衆議院

メインへスキップ



第8号 平成27年4月15日(水曜日)

会議録本文へ
平成二十七年四月十五日(水曜日)

    午後一時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      大見  正君    岡下 昌平君

      鬼木  誠君    加藤 鮎子君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      神谷  昇君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    佐々木 紀君

      塩谷  立君    鈴木 隼人君

      関  芳弘君    武村 展英君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮崎 政久君    宮澤 博行君

      務台 俊介君    神山 洋介君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      鈴木 貴子君    田嶋  要君

      馬淵 澄夫君    渡辺  周君

      落合 貴之君    木下 智彦君

      國重  徹君    藤野 保史君

      真島 省三君    野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   内閣府副大臣       西村 康稔君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   外務大臣政務官      宇都 隆史君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  澁谷 和久君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            鈴木 英夫君

   政府参考人

   (経済産業省貿易経済協力局長)          宗像 直子君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            黒田 篤郎君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          富田 健介君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    北川 慎介君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十五日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     加藤 鮎子君

  白石  徹君     青山 周平君

  若宮 健嗣君     鬼木  誠君

  神山 洋介君     馬淵 澄夫君

  田嶋  要君     鈴木 貴子君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     宮澤 博行君

  鬼木  誠君     鈴木 隼人君

  加藤 鮎子君     穴見 陽一君

  鈴木 貴子君     田嶋  要君

  馬淵 澄夫君     神山 洋介君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 隼人君     神谷  昇君

  宮澤 博行君     務台 俊介君

同日

 辞任         補欠選任

  神谷  昇君     若宮 健嗣君

  務台 俊介君     白石  徹君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房内閣審議官澁谷和久君、経済産業省通商政策局長鈴木英夫君、経済産業省貿易経済協力局長宗像直子君、経済産業省製造産業局長黒田篤郎君、経済産業省商務情報政策局長富田健介君、資源エネルギー庁長官上田隆之君及び中小企業庁長官北川慎介君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。神山佐市君。

神山(佐)委員 自由民主党の神山佐市です。よろしくお願いいたします。

 内閣府の調査によりますと、NPO法人の約七割が資金の調達先を個人と答えており、これまで金融機関の割合は一〇%程度であります。一部、信用金庫には貸付実績があり、平成二十四年度は全国の信用金庫の貸付合計が三百七件で約五十三億円とのことでありますけれども、七割強の事業者が、社会的ミッションを理解してもらえない、物的担保がないなどの事情から資金を融通していただけないというふうなことのようであります。

 平成二十六年九月の、経済産業省、NPOなど新たな事業・雇用の担い手に関する研究会の中間論点整理を拝見すると、「事業型NPO法人については、信用保証制度の対象に加えることを検討する。」とありますが、実際に今回の中小企業信用保険法改正におきまして信用保険の対象とすることになり、当委員会で審議され、先週可決いたしました。

 加えて、論点整理の中に、事業型NPO法人を小規模事業者経営改善資金、いわゆるマル経融資の対象にすることで、「商工会・商工会議所などが経営・金融に関する指導から融資まで、ワンストップで効率的に支援が行えるようになることを踏まえ、検討することが必要」との記述もありました。この点について、御認識をお伺いいたします。

 また、政策金融について、民業圧迫という声に惑わされることなく、本来の使命とも言える民間金融で扱いにくい案件等についてもしっかり金融支援ができることが必要であると思いますけれども、宮沢大臣の御所見をお伺いいたします。

北川政府参考人 委員御指摘のマル経について、まずお答え申し上げます。

 いわゆるマル経融資、小規模事業者経営改善資金融資でございます。これは、商工会、商工会議所の経営指導を受けられた小規模事業者の方に日本政策金融公庫が無担保無保証人で低利に融資する、こういう制度でございます。この制度の趣旨は、商工会、商工会議所が実施する経営改善普及事業における経営指導を金融面から補完して、その実効性を確保するということでございます。

 このため、御指摘のマル経融資をNPO法人に拡大するかどうかという点につきましては、本質的には商工会、商工会議所が行う経営指導等との関係を踏まえて考える必要があると存じております。

 一方、委員御指摘のように、NPO法人の雇用を生み出す力、あるいは地域に貢献することなど、これを認識しておりまして、具体的には、御指摘のとおり信用保険法の改正を提案しておりますし、また、政策金融につきましても制度面の改善を行っているところでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘の、NPO法人を無担保無保証人のマル経融資の対象にするということにつきましては、具体的なニーズを踏まえつつ判断していきたいと考えております。

宮沢国務大臣 政策金融につきましては、私も、もう三十年ぐらい前でしょうか、当時、今は政策金融公庫ですけれども、中小公庫とか国民公庫の予算を二年ほど担当いたしました。ちょうど金利の自由化が進んできて、また、都銀を含めて中小企業金融に民間が乗り出してくる時代、ある意味では政策金融をもっと縮めろ、こういうような時代でありまして、恐らくそのころからいわゆる民業補完云々というような話が随分議論されてきた。

 要するに、金融が引き締まると民間金融機関も中小にはなかなか手を出してこない。一方で、金融が緩むと中小に来る。それをどういうふうに調整していくかというのが、恐らく政策金融機関に求められている役割であることは間違いないんだろうと思います。ただ、三十年たちますと、かなりすみ分けが落ちついてきているのかなという気が私自身はいたします。

 そういう中で、双方による業務提携、要するに民と政策金融公庫、双方による業務連携を進めているところでございます。例えば、政策金融公庫においては昨年末時点で四百四十九の金融機関と業務連携・協力に係る覚書を締結しております。

 また、特に資金繰りが厳しくなるのは年末、年度末ですけれども、年末、年度末につきましては、中小企業庁長官から通達を出して、事業者の立場になってきめ細かくかつ親身に対応するとともに、事業者の経営実態や特性を十分に踏まえた判断を行うよう指導しておりますし、また、私自身からも、直接、昨年度末には各機関の代表に対して同様の趣旨を申し上げました。

 民業補完という立場はしっかり守っていただく必要がありますけれども、しかし、その範囲の中で積極的な中小企業の応援をしていくというのは、政策金融機関のこれも務めであると考えております。

神山(佐)委員 ありがとうございます。

 経営者保証に関する中小企業、経営者、金融機関共通の自主的なルールとして経営者保証に関するガイドラインが公表され、平成二十六年二月一日から適用開始されております。日本政策金融公庫の中小企業事業では、ガイドライン適用前から保証人特例制度により経営者保証によらない融資に取り組んでまいりましたが、ガイドライン適用に伴う主な見直し内容としては、制度利用時の融資利率の上乗せ分を見直すとともに、利率上乗せの免除対象の拡充や、貸し付け条件として締結される特約条項の必須条件の削減、簡素化を図っており、中小企業は利用しやすい制度となったと考えております。

 政府系金融機関における実績として、平成二十六年二月から二十七年一月まで、個人保証を免除、猶予した融資は約四万六千件と伺っております。融資利率については、公庫の資料には、特例制度利用の貸し付けは、加算利率として、免除制度では、一律〇・三%から、上乗せなしから〇・四%、猶予制度では、一律〇・一%から、上乗せなしから〇・一%とあり、信用リスクに応じた利率が上乗せされるとあります。

 率直に申し上げて、事業者の立場からすると、経営者保証によらない融資については審査が厳しくなるのではないかとの懸念を持たれる方も少なくないと考えております。審査に影響するかどうか、この考え方についてお伺いいたします。

北川政府参考人 お答えいたします。

 経営者保証に関するガイドラインを踏まえた日本政策公庫の対応でございます。

 委員御指摘のとおり、一定の要件を満たした上で、金利を上乗せすることで経営者の個人保証を免除、猶予するという構成でございます。

 これは、融資に当たりまして個人保証を設定しない、そのかわりに金利はある程度上乗せるということでございますので、これによりまして審査自体が厳しくなるということではないというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、委員御指摘のように、この運用開始に伴いまして審査が厳しくなるのではないかというような御懸念を持たれてもなりませんので、適切な周知を図ることで、このような個人保証に依存しない融資を推進するように努めてまいりたいと考えております。

神山(佐)委員 ありがとうございました。

 官公需の、八兆円の政府調達における平成二十五年度の中小企業の契約実績は、約四・三兆円となっておるわけであります。

 今回の中小企業の需要創生法改正の一つとして、経済の好循環を全国に波及させるため、創業十年未満の中小企業者を新規中小企業者として定義し、官公需において国等の契約の相手方として活用されるよう配慮する旨を法定するほか、国の契約方針、各省庁等の契約方針の策定などを行うとあります。

 内容は、新規中小企業者等との契約目標の設定、受注機会の増大のための措置等を盛り込んだ基本方針を策定し、各省庁に契約の方針を策定させ、契約実績の概要を公表することも定めています。新しくできた地域の中小企業を優遇することで、官公庁からの受注をふやし、地域における雇用の確保や活性化を狙う目的と理解をしております。

 官公庁の受注は競争入札が基本で、入札参加資格に関する規定は、社歴や売上高など企業規模や実績が問われる内容となっております。これらのことから推測しますと、今回の中小企業への配慮は、最終的には少額な随意契約など一部の受注に限定される可能性が高いのではないかと思います。

 少額随意契約も一兆円を超えて五百八十八万件の実績があり、平均受注額十七万円、そのうち新規が一・五%と以前委員会で答弁がありました。少額随意契約がもちろん必需であることは言うまでもなく、今回の法改正は受注機会の増大に寄与することと思います。

 省庁との契約実績をつくることで事業者の信用度が増すという少額随意契約の受注メリットに異論はありません。ただ、受注実績が欲しいがために不当に安い価格で受注し、契約実績を殊さら宣伝に悪用する事業者がいないとも限らないわけであります。

 このことに御留意いただきたいと思いますけれども、関大臣政務官にお伺いいたします。

関大臣政務官 全国津々浦々に景気回復の波を早く届けたいということで、その際に、中小企業、小規模事業者を官公需にできるだけ参入しやすくしようという中におきまして、今神山委員もおっしゃられたように、やはり質の確保というのも非常に大事な点だと思います。

 毎年、閣議決定しまして、国等の契約の方針ということを官公需法では決めることになっておりまして、二十六年度では五六・七%を中小企業、小規模事業者向けの契約目標としておるわけでございますが、その際の、入っていただく、受注をしていただく企業の評価の方式でございますが、価格以外にも品質等も適正に評価しないといけないと思っております。

 その点を踏まえまして、総合評価落札方式という形としておりまして、質の部分もしっかりと評価する形にしております。また、入りやすくするためには、商品を種類ごとに分類しまして、契約期間も分割して発注する、分離分割発注の活用もさせていただいております。

 また、委員もおっしゃっておられましたが、創業十年未満の中小企業向けの契約目標も設定しまして、新規もどんどん入っていただこう、この点にも配慮をしております。そして、少額随意契約の際に新規中小企業者からの見積もりをとるようにしますとともに、競争入札の際に過去の実績は過度には求めない。ただ、実績があるということも大事でもございますので、資料をいただいたりはするんですけれども、余りそこには、大きな評価項目にし過ぎないように注意しておこうという形にしております。

 そして、このようなことがしっかりと徹底していきますように、ホームページで情報をしっかりと提供していこうということで、官公需情報ポータルサイトというのを、入札参加等級や公募期間など、検索時に絞り込んだメニューがとれるようにして、いろいろな工夫をしながら、また、商工会議所、全国中小企業団体中央会等との連携、その経営指導員と連携をしっかりとしながら、こういうふうな官公需の情報をしっかりと皆様に提供し、先ほどおっしゃられたような質の確保、それと価格の設定をしっかりと見させていただきながら全国に広げていく、そのように努めているところでございます。

神山(佐)委員 ありがとうございました。

 時間の都合で飛ばさせていただきますけれども、小規模事業者持続化補助金について。

 販路開拓に取り組む費用の例示として、チラシ作成費用や商談会参加のための運賃などがあり、雇用対策や買い物弱者対策の取り組みを行う事業者には補助上限アップとあります。しかし、実際のところ、小規模事業者にとっては、具体的に何が対象で、何をすべきかがしっかり把握できていないという実情もあるわけであります。

 参考としてわかりやすい事例があれば、教えていただければと思います。よろしくお願いします。

北川政府参考人 お答えいたします。

 ホームページなどで公表していますが、委員御指摘の事例集というものを今つくりまして、各県二つぐらいずつ載せております。どういったものがあるのかというのをつくりまして、こういったものも含めまして、周知に努めていきたいと思います。

神山(佐)委員 終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 きょうは、十五分お時間をいただきましたので、中小企業、小規模事業者に対する国の支援策について、何点か確認をさせていただきたいというふうに思います。

 安倍内閣では一昨年六月に、新たな成長戦略、日本再興戦略の中に中小企業、小規模事業者の革新を位置づけました。その中で具体的な成果目標を掲げております。これは昨年も改正版が出ております。その一つに、黒字企業を二〇二〇年までに現在の七十万社から百四十万社に引き上げるという目標が設定されています。

 これをどうやって達成していくのかというのが一番課題だと思うんですが、私は、平成二十五年三月末の中小企業金融円滑化法の終了を契機として、中小企業、小規模事業者の資金繰りを確保するためのセーフティーネットとして措置された経営改善計画策定支援事業の活用が大事になるのではないかなというふうに考えております。

 この事業は、条件変更や新規融資などの金融支援が必要な中小企業、小規模事業者が、国の認定を受けた外部の専門家、認定支援機関というふうに呼ばれていますが、この支援を受けまして経営改善計画を策定する場合、経営改善計画策定支援に要する費用として、総額の三分の二、上限二百万円ですが、これまで補助するというような制度であります。

 これまでの実績がどのようになっているのか、長官の方からちょっとお答えいただければと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 本事業の実績は、事業開始の平成二十五年三月以降、平成二十七年三月末までの二年間に二万一千九百二十八件の相談を受け付けて、それを通じて実際の利用申請に至ったのは七千五百二十四件でございます。利用想定は、当初二万件でございました。

富田委員 今のような数字が出ているんですが、もともとは、この利用申請受け付けが平成二十六年度末、二十七年三月三十一日までであったんですが、この期限が撤廃されて、平成二十七年度以降も引き続き当該事業を利用できるようになったというふうに伺っていますが、この期限が撤廃された理由はどういったことだったんでしょうか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 本事業の本来的な趣旨はセーフティーネットということでございました。現在、中小企業、小規模事業者の状況を見ますと、業況回復に足踏みが見られたり、あるいは仕入れ価格の上昇によりまして収益が圧迫されている、こういうことについては注意が必要だというふうに思っております。

 金融面で見ますと、中小企業、小規模事業者によります返済条件の変更の申込件数、これが半年で五十万件を超えておりまして、経営改善が進まないまま返済条件の変更を繰り返している事業者の方が少なくないと考えております。このため、経営改善計画の策定が必要な事業者は引き続き多数存在していると考えているわけでございます。

 実際、本事業の利用申請実績でございます。昨年十月から十二月までの間で前年同期比二・八二倍、ことしに入りまして一月から三月までの間で前年同期比で一・八八倍となっています。

 このように、本事業につきましては、厳しい経営状況にある事業者の経営改善を促し、資金繰りの円滑化を図るセーフティーネットとしての機能を踏まえまして、今般、申請期限を撤廃したところでございます。

富田委員 皆さんのお手元に資料を配らせていただいていますが、資料一で、今長官が言われたように、昨年の後半、利用申請件数がかなり大きくなっています。また、ことしの前半も前年度に比べるとかなり数がふえている。もともとは、中小企業金融円滑化法の廃止に伴って五万社から六万社経営が危なくなるんじゃないかというような懸念があって、この制度をつくって運用してきたわけですが、期限を撤廃していただいたのは結構だと思います。

 ただ、認定支援機関、税理士の先生たちが多いんですが、いろいろお話を伺っていますと、やはりちょっと使いにくいところもあると。特にまた、信用保証協会づきの融資については、経営改善計画を一生懸命認定支援機関の先生方がつくっても、どうせ信用保証がついているんだからということで余り熱心に取り組んでくれない、そういった声も聞かれます。

 マッチングの問題もあると思うんですが、中小企業庁としては、この認定支援機関の活用を今後、どういう課題があって、どういうふうにしていったらこれがもう少し進んでいくというふうに考えているんでしょうか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 本制度の現状と課題ということでございます。

 なかなか当初は進まなかったということもございます。これをどうするかということで、まず、従来、リスケなど返済負担の軽減ということを要件としておったんですけれども、平成二十五年十二月に、リスケを前提としないニューマネーの調達のみであっても対象とすると、基本的な制度改善を行いました。

