衆議院

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第13号 平成27年5月13日(水曜日)

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平成二十七年五月十三日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 江田 康幸君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 鈴木 淳司君

   理事 田中 良生君 理事 三原 朝彦君

   理事 八木 哲也君 理事 中根 康浩君

   理事 鈴木 義弘君 理事 富田 茂之君

      青山 周平君    穴見 陽一君

      安藤  裕君    井上 貴博君

      石川 昭政君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神山 佐市君

      黄川田仁志君    熊田 裕通君

      佐々木 紀君    塩谷  立君

      白石  徹君    関  芳弘君

      武村 展英君    津島  淳君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      福田 達夫君    細田 健一君

      宮崎 政久君    若宮 健嗣君

      奥野総一郎君    神山 洋介君

      近藤 洋介君    篠原  孝君

      田嶋  要君    馬淵 澄夫君

      渡辺  周君    足立 康史君

      今井 雅人君    落合 貴之君

      國重  徹君    藤野 保史君

      真島 省三君    野間  健君

    …………………………………

   経済産業大臣       宮沢 洋一君

   経済産業副大臣      山際大志郎君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   復興大臣政務官      小泉進次郎君

   経済産業大臣政務官    関  芳弘君

   環境大臣政務官      福山  守君

   政府参考人

   (内閣法制局第四部長)  高橋 康文君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 田口  康君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 石井 淳子君

   政府参考人

   (農林水産省大臣官房審議官)           長谷部正道君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通保安審議官)     寺澤 達也君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          片瀬 裕文君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 上田 隆之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        住田 孝之君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   鎌形 浩史君

   経済産業委員会専門員   乾  敏一君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十三日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     青山 周平君

  細田 健一君     熊田 裕通君

  若宮 健嗣君     安藤  裕君

  神山 洋介君     奥野総一郎君

  篠原  孝君     馬淵 澄夫君

  落合 貴之君     足立 康史君

  木下 智彦君     今井 雅人君

同日

 辞任         補欠選任

  青山 周平君     津島  淳君

  安藤  裕君     若宮 健嗣君

  熊田 裕通君     細田 健一君

  奥野総一郎君     神山 洋介君

  馬淵 澄夫君     篠原  孝君

  足立 康史君     落合 貴之君

  今井 雅人君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  津島  淳君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 電気事業法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第二九号)


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     ――――◇―――――

江田委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、電気事業法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣法制局第四部長高橋康文君、内閣府大臣官房審議官田口康君、厚生労働省政策統括官石井淳子君、農林水産省大臣官房審議官長谷部正道君、経済産業省大臣官房商務流通保安審議官寺澤達也君、経済産業省産業技術環境局長片瀬裕文君、資源エネルギー庁長官上田隆之君、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長木村陽一君、資源エネルギー庁資源・燃料部長住田孝之君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長鎌形浩史君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

江田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

江田委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。安藤裕君。

安藤委員 おはようございます。自民党の安藤裕でございます。

 本日は、経済産業委員会で初めての質問をさせていただきます。委員長初め理事の皆様方の御配慮に心から感謝を申し上げたいと思います。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 まず、今までの電力事業は、総括原価方式、そして地域独占の形で行われてまいりました。電力事業という特殊な性質を持ち、なおかつインフラ中のインフラと言われる事業を安定的に発展させていくためには、必要な事業形態だったんだろうと思います。特に、電力事業はファイナンスであるということも言われるように、巨額の設備投資を伴う電力事業に安定した資金調達をするためには、投資回収保証と、それから安定配当を約束された総括原価方式、これは必要な事業形態であると言うことができると思います。

 もちろん、安易な原価の上乗せや無駄遣いには厳しい監視の目を光らせる必要があるとは思いますけれども、これからも総括原価方式が必要であるということは、経済産業省としても、送配電会社にこれを残すということですから、これが必要な形態であると御判断をなさっているんだろうというふうに思います。

 しかし、これからは発電事業者に対しては総括原価方式が適用されないことになります。特に、大規模な発電所を建設するには、投資金額も、それからまた十年単位のある程度の時間も必要になってくるだろうと思います。これから総括原価方式が適用されない、そうすると、せっかく発電所の立地計画があっても、想定以上にコストや時間がかかってしまうリスク、途中でプロジェクトが破綻をするリスク、発電所稼働後に競争に敗れて倒産をしていくリスクなども考えられるようになります。

 そうすると、そのようなリスクのあるものに対して資金提供をする金融機関が果たしてあらわれるのか。かなりリスクのある融資という判断になり、金利面でも相当厳しい条件になるのではないか。そのコストは消費者にはね返り、電気料金の上昇という形で転嫁をされていくのではないかというふうなことも思います。このような事業環境の中で、適切かつ必要な発電所の投資が今後行われなくなるのではないかという懸念が私には拭い切れないわけです。

 さらに、発電所の投資が不足する場合には公募により発電事業者を募るということを言われているわけですけれども、この場合、総括原価方式の中で投資回収保証をしなくてはならないのではないかというふうに思いますけれども、こういった懸念について、今、経産省のお考えをお伺いしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、私ども、今回の電力システム改革の中では、発電部門、小売の自由化を図りつつ、送配電部門については総括原価主義を残して安定供給に万全を期す、こういった考え方をとらせていただいております。

 そうした中で、今御指摘の発電所建設が今後大丈夫なのか、こういったことでございますが、私ども、電力自由化のもとでは、さまざまな事業者が電力需給の状況でございますとかあるいは価格の見通し、こうしたことを踏まえまして、経営判断として発電所の建設を進めていくことが基本になるだろう、このように考えてございます。

 実際、今、周りを見渡してみますと、私どもが、競争的な市場を目指す、こういった方針を改革プログラムの中で示したことを受けまして、製鉄会社でございますとかあるいは商社、こういったところでさまざまな発電所建設が進んでいるというのは御案内のとおりでございます。実際、小規模なものと数十万レベルのものだけではなくて、百万キロワットを超えるような大規模な発電所といったものの建設計画も進んでいるところでございます。

 ただ、おっしゃるように、電力というものはインフラ中のインフラということで、財の必需性あるいは特殊性といったことは大変重要でございまして、全てを市場に任せるわけではございませんで、安定供給の観点からもさまざまな方策を講じることにしております。

 昨年成立していただきました改正電気事業法第二弾におきましては、小売電気事業者に対しまして、空売り規制という形で、供給力の確保をしなさい、こういった義務づけを課してございまして、これに基づきまして、小売電気事業者は、小売供給をしようとすればその必要な電気を確保しなければならないということで、小売電気事業者側の要請に応じて発電事業者側が発電所を建設していく、こういった仕組みとなっているわけでございます。

 先生御指摘のとおり、広域的運営推進機関が、将来にわたりまして発電所が不足するといったようなことが見込まれる事態におきましては、あくまでセーフティーネットとしてでございますけれども、発電所の建設者の募集を行う、こういったことを仕組みとしてつくっておりまして、最終的には必ず発電所が建設される仕組みとなると考えております。

 いずれにいたしましても、私どもの電力システム改革の目的の一つが安定供給の確保でございまして、私どもがこのシステム改革を進める中で、安定供給が損なわれるといったことにならないように万全を期してまいりたいと思っております。

安藤委員 ありがとうございます。

 これからも必要な投資が確実に行われるような、そのことは必ず監視をしていっていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。

 現在、原子力発電、それから核燃料サイクルやそのバックエンドについても、今は総括原価方式の中で資金の調達が保証されているわけですけれども、これからエネルギーミックスを考えていく中でも、原発はある程度動かすということが今のところ想定をされているわけですね。それからまた、現在ある核燃料の最終処分を考える上においても、今後も原子力にかかわるいろいろな面での資金調達は、回収保証をある程度していく必要があるんだろうと思いますけれども、そのことについての今のお考えをお伺いしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の点でございますが、エネルギー基本計画、昨年四月に閣議決定したものでございますが、その中でも記載がございまして、電力システム改革によって競争が進展し、同時に、総括原価方式、先ほどの点でございますが、これが撤廃された環境下におきましても、原子力事業者が円滑な廃炉、あるいは安全対策、さらには安定供給などの課題に対応できるよう事業環境のあり方について検討する、こういった政府の方針を定めているところでございます。

 これを受けまして、私ども資源エネルギー庁におきましては、審議会を動かしまして、昨年末、中間的な整理というものを行わせていただきました。その中では、今先生御指摘のバックエンドの点につきましても指摘がございまして、そこを含めました原子力事業の予見性を高め、民間事業者がリスクがある中でも主体的に事業を行っていくことができるよう、必要な政策措置を講ずることが必要、このようにされているわけでございます。これを受けまして、ことしの三月には、事業者が円滑な廃炉判断というものができるように会計関連制度の整備を行ったところでございます。

 そのほか、バックエンドのところにつきましても、資金拠出の方法のあり方でありますとか、中長期的な視点から官民の役割分担のあり方を検討する、こういった課題が指摘されているところでございまして、私ども、必要に応じまして具体的な政策措置について検討を進めてまいりたいと思っております。

安藤委員 ありがとうございます。

 核燃料の最終処分というものは、これはまだどこの国もなし遂げていないわけでございますので、これに対する研究投資というものを確実に行って、そしてこれをリードしていくというのは、日本が世界に対しても大変に貢献ができる分野だと思いますので、必ずこれについての確実な開発がこれからもできるような、そういった投資環境は整えていただきたいというふうに思います。

 次の質問に移ります。次は、非常時の備えについてお伺いをしたいと思います。

 東日本大震災のときにも、東北電力あるいは東京電力の管内では驚異的なスピードで復旧が行われました。これは世界でもトップレベルの復旧のスピードであったというふうに思います。電力会社及び関係会社、協力会社の現場の皆様方の努力には心から敬意を表したいと思います。

 あれだけ発電設備及び送電設備に甚大な損傷を受けながら、極めて短期間に復旧をなし遂げていくためには、災害時に対応ができる十分な余剰設備、これは平常時には遊休資産と言ってもいいかもしれません。それからまた、人員の配置、そして、極めて緊密な発電事業者と送電事業者の連携、連絡が必要になってくると思います。

 今までであれば、一つの会社で行われていましたから、責任の所在も明確になり、また、非常時の備えも行いやすく、総括原価方式の中でコストの回収も保証され、そしてまた、発電と送電間の連携も容易であったと思います。

 しかし、これを分離すると、これが極めて難しくなるのではないか。これから非常時の復旧責任はどこが担うことになるのか。そしてまた、非常時に備えるための設備投資、さらには人員の配置は誰が責任を持って行うのか、その資金はどのように調達をされるのか。また、原発が今停止をしている中で、首都圏の発電所は相当程度東京湾に集中をしているわけですけれども、もし今、首都直下型地震みたいなことが起きたら、これらの発電設備も大きな影響を受けるということが予想されます。

 これから、首都直下型地震や、またあるいは南海トラフ地震などが起きる、そういった大規模な災害も想定される中で、発電所の立地をある程度分散させていくということも喫緊の課題であると私は思います。

 過去の歴史をひもといてみても、大きな規模の地震がある程度連続をして起きるということが指摘もされているわけです。これは決しておろそかにしてはならないですし、目をつぶってはならない事態だと思っております。

 そして、発電所の立地の分散についても、自由化をすればおのずと分散をされるというものでもないですから、誰かが発電所の立地計画をつくって、それが確実に実施をされるように責任を持っていかなくてはいけないと思います。

 こういったことについての立案や責任の所在はどこにあるのか、お答えをいただきたいと思います。

関大臣政務官 安藤委員が今質問いただいた点、非常に大事な点で、四年前のあの東日本大震災の経験等も踏まえながら、本当にそういう点についてきちんとした体制をとっておかないといけないというのは、大事なポイントだと思います。

 まず、今も委員からありましたように、今回の電気の供給については、スピードが非常に速く、うまいことできたなというところがあるんですが、送配電のところと発電事業者、今後、法的分離を行った後におきましても、そういうところの連携は非常に重要だと思います。

 情報共有も含めて、ことし四月に発足をいたしました広域的運営推進機関、そこが事業者が協力しながら対処していく仕組みを整備していこうということになっております。

 具体的に申し上げますと、広域的運営推進機関の業務規程におきまして、一つ目には、会員であります電気事業者は、維持、運用する電気工作物に加えまして、電源車、携帯用発電機、それから資機材等の保有状況を同機関に提出していこうということが一つ言えます。また、二つ目には、同機関は、年一回以上、会員及び関係者の協力を得まして訓練をやっていこうと。この訓練は非常に大事だと思います。そして、三つ目には、この機関におきまして、災害発生時等の緊急時に、その災害規模に応じた非常体制を構築しておこう、こういうふうな具体的な案を進めていこうとしております。

 また、加えまして、今後、法的分離の実施に向けまして、災害時等における一般送配電事業者と発電、小売事業者との間の協調に関するルールを追加していこうということでございます。

 また、法的分離が行われた後、災害時にコールセンターにおきまして、今でもコールセンターにはいろいろかかってくるわけですけれども、小売部門担当者も送配電部門の緊急時対応を即座に応援できるよう、両部門が一定の連携をしていこうということが今確認されているわけでございます。

 そして、今委員御指摘の、安定供給を確保するための予備力、調整力等もやはり準備が必要だ、そのとおりでございます。これは、送配電部門であります一般送配電事業者に対しまして、これらの確保を含めました安定供給義務、その点を含めて規制料金というのが考えられるわけなんですが、それを課していこうということがございます。また、発電事業所が分散しておること、いわゆるリスクが集中していてはいけないというリスク分散の観点を、これからの重要な項目として我々は取り組んでまいりたいと思います。

安藤委員 ありがとうございます。

 ぜひとも、非常時の備えというものは万全の体制を期していただきたいというふうに思います。

 次の質問です。

 エネルギーミックスが今策定をされているわけですけれども、これも自由化の中では自然に達成されるものではありません。エネルギーミックスを達成させていくためにどのような方策をお考えか。そして、あわせて、エネルギーミックスの中にも原子力発電が一定割合入っているわけですが、原子力の賠償責任法の無過失無限責任について見直しが必要だというふうに思いますが、その二点についてお答えをお願いしたいと思います。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、現在、私ども、エネルギーミックスというものを総合資源エネルギー調査会の場を中心に検討しております。つい先般、エネルギーミックスに関します骨子というものを審議会の方にお出しさせていただきまして、御一任、御了承をいただいたところでございまして、今後、その骨子に基づいてさらに詳細を詰めていく、こういう段階であるわけでございます。

 このエネルギーミックスを取りまとめた後でございますけれども、委員御指摘のとおり、私ども、エネルギーミックスの実現ということが非常に重要な課題であると考えておりまして、単に市場に任せるということだけではなくて、省エネ、再エネ、原子力、それぞれの政策分野に応じまして、制度の必要な見直し、あるいは予算、税、いろいろ幅広い政策手段を活用しながら、その実現に向けて最大限努力をしていく必要があると考えているわけでございます。

 技術開発もあれば、あるいは固定価格買い取り制度といった制度の運用もあります。あるいは省エネ法を初めとするさまざまな制度の活用等々もございますので、こういった政策手段を総動員しながら、エネルギーミックスの実現に向けて努力をしていく必要があると考えております。

 それから、原子力損害賠償制度につきましてもお尋ねがございましたけれども、原子力発電の事業者の事業予見可能性ということが非常に重要でございまして、国の責任のあり方につきましては、原子力損害賠償支援機構法の附則におきましても、検討する必要があるとうたわれているところでございます。

 今後、原子力損害賠償制度の見直しといったことにつきましては、事業者と国の責任分担のあり方を含めまして、原子力委員会のもとに有識者から成る専門部会を設置するということにしておりまして、今月からその専門部会におきまして検討が進められる方向であると承知をしておるところでございます。

安藤委員 ありがとうございます。よろしくお願いをしたいと思います。

 次の質問に移ります。次は、外資参入規制についてお伺いをしたいと思います。

 電気はインフラ中のインフラと言われております。もはや電気のない生活というのは日本人には考えられませんし、電気がとまってしまうと、経済活動はもとより、日常生活や病院などの福祉施設にも多大な影響を与えることになります。絶対に買わなくてはならない、そしてとめてはならないのが電気です。この電気を供給するための膨大なインフラが送配電設備であり、発電設備であるわけです。

 そして、これら国民生活に直結をする資産について、ある程度外資参入規制をあらかじめしておくということは、国民生活を守る安全保障の観点からもとても重要なことだと思います。送配電設備とそれから原子力発電についてはある程度外資参入規制をすべきという視点もあるようですけれども、私は、送配電設備とあわせて、原発に限らず主要な発電所については、あらかじめ外資参入規制をしておくべきではないかということを考えております。

 送配電設備や原子力発電所を外資から守っていても、今原発が稼働していない中で、それ以外の発電所を外資が持っているということは、日本の富が海外に流出をするとともに、日本の電力事情が外国人の手でコントロールされるということになってまいります。そのことについての今の経産省のお考えをお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 委員御承知のとおり、電気事業法においては外資規制は行っておりません。ただ一方で、従来から外為法の規制がございまして、上場企業の株式、上場企業の場合は一〇%以上を取得する場合、また非上場の場合は全てでありますけれども、その場合には国が個別に審査するということになっております。

 個別に審査する、今後起こった場合でありますけれども、一般論で申し上げて、今おっしゃったような原子力事業者とか送配電事業者については、相当慎重に対応する必要があろうかと思います。ただ、それ以外の主要な事業者ということになりますと、それは個別に判断をしていかなければいけないと思っております。

 現実にも、平成二十年でありますけれども、電源開発株式会社、これは西と東を結ぶ重要な送電網を持ち、また北海道と本州を結ぶ送電網を持つというような重要な会社でありまして、これに対して、海外の投資ファンドから二〇%の株式を取得したい、こういう届け出がございまして、これにつきましては中止命令を出したところでございます。

安藤委員 ありがとうございます。

 時間が来ましたので質疑を終了したいと思いますけれども、いずれにいたしましても、電力というものは、先人たちが不断の努力で今の日本の安定した電力システムをつくってくれていると思います。

 これから本当に大規模な改革に入っていくわけですけれども、検証期間の中で、これからも日本の電力が安定供給できるような、先人たちに恥じないようなシステム開発をしていただきますように心からお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、武村展英君。

武村委員 おはようございます。自由民主党の武村展英です。

 本日は、前回の参考人質疑の議論を踏まえまして、ガス事業について御質問をさせていただきます。

 前回の参考人質疑におきましては、ガス事業の小売部門と導管部門の法的分離につきまして、複数の委員の方々から保安面での懸念が表明されました。こうした保安面での懸念を払拭しない限りは、この法的分離を認めることはできないというふうに考えます。

 そこで、まず、大手ガス会社での保安業務の現状についてお伺いをいたします。

 現在、大手都市ガス会社におきましては、同じ会社の中で導管部門と小売部門が分かれておりますが、部門間でどのような情報共有、連携が行われているのか。また、保安業務を子会社や協力会社に委託をしているケースも多い現状ですが、その際、保安業務が確実に行われていることを国としてどのようにチェック、確認しているのか。できるだけ具体的に、体制整備だけではなくて、運用面も含めましてお伺いをいたします。

寺澤政府参考人 お答えします。

 委員御指摘のとおり、大手ガス事業者においては、導管部門と小売部門が分かれているということが一般的でございます。その分かれた部門同士で情報共有とか連携が行われています。

 一つ例を申し上げますと、例えばガスが遮断すると工場の操業に大きな影響が生ずるような需要家、ユーザーにつきましては、設置されているガス機器の情報を、それを知った小売部門があらかじめ導管部門と共有するというようなことが行われています。

 また、保安業務の委託については、ガス管の工事、修理、漏えい検査、ガスメーターの交換、あるいは消費機器の調査等、さまざまな業務について広範にガス事業者から子会社あるいは協力会社に対して業務委託が行われている、これは先生も御指摘のとおりでございます。

 なお、外部委託を行った場合でも、ガス事業者の保安責任は引き続きガス事業者が負うということになります。

 では、国としてそれをどうチェックするかという御質問でございました。

 国としては、まず、立入検査とかを通じて、委託先の企業がしっかり点検をやっているかどうか、その記録を国がチェックします。また、ガス事業者の責任者がそうした委託先の作業記録をしっかりと確認しているかどうか、それをさらに国がチェックします。こういうふうな立入検査等を通じた国のチェックによって、委員御指摘のように、ガス事業者が委託先の管理も含めてガス保安業務をしっかりと実行しているということを確認しております。

武村委員 ありがとうございます。

 現状、国としてもしっかりチェックを行っているということでした。

 次に、小売全面自由化後の保安体制についてお伺いをいたします。

 私は、法的分離のときよりもむしろ小売を自由化したときの方が、保安面での情報共有や連携が特に重要であるというふうに考えます。法的分離の際は、法人格は異なりますけれども同じグループ会社の中での情報共有ということになりますけれども、小売全面自由化後は、導管を保有する都市ガス会社と全く資本関係のない新規の小売事業者の間で保安面での連携協力が必要となってくるわけです。

 そこで、国として、こうした連携をどのように担保していくのか。こちらにつきましても、できるだけ具体的に、体制整備だけではなくて運用面も含めてお伺いをいたします。

寺澤政府参考人 お答えします。

 ガス導管事業者とガス小売事業者は、保安について、それぞれ役割を担っております。まずはその役割をそれぞれ責任を持ってしっかり果たしてもらうこと、これが基本でございます。

 その上で、委員御指摘のとおり、保安については両者が連携協力する、これが必要不可欠でございます。こうした観点から、今回の改正法案におきましては、全てのガス事業者について、保安については連携協力するということをしっかりと義務づけしております。

 また、今後、審議会において、ガス導管事業者とガス小売事業者の間の役割分担や連携協力のあり方について、それを示すガイドラインについて検討を行っていきます。その後、そうしたガイドラインに沿って託送契約の約款あるいは保安業務規程がしっかりと策定されているかどうか、それを国としても約款の審査等を通じて確認します。その後さらに、そうした約款等に基づいて協力とか連携が実際に実行されているかどうか、これも立入検査等を通じて確認をしてまいります。

 このように何重もの確認を通じて、連携協力がしっかりと実行されるということを担保していきたいと考えている次第でございます。

武村委員 ありがとうございました。

 連携協力が約款や規程に記載をされていることを確かめる、それだけではなくて、立入検査を通じてその運用についても確かめていくということでした。

 そうしましたら、小売全面自由化後、その次は法的分離の際の保安体制についてお伺いをいたします。

 こちらにつきましても、ガス導管事業者とガス小売事業者間の連携協力のあり方につきまして、国としてどのように担保していくのか、お伺いをいたします。

寺澤政府参考人 お答えします。

 法的分離後は、分離の対象になるガス事業者については、委員御案内のとおり、ガス事業者の導管部門と小売部門は別会社となり、それぞれガス導管事業者、ガス小売事業者として事業を遂行し、それぞれが保安業務を担うことになります。

 委員御指摘のとおり、こういうふうに別会社化された後も、保安についてもこの導管事業者と小売事業者が連携協力するということは不可欠でございます。

 この点については先ほど答弁したとおりでございますけれども、今後、審議会において、導管事業者と小売事業者の間の役割分担とか連携協力のあり方について詳細な検討を進めてまいりますが、その連携協力の中身については、このように別会社化されたガス導管事業者、ガス小売事業者についても同じように適用されることとなります。

武村委員 ありがとうございました。

 それでは、山際副大臣にお伺いをしたいというふうに思います。

 これまでの御議論をお聞きいただきましたけれども、改めて、ガスシステム改革を推進するに当たりましては保安の確保が大前提だというふうに考えますが、御見解をお伺いいたします。

山際副大臣 これは全くそのとおりでございまして、やはり安全を確保していくというのは全ての改革の前提になっているというのはおっしゃるとおりでございます。

 ただ一方で、どうしても既存のガス会社が、これまで持ってきた経験やあるいは今持っている資産を利活用して優位な立場に立つのではないかという心配もあるわけですね。

 そういうことから、平等なルールというものをきちんと確保して、その中で適正な競争が行われるようにしていく。安全を前提にして適正な競争が起こるようにするというのが改革の肝でございまして、そうなるように国としてしっかり進めていきたいと思います。

武村委員 ありがとうございました。

 参考人質疑の中では法的分離の際に保安を懸念する声が多かったですが、繰り返しになりますけれども、私は、小売全面自由化後、こちらの場合は資本関係が全く異なる会社が入ってくる可能性があるわけですから、こちらの保安体制ということの方がしっかりチェックをしていく必要があるのではないかというふうに考えますので、このあたりの国としてのチェック、そして運用をよろしくお願いいたします。

 それでは、話題をかえまして、導管部門の法的分離について。

 前回の参考人質疑の中で委員から出た質問にINPEXやJAPEXというお話が出ました。国内にガス油田を持っていて、それを高圧導管を使って近隣のガス会社や工場などの大口需要家にガスを供給する事業者、こうした例を挙げて質疑がなされました。

 こうした事業者は公益性が高いので法的分離の対象とすべきではないか、こうした意見が出されましたが、この点につきましては、例えば、INPEXやJAPEX以外にも、西部ガスや仙台市営ガス、こうした事業者も沿岸にLNG基地を持っていて、それを高圧導管を使って、事業者だけではなくて、小口の需要者に対しても広くガスを供給しているということで、INPEXやJAPEXだけではなくて、西部ガスや仙台市営ガス、こうしたところも公益性が高いというふうに思いますが、こうした公益性が高いものも含めて、法的分離の対象となる事業者の基準についての考え方をお伺いしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 導管部門の法的分離の対象基準についての御質問でございます。

 私ども、導管部門につきましては、一般ガス導管事業者、それから特定ガス導管事業者、この特定ガス導管事業者というのは、今御例示ありましたINPEXあるいはJAPEXといった会社が対象となるものでございますが、これらにつきまして、ひとしく中立性が求められるというふうに考えてございます。

 したがいまして、私ども今御提案させていただいております法文の中では、いずれも法的分離の対象となり得る法制とはいたしております。そのいずれの場合も対象基準につきましては同じであるというふうに考えております。

 対象基準は、総体としてのガス導管の規模を勘案して定めるということを考えているところでございます。導管の総延長が長い事業者につきましては、その事業者の規模自体も大きくなりますし、また導管網を通じてのガスの供給量、さらには供給を受ける需要家の数、こういったところも多くなるものと考えられます。ただ、ガスの供給量でございますとか需要家の数といったものにつきましては、これは年々変動するものでございまして、私どもといたしまして、より客観的かつ安定的な判断が可能な導管の総延長というものを判断基準とした、このように考えているわけでございます。

 具体的な導管の規模につきましては、高圧管から低圧管まで含めまして導管の総延長の全国のシェアが一割以上、こういったものを考えているわけでございます。この基準に該当するのが、現時点で、東京、大阪、東邦の都市ガス大手三社となるわけでございます。

 これら三社の導管網は、全国のガス小売供給量の六割超を担うわけでございます。また、他の事業者が保有するものも含めまして大規模なLNG基地が複数接続している状況にもございます。さらに、その供給区域を見ますと、これまでに既に自由化をしております大口分野の新規参入の実績も、これら三社の区域に集中しているところでございます。

 したがいまして、私どもといたしましては、今回、導管部門の中立化を考えるに当たりまして、この三社が他と比べても著しく中立化に対する要請が高い、こういうふうに考えてございまして、この基準は妥当であると考えております。

 御指摘のありましたINPEX、JAPEXでございますけれども、先ほど申し上げましたように特定ガス導管事業者に該当いたしますけれども、低圧管を持っておりません。したがいまして、導管総延長という形で判断をいたしますと、先ほどの全国シェア一割以上という基準には該当をしないわけでございます。先ほど御指摘もございましたが、西部ガスあるいは仙台市営といったところも同様でございます。

 私ども、こうした中で、あえて特定ガス導管事業者につきまして、一般ガス導管事業者とは異なる基準というものを設定して法的分離の範囲を拡大していくということにつきましては、特定ガス導管事業者、これは地域独占が認められた事業者ではございません。こうしたことも考慮いたしますと、バランスを欠くのではないか、適当ではないのではないかというふうに考えているところでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 特定ガス導管事業者も一般ガス導管事業者も同じ基準で判断をしていくということでした。そしてまた、法的分離ということになりますと、規模が小さい企業についてはやはり負担も大きいと思いますので、そうした基準で判断されるというのは納得をいたしました。

 次の質問に移りますが、これはそもそもの話になると思うんです。法的分離の前にそもそもの事業規制のあり方がどうかという方が問題になるというふうに思うんです。

 先ほど公益性ということをお話しいたしました。高圧導管を持っている、そしてまた高圧導管を使って、INPEXやJAPEXは国内にガス油田があって、それを大口の需要家を中心にお届けする。西部ガスや仙台市営ガスは、LNG基地を持っていて、そのガスを高圧導管を使って最終消費者に供給する。そういう意味では、同じように公益性が高い事業者であるというふうに思います。

 その一方で、一般ガス導管事業者である西部ガスや仙台市営ガスは、事業は許可制、料金は認可制というふうになっていますが、INPEXやJAPEXは、事業も料金も特定ガス導管事業者ということで、届け出制になっています。

 両者で規制体系がこのように違っているのはそもそも何でかということをお聞きいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 特定ガス導管事業、これはINPEX、JAPEXが該当するものでございますが、こちらにつきましては、みずからが維持、運用する導管を用いまして、特定の供給地点というところで託送供給を行う事業でございます。現行法でいいますと、ガス導管事業という形で、今の一般ガス事業とは違う分類がされているものでございます。実態といたしまして、地方ガス会社への卸供給、あるいは工場などの大口需要家に対する高圧、中圧の導管での供給、こうしたものをやっているわけでございます。

 こうした現行法でいうガス導管事業でございますが、これは、一般ガス事業が地域独占といったものを認められているのに対しまして、現在、ガス導管事業につきましては、ガス事業法に基づく地域独占の付与はございませんで、二重投資の回避とか、あるいは過剰投資の防止といったようなことはございません。また、投資回収の保証がない中で自由に営まれてきた、こういった側面もあるわけでございます。

 したがいまして、現行の制度の中では、ガス導管事業、今後特定ガス導管事業になるものにつきましては、託送料金について変更命令つきの届け出制としているわけでございます。ただ、単に届け出をすればいいというわけではございませんで、届け出られました託送供給約款が需要家の利益を著しく阻害するようなものである場合には経済産業大臣がその旨変更を命ずることができる仕組みもあわせて設けているところでございます。

 今回の改正におきましても、私どもといたしまして、こうした規制体系を踏襲いたしまして、一般ガス導管事業と特定ガス導管事業を区別いたしまして、特定ガス導管事業につきましては従来どおりの規制、つまり、事業、料金とも届け出制、こういうふうな仕組みで考えているところでございます。

武村委員 ありがとうございました。

 これで質問を終わります。

江田委員長 次に、國重徹君。

國重委員 おはようございます。公明党の國重徹でございます。

 きょうは、まず、昨年十月の経済産業委員会でも述べさせていただきました、日韓のLNGの共同調達に関してお伺いしたいと思います。

 福島第一原発事故の発生以降、我が国では、火力発電とりわけLNG火力発電の稼働力が非常に高まっております。

 ただ、LNGの購入について、我が国は、アメリカに比べて四倍から五倍の単価での購入を強いられております。LNGの輸入量で見れば、日本は世界一位、韓国は世界二位、日韓両国を合わせたLNGの輸入量は世界のLNG貿易量の半分以上を占めております。

 昨年九月二十四日、東京ガスと韓国ガス公社であるKOGASが、LNGの共同調達などに向けた協定を締結しました。今後、日韓両国がLNGの共同調達をより一層進めることによってスケールメリットを背景にした交渉力を強化していくこと、これが安定的で低廉な燃料の調達にとって重要なポイントの一つになるんじゃないか。このことを昨年の経済産業委員会の中で触れさせていただきました。

 これについて、宮沢大臣は、LNG共同調達に向けた日韓両国の協力の取り組みについて、すばらしい動きがあるんだなと思ったのが率直な印象だったとおっしゃったとともに、「やはり安定的な資源をどうやって安価に我々が輸入して、そして、日本経済のために、翻っては国民のためにそういうことをやっていくということは本当に大事なことで、ぜひともこういうものを、日韓ガス対話というようなことは既にやっておりますけれども、我々としても応援していかなければいけないなと思っております。」と述べられました。

 そこで、大臣にお伺いいたします。

 今回のガスシステム改革によって、日韓のLNG共同調達を促進する効果が期待できるのか、どのような影響を及ぼすとお考えか。政府としても応援していかなければいけないなとおっしゃいましたので、何か政府として取り組んできたことや、これから取り組もうと考えていることがあれば、それも含めてお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 おっしゃるように、LNGは我が国にとって大変重要なエネルギー源であります。一方で、アメリカとかヨーロッパはまさにガスそのもの、生のガスを使っておりますけれども、日本の場合は、まさに地理的な制約で、液化してから持ってこなければいけないということで、大変高いものについている上に、LNGの価格自体が、国際的に見て、やはりかなり高いレベルで高どまりしているというような問題。

 さらに、その原因の一つでもありますけれども、仕向け地条項というのがありまして、ともかく一カ所でしかおろせない、何カ所も回っておろすことが許されていないというような、いろいろな制約がある中で、これからLNGの消費というものを拡大していかなければいけないわけであります。

 そういう中で、まさにLNGの最大の購入国である日本、また二番目の韓国が協力していくということは大変大事なことであります。また、我が国の中でも、例えば、東京電力と中部電力が先日新しい会社をつくりまして、共同購入をして、いわゆるバイイングパワーを高めていくということをやることは、国内においても、また日韓の間においても、大変大事なことだと考えております。

 今委員御指摘になりましたように、昨年十月、両政府による第四回日韓ガス対話を行いました。また、東京ガスとKOGASの戦略的協力への合意など、官民双方でいろいろな動きがございます。また、先ほど申し上げたようなLNGをめぐる状況の中で、日本が呼びかけましてLNG産消会議というものを開いておりますが、昨年十一月に第三回を開きまして、韓国政府も招待をいたしまして、局長級の方に来ていただいて講演をいただくとともに、事務ハイレベルによるバイ会談も実施をいたしました。

 そういう状況の中で、今回のエネルギー改革によりまして、当然のことながら、電力、ガスの相互参入とか異業種からの新規参入が進んでくる、競争状態がもっと出てくるという状況の中では、各事業者が安価なLNGをどう購入するかということも大変大事なことでありまして、そこで大きな競争が恐らく出てくると思っておりまして、そういうような競争状態が出てきて皆さんがある意味では安価なLNGの購入に努力をする。そして、それを日韓の政府であり日本の政府でありというものがしっかり応援していく体制といったものを構築していかなければいけない、こういうふうに考えております。

國重委員 ぜひ、よろしくお願いいたします。ありがとうございました。

 続きまして、ネガワット取引の推進に関してお伺いをいたします。

 第二段階の改正電気事業法二条一項七号には、発電量調整供給について規定されております。

 この発電量調整供給とは、発電事業者が一般送配電事業者の運営する電力系統を通じて消費者に電力を供給する際に、何らかの事情で発電計画に定めた約定量に満たなかった場合、例えば、一〇〇の約定量に対し八〇しか発電できなかった場合、系統運用者である一般送配電事業者が不足分の二〇をみずから補填して需要家のもとに届ける制度をいいます。これが発電量調整供給でございます。

 他方、ネガワット取引とは、消費者が電気事業者側と電力の需要削減の量を売買する取引、例えば、一〇〇の電力量の使用予定に対して八〇しか使用しなかった場合の削減分の二〇に相当するものを売買する取引のことをいいます。これによって、節電志向が定着して、電力需給の改善効果が期待されるということになっております。

 今回の改正はネガワット取引の推進を図るものとされておりますけれども、改正条項を見ますと、先ほどの第二段階の改正電気事業法二条一項七号の発電量調整供給が電力量調整供給と改められるにとどまっております。

 これは、発電事業者による発電量が予定に満たない場合に電力系統側が不足分を補うこととされている命題をネガワット取引に当てはめて、先ほどの例でいいますと、消費者の電力使用量削減が予定の八〇に達せずに八五を使用した、削減量が二〇ではなくて一五にとどまる場合に、二〇を見込んでほかの消費者に届ける予定であった電力が足りなくなるために、電力系統側で五を補完して供給することを義務づけるものとなっております。

 つまり、今般の電気事業法改正案二条一項七号の電力量調整供給は、ネガワット取引がうまくいかない問題発生時に電力系統全体の需給を崩さないための補完措置、セーフティーネットにとどまっているものであって、積極的にネガワット取引の推進なり規制緩和なりを措置するものと言えないのではないかと思われます。

 そこで、今般の改正をもってネガワット取引の推進という目的のために十分と考えているのか、お伺いをいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、今回の法案の中では、発電量調整供給というものを電力量調整供給と変えさせていただきました。これだけで全てネガワット取引の推進がうまくいくとは私どもも考えてはございません。したがいまして、この法案での手当てとあわせまして、そのほかに具体的な取り組みを進めているところでございます。

 一つ申し上げますと、ネガワット取引を円滑に行うための環境整備のためには、今おっしゃった一〇〇を八〇にする、でも、それが八五になってしまった、こういった部分の需要抑制量の測定方法、それ自体が非常に難しいわけでございます。

 この点につきまして、ガイドラインというものをことしの三月に策定させていただきまして、このガイドラインが本当に有効なものなのかどうかということにつきまして、二十六年度の補正予算というものを活用させていただきながら、その有効性を電気事業者など関係者の方にも参画をいただきまして検証させていただいているところでございます。

