番大きく花を咲かせますよ。

 大臣、最後に一言お願いします。

宮沢国務大臣 今おっしゃったような、無駄な予算がついているとすれば、それはしっかりとチェックをしていくつもりでありますし、していかなければいけないと思っております。

 一方で、教育投資についての重要性というものも重々承知をしております。

田嶋(要)委員 以上で終わりますが、二年ですから、人事異動は。二年の方が転勤しちゃう前に、自分のときにやり遂げる、そういう覚悟でやってください。お願いします。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺です。

 引き続き質問をさせていただきます。

 本日、質問をいたしますのは、とりわけ、今も一部田嶋委員から言及がありましたけれども、今回の法改正によりまして、信用保険法の、NPOに対する信用保証の観点につきまして質問をさせていただきます。

 改めて申し上げるまでもないんですけれども、九〇年代以降、NPOが社会主体の一員となって、さまざまなサービスの提供の担い手となってまいりました。とりわけ、阪神・淡路大震災がございました。その際のボランティア活動が、一九九八年の三月に、今から十七年前ですけれども、NPO法の成立という結果になってまいりました。

 やはり、政府活動、あるいは公共セクターのさまざまなきめ細かいサービスが、手が届かない、また市場メカニズムによって、営利追求だけではなかなか市場の中でそぐわない部分を、NPO法人が、各地で設立されたことによって存在感を高めてきたわけでございます。

 そこで、今回の法改正というふうになったわけなんですけれども、社会をつくる原動力としての位置づけであるNPOに対しては、早くから労働金庫が融資を行ってきた。あるいは、地域に根づいた民間の信用金庫や信用組合では、相談窓口を設けるなどして、二十を超える機関が既に実施をしているわけでございます。

 NPOの財源の多様化の促進ということは、NPO自体の方々も、内閣府の調査等で、あるいはNPOの元締めであるセンターのさまざまなアンケート、意識調査等でも出ております。やはりどうしても会費や寄附で賄われることが多い。寄附といいますと、個人の借り入れが多いんですね、これは主宰者といいましょうか責任者。

 当然、さまざまな形での資金というものを集められる多様化の意味では、今回の法改正は前進をしたというふうに申し上げたいところでございますけれども、今回は、法律の質疑を通して、私どもが、NPOの方々が持っているような懸念であるとかあるいは要望であるとか、その点について幾つか質問するところでございます。

 今回の法改正の背景は、国の方の資料には、NPO法人が地域経済活性化の中で非常に力を発揮するようになってきたとございますけれども、まず、NPO法人が地域経済の活性化に対してどのように貢献しているかということについて、現状どのように御認識か、そもそも論から伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 経済産業省といたしましては、平成二十二年から三年にかけてソーシャルビジネス推進研究会を開催いたしまして、地域の社会的課題をビジネスの手法で解決するソーシャルビジネスの実態の把握に努めてまいりました。

 また、昨年にも、NPOなど新たな事業・雇用の担い手に関する研究会を設けまして、中小企業政策におけるNPO法人の位置づけについて、NPO法人の代表者の方や支援機関の方、さらに有識者の方との意見交換を行ってまいりました。

 また、本年二月には、地域活性化に先行的に取り組み、成果を上げている具体的な事例を掲載した「地域活性化一〇〇」を取りまとめましたが、このうち十三事例がNPO法人でありまして、NPO法人が中心となって地域の活性化を実現している例も紹介をしております。

 こうした中で、どういう事例を認識しているかというお尋ねでございますが、例えば、母親が子連れで学べる職業訓練講座の運営活動や、アンテナショップ等運営を資金源とした環境保全活動など、地域における社会課題に対し、多様な主体と連携し、ビジネスの手法を活用して解決を試みる先進的な取り組みを行うNPO法人が存在感を増しているといったことを認識しております。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

渡辺(周)委員 大体、年間に三千から四千のNPOが設立をされ、そしてまた現在でも五万弱のNPOが全国にあるわけでございます。

 私たちも、政権与党当時に、新しい公共の担い手という形でNPOを位置づけまして、いわゆる寄附した場合の半額が返ってくるという新たな優遇制度を設けました。

 その上で、これから、非常に国も地方も財政が厳しい中で、また、先ほど申し上げましたように、民間に委ねられないけれども、政府やあるいは地方自治体というセクターではなかなか手が届かない、小回りのきかない部分においてNPOに依存をするという中で、NPOの方々も、調査を見ますと、では、活動を行っていく上でどのような苦労をしているかということを聞きますと、これは平成二十三年ですから少々古いんですけれども、やはりNPO法人の約八割が収入の確保、約五割が採算、資金繰りということを、活動を行う上での苦労として取り上げているわけでございます。

 今回の法律改正によって、地域の金融機関がどのような形でNPOの支援をできるのかということでございますが、そもそも、金融支援が必要とされている状況の実態把握というのはどうなっているのか。

 これは、NPOの年間予算というのは、大体五百万円以下という団体が全体の六割を占めております。非常に小規模です。ですから、中小企業と同列にして、NPOに対して信用保証をつけて金融機関が融資をできるということは、経済性という意味においては、例えば、小規模事業を行っているNPOにしてみますと、審査、監査のコストというのはそこそこかかるわけでございます。そうすると、大企業が何千万、何億という単位のお金を借りるよりも、例えば百万円のお金を借りて十万円のコストを負担するという、一種の規模の経済性とでもいいましょうか、そうすると、果たしてどれぐらいの需要があるのだろうかということをどのように御認識しているかということを伺いたいわけであります。

 といいますのは、統計的に見ますと、NPO団体が年間必要とする予算、今も申し上げました、大体の規模というのが、年間予算が五百万以下でございます。さらには、無担保である。それから、当然、事業性という意味においては、なかなかそう簡単には利益を求められる性質のものではないという中で、今、どのような資金的要請があるのかという現状については、現状をどうお考えなのかということをまず伺いたいと思います。

宮沢国務大臣 民主党政権時代にNPOというものを大変重視されまして、例えば税制上の措置等々を改善された。大変すばらしいことだと思っておりまして、私どもとしましても、これを継続して支援していきたい、こういうつもりでございます。

 そして、NPO法人からは、NPO法人のソーシャルビジネスに対する金融機関の理解が不足しているとか、融資を受けるための物的担保がNPO法人にないというようなことについて声が上がっているということも私どもには届いておりまして、今回、信用保証の対象にするということにしたわけでございます。

 一方で、金融機関におきましても、既にNPO法人への融資活動というものがありまして、例えば政策金融公庫でありますと、二十五年度で五十九億弱、これは二十一年度以降かなりのスピードで伸びてはきておりますが、まだ五十九億弱。一方で、信用金庫協会におきましても、これは二十四年度までしか数字がないのでございますけれども、二十一年度、二十二年度と二十億ぐらいだったものが二十三年度四十億、そして二十四年度には五十三億に近い融資が行われておりまして、徐々にではありますけれども、伸びてはきているというのが今の状況だと思っております。

 一方で、では、今おっしゃいましたように、五百万以下の予算規模でやっているところがたくさんあって、どれだけ出てくるかということになりますと、これは正直言ってやってみなきゃわからないというところがたくさんあるわけでありますけれども、五万弱と言われているNPO法人の中で、そのうち四割のNPO法人は有料で社会的サービスを提供する事業活動を実施していると伺っておりますので、今まで徐々に政策金融公庫であり、信用金庫であり、伸びてきたものをかなり後押しする政策にはなるんだろうと思っております。

渡辺(周)委員 既に実施している金融機関では、独自のNPOに対する評価システムがあったり、あるいは貸し倒れをしないための支援システムというものもあるんですけれども、やはり企業への融資の審査と違って、NPOの持っている社会性、これを含めてどう判断するかということだ、これがこれから大事になってくるんだと思います。

 各金融機関によって多少の違いはあるんですけれども、大体平均していうと、五つの条件があって、条件といいますか共通するところは、まず無担保の融資、返済期間は大体五年ぐらい、それから融資の上限額というのは三百万から五百万円ぐらいでございまして、法人の代表者を含む連帯保証人が必要であって云々、金利が年間二・五%から三・〇%ぐらい。これは、NPO法人助成金・融資情報ドットコムというところが書いていることなんです。

 全国でも、金融機関は各地にありますけれども、まだ押しなべて、先ほど申し上げたように、NPOに対して理解があって支援をしているという、早くから行っているところもあれば、まだそうではないところもございます。

 そういう意味で、今回の法改正に当たって、金融機関に、融資の審査に当たってその社会性を含めてどう判断をするのか、そして今度は金融機関にどう今回の法改正の意義というものを周知して共有してもらうか。その点については、どうしても金融機関によって差があるんですね、早くからやっているところと。そもそもNPO自体が、NPO法が施行されて、まだ十七年です。ですから、歴史はまだ浅いわけでございまして、金融機関が融資をできるということについても、その審査するノウハウについても、まだそこは育っていないのかなと思いますと、その点を今回の法改正でどのようにしていくかということについては今後どうお考えでしょうか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法改正の意義につきましては、地方銀行協会でございますとか信用保証協会でございますとか信金協会とか、そういった会合等で、今回の法改正の意義、いかにNPO法人の行うソーシャルビジネスの実態を理解しつつ、中小企業の場合と同様に収益性、事業性をきちんと評価するかということの意義に関して、こちらからも周知の方をできるだけさせていただきたいというふうに思っております。

 また、信用保証協会におきましても、委員が御指摘のようなさまざまな先行事例を参照にしつつ、NPO法人が行うソーシャルビジネスの実態、収益性、事業性を適切に評価して、業務を円滑に進めるためのシステムを確立するための詰めの作業を行っておりますが、その辺に関して、私ども、できるだけ協力をさせていただきたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 ぜひ、法の改正に当たっては、NPOの関係者の方々の声を随時聞いていただいて、現場の要求、あるいは使い勝手が少しでもよくなるような形で、やはりそこは意見を聞いていっていただきたいというふうに思うわけでございます。

 私も、今回の質疑に当たりまして、昨日、NPOのある団体の方にちょっとお会いをしてきました。

 一つおっしゃっていたことは、先ほど来出ています、例えば介護系のNPO、これは国の方でも、介護の軽度の人は、地域の自治体で、今後NPOなんかに任せるんだというようなことで見直しがされるわけですけれども、介護系のNPOならば、介護報酬を担保できるんですね。これが入ってくる。もちろん、タイムラグはありますけれども、その間のつなぎ融資ということはもちろん必要なんですが、いわゆる介護報酬を担保して、委託を受けているようなNPOならば、委託事業の場合は審査を通る。

 しかし、会費を集めて後に返済という形態は、審査が滞りはしないだろうか、審査が渋られるのではないか。NPOによっては、やっている事業内容によって、どうしても差が出てくるのではないかということも懸念している方がいらっしゃいます。

 その点について、いわゆる介護のような委託事業で、ある程度の先々の事業収入が公から認められているところと、そうでない、会費で集めてやっていって後に返済するという、また別の意味での使命を帯びたNPOと、濃淡が出ないように、そこの点については、この審査という点につきましても金融機関にどのような今回の法改正の意義を理解させるか、あわせて伺いたいと思います。

山際副大臣 委員が御指摘になられましたように、そもそも、委託事業を受託していて、いずれ金融機関に必ずお金が入ってくることがわかっているものに関しては、当然、これは金融機関としては融資をしやすい案件でございまして、それに関しては、また信用保証をつけることでより円滑にそれが進むようにしたいと思ってございます。

 もう一方で、どうしても事業性というものをしっかり判断をした上でないと融資が可能かどうかを判断できないということに関しましては、これも委員が御指摘になられましたように、もう既に日本政策金融公庫、あるいは一部の信用組合、信用金庫等々が行ってまいりました、ソーシャルビジネスの実態を理解した上での事業性を見た審査ノウハウ、こういうものをきちんと活用させていただく中で進めてまいりたいと思います。

 そして、新たに融資を行う金融機関においては、事業性を適切に審査して融資を行うことの取り組みを促すためにも、一定の責任、二〇%を共有することとして、NPO法人における事業資金の調達を適切に支えてまいりたいと存じます。

渡辺(周)委員 今おっしゃいましたけれども、そうした、もうある程度収益が確約されて確定しているようなところは、金融機関としても、これは公のお墨つきを得ているわけですから非常に審査もやりやすいだろうと思いますし、また、申請する側としても、そこは公的な意味合いを持つNPOにしてみますと、非常にスムーズにいくということはあると思います。

 しかし、これから新たに出てくるようなNPOでありますとか、あるいは、ヒューマンリソースといいましょうか、まだ余りノウハウがないようなところも正直あるわけでございまして、いろいろな形で地域の金融機関が、あるいは既に実績のあるような政策金融公庫なんかがアドバイスをするということも今後出てくるのではないかというふうに思います。大変、そういう意味では、今回の法律は、実は信用保証をつける方もそうです、金融機関もそうですけれども、NPO側でも、少しいろいろなことを前向きに考えていかなければいけないということにもなるんだろうと思います。

 例えばですけれども、平成二十六年度の内閣府の実態調査によれば、これは受け入れ寄附金の額のベースですから金融機関の借り入れとは違いますけれども、寄附金のベースでいくと、傾向としては、一般向けに情報を開示している法人ほど額が大きいんですね。つまり、当然ディスクローズされていて、いろいろと、自分たちの活動内容はこうで、どのような収益を上げて、どのような財政構造になっているかということをNPO側もしっかりと、制度導入に当たっては、成果を出すための努力が今後ますます求められるだろうというふうに思います。

 そこで、NPO側に対して、先ほど申し上げました、企業と違って社会性という意義を考慮したときにどうするかということについて、NPOに対しての、今度は貸し手側として、育てていくという意味においてはどのような観点で考えていらっしゃるか。特に、情報公開も含めてなんですけれども、やはり財務内容はしっかりと説明できるようなものにしていくために、NPOを育てるという意味においてはどのような役割を今後担っていかれるのか、その点についてお考えがあれば伺いたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まさしく委員が御指摘のように、NPO法人に付保つけるということで、今後、これまでよりも一層融資が行くということになりますと、NPO法人そのものが情報開示といったものはこれまで以上にやっていただかなきゃいけないということになりますので、先ほども御指摘がございましたが、NPO法人につきましても、さまざまな機会を捉まえまして、今回の法改正の趣旨について、いろいろなところで広く説明をさせていただきたいというふうに思っております。

渡辺(周)委員 これはちょっと古いんですけれども、「信用金庫」という業界向けの雑誌がございます。その中で明治大学の経営学部の先生がおっしゃっている言葉を引用すると、地域が必要としている事業に資金供給することは大事なんだ、NPOに対しても今後しっかりと支援をすることがますます大きくなるという話の中に、金融機関やNPO支援組織の関係者からは、NPOはビジネスの意識レベルというのが低いのではないかという声もありますよということを引用されています。事業目的や資金をきちんと説明できない団体もあるのではないか、帳簿を満足につけていないところもあると。いろいろ、その質ということを言う方もいらっしゃいます。

 つまり、貸し手には貸し手の理屈があると思います。信用保証をつける側にもいろいろな理由があると思いますけれども、NPOはできてまだ十七年です。ですから、経営の能力ですとか、いわゆる企業並みにどうしていくかということについてはまだノウハウが蓄積されていないところもあるわけでございます。

 この点についても、それを理由に融資をしないということにならないように、NPO側にも一層の情報開示や努力がもちろん求められますが、どのような形で金融機関が、例えば中小企業、零細企業に対していろいろ経営アドバイスをしたり、いろいろ改善点をアドバイスするように、NPOに対しても今後していくことが求められる。それだけのノウハウを金融機関が持たなきゃいけないし、また、今まで既に実績のある方々に対しては、どのようにNPOに対して接してきたかということをしっかりとやっていただけるようにしていかなきゃいけないわけでございます。

 その点について、ぜひとも、やはりこの法改正というものをしっかりと意義づけていただきたいなというふうに思うわけでございます。

 ちょっと細かいことを幾つか聞きますけれども、今回の支援に当たって、信用保証をつける、その支援対象となるNPOの要件の中には、いただいた資料の中には、継続した収益事業、課税事業かつ自主事業を行っているとありますけれども、継続しているというのはどれぐらいの期間をいうのかということを伺いたいと思います。

 それから、収益事業からの収益により雇用を創出しているとあるんですが、この場合の雇用の定義、御存じのように、ボランティアの方々に支えられている部分もかなり多いんです。実際のところ、NPO自体が、対価を得て、有給の職員を置いているというところは非常にまだ少ないんですね。五人とか十人あたりが多いんですが、その中で、正規なのか非正規なのか、パートやアルバイト、お手伝いも含めて、もっと言えば、納税の有無はいかがなのかということで、ここに出てくる雇用という言葉、これはどうなのか。

 先ほど伺いました継続したという意味、期間はどれぐらいをいうのか、雇用ということはどういう形態の雇用をいうのかということについて、お答えをいただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、継続性でございますが、もちろん、継続性に関しましては、民間金融機関及び信用保証協会が融資・保証審査の中で個別に判断していくことになると思いますが、少なくとも、借り入れ期間においては事業活動が継続する必要があるというふうに考えております。

 あと、もう一点質問をいただきました、雇用の定義は何かということでございます。

 私どもが想定しておりますのは、雇用に関してでありますが、中小企業政策の根幹である中小企業基本法に規定する常時使用する従業員を想定しております。常時使用する従業員とは、正社員及び正社員に準じた労働形態である者を指しまして、納税の有無でございますとか、正規、非正規、パートまたはアルバイトといった雇用形態に関係がなく、労働基準法第二十条の規定に基づく、あらかじめ解雇の予告を必要とする者を従業員として考えているところであります。

 そしてまた、あらかじめ解雇の予告を必要とする者はどういった方であるかということでございますが、これは同じく労働基準法の第二十一条にあります「日日雇い入れられる者」「二箇月以内の期間を定めて使用される者」「季節的業務に四箇月以内の期間を定めて使用される者」「試の使用期間中の者」以外の方はあらかじめ解雇の予告を必要とする者というふうになっておりまして、この方を常時使用する従業員というふうに考えております。

渡辺(周)委員 私も、幾つかホームページを引っ張り出してきて、もう既に実施をしている信用金庫のNPO事業支援ローンの案内を幾つか読んできたわけでございますけれども、先ほどはちょっと平均的なことを申し上げましたけれども、やはり事業の期間というものに対してはいろいろと幅があって、設立をされて、まだ認可される前からもう活動をしているところも含めて何年というところもあれば、そうでないところもございますけれども、ぜひそこは、やはり、何度も繰り返すようですけれども、NPOの社会的意義というものを金融機関にも周知いただいて、今回、なぜこの信用保証をつける、今まで要望があったけれどもなかなか実現できなかった、そうなったのかということについて、しっかりとぜひ理解をされるように努力をいただきたいと思います。

 中小企業が、バブル崩壊以降、どんどん減ってきた。反面で、NPO法ができたこともあって、その後は、今度はどんどんNPO法人がふえてきた。片っ方はどんどん減って右肩下がり。片っ方、NPO法人は右肩上がり。つまり、融資先がだんだんなくなってきてNPOが存在感を増してきたというような観点だけではなくて、やはり社会的意義ということについて、ぜひとも今後取り組んでいかなければいけない課題だと思います。

 それから、先ほどちょっと私どもが触れた与党時代につくった制度、寄附税制の対象になるNPO、いわゆる認定NPOですね、これは税制上の優遇があるわけですけれども、寄附者に対して優遇があるわけでございます。当然、受ける側にしてみれば、それを、恩恵があるということで幅広く寄附を募ることができるんですが、今回の法律の中で支援対象となっている、税制上の優遇を受けていないものというふうにあるんですけれども、これはそのカテゴリーに入るのでしょうか。その点を確認しておきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 NPO法人を中小企業政策の対象に含めるに当たって、NPO法人が中小企業と同様に事業活動を行っていることを総合的に評価する際のメルクマールとして、税制上の恩典を有していないことということを研究会で提示したものでありまして、このメルクマールに該当しないことのみをもって中小企業政策の対象から除外されるということではございません。

 また、個別の中小企業政策の対象になるか否かについては、当該個別中小企業施策において定める要件により判断されるところであります。

 中小企業信用保険法においてNPO法人を対象とするか否かに際しては、特定非営利活動促進法に規定する認定の有無ではなく、あくまで、中小企業と同様に事業活動を行っていること及び従業員数を要件とさせていただくというふうに考えております。

渡辺(周)委員 確認ですけれども、長々おっしゃいましたけれども、いわゆる認定NPOでもこれは対象になるということでよろしいですねということです。

佐藤政府参考人 委員がおっしゃるとおりでございます。

渡辺(周)委員 もうちょっといろいろ質問を用意したんですけれども、もう時間が参りましたから譲りますけれども、ぜひとも今回の法改正が中身のあるものになりますように、金融機関の方々とも、しっかりとNPOの社会的意義というものを理解していただけるような制度になることを、ぜひとも働きかけを強く求めまして、私の質問を終わります。

 以上です。

江田委員長 次に、神山洋介君。

神山(洋)委員 神山洋介でございます。

 残りあと五十分ほどとなりますが、お時間をいただきましたので、質問させていただきます。

 きょうは、商工中金法及び信用保険法の改正についてということでございますが、まず、その前段として、これは大臣にお伺いをさせていただきたいと思っておりますが、地域の景気の状況についてどうお考えかという点でございます。

 特に、きょう議論になる点という意味でいえば、中小企業であり中小事業者がそれぞれの地域経済の中でどういう状況にあるかということは大変重要なポイントではないかというふうに思っております。

 景気をどう判断するかというのは、いろいろな議論が成り立ち得るという意味では、確定的なことというのはなかなか言いづらいものではあるわけですが、景気がよくなった、またはよくなってきているという報道であり、いろいろな、本日のこの委員会での議論も含めてあるわけですが、一方で、私が地元で地域経済を担われている個々の中小事業者の方々、企業経営者の方々とお話をしている中では、ここ、もしくはメディアで語られている認識よりも大分厳しいなという実感を得ています。

 もちろん、マクロの数字がどうなのかということと、それぞれの地域の実態がどうなのかということは、これは森の議論と木の議論といろいろあると思いますので、さまざま幅があるものだということは理解はしているわけですが、正直申し上げれば、相当まだ厳しいなという実感を持っています。

 資料をまだ配っているところかもしれませんが、お配りした資料の一枚目の上のところが、これは商工会連合会の方で出された直近の景気動向調査の資料なんですが、これを見ても、二〇〇九年の一月、ここでどんと一気に落ちて、そこから徐々に徐々に右肩へ上がってきて、この消費税を機に一回落ちてというような流れがあるという中で、二〇一五年の一月、二月までしか数字が出ておりませんが、現状は、このデータで見る限りは、恐らく直近十年の大体平均値あたりにいるのかなという印象も覚えるわけです。

