衆議院

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第10号 平成27年4月22日(水曜日)

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平成二十七年四月二十二日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      井上 貴博君    石川 昭政君

      岩田 和親君    尾身 朝子君

      大見  正君    岡下 昌平君

      梶山 弘志君    勝俣 孝明君

      神山 佐市君    黄川田仁志君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      白石  徹君    関  芳弘君

      武村 展英君    冨樫 博之君

      野中  厚君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮崎 政久君

      若宮 健嗣君    神山 洋介君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    渡辺  周君

      落合 貴之君    村岡 敏英君

      國重  徹君    藤野 保史君

      真島 省三君    野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   内閣府副大臣       平  将明君

   厚生労働副大臣      山本 香苗君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田口  康君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    河津  司君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三又 裕生君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三木  健君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十二日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     尾身 朝子君

  大見  正君     岩田 和親君

  木下 智彦君     村岡 敏英君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     青山 周平君

  尾身 朝子君     穴見 陽一君

  村岡 敏英君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     大見  正君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気事業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官田口康君、消費者庁審議官河津司君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、経済産業省大臣官房審議官三又裕生君、経済産業省大臣官房審議官三木健君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤ゆかりさん。

佐藤(ゆ)委員 自由民主党の佐藤ゆかりでございます。

 エネルギーシステム改革の、今回は電事法改正案第三弾ということで、エネルギーシステム改革の最終局面を迎えているということだと思います。

 私は、エネルギーシステム改革というのは、いわゆるエネルギー産業の、ともすれば供給過多構造にある一部の業界もあるわけでございますが、将来的にはエネルギー産業全体の業界再編の呼び水にもなるような大胆な改革であるというふうに考えているわけでございます。

 そこで、電力自由化の前に、エネルギー業界として、例えば石油精製元売業は、最近は収益率の低下というのが指摘されているわけでございます。例えば、二〇一三年度の売上高利益率ですと、石油精製元売業十三社平均でわずか〇・七%というところまで収益性が下がっているわけでございまして、この要因はやはり供給過多体制にあるということでございます。

 今後は、こうした業界も、電力システムの自由化を受けまして、電力ですとかガス事業への参入強化、拡大というようなことも選択肢の一つに、こうしたエネルギー業界の事業再編も進んでいくものというふうに思っているところであります。

 大事なのは、やはり事業再編の見通しですとか、あるいは、経産省の審議会であります長期エネルギー需給見通し小委員会、これは電源ベストミックスの議論をしている委員会でございます。この委員会の二月二十七日の会合でも、例えば、経済成長率の想定に対して省エネの推進がどのぐらい見通されるかというような、経済成長率と省エネ推進の整合性の問題ですとか、将来の電力総需要量を見通すに当たって、経済成長率のみならず産業構造そのものにも総需要量は依存するというような指摘も出ているわけであります。そうした観点から、エネルギー業界の構成がどうなるかということは一つ重要な観点だと思っております。

 私は、そういう意味で、重要な一つは、事業再編を経た産業構造の見通しや省エネ普及率などにかかわる適正な想定の上で、電力総需要量というものが長期的にどのようになっていくかという政府見通しを早く出すということと、二つ目には、将来的な家計負担や産業競争力というものを鑑みながら、日本経済として望ましい電力価格帯というものをある程度見通していく。

 この総需要量と価格帯というものを政府見通しとして、組み合わせとしてしっかりと打ち出すことによって、ある意味、これが長期的な均衡点といいましょうか、そういった均衡点のあるべき姿というものを見出すことによって、それに向けて、電源ベストミックスを通じてその目標地点に近づいていくということが大事なんだろうというふうに思うわけでございます。

 きょうは電源ベストミックスについては質問いたしませんで、電事法について質問させていただくわけでありますが、そういう中で、電力自由化というのは、一つには、参入をふやして電力価格を低下させるということが一つの大きな目的であるというふうに考えているわけであります。

 そこで、配付資料でございますが、「欧米エネルギー各社の財務格付」という一覧表がございまして、これは、欧米諸国で電力自由化をする前と後の長期債券の格付を記したものであります。

 例えば、上のS&Pの格付で、上から三番目はドイツのエーオンという大手電力会社でございますが、ドイツは、小売の完全自由化を一九九八年にやっておりまして、その後、再生可能エネルギーの導入に軸足を移しております。自由化前はダブルAプラス、そして自由化後の昨年十二月二日時点ではAマイナスということです。

 この表では、欧米各社は自由化後は一様に格付が低下して、その要因として収益性の低下というものが指摘をされているわけでありまして、業界がどういうふうに変容していくかというのは極めて重要なことであるというふうに思っております。

 むしろ、ドイツの場合には、完全自由化の後に、大手電力会社が自由化前に八社あったものが四社まで統合されておりまして、逆に、自由化で参入がふえるものと想定しておりますと、こうした大手電力会社については統合が進んだということでございます。そういう事例もあるということでございます。

 また一方で、エネルギー業界もさまざまな発電業界が個々にございます。石油、石炭、天然ガス、水力、あるいは再生可能エネルギーの風力、太陽光発電、バイオマス、地熱とさまざまな個々の業界がありまして、それぞれの業界によって収益性ですとか事業性の構造というのは違っているわけでございます。

 そこで、宮沢大臣にお伺いしたいと存じますが、エネルギー産業の我が国としての育成という産業行政の観点から、発送電分離後に発電業界が、適正な競争環境のもとで各発電業界として持続可能で健全な発電事業を遂行するに当たって、各業界の規模ですとかあるいは収益性、こういったものの適正な事業構造みたいなものを行政としてどのように想定されているか、お伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 委員は、たしか政務官として、まさに第三弾の法案を御審議いただいているわけですが、生みの親であるプログラム法の作成にかかわってこられたわけでありまして、全てを御存じの上での御質問だろうと思っております。

 今この表を見ておりまして、自由化すると格付が下がる、逆に言うと、日本の場合もそうですし、世界各国もそうだったんだろうと思いますが、まさに全く自由化されている以前というのは、九電力が極めて高い格付を有しておりまして、それ自体がちょっとやはり今の時代にそぐわないといったような反省もあって今回いろいろ改正を進めてきた、こういうことだろうと思っております。

 そして一方で、今回の法律第三弾。第一弾、第二弾、第三弾と来たわけですけれども、電力業界について言えば、やはり競争を促していくということが基本的な発想でありまして、競争の結果出てくる産業構造につきまして、私どもがある程度今から意識を持っているということ自体が実はいいことではないのかもしれない。

 まさに競争をしていただいて、石油業界も入ってこられるでしょう、またガス業界も入ってこられるでしょう、一方で電力業界もいろいろな分野に入っていくという中で、今の段階で、ではどういう、例えばベースロードを発電するのは恐らく大手と言われるところになろうと思いますけれども、そういうところに予想もしなかった方が入ってくるなんということも大変いいことだろうと私は思っておりまして、この辺を今から産業行政という観点から見通してやるというのはなかなか難しいのかなと。

 ただ一方で、固定価格買い取り制度というのは、ある意味で、基本的には二十年間にわたって買い取り価格を固定するということ、逆に言えば収入が見通せるということでありまして、こういう業界に参入してこられる方というのは、ある程度自分の将来の姿が見えながら当然入ってこられる、そういう中でいろいろ競争が行われていくということが大変いいことなんだろうというふうに思っております。

佐藤(ゆ)委員 ぜひ、電力システム自由化ということで期待が高まる中で、参入がふえ、一方でやはり市場のオーバーシュートというのはありますので、供給過多をつくらないように、その辺は十全な行政の目線というものが望ましいと私は考えるところであります。

 次に、法的分離でございますけれども、発送電分離のもとでの株主の権限についてお伺いしたいと思います。

 電力債の取り扱いについては、既存の債権者の保護という意味では、今回の対応というのは問題ないと私は考えておりまして、法的分離時に子会社が親会社に対して一般担保つき社債を発行することで、既存の債権者の担保範囲を法的分離前と分離後で同等に確保するという政策的な工夫は評価ができると私は思っております。

 一方で、法的分離後の株主の所有形態でございますが、私は四つパターンがあるのではないかと思います。一つには、発送電分離で、発電会社と小売会社を親会社にして、送配電会社を子会社化した場合、これは二つありまして、既存株主が親会社の株主に全員なる。それからもう一つの場合は、親会社、子会社で株式分割をして、分割比率に応じて両者の株主に既存株主がなる場合。それから二つ目の柱は、持ち株会社を設立する場合でございますが、これは既存株主が持ち株会社の株主になる。そして三つ目の柱は、発電事業に新規参入発電会社が入る場合、新規発電事業者の既存の株主が、今後、送配電会社の株式を取得できるたてつけに法案上なっておりまして、結果として両者の株主になり得るということでございます。

 法的分離後の株主について、旧電力会社や新規参入発電事業者の株式において、要するに法案上は送配電会社の株式取得は制限されていない。そして、発電事業者と送配電事業者、両者の株式が保有可能であり、さらに送配電事業者の優先株も取得が可能な法案内容になっております。したがって、仮に発電事業者へ利益誘導をもくろむような株主が存在した場合に、法案上は送配電事業者の優先株を取得して送配電事業の経営に株主権限を行使することが可能であります。

 そこでお伺いしたいのですが、電力株の大口所有者には例えば海外の機関投資家など物申す株主もいるわけでございまして、そうしますと、送配電事業者の大口株主や優先株主に対して、発電小売事業者からの独立性担保をするための一定の行為規制というのは必要ではないかと思われますが、今後、こういったものは政令か何かで対処する御意向はありますでしょうか。

山際副大臣 委員御指摘のとおり、今回の法案の中で、一般送配電会社の別会社化を求めるとともに、一般送配電会社が特定の発電・小売会社を優遇することがないよう、各種の行為規制を課すこととしてございます。

 具体的には、送配電会社の株主がいかなる株主権限を行使しようとも、送配電会社が特定の発電・小売会社を差別的に取り扱ったり、その利益のために情報の目的外利用を行うことは禁止されます。

 また、大口株主が送配電会社の親会社に該当する場合は、資本関係を有するグループ会社に着目した行為規制が適用されます。具体的には、親会社たる株主の影響力の行使を未然に防止するための規制といたしまして、送配電投資計画等の適正な競争関係を阻害するおそれのある事項について、定款によって株主総会決議事項とすることの禁止を経済産業省令で規定することなどを想定してございます。

 これらの規制を通じて送配電会社の中立性、独立性が確保されることとなります。

佐藤(ゆ)委員 ぜひ、法案には盛り込まれておりませんので、省令でそういった行為規制というのは厳重に管理をしていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 発送電分離後も総括原価方式が送配電事業者には維持されるということで、規制料金が維持されるわけでございます。そこでお伺いしたいのは、現場での例えば電気工事ですとか、あるいは一般調査、保守、こういった役務にかかわるコスト、最近は現場で人件費が上昇していたり部材費が上昇していたりするわけでありますが、こうしたコスト上昇に規制料金の改定が追いつかない、遅い場合がございます。この場合に、コスト上昇分に追いつかない部分について、いわゆる電気工事ですとか一般調査を行う義務者である送配電事業者にこの負担が及ぶのか、あるいは現場の施工業者の電気工事事業者にこの負担が及ぶべきと考えるべきか、どちらなのか。

 また同時に、下請の電気工事事業者に対してこうした価格上昇分を円滑に価格転嫁できるような下請代金法ですとか建設業法の適用というのは、適切に規制料金のもとでできるのかどうか、お伺いします。

関大臣政務官 佐藤委員のただいまの御質問は、本当にちょうど我々がよく注目しておかないといけない端境のところの部分の契約になってくると思います。

 基本的には、もう委員御指摘のとおりでございまして、電気工事事業者が下請代金法で守られているような形で不利益をこうむらないようにしないといけないんですが、基本的には、発注側でございます送配電事業者と受注側でございます電気工事事業者双方がきちんと協議をして、円滑に協議をして決めていっていただかないといけないんですが、余りにもその点が下請代金法にひっかかるような状況が見受けられるときには、先般、消費税が上げられましたときに下請泣かせを徹底的に経済産業省としましても管理をいたしましたので、そういうふうな形で、適正な協議が行われているかどうかというところにつきましては、我々もしっかりと目くばせしていかないといけないなと思っているところでございます。ですので、下請代金法、それにのっとってきちんと我々も動いていこうということでございます。

佐藤(ゆ)委員 特に規制料金のもとでは上の売り値が動かないものですから、その圧縮というものが絶えず懸念されるということで、そこは十分に注意をお願いしたいと思います。

 最後に、ガス事業法改正についてお伺いします。

 既存のガス事業者が設備投資を行って技術開発をしたガス消費機器、例えばエネファームとかこういったものは、消費者への普及拡大を図るために初期投資コストというものを全面的にその消費機器の単価に反映していないケースがございます。要するに、開発事業者にとって未回収の投資コストが存在する場合がございます。自由化後、新規参入で小売事業者として参入した他社は、こうした未回収の投資コストがそもそもないわけでございますので、競争関係のイコールフッティングという観点から、未回収の投資コストの扱いについてどのように考えるかというのが一点目。

 それからもう一つは、ガス事業でありますから、災害が起きた場合の対応、これも新規参入の小売事業者と既存の導管事業者の間での円滑な連携が必要だと思います。その場合のいわゆる災害対策本部の設置とか指示系統といったものを、既存の導管事業者の組織力とか災害対応のノウハウの蓄積といったものをうまく活用しながら、あらかじめ指示系統を決めておく必要があると思いますが、いかがお考えですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 二点御質問いただきました。

 一点目、消費機器開発などの未回収費用についてでございますけれども、これは先生御案内のとおり、これまでの料金制度のもとで各事業者が全体の収支の中でどのように費用を分担してやってきたか、これはある程度企業の事業戦略の中で対応されてきたところだとは思っております。

 したがいまして、事業報酬の中で対応するとか、あるいは他の効率化によって生み出した原資をもとにやっていた、こういったところがあろうかと思います。そうした中で、長期的な回収を狙っていたところ、今回料金制度の見直しということで途中でそれが回収できなくなってしまった、こういうことをどう考えるかということでございます。

 この点につきまして、私どもといたしましては、今後、小売が全面自由化されまして、そして総括原価方式に基づく規制料金によらないサービスの提供が可能となってくるというふうに考えておりまして、この中で各事業者が、需要家のニーズに合ったきめ細かいサービス、あるいは他のエネルギーサービスと組み合わせた事業を柔軟に展開していただけるのではないかというふうに期待をしております。こうした中で、これまでの開発コストといったものを、事業者の方がみずから選んでやってきましたそうした開発コストをどのように回収するか、これは今後の経営戦略の中で、それぞれ事業者が自主的に御判断されるべきものだというふうに考えております。

 それから二点目は、災害等での保安面での対応でございます。

 これも大事な御指摘でございまして、法改正後も、ガス導管事業者が災害時のガス導管の保安については担うことになるわけでありますが、その観点から考えますと、既存のガス事業者の組織力でありますとか指揮命令系統というものが十分に生かされると思っております。

 今回、御案内のとおり、法案の中でも百六十三条という新しい規定を設けておりまして、「ガス事業者は、公共の安全の維持又は災害の発生の防止に関し、相互に連携を図りながら協力しなければならない。」こういったことを定めております。あわせまして、附則の中では、国としてもこの保安の点につきましてきちんとした施策を推進する、そういう責務があるということをうたっているところでございます。

 したがいまして、先生御指摘のありました、全てのガス事業者が保安に関しまして連携協力する、こういう観点から、今後、審議会におきまして、事前の情報共有を含めまして協力の詳細につきまして検討を進めて、その具体化を図ってまいりたいと考えております。

 以上です。

佐藤(ゆ)委員 ありがとうございました。

 ぜひ、投資コストが未回収のまま放置されることのないように、結局、技術開発に対する意欲がそがれることのないように、そこは十分に留意をお願いしたいと思います。

 質問を終えます。ありがとうございました。

江田委員長 次に、細田健一君。

細田(健)委員 自由民主党の細田健一でございます。質問の機会をいただいたことを、委員長、理事の皆さんに改めて感謝を申します。

 時間がないので、早速質問に入らせていただきます。

 本日、電力そしてガスシステム改革の法案でございますけれども、法案を議論する前に、現在の電力市場をめぐる問題の中でも最大の課題である、原子力発電所のいわゆる新基準への適合性審査に係る問題について、規制委員会の田中委員長にお尋ねをしたいと思っております。田中委員長、お忙しいところわざわざお出ましいただきましたことに改めて感謝を申し上げます。

 いわゆる新基準への適合性審査については、当初、審査期間が半年程度とされておりました。これは、委員長が、半年程度でやりたいというような趣旨のことを記者会見などでおっしゃっておられたわけでございます。しかしながら、審査は大幅におくれておりまして、電力需給は引き続き、老朽火力などに依存した非常に逼迫した状況にあるというふうに認識をしております。

 私は、電力システム改革の前提となる市場の安定が達成されていないのではないかと強く懸念をしております。もちろん、規制委員会あるいは規制庁が、限られた人員と時間の中で非常に頑張っておられるということは認識をしております。

 一方で、規制委員会あるいは規制庁も当然行政機関ですから、できるだけ効率的な業務運営を行うのは当然でございまして、安全審査を行っているから、審査にどれだけ時間をかけてもいい、あるいは審査が非効率に行われてもいいということにはならないということは、委員長も見解を共有していらっしゃるというふうに考えております。

 まず、ぜひ委員長御自身からお答えをいただきたいんですが、委員長は、累次の国会答弁で、これは私も、昨年でしょうか、原子力調査問題特別委員会でお伺いしたときに、審査はできるだけ早く行いたいというふうにその国会でもおっしゃっておられますが、そのために、委員長御自身としてどういう行動をとっておられるか、あるいは事務方である規制庁をどのように指導されているのか、できるだけ具体的にお答えいただきたいと思います。

田中政府特別補佐人 審査の進捗を速やかに進めるということについては、これは基本的には事業者の対応によるところがかなり大きいところがあります。ただ、私どもも非常に多くの審査案件を抱えておりますので、審査全体を効果的に効率的に進めたいという思いは持っておりまして、そのための工夫をいろいろ行っております。

 例えば、適合性審査の結果をまとめた審査書を作成しておりますけれども、この審査書は、基準の条文ごとに、事業者の申請内容、審査過程における主な論点、審査における判断の具体的な内容を記載しており、適合性審査の内容を理解するに当たり十分に参考になるものと考えております。

 また、複数事業者合同で行う審査会合等を開催することなどで、各プラント共通の事項については同じ説明を繰り返し聞く必要がなくなるように工夫して、審査の実効性を保ちつつ、審査会合の時間を集約することができるように、結果的には審査期間を短縮するということを試みております。

 いろいろ工夫しております。以上のような取り組みをさらに進めて、効率的に審査を進めることとしたいというふうに考えておりますが、引き続き原子力委員会としてはきちっと厳正かつ迅速に審査を進めていきたい、そのように考えています。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 一義的には事業者の責任もあるというようなお話でして、私もそれを否定するわけではございませんが、ただ、私が事業者の方からいろいろお伺いしていますと、例えば規制庁の事務方が行っている事前審査において、委員会または規制庁からの指摘が必ずしも明確ではなくて、事業者が対応に窮している例もあるというふうに承っております。

 例えば、事前審査の中で、審査官がA、B、Cとおられるとして、A審査官が私はこう思います、B審査官がこう思います、C審査官が私はこう思いますとおっしゃられて、それで審査はもう終わりということになっちゃう。そうすると事業者としては一体どういう対応をとればいいのか。

 方向感なくそれぞれの審査官が感想めいたことをおっしゃって、それでクローズされちゃうと、事業者としてはどういう対応をとればいいのかよくわからないというような例があったり、あるいは、担当官がかわったときに、かわったから、今までの蓄積をゼロにして、最初から説明をしてくれというふうに、一から説明を求められるとか、そういうような事例があるというふうにも承っております。

 それで、事業者に対して、規制委員会ないしは規制庁の事務方、事前審査という形でさまざまなやりとりがあり、それに基づいていろいろな指示、指導をされると思うんですが、規制委員会または規制庁が指示、指摘を行う場合に、行政手続法という法律がありまして、基本的には行政指導等は全て文書にして書面で交付するということが原則になっておるわけです。この行政手続法の趣旨に基づいて、規制委員会または規制庁の事務方が指示、指摘等を行う場合は、全て文書にして、根拠を明らかにした上で交付するということを原則にすべきではないかというふうに考えておりますが、これについてはいかがでしょうか。

田中政府特別補佐人 規制委員会と事業者との認識のずれというのは、全くないということを私は申し上げるつもりはありませんけれども、こういったずれを避けて効率的に審査を進めるという観点から、審査会合の前に行っております事業者ヒアリングについては、議事要旨を作成、公開し、基準適合性に係る審査会合、公開の場で開催して、議事録についても公開しております。また、審査会合が終わった後には事業者と面談を行って、当該会合における指摘事項等を整理し、お互いの認識を共有するということにして進めております。

 こうした取り組みを行うことによって、事業者との意思疎通を図り、審査を効率的に進めることができると考えております。

 原子力委員会としては、こういった試みをさらに進めて、できるだけ効率的に審査が進むように図っていきたいというふうに考えております。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 さまざまな御努力をされておられることは認識しておりますし、また、本当に膨大な事務を短時間でこなさなければならないということで、状況としては私も理解しているところですけれども、もし、今委員長がおっしゃったように、必ず書面で確認をしている等々の事実があるのであれば、これは私からの提案なんですが、適合性審査は可能な限り効率的に行う、あるいは、審査において規制委員会または規制庁事務方が指示、指摘を行った場合は、その根拠を示した上で、原則としてその内容を全て書面で交付するという内容の委員会決定を早急に行ってはどうかというふうに思うんですけれども、これに対してはいかがでございましょうか。

田中政府特別補佐人 ちょっと修正させていただきたい。先ほど、原子力規制委員会を原子力委員会と私は申し上げましたので、そこを訂正させていただきます。

 ただいまの質問ですけれども、先ほど御説明したとおり、適合性審査については、その内容を理解するために十分に参考になるような審査書を作成するなどの工夫を行っています。審査における指摘事項は、新規制基準及びその解釈や審査ガイドを根拠として行っているものであり、審査会合後には、当該会合における指摘事項等を事業者との間で整理し、お互いの認識を共有した上で、文書化しております。したがって、先生御指摘のように、委員会で改めて決定を行う必要はないというふうに思っております。

細田(健)委員 やや認識のずれがあるようで、私が事業者から聞いている話と、委員長の御認識とやや異なるようでございます。

 ただ、いずれにせよ、現場がどういうような形で運営されているかということをぜひきちんと御理解をいただいた上で御対応いただきたいと思いますし、また、もう既にそういうことをやられているということであれば、きちんとそれをプロセスとして、委員会決定の中で文書に残すということは実質的には何の問題もないというふうに思いますので、先ほどの私の御提案をぜひ真摯に受けとめていただきたいというふうに思います。

 済みません、時間がありませんので、ちょっと飛ばして、先に電力システム改革の話に移りたいと思います。事前通告の問いの七及び問いの九に移らせていただきたいと思います。

 電力システム改革あるいはガス事業のシステム改革の中で、幾つか懸念される点についてお伺いをしたいと思うんですが、一つは小売の料金規制でございます。

 これは、経過措置として、特に既存の事業者については、小売自由化後も規制料金を競争条件を勘案しつつ残すということになっているんですが、そもそも自由化を行うということ、それから、電気なら電気、ガスならガスという、いわゆる市場の垣根を壊すということが法律の趣旨であるというふうに理解をしておりまして、その観点から見ますと、まさに、今、電気は電気だけでなくガスとも戦っておりますし、またその逆も真なりだというふうに考えております。

 その観点から見ますと、特にエネルギー間の競争を促すという観点からは、むしろできるだけ早期にこのような経過的な既存業者に対する料金規制というのは撤廃して、むしろ競争を促すということが必要ではないかというふうに考えておりますが、この点について、経済産業省の御見解をお願いします。

関大臣政務官 細田委員の御質問、本当にいいところというか、我々も逆に言えば早く撤廃したいような状況が起こってほしいというのが本当は狙いでございまして、やはり我々が一番気をつけないといけないのは、消費者が不利益をこうむらないということだと思います。

 イギリスなどにおきましては、自由化になった後に料金は上がったんですね。そういうような状況を踏まえますと、やはり、まずは市場が安定して、新規参入の状況をしっかりと我々が確認して、既存事業者間の競争がしっかりと行われているという状況も確認して、そして、自由料金メニューを選択する消費者の比率もどんどんふえてきた、また、ほかのエネルギーとの競合状況も進んできた、このような進展状況を慎重に見きわめるための期間と受けとめていただけたらと思います。

 加えまして、小売の自由化後の電気料金、ガス料金の推移とか、小売自由化に対する認知度も大事だと思いますので、そういう点をしっかりと見ながら、早くこういう規制が外せるようなことが起こること自身を願いたいと思います。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 今、お話のあったように、いわゆる電気なら電気だけ、ガスならガスだけというのではなく、その競争条件を判断する場合に、ぜひ幅広にといいますか、エネルギー間での競争も起こっておりますので、ぜひそういう観点からも御判断をいただきたいというふうに考えております。

 それでは、大臣にお伺いをしたいんですが、電気事業法、ガス事業法、今回、検証規定というのがそれぞれ附則に入っております。これは党内でもさまざまな議論がございまして、大臣よく御存じだと思うんです。

 いずれにいたしましても、電気もガスも本当に国民生活に必要不可欠な財でございまして、もう足らなくなったからあした電気が供給できませんというようなことは決してあってはならないですし、また、そういう状況が生じないように、いろいろな状況を勘案しつつ、慎重に改革を進めていくべきであろうと思っております。これは党内でもそういう議論がかなりございました。

 この観点から検証規定を入れられたというのは、私は非常に高く評価をしております。他方で、検証を行われて、その検証の結果が出る、あるいは、その検証の結果を受けて何らかの対応を行う場合には、ぜひ、政府あるいは与党の政策プロセスで十分な議論をしていただきたいと思います。また、そのような議論が行われるように大臣からも御指導いただきたいと思っておりますが、大臣の御見解をよろしくお願いします。

宮沢国務大臣 御審議いただいているこの法案におきましては、政府が検証するということになっているわけでありますけれども、一方で、今委員御指摘のように、与党の検討プロセスの中で、政府のみに任せるのではなく、与党としてもしっかり検証していくという御発言があったことは承知をしております。

 当然、我々が今後やった検証については、党にももちろん御報告いたしますし、また、党においてまた別途の検証をされる、そしてその結果というものが出るのであれば、また私どもとしてもそれを参考にさせていただく、こういうことになろうかと思っておりまして、政府の検証結果を与党のプロセスの中でどう扱うかというのは、逆に、私どもが申し上げるというよりは、与党の中でお決めいただいたらいいと思っております。

細田(健)委員 ありがとうございました。ぜひ本当に検証を行いつつ、慎重にまた着実に改革を進めていただきたいというふうに考えております。

 さて、時間の関係上、多少前後したんですが、最後に、原子力損害賠償制度の見直しについて、内閣府の原子力委員会の担当者に来ていただいていると思いますが、ちょっとお伺いをしたいと思います。

 原子力損害賠償支援機構法の附則において、いわゆる見直しが規定されておりまして、ようやく、原子力委員会に専門部会を設置して、今般その検討を始められるというふうに承っております。

 私は、一番大切なのは、ああいう非常に大きな不幸な事故があって、ああいうことが二度とあってはいけないと思っておりますが、他方で、安全神話から決別したということがあり、その上で、事業者に予見可能性を与える。ビジネスとして商用原子炉を運営するということは、当然、事業者としては予見可能性が必要になりますから、事業者に予見可能性を十分に与えるような損害賠償の制度が実施されているということが必要だというふうに考えております。

 この観点からは、既存の法令の、事業者の無限責任を規定した第三条でありますとか、あるいは、国の関与を規定した十六条及び十七条は、国の関与の明確化を含む、あるいは事業者に十分な予見可能性を与えるという観点から、これらについても見直しの対象に含まれるべきだというふうに考えておりますが、内閣府の御見解をお伺いしたいと思います。

田口政府参考人 お答えいたします。

 原子力損害賠償制度の見直しにつきましては、関係省庁が参加する原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議において検討が行われ、これを受け、原子力委員会のもとに有識者から成る専門部会を設置して、検討を進めていくこととしております。

 委員御指摘の、原子力事業者及び国の責任のあり方を含むさまざまな問題について、専門部会において幅広い観点から検討を行っていただくこととしてございます。

細田(健)委員 ありがとうございました。

 スケジュール感についてちょっとお伺いしたいんですけれども、電力システム改革、二〇一六年から全面自由化ということになりますので、電気事業者をめぐる市場の環境というのはかなり大きく変わります。したがって、できればそれに合わせた形で何らかの結論を、拙速ではいけませんができるだけ迅速に出していただくようにお願いしたいと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。

田口政府参考人 原子力損害賠償制度の見直しの検討に当たりましては、エネルギー基本計画を踏まえ、さまざまな課題について総合的に検討を進める必要があると考えてございます。

 現在、原子力委員会のもとで専門部会の設置の準備を早急に進めているところでございますが、専門部会においては、電力システム改革の動向も視野に入れながら、被害者の確実な救済が図れるよう検討を進めていただきたいと考えてございます。

細田(健)委員 ありがとうございます。ぜひ迅速かつ着実に検討を進めていただきたいと思います。

 大臣、それから委員長、本当にありがとうございました。

 終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之です。

 二十分、お時間をいただきましたので、質問させていただきます。

 まず、先週、四月十七日、公明党の総合エネルギー対策本部、経済産業部会合同で、菅官房長官に対しまして、エネルギーミックス策定に向けた提言を行わせていただきました。

 その中で、再生可能エネルギー、蓄電池に関し、次のような提言をさせていただきました。少し長くなりますが、御紹介をさせていただきたいと思います。

 再生可能エネルギーについては、東京電力福島第一原子力発電所事故によって根底から見直されることになったエネルギー政策において、温室効果ガスを排出せず、国産エネルギー源としてエネルギー安全保障の観点からも重要なエネルギー源であり、安定供給面やコスト面での様々な課題を乗り越え、いかに最大限の導入を図るかが重要な課題である。

  そのために、1安定供給に配慮した上での再生可能エネルギー電源の優先利用に向けた制度構築、2全国規模での導入を視野に入れた送電網の整備促進のためのインフラ整備計画の策定、3地域間連系線増強に向けた費用負担のあり方や利用に関する新たな系統運用ルールの整備、これらを通じて最大限導入に向けた環境整備に万全を期すべきである。

  地熱発電については、自然条件による出力変動も無く、発電コストも低い有望なエネルギー源であり、資源量の約八割が自然公園内に賦存しているという開発に向けた課題に対しても、地元の理解を得ながら柔軟な規制改革などを通じて積極的に導入を進めるべきである。

  他方、地域資源を活用した地域主導の自立(地産地消)・分散型の低炭素エネルギー社会の実現に向けて、バイオマス・小水力発電等の導入促進に着実に取り組むべきである。

  風力発電については、出力変動や広域的な運用に課題が存在するものの、発電コスト面で有望であり、適切性を確保しながら環境アセスメントの迅速化に取り組むとともに、安定的な系統運用に資する蓄電池の飛躍的な性能向上のための研究開発を積極的に進めるべきである。

  太陽光発電についても、有望な分散型エネルギー源である一方、出力の不安定性等の課題が存在することから、系統電源調整能力向上に向けた更なる技術開発、蓄電池の性能向上のための研究開発を進めるべきである。

  また、固定価格買取制度によって再生可能エネルギーの導入量は着実に拡大しているものの、国民負担の増大や系統制約の問題が顕在化しており、国民負担の上限設定、コスト低減や研究開発に対するインセンティブの付与等、国際的な動向を踏まえ、バランスの取れた適切な見直しを行うべきである。

  そして、個々の再エネ電源の特性を生かした最小コストによる最大限の導入を図る観点から、いわば再エネにおけるベストミックスを見据えながら、国家プロジェクトとして取り組み、昨年四月に閣議決定された「エネルギー基本計画」で示された「これまでのエネルギー基本計画を踏まえて示した水準(二〇三〇年に発電電力量の約二割(二千百四十億kWh))を更に上回る水準の導入」を実現すること。

というふうに提言をさせていただきました。

 宮沢大臣は、エネルギーミックス策定に際し、再生可能エネルギーについてどのようにお考えでしょうか。御所見を伺いたいと思います。

宮沢国務大臣 委員御指摘のとおり、政府といたしましては、再生可能エネルギーの最大限の導入を進めていくということが基本方針でございます。今お話がありましたように、エネルギー基本計画を踏まえて示した水準をさらに上回る水準の導入ということを、昨年決めましたエネルギー基本計画で決めているところであります。

 一方で、三年前に固定価格買い取り制度を導入いたしまして、再生可能エネルギーの導入といった点につきましては大変効果のある制度だったわけでありますけれども、例えば太陽光発電が予想以上に大変に導入されるといった偏りが見られるといった、幾つかの問題点があることもまた事実でございます。

 今いただいた提言というものは、いろいろな問題点を指摘しつつ、さらにそれをどうやって改善していくかということがしっかり書かれている、大変同感する提言だと思っておりまして、これからも、再生可能エネルギーの最大限の導入という中でこういう施策をしっかり講じていかなければいけないと私自身も考えております。

富田委員 ありがとうございます。

 今大臣も言われましたけれども、固定価格買い取り制度にやはり問題点もある。そういった意味で、一つ、ちょっとドイツの事例を御紹介したいんです。

 公明党の総合エネルギー対策本部と経済産業部会で、三月二十五日、東京大学生産技術研究所エネルギー工学連携研究センター副センター長の金子祥三特任教授に、「ドイツから何を学ぶか 望ましい電源構成に向けて」と題して講演をしていただきました。お手元に資料を八枚お配りさせていただいておりますが、ぜひ後で見ていただきたいと思うんです。

 この金子先生は、日本の立ち位置として、まず、異常に低いエネルギー自給率で四%、また、貿易収支のうち最大の輸入は燃料である、そして、製品の輸出によって得た収入で燃料を購入し国が成り立っている、この燃料をいかに確保し安定して、しかも安く購入できるかが日本経済存立の鍵である、エネルギー問題は日本国内の閉じた論理だけでは解決できない、国際的視野が重要だ、広く世界を見て世界に学び世界への打ち手が必要というふうに御指摘をいただきました。

 その上で、欧州は日本に条件が近く、かつ温暖化対策など日本に先行しており参考になる、中でもドイツは理念先行型で試行錯誤の状態にあり日本の将来を暗示している、しかしドイツは二〇一四年に再生可能エネルギーの発電電力量比が二五%に達し致命的な問題が発生しているというふうに教えていただきました。

 資料一をごらんいただきたいと思います。ドイツの再生可能エネルギーの増加状況を示す図ですが、二〇一四年に二五%、二〇二〇年目標値として三五%というふうに明示をされております。

 そして、資料二ですが、これはドイツの再生可能エネルギーの構成を示しております。見ていただきますと、石炭二〇%、褐炭二六%というふうになっておりますので、約半分が石炭に頼っている。また、日本と異なり地形がフラットであるため、水力は三%にとどまっています。風力の八%は北部地域に集中している。こういった特徴がドイツの再生可能エネルギーにはございます。

 そして、資料三は欧州各国の発電の割合を示していますが、ポーランドが示唆に富んでいるというふうな御指摘をいただきました。原子力ゼロです。そして、エネルギー自給率がポーランドは七〇%だそうです、この図には書いておりませんが。そういった意味で、今後ポーランドが参考になるのではないかというふうに先生はおっしゃっておりました。

 再生可能エネルギーは、その出力が自然任せであり、電力需要と全く無関係に発電する、このギャップを埋めるのがバックアップ火力だ、そういう問題点があるということを示していただいているのが資料の四であります。火力が変動対応しているという状況を示しております。

 資料の五は、ドイツの再生可能エネルギーの負荷変動の例を示しておりますけれども、左の図の二〇〇八年三月の負荷変動幅千四百万キロワットは東北電力の総電力に相当し、右の図の二〇一二年一月の負荷変動幅二千四百万キロワットは関西電力の総電力に相当します。変動幅がどれほど大きいものかは、この図でよく理解できるというふうに思います。

 そして、資料六は、風力、太陽光の優先利用は石炭火力の犠牲の上に成り立っていることを示しております。ベースロード電源である九基の原発がフル稼働し、木目が残っている、水分五〇%を含む若い石炭である褐炭火力がこれを支えています。

 石炭火力はずうたいが大きいので、本来は負荷変動に向かないというふうに先生は指摘されていました。寿命を承知して稼働している状態なので、老朽化が著しく進んでいる、そういうような御指摘もございました。

