衆議院

メインへスキップ



第11号 平成27年4月24日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十七年四月二十四日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    井上 貴博君

      石川 昭政君    大野敬太郎君

      大見  正君    岡下 昌平君

      加藤 鮎子君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      木村 弥生君    黄川田仁志君

      工藤 彰三君    佐々木 紀君

      塩谷  立君    白石  徹君

      関  芳弘君    武部  新君

      武村 展英君    冨樫 博之君

      野中  厚君    福田 達夫君

      細田 健一君    宮崎 謙介君

      宮崎 政久君    務台 俊介君

      盛山 正仁君    若宮 健嗣君

      神山 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    福島 伸享君

      馬淵 澄夫君    渡辺  周君

      落合 貴之君    木下 智彦君

      篠原  豪君    國重  徹君

      藤野 保史君    真島 省三君

      野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   政府特別補佐人

   (公正取引委員会委員長) 杉本 和行君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (内閣官房原子力規制組織等改革推進室長)     中井徳太郎君

   政府参考人

   (総務省総合通信基盤局電波部長)         富永 昌彦君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           三木  健君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           土井 良治君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監)    糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   参考人

   (東京電力株式会社代表執行役社長)        廣瀬 直己君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十四日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     宮崎 謙介君

  黄川田仁志君     木村 弥生君

  白石  徹君     務台 俊介君

  福田 達夫君     武部  新君

  神山 洋介君     馬淵 澄夫君

  近藤 洋介君     福島 伸享君

  落合 貴之君     篠原  豪君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     黄川田仁志君

  武部  新君     福田 達夫君

  宮崎 謙介君     青山 周平君

  務台 俊介君     工藤 彰三君

  福島 伸享君     近藤 洋介君

  馬淵 澄夫君     神山 洋介君

  篠原  豪君     落合 貴之君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     加藤 鮎子君

  工藤 彰三君     白石  徹君

同日

 辞任         補欠選任

  加藤 鮎子君     盛山 正仁君

同日

 辞任         補欠選任

  盛山 正仁君     大野敬太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  大野敬太郎君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 電気事業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二九号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として東京電力株式会社代表執行役社長廣瀬直己君の出席を求め、意見を聴取することとし、また、政府参考人として内閣官房原子力規制組織等改革推進室長中井徳太郎君、総務省総合通信基盤局電波部長富永昌彦君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、経済産業省大臣官房審議官三木健君、経済産業省大臣官房審議官土井良治君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁廃炉・汚染水特別対策監糟谷敏秀君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。篠原孝君。

篠原(孝)委員 おはようございます。民主党の篠原でございます。

 TPPが私は大事なので、この後すぐに行かなくちゃならないんですけれども、また質問が控えているんですけれども、電力改革も大事ですので、こちらの方に全力投入して質問させていただきたいと思います。

 電力関係の、エネルギー関係の改革、発送電分離というのを、大分昔からこの言葉だけは聞いているんですね。なかなか改革改革といって進まないというのがあるんですが、大体日本は素直ですから、世界がそういう方向に行ったら、何かだあっとそっちに行く。ちょっと遅いんですけどね。

 例えば、今言いましたTPPやFTAなんというものは、やり始めたら、私はダボハゼEPA、入れ食いFTAと言っているんですが、そこらじゅう、のべつ幕なしにやっているわけです、焦点を定めずに。そして、そのあげくがTPPなんですね。

 だけれども、電力改革は結構おくれているんですね。一九九〇年代にヨーロッパで始まっていますし、アメリカでも、あっちはでかい国なので州ごとですけれどもやっているのに、日本は二十年あるいは二十五年おくれてやっと手をつけている。今は手をつけ始めてから第一段階、第二段階、第三段階というので結構速くやっていると言えば言えるのかもしれませんけれども、世界の潮流におくれまいとして真面目に取り組む日本にしては珍しくおくれたんですね。それは、九電力体制というのがあって、きちんとやっているからというのはあるのかもしれませんけれども、何でおくれたのかなと思うんですね。

 また一方、私もこれはどっちが正解かわからないんですけれども、外国がやっているから、アメリカがやっているから、ヨーロッパがやっているからといって、みんな同じようにする必要は私はないと思うんです。日本は日本のやり方があると思っているんですよ。

 特にTPPについて思うんですが、アメリカは日本の仕組み、制度を無視して、アメリカのを押しつけようとしているわけですね。グローバルスタンダードなんて、アメリカンスタンダードで、何でも言うことを聞けという感じでやってきているわけです。

 私は、日本は日本のやり方であってもいい、そしてそれなりに合理的な理由があるだろうと思います。存在するルールというのは、変なルールもありますけれども、それなりに合理性があるから、みんな認めて、それが続いてきたんだろうと思うんですね。そこら辺のところがよくわからないんです、僕は。

 ですから、経産省、あるいは経産大臣の御見解でも構わないんですが、日本的な仕組みを残すか、欧米並みに発送電分離をぐんぐん進めていくかということについて、よくわからないんですよ。まずおくれた理由。どうしておくれたのかということ。

 それから、全く正反対なんですけれども、いいところがいっぱいある。何でこれを、意地になってとは言いませんけれども、僕は残したっていいところがいっぱいあるんだろうと思います。東京電力から何か言われているわけじゃ全然ないですよ、こんなこと。ないですけれども、そう思うんです。

 その二つ矛盾するのは、僕も正解はわからないんです。その点について、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 今回提案している法案につきましては、発送電の法的分離という中身を含ませていただいているわけでありますけれども、二年前に電力改革のまさに第一弾の法案を成立させていただきました。その中に、プログラム法ということで、送配電部門の法的分離ということも書かせていただいておりますが、これは御党におかれましても賛成をしていただいた、こういうことだと思っております。

 そして、欧米に比べて遅いじゃないかと言われれば、まさにかなり遅いタイミングであることは間違いないと思いますが、発送電の分離が遅いということではなくて、料金の自由化がやはり少し遅かった、こういうことだろうと思います。

 料金の自由化というものを行うに当たっては、やはり、一般電気事業者が保有する送配電網を新規参入者にも公平に利用できる環境の整備ということが大前提となります。我が国は、二〇〇〇年に大口部門の小売自由化を行ったわけですが、その際に、一般電気事業者に対して託送の義務を課すことといたしました。

 その後、送配電網の利用に当たって公平性が確保されていないとの指摘が新規参入者から寄せられ、二〇〇五年に、一般電気事業者の託送業務に関する差別的取り扱いの禁止や情報の目的外利用の禁止といった行為規制を新たに導入いたしました。

 ただ、それでも、送配電部門の公平性に関する疑義が指摘され、今回、家庭部門まで含めた小売の全面自由化を来年から行うわけでありますけれども、送配電部門の中立性を一層確保することが不可欠と考えられることから、法的分離を行うことといたしました。

 小売の自由化が、では、なぜ遅くなったかといいますと、やはり、いろいろな既得権益等々との関係があって、その調整に手間取ったということが実情だと思います。

篠原(孝)委員 もう一つ、一緒にですけれども、日本のよさというか、日本の電力体制のよさというのも、私はいっぱいあるような気がするんですね。例えば停電ですよ。

 この間、長野県では、大雪が降って、翼みたいになっちゃうんです。氷が張って、高圧電線が揺れて、それで接触して、そして、長野新幹線もとまったんです。僕はそれを知らずに、朝、長野駅で街宣していて、何かえらい乗降客が少ないなんて言ったら、篠原さん、こんな日に街宣しているとばかだと言われると怒られたんです。珍しかったんです。だけれども、そういうのはめったにない。

 いろいろな統計があるんですけれども、二〇一〇年のエネルギー白書で、一家庭当たり平均何分の停電があったかというと、日本が断トツでトップなんですね、少ないのが。日本が十六分、イギリスが八十二分、フランスが五十八分とかの数字。二〇〇九年のでは、アメリカ、ニューヨークは十二分で日本より少ないんです。カリフォルニアは百六十分もある。ドイツは、日本の次に国としては少なくて、三十七分ですかね。

 日本はほかの国と比べて、何でもきちんとしている。JRのダイヤも寸分の狂いもない。ヨーロッパに行きますと、電車がまともな時間に出発するということはないですよ。日本に来ると、外国人はみんなそれにびっくりするわけです。

 ですから、原発の事故が起きた、メルケル首相はびっくり仰天した、あんなきちんとした日本でも事故は起こる、それよりも、でたらめとは言っていないですけれども管理能力がない我々ヨーロッパ人、ドイツ人はきちんとしていると思うんですけれども、それは絶対人災で起こるから原発はやめようということになる。

 日本のやり方はうまくいっているんだと僕は思うんです。例えば国民健康保険制度もそうだと思います。これも、アメリカからアフラックが来て、プライベートな保険にどうこうと言われていますけれども、日本の仕組みは動いていてうまくいっているところがいっぱいあるんですよ。だから、どうしてこういうところを維持してというふうにいかないのかなという気がするんです。

 日本のよさというのを、発送電分離して、失われていく面も僕は相当あるんじゃないかと思いますけれども、この点は、今でも考えながら改革を進めるべきだと思うんですが、そういうふうになっているんでしょうか。もう、行き出したら、ばあっと。これもまた日本人の悪い癖だと思うんですね。行き出したら、ばあっとこっちに行き、ばあっとこっちに行く。恐ろしいんですよね、変わり身が。

 僕は、そんなに変える必要はないところもあると。かたくなに守る守るだけじゃいけないと思いますけれども、いいところもいっぱいあるので、それをかなぐり捨てて片方にだけ行くというのはおかしい気がするんです。この停電がないということについては日本のシステムの方がすぐれていると思うんですが、こういうことを残すために配慮がされているんでしょうか。

宮沢国務大臣 委員おっしゃるとおり、日本は本当に停電がなく、安定的に電力が供給されている、しかも、その電力の質も極めて高い電力が供給されているという大変長所を持っております。

 一方で、先ほど申し上げましたように、電力料金の自由化ということと送配電部門を中立的にするということは、自由化する中では必要なことであります。

 ただ一方で、おっしゃったような、いいところは残していかなければいけないという観点で、当然のことながら、当初、プログラム規定を検討する段階でも、送配電部門を実質的に分離せよ、こういう意見もあったわけでありますけれども、やはり、そういう日本のよさを維持するためにも、法的な分離という形で行うことが適当だろうということから、今回、法的分離ということで御審議をお願いしております。

篠原(孝)委員 わかりました。

 皆さん、もうはるか昔のことなのでお忘れかもしれませんけれども、日本でも発送電分離の声がわあっと沸き起こったことが、何回も波があったんでしょうけれども、二〇〇〇年代の初めにあったはずなんです。

 どういうときかというと、福島第一原発で、GEの技術者が、蒸気乾燥器のところにひび割れがあったりしているというのを、アメリカ人ですけれども、ゼネラル・エレトリック社の社員が、言ってみれば内部告発したわけですね。東電はそれを隠していたということで、東電の経営陣が、古い名前で、平岩相談役、荒木会長、南社長とかいうのが総退陣した。それで、やはりこれはよくないから、発送電分離していかなくちゃいけないんだというような感じのことが盛んに行われたような気がするんです。

 しかし、何かそれは尻すぼみになって、総退陣したのでいいかというふうになって、今もやっていますけれども、エネルギー基本計画に、直していけばいいのに、原発維持、核燃料サイクルもそのまま維持というふうになってしまって、改革がとまってしまったんだろうと僕は思うんです、わかりませんけれどもね。それで、ほかの国のようにいかなかったんだろうと思うんです。

 ちょっと一つ、これは聞いていただくだけでいいんですが、大臣に申し上げておきますと、中国山地に、中国電力管内に小水力発電が物すごく多いというのは御存じですか、知っていますか。(宮沢国務大臣「広島県に」と呼ぶ)ええ。本当は小水力発電は我が長野県に、中部電力にいっぱいなくちゃいけないんです。山はあるし、川はみんな滝みたいなものですからね。

 発電というのは、皆さん御存じのとおり、結局、タービンを回しているわけですね、原子力発電所でも火力発電所でも。水蒸気にしてやっていらっしゃる、原発や火力発電は。だけれども、基本的には、水がおっこちてくる、それでタービンを回す、それで電力エネルギーに変えている。

 だから、日本なんというのは、雨が年間千七百ミリから八百ミリ降る、一日で降るところがあるわけです、それだけ。それで、川の流れが急勾配だと。明治のときにオランダの学者が日本に来たときに、日本の川は川じゃなくて全部滝だと言ったそうですね。そのぐらい急流なんです。

 だから、これは私は学者たちはぼけていると思うんです。発電の適地がどこにあるかなんて、全部適地なんです。長野の急流なんというのは、ダムをつくらなくたって、ちょっと小さくこっちに、横にして、タービンを回してやったりしたら、そういうのができれば、もう長野県は、県民が二百十万ぐらいいるんですが、それに必要な電力をはるかにしのぐ電力を小水力で賄えると思うんです。

 中国電力に何であったかというと、大臣と私は同じ世代だから我々はわかりますけれども、三段跳びの織田幹雄さん、金メダルをとった。それのお兄さん、織田史郎さんという方が中国電力の相当重鎮になられたんです。この方が、要するに電源開発促進三法ですね、それでダムをつくって、そして、不利益をこうむる、川底に沈む。それの代替にいろいろ何かしてやろうと。

 そのときに、道路だ公会堂だ公民館だとそんなのがあったんですけれども、そんなことはするな、あんたらもみんな電気を使うんだから、送電ロスも少ないし、発電所をつくればいいんだ、中国電力はそのノウハウがあるから、一番それができるから、そうしたらいいというふうに言われたんです。これは本当に美しい話なので、後で調べて、経産省のちょっと頭のかたい人たちにもみんなやっていただきたいんですけれどもね。

 それで、たった一人の人の優しさというか経営感覚というか、何といっても先を見る目がそうさせるんですけれども。そうすると、それに応じて、田舎の中山間地域の農家の皆さんも相談して、それにこしたことはないといって応じるわけです。ここから後が違ったんです。

 そのときにどうしたかというと、ほかの東京電力とか中部電力もみんな、決して余ったときの電力を買わなかったんです。こんな簡単なことを排除して、しなかったんです。まさに独占体制だったんです。だけれども、中国電力だけは、豊富に水が流れているとき、余っているときに、その電力を買ってやったんです。だから採算が合ったんです。

 だから、中国山地にだけ。大した山はないですよ。大した山はなくて、いいところなんです、山がなくて平らで。長野と比べたらずっと暮らしやすいところです。それにもかかわらず、中国山地にだけ小水力発電があるというのは、そういうことなんです。

 織田史郎さんが気をきかせて、そして中国電力の幹部がそれを受け入れたんです。だからなんです。それをもっともっと前からやっておけば、電力自由化、こんな発送電分離なんてしなくても、みんな幾らでもできるようになるということ、僕はそういうことを申し上げたいんです。そういうことをやっていなくて、かたくなに、俺たちだけでやるから余計なことをするな、俺のところの電気を買えと言っていた。だから今いっぱい中国山地にあるんです。

 では、陳情めいたことで言っておきますと、前々からある、簡単な原理なんですね。水をとめてやるだけですから、故障しないんですよ。何十年ともつんです。これが耐用年数が来て、修理してやる時期になっているんです。さあ、どうするか。修理費云々で金がかかるわけです。これがFITに合わないんですね。もとからあるものだから対象外になっているわけです。先行投資していた人たち、考えていた人たちを排除しているんです、まだ。前からやってきたんだから倍出してやってもいいような気がするんですけれどもね、私なんか。今まで貢献して、先駆的にやってきたわけですから。こういうことなんです。

 だから、日本的なところを維持しながら改革をしていった方がいいところがいっぱいあるんじゃないかとも僕は思うんですよ。織田史郎さんは、もう今は全部買電するようになっていますけれども、それをはるか昔にやっておられた。そこには、重宗雄三さんとか有力政治家がいたんです。そういう有力政治家になってください。

 そういう連携で、そして強引にそれをさせたんです。そういうことができたんですね。ちょっと気のきいた人、チームがあったりすると、そこのところは改善されていくんです。これが全国ベースになるのに何十年かかったんでしょうか。前々からやっていたら、今やドイツをしのぐ再生可能エネルギーの先進国に水力発電でなっていた可能性があるんです。それを、目を塞いでいたんです。だけれども、中国電力だけはそれをやっていたということ、これを頭の中に入れておいてください。

 次に、その延長線上で、だめな方です。カリフォルニアの大停電、それからニューヨークシティーの大停電というのがある。映画もできていますよ。ニューヨークの大停電の後に、喜劇というかコメディーで、いっぱい子供ができたとかいうものですけれどもね。

 それで、発電会社と送電会社を分離して、そして、あちらの国はそういうところがちょっと日本人よりも苦手ですから、意思疎通がうまくいかなかったりして大停電が起きてしまったと言われているんですね。

 日本でも同じようなことが起こる可能性があると思うんです。そこを連携をとってやっていればいいんですけれども、何か法律を見ますと、それはしようがないんですよ、やたら兼職禁止。本当は、業界との癒着じゃないと思うので、僕は、そんなにぎちぎちやらなくたってよくて、むしろ意思疎通が図られた方がいいような気がするんです。

 だからといって、それでもってほかの新規参入者に対して差別的なことをするとよくないんです。むしろそっちをやめさせればいいんであって、ぎちぎち兼職禁止、行為規制。そうすると、余り普段から口をきくな、交流するな、意思疎通しないようにして、それで大停電に結びつくようなことになってしまうんじゃないかと思うんですが、この点については何か日本的なことで配慮されているんでしょうか。

関大臣政務官 篠原委員おっしゃるとおり、送配電事業者と発電事業者が協調していかないといけない。災害時とか、停電とか、復旧のときにも迅速に対応しないといけない。そういうふうな体制は、本当に、大停電が日本で起こらないようにしないといけないというのはそのとおりだと思います。

 カリフォルニアの例をおっしゃられましたけれども、カリフォルニアの場合は、もともとが厳しい環境規制がございまして、発電投資が進みませんでした。一方、発電投資が進まない中にあって、小売部門の方は小売部門で、料金を上げてはいけないよという凍結された部分があって、要は逆ざやになってしまって、進まなくて、ぐあいが悪い状況になったというところでございます。

 日本の方におきましてはちょっと条件も違うのかなと思うんですが、いずれにしましても、こういうふうな停電が起こらないことは非常に重要でございますので、我々の方は、本年四月に発足しました広域的運営推進機関、そこがしっかり運営をしていただいて、事業者が協力して対処する仕組みを整備したところでございます。

 業務規程というのを決めまして、一つには、電気事業者、これは会員になるわけですが、維持運用する電気工作物に加えまして、電源車とか携帯用発電機とか資機材の保有の状況の機関への提出ですとか、年一回以上は協力して訓練を行うこととか、また、非常時には災害時緊急態勢をきっちりととること、こういうふうなものをルール化しているところでございますし、災害時のコールセンターの小売部門担当者も、法的分離後におきましても送配電部門の緊急対応を即座に応援するというようなことを規定して、円滑にできるようにしておるところでございます。

篠原(孝)委員 これからちゃんとやっていかないとよくないと思います。まあ日本人の場合は非常に連携をうまくとれる体質があると思うので、アメリカと同じようにはならないと思います。

 それで、今、需給ギャップのことを言われました。それは日本にも起こり得ることなんだろうと思いますけれども、そういうところをなくしていって、ぜひ停電とかいうのはないようにしていただきたいと思います。

 それから、停電が起きないようにとかいうのを考えていくと、発電はいろいろな人がやる。先ほど言いましたように、川があって水が流れていたら誰でも発電できる。小水力ですけれどもね。

 風力などもそうです。ドイツの北の方に行けば、僕はあれは景観を壊していて見苦しいと思います。あんなふうになってほしくないと思いますけれども、風力発電の塔がやたら立っていますよ。見なれてしまえばいいのかもしれません。オランダの風車は何となく心地いい感じになり、ドイツの風力発電のはどうも異様だという。量が多過ぎるんですね。あんなのがいいのかなとは思いますけれども、しようがないんだろうと思います。発電はいろいろあると思う。

 だけれども、ここはわからないんです。教えていただきたいと思うんですけれども、送電になったりしたら、これこそ一元管理してやっていったらいいんじゃないかなと。電気というのも絶対なくてはならないもの。勝手に、あんたのところへ売らないよとか、あんたのところは送らないよとかいうのはいけない、供給責任というものがありますから。

 これは、食料と同じだと思うんです。食料は農家がみんなつくっているんだけれども、国が食糧管理特別会計というので、食糧事務所があって、今はみんなそういうのはなくなりました。なくすと。電力改革と同じのを、何でもおくれていて、頑迷固陋でやらないと思われているかもしれませんけれども、農林水産省の方が先に改革をやったんじゃないかと思います。食管会計というのをなくしました。食糧事務所を全くなくして、完全に自由化しました。

 だけれども、あの食糧管理特別会計、食糧事務所というのは二万人いて、みんな国が買って、どこの米をどっちに持っていくというのをやっていたわけです。米の送電線、送電事業を国が丸抱えでやっていたわけですよね。だから米不足が起こらなかった。一九一八年に米騒動が起きてというので食管制度というのができ上がっていったんですね。米不足で、よくないということで。それで、今や自由化してやっている。

 ですけれども、米は外国から買うとかいってやっている人がいたんです。これはけしからぬと思って、この後追及するわけですけれども。

 電力は、ほかのところからは買えないわけです。韓国、ロシアと海底電線でつながったりしていませんから。だから、供給については、相当、私は国が管理責任というかコントロールしなくちゃいけないんじゃないかと思うんです。

 どうも法文を読んだりすると、そういうふうになっていないんですよね。今までの電力会社がそれぞれ送電会社をつくってと。電源開発、もうちょっと、自分のを持っていてやるというのがばらばらのような気がしますけれども。僕は、そこは違って、何でも国の関与を少なく国の関与を少なくといいますけれども、国の関与を大きくして、むしろ国が関与していかなくちゃいけない分野がある。僕は、電力関係でいったら原発関係のことがそれに当たると思うんです。これはまた一般質疑のときにぎりぎりやらせていただきますけれども、これは国が全責任を持ってやらなくちゃいけない。

 電気のことで、発電は自由だけれども、送電についてはきちんと守って、国が、こっちの電力が足りなかったらこっちをやれ、こちらの地域が足りないからここでちゃんと発電しろというようなことを言ったりする権限は持ってもいいような気がするんです。

 それで、その延長線上で、スマートグリッドとかありますし、一極集中はよくないわけです。そこで火力発電だけしていたらだめになるし、全部の原発が一カ所にあったりしたらだめ。あれは、福島第一、第二になっていてよかった。福島第一、第二じゃなくて、福島原発で十基同じ場所にあったりしたら、もっとひどい状態になっていたんですね。分散というのが必要なんです。地域分散型ネットワークというのは、電力についてこそ言える。食料とかそんなのについても言えるんですけれども。

 送電については国がもっと関与していった方がいいと思うんですが、そういう雰囲気がこの電力改革のところに全然出ていないんですけれども、全くそういう考えがないんでしょうか。ないんだったら、僕は、よくないので、今後改めていっていただきたいと思うんです。国が関与すべき分野だと思うんです。いかがでしょうか。

関大臣政務官 送配電部門、そこの部門に対して国がもっときっちりとグリップしていくべきだというお考えのところにつきましては、今後、認可制をとる形によりまして、広域的運営推進機関がしっかりまた見ていくような形にするわけなんですが、そういう点からしまして、委員おっしゃるような形でしっかりとグリップすることにつきましては、運営上でできると思います。

 それと同時に、今回、政府としましては、送配電の部門に対しては、非常に重要で、全国的な支援をしっかりと考えておかないといけない。この点もおっしゃられることはそのとおりだと思いますので、その点の意味的な運営のところを、責任として、広域的運営推進機関に見てもらって、全国的な責任部門というふうなのは、そういうふうに、今度新しくつくったところがきちんと今以上にグリップできるような体制をとっていきたい。ちょっと規制強化になるかもしれませんけれども、認可制をとっていこうというふうな考え方を入れていったようなところでございます。

篠原(孝)委員 その延長線上で、なぜそういうふうに疑問に思うかというと、発電業者は手を抜いて、もう俺は発電するのは嫌だ、面倒くさいとかいって。それはないと思いますけれども、発電業者に供給の義務というのは当然だと思いますけれども、送電する人は、発電してもらわなかったら送電できないと思うんです、安定供給の義務というのを課すのは。

 だから、あんたには気に入らないからやらない、そういうことをしちゃいけないという義務だけじゃなくて、ちゃんと安定的に供給する義務といったって、なかなか難しいんじゃないかと思いますけれども、両方に同じような義務が課せられていると思いますけれども、送電業者に安定供給の義務とかいうのは、ちょっと実行が難しいような気がするんですが、実際、どうやってやれというふうに皆さんは思っておられるんでしょうか。

宮沢国務大臣 恐らく、委員が持っている問題意識と同じような意識を持って、この広域的運営推進機関というものを設立いたしました。

 これまでであれば、各電力会社がそれぞれバイでお互いに話し合って、どの程度の融通をしていくか、どの程度夏季に不足しそうだからこのぐらいもらうよ、こんなことをやってきたわけですけれども、今回は認可法人、国ではありませんけれども、国の関与がかなり強い法人を四月に設立いたしまして、そこでしっかり全体の運用を見ていく。

 また、例えば、非常時等々で、ある電力会社の管内で電力が大変不足しそうになったときには、ほかの電力会社でたき増しをしてもらうというようなこともいたします。また、将来的な発電量といったものを、常に、発電量であり、恐らく電力の需要といったものも把握しながら、では、こういう電源が不足しているというようなときには、そういうものを入札にかけるとか、そういうことまでこの機関がやっていきますので、これまでよりは、はるかに国による関与といったものが大変大きなものになったんだろうというふうに思っております。

篠原(孝)委員 わかりました。きちんとやっていただきたいと思います。

 次に、電気事業法なんですが、ガス事業法、事業法ですから、高邁な宣言法じゃないですから仕方がないと思いますけれども、目的のところを見ると、いろいろ書いてあるんですが、電気の使用者の利益を保護するというのが一番最初に書いてあるんですね。そして、電気事業の健全な発展を図るんだ、公共の安全を確保し、環境の保全を図ると書いてある。

 この法案のポンチ絵、一枚紙のところを見ると、この目的がもうちょっと格調高く書いてあって、「成長をリードするエネルギー産業を創出」というのは、電気の使用者の利益を保護するというのがこれなんでしょうね。次に美辞麗句が三つ続いているんですね。ちょっとずつ書いてある。

 「エネルギー選択の自由度拡大」、これはよくわからないんですけれども、僕もエコロジストの端くれですから、再生可能エネルギーの電気を使いたい。まあ、五倍高くちゃ困るけれども、一・五倍ぐらいなら使ってやろうと思うけれども、電気に旗はついていませんから、わからないですから、どうするのかなと思うんですけれども、それがある。

 次に、「料金の最大限の抑制」というのが二番目に書いてあるんですね。「安定供給と保安の確保」、安定供給と保安は別なんですけれども一緒に書いてあるんです。三が安定供給で四が保安の確保だと思いますけれども。

 二番目の「料金の最大限の抑制」というのは、アメリカスタイルだと、料金の抑制は、自由競争でもってやっておけば、競争して料金は安くなって最大の効率が達成される。いつもこればかりやっていると疲れちゃいますけれども。

 お配りしてある表をちょっと見てください。これは、完璧に自由化したからだけじゃないんですよ。これは表裏で産業用電力料金と家庭用電力料金の推移を、電力改革が始まったころということで一九九三年を一〇〇とした場合の指数、経産省から電力料金の数字をもらって表にしてみました。ちょっとこれは時間がかかったんですけれども。

 では、ちょっと産業用の方のを見ていただきたい。表裏になっています。印をつけてあるところが、それぞれのところで自由化した、まあ段階的に自由化をしているところがあるのでややこしくなるんですが、ドイツの場合だと四角のところを見ていただきたいんです。

 ドイツは、自由化したら、だあっと電気料金が下がっているんですね。下がっていっているんですけれども、途中から上がる。これは火力発電の燃料費の高騰とかいうのがあって、みんな自国通貨でもってやっています。だあっと上がりっ放しなんです。全然料金の抑制になっていないんです。

 イギリスも、全面自由化したのは一九九九年。二〇〇三年までずっと下がって、四年あたりからばあっと上がっていっている。

 アメリカは、アメリカのカリフォルニア州ですけれども、途中で自由化を停止したり、また自由化したりしていますけれども、アメリカの方も結構上がっちゃっているんですね。

 それに対して日本は非常に安定しているんです。産業界から日本の電力料金は高い高いと、これは指数ですから、もともとが高いんだという不満はあるんだろうと思いますけれども、少なくとも上がってはいないんですよ。これは日本のエネルギー行政の立派さのあかしだと思うんですよ。上がっていないんです。

 立派さでいえば、米が最盛期の二分の一になったりしているのは立派過ぎるんです。それで農家だけ困っているんです。けしからぬことだと思います。安くすればいいというものじゃないんです。

 それで、二〇一一年は三・一一の後にいろいろありましたから上がっているんです。正直です。数字は正直にいろいろなことを物語っています。だから、僕は、こういうのを見ても、日本のやり方は間違っていなかったんじゃないですかということを言いたいんです。よく見てください、これを。私がつくった資料ですけれども、黙って使っていいですから。後ろの家庭用電力料金も同じです。

 だから、ここで「料金の最大限の抑制」というふうになっていますけれども、本当にできるのかと。逆になったらどうするんですか、副大臣、ずっとやってこられて。これは何だ、初期投資がかかったりしてごちゃごちゃして、こんなに上がって。もちろん、もっと違う理由で上がり始めているので、上がり始めたら、ほかの国を見てください、だあっと上がっているんです。そのおそれはあるんですよ。

 今幸いに石油の価格が低迷していますから何とか小康状態を保っていると思いますけれども、あれがオイルショックとかそういうときと同じように、二倍、三倍、OPECがまた反逆して高くなったりしたら全然違ってくる。

 だけれども、そっちの方の理由で上がったとしても、あんな発送電分離なんて格好つけたことをやっているからこうなったんだと言われるおそれもあるんですけれども、これについてはどう思われますか。

山際副大臣 電気料金について、上がる、下がるの最大の要因は、当然これは資源の価格でございますし、また、政策的に見て、再生可能エネルギーの買い取り制度のような賦課金の制度や、あるいは税というものも影響しますので、一概には言えないのかもしれませんが、少なくとも、適正な、ここが大事ですけれども、適正な競争が行われれば料金には抑制的に働いていく。このコンセプトに基づいて私たちは改革を進めてきたという自負がございます。

 また、今御指摘いただいた、例えばイギリスの話においては、やはりこれは我々、イギリスの失敗から学ばなきゃいけないと思っておりますが、自由化を進めた直後に、そのときから料金規制というものを完全に撤廃したことによって、結局、寡占状態に陥って料金が一・七倍に上がっていった、そういう失敗だというふうに承知してございます。ドイツの場合は、インフレがどこまで進んだかであるとか、あとは税の問題等々、そういう指数を、全部差っ引きますと、実は、電気料金そのものは一一%ほど下がっているということも事実としてはございます。

 いずれにせよ、こういった諸外国の事例というものをきちんと踏まえて、先ほど二十年おくれたというお話がございましたけれども、そこの部分をアドバンテージとして、そういうところから学べるところをしっかり学んだ上で、今回の改正案の中には、そういったことが起きないように、例えば、競争環境が整うまではこれまで地域独占をしてきた電力会社には料金規制を継続するであるとか、料金規制は継続するんですけれども、需要家にとってメリットのある自由な料金メニューもつくれるようにするといったようなことを盛り込んであったり。

 また、競争の拡大につながるように、発電余力の売買による卸電力市場の活性化とその実施状況をモニタリングしたり、あるいは、スマートメーターの導入等による、需要家が電力会社や料金メニューを選択できる環境整備といった取り組みもあわせて行ってまいります。また、自由化される市場において競争が適切に行われているかということを厳しく監視していく。

 こういうことを含めて、総合的に料金が抑制的に推移していくようにということをやろうということでございます。

篠原(孝)委員 どうも日本の改革は、ここにいいましたように、料金の最大限の抑制と。安い方がいいのはわかっているんですけれども、経済的効率の追求、こっちの方にばかり行くような気がするんです。これはちょっと改めていただいた方がいいんじゃないかと思います。もちろん安いにこしたことはないんですが。

 わかりません。わかりませんけれども、僕が見ているに、ドイツの発送電分離はちゃんと目的があって、再生可能エネルギーの推進が重要な目的の一つになっていたんじゃないかと思うんです。発電を自由にしておいて、そしてそれなりの効果を上げていて、今や再生可能エネルギーが二〇%になっているんですね。

 これはもちろん、日本がいきなりできっこないんです。みんな、すぐやったすぐやったと言われていますが、あれは違って、チェルノブイリ原発事故のときに、これはよくないと。あちらは近いですから相当被害を受けて、ドイツ人も健康とか安全とか気にする国民ですから。それで、そのときから既に、原発なんかはやめてというようになっていったりして、再生可能エネルギーにしていこうというのが相当あった。

 そこのところに我が国の福島第一原発の事故があったからそうなったんですけれども、目的の一つに再生可能エネルギーの推進というのは入っているんですよね。だけれども、これは事業法の改正ですからそんなニュアンスが前面に出てこないのは仕方ないんです。私はこれを相当意識してやっていっていただきたいんですけれども、大臣、そういう思想というか哲学はここに入っているんでしょうか。