 こういったデータも踏まえながら、まずは、宮沢大臣、地域の経済事情、景気状況をどういうふうに判断されているでしょうか。

宮沢国務大臣 マクロで申し上げて、日本経済の状況というのは、やはり緩やかに回復をしてきているという状況であることは間違いないと思っております。中小企業につきましても、全体で見ますと、今、表にありましたように、昨年十月から十二月期の中小企業の売上高及び経常利益はともに全体として改善をしておりますし、また、これは経産省の調査でありますけれども、取引先からの仕事の引き合いの状況を示す引き合いDI、要するに、もうすぐ売れるかもしれない、こういうDIでありますけれども、二〇一四年の平均はマイナス四・一とマイナスなんですが、実は過去十年間で最も高い水準まで来ている、こういう状況であります。

 しかし、一方で、おっしゃるように、例えば電気料金は震災前に比べると三割上がっております。また、円安を主因として原材料価格が上がっている、仕入れ価格が上がっていて、なかなか中小企業の場合はそれを転嫁できないという状況もございます。

 そういう中で、やはり、おっしゃったように、地域によっても、また業種によっても、また各企業によっても状況は違いますけれども、大変厳しい状況にある中小企業が多数存在しているということは事実だろうと思っております。

 一方で、なかなか景気がよくなっていないと言う方が、なるほど私の周りでも多いんです。ただ一方で、これまでの経済の動向を見ていますと、かなり多数の方が景気がよくなったと実感しているときには、大体景気は頭を打って落ちているときになってということがありますので、まだまだこれは経済がよくなっていくあかしかなと思っております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 その実感というか、地域での皮膚感覚みたいなものは恐らく共有をしていただいているとは思いますが、やはり地域で経営に携わっている方々の率直な心情面の話からいうと、全国的には景気がよくなっているんだ、地域経済もよくなっているんだ、中小企業の景気もよくなってきているんだと言われる中で、自分の会社の従業員の方々からは、うちの会社もよくなっているんだろう、うちも賃金を上げてくれるんだろうというふうに言われて、確かに上げてあげたいという気持ちはあるけれども、実態として上げられる環境には至っていないという中で、非常に大きなジレンマを抱いているという方もいらっしゃる、かなり多いのではないかというふうに思うわけです。

 マクロの数字面から見たときに、先ほどDIのお話もございましたが、よくなっているという傾向値を読み取ることが可能であるということは理解をしております。

 ただ、一方で、特に我々政治の場にいる人間に大事なことは、数字的に、分析的にどうなのかということももちろん大事ではありますが、加えて、やはりこれは皮膚感覚の部分で、国民の皆さんが、また経営者の方々がどう感じていらっしゃるのかということも踏まえて、政策立案であり、実行していくということが私は大事だと思っておりますので、その点を踏まえながら、以降ちょっと幾つか質問させていただきたいと思っております。

 きょうは、商工中金法の改正と、先ほど渡辺委員から質疑がありました信用保険法の改正というお話なんですが、まずは、信用保険法の改正に関連をして、NPOに対して融資を拡充していくということに関連をして幾つか質問させていただきたいと思います。

 先ほども渡辺委員からもお話がございましたが、公の領域と私の領域があって、公の領域を、新たなパブリックセクターを担うような担い手をつくっていくというこの基本的な方向性は、私は大事だと思っておりますし、推進をしなければいけないというふうに思っておりますので、今回のこの改正案で意図をされていることそのものに対しては、私は大きな異論はございません。

 ここで一つ、これは経産省にお伺いをさせていただきたいんですが、今回のこの信用保険法の改正によって、NPOに対して融資をする、資金支援をするということをふやそうという意図であることは重々承知をしているわけですが、では、どのぐらいの数量ふえると見込んでいるのか、要は、政策効果がどの程度あるというふうに見込んでいらっしゃるのか、この点をまずはお伺いさせていただきます。

宮沢国務大臣 先ほど渡辺委員からも実は同じ質問を受けたわけでございますが、実際に、民間といいますか、政策金融公庫、また信用金庫における状況というのは私どもも把握をしておりまして、政策金融公庫につきましては、これは二十五年度でありますけれども、合計で約五十九億円。これは徐々に、徐々にというよりかなり急速に金額が多くなってきております。

 一方、信用金庫におきましても、これはNPO法人だけではなくてコミュニティービジネス全般という数字でありますけれども、これもここ数年かなりなスピードで上がってきておりまして、二十四年度におきましては、三百七件、五十三億円の融資が行われている、こういう状況であります。

 そして、今回、信用保証の対象にNPO法人を加えるということは、間違いなくこういう金額が相当数ふえることは確かでありますけれども、では、幾らふえるかという話になりますと、なかなか、やってみなければわからないところがあります。

 先ほど渡辺委員から御指摘がありましたけれども、やはり、制度改正の趣旨といったものをしっかり全国の金融機関に理解していただくということ、それから、これはどういうふうにしたらいいのか私も具体的にはすぐに頭に浮かびませんけれども、先ほど渡辺委員の議論を通じまして、先駆的にやられている信用金庫がある、政策金融公庫もやっている。先駆的にやられている信用金庫の融資審査について明らかにしろといっても、それはなかなか、ライバルになるかもしれないということでできないかもしれませんが、政策金融公庫で行われている指標は、ほかの民間の金融機関に伝授する方法というものがあれば、それはもっと使われるようになるんだろう、そういうこともいろいろ考えていかなきゃいけないと思っております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 そこはぜひ、さまざまな工夫があってしかるべきだと思いますので、引き続き御努力をいただければと思いますので、よろしくお願いを申し上げます。

 今お話がございましたように、お配りをした資料の二枚目の下の方につけておりますし、今大臣からもお話をいただいた部分ですが、NPO向け融資が、直近、ここ数年でどういう状況にあるかというのがグラフで示されたものがございます。ここにありますとおり、日本政策金融公庫及び今大臣からもお話のあった信用金庫による融資という形で行われているわけです。

 これは、理想を言えば、この後の議論にも関連をするわけですが、公の領域を担おうとするNPO、NPOがパブリックセクターの一部を担おうとしていくという取り組みを、さらに言えば、公的金融、政策金融ではなくて、民間金融の方でぐいっと押していくという形に行くことが望ましいのではないかなというふうにも思うわけです。

 これは現状、ここのグラフで見る限りは大体五分五分ぐらいの融資の金額になっているわけですが、今後、今回のこの法改正が行われた後に、日本政策金融公庫、つまりは、これは政策金融として国が行っている金融なわけですが、こちらで、民間に対しての民業補完の原則のことも念頭に置きながら、どういう形でNPOに対しての融資をされていこうとしているのか。この基本的な方針について、これは政務官にお伺いさせていただきます。

竹谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 日本政策金融公庫では、従来からNPO法人を融資の対象として貸し付けを行ってきたところでございます。

 平成二十六年度の補正予算成立に伴いまして、本年の二月から、利用者にわかりやすい制度とするために、ソーシャルビジネス支援資金として、特にNPO法人等を対象とした貸付制度を独立させるとともに、NPO法人の代表者の保証の免除を可能とする等の拡充を行っているところでございます。

 引き続き、同融資制度も活用しつつ、NPO法人に対して資金支援を行ってまいりたいと思っております。

神山(洋)委員 済みません、ちょっと追加で質問させていただきます。

 おっしゃることはもう重々承知の上で質問しておりますが、要は、日本政策金融公庫がこれからNPOに対しての融資をどんどん拡大していくということは、今の流れの中では一旦はあってしかるべきかとは思いますが、結果的に、ここでいえば信用金庫の事例が出ているわけですが、信用金庫からNPOに対しての融資はふえませんでした。民間金融機関からNPOに対しての融資が結局のところふえませんでしたでは、今回の法改正の大きな目的からは若干ずれていくのかなというふうにも思うわけです。

 何も、政策金融公庫がNPOに対しての融資をしてはならないとか、圧縮をしなければならないということを申し上げているわけではありませんが、あくまでも政策金融の側からすれば民業を補完するのであるという原則に立てば、民業に対しての一定の配慮なのか、それとも一定の時限的な中での事業の遂行方針なのかということはあってしかるべきなのかなというふうに思うわけです。

 その民業補完という観点からしたときの、NPOに対しての日本政策金融公庫からの融資に対しての方針もしくは配慮する事項というのがありましたら、そこを御答弁いただきたいと思います。

竹谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 日本政策金融公庫と民間との連携は継続的に進めているところでございます。

 委員御指摘のとおり、あくまでも民間の補完であるということを非常に大事にしております。ノウハウを供与してともに取り組んでいくというのが基本スタンスでございます。

神山(洋)委員 この後の議論にも今の点は絡む部分ではありますが、民業補完をするのだという観点は、これはお忘れいただいていないとは思いますが、ぜひ記憶にとどめていく中で遂行していただきたいと思います。

 時間がありましたらまた後段、このNPOの話にも少し戻ってくるかもしれませんが、一旦ここで商工中金法の改正についてということで質問をさせていただきたいと思います。

 今回、二つの法律の改正が対象になっていて、うち商工中金法の改正についてということで御説明もいただきましたし、さまざま資料も読ませていただきました。幾つか細かい事項も含めてこの後議論をさせていただきたいわけですが、冒頭、どうしても申し上げたいことがありまして、はっきり言えば、何をどうしたいのかがよくわからないというのが正直なところです。

 道路を走っている車が四十キロか五十キロで普通に走っています、まあ、これは故障なのかもしれませんが、ブレーキランプがずっとつきながら走っている車というのを時々見ることがあるんですね。とまりたいのか、走りたいのか、故障なのか、後ろを走っている車の側からすると非常に迷うわけです。

 今回提出された法案の中身からすれば、この後もまた議論させていただきますけれども、一連の、民営化に道筋を持っていくという話がある中で今回の法改正が出てきて、一体民営化をしたいのか、アクセルを踏みたいのか、民営化をしたくないのか、ブレーキを踏みたいのかよくわからないわけです。要は両方の表現が混在をしているわけです。

 私は、必ずしも、民営化をすることが善であって、公的金融、政府金融というものが悪であるという単純な二元論に立つつもりはありませんが、それはそれとしても、今回の提出法案の中でこの法案の、特に商工中金法改正の政策目的は一体何なんだろうかという、まず入り口のところで一点疑問があります。

 まずはこの点、宮沢大臣に御答弁をいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 これは政投銀及び商工中金の二つですけれども、平成十七年に完全民営化の方針が決まって、十九年に法律が成立した。そして、その後リーマン・ショックが起こって、これは我々の前政権のときの最後ですけれども、麻生政権のときに一回完全民営化を延長した。そして、その後大震災が起こって、これは民主党政権のときでありますけれども、二回目の延長をしたという中で今回の議論が行われたわけであります。

 そして、二回の延長とも五年から七年というような年数を明示した上で民営化という方向が示されておりまして、ということは、私どもの政権も民主党政権も、民でできることは民でやるということについては同じ認識のもとでやったということだろうと思います。

 そして、今回法律案を出させていただいておりますけれども、この中では、そういう方向の中で、完全民営化の方針は堅持するということをうたった上で、危機対応業務というものが、最初に法律をつくったとき、一回目延ばしたとき、二回目延ばしたとき、恐らく、民によってもう少し出てきてほしいという気持ちがありながらやったわけですけれども、残念ながら、今のところそういうことが起こってきていないということ。

 しかも、ではいつ出てくるかということ、これは、我々政府としても、民がそういうものに対応できるようないろいろな方策は講じていかなければいけないと思っておりますし、今後講じるつもりでありますけれども、ではいつ出てきてくれるかというと、これまた正直言ってはっきりわからないという中で、当分の間、危機対応業務を商工中金に義務づけた上で政府が必要な株式を保有する、そういうことにしたものでございます。

神山(洋)委員 いつ民間が危機対応業務を担っていただくことができるようになるのかがわからないというお話で、確かに、それは今の段階で、一年後からできるでしょう、五年後だったら大丈夫でしょうということが言えないというのは、それはよくわかります。

 ですが、やはり政策の遂行に当たっては、この後、また改めて議論させていただきますが、危機対応業務という業務がこの世の中で社会的に必要性があって、それは民がやるのか公がやるのかはともかくとして、やはり必要なんだ。では、それをどうやって例えば民が担うことができるであろうか、また、そのために準備として何が必要であろうか、今欠けているものは何なのであろうか。それをやってもらうためにどういうアプローチが必要で、場合によっては予算も含めた政策的な何らかの手当てが必要であるということがプログラムされていて、そこで、今このタイミングで、年限が来たがゆえにこの法案が出されていることは理解をしていますが、議論をすべきではないかなということを思うわけです。

 そもそも、今回の商工中金法の改正案が出てきているのは、今大臣からもお話がございました一連の政策金融改革のストーリーが、過去十年まで行きませんけれども、十年近くにわたって流れてきた流れの中の一環であるわけです。

 二〇〇八年の九月のあたりでいえば、政府系金融機関と言われるものがたくさんあって、そうはいっても政策金融としてやはり残さなければならない部分はあるという話が主に日本政策金融公庫に集約をされていって、きょう議論になっている商工中金であり、また別途提出されていると理解していますが、政投銀に関しては民営化をしていくという方針の流れの中に今位置づけられているというふうに私は理解をしているわけです。

 ここでお伺いをまずはさせていただかなければならないのは、この政策金融の改革の経緯を踏まえて、今、ここまで約十年弱ぐらい流れてきた基本的な方針があるかと思うんですが、ここは変更されているのでしょうか、それとも今までどおり変更されていないという理解なのでしょうか。ここは宮沢大臣でよろしいですか。

宮沢国務大臣 たしか平成十七年に方針を閣議決定したわけでありますけれども、実はその少し前から、自民党とか与党の中ではそういう方向の議論が二、三年にわたってされておりました。

 そして、そのときに何が起こったかといいますと、政投銀について言えば、本当に民になるつもりになって、いわゆる政策的な融資を本当にしなくなった。要するに、民間の金融機関ですら貸すと言っているものですら貸さないとか、商工中金におきましては、これは全体ではないかもしれませんけれども、私が見聞きした限りでは、ぐあいが悪くなった企業から退くのがとても早くなって、民間金融機関よりも早く退くような状況というのが実はその前の段階でありました。そして、一応法律が通ったことによってそれが少し落ちついてきて、ずっと今落ちついてきた状態、まさに政策金融としての機能を果たしているというのが今の状況だろうと思っております。

 そういう状況は繰り返してはいけないわけでありますけれども、先ほど申し上げましたように、十九年の法律制定時、そして二十一年、二十三年と、官から民へという発想は変えていないというところはやはりしっかり押さえた上で今回の法案を提案させていただいておりまして、基本的な方向は変わっていないというふうに思っております。

神山(洋)委員 大臣から、基本的な方向は変わっていないというお話がございました。

 さはさりながら、民営化をするという中で二度ほど先送りをされてきて、今回にあっては、危機対応業務というやはり大きなウエートを占める業務をどうするかということが一つポイントになっているのだと思うわけです。

 冒頭申し上げましたとおり、私は、何でもかんでも民営化をすることが善であって、そうじゃないものは全て悪だという二元論に立つつもりはありません。一連の経緯の中で、本当にここの部分は政策金融でやらなければどうにもならないのだという部分があるのであれば、それは明確に政策金融として今後ともやりますということをやはり明示するべきだと思います。一方で、商工中金に関しても、民業と同じようなことをやっている部分があるから、ここについては今までの路線どおり民営化をするんですというような識別があるのであれば、そこは今の大臣のお話に沿ったラインの中でも非常に理解をしやすいと思うわけです。

 しかし、今回提出されている法案に関して言えば、そういった部分が結論めいた形で、今後こうしていきますという方針が余り明示をされていない中で、それで期限の年限を外したりとかいろいろな形で延長するという中から、これははっきり申し上げれば邪推をしてしまうような、そういう要素があるがゆえに今この指摘をさせていただいているところでございます。

 今少し申し上げましたが、今回の商工中金法の改正に当たって、今大臣がおっしゃっていただいたような、基本方針はこれまでどおり変わりませんという方針の中で御検討いただいたということではあるわけですが、冒頭申し上げたとおり、今回のこの法改正の中で、では今後商工中金を、実際問題、どのぐらいの年限の中でどういう形にしていくんだという絵が具体的には見えづらいという状況があると私は思っています。

 ここでお伺いしたいのは、では商工中金をどういう経営形態にしていくのかということに関して、もう少し突っ込んだ幾つかの具体的な検討オプションがあったのかどうかということをお伺いさせていただきたいと思います。

 つまりは、危機対応業務の話をこの後させていただきますが、危機対応業務は、では今後どういう形で持っていくのか。商工中金はその危機対応業務の担い手として、政策金融もしくは全体の金融市場の中でどういう位置づけを持つのか。これはいろいろな組み合わせの中で、さまざまな政策オプションというのがあるんだと思います。

 そういう選択肢の議論もしくは検討があって、そして今回の法案提出に至っているのか、そういうことはまだ結論が出ていないから、とりあえずそれを考える時間が欲しくて、今回こういう形で法案に明記というか、少し時間を稼ぐような形で議論がされているのか、そこはどちらなんでしょうか。

宮沢国務大臣 当然のことながら、経産省の事務方でも相当な検討はしてきたはずであります。一方で、これは政投銀とも絡むということで、内閣府におきまして成長資金の供給促進に関する検討会というものが設けられまして、そこでも検討していただきました。また、自民党でも公明党でも御検討していただきました。また、経産省の中では、山際副大臣をヘッドにリスクマネーの供給といった検討はしてもらいました。

 そういう中で、どういう議論が事務レベルで行われたかということは私自身は承知をしておりませんけれども、少なくとも、私のところに来たのは今の案一つでございます。

神山(洋)委員 いろいろそこを突っ込みたい部分もあるんですが。

 大臣の先ほど来の御答弁の中で、やはり今回の商工中金のお話と別途提出されている政投銀の話が、ある意味、同列とまでは申し上げませんが、同じ土俵の上で議論をされてきたんだなということは類推をされるわけです。果たしてそこは本当に同列で語っていいのかというところに実は私は疑問を持っております。

 政投銀に関して言えば、これは政府出資一〇〇%なわけです。加えて、では、どういうところを対象に融資を行うかといえば、直近、一番わかりやすい話でいえば、東日本大震災以降、原発事故以降の、例えば東電に対して巨額の融資を行っていますという意味では、これはなかなか民間に背負いづらいという理屈はわからないとは言いません。

 一方で、では、商工中金に関して言えば、出資は、政投銀と比べれば、民間も入っていて、ほぼ半々という形です。政府出資は半分以下、四六%ぐらいだったと思います。加えて、融資をする対象は、先ほどの何兆円というロットの大きな話ではなくて、それぞれの中小の事業者に対する経営上の資金を融通するという、機能が全く違うわけです。

 ここで同じ議論をするのは、それぞれの改革のスケジュールの中でタイミング的に同じタイミングで動いてきていて、加えて、今回でいえば危機対応業務の話も一定部分かぶっているがゆえに同じような議論をするというのはわかりますが、本質的にそもそもそれぞれの金融機関がどういう目的で設立をされ今に至っているかということを考えると、これは全然同列に語るべきじゃないと思うんですが、大臣、その点はいかがでしょうか。

宮沢国務大臣 おっしゃるように、設立の趣旨も業務の実態も非常に違うわけであります。

 まさに、政投銀というのは、かつて開銀と言われて、日本の戦後の復興、高度成長等々を支えてきた銀行。一方、商工中金というのは、まさに、中小企業の中でやはり組合活動というのは大変大事だという視点から、それを応援するためにつくられた金融機関。そして、おっしゃったように、国の持ち株比率はもう既に半分以下になっているということで、大変違いがあることは確かでありますけれども、やはり、かつてから、いわゆる政策的な金融公庫、今は一本になっていますけれども、中小公庫、国民公庫、農林公庫等々というものの外縁にある政策金融機関という位置づけは、開銀も商工中金も同じだったんだろうと思います。

 そういう中で、今回は、危機対応業務というようなことで、同じ土俵で議論が進んでいるということで、もちろん違う点はありますけれども、政策にかかわる金融機関としての位置づけは割合似た部分があったから一緒に議論されているんだろうというふうに思います。

神山(洋)委員 政策金融の改革の一連のパッケージの中で、時限的にも年限的にも同じタイミングになっているという意味では、ある種、同列なり同じような土俵の上で議論をされなきゃいけない部分もあるのは、一部はあると思いますが、本質的には、その金融機関の目的なり存在意義というところからやはり議論をすべきじゃないかなというふうに思うわけです。

 先ほど来何度か既にもう御発言もいただいておりますし、今回の商工中金法の改正に関してやはりポイントになるのは、危機対応業務のあり方というところが大変大事な議論なんだろうと思っております。

 まずは、きょう政務官にもお越しをいただいていますので、危機対応業務のあり方について、今後、どういう基本方針を持っていらっしゃるかということをお伺いさせていただきたいと思います。つまりは、危機対応業務に関しての大事なポイントは何かというと、担い手が誰なのか、誰であるべきなのかという話だと思いますが、この点、どういう基本方針を持っていらっしゃいますでしょうか。

竹谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 今、神山先生から御指摘いただきましたとおり、危機対応業務におきまして重要なことは、その担い手を確保することでございます。

 これまでのリーマン・ショック、また東日本大震災の経験を踏まえまして、今国会に提出している法案によって、当面の措置として、商工中金と政投銀に指定金融機関としての危機対応業務を義務づけることとしております。御承知のとおり、現行制度のもとでは、商工中金や政投銀が指定金融機関であることを辞退して危機対応業務を休廃止することが可能ということになっております。これを改正いたします。

 その上で、今後、危機対応業務への民間金融機関の参加を促すため、手続の簡素化、また業務内容の明確化など運用改善を行って、状況を見きわめていく所存でございます。

神山(洋)委員 今、手続の簡素化そして運用云々の改善というお話がございました。

 今のお話を前提とすれば、危機対応業務というのは、現在は民間が手を挙げてくれる状況にはなくて、残念ながら政府金融で行ってはいるけれども、先々の方針という意味でいえば、民間に担っていただけるようにさまざま政策的な配慮を行っていくということだと理解をした上でなんですが、手続の簡素化であるとか運用云々の改善であるとかというお話がございました。