 また、中小企業庁では三百の地域金融機関にも説明を行うということをやっておりますけれども、実際問題、現場では、認定支援機関、税理士さんあるいは地域金融機関、こういったところの取り組みが非常に重要でございます。

 例えばということで具体的な取り組みを幾つか御紹介いたしますと、会計人の集まりであります団体、具体的にはTKCさん、ここが例えば、この事業の活用促進に向けて、七百件の実践という具体的な目標を掲げた上で、実践的な研修を行って取り組みをしておりますし、それに向けまして、中小企業再生支援全国本部、こういったところも応援しているということでございます。

 また、ほかの事例でいいますれば、中小企業診断士や税理士、それぞれ地域の方が地域の金融機関と連携して、この事業を活用しながら経営改善を支援しておられます。具体的には、富山では、富山信用金庫さんと富山県中小企業診断協会の連携、あるいは京都では、京都信用金庫と地域内の税理士の連携といった事例がございます。

 先ほど御指摘ございました信用保証協会の取り組みでございます。一部の信用保証協会ではまだまだ取り組みがかたいという御指摘もありますけれども、一方で、各地の信用保証協会の中には、事業者の自己負担分三分の一につきまして、その一部を信用保証協会が補助する、こういった取り組みも広がってきております。

 そんな中ではございますけれども、セーフティーネットという機能を発揮する上で、この事業の活用促進に努めてまいりたいと考えております。

富田委員 今長官が言われた、その三分の一の負担分をやはり中小企業や小規模事業者の皆さんはなかなか出せない、三分の二の補助はありがたいんだけれども、そこの部分が一つネックになっているという指摘もあります。今長官の方から、信用保証協会の方でそこの部分についての何か補填を考えていただいていると。これはすごくいいことだと思いますので、そういった取り組みを中小企業庁の方で中心になって、金融機関以外の認定支援機関の皆さんと金融機関がしっかり連携できるような体制をぜひとっていっていただきたいと思います。

 長官、TKCのお話をされて、七百件と言いましたが、TKCは七千件を目指していますので、数字が一桁間違えていました、その点を御指摘させていただきたいと思います。

 また、中小企業庁の方からこれをいただいたんですが、経営革新等支援機関による中小企業・小規模事業者支援優良取組事例集という、かなり大部なものですけれども、これは認定支援機関側の得意分野をきちんと書いて、また、これを利用された中小企業の皆さんがどういった取り組みをされたかといって、いろいろな事例が出ておりますので、ぜひこういったものも、全国の中小企業、小規模事業者の皆さんが具体的にアクセスできるような形で考えていっていただきたいと思いますが、その点はどうでしょうか。

北川政府参考人 お答えいたします。

 先ほど、七百件というのは七千件の間違いでございます。大変失礼しました。

 これからの取り組みということで、やはり現場で一番頑張っておられるのは税理士の先生、あるいは会計士の先生、診断士の先生、あるいは信用金庫、地域金融機関というところでございます。こういったところといかにうまくネットワークをつくって、成功事例を紹介しながら、あるいは金銭面につきましてそんなにお金がかからなくてもできるというようなことも示しながら、努めていければというふうに考えております。

富田委員 もう一点、先ほど神山先生が最後、小規模事業者の支援のことを聞かれていましたが、私もちょっとその点を最後に質問したいと思います。

 資料の二、裏面に北川長官の顔がどんと出ている資料を配らせていただきましたが、これはTKC全国会の今年度四月号の会報、一面に姫路城のきれいなお城が載って、ぱっと広げますと北川長官の顔がどんと出てくるんですけれども、非常にいい提言、これは提言ということでやられているんですが、「経営に役立つ会計と中小企業活性化」ということで、すばらしい提言だというふうに思います。

 真ん中の段のちょうど真ん中あたりに、そもそも中小企業の会計は信用できるのかという問いであった、言いかえれば中小企業の経営を外部から信用していいのかという本質的な問いかけがあったというふうに言われているんです。

 私も、弁護士時代からTKC全国会の皆さんのところで講演させていただいたりして、もうおつき合いは二十五年以上になるんですが、やはり中小企業の会計帳簿が信用できるのか、会計帳簿に従って金融機関が融資をやっていいのかというところが一番問題だと思うんですね。

 そういう意味で、長官の方がこういう提言をされて、課長時代にいろいろ取り組みをされたことを書かれた上で、最後、三段目の一番後ろに、中小企業庁では小規模事業者の販売促進に一件五十万の事業を行っている、補助金を利用された約六割の方が、今回の補助金申請で経営計画、事業計画を初めて作成したとされ、経営の気づきになったとされているというふうに言われています。

 この持続化補助金ですが、二十五年度の補正予算で始まりまして、当初二十五年度は六十六億円、今回、二十六年度の補正では二百五十二・二億円とかなり大幅にアップをしていただきました。二十五年度のときには一万三千件近く採択されたけれども、これが何か、財源でここまでしかできなかったというようなお話ですので、ぜひこの二十六年度の補正で、第一次募集が締め切られたようですが、ここらあたりをきちんと、補助上限は五十万ですから、経営改善計画の方から比べればちょっと規模は小さいんですが、その分小回りがきいて、かなり小規模事業者の皆さんにはこれは役に立つのではないかと思うんですが、今後これをどういうふうに広げていこうとされているのか、その点をちょっとお聞かせ願いたいと思います。

北川政府参考人 お答えいたします。

 小規模事業の持続的発展ということを掲げて、昨年、小規模企業振興基本法をお認めいただいているわけでございます。その一環といたしまして、持続化補助金を行っております。利用状況は大変いいわけでございまして、予算の制約もあって全部にはお応えできなかったわけですけれども、今般、昨年度に比べて二・五倍となる金額を計上させていただいております。これを全国に使われるように工夫してやっていきたいと思います。

富田委員 最後に大臣に、小規模事業者への支援について、経済産業省として今後どのように取り組まれていくかの御決意をお伺いして、終わりたいと思います。

宮沢国務大臣 委員が配られたこの表を見ながら、小規模事業者、全体としては中小企業にも利益というものは上がるような状況が出てきているわけですけれども、やはり大変厳しい方がいらっしゃるんだろうなと。特に、実は私は、昨年消費税が上がったときに心配しておりましたのが、消費税が上がる、そして納税が一年ちょっと後ということになりますと、小規模企業者は特に、本当に納税資金をとっておくということがなかなか難しくて、滞納がふえるというのが今までの例でございます。

 そういう点を含めて、これからしっかりと金融面での対応もしていかなければいけませんし、また、この持続化補助金といったものも活用しながら、小規模企業振興基本法の精神にのっとって、しっかり対応していきたいと思っております。

富田委員 終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 きょうは、今から十一分間、議論をさせていただきたいと思います。きょう取り上げるのは、町の自動車整備工場のことについてであります。

 このことを取り上げると、国交省の所管だという話になったりしますけれども、きょうはぜひ、経産委員会でありますので、中小企業対策という観点から、大臣から前向きな御答弁を承っていきたいというふうに思っております。

 町の自動車整備工場というのは大変厳しい状況にあるということで、例えば、ハイブリッド車だとかあるいは電気自動車、こういうものの修理とか整備とかということについて、その構造の情報がメーカー系列のディーラーにしか出てこない、町の整備工場にはそういった情報が与えられないということで、そういう車が入庫されてもなかなか対応しかねるというような状況もあるようであります。

 それに加えて、最近では二〇一二年十月の自動車保険の料率の改定ということが、少なからずというか、かなり大きく整備工場の経営に影響をもたらしているということのようでございます。

 これは資料一としてお示しをいたしましたが、右側の方の、改定後の等級係数という表でわかるんですけれども、つまりは、事故なし者と事故あり者で保険料の割引率が大きく異なって、事故ありの場合、次年度以降の保険料の割引率が大変小さくなってしまって、等級ダウンということもあわせてなされるものですから、等級ダウンとあわせて保険料が大幅にはね上がってしまうということになるわけであります。

 このため、せっかく保険に入っている方でも、保険を使わないで自費で修理をされる、あるいは、整備工場の側から逆に、十万円とか十五万円程度の修理費用であるならば保険を使わない方がいいですよという御提案をせざるを得ない、こういうことであります。

 場合によっては、故障や事故があったとしても修理をしないでそのまま乗り続けているということが、保険料の改定以降、大変多くなっているのではないかということでございまして、そのことで自動車整備工場、特に板金とか塗装とかという仕事を主体としている会社の売り上げがかなり減少しているというようなことも伺っているところでございます。

 この資料二というところにもお示しをいたしましたが、自動車整備工場の作業内容別売上高ということの中で、事故整備という欄をごらんいただくと、一番下のところにマイナス三・四%という数字が示されているわけであります。マイナス三・四、大したことないじゃないかということではなくて、保険料の改定という整備工場にとってはいかんともしがたいような理由がマイナス要因になっているということでございますので、ぜひ大臣としても目を向けていただきたいということで、きょう取り上げているわけであります。

 私がこの数日間、地元でいろいろな会社から聞き取ってきても、大体、数字にすると、少ないところで七%ぐらい仕事が減っている、多いところで一五%ぐらい売り上げが減少しているというような、これは七、八社の会社から実は聞き取ってきたんですけれども、そんなようなところが現状であるようでございます。

 それで、資料三というところもごらんをいただければと思います。これも同じような資料でございますけれども、特にディーラー以外の専業兼業というふうに示されている自動車整備工場において、入庫台数はマイナス二・五%、売り上げがマイナス二・八%というような調査も、これは自動車整備白書から引っ張ってきたものでございますが、そういう数字も示されているということであります。

 その一方で、資料四、少し古いといいますか、保険料が改定されて後、そういう影響が一巡したころの二〇一四年十一月の新聞記事でございます。大手の損保会社は自然災害などへの保険料支払いで収支が悪化していたわけでありますが、車の保険料率の制度改定で収支は一気に改善して、増収増益ということを示しているわけであります。

 本来、自動車保険、損害保険というものは損害の填補とか被害者救済のためにあるわけでありますが、あるべき姿とは全く逆の姿になっていて、自動車保険が使いたくても使えない。ユーザーは、せっかく自動車保険に入っているのに、使えない、使わない。ある意味、保険の利用抑制ということになってしまっているわけでありまして、その一方で保険会社は大もうけという本末転倒のような状況が起きているわけであります。これは自動車整備工場のみならず、ガラスとか、いろいろな部品産業にも影響を及ぼしているということでもあります。

 保険会社を救うために行われたような料率改定によって、厳しい状況に直面せざるを得なくなってしまっている自動車整備工場でありますが、これについて、大臣、このような状況をどういうふうに御認識されて、そして、中小企業を救わなければならない経産省として、自動車整備工場にどういう支援をしていかれるか、いかれないのか、ぜひ御見解をお聞かせいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 私も、三年ぐらい前ですか、久しぶりに車を石垣にぶつけて、そしてディーラーに持っていって、どうしようかと相談したら、それは保険を使った方が得ですよと言われて、保険で直した記憶がありますけれども、一方で、ここ三年ぐらい、事故のせいだけではなくて、随分保険料率が高くなったなという気がいたします。

 ただ、保険料率自体は、たしか保険料率の審査会みたいなものを通してやっているはずでありますので、なかなか私の方から下げろとかいう話ではないんだろうと思っております。一方で、そういった、まさに自動車整備業というのも、私自身も、ディーラー関係の方、また個人でやられている方、大変仲間がおりまして、残念ながら私の耳にはそういう話が入ってきていなかったんですけれども、ああ、そういう状況なのかと、今、話を聞いておりました。

 そして、中小企業という意味では、自動車整備業も当然、中小企業、小規模事業者でありますので、先ほどからお話が出ております、それこそ持続化補助金といったものはしっかり使えるわけでありますし、また、ものづくり・サービス補助金といったことで、効率化を図っていただくということにも補助金がありますので、そういう面で経産省としても応援をしていきたいと思っております。

中根(康)委員 本来というか、できることなら、自動車保険の料率のあり方、割引率のあり方について、自動車整備工場が大変苦しい、これによって困った状況になっているわけだから、もう一度見直してもらえないかと。これは金融庁ですか、財務省ですか、そういった方面に経産大臣の立場で働きかけをしていただければというふうにも思うわけなんですが、なかなかそれが難しいということであるならば、ぜひ、さまざまな補助、支援、こういったものを充実して、こういったメニューが使えますよというようなことを、各地方局などを通じてでも、商工会議所などを通じてでも周知して、経営がうまくいくように支援をしていただければと思います。

 これから特に、さっきのハイブリッドや電気自動車ということだけじゃなくて、ぶつからない車というようなものができてきたりして、そういうことで、なお一層、別にぶつかった方がいいというわけじゃないんですけれども、自動車整備工場の経営というのは決して楽観できない状況にあるということであります。あるいは、整備士の確保ということもなかなか困難な状況にあるというようなことも聞いておるところでございますので、ぜひ大臣、きょうの私の質問を契機といたしまして、町の自動車整備工場、しっかりと中小企業庁、あるいは経産省としても目を向けていただきたいということをお願い申し上げまして、きょうの質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 質疑の機会をいただきました。前回に引き続き、ベースロード電源につきまして議論をさせていただきたいと思います。

 お手元に資料を配付させていただいております。

 エネルギーミックスに関する議論の中で、四月七日に自民党の原子力政策・需給問題等調査会でエネルギーミックスに関する提言をまとめられました。ここではさまざまなことが書かれているわけですが、着目すべきはお手元の資料一にあります経済効率性のところであります。

 経済効率性で、エネルギーコストに関しては、電力コストは震災前に回復させることを目指すということで、低く抑えなきゃならない、これは当然であります。また、これを実現するために、アンダーラインを引いております、「欧米の多くの国で、漸減傾向にあるが現状六割以上となっているベースロード電源の比率について、わが国において国際的に遜色のない水準を確保すること。」と記載されています。

 そこで、大臣にお尋ねいたします。政府として、与党である自民党提言をベースに今後のエネルギーミックス、まさに佳境だと私は思っておりますが、この提言をもとに議論を進めていくということでよろしいでしょうか。お答えいただけますか。

宮沢国務大臣 自民党の原子力政策・需給問題等調査会におきまして、十数回にわたる議論を行った上でこの提言が取りまとめられまして、そして、四月七日でございますか、私のところにも額賀調査会長等、関係者の方が来られまして、申し入れをいただいたところであります。

 この提言をもとに今後議論を行っていくということでありますけれども、今、審議会、また長期エネルギー需給見通し小委員会において、エネルギーミックスの検討を進めていただいておるわけでございます。ただ一方で、エネルギーミックス自体も、またその後のCOP21対応につきましても、与党の御了解をいただかないとできない、こういうことでございますので、これをベースにとは申し上げませんけれども、こういうものに十分配慮しながら今後作業を進めていくことになろうかと思います。

馬淵委員 政府としては、ベースという言葉はお使いいただけませんでしたが、配慮して進めていくということでの確認をさせていただきました。

 そこで、現時点におけるベースロード電源でありますが、これは今、六割以上になっている、この自民党の提言の中では国際的な状況ということを書かれております。ベースロード電源とは、この委員会でも再三確認されていますが、地熱、一般水力、そして原子力に石炭、この四種である。これはエネルギー基本計画で定義されているところでありまして、その上で、二〇一三年度で申しますと、今申し上げた四つの電源構成で約四割であります。そして、二〇一四年度で申し上げますと、原発比率はゼロというような状況。つまり、約四割がベースロード。

 その上で、先ほどの資料一に示されたように、六割という水準を確保するということが提言で出てきているわけです。そうしますと、単純計算で二〇%の部分が不足をするということになります。その分を何らかの電源で賄わなければならないということになるわけでありますが、政府としては、ベースロード六割の確保ということを考えた場合に、電源構成はどうなるとお考えでいらっしゃいますか。お答えいただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 自民党の提言も、六割にせよと書いてあるわけではなくて、各国で現状六割以上となっているベースロード電源ということを書いた上で、我が国において国際的に遜色のない水準を確保するということでありますから、六割というものが決め打ちではないと思っております。

 そういう中で、原子力につきましても、今後それこそ再生可能エネルギーをどの程度導入するのか。その中で、例えば地熱といったもの、まさに安定電源がどの程度期待できるものか等々といったことを含めて検討を進めていく、こういう状況でございます。

馬淵委員 自民党提言は六割を絶対守れと言っているわけではないというのはよく私も承知しております。

 現実には、委員会の中でも、欧米のベースロード電源というのは漸減しているんですね、どんどん減っています。二〇四〇年、ヨーロッパ並びにアメリカにおいてもこれは五割を切る、減る傾向である、漸減傾向だというわけですから、六割確保ということが本来の目的ではないということは、今大臣おっしゃったとおりだと思います。