宮沢国務大臣 私も、ドイツの発送電分離が再生可能エネルギーの推進と裏腹というところまでは知識はありませんが、再生可能エネルギーにつきましては、まさに固定価格買い取り制度を設けまして、これは大変効果が出たと思っております。この制度を入れる前の七割以上、再生可能エネルギーが導入されてきたというような状況であります。

 そして、今回の改正についても、各段階において再生可能エネルギーの導入に資する施策がちりばめられていると私は思っております。

 まず、第一段階で広域的運営推進機関を設立することを決めたわけでありまして、この四月一日から業務を開始しておりますけれども、この機関におきましては、まさに地域間の連系を深めることによって、一つの電力会社の管内でいっぱいになっても、ほかですき間があればそういうものもカウントした上で、再生可能エネルギーを可能な限り最大限導入するというような運営を目指すということにしておりますので、まさに広域的運営推進機関というものは再生可能エネルギーのさらなる拡大に資するものだと考えております。

 また、第二弾の改正によりまして、電気事業の類型が見直されまして、再生可能エネルギーの発電事業も電気事業者として位置づけられまして、先ほど申し上げました広域的運営推進機関の会員としてということになりますので、ここにおきまして送配電網の利用ルールの策定等々が行われるわけでございますけれども、これに主体的に参加することができるようになる。

 また、今回、法的分離をお願いしているわけでありますけれども、これはまさに、再生可能エネルギーの発電事業者を含めて、さまざまな発電事業者にとって送配電網を公平に利用できるようになる。

 こういうことで、この三段階の法改正それぞれの段階において再生可能エネルギーの導入促進に寄与する策が盛り込まれているものと考えております。

篠原(孝)委員 またこの表を見ていただきたいんですけれども、家庭用電力料金の推移を見てください。ドイツ国民は家庭用の二倍になっている電力料金をすんなり受け入れているかどうかというのは、高いと文句を言っていると思いますよ、思いますけれども、ちゃんと受け入れているんですよ。日本国民もきちんと説明してやったら受け入れますよ。産業界には配慮している、産業界は一・七倍にしかドイツもなっていません。だから、これはぜひちゃんとやって、事業法の改正ですけれども。

 では、どういうことをお願いしたいかというと、今、イギリスの総選挙です、二大政党制が崩れるかもしれない。日本と同じようになっちゃうんですけれども。スコットランド国民党は独立とか言っている。スコットランドは労働党の金城湯池だったのに、スコットランド国民党がほとんど議席を占めそうになっている。スコットランド国民党の公約に再生可能エネルギー一〇〇%というのがあるんです。なかなか立派だと思いますよ。それをちゃんと支持している。私はこういう気概が必要だと思っているんです。

 さっき山際副大臣が答弁されていましたけれども、こういうとき、端境期というか交代期、改革期には、前々からいた人と新規参入者とせめぎ合いがあって、どっちかどっちかとごちゃごちゃして、ここで悪知恵が働いて相当ぼろもうけをするやつが出てくるんですね。それを抑えながら、どっちへ味方するかといったら、新規参入者に味方するというふうにぜひやっていっていただきたいと思っております。

 質問するはずの三分の二ぐらいしかできませんでしたけれども、四十時間から五十時間審議されるそうですので、またじっくりさせていただきます。

江田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 電事法の改正審議の中で、エネルギーに関連することということで質疑に立たせていただきます。

 まず冒頭に、エネルギーミックスの議論が佳境を迎えておりまして、来週の二十八日には政府から具体的な数値が示されるということも仄聞をしております。その中で、自民党提言あるいは審議会でのベースロードの電源比率、これに関しては六割以上ということが強く意見として示されている中で、昨晩、電源構成について原案を固めたという報道がありました。

 お手元に資料をお配りしておりますが、これは時事通信の記事でございます。二〇三〇年の原発比率が二〇から二二%、そして再生可能エネルギーが二二から二四%と原案を固めた、このように報じられております。五月中にも与党との調整を経て正式決定ということでありますが、まず大臣、この原案、この数値で固まったとの報道でありますが、事実でしょうか。

宮沢国務大臣 まだ調整中でございます。

馬淵委員 記事には、これはまた他にも出ておりましたが、関係閣僚での議論の中でこのような話が出たということでありますが、いずれにしましても、来週の火曜日二十八日には明らかになる運びだということだと思います。

 いずれにしましても、ここで私は、四月十五日の質疑でも、ベースロード六割以上となると原発比率は必然的に二割超となるのではないかということをお尋ねしたところでもありました。これは二十八日の数字を見てからということになるのかもしれませんが、今はお答えいただけないということでありますが、いずれにせよ、この議論というのはやはり結論ありきで進めてきたと言わざるを得ない部分があるのではないか、このように感じております。

 そこで、この報道どおり電源構成が仮に示されるとします。これは済みません、仮定として私はお話をします。そして、政府の説明どおりに、これも大臣は再三おっしゃっていますが、原発の新規増設、新増設やリプレースは行わない、この場合、現在停止中の原発の再稼働が順調に進んでいくことが前提ということになると思います。

 そして、既に四十年を超えた原発、これも質疑でただしましたが、これは五基、また三十五年を超える原発が十二基という状況であり、いわゆる炉規法上の四十年の運転制限ルール、これの適用、さらには例外となる二十年運転の延長申請、これが順次認められなければ、これらの原発は再稼働できないということになります。

 すなわち、ここも大臣にお尋ねをいたしますが、経産省としても、この四十年運転制限を超える原発が認可を受けて運転延長されるという前提に立っているということにはなりませんか。これはいかがでしょうか。

宮沢国務大臣 エネルギーミックスの中身についてはまだ調整中でございまして、コメントする立場にはございませんけれども、政府の立場といたしまして、まさに、法律にのっとって四十年を超えて運転する、そうすると特別検査をした上で規制委員会に延長のお願いと同時に再稼働の申請を事業者がする、そして、それについて、規制委員会で適合すると認められた場合には再稼働を進めていくという方針でございます。

馬淵委員 今の状況で、お立場としてはコメントはできないということであり、また、これは法律にのっとって審査を進めていただく、これも規制委員会の所掌であるということでのお答えしかないということはよく承知をしております。

 ただ、では規制庁、規制委員会の方はどうかといいますと、これも、私は先週、四月十六日にも原子力特別委員会で田中委員長にも尋ねております。この二十年の運転延長、これについては田中委員長も、なかなかに大変なハードルであろうというふうに思っております、こう答えられております。

 先ほど大臣お話ありましたように、いわゆる古い原子炉が新基準に合致するのかというチェックのポイントと、さらには、いわゆる劣化した、古くなってしまった設備について、延長しようとする期間に健全性を維持できるのか、この二重のハードルがあるんだと。二重の審査を経なければならないということで、大変高いハードルがあるというのは、これは規制委員会の委員長からも繰り返し重ねられている公式な見解、答弁であります。

 そういう状況の中で、四月二日でありますが、規制委員会は、一九七〇年代に運転を始めました老朽化原発、四十年を目前に控えている高浜の一、二並びに美浜の三号機について安全審査に着手をされました。

 これも、原特委の方で私は規制庁の方にもお尋ねをしたんですが、これは、お答えいただいたのは櫻田原子力規制部長でいらっしゃいましたが、こうした審査、四月二日に再稼働の安全審査着手ということだったわけですが、櫻田部長は、そんなに簡単に審査が終わるということではないと考えている、このように述べられておりました。

 つまり、運転延長というのが、やはり規制の立場から見ても順調になされるということではないという、これはもちろん審査をされる立場ですから、結論を予断を持って語られているわけではありませんが、見通しを楽観的に持つのはやはりいささか問題ではないかというふうに私は思っております。

 その上で、今申し上げた運転延長もありますが、それ以外にも、廃炉となることが決まっているもの、これは美浜の一、二、敦賀一、玄海一、島根一と、このように五基もあります。今後は廃炉も出てくるんですね。四十年到来、あるいは三十五年超、このようなものが、先ほど私が申し上げたように十二基ということでありますが、しかし、今後は廃炉もあると。そうなりますと、より高いハードルを残ったもので越えていかなきゃならないということなんですよ。

 つまり、運転延長の見通しというのは非常に不透明で、かつ、廃炉の進展も予想される中で、この原発比率、これは、もう繰り返し言いますけれども、まだ決まっていないということでありましたが、二割を超えるというのは、必然的にやはり新増設やリプレースが必要になってしまうんですよ。これはもう単純な算式の話だと思います。

 大臣は、現時点では考えていない、想定していないとおっしゃいますが、規制委員会、規制庁が、審査をする立場で、高いハードルであり見通しが立たない、このようにおっしゃっている中では、やはりここは新増設、リプレースが必要になるということではないんでしょうか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 四十年を超えて稼働したいと事業者が言っている炉について、委員おっしゃるように規制委員会で審査が始まっているわけでございますけれども、審査の見通し、内容等々については私どもは全く知らないわけであります。ただ、一般論として申し上げれば、審査が厳格かつ効率的に行われることを期待しております。

 一方で、新増設、リプレースについてでありますけれども、まさに現段階においてそういうものは想定していないという立場に変更はございません。

馬淵委員 ただ、今のお話ですと、やはり審査の状況というのは流動的です。すなわち、審査の状況によっては今後はあり得るということですね。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 現時点で想定していないものですから、将来の状況云々と言われてもなかなかお答えしにくいわけでございます。

馬淵委員 現場を預かるお立場であり、かつ所管するお立場であり、かつ最高責任者です。現時点のみならず、将来を予見し見通すことが当然求められます。ですから、私は、特別なことを大臣から答弁を求めようとしているんじゃないんですよ。審査の状況によっては、当然ながら、流動的な事態によっては変わり得るんだという、私は可能性のことをお尋ねしているんです。大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 審査の状況によって、現時点で想定していないという対応が変わるとは考えておりません。

馬淵委員 審査の状況で変わらないと今おっしゃいましたが、それはあくまでも、今、現時点でとつけられました。繰り返し申し上げます、将来の見通しというのは先のことなんですね。現時点、今段階で審査の場にも答えは出ていません。したがって、状況によっては変わり得るのではないかとお尋ねしています。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 これは何度お尋ねされても同じ答えでございまして、ともかく、現段階、現時点で新増設、リプレースについては想定していないということでございまして、今後審査がどうなる云々ということについては、正直、私どもの手を離れているわけでございまして、その内容を、だからどうだということを前提に置いてここで答弁するわけにもいかないと思っております。

馬淵委員 本当にそのように言えるのかということで、では、違う観点からちょっとお尋ねします。

 昨年十二月に、経産省の中の審議会、原子力小委員会中間報告で、これは配っておりませんが、中間報告には、「廃炉に見合う供給能力の取扱いを含めた我が国の原子力の将来像が明らかになっていなければ、判断がしにくいという意見があった。」このように書かれています。一体これは何を意味しているのか。

 これに対しては、この中間報告の中にもありますが、小委員会の別の委員から、廃炉に見合う供給能力の取り扱いということについて、「供給能力に見合う必要がなく、リプレースに当たるのであれば、大きなミスリードであり、主な意見にあることをもって対応済みとすべきであり、ここに入れるべきではない。」つまり、廃炉に見合う供給能力、廃炉されたときに、それに見合った相当分の供給能力、すなわち新増設、リプレースを意味するではないか、こう指摘をされているんですね、別の委員が。

 このような、「廃炉に見合う供給能力の取扱いを含めた」、これは火力やその他の電源ではありません、「我が国の原子力の将来像」、こういうふうに書かれているわけです。廃炉相当分の原発をどうするかということがここに書かれたと明らかになっていなければ判断しにくい、つまり明らかにせよと書いてあるんですね。これについては、この委員は、明らかにせよということは、これはすなわちリプレースに当たる、そういうことになるのであれば、この中間報告の中でも大きなミスリードになるんじゃないかと。

 つまり、大臣は現時点ではないとおっしゃっていますが、原子力小委員会の中でも既にこのような誘導がなされている。私はこのように受け取れる報告書だと見ておりますが、大臣、ここにありますこの記述、繰り返しになると言われるかもしれませんが、新増設、リプレースを想定したものではないんでしょうか。そして、少なくともそれを現時点で選択肢として検討しているという証左ではないんでしょうか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 私も審議会をずっとフォローできるわけではありませんが、委員の意見としてそういうものがあったということだろうと思っておりまして、私どもとしては、先ほど申し上げましたように、現段階で新増設、リプレースは想定していないという立場に変更はございません。

馬淵委員 一委員の意見というよりも、少なくとも委員会の中でこのような議論が出されているわけですね。やはり、一定程度そうしたことを、将来を予見すれば、考えているということだと、これは誰が見てもそのように受けとめられるんじゃないでしょうか。

 さて、その上で、原発をベースロードとするには、このように再稼働の問題も当然ながら出てくる、あるいは、運転延長も含めてさまざまなハードルがある。しかし一方、廃炉に見合う供給能力の将来像というものまで指摘をされながらという状況であります。

 その中で、旧型のBWRの再稼働についてでありますが、旧型BWR、いわゆる、福島第一原発の事故が発生した旧型と呼ばれるものであります。このBWR、沸騰水型の再稼働につきましては、地震や津波、あるいはプラント設備、これは老朽化もあって大きな問題がある、こういう状況であります。

 また、東電におかれては、このBWRをたくさんお持ちでありますから、少なくとも、このBWRについてどのように捉えるかというのは非常に重要な課題になります。東電は、特に、今後、経営をどのように行っていくか、あるいは経営再建を行うかということにおいては、このBWRの主力であります柏崎刈羽の原発の問題がやはり俎上にのってまいります。

 この柏崎刈羽の問題について、きょうは三十分だけ抜けられるということでありますので、私、ここで時間が一旦切れますので、これは大臣が戻ってこられた三十分後に質疑をさせていただきます。ここで打ち切らせていただきます。

 ありがとうございます。

江田委員長 次に、大見正君。

大見委員 おはようございます。自由民主党の大見正です。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございました。十五分の時間でありますので、通告によりまして、順次質問をさせていただきます。

 きょうは、ガスシステム改革について質問をいたします。

 初めに、総合エネルギー市場についてお伺いをいたします。

 今回の改革では、電力システム改革の第三弾目の電気事業法の改正とともにガスシステムと熱供給システムの改革を行うことで、電力市場や都市ガス市場の垣根を撤廃して、総合エネルギー市場をつくり、エネルギー選択の自由度を拡大させ、料金を最大限に抑制することで消費者の利益を向上させると同時に、総合エネルギー企業による国内外の市場開拓を目指すというふうにされております。

 しかしながら、ガス事業は、電力事業とは普及率や安全性に対する国民の意識などが大きく異なることや、都市ガスとLPガスとの競争、都市ガス同士の競争、さらにはガスと電気の競争と、ガス事業においてはもう既に十分に競争がなされているとする意見もあります。

 今回のガスシステム改革を行うことで、総合エネルギー市場が出現する一方で、中小事業者やLP業者が淘汰をされ、大手による寡占化が進むことも懸念をされます。

 総合エネルギー市場や総合エネルギー企業の創出というのは、単純にガスや電気の市場を一緒に扱うという意味から、例えば、消費地に近いところまでエネルギー源のガスを導管で結んで、そこで発電をすることで、送電網で電力を送るよりもエネルギーのロスが少ない電力供給を目指す事業や、発電の際に発生する熱を回収し、効率よく二次利用を行う事業、あるいは、ガスから水素を取り出し燃料電池自動車などに利用する、水素社会の実現を後押しするような事業など、イノベーションを伴った、これまでにないようなビジネスの形も含めて、さまざまなものが考えられるというふうに思っております。

 そこで、改めてガスシステム改革を進める必要性についてお伺いをするとともに、電力システム改革やガスシステム改革を通じて、政府は、総合エネルギー市場や総合エネルギー企業の創出についてどのような姿を描いておられるのか、お伺いをいたします。

山際副大臣 これは、今委員が御指摘いただいたとおりですが、ガスシステム改革の目的といたしましては、ガス料金の最大の抑制、需要家の選択肢や事業者の事業機会の拡大を図っていくということでございます。

 また、電力システム改革とガスシステム改革を一体的に進めるということでございますけれども、このことによって、家庭に届けられる全てのエネルギーを消費者が選べることになります。そして、そのことで、多様なエネルギーがより低廉かつ質の高いサービスで提供されることになって、総合エネルギー市場や総合エネルギー企業の発展を促すことができます。

 これによりまして、我が国の経済成長をリードする強いエネルギー産業の発展へとつなげるとともに、電気とガスのセット販売など、多様で魅力的なサービスが消費者に提案されまして、消費者の利益も向上することを目指してございます。

大見委員 新しいエネルギー市場ができてくるということで、とにかく、イノベーションが促進をされて、そこから国民の皆さん方の新しいライフスタイルが始まるような、そうした機会を期待していきたいというふうに思いますので、ぜひ多角的な面から政府もいろいろな面での後押しをしてもらいたいというふうに思っておるところであります。

 次に、ガス改革の中身でありますけれども、今回の改革を通じて、ガス事業においても、小売の全面自由化により競争市場をつくっていくということだというふうに承知をしております。

 電力の自由化では、石炭やLNGを使った既存の発電や、水力、太陽光、風力、地熱などの再生可能エネルギーを使った発電、さらには、将来、できれば近々でありますけれども、原子力の再稼働による発電も含めた多様な発電方法の中から、消費者のニーズや目的にかなうように、使用量や使用時間も考慮した多くの選択肢を示して、そこから最適な電力を選ぶことができるようになると思われます。つまり、自由化によって選択肢が多くなって、そこから健全な競争市場が生まれてくるのだろうというふうに思っております。

 しかし、都市ガスにつきましては、ガス料金の七割が原料費で、その原料のほとんどは海外からのLNGの輸入に依存していることや、また、料金の低廉化を図るための多様な原料の選択肢等が電力に比べてほとんどないというのが現状だというふうに思います。もちろん、メタンの部分であるとか、あるいはバイオマスの部分であるとか、これから期待をされるところもあるというふうには思っておりますけれども、現状ではほとんどないというのが正直なところだというふうに思います。

 また、選択肢の一つとして、原料調達費用の低減が期待をされております北米のシェールガスも、昨今のような政策的あるいは計略経営的な原油安のもとでは競争力を失う可能性もありまして、大きな選択肢とはなり得ないことも考えられます。

 加えて、電気は、全国津々浦々、ほぼ一〇〇%供給をされている一方、都市ガスは、供給区域も国土の六%弱であり、供給区域内においても、全国平均では普及率は五〇%に満たない状況で、このままでは都市ガスの事業者が提供するサービスに大きな差が出ずに、むしろ、都市ガスとLPガスが混在するような地域では、今回のガスシステム改革で、中小零細のLPガス業者に影響が及ぶことも懸念をされます。

 特にLPガスは、エネルギー基本計画でも「災害時にはエネルギー供給の「最後の砦」」と明記をされ、防災上からも地域で重要な役割を担っていることから、影響を最小限にとどめていかなければなりません。

 そこで、政府としては、消費者がそれぞれのニーズに合ったガス利用をいろいろな選択肢の中から選べるような競争市場、これをどういうふうにつくっていくのか伺います。

 また、ガス料金抑制のための多様な原料の調達先の確保やシェールガスなどの調達費用の低減の取り組みが必要と考えますけれども、所見をあわせてお伺いいたします。

関大臣政務官 今いただいた御質問、非常に重要なポイントだと思います。

 LPガスのところにつきましては、災害があったときの自由性、いろいろ配ったりする際の自由性などは本当に政府も十二分に認識をしているところでございます。まずは、今回の電力とガスの自由化におきまして、競争という概念をできるだけ我々もこの市場に取り入れていきたい。それによって、やはり最も目指すべきは、消費者が料金の面で最大限メリットを受けてもらわないといけない。一方で、きちんとした供給を安定的にできるような形をとらないといけないというのは、委員もおっしゃられたとおりだと思います。

 そういうふうな中にありまして、そのメリットを最大限消費者の方が受けていただけますように、我々の方としましては、ガス小売業者を変更する際の手続を全国で標準化したり、消費者が契約の切りかえやプランの変更を容易に行うことができるような環境整備の方はしっかりと行っていかないとと思っております。そういうふうに努めてまいりたいと思います。

 と同時に、一方、ガスの小売事業者に対しましては、消費者に向けまして契約条件の説明義務を課しましたり、消費者からの苦情、問い合わせの対応の義務をしっかりと課すことによりまして、消費者がガス会社や料金メニューを選択するに当たって必要な情報をしっかりと受けられるような仕組みづくり、そのところをしっかりと監視もしていきたい、そのように考えております。

住田政府参考人 燃料調達費の削減につきましての御指摘がございました。これは大変重要な課題でございます。

 このために、御指摘のございましたようなアメリカからのシェールガスの輸入を初めとして、供給源を多角化するということ、あるいはLNG産消会議などにおきまして、消費国間の連携をしていくということで買い主側の交渉力を強化していこうということで、るる取り組んでおるところでございます。

 シェールガス由来のLNGにつきましては、二〇一六年から我が国への輸出が開始をされる予定でございます。

 また、民間企業の取り組みにおきましても、東京電力と中部電力による燃料、火力部門の包括的なアライアンスにつきまして、合弁会社の設立が決定をされたということでございまして、こういうことも燃料調達コストの削減につながるというふうに期待をしておるところでございます。

 また、シェールガスの競争優位性につきましては、御指摘のとおり、化石燃料の下落の影響で少々その優位性が減少してきているわけでございますが、実はシェールガスの場合には、アメリカにおけるガス価格に連動した価格設定となっておりまして、そのほかの多くのLNGが原油価格連動になっていることと異なる価格体系でございますことから、こうした価格体系の多様化によって、また買い主側の交渉力が高まるということもございます。

 さらに、御指摘のございましたLPガスにつきましても、シェールガス由来のLPガスが安く輸入できるといったようなこともございますので、引き続き、ガスの安定的かつ低廉な調達に向けまして、しっかりと取り組んでまいりたいと思います。

大見委員 ガスの方は、電力と違って、エネルギー源がそれほど多様化されているということは言えないということもありますので、いろいろな取り組みを通じて、少しでも競争市場、消費者、需要者がいろいろな選択の幅を持てるようなお取り組みを、しっかりと政府としても、お願いをさせていただきたいというふうに思います。

 次に、導管網の整備と保安の確保についてお伺いをさせていただきます。

 我が国では、自然災害、特に地震が多く、これは、全面自由化や法的分離などのガスシステム改革を先行して実施しているヨーロッパなどにはない特徴だというふうに思います。

 東日本大震災の発生とその後の電力需給の逼迫を契機に、電力システム改革の第一弾として広域系統運用の拡大の改革が行われたところでありますけれども、ガスにおいても、南海トラフ等巨大地震や首都直下型地震の対応を考える上で、地域をまたぐ広域的な供給力の確保を行っていかなければならないというふうに思います。

 現在、我が国では、全国をカバーする基幹パイプラインは、静岡県の浜名湖を境に東と西に大きく分断をされており、中国地方から九州地方の間でも、局所的に整備をされているにすぎない状況となっております。

 そもそも、導管整備はガス事業の拡大と相まって進むことが本来の姿で、ガス需要の拡大なくして導管の整備なしということだというふうに思います。その意味では、需要拡大を促す競争市場の活性化と災害時のガスの広域的な運用に同時に取り組んでいく姿勢が求められるというふうに思います。

 また、保安面でも、我が国の都市ガスの保安水準というのは海外と比較しても非常に高いものであると認識しており、このことは、ガスシステム改革後においてもしっかりと維持すべき特性だというふうに思っています。

 ガスについては、電力以上に安全性を危惧する声も大きいことから、ガス事業の自由化により、これまで垂直一貫体制のもと安全性が堅持されていた保安体制が、法的分離による分社化や新規参入業者などにより分断をされ、保たれなくなるのではないかという不安もあります。

 そこで、政府におかれましては、大規模災害時の対応と競争市場の活性化のためのガス導管網の整備について、今後どういうふうに取り組んでいくのか、また、日常の保安の確保についても、自由化後も引き続き堅持できるようにどのように取り組んでいくのか、お伺いをいたします。

上田政府参考人 ガス導管網の整備、それから保安についての御質問をいただきました。

 私の方から、ガス導管網の整備について申し上げたいと思います。御指摘のとおりでございます。ガス導管網の整備は、市場の活性化のみならず、災害時対応の強化、両方の観点から非常に重要であると考えてございます。

 私ども、昨年の四月に作成いたしましたエネルギー基本計画の中でも、供給体制の強靱化に資するような天然ガスパイプラインの整備ということに向けて検討を進めていくということを記載しているところでございます。

 御案内のとおり、今回の法案につきましては、一般ガス導管事業につきましては、引き続き地域独占と料金規制を維持しながら、導管整備費用というものが回収できるようなことを制度的に担保しているわけでございます。それとあわせまして、導管の相互接続を促すさまざまな仕組みを創設するということにしているところでございます。

 さらに、ガス導管の整備には多額の資金を必要とすることから、現在、利子補給という形での支援策を講じさせていただいているところでございます。

 こういった制度的な措置、あるいは予算面の措置を活用しながら、パイプラインの整備に努めていきたいと考えております。

寺澤政府参考人 それでは、保安の方について、時間の関係があるので簡単にお答えします。

 ガスの小売自由化以降も、委員御指摘のとおり、ガス保安の維持向上というのは極めて重要でございます。そのために、ガス導管事業者とガス小売事業者間の相互の連携協力が必要だと思っています。

 このために、今後、審議会におきまして、両者の連携協力のあり方について鋭意具体化に向けた検討を進めていきたいと思います。こうした検討を通じまして、しっかりとガス保安の維持向上に取り組んでまいる所存でございます。

大見委員 時間になりましたので、終了します。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、野中厚君。

野中委員 自由民主党の野中厚でございます。

 本日は、電力システム改革第三弾、一連の電力改革の総仕上げとも言える本法案において質問の機会をいただきましたことを感謝申し上げまして、質問に入らせていただきたいと思います。

 まず初めに、電力広域的運営推進機関について質問をさせていただきます。

 電力が足りない地域をいち早く把握し、他の電力会社から供給させ停電を防ぐという、要は全国の電力需給調整を行う電力広域的運営推進機関、本年四月一日に発足したとのことであります。この電力供給の広域的運営を進める観点から、周波数変換設備の増強、これについてどのように進めていくのか、お伺いいたします。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、需給の安定化、あるいは全国大での効率的な電源の活用ということから、東西の周波数変換設備というものについて、その設備容量を現在百二十万キロワット、これを二百十万キロワットまで増強すべく、事業者におきまして着工の準備中でございます。

 これまた御指摘のとおり、この四月に電力広域的運営推進機関というものが設立をいたしまして、活動開始をしたところでございますけれども、東西間の周波数変換設備を含めた地域間連系線の増強、こういう問題につきましては、この広域的運営推進機関が広域的運用の観点等々を踏まえながら設備増強計画を策定するということにしております。

 この東西間の周波数変換設備でございますが、実は、この四月十六日、私どもの電力需給検証小委員会という審議会がございますが、この中で、先ほど申し上げました二百十万キロワットまでの増強に加えまして、さらに、全体として周波数変換設備を三百万キロワットまで増強するという方針が固まったところでございまして、この検証小委員会の方から電力広域的運営推進機関に対しまして、その具体的な検討を要請したところでございます。

 今後、広域的運営推進機関におきまして、具体的なルートあるいは必要な費用分担のあり方等々につきまして検討が行われるものと考えております。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

野中委員 今御答弁いただいた中で、百二十万キロワットから二百十万キロワットまで増強するよう着工したということでありますが、総工事費についてお伺いいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 五十ヘルツと六十ヘルツ地域をつなぐ連系線の容量、今おっしゃいましたが、百二十万キロワットから二百十万キロワットまで増強するための総工事費でございますが、周波数変換装置それ自体のほかにも、直流、交流の変換装置、それから変電所、送電線等々含めまして、全体で一千四百億円程度と見込まれていると承知しております。

野中委員 一千四百億程度ということでありまして、先ほど、最終的には三百万キロワットまで進めていくという方針が示されたということでありますので、さらなる工事費が発生するということが予想されます。

 今回の電力改革の消費者の大きな関心というのは、やはり電気料金が抑制されるかどうかということであります。今回の工事費による電気料金の上昇、また、電気の需給が厳しい中、売り惜しみ等によって電気料金が上昇、これらの消費者の懸念を払拭すべきと私は考えますが、お伺いいたします。

関大臣政務官 売り惜しみでございますけれども、こういうふうなことがあっては本当にいけないということで、我々もよく注意をして考えていかないといけないと思っております。

 小売の全面自由化後、現在の一般電気事業者に対して、当分の間、料金の規制を課すとかいうふうな形で、金額的には電気料金が上昇しないようにしていかないといけないということを根本にして、いわゆる消費者に対する電気料金の上昇を抑制していこうと。売り惜しみによる、自由化、その自由性による、それぞれかかわってきました各業者の方々の横暴があってはいけないというところは本当にしっかりと確認していかないといけないと思っております。

 また、供給力が潤沢な地域の発電事業者が、供給力が不足している地域からの需要に対して売り惜しみを行うこと等によりまして、電気の需給の状況が悪化したり、または悪化するおそれがある場合などは、本年四月一日に発足をいたしました広域的運営推進機関が、そういうふうな電気事業者に対しまして、電気の需給状況を改善するための電源のたき増しその他の必要な指示、そういうようなことが行えるような仕組みをとりましたので、また、経済産業大臣が電気事業者に対して必要な措置を命ずることもできるようになっておりますので、今委員がおっしゃられた点は非常に大事な点でございますので、しっかりと我々も目くばせをしてまいりたいと思っております。

野中委員 ぜひお願いいたします。

 次の質問に入らせていただきますが、自由競争を促すというのは私は賛成でありまして、おとといの質問で、エネルギー間の競争を促すという観点は、むしろできるだけ早期にこのような経過的な既存業者に対する料金規制というのは撤廃し、むしろ競争を促すということが必要ではないかと細田委員から質問がありました。私も同意見であります。

 その中で、ガス事業法の附則第二十二条、料金規制は原則として撤廃するが、競争が不十分な地域には、経過措置として、既存のガス事業者に規制料金メニューの提供を義務づける、このように規定をされております。

 この競争が不十分な地域の基準というのはどのようなことを想定しているのか、また、この基準はどのように決めるかということをお伺いすると同時に、これは確認でありますけれども、規制料金を義務づけた事業者は、新規参入が進展した場合、この規制というのが撤廃されるのか、あわせてお伺いいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 規制料金の経過措置、これの対象事業者でございます。

 法文上は、正確に申し上げますと、「ガス小売事業者間の適正な競争関係が確保されていないことその他の事由により、当該供給区域内又は供給地点のガスの使用者の利益を保護する必要性が特に高いと認められるもの」、こういう地域の中の料金については引き続き経過措置で規制料金となるという考え方でございます。

 その考え方に基づきまして、対象事業者を決めるに当たりましては、各地域でのガス小売事業者間の競争状況でございますとか、既存のLPガスまたはオール電化など他のエネルギーとの競争状況、こういったものを個別具体的に評価した上で指定することとなります。

 先日の質疑でも御説明させていただきましたけれども、今、具体的に評価する際の一つの想定しているものといたしまして、現行の供給区域内の世帯件数のうち都市ガスを契約している需要家の件数、都市ガスの利用率と言っておりますけれども、そうしたものの比率を想定しているところでございます。

 また、その解除についてもお話がございました。

 もちろん、これは、指定をして、ずっと指定したままということではございませんで、競争が進展すれば解除をするという形で、全面自由化と裏腹の料金規制の撤廃ということを実現したいと思っております。

 解除する際の考え方でございますけれども、先生からもお話ございました新規参入ということでございまして、新規参入事業者による小売供給量の割合でありますとか、そのほかに、既存のガス事業者間の競争の状況、さらには自由料金メニューを選択する消費者の割合、こういったものを総合的に勘案いたしまして、慎重に見きわめていきたいと思っております。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

野中委員 この経過措置について、使用者保護の観点に留意するというのは当然のことで、また、エネルギー間の競争状況、これをしっかり踏まえた上で検討していただきたいというふうに思っております。

 自由化になりますと、いわゆるサービスの向上につながるというのが一番の理想でありますが、企業からしてみれば、ある意味、客の奪い合いという面もあるというのも一つの事実であろうかというふうに思っております。

 既にもう自由競争が行われているプロパンガスでありますけれども、プロパンガスの方にちょっとこの間聞いてきたんですが、いわゆる販売拡張員という方が歩合制でもって激しいつばぜり合いを行っているとか、また、参入時、初めの契約時は他社より二〇%から四〇%ぐらい安くするよということで、契約書には書いてあったということですけれども、十分な説明のないまま、段階を上げて、結果的に平均的な価格になったということで、裁判が起きたという事例も聞いております。

 ですので、やはり今回の自由化によって顧客のサービス向上につながるというのが一番の理想でありますから、今後、使用者が受けるサービスを、例えば電気とガスをセットで売るという今までない事例も起こると思いますので、しっかりとしたサービスが受けられているか、また、新規参入する企業が全て優良とも限りませんので、その動向をしっかりとチェックしていただきたいということを、これは要望を申し上げるところでございます。

 今、プロパンガスの話をさせていただきましたが、プロパンガス業者というのは、私の地元では、中小企業というよりは、特に小規模事業の方が多く営まれているわけでありますが、今回の自由化によって、ガスシステム改革によって経営、商売というのが圧迫される可能性があるのか、これについてもお伺いしたいと思います。

