衆議院

メインへスキップ



第5号 平成28年4月1日(金曜日)

会議録本文へ
平成二十八年四月一日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 山際大志郎君 理事 伴野  豊君

   理事 升田世喜男君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      尾身 朝子君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    木村 弥生君

      塩谷  立君    関  芳弘君

      平  将明君    武村 展英君

      寺田  稔君    冨樫 博之君

      野中  厚君    福田 達夫君

      古川  康君    星野 剛士君

      三原 朝彦君    宮崎 政久君

      八木 哲也君    山口  壯君

      落合 貴之君    小山 展弘君

      近藤 洋介君    田嶋  要君

      中根 康浩君    本村賢太郎君

      中野 洋昌君    藤野 保史君

      真島 省三君    木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       林  幹雄君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   法務大臣政務官      田所 嘉徳君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府特別補佐人

   (原子力規制委員会委員長)            田中 俊一君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (法務省大臣官房審議官) 武笠 圭志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官)  平井 裕秀君

   政府参考人

   (経済産業省経済産業政策局長)          柳瀬 唯夫君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局長)            片瀬 裕文君

   政府参考人

   (経済産業省通商政策局通商機構部長)       渡辺 哲也君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長) 松尾 剛彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長)            藤木 俊光君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁資源・燃料部長)        藤井 敏彦君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (中小企業庁次長)    宮本  聡君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            土井 良治君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 深見 正仁君

   政府参考人

   (原子力規制庁次長)   荻野  徹君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月一日

 辞任         補欠選任

  尾身 朝子君     木村 弥生君

  大畠 章宏君     小山 展弘君

同日

 辞任         補欠選任

  木村 弥生君     古川  康君

  小山 展弘君     大畠 章宏君

同日

 辞任         補欠選任

  古川  康君     尾身 朝子君

    ―――――――――――――

三月二十四日

 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

同月二十三日

 即時原発ゼロを求めることに関する請願(梅村さえこ君紹介)(第九九二号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第九九三号)

 同(真島省三君紹介)(第九九四号)

同月二十九日

 原発再稼働をやめ、再生可能エネルギー中心の社会への転換を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第一一二一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)

 経済産業の基本施策に関する件

 私的独占の禁止及び公正取引に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 経済産業の基本施策に関する件並びに私的独占の禁止及び公正取引に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 両件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官時澤忠さん、法務省大臣官房審議官武笠圭志さん、経済産業省大臣官房原子力事故災害対処審議官平井裕秀さん、経済産業省経済産業政策局長柳瀬唯夫さん、経済産業省通商政策局長片瀬裕文さん、経済産業省通商政策局通商機構部長渡辺哲也さん、経済産業省産業技術環境局長井上宏司さん、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀さん、経済産業省電力・ガス取引監視等委員会事務局長松尾剛彦さん、資源エネルギー庁省エネルギー・新エネルギー部長藤木俊光さん、資源エネルギー庁資源・燃料部長藤井敏彦さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘さん、中小企業庁長官豊永厚志さん、中小企業庁次長宮本聡さん、中小企業庁経営支援部長土井良治さん、環境省大臣官房審議官深見正仁さん、原子力規制庁次長荻野徹さん及び原子力規制庁長官官房審議官山田知穂さんの出席を求め、説明を聴取したいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。寺田稔さん。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 きょうは、経済産業の基本的質疑ということで、大臣に、今現在経済産業省が抱えております諸問題のうち、大きく三つほど、その基本的な御見解、御所見をお伺いするものでございます。

 御承知のとおり、経済産業省、これはもう旧通産省時代以来、その設置法を引くまでもなく、役所のマンデートとして、日本経済の羅針盤を示し、そのグランドデザインを描くという大きな役目を負っているわけでございます。

 終戦直後も、まさに当時の通産省の主導で、傾斜生産方式、そしてまた、その後の新産・工特、いわゆる新産業都市あるいは工業整備特別地域ということで、今の地方創生のはしりのような仕事をまさに実現した。高度経済成長期を経て、その後の安定成長に入ってからも、ソフトノミックスの推進、また、バブル崩壊後は、産業クラスターを初めさまざまな政策を展開し、民間事業者に対して有意なグランドデザインを示すことによって、まさに事業者の参考となる一つの指針を示したというふうに言えようかと思います。今、ちょうど右肩上がりの時代から横ばいの時代あるいは人口減社会に突入をしたということでありまして、そうした社会の中で、いかなる日本経済のグランドデザインを示せるか、そして、それをベンチマークとして事業者に対して示していくことができるかというのが大変大きな課題になっているわけであります。

 そうした観点から、やはり地方の中小企業の問題、これをまずもって取り上げさせていただきます。

 近時の経済指標、ちょうどおとといも経済産業省の方より鉱工業生産指数が出されました。六%を超えるマイナスの数字となっております。また、国民経済の規模を示しますGDPの改定値もマイナス〇・三という数字であります。また、業況判断DIを見ましても、これは業種によって確かにばらつきがございます。一部製造業では、確かに好循環が生まれて、前向きの投資が惹起をし、賃上げも行われ、イノベーションも起き、そしてベストプラクティスが定着をして、それが汎用化をしているという業種も確かに見られるわけでありますが、地方の中小企業、これはまだまだこれからであるわけであります。ちょうど私も地方創生の特別委員会で与党理事を仰せつかり、もうほとんど地方創生の議論は、地方の中小企業あるいは小規模事業者をどういうふうに今後グランドデザインを描いて持っていくかという議論が大宗を占めております。

 そのような観点から、とりわけ地方の中小事業者、あるいは小規模事業者、あるいは零細事業者、これに対して、今後どういうふうな政策をもって対応されていく御所見なのか、大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 中小企業の足元の状況については、今先生御指摘がありましたけれども、着実に改善傾向にあるものの、やはり地域や業種あるいは事業者の規模によってばらつきがあるというふうに感じております。このため、地域の経済と雇用を支える中小企業あるいは小規模事業者の生産性の向上によって、収益力を高め、また経済の好循環につなげていくことが必要ではないかというふうに考えております。

 経産省としては、ものづくり補助金あるいは小規模事業者持続化補助金などによりまして、中小企業、小規模事業者が行う新たな商品、サービスの開発や販売開拓などを支援しているところでございます。また、都道府県にありますよろず支援拠点で、売り上げの拡大や経営の改善など、さまざまな経営課題の相談にきめ細かく応じているところでございます。

 こうした取り組みに加えまして、中小企業等の経営力を強化するための法案を国会に提出しているところでございまして、具体的には、政府が小売業、運送業、製造業といった業種ごとに、生産性向上の優良事例を指針の形でわかりやすく示す、そして、中小企業者がこれに沿った計画をつくりまして、生産性向上の取り組みを行う場合には、固定資産税の軽減や金融上の支援策を講じる、そして、商工会、商工会議所、地域金融機関等は計画の策定などを支援するというものでございます。

 固定資産税の軽減等の支援策をより多くの中小企業、小規模事業者の皆様に御活用いただけるよう、できるだけ早い施行を目指してまいりたいと思っております。

寺田(稔)委員 今、大臣から、今国会でこれは既に提出をされておりますが、中小企業経営強化法についても御説明があったわけですが、これは非常に重要な法案でございます。後ほどまたこの論点についても、これは政府参考人の方からも時間があればお伺いをしたいと思いますが、まずもって次の論点に進ませていただきます。

 地球環境問題、これは大変大きな問題ですし、経産省としても、循環型社会の構築また地域廃棄物の適正処理は大変大きな課題であります。これは、ひとり環境省のみならず、政府を挙げて取り組むべき最重要課題の一つとなっております。

 とりわけ、循環型社会の構築に当たりましては、いわゆる再利用の徹底、三つのRのうちの一つの重要な柱でありますが、いわゆるマテリアル・ツー・マテリアルと呼ばれます繰り返しの再利用、これを慫慂し、さらにそれを拡大させていくという、いわゆる拡大再生産ですね、この方向での材料リサイクル、これが非常に重要な分野となってきて、成長分野としても期待をされております。

 これは、いわゆる循環型社会構築の基本法のもとに、廃棄物処理法でありますとかあるいは容リ法といった一連の法体系の中で、ほとんどの部分は環境省を中心に経済産業省も所管をされている分野でありますが、とりわけこの容器包装の材料リサイクルにおきましては、最近の技術の進展、あるいはまた事業者サイドの努力、取り組みによりまして、再生材の品質の向上、また用途多様化などが図られ、将来に向けて大いにポテンシャルがある分野として注目をされております。

 この点は、今現在、産構審でも審議が進んでいることは御高承のとおりでありますが、そうした地域の環境産業を伸ばす観点からも、優良な材料リサイクル事業者が安定した地域廃棄物処理を図りながらゴーイングコンサーンとして事業経営を行って、さらにそのポテンシャルを伸ばしていく、拡大再生産ですね、そのように制度構築、あるいは制度の改善を図るべきであると考えますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 容器包装リサイクル制度は、家庭から排出される容器包装ごみについて、消費者による分別排出、市町村による分別収集、事業者によるリサイクルという関係者の適切な役割分担のもとで循環型社会を構築する重要な制度でございます。

 この制度におきまして、容器包装ごみを再びプラスチック製品の原材料にリサイクルする材料リサイクル事業は、制度の着実な運用を担う重要な存在でございます。現在、この事業者は全国に約五十社ございまして、年間約三十三万トンのごみをリサイクルしているところでございます。

 他方で、リサイクルの対象になるごみの量は横ばいでございまして、リサイクルされた製品が消耗品など価格の低いものにとどまっております。リサイクル製品の高付加価値化、あるいは需要拡大、事業者の生産性の向上が重要な課題というふうに認識しております。このため、優良な材料リサイクル事業者が安定して投資を継続して、ポテンシャルを伸ばせるよう、事業環境を整備することが重要だろうというふうに考えます。

 現在、環境省との合同審議会においてこの制度の見直しを検討しておりまして、具体的には、リサイクルされた製品の規格化、設備投資の促進等を行うことで、製品価値の向上や生産コスト低減につなげるなど、産業として育成強化を進めてまいりたい、このように考えております。

寺田(稔)委員 ぜひとも今大臣が言われております方向で産業としての拡大、定着、そしてまた循環型社会の構築に努めていただきたいと思います。

 今後の産業分野を考えるときに、いよいよTPP特別委員会も設置をされ本格的な審議がスタートするわけですが、経済産業省は全ての産業分野につきグランドデザインを示して、事業者にとっても、また経営者にとっても大いなるベンチマーク、よすがとなるものを示してきたわけであります。

 とりわけ農業分野、今回のTPPでも、どちらかというと、比較優位のない分野あるいは海外からどんどん攻められる分野という認識がどうも強いように思いますが、よく考えますと、我が国も豊かな自然と環境、また里山、棚田を持ち、農業生産の環境としては極めて優良な自然環境を持っている。また、国土の八割は優良な森林でございます。林業の観点からも極めて良好な環境がある。また、世界第六位の排他的経済水域を有している。漁業の観点からも極めて良好な基盤があることは実は余り知られておりませんが、世界有数の農業大国であることも事実でございます。

 総理の方からも輸出を一兆円にしようという目標が発表されたわけでございますが、今後の農業、とりわけ地方創生の観点からも、あるいは六次化でありますとか、今経産省が進めておられます地域資源の一層の発掘と活用、そして販路拡大、こういったような目から見ても、産業政策、産業論としての農業政策を強力に展開していただき、まさに伸びる農業、攻めの農業、そして、農水省が進めております個別のミクロの施策と相まって、産業としても大いに振興していただきたいと思っておりますが、大臣の御所見をお伺いいたします。

林国務大臣 農林水産業も中小企業と同様に、地域の雇用を支える上では大変重要な産業だというふうに考えます。日本再興戦略でも、稼ぐ力を強化し、地域の基幹産業へと脱却させていかなければならないとしているわけでございまして、経産省としても、農水省など関係省庁と連携しまして、商品開発から輸出まで切れ目なく支援をして、農業振興に取り組んでまいります。

 経産省では、これまでも、農商工等連携促進法に基づき、過去八年間で七百件の計画を支援してきておりますし、また、地域資源活用促進法に基づきまして、過去九年間で千五百件の計画を支援してまいりました。その約三分の一の五百件は、農林水産品を活用した食品の開発や販路開拓でございます。

 今後、総合的なTPP関連政策大綱を踏まえまして、経産省としても取り組みを強化してまいります。まず、こうしたものを活用して、農商工連携や農水産物の活用による加工食品の開発、販路開拓を重点的に支援してまいります。

 さらに、内閣官房にことし一月設置されました農林水産業の輸出力強化ワーキンググループに私も副座長として参画しておりまして、早速この二月には、ジェトロあるいは中小機構等の支援機関を結集して、地域の事業者の海外展開を応援する新輸出大国コンソーシアムを立ち上げたところでございます。また、一月に設置したコンビニエンスストアとジェトロとの協議会を活用いたしまして、コンビニエンスストアの海外展開を通じた農産物の販路拡大を進めてまいります。

寺田(稔)委員 以上、主要な三つの論点につき、大臣よりその御所見をお伺いしました。ちょうど質疑時間も来まして、若干残余の質問も政府参考人向けにあったわけでございますが、ぜひそうした骨太のグランドデザインを示して、日本経済を牽引していく、そうした経済産業省の気概と、そしてやる気を持って、日本経済を大いに引っ張っていただきたいと思います。ありがとうございました。

 終わります。

高木委員長 次に、富田茂之さん。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 今、大臣の方から、寺田先生の最後の質問に対して、新輸出大国コンソーシアムのお話がありました。これを聞こうと思っていたので、うまくつないでいただいたなというふうに思います。

 皆さんのお手元に一枚のポンチ絵を配らせていただきましたけれども、支援機関の連携による具体的な支援の進め方ということで、ジェトロ、中小機構、NEDO、金融機関などの支援機関を幅広く結集したコンソーシアムを設立する、海外展開を図る中堅・中小企業に対して、専門家が寄り添い、技術開発から市場開拓に至るまで、さまざまな段階に応じて、場合によっては、複数の機関が連携して、単一の支援機関では提供できないような支援策を提供するなど、総合的な支援を可能とする体制を構築するということで、輸出、海外展開の拡大に向けて、本当にいろいろなことをやっていこうというポンチ絵になっています。この点について、今後どういうふうにされていくのかを質問したいというふうに思います。

 まず、中小企業の海外展開をめぐる現状について確認をしておきたいんですが、中小企業庁の方で、損保ジャパン日本興亜リスクマネジメント株式会社に委託して、二〇一三年十二月に「中小企業の海外展開の実態把握にかかるアンケート調査」というのをやられたようです。これを見ますと、輸出企業の約七割が海外展開のさらなる拡大を行う意向を示すとともに、輸出をまだ実施していない、そういった輸出未実施企業でも、約四割が新たな海外展開に関心ありというふうに回答されています。

 他方、アメリカの調査会社でありますフューチャーブランド社の国別ブランド評価二〇一四―二〇一五年版によりますと、日本のブランド力は世界第一位になったというふうに報告されておりまして、電機製品等の製造業だけではなくて、医療、食品、ファッション等のブランド力も向上しており、海外での日本製品のニーズの高まりがこの報告書では報告されております。

 このように、海外でのニーズがあって、また企業の海外展開の意欲も高いにもかかわらず、実際には、海外ビジネスを担う人材不足と海外の情報の不足が中小企業にとっての高いハードルになっているというふうにジェトロ貿易投資白書では指摘がされています。

 こういった課題を踏まえて、新輸出大国コンソーシアムを設立して、こういう課題にどういうふうに経産省としては取り組もうとされているんでしょうか。

林国務大臣 富田先生御指摘のように、現在、六千社の中小企業が輸出をしている一方、中小企業白書によれば、まだ輸出を行っていない中小企業、小規模事業者の約四割が海外展開に意欲を示しているということでございます。