 資料七が、再生可能エネルギーと火力、原子力の関係を示しております。見ていただいてわかりますように、メリットオーダーというふうに書いておりますが、単価の安い燃料からマーケットに入ってくる。褐炭は露天掘りのために非常に単価が安いので、石炭よりも先に市場に入ってくるということがこの図でわかります。

 そして、再生可能エネルギー大幅増加後に、再生可能エネルギーが一番左側に入っておりますが、これは、再生可能エネルギーはただという前提で、こういうふうなメリットオーダーになっているということを御指摘いただきました。

 この結果、ドイツではどういうふうなことが起きたかというと、石炭火力、天然ガス火力の運転時間は大幅に低下して、ついには最新鋭の高効率天然ガスコンバインドサイクルが運転停止に至ってしまった。

 そういう結果、ドイツの電力業界では、石炭、天然ガスの既設発電所が運転できず、売電収入が減り、大変な赤字となって、人員削減などの縮減対策をとらざるを得なくなった。新設火力は採算が合わないので建設ができず、採算が合うのは風力発電のみなので、大手電力もこぞって風力発電設備を建設するようになった。火力の新設がないので、製造メーカーも疲弊し、二〇一四年には、ついにはドイツのボイラーメーカーが消滅するに至ったというような御指摘をいただきました。

 先ほど、自民党の佐藤先生がドイツの例を言われていましたが、電力自由化の後に下がったというのは、実はこういう背景もあって影響したんじゃないかなというふうに、佐藤先生の質問を伺っていて私は思いました。

 こういったドイツの現状から日本は何を学んで、エネルギーミックスの策定にどのように生かしていくべきというふうに考えていますでしょうか。長官で結構ですので、御意見をお願いします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに先生御指摘のとおりでございます。私ども、この資料は非常に示唆に富む資料であると思っております。

 ドイツにおきましては、太陽光あるいは風力等々の自然条件により出力が変動する再生可能エネルギーというのが急速に導入拡大が図られたわけでございます。その結果、さまざまな課題も生じているということでございます。

 それは、御指摘のように、一つは、どうしてもこういった負荷変動する不安定な再生可能エネルギーの場合は、必ず調整電源というのが必要である。その調整電源の規模も、まさに御指摘をいただきましたように、ドイツにおいては場合によっては関西電力の出力規模に相当するような出力変動になっているわけでございまして、こういった調整力というのをどのように確保していくのか、一つの大きな課題でございます。

 また、ドイツにおきましては、こういった調整電源が通常石炭で行われているために、現状におきましてはドイツのCO2の排出量は増加をしている、そういった観点もございます。

 さらに、御案内のとおり、電気料金というのがドイツにおきましては賦課金という形で適用されていまして、これは大幅に上昇をしている。

 それから、系統につきましても、北の部分で風力が多いわけでございますが、それが他国に流出し、他方で、南に電気を送る送電網が不十分であるために、南は電気を他国から購入している。

 実は、ドイツは再生可能エネルギーの先進国とよく言われるわけでございますけれども、非常にさまざまな面で示唆に富む状況かと思いますし、今の先生のこの資料というのは、まさにそれを示したものであると思います。

 私ども、エネルギーミックスを現在検討中でございますけれども、こういった調整電源といったものについてどう考えていくのか、あるいは、もちろん最大導入という前提のもとで、国民負担の抑制をどう考えていくのか、系統をどう考えていくのか、こういったことについてもさまざまな観点から検討をさせていただいておりまして、先生の御指摘も踏まえながら、そういった観点も踏まえて、日本全体の中でのベストなエネルギーミックスというのを考えていきたいと考えております。

富田委員 ぜひよろしくお願いします。

 金子先生は、ドイツには学ぶべきところは多いけれども、間違いを学ぶ必要はないというふうに御指摘をされておりました。そのとおりだというふうに思いますので、よろしくお願いいたします。

 幸いにも、日本では、ドイツのように火力発電所の新設が行われなくなるということはなくて、実は、私の地元千葉県では、かなりの数の新設火力の予定がされております。

 電力の小売自由化を契機として、関西電力子会社の関電エネルギーソリューションと東燃ゼネラル石油が共同出資して新会社を設立、そして千葉県市原市に石炭火力発電所を計画、二〇年代半ばの運転開始を目指して原発一基分に相当する百万キロワット級の出力を予定しているというふうな新聞報道が先ごろありました。つくった電気は、老朽化した火力発電所からの切りかえを図っている東京電力に売るほか、関電が直接、首都圏の企業や家庭に売ることも検討されるようです。

 関電の方は、来年四月に自由化される予定の家庭向けでも首都圏への参入を視野に入れて動いているようですが、東日本と西日本は電気の周波数が違うため、関電は管内から直接大量の電気を首都圏に送ることは難しい。そこで、仙台市や秋田県など、東北地方に発電所をつくる計画を進めるほか、顧客により近く、低コストで電気を送れる首都圏にも初めて発電所を設けることを考えたというふうに言われております。

 また、関電だけではなくて中国電力も、JFEスチールや東京ガスと連合して、千葉市に二〇年前後のスタートで百万キロワット級の石炭火力発電所を計画されています。

 また、九州電力は、出光興産、東京ガスと連携し、千葉県袖ケ浦市で出光の遊休地約三十ヘクタールに二基の火力発電所を建設する計画だ、二〇二〇年ごろに着工し二〇年代半ばの運転開始を目指す、最大出力は二百万キロワットというような報道もされておりました。

 東京電力以外の電力会社が首都圏につくる発電所としては最大級で、投資額は数千億円規模になる見通し。三社が約三億円ずつを出資して五月に事業会社をつくり、環境アセスメントの手続に入るというふうにしているようであります。

 九電は火力発電所の計画や建設、運営のノウハウがあり、出光は石炭の調達に強みがある。東京ガスは首都圏に一千万件超の顧客基盤を持つ。来年四月の電力小売の全面自由化をにらんで、三社がそれぞれの得意分野を生かして首都圏での電力小売に乗り出すというふうに報道されております。今回の電力システム改革の流れに沿うものだということで、いい方向だというふうに思うんです。

 こういう状況を踏まえて、震災後増加した我が国の温室効果ガスの排出量を再び減少に転じさせ、地球温暖化防止に向けて、他の先進国と比べても遜色のない貢献ができるよう、環境負荷の一層の低減に配慮したIGCC、石炭ガス化複合発電等の次世代高効率石炭火力発電技術等の開発、実用化を促進するなど、国を挙げて高効率の火力発電の普及促進に努めるべきであるというふうに考えますが、経済産業省としてはこの点にどのように取り組んでいかれるお考えなんでしょうか。お聞かせください。

上田政府参考人 石炭火力発電所については、さまざまな議論がございます。

 先生御指摘のとおり、石炭火力というのは、安定供給性あるいは経済性にすぐれた重要なベースロード電源であるとエネルギー基本計画の中でも位置づけられているところでございます。確かに石炭は、世界で見ましても、先ほどのドイツでは約五割近くは石炭火力でございます。アメリカにおきましても四割ぐらいは石炭火力であるわけでございます。

 他方で、石炭火力は、御案内のようにCO2の排出量が多いということでございまして、CO2の排出量でいいますと、LNG火力発電所の約倍ぐらいのCO2の排出が行われているということでございます。一つの鍵が、石炭火力をできるだけ高効率にしていきまして、それを活用していくということかと考えておりまして、先生の御指摘の方向かと存じます。

 私どもといたしましても、例えば、石炭火力の蒸気の温度を七百度以上の高温にするということで発電効率を高めるアドバンストのスーパークリティカルといいますか、超臨界発電といった技術、あるいは、石炭をガス化いたしましてガスタービンと蒸気タービンでの発電を行う技術、あるいは、それと燃料電池を組み合わせていく技術、IGCCあるいはIGFCといったものでございます。こういったものをしっかり開発していくということが必要であると考えております。

 現在、福島県におきまして、大型石炭ガス化複合発電の環境影響評価手続が開始されているということでございまして、いろいろなところでさまざまな石炭火力に関する計画があるわけでございますけれども、これらにつきまして、できるだけ高効率なものを活用するという方向で政府としても努力をしてまいりたいと考えております。

富田委員 ありがとうございました。終わります。

江田委員長 次に、神山洋介君。

神山(洋)委員 おはようございます。神山洋介でございます。

 きょうから、電気、ガス、熱供給を一体的に改革するという形で、電気事業法等の一部を改正する等の法律案についての議論を行うということでございます。

 これからある程度回を重ねて議論をしていくことになろうかと思いますので、本日は、まずは総論的な観点から、エネルギー政策全体と、あとは、これは私の割り振りの中での担当でもありますが、熱供給事業に関して数点質問をさせていただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。

 まずは総論の話なんですが、エネルギー政策全体のビジョンに関してということでございます。

 先日の、大臣からいただきました趣旨説明でも、「国家戦略として責任あるエネルギー政策」という表現がございました。もちろん、国家戦略としての責任あるエネルギー政策、当然そうだろうなというふうに思うわけですが、まず、冒頭でもありますので、その内容、骨格を改めて御提示いただければと思います。

宮沢国務大臣 もうこれは委員も全くそういうお考えだろうと思いますけれども、やはり、四年前の震災以来、我が国のエネルギーをめぐる状況というのは大変厳しいものがあると考えております。

 結局、今、エネルギー自給率は六%。九四%を海外から化石燃料を輸入している。しかも、極力低下させてまいりました中東依存度というものがかなり上がってきてしまっている。そして一方でコストの問題というものもありまして、電力料金は家庭用では二割、産業用では三割上がっていて、特に電力多消費型の中小企業からは悲鳴のようなものが上がってきている。

 そして一方で、ことし、COP21がございますけれども、CO2の排出量というものが大変高くなってきているという中で、大変厳しいこういう状況の中で、今、エネルギーミックスというものの作成作業を審議会でお願いしてやっておりますけれども、いわゆるスリーEプラスS、安定供給、コスト、環境負荷、そして安全性といった、この四つをバランスよく実現していかなければいけないという状況だと考えております。

 昨年の四月にエネルギー基本計画を決定いたしましたけれども、この計画の中で、安定的な資源確保、徹底した省エネルギー社会の実現、再生可能エネルギーの導入加速、原子力政策の再構築など、こういう計画に基づいて取り組んでいるところであります。

 そうしたことを踏まえて、エネルギーミックスにつきましてはできるだけ速やかに決定したいと思っておりますけれども、こういう取り組みをまさに戦略的に進めて、長期的に安価な安定したエネルギーを国民に、また日本経済に供給していくということが、まさに国家戦略としての責任あるエネルギー政策だと考えております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 エネルギーとはまさに、大臣がおっしゃっていただきましたように国家の基でもありますので、お話にありましたような戦略性というのは私は極めて大事だと思いますし、短期的な話ももちろん、目の前の話は大事ではありますが、これはもう数十年にわたってロングスパンで、我々の日常生活、国家そのものを左右するという大きな課題を抱えているものだと思いますので、これはぜひ、その戦略性というところは強調してこれからも御検討いただければと思います。

 今お話がございましたように、今後のエネルギー市場がどうあるべきか、また国家戦略としてのエネルギー政策がどうあるべきかということを改めてこのタイミングで検討するやはり大きなきっかけであったのは、お話のあったように、震災であり、またあのときの福島での事故であったわけです。

 そこから、今、エネルギー基本計画の中でスリーEプラスSという基本原則があってというお話がありました。もちろんそうだろうなというふうに思うわけですが、私、ここでもう一つ、今回に至った経緯を改めて考えたときに、あの福島での事故、その後の我々が国民ひとしく経験をした、また現在に至る経験をできるだけ生かしていくということは大事なんであろうというふうには思っております。その意味でいうと、今後に向けたエネルギー政策の基本形、基本的な原則というところで、もう一点強調しても、我々が強く意識してもいいのではないかという点があります。それは何かといえば、やはり地域の経済をどうするかという話でありました。

 あのとき、いろいろな議論が今に至るまでありますが、一つの思想として、集中的な電源をぎゅっとそこに設けていると、やはりそれは、一般論としてもわかるように、何かあったときには大きな影響を及ぼす。そういう中で、分散型の電源構成を持っていくという考え方も一つはあるだろうと。もちろん、これはオール・オア・ナッシングの議論ではないわけであって、この後また議論させていただきますが、エネルギーのベストミックスの話も含めてではありますが、組み合わせ、バランスというところが大事だと思うわけです。

 今お話のあったように、スリーEプラスS、供給の安定性、経済性、環境の保全、そして安全性ということは、もちろん大原則で大事なわけですが、そこに、やはりこれから、私たちは地域の経済も今念頭に置きながらこの委員会でもいろいろな議論をさせていただいているわけですから、分散型の電源構成を少しそこにきちんとした形でミックスさせていくという考え方も、私は、この中に相応のボリュームであってもいいのではないかというふうに思っております。

 ここまでのお話の中で、またいろいろ御説明をいただいている中でも、そこの観点というのが大体どの程度あるのだろうかということを一点確認させていただければと思っております。

山際副大臣 大臣からも御答弁申し上げましたように、今般の改正で何を目指すかということでございますが、それはやはり、電力、ガス、熱供給といった、それぞれいわば縦割りでやってきたエネルギー供給、エネルギーの問題につきまして、これを一体的にすることによってイノベーションが起きるような、そういう環境をつくっていこうというのが大変重要な改正に向けての概念でございます。その中に、もちろん、委員が今御指摘いただいたように、地域、地方というものに対して、そこが活性化するようにしていかなきゃいけないということも当然含まれてございます。

 そういうことでございまして、分散型のエネルギーに関してどうかというお話がございましたから、そこについて少しお話をさせていただきますと、昨年成立した第二弾改正によって、まず、地域の分散型電源で発電した電気を一般家庭に供給することができるようになりました。それから、今回の法案で措置している法的分離の方式による送配電部門の一層の中立化などによって、地域分散型電源を用いて発電する発電事業者が送配電網をより利用しやすくするための措置を講ずることとしてございます。

 そういったことを含めまして、今、冒頭申し上げたように、地域分散型のエネルギーシステムというものもきちんと後押ししていけるようにということでございます。

神山(洋)委員 ありがとうございました。

 我々も分散型エネルギー社会推進四法案という形で今国会に提出をする予定ではございますが、いずれにしても、今お話のあったような取り組み、これは、何か一回やればこれでもう終わりですという形で自動的にそれが進んでいくという世界ではないと思いますし、私の前段でのさまざまな議論を伺っていても、一つの取り組みを始めればその後にまた別の課題が出てきて、それをいかに解消していくかという、これはもうずっと継続的にメンテナンスをしていくべきものだと思っておりますので、ぜひその点は御配慮いただきながら、今後も御検討いただければと思います。

 先ほど大臣から御答弁をいただいた中に、エネルギーミックスのお話がございました。これは極めて大事な話でありまして、今まさにその検討が進められているという御説明もいただいたわけですが、速やかにお示しをいただける、速やかに示すということをこれまでも何度か文言としていただいているわけですが、これは一体いつになるだろうかということをまずはお伺いさせていただきたいと思います。

宮沢国務大臣 今、長期エネルギー需給見通し小委員会におきまして、一月の末スタートで、精力的に御審議をいただいているところであります。そして、あわせて並行しまして、専門家によるワーキンググループにおきまして発電コストの検証についても議論をいただいております。一方で、自民党また公明党からもいろいろな御提言もいただいております。そういうものを合わせて、今の段階では、できるだけ速やかにエネルギーミックスを決めてと、こういうことしか申し上げられないわけでありますけれども、一方で、ことしの十二月にCOP21というものがありまして、我が国としても、地球温暖化に対する対応というものをしっかり表明していかなければいけない。そして、その温暖化に対する我が国の方針の基礎となりますものがエネルギーミックスということになるわけであります。

 ことしの六月の初めにG7がございますけれども、その場においても恐らくこの点についての議論も行われるのではないかということを考えますと、やはりその段階で安倍総理にそれなりの御発言をしていただくことが恐らく必要になってくるだろうということを念頭に置きながら作業を進めております。

神山(洋)委員 なかなか明言をするのが難しいというのはよくわかりますが、今のお話を伺えば、半年とまでは言いませんが、半年強ぐらいなのかな、年内というところが一つのめどなのかなというお話と受けとめさせていただきました。

 これはやはり早く示すべきだと思うんです。確かに、エネルギー基本計画という形で大きな計画、大きな絵というのはあるわけですが、今回の法案での議論にもなっているように、最終的には、これはマーケットの中での電力であり、ガスであり、熱供給でありという、その供給及び需要側のニーズとのマッチングがあって初めて我が国のエネルギー市場がさまざまな形で活性化をしていくという形がつくられるわけであります。

 数字が全てではないとはいえ、そもそも政府としてこのエネルギーのベストミックス、ポートフォリオをどういうバランスでつくっていくのかという前段の数字がない中で、では、各事業者さん、それぞれのサービスを頑張ってやってくださいということをやっても、そもそもマーケットの環境がフィックスをされていない中で、そこが緩い中でビジネスベースで事業計画をきちんと練り込んでいくということは、なかなかそこには私は難しい点があるんだろうなというふうにも思うわけです。現時点においては、まだエネルギーミックスは明確でないわけです。できるだけこれは早く提示をしていただきたいと思います。

 そうすると、本改正によって、総合エネルギー市場、これは、今まで縦割りだったものを総合エネルギー市場として形成をしていきましょうということなわけです。大まかな方向感はわかるとはいいつつも、では、一体その中で、ガスはどの程度のエネルギー全体の構成を占めるのか、熱供給というのは、今はこんなちっちゃいかもしれないけれども、先々どのぐらい大きくするのか、それともこのぐらいちっちゃいままなのかというようなことが、はっきり言えば、これはマーケットベースで実際どうなっていくかということを待っているのかなという気もしてしまうわけです。

 もちろん、これは、全部国がこうあるべきですとびちっと決め切ったら、それはそれでまた問題だという話にもなりますし、全部レッセフェールで、もうマーケットでやるんですという話も、それはそれでまた乱暴だとは思うわけですが、ある程度双方の基本的な合意というのがあった上で初めてゴーとなるべきかなというふうに思うわけであって、その意味でも、エネルギーミックスの数字を早く出していただくべきではないかということを申し上げているわけです。

 今申し上げてしまいましたが、ここは、マーケットと政府としてのバランス、ポートフォリオをどうするかというところ、どう整合させていこうと思っているかという点について御答弁をいただければと思います。

宮沢国務大臣 例えば電気とガスがどの程度の割合でなければいけないということについては、これは政府として方針を決めているわけではなくて、例えば、東京では余り感じませんけれども、関西に行きますと、関西電力と大阪ガスというのはかなり自由化された部門で熾烈な競争をしておりまして、その結果、電気がどのぐらい使用される、ガスがどのぐらい使用される、こういうことになるんだろうと思っております。

 そして、マーケットで全てが決まるというわけでは全くなくて、エネルギー政策というのはまさに、委員もさっきおっしゃいましたけれども、国の基本である重要な政策でありまして、市場任せにするということではないと思っております。

 したがって、今回の電力システム改革を三段階目まで実施された後でありましても、送電部門については引き続き地域独占と総括原価方式による料金規制、投資回収の保証が図られる、また、広域的運営推進機関がベースロード電源、ピーク電源といった電源の特性を踏まえて電源の公募を行うというようなことをいたしまして、全てをマーケットに任せるというわけにはいかない分野だと思っております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 これはなかなかバランスが難しいところではあるかとは思うんですね。全部が全部マーケットで、ビジネスベースで進んでいくのが果たしていいかといえば、それはやはり違いますし、一方で、国家目標はこうです、国家戦略はこうです、そこに基づいてやっていくというのは、必ずしも、オンビジネスで回るか、ビジネスベースで合理的かどうかというのはまた違うわけであります。

 そういう意味でも、やはり、今エネルギーミックスの議論が進んでいるという中ではありますが、もう少しこれは、国民、もちろん、その関連業者であり、ビジネスの観点からこういうことを眺めている方々も含めてですが、国全体として思いを一つにするような、そんなお取り組みもいただければありがたいなということはここで申し述べさせていただきます。

 いずれにしても、今回の法改正によって垣根が取り払われた総合エネルギー市場を形成しましょうということになっているわけです。前段の議論とも少しこれは関連をするわけですが、その後の市場の中でどういう形で動いていくかというところは、国がああしろ、こうしろ、こうすべきだということを言うべきではもちろんないわけですが、しかし一方で、こうなったらいいな、こうしていってほしいなということはもちろんあってしかるべきだと思うんですね。

 そういう意味でいうと、本改正によって制度改正がなされた後のエネルギー市場及びその中のプレーヤーとしての業態、業者、さまざまなプレーヤーがどういう形で今後変わっていくことを見通していられるか、そこの政府としての見通しをぜひここで披瀝いただければと思います。

宮沢国務大臣 電気とガスといったもののそれぞれのプレーヤーがどの程度の、電気がどのぐらい、ガスがどのぐらいというわけには、これは先ほども申し上げたようになかなかいかないわけであります。

 一方で、エネルギーミックスというものについて申し上げますと、これは今のところ二〇三〇年と考えておりますけれども、将来の電源構成であり、エネルギー構成の見通しであり、あるべき姿と私は申し上げてきておりまして、見通しというのはやはりある程度現実的でなければ、要するに見通せるようなものでなければ、全く空想しただけのというわけにはいかなくて、やはり現実に基づかなければいけないと考えております。

 しかし、それだけでいいかというと、やはり、自然体でいって、民間がやるようにこうなるんだというわけにはいかなくて、あるべき姿、政策的な配慮といったものをやはりそれなりに加えたものということで、両方に配慮したような形のものをつくっていかなければいけない、こういうふうに考えております。

神山(洋)委員 先ほど長官が手を挙げられていましたが、何か御答弁があれば。

上田政府参考人 申し上げようと思っていたことを大臣に言われてしまったのであれですけれども、エネルギーミックスそのものは、今まさに御答弁ございましたように、中長期の見通しであるとともに、あるべき姿というのを示していきたいということであります。エネルギーの需給構造のあるべき姿ということですので、ある種の目標性を持ったものであるわけであります。

 エネルギーミックスが実現するということは、そういう意味で私どもは重要なことであると思っておりまして、その実現のためには、単に市場任せということではなくて、省エネ政策、再エネ政策、あるいは原子力政策、それぞれのエネルギー政策の分野に応じまして、法律、規制、予算、税、さまざまな政策手段があるわけでございますが、こういった政策手段を講じながらエネルギーミックスの実現のために努力をしていきたい、そういうものをお示しするベースとなるものがエネルギーミックスであるということを一言つけ加えさせていただきます。

神山(洋)委員 ありがとうございました。

 総論の話ばかりをちょっとここまでさせていただきましたけれども、一点だけ電力に関連をして。

 大臣と、これは二回ぐらい前だったかと思うんですが、ここで地熱発電が云々という話をして、やはり貴重なベースロード電源ですよねというお話で、そこは共有をさせていただいたことがあったかなと思うわけです。

 やはり、ベストミックスなりエネルギーミックスの話をする中で、特に再生可能エネルギーに関しては、先ほど来お話がありますように、なかなか思うに任せない自然のバランスの中で、どうその穴を埋めていくのかという議論は必ず出てくるわけです。もちろん、それは先ほど来お話があったように火力を含めたところで補っていくのだという大きなお話はあるわけですが、加えて、利用者、マーケットの側の中で、今、ディマンドレスポンスの話を少しさせていただきたいんです。

 料金をうまく調整することによって、もちろんそれでフルカバーできる話ではありませんけれども、需要が高くなったときは、これは単純に言えば需要と供給の話で、需要が高いところは電気代が高いです、需要が低いところは電気代が安いですということをもって、個人個人が使うこと、産業用を含めて、あとはどういう機器を使うかということも含めれば、これはいろいろな事業パターンはあり得るんだと思います。

 一定の電力の供給量及び需要をできるだけ平準化していきたいという話からすれば、一つの発想、着想としては、このディマンドレスポンスの話というのは私は大変大事じゃないかなというふうに思いますし、それに関連をしていろいろなビジネスが出てきて、そこに新たなマーケットができて、そこに雇用ができて、産業ができてということになるのであれば、私は、そこはすごく大事な、いい場所としてプッシュをしていっていいんじゃないかなというふうに思うわけです。

 既にこれは経産省の方でも御検討いただいていることは承知をしておりますが、このディマンドレスポンスに関して、今どのような状況か、御答弁をいただければと思います。

関大臣政務官 神山委員と政府の方は多分考え方がよく似ている、同じような方向性を向いていると思うんですが、我々も、ネガワット取引等のディマンドレスポンス、これは非常に重要だと考えておりますし、スマートコントロールに対して有益なものと考えております。

 昨年成立をいたしました電気事業法改正によりまして小売の全面自由化が、来年四月にスタートしました後に、既存の電力会社も含めまして、一般家庭も対象として、自由な料金メニューがいろいろできていくわけですが、その設定が可能となりますと、こういうふうなディマンドレスポンスに対しましても、料金メニューが、いろいろ、対応できた分が普及していくんだろうと思っております。

 ちょうど政府の方も、ことしの三月でございますけれども、節電量とか測定方法につきまして統一的なガイドラインというのを、ネガワット取引につきましてつくりました。これは、二十六年度の補正予算を実際には財源として使いながら検証していきたいと思っておりますし、こういうふうなディマンドレスポンスを、我々も取り組みをしっかりと進めてまいりたいと思うところです。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 ディマンドレスポンスは、当然いろいろな手段のうちの一つということであるわけですが、そういったことも含めて、もちろん、発電をする、そしてそれを消費するということが入り口と出口であるわけですが、その間でいろいろなバランス調整をしなければならないという大きな課題、宿題を負っているようなのが全体の大きな課題だと思うんですね。

 そこの部分をさまざまなアイデアで、ビジネスベースで埋め合わせることができたとすれば、より一層効率的で、それは最終的には需要家の保護というところにも当然近づいていくわけですから、これは、いろいろな取り組み、まだ未知のものも含めて、たくさんあっていいんじゃないかなというふうに思うわけです。

 先ほど来の大臣の御答弁、今政務官からお話をいただいたことも含めてですが、きょう、この項目の中には入れ込んではいないんですが、最近、実は私は、これはどうかなと思っていることが一点ありまして、それは何かというと、節電の話です。

 先日、本会議での大臣の御答弁の中にも、節電に関して、具体的な数値目標までは入れないんだ、やらないんだという御答弁があったかなということを記憶しているわけですが、しかし、私は、もう少しやれる余地があるんじゃないかなと実は正直思っています。

 もちろんこれは委員の皆様も御記憶のことと思いますが、震災があった後、計画停電の騒ぎがあって、国会で議論をしていても、恐らくこんなに明るくなくて、字を読むのもなかなかきつい。あと、廊下をすれ違うときに、すれ違う方の顔も近くにならないとわからなかったという御記憶をお持ちの方、いらっしゃると思うんです。

 確かに、あそこまでやってしまうのはいろいろな意味での支障があるでしょうし、産業用の電力もあのとき相当絞っていただいて、結果的にそれは経済に対してのマイナスの影響もあったということもそうでしょう。

 だから、どこまでという意味でいうと、あそこまでのことを思っているわけじゃないんですが、もうちょっとこの節電のところというのはやれる余地があるんじゃないかなと思うわけです。

 日常生活を送っていても、何でこんなところにエアコンがついているんだ、暑いぐらいで、エアコンの温度が高過ぎるじゃないかというときも多々ありますし、これからまた夏の冷房需要がわあっと高くなっていく時期でありまして、そういったことを含めて、数値目標をつけてぎりぎり節電をやれということまでは申し上げませんが、しかし、もうワンプッシュぐらいしてもいいんじゃないかなと、これは感覚ベースで思っているんです。

 これは御通告は申し上げていませんが、大臣、その点、どうお考えでしょうか。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

宮沢国務大臣 大震災以降、本当に、あの当時を考えますと、会館の、地下一階のあの電気で動くものもとまっているとか、エレベーターホールが暗くてというのを思い出しまして、それに比べると、かなり節電がいかなくなっているというか、生活がしやすくなっているというか、そういう状況にあることは確かであります。

 一方で、国民的に言いますと、かなり節電の意識というのはいろいろなところで広がって根づいてきていることも確かでありまして、家電の大きなお店、小売の販売店に行きますと、電球の売り場で一番たくさん占めているのは、LEDの電球が多種多様に並んでいる。しかも、結構高い値段なのに一番大きな面積を占めているとか、かなり節電の意識というのは広まってきていると思います。

 ただ、エネルギーミックスの話にしても、その前提となる省エネということがまさに大前提でありますように、節電といったものはしっかりとさらに根づかせていかなければいけないということは事実であります。

 他方、夏と冬の電力需給につきまして、先日は夏の話をいたしましたけれども、一応、見通して、各電力会社、融通も含めて、どの程度の余裕があるかということを試算しておりますけれども、その中では、ことしの夏について言えば、数字までつけてお願いするほどのタイトな状況ではないだろうというのが今の状況。それぞれの夏、冬ごとに出してある中で、数字といったものはお示しはしていないわけです。

 ただ、おっしゃるように、節電といったものにつきまして、もっともっと皆さんに、もう一度あの生活に戻れとは申し上げませんけれども、考えていただかなきゃいけないという中で、我々としてもできる限りのことはやっていきたいと思っております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 私もそこは同じで、あの直後の状態がいいということを申し上げているわけではありません。ただ、必要な電力はやはりきちっと賄われなければなりませんし、電力不足によって産業及び我々の日常生活が脅かされる、それこそ病院での電力があのころは心配されていたようなこともありますので、それはまずいと思うんですが、必要以上の、過剰の、もしくは不要な、無駄な電力をどこかで浪費しているという部分を削ることによって総需要量が抑えられて、その結果、先ほど来お話をしているような、こういうバランスの中の変動幅が小さくなるのであれば、それはやはり一つ大きなウエートを持つ要素として考えるべきであろうということだけ申し上げさせていただきます。

 少し時間も限られてきましたので、あと、熱供給事業の関連で数点御質問させていただきたいと思います。

 今回の改正によって、熱供給事業に関して言えば、料金規制が撤廃をされて、供給義務も撤廃をされて、そして登録制になります。このことをもって最終的に熱供給事業の市場、マーケットが拡大をしていけばいいなというお話。すごく簡単にばらしてしまえばですが、そういうことだと思います。

 そのことを念頭に置いて、熱供給事業がどうあるべきかということを考えたときに、まず、今政府の方で熱供給事業をどう評価されているのかという点をお伺いしたいと思います。

 私は、個人的には、先日来も何度か議論をさせていただいたとおりで、我が国は熱利用ということは極めておくれているというふうに思っています。それは、発電ということを前提とした地熱発電もそうですし、熱源利用ということを考えれば、廃熱を利用するということもあるでしょうし、場合によっては、化石燃料をたいて今回のような集中的な熱供給をするという事業も含めてではありますが、熱利用をするという着眼点がかなり我が国はやはりおくれているんじゃないかという問題意識を私は個人的には持っておりまして、その意味でいえば、今回の法改正がそこを前進させていく大きな後押しになればいいなというふうには思っています。

 ただ、今回でいえば、電気事業法の改正とガス事業法の改正というのが非常に大きく取り上げられていて、熱供給事業法の改正というのがすごくかわいいサイズで取り扱われているというようなところもあって、これだけで果たしてどこまで進められるだろうかということに実は不安を抱いているわけです。

 もろもろこの後また議論させていただきたいと思っておりますが、この熱供給事業、どういう可能性があって、有効性があってという、その評価をまずお伺いさせていただきたいと思います。

山際副大臣 政府としてどのように評価しているかというよりは、どう効果があるというふうに考えているかということでございます。

 御案内のように、熱供給事業は、複数の建物に対して一カ所の大型の熱源プラントで熱をつくってそれを供給するということをやるものでございまして、その効果として、大型の熱源プラントをつくることが、小型の個別のものよりは効果がいいだろうという考え方が一つ。

 もう一つは、その熱源を利用する需要家の方のパターンは、普通のお宅とオフィスでは当然その需要のパターンが違いますから、そういった需要のパターンの違う需要家を集約させることによって負荷の平準化が図れるはずではないか、こういうことを我々としては効果として期待してございます。

 それに基づきまして、過去の実績等に基づく調査結果によれば、熱供給事業は、建物ごとに熱源を設ける場合と比較して約一割のエネルギー効率の向上が期待されるというふうにされております。

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 私もその資料を幾つか読ませていただきましたが、その一割の効率がよいというところをどう評価するというのは、これは結構いろいろ微妙なところもあるなというのが正直なところではあります。その意味でいうと、一割の効果を得るために熱供給事業を推進していくんだというだけでは、これはなかなかそれだけでは難しいだろうなというふうに実は私は思っています。

 なので、そこに加えて、先ほど少し申し上げたような、例えば廃熱利用の話であるとか、あとは、これは全く観点は違いますが、我が国は、ヒートポンプの話であったり、熱交換器の話であったり、タービンの話であったり、熱関係の技術というのは非常に秀でたものがあるわけですから、産業政策という観点でも、ここをプッシュするということもあわせてパッケージの中に入れられたらいいんじゃないかなということも考えているわけです。

 今少し申し上げましたが、熱供給ということを考えたときに、化石燃料をたいて、それによって供給をしていくということが基本的には視野にある事業ではあるわけですが、これからの、もしくはこれまでのいろいろな議論を踏まえて言えば、廃熱の利用であったりとか、あとは、これまで利用されづらかった、例えば地中熱であるとか、非化石燃料に基づくような、いわゆる再生可能エネルギーの範疇に入るような部分というところをプッシュしていくことはすごく大事な観点ではないかなというふうに思うわけです。

 この点はいかがでしょうか。

山際副大臣 これはもう委員御指摘のとおりだと考えてございます。

 実際に、工場等で生ずる熱、この廃熱が未利用になっていることや、あるいは、今御指摘がございました地中熱等々再生可能エネルギーでまだ利用されていないもの、こういうものの利用を促進してまいりたいというのは、政府もそう考えてございます。

 一方で、こういった取り組みをしようとするとかなり導入コストがかかるという問題もございますし、また、実際にそれほど大きな利益を生むものでもないものですから、導入コストを回収するのにも時間がかかるといったような問題もあることから、政府といたしましては、補助金による導入支援やあるいは技術開発支援等の支援策を今措置をいたしまして、導入促進を図っているところでございます。

 また、現行の熱供給事業法に基づいて行われている規模の大きな熱供給につきましても、廃熱等の未利用エネルギーを活用している地域もございます。

 こうした熱供給のみにとどまらず、未利用熱や再生可能エネルギー熱のさらなる有効活用を進めてまいりたいと存じます。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

神山(洋)委員 ありがとうございます。

 これは経済産業省のマターではありませんけれども、先日決まったかと思いますが、下水道法を改正して、下水道の暗渠に熱交換器をつけられるようにしますなんという話もありました。

 これは、一個一個はすごく大きなものではなくて小さな要素かもしれませんが、しかし、やはり、我が国がエネルギーを考える際の一番の入り口は、そもそも自給率が四%とかそのぐらいしかないのだという、そこはすごく大事な部分でありまして、であるからこそ、限られたエネルギー、熱源も含めたものを、もちろんコストは大事ではありますが、できるだけそれは無駄にしないのだという、そのもったいないという発想だけでいいかとは、また若干、そこは経済性ももちろん大事なんですが、そういう基本構想というのはやはり大事じゃないかなというふうに思っているわけです。

 エネルギーミックスの議論を先ほど来させていただきましたが、どうしてもこれは電力に特化をして議論されがちだと思うんです。これは、この場もそうかもしれませんし、我々が議論している場、場合によってはメディアも含めて、どうしても電力、電力ということになりがちです。先ほど大臣からも少しコメントはございましたが、どうしてもそこにガスとか、今回でいえばこの熱供給の話というところが入り込みづらいわけです。

 ただ、冷静に考えてみればですが、ガス及びここでいう熱供給の部分で、どのぐらい我々の、例えばエアコンが賄われるだろうか、あとは産業用も含めて、そういった部分で電力消費にかわる部分を賄うことができるだろうかということを考えていくと、パッケージでやはりここは考えるべきなんじゃないかなということも思うわけです。

 電力のみのポートフォリオというのは、もちろん政策的にも必要だと思うんです。ここに全部まぜ込むべきかは別として、電力のみではなくてエネルギー全体のポートフォリオという観点を考えたときに、その場合は、もしかするとこれはガス及び熱利用だけではなくて、もっと要素としてはふえるかもしれませんけれども、そういう観点の中の、さらにワン・オブ・ゼムで電力のエネルギーミックスがあって、その中に個別のパーセンテージが入ってくるという考え方というのは、私は、今まで余り議論されてきませんでしたけれども、ここで少し考えてもいいんじゃないかなと思うわけです。

 要は、熱利用の話と電力消費という話が、完全にではありませんが、一定部分トレードオフの部分はあると思うんですね。そこも含めた中で、このエネルギーミックスの議論、御検討いただくということはいかがでしょうか。