 今後、こうしたことを進めることによりまして、ネガワット取引の円滑な推進というものに取り組んでまいりたいと思っております。

國重委員 わかりました。

 その上で、ネガワット取引についての法律上の定義づけ等の明確化とか、アグリゲーターの電気事業者としての位置づけ、また資格要件など、より積極的なネガワット取引が推進されるための法的措置が必要なんじゃないか。あるいは、今後制定する政令、省令においてどのような法的、制度的な措置を講じることを考えているのか、お伺いいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの電力量調整供給の定義の中で、新たに特定卸供給という定義を設けさせていただいております。先ほどの例で申しますと、五を最後に補う部分のところに当たろうかと思いますが、この部分は、法律上は、「小売供給を行う事業を営む者に対する当該小売供給を行う事業の用に供するための電気の供給」でありまして、「電気事業の効率的な運営を確保するため特に必要なものとして経済産業省令で定める要件に該当するもの」、こういうふうになっております。

 したがいまして、電力量調整供給の外延を決める、あるいはディマンドレスポンスのアグリゲーターの外延を定めるということと言いかえてもいいかもしれませんが、それにかかわります重要な概念であります特定卸供給、この部分を省令で定めることになっているわけでございます。

 私ども、この部分につきましては、特定卸供給について定める省令、あるいは、今度は電力量と申しまして、先ほどの発電量と合わせますと、インバランス、これの料金をどう精算するのか、こういう問題も非常に重要なところでございまして、そちらにつきましても省令を定める予定でございます。この二つの省令などにつきまして、今後詳細な制度設計を行っていきたいと思っております。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 関連しまして、本改正案が提出されたのは三月三日、その後、先ほども答弁に出ましたネガワット取引ガイドラインが三月三十日に策定されております。

 経済産業省では、本ガイドラインの有効性の確認を含め、平成二十六年度補正予算三十億円でネガワット実証実験を開始しております。この結果及びガイドラインの今後の運用状況を見据えて、再度の電気事業法改正等もあり得ると考えているのか、お伺いいたします。

上田政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 もうこれは委員御指摘のとおりだと思います。ネガワット取引、私ども、ぜひとも今後しっかりと育てていきたいと思います。既にそのさまざまな萌芽がありまして、特定の事業者が、例えば前日に電話をして省エネをやってもらえばそれにポイントを付与するとか、いろいろな取り組みが現に始まっております。

 私どもも、三十億円、予算措置を準備いたしまして、ネガワットの具体的な実証実験というのを始めております。第一回補助金の採択を行いましたけれども、電力会社、ガス会社、商社あるいは家電会社等々、さまざまな事業者が、住宅、ビル、あるいは高速ディマンド、インセンティブ型ディマンド、さまざまな事柄について、現在、実証実験を行っているところであります。

 私ども、こういった実証実験を通じまして、ネガワット取引の外延あるいはそのポテンシャル、そういうものをしっかりと見きわめていきたいというのが現段階で、こういったことを行いながらネガワット取引というのを育てていきたいということを考えております。

 では、そういったことで電気事業法を将来改正することがあるのかどうかということでございますけれども、私ども、今申し上げましたとおり、今、そういった実証実験等を活用しながらネガワット取引を育てていきたいと考えておりまして、何か具体的に電気事業法をどうこう改正するということを現段階で想定するわけではございません。しかしながら、こういった議論の中で、必要な措置というものが出てくれば、そういった措置についてどのように対応していくかということが、それが法律上の措置であれば、法律論も含めて検討してまいる、こういうふうに考えております。

國重委員 よくわかりました。

 続きまして、消費者保護に関連してお伺いいたします。

 先日、四月二十八日の参考人質疑におきまして、日本生協連の浅田克己会長が、消費者のために重要と考えられる点について幾つか述べられました。

 まず一点目が、消費者への情報公開、情報提供であります。

 消費者が、電力等の供給事業者、あるいは料金、サービスメニューなどにかかわる情報を容易に得られて選択できる、そのためには、料金体系であるとかサービスあるいは供給条件、電気については電源構成ということになると思うが、こういった情報提供とインターネット上での情報公開を義務づける、そして消費者がそれらを容易に比較できるような条件整備を図っていく、こういったことをぜひしていただきたいというようなことを述べられましたけれども、この消費者に関する情報公開、情報提供に関して、宮沢大臣の見解をお伺いいたします。

宮沢国務大臣 小売の自由化ということについて言いますと、電力の消費者に対していろいろな事業者、小売業者から多様な提案が行われて、そして、その中から消費者が自分に合ったものを選ぶということがどうしても必要になってくるわけでありまして、その場合、やはり消費者に対して適切な情報がしっかりと提供されているということが、当然賢明な判断を行うに当たっての大前提でありますので、その情報提供というのは大変大事なことだと思っております。

 昨年成立した第二弾の法改正におきましては、小売電気事業者に対して、料金などの供給条件について消費者に対する説明義務や書面交付義務を課しており、インターネットの利用も可能とする予定であります。

 また、当分の間、経過措置として国の認可等の料金規制が講じられるわけでありますけれども、この場合は、料金などの供給条件が約款という形で公開されることに加えまして、料金認可時の審査過程を通じて、どういう電源を持っているか等々といったことの情報公開が行われることになります。

 一方で、小売自由化後につきましては、まさに事業者の経営判断、そして創意工夫ということが基本にはなりますけれども、消費者にさまざまな情報が提供されるということは先ほど申し上げましたように大変大事なことでありまして、政府といたしましても、利用者の立場から事業者に対してどのような情報の開示を求めるか、今後引き続き検討していきたいと考えております。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 時間の関係でちょっと一問飛ばして、また時間があれば戻って質問します。

 小売事業者などの変更に伴う専門的な相談、紛争処理体制の強化についてお伺いいたします。

 消費者が小売事業者やサービスメニューなどを変更する際にトラブルが発生する可能性がある。そうした際に、消費者の立場に立って苦情処理、紛争処理をできるような体制づくりを進めることが重要になってまいります。浅田会長も、特にエネルギー分野の苦情処理には一定の専門性が求められるために、従来の消費生活センターなどに加えて、より専門的な相談を受け付ける組織が必要であるということをおっしゃいました。

 小売事業者の切りかえなどに伴う苦情処理、紛争処理体制の強化が必要と考えますが、これについての政府の見解をお伺いいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 電力の関係で、消費者の相談あるいは紛争処理に対する体制がしっかりなければならない、こういった御指摘でございます。

 私ども、その点は改革の目的を実現するためにも大変重要と思っておりまして、個別の苦情あるいは消費者トラブルにつきまして、きめ細かく対応していかなければならない、特に、契約の切りかえとか、こうしたものについて、方法論などもしっかりと周知をしていかなければいけないと思っております。

 具体的な方法でございますが、今先生御指摘のありました全国の消費生活センターにおける専門の相談員、この方々もおられますが、それに加えまして、私ども資源エネルギー庁、それから新しくつくります電力・ガス取引監視等委員会、さらには各地方にあります経済産業局、こうしたところ、各組織が連携して、私ども、東京でも消費者庁とも連携をいたしまして、しっかりと取り組んでまいりたい、このように考えております。

國重委員 また、今後の状況を見て、私も重ねて質疑等もしていきたいと思います。

 最後に、電力・ガス取引監視等委員会への消費者の参画、意見反映についてお伺いいたします。

 この委員会の組織の中に、消費者代表者が参画できる、あるいは消費者の意見を適切に聞き取ることができる、反映することができる、こういうふうな保障を図っていくことが大事なんじゃないかと先日の参考人質疑の意見陳述でもございました。これに関する政府の見解をお伺いいたします。

山際副大臣 電力・ガス取引監視等委員会には高度の専門性が必要ということで、条文の中にも、法律、経済、金融や工学などについて識見を有する専門家から構成されるよう、その旨を任命要件として明記してございます。この法律の中には消費者法も含まれておりまして、経済に関する専門的な知識と経験には消費者動向に関するものも含まれると考えてございます。

 そのため、例えば、委員会における検討に資するように、幅広いステークホルダーの声を酌み取れる場を委員会の下部組織として設置いたしまして、消費者代表の意見が反映されるような、そんな仕組みも考えてまいりたいと思います。

國重委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、中根康浩君。

中根(康)委員 民主党の中根康浩でございます。

 五十分間いただいておりますので、深掘りをした議論をしていきたいというふうに思っております。

 まず、経済産業行政の信頼を確保するために明らかにしていかなくてはならないことがあるということで、小渕前経済産業大臣の政治資金の問題について、大臣の御見解というか御所見を承っていきたいと思っております。

 小渕前経済産業大臣、まだお若くて、自民党の中でも嘱望されておるということでございますので、将来はこういったところにも肖像画が掲げられるということの可能性もあるわけでありますので、小渕さんの政治経歴の中に曇りのないように、汚点のないように、はっきりする、明確にすべきところは明確にしていただく、そんな思いでございます。

 私ども、報道からしかうかがい知ることができないんですが、小渕優子前経済産業大臣の関連政治団体をめぐる政治資金規正法違反事件、この事件で、私が今手元にあるのは産経新聞でありますけれども、東京地検特捜部が四月二十八日、ともに小渕さんの元秘書で、前群馬県中之条町の町長の折田謙一郎被告と、小渕氏の資金管理団体、未来産業研究会の前の会計責任者の加辺守喜被告を同法違反罪で、同法違反罪というのは、つまりは虚偽記載と不記載の罪で在宅起訴されたということでございます。

 未来産業研究会では、小渕さんのお父様の小渕恵三元首相の時代から、選挙時の陣中見舞いや関係者との飲食などの簿外支出が存在して、このため帳簿上の残額と実際の保有額に少なくとも数千万円の食い違いが生じていた。それで、未来産業研究会の会計を担当していた加辺被告ら東京事務所の秘書さんたちが、金額の食い違いを解消するため、群馬事務所の秘書だった折田被告が担当していた政治団体、小渕優子後援会などに対する架空寄附を計上したということ。折田被告は、こういうことをしたために後援会などの帳簿上の残額が多くなってしまったため、それを粉飾しようとというか、つじつまを合わせようとして、観劇会で赤字が出たように装い、食い違いの解消を図っていた。

 こういう嫌疑、容疑がかかっているわけでありますけれども、この容疑、こういう事実といいますか、こういったことについて、大臣、どのようにお感じになっておられますでしょうか。

宮沢国務大臣 どのように感じられているかとおっしゃられても、私も報道を読んだだけでございますので、それ以上のコメントはなかなか難しいと思っております。

中根(康)委員 そうですね、はい。

 続きますけれども、この件に関しては、小渕優子さん自身は、証拠が十分ではない、嫌疑不十分で不起訴処分ということになっております。刑事責任を問える証拠がないと東京地検特捜部が判断して、政治資金規正法違反の罪での立件を見送ったということでございますが、この嫌疑不十分で不起訴になったということをもって、小渕さんの政治資金に関する問題はもう一件落着だということを大臣はお考えになられますか。

宮沢国務大臣 まず、一般論として申し上げれば、政治活動については、一人一人の政治家が、国民の信頼を得られるよう、みずから襟を正し、説明責任を果たすということは大変重要なことだと思っております。

 この委員会でも何度か御質問を受けましたけれども、そのときには、小渕前大臣は説明責任を果たそうと思っても果たせないような状況にあられるのではないかということを私は申し上げてまいりました。

 恐らく、まだこれから秘書の方の公判が続くということであれば、なかなか資料等々といったものについてもお手元にないというような状況もあるのかなと推測をしておりますが、しかるべきときに、やはり国民の負託を受けている議員として、説明責任を小渕前大臣自身が果たされるものと理解をしております。

中根(康)委員 そうですね。全く同感です。同じ思いです。

 それで、しかるべきときに説明を果たされるべきだというときが、まさに、しかるべきときというのが今なのではないでしょうか。むしろ遅過ぎるぐらいで、一刻も早く、そのしかるべき責任の果たし方を行っていただきたいというふうに思っております。

 不起訴処分を受けての小渕さん御自身のコメントも掲載をされております。事務所関係者二人が起訴されたことを重く受けとめており、政治的道義的責任を痛感している、関係者の皆様に多大な御迷惑と御心配をおかけしたことは大変申しわけなく、深く反省している、こういうふうに述べておられるわけであります。

 加えて、もうこれは皆さん御案内のとおり、小渕さんのこの事件が表面化した後、小渕さんは選挙の前に、弁護士ら第三者に調査を頼み、説明責任を果たすと約束をしておられる。その約束がいまだに果たされていない。

 そして、今までは、警察の捜査あるいは司法の判断の最中だ、こういう状況であったわけでありますが、少なくとも、小渕さん自身については不起訴処分というようなことが確定したわけでありますので、それを受けて小渕さん自身が、政治的道義的責任を痛感しているというふうにおっしゃっておられる。

 そしてその上、今、宮沢大臣も、しかるべきときに説明責任を果たされるべきであろうという御答弁をされたということであるわけでございますので、これは、まさに今、重要広範議案と言われる、経済産業行政にとって極めて重要な法案が審議をされ、そして与党からは採決の御提案もされている、この段階で、やはり経済産業行政の信頼を確保するために、小渕前経済産業大臣がしかるべき説明をし、責任の果たし方を具体的に行っていただく必要があるのではないかと思いますが、大臣、重ねてコメントがあれば伺えればと思います。(発言する者あり)

江田委員長 御静粛に願います。

宮沢国務大臣 先ほども答弁させていただきましたけれども、小渕さん御自身は不起訴だったとしても、小渕さんのかかわる団体に関係する案件についてはまだ司法の手続が進んでいる状況だと思っております。そういう状況等々も踏まえながら、小渕前大臣がしかるべきときに説明責任を果たされるものと私は理解しているということを申し上げました。

中根(康)委員 私たちは、今までの委員会の中で、近藤洋介議員から、平成十九年からの観劇の開催状況、毎回の会費、具体的な参加人数、費用の明細、それと、小渕優子後援会、自民党ふるさと振興支部の設立届、添付資料、また、小渕優子後援会、自民党ふるさと振興支部、未来産業研究会及び自民党群馬県第五区支部について、政治資金規正法で保管が義務づけられている会計簿、明細書、領収書、振り込み証書、こういったものについての資料の提出を要求させていただいております。

 このうち、今申し上げましたうちの小渕優子後援会、自民党ふるさと振興支部の設立届、添付資料については提出をされましたが、それ以外のものについては全く提出の意思すら見せていただいておらないわけでありまして、この資料要求を引き続き求めてまいりたいと思っております。

 加えて、今も大臣が、しかるべきときに説明責任を果たされるべきであろう、それが小渕さん自身のコメントの中にもある政治的道義的責任を痛感していて反省しているということが本心であるならば、そのことを具体的に行動としてお示しいただくということになるであろうということであると思っておりますので、小渕前経済産業大臣に当経済産業委員会にお出ましをいただき、御自身が不起訴になったことを含めた、そのもろもろのことの説明をしていただきたい。まさに説明責任をこの経済産業委員会で果たしていただきたいというふうに思っております。

 委員長、委員長にお願いでございますけれども、小渕前経済産業大臣を参考人としてこの委員会にお出ましをいただくということを理事会で御協議いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

江田委員長 今御質問でございますので、委員長よりお答えをさせていただきます。

 今回のこの小渕議員の元秘書の政治資金にかかわる問題につきましては、小渕議員自身におかれましても、しかるべき時期にしかるべき場所でしっかり御説明がなされるものと思っております。それは、先ほど大臣もおっしゃられたとおり、私もそう思うわけでございます。

 当委員会に出席を求める件について今御質問がございましたけれども、以前より、政治資金にかかわる案件は、当委員会の案件ではなく、当該案件について出席を求めて、そして審査をするにふさわしい適切な場というものについては、今後、与野党の政党間の協議でなされるものと思っておりますので、政党間の協議に委ねて、協議の行方を見守りたいと存じます。

中根(康)委員 委員長からそれだけ御丁寧な答弁をいただけるとは思いませんでした。

 私は、理事会協議に付させていただくというような言葉が返ってくると思っておりましたら、ある意味、理事会協議すら委員長が拒絶をされたということでございますが、公正、公平、中立な委員会運営をお約束された委員長として、理事会協議すら受けとめていただけないということでしょうか。

江田委員長 以前の理事懇談会でも申しましたが、当時の民主党の近藤委員から要求された三つのことについては、委員会としても努力をさせていただいたわけでございますが、そのうちでも幾つか残っておることは確かでございます。

 ただし、強制捜査が入り、小渕議員の方にも確認をした上でも、資料の提出は、司法の手が入っている中では一切難しいということがございましたので、この資料の提出に関して理事間協議をこれ以上続けるということが可能ではなくなったということを、以前より理事懇談会でも申し上げさせていただいておるところでございます。

 そういう意味で、今回改めて資料提出の要求等について理事間協議にかけていただきたいという旨があったことに関しては、そういう可能性が基本的に厳しい状況の中では難しいということを申し上げさせていただいたところでございます。

中根(康)委員 私が委員長にお願いをしたのは二つありまして、一つは今委員長が言及をされた資料の提出の件でございますが、もう一つは、小渕さんにこの委員会にお出ましをいただいて、説明責任を果たしていただきたいということでございます。

 この件については、小渕さん自身が責任を痛感しておられる、反省しておられる。そして、一方では不起訴処分が確定しているということでありますので、それなら正々堂々と一連の経過、事情についてここで御説明になって、そして、政治的道義的な責任については謙虚にお言葉を述べられればよろしいかというふうに思いますので、これは決して御無理なことではない。

 むしろ、そこでけじめをつければ、もうそれで国会でのけじめが一定程度つくということになるわけでありますので、これは委員長が、むしろ、委員長、小渕さんにこのことをお伝えいただければ、いや、それは喜んで出かけていって説明をしますよということになるのかもしれませんよ。

 ぜひ、委員長、これは理事会協議ということで、理事会で受けとめていただけないでしょうか。

江田委員長 御質問でございますのでもう一度お答えをさせていただきますが、政治資金にかかわる案件ということになってきております。その案件については当委員会の所管ではないということを先ほどから申し上げているわけでございまして、それにふさわしい適切な場所ということについては、やはりこれは与野党の政党間で協議がなされるものと思っておりますので、そういう場所に、そういう協議に委ねたいということで、この委員会で出席を求めるということは、これはかなわないということであろうかと思います。

中根(康)委員 理事会協議にすら付していただけないということであるならば、今後のこの経済産業委員会の運営に大きくこれはかかわってくる。

 つまりは、いやしくも経済産業大臣としてこの委員会に大きくかかわった方に関する事件でありまして、これは全く人ごとであるはずがない。まさにこの経済産業委員会の、直接、当事者的な問題であるということでありますし、小渕さん自身が大臣在任中に説明責任を果たしたいということを言われて、その後、今日に、選挙を挟んだ状況になっておるわけでありますし、そして、不起訴処分が確定したということでありますので、これはもう、むしろ堂々と御説明をされればいい。

 むしろ、それさえ与党の皆さんが拒否するということは、何かまたそこで新しい事実でも出てきたら困るという御懸念でもされておられるのかどうかということに、疑ってしまうわけでありますので、後ろめたいことがないのであれば、正々堂々とお出かけをいただくということが政治家としての責任のとり方だというふうに思います。

 委員長があくまでも理事会協議すら受けとめていただけないということであるならば、もうここから先、この委員会の審議には応じられないということにすらなりかねないわけでありますが、今ちょっと理事がほかにおりませんので、これは困ったなということなんですけれども。これはまた、後ほど維新の理事が帰ってきたら相談をしたいと思います。

 もう一回だけ聞きます。理事会協議、せめて、理事会で協議して、それで理事会の多数決なら多数決で否決されるのであれば、これは私、納得できますけれども、委員長にお願いしている段階で真っ向から拒絶されるということであれば、これは納得できないということであります。

 もう一回だけ伺います。(発言する者あり)

江田委員長 静粛にお願いいたします。

 今、中根委員から御要求の件でございますが、先ほどから申している委員長としての見解は、相違はございません。

 ただ、今後、この政治資金に関する要求されているような資料提出の件についてとか、そうした件等々について、もう一度理事間で、参考人も今申されましたけれども、それについて、この委員会に呼ぶのがふさわしいのかどうか、これは、先ほどから、当委員会の所管ではないということでもってふさわしくないということを私は委員長の責任として発言をしているわけですが、その件に関してもう一度理事間で協議をしたいということに関しては、理事間で協議をしていただくということでさせていただきたいと思います。

中根(康)委員 ありがとうございます。

 わずかな時間の間に考えを修正していただいたということでございまして……

江田委員長 いえ、考えは修正していません。

中根(康)委員 理事会で受けとめていただき、理事会で協議をしていただくということを委員長が御理解をいただいたということで、用意しておりました電事法等の改正案の質疑に進めてまいりたいと思います。

 四月二十八日の参考人質疑で、電事連の八木会長から、こういう御答弁をいただきました。

 健全な労使関係を築いていくということが経営者にとっても非常に大きな問題である。したがって、私が社長として在任している間におきましては、こうした点に注力してまいりましたので、決してストが起こるというようなことについて懸念した記憶はございません。したがって、今後とも、健全な労使関係をきちんと維持していく、そしてまた、そういった争議が起こらないように労使間の密なコミュニケーションを図るということが一番大事なことだと思っています。

 こういうお話があったわけであります。

 このこと一つとっても、スト規制法は廃止をすべき状況にもう来ている。健全な労使関係が保たれればストは起きない。むしろ、いたずらに消費者、国民の納得の得られない、理解の得られないストを行うような会社は、労使ともに国民から見放されて、その会社は淘汰されていくという摂理が働くということでございますので、あえてスト規制法で労働者の労働基本権を制約してまでスト規制を残しておく必要はない。

 そういう状況になっているというふうに考えますけれども、いかがお考えでしょうか。これは厚労省ですね。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 議員御指摘のように、今、電気事業につきましては、正当でない争議行為を規制するスト規制法が昭和二十八年から制定をされているところでございます。

 私もその二十八日の参考人質疑を聞かせていただいたところでございますが、確かに、現在の電気事業の労使関係は安定していると認識しております。これは労使ともに一致した見解でございます。

 ただ、今後、電力システム改革が起こってくるという、この先に変化があり得るということがあるわけでございまして、これは、これを議論いただきました審議会でもいろいろ議論がなされた中で、確かに、今後、システム改革が進む中で、さまざまな業者が参入されてくる中で、例えば、一部の発電所のストライキは致命的ではないといった状況の変化が起こる可能性はある、しかしながら、その一方で、やはり、多くの方が参入してくる、そのことによって労働環境が不安定になってくることも懸念されると。

 これはとりわけ労働側がおっしゃっていたんですが、現在は電気事業労使会議という、一対一の労使関係で大変これは有意義と評価されておりますが、かなりきちっとした労使協議がなされる環境があるけれども、今後これがどうなってくるのか、それは課題であるといったような議論もあったわけでございます。

 そういうことで、スト規制法のあり方を検討しました労働政策審議会の報告書におきましては、「電力システム改革による自由化後や法的分離後に、現在のような安定した労使関係が保たれるか不安があると懸念する意見もあり、電力システム改革が労使関係に与える影響は不透明である。」とされたところでございます。

 こうした労使関係のほかにもさまざまな観点から議論をいただいた結果、スト規制法につきましては、現在の段階では、電力需給が逼迫をして供給への不安が残っていることに加えて、電力システム改革の進展と影響がまだ不透明なところがあって、現時点では存続することでやむを得ないという結論がなされたところでございます。

 しかしながら、今後のあり方でありますが、電力システム改革の進展の状況と、それから、改革による電気事業の、まさに先生おっしゃった労使関係、あるいは業者間の競争環境、そして業務への影響などを十分に検証した上で再検討してまいりたいと考えております。

中根(康)委員 御丁寧な御説明であったわけでありますけれども、しかし、私は、憲法二十八条で規定をされた、ある意味侵すことのできない労働基本権と、電力の安定供給、これはいずれも重要なんですけれども、しかし、どちらか一つをとるということではなく、両立をさせなければならない。

 スト規制法はなくして労働基本権を回復してなおかつ安定供給ということは十分可能な状況だと思いますけれども、恐らくその点についても今御答弁があったとは思いますが、そこに絞ってもう一回御答弁いただけないでしょうか。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどちょっと申し上げましたが、現在のスト規制法で規制を受けていますのは、いわゆる正当でない争議行為に限られているものでございます。しかしながら、私ども厚生労働省という立場でございまして、やはり憲法上保障された労働基本権の観点、これが検討に当たって極めて重要な観点、これは決してそれをないがしろにするものではございません。

 しかしながら、一方で、やはり電気の安定供給と特殊性という観点、これも重要であるわけでございまして、現時点でなかなか先の見通し、見きわめが難しいという状況があるわけでございます。

 この双方の観点も踏まえながら、電力システム改革の進展の状況とそれからその影響を十分検証した上で、今後、関係労使を含めて検討はしていきたいと思っておりますが、その際に、やはり今後のあり方としまして、スト規制の廃止、議員御指摘になったわけでございますが、それも選択肢の一つであることは当然だというふうに考えておるところでございます。

中根(康)委員 電力の特殊性ということでございますが、しかし、今回法案の中にも入っているガス、あるいは熱にしたってそうだと思いますし、あるいは、NTT、通信インフラ、水道にしても、そういった業種にはスト規制はないわけなんですね。電気だけ、電力だけ、そういったもの以上に特殊だというようなことにはならないんだろうと思います。

 これはもう一度、おさらいのようなことになっていきますけれども、スト規制法について、これまでの附帯決議を踏まえて、「自由な競争の促進を第一義とする電力システム改革の趣旨と整合性を図る観点から、電力システム改革に関する法体系の整備に併せ、所管省庁において有識者や関係者等からなる意見聴取の場を設けその意思を確認し、同法の今後の在り方について検討を行うものとすること。」とされた。

 そして、労政審でのスト規制のあり方についての議論においては、今も御答弁の中にありました、労働者代表委員からは、スト規制法が電力労働者の労働基本権を制約している上、既に労働関係調整法の公益事業規制がある中でさらに規制を設ける根拠は存在しないため、同法は廃止すべきという意見があったと。

 こういう労働側からの意見もあった中で、厚労省の立場は、現状では、電力需給が逼迫し供給不安が残っていること、システム改革の進展と影響が不透明であることを理由に、現時点で同法は存続することでやむを得ないと結論づけたということでありますが、電力需給の不安の有無や電力システム改革の影響などと、労働側が主張している憲法上の権利との整合や公益事業規制との関係など、スト規制法のあり方の問題、要するに、電力システム改革の影響とスト規制のあり方というのは、さっき僕が言ったように、本来関係づけるものではないのではないかというふうに思うわけであります。

 また、労働側が主張するように、既に電気事業に対しては、ガス供給や電気通信、運輸、郵便などほかの公益事業とともに労働関係調整法に基づく公益事業規制が課されているわけでありますし、さらに、電力労働者は純然たる民間労働者であって、人事院勧告制度のような代償措置も講じられていないということであります。今般、全面自由化し導管分離するガス労働者にも、あるいは全面自由化市場に参入する新規の電気事業者、いわゆる新電力にも、こういう規制はないわけであります。

 電気の安定供給の重要性は誰しも否定するものではありませんけれども、電気の安定供給は、まさに、エネルギー政策を担う経済産業省、経済産業大臣の責任のもとで行われ、今般審議されている電気事業法など電気事業政策によって達成すべきものであって、電気事業に従事する労働者の権利を制約して実現すべき類いのものではないのではないかと考えさせていただきます。

 厚労省は、現在は、電力の供給不安がある、電力システム改革の動向等が不透明であるため、民間労働者の権利制約はやむを得ないということでありますが、経産省が進めようとしている全面自由化や発送電分離といった電力システム改革の目的の一つに電気の安定供給の確保ということがあるわけでありますので、この今審議している改革法案が通れば電気の安定供給は確保されると政府は位置づけることができるわけだと思います。

 言い方をかえると、電力供給に不安がある、システム改革の動向が不透明だということを理由にこのスト規制法を残すということになるならば、なぜ改革を進めるのかということになってしまうわけでありまして、少なくとも、労働者の権利を制約しなければ安定供給が確保されないということであれば、それは今回の改革の制度設計が誤りを含んだものになるということになってしまうわけであります。

 もう一度言い方をかえれば、今回の法案の目的が電気の安定供給にあるわけでありますので、この法案が通れば安定供給は担保されるということになるわけでありまして、したがって、スト規制はこの法案が成立するのと同時に速やかに廃止されるべきだと考えますが、もう一度厚労省の御答弁を求めます。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

石井政府参考人 大変多くの論点を御指摘いただきましたので、幾つか、長くなることをお許しいただければと思います。

 まず、冒頭申し上げたいのが、このスト規制法というのは、あくまで電気の正常な供給を停止する行為その他電気の正常な供給に直接に障害を生ぜしめる行為ということでございまして、これは、憲法のもとで保障された争議権、このもとでも保障を受けない、そういう類いのものだということについてまず申し上げたいと思います。したがいまして、争議行為全てが禁止されているものではなくて、争議行為の一部、その手段が禁止されているものにすぎないというのが、まず大前提としてございます。

 その上で、この問題について考える際に、これからいろいろ政府の施策によって電気の安定供給をまさに図っていくための改革をしようとしているわけでございますが、これが人為的なストというものについてどのような影響を与えるかということについては、幾つか論点があるだろうと思います。

 その一つが、先ほど申し上げました労使関係の問題、それから、業務の見直し、業務についてもこれは考えていかなきゃいけないと思います。今後、送配電分離がなされる中で、相当高度なオペレーションが必要になってくる。その中で、現時点でも実は労使の中で意見が一致しないのでありますが、非組合員が組合員の仕事をバックアップできるか。仮にストが起きたとき、それが容易にできれば電力供給の停止という事態に至らないわけでございますが、現時点でもそこは見解が分かれている。加えまして、今後、さらに高度なオペレーションが必要になったときに、果たしてそれを非組合員が行うことができるか。そこについても不透明な部分があるわけでございます。

 電力につきまして、やはりほかと違う特殊性がございまして、一つは他のインフラを支える重要なインフラであるということ、それから、事業に高度の独占性があって代替が困難だ、貯蓄が不可能だといったような重要性、特殊性がありまして、この辺がほかの事業体と違う点があるだろうと思います。

 しかしながら、このあり方がずっと未来永劫というように思っているわけではございませんで、これは電力システム改革の影響を一つ一つ確認しながら、労使関係がどうなっているか、実際バックアップはどうだとか、競争環境はどうなるか、その辺の変化をしっかり見きわめた上で、改めてきちっと適正にその判断をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

中根(康)委員 できない理由ばかり述べれば、それはそういう話になるかもしれません。特殊だということばかり言い張れば、いろいろな業界に、業種に、これは特殊だ、あれは特殊だと言って、どんどんどんどんスト規制を厚労省は当てはめていくつもりなのかということになってしまいます。

 労働側の意見として、これは廃止すべきだというふうに求められているわけでありますので、なぜそこまでかたくなに、特殊性だとか、あるいはできない理由ばかり並べ立てるのか、納得できません。

 附則七十四条の検証規定で、電力の需給状況や電力システム改革に関する改正法の施行状況などについて検証が行われるとされております。この検証規定の内容とは、まさにスト規制法のあり方検討部会報告書で不安視された、今の御答弁でもなお不安視されている、これは経済産業省だって怒らなきゃいけませんよ。これだけいい法案だということでみんな審議してもらっているのに、厚労省はなお不安視しているんですよ、これを。今なお、同じ政府の中で。不安視された電力需給状況や電力システム改革動向等を検証した上で、例えば二〇二〇年からの発送電分離を行うという趣旨で理解しているわけであります。

 また、スト規制法あり方検討部会報告書では、今後のスト規制法のあり方について、電力システム改革の進展の状況とその影響を十分に検証した上で、今後、再検討すべきということが盛り込まれているわけであります。

 例えば、二〇二〇年からの発送電分離の実施前に、法案附則七十四条の検証規定に基づく検証がしっかりとなされ、発送電分離が実施されるということになれば、それは部会報告書が指摘する懸念事項の解消、すなわち、今般のスト規制法の存続理由そのものがなくなることだということになると思いますが、宮沢大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 今いろいろやりとりを伺っていて、恐らく安定供給の安定といった意味が、二つの意味があって、それが同じようなところで使われて議論されているのかなと実は思っておりました。

 当然、自由化が進む、また電力改革が進むことによって、電力の安定供給というものはしっかりとした基礎が出てくるわけでありますけれども、そういう場合でありましても、私の、まさに経産大臣として、電力の安定供給を図る義務がある担当大臣といたしましては、例えばストが起こって、本当に安定供給、供給ができなくなるような事態ということは大変困る話であります。したがって、その場合の安定供給というのはちょっと違った意味なのかなという気がいたします。

 そして、ストが起こるのか、また将来起こり得るのかというところになりますと、これはまさに御専門家が労政審で審議をされ、そして厚労大臣として判断をされたんだろうというふうに思っております。

 今、やりとりを聞いておりまして、全部の争議行為が禁止されているわけではなくて、一定の安定供給にかかわる部分が禁止されているということ。一方で、労働側からすれば、そういう安定供給はしっかりできるんだ、そういう争議が恐らくないんだということをおっしゃっているのであるとすると、法律で規制されてもそういうことはやらないとおっしゃっているのであれば、あっても同じような気がしないでもないなという思いがいたしました。

 ただ、いずれにしても、私どもとしては、ともかく、ストが起こる、ストが起こりそうだというような状況だけは何とか避けなければいけない。一方、そういう状況がないということを厚労省が判断されるということであれば、それはそれで我々も安心できる、こういうことだろうというふうに思っております。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

中根(康)委員 やはり、労働基本権としてそれを回復する、労働者がそれを保有しているということとそれを行使するということは、またこれは別問題であって、権利は権利としてこれは回復されなければならない。それを厚労省がいつまでたっても、御案内のように、僕はずっと厚労委員会におりましたので、ある意味、厚労行政の強力なサポーターだと思っているんです。その私が言うんだから、これはぜひ受けとめていただきたいと思うんですけれども。

 そんなに安定供給に不安がある、不安があるといつまでも言っていなくて、それはもう経済産業省を信頼して、安定供給は宮沢大臣がしっかり守ってもらうということで、働く人たちには権利をしっかり保有してもらう、こういう姿勢でないといかぬと思いますよ。塩崎大臣に、一回ちょっと伝えておいてくださいよ、本当に。

 ぜひ、そういうことで、きょうは、スト権についてはこれでおさめさせていただきます。

 次に、兼職の禁止規定について取り上げていきたいと思います。

 発送電分離に伴って、従業員の人事管理についても一定の行為規制を課すということでございますが、具体的には、送配電事業等に関与する従業員が同時にグループ会社の発電、小売事業に関与する従業員である場合、情報の目的外利用等により送配電事業者の中立性が害されるおそれがあることから、送配電事業に関与する従業員については、発電、小売事業等に関与する従業員との兼職を禁止することとされております。

 この規制しようとするのが従業員の兼職の禁止ということであるならば、なぜ、兼職させてはならない、あるいは兼職させることの制限等、こういう表現とせずに、「従事させてはならない。」「従事させることの制限等」としているのか。「従事させてはならない。」ではなく、兼職させてはならないの方が、本条文が兼職を禁止する規定であることが明確になるのではないかと考えます。

 逆に、「従事させてはならない。」という規定が、例えば異動や再就職に対する規制など、兼職禁止以外の規制にまで拡大解釈されることはないのかという懸念も残るわけであります。これは、いろいろな条文の中に「経済産業省令で定める」ということが多くあるわけでありますので、この異動、再就職に対する規制についても、法案成立以降の検討過程で、行政裁量による規制の拡大ということも懸念されているところであります。

 こういう規定は罰則も伴う立法作業である以上、定義や解釈は誰が読んでも明確で一義的なものであるべきであり、本規定は兼職禁止規定であり、その他の規制に拡大解釈されることはないと断言されるべきものであります。

 そういった意味合いで、はっきりと、「従事させてはならない。」ということではなく、兼職させてはならないと条文を改めるべきだと考えますが、いかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 兼職規制の部分につきまして、従業員、「従事させてはならない。」というふうな言葉遣いで法令を定めさせていただいております。

 私ども、取締役につきましても、それから従業員につきましても、いずれの場合にも、兼職を制限する規定として今回の規定を考えております。規定ぶりが異なりますのは、あくまでも法令上の用例ということでございます。

 すなわち、取締役につきまして兼職を制限する場合には、これは、取締役が経営サイドの一員であるということに着目をいたしまして、いわゆる主体性を示唆する意味で、「兼ねてはならない。」という法令上の用例が存在をいたします。

 これに対しまして、従業員、こちらにつきましては、経営者に雇用されている立場でございます。したがいまして、ここに主体性を示唆する、いわゆる「兼ねてはならない。」というふうな規定をした法令上の用例が存在しないわけでございます。

 他方で、従業員につきまして、事業者が従業員を特定の業務に従事させることについて制限をする場合、この用例といたしましては、「従事させてはならない。」という用例が存在することから、この前例を踏まえまして、私ども、今回、従業員につきまして、「従事させてはならない。」というふうに規定をさせていただいた次第でございます。

中根(康)委員 つまりは、この「従事させてはならない。」ということは、あくまでも兼職禁止ということを意味するのであって、あくまでも法律の専門家的見地からテクニカルなワードの用い方だということで、この「従事させてはならない。」という言葉で異動、再就職に対する規制にまで及ぶことはないと理解してもよろしいでしょうか。

