衆議院

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第3号 平成28年3月16日(水曜日)

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平成二十八年三月十六日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 山際大志郎君 理事 伴野  豊君

   理事 升田世喜男君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      尾身 朝子君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    塩谷  立君

      関  芳弘君    平  将明君

      武村 展英君    寺田  稔君

      冨樫 博之君    野中  厚君

      福田 達夫君    星野 剛士君

      細田 健一君    三原 朝彦君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山口  壯君    大畠 章宏君

      落合 貴之君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      中根 康浩君    本村賢太郎君

      中野 洋昌君    藤野 保史君

      真島 省三君    木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       林  幹雄君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   内閣府大臣政務官     高木 宏壽君

   外務大臣政務官      浜地 雅一君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   環境大臣政務官      鬼木  誠君

   政府参考人

   (内閣官房消費税価格転嫁等対策推進室内閣審議官) 枝元 真徹君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 山本 哲也君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   原  敏弘君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房統計情報部長)        小川  誠君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房総括審議官)         田中 繁広君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房地域経済産業審議官)     井内 摂男君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           保坂  伸君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          安藤 久佳君

   政府参考人

   (経済産業省電力取引監視等委員会事務局長)    松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        藤井 敏彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    宮本  聡君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 深見 正仁君

   政府参考人

   (環境省地球環境局長)  梶原 成元君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房緊急事態対策監)      大村 哲臣君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十六日

 辞任         補欠選任

  福田 達夫君     細田 健一君

同日

 辞任         補欠選任

  細田 健一君     福田 達夫君

    ―――――――――――――

三月十五日

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案(内閣提出第八号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として内閣官房消費税価格転嫁等対策推進室内閣審議官枝元真徹さん、内閣府大臣官房審議官山本哲也さん、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長原敏弘さん、厚生労働省大臣官房統計情報部長小川誠さん、経済産業省大臣官房総括審議官田中繁広さん、経済産業省大臣官房地域経済産業審議官井内摂男さん、経済産業省大臣官房審議官保坂伸さん、経済産業省通商政策局長片瀬裕文さん、経済産業省産業技術環境局長井上宏司さん、経済産業省商務情報政策局長安藤久佳さん、経済産業省電力取引監視等委員会事務局長松尾剛彦さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長藤井敏彦さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘さん、中小企業庁長官豊永厚志さん、中小企業庁次長宮本聡さん、環境省大臣官房審議官深見正仁さん、環境省地球環境局長梶原成元さん及び原子力規制庁長官官房緊急事態対策監大村哲臣さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。冨樫博之さん。

冨樫委員 おはようございます。自由民主党の冨樫博之でございます。

 本日は、この質問をいただきましたことに感謝を申し上げたいというふうに思います。

 まず初めに、経済産業省にお尋ねをいたします。

 エネルギー政策における石炭火力の位置づけと、電力自由化の中で、コストの安い石炭火力がふえ、CO2排出量がふえるとの懸念も言われております。このことについてお伺いをいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 石炭火力でございますけれども、エネルギー基本計画の中で、温室効果ガスの排出量が大きいという問題があるが、安定供給性や経済性にすぐれた重要なベースロード電源と位置づけられております。

 当省で把握しております新増設計画によりますと、二〇一三年度以降、石炭が一千八百万キロワットに対し、LNG、これも約二千九百万キロワット、こういった増強計画があるわけでございまして、石炭火力のみがふえるという御懸念は必ずしも当たらないかと思っております。

 さらに加えまして、この一千八百万キロワットという設備の増強でございますが、これもそのまま純増するということではございませんで、古くて効率の悪い設備、これが最新鋭の石炭火力の新増設によってリプレースされる、こういった事態が通常であるかと思っております。また、仮に古い設備が残るといたしましても、市場の競争の中で、一定の休廃止あるいは稼働率の低減、こういったものが進んでいくものと想定しております。

 もちろん、私ども、責任あるエネルギー政策、スリーEプラスS、こういった考え方をしておりまして、環境問題というのも重要な課題でございます。したがいまして、政策的にも、省エネ法に新しい基準を設定いたしまして、既設の火力発電も含めて、一定の高効率化を求めることとしたところでございます。こうした取り組みによって、環境の問題、さらにはエネルギーミックスをしっかりと実現していきたいと思っております。

冨樫委員 どうもありがとうございました。

 CO2対策については、今後もしっかりと対策をしていくようにお願いをいたしたいと思います。

 次に、環境省は、今後石炭火力発電についてどのように対応していこうとお考えなのか。そしてまた、経産省との合意を踏まえたものとなるのか伺います。また、CO2の削減を進め、国の温暖化削減目標を達成するためにも、最新鋭で高効率の石炭火力への投資を進めることが重要と考えますが、環境省のお考えをお伺いいたします。

鬼木大臣政務官 電力分野における実効性ある地球温暖化対策について、丸川環境大臣が林経済産業大臣と合意いたしまして、二月九日に発表いたしました内容といたしましては、電力業界の自主的枠組みの実効性、透明性の向上等を促していくとともに、省エネ法やエネルギー供給構造高度化法に基づく政策的対応を行うことにより、電力業界全体としての取り組みの実効性を確保することといたしております。

 こうした取り組みにより、御指摘の老朽火力の休廃止や稼働率の低減、火力発電の高効率化等を促進していきます。

 また、こうした取り組みが継続的に実効を上げているか、毎年度進捗状況をレビューし、目標の達成ができていないと判断される場合には、施策の見直し等を検討いたします。

 環境省といたしましても、経済産業省との合意に沿って、削減目標の達成に向けて取り組んでまいります。

冨樫委員 いずれにしても、両省の合意を踏まえながら、これを進めていっていただきたいというふうに思います。

 次に、環境アセスメントについてお伺いをいたします。

 そもそも、環境アセスに時間がかかり過ぎるという問題があります。環境アセスに三年から五年もかかるようでは、それだけで投資を手控えることになりかねません。石炭火力などを新設する際の期間短縮の取り組みについて、お伺いをいたします。

深見政府参考人 環境アセスメント手続の短縮についての御質問でございますが、火力発電所につきましては、施設のリプレースで環境負荷が低減する場合には、行政による審査期間の短縮に努めたり、環境アセスメント手法の合理化に関するガイドラインを公表しまして、事業者が調査期間を短縮できるようにするなどにより、手続期間が最短で一年強になることを目指して取り組みを進めているところでございます。

 また、風力発電所などにつきましては、環境アセスメント基礎情報整備モデル事業により、環境基礎情報をデータベース化して公表しておりまして、事業者が準備書の作成などに利用できるようにしております。

 さらに、今年度からは、地方自治体が主導して、事業者と地元関係者との調整や環境配慮の検討を一体的に進め、風力発電の適地をあらかじめ設定するなどにより、環境アセスメント手続を含め、事業の構想段階から着工までの期間を短くすることに役立つモデル事業を実施しているところでございます。

 環境省といたしましては、こうした取り組みを通じて、質が高くて効率的な環境アセスメント手続の実施に努めてまいりたいと思っております。

冨樫委員 今、いろいろと環境アセスについて御説明をいただきました。

 いずれにしても、企業の、それこそ進出する皆さんにおいては、このタイムラグが大変な支障になっているというお話も聞いておりますし、もちろん、これは環境アセスですから、しっかりと調査をしながら、そしてまた安全で安心な、地元地域にも説明ができるような、そういうものにしていかなきゃいけないので、今後とも、ひとつ議論を詰めながら、さらに進めていっていただきたいというふうに思っております。

 次に、経産大臣にお尋ねをいたします。

 コストの引き下げや安定供給の確保、あるいは経済の活性化とCO2削減とを両立するためにも、最新鋭の石炭火力への投資をきちんと進めることが重要と考えますが、経済産業大臣の御見解をお伺いいたします。

林国務大臣 我が国のエネルギー事情を踏まえれば、石炭火力は、ほかの電源と比較すれば、CO2を多く排出するという環境面での課題はありますけれども、安定供給あるいは経済性の観点からはすぐれておりまして、一定の割合での活用を図っていくということが不可欠であります。

 この活用を図る上で、CO2の排出を削減することが必要でありまして、今後、省エネ法におきまして、事業者に厳しい発電効率の基準を課す予定でございます。これによって、古くて効率の悪い石炭火力の休廃止あるいは稼働率の低減を促すことになりまして、CO2の排出を削減しつつ、高効率な石炭火力への新規投資を進めてまいります。

 また、このような国内の取り組みに加えまして、石炭火力の利用拡大が見込まれております新興国などへの我が国の高効率な石炭火力の導入も進めていきます。具体的には、我が国の企業が、インドネシアあるいはインドなど、石炭火力を建設する際に、事業化計画の策定などの支援を行うこととしておるところでございます。

 こうした取り組みによりまして、国際的な課題でありますCO2にもしっかりと取り組みつつ、石炭火力への投資を進めてまいりたいと思います。

冨樫委員 大臣、大変ありがとうございました。

 いずれにしても、エネルギーミックスの中のベースロード電源の一つが石炭火力だ、私はそういうふうに位置づけしております。ほかにも原子力や、いろいろとベースロード電源になり得るものはあるわけでありますけれども、ぜひ今お話ししたことを確実に進めていきながら、よりよい経済効果を生む石炭火力を初め、そのベースロード電源となり得るものにしっかりと、我々委員会でも審議をしてまいりたいというふうに思っていますので、今後ともよろしくお願いを申し上げます。

 最後に、送電網整備についてお尋ねをいたします。

 最新鋭の火力発電や、ポテンシャルを生かした再生可能エネルギーなど、東北にはさまざまなエネルギー施設の建設計画があり、立地予定地域においては大きな期待が寄せられております。エネルギーの安定供給を進めるためにも、ここでつくられた電気を首都圏などの大消費地に送ることが重要であります。

 ところが、送電網の脆弱さが大きな課題となっております。昨年、広域機関が設立されたことで、送電網の整備が進むことも期待されますが、費用負担ルールを含め、国が前面に立って枠組みを示すことも重要と考えますが、特に日本海側の基幹送電網の整備を含め、検討状況についてお尋ねをいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 特に東北地方の日本海側など送電網が脆弱な地域につきまして、どのように送電網整備を進めていくか、こういうお尋ねかと思います。

 先生から御指摘がございましたけれども、この地域は、火力発電所の新設計画があったり、あるいは風力発電の有望地域が存在するという一方で、発電地域と電力の需要地域とを結ぶ、こういった送電網の整備がこれまでは十分に進められてこなかった、そういう地域だと思っております。

 政府といたしましては、こうした送電網の増強に向けた環境整備をしっかり取り組まなければいけない、このように考えておりまして、幾つかの取り組みをしております。

 具体的なことをちょっと申し上げますと、まず、昨年の十一月に、送電網の増強に伴います受益と負担の関係、それから効率的な送配電網の実現、さらには、これは事業者側にとっての予見可能性、こういったことをさまざま勘案した上での送電網の増強に伴う費用負担のあり方についてのガイドラインを示させていただきました。これによって、一定程度送電網を増強する場合に、どういうふうにしてお金を工面していくのか、負担していくのか、この辺が明らかになったかと思っております。

 加えまして、昨年の四月に設立されました電力広域的運営推進機関、こちらの方でもさまざまな取り組みをしております。例えば、系統への接続を希望する事業者を広く募集する、それによって共同負担を可能にする、いわゆる入札制的なプロセスを始めたところでございます。

 さらに、特に東京、東北というところの増強につきましては、昨年、この広域機関の方で、概略のルートあるいは工事費等の基本的な要件を取りまとめたところでございまして、ことしの十月を目途にさらに具体的な増強計画を取りまとめることにしております。

 さらに、もう一つだけ申し上げますと、風力発電につきましては、実証事業といったものも二〇一三年度からやっておりまして、その中で、一四年度からは東北地方、秋田県、青森県の方で実証事業を実施しているところでございまして、今後、具体的なルート決定あるいは用地取得といったようなことについても着実に取り組みを進めていきたいと思っております。

 以上、我々としても、送電網の整備につきまして、東北地方の日本海側という点も勘案しまして、取り組んでいきたいと思っております。

冨樫委員 ありがとうございました。

 特に東北地方、その中でも、とりわけ、私は秋田県出身ですので、秋田県のポテンシャルの高い風力発電、それから地熱発電、あるいはバイオマス発電、小水力発電、太陽光もあります。いずれそういうエネルギーの資源になる、あるいはこれから、今、実際の話として、秋田県の風力発電だけで二十八万キロワットぐらい稼働しておりますけれども、これが四、五年するともう六十万キロワット以上になる、さらにそれからどんどん伸びていくというような、そういうお話、計画があります。

 いずれにしても、そういう意味において、送電網の見通しが立たなければこういう電力企業あるいはそういう企業が秋田県あるいは東北の方に進出してこない、こういうことを私も考えておりますので、ぜひひとつよろしくお願いをいたしまして、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

 本日は、どうもありがとうございました。

高木委員長 次に、中野洋昌さん。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 経済産業委員会で質問をさせていただくのは今回が初めてでございます。質問の機会をいただきましたことを心から感謝を申し上げます。

 本日は、春闘の集中回答日でございます。多くの企業に、ぜひ賃上げということでいろいろな結果を出していただきたい、このように考えておりますけれども、これはまさに大臣が所信でも述べられました、経済の好循環の実現を図っていくために大変に重要な要素である、このように考えております。

 そして、経済の好循環の実現を図っていくためには、もちろん労働者の皆様の賃上げというか処遇の改善をやっていくというのが一つの柱でございますけれども、私は、もう一つ並行して進めていかないといけないのは、もちろん賃上げをするには企業がしっかりと利益を確保していく、これがやはり大事だというふうに思います。これを車の両輪としてしっかり進める必要があると思います。

 私は予算委員会でも実は質問をさせていただいたんですけれども、大企業というのは経常利益が今大きく伸びている、こういう状況でございます。しかし、中小企業は、日本の経済を支えている多くの企業は中小企業だと思いますけれども、残念ながら経常利益の伸びというものが大企業に比べるとまだまだ遅い、まだまだ低い、こういう状況でございます。ですので、中小企業がしっかりと利益を確保できる、そうして初めて賃上げであるとかいろいろな取り組みを行っていくことができる、こういう状況であるというふうに考えております。

 政府の方でもこういう認識は重々持っていただいていると思っておりまして、現在、中小企業の下請の取引の状況について、アンケートというか実態調査をしっかり行っていただいている、こういうふうに認識をしております。この実態調査を、取引の条件が具体的によくなっていくように、しっかりと結果に結びつけていく、こういうことをぜひこれから力を入れていっていただきたいと思っておるんです。

 業界ごとに、いろいろな実態、それぞれ違うと思います。業界にヒアリングをいたしましても、やはり典型的に、不適切な例がまだまだありますよ、こういうことがあるわけでございます。あるいは、価格がしっかり転嫁できればいいのになかなかできてこない、こういうお声もかなり具体的にあるわけでございますので、何が不適切なのか、あるいはしっかり価格転嫁していける、すべきだ、こういうものをしっかりわかりやすくぜひ整理をしていただいて、これを発注する大企業とか、こういう側にもしっかりと伝わっていくような形にしていただきたいというふうに思っておるんです。

 また、これをやった結果、実際にどうなっているのか、そういう結果のフォローアップもぜひ将来的にはしっかりやっていただいて、取引条件の改善が進んでいるのか、こういうことをしっかりと前に進めていっていただきたい、このように考えておりますけれども、ぜひ大臣から御答弁をいただきたいというふうに思います。

林国務大臣 今、中野議員から指摘がありましたけれども、現在、取引条件の改善に向けまして、一万五千社以上の大企業、一万社程度の中小企業を対象に大規模な調査を行っております。特に、三次下請、四次下請など、取引上の立場の弱い中小企業については、経産省の職員が個別に訪問して聞き取り調査を行っているところでございます。

 調査の中で、例えば、合理性を欠く一方的な原価低減の要請を受けるとか、あるいは電気料金や原材料価格の高騰分を価格転嫁させてもらえないとか、あるいは親事業者から長期間使わない金型の保持など保管費用を押しつけられるなどの声も聞いているところでございます。

 こういった調査結果に基づきまして、業種ごとの実態も踏まえて対応を行いたいというふうに考えているところでございます。

 具体的には、問題のある事例を実態を踏まえて例示するなど、下請取引の課題をまとめた資料を新たに作成いたしまして広く周知徹底すること、それから、今回の調査で具体的な問題が確認された業種に属する大企業に対しては、関係省庁と協力して、個別にヒアリングを行うこと、その上で、現在、自動車産業など十六業種について策定をしております下請ガイドラインの改訂、あるいはガイドラインの対象業種を拡大することなどを今考えております。

 取引条件の改善に向けた取り組みとその後のフォローアップを行うことで、下請対策に万全を期してまいりたいというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 非常に大事な取り組みであると思いますので、しっかり進めていただきたい、このように御要望させていただきます。

 もう一つ、私は地元を回っておりまして、幾つか聞いた点を御質問させていただきたいというふうに思います。

 私の地元は兵庫県尼崎市というところなんですけれども、大変商店街の多いところでございまして、この商店街の活性化ということで、随分、皆様大変に御苦労されて、いろいろな取り組みも行われているところでございます。