宮沢国務大臣 実は、先ほどの答弁の中で、私は、エネルギーミックスというものは、電源やエネルギー源の将来の見通しであり、あるべき姿と申し上げたのは、エネルギーミックスは、電源の話ばかり報道されるんですけれども、エネルギー全体の見通しも当然つくっていくこととしております。

 最終エネルギー消費量でいいますと、電力は四分の一でありますので、四分の三は熱も含めた電力以外ということでありまして、この部分につきましても、まさに効率的な省エネをしていくということを含めて、やった上でどのような状況になるかということの検討を実は今審議会でしておりまして、熱につきましても、廃熱等の未利用エネルギーや再生可能エネルギー熱の活用、コージェネレーションの動向など、熱の効率的な利用についても御議論をいただいております。

 これらを踏まえまして、電源だけではなくて、エネルギー源の見通しについてもお示しをしていきたいと考えております。

神山(洋)委員 ありがとうございました。

 そういうお考えであれば、ぜひそれはそういう方針で進めていただきたいなというふうに思います。

 きょうは、総論的な話で、エネルギー政策全般の話と熱供給事業ということについて数点の議論をさせていただきました。

 電気とガスと熱供給と一体的な改革をするのだという、ここは我々も基本的にそういう思いを共有しているところでございますし、ここまでの第一弾、第二弾も賛同しながら、今回第三弾という段階に差しかかっているわけです。

 いよいよ本当にそれが、これからの我が国の電力を含めたエネルギー全体の政策を左右していくという大事な段階に差しかかっていると思っていますので、その意味でいえば、きょうは少し総論的な話ではありましたが、非常に個別具体的な細かい点も含めて、やはりいろいろな意味で検証させていただかないといけないと思っていますし、もっと大事なのは、やはり多くの国民の方々に、あの震災以降のこれまでの流れを踏まえて、これから我が国はこういう方向に向かっていくんだということをきちっと知っていただくということが大事だと思っておりますので、そういった部分も含めて、今後、また改めて議論をさせていただきたいというふうに思っております。

 ちょっと早いですが、以上で終了させていただきます。ありがとうございました。

江田委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 おはようございます。民主党の渡辺です。

 引き続きまして、また神山議員の質問に重複をしないように、与えられた時間で質問をしたいと思います。

 これまでの議論と少々重なるかもしれませんが、まず、冒頭の質問でございますので、そもそも論から入らせていただきたいと思います。

 今回のガスシステム、特にきょうはガスシステムのことにつきまして私は質問をいたしますけれども、今回の法律の提案に当たって、そもそもガスのシステムの自由化についてまず伺いたいんですが、この究極の目的は一体何なのかということでございます。

 二十一回にわたって行われました小委員会の議事録も私も随分目を通しました。一月十三日に報告が出されたわけでありますが、その後、この法案の提出となった。

 その上において、この法案の目的、特にガスのシステムの自由化について、天然ガスの利用拡大ということなのか、そしてまた競争拡大による経済発展なのか、あるいは総合エネルギー産業を生み出すという成長戦略なのか。皆さん、随分羅列しているんですけれども、大臣、ぜひ、哲学といいましょうか、ガスシステム改革の行き着くところは一体何であるかということについて、大臣のお考えをまず伺いたいと思います。

宮沢国務大臣 哲学といいますか、まさに目的でありますけれども、おっしゃいましたように、天然ガスの安定供給を確保しつつ、ガス料金の最大の抑制を図る。抑制と申し上げておりますのは、まさに天然ガス自体の値段が国際相場なものですから、その時々の相場によって変化をする中で、常に安くなるわけではないという意味で抑制ということを言っておりますけれども、その基準を最大限抑制していくということ、それから需要家側におきまして選択肢をふやしていくということ、さらに事業者の事業の拡大を図るといったことが目的でございます。

 電力改革が今回第三弾ということで最終章になっているわけであります。一方で、ガスの方は、大口の自由化は電力に先駆けて行ってまいりましたけれども、その後の進展がないという中で、ガスについても小売の自由化、導管部門の分離といったことを進めて、少し時差はあるものの、電力と同じような状況をつくることによって電力とガスの相互乗り入れが図られ、そういう中で競争がいろいろ起きてくる。また、いろいろな新しい業界の方も入ってこられる、そして電力もガスに参入するし、ガスも電力に参入するという中で、恐らく消費者からいいますと、競争がある中で料金が抑制されていく。また、セット販売等々といった新しいメニューも選ばれる。

 こういうこと全体が今回の法律改正の目的だと考えております。

渡辺(周)委員 今大臣の御答弁を聞いていて、料金の抑制と、そして、最後の部分というのは、私は、需要家の選択肢の拡大ということに言及をされたのだと思います。

 そこで、先ほど議事録に目を通したという話を私申し上げましたけれども、この議事の中で、大変熱心な議論が二十一回にわたってされた。しかし、その中でなかなか深まらなかった一つに、安定供給ということについて、あるいはインフラ形成ということについて、重要なテーマであるんですけれども、なかなか答えが出なかったのではないかというふうに私は読みながら思ったわけでございます。

 今回の法改正に当たって、私は、国内のシステム改革だけを進めていても、料金の抑制、つまり低廉な料金を実現するということは、それだけで果たして可能なのかというふうに考えております。

 我が国のガス事業の原料の大半は、輸入したLNGでございます。このLNGの安定的かつ低廉な調達を実現するということが大前提になるわけであります。

 ロイヤル・ダッチ・シェルがブリティッシュ・ガス・グループを七百億ドルで買収する、上場企業として世界最大のLNG会社が誕生する、日本に輸入される相当程度のシェアを占めることになるだろう。いわば上流では寡占体制ができ上がっていくわけですね。

 その上で、日本が国内のシステム改革だけを進めていても、当然事業者も、今回の法改正がなされた暁には、低廉な調達に向けて企業努力はしていくことになると思います。しかし、もともとの上流にある寡占状態の中で、我が国として一定の交渉力を確保しながら低廉な調達をする、安定的な調達をしていくということについては、私は、事業者のみならず、政府としても関与をしていくことが当然出てくるのではないかと思いますが、その点については、大臣、いかがお考えですか。

山際副大臣 これも委員御指摘のとおり、LNGを安定的かつできるだけ安い値段で供給してもらえるように、民間の企業だけに任せることなく政府としてもそれに取り組んでいくということは、大変重要なことだというふうに考えてございます。

 そのために、政府といたしまして、米国からのシェールガス、LNG輸入の実現や日本企業の上流権益の確保等を通じた供給源の多角化、LNG産消会議の開催を初めとする消費国間の連携強化等を通じた買い主側の交渉力の強化に取り組んでいるところでございます。

 特に、米国からのLNG調達については、日本企業が参画する全てのプロジェクトに輸出許可が出ておりまして、二〇一六年度より我が国への輸出が開始される予定でございます。

 また、昨年十一月に開催いたしましたLNG産消会議においても、宮沢大臣から、安定的、競争的かつ柔軟なLNG市場の発展の重要性を世界に対して発信してございます。また、その機会に、宮沢大臣とカタール、豪州、カナダの閣僚が会談し、安定的かつ低廉なLNG調達に向けた協力を要請いたしました。

 引き続き、政府といたしましても、安定的かつ低廉なLNGが輸入できるような環境整備をしてまいりたいと考えてございます。

宮沢国務大臣 今、山際副大臣からお話ししましたように、事あるたびに私も働きかけを行ってきております。

 正直、LNGについては幾つか問題がありまして、一つの問題は、実は仕向け地条項というのがございまして、おろせるところが一カ所しかないということで大変困っております。これについても、少し国際的な動きとして、仕向け地条項を排除する方向でということを常に提案してきております。

 また一方で、先日、東京電力と中部電力が、火力部門の一部について双方が出資して別会社をつくることにいたしましたけれども、これもやはり、これからLNGの購買力といったものを高めて、大量購入することによって購買力を高めていくということもまた必要なことでありまして、いろいろな方面でLNGを安く買う努力というのはしていきたいと思っております。

渡辺(周)委員 購買力を高めるためにもという答弁が今ございました。

 であるならば、当然、天然ガスの利用が面的に拡大していくという国内システムの改革にあわせて、先ほど神山議員も触れられたと思いますけれども、天然ガスの利用というものを面的に拡大するには、やはり魅力あるマーケットにならなければいけないわけです。そうでなければ、新規参入ということもなかなか進んでいかないだろうというふうに思うんです。

 コージェネレーションや燃料電池の普及の促進ということについて、天然ガスの拡大を国家戦略としてやっていく、その上で初めて各国に対して、天然ガスの購入による、そのボリュームによるメリットというものも当然理解をしていただくように働きかけをしていかなきゃいけないと思うんです。

 この点について、ちょっと先ほどの神山委員の質問とも少々重なりますが、コージェネレーション、それから燃料電池の普及促進ということについては大臣御自身はどんなお考えをお持ちでしょうか。お尋ねいたします。

宮沢国務大臣 コージェネレーションの普及促進とか燃料の地産地消といったことは大変大事なことだと思っております。それぞれは小さな話かもしれませんけれども、まさにそういうものがたくさん起こることによって、やはり日本全体のエネルギー構造としては大変すばらしいことになると思いますので、私自身としてもそれは積極的に支援をしていかなければいけないと思っております。

渡辺(周)委員 これはオール・ジャパンでぜひとも取り組んでいく課題だろうというふうに思っております。

 この点についてはまだ深めたいところもございますが、限られた時間ですので、次の質問に移ります。

 この報告書を読みながら、また、今回の法案を何度も読みましたけれども、いろいろな識者の方が、あるいは学識経験者や関係者がいろいろ論文等を出されております。その中でガスの導管網の整備拡大ということについては、これから一つの課題ではないかというふうにも触れられております。

 これは言うまでもなく、ガスの導管網というのは、電力のインフラ整備とは違っておりまして、いろいろな資料に出ておりますけれども、供給区域というのは都市ガス事業で都市部が中心でありまして、国土面積のおよそ五%、これは供給区域です、あくまでも。それから、いわゆる世帯でいいますと、一般電気事業者は世帯ベースで六千百万件あるのに対して、ガスの場合はその半数にも満たない二千九百万件であります。

 そもそも、現状のインフラ整備というものが違うんですね。ですから、ほぼ一〇〇%国土に送電網が行き渡っている電力と、まだこのレベルで途上の、途上という言葉が的確かどうかわかりませんが、整備途上のガスの導管網とでは、競争導入に当たっては条件が違う。

 その点について、大臣はどうお考えですか、政府はどうお考えですか。

上田政府参考人 委員御指摘のとおりかと思います。

 ただ、これは何でこうなっているのかということを少し考えてみる必要があるんじゃないかと思います。

 御案内のとおり、日本の場合、ガスというものは国産ガスがほとんどございません。したがって、海外からLNGを持ってくるわけでございまして、そういう意味では、LNG船で海外のガスを持ってくるということで、日本の場合には、実は、長距離パイプラインにかわりまして、海とLNGの船がいわばパイプラインの役割を果たしてきたわけでございます。

 日本の場合は、例えば東京湾沿岸にLNGの基地がありまして、そこからガスのパイプラインが需要地に放射状に引かれているという構造になっているわけでございます。他方、電気は、津々浦々ということでございまして、電力のネットワークはつながっているわけでございます。

 したがいまして、ガスのパイプラインが電気と同じである必要があるとは必ずしも考えてはいないわけで、ということは、やはりその違いということを踏まえた上で対処していく必要があるということかと存じます。

 しかしながら、今回の法案では、御案内のとおり、さまざまな導管整備の仕組みというのを準備させていただくということかと存じます。

関大臣政務官 先ほど上田長官からの答弁がありましたとおりで、成り立ちはそうなんですが、方針としましては、今渡辺委員がおっしゃった内容は、我々は本当に今深く受けとめておりまして、整備促進というのはしっかりとやっていかないといけない、その方針を我々も本当に重要であると思っておりまして、全ての導管事業者に導管の相互接続に関します努力義務を今回課していこうということと、また、国が導管整備に関する事業者間の協議の開始等を命令とか裁定ができる制度を創設するというふうな方向性を持ちまして、導管整備をしっかりと進めてまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 先ほど長官は、日本の特異な事情を、日本の状況は外国と比べてこうであるということを言いました。

 特にEUの例を私も調べまして、ヨーロッパの各国では、例えばEUの域内であるとか、あるいは、国によっては、その国の近隣で天然ガスが産出をされていますから、当然パイプラインの整備というものは進んでいる。日本の場合は、海沿いの基地であるとか、そこに運んでくるタンカーであるとか、それ自体がパイプラインなのだというお話がありました。それはよくわかっているわけでございます。

 今政務官がお話しされた国としてどう支援をするかということなんですけれども、ここに政府の資料がございます。我々がこの法案に当たって参考資料集をいただいた中には、ガス導管網の整備の促進で、課題とガスシステム改革で講ずる措置というのがあります。

 課題を挙げる中には、導管網を接続すると相互参入による競争が生じる可能性があるため、ガス事業者が積極的に接続を進めない懸念がある。今回の改革案では、全てのガス導管事業者に導管の相互接続に係る努力義務を課すと今政務官がお答えになりました。それから、国が事業者間の協議を命令、裁定できる制度を創設する、促すためにやるんだということで、確かに国が関与することになっておりますが、一方で、導管整備というのは実は多額の費用を要するわけでございます。

 ちょっと例を挙げますと、平成二十三年三月にガスのインフラ整備に関するワーキンググループが出しているデータをもとに質問いたしますが、これは地理的条件が違いますので、施工方法もそれぞれありますので、一概には出てまいりませんが、平均したら、例えば、パイプライン口径が三百ミリで一キロ当たり引くのに一・八億円、四百ミリの場合は一キロ当たり二・四億円、六百ミリとなりますと五・一億円なんですね。

 よく送電網を引くのに一キロ当たりどれぐらいかかりますと。例えば地中化の議論をすると、実は地中化というのは大変なコストがかかるんですというふうな話もされます。

 導管の部分について今申し上げたわけですけれども、やはり一キロ当たりこれだけコストがかかりますから、当然五十キロとか百キロとかという単位になってきますと、膨大なコストになるわけでございます。

 あわせて、今度は、ガスのインフラ整備に関するワーキンググループで、やはり地域間の広域輸送用パイプラインということでパイプラインを引いた場合に、試算値で今どれぐらい最低かかるんだろうかということをやったら、五千八百億円という数字が出ているんですね。先ほど申し上げたのは単価です。五千八百億円。

 さらには、セキュリティーパイプラインという、さらにインフラ整備をしっかりとやっていくためにはどれぐらいかというと、あらあらの試算ですが一兆六千四百億円になるのではないか。

 その投資効果を考えると、事業者がやるというにはかなりのリスクを負わなければいけないことになりますね。思い切った延伸が進められない懸念がある。ここは、政府の方も課題として、導管整備には多額の費用を要し一社ではリスクを負い切れないため、思い切った延伸が進められない懸念というふうに書いてある。

 では、どうするかということでは、先ほどのような努力義務であったり国が事業者間の協議の命令、裁定権を持ったり、あるいは、地域独占は維持するし、総括原価方式も維持するんだけれども、導管を新設した後、一定期間は高目の事業報酬率を盛り込んだ託送料金を設定できるとか書いてあるんですけれども、現実問題として、これだけのインフラ整備をするということで、本当に、国は関与しますけれども、国はどこかでもう少し、あるいは自治体も含めて、何かしら支援をするということは考えていないのかどうか、あるいは、今後検討すべき課題なのかどうか。その点についてはどうですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の導管整備に係る課題というものは、おっしゃるとおりであろうかと思います。

 他方で、事実だけ申し上げますと、今から十年ほど前の平成十六年度末から二十五年度末の数字でございますけれども、高圧の導管は我が国でも千キロ以上整備が進んでいる、こういった状況もございます。

 したがいまして、事業者の方でも、やはり需要の密度、どれだけガスを販売できるかといった経済合理性の中で取り組む努力は、事業者の方々が今の状況の中でもしっかりと取り組んでいただいているかと思っております。

 その上で、今後整備をしていくに当たりまして、やはり経済合理性というところが非常に重要でございますけれども、私ども、今現在、パイプラインの整備につきまして、政策的な支援という点につきまして申し上げますと、利子補給という制度を持ち合わせているところでございます。

渡辺(周)委員 今のお答えで、既にこれだけ進んでいるんだというようなことは、まだ自由化などという議論が出てくる前の話ですね。いただいた政府側の資料にも、「近年、長距離ガス導管が、姫路―岡山、三重―滋賀、静岡―浜松、新潟―富山などで整備されたが、東京―名古屋間など太平洋岸も未だ接続されていない。」国の方も、資料の中にわざわざ書き込んで、進んでいないところもありますよと書いてあります。

 では、どうするかというと、当然、導管整備には多額の費用を要するんだ、だから、二の足を踏むんじゃないかということも書いてございますが、今、利子補給は行っているということは御答弁がありましたけれども、今後は、例えば自由化に合わせて、では、本当に自由化が実現して競争原理が働くようにするために、そのベースといいますか、自由化をするに当たってのインフラ整備については、この審議会でもなかなか、議論がありましたけれども結論が出ていなかったように思います。

 国として、これ以上何か関与をしていくということは考えていないのかどうか、あるいは考えていくのかどうか。その点について、先ほど私は質問をしましたので、いかがですか。利子補給というのは今の制度の話ですから、今後どうするかということについてお答えください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、今後の整備の促進のあり方につきましては、法案の提出に先立って審議いただきました審議会でも、明確な方向性というものは、結論としては得られていないかと思っております。

 他方で、先ほど先生からも御指摘がございましたように、今回のシステム改革の中で、我が国における天然ガスの利用の拡大というものが重要であるということ、それから、先ほど私は経済合理性の話だけを申し上げましたけれども、他方で、先ほど先生からもお話がありましたセキュリティーという観点から考えますと、災害時の強靱性あるいは供給の安定性という観点から、やはりLNG基地とパイプラインというものがつながっていくといったことが望ましいことは、そういう地域があるということも大事かと思っております。

 このあたりにつきまして、引き続き、システム改革とあわせまして、私どもとして、政策のあり方といったものについて検討を重ねてまいりたいと思っております。

渡辺(周)委員 この整備の課題の中にもう一つあるのは、やはり、ガスシステム改革の中で、導管敷設に先立つ需要調査費用というものを託送料金で回収できる措置を導入しますということも書いてある。

 需要調査費用、つまり、これから需要があるかないかということを調べることについては託送料金で回収できるという措置も導入するようですが、私は、もし既に需要があるならば、既にインフラ整備をしていると思うんですね。多分、これからしていくところというのは、正直、なかなか、需要が見込めるかどうかということについては、まさに企業として、本当にそれを回収できるかどうかということについて、私は、これからかなりリスクを負いながらやることになると思います。

 そうすると、当然、いろいろな、高目の事業報酬率もそう、需要調査費用を託送料金で回収できる措置もそうですけれども、最終的には利用者の負担になるんじゃないか。そうすると、自由化を促進するためのインフラ整備のコストというものが膨大になれば、結果的に、自由化によって、先ほど冒頭にお話があったような、低廉な値段で、競争原理が働いて安くなるなんということよりも、私はかなり高いことになるんじゃないかというふうに懸念するんですけれども、そこの点はいかがですか。

 事業者に本当にそれをやらせたら、そこを全部任せたら、これはやはりお国の方針だから、少々無理してでもやらなきゃいけない。そのためには、託送料金に上乗せするということになって、最終的な負担は消費者が値上げという形で負担をすることになるんじゃないだろうかというふうに懸念をするわけなんですけれども、その点はどうなんですか。本当に事業者が二の足を踏むことを、尻をたたいてまでやるのかどうか。

 実際、需要がこれから見通せるということならば積極的に投資もするでしょうけれども、そこのところは、国策で、あるいは国の命令だか方針だかでやらざるを得ないんだということになれば、私は、最終的なツケはかなり消費者に回ると思いますけれども、その点についてはいかがお考えですか。これはできれば大臣に。大臣、いかがですか。その点について国がどう支援するかということです。もし事務方から説明するなら、最後はぜひ大臣のお考えを伺いたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私の説明が言葉足らずだったかもしれませんが、私ども、天然ガス利用の拡大という観点から、パイプラインの整備が非常に重要な政策課題だということを認識いたしておりますけれども、他方で、ガス導管の敷設というものは、潜在的な天然ガスの需要に対しまして投資回収の可能性というものを軸に、ガス事業者が判断をして行っていくものというふうに考えております。したがいまして、私ども、経済合理性のない地域に導管の整備まで求めているものではございません。その点は申し上げておきたいと思っております。

 他方で、これから判断に迷うような部分といったところがあろうかと思います。そこに対しまして、先ほどから御指摘もいただいておりますけれども、高目の事業報酬率でありますとか、あるいは利子補給でありますとか、そのような形で事業者の判断を後ろから押すといったことは用意をさせていただいておりますが、あくまで経済合理性のない地域への導管を無理に推し進めようという考え方ではございません。

 それから、料金が最終的に需要家の負担の方に回ってしまうのではないかという御指摘がございました。

 先ほど私が御紹介させていただきましたこの十年間ほどの千キロ余りの整備につきましても、これは各会社がみずからの料金の範囲内でやっておりまして、需要家の負担を伴わずに整備を進めているところでございます。

 今後、自由化の中でどのようなことが行われるかというのはございますが、いずれにいたしましても、託送料金につきましては厳格な査定を行っていきたいと思っております。

宮沢国務大臣 今部長がお答えしましたように、導管網がないようなところに導管を整備して、逆に言えば、LPガスの業者さんじゃなくて天然ガスにかえるということではなくて、やはり日本全体、東京ガスがあり、大阪ガスがあり、そして東邦ガスがあるという中で、ネットワークができていないことは確かでありまして、そういうネットワークができることによって、恐らく日本全国を通じたいろいろな競争が起こってくるということによって料金の抑制が図られる、こういうことではないかと私は思っております。

渡辺(周)委員 導入の時期が、ある程度法律でもう明示されているわけですよね。ですから、それまでの間に自由化によって競争原理が働いて、最終的には消費者が恩恵を受けるような、私はそういう制度でなければいけないと思うんです。当然、そこには、安定供給であるとか、あるいは保安であるとか、その料金が合理的なものであるということでなければいけない。この三つのところをやはりこれからも質問していこうというふうに考えております。

 今、ちょっと大臣は料金規制のことも触れられました。料金規制については原則撤廃する。しかし、競争が不十分な地域には、規制料金メニューの提供を経過措置として義務づけるわけですね。この経過措置の解除に当たっては競争の進展状況を確認するというふうにある。競争の進展状況を確認する、これはなかなか難事業です。

 まず一つ伺いたいのは、料金規制というのはどの事業者に適用されるかということを明らかにしていただきたい。そして、競争の進展状況を確認というんですけれども、その判断基準というのは、どこをもってして進展状況が行われている、つまり競争が行われていると確認できるのかどうか。その二点についてお尋ねをしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まずは、経過措置としての小売料金規制がどの事業者に適用されるのかという点でございます。

 法律の中では、ガス小売事業者間の適正な競争関係が確保されていないことその他の事由により、当該供給区域内または供給地点のガスの使用者、ユーザーの利益を保護する必要性が特に高いと認められるものとして大臣が指定する、こういった考え方を記させていただいております。

 具体的には、私ども、都市ガス事業者が現下に置かれている状況の中で、小売事業者間の競争状況、特にLPガスあるいはオール電化、こういった他のエネルギーとの競争状況を個別具体的に評価した上で、大臣の指定が必要かどうか、こうしたものを判断していこうかと思っております。

 具体的に、審議会の中では、例えば原則として現行の供給区域内の都市ガス利用率が七五%程度、こういった基準で区切ったらどうかといったような御意見もいただいております。そうしたことも参考にしながら、今後、専門家等によって構成されます審議会できちんと議論をしていきたいと思っております。

 それからもう一点、解除の際の競争の進展状況という点についての御質問でございました。

 この点につきましても、今申し上げたような事情がなくなったということが認められた場合に解除されるわけでございます。

 こうした場合に何を考えるかという点について申し上げますと、新規参入事業者による供給量の状況、あるいは他のガス事業者の参入の状況、さらには既存のガス事業者が提供いたします料金メニュー、経過措置としての料金メニューではなく、事業者がみずからアイデアを出します自由料金メニュー、こちらの方を選択する消費者の割合など、競争の進展状況というものを慎重に見きわめていく必要があろうかと思っております。

 加えまして、料金の状況、あるいは需要家の方々の認知度、こういったものも重要であろうかという点は考えております。

渡辺(周)委員 今の答えはよくわからないんですね。

 私は、競争の進展状況というものを経過措置の解除に当たってどういうふうに考えますかと。外国の例でいいますと、ある国では、例えば、他社からの移行が四〇%を超えたら競争とみなすというような例もあるんです。そこのところなんですね。基準を今後、制度設計、詳細設計していく中で、どういうふうに例えば考えますかということ、そこをもうちょっとはっきりと答えをいただきたいと思います。

 それから、先ほど、審議会の中では、普及率七五%というふうにおっしゃいましたね。となると、例えば、名古屋市を供給区域とする東邦ガスは料金規制が適用されないことになる、こういうふうに指摘する方もいるんです。そうしますと、競争の進展には限界があって、規制なき独占状態というものが生まれてしまうのではないか、実はこういう有識者の指摘もありますね。

 ですから、先ほど七五%という数字を言いましたけれども、それは決め打ちではないんですか。それは例えばの例でおっしゃって、そうではないということなのか、そこはちょっとはっきりしないと、ひとり歩きしてもいけませんから。

 それからもう一つ、最初の質問です。競争の進展状況の確認というのは、何をもってして競争の進展状況をはかるか。その点について再度お答えいただけますでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、先ほど私が申し上げました都市ガス利用率の件でございますが、審議会の中でも、先生御指摘のとおり、そうした御意見もございましたし、他方で、七五%という水準も、供給区域の中の直着、どこまで導管がつながっていてといったようなこととの関係もある、数字を単純に判断してはいけないといった御指摘もありましたので、私どもとして、こうした審議会での御審議も踏まえながら、今後また改めて審議会での議論等を踏まえて検討していきたいと思っております。決め打ちではございません。

 それから、競争の進展度合い。欧州の事例を御紹介いただきました。私ども、欧州でとられているように、スイッチングの率が何%以上になったら直ちにそこで規制料金の経過措置を打ち切る、こういった一つの指標で決めようという考え方は今は持ち合わせておりません。

 先生も御指摘いただきましたように、私ども、自由化の中で、需要家の利益を高めるためにこの改革を進めているわけでございまして、自由化を進める中で需要家の利益を害することがないようにしっかりと確認をしていかなければいけない。その意味で、先ほども申し上げましたように、需要家の方が規制料金ではなく自由料金をどれだけ選択をされているかでありますとか、ほかの事業者がどれだけこの区域の中に入ってきているかといったようなことをしっかりと見きわめた上で、これであれば需要家の方の利益を保護する必要性がもうないだろうというふうに考えられるような状況が確認できた段階で経過措置を解除していく、このような考え方をとりたいと思っております。

渡辺(周)委員 残り時間もわずかになりました。また次回の質問のときに、もう少し今の議論をしたいと思います。

 その際に、電力料金というのは、震災以降、厳しい査定が行われてきた。中小のガス事業者の多くは値上げ申請をしているという実態があると指摘をする有識者の方がいらっしゃいます。

 先ほど申し上げた規制なき独占の中で、料金値上げが生じる場合に、これが何によるものなのか、どうして料金を上げることになったのかということについて、例えば、燃料費の変動というものもあるでしょうし、当然、自由化が進展をする途上において、さまざまなインフラ整備のコストというものがそこに上乗せされるということもあるでしょう。

 しかし、残念ながら、通常、最終利用者、それは大口、小口問わずに、ユーザー、消費者の場合は、その情報をなかなか持ち合わせていないわけなんです。そうすると、ガス料金というものがどのような理由で上がったのかということについて、私は、しっかりと企業自体も原価構成というものを示して、こういう理由で上がったんです、上がるんですということもどこかで議論をすることになるのかなと思います。

 そうした、燃料も含めたユーザーが負担する金額、それは自由化になって安くなればいいです。しかし、私が最初から申し上げているとおり、どう考えても、これを進めていくと必ず最初は上がることになるんだろうと。その上で、やはり納得いくような説明を、納得いく形で負担をしていただけるような形にならないといけないと思います。そこをどう担保するかということをお尋ねしたいと思いますが、いかがですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましても、全面自由化後も、先ほど申し上げておりますように、まだ競争関係が確保されていないという地域につきましては、小売料金規制の経過措置を残すこととしております。

 現状を申し上げますと、先ほど先生の方から、地方のガス会社においては値上げをしている例もある、こういった御指摘がございました。確かにそういった例も出てきておりますけれども、例えば、二十四年度には四社、二十五年度には値上げを六社、これは赤字の事業者の中からそうした事業者が出てきているわけですが、実際に債務超過に陥っている事業者は十四社、あるいは損益が単年度で赤字になっているのが二十八社ある、こういった状況でございます。

 したがいまして、各事業者におかれましては、厳しい状況の中で、しかしやはり、競争もあり、ユーザーの方に料金として値上げをお願いできる状況にはとてもないといった中で、非常に経営に苦慮して取り組まれている事業者も多々おられるということでありまして、安易に値上げ申請がされているという状況ではございません。

 そのことを申し上げました上で、今後でございますけれども、経過措置が残っている間につきましては厳正な料金審査が行われるわけであります。

 この経過措置期間中に値上げということも理屈としては当然できるわけでございますけれども、もしそうした申請が出てきました場合には、私ども、しっかりとした料金審査を行っていきたいと思っておりますし、その際に、先ほど先生の御指摘にありました、それが燃料費の高騰によるものなのかどうかといったようなことも含めまして、しっかりとチェックをしていこうと思っております。

渡辺(周)委員 その点について、ぜひとも、なぜということについてしっかりとした説明責任が企業にも求められるし、またしっかりそれを見る規制当局側の判断も私は必要だと思います。

 質疑時間が終了いたしましたので終わりますけれども、次回また、この問題につきましてはまだまだ深掘りをする論点が幾つもありますので、次回はぜひ法案についても伺いたいと思います。

 きょうは質問できなかったこと、答弁を予定されていた方もいらっしゃったと思いますが、また次回に持ち越したいと思います。

 以上でございます。

江田委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 ただいまの渡辺議員のガスを中心とした質問を補足するような形で、私もガス事業法改正案につきまして質疑を進めてまいりたいと思います。

 ガスの事業者の方、現場の方々から得られる感触は、今回のエネルギーシステム改革におきまして、どうもガス事業は電力に巻き込まれてしまったのではないか、本来、必要のないと言っては語弊があるかもしれませんが、もう少しじっくりと慎重に検討すべきものがこのスケジュールの中に無理やり組み込まれてしまったのではないかという感触を私どもは得ているところでございます。

 また、田嶋議員が本会議でも指摘をしましたように、もともと火力発電用に多くのLNGを使っている電力会社、これと比べて、例えばガス会社が新たに電力事業に参入をしようとする場合には一千億単位で新たな設備投資をしなくてはならないというようなことも現実問題としてあるわけであります。

 そういったことでいうと、どうも、電力とガスとあたかも同列に語られているけれども、そこにはやはり同じ土俵では語れない大きな相違があるのではないかということを、これまでの議論や、あるいはいろいろと関係者からお話を聞く中でそういう印象を持たせていただいているところでございます。そういったイメージを持ちながら質問を進めていきたいということでございます。

 まず、法案の第五十四条の行為規制というところについて触れていきたいと思います。

 ガス事業におきましては、災害対応とか、あるいは供給オペレーション、パイプラインの投資、こういったことにおいて、導管部門と小売、製造部門が密接な連携を行っているということであります。法的分離によって現在の安定供給や効率性が損なわれることがないように、導管部門への過度な行為規制は避けるべきだと言われております。

 例えば、出向であるとか人事異動であるとか人事のローテーションであるとか、こういったようなことはやはり今までと同じように行えるようにすべきであって、特に現場レベルでの人事交流を可能とするということは、ガスの安定供給、あるいは需要家の利便性、業務の効率性、保安の確保ということにおいて大変重要なことであって、こういったことに悪影響を与えないように、つまりは、兼職制限についての例外事由というものが大変重要なポイントになってくるということであります。

 この兼職制限の例外事由についての省令についてお尋ねをしたいと思いますけれども、この例外についてどのような要件を定めていくと考えておられるのか。過度な行為規制にならないような省令にしなければならないと考えますが、大臣、いかがお考えでしょうか。

上田政府参考人 ガスの行為規制に関するお話をいただきました。

 もともと、私ども、これは導管事業の中立性の確保ということが非常に重要であるということでございますので、こういった行為規制を設けるわけでございますが、他方で、業務の効率性、需要家の利便性といったことは重要でございます。

 そうしたことを踏まえまして、まず、従業員の兼職の制限につきましては、一般ガス導管事業者につきましては、その制限の対象をガス導管事業の運営における中立性の確保が特に必要な業務、例えば託送供給業務や導管の投資計画の業務に従事をしている者等々に限るということでございますし、ガス製造事業、ガス小売事業等については、その制限の対象を、ガスの製造事業、ガス小売事業等の業務のうち、例えばLNG基地の投資計画業務あるいはガス小売の販売戦略の策定業務等々におきまして一定の裁量権限を有する従業員など、その業務の運営における重要な役割を担う従業員に限り対象としているということでございまして、現場レベルの人事交流には十分に配慮をしていると考えております。

 このように、私ども、この法律の議論といたしましては、兼職制限の対象を十分に限定化している上で、ただし書きにおきまして、経産省令の中で適正な競争関係を阻害するおそれがない場合にはという規定を設けているというのは、もともと非常に人事異動の交流を限定的に規定している範囲の中でも、なお、例えば効率的な業務運営の観点から割くことのできる人員が限られているといったことなどから、兼職を認めないと業務の効率性を著しく失することが明らかな場合であって、他の事業者との競合関係が生じていない場合、そういった場合については例外にしていこうと考えております。

 また、この兼職制限、なかなか技術的に難しいことがあるわけでございますが、基本的には、導管事業の中立性と安定供給、需要家の利便性、それから業務の効率性、この両立を目指していきたいと考えております。

中根(康)委員 今長官から御答弁のあったような内容については、既に関係者には一定程度説明がなされているんでしょうか。それとも、まだ、法案が成立した後、省令で決めるから、今のところ検討中であるような説明になっているのか、これはどういう状況になっているんでしょうか。

上田政府参考人 この法律につきまして、重要な業務、中立性、あるいは重要な役割というのはどういうものかにつきましては、法案の説明の過程で、あるいは審議会の議論の過程でいろいろな方々に説明をさせていただいています。

 省令のただし書きの規定につきましては、省令制定が今後のことでございますので、十分な説明があったかどうかという点については、まだ必ずしも全ての方にというわけではないかもしれませんが、今後、そういった点につきましては、省令の検討の過程の中で、十分審議会等々の場で議論しながら検討して、かつ、そのPRといいますか、多くの方々の意見を聴取しながら決定、考えていきたいと考えております。

中根(康)委員 やはり、これから省令を決めていく段階においては、先ほども申し上げましたように、安定供給、あるいは需要家の利便性、業務の効率性、保安の確保、こういったものに支障が出ないような、兼職を厳しく制限し過ぎた余りに国民生活、産業に、あるいはガス事業に弊害が生じないような、そういう省令をしっかりと決めていただきたい、十分関係者の御意見を聞いていただきたいということをお願いしておきたいと思います。

 ガスの安定供給や災害対応時に必要な力を備えるため、ガス関連産業で働く人たちの人材の確保、育成、技術や技能の継承といった現場力の維持、継承、今お願いをしたところでございますけれども、これが極めて大切であると考えております。

 また、改革の過程において、労使自治の原則を尊重するとともに、労働者の声、現場実態を踏まえて考えるべきだと思います。

 今の一問目の質問と重なるところでございますけれども、人材の確保、育成、技術や技能の継承、つまりは現場力の維持、継承ということ、労使自治の原則を尊重すべきだということ、この点について、改めて御答弁をいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 委員おっしゃるとおり、現場を支える人材確保、育成は、まさに安定供給また災害対応の上で大変大事な課題だと思っております。

 今回の法案では、災害発生時のみならず、通常時も含めて、全てのガス事業者が保安に関し連携協力する努力義務を課しております。これにあわせまして、附則の責務規定におきまして、政府は、ガス工作物の保安の確保に支障が生じないよう必要な施策を推進するものとしておりまして、これらを踏まえまして、今後、具体的な連携ルールなどを整備し、事業者が定期的な訓練や情報共有を実施することで、保安の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