住田政府参考人 LP事業者につきましての御質問でございますが、今回のガスシステム改革によりまして多様なサービスの競争というのが活性化をする、また、その導管の延伸が進みますと、確かに、御指摘のように、一部の地域では都市ガスとの競争というのが今までよりも激しくなるという可能性はあるかと思います。

 ただ、都市ガスの導管供給、御案内のとおり、やはりかなりの需要の集積があるような地域であろうということでございますので、すぐに全国津々浦々まで導管が敷設されるというわけではないものと認識をしております。そういった意味で、特に導管の敷設されないような地域におきましてLPガスの担う役割は非常に大きなものがあるというふうに考えております。

 また一方で、今申し上げましたような競争環境が変わるということでございますから、LP事業者におかれましては、地域に密着した事業で培ったこれまでの信用というのを生かして、これまで以上に魅力的なサービスといったものをさらに透明性の高い形で御提供いただく、御提案をされるということによって、利用者から選択をされるような、そういったことを通じて地域経済の活性化に貢献していただくということを期待しているところでございます。

野中委員 災害に強いというメリットもありますし、役割分担した中で、ともに活性化していくということを私は期待しております。

 次の質問に入らせていただきますが、LNG基地の第三者利用の促進についてでございます。

 二〇〇四年に、資源エネルギー庁が公正取引委員会と共同で、第三者に基地を利用させる際の指針を定めたということでありましたが、利用実績がなくて、今のままでは実効的じゃないということで、もう一歩踏み込んだという中で、法律によって、第三者による利用を理由なく拒否することを禁止、そしてまた、利用条件の届け出、公表を義務づけたというふうに記載されております。

 私は思うんですが、理由なく拒否というのは、拒否には理由があるものでして、例えばの事例ですけれども、設置者のライバル社が利用したいという中で、中立性が保てるのかなという。また、そこに対しての理由も、基地の余力がないといった理由などで、法制化をしても、そういった理由で基地の第三者利用が進まないのではないかと懸念をしております。

 前例がないわけですから、これで利用者という実績ができれば、それが前例となって、進んでいく第一歩になろうかと思うんですけれども、その懸念について、御所見をお伺いしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 LNG基地の第三者利用を法制化しても利用は進まないのではないか、こういう御指摘かと思います。

 この点につきましては、審議会の場でも随分と議論がなされました。現状の問題点といたしましては、やはり、ガイドラインはありましたけれども、LNGタンクの空き容量、こうしたものについての情報が十分に開示されていないということで、使おうという側の方にとってなかなか判断の材料が乏しかったということが一つの材料として言われていたところでございます。

 したがいまして、今回は、統一的な利用約款の策定というものを法律上義務づけるだけではなくて、届け出すべき情報、公表すべき情報といたしまして、設備の容量だけではなく、みずから貯蔵するガスの量の見通しといったものもあわせて公表するといったような形にさせていただきました。

 LNG基地の利用というものは、足元では全体に逼迫をしております。したがいまして、先生の御指摘をいただきました余力というのも、各基地ごとに利用状況は随分異なっているわけでありますが、今後のエネルギー需給全体の変化によりまして、余力が増す可能性はあるというふうに考えております。

 今回、ルールを明確化いたしましたのと、それから、使う側にとっての予見可能性の向上、こういったことによりまして、第三者利用が進むことというものを私どもとしては期待しているところでございます。

野中委員 質問を終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 お帰りなさい。三十分前に戻っていただけますか。続き、行きますよ。

 柏崎刈羽の問題というところまでお話をさせていただきました。

 そこで、その東電の再建の鍵となる柏崎刈羽、これは私、原特委の方でも尋ねたんですが、柏崎に関しては、BWRということで、昨年八月に、フィルターつきベントの規制基準に適合しているかということの審査において、適合しないという旨の指摘がなされました。そして、その後、いわゆる地下式というもの、地上ではだめだ、地下式も加えるということで、四月七日に審査が行われたようであります。これは非公開でありました。

 そこで、私、規制部長にお尋ねしたところ、どういう状況かということで、非公開なのでお答えをいただけないということでありましたが、ただ、今後の見通しがどの程度になるのかということについては今お答えできるような状況ではない、こう述べられました。つまり、審査のはっきりとした見通しは立っていない、相当の期間を要するということが予想されます。

 そこで、経産大臣にお尋ねなんですが、この旧式のBWRは、審査はフィルターつきベントの問題を初め多くの課題があると先ほど申し上げました。このように、再稼働の先行きは非常に不透明なんですが、大臣として、一定程度の時間がかかるとの課題があるということについて、認識はお持ちでしょうか。

宮沢国務大臣 まさにおっしゃるように規制委員会で審査中でありまして、まさに三条機関の中での審査でございます。中身については私は承知をしておりませんので、全く予見は一切持っておりません。

馬淵委員 認識があるかと私はお尋ねしているんです。大臣に中身のことをお尋ねしているのではありません。

 規制委員会としては、これはやはり、なかなか、今後の見通しがどの程度になるかわからない、このようにおっしゃっている。つまり、一定程度の時間がかかるとの課題があるという認識をお持ちではありませんかとお尋ねしています。認識の問題ですよ。

宮沢国務大臣 まさにこれは言葉の問題でして、一定程度というのがどの程度かということも正直言ってわかりませんが、少なくとも、きょう、あすに出てくる問題でないという認識は持っております。

馬淵委員 マンパワーの問題もあれば、地震動をどのような基準にするかといった課題もあるということで、やはりこれは一定程度かかりますよ。規制委員会の中でも、そこは高いハードルだと、いろいろな言葉を使われていますが、委員長を初め、部長はそのようにおっしゃっておられます。こういう状況が今あるというわけであります。

 このように、再稼働については非常に高いハードルがあって、また、とりわけBWRはより大きな課題がある、一定の期間もかかりそうだという状況の中で、さらには、リスクとしては、訴訟リスク。これは、十四日に福井地裁で高浜三、四号機の再稼働の差しとめ仮処分の決定がありました。もちろん、一方、川内では違った判断がなされているわけですが、いずれにせよリスクということについては否定できない、このように思います。

 その上で、繰り返しになりますけれども、二割超の原発の比率ということを今後政府として打ち出してこられるという状況であるならば、そこでは何らかの施策、今おっしゃっているような状況では到底達成できないわけなんですよ。

 そこで、ちょっとこれは事務方にお尋ねします。

 日本原子力発電株式会社がございますが、筆頭株主と株式比率、事務的にお答えください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 日本原電の筆頭株主は、二十六年三月末の時点でございますが、東京電力株式会社でございます。その所有の株式の割合でございますが、二八・二三%と認識をしております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 日本原電の筆頭株主は東京電力です。

 では、お尋ねします。

 東京電力の筆頭株主及び発行済み株式総数に対する株式所有の割合、これを事務的にお答えいただけますでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 東京電力株式会社の筆頭株主は、原子力損害賠償・廃炉等支援機構でございまして、その比率、数でございますけれども、現在、五四・六九%と認識をしております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 今、原電は東電が筆頭株主であり、二八・二三%、四分の一超。そして、この原電の筆頭株主は東電、東電の筆頭株主は機構、それは五四・六九%、過半数以上、こういうことになります。

 では、機構が保有する議決権なしの東電B種株、これを議決権ありに転換した場合、先ほどのお話は五四・六九%ということでありましたが、議決権なしの東電B種株というのがございます。これを議決権ありに転換した場合の株式比率はどれぐらいなのか。そして、その場合、B株を議決権ありのA種株に転換する際には制限はあるのか。この二点、端的にお答えください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、種類株二つを持っております。原賠機構の持っているものですが、議決権ありを十六億株、議決権なしを三・四億株持っております。これを御指摘のように議決権なしから議決権ありの種類株に全て転換いたしました場合には、機構の議決権比率は七六%程度になると承知しております。

 その転換に際しまして何か制約があるかというお尋ねでありますが、特段の制約はないと承知をしております。

 なお、転換をする際、東京電力の方でございますけれども、原賠・廃炉機構の判断に従って、特別事業計画の変更手続をとることとなっている、このように承知をしております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 すなわち、機構は東電の過半数を持つ株主、これは支配株です。しかも、議決権なしのB種株をA種株に、何の制約もございません、手続上の問題です、転換をすれば、三分の二超、すなわち特別決議が可能になります。特別決議や、会社の存廃初め、その定款の変更が可能になるということです。

 重ねてお尋ねします。

 さて、原電。原電は、二〇一五年度の経営の基本計画に原発の増設は計画されていますか。事務方で端的にお答えください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 三月に日本原電株式会社が公表しました経営の基本計画、この中に項目といたしまして、「敦賀発電所三、四号機増設計画の推進」という項目がございます。中に書いてございますのは、「敦賀発電所三、四号機は、原子力の維持発展のために必須であり、人と技術の確保にも重要であることから、増設実現のための方策を関係者の皆さまと検討し、具体化を図ります。」このような記載がございます。

馬淵委員 つまり、原電はこの経営の基本計画で、敦賀原発三号機、四号機の増設計画の推進を経営の重要な柱と位置づけているんですね。

 繰り返します。原電の筆頭株主は東電です。そして、東電の支配株を有するのは機構であり、機構を所管するのは宮沢大臣でいらっしゃいます。

 大臣、このことをどのように受けとめておられますか。お答えいただけますか。

宮沢国務大臣 東電自身は基本的に数土会長以下で今経営をしていただいておりまして、私どもがその経営を手とり足とり指導しているわけではございません。ある意味ではしっかりとした民の目で経営をしていただいているという中で、日本原電の筆頭株主としての立場を全うされているんだろうというふうに思っております。

馬淵委員 お手元に資料二でお配りをしているのが原電の経営改革プランです。経営改革を進めて事業基盤の拡大、事業の柱として敦賀の発電所増設計画、このように書かれているわけですね。当然ここの筆頭株主として、東電が経営されている。

 繰り返しですけれども、東電の経営はもちろん経営主体として東電に委ねているけれども、しかし、支配株の五割超を機構が持つというこのスキームに至らしめたのは東電のガバナンスの問題だったわけですよ。したがって、東電が原電に対してどのような筆頭株主としての行動をとるのか。これは、言いかえれば、機構の所管である大臣の御指導あるいは大臣の御指示といったものが大きく影響を及ぼすわけです。

 この原電の経営基本計画と、大臣が先ほど来おっしゃっている新増設やリプレースは考えていないという発言との関係性はどのようにお考えになられますか。

宮沢国務大臣 発電事業者が、将来的な新増設、リプレースといったものをいろいろ希望されたり検討されているということは、例えば、私の地元の中国電力でも、上関について、将来あそこは新設としたいという気持ちを持っておることはよく知っております。

 そうした意味で、それぞれの事業者がいろいろなお考えをお持ちなことは、これは自由だろうと思っておりますが、政府としては現時点ではそういったものは想定していないということをたびたび申し上げております。

馬淵委員 大臣、上関とこれは一緒にされちゃいかぬと思うんですね。先ほど私が申し上げたように、政府が支配をしている東電が筆頭株主の原電なんです。これは同じではありません。事実上は支配が可能な状況にある。役員を派遣しています。東電の常務が副社長で役員として行かれている。こういう状況の中で、他の事業会社と同列に扱うべきではないんです。

 私が何を申し上げたいかというと、すなわち、政府が十分に関与できる、いや、関与してもおかしくない状況の中で、事業計画としてその中心の柱に掲げている新増設と、一方で大臣が現時点で考えていないと言っている。これは矛盾しませんか。

 私はほかの事業会社は言っていませんよ。繰り返しますよ。支配が及ぶ会社のその影響下にある会社がこういう形で具体的に、しかも実現を図る、このように書かれているわけですよ。これは単に希望観測ではありません。大臣、いかがお考えですか。

宮沢国務大臣 いただいた資料にはまさに「増設実現のための方策を関係者の皆さまと検討し、具体化を図ります。」と書いてあるわけですが、関係者というものに東電なり、おっしゃるような間接的な役割で国というものが入ってくるということであれば、国としては現段階ではそういうものは想定しておらないわけでございますので、残念ながら具体化していかない、こういうことだろうと思います。

馬淵委員 当然、関係者には国が入りますよね。あの東電はかかわる。少なくとも四分の一超です。そして東電は、繰り返しになりますが大臣が所管されている機構の支配下にあるわけですから関係者です。したがって、具体化を図るということは実現に至らない、現時点ではというお話になりました。今御答弁いただきました。

 その上で、東電の問題も少し触れたいんですが、先ほど大臣は、私が規制委員会で審査の状況によっては今後流動的に変わる可能性はあるのではないかとお尋ねをしたところ、大臣におかれては、将来のことは答えられないと答弁されました。これはよくわかるんです。しかし、審査の状況で変わるとは考えていないとおっしゃった。これはすごく重要な答弁ですよ。

 規制委員会の審査の中身を私は大臣に尋ねていません。しかし、審査状況によって変わるのではないかということに対して、すなわち、場合によっては新増設、リプレースも行うということ、その可能性そのものは否定されないわけですよねということを確認したところ、そこは審査の状況で変わることは考えていない、このようにおっしゃっています。これはもう少し具体的に御答弁いただけますか。

宮沢国務大臣 まさに現時点で、新増設、リプレースは想定していないという考え方で、今後、審査がいろいろなことで行われていくわけでしょうけれども、我々としては厳正かつ効率的な審査が行われることを期待しているわけであります。そして、審査の結果がどうなるかということについては、我々が予断を持って申し上げる話ではないわけであります。

 そして、おっしゃるように、いろいろな結果が出てくるかもしれませんが、現時点で想定していないということについて言えば、それとは一切関係ない、こういうことでございます。

馬淵委員 結果については私もここで予測をしているわけではありません。

 ただ、繰り返し、規制委員会、規制庁のポジションはどうなのか。そして、東電が柏崎刈羽も含めて審査請求をしながら、非常に高いハードルであるということは、審査の段階で公開されている部分でも、フィルターつきベントの一点を挙げても、出てきているわけです。

 このような状況で、ある程度方向性というものを見据えなきゃならない。そのときに、いつまでも、状況は変わり得る、その変わり得る状況に合わせた判断をしていかなければならないということについては、当然、お考えではないですかということを私は尋ねているわけです。

 では、こういう質問の仕方だったらどうでしょうか。状況が変わり得る中で、さまざまな判断はあり得るんじゃないですか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 大変微妙な問題でございますので、現時点で、将来どういう判断を私どもがするか、状況自体が把握できていないわけでございますので、この場で答弁するのは適切ではないと考えております。

馬淵委員 大臣としては精いっぱいの御答弁をいただいているんでしょう。

 私が申し上げたいのは、やはり向き合わなきゃだめなんですよ、国民の皆さんとは。私は、原発の推進、あるいは再稼働、あるいはとめよというさまざまな声がある。そのどれに対しても、それぞれのお立場の意見があるというのは、そのように承知しています。ただ、それについては真摯に向き合う。少なくとも、我々、政権時代には、そのことは心がけていたつもりです。宮沢大臣もそういったお考えをお持ちだと私は思っておりますので、ぜひ向き合っていただきたい。

 その上で、やはり、先ほど来ありましたように、原電の話は、他の事業者とは一緒にはできない話なんです。東電が絡みます。そして、これは、東電が単に筆頭株主であるだけではなくて、東電の経営そのものにまで影響を及ぼしていく話でもあるんです。

 今回の電事法の審議の過程の中においても、当然ながら、今ある電力事業者がどのような今後の経営方針あるいは経営計画を立てていくかの重要なベースになる法律の審議です。その上で、東電のガバナンスということについて、少し残りの時間で触れさせていただきたいと思います。

 東電のガバナンスの問題、甘さ、これはもう、昨年来といいますか、事故以来、繰り返し指摘がされてきました。私も、政府の立場にいて、当時、野党の自民党の皆さん方からの御指摘を受けて、対応に苦慮したこともございます。よく立場はわかるつもりです。

 しかし、そうはいいながらも、サドンデスというような形にするわけにはいかないということで機構をつくり、さらには、廃炉ということについては、我々は事故処理と事業継続のジレンマということを提案しました。つまり、そういった問題があるのではないかということを提示しました。

 それに対して、政府は、恐らくこれはきちっと東電にもお話をしていただいたんだと思いますが、新総特という形で、東電も責任と競争という言葉で計画をつくってこられました。しかし、相変わらずガバナンスというのはやはり問題になる。

 これも、つい先日、二十一日ですけれども、外洋に汚染水の流出というような報道もありました。この細かいことをここではお尋ねするつもりはありませんが、東電は、一方で、情報隠蔽体質、廣瀬社長も大変苦慮されていると思いますが、三月三十日に、情報公開に関する新たな仕組みということで新たな公開ルールと、運用実績等は定期的に社外から監視、評価をいただき透明性、信頼性を高めるとの方針を打ち出されています。

 こうした中で、外部からの、社外からの評価、こういうものも言われているわけですが、規制委員会の方に尋ねたところ、現在検討中だということでありました。経産省としてはいかがでしょうか。社外からの監視、評価ということについて、経産省としては何らかの取り組みというのはなされていかれるのでしょうか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まさに、三月三十日に東電は、情報公開のルールや、運用実績などにつきまして定期的に外部から監視、評価を受けることを含む、情報公開に関する新たな方針を示されたわけであります。

 それに私どもが関与していくかどうかということですけれども、直接まだそれに関与するということを決めたわけではありませんけれども、この点は本当に大事なことでありますので、我々としても、相当しっかりと把握しながら、指導が必要であれば指導をしていかなければいけないと考えております。

馬淵委員 今まさに検討中だというふうに受けとめます。これは、規制委員会だけでは、今までも規制委員会と東電とのやりとりを原特委でも私も確認をさせていただいていますが、所管するという立場ではありません。あくまでも適合性審査という立場でいらっしゃいますので非常に難しい。ここは、所管する立場である経産省が、東電のこうした情報隠蔽体質、あえて申し上げますが情報隠蔽体質を改めるための仕組みづくりに関しては、しっかりと関与されるべきだ、このように申し上げておきたいと思います。

 その上で、新総特ということが出されているわけですね。これは二〇一三年十二月二十七日に発表されて、東電が経営改革を進めるんだということで国の支援策も含めた事業計画を示されたわけでありますが、今後、この東電の問題は必ず出てきますので、やはり新総特の実効性の検証というのは極めて重要だというふうに思います。

 そこで、先ほど柏崎刈羽の話をしました。BWRということで二重のハードルがあるんですね。しかも、フィルターつきベントの問題は、一度は却下をされ、さらに今審査が始まったところ。しかも、これも非常に難しい状況があるかもしれないと言われています。

 ただ、柏崎刈羽の原発の位置づけなんです。新総特では、柏崎刈羽の原発の再稼働及び競争的な事業展開により、最大で年間一兆円程度の値下げ原資を生じさせる、このようにされている。すなわち、稼ぎ頭なんですね。事業計画の中心をなすんです。

 この柏崎刈羽、先ほど来申し上げたように、フィルターつきベントなどの問題がある。そして、その稼働の状況というのも、実は非常に不安定な状況であったというのは事実です。震災以前も、中越沖地震がありました。七割ぐらいの稼働というのは一時ありましたが、地震によって稼働停止になって、二〇〇八年度、これは震災前ですが、稼働率ゼロに陥った。震災後、二〇一二年度以降、これはゼロですね。

 もともと、地層的にも非常に不安定な状況の場所だと言わざるを得ない。こうした柏崎刈羽、この新総特の見直しということがやはり私は早急に求められるのではないかということを申し上げたいと思います。

 新総特では、二〇一六年度末、すなわち来年、一年後、末から、原則三年ごとに、機構は社外取締役、国と協議して責任と競争に関する経営評価を行う、こうされています。その場合には、一時的公的管理から自律的運営体制に段階的に移行していくと。来年の年度末に新総特の評価を行う、それによって一時的公的管理から自律的運営体制に移行していく、これが新総特の基本的なスキームなんですね。この状況の中で、いろいろな問題が起きている。一年後なんですね。大臣、私は、一六年度末のその評価の段階で、一時的公的管理から自律的運営体制に移行ということが簡単にできるのかと非常に疑問に思うんです。

 これは時間もないので短く、事務方で結構です、一時的公的管理から自律的運営体制ということでありますが、もう公的管理のところは要りません、自律的運営体制に移行というこの意味を端的にお答えいただけますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 この責任と競争を両立するというのを東電みずからの意思と判断でやっていくということでございまして、そのために、機構の保有する議決権の順次二分の一未満への低減、それから機構役職員派遣の終了、こういった措置を通じていくこととされております。

馬淵委員 ありがとうございます。

 資料三に新総特の十四ページを配付させていただきました。責任と競争、これは、我々が言っていたいわゆる事故処理を行うということと事業存続のジレンマに陥っていないのか。事故処理というのは責任ですね。そして、事業継続というのは、まさに競争社会に身を置くという意味の部分です。

 この責任と競争という意思を明確に示しておられますが、現状ではなかなかそれは困難ではないかということです。柏崎刈羽は一年後には運転が達成できているという状況でなければ、自律的運営体制と呼ぶには、先ほど来申し上げるように、これは収支の柱ですから困難なんですね。

 私は、この状況で、一六年度末、一年後にやりますという御答弁は要らないんです。むしろ、もう目の前に迫っていると考えるべきじゃないでしょうか。時間軸で一年後に評価をするのであれば、もう現状、少なくとも、四月七日にフィルターつきベント、地下式の審査がやっと始まったような状況で、柏崎刈羽、ひいてはBWRが再稼働に乗るとは到底思えない。お立場で予断を持って語れないというのはよくわかりますが、ここは、一六年度末の評価ということに対して、先んじて検討は進めるべきじゃないでしょうか。

 その上で、私は大臣にこれはぜひ御判断をいただかなきゃいかぬ部分ではないかと思うんですが、先ほど事務方にも尋ねました。

 B株、B種株は、これを転換すれば三分の二超なんです。現時点で五〇%超のA株、議決権ありの株での支配ということでありますが、事実上は保有をしています。これは、やはりB株をA株へ転換して、三分の二以上特別決議、この議決権を持って、ある意味、行使しなくてもいいんです。

 私が申し上げたいのは、行使するしないは別にして、転換を果たして、場合によっては、東電の再建計画の一兆円以上の収入をもくろんだのは、柏崎刈羽ですから。それが達成できなければ収入は見込めないんですから。ならば、再建計画の名のもとに、より厳しい判断が求められるんじゃないでしょうか。例えば、それは東電の持つ火力発電所の売却であったり、あるいは、賠償資金、これらに充てるということで、売却の益を賠償やあるいは廃炉に充てるなどといった、かなりな痛みを伴うかもしれませんが、私は、そういう時期が実はもう間もなく到来してしまうのじゃないかということを申し上げているんです。

 電力会社の皆さん方が努力をされていることはよく承知しております。私も、当時から、ともに、あの事故をくぐり抜けて、再建を果たすということに努力をしてきた一人だと任じています。しかし、大臣のお立場で、いや、やっているんだ、任せているんだ、そして監督をしているんだ、そして、少なくとも国民の皆さん方の意見があるからということも配慮しながら、現時点考えていない、考えていないと言いながら、これはどんどん迫ってくるわけです。そして、数字が来週の火曜日に出る。また、その裏腹であるCO2削減目標も五月に出る。来年の三月末ですよ、評価のタイミングは。

 大臣、これはB株の転換ということも含めた、かなり踏み込んだ経産省としての判断が求められるんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 おっしゃるように、新・総合特別事業計画において、責任と競争、こういうことが書かれておりまして、責任についてはディスクロージャー等々いろいろ不備はありますけれども、必死に汚染水・廃炉対策をしていることは事実だと思っております。

 また、競争といったことにつきましては、新たな電力事業モデルの構築による競争というものをすべき、こう書いてあるわけでありますけれども、その中では、例えばホールディングス制の導入とか、徹底した経営合理化、さらに、先日、中部電力と燃料、火力発電の包括的アライアンスの新会社をつくるといったことで、事業モデルとしてはいろいろ前向きな変化をしてきていると思います。

 一方で、来年、二〇一六年度末に経営評価を行うということで、例えば柏崎刈羽については、私が今の段階で予断を持って申し上げるわけにはいかないわけでありますけれども、その時点でどういう形になっているのか。

 そういう中で、間もないから、特別議決権を持つような体制にという委員の御意見は一つ傾聴に値すると思うんですけれども、一方で、いろいろな違うメッセージが出かねないのかなと。ある意味では、そこまで国が立ち入っていかなければ自立できない会社であるというようなメッセージとか、また、議決権が少なくなることによって、その他の株主からすると、株式の価値が減って株価が落ちるといったようなことまで、いろいろ考えなければいけない問題を実ははらんでいるのかなと思っております。

馬淵委員 原賠機構をつくるときにもさまざまな議論があったわけですから、おっしゃっていることもよく承知をしております。当時も電力債の問題など資本市場の混乱を招くという話もありました。ただ、これも、御党が野党のときには塩崎さんを筆頭に、いわゆる電力債に関しては法改正で済むじゃないか、こういった御意見もあったんですね。

 繰り返し申し上げますが、私は東電を憎しと思っているわけでも何でもありません。むしろ、どうやってこうした原子力の問題を解決していくかということで、さまざまな観点から取り組まねばならないことを申し上げているわけです。しかも、国民に開かれた議論で。ぜひ大臣には、今申し上げた点を、官僚の皆さんも一致結束して協力をされているんだと思いますから、そこは、大臣、リーダーシップを持って進めていただきたいということを改めて申し上げて、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、田嶋要君。

田嶋(要)委員 田嶋要でございます。おはようございます。よろしくお願いします。

 エネルギーミックスや温暖化に関係するいろいろな政府の数字が、きのう、きょうも含め、マスコミに出始めております。いよいよ大事な時期だということでございますが、加えて、昨日は、大臣のところにお邪魔をいたしまして、私どもの考える政策提言をさせていただきました。お受けとめいただきましたことを感謝申し上げます。

 そうした中で、大臣ときのう、少しの時間お話をさせていただく中で、大臣の方からは、私ども民主党とも、原発政策に関しては大分スタンスは違うけれども、ほかのことは大体同じ方向を向いて同じように考えているという御指摘がありました。うれしくもあり、複雑な気持ちにも少しなったわけでございますが、似て非なるじゃないかなと私は思っているんですよ。

 それは、どっちもつながっている話でございまして、原発、エネルギーミックスはまさにそういうことでございまして、私は、原発以外は同じですと言われちゃうと、私と相当違うと思うんです。その話が私のきょうの質問につながるわけでございますが、私は、危機感という意味で相当違うというふうに常々思っておるんですね。本会議でもそのように申し上げさせていただきましたが、大臣、そこはわかっていただけませんか。

宮沢国務大臣 きのう、貴重な提言をいただきまして、ありがとうございます。私、まだ詳細を読んでいるわけではございませんけれども、御説明をいただいて、省エネ等々といったことについて、私どもとしてもぜひやっていかなければいけないことについての貴重な提言をいただいたと思っております。

 そういう中で、原子力発電所につきましては、私どもは、規制委員会の新規制基準に適合していると認められた原子力発電所については再稼働を進めていくという方針でありますが、一方で、民主党におかれましては、四十年で切って原発ゼロを目指す、こういうお立場で、これは大きく離れているわけでありますけれども、そういう中で、省エネを進めるとか、また、再生可能エネルギーを最大限導入するとか、そういうところは同じだということで申し上げたわけでありますけれども、危機感といった意味では、私どもも私どもなりに大変な危機感を持って事に当たっております。

田嶋(要)委員 言葉で語れば同じような話になってしまうわけで、だからこそ、本当に立ちどまって考える必要があるし、私自身は、やはり与党、野党の立場はありますけれども、あの原発の事故ということに関する衝撃をどの程度我が事として受けとめているか。それは個人差もあり、住んでいる場所によっても、あるいはそのときそのときの立場によってもそれぞれ違いますが。

 私も、非常にそのことは脳裏に常に焼きつき、その風景、現場のいろいろな方々の叫び、何度もある詰め寄られた経験、そういったことを含めて、やはり福島の方がもう本当に原発は懲り懲りだと考えていることが一日も早く日本全国に共有されていかないと、新しい時代がやってこないではないか。そして、その反射として、新しい時代を、後ろ向きの思想ばかりではなくて、新しい社会を切り開いていくチャンスといいますか、それはやはりパラダイムシフトを本当に起こしていかなきゃいけないということを強く念じておるわけでございます。

 そういう中で、私は、今回のシステム改革というのは大きな政策の中の一要素だというふうに位置づけておるわけでございますが、何かというと事業者側は、被害者意識、いろいろ切り刻まれるのではないかとか、そういういろいろな被害者意識を持ちやすいような気もするんです。私は、この点に関しても、ぜひ政府からの強いメッセージが必要なのではないかと思うのは、やはり受け身で考えるのではなくて、あるいは被害者意識を持つのではなくて、新しい産業をもう一度起こしていく必要があるということ。

 しかし同時に、ちょうど、実はNTTの三十周年だったんですね。私は職場におりましたので。一九八五年に民営化、そして競争導入。三十年たったんですね。感慨深いものが私はございます。

 通信の世界のよかったのは、技術イノベーションがやはり見えていたわけですね。私が入社した昭和六十年は、無線というとほとんど何のビジネスの可能性もないようなふうに一時期職場ではずっと目されていた。ところが、研究側では可能性が考えられていて、その後、ドコモとか、いろいろな競争もふえてきた。そういう技術イノベーションに裏打ちされた大転換に差しかかっていたことがやはりラッキーだったと思うんです。

 このエネルギーの分野というのも、今まさに、特に電力に関しては、風力や太陽光、言うまでもなく、いろいろな可能性があるわけでございます。だからこそ、受け身あるいは被害者意識を持つよりも、むしろ攻めの経営で、その背中を押すのが、私は、この今という分岐点にある日本の中で、やはり政府の仕事ではないか。

 だから、それは強い危機感とセットにして、チャンスなんだということをやはり民間に対して背中を押すことがなお重要だと思いますが、いかがですか。

宮沢国務大臣 まさにおっしゃるとおりでありまして、この改革によって、電気とかガスとか熱といったそれぞれの分野で、それぞれがその中で仕事をするのではなくて、まさに業界横断的な、総合的なエネルギー産業といったものを生み出していく、そして、そういう中で、おっしゃるようなイノベーションに向かっていろいろな知恵を出していただく。

 既に会社がいろいろ連携するという動きは、先ほど申し上げた、中電と東京電力が燃料の調達、火力で協力するというような話もありますし、また、電力会社とガス会社が一緒になって電力をつくるといったような話もあります。

 まだこれは今ある技術をどうやって実地にしていくかという話ですけれども、その中で新たなものに挑戦をしていっていただいて、おっしゃるようなまさにイノベーションが、通信と同じようなレベルまでいくかどうかは別にしましても、生じてくるということは大変期待をしております。

田嶋(要)委員 ただ、もう一つ、通信の分野の歩んできた三十年と今置かれている電力の分野とを比較したときに思うのは、通信は、需要が爆発的になっていき、動画像とか情報量もどんどん上がっていき、それがこの三十年であったわけで、それをどんどん受け入れていくことによって売り上げも上がり、企業数もふえてきた。しかし、エネルギーというのは、原発事故もあり、いわゆる原子力、核の制約ということと、それから温暖化の制約という、非常に厳しい制約が二つあるのかなと。

 そういう意味で、同じように自由化をし、競争を活性化させるとしても、三十年前からスタートした通信の世界、ある意味、大きくなれば大きくなるほどみんながハッピーという分野と、そして、例えば電力がどんどん売れるようになればもっといいという時代はもはや終わったというふうに考えると、より難しい産業にあるのかな。

 言ってみれば、なるべく使わないようにしてもらうような産業がこれから必要になってくる。それは既存の電力会社にとっては恐ろしいことかもしれないけれども、発想を転換して、それこそネガワットじゃありませんけれども、そういう形でビジネスを広げることで、電気を売ることによる売り上げ以外をふやすような発想でこれから経営をしていかなきゃいけないという意味で、私は、三十年前からスタートした通信の分野に比べてはるかに制約の大きい、難しい産業にこれからなっていくし、そして、設備会社側でやらずとも、自分の家や自分の町や自分の地域でそれこそ発電が済めば、系統電力と無関係な社会がたくさんこれからあっちこっちに、雨後のタケノコのように広がってくるのではないか。

 そういったことで、私は難易度は極めて高いと思うんですが、その辺はどのようにお考えでございますか。

宮沢国務大臣 通信、まさにNTTが誕生したとき、私は、当時の大蔵省で、理財局というところで財政投融資の担当をしておりまして、横の係でまさにNTTの株の売却等々といった議論をしておりました。正直言って、そのとき同時に行われておりましたのが昭和天皇の在位六十周年の十万円金貨を出すという話で、担当した我々、その辺でいた者としては、NTT株を買うよりは十万円金貨の方がよっぽどもうかるんじゃないかと実は六十年当時は言っておりましたが、そういう中で、NTTが本当にこれだけ大きく変化することについて、私自身、大変すばらしい技術革新があったなと。

 ただ一方で、おっしゃるように、電力の世界の中で、私は知識が足りないのかもしれませんけれども、こういう技術革新が起こって大きく世界が変わってくるというところは、寡聞にして私自身は知りませんが、例えばスマートグリッド等々といったことは少しあるのかもしれません。

 そしてまた、新たな分野にいろいろ入っていくということもできることでありますから、通信の分野に比べれば、そうした意味では、先は本当に明るいということではないかもしれませんが、少なくとも私は曇ってはいないと思っておりますし、まさに朝が来たということも確かだと思っておりますので、そういう世界をそれぞれ知恵を出してつくり、知恵を出しやすい環境を我々がつくっていくことになるんだろうと思っております。