 最近だと、かなり空き店舗がふえているということで、私が先日伺ったのは、そこに新しい若い方が入ってきて、ほかの方と一緒に、そこの商店街には今までなかったような新しいものを出していこう、活性化をさせようといろいろな取り組みを頑張っておられました。

 商店街の活性化は大変に昔から話題になっている非常に難しいテーマだというふうに思っておりますけれども、こういう空き店舗対策など、どんどん新陳代謝を活性化させていく、こういう取り組みをしっかり後押ししていくということがやはり大事なのではないか、このように感じておりますけれども、これについても御答弁をいただきたいと思います。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 委員の御指摘のとおり、商店街では、空き店舗の解消が進まずに、総じて新陳代謝が進んでいないといった課題がございます。私自身も、地元を回っていて痛感をしている課題でございます。

 その理由としては、経済産業省の商業課が実施したアンケート調査によりますと、第一に、地権者の貸す意思が欠如をしていることや家賃が折り合わないこと、二番目に、商店街の活気や魅力が減少をしていること、そして最後に、店舗が老朽化していることなどが挙げられております。

 このため、平成二十七年度の地域商業自立促進事業において、空き店舗を活用した創業支援施設の整備や店舗改装費への支援を講じているところでございます。

 例えば、具体例といたしまして、長野県佐久市の岩村田本町商店街では、商店街みずからが建物所有者と直接家賃交渉を行いまして、低廉な賃料で創業施設を運営しております。四事業者が商店街の中の空き店舗において新規創業を行っているというふうにお伺いをしております。また、山梨県甲府市の甲府城南商店街では、若い女性にターゲットを絞った装飾店、カフェ等を積極的に誘致いたしまして、魅力ある店舗が集積したことが新たな店舗誘致につながりまして、十一店の空き店舗が一店に減少するといった好循環を生み出しております。

 平成二十八年度予算案におきましては、こうした先駆的な取り組みを引き続き支援することを提案しておりまして、加えて、すぐれた取り組みについては、成功要因や課題を分析し、見える化をした上で、全国の商店街に周知する取り組みを進めてまいりたいと考えております。

 また、商店街を構成する店舗の魅力を高め、商店街としての集積力を強化していくことも重要な課題だと考えております。平成二十七年度補正予算におきまして措置をいたしました小規模事業者持続化補助金、またはものづくり・商業・サービス新展開補助金等により、店舗の販路拡大、生産性向上に向けた取り組みを支援していく考えでございます。

 今後とも、商店街とそれを構成する店舗について、すぐれた取り組みを支援することで、商店街全体の活性化につなげてまいりたいと考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 頑張る取り組みを支援して、波及をさせる、これが何より大事だというふうに思います。

 商店街を回っておりまして、もう一つ大事だなと思いますのが、来年度、消費税の増税が予定をされておりまして、軽減税率の導入を私どもは言っておるわけでございますけれども、円滑な導入の準備がやはり大事だというふうに思っております。

 例えば、商店街では、レジやシステム、こういうものに対応しなければいけないということになっております。そのため、支援をしていくということで、補助金の内容についてはある程度いろいろなところで明らかになっております。

 私どもも、円滑な導入に向けてしっかりとした支援をしてほしい、こういうお願いをしてまいりました。過去の消費増税時には相談窓口の設置や融資は行っておりましたけれども、しかし、このような補助金を準備する、そして導入をしっかりしていく、これは今回初めてでございます。ですので、かなり手厚い支援だ、このように考えておりますけれども、しかし、いかんせん対応に要する期間というのは余り長い期間をかけられるわけではございませんので、しっかりと執行についても工夫をしていく必要があるな、こう痛感をしております。

 事業者の手間がなるべく少なくなるように、早期に執行が可能な、このような仕組みにしていくべきと考えますけれども、いかがでございましょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の消費税率引き上げでは、まさに委員御指摘のとおり、軽減税率制度の導入により、中小の小売事業者等の区分経理など、新たな負担が生じるため、より手厚く支援を行うことが必要と考えております。このため、これまでにない補助制度による事業者支援も実施することといたしました。

 具体的には、本年度の予備費九百九十六億円に基づきまして、中小の小売事業者等に対して複数税率に対応したレジの導入等の補助、それから、複数税率に対応できない電子的な受発注システムを用いている中小の小売事業者、卸売事業者等に対してシステム改修の補助を行うことといたしました。

 また、委員御指摘のように、軽減税率制度の開始におくれることなく、中小の小売事業者等の準備が少しでも円滑になされるよう、この補助制度の実施に当たっては、申請者の手続の負担に十分に配慮した制度設計が必要と考えております。

 このため、具体的には、募集期間を限定せず、随時申請を受け付ける、申請書類の枚数を最小限にする、申請や金額確定のために、通常複数回必要となります手続を極力減らす、レジメーカーに補助金申請事務のサポートやレジ操作の指導を担わせる、こうしたことを検討しております。

 また、申請受け付け前にも、対象機種の範囲など申請制度の詳細について明らかにすることを考えております。こうしたさまざま工夫をしながら、中小企業、小規模事業者の軽減税率制度への円滑な対応をきめ細かく御支援していきたいと思っております。

中野委員 済みません。もう時間がありませんので、最後、一問だけ簡潔にお答えいただければと思うんですけれども、これの周知徹底が非常に大事だと思っております。商工会あるいは商工会議所、いろいろな窓口を通じた支援というものを今まで聞いてまいりましたけれども、やはり聞きに来られるのを待つだけではなくて、こちらから、郵送なども活用しながら、積極的に必要な準備あるいは制度というものの周知を図っていただきたいと思いますけれども、最後に、簡潔に御答弁いただければと思います。

宮本政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、まさに、いろいろな支援制度につきまして、中小企業、小規模事業者等に積極的に周知広報することが何よりも大事かと思っています。

 このため、二十七年度補正予算百七十億円に基づきまして、まず、全国約二千三百カ所の商工会、商工会議所に相談窓口を設置するとともに、各地域で説明会、講習会を開催することとしております。

 これに加えまして、委員御指摘のように、事業者への支援策等をわかりやすく解説したパンフレットを作成いたしまして、事業者に届けるようにするとともに、中小企業庁のホームページなどからも自由に見られるようにしたいと思っています。

 なお、国税庁におきましても、幅広い事業者に制度内容等を解説したリーフレットを送付する予定であると承知しております。

 さらに、こうした取り組みを通じて、全国隅々の中小企業、小規模事業者の方々にしっかり情報が届くように、中小企業団体のみならず、関係省庁と連携いたしまして、例えば士業団体あるいは納税団体などの関係団体も含め、地域のレベルでの協力体制を構築してまいりたいと思っております。

中野委員 以上で終わります。ありがとうございました。

高木委員長 次に、篠原孝さん。

篠原(孝)委員 おはようございます。民主党の篠原孝でございます。

 林大臣には初めて質問をさせていただきます。

 冒頭、委員長にお願いがございます。

 きょう、私は一年間経済産業委員会にいて、初めて所属させていただきまして、二期目になるんですけれども、こうやって広々としたところで質問に立たせていただいたことはないんじゃないでしょうか。別に私の顔がちゃんと見えるようにというわけじゃないんですが、こうやって見ますと、委員の皆さんにどういう方がおられて、私の質問をどれだけ熱心に聞いていただいているか、そうじゃないかというのもよくわかります。どういう順序で決まっているのか知りませんけれども、質問者の後ろ姿しか見えないとか、メンバーの皆さんの横顔しか見えないというのはよくないので、この部屋で時たまやるように、ぜひお取り計らいをお願いいたしたいと思います。

高木委員長 理事会で検討いたします。

篠原(孝)委員 それでは、質問に入らせていただきます。

 きょうは、地球温暖化対策計画を中心に質問させていただきたいと思います。

 なぜこれをするかというと、タイムリーといえばタイムリーなんですが、その前に、私は大事だと思っているからです。

 人類の危機はいろいろあるんでしょうけれども、私は、戦争というか核絡み、そういう点では原発も非常に問題だと思います。放射能、これの危機というのはあると思います。それからもう一つは、環境問題だと思います、環境の危機。大臣は、この両方に深くかかわっているんです。ですから、頑張ってお仕事していただきたいと思います。

 ところが、この環境問題は、日本はお金ばかりの方を、今だけ金だけ自分だけと言っていた評論家がおります。そんな感じで、自分の国のことだけ、お金のことだけを考えてやっているということがあるんじゃないかと思います。環境問題に日本は率先して取り組んでいかなければいけないと思っております。

 一九九七年にCOP3で京都議定書というのができました。目標達成計画というのをつくっていました。ところが一三年に、アメリカがとっくの昔に離脱しているわけですけれども、私はけしからぬと思います。もっとも、これは民主党政権時代にやったので、何を言っているんだ、おまえの政権のときじゃないかと言われてしまいますけれども、離脱しているわけですね。自分の国で開催して、自分の国の都市の名前がついている国際条約から平気で離脱するなんという恥知らずなことはしてはいけないんじゃないかと思います。

 それだけじゃなくて、その後、一三年三月末に地球温暖化対策をちゃんとやっていくという計画が終了してから、三年間も空白の期間があるわけです。計画がなくたってやることはやっていけばいいのかもしれませんけれども、政府の姿勢として私は間違っていると思っているんですよ。

 環境省、鬼木政務官に来ていただいていると思いますけれども、一体どういう感じでおくれてしまったんでしょうか。

鬼木大臣政務官 まず、全体計画について、現状からお答えいたします。

 地球温暖化対策に関しましては、昨年七月に我が国の二〇三〇年度の温室効果ガス削減目標を決定いたしまして、昨年末、パリ・COP21において、新たな国際枠組みであるパリ協定が採択されました。今般、これらを踏まえ、新たな地球温暖化対策計画案を作成し、きのう、地球温暖化対策推進本部にて、計画案を御了承いただき、パブリックコメントを開始いたしたところでございます。

 また、委員御指摘の京都議定書第一約束期間後の取り組みについてでございますが、二〇一三年三月に地球温暖化対策推進本部にて決定いたしました当面の地球温暖化対策に関する方針におきまして、温暖化対策計画の策定に至るまでの間においても、地方公共団体、事業者及び国民には、京都議定書目標達成計画に掲げられたものと同等以上の取り組みを推進するということを求めることを政府の方針としておりまして、切れ目のない取り組みを推進してきたところでございます。

 以上です。

篠原(孝)委員 やはり姿勢がよくないと思います。

 資料をお配りしておりますので、見ていただきたいと思います。横長の方を見ていただきたいと思います。

 今、鬼木政務官の答弁にありましたけれども、去年提出したんですね。提出したんですけれども、なまくらだということを指摘したいと思います。

 削減目標、日本、アメリカ、主要国のものを太字で一番上に書いてあります。日本は、二〇三〇年に向けて、一三年比二六%削減する。アメリカは〇五年比で二六から二八、この削減幅は同じです。EUは九〇年比で四〇%です。EUのメンバー国もそれなりに意欲的です。それで、一番右、ロシアも九〇年比で二五から三〇%。今までずっと発展途上国と先進国は違うんだと言い張ってきた中国やインドもそれなりに頑張って自主的な計画を立てている。

 日本はいかにおかしいかというと、一三年というのは、皆さんおわかりだと思いますが、原発はとまっていたし、一番火力発電に頼っている量が多かったときです。だから、一番排出量が多いときを基準年にしているんです、各国が自主的でいいという。

 だから、卑しいことをしているんじゃないかと言う人がいて、そういうことをチェックしている人から見れば、ごまかしをしているなというふうにすぐわかるわけです、括弧に書きましたから。EU並みの九〇年比だと、たった一八%しか削減していないんです。こういうことをしているんです。

 だから、COP21でも、ずっと化石賞とかもらって、日本は何にもしていないと言われていましたけれども、あの会合では、日本の存在感が薄かったんじゃなくて、日本はいなかったんじゃないかと環境団体から言われているぐらい存在感がなかったんです、各国首脳が集まっているときに。こういうことをしているからなんです。

 今までの排出量の削減量も少ないし、二〇三〇年の目標というのも非常に少ないような気がするんですね。僕はここを間違っていると思うんです。

 ほかの国は相当意欲的に取り組んできているんです。米中首脳会談、オバマ・習近平会談がありました。唯一の合意事項がこの環境問題だったというのはありますけれども、中国も、アメリカも、ナンバーワン、ナンバーツーの排出国です。日本は五番目です。責任を持って減らしていこうとしているのに、日本はここの点では本当になまくらだと思うんですが、この点について、大臣、どのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 篠原議員御指摘のとおり、温室効果ガスの総排出量を見れば、我が国は、アメリカ、EUと比べて、削減量は少ないわけでございます。

 しかし、直近の数値で見ると、例えばGDP一ドル当たりの排出量で見ますと、アメリカが〇・四キログラム、EUが〇・三一キログラムに対しまして、日本は〇・二九キログラムでございますし、国民一人当たりの排出量で見ますと、アメリカが二十・四トン、EUが八・九トン、日本は十一・〇トンということになっておりまして、我が国は、先進国の中で、温室効果ガスの排出量は相当少ない水準にあるというふうに言えるのではないかと考えているところでございます。

 今回、我が国は、二〇三〇年度に二〇一三年度比で二六%削減という目標を掲げておりますが、各国の基準年を仮に二〇一三年比にそろえれば、アメリカの削減量は十八から二一%、EUの削減量は二四%になりまして、日本の削減率自体は遜色ないものというふうに考えております。

 この目標を着実に達成することで、既に先進国の中で高水準にありますGDP一ドル当たりの排出量あるいは国民一人当たりの排出量は、さらに二割から四割程度改善することが見込まれるわけでございまして、こうした観点からも、我が国の目標は欧米に比べて決して低いとは言えないんじゃないかというふうに考えております。

篠原(孝)委員 そういう開き直りはよくないです。そんなんだったら、何でGDP一ドル当たりだとか国民一人当たりの数字が世界各国の共通の基準にならないんですか。そんな自分の都合のいい数字だけ引っ張り出すのは、安倍総理がよくやられるんですが、よくないことですよ。そういう開き直りはやめてください。

 大体、これは大事な問題なんですよ。日本は率先して環境をよくしていくという、先進国の一員としてやっていかなくちゃいけないのに、何だかんだと言いがかりをつけてはごまかそうとしているわけです。

 最後も、みんな見ているんです。パリ協定のとき、最後に、発効要件のところで日本は提案したそうですね、五十五カ国と。国の数だけじゃいけないのです、CO2の排出量の五五%と。これは、私がずっとバッジをつけてネクタイをはめて反対しているTPPと似たようなところがあるんですね。あっちは、GDPの八五%の国、日本とアメリカが参加しなかったら発効しないんです。そして、十二カ国のうち六カ国。似たようなものだと思います。そういうのがあったんだろうと思います。

 しかし、何でかというと、アメリカと中国が入らなかったら発効しないよという、それはしみったれているところはしみったれていますけれども、そういう提案をして受け入れられた。そこら辺しか参加していない。うがった見方をすれば、交渉担当者は、嫌がっている人や日本の経済界に対して、いやいや、アメリカと中国が入らなかったら発効しないから、まあ大丈夫だよという、そういう言いわけに使っているんじゃないかというふうに思わざるを得ないんです。びしばしやっていただきたいと思います。

 それから、この縦長の方を見てください。縦長の方は私がつくったんじゃないのです。この横長は私がいろいろ考えてつくったんです。これはわかりやすい数字にしたんです。産業部門、運輸部門、業務部門、家庭部門、こんなふうに分けている国はないそうですけれども、日本はこうやって伝統的に分けてきたんだからいいです。

 これを見てみるとわかるんですけれども、一番右側、二〇一三年比の削減率を見ると、よく知りません、もう絞るに絞ったんだと産業部門は言っている、やってきたんだと。だから、そこがマイナス六・五%で、業務部門と家庭部門がマイナス三九・八、マイナス三九・三なので、全然違うんですね。

 これは、消費増税をする一方で法人税を下げるというのは、やはり産業界に対して配慮し過ぎている、そういうふうに感ぜざるを得ないんですけれども、この点はどう説明するんでしょうか。

鈴木副大臣 お答えを申し上げます。

 産業部門は、既に石油危機以降、エネルギー消費原単位で四〇%以上の大幅な効率の改善を実現しておりまして、主要産業におきましては世界トップレベルのエネルギー効率を実現しております。

 CO2排出量は、二〇一三年度実績で、一九九〇年度比で約一五%の削減を実施しております。こうした中、さらに徹底した省エネに取り組むことによって、排出量で二〇一三年度比七%の削減を目指しているところであります。

 他方、家庭部門におきましては、産業部門に比べてエネルギー効率の改善が進んでおらず、排出量は、一九九〇年度比で約五〇%、五三%の増加となっております。こうした中、今後、省エネ機器の普及によって効率改善が進展すること、家庭部門のエネルギー消費の約半分を占める電力におきまして低炭素化が見込まれることなどにより、二〇一三年度比約四割の削減を目指しているところであります。

 いずれの部門におきましても、裏づけのある対策を最大限積み上げた結果でありまして、この実現に取り組んでまいりたいと思います。

篠原(孝)委員 これも間違っていると思いますね。国会議員にみんな義務を課すときに、どこかに寄附するとか、給与、報酬を下げるというときに、この人たちはこっちで今までやっていたからこうだとか、そんなことはしないと思うんですね。分けたりしないんです。部門ごとに分けるなんてことは、私はしてはいけないんだと思いますよ。