 また、法的分離を行う大手三社につきましても、人事交流自体は規制をしておりませんし、また、行為規制の実施におきましても、今政府参考人から答弁がありましたように、しっかりと現実に合ったものとしてまいりまして、現場レベルでの人材育成や技能継承も念頭に人事交流を認めることとし、ネットワークの中立性と安定供給確保とのバランスに十分配慮した制度設計としております。

 また、労使の自治といったことについて、若干御趣旨がわからない部分はありますけれども、当然のことながら、労使間について私どもがとやかく言う話ではないと思っております。

中根(康)委員 大臣から、現場力の維持、継承ということについては、最大限尊重して、配慮して、そういう趣旨を踏まえた省令をつくっていただける、こういうお約束をいただいたものと思います。

 システム改革によって別会社化すると、グループ全体の信用力が低下することにもなりかねないということであります。

 導管の整備の意思決定、このあたりのことについては先ほど渡辺議員からも質問がなされていたわけでありますけれども、導管の整備の意思決定というものは、ガス供給の見込みが確かでないとできないということでございます。つまりは、導管投資とガス供給というものは表裏一体のものであって、小売部門と導管部門が分割された場合、適切な投資判断が難しくなるということもあり得るということでございますが、まず、このあたりについて経産省としていかが考えておられるかということ。

 あわせて、電力では、送電網の広域的な運用、送電網の強化などを行う機関として、この四月からスタートしている広域的運営推進機関を設置したわけであります。ガスの場合には、導管網の整備促進のためのこういった仕組みはつくるのか、つくらないのか。

 あるいは、卸電力取引所と同様の、卸ガス取引所のようなものの設置についてはどのように考えているか。

 ここまでまず質問をしたいと思います。御答弁をお願いいたします。

山際副大臣 前半の御質問につきましては、私の方からお答え申し上げたいと思います。

 導管整備は、導管事業者と小売事業者が分かれることによって、適切な整備に向けて進んでいかないのではないかということでございますが、これは先ほど渡辺委員からの御質問に対してもお答え申し上げましたように、導管部門は、引き続き地域独占それから総括原価方式を維持して、導管への投資回収は保証されるということがまず第一に前提としてございます。

 さらに、全ての導管事業者に導管の相互接続に係る努力義務を課してございます。さらに、導管事業者の一方が導管接続協議に応じない場合、これも、国が事業者間の協議を命令、裁定できる制度を創設いたします。

 さらに、新たな託送料金制度の運用においては、広域的に便益をもたらす導管について、その整備費用を周辺のガス事業者の託送料金に含めて回収できる措置も検討してございます。

 以上の取り組みによりまして、法的分離で導管延伸が損なわれるとの懸念を払拭するとともに、天然ガスの利用拡大に向けまして、各地域の潜在的な需要を的確に捉えて導管整備が進められる環境を整備していきたいと考えてございます。

中根(康)委員 大体、政府、役所がつくる資料、いわゆるポンチ絵というようなものだと、例えば、導管会社と小売会社がありますよね、これに限らず、いろいろな資料というのは、大体、線で結ばれたり、あるいは矢印で結ばれたりして、あたかもそれが簡単にできるようなイメージが与えられるんですが、線だとか矢印だとか、そこが実は一番難しいところであって、その矢印をどう具体化するというか機能させるかというところが実はなかなか難しいところであって。

 そこを考えるときに、言葉で言うのはもちろん簡単なんですけれども、実際に、例えばガスの導管を敷設するという場合は、今までであれば、ガス会社の営業部門の人が、どこかに宅地造成されそうだという情報を得ると、ぜひそこに都市ガスを引きませんかというような営業活動をして、それで話が円滑にというかうまくいけば、成立すれば、ガス会社がそこにパイプを引いていく。

 こういう、営業とガス敷設の工事がまさに表裏一体として展開をされていくということでありまして、これが別会社になった場合に本当にうまくいくかどうかということについては、やはり、これからも現場目線で、現場感覚を十分踏まえながら進めていっていただきたいというふうに思います。

関大臣政務官 中根委員から先ほど二つ質問があって、前半は副大臣からお答えいただいたんですけれども、今も中根委員からありました、いろいろ、運用については本当にうまくやっていく必要があるということ、まさにそのとおりであろう。

 広域的運営推進機関なんですが、ガスの方ではつくる必要はないのかなというお話もございましたけれども、ちょっとそちらの方の回答を申し上げさせていただきたいと思います。

 その際には、今まだ国土全体の六%ほどしか都市ガスの導管網の整備がございませんので、まず、やはり電力のようにつながり切っているようなところとはまたちょっと状況が違うと思いますので、将来的にはそういうところをしっかり見ていかないといけないと思うんですが、現時点におきましては、地域間を結ぶ導管網が少ないその状況を見ておりまして、需給逼迫が生じていない状況を踏まえますと、今はすぐにそのようにつくる必要がないのかなという感じは持っておりますが、将来について、導管がしっかりとつながってきたときなどにつきましては、そういうことはまた検討する必要が出てくる場合もあると思います。

上田政府参考人 卸ガス取引所についての御質問をいただきました。これについては私の方からお答えさせていただきたいと思います。

 ガスの卸売事業そのものは平成十六年に自由になっておりまして、現在、都市ガス二十四事業者に加えまして、石油会社、電力会社等々、四十三事業者がガスの卸売事業に参入をしているわけでございます。一方、現時点では、先ほどから御議論ございますように、ガスの導管、パイプラインの整備というものがかなり限定的であるために、卸取引をやる場合の選択肢、卸取引はやはりパイプラインがつながっている中で卸してもらう、どこかから買ってくるということで必要ですので、卸取引の選択肢というのは非常に限られているわけでございます。

 今回の法案の中では、こういった卸取引のさらなる活性化ということを勘案しながら、例えば、LNGの基地の第三者利用を公平な条件で利用できる制度を新設いたしております。これによりまして、例えばLNG基地を必ずしも持っていない事業者の方でも卸売事業に参入できる環境が整備されることになっているわけでございます。

 また、導管事業につきましては、先ほどからるる御議論ございますような、相互に協力をしながら導管を接続するための制度等々も設けているわけでございます。

 しかしながら、卸取引所の設立ということにつきましては、今のような、卸売事業者の数が限られているといった状況を踏まえながら、今のLNG基地の活用状況、卸取引の活性化の状況等々を見ながら、将来の課題という形で位置づけているところでございます。

中根(康)委員 そういう広域的運営推進機関であるとか卸ガス取引所というようなものが今のところまだ必要がないというところに、冒頭申し上げました、電力と少し状況が違うのではないか、同じように実は語れないのではないかというか、今回一括束ね法案ということになっているんだけれども、ガス関係の方からすると、どうも巻き込まれてしまったという被害意識が生じるのは、今のような御答弁からも実はわかるんじゃないかなという感じがいたします。

 ガス管の更新や耐震化は誰が担うのかということでございますが、附則七十五条の二項に政府の責務が規定されておりますが、ガス管の更新や耐震化についてどのように取り組んでいかれますか。

山際副大臣 既存のガス事業者の導管につきましては、これはガス導管事業者といたしまして、引き続き総括原価方式のもと、ガス管の更新や耐震化を行うことになります。政府としても、これまで同様、進捗状況の確認を行い、不十分であれば改善を求めるなど積極的に対策を進めてまいりたいと存じます。

中根(康)委員 これは事故が起きてからでは遅いということは当然のことでございますので、早急に、スピードアップしてやっていただきたいと思います。

 別会社化することによってそれぞれの企業体力が弱まるようなことになると、そのしわ寄せが雇用や労働条件の悪化という形であらわれかねない心配があるわけであります。ガスの安定供給も災害対応も、最終的には人材がかなめであるということでございますが、現場の労働者が雇用に不安を感じないような環境整備がなされなければならない。この点についてどのように考えておられますか。

宮沢国務大臣 まさに委員おっしゃいますように、現場を支える方々が安心して働ける環境の整備ということは、ガスの安定供給確保や災害対応の上で極めて重要だと思っております。

 このため、導管事業については、引き続き地域独占と総括原価方式による料金制度によって、導管網の整備や保守、管理に必要な費用の回収を制度的に保証することとしております。

 また、法的分離後においても連携や現場力を損なうことのないよう、人事交流自体は規制しておりません。行為規制の実施においても、先ほど申し上げましたけれども、現場レベルでの人材育成や技能継承も念頭に人事交流を認めることとして、ネットワークの中立性と安定供給確保とのバランスに配慮した制度設計としております。

 さらに、現場を支える人材育成の上では、導管事業のみならず、製造事業におけるLNG基地の現場運用なども経験することが重要であることから、法的分離後もこのような人材育成に支障が生じないよう、現場レベルでの人事交流を認め、ネットワークの中立性と安定供給確保のバランスに十分配慮した制度設計としております。

 現場の方々がまさにやる気を持って業務に励める環境を整備するように配慮してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 続きまして、もう既にきょうも議論になっておりますが、附則第七十五条の検証規定について、国の小委員会では、法的分離すべきかどうかについて結論は出なかったと聞いております。それだけ懸念事項が多種多様あったということであろうと思います。

 法的分離の施行前、施行後に、法施行の状況やエネルギー基本計画の実施状況、需給状況について検証を行うということでありますが、現段階では、具体的にどのような視点で検証を行うのか、検証の結果どのような措置を講ずるのか、必ずしも明らかになっていないわけであります。法的分離に伴う懸念の払拭に向けて、さまざまな観点から実効性ある検証を行うとともに、その上で七十五条にあるような必要な措置というものが講じられるということであります。

 保安への懸念などが払拭できない場合など、検証結果によっては法的分離を停止することや延期することも必要な措置には含まれると理解してよいかどうか、お尋ねをいたします。

 また、イコールフッティングということであるならば、場合によっては、電力の発送電分離を後ろにずらしてガスと合わせるとか、あるいは、もし原発が再稼働しない場合、これは大いにあり得るわけでありますけれども、電力の発送電分離の施行時期、二〇二〇年四月というものを延期することもあるかもしれないわけであります。その場合に、二〇二二年四月とされているガスの法的分離が先行するということもあり得るのか、このあたりのことについて御答弁を願いたいと思います。

山際副大臣 まず、電気事業における法的分離の実施に関しましては、これはメーカーが新規事業を分社するケースなどとは異なりまして、発電部門と送配電部門が適切に連携できる仕組みが必要となります。具体的には、送配電部門から発電所に指令を行うためのルールの整備、あるいは、システムの設計、実際のシステムの開発など、安定供給のためのルールやシステムをしっかり整備した上で分離を進めるための準備が不可欠でございます。

 こうしたことから、全ての一般電気事業者が安定供給のためのルールやシステムを整備するために必要な準備期間を考慮して、二〇二〇年の四月一日としたものでございます。

 今回の法案附則の検証規定に基づきまして、法的分離の施行前に検証を行うこととしてございまして、検証を行った結果、課題や懸念があれば、それを解消するための環境整備に全力を尽くすことが検証規定の趣旨でございまして、実施時期の見直しは想定してございません。

 ガスにつきましては、基地部門及び小売部門と分社化される導管部門が、ガスの安全で安定的な供給のため適切に連携できる仕組みを構築するために必要な準備期間を考慮して、二〇二二年の四月一日を施行時期としております。この改革の精神にのっとって、必要な準備が整った施策から速やかに順次実施していくこととしたいと存じます。

宮沢国務大臣 電力はプログラム法がありまして、かなり時間をかけてやってきた。その過程において、ガス会社自身も、例えば電力会社の配送電部門の分離を強く求めた議論をするといったような過程もあったわけであります。

 そういう中で、ガスについては、今回の法律で自由化と導管の法的分離をする、こういうことがありまして、特に法的分離の対象となりました大手三社の中には、電力よりは随分急いでやるじゃないかといったようなお気持ちがあったことも事実でありますが、結果的にこういう法案でということで皆さんに納得をしていただいたわけです。

 委員の地元のガス会社を初めとして、三社に対しましては、いろいろな不安もあろうかと思いますけれども、今後しっかりと御意見を聞きながら、まさに、会社であり、また勤められている従業員の方が不安を持たないような形で進めてまいりたいと思っております。

中根(康)委員 ただいまの山際副大臣の御答弁の中で、必要な措置の中には法的分離の実施時期の停止や延期というものは含まれておらないという御答弁があったわけでありますが、これは十分環境が整わないまま見切り発車というようなことになって、これまでも指摘してきたような、保安の問題であるとか、あるいは雇用の問題であるとか、こういったことに支障が生じないようにということであれば、必ずしも延期だとか停止だとかということを排除すべきではないというふうにも思うところでありますが、また引き続きこれは議論をしていきたいと思います。

 附則七十五条二項の責務規定、けさも自民党の佐藤議員からも指摘をされたところでありますけれども、法的分離によって別会社になった導管会社と新規参入する小売事業者との間では、災害時の連携がすぐには確立できない心配があるわけでございます。

 保安確保のため、消費機器保安を担う新規参入小売業者と導管保安を担う導管会社とが定期的な訓練や情報交換、情報共有を行うなど、協調するということが重要だと考えますが、どのような施策を講ずるおつもりなのか。

 また、新規参入業者が保安に関して曖昧な資格や曖昧な保安規程などによって事業を開始するおそれもないとは言えないということの中で、自由化ありきでは混乱を招きかねないということでございます。保安レベルや資格基準を統一する必要があるとも言われておりますが、どのようにお考えになられるか。

 また、保安業務を簡素化することによってコストを下げたり、十分な知識を有さないままガス機器を販売するなどの、いわば不良業者あるいは違法業者、こういった者が参入することがないように防止するということも重要であると考えますが、いかがお考えであるか、御答弁をお願いしたいと思います。

関大臣政務官 私も、ちょうど今から二十年前、阪神大震災を現地で経験した人間なんですが、ガスが大きな事故に後々つながっていったりというふうなことをまさに経験しました。今、中根委員がおっしゃった点は非常に大事な点で、私どもも実感しております。

 ですので、今までのそういうふうな経験を踏まえまして、そのような状況をまたさらに勉強して、いろいろな今までの保安の体制というものはつくり上げてこられております。国におきましても、またガス事業者におきましても、ガスを使用する国民の皆様方のいろいろな御意見が今までの保安の状況を維持向上させてきたものと思っておりまして、これが、新しい体制になったときに、きちんと今までと、さらにさらにそれがよくなっていくような感じまで責任を持ってやっていかないといけないんですが、その役割につきましては、需要家保安の役割ということなんですが、ガス導管事業者とガス小売事業者がそれぞれ、やはりみずからの責任という点はしっかりと持っておいていただかないといけないと思っております。

 そして、今後も、組織が分かれたとしましても、相互に連携するという形を徹底しておかないといけないと思いまして、今後、審議会、ガス安全小委員会なんですが、そちらの方で、平時のみならず、特に大震災が発生したとき、こういうときのそれぞれの役割、連携方策につきましても、具体的にこれからしっかりと詰めていこうと。それができ上がって、それを安心して運用できる会社にのみこそ参入していただきたいという形で考えております。

三木政府参考人 新規参入のガス小売事業者のチェックをどうするかということについてでございます。

 まず、今回、ガス小売事業者が行うことといたしました消費機器の安全性調査や注意事項の周知、これらの確実な実施を担保するために、事業開始前に保安業務規程の届け出を義務づけております。国がその内容を確認することによりましてチェックをいたしますし、また、この内容に保安上問題があったときには、大臣が変更命令を発出することになります。さらには、報告徴収や立入検査等の事後チェックも含めまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 このガスシステム改革によって消費者が期待するのはガス料金、もちろん保安の確保というのは大前提でありますけれども。その上で、料金の引き下げといいますか、安くなるということが消費者からは期待されるわけでありますが、そこを悪用してというかつけ込んで、うちの会社はこんなに安いですよ、だからぜひうちの会社を使ってくださいということの中において、保安が不十分であったり、あるいは十分な技能や知識がない業者がはびこったり、こういうことがないように、ぜひ予防的にいろいろと対策を講じていっていただきたいということでございます。

 それで、料金については、先ほど渡辺議員がかなりやりとりをされましたので、また後ほど時間があればということにさせていただきたいと思いますが、LPガスにつきましてお尋ねしたいと思います。

 LPガスというものは、分散型エネルギーとして特に災害に強いのが特徴であるというふうに思っております。災害時への迅速な対応という意味では、LPガスの重要性は今後さらに高まると言えると思います。また、地域のLPガス事業者は、自治体と防災協定を締結するなど、防災活動や災害対応時の主戦力というふうにもなっているところでございまして、こういったことは高く評価をされるべきだと思います。

 今回のガスシステム改革にかかわらず、特に避難所と想定される施設とかあるいは病院とか介護、福祉施設などには、都市ガス供給エリアであったとしても、危機対応のためLPガスを常設すべきだという御意見もあるわけでございますけれども、まず、この点についてはどのようにお考えでしょうか。

関大臣政務官 ちょうど四年前に起こりました東日本大震災のとき、LPガスというのは非常に大活躍してくれました。軒下の在庫が利用できたわけでございます。このような、品質劣化しないために長期的に備蓄が可能であるという点も、委員御指摘のように非常に利用価値が高いということでございまして、災害時におけますLPガスの、危機時のために地域における備蓄というのは非常に望ましいというのは本当におっしゃるとおりだと思いますし、病院、介護施設については特にその重要性が見受けられるところだと思います。

 それで、今おっしゃられたような内容につきまして、我々も、公的施設、避難所、それから災害対応型バルクシステムの導入の支援というのを二十五年度以降させていただいております。

 具体的には、東近江市などにつきましては、地元事業者からの要望をしっかりと踏まえまして、給食センターに九百八十キログラムのバルク容器とか炊飯器、フライヤー等を設置しているんですが、いざ事故が起こったときにおきましては、これが日常生活において避難の人たちに対してガス供給を十分賄ってくれるということで、期待しているところでございます。

中根(康)委員 また、都市ガス小売事業者、先ほども申し上げた新規参入業者というところについて、LPガスの観点からも触れたいわけでありますけれども、新規参入する事業者は、保安業務や設備工事に熟練していない業者ももしかしたらまじってくるかもしれません。

 新規参入小売業者と保安業務に熟練したLPガス事業者との間の連携を、経済産業省として、まさに先ほど申し上げました矢印の部分をサポートしていく必要があると考えております。この点についていかがお考えかということ。

 そして、今回の改正による都市ガスの競争の進展や全国的なガス導管網の整備に伴って、LPガス販売事業はエネルギー企業として今後どのような位置づけを占めていくことになるのかということについての経産省としての御見解をお示しいただきたいということ。

 さらには、水素社会をつくるという方向性がある中で、今回のガス事業法の改正によって、水素ガス事業はどのような取り扱いになり、水素の利用拡大がどのように進展していくことになるのか、あわせて質問したいと思います。

三木政府参考人 まず、保安業務に熟練していない小売事業者とLPガス事業者などとの連携についてお答えを申し上げます。

 まず、消費機器の安全性調査等の保安業務は、現在でも都市ガス事業者から関連会社に外部委託をしている例もございます。今回の改正後も、ガス小売事業者の責任のもとではございますけれども、当該業務を外部委託することは可能であると考えております。その際に、既存のLPガス事業者に委託することも想定をされます。

 経済産業省としましても、新規参入ガス小売事業者から保安業務の的確な執行でありますとか連携について御相談があれば、丁寧に対応してまいりたいと思っております。

関大臣政務官 LPガスの販売事業者の位置づけにつきまして御質問いただきました。

 都市ガスとLPガスなんですが、それぞれやはり特性がございます。人口密度の違いによりまして、今までも活躍していただく地域が分かれてきたわけですが、特にLPガスにつきましては、本当に地域密着型というところで、地域の方々からいわゆる地域生活の中で信用を得たいろいろな事業を一緒に行っているような運営の仕方をされている事業者があられまして、これから過疎化とか、いろいろなことが起こるかもしれませんけれども、そういうところで地域経済の活性化に活躍していただきたい、そういう位置づけだと考えております。

山際副大臣 水素についてお尋ねがございました。

 水素に関しては、現在、天然ガス事業者としまして、エネファームのような、水素に天然ガスを改質して燃料電池として、それをエネルギーとして使うというような、そういう方式がもう既に導入されてございます。こういったものに関しまして、法律が改正されたからといって扱いが変わることはございません。

中根(康)委員 そのエネファームについて最後にお尋ねをしたいと思います。

 都市ガスから取り出した水素と空気中の酸素を化学反応させて電気とお湯をつくる、例えばエネファーム、これはおうちの小さな発電所と言われているようでありますけれども、発電時に出る熱を捨てずにお湯をつくる。分散型エネルギーとして普及が期待されていると思いますけれども、いろいろと現場レベルでは、幾つか、こういう点を改善してほしいということも承ってきたところでございます。

 例えば、停電時に、逆潮を恐れてエネファームで発電できないというようなことがあるそうなんです。あるいは、一軒の家でエネファームと太陽光発電とダブルで発電をすると、太陽光でつくった買い取り価格、FITの価格が安くなってしまうということが、どうもダブル発電というものが普及していかない理由の一つにもなっているというようなことも承ってきたところでございます。

 こういう、エネファーム、おうちの小さな発電所、こういったものの普及のための問題点は、そのほかにも幾つかあるのかもしれません。その問題点と、問題解決のために経産省としてどのように対応しておられるか、お聞かせ願いたいと思います。

山際副大臣 まず、エネファームでございますけれども、これは、委員御指摘のとおり、熱と電気と両方利用できるということで、エネルギー変換効率が九五%という大変高い分散型エネルギー供給システムとして重要なものと我々としては思ってございます。

 一方で、導入コストがどうしても高くなるという欠点もございまして、その導入コストの一部を補助するという形で普及促進に努めているところでございます。

 また、委員御指摘がありました、停電になったときに、逆潮も含めまして、さまざま問題があるんじゃないか。これに関しては、業者、メーカーの方が工夫をしてくれておりまして、もう既に、停電しているときにも使えるものというものが出てございます。

 さらに、買い取り価格の問題というものもございましたけれども、これに関しましては、そもそも買い取りをするという概念が、余剰電力について買い取りをするということにおいてこれは設定されているということもございまして、当然、エネファームでエネルギーをつくった分だけ買い取りをする電力量がふえるということであるならば、その分は余剰ではないわけですね、エネファームで電気をつくっていますから。そういうことで、ここの部分に関しては、どうしても買い取り価格が少し低く設定されているというところでございまして、そのあたりにつきましても、もちろん検討はしてまいりますけれども、今、そういう余剰ということを基本に置きますると、御理解をいただけるように周知していくということも必要かなと考えてございます。

中根(康)委員 この束ね法案につきましては、いろいろとまだまだ論点があるということでございますので、またきょう以降、十分審議をしていくということで、きょうは、時間が参りましたので、ここで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 本日は、電気事業法改正案またガス事業法改正案等のエネルギーの大改革の関連法案の質疑の機会をいただきまして、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。

 私は、主に電力改革についてお伺いをしたいと思います。

 まず冒頭、大臣、午前中の質疑でもお答えになられておりましたので一部割愛したいと思うのですが、ただ、ぜひ指摘をしたいというのは、ベストミックスといいましょうか、エネルギー基本計画に基づいた政府のあるべき電源構成の姿についてであります。本来ならば、やはりこれは電力システム改革さらにはガスの改革も含めた総合的なエネルギーの改革を示す本法案と非常に関係の深い政府の考え方でありますから、本来はこの法案の提出前に示すべきものであろうと重ねて強調しておきたい、こう思います。

 大臣の午前中の御答弁では、G7を念頭に、温室効果ガスの総理の御発言もあるだろうし、一定程度、総理がその場で何がしかのことを言えるように整理をしたいといった趣旨の御発言がございました。

 したがいまして、どこまで積み上がるかは別にして、そう遠くないといいましょうか、六月ごろというイメージを私も御答弁で持ちましたけれども、やはりこれは、G7で言うのも結構でありますが、この大事な法案を議論する、やはり前提になる政府の方針だと思うんですね。国会、政府において延長されるという話も聞きますから、その七月までこの法案を長く議論をしても構いませんので、やはりベストミックスの議論をきちんと提示されるというのが筋であろう、こう思うのであります。

 この問題意識の上で、六月には何らかの考え方をという大臣の御答弁を踏まえてお伺いしたいのですが、委員長のお許しを得て資料を配付させていただいております。

 一枚目に、エネルギー基本計画の原子力の位置づけについて抜粋をしております。よく言われていることでありますが、エネルギー基本計画においては、原子力については、重要なベースロード電源であるというふうに記載をされております。ベースロード電源、こういうふうにエネルギー基本計画でしているわけでありますけれども、とすると、二〇三〇年段階ではどのような電源構成の比率になるのか。

 もう既に二〇%といった数字も報道されているやに聞きますけれども、現実、大体どの程度の水準なのか。少なくともベースロード電源という意味合い、また、もう既にこの時期でありますから、原子力については、一〇%程度なのか、少なくとも二〇%程度なのか。おおよその、細かい数値はともかくとして、この程度の水準として政府はあるべき姿として認識しているということはお答えいただけると思うのですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、エネルギーミックスの策定時期のお話があったわけですけれども、これはもう委員御承知のとおり、一昨年成立いたしました法律、その中にプログラム規定がございまして、これは民主党にも御賛同いただいたわけでございますけれども、それに基づいて、今回、第三段階、最終章ということで、法的分離を行うなどの法律を提出させていただいておりますので、エネルギーミックスと直接関係するといいますか、法案の審議と直接結びついているものではないと考えております。

 その上で、今、原発比率等々といったことについてのお話がございました。

 これにつきましては、現在、一月の終わりから、審議会、小委員会を開かせていただきまして、御検討をお願いしているところでありまして、今の段階で、原発についても、また再生可能エネルギー等々につきましても、私の方から大体このぐらいめどというようなことを申し上げる段階、状況ではございません。

 ある意味では報道が大変過熱をしておりまして、記者会見でもよく聞かれますけれども、各社それぞれ、いろいろ仮定を置いて計算されたり、想像たくましく計算されたり、また想像たくましい人に取材して書かれたんではないでしょうか、何ら決まっておりません、こういうことを申し上げております。

近藤(洋)委員 しかし、私もかつて取材をした経験がございますし、経済産業省の記者クラブにも在籍したことがございますが、幾ら想像を働かせても、妄想では記事は書けませんので、やはり誰かが何かを言い、そしてそこをパズルを組み合わせて記事になるのが大概なことでございます。したがいまして、恐らくこういった二〇なりなんなりの数字が出ているということは、そんなに大きく外れてはいないと。

 我々民主党は、三〇年代ゼロを目指して全力で投球するという基本方針を掲げております。その点において、政府は、重要なベースロード電源と位置づけて、少なくとも三〇年二〇%なのか三〇%なのかわかりませんが、一定の比率で原子力を位置づけている。あらまほしき姿として、もちろん規制委員会の基準をクリアしたという前提条件が当然つくものの、原子力を進めるという政府の、今の安倍政権の方針であるということは明らかなのだろう、こう思うわけです。

 そこで、この前提でお伺いしたいのですが、まず、資料の六ページ目、ちょっと飛んで恐縮ですが、電気事業法、今法案の附則七十四条にこのように書いております。これは検証条項なんですが、政府は、エネルギー基本計画の実施状況、電気の需給の状況、その他の電気事業を取り巻く状況について検討を行うと一項を示した上で、二項では、次のページ、七ページ目ですが、その最後のところ、その検討、「結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と、このようにしております。

 この検証条項でありますけれども、この検証の中に、重要なベースロード電源と政府が位置づけて、恐らく二〇三〇年においてそれなりの比率になるであろう原子力事業の環境整備といったものは含まれるのか。また、安定供給の仕組み、ルールづくりといったことも当然のごとく含まれると私は受けとめておりますが、大臣、もしくは資源エネルギー庁、いかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 附則七十四条の件でございます。

 お配りいただいている七十四条の条文の中にもございますけれども、今回の政府が行います検証の対象でございますが、「各号に定める状況」それから「当該改革に係るエネルギー基本計画に基づく施策の実施の状況及び電気の需給の状況」等々について「検証を行う」というふうにされているところでございます。

 この中で、エネルギー基本計画の方を見ますと、その中で、原子力についての事業環境整備に関するくだりがございまして、「国は、電力システム改革によって競争が進展した環境下においても、原子力事業者がこうした課題に対応できるよう、海外の事例も参考にしつつ、事業環境の在り方について検討を行う。」と定められているところでございます。

 したがいまして、今回の検証の対象には、このような定めのあるエネルギー基本計画に基づく施策の実施の状況ということでございますので、先生から御指摘のありました安定供給の仕組み、ルールづくりはもちろんのこと、原子力の事業環境の整備、こういったものにつきましても確認を行っていくということは当然かと思っております。

近藤(洋)委員 多田部長、ありがとうございます。検証項目の中に原子力の事業環境が含まれる、こういうことでございました。

 それでは、原子力の事業環境についてお伺いをしたいと思います。

 資料の二ページをごらんいただけばと思うんですが、原子力発電所をめぐっては、まさに三・一一東日本大震災以降、激変をしたわけであります。何が激変したかといえば、原子力損害賠償制度であります。

 この原賠制度でありますけれども、御案内のとおり、一九六一年に法律が施行をされた。当時の原子力委員会の委員長は中曽根康弘氏であり、当時のこの法案の策定に当たった部会長は、民法の大家である我妻栄東大教授であられました。

 こうした議論を踏まえて原賠法ができたわけでありますが、結論から言うと、三・一一の事故に際して、原賠法のスキームが、私なりに言うと、不備が明らかになり、当時民主党政権でありましたが、今で言う、この資料にあるように、原賠機構によるスキームが、二〇一一年、法案が成立をしたわけであります。

 この原賠機構のスキームでありますけれども、御案内のとおり、この資料にありますとおり、被災者の方々、または除染、中間貯蔵のために上限約九兆円を設定して、原子力事業者及び東京電力、そして国からはエネ特一・一兆円と、この図にありますとおり、九兆円を出すという形、当分の間は交付国債によって手当てをするというスキームができ上がっているわけであります。

 ただ、この制度でありますけれども、当時はまさに緊急的に原賠法で想定している国庫負担は一千二百億円でありましたし、とてもそれでは足らないという状況下でこのスキームができ上がったわけでありますが、現在、原賠機構に対して、五・四兆円程度、被害者賠償に充てられる額のうち、年間一千六百三十億円が一般負担金、これは原子力各社、そして特別負担金は、当該事故を起こした東京電力という形になっているわけでありますが、これは要は、本来、賠償機構というのは、東京電力以外の各社が将来の事故に対して積み立てるというたてつけのはずなんですね。これは預金保険と一緒でありまして、将来何らかのことが起きることのために支払いを積み立てていくというのがこの制度の本来のたてつけであります。

 しかしながら、全額が東京電力の福島原発の事故の賠償費用に充てられているというのが現実の姿でありまして、何を言いたいかというと、原賠機構のこの制度は、あってはいけないことでありますけれども、今後の原子力事故には対応できていない、少なくとも財政上は対応できていないということが現時点で明らかなわけであります。

 もし対応するならば、一般負担金一千六百三十億円はもっと多目に出さなければいけませんし、今のスキームではこの東電の事故にしか対応していないということが明らかであるのが一点。

 さらには、福島原発の対処に対しても果たしてこの金額で全て足りるのかといった問題もございます。第二点目として、そもそも足りるのかという問題もございます。

 そして、この一般負担金でありますけれども、省令で定められる、こういうことでありますから、したがって、幾ら負担をするのかというのが民間事業者側からはわからない、予測できないという問題もございます。すなわち、原発事故に対する備えとして一体幾ら積み立てればいいのか、どうなっているのかわからないという予見可能性もないという状況である。

 このことは、大臣、ここからお伺いしたいんですが、電力自由化というか、発送電分離も含めた電力システムの自由化のもとで、まさに原子力の事業環境整備になっていないんじゃないか、今の仕組みは不完全ではないか、こう考えるのですが、いかがでしょうか。この状況で適切だと、事業を所管する大臣としてお考えですか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 当時、私どもは野党だったわけですけれども、中曽根科技庁長官が当時決められたあの法律について、民主党内で、政権内でいろいろな議論があるというのを拝見しておりまして、これは経産省と財務省の引っ張り合いっこ、どっちが勝つのかなと実は外から見ておりまして、結果を聞いたときには、ああ、財務省が押し切ったんだな、こういうふうに思ったのを思い出しました。

 そのときに、この制度は民主党政権でつくられたわけですけれども、できてみると、正直、なかなか巧妙な制度をつくられたなと当時は思っておりまして、今もその考えに基本的に変わりはございません。

 自由化という問題はありますけれども、しかし、直接、自由化とこの制度自体とがリンクしている、自由化するとこれが動かなくなるというものではございませんし、そうした意味では、それなりの機能を今後とも果たしてくれるものと思っております。

 また、一般負担金につきましては、機構において決められているものでありまして、その辺はやはり、今おっしゃったような、電力会社からいえば不安があるということであれば、もう少し風通しのいいことは必要なのかもしれませんけれども、基本的には、この制度を維持してしっかり運用していくということが大変大事だと思っております。

 たしか、民主党政権時代に原子力発電のコストを計算されたときには、二千炉年、四十年に一度、重大事故が起こったときということでコストを計算されているということだったわけですが、それに基づいて四十年という数字が出ているとすれば、一般負担金で四十年間電力各社が払い込んでもらったもので万一の事故に対応できるかどうかという観点みたいなものも一つ参考になるのかなという思いがいたします。

 そういう観点からしましても、今、原子力発電をめぐる状況に大きな変化があるというふうには考えておりません。

近藤(洋)委員 確かに大臣御指摘のとおり、一九六一年に法案を制定した際も、我妻栄先生の主張、正論だと私は思うんですが、当時財務省が押し切って曲げた、こういうことであります。ちなみに、我妻先生は、私の郷土、米沢の御出身でありますが、我妻先生の主張を財務省が押し切った。二〇一一年も残念ながら財務省が押し切った。常に財務省は強い、こういうことなのかもしれません。

 確かに、大臣御指摘のとおり、巧妙にできている制度ではありますが、私が指摘をしたいのは、確かに、二〇一一年のあの危機を乗り切るためには巧妙にできた制度だと私も思います。当時の事故を取り巻く環境、また、あの事故からわずか数カ月で、これは民主党でつくった法案でありますが、与野党の協力のもとで、この経産委員会でも議論をし、さまざまな議論を経てつくり上げた、スピード感を持ってつくり上げた制度でありますから、当時としてはよかったと思います。

 ただ、一方で、平副大臣に来ていただいているんですが、この原賠機構法は、成立の際に、既に、この制度自体は過渡的なものであるということを附則に入れているわけであります。何となれば、附則に見直し規定がもう既にあって、原賠機構法は、機構法自体をこの施行後一年間に速やかに見直すという速やか見直し規定があり、また、原子力賠償制度自体も見直すという見直し規定がある。

 この見直し規定は、何も民主党政権下の閣法提案ではなくて、自民党との協議においてこの見直し規定が盛り込まれた経緯があるわけであります。すなわち、今政権をとっている自民党の主張によって見直し規定が盛り込まれたという経緯があります。

 そこでお伺いしたいんです。

 この見直し規定は、一年以内というのが当時の参議院における附帯決議。これは、自民党も含めた各党各会派一致であります。一年以内という見直し規定を既に過ぎているわけですね。我々は、あの法案をつくったときに、この制度はこの場面では有効だけれども、将来的にはいかがかというのは、もう既に議会としては出しています。

 さて、そのつけ足しについて、政府として答えは出しているのかどうか。もう既に三年たちましたが、副大臣、いかがでしょうか。

平副大臣 今御指摘のとおりでございまして、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法の附則で、「できるだけ早期に、」ということと、制定時の附帯決議で、「「できるだけ早期に」は、一年を目途」ということでございました。

 今、直近の動きといたしましては、いわゆる原子力損害賠償制度の見直しに関する副大臣等会議で議論をしてまいりまして、こちらの方から要請を受けて、原子力委員会の方でさらなる検討をする方向になったというのが今の現状でございます。

 一年以内ということでございますが、この法律ができたのがまさに事故の年であったと思います。なぜ一年以内にできていないのかということに関しましては、いろいろ諸般の事情がございまして、まず、そもそも原子力発電の位置づけがどうなるのかというのがございました。ですから、それを受けまして、平成二十六年四月、エネルギー基本計画ができましたので、それを踏まえての検討。さらには、福島の賠償の実情を踏まえてつくるべきだという議論もございました。

 そういうことがございまして、エネルギー基本計画、平成二十六年四月の閣議決定以降、検討を始めているわけでありますが、一方で、原子力損害補完的補償条約という議論も出てまいりましたので、そちらを優先させていただいた。