 ジェトロのアンケート調査によれば、こうした中堅・中小企業が海外展開をしようとする場合には、現地でのビジネスパートナーをどう探せばよいかわからないとか、あるいは海外ビジネスを担う人材がいないとか、そもそも海外市場に関する情報が不足しておりまして、どのように海外展開を進めればよいのかわからないといったような課題がございます。こうした課題に応えるため、関係機関が連携してきめ細かく総合的な支援を行う必要がございます。

 このため、二月二十六日、ジェトロ、中小企業基盤整備機構、日本商工会議所、日本弁理士会などの機関の参加を得て、新輸出大国コンソーシアムを設立したものでございます。

 これに海外ビジネスに精通した専門家を最大四百人程度ジェトロに配置いたします。そして、これらの専門家が個々の企業の担当となりまして、海外事業計画の策定、そして支援機関の連携の確保、また現地での商談や海外店舗の立ち上げなどのサポートを、まず四千社程度の中小企業に対して行うこととしているところでございます。

 中堅・中小企業がTPPで開かれる新しいチャンスをつかんで飛躍できるよう、そして地域が元気になるよう、政策を総動員して支援をしてまいりたいと思っております。

富田委員 すごくいいことだと思うんですが、実は平成二十七年度補正予算、そして平成二十八年度予算、ともに成立しましたけれども、この中で、中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業あるいはふるさと名物応援事業というのが予算化されています。これらの事業と新輸出大国コンソーシアムがどういう関係になるのか。

 例えば、中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業のイメージとして、経産省の資料を見ますと、海外ビジネス戦略推進事業、あるいは海外展示会への出展支援、商談機会の提供等、また海外展開現地支援プラットフォーム等が掲示されております。また、ふるさと名物応援事業のイメージとして、TPP対策として、ふるさと名物応援、JAPANブランド育成支援、JAPANブランド等プロデュース支援というのが挙げられています。

 今大臣が、新輸出大国コンソーシアムでこういったことをやっていきたいんだというのは、この中小企業・小規模事業者海外展開戦略支援事業とふるさと名物応援事業とかなりダブる部分があるんだと思うんですが、それぞれの事業と、今回考えられている新輸出大国コンソーシアムというのはどういう関係になるんでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 新輸出大国コンソーシアムのもとでは、ジェトロ、NEDO、中小機構などの支援機関が提供する政策を総動員いたしまして、支援対象企業のニーズに応じて、きめ細かく支援を行っていく考えでございます。

 例えば、地域資源の活用や農商工連携による新商品の開発などを支援いたしますふるさと名物支援事業の活用を促したり、また、新たに開発した商品をジェトロが実施する見本市や商談会に出展し販路開拓を図るなど、御指摘のような支援策も含めて、新輸出大国コンソーシアムのもとで、これがキーワードになるのかなと思いますが、有機的に連携をさせて支援を行ってまいる考えでございます。

 中堅・中小企業がTPPで開かれる新しいチャンスをつかんで飛躍をできますよう、そして、ここが一番大事だと思っておりますが、地域が元気になるよう、新輸出大国コンソーシアムのもとで、総力を挙げて支援してまいりたいと考えております。

富田委員 ぜひ有機的に結合できるように、三役の方で頑張っていただきたいと思うんです。

 実は林大臣は、三月二十八日付の御地元であります千葉日報社のインタビューで、先ほど言われたように、新輸出大国コンソーシアムに関して、「輸出支援でジェトロと連携」、また「海外コンビニで販促実験も」というふうに語られております。委員長のお許しを得てちょっとその新聞をお見せしたいと思うんですが、大臣のこういう笑顔が載ったすごくいい写真だと思うんですけれども、さまざまな分野に答えられて、千葉日報の方で見出しをつけられたと思うんですが、「輸出支援でジェトロと連携」「海外コンビニで販促実験も」というふうに大きな表題がついております。

 一方、ジェトロの方では、平成二十五年度から二十七年度にかけまして、企業OB等の外部専門家によるハンズオン支援事業を実施し、これまで約半数が海外展開に成功した、そういう資料をいただきました。また、ジェトロは、公的機関や地銀等の支援ネットワークである海外展開一貫支援ファストパス制度の事務局として、相談案件の取り次ぎや情報共有を実施してきたというふうに言っております。

 これらの経験をもとに、コンソーシアムでは、より効果的な支援を実施したいということで、まず中小企業がたらい回しにされないよう、専任のコンシェルジュを全国の四十三のジェトロ事務所に配置して支援機関とツールを案内する、また、先ほど大臣も言われていましたが、外部専門家四百名によるハンズオン支援と専門分野に特化したスポット支援を提供していくというふうにジェトロの資料には書いてありました。

 このコンソーシアムの効果的な活用に向けて、大臣はどのようにリーダーシップを発揮していかれるのか、お聞かせ願いたいと思います。

林国務大臣 海外展開しようとする中小企業を支援する上で、特に三つの視点から取り組んでいきたいと思っております。

 第一に、進出しようとする企業が支援を受けられるような体制をつくり上げるということが重要だと思っておりまして、今先生から御指摘がありましたように、都道府県のジェトロ、中小機構、商工会、商工会議所、よろず支援拠点、これらが総合的支援の窓口になるような体制をまず整備するということでございます。

 第二番目に、できるだけ早く成功事例をつくり上げまして、全国の中堅・中小企業に共有することで、海外展開の経験のない中小企業の方々も海外市場の獲得に向けた取り組みを開始するきっかけを提供できればというふうに思っております。

 第三に、異業種間の連携や他の政策との連携の推進も重要でありまして、私自身もベトナムのコンビニエンスストアを視察してまいりまして、海外における日本のコンビニエンスストアが、中小企業が扱う食品や日用品の販路となる可能性を実感したところでございます。こうした異業種間の連携を進めることで海外展開の実効性を高めていきたいというふうに考えております。

 新輸出大国コンソーシアム、ジェトロとコンビニエンスストアの連携の推進といった枠組みを最大限活用しながら、政策を総動員して、海外展開の支援に全力で取り組んでまいりたいというふうに考えております。

富田委員 大臣はこの前ベトナムに行かれて、実際に見てこられたということで、ぜひ大臣のリーダーシップを期待したいと思います。

 実はジェトロの石毛博行理事長は、大臣の御出身であります県立佐原高校の後輩ですよね。この人間関係もぜひフルに活用していただいて、石毛さんは、中小企業庁長官とか局長も二つほどやられて、最後は審議官で経産省をやめられたんですが、天下りではなくて、公募に応じてしっかりとかち取って理事長になったんだというふうに何年か前に私は聞いたことがありますので、ぜひ大臣の方で、石毛理事長と連携した上で、ジェトロをうまく活用していただきたいと思います。

 最後になりますが、先ほども農産物の輸出の件が出ておりましたけれども、二〇一五年の農林水産物、食品の輸出額は前年比二一・八%増の七千四百五十二億円となりました。二〇一四年六月からはEU向けに牛肉が輸出できるようになったりしていますが、まだまださまざまな国、地域で、検疫上の理由で輸出できない品目があります。また、東京電力福島第一原発事故の影響で、過度の輸入規制が東アジア諸国を中心に残っております。

 本来は農水省の所管であると思いますけれども、新輸出大国コンソーシアムの効果的な運用を考えると、大臣、副大臣、政務官が、こうした規制が緩和されるよう、先頭に立って交渉に当たることが期待されると思いますが、今後どのように取り組んでいくんでしょうか。

高木副大臣 ただいま委員御指摘のように、東京電力福島第一原子力発電所の事故に伴いまして、特に我が国の農林水産物、食品に対して、放射性物質に関する輸入規制が設けられております。

 これらの国、地域の数は、事故後の五十四から現時点では三十七にまで減少しておりますけれども、特に我が国にとって重要な輸出先でもある香港、台湾、中国、韓国などは、今もなお日本産の食品等の輸入規制を行っております。

 経産省としては、農水省、外務省とも連携しながら、輸入規制を行っている国の貿易担当部局との協議の場、そういった機会を捉えて規制の緩和、撤廃を求めております。

 私自身も、就任してから、特に風評被害でございますので、安全だと幾ら口で言ってもなかなかオーケーは出ないということで、本当は福島に来て、見ていただくのが一番いいかなと思っていたんですが、なかなかそうはいかないので、英語版のムービーをつくりました。それをさまざまな会談のときに持っていく。私も、海外で閣僚等にお渡しするだけではなくて、説明もし、また、総理もさまざまな首脳会談のときにそのムービーを手渡ししていただいている、こういうような状況がございます。

 また、ジェトロでは、輸入規制を続ける諸外国・地域において、これまで十二カ国・地域で四十四回にわたって被災地産品の安全性を説明するためのセミナーの開催、また、国内産業界の意見も聞いた上での食品の安全性に関する意見書を当局へ提出するなど、規制解除の働きを行っております。

 特に、経産省だけではなくて、政府を挙げてやらなければいけないということで、本日も、復興大臣を中心に、原子力災害による風評被害を含む影響への対策タスクフォースを行う予定でございます。特に、G7閣僚会合も行われますので、連休中のエネルギー大臣会合でも、福島産品も含めて、しっかりとアピールをしてまいりたいと思います。

富田委員 私は二月に台湾へ行って、蔡英文、新しく総統選挙に当選された方と会ったんですが、その際、王金平さんという前立法院長とお会いしたときに、王金平さんの方から、何とか日本産の農産物の輸入規制を解除したいと向こうから言ってくれたんですね。これはこれまで政治家がずっとやってきたことを評価してくれると思いますので、ぜひ政務三役で頑張っていただきたいと思います。ありがとうございました。

 終わります。

高木委員長 次に、近藤洋介さん。

近藤(洋)委員 おはようございます。民進党の近藤洋介であります。

 きょうは、一般質疑の時間をいただきまして、委員長、理事の皆様に感謝を申し上げます。

 早速でありますが、質問に入りたいと思います。

 委員長のお許しを得て資料を配付させていただいておりますが、その一ページ目をごらんいただければと思うのであります。

 最初は、原子力発電所、エネルギーにかかわる質問をしたいと思うんですが、読売新聞の三月十日付の一面記事を添付させていただいておりますけれども、新聞各紙朝刊は、ことし三月九日の大津地方裁判所の仮処分決定を大きく報じました。内容は、大津地裁で、関西電力の高浜原子力発電所三号機、四号機について、再稼働の停止を求める仮処分の決定が出されたということでありました。このことを受けて、関西電力は、再稼働が行われた原子力発電所を現在停止しておるわけであります。

 この仮処分の決定について、これは大変、経済産業にも、社会にも大きな影響を既に与えております。例えば、関西電力は、電気料金の引き下げを表明しておりましたが、このことを受けて、その方針を撤回しております。電気料金にも大きな影響が与えられた、こういうことでありますし、原子力の安全というものに対してもさまざまな大きな影響、疑問符が投げかけられた、私はこう認識しておりますけれども、経済産業大臣はどのようにこの決定を受けとめておられますか。

林国務大臣 今回の仮処分の決定に関しましては、当事者間で係争中のものでございまして、内容に関するコメントは差し控えさせてもらいたいと思いますが、世論の反応を聞きまして、原発の再稼働について国民の皆様にはさまざまな御意見があるというのを改めて感じました。

 政府としては、原発について、国民の信頼回復に向け、安全最優先を旨としまして、国民の理解が幅広く得られるよう、引き続き、最善の努力をしてまいります。

 その上で、原発の再稼働に関しましては、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査をし、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると判断した原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針でありまして、この方針に変更はございません。

近藤(洋)委員 今大臣お答えになりました、大事な点はその後段なんですが、政府としては規制委員会が安全性を認めたものについては再稼働を進める、この政府の方針に変わりはない、こういうことであります。

 となると、もう一度伺いますが、今回の地裁決定は、その規制委員会で安全が確認されたプラントの再稼働そのものを否定しておるわけでありますから、その政府方針に真っ向から対立するというか、異を唱えたものだ、このようには受けとめませんか。決定ではなくて、この事実は、地方裁判所が行った判断の結果起きた事象は、政府方針を真っ向から否定する結果になった、このようには受けとめませんか。

林国務大臣 司法の判断でありまして、見きわめていきたいと思っております。

近藤(洋)委員 いえ、見きわめではなくて、今回の地裁の決定によって少なくとも政府方針が実行できなくなった、このようには受けとめませんか。

林国務大臣 司法判断を見守っていきたいと思っておりまして、我々は、先ほど答弁申し上げましたように、原子力規制委員会の厳しい審査をクリアしたものは再稼働を進めるというのが政府の方針でありますので、これを進めていくということでございます。

近藤(洋)委員 余りこのことでやりとりしたくないんですけれども、私の問いにちゃんと答えていただいていないんです。

 政府の方針に変わりはないというお答えは結構です、政府の方針として。ただ、この地裁の決定によってその政府方針が困難になったと受けとめませんかということを聞いております。もう少し答えやすいように質問を変えましたので、そう受けとめませんか、いかがですか。

林国務大臣 時間的に言えば、先生がおっしゃるように困難になったという見方もあるかもしれません。しかし、司法の判断をもう少し見きわめたいというふうに思っております。

近藤(洋)委員 これはこれ以上やりとりしても意味がないのかもしれませんが、ただ、ここは大事なポイントなんです。

 では、ここで、法務省の政務官にお越しいただいていますからお伺いしたいんですけれども、この仮処分という制度でありますが、仮処分命令、条文は民事保全法の抜粋を二ページに記載させていただいておりますけれども、これはもちろんきちんとした制度であります。司法の判断というのは判断として、私も重要な判断だろうと思うんです。極めて大事な判断を下された、こう思います。しかし同時に、今回の地裁における審査というか審尋というのはどういうものだったんだろうかと思うわけであります。

 これだけの大きな判断を下すに当たって、別に回数が全てとは申し上げませんが、審尋を四回行った。時間数がどれだけあったかわかりませんが、想像するに、恐らく数時間以内だろうと想像いたします。そこは、もしお答えいただけるならば、何時間の審尋であったかというのがわかればお答えいただきたいと思うんですが、私の想像では数時間であろう、こう思うわけです。

 こういう審尋で、規制委員会が専門家の議論を相当経て策定した基準というものをある意味で真っ向から否定されたともとれる判断を下された。これはこれで司法の判断ではありますが、他方で、行政において相当慎重な、そして専門家の議論を尽くした基準を、しかも長期間かけたものを、四回の審尋で、それも数時間の審尋で果たして常識的に下し得るものなのだろうかというのを私は純粋な疑問として感ずるわけであります。もちろん、法制度として、これは制度としてありますから、これはこれで否定するものではないのですけれども、しかし、常識としてこれはあり得るんだろうか、こう思うんですね。

 他方で、この結果として、電気料金を引き下げるという国民的な利益は喪失いたしました。もう一つ言えば、これは民民の話ですから、電力事業者から見れば、月当たり九十億円でしょうか、相当の損失だ、こういうことです。これは企業の話です。ただ、国民的には大変大きな損失を一時的には受けた、こういうことです。

 他方、これは、もし逆転で損害賠償が行われた場合、逆に住民側というか訴えた側の損害賠償リスクというのもあるのではないかと思うわけですね。では、これは損害賠償の相手が行政になるのかよくわかりませんが、規制委員会に対してか、電力側はどこに対して損害賠償を訴えるのか、よく私も理解を、まだ整理していないところなんですね。でも、いずれにしろ、企業側からすると、お国の方針に沿って、それをクリアして動かしました、それが否定されました、損害を受けましたと。それは、もしかしたら損害賠償の対象に十分なり得ると思うんですね。

 こういう非常に大きな判断が果たしてこの仮処分という制度、地裁の仮処分というのになじむのかどうかという疑問が湧くわけでありますが、法務省はどのように受けとめていますか。

田所大臣政務官 確かに、国を当事者とする訴訟については、法務大臣が国を代表することとなります。しかし、お尋ねの仮処分決定は、住民と当事者との間の仮処分手続でされた決定でありますので、国は当事者ではなく、法務省としてお答えする立場にはありません。いわんや、民事であって、この審尋の時間あるいは賠償等についても同様でございます。

 その上で、一般論として申し上げるならば、民事保全法二十三条四項により、本件のような仮処分決定を発令するには、口頭弁論または審尋の期日を経ることとされておりますが、その回数や期間については特に定めはありません。その多寡等について一概に申し上げることはできないということでございます。