 いいことだったら、いいことをしている人のところに余計にやるとかいうのはあると思いますけれども、厳しい義務を課していったりするときに、差をつけて、緩いところときついところというのはあっちゃいけないと思います。企業をそんなに甘やかすといけないんだろうと思います。

 ですけれども、日本の企業はちゃんとしていまして、世界もそうですけれども、マイクロソフトとかイケアとかいうのは進んで脱炭素化を図る。日本の企業だって、トヨタは二〇五〇年度までに工場のCO2の排出をゼロにするとか、それから車だって、そういうふうに向けていくというふうにやっているんです。

 だから、それを後押しするように、それはいいことなんだよといってやるべく、日本も産業界に対して厳しい態度が一番なんですが、減ってきていますよ、割合は、昔の、九〇年の四三・六%から三二・七%に。だけれども、三分の一も占めて一番大きいんですから、そこをちゃんとやってもらわなくちゃいけないと思います。

 しかし、だからといって、家庭を甘やかす必要はないと思います。国民に対しても、ライフスタイルやなんかをちゃんと変えてもらわなくちゃいけないと思う。僕は、日本国民は大したものだと思いますよ。

 ちゃんとやればできるという例を申し上げます。

 まず、たばこです。僕はたばこを吸いません。嫌でした。これは、山手線のところにシケモクばかりおっこっているし、「あさま」で六時間もかけて、今、新幹線にはないですよ。たばこを吸って、たばこの灰を、古い人たちはわかりますが、ここに灰皿が出てくるようになっているわけです。満員のところで平気でたばこを吸っているわけです。たばこを吸った煙が僕の鼻の中にすっと入ってくるんです。このやろうめと思っていました。しかし、今では絶対吸えなくなりました。やればできるんです。

 ごみの分別収集、そんなことはできっこないと言っていました。しつこいぐらい、何種類に分けているんでしょうか。みんなルールを守ってやるんです。日本人は大したものなんです。家庭にもそういうことをちゃんと言って、こういうふうにしていきましょうと言えば、みんなやるんです。

 これは環境省の役割だと思いますけれども、クールビズとかウオームビズとかそんな格好いい片仮名ばかりの言葉を並べるんじゃなくて、もっときちんとした支援をつくっていただきたいんですが、そういう考えはおありでしょうか。

鬼木大臣政務官 二〇三〇年度二六%削減の達成に向け、家庭、業務部門において四割という大幅な削減が必要となっております。そのためには、委員の御指摘のとおり、環境によいものが世の中にどんどん出て普及していく、そして環境によくないものが出ないようにする、そういったインセンティブが必要になるわけでございます。

 そういう意味でも、政策的に、規制、税制、補助金といった施策に加え、国民一人一人の意識変革やライフスタイルの転換を図るための普及啓発を抜本的に強化する必要があります。

 このため、国民運動の強化等を内容とする地球温暖化対策推進法改正法案を先週国会に提出したところでございます。大幅な排出削減に向けて普及啓発を強化していくという国の意思をはっきりと示しつつ、取り組みを強化してまいります。

 政府が一丸となり、クールチョイスという取り組みをやっておりますが、これを旗印といたしまして、例えば家庭において照明器具をLEDにかえていただくなど、低炭素型の製品、サービス、ライフスタイルの選択を促す普及啓発を展開してまいります。

 以上です。

篠原(孝)委員 それはきちんとやってください、パンフレットをつくってちゃんとやればできますから。

 それから、地球温暖化対策計画を読みました。隅から隅まで、全部読もうと思ったのですが、読む気が途中でなくなりました。いっぱいいろいろなことがばっと書いてあるだけで、どこが重点だかよくわからないんですね。寄せ集めです。

 だけれども、見ていくと、省エネの部分がちょっと少ないんですね。エネルギーをでたらめに使っているとか余計に使っている、知らず知らずに使っているんですから、そういうことをやめましょうと言えば、できる。それから、再生可能エネルギーへのシフトも余り打ち出せていないんですね。どうしてこうなのかなと思うんです。

 自動車の排ガス規制、ほかの国はやらなかったのに日本は率先してやって、世界に先駆けて環境に優しい車をつくって、その結果が、今、日本の自動車工業界が繁栄しているということになっているんじゃないかと思うんです。それを、この分野で同じことをすればいいのに、むしろ、そうじゃないようにしているところがある。

 地球温暖化防止とかCO2の削減というのは、難行苦行で辛抱しなくちゃいけないんだよというふうにとっているんじゃないかと思う。そうじゃなくて、グリーンビジネスのチャンスだというふうにとってもらわなくちゃいけないんじゃないかと思います。そういう姿勢がなさ過ぎるんですね。

 それから、パリ協定のときの主張だって、日本が世界のためだと言って、本当にそうなんですけれども、そうしてやって、厳しい規制をしていくべきだと言って、その技術は日本が持っている、だからその技術を使ってくださいというふうにやっていったらいいんです。

 これは私は知りませんよ。知りませんけれども、ロシアのプーチン大統領は、パリ協定は法的拘束力がないんですけれども、法的拘束力をつけてびしばしやっていくべきだというふうに、公的に言ったかどうかは知らないんですけれども、そういうふうなことをロシアが言い出しそうになった。私はなかなか大したものだなと思いました。正論ですよ。ですけれども、ロシアがもしそういうふうに言うとしたら、やはり国益を追求しているんです、その後で。

 何かおわかりになりますか。温暖化していくと、今の穀倉地帯はだめになるんです、乾燥して。北の方に畑が移っていくんです。北の方に広大な土地を持っているのはどこの国ですか。ロシアですよ。北極海の氷が解けたら北極航路ができるんです、ヨーロッパと日本。そういうことも考えて、正論でもって言っているんじゃないかと思います。

 それから中国。習近平さんがオバマ大統領との首脳会談で、地球温暖化対策については手を組んでいこうと言い出した。それは、国内で、去年の十二月七日ですか、赤色警報が出て三日間学校が休校になっている。だから、車に乗るのも偶数と奇数にするとかチャンポンにするとか、工場の排出規制もしなくちゃいけない。企業が文句を言う。国民も文句を言う。やはり中国にとって、外圧が必要なんです、国際約束でこういうふうにしなけりゃいけないという。そういうしたたかな計算の上にこういった交渉もしているんですよ。

 日本にはそういう姿勢が全く見られないんじゃないか。ごまかして、何とか切り抜けて、少しでも緩くやっていこう、そんなしみったれた交渉をしていたんじゃだめなんですね。この計画もその程度ですよ。大胆な転換なんかなされていないんじゃないか。何でもっと大胆に打ち出せないんでしょうか。

 大臣、これは大臣の見解で、大臣の価値観でもってお答えいただきたいと思います。

林国務大臣 日本全体のエネルギー構成を考えて、特性などを考えた上で、あらゆる面ですぐれたエネルギー源というのはないわけであります。つまり、安全性とか安定供給とかコストとか温暖化対策とか、そういったものではありませんので、現実的かつバランスのとれたエネルギー需給構造をつくっていくことが必要だろうということで、昨年七月に策定しましたエネルギーミックスでは、安全性の確保を大前提にいたしまして、まず自給率をおおむね二五%程度まで改善する、そして電力コストを現状より引き下げる、欧米に遜色のない温暖化ガス削減目標を掲げる、この三つの目標を同時に達成するよう、検討を行ったわけでございます。

 省エネにつきましては、今後二十年間で、石油危機後に達成した水準並みになるよう、エネルギー効率三五%改善という野心的な目標を掲げておりまして、徹底して進めることにしているところでございます。

 また、再生可能エネルギーにつきましては、国民負担を抑えつつ、出力が安定している地熱、水力、バイオマスにつきましては、環境規制の緩和や地元住民との調整などが順調に進むことなどを見込んだ野心的な導入でございます。

 自然条件により出力が変動する太陽光あるいは風力につきましては、電力コストを現状より低減する方針のもと、最大限の導入を図りまして、二〇三〇年時点で二二から二四%の水準を実現することとしているところでございます。

 篠原先生は、もっと思い切って転換をすべきだという主張だと思いますけれども、政府といたしましては、まず、昨年七月に策定したエネルギーミックスの実現に向けて、徹底した省エネと再エネ導入拡大を図ってまいりたいというふうに考えておりまして、その具体策を盛り込んだエネルギー革新戦略を今春にも、四月中くらいをめどにまとめようとしております。

篠原(孝)委員 技術革新は結構ですが、びしばしやってください。

 確かに、大臣が今お答えになったように、エネルギーミックスの点ですけれども、二〇三〇年、エネルギー計画では意欲的な数字、原発と同程度の割合を目標にしているんですね、本当にできるのかな、原発をもっと下げるべきだと僕は思いますけれども。

 ですけれども、意欲が本当にこのペーパーの中から感じられないんですね。だらだらだらだらと、あれもこれもあれもこれもとみんな書いてあるだけですよ。どれが重点かというのがよくわからないんだ。どこが転換しているのかというのがわからないんです。

 その典型的な例が石炭火力です。脱石炭、石炭はLNGや何かと比べると、二倍も三倍も四倍もCO2を出す、だからこれをやめていこう、アメリカなんかが相当そっちに規制を強めています。イギリスは石炭をいっぱい産出する国であるにもかかわらず、二〇二五年に石炭火力を廃止するというふうにしています。非常に大胆だと思いますよ。そうやってやっていかないと、地球環境はめちゃめちゃになると思う。

 私は安全保障にかかわっていると思っているんです。思っているというか、実際そうなんです。今、シリアの内乱というのは、アサド政権が高圧的でだめだとかそんなんじゃないんです。この原因、皆さん、なぜだか御存じですか。これが全てじゃないですけれども、二〇〇六年から一〇年で、四、五年にわたって大干ばつなんです。農民百五十万人が食べていけなくなったんです。これが一番の原因なんです。

 地球環境の問題、地球温暖化が世界を狂わせているんです。貧困層をさらに貧困にしているんです。こういう人たちが外へ出てきたり難民になったりしないためにも、地球温暖化は防止しなくちゃいけないんです。安全保障にもかかわっているんですよ。集団的自衛権も大切かもしれませんけれども、こっちの方で日本は貢献できるんじゃないかと僕は思っているんです。

 ところが、全然そういう意欲がなくて、石炭火力発電、新しい技術もできたからというので、日本は新設を認め、そしてその技術をほかの国に輸出しようとしているんです。私は根本的に間違っていると思うんです。自分の国でつくらない原発を人の国に輸出する、これよりはましだと思います、自分の国でもつくっているのを自信があるから輸出するので。ですけれども、これはやはりよくないと思います。

 こんなことは即刻やめるべきだと思いますけれども、この点について、大臣はどのようにお考えでしょうか。

林国務大臣 石炭火力でありますけれども、例えば脱原発を掲げているドイツでは、四七%を石炭に依存しております。それに関する新設基準は講じていないわけでございます。

 また、アメリカは規制する必要性が高いと今先生御指摘がありましたけれども、アメリカの石炭の比率はやはり四〇%でありまして、日本の三一%と比較して高いわけでございます。

 このように、エネルギー政策は各国それぞれの事情に基づいて進めていくべきものであるというふうに考えます。

 我が国のエネルギー事情を踏まえれば、石炭火力は、御指摘のように、ほかの電源と比較してCO2を多く排出するということから、環境面で課題があるわけですが、安定供給あるいは経済性の観点からはすぐれておりまして、一定の割合での活用を図っていくことが不可欠だということで考えております。

 活用を図る上で、CO2の排出を削減することがもちろん必要でありまして、今後、省エネ法におきまして、事業者に厳しい発電効率の基準を課す予定でございます。これによって、古くて効率の悪い石炭火力の休廃止あるいは稼働率の低減を促すということで、CO2の排出を減らしていって、高効率な石炭火力への新規投資を進めていくところでございます。

 現状では、我が国の石炭火力は、諸外国と比較しても効率が高く、CO2排出が少ないわけでございまして、また、SOxやNOxといった大気汚染物質の排出も少ないところでございます。

 将来に向けた環境対策につきましては、我が国では、二〇五〇年までに八〇%削減を目指すとの長期目標を掲げておりますが、これは、従来の取り組みの延長では実現が困難であるというふうに思います。

 したがって、CCSなど、抜本的排出削減を可能とする革新的技術の開発研究、普及への取り組みを長期的、戦略的にまとめていきたいというふうに考えております。

篠原(孝)委員 しかし、しつこく言いわけ答弁をなさるんですけれども、横長のペーパーを見てください。今大臣が答弁されたのをなぞって、ちょっと言いたいと思いますよ。

 現在の電源構成のところを見てください。大臣が言われたとおり、ドイツは石炭が四七%ですよ。それはなぜかというと、ドイツは石油がないんですよね。石油は一%です。だけれども、風力にし、再生可能エネルギーにして、物すごいスピードでもってそっちに変えているんです。

 一番上を見てください。EUが約束していて、各国にはこれからなんでしょうけれども、一番上の温室効果ガス、二〇年には四〇%、三〇年には五五%、四〇年には七〇%にして、五〇年には八〇%というふうにしているんです。非常に計画的ですよ。国によって違いますよ。

 日本は石炭を掘っていないんですよ。石油だろうが、天然ガスだろうが、天然ガスはちょっとありますけれども、外国から持ってくるんだから、一番効率のいいものを、CO2を出さないものでもって組み合わせればいいのであって、国内の石炭を使わなくちゃいけない、国内のLNG、天然ガスを使わなくちゃいけないとかいう義務はないんですから、自由に選べるんですから、日本が真っ先に石炭を捨てられるんです。石炭運搬専用船をオーストラリアに持っていって運んでくるなんという無駄なことをしなくて済むのに、そういうことをしないんですよね。ほかの国からすると、どこかおかしいと映るんじゃないかと僕は思いますよ。

 この数字、各国の違いがよくわかるんです。フランスも、石油もないし石炭もないから、原子力に相当頼っています。それぞれの国の事情が違うんです。これはわかると思いますけれども、日本はもっと柔軟にできるということです。

 それで、やはり義務を課さなくちゃいけない。石炭は何の義務もないからです。規制が緩いからなんです。よくプライシングと言われていますよね。炭素税とか環境税をかけていけば、石炭なんかやっていられないというふうになるんです。そういうことをしていないんです。ここにこそ厳しい義務を課すべきです。ほかの国はどうなっているかと。

 大臣、この言葉を覚えてください。一々細かいことを覚えていただく必要はないです。そんなことで僕は責めません。インベストメント、投資がありますよ。それに対して、ダイベストメントという、投資を引き揚げる、石炭関連企業から投資を引き揚げる人たちが金融界でも多いんですよ。環境に悪いことをしているところにはもう投資もしない。

 民間企業ですら、利益が上がるかもしれない石炭火力から手を引いて、地球環境に悪いことはやめようということをしているんです。それを、日本国政府はそういうことを全然しようとしない。僕は姿勢として間違っていると思うんです。民間企業ですらそういうことをしているのに、何で日本国政府はできないんでしょうか。この点を指摘しておきたいと思います。

 それから、軟弱なのは政策ですよ。

 パリ協定は、自主的に、基準年も自由にどうぞ、目標年も、目標年はちょっとあるんですけれども。あと、五年ごとにチェックする、プレッジ・アンド・レビューというんですが、約束をしてレビューをする、そんななまくらなのです。

 ですけれども、国内でびしばしやったっていいんです。それを、国際協定がそうだからというので、日本国内も、何か、自主的な努力をしてください、各業界団体に自主的な計画をつくってやってください、それに任せているんです。国内はびしばしやっていいと思うし、やらなくちゃいけないと思うんですが、なぜそういうことをやられないんでしょうか。

林国務大臣 産業界は、電力、鉄鋼、化学など、業種別に二〇三〇年までの温暖化対策を低炭素社会実行計画として自主的に取りまとめ、意欲的に取り組んでおります。

 この自主的な取り組みが高い成果を上げたことなどによりまして、産業部門の排出量は、二〇一三年度実績で一九九〇年比で約一五%削減されております。

 こうしたことから、産業界における温暖化対策は、国が規制的な手法により経済活動や市民生活を阻害するのではなく、民間の創意工夫を引き出していくことが望ましいということの考えでございます。

 政府としても、毎年、審議会において対策の進捗状況を厳正に評価していく所存でございまして、例えば電力部分については、その取り組みを省エネ法や高度化法で後押しするなどして、対策の実効性を確保してまいりたい、このように考えています。

篠原(孝)委員 やり方がなまくらですね。

 これはやり過ぎだし、悪いし、間違っていると言われるかもしれませんけれども、私が三十年勤めた農林水産省はどういうことを割り当てしているか、わかりますか。米の減反政策です。米が余り過ぎている。減反しなくちゃならない。どうやっているかというと、各県に割り振ります。各市町村に割り振ります。各農家に割り振っているんです。そして、達成しなかったら、ここまでやる必要はないかと思いますが、補助金をその市町村にはもう出さないとか、そこまでしているんです。