 果たしてそれだけで、民間金融機関が危機対応業務をやりますという形で手を挙げて、指定金融機関に指定をされて、そして、いざそれが必要になったときに、危機対応業務を民間金融機関が実行するという形になるでしょうか。私は、今お話を伺う限りでは、かなり疑問に思います。

 むしろ、そういうことではない部分が、今、民間金融機関が手を挙げられない理由としてあるのではないかと思うわけです。それを解決していくことが必要で、それがあって初めて、そしてそれが成功して初めて、今は残念ながら政府系金融機関の中で、政策金融という枠組みの中で危機対応業務を行っているわけですが、そうでない形をつくることができたという形になるのでしょうか。

 もう一度そこは御答弁いただきたいんですが、危機対応業務を民間金融機関にやっていただくようにするために、いかなる検討がなされているんでしょうか。

竹谷大臣政務官 お答え申し上げます。

 いかなる検討がなされているかということでございますけれども、昨年秋に開催された、政府の成長資金の供給促進に関する検討会等におきまして、民間金融機関では大規模な景気変動や自然災害の際における投融資というものが、通常のリスク、リターンの分析でははかり切れず、困難であるとの指摘がなされているところでございます。

 非常に難しいものであるということは重々理解されているところでございますけれども、繰り返しとなりますけれども、政府としては、先ほど申し上げました、民間金融機関が指定金融機関になるための申請手続の簡素化、指定金融機関の危機対応業務の実施要領のひな形を公表することなどによって、業務内容の一層の明確化といった措置を講ずることとしております。

 それとともに重要でありますのが、民間の経営判断による参画が可能な状況を実現していくことであると思います。そのために、危機対応に強い財務基盤、また、金融機関同士の緊密な連携による企業支援の実施等、中長期的な取り組みが必要であるというふうに考えております。

神山(洋)委員 私も繰り返しになって申しわけありませんが、手続を簡素化する程度で危機対応業務に民間金融機関が手を挙げるぐらいであれば、とっくに手を挙げていると思うわけです。そうじゃないから手を挙げてくれないわけで、そこのところの本質を議論しなきゃ、これは意味がないわけですよ。これは根っこの話からもう一段多分根っこを考えなければいけなくて、危機対応業務と言われている業務が社会的に必要なものであるということは私も重々理解をした上で議論をしています。

 だとすれば、一連の民営化の議論が二〇〇八年あたりから始まってきて今に至っているわけですけれども、その危機対応業務というものは、今までの議論の延長線上に乗っかって、果たして、民間金融機関でやってくださいということで本当にいいのか。そうでなくて、いや、これはどう考えても政策金融でしかできないのだという、どっちかそこは判断があって、次にどういう施策をとるかということになるべきではないかと思うわけです。

 今のお話をお伺いしている限りでは、危機対応業務が民間金融機関によって担われるべきであるという、そこはわかります。ただ、その前段のところで、民間金融機関が、果たしてオンビジネスの業務として危機対応業務というものを何らかの枠組みの中で担い得るのか担い得ないのかという、そこの判断がないんじゃないかなと思うわけですが、その点いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 いずれにしても、財務省なり金融庁なりで今後いろいろ検討していただくことになるわけでありますけれども、まず、二回延期したときには五年から七年というようなことがめどになっていたわけですが、今回はそうではないということ、それなりに時間がかかるだろうということを思っているということは事実であります。

 その中で、もう一つの大きな流れは、完全民営化を目指すという方針を堅持しているわけでありますから、その一方で危機対応業務というものも大事であるということも我々は言っているわけでございますので、民間が危機対応業務に出られるようなことを、既に今政務官からもお話がありましたけれども、今後やはり少し中長期的な目で、民間金融機関とも相談しながら、どういうふうにすれば出られるかというようなことも検討していく、それにはかなり時間がかかるだろう、こういうことだろうと思っております。

神山(洋)委員 どうやれば民間金融機関が危機対応業務をできるようになるかということを今後時間をかなりかけながら検討するのだというお話ではございましたが、そんなにかなりかけていいものかというところにも疑問があるわけです。

 それに関連をして、今回の法案の中で幾つか気になる点の一つではございますが、商工中金に対して危機対応業務の義務づけを行う、その義務づけを行う期間が当分の間というよくわからない日本語になっているわけです。

 今までは、これは民営化するのだというふうに言ってきて、民営化のアクセル、まあブレーキなのかわかりませんけれども、民営化のアクセルは踏んできたわけです。一方で、当分の間義務づけをしますと。つまりは、これは政策金融の中で危機対応業務をやるのだという意思にも見えるわけです。

 一年か二年かということまで細かいところは言えないのはわかりますが、今大臣のお話のあった、どうやって民間金融機関が危機対応業務を行うことができるようにするかという検討を行い、その政策を実施していくということに関して、ではそれは十年も二十年もかけてやるべきものなのかといったら、私はそれは違うんじゃないかと思うわけです。

 少なくとも、この間、七年間、八年間、政府系金融機関をどう再編していくかという議論が行われてきたスケジュール感からすれば、一年なのか三年なのかというところについては余り大きな議論は要しないかもしれませんが、五年か十年かわかりませんけれども、それを含めて当分の間ですというのは、端的に申し上げれば、どこまで本当にやる気があっておっしゃっているのかなということに疑念を抱くわけです。

 その意味で、この当分の間というものは、どういう意味で、どのぐらい、いつまでを念頭に置いていらっしゃってこういう文言にされているんでしょうか。

宮沢国務大臣 先ほど申し上げましたように、五年から七年でめどがつくというふうに、前二回の改正のときに我々も民主党政権も思っていたわけです。ただ、なかなかそういうわけにはいかないだろうな、かなり難しい仕事だなという認識があります。

 では、当分の間というのはいつかと言われますと、それはまさに、相当の民間金融機関が指定金融機関となり、危機時の資金対応が十分になされるめどがつくこと、さらに政府保有株式売却に当たっての中小企業などの既存の株主の資金的制約が克服されること等の条件が整うまでと考えておりまして、具体的にいつまでということではなくて、そういう状況が早く出現するような対策、政策を打っていくということであります。

神山(洋)委員 そこも先ほど来のお話と同じで、そういうある程度の一定のゴール地点を定めているのであるとすれば、ゴール地点にたどり着かせるために具体的に何が課題で、それに対して何をしなければならなくて、その課題を解決するためには、その政策を実行した上でどのぐらいの期間が必要だという見積もりがあって、それで、ではそれは一年じゃ無理ですとか、五年はかかりますよねとか、十年まではかからないでしょうという中で、例えば、では、今回年限を五までにしますという合理的な理屈があるのであれば、そこはよくわかるわけです。

 問題は、要は目的地にたどり着かせるための具体的なプロセス、方法論がない中で、年限を、もうちょっとかかりそうだからという感覚的な議論で、延ばしますとか、取っ払いますという話をしているから、わけがわからないという話をしているわけです。

 同じような議論にはなるわけですが、商工中金の政府による株式保有についても、今までは具体的な年限が数字で定められていたわけです。今回は具体的な年限は明記しないこととされました。

 ここでお伺いしたいのは、なぜ具体的な年限は明記をされないのでしょうか。

宮沢国務大臣 なぜ株式保有についての年限を明示しないかということになりますと、今の状況を申し上げますと、たしか資料もお持ちのようでございますけれども、政府保有株式を減らしていく方向、減らしていきます云々ということによって、商工中金自体の格付というものが下がるだろうということを言っているマーケット関係者が多くおりまして、それ自体、資金調達コストにすぐはね返る話でありまして、しっかりとした政策金融機関としての商工中金の対応が難しくなるということで、こういうことにしております。

神山(洋)委員 繰り返しになってしまうわけですが、このタイミングで年限が来るということは別に最近初めてわかった話ではなくて、もともと法律にも明記をされていて明らかであったわけです。だとすれば、本来は、そのタイミングに至るまでに次のステップをどう踏もうかという議論があってしかるべきであり、その方針がここでパッケージとして打ち出されるのが普通ではないかなと思うわけです。

 もちろん、過去二回の延長に関して言えば、リーマン・ショックという大きな経済的ショックがあったり、震災という大きなショックがある中で、それは地域の中小企業事業者に対して、円滑な資金供給をしなければ、やはり地域経済がぼろぼろになっちゃうよという中で、延長、先送りするというのは、これはやむを得ない判断だと私も思っています。

 ですが、今回に関しては、では、ここ一年、二年でよくなって、どこまでかは別としてですけれども、少なくとも、過去二回の延長理由と比して同等の経済環境であったかといえば、私はそれは違ったんじゃないかなと思うわけです。

 だとすれば、何でここまでさまざま、先ほど来幾つかありますけれども、議論が、検討が、先々の方針が、そしてそれを実行していくための具体的な政策のオプションが付された形で今回のこの法改正に至らないのか、疑問でならないというのが正直なところです。

 先ほど少し触れましたが、危機対応業務というものを本当に民間機関が担い得るのか、それとも場合によっては政策金融の中でしか担い得ないのかということは、私は正直、この時点では判断がついておりません。ですが、これは少なくとも政府として判断をした上でどうするかということがなければ、今後の道筋というのは描けないんじゃないかなと思うわけです。

 例えば、これは一つの考え方ですが、今の危機対応業務は、商工中金もしくは政投銀によって行われているわけですが、その前段に日本政策金融公庫があって、ツーステップローンで行われているわけです。日本政策金融公庫においても危機対応業務は行うことができるというふうに書いてあるわけです。では、日本政策金融公庫で危機対応業務を行うことができるのであれば、何も商工中金であるとか政投銀をかませなくても、要は、ツーステップローンじゃなくて、ワンステップローンだって、構造としては、これは現時点で法律上できるかどうかは別の議論ですが、やるというスキームだってあり得るんじゃないかと思うわけです。

 冒頭少し議論をさせていただいた、政策金融は民業補完に徹するのであるという原則を維持した中で、例えば危機対応業務に関しては、民間金融機関では、いつ起こるかわからない危機対応業務のためにチームをつくっていくというのはオンビジネス上難しいですという判断が仮にあって、それはやはり政府金融じゃないとできません、政策金融じゃないとできませんという判断が仮にあったときに、では、商工中金もしくは政投銀の中にある危機対応業務の機能は、もともと政策金融として必要なものを集約していた金融公庫の方に統合するという考え方も論理的にはあってしかるべきではないかなと思うわけです。

 そういった議論がこれまで、もしくはそういった検討がもろもろある中で、今回こういった法案が出てきているようにはどうしても思えないわけですね。

 今の点も絡めながらですが、まずは政務官に一つ事実関係的な形でお伺いしたいんですけれども、政策金融公庫による危機対応業務と商工中金による危機対応業務はどう違いがあるでしょうか。

宮沢国務大臣 私も実は役所におりましたときに、商工中金と国民公庫、中小公庫を担当しておりました。

 政策金融公庫と商工中金は機能においてかなり違っておりまして、いわゆる国民公庫の流れをくむ政策金融公庫の融資というのは、それほど大きくない額を融資するということ、それから、中小公庫の流れをくむ融資というのは、基本的には政策目的に沿って限度額が決まっていて、その限度額以内を融資するというようなことでありまして、政策金融公庫自体、まず基本的には、メーンバンクとしての機能、企業自体の全体を把握して、短期資金に至るまで資金繰りをするという機能はないわけでございます。一方、商工中金についてはそういう機能があって、それぞれの立場に違いがある中で危機対応業務を進めていく、こういうことだろうと思います。

神山(洋)委員 現状において機能が違うのは、当然そうなんだと思うんです。

 先ほど来申し上げているとおり、政策金融としてしかできない領域が本当にあるのであれば、それはきっちり政策金融でやりますということを明示すべきだと思うんです。一方、ここの部分は政策金融ではなくて、民間補完にもならないので、これは民営化をしますという形ですっきりさせた方がいいんじゃないかという前提で実は私は申し上げているところです。

 今回の法案の後のことを考えたときに、商工中金は、そういう意味でいうと、危機対応業務という、いわば政策金融的な公の機能を残します。一方で、御案内のとおり商工中金は預金等々を含めてフルバンキングの機能も持っているわけです。そこに対して、政府出資が四六%という形で半分弱入っています。先ほど来申し上げた、民間企業とのイコールフッティングをする、民間金融機関の補完に徹するのだという原則に照らし合わせたときに、そこにはやはりそごが出てくるんだろうと思うわけです。

 途中で大臣からも少しお話がございましたが、商工中金の財務の問題というのは、これは確かにあるでしょう。それをどうするかということは、また具体的に、ではどうできるかということぐらい考えていくべきだと私は思うんです。

 お配りさせていただいた資料二枚目の上のところに、これは中小企業庁だったと思いますが、いただいた資料があって、仮に商工中金の政府保有株式を処分した場合にはこのぐらい格付が下がるんですよというお話です。どこまでこれが実態に照らし合わせて正しいのかわかりませんが、そういう傾向はもちろんあるんでしょう。裏を返せば、現状は政府出資があるがゆえに格付が上がっていて、それがあるがゆえに、さまざまな資金調達等々を含めた形で、これは民業と比較をすればではありますけれども、げたを履かせてもらっているという状態だと思うんですね。

 いずれにしても、これは中途半端だと思うわけです。必ずしも、私は、商工中金は要らないとか、民営化してしまえとか乱暴な話をするつもりはなくて、冒頭申し上げたとおり、地域の経済、中小事業者、小規模、零細を含めて考えていったときに、本来は、これは民間金融機関のところで潤沢に、円滑にさまざまな資金供給が行われてしかるべきだと思いますが、やはりそこにはまだ戻り切っていないという議論が先ほど来あるわけです。

 そういう意味でいえば、民間では賄い切れない資金需要もしくは与信、こういったところを賄っていく、公的金融で補完していくということは、少なくとも現時点においてはこれは否定できないと思っています。しかし、こういう形で中途半端な状況を、当分の間、しかも年限は外します、いつまでやるかはよくわかりません、検討も一年かかるのか三年なのか十年なのかもわかりませんというのは、私はこれはよろしくないんじゃないかなというふうに思うわけです。

 特段、これは反対したくてこういう議論を申し上げているわけではなくて、きちっと、いいことはいい、だめなことはだめだ、やるべきことはやるんだ、やれないことはやれないんだということの整理整頓をした方が、私は、禍根を残さないだろうし、恐らく、商工中金で働いて一生懸命やられていて、かなり有能な方も多くて、いろいろな機能が多いというお話も聞いていますが、現場の方々にとってもその方がいいんじゃないのかなという前向きなことを思っているわけですが、大臣はその点はどうお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 午後またいろいろ質問を受けるわけでありますけれども、やはりこういうものはやめて民間にもっと近づけろという御意見も持たれている党はあるし、また一方で、商工中金はがちがちの政策金融機関としてもう少しはっきりしろ、こういう御意見もあるわけです。私どもは、したがって、二十一年に一回延ばしたとき、そして民主党が二十三年に延ばしたときと同じでありまして、要するに、民間の危機対応業務をするように早く出てきてほしいという気持ちは持っているわけであります。そういう中で、完全民営化を目指すという方針を決めている。

 ただし、おっしゃいますように、過去二回の延長を経ても、そう易しい話ではないということもすっかりわかっておりまして、委員おっしゃるように、そういうことであるならば、そういうものを、早く出られるような努力を政府としてもやっていかなければいけない。ただし、今現在、危機対応業務というものが必要なことは確かでありまして、そういうことで今回法改正をお願いしている、こういうことだろうと思っております。

神山(洋)委員 残念ながら時間が来てしまいましたが、最後に大臣がおっしゃっていただいたように、方針が定まっていて目的地が定まっているのであれば、その定まった目的地にどうやって持っていくことができるのかという具体策のところがやはり今欠けているんだという問題点は少し指摘をさせていただいて、本日の質疑を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。四十分間おつき合いをいただきたいと思います。

 きょうから新年度、四月一日、前回も質問に取り上げましたけれども、新しく買う軽自動車については軽自動車税が引き上がる、あるいは介護保険でいうと要支援切りというものが始まる。いろいろな負担増というものが政策的にきょうからスタートするということで、新年度、爽やかな気持ちでスタートできるわけでもないということで、国民の間にはいろいろな思いがあるんだろうと思います。

 そして、きょう四月一日から数えてちょうど二カ月後ということになりますけれども、法案に入る前の質問ということでおつき合いをいただければありがたいと思うんですが、経済産業省令が、六月一日に新しくスタートするものがあります。これは、商品先物取引における不招請勧誘を禁止するという法律を乗り越えて省令で適用除外をつくるという規制緩和の省令が、ちょうど今から二カ月後にスタートするということについて取り上げたいと思います。

 これは、ことし一月二十三日に決められた、先物取引における不招請勧誘の禁止の例外を定める省令の変更ということで、例外を定めるというのは、つまりは先物取引の勧誘の規制の緩和をする、これは今申し上げたとおりでございますけれども、問題は、この変更が、今配付をいたしました資料の一をごらんいただければわかりますように、法律では不招請勧誘というものは禁止をされているにもかかわらず、法律より当然下位にある省令で、禁止をされている不招請勧誘行為を解禁するというようなものであるわけであります。

 立法府にいて法律の素人だというのも言い方が適切かどうかわかりませんけれども、法律で禁止したことを省令で例外を定めるということは、適切なことなのでしょうか。大臣、御答弁をいただければと思います。

宮沢国務大臣 もちろん、法律で一律に禁止すると書いてあって、それを省令で禁止を除外するということは、これは法律論としてはあり得ないわけでありますけれども、商品先物取引法におきましては、不招請勧誘の禁止の対象とされている勧誘行為のうち、「委託者等の保護に欠け、又は取引の公正を害するおそれのない行為として主務省令で定める行為」につきましては不招請勧誘の禁止の対象外としておりまして、現在でも、ハイリスク取引の経験者への訪問または電話による勧誘を認めている旨を主務省令で規定しております。

 そういうことで、法律に根拠のある省令でございます。

中根(康)委員 法律に根拠のある省令、法律に省令で定めるものについては例外扱いしてもいいというふうに書かれているから、省令で法律の一般規定を乗り越えることができるという御説明であったわけなんですが、もちろん法律にそう書いてあればそういうことなのかもしれませんが、この不招請勧誘を禁止するということについては、国民の大変な被害というものがあって、それを再発させない、国民の利益を保護する、こういう最も大切な観点から決められたものであって、決して瑣末なものではないし、当然ささいなものでもないしということでありますので、まさに法律そのものというか、法の精神そのものであるというような感じがしておるわけであります。

 これを法律に定められているからという理由だけで、だけでと言っては、法律のことですから、だけでということはないのかもしれませんが、そういう理由で不招請勧誘というものを解禁するということについては、今大臣の御答弁にもかかわらず、依然として大変疑問が残る気がいたします。

 これはまた、きょうは商工中金法案の審議でございますので、余り時間をかけてもいけませんので、消費者特あるいは一般質疑、こういった機会を通じて議論を進めていきたいと思いますけれども、もう少しだけこの問題についておつき合いをいただければと思います。

 今申し上げましたように、この省令の改正の問題は、消費者保護の観点に立つ変更であるとは思えないというところに、どうしても疑問が幾ら説明されても残るということでありまして、商品先物市場の活性化のための変更である、こういう商品先物市場の活性化という観点からの変更であって、消費者保護という観点がどうも置き去りにされているのではないかというところに疑問が残る、あるいは問題意識があるということで、ぜひ御理解をいただきたいわけであります。

 大臣、もう一度お聞きいたしますけれども、商品先物市場の活性化、規模の拡大、出来高をふやしていくということは、もちろん日本の経済にとって必要であろうとは思いますけれども、しかし、不招請勧誘を禁止したそのときの消費者保護という観点からして、その消費者保護の観点を置き去りにしたとも言われているようなことでもございますので、そういう消費者保護の観点を置き去りにしているという批判に対しては、大臣、どのようにお答えになるでしょうか。

宮沢国務大臣 商品先物取引、商品先物市場につきましては、これから非常に大事になってくると私ども思っております。

 と申しますのも、電力の卸売市場をしっかりと整備しなければいけないとか、また、世界に先駆けてLNGの先物市場といったものを整備して、LNGというのは値段がかなり高どまりしているというようないろいろな問題がございまして、そういう市場も育てていかなければいけないという意味で、商品先物市場のこれから持つ重要性というのは大変増してくると思っております。

 一方で、この商品先物の業界というのは、過去いろいろな問題を起こしてきたことも確かでありまして、投資家保護ということはしっかりやっていかなければいけない。そういう観点から、今回は、消費者庁ともよく相談をいたしまして、年齢、年収、金融資産などの観点から、勧誘できる対象を限った上で、理解度確認、熟慮期間などの厳しい手続のもとで限定的に見直しを行っていることに加えまして、これらの限定に違反する場合は行政処分や業者の自己計算といった厳しい制裁を設ける、そういう形で行おうとしております。

中根(康)委員 資料二というものをぜひごらんいただければと思います。

 二〇一一年に不招請勧誘の禁止が導入をされたということでございますが、これは経産省がこの省令改正についての説明資料として使われたものでありますけれども、つまりは、二〇一一年に不招請勧誘が禁止されてから国内投資家の取引量が減少しているということを説明するために、このグラフが使われているようでありまして、上の説明書きのところにも、「国内投資家からの取引は、勧誘規制の強化のため大幅減少」、特に「過去三年間で約五割、ピークから約六分の一に減少」というふうに説明されているわけであります。

 ただ、これを見てわかるように、不招請勧誘の禁止だけが取引量の減少の理由ではなくて、さかのぼれば、二〇〇七年に広告規制の強化がなされた。さらにさかのぼれば、二〇〇五年に再勧誘禁止規定が導入をされた。こういう一連の、ある意味、それぞれ、その時々、投資家保護の観点から、被害者救済というか再発防止、こういった観点から導入された規制がこの減少につながっているわけであって、必ずしも不招請勧誘の禁止ということだけが理由ではないわけであります。

 にもかかわらず、今回、不招請勧誘の禁止というものに限って省令の改正で規制を緩和する、解禁をするということについては、どのような理由でそういったことが行われるんでしょうか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 委員おっしゃられるように、取引量が減ったのは、不招請勧誘の禁止だけではなくて、再勧誘の禁止など、もろもろの規制強化等々が重なってきたものでございます。

 その際に、では、マーケットが縮小する中で、どういう規制を見直すかといった場合に、ほかの分野との比較、諸外国との比較ということを行いました。その際に、不招請勧誘の禁止までやっている分野というのは、金融のほかの分野ではございません。不招請勧誘の禁止というのは、ほかの金融分野に比べてもぬきんでて厳しい規制になっています。また、諸外国を見ましても、不招請勧誘の禁止までしている例というのは、他国を見てもほとんどない状況でございます。