多田政府参考人 今御議論となっております規定、この「従事させてはならない。」という、私どもが御提案させていただいている二十二条の三の第二項でございますが、こちらの規定に基づきまして私どもが兼職規制以外のことを考えているということはございません。

中根(康)委員 続きまして、兼職禁止の規制対象についてでありますけれども、小売や発電事業者の事業の業務の運営において重要な役割を担う従業者として経済産業省令で定める要件に該当するもの、小売や発電事業者の経営管理に係る業務の運営において重要な役割を担う従業者として経済産業省令で定める要件に該当するものなどと定められておりますけれども、「重要な役割を担う従業者」という表現というのは若干曖昧さが残る表現であって、重要な業務と重要でない業務の線引きは極めて困難であるというふうに考えますけれども、この「重要な役割を担う従業者」というのはどのような意味をあらわすものでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ガス製造事業、ガス小売事業さまざまございますけれども、そのさまざまな業務の中で、例えば製造事業でありましたらLNG基地の投資計画業務といったようなことでございますとか、あるいは小売でありますとガス小売の販売戦略の策定業務、こうしたものが一つ想定されます。その中で「重要な役割を担う従業者」ということでございますので、一定の裁量権限を有しますいわゆる管理的な立場にある従事者、こういったものを規定する考えでございます。

中根(康)委員 ありがとうございました。

 もう一度、ちょっと一つさかのぼって確認なんですけれども、先ほどの「従事させてはならない。」という書きぶりが、兼職の禁止に限るものであって、異動、再就職の制限にまで及ぶものではないという御答弁をいただいたわけでありますが、このことについては、経済産業省の審議会、総合資源エネルギー調査会基本政策分科会電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループ、こういうところで、兼職の禁止だけではなく、送配電会社から発電会社や小売会社、持ち株会社への異動や再就職を一定期間、例えば二年間禁止すらも提示されていたと聞いておりますが、今御答弁があったように、この規制に該当する条文が今回の法案上は見受けられないわけであります。

 つまりは、内閣の法制局から、異動、再就職規制について、包括的に原則禁止とする記載は法制面ではどうなのか、職業選択の自由の観点から慎重な検討が必要という指摘があったということも踏まえて、最終的に条文には盛り込まなかったものということを聞いておるわけでありますけれども、法制局からストップがかかったということで、こういう異動、再就職を一定期間禁止するというようなことも含めて、この異動、再就職の規制については経産省として断念したという理解でよろしいでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、私ども、審議会の場でさまざまな議論がございました。ちょっと御紹介をさせていただきますと、電力システム改革の制度設計を検討する場といたしまして、電力システム改革小委員会制度設計ワーキンググループ、こういった場を設定して議論してまいりました。

 その中で、送配電事業の中立性を確保する観点から、役職員につきまして、今御説明申し上げました兼職規制のみならず、一定の人事異動の制限、具体的には、送配電事業者と親会社、グループの発電、小売会社との間で、例えば二年間といった一定期間は人事異動を制限すべき、こういった議論が行われたことは事実でございます。

 こうした人事異動への制約につきましては、今、法制局の御指摘もありましたけれども、その後の政府部内における検討の結果、労働者の基本的な権利に対する制約でもあり、抽象的かつ広範に規制することは不適切と判断をいたしまして、今回の法案におきまして、人事異動を法律上罰則つきで規制することは行わない、このようにした次第でございます。

 しかしながら、ワーキンググループで御議論がありましたとおり、例えば、競合小売の競争情報を知り得る立場にある送配電事業者の従業員がグループ会社である小売事業者の小売事業に直ちに従事したというふうな場合、これは異動した場合というふうに申し上げた方がよろしいかもしれませんが、これは周辺から中立性に疑義が生じるおそれというのはなしとは言えないと思っております。

 こうした御指摘もありますので、いずれにいたしましても、私どもは、事業者自身が中立性確保に疑念を持たれないよう、実質的な中立性が確保される方策につきまして、今後、法的分離の実施までに精査を行い、必要な措置の内容を検討していくことにします。

 ただ、繰り返しますけれども、人事の異動につきまして法律上罰則つきで規制を行わないというのが今回の法律の整理でございます。

中根(康)委員 予定された質疑が残されておりますが、引き続き次回に行うということで、きょうはこれで終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、渡辺周君。

渡辺(周)委員 民主党の渡辺でございます。

 四月の連休前に続きまして、二度目の質問でございます。

 今、中根委員が質問をされた件につきまして、後ほど私も何点か確認をさせていただきたいと思いますが、法案の審議に入ります前に、最近の出来事で大変関心を集める出来事がございますので、二つの点につきまして質問をさせていただきたいと思います。

 一点目は、きょうが十三日ですから、あす、あさって、十五日から、台湾の衛生福利部、衛生省ですね。

 台湾は、もう皆さん御存じのとおり、大変親日的な、あえて国と言いますけれども、国でございます。台湾には皆さん方も何度となく足を運ばれている。大変親日的で、知日者も多い、いろいろなアジアの国がある中で、日本に対しては非常に好意を持って接していただける国であります。だからこそ、我々はさまざまな形で議員連盟等々のネットワークをつくって、今日まで台湾とさまざまな政治的な意見交換もそうですけれども、経済や文化交流、それから、特に東日本大震災のときには台湾が真っ先にカンパをしてくれた、大変友好的な国でございます。

 その台湾が、日本産食品の輸入規制強化をするということを四月十五日付で公告をされました。それは、昨日の新聞報道にも出ておりますけれども、あさって五月十五日から輸入規制を強化するということでございました。

 台湾は、東京電力福島第一原発の事故後、福島、茨城、栃木、群馬そして千葉の五県からの食品の輸入を禁止しております。あさって十五日からは、これに加えて、日本から出荷される全ての食品に都道府県別の産地証明を義務づけるということでございます。

 この点について、経済産業省は現状どのように、もう既に林農林水産大臣は昨日の閣議後の会見で遺憾を表明されているわけでありますけれども、当然のことながら、通商政策を所管する経済産業省として、この問題をどのように現状捉えているか、お答えをいただきたいと思います。

長谷部政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生御指摘のとおり、平成二十三年三月の東京電力福島第一原子力発電所の事故後、台湾におきましては、福島、茨城、群馬、栃木、千葉の五県からの全ての食品の輸入を停止しているところでございまして、さらに、先月十五日に輸入規制強化の公告が行われたところでございます。

 台湾側の措置は、科学的根拠に基づかない一方的なものだと考えておりまして、我が国は、撤回を求めるとともに、今回の規制強化に至った具体的な事実関係等について再三説明を求めておりますが、台湾側からいまだ十分な説明がなされていないことを極めて遺憾であると考えておるところでございます。

渡辺(周)委員 私が質問したのは経済産業省に対してなんですが。今回のことにつきまして、通商政策を所管する経産省としてどうお考えかということを今お尋ねしたんです。

宮沢国務大臣 今回の新たな措置の後は、経産省と台湾当局とまだ接触がありませんけれども、ここに至る過程におきまして、そういう規制強化の動きがあるということがあったものですから、事務レベル、局長クラスで、台湾に行ったときなどにいろいろ抗議をし、こちらの現状をしっかりと説明してきております。

 今回、それにもかかわらずこういうことになったということは大変遺憾なことでございまして、農水省ともよく相談しながら、適切に対応していきたいと考えております。

渡辺(周)委員 補足をしますと、交流協会の台北事務所が訳したものですけれども、公告事項として、十五日から新たに規制されるものは、私の地元であります静岡県もそうなんですが、東京、愛知、大阪において生産された茶類ですね、お茶、それから、宮城、埼玉、東京において生産された乳製品、乳幼児食品、キャンデー、ビスケット、穀類調製品、恐らくシリアルだと思うんですが、こういうものを規制すると。

 どうしてまたここへ来てこのような厳しい規制をかけられるのかという背景についてもよくわからない。三分類八百品目を超える高リスク産品について、放射線検査の証明が必要なんだと。つまり、日本から出荷される全ての食品に都道府県別の産地証明を義務づける。それで、今申し上げたような、特定地域の静岡のお茶や東京都の乳製品等々、水産物を含めて高リスク産品なんだということで、放射線の検査証明が必要になるということでございます。

 冒頭申し上げたように、台湾と日本は政治的にも特に大きな障害もなければ、これまでも大変友好的にやってきた間柄でございます。台湾というのは日本の食品の大口輸出先で、昨年の実績で見ますと、台湾は、香港、アメリカに次いで八百三十七億円の実績がある。我々も、台湾へ行って、スーパーマーケットやコンビニに入りますと、日本産のお菓子が、食品がずらっと並んでいて、当たり前に手に入るようになったわけでして、また、嗜好品として、台湾の消費者の方々にも大変好まれているということでございます。

 台湾にとっても日本は最大の食品輸入元で、全輸入額の五、六%を占めるという国でございまして、過去三年間は、毎年約一億ドル、およそ百二十億円のペースでふえていたということでございます。

 どうして台湾でこのようなことになっているのかという、先ほど遺憾に思うという発言がありましたけれども、科学的根拠もない中で、どうしてこういう措置をとられるかということの背景が政府としてわからなければ対処のしようがないわけで、遺憾に思っても、どんなに言ったところで原因を取り除くことはできないんです。

 この点については、今後、これからどのように働きかけをしていくのかということについて、科学的根拠のない、恐らくこれは政治的な判断なんだろうかとは思いますけれども、今後、農水省も経産省も、どのようにして取り組んでいくのか、ぜひとも、オール・ジャパンで取り組むためにどのようにしていくのか、もう一度御答弁をいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 経産省はいろいろなものの生産、輸出入等々を所管しておりますけれども、設置法上、残念ながら、飲食料品については輸出入を含めて農水省ということに実はなっております。

 そういう中で、これから農水省に答弁していただくと思いますけれども、しっかりと農水省の応援をしていきたいと思っております。

長谷部政府参考人 ただいま御質問がございました今回の規制強化の背景につきましてですが、台湾におきましては、昨年、食料油に工業用の廃油を使用した事案等が発生いたしまして、ここ数年、食の安全をめぐる市民の関心が非常に高まっていると認識しております。また、これを監視、指導する立場の台湾行政当局への信頼が同時に揺らいでいるというふうに認識しております。

 このような中、台湾当局は、輸入停止となっております福島、茨城、栃木、群馬、千葉で製造されました食品が台湾内に輸入されていたとする問題が三月下旬に発生いたしまして、これを契機といたしまして輸入規制強化を行うこととしたと我々に説明しているところでございます。

 しかしながら、私どもといたしましては、台湾側が産地偽装等を主張する問題の事実関係が明らかにされないままの状況であること、台湾が実施した約七万件に及ぶ日本産食品の放射性物質検査では一件たりとも台湾の設定した基準値の超過事例がないことなどを踏まえまして、科学的根拠がないにもかかわらず輸入規制を強化することは適切でなく、極めて遺憾であると考えているところでございます。

渡辺(周)委員 今答弁がありましたけれども、去年の九月、廃油ラード事件というのがあったんですね。これは、捨てられた油、廃油からラードがつくられて、よく中国でもあるんですね、捨てられた油をもう一回、捨てたものを集めてきて、また料理に出して、それを食べさせていた。こんなのが実際よく流通しているんです。でも、これは日本のせいじゃないですよね。

 今お話があったように、五県産の食品の表示違反事件というのも発覚したと。これは日本の側に過失があったんですか。そこはどうなんですか。

 つまり、今のお話を聞いていると、台湾は大変厳しい規制をしくようになった、事例は言いましたけれども。それは、例えば、日本発のものであれば、我々も胸に手を当てて、そういうことがあったのか、それは慎重に考えるわなとなるんですが、この二件というのは、これは日本側に過失があった話なんですか。そこをちょっと確認したいと思います。

 こればかりやるつもりはないんですけれども、大事な問題です。それをまずお答えいただきたいと思います。

長谷部政府参考人 先ほど御説明させていただきましたように、台湾側が産地偽装と主張する具体的な証拠等につきましては台湾側の検察当局が現在持っておりまして、産地偽装とされているのが、果たして張られているラベルの問題なのか、あるいは輸入申請書の記載の問題なのかということについても明確ではありません。また、ラベルの偽装が日本側で行われたのか、あるいは輸入された後に台湾側で行われたかということについても事実関係が不明でございますので、その点について、台湾側から十分な事実関係を明らかにしてほしいというふうに申し上げているところでございます。

渡辺(周)委員 ということは、返事が来るまでウエーティングしているということですか。台湾側に言った、ではその答えが返ってくるまでは、しばらくこのまま公告のとおり、言われているとおりに規制がずっと続くということで、こちら側から能動的に動くことはないんですか。返事待ちですか。

長谷部政府参考人 お答えします。

 何もしないということではございませんで、極めて科学的根拠に基づかない遺憾なものでございますので、あらゆる手段、レベルで輸入規制の撤回を強固に継続して求めていく。

 あわせて、こういった事実関係の解明につきましては、台湾側が問題とされているような企業のリストをホームページ上に出しておりますので、我々可能な範囲でそういったリストに掲載されているような事業者について任意のヒアリング等を行っているような状況でございます。

渡辺(周)委員 ここで本当は大臣にちょっと決意を聞こうと思ったんですが、席を外されたので、では少し述べますけれども、その時間的なコスト、それから経済的なコスト、人的なコスト、これは例えば、産地証明の書類を発行して、それを添付しなければいけない、あるいは、関係機関のエビデンス、証明をつけなきゃいけない、こういう手続を当然して出荷することになると思うんです。

 さっき大臣は食品については農水省なんだとおっしゃいましたけれども、それは生産している、今お話しした中には、例えば乳幼児向けの食品だとかお菓子も入っているんですよ。町工場がつくっているんですね、中小零細企業が。例えば、大手から下請にお願いして製造したものを、これはある意味では地方の本当に製造工場ですよ。こういうものがどれだけ徹底した衛生管理を行って、しっかりと品質管理をしてやっているのか、本当に台湾の方はわかってくれているのかなということが一点です。

 それから、時間的、経済的、人的なコストというのは、そんなに利益率も高くない下請、孫請の製造の中で、そこでまた何らかの負担をしなければいけないということは、日本の中小零細企業にとっても大変大きなコストに積み重なってくるだろうというふうに私は思います。

 ですから、当然のことながら、その分のことを考えれば、これは農水省です、こっちは違いますみたいな話じゃなくて、大臣、これは中小企業がやはりつくっているところもあるんですよ、お菓子をつくって、製造工場で。本当に品質管理をしっかりやりながら、一人一人の方々がその管理のラインの中で工程に立って、一生懸命やっている。

 いわれなき風評被害を受けて、これから産地証明しなさいという、時間的、経済的、人的なコストをかけてまでやるとなれば、これは農水省のやっていることを見守って、ぜひそこはわかっていただいて、しかも、例えば、政治的に対立をしている国が、これはもう政治的な意趣返しだということでやってきた話じゃなくて、なぜ台湾が今こんなような対応をしてくるのか。しかもこの時期に、震災から四年たってですよ。非常に不可解なことでございます。

 ですから、ぜひオール・ジャパンとして取り組むためにも、もう一度大臣にこの点について最後に決意を伺いたいと思います。

宮沢国務大臣 台湾との関係でありますので、なかなか閣僚レベルの交渉というのは難しいわけでありますけれども、事務レベルでこれまでも何度も接触をしてきておりまして、正直、貿易担当の方の役所は若干困っているというのが今の実情であります。彼らとしても最大限努力するということを言うんですが、なかなかそのとおりに進んでこなかったというのがこれまでの経緯であります。

 おっしゃるように、これはオール・ジャパンで対応しなければいけないということ、また、中小の製造業も当然入っているということでありますので、農水省また外務省としっかりと協調しながら、オール・ジャパンで対応していきたいと思います。

渡辺(周)委員 ちょうど五月一日からイタリアのミラノで、農水省、経産省が共催で、食をテーマにしたミラノ万博が始まりました。日本の自治体も日本館で和食だとか日本の食材を世界市場に売り出すべく取り組んでいるわけなんです。

 当初EUもいろいろ規制があって、EUの規制の中で、日本産のもの、例えばだしをとる、かつおぶしというのが発がん性の成分が実は日本の基準よりも厳しいということで当初危ぶまれたんですが、そのあたりもいろいろな働きかけをして、ある程度できるようになってきたという中で、せっかく和食や日本の食材を、ましてや震災の後の風評被害を、これで世界の中で安全性をアピールする最高のチャンスだと思う中で、今回こういったことが起きました。

 そこは、食をテーマにしたミラノ万博は経産省と農水省で一緒にやっているわけです、オール・ジャパンで。そこは、今回のことについても、なぜこのさなかにこういうことがあったのかということをぜひ早く解決していただくように努力をしていただきたいと思います。

 私も与党のときに三役にいたときは台湾の土を踏めませんでした。ですから、なかなか三役の方々が行くのは難しいのは百も承知ですので、それは、ある意味では、そうでない方々、議員の外交の中で解決できる部分もあると思いますので、これは一日も早く取り組んでもらいたいと思います。

 もう一つ、小泉政務官にお越しをいただいています。これもやはり大きな関心事でございまして、復興事業を打ち切るということが昨日発表されまして、今まで国費でやっていた部分も地方、被災地にも負担をしてもらうんだというような方針に転換したというふうに言われております。

 その中には、福島の再生可能エネルギーの次世代技術研究開発事業、あるいは市民交流型の再生可能エネルギーの導入促進事業、大変、再生エネルギーを一つの雇用のきっかけにしよう、ふるさと再建のきっかけにしようということで取り組んできた復興事業が今年度で、そもそも二年間とか三年間とか決められたものもあります、これが打ち切られる。例えば、福島再生可能エネルギー次世代技術研究開発事業というのは、福島県内に存在する再生可能エネルギー資源を活用し、次世代の技術開発を実施する、その他、もう挙げる時間はありませんけれども。

 つまり、こうしたことを一つの復興の中心に据えようということでやってきた、我々の政権のときからの事業でございます。これが、ある意味ことしで打ち切られる。あるいは復興事業の中でもこれまで全額国負担だったものが、エリアによっては自治体に自立を求めるんだと復興大臣がおっしゃっていますけれども、この点について、ぜひ復興庁、本当にこれは自立が必要で、ある程度役割は終わったというふうに今もうお考えなのか。

 特に、小泉政務官は何回も福島には足を運んでいらっしゃいます。何度も行かれておりますけれども、そのような現状だということで、今回、打ち切りやあるいは被災地負担ということに方針転換したのか、その点についてお考えをぜひ伺いたいと思います。

小泉大臣政務官 今、渡辺先生から打ち切りという言葉がございましたが、打ち切ることではなくて、まず五年間、この集中復興期間の総括をして、そしてこれからの復興予算のあり方をどうするかという考え方をきのうお示しさせていただきました。

 その中で、今までと同じように全額国庫で負担すべきものはこれである、そしてこれからは一部負担もしていただくところも出てくるかもしれない、そういったことをお示しさせていただきましたが、今御指摘の福島県のこと、原発事故に由来する復興事業に関してはこれからも全額国庫負担でやってまいります。

 そして、今御指摘をいただきました福島県の市民交流型再生可能エネルギー導入促進事業でありますけれども、平成二十七年度限りで終了する事業としてお示しをしましたが、これは当初計画されたとおり、二十七年度で事業を終了することとしています。ですので、今後は、導入された設備を活用して再生エネルギーの普及の推進に取り組んでまいります。

 福島県以外でも再生可能エネルギーをやりたい、そういった被災地の自治体もあると思います。そういったことに対しては、これから個別にしっかりと自治体と相談をしながら、今後の予算のあり方、また復興庁の支援のあり方を決めていきたい、そういうふうに考えておるところでありますので、打ち切るわけでなく、そういったメッセージが伝わらないように、関係自治体と、また被災地の皆さんとしっかりとした対話をしながらこれからの復興事業を進めてまいりたい、その復興にかける決意、思いというのはこれからも変わるものではありません。

渡辺(周)委員 今の、再生可能エネルギー発電設備等導入促進復興支援補助金、二十七年度の経済産業省予算のポイントの概要に書かれている部分を読みますと、事業目的、概要について、再エネを活用したふるさと再建のイメージ、立ち入り制限等で利用が進んでいない用地、そこに再エネ発電による土地活用をする、そして、再エネ発電事業を住民の帰還、事業の再開、地域活動の再開、活性化等につなげ、ふるさとを再建するとともに、福島県の再エネ先駆けの地を実現すると決意が書かれているんですが、福島県を再エネ先駆けの地にすることは揺らいでいないということでよろしいですか。

小泉大臣政務官 私も昨年、福島県にできました産総研の再生可能エネルギー研究所を視察させていただきましたが、福島県というのは、二〇四〇年を一つの目標にして、再生可能エネルギーで一〇〇%自給をできるように、そういった大変高い、野心的な目標を掲げて、内堀知事も頑張っているところでありますので、それを支えていく、そういった思いはこれからも変わりありません。

渡辺(周)委員 それを受けて、「復興費負担 広がる不安」という形で、本日も各メディアが書いております。被災地も復興費を負担。再エネについての話はまた改めてどこかで、きょうは時間がありますのでやりたいと思います。

 そこで、政務官、最後に、こうした復興費の負担については、被災地が負担をすることによって復興がおくれるのではないか、あるいは、自立という名のもとにどんどん予算が今後先細りしていくのではないか。ただ、復興におけるいろいろなプロジェクト一つ一つを精査していると、それは恐らくあるんだろうと思います。多額の予算がつき過ぎているところ、あるいは利用がされていないところ等々あるとは思います。

 しかし、復興で必要だという地元の予算と、国の方が来年度から五年間でやる、集中期間は終わりましたけれども、その総額の中には随分開きがある。そこをどう地元の方々の理解を得るかということについて、今後、地方、地元の声をぜひ聞いていただきたい。そのことの決意をぜひ伺いたいと思います。

 そして、特に再エネの問題については、経産省、資源エネルギー庁、これは所管でございますので、今後、復興庁あるいは財務省も含めて、どのようにしていくのかということを、言いなりになるのか、それとも、やはり福島をもう一度再エネの先駆けの地としてやっていくんだという思いがありやなしや。ぜひ、その点について、それぞれから伺いたいと思います。

小泉大臣政務官 今お示しをさせていただいた復興庁の考え方というのは、来月の末に向けて正式に基本方針を固める上での考え方をお示しさせていただきましたが、被災地の自立が必要だというのは、間違ったメッセージが伝わらないように気をつけて発信しなければいけないと思っています。

 今回、一部自治体の負担を入れるという話も、全ての復興事業において自治体の一部負担を導入するということではありません。例えば、被災者支援はこれからも全額国庫負担でやってまいります。災害復旧事業も同じです。原子力災害特有の復興事業に関しても全額国庫負担でやります。東日本大震災復興交付金の基幹事業においても引き続き全額国庫負担です。

 一部入れるものに関してはどういうものかといいますと、例えば、震災前から地域の課題に対応するために計画されていたような事業、そして全国共通の課題、この性格を持つようなもの、そういったことに対しては、一部その負担はしていただくような方向性で考えていこうと。

 この精神というのは、例えば私も視察をした岩手県の紫波町のオガールなど、また地方創生でも注目をされている島根県の海士町など、やはり身銭を切らなければまちづくりは成功しない、こういった精神というのは、私は、全国、被災地また被災地外、それらに共通する必要な精神だと思っております。

 こういった思いの中で、復興の被災地特有の課題はこれからも全額国庫負担で支える、ここにおいて変わりはありませんので、この決意のもとに、これからも最後まで復興を見届けてまいりたいと思います。

高木副大臣 今ずっと御議論ありましたように、再生可能エネルギー、福島においては復興の柱としてこれまでやってまいりました。

 私ども経済産業省としても、再生可能エネルギーの導入の支援、それだけではなくて、世界最大級の浮体式洋上風力の実証実験や、また再生可能エネルギーの関連技術の研究開発等を行ってまいりました。

 今後、再生可能エネルギー関連事業にかかわる自治体負担という考え方ですが、今、小泉政務官からありましたように、復興庁より示された方針を踏まえて対応していくことになりますけれども、やはり現場の声、実態、そういうものをしっかりと把握しながら、そして現場と協議をしながらやっていくことが一番大切かな、このように考えております。

 私も、今現在、原子力災害の現地対策本部長を務めさせていただいておりますので、そういった部分では、各市町村、県、さらに復興庁、そして私ども経産省、しっかりと協議をしながら、復興の柱の一つとしての再生可能エネルギー、これはしっかりと支援してまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 それでは、法案の中身について何点か確認をしていきたいと思います。

 先ほど中根委員からの質問がございました電力の兼業禁止規定についてなんですが、先ほどお答えの中で、経産省の審議会や制度設計のワーキンググループで、条文が法案上見当たらないんだけれども、これについては撤回された、しかし、措置を今後検討していくというようなお答えがあったと思います。

 ここで確認したいんですけれども、一つ目は、異動、再就職に関して規制はないということで理解をしていいのかということであります。そしてまた、業務の改善勧告等の権限を持つ八条委員会において、条文に定めていないけれども、どこまで規制をすることが可能と考えるのか。つまり、行為規制としての人事異動や再就職を禁止、規制するという権限、これは八条委員会は持たないのか持つのか。どこまでの権限を持つのかということについて、先ほどの中根委員の質問に引き続いて確認をしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど御説明申し上げましたとおり、私どもが今回提案をさせていただいている規定は兼職の禁止というものを申し上げているところでございまして、規定に基づきまして、異動や再就職に関して罰則つきの規制というものは設けないということは、先ほど御説明を申し上げたとおりでございます。

 他方、審議会の中で、中立性の確保という観点から人事異動についても制限すべきだという議論があったことは事実でございまして、先ほど例にして申し上げましたような中立性に疑義が生じるおそれというものをどのように回避していくのか、これを具体的な措置として考えなければいけない、こういうことでございます。

 一方で、今御質問のございました八条委員会でございますけれども、八条委員会は、今回の法案に定められまして、法案が成立した暁でございますけれども、一つの大事な柱といたしまして、中立性の確保というところを監視していくという役割を担うわけでございます。そのルールにつきましては、今回の法律、それに基づく政省令、そして経済産業大臣の方から定められるルールというものに従ってしっかりと監視をしていく、こういった考え方でございます。

 私ども、今回の法的分離に伴います行為規制につきましては、安定供給や需要家の利便性、あるいは業務の効率性と中立性の確保ということとのバランスというものをしっかりと認識しながら対応していきたいと考えております。

渡辺(周)委員 その点について先ほどからはっきりしないんですけれども、つまり、どこまで今後制度設計していくのかというところが、今日までの質問ではわからない。

 中立性の確保策を強力に推進すれば、今度は従業員の異動であるとか再就職の規制まで過剰に規制することになるのではないかというふうに思うからこそ質問をしているわけなんです。つまり、人事等における事業者の独立性の侵害、もっと言うと阻害とでもいいましょうか、そこまで過剰にここはいくべきではないというふうに思います。

 これは、ややもしますと憲法上の権利すら剥奪するおそれがあると思いますが、もう一回伺いますけれども、その点についての行為規制はどこまで立ち入るのかということについて、現状のお考えはいかがですか。

多田政府参考人 繰り返し御説明申し上げます。

 私ども、行為規制の策定に当たりましては、今回の法案に盛り込ませていただいているところに基づきまして、今後、政省令等定めていく部分がございますけれども、まず申し上げておきたいと思いますのは、電力の法的分離、あるいはガスの法的分離、いずれにおきましても、安定供給、需要家の利便性、業務の効率性という観点とそれから中立性の確保というものとのバランスの中で行為規制の内容を定めなければいけないと思っております。

 先生御指摘の、従業員の異動あるいは再就職についての規制というものについては、先ほどから申し上げておりますように、法律に基づきます罰則つきの規制というものは今回の法律の中には盛り込んでいないというのは、繰り返し申し上げているとおりでございます。

 他方で、人事異動につきまして、従来から私どもが審議会の中で議論させていただいている中で、中立性の確保という観点から疑念が生じる場合がある、そういうことについて規制を設けた方がいいのではないかという指摘があったことも踏まえまして、法案の中に罰則つきの規制は設けていないことは繰り返し申し上げておりますが、どういった措置があり得るのかといったことにつきまして、私どもとして知恵を出していきたいと思っております。

渡辺(周)委員 この点については、また同僚委員の質問にも委ねたいと思いますし、また後日にも深掘りをしていければと思います。

 ちょっとガスの方に移ります。

 先般のエネルギーミックスの政府案については、LNGの利用拡大あるいは重要性ということについては大きく触れられていなかった。これはガス事業者の方々に言わせると、やはり、私、前回の質問でも冒頭に申し上げましたけれども、天然ガスの利用拡大という、マーケットが広がるんだということがあって初めて、今回の法律が目的とするところの一つであります天然ガスに対してインセンティブが働くんだろうと思います。

 今回の事業法改正をこっちで審議しながら、片っ方で、エネルギーミックスの将来像というものが政府側から示された。その中で、天然ガスの利用拡大、あわせてコジェネ、そして燃料電池の普及拡大ということについては、そもそも、前回も伺いましたけれども、もう一回改めて伺いますが、その点について、どう今後国として大きな大方針を見せていくのか、大日程を見せていくのか、その点について伺いたいと思います。

高木副大臣 今委員が御指摘されましたように、今回の法案によりまして、利用者に多様で魅力的なサービスが各地域で提供されれば、天然ガスの利用拡大につながることが期待されております。

 また、今回示されましたエネルギーミックスの骨子におきましても、天然ガスは、ミドル電源の中心的な役割を果たしているとともに、徹底した省エネルギーを推進して、エネルギー消費量を抑制する中、コージェネレーションの導入等による天然ガス利用の拡大も見込んでおります。

 以上のことから、今回のガスシステム改革とエネルギーミックスにつきまして、天然ガスの利用拡大という点で方向性は合致している、このように私たちは一応認識をしております。

渡辺(周)委員 やはり、今回の、経産省が所管の役所として、片っ方でガスシステム改革をやっている、片っ方であるべき我が国のエネルギーの構成というものを一つ出す。その二つの中で、どこまで皆さん方が推進をしていくのか。その思いがなければ、何か、ガスシステム供給の改革をしていけば、まず需要が生まれるだろう、だからいずれふえるだろうではなくて、こうしていくんだという問題があってこそ初めて、まあ、卵が先か鶏が先かなんですが。

 その点についてのぜひ御努力を、これは与党の中でもこれから議論されるでしょうけれども、それがなければ、これは結果として、システム改革をやって、マクロな意味でのCO2の削減の問題も含めて天然ガスをどうしていくかということ。そして、あわせて最終消費者、ユーザーがどこまで供給によって恩恵を受けるか。我々としては、本当に値段が下がるのかということをまた今後も議論していきますが、その点についてぜひとも取り組んでいくべきだと考えております。

 さて、時間がなくなりました。保安についてちょっと伺います。

 もう御存じのとおり、保安の部門というのは、これまで積み重ねてきた知見やネットワークがある。それでまた行為規制の話になりますけれども、保安や災害時対応への影響に配慮をして現場レベルの人事交流が可能となるように、当然、それは当たり前、大前提です。そして、安定供給、需要家の利便性、業務の効率性、影響を与えないような、過度な行為規制とならない制度設計としていくべきであります。

 御存じのとおり、ガスというものは目に見えません、においしかわかりません。ゆえにこれは一大事になります。ぜひとも、処理要員、通信要員あるいは保安責任者、そして、さまざまなスペックがあって、その上で対応していくための、まさにどのように保安というものを考えていくか。そのために、過度な行為規制とならないように、先ほど電力のときにも言いました、中立性を優先する、効率性を優先する余りに消費者の安全、安心がないがしろにされてはならない。その点について今どのような制度設計をお考えになっているか、最後に伺いたいと思います。

高木副大臣 中立、公平性が優先される余り、安定性、安全性が後回しになってはならないということはまさにそのとおりで、現場を支える人材の確保、育成は、安定供給の確保、災害対応の上で極めて重要な課題、こういうふうに認識をしております。

 今回の法案で、災害発生時のみならず、通常時も含めまして、全てのガス事業者が保安に関し連携協力する努力義務を課しております。また、附則の責務規定におきまして、政府は、ガス工作物の保安の確保に支障が生じないよう必要な施策を推進するものとしておりますし、これらを踏まえまして、今後、具体的な連携ルール等を整備して、事業者が定期的な訓練や情報共有を実施することで、保安の確保に万全を期してまいりたいと考えております。

 また、法的分離を行う大手三社につきましても、行為規制の実施につきまして、現場レベルでの人材育成または技能継承、これらを念頭に置きまして人事交流を認めることとしておりまして、ネットワークの中立性と安定供給確保とのバランスに十分配慮した制度設計としております。

 今後とも、そういった部分を含めましてしっかりと対応してまいりたいと考えております。

渡辺(周)委員 終わります。

江田委員長 次に、馬淵澄夫君。

馬淵委員 民主党の馬淵でございます。

 先回、私、四月二十四日、質疑の機会をいただきました。そのときに、報道で、いわゆるエネルギーミックス、これが先んじて流れたわけでありますが、改めて、四月二十八日の第八回の長期エネルギー需給見通し小委員会、ここでエネルギーミックスの数値が案として示されました。これはお手元の資料一でお配りをしております。

 この数値につきまして、また今後の議論ということで今回は伺っていきたいというふうに思っております。

 まず、この数値は、ごらんいただきますと、再エネが二二から二四、そして、電源構成のところでありますが、原子力は二〇から二二という数値が出ています。これは、東日本大震災以前の二八・六%から数%の低下ということであり、再エネよりは多いということを示したものであるかとは思いますが、少なくとも、エネ基にある「可能な限り低減する。」という文言からはほど遠い内容ではないか、このような感想を私は持っております。また、再エネも不十分ではないかと思うんです。

 大臣、これはちょっと通告していないんですが、御存じなければ結構ですが、自民党政権で、震災前です、かつて、二〇〇九年、麻生大臣が再エネに関して目標を掲げられました。これは御存じでしょうか。

宮沢国務大臣 残念ながら、存じておりません。

馬淵委員 クイズではありませんから、結構です。通告しておりませんので、恐縮ですが。

 日本記者クラブで麻生総理大臣が二〇〇九年に表明をされております。当時、二〇二〇年時点の消費量で、再生可能エネルギーを今より倍増して、世界最高水準の二〇%まで引き上げたい、このようにおっしゃっておられます。

 この四月二十八日の長期エネルギー需給の委員会の中でも、橘川委員が、二〇三〇年に二二から二四ということであれば、かつて自民党政権で二〇二〇年に二〇と言っていたではないか、公約違反だ、このような御指摘もありました。

 いずれにしても、この再エネに関してはエネ基でも「導入を最大限加速」、このように掲げ、そして、できる限り低減するという原発のエネルギーに関して矛盾に満ちた数値ではないかということについての評価をこの委員会の中でも少し議論させていただきたいと思います。

 その上で、まずは、大臣はたびたび、経産省の立場として、原発新増設、リプレース、これに関しては現時点では想定していない、このようにおっしゃいました。

 そして、このような発言が繰り返されている中で、四月二十八日の第八回の需給見通し小委員会の中で高橋委員が資料をお配りされて、そして委員の意見提出という形で表明がございました。高橋委員は意見表明という形で、昭和電工の会長でいらっしゃいますが、高橋委員は、「以下についてさらに議論を深めていただきたく存じます。」ということで、「原子力の最大限の活用に向け、安全性の確保を大前提に、既存の原子力発電所の利用ポテンシャルやリプレース・新増設の可能性の検討。」このように意見を提出されております。

 また、山名委員、これは原賠支援機構の副理事長でいらっしゃいますが、山名委員もこの同会議で、「二〇三〇年以降も二二―二五%で原子力利用を維持するとなると、」中略で「五年に一基程度のリプレースや新増設を考える必要があるのではないか。」このようにこの審議会の中で意見表明が出されています。

 そして、増田委員、かつて自民党政権時代の総務大臣でいらっしゃった増田委員からは、発言として、原発のリプレースをどう考えるかは大きな課題だ、最新の発電容量の大きい、きちんとしたものを運転する方が原子力を認める上でも必要ではないかと思う、このように発言されています。

 つまり、二十八日に原発比率二〇―二二%というものが正式に経産省から案として出された。骨子案です。これが出た段階で一斉にお三方からこうした発言、新増設やリプレースを検討すべきだという意見が出てきています。

 そこで、これは大臣にお尋ねしますが、大臣、この委員からの発言や資料、これは経産省としてはどのように扱われますか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、今の状況を御説明いたしますと、二十八日に骨子案が示され、座長一任ということで了承されたわけであります。

 そして、今後の手続でありますけれども、報告書案というものをまとめて、そして、報告書案をパブリックコメントにかけて最終的な報告書にするということと同時に、与党もございますので、与党の手続もしていくということでございまして、そういう中で、先日あった発言がどうまとめられるかということ、報告書というものを今後、坂根委員長を中心につくられる中で、どういう書き方をするかという検討が行われることになるんだろうと思います。

馬淵委員 それは、与党のプロセスがあることも承知をしています。もちろん、案でありますから、正式なものではないということ、しかし、経産省から出てきたものであります。今後は、御議論の上、正式に決定。既に、上田長官初め皆さん方、与党の説明では、閣議決定はないんだ、また、パブリックコメントは一カ月程度行う、このように説明されたというのも仄聞をしております。