 しかし一方で、長期エネルギー需給見通し小委員会、これは私は前回も指摘をさせていただきました。余りにも恣意的な、誘導するような資料の提示がされているのではないかというのを前回指摘したわけでありますが、三月三十日に第五回の長期エネルギー需給見通し小委員会が開かれました。ここでもベースロード電源が電源構成の六割程度を占めることが望ましいという旨の事務局の見解が示されております。

 いろいろくどくどと説明をされているんですが、六割から九割、各国でなっている、ベースロード電源比率と電気料金の関係に強い相関があるということから、ベースロード比率が高い国ほどコストが安いからベースロードを六割ぐらいに置くべきではないかという事務局の説明を受けて、委員の方からは、六割ぐらい、それ以上に高めたい、こんな発言が出された。お配りの資料の二に示してありますように、「ベースロード電源は国際的な水準の六〇%以上にすることをミックスに盛り込むべき。」こういう議論が議事概要に出てきてしまっているんですね。

 先ほど大臣がおっしゃったように、それは守るべきものではない。漸減しています。下がっている。ベースロード電源というそもそもの議論そのものに問題はないのかということすら言われている。こういう状況にあるわけです。

 この後、これは十日に行われたわけですが、第六回の長期需給見通し小委員会においても、事務局からは、ベースロード電源比率が欧州などで下がっているという傾向については、政策的にやっているわけではない、国によってはベースロードを確保しなければならないという立場をとっているとの認識が示されています。

 私が申し上げたいのは、大臣が幾らしっかりと議論をして決めるんだとおっしゃっても、自民党提言でもこれは確保すべき、水準を確保するべきだという提言がなされて、かつ、長期需給見通し小委員会の中でも、六割を、いや、それ以上に高めるべきだという事務局の示唆と委員の発言が続いている。私は、これは事実認識から大きく離れた方向に向いているのではないかという気がしてならないんです。

 このことは再三私もいろいろなところで発信をしてまいりましたが、政府として、少なくとも今申し上げた長期需給見通し小委員会の中で、ベースロード電源として六割という数字が出ている。やはり、これは政府が、先ほど与党だというお話がありました、政府の側でも六割という数字をこれは念頭に置いていると言わざるを得ないのではないかと思うんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 今審議会でお願いをしているところでありますから、当然のことながら、我々が予断を持って何かを念頭に置いているというわけではありません。

 また、いただいた議事概要を見ておりますと、一ポツのところで上から二つ目に六割以上と書いてありますが、下から二つ目は「福島の事故を踏まえての変革を視野に検討することが重要。」と、それぞれの委員の方が意見を述べられているわけでありまして、初めから六割ありきということで作業を進めているわけではないということは申し上げます。

馬淵委員 お立場としてそういう発言をされるのはわからなくはないです。ただ、事務局は、これを説明される中では、国際的に六割を維持している。そして、六割というベースロード電源の比率の高さというのは電気料金、コストとの相関性が高いということで、国際的にもそういった方向に向けるべきではないかと言わんばかりの説明をされているわけですよ、これは。ずっとごらんになれないのはよく承知しておりますが、繰り返し申し上げますが、余りにも結論ありきの方向に持っていってはいないかと。

 前回私が申し上げたのは、再エネの導入についても同様であると。原発とそれ以外の再エネをそもそも比較すること自体がおかしいということの資料の問題点も私は指摘しました。修正はいただきましたけれども。今の取り組みが少なくとも原発をベースロードとして、そして、六割であれば、現状四割ですから、現時点で原発ゼロですから、原子力を二割あるいはそれ以上に高めるという方向に自然となるじゃないですか。今私が申し上げた数値が少なくとも出てきているのであれば、その方向に進む可能性が高いということを申し上げているわけです。

 その上で、こうした状況で額賀会長は、これを出された後に記者団に対して、原発を再稼働させ原子力発電も安全を確認した上で供給源として使っていくことが結果的には日本のエネルギー構成としてはいいのではないかという説明をされたと、これはロイターの通信で上がっております。このように調査会長も発言をされている。

 こうした状況で、それでも、大臣、これは全くニュートラルな状態で議論をしている、そのようにお考えですか。これは私は明らかな方向性、少なくとも結果を踏まえての方向としか見えないんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 審議会に今審議をお願いしております立場の大臣として、全く予断を持っていないということを申し上げます。

馬淵委員 予断をお持ちでないということであれば、少なくとも役所に対しても大臣の指導力をしっかりと発揮していただきたい。最終的には政府としての判断を持っていただかねばならない、私はこう思います。

 エネルギー基本計画の中でも、再生可能エネルギーの推進ということについてはきちっと書き込まれています。したがいまして、原発の低減と再生可能エネルギーの推進ということは安倍政権でも定められているわけですから、それについて進めていただきたいと思うわけであります。

 一方、前回、質疑の最後に私は少し提言を申し上げましたが、四月三日に環境省から調査報告が出ました。当時まだ出ておりませんでしたが、四月三日に環境省から二〇五〇年再生可能エネルギー等分散型エネルギー普及可能性検証検討委託業務報告書というのが報告されました。ここで、二〇三〇年時点の再エネ導入量に関しては、二〇一〇年ベースで最大三五%相当の再生可能エネルギーで賄うことが可能とする試算が示されております。

 さて、こうした中で、この審議会でもちろん今議論をされているわけでありますが、これに関して、大臣は会見で発言されておられますね。四月七日の閣議後の会見で、今回の試算が環境省内においてもどういう位置づけになっているのか正直よくわからない、このように述べられ、内容についても、系統制約の技術的な制約やコスト面の課題など実現可能性について十分考慮されていない、こう発言されています。そして、今検討しているエネルギーミックスについては、組み込むことはできないものであろう、このように発言されていますが、これは、大臣、間違いございませんか。

宮沢国務大臣 そういう発言を、閣議後、いたしました。環境省試算という性格ではないと承知しておりまして、委託先であります三菱総研が再生可能エネルギー導入のポテンシャルを試算したものということで整理をされております。

 そして、記者会見で私が申し上げたような幾つかの問題点があるということについては、環境省も同様の見解であると伺っております。

馬淵委員 組み込むことができないということに対して、大臣は何をもって組み込むことができないと閣議後のあの会見でおっしゃったんですか。それについてお答えいただけますか。

宮沢国務大臣 今作業をしておりますエネルギーミックスにおける算定の基礎として用いることはできないという趣旨で申し上げております。

馬淵委員 そうですね。

 大臣は、私の前回質疑でも、「環境省の御意見を賜る」ということもおっしゃっておられました。そして、環境省の位置づけでありますが、公式見解であるか否かということが私は問題ではないと思っています。少なくともそれをデータとして価値あるものと判断するかどうか、これが重要である。

 望月大臣も、私が三月二十七日にダブルヘッダーで質問させていただいたときにも、経産省を含め関係省庁と連携して調整を図る、このようにおっしゃっておりますし、「経産省の方にもぜひひとつこういったものも参考にしていただきたい。」とはっきり述べておられます。

 つまりは、組み込むことができないというのは、今おっしゃった、そこの俎上にのせるものではないという趣旨だということであったと今受けとめますが、少なくとも、大臣みずからが意見を賜るというふうにおっしゃっておられます。位置づけが問題ではないはずです。それについてはいかがですか。

 環境省の公式ではない、委託先の報告書だからというお話ですが、クレジットは環境省でつきますよ。ですから、環境省が直接述べた見解ではないということが、本来組み込むものではないという判断の材料になるのはおかしいんです。大臣、いかがですか。

宮沢国務大臣 私の手元にある資料ですと、私の発言は、組み込むものではないということではなくて、エネルギーミックスの基礎として用いるということはなかなかできないものだろうと思っています、こう答えております。

 したがって、もちろん、この試算を前提にエネルギーミックスを計算するということはできないわけでありますけれども、当然のことながら、前回もお話をさせていただきましたように、役所間でいろいろ御相談をしなきゃいけないし、大臣間でも御相談をしていかなければいけないし、また、例えばこの中の試算の前提となっている数字がいいかどうかは別にしましても、広域連系といったものはやはりそれなりに見ておくというような考え方は取り込んでいかなければいけないんだろうというふうに思っております。

馬淵委員 大臣の会見を、私もこれは動画でしか見ることができませんでしたが、今の御発言の部分というのは、ちょっと途切れて見れませんでした。ただ、組み込むことはできないものだろうというところについては、ユーチューブ等、動画で配信されておりましたので確認しました。今おっしゃったように、公式の見解ではない云々かんぬんというよりも、計算のベースとし得るものではないということはおっしゃったということで、それは受けとめます。

 ただ一方で、データとして価値あるものであるならば、これは当然、出典がどこか誰かわからない資料じゃないわけです。少なくとも環境省がクレジットしているわけですから、それは意見として参考にするという立場は私は必要だと思いますし、今お話にあったように、系統等、それは参考にすべき課題があるんだということであれば、それは御理解をいただいている部分だというふうに理解をします。

 その上で、一方、系統制約などの技術的な制約やコスト面の課題など、実現可能性について十分考慮されていない、このようにおっしゃいました。これについては、少なくとも内容をごらんになられましたか、大臣は。いかがですか。

宮沢国務大臣 概要の説明は受けました。

馬淵委員 系統制約の課題というのは、この報告書には詳細に示されております。

 二〇三〇年までの導入の見込み量の算出に当たって、太陽光、風力については、電力システム上の制約が発現する可能性を考慮している。その上で、具体的には、電力システム上の制約が存在しない場合の導入見込み量を算出して、そして、この算出結果に基づいて、電力システム上の制約による影響を考慮している。

 このような形で、前提条件としても、私は、系統制約の課題は十分に詳細に検討されているというふうに思います。

 また、大臣の御発言の中には、コストの問題も述べられておりました。このコスト検証も、想定の項目を設けて検討はなされております。

 具体的には、賦課金について、ここでは、固定価格買い取り制度が二〇三〇年まで継続したと想定したときの二〇三〇年までの導入量に対する影響の推計、そして、太陽光発電については、将来的に認定を取り消して廃止が発生することを見込むと同時に、すなわち今度は買い取り価格が下がるわけですね、見込むとともに、買い取り価格の低下と回避可能原価、これは再生可能エネルギー電気の調達によって電力会社において回避される費用の今後の上昇というものを織り込んでいます。

 つまり、これはやはりコストの部分を、制約も含めて、十分私は検討されたものだと思いますし、一考に値すると思います。それを、されていないと会見でおっしゃる。

 私は中身をきちっと把握した上で御発言されていないのではないかと心配をするわけですが、大臣、せっかくこれだけのものが出ているわけですから、全くこれを参考にしないというような進め方は私は問題があるのではないかと。省庁間の連携というのは必要だと政府でもおっしゃっているわけですから、これにつきましては、大臣、改めて確認をさせていただきますが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 いろいろな問題点がこの試算にはあると考えておりまして、固定価格買い取り制度において、既に契約で、五百キロワット以上で三十日以内の出力抑制をするというような方がいらっしゃるわけですけれども、そういうものがない方も当然いらっしゃって、そういう方についても、既契約分を含めて全部出力抑制の対象にするといったような問題点とか、または地域間連系線の容量についても考慮がされていないというような問題。また、コスト的にいいましても、ここはまだ確実に全部私どもも理解しているわけではないんですけれども、二〇三〇年の買い取り価格というのはかなり低い金額を恐らく想定されていて、本当にそういう価格で事業者がいるのかどうかというような問題もあると思っております。

 したがって、環境省ともこれは同じ考えですけれども、定量的なものについてはこれを前提とするわけには恐らくいかないと思っております。一方で、定性的なもので取り入れられるものがあればそれは取り入れていこうというつもりでございます。

馬淵委員 もう時間が参りましたから終わりますが、エネルギー基本計画でも、二〇一三年から三年間、再生可能エネルギーに関しては導入を最大限加速する、このように書き込まれているわけでありますから、今大臣がおっしゃった、定量的なものはということはここに関しては難しいかもしれないが定性的なものとおっしゃるのであれば、一つの大きな方向性を示す報告書でありまして、しっかりと、私が申し上げているように、予断を持たず検討を進めるということを、大臣の御指導で進めていただきたいということを重ねて申し上げて、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、篠原孝君。

篠原(孝)委員 民主党の篠原孝でございます。

 きょうはTPPについて、西村副大臣においでいただきまして、これを中心に質問させていただきたいと思います。

 なぜここでやるかというと、まあ、どこでやってもいいんでしょうけれども、TPP特別委員会がないんですね。内閣委員会も忙しくて、内閣委員会の専属の問題がいろいろあってやっているということで、なかなか時間をいただいたりできませんので、済みませんけれども、この場でさせていただきたいと思います。

 安倍総理の訪米が近くなっております。四月二十八日と言われております。アメリカの方でもいろいろな動きがあります。

 これはもう二年近くたつんですね、総理が訪米してTPP交渉に入ると宣言されて、その年の、二〇一三年の七月に交渉を始めて。それで、最初のころは違っていたんです。こんなに早くするんじゃなくて、日本が入ったら、いろいろこれからまた議論しなくちゃならないので、ルールメーキングの議論に一緒に参加するというふれ込みでしたけれども、余りそうじゃなくて、毎度、もうあとちょっとで解決する、年末になると、解決だ解決だ、決着だとか妥結だと言いながら、ずるずると延びてきている。結局は、やはりアメリカの日程に引っ張られているんじゃないかと思います。

 インサイドUSトレードなどは、まあ、ああいうところはいろいろな臆測をみんなするんでしょうけれども、アメリカの大統領選挙のことを考えると、五月までにめどをつけなかったらWTOと同じように漂流してしまうと。国際機関もないし、もう立ち上がれないんじゃないかというようなことを言っています。

 その前に、後で時間があったら触れますけれども、TPAですね、トレード・プロモーション・オーソリティー。ファストトラックがないんですね、二〇〇七年以来。だから、日本と制度が違いまして、議会に通商交渉権限がある。それで、権限を与えてもらってなくちゃいけないというのに、二〇〇七年からファストトラックの権限がないまま交渉してきている。非常にあやふやな感じでもってやっているわけです。

 だから、今のところ、アメリカのTPA法案の提出、今週中に提出するとかと言われていますけれども、提出したといったって審議されるかどうかわからないし、通過するかどうかわからないんです。これがおくれている。それから、日米二国間協議がおくれている。だけれども、東京でもうちょっとしたら始められる、今週ですね。だけれども、この二つが阻害要因になって最終判断をとめています。アメリカでは専ら知財が問題だと言われていますけれども、発展途上国でベトナムやマレーシアが反対している。特に薬の保護期間ですね。アメリカは長く長くとやる、発展途上国は早く使わせてくれというので、さっさと使えるようにしてくれと。ジェネリック医薬品なんかにも使いたいんですね。

 こんな状況の中で、日本政府としては、見通しですよ。さっき申し上げたとおり、日本が入ったら、もっともっと、三、四年かかるといったのに全然かからず、まあ、結局かかっちゃっていますけれども、ルールメーキングに参加するんじゃなくて、専ら彼らが決めたのを日本が受け入れるというような形で進んじゃっているんじゃないかと思います。

 TPPの妥結の見通しはどのようにお考えでしょうか。西村副大臣、お願いします。

西村(康)副大臣 御指摘のように、アメリカ大統領選挙も来年以降ありますので、そうした日程、あるいはアメリカの国内の手続の日程等々を考えると、残された時間は少ないんじゃないかという思いをある程度多くの国が持っておりまして、アメリカ自身もそういう気持ちになっているんだと思いますので、そういう意味で、まとめようという機運が出てきていることは事実だと思いますし、現に最終局面に来ているんだろうと思います。

 御案内のとおり、アジア太平洋地域に自由な経済圏をつくろうということで、多くの国がこれで経済発展につなげていこうということでありますので、そういう機運が盛り上がって、最終局面にあることは事実だと思います。

 ただ、まだ日米の二国間でも幾つかの課題、しかも難しい課題が残されておりますし、きょう、まさにカトラー代行が来ておりますので、事務的な協議を進めておりますし、詰めを行っております。それから、多国間でも、御指摘のように、知的財産を初めとして幾つかのルールのところでまだ課題が残っております。