 そうした他分野との比較、他国との比較を見ても、不招請勧誘の禁止というのは非常に厳しい規制でございますので、二年前の規制改革実施計画の中で、この不招請勧誘の禁止について、もちろん顧客保護に留意しながら、市場活性化の観点から見直すということになったものでございます。

 私ども、ほかの、例えば再勧誘規制であるとか、そうしたもろもろの規制を緩和しようというつもりは全くございません。

中根(康)委員 今、最後のところで、再勧誘の禁止であるとか広告規制の強化については、これを緩和する考えは持っていないという御答弁であったわけであります。それと同時に、それに先立つ御答弁では、他国と比較してぬきんでて厳し過ぎるから、ここだけは緩めてもいいのではないかということであります。

 しかし、他国と比べて厳しいとか厳しくないとかということではなくて、当然、そのときの投資家保護、投資家の被害、こういった実態に応じて、必要に応じて不招請勧誘というものが禁止をされたということからいえば、他国と比べて厳し過ぎるからという観点で規制を緩和するということは、投資家保護の観点からすれば必ずしも妥当なものとは言えない、簡単に、はい、そうですかと納得できる理由ではないような気がいたしております。

 引き続き、資料三でございますけれども、東京商品取引所の取引量が、これも他国との比較でありますが、国際比較で見て低下をしているということを説明するために使われた、経産省が示した資料であります。

 つまりは、これらの資料を示しながら、不招請勧誘の禁止をして縮小した商品先物市場を回復させる、拡大させるために、今回、あえて、法律で禁止されているものを、下位の省令を変更して不招請勧誘の例外要件をつくって、事実上、電話勧誘であるとかあるいは訪問勧誘などを解禁しようというものであるわけでございます。

 そもそも、日本の商品取引所で出来高が減ったというのは、個人顧客への電話あるいは訪問勧誘が厳しくなったことのみではなくて、むしろ、市場そのものの魅力づくりや、あるいは改革、市場のプロ化というようなものがおくれたりと、さまざまな要件が指摘されているわけでありまして、日本の市場が縮小したのは不招請勧誘の禁止が大きな理由とは決して言えないというふうに思いますけれども、大臣、日本の商品先物市場が縮小した理由をどのようにお考えでしょうか。

寺澤政府参考人 先ほど委員御指摘があったように、不招請勧誘の禁止があっただけでマーケットが縮小したわけではなくて、歴史的には、再勧誘の禁止規制、これが入ったことによってマーケットが大きく縮小したというのが歴史的経緯でございます。

 ちなみに、委員の方から、他国との比較だけではよくないんじゃないかという御指摘がございました。もちろん、消費者のトラブルを見きわめた上で、今回、検討しているわけでございます。かつて確かに、商品先物というのはトラブルが多かったわけでございます。それもあっていろいろな規制が強化されたわけですけれども、そのトラブルのピークに比べて、今のトラブルというのは九七%減っているわけです。ピークが一〇〇として今は三なわけです。不招請勧誘の禁止が入った時点で、既にピークから九四パーまで下がっていたわけです。そういうふうにトラブルが減ってきているということを踏まえて、今回、見直しをしているわけです。

 他方、委員が御指摘されているように、決して規制の問題だけではございません。今回の規制の見直しだけではなくて、私ども、マーケットの活性化のためには包括的な取り組みが必要だと思います。

 例えば、マーケットの幅を広くするということで、先ほど大臣から御説明がございましたように、総合的なエネルギー先物市場をつくる。具体的には、電力先物取引とかLNG先物取引をやっていく、これはマーケットの拡大になります。あるいは、外国人の投資家をどんどん入れていくということで、外国の取引所との連携強化をしたり、外国の投資家が直接日本のマーケットに投資できるように、相手国の認可を取る。その認可はアメリカも香港もシンガポールもドバイも既に取りました。さらに、商社とかエネルギー企業といった当業者が入ってくるために、いわゆるヘッジ会計の見直しを進める。

 このように、今回の規制の見直しとあわせて包括的な取り組みということをすることによって先物市場全体の活性化を図っていきたいと考えている次第でございます。

中根(康)委員 今の御答弁だと、取引量が減った最大の理由は再勧誘の禁止であって、不招請勧誘の禁止というのはそう大した問題ではないというふうにも聞き取れたんですが、違いますか。

 であるとするならば、大臣が先ほど御答弁された、これも資料に実は後でつけてあるんですけれども、資料四につけてあるんですが、重層的な委託者保護、ここまでやる必要もないような微々たる不招請勧誘の禁止の効果であったということなのかもしれませんが、これは、まあいいです。

 ということでございますので、不招請勧誘の禁止をした、その当時の投資家トラブル、被害者救済に対する行政や政治の問題意識、こういったものを置き去りにしたまま、いたずらに不招請勧誘の禁止が商品先物市場の縮小の原因だと決めつけて悪者扱いするというのは、どうも筋違いではないかというような気がするわけであります。

 規制というのは、もちろん必要な規制と緩和しなければならない規制がそれぞれあるわけなんですが、こういったものはある意味必要な規制であって、こういう必要な規制によってむしろ市場に信頼が確保されて、それがひいては活性化につながる。逆に言えば、不招請勧誘の禁止を、例外扱いしてこれを解禁するということによって、またさまざまな投資家トラブル、被害が生じて市場そのものの信頼や信用が損なわれてしまいかねない、そのことが市場の縮小につながってしまうのではないか、今までの繰り返しのようなことにつながりかねない今回の省令改正ではないかというふうにも思えるわけであります。

 そもそも、東京商品取引所の地位が国際比較からして大変低下をしたということでございますけれども、今回の省令の変更でどれぐらい市場の出来高がふえると経産省としては見込んでいるのか、あるいは、二〇一三年に十三位であったものが何位ぐらいまで順位が上がると考えているのか、御答弁いただければと思います。

寺澤政府参考人 お答えします。

 今回の省令改正の効果を定量的に示すのはなかなか難しいわけではございますけれども、これによって顧客基盤が広がって、マーケットの活性化へ向けて一定の効果があると大いに期待をしています。

 世界におけるランキングの問題でございます。

 もちろん、上位に上がりたいわけでございます。ただ、これについては、先ほど申し上げたように、今回の規制見直しだけじゃなくて、電力先物市場をつくる、LNG先物市場をつくる、外国投資家をふやす、消費者やエネルギー企業にどんどん入ってもらう、総合的な取り組みを強力にやることによって、マーケットを活性化し、ぜひ日本のマーケットの地位を高めていきたいと考えている次第でございます。

中根(康)委員 定量的に示すことが困難だという御答弁でございますが、そのあたりのところが、ある程度見込みというか、検討された結果でなければ、投資家保護を大きく損ねるような今回の省令改正でありますので、消費者、投資家の皆様方はなかなか納得できるものではない。

 これだけ出来高がふえる、したがって、日本の経済や市場がこれだけ活性化するという、まさに今おっしゃられた、定量的な数字や見込みが、目標が示された上であれば議論の俎上に上るのかもしれませんが、そういったものも示されないで、何となく不招請勧誘を禁止したことがマーケットを縮小した原因ではないかということだけで、何となく的な感じで、しかし、結果的には、不招請勧誘の禁止を例外扱いすることによって、この資料四に示したように、これだけ重層的な保護をしなければ投資家が守られないような事態に投資家は直面をするということにもなるわけでありますので、これだけ重層的な保護をしなければならないような状況を招くようなものについては、やはり定量的なというか、何か目標とか見込みの具体的な数字とか、こういったものが示されなければならないと私は考えるところでございます。

 資料四の重層的な委託者保護についても取り上げたいと思います。

 これは、重層的な保護というふうに書いてありますけれども、その分厚いと言われている、実は一番その入り口のところを解禁するということでありますので、結果的に、勧誘を招請していない人に対して電話をしたり訪問したりできるようになるということでありまして、取引の開始の要件の、この重層的な保護という言葉には、その実効性について大変疑問が残るわけであります。

 例えば、よく言われるように、申告書を業者が書いたり、真ん中あたりにテストをするということでありますが、テストだって、これは前もって何らかの形で解答を教えてしまったり、幾らでも不正が予想されるわけであります。

 やはり、投資家保護を置き去りにして、これまでの被害実態というものをあたかも忘却したような形で、市場の拡大ということだけを目指して、しかも、その市場の拡大というものが定量的な目標が示されないということの中においては、ちょうど二カ月後、六月一日にこの省令が施行されるということでございますが、これは先送りをしたり、あるいは省令の変更というものは撤回をしたりということが必要だという声も国民の間には少なからずあるわけでありますが、大臣、この点はいかがお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、最初からお話がありました、法律的に問題ではないかという話につきましては、申し上げたとおり、しっかりと内閣法制局で審査を受けておりまして、法律的な問題は一切ないということは申し上げられると思っております。

 そして一方で、重層的な委託者保護でも漏れはあるじゃないか、こういう話がございました。

 まず、この重層的な保護につきましては、業者から接触できるだろうということは、それは事実でありますけれども、その後、ここに書いてありますようないろいろな流れがございまして、相当に厳しいものだなと私自身も思っております。

 そして、先ほど申し上げましたように、違反する者が出てこないということは、それはあるのかもしれません、違反する者が出てくることはあり得るわけでありますが、そのときには、行政処分や業者の自己計算といった厳しい制裁という形まで用意をしてある。

 先物取引といったものがやはり日本経済にとってこれからもさらに重要になってくるという要素と、そして投資家保護を徹底的に図るという折り合いをつけたものだというふうに思っております。

中根(康)委員 この問題については、また引き続きほかの場面でも議論をしていきたいと思います。

 次に、信用保険法についての議論に入りたいと思います。

 政府は、安倍内閣は、この四月から、介護報酬の二・二七%の大幅な削減を決めたわけであります。四月からは、人気のあるデイサービスやホームヘルプサービスが総合事業ということになって、介護保険から切り離されて、これがいわゆる要支援切りと我々が言っているものでありますが、自治体事業になって、多くの自治体では、デイサービスやホームヘルプサービスの報酬単価の切り下げが検討されている。こういった面でも、介護報酬の引き下げあるいは要支援切り、こういったさまざまな面から介護事業者の経営というものは大変圧迫をされているということであります。

 賃金水準が低い介護業界は、ただでさえ、景気回復に伴って、ほかの業種に人材を奪われて人手不足となって、この人手不足という面からも経営が厳しくなっているということであります。

 報酬の削減、要支援切り、人手不足、いろいろと、これからの高齢社会あるいは認知症が大変ふえていくという状況の中で、極めて重要な役割を担う介護事業所の倒産や休業や廃業などがふえかねない状況を政府みずからがつくっているということであろうと思います。

 資料五というものを配付いたしましたけれども、これでもわかるように、介護事業所は、この数年間、大体五%程度がNPOによって担われている。

 それから、資料六によれば、二〇〇五年から二〇一四年の十年間で休業、廃業、解散となった介護事業所のうち二六・六%がNPOである。

 それから、資料七というものは、これは新聞記事でございますけれども、特に、NPO、小規模事業者が人手不足、介護報酬の切り下げで倒産に追い込まれているということがわかる記事であります。

 それから、八、九と引き続き記事を添付させていただきましたけれども、これも、介護報酬の引き下げ、あるいは小規模デイサービスの資金繰りというものが介護報酬の引き下げによって悪化している、こういう記事であるわけでございます。

 このように、政府による介護報酬の引き下げや要支援切りによって、NPOなど小規模事業者が担う介護事業を直撃し、大変なダメージが与えられているということがわかるわけであります。介護事業所が地域でなくなってしまうと、これは介護難民ということにもなる、あるいは要介護度の重度化ということにもなる、家族の方々の介護離職という深刻な事態にもなるということでございます。

 資料十、これは法案の説明資料でございますけれども、NPOを、今回、これは午前中からずっと議論になっているわけでありますが、中小企業と同様に信用保証の対象とするということでございます。

 この資料によりますと、中小企業と同じようにというようなことでございますが、こういう介護事業、民主党としては、医療や介護の分野はこれからの成長分野だ、雇用創出効果の高い分野である、また地方を支える分野であるというふうに考えているわけであります。

 したがって、NPOの資金繰りを支援する法律の改正というものはある意味歓迎をするわけでありますけれども、この資料を見て、これは午前中からの答弁もありますけれども、必ずしも事業というふうにもなかなか言えないようなNPOの活動であっても、例えば、介護も今成長分野だと申し上げましたけれども、物をつくったり売ったりということではないということであります。

 あるいは、きょうから生活困窮者支援制度というものもスタートいたしました。こういった中においては、就労支援であるとか、生活支援あるいは相談支援、子供の学習支援、あるいは山梨などで取り組むフードバンクというようなもの、こういったいわゆるビジネス系ではないNPO法人も今回の信用保険の対象になるということかどうか、改めて確認をさせてください。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、介護事業につきましては、中小企業信用保険法第二条に基づき、同法施行令第一条第一項に定める対象外業種に該当しないため、信用保険の対象となっております。ということですので、今般NPO法人が信用保険の対象になることから、NPO法人が介護事業を行う場合には信用保険の対象となります。

 あと、委員御指摘のように、中小企業と同様に事業活動を行うということがメルクマールになりますが、委員も御指摘のように、介護事業は中小企業、零細企業もまさに事業活動として相当に行っておりますので、実際に付保されるかどうかというのは、その事業性、返済可能性とか、そういったものが審査に付されるということになると思います。

中根(康)委員 もう一度確認いたしますけれども、介護事業は対象になる。では、例えばNPO活動で生活困窮者支援などを行う学習支援だとかフードバンク、こういったものも決して対象外ではなくて、それぞれの事業性を審査しながら対象となり得るということでよろしいですね。うなずいていただきましたので、それで結構でございます。

 それでは次に、もう時間もなくなってきましたので、商工中金の法案について質問をさせていただきたいと思います。

 まず資料の十一、これは民主党の経産部門に経産省からお示しをいただいたもので、そこに月給を書き込んだものでございます。

 例えば、社長さんは月百九十五万九千八百七十二円の役員報酬がもらえるという規定になっていて、平成二十七年の三月時点では、経産省の事務次官出身の杉山さんという方が社長になっている。同じような見方でございますが、副社長は国税庁の長官の木村さん、それから、常勤監査役のうちの一人は大蔵省の北陸財務局長御出身の大森さんという方が今ついておられるわけで、それぞれ、副社長だと百七十八万五千円、常勤監査役だと百四十二万八千円という役員報酬が支払われているということでございます。

 この状況を見て、これは商工中金の一定の役員が天下りの指定席になっているというふうに見えないこともないわけなんですが、大臣はいかがお考えですか。

宮沢国務大臣 商工中金は株式会社でありまして、民の保有株式比率が五四%ということでありますので、まさに多数は民間の方が持たれている株主が選ばれた結果、こういうふうになったんだろうと思っておりますし、一方で、当然のことながら、私どもはあっせんということは許されておりませんので、あっせんをしたこともございません。

中根(康)委員 たまたま、優秀な人材を探したら、役所のOBだったということなのでしょうか。

 それでは、商工中金にはグループ会社も幾つかある、七社一組合があると資料十二でお示ししてありますけれども、ここに対する役所出身の方の再就職状況というのはいかがなっているでしょうか、御説明ください。

北川政府参考人 お答えいたします。

 二十七年四月一日現在、商工中金の子会社である七社一組合につきまして、国家公務員のOBは在籍していないものと承知しております。

中根(康)委員 わかりました。ありがとうございます。

 その点は安心を、安心をしたとは申しわけない、天下りが全部悪いというわけじゃないんですけれども、指定席となっていたり、慣行、慣例となっていたりというようなことがあると、やはりそれは必ずしも適材適所ということではなくなってしまうわけでありますので、その意味で安心をしたということでございます。

 それで、資料十三、商工中金の概要という資料でございますけれども、完全民営化をするのかしないのか、する気があるのかないのかという議論が先ほど神山議員からもあったわけでありますけれども、政府が持つ株の割合が四六%であるとか、危機対応準備金が千五百億円であるとか、あるいは特別準備金が四千八億円であるとかということでございますけれども、それぞれ、もう時間がありませんので、例えば四六%という数字は、どういう根拠で政府は四六%、例えばこれが三〇%だったり二〇%だったりすると、危機対応というのは十分できないのかどうなのかというようなことを含めて、御答弁いただければと思います。

宮沢国務大臣 四六%というのは、結果としてこうなったということでありまして、この数字を目指してやったとかいうことではなくて、国及び組合及びその構成員という方が出資する権限といいますか、出資することができるわけでありますけれども、一方で、民間の方も、中小が多いとなると、なかなか、出資する負担というのも決して楽なものでもないというような状況の中に、結果的に四六パーに今なっている、こういうことでございます。

 そして、四六パーでなければいけないのかどうかということになりますと、まず、危機対応業務自体は別途のお金等々ございますから、国の出資比率とは直接には関係ないんだろうと思っております。

 ただし、一方で、国の出資比率というものがこれだけ、四六パー、五〇パー近くあるということにおいて、商工中金は基本的には債券を金融市場で発行して資金調達をしておりますけれども、その債券の格付というものが高くなっているということは事実でございまして、商工中金自体が、やはりある意味で、こういう国の出資比率があることの結果、それなりの低いコストの調達ができて、それが民間の中小企業に融資等されていく、こういうことで、政策的な意義があるんだろうと思っております。

中根(康)委員 最後の質問になるかもしれませんが、資料十四、これは経産省、財務省の連名で報道発表されたものでございますけれども、右側の方に商工中金についてのものがあるわけでありますが、商工中金に関するところの第二段落のところに、「民間による危機対応が十分に確保されると見込まれるまでの間、」というようなことが書いてあるわけでありますが、この間、新規の出資できる期限を延長するというわけでありますが、これは、何となくこの書き方は人ごとのような感じがするわけであります。

 むしろ、民間による危機対応が十分に確保されるように、これも午前中にあった議論でありますけれども、経産省が力強くリードしていくという必要があるんだろうと思います。

 それから、その後何行か進んでいきますと、これも指摘のあったところでありますが、「これらの措置を行っている当分の間、政府は、」「必要な株式を保有します。」というように書かれているわけでありますけれども、この当分の間というものもやはり、本当に完全民営化をするのかしないのか。

 別に、完全民営化がそれでいいというわけでは、それで百点満点というわけじゃないんですけれども、するのかしないのかという政府の方針がよくわからないわけでありまして、するならするで、期限をやはり区切らないと、なかなか物事というのは進んでいかないわけであります。

 当分の間ということであると、結局しないのかなというようなことなのかもしれないしと、この辺のところが大変わかりにくいわけでありますので、これははっきりさせた方がいいような気がいたします。ここは朝から議論になっているところでございますが、私の立場からも、とてもわかりにくい、するのかしないのか、やはり幾ら説明を聞いてもわからないということであると申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 落合貴之でございます。

 本日も、維新の党のトップバッターとして質問をさせていただきます。

 私の実家は、町の個人商店、零細企業でございます。かつて、日々の支払いだけでなく、その日に暮らす現金もない、私の学費も払えないかもしれない、そういったことも実家ではございました。その中で、公のセーフティーネットに助けられたということが何度もありました。

 中小企業金融の重要性、セーフティーネット、これも認識しておりますし、銀行員時代、特に入行したころは、毎日中小零細企業を回っておりました。

 そういった経験も踏まえまして、本日は、内閣によって出されました株式会社商工組合中央金庫法及び中小企業信用保険法の一部を改正する法律案について、質問をさせていただきます。

 今まで商工中金法には、政府が持っている四六%の株を、ことしの四月から、五から七年後を目途に全て処分するというふうに規定がされておりました。今回の改正案では、期間の記載がなくなって、早期処分義務というふうになっております。

 それから、商工中金が危機対応業務を実施することが責務であるというふうに明記をされます。危機対応とは、リーマン・ショックや東日本大震災を理由に、中小企業向けに政府から利子補給などがある特別な貸付業務を行うことです。

 まず、商工中金の民営化についてですが、第一次安倍政権の二〇〇七年の春に成立した政策金融改革関連法案により、二〇一三年度から二〇一五年度に完全民営化すると記載がされました。このとおりに行われていたら、本年度にはもう完全民営化されているわけですが、リーマン・ショックを機に、四年先送りになりました。そして、東日本大震災を機に、またさらに三年先送りとなりました。

 そして、今回は、私としては、今までのリーマン・ショックや東日本大震災のようなきっかけはなかったと考えていますが、完全民営化の期限さえなくなって、できるだけ早期にという文言に変わりました。

 この期限を明記しなかったことは、完全民営化へのトーンがかなり後退しているようにも思えます。必ず完全民営化するという方針は変わらないか、大臣に改めてお伺いをさせていただければと考えております。

宮沢国務大臣 二〇〇七年に、今の政投銀と商工中金について方針を規定した法律が成立したわけであります。そして、一年後、正確には一年半後にリーマン・ショックが起こって、二年後に、当時は麻生政権でありましたけれども、期限を延期して、その上で五年から七年をめどに株式を売る、こういうことが規定されました。

 そして、その後、二年後の二〇一一年の大震災を受けまして、これは民主党政権でありましたけれども、また期限を延長して、今回、その期限が来るのがきのう。きょう以降、株式を売る、こういうようなことになっているわけであります。そして、延長したときには、やはり完全民営化ということは基本的に守った上で、五年から七年程度で株式を売却するということを決めております。

 今回も、やはり基本的なところでございます完全民営化ということにつきましては、しっかりとこれは守った、堅持をした上で、二回の延長を経てある程度よくわかってきたことは、民間金融機関に危機対応業務というものをやってほしいわけですけれども、なかなかやってもらえないということ。我々もこれについてはこれからも努力をしていきます。

 しかし、では、五年から七年程度でできるかというと、まだそこまでは、正直言って、どこで実現するかということについてはなかなかめどがつかないという中で、当分の間という形にさせていただいた。したがって、完全民営化という方向については、これは麻生政権以来、民主党政権も含めて、持ってきた方向についてはいささかも揺らいでいない、こういうことであります。

落合委員 ありがとうございます。

 普通、民間企業でも家庭でもそうですが、何か目標をつくったときはいつまでと期限をつけろ、これは親からも上司からも教えられることでございます。期限がない目標は目標ではない。民間企業に危機対応をやらせようというのであれば、その努力の期間、期限は切るべきだ。これは、この問題だけでなく、全ての仕事において言えることでございます。