 こういう状況の中で、しかし、今まで、現時点では新増設、リプレースはない、このように、想定していないとおっしゃっていましたが、現在、このような委員からの意見が具体的に出てきたわけです。これも、二〇から二二という数値に基づいて出されてきているわけです。

 今後、すなわち、議題として新増設、リプレースは俎上にのったということでよろしいんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 経産省としては、政府としてはということでいいんだと思いますけれども、現時点におきまして新増設、リプレースは想定していないという立場にいささかの変更もございません。そして、今回のエネルギーミックスにつきましても、新増設、リプレースを想定はしておりません。そういう中で当然のことながら報告書がまとめられる、こういうことだろうと思います。

馬淵委員 大臣、私がお尋ねしているのは、このように委員から審議の場に意見が表明されたわけです。これも、具体的な数値が出て、お三方からこうした意見が出てきたわけですね。すなわち、現時点においては想定していないけれども、俎上にのってきたんだということの認識はお持ちでしょうかと尋ねているんです。お答えいただけませんか。

宮沢国務大臣 委員にはそれぞれ、逆の立場の方もいらっしゃるわけでございまして、私どもが坂根委員長と今後の委員会の進め方等々を御相談し、最終的には坂根委員長の御判断になると思いますけれども、俎上に上げるという考えは、現時点ではございません。

馬淵委員 俎上にのったかどうかの認識はあるかと聞いているんですよ。上げたかどうかは、まさに審議会で決められるわけですよね。私は、外形的に、具体的な事実を申し上げているんですよ。今までこのような議論は出ていなかったんです。今回初めて、原発が二〇から二二という比率が示された、その機をまさに合わせてお三方から出た。

 大臣は、一月十六日の会見で、議論をするしないということについても一切決めておりませんので、現時点では想定しておりません、このように述べられています。議論もないんだと。しかし、もう既に、今回は審議会で、坂根委員長がどうおまとめになるかは別として、明らかに意見として出ているわけです。すなわち、俎上にのったということについては認識をされませんかということを私は伺っているんですよ。

 大臣、政府の方針ではありません。審議会は、独立して、諮問機関としてあるわけです。諮問機関である審議会でそれが俎上にのったということの認識はお持ちではないんですかと尋ねているんです。お答えください。

宮沢国務大臣 まさにおっしゃったように、諮問機関でありますから、諮問していないことについて御議論していただくことは自由ではあります一方で、諮問していないことは、俎上にのっていないということだと私は思っております。

馬淵委員 答えが出ないから議論をしていない、これはおかしな話ですよ。答えを出すためには議論があるんですから。大臣、それはおかしな答弁だと私は思いますよ。諮問と正式に表明されない限りは議論になっていないんだという話であれば、答えが出るまで議論がないという話じゃないですか。御答弁としては、これは随分いいかげんな、ずさんな答弁だと私は言わざるを得ませんよ。

 事務局がこう説明しています。事務局は、現時点では新増設、リプレースは想定していないということでございますけれども、先ほど来ございますように、一定程度の、この後四十年の期間を超えて運転されていくことを見込みつつということでございますが、我々としては、供給力としてしっかりと立っていただくように事業環境整備を進めていくという考えであるということが発言されています。

 では、改めてお尋ねですが、これは経産省の事務方の説明なんですが、供給力としてしっかりと立っていただくということは、具体的にどういうことを指すんでしょうか。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 私が、私の役所の事務方の発言の中身まで、正直言って、真意まで推しはかるというわけにはなかなかいかないわけでありますけれども、少なくとも、エネルギー基本計画におきまして、電力システム改革によって競争が進展した環境下においても、原子力事業者が円滑な廃炉や安全対策、安定供給などの課題に対応できるよう、事業環境のあり方について検討を行うということにしておりまして、安全対策、安定供給などを頭に入れた発言ではないかと、今承って推測しております。

馬淵委員 今の御説明は、今回の資料の中にもあった説明の部分だと思います。まさに安全の部分ですね。あるいは、電力システム改革後などを見据えた原子力発電の事業環境整備を図るということが、これもペーパーでは記されていますので。

 一方、そこには、再稼働を進めるということも文言として入っています。恐らくは、供給力としてしっかり立っていただくということについては、再稼働も認めるということなんだとは思います。

 ただ、今私申し上げたように、議論として新増設、リプレースはこのように委員からも明確に出され、さらには、原発依存の素案、二〇から二二という数値に関して、これがまだ決まらない二十四日の段階で、原発のリプレースあるいは新増設を考えなければ、少なくとも東電の柏崎刈羽においたってなかなか再稼働も困難である状況を私説明もしました。二〇一六年の東電の新総特の評価も問題がありますよということを御指摘してきたわけです。

 外形的な状況を鑑みれば、どう考えても、今の流れとしては、新増設やリプレースの議論がされていくであろうということは明らかですよ。今想定していないということを繰り返しおっしゃって構いません。恐らくそれは答弁ラインで固まっているんでしょうから、大臣のお立場でも変えようがないんですよね。そのお立場は私もよくわかりますよ。

 しかし、国民に対しての議論としては、国民に対してどう示すかということは違います。検討しているのであれば、あるいは検討を始めるのであれば、そのこともしっかりと国会の場で、俎上にのっているんだ、今後その議論は必要なのだというところをしっかりおっしゃるべきじゃないですか。

 私は、電力システム改革、このことは極めて重要だと思っていますが、ただ一方で、そこには、原発をどうするのか、あるいは再エネをどうするのかという、この国のエネルギーの未来がかかるんです。いつまでもいつまでも、やりませんやりませんと言いながらも、外形的にもう状況がそろっている。そして、突然諮問機関の決定があって、これから検討を始めますでは遅いんですよ。

 私は、いずれの立場で物を言っているわけではありません。国民の代表としてここでお尋ねをしているんです。その上で、私から見れば、今回のこの数値というのは、新増設、リプレース、これを前提とした数字だと言わざるを得ないと思いますという評価を私はさせていただいているわけであります。

 では、事務局の説明で先ほどお話がありました、供給力としてしっかり立ってもらうための原発の事業環境整備ということでありますが、このことについて基本的なことから確認をしたいと思います。この電事法の改正で、電力自由市場における中での基本的なところの確認です。これは事務方で結構です。

 従来、一般消費者が支払う電気料金には、国策としての電源三法、これによっての建設補助などの費用が電気料金として上乗せされてきたわけでありますが、これは電力自由化後はどうなりますか。事務方から端的で結構です。

多田政府参考人 お答えさせていただきます。

 今御質問の件は、電源立地交付金等々の費用が電気料金の中に入るかという御質問ということでよろしいでしょうか、申しわけございませんが。

馬淵委員 では、改めてお尋ねします。

 コストが上乗せされなくなる、すなわち総括原価方式が廃止されるということでしょうか。いかがでしょうか。

多田政府参考人 恐縮でございます。

 総括原価主義につきましては、送配電部門だけが残り、その他は廃止されることになります。

馬淵委員 ありがとうございます。

 そうですね、これは基本的なことの確認のために質問させていただきましたが、地域独占や総括原価の規制は撤廃されるということであります。これが自由化の姿だということであります。

 その上で、では、原発の比率を決定する上で重要な根拠とされてきたのはコストなんですね、CO2、この二つがありました。

 このコストに関しては、長期エネルギー需給見通し小委員会の提出資料、これは資料二にお配りをしておりますが、原子力は、二〇三〇年モデルプラントの試算結果として、左のところに丸をしておりますが、十・一円となっております。数字の細かい評価はここではもう申しませんが、他の電力に比べ原発は低廉である、このような結論を導いておられます。

 原発が低コストであるとの認識を経産省がこの長期需給の中で示してきたわけでありますが、運転コストが低廉ということに関して言えば、燃料費などの運転コスト、バックエンド費用、事故対応費用、その他の電源よりもこれが低廉である、こういうことだと思いますが、これは端的にそうだということでお答えいただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 まさに、ほかの電源と比べまして低廉である、民主党時代も一番低廉だったわけで、それと同じ姿になっていると思っております。

馬淵委員 事故リスク、これに関しては四千炉年ということで、この数字のことは私はきょうは申しません。低廉であるということを結論づけられたということであります。

 コストが低いということは、すなわち、今ここで議論されている電力の自由化の中では、自由競争の中で、つまり極めて強い競争力を持っているということになります。つまり、この原発電源というのは市場で有利性を確保する、このように考えておられるということでよろしいでしょうか、大臣。いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 完全に自由化された後ということを考えますと、やはり原子力発電を持っている発電事業者は有利な立場にあるということは言えると思います。

馬淵委員 低廉なコストであるということは、当然ながら、競争力が優位であるということです。ただ、それもさまざまな条件がつくこともよく承知をしています。

 原子力小委員会、昨年の八月二十一日の第五回会合では、原子力事業の特殊性というのを挙げられております。これは三点ございました。

 事業の長期性、これは御案内のように、一旦原子炉に火をともせば長期間ということになりますね。そして、万一の事故のための対応。さらには三点目として、核燃料サイクルと使用済み核燃料の最終処分についての共同事業実施、リスク構造など、特殊性がある。

 競争力はコスト上あるんだ、このように経産省はお示しをされた。しかし一方で、今、三つの制約条件のようなものがある。したがって、圧倒的優位であるかということについては、なかなかそのように答えられるかというのは困難ではないかということも、これはレクでは何度かお話しいただきました。恐らく大臣もそういう認識だとは思います。しかし、こうした状況の中で、安価な電源であるということは間違いないということで、この原発の二〇から二二という数値が出てきた。こういう今までの議論の流れですよ。

 では、その場合には、安価な電源だということであれば、少なくとも、再エネは一方でCO2に関しては有利かもしれないが、コストの部分では非常に競争力が低下してしまう、つまりお金がかかってしまう、コストのことがマイナス要因だという、これも議論がありました。

 これは特に、固定価格買い取り、FITの問題もあります。つまりは、原発で発電した安価な電気に関しては、FITに類似するような政府の一切の支援策の検討の余地はないということでよろしいんでしょうか。大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 FITのような対応策というものは一切考えておりません。

馬淵委員 これは、資料三でお配りをさせていただきました。

 この資料三も、先ほど申し上げた昨年八月二十一日の原子力小委員会の第五回会合で示されたものです。

 ここにありますように、原子力事業環境整備として考えられる対応例ということで、CfD、差額決済契約、これはFITではありませんが、イギリスにおける、つまりは補填の仕組みであります。ここにありますように、原子力のコスト回収のための基準価格の差額について全需要家から回収する、このように示されているわけであります。FITとは一致しないことは私も承知をしておりますが、少なくとも、英国において、このCfDというものが原子力事業の環境整備の一つの方法例としてあるんだということが原子力小委員会では示されている。

 大臣、安価な原発、安価な電源であるといいながらも、一方、再生可能エネルギーはFITのようなものがあるから高コストだと言っているが、この議論というのは一切出ていません。少なくとも、CfDについては、コスト等の検証委員会の中には何ら議論は上がっていません。しかし、一方、原子力小委員会では、CfDの検討ということで示されているんですね。

 大臣、これは、今、坂根委員長のもとで、需給委員会で出そうとしている二〇から二二%、安いから原発の比率はこれぐらいになるんだとおっしゃってきたことと矛盾しませんか。CfDの検討を原子力小委員会では進めているというふうにこれは理解できませんか。いかがですか。

宮沢国務大臣 まず、CfDにつきましては、審議会で昨年八月にこういう御紹介はいたしました。

 それは、やはり原子力につきまして、一どきに事故が起こった場合の対応というものは大変厳しい対応が起こる等々というようなことから、例えば、アメリカでは債務保証しているとかいうようなことがある。また、イギリスにおいては、極めて長い間原子炉をつくってこなかったということがあって、初期費用が相当かさむと見た上でCfDというものを導入している。

 こういうことがあって、こういう制度を御紹介したことは事実でありますけれども、例えばCfDについて、現在、具体的な制度の導入に向かっての検討というものは一切しておりません。

馬淵委員 これも、もう原子力小委員会の中で、先ほど申し上げたように、原子力事業環境整備として考えられる対応例として示されているんですね。

 イギリスは新設です。今大臣がおっしゃったように、アメリカでは、金融機関の、政府の債務保証があります。最大八〇%まで。これは何を意味しているか。アメリカで、新規の原発、原発をつくる技術が低かったという話ではないわけです。何を言っているかというと、原発の新設ということに関しては多大なリスクがあり、それはすなわちコストとして十分検討しなければならないということで、一民間事業者が背負うには余りにも重いということからこうした仕組みができている。

 これは日本も同様ですよ。日本においても、完全な自由競争の中で、では原発をつくれというときに、それらのリスクコストを含めて全て電力会社が負えるのかというと、私はそうではないと思っています。

 事実、昨年のちょうど五月でした。私も昨年の五月、電事法の改正で一年前にも議論させていただいたんですが、当時、五月九日、電事連の八木会長が経産委員会に来られました。そのときにおっしゃっていたのは、議事録では、「ぜひとも、全面自由化の実施に先駆けて、民間事業者が長期にわたる原子力事業を担える、新たな国策民営のあり方を検討していただきたいと思います。」こう発言されているんですね。

 そしてまた、これは新聞での報道でありますが、朝日新聞には、この電力システム改革についてということで、これは三月の記事でありますけれども、八木会長は電力システム改革に対して、「延期も含めて柔軟な改革を進めていただきたい」、このようにおっしゃっているんですよ。

 これは何を意味をするかというと、やはり、FITと同様に、私はこれは類似だと思っています。少なくとも、総括原価方式に似た仕組みである。需要家すなわち消費者に電気料金に上乗せでこの部分を負担していただくわけですから。今、何をやろうとしているかですよ。

 大臣、電力システムの自由化を図って、全ての電力の自由市場をつくるといいながらも、原発市場に関してはCfDや、あるいは債務保証は困難でしょう、恐らく、そんなことをやろうとすれば財務省が黙っていませんから。しかし、このCfDの検討例を挙げて、実態としては、原発の総括原価方式を組もうとしているという姿勢、これはありありじゃないですか。

 大臣、私は繰り返し申し上げます。どちらの方向に進むべきかということはこの国会の中でしっかり議論しなきゃいけない。何か私が予見、予断を持っているわけではありません。しかし、このような議論の進め方、政治がリーダーシップをとらなきゃならないんですよ。

 大臣、今私が申し上げたように、検討もしていない、ただ資料を示しただけだとおっしゃっているが、そう言いながら、原発の二〇から二二の数字が、今日、今まで何も決めていないと言いながら出てきた。そして、そのときに機を合わせたように、三名の委員から新増設、リプレースの議論が、俎上にのせるかのような意見が出てきた。それでもまだ俎上にはのっていないと大臣は強弁される。その上で、CfD、着々と準備が進んでいるじゃないですか。

 電力システム改革、自由化と矛盾するこの方向性、大臣、これを今後どうやってコントロールされますか。検討されるんでしょうか、検討されないんでしょうか、CfDについて。お答えください。

宮沢国務大臣 先ほどから、俎上に上がっている、意見があった云々、こういうお話がありますけれども、まず、議論があったということと俎上に上っているということは私は少し違うと思っておりまして、やはり論点として皆さんに議論していただくということになれば、それはまさに俎上に上がっているわけですが、論点として挙げているわけではないことで意見を言われたということで、俎上に上がっているとは私は言えないというふうに思っております。

 そして、情況証拠的なことをいろいろ御説明があるわけでありますけれども、私、大臣に全く知らせないでみんながいろいろやっているのか、それともそうでないのかと思いながら伺っておりまして、少なくともそのCfDについて、一度お示しはしましたけれども、これを私が内々検討しろという指示をしたこともございませんし、検討しているということも聞いておりません、内部においても。(馬淵委員「これからされるんですか。検討されますか」と呼ぶ)だから、検討しろという指示は出すつもりはございません。

馬淵委員 恐らくは現時点ではという留保がつくんでしょうけれども、指示はないという御答弁をいただきました。

 イギリスの例は、確かにイギリスは新設がなかなかできなかったということで、ただし、三十五年間の価格保証なんですよ。原発をつくるということがどれほど大変かということは民間事業者はよく御理解されている。だから金融支援を言っておられる。

 八木会長がおっしゃっていることもまさにそういうことですよ。電力システム改革で自由化が進めば原発はつくれなくなる、だから新たな国策民営の策を考えてくれと、当委員会でも参考人の質疑の中でおっしゃった。これが電力の、原子力の世界の方々の意思なんです。それを受けとめてCfDという議論が、確かに大臣が就任される以前の資料ではありますが、少なくとも経産省、エネ庁の皆さん方はよく御存じだ。

 私が申し上げたいのは、大臣、これをしっかりと国民の前に示して、そして議論をしていかなきゃならないということなんです。自由化になりましたね、最も安いですね、そして、再生可能エネルギー、頑張っていますけれどもなかなか進みません、申しわけございませんという言葉がつくかどうかは知りませんが、しかし、結果的には、これをやっていく上においては何らかの支援措置が必要だ。CfDが、あるいはCfDとは違う名前になるかどうかは別としても、導入され、いつの間にか消費者がその負担を背負う。最もコストが低いという話ではなくなるんですよ。

 大臣、これは極めて重要な論点だと私は思っています。しっかりとここはリーダーシップを持って、この問題、指示するつもりはないとおっしゃっていただきましたが、できる限り低減するというエネ基の方針と、そして再生可能エネルギーに関しては大臣は強い意思をお持ちだ、私はそのように受けとめさせていただいています。全力で応援をさせていただきたいと思いますが、今申し上げたように、矛盾する施策が同時進行しながら、結果的に国民に何も知らしめずに進めていくことに対する懸念ということを申し上げたいと思います。

 大臣、最後に、今私が申し上げた点について御意見をいただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 なかなか、最後のところでどういう意見を言ったらいいのか、いま一つよくわからなかったわけでございますけれども、やはり現実から目を離すわけにはいかないと思っておりまして、しっかり現実を国民にお伝えしながら、そしていろいろな意見を賜りながら鋭意政策を進めていかなければいけないと考えております。

馬淵委員 ありがとうございました。質問を終わります。

江田委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

江田委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。近藤洋介君。

近藤(洋)委員 民主党の近藤洋介であります。

 本日は、電気事業法及びエネルギーの抜本改革に係る法案の質疑であります。機会をいただきまして、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。

 午前中の質疑でも同僚の議員が大変大事な点を幾つか指摘しておりますが、私も若干重なる点があろうかと思いますけれども、大事な点でございますので、お許しをいただき、大臣また事務方にも御答弁いただければ、こう思います。

 まず最初に、せんだって経済産業省の総合エネルギー調査会の小委員会で示された長期エネルギー需給見通しについてお伺いをしたいと思います。いわゆるベストミックスであります。

 この議論でありますけれども、きょうの新聞によりますと、昨日、自民党の調査会でも議論がされていろいろな議論があった、自民党の中でもさまざまな意見が出てまだ成案には至っていない、こういう報道でありますが、いずれにしましても政府の方針が示された。

 このベストミックス、二〇三〇年にどのような電源構成になるのかといったことは、エネルギーの基本方針でありますし、今般の電気事業法、ガス事業法の改正を議論するに当たっては議論の土台になるべきものである、したがって、法案の質疑に際してはぜひ早急に示してもらいたいということを、重ねて私も、また同僚議員も言ってまいりました。ようやくその形がかいま見えたということでございます。ぎりぎり間に合ったな、こういうことでありますので、早速議論させてもらいたい、こう思います。

 また、我々民主党も、昨日のネクストキャビネットで二〇三〇年のベストミックス案を提示したところでございます。したがいまして、政府案そして民主党案、それぞれ比較をしながら質問をしてまいりたい、こう思います。

 委員長のお許しを得て資料配付をさせていただいております。

 こちらの配付資料の一枚目が、総合エネ調の小委員会において示した素案であります。エネルギー需要、二〇一三年度から二〇三〇年度に向けて最終エネルギー消費をこのようにする、経済成長は一・七%を前提に一次エネルギー供給はこうするということが示されております。

 そして、二枚目は、その際の電源構成が示されておるわけであります。

 三ページ目が、我々民主党の昨日示した考え方の骨格であります。

 時間の関係もあるので事細かに説明をいたしませんが、政府案と我々民主党案の大きな違いは、幾つかあるんですけれども、まず前提となるエネルギー需要に大きな違いがございます。

 といいますのも、この一ページ目のエネルギー需要で、政府案では、徹底した省エネ五千三十万キロリットル程度、これは原油換算の省エネルギーを示しておるわけでありますが、徹底した省エネということで五千万キロリットルを実現するということをうたっておりますが、我々民主党案では一億キロの省エネを実現する、こういうことをうたっておるわけであります。この省エネに関するベースが大きく異なるということであります。

 ちなみに、当時の民主党政権で閣議決定した戦略では七千万キロリットルの省エネを実現するということでありましたが、その後、我々さらに精査をして、一億キロということを今般民主党案として示しました。翻って、政府においては、民主党政権時の七千万キロリットルを残念ながら後退する形で五千万キロリットル、こうなっているわけであります。

 省エネルギーの国家をつくるということは、資源のない我が国にとってみますと極めて重要なことであって、世界最先端の省エネルギー社会を築くということは、これ自体がイノベーション、技術革新を起こすことでありますし、企業サイドから見れば当然、原材料が安くなるということでありますから、競争力の強化にもつながる。

 さらに言えば、そのこと自体が大きな技術開発であり、日本の産業競争力の強化に資する大変重要なことであろうかと思うわけでありまして、このことは非常に大事だと私ども思っているわけでありますが、安倍政権ではこの点においていま一つ、紙には徹底した省エネ五千万キロと書いておりますけれども、少なくとも、意欲が前の政権と比べると、我々の時代と比べると後退しているのではないか、こう思うわけですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 エネルギーミックスにつきましては、二〇三〇年のエネルギーであり、電源構成の見通しであり、あるべき姿ということを申し上げてまいりました。見通しというのは、ある意味では自然体の話でしょうし、あるべき姿というのは、それに政策的な配慮を加えていかなければいけないということであります。

 そして、今回このエネルギーミックスをつくるに当たりまして、まさにおっしゃるように、例えば省エネ等々大変前向きに取り組んでいかなければいけないということと、もう一つ大事なことは、やはりできないことは書けない、地に足をつけてしっかりと見通しをした上で、その中で意欲的なものをつくり上げようということで、省エネにつきましても、五千万キロリットルといっておりますけれども、例えば産業部門でいえば約一千万キロリットル、その中には、例えば高効率ボイラーの導入といったもの、現在一四%しか入っておりませんけれども、これを七一%にするとか、業務部門、これは千二百万キロリットル程度でありますけれども、トップランナー機器の導入ということを徹底的にやっていこうと。

 例えば、複写機について言えば、現在よりも三七%効率が改善する。また、冷凍冷蔵庫であっても一一%改善する。ここ十年、二十年で冷蔵庫は相当改善してきておりますけれども、それをさらに一一%改善する。また、当然LEDが全部入る。また、家庭部門も千万キロリットル強でありますけれども、LEDに全部変わるとか、また、テレビにつきましても、既に相当省エネ化されているものをさらに三〇%効率化するというようなこと。

 また、運輸部門が一番大きくて、千六百万キロリットルですけれども、例えば燃料電池自動車、やっと去年十二月から市販されたばかりでありますけれども、これが二〇三〇年には六十五万台売れる、購入されるというような、かなり野心的なものを実はまとめたと思っております。

 ちょうど、今後二十年間で三五%程度省エネ化する、エネルギー効率を改善するということでありまして、石油ショックの後二十年間で効率化したのがほぼ同じでございまして、相当野心的なものを積み上げてまいりました。

 民主党の案が一億キロリットルということだそうでございますが、さらにいい知恵があれば積み上げて、教えていただきたいなと思っております。

近藤(洋)委員 大臣のおっしゃっていることもよく理解します。

 今、エネ庁において、また経産省においてさまざまな、LEDから特に燃料自動車、水素自動車の普及も含めてやられているということもよく理解します。ただ、あえて申し上げると、やはり今経産省が考えている省エネは、先ほど大臣がいみじくもおっしゃった、石油ショックのときの三五%と同じ水準なんです、こういう話でした。

 私は、あえて申し上げると、やはり三・一一を経て、石油ショックよりも大きな大転換をここはしなければいけないのではないか、こう思うわけであります。そう考えると、私も経産省の行政に、政治家の立場でありますけれども、政務官や副大臣でかかわってまいりましたから、スリーEと言われる中でコストが重要だということも十分理解をした上であります。しかし、もう一歩、いわゆる異次元の、それこそ異次元の取り組みをする必要があるのではないか、こう思うわけなんですね。ですから、あえてここは、七千万を下回る数字を、五千万という数字はちょっと寂しいという気がしてならないんですね、あえて申し上げます。ここはもう一歩踏み出せなかったのかと思うのです。

 もちろん、今政府において、例えば、民生部門の建築基準法の改正をたしか出されているのでしょうか。これは経済産業省も深くかかわって、建築基準法の見直し、ゼロエミッションビルといった、ビルの改築に向けてつくるとか、さまざまな取り組みを今政府がやられていることは私も十分認識しておりますが、さらにやはりこれから踏み込むべきではないか。

 あえて言うと、今も確かに、産業界の方に聞くと、いや、もう乾いた雑巾なんですということはよく聞きます。しかし、さらにもう一歩踏み込んで、とりわけビル部門であるとかこういった部門について踏み込んでいく。そして、そのことの政策を総動員していくということ。そして、そのことが、翻って我々日本国民の生活の質を改善していくのである。非常に快適な生活の質を保ち、そして世界の技術力のトップ水準を保つ、ある意味で新しい内需を掘り起こすということを考えても、私はこれが非常に課題として大事だと思うわけであります。

 ぜひいい知恵があればということでもございましたので、我々も今後も省エネについてはさまざまな政策提言をさせていただきたい、こう思いますので、また議論を深めさせてもらいたい、こう思うわけであります。

 さて、この議論の中で、省エネについてもなんですが、もう一つの大きな違いは、実は原子力なのであります。

 二枚目のページ、表をごらんいただければと思うのですけれども、二ページ目に、電源構成で政府案、右側の表で、再エネが二二%から二四%、原子力が二二%から二〇%という比率になっております。

 我々民主党の考え方は、次のページですが、再生可能エネルギー導入を三〇%以上ということ、そして、二〇三〇年代は稼働ゼロを目指すということでありますが、二〇三〇年という瞬間風速で考えれば最大一五%というところなのだろうと思います。仮の一つと計算をしても、最大で一五%になるかならないかというところかと思います。ここが非常に大きな違いであります。

 まず、ここでお伺いしたいんですが、午前の質疑でも恐らく馬淵議員からあったかとは思うのですが、これは大事な点なので、改めて大臣にもう一度確認したいと思います。

 このベストミックスを考えるに当たって、原子力発電所の新設、増設を行うことを前提にしているのか、想定をしてこれをつくられたのか否か、改めてお答えいただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 午前中、馬淵委員にもお答えいたしましたけれども、今回、ベストミックスを策定するに当たりまして、新増設、リプレースといったものは想定しておりません。

近藤(洋)委員 そうですね、ありがとうございます。想定をしておらない、こういうことでありました。

 だとすると、この二〇%から二二%という比率は、恐らく、既存の原子力発電所の稼働時期を今の四十年から二十年程度延長する、六十年稼働を前提に本計画を策定したということでよろしゅうございますか。

宮沢国務大臣 私どもは、法令に従いまして、四十年を超えて、二十年以内の延長を申請して、規制委員会によって審査基準に適合していると認められた原子炉につきましては、四十年を超えて稼働をさせるという方針でありまして、このエネルギーミックスを作成するに当たっても、そういう方針のもとにつくられております。

近藤(洋)委員 そうすると、このエネルギーミックスを策定するに当たってはそういうことであるという御答弁でございました。それで、現在の政府もそうであるということです。

 では、重ねて大臣にお伺いしますが、我々民主党は、このエネルギーミックスを策定するに当たって、また考え方として、原子力発電所の新設、増設は行わないという考え方を明確に示しております。

 これは、いろいろな党内の議論が、率直に言ってございました。私も当時の議論にかかわってまいりましたが、私の個人的な議論もありましたけれども、さまざまな議論の中で、ここは、あの当時、大きな議論の中で、新設、増設は行わないということで決着を見たわけであります。その結果として、三〇年代ゼロを目指すという方向感を出したんですね。これは大変大きな議論の末でありました。

 当然、当時は政権をまだ担っておりましたから、政権を担っている中でこれを出すというのも大変重たい判断でございました。もちろん、その際、核燃料サイクルはどうするということについては、これはやるということを示した上で、この判断を出したわけであります。

 そこで、現政権にお伺いするわけでありますけれども、安倍政権は、重ねてお伺いします、ベストミックスについては想定していなかった、この案を考えるに当たっては。そう考えて、新増設は考えずにつくりましたということですが、この計画とは切り離して、さて、新設、増設を認める方針なのかどうか、この計画とは切り離した時点でどうなのか、エネルギー政策としてお伺いしたいんですが、いかがなんでしょうか。

宮沢国務大臣 安倍政権といたしましては、原発の新増設、リプレースにつきましては、現時点では想定していないということであります。

近藤(洋)委員 大臣、ここは大事な点なのであえて突っ込ませてもらいます。

 現時点では想定していないとお答えになりましたが、現時点ではということは、では、そうすると、どういうことなんでしょうか。二〇三〇年の計画までは想定していないということなんですか、それとも、いやいや、今のこの立ち位置、この時点では想定していなくても、三年後、四年後は想定しているかもしれないということなんでしょうか。どういう意味での現時点、その現時点での解釈をお教えいただけますでしょうか。

宮沢国務大臣 現時点においては、まさに再稼働を今進めているところでありまして、新増設、リプレースについては想定をしていない、それ以上でも、それ以下でもございません。

近藤(洋)委員 これは、大臣、非常にわかりにくいですね。再稼働がまだできていない時点で、その先のことは申し上げる状況ではないということなのでしょうけれども、大臣の政治的なお立場は私どもも理解をいたしますけれども、政策の明確性から考えますと、長期の政策の明確性、または日本のエネルギー政策の育成のことを考えると、非常にわかりにくいですね。

 要は、新増設がなければ、二〇三〇年でなくても、二千何十年、徐々に減っていくということが明確になるんです。つくらないというのは、これは大きな意思決定なんです。六十年稼働にしても、いつかはなくなるんですね。だけれども、新増設をする限りは、そうではないんです。ここは非常に大きな政策の意思決定の話なんですね。

 ですから、ここは明確に、再稼働の議論とはまた別の次元において重要な政策の意思決定といいましょうか、方向を示す大事な話なのではないでしょうか。

 なぜ明確にされないのか、理由をお答えいただけませんでしょうか。

宮沢国務大臣 なぜ明確にしないかというお話でありますけれども、やはり、今やっと川内の一号機、二号機、それから高浜の三号機、四号機につきまして、規制委員会の審査が終わって、適合していると認められたわけでありまして、これらにつきまして、地元の御理解を得ながら、早く再稼働を進めなければいけないという思いと、また、さらに、今審査中の案件がたくさんございまして、やはりそれらについて審査結果がどうなるのか、また、適合していると認められた場合には再稼働を進めていくということをやるということでありまして、さらに、その先で新増設云々ということについては全く頭が行っていない、想定していない、こういうこと以外に、それ以上のことを申し上げる状況ではないということであります。

近藤(洋)委員 大臣、今般議論をしているこの電気事業法改正案は、ある意味で、戦後七十年の、電気事業法が施行されて半世紀以上ですが、以来の大改革の総まとめの法案であります。半世紀を超えるエネルギーの設計図を新しくつくろうという大きな節目の議論を今させていただいているんですね。

 したがって、この半世紀を見越して、我が国が原子力発電所をつくり続けるのか否かという、この大きな方向感を示せずして、なぜエネルギーの体制の議論ができるんでしょうか。この電気事業法改正案、まさに半世紀ぶりの大改正をするのであれば、原子力という大きなものの、増設するのかしないのかという基本中の基本のところが、方向を示さないで議論するというのは、非常におかしいと私は思うんですね。

 再稼働が規制委員会において審査中である、これはよくわかりますし、重要な問題であります。それは規制委員会において適切に判断をされるという話と、五十年にかけて我が国が原子力発電所を増設するのかというか、つくり続けるのかやめるのかというのは、全く次元の違う話であり、かつ、電気事業の大きな設計図にかかわる、電気事業のあり方にかかわる根幹の話ではないでしょうか。

 何でこのことを答えずして、少なくともこの法案を我々国会に審議しろと言えるのか、私は理解に苦しみます。少なくとも、我々民主党は、原子力はやめるという方向感を示して、その上で電気事業のシステム改革に乗り出しているんです。自民党はどうでしょうか。そのことを明確にしないで、上辺のところだけやって、改革した気になっているんでしょうか。僕は、責任政党自民党は、そんないいかげんな政党だとは思いたくありません。

 この場で、明確につくり続けるとおっしゃったらいいんじゃないですか。いかがですか。

宮沢国務大臣 近藤委員はお詳しいわけですから、よくわかった上でおっしゃっていると思うんですけれども、今回御審議している電事法の改正、また、これまでの第一弾、第二弾と行ってきた改正と、では原子力発電がゼロだったらばこの中身が変わる、ゼロでなければ違うふうになるという法改正を御審議いただいているとは思っておりません。

近藤(洋)委員 法文上は確かに大臣の理屈は正しいでしょう。

 しかしながら、私が申し上げているのは、電力のシステム改革の中において、原子力の位置づけが極めて大きい、そこの行く末がわからないのにシステム改革は議論できないのではないかということを申し上げているわけであります。

 この点を明確にせずして、私は、このシステム改革の議論というのがどうも上辺だけだということを余り言いたくないのですけれども、バックエンドの話も前回の議論のときに申し上げました。再処理の話、最終処分の議論、そしてこの原子力について。この大事な問題から、どうも私は、申しわけありませんが、聡明なる経済産業省の官僚諸君は逃げているとしか思えないんですね。率直に申し上げます。経済産業省の諸君はこの問題からちょっと逃げているんじゃないか、どうもそういう気がしてなりません。

 大改革をするなら、ここのところをきちんとやるべきだ、そのことをせずして一体何の改革だということを重ねて強調しておきたい、こう思います。また引き続き議論の時間があると思いますので、本件はもう一度やりたいと思います。

 別の話に移りたいと思います。

 改めて、これも午前中、同僚の中根議員がもう指摘をした点でありますが、極めて大事な点でありますので、伺いたいと思います。

 いわゆる兼職規制の問題でございます。今回の発送電の分離によって、従業員の人事管理に行為規制を課すこととしているわけであります。

 改めて、これはどのような規制を課すことになるのか、お答えいただけますでしょうか。事務方で結構です。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生は資料で条文をお配りいただいておりますが、第二十二条の三という規定が配られておりますが、「一般送配電事業者の取締役又は執行役の兼職の制限等」とあります。

 この第一項は、取締役または執行役についての兼職の規制でございます。

 第二項が、今御質問のございました従業員でございます。こちらをごらんいただきますと、一般送配電事業者は、かくかくしかじかの従業者を中立性の確保が特に必要な業務として経済産業省令で定めるものに従事させてはならない、こういう規定でございます。

 かくかくしかじかというのは、次の各号にありますけれども、小売電気事業者であれば、小売電気事業者の中で業務の運営において重要な役割を担う従業者として省令で定めるものといったような形が書いてあります。

 この第二項の規定におきまして、一般送配電事業者とその親会社あるいはグループ会社等に含まれます小売電気、発電事業者における従業員の兼職が規制されている、こういうことでございます。

近藤(洋)委員 今御答弁があったとおり、そういう兼職規制が罰則つきでかけられている、こういうことですね。

 そこで、改めて確認でありますけれども、従業員の異動、再就職については、法文を見ても、明確に規制はかけられないということでよろしいわけですね。そこをちょっと確認をとりたいんですが。

宮沢国務大臣 今回規定しております規制は、今部長から御説明いたしましたように、従業員の兼職に関する規制でありまして、法律上罰則つきで従業員の異動、再就職を禁止するものではございません。

近藤(洋)委員 ありがとうございます。

 今、大臣、罰則つきで規制するものではございません、こういう御答弁がございました。これについてまたちょっと後ほどお伺いしたい、こう思うんですが。

 まず、きょうは法制局に来てもらっているのですが、この法文について、法案の作成段階で、異動、再就職について何らかの規制をかけようと経済産業省がしたところ、職業選択の自由の観点からこれはいかがなものかということで政府内において議論があり、ここはできなかったというお話を伺っております。

 法制上、私もそれはある意味で当然だと思いました。職業選択の自由という明確な権利が、国民の権利があるわけでありまして、そういう人権の侵害をしてはいかぬと思うわけでありますが、これは事実かどうかというのを法制局に確認をしたいということと、また、もう一つ大事なことなんですが、法文で定められていないものを、例えば、人権の侵害をガイドラインで行う、法文でないもので行うということは認められるのかどうか、これも、法制局、お答えいただけますでしょうか。

高橋政府参考人 お答えさせていただきます。

 当局における審査の段階で、原省庁から提示された法文案におきまして、電力会社等の役職員の人事異動などにつきまして広範に制限する規定はございました。

 しかしながら、今御指摘ございましたように、職業選択の自由につきましては、憲法第二十二条第一項において保障されておりますところ、この憲法上の要請を踏まえ、広範な制限規定を設けることが適切であるかどうかの趣旨から再考を求めたところ、現在の法律案のように、必要性を踏まえた合理的な範囲で最小限の制限を課す規定となったものというふうに承知しております。