 現在は、原子力委員会の方で、今、専門部会を立ち上げるべく、人選を行っているところでございます。

近藤(洋)委員 副大臣はよくわかっていらっしゃる方なので、あえて伺います。

 よくわかります。二〇一一年の一年以内は、まだ原子力の位置づけも、福島の賠償もと。しかし、もうあれから三年たっているわけです。そして、今、いよいよ原子力の位置づけも、エネルギー基本計画もできたわけです。位置づけも決まりました。そして、このシステム改革の法案が今審議されているわけですね。完全に環境は整っているはずですね。ですから、これは早急につくるべきだ、見直すべきだ、こう思うんですね。

 原子力委員会で有識者会合をつくるべく準備とおっしゃいましたが、私は、この問題、率直に言って、去年から指摘をさせていただいているので、しつこくて恐縮なんですけれども、怠慢だと思うんですね。いつ有識者会議をつくられ、そしていつ法案の見直しに着手するのか、そしていつ提出するのか。見通しはいかがでしょうか。

平副大臣 直近の事実関係を申し上げますと、一月二十二日に、副大臣等会議から原子力委員会に検討を要請することになりました。私も副大臣等会議は構成メンバーではありませんが、その席に呼ばれました。それを受けて、一月二十七日に、原子力委員会の方で、原子力委員会としては要請を受ける方向で検討を進めると。

 あれから三カ月たっているわけでありまして、今、専門委員の人選を進め、ようやくめどが立ってきたというところでございます。来月には立ち上げることができると思います。原子力委員会となれば、私の所管になりますので、しっかりモニタリングして、遅滞なくやっていきたいと思います。

 ただ、一方で、かなり広範に及ぶものですから、拙速に答えを出すわけにもいかないと思いますので、慎重かつ遅滞のないように、私もしっかり見ながら議論を進めさせていただきたいと思っております。

近藤(洋)委員 私は、政府が本気で見直す気があったのかどうかとやや疑問に思うのは、原子力委員会を所管する副大臣もそこの中にいなかったというのも問題なんですが、四副大臣というのが、世耕官房副長官はいいですが、経済産業、外務、環境、そして文部科学。財務が入っていないんですよね。この問題は財務省の問題なんです。その肝心かなめの財務省が入っていない四副大臣というのは、本気で議論するなら、財務省は来るなと言われても来るはずなんですね。来ていないということは、やる気がないという証左なんですね。

 いいですか、ここはもう、内閣府の副大臣というのはほかの副大臣よりは格上ですから、ぜひ平さん中心でやっていただいていいんですけれども、これは財務省を巻き込まなきゃお話にならない。これは外務省の話ではございません、まあ条約があったから外務省ということなんでしょうけれども。本気でこの機構法を見直すという気があるならば、財務省との話がとどのつまり来るということだろうと思うんですね。

 そこで宮沢経産大臣にぜひお伺いしたいんですけれども、今の機構の仕組みの根っこになっているのは原賠法なんですね。原子力損害の賠償に関する法律、原賠法なわけですが、この原賠法は、御案内のとおり、法案の資料の三ページ、無過失責任というのを掲げております。これは要するに、私は一応法学部でしたが、民法の七百九条の特例として、損害賠償、無過失責任を求めているわけですね。これは民法の特例として認めている。かつ、責任の集中の原則、すなわち、メーカーではなくて発電事業者に全て責任を集中させるという、この二つの原則。さらに加えて、実質的に無限責任、こういうことなんですね。

 要するに、三条のただし書き、その損害が異常に巨大な天変地異または社会的動乱によって生じたものであるときはこの限りではないとただし以降に書いていますが、このただしは適用されなかったと。現実、適用されたとしても、十六条、十七条において、実質的にこのただしは使われない。したがって、無限責任、免責条項がないということであります。

 この点において、これは世界にまれなる制度になっております。極めて厳しい、事業者に対する責任を付す制度になっております。何となれば、無過失責任と責任の集中は各国共通でありますが、民間企業に無限責任を求めているというのは日本だけなわけですね。

 この現行制度は、完全自由化のもとでの原子力をしようとする方に対して、無限責任となったら、とても事業はできないのではないでしょうか。要するに、環境が整っていないんじゃないでしょうか。ここを、安倍政権が進める、我々民主党政権は三〇年代ゼロを目指すということですから、基本的には原子力の環境を、この法律でもよかったかもしれません、今の法律でも。

 でも、安倍政権は違うんですよね。安倍政権は違うのならば、ここの部分の無限責任を見直して有限責任にする必要性が少なくともあるんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。政府が一定程度責任を負う仕組みに見直す必要がある。これが第一点目、根本のところです。

 さらには、細かいところでいえば、原賠法でありますけれども、損害の対象も極めて曖昧であります。世界各国では損害の原因を原子力事故と規定していますけれども、原賠法では「原子炉の運転等」としています。これは何を意味するかといえば、「運転等」となると、原子炉が正常に運転していても、損害が発生した場合は損害賠償の適用対象となる、こういうことなんですね。これまた非常に曖昧なところです。損害の賠償の対象が広くなる。これは、この部分も含めてきちんと整理をしないと、とても事業環境の整備と言えないと思いますが、宮沢大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 無限責任、国際的に見ても例がない、こういうお話でありました。

 ドイツ、スイスというのは無限責任でありますけれども一方で原発からの撤退を決めているということで、原子力発電を継続する国で無限責任をとっている、有限責任でないのは我が国だけであるということは事実であります。

 ただ、一方で、無限責任だからといって、完全自由化のもとで原子力事業ができないということではないと考えておりまして、そういった点で、私ども、安全性といいますか、新規制基準に適合すると認められた原子力発電所については再稼働を進めていくという方針をとっているわけでありますが、そういう中で、無限責任という状況の法制度のもとで、事故前には、当然そういう制度の中で、電力各社は原子力発電所の建設を積極的に進めたわけであります。また、原子力災害後につきましても、こういう制度のもとで、今、各社、再稼働といった問題について前向きに取り組んでいるということでありますので、私どもの政策と矛盾するものではないと考えております。

近藤(洋)委員 賢明な大臣の御答弁ですが、私はそうは思わないんですね。ここのところがきちんとできないで原子力を進めるというのは、とても環境が整ったと私は理解できません。少なくとも、最終段階のこの時点においては、これはもう絶対条件、どうしても整備する必要がある、こう思いますね。

 では、次は核燃料サイクルについて伺いたいと思うんです。

 使用済み核燃料を再利用する核燃料サイクルは電力システム改革後も引き続き国策として推進する方針というのは、大臣、変化ございませんね。確認です。

宮沢国務大臣 昨年四月に決定いたしましたエネルギー基本計画に基づいて、高レベル放射性廃棄物の減容化、有害度低減や、資源の有効利用等に資する核燃料サイクルについて、これまでの経緯なども十分に考慮し、関係自治体や国際社会の理解を得つつ推進していく方針を既に確立しておりますし、それに変わりはございません。

近藤(洋)委員 では、国策として進める方針に変わりがない中で、資料の四枚目、ちょっと薄いので恐縮なんですが、現在の核燃料サイクルを進めるスキーム図です。真ん中でちょっと見えなくなっているのは、済みません、電力会社であります。現在、核燃料サイクル事業は、民間の電力事業者が出資している民間会社、日本原燃が担い、その事業費については各社が積立金の形で出しています。完全に、企業の出し手も運営主体も、民間リスクにおいて行っております。

 ただ、これは、規制料金下かつ地域独占で経営が安定するという中での体制でありました。残念ながら、この核燃料サイクル事業、六ケ所のプラントは現在動いていない。また、今、規制委員会の審査も受けているという状況であります。これまで二兆円を超える資金が投じられながら、予定から大幅におくれている状況が続いております。

 これこそ、およそ民間には見合わない事業だと私は考えますが、そうだとすると、電力自由化の中で政府が国策として進めるのであれば、民間の積立金ということではなくて、少なくともこの不安定な事業に対して政府が出資をするのか、ないしは債務保証をするのか、どういう形かは別にして、政府がかかわるということが必要と考えますが、大臣いかがですか。

宮沢国務大臣 昨年決定しましたエネルギー基本計画におきましては、国は、電力システム改革によって競争が進展した環境下においても、原子力事業者が円滑な廃炉や安全対策、安定供給などの課題に対応できるよう、事業環境のあり方について検討を行うこととされております。

 これを受けまして、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会におきまして検討を行いまして、昨年十二月に公表した中間整理においては、「核燃料サイクル事業について、今後、自由化により事業者間の競争が進み、また原発依存度が低減していく中においても、安定的・効率的な事業実施が確保されるよう、各事業者からの資金拠出の在り方等を検証し、その検討を踏まえて、必要な措置を講じていくことが重要。」審議会のこういう中間整理となっております。

 こういう議論も踏まえまして、今後どのような対応が必要か検討してまいりたいと考えております。

近藤(洋)委員 今大臣が御答弁いただきました、これは五ページにある原子力小委員会の中間整理のところですね。大臣が御答弁いただきました、まさにこの五ページのところの「競争環境下の核燃料サイクル事業の在り方」というところで、二つ目の丸ですが、「具体的には、事業者が拠出金の形で発電時に資金を支払うことで、安定的に事業実施が確保されるスキームを構築すべき。」と。今までの言葉と違うんです。積立金から拠出金、こういうふうに変わっているんですね。これも多分違うんだと思うんですよ。大きく違うはずなんです。

 さらに、具体的に事業主体のあり方についても、「撤退が自由な株式会社の形態であることの課題を指摘する意見や、」「例えば認可法人の形式等によって事業主体を確保すべきとの意見、」これは何を意味するのかなんですが、今、日本原燃があるわけですから、それを認可法人にするのか、それとも、そうでない、上に何か組織をつくって日本原燃の株を持つのかわかりませんが、認可法人という形式のことを提言してみたり、「国が責任を負った上で民間企業へ業務を委託すべきとの意見、」等々、幾つかの案がここに例示をされております。

 報告書には認可法人という案も出ていますけれども、大臣御自身は、十二月にこの報告書が出て、当然省内でもこれは大変重要な話だと思います。六ケ所の事業をどうするか、日本の核燃料サイクル事業をどう位置づけるか、国としてどうかかわるか、これは大転換だと思うわけであります。極めて政治的な判断が必要だろう、こうも思うわけでありますけれども、大臣はどのような見直しをすべきだとお考えでしょうか。さらには、この見直し作業をいつまでに終えるお考えでしょうか。

宮沢国務大臣 原子力小委員会では認可法人にするというような意見があったことは確かでありまして、中間報告に記載をされております。ただ、一方で、どのような事業主体にすべきかについては、まだ現時点において、省内を含め、具体的な方向性が固まっているわけではございません。

 一方、タイミングといった意味につきましては、この中間整理におきまして、「電力市場における小売の参入全面自由化が二〇一六年に開始されることを踏まえ、適切な場において、検討を進めるべき。」とされておりまして、その辺で少しタイミング感が出ているということであります。

 今後、本当にまさに基本的なところでございまして、委員御指摘されるような問題点等々あることは事実でありますので、またいろいろな、別途お金がかかるという話になってまいりますと、私どもだけではとても決め切れないというふうなところも当然あるわけでございますので、私どもが中心になって政府全体を巻き込んで検討していかなければいけないと考えております。

近藤(洋)委員 これは非常に大事な話だと思うんですね。二〇一六年の自由化を踏まえということですから、いわゆる電力システム改革を意識している、こういうことなんですね。システム改革の一環に位置づけられている、これができなければやはり環境整備にならない、こういうことになると思うんですね。ぜひ進めていただきたいと思うんです。

 その上でもう一つお伺いしたいことは、廃炉費用であります。原子力発電所の廃炉費用については、私もこの委員会でかつて指摘をさせていただきました会計制度については見直しを進めていただきましたが、問題は、会計はいいんですけれども、廃炉費用の回収をどうするのかということであります。

 四ページ目には、これも経済産業省総合資源エネルギー調査会のワーキンググループの報告書を抜粋しておりますけれども、このワーキンググループが三月にまとめた報告書では、廃炉に係る費用は、総括原価方式の料金規制の残る送配電部門の料金、すなわち託送料金に上乗せして発電会社が回収する、こういう報告書が出ております。これでよいのか。

 これは報告書ですから、経済産業省の方針としてこの方針で決定をされたのかということを確認したいということと、その際、将来、送配電会社は今度分離されますから、費用を発電事業者にちゃんと渡す、制度的に別会社になるわけですから、仕組みというものを、これはやはり、何らかの制度上の担保といいましょうか、法的な手当て等が必要ではないかと当然考えるわけですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、経済産業省として既に決めたことにつきましては、これも審議会の議論を踏まえてでございますけれども、この三月に政省令改正を行いまして、制度の導入後、当分の間は小売部門の規制料金によって費用を回収するということにしております。規制料金が残る間は、規制料金に乗っける形で回収するということは、政省令を改正しております。

 そして、審議会の報告書におきまして、自由化が進められる中、費用回収の確実性を確保する必要があるため、将来的には託送料金の仕組みを利用して費用回収を行うことが適当と、中間整理でされたわけでありますけれども、これについて、私どもとして何らかの決定をしたということはございません。今後の話として、この中間整理といったものも踏まえながら、どういうふうにするかを検討していかなければいけないと考えております。

 そして、では、送配電会社が回収した費用につきまして、原子力発電業者に、廃炉をする事業者にしっかりとお金が受け渡しできるかという問題につきましては、第二弾の改正事業法の第十九条に、託送供給等約款の変更の認可を申請すべきことを経産大臣は命ずることができると書いておりまして、この託送供給等約款に、託送に乗っけるということになった場合には約款に載せなければいけないわけでありまして、それを私どもがやらなかった場合には命ずることができるという法的な裏づけはございます。問題は、この約款に載っける方針を決定するのかしないのか、いつ決定するのか、こういうことだろうと思っております。

近藤(洋)委員 ぜひ、これも大事な話だと思うんですね。

 要するに、ずっと原子力の話を伺ってまいりましたが、電力システム改革は非常に大事な法案です。我々もこの方針を出しました。ただ、我々が政権を今もずっと持っていれば、原子力にかかわる整理をやはりやっていたはずなんですね。残念ながら、今のこの政権で、原子力にかかわる原賠法の問題、機構法の問題、さらには六ケ所のサイクルの問題、極めて重要な問題がまだ手つかず、ないしは途上であります。

 そうだとすると、こういったものが手つかずだとすると、とても環境整備が整っていない。だとすると、附則七十四条に戻るんですが、完全自由化の実施は、今私が指摘をした幾つかがきちんとできないと延期せざるを得ないという状況になると受けとめてしまいますが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 環境整備がされていないという委員の御意見と、それなりにされているという私どもの意見に違いはあるわけでありますけれども、七十四条一項に基づいて、当然、今御指摘のあったようなことについても検討はすることになろうと思います。

 そして、それではそれがどういう影響を与えるかということになりますと、まさに検討を行いまして、課題や懸念があれば、それを解消するための環境整備に全力を尽くすということが、この規定の趣旨だろうと思っております。

近藤(洋)委員 大臣、お言葉ですが、損害賠償の話と、バックエンドの話と、核燃料サイクルの話と、廃炉の話というのは、これは原子力の肝だと私は思いますよ。原子力を進めるという、この肝の部分をきちんと整理せずして自由化を行うというのは非常に無責任なことだと指摘をしておきたい、こう思います。

 次に、では、厚労副大臣、お忙しいところ来ていただいた。スト規制について伺いたいと思います。

 電力産業に従事する労働者の方々に対して、争議行為の禁止を定めるいわゆるスト規制について、私もこの委員会の場で何度か指摘をいたしました。前回の第二弾の法案の附帯決議では、自由な競争の促進を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性をとる観点から検討を行うとなったのですが、しかしながら、二月の厚労省の部会では進展せず、さらに検討すべき課題となりました。現状維持となったんですね、残念なことであります。この先送りの理由として、厚労省は、改革の動向等が不透明であるため、次に電力の需給が不安定であるため、こういうふうにしています。

 今国会でこの法案が成立すれば、改革の方向は大筋で固まります。そうすると、厚労省は、改革の方向が不透明であるとはもう言えなくなりますので、速やかに着手すべきだ、こう考えますが、いかがですか。

山本副大臣 今御指摘のありましたとおり、国会等での御議論を踏まえまして、厚生労働省の労政審で議論してまいりました。その結果、今御紹介いただきましたとおり、電力需給が逼迫している状況であって、国民の立場からすると供給への不安がまだ残っている、また、電力システム改革の進展と影響は不透明であるといったことから、現時点におきましては存続することでやむを得ないとされたところでございます。

 ただ一方で、この報告書におきましては、スト規制法のあり方につきまして、電力システム改革の進展の状況とその影響を十分に検証した上で、今後、再検討するべきとされている。今、方向が決まったじゃないかという話なんですが、その進展の状況を見させていただきたいということなんです。

 この報告書を受けまして、現在御審議いただいております本法案が成立した際には、その施行後に、スト規制法のあり方について、電力システム改革の進展状況と、電気事業者の業者間の競争環境や、また労使関係、業務への影響等を十分に検証させていただいた上で、さらに検討させていただきたいと考えております。

近藤(洋)委員 副大臣、私は、このスト規制が残る理由が全くわからないですね。もうNTTもないわけですね。電力だけなんですね。発送電分離が実現されたら、全く規制する理由がなくなってしまうんですね。

 ちょっと伺って御答弁を聞いていて奇異に思うのは、電力供給に不安があるというのは、これはまたおかしな話で、経済産業省の施策がだめだ、こう言っているのに等しいわけなんですね。

 そもそも、経産大臣、本法案の目的には安定供給の確保が示されている、こう考えております。電力供給について不安があるというふうに指摘されているということは、今の法案が不備がある法案だと指摘されているのに等しいと思いますし、こういう報告書が出ること自体、そもそも経済産業省として抗議すべきだ、私はこう思うんですね。

 ということと、経産省は、労働者の方々の権利制限が、電力システム改革後の安定供給の確保にとってどうしても必要なものだ、そういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。スト規制を自由化後も続ける、安定供給にとって支障が出る、安定供給にとって何らかの問題があるとでも認識をされているんでしょうか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、この話は少し、短期的な話と中長期の話で分けて考えなきゃいけないんだろうと思っております。

 短期的に言えば、間違いなく、先日、私は、この夏の電気の需給状況、各電力会社ごとの需給状況というものの説明を受けて、対策を指示したところでありまして、需給面での不安があるということは事実であります。

 そして一方で、中長期的には、まさにこの法律でうたっておりますように、安定供給の確保をきっちりした上で、まさに自由化を進めて、市場の活性化等々、また消費者利便の向上を目指していくというのがこの法案の趣旨でございまして、この審議会でどういう議論がされたかということを私自身つまびらかにはしておりませんけれども、安定供給、需要供給面の不安を拭い去るためにこういう措置が必要であるということを言ってくださっているのであれば、まさに安定供給のためにやってくださった措置でありますので、方向性としては同じだろうと思っております。

 そして一方で、経産省として労働規制がないと安定供給に不安があるかどうかということでございますけれども、ストを制限されているということでありますが、これを外したときに、ではストが起こるのかどうかということについて、私どもで何とも言えない立場だなというふうに思って聞いておりました。

近藤(洋)委員 いや、大臣、これは一般の企業でも国民が認められている権利を電力会社に従事している人のみに制限しているわけであって、それは制限する理由はなくなるわけですね、自由化になった時点において。ですから、この自由化と同時に、私は、当然スト規制は解除すべきと考えます。

 厚労副大臣、最後に伺います。

 遅くともこの改革が最終的に実行される二〇二〇年までには、できれば二〇一八年、まあ二〇二〇年までには最低でもスト規制は当然のごとく解除される、こう考えるのが労働行政としても当然かと考えるわけですが、いかがでしょうか。

山本副大臣 御指摘のとおり、憲法上保障された労働基本権というのは非常に重要でありまして、他方で、電力の供給の安定というものも重要であります。そういった中で、私どもといたしましては、この法律の施行後の状況を見させていただく、その状況を見た上で、電力システム改革に関する検証とあわせて再検討を行わせていただきたいと考えております。

近藤(洋)委員 また引き続き議論させていただきたいと思います。

 きょうのところは、時間ですので、終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、落合貴之君。

落合委員 維新の党の落合貴之でございます。

 本日は、電気事業法等の一部を改正する等の法律案に関連する質問をさせていただきます。

 この法案は新聞などでは電力自由化法案と言われておりまして、安倍総理も、施政方針演説で、「電力市場の基盤インフラである送配電ネットワークを、発電、小売から分離し、誰もが公平にアクセスできるようにします。」と述べ、また、「再生可能エネルギーの最大限の導入を進めてまいります。」と述べられました。この法案は、その目的をしっかりと達成する法案なのか、本日は、そういった点を中心に質問をさせていただきたいと思います。

 まず、今月一日から電力広域的運営推進機関が発足をいたしました。これは、今回第三弾目ですが、第一弾目の法改正で決められたものです。この機関は、地域で分けられている電力会社間で地域間連系線などを使って電気を融通し合う司令塔になる機関でございます。

 この広域機関については、私も、再エネの導入が促進されるための大きな鍵であると何回か質問させていただきました。この四月一日の発足式で、宮沢大臣も、再エネを入れるために重要な機関とおっしゃったというふうに伺いました。そう発言されたのは事実でしょうか。

宮沢国務大臣 広域的運営推進機関につきましては、電源の広域的な活用に必要な送電インフラの整備を進めるとともに、また、おっしゃいましたような、全国大で平常時、緊急時の需給調整機能を強化するというために、電力制度改革第一弾で成立させていただいて、四月一日にスタートいたしました。私自身、久しぶりに学士会館で行いましたけれども出席をして、御挨拶をさせていただきました。

 おっしゃるとおり、再生可能エネルギーを可能な限り最大限導入しながら、低廉で安定的な電力供給を実現すること、これもこの機関が取り組むべき大事な課題の一つであると考えております。再生可能エネルギーの導入拡大のためにこの機関が果たすべき役割は大変大きい、重要な機関だと思っております。

 具体的には、連系線利用ルールの策定や地域間連系線等の整備を通じまして、再エネ事業者も連系線を柔軟に活用できるようになり、その結果として、電力会社ごとのエリアをまたいだ再エネのやりとりが活発化するというようなことが期待されておりまして、再エネの導入拡大に効果を発揮するものだと期待をしております。

落合委員 可能な限り最大限ということで、この広域機関、重要な役割があるというふうに思います。

 この広域機関、事務局約百名で四月一日に発足をした。発足当初はいろいろな会社、業界からの寄せ集めであるということは仕方がないですが、諸外国を見ましても、こういった機関は、独立性を高めていくためにプロパーの採用の割合をふやしております。

 今後、我が国の広域機関についても、プロパーの採用、独自のこの機関としての採用をふやしていくのか、お伺いできればと思います。

山際副大臣 委員御指摘のとおりに、最初はどうしてもプロパーの数が少ないというのは仕方がないと私たちも認識してございます。そして、おっしゃるように、社会から求められる中立性あるいは業務の公益性というものに鑑みますと、電気事業者等からの出向に依存しないためにも、職員のプロパー化に取り組んでいくべきと考えてございます。

 このため、新人、ベテランのバランスや、採用した人材の教育研修など、さまざまな点に留意しながら、長期的に継続して取り組んでいくものと考えてございます。

落合委員 その検討の度合いなんですが、採用していくべきということで、もう就職活動、また来年度の採用が始まりますが、ことしの内定者、来年からの採用というのは具体的にはいかがなんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども詳細を把握しているわけではございませんけれども、現在、広域的運営推進機関において、若干名の予定ではありますけれども、プロパー職員の採用というプロセスを進めているというふうに承知をしております。

落合委員 その独立性を高めていくためにプロパーをふやしていく、それと同時に、職員とは別に、役員についても人事面では注目をしていかなければならないというふうに考えます。

 いわゆるノーリターンルールに関しまして、定款を拝見したんですが、この三十二条を読みますと、最後の方に、役員が退任後に電気事業者の役職員になることを禁止しています。これがノーリターンルールであり、これがきっちり適用されるということでよろしいでしょうか。

関大臣政務官 そのとおりでございます。やはり、独立性を確保しますために、委員おっしゃっているノーリターンルール、定款にきちんと記載されておりまして、守ってまいりたいと思います。

落合委員 今のノーリターンルールが適用されている役員の構成ですが、今、理事長は大学副学長の金本先生、理事が、NTTと東京ガス、大阪ガスが立ち上げたエネットからの方、それから電源開発からの方、そして東京電力からの方、そして、監事も東電記念財団の監事の方。

 この広域機関は、再エネを導入するための役割を果たしていくということにおいて、もう少し再エネ側、新エネ、参入側のことを知っている方を入れてもいいのではないかというふうに思います。広域連系をより推進するという観点からの質問ですが、この点、いかがでしょうか。

関大臣政務官 役員構成につきましては、委員もおっしゃられているとおりでございますが、発電、それから送配電、小売からそれぞれ一名が就任する。そして、バランスをとって、この考え方はそのとおりでございまして、電気事業法でも、理事長が一人、理事二人以上及び監事一名を置くというふうな中におきまして、現在、理事長は、今委員がおっしゃったとおりなんですけれども、中立者である学者の方がつかれていらっしゃる。

 電気事業者の出身者が理事となる場合には、一つとしては小売電気事業者グループ、二つには一般電気事業者グループ、三つには発電事業者グループからそれぞれ一名とする。これは定款に書かれておりますので、それをしっかりと守っていく。それを確認した上で認可を出していく、役員になっていただくということでございますので、現在、理事三名が、先ほど申し上げたような各グループから一名ずつつかれるということになります。

落合委員 これは役員ですから任期がありますので、今後、参入が進んで発電事業者ですとか小売の事業者がふえてきた場合は、また構成を見直すということでよろしいですね。

多田政府参考人 お尋ねの件につきましては、先生御案内のとおり、広域機関、これまでの既存の電力会社だけではなくて、再エネの方々も含めまして、全ての電気事業者が会員となる組織で立ち上がっております。したがいまして、そこでまず議論が行われることが前提かと思っております。

 理事だけではございませんで、私ども、この広域的運営推進機関が、ガバナンスが中立的になるようにということで工夫をしている点といたしましては、例えば評議員会ということで、会員から独立した立場の消費者代表あるいは学識経験者から成る方々で設置いたしまして、この広域機関の重要事項に関しましては理事会あるいは総会の前にその意思決定に先立って内容を審議いただく、こういったプロセスも設けておりまして、全体として広域的運営推進機関の運営の中立性というものが確保されるように、我々としてもしっかり対応していきたいと思っております。

落合委員 いろいろな立場の方を役員にする、評議員会もありますということで、役員に限って言うと、エネットは参入側でありますけれども、もともとNTTや東京ガスなどが立ち上げたということで、やはり国との関係がもともと深いパイプを持っているところですので、ぜひ、これから自由化が進んで、参入が進んできた際には、この方向性の見直しも検討していただければと考えております。

 そして、電力会社間を結ぶ地域間連系線についてですが、使える容量、計算の仕方が調べたらいろいろあるようでして、複数、今何割使っているという数字がいろいろばらばらで出ているんですが、五%から一六%ですとか、それぐらいに近い、どちらにしても半分以上は容量が余っているという試算が出ています。

 これについてはどのようにお考えでしょうか。広域機関ができたということで、今後活用はふえていくと思うんですが、これについてお伺いできればと思います。

関大臣政務官 この広域的運営推進機関ができましたことによりまして、新たな利用のルールの運用が開始されることになるんですが、それをもちまして、委員御指摘のとおり、系統のさらなる活用は促していくような形になってまいります。

 具体的には、今までは一年間を通じて運用容量というのを固定で使っていたわけでございますが、新しいルールにおきましては、三十分ごとにきめ細かく算定していこうというふうなことを考えておりましたり、さらには、小売事業者等に加えまして発電設備設置者も地域間の連系線の利用予約ができるということで、この利用可能量はふえると思います。

 これだけでなくて、さらに、広域的運営推進機関におきましては、電気事業者や広域的運営機関みずからが設備増強の検討提起を幅広く受け付けて、また、国からの要請にも基づいて、設備増強の計画を検討、策定していこうということでございます。

落合委員 この設備増強につきましては、また改めていろいろとお伺いさせていただければと思います。

 ぜひ、この広域機関がどんどん働いていく、動いていくことで再エネの参入が促進されていく、また、いろいろな需給の問題が解消されていくはずですので、ぜひ、この問題、注視をさせていただきたいと考えております。

 それでは次に、将来の再エネの割合、エネルギーミックス、電源構成について、先ほども少し質問がありましたが、二〇三〇年の時点で再エネを何%導入するか、エネルギーミックスについての議論をされていらっしゃると思います。

 事前に報道されている数字では、経産省は風力を除いて二〇%超、環境省は最大三五%。一方、諸外国、先進国を見てみますと、同じ二〇三〇年で、フランスは四〇%の目標、EU四五%の目標、アメリカのカリフォルニア州が五〇%、ドイツはその五年前の二〇二五年で四〇から四五と計画、目標がつくられております。

 国際的な流れからすると、日本がもし仮に二〇%超とした場合は低いのではないかというふうに先日質問をさせていただきました。そのときに、専門家による話し合いが行われている最中なので、予断を持ってお答えする段階にはないということでしたが、きょうの時点でもまだ答える段階ではないということでしょうか。

宮沢国務大臣 先ほどもお答えをしたところでありますけれども、先日お答えしたように、一月の終わりから長期エネルギー需給見通し小委員会において専門家による議論を今お願いしているところでございます。また、発電コストにつきましてもワーキンググループを立ち上げて、各電源ごとの発電コストの計算を今していただいているところでございまして、私どもが今、予断を持って申し上げるということにはいかないわけでありますけれども、速やかに結論を得たいと思っております。

 先ほど申し上げましたように、一方で、エネルギーミックスというものを前提にして、それと整合性を持った形で、いわゆるCOP21対応、地球温暖化に我が国としてどう対応していくかということを決めていかなければなりません。そして一方で、この六月の初めには安倍総理がG7に出席されるということを考えますと、やはりG7の場で総理からそれなりの御発言をしていただくような形には持っていかなければいけないと考えておりまして、今鋭意作業を進めているところでございます。

落合委員 今のこの電力自由化に関する法案を審議する上では、エネルギーミックスの目標値をどれぐらいにするか、事前に政府の目標がわかっていた方が、より具体的な審議ができると思います。

 G7までにというのでありましたら、もうあと少しなわけですし、やはりエネルギーミックスに関する政府の見解というのは、ちょっと早く取りまとめれば、今の時点で発表しているわけですし、もしくは法案の審議のタイミングを少し後ろ倒しにすればよかったのではと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 電力に関して申し上げますと、今回御提案して御審議いただいている法案は第三弾でありまして、一昨年成立いたしました第一弾におきましていわゆるプログラム規定が置かれております。そして、三段階目に法的分離を行うというプログラム規定が置かれているわけでございまして、それに基づいて御審議をいただいているわけでございますので、エネルギーミックスがなければ法案の中身がわからないといったものではないと考えております。

 一方で、先ほど申し上げましたように、作業を今鋭意進めているところでございまして、例えば、先週、先々週というような形で自民党の中のエネルギー関係の調査会の御意見を伺ったり、また環境関係、温暖化対策関係の調査会の御意見を伺ったり、また公明党からも御意見を伺ったり、一方で、今週中にはいわゆる組合関係の方の御意見もいただけるというようなことでございますし、また経団連等々からも昨日御意見を伺ったり、そういう作業を今鋭意進めております。

落合委員 急いでいただいているということで、国会の審議をより充実させるためにも、早目にぜひ数字を出していただければと思います。

 では、発電コストについてでございます。

 まず、原発の発電コストについてですが、我が国では原発は低廉で安価であるというふうに位置づけがされております。しかし、海外を見ますと、例えば二〇一二年七月三十日のイギリスのフィナンシャル・タイムズでは、アメリカ、GEの最高経営責任者が原発は経済的に正当化するのが非常に難しいと語っておりますし、その前年、ドイツのシーメンスの社長が、ドイツの雑誌シュピーゲルで原発撤退を表明しております。

 それから、これも少し話題になりましたが、ドイツの再生可能エネルギー協会が保険の計算をするシンクタンクに委託した研究では、原発に保険を掛けた場合、ドイツの十七基全体を掛けてリスク分散したとしても、保険の期間を五十年と長くもっても一キロワットアワー当たり保険料が約六十五円かかってしまう。

 要は、世界のグローバル企業が本当の経済合理性だけで考えると、原発は高いという判断、そして数字が出てきております。一方、我が国の方を見てみますと、例えば、きのう私も大手電力会社の資料などをいろいろ拝見しましたが、ある大手電力会社が発表している原発のコストは再エネや火力よりも断然安くて、一キロワットアワー当たり八・九円。高いと世界のグローバル企業が言っている一方で、我が国の電力会社は一番安いと言っています。

 素人感覚からしても、これだけ極端に開きがあると、我が国の計算方法は何か問題があるのではないかというか、どうしてここまで開いてしまうのかと率直に思うんですが、いかがでしょうか。

関大臣政務官 我が国のエネルギーの発電コストの算出の仕方でございますが、これにつきましては、二〇一一年に政府が行っているところが今一般的には数字が出ておるんですけれども、その方法というのはOECDが採用しております考え方の手法がとられております。いわゆるモデルプラントをつくるという概念をとって、そのときにどれぐらいのコストがかかるのか、それで試算する方法でございます。

 原子力発電のコストにつきましては、安全対策、廃炉、使用済み燃料の再処理等の費用を計上して、それも全部試算で入れました。その上でもなおかつ他の電源コストと比較しても遜色なく安いということで計算がされたところでございます。

 現在は、エネルギーミックスの検討にあわせまして、各電源ごとの発電コストについて審議会で議論が行われているところでございます。

 なお、この発電コストの検証ワーキンググループの委員なんですが、この九名中六名は前回の発電コスト検証の際の委員会でも委員を務めておられた方で、その計算方式におきましては継続性のある考え方を持って計算をしていこうというふうなことでございます。

 そして、海外の事情でいろいろ比較される点につきましても言及なされておられましたけれども、例えば米国や欧州など、海外の電源コストを日本と比較する際に、ちょっとなかなか単純な比較というのも難しいかなと思うことがあります。例えば日本におきましては、シェールガスが大量に産出するようなアメリカなどとは、いわゆる価格競争力という観点は、経営上もいろいろ発電会社は考えるでしょうから、そういう点からしましても、いろいろな政策的な意味を持ってその価格も決めるようないわゆるエネルギー産出国と単純に比較するのもちょっと難しいかなと思うところでございます。

落合委員 また、発電コストに関しまして、再エネの初期費用についてなんですが、例えば太陽光パネルの価格それから設置費用を比べますと、これもいろいろな試算が出ていますが、キロワット当たり日本が三十六万、ドイツが十九万という数字もあります。これは二倍近く高いわけですが、再エネの初期費用がほかの先進国よりも高い、これは内外価格差、ほかの分野についてもそうですが、あと流通の問題とかもあると思いますが、再エネの初期費用が高いという点についてはいかがでしょうか。

関大臣政務官 日本の場合、固定価格買い取り制度の開始後、太陽光の発電設備の初期導入費用は、初年度が一キロワット当たり三十四万円だったんですが、最も近い現在の値段からしますと、今は一キロワット当たり三十・七五万円まで低下をしてきておるんですけれども、例えばドイツと比較しますと依然として高いというのはあるんですが、これは、今委員もおっしゃられたように、パネルやパワーコンディショナーの設備費用が非常に高いというのも事実です。

 その原因としましてなんですけれども、再生可能エネルギー関連工事以外の工事案件の増加、例えば今だったらオリンピックのことがいろいろありますが、そういうふうな工事がいろいろあることによる人件費も含めての単価の増加や、それともう一つ、円安傾向によります輸入する際の海外品のモジュール価格の上昇、そういうふうなことがいろいろ考えられると思います。

 そういう中において、政府としましては、コスト低減を買い取り価格に厳格に反映したいと考えておりますし、また、パネル等の設備の高性能化、さらには低コスト化や、設置工事の工法の低コスト化という技術開発面等の取り組みをいろいろ組み合わせながら進めてまいりたいと考えております。

落合委員 この問題、国策で原発を推進している国はどんどん原発をつくっていますが、原発は撤退している、特に先進国はそうである。日本は、経済合理性から考えると原発が安いので原発を続けましょうというふうに政府は言っているわけでして、発電コストの問題は、私も今後も深く調べてまた議論をさせていただきたいと考えております。

 では、今度はエネルギー産業と金融の問題です。

 指定電気事業者制度、以前にも質問させていただきましたが、東電、関電、中部電力を除く電力会社が、再エネ事業者に対して無制限、無補償の出力抑制を行うことができるようになりました。それまでは三十日、一年間の八%まで無償で出力抑制、わかりやすく言えば接続を拒否することができるという制度で、これは今まで発動したことはありませんでしたが、前回、三十日という数字が外されて無制限になりました。この三十日という数字を外したことで、事業計画やリスクの計算ができなくなって、ファイナンスができなくなるのではという質問を以前私もさせていただきました。