田嶋(要)委員 先ほど無線の例を挙げましたけれども、無線は当時、余り先が明るいと思われていなかった部署なんですね。そこが、ドコモ、携帯産業を大きくつくることができたということで、やはり電力に関しても、私は、特に分散型エネルギー社会をつくるということで、一大産業につくって、そしてそれをアジア中心に日本の強みとして売っていくことが、本当にこれから半世紀かけてやっていく大きなおもしろい分野じゃないか、そのことをぜひ共有させていただきたいと思います。

 ただ、もう一点だけお尋ねを大臣にしたいのは、ガスの世界ですね。このガスの世界というのは、では、果たして通信の三十年前や今の電力の、風力、太陽光、あるいはスマートグリッド、いろいろな言葉が飛び交うような、技術イノベーション、これから何かどんどん変わってきそうだぞという場に比較して、私は、ガスというのはそういった技術イノベーションが本当に起きる分野なんだろうかと。かなり違う様相を、もっと物理的なものを届けている、言ってみれば宅配をしているのと同じですよね、ガスという見えない気体を。

 そういうことを考えると、これは、通信がやってきたこと、電気で今やらんとしていることと同列に考えて本当にいいんだろうか。逆に言えば、技術イノベーションなどはほとんど起きないのではないかという感じもするわけでございますが、そこはどのように大臣は見ていらっしゃいますか。

宮沢国務大臣 私も残念ながら文科系人間でございまして、どういう技術が可能性があるかということについて知識があるわけではありませんけれども、例えばLPGというものと今ガスが競争しております。そして、LPGは、もちろん大きなLPGの会社から中小、小さいところまであるわけですけれども、やはり、かなり地域に密着してLPGを届けて、そしてメンテナンスしている。そういう地域密着型の業者の方というのが、まさに都市ガスの導管が引かれている地域等々で同じようなビジネスを展開するということは、私はかなり可能性が高いことだろうと思っております。

 また、それぞれの地域でガスの小さな導管を持っている事業者がいらっしゃるわけですけれども、そういう方たちにとっても、上げるところのタンクを、LPGタンクを開放しなければいけないというようなことが出てくると、いろいろな知恵も出てくるんだろうなという気がいたしております。

田嶋(要)委員 余りイノベーションと関係のない話だと思うんですね。

 私は、そこは非常に注意して考えないと、何のための自由化なのか、あるいは何のための法的分離なのか。今申し上げた二つの産業の置かれた位置、そして、私は割と唐突感を持って受けとめておりますけれども、先日も中根委員の方からも、何という表現でしたっけ、道連れ……(発言する者あり)巻き込み。巻き込まれているような、それは私も思っています。

 だから、産業はそれぞれ違うわけで、あらゆる産業に平等にイノベーションが起きるわけではありませんので、この分野は伸びる分野、そういう種をいろいろ持っているのであれば、やはり、自由化をし、競争導入することによって背中を押すことが効果的であろうし、そうじゃない分野はまた違うアプローチが必要になってくるのではないか、私はそのようにまず考えております。

 それで、本会議でいろいろ質問させていただきましたが、エネルギーミックスにも関係する話で、少し更問いをさせていただきたいと思います。

 原発依存でございますが、私は何度聞いてもよくわからないのは政府の基本スタンスでありまして、原発依存度はできる限りという表現でしたっけ、最大限減らす……(宮沢国務大臣「可能な限り」と呼ぶ)可能な限りというんですか、二十数パーというのがきのう、きょう出ておりますけれども、安全性は最優先をするということでありますから、原発の最も弱点であるその点はクリアをされている前提で、なぜ政府は一生懸命依存率を下げようとされているのかが私はよくわかりません。御答弁ください。

宮沢国務大臣 まさに、その理由は恐らくただ一つでございまして、やはり、福島の第一原発の事故ということは、私どもにこれまでの常識を変えていかなければいけないという大変大きなメッセージがあったんだろうと思います。そして、恐らくその受けとめ方が民主党と自民党で少し違っているということだろうと思います。

 私どもも、そういう絶対の安心はないというところから始まりまして、この震災前に描いていたエネルギー戦略というものはやはり白紙から見直さなきゃいけないということで、昨年の四月にエネルギー基本計画を決めたわけですけれども、その中で、先ほど言いましたように、可能な限り低減していくということを書かせていただいたのは、やはりひとえに福島の事故が起こってしまったということ、そして、その事故から学んだ結果ということだと思っております。

田嶋(要)委員 先ほど危機感ということを申しましたけれども、もし今おっしゃった大臣のその一点が本当に共有されているのであれば、私たちが申し上げているように、原発ゼロを可能とするよう、私たちはあらゆる政策資源を投入する、原発ゼロということを絶対できるかどうかはわかりませんけれども、原発ゼロというその言葉がどこかでうたわれていいかと思うんですが、それは絶対に政府からは出てきませんね。なぜそこをこだわるのか。

 それだけ福島のことに関してエンパシーというか思いが共有しているということであるならば、それは、目指す方向としてはやはりそこじゃないですか。可能な限り下げると言いながら二十数%がまた出てくる。いや、これが可能な限界なんですよ、そういう説明なのかもしれませんけれども、しかし、それは何か国民からしてみるとダブルスタンダードで、こっち向いていいことを言って、あっち向いていいことを言っているように聞こえます。そうじゃなくて、本当に福島のことを考えるんだったら、私たちと同じように、やはり理想はゼロなんだ、ゼロを目指すんだということは言えないんですか、大臣。

宮沢国務大臣 これはもう委員御承知のとおりでありますけれども、私ども政府におきましては、規制委員会で新基準に基づいて審査をしていただいて、適合していると認められた原発については再稼働をしていくという方針を持っております。

 では、なぜ再稼働が必要か、そういう審査を通った原発について再稼働が必要かといえば、これは、まず日本の置かれた今の立場でございまして、残念ながら、震災後、化石燃料の輸入が大変多くなりまして、九四%を化石燃料で輸入している、エネルギーの自給率は六%という中で、中東依存度といったものも大変大きくなっているという、まさに我が国のエネルギーセキュリティーといったものが大変リスクのある状態にあるというのが一点であります。

 そして二つ目は、ことしの十二月にCOP21が開かれまして、我々としても、それは、先進国に日本は地球温暖化に熱心でないねと言われるようなことにならないような温暖化対策の目標を示していかなければいけない。そうなったときには、やはり原子力発電といったものがある程度ないとこれは示すことができない。

 さらに、コストの面で、既に民生用で二割、産業用で三割上昇しているという中で、中小企業からは大変悲鳴のようなものが常に聞こえてきております。きのうも組合の関係の方も来られましたけれども、中小企業を含めて、大手企業といえども電力多消費型の産業は大変厳しい、何とかしてほしい、再稼働を進めてほしいというお話もございました。

 そういうことを含めて、私どもとしては、現時点で原子力発電所を放棄するという選択肢はないと考えております。

田嶋(要)委員 まず、私どもも、原発再稼働は絶対だめだというスタンスはとっておりません、そのことは誤解なきようにということと、やはり現在の日本が容易ならざる状況にあるということも共通認識であります。

 したがって、私が申し上げたいことは、今すぐどうということを言っているのではなくて、政治の意思として、先ほど、福島のようなことを共有されておるのであれば、そして同じだけの危機感を持つのであれば、大変困難な道のりであっても、目指す方向として、可能な限り、できる限りという表現であるのならば、さらにもう一歩踏み込んで、ゼロが一番いいんだ、ゼロを目指すんだ、できるかどうかはわからないけれども、とにかく政治はそれを目指すんだという表現がなぜ一度も出てこないのかということが私は不思議でならない、そういうことを申し上げているんです。

 もう一度お願いします。

宮沢国務大臣 やはり私ども政権を預かる立場としては、現実に常に立脚して、現実の上に立って、それは、ある程度、まさに希望みたいなものは若干入るかもしれませんけれども、絶対にできないというようなこと、まさに現実の、今の現状からすれば、申し上げられないことはなかなか言いにくくて、やはり最低でも県外ってわけには恐らくいかないんじゃないかというふうに思っております。

田嶋(要)委員 絶対にできないというふうに決めることも変だと思うんですよね、それは。

 だから、やはりそれは、我々政治家が先頭に立って、そういう時代を切り開いていこうという連帯のメッセージだと私は思います。まあ、平行線でございますが。

 次に移りますけれども、省エネルギーの現状に関しても、本会議での答弁でも、いまだ日本は世界有数、そういう御認識は、それはデータによってはそういうデータもあるのかもしれませんが、しかし、ここも、冒頭申し上げた、危機感は弱過ぎるのではないか。

 私どもがいろいろ調査をしてきた結論としては、かなり弱いところがたくさんあるし、そして、幾つかの先進的な国に比べて、目標設定、義務づけの仕方ということでも、そこまでやるとというようなことが必ず議論になって、目標設定はしない、数値目標は定めない、義務づけもしない、こういうことがいろいろなところにあるわけでございます、断熱を初め。

 経産省が一言言えば、経産省が取り組んできたフロントランナー、いい制度で、そういう成果が出ているのは、縦割りの役所の中では評価できるものもありますが、それはパーツの話でありまして、我が国全体としてどうするかというときになると、やはり私は、省エネはもっと強い危機感を持たねばいけないと思います。

 資料を配付しておりますので、一ページをごらんください。

 これは、いただいた経産省の資料をもとに我が党でやっている資料の配付をさせていただいておりますけれども、これを見ていただいても、先日、小松製作所に行ってまいりましたが、あそこまで行くのはなかなか全企業にとって負担かもしれませんけれども、相当状況は老朽化している。日本全体が老朽化している。それはそうですよね、右肩上がりの時代にみんな設備投資をたくさんしたわけでありますから。

 ここは、やはり省エネに関してはもっともっと力を入れる、そして、そのためには、こうした設備投資の回転を上げていかないといけないし、今、非常に厳しい状況にある中で、もう一度あの省エネ大国を実現するような気迫が私は必要だと思いますが、いかがですか。

山際副大臣 気迫と言われるなら、我々は、気迫は持っていると自負はしてございます。

 実際に、ファクトといたしましては、九〇年以降、日本の省エネというものは、それで手を緩めたというわけではないと思います。エネルギー効率という目で見れば、世界トップレベルのエネルギー効率を今でも維持してございます。

 一方、今委員が御指摘いただいたように、生産設備の老朽化等々に関しては、どうしても、失われた二十年と言われるような、新しい設備に投資ができない状況があったというのも事実でございまして、ここの部分にはまだ努力をするべきだというのはおっしゃるとおりだと思ってございます。

 そこで、今、政府といたしましては、工場やオフィスにおける省エネ設備の導入というのも補助金等々を使ってやらせていただいているところでございます。

 また、生産、ものづくりの現場だけではなくて、住宅、民生の部門においても足りないという御指摘も多々いただきます。これも同じ思いを持ってございまして、それはパーツパーツがいけないという話かもしれませんけれども、パーツが組み合わさって全体として省エネにつながるということからすれば、トップランナー制度というものをより一層利用していくということが、確実に、現実的に省エネを実現していく確かな道だというふうに思っております。

田嶋(要)委員 いろいろな統計データはさまざまな分析があると思いますが、私どもが一つ理解をいたしておりますのは、やはり、九〇年までの伸び率、改善率は日本がナンバーワンだった、しかし、九〇年ころを境として、そこから今日までの改善率は先進国の中ではかなり低い方にあるということの情報はお持ちだと思います。

 だから、絶対水準が今でも世界有数だからいいんだということでは、それはウサギと亀の議論になっちゃうわけでありまして、やはり、ずっと走り続けなきゃいけないのがこの省エネの分野だし、温暖化の問題があるわけだから、それはそういう考え方を持っていただきたいと思います。

 そのためには、今、この資料にもございますけれども、大変多くが更改の時期に差しかかっているということは紛れもない事実でありますから、そこは今まで以上に加速をしていただかなければいけない。私は、ファイナンス等の取り組みでもっといい手法があるのではないかということもさらに研究する必要があろうかというふうに考えております。

 そして、同じ省エネで、もう一点。

 昨日、これは大臣室でお話にもちらりと出たわけでございますが、供給側にいかにして消費者あるいは需要家の需要を抑えるような努力をしてもらうか。これはちょっと質問通告しておりませんが、先ほど私申し上げました、電力の難しさは、いかに売らないかという商売を考えなきゃいけないところもこれからは出てくるということでありますので、これは、どんどん売ればいいということではなくなってくるわけだから、そうすると、例で聞いたことがあるのは、それぞれの家庭に二本ずつ線を引いて、片っ方がエアコン専用、そして、一番暑い、電力需要のタイトなときは供給側でエアコンの電気だけを五分だけとめる、そして五分後にはまたつける、しかし電気が切られたことは誰も気づかないということで、ピーク電源を供給側のコントロールで勝手にカットする、そういうことをやっている国もこれはあるんだと思います。いろいろなところでその話を聞きます。

 それから、例えば、私たちが与党時代に、あの電力がタイトなときに、どうやってこの夏のピークをしのぐか、特に一番厳しいのは甲子園の決勝だという話がありまして、あれを朝に動かしたらいいんじゃないかとか、家でみんなが一人ずつテレビをつけたら、テレビをつけた瞬間に飛ぶんじゃないかというようなことも当時、言われておりました。

 もっとたくさんの人が家をあけて、例えばスーパーとか商店街とか、あるいはモールとかそういうところに人を出す政策というのは、地域の商店街の活性化にもなるし、そしてピーク需要を下げるという効果もある。それを、消費者、ディマンド側だけに期待するのではなくて、まさにいろいろなリソースを持っている電力会社、供給側で需要をコントロール、抑えるようなことをもっと政府は背中を押すべきじゃないか。

 きのう大臣室でこの話になりまして、若干、大臣は、そんなこともあるのかなという顔をちらっとされておりましたので、その点、どういうような御認識か。私は、ここはこれから非常に大きなビジネスチャンスにもなるし、大事な取り組みだろうと思いますが、いかがですか。

宮沢国務大臣 ネガワットというような、需要側でいろいろする、これは今の委員の御質問には入っていないわけですか。(田嶋(要)委員「いや、入っていると思います」と呼ぶ)入っていますね。

 今ちょっと資料を持っておりませんけれども、ネガワットというのは大変大事な要素だと思っておりまして、ピーク時に電力を制限することによって、ある程度お金を払い戻すというような、まさにピーク時電源が増大しないように手伝ってくれる産業等々に電力料金を安くするというような話とか、また、夜間に使うような電力については安くして、そして夜間に誘導していくというような方法、ここを少しリファンドするようなものと安くするものと、恐らく二方向あったというようなことだったと思いますけれども。これはたしか、ピーク時を減らすということについては、今実証実験を始めておりまして、ぜひともそういうことは実現させていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 もう既にやっているようなこともあろうかと思いますが、私は、またここも危機感が足りないと思います。

 だから、どんどん売るという商売を転換させるようにしていかなきゃいけないと私は思いますし、ベンチャーのいろいろな会社を既存の電力会社がやっちゃいけないという話ではないわけですから、攻めの気持ちで、そういう既存の電力会社こそ、子会社等でそういうベンチャーに取り組んでもらう。アメリカからいろいろなセールスにも来ていますね。だからこそ、需要サイドをもっともっとコントロールするような取り組みを供給側からも働きかけるようなエネルギー社会をつくっていただきたいというふうに思います。

 次の質問でございますが、再エネの拡大をしていくときに、いろいろなところから御相談も受けておりますけれども、情報開示の義務化ということに関してどのように考えられておるか。

 これは本会議でも申し上げました。ドイツの事例も挙げさせていただきましたけれども、これは相当別世界ですね。ドイツでは、電力会社から届く精算書に、電力会社の化石燃料、原子力、再エネの比率が載っている、そしてその比率が国内平均とどう比較されるかが載っている、一キロワット時当たりのCO2の排出量が載っている、そして核廃棄物の量まで載っているんです、お客さんの家に届くその紙に。ということは、ああ、こういう会社だったら、ここの電気は買いたいねということで、二割高くてもこっちから買い続けようという判断を消費者ができるわけですね。

 だから、これはコモディティーといいますか、電力というのはもはや決して価格だけで選好される商品ではない、価格以上に、何からつくっているのですかということが極めて大事な商品になっているわけですよ。

 しかし、今それは制度がありません。そして、何とか検討中なんという話になっていますが、ここは私はもうやるしかないと思いますよ。最大限導入するんでしょう、再エネを。どうですか。

山際副大臣 今回、自由化を進めていこうという背景というか、もとにある考え方としては、極力ビジネスを自由に、しかも発展的にしてもらいたいという思いが当然あるわけですね。そうなってまいりますと、電源をどこから調達するかということは、これはすぐれて小売業者等々にとっては戦略的な話でもあり、ですから、これをどう利活用していくかというのは、本来であれば、自由な競争の中で選択をしていくものだと私どもは考えてございます。

 その中で、そうはいいましても、今委員が御指摘のように、どういう電源構成になっているか、その調達先がどうなっているかというような情報について全く開示をしないということもなかろうということで、今、審議会等々で、小売電気事業者に対しまして消費者に対する説明義務を課す、その中でどんな説明をさせるべきかという具体的な内容については議論させていただいているところでございます。

田嶋(要)委員 私は義務化をさせるべきと思いますけれども、義務づける場合と義務づけない場合で、再エネはどちらがより広がるとお考えですか。

山際副大臣 私は、それは制度云々の問題ではなくて、どちらもあり得る、どちらだというふうに言える問題ではないと思っております。

田嶋(要)委員 私は、開示義務をした方が確実に選好していただけると思います。中には、原発でつくった電気が大好きという人も出てくるかもしれませんね、それはそれで結構ですけれども。そういうふうにやっていくことが、本当に今の日本の危機感を持ったアプローチではないかということを強くお願い申し上げます。

 次に、火力の話もお伺いをしたいと思います。

 資料の二でございますが、これは本会議のときにも言及をした資料でございます。

 石炭は安いから石炭はベースロードだ、そしてLNGはまだまだ高いという話は、瞬間風速の議論ということはある程度理解もいたします。しかし、発電所をつくれば、三、四十年のスパンで考えなきゃいけないわけですね、それは言うまでもないわけでございますが。

 最新のIEAのレポートでは、ここに書いてありますとおり、むしろこれから値段が上がっていくのは石炭であるという報告。これが絶対正しくなるかどうかは当然わからないわけでありますが、LNGはフラットである、しかし、石炭は、二〇二〇年、二〇三〇年、高くなっていきますよ、こういうことも予測をされている中で、本当に石炭火力のプランがふえることは大丈夫なんだろうか、私はそのような懸念を持っております。

 そして、次のページをごらんください。

 これは、計画一覧ということで、環境省からの資料でございますけれども、小規模の石炭火力発電の計画があり、そして、計画中、検討中というのも含めると四十数基、そのぐらい今全国にある。その中でも、これが小規模なものでございます。

 きのう、大臣も発言ございました。一定基準以下、十一・何とか以下はいわゆる環境アセスがないということで、事業者側からすれば、そんな面倒なものがないぎりぎりまで大きくして、ぎりぎりのところでさっさとつくりたいという気持ちは非常によくわかるし、別にそれがかいくぐっているわけでも何でもないわけでございますが、そもそもそういう線引きがある。

 そして、こうした形で石炭火力が、野方図にとは言いませんけれども、本当にこれは大丈夫か。私は、むしろ、野方図というよりは、経営側が将来苦しむことをもう少し予測できる状況に今あるのではないか。したがって、正しい選択を必ずしもできていないのではないか。そして、目先のLNGとのコスト比がこれだけあるから石炭というのは、若干短絡に過ぎるのではないか。そのような懸念を持っておりますけれども、大臣、この石炭火力、日本の国内で、世界一のすぐれた技術であることは私も評価をしますけれども、それでもこういう現状にあるということをどのようにお考えですか。

宮沢国務大臣 石炭につきましては、エネルギー基本計画におきましてはベースロード電源と位置づけております。そして、なぜベースロード電源と位置づけているかといいますと、まず価格面、今委員はいろいろ長期的な試算をおっしゃいましたけれども、価格面において低いということ。そして、安定的に発電できる上に、まさに石炭自身が、LNGは貯蔵といいますか備蓄ができないわけですけれども、石炭は、しっかりと、いざというときには備蓄はやろうと思えばできますし、また、資源が世界じゅうに広く存在しておりまして、ホルムズ海峡を通らないでもしっかりと輸入ができる。こういうようなことから、ベースロード電源というふうに位置づけております。

 ただ一方で、おっしゃいますように、石炭については、CO2の排出量、世界で最も高効率な石炭火力を持っているといえども、LNG等々に比べれば残念ながらCO2の排出量が大きいというような状況があることもまた事実であります。

 我々、当省といたしましては、省エネ法の活用により石炭火力発電所の高効率化をさらに促進するとともに、エネルギー政策の検討を踏まえた、地球温暖化対策の計画、目標の策定と整合的な形で、電力業界の自主的な枠組みが構築されることを促しつつ、まさに十一・二五以上はアセスメントにかかるわけでございますので、個別の環境アセスメントの中で全体を捉えながら審査をしていきたいというふうに考えております。

 一方で、まさに今委員おっしゃいました、十一・二五万キロワット未満の小規模な石炭火力発電所については、実は私どもも全く数が把握できていないわけでありますけれども、震災の直後、すぐに電源が補充できるということで、かなりその時点から導入が広まってきたというような状況は話には聞いておりますけれども、実は実態の把握ができていないというような状況もございまして、これについては、発電効率も低いわけでありますので、適切な追加措置を講じることにより抑制することを至急に検討していきたいと思っております。

田嶋(要)委員 至急検討の前向きな御答弁をいただきましたので、ぜひよろしくお願いします。

 これは、マクロの政府の首を絞め、そして、ミクロの経営側の首も絞めかねない事態が五年後、十年後、今の欧米の動向を見ていれば、非常に石炭火力に関しては今厳しい現実があるわけでございまして、日本だけ甘過ぎるという国際的な世論も出るわけでございますので、ここは非常に慎重な対応が必要なのではないかというふうに考えております。

 そしてもう一点、石油に関しても、資料の四ページをごらんください。私も何度も申し上げておる点でございますけれども、この石油というのは調整電力として非常にすぐれた能力があるというのが政府の、役所の説明でございますけれども、本当にこれだけ必要なのかということを繰り返しお尋ねさせていただいております。

 コストの面も含め、CO2の面も含め、これは役割はかなり終わってきているのではないか。

 そういう中で、必要ミニマムをしっかりと計算していただいて、どうしてもこれだけは要る、もちろん備蓄性とかの優位性はあるものの、これをごらんいただくと、日本が、まあイタリアも高いですが、日本は異常に高いんです。これは原発事故前でありますから、普通にこうしてきたということで、事故の後こうなったという説明ではございません。

 原発事故の前、ずっと日本は高く石油依存をしてきたということで、これも先進国らしからぬ状況が続いておるわけでございまして、調整電源としての能力はかなりの部分はLNGでもできるんじゃないか、私はそのように素人ながら思っておりますが、ここは対策をスピードアップしていただく、大事だと思いますが、いかがですか。

宮沢国務大臣 エネルギーミックスの中で石油をどう取り扱うかということは、まさに今調整中でございますので、この場でお答えできる話ではございません。

 やはり石油につきましては、私自身もそういう技術の専門家ではありませんのであれですけれども、やはりLNGに比べても石油の方がレスポンスが速くて、調整電源としては必要な部分が残るというような話も聞いておりますし、また一方で、C重油といったものが国内で一部出てきて、電力で使わざるを得ない部分があるということもあるようでございまして、そういう中で石油の依存度というものは考えていかなければいけないと思っております。

田嶋(要)委員 気象情報とか、各家庭や企業の行動様式のビッグデータ、そういうものを活用して、予測能力が格段に高まっているという話も聞きます。そうなると、調整も、ある程度予測しながら調整すれば、能力的には劣るLNGで十分調整できるという時代に入っているんじゃないかなと私は想像しているんですけれども。

 今までがこうだからこれだけ要るんですよじゃなくて、ぜひミニマムに抑えていただくように、しっかり具体的な検討と、そして最新の各国の取り組み事情を確認していただきたいということを最後にお願い申し上げまして、終わりにさせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、福島伸享君。

福島委員 民主党の福島伸享でございます。

 二期目なんですけれども、経済産業省出身で、初めて経済産業委員会で質問をさせていただきます。後ろの席に先輩方がいるのを見て、どきどきしながら、小心者なものですから、質問をさせていただきますけれども、よろしくお願いを申し上げます。

 九八年の、電気事業法、ガス事業法を束ねて改正した法律の作成に当たっておりまして、当時、毎晩のように法制局に行って、結婚式の日の朝の六時まで法制局でいじめられたことを思い出しまして、今回、これだけの大きなシステム改革をする法案が出てきたというのは、私としても、個人としても非常に感慨深い思いでございます。

 個別に見ると、さまざまな議論を深めていかなければならない問題点はあると思いますけれども、電力業界、ガス業界という業界としてではなく、もっと広いマクロの目で見たときに、総合エネルギー企業を生んでいく、総合エネルギー市場に向けていくという意味で、私は、この制度改革というのは大きな意義のある、アベノミクスでこれぐらいしか評価できないと言ったら失礼ですけれども、かなり評価できるものではないかなと個人的には思っているところでございます。

 その上で、幾つかについて御質問をさせていただきたいと思います。

 一つは、ガス事業であります。

 これまでも、神山委員、渡辺委員、中根委員と、同僚の何人かの議員からガス事業に関して質問が繰り広げられたというのは、やはり電気と比べて、なぜ今回ガスなのか、何でこういう規制改革を行うのかというのが、電力と違うところがあるからだと思っております。

 当然、電力は送電網が全国に広がっているわけでありますが、ガスの導管は広がっていないとか、あるいはガスというのはガスそのものを売るものでありますけれども、電気は二次エネルギーで、それを使って製造したものを売るとか、あるいはガス業界はさまざまな事業規模の企業があるとか、そうした環境の違いがあるわけであります。

 そうした中で、外形上、電力と同じような規制改革をするということは強引なんじゃないか、拙速じゃないかと、さまざまな、上田長官に対するお話も含めて耳に入ってくるところでございますけれども、私の理解では、これは恐らく、規制そのものの理念の転換をやろうとしているのじゃないか。これまでガス事業という業を捉まえて規制してきたものを、導管という公共の利益に服するようなものに対するネットワークを規制することによってさまざまな新しいビジネスを生んでいこうと。

 一方、ガス会社というのは、ただガスを売るだけではなく外国から買ってこなければならないわけですから、そうした上流部門におけるまさに総合エネルギー企業、日本を代表するような、規模のメリットを生かせるような企業をつくっていこうという、そうしたさまざまな思いがあって規制の理念そのものを転換したんじゃないかなと勝手にそんたくするわけでございます。

 しかし、これまで、渡辺周委員に答えて政府の方からは、天然ガスの安定供給の確保をしながらガス料金の最大の抑制を図るとか、需要側におきまして選択肢をふやしていくということ、さらに事業の拡大を図るといった目的があるというような答弁をしております。

 でも、私は、この答弁では、事業者の方は、なぜ導管事業の中立性という、ある三社に法的分離まで義務づけるわけですね、そうした制度改革をやるのかというのは、まだいま一つぴんとつながらないところがあると思うんです。今回の規制改革の手段と目的の間の連関がまだ不十分なんじゃないかと思っているんです。

 一体、今回のガス事業制度改革というのはどういう目的でやるのかというのを、もう一度明確に答弁いただけないでしょうか。

上田政府参考人 委員御承知のとおりでございまして、電気とガスを比較いたしますと、例えばそれぞれがネットワーク産業であるといったような同じような点もあれば、まさに委員の御指摘のとおり、導管網の整備が十分でない、あるいは中小企業が多い、さまざまな電気とガスの違いというのもあるわけでございます。

 私ども、エネルギー政策の目指す方向といたしまして、従来それぞれ縦割りでありました電気、ガスあるいは熱といった分野につきまして、これを一体的に改革することにより、まさに委員御指摘のとおり、総合エネルギー企業が出てくるような環境を整備しながら、あわせてエネルギー分野のところで新たなイノベーションを巻き起こしていく、そういう大きな目的ということを一つ考えております。

 その中で、具体的な目標として、まさに料金の最大限の抑制であるとか、安定供給の確保であるとか、消費者の選択の自由であるとか、こういったことも目的としながら改革を進めていく、そういった思いで改革に取り組んでいるところでございます。

福島委員 今のもちょっと何か言葉が足らないような気がして、要は、電気、ガス、熱を一緒にやりますと言っているだけのような気がします。ただ、時間がないので、深く突っ込みません、お昼の時間も迫っておりますので。

 今回、新ガス事業法の第五十四条の二で、法的分離を義務づける特別一般ガス導管事業者は、法律によりますと、その一般ガス導管事業の用に供する導管の総体としての規模が政令で定める規模以上であることその他政令で定める要件に該当する事業者であるというふうにされております。

 資料によりますと、それは当面、需要家が特に多い導管総距離の長い大手三社、東京、大阪、東邦を対象とするというふうにしておりますけれども、大手三社とはいうものの、では、この三つはドングリの背比べかというと、必ずしもそうではありません。

 総資産で見ると、東京ガスは一兆五千四百四十億円の資産、大阪ガスは一兆千八百八十億、まあ大体同じようなものです。しかし、東邦ガスは、総資産で、その半分以下の四千三百億。従業員で見ても、東京ガスは七千八百四十八人、大阪ガスは五千七百八十九人、東邦ガスは半分以下の二千八百五十九人。導管の延長で見ても、東京ガスが五万四千七百八十四、大阪ガスは四万九千百三十五に比べて、東邦ガスは二万七千三百九十八であります。その東邦の次は西部ガスでありますけれども、大体それは、今度は東邦のまた半分ぐらいなわけですね。

 上の二社と東邦そして西部というのは、上の二社の半分ぐらいが東邦、さらにその半分ぐらいが西部というようなことになっているわけでありますけれども、どういう根拠で、特別一般ガス導管事業者、いわゆる法的分離を義務づけられている三社を選んだのか、その理由をお聞かせください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 法的分離の対象事業者は、先ほど先生から引用していただきましたように、導管の総体としての規模が政令で定める規模以上であることとするということを規定しております。私ども、この政令の中では、導管の総延長の全国シェアが一割以上であることなどを想定しているところでございます。

 今先生の方から御紹介がございましたけれども、私ども、導管総延長の長い事業者につきましては、この導管網を維持、運用する事業者の規模、あるいは導管網によるガスの供給量、さらにはその供給を受けておられます需要家の数、こういったことなどもそれに応じまして多くなるものと考えております。

 ただ、この事業者の規模でございますとかガスの供給量あるいは需要家の数、こういったものにつきましては、これは年ごとに年々変動するものでございます。したがいまして、今回は、法的分離の対象事業者として政令で定める場合には、より客観的にあるいは安定的に判断が可能な導管総延長というもので判断させていただこうと思ったわけであります。

 先ほど、一、二、三、四という導管の延長についても御紹介いただきましたが、私ども、西部ガスと東邦ガスにつきましては、半分というよりは三分の一ぐらいの差はあるかと思っております。

福島委員 ありがとうございます。

 私がなぜこのことを聞いたかというと、別にその基準がどうだという問題じゃないんですね。規制の理念を転回するんだ、業規制からネットワーク規制に変えるんだというときに、公的な役割を持った導管網を持っているようなところ、導管網というか導管群を持っているようなところは、しっかりと規制をすることによって新しいビジネスを生み出そうというのが今回の制度改正の趣旨だと思っております。

 法的分離になるかならないかというのは、会社にとっては天国と地獄ほどの違いがあるわけですよ。極端な話、東邦ガスが分社化をして、今の法律の条文を見る限り、愛知県と岐阜県とで別々の会社にして、導管をそれぞれの会社が少なくしたら、法的分離をしなくていいかもしれないんです。

 何が言いたいかというと、私はなるべく法的分離をするように公的なところはしむけた方がいいと思うんですよ。ただ、それはメリットがなければならない。余りにも負担が多くてその差が大きくて、負担が多過ぎるんじゃないか。

 その一方で、本来公的な役割を果たすにもかかわらず、この法的分離の対象となる導管事業者から抜けているところはないんだろうか。一つは、日本海側と太平洋側を結ぶ二つのINPEX、JAPEXという会社があります。去年の四月でしたか、関東地方、私の住んでいるあたりの多くの中小ガスのガス料金が上がりました。それは、INPEXの導管を通じて卸供給を受けている一般ガス事業者の料金が上がった。一方、東京ガスのガスをもらっているうちの地元の筑波学園ガスなんて、むしろ値下げをしたわけですね。この導管がなければ、ちっちゃな関東の中小ガス事業者の供給区域のお客さんはガスの供給を受けられないわけですよ。

 そういう意味では、INPEXとかJAPEXといった会社の持っている導管というのは、網としては一般ガス事業者のようにはないけれども、しかし、導管としては極めて公益性の高いものであって、なおかつ、直江津に大きな基地をつくって、そのガスは一般の需要家にも与えられるということでは、この事業者はなぜ今回の法的分離の対象にならなかったのか、明確に御答弁をお願いします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御質問のありましたINPEX、JAPEXがなぜ対象とならないかという御質問に対してお答えする前に、分社化によって法的分離を逃れるのではないか、こういった御指摘がございましたので、その点についてちょっと一言補足をさせていただきたいと思っております。