 また、民事保全法は、本件のような原子力発電所の運転差しとめの司法判断を仮処分手続で求めることを制限しておりませんので、住民が仮処分手続を選択することも可能であります。その仮処分手続において、裁判所が判断する。このような住民の選択や裁判所の判断の当否について法務省がお答えする立場にないことは、御理解いただきたいというふうに思います。

 以上です。

近藤(洋)委員 また伺いますから。

 では、規制委員会に伺いたいと思います。

 規制委員会の判断が、これはある意味で否定をされた部分もあるかと思うんですね。これは、四回の審尋、数時間の審尋によって規制委員会がこれまで積み上げてきた判断が否定されたことについて、原子力規制委員会はどのように受けとめていますか。

田中政府特別補佐人 私どもは裁判の当事者じゃありませんので、直接その大津地裁の決定について何かコメントをする立場にはありませんけれども、新規制基準について申し上げますれば、一F事故の教訓を厳しく踏まえて、その事故の起きた原因等を十分にしんしゃくして、まず重大事故を起こさないように、それから重大事故が起こった場合でもそれが深刻な事故に発展しないように、そういう対策を多重に、多層に求めてきております。

 今回、当該決定の対象になりました高浜三号機、四号機について、我々は、その我々が求める安全のレベルは確保されているという認識のもとで許認可を出しているところであります。

 ことしの一月に、総合規制評価サービス、IAEAのIRRSというものを二週間ほどかけて受けたわけですが、そこでも、原子力規制委員会が、自然災害対応、重大事故対策、緊急時の対応、あるいは既存施設の安全強化といった分野において、福島第一事故の教訓を日本の新たな規制の枠組みに迅速かつ実効的に反映させたことを良好事例として評価していただいています。

 最終報告書は、多分、四月、今月中に出てくると思いますけれども、そういったことをしんしゃくしますと、私どもとしては、大津地裁の決定を受けたからといって、現段階で今の私どもが行っている規制基準を変える必要はないというふうに認識しております。

近藤(洋)委員 そうすると、まさに規制委員会は、自分たちの判断基準が正しい、こういうことで認識をしているし、今御答弁をされたように、高浜原発は、優良原発ですか、対応ですか、表彰されているというのは、ここをもう一度ちょっと御答弁を。済みません。

田中政府特別補佐人 IAEAのIRRSで評価されたのは、私ども全体の規制基準でございます。

近藤(洋)委員 失礼しました。

 要するに、国際機関からも規制委員会の基準は高く評価をされているところであり、見直す必要はない、こういうことですね。そうすると、そのことはすなわち、行政の対応と司法が下した仮処分は真っ向から対立する、こういうことなわけですね。

 そうだとすると、法務政務官、さらにお伺いしたいんですが、仮に仮処分という法的措置で生じた損害について賠償をするとしたら、これは誰が法的には支払うことになるんでしょうか。賠償責任の相手先としては、これは国になるんでしょうか、住民になるんでしょうか、どちらになるんでしょうか。これはもう一度、政府の方でも結構ですけれども、ちょっとお教えいただけますでしょうか。

武笠政府参考人 お答え申し上げます。

 損害賠償の請求ということになりますと、恐らくは不法行為に基づく損害賠償請求ということになろうかと思いますけれども、事業者が起こすとして考えられるところは、一般論ではございますけれども、住民の方、訴えられた方々に対して、当該訴えを起こしたことが違法だということでございますれば、そういう主張をして損害賠償請求をするということが考え得るところだと思います。

近藤(洋)委員 そうなんです。法的にはそうなんですね。しかし、これは非常におかしくないですか。

 冒頭申し上げたとおり、では、住民に対して損害賠償請求を電力会社がする。しかし、これは払える額を超えるわけですね。かつ、地裁のわずかな審尋でそれだけの損害がもう現に生じているということですね。

 もともと仮処分というのはこうした問題を取り扱うことを、排除はしていないと政務官はお答えになりましたが、想定もしていないんじゃないでしょうか。

 何を言いたいかというと、こういう極めて専門的な司法の判断というのは、例えば知的財産については、我々、知財の分野で、知財高裁という高裁での判決、このように変えているわけですね。極めて専門性の高い経済事案については、地裁ではなくて高裁で判断する。例えば独占禁止法の事案についても、まさに東京高裁、高裁で判断する。経済案件は極めて専門性が高いから、そういう形での枠組みを今とっておるんです。

 この案件も、極めて専門性が高く、そして影響も大きいという問題について、私は、地裁の仮処分という場がふさわしいのかということを指摘したいんです。

 これは、制度として、私は、司法の独立というのはあっていいと思うんですよ。それは、たてつけ上そうでしょうし、そのとおりいけばそういうことなんです。ただ、その場として、私はやはり、高等裁判所等できちんと議論をする、審尋をするという場が制度上必要ではないか、ここは法務省において議論をすべきではないか、こう考えますが、政務官、いかがですか。

田所大臣政務官 国が当事者ではなく、かつ民事でもあるということで、大変遠いところでありますが、立法政策につきましては、これはまさに皆さんの御意見を聞きながらいろいろと考えるところがあるんだろうというふうに思っております。

近藤(洋)委員 政務官、それはちょっと待ってください。国が当事者ではないとおっしゃいましたけれども、当事者ですよ、本案件は。

 規制委員会の規制基準にのっとってやったものなんですよ。規制委員会は堂々とこの規制基準で今後もやると言っているわけです。今後また地裁で否定がどんどん起きたら、これは国がますます否定されたことにつながるんです。やはり国が当事者なんです、本件は。

 もちろん案件としては民民であるけれども、否定されているのは国そのものなんですよ、国の原子力政策なんですよ。そのことの認識を政府全体として持つべきだ、危機感を持つべきだ、責任感を持つべきだと私は思うんです。そんないいかげんなことで原子力をやっているんですかということにつながります。

 経産大臣、これは政府内で、司法、法務省のことだから経済産業省は言えませんなどという司法の独立の議論ではありません。要するに、国がもう真っ向から否定されているんですよということで、その場として果たして今の仕組みが正しいのか。司法の独立を保ちながら、そして、もちろん訴える住民の方々の立場にも配慮しながら、どういう場をつくるかというのは、これは早急に議論をすべきだし、結論を出すべきだ。コメントできませんなどということでは済まされないと思いますが、大臣、いかがですか。

林国務大臣 近藤先生御指摘のように、危機感を持っておりまして、どういう対応ができるかどうかも含め、検討してみたいと思います。

近藤(洋)委員 ぜひ、今、検討してみたいということなので、検討していただきたい、その結果をまた議会に報告いただきたい、こう思います。

 このことはやはり原子力というものに対しての国民的な不信感を、この状況を放置することは行政に対する不信感を非常に広げる、どちらの立場に立つにせよ。我々民進党は、今回、政策の中で、原子力に頼らない社会を築くということを明確に示しております。しかし、現在ある原子力発電所の安全性というもの、安全基準が、原子力発電所は動いていようが動いていなかろうが、そこに燃料棒がある限り、それは非常に取り扱いに気をつけなければいけない施設なのでありますから、そういう意味においては、やはりこの安全基準というものが地裁において否定をされているという現状をどう捉まえるのかということの対処を急いでいただきたい、こう思うわけであります。

 もう一つ、話をかえて聞きたいと思いますが、次は、経済政策といいますか、消費税について大臣に伺いたいと思います。

 首相官邸で最近、国際金融経済分析会合という会合が開かれたようでありまして、報道でも報じられております。三ページ目、G7サミットの議長国として、経済状況に対応するため、世界の有識者を集めて聞きたい、こういう会合であります。安倍首相をヘッドに、麻生太郎財務大臣、そして林大臣も御出席であります。

 これは三回会合を開催されておりますけれども、どうも何か消費税の税率引き上げについて否定的な意見を述べる方が大変会合に多い。どうも何かこれはいつか見た風景かな、こう思うわけであります。同じような会合が一年半前というか二年ほど前に行われておりまして、スキームは違いますけれども、首相官邸で有識者の話を聞くという会合が行われて、結果として消費税先送りを安倍政権がされたというのが私は頭をよぎるわけであります。

 随分その場でいろいろな議論が消費税についてもされたようでありますけれども、まず、林大臣は、消費税率の来年四月の引き上げについて、しっかり実行すべきとお考えかどうか、お答えいただけますでしょうか。

林国務大臣 リーマン・ショックのような重大なことが起きない限り、予定どおり実行するという考えでございます。これは政府の一貫した考えでございます。

近藤(洋)委員 このリーマン・ショックのようなことが起きない限りというのは、リーマン・ショックというのは、まさに当時、数百年に一度の金融パニック、数百年というか、百年に一度と言っていいんでしょうか、以上の金融パニック、ウォール街の暗黒の木曜日以上のパニックであったというのが定義であります。

 ですから、そういうパニックが起きない限り、予定どおり実施すべきであるというお考えでよいですね。もしそうでなければ、安倍政権の経済政策は失敗したと認めることになりますが、そういう認識でよろしいですか。再度伺います。

林国務大臣 安倍政権の政策が失敗したということではありませんで、そういうことが起きない限りは、予定どおり一〇%へ消費税を上げるということは進めていくということでございます。

近藤(洋)委員 随分、スティグリッツ教授も含めて、否定的なことをおっしゃっておるようでありますが、改めて、三月十六日、ジョセフ・スティグリッツ・コロンビア大学教授が御講演をされた話で、消費税についても言及されておりますけれども、スティグリッツ氏の主張に対して、消費税にかかわる部分については林大臣は同意されないということでよろしいんでしょうか。お答えいただけますか。

林国務大臣 近藤先生お尋ねの消費税率については、スティグリッツ教授から、総需要を喚起するものではないという観点から、引き上げは今のタイミングではない旨の説明があったわけでございます。

近藤(洋)委員 ですから、大臣は、そこの意見について、総需要を喚起するものではないし、もっと言うと、私も実はその翌日、民主党としてスティグリッツ教授をお招きしてお話を聞いておりますけれども、大体同じ趣旨なのかな、こうも思うんですが、スティグリッツ教授の主張には大臣は同意しないということでよろしいんですか。

林国務大臣 参考意見として拝聴いたしました。

近藤(洋)委員 参考意見として拝聴したということは、まずは政府方針に従って、スティグリッツ教授の主張は、リーマン・ショック以上のことがない限り実行すべきだという政府方針とはある意味で趣が全く違う主張でありますので、大臣はスティグリッツ教授の考え方とは違うということを私は受けとめさせていただきたい、こう思います。

 では、その上で、またスティグリッツ教授がいろいろ主張されておりますが、炭素税について、炭素に高価格を設定することは大変投資効果があるんだということを主張されています。さらにもう一つ、法人税減税は投資拡大には寄与しない、こういうこともおっしゃっております。炭素税、これは我々で言う温対税ですが、温対税を高く引き上げることは世界経済への改革に向けた投資を促す、こういう主張もされております。

 それぞれの主張について、大臣は賛同をされますか。

林国務大臣 炭素税につきましては、日本では地球温暖化の原因となるCO2を削減、抑制する観点から、平成二十四年度の税制改正におきまして、いわゆる地球温暖化対策のための税が導入されたところでございまして、これは経済への影響に配慮をする観点から段階的に税率を引き上げるとされて、本日から最終段階の税率引き上げが行われたところでございます。まずはその着実な実施に努めてまいりたいというふうに考えます。

 また、法人税減税の件でございますけれども、スティグリッツ教授の発言の趣旨は十分承知はしておりませんけれども、法人税減税により多様な投資が拡大して経済成長が促されることは世界的にも幅広い共通認識があるというふうに認識しておりまして、実際、英国やドイツなど諸外国が法人税減税を進めてきたのも、こうした経済効果を期待しているためだというふうに考えております。

 政府としては、今年度からの法人実効税率二〇%台の実現など事業環境の整備に取り組むとともに、未来投資に向けた官民対話などの場で、企業の積極的な取り組みを要請したところでございます。

 こうした中、経団連も、国内の事業環境の整備を前提に、今後三年間で設備投資を七十兆から八十兆円程度に拡大する見通しを示しております。

 経産省としては、今回の法人税改革をてこに、産業界に投資拡大や賃上げを働きかけ、経済の好循環を揺るぎないものにしていきたいというふうに考えております。

近藤(洋)委員 ですから、スティグリッツ教授の主張とはやはり違うわけですね。

 スティグリッツ教授は、さらに、マイナス金利も否定をしております。これは資料六ページに書かせていただいておりますけれども、マイナス金利の試みは、景気を大きくは刺激せず、悪い副作用をもたらす可能性もある、こういうふうにスティグリッツ教授は書いておるんですね、主張をしています、これらの状況への対応と。

 となると、スティグリッツ教授はアベノミクスの主要政策をことごとく否定しておると言っても過言ではないんですが、それにもかかわらず、もし消費税引き上げだけを先食いするとすると、これは全く論理破綻ということになりかねません。

 もしそのようなことが起きて、だとすると、まさにリーマン・ショック級の大危機が起きない限り再延期しないという公式答弁をされておりますが、しかし、経済状況は中期的に見ると相当弱含みをしているという中で、果たして公約どおりできるのかといぶかる声も多いわけであります。また、景気に対する影響を心配する声も非常に多うございます。

 何を言いたいかというと、すなわち、それはやはりアベノミクスが失敗をした結果こういった事態に陥っておって、結果として、残る最後の手は消費税の再延期しかないというところまで追い込まれておる証左なんだろうなということであります。

 こうした経済状況でどのような景気対策を打たれるのか、既に総理もそういった御判断をされたというのを報道で聞いておりますが、ぜひ当経産委員会でもしっかり議論させてもらいたい、このように思います。

 大臣、特にマイナス金利、私は、これはむしろマイナスの影響が中小企業にはこれから出るという懸念の方が、まさにスティグリッツ教授の話ではありませんが、副作用のことを大きく懸念するわけであります。この点、資金繰りに対して悪影響が出るのではないか、地方金融機関の収益が悪化して、その分、貸し剥がしとは言わないけれども、融資態度が慎重になる金融機関が出てくるのではないかと懸念をするわけですが、現時点で、大臣、いかがお考えでしょうか。お答えください。

林国務大臣 マイナス金利政策によりまして、中小企業、小規模事業者への融資に係る金利が低下して、投資の拡大につながることを期待しているところでございます。

 他方、マイナス金利の効果についてはさまざまな議論があることは承知しておりまして、経産省としても、この影響につきまして、さまざまなルートで事業者や支援機関の声の把握に努めているところでございます。

 例えば、もともと資金需要が弱いので特に変化はないというのもありますし、今後のさらなる金利低下を期待して様子見の段階だといった声もございます。また、金利の低下を資金調達の好機と捉え、今後の設備投資を検討したいといった声もございます。

 このように現場からはさまざまな意見がありますけれども、導入からまだ一カ月半程度ということでもございまして、現時点では目立った影響が生じているというふうには認識をしておりません。

 いずれにいたしましても、金融庁とも連携して、中小企業をめぐる金融動向を注視し、円滑な資金繰りに万全を期してまいりたいというふうに思います。

近藤(洋)委員 大臣は、現在のところ、比較的大きな問題はない、こういう認識でありますが、私は、マイナス金利の副作用を非常に心配するものであります。

 やはり、このことによって特に地方の金融機関の収益に大きな影響が出かねない。そうなると、一気に中小企業に対しての影響が広がるわけでありまして、こういったものは一度広がるととめることがなかなか難しくなるんですね。これは大変大きなツケを払うことになるということを強く申し上げておきたいと思います。

 最後に一言、もう時間ですのでやめますが、いよいよTPPに関する議論が国会でも後半始まります。本会議だけは設定をされましたが、特別委員会において議論が始まるということであります。

 我々民進党として、現在、事前にきちんとした資料を開示してもらいたいということを要求しておりますが、政府は基本的な資料の開示をされておりません。こういう状況ですと、まともな議論ができないということになりかねない。