 しかしながら、日本が入ったことによって、ルールの面でもこの二年間で相当間合いが詰まってきて、最終局面にまで来たというのは事実でありますので、我々としては、ぜひ早期妥結に向けて粘り強く交渉していきたい。もちろん国益をしっかり守りながら、攻めるべきは攻め、進めていきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 我々が何かをやるといつもアメリカのことばかり念頭に置いて、ほかの国のことを忘れるんですよね。忘れてはいないんでしょうけれども、そっちにばかり目が行く。

 私は、マレーシアの動きなんか注目しているんですけれども。マレーシアはナジブ首相ががたついていまして、マハティール元首相から公然と批判されたりしている。それで、アンワール元副首相をまた逮捕したり、その娘の元気のいい国会議員がいますよね、この方も逮捕して、これは相当ひどいのですぐ釈放されましたけれども。彼らも、じっくりアメリカの動きを見て、日本の動きを見ていて、それで最終判断をすると。そう簡単にはいかないんじゃないかと思います。気をつけていただきたいのは、アメリカの方ばかり見て、そして先を急ぐということはやめていただきたいということですね。

 その件で心配なのは、また今度総理が行かれる。総理は、日米同盟の強化のためには行ったり来たりするのがいいことなんです。それは中国とも韓国ともしていただきたいわけですけれども、アメリカともしょっちゅう話し合えるようにしておいた方がいいに決まっているんです。

 しかし、日本がアメリカに行くとなると、そんたく外交が始まって、何かお土産を持っていかなくちゃならないんじゃないかと、大体そうなるわけです。だから、危険なお土産として、もちろん、ほかにも、沖縄の辺野古の問題とかもありますけれども、やはりTPPを急ぐんだと。

 またインサイドUSトレードですけれども、三月二十日、安倍訪米をアクション・フォーシング・イベントと言っている。この前後に二国間の交渉が妥結、ただし、リーダーの相当強いインターベンション、介入がなかったら無理だろうというふうに書いているんですね。

 日米事務レベル協議をきょう、カトラーが来てやっているというのも、その一環じゃないかと思うんです。ですけれども、首相が訪米するから何かお土産に持っていって、少し調子のいいことを言ってというか進めるというのは、僕はあってはならないことだと思います。

 国会答弁や何かを見てみますと、総理は、そういうことをする気はないんだ、甘利大臣も、そんなことはないんだと言っておられますけれども、その点はいかがでしょうか。

西村(康)副大臣 まず、前段おっしゃられた、マレーシア初め新興国でありますけれども、私どもも、新興国とも連絡をとりながら交渉を進めているところでありますし、新興国は新興国で、自分の国にとっては難しい課題、国有企業の改革とか知的財産の保護とか投資の保護とか、非常に難しい課題をクリアしていかなきゃいけない、国内に反対も賛成も両方あると思います。しかし、成長のために投資を呼び込もう、アジアの国々と一緒に発展していこうという思いで難しい交渉に臨んでいるわけであります。

 そういう意味で、それぞれの国がセンシティブな問題を抱えながら、しかし、できるだけ自由で活発な経済活動の行われる地域にしようということで、これは粘り強く交渉しておりますので、そういう意味で、私どもも、アメリカだけを見ているのではなくて、新興国ともしっかり交渉しているところでございます。

 その上で、やはり日米は二大大国でありますので、ほかの多くの国々が日米の交渉を見守っているのも事実であります。日米が着地ゾーンがわからないところでいる限りは、なかなかほかの国も歩み寄ってこないという面もあると思いますので、日米の交渉をできるだけ早く妥結させたいという思いもずっと持ってきているところでございます。

 御指摘のように、総理みずからおっしゃっておられますけれども、訪米するからといって、何も不必要な譲歩をするというわけではありません。それは全くなく、日本の国益をしっかり実現していく、守るべきは守り、攻めるべきは攻めるという基本方針でやっていくことに変わりはありません。

 しかし、首脳が会うということでありますので、これは妥結に向けての大きなモメンタムになるのも事実でありますので、きょうの事務的なレベルでの交渉も、真摯に詰めて、粘り強く行っているところでございます。

篠原(孝)委員 先に予測しちゃいけないんですけれども、日米首脳は格調高く交渉を進展させなければならないというような共同声明だったら、私はそれでいいんだろうと思います。そのとおりなんです。ですけれども、具体的なことまできちっと進めて、もうこれで決着したんだというようなことは、私はあってはならないと思います。

 なぜこんなことを申し上げるかというと、一三年の二月に総理が訪米されて、総理がカムバックされて初めての訪米です。そのときに、日米共同声明でもって交渉に入るということを言われたわけですね。

 それで、宮沢大臣にお伺いしたいんです。

 そのときに、小さな三パラグラフ、短い声明文です、ほかにもあったように聞いていますけれども、ともかく、日本で公表されたのが三つのセンテンスから成る文章で、二番目以降が大事で、第二パラグラフに、日本には一定の農産品、米国には一定の工業製品というように、両国ともに二国間貿易上の微妙な点が存在する、センシティブ品目と日本語でもしょっちゅう、農家もみんな使うわけですね、日本農業新聞も使います、と認識しつつと書いてあるわけですね。一方的に全ての関税撤廃をあらかじめ約束するよう求められているものではないことを確認すると。日本の農産物を意識して、だから、全部撤廃、ゼロにするわけじゃないから交渉に参加するよと。

 同列になっていて、僕はこのことを言い出すとちょっと胸が痛いんですけれども、そもそも、関税ゼロにするというのは、頭金なわけですね。それをそうじゃないと言って交渉に入るというのは、土台からしてそれはおかしいんですけれども、しかしアメリカにも痛みがあって、自動車の二・五%の関税がある。

 しかし、どうも報じられているのは、この二国間交渉も我々のところには、秘密交渉でほとんど知らされていないわけです。微妙なのを一々、交渉結果がこうだこうだと言っていたら後ろから鉄砲を撃たれますし、そんな、何でもかんでも国民につまびらかにする必要もないと思います。

 しかし、程度の問題ですね。これだけ大団円を迎えつつあるときに、どうやっているのか。私が受けている印象ですけれども、農産物については、済みません、米は困ります、畜産も農家の所得では相当重要になってきているんです、だからそう簡単に関税ゼロなんてできませんというふうに言っている。

 アメリカは、自動車関係のところ、自動車について言っているんでしょうけれども、僕は、専ら攻められているような気がするんですよね、印象として。これはよくない。自動車は認めてやるから、そうしろと言っているわけじゃないですけれども、アメリカからすれば、もう一ドル七十八円から百二十円になったりして、そっちの方が大混乱なわけですよね。日本からすれば、それだけ関税が下がった、四〇%かそのぐらい関税が下がったのと同じメリットが日本の自動車業界にはあるから、関税のところはそんなに大したことないんだろう、今のところは。

 自動車のこともいっぱいやって、大江さんと森さんと、よく出てくる二人が農産物の方と自動車の方と別々にやっている。自動車の方はぴしっとやっているんですかねというのが疑問なんですけれども。大臣が号令をかけて、変なところを譲るでないと。譲るんだったら農産物の方をちゃんと守ってくれる、代償としてね、それだったら、僕はそれはあってもいいと思うんです。

 どんなふうにやっておられるんですか。どうも両方とも押されっ放しのような気がしてしようがないんですけれども、そうじゃないんだったらそうじゃないで、ぴしっとやっていることをお答えいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 今、西村副大臣から説明がありましたように、最終局面に来ていることは事実であります。

 ただ、逆に言えば、最終局面まで解決できなかった問題が残っているということでありまして、決して簡単な作業ではないわけでありますけれども、何とか決着に向けて努力をしていきたいと思っております。

 そして、交渉の中身については、まだ交渉中でありますので申し上げることはできませんけれども、一つだけ申し上げられるのは、攻めるべきところはしっかり攻めているということだけは申し上げておきます。

篠原(孝)委員 両政府とも矛盾したことを言っているわけですね。アメリカは、オバマさんは五年も前に、輸出を倍増するんだと言っているわけですね。フロマンUSTR代表も同じようなことを言っていて、アメリカ製品の優遇政策、バイ・アメリカンをずっとやっていくんだ、それで貿易収支の赤字を相当改めるんだということを言っているわけです。

 あちらは輸出攻勢の道具としてTPPを盛んに打っている。実際はそうじゃなくて、ルールを日本に押しつける、そっちの方がずっとメリットが大きいんだろうと思いますけれども、そういうことを言っているので、私は自動車のところをそう簡単に譲ってもらいたくないんです。

 高村副総裁がアメリカに行ったときも、バイデン副大統領に会っても、ちゃんと言われているわけです。自動車について、もっと柔軟性を示してほしいと。農産物については余り言わずに、自動車について言っているんですよね。

 だから、相当がたがたしてやっていて、もめているんだろうと思うんですよ。だから、そっちの方をやってほしい。まあ、当然、我が方からも、TPAを、ファストトラックをちゃんと得るようにしてくださいよといって高村副総裁は反論されているので、それはそれでいいんだろうと思いますけれども、自動車の方もぴしっとやっていただきたいと思います。

 残念ながらというか、さっき言いましたように業界は、関税を下げることになんて余りもう関心がなくなっちゃっているんだろうと思います、今は。物すごい円安になっているので、勝手だと思いますけれども。しかし、ルールはルールですから、それで少しでも下がった方がいいんですけれども、それを考えてやっていっていただきたいと思います。

 次に、これが一番大事なところで問題なんですけれども、情報開示ですよ。アメリカは、フロマンUSTR代表とルー財務長官が民主党の説明会に行って、そして相当前向きな発言をしたと。アメリカ政府は、TPAを通してもらいたいために政府が一丸となって議会対策をしているんですね。ということで民主党に行って、そこで、さんざん言われていた、議員たちにも協定の案文、テキストを見せない、そして六百ぐらいの企業の関係者とかそんなところにだけ見せて、そして、さっさと進めている。それは何なんだと言われて、僕は、アメリカの議員の言うことはもっともだというふうに思います。

 関税の引き下げとか上げるとか、そんなようなのは、あんたら役人に任す、USTRの担当官に任す。しかし、アメリカのルール、知財もそうです、環境も労働も投資も、そういったものは我々国会議員が決めるんだと。それを全然関与しないでおいて、いきなり国会に提出して、それを承認するかしないかだけ、そんなのでやれるか、そんなのだったらもっと前もってちゃんと情報を提供しろと、もっともなことだと思っています。

 日本の国会議員もそれをうんと言わなくちゃいけないと思うんですけれどもね。私なんかは言っているんですけれどもね。だから、このノーTPPバッジとストップTPPネクタイに恐れをなして全然近づいてきてくれません。だけれども、ちゃんと敵を懐柔するのに、アプローチしてこうなっているからと言っていたら全然違うのに、遠ざけているんですよ。

 だけれども、アメリカは、そこのところは横暴な国のようですけれども民主的で、こうして大々的に、議員にも見ていただいていいですよ、秘書も一緒に来ていいですよ、それから、概要のメモを上げますよというので、だあっと関心のある議員たちが全文を見に行き出した。相当分量は多いんだろうと思いますけれどもね。ばあっと見るのに手間がかかると思います。しかし、そういうことをやっているんですよ。これは、日本国政府はどう受けとめておられるのか。

 これは既に参議院の予算委員会で福島議員が質問をしたりしていますけれども、それで何だかよくわからないような答えなんですが、答弁を見ても。私はこれは大事なことで、アメリカはもうまとめようとして本格的に動き出したと。それだったらほかの国も一緒にやらなくちゃいけないと思います、日本も。

 それから、西村副大臣が言われた、日本とアメリカは二大大国です。この二つがこれでいいよと言わなかったら進めないわけです。ほかの国はそれを見ているんです。これは国によって守秘義務の運用もまちまちで、澁谷審議官がそこに来ておられますけれども、澁谷さんがしゃべっているんじゃないんだと思いますけれども、日本のマスコミは言ってもいないことを書いたりしてというので、アメリカから、何だ、具体的に何%なんという数字が出るといって文句をつけられたことも何度もあるはずですよ。

 私は、日本はこの点については、アメリカがやっているんだということで、何事もパラレルですから、レシプロカルですから、相互主義でいかなくちゃいけませんから、それなりにアクションを起こしてもいいと思うんですけれども、待っているんですけれども全然何のアクションもないんです。この点についてどう受けとめられているんでしょうか。

西村(康)副大臣 御案内のとおり、TPP交渉においては、交渉上の秘密の保持と議会や国民への透明性の確保、このバランスをどうとるかについて、各国はそれぞれ悩みながら対応してきたわけでありまして、アメリカも、秘密保持をしつつ、TPP交渉の透明性を高めるためにさまざまな努力をしているというのは承知をしております。

 米国政府は、以前からホームページにおいて、全ての交渉テキストを連邦議員の誰でもアクセスできるようにしている旨掲載をしてきておりますけれども、その運用はさまざまであって、必ずしも全ての交渉テキストを議員に開示してきたわけではないというふうに理解をしております。

 さらに、御指摘のありました三月十八日付の報道で、USTRが連邦議員によるTPP交渉テキストへのアクセスを改善するための措置をとっている旨報じられていることは承知をいたしておりますけれども、これもいろいろ確認を、照会もいたしておりますけれども、今のところ私どもがわかっているのは、三月十八日付で何か新しい方針が示されたということではないというふうに理解をしております。

 したがって、実際の運用では、必ずしも全てのテキストを議員に開示しているわけではない様子でありまして、現に、報道等によれば、連邦議員あるいはホームページ、それぞれの議員が書き込んだもの等によれば、連邦議員が不満をあらわにしているものもありますので、現在のところ、そういうふうなものとして我々は理解をしております。

 いずれにしましても、私どもも、ホームページ上にそれぞれの議論しているテーマの項目を挙げておりますし、交渉の状況、それから、御指摘のありました審議官がマスコミにブリーフをしたその質疑のやりとり、こういったものを全てホームページ上に掲載いたしております。

 こうした国会の場を通じてもできる限りの説明をしているところでありまして、今後とも、工夫しながらできる限りの情報提供に努めていきたいというふうに思います。

篠原(孝)委員 ここはちょっと副大臣と私の認識が違いますね。フロマンUSTR代表と直接会って話したことはないからわかりませんけれども、アメリカ人は、非常に大げさにやったり、アピールが上手ですよね。だから、三月十八日も、我々が労働者、企業、農業従事者のために米国にもたらそうとしている利点について、議会メンバーが十分に理解できるよう、前例のない追加措置をとったといって調子のいいことを言っています。具体的なものはないとおっしゃいますけれども、しかし、少なくともそう言っているんですよ。

 そして、ちょっとあっちの情報をとってみたら、ドゲットという民主党の議員ですけれども、今まで文句を言っていたわけですね、今まで秘密にしているのは何だと。去年の四月に日本に来た共和党のライアン予算委員長もそう言っていました。そういうのを受けてだろうと思いますけれども、相当オープンにした。だから、それを受けて見ている。

 例えば、下院議員のデローロさんという女性議員は、自分も行った、だから、ほかの議員たちにも、行ってその内容を見ろと。大事なISDSがアメリカでも問題になり始めていますけれども、非常にいかがわしい、ちょっとアメリカの主権を損ねるようなものだ、だから、あれを見ろと。ウィキリークスがまた例によって全部流したりしていますからね。彼女は、僕は区別はわかりませんが、言語では、非公開、コンフィデンシャルと分類されているだけで、シークレット、極秘じゃない、だから、議員はみんな行って見られるんだ、そう言ったと。だから、みんな見て、内容を把握して、そして議論しようということを言っていますよ。だから、相当違うんじゃないかと私は思いますよ。

 それはホームページにもとから書いてあるんでしょうけれども、僕はもとのホームページのは知りませんけれども、こうやって書いてありました。

 全ての国会議員に対して、交渉テキスト全文へのアクセスを提供する。議員は国会の中で都合のよいときにテキストを見ることができる。また、しかるべきセキュリティー許可を得た議員のスタッフを伴って閲覧することもできる。そうやって書いてあるんです。国会議員に対して、交渉テキストのナビゲーションのために、TPPの各章の要約版も提供する。国会議員に対して、議会の委員会とともに作成した交渉での米国の提案を、交渉のテーブルに着く前に見せる、こういう提案をするんだと。だから、どういう提案をしているんだということも明らかにすると書いてあるんです。それに、USTRは議会とともに働き、あらゆる段階において議会のフィードバックをもらい、交渉内容を更新していくと言っているんです。