 私どもは、このガス事業法の枠組みでまいりますと、一般ガス導管事業者が分社をするといったことにつきましては、これは勝手にできるわけではありませんで、大臣の認可を要することとなっております。したがいまして、私ども、そうしたことはないと思っておりますけれども、単に法的分離を逃れたいというために分社をするといったような申請が出てまいりました場合には、これは認可はなかなかしにくいだろうな、このように考えております。

 それから、もう一点御質問がありましたINPEX、JAPEXでございますけれども、私ども、これは一般ガス導管事業者も特定ガス導管事業者も法的分離の対象には法文上いたしております。この導管の総体としての規模が政令で定める規模以上という同じような政令を設けることを考えております。

 先ほど御指摘がございましたけれども、このINPEX、JAPEXといった導管事業者の導管の総距離と申しますのは、全体で考えましても、都市ガス事業者全体のベストテンにも入らない規模でございます。

 今御指摘ありましたように、新潟と関東圏をつなげている高圧導管を持っているといったようなことはございますけれども、その先、小売までの導管とつながっていない、こういった状況になってございます。

 私ども、今回法的分離を実施する目的といいますのは、全面の自由化に合わせまして、誰もがガス導管を公平に利用できることである、こういうふうに考えてございます。

 したがいまして、基準をつくる際には双方を同等にすることが適当だと考えておりますけれども、結果としてこのINPEX、JAPEXは、現状でまいりますと対象とはならない、このように考えております。

福島委員 何でそういうことを言うかというと、対象にならないと、INPEX等の導管を使う託送事業は届け出ですよね。そうじゃない東京ガスや大阪ガスの場合は、認可料金ですよね。さっき言ったように、現に値上げをしているわけです。届け出で値上げができるわけです。しかも、基幹的なラインですからね、言ってみたら。日本海側と太平洋側を結ぶ。それが、届け出料金で勝手に料金が設定されて、しかも自由に値上げもできるというようなのは、私は規制としてはおかしいんじゃないかと。

 単に導管の長さという機械的なものではなくて、まさにネットワーク規制に変えるわけですから、公益的な機能の重要性に応じて私はきちんと対象にすべきだと。法文上はまだ政令で決めるわけですから、対象にできるわけですよ。ですから、その政令の中で、単なる導管の延長とか需要家の数だけではなくて、その卸供給の先には多数の需要家もいる、さまざまな中小ガスの供給エリアもあるわけですから、そうしたものを勘案してこの法的分離の対象というのをきちんと再検討していただきたいと思うんです。

 なぜかというと、これは疑いの目で見られているんですよ。INPEXとかJAPEXというのは、余り先輩のことを申し上げたくないですけれども、会長も社長も、経産省のそうそうたるOBですよ。みんな、電力会社もガス会社も、今回、お国のためだと思って、嫌だけれども法的分離とか発送電分離を受け入れているんですよ。にもかかわらず、何か経産省の身内のところだけ甘いんじゃないかとなったら、これは私は進まないと思うんですよ。

 最後に、宮沢大臣、この点について答弁をお願いいたします。

宮沢国務大臣 大手三社の法的分離ということを聞いておりましたけれども、INPEX、JAPEXといったそういうところにそういうルートがあるということは、実は、私も今初めて伺っておりました。

 ただ一方で、今回の制度改正によりまして、タンクにつきましては、ほかから要請があった場合、LNGを入れなければいけない、こういう制度も導入されることとの合わせわざで、そこに安いガスを入れることは可能なのかな、どうなのかなと思いながら、実は今、伺ったところであります。

福島委員 午前なので終わりにしますけれども、ぜひとも、もうちょっときっちり検討して、まだ政令をつくるときに変えられますので、検討いただければと思っております。

 午前の質問は以上にさせていただきます。

江田委員長 この際、暫時休憩いたします。

    午後零時三分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時五十三分開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。福島伸享君。

福島委員 午前中に引き続きまして質疑をさせていただきます。

 午前中の復習をいたしますと、特別一般ガス事業という法的分離を義務づける者を当面三社に想定することによる規制の行き違いといいますか、その不合理性というものについて御質問させていただきました。

 それは、なぜそれを言ったかというと、特別一般ガス事業になることが重荷になって、導管を延ばすことを抑えてしまうようなことになるのがよくないと思うからであります。

 逆に言えば、特別一般ガス事業になって法的分離をすることに伴って、もっとメリットがあるから、より大きな利益を得られるようなネットワークを広げる特権と言うのがいいのかわかりませんけれども、恩恵が得られるんだという、いわばあめの部分もやらないと、仮に、四番目である西部ガス、もうこれ以上導管を延ばしたら、今度、法的分離して、会社を分離しなきゃならないんだとなれば、今の供給区域を守るだけのビジネスに終始してしまうかもしれないと私は思うんです。あるいは、三番目の東邦ガスも、ほかの大阪、東京に比べて体力がない中で、ただ単に、ほかのエネルギー企業に買われるだけの存在にならないわけではない。

 ですから、私は、この特別一般ガス事業者、導管を延ばしたり、持つことに伴う何かのメリットを与えるべきだと思うんです。

 既に、この法案の説明の中では幾つかのメリットを与えるやに書いております。例えば、導管の相互接続に関する努力義務とか、国が事業者間の協議を命令、裁定できるとか、あるいは、広域的に便益をもたらす導管の整備費用を周辺のガス事業者の託送料金に含めて回収できるようにしてやるとか、いろいろあるようでありますけれども、恐らく、単なる経済原理だけでは導管を延ばすインセンティブにならないと思うんです。リスクをとるなり、国がより一歩前に出た何かの措置があってもいいんじゃないか。

 電気事業法の中には、今回削除しますけれども、一般担保という条項がありました。電力が足りないとき、発電所が少ないときには一般担保というのは価値があったわけでありますけれども、今、ガスの場合で見れば、導管がまだ全部つながっていないわけですよね。多少短期的に見れば経済原理が成り立たなくても、五十年、百年で見れば経済的なメリットがあるようなのは、例えば、これは逆行するように見えるかもしれないけれども、一般担保をつけるとか、また、電力とは違った、特別一般ガス導管事業者になればこんなメリットがあるんだというメリットをつけることが必要だと思いますけれども、どう思われますでしょうか。

関大臣政務官 今回の電気、ガスの自由化の法案の中で、いわゆるインフラはどうあるべきかということの考え方の根幹にかかわる部分だと思います。非常に重要な部分だと思います。つまり、ネットワークのインフラをしっかりしておかないと、自由化が進んでいく際のメリットも共有しづらいのではないか。本当にそのとおりだと思うんです。

 その件につきまして、何らかのインセンティブが必要ではないかという点につきましても、おっしゃる意味もよくわかるところなんです。

 一般担保のお話がまず項目としても挙げられましたが、一般担保の部分につきましては、一般担保つき社債、委員も御存じのとおりだと思いますが、これは電力会社に対しましても将来廃止する形をとっておりまして、ガス会社に新規にというのもちょっと考えづらいのかなというところがございます。

 ただし、一方、いわゆるパイプラインをどんどんと引いていくべきだというふうなのは、今回のガスの自由化の、いわゆる価格の低減化のメリットを十分消費者にとっていただくためにも重要な項目と思っておりまして、我々も本当にできるだけのことはしたいと思っているところなんです。

 ですので、先ほど委員もおっしゃられたとおり、託送料金でその投資コストが制度的に担保されておりましたり、また一方、ガス導管の整備に多額の費用が要りますので、利子補給の支援策を講じておりましたり、また、建設後一定期間に高目の事業報酬率を設定できる措置なども考えておるところでございます。

 ただ、いかんせん、どこに導管を引くかという考え方のところにつきましては、いわゆる民間の会社の方が、どういうふうにどこに引けば採算がとれるという、経済の自由性のところをやはりそこは重視したいと思いますので、インセンティブの方につきましては、そういう資金的なところ以外の、いわゆる強制のところにつきましてはどこまでできるのかなというのもあるんですが、できるだけの応援体制を我々もとっていくことについては考えているところでございます。

福島委員 今までそう言ってきたから日本は導管網が広まらなかったんですよ。需要を供給区域として設定して、そこにちょっとずつ導管を延ばしていったという結果が、全部の日本列島をつなぐような導管網が整備されていない理由なんですね。

 需要というのは、ガス会社といっても、五十年後、百年後の需要は見ることができません。目先の需要しか見ることはできないわけですね。その一方で、やはり二十年後、三十年後ぐらいのタームでの需要をにらんだインフラを計画するのが国の役割であり、主体がもし民間の事業者であったとしても、そのリスクをとるために、金融上の措置とか規制上の措置とかいろいろあると思うんですけれども、私は、もっとそこを研究して、打ち出していってもいいんじゃないかと思うんです。

 特に、今回の法改正によって、特別一般ガス事業者という三社だけに法的分離という、ある意味重い、重荷だと思うんですよ。この三社だって、決してもろ手を挙げて今回賛成しているわけじゃないと思うんですよ。

 しかし、それは長い将来で見たときに、ガス体エネルギー産業の発展の礎になるんだという意義があって、その役割を果たす役割を与えられるのであれば、私は、なるほど、よしやってやろうと胸を張って特別一般ガス事業になるであろうし、しつこいようですけれども、INPEXやJAPEX、そういう会社や、あるいは西部ガスや静岡ガスや仙台市営ガス、そういった次に続く会社たちも、導管を広げた公益的な、もっとより大きな役割を果たす会社に成長しようという、そうした目標を持てるんだと思うんですね。ぜひそういうことを研究していただければというふうに思っております。

 そういう意味では、私は、今回の電気事業法とガス事業法は性質が違うと思っております。ある意味、電気事業法は、今後発送電分離をして、その先に、分散型電源やどういう新しいビジネスを生み出していくかというその次がすぐあらわれる世界でありますけれども、ガスの場合は、導管とインフラをどう整備していくかという途中の中で今回の制度改正をやっているんだというふうに思っております。

 LPとの、液石法との関係とか、さまざまなまだ積み残された観点があるという意味では、私は、今回のガス事業法の改正は過渡的なものであるというふうに考えますけれども、その点どう認識するか、過渡的であるとするならば、将来、その制度改革の方向性はどのようなものかということについて御答弁をお願いいたします。

宮沢国務大臣 午前中の委員のお話を聞いておりまして、送電網にしても導管網にしても、まさにネットワークというものを公共的なものと位置づけて、それを中心にしてエネルギーといったものを動かしていく、そのとおりだなと実は思って承っておりました。まさにそういうことによって、電力、ガス、熱といったものの垣根を取り払って、総合エネルギー産業といったことで皆さんにいろいろな知恵を出していただき、そして、消費者のためになる、また自分たちのためになることをやっていただくというのが今回の趣旨だと思っております。

 そして、今、ガスの導管を広げることに余りインセンティブがない、法的分離だけ無理にやらされて、こういう話がありましたが、私は、これは電力とガスとやはり両方見ておく必要があって、電力をまさに法的分離する、開放するということによって、ガス事業者は相当なメリットが出てくる。そして一方で、ガスの導管を、法的分離をほとんどの部分についてすることによって、これまた電気その他の事業者にメリットが出てくる、それが全体としてトータルとしてプラスになってくるということで考えなければいけないのかなという思いがしております。

 そうした意味で、今回の改革、過渡的かどうかと言われますと、これで終わりとは申し上げませんけれども、かなり大きな方向性というものは出した改革でありまして、一方で、LPガス等々、簡易ガス等々との関係ということになってまいりますと、ある意味では、利害の調節ということは正直言って大変難しい話である一方で、日本全体の話のウエートとしてはそれほど大きくない。ただ、そういうことについても、今後どういう方向になるかは別ですけれども、いろいろな検討は加えていかなければいけないんだろうと思っております。

福島委員 大臣に共通の認識を持っていただいているようなので本当にうれしく思っておりますし、また今後の改革に向けていろいろお考えいただければと思っております。

 次の話題に行きたいと思います。電力・ガス取引監視等委員会についてでございます。

 今回、発送電分離あるいは導管分離をするということによって、これまでにはなかったようなさまざまな新しいビジネスが生まれることになります。新しいビジネスが生まれれば、これまで想定していなかったようなさまざまな紛争、トラブルというものが生じてくることにもなります。それを対処するために肝になるのがこの電力・ガス取引監視等委員会ということでありまして、役所からもらった資料にも、「外部有識者五名を委員とする「電力・ガス取引監視等委員会」を設立し、従来にない権限を有する最も強い八条委員会とする。」という意気込みが示されております。

 大体、役人的に言うと、監視等委員会というのが怪しくて、監視委員会じゃないんですよね、監視以外にも多分やるんですよ。証券取引の監視は証券取引等監視委員会で、監視に等はついていないんですね。ということは、監視はワン・オブ・ゼムであって、別なこともやるということで等をつけた。私は、シンプルに、電力ガス公正取引委員会でいいんじゃないかと。きょうは公取の委員長にもいらしていただいておりますけれども、素直にそう思って、本当に名は体をあらわすのかというのをここで議論したいと思っております。

 よく八条委員会と三条委員会の違いということが言われまして、三条委員会であれば規則制定権があるとか命令を出せるとか、そういうのがありますし、今回、最も強い権限ということで、八条委員会としても異例の勧告権があったり立入調査などができるということでありますが、立入調査等は、経済産業大臣から権限の委任を受けて行うということであります。

 冒頭、念のため確認いたしますけれども、今回、なぜ電力・ガス取引監視等委員会は八条委員会にしたのか、その点についての御説明をお願いします。

山際副大臣 今回創設する電力・ガス取引監視等委員会を三条委員会として、エネルギー政策の枠組みから離れて市場監視や料金規制を行う仕組みとすることは、安定供給と保安を確保し、再生可能エネルギーの普及などを進めるという観点から、適当ではないというふうに考えていること。

 そのため、電力・ガス取引監視等委員会は、経済産業大臣直属の八条委員会として、エネルギー政策の枠組みの中でその業務を行うことが適当だと考えたからでございます。

福島委員 そこで、多くの人が心配するわけですよね。エネルギー庁ではないけれども、経済産業省というのはどうしても原発推進で、何か既存の電力会社に対してお手盛りにするんじゃないか、そういう印象を持つわけです。ですから、常に三条委員会にせよという圧力が加えられるんだと思っております。

 この八条機関というのは、一般には審議会等が当たりますけれども、大体、学識者の人を上に並べて適当に飾っておいて、役人が取り仕切っているというのが実態なのは、実際役所で働いている人にとっては常識なんですよ。

 先日も、維新の党の落合委員が、なぜ委員が非常勤なのかということを問うたら、非常勤でしか勤務できない者も含めまして幅広い層の中からより適切な人材を任命することができる仕組みにするというふうに答弁しております。

 要するに、常勤だと来られるような待遇は与えられません、あるいは常勤の人に来てもらえるような大した仕事を与えるつもりはありませんというのか、どっちかわかりませんけれども、常勤では恐れ多いので非常勤でお願いします、そう解釈するわけですよ。

 並びで、八条委員会と同じような権限を持っている証券取引等監視委員会、こっちは監視に等は入っていません、ちゃんとした監視を行う委員会ですけれども、そちらは三人が常勤なんですね。

 これは、事務局がある中で委員が非常勤だったら、時々来るのか二日に一回なのかわかりませんけれども、やはり事務局主導になってしまいますよ。私は、やはり、少なくとも委員長、できれば数名の委員は常勤であるべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

山際副大臣 これは繰り返しになりますが、常勤なのか非常勤なのかということでそれがはかられることではないんだろうというふうに思っております。

 これは先般も御答弁申し上げましたとおりですけれども、また委員も御指摘いただいたように、これから新しい市場も含めてつくられていくわけですね。そうしますと、何ができてくるかというのはどんどん変化をする中で、そのときそのときに適時適切に合った人材というものを集めてこなくてはいけないという側面もございます。そこには、しかも高い専門性というものも必要になってくる。そうなったときに、常勤、常にいるという人たちだけで、それで人材を集め切れるかというような現実的な問題もあろうと思います。

 ですから、常勤なのか非常勤なのかということが問題なのではなくて、そういった高い専門性を持ってしっかり仕事をやってもらえるかどうかということが問題なのだと思います。

福島委員 私は、そこが問題だと思いますよ。

 専門性というのは、そこに一生骨を埋めるという人間が、場合によっては命をかけてでもやらなければ、新しい規制組織なんて絶対できません。

 よく言うのは、公務員になっちゃうと給料が下がるから、専門性がある人は来ませんとかという議論を必ず役所の人はするんですよ。一千五百万や六百万の給料じゃ来ませんというんだったら、工夫のしようがあるんですよ。

 薬の審査をやっているのにPMDAというのがあります、厚労省の医薬品医療機器総合機構。これは、まさにあえて独立行政法人にしたのは、そうした有能な専門性のある人材を常勤として持っておく、それぞれの職員も、国家公務員法の枠組みだと、数百万円の給料で大学院卒の人を、PhDを持っているような人を雇うような待遇はできないんですよ。だから、あえて独立行政法人に独立させて、いい待遇にして、しかも、機構定員の定員上の枠も取っ払ったようなこともやっているんですよ。

 そういう工夫をやった上で、今、常勤にできないと言っているんですか。どうですか。

山際副大臣 ですから、常勤か非常勤かということで私たちは何とかしようと話をしているのではなくて、何度も申し上げますけれども、これからいろいろなことが起きてくるということが予想される中で、その専門性というものも、本当にいろいろな専門性が求められる、そこに対する柔軟性を持たせるという意味において、幅広い人材を集めるのには非常勤の方が集めやすいということでございます。

福島委員 柔軟性とか幅広いと言いますけれども、委員は何人ですか、五人ですよね。それぞれに、例えば、技術的な専門性を持った人とか公正取引の専門性を持った人とか経済学の専門性を持った人とか、それはそんな幅広くないと思いますよ。

 私は、少なくとも行為規制を行う専門家の数人は常勤で置くのが当たり前だと思うし、さらに、国会同意人事でもないわけですよ。国会同意人事でもない人事というのは、もう既に、申しわけないけれども、私の古巣の経産省は信用されていないんですよ、規制機関として、何をやるにしても。申しわけないですけれども、どうせ原発優先でしょう、電力会社のためでしょうと思われているんです。そこでまた非常勤で国会同意もしないような人を与えた規制機関を持ってきて、従来にない権限を有する、最も強いと言ったってこれは誰も信じないと思いますよ。

 私は、この点、ぜひともしっかり検討していきたいんですよ。

 この委員会には、例えば、あっせんや調停という機能がありますが、そのあっせんや調停を行うのは「委員会の委員その他の職員」とされています。この「その他の職員」というのは事務局のことでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘の部分ですが、私ども、あっせん、仲裁をやる主体といたしましては、委員会の委員に限定せず、その他の職員の中からも指名することができることと定めさせていただいております。

 この点、同様のあっせん、仲裁等を行います電気通信紛争処理委員会という組織がございますけれども、この場合には、「その他の職員」として、委員以外にあっせん、仲裁を行う専門家といった方を政令によりまして特別委員に任命して業務を担っている、こんなようなケースがございます。

 私ども、電力・ガス取引監視等委員会を法案が通りまして設立させていただいた暁には、電気通信紛争処理委員会の例に倣いまして、委員以外に外部の専門家にあっせん、仲裁を行っていただくことを検討させていただいております。

 詳細につきましては今後検討していくことになりますけれども、いずれにいたしましても、専門的な知識と経験を有しまして、公正で中立な判断をしていただける方を任命していくことが必要だと考えております。

福島委員 事務局の経産省の職員は充てないんだということでありましょうけれども、もう一つ別の観点から、通告はしていないんですけれども、事務局の人たちを指揮監督する人は国家公務員法上誰になるでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 通常、委員長の命によりまして、事務局長がその局務を掌理する、こういう規定を設けさせていただいております。その委員長と、ふだんの事務局のスタッフにつきましては、したがって委員長の命を受けて仕事をやっていく、こういうことになります。(福島委員「人事辞令を発令するのも委員長ですか」と呼ぶ)いえ、それは、お答え申し上げます。人事を発令するのは、経済産業大臣の名前で発令がされます。

福島委員 ということは、やはり経済産業大臣の指揮監督に置かれるんです。

 委員長や委員は、確かに独立して法律上行われますよ。事務局長以下の事務局の人は、経済産業省の職員であり、経済産業大臣の任命に基づいて仕事を行うんですよ。それが八条委員会というものなんですよ。そこが三条委員会との明確な違いなんですね。

 ですから、私は、世の中から見たら、どんなに強い言葉で、従来にはない強い権限を有する、最も強いと言っても、そうは認められないんですよ。

 電力会社やガス会社には法的分離だといって人事上遮断しろと言っておきながら、自分たちの監督組織の人事は遮断しないというのは、さっきの帝石やSKの話と同じで、お手盛りと言われちゃいますよ。人事もノーリターンルールで遮断したらどうですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 この電力・ガス取引監視等委員会でございますが、もちろん、監視や規制の対象からの独立性に疑義が生じないようにすること、これは大事なことでございます。

 したがいまして、これはもともと第一弾の法律のプログラム法に決められた内容に従って私ども今回御提案をさせていただいておりますけれども、資源エネルギー庁には設置をしないということと、それから、先生も御指摘いただきましたけれども、「委員長及び委員は、独立してその職権を行う。」ということを法律に定めまして、個々の職務遂行について独立して判断を行うことを明確化しております。

 今、先生御指摘の、事務局の人事につきましてノーリターンの方がいいのではないか、こういう御指摘がありました。私ども資源エネルギー行政に通暁した職員がこの監視の業務に行って、そしてその業務をやった上で培った経験を持って、また改めてエネルギー行政をやる。逆に、監視の委員会をやった人が、その後にエネルギー行政をしっかりやっていく、そうした人事の交流というものがこのエネルギー政策を遂行していくわけで、私どもとしては有用だと思っておりまして、人事交流を抑えるという理由はないのではないかと思っております。

福島委員 だから、そういう答弁が非常に、幾ら強い権限とか独立と言っても、結局経産省の別働隊じゃないか、委員長、委員は独立しているかもしれないけれども、事務局長以下の職員は、経産省の人事に基づいて、その指揮監督になるんじゃないかとなっちゃうんです。

 何で私がこういうことを申し上げますかというと、私、原子力安全・保安院というのを最初につくる立ち上げに携わったんです。ジェー・シー・オーの事故が私の地元で起きて、原子炉規制がだめだというので、新しいまさに八条機関として原子力安全・保安院というのを一九九九年に設立する準備をした。その結果、十年たって三・一一が起きた原子力安全・保安院の様子というのはああなって、結果的に、三条委員会として環境省に原子力規制委員会をつくることになったんです。

 最初にどんな強い言葉で独立性だ何だと言っても、その組織のちゃんとした規制文化をつくらなければ、五年、十年たったら、単なる経産省職員の二年か三年の人事異動のローテーションの中の一つになるだけなんですよ。

 私は、そういうときに頼りになるのは、本来は公正取引委員会だと思っているんですよ。エネルギー政策の観点がどうだといろいろ言いますけれども、多くの皆さんは、例えば電力供給会社に接続の申し込みをしたけれども断られたとか、一回ある契約で電気を買うことを契約でやってみたけれども、途中で値上げされちゃって、何かやめさせてもらえないとか、さまざまなトラブルがこれから起きてくるわけですよ。

 ですから、新たな規制機関をつくるのも大事だし、それは透明性を保つべきだと思うんだけれども、私は、公正取引委員会がもっと前に出てきてしっかり役割分担を行って、エネルギー政策の観点から経産省がいろいろ勧告をやったりするのはいいですよ、でも、いい相談窓口として、あるいは強力な権限を持った機関として、公正取引委員会が役割を果たすべきだと考えますけれども、公取、いかがでしょうか。

杉本政府特別補佐人 公正取引委員会は、これまでも、電力市場を競争的に機能させるという観点から、各種の施策を推進しております。

 例えば、経済産業省と共同で、適正な電力取引についての指針を策定して公表し、それを改定していくということによりまして、新規参入妨害行為等の競争制限的行為の未然防止を図るといったことに努めてきております。したがいまして、電力市場を含む公益事業分野においても公正かつ自由な競争を担保する、確保するということから、独占禁止法違反事案に対しては厳正に処理を行っているところでございます。

 今後、今回の法律によりまして、電力市場の自由化が一層進展することになりますので、競争が機能する範囲がさらに広がっていくと考えております。そうした観点から、電力市場における電気事業者間の公正かつ自由な競争を確保するという公正取引委員会の仕事というのはますます重要になっていると考えてきておりますので、私どもとしては、さらにそうした公正取引委員会の仕事というものをしっかりとやっていく必要があると考えているところでございます。

福島委員 答弁ありがとうございます。生真面目な答弁で、ぜひ、奥の院に引っ込むのではなくて、新しい仕事がいっぱいできるということで、前向きに体制も整備して取り組んでいただきたいとともに、公正取引委員会というのは、担当の大臣とか副大臣、名目上はいるんですけれども、独立しちゃっているんですよ。こういう政策議論のときには、どうしても外れがちであります。この八条の監視等委員会なるものをつくるに当たっては、公取や、あとは消費者庁もあると思います。それと、新しい委員会の役割分担というのを、もう一度、特に政府の間で話をしながらしっかりしてほしいと思っているんです。

 私は、もう一度、あの原子力安全・保安院の二の舞のようなことをやっていただきたくないんですね。私の手元の、悪口を言うわけじゃないんですけれども、このきれいなポンチ絵とか、そういうのをつくるのは経済産業省はすごい上手なんです、その瞬間は。でも、五年、十年時間をかけて組織文化を醸成していくというのは、民主党もそうなのかもしれないですけれども、余り得意じゃないんですよ。そのため、だから、常勤かどうかというのにこだわったんですよ。

 新しい委員会なんです。ミスター電力ガス取引だというような人をやはり委員長に置いて、五年、十年、その人に委員長になってもらって、職員もトレーニングしてもらって、勧告なんかもつくって、そして、ちゃんとした委員会としての文化というものを最初のうちにつくらないと、この電力・ガス取引監視等委員会、どこに等があるかよくわからないんですけれども、その組織というのは、五年、十年たったら、保安院より惨めなものになってしまうと思いますよ。

 ですから、これは法律の事項ではないかもしれませんし、できれば人事も、専門家を別に採用したり、いろいろな工夫をしていただきたいんですよ。いつも、二、三年で回る、役人がローテーションで来るというのじゃなくて、組織文化を体現するようなプロフェッショナルを育てていただきたいし、公取などとも人事交流もやっていただきたいと思うんですね。そういう魂を込める仕事をやるのが、実はこの制度改革が成功するかどうかの私は一つの大きなキーファクターになってくると思いますので、ぜひその点お願いしたいと思いますけれども、最後に大臣、決意のほどをお願いいたします。

宮沢国務大臣 今いろいろ議論を伺っておりまして、まず、証券取引との比較でいいますと、証券取引というのは、国内だけでもとてつもない数の取引が実は行われている。一方、電力ガス取引というのは、それに比べれば極めて小さい契約、契約といいますか、取引。

 そういう中で、非常勤で済むものならば、非常勤の方が私はいいと思っておりますし、また、何週間に一遍来るとかいうんじゃなくて、一週間に毎日来るわけじゃないというような形、二日来るとか三日来るとか、そういう形の非常勤ということで、ほかの仕事等はあるけれどもやってくださるといういい方がいらっしゃると思いますので、そういう形でまず運用するのがいいんだろうというふうに思いました。

 そして、もちろん、御指摘のように、公正取引委員会や消費者庁とは、当然、政府のそれぞれの組織ですから、いろいろ協力はしていかなければいけませんが、ただ、残念ながら、公正取引委員会は三条委員会でありますから、その辺、人事交流等はできるにしても、限度がある中でやっていきたいと思っております。

福島委員 終わります。ありがとうございます。

江田委員長 次に、木下智彦君。

木下委員 維新の党の木下智彦です。本日もお時間をいただきまして、ありがとうございます。

 まず最初に、以前からずっと質疑させていただいているところのお話をさせていただきたいなと。

 先日、福島第一原発のK排水路、ポンプがとまったというようなお話があったんですけれども、その辺の事実をちょっと一度整理して、まず、どういう状況だったかということについてお話をいただけますでしょうか。

高木副大臣 まず、K排水路に関しまして、港湾内につながっているC排水路へ移送する、水を移しかえるということで、ポンプを設置いたしました。四月十七日より運転をスタートいたしましたが、四月二十一日の八時四十五分ごろ、東京電力の巡視点検により、ポンプが停止していることが発覚をいたしまして、同日二十時九分に運転を再開した、このように伺っております。

木下委員 ありがとうございます。

 高木副大臣は、もう本当に誠心誠意尽くされて、福島の復興それから廃炉関連、一生懸命やられているので、こういうお話を聞くのも、ちょっと本当に申しわけないんですけれども。

 これは予算委員会でも、まず我が党の方から取り上げさせていただき、先日も私の方から少しお話をさせていただいたんですけれども、やはりどうしても、K排水路のものが外洋に出ていくというのは認識が少し甘かったんじゃないかなということを私たちは言わせていただいた。それによって、それによってというのか、そもそもそういうふうな考えを政府の方でも持っていらっしゃったんだと思うんですけれども、ポンプで移して港湾内の方に入れていこうというふうなことをされようとしていた。

 ただ、聞いていると、電源が落ちてしまった、電源が落ちたら、八つあったポンプが全部とまってしまったと。何か聞いていて、えっと言わざるを得ないのかなと。八つポンプがあって、複合的に、例えば電源を二重にするとかというふうな、そこまでのことをするようなものではないと思っていたのかどうかということだと思うんですね。それほど大したことではないから、そんな二重にしなくて、もしも壊れても、外洋に流れたところで大丈夫なんだというような認識があったんじゃないかなと。これはもう素人考えで本当に申しわけないんですけれども、ちょっとそういうふうに思えてならない。

 どうしても、国会審議の中でもこういうふうな話があるにもかかわらず、そういうところが、積極的に行っているかどうかという部分、軽視されているんじゃないかということ、それから、政府が、やはりそこの部分を、指導監督を本格的にやれていたのかどうかというところが一番大きな問題になってくると思うんですね。その点について、もう一度ちょっとお話しいただけますか。

高木副大臣 今委員御指摘のように、二月にこのK排水路問題が発覚をいたしまして、私の方から東京電力の方に、K排水路だけではなくて、第一原発の敷地または敷地外も含めてあらゆるリスクの総点検をしなさいということで、今現在鋭意やっております。今月に行われました現地調整会議という場でも、その途中経過は報告いただきまして、間もなくリスクの総点検を終えて、ここにこういうリスクがあります、ここにこういうリスクがありますということを明確にした上で、対処方針も明確に打ち出したいと思っております。

 そうした中で、今回のK排水路は、今御指摘がありましたように、昨年発覚をしたときに、一々、雨が降った後だとか、放射線の濃度が高くなっている、こういったことで、清掃をしていた中でなかなかそれが低減しないということで、その途中経過を発表しなかったということで大変な問題になりました。

 ですから、ここについては、幾ら低いとはいえ、港湾外に流れるということが、被災者やまたは周辺の住民の方々、さらには県民、国民に対してのやはり不信感を高めるということもありますので、これはしっかりと対応しなさいということで、最終的には、今年度末までにはそのつけかえを行う工事をこれからやり始めます。ただ、それまでの暫定措置として、ポンプでくみ上げてC排水路にやるということでスタートさせました。

 ところが、今御指摘がありましたように、八つポンプがある中で、一つの発電機でこれを動かしていたところ、この発電機がとまっていたということでポンプ自体が動かなくなったということが、定期点検の中で、一日三回巡視点検を行っていますが、そこで発覚をいたしました。

 やはりそこのところについてはしっかりと今後も指導していかなければいけないということで、すぐさま、バックアップの電源のことも考えなさい、こういうように指示をさせていただきました。

 その結果、現在、二つ電源を置いて稼働していますけれども、四月の末、間もなくですけれども、系統電源、いわゆるもともとある電源、普通の電源をつなぎますので、それで動かすようにします。ただし、それがもし停電した場合に、今ある発電機がバックアップ電源となるような体制をとっておりますし、先ほどから御指摘いただいた、軽く見ていたんではないか、こういったところも含めまして、しっかりと東京電力を指導してまいりたいと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 高木副大臣から御答弁をいただくたびに、本当にしっかりと見られているんだなと思うんですね。ただ、今までの状況がやはりそうじゃなかったのかなと思うので、ぜひともそういう観点でこれから先もやっていただきたいなと。もう既に御認識なされているとおり、やはり国民の不安ということをちゃんと抑えていけるような、そういう対策をとっていただきたいなと思っています。

 ここはもう御答弁はいただかないつもりだったんですけれども、やはり、こういうお話があると言われるのが何かというと、実際に福島第一原発の状況をコントロールしているのかどうか、コントロールしていると言えないんじゃないのというふうに言われることが多いので、そこも含めて、今の話を聞いていて総合的に判断すれば、全てがコントロールが、そのときそのときで切ったらできているわけではないとは思うんですけれども、しようとされているということはよくわかるなと思いました。

 それから、これももうこちらからの御意見だけにさせていただきますけれども、本会議場で四月十六日に共産党の藤野委員が原発輸出に関する質問をして、その際に総理が、福島第一原発の事故の教訓を生かして世界の原子力安全の向上に貢献する観点から、原発輸出というのは重要だというふうに言われているんですけれども、まだまだそういうふうなことがはっきり言えるような状況にはないんじゃないかなというのを、議場で私聞いていて思いました。