 TPPというのは過去の通商交渉とは極端に違って、甘利大臣とフロマン代表によるバイ交渉があって、そして、そこで相当なことが決まって下におりていったという経緯もございます。これは、過去の交渉とは相当様式が異なっているものなんですね。だからこそ、秘密裏に物事が進んできた。

 これは、交渉の最中ならば、私は百歩譲って情報の公開ということは理解はしますが、もう交渉が終わった段階で、議会に対して可能な限り交渉の経緯、記録というものは公開すべきであるし、経済産業省においても大臣が知り得る限りのものは公開すべきだということで、政府として臨んでいただきたい。そのことなくしてTPPの国民的な理解は深まらない。アメリカにおいても大変な議論が今巻き起こっておりますけれども、情報なくして議論なしでありますから、そのことを強く要求してまいります。

 ぜひ、大臣も主要閣僚として、知り得る限りの正しい情報を議会に提出するべく最大限の努力をするということを、この場でまず、基本的なことですので、お約束いただけますでしょうか。お願いいたします。

林国務大臣 日米協議を含むTPP交渉の経緯につきましては、今後の国会審議等の場で丁寧に説明してまいりますし、知り得る情報は提供したいと思っています。

近藤(洋)委員 そのことなくして審議は成り立ちませんので、今の方針、今の言葉、経済産業大臣として大変重たい言葉だということであります。

 時間が来ましたので、終わります。

高木委員長 次に、田嶋要さん。

田嶋(要)委員 民進党の田嶋要でございます。よろしくお願いします。

 ちょっと本題に入る前に、先日、幕張メッセで行われたドローン展というものに初めて行ってきました。

 大臣、ドローン特区はどこか御存じですか。

林国務大臣 申しわけございません。存じ上げておりません。

田嶋(要)委員 ドローン特区は千葉市でございます。ぜひ御記憶していただきたいと思います。

 今度、もうちょっと先に、中小企業の法案も出てくるんですけれども、少しだけ御報告しておきますけれども、私は、ドローン展を見てきて、やはり危機感を感じましたね、経産省の方はどのぐらい行っておられたかわかりませんけれども。

 ある方からこういうメールをいただきましたので読みます。

 まだラジコンショーで細々と展示しているころから注目をしていた。北米や中国では、スタートアップと呼ばれる小さな企業、起業家が持つ技術が注目されている。これは、従来の企業の考え方では新しいものは生まれないということが共通認識となっているからだ。日本の問題は、何か新しい産業を起こそうとする際に招集する有識者が、多くの場合、大学の大御所の先生、大手企業のマネジメント層などで、最新の世界動向を理解していると思えない点であります。ドローンも、もはや飛ぶのは当たり前で、その周辺技術と利用方法に応じた技術開発へ移行しています。私から見ると、調査会社の技術レポートなどを拝見すると、幼稚に見えてしまい、そのレベルでよいのかと技術者が安心している点に危惧感を覚える。そういうような御報告です。

 そして、台湾の方に行っても、彼らの技術への貪欲さ、技術者や政治家も含め、ビジネスを行うネットワークをうらやましく思ったということで、政府に対しても、もう少し戦略的で実質的な活動を経済産業省でも考えていただけるとありがたい、こういったことでございます。福島のいろいろな取り組みなど、予算や活動はされているそうですが、中身の伴わない箱づくりには残念な思いがあるというような御指摘をいただいたところでございます。

 大体、私も行って、外国勢のいろいろなベンチャーの展示を見るに際して、非常に残念です。前から言われていることなんですが、十年前も今も余り変わらないかなと。顔ぶれはどんどん変わっていくわけで、大臣も、大臣になられて、ドローン特区を御存じありませんでしたけれども、ぜひ、今までの日本の弱点をしっかりと押さえて、こういった新しい技術の部分で世界に大きな存在感を示せるようにお願いしたいと思いますが、何か御感想はございますか。

林国務大臣 ドローンも含めて、IoTあるいはAI、この分野で世界に先駆けて進んでいけるよう取り組んでまいりたい、このように考えております。

田嶋(要)委員 また、別の機会に詳しくやらせていただきたいと思います。所信表明でも毎年キーワードは入っていますので、頑張っていただきたいと思います。

 それでは、きょうは、非常に重いテーマでございますが、最終処分に関して質問させていただきたいと思います。

 この問題は、ほかの政策テーマと比べても、私は極めて特異な、特殊な分野であろうと思います。なぜならば、解決するとき、ここにいる人は誰も存在しないからでありまして、ある意味では永遠の課題ということで、世代を超えて、みんなで部分責任を負っていくしかない。しかし、今生きている我々は、それでも十万年後を見据えながらの全体責任を負って取り組みをスタートしなきゃいけない、いわばみんなにとって胃が痛くなるような話だと思うし、そして、多分その間には、恐らく我々も政権につくこともあるでしょう。そういう意味で、みんなが同じ立場で考えていかなければいけない問題なんだろうと思っております。

 そこで、大変難問中の難問と思っていますが、やはり先達はあらまほしきということで、学ぶべき部分からは学んでいかなければならない。

 きょうは環境省に来ていただいておりますが、まずお尋ねをしたいのは、高レベル放射性廃棄物の問題を今扱おうとしておりますが、指定廃棄物というものがございます。大臣も御存じのとおり、千葉県も苦しめられ続けておるわけでございますが、この両者は何が共通していて、何が違う点があるのかということをお答えください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生配付していただいております資料を使ってもよろしいでしょうか。(田嶋(要)委員「どうぞ」と呼ぶ)はい。

 一枚目に資料がございます。こちらにございますけれども、一つ、高レベル放射性廃棄物と申しますものは、箱の中で、ガラス固化体と書いてあるものでございます。いわゆる原子力発電に伴って使用済み燃料が発生しますが、それを再処理して、その過程で発生する廃液をガラス固化したものがこのガラス固化体でございますが、こちらにございますように、放射能のレベル、十兆ベクレル・キログラム当たり、こういった非常に高レベルの廃棄物でございます。

 これに対しまして、指定廃棄物は、東京電力福島第一原子力発電所の事故によって放出された放射性物質が、こちらの上の箱に書いてございますが、焼却灰、下水汚泥、浄水発生土、農林業系副産物等々、これらに一定程度含まれたものでございますが、その一定程度と申しますものは、下にございますキログラム当たり八千ベクレル以上、こういったものでございます。これにつきましては、環境大臣の方で御指定をいただく、このようになってございます。

 このように、二つの廃棄物、高レベル放射性廃棄物と指定廃棄物は、放射能の濃度がかなり異なります。それから、それに伴いまして、処理、処分の方法も異なる、こういうことでございますし、さらに加えますと、高レベル放射性廃棄物は時間をかけられる余裕はまだ少しはあるということでございますけれども、指定廃棄物につきましては、既に各地の一時保管場所で保管されておりますので、早急に対策を講じなければならない、こういう点でも相違点はあろうかと思います。

 他方で、いずれも原子力発電所に起因する放射能に関係する廃棄物でございます点、それから、処理に関します施設を立地する地域の方々あるいは自治体の理解、御協力、こうしたものがないと進まない、こういった点では共通していると考えております。

田嶋(要)委員 ありがとうございます。

 お手元の資料一で、環境省が千葉市に来てお配りされた資料を添付いたしました。

 今御指摘いただいたとおり、同じ点も違う点もあるわけでございますが、もう一つ大事な、今御指摘のなかった違う点と私が思いますのは、指定廃棄物の問題は事故がなければそもそも存在しない問題なんですね。しかし、最終処分の問題は、事故があるかないかにかかわらずというか、原発を動かしていれば必ず世界じゅうが直面する問題である、そこが大きな差異であります。

 では、共通点は何かということでございますが、今も多田部長がおっしゃっていただいたと思いますけれども、一般の国民から見ると、どちらも怖いんです。それが十兆ベクレルであれ十万ベクレルであれ、桁違いですよ。科学的には桁違いだけれども、国民から見ると、どっちも不気味なんです。目に見えない、子供の将来に心配だ。

 そういう意味では、安全性ということじゃなくて、安心という観点からすれば、どっちも同じ難易度の問題だということを、千葉市が指定をされましたから、身をもって私は実感をしているし、それは今もオンゴーイングであります。

 そこが共通点で、すなわち申し上げたいことは、自然科学的なベクレル数値はある意味さほど問題ではなくて、どっちも恐ろしいというふうに世間に認識をされているからこそ、技術的な問題よりも、国民対話ということがどれだけ難しくて大事かということを肝に銘じる必要があるということを私はまず強調させていただきたい。

 そして、差異で申し上げました、つまり事故だったから、この指定廃棄のことだけが起きた。指定廃棄のことは事故がなければ起きないことであるから、逆に言えば、とんでもない問題ではあるけれども、せめて、この事故が起きたために追加で発生した指定廃棄の問題を他山の石として、これから経済産業省が最終処分の問題を検討するときに、できる限り環境省の教訓を学んでいただきたい、ほかに学ぶものがほとんどありませんから。スリーマイルかチェルノブイリか、あるいは今の先進のフィンランド、スウェーデン、そういうところでございますので、まず国内では環境省に学んでほしいなと私は申し上げたいと思います。

 それでは、環境省にお尋ねしますが、なぜ失敗したんでしょうか。御答弁ください。

深見政府参考人 指定廃棄物の処理の現状、非常に苦労しているということにつきましては、まず通常の廃棄物処理施設の設置に当たりましても、御地元にとっては、これは迷惑施設ということになりますので、立地の合意形成が難しいことは皆様御承知のとおりだと思います。

 指定廃棄物につきましては、加えて、放射性物質に汚染されているために、地域住民の方が一層の不安を感じていらっしゃるというふうに認識しておりまして、施設設置の合意形成はより困難性が高いというふうに考えております。

 環境省としましては、指定廃棄物の安全な処理について、御地元の御理解をいただけるよう、科学的な説明はもとより、住民の不安に寄り添う形で丁寧に対話を重ね、御懸念、御不安の解消に努めてまいりたいというふうに考えております。

田嶋(要)委員 なぜうまくいっていないんですか。

深見政府参考人 私どもとしましても、御地元のそのような不安をできるだけ解消して、私どもは、千葉県内におきましては、長期管理施設という形で、県内一カ所に指定廃棄物を集約して保管したいというふうに考えておるんですけれども、その詳細調査候補地というものの対象としまして、千葉市内の一カ所を選定させていただきました。

 それを踏まえまして、御地元、例えば千葉市議会あるいは千葉市民の方々に対しまして丁寧な説明に努めさせていただいておりますけれども、そういう安全な処理ができるということにつきましても、なかなか御理解がいただけないということ。それからまた、千葉県内のものを千葉市内の方の一カ所に集約して処分する、管理するということにつきましては、なぜほかのものをこちらに持ってくるんだというようなお気持ちがあられる。あるいはまた、選定した場所が東京湾に近いところでございますので、そういう湾岸地域になぜ廃棄物処分場を置くのかというような御不安もあるというふうに理解しておりまして、そこについての御理解がなかなかいただけないということでございます。

田嶋(要)委員 失敗と私は申し上げておるんですけれども、そう言うしかないと思うんですが、千葉県だけじゃないですね。五県、福島以外に五県あるんですが、どこも全く動いていない。

 しかも、我々民主党政権のときも、苦労して一年やって、うまくいっていないんですが、政権がかわった折に、政府は、安倍政権になって、今までのやり方がなぜうまくいっていないかということを検証して、そしてやり方を変えます、こういう理由で今まではうまくいかなかったんだということをある意味高らかにいっぱい書いてあった。もちろん、それは全部読みました、環境省が書いたんでしょうけれども。こういうところが足りなかったんだということを書いてあるから、これからうまくいくのかなと私も期待を持ちました。けれども、我々のときに一年うまくいかなかった、今安倍政権は三年以上たっているけれども、これは一歩も前に動いていないです。

 だから、これはみんな初心者だから本当に難しいんだけれども、まず何が問題なのかなということを十分検証して、失敗をしましたというふうにはおっしゃりたくないと思いますが、素直に失敗を認めないと、経済産業省がこれから取り組む問題は超難問ですよ、誰がやったって超難問ですよ。だけれども、ベクレルのレベルの問題じゃないんじゃないかと私は思うんです、ある意味。その部分は、環境省はもう少し素直な述懐はできないんでしょうか。どうぞ。

深見政府参考人 まず、指定廃棄物の処理の現状、全体像につきまして申し上げますと、一番多くの指定廃棄物を抱えていらっしゃるのは福島県でいらっしゃいますけれども、福島県につきましては、放射能濃度が十万ベクレル・パー・キログラム以下のものにつきましては、既設の管理型処分場に処理をするという方針……(田嶋(要)委員「それはもういいです、ずれているから」と呼ぶ)よろしいですか。

田嶋(要)委員 福島以外の五県、そういう話をしているので、ちょっととめさせていただきました。

 資料の二番をごらんください。

 千葉市に、千葉県にこういうふうに住民説明をやっていただいたということで、五回行っていただいているんですが、大臣、副大臣、この間、最終処分のシンポジウムが丸の内ビルで開かれまして、翌日、我々民進党も聞いたんですが、一般市民向けの経産省のエネ庁が主催している大きなシンポジウム、私はあれに全部出ました、一時から五時過ぎまで。

 スウェーデンの方々の話も全部同時通訳で、数百名来ておられて、いい会だったんですが、出て、つくづく思ったんですね、やはりアプローチが細かいんです。副大臣もいらっしゃいましたか。いらしていないですか。これは聞いた方がいいですよ。多田部長もいらっしゃったんですよね。途中で抜けましたよね、三十分後に。私は何を思ったかというと、国会議員、県議会議員、市議会議員のミニ集会と一緒なんですね、アプローチが。

 それで、キーワードは、後で言おうと思っていたんですが、ピープル・トラスト・ピープルと言ったんですよ。ノット・オーガニゼーションなんです。つまり、この人が言うから信用するよという話で、その人の所属する政党じゃないということなんですよ、ポイントは。

 だから、そのスウェーデンの方、私はそこで二十八年ずっとやっていますとおっしゃったんだけれども、ミニ集会を大事にするということを言われて、資料二、ミニ集会がどこかにありますかということなんですね。

 私もこの中で二回ほど出ていますが、数百名を相手だと、大体お決まりの解説をすると時間の八割が消化する。本音はそれを狙っているんですよ、逆に言えば。わかるでしょう。みんなぴりぴりしているから、とんがった人が必ずいろいろな主張を始めますね。みんな怖いから逃げるのはよくわかる。私も現地本部長時代、そういうことを何度も経験している。だけれども、大事なのは、そこをくぐり抜けないとこんな難問は解決しようがないということを私は指定廃棄の問題でも痛感したんですね。

 資料の七をごらんください。

 月曜に、スウェーデンのSKBという、まさにNUMOに当たる組織の副社長さんが配った資料の一ページですが、そこの線を引いたところです。「個人と少人数グループを優先する」。大事なのは、三百人、五百人集めたシンポジウムでさっさとやるような話じゃないんだということですよ。我々の、政治家の活動もそうですよね。地域に入っていって、五人、十人、おじいちゃん、おばあちゃんと、林先生に言う話じゃないですけれども、そういうことを地道にやらないとやはり共感は広がらないということを、そのSKBの副社長さんは教訓の中でおっしゃっておられるのかなと私は思ったわけでございます。

 そういう意味で、資料二に戻っていただいて、いろいろ御努力は、普通の霞が関の感覚でいえば、一年間に五回も住民の説明会をやっていただいたんだから、それは頑張っていると私も評価しますよ。しかし、大臣、冒頭申し上げたとおり、これから経産省が御苦労なさる最終処分の問題も、この間苦労してきた環境省の指定廃棄の問題も、事の本質は住民対話なんです。そして、共感を持ってもらえるかどうかだから、そこはベクレルの数字にかかわらず、もっと今までの霞が関の仕事のアプローチとは違う考え方で取り組んでいかないと打開策は見えないんじゃないかなというのが、私の限られた経験と、そしてスウェーデン等の話を聞き、そして千葉市の国会議員として、この間苦しんできた者の一人として私が共有できる、これはわずかなものでございますけれども、何もないよりは先達がいた方がいいということで、私は指定廃棄の話は先達と位置づけていいのじゃないかと思います。