 この問題、所管大臣として、リーダーとして期限は切るべきだ、役人の方が期限がない原案を持ってきたとしても大臣がリーダーとして期限を切るべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 今申し上げましたように、二〇〇九年以降、そういう方針のもとでやってまいりましたけれども、残念ながら大変難しい状況がいろいろあるということがわかったわけであります。もちろん、前回同様、五年、七年というようなことに、何年以降五年、七年というようなことにするということは一応の理屈としてはあるんだと思いますけれども、私としては、やはり今の状況を勘案すると、まだ、民間金融機関が危機対応業務ができるような状況になるまでは、正直言ってめどが立たないという状況でございます。もちろん、それに向けての努力はいたしますけれども、期限を明示するということはなかなか難しいことだと思っております。

落合委員 期限を切ることがなく、そして民営化する条件もいろいろとたくさんある。これは、こういったことですと、いつまでたっても、結局は政府が決めた完全民営化に動き出すことができません。

 今までの答弁、私も過去二回質問をさせていただいておりますが、商工中金は、フルバンクですとかいろいろな機能を持っている、公庫などと違ってメーンバンクにもなる、だから商工中金は中小企業にとって重要なんだというような答弁もいただいております。

 昨年末の時点で、商工中金が貸し出しをしている取引先のうち、商工中金からしか借りていないという会社は全取引先のうちの三・四%。五〇%を超えている会社を全部合わせても一三・二%です。したがって、メーンバンクにしていると思われる数は一割ちょっと。これを、メーンバンクの機能があるからといって、やはり中小企業金融の維持強化のために商工中金が重要なんだというのは、私は、商工中金以外の危機対応業務の方策を考えなければならないというふうに思っております。

 違う角度から商工中金について伺わせていただきます。

 先ほども天下りについての質問がございました。商工中金のディスクロージャー誌、二百ページ近く。じっくり読ませていただきました。役員報酬の対象役員が十六名。経済界も含めて、いろいろな経歴のいろいろな方が役員になられております。

 先ほどもありましたが、代表取締役社長が元経産事務次官、副社長が旧大蔵省で国税庁長官を務められた方、常勤監査役が大蔵省の方。これらの監督官庁出身の大物の方々が、時期は違いましたが、歴代同じポストにつかれている。これは、国民の目から見ると、あっせんがないというふうには、私は納得しないことだと思います。

 それから、今政府が持っている株が四六パー、民間が過半数をとっているんだから民間に役員人事の主導権がある、そうおっしゃっておりましたが、政府が四六%株を持っていれば、あと五%ぐらいが賛同すれば過半数へいってしまうわけです。それぐらい政府の力というのは大きい。

 これで先ほどの説明では、天下りについて国民は納得しない、そのように思うんですが、いかがでしょうか、大臣、この問題は。

関大臣政務官 ただいま御質問いただきました件につきまして、まず前提としまして、国家公務員の再就職につきましては、国家公務員法上、いわゆる天下りあっせんというのが禁止されておりまして、当然のことながら、商工中金につきましてもその例外ではございませんので、まず、そのような国家公務員法上の天下りあっせん禁止という項目はきちんと守られているというのを前提に考えていただいた上で。

 今落合委員のおっしゃられました商工中金の代表取締役社長及び副社長の人事につきましては、商工中金の社内におきまして、人事委員会の諮問結果を踏まえます。これは、中小企業の代表者や社外取締役という方々が委員をされているわけですが、その諮問結果を踏まえました上で、これも先ほど大臣からお話がございましたように、民間出資者が過半を占めております株主総会で取締役が選任されました後、取締役会におきまして代表取締役が選定されていく、こういった適切なプロセスを踏んでおるのが実態でございます。

 また、商工中金法におきましても、主務大臣の認可が必要とされております。特に、代表取締役社長につきましては、閣議の口頭了解プロセスを経るという形がありますので、その点からもしっかりと責任を持って決定がされております。

落合委員 ありがとうございます。

 では、参考までに伺いますが、商工中金の従業員が約四千人、その中で、退職公務員、民間企業を挟んでいたりするわたりの場合も含めて、人数はどれぐらいいらっしゃいますでしょうか。

関大臣政務官 お答え申し上げます。

 商工中金には、現在十六名の退職国家公務員が一般職員として勤務をいたしております。

 これらの職員につきましては、ホームページ上の中途採用募集に応じられた方がいらっしゃいます。また、ハローワークや退職自衛官紹介所等に商工中金が求人を出しまして、それで書類選考や面接など、本当に適切なプロセスを経て採用されております。

 また、先ほども申し上げましたけれども、国家公務員の再就職は、国家公務員法上のいわゆる天下りあっせんが禁止されておりますので、この点につきましても、一般職員につきましても同じように天下りあっせんは行われていないと承知をいたしております。

落合委員 また、参考までですが、現役出向している公務員の方はいらっしゃいますでしょうか。

関大臣政務官 商工中金には、現在三名の国家公務員が出向していると承知をしております。

 なお、国家公務員の現役出向でございますが、相手先の経営陣による、現役の公務員の専門的知識や経験を活用したいという意向を踏まえております。国家公務員法や官民交流法に基づいて実施されておりまして、これも適切に運用がされていると承知をいたしております。

落合委員 今、株を、過半数まではいきませんが、半数近く政府が持っております。政府が株を手放したら人事も政府の思いどおりにならない、だから手放さないんじゃないかと言っている国民も多数いるわけでございます。

 こういう人事の状況、今のお話ですと自主的に決めたということですが、組織を監督している立場としても、やはりこの状況を変えていかなくては国民の理解は得られないと思います。ぜひ、役員人事含め、人事の問題、行動をお願いしたいと思います。

 続きまして、近い将来完全民営化をするということに、遠い将来かもしれませんが、完全民営化をすることになります。その際に、政府は、具体的に株式を処分する、手放すことになります。その保有株式の処分の仕方について伺いたいと思います。

 今、商工中金の株式の保有は、組合金融ですので、構成する中小企業団及び構成員に限られております。仮に今政府が保有している株式を今の株主たちで均等に引き受けるとなりますと、一株主当たり六百万円ぐらいになってしまいます。取引先の中小企業が追加で六百万円ずつ引き受けるメリット、まあそこまで余り考えられないわけですが、十年前の二〇〇五年に商工中金は将来の完全民営化が決まっております。

 この完全民営化に向けて、十年間いろいろな下準備はされてきたと思いますが、政府が保有している株式を具体的にどういう手段で処分をするのか、その処分方法は検討されていますでしょうか。検討されていましたら、処分方法、内容を教えていただければと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 現在、商工中金の株式は、毎月、中小企業者の応札といいますか、それに応じて売買がされておりますけれども、今後どうするかという点でございます。

 それから、株式の処分でございますけれども、まず、今回の法律改正の趣旨でもございますけれども、民間金融機関が指定金融機関となりまして危機時の資金対応ができるかどうかという、中小企業側にとって非常に重要な問題でございます、これができるかどうかという外的要件。それに加えまして、買う側、中小企業者側の資金的制約が克服されて、政府が持っている株を買えるようなめどが立つかどうか、こういったことを考えながらやっていくものと考えております。

 また、株式につきましては、中小企業の資金余力を考慮しながら、一方、政府保有株式は国民共有の財産でもございますので、国庫収入という観点からも、状況を見ながらその最大化を図るという観点も踏まえて検討していきたいと考えております。

落合委員 次に、財務内容についてなんですが、附則第二条の三に、民営化する判断基準に財政基盤という文言も入っております。

 商工中金は、最新のディスクロージャー誌を見ましても不良債権比率が上がっている。それから、比率自体も同時期の地銀平均よりも大きい。そして、全債権のうち三分の一以上が要注意債権、これも民間銀行と比べると三倍ぐらいという答弁もありました。要注意債権、破綻先、実質破綻先、破綻懸念先を足すと四割近く。正常債権が六割ちょっとしかございません。

 この財務体質が悪化していることについて前回質問しましたが、副大臣より、収益性ももちろん大切だが、商工中金がセーフティーネットの役割を十分発揮してきた結果であり、商工中金の危機対応業務利用先約四万七千者のうち約九五%が売り上げ増加や従業員増加等の改善を実現しましたというふうにお答えいただきました。

 この数字がどこかに詳しくあるかなと思いまして調べましたところ、昨年の十月に行われております経済財政諮問会議の第二回成長資金の供給に関する検討会で商工中金が提出をしている資料にありました。

 九五%もが経営を向上させたというその資料をよく見てみますと、二〇〇九年度と二〇一三年度で比べております。二〇〇九年度というのはリーマン・ショックでほとんどの企業の業績が劇的に悪化したときでして、その後、多くの企業が持ち直しています。マクロで見ても、二〇〇九年が一番底で、がくんと下がっている。そこを起点にして、急回復した後の時期と比べている。

 また、この九五%の数字の中身ですが、売り上げ、営業利益、付加価値、納税充当金、設備投資、従業員数、信用格付の中のいずれか一つでも向上している企業、全部ではなくて七個もある項目のうち一つでも向上した企業となっております。

 これは、同じデータをほかの地銀はとっていなくてわかりませんが、普通にマクロの指標を見たら、ほとんどの企業がこの七個のうち一つは上がっているんじゃないか、そのように思いますが、この数字についていかがお考えでしょうか。

山際副大臣 これにつきましては、前回もお答えしましたけれども、そもそもセーフティーネット機能ということを考えますと、リーマン・ショックがあったときに商工中金が融資をするセーフティーネット機能をもし果たさなかったら、仮にの話でございますけれども、その企業は本当に存続していたのか、そういうレベルでの話をしなくてはいけないんだろうと思っております。

 ですから、当然、言ってみれば倒産するかしないかという本当にぎりぎりのところから始まって、七つのうちの一つの条件だけが上がったから、それをもって万々歳だというようなことを考えているわけではもちろんございませんけれども、少なくともセーフティーネット機能が果たされた結果として、少しずつではありますけれども上向いてきている、そういう中での売り上げあるいは格付等の諸条件がランクアップしたというふうに私たちは認識してございまして、そのような観点から、セーフティーネット機能がきちっと果たされてきたということでございます。

落合委員 もしそういう目的であるのであれば、もう少し納得できる数字の出し方、九五%というのはすごいことではありますけれども、もっと厳しい基準で、五〇%の企業がとか、六〇%の企業が、このようにやるべきじゃないかなと。ちょっと誇大広告というような数字の出し方なのではないかというふうに私は考えます。

 次に、商工中金の貸出先の中身ですが、ここ数年で物すごく大きく変わってきています。商工中金の貸出残高自体は九兆円台でここ数年推移していますが、危機対応業務等にかかわる貸出残高は、二〇〇八年は三千八百四十五億円、リーマン・ショックのあった翌年は二兆に膨らみました。一番最新でわかっている二〇一三年末では、全貸出残高九兆四千八百八十四億円に対して、四兆二百四十九億円も、危機対応業務に関する貸し出しの残高が占めてしまっています。五年で数%から四二%にまで貸し出しの割合がふえている。

 これは、もう十年前に完全民営化が決まっている金融機関にここまで一つの業務をやらせるということは少し不健全ではないか、そのように考えます。四割まで危機対応業務に関する貸し出しがふえている、このことについていかがお考えでしょうか。

山際副大臣 これもまた、裏返して言うならば、政府系金融機関以外の民間の金融機関が政府系金融機関と同じように危機対応のセーフティーネットの業務を仮に引き受けてくださっていたならば、違った絵姿になったんだろうというふうに思います。

 実際に、委員御指摘のように、大変今、言ってみれば安全性の低い、リスクの高い貸し出しというものは比率としてふえておりますけれども、それは累次にわたって毎年毎年ふえていっているものなのか、それともフローとしては減っていっているものなのか、そのトレンドを見ていくべきだと思うんです。

 トレンドとして見るならば、危機対応のために貸し出している金額というものは、例えば平成二十一年度には二・三兆円ございましたけれども、平成二十五年度には一・四兆円と確実に減少してきてございます。もちろんストックは積み上がっておりますからまだまだ多いですけれども、フローの部分が減っていけば、当然ながら、時間を追うに従いましてリスクの高い貸し出しは減っていくものというふうに承知してございます。

落合委員 最初の方で、大臣より、完全民営化の旗はおろしていないというふうなお話をいただきましたが、財務状況を見てもかなり、これは政府が手放せば、先ほどの質問にもありましたが、格付も大変厳しいものになる、そうなると資金調達もできない、これは自立がかなり難しい状況に資産の内容がなってしまっているのが現状でございます。

 不良資産が大きい割には、財務諸表、ディスクロージャー誌を見てみますと、自己資本比率がどうも大きい。何でこんなに自己資本比率が高いんだろうというふうに思いまして、調べてみますと、株式会社化の際に政府出資金などを資本に振りかえておりまして、その分が四千億円ちょっとございます。これは商工中金の資本のうちの半分近くを、いわば公的資金がもう既に入って、そして高い自己資本比率を保っている。財務体質をよくしていくということは、民営化の旗をおろさないのであれば、本気で考えなければならない問題であるというふうに思います。

 商工中金のように民営化が決まっている金融機関は、政府が完全民営化を決めたわけですから、民間と同じように、なるべく独自の経営判断、貸出先も人事も行えるようにして、そのかわりにほかにも信用保証制度や公庫があるべきですから、そこで危機対応機能を拡充することをまず考えるべきだと思います。

 結局、インターネットなどで調べましても、ブログなどでよく国民が意見をしているのは、天下り先を確保したいから民営化させないんだという意見が大変多い。この懸念を払拭するためには、何か行動していかなくてはなりません。ぜひ対応を御検討いただきたいと思います。

 これで質問を終わらせていただきます。まことにありがとうございました。

江田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 維新の党、木下智彦でございます。

 前回に引き続きまして質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 きょう、また通告にないところから始めたいと思うんですけれども、きょうも、午前中、民主党の田嶋委員、今ちょっといらっしゃらないですけれども、非常にいい指摘をされていたんですね。そこで、ちょっとその辺についてお話しさせていただきたいんです。

 田嶋委員が言われていたのは、信用保証協会への地方自治体の出捐額というのを一覧で出されていました。その中で、神奈川県であるとか岐阜県というところは、県以外に、横浜市、川崎市、それから岐阜県であれば岐阜市といったところが、それぞれ信用保証協会の団体を持たれている。これはちゃんと集約するべきじゃないかというようなことをお話しされていたんですね。

 私もまさしくそうだというふうに思っております。実は、私の選出させていただいている大阪では、昨年の五月から、大阪府と大阪市の各、大阪府信用保証協会、それから大阪市信用保証協会、これを合併いたしまして、私どもの代表、今最高顧問になりました橋下徹、それから大阪府知事の松井一郎、その二人の方で二重行政の解消をやっていくんだという一つのあらわれとして推進してきたという形でございます。こういうことはやはりしっかりとやっていただきたいなと。

 ここで言うのもなんですけれども、民主党の方々、大阪では、二重行政解消の大阪都構想、これについて一部反対されているんですけれども、もう少しその辺は理解を示していただいて、すばらしい話だなと。ここで、今いらっしゃらないのであれですけれども、与党の中にも、大阪選出の方三名、この委員の中にもいらっしゃいますので、よくよく御理解いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。

 それでは、本題に入らせていただきます。余計な話をしまして、申しわけございません。

 きょう、朝から聞いておりまして、特に午後からお話しされていたことは、私、きょう質問しようと思っていることとほとんどかぶっております。どう考えても、期限の問題が明らかにされていないということ、それから、どういうふうな条件になったら実際に民営化されるのかということが、どうしてもちょっと腑に落ちないというのか、はっきりしないというのでは、私ども、ここで言うのもなんですけれども、まだこの法案はこれじゃちょっとだめなんじゃないのというふうに思っているんですね。

 そこをもう少し掘り下げてというのか、整理して、時間がないのでお話しさせていただきます。

 そもそも、リーマン・ブラザーズの破綻から発生した世界金融危機、それから東日本大震災による大規模経済危機が理由という形で言われています。ただ、では、それと同じだけの金融危機、経済危機が、今、果たして中小企業の中でまだ起こっているのかどうか。これは、安倍総理が強調されている、アベノミクスの中で着実に景気が上向いているというふうにおっしゃられているところで、どういうふうな相関性があるのか。

 これが、どうしても、私も聞いていてそうですし、国民の皆さんも、まだちょっと、えっ、いいのかなというふうに思われていると思うので、その辺について、もう少しこの相関性をクリアにしていただきたいと思うんですけれども、その辺、コメントいただければと思います。

宮沢国務大臣 今の状況については、ここでも何度も申し上げましたけれども、マクロ全般としては緩やかな回復をしてきていることは間違いないわけであります。一方で、地域地域、業種業種、または企業の大小等々でいろいろ異なる状況が出てきております。

 特に中小企業につきましては、円安といった問題が一番大きいだろうと思いますけれども、仕入れ価格、原材料価格が高くなる一方で、これを転嫁し切れていないというような状況も各地で見られておりまして、恐らく委員のところにも、大変厳しい状況の中小企業、零細企業からお話が来ていると思います。

 一方で、リーマン・ショックとか大震災といったような、千年に一度と言われたり百年に一度と言われたような話ではないことはまた確かであります。

 では、今危機かどうかということでありますけれども、当時、まさにこの最初の法律が制定されたときに、委員会でもいろいろそういうやりとりがされております。災害の規模の大小ではなく、やはり、その地域における企業にとって存亡を左右するようなものは押しなべて危機対応の危機であるという認識でよろしいですかという野党、民主党の議員の質問に対しまして、政府側から、御指摘の、危機対応の危機でございますけれども、これは非常に幅広いものというような質疑がございまして、先ほど申し上げましたように、中小企業にとりましては、決して今易しい状況ではないというふうに思っております。

木下委員 それゆえに今回の法案だ、私はそう理解してはおります。ただ、ちょっと、ううんと思うところがある。やはり期限の問題と条件ですね。

 これは、国民の目線で見ると、よく、私がこの法案について地元でいろいろ話を聞いていると、消費税については期限をぴちっと決めています、でも、そのかわり景気条項については何も決めていないというのか、条件がクリアしていてもしていなくてもというような感じに捉えられてしまう。それですらそうなのに、これについてはもっとしっかりとした条件、どういうふうになれば民営化されるのか、それから期限はどうかというふうな目標があってしかるべきなんじゃないかなというふうな意見が相当多いんですね。

 それからもう一つ、では、そもそも、どうして民営化を言われていたのか、どういうことを考えて民営化というふうに言われていたのかというところが、私もちょっと疑問を感じざるを得ない。というのは、理屈が合わないんじゃないかなと思うんです。

 というのは、もともと民営化の話が過去あったときには相当な議論があった。ちゃんと大改革をしていくんだ、金融機関の健全化に資するような形の大英断をしていくんだというふうな形で相当与党の中でも議論があった。相当厳しかったというお話を聞いています。それでできたことについて、今回こういうふうに延ばすというのであれば、明確な期限であるとか条件というのが出てもいいんじゃないかなというふうに思っているんです。

 そこで、もう一度聞きます。そもそも、なぜ民営化の道に進もうとしたのか、こういうことについて端的に教えていただければと思います。

宮沢国務大臣 やはり、小泉内閣のころから行政改革ということに大変熱心に取り組んできておりまして、その中で、政策金融につきましてもいろいろ議論が行われました。私自身も随分参加をしておりました。

 そういう中で、やはり官から民へという大きな流れの中で、政策金融の見直しを図るということで、たしか平成十七年に大きな方針が決まり、そして、いわゆる政策金融公庫といったようなもの、また政投銀、商工中金についての方向が決まって、十九年に法律が通った。そして完全民営化をする。そして、期限が二十一年だったんでしょうか、ちょっと年数は。ともかく、何年度以降、株式を五年から七年で売却する、こういうことが決まったわけであります。

 そして、その後起こったことがまさにリーマン・ショックであります。また、その後起こったことが大震災であります。そして、そのたびに、完全民営化はやる、しかし株の売却については後ろ倒しをするというようなことを決めて、その期限が、期限といいますか、ことしの四月以降、株の売り払いをする時期に入っているというときに、今回の法案を提出させていただいたわけですけれども、完全民営化自体はこれまでの流れで必要なことだと思っております。

 ただし、一方で、何年度から株を売り払って五年から七年と言っている中で、いわゆる民間金融機関による危機対応業務といったものをある程度やってもらえるだろうというような想定をしながら、最初の法律をつくり、一回延ばし、二回延ばしたわけでありますけれども、残念ながら今に至ってもその萌芽が出てこないという中で、今回の検討をしたわけです。

 これは、これから我々も、恐らく我々というよりは財務省であり金融庁というところが多くなると思いますけれども、そういうものに民間が出られるような、いろいろなことをしっかりと努力をしていただかなければいけないと思っております。ただ、一方で、では五年から七年で同じように想定できるかというと、なかなかそこがまだわかりにくいねということで、当分の間というふうにさせていただきました。

木下委員 民営化は必ずやらなきゃいけない、その一言、本当にぜひよろしくお願いしたいんです。

 そこで、民間金融機関がちゃんと危機対応をできるようになるまでというふうに言われていましたけれども、実際、できるんですか。これもきょうずっと言われていた話です。私は、これは、今までもできなくて、これから先も、危機がいっぱいあったからというのもありますけれども、これは相当難しいですよね。誰が考えても難しいと思うんです。

 ましてや、両方の考え方があると思うんですけれども、今、商工中金、日本政策金融公庫もそうですけれども、民間の金融機関と協調した形で融資されているところが結構あります。両方とも、今、数字をいただいたんですけれども、九七%以上もしくは九六%以上という形で、協調した形でやられている。協調といいながら個別で契約されているものもあれば、本当の協調融資、シンジケートローンというふうなこともあるんですね。

 それを見ていても、民間金融機関はリスクをこのままではとらないですよ。このままやっていても、政府がやっているから、もしくはこういう機関がやっているから、だからうちも乗っておきましょうというふうにしかならないと思うんですね。これをこれから先も続けていっても、ずっとこのまま変わりはないだろうということを私は思っています。

 それから、ちょっとついでですけれども、今の協調の融資に関して一部の人が言っているのは、協調融資してもらえるんだろう、シンジケートローンだろうと思って、商工中金に声をかけてもらったと。融資してもらったんだけれども、ほかの一般金融機関は、それをもとに融資を受けた方は自分の資金繰りを考えていたんですけれども、民間金融機関が途中で引き下がってしまったというようなこともあるらしいんですね。

 やはり、何か、これが常態化しているために、たまにそういうことがあったら、それで苦しんでしまうような人たちが出てくるということですので、そこについてもう少し施策を考えていただきたいなと思っております。