 でかい大企業、何十社あるか知りませんけれども、そういう業界でなぜできないんですか、そんなことぐらい。規制がよくない云々じゃないです。

 私は、ビジネスへの参入なんかの規制はあってはいけないと思います、みんな自由競争をしていいと思いますけれども。だけれども、環境を守っていったりするのは、規制以外でどうやってできるんですか。自主的にやってください、はい頑張ってください、そんななまくらなことをしていては、私は達成できないと思います。

 だから、経産省の仕事はなまくらなんです。民間企業がちゃんとやっているから、何か適当にぶち上げていればいいだけ、そういうところがあるんです。それは、農林水産省はやり過ぎだと言われるかもしれませんけれども、それだけいろいろなものがかかっているんですよ。それだけきちんとやらなくちゃいけない。真剣味が足りないんです、僕から見ると。そんなことぐらい、何でできないのかという気がするんです。

 この計画、三〇年だけしか目的にしていない。五〇年の八〇%と書いてあります。しかし、どうも三〇年のためにつじつまを合わせてやっている。やっているというだけで、それから向こうに行く大胆な計画が全然書いていないんです。これは、脱炭素、低炭素、もう根本的に変えなくちゃいけないところなんです。二一〇〇年までに産業革命以前の社会に戻すんだ、二度上がってしまったら地球が破滅するぞ、このままいったら三度、四度、五度上がる。とんでもないことになる。みんな危機感を抱いているんです。そういったときに、三〇年だけのことでやっていたりするんじゃだめなんです。

 私がここに期待するのは、例えばまちづくり。野方図に出ていっているが、都市部はコンパクトシティーにする。それから、田舎にもっと散らばって生きるとか、そういうのがいろいろあると思います。それから、車は七千万台もあるそうですけれども、車でもうかっている国ですけれども、車の数を半分にするとか。

 それから、地方創生に絡んで、地方でエネルギーを自給する、地方自治体で。長野県なんて、小水力発電、ダムじゃないですよ、ちょっと引っ張ってきて、水が流れていて急傾斜があってタービンも羽根を回すんだから、どこでも発電できるんですよ。そうやっていったら、簡単に長野県は自給できるんです。

 そういったふうな社会性、産業構造、生活スタイルとかいうのを根本的に変えていく、そういうのを私は期待しているんですよ。そういう兆しが見られないんですね。長期戦略が全然見られないんです。私はこんななまくらのじゃなくて、もっとびしばしつくっていただきたいと思うんですが、今やっているのでしようがないと思いますけれども、どうも根本的なところが足りないと思う。

 排出量取引制度は問題があるから余り検討しないというのはいいんですけれども、カーボンプライシングぐらいは導入してもいいと思うんですが、そういうことを考えられないんでしょうか、もっと大胆な。

 五〇年目標、八〇%はどうするんですか。さっき例を示しましたとおり、ドイツはそこそこやっているんです。日本は全然そういうのを、前文のところに書いていますけれども、後ろの方にある五〇年八〇%を目指したものがよくわからないんです。どうやって伝わってくるんでしょうか。

林国務大臣 二〇三〇年度は二〇一三年度比で二六%削減という中期目標は、エネルギーミックスとの整合性が確保されておりまして、これを実現するための対策、施策を地球温暖化対策計画として昨日取りまとめまして、パブリックコメントを開始したところでございます。

 先生御指摘の二〇五〇年までに八〇%削減を目指すという長期目標につきましては、従来の取り組みの延長では実現が困難であるというふうに考えております。

 これを可能とするには、革新的技術の研究開発あるいは普及など、イノベーションによる解決を最大限に追求しなければというふうに思っています。また、国内投資を促し、国際競争力を高めて、国民に広く知恵を求めつつ、長期的、戦略的に取り組んでまいりたいと思います。

 現在、パブリックコメント中の地球温暖化対策計画案においても、こうした考え方を明確に位置づけているところでございます。

篠原(孝)委員 やはりだめなんですね。

 産業革命以前なんというと、よく聞いていただきたいんですけれども、百年後にガソリン車が走っているでしょうか。多分私はいないんじゃないかと思います。百年後に水田があるでしょうか。水田はあるんです。だから、工業的社会、都市的社会から農業的、農村的社会に変えていかなくちゃいけないんじゃないかというのがあるわけです。だから、貿易でもってやっていると、貿易なんかだって、運輸で、物の移動はなるべく少なくしなくちゃいけない。貿易量を少なくすべきだ。これも考えられるシフトなんです。こういうことが必要で、今までの延長線上の技術革新ではだめなんです。そういうことが盛り込まれていないということです。

 それから次に、外務省から来ていただいておりますので、最後の質問をしたいと思います。

 大統領候補、TPPについては、私に都合のいいようなことばかり四大統領候補が言っているわけです、絶対反対だと。ところが、地球温暖化についてはわからないんですけれども、聞こえてくるのは、トランプさんは、アメリカを強大な国にしなくちゃいけないから産業界を痛めつけるようなのは絶対反対だ、TPPも同じ理由で反対しております。マコーネルという共和党院内総務は、こんなパリ協定なんていうのは、一年後にはオバマの空手形になる、紙くずになるとか言っています。

 アメリカが、また京都議定書と同じように、全然入らないという可能性もなきにしもあらずなんですが、この点について、外務省はどのような情報を把握しておられるんでしょうか。これを最後に質問いたしまして、終わりたいと思います。

高木委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、簡潔に願います。

浜地大臣政務官 お答えいたします。

 今委員の方から共和党の候補の話が出ましたが、現在の米国政府のこのパリ協定についての評価でございます。

 これは、米国政府としましては、全ての国が参加する野心的な国際合意であるといって高く評価をしております。したがいまして、同協定への署名及び締結についてはできる限り速やかに行う意向であるというふうに我々日本政府としては承知をしております。

 しかし、大統領選挙後の共和党政権に仮になった場合の対応については、これは予断をすることは差し控えたいと思っております。

 いずれにしましても、米国を含みます各国の動向をしっかりと注視してまいりたいと思っております。

 以上でございます。

篠原(孝)委員 ありがとうございます。

 質問を終わります。

高木委員長 次に、本村賢太郎さん。

本村(賢)委員 民主党の本村賢太郎です。

 経済産業委員会で初めての質問になります。どうぞよろしくお願いいたします。

 まず、福島の復興について、大臣所信におきまして最も重要な課題であるというふうに大臣が述べられておりまして、その認識の中、数点、お伺いしてまいりたいと思っております。

 昨年の六月二十四日の復興推進会議においても、平成二十八年度以降の復旧復興事業について、原子力事故災害被災地域においては十年以内の復興完了は難しい状況にあると記載がございますし、また、高木復興大臣そして竹下前復興大臣も、あと五年での福島復興は難しいだろうという発言をされておりますが、林大臣の御認識をお伺いいたします。

林国務大臣 福島では、地震、津波に加えまして、原発事故にも起因する複合災害が生じたことから、復興完了までに事故から十年を超えた期間が必要になるというふうに認識をしております。

 福島の復興再生は中長期的対応が必要でございますし、今後の五年間の復興・創生期間の後も、継続して国が前面に立って取り組んでいくというのが政府全体の方針でございます。

 私も発言していますけれども、福島の復興なくして日本の再生なし。経産大臣としては、この認識のもと、福島第一原発の廃炉・汚染水対策と福島の復興を最重要課題と位置づけまして、関係省庁と連携しながら全力で取り組んでまいります。

本村(賢)委員 今大臣から、福島の復興なくして日本の再生はないと。その言葉に尽きているんじゃないかなと思います。ぜひとも、大臣の強いリーダーシップで臨んでもらいたいと思っております。

 その中で、福島は十年以内の復興完了は難しいと今御答弁ありましたけれども、ほかの被災地に比べて復興がおくれている理由がやはりあると思うんです。その理由を大臣はどう捉えていらっしゃるのか、お伺いいたします。

林国務大臣 先ほどの繰り返しになりますけれども、津波、地震に加えて、原発事故ということで複合災害が生じまして、避難指示の影響等により長期の事業が必要になる、そういうところから、他の被災県に比べて復興に時間を要するというふうに考えております。福島の復興再生は今後五年間の復興・創生期間の後も継続して国が前面に立って取り組んでいくというのは、先ほど答弁したとおりでございます。

 これまでの政府を挙げた取り組みによりまして、田村市と川内村、そして昨年九月に楢葉町での避難指示を解除するに至りまして、本格的な復興のステージに移行しつつあります。

 今後、浜通り地域の本格復興に向けて、新産業創出を目指しますイノベーション・コースト構想の具体化、あるいは官民合同チームによる個別訪問、事業再開支援などに全力で取り組んでいく所存でございます。

本村(賢)委員 複合災害というお話をされておりました。それはもちろんのことでありますが、明らかに宮城、岩手と違うのは、原発事故が大きな理由だと私は思っています。

 例えば、原発事故に伴う諸外国の輸入規制なんかも、農水省の資料によれば、五十四カ国中、例えば米は、四カ国が福島県産を輸入停止しておりますし、大臣の御地元の千葉県を含む四県に対して三カ国が輸入停止をしているわけでありますし、水産物の場合は、八カ国が福島県産を輸入停止、そして大臣の御地元の千葉、茨城に対して五カ国が輸入停止をしているわけでありまして、その理由からも、明らかに違うのは原発事故だと思うんですが、いかがですか。

林国務大臣 そのとおりだと認識しています。

本村(賢)委員 次の質問に入る前に、大臣所信の中でも、福島第一原発の廃炉・汚染水対策と福島の復興が最も重要な課題ですと言われております。

 そういった中で、昨年の十月二十日には、福島第一原発の元作業員の方が白血病ということで初めての労災認定がされましたし、この作業所では複数の方が事故によってお亡くなりになっているケースがございます。事故の背景には、過密スケジュールや熟練作業員の不足、多重下請構造が指摘をされているわけでありまして、そういった点にも十分注意をして、これから大臣の強いリーダーシップを期待してまいりたいと思っております。

 次の質問に入らせていただきたいと思います。

 炉心溶融、つまりメルトダウンの定義を明記したマニュアルが事故当時東京電力に存在していたのに使用されていなかったことが報じられておりまして、五年たった今日、この存在が明らかになったようでありまして、田中原子力規制委員長は、何のために基準をつくったのか、反省しないと企業としてのモラルや文化を疑われる、事故につながる東電の体質があらわれていると批判をされておりますし、当時の官房長官だった民主党の枝野幹事長も、東電の責任は大変重い、メルトダウンしている前提で対応に当たっていたが、明確に技術的に指摘していただければ、広報のやり方が変わっていたところがあるだろうと思うので大変遺憾であるということも述べられております。

 こうしたお話もあるわけでありますが、これまで明らかになっていないものはほかにないのか、そして、今後同じことがないように経済産業省は監督官庁としてどのような対応をとっていかれるのか、質問させていただきます。

林国務大臣 原子力発電は、立地地域の理解と国民の信頼を得ることが極めて重要だと思います。そうした中、東京電力が今回の社内マニュアルについて五年間気づかなかったということは極めて遺憾に思います。

 二月二十五日に、私から東京電力の広瀬社長に対しまして、なぜこのマニュアルが五年間も見つからなかったのかなどについて、第三者も入った形で詳細な調査をしっかり行うこと、そして、福島、新潟そして国民に対して丁寧な説明を行うこと、二度とこういうことが起きないよう徹底すること、この三点を強く指示いたしました。

 三月九日に東京電力は、外部有識者から成る、弁護士三人と言われていますけれども、第三者検証委員会を立ち上げられ、社内関係者へのヒアリングや資料確認などを通じて、まず、事故当時の社内マニュアルにのっとって炉心溶融を判断できなかった経緯、あるいは事故当時の報告のあり方などについて検証を行うことを公表したものというふうに承知しているところでございます。

 御指摘のように、ほかに同様の事例がないか、再発防止も含めて、東京電力がしっかりと対応するよう、経産大臣として適切に指導してまいりたいと存じます。

本村(賢)委員 二月の二十五日に大臣が広瀬社長にお電話されたということでありますが、本来面会をして、お呼びして大臣が直接対面でお話をされた方が説得力があると思いますし、また第三者機関も、国交省関連でありますが、東洋ゴムなんかも昨今第三者機関をつくりましたが、残念な結果が多く出ております。

 そういった中でも、東電に任せる第三者委員会でなく、経産省がリーダーシップをとってやられた方がいいと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

林国務大臣 まず、東電の社長に対しての御指摘ですけれども、あの日は分科会がございまして、八時過ぎまで委員会がかかってしまったものですから、その後、即対応した方がいいということの判断から、電話で急遽指示をしたということになりました。

 それから、今、第三者が、ああいった形じゃなくて経産省が直接というお尋ねでありましたけれども、まず、今回の経緯や原因、あるいは当時の通報や報告の内容をしっかり調査することが大事だろうというふうに考えておりまして、適切な調査が行われているかどうかを含めまして、東電の取り組みについて厳正に指導してまいりたいと思っております。

本村(賢)委員 二月二十五日は確かに分科会がございましたね。夜遅くまで本当にお疲れさまでございました。ただ、二月二十五日から、きょうは三月十六日でありまして、この間、お会いするチャンスというのはあったんじゃないかなと思いますので、二月二十五日は直近の対応としてお電話されたということでありますが、ぜひとも対面で大臣の思いを東電の広瀬社長にぶつけていただければなというふうにお願いします。

 次の質問に入ります。

 炉心溶融、メルトダウンを定義するマニュアルは今政府に存在していないのかどうか、確認のため、質問させていただきます。

大村政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力緊急事態の通報のマニュアルに関する御質問でございますが、原子力規制委員会が設置された後、原子力災害対策特別措置法第十五条に該当する事象、これは原子力緊急事態でございますが、これを判断する基準につきましては、炉心溶融から炉心損傷ということで改正をされておりまして、現在は炉心溶融という用語は使用していないという状況にございます。

 しかしながら、原子力規制委員会では、原子力事業者が、原子力災害対策特別措置法第十条それから第十五条に該当する緊急事態を適切に判断して通報等が行えるように、炉心損傷も含めた緊急事態を判断する基準等の解説を新たに定め、公開をしているところでございます。

 さらに、本年一月に、国際原子力機関、IAEAの、各国の規制活動を評価する総合規制評価サービスというもの、これを規制委員会は受けてございますが、そこでの議論を踏まえまして、原子力規制庁としましては、原子力施設の緊急事態を直ちに判断するためのより詳細なガイダンスの策定について、現在、検討しているところでございます。

本村(賢)委員 では、マニュアルは政府に存在していないということでよろしいですか。はい。

 それを受けまして、原発の過去の経緯は、ある意味国策でやってきたということもございまして、大臣、東京電力だけに任せるのではなくて、経済産業大臣として強いリーダーシップを発揮するためにも、やはりこういったマニュアルを政府は持つべきだと思いますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 経産省としては、事業者の自主的な対策についてしっかりと行われることが重要だというふうに考えておりまして、エネルギー政策の所管官庁といたしましても、これを機会に、事業者の自主的な安全対策についてもしっかりと把握してまいりたいというふうに思っております。

本村(賢)委員 ぜひとも、国も同じスタンスで、マニュアルを持って、いざ有事の際に対応できるようなマニュアルを用意された方がいいんじゃないかな、そのことを御指摘したいと思います。

 次の質問に入ります。

 三月九日に、稼働中であった高浜原発について、三号機、四号機でありますが、大津地裁は、滋賀県住民の訴えに基づき、福島原発事故の原因が解明されていない中で、地震、津波への対策や避難計画に疑問が残る、安全性に関する関電の証明は不十分と判断し、運転差しとめ仮処分を決定したわけでありまして、大変びっくりしたニュースであったわけであります。

 この高浜原発の運転差しとめ仮処分について、大臣の受けとめをまずお聞きしたいと思うのと、それから、総理が三月十日に、関電にはさらに安全に関する説明を尽くしていくことを期待したい、政府としてもそのように指導していくと発言しているわけでありますが、監督官庁として経済産業省は何を行っていくのか、大臣に二点お伺いいたします。

林国務大臣 高浜三号機、四号機につきましては、原子力規制委員会が専門的な見地から、十分な時間をかけて、世界で最も厳しいレベルと言われる新規制基準に適合すると判断したものでございまして、政府としては、こうした原発については再稼働を進めるという方針に変わりはございません。

 関西電力においては、安全対策の内容や新規制基準への対応状況などを国民に丁寧に説明し、再稼働への理解を得ることが極めて重要であるというふうに考えております。

 経産省としても、関西電力がそのような姿勢でしっかりと取り組むよう指導していきますし、また、原発の重要性、その安全対策、防災対策などについて、さまざまな機会を利用して国民や地元の皆様に対しまして丁寧に説明をしていくところでございます。

 こうした観点から、全都道府県で、原子力、エネルギー政策に関するシンポジウムあるいは説明会を開催しておりまして、国民理解の促進活動を積極的に展開しているところでございます。まさに、本日の午後には、福井県でシンポジウムを開催する予定でございます。

 今後とも、国民理解が得られるよう、しっかりと取り組んでまいりたいと存じます。

本村(賢)委員 大臣、大津地裁が出した判決というのは私は支持していきたいと思っているんですが、この中で、福島原発事故の原因が解明されていない中でという言葉がございましたが、大臣も福島原発の原因解明はされていないと思っていらっしゃるでしょうか。