 この影響がどうなっているのかと思いまして、ざっと新聞記事を調べてみますと、四月十三日、日経新聞、「太陽光、融資ためらう銀行」、そして三月十一日、先月ですが、毎日新聞にも、みちのく銀行という具体的な銀行名を挙げて、融資の審査が難しくなってしまった、今後は参入が難しくなるというような記事が出てきております。

 実際にファイナンスにやはり影響が出始めている、このことについていかがお考えでしょうか。やはり数字は残しておくべきではなかったんでしょうか。

関大臣政務官 落合委員からはこの点について前にも御質問があって、非常にいろいろ考えるところがある、御関心の部分だと思います。それをもちまして、ちょっと丁寧に回答させていただければと思うんです。

 従前のルールでは三十日という上限を設定しておりました。指定電気事業者制度におきましてこうした一定の上限を今回設けがたい理由としましては、もし一定の上限を設けた場合には、確かに、委員もお考えのとおり、一定数の再エネ事業者はこの上限日数内では出力制御が保証されるという保証のいい部分もあるんですけれども、実際には上限を設けがたい理由としましては、一つには、その後に接続される再エネ事業者の出力制御日数がさらに大幅に増加することが見込まれるという点が一点あると思います。それで、二点目でございますが、これらの再エネ事業者間で不公平が発生する可能性も考えられるかなと思います。三つ目には、電力会社の系統運用が複雑になり過ぎまして混乱が生じないのかな、そのおそれもあるなと思われます。

 このため、指定電気事業者制度の適用によりまして、ある意味では本当にワークシェアリング、よく今言われていますが、ワークシェアリング的に多数の事業者によって出力制御を受け入れることで、将来の接続可能性が拡大して、再生可能エネルギーの導入がかえっていい意味で促進されるような点を我々は望んでまいりたいと思います。

落合委員 この質問を一カ月か二カ月前にさせていただいたときに、ビジネスの判断に大きく影響を与えないように、金融関係者を含めしっかりと判断が可能であることが重要なので、今度改正した省令の中で、出力制御の見込みについて適切に情報提供を行うことを規定していますとお答えいただきました。これについて、具体的に今どうなっているでしょうか。

関大臣政務官 再エネ事業者の予見可能性を確保するための情報提供は、以前もちょっとお答えしたような部分と重なってしまうんですけれども、今回の措置を講じるに当たりましては、再生可能エネルギーの発電事業者の予見可能性を確保するために、今般改正をしました省令の中で、出力制御の見込みについて適切に情報提供を行うというのを明確に挙げております。規定を入れております。

 このため、先月、中立的な専門家から成る第三者委員会、系統ワーキンググループにおきまして各電力会社より出力制御見込みに関する報告がなされました。議論がそれを踏まえて行われたところでございまして、当該報告内容につきましては、各電力会社が公表を行っております。それで、今後も、状況変化等に応じまして議論を継続していこうということでございます。

 こういうふうな取り組み、予見可能性の確保に努めてまいることにつきましては、引き続きずっと続けていきまして、やはり目的というのは再生可能エネルギーの最大限の導入実現だ、その目標に向かって尽くしてまいりたいと思います。

落合委員 広域連系をより深めていけば、出力抑制をする必要性というのは少しは下がるというふうに思いますので、ぜひ、総合的に、複合的に御対応いただければと思います。

 少し金融のこととも関係しますが、電力事業における外資の参入規制について伺います。

 電力事業は、産業の面においても生活においても重要な基盤ですので、外資の参入規制が必要であると考えます。この点については、どのように今想定して対応を、準備をされているんでしょうか。

山際副大臣 電気事業、またガス事業もそうですが、今までも、外資の参入については、外為法に基づいて、公の秩序の維持を妨げるおそれがないか、すなわち我が国の電気の安定供給の確保等に支障を生ずるおそれがないかといった観点から、個別に審査を行うことになってございます。したがって、実際に外資が我が国の電気事業やガス事業に参入しようとする場合は、今申し上げたような外為法に基づいて個別に審査を行うことになります。

 小売の全面自由化を実施した後においてもこのルールで行いたいと考えてございまして、また、安定供給の確保等に問題がない限りにおきましては、再生可能エネルギーなどのさまざまな発電事業や、電気、ガスの小売事業に多様な事業者の参入を認める方向で対応はしてまいりたいと思います。

 ただし、一般論として申し上げれば、我が国の原子力事業者あるいは送配電事業者、ガス導管事業者に対する外資の参入申請があった場合には、公の秩序の維持の観点から、慎重な検討を行う必要があるものと考えております。

落合委員 調べてみますと、今までも、ある電力会社を外資が買収しようとしたときに外為法でとめているということで、これからも外為法を使っていろいろとやっていきますということですが、例えば、同じようなインフラで、まあ少し違いますが、放送法では法律で出資規制が規定されていますが、電力ですとかエネルギーに関しては、本法案とかで何らかの措置を講じるのではなくて、あくまでも外為法でということでよろしいでしょうか。

宮沢国務大臣 幾つかの業種におきまして、個別法で外資規制をしている場合がございます。一方で、電力につきましては外為法ということで、今申し上げました。

 個別法で規制する場合は上限規制でありまして、上限を決めている、それ以上は買い増せない、こういうことになっているわけです。一般の外為法は、一〇%を超えて買う場合に、これは上場企業の場合でありますけれども、個別審査に移ってくるということ、個別審査の結果、問題がなければ、それは何%、三分の一とかいう上限ではなくて、百分の一でも可能であるということで、性格が違っておりまして、私は、外為法の規制で十分なんだろうというふうに思っております。

落合委員 ありがとうございます。

 では次に、発送電分離についてお伺いします。

 電力自由化においては、誰もが公平に発送電ネットワークにアクセスできるようにする、送配電会社を発電会社、小売会社と分離させて、独立性、中立性を持たせるということは重要なことでございます。それで、資本関係も解消する所有権分離、資本関係は持ったままにする法的分離の議論もございました。この法案では法的分離に落ちついております。

 何回か質問しましたが、資本関係を有している法的分離でも、独立性、中立性はしっかり担保できるということでございました。

 この中で、独立性という観点でいいますと、送配電会社の役員のグループ会社の役員等への兼職の禁止が明記をされております。

 この法案作成に当たり、経済産業省の総合資源エネルギー調査会基本政策分科会の制度設計ワーキンググループにおいて、送配電会社の役員退任後も一定期間の就任制限を設ける、そういう方向性が示されていましたが、実際に、今回法案で上がってきましたら、それが入っていませんでした。ヨーロッパなどでも退任後の就任制限がありますが、どうして、検討していたにもかかわらず、今回の法案ではそれが入っていないんでしょうか。

山際副大臣 職業選択の自由というのは大変重要な権利でございますので、これに抑制的にさまざまなルールをつくっていくというのは、非常に慎重な検討をしなくてはいけないというのは一般的に言われると思います。

 今委員に御指摘いただいたように、原案というか最初の段階では、そうすべしという意見もあったんですが、その後、政府部内において検討した結果、離職後の人事異動への制約は、労働者の基本的な権利に対する制約でもあり、抽象的かつ広範に規制することは法制的に不適切との結論になり、広範な人事異動を法律上罰則つきで規制することは行わないということにしたものでございます。

 なお、法的分離は送配電と発電、小売の資本関係を認めるものであることから、送配電部門の中立性を確保するための何らかの行為規制が必要なことに変わりはありません。実質的な中立性を確保する観点から、事後監視を厳格に行うことで十分か否かなど、今後、法的分離の実施までに精査を行い、必要な措置を検討してまいります。

落合委員 送配電会社の役員のときはグループ会社の役員にはならない、ただ、やめたらすぐにもしも役員になったとして、それは職業の選択の自由、これは憲法で認められていますので重要な問題だとは思うんですが、この電力自由化、送配電網の独立性において、職業を縛らないとしても、情報の問題ですとか、こういう個別のことについて何か決まりとかはつくるんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、事前のワーキンググループの段階でさまざまな指摘があったというのは事実でございまして、私どもとしても、中立性の確保という観点から、具体的にそういう事後的なものとしてどういったものがあるのかというのは、先ほど副大臣から申し上げたとおり、検討していかなければならないと思っております。

落合委員 これは、分離するのは二〇二〇年ですので、それまでにぜひこの規定というのはきっちりとしていかなければならない問題だと思います。

 あと、これは、はっきりとはまだ決まっていないでしょうが、グループ会社間の役員の禁止のところに、省令で定める適正な競争関係を阻害するおそれがない場合は兼任してもいいと例外規定が設けられています。これは、どうとでも裁量で決めることができるような仕組みになっていまして、かなり適用されないようにしなきゃいけないと思いますので、ぜひここも、私も注視させていただきたいと考えております。

 電力自由化、競争市場がこれからできていくということで、電力の小売全面自由化は来年の二〇一六年に実施されます。一方で、発送電分離が二〇二〇年である。電力小売が自由化されたにもかかわらず、まだ送配電網の開放が四年間はされていないという状況なわけですが、この四年間、しっかりと公正な競争ができるような担保がされるんでしょうか。

山際副大臣 今回の改革を進めるに当たって、改革を全て条件が整ってから一度にやるということと、そうではなくて、やれるところから確実に進めていこうという考え方とあると思うんです。私たちは、三回に分けて今回の改革法案というものを出してきたという経緯もあり、できるところから確実に実現をしていこうという観点で進めさせていただいていることだと御理解いただければと存じます。

 また一方、二〇二〇年まで何で時間がかかるかということも、当然理由があるわけでございまして、送配電部門から発電所に指令を行うためのルールの整備、これに約一年ぐらいかかります。それから、システムの設計にも一年ほどかかります。実際のシステムの開発にも三年から五年かかるというようなこともございまして、安定供給のためのルールやシステムをしっかり整備した上で分離を進めるための準備がどうしても不可欠でございまして、それの準備期間というものを見越して、二〇二〇年四月一日に実施することとしてございます。

落合委員 会社を分けるということは、大変な作業がありますので、何年かかかってしまうのは、それもあるというふうに思います。

 小売の全面自由化をしてから送配電網が開放されるまで四年間、この四年間も公正な競争というのが行われなければ完全自由化ではないわけでございまして、公正な競争が四年間しっかりと行われるような措置というのはとられているんでしょうか。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 法案の中には、電力・ガス取引監視等委員会、この設置を御提案申し上げております。この新しい組織において、しっかりと競争が進むといったことを確認していく、こういったことになろうかと思います。

落合委員 この法案が通れば、六カ月以内でしたかに監視機関が立ち上げられるというふうに明記されておりまして、その監視委員会について質問をさせていただきます。

 正式名は電力・ガス取引監視等委員会ですが、この改正案の百十一条に電気事業に係る苦情処理というふうなものがあります。これは、どのような体制で、どのような形式で苦情を受けていくんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今般設立いたします委員会には、苦情を誠実に処理し、処理の結果を申請者に通知する義務、こういったものを課すことにしております。

 具体的な手続につきましては今後検討させていただきたいと思っておりますけれども、委員会の事務局において苦情を受け付けまして、必要に応じまして、任意の調査や、法律に基づく報告徴収あるいは立入検査、こういったものを実施いたしまして事実関係を調査していく、こういったことになろうかと思います。

 その結果、違法行為の端緒といったものをつかんだ場合には、事業者に対しまして今般の委員会みずから業務改善勧告といったものが行えるようにしておりますし、あるいは、経済産業大臣に対しまして業務改善命令などを行うべき、こういった勧告もできるようにしておりますので、そうした措置をとっていくことになろうかと思います。

落合委員 この機関は市場の監視ですので、こういう通報ですとか苦情を受けて、それに対して対応していくというのは最も重要な部分であると思います。

 市場の監視ですから、電力会社の内部からの内部通報、公益通報というようなこともしっかりと受けて、しかも秘密が守られるという体制をつくっていかなきゃいけないと思うんですが、この通報者の保護についてはどのような体制を整えるんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘のいわゆる公益通報になりますけれども、電気事業者などに従事いたします労働者の方から会社の中の法令違反行為につきましてそうした通報がなされた場合、これにつきましては、公益通報者保護法、こちらに基づきまして通報者の保護を図ることとされております。その法律に基づきまして、公益通報をしたことを理由とする解雇、これは無効であるということ、あるいは不利益な取り扱いを禁止する、あるいは通報を受けた事業者や行政機関がとるべき措置といったものがこの法律によって定められております。

 国の行政機関に対します外部の労働者からの通報につきましては、各府省におきましてその処理手続に関する内部規程が定められております。私ども経済産業省におきましても、例えば、通報者の個人情報の保護に留意しつつ、迅速かつ適切に通報を処理しなければならないといったことでありますとか、その秘密を漏らしてはならないといったようなことなど、通報者の保護に留意をいたしまして通報を処理する仕組み、こういったものが整備されております。

 今般設立いたします委員会につきましても、こうした経済産業省に定められました内部規程に従って、公益通報者の保護を図っていくこととなると考えております。

落合委員 電力会社などの内部からの通報、そして監視委員会の内部からの通報に対する対応について伺わせていただきました。

 この監視機関について、独立性、中立性、そしてある程度の権限を持たせるという観点から、今まで、大臣直属の八条機関にするのか、もしくはもっと独立した三条委員会にする方がいいのではないかという議論もいろいろな場所でされてまいりました。私も以前質問をさせていただきましたが、証券取引委員会のような権限の強い機関も八条委員会だというようなお話がございました。

 その証券取引委員会を調べてみますと、証券取引委員会の委員は常勤三名でございます。こちらの監視委員会の委員は非常勤であると。全員非常勤で、日々取引が行われるライフラインのあり方を監視するこの監視体制というのは非常勤で十分なんでしょうか。

山際副大臣 今般設立する電力・ガス取引監視等委員会の委員長及び委員には、電気事業者のみならず、法律、経済、金融や工学などのすぐれた識見を有し、監視や規制の対象である電気事業者等と伍することができる専門性が必要でございます。また、同時に、常に変化する市場の中で、最新の知見を持った人材を任命することも重要となります。

 このため、委員長及び委員を非常勤とすることで、非常勤でしか勤務できない者も含めまして、幅広い層の中からより適切な人材を任命することができる仕組みとしてございます。

 なお、早急の対応が必要な案件への対応や事務局へのガバナンス確保に万全を期すことも重要であることから、五名のうち少なくとも常時二、三名が出勤する勤務形態とすることを想定してございます。

落合委員 あと、委員の人選についてなんですが、インフラですのでこれだけ重要性が高いのであれば、任期ごとに国会のチェック、国民のチェックがきくように、国会同意人事にするという選択肢もあったとは思います。八条委員会でも国会同意人事が行われている委員会もありますが、国会同意人事にはしない、これはどうしてなんでしょうか。

山際副大臣 やはり、これはエネルギーのことでございますから、エネルギーのことにつきまして政策もきちんと責任を持っているその枠組みの中で市場の監視を行うことが必要である。エネルギー政策を所管する経済産業大臣が責任を持って任命することが適切と考えてございます。

落合委員 この委員に誰を選ぶかというのはかなり重要な問題ですので、ぜひ、国会同意人事にしないのであれば、透明性ある選び方、この仕組みをつくっていかなければならないというふうに思います。

 また、委員の身分の保障についてなんですが、中立的、しかも独立性を持って、それで権限も持っている、これはいろいろな利害関係の調整もこれから生まれてくるでしょうから、大変な役職であると思います。

 証券取引委員会の場合は、その意に反して罷免されることがないというふうに身分保障規定がついています。これはこの監視委員会にはつけなくて大丈夫ですか、今ついていないですが。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

山際副大臣 証券取引委員会の例を出していただきましたが、少し差がありますので、御説明申し上げます。

 この電力・ガス取引監視等委員会の委員は、一般職の国家公務員となるため、その身分保障の措置については国家公務員法の規定が適用されるということとなります。

 その国家公務員法の中に、心身の故障のため、職務の遂行に支障がある場合などを除き、その意に反して、免職されない、すなわち、証券取引委員会の委員と同じ身分保障の項目が入ってございます。これで保障されているということでございます。

 他方、証券取引等監視委員会の委員は、特別職の国家公務員であることから、そのようにしてあるということでございます。

落合委員 ありがとうございます。

 先ほど、広域機関のところでも伺いましたが、今度は事務局の職員、初めは電力会社やそれからエネ庁などから寄せ集めになるというふうに思います。独立性、中立性、この機関こそ高めていかなくてはならない。そのためにはプロパーの採用、例えば、お役所でも特許庁のように、委員会の事務局の職員の独自採用も必要だと思うんですが、そういった独自採用は順次していくということでよろしいでしょうか。

山際副大臣 もちろん、専門性の高い人材が必要だというのはそのとおりでございますが、一方で、先ほどもちょっと答弁いたしましたけれども、電気事業に精通しているだけではなくて、法律、あるいは経済、金融、工学などといった専門性が不可欠でございまして、委員会事務局は、こうした識見を有する多様な人材の中から構成される組織としていかなければいけない、このように思ってございます。

 このような観点から、弁護士、公認会計士等の外部人材を積極的に採用するとともに、電力行政等に携わってきた資源エネルギー庁の職員が事務局に異動して、その知見を生かして取引の監視等を行うことが重要であって、また、逆に、事務局職員が資源エネルギー庁に異動するなんということもあるんだろうと思ってございます。

 いずれにいたしましても、人材育成をこれからしていかなくちゃいけないということもございまして、幅広にその採用等々も考えていくことになると思います。

落合委員 今の答弁ですと、エネ庁の職員にプラスして、会計士ですとか弁護士ですとか士業の方、専門職の方を採用しますと。

 新卒での採用などについては、これから検討するということでよろしいでしょうか。

上田政府参考人 今の御指摘は、広域的運営推進機関としてプロパーの職員の比率を高めていくべきではないかという御指摘かと思います。

 御案内のとおり、この機関は、専門性、実務的な経験、ノウハウが必要であるわけでございまして、また電力会社からの出向にも依存しないためにも、中長期的にプロパー職員の数を拡大していくということが必要であると考えておりますし、また、この機関におかれましても、職員のプロパー化に継続的に取り組んでいくという方針のもとで運営をされていると承知しております。

落合委員 この問題は、また何カ月かしてからお伺いできればと思います。

 この監視委員会、東京に置かれるということになっておりまして、電力の取引、自由化されますと全国で行われることとなると思うんですが、地方の電力取引の監視、それから電力市場のあり方、これはどのように監視するんでしょうか。組織のあり方も含めて、お答えいただければと思います。

山際副大臣 御指摘のとおり、事業者に対しまして報告徴収によって必要な情報を収集いたしましたり、営業所等に立ち入って検査を行うということなどを通じて、取引の監視を行うことになります。

 これらの委員会の権限は、各地域の経済産業局長に委任することによって、委員会の指揮監督のもとで、経済産業局が地方の事業者への報告徴収や立入検査を行うことができるようにすることを想定してございます。

 このように、地方における取引にもしっかりと監視の目が行き届く仕組みを構築してまいりたいと存じます。

落合委員 経産省の外局を使っていくということでございますね。

 時間が来ましたが、安倍総理が言う公正なアクセスができるようになるか、これは電力改革の鍵になるというふうに思います。公正な競争市場をつくって、イノベーション、技術革新を起こしていく。これが日本人の生活を変えて、雇用も生んで、日本経済の活性化にもつながっていく。そして、電力業界の新しいフロンティアを開いていくことにもなっていくと思います。

 ぜひとも、この問題、これからも注視させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 本日は、まことにありがとうございました。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 通告にないんですけれども、きょうの十時五十分に、総理官邸の屋上に無人飛行機が落ちていたというのが、朝、報道で、今百人を超える捜査員の方がいて、放射能を示すマークがあったり、国交省によれば、人が乗らないような小型のドローンは、おもちゃの飛行機と同じで、航空法上でいったら飛行機に当たらなく、高度二百五十メートル未満だったら何ら飛行に制限がないと。

 これがもし原子力発電所に、一機だけじゃなくて、爆薬なのか爆弾なのかサリンなのかわかりませんけれども、ちょっと今までとは違う想定をしなければならない。三・一一のときに想定外だったというのが何か流行語みたいな形になったと思うんですけれども、今回、そういったことが身近に、すぐそこなんですよね、総理官邸は。それを先に、質問に入る前に大臣の感想を聞かせていただければと思います。

宮沢国務大臣 私は、昼のニュースでそういうニュースを聞きました。総理がいらっしゃらないときに落ちてくるというのはどういうことなのかなと実は思っておりましたのですけれども、たしかアメリカのホワイトハウスでも同じような話がそう遠くないときにあったと思います。

 一方で、原発につきましては、規制委員会で新規制基準に基づいて適合性を審査していただくわけでございますが、たしかその中にも、飛行機が落ちてくる確率みたいなものも入っていたというふうに記憶をしております。

鈴木(義)委員 てんぐ巣ではこれは防げないと思うんですけれども、やはり、あらゆることを想定しないと。

 これは質問通告していないので今お尋ねするのも失礼かもしれませんけれども、三・一一の東日本大震災のときも、想定内だ、想定外だというお話があったんだと思うんですね。でも、実際、今回の原発の再稼働をするとか、いろいろなミックスも含めて、何が今までと、三・一一の前と、それをもとにして検証した結果、何と何と何が想定の範囲になったからこれは大丈夫なんだというのがきちっと説明がされていないような気がするんですけれども、まずその点だけちょっと先に。

宮沢国務大臣 新規制基準につきましては、規制委員会の方から詳しく説明しなければいけない話だと思いますけれども、福島第一原発の事故を踏まえて新しい規制基準が決まっておりまして、まさにあの事故の経験を基準の中に取り込むとともに、それだけではなくて、アメリカとかフランスとか、その他の国の厳しい規制基準を検討し、さらに、日本独自の、火山ですとか、もちろん地震は今の話に入っているわけですが、火山爆発といったようなことまで含めて新たな規制基準をつくって、それに基づいて適合性を審査している。

 ただ、一方で、これは規制委員長もおっしゃっておりますし、私どももそうですけれども、一〇〇%の安全ということはないわけでありまして、安全神話に陥ってはいけない。

 そういう意味からいえば、例えば一回稼働を始めた原子力発電所につきましても、規制基準が、新たに厳しい技術が見つかる、発明されるといったようなことで新しい基準に変わったときには、後になってその部分も直してもらうことを入れるというようなこともありますし、また、事業者におきましては常に安全性に気をつけて、規制当局も安全性に気を配りながら、稼働した原子力発電所についてもそういう視点から常にチェックを行っていかなければいけないんだろうというふうに思っております。

鈴木(義)委員 ぜひ具体的に対比表みたいなものを出していただいた方が国民の不安を払拭する一つのすべになるんじゃないかなと思います。

 本会議のときにお尋ねしたことをちょっとなぞらせていただく質問が多くなると思うんですけれども、総理に私が温室効果ガスの削減目標についてお尋ねしたら、まだ具体的なことは決まっていない、こういう御答弁をいただいたんですね。

 これは四月九日の日経新聞なんです。これを私が見るということは、国民の大多数の人は、この新聞を読んでいる人は、ああ、日本もこういうふうにやるんだな、こういう話になるわけですね。

 後から官房長官が、こういうことは政府見解としては具体的には示していないんだというような談話を発表されたというお話なんですけれども、それを聞いていない人はほとんどこれで国は進んでいくんだろうなというふうに思うし、きょうの大臣の答弁を聞いていても、COP21の話をされたり、六月の下旬なのか上旬なのか、G7でもこれについての何らかのコメントを出さざるを得ないだろうと。答弁の中に、ことしの秋ぐらいになるんでしょう、価格の問題だとかベストミックスの話の、審査会でやって方向が出されると。というと、そのことの方が先の次元の中でありながら、六月のときにコメントを出せるのかどうかということなんですね。

 TPPのこともそうなんです。私たちは、政府側からは一切何の情報も発信されない、マスコミが流した情報をお尋ねしても、それはあくまでもマスコミが入手した情報に基づいて書いているだけだから、私たちはいかんともしがたい、正しいか正しくないかコメントも差し控えさせてくれ。農林水産委員会で何回も聞いた議論なんですね。

 この新聞の記事もそうなんですけれども、経産省と環境省でこういう方向で今検討しているんですよというのは、誰がこのネタを流すのか。流していないとすれば脇が甘過ぎるんじゃないかと思うんですけれども、そこのところを大臣にちょっとお尋ねしたいんです。

宮沢国務大臣 まず、今後のプロセスといいますか、流れについて少し御説明をいたしますと、まず、十二月にパリでCOP21が開かれまして、そして、次期の温暖化目標についての議論が国際会議で行われる。こういう中で、六月の初めに、先ほど申し上げましたようにG7が開かれる。

 こういう中で、今、ベストミックスというものを、これはこれまでの議論で申し上げましたけれども、二〇三〇年ということになろうかと思いますけれども、二〇三〇年に向けてのまさにエネルギー源、また電源構成の見通しであり、あるべき姿といったことを、今、審議会、小委員会で検討をしていただいております。

 そして、これについては、各方面から今いろいろな意見を、もちろん公募もしております。いろいろな意見を受け付けておりますし、また、セミナーみたいなものをやっておりますけれども、例えば経済界である、例えば労働組合である、例えば中小企業の商工会議所であるとか、自民党、また公明党等々からいろいろな意見をここ最近はたくさんいただいております。

 そういうものをいただいておりまして、そういうものも踏まえながら、今審議会において検討をしていただいている。そして、これがある程度まとまった段階で、それと整合性を持ったような形で、いわゆる温暖化対応というものが決まってくる。

 恐らく、日経新聞に出ているのは、その温暖化対応の話をある意味では先取りされて記事にされていると思いますけれども、まず、前段階のベストミックスというものがまだ決まっておりません。したがって、温暖化目標がひとり歩きしているというのは、正直、私にとっては大変不思議な感じがいたします。

 ですから、ある意味でいえば、秋口に云々ということでは決してなくて、やはり六月のG7といったものを、スケジュール感を入れた上でエネルギーミックスをお示ししなければいけませんし、そして、政府としての一定の方針を決めていかなければいけない、こういうことだろうというふうに思っております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。この新聞の記事に関しては承知しました。

 次に、エネルギーミックスの御説明も今いただいたんですけれども、価格は価格で別に審議をしている、ミックスはミックスで別に審議しているという御答弁をいただいたんですね。

 でも、実際、価格があって、発電をするもと、火力がいいのか、原子力がいいのか、風力がいいのか、水力がいいのか、その他の地熱がいいのかは別にして、それと対比して幾らかかるんですよというのをあわせて国民の意見を聞くべきものじゃないかと私は思うんですけれども、別々に進行させて、そこで出たものを国民にどこかでもう一回問いかけるようなことを考えないと、最終的な消費者は国民なんですね。

 地球温暖化の二〇%削減、四年前は二五%削減と国連で声高々に発せられた元総理もいらっしゃったんですけれども、国民にとっては、二五%にしようが二〇%にしようが、ある意味、関係ないという言い方は語弊があるかもしれませんけれども、私たちの生活とはかけ離れたところの話なんです。国が国際公約上の約束をしたいということであれば、そこで発した数値に関してはやはり国が責任を持つべきだと思うんですね。

 例えば、農林水産委員会で、林業の方に地球温暖化のためにもっと剪定をよくして育林に努めてくれというんですけれども、林業者というのは木を育てて切って商売にするのが仕事で、別に地球温暖化を商売にしているわけじゃないんです。そこのところなんだと思うんですね。

 だから、本当に国が国際公約としてきちっと目標を定めてやろうとするのであれば、やはりそこは国が責任を持つべきことだと思うんですけれども、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、林業の森林吸収源対策ということにつきましては、これは私どもの役所の仕事ではないわけでありますけれども、私も前に税制調査会の取りまとめ役をやっておりましたので、毎年末議論になりますのが、いわゆる新たな税を上げるなりつくるなりして森林吸収源対策にお金を回してほしいという、農水省が大変大きな根回しをいたしまして、議員からは大きな声で、ともかく、これは簡単に言えば、間伐をしっかりやることによって木を伸びやすくして吸収を大きくするということについて、農水予算の中ではなかなか限りがあるので、新たな税なり税収で賄いたいということに対して、経産省及び環境省が、そんなことに使わせるわけにはいかない、自分たちのお金でやりなさいということで議論が行われております。今回も、森林吸収源対策をこの温暖化の中でどういうふうに位置づけていくかということについては、私どもと違う世界で恐らく内々の議論はされているんだろうというふうに思っております。

 一方で、エネルギーミックス、また、発電コストについてのお話がございました。

 発電コストといいますのは、やはりエネルギーミックスを検討するに当たっては、スリーEプラス安全、Sといったものが大変大事でありまして、まず、安全保障、自給率をどの程度高めていくのか、それから、CO2の排出源をどう下げていくのか、そして、いわゆるコストがどの程度なら国民が受け入れられるかといった要素を勘案していかなければいけないわけでありますが、その参考として、エネルギーコスト、それぞれの電源ごとのコストといったものを、民主党政権のときにもおつくりいただきましたけれども、それを基礎にして今見直し作業を進めている。

 そして、発電一キロワットアワーで幾らかかりますよということをお示ししても、恐らく国民自体はそれだけではなかなかわかりにくい話だろうと思います。今、審議会、小委員会で議論をしていただいておりますけれども、これはもちろん全部公開でやらせていただいておりますし、また、一般の国民の方からも常時意見の募集をしておりまして、今まで五百件余りの御意見をいただいております。また、各地域においてシンポジウム、これは六回開催をしておりまして、やはり国民の方にわかっていただくということは大変大事だと思っております。

 そうした意味では、ある程度の姿が出てきた段階で、さらに国民の方の意見を聞く方法についても検討していかなければいけないと考えております。

鈴木(義)委員 なぜその話をさせていただくかといったら、これは、平成二十五年の九月に原子力発電所の廃炉に係る料金・会計制度の検証結果と対応策というのが示されているわけですね、約一年半前ですか。今までは、事故を想定していない中での廃炉の費用計上だとか引当金だとか。ここで検証した結果、再稼働するというのは、廃炉と発電は一体としてみなした方がいいじゃないかというような検討結果が出されているわけですね。

 それと、料金設定をするに当たって、結局、原子力を再稼働することも含めて、やはり最後までのところも入れて電気料金の設定をしなければ比較対照にならないんじゃないかと思うんですよ。そこのところを最終判断するのは経産大臣なら経産大臣でもいいんですけれども、そこのところをきちっと、後づけから、こういう費用がかかります、だから電気料金は原子力が一番安かったんですという論法では私はないんだと思うんですね。

 太陽光でも風力でも何でも、減価償却もあれば修繕費もあるし、また、建てかえをしなくちゃいけないときにどのぐらいの費用がかかるか。それによって三十年、四十年、五十年のスパンで一キロワット時幾らかかるというような単価計算をしない限り、選ぶ側の消費者である国民はわからないんじゃないかということなんです。

 だから、そこは専門家の方の御意見を頂戴しているんだと思うんですけれども、ぜひその辺は、検討した結果をまた私たちに御報告をいただくんだと思うんですけれども、その前段として、十二分にやはりこのことも含めて検討していただければなと思いますけれども、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 国民の方々、個人であり産業界の方であり、どういう負担が行われることになるかということは、今後、先ほど申し上げましたように、各電源ごとのコストといったものが、専門家に今検討していただいておりますから、出てまいります。恐らくこれが単価であります。

 そして、電源についてのエネルギーミックスということで、それぞれの電源ごとのまさに量が出てきまして、単価掛ける量ということで、それぞれの電源ごとの単価掛ける量を全部足し合わせたものが国民負担ということになるわけでございまして、これについてもしっかりお示していかなければいけないと思っております。

鈴木(義)委員 自由な競争を促進させる、後段で、後でお尋ねするんですけれども、それは、技術を、ほかがないものを自分のところで取り入れて発電するからコストが下がるとか、よそが二十年で償却が終わってしまうところを三十年使えるからその分コストを下げられるんだとか、そういう中身の話になって初めて電力をつくるときの競争が働くんだと思うんです。

 例えば、太陽光だって、二十年はもちますよと言いながらも、シリコンウエハーのもともとの部材は二十年もつけれども、その側のところは十年しかもたないという話をメーカーから聞いたこともあるんですね。そういったものも原価の中に入れてきちっと割り出さないと、どっちを選択していいのかというのが国民がわかりづらいだろうということなんです。

 例えば、先ほどの新聞が出された後の、これも日経新聞の記事で、お読みになられていると思うんですけれども、ベースロード電源の六割というのはどこから出てきた数字なのかなとお尋ねすると、自民党の部会さんで六割という話が出たような話も聞くんですけれども、ほかの国でも六割とか五割とか、みんなばらばらなんだそうですね。それはある設定をされるんだと思うんですけれども、その根拠というのはどこから出してこようとするお考えなのか。副大臣でも結構です。

宮沢国務大臣 まず、小委員会で検討中ということを申し上げましたけれども、その場に、事務方の方から、主要国のベースロード電源比率というものをお示しいたしました。それが六割より多いものが実は多い、こういうことをお示ししたところ、我が国は六割だと書いた記事がたしかあったんですが、これは国際的な比較を示しただけであります。

 一方で、自民党の中でもこの点についての議論がありまして、各国、六割強のところが多いという状況の中で、国際的にも遜色のない水準をという御提言をいただいたというところまでが事実であります。

鈴木(義)委員 電気の話をすると、必ず安定確保という言葉が最初に出てくるんですね、安定確保をするためにどうしましょうかと。では、安定確保というのは、一〇〇に対してどこまでを確保すれば、倍で安定確保なのか、二割で安定確保なのか、五%プラスマイナスで安定確保なのか。そこの安定確保というあやふやな言葉がずっと過去から来ているんだと思うんです。

 ですから、需要側がどんどん旺盛になって、便利な世の中に住みたいし、私も同じだと思うんです。ですから、需要がどんどんふえていくことによって、それを上回る供給側をどんどんつくっていかなければならないのが今までの電気のあり方だったんだと思うんです。それが、バブルが崩壊したのと、いろいろ、この二十年から二十五年間の間、三・一一もそのうちの一つだろうし、リーマン・ショックもその一つだったと思うんです。

 だから、そこのところをやはり、安定確保というのはどのぐらいを見込んでいるのかというのをきちっと示さない限り、安定確保のために、では、後から太陽光発電をやりたいと言ったとき、あんたはだめよと言うんですね。

 では何をもって安定確保というのかというのを、需要予測をきちっと見ていきながら、そこの幅をどこまで満たせれば安定確保というふうに考えるかというところを、御専門の方でも結構です。

上田政府参考人 安定確保といいましても、いろいろな観点の安定確保があろうかと思いますけれども、一つの例で申し上げますと、私ども、夏、冬という非常に電力需要が多いときに、その需要との関係で、どれだけの供給力を保持すれば安定供給の点で大丈夫だろうかということを試算しております。

 今も、ことしの夏の電力需要に対しまして供給力というものがどの程度あるかという試算をしておりますが、そのときの安定供給の一つの目安といたしましては、需要を超えて約三%程度の予備力というものを持っていれば一応安定供給が確保される、こういう考え方でやっているところでございます。

宮沢国務大臣 恐らく、委員は、ベースロードといったようなものがどの程度要るのかという御質問だったと思うんですけれども、結局、ベースロード電源というのは、安定的に供給されて、しかも安価な電源ということでありますから、閉ざされた世界におきましては、ベースロード電源が多ければ多いほどコスト的には低いものになるということは確かであります。そうした意味で、水力、地熱、そして原子力に石炭火力といったものを、安定電源ということでベースロード電源ということにしております。

 一方で、それこそ太陽光とか風力といったものは、午前中の富田委員の質疑にもございましたけれども、正直、気ままな発電でございまして、それと同量の火力発電のバックアップを持っていなきゃいけないということで、安定的な電源にはなり得ない。

 そして、世界各国、六割を超えている国が多いわけでありますけれども、一部ヨーロッパではこれを少し減らす傾向にあるということも確かでありますが、ヨーロッパというのはほとんどの地域がネットワークでつながれておりまして、極めて大きなため池を持っているという中での動きであります。

 一方で、日本は、まさに閉ざされた小さな池の中でどのようにしていくかということは大変大事なことでありまして、では、LNGや石油が安定的電源になるかというと、中東依存度が大変高いものは、もちろんコストの問題もありますけれども、やはり、日本の国民生活、経済に与える影響、これに頼り過ぎてはいけないんだろうと思っておりまして、そういう中で、まさにベースロード電源の比率といったものも今後決めていかなければいけないと思っております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 それで、エネルギーに関する広報については、たまに、原発の再稼働が必要だというようなコマーシャルの流し方の記事が出るんですね。