 また、二つ目のガイドラインでございますが、私ども、具体的にそのガイドラインがどのようなものか承知しておりませんので、お答えは正確には申し上げることはできませんが、この法律案におきましては、必要性を踏まえた上で合理的な範囲で最小限の規制となっているというふうに考えておりますので、法令以外の手法をもちましてこれを超えた規制を行うということは適当ではないというふうに考えております。

近藤(洋)委員 部長、ありがとうございます。

 内閣法制局というのはやはりいい仕事をするんだな、こう思いますね。憲法に照らして、やはりおかしいと思われるものについてはきちんと法制局の観点からチェックをしてこういう法案ができた、こういうことがわかりました。

 さて、そこでちょっと多田部長にお伺いしたいんですが、午前中の審議でもちょっと僕は、うっと気になった点がございまして、確かに罰則つきの規制はないのですけれども、法文で言うところの、ちょっと補足を、多田電ガ部長の方で御指摘をいただければと思うんですが、要は、明確な形ではこれは規制していないんですが、事業環境の整備といった条文がたしかありまして、その条文をうまく活用すると、何か規制がかけられるかのような条文があるんですね。

 そういうような条文がたしか一文ございまして、この条文では、確かに明確に、人事異動の罰則つきの、まさに罰則つきで規制することはございませんという答弁の裏側には、罰則つきではないけれども何らかの制限はかけられるという含意があるんですよ。その心をちょっと電ガ部長、御披露いただけませんでしょうか、条文を示して。

多田政府参考人 御答弁申し上げます。

 御指摘の点は、この配付していただいている資料をベースにいたしますと、六ページの右の方にありますが、二十三条の四に「電気供給事業者間の適正な競争関係を確保するための体制整備等」という条文がございます。

 こちらには、「一般送配電事業者は、」「省令で定めるところにより、託送供給及び電力量調整供給の業務に関して知り得た情報その他」「一般送配電事業の業務に関する情報を適正に管理し、かつ、託送供給及び電力量調整供給の業務の実施状況を適切に監視するための体制の整備その他電気供給事業者間の適正な競争関係を確保するために必要な措置を講じなければならない。」こういう条文がございます。これは、一般送配電事業者が、他の電気供給事業者間の適正な競争関係を確保するために、みずから必要な措置を講じなければならないという努力義務を定めたものでございます。

 私ども、午前中の御質問にもお答えをいたしましたけれども、異動、再就職について何か規制をかけることを考えているのか、こういう御指摘かと思います。

 私どもの審議会の過程でそうした議論があったことは事実であるというふうに申し上げましたし、他方で、今法制局の方からも御説明がありましたとおり、これに制約をかける、罰則つきで規制をするということは法制的に適切ではない、こういうふうな指摘もありまして、私どもが現在御提案させていただいている法律案を成案として得たものでございます。

 ワーキンググループの中では、先ほども御紹介いたしましたけれども、例えば、競合小売の競争情報を知り得る立場にある送配電事業者の従業員が、グループ会社の小売事業者の小売事業に従事すると、中立性に疑義が生じるおそれがあるんじゃないか、こういった御指摘があったことは事実でございます。

 だから、私どもとして、罰則つきの規制を設けないという整理はしっかりと踏まえた上で、事業者自身が中立性確保に疑念を持たれないように、実質的な中立性が確保される方策につきまして、事後的な監視で十分なのかどうかといった点も含めまして、今後検討を深めていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 その事後的な監視で、検討を深める中に何らかのガイドラインを役所が設けて、この二十三条の四に基づいて、まさに政省令を定めることができるという、これを使って何らかのガイドラインをつけて指導するということは想定されているんですか。

多田政府参考人 御答弁申し上げます。

 現時点で、私どもとして何か具体的な成案を持ち合わせているわけではございません。

近藤(洋)委員 現時点でということは、要するに、私はやるべきではないと考えるんですが、法制局も今御答弁がありましたね、法案でもやるべきではない、ガイドラインについても慎むべきだという趣旨の御発言がありましたが、これはやるべきではないんですよ、その異動について。

 ワーキンググループで意見が、それは意見はいろいろ出るでしょう。それは有識者からいろいろな意見が出るのは当然であります。しかし、その一部の意見をもってして、国会で法的にも整理をされたものを超えて、何らかの形で、罰則がなくても制限をするということは許されるんですか。

 何となれば、経済産業省は電気事業者の監督官庁ですよ。監督官庁がガイドラインを設ける。罰則は確かにないでしょう。でも、監督官庁がガイドラインを設けたものに違反したら何らかのペナルティーは受ける、こう思うのは事業者として当然ではないでしょうか。

 しかも、それは罰則がなくても事実上の行政指導であり、これは明らかにそういう形での規制をかけているに等しいわけであります。かつての金融行政と全く同じであります。

 まさか、自由化を促そうとしている中において、そんな古色蒼然たる古い古い行政をやるとは思えませんが、やらないとここで明確に御答弁していただきたいんですが、いかがでしょうか。

多田政府参考人 御答弁申し上げます。

 現時点で成案を得ていないというのが正直なところでございます。

 事実関係だけ申し上げますと、今回は法的分離に伴います行為規制という文脈の中でこの条文案を御提案させていただいておりますけれども、他方で、現時点でも、託送関係業務につきましては、会計分離等々の、中立性を確保するための環境が整えられております。

 その中で、既に適正取引確保のための、公正取引委員会と一緒に出しておりますガイドラインの中では、私どもが何か人事異動について制限を設けてくださいといったことは一言も書いてございませんけれども、中立性の疑義を払拭するための行動規範を設けるといったことを促しているという事実はございます。

近藤(洋)委員 中立性も確かに大事な法益でしょう。しかし、同時に、やはり安定供給をきちんと確保する、そして事故のないようにする、これも大事な、消費者にとって極めて重要な法益であります。

 この委員会の場でも以前紹介したことがありますが、三・一一の東日本大震災のときに、ガスや石油やガソリンスタンドといったほかのインフラが二カ月や三カ月かかって回復したわけでありますけれども、電力はわずか十日間で九七%供給を回復させているんですね。東北電力は被災企業であったにもかかわらず。

 それがなぜできたかというと、それは、ある意味で、配電、送電、それぞれの部隊の電力マンたちのその現場におけるすばらしいネットワークと協力のたまものなわけであります。

 一概に巨大電力会社性悪説というのを、もちろん、確かにその部分も、弊害もあったでしょう。したがって、今日的に発送電の分離ということを我々も打ち出したわけでありますけれども、現場における協力関係といったことは非常に重要であるし、これは日本の誇るべき電力の特徴なわけですね。

 ここにおいて、従業員の、しかも、取締役の異動、兼職は当然禁止しているわけですけれども、渡り鳥的に幹部職員が支配をする云々であれば公正中立という観点から問題だというのはわかりますが、従業員の異動であるとか再就職というのは、ある意味で、会社間の適切な意思疎通を図る上でも重要だという側面はあると私は思うんですね。

 これを経産省は、ある意味で、霞が関の机の上で、現場を知らない官僚の方々が、机の上で二年の規制をかけるといったことを現場を知らないでつくって、しかも、現場を知らないどころか憲法もわからないでつくってしまって法制局からだめだと言われたのが今回のてんまつなわけです。それを、やらないことをここでまだ明言できないというのは私は理解できないですね、大臣。

 大臣、ここは現場において、ここで法律化はもう諦めたわけですから、不必要なガイドラインはつくらないということは、ガイドラインで不必要な規制はかけないという方針は政治家としてきちんと表明をしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、現行法に基づいて、経産省と公正取引委員会の共同のガイドラインというものがございます。適正な電力取引についての指針というものでございますけれども、その中で、望ましい行為という記述がございまして、望ましい行為として、託送供給の業務を行う部門と発電部門、営業部門との人事交流について行動規範を作成、遵守すること、これを望ましい行為としてガイドラインで決めているということが実はございます。

 こういうガイドラインをつくるということを申し上げているわけではありませんけれども、今の部長の答弁を聞いておりまして、事後的な監視で十分か否かを含めということを殊さらに発言していたように感じておりまして、委員の意は十分に通じているのではないかなという気がいたします。

近藤(洋)委員 ぜひ新しい時代の電力システム改革をしたい、こういうことで我々民主党政権時代にこの骨格のことを考えたわけであります。

 実際につくってみたら、何か知らないけれども、監督官庁の経済産業省の力だけが、箸の上げ下げも、全部経済産業省がつくる。結局、巨大電力会社はなくなったけれども、巨大な監督官庁だけが残ったということになってしまったら、何のための電力改革なのかということになりかねないわけであります。

 この点、しっかり、多くの論点があるということを申し上げて、時間ですので、質疑を終えたいと思います。

江田委員長 次に、奥野総一郎君。

奥野(総)委員 民主党の奥野総一郎でございます。お時間をいただきまして、ありがとうございます。

 順序をちょっと変えるかもしれませんが、最初に、発電のコスト試算についてまず伺いたいと思います。

 安価で安定的な電源を選んでいくというのは、やはり私も日本の国益に沿うということだと思うんですが、しかし、であるからには、やはりできるだけ客観性を持って、恣意的に感じられないような形で試算をしていかなきゃいけないと思うんですね。そのあたりについて伺いたいんです。

 まず、気になったのが、連休前の四月二十七日に一度こういう形でモデルプラント試算結果というのが出ていて、その後、これは最終案になるんですかね、五月十一日付でまた同じものが出ているんですが、新聞にも報道されていますけれども、連休を挟んだ間に数字が若干変わった部分がございます。新聞などによると、一つ言われているのは、まず原発の長期の部分、二〇三〇年の原発の発電コストが、〇・二円ほどですけれども、十・一円から十・三円に上がっています。

 この理由についてまず伺いたいんですが、いかがでしょうか。

上田政府参考人 私どもは、四月二十七日、原子力を含む電力の発電コストにつきまして、発電コスト検証ワーキンググループというのを設けまして、原子力のみならず、火力発電、それから再生可能エネルギー等につきまして、発電コストの検証というのを行っているわけでございます。

 私が知っている限り、私どもは、今委員御指摘の四月二十七日、それから五月十一日のコストワーキンググループにおきまして、地熱それから風力につきまして、政策経費のもとになる数値を少し変えたということを行っております。

 これは、政策経費をキロワットアワーに配分する際に何を分母として割っていくのかというときに、再生可能エネルギーの場合には、現時点での発電電力量をベースにしたのでは非常にキロワット当たりの政策コストが巨大になってしまうということで、将来の認定量等々を含めてその発電コスト、政策経費を割っているという作業を行っているわけでございます。

 地熱、風力につきまして、特に、例えば地熱の場合は、開発案件が非常に長期にわたっているので認定案件が少ないので、非常に政策経費が高くなるというようなことで、もう少しそこを勘案したらどうかといった御意見も踏まえまして、分母を再計算した等々の行為をやっているところでございます。

奥野(総)委員 それは後から聞こうと思ったんです。

 原発については、これは新聞報道によれば、エネルギーミックスの割合が減ってしまったので発電量が減った、総発電量が減ったので単価が上がったんだ、こういうふうに聞いています。それでよろしいですか。

上田政府参考人 済みません、最初の御質問、原子力発電の経費の件でございますけれども、それにつきましても、今ちょっと確認いたしましたけれども、少し変えております。

 これは、当初、このモデルプラントの政策経費、原子力発電につきましても同じようにキロワットアワー単位で数字をはじいているわけでございますけれども、長期エネルギー需給見通し小委員会の方で、原子力発電につきまして、御案内のとおり、発電電力量、二〇から二二%という数字が新しく出てきたということを踏まえまして、それに応じまして原子力発電に関しても政策経費を一部修正したものでございます。

奥野(総)委員 二〇三〇年の発電量の見通しが変わったので、原発については若干上がり、地熱も、認定案件については試算に入れて、総発電量がふえたので単価が下がった、こういうことですよね。

 太陽光は、認定されていても実際に稼働するかどうかわからないので、そこはオミットしている、ここは私はそういうふうに理解しています。

 風力はどうなんでしたっけ。洋上風力が上がっているんですよね。洋上風力はなぜ上がったんですか。

木村政府参考人 洋上風力でございますけれども、現時点では商業用のプラントの導入実績というのはまだございませんので、基本的には将来の発電コストで私どもとしては考えておったわけでございます。

 その際、四月二十七日の発電コスト検証ワーキンググループの時点では、洋上風力の導入量の見通しそのものが存在しなかったということでございますので、予算関連の政策経費というのは計上しないという整理をしてございました。

 他方、長期エネルギー需給見通しの骨子案で電源構成案の発電電力量が示されたことを踏まえまして、それを用いて予算に関連する政策経費を算定した。分母ができたということでございます。

 この結果、洋上風力につきましては、予算に関連する政策経費は一・六円・パー・キロワットアワーということでございまして、二〇三〇年モデルプラントの発電コスト全体が若干上昇しているということでございます。

奥野(総)委員 これを見ますと、結局、何を政策経費に入れるかとか、それから発電量を幾ら見込むかによって単価が変わってくるということを今の話は示していると思うんですね。ですから、仮定の置き方によって大きく変わってくるということを示していると思うんですね。

 ちょっとこれは通告していなかったんですが、コストの試算というのとエネルギーミックスとの関係ですね。コストの試算があって、それを前提にしながら、安い電源なのでこういう割合で電源構成をしていこうということなのか、それとも、今の話を伺うと、先にエネルギーミックスがあって、総発電量がこうなるから単価はこんなものだというふうに今の説明だと聞こえるんですが、これはどちらなんですか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の点でございますが、もともとこの長期エネルギー需給見通しを作成するために、総合資源エネルギー調査会のもとに長期エネルギー需給見通し小委員会をつくりました。そのもとに発電コスト検証ワーキンググループをつくらせていただきまして、この発電コスト検証ワーキンググループにおきまして、エネルギーミックスの検討に際して参考となるような、今申し上げました各電源の発電に関する単位当たりのコスト、あるいは再生可能エネルギーの導入拡大に伴い電力の安定供給を確保するために必要となる系統安定化費用、こういったものを試算しております。

 この試算結果につきまして、総合資源エネルギー調査会の長期エネルギー需給見通し小委員会に報告をいたしまして、その中で、例えば将来の燃料価格の見込みであるとか、太陽光等の価格低下の見込みであるとか、再エネの導入比率に応じました系統安定化費用、こういったものを参考にしながら御審議いただき、電源構成の検討を行ってきたというわけでございます。

 そして、電源構成の検討を行ってきた結果、この間の骨子案で見たような数値というのである程度数字が固まりましたので、それをさらにコストの方に反映させながら、最終的な、例えば二〇一四年のモデルプラント、二〇三〇年のモデルプラント、特に二〇三〇年のモデルプラントの場合の、例えば政策経費の配分を割る分母となる数値というのは、二〇三〇年の導入量というのをベースにもう一度再計算を行っている。

 そういうことで、コスト検証ワーキンググループの結果を報告しつつ、最終的なフィードバックをいただきながら、さらに発電コストワーキンググループの試算を行っている、こういう状況でございます。

宮沢国務大臣 今の答えだとなかなかおわかりにならなかっただろうと思うんですけれども、要するに、コストという計算をいたしました。そして、それがどういうことで大事かといいますと、この小委員会でエネルギーミックスを御検討いただくに当たりまして、三つの条件というか、前提というか、目標というか、立てました。

 一つは、自給率をやはり二五%程度確保するということ、それからもう一つは、現状よりも電力料金が高くならないようにするということ、そしてもう一つが、温暖化対策について国際的に見てもそれなりの対応をとれるようにするということの三つを打ち出して、それを全部クリアするためにどうしたらいいかという、いろいろな計算をすると、やはりコストといったものを、それぞれの電源ごとのコストがないと実は全体のコストができないということで、エネルギーミックスが、コストがあることによってまず完成する。エネルギーミックスが完成しますと、量とかそういうものが決まってきますので、コストの方が若干動いてくる、こういうことであります。

奥野(総)委員 今々のコストはきちんと出ると思うんですね。二〇一〇年現在というのはある程度きちんと出ると思うんですが、将来推計はやはりおっしゃるように動いてくるんですね。一定の仮定を入れていきますから、動いてくるということですね。

 やはり初期コストがかかるので、例えば原発にしても、立ち上げ当初は発電量も少なかったわけですから、同じ計算をすれば物すごく高い電源だったはずなんですよ、当初は。

 同じことがこの洋上風力にも言えていて、今やはり地熱もそうですよね。研究開発とか初期コストがかかるので、発電量がふえるまでは単価は高い。将来推計をするとどうしてもそういうことになると思うんですよ。だから、これでミスリードしちゃいけないのは、今々の数字はありますけれども、どこに力点を置いていくかによってその数字が変わり得るということなんですね。

 原発は確かに今安いように見えますけれども、これをずっと続けていけば、原発は恐らく比較優位はある程度あるでしょう。後ほど、またそこは、問題点と私が思っているところは言いますけれども、ただ、これからはやはり国際標準並み、まあ、国際標準と言っていいかどうかわかりませんけれども、風力はやはり世界各国で中心になっていますよね。この試算よりも相当安い数字も、IEAでしたか、計算すると、出ています。十円を切るような数字もあるわけですね、物によっては。

 だから、例えば、では日本がこの風力を大々的にやっていこう、あるいは地熱を大々的にやっていこうということで力を入れて発電量をふやしていけば、もっと低い値になると思うんです、この二〇三〇年推計というのは。それから、FITの値も、発電量がふえていくと恐らく資本設備の単価が下がっていきますから、FITの額も下がっていきます。結局実は、これはやはり政策次第なんですね。二〇三〇年、十五年先だから意外と近い将来なんですけれども、これはどこに力を入れるかによって動いていくと私は思うんですよ。

 今何を伺おうとしたかといえば、まさにそこを言いたかったんです。推計だからいかようにも、いかようにもと言うと言い過ぎかもしれませんが、変わり得るということじゃないでしょうか。

 今風力の話が出たんですが、太陽光は、これを見ると、ずっと下がっていっているんですね、二〇三〇年に向けて、かなり低い数字まで。従来、私が聞いていたいろいろな値よりもかなり低いところまで太陽光は下がると推計している。

 一方、風力については、今国際的に言われている単価に比べてかなり高い。二〇三〇年においても高い数字のように見えますけれども、これはなぜ太陽光並みに風力は下がっていかないのか、なぜ国際的ないろいろな試算並みに低い数字にならないのかということで伺いたいと思います。

木村政府参考人 将来の風力発電のコスト低下を見込みます場合には、タービンでございますとか、そういう発電設備の量産効果、あるいは技術改善等によるコスト低減を見込む場合と、それから、タービン等の発電設備、これは市場の成熟に応じて国際価格に収れんしていくだろうということで、今回のコスト検証ワーキングでも二通りの試算をしてございます。

 その結果、風力発電の発電コストは、政策経費抜きで考えさせていただくと、二〇一四年の一キロワットアワー当たり十五・六円から、二〇三〇年には最もコストが下がった場合で九・八円まで下がる、そういう試算になってございます。他方、それは、先生御指摘のとおり、OECDによる試算で示された諸外国の現状の発電コストよりは高い水準でございます。

 その主な理由でございますが、やはり我が国では諸外国に比べて風況のよい地域というのが相対的には少ないということで、設備利用率、これも先生先ほど御指摘ございました稼働率でございますけれども、それが低いということが一つ考えられるだろう。それからまた、山合いのところの複雑な地形に立地をいたしますので、工事費が必然的に高くなってくるといった事情もあろうかというふうに考えてございます。

 いずれにしても、高効率化、低コスト化に向けた取り組みというのは必要だと考えてございます。

奥野(総)委員 洋上なんてこれからどんどんやっていけばいいんですね、浮体式の技術開発をして。技術ができてしまえば、そこは初期コストですから、どんどん発電がふえれば単価は下がっていくはずなんですね。

 私も確たる知見があるわけでありませんからこれ以上言いませんけれども、政策次第によって、何に重点を置くかによって随分この数字は変わってくるということであり、二〇三〇年の推計というのは、私は、これを絶対視して、これによって全てが決まるというのは危険だと思います。

 そういう意味で、この二〇三〇年のエネルギーポートフォリオ、エネルギーミックスというものについては、私は、このコストを見てそうだと思うのは早計だと思うし、我が党が言うように、二〇三〇年代原発ゼロに向けて政策的に誘導していけば、十分可能だと思うんですね。この数字だけ見ると再生可能エネルギーも随分コストがかかるんだなと思いますけれども、それは、やはり政府としてどこに力点を置くか。

 我が民主党政権のときに、あらゆる政策的手段を活用して持っていくんだと。まさにそういう姿勢を見せればやれないことはない。ドイツも、まあ、今は確かに電気高で苦しんでいますけれども、やってやれないことはないと私は思います。

 同じ話なんですが、今度は原発の側のコストも、これは、十・一円から、あるいは十・三円からということになって、下限という書き方になっていますけれども、例えば揚水発電のコストというのは、この二〇一四年推計あるいは二〇三〇年推計の中に、どこかに入っているんでしょうか。

上田政府参考人 お答えいたします。

 今回の発電コスト検証ワーキンググループにおきましては、将来の電源構成の見通しなどを示しますエネルギーミックスを検討するに際して参考となる各電源の発電コスト等々につきまして、二〇一一年の発電コスト等検証委員会の手法というものを基本的に踏襲しまして試算を行ったものでございます。

 揚水発電でございますけれども、揚水発電は、委員御承知のとおり、電力需要が大きく増加した際に短時間で対応する調整電源という役割が主でございまして、ほかの電源の発電コストとの相対的価格の比較といったものにかかわらず、発電容量を一定量確保しておくという性格がございます。したがって、コストという観点から他電源と比較するという必要性は余りないのかなという感じを抱いております。

 また、その役割から、電力需要の動向次第で利用状況が大きく変わるということで、設備利用率を適切に設定するということは非常に困難であるという性格のものでございまして、コストを考えてキロワットアワー当たり幾らであるということをあらわすことが必ずしもその役割等々から適当な電源ではないということから、今回、揚水発電の発電コストというのは算出をしておりません。

奥野(総)委員 要約すれば、非常に高く出るんじゃないかということだと理解します。

 これは、私の理解が間違っていたら言ってほしいんですが、原発をつくるときに、まさに原発の調整電源として揚水発電ができているんじゃないかと理解しているんですね。原発はまさにベースロード電源であるがゆえに夜間もとめられない、夜間に発電した電気で水をくみ上げて貯水しておいて、昼間に電気を発電する、まさに原発の調整電源としての歴史があるというふうに私は理解しています。

 であれば、原発の初期コスト、あるいは原発のコストの中にこれは含めていいんじゃないかと私は思うんですね。

 結局、原発で夜間発電した電気を昼間供給するためにはこれは必須な施設なわけですから、二〇一四年のものについては、この揚水発電のコストというのを参考でもいいですけれども出して、原発のコストに含めてもいいと思うんですが、いかがでしょうか。

上田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の委員の御指摘というのは、揚水発電というのは原子力発電のためにあるのではないか、したがって原子力発電のコストに入れるべきではないかという御指摘かと思います。

 揚水発電は、電力の安定供給の確保ということで、電力需要が非常に大きく増加した際に短時間で対応するための調整電源、先ほど申し上げましたが、そういう役割として一定量確保しておくべき、そういうものであると考えております。

 原発の有無にかかわらず、揚水発電のこういった役割というのは変わらないわけでございまして、現在、原発は稼働していない状況にあるわけでございますけれども、揚水発電は活用をされているわけでございます。

 また、将来、再生可能エネルギーの発電量がふえてきたときにも揚水発電を活用してはどうかという議論もございまして、夜間に原発を稼働するために揚水発電というのが存在するわけではないと考えておりますので、原子力の発電コストに揚水発電のコストを含むというのは必ずしも適当でないと考えます。

奥野(総)委員 一〇〇%とは言いませんけれども、そういう役割があったことは事実だと思うんですね。

 要するに、火力なんてとめようと思えばとめられるわけですから、調整電源という意味では、やはりとめられない原発の電気をためておくという意味で大きな役割を果たしていると私は思うし、昼間の太陽光、昼間照っている間の太陽光発電をためておく、そういう役割は今後出てくるかもしれませんが、少なくとも二〇一四年、今々の数字においては、私はこれは一定割合考慮すべきだと思うんですね。そうすると、それをもし入れた場合に、ではこの十・三円で済むかというと、やはりそれは済まないんだろうというのが一つあります。

 この話は水かけ論になりますからこれ以上言いませんが、私はそれを入れた方がいいというふうに御提案申し上げておきます。

 それから、あと、ここでは原発の損害費用も入れているんですが、この損害費用というのはどこまでの範囲なんですかね。今見通せるもの、将来の予測、どこまで入っているんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回のコスト検証におきましては、原発の事故リスク対応費用というものは、二〇一一年の検証のときと同様に、事故に伴う追加的な廃炉費用、賠償費用、除染、中間貯蔵費用、行政経費など、御指摘のとおり現時点で見積もることが可能な費用を全て含んだ試算となっておりまして、二〇一一年以降の事情の変更を反映したものでございます。

 除染廃棄物でございますとか一Fの中の炉内の溶融燃料の最終処分費用、こうしたものは現時点で見積もることができないということで、今回の試算では算入をしておりません。

 こうした事情も踏まえまして、この事故対応費用につきましては、〇・三円以上といった表現の仕方をさせていただいているところでございます。

奥野(総)委員 以上ということで、そこは良心的にやっているのかなとも思うのですが、ただ、将来これに幾らかかるかやはりわからないですね。一Fもそうだし、これから伺いますけれども、私の地元の千葉県の指定廃棄物の、それは一Fに比べれば少ないのかもしれませんが、そういった地域の処分費用も出てくるわけです。そういうのを含めると、決してこのとおり、これだけ見て、十・三円だからあるいは十・一円だから原発が一番安いんだというのは、私はミスリードさせると思います。

 最初に申し上げたように、再生可能エネルギーも力点によってはもっと下がってくる、風力なんか現にかなり低い数字が国際的には出ているわけですから、これだけを見て原発を最も安価で安定的な電源だとして、それを最優先に進めていくというのは私はおかしい、あくまで二〇三〇年ゼロに向けて進めていくべきだということを申し上げて、このコストの話については終わりたいと思います。

 関連して、今ちょっと地元の話をしましたけれども、きょうは田嶋先生もお見えですけれども、私の地元の千葉県、指定廃棄物の最終処分場について、私の地元でもあります千葉市が詳細調査の候補地として選ばれたということが報道されています。実際そのようであります。

 そこで、きょうは環境省がお見えだと思うんですが、伺いたいんですが、この詳細調査について、地元の同意なくして、あるいは首長さんの同意なくして詳細調査は行えるんでしょうか。

福山大臣政務官 ただいまの御質問でございますけれども、詳細調査の実施に当たっては、地元の方々の御理解を得られるよう、その候補地の選定経緯や施設の必要性、安全性などについて丁寧な説明を行う努力が必要だと思っております。

 こうした努力をせずに詳細調査を行うつもりはなく、地元の方々の御意見に丁寧に耳を傾け、地元の方々の御質問に一つ一つお答えすることを通じて御理解が得られるよう努めてまいりたいと思っております。

 よろしくお願いいたします。

奥野(総)委員 質問主意書でも伺ったんですが、別法だし、そもそも面積の問題もあるし、環境アセスの対象にはならないんですね。アセスにかかれば、それは首長なり地元住民が意見を公式に言う場が出てくるんですけれども、そこは違うと明確に言われましたし、制度上も確かにそうなんですけれども、となると、今聞くとおっしゃいましたけれども、そういう場の設定ですよね。

 地元住民の声を聞く場、これはちょっと、ごめんなさい、通告していないかもしれませんが、具体的にどのようにして設けるんでしょうか、あるいは設けないんでしょうか。

福山大臣政務官 ただいまの御質問でございますけれども、千葉県における詳細調査候補地の選定経緯や施設の安全性については、地元の方々の御理解が得られるよう丁寧に説明することが必要であると考えております。

 具体的な進め方については、千葉市や千葉県と相談して進めていくことになりますが、環境省としては、千葉市の当局はもとより、市議会や住民の方々に誠意を持って丁寧な説明を尽くす所存でございます。

 千葉県の指定廃棄物の早期の処理に向け、国として責任を持ってしっかりと取り組む決意でございます。千葉市民の皆様初め、千葉県民の皆様の御理解を得られるように努力をしっかりとしてまいりたいと思っております。

奥野(総)委員 どこかが引き受けなきゃならないことは間違いないですね。そうなんですが、ただ、奥がずっと住宅地なんですよ。例えば津波が来たときに、港から入ってきて津波が来たときに大丈夫かとか、非常に皆さん不安に思っておられると思うんですね、だからあえて伺っているんです。

 では、その理解を得られるというのは、どういった状況が理解を得られた状況だとお考えですか。

福山大臣政務官 それは、先ほどから申し上げておるように、地元千葉市、そして千葉県民の皆様、いろいろな状況を鑑みて、そして、何よりもその所在地の皆様とか議会の皆様、地元住民の皆様の御理解を得られるように、我々としては、ここまで至った経緯をしっかりと説明して、それで御理解いただけるように精いっぱいの努力を重ねて、今後とも説明に参りたいと思っております。

 よろしくお願いします。

奥野(総)委員 もう一回だけ聞きますが、そうすると、では、その御説明いただく場、御理解をいただけるように説明する場というのはどこになるんですか。

福山大臣政務官 それについては、今後、それぞれの形の中で協議を進めさせていく、どういう形が一番適切なのかという方法も含めて、さらに勉強を重ねて説明してまいりたい、かように思っております。

奥野(総)委員 候補地が一カ所に絞られて、いきなり新聞に出て、唐突な感はすごくあったんですよ。もちろん、協議会の中で手続を決めて、点数をつけてという手順は確かに公表されていたかもしれませんけれども、いきなり結論がぽんと出て、報道の仕方によっては、もう千葉市は決まったとミスリードするような報道もあったので、市民は随分不安に思っているということなんですね。

 ですから、しっかり説明をしていただきつつ、しかも、まだ詳細調査というのが控えていて、まだ決まったわけではないわけですから、詳細調査についても、やるなら、やる時期あるいはその内容についても御説明いただきたいと思います。

 もう一度重ねて聞きますが、最後、では、御理解を得られていない、首長が理解しないうちは詳細調査は入らないということでいいですか。

福山大臣政務官 先ほどから申し上げておりますように、詳細調査の実施に当たっては、地元の方々の御理解を得られるように、我々としては、その候補地の選定経緯や、施設の必要性、安全性などについて丁寧な説明を行うことが必要と思います。こうした努力をせずに詳細調査を行うつもりはなく、地元の方々の御理解を得られるように、しっかりと努力をしてまいります。

 以上でございます。

奥野(総)委員 私は総務委員会なので、ここはホームグラウンドじゃないので、そちらの方でもゆっくり、ちゃんと伺いたいと思いますけれども、これ以上同じ問答、押し問答しても時間がもったいないですから、この件はこれにしたいと思います。

 最後、通告していましたコジェネの話を伺いたいと思います。

 政府案だと、二〇三〇年のコージェネレーション、これは千百九十億キロワットアワーだということになっています。伺うと、ガスコジェネとそれから石油コジェネだということで、それぞれその中に分散して入っているということなんです。一方、きのう発表した民主党の対案では千五百億キロワットアワーということで、民主党政権時代のエネルギー・環境戦略でも千五百億キロワットアワー、それからガス協会の試算でも、これはガスコジェネですけれども、千八百億キロワットアワーという数字もあります。これより大分少ないなという印象が否めないんですが、時間もなくなってきたので、これはそういう指摘にとどめておきます。

 もう一つ、発電だけじゃなくて、廃熱利用、これは私は大事だと思うんですよ。今まで捨てているわけですから、これはエネルギーコストでいえば、設備費はともかく、自然エネルギーと一緒で、コストがゼロなんですね。都市部にコストゼロのエネルギー源があるということなんです。これをもっと利用しない手はないと思うんですが、熱利用、廃熱については、政府の長期エネルギー需給見通しの中で、一体、現在幾らで、二〇三〇年幾らでという数字、具体的にありますか。

上田政府参考人 今のコージェネレーションの関係で申し上げますと、今委員御指摘の二〇三〇年時点で、私ども、今回のエネルギーミックスの骨子におきまして、発電電力量で千百九十億キロワット……(奥野(総)委員「それはもうわかっていますから、いいです。廃熱利用」と呼ぶ)それによる熱の供給の部分が、二〇三〇年時点で原油換算で九百二十万キロリットル程度を見込んでいるところでございます。(奥野(総)委員「今は」と呼ぶ)今の発電電力量千百九十億キロワット程度のコージェネレーション導入に伴う熱の供給という形で、原油換算で九百二十万キロリットル程度を見込んでいるところでございます。

奥野(総)委員 要は、現時点からどれぐらい伸びるのかを伺いたかったんですが、時間もないので。

 今回、法案のことを一回も聞いていないんですが、熱供給事業法を改正しようということなんですね。これは廃熱利用の関係だと思うんですが、ただ、事業者数はむしろ漸減、徐々に減ってきているということで、廃熱利用が進んでいるかというと、この数字だけを見ると、どうもそんなに進んでいないように受け取れます。

 では、この改正でこういう廃熱利用がもっと進むのか、この改正の意義について伺いたいんです。

関大臣政務官 これは平成二十六年四月に閣議決定したエネルギー基本計画でうたわれておるんですけれども、熱を有効利用しまして、そういうふうな関心が高まっておりますが、熱導管を面的に敷設して行う地域型の熱供給、また都市再開発などを伴いますビル単位での事業や生活機能の確保を意識した地点型の熱電一体供給など、これはもう非常に大事だと考えておりまして、電力・ガスシステム改革とあわせまして熱供給システム改革を行うことによりまして、エネルギー市場全体の垣根を撤廃しようと。

 そして、熱供給事業者が需要の実態に応じた柔軟なサービスや、今まで活用されてこなかったエネルギーを活用したサービス提供を行いやすくしようということとあわせまして、異業種からの熱供給事業への新規参入、電気、ガス、熱とのセット販売、このようなサービスの創出が進むことを期待しております。

奥野(総)委員 ちょっと時間が過ぎたので、最後に大臣に。

 我々、こういう面的なエネルギー利用で、分散型エネルギー使用の促進に関する法律案というのを立てて、これから出すんですが、こういう熱供給、熱利用についても、規制緩和だけじゃなくて、やはり振興法案、促進法案のようなものをつくるべきだと思うんですが、いかがですか。

宮沢国務大臣 自給型の熱供給といいますか電力供給というのは、大変ありがたい、すばらしいことでありますが、なかなか完全に自給型というのは難しいという中で、系統につながなきゃいけない。その辺をしっかり応援していくということ。また、熱供給につきましても、おっしゃるように、無駄遣い、捨てているようなものをしっかり利用していくということは大変大事なものだと思っておりますが、逆に、すぐに法案、法律が要るのかなといいますと、まだそこまで頭が回っていない、こういうことでありまして、よく勉強していきたいと思っております。

奥野(総)委員 以上で終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、今井雅人君。

今井委員 維新の党の今井雅人でございます。

 この通常国会は経済産業省は初めてになりますが、第一段階、第二段階は随分とこの委員会で議論させていただきましたので、その議論、あるいはそこで指摘した問題を含めまして、今回の法案についての質問をさせていただきたいというふうに思いますので、よろしくお願いします。

 最初に、午前中の馬淵委員、そして先ほど近藤委員からもお話があったエネルギーのベストミックスについて、大臣と少し議論したいと思うんです。

 四月の後半に審議会から案が出されて了承されたということで、これからパブリックコメントをとって、与党の調整もした上で正式なものにするというふうに先ほどお話があったかと思いますけれども、大体予定としてはいつごろに正式な政府案として出てくるという、スケジュール感ではどれぐらいを考えていらっしゃいますか。

宮沢国務大臣 スケジュールにつきましては、まさに、おっしゃったように、骨子というものが今決まっているという状況、そして、今後、審議会において報告書案を作成していただいて、そしてそれをパブリックコメントにかけて、その後、正式の報告書という形で御提出いただく。その間に与党プロセスというものも進める、こういうことであります。

 それで、正直言って、いつごろというのも、私自身、まだ頭の中にしっかりわかっているわけではございません。パブリックコメントの期間をどの程度にするかということもまだ決まっていないわけでありますし、また、パブリックコメントでどの程度の意見が出てくるかということによりまして報告書についてどの程度の修正をするかということもありますので、具体的にいつかということを申し上げられる段階ではないわけですけれども、やはり夏のどこかでは出てこなければいけないものだろうというふうに思っております。

今井委員 それぐらいのスケジュール感だと思いますね。パブコメは一カ月ぐらいでしょうし、その後、調整すると、大体夏ぐらいまでに出てくるということなんじゃないかなと思うんです。

 そこでちょっと、そもそも論なんですが、私は、どうもイメージができないのは、電力の自由化と政府がベストミックスを決めていくということが果たして両立し得るんだろうかということなんです。

 午前中にエネ庁の上田長官も少しその辺を話されておられましたけれども、今までは、一般電気事業者がいて、ほとんどそれが政府の監督の下で電気事業をやっていたわけでありますね。そこで政府のというか行政の方もそのコントロールはできるわけですから、原発を何%ぐらいにしてと、それはある程度できたと思うんですね。