林国務大臣 司法の判断につきましては、コメントを差し控えたいというふうに思っております。

本村(賢)委員 いや、司法というよりも、司法が原因が解明されていないということを言っておるわけでありますが、大臣としての福島原発の事故の総括として、まだ原因が解明されていないということでよろしいでしょうか。

林国務大臣 福島原発の総括といたしましては、まず、安全神話にとらわれていたこと、それから重大事故対策が規制の対象になっていなかったこと、あるいは推進組織から安全規制組織が独立していなかったことなどが指摘されておりまして、こういう指摘も踏まえつつ、重大事故対策やバックフィットを盛り込んだ世界最高水準の新規制基準を策定した原子力規制委員会を設置したところでございまして、これからも、安全神話に陥ることなく、しっかりと安全を第一に取り組んでいくという姿勢で臨みたいと思っております。

本村(賢)委員 そのお話はわかるんですが、端的に答えてください。原発事故の原因が解明されているかいないか、大臣の御認識を聞いているわけでありますので、イエスかノーか、お答えいただければと思います。

林国務大臣 これに関しましては、国会の事故調査会とか政府の事故調査会でいろいろ解明を今進めているところでありまして、それを見守りたいと思っています。

本村(賢)委員 それでは、まだ見守るという中ですから、原因解明がまだ終わっていないということでよろしいですか。

高木副大臣 現在、私、原子力災害現地対策本部長を務めておりますので、福島原発の問題について一言申し上げたいと思います。

 多くの方も御存じのように、メルトダウンをした大きなきっかけというのは、全電源喪失でございました。あの地震が起きて、その直後に津波が発生する。地震が起きた直後は、一号機から三号機まで、運転中の原子力発電所は全て緊急スクラム、いわゆる停止をいたしました。そういった部分では、ここまでは通常の事故対応というか、やっておりましたが、その後、津波が参りまして全電源喪失をした、こういったことが大きな炉心溶融のきっかけだったと思います。

 そういった中で、その後発足をいたしました原子力規制委員会の世界最高水準とも言われるこの基準におきまして、例えば、これまで川内原発また高浜原発等が認可をされましたけれども、そういった部分での、電源を喪失したときの対処はどうするのか、また、それ以外の重大な事故が起きたときの対応策ということをしっかりと確認いたしまして認可がおりているもの、このように経済産業省としては認識をしております。

本村(賢)委員 林大臣からも、原子力規制委員会が専門的な見地から、十分に時間をかけて、世界最高水準の新規制基準に適合すると判断した原発については、その判断を尊重し、再稼働を進める方針に変わりはないというお話をされておりますね。原因が解明されているかどうか、高木副大臣からお話しいただきましたが、本来なら、大臣がこれをしっかりと受けとめて、今の状況を答えられるような状況であってほしいなと思います。

 原発に関して最後の質問をします。

 これは通告しておりませんが、昨日の参議院の予算委員会で、大臣の御答弁の中に、原発関連の勉強不足の自覚があるといったお話がございましたけれども、原発事故は、大臣所信の中でも、廃炉・汚染水対策と福島復興が最も重要な課題だと御自身がお話をされているわけでありますし、大臣に就任をしてからもうじき六カ月がたつわけであります。

 きのう、私、地元に帰りまして地域を歩いておりましたら、やはり皆さんから、大臣の発言に非常に動揺が走っているということを伺いましたし、また、福島県選出の国会議員の仲間からも、福島県の皆さんがきのうの大臣の発言には非常にがっかりしたというお話を伺いました。

 安倍内閣の重要な閣僚の一人として、国民に対してどう説明していくのか、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

林国務大臣 きのうの参議院予算委員会での発言でありますけれども、言いわけではありませんが、通告のない専門的かつ事実関係に関する質問が多かったものですから、そういう質問の中で十分に答弁ができなかったということの反省から、勉強不足の指摘について、それは否定しなかったものでございます。

本村(賢)委員 ぜひ、経済産業大臣として、原発関連に関してもしっかりとまた勉強されて、強いリーダーシップをこれからも発揮していただきたいと願っております。

 次の質問に入らせていただきます。

 次は、中小企業支援、これも大臣所信で大きなお話でございましたが、きょう、資料一に、日本商工会議所の、最低賃金引き上げに対応するために必要と考える支援策ということでお配りをしております。

 私も、地元相模原を歩いていく中で、中小企業の経営者の皆さんから、今、非正規雇用が四割いるという問題、これは少子化対策を含め非常に大きな問題だと捉まえているんだけれども、でも、どうしてもやはり社会保険負担が大きくて、非正規から正規雇用へと雇い入れられないんだというような声を多くいただいております。

 この問題において大臣の認識はどうなのか、まずお伺いしたいと思います。

林国務大臣 社会保険料の支払いにつきましては、中小企業、小規模事業者から、赤字でも支払いを続けなければならなくて、雇用を守る上でも重荷であるという声も聞いておりました。

 経産省としては、無理なく社会保険料を支払うことができるよう、その生産性向上を後押しすることが重要だというふうに考えております。

本村(賢)委員 今お話しされた中で、具体的にはどんなような政策があるんでしょうか。

林国務大臣 ものづくり補助金や税制により中小企業の設備投資などを支援しておりますし、また、よろず支援拠点を各都道府県に設置しておりまして、これを拡充することによって、経営課題に関する相談に一層きめ細かく応じるということで、生産性向上に向けた取り組みを支援することにしているところでございます。

 こうした取り組みに加えまして、中小企業者の経営力や生産性を力強く向上するための新たな支援を行うため、中小企業等経営強化法案を国会に提出しているところでございます。

 今後とも、社会保険料の負担増が地域の経済と雇用を支える重要な存在である中小企業の雇用の拡大の阻害要因とならないよう、しっかりと注視してまいりたいと思っています。

本村(賢)委員 社会保険の負担というのは、中小企業の皆さん、さっき言った赤字企業の中小企業の経営者の皆さんや小規模事業者の皆さん、非常に大きな負担だと思っておりまして、どちらかというと、アベノミクスの政策は大手企業を重視した政策ではないかということで言われております。ぜひ、大臣、御地元にも中小企業が多くあると思いますし、小規模事業者もあると思うんですが、そういった中小・小規模事業者の皆さんが、やはり今の政策はいいなと思えるような、大胆な政策の転換をお願いしてまいりたいと思っております。

 資料二をごらんいただきたいんですが、資料二は、「小規模企業振興基本法案」及び「商工会及び商工会議所による小規模事業者の支援に関する法律の一部を改正する法律案」に対する附帯決議ということで、平成二十六年六月四日に全会一致でこの附帯決議がなされたというふうに伺っております。

 その附帯決議の中で、ことしの一月現在、一から四は措置済みだということを伺っておりますが、この参考資料に置きました五については、一部措置にとどまり、関係省庁と協議をするとか、新規雇用の際に補助金の上限額を倍に上げる措置を講じるとのことであります。

 附帯決議五に対する政府のこれまでの取り組みについてお伺いいたします。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 関係省庁との協議につきましては、経済財政諮問会議や政労使会議におきまして、大臣や副大臣にも参加をお願いし、最低賃金引き上げに向けた環境整備や産業界の価格転嫁、その他の生産性の向上に対する取り組みについて要請を行っていただいております。

 また、回答の後段にございます小規模事業者持続化補助金に関してでございますけれども、この二年間で約五万件の事業者の販路開拓を支援してきておりますけれども、この中でも記載がございますように、新たに正社員を雇用した場合に、補助上限額を五十万円から百万円とする特例措置を講じております。

 また、記載されてはおりませんけれども、御審議いただきました、また成立させていただきました小規模支援法に基づきまして、三百二十七件の認定、小規模事業者の相談にきめ細かく対応するための体制整備を行っているところでございます。

本村(賢)委員 今、それらの附帯決議への政府の取り組みの状況をお聞きしましたけれども、私ども民主党も、例えば年収二百八十七万円の従業員を新規に雇用した場合、企業が負担する社会保険料一年約四十三・四万円のうち、半分の約二十一・七万円を助成するという中小企業社会保険料負担軽減法案を二月二十五日に提出済みでございます。中小企業が新たに正社員をふやした場合、ふやした分の社会保険料相当額の二分の一を十年間国が負担するということでありまして、政府におかれましても、ぜひともまた前向きに御検討していただくことを要望いたします。

 最後の質問に入ります。

 いよいよ、この二〇一六年四月より電力小売の自由化がスタートするわけでありますが、その前に、いろいろな委員会でも御質問が出ておりますけれども、日本ロジテック協同組合が、電気小売事業者として登録の申請を断念し、破産手続申請の準備に入っていることが報じられております。また、四十億円の未払い金が生じているということでありますが、政府として、日本ロジテック協同組合にどのような指導を行うのか、また今後どう同じような件が起こらないように対応をしていくのか、お伺いしたいと思っております。

 私どもの相模原も、昨年の十二月、ことしの一月、二月と、合計一億三千九百万円の滞納金がございまして、大変困っているというふうに市からもお話を伺っておりますし、なお、三月には緊急的に東京電力と売電契約を結んだということであります。

 電力自由化の前に混乱が起きていることもございますので、そのことについてお伺いいたします。

高木副大臣 今御指摘いただきました日本ロジテック協同組合、これは小売電気事業の登録申請を取り下げました。これまで、自治体の発電所などから電気を調達しており、売電していた自治体に対しては多額の未払い金が生じている、このように承知をしております。

 同組合に対しては、申請取り下げを受けて、二月二十五日に需要家の契約切りかえに関する対応に万全を期することなどについて文書で指導を行ったところでございます。この中では、事業を廃止するまでの間、電気の小売を行っている事業者としての責務を最後まで全うするよう求めており、自治体を含めた債権者に対して誠実に対応することが当然と考えております。

 ことしの四月から、小売の全面自由化により、既存の電力会社以外の新たな事業者が一般消費者に対して電気の供給を行うことが可能となります。このため、大口需要家への供給を前提としていた制度から、一般消費者を念頭に、十分な需要家保護が図られるような枠組みを新たに措置しているところでございます。

 例えば、小売事業者について、契約時に需要家に対する契約内容の説明義務を課す、また、これまでの届け出制から登録制に改め、審査を行った上で問題のない事業者のみ登録を認める仕組みとしております。

 今後、電力の安定供給が確保され、かつ十分な需要家の保護が、今相模原のお話もありましたけれども、図られるよう適切に対応してまいりたいと思います。

本村(賢)委員 ぜひ、電力自由化、国民も期待しておりますので、適切な御指導をお願いしたいと思います。

 質問を終わりにします。

高木委員長 次に、落合貴之さん。

落合委員 維新の党、落合貴之でございます。

 本日も、民主・維新・無所属クラブの時間の範囲内で質問させていただきます。

 きょうも、消費税の増税に関する質問です。

 まず、先週の当委員会で、二〇一七年四月に予定している消費税一〇%への引き上げを延期した場合の経済効果や実施した場合の経済への打撃について省内で検討しているか、または検討する予定かということを伺いました。大臣は、増税延期の効果は検討していないと御答弁くださいましたが、もう一つ質問した、消費税一〇%に増税した場合の経済への打撃については検討しているんでしょうか、またこれから検討する予定でしょうか。

林国務大臣 一般論として申し上げれば、消費税率の引き上げによりまして駆け込み需要あるいは反動減などを生じさせるものと考えておりますが、委員お尋ねのような経済効果の検討について、現時点において経済産業省としては行っておりません。

 なお、民間のエコノミストが消費税率一〇%への引き上げ後の二〇一七年四―六月期の実質GDP成長率を予測しており、こうした予測は承知しているところでございます。

落合委員 今、増税延期の経済効果は検討していませんと、先週と同じ答弁をいただきましたが、増税した場合の経済への打撃は省内で検討されているのか、または検討する予定でしょうか。

林国務大臣 ただいま答弁したとおりでございます。

落合委員 私は、まず、増税を延期した場合の経済効果について検討しているかと。それは、大臣、お答えいただきました。

 もう一つ、実施した場合、消費税を八%から一〇%に来年四月に上げた場合にどれぐらい経済への打撃があるのか、これについて検討しているのか、またはする予定なのか、それについて言及がなされませんでした。それについてはいかがなんでしょうか。

林国務大臣 現時点においては経産省としては行っておりません。

落合委員 現時点においては行っていないと。きょう時点の御答弁ということで承ります。

 何回も聞いていますが、状況が刻々と変わっていますので改めて伺えればと思いますが、消費税の来年四月の一〇%への増税、複数税率の導入、これは今も行った方がいいというふうに大臣はお考えですか。

林国務大臣 二〇一七年四月に予定されております消費税率の一〇%への引き上げについては、政府としては、リーマン・ショックのような重大な事態が発生しない限り、実施する方針でございます。

落合委員 それは、省としても実施する方針であると。

 政府の決定ですから、実施をする方針であるということは方針なんですが、大臣として、上げるべきだというふうに思いますでしょうか。

林国務大臣 政府の方針でありますから、経産省としてもこの方針で取り組んでまいります。

落合委員 大臣の経済の見通しまた見解を踏まえた上で、大臣個人として、今の経済状況で消費税は来年四月に上げた方がいいというふうに考えますか。

林国務大臣 個人的な見解は差し控えさせてもらいたいと思います。

落合委員 きょう大臣がお答えいただいたのは、政府の方針であるから、それは実施していく方向で仕事をしていきますというようなことでした。増税した場合の経済への打撃の検討については今はしていないというような答弁を本日いただきました。

 政府の方針だから増税の方向に向かっていくということですが、私個人としては、経済の状況、そして身を切る改革を約束した上での増税の約束だったわけですから、行政改革、身を切る改革、この今の進展ぐあいを見れば、絶対に増税ができる状況ではないと考えています。それでも増税するというような状況であれば、私はますます役割が大きくなってくると思うのが、前回、最後の方に触れました価格転嫁法でございます。

 正式名称は、消費税の円滑かつ適正な転嫁の確保のための消費税の転嫁を阻害する行為の是正等に関する特別措置法でございますが、これは、前回、消費税五%から八%へ増税を平成二十六年四月に行ったその前の年の十月に施行されています。消費税増税に伴い、消費税の価格転嫁を拒む行為の禁止などが定められております。

 この法律により価格転嫁はより適正に行われるようになったかということを、前回、私は質問させていただきました。最新の調査では、「全く転嫁できていない」が三・四%あるので、努力をこれからもしていきますということでした。

 その数字を詳しく見せていただきましたら、「全く転嫁できていない」が三・四%なんですが、「一部を転嫁できている」と答えた人が八・一%、つまり、完全にはこの人たちも転嫁ができていないわけです。それから、わざと転嫁しないというのも二・八%あります。足すと一四%ぐらいが、BツーBの取引において価格転嫁ができていない。そして、BツーCだと、一番最新の調査でも、三割近くが価格転嫁が行われていません。これは、ことしの一月の調査でありまして、増税直後はもっと数字が大きかったわけでございます。

 今回、さらに、予定では一〇%に上げる、そして税制改正によってインボイス制度も導入されます。前回取り上げましたが、非課税業者が課税業者にならざるを得ない可能性が高い状況もつくられてしまうわけです。

 これは、価格転嫁法がきっちりと働かないと、かなり大変な状況が今の状況にプラスして起こってしまうわけですが、今挙げた一月の時点でもこれだけ、BツーBにおいて一〇%台、そしてBツーCにおいては三割近く価格転嫁ができていないわけですが、価格転嫁法はしっかりと機能していると言えるんでしょうか。

鈴木副大臣 お答え申し上げます。

 消費税の円滑かつ適正な転嫁を確保するために、委員御指摘の消費税転嫁対策特別措置法に基づきまして、政府全体としましては、転嫁拒否行為の情報を収集するため、中小企業、小規模事業者に対する悉皆的な書面調査を実施するとともに、全国に配置をしております六百名程度の転嫁対策調査官、いわゆる転嫁Gメンでありますが、これによりまして約三千四百件の立入調査や二千四百件の指導を行うなど、転嫁拒否行為に対しては厳正に対処してまいったところであります。

 御指摘のとおり、完全には転嫁できていない事業者もいることは事実でありましょう。しかし、こうした転嫁対策によって、平成二十八年一月に実施した消費税の転嫁状況に関する月次調査では、「全て転嫁できている」と回答した事業者が事業者間取引では八五・八%となっておりまして、転嫁は一定程度進んでいるものと考えております。

 消費税の転嫁がしっかりできますように、引き続き、転嫁対策に万全を期したいと思います。

落合委員 これは、消費税を上げた直後に八五%で、あと一五%何とかしますというのだったらわかるんですが、平成二十六年四月に上げてから一定期間たった上で、まだ一四%ぐらいが価格転嫁できていないと答えている。しかも、今お答えいただいた数字はBツーBの数字でありまして、BツーCで見れば、まだ三割も価格転嫁できていない人たちが残っているわけでございます。

 これはしっかり、まあ書面調査も行っているんですが、何か追加の対策を行わないと、これからまた消費税増税をした場合にこの数字は絶対にふえるわけですから、これは新たな追加の対策が必要なのではないでしょうか。

 ちなみに、参考人に伺いますが、今の時点でBツーBで価格転嫁ができない理由というのはどういうものだと把握されていますでしょうか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 委員のおっしゃったとおり、「全て転嫁できている」という回答が八五・八でありますけれども、それ以外に、「一部を転嫁できている」が八・一、「全く転嫁できていない」が三・四、合わせて一一・五%の方から一部ないし全部が転嫁できていないという回答をいただいています。