 だから、やはりそういうことを、全部を否定するというわけではなくて、やはり今言われたようなことを細々きっちりとやっていくことができないと、総理の言われていることに真実味が生まれてこないと私は思っておりますので、ぜひとも、そういうところも含めて、よろしくお願いいたします。

 では、次のお話をさせていただきます。次は、ベースロード電源としての原発ということについてお話を聞かせていただきたいんです。

 これは、同じく本会議場で民主党の田嶋委員の方から、原発が今後も重要なベースロード電源ならば、なぜ政府がその原発を最大限減らすことを目指すのかと。きょう午前中もそういうふうなお話をされていました。田嶋委員は、ゼロにする意思はどうかだとかいろいろ言われていました。

 私は、それとはちょっと観点を別に、総理はまず、原発は運転コストが低廉で変動も少なく、運転時の温室効果ガスの排出がゼロであることから、安全性の確保を大前提に、重要なベースロード電源と位置づけています、こういうことを言われております。そこで思ったんですけれども、常々これも言われていることなんですけれども、運転コスト、これは本当に低廉と言えるのかということなんですね。

 やはり、その運転コストの中に、廃棄物の処理の関係費用、これは直接的なもの以外のもの、間接的なものも含めて、それから立地に対する助成金であるとか、あとは再稼働するに当たっての、本当に世界最高水準の安全性を確保するための設備費用であるとか、もっとよく言われるのは、今もこういう感情が国民の中に渦巻いている中で、それの不安を解消するための措置、これがどこまではじけるかというと、相当私は難しいと思っているんです。

 事故前であれば、東京電力さんであるとか、ほかの関西電力もそうですけれども、原発は安全でクリーンなエネルギーだというような広報をすごくやられていて、私などももう今四十五、今度四十六になりますけれども、子供のときは、本当に、日本の政府の言うことだから、それはもう信じても大丈夫だというふうに思っておりました。

 ただ、そうではなかったというのが事実なので、それを考えると、どこまで本当にお金がかかるのか、この運転コストと言っている運転コストは実際は何なんですかということだと思うんです。もしも、それが計算された上での答えだったとしたら、一体幾らかかって、低廉だと言えるのかというところが、私、ここがそもそも国民が一番えっと思っているところなんじゃないかなというのが一つ。

 それから、反対している人は反対している人で、そう思うでしょう。逆に、推進する側の人たち、例えば経済界の人たちもそういうふうなことを言われます。大臣も午前中の質疑の中で、中小企業からもそういうふうな声が出ているというふうにやはり言われていました。

 私は、そういうところを否定するわけではなくて、確かにそういうこともあるだろうと思うんですけれども、では、今、そういった運転コストと言われている、私が言ったものを全部含めて出したときに、電気料金だけではかれないもの、例えば税金であるとか、そういうものも投じられると思うんですね。そういう部分を含めたときに、例えば、経済的に、電気料金だけを切ってやるものではなくて、それ以外のところでお金がどんどん出されてしまうということもあり得るんだというふうに思っているんですけれども、そういうのも含めて、さて、どっちが正しいのかと。

 ちゃんとした情報がない中で、そういうふうな意見の言い合いになっているように思うので、その辺を、総理の御答弁を聞いていて、まだまだ、もう少しちゃんと言ってほしいなと思ったんですけれども、その辺についてちょっと大臣から。

高木副大臣 今、原発のコストについての御指摘もございました。委員御指摘のありました、例えば放射性廃棄物の処分の問題、また設備費用等の問題、事故が起きたときのさまざまな対応費用の問題、こういうのもございまして、それらも含めまして、今回、今私たちが主張している原発のコストというのは出ております。

 福島事故の後、二〇一一年十二月に、各電源の発電コストについて試算を行いまして、原発の場合はキロワットアワー八・九円。この前回の試算において、今申し上げました、例えば事故対応費用ということを七・九兆円と想定しておりまして、出力規模によりまして五・八兆円に補正もしております。または、核燃料サイクル費用として、使用済み燃料の半分を二十年貯蔵後に再処理し、残りの半分を五十年貯蔵後に再処理するモデルということで、こういうことも計算しておりますし、さらに、追加の安全対策等もございます。防潮壁、防潮堤の設置、外部電源の確保、炉心損傷防止などのシビアアクシデント対応等、これらも含めまして、キロワットアワー当たり八・九円、こういう形をとっております。

 これらのデータについてはもう既に公開もされているんですけれども、やはり委員御指摘のように、そういった事実を知らないで、知らない同士が議論しても全く生産的ではないというふうに思いますので、ここら辺の広報の仕方については考えなければいけないと思います。

 そういった中で、現在は、エネルギーミックスの検討を行っておりますので、各電源ごとの発電コストについて、さらに、発電コスト検証ワーキンググループ、審議会等で議論が行われている。

 ただ、それ以外の、精神的なものですとか、さまざまな不安をどう解消するかだとか、これは原子力発電のコストということではなくて、やはりエネルギーの問題として政府全体として捉えて対応していかなければいけない、こういった問題というふうに認識をしております。

宮沢国務大臣 二〇一一年十二月に、民主党政権時代に計算されたものにつきましては、まさに高木副大臣の申し上げたとおりであります。

 現在、恐らくそんなに遠くないときに、今計算をしておりますので、これをお見せすることになろうかと思いますけれども、これも原子力だけではなくて、例えば石炭火力、LNG、石油、再生可能エネルギー、風力、また太陽光等々につきまして、民主党政権時代にいろいろな条件をつけていろいろ計算をされたわけですけれども、基本的にはそういう流れの中で、もちろん状況が変わってきたのでいろいろ違う部分が出てくるかと思いますけれども、今計算をしている、こういうことでございます。

木下委員 ありがとうございます。もうお二人から御答弁をいただいたので。

 ある程度はきちっとできていると思うんですね。ただ、その後半の部分、やはりどうしてもあれなのが、国民の不安という部分を払拭するというのが、私は、はかり知れない時間と労力、それからお金も、まだまだ見えない部分が出てくるんじゃないかなという思いがあるので、ここであえてちょっと聞かせていただきました。

 当然のことながら、廃棄物の話も、五十年後の云々というような話はありますけれども、最終処分場もまだ決まっているわけではないわけで、そういったことも含めてどうなのかというのは、まだまだもう少し、そこも含めてはっきりしていって総理の言うことに真実味が私は生まれてくるんだろうなと思ってちょっと聞いてみました。

 そこで、もう一度田嶋委員が言われていたところで、もう少し私この部分を聞かせていただきたいんですけれども、ベースロード電源とは、電源の特性に着目したものであり、依存度を低減させても何ら変わるものではないことから、両者は矛盾しないというような御答弁があったんですけれども、ただ、電源の特性とともに、現在、今言ったような原発が置かれている状況を踏まえてベースロード電源と位置づけるかどうかというのは決めるべきだと思っていて、そういう意味でいうと、両者は矛盾しないという論拠が、もう少し細かく私は説明していただきたいなと思っているんですけれども、その辺は。

宮沢国務大臣 ベースロード電源というのは、エネルギー基本計画で決めておりますけれども、定性的なものでありまして、石炭ですとか原子力ですとか水力ですとか地熱というものをベースロードと位置づけておりまして、それは、低廉で安定的に供給できる電源ということで位置づけをしております。そうした意味で、量ではないものですから、可能な限り低減するということとは矛盾しない、こういうことであります。

木下委員 ありがとうございます。

 そこが恐らく、私、これもまたちょっとあえて聞かせていただいたんですけれども、それをはっきり言わなきゃだめなんだと思うんですよ。結局、ここだけが切り取られてメディアで流されます。いろいろなところで質問もされるという状態が続いているので、これをはっきりとちゃんと言わないと、もう勝手に強引に決めていくというふうなことに聞こえてしまうんだと思うんですよね。やはり、ちゃんと分析していますよということを、今みたいな形でもう少し丁寧に説明をこれからもしていただきたいなと思います。

 では、次にお話をさせていただきます。これも、我が党の鈴木委員であるとか先ほどの田嶋委員も同じように質問をしていたんですけれども、省エネ対策についてお話をさせていただきます。

 これは田嶋委員の方から本会議場で言っていた話なんですけれども、数値目標つきの節電の取り組みというものの再開はどうですかという質問がありました。総理が、またこれは何かちょっと揚げ足をとるようなことばかり言って申しわけないんですけれども、数値目標つきの節電要請は、あくまで電力需要が増大する夏、冬の電力需要を安定化することを目的に行われたもので、この目的に照らして、不必要なのに電力需要家に負担を与えるのは適切でないという御答弁があったんですよ。

 しかし、こういった目的だけでいいのかどうかということだと思うんですね、まず最初に。こういった目的だけで節電云々という話が言われているわけでは私はないと思っています。これは世界じゅうで大きな問題である、夏冬のどうこうとかそれだけの問題では全体的に見たら違う、環境の問題もそうだろうということを考えたときに、やはり不必要ではまずないんじゃないかなと。言われた側面では不必要なのかもしれません。それを考えたときに、やはり数値目標というのはある程度必要なんじゃないかな、今後も含めてやるべきなんじゃないかなと。

 たまたま、前の震災があった後、私は普通の一般企業におりました。一般企業にいたときに、やはり結構みんな努力するんですね。一生懸命努力します。それによって経済活動に支障があったかというと、私の見ている限りでは、数値で出ているところではあるのかもしれませんが、例えば製造業とかそういうものではそうかもしれませんが、普通の一般的な生活をしている部分、もしくは普通にオフィスワークをしていたりとかする人たちの心構えとしては、そういう数値目標があってそれなりの努力をすることというのは非常に大きな効果を生むのではないかなと思っているんですね。だから、ちょっとこういうお話をさせていただいております。

 やはり、さっきの話じゃないですけれども、気持ちだとか意思だとかいろいろ言っていましたけれども、それは、変に経済的なブレーキをかけるようなことではなくて、みんながそういうふうなことをやっていくんだというような、そういう意味合いでの数値目標であってもいいと思うんですけれども、そういうことは今後御検討されないのかどうか、お伺いします。

関大臣政務官 省エネ、本当にこれは大事な項目であります。電気を消費する企業にしましても、家庭にしましても、みずからの使用する電気代を抑えて、企業であればコストが抑制されるし、家庭であれば電気代が下がって家計がよくなるということで、みずから努力するところも皆さんされていると思います。

 加えて、我々がちょっと心配するのは、節電のところについては、ちょうど夏とか冬、非常に逼迫しますので、各電力会社が、インターネットとかを見ますと、ホームページや何かで、ことしの需給状況はどれぐらいで、今これぐらい逼迫していますというのが常時流れています。日本人というのは本当に真面目なんでしょうね、私が地域の地域福祉センターをいろいろ巡回しましても、老人会の会長が、きょうはこれだけ逼迫していますから、皆さん、家庭の冷房を消しましょうとまで老人会でも夏に言っていました。

 そういうふうなところを、電気事業者がこういうふうにインターネットで流したりテレビでいろいろ節電を呼びかけたりするのは非常にいいんですが、政府がそれをやってしまいますと、その老人会の中でも後で問題になったのが、冷房を消したら熱中症になった人が出てきました。やはりこういうふうなところが、政府が言えばみんな非常に義務的に受けとめる真面目な日本人の国民性がございまして、そういうふうに個人の家庭で支障が出てきたりするところもいろいろ勘案しながら、やはり夏と冬、できるだけ個人としての努力をしていただければ。

 また、企業の活動についても、みずからの企業経営として、利益をできるだけたくさん出そうということで努力はもう既にしてくださっていますけれども、それ以上に余り政府が言いますと、営業活動自身、企業経営自身を余り抑制し過ぎるのもこれまた景気に向けては反対方向になったりしますので、ちょっとそこのところにつきましては最小限という形で考えさせていただいているところでございます。

宮沢国務大臣 恐らく、節電という言葉と電力消費を少なくすることも含めた省エネという言葉が実はちょっと違っております。

 節電というのは、震災の後もありましたし、また夏季の需給が大変厳しいというときにお願いしたこともありますけれども、やはり、一定の期間を見て需要と供給を予想して、大変厳しい状況というときに家庭なり産業なりに節電をお願いして何とかピークを乗り越える、こういうことでありまして、例えばことしの夏であれば、先日も需給の見通しについて私も聞きましたけれども、何とか節電要請をしなくても乗り越えられる、こういうような状況であります。

 一方、省エネということは、やはりまさに政策として徹底的に推し進めていかなければいけないわけでありますし、例えばエネルギーミックスということの議論においても、当然のことながら、自然体でいって二〇三〇年にこの程度のエネルギーが必要であろう、自然体であれば。しかし、省エネをした結果、この程度、最大限積み上げていくと引き下げられるのではないか、こういうようなことは当然やっていかなきゃいけなくて、それ自体が、ある意味では積み上げではありますけれども、社会として、また政策としての目標になってくる、こういうことだろうというふうに思います。

木下委員 ありがとうございます。

 節電と省エネというふうに言われましたが、いずれにせよ、エネルギーの省力化、なるべく使わないようにして、それで経済的な影響もないようにしながらという工夫は必要だし、それによって新たな産業も生まれるということだと思いますので、そこは、今後どういった形でどうやって低減していくかというのはあるんですけれども、引き続きちょっと検討していただきたいなと思います。

 では、次にお話しさせていただきます。次は、これもまた田嶋委員が言われておった話で、実は私がこの委員会でずっと前から言っていることなんですけれども、国際連系線についてお話をちょっと聞かせていただきたいんです。

 国際連系線についてどうですかという話を田嶋委員がされたときに、総理から、一般論としては国際関係における他国との信頼関係の醸成に一定の寄与はする、他方、電力供給の一部を海外に依存する場合は外交政策の課題、相手国の政策変更による供給途絶、相手国の緊急時における電力確保や大規模停電の影響が伝播するおそれがあるといった安定供給上の課題がある、したがって多面的かつ十分な検討が必要であるとの認識には変わりはないというふうに言われていたんですけれども、これも、私、ちょっと聞いていて、えっと思ったんですね。

 なぜかというと、国際連系線は何のために必要なのかと。これはいろいろな目的があると思います。エネルギー源を海外に依存しているという部分で、電気をそのまま輸入するという考え方があると思うんですけれども、連系することの一番大きな目的は何かというと、これは安定供給だと私は思っているんですね。今後、特に再生可能エネルギーであるとかというのが出てきたときに、もっと再生可能エネルギーのシェアが高くなっていけばいくだけ、国際連系線があるとないとで相当安定性に違いが私はあると思っていたので、安定供給上の課題というのを聞いていて、えっ、これはちょっと考え方が違うんじゃないかなというふうに思った次第なんです。

 それから、時間がどんどん過ぎていくのでまとめて聞かせていただきますけれども、それはそうとして、この御答弁の中で思ったんですけれども、では、果たして、今の状況の中で具体的に導入、着手の方向で検討をしているのかどうかということなんです。まだいろいろな課題があるからその辺の課題整理をやっているだけで、具体的な導入、着手というところの検討には至っていないのか、それとも、もう既にそういうことができているのかというこの二つについてお話をいただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 現在、国際連系線につきましては、民間の事業者間で事業性の検討、フィージビリティーの検討が行われている段階と承知しております。実際、役所としても関係者から話を伺ったことがございます。送電網の敷設コストを勘案してもなお事業性を有するかどうかといったことにつきまして、引き続き、民間事業者間でさらなる検討が必要な状況だと認識をしております。

 一方で、総理が本会議で答弁されたわけでありますけれども、もちろんコストに見合うというようなことがクリアされてという条件の上にでありますけれども、例えば、電気ではありませんけれども、天然ガスをめぐるロシア、ウクライナ、ヨーロッパといったようなことを見ておりますと、やはり出す側の政策変更によって、かなり受け取る側は経済状況等々大変厳しいことになる。そういう状況というものがガスについては既に起きているということも、電気についても考えなければいけません。

 また、日本は、先ほど篠原委員からお話がありましたけれども停電が大変少ない、安定的な電力供給をしておりますけれども、そういう国ばかりではありません。送電網、また発電所等々で大きな事故とかあって長期間使えないというようなことになったときには、これを頼りに我が国において電力行政を進めるというわけにはなかなかいかない、そういう問題点はやはりしっかり考えていかなければいけないと思っております。

木下委員 ありがとうございます。

 何とかその辺を乗り越えながら、そういうオプションも考えなきゃいけないと思いますので、よろしくお願いします。

 次に、ようやくちょっと本題に入っていくのかなと思うんですけれども、小売の料金規制の解除について、これも端的にお話をいただければと思うんです。

 規制解除については、新規の参入の状況であるとか既存の電力会社間の競争の状況、それから自由料金メニューを選択する消費者の割合などを踏まえて競争の進展状況を慎重に見きわめるというふうな話があるんですけれども、見きわめるといいながら、実際にどういうふうな判断をしていくのかというのがやはり見えないんですよ。

 そういう意味では、やはり基本的な基準であるとか指針、それからそれを明確な数値化をするなどしてガイドラインというような形で出せないのかなと。これも以前からずっとしている話なんですけれども、その辺はいかがなのかというところをお伺いします。

関大臣政務官 不透明性があるのではないかという御指摘のところなんですが、ここは意外とやはり難しいところでございまして、規制の解除に当たりまして、検討しないといけない項目というのが多岐にわたります。新規参入の状況、既存の電力会社間の競争状況、自由料金メニューを選択する消費者の比率とか、他のエネルギー会社との競合状況、そういうふうな競争がどこまで進んだかというふうな状況を見きわめていかないといけないと思います。

 また、小売全面自由化後の電気料金の推移とか需要家の小売全面自由化に対する認知度、スマートメーターの普及状況、卸電力取引所の活用状況とか、それぞれの項目がそれぞれいろいろ進んでいくと思うんですが、この項目は八割進んだ、この項目は一二〇%進んだ、みんなそれぞれ進め方もやはりいろいろまちまちだと思いますので、そこは総合的な判断が必要かと思いますので、ちょっと指標化というのが非常に難しい項目だろうと思っております。

木下委員 わかるんですよ、それもわかるんですけれども、その難しいんだというのがわかるからこそ、この法案が私は難しいと思っていて、どう判断したものかなと。本当に競争はどういう状態で生まれて、どういうふうになるのか。その枠組みだけ見ていると、確かにその方向性は正しいんだなというのはすごくよくわかる。

 ただ、今言われたようなことが判断の基準になるんだと言いながら、これをずっとウオッチしていくことはできないわけで、そういうところが、先ほど来問題になっている、三条にするのか八条にするのか、委員会をどうするのかというふうな話につながってくるんだと思うんですけれども、やはりもう少しその辺について想像できるような状態にしてほしいなと。これは第三弾まで来ましたけれども、一弾目、二弾目、三弾目、聞いていても余りそこの部分が明確にやはりなっていないなというのが正直な感想なんですね。そうはいいながら、どんどん先へ進ませていただきます。

 もう一つ、託送料金は、最初は言うと言っていましたが、やめます。

 電力債についてお話をさせていただきたいと思うんですけれども、今回の法案で、電力債、一般担保つきの社債の発行の経過措置の理由として、安定供給に必要な資金調達に支障が生じないようにするということ、それからもう一つ、こっちが大きいと私は思っているんですけれども、社債市場の混乱回避を目的として講じるというふうにしてある。

 でも、片や、なぜ原則廃止とするのかという理由の中では、いわゆるイコールフッティングの確保、それから、引き続き安定供給責任を担う送配電事業については、地域独占と総括原価方式などによる料金規制により投資回収が保証されるというふうになっている。

 そうなると、これを二つ並べてみると、そうであるんだったら、何も安定供給という目的での資金調達を経過措置の理由とする必要はないんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

 もう一つは、二重の保護策をとってまで既存事業者の保護をしているように見られてもしようがないんじゃないかなと思ってしまうんですね、この書きようでは。

 特に、発電会社には、五年後の起債終了ではなくて、イコールフッティングの観点から考えたら、この理由であるのなら、発電のことに関しては、今すぐにでも送配電会社とは切り離して、今すぐにでも起債をやめさせてしまってもいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどうなんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般担保つき社債、電力債の取り扱いでございますが、これは私ども審議会の中でもかなり議論がございました。先生御指摘のイコールフッティングという議論と、それから現下の環境の中での安定的な資金調達ができるかどうか、そこに支障がないかという点で、どちらがどういうふうにするのがいいのかということで議論があったわけであります。

 イコールフッティングの議論からすれば、先生御指摘のように、今直ちに一般担保つき社債をやめたらいいじゃないか、こういう議論がございます。他方で、安定的な資金調達、私どもも安定供給の確保というところは今回の改革でも非常に大事なところだと思っていまして、改革のための改革ではなく、安定供給をしっかり実現していく、こういうバランスをとらなければいけない。

 こういった中で、私どもも金融関係者の意見もかなり慎重に聞かせていただきました。そうした中で、やはりこの点につきましては、先生も今引用していただきましたが、社債市場の混乱の回避という点ももちろん大事でありますけれども、今回、法的分離という形をとらせていただきます。グループ経営が可能な状況でございます。そうした中で、やはり仮に送配電部門、これは総括原価主義を残しますけれども、グループ全体として見た場合に、どこかについて即座に一般担保を廃止するといったことになれば資金調達に不安を生ずる懸念がある、こういった御意見がありました。

 金融関係者からのコメントをちょっと引用させていただきます。これは社債市場に影響を与えますので、私どもがということではございませんで、金融関係者がどういうふうにおっしゃっていたかということでございますけれども、「現時点におきましては、一般電気事業者の皆様の状況ですけれども、こちらの資料にもありますとおり、」ちょっと資料はございませんけれども、「原子力発電所の停止によって収支、資金調達環境については悪化しておりまして、新規制基準に基づく審査は進んでおりますけれども、経営環境は非常に厳しいというふうに見ておりますので、この改革の内容次第で資金調達に支障を来して大事な電力の安定供給に悪影響を及ぼすという懸念もあるかと考えております。」こういう意見が出ました。これは、金融関係者からでございます。

 他方で、ではイコールフッティングを求めていた新規参入者の方がこの点についてどう考えたか、これは重要な点だと思います。

 新規参入者の方は、この審議会の中ででございます、「一般担保についてですが、新規参入者から見ると、これもある種、非対称な一般電気事業者の優遇策であると思っております。できる限り早い時期に廃止されることを望みますが、ご意見がありましたようにいろいろなご懸念もあるということを踏まえますと、事務局ご提案の」、私どもの「既発・新発いずれについてもご提案の方策で妥当なのかなと考えております。 ただし、このような優遇措置があることも踏まえた上で、電力市場全体が公平な競争環境となるように総合的な制度設計をしていただくことを、エネ庁さんにはお願いしたい」、こういったことでございました。

 こういったさまざまな御意見がある中で私どもの御提案につながっている、このようにお答えさせていただきます。

木下委員 ありがとうございます。

 今の前半部分の金融関係者の人が電力の安定供給のことを考えられているというのは、へえっと思ってしまったんですけれどもね。金融業界の人というのはやはりどうしても自分たちの資金を変に、例えば債権を切られてしまうというようなことばかり考えているのかなと思っていたんですけれども、割と、まともと言っては悪いですけれども、金融関係者の人が言う意見というのでは、ちょっと、ふうんと思って聞いておりました。

 それはそれであれなんですけれども、わかります。今のお話、よくわかるんですけれども、でも、そうはいいながら、そういう意味でいうと、今回のこと、一般担保制度の廃止というふうな意味合いだけで聞くとすごくセンセーショナルな、そういうふうには聞こえるんだけれども、起債ができなくなるまで実質これから先十年、ですから二〇二五年になる。最後の償還期間のことを考えると、二〇三五年ということなんですよね。

 それを考えて、今の話を総合的に聞いていても、この場でそのまま五年でやめて、それで最後十年というふうな話だったんですけれども、例えば特に発電会社に対してはもう少し柔軟な方法をとれないのかなと。ばしっと決めてしまうだけではなくて、例えば資金調達状況であるとか、その他、それこそ競争状況であるとか、そういうことを確認しながら段階的に起債のできる額の枠を決めていくとか、段階的に減らしていくであるとか、そういった感じのこともやはり考えていいんじゃないかなと思うんですね。

 送配電事業者は、それなりに、安定供給に対しては特に重要だからという意味では、ある程度はわかります。ただ、発電事業者に関してはそういうオプションも検討されなかったのかどうかといったところを聞きたいんですけれども、時間がないのでやめます。そういうふうなことをちょっと考えております。

 それからもう一つは、一般担保を起債できるのが、例えば分離後の送配電事業者と発電事業者だけじゃなくて、持ち株会社もそういうふうになるというふうなことなんですね。

 持ち株会社がそうなるというふうになったときに、持ち株会社が実際に安定供給のために使う、例えば発電も含めてですが、発電もしくは送配電の事業に対しての資金調達だけに使うというふうなことが策としてしっかり講じられるかどうか。例えば、そうじゃなくて、グループ会社の中に小売も持っているわけじゃないですか。そうしたときに、小売事業者に対しての投資に使われないというふうな保証があるのかどうか。

 これは、表だけの保証じゃなくて、やはり丼勘定があると思うんですね。結局、普通でも資金調達してきます。資金調達がショートしていったら、いや、もう全部、発電事業それから送配電事業については一般担保で賄ってしまうんですよというふうに言いながら、それ以外の部分を全部そこで体力を温存しておいて、小売事業の方にいっぱい投資をするとか、そういうおそれもあると思っているんですけれども、その歯どめはきかすことができるんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般担保つき社債、この経過措置の期間中でございますけれども、法律の附則の方に書かせていただいておりますけれども、事業者の方から経済産業大臣に対して認定の申請ということを手続として組み込んでおります。したがいまして、要するに、どなたでも何も手続なく一般担保つき社債を経過措置期間に発行していただけるというわけではございません。

 その中で、一定の手続を踏む中で、先生御指摘のような点、これは詳細はしっかり今後検討していかなければいけないと思いますけれども、手続を踏むということで一定の歯どめになろうかと思っております。

木下委員 名目上はそういうことだと思うんですね。でも実際には、同じ勘定の中でお金が動くわけですから、そのグループ会社というのか持ち株会社の体力を温存させることに、間接的にであろうが、一般担保つき社債の起債をすることによって影響を与えることになるわけです。となると、そこで体力を温存して、小売事業者に対して新たな投資を行うということはあり得るということだ、私はそう思うんですね。

 やはりそこは、いろいろな意味で、認可をするなりなんなりと言っていますけれども、総合的にそれが判断できるのかどうかというのは、僕はこれは幾ら何をやっても怪しいと思うんです。だから所有権分離をしろというふうな話じゃないかもしれませんけれども、そこをどうやってウオッチしていくのかというところ、これは非常に大きな課題だと思いますので、何らかの策を講じてください。それが一点。

 それから、同じような話なんですけれども、法的分離についてというところで、これも同じようなことをちょっと懸念しているんです。既存の電力会社を分離した発電事業者が、自分たちと分離した小売会社とは別に、新規もしくは他の既存の会社から分離した小売事業者を買収したりするようなことはできますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどのまず一点目の方で、一定の歯どめと申し上げましたけれども、先ほど来議論となっております電力・ガス取引監視等委員会、この役割も実は非常に重要かと思っております。資金の流れ等々について、これは難しいところはあるかと思いますけれども、厳格な監視という観点をこの中でも実行していきたいなということで考えております。

 それから、今御質問のございました合併の件でございます。

 御指摘の、発電事業者同士あるいは小売電気事業者同士の合併につきましては、電気事業法上、合併後の存続会社であります発電事業者あるいは小売電気事業者による経済産業大臣への届け出が必要ではございますけれども、いずれの場合も合併は可能でございます。

木下委員 そうですよね。合併が可能だということ、これはまたちょっと私は懸念するべきことなんじゃないかなと思っているんです。

 当然、普通は、普通の事業をしているわけですから、合併しても別におかしくはないとは思うんですけれども、それが、例えば、東電が分離しました、発電事業をやっている会社が関西電力の小売事業を買いました、その事業をやりました、そうやってやると、分離した意味がほとんどなくなっていっちゃうんじゃないかなということも考えられると私は思っているんです。

 ましてや、今、何か本当に、関西電力さんが、こっちの首都圏側で小売事業もやり出すというふうに言っています。小売事業をある程度やって、うまいぐあいにいったら、もしかすると、東電の小売事業を買う、もしくは小売事業に売るということだってあり得ると思うんですね。そのときにアライアンスをうまく組むというふうなこと、これ自体は避けられるものではないと思っていて、そういうことをされてしまうと、適正な競争環境をつくることが阻害されてしまう可能性は僕はあるんじゃないかなと思っているんです。

 こういうことになることは、逆に言うと、普通の民間会社ですから、民間会社を所有権分離させること自体はすごく難しいというふうに言っていたんですけれども、逆に、そうしなかったことによる弊害というのがこういうところで出てくる可能性はなきにしもあらずなんじゃないかなと思っているんですね。それが一つ。

 それから、もう一度戻ってみて考えると、そういう会社はどうなのかというと、二〇三五年に償還が終わるまで一般担保つき社債によって、まあ、言えば資金調達面で優遇されているという状態なんですよ。その状態の中でそういうことが起こってしまったらどうするんですか。これは明確にお答えできますか。どういうふうなことになるんでしょうね、そんなことになると。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 直接のお答えになりませんけれども、私どもは、競争状況が、適正な競争環境がなければ、いずれにしましても、経過措置の料金規制は残る形にいたします。

 したがいまして、先ほどから先生が御指摘いただいています小売電気事業者の合併といったものが仮に起こった場合に、それでもし寡占状態が続くといったことであれば、それは、私どもとして、競争が生じていないということで、恐らくはその段階で経過措置料金を外すということはなく、そして需要家の利益が失われるといったようなことはないと思っています。

 ただ他方で、仮に合併云々について、私どもとして何か考えを申し上げるわけではございませんけれども、一般論として、何かのアライアンスが進んで、そして、これまでの地域独占が認められておりました地域を超えて事業者が組み合って、そして競争が進むという方向に進めば、それは望ましい方向に進む場合もあろうかと思っております。

 お答えにはならないかもしれませんが。

木下委員 そうなんです。だからこそ私は一番最初にちょっと言わせていただいたんですけれども、重要なこととして、どうやったら自由化されたというふうに判断するかと聞いたのは、そういうことなんですよね。

 どういう状態かというのは、ガイドラインをつくれないと思うんですよ。ただ、そのかわり、本当に適正かどうかということをどうやって判断するのかというのがやはり見えない。考えれば考えるだけ、ああ、こんなことも起こるんじゃないか、こんなことも起こるんじゃないかと、出てきちゃうんですよ。だから、なるべく明確にそういうことをしてくださいということが一つ。

 それから、もう一つ言わせていただきますと、人事であるとか会計であるとかそういうものは、分離されたときには、それなりに、得にならないように規制をかけるというふうに言っているんですけれども、実際にこれが見つかったときにどうしますか。

 人事的に何かがあって、例えばあるグループ会社というか持ち株会社で、小売のところに行っていた、送配電会社に行っていた、金額を知ってそれを同じグループ会社に伝えたというような形のことが起こったりしたときに、私は、それが組織ぐるみであったら、その時点で、もうその時点ではこれはいいと私は思っているんですけれども、そのときこそは所有権分離というふうにすると、もう決めちゃった方がいいんじゃないですか。それであれば、民間会社であっても所有権分離は認められていいんじゃないかと思っているんですね。そういう規定をつくるであるとか、そういうことをちゃんとやってほしいなと思っております。

 それから、今の委員会の、三条、八条の話なんですけれども、三条、八条の話で一番最初に言っていたのが、政策を反映できない云々、だから三条にできないんだというふうに言われていたんですけれども、私はそれを聞いていて、えっと思ったんです。

 だったら、私は思うんですけれども、三条にして、ただ、大臣がその委員になればいいんじゃないかと思うんですよ。そんなことまで考えた方がいいと思います。いや、すごくあれなことだと思いますよ、ちょっと画期的なことかもしれないですけれども。それで、その政策がはねられたら、それは政策がだめなんですよ。それぐらいのことをアグレッシブに私はやってほしいなと思っているんですけれども。

 その辺ちょっと、だんだんしゃべりましたけれども、あともう一個だけ話したいので、先にまとめて何かお話、コメント等があればお願いします。

宮沢国務大臣 三条委員会、八条委員会の話というのはいろいろ御質問を受けているわけでありますけれども、いろいろ私どもも考えましたけれども、エネルギー政策全般と全く切り離した形で独自に判断をする三条委員会では、我が国のエネルギー政策全般の安定性はやはりとれないんだろうという判断をいたしました。

 この場でも言っておりますけれども、再生可能エネルギーを最大限導入するという中で、当然のことながら送電網の増強ということが必要になってまいりますけれども、コストだけからいえばそれは余計なコストでありまして、そういう判断がなかなかできないだろうというようなこととか、また、スマートグリッドのようなものはかなりスピードを上げて導入しなければいけないものと思っておりますけれども、こういうものもコスト的にいいますと電力料金を高くするというものでありまして、そういうような政策的な要請というものもしっかり受けとめながら、八条委員会の中で、非常にある意味では権限の強い委員会として組織をしている方が適切なんだろうという判断をいたしました。

木下委員 ありがとうございます。わかりました。

 ただ、そういうことも考えてください、これから先。これから先、ほかでもこういうことが起こったときに、三条、八条となるんですよ。そのときに、今私が言ったようなことも頭に入れて、本当にそういうふうにして変えていってほしいなと思っているので、お願いします。