 しかし、今回は、電力を自由化してそれぞれの人たちにいろいろな発電をやっていただこうという改革をしているわけであって、事業者に、ある意味自由にやってくださいということをお願いする、開放するという中身ですね。

 そこで、では、今度は何%にするかわかりませんが、それぞれ、原発なら二割とか何か決めたときに、果たして本当にその目標に持っていけるのかということなんですね。

 先ほど長官の方から税とかFITを使ってとかいろいろありましたけれども、これは一般論で結構なんですが、ちょっと私は頭が悪いのかわかりませんが、どうやってその目標に誘導していくのかというのが、どうもイメージが湧かないんですけれども、それは可能なんでしょうか。

宮沢国務大臣 エネルギーミックスにつきましては、私は、二〇三〇年のエネルギー構成また電源構成の見通しであり、あるべき姿、こういうふうに申し上げてまいりました。

 今の御質問との関係でいえば、恐らく、見通しということは、ある意味では自然体でそういくという見通しです。一方で、あるべき姿というのは、やはり政策的な配慮をいろいろ加えていかなければいけない。

 電力自由化の中で、そういう政策的配慮を加える政策の余地があるのか、力があるのか、こういう御質問だろうと思いますが、正直申し上げまして、電力、電源だけについて言えば、それは、電力自由化前に比べれば、そういう方向に持っていく、政策誘導する力というものは落ちているということは確かだろうと思っております。

 ただ一方で、午前中に長官からいろいろ説明しましたように、FITという制度を使って再生可能エネルギーについての誘導というものはもちろんできるわけでありますし、また、原子力、水力、地熱などについて言えば、電源立地対策という政策を持っているわけでありますし、また、広域的運営推進機関が、将来の供給力不足のために電源の募集をするときに、いろいろな条件等々をつけることによって誘導することも当然可能でありますし、また、省エネ法等々を活用して、例えば十一・二五万キロワット以下、今アセスがないような石炭火力について何らかの規制をしていくということも可能であります。

 また、過去においては、これは法律に直接結びついているわけではありませんけれども、少なくとも、環境省においては、石炭につきましてはリプレースする場合に限ってアセスについて認めるというような規制もありますし、そういうものを全て動員して、政策目的の実現に向けて政府を挙げて行っていく、こういうことになろうかと思います。

今井委員 私が心配しておりますのは、今いみじくも大臣がおっしゃっておられましたけれども、市場を開放していくわけですから、行政がコントロールする力が落ちるのは当然なんですね。そこで目標に持っていこうとすると、かえって極端な規制をしかなきゃいけなくなるという状況になるんじゃないかなということなんですね。

 例えば、今FITの話をされましたけれども、FITの価格を幾らにするかというのは非常に重要だと思いますが、そのことによって再生可能エネルギーが広がっていった場合に、逆に、どこかでもうこれ以上はやらせないようにしなきゃいけないといって、今度はとめなきゃいけなくなるわけですね、目標値ができたら。市場はもっとやりたいと言っているのに、それはもうだめですと言ってこれを切らなきゃいけなくなってくるわけです。

 あるいは、では原子力の話をしたいと思いますけれども、原子力も実は非常に初期投資がかかりますから、資金調達が大変なわけですね。経過措置を置くようですけれども、一般担保つきの社債は今後廃止していきます。そういうときに、原子力をこれからやっていくときに果たして資金調達ができるのかというので、またそこの優遇をしなきゃいけないという話が出てきたりとか。

 あるいは、先ほどCfDの話が出ていましたけれども、去年の参考人質疑のときに電事連の方がおっしゃっていましたけれども、原賠法の話もされていましたが、今のままだとリスクがあり過ぎてもう新規はできませんとはっきりおっしゃっていましたので、そうすると、そこのところを相当優遇しないと、目標を上げようと思ったらできない、こういうことになりかねないと思うんです。

 そうすると、せっかく電力を自由化したのに、かえってどんどんルールを厳しくして、規制を厳しくしちゃったということになって、相矛盾しちゃうんじゃないかなということをすごく心配しているんですが、その点はいかがですか。

宮沢国務大臣 エネルギーミックスとの関係で申し上げますと、骨子案が今のところ決まっているわけでありますが、例えば原発につきましては、先ほども答弁させていただいておりますけれども、二〇三〇年というエネルギーミックスの期間において、新増設、リプレースといったものはカウントされていないということであります。

 一方で、再生可能エネルギーにつきましては、これまでも何度かいろいろ御質問を受けましたけれども、やはりいろいろな問題点が生じてきていることは確かでありまして、今回のエネルギーミックスの中においては、その中でもやはり安定的な電源である地熱、水力、あとは木を燃やす方のものというようなものについてなるべくふやしていきたいということで、実は線をつけて、極力ふやしたいけれどもそこまで本当にいくかどうかというようなことで、なるべくふやしたいという意思を表明させていただいたわけであります。

 一方で、太陽光発電につきましては、これはまさに再生可能エネルギーを導入するということについては、本当にジェットスタートといいますか、大変大きな貢献があったわけでありますけれども、余りにもスピードが速かった、そして余りにも太陽光に偏ったという結果、なかなか送配電量といいますか、需要に対応できなくなってきている部分があって、そして、指定電気事業者制度などを利用して、いろいろな今後の契約についてはある程度制限せざるを得ない状況になってきている。

 これは大変難しいのは、やはり早い者勝ちのところがございまして、最初に入った方々につきましては、ある意味ではそういう条件がついていない方がかなりいらして、そういう方のところまで実は制限ができるということになりますと、もう少しアベレージで、皆さんのところに平均的な発電が確保できるようになるわけですけれども、既にもうつないでしまった、接続してしまった、権限を持っている方について言えば、それを制限することは憲法上なかなか難しいということになる。

 となると、これから入ってくる方たちを新たに入れるためには、ある程度制限、条件を受け入れている方を入れることによって、ピーク時にはカットしていただくけれども、それ以外のピークでないときには接続をしていただく。そして、その接続につきましても、一日単位ということではなくて、もっと短い単位で接続することによって極力導入を促進していきたい。こんなことをいろいろやってきているわけであります。

今井委員 きょうはそもそも論というような話をしていますので、正式なものが出てからまた具体的な話をしていきたいと思いますけれども、やはり今のお話を聞いていても、私は、ちょっと相矛盾するこの政策をどうやって両立させるのかというのは、実は経産省の皆さんも困っておられるというか、腐心しておられるんじゃないかなとそんたくしておるんです。我々は電力の自由化を推進するという立場の中で、やはりそれがスムーズにいってほしいという意味で御指摘をしたということで、また今後議論させていただきたいと思います。

 同じ観点で原子力の話なんですけれども、二〇三〇年に原子力を幾らにするかという話でありますが、一般的に言われているように、四十年廃炉ルールを厳格に守った場合、原発の比率は一五%にまでなるというふうに言われております。ですから、それよりももし数字を上げるのであれば、先ほど近藤さんがおっしゃっていましたけれども、方法は三つしかないんですね。新規をつくるか、増設をするか、四十年廃炉の原則であと二十年延長させるか、この三つしかないわけです。

 新設、増設をどうするかというのは、先ほど、現時点では考えていない、それ以上でもない、それ以下でもないと。将来的なことは答弁なさらないと思うので、繰り返しては聞きませんけれども、それは、否定をしないということは将来に含みを残しているということなんだと思うんです。

 私が申し上げたいのは、この四十年の延長の問題もそうなんです。これも、事業者が申請をして、それを許可するのは原子力規制委員会です。つまり、経済産業省あるいは政府がここに介入している場所はどこにもないわけです、むしろ、しちゃいけないわけですから。規制委員会が合否をどうとるかということに、やはり政府は口を挟んじゃいけないわけですね。そうすると、これから果たして延長ができる炉がどれだけあるかというのは予見できないはずなんですよ。わからないんです、全く。

 このわからない中で、二〇三〇年の原子力の比率をつくるなんというのは不可能だと思うんですね。これはどうやったらできるんでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、原発の比率は二〇から二二というものでありますけれども、これにつきましてこれまでも答弁してまいりましたけれども、まず、大前提といたしまして、エネルギーの自給率をおおむね二五%程度は確保しなければならないだろう、それから電力コストにつきましては現在よりも引き下げる、さらに、欧米に遜色のない温暖化ガス削減目標をつくる、こういう三つの大前提をどういう形でクリアできるか。しかも、ある程度非現実的ではない数字においてクリアできるかということをやった結果、原発については二〇から二二。

 なぜ二二とプラマイ二%があるかといえば、安定的な再生可能エネルギーがどの程度導入できるかによってこれが変わってくるだろうということでしたものでございまして、どこが再稼働するとか、どこが延長するということを実は念頭に置いてやったものではありません。

 そして、これを達成するために、新増設、リプレースがなければ、では延長ということになるけれども、これは事業者がまず希望しなければいけないし、そしてそれを規制委員会が適合していると認めない限り動かないので、他動的であろうと。おっしゃるのは、まさにそのとおりであります。

 ただし、審査基準に適合していると認められた原発については、我々政府を挙げて、再稼働に向けて、地元自治体等々と協力しながらその実現をしていくという努力は当然やってまいります。

 そして、もう一つの要素としてありますのは稼働率を上げるということでありまして、稼働率を上げるということについても、技術的な問題等々、私どもとしては、しっかり対応をして、何とか見通しなり、あるべき姿のエネルギーミックスの実現に向けて最大限努力をしていきたい、こういうふうに考えております。

    〔委員長退席、富田委員長代理着席〕

今井委員 稼働率は目標を七〇パーぐらいで置かれたんだと思いますけれども、今大臣が他動的という言葉を使われましたけれども、まさしくそのとおりなんですね。

 私は、けしからぬと言っているんじゃなくて、実現性があるんですかという話をしているんですけれども、今大臣がいみじくもおっしゃったのは、まず、こうあるべきという数字を置きました、二〇から二二、再エネがもっと入れられればできるだけ下げるという、そちらのアプローチで決めたと。それは一つの理屈なんですけれども、わかりますよ。では、その数字をやるときに、政府がどう誘導できるのかという手段を持っていないということを私は申し上げているんですね。

 その誘導する手段を持っていないのに、数字をどうやって達成するかと言われたって、それは不可能じゃないかということを言っているんです。市場に任せて結果的にそこを達成できるかどうかというのは、これはコミットできない話なんじゃないかと思うんですね。

 ですから、それはどうシミュレーションしても私はそこに政府が介在する余地がないと思うのでお聞きしているんですけれども、いかがですか、もう一度。

宮沢国務大臣 まさに見通しであり、あるべき姿でありまして、おっしゃるような電力自由化の中の状況、また原子力発電所の再稼働をめぐる状況、制度といったものを考えますと、ともかく一〇〇%我々が努力をしてこれが実現できるということは私自身としても言い切れないと思っておりますが、先ほど申し上げたような稼働率を上げる等々云々と、いろいろな政策もございますので、そういう中でできる限りのことをしていけば実現できない数字ではないと私は思っております。

今井委員 法案の中身もちょっと質疑したいのでこれで終わりますけれども、大臣はできない数字ではないとおっしゃっていましたが、そこの範囲の中にぴたっと入れるのはやはり相当難しいと思いますよ、正直。委員長も笑っておられますけれども、本当にそこに、どう考えても、政府がどう誘導する手段を持っているのかなというのが、一つ一つを考えていくとなかなかイメージできないんですね。

 ですから、これもまたおいおいやっていきたいと思いますけれども、私はその実現性に非常に疑問を感じているということをここでお話をして、次に行きたいというふうに思います。

 次に、法案の中に入る前に、まずそもそも論なんですけれども、今回、電力を自由化することの意味は競争の原理を入れるということだと思いますけれども、もちろんその際には安定供給というのは担保しなきゃいけない、これはもうずっと確認してきた話なんです。

 競争原理を導入するに当たって、当たり前の話ですけれども一応確認しておきたいのは、やはり一番大事なことは、競争環境をきちっと整備することである。つまり、公平であること、そして中立であること、これをやはりどう整備していくかというのが今回の法案の中身にも一番大事なエッセンスではないかというふうに私は考えておりますが、この点について大臣はどうお考えか、お伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 まさにおっしゃるとおりでありまして、今回が三段階目になりますが、一段階目からの電力改革というのは、まさに電気料金を最大限抑制する、さらに、需要家の選択肢や事業者の事業機会を拡大する、当然のことながら、その前提として安定供給を確保するということを目的として行われているものであります。

 その中で、まさに競争が常に行われているという状況が一番必要なことでありまして、発送電の分離、送配電を発電から分離する、小売から分離するといったこと、また、監視等委員会といったものを設立してしっかり監視をしていくというようなこと、また、競争状態があることが確認されてからこれまでの規制料金を撤廃するといったようなこと等々、まさにその趣旨でいろいろな制度を仕組ませていただいております。

今井委員 それが重要であるということは今大臣もおっしゃられましたけれども、その中で、今、電力取引監視等委員会についても御指摘がありましたので、まずそれからお伺いしたいと思います。

 昨年の第二弾の段階で、我が党で、そのときは日本維新の会でしたかね、修正案を出させていただきまして、規制機関については、国家行政組織法上の八条委員会ではなくて、三条委員会として独立性を高めてください、そのことによってより中立性が保てるんじゃないですかということで修正案を出させていただきました。残念ながら、賛同は得られませんでしたけれども。

 そこでお伺いしたいんですが、今回、八条委員会とした意味、なぜ三条委員会ではだめなのかということについての御見解をまずお伺いしたいと思います。

宮沢国務大臣 基本的なことを申し上げますと、やはり、この委員会は、ある程度独立性を確保しなければいけないし、権限も相当強いものでなければいけない一方で、エネルギーの安定供給等々という、エネルギー政策と切り離してはなかなか考えられない、仕事ができない委員会だということでありまして、エネルギー政策の枠組みから離れて市場監視や料金規制を行う仕組みにしますと、安定供給とか、また保安の確保、再生可能エネルギーの普及などを進めるという観点からは、三条委員会では適当ではないと考えております。

 そうした意味で、エネルギー政策の枠組みの中で、経済産業大臣直属の八条委員会ということで法案を提出させていただいております。

 ただ一方で、先ほど申し上げましたように、独立してその職権を行うということが大変大事なことでありますので、法律にその旨を規定して、個々の職務遂行について独立して判断を行うことを明らかにしているほか、事業者に対する業務改善勧告などの権限を単独で行使できることとしております。

 このように、独立性に疑義が生じないように十分に配慮した設計となっておりまして、既存のいわゆる八条委員会の中で極めて独立性の高い組織だと考えております。

    〔富田委員長代理退席、委員長着席〕

今井委員 私の理解は、この委員会というのは、当然、安定供給をつかさどるということも大事ですし、公正な取引をするということを監督するというところで、決してエネルギーミックスの政策を誘導する委員会ではないという理解なんですけれども、今のあれでは、やはりそういうことも含んだ委員会だということの御認識ですか。

宮沢国務大臣 例えば、再生可能エネルギーを最大限導入するというような、まさにこれはエネルギーミックスの点に絡むことでありますけれども、そういうことについても、しっかり政策的な意味で判断をしていただかなければいけないと考えております。

今井委員 そういうミッションもあるというお答えでした。

 そこで、私は、基本的に、公正な取引とか安定供給とかというのは、別に役所の方じゃなくたって、専門家の方なら十分監督できるんじゃないかなと思っておりまして、言ってみれば、民間の人に任せておくと心配だから経産省の人たちがやるんだというふうにとれなくもないということをすごく感じております。

 では、八条委員会でやった場合のことなんですけれども、まずお伺いしたいのは、今回、その委員を選ぶに当たりまして、経産大臣が指名されるということですけれども、これは、当然、電力事業関係者というのはこのメンバーには入らないという認識でよろしいんですか。

宮沢国務大臣 委員につきましては、その職務について、公正かつ中立的な判断をすることができる者であるということを任命の要件にしております。

 したがって、今御質問がありましたように、電力会社に在籍する役職員を委員に任命することはないと考えております。また、籍を外れた場合であっても、電力会社に影響を与えたり、逆に影響を受けたりする関係にある者を任命することはございません。

今井委員 影響を受けたりという言葉が一番重要だと思うんですね。

 かつては在籍していましたが、今は在籍をしておりません、違う仕事をしていますといっても、当然自分の会社にはシンパシーがあるわけですし、もともといた会社ですから、最も大きいのは、人的つながりがありますので、そこのOBの方は、現在はそことは関係ない仕事をしておられても、果たして本当に中立にできるかという問題の疑義が生じると思うんですね。

 影響を与えるということの意味をもう少しお伺いしたいんですが、例えば、今申し上げたような、もともとは在籍していたんだけれども、もう今は全くその仕事とは関係ない、その会社とは関係ないところにいる、そういう方は影響を及ぼさないというふうに考え得るということはあるんでしょうか。

宮沢国務大臣 個別のことについて、何が何だからということはなかなか申し上げにくいわけでありますし、また、私もかつては財務省、大蔵省におりましたけれども、財務省、大蔵省のOBでも決して組織にシンパシーがある人たちだけではありませんから、いろいろな方がいらして、そういう中で中立的に仕事をしていただける方をしっかり選んでいく、こういうことだろうと思っております。

今井委員 それは、全員がそういう方ではないと思いますけれども、そうじゃない方もいらっしゃるわけですよね。

 だから、もう一回正式に答えていただきたいのは、そういう方はあり得るということなんでしょうか。つまり、影響を及ぼすということの意味なんですけれども、これも相当裁量的な話になるわけでして、今はそこで働いていないし、この人はそういう、宮沢大臣のような前のところにも余りシンパシーのない方であるというふうに判断されたといっても、それは果たしてどうかわからないわけで、そこのところの人選が、八条委員会にするのであれば私は非常に懸念を持っているんですけれども、そこのところの線引きをもうちょっとしっかりしていただきたいと思うんですが、もう少し明確に答弁していただきたいと思います。

宮沢国務大臣 当然、今法案を御審議いただいている段階でありますから、どういう方が候補であるというようなことは一切考えていないわけであります。したがって、そういった意味で、今後しっかりとした委員を、まさに最初が肝心でありますから、見つけていかなければいけない。

 ただ、そういう新たな委員会の委員でありますので、どういう方が正直いらっしゃるかということもいまだ全く検討していない段階で、そういう段階で電力会社のOBであるからといって外すわけにはいかないと思っておりますけれども、やはり相当程度その電力会社、前職において経営に影響力を与えてきた方というような方はなかなか委員として任命するわけにはいかないだろうと思いますし、そういうことを含めて、まさに間違いない人選をしたなと言われる方を選んでいかなければいけないと思っております。

今井委員 今非常に重要な答弁をしていただいたと思います。経営に影響を及ぼしていたような方は選ぶべきではないということであります。ということは、一般電気事業者の経営者であったような方はやはり不適当だという御答弁だったと思いますので、安心しました。そこの部分ははっきりしたと思います。

 それと、もう一つなんですけれども、電力の自由化というのはもう戦後初めての大改革であるというふうに総理もおっしゃっているわけでありますから、その後しっかりこれが行われているかを、当然行政も見ていかなきゃいけませんけれども、国会もしっかりチェックをしていく必要があるわけでして、スタートしてから本当に適切にあるいは公正にやられているかというのを我々もやはりチェックをしていかなきゃいけないというふうに思っております。

 今までの質疑の中で伺いますと、その事務の処理状況に関して毎年一般に公表するということで明らかにしますという答弁だというふうに承知をしておりますけれども、もうワンランク上げて、毎年、例えばこれは国会にしっかり報告をするというぐらいにしてやるぐらいの非常に重要な改革であるというふうに私は思っておりますので、一般に全てこれを公開しましたからそれでいいでしょうということではなくて、やはり国会の中でもしっかりチェックをする、そういう仕組みをつくるべきなんじゃないかなというふうに私は思いますけれども、大臣、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 三権分立の中でのまさに行政と国会の関係ということだろうと思いますけれども、一省庁の委員会が、その業務について国会に報告をするという法制度は日本においては恐らくないんだろうという感じがいたしまして、まさに三権分立の中でしっかりと国会のチェック機能を発揮していただくということがいいのでは、私は日本の法制度になじむのではないかと思っております。

今井委員 どういう仕組みがいいかはちょっとまた検討も必要かもしれませんけれども、少なくとも、できれば恒久的なものがいいんですが、スタートの段階でやはり競争環境が保たれているかということはとても重要なので、それをしっかり議論して見ていく場というのはこの国会の場にもやはり置くべきだと私は思いますので、この点については、ちょっと引き続きいろいろと御提案をしてまいりたいというふうに思います。

 では、次に、もう五分しかないんですね、十一問あったのにまだ二問しか終わっていませんが、卸売電力市場について、ちょっとお伺いしたいと思うんです。

 卸売電力市場も競争力をつけるために非常に重要なところであるということの御認識はいかがですかというふうに最初お伺いしようと思いましたが、これはそうだと思いますので飛ばしまして、これを活性化するために、一般電気事業者にもある程度拠出を義務化したらどうかという議論を去年もおととしもやってきたんですが、そのたびに、それはなかなか難しいので、とりあえず各事業者の自主的な取り組みによってそれをふやしていって様子を見ましょうというような御答弁があったんですけれども。

 その後、状況がどうなっているかというと、これもこの場で議論があったと思いますが、二〇一四年の平均で三十六・三百万キロワット・パー・デーということで、二年前ぐらいからは一・五倍ぐらいはふえているんです。しかし、全体の量でいえば、これはまだわずか一・五%程度ということでありまして、自由化をする前の環境としては余りに貧弱じゃないかなというふうに思っているんですが、現在の取引量に関して、これが十分か不十分かというまずこの御認識をいただきたいと思います。

山際副大臣 我々といたしましても、現在の水準は十分とは言いがたい、このように認識しております。

今井委員 そこで、では、これからどうするかという問題でありますけれども、ある程度、もうこれは十年、平成十七年ですから十年やってきた中で、しかも平成二十五年に決めて自主的にやりましょうということでスタートしているわけですが、ふえてはいるものの、加速度が非常にゆっくりであるということを考えた場合に、小売の自由化がスタートするのは来年ですから。これまでも、一部小売の自由化をしてもシェアが三%ぐらいしか上がらなかったという過去の苦い経験があるわけです。

 そのためには、まず環境を整えなきゃいけないわけですから、この卸売電力市場も、とにかく、自由化が始まったときには一定の量をやはり確保しないと、本当に私はこのスタートがうまくいかないと思うんですね。

 ですから、もちろん、基本的には事業者が出していただくのが一番いいんですけれども、やはり行政としても何らかの措置を講じていく必要がそろそろあるんじゃないかなというふうに思いますが、いかがでしょう。

山際副大臣 確かに、自由化が始まるときにある程度の環境が整備されているというのは重要なことだとは思いますが、一方、やはり世の中のことなので、理想的にどうかということと現実的にどうかということ、これはバランスを見ながら進めていかなくてはいけないというのも事実だろうと思っております。

 しかし、問題意識としては共有させていただいておりますので、何かできないか考えていきたいと思っております。

今井委員 私たちは、法文の中に、活性化をするための何か必要な措置を講じる、そういう文章を一文入れていただけないかということを御提案する予定でありますけれども、今の御答弁も検討しますということでありますが、何らかの方法があったらやはりそれを政府としても実施していくということを、もう一度ちょっと確認したいと思うんです。

 今これをやりますと言えないかもわかりませんけれども、それをふやしていくための措置を、いい方法があれば講じていくかどうかということに対して、もう一度答弁をいただきたいと思います。

山際副大臣 それはもちろん、目的を達成するために何か有効な手だてがあるならば、きちんとそれを検討して、実現させていきたいと思っております。

今井委員 もう三十秒ほどしかありませんので、残りの質問はまた違う機会でやらせていただきたいと思いますけれども、少しエネルギーミックスのところで議論し過ぎまして、法案の中身になかなか入れなかったんですが、ほかの点におきましても、やはりこれは本当に中立性が保てるのかなというのは結構ありますので、また議論したいと思うんです。

 私たちは、とにかく成功してほしいんですね。だから、この取引所も一番大事な問題で、これが貧弱だと本当にうまくいかないと思います。やってみたけれども、小売が全然、みんな新規が入ってこないということになりかねませんので、そういうことをやはり一つずつしっかりやっていただきたいということをお願い申し上げまして、次のバッターに譲りたいと思います。

 ありがとうございました。

江田委員長 次に、足立康史君。

足立委員 維新の党の足立康史でございます。

 先ほど大臣が、財務省、大蔵省にそれほどシンパシーはないというお話がありましたが、私は経産省におりまして、大変シンパシーを持っておりまして、きょうも上田長官を初め木村部長、多田部長がお出ましでありまして、大変お世話になった先輩方で、先輩の前で質問を余りしたくないということで経産委にはふだん属しておりませんが、きょうはちょっと立てということですので、若干お時間を頂戴して質問させていただきます。

 今も頭の中は大阪で実はいっぱいでして、今週末の住民投票に向けて、ちょっと日やけもしておりますが、事業法のこの改正は大変重要でありますし、私、原子力はやはり、私が役所を離れて今ここに立っております一つのきっかけも福島第一原発事故だったということもありまして、自由化の中、電力システム改革の中で原子力事業がどう位置づけられるか、この辺を中心に御質問申し上げようと思っております。

 先ほど今井さんがおっしゃった、今井さんはちょっと約束と違って、十一問しっかりやっていただければよかったんですが、その前半で結構かぶっていることがありましたので、ちょっとそこをさばきながら質問させていただきたいと存じます。時間が余れば、後の鈴木委員に譲りたいと思います。

 今井委員の方からもありましたが、私もこれは全く同じ考え方でありまして、別に打ち合わせをしたわけではありませんが、やはり競争環境とベストミックスというのは、それ自体が難しいテーマだと思います。ただ、必ずしも矛盾するとは私は思っていませんで、いわゆる管理された競争というのはあるわけでありますから、どういうふうに管理をしながら競争環境を整えていくかということが経済産業省、資源エネルギー庁のお仕事だと思って、伺っているつもりであります。

 ただ、今回の法案審議で大変問題があると私なりに思うのは、法案は出ていますが、では、要は、管理された競争という表現がいいかどうかわかりませんが、管理された競争ということでいいとすれば、競争はこうやってやるんだよという法案がきょうテーブルにのっているわけでありますが、では、どう管理するのかという部分は余り出ていないわけですね。だから、果たしてこれは何なんだということが、必ずしも私の中ではきれいにわからないわけであります。

 大臣、今、管理された競争というのは私がそういう表現をここで申し上げただけなんですけれども、先ほどとちょっとかぶるかもしれませんが、このバランスの問題というのは、端的に言うと、きょう、テーブルには原子力の段取りは余りのっていません。これで審議は完結するとお考えでしょうか。ベストミックスの議論とそれから競争環境、この関係について御紹介をいただければと思います。

宮沢国務大臣 御質問にお答えする前に、私は大蔵省の出身でありますが、私自身がシンパシーを感じていないと言ったわけではなくて、感じていない方も結構いらっしゃるということを申し上げたかったことだけ付言させていただきます。

 先ほど今井委員と随分長くこの話をさせていただきましたけれども、まず、競争状況をつくり出すということが今回の法案で一番大事な点であるということは間違いないと思っております。

 一方で、今回、エネルギーミックスの骨子というものをとりあえずまとめさせていただいておりますけれども、これにつきまして、では、実現する政策手段が十分、一〇〇%、まさに必要十分にあるかと言われれば、こういう自由化が進む中においては、かつてほどの政策ツール、政策手段というものはなくなってきているけれども、まだ幾つか、まだといいますか、いろいろこういうものがあるので、そういうものをしっかりと利用して、使ってベストミックスの実現に努めていきたい、こういうことを申し上げてまいりました。

 したがって、ベストミックス自体、正直言いまして、省エネにつきましても、先ほど近藤委員からは、民主党はその倍の省エネを実現するという目標を立てた、こういうお話でありますし、私の方から言いますと、五千万キロワットという数字自体も、かなり相当きつい数字、相当頑張っていかなきゃ実現できない数字でありますので、それが本当に実現できるように頑張っていかなければいけませんし、もしもさらにできるというようなことが出てくれば、またいろいろな意味で前提も変わってくる。

 こういう中で、今、ベストミックスを、今後幾つかのプロセスを経て決定してまいりますけれども、では、それでつくったらあと十五年間何もしないということではなくて、やはり三年ぐらいたったところでベストミックスについても見直しを行っていくというような作業が当然必要になってくるんだろうというふうに思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 シンパシーの問題、まだこだわるわけではありませんが、経産省にも結構シンパシーを持っていない方はたくさんいらっしゃいますが、私はシンパシーを持っているということで、改めて強調させていただきたいと思います。

 今、先ほどの今井委員に引き続いて御答弁をいただいたわけですが、大臣が今おっしゃる政策手段、さまざまな政策手段を講じていかれると思います。それは、先ほど申し上げたように、私は悪いことだとは思いません。

 ただ、先ほどあったように、ベストミックスにおいて、政策手段が非常に大きな役割を果たすであろう再生可能エネルギーの分野が二二から二四、それからいわゆる原子力の分野が二〇から二二でしたか、合計で四四。これは一〇〇のうち四四。過半には至りませんが、半分近い分野が、今まさに大臣がおっしゃった政策手段の主たる対象として、さまざまな審議会でも議論が続いているわけであります。

 だから、その四四%が特段の政策措置を講じる分野である中での管理された競争というのは、私には、特段の政策措置というのは競争環境をゆがめるおそれがあるわけでありますから、四四%も特段の政策措置を講ずるという枠組みをもう既に政府は提示されているわけでありますから、それは、きょうテーブルにのっているこの法律、システム改革を完結する今回の法律改正の競争環境をつくっていくということに若干やはり問題があるんじゃないかなという気はします。

 このマグニチュード、量的なイメージ、四四%はちょっと多過ぎないか。それはベストミックスにおいて二つが多過ぎると言っているというよりは、競争環境を整備する上で、四四%もの領域に特段の政策措置を講じていく、それはマーケットがゆがみ過ぎませんか、それは競争環境と本当に言えるんですかという点はいかがでしょうか。

宮沢国務大臣 なかなか御質問の意味がいま一つ、まだぴんときていないんでございますけれども。

 政策的措置を講じていくということも、先ほどるる御説明しましたけれども、いろいろな意味であるわけでありまして、例えば、先ほどお話ししました広域的運営推進機関が行う電源建設者の募集の仕組みの活用といったものについて言えば、別段、再生可能エネと原子力にかかわるものだけではありません。

 例えば、LPGといったものについても、今後、やはり政策的に産出国との間でいろいろな交渉をした上で、もっと安価なLNGが入るようにしなければいけません。また、シェールオイル、シェールガスといったものについても、やはり政策的にアメリカといろいろ交渉していかなければいけない等々、あらゆるところに実は政策が絡んでまいりますけれども、では、これをやればそのエネルギーミックスが実現するというぴったりした政策がそれぞれあるわけではない、こういうことだろうと思っております。

足立委員 私が特段の政策措置と申し上げているのは、トートロジーかもしれませんが、マーケットをゆがめかねない政策措置のことを特段の政策措置と申し上げているのであって、いわゆる今回の法案にるるあるような、延期をしているようなアイテムはともかくとして、基本的な枠組みは電力自由化であり電力システム改革なわけですから、よりそのマーケットが競争的に機能するようにするツール、政策措置、これは競争環境をつくる、もともと規制産業なわけですから、これに競争を導入していくに当たって講じる措置と。競争環境をつくるんだけれども、きれいに競争環境をつくってしまうと、再生可能エネルギーの一部は、コストが今は高過ぎて導入されないので、FITを入れている。このFITは、私が言う特段の政策措置であり、下手をすれば競争環境をゆがめかねないと私は表現をしているわけであります。

 再生可能エネルギー、全部じゃないかもしれませんが、太陽とか風力にいわゆるFITを講じた、これはげたを履かすというか、表現は悪いかもしれませんが、そうしている。

 原子力についても、これから、少なくとも原子力小委員会で議論されてきたようなものもあるわけでありまして、それを私は、だから、政策措置を二分して、一方は競争環境を強めるための措置である、もう一つは、競争環境をゆがめるかもしれないけれども、競争環境をつくるとは別の理由で、原子力を、あるいは再生可能エネルギーを四四パー、こう言っているわけです。

 ただ、私が申し上げているのは、特段の政策措置が必要な二大領域である再生可能エネルギーと原子力で四四というのは、この法律の趣旨からして過大ではないですか、こう伺っているんですが、いかがでしょうか。

宮沢国務大臣 まず、法律の趣旨からしますと、電源が何であるからこの法律の自由化が損なわれることになるとか、そういうものでは、電源とこの法律というものは切り離してまず考えた方がいいんだろうというふうに思っております。

 そして、一方で、では、FITといったものが、おっしゃるように、全くのさらのマーケットであったときにはとても高くて導入できないものが、やはり政策的に再生可能エネルギーの最大限の導入ということをある意味でやろうではないかということになって、法律までつくって導入した制度でありまして、マーケットをゆがめているといえば間違いなくゆがめているわけでありますが、一方で、やはり、日本が温暖化対応をしっかりしていくといったこと等において、それを上回るまさに政策効果があるということで制度を導入した。

 ただし、若干の当初のもくろみとは違う状況が生じている部分を、今後、少し手直しをしていかなければいけない、こういうことだろうと思っておりまして、再生可能エネと原子力が二つ合わせて四〇を超える数字になっているから逆に競争環境がおかしくなっているということではないんだろうと思っております。

足立委員 なかなか得心がいくところではありませんが、切りがありませんので、この話は以上にします。

 今、大臣から御紹介をいただいた再生エネルギーのいわゆる固定価格買い取り制度ですが、紆余曲折がまさにありました。私ははたで拝見しているだけでありますが、若干政治の責任も大きくて、政権が交代をし、また交代をする中でいろいろあったわけで、どの政治グループがどうだということを言うつもりはありませんが、ただ、少なくとも、政権交代の中で、太陽光発電を初めとする再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度については明らかに紆余曲折があったわけであります。

 例えば、月百五十円の負担みたいなイメージがさらに政治のプロセスの中で拡大をしたり、あるいはさらにそれにまた修正を加えたというような展開が、実際、過去にあったことについては、これは経産省の問題というよりは政治の問題だ、私はこう思っているわけであります。

 政治の責任ということになると、国民がしっかりとそれを理解して、例えば再生可能エネルギーを導入しようと、今回は二二から二四ということだと思いますが、それについて、では、それがどういう負担を国民に求めることになるのか。原子力もしかりですね。そういうことについて十分な国民的合意がなかったんじゃないかと思っています。この点はどのようにお考えでありましょうか。再生可能エネルギーについてで結構です。

宮沢国務大臣 おっしゃるように、昨年、二十六年度は賦課金額が六千五百億円、それがことしは一兆三千二百億円、一年で倍になる。そして、エネルギーミックスの見通しではたしか二〇三〇年には四兆円近い額、こういうものになってくる。

 四兆円といいますと、消費税二%分ぐらいで、二%とは言い過ぎですが一・数%というような金額でありまして、当然、電力会社からの請求書等々には特に書いてありますから、家庭の主婦など皆さん、気がついてはいらっしゃるんだろうと思いますけれども、では、当初、導入したときに、それこそ将来的に四兆円に近いような賦課金が賦課されるというところまで考えていた国民の方はやはり少なかったんだろうということは率直に思います。そうしたことは、しっかり我々も国民に説明をしていかなければいけないことだろうと思っております。

足立委員 ありがとうございます。

 私は、きょうは法案審議であります、法案審議の各論は今井委員にお任せしていたつもりでありありまして、実は、法案に係る総論をやりたいと思っているわけです。

 まさに今おっしゃったような、そういう国民がちゃんと理解をしているのかということも含めて、冒頭申し上げた、管理された競争の全体像について、一体、原子力というのはどういうふうにして維持をしていくのか、再生可能エネルギーというのはどういうふうにして伸ばしていくのか。本来、そういうものがあわせて提示をされなければ電力システム改革の全体像は結局よくわからないということだと私は勝手に思っています。

 この問題は、結局、エネルギーというのは、本当にエネルギー政策は重要な分野でありますが、さまざまなプレーヤーにこれからエネルギー分野に参入をいただくときに、実は、事業者が参入をするエネルギー市場、特に電力市場というものがどういう市場であるかということが、仮にも経産省にいたことがある私でもよくわからないわけですから、わからない人が多いと思います。

 彼らがどういうふうにやるかというと、大臣あるいは上田長官を初め、当事者の皆様方に、これはどうなるんですかねというのをあうんの呼吸で感じ取りながら仕事をしていく部分がやはり多々出てきます。だから、私は、もっと早く、もっと早くというのは、パッケージとしてエネルギー政策全体の絵姿を、法案であれば法案の形でしっかりと提示をいただきたいと思っています。

 そういう観点から、ちょっと手前みそですが、維新の党は、原発再稼働責任法案というものの骨子を既に発表していまして、今、条文化をしているところであります。先ほど政権交代の話をいたしましたが、我々維新の党は決して、原発を即ゼロとか、極端に何か下げていくというようなことは一切考えていません。だからこそ、原発再稼働に当たっては権限と責任を明確にすべきだという発想で法案の立案を今しているところでありまして、ぜひその辺、与党ではありませんが、お含みおきをいただければと思っております。

 今の話にちょっと戻りますと、再生可能エネルギーの話をいたしましたが、もう一つの、原発について、先ほど申し上げたように私は特段の思い入れがある分野でありますが、これは原子力小委員会のいろいろな報告書を拝見しても、いずれ適切な場をつくって検討していくというようなことが書いてあります。例えばCfDのような制度を紹介しながら、いろいろなことについてはまた改めて場所をつくってやっていくんだ、こういうふうに相当ぼやかして書いてあって、よくわかりません。