 冒頭お尋ねした四月九日のこの記事もそうなんですけれども、何か、再稼働ありきみたいな記事が出るというのは、意図的に流しているようにしか聞こえないんですね。だって、これからベストミックスを審議会に諮って答申をもらうんですよ、料金もそうですよといいながら、昨年からぽろぽろ出てくるわけです。それは意図的に経産省が流しているというふうにしか、私たちはうがってしか見ませんから。それはどうなんですかね、副大臣。

山際副大臣 意図的に情報をリークするというようなことは当然していないわけでございますが、しかし、いろいろ私たちが情報を開示する中で、どの情報を報道するかということについては、これまた報道機関の方で選択をしてという部分もございまして、もし仮にそういうイメージを持たれているとするならば、私どもとしては、より努力をして、もっと幅広にさまざまな情報を出していかなくてはいけないかなと思います。

鈴木(義)委員 きちっと方向性が決まるまでは意図的には出していないんだというお話なんですけれども、誰かがしゃべらなければ新聞も書かないと思うんですよね。週刊誌の記者さんと話をすると、私たちも、やみくもに、適当に書いているわけじゃなくて、ちゃんとネタがあるから書いているんですというふうに言われますので、そこのところは御注意いただいて、ぜひ政府の統一したきちっとした見解でお出しいただけたら、国民も公平な、公正な目で選択をしていただけるんじゃないかなというふうに思っております。

 あと、しつこいようになってしまうんですけれども、本会議のときにもお尋ねいたしました、競争を促す文言が入っていなかったと。これは総理の答弁の中、大臣の答弁だったですかね。結局、前段として、競争を促進するための法的分離の措置をするんだから法律上の文言は削除したんだ、それで理解してくれというような御答弁だったと思うんですけれども、それであれば、あえてなぜ競争促進という言葉を外しちゃうのかということなんですね。だって、自由化をするということは、促進をさせるわけじゃないですか。競争を促進するために自由化させるんでしょう。なぜその言葉が外れちゃうのかというのを再度お尋ねしたいんです。

多田政府参考人 法律の文言でございますので、私の方から御説明させていただきます。

 御指摘のありましたとおり、本会議での御答弁でも、電気事業法の法目的には既に「電気事業の健全な発達」ということが入っておりまして、改めて競争の促進を明記する必要がないということは申し上げたとおりでございます。

 他方で、今回の法案、先ほど資料にもございました検証規定の中では、必要があると認めるときは、検証の結果、検討する措置の対象の中の文言といたしましては、例えば、「競争条件を改善するための措置」あるいは「適正な競争関係を確保するための措置」こうしたものについて検討を加えて、「その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」このような条文を置かせていただいておりまして、先生御指摘の競争促進、こういった考え方は本法律案の中に盛り込まれている、このように考えております。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 続きまして、発送電分離のメリット、デメリット。これは大分はしょったお尋ねの仕方をしたものですから。

 実際、レビューの中に、発送電分離のメリット、デメリットの検証の文献調査をしたものだと思うんですけれども、デメリットというのは、発送電分離により失われる垂直統合の経済性が存在するかというふうな形で検証されているんですね。

 メリット一として、発送電分離は発電分野や小売分野の競争を促すかといったときに、評価の結果は一様ではないというのが出されているんです。二番目のメリットとして、発送電分離は事業者の生産効率性を高めるかといったら、これまた、結果は一様ではないというのが出ているし、発送電分離は小売料金を低下させるかといったときに、効率化の成果を需要家に帰着させるには何かが必要だ、こういうふうに伝えているんですね。四番目のメリットとして、では発送電分離は送電線投資を促進させるかというふうな形になったときに、発送電分離と送電線投資の関係は明らかにされていないというふうに、ここでもう文献レビューに出ちゃっているわけですよ。

 でも、今回、発送電分離をしていってメリットを出しましょうという、まあ、デメリットもあったとしても。結局、ここで問題になってくるのが、今後、発送電分離して、法を施行して、一年では難しいと思うんですけれども、二年後なのか三年後なのか、検証をやはりきちっとやっていかないと、では誰のための発送電分離だったのかという話になるわけですね。

 だから、透明性の高い議論を行うことが必要であり、国民の皆様にもわかりやすい形で進めますというふうに御答弁いただいているんですけれども、経産省の審議会だけでそれを予断なくすることができるのかということですね。もう少し、平場でもいろいろな方の意見を出し合う場があってもいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺のお考えをお聞かせいただければと思います。

関大臣政務官 鈴木委員から、いわゆる開かれた場での議論をわかりやすい形で進めていく必要性があるのではないかと。それはおっしゃるとおりでございまして、その点につきましては、我々もしっかりと、その方針を持って対応をとっていきたいと思います。

 具体的に今考えておりますのは、電気事業法を所管します経済産業大臣のもとで、専門家や消費者代表等の参加も得た審議会などの場で検証を行っていくことが考えられているわけなんですけれども、そのやり方は、まず透明性を高くして、皆さんにわかっていただこう、国民の皆様にもそれがわかりやすく説明できるようにしていこうということであって、そもそも論での、今回、このような法律をそもそもつくっていこうとしておりますのは、消費者の方々、企業もあれば一般家庭もありますし、そういう方々に対して、電気が本当に安く使えるように、また、選ぶのが自由にできるように、そういうふうな電気またはガスの自由化ということによるメリットを享受していただきたい。

 また、その業界に参入する人たちにも、いわゆる企業参加という意味としての自由性、競争を利用しました経済の発展というところも含めまして、そういうところがみんなで見えるような透明化を図っていこう。そのための、今、経済産業大臣のもとでのそういうふうな審議会は、透明性を持って行っていこう、そういう考え方でございます。

鈴木(義)委員 わかりました。ぜひしっかりお願いしたいと思います。

 次に、卸電力取引について、あさっても私はまた時間をいただきますので、もう少し詳しく御質問したいんですけれども、今後自由化を促進するに当たっては、ここがやはりキーになっていくと思うんですね。

 電気を欲しいという人と電気を売りたいという人を、株の取引じゃありませんけれども、今までと同じように地域独占でやっているのを変えましょうというのが、今回の発送電分離なんだと思うんです。

 ですから、卸電力市場をもっと拡大していかなければ、ベースロード電源六割をもっと下げましょうとかといっても、これはもう話にならないと思うんです。どこかできちっと取引が成立するような場をもっと活性化させていく、拡大していくというふうにしていかなければ、では、そのときに、大口の事業者さんに、義務的にでも、あなたがつくっているところを一割でも二割でも取引所に出してくださいというふうに強制力を持たせるのか、持たせないのか。

 今、実際には二%ぐらいしか、この取引所での取引がなされていないということなんです。これを五〇パー、六〇パー、七〇パーに上げていかなければ、市場が大きくなればなるほど需要と供給のバランスが図られますから、電気も適正な料金に落ちつくと思うんです。だから新規参入もしやすくなる。今の状況では、二%ぐらいの取引しかなければ、大口さんには勝てないんです。

 そこをどう拡大して、活性化を図っていくお考えでいらっしゃるか。副大臣か政務官か。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 卸電力の関係でございますが、卸市場を活性化していかなければならないというのは、先生御指摘のとおりかと思っております。

 私ども、今御指摘のあった、何か強制的に電力を出させるという措置の前にも、たくさんやることはあろうかと思っております。例えば、スポット市場につきまして、土日もあけるといったような措置もございます。また、一時間前市場といったものを創設していくといったことも重要なのかと思っております。

 こういった点につきまして、私ども、昨年来、審議会の方で累次の議論を重ねておりまして、日本卸電力取引所、これは現在、任意の一般社団法人でございますけれども、この一般社団法人の方で、土日の開場ということも決定がされました。また、審議会の場におきましては、一時間前市場を創設することが必要だといったことも決定をされているところでございます。

 私ども、こういった具体的な工夫といったものを後押ししていくことが必要かと思っておりますけれども、現在、この日本卸電力取引所の方で、システム導入、それに伴いますテスト、さらには従業員のシフト、会員事業者への周知等々の準備作業も進められているところでございます。

 この卸電力取引所は、昨年成立していただきました第二弾の法案で設けられました電気事業法上の指定法人というものに、来年を目途に、国の監督を受ける形の指定法人となる予定でございまして、こういった取り組みについて、さらに強化をしていただきたいなというふうに思っております。

 なお、御指摘のございました、大手電力会社に対しまして強制的に卸市場の方に電気を出していただく、こういった制度的措置につきましては、こういったさまざまな取り組みといったものをしっかり見きわめた上で、我々として考えていきたいと思っております。

 今は電力の需給が厳しいということで、市場に出したくてもなかなか出す供給力がないといったような状況にもあろうかと思っておりまして、既存の電力会社からも、需給が改善すればさらなる市場活性化に貢献できる、こういった意見表明も出ているところでございますので、こうしたところを継続的にモニタリングを行っていきたい、このように考えております。

鈴木(義)委員 これは例えた言い方なんですけれども、野菜は、市場での取引が昔からずっとあったんですけれども、今はだんだん、契約栽培とか、量販店に直接卸すとかという話になって、市場がどんどん閉鎖しているんです、特に民間。公設のところはまだ残っていますけれども。では、それは何でといったら、取引の数が減ったからなんですね。ですから、取引の数をふやさない限りは、公正な競争にはならないんです。

 だから、先ほど文言の話も申し上げましたけれども、競争を促進させるというのは、自由な競争の場をつくってあげなければならないのに、池の中に一頭の鯨がいて、そこにコイやフナを入れたって、鯨が暴れたらそこから外に出ちゃうだけの話なんです。それでは、やはり、需要と供給のバランスをとる中で、低廉な電気の供給というのは難しいんじゃないかということなんですね。

 ですから、いろいろなやり方はあったとしても、やはり取引所を活性化させるということが、一番、発送電分離をして、もっと新規参入、また需要を喚起させて安い電気を国民とか事業者に提供するというのは、そこがキーになっていくと思うんですけれども、もう一度、もし政務三役でお答えできれば。

宮沢国務大臣 卸取引所の活性化というのは、委員おっしゃるように大変大事なことであります。

 今、政府参考人の方から答弁がありましたけれども、正直今の状況でいいますと、安価で安定した電源というのは大変不足をしておりまして、取引所に出せるような状況ではないということは確かでありますが、今後のことを考えまして、やはりそれなりに安価で安定した電源が復活をしてくるというような状況になりましたときには、やはり卸売市場にある程度そういうものもなければ、卸売市場の活性化にはつながらないわけでありまして、そういう方向で何ができるかということを考えていきたいと思っております。

鈴木(義)委員 ここは余りしつこく申し上げるところじゃないのかもしれませんけれども、これは、二〇一三年九月三日時点で七十二社、この取引所に加盟されているんですね。一般電気事業者は北海道電力、東北だとか九電が全部入っているんです。特定規模電気事業者、ダイヤモンドパワーだとか、丸紅だとか、イーレックスだとか、新日鉄住金エンジニアリングと大手さんがざあっと並んでいるんです。

 だから、先ほど、大口のところに義務化をかけて、一割でも二割でも出してもらって、二%を一〇%、二〇%にして、需要があっても供給側が二%しかないから出せないんだよというふうになっているんですけれども、大手がここに加盟しているんですよ。だから強制力を持たせて出させないと、それが呼び水になってほかのところも参入させるという形をとらないと活性化しないんじゃないかということなんです。

 うなずいておられる政務官どうぞ、もし御答弁いただければ。

関大臣政務官 先ほど大臣がおっしゃられたとおりでございます。

 やはり、夏の電力の需給逼迫の状況も、三%を切るような状況が去年もあるような中でございます。ただ、鈴木委員がおっしゃっている趣旨はそのとおりでございますし、やはりそういうふうな、市場が活性化するということに非常に大きい意義があると思いますので、そういうことができるような体制が今後しっかりとできていくようには努めてまいらなければならないなと思います。

鈴木(義)委員 ならないと思いますだけではなくて、やってもらいたいんです。

 では次に、総括原価方式、託送料金についてお尋ねいたします。

 これは、地域独占は認めて、送配電事業者に関しては総括原価方式はやめないという御答弁をいただいているんですね。それを管理監督する意味で、託送料金の適正化については、電力・ガス取引監視等委員会の意見を踏まえながら経産大臣が確認して、適正でないと判断される場合には変更認可申請命令などの是正措置を講じる、こういうふうに答弁いただいているんです。

 結局、地域で地産地消のエネルギーをつくって、地域でそれを消費しましょうという話になったときに、今の送配電網を通さないと、地域独占を解消させない限り、そこに必ず接続しなければ電気を売ったり買ったりできませんよという話をどこかでやめない限り、スマートグリッドにはなっていかないんだと思うんです。

 例えば、東京は過密地域ですから、東京湾を表にして、今度百万キロワットの火力発電所をつくるというのが新聞で、午前中の御質問にもあったと思うんですけれども、そういった需要がある程度見込まれるところにはどんどん新規参入というのはあると思うんです。

 ただ、これからは人口減少の時代に入ってきている中で、投資をしてもペイするまでに長い年月がかかるようなところに、では大手資本が入っていって何十年もかけてその資本を回収できるような形で投資をするかといったら、なかなか見込めないと思うんですね。

 そうなれば、地熱であったり、風力であったり、太陽光であったり、では埼玉で風力をやりたいといったって風は吹かないんです。ここはもうおのずと違うところで風力はやるようになると思うんですね。だったら、自分たちのエリアの中は自分たちのエリアの中で発電もするし消費もしていくんだよというふうに向けていこうとするんだったら、総括原価方式をやはりどこかで見直しをかけない限り、地域の活性化というのは成らないんじゃないかと思うんです。

 そこと裏腹な関係にあるんですけれども、もし震災等が起きたときに、どこかから余剰電力を持ってこなければ、もしそこの発電が潰れてしまったときに、生活ができないとか、産業活動ができないというふうになりますから、それはやはりイレギュラーな部分として、どこかで電線はとっておかなくちゃいけないと思うんです。

 でも、それをやはりどこかで、総括原価方式というのをある程度、五年先なのか十年先なのかわかりませんけれども、めどをつけない限り地域の地産地消のエネルギーというのは生まれてこないんじゃないかと思うんです。

 その辺、何かうなずいていただく政務官がいらっしゃる。副大臣ですか。

関大臣政務官 鈴木委員がおっしゃっている、いわゆる地産地消の電力の考え方は、いろいろな学者の方が御意見を出されているのもよく存じております。

 また、加えまして、全部がつながったときのリスクの集中という点も、おっしゃっている意味もよくわかるんですが、現時点におきましても、電気というのは全国が電線でつながっておるような状況でございまして、今回のいわゆる電気事業法の改正がなされますときには、例えば、関西であれば関西電力だけだったんですが、そこに東京電力も中部電力も入ってこられる。既存の電力会社同士でも入ってこられるような形の競争が行われていくことでございますから、全く新しい事業者が入ってくるという観点もあります。

 さらに、既存の電気事業者同士の競争も全国的に行われるという点からしましても、やはり競争におけますいろいろな努力というのは、例えば経営の面で、人的な働き方の合理化をどんどんと図った、それによって実際には今までこれだけコストがかかっていた経費構造が、自分の会社では新しいやり方をとることによって短時間で済むようになって人件費が落ちて、それによって電気代を落とすことができたとか、会社ごとの努力が、今既にあります電気事業会社でもとれるわけでございますので、それが全国区的に相互にとれるようになるということにおけますメリットは私どもあると思います。

 さらに、そういうふうなことに加えまして、やはり、先ほど委員もおっしゃられておりましたけれども、新規の参入の状況ですとか、既存の電力会社間の競争ですとか、自由料金メニューが消費者の方にどんどんと浸透していくとか、いろいろな状況を見ながら、解除というんですかね、いわゆる総括原価方式も含めました規制料金のあり方の考え方というのは総合的に考えていかないといけないと思います。

鈴木(義)委員 これは例えの話なんですけれども、昔スウェーデンのボルボという車は、今は中国の傘下になっちゃったと思うんですけれども、アルミが盛んだったり、ボルボも安く世界じゅうに売られていたんですけれども、何がもとだったかというのは、安価な電力だから。ボーキサイトからアルミに変換するのにも莫大なエネルギーが必要だから、それを水力発電で、ただみたいなものですね、簡単に言えば。だから安く物をつくって外に出すことができたんです。

 国内でそれと同じような発想を持って、ちょっと地方の方には行くかもしれないけれども、安く電気をつくることができたら、企業でも何でも装置産業と言われているところはどんどん呼び込めるんじゃないかと思うんです。今は全部一律な料金、多少でこぼこはあったとしても。もっと極端なことが可能になるんじゃないかと思うんです。

 そのためにも、わざわざ何万ボルトも電圧を上げて東京まで持ってきて、そこで電圧を下げて、それでみんなに満遍なく供給するというんじゃなくて、近くにあれば送電線なんか要らないで、何万ボルトもかけなくても、電気を供給する発電所があったり、そのエリアの中で工夫さえすれば、総括原価方式なんかやらなくたってもっと安くできるという事業者が出てきたときに、競争にならないじゃないですか。

 だから、そこのところを、やはりどこかで線を引かなくちゃだめだろうということなんです。それが本当の意味での自由競争になっていくんだと思うんですよね。そこのところをどう考えるか。副大臣、もしよかったら、どうですか。

山際副大臣 私は、基本的には、自由に競争が行われて、そのことによって廉価な電力が供給される、ガスが供給されるというのは大切なことだと思います。

 一方で、どこまでいっても、コストに見合わない部分というのは残るんだろうと思います。そういうことを結局自由競争に任せると、最終的に、コストに見合わないところは誰もやらなくなるという絵姿がリスクとして残らないか。私は、これは排除できないと思います。

 なので、今は総括原価というものを残しつつ、また一定期間、料金の規制というものを残しつつ、自由化を進める過程の中において、どこまでを総括原価の中に含めていくのか、どこまでだったら、誰も見ないであろうコストというものを下げていけるのかということを見ながら、検討していくことになるんだろうと思います。

鈴木(義)委員 私が子供のころ、暖をとっていたのは練炭だったんですね。豆炭を使ったり木炭を使ったりして暖をとっていました、料理にも使っていたし。でも、今それを使うのは、よっぽど特別な料理を出すとかですね。そうじゃない時代になってしまったんです。

 だから、うまくいかないからといっても、それはやはり需要と供給になってしまうんですよね。そこのところを考えながらやっていかないと、みんなが公平にやっていくといった中ではイノベーションはやはり生まれてこないんじゃないかと思うので、ぜひまた御検討いただければなと思います。

 以上で終わります。

江田委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 本法案は、一昨年の電気事業法改正に始まるいわゆる電力システム改革の第三弾、総仕上げの法案であるとともに、都市ガス、熱供給事業も含めたエネルギー産業全体を完全に自由化しようとするものです。それだけに、これまで段階的に広げてきた電力事業の自由化が国民生活や産業活動に何をもたらしてきたのか、そのメリット、デメリットをしっかり検証することが法案審議の大きな前提になると思います。

 そこで、きょうは、国民の関心が高い電気料金の問題について、小売完全自由化後も、どう公正で自由な競争を促進しつつ公共料金としての適正さを確保するのか、そのために、情報の開示などの透明性の確保のルールや消費者参画の機会の確保の仕組みなどをどう実効性あるものにするのか、主に掘り下げていきたいと思います。

 第二次大戦後、発送電一貫体制の電力九社が誕生し、その後、沖縄の本土復帰によって沖縄電力が設立されたことで現在の十電力体制となり、それ以来、エリア内の発電、送電、配電、小売の全てを地域独占の電力会社が担ってきました。

 この間の電力自由化の対象は、二〇〇〇年の三月から三度にわたり拡大をされてきましたけれども、その拡大の時期と対象、自由化部門の占める割合はどのように推移してきたでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 電力小売事業の自由化の対象でございますが、沖縄を除きまして、まず、二〇〇〇年三月から特別高圧需要、これは原則二千キロワット以上でございますが、それに対しまして。それから、二〇〇四年四月から特別高圧需要と高圧需要、これは原則五百キロワット以上でございますが、その一部に対しまして。さらに、二〇〇五年四月から特別高圧需要及び高圧需要の五十キロワット以上、こういった需要に対しまして自由化の対象を拡大してまいりました。

 販売電力量のうち自由化部門の占める割合でございますが、最初の二〇〇〇年三月時点で二六%、それから二〇〇四年四月時点で四〇%、二〇〇五年四月時点で六一%となっておりまして、それ以降はおおむね約六〇%程度で推移をしているところでございます。

真島委員 政府は、二〇一六年から一般家庭向けの電気の小売業への新規参入が可能になって、競争の促進が期待されると言うんですけれども、手放しでそうなっていくでしょうか。

 この間の小売の部分的な自由化の経緯を配付資料一に整理しております。この数字は二〇一三年度末の数字となっていますが、工場やオフィスビルなど大口電力を対象とした自由化部門には、新電力が参入して一般電気事業者とともに電力供給を行っておりますけれども、販売電力量に占める新電力のシェアは直近で何%になっているでしょうか。

上田政府参考人 電力調査統計に基づきますと、平成二十五年度におきます特定規模需要、電力自由化部門ということでございますが、それに占めます新電力の販売電力量は四・一七%となっております。

真島委員 全国ベースでたったの四・一七%なんですね。

 一般電気事業者のエリアごとに見た場合、新電力の参入事業者数と販売電力量に占める割合はどうなっているでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 同じ電力調査統計に基づきますと、平成二十五年度におきます一般電気事業者の供給区域ごとに見てみますと、販売実績のある新電力の業者数は、最も多い東京電力の管内では三十四社、それから最も少ない沖縄電力管内ではゼロ社、全国平均では十一・二社となっております。

 また、販売電力量に占める割合は、最も多い東京電力管内では八・一七%、最も少ない沖縄電力管内では〇%、全国平均で先ほどの四・一七%となっておるところでございます。

真島委員 北海道が一%、東北が一%、東京は今言われたように八%台で、中部が一・五%、関西が四・数%、北陸は数字が出ないぐらい少ないんですね、中国一%、ほかのものも軒並み一%とかそういう水準ですよね。

 それで、六割を自由化したんですが、競争原理が働かずに、自由化部門は事実上規制なき独占状態に今なっているわけです。

 さて、福島第一原発の事故の後、二〇一二年の四月に東京電力が自由化部門の電気料金を値上げしました。規制部門の値上げは大臣の認可が必要なので、認可不要の自由化部門を先行して値上げした。このとき、値上げ方針を発表した当時の社長さんは、値上げは事業者としての義務というか権利だと公言をし、値上げに応じなかったら電気をお届けするのが難しいと、供給停止もあり得ると言わんばかりのおどし文句を吐いて大きな批判を呼びました。

 また、私の地元の九州電力も、二〇一三年の値上げの申請のときに社長さんが、原発はことしのうちに再稼働させていただく、原発が稼働しなければ電気料金を引き上げる可能性があるというおどし文句を繰り返して大変な怒りを呼びました。

 電気が欲しければ値上げも我慢しろ、値上げが嫌なら原発を動かせ、まさに絵に描いたような独占の弊害ですよね。

 法案では、現在は自由化対象外となっております一般家庭も含む規制部門まで完全自由化にするというものですが、市場で圧倒的に力を持っている一般電気事業者が今後一方的に値上げを押しつけるやり方を許さないという仕組みはどのように講じていくんでしょうか。

宮沢国務大臣 小売の全面自由化後、現在の一般電気事業者に対しまして一定の規制をかけることとしております。それは、競争が十分に行われ、消費者保護の観点から問題がないと確認できるまでの間、その間につきましては、いろいろ自由料金の掲示ももちろんできますけれども、少なくとも需要者、使う側、使用者が望むのであれば、現行の供給約款と同じ料金により電気の供給を行わなければならないという料金規制を経過措置として課すこととしております。

 したがって、今と同じレベルの料金及び料金体系を望む方についてはその方式で支払いを行えばいいわけでございまして、これについてはもちろん経産大臣の認可に係らしめますので、値上げが起こる、こういうことではないと思っております。

真島委員 独占禁止法の第八条の四は、寡占産業で有効な競争がなく弊害が発生している場合には、公正取引委員会は、独占的状態にあるとして、トップの企業などに対して、事業の一部の譲渡その他競争を回復させるために必要な措置を命ずることができるとなっております。

 独禁法の第二条第七項は、この独占的状態というのは、次の要件に該当する市場の状態だと。一つは、その産業の年間供給額が一千億円を超えている規模、二つが、首位産業の市場シェアが五〇%を超えているか、または上位二社の市場シェアが七五%を超えていること、三つが、他の企業がその産業に入ってくることが難しいこと、四つが、需要が減ったりコストが下がっても価格が下がらないこと、五つが、過大な利益を上げているか、または販売費及び一般管理費の支出が過大であることというふうに具体的に指摘しております。

 今の、十電力で自由化された部門の市場シェアの九五%を超えているという状態から完全自由化していくわけなんですが、その結果、いわゆる規制なき独占に一気に陥っていくという可能性が非常に高いと思うんですよね。先ほど大臣の言われたことはあくまでも経過措置であって、自由化した後に規制なき独占に陥っていく可能性は否定できないわけですよね。

 それで、ちょっとお聞きしたいのは、先ほど言ったように、二〇〇〇年から自由化を進めて十五年たっているわけです。この十五年間、自由化部門で競争原理がなぜ働かなかったのか、その原因はどう見ておられるでしょうか。

上田政府参考人 確かに、現状、先ほども申し上げましたけれども、新規参入者のシェアは自由化された需要の約四%ということでございまして、活発な競争が行われているとは言いがたいという側面があると考えております。

 その理由でございますけれども、一つには、電源の大半を保有する一般電気事業者が区域を超えた競争を十分に行わなかった、あるいは、卸電力取引市場の活用への取り組み、こういったものが不十分であったといったことが言えると思います。また、送配電網そのものへのアクセスの中立性確保といったことにも課題があったと考えております。それから、家庭等の小口部分につきましては小売はまだ自由化されていないという状況にあったわけでございますので、一般電気事業者が自由化部門で積極的な競争を行わなくとも一定の独占的な市場が確保されているといったことが要因であると考えております。

真島委員 電力システム改革の目的の一つとして、電気料金の最大限の抑制ということを掲げられておりますけれども、御承知のように、我が国に先行して電力自由化が実施されている欧米の事例、税金や再エネ賦課金の影響もありますけれども、電力システム改革によって手放しで電気料金が低下するとは一概に言えないという状態です。

 そして、電力十社の発送配電一貫体制の地域独占の弊害をなくしていくということは当然なんですけれども、同時に、これまでの自由化の経過を見る限り、この十社が圧倒的にシェアを独占している現状から、自由化すれば規制なき独占に陥るんじゃないか、そして、電気料金の原価がブラックボックス化してしまって、既に完全自由化されておりますLPガスの業界のように、料金の高どまりを招きかねないんじゃないかという心配があるわけです。

 今求められているのは、電気料金にかかわる情報開示のルールを義務づける、そして、国民に開かれた公正な市場と競争条件の整備を進めて、消費者、需要家の選択肢を拡大する、そういう電力システムの制度設計だと思うんですね。

 国民の中には、小売の全面自由化で電力会社とか料金メニューを自由に選べるようになるということに期待もあります。同時に、原子力や火力など、巨大な発電事業が届け出制になることに伴って、原発の使用済み燃料の処理や廃炉経費などの発電コストが一層見えなくなる。さらに、公聴会も廃止されますので、国民が直接意見を述べる場がなくなるということで、託送料金を含む原価情報のブラックボックス化が進んでいくんじゃないかという危惧があります。国民が電力会社を自由に選択するためには、電気代のもとになっているコストや電源構成等の情報開示が不可欠だと思うんですね。

 そこで、今後の情報開示のあり方について伺いたいんですけれども、その前に、まず現行の仕組みについて確認をいたします。

 配付資料の二をごらんください。現在、規制部門の電気料金を引き上げる場合には、電気事業法第十九条第一項に基づいて経済産業大臣の認可を受ける必要があります。そして、経産大臣は、認可に際して、公聴会を開き、広く国民の意見を聞かなければならないと第百八条に定められております。

 さらに、物価担当官会議申し合わせに基づいて、消費者庁との協議に加えて、沖縄電力を除く電力九社の電気料金は重要な公共料金に当たる、だから、物価問題に関する関係閣僚会議に付議され、了承を得た後、大臣認可、値上げ実施というふうになるわけですね。

 東日本大震災の後、電力各社が相次いで値上げを申請しました。その申請日、認可日、規制部門、自由化部門、それぞれの値上げ率をお答えください。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 東日本大震災後に行われました電力会社の値上げ申請、認可に基づく電気料金の改定でございます。

 自由化部門は対象外でございます。当事者の交渉によって定められるものでございます。

 規制部門について申し上げますと、まず東京電力につきましては、平成二十四年の五月十一日に申請がなされ、同年七月二十五日に認可がされました。値上げ率は規制部門で八・四六%でございます。

 関西電力につきましては、これは一度目、二度目の値上げがあるわけですが、一度目の値上げにつきましては、平成二十四年十一月二十六日に申請がされ、平成二十五年四月二日に認可がされました。値上げ率は、規制部門でございますが、九・七五%でございます。

 九州電力につきましては、平成二十四年十一月二十七日に申請がされ、平成二十五年の四月二日に認可がされました。値上げ率は六・二三%でございます。

 東北電力につきましては、平成二十五年二月十四日に値上げ申請がされ、平成二十五年八月六日に認可がされました。値上げ率は八・九四%でございます。

 四国電力につきましては、平成二十五年二月二十日に申請がなされ、二十五年の八月六日に認可がされました。値上げ率は七・八〇%でございます。

 北海道電力につきましては、これも一度目の値上げが平成二十五年四月二十四日に申請され、平成二十五年八月六日に認可がされました。値上げ率は七・七三%でございます。

 中部電力につきましては、平成二十五年十月二十九日に申請がなされ、平成二十六年四月十八日に認可がなされました。値上げ率は三・七七%でございます。

 次に、北海道電力につきまして、これは震災後の二度目の値上げになるわけでございますが、平成二十六年七月三十一日に申請がなされ、同年十月十五日に認可がされました。値上げ率は一五・三三%でございますが、二十七年三月末までは激変緩和措置として一二・四三%の値上げになっております。

 それから、現在、関西電力の値上げの申請が二十六年十二月二十四日に行われたという状況でございます。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

真島委員 自由化部門も値上げ率はわかっているわけなんですが、あえて言われませんでした。最初の二〇一二年から二〇一三年の値上げの際は、認可の要らない自由化部門は、どこもほぼ規制部門の二倍の値上げ率なんですよ。

 それで、現在の規制部門の電気料金は、電気事業のために必要な経費に事業報酬を加えた総括原価方式で決められております。この総括原価方式は、もともと事業者の投資費用の確実な回収の保証、それと独占価格を規制して需要家の保護を図るということが目的だったんですが、電気料金の値上げ申請のときしか国の認可が必要でないとされたために、電力会社が積み上げた原価が本当に電気事業に必要なものかどうかというのが査定されてこなかったんですね。だから、長年、ブラックボックスと呼ばれる状態になったわけです。

 そういう中で、過剰な設備投資や広告費など電気事業に関係のない経費も原価の中に入ってくる、そして、総括原価が膨らんだらそれに応じて算出する事業報酬も膨らみますから、電力会社の利益はますます大きくなるという、とんでもないことになっていったわけです。電力会社はこの制度に甘えて、経費節減などの経営努力を怠ってきたというのがこの間の実態です。

 二〇一二年三月の電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議報告書で、電気料金認可プロセスにおいて、中立性、客観性を確保しつつ、外部専門家の知見を取り入れる必要性が指摘されたことを受けまして、総合資源エネルギー調査会総合部会のもとに電気料金審査専門委員会が設置され、電力会社の申請を受けて、原価の中に電気事業と関係のないものが含まれていないかが精査されてきました。

 これによって、例えば、二〇一三年に関西電力と九州電力の認可申請で査定されたポイントの中には、一人当たりの役員報酬の削減、顧問への報酬及び九州電力の役員の増員は認めないということ、燃料費は将来の調達価格削減努力を織り込んで原価査定を行うべきだ、また、広告費や寄附金等は原価算入を認めないと。電力会社全体で申請した値上げ率の四・六%から一・二%程度がその査定の中でカットされてまいりました。

 この専門家の査定に加えて、電気を使用する需要者が直接経済産業省や電力会社に意見を述べる重要な機会として役割を果たしてきたのが公聴会なんですね。

 私の地元の九州電力が値上げ申請をした際に、二〇一三年の一月三十一日と二月一日の二日間、公聴会が福岡市で開かれましたが、改めてその公聴会の会議録を読み直してみました。

 この公聴会には、電気料金審査専門委員会の委員長と延べ四人の委員、九電からは瓜生社長らが出席をし、二日間で三十六人が意見陳述をしております。陳述者は一人を除いて電気料金の値上げに反対をし、ほとんどの陳述人の方が、値上げは原発再稼働へのおどしだということで九電の姿勢を鋭く追及した。

 NHKや地元の民放五局がそれを取材して、九電の値上げに反発の声相次ぐ、九電不信の色濃くという大きな報道をして、注目を集めました。

 この九州電力の公聴会に出席していた電気料金審査専門委員会の委員の方が、陳述人が、委員会で出された公表資料を大変丁寧に読み込んでおられて、的確な質問をされておられる、そのことに感銘を受けましたと述べられているんですね。

 公聴会という国民参画の仕組みが非常にうまく機能していると思うんですけれども、大臣はこのことをどう評価されておられるんでしょうか。

宮沢国務大臣 一昨年の九州電力の値上げに際しまして、公聴会を開催して、役員報酬のカット、燃料調達の効率化などについて大変厳しい御意見をいただいたと伺っております。

 こうした意見を踏まえつつ、専門家や消費者代表などから構成されている電気料金審査専門委員会において厳正な審査を行っていただき、人件費や燃料費などについて、事業者からの申請よりも値上げ幅の圧縮を求めることといたしました。

 このように、小売料金の認可のプロセスにおきましては、消費者の方々から直接御意見を伺い、いただいた御意見を認可に反映させることは必要であり、有益であろうと考えております。

真島委員 今大臣がおっしゃったように、本当に必要で有益な機会だと思うんですね。

 九州電力の公聴会での柳明夫さんという方の陳述の要点を紹介したいと思うんですが、この方は、福岡県内の中小・小規模事業者の集まりであります福岡県商工団体連合会の当時の事務局長さんなんですけれども、大幅な料金の値上げは増税や社会保険料などの負担増に苦しんでいる家計や中小企業の経営を脅かして、地域経済に悪影響を与えると。九州電力は、今回の値上げ案は原発再稼働を前提にしたものだと言っている、再稼働がなければ三五%も値上げが必要だという試算を示しているけれども、これは再稼働への圧力じゃないかと。

 火力発電の燃料費が増大しているということを理由にしているけれども、九電はLNGを諸外国から極めて高い値段で購入していて、その原価さえ公開せずに、安く調達する企業努力も非常に不明だと。事業報酬は、資産価値の高い原発や核燃料廃棄物が多いほど高くなる仕組みになっているじゃないか、役員報酬は、身を切る努力をしたといっても、一人平均四千万円余りあるじゃないか、大口利用者には安い料金で電気を供給しているのはおかしいじゃないか、こういうことを見直さずに、家庭や中小企業に負担を押しつけることは認められないと。

 そして、原発がなくても電気は足りている、暑い夏を乗り切った経験が示しているじゃないか、一たび事故を起こせば破滅的な損害をもたらす、処理不能な核のごみを出し続ける原発は必要ない、電気料金の値上げにも再稼働にも反対だというふうに意見表明されているんですね。

 経産省や電力会社にとってちょっと耳の痛いようなこういう意見も含めて、率直に聞く場になっているわけです。

 この柳明夫さんに公聴会に参加した感想を先日聞きました。

 そうしますと、参加する前は、陳述者の公募の段階で、原発反対の立場だと選別されて落とされるんじゃないかと思っていた、公聴会も、もしかしたら九電の関係者がたくさん来ていて、やらせ陳述をするんじゃないかと心配していた、しかし、選別もやらせもなくて、極めて公正で真摯な運営で感動したとおっしゃっております。経産省を褒めているわけですね。

 また、九州電力の社長に直接物が言える、社長と直接意見交換を消費者が、需要者ができる場はほかにない、その後の電気料金審査専門委員会の議事録や経産省のまとめも読んだけれども、公聴会で発言した内容が取り上げられて反映されていて、二度感動したというふうにおっしゃっていました。

 そういうことで、福島事故を通じて、電気を使う一人一人の皆さんが、今まで深く考えずに当たり前のように使っていた電気が、どこで生み出されて、どうやって運ばれてきたのか、電気の多くが原発によって生み出されてきた、原発が一たび事故を起こしたらどういう事態になるのかということを非常に深く考えて、この公聴会にも臨まれているわけですね。