 相当けなげな態度だと思いますね。それはそうだと思いますよ。TPAが通らない。かんかんになって、こんな、俺たちに知らせないでおいて法案だけ通せと言うのかと。だから、本当に大事なことなんですが、ニュージーランドのシンクレアTPP首席交渉官の言葉、もうずっと前にですけれども、TPP交渉文書はTPP発効後も四年間は非公開とするとか言っているわけです。だけれども、アメリカのUSTRの文書はそうじゃなくて、その交渉の過程のものも明らかにしていくと。当たり前ですよ。多分、条約、協定を見たら、みんな何だかんだと言うので、みんなの意見を入れてやっていくと抽象的になるわけですね。どっちにでもとれるような文書になっているはずなんです。

 だから、私は、交渉経緯なんかもちゃんとわからなければまともな審議はできないと思っているんです。そういう点、もうアメリカは一歩前進で、相当、最後に向けて、ファイナルステージだということで、国際条約、アメリカは厳しく言ってきたんですが、それよりも議会対策を優先し始めたんじゃないかと思うんです。

 しかし、それがちょっとよくないんだったら、私は日本も厳重に抗議すべきだと思います。もし厳重に抗議するつもりがないんだったら、日本も、アメリカがやっているんですね、いいですなといって、一言言った方がいいと思います、日本もそうしますよと。TPPにやたら突っかかって反対する篠原という議員がいる、まあ僕の名前は出さなくたっていいですけれども、議員に理解してもらうためには全文を見ていただいた方がいいんだと。

 そうなんですよ。やたら秘密にしているからいらいらするんですよ。この程度だったらいいのか、農産物のところだけは問題だけれども、ほかのISDSなんて大したことないなと、いや、そうなっているかどうかは知りませんよ、だけれども、全然知らされていないんですよ。ふわっとしたので全てやっているわけです。

 WTOの交渉なんかがありますけれども、EU提案、アメリカ提案と明らかになっているわけです。だから、内容がわかるわけです。いらいらが少なくなるんです。我々は何も見ることができないんですね。

 これは、日本政府としては、アメリカの動きを見て、もうかれこれ一カ月たちますよ。我々国会議員に対してもっとけなげな対応をするつもりはないんでしょうか。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

西村(康)副大臣 冒頭、いろいろTPAのお話もされましたけれども、アメリカと我が国とは国内制度も違うため、一概に全く同じようにできるというものでもございません。

 それから、我が方から、アメリカにおける連邦議員へのテキストの開示を含むTPP交渉の情報開示の実際の運用について、米国政府に対し照会を行ってきたところでありますけれども、米国政府としての回答は、USTRのホームページに記載された内容そのものであり、それ以上でもそれ以下のものでもないとなります。

 現地報道の中には、実際に連邦議員がこういうふうに語っているのも報じられております。政府はようやく交渉に関する情報を我々に説明するようになったが、その内容を外部と相談することは禁じられているというふうなこともあって、交渉の内容が、国会議員あるいは国会議員を通じて幅広く米国民一般に流れているものというふうには理解をしておりません。

篠原(孝)委員 それはわかりませんけれども、我々だって困るわけですよ。

 私が知っているのでは、米韓FTA、これはまた長い条文だったようですけれども、一気に国会承認を得て、そして、皆さんもう記憶にないかと思いますが、日本は国会審議の途中で暴力沙汰になることはここ数年ほとんどないですけれども、台湾とか韓国というのは激しいですね。韓国は、最近では、米韓FTAの承認のときに催涙弾が飛び交ったんです。これは小さくしか報じられていないので、覚えておられない方、もう記憶のかなたになってしまった方もおられるかと思いますが、韓国国会でも催涙弾が飛び交うというのは異様なんですね。殴り合いというのはしょっちゅう、しょっちゅうなんて言っちゃ悪いんだけれども、結構あるようですけれども。

 それは、ちょっと見せただけで米韓FTAを採決してしまった。議員が来ました、議員交流で行きました、行ったり来たりしましたけれども、英文でばあっと見て、これを見てくれと言ってやったんだそうです。それで、ぱっと通してしまった。その内容を後から見たら、弁護士の人がずっと反対したりして、すぐ韓国語に訳して、それで内容を見て、特にISDSのところにばあっと不満が集中して、誇り高い国民ですから、ばかにするな、国の主権を踏みにじっている、ここの部分は交渉し直せという大騒ぎになったんです。

 だから、そんなことにならないためには、きちんとやっていった方がいいと思うんです。やはり日本でもTPP反対の決議というのをしますけれども、最近、具体的な決議をアメリカの市議会がし始めているんですね。リッチモンド市、もちろん内容を言っています、雇用のとかあるんですけれども、秘密交渉の過程と関連文書の公開を求めると。

 それから、シアトル、シアトルが一番最近ですけれども、非公開で、国民も、それから選挙で選ばれた議員も入手できないでいる、こんなことでもってアメリカの雇用や環境や主権が損なわれるのはいかがなものだ、こんなものはやめてほしいと。TPP、アメリカ政府が結んだとしても、シアトルはフリーゾーンにしておいてくれとかまで言っているんです。全会一致でそういうことをしているんです。シアトルは、港湾労働者がいたりして、貿易が拡大すればメリットを受ける人たちが多いにもかかわらず、そのシアトルですら、余りにも非民主的なやり方がおかしいんじゃないかということで言っているんですね。

 日本は、内容のことばかりして手続について言っていませんけれども、私は、公正な手続でもって決めていくのが民主主義の大事な点です。そういう手続がなかったら、やはり、内容もおかしいし、認めるべきじゃないと思うんです。今は、日本国民も我々国会議員もほとんど内容については知らされていない。みんなで同じ土俵、レベル・プレーイング・フィールドとずっと言っていますよね、同じ競争条件のもとでやるんだと。だから、十二地域で同じような条件のルールでもって貿易もし、ビジネス活動をしようというのでやっている。

 ところが、過程において、アメリカはさんざん厳しく言っていたのに、議員たちがみんな今いろいろな情報を入手できるようになっている。何人も全部見てきたと言っている人たちがいる。さっきのデローロ、女性の議員じゃないんですけれども、みんなに見ろ見ろと言っている。

 今現在において、内容はみんなで一緒にやるのかもしれませんけれども、そこに対するアクセス権において、日本とアメリカの議員で物すごく不平等なんですね。TPPは平等にしよう、みんなで一緒に同じルールでやろうと言いつつ、過程において相当日々知らされながらルールをつくっていった人たちと、全然、いろいろな情報なしにつくっていったのだと、やはり僕はこれは問題だと思うんです。これは早急に直していただいてもいいような気がするんですけれども、再度質問いたします。

西村(康)副大臣 委員御案内のとおり、TPP交渉、合意がなされたとしても、最終的には国会で御承認をいただかないとこれはなりませんので、そういう意味で、私どもしっかりと、今の段階で説明できることは説明をしながら、そしてまとまれば、まとまった段階でしっかり御説明をして、そして審議をしていただいて承認をしていただくということで、そういうプロセスを日本の場合はとっていくことになりますので、その過程でしっかりと情報提供していきたいというふうに思います。

 それから、事前に国会の決議をいただいておりますから、私ども、その決議をよく受けとめて、よく踏まえて、ある意味一定の制約が交渉の中にかかっておりますので、それを踏まえながら交渉を進めているわけであります。その範囲内にあるということを認めていただかないと承認がなされないということだと思いますから、そういう意味で、決議の内容もよく中身を踏まえながら、しっかりと粘り強く交渉して、そして、その交渉の過程でもできる限り情報提供を引き続き行ってまいりたいというふうに思います。

篠原(孝)委員 アメリカの場合はちょっと違いますけれども、議会承認は簡単といえば簡単なんじゃないかと思います。TPAで一括承認です、追い越し車線という名前がついているぐらいで。

 だけれども、日本の場合はルールはどういうふうになっているのか僕は知りませんけれども、条約、これを承認していいのかどうかというのはきっちり議論しなくちゃいけないんじゃないか。だけれども政府間で決めている。政府間で決めているから、盲目的に何でもいいよと言ってオーケーするというわけにいきませんし、内容を精査しなくちゃいけない。

 だから、アメリカなんかは、TPAを我々が言うのはもうわかっているはずですけれども、韓国とパナマとコロンビアの実施法案をつくってFTAを認めたんですよ。やってから、協定ができてから、後から再交渉しているんですね、韓国の場合は。悪い見本を韓国がいっぱい示してくれているわけですから。それをちゃんと見ている。

 だから、僕らはTPAについてはそこそこしっかりした対応を、日本はそっちが先だと言っているので、それは丸だと思いますけれども、途中で大江首席交渉官は、TPAがなくても日米二国間協議はまとめてもいいんだとか、なまくらなことを言っていたので、何だと言ったら、民主党の会合の中で、それは違うということで、やはりTPAがなかったら決着ができないということになっているということで、それはそれでいいんだろうと思います。

 それでは、情報公開についてです。

 我々は、前回も出しているはずなんですが、法案を提出します。今野党でまとめていますけれども、国民経済及び国民生活に重大な影響を及ぼすおそれのある通商に係る交渉に関する情報の提供の促進に関する法律案、簡単に言うと、TPPの情報をちゃんと開示しろという当面の目標、TPPだけじゃないですけれどもね。

 ちょっとおかしいので、特定秘密保護法ができた、それはそれでしようがないかもしれません。だからといって、何でも特定秘密みたいな感じで何も出さないよ出さないよと言っていったら、政府ばかりで物事を進めることになってしまいますから、それはよくないんじゃないかということで、細かい内容はやめておきますけれども、ちゃんと議論していただく必要があるんじゃないかと思います。内閣委員会になるんだろうと思いますけれども、ほかの委員会にも非常にかかわるので、ぜひこれは頭の中に入れておいていただきたいと思います。

 それから、前から出ていましたTPAです。

 TPA、日本とアメリカの違いは、あっちは大統領も別途選ばれ、議員も別途選ばれて、議院内閣制じゃないんです。それでこういうのになっているわけですけれども。先ほど申し上げましたとおり、二〇〇七年に失効してから、オバマ大統領が初めてだと思いましたよ、ファストトラックの権限を一度も与えられないままの大統領はいないんだろうと思います。

 このTPA、どうなっているんだ。これを通してもらうためにアメリカ政府が動いている。そのかわり、ルー財務長官が言っているのは、これはきょう議論しませんけれども、為替、通貨操作条項があって、それを入れろというのがあるから、二人で民主党の会合に行って説明しているんですね。

 私は、そもそも論でいったら、ウルグアイ・ラウンドとかでもやりましたけれども、一九九〇年の十二月で、あのときもファストトラックが先に通っているわけです。しかし、その期限が切れてしまうから、その前にといって、またアメリカ政府がもう一回やって、三月にまた延ばしてというふうにやっている。アメリカに引っ張り回されているわけですけれども、ない状況でこれだけ平然と交渉してきているということは余りなかったんだろうと思います。

 同時並行でやられるというのはいいんですけれども、一体これはどうなっているのかという見通しです。これこそ、TPPの交渉、まあ、知財だとか環境だとか政府調達、それから我々のマーケットアクセスとか、それから国有企業とか。もめている分野はあるんだけれども、大体、ファイナライゼーションというか、そんな感じになってきていると言いつつ、一方で、TPPの主要部分についての合意以上に何かふわっとしていて見通しが立たないのは、私はTPAだと思います。

 これは日本の新聞にもこのことが出ますけれども、これが通っていなかったら交渉自体が無意味だと思うんですが、この成立の見通しをどのように見ておられるんでしょうか。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

宇都大臣政務官 お答えを申し上げます。

 今委員がおっしゃいましたように、TPA法案、いわゆる貿易促進権限法案に関しましては、昨年一月に米国議会に提出されましたが、十二月の議会期終了をもって廃案になっております。また、現在開会中の議会期には、現時点で新たなTPA法案は提出されていないことを承知しております。

 政府として、他国の議会における法案提出の見込み、また法案審議の見通しについてお答えする立場にはございませんが、提出をめぐりさまざまな報道がなされていることは承知をしておりまして、引き続き動向を注視しているところでございます。

篠原(孝)委員 これは、こっちも内容が明らかになっていないんですけれども、今触れられましたとおり、キャンプ・ボーカス法案が一度出ているんですね。だから、わかりませんけれども、それと内容が大して変わらないんだったら、大体わかるわけですね。そのとき提出されているわけですからね。

 でも、こっちの方は、TPPの内容と違って、TPAがどうやって動いていくか、どういう内容かというのは、提出された時点でちゃんと提供してください、我々に。

 なぜかというと、その中に、TPPをどうやって扱っていくか、あるいは、きょうは触れませんけれども、問題の通貨操作条項も入っていて、それが意外と後々の貿易問題に悪影響を及ぼすんじゃないかと私は思っているんです。だから、TPAの状況、こういうのは外務省の情報収集の役割ですからね、ちゃんとやっていただきたいと思います。

 今、ハッチ・ワイデン法案と呼ばれているようですけれども、一生懸命、苦労されている。だから、これもどうなっているかというと、皆さんも情報をちゃんと入手されていると思いますけれども、TPPとTPAの関係ですけれども、私は、TPAが通らなかったら、絶対TPPの妥結はないと思っているんです。その点は、甘利担当大臣もそこそこ明言されているんです。

 ですけれども、ちょっと最近、変わってきたかなと思います。通過じゃなくて、今週だか何か、提出されれば一歩前進だから、交渉を加速してまとめようというふうに聞こえるような発言も聞こえてくるんですけれども、私は、前後は逆で、TPAがきちっとしなかったらTPPの妥結はあり得ないと思っているんですが、その点はどうなっていますでしょうか。

西村(康)副大臣 委員御指摘のとおり、交渉参加している各国は、TPPの妥結にはTPA法案の成立が不可欠という認識を持っておりますので、TPAが通らないことにはTPPが妥結するということは非常に難しい、ハードルが高いというふうに認識をしております。TPAが全く見通し立たない中で日米を決着させるというのも非常にハードルは高い、これは甘利大臣も明言をされております。

 我々としても、TPAの早期成立を期待しているところでございます。

篠原(孝)委員 TPP交渉、十二カ国の交渉はもちろんですけれども、では、問題の日米二国間協議の妥結、これとTPAの通過というのは全く同じでいいんでしょうか。

 さっき申し上げましたとおり、三月の上旬、大江首席交渉官は、二国間交渉はいいんじゃないかというような、私からするとなまくらな発言をしているんですけれども、それは違うんでしょうね。二国間交渉もTPAが先、こういうふうに考えてよろしいんですね。

西村(康)副大臣 先ほども申し上げましたけれども、甘利大臣も、TPA法案の少なくとも見通しが立たないと、TPAが全く見通しがない中で日米を決着させるというのは非常にハードルは高い、こういう言い方をされておりまして、同じ認識でございます。

篠原(孝)委員 ぴしっとしないんですね。

 見通しだけじゃだめだと私は思います、見通しだけでは。それはなぜかというと、日本の法案の提出と通過率、某党の政権時代は三十何%の通過率、そういうことがありました、下手くそだったんですね。日本は、議員提案はともかく、内閣提出の法案の通過率が高いです。

 ところが、アメリカの法案の提出した後の通過率というのは何%か、ちょっと言っていないですけれども、御存じの方はおられますか、大体何%ぐらいか。御存じないですか。恐ろしいんですよ。何とか法案、篠原法案とかいってしょっちゅう出せるわけです。だから、五%になったことないんです。二%か三%。提出された法案のわずか二%から五%しか通過しないんです。だから、過大宣伝されては困るんです。

 TPA法案が提出されたから、もう通る見込みがあるから交渉を加速しよう、これはやめていただきたいということを、だから私はしつこく聞いているんです。この点はどうでしょうか。

西村(康)副大臣 今週にも提出がなされるということで我々は伺っておりました。十三日にもということも聞いておりましたけれども、現時点で提出がなされていない。

 他国の法案の話でありますから、私があれこれコメントするのは適切ではないと思いますけれども、さまざまな議論が米国議会内であって、調整をしているんだろうというふうに期待をしております。そういう意味で、早期成立を期待して、TPP交渉に弾みがつくようにということを期待しているところでございます。

篠原(孝)委員 言い切れないのはわかりますけれども、甘利さんは結構、ここはハードじゃないんですかね。僕は、向こうの新聞をばあっと見て、どの新聞だったか、甘利TPP担当大臣は日本にしては珍しく強気だと書いてありました、強気だと。僕はこれでいいんだろうと思います。

 ほかの国だって、みんな言っているわけですから。TPAがちゃんと通らないことには、我々は交渉を妥結させるつもりはない。グローサーというニュージーランドの貿易担当相は、それを明言していますよ。日本もそれをぜひ言っていただきたいんです。