 それは去年の報告書ですから、年が明けてからまた進展があるのかもしれませんが、一体、原発に係る政策の枠組みというのは、どういう場で、どういうタイミング、スケジュール感でこれからテーブルにのってくるのか、そこだけはぜひ今回の法案審議の場で明らかにしていただきたいと存じます。

上田政府参考人 昨年の十二月二十六日、総合資源エネルギー調査会の原子力小委員会におきまして、委員の御指摘の、私ども、中間的な議論の整理ということを行わせていただいたところであります。

 もとより、エネルギー基本計画の中で、電力システム改革によって競争が進展した環境のもとにおいても、事業者が円滑な廃炉、安全対策、安定供給などの課題に対応できるよう、事業環境のあり方について検討を行うということになりまして、それを踏まえてこの審議会で議論をし、昨年末に議論の整理を行いました。

 この中で、原発依存度の低減の達成に向けた課題であるとか、原子力の自主的安全性の向上であるとか、競争環境下における原子力事業のあり方であるとか、さまざまな項目について整理を行ったところでございます。

 昨年末以来、今まで何をしていたのかというところにつきましては、この中間整理の報告に沿ってさまざまな議論を行っておりまして、具体化したものとしては、例えば、廃炉の会計の話がございまして、会計の専門家等から構成されます廃炉会計ワーキンググループというものにおきまして検討を行いまして、この三月に、事業者が円滑に廃炉判断を行うことができるように、今、会計関連制度の整備を行ったという段階でございます。

 その他、さまざまな検討項目につきましては、今の整理の中に掲げられているわけでございます。これらにつきましては、現段階では、どの場で、どのようなスケジュールでというところは正直なところ決まっておりませんけれども、今後、しっかりとその辺の検討を進めてまいりたいと考えております。

足立委員 電力システム改革のこの法案がテーブルにのっているこのタイミングではあるが、原子力事業に係るさまざまな措置については、まだ場所もスケジュールも決まっていないということで、心もとない点がありますが、ぜひ、私が申し上げたように、全体像が国民に提示をされ、十分な審議が国会でできるようにお願いをしておきたいと存じます。

 原子力については、既に去年の、また今長官から御紹介をいただいた委員会等で、イギリスのいわゆる差額決済制度、CfDについて紹介がされ、新聞報道が若干先走ってというか、ゆがめてと言った方がいいかもしれませんが、あたかも日本で英国のCfDがもう何か入るかもしれないんだ、入るんだというようなトーンで日経新聞が報じておったのを今でも記憶をしております。

 しかし、これは、今長官がおっしゃったように、いずれにしても、全体について、会計は終わったけれども、原賠であれ何であれ、まだこれからなわけでありまして、この英国のCfDは関心を持って見ています。

 この英国のCfDのような制度は、日本でベストミックスを実現していく観点から同様の制度を導入する可能性はあるのか、その余地はあるのか、いかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 CfDでございますけれども、昨年の八月の審議会、原子力小委員会の場で紹介をさせていただいたことは事実でございますが、現時点で具体的な制度の導入に向けた検討を行っているわけではございません。

 先ほど、大臣の方からも、大臣の方から検討をせよということではないというふうに御答弁があったものと認識をしております。

足立委員 逆に言うと、既に今の時点でこういった制度を排除しているわけではないということでよろしいでしょうか。

多田政府参考人 原子力の事業環境整備については、さまざまな課題がございます。そうしたさまざまな可能性といった中で、論理的な選択肢としてはあろうかと思いますが、先ほどから申し上げておりますように、具体的に制度の導入に向けた検討を行っているわけではございません。

足立委員 わかりました。

 冒頭、四四パーというのにこだわって大臣にお聞きをしたわけですけれども、私は、競争環境において、四四%が原子力と再生可能エネルギーというのは半分近い、こう申し上げたわけです。

 今部長から御紹介いただいたCfD、これはイギリスの制度ですが、いわゆる諸外国、ヨーロッパは電力自由化をEUの枠組みの中で精力的に進めてきて、もちろん、各国はそれに若干抵抗している面もあるかもしれませんが、ヨーロッパや米国で進んでいる電力自由化の流れ、これに日本の今回のこの法案も、大きな流れとしては同じ系統に属するかと思います。

 諸外国を見たときに、冒頭私が指摘をしたような、要すれば、そもそも再生可能エネルギーと原子力だけを特段のと言って私が切り出したこと自体、皆さんがなかなかよくわからぬということかもしれませんが、仮に再生可能エネルギーと原子力というのが他の選択肢に比べて特段の政策的措置を講じなければなかなか競争環境では投資がしにくいという面があって俎上にのってこないとすれば、私の議論にあえて乗っていただくとすれば、競争環境をつくっている諸外国で、四四パーものマグニチュードで再生可能エネルギーや原子力を導入している国はあるのかなと。これは本当に勉強不足でわかりませんので、ぜひ御教示をいただければと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 直接の御答弁にならないかもしれませんが、各国とも、エネルギーにおいて置かれている環境は異なっていると思います。その中で、目指すべき姿というのも異なるものと考えます。また、競争の状況においても程度が違うといったような事情がありますので、我が国においては、我が国が目指すべき責任あるエネルギー政策、こういうものを考えていくべきと考えております。

足立委員 ごめんなさい、諸外国の事例を本当に私は承知していないんですけれども、例えばイギリスは、原子力について、まさに今、CfDを導入して、原子力を維持発展させていこうとしている。一方で風力も導入されていると思いますが、イギリスはその両者を足して、両者というのは再生可能エネルギーと原子力、どれぐらいかという御紹介は可能ですか。難しいですか。

上田政府参考人 イギリスの電源構成の数字でございます。手元に出典IEAのデータがございますが、二〇一二年で原子力が一九%、それから太陽光、風力等々が約一〇%、二九%程度の数字であると考えております。

足立委員 ありがとうございます。

 ベストミックスの数字がどうか、あるいは競争環境としてどうかという論点は非常に漠としていますので、私自身、また引き続きちょっと精査をしていきたいと思いますが、二二から二四、再生可能エネルギー、あるいは原子力が二〇から二二、これを、まさにきょうテーブルにのっている法案のもとで、法律のもとで、成立すれば実現をしていかれるということであります。

 ちょっと原子力について確認をしておきたい点の一つが、いわゆるエネルギー基本計画には、可能な限り原子力の依存度を低減させていく、こう書いています。これは総理も大臣も再三強調されておられることであります。一方で、ベストミックスの数字は、原子力については二〇から二二、こう出ています。これはどういう関係、すなわち何が言いたいかというと、二〇から二二というベストミックスの数字が、総理大臣がずっとおっしゃってこられた可能な限り低減させていく、そこの終着点なのか、さらに低減をしていくのか、そのあたり、御紹介をいただきたいと思います。

宮沢国務大臣 結局、エネルギーミックスを今回策定するに当たって三つの大前提がございました。一つは、エネルギーの自給率につきまして、現在六%ほどになってしまったものを二五%程度には回復する。それから二つ目が、大変電力料金が上がって、家庭用、産業用、大変悲鳴が聞こえてきているわけでございますので、もうこれ以上上がらないように、少なくとも現状よりは安くするということ。そして三つ目が、やはり地球の温暖化対応ということで、欧米諸国それぞれの立場でいろいろ表明しておりますけれども、日本についても、温暖化対応について積極的だと評価されるようなレベルにしていくという中で、今回の原子力については二二から二〇という数字が出てまいりました。

 そして、これは、まずコストといった意味で、やはり原子力というものをそれなりに入れないとコスト的には大変高いものになってしまう。それから、先ほどの大前提の三つ目であります環境対応ということにつきましても、やはり原子力というものを入れないで石炭で入れた場合は大変環境対応が悪くなるといったような要素。それから、最初の自給率につきましても、原子力については準国産エネルギーと国際的にも認められておりまして、自給率を高めるという、まさに原子力を少なくする中で、必須の条件を守りながら最小限にした数字がこれであるというふうに思っております。

 そして、その先のことにつきましては、まさに今、二〇三〇年までの見通しであり、あるべき姿をつくっている最中でございまして、その先については、まだまだ、こういう場で御説明する、議論するという状況ではございません。

足立委員 大臣、るる御紹介いただいたわけですが、結論から言うと、エネルギー基本計画に書いてある可能な限り原子力依存度を低減させていくということの内容がこの二〇から二二だという、それは、要は同じことを言っているんだ、可能な限り低減させていくその方針にのっとって出てきた数字が二〇から二二なんだ、これはイコールだということでいいですね。

宮沢国務大臣 二〇三〇年という時点において、日本の経済状況等々、また温暖化対応等々、またエネルギーの自給率等々ということを勘案し、可能な限り依存度を低減させた数字がこういうものだということであります。

足立委員 ちょっとこだわるようでありまして、ちょっと法案から離れてまことに恐縮でありますが、国民の皆さんは、可能な限りというのはやはり可能な限りだと思っているわけでありますが、大臣が今おっしゃったのは、エネルギーを取り巻くもろもろの、要は、スリーEプラスSと皆さんが表現されている、温暖化も含むさまざまな要因で決まってくるエネルギーベストミックスの御紹介を大臣はしていただいているわけで、これは言葉の問題かもしれませんが、エネルギーベストミックスを実現する考慮要因はいろいろあるから、これとあれとこれを考慮するとこうなっていますとおっしゃっているだけです。

 そのときに、可能な限り低減させるんだというその意思をこれまで総理は、大臣は表明をしてこられているわけです。可能な限り原子力依存度を低減させていくというその意思の結果が、繰り返しになりますけれども、私からしたら、それは可能な限りなのかなと。それは全体のバランスの中でベストミックスを決めていくということでしかなくて、原子力について、あのシビアアクシデントを受けて可能な限り低減させていくという結果にはとても思えないんですけれども、大臣のお立場というか、大臣は、それは可能な限り低減させたんだ、それはその意思を反映させたものがこの二〇から二二だということを、ちょっとごめんなさい、三度目ですが、改めてお願いします。

宮沢国務大臣 先ほど、大前提といたしまして、自給率を二五%程度、また、電力価格を現在よりも引き下げる、そして、地球環境対応もしっかりやっていくということを大前提といたしましたが、原子力が多ければ多いほど自給率は上がります。そして、価格も下がります。そして、温暖化に対してもプラスの影響が出てまいります。しかし、そういうわけにはいかない。そういう中で最小限にしながら、しかし、我々日本という国がやはりしっかり生き抜いていかなければいけないし、世界に貢献していかなければいけないという中で可能な限り低減させた数字というふうに御理解いただければありがたいと思います。

足立委員 ありがとうございます。

 きょう、実は、時間が余ると言っていましたが、まだ、原賠制度のことも、あるいは核燃サイクルの話もしたかったんですが、法案と直接関係あるわけではありませんので割愛をしまして、最後、残った若干の時間で一つ私の意見を申し上げるとともに、質問をいたしたいと思います。

 一つは、繰り返しになりますが、私は、再生可能エネルギーであれ原子力であれ、大変な政策変更リスクを国民や事業者は負っていると思っています。過去の政権交代のプロセスを改めて先ほど言及いただきましたが、これからも政権交代もあるかもしれません、我々も政権を目指していますから。

 そういう中で、再生可能エネルギーあるいは原子力に関する政策が大きく変動する、変更されるということのリスクは、これは本当に、事業者は勘弁してくれ、特に競争市場に参入してくる事業者にとってはなかなか大変なことだろうな、私はそう思うわけでありまして、ぜひ、その辺の全体の見取り図というか、どういうルール、どういう規範でマーケットを管理していくのか、これについては早々に、この法案を超えて御提示をいただきたいと思っています。

 最後に、質問なんですけれども、さらにこの法案でよくわからないところは、電力事業者がこれから集約化していくという論者もいらっしゃいます。一方で、競争する中で、地域分散で、いろいろな地域に小さな事業者がたくさん出てくるという論者もいらっしゃいます。

 一体、このシステム改革、自由化の中で、いわゆる電力事業者の体制はどうなっていくんだという点でさえ私はわからないんです。集約化されていくのか、反対なのか。せめてその点だけでも、経産省の、大臣のある種の、これは大臣に通告していませんでした、副大臣に、ぜひその辺、国民にわかるように御提示をいただきたいと思います。

山際副大臣 今回の改革法案に関して、もちろん、その目的の非常に大きな部分には、適正に競争環境をつくって、そのもとにおいて適正に競争が行われていくということを目指しての法案でございます。ですので、適正な競争が行われた結果どのような絵姿になるかということを、我々が今この段階で想起しているものではないということでございます。

足立委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

江田委員長 次に、鈴木義弘君。

鈴木(義)委員 維新の党、鈴木義弘です。

 四月三十日に、日本卸電力取引所、それとあともう一カ所、電力広域的運営推進機関、二カ所を視察してきました。説明を受けて、現況の説明と、私どもが幾つか御質問させていただいたことのやりとりの中で、三点だけ疑問がありました。

 先ほど今井委員の方からも、取引所の拡大、活性化というのがテーマにあったと思うんですけれども、現行で一・五%しかないんですね。会員の数が百八社。大概が、供給側の人たちが多いんです。

 それじゃ、買いに来る人、例えば、私のところも会社で電気を使っていますから、安い電気はないかなといったときに、どこに買いに行けばいいのかがわからないんです、今まで東京電力しか供給もされないし。では、新しく小売自由化になりましたとか、取引所が十年前からできましたといっても、大半の国民の皆さん方は、では、自分が今、年間百万円使っていて、もう少しそのコストを下げたい、八十万ぐらいにならないかなといったときに、相談する先がどこなのかといって、わかる人の方が少ないんじゃないかと思うんです。

 先日、参考人でお越しになられた鋳物の会社の社長さんのお話があって、年間三億、電気代を使っていると。たしか二十数億円の売り上げのうちの三億だから、一割を超える電気代を使っているわけですね。まあ、鋳物業については、今は電気代が大変ウエートを占めているというのは承知するんですけれども。では、三億を二億にしたいといったときに、どこに買いに行けばいいのかということなんですね。

 だから、市場である取引所をもっと広めていかなければ、東京電力に買いに行ったって、今使っちゃっている電気が幾らというのはもう決まっているわけですから、では、東北電力に買いに行けばいいのか、北海道に買いに行けばいいのかといっても、窓口すらわからないというのが一般の方の正直な話だと思うんです。

 だから、取引所での需要家の促進を図っていく、きょうの中でベストミックスの話もありましたけれども、政策誘導するのは、例えば、炭素税で火力発電をしているところに税金をかけるとか、原子力発電をするんだったら、廃炉も含めてそこに税金をかけるとか、再生可能エネルギーはもうちょっと安くてもいいじゃないのという議論で政策誘導はできるはずなんです。

 規制を緩和するということは、違う形の、市場に、取引所に買いに来た方が、直接、今の相対しての契約をするよりはメリットがあるんですというやり方は、やろうと思えばできると思うんですね。

 なぜそういう話をするかといったときに、青物市場が一つの事例なんですけれども、昔はみんな、市場に出していたんです。地方の市場から中央卸売市場に来て、築地だったり、今、大田に市場がありますけれども、そこの売買価格が、日本全国のいろいろな商品の取引のベース価格になってきます。例えば、カット野菜を専門にやっている工場があったときに、そこに地元の農家さんが仕入れる価格というのは、市場の取引の価格の五〇%、六〇%で取引されるんですね。

 今、電力の自由化をすることによって取引所を拡大しようということは、それとは逆の発想なんです。今は、農家の人たちは、ある程度、契約栽培をしたりして、スーパーと直接やったり、地元の小売店と直接やったり、そういった形で、市場に物を出さなくなって、なおかつ、相対してやるところが多くなってしまったんです。だから、市場が成り立たない。地方の市場、特に民間で市場を経営しているところはみんなやめています。

 それと逆のことを今政策的にやろうとするのであれば、違うインセンティブを与えない限り、この取引所には、物を出すということはしないし、買いに来る人もいないということなんです。

 それについて、御所見があったら、お答えいただければと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の電力システム改革の中で、卸電力取引所、この市場の厚みを増すということが非常に重要だということは、先生御指摘のとおりかと思います。

 先ほど御紹介がございましたけれども、現在、卸電力取引所の取引会員は、二〇〇五年度末では二十八社にすぎなかったものが、第一弾の改正を行いました二年前には六十一社までふえまして、現時点では、先生が御視察された百八社よりも一社ふえまして、百九社にふえてきております。

 他方、新電力という、小売の届け出をやろうとしているのが六百社以上ございます。実際に供給実績があるのが六十四社という状況でございます。

 したがいまして、大手電力会社のみならず、多様な事業者が今百九社ということでございますので、取引会員として取引所での取引に参加しているという実態にはあろうかと思っておりまして、その中には、先生御指摘のように、大口の需要家が専ら自社の電力需要に充てるために取引を行っている場合もあるということは承知をしております。

 さらに、先生御指摘のように、需要家自身がもっともっと直接取引所の会員となり電気を調達するといったことにつきましても、取引所取引の厚みの拡大、あるいは、小売市場における競争の促進、さらには、需要家にとっての選択肢拡大に資するものと考えております。

 取引所の会員をふやすこと、さらには、小売事業者の数をしっかりふやし、その存在を需要家の方にしっかりと知っていただく。さまざまな方策によりまして、取引の活性化と実際の競争の促進につなげていきたいと思っております。

鈴木(義)委員 御答弁いただきまして、ありがとうございます。

 では、それはどのぐらいを目途にやろうとするのか。一年先なのか、二年先なのか、その辺を。来年から、もう四月一日から電力の小売自由化というのはスタートしますよね。それまでに速やかに実施に移すのか、お答えいただければと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、来年、電力の全面自由化というものをスケジュールの中で頭に置いております。したがいまして、その効果を上げるためにも、取引所の厚みというものはふやしていかなければいけないと思っております。

 その一番の鍵は、やはり現在の電力の需給の状況をもう少し改善していくということで、余剰電力の存在というものをしっかりと確保していく、こういったことがあわせて必要かと思っております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 では、二点目に、リアルタイム価格だとか供給予備力、営業用発電能力の明確な区分をしたらどうだというお話の中で、電力広域的運営推進機関との協同的なものが、説明とやりとりの中で、取引所と今の電力広域的運営推進機関と連携をしていかなければならないというんですけれども、それを推進させるのは、やはり経産省がリーダーシップをとっていかなければ難しいと思うんですね。そこの辺はどう考えるか。これも来年の四月を目途にやろうとされているのか、お答えいただきたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 電力システムという大きなシステムの変換という形で、その中でプレーヤーの変遷、そしてその中で大きな役割を担う中心的な組織というのも変わっていくというのが実態かと思っております。

 これまで我が国の電気事業におきましては、電力供給に関します価格でございますとか予備力などの情報の取り扱いを含めまして、基本的には一般電気事業者、いわゆる電力会社が中心的な役割を果たしてきたところでございます。

 今後、電力システム改革が進む中で、先生から御指摘のありました、四月に創設いたしました広域的運営推進機関、この組織が重要な役割を果たすようになると思っておりますし、さらに、先ほど来御議論ありますように、卸電力取引所の役割は増す、こういった形になってこようかと思います。

 例えば、一般送配電事業者と広域的運営推進機関の間で、供給力でありますとか予備力に関しますシステムの連携といったようなこと、さらに、取引所と、先生御指摘のございました広域的運営推進機関との間での電力取引に関します情報連携、さらには、私ども行政が市場監視を行うための情報収集、こういった各側面におきまして、各プレーヤー間の協同あるいは連携を進めていくことが必要であるということだと思っておりますし、先生が御視察された際に関係者の方から御指摘があったのも、このような問題意識かと思っております。

 私ども経済産業省といたしまして、このための制度設計を順次進めているところではございますが、いつまでにというところのタイムスケジュールを具体的に今申し上げられる状況ではございませんけれども、いずれにいたしましても、来年からの電力全面自由化というのを頭に置いて、各機関と連携して、加速的に検討を進めていきたいと思っております。

鈴木(義)委員 もう一点、時間が限られているので。

 自分である程度節電をしたら、その余剰電力を売れるという。勘違いしているのは、需要があるから供給をどんどんすればいいんだということではなくなってきているんだと私は思うんです。きょうのやりとりの中でも、地球温暖化だとか、あとベストミックスの話をしたり、かじ取りとすれば、経産省、環境省も含めて、難しいバランスをとっていかなければならないのに、使い放題というのはもう限界が来ているんだと思うんです。

 ですから、個人であっても個人の事業主であっても、やはり節電を基本的にはしていく中で、それで必要最小限のエネルギーを供給していくという形をとっていく方が、日本は海外にエネルギーの依存度というのは一〇〇%に近いぐらいあるわけですよね。それを少しでも地産地消にしていかなければならないのに、何か議論を聞いていくと、需要があるんだから供給をばんばんすればいいんだということで、ここのところずっと議論がされているように思うんですけれども、そういった、省エネを推進したらメリットがあるんだというインセンティブを、この取引所も含めて与えられる制度にしていくのかということなんですけれども、そこをお答えいただければと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、今回の法案におきましても、新しい考え方、需要の抑制という形で電力量調整供給という新しい位置づけをいたしました。いわゆるネガワット取引を制度上位置づけるということでございます。

 今、先生御指摘のように、需要があるから供給をということではなくて、いわゆる電気をスマートに使えばそれで得をする、こういった形で新しい電力システムをつくっていかなければいけないと思っております。

 そのために、もちろんユーザーとして需要抑制によって生み出された供給力を発電と等価なものとして扱う、こういった考え方に立ちたいわけではありますが、その中で需要家自身の考え方も変えなければいけませんし、その間に入りますディマンドレスポンス・アグリゲーター、こういった新しいビジネスといったものも出てこようかと思います。こうした方々がプレーヤーとして活躍するような場として、このネガワット取引といったものを使いながら、新しい市場を形成していきたい、このように考えております。

 私ども、引き続き需要面に着目してより効率的なエネルギー需給、こういった体制をつくるべく努力していきたいと思っております。

鈴木(義)委員 ありがとうございます。

 話をまたかえるんですけれども、エネルギー白書二〇一三というのがありまして、これはもう目を通された方がたくさんいらっしゃると思うんです。ここで、一九七三年から約二・四倍に増加しているのが、民生部門と言われているもの。一九七三年というのは石油ショックのときだと思います。

 家庭用の用途別エネルギー消費の割合を見ると、これは経産省の方でお出しになっている白書だと思うんですけれども、一番目が動力・照明で三四・七%なんです。給湯が二八・三%、暖房が二六・七%なんです。これを合わせると、エネルギー消費の半分以上が熱にかかわるものなんです。だから、今回、電気の自由化とガスの自由化をすることによって新しいエネルギー構成をしていこうというのが、今回の三弾目の法律の改正案だと思うんですね。

 時間がないので、飛ばして、またちょっと説明だけさせてもらいたいんです。

 それで、電力中央研究所の報告書というのを目にしたんです。太陽光熱給水器はなぜ停滞しているのかと題したペーパーだったんですね。電気の関係の研究所がこういうペーパーを出しているんです。

 石油危機以来、我が国では太陽熱エネルギー導入に大きな期待がかけられていたんです。しかし、八〇年代当初には世界一の導入量を見せたものの、八〇年代後半以降、中国、ドイツ、オーストリア等における急速な導入拡大とは対照的に、普及において停滞を続けていっているんです。原因は明確になっていないということなんですね。

 本来は資料をお配りすればよかったんでしょうけれども、グラフを見ていくと、一九七三年をピークにして、どんどん太陽熱の方の供給が、面積的にも件数的にも極端に下がっていっているんです。

 先ほど前段でお話ししたように、家庭用で使っているエネルギーのもとは半分以上が熱なんです。それであれば、電気に固執する必要もないし、ガスだけでもないだろうし、太陽熱があってもいいだろうし、太陽光があってもいいだろう、それがベストミックスなんだと思うんですね。太陽熱という昔当たり前にやっていたもの、ただでお湯を使っていたわけですよ。なぜそれを政策的に誘導しようと考えないのかというふうに疑問に思うんです。

 この報告書では、「今後の課題」の中に、省エネ技術の普及を考える際には、技術の効率や経済性だけではなく、マーケティングの側面にも留意していく必要があるというふうにうたっているんです。また、経済合理的と思われる省エネ投資も妨げている省エネバリアについて詳しく分析していく必要があるとも述べているんです。

 電力の自由化、ガスの自由化、熱供給と、この法律には盛りだくさんの改正があるんですけれども、エネルギーミックスのバランスをとる中で、なぜ太陽熱という、熱供給というと、何か違うエネルギー源をもとにして熱を供給している法律の改正が今回上程されているんですけれども、世界に翻弄され続ける我が国のエネルギー施策をいつまでも続けていくべきではないんだと私は思うんですね。

 ですから、そういったことも視野に入れながら今回の法律の改正を考えていく。まあ、いっているからこの法律案の改正が出てきたんだと思うんですけれども。太陽熱のもう一回さらなる利用拡大と、これからの考え方をお聞かせいただければと思います。

木村政府参考人 先生御指摘のとおり、家庭におきますエネルギーの多くは、確かに最終的には給湯、冷暖房ということで熱の形態で消費されております。したがいまして、太陽熱をそのまま熱エネルギーとして利用するというのは非常に意義のあることだと考えております。

 太陽熱温水器の導入につきましては、一九八〇年代、年間八十万台程度設置をされた、そういう時期もございましたけれども、確かに二〇一三年には年間約四万台の設置にとどまっているということです。この理由といたしましては、恐らくは、設備導入にかかる初期コストが高どまったままであるということ、あるいは、エコキュートですとか、そういうほかの熱利用技術へニーズが分散しているといったこと、あるいは、固定価格買い取り制度で住宅屋根に太陽光発電をつけることの方が魅力的であるといったようなことが挙げられるのではないかなと思っております。

 経済産業省といたしましては、太陽熱も含めた再生可能エネルギー熱利用の低コスト化に向けた技術開発をやはり推進していきたいというふうに考えておりますし、あわせまして、太陽熱温水器を含めた省エネ住宅における省エネ設備の導入支援というようなことも実施をしてございます。

 先生、先ほど省エネバリアについて御指摘がございました。確かに、省エネ投資、わかっているけれども、経済合理性があるんだけれどもやらないといったようなことが実際にございます。

 情報不足でございますとか、あるいは資金の不足、あるいは隠れた費用、調査ですとかあるいは交渉ですとかいろいろなところに費用がかかるといったようなこともございます。こういったこともしっかり分析をいたしまして、私どもとして、省エネに資するような機器の普及に今後とも取り組んでまいりたいと考えてございます。

鈴木(義)委員 よろしくお願いします。

 それと、報告書の中で、今説明をいただきました省エネ技術の普及を図る際には、「今後の課題」の中で、技術の効率や経済性だけでなく、マーケティングの側面にも留意していく必要があるというふうにうたっているんですね。

 国土交通省が平成二十年、これはちょっと古いので若干違うかもしれませんけれども、住生活総合調査結果というのを目にしたんですね。その中に、住まいについて重要と思う点でアンケートをとったら、「火災・地震・水害などに対する安全」に重点が置かれている回答が得られるんですけれども、「冷暖房の費用負担などの省エネルギー対応」には〇・七%と余り重点が置かれる結果ではないんですね。

 なおかつ、バブルが崩壊した後に、企業もそうですけれども、電力の需要がどんどん落ち込んだんです。電力会社は何をやるかといったら、コマーシャルをばんばん流しながら、オール電化、オール電化のコマーシャルをやったんです。それは何ということはないんです。需要が減ってきたから、それを喚起させるためにオール電化をさせて、ガスから電気がいいとか、何から電気がいいとかというようなコマーシャルをしたんです。

 ですから、先ほどのマーケティングの話をしたのもそうなんです。商売をやろうとする方からすれば、自分のものをたくさん売りたいというのは当たり前の話なんですね。だから自由化なんですよ。

 そこでなおかつ、今申し上げたように、経済性だけでは国民は食いついてくれないということなんです。だから、地球温暖化、二五%を旗振りしたって、強制力がなければ、大事だよねと思っても自分の生活を犠牲にしてまで協力しようというふうにはならないわけです。だから、政策誘導が必要だというところになっていくんです。

 一番の問題は、電力の配送電設備やガスの導管事業の地域独占を認めていくんですけれども、料金の設定を低廉化、少しでもコストを下げていく方に誘導していかなければ、新しい発電事業者が生まれてきたとしても、もともとのイニシャルコストが高いところにランニングコストを乗せるんです。逆に、イニシャルコストが低いところに、いろいろな自由化の中でランニングコストになるところが多少料金のばらつきがあるのでそこに選択肢が生まれるはずなのに、なかなか、認可制をこのままずっと取り入れようとしてやっていますので、価格の競争が起きづらいんじゃないかと思うんです。

 託送料金も含めて、先般の質問の中で、原発の廃炉だとか今処理しているところも託送料金に乗せるんだというふうに私のときには答弁をいただきながら、いや、そうじゃないんだ、まだ検討中なんだという答弁をいただくときもあるんです。はっきりしていない、検討中だという話なんですけれども、託送料金を上げれば上げるほど、お客様である国民の消費者の皆さん方は、やはり競争の原理が働いていかないんじゃないかと思うんですけれども、その辺をどうお考えなのかお尋ねしたいと思います。

山際副大臣 託送料金といいますか、総括原価方式を残すということ、これは電気エネルギーの安定供給の上で欠くべからざるものということで、これを残すということは御理解いただいていると思うんです。

 ですから、その考え方と料金を最大限抑制していくことが両立するようにしていくということが大事だ、その認識を持ってさまざまな措置を我々としてもやっているところでございまして、総括原価方式を維持すること自体が直ちに料金水準の抑制を阻害するものではない、そういうふうに我々は考えてございます。

 さはさりながら、確かに、電気の抑制をしていく上において、総括原価ですから、何でもかんでも入れるということに関してきちんと査定をしなければ、当然、高どまりしてしまうということになりますから、そこは厳格に査定をしっかりしていくということを、我々としても責任を持ってやらせていただきたいと思っております。

鈴木(義)委員 例えばLPガス、うちもLPガスなんですけれども、設備費については、建築屋さんがその中に入れて、二十年か三十年、料金で上乗せしてその設備代は回収しようとするんです。都市ガスの場合は、最初に初期投資をどんと入れて、だから料金は安く供給するわけですね。

 昨年、法律が制定された空き家対策というのは、議員立法で衆議院も参議院もたしか通ったと思うんです。空き家の数が二十年で倍増して、今、八百万戸近いというデータがあるんです。なおかつ、このうち賃貸住宅の五四・五%が空き家なんです。

 ということは、都市ガスかLPガスか電気を家主さんが選択しているんですね。そこをわかって借りるのがたな子さんなんですけれども、でも、空き家がこれからふえていくんじゃないかというふうに言われながら、電気の線は引きました、ガスの導管は引きました、それは総括原価方式だから、誰も使わなくなっちゃったのに、今使っている人たちの料金に全部上乗せですよというのはちょっと違うんじゃないかという考え方です。

 もっと言っちゃうと、今申し上げたようなことを、電力・ガス取引監視等委員会で、エネルギー政策のこともミッションとしてやらせるんだというのを大臣が答弁されていますよね。

 そうすると、これから空き家がどんどんふえていきながら、工場があったけれども撤退してしまったというところにも電線が通っているわけです。それを総括原価方式で、今使っている利用者に上乗せするということを本当にやれるのか。これは一年、二年の話じゃないんです。五年も十年もたっていけば、必ずそれがじわじわ料金の値上げにはね返っていくはずなんです。それでは何のために自由化したのかというのが国民の声になるはずなんです。

 ですから、今の監視委員会の役割の話と、あとは、空き家対策をここでお話しするのは門違いかもしれませんけれども、そういったことも含めて考えていかなければならない時代に私は入ったんだと思うんですけれども、あわせて御答弁いただければと思います。

多田政府参考人 御指摘の空き家対応、それから電力取引監視等委員会の件についてお答え申し上げます。

 現状をまず申し上げますけれども、空き家が生じた場合、新しい住人、たな子さんが入ってくるということに備えて送配電事業者が送電線やメーター等をそのまま維持しておくのかどうか。この点につきましては、一義的には送配電事業者が、新しい入居の見込み、あるいは既存の設備の状況、どのぐらい古いものなのかといったようなことも考えまして、安全性あるいは経済合理性、こういったことを考えながらそれぞれの場所ごとに判断をされているもの、こういうふうに認識をいたしております。

 それでは、それを維持するための費用をどうするのかという点でございますけれども、これを含めまして託送料金の適正性、これは先ほど副大臣の方からもお話がありましたように、ここについては厳正な審査ということになりますが、今回の法案が成立いたしますと、新しい監視等委員会といったものがそこの専門的知見を活用して厳格な審査を行うこととなるかと思います。

 この電力取引監視等委員会につきましては、この審査につきまして、実務的な専門家としての知見を発揮していただくことではございますが、ルールにつきましては、八条委員会でございますので、経済産業大臣の方からそのルールというものを定めるということになっております。なお、ルールに対する提案もこの委員会はできるようなことになっております。

 その結果、託送料金が著しく不適当と、先ほどございましたように、空き家の話が仮に非常に大変な、社会全体としての不適正といったことになりました場合に、公共の利益の増進に支障があると認めることにもなろうかと思いますが、そのような場合には、事業者に対しまして、大臣の方から託送料金の変更認可申請命令を出すということもあろうかと思っております。

鈴木(義)委員 しつこく質問しませんけれども、人口密度が高いところはいいんですね。低くなっていってしまうのがもう予定されているような地域の託送料金まで人口密度の高いところの人たちが負担できるかというのをきちっとやはり考えてもらいたいと思うんですね。

 以上で終わります。

江田委員長 次に、真島省三君。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 まず、四月二十二日の当委員会での私の質問に対する大臣の答弁について確認をしたいことがあります。

 私は、電力十社の部門別の利益の割合の資料を配付し、自由化が始まった二〇〇〇年度から二〇一〇年度の十一年間のトータルを見ると、規制部門対自由化部門の販売電力量の割合は全体で平均しますと五三対四七、なのに、利益額の割合は七対三だということを示した上で、大臣に対して、何で、販売電力量はほぼ半々なのに利益額の割合が七対三、こういうことになっているんだということをただしました。

 そうしますと、大臣は、その表を見て、自由化されると電気料金が下がる、競争があるということが如実に出ていると思ったとおっしゃった上で、「規制部門から自由化部門へ内部補填が行われるということは当然でありまして、これについても、毎年度ごとに事業者に、部門別収支計算書を作成し、その公表を求めておりますところであります。」と答弁をされました。

 ちょっと確認します。規制部門から自由化部門への内部補填は当然なんでしょうか。

    〔委員長退席、鈴木(淳)委員長代理着席〕

宮沢国務大臣 先日、この四月二十二日の私の答弁について委員からいろいろ御指摘があったということがあって、私自身も、議事録を読み返しておりまして、間違えた発言をしていたということを率直におわびしなければいけないと思っております。

 あの流れでは、内部補填が行われていないということは当然でありまして、これについても部門別収支計算書を作成し、その公表を求めておりますとつながらなければいけないところを、「内部補填が行われるということは当然でありまして、」と言ってしまいまして、そこは訂正をさせていただきます。

真島委員 言い間違えたということなんですけれども、非常に重大な言い間違いなんですね。

 部分自由化の導入に当たりまして、一九九九年十月に公表されました電気事業審議会の基本政策部会・料金制度部会合同小委員会の報告では、自由化部門から規制部門への悪影響を防止するため、自由化部門の赤字を補填することを目的として規制部門の料金値上げを行うことは認めない、そのために毎年度の部門別収支を事業者に公表させ、確認する、これを自由化に伴う基本的な措置として定めておりますと。

 しかも、これは、段階的にこの間自由化してきて、十五年もたつんですね。先ほどもお話が出ましたけれども、新電力のシェアはたったの四・一七%。とても競争が起こっている状態とは言えないと経産省自身が認めているんです。

 先日お示ししたデータに如実に出ているのは、自由化部門で一般電気事業者が低価格を提示して大口需要家を囲い込んで、新電力の参入を阻んできた、シェアを独占してきたということです。その安売りのツケを回された一般家庭や零細企業は高い電気料金をこの間払わされてきたということなんですね。経産省がそれを是正しなきゃいけなかったんですが、是正させる責任を果たしてこなかったということなんです。

 私はあの資料を見て、大臣は本当にそのことを反省されているのかと思います。どうでしょうか。

宮沢国務大臣 四月二十二日の議論を思い返してみますと、委員が、まさに自由化部門において、自由化されたけれども寡占的なものがあって、非常に自由化の効果が出ていないではないか、こういう御質問をされていたときに、私がこの表を見て、自由化部門の利益が低くなっているということは、まさに規制部門に比べると自由化部門の方が電力価格が安くなってきているということではないかと思います、こういうふうに申し上げました。

 まさに間違いなく自由化によって安くなってきているということは事実でありますけれども、それでも高どまりしていると考えるのか、それなりに安くなってきたと考えるのか、いろいろな立場からの考え方があるんだろうというふうに思います。

真島委員 今の部分自由化という仕組みの中でどういうことをやられてきたかというのは、繰り返しになりますが、交渉力がある大口需要家、ここは自由化になっていますから、そこで安売りをした。そのツケが家庭や零細業者に押しつけられたということなんです。