 これについては前回も同じようなお話を大臣の方からいただきましたので、そのまま飛ばします。

 それからもう一つは、商工中金の融資先である組合に、これも先ほどちょっとありましたけれども、大企業というのか、一部上場企業も相当入っている。平成二十一年度の会計検査院の指摘も、同じように、大企業に対しても何か中小企業と同じような利率で融資みたいなことをやられているという指摘があったりして、改善はされていると思うんですけれども、今の時点で、どれぐらいの規模で、それらに対する融資を大規模企業に対してされているかというところをお願いします。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

北川政府参考人 大企業向け融資のお尋ねでございます。

 商工中金法では、組合及びその構成員が対象であれば、大企業であっても加入組合の構成員であれば融資を受けることが可能でございます。

 数字でございます。東証一部上場企業への貸出先数は、全体の〇・三%に当たります二百十社程度でございます。残高は、総貸出残高の二・五%、二千三百四十七億円となっております。

 また、いわゆる法定中小企業以外の中堅・大企業向けの貸し出しは、全体の二・二%、千六百四十社、残高は九・八%、九千六百九十七億円となっております。

木下委員 まだあるということですね。

 その比率は非常に低いです。ただ、これがどういう意図でそういうことが許容されているのかというところがそもそも私は問題かなと思っております。そもそも、中小企業に対する金融機関であるべきところが、なぜこういうふうなことが行われているのか。いわゆる脱法的な行為なんじゃないかというふうに、私の周りでも言っている人間もおります。

 これについては、後に控えております鈴木委員の方からもう少し詳しい話があると思いますので、私からは以上にさせていただきます。

 よろしくお願いします。

富田委員長代理 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 きょうは、お三人の政務三役の方の顔を朝からずっと拝見していると、早く終わらないかなというような顔をされているんですね。なぜなのかなというふうに思って答弁をお聞きしていたんですけれども、同じ話を繰り返されるんです。

 結局、今の安倍総理が就任されて二年ちょっとたつんだと思うんですけれども、そのときの公約というのは経済再生だったんですね。何でかんで経済をとりあえず再生させて景気をよくするんだ、そこから来ているので、いろいろな問題を抱えながらも、日切れ法案という位置づけもあって、何でかんでこれの先送りをどんどんしていかないと経済再生につながっていかないんじゃないかというふうに思って答弁をされているのかなと思いながら、顔を拝見していたんですけれども。

 だから、なぜ日切れ法案なのかとか、先ほどから、午前中から午後にかけて、できる限り早期にというこの文言が、どうしても霞が関用語だ、こういうふうに言われるわけですね。

 要するに、危機対応業務とか成長資金の供給、これは、リーマン・ショックがあろうがなかろうが、過去を振り返ってみたときに、バブルがはじけたときに、あれだけ日本じゅう大騒ぎしたときに、金融機関を含めて資本注入をどんどんやったんですよね。それで何とかこの危機を乗り切ろうじゃないかといって、乗り切った過去があったと思うんです。

 だから、今まで、リーマン・ショックがあって、三・一一の東日本大震災があって、危機対応が大事なんだからということを繰り返し御答弁されるんですけれども、既にもう、法案をいじる必要もなく、結局、危機対応ができちゃっているわけですよ。なぜそれなのに危機対応、危機対応という言葉を繰り返し繰り返しされるのかというところが、ちょっと腑に落ちないんですけれども。

 そこもあわせて、できる限り早期の、できるという時期が永遠に来ないとすれば、これは先ほど五年から七年を目途にというふうにおっしゃっておられるし、条件を明示して民間にやってもらったらどうだろうかと言いながらも、過去にもう危機対応をしてきているにもかかわらず、なぜそういう文言を法案の中に挿入されるのか、それをすごく強調されるのか、まず大臣にお尋ねしたいと思います。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

宮沢国務大臣 なぜ危機対応業務を義務づけたのかという御質問だと思いますけれども、現在の法律では、株式会社日本政策金融公庫法に基づきまして、商工中金は、申請手続を行わずとも危機対応業務を実施する指定金融機関として、みなし指定されております。一方、公庫法二十五条に基づきまして、届け出により当該対応業務を廃止することが法律上認められております。

 そういう中で、現状におきまして、いわゆる危機対応業務を民間金融機関が行うということは事実上困難であるということで、当分の間は、責務として、要するに、危機対応業務を商工中金に義務づけるという法改正を行おうとしているものであります。

鈴木(義)委員 そうしましたら、バブルがはじけた後の金融機関に資本注入したときは、どういう意味合いで危機対応をされたのかなと。私もちょっと勉強不足なので、あのときはどうだったのかということですね。もしお答えできれば。

宮沢国務大臣 今、商工中金で議論しております危機対応というのは、これは借り手の方の危機でありまして、震災とかリーマン・ショックによって世界経済が冷え込むといったようなことで、借り手の側に大変危機が起こったときの対応ということであります。

 バブルがはじけたときは、正確に言いますと、恐らく九七年の後半からアジア金融危機が起こって、バブルの傷がある日本の金融機関が、例えば三洋証券が潰れるところから始まって、日債銀、また長銀等々、山一証券まで潰れるというような中で、金融機関といったもの、金融機関自身がまさにバブルの大変な痛手をこうむっている中で、資本注入を金融機関に対して行ったものでありますから、その金融危機と今申し上げている危機対応とはちょっと対象が違うんだろうと思います。

鈴木(義)委員 リーマン・ショックのときも危機対応だったわけですよね。だから、同じじゃないかと思うんですよね。違うんですか。御答弁いただけるんですか。

宮沢国務大臣 リーマン・ショックのときは、私、ちょうどリーマン・ショックが起こったときに、与謝野大臣のもとで内閣府の副大臣をしておりました。

 二〇〇八年の秋にリーマン・ショックが起こったわけですが、実は当初は、我々、大臣も含めて、かなり軽く考えておりました。といいますのも、リーマン・ショック自体はまさにアメリカの金融機関であり、ヨーロッパの金融機関がえたいの知れない証券をたくさん持っていて、経営基盤が危うくなったということでありますが、一方で、日本の金融機関は、先ほど言った、九〇年代後半から、またバブルのこともあって、あつものに懲りてなますを吹くような状況でありまして、余りそういう怪しげなものには手を出していなかったということで、日本の金融機関は世界で最も健全でありました。

 したがって、リーマン・ショックは、これは金融危機の問題だけれども、日本の金融機関は全く無傷であるかほとんど無傷であるから、この問題は対岸の火事ではないかというぐらいのことを思っていたわけです。

 ところが、その後起こったことは、アメリカで、ヨーロッパで物が売れなくなった。特に自動車が売れなくなったということで、あっという間に日本のメーカー等々に大きな影響が来たのが半年後ということで、恐らく一番影響が大きかったのは日本の経済ということになってしまったということで、ちょっと状況が違うと思います。

鈴木(義)委員 ここで押し問答していても先に進まないので、では、商工中金の中身の話をお尋ねしたいと思います。

 まず、商工中金の株主については、中小企業の協同組合以下、幾つもの組合とその構成員が株主になるんだというんですけれども、ここで、全体的に、先ほども株を持っている企業さんのお尋ねがあったかもしれませんけれども、簡単に、何団体で、どのぐらい株を持っている会社があるのか、お尋ねしたいと思います。

北川政府参考人 株主の総数でございます。これは、中小企業組合が二万二千組合、それから構成員企業が約四千社ということでございます。

鈴木(義)委員 その中に、組合員の中でも結構です、構成員の中でも結構なんですけれども、中小企業の定義を超える規模の企業が含まれているのか、含まれていれば、どういった会社が含まれているのか、教えていただければと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 法定中小企業以外の企業につきまして、いわゆる中堅あるいは大企業でございます、これは二百五十社含まれております。全株主のうち一%程度、総株式の三%程度になっております。

鈴木(義)委員 インターネットで資料を引っ張り出したら、大株主のものが全部決算と一緒に公開されているんですね。この中に、財務大臣というのが一番、四六%の株を持っている。そこに、〇・二四%ぐらいからずっと、普通株式を持っている大株主というのが羅列されているんですけれども、この中に、何とか協同組合だとか事業組合みたいなところはこれはこれでいいんでしょうけれども、これは一般の民間の会社なんだろうなと思って、二社ぐらい大株主さんがいらっしゃるんです。

 一社が、東銀リース株式会社。これはネットで検索すると、東銀リースというのは、何か大手の銀行さんの一〇〇%子会社なんですね。こういった企業さんが商工中金の大株主に名前を連ねるというのが果たして、商工中金の趣旨からは外れちゃっているんじゃないかと思うんですね。その辺はどう考えておられるのか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 現在、商工中金の株を保有しています大企業、今の御指摘のところもそうでございますけれども、全て、中小企業組合の構成員として入られておって、組合そして商工中金との関係の中で株式保有に至ったものと認識しております。

鈴木(義)委員 もう一度確認したいんですけれども、大株主に東銀リース、資本金が五十億五千万、売り上げが一千百八十七億三千三百万、従業員が六百二十七人なんです。通常、これは大企業ですよね。

 これに次いで、国に次いで、これは個人名を出しちゃっていいのかちょっと、ネットで公開されていますからいいんだと思うんですけれども、株式会社珈栄舎というところが、二〇一四年の売り上げが百五十九億八千万、従業員の数が百九十四名なんです。こういった方がやはり株主に名を連ねるということが本当に商工中金の、何と言うんですかね、最初の考え方からだとちょっと逸脱しちゃっているんじゃないかと思うんですよね。

 なおかつ、何年かの公開されている資料を見ていくと、この珈栄舎というところと、若干違う信用組合もあるんですけれども、株がどんどんふえていっているんです。

 これは、商工中金のホームページ、引っ張り出すと、「株式の売買」と書いてあるところに、「商工中金の株式は、以下の方法により、売買を行うことができます。」と。相対売買なんですね。取り扱っている証券会社は野村証券、本支店で扱っていますと。

 このページの次を見ますと、基準価格というのが出ていまして、これは平成二十六年十月十五日で基準価格が百五十二円、約定価格が百六十円で、約定数量が百十七万八千株なんですね、これは公開されていますから。

 これは、基準価格百五十二円になっているんですけれども、実際、ではこれは額面幾らの株なのかというふうにお尋ねすると、百円なんだそうです。百円の株を百五十二円で売り買いしたり、これは平成二十七年の三月十六日だと百五十四円で取引されているわけですね。

 ここまで株の公開もしながら、なぜこの株主の大株主のところに大手企業さんの名前が連なっちゃうのか、不思議でならないんですけれども、それは許されるべきものなのか、それは必然だったのか偶然だったのかわかりませんけれども、その辺はどうなんでしょうか。

北川政府参考人 二点お答えいたします。

 一つは、株の約定の議論でございます。これは、純資産を参考にいたしまして、総株式で割りまして基準の価格を出して、それをめどとして売りと買いを出していただいて、毎月一回値決めをしていく、こういうプロセスをとっているわけでございます。

 その上で、なぜ大企業の株主がいるかということでございます。これは、一つは、先ほど申し上げました中小企業組合の構成員として大企業も連なることが法令上許されておりますので、そういった格好であるのが一つ。もう一つは、もともと中小企業だった方が、会社が大きくなって中小企業の枠を外れているという場合もあると考えております。

鈴木(義)委員 商工中金の法律の改正に当たって、すごく強調されることが三つあるわけですね。一つは危機管理対応ができること、それと期限を定めないこと、中小企業のためなんだということなんです。

 これもネットで公開されていますから、株主の配当が一株当たり、政府以外というんだから、今私の方で例示をさせてもらったところも含めてなんでしょうけれども、平成二十五年、二十四年も含めて、三%の利回りを出しているんです。今、一千万ぐらい定期預金に積んでも〇・〇三ぐらいしか金利がつかない中で、三%の利回りを出してくれるんだから、ラッキーだと思うんですよね。

 協同組合の中に、もともとは中小企業の定義の中におさまっていた事業者さんなんでしょうけれども、事業拡大をどんどんしていって、売り上げも先ほど例示をしたような形になったりする場合もあるんでしょうけれども、でも、本来であれば、中小企業を助けるための金融機関であれば、やはりある程度中小企業の定義から外れた時点で、この会からは出ていってもらうというのがいい表現かどうかわかりませんけれども、御退場いただくというのも一つの考えじゃないかと思うんですね。

 なぜそれを中小企業という一くくりの中に、協同組合の中に入っているんだから大手上場会社もまぜていいんですよというのは、ちょっと違うんじゃないかと思うんです。ましてや、この法案ができたのは大分歴史がありますから、当時はそこまでの規模じゃなかったんでしょうけれども、かれこれもう何十年もたっているわけですよね。

 そこのところをどう考えていくか、そういったことも含めて、やはり条件をきちっと国の方が明示できないというのは、そういうことも含まれているんじゃないかと思うんですけれども、もう一度、御答弁いただきたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 まず、配当利回りの件でございます。先ほど三%と御指摘ございました。これは額面でございまして、現行の民間株主に対する配当利回りの実績、これは一株当たりの配当金三円を先ほど申し上げました約定価格百五十四円で割りますと、一・九五%ということになります。これは主要な地方銀行とほとんど変わらない水準であると考えております。

 あと、もう一つの御質問でございますが、ある程度大企業の関与を限定すべきではないかという御指摘でございます。私どもといたしましても、商工中金、これは中小企業のための金融機関でございますので、全て自然にやっていくということではなくて、およそ限定的に考えていくべきだろうというふうには考えております。

鈴木(義)委員 大臣、今長官から御答弁いただいたんですけれども、やはりサポートするべき企業さんと、卒業していったところまでサポートする必要が本当にあるのかということだと思うんですね。大手の企業さんだって、株式を上場すれば、その株の売り買いで資金調達ができるわけですよね。そういったところ、そういった規模の企業さんまで商工中金がサポートしなくちゃいけないのかどうかということなんです。まぜこぜになっちゃう。

 それで、必ず、中小企業のためにこの法案があるんだ、だから必要なんだという論法をお立てになるんですけれども、そこのところはきちっとやはり条件精査をしなくちゃいけない時期に私は来ていると思うんですけれども、御答弁いただければと思います。

宮沢国務大臣 これまでの制度的なことがあって、いわゆる大企業でも組合員になれば株主になれる、また、組合員になれば融資を受けられる、こういう状況がこれまで法律的に認められてきたということは確かであります。

 ただ一方で、まず融資を受けられるということにつきましては、やはり、おっしゃるように、決して原資がめちゃくちゃに豊富というわけではない中でやっているわけではありますから、大企業についての融資については、まさに中小企業主体の組合に役立つ融資とか、そういうようなある程度の限定は今後考えていかなければいけないんだろうというふうに思います。

 ただ一方で、株主ということになりますと、これまで、私も予算を担当しておりましたから、当時は出資金でありましたけれども、民間の中小企業を中心とする方から出資金を集めるという作業は、実はかなり難しい作業でありまして、皆さんそれほどお金があるわけではないという中で、出資金を集めるということ自体も商工中金はかなり苦労しながらやっていたという中で恐らくそういう企業も入ってきたんだろうという気がいたします。

 では、こういう企業の株をすぐに売れというわけには、恐らく憲法との関係で、法律をつくったとしても、財産権の侵害等々といったことがありますからなかなか難しいわけでありますけれども、今後、例えば、上場企業ではありませんけれども増資をするといったときに、どういう方に引き受けていただくというようなことについては、やはり中小企業の人に限るというようなことは考えていかなければいけないんだろうというふうに思います。

鈴木(義)委員 そうすると、法律のたてつけからいったときに、中小企業に限定をしているにもかかわらず、組合に加盟していれば大手企業さんでもこのサービスを受けることができると。では、それはどういう手続をすればできちゃうんですか。本来は、法律でだめだというふうに限定されているわけですよね。

北川政府参考人 お答えいたします。

 商工中金法の構造上、主として中小規模の事業者を構成員とする団体がその構成員となっておりますので、中小企業でなければだめだとは、恐れ入りますが、書いていない状態であります。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。そこが逃げ道なんでしょうね。

 では、次に行きます。

 二十六年度に商工中金が出した組合実態報告書というのを拝見したんです。もともとの組合員がどういう状況に置かれているか。これを出しているところも、商工組合中央金庫と商工総合研究所、これは一体、グループなんでしょう。

 これで、組合員数が五年前より減少していたり、共同事業として、共同仕入れ・購入や、資金の貸し付け、手形の割引というサービスを受けるよりも、教育訓練や人材開発、組合員、従業員の福利厚生、組合施設の賃貸へシフトしつつあるというような報告書なんですね。組合を取り巻く環境が大きく変化する中で、重点と考えている共同事業の内容は多様化しつつあるんですと。

 さらに、共同事業の利用が一部の組合員に偏っているとか、共同事業利用率の低下とか、魅力ある事業が見つからないというようなアンケートの結果も出ています。

 この中にあります金融事業の実施状況も、実施していない、今後も実施することもないというふうに回答しているのが六三%を超えているんです。

 組合の設立の期間や目的、目標、これは五年とか十年で目的が達成できるわけじゃなくて、もう少し長期のスパンでいろいろな事業をされているんだと思うんですね。長くなればなるほど、外部や内部のニーズ、置かれている環境が変わってきますから、その協同組合自体が所期の目的とは少しずつ変わってきてしまっているんです。

 その中で、先ほど中小企業庁長官の方からも答弁いただいたんですけれども、どんどんそのニーズが変わってきているにもかかわらず、その中のことについてはほとんど手をつけようとしないんですね。

 それについて、もしお考えがあったら、お聞かせいただきたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 御指摘の組合員実態報告書でございます。これは二十六年三月に公表されたものでございますけれども、平成二十年に公表された前回調査に比べまして、組合員数が減少した組合がふえている、あるいは、重点と考えている事業が多様化しているということでございますし、また、成長分野といたしまして、組合間の連携、あるいはものづくり支援、エネルギー・環境対策、こういったものが挙げられています。

 中小企業組合をめぐる環境は非常に厳しいのでございますけれども、そういった実態把握に基づきまして、私どもの政策といたしましても、例えば、各組合の環境変化を踏まえて新たな活路開拓、販路開拓、こういったものを支援する中小企業活路開拓調査・実現化事業を行ったり、あるいは、ものづくり補助金におきましても、組合等が行う共同設備投資を支援する、あるいは、省エネルギーにつきましても、組合は中小企業と同様に補助率を上げて支援するというようなことをいたしております。

 商工中金につきましても、もちろん、その資金繰りのみならず、さまざまな経営相談、経営指導を一緒にやりながら、組合と一緒に事業を行っているところでございます。

鈴木(義)委員 今の御質問で何を申し上げたいかといったら、危機管理対応というニーズは全然ないんですよね。報告書の中には、危機管理対応をしてほしいというようなニーズがないんです。

 それと、私の地元でお金を借りて工業団地で御商売をされている方がおっしゃっていましたけれども、組合を設立して融資を受けたのはよかったんだけれども、十五年、二十年たってみると、企業の中で優劣が出てしまって、撤退をしたいとか廃業をしたいとかといったときに、残った人たちがそれをカバーしなければならない。

 先ほどの御質問をさせてもらった中で、組合施設の賃貸というのは、もう全然最初の目的とは違うんだと思うんですよね。余ってしまった土地をどう処分するか、賃貸にするのか、売ってしまうのか、こういうアンケートの結果もあるんだと思うんですけれども。そういうふうな状況が、今なかなか、共同で何かをやろうといって、二十年も三十年も、もっと長いスパンで事業ができるほど、やはり時代の変化が速いんだと思うんです。

 だから、その辺を考えて対応していかなければならないのに、なぜか商工中金の話になると危機管理対応ばかり強調されるんですけれども、アンケートの方からはそういう話は全然出てこない。もう一回御答弁いただきたいんです。

北川政府参考人 お答えいたします。

 組合をめぐる事情は、委員御案内のとおり、さまざまでございます。

 工業団地あるいは卸組合団地あるいは商店街組合、こういったところでは、これまで買った土地、施設、これを組合員が減る中でどうするかという非常に厳しい問題がございます。一方で、特にものづくり、そういったところでは、新しい連携を中小企業あるいは大学、大企業とどうやって組んでいくか、そのような課題もございます。そういった課題がそれぞれございますので、それは対応していきたいと思います。

 一方、危機対応の指摘がないではないかということでございますけれども、これは、やはり個々の企業の資金繰りというところに最後は行ってしまいますので、そういった観点から、この組合の話では出てこなかったのではないかと推察いたします。

鈴木(義)委員 しつこく聞くのはやめておきますけれども、金融事業の実施状況、実施していないし、今後も実施することはないというんですよ。六三%がそういうふうに答えているわけですよね。だから、そういう答弁をされると、もう少しやってみたいんですけれども、時間がないので。

 御了解をいただいて、このペーパーを配らせていただいたんです。これは、「カリスマ勝ち組大家さんが、使って儲けている 金融機関の完全攻略法」。私もお金を貸してもらいたくなっちゃったんです。

 二ページ目を見ていただきたいんですね。これは、確かに民業圧迫にならない分野で頑張っておられるんじゃないかなと思うんですけれども、地元の地銀で六百四十万の評価しか出なかった新築物件に三千二百万の融資をしてくれた、初めての融資で土地から購入した新築物件で、いきなり三千万の評価が出た、自宅から三百キロ以上離れた中古のRC物件で、金利一・五%、一億九千万をあっさり調達、物件購入価格の九九%融資。これは民業圧迫にならないですよ。だって、不動産の投資なんだから。この文書を見て、私もお金を借りようかなと思ったんですけれども、ここに書いてあるんですね。

 また、これはありがたい話に、これをどう評価するかというのが、また違うところでちゃんとネットで出ているんですね。皆さんもごらんになっていると思うんです、私が質問をしているんだから。

 そうすると、商工中金では不動産賃貸業者に融資を行うという姿勢をとっているため、そもそも当該事業の事業者としてみなされないことは融資を引き受けないからですという結論を出している。

 おまけと書いてあるんですけれども、地方都市の支店で、その担当者の方が、以前は東京のとある支店にいたそうで、そのときはファンド系の物件ばかり扱っていたとか、不動産は好きそうなタイプでした、やはり政府系ということを非常に強く意識していて、民業圧迫にならないかどうかをまず気にしながらの判断をしていました、こういう話なんです。これはいいことなんですね。

 例えば、民間から資金を借りて事業をやっているところを商工中金の方に借りかえをしたいといったときには、民間からの借りかえなんてもってのほかです、逆に、回っていなくて、ほかに引き受け手がないような案件の方がやりやすいと、何となくリーマン・ショック後のファンド系の話を思い起こさせましたと述べているんです。