 これらの方々にさらにその理由をお聞きしました。四七・五%の事業者の方は「自社商品等の競争が激しく、価格を引上げると他社に取引を奪われてしまうおそれがあるため」とお答えになっておられ、また、三一・八%の事業者の方が「取引先の業界の景気が悪く、消費税分の値上げを受け入れる余裕がなかったため」というふうに回答されておられます。

落合委員 事業者の数の把握というのは、国税の計算の仕方と恐らく中小企業庁の計算の仕方が違っていて、事業者数というもののずれがあるんですが、国税の調査では、八百万事業者のうち五百万事業者は今消費税が非課税になっています。つまり、かなりの小規模事業者であるというふうに考えられます。

 先週の質問でしましたが、インボイス制度の導入によって課税事業者とならなければならない可能性が高い。そうなると、消費税ゼロ%だった事業者が一〇%を払わなくてはならなくなってしまう。その対象となるのが五百万事業者もある。今でさえ一割も価格転嫁ができないとなっているのであれば、影響を受ける事業者というのはかなりあると思います。

 例えば、公正取引委員会は、今まで、価格転嫁対策として、商工会議所、商工会、事業者団体の説明会などに講師を派遣していますが、これはどれぐらい効果があったと考えていますでしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 公正取引委員会が事業者や事業者団体に対して消費税転嫁対策特別措置法の内容等を周知するために説明を行う機会といたしましては、公正取引委員会が説明会を開催するものと、商工会議所、商工会及び事業者団体からの依頼を受けて、公正取引委員会の職員を講師として派遣するものがございます。平成二十八年二月までに、公正取引委員会が主催する説明会を百十八回開催し、講師派遣を四十七回行っているところでございます。

 これらにつきましてどの程度の効果があったかにつきましては、具体的に測定することは困難でございますけれども、公正取引委員会が主催する説明会におきまして実施しております参加者に対するアンケート調査によりますれば、これまで、九四・一%の参加者が説明の内容を理解できたと回答しておりまして、説明会を通じて消費税転嫁対策特別措置法の内容等の周知が進むことにより、消費税の転嫁拒否等の行為の未然防止のための取り組みとして一定の効果を果たしているものと考えております。

落合委員 今の答弁では、説明会を開けば、あと講師派遣をすれば効果がありますということです。それでしたら、回数をふやしていくべきではないですか。

 公正取引委員会が御自身で主催している説明会の実施回数は、二十五年、二十六年、二十七年度で四十、三十、三十九回、講師派遣は、平成二十五年度に三百八十四回やっていますが、その翌年は五十九回で、平成二十七年度は二十五回というふうに、公正取引委員会から二月にいただいた資料には書かれています。講師派遣の回数は十分の一以下になっているわけです。

 これは、来年、一〇%に上げるわけです。前回、上げる前の年度は三百八十四回やったのに、二十七年度は二十五回。これは、だから十倍ぐらいふやす予定でしょうか。

原政府参考人 お答えいたします。

 講師派遣につきましては、商工会議所、商工会及び事業者団体からの依頼を受けて公正取引委員会の職員を派遣するものでございますので、消費税引き上げ前につきましてはそのような団体の方から多くの要請があったということで、消費税引き上げ後はそれほど要請がなかったということでございますが、来年度におきましては、中小企業団体や事業者団体に対して、公正取引委員会の職員を講師として派遣していくことを積極的に呼びかけていくこととしております。

落合委員 これは、経済産業省、中小企業庁、そして政府が消費税を上げることを決めて、それを粛々とやっていきますというような段階なわけですから、これは、ことし、講師派遣もどんどんふやしていく、数字が上がっていかないとおかしいわけでございます。この数字は、私もこれからも見させていただきたいと思います。

 それから、前回の質問の最後に取り上げましたが、内閣官房の方で、価格転嫁法を説明するわかりやすいパンフレットをつくっています。これは、所管が内閣官房、内閣府、公正取引委員会、消費者庁、財務省、重要な問題だからこそこれだけ多岐にわたっているわけですが、多岐にわたっているからこそ、こういう場合はここに電話してくださいと、五カ所もこの場合はここというふうに書かれています。

 本当に困っている人はどこに電話していいかわからない人も多いわけで、この一元化のニーズに対してはどのように対応しているんでしょうか。

高木大臣政務官 落合委員にお答えいたします。

 窓口を一元化すべきではないかとの御指摘でありますが、私どもも、消費税の円滑な転嫁に資するためには、全国各地からの相談に共通の窓口で対応することが重要と考えております。

 このため、政府共通の相談窓口として、消費税価格転嫁等総合相談センターを平成二十五年十月に開設し、事業者及び消費者からの幅広い相談に対応しており、本年二月までに一万七千五百三十四件の相談に対応してきているところであります。

 また、転嫁拒否など消費税転嫁対策特別措置法に違反する疑いのある行為については、相談者の意向により、総合相談センターから調査を担当する省庁に通知をしております。

 このように、総合相談センターに相談すれば消費税の転嫁等全般について回答が得られる仕組みを構築しております。

 なお、相談窓口が五カ所設けられているという御指摘でありますが、相談の中には法令等の解釈について問う相談もございますので、相談者の便宜を考え、パンフレットには法律制度を所管する省庁の相談窓口の連絡先も記載しているところでございます。

 今後とも、総合相談センターにおいて消費税の転嫁等全般についての相談に適切に対応し、消費税を円滑に転嫁できるような環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

落合委員 基本的には総合センターに電話をすればいいということです。

 時間が来ましたので、一問だけ最後に質問させていただきますが……

高木委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、御協力願います。

落合委員 はい。

 法律で、国の責務として、調査、監視を行うための万全な態勢の整備とありますが、これは、タイセイという漢字が、体の制度の「体制」ではなくて、状態の勢いの「態勢」というふうに書かれています。

 こういう漢字を使ったことには理由はあるんでしょうか。御説明いただければと思います。

高木委員長 原経済取引局取引部長。簡潔に願います。

原政府参考人 お答えの前に、先ほどの答弁について、一部訂正させていただきます。

 公正取引委員会の職員を講師として派遣した回数を四十七回と回答いたしましたけれども、四百七十回の間違いでございます。

 それから、消費税転嫁対策特別措置法におきまして、いわゆる実態調査の態に勢いという字を用いた「態勢」という用語を用いていることにつきましては、組織や人員という意味での体と制度の「体制」というものだけではなくて、関係各省庁間の連絡態勢や地方公共団体から国に対する転嫁拒否行為の情報の通知態勢など所要の仕組みを構築することも含まれるという趣旨で、実態調査の態に勢いという字を用いた「態勢」という用語を用いたものでございます。

落合委員 時間が来たので終わりますが、訂正された四百七十回のうち平成二十五年度に行ったものが三百八十四回で、どんどんどんどん回数が減ってきているわけです。

 消費税増税に対する特に小規模事業者への対応を求めて、質問を終わらせていただきます。

 お時間をいただきまして、ありがとうございました。

高木委員長 次に、升田世喜男さん。

升田委員 民主・維新・無所属クラブの升田世喜男であります。

 それでは、早速質問に入らせていただきたいと思います。まず、林大臣に、日本経済の現状の認識をお伺いしたいわけであります。

 安倍総理は、景気について、三年間で雇用は百十万人ふえた、あるいは高い賃上げは十七年ぶりである、こう述べておるんですが、確かにアベノミクスで円安が進んで株価が上がっておりますが、その恩恵を受けているのはやはり大企業が中心じゃないかな、こう感じます。そして、アベノミクスの効果をあなたは感じていますか、こういう問いに対して、世論調査では約八割がその実感はない、こんなふうに述べておるわけでありますね。

 改めて、日本経済の現状認識をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 日本経済は、アベノミクスのもと、二〇一五年の企業の経常利益は過去最高水準であり、倒産件数は二十五年ぶりの低水準であります。有効求人倍率は二十四年ぶりの高水準でありまして、失業率は十八年ぶりの低水準となるなど、経済の好循環は着実に回り始めております。

 景気は、新興国経済の減速を背景に輸出などに弱さが見られるものの、総じて言えば、緩やかな景気回復基調にありまして、今後も回復が続くことが期待されるところでございます。

 もっとも、中小企業の足元の状況につきましては、アベノミクスの進展につれて着実に改善傾向にあるものの、地域や分野あるいは事業者の規模によってばらつきがあるものというふうに認識をしております。

 このため、経済産業省といたしましては、成長戦略の実行、あるいは中小企業、小規模事業者の生産性向上支援、下請中小企業の取引条件の改善など、あらゆる施策を総動員して、経済の好循環の拡大に全力を挙げてまいりたいと存じます。

升田委員 ただいまの答弁で、緩やかではあるが、よい方向に行っていると。そして、その中で、地域や分野にばらつきがある、こういうお答えがありました。

 では、その地域というのは一体どの辺の地域なんでしょうか。

林国務大臣 特定した地域ではございませんで、私は千葉県でありますので、千葉県でも銚子ですが、えらくばらつきがございまして、建設業などはすごくいいんですが、農業、漁業は落ち込んでいるというふうに、千葉と銚子を比べても違うところがありますので、地域を指定することは想定してございません。

升田委員 私は青森でありまして、やはり東北も厳しいんですね。調べてみましたら、北海道、東北、北陸、東海、近畿、九州、これが地域的には厳しい、そして、五十人以下の事業所の中でこれまた厳しい、こういうことでございますので、大臣はその辺を注視していただきたい、こう思います。

 次に、日本の経済に中国の経済が密接にリンクすると思うんですが、中国経済が減速になった場合、我が国の経済にどんな影響を及ぼすのか、あるいはどのぐらい及ぼすのか、この辺に対する認識はいかがでしょうか。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 中国の景気は緩やかに減速していると認識してございます。中国経済の動向につきましては、日本との貿易、インバウンドの消費などを通じて日本経済に影響してまいります。こうした中、日本から中国に対する輸出金額は、昨年夏以降、前年比でマイナスが続いておりまして、日本のGDP成長率を押し下げているというふうに認識してございます。

 また、中国からの訪日客の消費金額につきましては、平成二十四年の〇・三兆円から平成二十七年の一・四兆円へと、三年間で一兆円増加したと推計されてございます。民間最終消費支出約二百九十兆円に比べますと、単純には大きくはございませんけれども、消費の動向が弱い中で、日本経済にとって重要な成長の源泉の一つと考えてございます。

升田委員 中国経済が緩やかという表現でありましたけれども、私は、緩やかじゃなくて、最近は急速に低下しつつあるんじゃないかな、こう思うんです。

 通告はいたしておりませんが、中国の方に日本製品で人気のあるものといいましょうか、中国の方が日本に来て買うものでこういう分野が人気があるという、その辺はどういう捉え方をしていますでしょうか。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 一定の商品については今手持ちがございませんけれども、百貨店等からは、中国からのインバウンドの消費がかなり売り上げに貢献しているという話は聞いてございます。

升田委員 次に、我が国の経済の潜在成長率の現状についてお伺いしたいと思うんです。

 改めて言うまでもなく、資本、生産性、労働力という生産活動の三つの要素をフルに活用した場合に想定される、いわゆる仮想上の成長率、これを潜在成長率というわけでありますけれども、この潜在成長率が高まらないと持続的な経済成長というのは難しい、こう言われているわけであります。

 そこで改めて、我が国の経済の潜在成長率の現状についてどのような認識か、お伺いいたします。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 潜在成長率につきましては、さまざまな計算方法がございますけれども、内閣府の試算によりますと、昨年十月―十二月期におきまして、我が国経済の潜在成長率は年率プラス〇・四%とされているところでございます。

 我が国の潜在成長率は、一九九〇年代以降、低下傾向にございまして、その主な要因といたしましては、労働時間の短縮や労働力人口の減少により労働の投入が減少していること、二番目に、設備投資の伸びが緩やかになり資本の投入量が停滞していること、三番目に、生産性の伸びが低下していることなどが指摘されているところでございます。

升田委員 今、私たちの日本国は、日本という国ができてから初めての体験をいたしております。それは、御案内のとおり、人口減少です。一時期、そのときの社会事変がございまして減ることはあっても、五年先、十年先、二十年先、流れとして人口が減るというのは、建国以来二千年以上たつ我が国の歴史の中で、今初めてなわけであります。

 人口減少という新しい条件のもとでの潜在成長率を高めるためには、容易ではないと思うんですが、この辺についてはどういうお考えでありますでしょうか。

保坂政府参考人 御指摘のとおりでございまして、二〇〇一年から二〇一〇年でございますと、労働の寄与度でマイナス〇・三%ということになってございまして、今後、労働人口の減少も推計されているところでございますので、私ども、女性や若者、高齢者等の活躍促進等を通じて、労働力人口の確保に努めてまいりたいと考えているところでございます。

升田委員 次に行きたいと思います。

 大臣、東北の経済の現状認識、どのように思っているんでしょうか、御見解をお願いします。

林国務大臣 東北地域の経済は、地域全体の企業の生産活動、雇用の状況を見ますと、震災によって大きく落ち込んだ後、最近では、震災前とほぼ同じ水準にまで回復しているというふうに思います。

 具体的には、企業の生産活動をはかる鉱工業生産指数について、震災前の平成二十二年を一〇〇といたしまして、震災のあった平成二十三年三月には六五・二まで大きく落ち込みましたが、昨年十二月には震災前とほぼ同じ水準であります九三・四にまで回復をしております。

 これは、宮城県内陸部の自動車メーカーや岩手県沿岸部のセメント会社が生産を再開するなど、製造業が迅速に復旧したためであるというふうに考えております。

 また、雇用の状況につきましては、平成二十三年三月の有効求人倍率は〇・四八でありましたが、復興需要による公共投資が増加したことなどによりまして、ことしの一月には一・二五まで上昇しておりまして、全国平均の一・二八とほぼ同じ水準にまで回復しております。

 一方、津波浸水地域や福島県の避難指示区域では、土地のかさ上げや避難指示解除などに時間を要しまして経済回復がおくれている地域が存在しておりまして、それも十分認識しているところでございます。

 そうした状況も踏まえて、経済産業省としては、被災した施設設備の復旧を支援する中小企業等グループ補助金や、あるいは雇用創出のため新規立地を推進する企業立地補助金などによりまして、東北地域の産業振興を強力に後押ししているところでございます。

 政府としては、東北地域の経済発展に向けて全力で取り組んでまいります。

升田委員 次に雇用状況をお伺いしようかなと思いましたら、もう先に答弁がございました。

 今の大臣の答弁の中で、これは質問通告はしていないんですが、グループ補助金というお話がございました。行政は、何かあると、当然、政策をつくって、制度をつくって、改善策をしなきゃいけません。しかし、ちまたで聞こえるのは、使い勝手が悪いとか、あるいは申請が複雑で途中で諦めてしまうというようなお話もるるあるんですね。

 グループ補助金の使い状況というか採用状況、その辺がもしおわかりでありましたら御答弁をお願いしたい、こう思います。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業組合等共同施設等災害復旧事業、いわゆるグループ補助金でございますけれども、津波浸水地域や福島県の避難指示区域などを対象にいたしまして、中小企業等グループが作成いたしました復興事業計画に基づきまして必要な施設の復旧などに対しまして補助をしているところでございます。

 これまでの予算につきましては、十一月末ごろの実績でございますけれども、補助総額といたしまして、国、県合わせまして、これは国が二分の一出して県が四分の一を出すということでございますけれども、全体で四千七百二十七億円、うち国費で三千百五十一億円の補助を採択しているところでございます。

升田委員 いずれにしましても、せっかく制度をつくっても、申請自体が複雑であると効果が出ないので、スムーズに使われるということは経済振興にも非常に密接に関係あることだと思いますので、これから簡潔にできるようにしてもらいたいと思います。

 また、先ほどの大臣の答弁の中で、地域的に特徴があるんだというようなお話がございました。全くそのとおりだと思います。被災されているエリアとそうでないエリアの回復状況が違うということで、ここはまた被災地にぜひ寄り添ってほしいなということを申し述べさせていただきたいと思います。

 東北も大概いい方向に行っていると。私も調べてみましたら、意外と数字はいいんですね。これは復興特需だと思うんです。

 そこで、その復興特需がなくなった後、では東北の経済というのは一体どうなるんだ。これが懸念されますので、その後の経済の種といいましょうか、この辺はどのようにお考えでございましょうか。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 委員の御指摘のとおり、現在、東北地方につきましては復興特需の部分もございます。

 東北地方の持続的な発展に向けまして、経済の種となる産業の育成というのが必要不可欠だろうというふうに考えております。この観点でいいますと、ものづくり産業の振興でございますとか、あるいは打撃を受けました水産加工業の再生など、さまざまな種をまきまして、しっかりと育てていくことが必要だというふうに考えております。

 その中で、特に大きな成長の可能性を有しておりますのは観光であろうというふうに考えております。観光につきましては、宿泊業や小売業を含む裾野の広い総合産業でございまして、地域への波及効果も大きいというふうに考えているところでございます。