 提出しただけじゃだめですよ。私は、提出だけで見通しが立ったというのは、絶対、そんな詭弁は許しません。さっき言いましたように、すぐ成立するなんというのはないわけです。だから、この点をちゃんとやっていただかないといけません。

 それはなぜかというと、今までだって、御存じだと思いますけれども、クリントン政権のときに、与党の民主党が反対して、九八年、通っていないんです。ブッシュ政権のときも、やはり通っていないんですよ。通らないときというのはいっぱいあるんですよ、TPA。だから、ファストトラックというのは、いつもアメリカにとっては難問なんですよ。それは当然ですね。

 今申し上げたように、雇用、環境、それで今、ISDSが問題になっているわけです。当然ですけれども、アメリカでは、日本では余り問題になっていないが、アメリカも気がついて、州政府や市も訴えられるんですね、多国籍企業に。こんなばかなことがあるかというので、州議会の方が敏感になってきているんです。当然だろうと僕は思います。

 アメリカは訴訟社会ですから、その標的にされては困るということでやってきている。これも、みんな情報が、やっとアメリカでも、いろいろなものがあって、国民に、議員に伝わっていったからなんですね。

 私は、今後の交渉ですけれども、ワシントン・ポストかウォールストリート・ジャーナルか忘れましたけれども、珍しく日本はきちんとした強気な態度をとっているといって、評価されているというか客観的に書いているだけだと思うんですけれども、僕はそうだと思いますよ。やはり、TPPとTPA、TPAの方が先で、TPAをちゃんとして、つまり、後からまた何だかんだ難癖つけられて再交渉だなんてとんでもないですからね。

 だから、そんな状態で妥協するのはもってのほかだと思いますから、その点をきちんと認識して交渉されることをお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 維新の党、落合貴之でございます。

 本日は、前半に貿易保険について、そして後半に電力自由化に関連する問題についてお伺いをさせていただきます。

 まず、貿易保険についてですが、三月二十日に貿易保険法及び特別会計に関する法律の一部を改正する法律案が閣議決定をされております。これは、貿易保険事業を行っている独立行政法人NEXIを全額政府出資の特殊会社に移行させて株式会社NEXIに、そして、NEXIから再保険を引き受けている貿易再保険特別会計もこの新NEXIに統合されます。

 そもそも、NEXIは、二〇〇一年に通商産業省の貿易局長期貿易保険課から外に出して、独立行政法人をつくっています。ここからなぜまた今度、組織を変えて特殊会社ということにするんでしょうか。お伺いをいたします。

関大臣政務官 NEXI、独立行政法人日本貿易保険の特殊会社化につきまして、先ほど委員からもございましたけれども、平成二十五年十二月二十四日に閣議決定されました独立行政法人改革等に関する基本的な方針におきまして、各法人の業務類型の特性を踏まえたガバナンスを整備するとの観点で定められたものです。

 どういうことかといいますと、大型かつ複雑な案件が現在非常にふえてきております。そういうふうな中、多角的、専門技術的経営判断が求められている事業環境が非常に進展してきている、そのような変化が起こってきているということが一つ挙げられます。また、日本の財政のスリム化の観点から、現在は貿易保険事業の九割のリスクを引き受けている国の貿易再保険特別会計が廃止されるということを受けまして、その資産、債務がNEXIに移管されることを踏まえまして、取締役によります相互牽制など、今後の貿易保険事業にふさわしい内部ガバナンス体制を確立しようということで、NEXIの組織形態を独立行政法人から株式会社に変更することとしたということでございます。

 もう少し詳しく言いますと、ベトナム・ニソン製油所の案件を例にとりますと、非常に複雑なリスク審査というのがあるわけなんですが、以前は、そのようなプロジェクト、例えばベトナムと日本が日越の企業をSPC、目的会社でカンパニーをつくりました、そういうときに、ベトナム政府も日本政府もいろいろ保証をつけていたりしたんですが、そういうようなときに、いろいろな融資に関しまして、ベトナム政府が無保証、今度保証をつけるのをやめるというふうなケースが出てきております。

 こういう際に、ベトナム政府の支払いが行われないことに対する、日本政府がいわば保証するというふうなことに対して、一方的に日本ばかりが保証するというようなことに対して、これはもう行き過ぎじゃないかとか、そういうふうな観点もいろいろありますし、海外におけます政府の対応がいろいろ変わってきた、そういうようなことも踏まえましての一環と御認識いただけたらと思います。

落合委員 事業環境の変化ですとか、あとガバナンスを変える、それから財政上の問題、行革の問題等々で組織を変えていくというようなことでございますが、これは、一回組織を変えて、もう一回十五年後に、十六年後ですか、変えるわけです。独法にしたときに移行費用がどれぐらいかかっているのかと、それから、今回また組織を変えることによってどれぐらいの移行費用を想定しているんでしょうか。

宗像政府参考人 お答えいたします。

 独立行政法人への移行にかかりました費用につきましては、平成十二年度の貿易保険特別会計の決算におきまして、歳出として約十億四千万円が計上されております。主な費用は、独立行政法人化に伴う情報システムの整備にかかる費用、それから、新しい事務所への移転にかかる費用などでございました。

 今回の特殊会社への移行に要する費用につきましては、今回は事務所の移転を伴わず、それから、再保険の廃止に関連しての情報システムの改修を初めとする社内体制の整備が中心となりますので、独立行政法人への移行に要した費用よりもかなり少なくなると見込んでおります。

落合委員 ありがとうございます。

 今回、法案が通りますと、政府がNEXIから再保険を引き受ける制度がなくなって、NEXIの保険金の支払いを国が担保する制度、履行担保制度に変わっていきます。それで、特別会計が廃止されますので、もしものときは一般会計からお金が出るということになると思いますが、毎年どれぐらい履行担保のために一般会計からお金が出ることを想定しているんでしょうか。

関大臣政務官 毎年というか、過去、一般会計から千九百七十億円が保険支払いのために繰り入れされたことがあるんですけれども、基本的に、今回、このように組織が変わったからといって新たに国民負担がふえるかということについては、ふえることはございません。

 貿易保険の基本的な考え方としまして、原資に保険料を充てまして独立採算で運営するというのが基本的な考え方なんですが、今回、貿易再保険特別会計が廃止されましても、新たな制度のもとにおきまして保険事故が多発した場合は、NEXIの保険支払い原資が一時的に不足することが起こるかもしれません。そのときには政府が必要な財政上の措置を講じるということになるんですけれども、それは、現行制度におきましても同じように一般会計から特別会計への繰り入れを行うというふうな考え方をとっておりましたので、今後におきましても、新たにもっと大きなことが生じるか、そういうようなことは起こることではないと御認識いただきたいと思います。

落合委員 基本的には自前で、独立採算で、本当の万が一のときだけ一般会計から出ていくと。自前でNEXIがリスクをとっていくということですが、保険の業界では、年々、再保険というものが出てきて、どんどん再保険を掛けていくという方向に進んでいました。今回は、政府が受けていた再保険の制度をなくすということで、NEXIがリスクを全部受ける、リスクが高まるということになります。

 今回、特別会計の資産、負債を引き継ぎますので、NEXIの財務体質、体力は強まるとは思いますが、ちなみに、NEXIの資産から負債を引いた純資産が昨年末で三千三百億、それで、貿易再保険特別会計の資産から負債を引いた金額が五千八百億。これを単純に足し算しますと、九千億以上のいわば純資産を持つことになります。今、NEXIは毎年大体八兆円の保険を受けていまして、残高が十四兆円台、支払い保険金が百億に達する年もあります。

 一般的に考えますと、再保険がなくなるということは新NEXIの抱えるリスクが高まるということですので、ひとまずは貿易保険の引き受けは慎重になるのかなとも思うんですが、慎重になっていくのか、もしくは、この組織改変によってもっとリスクをとっていく、拡大していく方針なのか、その方針について伺えればと思います。

関大臣政務官 今、アベノミクスで基本的な三本の柱のうちで、成長戦略の項目で、インフラ輸出というのは大事な項目として挙がっておるところでございます。そういうふうなときに貿易保険というのはインフラシステム輸出をする際に非常に大事な内容でございますから、NEXIが今後このように組織変更があったとしましても、引き受け姿勢というのが消極的になることがあってはならないと考えております。

 そして、今、委員もおっしゃられたように、十分な財政基盤を整備して、責任準備金を積み立ててくださいねというふうなことをやったり、また、必要な場合には国が財政上の措置を講じるということも考えております。

 そして、国も、NEXIのいわゆる運営状況をいろいろ見ながら、政策的観点から意見を述べることまでやろうと考えておりますので、そういう点から、NEXIがしっかりと責任を果たして、いわゆるインフラシステム輸出のところについては、本当にアベノミクスの三本の矢、大事な成長戦略の柱の一つとしてどんどんと推進していけたらと考えておる次第でございます。

落合委員 どんどん業容拡大となりますと、JBICとのすみ分けですとか、新しいこういう政府系金融機関のようなものができていくという問題点もあると思います。これはまた法案の審議の際に伺えればと思います。

 万が一、十年、二十年、余剰金が積み上がっていった、大きな戦争ですとかが起こらなかった。もし特別会計であれば、一般会計に余り多い場合は繰り入れていっていました。今回は特別会計はなくなるということで、この法案では二十九条に余裕金は金融商品で運用しないなどは書いてあります。あと、同条第四号で、「前三号に掲げる方法に準ずるものとして経済産業省令で定める方法」と規定されて、省令で運用の方法を定めることができるようになっています。

 本当に物すごく余剰金が積み上がった場合、これは政府が一〇〇%株を持っていますので、配当金なので国庫に繰り入れるなど方法はあると思うんですが、余剰金を国に吸い上げる仕組み、これは仕組みとしてはつくるのかどうか、検討しているのかお聞かせください。

関大臣政務官 今、落合委員がおっしゃった点は非常に大事なことだと思います。十分な責任準備金は積み立てなければならないというのはリスクに対する考え方ですから、その点は十分準備しないといけないんです。

 一方で、本当に保険事故が少なくて、NEXIの準備金がどんどんたまっていってしまった場合、こういうときにつきましては、利用者から徴収した保険料は利用者に還元すべきであるという考え方は、そのとおりだと思います。その点から考えますに、保険料率の引き下げや、より一層積極的な保険引き受け等を行うことによりまして、その点については、いわゆるメリットをそういうふうに社会に還元していくという考え方は踏襲していきたいと思っております。

落合委員 これはこの委員会にも法案が上がってくるでしょうから、また詳しくはそこでもいろいろと質問させていただければと思うんですが、組織を変えることによって取り締まりのガバナンスを強化していくことですとか、それから、事業環境が変わってきている、多角的な経営ができるようにするべきだということで、これは経営者、役員の方々の人事も重要になると思います。

 今、理事長は元経産省の方、理事二名のうち一名も、こちらは今現役出向の方ですが、歴代、経産省の方です。いわゆる天下り先になっているような人事であります。株式会社化すると役員の人事権は一〇〇%株主の政府が握ることになりますが、この役員の人事は今までと変える予定はありますでしょうか。例えば、民間から経営のプロを入れるですとか、国際的な金融に詳しい方を入れる、こういった新しい今までとは違う人事を行う予定はございますでしょうか。

宗像政府参考人 新会社の役員につきましては、株主総会による決定を経まして、経済産業大臣の認可を得ることとしております。したがいまして、現段階で具体的な方針があるというよりは、株主総会によって決まっていくということとなります。

 大臣の認可に当たりましては、平成二十二年の閣議決定におきまして、役員候補者について第三者が評価を行う委員会を設け、当該委員会から役員として適任であるという評価を受けることを、役員任命に関する所管大臣認可の条件とすることとなります。

 また、NEXIの職員につきましては、平成二十七年四月一日現在百四十一名おりますが、そのうち省庁からの出向者が十一名、省庁から出向しそのままNEXIに転籍した者は十二名、省庁を退官後、直接あるいは他の組織を経てNEXIに就職した者はゼロとなっております。

 以上でございます。

落合委員 ありがとうございます。

 政府の全体の方向として、独立行政法人や特別会計を減らすということは賛同できます。しかし、また新しい政府系金融機関ができていくようなことがあって、またそれがどんどん膨張していく、そしてまたリスクが発生して膨大な国民負担が起こるということがあってはなりませんので、私もこの問題はもう少し追っていきたいと思っております。

 それでは、電力自由化に関連する質問をさせていただきます。

 先ほどはベースロード電源についての質問がありましたが、二〇三〇年の時点で再エネを何%導入するか、こういったエネルギーミックスの議論がいろいろなところで起こっています。

 まだ省庁の数字は発表されていませんが、報道されている新聞などの数字では、再エネの導入量、経産省は風力を除いて二〇%超、環境省は最大三五%。一方、世界を見ますと、先進国では、同じ二〇三〇年で、フランスが四〇%、EU四五%、アメリカのカリフォルニア州五〇%、ドイツはその五年前の二〇二五年に四〇から四五%などと計画が発表されています。

 国際的な流れからしますと、この新聞の報道にあるような、仮に二〇%超とした場合、これは数字として国際的な流れよりも低いというふうに思われますが、まだ経産省の見解は固まっていなくて発表されておりませんが、二〇%台は低いのではないか。所見をお伺いさせていただければと思います。

山際副大臣 これは、今委員御指摘いただいたように、経済産業省の中で、審議会でまさに今専門的な御議論をいただいているところでございまして、そのことについて予断を持ってお答えする段階にはない、このように考えてございます。

落合委員 議論を、いろいろな専門家、そして省内でしてもらう中で、最終的に、こういう決着の難しい問題というのはやはり政治家の決断だと思います。ぜひ、日本の経済の流れ、世界の流れを見た上で決断をしていただければと思います。

 二〇三〇年の電源構成、原発の位置づけについてなんですが、単純に計算しまして、今ある原発を四十年で廃炉にすると仮定しまして、二〇三〇年に残っている原発の数掛ける稼働率を大体七割ぐらいとしますと、原発の割合というのは一一%とかそれぐらいにしか、稼働していてもなりません。経産省が、もし二〇三〇年の時点で仮に原発を二割ぐらいにしよう、そういうふうに決めるのであれば、残りの部分は新設する、もしくは四十年廃炉をもっと延ばして六十年などにする、こういうふうにしないと二割いきません。

 これは、先ほども予断を持たないということですが、もし今報道されているような数字に決定してしまいますと、原発をふやすか、延ばすかしなきゃいけないわけですが、そういうことも選択肢には入っているんでしょうか。

山際副大臣 今の、運転期間の延長というものにつきましては、法令に基づいてもし事業者が申請をした場合には、原子力規制委員会が法令に定められた基準に適合するかどうか審査を行って、その判断が尊重されることになるということでございます。

 また、これも従来から申し上げているとおりでございますけれども、現段階においては新増設、リプレースは想定してございません。

落合委員 今、この問題は議論が大きくなされていますが、原発の再稼働自体も国民全体の民意の多数は得ていません。新設もしかりですし、老朽化した原発をさらに引き延ばして稼働させるということも、一般的に考えれば事故のリスクが高まる。やはり、四年前に福島で大きな事故が起こったわけですから、こういう問題は、民意は無視してはならないというふうに思います。

 そして、きのう司法の判断も出ました。ぜひそれも考えて、福島で大きな事故が起こったときに、多くの犠牲、そして移動しなければならない人々が出たわけですから、それも考えて、実際にできる現実的なシミュレーションをぜひ考えて、日本のエネルギーのあり方を発表していただければ、計算していただければと思います。

 本日の私の質疑はこれで終わらせていただきます。ありがとうございました。

江田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 維新の党の木下智彦でございます。本日もお時間をいただきましてありがとうございます。

 きょうは一般質疑ということで、前々から私が何度か質問をさせていただいているクールジャパン関連のお話、それから、それに付随するようなところで、多くのものがポップカルチャーであるとかサブカルチャーと言われるものの発信と、それ以外も食文化であるとかというのもありますけれども、特にその中で、コンテンツ産業が海外でどういうふうに発展していくんだろうということと、それから国内の施策等々について、お話を聞かせていただきたいなと思います。

 まず最初に、これも前にお話しさせていただいたんですけれども、私は、正直言いまして、クールジャパン機構というものはほかの政府系のファンドに比べて非常に今の時点ではできがいいなというふうに思っております。というのは、何があるかというと、収益性という面で見えないところはまだあると思うんですけれども、収益性というのがうまくやれば相当高くなるんじゃないかなというふうに思っているんですね。