 そこで、政府にお尋ねしますけれども、今回の最終処分の具体的手法でございますね。科学的有望地というふうに言っています。科学的有望地を年内に発表するとおっしゃっていますが、これは最終処分の候補地という理解でいいのかどうか、お答えください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねの科学的有望地でございますが、これは昨年五月に基本方針を改定いたしまして、これまでにはなかった、これまでの自治体による手挙げ方式というのを改めまして、国の方から科学的有望地をお示しします、このようにしたものでございます。

 この科学的有望地は、これまでの最終処分法の法律に定まったプロセス、文献調査、概要調査、精密調査という三段階のプロセス、これの候補地を待っていても全然出てこなかったという反省に基づきまして、この三段階のプロセスに先立って、国の方から科学的有望地をお示しするというものでございます。

 その上で、この科学的有望地とは一体どのようなものなのかということでございますが、お尋ねの最終処分場の候補地と理解するかという点につきましては、候補地そのものではございません。これはあくまで、日本の国土の中で、全国的なデータに基づきまして、処分地としての科学的な適性がより高いところといったものをお示しするものでございます。

 イメージとして申し上げますと、日本全体を三つのカテゴリー、適性が低いところ、適性があるところ、そして、より適性の高いところ、これが科学的有望地でございますが、この三つのカテゴリーに分類いたしまして、地図上で色分けをしてお示しする、こういったことを想定しております。具体的な地点を候補地として提示するものではございません。

田嶋(要)委員 最終処分場の候補地ということでは直接ないというようなイメージでしょうけれども、三種類に色分けするということは、例えば一番いい色のついたところの面積が日本の国土面積の三分の一になるとか、当然、日本の全面積、今の時点で排除されているのは、合意されている青森県だけですね。青森県は県全体が絶対そこを処分地にしないということですから、四十六都道府県に関しての色分けがなされて、そして、そのうち有望地というのがある部分に塗られれば、当然、あっ、俺の自治体は関係なかった、よかったよかったというところがその瞬間に誕生する、そういう理解でいいですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、今先生御指摘のような状況のままで科学的有望地をお示しするのは適切ではないというふうに思っております。

 先ほど先生の方からも御指摘ございましたけれども、この問題は私ども現世代が責任を持って解決していかなければいけない大きな課題でございまして、誰かが考えてくれればいい、こういうことであってはいけないと思っております。

 したがいまして、昨年来、私ども、全国でのシンポジウム、それから先ほど御指摘のありました少人数のワークショップ、まだまだ数は足りないと思っておりますけれども、全国で展開をさせていただきまして、まずは、この科学的有望地が持つ意味は一体どういうことなのか。

 一つは、地震、火山が多い我が国であっても安定した地層というところがあるんだということを国民の方々に御理解をしていただく、そうしたところから始めていきたいと思っております。その上で、いずれどこかで苦渋の決断をしていただく地域が我々の中から出てくるというこの重みを全国民に御理解いただく地道な積み重ねをやらせていただこうと思っております。

 したがいまして、先生御指摘のように、私のところは地域から外れた、それでよかったというふうな反応を持たれないような形に、事前の御説明をしっかりやっていきたいと思っております。

田嶋(要)委員 私は今の多田さんの言葉を取り上げるわけじゃないですけれども、多分、スウェーデンと一つ違いがあると思うんですよね。部長が今いみじくも、最後に苦渋の決断をしていただく自治体とおっしゃいましたでしょう。多分、スウェーデンはそうじゃないんですよ。だって、それを誘致した方がいいといういろいろなパッケージを提示して、苦渋の決断じゃないように持っていくことが大事なんだということを私はスウェーデンは言っているような気がするんです。

 嫌々最悪のものを押しつけられたという話は、指定廃棄のときに環境省が千葉で首長の会議をやりました。首長の会議でどういう議論になったか。議事録を読むと、こんな一つの自治体を選ぶ話は、死刑囚をこの中から一人選ぶような話だ、ほかの自治体がみんなで一つの自治体の首をつかまえて死刑台に連れていくような話だ、そういう例えまで出るぐらい、重くて暗い話なんですよ。

 だから、苦渋の決断をさせるようなことをするんだったら、やはり日本もまた最終処分でうまくいかないんじゃないかというふうに私は思うんですね。スウェーデンの話はもう少し明るい話になっていたんです。

 だから、そこまでいくのがどれだけ気の遠くなるような住民対話のプロセスを求められるかということが、私も答えは持ち合わせておりませんが、やはり相当時間をかけてやらなきゃいけない。

 そこで、なぜか一年、ことし中にというふうにうたってあります、その有望地を発表するらしいんですね、面積で、エリアということですが。これをなぜことし中にやるのかということです。

 そして、今、国民的な全体の理解ということをおっしゃいましたけれども、この最終処分の問題が世代をまたぐことで、今を生きる私たち全員の、エネルギー、電力の利益の享受を、便益の享受を受けてきた私たち全ての共通課題だということを全国に浸透させていくには、まだまだ私は時間がかかると思います。

 大臣にお尋ねします。

 なぜ年内提示にこだわられるのか。これをもう少し前広に考えた方が私はいいのではないかというふうに危惧を持っておりますが、いかがですか。

林国務大臣 この科学的有望地につきましては、昨年十二月の最終処分関係閣僚会議において、本年、平成二十八年中の提示を目指すということにしたところでございます。

 科学的有望地の具体的な要件、基準に関する審議会での検討が一定程度進んできたということ、あるいは対話活動を通じて国民理解が徐々に広がってきたことを踏まえて、現時点での提示目標をお示ししたものだというふうに理解をしております。

 処分地の適性が期待できる場所が国内にも十分あることを示すということが一つ。それから、地層処分について広く全国の皆様に関心と理解を深めていただくこと、これに期待しているところでございます。また、科学的有望地は、田嶋議員が心配されているような一部の地域のみをピンポイントで示すものではありませんで、一定の広がりのあるものになる見込みでございます。

 御指摘のとおりでありますが、この問題は一部の地域に関心を持っていただくだけでは前に進まないというふうに思っております。問題の解決が社会全体の利益であるとの認識を広く国民の皆様の間で共有していただけるよう努力することが重要だろうというふうに思っております。

田嶋(要)委員 一部の地域じゃないのはよく承知しておりますが、色分けをするわけですから、色分けした瞬間に、千七百の基礎自治体のうち、自分のエリアが入るかどうかをまず見ますよ。例えば、四国に色がつくのかつかないのか、九州のどのあたりに色がついているのか。見ればわかりますから、自分のエリアが入るのか。私だって、千葉市をまず最初に見ますよ。千葉市が入っていなきゃ、当然、私も関心度が減りますよ。政治家はそうじゃないかもしれないけれども、一般の国民はそうなりますよ。だから、ここは環境省が失敗しているんですから、よく学んでいただきたい。

 そして、私は警告を発することしかできないですよ。私だって、一〇〇%正しいことを言っているかどうかわからないですよ。ただ、ウオーニングを与えることはできるということです。

 そして、嫌な感じがするのは、初動で経産省も失敗したからなんです。なぜかといえば、自治体向けの説明会を行いまして、朝日新聞等々が掲げましたね、なぜ非公開だったんですかと。そして、三名の方々からそういう異論が出たということですが、事前に十分そういうことは了解できていなかった。

 これは、質問は飛ばしますけれども、やはり非公開は罪ですよ。役所の人が、こういうことを公開するとこういう問題が起きるんじゃないかということをいろいろ考えること自体が、日本的な失敗を生むんです、それは私も経験していますけれども。これは有識者の何人かが長い目で見たらよくないことだと、私もそのように思うんです。

 だから、非公開にするということは、その時点から住民との感情の間に、あいつらは何か隠しているかもしれないと亀裂が入るということなんです。だから、絶対やっちゃいけないと私は思うんですが、大臣、どうですか。

林国務大臣 全てを公開にするというのが、それがいいのかどうかは今この時点で判断できませんけれども、やはり先生が言うように、原則的に公開をしながら理解を深めていただくということが大事だろうというふうに思っています。

田嶋(要)委員 資料の四をごらんください。

 資料の四が公開、非公開の委員会のメンバーでございますけれども、この委員の中で三人もの方が何で非公開なんだという危惧を発せられており、その中の一人は二回目も発せられている。だけれども、二回目の意見はなぜか議事録から削除までされている、こういうことでございまして、私はそういうこと、一個一個は小さいかもしれませんが、環境省がこの一年間でやってしまったことと似ているんですよ。

 だから、没交渉の両省かもしれないけれども、やはり霞が関風土というのは似ているわけだから、やはり何となく自分たちの頭を使って、ここは議事録に入れないでおこうとか、ここは非公開にしようとか、そういうことをやるとろくなことにならない。もとをたどれば、全部、住民の不信感がそこに発せられているんです。そのことをぜひ肝に銘じていただきたい。

 常にということは無理かもしれないということを大臣はおっしゃったけれども、今回既に行った非公開による批判、そういったことを真摯に受けとめて、そして三人の方からそういう懸念の声が出たならば、今後そういうことを万が一にも考える場合、十分時間をとって、なぜ非公開でいきたいかということを考えて、ちゃんとそれを事前に相談していただきたいと思います。

 資料の三をごらんいただきたいと思います。

 環境省が選抜した指定廃棄のときの有識者会議のメンバーでございまして、この三と四を比較して、私はもう一つ思うわけであります。これは、有識者だろうが何だろうが、こんな問題に直面しているのはみんな初心者なんですよ。だから、有識者の方がどんなことを言おうが、ある意味経験をしている方々ではない。そういう意味で、環境省で選ばれた方が、彼らが選んだ基準がいろいろ混乱を招いたりしている面もあるわけだから、これは環境省でいろいろ御協力いただいた方々の知見や経験や苦労や反省点や、そういうことを経産省が酌み取る必要が私はあると思うんです。

 同じメンバーを必ず入れろ、そこまでは申し上げませんが、しかし、そういうような酌み取ることをやってきたのか、あるいはこれからやる必要があるのではないか、その点をお尋ねしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 審議会のメンバーについてのお尋ねでございます。

 先生お配りいただきました名簿の中では重複がございませんけれども、私ども地層処分技術ワーキンググループというのを別途設けておりまして、その中では、一名だけでございますけれども、重複をされているメンバーもございます。

 御指摘のように、環境省の方々の御経験というのは極めて貴重だと思っております。したがいまして、これから、御指摘も踏まえて、しっかりと連携をとってやらせていただきたいと思っております。

田嶋(要)委員 もう一個の技術的なグループがあるのは承知をしておりますけれども、私が強調したいのは、問題は技術よりも人なんですね。最後は、お一人お一人の住民の方の納得感が得られなければ一歩も先に進まない。幾ら環境省が、今回の話は十万ベクレルで、一兆ベクレルの話とは全然違うんです、安心してくださいみたいなことを言ったって通じないんですよ、一般の人に。そういう問題じゃないんですよということなんです。そこは余り関心がないんですよということなんですよ、住民の方々は。

 だから、そこに関してもうちょっとチャネルを開いていただいて、大臣、環境省と指定廃棄の話なんて多分聞いたことがないですよね。だから、これは貴重な先行事例ですから、貴重な先行事例で、しかも失敗から学ぶものは多いから、ぜひとも話を聞いていただきたいんです。そのことをぜひお願いしたいと思います。

 次に、資料五をごらんいただきたいと思います。

 このお二人、上の方が、最終処分地として、今SKBというNUMOに当たる会社から、最後はここでやりたいというふうに話の出ている自治体の市長さん。そして、下が、先ほど申し上げた、二十八年間こういった分野で頑張ってこられたSKB実施主体の副社長さんということでございますが、私は御提案を大臣、副大臣に申し上げたいと思います。

 先行事例は本当に貴重で、しかし先行事例はほとんどないという中で、フィンランドが経産省の表では一番右にいる、先行している。そして、そのちょっと後ろにいるのがスウェーデンだ。

 違いは、フィンランドは場所が最初に合意した、スウェーデンはまだ最終合意はしていないという認識でございますが、最終地をそこでやらせてほしいということは、自治体側が今受けている状況だと認識しておりますが、いずれにしても、先行している事例がこの二つしかないんです。あとは、国内の環境省の苦しい経験を少し学んでほしいということです。

 私は、このシンポジウムはよかったんですけれども、シンポジウムを時々開いて招聘するだけではもったいないなと思うんですよね。だって、世界じゅうにそんな何百カ所で起きる話じゃなくて、私の危機感は、あのいつも見る表、国が今どういうステージにいるか御存じですよね。アメリカはユッカマウンテンから、すごろくでいえば振り出しに戻ってしまった。ドイツもそこにいる。アメリカもそこにいる。日本もそこに描かれていますが、私は、あの絵は間違っていると思うんですよ。

 なぜならば、日本だけは、ゼロからのスタートじゃなくて、マイナスからのスタートをしなきゃいけない国なんです。なぜならば、最近、唯一事故を起こしたからです。大事故を起こした国だからなんです。それは、七九年のスリーマイルもありますが、八六年のチェルノブイリもありますけれども、一番最近大事故を起こして、国民があの放射能に恐怖感を覚えているのはやはり日本ですね。そうなると、すごろくでいえば、振り出しのところにすらいないのが今の日本なんだ。だから、ほかの国よりも何倍もスタートを切ること自体が難しい、まずその重い状況を認識してほしいんです。

 そして、御提案でございますけれども、やはりこういった先進国の知見をもっとデーリーに、日常一緒に作業するようなチームを組んで取り組んでいただけないのか。まだまだ、サイーダさんも現地で役割があると僕は思いますよ。私も彼女と後で話しました。あと二、三年は特に必要なんでしょう、最終的にこのヤーコブさんの市が承知をしてくれるまで。

 ただ、やはりコミュニケーション、先ほどの小さいグループほど重視するということを膝つき合わせて長年やってこられた経験は何事にもかえがたいと思うし、どれだけ日本人の有識者が集まったって、霞が関からそんなアイデアは出てこないんですよ。それはもう皆さんも御案内のとおりです。

 だから、ぜひともこういう方々に、出向でも何でもいいと私は思うんですけれども、グローバルなチームをつくっていただくようなことは考えられないのかどうか。民間だったら、例えばITの世界だったら、日本のソフトウエア会社に今インド人はたくさんいるんですよね、インドはやはり強いですから。そういう常識なんですよ。

 だから、そんなことは無理ですよと言わずに、ちょっと前向きな答弁を私はぜひ大臣から期待したいですね。

 この方というふうに指名をするつもりはないですけれども、これからNUMOの方がたまにスウェーデンに行って見てくるじゃなくて、毎日のことだから、そういういろいろな対話の経験とか苦労の経験とかを共有しながら、特に最初が大事なので、これからの五年、十年でも、やはり住民理解を広めて、先ほど多田さんが言われた苦渋の決断を地域がしなくてもいい形にどうやったら持っていけるかということを考えてほしいんですけれども、大臣、そういうアクションは検討いただけませんか。

林国務大臣 先生御指摘のとおり、高レベル放射性廃棄物の最終処分は、我が国のみならず、原子力を利用してきた全ての国に共通する世界的な課題であるというふうに認識しております。

 そういう意味では、先進国、フィンランド、スウェーデンについては、長い時間をかけて、いろいろな意味で信頼関係を築き上げて信頼を得てきたというのが基本にあるという指摘がございました。まさしくそのとおりだと思います。

 NUMOも海外の組織と協力協定を結んで情報交換や共同研究をして、あるいは職員の派遣なんかもしておりますけれども、さらに人事交流のもうちょっと深い関係を構築できないか、それを含めて検討をさせていただきたいと思います。

田嶋(要)委員 私もNUMOの方とフィンランドは行ってきまして、あと、フランスのビュール。優秀ですよ、NUMOの方も。ただ、やはり言葉の壁もあるし、いろいろな意味で長い時間を一緒に共有して仕事をする形をつくらないと、たまに行って話をして帰ってきましたでは足りないと思う。