 東北地方の観光客につきましては、震災前の水準でございます五十万人をようやく回復したところでございますけれども、まだまだ海外での認知度が低いことも大きな課題でございます。そういった意味で、東北一体となって外国人の観光客を呼び込みまして、中国人など外国人の観光客の消費を増大させることが東北経済の活性化のためにも極めて有効ではないかというふうに思っております。

 このため、東北経済産業局におきましても、鉄道会社でございますとか旅行会社でございますとか、あるいは金融機関などと連携して、民の力を最大限に活用しながら、例えば東北の桜の名所、八十八カ所あるということでございますけれども、あるいは酒蔵八十カ所を核といたしました観光ツアーを企画したり、海外向けの広報などに取り組んでいるところでございます。

 こういったさまざまな取り組みも通じまして、一刻も早い復興と東北経済のさらなる成長に向けまして、今後とも、全力で取り組んでまいりたいと考えているところでございます。

升田委員 今のお話を聞きますと、観光を一つの大きな目玉産業にしていこうかと。数日前に安倍総理も東北観光元年と述べておりまして、その視点というのは私も同感で、頑張ってほしいな、こう思うわけであります。

 ただ、ここでちょっと、知識的なことで恐縮でありますけれども、人口減少のお話も私はさせていただきました。これは、その地域で人口が一人減りますと経済的にどのぐらいの金額が損失になるかというところ、これをお答えしてもらいたいと思うんですが、これは計算したことはあるでしょうか。

井内政府参考人 大変恐縮でございますけれども、今手元には持ち合わせておりません。

升田委員 私が調べた範囲の中では、百二十七万とかいう数字が出てきていました。あるいは、先般、福島県で地方公聴会に参加させていただいたときに、たしか商工会頭さんではなかったかなと思いますが、人口一人減ったら百万円の経済損失だということを言い切ったんですね。

 そこで、観光は観光でしっかりやってもらいたいと思うんですけれども、実は、観光で宿泊すると二万円から四万円というようなデータが出ておりまして、中間でいきますと約三万円なんですね。観光客が来てお金を使っていただく、これはもうもちろんやらなきゃいけません。しかし、一人減ると百万円の損失がある。観光客でいきますと三十人から四十人ぐらいの規模なんですね、人口が減るということは。

 このことを考えていくと、いかに地域の経済産業を高めていかなきゃいけないかというところを改めて認識を持ってもらいたいなということをこの機会に述べさせていただきたいと思います。

 あと、お時間が……

高木委員長 申し合わせの時間が来ております。

升田委員 来ているんですか。わかりました。

 しかし、お許しいただいて、一つだけお伺いをさせていただきたいと思います。

 観光は私も大賛成なんです。一つだけ述べたいのは、観光産業というのは未完のこれからの大器だと私は思っているんです。問題は、なぜこれが国交省という省の管轄にあるのか、極めて経済に直結するのにどうしてこれが経済産業省にないのか。

 これは、大臣、不思議だと思いませんか。この辺に対する御見解をひとつよろしくお願いしたいと思います。

高木委員長 それでは、これを最後に。

 簡潔に答弁をお願いいたします。井内地域経済産業審議官。

井内政府参考人 お答え申し上げます。

 観光というものは、先ほど申し上げましたように、非常に幅広い産業に影響をする産業でございます。政府全体としては、観光庁を有しております国交省が取りまとめておりますけれども、あるいは内閣官房などで取りまとめていろいろな検討を進めておりますけれども、関係各省庁はもちろん連携をして行っております。

 例えば東北におきましても、観光キャンペーンに関しましては、もちろん、運輸局とか、あるいは経済団体、ほかの省庁、農政局でございますとか、お酒の税の関係でございますとか、さまざまな省庁で連携をしまして、協議会のようなものをつくりまして、プロモーションをしているという状況でございます。

 今後とも、そうやって関係各省庁で連携をして努めていきたいというふうに思っております。

升田委員 時間が参りました。またの機会に東北経済について質疑を展開させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、真島省三さん。

真島委員 日本共産党の真島省三です。

 株式会社東芝の一万人リストラ問題について質問します。

 東芝の依頼を受けて粉飾決算問題を調査した第三者委員会の報告書は、粉飾について、経営トップらの関与を含めた組織的な関与のもと、意図的に当期利益の実力以上のかさ上げをする目的で、経営判断として行われたと断じております。

 東芝は、新生東芝アクションプランというのを出していますが、この一万人リストラの目的をどのように言っているでしょうか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、東芝におきましては、家電やパソコンを初めとする各種事業の経営状況の悪化を背景といたしまして、配置転換や希望退職などを含む包括的な構造改革方針である新生東芝アクションプランを公表し、順次実施をしているところでございます。

 当該アクションプランは、家電、パソコン、一部の半導体事業などの課題を抱えた事業におきます構造改革の断行によりまして、赤字の事業を整理し、事業運営を効率化する、こうしたことを通じまして強靱な企業体質への変革を図ることを目的としている、このように承知をしております。

真島委員 大臣にちょっと認識を聞きたいんですが、粉飾決算という企業ぐるみの法令違反行為、このツケを労働者に押しつけて幕引きを図ろうとしていると思うんですね。これは類を見ぬ理不尽な動機だと思いますけれども、大臣の感想をお聞かせください。

林国務大臣 長年にわたりというか、多額の虚偽記載が行われたということは承知しておりまして、極めて遺憾でございます。市場において適切な情報開示が行われることは大変重要なことでございまして、東芝における今後の適切な対処を期待しております。

真島委員 いや、粉飾決算の問題ではなくて、それを理由にして労働者に大規模なリストラというツケを押しつけて、それで乗り切ろう、こういうプランになっているということをどう思いますかとお聞きしたんです。もう一回。

林国務大臣 基本的には、企業努力といいますか、企業の判断になると思いますので、見守りたいと思います。

真島委員 経産省にお伺いしたいんですが、東芝のリストラはこれで終わりでしょうか。

安藤政府参考人 今大臣がお答えを申し上げましたように、東芝が今後どのような構造改革を行っていくのか、どのようなスピードで事業再編等々を進めていくのか、これは、まず一義的には東芝の経営陣が考えていく問題だと思っております。

 私どもは、そうした行動が、地域や雇用、さまざまな面で影響を与えかねないと思っておりますので、そういった状況を十分注視してまいりたい、このように考えております。

真島委員 これだけのリストラをやろうとしているのに、東芝に直接お聞きになっていないんでしょうか。

 私は、東芝本社に部屋に来ていただきまして聞きました。そうしたら、こういうふうに言いました。日本の電機産業全体の凋落の中で、他社は過去に一部事業からの撤退という思い切った構造改革をしてきたが、我が社は、不正会計で利益を水増ししていたために、一度にしわ寄せが来た、ようやく他社が過去にやってきたリストラをこれからやるんだと言ったんです、東芝本社は。今回のリストラは、終わりではなくて、今後のリストラの始まりだとはっきり東芝本社は認めました。

 昨年十二月、東芝は、突然青梅事業所を一六年三月に閉鎖、売却すると発表し、二千人を超える労働者と西多摩地域の市民に大きな衝撃を与えています。三月十一日、浜中啓一青梅市長と並木心羽村市長が東芝の室町正志社長宛てに青梅事業所の存続に関する要望書を出しております。両市長は、半世紀近い歴史を持つ青梅工場の閉鎖は、両市のみならず、西多摩のまちづくり全般に影響があるだけでなく、多くの市民が悲しみ、その生活に大きな影響を与えることは明らかだ、関連企業への影響も憂慮にたえませんとして存続を、やむを得ない場合でも、一部でも存続をと強く求めておられます。

 東芝大分工場の労働者と大分市民も、昨年十月二十八日、大分工場の大規模なリストラを報道発表で突然知らされました。画像用半導体事業をソニーに売却し、従業員二千四百人のうち千百人をソニーに転籍、残る従業員は一〇〇%子会社の岩手東芝エレクトロニクスと統合、新設する会社や他工場に再配置か遠距離配転、または早期退職という内容です。大分工場の取引会社は約四百五十社と言われておりますが、関連下請で働く人が敷地内に約千人、敷地外に三千人もいます。

 政府として、東芝に対して、雇用と取引企業、地域経済を守るために最大限の努力を要請すべきだと思いますけれども、どうですか。

安藤政府参考人 お答え申し上げます。

 企業が事業所の閉鎖あるいは人員削減などの構造改革を実施するに当たりましては、地元あるいは取引先、従業員の皆様など、関係者の皆様にしっかりと説明をして、地域経済への影響にも配慮をするなど、丁寧な対応を行うことが私どもとしても大変大事なことである、このように認識をさせていただいております。

 経済産業省といたしましては、東芝に対しまして、構造改革の実施に当たり、こうしたきめ細やかな対応を最大限求めてきているところでございます。引き続き、状況を十分注視し、必要な対応を行ってまいりたいと思っております。

真島委員 青梅工場では秋の青梅祭りが盛大に開催され、大分市でも、新日鉄が春祭り、そして東芝が夏祭りをしてきました。地域の皆さんは、毎年、こうした祭りを楽しみにされているそうです。

 これからどうなるんだろうかと地域の皆さんは心配されています。半世紀近い歴史を持っている大企業の工場は、地域に根を張っておりますし、地域の体の一部のような存在になっております。だからこそ、青梅の浜中市長は、約五十年操業しており、地域経済、地域社会にも大きな影響が出るとおっしゃっております。

 青梅工場がある羽村市では、並木市長の指示で、市内の下請会社にどういう影響が出るのか、市民税などの減収がどのくらいになるかということについて調査をしているそうです。既に東芝の下請三社を回って聞き取りをしたそうですけれども、どの会社からも、青梅工場が閉鎖になれば仕事を失い、会社が潰れてしまうという回答があったそうです。小作駅前の飲食店の聞き取りでは、東芝の皆さんにはよくお店に来ていただいているので、青梅工場がなくなったらとても営業は続けられないという声があったそうです。

 大臣にお伺いしますけれども、私は、要請しています、注視しますだけじゃだめだと思うんですよ。国が声をかけて、東芝と地方自治体が同じテーブルについて、これから地域経済を守るためにどういう努力をしていくのか、協力をしていくのかという場をつくらなきゃいけないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

林国務大臣 真島議員の提案につきましては先ほど政府委員が答えたわけですが、まずは東芝及び地元自治体から話をよく聞いた上で状況を把握する、その上で、政府として必要な対応のあり方があればそれを検討してまいりたいというふうに思っています。

真島委員 そんな悠長なことではもう間に合わないんですよね。四月から、全国一斉にこのリストラを実行されようとしています。

 一方的に工場閉鎖とか大規模なリストラを発表して、わずか三カ月から四カ月のうちに、数百人から数千人の人々の雇用を奪ったり、生活を不安定にしたり、そして半世紀以上お世話になった地域を捨てるということがどんどんやられていっているんですね。これは黙っていたら地域経済の衰退に歯どめがかかりませんよ。これは国が傍観者ではいけないと私は思うんです。そのことを申し上げたいと思います。

 次に、東芝大分工場でソニーに転籍するように言われている労働者のことについてお聞きします。

 きょうは厚労省にも来てもらっていますけれども、事業譲渡に伴う労働条件と権利義務の承継に個々の労働者の同意が必要だとなっておりますけれども、この根拠は何でしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 事業譲渡に伴う労働者の権利義務の承継については、民法第六百二十五条第一項の規定に基づき、労働契約の承継について、承継予定労働者から個別に同意を得る必要がございます。これは、事業譲渡における権利義務の承継の法的性格が、個別に債権者の同意を必要とする特定承継とされているためでございます。

真島委員 ところが、大分県労連や市民団体などでつくる東芝リストラ問題を考える会が昨年十二月に行ったアンケートでは、ソニーへの転籍は個々の従業員が判断するのではなく東芝が決める、断れば自己都合退職扱いになり、退職金は三割になるというふうに会社から説明されたという方が何人もいらっしゃるんですね。

 二月の末にもアンケートを労働者に手渡して、三月四日に返されたアンケートを見せていただいたんですが、ソニーに転籍する労働者はこうおっしゃっています。東芝に残る道はないのかと聞いたが、ソニーに行くか自己都合でやめてもらうしかないと会社から言われました。

 このようなことは転籍や退職の強要だと思いますけれども、こんなことが許されるんでしょうか。

小川政府参考人 先ほどもお答え申し上げましたように、事業譲渡に伴いましては、権利義務の承継については個別の同意が必要でございます。

真島委員 こういうことは許されないということが確認できました。

 次に、東芝の大分工場で、子会社の岩手東芝と統合、新設する会社に転籍するように言われている労働者についてお聞きをします。

 商法改正による会社分割制度の創設にあわせて労働者保護を目的にできた労働契約承継法、これは、承継会社に承継される事業に主として従事する労働者の労働契約は、新会社に包括承継され、労働条件は承継、維持されるのが原則となっています。

 配付資料の一を見ていただきたいんですが、ちょっと小さい字で恐縮ですが、右側の黒い囲みをしている(六)のところ、これは東芝と岩手東芝が二月二日に締結しました吸収分割契約というものですが、「本会社分割により、本件事業に従事する当社の従業員に係る雇用契約及びこれに付随する権利義務は吸収分割承継会社に承継されず、」と書いてあるんですね。

 そして、配付資料二をごらんいただきたいんですが、これは厚労省が労働契約承継法を説明している図なんですが、今回の東芝の場合は、このように分割契約に労働契約を承継する旨の定めがありませんので、この図でいきますと、ケース二に当たると思うんですが、いかがでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御提示の配付資料一にございます、二〇一六年二月二日付の東芝のプレスリリース中に、「本会社分割の要旨」の(六)に、「なお、本会社分割により、本件事業に従事する当社の従業員に係る雇用契約及びこれに付随する権利義務は吸収分割承継会社に承継されず、当該従業員については、新しい製造会社への転籍、当社内での配置転換等を基本とします。」とございます。

 この一事だけをもって断定することは困難ではございますが、一般的には、承継される事業に主として従事している労働者であるにもかかわらず、分割契約等にその労働者の労働契約を承継する旨の定めがない場合は、配付資料二のケース二に該当するものでございます。

真島委員 このケース二、労働条件の不承継ということに対して、ここに書いてあるように、異議の申し出を行えば、もとの会社の労働条件が新会社に承継されるということでよろしいでしょうか。

小川政府参考人 一般的に、ケース二に該当する場合、承継される事業に主として従事している労働者は、分割契約等に当該労働者の労働契約を承継する旨の定めがないことについて、通知された日から異議申し立て期限までに、書面により、異議の申し立てを行うことができます。

 この異議の申し立ての効果として、当該労働者が分割会社との間で締結している労働契約は、会社分割の効力が生じた日に、労働条件を維持したまま承継会社等に承継されることになります。

真島委員 ところが、東芝と岩手東芝の分割契約には、その後に、「当該従業員については、新しい製造会社への転籍、当社内での配置転換等を基本とします。」と書いてあります。そして、東芝から対象の労働者には、労働契約承継法はおろか、異議申し出をすれば新会社に労働条件が承継されるということも知らされないままで、こういうふうに言っているんです。新会社に転籍すれば基本給が二割減ります、しかし、東芝がその差額を一時金で払うので転籍に同意してくれ、こういう説得が現場ではされていると労働者から聞きました。

 東芝のやっていることは、この労働契約承継法のいわゆる転籍合意方式と言われるらしいんですが、これを使って、異議申し出権を知らない労働者に、子会社への転籍と大幅な賃下げを事実上強制していると思うんですね。

 いずれにしろ、この労働契約承継法は、協議、通知、同意という手続を省略することは許されておりません。

 これは東芝本社に聞いたんですが、二月八日ごろに、対象の労働者に対して書面による通知を出しました、通知事項は、異議申し出の権利等、その期日も含め、法律で定められた事項は全て記載しています、異議申し出期間はほぼ一カ月ですというふうに説明がありました。このとおりだとするならば、三月上旬にはこの異議申し出は既に締め切られています。

 しかし、先ほども言いました、大分県の東芝リストラ問題を考える会がやったアンケート、三月七日に返信されたものを見ますと、新会社に配置転換になる労働者が、承継法に基づく通知が来ていない、異議申し出権があることも知らされなかった、会社から何の説明もなかったというふうに答えております。東芝は四月一日に分割契約の効力が発生すると言っているんですが、労働者への通知という労働契約承継法の手続がされないままで、そんなことをしていいんでしょうか。

 そして、もう一つお聞きしたいのは、通知を受けていない労働者は、四月一日以降であっても、改めて異議申し出をすることは可能なんでしょうか。

小川政府参考人 お答え申し上げます。

 仮定のお話にお答えすることは困難ではございますが、一般に、承継される事業に主として従事する労働者で、分割契約等にその者の労働契約を承継会社が承継する旨の定めがないものが、承継法に基づく通知を適法に受けなかった場合には、その労働者は、会社分割の効力が発生する以後においても、承継会社等に対し労働者たる地位の保全または確認を求めること、分割会社に対してその雇用する労働者ではないことの確認を求めることができるものと考えられております。