 そうすると、午前中からずっと議論をされてきた、商工中金というのは確かに民業圧迫をしない仕事をされているということなんですけれども、これは本当に事業を真面目に、この不動産業も真面目じゃないということじゃないんですよ。でも、何かほかで借りなくて、融資もやわらかいから、みんなで、カリスマ勝ち組大家さんが使ってもうけている完全攻略法ということまで出されちゃうほど、民間の金融機関はこういうのはありませんよ。何とか銀行の完全攻略法なんというのを私は聞いたことがない、勉強不足かもしれませんけれども。

 なぜ、政府系の金融機関はこういうものが、これは有料なんですよね。これ以上入っていくと何千円かお金を払わなくちゃいけないから、それ以上は私も、けちなので、そこまで引っ張り出さなかったんですけれども。でも、こういうことが平然と行われている中で、本当に中小企業のための商工中金なのかと疑いを持ちたくなる。

 それについて、ちょっと、どなたでも結構ですから、御答弁いただければ。

北川政府参考人 お答えいたします。

 商工中金の貸し出し、これは法目的に鑑みまして、個人、法人を問わず、事業性を有する資金を対象としておりますので、委員御指摘の不動産関係であっても、事業性があるものにつきましては融資対象になります。

 ちなみに、小規模事業者の数を見てみますと、例えば貸し家業、貸し間業、これが十五万八千、そしてまた、不動産賃貸が三万七千いらっしゃいまして、一方で、例えば美容十四万七千、理容十万と、同じような事業者の規模だろうというふうに思います。

鈴木(義)委員 去年だったと思うんですけれども、空き家対策法というのがたしか国会で上程されて、可決されたと思うんですね。全国に約八百万戸空き家がある、今はそれ以上あるんじゃないかというふうに言われていながら、こういう形で一生懸命、物件をつくりませんかとか、買いませんかといってやることが本当に商工中金の仕事なのかなというのは、だって、物件が余っちゃっているというのがもうみんなわかっているわけじゃないですか。私がちょっとおかしいのかな。

 だから、やはりそこの辺をもう少しよく考えてやっていかないと、本来の中小企業とか零細事業者のための商工中金じゃなくなっちゃうんじゃないかと思うんですね。だって、融資を受けて賃貸物件を建てましたといっても、お客様が入らなければそれは不良債権になっちゃうわけですよ、簡単に言えば。それをどんどん推奨するようなことを野方図にやらせるというのが、本当に商工中金の融資の目的なのかということを問いかけているわけです。

 では、もう一つ質問します。

 民業圧迫にならないという言い方をされるんですけれども、何年か前のテレビドラマを思い出したんですね、金融検査というと。何とか直樹というんですかね。銀行法だとか信用金庫法で、いろいろな銀行だとか信用組合、保険持ち株会社とかが金融庁の検査を受けているわけですね。でも、商工中金は検査は今まであったんですか、なかったんですか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁の行います立入検査につきましては法律に基づいて行っておりますけれども、商工中金に対しましては、平成十五年四月に商工中金に対する金融庁検査が導入されて以降、これまで四回、具体的には平成十六年、十七年、二十年、二十四年、四回実施をしてきておるところでございます。

鈴木(義)委員 実施した結果、どうだったでしょうか。

佐々木政府参考人 恐縮でございますけれども、個別の立入検査の結果につきましては、基本的に、金融機関の健全性の内容あるいは風評リスクなどに配慮いたしまして、公表を控えさせていただいております。

鈴木(義)委員 民間の金融機関ならわかるんですけれども、政府系ですよね、なおかつ株式を四六%財務大臣が持っている政府系の金融機関で、それが通るかなと私は思うんですけれども、いかがですか。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 商工中金に対します検査及び他の民間金融機関に対します検査は、いずれも商工中金法あるいは銀行法といった法律に基づいて行っておりますけれども、今申し上げました個別の検査に係る結果につきましては、同様にお答えをすることは控えさせていただいております。

鈴木(義)委員 これ以上御質問しても同じ答弁しか返ってこないと思うんですけれども。

 先日、新聞の記事に、「融資「地銀もリスクを」 金融庁が点検 将来性で審査促す」、地銀と第二地銀にリスクマネーを供給する体制ができているか一斉点検するという報道がなされたんです。「従来の銀行経営の健全性チェックという検査から転換し今回の検査は不良債権を調べる「資産査定」は外している。」との新聞の記事が目に入ったんですね。

 立入検査は法的な拘束力があるのかないのか、私はちょっと素人なものですから、行政指導の範疇なのか、法的拘束力があるのか、一度お尋ねしたいと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 金融庁が行います立入検査は、先ほど申し上げましたとおり法令に基づく権限として実施しておりますけれども、被検査金融機関の承諾を要し、強制する権限は与えられておりません。

 しかしながら、検査の実効性を確保するため、例えば検査官の質問に対して答弁をしない、虚偽の答弁をするなど、検査を拒み、拒否した者に対しては罰則規定を設けております。

鈴木(義)委員 そうしますと、大臣、危機管理対応をしてほしいというふうになったときに、今金融庁が、地銀もリスクをとって経済の再生に一役買ってくれよという形で指導に入っているわけですね。ということであれば、別に商工中金ばかりじゃなくても、民間の金融機関でも、きちっと今、法的拘束力はないけれども罰則の規定はあるんですと。行政指導の一環で各行を回って、もっとリスクマネーをふやしてくれよというふうに、指導に全国を飛び歩いているということなんでしょう。

 ということであれば、商工中金ばかりが危機管理対応しなくても、金融庁がもう少しリスクマネーを出せよと言えば、それで対応できるんじゃないか、こういうふうに考えるんですけれども、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 これは、私が答弁した後、金融庁にまた確認していただければありがたいんですが、恐らく、金融庁の今リスク対応をせよと言っている話というのは、やはりこれまでの民間金融機関、特に地銀以下と言っていいんでしょうけれども、の対応というのが、やはり担保とか保証とか、そういうものに頼ることが多くて、それぞれの企業のまさにキャッシュフローであり未来の可能性といったようなもの、そういうリスクをしっかり評価しながら融資をしていくという対応に欠けているところを改めてほしいということでありまして、危機対応業務とはかなりレベルの違う話をしているんじゃないかと思っております。

佐々木政府参考人 金融庁からお答え申し上げます。

 御質問の民間金融機関のリスクマネー供給態勢の検査、これは、昨年の九月に金融庁として公表しております平成二十六事務年度金融モニタリング基本方針に基づき行っているものでございます。

 具体的には、金融機関が、財務データや担保、保証に必要以上に依存することなく、借り手企業の事業の内容、成長可能性などを適切に評価する事業性評価、これに基づいて、融資への取り組み等について、その態勢の整備状況の検証を行っているものでございます。

鈴木(義)委員 大臣から、もともとの検査の対応の仕方が違うんだという話なんですけれども、その中に危機管理、仮に今、首都圏直下型の地震が起きて、この辺が被災をして大変混乱をするような形になったときに、別に商工中金だけじゃなくて、そのときは、民間の金融機関にも助けてもらわなければ、やはり到底カバーし切れないと思うんですよ。絶対量が全然違うわけですから、支店の数も違うし。

 というのであれば、金融庁から、きちっと危機管理対応をしてくださいよと言えば、できる範囲で結構ですからというふうな形にするか、もしくは、過去にもやったように、本当に危機が起きたのであれば、資本注入をしても、それは国民に了解してもらえるんじゃないかと思うんですね。金融機関を介してやるか、直接貸すかは別としてもですね。でも、そういった対応を過去してきたんだと思うんです。

 そこのところで、難しい顔をされているんですけれども、もし御答弁いただければと思います。

宮沢国務大臣 資本注入の話は先ほど申し上げた話で、金融機関に対する資本注入と危機対応業務のように借り手の側に対する対応とではかなり性格が異なっているというふうに思っております。

 そして、危機対応業務というのは、結局、リーマン・ショックのときに何が起こったかといえば、極めてわかりやすくて、それこそ、東電を初めとして、日本の大手の企業は、間接金融にそれほど頼っていなくて、直接金融の市場で社債でありCPでありというような調達をしていたわけでありますけれども、CP市場を初めとして全部動かなくなってしまったという中で、政投銀等々にそういう大手の企業が殺到した結果、その他の企業に金が回らなくなった。

 商工中金についてもそうで、やはりいい中小企業が殺到します。これはやはり債券、直接市場からかなり資金を調達しておりますから、そういうところが民間の大手の銀行であり地銀でありというところに行った結果、それより財務状況の劣る機関にやはりお金が本当に回らなくなった。そういうときに、危機対応業務として、まさに政投銀であり、また商工中金が大変大きな役割を果たしたということで、少し違っているんじゃないかと思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 今回の商工中金の法律を改正するのと同じで、これは素人の考えなんです、銀行法を改正して、そこに危機対応業務の条文を挿入すれば、同じように仕事ができるんじゃないかと思うんですけれども、その辺はいかがですか。答弁できるかどうかは別にして。

宮沢国務大臣 これは、もちろん金融庁なりが判断する話だと思いますけれども、銀行法を改正して危機対応業務をできるようにするでは恐らくやらないので、やらなければいけないというふうにした場合に、それに対応する相当巨額なお金をいつどういうふうに国が民間金融機関に出すかという問題があるし、そういうことについて、民間金融機関自体が、自主性が損なわれる云々といったような判断をどうされるか、いろいろな問題があるんじゃないかと思います。

佐々木政府参考人 お答え申し上げます。

 民間金融機関では、危機対応業務のような、大規模な景気変動あるいは自然災害の際における投融資、こういった、通常のリスク・リターン分析でははかり切れず、また、全国一律の対応が必要とされるものでございます。したがって、民間金融機関での対応は容易でないというふうに指摘されているところでございます。

 したがいまして、危機対応業務につきまして、民間金融機関に銀行法で義務づけるというようなことはなじまないものと考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 なかなかちょっと議論がかみ合わなくて。民間も国、政府系の金融機関も、お金を貸すところは変わらないんだと思うんですね。本当に危機対応ということであれば、こっちはやります、こっちはやりませんというのはあり得ない話だと思うんですよね。

 例えば、信用金庫の支店長さんとお話をすると、信用金庫は、私たちはお預かりしたお金の六割は融資に回すと言うんです。都市銀行さんは、集めたお金の一割五分しか融資に回していない、あとの残りは、私が聞いた話ですよ、八割五分は財テクに回していると。そうじゃないというふうに今大臣は首を振っておられるんですけれども、では、私がちょっともう一回支店長に聞き直さなくちゃだめですね。

 だから、やはりそこのところは、今回の法案ばかりじゃなくて、もっとパッケージできちっと中小企業をサポートするということをしていかなければ、そのかわり、先ほどの繰り返しになりますけれども、大きく育った企業さんは、このサポートからはちょっと外れてもらうということでいいんじゃないかと私は思うんです。大手さんは資本力もあるし、もういろいろな事業展開ができるわけですから、そこのところをやはりよくお考えいただいて、これからも中小企業のためにぜひ御支援をいただければと思います。

 以上で終わります。

江田委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 ラストバッターになりますと、いろいろ用意した質問が重なっているところがありますけれども、質問の流れがありますので、よろしくお願いします。

 まず、株式会社商工組合中央金庫法の一部改正法案について質問いたします。

 商工中金は、一九三六年、国と中小企業組合との共同出資により設立された中小企業向け政府系金融機関です。

 二〇〇五年の政策金融改革の基本方針は、商工中金について、「所属団体向け組合金融であることからも、本来参加者が相互扶助の精神に基づき、メンバーシップ制で行うものであり、政策金融である必要はない。」とし、政策金融から撤退し、完全民営化すべきとしました。完全民営化というのは、政府の保有している株式を完全に売却した上で、根拠法を廃止して一民間金融機関にすることであり、国が経営に一切関与できなくなります。

 二〇〇六年、簡素で効率的な政府を実現するための行政改革の推進に関する法律によって、二〇〇八年度中の株式会社化と、その五から七年後の完全民営化が決定しました。

 二〇〇七年、第百六十六通常国会に株式会社商工組合中央金庫法案が提出された際、我が党は、政府系金融機関の役割を根本的に否定し中小企業金融に悪影響を及ぼすものでしかない、中小企業基本法第二十五条で中小企業に対する資金の供給の円滑化を図るために国が政府関係金融機関の機能の強化を講ずるように求めていることにも反すると指摘をし、国の責任を投げ捨てる重大な政策後退だと反対をいたしました。

 改めて伺いますけれども、二〇〇八年十月一日の株式会社商工中金誕生時に決めておりました五から七年後という完全民営化の期限、そして、リーマン・ショック後の二〇〇九年の改正、東日本大震災後の二〇一一年の改正と二度にわたり先送りをされましたけれども、これはなぜでしょうか。そしてもう一つ、今回の法案で、従来盛り込まれていた完全民営化の具体的な期限の明示をなくしているのはなぜでしょうか。

北川政府参考人 これまでの経緯でございます。

 過去二回、委員御指摘ありましたが、リーマン・ショックそして東日本大震災という危機に際しまして、商工中金の民営化に向けた取り組みを一時中断いたしました。これは、目の前の危機対応に注力するために、緊急的な措置として、三年程度の期限を区切って民営化の延長を決定したものでございます。

 その過去二回の危機におきまして、民間金融機関において十分な危機対応業務が行われなかった事実、要は中小企業金融が大変困難に陥った事実を踏まえまして、大規模な景気変動や自然災害の際の民間金融機関における十分な対応は当分の間困難であるということが現実的に明らかになったと考えております。

 したがいまして、民間金融機関が危機対応業務を行う状況が実現するまでの年限を示すことは現状では困難であると考えておりまして、このため、今回の商工中金法の改正では、期限を区切ることなく、当分の間延長することといたしたものでございます。

真島委員 きょう議論になっております危機対応業務は、いわゆる政策金融改革によって二〇〇八年十月に日本政策金融公庫が発足した際に設けられた制度です。

 内外の金融秩序の混乱や大規模災害等の危機のとき、一般の金融機関が通常の条件により貸し付け等を行うことが困難であり、かつ、指定金融機関が危機対応業務を行うことが必要である旨を主務大臣が認定した場合に、日本政策金融公庫が指定金融機関に対して信用供与を行うことで、危機に対処するために必要な資金供給を確保するという仕組みでございます。対象となる事案及び実施機関は主務大臣の通知によって決められますけれども、これまでは、東日本大震災、台風、豪雨、火山噴火、地震、大雪の災害などが指定をされております。

 この危機対応業務というのは、いわば金融のセーフティーネットと言える政策金融の一種でありまして、商工中金は日本政策投資銀行とともに、完全民営化までの間、危機対応業務を担う指定金融機関にみなし指定されて、その任務に当たってまいりました。

 法案では、現行法のこのみなし指定では、商工中金の経営判断で危機対応業務を返上することも法律上可能であるということから、法改正を行って、商工中金が危機対応業務を行う責務を有すると規定をすることで、政府が株式を保有する当分の間、商工中金が危機対応業務を実施することを明確に義務づけたと説明をされております。

 ところが、二〇〇七年四月十八日の当委員会における株式会社商工中金法案の審議の際、当時の石毛中小企業庁長官は、「制度設計の中で、完全民営化後も原則として指定機関であることを継続するものとするというふうにされておりまして、引き続き適切に危機対応業務を行えるものというふうに考えております。」と答弁されているんですね。

 その一方、同じ二〇〇七年の四月、当委員会で、当時の甘利大臣は、完全民営化後はほかの金融機関と同じことになります、商工中金だけ危機対応業務を国の要請に従ってやるということを法律に書いてしまうとそれは完全民営化ではなくなってしまいますと全く正反対のことを言われているんですよ。

 それで、お聞きしたいんですけれども、法案の中では、完全民営化までの間、危機対応業務に当たる、今言った点ですね、みなし指定されていてもやらないことがあるから、それを義務づけるんだと言われているんですが、二〇〇七年当時の中小企業庁長官、経済産業大臣の答弁で、もう全然、何か違うことを平気で言われているんですね。どういうことなんですか、これは。

北川政府参考人 委員御指摘の、当時の委員会、平成十九年四月十八日、衆議院経済産業委員会におけます石毛元中小企業庁長官の答弁につきましては、商工中金法附則二条二項におきまして、「株式会社商工組合中央金庫の有する中小企業等協同組合その他の中小企業者を構成員とする団体及びその構成員に対する金融機能の根幹が維持されることとなるよう、株主資格を制限するための措置その他必要な措置を講ずるものとする。」ということが規定されておりましたものですから、恐らくこうした点を念頭に、しっかりと対応する旨を述べたのではないかと考えられます。

 その後、衆議院経済産業委員会、平成十九年四月二十五日におきましては、甘利元経済産業大臣から、御指摘のとおり「完全民営化後は、ほかの民間の金融機関と全く同じになる」、「商中だけ危機管理対応を国の要請に従ってやるということを書きますと、これはもうその時点で完全民営化ではない。」と答弁されております。

 そのような理解でございますけれども、これは危機対応業務を、その後、民間金融機関が結局手を挙げてこられなかったということ、それが現実に起こったわけでございまして、この十九年四月時点の中小企業庁長官の答弁におきましては、危機対応業務を民間金融機関も手を挙げていく、その中で商工中金もやっていくのではないか、こういったことを想定したのではないかと推測されます。

真島委員 何か、推測されますということなんですけれども、危機対応業務と完全民営化の関係というのは、きょうはずっといろいろな角度から議論されてきたけれども、全然統一見解がないですよね、もうばらばらなことをその当時もおっしゃっていて。

 法案では、政府に、できる限り早期の商工中金の完全民営化、つまり商工中金の政策金融からの撤退を義務づけていることと、政策金融の一種である危機対応業務を商工中金の責務として当分の間義務づけていること、これは矛盾していませんか、大臣。ちょっとお答えください。

宮沢国務大臣 二度の延長の結果、昨年度末が検討期限だったわけでありますけれども、政府また与党の検討におきまして、中小企業団体などの声も踏まえて検討いたしましたけれども、大規模な景気変動や自然災害の際における金融支援は、現時点では民間金融機関による対応が事実上困難であり、政府系金融機関による一定の役割が必要と考えております。

 そして、今回、法案で今御審議いただいているわけでありますけれども、将来的な完全民営化の方向は堅持しつつ、民間による危機対応が十分に確保されるまでの当分の間、商工中金に危機対応業務を義務づけ、政府が必要な株式を保有するということとしております。

 もちろん、我々として、民間における危機対応業務が可能になるような努力をこれからしていかなければいけないわけでありますけれども、一方で、相当の民間金融機関が指定機関となり、危機時の資金対応が十分になされるめどがつくというのがいつともなかなか言えない状況というようなことから、当分の間としたわけであります。

 一方で、できるだけ早期にということは、今申し上げましたように、今後努力してできるだけ早期に、まさに完全民営化ができるような状況をつくっていくということは大変大事なことだと考えておりまして、矛盾しているとは考えておりません。

真島委員 株式会社化した二〇〇八年の九月、株式会社化の直前にリーマン・ショックがあったわけですね。そのときに、危機の金融対応を商工中金に頼るしかなかったというのが現実だと思うんですね。その後も、二〇一一年三月の東日本大震災、そして二〇一三年二月には、原材料、エネルギーコスト高等の影響を受けて資金繰りに支障を来している中小企業者に対して、商工中金が金融支援を行っています。

 二〇〇九年の三月十日の参議院予算委員会で、当時の与謝野財務金融担当大臣は、商工中金を完全民営化すべきだとした二〇〇五年の政策金融改革の基本方針について、次のように述べられています。世界が同時に不況になるということを全く想定していない経済学、政策金融機関も不要だ、不況の深刻なものは来ないということを前提にした制度論であり経済学であってこれは間違いであったとおっしゃっているんですね。

 当時の与謝野大臣がおっしゃっていたように、商工中金の政策金融からの撤退を決めた二〇〇五年の政策金融改革の基本方針では、リーマン・ショックのような世界的な金融危機も、また東日本大震災というような未曽有の大災害も、そのときは想定していなかったんじゃないでしょうか、大臣。

宮沢国務大臣 私は、郵政民営化のときには、与謝野政調会長のもとで郵政民営化合同委員会の事務局長をしたり、また、まさにリーマン・ショックのときには、与謝野大臣のもとで副大臣をしておりまして、随分教えを請うた立場であります。

 おっしゃる国会答弁を読ませていただきました。そこでは危機対応業務というのは残っていますけれどもというようなことはおっしゃっておりまして、今回のスキーム、二〇〇五年に大きな方向が決まって二〇〇七年に法律になったスキームの中に、まさに内外の金融秩序の混乱または大規模な災害、テロリズムもしくは感染症等による被害に対処するために必要な金融ということで危機対応について方向性が打ち出されておりまして、二〇〇五年当時からそういうものは想定した上で方向が示されたということであります。

 なお、やはり一番想定し切れていなかったのは、民間金融機関も活用した対応、対策を整備するということで二〇〇五年から方向づけしておりましたけれども、なかなかそういうものが出てきていないという状況が今に至っているというところが最も想定していなかったところだろうと思います。

真島委員 では、その想定していなかったことを聞きますが、危機対応業務の実施に手を挙げた民間機関はあらわれていないということなんですけれども、政府として、民間金融機関の危機対応業務への参入を促すために、この間、どのような働きかけを行ってきたんでしょうか。

 それともう一つ、この先、危機対応業務に参入する民間金融機関があらわれる見通しをどう見られていますか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 危機対応業務における民間金融機関の参加はなく、政策投資銀行と商工中金のみがみなし指定金融機関として危機対応業務を実施していることは御指摘のとおりです。

 この危機対応業務への民間金融機関の参入を促すための働きかけといたしまして、これまでにも、政府あるいは政策公庫から、民間金融機関、全銀協ベースあるいは個別行に対する御説明、こういったものを何度も実施してきておりますけれども、今のところ手は挙がってきていない状況でございます。これは平成二十年当時から累次行っているところでございます。

 また、昨年行いました政府の成長資金の供給促進に関する検討会、こういった場におきまして、民間金融機関から危機対応業務に関する意見が出ておりまして、具体的には、例えば、危機対応は通常のリスク、リターンの分析でははかり切れない、全国一律での対応が必要とされる、あるいは、危機対応業務に必要なシステムを構築し、常時稼働させておかなければならず、その点のコストがかかる、こういったような御意見がございました。