 なぜかというと、これは経産省の資料にも書いてあるんですけれども、特にコンテンツ産業に関して言うと、うまくやれば、コンテンツ自体だけではなくて、それ以外への波及効果というところも相当な規模になってくるだろう、そこをうまく掘り起こしてやればそれなりの効果が出てくる、収益性も相当高いというふうに思われるので、ファンドとしてのパフォーマンスも非常に期待ができるんだろうなというふうに思っているんです。

 ただ、それと裏腹になるのが、これも前にお話しさせていただいたんですけれども、政府の関与というところなんですね。収益性が高くなればなるだけ、なぜ政府がわざわざ収益が高くなるようなものに対して関与をしていかなければならないのか。

 呼び水になるようなことをして大きく広げていくというところは、ある種、意味合いはあるとは思っているんですけれども、ほっておいても、ほっておいてもと言ったらあれですが、それなりのビジネスというものの広がりが出てくるような、そういうエリアというんですか、事業体というものにわざわざ政府が出資していく。しかも、相当の金額が入れられていくということになりかねない。そうなれば、よく言われる民業圧迫ととられるようなこともあり得るかなというふうに思っているんですけれども、ここをちょっとまず整理して、どういうふうに政府としてはその辺をコントロール、指標などもあるのかどうかということをお話しいただければと思います。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 大変重要な御指摘だと思っております。

 クールジャパン機構につきましては、投資案件を決定していく際に、経済産業大臣が定めた支援基準がございます。これは三つの柱から成ってございまして、一つは、政府が関与する投資でございますので、何よりも政策的意義ということがしっかり見込めるということがまず第一点。それからもう一つは、その投資によってどの程度の波及効果があるか。やはりインパクトの非常に大きな投資を国としては率先をしてやっていくという観点。それから、最後が収益性ということでございます。

 それで、収益性の点については、もちろん民間が投資することで相当程度の収益性が見込めるものについては、それは当然ながら民のファイナンスで進めていただくというのが基本でございますし、この点につきましては、官民のファンドというのが今私どもに限らずございますけれども、基本、官民ファンドというのは、民業圧迫にならないように、民業補完に徹するというルールができてございまして、そういったルールにのっとって、あくまで民を補完するという立場からやっていきたいということでございます。

木下委員 ぜひそういうスタンスを忘れずにやっていただきたいなと思っているんです。

 今、私の手元で、このファンドから出資される、もしくは出資されようとしているところのリストをだあっと見ていたんですけれども、これも前にちょっとお話しさせていただいたんですけれども、出資している民間の会社が、全部が全部というわけじゃないんですけれども、結構大きな会社が入られていて、潤沢な資金を持っているような、そういったところがそれなりのビジネスチャンスに向かって出資されている。それに政府が乗っている。もしくは、政府が主導してやって、そういうところが乗っているというようなものもあると思っているんですね。だから、そこを考えたときに、果たしてそれが本当にいいのかどうかというのはこれからも議論になるとは思っているんです。

 あえてここでは余り言いませんけれども、もう少しその辺の基準というのは、これから先、言っちゃあれですけれども、ほかの政府系ファンドがだめだというわけではないんですけれども、割と見ているといい感じで進みそうだなというふうに思えば思うほど、政府の関与の仕方というのは大きくクローズアップされてくる可能性があるなと思っておりますので、その辺、御注意ください。

 それから、質問の用意をしていなかったんですけれども、たまたま今座ってその辺の資料をちょっと見ていたんですね。そうしたら、わかれば教えていただきたいんですけれども、例えば海外におけるクリエイター人材育成スクール事業というので事業者名に角川さんが入っていたり、あとは海外におけるジャパン・チャンネル事業への出資。これは、スカパーJSATホールディングス、そういうところが入られている。

 それで、今のクールジャパン機構の役員のリストをちょっと見せていただいたんですね。そうしたら、たまたま私の昔の直属の上司も入っていたりとかするので余り大きな声では言えないんですけれども、代表取締役会長にスカパーJSATホールディングスの取締役の方が入られていたり、角川さんの社外取締役の方が入られていたり。

 これは、一般のファンドであればそういうことは多々あると思うんですけれども、その辺、やはり政府が入っているということで、政府のお金が入っていくことになると思うんですね。ファンドに入っていて、そのポートフォリオの中にも関連企業がたくさん入っているというのが、この辺の基準が私は余り明確に、これがいいのか悪いのかというところはちょっと微妙だとは思うんですけれども、この辺は何か政府で基準等々はございますでしょうか。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 クールジャパン機構におきましては、何よりも客観性、中立性ということを担保しながら的確な投資判断を行うということが必要だというふうに思っておりまして、この機構におきましては、例えば機構の株主ですとかあるいは支援業務の執行部門とは全く独立した組織といたしまして、社外取締役を中心に構成されている海外需要開拓委員会というものを法律上設置いたしまして、そこで投資決定を行う。あくまで中立的な立場から投資決定を行うという仕組みになってございます。

 さらに、支援決定を行う際は、従来から監査役が参加をするということが求められております。それから、議決の内容と特別な利害関係を有する委員、委員会の中の委員で利害関係のある方は議決から外れるということが同法及び機構の内規で決まってございまして、こういった内規に厳格にのっとって投資判断をやっていくという仕組みでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 そうなんですよね。そう思って見ていたら、委員にも角川の方が入られているようですけれども、そういう明確な基準があってやっているのであれば、これは一般の企業でもあり得るようなことだと思いますので、しっかりその辺は守ってやられているということで、安心いたしました。

 次に、これは前国会の時に私が結構波紋を呼んだお話で、この委員会でもそうですし、内閣委員会、それから予算委員会でも資料提出させていただいた一つ、クールジャパンのポートフォリオの中の一つで、実名を出すとあれですが、東京オタクモードというところの海外展開について、このファンドからお金が入っていると。

 私の方から、そのホームページを見てみたら、ちょっと顔をしかめるような、顔をしかめるというのは、私がどうこうというよりは、いろいろな大臣の方々に聞いたら、余りよろしくないような、そういう反応をされた方々がたくさんいらっしゃって、その指摘をさせていただいたときに、その後、そういうサイトの中でちょっと表現のきついものは削除を一旦されていたと。

 私がこの話をこういったところでお話しさせていただいたら、その後、インターネットとかいろいろなところで、オタクというふうに言われる方からめちゃめちゃたたかれました。ただ、そこでたたかれた意味合いというのが何となく私の本旨、言いたかったこととはちょっと違っていて、もう一遍、ちょっとその辺を整理したいなと思うんですね。

 何かといいますと、私は、要は、こんなのはやめろよというふうなことを言っていたのではなくて、ビジネスとしてしっかりと成り立っていて、法に従っていれば特に問題はないでしょう、ただ、そういったときに、いろいろな人が見てちょっと顔をしかめるような、そういったものに政府のファンドでお金をたくさん入れていくのについてはどうでしょうか、そういう質問だったんですね。

 それに対して、過敏にというのか、非常に早く政府の方々、それから東京オタクモードの方も反応していただきまして、そういう表現のものについてはちょっととまった。ただ、私はとめてほしかったわけではなくて、政府の出資の基準というのをどうするべきなのかという話をしたかったということなんですね。

 その話はもうそれ以上する話じゃないと思っているんですけれども、特にクールジャパン、その中でポップカルチャーであるとかサブカルチャー、日本独特のクールな、これから新しい文化を広めていくんだといったときに、やはりそういう問題が相当出てくるだろうと思っているんです、ほかのものでも。

 というのは、偉そうに言う話じゃないですけれども、かの岡本太郎さんが芸術は爆発だというふうに言われた。文化も新しいものがどんどんどんどん生まれていくというのは、今までの文化からブレークスルーを起こしていかなければいけない。今までの既成概念であるとか常識と言われたものを打ち破っていかなければ、なかなか新しいものは生まれてこないし、そこからヒットは生まれてこないというふうに思っていますので、そういうものをやはり広めていこうというふうにしたときに、では、果たして政府がどういうかかわり方をすればいいのかというのは非常に私は難しいと思うんです。

 ただ、そこに手をつけていかなければ、海外でこれから日本の新しい文化というものを広めていくというわけにはいかないと思っていますので、その辺についてはどういうお考えをされているのかということをちょっとお聞かせください。

富田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘いただきましたとおり、日本のコンテンツは海外でも大変評価が高うございます。例えばキャラクターをCM等で活用するとかいった形で、単にコンテンツ産業だけじゃなくて、さまざまな他産業との連携で高い波及効果が見込まれるということもございますので、政府としても海外展開を積極的に進めていきたいと思っております。

 ただ、御指摘いただきましたように、コンテンツの表現内容については大変難しい問題がございます。私どもとしては、基本的に政府はその内容にかかわるべきではないと思っています。事業者の方々が、例えば業界でつくっておられるような倫理基準、そういったものにのっとって進めていく、あるいは市場での流通実態などを見ながら、事業者の方がまずは主体的に御判断をいただいて進めていただくということが基本だろうと思っています。

 ただ、委員御指摘いただきましたとおり、コンテンツに対して政府がかかわってくる場合、支援をする場合、これにつきましては、もちろん事業者の方々の主体的な判断というものは私どもとして最大限尊重させていただくわけでございますが、一方で、表現物が社会的にどう許容されるのか、それから、これは全く逆でございますが、創造性の源泉としての表現の自由、こういったもののバランスをよく見ながら個別に判断をしていくというのが基本だろうと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 今言われたとおりで、コンテンツそのものに政府がやはりさわっていかない、これは守らなきゃいけないところだと思っております。

 そういいながら、お金を出していったりすれば、どうしてもそういうことが出てくる。一番懸念されるのが、政府がかかわったために、本来であれば独自の発展をしそうであったものの芽を潰してしまうことがないようにぜひよろしくお願いしますということなんですね。

 そうはいいながら、日本だけの常識ではなくて、海外に持っていくということで、海外の常識というものも結構出てくる。やはり、ネットとかで見ていると、日本でめちゃめちゃはやっているような、「ワンピース」とかああいう漫画も、アメリカに持っていったら絵まで描きかえられなきゃいけない部分があったり、せりふの表現の仕方も変えられたりとかというところで結構苦しんでいらっしゃるというようなことを聞いています。

 そういうことを考えたときに、今度は、日本の中でコンテンツの施策としていろいろな支援をやっていく中で、海外でクリエーターを育てるというふうなこともあるんだと思っていますけれども、日本のコンテンツをつくるような人たちをグローバル基準で育てていくようなことというのが、こっちの方が結構重要になるのかなと思っているんですね。

 そうじゃなくて、今の状態では、日本ではやっているものを海外に二次利用するというような形でのビジネスモデルが今のところはある。政府もいろいろなことをやられています。ただ、そういう意味では、最初からグローバル基準で、なおかつ日本の文化を広めるような取り組みというのが結構私は重要なんだろうなと。

 何もかも海外に行って、海外でクリエーターを育ててみたりとか、そういうことをするだけじゃなくて、国内でそういうことをしていかなければ、ましてや、日本のコンテンツ産業自体、いい、いいというふうに言われながら、経産省のこの資料にも書いてあるんですけれども、だんだん少子化、高齢化というのが進んできて産業自体がちょっと右肩下がりになっているというふうな話が書いてあります。そういうことを考えれば、国内のコンテンツ市場を活性化させるような取り組みをぜひとももう少しやっていただきたいなと思っております。これはあえてコメントはいただかないでも結構だと思います。

 それから、もう少し伺います。

 一つあるのが、海外にプラットホームをコンテンツ配信するために持っていくんだという話をされています。その中で、海外のプラットホームといったら何かというと、一つ考えられるのがテレビ放送局。実際に、クールジャパンの中では、ジャパンチャンネルであるとかそういったところに出資するとかいう話がありますけれども、ここが私も、どういう形でやるのか、どういう基準があるのかということがちょっとまだ疑問なんですね。

 なぜならば、当然のことながら、日本でも、さっき出てきましたJSATのスカパー、あれなんかは契約者数がしっかりあります。その中で、見ていると、例えば、どういう番組をどれぐらいの人が見ているんだろう。視聴率というふうに言われるようなものが公表されていないんですね。ちょっと偉そうに言いますけれども、私は立ち上げのときにスカパーの加入者を集めたりとか、そういうふうな仕事もしていましたのであれなんですけれども、公表されていないんです。

 なぜ公表されていないかというと、契約をもらって、それのお金で放送しているという形。そういいながらコマーシャルも本当は入っているんですけれども。地上波であれば、コマーシャルで、どれぐらいの視聴率で、どれぐらいの金額になるとか、そういうのは決まっているんですね。では、そういう状態のところというと、必ず契約者の中で視聴可能な人たちだけしか対象にまずなり得ないということなんです。それで本当に日本の文化が海外で広まっていくかどうか。

 今の日本の地上波も、すごく苦労しているところでいうと、いわゆるザッピングといって、チャンネルをぱちぱち変えて、見たい番組がなかったらコマーシャルの間に変えて、そこでとどまってもらうような仕組みを何とかつくって、それで自分たちの番組に誘導していこうみたいなことをしているんですけれども、多チャンネルになればなるほどそういうことは起こらないんですね。

 それを見ていると、一つ地上波に出資しようとされているようですけれども、どうしても日本が海外でプラットホームを持つといったら、たくさんチャンネルのあるような、そういった中の一チャンネルという形にならなければ波及効果は最小化してしまうんじゃないかと思っているんですけれども、その辺はどういったことを考えられているかということをお願いします。

関大臣政務官 もう木下委員が一番お詳しいところだと思いますが、先ほどお話しいただいたスカパーの方は、ちょうど海外へ、世界二十二カ国以上で二十四時間三百六十五日、日本の魅力を発信する、そういうふうな形で契約者に見ていただくという形でやらせていただいているんですが、一方、本当に木下委員がおっしゃるとおりで、地上波放送事業、これは外資規制というのがいろいろの国にありますのでなかなか難しいんですが、実際には、現地地上波テレビチャンネルを放送する事業へも支援決定を今このクールジャパンでさせていただいているところでございます。

 具体的に言いますと、吉本興業が電通、ドワンゴ、ソニー・ミュージックとか滋慶学園と一緒に、クールジャパンとお金を出して、台湾、タイ、インドネシア、ベトナムで、現地企業と共同制作をした番組を現地地上波テレビチャンネルのゴールデンタイムを買い取って今やろうとしておりまして、委員おっしゃるとおり、こういうところの方が、無料でございますから非常にたくさん広がっていくと思いますので、こういう点につきましても、なかなか外資規制等があって難しいんですけれども、推進に努めてまいりたいと思います。

木下委員 ありがとうございます。

 では、最後にもう一個お話しさせていただきたいんですけれども、さっきもちょっと出てきました海外でクリエーターを育てる学校をつくるという話があるんですけれども、実は私は、日本でクリエーターをつくるような学校を昔、早期につくる協力をしたことがあるんです。

 そこがうまくやったのは何かというと、クリエーターをつくるといいながらも、その卒業生たちが入れる会社にどんどんパイプをつくったことなんですよ。ただ、日本が海外でそこまでできるかどうかというのが、私は非常に難しいと思っているんです。ちゃんとマーケットがあってクリエーターをつくっていかなければなかなか難しい。

 そこの専門学校は、単位を上げるために、そういったところにアルバイトとかで行って実業を学んでこいと。例えばゲームなんかでデバッグであるとか。バグという、まだゲームをつくる途中段階で何かちょっとふぐあいがあるようなところを探したりする。そういうような仕事をやってこいと。やってきて、ちゃんと働いてきたら、それを単位にしてあげて卒業させてあげるよと。そういう経験を積んだところとパイプをつくって、就職してくださいとやるから、九〇%以上就職できるらしいんです。

 やはりそういう形のことをやろうと思うと、クリエーターの学校を海外につくるだけじゃなくて、そういう市場もやはり整備していかなければいけない。これは日本だけでできるかどうかというのは、私はまだまだ難しいところがあると思うので、そういったところも含めてぜひもう少し深く考えていっていただきたいなと。

 きょう、大臣のお話がなかったので申しわけなかったですけれども、以上で終了させていただきます。ありがとうございました。

江田委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 まず、質問の前提ですけれども、昨日、福井地裁で高浜原発の再稼働を差しとめる仮処分決定が命じられました。政府はよく新規制基準が世界最高の基準だと言うわけですけれども、あの仮処分決定は、まさに、新規制基準は緩やかに過ぎ、これに適合しても本件原発の安全性は確保されていない、新規制基準は合理性を欠くものであると厳しく断罪をしております。これは、新規制基準を満たした原発は再稼働するという政府の再稼働プロセスそのものを根底から覆すものだというふうに思います。