 しかも、冒頭申し上げたとおり、これは日本にとって超難問中の難問ですよ、事故を起こしていますから。だから、やはり特別の仕掛けを最初から考えなきゃいけない。

 私だったら、すぐ彼女に連絡をとって、三年後から来てくれませんかとか、そういう交渉を始めたらどうかと思うんですね。別に、すぐは無理かもしれない。だけれども、これは優秀な人のヘッドハンティングですよ。しかも、経験した人しかわからないことだから、必ずしも自然科学の技術の話をしているんじゃないんです。こういうプロセスを経てきた人材は少しの国にしかいないから、こういうことを申し上げているんですね。

 大臣、検討しますと言ってくれませんか。

林国務大臣 先ほども答弁を申し上げましたけれども、繰り返すようですけれども、今でも人事交流をしておりまして、さらに深めた対応ができないかどうかも含めて検討を進めていきたいと思います。

田嶋(要)委員 これは人事交流じゃないんです。別に、何かトレーニングとかそういう話じゃないんだから。深刻な話、唯一こういう事例でうまくいっていると目されている二つの国があるんだから、フィンランドとスウェーデンから私たちは学ばなきゃいけないし、必死にそれはお願いをしなきゃいけない。日本は事故を起こした国なんです。だから、そこはぜひお願いしたい。

 最後に一問だけ、NUMOさんの問題もちょっと懸念をしているんですけれども……

高木委員長 時間が来ておりますので、短時間で。

田嶋(要)委員 はい、短時間で。

 最後の資料六をごらんください。

 これはNUMOの組織なんです。先ほどの彼女のSKBと同じなんですが、ここの理事会のメンバーは、もうこれは質問せずに言っちゃいますけれども、全員が、電力会社等の天下りじゃなくて出向者ですよね。つまり、プロパーでずっとそこにいる方はゼロだという認識です。

 そして、地域交流部の四十名の方々、この方々がまさに地域に行って説得活動を頑張っていただく方なんです。つまり、先ほどの彼女が二十八年間、そういった方々が全然いない。

 まだNUMOも歴史が浅いですから、今急には無理です。

高木委員長 田嶋委員、まとめてください。

田嶋(要)委員 はい。

 大臣、最後に、NUMOについて、組織のありように関しても少し見直しが必要なんじゃないか。つまり、じっくりと腰を落ちつけて住民対話のできる体制を検討いただきたいと私は思いますが、大臣、いかがですか。

高木委員長 大臣、手短にお願いいたします。

林国務大臣 高い志を持って、地域の信頼を得られるような人材をしっかりと確保していけるよう指導してまいりたいと思っております。

田嶋(要)委員 物足りませんが、ありがとうございます。

 以上です。

高木委員長 次に、中根康浩さん。

中根(康)委員 民進党の中根康浩でございます。

 きょうから新年度、四月一日です。

 今、田嶋先生の重い質疑があったわけなんですが、私は厚生労働委員会にも所属しておりますので、先ほど厚労委員会の方にも行ってきましたが、四月一日、きょうから障害者差別解消法という新しい法律が施行されたということで、これは高木経済産業委員長も私も随分深くかかわってきた法律でございますので、前回も申し上げましたが、ぜひ経産省におかれましても、対応要領をしっかりと誠実に実行していただきますように、心から期待を申し上げているところでございます。

 厚労委員会では、この障害者差別解消法の施行ということが話題になっておりましたが、こちらの方では、きょうから電力の小売全面自由化がスタートするということで、この点につきまして少し質疑をしていきたいというふうに思います。

 改めて思うのは、電源構成がどうして公表されることにならなかったのか。つまりは、努力義務ということで、開示することが望ましいということにとどまってしまったのが改めて残念でございます。

 これは経産省からもらったんですが、小売電気事業登録申請書というのがあって、なるべく多くの業者がこれに参入してもらいたいという気持ちの中で、用紙も随分簡便なものに工夫をされている、こういうことでありますが、この簡便な登録申請書の中においてすら、「電源の名称・所在地・原動力の種類等」を書き込む欄があるわけなんですね。

 ここには、その注意書き、記入の仕方のところに、「「電源の名称・所在地・原動力の種類等」の「原動力の種類」の欄には、水力、火力、原子力、新エネルギー等又はその他の別を記載することとし、火力と記載するに当たっては、燃料電池発電設備を含み、廃棄物を除くものとすること。また、火力と記載する場合には石炭、LNG、石油、LPG、その他ガス、歴青質混合物の別を、水力と記載する場合には一般と揚水の別を、新エネルギー等と記載する場合には風力、太陽光、地熱、バイオマス、廃棄物の別を記載すること。」

 それなりに、消費者、需要家にとっても知りたいなと思うようなことが、この登録申請書にも書き込まれるということになっておるわけでありますので、既にここに書いて登録するわけですから、事業者にとっても、公表することはそんなに困難なことではない、ある意味ここに書いたことをそのままホームページか何かに載せれば一定の情報公開にはなるわけでありますので。

 にもかかわらず、これすら義務化しないで、望ましい程度にとどめたということが私としてはまだ十分理解できていないんですが、説明を求めたいと思います。

松尾政府参考人 今御指摘のございました小売電気事業者の登録申請書でございますけれども、こちらで記載をお願いしておりますのは、年間の最大需要電力が見込まれる際、つまり、言いますれば、夏場の暑い日に、よく甲子園の決勝戦のテレビを見るということで、一番電気の使用量が多いと言われておりますけれども、この一番たくさん電気が使われるその瞬間に、一体どういう供給力を確保するのか、その中で、自分自身が、自社でお持ちの電源について、発電所についてどういう電源構成をしていただくのかということを御記載いただくことにいたしております。

 このように、申請書に記載いただきますのは、最大需要電力が見込まれるその瞬間、そのときの電源の計画ということでございまして、他方、消費者の皆様からも御要望いただいておりまして、私どもも消費者の方々への開示を求めておりますのは、これは一年間を通じまして、つまり春やあるいは秋といった電気が使われない時期も含めまして、その全体として、しかも自社だけではなくて外部から調達されるものも含めまして、この電源全体でどういう電源構成になっているかという記載をお願いしたいということでございます。

 したがいまして、登録申請書の記載事項と、開示を求めている電源構成の中身が変わっている、しかもそういう春夏秋冬を通じてということになりますと、これは他社からどんな電源を買ってくるのかということについても、ある程度見通しがありませんとなかなか記載ができないというところの難しさもございます。

 それは、もちろん私どもといたしましても、電気の使用者の選択の機会拡大という観点から、電源構成の開示は非常に意義があると思っておりますし、一方で、規制は極力排して、事業者の自由な創意工夫に委ねることで、活発な競争を促さなきゃいけないということも考えなければいけない。

 さらに申し上げますと、そもそも電気というのは、先生もよく御案内のとおり、商品の性質といたしまして、発電所で発電されました電気は送配電網を通る過程で需要家に届くまでの間にまざってしまいますので、結局、需要家の方に届く電気につきましては、電力会社の電源構成がその品質に影響を与えないということもございます。

 我が国におきましては、一般に罰則を伴う形で開示の義務化が行われておりますのは、安全の確保あるいは消費者への不測の損失の予防などの場合ということでございまして、特にこうした電気の品質そのものに影響を与えない情報につきましてどうすべきか、これについては他の消費者保護のためのルールとのバランスも考慮する必要があると考えております。

 本件につきましては、こうした審議会におきます御議論を経まして、この小売営業に関する指針におきまして、望ましい行為と位置づけ、事業者の自主的な取り組みを促す努力義務としているところでございます。

 指針の制定後も、事業者向けの説明会を開設するなど、その内容について周知を行いまして、開示が進むよう、しっかり取り組んでいるところでございます。

中根(康)委員 電力の小売全面自由化というのは、電気もほかの商品と同じように、ある意味特別なものではない普通のものである、普通に売り買いできるものであるというような位置づけにだんだん変わっていく過程の一里塚であるというふうに思っております。

 やはりその中において、消費者は、どういう電気であるのか、その事業者が売っている電気はどういう内容、中身のものであるのか、ほかの商品であれば表示される義務があるものと同じようなことを求めるのはある意味当然だと思います。これは、少なくとも望ましいという位置づけがなされている以上は、公開の義務化という方向に向けて、消費者から望まれている方向だと思いますので、そういった方向に今後努力をしていっていただきたいということは申し上げておきたいと思います。

 それで、まざってしまうという話もありましたけれども、これから省エネということも大事で、省エネがある意味発電とも同じ立ち位置にあるというか、省エネが発電であるというような、電気をつくるというような意味合いにもなるということはもう皆さん御案内のとおりでありますけれども、家庭部門での省エネというものがとかくまだ立ちおくれているというふうに言われている中で、この電力自由化ということをいい契機として、省エネをさらに推進していくきっかけにしなければならないというふうに思っておるわけであります。

 ところが、自由化のメニューを見ると、大口の需要家に対して割引をするというような、ある意味省エネに逆行するようなメニューが目立つという懸念がされているということも、これはエネ庁も経産省も自覚をされておられることと思いますけれども、この電力の小売自由化ということをいいきっかけとして、事業者側、供給側から消費者側、需要家側に省エネを促していく。

 つまりは、民生部門の省エネについて言えば、電力の小売会社が省エネの担い手になっていく、そのためには、省エネが電力の小売事業者にとってもビジネスとなるというような状況をつくっていかなければならないということであります。

 事業者側、供給側からの、特に家庭、民生部門に対する省エネの働きかけを何らかの形で、エネ庁として、経産省として、インセンティブを与えるような政策を打つことができないかどうかということについてなんですけれども、これはいかがでしょうか。

林国務大臣 エネルギーミックスでは、二〇三〇年度に原油換算で五千三十万キロリットルの省エネを見込んでおりまして、このうち、家庭部門が二三%を占めます。家庭部門の省エネは極めて重要だというふうに考えます。また、電力については、二〇三〇年度に需要の一七%の削減を見込むなど、電力自由化の中でも着実に省エネを進めているところでございます。

 今後、電力自由化のもとでは、各事業者が電気料金のメニューを自由に決められるため、省エネの観点から見た場合には、必ずしも望ましくない行動を消費者に促すような電気料金のメニューも出てくるとの指摘があることも承知しているところでございます。

 こうした中、経産省として、小売事業者が家庭部門の省エネを推進する取り組みを進めていきます。

 具体的には、今月中に取りまとめる予定のエネルギー革新戦略におきまして、小売電気事業者を初めとするエネルギーの供給事業者が消費者に省エネに関する適切な情報提供を行うことを促すガイドラインの作成を行うことを盛り込む予定でございます。そして、夏前までにも検討会を設置いたしまして、具体的な検討に着手してまいりたいと存じます。

中根(康)委員 今大臣が御答弁いただいたように、私もいただきました総合資源エネルギー調査会の「中間とりまとめ」、平成二十八年、ことしの二月に取りまとめられたものの中に、「エネルギーの小売全面自由化に伴い、エネルギー供給事業者が家庭部門などの小口消費者の省エネ取組に与える影響が大きくなることから、省エネに関してその社会的責任を果たすために、エネルギー供給事業者へ求められる取組の在り方について検討が必要となっている。家庭の省エネを促進するため、エネルギー供給事業者に求められる省エネ取組の在り方に関する検討会を設置し、消費者への省エネに関する情報提供等に関するガイドライン等について検討を行う。」こういうこともあります。

 それから、国会の方でも、昨年の電気事業法第三弾の改正についての衆議院の附帯決議において、これは四番でありますけれども、「需要家への働きかけも含めたエネルギー供給サイドにおける省エネの推進等に注力する」ということも決議されているわけであります。

 つまり、電力会社は、電力使用の状況、データ、そういう意味で顧客とのつながりがあって、電力の小売会社が省エネビジネスの新たな担い手になるということは可能であるというふうに思うわけであります。

 この総合資源エネルギー調査会の「中間とりまとめ」とかあるいは国会における附帯決議を踏まえて、今、大臣もガイドラインをつくるということで御答弁をいただいたわけでありますけれども、このガイドラインの中身はまだこれからだということでありますけれども、このガイドラインからさらに踏み込んだ、私もまだ具体的なアイデアはないまま申し上げているんですが、供給側に、民生部門、家庭部門の省エネを手助けするような、そういうビジネス、取り組みをするようなところに何らかのインセンティブを与えるような政策を考えるということも検討していただくということでよろしいでしょうか。

藤木政府参考人 お答え申し上げます。

 これからまさに検討していくテーマでございますが、こういった省エネをするための情報提供ですとか、あるいはそのためのサポートをしていくということは、もちろんエネルギー供給事業者にもやっていただきたいと思いますし、また、こういうことを専門にされている事業者の方もいらっしゃるということでございますので、これを規制のような形でやっていくのか、あるいはインセンティブをつけてやっていくのかということについては、よく見きわめていく必要があると思っております。

 とりあえず、ガイドラインにおきましては、そういった情報提供、サポートということを供給事業者の一種努力すべき義務という形で構成していくというのが一つの考え方かなというふうに考えております。これからいろいろ検討してまいりたいと思います。

中根(康)委員 これはエネ庁は把握しておられることと思いますが、北陸電力がオーパワーという会社と連携して何か実証実験的なことをやっているということも伺っておりますので、そういう民間のさまざまなアイデアをぜひ取り込んでいただいて、供給側からの省エネの取り組み、こういうことについて、省エネというのは発電所を一つ、二つつくるのと同じぐらいの有効性があるということでありますので、そういう取り組みをぜひ強力に進めていっていただきたいと思います。

 次に、消費税の軽減税率についてお尋ねをしたいと思いますけれども、今、解散・総選挙政局となりつつある中で、来年の消費税の引き上げを見送るのではないか。もちろん、私ども民進党も、軽減税率は問題が多くてさまざまな混乱をもたらすであろうから、軽減税率の導入を前提とした消費税の一〇%への引き上げについては反対だという姿勢をとらせていただいておりますけれども、来年消費税が見送られた場合に、今現実に、消費税の軽減税率対応のために人を雇ったり、レジの改修や、経理や販売方法の見直しなどの準備をしている事業者にとっては、この対応が無駄なものになりかねない。

 経産省としても、小規模事業者へのレジの購入費補助三分の二とか、こういう予算も無駄なものになりかねない、こういうことになるわけでありますけれども、軽減税率導入を前提として取り組んでおられる事業者にとっては、果たして消費税は本当にどうなるんだろうか、こういう思いも強くなってきているわけでありますけれども、いかがお考えでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 来年四月の消費税率の引き上げについて、政府といたしましては、リーマン・ショックや大震災のような重大な事態が発生しない限り、確実に実施することとしているわけでございます。

 こうした政府の方針を踏まえて、事業者が軽減税率に対応するために必要な準備を進めること、これに対しましてしっかりと支援していくことが政府の責任であると感じております。このため、御指摘のあった補助制度についてもしっかり進めてまいりたいと思っております。

 委員のお尋ねは、仮にこの軽減税率制度の導入が見送られた場合に、事業者の準備が無駄になるかということだと思いますが、まことに恐縮ですが、政府のこうした方針を踏まえますと、現時点でこうした仮定のお尋ねにお答えすることは難しいところがございます。

 なお、あえて申し上げれば、個々の事業者に対して一度決定しました支援を事後的に取りやめることは考えておりませんので、事業者におかれては、こうした措置を使って必要な準備を進めていただきたいと思っているところでございます。

中根(康)委員 レジの買いかえぐらいだったら、いずれ役に立つかもしれないということなのかもしれませんが、人を一人雇ってしまったとかということになると、消費税を引き上げなかった、軽減税率も入らなかった、この人は要らなくなってしまった、だからやめてもらうというわけにもいかなくなるわけでありますので、ここは、決して簡単な問題でもないということは頭の片隅に置いておいていただければありがたいと思います。

 それと同じような脈絡の中での質問なんですけれども、自動車に関する税金なんです。来年四月に消費税を一〇%に引き上げない場合でも、自動車取得税は予定どおり廃止をしてもらいたいというふうに思いますけれども、いかがかということであります。