 それから、最後になりましたけれども、最後は、この話は恐らくほかの委員は多分言わないと思うので一つ残したんですけれども、熱供給事業法の改正について。

 これを何で私が話をするかというと、実は、私の地元は日本で初めて熱供給事業というのをやった。恐らく皆さん、私ぐらいの年齢の方だったら、社会の教科書とかに載っていたと思うんですけれども、千里ニュータウンという地域のあるところでして、私がよく街頭演説をしているところの目の前に、ボイラーがある建物があるんですね。

 そこで、ちょっとその話で聞かせていただきたいんですけれども、今回この改正があります、改正して、ううんと思ったんですけれども、何となく、イメージがすごく湧きにくいんですね。

 要は、団地であるとかそういったところに対しては、この改正をして、値段について、何かあったときにもなかなか代替手段がないということで、値段の規制をするとかというふうなことが書いてあったんです。それは、うん、そうだよねと思ったんですけれども。

 実際、地元を見ていたらどうかというと、それこそ昔の団地のところで必死にマイクを持ってしゃべっていても、誰も顔を出してくれないときがあって、あれっと思ったら、全員退去して、これから建て直しますというときがあったりするんです。そこが今度はマンションになりましたと。オプションがあるんですね。オプションがあって、もともと熱供給の設備を、供給ができるというふうにしているんですけれども、値段が高くてやめたいと思ったときにも、場所によったら、団地とかじゃなくてマンションだったりとかしたら、共益費の中に組み込まれちゃっているんですよね。

 やめたくて、やめて使っていなくても、共益費の中に、設備費の中にそれが組み込まれたりとかしていて、そんなときにどういうふうな措置がとられるんだろうと思って。聞いていて、あそこを読んでいても、余りそういったところの措置が考えられなかったということが一つ。

 それから、たまたま私がやっているところは一〇〇%出資で大阪ガスさんがやっている会社なので、そんなに問題にはならないかなと思うんですけれども、例えば、ちょうど一九七〇年代のマンションというか団地がどんどんなくなっていく。なくなっていったら、それと同時に熱供給事業の利用者も急激に少なくなっていったりする。そんな状態の中で競争環境に置かれてしまったら、そういう会社はひとたまりもないんじゃないかなというふうに思っていて、電力、ガスという形と同じようにやっていくという意味では意味合いはあるのかもしれないけれども、わざわざここをやる意味合いというのがどれぐらいあるのかなと思って。

 ちょっと時間をオーバーしていますが、最後に一言お願いできますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、大きく二つ意味があるかと思います。

 一つは、団地に対する熱供給のあり方としていろいろな形態がある、それに対して今回の法改正がどういうふうに対応できるかということでございます。

 まずその点からでございますが、確かに、私ども想定しております規制措置を、経過措置を残さなければならないといったような形態というのは、需要家が自分で代替熱源を選べない、こういった状況であろうかと思っています。その場合、多くの場合は、熱供給事業者と団地の中に入っている個々の需要家が、戸別に契約を結ばれている場合が多かろうと思います。

 それから、今先生御指摘のようなケースというのは、団地のオーナーとか、あるいは組合といった形で、その組織が熱供給事業者と契約をしている、こういった場合があろうかと思います。

 私ども、前者の場合につきましては、恐らく、いきなり熱供給の規制料金を外した場合、個々の需要家の方々にとっては厳しいことになるだろうということで、規制料金を経過的に残そうと思っております。

 他方、後者の場合、これは個々のケースによって違うかと思います。組合の場合、あるいは、もしかするとマンションを持っている大きな会社の場合もあろうかと思います。そうした場合には、通常の業務用の需要家と同様に、オーナーがみずからの意思で熱源を探してくるといったようなこともあり得るかと思っています。この場合は、どういった形で規制措置を残すのか、残さなくても大丈夫なのかといったことは、きめ細かく判断していかなければならないと思っています。

 他方で、一点だけ、最後にありました今回の熱供給がどうなのかという点でありますが、先生御指摘のように、需要の方が脱落してしまう、こういった苦境に陥られている熱供給事業も全国では多くございます。こういう人たちは規制料金に逆に困っている、足かせになっているというところでございまして、今回、参入規制を許可制から登録制に変える、同時に、基本的に料金についても自由にするということについて歓迎していて、これが業界の発展の方につながるということを期待しているところでございます。

木下委員 ありがとうございました。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 もう何回も私の顔を見て、見飽きたんじゃないかと思うんですが、お許しをいただいて、お疲れだと思うんですけれども。

 きょうは、三原先輩がよく聞いておくからと言われたので、ちょっと角度を変えて御質問したいと思っております。ベースになっておりますのは、本会議でお尋ねしたことが中心になりますので、そこに付加してお尋ねしていきたいと思っております。

 毎度毎度、耳にたこができるように、送配電部門の法的分離の実施と行為規制ということで、ただし、法的分離はするけれども会計の方の分離はしないんだ、こういうお話でこの法案が成り立っているんだと思うんです。

 総括原価方式もよく話題になるし、私も御質問させてもらったんですけれども、これは名前を出しちゃっていいんでしょうね、これは東京電力の去年あたりの資料だと思うんですけれども、事業報酬だとか人件費だとか修繕費、減価償却、燃料費、これが二兆四千五百億ぐらいあるんです。これを積み上げていくと、営業費として、適正費用と書いてあるんです、これが五兆六千六百二十六億なんです。それで、公正報酬(事業報酬)二千六百八十五億なんですね。

 この金額をはじいて、経産大臣が、料金が適正か適正じゃないか、それを認可してこられたんだと思うんですけれども、それでよろしいんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今手元に数字がなくて、御指摘の数字はちょっとわかりませんが、仕組みといたしましては、能率的な経営のもとにおける適正な原価に利潤を加えて、それを料金として申請し、それを厳格に査定する、このような形が電気事業法の仕組みでございます。

鈴木(義)委員 そうしますと、適正なコストの適正な利潤の適正価格というのは何をもってかというのが、過去に、この経産委員会ばかりじゃなくて、いろいろな委員会でも、景気がへたってくると大体そういう話になっていくんですね。だから、公共事業費の適正コストの適正利潤の適正価格、それがベースになって、入札して、高い安いで落札者を決める。その適正コストというのはどこから来るのかというのが、経験値の中で、五年なら五年の間の平均値を出して、それを積算単価にして、それに数量を掛けて積み上げていって、あとは歩掛かりを何%にするかしないか、そこが会社によって多少前後していくんですけれども。

 結局、きょう午前中からのお話を聞いていて、原子力の再稼働も視野に入れながら、ベストミックスというのはどのぐらいかというのをこれから詰めていくんですという答弁を大臣からいただいたんですけれども、そもそも、電気が二系統でも三系統でも安いところから買えれば、中小企業は困らないんです。一社独占だから、原油価格が上がったから、それに比例して電気代が二倍、三倍になったんじゃ民業を圧迫しているから大変なんだという論法を組み立てられるんですけれども、そうじゃないんだと思うんですね、今回の発送電分離というのは。

 ですから、何かあったときに、為替の問題があったり、もともとの燃料の需給バランスだとか依存度にかかわるものが、高い値段の燃料をわざわざ買ってくる、今は過渡期なんだと思うんです。でも、それを、最初からパーセンテージで、二〇パー、二〇パー、二〇パー、二〇パーと当てはめても、それはそのときの情勢によってやはり伸縮していくんだと思うんですよ。安い方の燃料が、例えばガスもそうですね。電気代がもっとこれから上がっていけば、ガスをメーンにしてエネファームをやっていった方がいいじゃないかという家庭が出てくれば、ガスのボリュームはふえていくわけですよ。

 だから、エネルギーとして、パッケージとして競争を促しながら、どれか選択肢を、たくさん、まあ二つでも三つでも持ってもらった方がいいでしょうという考え方なんだと思うんですけれども、それで間違いありませんか。

上田政府参考人 今回の電気事業法あるいはガス事業法の改正というものは、おっしゃるように、小売分野において、料金規制というのは最終的には自由化の中でなくなっていくということを想定しているわけでございまして、小売業者が消費者に料金メニューの提示を行い、最終的に消費者がそれを選択し、その競争の中でさまざまな活動が活性化していくということを想定しているわけでございますので、委員御指摘のような方向性ということかと存じます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。夢物語かもしれませんけれども、ぜひ、そういう長期スパンに立ってやはり計画は立てていかなくちゃいけないんだと思うんです。

 これは経産省の方から前にいただいた資料なんですけれども、二十五年度末の残高で、発電というふうに十社をトータルすると約四十二兆かかっています。送電の、北海道から沖縄まで入れて約二十兆。足すと六十二兆ぐらいが設備の取得価額。一般電気事業の発電費というのは、燃料費、人件費だとか、ランニングコストがいろいろ入っているんだと思うんですけれども、これがトータルで約十兆円ぐらいです。一般電気事業者の送電費が八千七百十五億何がし。これは二十五年末ですから、ちょっと古いのかもしれません。

 そこで、一般担保つき社債の質問は、午前中と、あと維新の党の木下委員からも質問があったと思うんですけれども、これも経産省からいただいた各電力会社の二十五年末の貸借対照表なんです。

 私もたまに決算書を見たりするんですけれども、これは単位が百万円なので、ぱっと何千億というのが頭に浮かばないんですけれども、例えば、貸借対照表の中で、ここにも引当金と、資産の部に積立金として計上されているんですけれども、例えば北海道電力で、使用済燃料再処理等積立金、これが六百億何がしなんです。反対に、固定負債の中で、使用済燃料再処理等準備引当金ないし使用済燃料再処理等引当金、これも六百六億何がし計上してあるので、大体これは引当金で計上している。

 おとといの質問のときも、一度、二十五年ぐらいのときに、解体費用だとか引当金、原子力のもろもろの費用をどういう計算の仕方をすればいいのかという報告書をお示しさせていただいたと思うんですけれども、実際にここに積み上がっている金で、本当に次のステップで、仮に、四十年でとりあえず一回区切りをつけましょう、その後、最長でも六十年、まあ二十年ぐらいしか使えませんよという方向でやるわけですよね。そうすると、ここに結局積立金が積み上がっていなければ、どこからかお金を調達しない限り、原発の処理もできないし、廃炉もできないし、その辺は大丈夫なのかなという、お金の数字からですね。

 あと、東京電力が、二十六年の三月三十一日、二十五年度末、これが一兆百六十九億、引当金というより積立金があって、未収原子力損害賠償支援機構資金交付金というのが一兆一千億ぐらい、積立金の方の資産の部で上がっているので、これは最終的には取り崩して賠償責任の方に払っていくんだと思うんですけれども。

 そうすると、結局、こういった貸借対照表の中に出てきている積立金なり引当金のお金が、本当にこれから再稼働していくときのただそのランニングコストというんじゃなくて、最終的には、最終処分の用地の取得なのか賃貸なのかわかりませんけれども、それの維持管理だとかそういったものがここに積み上がってこなければ、最終的に、たしか六基の原発がもう廃止するという方向を二月ぐらいに打ち出していますよね、でも、それがここに積み上がっていなければ、どっかからお金を調達しなければ処理できないんじゃないかと思うんです。

 それが、今の通常の一般担保つき社債で、五年めどというふうに期限を切っているんですけれども、それで本当にカバーできるんですかね。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生が引用されております使用済燃料再処理等積立金等のお話でございます。

 この使用済燃料再処理等積立金は、青森県にあります日本原燃の再処理施設の費用というものにつきまして、バックエンド法という法律ができまして、その法律に基づきまして定められた費用を各社が積み立てているものでございます。

 今先生御指摘のありました廃炉、これは五基、廃炉を決定されておりますけれども、今後の自由化、電力システム改革が進む中で、今電力会社の方でやや懸念を持っている点といたしましては、再処理施設につきまして、これは競争の中で共同事業として各社がやっているものでございます。そして、今御指摘の廃炉といった形で原子力の発電能力が変わっていきますと、再処理施設に係る費用の単価も上昇していく、こういったような問題も生じてくることが見込まれます。

 そうした点につきまして、今後、競争が進む中で、競争環境の中で、各社が、単独ではなく、再処理という共同してやっている事業のあり方を財政的にもどういうふうに取り組むのか、またその責任の主体はどうなるのかといった点につきましては、私ども資源エネルギー庁の審議会の方でも今後の課題として指摘がされているところでございまして、私どもとして、今後取り組まなければいけない課題だと思っております。

鈴木(義)委員 冒頭申し上げましたように、発送電を分離するということは、設備の取得価額で四十二兆が発電なんですね。送電は、送配電の部類に入るんでしょうけれども、これは二十兆なんです。こちらの方は地域独占を認めて総括原価方式を取り入れます。

 先ほど申し上げましたように、何をもって適正コストで適正利潤で適正な価格なのかというのは、よくわからないような答弁だったと思うんです、精査しているというふうな御答弁をいただいていますけれども。

 では、そうしますと、今御答弁いただきましたように、これから検討していきますと言うんですけれども、法的分離はするけれども、発電をする会社と送配電をする会社は別に分けますと。では、ここで言う原子力の廃炉の費用というのは、どっちの会社が最終的に持つんですか、これは。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ただいま御指摘の廃炉に伴う費用というところも、全般的でございますので、やや個別に議論しなければいけない点でございますけれども、課題として、どのように回収をしていくのかという点については、私どもとして、結論を出していかなければいけない課題だと思っております。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

鈴木(義)委員 それがはっきり方向が決まらなくて、託送料金の方に賦課するんですという話になるのか、それとも、もともとの事業主体である、東京電力なら東京電力を初め十社にその費用をお願いするということになれば、これから、電力の自由化が目前に迫っていて、それは太陽光発電とか風力だとか水力の方が安くなるはずですよ。

 だから、逆に言えば、それを託送料金の方に賦課するんだということになると、スケールメリットがある今の電力事業者の方が安く電気は供給できるはずなんです、細かい数字をはじいているわけじゃないんですけれどもね。

 その辺のところは、方向がきちっともしあって、その担保つき社債の五年でエンドというような形を出しているのかどうかということなんです。

上田政府参考人 廃炉の費用の件でございますけれども、現在の廃炉に関する仕組みというものは、電気事業法のもとで解体の引当金制度というものがございます。このもとで、電気事業者に対して積み立てというのが義務づけられているわけでございまして、電気事業者は、毎年、原子力発電所ごとの廃炉に要する見積額というのを算定いたしまして、経産大臣の承認を得て積み立てております。

 現在、実際問題、ちょうど平成二十五年度末の数字でありますけれども、見積額が二・八兆円に対して引当金の残高は一・六兆円ぐらいあるということでございまして、これらの廃炉に関する費用というのは、基本的には、発電事業者というものが今後とも負担をしていくことになると考えております。

鈴木(義)委員 では、そうしましたら、人間がちょっとくどいので、託送料金には今の廃炉のものは入れないということでいいですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと長い御説明になってしまうかもしれません。

 先日、三月に、私ども、この廃炉の費用につきまして省令改正を行わせていただきました。こちらにおきましては、制度の導入後、当分の間は小売部門の規制料金によって費用を回収する、こういう形にさせていただきました。いわゆる費用回収性を担保するということで、確たる料金制度としての裏づけがなければならないということでやらせていただきました。これは、小売部門の規制料金ということでございます。

 ただ、審議会の報告書に基づきましてこの省令改正をさせていただきましたけれども、自由化が進められていく中、この会計措置を引き続き制度として持続させていくためには費用回収の確実性を確保する必要がある、こういうことでございまして、小売部門の規制料金がなくなってしまうということを考えますと、将来的には託送料金の仕組みを利用して費用回収を行うことが適当、こういうふうな報告書の御指摘があったところでございます。

 御指摘の点につきまして、今後、まだ時間がございますので、その時点までにどのような対応を私どもがするかということにつきまして、私ども、これから検討させていただきたいというのが趣旨でございます。

鈴木(義)委員 そういう方向が出てくれば、おとといもお尋ねした地産地消という考え方で、特に、都市部は別として、地方で、極端に言えば、風力でたくさん電気を起こせるところがあれば、自分のところで使うときには安く使えるし、今までは全部、基本的には一律料金だったわけですね、そのエリアの中では。そういったことも可能になると思いますが、ぜひ、公平な、また自由競争を促すという意味でも、やはり早目にそれは方向づけを出していただけた方がよろしいのかなと思っています。

 しつこいようにお尋ねするんですけれども、日本卸電力取引所の件で、今は、電気事業者だとか特定事業者、小売事業者とか、この二者しか、二グループと言った方がいいんですかね、エントリーできていないと思うんですけれども、これからは、金融機関だとか、逆に、先物も入れていくかどうかということも出てくると思うんです。私は余り先物はよしとはしないんですけれども、実体経済とどうしてもどんどんどんどん離れていきますから。ただ、市場を拡大していって、その市場の中での需給バランスをとっていって、適正料金に落としていく。

 ですから、先ほどしつこいようにお尋ねしている、適正コストの適正利潤の適正価格というのは何ですかといったときに、市場に乗った場合には需給バランスになっちゃうだけなんです。幾らうちはこれは適正料金で出しているんですと言っても、相手が、安いところが出てくれば、それは下げざるを得ないから、コストを下げるか利潤の幅を狭めるしかなくなっちゃうんです。

 だから、市場のパイが大きくなればなるほどその需給バランスがとれますから、その拡大をする意味で、今の小売だとか発電事業者以外の、需要家というんですか、逆に、サービスを受ける、電気を使う方の側の人も入ってもらって拡大に努めようというふうなお考えがあるかどうか、お尋ねしたいと思います。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 卸取引所の件でございます。

 先生、先ほど、二者とおっしゃいましたか。(鈴木(義)委員「いや、二グループ」と呼ぶ)二グループ、はい。

 この点につきましては、現在、卸取引所は社団法人でございまして、会員制をとってございます。今現在、二〇一五年四月一日現在で百八社が参加している状況でございまして、二〇一四年、カレンダーイヤーで見ますと、取引量が約百三十億キロワットアワーということでございますので、日本全国の電力販売量の一%強という状況でございます。

 先日来御指摘をいただいておりますけれども、私どもといたしましても、電力システム改革を進めて、自由化ということを進めていくに当たりましては、この卸市場の膨らみというものをこれまで以上に厚みを持たせていかなければならない、このように考えてございます。

 来年を目途に、この卸取引所は国の監督を受ける指定法人というふうになっていく予定でございますので、私どもとしても、国としても、しっかりと注視をしていきたいと思っております。

鈴木(義)委員 これは、先日、日経新聞にやはり記事が出ていたんですけれども、アメリカで電力調整事業ということで、東芝と住友商事さんが再エネに蓄電池をという記事が出ていたんですね。

 再生可能エネルギーというのは、今まで御答弁をいただいた中で、どうしても電気の質というところで、あとは、太陽光は夜は発電しませんから、そのときどうするんだとか、バックアップ電源をどうする、いろいろ議論があったと思うんです。それをカバーするのに蓄電池という発想になると思うんですね。

 実際にもう、経産省の補助金をもらって、東北電力が、三百十七億円使って、太陽光や風力などの発電量が急激にふえたときに、容量として二万から三万キロワットの蓄電池で一時的に電気をためる実証実験をスタートしますと。

 片や、アメリカの方へ行けば、こういった、家電メーカーさんというんですかね、メーカーさんと、あと商事会社さんと組んで蓄電池を入れて、これも結局、安定供給の名のもとで御商売にされようとするわけですね。

 これは伊藤忠さんで、アメリカで、やはり節電事業なんですね。小売店に蓄電池システム、これは逆に、発電をする方じゃなくて使う側の方です。小売店というのはそういうことだと思うんですね。カリフォルニアで一〇%の株式を取得し、小売店にGCNの蓄電池のシステムを販売していくんですと。これも記事に出ていました。

 ですから、やはり、再エネを推進したり、あとは今ある火力だとかLNGも含めて、発電をしたときに、蓄電池をもっと奨励して、技術開発を経産省も本気になってやって、それを、エリアをある程度決めて、そこに電気をためて、そこは本当は、私は、安定供給というふうに国がおっしゃるのであれば、五%なのか一〇%なのか、バックアップシステムを含めて国が管理下に置いた方が、あと、それ以外は自由な競争になってくれという方が、意外と価格を抑えることができるのかなというふうに思っているんですけれども、その辺のお考えをもし、副大臣で。済みません。

山際副大臣 委員御指摘のように、再生可能エネルギーは、どうしても振れ幅が大きいということもございまして、その導入を拡大するに当たりましては、蓄電池、これが非常に有効である、このように私どもも考えてございます。

 しかしながら、コストが依然大変高いという状況があるために、これを克服するための技術開発をしていく必要があると考えてございます。

 具体的には、大容量の電気をためられるレドックスフロー蓄電池あるいはNAS電池というものに対しまして、現在のコストを半減させ、揚水発電並み約二・三万円・パー・キロワットアワーとすることを目標とする徹底的な技術開発であったり、あるいは、電力会社の変電所に国内最大の大型蓄電池を設置して、再生可能エネルギーの接続量を拡大する実証実験を行っていたり、加えて、再生可能エネルギー発電設備側に設置する蓄電池の導入補助などを行うこととしておりまして、こうした取り組みを通じて、蓄電池の活用促進をさらに図ってまいりたいと存じます。

鈴木(義)委員 今例示を挙げさせてもらったのは、電気をつくる側の方と、電気を使う側の方なんですね。ですから、やはり両方で攻めていけば、もっともっと効率のいいエネルギーの使い方ができるんじゃないかと思うんです。

 ということは、消費者である私たちに選択権があるかどうかということなんです。今までは選択権がないんです。あとは、イコール自己責任ということになるんですね。暑くても、別に俺は電気代が高いんだったら使わないよ。よくフランスだったかイタリアだったか、家を出るときには冷蔵庫のコンセントまで引っこ抜いちゃって、それは電気代が高いからなんです。電気代を高くしてくれと言っているんじゃないですよ、安くしてもらいたいんですよ。安くしてもらいたいんだけれども、一般の私たち国民は、安いと、せっかくつくってくれたその電気を浪費してしまう人もたくさんいらっしゃるということなんです。

 あとは、私は埼玉県の出身で、埼玉県の産業技術総合センターというところで、マグネシウムを使った蓄電池を開発しています。まだ実用化には至っていないんですけれども、先日も電話をかけて開発状況はどうですかと言ったら、今新しい特許を出すので、ペーパーとしては出せないので勘弁してほしいと。ただし、大容量にはならないんだそうです。携帯電話だとか、ちょこっとした、そのかわり、リチウムイオンよりは、発電容量というんですかね、電流はたくさん流せないんですけれども、容量は大きなものですから、小型の蓄電池には使える。それがあと何年か先に実用化になれば、また違ったモバイルを使うのに使ってもらえればなというふうに思っております。

 そのときに教えてもらったのは、今、リチウムイオンが、高価なハイブリッドの車もそうですし、ほとんどの電気自動車もそうだと思うんですけれども、リチウム硫黄という言い方の電池の開発が、あっちこっちで盛んに行われているんだそうです。

 では、そのリチウム硫黄、だから硫黄を使った電池なんだそうですけれども、でも今は、日本の電池メーカーさんが、硫黄を使うようなラインが残っていないんだそうです。だから、それを経産省が、補助金を出してやるとか共同開発をするとかといって、もし今のリチウムイオンよりも安くできるものがあれば、それこそバックアップしてもらいたいんです。

 今の価格の半分になるか三分の一になるか四分の一になるかわかりませんけれども、ぜひそこを、やはりエネルギーの安定供給と自由な競争といったときに、ためられる技術というのが一番私はキーになっていくと思います。

 それをすることと、発電、電気を起こす方と、消費をする側と、それを蓄える側と、これが三つ、一つの取引所の中でやりとりすることによって、価格がまあまあそこそこの値段で落ちついていくんじゃないかなと私は思いますので、ぜひ取り組んでいただければと思うんですけれども、いかがでしょうか。

木村政府参考人 蓄電池でございますけれども、御指摘のとおり、確かに、つくる方とそれから電気を使う側、両方で対策を進めていくということが重要かなというふうに思ってございます。先ほど副大臣から御答弁がございましたのは、確かに、つくる方が中心。

 ただ、先生が御指摘のように電力会社の変電所に置くというのは、まず、つくるサイドだけではなくて、それを一旦受け入れて配るというところに蓄電池を置くわけでございますので、また少し違った使い方でございますし、あわせまして、使う側でいいますと、リチウムイオン電池中心でございますけれども、導入補助のようなこともいたしております。

 それから、スマートコミュニティーといった分散型のエネルギーシステムを集中型のシステムと相互補完の関係をつくっていく。地域で地産地消のエネルギーシステムというのをつくりまして、それで省エネルギーを進めますとか、あるいは、効率的にせっかくつくった再生可能エネルギーを配分するといったような、そういう取り組みを進めております。

 その中で、やはり電池、例えばこれは電気自動車が持つような機能もございますけれども、そういったものも含めて群管理をするような技術でございますとか、それから、先生が御指摘のような電池、ちょっと私、その新しい技術につきましては手元に今情報がございませんけれども、新しい蓄電池につきましても、不断の研究開発、そういうところにつきましても目配りをしながら、新しい電池の使い道あるいはコストの低減、そういったものに対しまして戦略的に取り組んでまいりたいと考えてございます。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。ぜひ早いうちにそれを開発していただいて、弾みをつけていただければありがたいなと思っております。

 今、日本卸電力取引所で二%ぐらいの取引なんですけれども、その中で、これは国際環境経済研究所というところで、二点ほど今の制度に矛盾があるんじゃないかというのを指摘しているんですけれども、インバランスの話ですね、もう御案内だと思います。これがプラスマイナス三%で制御されているんですけれども、これが実際、高いというほどでもないし、安いというほどでもないし、これがそもそもインセンティブをゆがめてしまっているんじゃないかという、これはもう指摘されて解決しているというんだったら、それを御答弁いただければと思います。

 それと、あとは、三%を不足したときのペナルティーが、東電にペナルティーを払うんだと思います、この辺でいえば。そのペナルティーが意外と、賢い人であれば、一〇〇提供できる能力を持っていて、九〇しか出せなくて、需要家が九〇だと一〇の差が出るんですけれども、それはペナルティーを払ってでも、料金的にそっちの方が得だという制度になってしまっているんだそうです。

 ですから、取引所で小口の発電事業者さんが入ってきたいと言っても、それが障壁になってしまったり、逆に、使う方も余りメリットがないんじゃないかという、そこのところが問題だと言われているんですけれども、今解消できているかどうか、確認をしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘の点、同時同量制度についての問題点でございます。

 現行制度、三十分単位で新電力の需要量と供給量の差分、これをインバランスと申しておりますが、これにつきまして、一般電気事業者が調整をし、インバランス料金で精算をする、こういう仕組みをとっております。

 このインバランス制度でございますけれども、現在は、単価が固定制であること、それから、先生からも御指摘がございましたが、インバランスの発生量が需要の三%を超える不足のインバランスは単価が三倍で、三%を超える余剰のインバランスは無償での引き取りとなる、こういった特徴がございます。

 このため、その時々の需給の状況が単価に反映されていない、つまり、単価が固定制でございますので、需給が逼迫のときには、みずから電気を調達しないでインバランスを出した方がかえって安くなる、こういった場合がございます。

 一方で、三%を超える不足のインバランスが発生しやすい小口の小規模事業者にとっては、負担が余りにも大き過ぎる。先生から参入障壁となるとおっしゃいましたけれども、こういった懸念もあるといった課題がございます。

 この点について、私ども、審議会でも取り上げまして検討を進めておりまして、まずは、固定制でありました価格を市場価格に連動させる、こういうふうな仕組みをするということと、それから、三%という閾値を撤廃する、それから不足時と余剰時の補給単価、買い取り単価に差を設けない、こういった改善をとることを決めたところでございます。

 これによりまして、インバランスに伴います先ほどの二つの大きな懸念といったところは解消されるものというふうに理解をしております。

鈴木(義)委員 最後に、ちょっと漫画チックな話で、私は、三・一一を契機にして、新しいエネルギーを創造していかなければならない時代に入ったんだと思っています。前に、これも、平成二十四年の三月ですか、エネ調の方で、五十ヘルツと六十ヘルツのものの試算表をいただいたんです。

 これは、六十に変換するといったときにトータルで十兆円かかる、そのコストを誰が負担するんだと。では、この十兆円というのはどこから出してきた数字なんですかとお尋ねしたら、電力会社が見積もった金額なんだというんです。

 でも、これから、電力の自由化になって新しい再エネが入ってきたり、違うスタイルのエネルギー源がもし生まれてくるのであれば、十年かかるか五十年かかるかわかりませんけれども、そこを一つのやはりターニングポイントにしていって、どのみちお金をかけなければならないんだったら、もうそろそろ真面目に検討していったらどうかなと思うんですね。

 結局、火力でも原子力であっても、タービンを回すときのヘルツが五十なのか六十なのかで、それが一番お金がかかるんだと思うんです、あとは変電所だとかいろいろあるんでしょうけれども。でも、今ある技術で、タービンをどのみち解体して新しいものにつくりかえなくちゃいけない、耐用年数というのが必ず出てくるでしょうから、そのときに思い切って切りかえられるような形で、十兆円どんと金を使うんじゃなくて、十年でやろうと思えば一兆円、二十年でやろうと思えば五千億で何とかなるんですよね。

 それと、あと、ほとんど議論にはならないんですけれども、再エネはほとんど直流なんです。送配電、今の普通の電線は交流なんですね。そうすると、直流でつくったものを交流にして、蓄電池をつくるのだったら直流でためてまた交流に乗せて。そこでロスがどんどん出てくるわけです。そういったこともやはりパッケージで考えた方がいいと思います。だから、大消費地は別としても、地方のところに行けば行くほど、違うシステムのエネルギーの供給の仕方というのを取り入れた方が、直流を交流、交流から直流とか、五パーとか一〇パーとか二〇パーぐらいのロスを見ながら、あと、高圧にしたり低圧にしたり、そういうのではないシステムをやはり構築する機会になるんだと思うんですけれども、最後に、もし大臣、御答弁いただければ。

宮沢国務大臣 直流送電というのを一部研究が始められているというのは聞いております。

 また、五十ヘルツ、六十ヘルツという話も古くから、いろいろこの問題を乗り越えるべきという議論があったことも確かであります。

 五十ヘルツ、六十ヘルツの問題というのは、私が若いころは、音楽プレーヤーなんかを持っていて、東京で使っているのを長野へ持っていくと動かないというような話がありましたけれども、今はかなり、インバーターが入ってきて解決されつつあります。

 しかし、全部は解決されていないということになりますと、どっちかに統一すると、統一されたといいますか、変えなきゃいけない地域の産業また家庭に相当影響があるといったこと、だから、長い目でというのは、恐らく、そういうものを長い目でインバーター入りにした上で、こういうお話だったんだろうというふうに思っております。

 そのときに、電力会社の試算で電力の、まさにおっしゃった発電設備で十兆円というような話があるようでありまして、これはもちろん精査をしなければいけませんが、一方で、今、東西連系線の拡充ということをやっておりまして、それとの費用の問題というものはやはりしっかり検討していかなければいけないのだろうというふうに思っております。

 また、直流送電については、技術的に可能な状況になったときには、またいろいろ考えなければいけないんだろうというふうに思います。

鈴木(義)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

江田委員長 次に、藤野保史君。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 きょうは、大変お忙しい中、東電の廣瀬社長と、あと田中規制委員長にもお越しをいただいております。ありがとうございます。

 本法案は、先日、本会議質疑が行われました。私は質問させていただいたんですが、そのときの安倍総理の答弁が大変重要だというふうに感じました。

 それは、福島原発事故の原因究明は国として継続的に取り組むことが重要です、これまでに国会、政府事故調査委員会において事故の検証が行われ報告書が取りまとめられています、さらに独立した原子力規制委員会が昨年十月に中間報告書を取りまとめるなど事故原因の技術的解明を進めており、今後も中長期にわたって継続的に取り組んでまいりますと、事故の原因究明について答弁をされています。重要な答弁だと思うんですが、問題は、これを実際にやっていくことだというふうに思います。

 総理の答弁でも引用されているんですが、三・一一の後、政府でつくられました政府事故調の調査の際に、まさに総理がおっしゃった事故の原因究明を目的として、関係約七百七十名から行ったヒアリングの記録がございます。この中で、きょう御質問したいのは、当時福島第一原発の所長をされていた吉田昌郎氏の証言であります。

 配付資料の一をごらんいただければと思うんですけれども、この証言は、一九九一年十月三十日に福島第一原発の一号炉で起きた事故に関する吉田氏の証言であります。これは九一年ということで、年数的には古いんですけれども、しかし、今につながる重大な問題を含んでおりますし、ことし三月の福島地裁でのいわゆる口頭弁論でも大きなテーマになった問題であります。

 そこで、東電にお聞きしたいと思いますが、この事故の概要を端的に説明していただけますか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先生のお配りになられた資料の二枚目に報告書がございますが、まさにこのとおりだというふうに認識をしております。事故の発生は先生御指摘のように一九九一年十月三十日。このときに、一号機の地下にございますポンプ室の下から水が突然あふれてきたということです。このポンプというのは、補機の冷却をするため。補機というのは、原子炉そのものを冷やすための水の熱交換ではなくて、空調機であるとか、あるいは使用済み燃料プールの水を冷やすために、その熱交換をするために海水を大量に使っておりまして、海水を引き込んで、冷やして、あるいは熱交換をして、また海水に戻すというパイプでございます。