 これで、情報開示の義務づけ、消費者参画の仕組みというのが完全自由化でなくなってしまったら、完全に料金はブラックボックス化して、市場を独占した企業のやりたい放題になってしまう。価格交渉力のあるところにはお客さんを囲い込むために安く売って、弱いところに高い電気代を押しつけるみたいな、そんなことにもなりかねない。

 私の前回の質問の肝はそこだったんですね。ところが、大臣が全くそのことを認識していないんじゃないかと思うんです、こんな言い間違いをされるということは。私、電力改革を提案している責任者として本当にしっかりしていただきたいと思うんです。

 四月二十八日の参考人質疑で、消費者団体の参考人は二人いらっしゃいましたが、お二人とも、電気料金は自由化になっても極めて公共性が強い、公共料金だから消費者の意見をきちっと受けとめられるような制度設計が要るんだ、情報開示や消費者参画の仕組みが必要だということをおっしゃいました。ぜひ、この声に応える民主的なルールと制度づくりを強く求めたいと思います。

 それで、ガス事業法改正について次にお尋ねします。

 四月十六日の衆議院本会議での法案趣旨説明で、大臣は、三段階から成る電力システム改革の総仕上げである法的分離の方式による送配電部門の中立性の一層の確保を実施するのにあわせて、ガスや熱供給についても、小売の全面自由化などの制度改革を一体的に進めるということで、これまで縦割りであった市場の垣根を取り払って、ダイナミックなイノベーションが生まれる総合的なエネルギー市場をつくり上げるために本法案を出したと言われました。

 電力、そして都市ガス、熱供給事業、これを全面的に自由化することで、言われているように十兆円を超える巨大市場ができる。それを一体的に担う総合エネルギー産業をつくり出す。私は、これは安倍政権が掲げているほんの一握りの巨大企業のための成長戦略そのものだと思うんですね。

 しかし、都市ガスと電力というのは、その産業構造も市場構造も大きく異なっています。電力は現在、地域独占の十社が供給に責任を負って、全国津々浦々に送電網が張りめぐらされて、家庭向けのシェアは一〇〇%ですね。一方、都市ガスはどうかといえば、都市ガスの導管網が引かれた供給エリアは大都市圏とその周辺部に限られていて、LPガスやオール電化と競合関係にあります。

 二点私は確認したいんですけれども、一つは、電力と都市ガス、それぞれの供給区域の国土面積に占める割合はどの程度か。二つ目が、需要家の総世帯に占める割合は、オール電化、都市ガス、LPガス、それぞれどうなっているでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、電力とガスの供給区域でございますけれども、電力の供給区域は全国を網羅しております。一方で、都市ガスの供給区域は国土面積の六割弱にとどまっております。

 それから、需要家全体におけます熱源ごとの割合でございますが、これにつきましては網羅的な調査データというものはあいにく承知をしておりませんけれども、オール電化、都市ガス、LPガスという需要家数でおおよその割合を見ますと、オール電化の需要家が大体一割程度、残りを都市ガスとLPガスの需要家がほぼ二分している、このように考えております。

真島委員 電力と都市ガスの実態や特性というのは全く違うわけです。ガスシステム改革というのは、こうした相違点を丁寧に踏まえて検討が進められるべきだと思うんですけれども、私、今回の法案について言えば、電力システム改革と整合的であるべきだというスローガンばかりが先にある、唐突で非常に性急なやり方だというふうに見えるんですね。

 都市ガス事業を担う一般ガス事業者の実態はどうなのかということなんですが、一般ガス事業者二百六社の中には、東京ガス、大阪ガス、東邦ガスという大手三社のように、みずから海外から調達したLNGを複数の基地で保有しているという事業者もあります。また、導管によって卸調達する事業者や、タンクローリーや鉄道輸送によって調達している事業者、これが圧倒的多数ですね。ガスシステム改革小委員会で、調達、供給設備の状況によるグループ分けをしてヒアリングが行われていますけれども、それを見ましても、一般ガス事業者の中でも実態が非常に大きく異なっているということがわかります。

 最も数が多いのが第三グループと呼ばれております導管による卸調達を行っている事業者なんですけれども、その卸調達元の先数はどうなっているでしょうか。

    〔鈴木(淳)委員長代理退席、委員長着席〕

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の御質問にお答えする前に、先ほど私、都市ガスの供給区域について、六%弱と申し上げるべきところを六割と申し上げました。申しわけございません。失礼いたしました。

 御質問の第三グループのガス事業者の卸調達元の先数でございますが、第三グループと言われているものでございますが、一般ガス事業者は百十六あります。

 そのうち、卸供給のもとが単一、つまり一社から受けているというのが九十三事業者、それから二つの事業者から受けているのが十五事業者、三つ以上の事業者から受けているのが八事業者となっておりまして、最大の卸調達先事業者数は七となっております。

真島委員 今おっしゃったように、調達先が一社というところがほとんどなんですね。卸供給元が競争上優位な状況になっています。

 四月二十八日の参考人質疑で、消費生活アドバイザー・コンサルタント・相談員協会常任顧問の杉本まさ子参考人が、昨年の春に、LNG基地を持って高圧導管を持つ国産天然ガス会社がLNGを導入し、二十社以上の卸受けガス事業者が最大一四%の値上げをしたと指摘をされておりますけれども、その事実関係を簡潔に御紹介ください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先日の杉本参考人の御発言の件でございますけれども、国産天然ガス会社でございます国際石油開発帝石株式会社、こちらの会社が、国内ガス田の産出量の低下に伴いまして、原料におけます輸入LNGの投入比率を変更する、これに伴いまして卸売価格が上昇したということで、ガスの卸料金を値上げしたということがございます。この会社からガスを卸受けいたします二十のガス事業者が、平成二十六年四月にガス料金の値上げ改定を行ったものでございます。

 そのうち、値上げ幅が最大であった事業者は一四・七八%の値上げでございました。

 ただ、一点ちょっと補足させていただきますと、この二十のガス事業者、値上げしておりますが、今一四・七八%という値上げの事業者もあれば、数%というところにとどまっているところもございます。一番極端に言いますと、〇・八%の値上げといったところもございますし、また、同じくこのガスを卸受けしている、同じ帝石から受けているところの他の三事業者につきましては、さまざまな理由によりまして値下げの改定をしているところもあるという事実は補足させていただきます。

真島委員 需要家の方は、電気代とガス代の値上げのダブルパンチになったわけですね、そのとき。

 それで、ここで申し上げたいのは、LNGの卸売価格が小売価格に直接響くんですね、このように。ですから、卸売価格の透明度を高めて公表していく仕組みが、私、不可欠だと思うんです。参考人質疑の中でも、国産天然ガス会社も大手三社と同じ条件で中立性を確保して託送コストの情報公開をすべきだという大変重要な意見が出されました。そのことは、今回の法案の中でどのように措置をされているでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正法案の中では、ガス導管網の中立性確保が大事だということで、全ての一般ガス導管事業者、それから特定ガス導管事業者、これらに対しまして、導管部門の会計分離、そして導管部門が事業実施に当たりましてそこで得た情報の目的外利用の禁止、こうした規定を設けているところでございます。

 また、全ての一般ガス導管事業者及び特定ガス導管事業者に対して、導管部門に係る会計を整理して、その結果を公表する義務も課しているところでございます。

 加えまして、導管の総体としての規模が一定以上の事業者に対しましては、導管部門の法的分離を求めることとしているところでございます。一般ガス導管事業者と特定ガス導管事業者ともに、ひとしく中立性が求められるということで、対象基準についても同一にする予定でございます。

真島委員 これはきょうの審議の中でも何人かの方が触れていましたが、特定ガス導管事業者に該当するINPEXとJAPEX、この二社が敷設した高圧導管の長さは、一般ガス事業者よりも長いんですね。

 一般ガス事業者の大手三社には法的分離による導管の中立性確保策を講じさせるということになっているんですけれども、特定ガス導管事業者に対する中立性の確保策というのはどのように措置をされているんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどの御質問にお答えいたしましたとおり、特定ガス導管事業者につきましても、導管部門の会計分離、あるいは情報の目的外利用の禁止、さらに、会計を整理した結果を公表する義務、こうしたことは特定ガス導管事業者に対しましても同様に課しているところでございます。

 なお、特定ガス導管事業者の法的分離の基準で、先ほど申し上げましたように、一般ガス導管事業者と同じ基準を当てはめることを考えているところでございますけれども、こちらにつきましては、導管総延長に着目して政令を定めようとしております。

 導管総延長が長い事業者は、その事業者の規模、それから導管網を通じてのガス供給量、さらに供給を受ける需要家数なども多くなるということでございますけれども、この中で、需要家数でございますとかガス供給量、これらは年により変動するということで、より客観的、安定的に判断が可能な導管総延長を判断基準とさせていただこうと思っております。

 INPEX、JAPEXと参考人から御指摘があったところでございますけれども、先ほど委員から御指摘ございましたように、卸供給をやっているわけでございます。卸供給をやっている先のガス会社の販売量あるいは需要家件数というものをこれらの会社が直接供給しているとみなした場合でありましても、その規模というのは大手三社には遠く及ばない状況になっているような状況でございます。

真島委員 その二社ですね、特定ガス導管事業者。これは、国が筆頭株主の、いわば準国営会社です。中立性確保のための今言われている措置はもちろん、事業のコストの中身についても、取引先や最終消費者となる国民に広く知らせる仕組みが私は必要だと思います。

 その上で、先ほど触れたガス料金の値上げについてちょっとお聞きしたいんです。

 現行のガス事業法では、料金の値上げの際には大臣の認可が必要で、大臣は認可する際に、公聴会を開いて広く国民の意見を聞くことが定められて、消費者や国民が参加していく仕組みが講じられております。

 この仕組みは、ガス事業者が民間の株式会社であっても公営事業者であっても変わりませんよね。ちょっと確認したいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 現行のガス事業法におきまして、一般ガス事業者が小売料金値上げの認可を申請する際、こちらにつきましては、経済産業大臣は公聴会を開催した上で認可する、こういった手続になっております。この手続につきましては、公営事業者か民営事業者かを問わず適用されるものでございます。

真島委員 民間も公営も同じ仕組みで認可手続が行われるということです。

 公営事業者の場合、ガス事業法の手続にプラスして、地方公営企業法に基づいて、予算について、毎年度、議会の議決を経なければならない。事業運営は議会によって監視されているわけですね。

 ガスシステム改革小委員会の報告書を見ますと、公営事業者は経過措置の対象外とするとなっています。公営ガス事業は、経過措置として規制料金も選択できるという期間を置かず、即自由化料金のみにするということなんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の法案におきましては、小売全面自由化後もガス小売事業者間や他のエネルギーとの競争関係が確保されていないという地域におきましては、経過措置として小売料金規制を課すことにいたしております。こうした地域に該当しなければ小売料金規制が撤廃されるということになります。

 今先生から御指摘ございましたように、公営事業者につきましては、地方公営企業法、こちらにおきまして、その料金が、公正妥当、かつ、能率的な経営のもとにおける適正な原価を基礎とし、地方公営企業の健全な運営を確保することができるものでなければならないとされております。また、その予算は、毎事業年度、議会の議決を経ることとされ、地方公営企業の運営は議会により監視されている、こういう状況にございます。

 こうした状況を踏まえまして、私どもの審議会の報告書におきましては、公営事業者につきまして、規制なき独占による不当な値上げの蓋然性は小さいと考えられるということから、経過措置の対象外とするということが提言されて、報告書にもその記載があるところでございます。

 この報告書の指摘も踏まえまして、実際の料金規制に係る経過措置の対象を指定、解除するという具体的な基準につきましては、今後、消費者団体など関係者の意見も踏まえながら検討をしてまいりたいと思っております。

真島委員 今おっしゃったように、何で経過措置を置いたかといいますと、自由化後に競争が十分に行われなければ規制なき独占が生じて需要家の利益が害される、それを防止するために事業者エリアごとに競争条件があるかどうかを判断して、措置していこうということですね。議会が監視していれば競争が起きるんでしょうか。これは別問題だと思うんです、公営事業というのは。

 それで、公営ガスでは経過措置は置かないというのは、公営ガスの利用者保護のルールを後退させるものだと私は思うんですよ。

 先ほど、INPEXの卸単価引き上げがガス料金の大幅な引き上げにつながったという事例を御紹介しましたけれども、この値上げした二十社のうち、公営事業者が六社なんですね。

 地方公営企業法で、料金は、公正妥当なものでなければならず、かつ、能率的な経営のもとにおける適正な原価を基礎とするということが定められておりますけれども、ガスの卸価格が上がればガス料金は必然的に上がるんですね。競争がなく、ほかの選択肢がないという状況にあれば、需要家の人たちは何らこれに対して意見を言えません。その値上げをそのまま無条件に受け入れなきゃいけないということに公営事業のところだってなるわけですよ。

 だから、本当に、競争が確保されるまで規制料金を存置するというのは公営企業のところもきちっと適用すべきだというふうに私は申し上げたいと思います。

 都市ガスの自由化については、料金の問題とともに、保安に対する懸念の声がたくさん上がっております。

 これまで、一般ガス事業者が導管部分から消費機器まで一体的な保安を講じてきましたけれども、今後は、ガス栓から先を小売事業者が保安を担うということになります。

 参考人質疑でも、現状でうまくいっているものを壊す必要はないとか、今の現状を続けていった方が安全で安心な生活が送れるのではないかという御意見が消費者団体の方からございました。

 都市ガスの事故の発生状況について、製造段階、供給段階、消費段階で、近年どの程度の件数で推移しているでしょうか。

寺澤政府参考人 お答えします。

 推移について御質問でございますので、平成二十一年から二十三年の三年間の年平均と、平成二十四年から二十六年の三年間の年平均、これを比較してお答えしたいと思います。

 まず、事故件数の総数でございますけれども、製造段階については十三・〇件から九・〇件。供給段階、これはいわゆるガス管の部分です、百五十四・〇件から百九十九・三件。消費段階、これはガス栓から先の部分でございます、ガスこんろとか風呂釜ですけれども、二百十八・〇件から四百二十九・〇件となっております。

 また、負傷者数でございますけれども、製造段階で一・〇人から〇人。供給段階で二十七・七人から二十・七人。消費段階で三十六・七人から二十七・三人と推移をしております。

 最後に、死亡者数ですけれども、製造段階というのは〇人のままでございます。供給段階では一・〇人から〇・三人。消費段階で一・三人から〇・三人となっております。

 以上でございます。

真島委員 今御紹介いただいたように、事故の発生件数、圧倒的に消費段階なんですね、依然として。

 この問題で思い出されるのは、先日も紹介しました、二〇〇六年に明らかになったパロマ製のガスの瞬間湯沸かし器の事故です。一九八五年以降で、二十一名の方が死亡して、重体、重症が三名、軽症が三十六名という、大変大きな被害を出していたということが後になってわかったんですね。

 事故情報を受けていた経産省も、LPガス保安課、ガス安全課、日用品室と、縦割り対応に終始していたために、この事故の全体像がつかめていなかったんですね。そのことも大問題になりました。

 こういう役所の縦割りとか、分割していった場合、事業者間の責任の押しつけ合いということになれば、命にかかわる保安が大変おろそかになっていく、こんなことは絶対に許すわけにはまいりません。

 先日、新聞で、取りかえるべき老朽ガス管が、病院など保安上重要な建物で約八万本、一般戸建て住宅で約三百万本も残されていると経産省の調査が報じられておりましたけれども、保安を考えても、私有地のガス管は建物の所有者の責任でやってくださいということで、先延ばし、先送りするわけにはいかないと思うんですね。

 ガスの問題で最後に大臣に聞きますが、大きな事故が起きる前に、国が予算を補助することも含めて早急に対応すべきだと思いますけれども、どうでしょうか。

宮沢国務大臣 私有地における需要家所有の老朽ガス管、いわゆる経年内管につきましては、不特定多数が利用する地下街、大規模商業施設などの、ガス事故が発生した場合に影響が大きい建物を保安上重要な建物と位置づけ、優先して対策を推進してまいりました。具体的には、取りかえに伴う需要家負担費用の一部補助などを行ってきております。

 その結果、平成二十二年度末に約十六万本が残存していた保安上重要な建物の経年内管は、二十五年度末までに七万本削減されて、今九万本ということでございます。

 引き続き、こういう保安上重要な建物の経年内管の対策を積極的に進めてまいりたいと思っております。

真島委員 個人の住宅等の取りかえもいろいろな措置を検討していただきたいと思うんですが、こういう保安に対するいろいろな懸念がたくさん出されていて、それをそのままにして自由化を推し進める。私は、何でそんなに急ぐんだろうかというふうに思うんですね。

 けさの日経新聞の一面トップで、東電が関東、静岡のガス会社と提携交渉に入ったというふうにありましたけれども、ガス事業への新規参入を狙う電力大手とか石油元売など、そういうところの開放圧力に押されてやっているんじゃないかというふうに見えてしまいます。

 次に、エネルギー基本計画に基づくエネルギーミックスについて質問したいと思います。

 きょうもたくさんこの問題の質問がありましたけれども、昨年の四月に閣議決定されましたエネルギー基本計画、原発を、安定性と効率性にすぐれ、運転コストの低い低炭素の準国産エネルギーとして重要なベースロード電源と位置づけ、再稼働を進め、将来にわたって維持、推進する、輸出もするとされています。

 この計画は、東日本大震災と福島第一原発事故による放射能被害を目の当たりにした国民、原発ゼロ、エネルギー政策の抜本的転換を求めている国民の圧倒的な願いに私は逆行する、原発依存回帰、永久化宣言だというふうに思っております。

 経産省は、このエネルギー基本計画に基づいて、四月二十八日の総合エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委員会第八回会合に二〇三〇年のエネルギーの需給見通しの案を出して、今月末ぐらいまでに正式決定すると言われています。

 このエネルギー基本計画の言うベースロード電源の定義を改めて教えてください。

上田政府参考人 エネルギー基本計画におきますベースロード電源の定義でございますが、「発電コストが、低廉で、安定的に発電することができ、昼夜を問わず継続的に稼働できる電源」ということでございまして、具体的には、我が国では、原子力、石炭、一般水力、地熱がベースロード電源とされているところであります。

真島委員 このベース電源の上にミドル電源、ピーク電源を積み上げた経産省おなじみのグラフというのが目に浮かぶんですけれども、その定義は果たして国際的な共通した定義なんでしょうか。例えば、欧米の送電会社の協議団体である欧州電力系統事業者ネットワークだとか北米電力信頼度協議会、こういうところではベースロード電源をどのように定義していますか。御紹介ください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ベースロード電源、これにつきましては、国際的に共通の定義があるものではございません。御指摘のありました団体におきましても、ベースロード電源という用語そのものを定義している事実は承知をしておりません。両団体では、ベースロードという言葉を、ある期間において一定の量で供給あるいは必要とされる最小の電力と説明をしている、このように承知しています。

 この説明は電気工学的な説明、このように理解されますが、このような需要を満たすためには、当然に、コストが低廉で、安定した電力を供給できる電源が必要となると考えております。例えば、アメリカのエネルギー情報局の方におきましては、原子力、石炭火力につきまして、変動費が安くて、高い設備利用率で稼働させるベースロード電源として評価している、このように承知をしております。

真島委員 先ほど言われたエネルギー基本計画のベースロード電源の定義というのは、安倍政権の定義なんですね。国際的にはあんな定義はないんですよ。ベースロード電源というのは、国際的には、電力需要に応じて変動するものだという前提なんですね。昼も夜も同じ発電量でずっと張りついているような、そういう定義は全く別物です。

 それで、日本風力エネルギー学会理事や国際エネルギー機関、IEA、国際電気標準会議、IECなどの国際委員会のメンバーも務めておられる安田陽関西大学准教授が私どものしんぶん赤旗のインタビューに答えて、こういうふうにおっしゃっています。

 そもそもベースロードとは、日々変化する電力需要に対し常に一定の出力を要求される電力の最小の量のことで、これを供給するのがベースロード電源と呼ばれ、これは、おっしゃったように、電力工学の基本的な概念だと。

 それに対して、昨年閣議決定されたエネルギー基本計画などでは、ベース電源について、発電コストが低廉で、安定的という日本独自の定義づけが行われていると。

 経産省が作成した資料を見ますと、カナダ、米国、フランス、オランダなどではこのベース電源の比率が八〇%から一〇〇%近くになっています。安田准教授は、最小の量を担うはずのベース電源が八〇%から一〇〇%というのは、電力工学の見地からは想像できないと。

 経産省は、学術的でない定義を使って、何としてもベース電源が必要だという結論を導き出そうとお粗末な議論を展開しているというふうに厳しく指摘をされています。

 大臣、そもそも、世界では、再生可能エネルギーの普及が進む中で、常に一定の出力を固定したベース電源という考え方から、出力が変動する再エネも含めてどうやって系統全体をマネジメントしていくのかという考え方に変わってきているんじゃないでしょうか。御認識を伺います。

宮沢国務大臣 電力、電源の状況というのは、世界でやはり随分状況が違っているんだろうというふうに思っております。

 例えば、我が国の場合は島国でありまして、ヨーロッパはヨーロッパ全体が一つのネットワークがつくられている、また、アメリカ、カナダは大変大きな国という意味で、大変小さな池しか持っていないのが我が国でありまして、そういう中において、やはり、低廉で、安定して、そして継続的に発電できる電源をしっかり持っていくということは大変大事なことだろうと思います。

 もちろん、ベースロード電源といったものにつきましても、例えば、ヨーロッパ、アメリカにおきましては、再生可能エネルギーについても、風力発電につきましては、相当安価で、そしてかなり信頼ができる電源ということでありまして、我が国における風力また太陽光とはかなり違った意味で恐らく扱うことができる。

 そういう中で、我が国においては、お話がありましたように、地熱、水力、原子力、石炭をベースロード電源として位置づけておりますし、また、ベースロード電源、六割程度といって、今回のエネルギーミックスにおいてはたしか五六%だったと思いますけれども、我が国において最大の電力需要がある日と最小の電力需要がある日を比較しますと、約六〇%といったような意味で、今いろいろあったお話とかなり近いところで狙いを定めてきた、こういうようなことだろうというふうに思っております。

 やはり、大きな電力ネットワークの中にある国・地域と我が国においては、相当状況が違うんだろうというふうに思います。

真島委員 どこが違うかが問題なんですね。

 というのは、安倍政権が言っているベースロード電源というのは、国際的な流れに逆行している、前世紀の発想なんですね。

 OECDの原子力機関が二〇一二年に出した報告書には、何と、原発は再生可能エネルギーの出力に合わせて変動させることが可能だとまで言っているんです。だから、欧州では、再エネ電源を他のどの電源よりも優先的に供給するんだと、再エネの優先給電が義務づけられて、原発も含めたほかの電源でそれに合わせて出力変動させるという、全く日本と正反対のことをやっているんですね。

 固定価格買い取り制度、FITによる優先給電を口では言っていますけれども、再エネ電源よりも原発を最優先にして、動いてもいない原発の供給力を空押さえしてまで再エネの接続を今抑制している。これは本当に、国民の願いにも、また、欧州を初めとした世界の再エネ推進の取り組みにも全く逆行していると私は思うんですね。

 次に、四月三十日の経産省と環境省の合同の有識者会議に両省から出された二〇三〇年の日本の温室効果ガスの排出量の削減目標、二〇一三年比二六%削減という日本の約束草案要綱の案について聞きたいと思うんです。

 両省では、国際的に遜色のない、野心的な目標だと言われていますけれども、二六%となるのが、過去二番目に排出が多かった二〇一三年を基準年に変えたからであって、今回の目標は、京都議定書の基準年である一九九〇年比に換算すれば、一八%程度の削減にとどまっています。既に、欧州連合、EUの二十八カ国では、二〇三〇年までに九〇年比で少なくとも四〇%削減、米国は、二〇二五年までに二〇〇五年比で二六から二八%削減という野心的な目標を掲げています。

 有識者会議では、温暖化に対する危機感が感じられないと厳しい意見も出されておりますけれども、なぜ今、基準年を二〇一三年に動かしたんでしょうか。

片瀬政府参考人 お答え申し上げます。

 基準年につきましては、御質問の要綱案におきましては、二〇一三年度比を中心に説明を行うこととし、二〇一三年度と二〇〇五年度の両方を登録するという内容になっております。

 その理由といたしましては、今後、足元からどういう削減行動をとるかが重要であるということで、二〇一三年度を基準年とする一方で、二〇二〇年度目標、これは基準年を二〇〇五年度にしておりますので、その二〇〇五年度も基準年として登録をするという考え方に立っております。

真島委員 一方で、経産省の長期エネルギー需給見通し、エネルギーミックスの基本方針では、原発依存度を可能な限り低減すると言いながら、実際は現在の原発依存度ゼロから依存度二〇%以上にするわけですから、これは国民の目には原発依存への回帰としか映りませんね。現在のゼロから二〇%以上にするんだから、低減とは言えないじゃないですか。

 大臣にお伺いしたいんですけれども、なぜ、福島の事故の前の、原発が目いっぱい動いていたときとわざわざ比べた上で、低減する、こんなわかりにくいことを言うんでしょうか。

上田政府参考人 私の方から最初に御説明させていただきます。

 この原子力発電二〇から二二%という数字は、本委員会でも御議論いただきましたけれども、電気料金、あるいは安定供給、環境負荷低減といったことにつきまして具体的な目標を設定した上で、その目標を実現するための現実的な案としてお示しをさせていただいたものでございます。

 確かに、現在は原発は動いておりませんので、そこから比べれば何でも、ふえているじゃないかと言われれば、そうかもしれませんが、震災前の原発比率は約三割でございまして、実は、二〇一〇年に閣議決定したエネルギー基本計画で、まさに今回と同じ、二〇三〇年時点の原発比率というものを試算していたわけでございますが、そのときは約五割という水準でございました。

 そういった水準につきまして、二〇三〇年時点での原発比率を二〇から二二%、約二割程度まで引き下げるということでございまして、これは、先ほどの電気料金、安定供給、環境負荷低減といったことを同時達成しつつ、可能な限り原発依存度を低減させるという方針に合致したものであると考えております。

真島委員 そこで、先ほどの日本の約束草案要綱の案の冒頭には、エネルギーミックスと整合的なものになるようにするというふうに書いてあるんですね。

 このエネルギーミックスは、今おっしゃったように、福島の事故の前から二〇三〇年の電源構成の比率を論じて、低減しているんだというふうに言っているんですね。

 ところが、約束草案の方は、原発事故があった後の二〇一三年を基準にしている。全然、スタートが整合性がないじゃないですか。

 二〇三〇年の日本の温室効果ガスの排出量の削減目標、これは、基準年にしている二〇一三年というのは、過去二番目に温暖化ガスの排出が多い年なんです。そして、片っ方で、二〇三〇年の電源構成は、原発が五十四基も動いていたころを基準にして、低減しているんだというふうに言っている。本当におかしな話です。

 さて、福島の原発事故の前後の二〇一〇年と二〇一三年、この二酸化炭素の排出量を比較すると約一億トンもふえているということを捉えて、地球温暖化対策に原発が必要だという議論がございます。

 原発の停止で、石炭やLNGの火力発電の発電電力量がふえたことが影響したというのは事実でしょうけれども、なぜ、リーマン・ショックによる世界的不況の余波で経済活動が鈍っていた、CO2排出量が比較的少なかった二〇一〇年度と比較をしているんでしょうか。

上田政府参考人 エネルギーミックス、それを踏まえた温室効果ガスの削減目標はともに、二〇三〇年における姿を描いたものでございます。

 それぞれに関しましてどういう形で比較を行うのが適切かということにつきましては、温室効果ガスの削減目標ということであれば、今からどれだけ削減できるかということが鍵であるという問題意識のもとで、未来に向けた削減努力の大きさをはかるということが適切であるという観点から、足元の数字であります二〇一三年の実績との比較が適切であるということだと考えております。

 ところで、エネルギーミックスにつきましては、東日本大震災によって大きな影響を受ける以前の状態と比較した場合に、例えば二〇一〇年ということと比較をしているわけでございます。

 もちろん、エネルギーミックスそのものにつきましては、必ずしも基準年という考え方を設けているわけではございませんけれども、二〇三〇年のエネルギーミックスを過去のどの時点と比較をすべきかという点につきましては、今申し上げましたような、比較分析の観点によって異なってくるものと考えております。

真島委員 比較している年が、非常に経産省が都合のいい年と比較しているわけですね。

 それで、リーマン・ショックの前の二〇〇七年度が福島の事故の後も含めて過去最高の温室効果ガスの排出量のあった年になっているんですね。この年に何があったかといいますと、新潟県の中越沖地震で東電の柏崎刈羽原発が長期間停止して、火力発電が増加したことが原因だというふうに見られています。

 そこで、一九七〇年度と二〇一〇年度の原発と石炭火力の発電電力量はそれぞれどうなっているでしょうか。

上田政府参考人 一般電気事業用でございますが、原子力発電及び石炭火力の発電電力量は、それぞれ、一九七〇年度におきましては、原子力発電が四十六億キロワットアワー、石炭火力が三百八十九億キロワットアワーでございます。二〇一〇年度におきましては、原子力発電が二千八百八十二億キロワットアワー、石炭火力発電が二千五百十一億キロワットアワーとなっております。

真島委員 一九七〇年代の石油ショック以降、日本が原発と石炭への依存度を急激に高めてきたんですね。原発の発電電力量、今おっしゃったように、一九七〇年度と二〇一〇年度を比較しますと六十三倍にふえています。石炭火力は一九七〇年度と二〇一〇年度を比較すると六・五倍にふえています。

 この間、経産省が言っているように、原発は温室効果ガスの排出量の削減に貢献したのかということですね。

 原子力の発電電力量は、一九九八年度が過去最高で三千三百二十二億キロワットアワー、一九九〇年度と一九九八年度を比べますと、原発の発電電力量は一・六倍になったのに、温室効果ガスの排出量は、CO2換算で七千五百二十万トンもふえているんですね。一九九〇年度と二〇一〇年度の二十年間で見ましても、原発の発電電力量は一・四倍にふえているのに、温室効果ガスは三千二十三万トンもふえております。原発が一・四倍、一・六倍になっても、温室効果ガスは減らなかったというのが答えなんです。

 なぜこんなことになるのかといいますと、日本では、原発事故や不祥事でとまるたびに、その代替電源として石炭火力に依存してきたんですね。だから、原発、石炭火力ペア、これを最優先にすることがエネルギー政策のベースにされてきたんです。なぜ石炭火力なのかというと、安いからですね。

 今回、経産省が示しました二〇三〇年の電源構成の原案も、原子力が二〇から二二%程度、石炭火力が二六%、相変わらずの原子力、石炭セットを続けようとしています。

 経産省は、電源コストで原発と石炭火力は安いと試算をしておりますけれども、石炭火力が安いのは、本来ならば必要なCO2対策コストを安く見積もっているからではないかと思うんです。これは、石炭火力の新増設を制限して、LNGコンバインド発電など、環境負荷の少ない効率的な発電に転換することこそ政策的に必要な措置だと私は思います。

 四月二十八日の総合エネルギー調査会長期エネルギー需給見通し小委員会第八回会合、ここで、福島の事故の後、廃炉が決まった以外の原発を原則四十年運転させる、二〇三〇年の時点で一五%程度にしかならない、二〇から二二という経産省原案との間に五から七%も差があるじゃないかということに対して、委員の方から疑問や意見が出されていますね。東京理科大の橘川武郎教授は、一番心配なのは原発のことだ、この差についてどういう見通しを持っているのかと。消費者団体連絡会の河野康子事務局長も、新増設を見込んでいるのかと、きょうも出されましたけれども、そういう質問をされています。

 何度も答弁させて申しわけないんですけれども、二〇三〇年に二〇%を超す原発依存を目指すということは、本来四十年となっている原発の運転期限の延長だけではなくて、規模の小さな原発を大きな原発に建てかえるリプレースとか新増設をやるということですか。ちょっと話の流れがあるので、答えてください。

上田政府参考人 今の点は本日の委員会でもたびたび御議論いただきましたけれども、政府といたしまして、現段階におきまして、新増設それからリプレースは想定していないというのが政府の方針でございます。

 このような方針のもとでも、法令上認められております今の運転期間延長制度、あるいは安全性向上の取り組みにより期待される稼働率の向上等々の要因を考慮すれば、今回お示しをした数字は達成し得るものと考えております。

真島委員 きょうもいろいろな角度で、その案がおかしいんじゃないかという話もあったんですが、リプレース、新増設しないならば、経産省が出されている資料を見ても、現存する全ての原発を再稼働する、そしてその全ての原発を六十年動かして、ようやくぎりぎりで二〇三〇年に二〇%程度ということなんですよ。

 つまり、全ての原発が再稼働基準も運転延長の基準も今後必ずクリアするという前提に立っているんですね。これはおかしいですよ。二〇三〇年の電源構成の中で、現時点で最も実現可能性が薄いのが原発じゃないですか。だから、原発にしがみついている人は、はっきりしてくれとそわそわしていますよ。

 昨年六月五日の参議院の経産委員会の第二段階の電気事業法の改定案の参考人質疑、ここで電気事業連合会の八木誠会長は、原発再稼働の必要性について繰り返し強調するとともに、原子力事業は巨額の投資が必要だ、競争下で原子力事業を進めるための環境整備として、原発事故が起こった際の事業者責任の軽減を検討してくれと求めておられます。

 また、先日二十八日の当委員会の参考人質疑でも八木会長は、電気事業法の第三段階に当たって、解決すべき問題の一つとして原子力事業環境の整備ということを挙げて、重要なベースロード電源である原子力を競争環境下でも活用していくには、原子力の特殊性を踏まえ、長期にわたる安全、安定的な事業運営ができるように新たな国策民営のあり方を検討し、自由化に先駆けて方向性を示していただくことが不可欠だというふうに言っているんですね。

 その二十八日に出した、先ほど来議論しておりますエネルギーミックスの案でも、原子力について、「電力システム改革後などを見据えた原子力発電の事業環境整備を図る。」というふうにされて、そのことはきょうも議論の中で説明もありました。

 それで、原子力事業環境整備の方針を議論しております総合資源エネルギー調査会原子力小委員会が昨年十二月二十六日に出しました中間整理というのがありますけれども、その中で、競争環境下における原子力事業のあり方を、電力自由化を行いつつ、エネルギーミックスの達成に向けて、各エネルギー源に対して適切な政策的措置を講じていくことが必要だとされています。

 再稼働する既存原発の将来の耐震基準、廃炉基準、その規制が変更された場合、あるいは運転期限延長に伴う追加的な安全対策、こういうコストは託送料金に転嫁するという方針なんでしょうか。

 もう一つ続けて質問しますけれども、原発の発電に直接関係しないコストであります廃炉費用、放射性廃棄物の最終処分を含む核燃料費用など将来発生するコストや、損害賠償や除染を含む事故対応費用、電源立地交付金、「もんじゅ」などの研究開発等の政策経費、こういった社会的費用に国はこれから資金拠出していくんでしょうか。

多田政府参考人 二点、お答え申し上げます。

 再稼働する既存原発の将来の耐震基準、廃炉基準など規制の変更、運転期間の延長に伴う追加的安全対策の費用につきまして、託送回収の検討を行っているという事実はございません。

 それから、幾つか挙げられた中で国が資金を拠出するのはどれなのかという御指摘でありますが、いわゆる社会的費用の中で、電源立地交付金及び「もんじゅ」の研究開発関係の費用、こういったものは政府予算から出されております。

 また、事故対応費用の中で、原子力事業者による被害者賠償、あるいは除染、中間貯蔵費用の求償対応のための必要な資金につきましては、原子力損害賠償・廃炉等支援機構法に基づきまして、機構への交付国債の交付、償還により支援しているところでございますが、その相当額につきましては、原子力事業者の負担金、あるいは機構が保有する東京電力の株式の将来的な売却益のほかに、エネルギー特会からの支出により回収を図ることとしております。

真島委員 電気事業法等改正案の附則第七十四条では、政府は、エネルギー基本計画に基づく施策の実施状況について検証を行って、その検証の結果を踏まえて必要があると認めるときには、原子力政策を初めとして、必要な資金の調達に支障が生じないようにする措置をやるんだと書いてあります。

 ですから、基本計画とかエネルギーミックスとかと電力システム改革のこの法案というのはもう完全につながっているわけですね。これから日本がどういうエネルギーの姿になるかということで非常につながっております。

 もう時間が来ましたので終わりますけれども、FITが施行された後の各国の動向を見ますと、スペインでは施行してから十五年後に風力発電だけで一〇%の導入率、ポルトガルはわずか十年でそれを達成している。ところが、経産省の案では、FITを施行して十八年かけて、二〇三〇年に風力発電はたったの一・七%。余りにも差があり過ぎます。

 それで、電力システム改革の総仕上げと位置づけられております本電気事業法等改正案、原発依存への回帰と再生可能エネルギー制限のエネルギー基本計画を推進していく、国策民営で原発を特別扱いする事業環境整備をしていく、その中で原発利権を温存しながら自由化したガス・電力市場を巨大資本が独占していく、私はそういう絵が全体で見えてきます。それは、原発ゼロと再生可能エネルギーへの抜本的な転換、温暖化ガスの削減、安全、安定供給、料金負担の削減、エネルギーの民主化、エネルギーの選択の自由という福島の事故を経験した日本国民の願いに真っ向から逆行する道であるということを指摘して、私の質問を終わります。

江田委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四分散会


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