 去年、二〇一五年十月に引き上げる予定だったんですよね。その引き上げを延期した際には、自動車取得税の廃止が見送られたわけであります。自動車税に至っては、どさくさに紛れて環境性能割の導入だけが、九百億円の増税だけが先に決められてしまったわけであります。消費税と絡めて自動車の税金を考えるとこういうことになってしまうわけでありまして、また今後も同じようなことが繰り返されかねない。

 私どもは、もともと、課税根拠がなくなった車に関する税金はもうやめるべきだ、ユーザー目線で、軽減化、簡素化の抜本改革を行うべきだという考え方で申し上げているわけでありますけれども、残念ながら、消費税の引き上げと自動車に関する税金がリンクしてしまっている状況の中ではありますけれども、来年四月に消費税を一〇%に引き上げない場合には、自動車取得税はどうなりますか。

時澤政府参考人 お答え申し上げます。

 自動車取得税と環境性能割の導入でございますが、これは、自動車取得税につきましては、消費税率一〇%への引き上げ時であります平成二十九年四月一日に廃止するとともに、自動車税及び軽自動車税におきまして、環境性能割を平成二十九年四月一日から導入するというふうにされました二十八年度与党税制大綱に沿って実施するものでございますが、この内容を法制化した地方税法等の改正法案が昨日公布されているところでございます。

 このため、私どもといたしましては、同法の着実な実施を図る必要があるというふうに考えておりまして、消費税率一〇%への引き上げの延期を前提といたしました御質問につきましては、お答えを控えさせていただきたいというふうに思います。

中根(康)委員 やはり消費税と絡めるとそういう答弁になってしまうわけで、まさに繰り返し、もう何回も繰り返しているので恐縮なんですが、ユーザー目線で、車に関する税金の抜本改革を、軽減化を、簡素化を図るという観点に立てば、消費税を引き上げる、引き上げない、あるいは延期する、しないということにかかわらず、やる必要があるということになるはずだということを改めて申し上げておきたいと思います。

 同じようなことなんですけれども、来年四月に消費税を一〇%に引き上げない場合、自動車税の環境性能割はどうするんですか。それでも導入してしまうんですか。

時澤政府参考人 お答え申し上げます。

 環境性能割につきましては、自動車取得税を消費税率一〇%への引き上げ時であります平成二十九年四月一日に廃止するとともに、環境性能割を平成二十九年四月一日から導入するということで、あわせて講ずることとされております。

 この点、先ほども申し上げましたように、既に地方税法改正法案が昨日公布されておりますので、私どもとしましては、同法の着実な実施を図る必要があると考えているところでございます。

中根(康)委員 結局、自動車取得税を廃止するときに環境性能割を導入する。環境性能割はやはり穴埋め財源だということで、繰り返しになりますが、ユーザー目線に立った税制のあり方ではないということを申し上げなければならないと思います。

 平成二十八年度の与党税制改正大綱では、保有に係る税負担の軽減ということで、自動車税の引き下げは大きな候補となり得る。

 税制改正大綱を改めて申し上げますと、「簡素化、自動車ユーザーの負担の軽減、グリーン化を図る観点から、平成二十九年度税制改正において、」「自動車の保有に係る税負担の軽減に関し総合的な検討を行い、必要な措置を講ずる。」これは随分重要なことが書かれていると私は思っているんです。

 これを素直に読むと、保有に係る税負担の軽減ということで、つまりは、保有に係るということでいえば、自動車税の引き下げが大きな候補になり得ると考えておりますけれども、経産省も昨年の税制改正要望では自動車税の引き下げを要望しておられるわけであります。

 昨年経産省が要望していた自動車税の引き下げとは具体的にどのような内容で、どの程度の規模の減税効果を狙ったものか、改めて確認をしたいと思います。

糟谷政府参考人 自動車税は、車体課税、自動車の保有に係る税収の最大の税目であります。

 昨年の税制改正要望におきましては、自動車税引き下げにつきまして、消費税率を一〇%に引き上げた後に販売される新車について、以下のようなことを要望したわけであります。

 まず、自動車税の対象となります登録車の排気量の一番小さいカテゴリー、千cc以下の登録車でありますけれども、これが現状二万九千五百円であります。これに対して、軽自動車の負担水準、これが現状一万八百円でありまして、大体三倍近い差があるわけであります。この差を二倍に縮めるという観点から、千cc以下の登録車の自動車税を年二万九千五百円から年二万一千六百円に引き下げてはどうか。加えて、なるべく排気量に比例した税額構造とするために、排気量が五百cc上がるごとに税額を七千円ずつ上げるという仕組みにしてはどうかというものでございます。

 これをやりますと、全ての排気量のカテゴリーで自動車税の引き下げが実現するということで御提案申し上げたものでございます。

 結果的に実現はしておらないわけでありますけれども、この要望による減税額としては、経済産業省として、平年度ベースで千八百億円、初年度百五十億円程度を見込んで要求をさせていただいたものでございます。

中根(康)委員 保有に関する税の軽減化ということは着実に行っていってほしいという思いで、ぜひ、その昨年要望したものを引き続き要望し続けていっていただきたい、実現に向けて取り組みを進めていっていただきたいという思いであります。

 平成二十九年の税制改正要望においても自動車税の引き下げを要望するのかということ、その場合に、自動車税は都道府県税でもあり、引き下げるとなると、先ほどから総務省にも御答弁いただいておりますけれども、また総務省の抵抗があると予想されるわけでありますけれども、これをどう乗り越えていくお考えか、お聞かせいただければと思います。

林国務大臣 経産省としては、国内の生産基盤の維持強化や地域経済の活性化を図る上で、国内の自動車市場の活性化が非常に重要だというふうに考えております。そうした観点から、ユーザー負担の軽減、簡素化等を図るべく、車体課税の見直しに取り組んできたところでございます。

 平成二十九年度税制改正要望に向けて、既に関係者、関係業界とは議論を始めているところでありますけれども、御指摘の自動車税の引き下げも含めて検討を行っているところでございます。今後、足元の自動車販売の状況をよく見きわめつつ、要望内容の具体化を進めてまいりたいと存じます。

 要望の実現に向けては、ユーザー負担の軽減の必要性について広範な理解を得ることが重要だろうというふうに考えております。車体課税の見直しにより国内市場が活性化されれば、地域の経済や雇用にプラスに働きますし、税収増にも寄与する点などについて議論を喚起できるよう、必要な検討を進めてまいりたいと思っております。

中根(康)委員 大臣御答弁のとおりだと思うんですね。ぜひ、この税制を考えるに当たっては、経産省と総務省と一つ同じテーブルに着いて、こういう税制改正をやったら、例えば自動車税を引き下げたら、その分可処分所得がふえて、地域の内需、消費が拡大して、経済全体が活性化する、そのことは地方の自治体の税収にも当然はね返ってくるということで、全体像を見て、車の中だけで、こっちをふやしたからこっちを減らす、こっちを減らしたからこっちをふやすとか、こういうことではなくて、全体の経済がどういうものになるか、どういう効果があるかということを、十分よく、本当に省益を抜きにして検討していただいて、自動車税の引き下げについては、来年度の実現に向けて頑張っていただきたい、このことを申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、藤野保史さん。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 先日、二〇一六年度予算が成立しましたが、経産省の予算の中にエネルギー構造転換理解促進事業というのがあると思います。経産省にお伺いしたいんですが、この制度の概要、事業内容、そして予算とその財源、さらにその対象は廃炉を決めた自治体に限られるのか、こういったことについて御答弁ください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 お尋ねのエネルギー構造転換理解促進事業でございますが、こちらは、今回、二十八年度で新規予算で手当てさせていただいたものでございます。

 要求の背景といたしまして、川内原発を初めといたしまして再稼働の動きが進む一方で、最近でも四国電力が伊方原発の第一号を廃炉の判断をするなど、一部の原発で廃炉の動きがある。こういった形で、原子力発電所を取り巻く環境の変化が各立地地域それぞれになってきております。こうした状況の変化に対応する形で、地域の実態に即したきめ細やかな取り組みを進めることが大事になってきている、こういう問題認識でございます。

 こうした問題認識に立ちまして、今お尋ねの、廃炉になる、あるいは廃炉になる可能性のある原発が存在する立地市町村等を中心といたしまして、これらの地域の経済構造の多角化を目指して取り組む、エネルギー構造の転換と私どもは申し上げておりますけれども、そうした事業を支援するものとしてエネルギー構造転換理解促進事業というものを手当ていたしました。予算額は、概算要求どおりで四十五億円でございます。

 財源でございますけれども、これは電源特会ではございませんで、エネルギー需給構造高度化対策、いわゆる内外の経済的、社会的な環境に応じまして安定的かつ適切なエネルギーの需給構造の構築を図るという目的に即している、こういう理解でございます。

 補助金の対象事業でございますけれども、地域のエネルギーインフラを活用いたしまして、新しいエネルギーサービス、例えば水素発電でございますとか高効率のLNG火力といったものを新しく導入するために実現可能性を調査する、そういった事業でありますとか、一方で、廃炉に直面するということでございますと、廃炉に関します正しい知識といったものを地域の住民の方々に説明するために講習会あるいは説明会を開催する、こういったハード、ソフト両面からの支援を想定しております。

 廃炉をするところに限られるのか、こういう御質問でございますけれども、私どもは、制度的には、立地道県、立地市町村以外の道府県または市町村についても補助対象から排除することは想定しておりませんけれども、先ほどから申し上げている趣旨でございますので、基本的には、廃炉になる、あるいは廃炉になる可能性のある原発が存在する立地市町村がやはり中心になってくる、このように考えております。

藤野委員 レクの際には、これは廃炉の時代を迎えるに当たっての新規の制度だというふうにお伺いしまして、財源も、いわゆる今まで原発立地とか原発利用対策に主に用いられてきた電源特会ではなく、そういう新しい財源でつくられたということなので、大事な事業だというふうに思っております。

 ただ、お聞きをしたら、この事業だけを専任でやっていらっしゃるのは二人だけということで、ちょっとこれではなかなか、体制としてももう少し頑張ってほしいなというふうには思っております。

 その上で、この対象となる事業の中には、エネルギー構造転換ですから、エネルギー構造転換に係る必要な調査というものも入っているというふうに思います。では、この必要な調査というのは何なんだということなんですけれども、私は、やはり、どう転換するかに当たっては、今現状どうなのかという現状把握が大変重要なんじゃないかと思っております。

 この点で、全国の原発が運転してから大体三十年とか四十年、建設期間中を含めればもう半世紀というようなところもあるわけで、その実態がどうなっているのか、あるいはどうだったのかということなんですね。

 資料を配らせていただいておりますけれども、配付資料の一番目は、私、北陸信越ブロックなんですが、地元の一つである新潟県最大の新聞である新潟日報の記事であります。昨年から連載をずっとされているんですが、その冒頭の記事を御紹介いたしております。

 これは、柏崎刈羽の地元百社を対象にした調査であります。調査時点は昨年の十二月なので三年九カ月なんですが、今四月ですので四年たっております。しかし、当時のものでいいますと、例えば、百社中六十七社が、四年にわたって停止していても、三年九カ月ですけれども、それだけ長く停止していても影響がないとか、そして、線を引っ張っておりますリードの部分ですけれども、「一号機が運転を始めてからことしで三十年となったが、原発関連の仕事を定期的に受注したことがあると答えた地元企業は一割余りにとどまった。三十年間で会社の業績や規模が「縮小」したとの回答が四割を超え、原発の存在が地元企業の成長にはつながっていない実態も鮮明になった。」こうしております。

 実は、これはその後ずっと連載が続きまして、さらに詳しくやっているわけですけれども、例えば、雇用はふえたのかとか、人口はふえたのかとか、産業に貢献したのかとか、波及効果はあったのかとか、再稼働効果はあるのかとか、巨額財源は自治体の役に立ったのかとか、自治体の財政は潤ったのかとか、かなり多角的に、しかも、アンケートだけじゃなくて商業統計とかいろいろな統計をもとにしてやられているわけです。

 同時に、この配付している資料の一枚目の下の方の線のところにあるんですが、「ただ、原発が地元企業の経営にどの程度影響しているのかという調査事例は少なく、」というふうにも指摘していて、私もいろいろ調べているんですけれども、やはり、局所的にはやられているんですけれども、全体としてどうなのかというのは確かに調査が少ないと考えております。新潟日報も、「今後、これらを議論するためには、冷静かつ正確な現状把握と、事実の客観的な分析から始める必要がある。」こう指摘しております。

 大臣にお聞きしていきたいんですけれども、エネルギー構造転換という冒頭の予算、名称もそうなんですが、構造転換していく上で、やはりこうした多角的な調査というのが必要だし、有用だと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 原発の長期稼働停止や廃炉など、原発を取り巻く環境変化は、各立地地域でさまざまでございます。このため、各地域の状況を把握するためには、売り上げや受注額といった短期的な経済影響だけでなく、中長期的な経済構造の転換といった視点も踏まえる必要があるというふうに考えております。

 そして、この際、各地域の経済構造の実態、そして経済構造の転換に向けた地域の方々の具体的なニーズあるいは声をしっかりと把握することが重要だろうと考えておりまして、既に平成二十五年度には経産省として調査を実施いたしました。ここでは、原発が長期に停止することによって、例えば、発電所の検査、保守サービス分野、あるいは宿泊、飲食、交通分野など、立地地域の経済にどのような影響が出るのかについての分析を提示しているところでございます。

 国として、今後とも、調査結果を最大限活用しつつ、地域の実態やニーズをきめ細かく把握しながら、取り組みを前に進めてまいりたいというふうに考えております。

藤野委員 事前に聞いても出てこなかったんですが、あったのならちょっと分析したいというふうに思います。

 いずれにしろ、こうした調査というのは本当に重要だ、しかも、短期ではなく、大臣がおっしゃったように中長期、原発だって建ち始めてから半世紀というところもあるわけで、しっかり分析する必要があると思っております。

 配付資料の二でいえば、経済神話といいますか、安全神話と並んで地元に影響がある、その中でも、とりわけ建設中は何だかんだ言っても効果があるだろうというのはあると思うんですが、この建設中について、例えば新潟日報は、これはシリーズの二回目ですけれども、「建設期も伸び目立たず」というのが大見出しなんですね。

 四十年間調べているんですけれども、とりわけ建設中の一九七八年から九七年でも柏崎市というのは目立った伸びがなかった。柏崎と大体人口が同じ新潟県の新発田市や三条市と比べたグラフも下の方に載っておりますが、もし建設期に何か伸びているのであれば柏崎がばんと伸びていてもいいんですが、ほぼ三市同じということで、これについては、柏崎市長もなさった西川正純氏も驚いた、一瞬絶句したということも紹介をされております。

 建設期も目立った効果が余りないというのはほかの研究もありまして、配付資料の三になるんですが、同じく私の地元である福井県、まさに若狭湾というのは原発銀座と言われるところで、一九六七年に敦賀一号機が着工してからわずか六年の間に九つの原発がつくられる、この九つの原発、原子炉の建設費というのは総額六千八百億円に上っているわけで、大変な額なんですが、しかし全てが地元に落ちたわけではない、そういう資料なんですね。これは福井県立大学が調べた資料であります。

 敦賀原発一号機を建設したときの総工費に占める各パーツの予算、そして右側は、美浜一、二号機の総工費に占める各項目の予算であります。注目したいのは、寄与度という欄が、マル、三角、バツ、あると思うんです。マルというのは、地元企業に大いに関係がある。三角というのは、少しはある。バツというのは、ほとんど関係がない。ちなみに、資料ではほとんど関係があるになっているんですが、本文の文脈からしても誤植でして、関係ないということなんです。

 このバツのところを見ていただきますと、例えば敦賀一号機では、バツが四つあるんですが、足しますと六二・九%。美浜原発一、二号機では、バツが七二・五%に達するんですね。