 私は、この公聴会の陳述人の皆さんが真摯に意見を述べている、九州電力の社長さんに直接ただしているやりとりを見まして、この公聴会、正確で十分な情報を得たいんだ、納得できる説明をしてほしいんだ、公正で持続的な社会の形成に積極的に参画していきたいんだという消費者がその中で育っていると思うんです。電気事業者のトップが消費者の皆さんのそういう声をじかに聞いて対話する、非常に画期をなす機会になったというふうに感じました。これは、三月に閣議決定されております消費者基本計画が目指している方向とも合致するものだと私は思うんですね。

 こうした到達点を生かすならば、公益事業である電気事業、そして公共料金である電気料金は、自由化をした後も、透明性や公開性を確保するとともに、国民が関与して民主的な監視を行うルールをつくっていくべきじゃないかと思うんです。そうしてこそ、国民の公正で自由な選択ができる。

 そういうことで、改めてお聞きしたいんですけれども、そもそも公共料金というのは何でしょうか。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 公共料金につきましては、法律上の定義はございませんけれども、一般に、政府や地方公共団体といった公的機関が料金や価格の水準の決定や改定に直接かかわっているものを総称して公共料金と呼んでおるところでございます。

 具体的には、電気料金もそうでございますが、鉄道料金あるいは郵便料金などが該当しております。

真島委員 それで、主な公共料金の家計支出に占める割合、これが高いものを五つ、品目とウエートをお答えください。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 消費者物価指数におきまして、家計調査をもとにした一世帯当たりの品目別支出金額、ウエートというのがございます。それの中で、公共料金につきまして、高いものから順に、その項目とウエートを申し上げさせていただきます。

 まず、電気代、ウエートが一万分の三一七。次は、診療代、同じく一万分の一九六。水道代が一〇〇。都市ガス代が九六。それから、固定電話通信料が九三となっております。

真島委員 今お答えになったように、家計支出に占める公共料金の中で、電気代が突出して高いですね。二〇一二年以降の値上がりで、家計支出に占める割合、私はさらに高まっているんじゃないかと思うんです。

 電気事業法の第一条は、この法律の目的を、電気の使用者の利益を保護する、及び、公共の安全を確保し、及び環境の保全を図ることとしております。電気というのは、都市機能を維持し、人々が日常生活を送る上で必須の公共公益設備、つまり、ライフラインであり、社会生活基盤と社会経済産業基盤を形成するインフラです。電気事業は公益事業であり、たとえ全面自由化によって小売料金の規制が撤廃されたとしても、電気料金は公共料金中の公共料金だと私は思うんですね。それだけに、事業の公益性、公共性を踏まえた情報開示や消費者保護のルールが必要だと思うんです。

 二〇一三年の七月に取りまとめられました公共料金等専門調査会報告では、「公共料金の改定に消費者の利益が適切に反映されるためには、消費者参画の実質的な確保が行われる必要がある。」として、料金改定認可申請等を検討、審議する場への消費者の参画、公聴会開催等、広範な消費者の意見を聴取する場の設定の必要性を指摘しております。

 この中では、公聴会について定めがない場合であっても、「料金改定認可手続きにあたって、可能な限り、消費者の意見を聴取する場(「消費者との意見交換会」等)を設定すべきである。」とも指摘をしています。

 三月二十四日に閣議決定されました消費者基本計画では、消費者が主体となって選択、行動できる社会の形成のために、公共料金の適正性の確保が重要だと指摘をしておりますけれども、これは具体的にどうすべきだと記載されておりますか。

河津政府参考人 御指摘の消費者基本計画におきます公共料金、先ほど申し上げましたが、公的機関が料金や価格の水準の決定、改定に直接かかわっているものというところにつきましての記述を読み上げさせていただきます。

 政府の規制する料金又は価格である公共料金等の新規設定及び変更に係る決定、認可などを行うに当たっては、消費者基本法第十六条第二項の規定の趣旨を踏まえ、消費者に与える影響を十分に考慮することが求められており、決定過程の透明性、消費者参画の機会及び料金の適正性の確保に向けた課題を検討し、実施する。

こういうふうに記載されております。

真島委員 この消費者基本計画策定作業をしていた消費者委員会の議事録を読みますと、公共料金の決定過程の透明性を確保するという案文に対して、経産省から何か反論があったようなんですけれども、どんな意見が経産省から示されて、そのことによって案文はどのように変わったんでしょうか。

河津政府参考人 御指摘の点は、本年三月十日に消費者委員会の本会議が開かれておりまして、そこでのやりとりであろうかと存じます。

 この際の議論でございますが、公共料金等の新規設定及び変更につきまして、先ほど申し上げたところでございますが、その料金認可などの決定過程の透明性、消費者参画の機会について、公共料金の部分については明確に記載がされている、そういう案をお示ししたところでございますが、その一方で、料金の自由化を行う分野につきましてはこうした記載がないということについての御意見であったということで、承知をしているところでございます。

 この議論を踏まえまして、料金自由化を行う部門、公共料金から外れていくところにつきましてどうするかというところの記載につきまして、若干の字句の修正ということを関係省庁と調整しまして行いまして、最終的には、その三日後に消費者委員会の方から、消費者基本計画の案については妥当であるという答申をいただいたところでございます。

真島委員 案文がどう変わったか、お答えにならなかったんですけれども、料金決定の過程の透明性を確保するということが、誤解を招かないように、「料金自由化を行う分野についても、引き続き消費者利益を確保することが重要であり、」と、透明性を確保するというのが案文から落とされているんですね、経産省の意見を受けて。そこには、誤解や懸念を招くという説明がされているわけなんです。

 これはとんでもない話で、先ほど言いましたように、たとえ自由化されたとしても、公共料金であることには変わりがないんですよ。だから、安倍総理も、衆議院の本会議で、我が党の藤野保史議員の質問に対して、小売料金規制の撤廃後は、引き続き厳格な市場監視を行うとともに、消費者の立場からどのような情報開示を求めるのか、検討してまいりますと答弁されていると思うんですね。だから、手放しで、全て事業者任せでいいはずじゃないと思うんです。

 この自由化によって電気事業法上の公聴会の規定がたとえなくなったとしても、今でも条文上には何の枠組みもない消費者庁との協議とか物価問題閣僚会議への付議ということがやられているわけですから、消費者目線の独自の検証をやるとか、あるいは、国民生活全般に与える影響を踏まえた協議、これは今でもやっているわけですから、引き続き国民が直接参加する何らかの仕組みを検討していくべきじゃないかと思うんですけれども、どうでしょうか。

平副大臣 今委員が御指摘いただいた消費者庁との協議、関係閣僚会議への付議については、繰り返しになりますが、政府が料金の価格の水準の決定や改定に直接かかわっているという公共料金の性質に鑑みて実施をされているものでございますから、料金が自由化されたものは、その対象とはなりません。

 一方で、消費者基本計画が三月二十七日に閣議決定をいたしました。先ほど御紹介をした部分に続いて、

 なお、料金自由化を行う分野についても、引き続き消費者利益を確保することが重要であり、消費者が多様なメニューの中から適切な選択を行うことができるよう、小売全面自由化の実施に際して、小売事業者が提供するサービスの内容に関する消費者の理解を増進するための情報提供の推進等の取組を行う。

となっておりますので、しっかりとこの閣議決定に沿って取り組んでまいりたいと思っております。

真島委員 この間の電気料金の審査では、経産省の専門委員会と別に、消費者庁も独自の検討チームをつくって、査定方針を取りまとめてきているんですね。そこでは、東電の値上げ申請に対して、福島第一原発の五、六号機、第二原発の四つの原子炉の減価償却費、事故炉の安定化維持費用、賠償対応費用、稼働していない日本原電の東海第二原発からの購入電力料などは原価に算入すべきでないという意見をまとめておられます。

 このとき、原価に算入すべきでないと指摘したこれらの費用は、その後、取り扱いはどうなっているでしょうか。

河津政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、時系列で御説明をさせていただきますが、東京電力から申請がございましたのが平成二十四年五月十一日でございます。その後、消費者庁におきましては、この協議を受けるに際しましての視点、ポイントということで、五月二十九日の時点でチェックポイントと題する文書を作成し、資源エネルギー庁に提出をしてございます。

 その後、消費者庁におきましては、このチェックポイントの内容をさらに精査する、充実させるという意味で、有識者によります東京電力の家庭用電気料金値上げ認可申請に関するチェックポイント検討チームを立ち上げまして、これを六月十二日に設置したところでございます。

 御指摘の点は、この検討チームの内容であるかと存じます。この点につきましては、消費者庁としても意見として資源エネルギー庁に提出をし、その後、協議を行ったわけでございます。

 その協議の結果、減価償却費につきましては、会計上の取り扱いとして、事業者として正式に廃炉の決定を行っていない以上、原価参入を認めることはやむを得ない、あるいは、これによって会計上資産価値の減損が行われた場合、公的資金の投入等、財務基盤の強化によって、賠償、原子炉廃止措置、電気の安定供給の同時達成を図る枠組みに支障を来すおそれがあるということ、それから、賠償対応費用及び安定化維持費用につきましては、これが原価算入されない場合、原子炉廃止措置、賠償といった責務が果たせなくなるとともに、国民全体の負担によらざるを得なくなるといったことから、原価算入を認めるということになったものでございます。

真島委員 消費者の立場で筋を通してほしかったんですけれども、この過程で、事業所管庁である経産省の視点だけではなくて、消費者庁が消費者の視点から原価を独自に精査したということは、私は重要なことだと思うんですね。今後自由化の中で、行政任せじゃなくて、みずからが知って、納得して選択したいという国民の意識が私はますます強まっていくと思うんです。

 ですから、私は、電気料金の原価情報の開示というのは事業者任せにしてはだめだと思うんですね。料金水準も本当に手放しで市場任せだけではだめだと思うんです。料金メニューを見て、高いか安いかだけではなくて、原価を知って、企業の経営努力もわかって、電源構成とそのコストも理解して選択をしたいという、東日本大震災の後に育ってきた消費者の主体的な意識、国民の思いに応えたシステムづくりが私は必要だと思っております。

 ですから、大臣にお聞きしますけれども、国が原価情報開示の統一的なルールをつくることで、全ての参入事業者がそのルールの中で料金以外の部分でも独自性を出していく、そういう競争をしていこうじゃないか、そういう工夫もできるんじゃないかと思うんですけれども、大臣の考えをお聞かせください。

宮沢国務大臣 まず、一般電気事業者の小売料金についてでございますが、小売自由化後も、当分の間、経過措置として料金規制が講じられますので、この発電の原価情報についても、これまでと同様に、審査過程を通じて情報公開が行われることとなります。

 また一方、総括原価ということで託送料金を決めるわけでございますが、託送料金について公平性及び透明性を高めるため、値上げについては認可制としておりまして、料金認可の審査過程を通じて原価に関する情報は広く国民に公開されることとなります。

 一方、小売料金規制の撤廃後につきましては、事業者に対し、利用者の立場からどのような情報の開示を求めるかは、今後検討してまいろうと思っております。

真島委員 先ほども言いましたように、これまで総括原価方式のもとで料金原価がブラックボックスと言われてきました。その中で、公聴会のような国民が直接参加する仕組みまで今度なくしていくということになれば、いよいよ料金原価にふたをすることになるんじゃないかと思います。

 電気料金の値上げの認可は長らく行われてきませんでしたが、この間、値上げ申請を行った各社にとって、およそでいいですけれども、何年ぶりの実施ということになりましたか。

上田政府参考人 何年ぶりの値上げ申請かということでございますが、震災後、平成二十四年度に東京電力が三十二年ぶりの値上げを実施いたしました。それから平成二十五年度には、北海道電力が三十二年ぶり、それから、関西電力、九州電力、東北電力、四国電力、これらの四社が三十三年ぶりでございます。平成二十六年度には中部電力が三十四年ぶりの値上げをそれぞれ実施したところでございます。

真島委員 今おっしゃったように、一九八〇年から八一年の第二次石油危機の後に値上げした後は、値下げ改定がずっと続いたんですね。二〇〇〇年に、電気事業法の改正で、二千キロワット以上の特別高圧と言われる大口向け電力の自由化がスタートして、あわせて規制部門の料金も、現行の認可制から、料金を下げるなど需要家の利益になるような場合には届け出制で変更を可能にするという制度が導入されたわけです。

 当時我が党は、料金引き下げの原資が内部留保に回されて、一般消費者、国民に還元されないおそれがあると厳しく指摘をしましたが、その結果どうなったかといいますと、改正前は、料金引き下げや据え置きのときも公聴会による国民関与の仕組みがありましたが、その後、料金改定は全部届け出になりまして、ずっと値下げが続いてきたからですね、行政が総括原価を査定しなくなりました。そればかりか公聴会の開催もなくて、国民が価格決定に関与するチャンスが奪われてきたんですね、およそ三十年。それが結局、東日本大震災と福島の原発事故が起きた後の値上げ申請までノーチェックで来たわけですね。

 経産省が提出した資料をもとに、自由化がスタートしました二〇〇〇年度から二〇一〇年度までの十一年分の自由化部門と規制部門の利益の割合について、沖縄電力を除く九社それぞれと、沖縄電力を含む十社平均をグラフ化したものを資料三でお出ししております。

 これを見ますと、一般家庭や零細業者から上げております利益が、北海道は七二・三%、東北は七四・六%、東京は最も高い八〇・五%、中部が六三・六%、関西が六九・六、北陸が六七・二、中国は七四・二、四国が六八・八、九州は六九・五、沖縄電力を含んだ十社平均では七二・五。

 これはちょっと質問通告していませんけれども、エネ庁長官に、この数字は間違いないでしょうか。それだけ確認します。

上田政府参考人 恐らく、この御指摘の数字は、二〇〇〇年度から二〇一〇年度の間における規制部門と自由化部門の純利益額を合計したものだと考えております。

 ただ、自由化が始まったのは、委員御指摘のとおり二〇〇〇年度からでございますので、その自由化の初期段階におきましては、規制部門の販売電力量というのが当然大きいわけでございまして、その結果、規制部門の純利益額がおのずと大きくなるということでございますので、この規制部門と自由化部門を足したものを二〇〇〇年から二〇一〇年まで足すというのは、計算としてはそのとおりかもしれませんけれども、そのことが適切かどうかという問題はあるかと思います。

真島委員 私、二〇一一年の十月三日に出されました東京電力に関する経営・財務調査委員会報告というのを見て驚きました。

 この報告書は、原子力損害賠償支援機構が東電に資金援助を実施する前提として、東電の資産や債務の実態的な状況の把握、原子力事故に関連して発生する要賠償額の見通しについて推計したものです。

 委員長は弁護士の下河辺和彦氏で、後に原賠機構運営委員長や東電会長を務められた方なんですけれども、この報告書では、東電は、直近五年間で、販売電力量は自由化部門が六割を占める一方で、電気事業利益では同部門が約一割を占めるにとどまっていると指摘をしております。

 東電の利益の九割は販売電力量では四割の規制部門から生み出されて、販売電力量で六割を占める自由化部門からはわずか一割だったんですね。つまり、一般家庭や零細事業者に高い電気料金を押しつけてもうけを出して、その分を自由化部門、大口利用者には安く売っていたということが指摘をされました。

 この総括原価方式というのは、電気事業に必要な原価を積み上げて、その原価を規制部門、自由化部門に配分して電気料金を決めているわけですから、本来、利益率というのは半々になるはずなんですけれども、何でこういう結果になっているというふうに大臣は思われますか。

宮沢国務大臣 私がこの表を見ておりまして思いましたことは、先ほど来、委員が大変心配されていた、小売部門を自由化すると、まさに規制なき独占ということで、どんどん値上げが来るんじゃないか、まさに電力の消費者は大変な被害をこうむる可能性があるということをいろいろ御質問されたわけですけれども、この表を見ますと、やはり、自由化されるとそんなむちゃなことは起きなくて電力料金が下がってくるということ、競争があるとこういうことになるんだということが如実に出ているなというふうに私は思って拝見をしておりました。

 もちろん、規制部門から自由化部門へ内部補填が行われるということは当然でありまして、これについても、毎年度ごとに事業者に、部門別収支計算書を作成し、その公表を求めておりますところであります。

真島委員 この総括原価というのは、原価算定期間に要するコストの想定をしているわけですね。その期間に実際にかかったコストとの差が生じてくる。それは当然だと思います。だから、行政、つまり電気事業を所管する経産省が事後評価していくというのは非常に大事なわけですね。

 一九九五年の電気事業審議会料金制度部会中間報告は、次のように指摘をしています。事業者は、効率化努力の定期的評価と収支状況及び料金の妥当性の評価を行うこと、国は、電気事業者が行う定期的評価について、規制コストの増大を招かないように配慮しつつ、検証を行うこと。

 二〇〇〇年から料金引き下げ時の届け出制が導入されることを受けまして、電気事業者の説明責任を明確にするための電気料金情報公開ガイドラインというのが制定されております。

 さらに、二〇〇九年八月の電気事業分科会第二次報告では、電気事業者及び行政が規制料金の妥当性の検証を毎年行うことを求めているんですね。

 毎年行うこととされました規制料金の妥当性の検証、この具体的な実施内容はどういうものになっているでしょうか。

上田政府参考人 規制料金の妥当性の検証の実施内容に関する御質問でございますけれども、平成二十四年三月の有識者会議の報告書におきまして、料金の設定後、原価算定期間内におきましては、決算発表時に決算実績、収支見通し、利益の使途、効率化の進捗化について評価を行うために部門別収支を公表する。それから、原価算定期間終了後につきましては、それに加えまして、原価と実績の比較等につきまして規制・自由化部門に分けて評価を実施し、必要に応じて料金変更認可申請命令の発動の要否を検討するということが提言されております。

 私ども、これを踏まえまして、まず、原価算定期間内における評価といたしまして、従前は自由化部門が赤字の場合のみに公表をすることにいたしておりました部門別収支につきまして、二十四年三月に電気料金情報公開ガイドラインというものを改正いたしまして、常に公表するということにいたしております。

 また、原価算定期間終了の後、その後における評価といたしましては、平成二十五年三月でございますが、電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等というものを作成いたしまして、電気事業の利益率などの基準により二段階で評価を行いまして、電気事業法二十三条に基づく変更認可申請命令の発動の要否を検討するということとしております。

 実際にも、平成二十六年度に、原価算定期間終了後、料金改定を行わない事業者、これは北陸電力、中国電力、あるいは沖縄電力でございますが、その平成二十五年度の収支につきまして、これに基づきまして検討を行いました。いずれも変更認可申請命令の対象とならないということを確認いたしているところでございます。

真島委員 さきに紹介しました東京電力に関する経営・財務調査委員会報告は、現行の電気料金情報公開ガイドラインのもとでは、検証を行うために必要な数値、個別原価のプロセス等を通じ、各需要種別の料金を算出するために必要な詳細な数値及び実績値等の情報の公開がないために、事実上、第三者が名目値ベースでの料金の適正性の確認、妥当性の評価を行うことは不可能だと断じております。

 さらに、値下げ届け出制によって、経営効率化努力の前提となる足元での原価について、東電と規制当局との間で適切な確認作業が行われていたとは言いがたい状況が続いた結果、規制部門、自由化部門全体で、届け出時と実際の料金原価の乖離を総計すると、直近の十年間の累計で五千九百二十六億円にもなるというふうに分析しているんですね。

 全ての電力会社が、先ほど示したように、利益の約七割を規制部門から生み出す、そういう構造になっていた問題、東電の実際の発電経費が十年間で約六千億円も想定原価から乖離していた問題、これはもう重大だと思うんですね。

 規制料金といいながら、経産省が規制できていなかったんですよ。これは電力会社の言い値で電気料金が決められていたということではありませんか。

上田政府参考人 自由化部門と規制部門の料金、利益につきましては、先ほども大臣からの御答弁がございましたけれども、自由化部門において競争が行われているといった実態を反映しているといった側面もあろうかと思います。

 それから、今の御指摘につきましては、まず、先ほど申し上げましたけれども、電気料金制度・運用の見直しに係る有識者会議の報告書におきまして、先ほど委員の御指摘がありました東京電力に関する経営・財務調査委員会の報告書におきまして原価の中にさまざま不要なものがあるのではないかといった指摘がされておりました、これを踏まえまして、料金認可に際しましては、イメージ広告等の広告宣伝費、寄附金などは原価算入を認めない、それから厳格な事後評価を原価算定期間終了後に実施するといったことがこの有識者会議の報告書において提言をされております。

 これらの提言を踏まえまして、私ども、一般電気事業供給約款料金審査要領を改正いたしまして、また、平成二十五年の三月には、電気事業法に基づく経済産業大臣の処分に係る審査基準等を策定いたしまして、値上げに際しましては、厳格な審査を行う、あわせて原価算定期間終了後の事後評価も実施するということにしておりまして、御指摘というものは必ずしも当たらないものかと考えております。

真島委員 これは、完全自由化に伴ってつくられる電力取引監視等委員会、ここで小売料金の適正水準を把握して、それを是正していくということはできるんでしょうか。

宮沢国務大臣 まさに、小売料金が自由化された後、適正料金になることは大変大事なことでありまして、そのためには競争がともかく行われている状況があるということが何よりも大事だと思っております。

 したがって、委員会におきましては、新規に参入する事業者も含めまして、電気事業者に対する報告徴収や立入検査などを通じまして、自由化される市場においてこうした競争が適切に行われているかを厳しく監視していく、そして競争状態を常に保っていく、こういうことをやっていくことになろうかと思います。

真島委員 競争状態を監視されると言いましたけれども、先ほどから繰り返していますけれども、料金規制がなくなったとしても、電気料金というのは国民にとって公共料金中の公共料金なんです。国民がこの改革に期待しているのは、公正な競争の中で独占の弊害をなくして、納得できる適正な料金を実現してほしいということなんですよ。その結果に国が責任を持たなきゃいけないと思うんですよ。ですから、私は、小売の自由化のもとでも電気料金を監視するのは政府の最低限の責任だと思うんです。ぜひ検討していただきたいと思います。

 最後にお聞きしますけれども、二〇一四年の十一月に、NHKの放送文化研究所が川内原発とエネルギーに関する調査というものをやっています。

 それを見ますと、川内原発の再稼働については、賛成が三二%、反対が五七%。これは、薩摩川内市でも賛成五〇、反対四四なんですね。周辺地域、三十キロ圏内に行きますと、賛成三四、反対五八。原発から二百キロ離れた福岡市では、賛成三七、反対五三。

 原発を今後どうすべきかという問いには、薩摩川内市でも、減らすべきだ三〇%、全て廃止すべきだ三〇%。全国になりますと、減らすべきだ三七%、全て廃止すべきだ三〇%。私は、薩摩川内市で、これを減らすべきだ、廃止すべきだ、合わせて六〇%もあるということに驚いたんです。

 今後ふやすべきエネルギー源では、再生可能な自然エネルギーが、薩摩川内市では六八%、全国が六九%。

 これを見ても、国民が求めている電力システム改革というのは、東日本大震災と福島第一の原発事故の教訓と反省の上に立って、原発ゼロ、再生可能エネルギーの爆発的な普及、地球温暖化対策に資する電力エネルギー自給体制の構築をしていけるシステムだと思うんです。

 それで、国民が再生可能エネルギーでつくった電気の選択を適正にできるようにするために、例えば加工食品の原材料表示のように、小売事業者に電源構成の表示を義務づけるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか、大臣。

宮沢国務大臣 審議会でいろいろ議論をしていただいたわけでございますけれども、そういうような開示を義務づけるべきとの意見と、法的規制にせず、電源構成を消費者にアピールしたい業者の創意工夫に委ねるべきとの両方の意見があったと承知しております。

 昨年成立いたしました第二弾の改正電気事業法においては、小売電気事業者に対し、消費者への説明義務を課しております。御指摘の電源構成などの開示のあり方も含め、今後、小売電気事業者に説明させるべき具体的内容について検討してまいりたいと考えております。

真島委員 時間が来たので終わりますけれども、再生可能エネルギーの普及が進んでいるドイツでは、御存じのように、電気が何でつくられているのか、電源構成の表示を義務づけて、国民がインターネットなどで手軽に知ることができる。逆に、イギリスでは、製品自体を差別化できないという電気の性質を反映して、料金面での競争をせざるを得ないということで、膨大な料金メニューがつくられて、消費者や需要家が選択するのが困難になっているという大変な事態になっております。

 そういう点で、今求められている改革というのは、先ほど来述べておりますように、完全自由化のもとでも、公共料金としての小売の電気料金の原価とか電源構成の情報の開示ということで透明性を高めて、自由で客観的な選択を保障するルールをつくっていくことだと思うんです。

 さらに、新しく独立した強力な民主的な規制機関の創設など、国民監視のシステムをつくることも求めまして、私の質問を終わりたいと思います。

江田委員長 次に、野間健君。

野間委員 無所属の野間健と申します。

 きょうは、委員長初め各党理事の皆さんに、貴重な質疑の時間をいただきましたこと、心から御配慮に感謝申し上げます。

 私は、今お話にも出ましたけれども、鹿児島県の九州電力川内原発の地元の薩摩川内市の住民の一人であります。

 当面の再稼働の問題はちょっと別として、五年後とか十年後の中長期の、地元の原子力発電所のみならず、原子力産業というのが一体これからどうなっていくのかということに強い懸念や不透明感を抱いております。これは、他の原発の所在地の住民の皆さんも同様だと思います。

 きょうもさまざまな論議の中で出てまいりましたけれども、やはり原子力事業は、数兆円という非常に巨大な投資を四十年とか六十年の長期にわたって回収するシステムであり、また、万が一のときのさまざまな無限責任ですとか、きょうも話が出ました無過失責任、そしてまた核廃棄物、リサイクルの問題をどうするかという、巨額の費用がかかるものであります。

 それを支えてきた従来までの地域独占、総括原価方式が、電力の自由化、システム改革でなくなっていくということになりますと、従来の電気事業者のみならず、新規に民間から原子力発電の事業に参入していこうというところは、恐らく、経済合理性だけからいえば、余りに長期の投資等に耐えられるところは出てこないのではないか。

 そういう意味で、原子力産業自体は消滅してしまうのではないかというぐらいの非常に不透明感を持つわけですけれども、そのあたり、今回の電力システム改革とあわせて、大臣の御見解をお聞きしたいと思います。

宮沢国務大臣 昨年の四月にまとめましたエネルギー基本計画におきましては、「今後増えていく古い原子力発電所の廃炉を安全かつ円滑に進めていくためにも、高いレベルの原子力技術・人材を維持・発展することが必要である。」とされておりますし、また、アメリカを初めとして諸外国からも、日本の技術、また技術の維持に期待が寄せられているということは確かであります。

 経済産業省といたしましても、原子力を支える高度な技術を維持し、安全対策高度化に向けた技術開発や基盤整備、人材育成を進めるため、原子力安全や廃炉などに係る事業を支援しております。

 具体的には、原子力発電所の安全対策高度化に向けた技術開発、基盤整備や人材育成の取り組みのための補助、委託事業といたしまして、二十六年度、また二十七年度においても約五十億円の措置をしております。

 また、基本計画におきましては、「資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の減容化・有害度低減等の観点から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム等を有効利用する核燃料サイクルの推進を基本的方針」とすることとしており、アメリカやフランス等と国際協力を進めつつ高速炉などの研究開発に取り組むことともなっております。

 このような取り組みを通じまして、既存原子力施設の安全性の確保や廃炉、核燃料サイクル、核廃棄物などに携わる人材、企業、技術の維持にしっかりと取り組んでいきたいと考えております。

野間委員 今お話ありましたように、これは、原子力発電所のいい悪いとか、好き嫌いとかいうことは別として、そこにある原子力発電所の現在の安全性の確保、それとまた将来の廃炉等についても、やはり携わった人たちでないとわからないさまざまな技術とか知見があると思いますので、その技術が伝承されていかないと、そこにあるものにどう対応していくかということができないかと思います。

 残念ながら、三・一一以降、原子力を学ぼうとする学生とか人材が非常に減っていますし、今稼働がされていないということで、実際に原子力の運転、運営に携わる人がどんどん今減っている状態であります。正直、なかなか、原子力発電自体が市場原理になじむかということが大きな問題となっていると思います。やはりこれは本当に政府がきちっと役割を果たしていただいて、責任を持っていただくということが、私たち原発の所在地の住民を含めて、国民の安心を担保していただけることだと思っているところでありますので、ぜひ、民間任せということではなく、政府が責任を持っていただきたいと思っています。

 きょうも議論に出ましたけれども、今回の法案の附則七十四条でも、今後、そういったことについて検証規定を設けるということになっていますので、そのあたりについても、大臣からしっかりと見直すということもまた御発言いただければと思うんですけれども。

宮沢国務大臣 検証につきましては、まさにエネルギー基本計画に載っているものについては検証してまいりますので、しっかり検証をして、何か対応が必要なことがあれば対応してまいりたいと考えております。

野間委員 次に、エネルギーミックスの問題であります。

 これも、きょうのお話で、六月ぐらいをめどにいろいろな電源の構成比が出てくるということなんですけれども、一方で、COP21に向けたCO2の削減に向けて、どういう電源構成がいいか。当然それは、再生エネルギーとかCO2を出さないものがいいということになるんでしょうけれども、そのことと、実際に今回進めようとしている電力の自由化、また、その目的とする電力価格の最大限の抑制ということが果たして両立するのかということは非常に疑問点があるわけでありまして、そのあたりはどうなんでしょうか。

 必ずしも、今回の法の趣旨とエネルギーミックスの策定の結果との乖離といいますか、一方で自由化を進めながら、一方でまた高い電力も使っていかなくてはならないということにもなるわけですけれども、そのあたりの御見解をいただきたいと思います。

上田政府参考人 エネルギーミックスをつくっていくということと、今回の法案で提案させていただいています電力自由化というのが両立をするのかという御質問かと存じます。

 私どもは、今回の法案で電力自由化というのを進めていくわけでございますが、エネルギー政策そのものは、基本的には国力の根幹にかかわる国家の重要政策であるというふうに考えておりまして、単に全て市場に任せるというわけではございません。

 エネルギーミックスは、エネルギー基本計画を踏まえながら、実現可能性のある将来のエネルギー需給構造の見通しであり、あるべき姿であるということでございまして、ある程度の政策の方向性というものを持っているわけでございます。その実現に向けて、例えば、再生可能エネルギーであれば固定価格買い取り制度をしっかり運用していくといったこととか、省エネルギーであれば省エネルギー法で対応していく、あるいは、技術開発を推進していくといったこと、さまざまな電源の立地対策を進めていくといったこと。さまざまな政策ツールというものがあるわけでございます。

 こういった政策的措置を組み合わせるということで、電源のエネルギーミックスということの実現に政府として努力をしていくということでございまして、電力自由化とエネルギーミックスの作成、そしてその実現に向けた政府の取り組みというものは、私どもは全く矛盾するものであるとは考えておりません。そこは非常に整合性がとれたものであるわけでございます。

 もちろん、御指摘のように、例えばCO2の削減のためには、再生可能エネルギーをふやすといったことが必要であります。あるいは、石炭を抑制するといったことが必要であるわけでございますが、他方で、コストを抑制しようとするとむしろ安い石炭を使うとか等々のことになるわけでございまして、全てのことがうまくいくというわけではございません。それぞれの要素がトレードオフの関係にあるということでございます。

 私ども、結局、全てのことを、あれも嫌だこれも嫌だ、原子力は嫌だ、石炭も嫌だ、再生可能エネルギーはふやす、電力コストを下げるということではなかなか解決にならないわけでございまして、スリーEプラスS、SプラススリーEという基本的な考え方を実現するべく、バランスのとれたエネルギーミックスというのを作成していきたいと考えております。

野間委員 確かにおっしゃるとおりなんですけれども、先ほど富田委員からもお話がありましたけれども、今、さまざまな電力が結局、高効率の石炭火力というものに、首都圏中心にさまざまな発電所をつくろうという動きが出ております。

 これはCO2という面でいえばマイナスの要素かと思いますが、その辺は、今後、エネルギーミックスの決定との整合性として、さまざまな政策誘導とかそういうことを行って、何かエネルギーミックスのゴールに合うようなことをしていくということなんでしょうか。

上田政府参考人 石炭火力発電の話でございますけれども、御案内のとおり、石炭につきましては、私ども、安定供給性や経済性にすぐれた重要なベースロード電源としてエネルギー基本計画の中にも位置づけているところでございます。

 他方で、CO2の発生が火力発電の中では最も多いという課題も抱えているわけでございまして、午前中の御質問にもございましたけれども、私ども、一つの解決は、石炭火力につきまして高効率の発電技術というものを有効利用していくということであると考えております。

 IGCC、IGFC等々、我が国の石炭火力に関するさまざまな技術開発の能力を伸ばし、これを活用し、また、これを世界に展開することによりまして、我が国として貢献をしていくという道があるのではないかと考えております。

野間委員 今回の電力システム改革の目的の一つとして、新しい総合エネルギー市場が誕生する。その中で、総合エネルギー企業を育て、内にこもるだけではなく、海外市場へも打って出て、さまざまな商機を獲得していくということも目標になっておりますけれども、具体的にどのような企業像といいますか、技術とか人材とかを持ったものを考えられているのか、お聞きしたいと思いますけれども。

上田政府参考人 総合エネルギー企業により海外市場を開拓していくということでございます。

 今回の制度改正、私どもは一体改革と申し上げておりますけれども、従来、電力、ガス、あるいは熱といった形で縦割り構造にありました市場を改革しながら、例えば、電力とガスが相互に乗り入れるとか、電力がガスを行う、ガス事業者が電力事業を行う等々のこと、あるいは異分野からの参入を促進するということで、総合的なエネルギー企業ということに成長していただきまして、その中で、技術力、人材力、それから資本力、こういったものを備えた総合エネルギー企業等に発展していっていただき、そういった方々に、我が国の国内でしっかりとしたエネルギー供給を行っていただくとともに、海外に対して展開をしていただくということを期待しているわけでございます。

 具体的にどんな分野があるかということは、先ほどもお話し申し上げましたが、例えば、高効率の火力発電、これは、先ほど石炭の例を申し上げましたけれども、石油もあれば、LNG火力につきましても我が国の技術力は大変高いわけでございます。

 また、省エネルギーの技術というのも非常にすぐれているわけでございまして、スマートグリッド、スマートコミュニティー等々に関する、エネルギーに関連する先端技術というのは我が国の企業が得意とする分野でございます。これらに関連する人材も非常に多いわけでございまして、こうした方々がアジアを中心といたしましてエネルギー需要が増大する分野におきまして海外に市場を開拓していくことにより、我が国の企業の発展に資するとともに、それぞれの国におけますエネルギーの需給構造の改善を図っていく、そういったことを一つの大きな企業像、目標としているわけでございます。

野間委員 今、安倍政権でも推進をされていますトルコなどへの原発プラントの輸出、これもそういった総合エネルギー企業による海外市場の開拓、獲得という概念に含まれると考えていいんでしょうか。

上田政府参考人 原子力発電につきましては、我が国は御案内のとおり福島の事故を経験しているわけでございまして、この福島の事故の経験を生かした安全性の高い原子力発電を海外に場合によっては販売していくといったことも我が国の貢献の一つであると考えておりまして、総合エネルギー企業あるいは原子力発電企業等々が、原発に関しまして、それぞれの国の御要望に応じまして原子力発電プラントを輸出していくということもこういった分野の一部に含まれていると考えております。

野間委員 そうしますと、最初の質問にまた戻ってくるんですけれども、やはり原子力産業を支えるさまざまな企業群ですとか、今八万人とも言われる方々がここで仕事をしているわけです。素材メーカーとかバルブとかポンプとか、大きな裾野のある産業群です。こういったものが、いろいろな企業、産業の盛衰というのはありますけれども、もうこの自由化の時代になってくると、電力の商売だけでは原子力がなかなか成り立っていかない、市場原理と合わないところが出てきます。

 しかし、そうやって輸出をしたり、海外にも展開していくということであると、先ほどもお話がありましたけれども、人材の面、技術の面、相当政府がしっかりと責任を持ってやっていかないと、またそういったことも実現していかないと思います。

 先ほど、さまざまな施策もお聞きしたんですが、今回、第三弾の電力システム改革ですけれども、その後に、何らかの原子力の産業の育成といいますか維持といいますかの施策も私は必要ではないかなと思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 これまでのところ、例えばトルコの原子力にしましても、実現を目指して今動いているのはいわゆる重電メーカーなわけですけれども、当然のことながら、プラントメーカーも含めて、プラント関連の会社も含めて、これから誕生する総合エネルギー企業といったものを含めて、日本連合みたいな形で、先ほど長官が説明いたしましたけれども、やはり技術的に大変高く各国で評価をされている日本の原子炉について、各国に輸出をしていくということについて、私どもといたしましてもいろいろな段階で応援をしていかなければいけませんし、その中に、最初の答弁で申し上げましたような人材育成といったものも当然入ってくると思っております。

野間委員 ありがとうございました。これで終わります。

江田委員長 次回は、来る二十四日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後四時五十九分散会


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