 こうした決定が出る背景には、やはり国民世論、運動というものがあると思います。私の地元である北陸信越ブロック、長野などいろいろあるわけですが、地元でも百回を超える運動も続いております。政府としては、やはりこうした世論や、そして今回の処分決定を受けとめて、高浜はもとより、全国の原発の再稼働を断念すべきだとまず指摘をしたいと思います。

 その上で質問なんですけれども、先日、私は高浜町に行ってきまして、いろいろお話を伺ってきたわけですが、そのとき話題になりましたのが、今、福井県や原子力事業者が原発の周りに原子力災害制圧道路というのをつくっている、こういう話なんです。配付資料をお配りさせていただいておりますので、その一ページの表と裏を見ていただきますと、一ページの裏にその一覧も載せさせていただいておりますが、原子力災害制圧道路、私も実際、現場へ行って見てまいりました。

 制圧ということで、すごい名前だなと。政府はよく汚染水などについてアンダーコントロールとおっしゃるわけですけれども、制圧というのは、単なるアンダーじゃなくて、アンダートータルコントロールとも言うそうでありまして、そういう意味で、より強い名前であります。きょうは別にその名前を問題にしたいわけではありませんで、問題は、この道路の建設に国の交付金が使われているということであります。

 私、福井県庁に行きまして、この道路建設の担当の方からもお話を伺ってまいりました。その方の説明によりますと、原子力発電施設等立地地域特別交付金というものからお金が出ていまして、この原子力災害制圧道路自身は六本、六路線あるんですが、そのうち四路線で、二〇一二年度は十五億円、二〇一三年度は三十億円、二〇一四年度は五十億円の当初予算がついている。実際の消化額は若干少ないんですけれども、総工費としては、地元で伺ったのは大体三百億円、三百三億円程度を見込んでいるというお話でした。ですから、大変大きな金額がこの原子力災害制圧道路なるものに使われるということで、私が現地の住民の方から聞かれましたのは、この制圧道路と住民の避難の関係であります。

 事故があった場合、住民は当然避難をするわけですけれども、避難するわけですから原発から遠ざかるわけです。しかし、制圧道路ですから、事故を制圧しに行くということで、それは原発に向かうわけですね。

 ちょっと大臣にお聞きしたいんですけれども、人の流れが全然変わってくるということで、この制圧と避難というのは矛盾するのではありませんか。

宮沢国務大臣 最初に、昨日の判決についての話がありましたので一言申し上げます。

 まず、これは我々当事者ではございませんので、その判決についてコメントは差し控えますが、きょうの新聞を読みますと、新聞各紙、全国紙もいろいろ反応が複雑でありまして、日経は「福井地裁の高浜原発差し止めは疑問多い」、読売は「規制基準否定した不合理判断」、産経は「「負の影響」計り知れない」、朝日は「司法の警告に耳を傾けよ」、毎日は「司法が発した重い警告」、こういうような反応等がございますが、私どもといたしましては、規制庁の大変厳しい基準を適用していると認められたものについては再稼働を進めていくという立場でございます。

 そして、今のお話でありますけれども、県の事業でやっておりまして、県からの強い要望で交付金を交付しているということであります。

 そして、福井県からは、福井県が策定した地域振興計画によりますと、原子力発電所へのアクセス道路を多重化することで、原子力災害発生時の迅速かつ確実な初動、災害制圧等を可能とし、また、地域住民の避難としても利用されることにより、住民の安全等を確保する効果を期待している、こういう報告を受けております。

 今お話を承りまして、ああ、そういうときの、どういう時間差でどういうふうにしていくかということは、やはりしっかり計画をつくっておいていただかなければいけないなという思いがいたしまして、福井県としても恐らくそういうことは考えられていると思いますけれども、そういう思いがいたしました。

藤野委員 県の事業ということで、そういう説明になるかとは思うんですが、しかし、これは国の交付金が入っていますので、私は問題にしているわけです。

 私も実際、何本かは見てきたわけですが、避難として使えるといいますけれども、例えば、資料一の表の方にある佐田竹波敦賀線というのは、わざわざ集落がたくさんあるところを避けてどんとトンネルをつくっているんですね。ですから、住民の方がそれを使おうと思ったら、わざわざ一回迂回して使わないといけないということで、非常に避難には使いにくい。名は体をあらわすではありませんが、明確に制圧にポイントが置かれた道路だというふうに思うんです。

 そこで、初動対応と今おっしゃられましたけれども、事故が起きた際の初動対応ということですが、確認したいんですけれども、原発災害が起きた場合、現行法上、一義的に事故対応というのは誰の仕事でしょうか。

上田政府参考人 原発事故が起きたときの一義的な責任ということでございます。

 御案内のとおり、原子力発電所の安全性につきましては、原子力規制委員会が厳格に審査を行うということでありまして、その規制基準を満たした上で、事業者が安全性の向上に向けて不断の取り組みを行っておられるところであります。

 もちろん、事故、こういうこと自身は決してあってはならないことだと考えますけれども、万一事故が起きた場合には、その一義的な責任というものは事業者が負うことになっているわけでございまして、この考え方は、IAEA等々、世界共通の考え方でございます。

 もちろん、万一事故が起きた場合につきましては、国といたしましても、原子力災害への迅速な対応、あるいは被災者への支援、賠償、こういったことが円滑に行われるよう、関係法令に基づきまして、責任を持って対処してまいります。

藤野委員 ありがとうございます。

 配付資料の二でもお配りさせていただいているんですが、事故が起きた場合の一義的な責任というのは事業者が負うと、閣議決定でもあります。

 ということで、要するに、事故対応、初動も含めて事業者が一義的責任を負う、そういうことであれば、そのための費用も事業者が負担したらいいんじゃないのか。災害制圧道路、初動のためだとおっしゃるのであれば、事業者が負担してつくったらいいんじゃないのか。何で国の交付金が入るんだということなんですね。

 実際、今、各地で原発の適合性審査を規制委員会はされていますけれども、あれやれ、これやれということで、再稼働に対応するためにいろいろな追加工事もやられております。その額は、全国で二兆三千億円を超えているというふうにも報道されております。ですから、電力会社としては、それだけの費用を負担して、今、いろいろな事故対応を含め、追加の、審査を通すためにいろいろやっているということであります。ですから、この制圧道路についても、国の交付金が入るということはやはりおかしいんじゃないかというふうに思うんですね。

 別の角度からいいますと、同じ敦賀半島とか若狭の地域で、同じ原子力災害制圧道路という名前で、事業者が費用を負担している道路もあるわけなんです。

 恐縮ですけれども、資料一に戻っていただいて、裏の方に一覧表を出しているんですが、六本、六路線あるんですけれども、下の二つは原子力事業者が負担をしております。二つの路線で大体六十四億円というふうに伺っておりますけれども。

 ですから、六つ原子力災害制圧道路という名前の道路があって、そのうち四つは国の交付金でつくっている。しかし、そのうち二つは事業者がお金を出している。これは何で違うんだ。同じ原子力災害制圧の道路なんだから、六つ全て。しかも、事故制圧のためと言っている、初動を確実にするためと言っている。

 私は、福井県庁に行ってお聞きしましたら、これはオンサイトだと担当の方がおっしゃったんですね。オンサイト、つまり現場だ、事故が起きている現場の道路なんですという考え方、だから制圧道路という言葉を使っていますとおっしゃっていました。

 ですから、まさに事業者の考え方そのものだというふうに思いますので、改めてお聞きしますけれども、大臣、六つ全て事業者の負担でやったらいいんじゃないでしょうか。

宮沢国務大臣 国の立場で申し上げますと、恐らく、福井県からそういう計画が上がってこなかったという結果、四本になったんだろうと思います。

 そして、どちらがどう負担するかというのは、なかなかこれは難しいところだろうと思いますけれども、ただ、結論的に言いますと、電促税という形で電力を使われている方からいただいたお金を交付金として使う場合と、電力会社がまさに使ってそれを原価に入れるという場合と、実はそう違わないんじゃないのかなという思いがいたします。

藤野委員 そうおっしゃられるかなと思ったんですが、ただ、やはり国が、交付金ですから審査をして交付するわけですね。

 資料でもおつけしておりますけれども、資料の一番最後の四になります。これは福井県からの申請書であります。

 確かに四本しか申請は上がっていないんですが、そこに書いてありますように、例えば竹波立石縄間線でいいますと、交通不能区間の解消というのが申請理由であります。あるいは、佐田竹波敦賀線でいうと、バイパス道路の整備であります。これはどこにも、原子力災害制圧とか初動対応を確実にするとか、そういうことは全然書いていないんですね。

 ですから、最終的な原資のお話はおいておくとして、要するに、国がそれだけのお金、将来的には三百億円を超えると言われるお金を、その巨額のお金を交付する際の申請に、災害制圧という言葉が一つもない。単に不能解消とかバイパスと書いてある。しかし、実際には災害制圧道路。これはやはり、私はおかしいというふうに思うんですね。

 ですから、やはり、もし制圧というのであれば、事業者が負担すべきである。こういう申請書にあるように、交通不能の解消とかバイパス道路の整備とか、こういうことであれば、それはそれで私も必要なことだと思いますし、後で申し上げますけれども、地元ではむしろそちらの方が要請としては大きいんですね。雪で通行不能になったり、土砂崩れとかが起きていますので。ですから、そこはやはり交付金のあり方として非常に大きな問題があると思っております。

 そして、さらにお聞きしたいんですけれども、県の意向、県の判断というふうにおっしゃるわけですが、では、福井県は今何を言っているかということなんですね。

 資料を一枚戻っていただきまして、資料の三を見ていただきますと、これは二月の十七日に、エネ庁の、これは多分副長官ですか、行かれて副知事と会っているわけですが、そのときに杉本副知事がこういうことをおっしゃっているんですね。再稼働に県が五つの条件と。地元の同意の前提だそうです。その五つといいますのは、原発の重要性に対する国民理解の促進、中間貯蔵施設の県外設置に向けた積極的な関与、電源構成比率実現の明確化、ここら辺はよくある話ですが、ここに福島事故を教訓とした事故制圧体制の充実強化というのが入っている。

 つまり、福井県としては、事故制圧体制の充実強化というのがいわゆる再稼働の前提だと言っているんですね。地元の同意の前提だと。となりますと、原子力災害制圧道路をつくるというのはまさに事故制圧体制の充実強化だと思うんですが、これに国が交付金を出している。つまり、いわゆる地元の合意の判断の前提づくりに国が交付金を出している。こういうことになるんじゃないですか、大臣。

宮沢国務大臣 ちょっと質問の趣旨がいま一つわからなかったんですけれども、今回、こういういろいろな御希望を持たれている、西川知事からも私はいろいろ聞きました。

 ただし、恐らくこれは二十四年度、民主党政権の時代ですけれども、から始まっている事業でありまして、その初めにおいてそういうことがあったということではないんだろうと思います。

藤野委員 二十四年というと震災後ですので、明確に、私も福井県の担当者からお聞きしたんですが、これは県としてホームページに書いてあるんですけれども、福島の事故を受けた事故制圧体制の充実強化、この福井新聞にも書いていますけれどもね。ですから、初めはそういう意図はなかったというのは、やはり認識が違うというふうに思うんです。

 改めて、質問の趣旨がよくわからなかったというのでお聞きしますけれども、要するに、本来、事故制圧なり初動対応というのであれば、事業者が一義的責任を持つわけです。ほかの各地でも、そのために二兆数千億円というお金を使っていろいろやっている。もしこれが初動のための制圧道路だというのであれば、事業者がお金を出すべきじゃないか。国が交付金を出しているけれども、それで県の意向とおっしゃったけれども、県は、この制圧体制の充実強化は再稼働の前提だと言っているんですね。ですから、結果として、再稼働の環境づくりに国の交付金が使われているじゃないか、こういう質問なんです。

宮沢国務大臣 私が申し上げましたのは、二十四年度当初予算にのっているわけでありますけれども、その前の年の予算編成過程で、福井県が、再稼働が今の時分ある等々ということは余り念頭になかったのではないかといった意味で使わせていただいたわけであります。

 そして、福井県といたしましては、やはり再稼働というものが現実的なものになったときに、まさに、避難等々、また初期行動といった意味で大変大事なものだという意識を持たれているんだろうと思います。

 そして、では、何でこれは国がやっているかといいますと、もともとこの交付金の制度の中に立地地域特別交付金という制度がありまして、そして、立地自治体からの強い要望があった場合にはこれを認めてきたということでお認めをした、こういうことでありまして、その段階で、既にある制度ということもあって、民主党政権においてお認めになったんだろうというふうに思います。

藤野委員 質問にお答えいただいていないわけですが、要するに、再稼働の環境づくりに国の交付金が使われているんじゃないか。民主党政権から始まろうが何しようが、やはり、今、県がまさにそう言っているわけです。副知事が、これは再稼働の地元同意の前提だと。これに国の交付金がどんと使われている。おかしいじゃないかという質問なんです。済みませんが、もう一度お答えください。

宮沢国務大臣 再稼働かどうかにかかわらず、まさに立地促進のための交付金でございまして、立地促進のために国がお金を出しているという構造はずっとあり、今も続いております。

藤野委員 やはりお答えいただいていないんですね。福井県がそう言っているんです。私が言っているんじゃないんです。福井県が、これはその前提だと言っているわけなんです。

 ですから、まさに、私は、今大臣がおっしゃった交付金の趣旨をゆがめている、逆に言えば。立地じゃないんです、福井県は再稼働の前提だと言っているんですから。そこについての認識はいかがですか。

宮沢国務大臣 この新聞を読んだだけで、「事故制圧体制の充実強化」と書いてあるものが、この道路に関するものかどうかというのは私にはわからないんですが、そこは一度教えていただきたいと思っておりますが。もちろん、福井県から、この道路をともかくやってもらわないと再稼働はしないよという話は、直接に聞いたことはございません。

藤野委員 これだけ聞いてもちょっとかみ合わないのですけれども。

 この交付金そのものでいいますと、使途は明確なんですね。特別会計に関する法律で、おっしゃったような、周辺地域の安全対策、あるいは発電の用に供する施設の設置及び運転の円滑化に資するものを政令で定めると書いてありまして、その政令を読んでみますと、排出される温水の有効活用、立地市町村の振興に関する計画策定、立地市町村等に係る医療機関の整備、あるいは市町村等への企業の参入、一般電気事業者の給付金、環境保全、教育、スポーツ、文化ということで、いろいろ、使途はこの間拡充されてきているわけですけれども、しかし、その中に事故の初動対応というのは入っていないわけで、やはりこの交付金の本来の趣旨からいっても、私はおかしなものがあると言わざるを得ないと思うんですね。

 最後にお聞きしますけれども、いわゆる地域振興ということであれば、私は、住民の願いというのは別のところにあると思うんです。

 私、現地でこういう声を聞いてまいりました。同じお金を使うなら、敦賀半島に制圧道路としてトンネルをつくるよりも、住民避難に重点を置いて、道路の落石防止や拡張工事が必要ではないかということなんです。私、その方と一緒にその道路を車で走ったんですけれども、海沿いの細いくねくねした一本しかない道でありました。過去にはよく、斜面の土砂が崩れてきたり、木が倒れて通れなくなったりということもあったそうで、そうなれば途端に避難できなくなるとおっしゃっておりました。

 別の方は、教えていただいたんですけれども、資料の五枚目に、ことしの二月十日に大雪がその地域を襲いまして、三百台が立ち往生するというような本当に大変な事態になったわけですけれども、その方は、この国道八号線や百六十一号線、これは大変重要な道路なので、その整備の方が必要ではないかということで、逃げるどころか、皆さん、自分たちは敦賀に閉じ込められてしまう、こういう訴えでした。

 ですから、交付金を使うのであれば、あるいは道路をつくるというのであれば、むしろこうした方向で住民の要望に応えていくべきではないでしょうか。

宮沢国務大臣 これも委員が最初におっしゃったことでありますけれども、もちろん、この県の事業につきまして、私どもがこういう道路をつくれということを言ったわけではなくて、まさに福井県からそういう要望や要請が来たということに応えたもの、したがって、今のようなものが必要であるという住民の声が大きければ、それは、当然のことながら、福井県なり、または関係市町村において検討されることになるのだろうと思っております。

藤野委員 終わりますけれども、今言ったように、県からは、交通不能区間の解消とかバイパスとか、こういう申請しか来ていないわけです。けれども、それが制圧道路に使われているということが問題なわけで、やはり、これはそもそも原発を再稼働しようとするからこういう変な矛盾が生まれてくるわけで、そういう意味では、再稼働は諦めろということを最後に強く訴えて、質問を終わります。

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.