 そのパイプが発電所の一号機の建屋の地下に埋まっておりますが、そこから水があふれ出たという事象でございまして、当時運転中でございましたので、水があふれたということをもって原子炉を急にとめたという事象でございます。

藤野委員 ありがとうございます。

 この事故について、先ほど御紹介した配付資料の一で、吉田元所長はこのように証言されています。「あれで冷却系統はほとんど死んでしまって、DGも水に浸かって、動かなかったんです。あれはものすごく大きいトラブルだといまだに思っているんです。今回のものを別にすれば、日本のトラブルの一、二を争う危険なトラブルだと思うんですけれども、余りそういう扱いをされていないんですよね。」こういう指摘であります。

 きょうは、お忙しい中、規制委員長に来ていただいたのは、どうしても規制委員長にもお聞きしたかったんです。物すごく大きなトラブルだ、今回のものを別にすれば、日本のトラブルの一、二を争う危険なトラブルだという吉田元所長の指摘を、どのように規制委員長は思われるのか。同じような認識だというふうに考えていいんでしょうか。

田中政府特別補佐人 安全上最も重要な機器の一つである非常用ディーゼル発電機に影響を及ぼしたという意味では、大変重要な事故であったというふうに認識しております。

 そうしたことも踏まえまして、新しい規制基準では、施設内でのいわゆる内部溢水、あるいは場合によっては津波のような外部からの浸水、そういったものがあっても安全機能を損なわないということを求めております。

 具体的には、非常用ディーゼル発電機等の非常用電源設備の多重化、多様化、それから水密化、それから、重大事故対策として、さらに代替電源設備、これはSBOが非常に今回の事故の教訓でありますので、そういったことを踏まえまして、可搬型と常設の代替電源設備等の設置を求めているところでございます。

藤野委員 東電社長にもお聞きしたいんですが、今回のものを別にすれば、日本のトラブルの一、二を争う危険なトラブルだという吉田所長の指摘、社長の御認識はどのようなものでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 パイプに穴があいて水が出てきてしまったということで、非常用ディーゼルは二機あったわけですが、そのうちの一機が水につかってしまったということですので、当時の発電所員も、すぐ発電を停止する、もちろん、それ自身、非常用のディーゼルですので使っておらないわけですけれども、そうしたことになったということで、すぐに発電をとめる、そういう意味では極めて大きな事象、事故であったというふうに考えております。

藤野委員 規制委員長も大変重大な事故であった、極めて大きな事象であったということなんですけれども、吉田所長が言っているように、大変なんだけれども余りそういう扱いをされていないということなんですね。

 先ほど廣瀬社長が、紹介されているそのとおりだとおっしゃったんですけれども、最終報告書というのがここにありまして、いろいろあるのかなと思って私も取り寄せたんですけれども、非常に薄いんですよね。

 本文というのは、表紙を抜いて、本文が始まって、六ページしかない。概要は、この紹介しているものなんですけれども、今おっしゃった非常用ディーゼル発電機が水につかったということは一カ所でしか出てきません。しかも、一部に浸水としか書いていなくて、非常にあっさりしている。吉田所長が日本で一、二を争うトラブルだと言っている認識と、この報告書のギャップというものが、私は感じられてならないわけですね。

 配付資料の三枚目に、青色でお示しして、この中にある資料なんですけれども、要は、一部に浸水というのは、何かワンスポットという、報告書を読んだら一瞬そう思いかねないんですけれども、これは床全部が水につかっているわけですね。地上何メーターなのかと聞いたらわからないというお答えでしたけれども、要は、もう全部つかっている、このエリア全部が。

 ですから、一部に浸水という、この短い報告書の中のさらに一行、一部だけでこのことが済まされているというのが、実態とも合わないんじゃないか。

 さらに驚いたのは、この対策のところなんです。恐縮ですけれども配付資料に戻っていただいて、二枚目の下の方に「再発防止対策」というのがあると思うんですが、この「再発防止対策」のところに、溢水という言葉が一つも出てこないんですよね。大変だったのは、水でディーゼル発電機がつかっちゃってということが吉田所長は物すごい大きなトラブルだとおっしゃっているわけですが、それにもかかわらず、そういうことを受けた再発防止策のところにそういう言葉が全然出てこない。

 私が逆に驚いたのは、二行目で、「点検性、保守性等の改善を図るべく、」という言葉があるんですね。何か、そこにあった計器が、点検がまずかったとか、保守性がまずかったとか、そういうレベルの報告書になっているし、対策になっているというのは、ちょっと正直言って驚くわけなんです。

 重ねて廣瀬社長にお聞きしたいんですが、このギャップは何なんだと。吉田元所長が、物すごく大きなトラブルだ、今回を除けば日本のトラブルの一、二を争うというようなことだったのに、報告書はこういうことになっている。何でこんなに違うんでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 報告書の記載の様式については、二十年以上前のことですので私もよくわかりませんが、ただ、実態としては、我々としてしっかり受けとめ、今先生の御指摘のところにつきましても、もう少し詳しく御説明をさせていただきますと、先ほども申しましたように、海水を引き込むパイプでございますが、そのパイプが、いわゆる直埋めというんですか、埋めてあります。

 したがって、そこのパイプの中には当然、海水が流れていきますので、いろいろなものが流れ込む可能性がございますので、パイプの中はゴム製でライニングがしてあるということでございます。

 ところが、貝であるとかそうしたものがかなりの勢いで入ってくるわけですので、後でその事故原因で判明したことは、その貝類がゴムの部分をだんだん傷めて、やがて、海水ですので、周りの金属の部分に触れるようになり、そこから損傷が始まって、穴があいたということでございます。

 ここで問題なのは、じかにパイプを埋設していたために、点検をするとか、あるいはパイプの中の水の流れる音を聞くであるとか、そうしたことがすごくやりにくい状態になっていたということ、それは非常に大きな反省点だったということでございます。

 したがいまして、これは一号機に限らず福島の五基全てですけれども、最近の言葉でなじみが出てしまいましたトレンチといいまして、パイプだけを埋めるのではなくて、後で人が入っていろいろな作業ができるように、本当に大きなトンネルの中にパイプを埋設して、人が当然立って歩けるような状態にして、以降、その点検をするであるとかそうしたことをできるような対策を、一号機に限らず全部したということでございます。

 さらに加えて、そのいわゆる事故のまさに直接的な対応でございますが、これは九一年の話ですが、それ以降、九四年ぐらいから、いわゆる過酷事故対策というのを、これは東京電力の当時の十七基の原子力ユニット全部に対して行ったわけですけれども、格納容器のベントシステムをつくるであるとか、それから非常用ディーゼル発電機を、それぞれの号機についていますが、号機間の融通ができるようにして、こっちで壊れたものはこっちで電気をとれるとか、そういったようなこと。

 それから、非常用の代替冷却ですね、消防車を使って入れられるようにする。そうしたいわゆる過酷事故対策をとってまいりましたので、ちょっとその報告書に書かれた様式から先生が持たれた印象とはかなり実態は違って、大変大きなこととして我々も受けとめ、再発防止策を含めてそれ以降の対策をとってきたということだというふうに理解しております。

藤野委員 いろいろと対策をとられたんだとは思います。しかし、やはり電源喪失ということなんですね。浸水する、内部溢水にしろ、外部からのにしろ。要するに、電源が喪失するという事態は、やはり対策はとられていなかった。

 だから、今回、肝心の電源盤が地下に置いてあったということで、結局は、吉田所長がおっしゃったような現実になってしまう。だから、いろいろ対策はとられたと言うけれども、電源喪失ということにはやはり対応できていなかったということだと思うんですね。

 それとの関連で、吉田所長の証言にもあるんですけれども、お金もかかると。要するに、本格的に電源喪失が起こらないような対応をしようと思いますと、やはりお金がかかるということで、そういう影響もあったのかなというふうに思っております。

 ちょっと論点を変えまして、原因究明という点では同じなんですけれども、政府事故調が行ったヒアリングというのは、先ほど言ったように七百七十名ということで、大変貴重な証言、私も幾つも見せてもらっております。

 非常に重要な証言だと思うんです。しかし、現在、二百三十名程度しか公開されていない。七百七十ですから大体三割未満ということになります。七割が闇の中ということで、これでは、安倍総理自身が本会議で、原因究明というのは重要だというふうにおっしゃっているにもかかわらず、その原因究明の第一級資料が公表されていない。これは、残りの七割も公表すべきじゃありませんか。

中井政府参考人 お答えいたします。

 政府事故調査委員会が行ったヒアリングにつきましては、事故当時の状況を包み隠さずお話しいただくため、非公開を前提に相手方の任意の協力を得て行われたものでありまして、そのヒアリング記録は不開示の扱いとしております。

 なお、ヒアリング記録は非公開が前提ですが、ヒアリング対象者本人が同意する場合には、開示して問題はないと考えられることから、ヒアリング対象者に対して意向確認を行い、同意が得られたものについては順次開示してきておるところでございます。

 ということでございまして、御本人の意向を尊重した対応ということで御理解いただきたいと思います。

藤野委員 本人の意向ということで、わかるところもあるんですが、実際、二百三十名の方が公開されているわけですね、ほぼ実名で。

 ちょっとこの点で、非常に重要な方々の名前を私は探したんですけれども、なかったので確認したいんですが、キーパーソン中のキーパーソンと言われております元東電会長の勝俣氏、あるいは元社長の清水氏、元副社長の武藤氏、元技術フェローの武黒氏という方の証言というのは本当に重要だと思うんですが、これはヒアリングはされているんでしょうか。

中井政府参考人 お答えいたします。

 政府事故調査委員会が行った関係者からのヒアリングにつきましては、事故原因や被害の原因を究明するため、非公開を前提に任意の協力を得て行ってきております。このため、ヒアリング対象者の氏名や所属を含め、非公開としておるところでございまして、お答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 ただし、政府事故調査委員会の報告書には、清水社長と武藤副社長に対してヒアリングを行った旨、記載されておるところでございます。

藤野委員 これを見せていただきますと、当時の経産大臣だとか、あるいは総理大臣、官房長官、環境大臣という方々が重要な証言をされておりますし、このカウンターパートといいますか、事故のまさに中枢にいらっしゃったこの四人の方、国民はまさにこの方々の声が聞きたいというふうに思うんですね。それなのに、ヒアリングしたかどうかすらも明らかにしない。もし、していなかったら、私はこれは政府事故調の大変なあれだとは思うんですけれども、しているとは思うんですが、それを公開していないということであります。

 先ほどの御説明だと、要するに、本人が同意していれば出せるんだと。ということは、この四人の方は同意をしていないということなんでしょうか。

中井政府参考人 恐縮でございます。繰り返しになりますが、政府事故調の委員会が、ヒアリングにつきましては非公開を前提に相手方の任意の協力を得て行われております。このため、ヒアリング対象者の氏名や所属を含め、個別のヒアリング記録についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 なお、政府事故調査委員会の最終報告書等において、そのコメントが引用されております東京電力の役員のヒアリング記録は、現時点で公表されているヒアリング記録には含まれておりませんが、非公開を前提に行った調書の開示につきましては、今後とも本人の意向を尊重すべきと考えております。

藤野委員 やはり、それでは国民の思いには応えられないと思いますし、総理がおっしゃった事故原因の究明にとってもやはりマイナスだと思うんです。

 二百三十六名の方が現在ほぼ実名で公表されておりますが、そのうち、私が数えたところでは、二十二名が東電の関係者、ほぼ一割なんですね。部長とか現場の先ほどの吉田さんもそうですけれども。にもかかわらず、そのトップが、中身が見られない、証言が読めないというのはどう考えてもおかしいなと思います。

 政府は努力されていると思うんです。内閣官房のホームページを読ませてもらいますと、二〇一四年六月五日に、菅官房長官が、原則非公開だけれども同意を求めるんだということをおっしゃって、それを受けて、二〇一四年六月二十七日には、公表についてということで、ある意味お願いを発出されているし、その後も、十二月二十五日と三月二十六日ですか、私が見た範囲では。要するに、たびたび公開に応じてほしいということをされているということで、これは私は、そういう意味では、国民の立場に立った対応だというふうに思うんです。

 にもかかわらず、三回も四回も、何回もやっているのに応えていないと。それがまさにキーマン中のキーマンであるということで、これはちょっとやはり許せないなというふうに思いますし、なおさら逆に、これだけ隠されると、何か物すごく重要なことを言っているんじゃないかということにもなりますので、引き続き、内閣官房としては、今までやってこられたように、粘り強く、そうしたまさに中心人物の声を国民に届けるという仕事をしていただきたいと強く思います。

 次の質問に移らせていただきたいんですけれども、本法案は、一昨年来の電力システム改革の総仕上げということであります。しかし、この総仕上げというのが、国民から見ると本当に多くの問題があるなと午前中の質疑もお聞きしながら思っておりました。私も、若干重なる部分もあると思うんですが、お聞きさせていただきたいと思います。

 何といっても、東電のあり方をお聞きしたいんです。といいますのも、電力システム改革という場合、日本の総販売電力の三分の一を占めている東京電力のあり方がどうなるかが決定的だと思うんです。大臣にこれをまず確認させていただきたいんです。

 原子力損害賠償支援機構運営委員会が二〇一三年十一月二十五日に発表しました新・総合特別事業計画の策定についてという文書の中で、東京電力が電力システム改革を先導する諸改革に積極的に取り組み、新生東電ともいうべき新たな姿を示すことと書いております。先導するということですね。そして、今の新・総合特別事業計画の中にも、大臣が認定されたものの中にも、東電は電力システム改革の先駆けという表現があるわけであります。

 そこで、こうした東電の改革というのが電力システム改革全体についての先駆け、先導という位置づけだと思うんですが、この認識で間違いないでしょうか。

宮沢国務大臣 まさに先駆けとしまして、東京電力は、今回、送配電部門の法的分離をお願いしているわけでございますけれども、ホールディングス制というようなことに移行しておりますし、また一方で、燃料部門、調達部門、また火力発電部門につきまして、中部電力とのアライアンスという形で一歩進んだ形を進めるなど、やはりかなり先行した形の経営をしていただいていると思っております。

藤野委員 ありがとうございます。

 まさに、東電がどうなるかというのは、電力システム改革を占うといいますか、それよりも帰趨を左右する大問題だと思います。

 しかし、その東電が、今、再建計画が一体どうなっているのかということで、先ほどいろいろな御質問もありましたけれども、東電にお聞きしたいんですが、現在、東電は、二〇三〇年代前半までに、どれぐらいの利益を出して、どれぐらいの株式価値を実現しようとされているんでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 これも、先生のお配りいただいた資料、ちょっと数字だけ読み上げてもおわかりにならないと思いますので、これを使わせていただきますと、これは、今おっしゃった昨年の一月十五日に国から認定をいただいた新しい総合特別事業計画でございます。

 ここの下の方に青いところでキャッシュフローというのがございますが、そこから上に四つか五ついったところに経常利益というのがございまして、ずっと横を見ていただきますと、千五百億程度の経常利益を出していきたいということで、これはあくまでもうちの計画でございますので、こうしたことで、何とか今後福島のとにかく私ども責任をしっかり果たしていかなければいけませんし、そのためにもちろんお金も必要ですし、それから、事業価値を上げて株の売却によって除染費用を負担するということもございます。そうしたことでこの計画をつくらせていただいて、国に認定をいただいたというところでございます。

藤野委員 資料を御紹介いただいたので、私も紹介したいんですが、この資料の右下に注書きがあるんですけれども、二〇一四年七月から柏崎刈羽が順次再稼働するということが大前提の計画になっております。二〇一四年七月ということですのでもう過ぎているわけですけれども、結局、今、柏崎は全然動いていないということになります。

 ここで、やはり社長にお聞きしたいんですが、この動いていないというもとで、この計画が金額的にどれぐらいのマイナスの影響を受けているのか、決算前ですので予想という形になるかもしれないんですが、お答えいただければと思います。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 これもまた、先生のお配りいただいた資料を使わせていただいて恐縮でございますけれども、当然のことながら、原子力発電所が動かない場合に収支に与える影響というのは、原子力発電所が動いていれば発電したであろう電気を、ほかの、火力になると思いますが、火力で一体どのぐらいの値段でつくれただろう、その燃料費の差になりますが、その差額で影響を計算するということになりますので、一定の条件を置いてやります。例えばここであれば、左の下の方に百十ドル・バレル、為替百円、これは一年以上前の計画ですが、こうしたことになっております。

 したがって、数字は動いてしまいますが、一般的に、一基当たり一カ月で百億、サイズによっても違いますので、そのぐらいの差が出てまいりますので、年間にしますと、何基動くか、もちろん四月から三月までずっと動き続ける場合もございますし、例えばこの計画では七月から動くというようなことにしてございましたので違いますが、この計画では、当初、最初に、一四年度は左から二つ目ですね、この辺でありますと三千億円ぐらいが年間通して、ここでは四つを順次動かしていくということになっていたと思いますので、そのぐらいの差がございます。

 ただ、一方で、私ども御存じのように相当なコストダウンを今しておりまして、一四年の三月期という一番左のものでは、これは去年の三月の話ですので決算が出ておりまして、結果として、先ほど示した千五百億ぐらいの数字が並ぶものの三つ上に九百九十七億という営業利益がございますが、ここから特別負担金というのを抜いたのが恐らく下の二百七十一に近くなっていくわけですけれども、ここのレベルでいいますと、抜く前で九百五十億ぐらい、それから抜いた後で四百五十億ぐらいの利益を出すことができました。

 それから、今年度、これはもう間もなく決算を発表するので、まだ正確なことは申し上げられないのですが、今年度も、この計画にあるような二千六百七十七億ですか、これに近い数字を今出すべく、ちょうど決算が終わろうとしているところでございます。

藤野委員 今おっしゃったように、動いていないことでかなり大きな、三千億円を超えるような狂いが生じている、それを埋めるためにいろいろやっていらっしゃる、コストダウンということでいろいろ今埋めているということで、結局これでいつまでもつのかということだと思うんですね。先ほど質問もありましたけれども、やはり、もうそろそろもたない時期に来ているんじゃないかというふうに私も思います。

 そこで、やはり再稼働ということがどうしても問題になると思うんですけれども、規制委員会にお聞きしたいんですが、柏崎刈羽の再稼働について、今どこまで審査が進んでいるんでしょうか。

櫻田政府参考人 柏崎刈羽原子力発電所六、七号機の審査の進捗状況ということでお尋ねがあったと思います。

 この発電所の審査につきましては、現在、地震、津波関係とかプラント関係とかいろいろございますが、審査を続けているという状況でございます。実は、本日も先ほどまで基準地震動についての柏崎刈羽六、七号機の審査をやってございました。

 これまでのところ、地震、津波関係では、敷地及び敷地周辺の地下構造でありますとか、地震や地すべりによる津波の評価等について審査してきてございます。また、プラント関係においては、格納容器の圧力逃し装置、これはいわゆるフィルターベントと言われるものでございますけれども、この装置の話とか、外部火災、内部溢水、先ほどお話ございました、内部で水があふれた場合の対策、こういったものについて審査を実施してきているところでございます。

 今の進捗状況ということでいいますとこういうようなことでやってきてございまして、まだ論点は残っておりますし、事業者の対応を踏まえながら厳正に審査を進めてまいりたいと考えているところでございます。

藤野委員 やはり、はっきり言えないんだとは思いますけれども、ことしの秋ごろには終わるというような報道も一部されている状況であります。

 しかし、審査は進んでいくのかもしれませんが、私は北陸信越ブロックの選出なんですけれども、その中に新潟県もありまして、泉田知事のこの間のお話なども聞いておりますと、地元の同意という点では非常に厳しいものがあるというふうに思うんですね。再稼働について、福島の事故の検証が先と、まさにその事故の原因究明を含めて検証が先だということをおっしゃっているわけで、審査とは別に、やはり肝心の地元の同意が得られる見込みがないというのが現状じゃないかというふうに思うんですね。

 ですから、ここで社長にお聞きしたいんですが、もし柏崎刈羽が動かなかったら、今の新・総合特別事業計画、あるいは改定されるものもそうですが、成り立たなくなる、こういう認識でよろしいでしょうか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先ほどのとおり、総合特別事業計画の中では、収支を十年にわたって計算してまいりますので、どこかの段階で発電所を再稼働して、七つございますので、それをどういう形で順次再稼働するのかということを置きませんと収支上の計算ができませんし、実際問題として、先ほど申し上げたような金額が変わってまいりますので、再稼働の有無が大きく収支に影響を与えるのは事実でございます。

藤野委員 大きく収支に影響を与えるということ、そうだと思うんですね。結局、電力システム改革の先導役である東京電力と、その東電の行方というのが柏崎刈羽原発の再稼働に左右される、しかし、それは全然見通せないというわけであります。

 一生懸命、今、改定作業をされているというふうにお聞きしておりますけれども、本当に、そういう意味では、この電力システム改革全体が非常に脆弱といいますか、もろい基盤の上に今立っているのではないかというふうに思うんですね。

 日本の電力の三分の一を占める東電がそういう状況であるということで、法的分離というお話が先ほどもありましたけれども、あたかも国民的には、分離されるのかな、もしかしてリスクも分離されるのかなという思いの人もいるかもしれませんが、結局は一体といいますか、原発に左右されるということで、そういう意味では、これは分離という名に値しないというふうに言わざるを得ないと思うんです。

 だからこそ、これもお話がありましたけれども、全面自由化といいながら、原発を優遇するさまざまな制度を幾つも検討されている。本法案の附則七十四条一項、二項でそれぞれ、検証とその検証を踏まえた必要な措置を講ずるということでありますので、そういう意味では、こうまでしなければビジネスとして成り立たない。全面自由化といいながら、こうまでして東電をいろいろ助けているということで、これはやはりこういう原発というのもきっぱりやめるべきだというふうに思います。

 その上で、これまで述べてきた柏崎刈羽の再稼働というのが、ある意味古いビジネスで東電をもうけさせようということであるとすれば、今のシステム改革あるいは本法案の議論というのは、新しいビジネスでも東電に新たなもうけを得させようという仕組みも入っているというふうに思うんです。

 本法案によって電気、ガス市場が全面自由化されまして、電力で八・一兆円、ガスで二・四兆円、合わせて十兆円を超える市場が生まれます。海外を含めれば、日本再興戦略にも書かれておりますけれども、二〇二〇年に二十六兆円の内外のエネルギー市場が生まれるということで、成長戦略の柱として安倍政権も位置づけられているわけですが、問題は、この市場がいっせいのせで始まるというよりも、はっきり言って、既に電力がかなりのプレゼンスを占めながら、そこでさらにもうけやすくするという側面があるんじゃないかということなんですね。

 前提としてお聞きしたいんですけれども、先ほど包括アライアンスの東京電力と中部電力のお話がありました。これも私は大変重要な動きだというふうに思うんですが、もともと日本のLNGの購入というのは、一番が東電で二九%、二番が中電で一六%、二つ合わせて四五%ということで、三位と四位が東ガスと大ガスということなんですね。ですから、もともとLNGというのは電力会社がトップを占めているということでありますし、そういう上流だけでなくて、下流というか販売ベースでも、既に電力の動きは活発であります。

 配付資料で五番目におつけさせていただいているんですけれども、この間、一応ガスでも自由化が行われてきて、新規の参入者もかなりあるわけです。というか、電力では五%ぐらいしか占めていないのに、ガスでは多いときには一七%、足元では減っていますけれども、参入が進んでいた。その内訳がこの上の円グラフの左の方になります。事業区分。

 これはちょっと潰れて申しわけないですけれども、電気事業者というのが三八%になっております。これは三八%なんですけれども、内訳をちょっとお聞きしたいんですが、この下の関西電力の七十九件というのもあわせてちょっと御答弁いただければと思います。

多田政府参考人 先生お配りのガス事業便覧平成二十六年版、下にございますけれども、このガス導管事業者による大口供給の中で、電気事業者、上の方から数えますと、左にあります三番目、関西電力七十九件、そして二番目に、右の方の上から二つ目にあります東京電力二十六件、そして中部電力二十三件、こうした三社がこの中で占めているということであります。

藤野委員 ありがとうございます。

 今御答弁がありましたように、要は電力事業者というのが大変大きなシェアを占めているということになります。

 実際、関西電力のガス販売量あるいは東京電力のガス販売量というのも、それぞれ九億立方メートルあるいは一億立方メートル、中部電力は三億立方メートルということで、大変大きなものがある。

 要は、こうしたものを、今既に、LNGを初め大きなプレゼンス、地盤を持っているといいますか、新たに何かつくる必要がない。東京電力はLNGの基地を十九も持っておりますし、中電は十個持っているということでありますから、二つ合わせれば相当なものになります。ですから、新たな設備投資なく、まあ若干するのかもしれませんが、市場でもうけることができる。

 今回の法案によって、二千四百万世帯の一般家庭と、あと百二十万の事業所、工場やさまざまな商業施設というのが開放されるということで、結局は、今すぐにでも戦えるプレーヤーにそういう市場を開放してあげるというのが、今回の法案の非常に大きな特徴だというふうに思うんですね。

 具体的な報道もなされておりまして、東京電力は、現状ではガス設備のエンジニア機能を持っていない。いろいろなエンジニアリングですね。他方、中部電力と親密な関係にある大阪ガスは、当たり前ですけれども、これを持っている。だから、中部電力を介して、大ガスが持っているさまざまな機能を東電が使えば、直ちに工場や商業施設で新たなビジネスチャンスがふえるということで、そういう意味では、今回の法案の一つの大きな特徴というのがここにあらわれているというふうに思うんです。

 その上で、廣瀬社長にお聞きしたいんですが、そうやって新しいビジネスを開拓されたりしていろいろもうけるわけですけれども、一方で、新・総合特別事業計画に書いているように、責任と競争、この二つの使命を負っていらっしゃると思うんですが、この二つの使命というのは、どのようにこれから両者を両立させていこうというふうに思っていらっしゃるのか。

 というのは、中部電力さんと新たにJERAをつくられて、大いにもうけようと。今度社長になられる中部電力の垣見氏は、要するに世界で戦えるグローバル企業を目指すんだ、もうかるんだというのが前面に出た会見をされて、それはそうだと思うんです。一方で、同じ日の記者会見で、会長に就任される東電の内藤さんは、利益を上げて福島の復興に使っていくとおっしゃったわけですね。

 かなりニュアンスが違うと思うんですが、この両者のアライアンスと、そして、その中で責任と競争という特別の使命を負っている東電というのが、どのようにそれを両立させていくというふうにお考えになるのか。

廣瀬参考人 お答え申し上げます。

 先ほどからお話に出ております新しい総合特別事業計画において、私どもは責任と競争を両立させていくのだということを本当に最大のミッションというふうに位置づけております。

 要は、責任というのは福島の責任でありまして、これには、損害賠償あるいは廃炉、あるいは福島の復興であるということがございますが、当然、それもかなりのお金がかかるのは事実でございます。したがって、これを我々の中で工面していく必要がございます。かなりの大きな金額でございます。

 一方で、まさにシステム改革がこれから始まって、来年の四月からは全面的に自由化が始まるということですので、これまでのように地域独占という形ではなくて、我々は、お客様に選ばれない限り、どんどん売り上げが落ちてしまう。

 実際に、先ほど先生はガスの例をお出しになりましたけれども、私ども、二〇〇〇年から既に大口の自由化、逐次拡大してきておりますが、その自由化された部門では、東京電力の場合ですが、既に一〇%以上のお客様が東京電力から電気をお買いになっていらっしゃらないという事態がありますので、そういうことでは我々はあの福島の責任を果たしていけないと考えております。

 競争の中でしっかり勝つことと、それから福島の責任を果たしていくということは、一見かなり矛盾するようなことかもしれませんけれども、実際は全く矛盾することはなくて、私どもがしっかり立って責任を果たしていくために、競争にもしっかり打ちかって、打ちかつというか、お客様からしっかり選んでいただくということが必要だというふうに考えております。

藤野委員 矛盾することはないというお話なんですが、やはり矛盾すると思うんですよね。

 事前にお話を聞いて、柏崎刈羽の再稼働というのはどっちに入るんですかと聞いたら、お答えがないんですね。収支だと。それは収支の話であって、しかし、そもそも会社のあり方を左右する柏崎刈羽の位置づけがない。包括アライアンスはちゃんと入っているんですけれどもね。

 ですから、二つの両輪というようなもののうちの一つがうまくはまらないというのは、やはり、責任と競争というものの相反する性格というのをあらわしているというふうに思います。これは、東電にとってもやりにくいだろうし、提携相手である中部電力にとってはなおさらやりにくいんじゃないかなというふうに思うんです。

 結局、全面自由化といいながら、大変重い責任というのを東電に求めざるを得ない、ここにやはり今回の改革の矛盾があらわれていると思います。やはり、この点でも東電のきっぱりした処理が求められているということを強く指摘しておきたいと思います。

 重ねて、ガスシステム改革についてお聞きします。

 先日、当委員会で中根委員の質問に対しまして、ガス業界の皆さんに納得していただいたというふうに宮沢大臣が答弁をされて、ああ、そうなのかというふうに私は思ったんです。

 といいますのは、経産省の総合資源エネルギー調査会ガスシステム改革小委員会で報告書をことしの一月に出されておりまして、私も興味深く読んだんです。これはことし一月なんですけれども、ここには、中心部分であるいわゆる導管網、導管部門の中立性について、まとめというところにあるんですが、結局は両論併記という形になっております。

 なかなか珍しい報告書だなと思って読んだんですけれども、要は、一月のときは両論併記、しかし今ここで法案が出て審議している、宮沢大臣は納得してもらったと。ここにもやはり大きなギャップを感じるんです。

 ちょっと、ここでの納得したというその議論の経過やポイントを御紹介いただければと思うんですが。

宮沢国務大臣 まさに、ガスシステム改革の検討を始めまして、そのプロセスの中で、法的分離などの論点について事業者からいろいろと昨年夏以来、御懸念が示され、さまざまな議論がございました。

 そして、審議会におきましても、二十一回議論いたしましたけれども、六回は法的分離を集中的に議論いたしまして、その段階では、まさにそういう報告書という形でまとまりました。

 その後、政府として法案を提出する作業を行っておりまして、その段階でも、もちろん電力関係の方からも、ガス関係の方からもいろいろな意見交換を丁寧に行いました。

 結局、法制化に当たって、法的分離に必要な準備期間を確保してほしいというような、電力と同じタイミングには少し難しい、したがって準備期間を確保してほしいということや、保安といったことについて政府が必要な施策を推進するというふうなことを法案に明記するというようなことをいたしまして、最終的にガス業界の納得もいただき、また与党である自民党、公明党の御了解もいただいて、提出をしたところでございます。

藤野委員 納得いただいたということですが、やはり、先ほど来の審議にもありますように、大きな不安と懸念が広がっているというのが実態だというふうに思います。

 そもそも、なぜガスについて自由化を急ぐのかという現実的必要性がやはり誰にもわかりにくいというふうに思うんです。電力については、三・一一が起こり、実際に電力の需給が逼迫するということも起こり、国民全体が身をもって実感したわけですけれども、ガスについてはそういう固有の必要性というのが全くよくわからないというもとで今議論が進められている。むしろ、電力に比べれば、先ほども言いましたけれどもガスでは新規参入が進んでいたわけであります。

 ちょっと、前提としてお聞きしたいんですけれども、一七%まで達していたものが足元で一二に下がったんですけれども、この理由というのは何なんでしょうか。

多田政府参考人 ガスの新規参入が下がったということでございますが、幾つかの理由はあるのかと思いますけれども、天然ガスとそれからその他の重油等との燃料転換というのが通常行われるわけでありますけれども、その中で、少し事業者の方が天然ガスから離れるという選択があったのかもしれませんし、もう一つは、競争に負けたガス会社の方がもう一度取り返すといったようなこともあったのかと思われます。

藤野委員 これは、二〇一一年まではある意味右肩上がりでふえていて一七までいきまして、それがその後一二まで五ポイントも急激に下がっております。

 これはやはり震災の影響もあるとは思うんですけれども、一つはやはり、先ほどお示しいただいた、電気事業者の中で東電が大きな割合を占めてきているわけですけれども、三・一一を受けて、東電がそうした新しい分野への、新規事業に、体力を含めて、振り向ける力が弱まってきたということなども影響しているんじゃないかというふうに思うんですね。

 ですから、やはりそこに再びてこ入れするといいますか、東電に改めてちょっとガス市場でもうけさせようというのが今回の法案のもう一つの狙いではないかというふうに思うんです。

 結局、先ほど福島委員からも指摘がありましたけれども、いろいろな、いわゆるJAPEXとかINPEXとか、なぜ除いたのかということも含めて、ガスについては本当に理由がよくわからないことがたくさんあるということで、結局は、総合エネルギー市場ですか、自由化で生まれるこの市場で既存の電気事業者にさらなるもうけの場所を与えるということが一番大きな狙いなんじゃないかというふうに言わざるを得ないというふうに思います。

 もう終わりますけれども、冒頭言いましたけれども、事実上破綻している東電のあり方が、先導役として電力システム改革を左右するというのは、こんなおかしな話はないわけで、国民のための電力システム改革を行うためにも、東電の破綻処理を強く求めて、質問を終わります。

多田政府参考人 申しわけございません。先ほどの答弁の修正をさせていただきたいと思います。

 一七%から一二%に落ちたのは、発電所に供給していたものが子会社になったということで、今回の対象になる大口供給のカウントから外れたというのが大きな原因でございまして、東京電力の姿勢とは関係のないものでございました。修正させていただきます。

江田委員長 次回は、来る二十八日火曜日午前八時四十五分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.