真島委員 今のお答えは、そういう異議申し出権も知らされないまま転籍を命じられた労働者の皆さんには非常に励みになる、本当に希望が持てる答弁でした。

 会社分割の際には、改正商法附則五条により、労働者に通知をした上、会社と労働者の間で協議をしなければ、会社分割そのものが無効になるとなっております。ところが、その手続を定めた労働契約承継法について、東芝大分工場の多くの労働者がアンケートでは知らなかったと答えておりますし、また、一月二十七日に、大分工場に、先ほどの考える会の皆さんが要請に行ったときに、同工場の総務グループ長、この人も知らない、そんな法律のことを知らなかったというふうに言ったそうなんですね。東芝大分工場の労働者も、そして使用者も労働契約承継法を知らない。

 周知徹底というのをよく皆さん方はおっしゃるんですけれども、これは企業に直接乗り込んで、経営者と対象の労働者全てにパンフレットを渡したりとか直接説明するとか、そういうことをやっていかなきゃいけないと思うんですが、いかがでしょうか。

小川政府参考人 従来から、大規模な雇用調整事案が生じた場合には、都道府県労働局等において事実関係の把握等に努めているところでございます。その際には、あわせて、会社分割が行われる場合には、労働契約承継法等の手続も遺漏なく行わなければならないことについても十分に周知啓発をしてまいりたいと考えております。

真島委員 周知徹底というのは何をしているんですかといったら、労働局にパンフを置いていますとか、ホームページでお知らせしていますしかレクのときにおっしゃらなかったんですよ。これだけ大規模なことが法律も知らされずにやられているということですから、これはやはり皆さん方のお仕事として、もう周知徹底の対象ははっきりしているわけですから、もっと前のめりに仕事をしていただきたいというふうに思います。

 今、いろいろな事例も御紹介しましたが、ぜひ事実関係を調査して対処していただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

小川政府参考人 繰り返しになりますけれども、このような大規模な雇用調整事案につきましては、都道府県労働局等におきまして事実関係の把握、それから適切な雇用管理の実施に向けた啓発指導とか再就職援助等の対応を行っておりますし、引き続きこういうことはやっていきたいと考えております。

真島委員 明らかに法律に反するような事実が労働者からたくさん寄せられておりますので、ぜひ対処していただきたいと思います。

 大臣にお聞きしますけれども、これは通告していませんが、シリコンアイランドという言葉を御存じでしょうか、別に御存じなければ御存じないでいいんですけれども。

林国務大臣 存じ上げておりません。

真島委員 勉強不足とは言いませんけれども、シリコンアイランドというのは九州のことなんですよ。これは国を挙げて九州に半導体事業を集積するというのをもう半世紀以上、経産省を挙げてやっていることですので、ぜひ勉強していただきたいと思います。

 一九六七年に三菱電機が熊本県の現在の合志市に半導体工場の操業を開始しました。七〇年代から八〇年代にかけて九州各県に次々に半導体工場ができて、最盛期には九州地方の半導体生産量が全世界の一〇%にも達していたんですね。だから、シリコンバレーに倣ってシリコンアイランドというふうに呼ばれたんです。

 東芝の大分工場は、一九六九年十一月十二日に、当時の東芝の代表取締役社長土光敏夫さんと大分県知事、大分市長、大分県議会議長や市議会議長との間で結ばれた協定書もございます。最近でも、県から東芝には五億円もの補助金が出ているんですね。

 政府は、こういう九州の半導体事業の集積を国策として大変強く後押ししてきました。でも、後押しするときにはわあわあ騒いでいるんですけれども、今のようにどんどん衰退していくときにはなかなか国の姿が見えないというのが現状だと思うんです。

 資料三を見てください。

 私の調査では、これは新聞から、経産省もこういう事業撤退の一覧表を調べていないので、ずっと新聞記事で調べました。そうしたら、九州の大手電機メーカーは、リーマン・ショックのとき、二千人を超える非正規切りをやっています。その後、十六カ所の工場が閉鎖されて、リストラは正社員にまで及んで、〇九年からこれまでに五千人以上の地元の雇用が失われております。とりわけ、大分県では、下に太字にしていますが、大手電機メーカーの工場の閉鎖やリストラが、この間四年続けて行われているんですね。これは書いているとおりです。

 もう時間が来ましたのでまとめますけれども、私は、この電機産業、東芝の凋落の原因というのは、当期利益至上主義で粉飾決算をやったというのも第三者委員会で指摘されていますが、同時に、働く人とその技術を切り捨てる大規模なリストラを、これも利益至上主義でやってきた。そして……

高木委員長 申し合わせの時間が来ておりますので、御協力願います。

真島委員 もう一つは、未来のない原子力事業などの国策に甘えて、社会に貢献する経営努力を怠ったということだと思います。

 そういう粉飾決算の問題は今後追及したいと思いますが、きょうの指摘を踏まえて、経産省としても前向きの動きをしていただきたいということを申し上げまして、私の質問を終わります。

高木委員長 次に、木下智彦さん。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 本日もお時間をいただきまして、ありがとうございます。きょうは大分時間が押しているようなので、頑張って急いでやっていきたいと思います。

 まず、まずと言いながら、きょうはもうテーマは一つだけ、前回質問させていただいた続きをしたいと思うんです。石油コンビナート事業再編・強靱化等推進事業、補助金がたくさん入っている事業ですけれども、これについて前回の質疑の続きというか、そこで答弁いただいたことについて私が思ったことを中心に聞いていきたいと思うんです。

 まず最初なんですけれども、この事業、一つは千葉の京葉コンビナートにたくさんお金が入っている。対象となっている企業はどこかというと、東燃ゼネラルさんとコスモ石油さんだと。これは相当の大企業じゃないか、業界のトップファイブじゃないかというふうな感じのことをお話しさせていただいて、こんなところに補助金をするんじゃなくて、適正な規制をするべきなんじゃないのというふうにお話しさせていただいたんです。

 そうしたら、政府側の答弁はどうであったかというと、詳しくはあれですけれども、ずっと今までは黒字で相当な利益を上げていたけれども、直近でいうと赤字なんだ、相当苦しい状態になっているんだ、だから政府が補助金を出さなきゃいけないんだというような感じの答弁をされたんですね。

 でも、冷静になって考えてみると、これはおかしな話で、直近は赤字なんです、確かにそうです、でも、補助金というのは黒字のときも出しているんですよね。これはどういうことなのかなと思うんです。

 しかも、篠原委員が先ほどちょっと出されていたものをちらっと見ていたら、二〇三〇年ごろには、エネルギー基本計画の中の石油のパーセンテージは今の一〇・三%から三%ぐらいに落としていく、そういうふうな感じのことが表にも出ていたんです。それを見ていると、これから先もこの補助金を続けていくつもりがあるのかどうか、これをまずちょっとお聞かせ願いたいんです。お願いいたします。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の石油コンビナート事業再編・強靱化等推進事業では、将来の巨大地震を想定した製油所の耐震、耐液状化対策などの強靱化の推進、製油所や石油化学工場の連携による設備の統廃合など、企業単体での取り組みを超えたコンビナート全体での生産性向上を通じて、国内の安定的なエネルギー供給基盤を維持強化するという政策目的に向けた投資を支援するものでございます。

 このため、本事業の公募に当たりましては、こうした政策目的に沿った取り組みであれば、企業規模の大小、業績のよしあしにかかわらず、採択することとしております。

 また、本事業で支援する事業は、強靱化につきましては、災害発生直後の電力、ガスの供給障害時にエネルギー供給の最後のとりでの機能が求められる石油の供給を万全にすべく、現在の保安基準を上回る強度を確保するために必要な、大企業とはいえ実施が困難な対策のみに絞り、コンビナートの設備統廃合につきましても、複数の事業所を統合運営するために必要な海底パイプラインの設置など、大企業であっても企業単体での投資が困難な規模の工事のみに絞ってございます。

 こうした公益性を伴う投資につきましては、大企業とはいえ、石油会社の自発的な投資が十分に進まないことから、今後とも、政策目的にかなう限り、支援をしていきたいと考えております。

木下委員 早く終わろうと思ったんですけれども、人は違うんですけれども前回と同じ答弁をされるので、早く終わりたいと思っても終われないですね、こんなあれだと。

 要は、私が聞いているのは何かというと、これから先、石油をエネルギー計画の中でどんどんどんどん下げていこうとしているのに、まだまだこれを続ける気があるのか。これはシンプルに答えていただくだけでいいんです。内容はわかりますよ、強靱化していかなきゃいけない、大企業であってもやらなきゃいけない。ある程度答えになっているのかもしれないけれども、解にはなっていないんじゃないかなと思うんです。

 だから、やはりこれは本気でこの補助金のあり方を考えなきゃいけないんじゃないかなと、今の答弁を聞いていて、切に思う次第なんですね。

 では、もう次に行きます。

 もう一つ聞いたのが、この横長の紙、前回と同じものを出させていただいていますけれども、左側の二つですね、ここを補助金が通過していって下に落ちていくという状態。ここに経産省のOBの方が入っているというふうに言ったんですね。そうしたら、この補助金の事業とは全く関連性がないというふうに言われた。私の方から、それを証明できるのかと言ったら、余り証明できるような答えが返ってこなかったんですけれども、それをどんどんどんどんやっても、これは絶対またまともな答えは返ってこないと思うので、一つだけ聞きたいんです。

 例えば、この石油連盟、OBは多分二人入っていらっしゃるということなんだと思うんですけれども、中で何をされているんですか、どういう仕事をされているんですか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 石油連盟でございますけれども、我が国の石油産業全体の発展、その育成をさまざまな観点から取りまとめる、政策提言をする、分析を行う、こういった活動をしております。

 その中での中心的な役割を果たすべく、石油連盟から請われて石油連盟に入っておるというふうに理解をしております。

木下委員 今の答えだと、要は、中心的な役割、石油の発展というふうなものを石油連盟は担っていてと。この補助事業も、その観点でやられた補助事業じゃないですか。中で縦に割れていて、こういうふうな分野だから違います、こうだからこうだというふうに、しっかりこれを分けられるかというと、今の答弁だと関連性があるんじゃないかというふうに思ってしまうんですよね。

 大臣もこれはお答えされたんですけれども、関連性がない、この経産省のOBはこの補助事業とは全く違う仕事をされているんだというふうに言っているんですけれども、今の答弁だったら全然はっきりしないですよ。これは、そんなことをそのまま放っておいていいわけがないというふうに、ますます今の答弁を聞いていて思った次第です。

 では、次に行きます。もうこれで最後にします。

 きょうの資料、ほかに三枚つけさせていただきました。縦長三枚ですね。これは何かというと、左側二つの流れの中で、今までに、この真ん中の補助事業者の公募をしたときの書類が経産省資源エネルギー庁のホームページにありまして、そこの中の抜粋です。

 上から見ていっていただきたいんですけれども、まず最初に、平成二十六年の一月二十七日付の、ここの応募資格、五番と書いています、ここを言いますと、「次の要件を満たす企業・団体等とする。 本事業の対象となる申請者は、次の条件を満たす法人とする。」と。「法人とする。」と書いてあるんです。四角にしています。

 しかし、決まったところはどこかというと、石油連盟。それで、前回の答弁それから参議院の予算委員会でもおっしゃられていましたけれども、この石油連盟は法人格を持たない。これは、応募の資格を有していないところに、公募の結果、決まっているということになりませんか。これは答弁していただいても、これもまたまともなものは返ってこないと思います。

 次に行きます。二枚目。平成二十八年の二月十日。これは今回のものです。これを見てみると、どう書いているか。応募資格のところに、これは法人格を有すると書いていないんですね。まだこれはどこになるかわかりませんけれども、書いていない。

 三枚目。同じく二月十日。これは、石油コンビナート事業再編・強靱化等推進というところの石油産業構造改善事業。これは恐らく左側のところに当たるもの、同じものだと思います。過去で見ると、RINGという方が、石油連盟ではなくRINGという方が落札してきたところ、落札というのか、応募要件を満たして指名されているというところなんです。そこは、同じ平成二十八年二月十日、ことしの二月十日なのに、応募資格のところ、2に「法人格を有し、」とそのまま残っているんです。

 これは何でなんですか。片一方は、同じ日にやっていて、今までは、この二十八年、二十七年もそうでした、二十六年は補正予算のときだったと思いますけれども、ここは法人格と書いていたのに、去年ぐらいから、石油連盟が落としたところに関してだけ、法人格を有しとか、法人であること、そういう限定を外しているんですよ。これは何で外しているんですか。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の石油供給インフラ強靱化事業の補助事業者の募集におきましては、本事業を的確に遂行する組織、人員等を有していること、本事業を円滑に推進するために必要な経営基盤を有していること等の条件を満たす企業、団体等を広く募集することを意図しておりました。

 他方、公募要領の作成に当たり、他の補助事業の公募要領を参照したところ、「法人」の文言が過って記載されたものでございます。このため、翌年度以降の公募要領では修正を行っております。

 他方、石油産業構造改善事業につきましても、同様に、他の補助事業の公募要領を参照し作成いたしましたところ、「法人格を有し、」という文言が記載されたままとなっているものでございます。

 いずれにせよ、本事業の執行に際し、法人格の有無は事業の成否に影響を与えるものではないというふうに考えております。

木下委員 過って記載されて、本来は要らないというふうに言われたんですね、今。RINGもそうだと思います。

 では、これは、今までやっていたことは間違っていたということですよね。だって、公募の中に、今まで、過去のものがそのまま残っているんです。それで、公募するところは、法人格であったり、法人格じゃないところが決まっているわけですよ。こんなのは不公平をそのまま残しているということじゃないですか。もしかしたら、万が一、そんなことはあり得ないと私は思いますけれども、法人格を有していないからだめだと断念したところだって出ているかもしれない。なのに、前の答弁で何と言っているかというと、広く公募して公平にやったと。広く公平にやったと思えないじゃないですか。

 しかも、私、ずっと過去のものをいろいろ見てきました。全部、法人格を有することとか書いています。だから、それをコピペしたからそのままで間違っていたんだと言っているけれども、では、もとを正せば法人格というのは何で必要なのかと。最初に書いたところが、どこかが必要だったから。それで、今回は必要ない。

 これはどういうことかというと、前にも言ったとおり、最初から決め打ち、公募といいながら一者しか応札がなかった。これは、普通の地方議会でいったら、私、地方議会を経験している方に聞いたら、もうその時点で、一者しかなかった時点で公募と言えない、それは普通は不調という形になるんだというふうに言っているんですね。政府がこんなことをしていていいんですか。

 これは最後に大臣に御答弁いただきたいんです。ここは、しっかりと中を見ていただいて、適正に対処を絶対お願いしたいんです。大臣、最後に、ほんの一言で結構ですので、よろしくお願いします。

林国務大臣 今ほど政府参考人から答弁させていただきましたけれども、過去に、石油供給インフラ強靱化事業の執行団体を募集する際、応募資格として法人格を求める記載をした不備があったということは事実でございまして、こうした不備は本来あってはならないことと考えております。

 予算執行に際しまして、公募要領の内容も含めて、二度と同じようなことが生じないよう細心の注意をもって事業執行に当たるよう、事務方に対して厳しく指導を徹底していきたいと思っております。

 なお、この補助事業の実施に当たっては、執行団体の法人格の有無が事業の成否に影響を与えるものではないというふうに認識はしておりますし、また、補助金が適正に管理されていたことも確認をしているところでございます。

 一方、木下先生御指摘の石油コンビナート事業再編・強靱化等推進事業のうち、石油供給インフラ強靱化事業の執行については、まず、執行団体として選定された石油連盟は、石油精製業という特定業界の少数の大企業により構成される業界団体であること、また、本予算の事業の性質上、実態として、執行団体の構成員である企業のみに補助金が交付されていること等の特有の事情が重なっていることを総合的に判断いたしまして、本補助事業に不適切な運用があるとは考えていませんけれども、国民に無用の疑念を抱かせない観点から、現在御審議いただいている平成二十八年度予算案の執行からは、石油連盟以外の団体での実施を前提に検討するよう、事務方に指示をいたします。

木下委員 ありがとうございます。

 早く終わろうと思ったけれども、結局過ぎてしまいました。

 先ほどの話だったらそうだけれども、でも、私は思いますけれども、法人格を有していないということは、口座の問題が、個人の口座になるから、そこに補助金が大量に入っていく、通過していくというのはちょっとおかしいんじゃないかなと。

 これはまた次の機会ということで、以上にさせていただきます。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。林経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 気候変動に関する国際連合枠組条約の京都議定書において、平成二十年度から平成二十四年度までの五年間の温室効果ガス排出量を基準年比で六%削減するという目標が我が国に対して課されました。この目標を達成するため、国内対策を基本として国民各界各層が最大限努力してもなお不足すると見込まれた差分については、政府が国際的な排出量取引等を用いて対応することとし、平成十八年に独立行政法人新エネルギー・産業技術総合開発機構法を改正して、同機構がこの業務を行ってきました。

 その法改正の際、京都議定書の目標の対象期間及び対象期間中の排出量の算出、確定等のための調整期間等を踏まえるとともに、将来の国際的な枠組みが未定であったこと等から、当該業務の関係規定は平成二十八年三月三十一日までに廃止するものとすると附則で規定されました。今般、その廃止期限を迎えるとともに、我が国は京都議定書の目標を達成し、同機構が排出量取引等の業務を継続する必要がなくなったことから、当該業務の関係規定を削除する等の措置を講ずるため、本法律案を提出した次第であります。

 なお、本法律は、平成二十八年三月三十一日から施行することとしております。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十八日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十六分散会


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