 今後でございます。私どもといたしましては、商工中金によります地域金融機関へのノウハウの提供、協調融資の積み重ね、そしてまた、今般設置を検討しておりますが商工中金と民間金融機関との意見交換の場、こういったことを活用して、民間金融機関が危機対応を行えるようインセンティブづけをしていきたいと考えております。

 また、今回の法改正にあわせまして、現行の指定金融機関を活用した危機対応制度のもとで、民間金融機関が指定金融機関になるための申請手続の簡素化、あるいはその実施要領のひな形を公表するなど、業務自体の一層の明確化を図る、こういったこともしていこうと考えております。

 こういった改善を行ってまいりますが、二つ目の質問でございます、見通しはあるかという点につきまして、なかなか私どもの立場では見通しができていないという状況でございます。

真島委員 危機対応業務は、今言われたように、現時点で民間金融機関には、実際にはもうできないということだと思うんですね。また、今後もそう簡単には危機対応業務に参入する民間金融機関は見通しが立っていないということをはっきりおっしゃいました。この法案自体がそれを前提にして出されていると思うんです。また、この法案は、商工中金に危機対応業務の実施を義務づけたことや、法律で明記した完全民営化の期限を二回も先延ばしして、三度目は期限を書かないという改正として出している。こんなのは余り聞いたことないですね、私は。

 大臣、ここまで来たら、本来は、期限を何度切っても何の成果も上がっていないわけですから、商工中金の完全民営化を一旦やめて、そして、政策金融はどうあるべきか、総合的に見直して再検討するのが国民に対する責任ではありませんか。

宮沢国務大臣 これは、先ほど御答弁したこととかなり近いことになるわけでございますけれども、私どもは、やはり二〇〇五年当時の方向づけ、まさに官から民へという大きな方向は大事なことだと思っております。そういう観点から、将来的な完全民営化の方針は堅持することとしております。また、現時点において、まさに危機対応業務について、民間としては対応できる状況ではないということがございますので、当分の間、危機対応業務を商工中金に義務づけることとし、株式を保有する、こういうことにしております。

 先ほど申し上げましたように、やはり二〇〇五年から今までの十年というもので、民間金融機関の危機対応業務というものが、まさにおっしゃるように、できてこなかったということが、ある意味では当初の目算が外れた部分でありまして、その部分につきまして、今長官からも答弁がありましたけれども、恐らく、私どもというよりは、政策金融全般を見ている財務省であり金融庁が中心になってもらわなきゃいけませんけれども、民間金融機関に危機対応業務をやってもらえるようにするためにはどういうことが考えられるのかということをしっかりと検討していかなければいけないと思っております。

 一方で、こういうことを含めて、政策金融全般については常に不断の見直しというものは頭に入れておかなければいけないことだと思っております。

真島委員 もう皆さん御存じのことですけれども、民間金融機関の中小企業、小規模事業者向け貸出残高、ちょっと長い目で見ます。一九九七年度末には約三百二十兆円、二〇一三年度末には約二百二十七兆円と、三割を超える減少、約百兆円近く減っています。一方で、政府系金融機関の貸出残高は、一九九七年度末が約二十七兆五千億円、二〇一三年度末が約二十二兆二千億円で、リーマン・ショックや大震災を経て、むしろシェアは拡大しているんですね。

 そして、グラフで中小企業向け貸出残高の伸び率というのが出ていますけれども、政府系と民間、これを見ますと、民間金融機関の山が立っているときには政府系金融機関は谷になって、民間が大きく落ち込んで谷になったら逆に政府系金融機関が山となって、政府系金融機関は間違いなく中小企業の資金繰りを下支えする役割を果たしてきているわけですね。

 そういう点で、危機対応業務を担う政策金融から商工中金が撤退するという完全民営化は、私は完全に破綻していると思います。商工中金の完全民営化方針を一旦撤回して、そして、中小企業の資金繰りを下支えする政策金融機関として位置づけ直すべきだということを申し上げて、次の信用保険法の一部改正についての質問に移ります。

 中小企業信用補完制度というのは、担保力、信用力の弱い中小企業、小規模事業者が金融機関から融資を受ける際にその橋渡しを行って、資金調達を容易にし、中小企業金融の円滑化を図ろうとするものであります。

 全国に五十一ある信用保証協会が、公的保証人として、金融機関に対して中小企業、小規模事業者の債務を保証する信用保証制度と、それと国が出資する日本政策金融公庫が再保険する信用保険制度が連結した制度として運営をされております。

 民間金融機関が中小企業向けの融資を、先ほど紹介しましたように大きく減らしている中で、中小・小規模事業者の資金繰りの命綱となってきたのがこの信用保証です。

 そこでお聞きしますけれども、一九九七年度末と二〇一三年度末の信用保証の保証債務残高は幾らになっていますか。

北川政府参考人 委員お尋ねの一九九七年度末及び二〇一三年度末の信用保証の保証債務残高は、一九九七年度末は二十九兆五千五百八十九億円、二〇一三年度末は二十九兆七千七百八十五億円となっております。

真島委員 今おっしゃったように、この十六年間、信用保証の保証債務残高は約三十兆円の規模を維持しております。これを企業ベースで見ますと、中小企業の保証利用比率、信用保証協会利用度は、二〇一三年度で三七・九%、三百八十五万者の中小企業のうち約百四十六万者が利用しております。信用保証制度が中小企業の資金調達において大きな位置を占めております。

 特に、金融危機や経済危機など金融環境が悪化した際には大きく額を伸ばして、中小企業、小規模事業者の資金繰りを支えてまいりました。

 例えば、一九九八年の金融危機のときには、貸し渋りによる連鎖倒産を防ぐため、中小企業金融安定化特別保証が実施されまして、一九九八年十月から二〇〇一年三月までの保証実績は、二十八兆九千億円、百七十二万件に上っています。二〇〇二年九月二十日、財政諮問会議でも、この制度により、一万社の倒産、十万人の失業、二兆円の民間企業の損失が回避されたと評価をされております。

 また、リーマン・ショックに端を発した世界的な金融経済危機の際には、二〇〇九年に緊急保証が実施されております。もともとこれは、前年から続いていた原油、原材料高対策として指定業種制でスタートしたものでありますけれども、その後順次業種を拡大して、二〇一〇年二月からは原則全ての業種で利用できるようになりました。

 この緊急保証の利用というのは、二〇一一年の三月末で終わっているんですけれども、打ち切り直前に発生しました東日本大震災の未曽有の被害に対応して、二〇一二年十月末までセーフティーネット保証五号の指定業種を全業種とする措置がとられております。

 このセーフティーネット保証五号の現在の業種指定基準はどうなっておりますか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 セーフティーネット保証五号は、急激に業況が悪化した業種に属する事業を営んでおられ、経営の安定に支障が生じている中小企業、小規模事業者の方に対し、一般保証とは別枠で、融資額の一〇〇%を保証する制度でございます。

 現在、急激に業況が悪化した業種を指定するため、業種全体における売上高の減少の程度、また原材料高を価格転嫁できているかどうか、これにより指定の有無を判断しているところでございます。

真島委員 このセーフティーネット保証五号の二〇一五年度第一・四半期の指定業種は二百五十四あるんですけれども、これは前年同期の二百六業種の一・二三倍になっております。つまり、一年前より悪くなっているんですね。

 セーフティーネット保証五号を利用できるのは、国が四半期ごとに、今説明されましたように、業況の悪化している業種に属する事業を行う中小企業者、それを市区町村長が、二つの企業認定基準、一つは、最近月の売上高等が前年同月比五%以上減少している中小企業者、もう一つが、製品等原価のうち二〇%を占める原油等の仕入れ価格が二〇%以上上昇しているにもかかわらず、製品等価格に転嫁できていない中小企業者、このいずれかを満たしていると市区町村が認定をすれば受けることができるというふうになっております。

 中小企業、小規模事業者は、消費税増税や急速な円安及びエネルギー、電力料金の値上がり等による原材料価格の高騰という二重の苦しみを強いられてきました。安倍政権の発足前は一ドル約七十八円前後の水準から、一気に約百二十円前後まで円安が進みましたので、中小企業では生産コストが非常に重くなって、いわゆる円安関連倒産がふえているというデータも出ております。

 また、中小企業では、人材不足、人件費高騰の問題が一部で生じていることに加えまして、国内消費と需要が伸び悩んで、アベノミクス不況と言われる苦境にも陥っております。

 そしてまた、報道されておりますように、きょう、四月一日からまた一斉に物価、社会保険料、電気料金などが上がって、中小・小規模企業の事業環境はますます厳しくなっております。

 先ほど言いました、二〇一五年度の第一・四半期、二百五十四の指定業種、これは全業種のうち約二割程度なんですけれども、指定されなかった業種でも、売り上げの減少とか原材料高に苦しんでいる中小企業者の方はたくさんいます。また、指定されなかった業種でも、地域経済が非常に低迷している中で、同じ業種でも、地方で営業する中小企業ほど厳しい事業環境に置かれています。

 こうした個々の小規模事業者の実態に即したきめの細かい対応をするためには、国が指定業種という枠をはめて対象から除外するというやり方ではなくて、全業種を対象にして、あとは、市区町村が売り上げが減っているなどの実態を確認して認定するというふうにすればいいと私は思うんですけれども、大臣の考えを聞かせてください。

宮沢国務大臣 本制度の趣旨といたしましては、まさにセーフティーネットという名称にもありますように、外的要因によって一時的に業況が悪化している業種を指定して、その業種に属する事業者を支援するという制度でありまして、個々の事業者の状況に応じて支援するものではございません。

 一方で、個々の事業者の状況に応じて支援するものとしては、例えば、小口零細企業保証、特別小口保険等を使った一〇〇%の保証制度や、また政府系金融機関における小規模事業者向けの低利融資制度、こういうものが用意されております。

真島委員 リーマン・ショックで落ちた売り上げがいまだに回復していないという業種の方がたくさんいらっしゃるんですよね。それで、一時、やはり全業種指定までやって、特別な業種だけを救うためにということではなくなってきているわけですね、今までの実際の実行の中では。

 それで、法案の内容について幾つかお聞きします。

 法案は、NPO法人が信用保証を利用できるようにするものになっております。地域において、介護や福祉などの分野でNPO法人が中小企業と同様の経済活動を行って、雇用も確保しているという実態がありますので、我が党としても、信用保証の対象にNPO法人を加えることは前向きに評価をしております。

 ちょっとお聞きしますけれども、実際の利用に際して、NPO法人と事業法人の会計処理の方法の違い、また非営利で利益を蓄積できないNPO法人の返済能力、こういうものをどう評価するのかという課題もあると思います。こういう具体的な運用ルールというのは、今後どのように検討していくようになっているんでしょうか。

北川政府参考人 御説明いたします。

 信用保証協会は、今後、NPO法人を審査するに当たりましても、これまでの中小企業者と同様、事業計画、資金計画、こういったものにつきまして保証審査を行うことになります。

 具体的には、まず、従業員数等から見て中小企業者といった要件と同じであるかどうか、あるいは資金使途が事業資金であるかどうか、そしてまた将来においても安定的な収益あるいはキャッシュフローといいますか、それが見込まれて返済可能性があること、あるいは経済環境が変化した場合でも対応してしっかりやっていけるというようなこと、あるいは経営者御自身の意欲や信頼性、中小企業者と同じでございますけれども、こういったものを審査して保証を行っていくことになります。

 一方、お金を貸される金融機関におきましても、融資経験の乏しいNPO法人に対して融資を行うということに当たりましては、活動の現場に足を運んで実態を把握するということ、あるいは事業性を適切に審査して融資を行うということが前提になってくると思います。NPO法人の側におきましても、適切な会計の実施、事業計画の検討、それの表明といったものが求められると思います。

 これまで公庫あるいは信金等で既に実績がありますけれども、こういったものを踏まえながら、具体的な運用ルールをさまざまな関係機関と検討して進めてまいりたいと考えております。

真島委員 今回、NPO法人を信用保証の対象に加えるだけならば何の問題もないんですけれども、同時に、信用保険法第三条の三「特別小口保険」の条文を変更している点で、看過できない問題がございます。現行条文では「保証をした借入金の額」となっているところを、改正案では「借入金の額のうち保証をした額」とされています。

 特別小口は、これまで全額保証であることが条文上明確にされておりましたが、今後は部分保証にするということでしょうか。

北川政府参考人 現行制度におきまして、特別小口保険につきましては、一〇〇%保証する場合のみを対象としております。

 一方、今般、NPO法人を加えようと考えておるわけでございますけれども、その実態として、常時従業員二十人以下の団体が九割ぐらい、あるいは平均的な資金需要は八百万円程度ということで、仮にこのまま考えますと、事実上、多くのNPO法人が特別小口保険の適用になる可能性がございます。

 金融機関におきまして、このようなNPO法人にこれから融資をし、一方で保証していくということに当たりましては、先ほど申し上げましたとおり、しっかりと見ていただくことが必要ということでございます。これまでさまざまな民間金融機関にお話をお伺いしましても、初めはやはりしっかり見て実績を積んでいこう、こういうことでございました。

 このような状況、それを促進する手だてといたしまして、今般、NPO法人につきましては、特別小口保険についても責任共有制度の運用ができるように整備を行うこととしたものでございます。

真島委員 ちょっと私が聞きたいことをお答えにならなかったので大臣に直接聞きますけれども、NPO法人についてはとおっしゃったけれども、それ以外の中小企業、小規模企業、特に小規模の企業がこの特別小口を使っているところが圧倒的なんですけれども、そこまで部分保証を拡大していくことが可能な条文になっていますけれども、拡大されるんですか、拡大されないんですか。

宮沢国務大臣 NPO法人につきましては、今長官から答弁いたしましたように、まさにやっと融資が民間金融機関で始まっておりますけれども、まだ一部にとどまっておりまして、しっかり融資審査を整えている金融機関ばかりではないというようなこと、さらに、NPO法人はいわゆる三十四業種の収益事業課税でありまして、それ以外のものについてはある意味では非課税といった意味で、税のチェックといった意味でも少し違っているというようなことを考えて、やはり信用共有といいますか、八〇%、二〇%は民間金融機関にも責任を持ってもらうということを考えております。

 一方で、信用保証全体のことを考えますと、午前中の田嶋委員との議論でもございましたけれども、国際的に見たときに、日本の制度というのは一〇〇%がかなり入っているわけでありますが、民間金融機関のモラルハザードといったものを考えますと、やはり責任共有が基本だろうというふうには思っておりますが、今回の改正を踏まえての見直しをして、今おっしゃったような特別小口保険等につきまして、責任共有に移るというようなことはなくて、引き続き一〇〇%保証として運用していく考えであります。

真島委員 今、特別小口は全額保証を維持するというふうに答弁されたんですけれども、しかし、原則として責任共有が基本だということもおっしゃいました。

 これは、条文に書かれていなければ何の保証もないと思うんですよね。経済産業省の考えが変わったら、小規模企業の特別小口にも部分保証を広げられる、すぐにでも広げられる、八割、七割、六割と自由にすることができる。つまり、経済産業省にあとは白紙委任してくれということになっていると思うんですけれども、その点はどうでしょうか。

宮沢国務大臣 もちろん、条文の解釈等々というものにつきまして、立法者の意思というものも一つの要素ではあります。

 だから、そういうことを考えますと、私が今、引き続き一〇〇%保証として運用する考えであるということは、それなりに重い答弁をさせていただいたと思っております。

真島委員 今おっしゃったように、大臣、中小企業政策の最高責任者である経済産業大臣の国会での答弁というのは、国民に対する約束であって、非常に重いと思います。

 ところが、ちょっとこの間の経緯を見ますと、それだけで、ああ、そうですかと済まないような経緯がありまして、この間、部分保証が導入されてきました。その経緯を見ますと、経済産業省の皆さんが、国会での大臣答弁をいとも軽々とひっくり返してきているんですね。

 部分保証というのは、二〇〇二年の中小企業信用保険法改正案の中で、会社更生法や民事再生法など法的再建手続において再生化計画が認可された中小企業に対する事業再生保証、DIP保証制度が創設された際に導入されました。その際、リスクの高いDIP保証には全額保証はなじまないことを理由にして、これまで、「保証をした借入金の額」つまり融資額全額に保証を付すとしていた条文を、「借入金の額のうち保証をした額」に改めて、事実上部分保証の実施を可能とするような文言の改正が行われました。今回の条文の改正案と全く同じ書きぶりです。

 当時、法案審議に当たり我が党は、条文上では、DIP保証のみならず一般の保証まで部分保証の対象にするように読めるじゃないかということから、質疑の中で、部分保証の対象はDIP保証に限ったものであり、現下の金融経済情勢を見ると、DIP保証以外の保証制度に部分保証を拡大させる条件がない、将来にわたっても性急な部分保証の導入を行わないということを当時求めました。

 二〇〇二年十一月六日、当委員会で、当時の平沼経済産業大臣、ちょっと懐かしい名前ですけれども、どう答弁しておられるでしょうか。

北川政府参考人 委員お尋ねでございます二〇〇二年十一月六日の経済産業委員会における平沼経済産業大臣の答弁について、そのまま読み上げます。

 我が国の信用保証制度では、売り掛け債権担保融資保証等の一部の例外を除きまして、現在、御承知のように、全額保証制度がとられております。諸外国では部分保証制度がとられていることも踏まえまして、金融機関との適正なリスク分担を図る観点から、中長期的には、我が国でも部分保証の導入について検討を進めていく必要があると思っております。

  これはもうよく御承知だと思いますけれども、我が国における一〇〇%保証の例外では、特定社債保証制度が九〇%でありますとか、今申し上げた売掛金のものが九〇%、そして今回のものが八〇ということを想定しています。

  欧米では、アメリカは中小企業者への融資額によりまして八五から七五、イギリスでは業歴に着目をいたしまして八五から七五でございます。あと、フランスは政策目的等で五〇とか八〇、こんな数字があるわけであります。

  DIP保証は、法的な再建手続等によりまして再生を図る中小企業を支援するための制度でございまして、リスクが高いことから、民間金融機関にも一定のリスクを分担していただくように部分保証で対応する、こういうことにいたしております。

  御指摘のように、今般の改正では、条文上は部分保証の対象はDIP保証に限定されているわけではありません。しかしながら、部分保証によっても民間金融機関からの十分な中小企業向け融資が確保されるような状況になるまでは、部分保証制度を広く導入することは、中小企業への円滑な資金供給を確保する観点からは現実的ではない、私どもとしてはこのように考えておりまして、信用保証協会と中小企業総合事業団とが締結する保険約款の中で、DIP保証以外については従来どおり全額保証であることを私どもは明らかにしてまいりたい、こういう形で対応していきたい、このように思っております。

との答弁でございます。

真島委員 明確に、DIP保証以外については従来どおり全額保証であると言われているんですね。部分保証については、民間金融機関からの十分な中小企業向け融資が確保されるような状況になるまで広く導入することは現実的ではないとおっしゃっているんですね。これが当時の中小企業政策の責任者である経済産業大臣の明確な答弁でした。

 ところが、二〇〇七年四月二十五日の当委員会で、我が党の塩川鉄也議員が二〇〇二年のこの大臣答弁についてただした際に、当時の中小企業庁長官は、DIP保証だけを対象にしてその法律の改正を行ったというふうには理解していませんと答弁しています。二〇〇二年の経産大臣の答弁をひっくり返す発言を中企庁長官がされているんですね。

 保証割合をこれまでの十割から八割として、残りの二割は金融機関の負担とする、二〇〇七年の十月から責任共有制度が実施されましたけれども、このとき経産省が決めた責任共有制度要綱で責任共有の対象外になっている、つまり全額保証とされたものは何でしょうか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 現在、責任共有制度要綱におきまして責任共有制度の対象外とされている主な保証制度を申し上げれば、特別小口保険に係る保証、セーフティーネット保証、災害関連保証、創業関連保証などがございます。それ以外にも幾つかございますが、省略いたします。

真島委員 今さっき言いました、平沼大臣がDIP保証以外は全額保証にすると、その後、中小企業庁長官がそうは考えていませんと国会で答弁して、その後、責任共有制度要綱というのを見ますと、DIP保証も全額保証で残っているんですよ。もう二転三転しているんですね。

 繰り返しになりますけれども、最初の二〇〇二年の経済産業大臣の国会答弁はDIP保証以外は全額保証、二〇〇七年四月の中企庁長官の国会答弁はDIP保証だけを対象にはしていません、二〇〇七年十月にスタートした責任共有制度はDIP保証は全額保証として残っている。つまり、最初の経済産業大臣の国会答弁を中小企業庁長官がひっくり返して、そしてそれをまたひっくり返したような制度要綱を最終的には出した。国会がこんなにないがしろにされてきているんです、今まで。

 特別小口保険というのは小規模業者の命綱になっているんですね。これに対して、先ほど、国会での答弁は重いんだと宮沢大臣がおっしゃいました。そこには、部分保証は拡大していないんだ、これは重い私の答弁なんだというふうにおっしゃいましたけれども、このようなことが今までやられているのを見ますと、経済産業省に白紙委任してくださいという条文のままの法案で、はい、そうですかというわけにはいきませんよ。

 宮沢大臣、最後にちょっとお答えください。

宮沢国務大臣 今、二〇〇二年の十一月の委員会の答弁を長官が読み上げましたけれども、私の手元にある答弁書では委員御指摘の場所と違うところに線が引いてありまして、「諸外国では部分保証制度がとられていることも踏まえまして、金融機関との適正なリスク分担を図る観点から、中長期的には、我が国でも部分保証の導入について検討を進めていく必要があると思っております。」この部分に線が引いてありまして、中長期がどの程度かという議論はあるかと思いますけれども、そういう方向で対処したものと思っております。

真島委員 結局、だから、今度はNPO法人だけです、小規模事業者の皆さん、特別小口には導入しませんと言いながら、心の中では、そういう部分保証は広げなきゃいけないと。では、いつの段階でそこに踏み切っていくかというのは何にも確約もないし、だから、ずっと特別小口には本当に入れませんというような約束になっていないんですよね。私はその点を非常に危惧しております。

 昨年の通常国会で成立しました小規模企業振興基本法は、小規模企業の事業の持続的発展が地域経済にとっても重要であり、小規模企業を単に個者として支援するにとどまらず、商業集積や産業集積に果たす役割を評価し、面として支援することが必要だとうたっております。そしてまた、従業員五人以下の小企業者の状況に寄り添った支援を求めております。

 小規模企業対策の重要性がこれだけ増しているときに、小規模企業の資金繰りの命綱である特別小口の縮小につながるような法改正は断じて認めるわけにはまいりません。そのことを表明しまして、私の質問を終わります。

江田委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

 次回は、来る八日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時一分散会


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