 確かに、原発をつくる際に、土地の買収だとか、建物とか、いろいろなものをつくるとか、こういうのは地元にも一定及んでいくわけですけれども、そういうのはメーンではなくて、やはり原子炉建屋とか、電気制御部品とか、そういったものがかなりのウエートを占めてくるし、これはやはり地元では担えない高度な中身になってくるので、結局は大手資本が持っていってしまう、こういうことだ。これはやはり原子力産業の一つの特徴、内在的に存在する特徴だと思っております。

 もう一つだけ紹介しますと、配付資料の四枚目は、福井県の建設業連合会の歴史、連合会の方が書かれた連合会史というもので、そこの若狭地区建設業の部分であります。ここには「原発工事の影響」という項がありまして、読ませていただきますと、

  若狭地方に初めて原子力発電所が建設されたのは昭和四五年、関西電力美浜発電所が第一号である。以後、わずか五〇キロの若狭湾一帯に九基六一九万キロワットの原子力発電所が出現し、世界でも例をみない原発密集地帯となるのである。

  しかしこの大型プロジェクトは、地元業者に何らの恩恵ももたらさなかった。原電の道路工事といってもほとんど大手の仕事で、大手の下請けに入ろうとしても条件が厳しくて難しく、地元ではかえって労働力は払底し、賃金は上がるで、経営は圧迫され倒産する者さえあらわれるという状況であった。

こういうことが紹介されております。

 大臣にお聞きしたいんですけれども、要するに、新潟日報も、福井県立大学も、福井県建設業連合会も、いずれも、建設時も、期待したほどといいますか、ほとんど目立った効果はなかったという点は共通しているんですね。こういった実態をどのように思われますか。

林国務大臣 常日ごろから各立地自治体と密接な意見交換を行ってきているところでありまして、その中で適切な情報の把握に努めているところでございます。

 また、先ほど述べたとおり、既に平成二十五年度には原発の長期運転停止による立地地域への影響に関する調査分析も実施したところでございまして、現時点で、各立地自治体の状況について具体的な調査を予定しているわけではありませんが、各立地自治体と引き続きよくコミュニケーションをとりながら対応してまいりたい、このように考えています。

藤野委員 こうした調査というのは、アンケートもあります、あるいは商業統計に基づいたものもあると思います、さらには産業連関のように推計に基づくものもあると思います。それを総合的にかつバランスよくやれるのは、やはり国だと思うんですね。

 しかも、エネルギー構造転換を新たに今年度予算で掲げられて、これから廃炉の時代に向かっていくという局面でありますから、前にやったからというのではなくて、今のこの状況にふさわしく、私は国がイニシアチブを発揮すべきだというふうに思っております。

 そして、もう一点お聞きしたいんですが、エネルギー構造転換といえば、日本はかつて、石炭から石油へ、こういう転換の経験があるわけです。先ほど田嶋委員からも先行事例に学ぶというお話もありましたが、私は、この点でも大いに学ぶ教訓があると感じております。

 私は、出身は九州の福岡でありまして、炭鉱も身近でありましたので、その炭鉱の歴史、石炭から石油のときに何が起きたかというのもちょっと調べてみました。

 一九五〇年代以降、いわゆる石炭から石油へというのは、国主導で、ある意味、国が前面に立って進められる。石炭六法と言われる中心的な法律がつくられましたし、特別会計もつくられました、石炭特会。さらには、産炭地域振興事業団の特別の推進体制もつくられる。ですから、法律、特別会計、事業団など、ある意味、国が前面に立ってやった経験がまさにあるわけで、しかも、もうこれは閉じられていますけれども、四十年にわたって実に四兆円を超えるお金が投入された。

 これは、配付資料の五に、大変小さい字で恐縮ですけれども、予算の推移を、合計が一番右、石炭勘定合計ということで、四兆を超えるお金が入っているということであります。

 しかし、幾らそれだけのお金が入ったとしても、やはり中身が問題だというふうに思っております。

 例えば、この四兆円のうち、産炭地域振興対策費、左から二つ目の項目、黄色で塗っておりますが、これはわずか三千百億円ちょっと、八%にすぎない。炭鉱労働者雇用対策費というのも、五千六百億円、十数%ということで、やはりこれではなかなかうまくいかなかったんだろうというのは感じております。

 他方、一番大きい項目は、構造調整対策費ということで、一兆五千億円を超えるお金が入っております。これは、例えば、いろいろなフェーズはあると思いますけれども、石炭会社に対する政府の補助なども含まれているわけですね。

 配付資料の六枚目はそのうちの一例であるわけでありますけれども、四十年に及ぶ支援でありますからいろいろなフェーズがあるわけですけれども、一九六六年七月の答申等に基づく元利補給金や一九六八年の審議会答申に基づく再建交付金、第一次肩がわりとか第二次肩がわりと言われたものですが、これらの四十四年度から五十四年度における、これはもとデータがそうなので昭和なんですけれども、実績であります。

 経産省にお聞きしたいんです。確認なんですが、この十年間に再建交付金として石炭会社に交付された資金のうち、大手石炭会社向けは幾らで、中小石炭会社向けは幾らか、端的にお願いします。

藤井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘の石炭鉱業再建交付金でございますけれども、委員が配付された資料にありますとおり、昭和四十四年度から五十四年度までの間、三井鉱山、三菱鉱業等の大手炭鉱に対して約九百五十四億円、中小炭鉱に約二十三億円の合計九百七十七億円が手当てをされております。

藤野委員 今、答弁がありましたように、配付資料の六を見ていただいてもいいんですけれども、例えば、この制度でいえば、フェーズもいろいろありますけれども、大手向けに九八%近く配分されて、中小炭鉱向けには二・四%ということで、やはりこれでは、どういうふうに使われるかはそのフェーズによるんですけれども、吸収合併とかいろいろな形になってしまって、結局は地域活性化には回っていかなかったということを数字的には物語っているものだというふうに思うんです。

 結局、こうした点からは、これから廃炉に向けて原発からの転換を進めていくということで、冒頭言ったような事業費、あるいはこれから交付金という形になるかもしれません、さまざまな形で私は必要になってくると思うわけですけれども、それは、単に入れるということではなくて、こうした経験も踏まえて、国費の投入についての工夫がやはり必要だというふうに感じております。

 そして、もう一つ感じておりますのは、産炭地域の歴史から学ぶという点でいえば、上からの押しつけではうまくいかないということなのであります。

 経産省に、ちょっとこれは通告していないんですけれども、わかったら教えていただきたいんですが、地域開発というのを普通行う場合は、国というのは基本計画は示すと思うんですが、具体的な実施計画については関係自治体もみずから策定するというのが、最近はいろいろなものがあると思うんですけれども、一般的にはそういう形でやられてきたと思うんですけれども、この点について、一般論で結構なので、わかりますでしょうか。わからなければいいですけれども。

藤井政府参考人 私の認識という形でお答えをさせていただきます。

 エネルギーにかかわらず、地域開発に関する立法は過去から現在までございました。多くは、国が基本的な指針を示し、自治体が実施計画をつくり、それが国の承認に係らしめられるというのが基本的なスキームであることが多いというふうに認識しております。

藤野委員 ありがとうございます。

 そうなんですね。基本は国が示すけれども、実施はやはり自治体の知恵も生かしていく、こういうスキームだと思うんです。しかし、この産炭法、石炭から石油の場合は、国がかなり実施計画の策定主体にもなったという特徴があります。だからこそ、上からがんがんやっていくという局面がかなりあった。

 実は、これは当時の社会状況も影響しておりまして、産炭法が公布されたのが一九六一年前後なんですけれども、その二年前にはいわゆる三井三池炭鉱で指名解雇が行われて、全面ストもその次の年には行われるという、ある意味騒然とするような状況、三井闘争のさなかでつくられたのが産炭法だったと言われております。

 ですから、そういった中で構造転換をやるということでしたので、上から押しつける、先ほど言った四兆円の配分のあり方や再建交付金のあり方にも反映しているというふうに思います。これもやはり、今後、原発からの転換、構造転換を考えていく際にも大変重要な教訓になってくると思っております。

 片や、今の体制を見てみますと、今回新しい項目をつくりましたけれども、それ以外を見ますと、やはり原発を推進するもの、立地対策とか利用対策、これがまだ大宗を占めているわけであります。

 しかも、今回、安倍政権のもとで、例えば、今まで電源立地地域対策交付金という形で一律のみなし稼働率というのでやってきたのを、ことし、この一律をやめて、動かしていないところには稼働率に基づくから減らしますよと、むちのようなこともやられているし、片や、あめのような形で、再稼働した自治体には交付しますよと。これは去年からありますけれども、去年二十三億だったものを、ことしは五十六億と倍以上にしているわけですね。

 ですから、安倍政権はまさにあめとむちで、上から再稼働に駆り立てて、原子力依存度を減らすと言いながらむしろ自治体の依存度を上げていく、こういうことになっているわけで、これではやはり教訓に学んだことにならない。

 さらには、廃炉に対応していくための国の体制や予算、冒頭紹介したあれが四十五億だと思うんですけれども、まだまだ少ないと思うんですね。

 大臣に最後にお聞きしたいんですが、こうしたことを転換して、原発に依存しないでやっていけるような国の施策、あるいは自治体への交付金や補助金、こういうものを抜本的に厚くすべきだと思うんですが、いかがでしょうか。

高木委員長 林大臣、時間になりましたので、簡潔に願います。

林国務大臣 今、石炭産業の合理化と構造調整を柱として四十年間にわたって実施されたことを、先生からいろいろ話がありました。

 石炭産業の急速な構造不況化や、それに伴う労働問題の発生など、当時の石炭を取り巻く環境を踏まえて実施されたものであるため、現在の原子力をめぐる議論に直ちに適用できるものではないというふうに考えております。

 いずれにしても、石炭から石油へのエネルギー構造転換を含めた過去の経験から学べるところは学び、地域の実態に即した多様な支援策を活用して、エネルギー構造転換に取り組んでまいりたいと思っています。

藤野委員 もう終わりますけれども、ただ、全部適用しろと言っているんじゃなくて、やはり教訓を学んでいこうということで、しかも、産炭地域の対象は二百五十近くあったわけですが、原発の交付金でいえばもう二十数とか桁が一つ違うんですね。逆に言えば、それだけ今は国の力を集中できる条件もあるというふうに思いますので、そうしたことをしっかり学びながら国の支援を強めることを求めて、質問を終わります。

高木委員長 次に、木下智彦さん。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 本日もお時間をいただきまして、ありがとうございます。またしても、委員会、時間が押しているようなのでなるべく急いでやりたいと思いますので、御協力をお願いいたします。

 きょうは、きのうの報道にあった話なんですけれども、福島第一原発の廃炉・汚染水対策の一環ということで、凍土遮水壁の運用がきのうから始まったというふうな話を受けまして、少しその点でお聞きいたしたいと思います。

 まず最初に、この運用の現状について、簡単で結構ですので、御報告いただければと思います。

平井政府参考人 御質問にお答え申し上げます。

 まず、凍土壁の運用でございますけれども、二月十五日に開催されました原子力規制委員会の特定原子力施設監視・評価検討会におきまして、安全を最優先する観点から、建屋から汚染水を漏えいさせないように、海側の全面的な凍結と山側の段階的な凍結を行っていく、こういう方針が確認されたところでございます。

 この方針に基づきまして、東京電力は原子力規制委員会に対しまして二月二十二日に実施計画の変更申請を行いまして、三月三十日にはこの凍結開始の認可がなされたところでございます。

 これを受けまして、昨日から、御指摘のとおり、第一段階といたしまして、海側の全面的な凍結、それにあわせました山側総延長の九五%の凍結ということを順次開始しているところでございます。

 第一段階につきましては、山側に未凍結箇所を設置することで山側からの地下水の供給を確保しているため、地下水流入抑制効果はある程度限定的になるものの、二カ月程度で効果が発揮されることを期待しておるところでございまして、降雨量等にもよるところでございますが、汚染水の発生量は現状の一日当たり五百トン程度から一日当たり二百五十トン程度まで低減できると考えているところでございます。

 さらに、第二段階といたしましては、今後、地下水位の変化の状況を見きわめながら、原子力規制委員会の認可をいただきながら、陸側遮水壁が完全に閉合する、これを考えているところでございまして、降雨量等にもよりますが、最終的な汚染水発生量は一日当たり百五十トン程度までにさらに低減できるというふうに考えているところでございます。

木下委員 ありがとうございます。

 運用の現状についてというところで、効果までしっかりお話しいただきまして、しかも、明確に数値も持ってお話しいただきましたので、非常にわかりやすかったかなと思うんです。

 きのう報道にあったところで、私が見たのはウォールストリート・ジャーナルの日本版で、ネタは多分時事通信か何かだと思うんですけれども、そこで出ている記事には、一番最初のところに、「「凍土壁」、効果は不確実」と。「汚染水対策で政府・東電推進」、そういう記事が出ています。

 ちょっと読ませていただきますと、「政府と東電が実施を求め続けてきた「凍土遮水壁」の運用を原子力規制委員会が認め、三十一日から始まる見通しとなった。ただ、効果ははっきりと見通せず、危険性も抱えたままのスタートとなる。」と。「三十日に開かれた規制委の定例会合。凍土壁の効果を問われた原子力規制庁の担当者は「効果の程は分からない」と答えた。」というふうに言われているんですね。

 政府側は先ほど効果もしっかりとお話しいただきましたけれども、規制庁として、この効果の見通し、どういうふうに見られているか、この報道に書いてあることが事実かどうか、言われたことが事実かどうかも含めて、少しお話しいただきたいと思います。

山田政府参考人 まず、原子力規制委員会は、事業者の取り組みの安全性を確認するという立場でございますので、これまで、建屋の水位と地下水位が逆転しないようにという観点から慎重に審議をしてまいりまして、三十日に実施計画の認可をさせていただいたところでございます。

 その過程におきましては、東京電力から一定の効果があるという説明をいただいておりますけれども、この解析については、あくまでもモデルシミュレーション計算ということで、不確実性があるものというふうに認識をしておりまして、その旨をプレスの方にも答えさせていただいたものというふうに認識をしております。

 いずれにいたしましても、規制庁といたしましては、東京電力の方に、効果とそれから運用の状況についてはしっかりと報告するようにということを求めておりますので、それはしっかりと確認をしてまいりたいというふうに考えてございます。

木下委員 今のお話は、端的に言うと、報告は受けているけれども、最終的にはまだ見通しが立ちにくいんだということだと思うんですね。

 大臣、これは規制庁の役割だとは思うんですけれども、実際、政府の今のお話ですと、そういうことを信じてというのか、そういうことを狙ってやっていかれているということだと思うんですね。これは実際、本当にどうなのかなと。

 本当のところはどういうふうに政府として見られているのか、それから、こういうことをやることによって事態が収束に進んでいるというふうに、まあ、安心することはなかなかできないとは思うんですけれども、実際に収束の方向に向かっているというふうに私たちは認識していいのかどうかということを聞かせていただきたいんですけれども、大臣からその辺をお答えいただければと思います。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 陸側遮水壁の効果、それから、そうしたことについての考え方についての我々の考えでございますけれども、この運用に先立ちまして、陸側遮水壁につきましては、福島第一原発の敷地内に十メートル四方の小規模遮水壁を設置いたしまして、実際に凍結することを確認しております。さらに、福島第一原発と同程度の地下水流速、これは一日約〇・一メートルというぐらいの流速でございますけれども、こうした状況下で凍結可能なことも確認しております。

 さらに、昨年四月三十日からは、十八カ所で試験的な凍結を実施いたしまして、全体のシステムが問題なく稼働すること、さらには、実際の施工箇所において、距離に応じ適切に温度低下するということを確認してきているわけでございます。

 これらを通じまして、確認をし続け、引き続き安全を最優先に着実に凍結作業を進めまして、汚染水発生量の抑制効果が早期に発揮されるよう東京電力を指導してまいる所存でございますし、これまでもこうしたやり方で一歩一歩進めてきて、一つ一つ効果を上げてきたというふうに我々は思っておるところでございます。

 以上でございます。

林国務大臣 廃炉・汚染水対策に関しましては、これは世界に前例のない困難な取り組みであります。政府としても、東京電力と一体となって中長期ロードマップを策定いたしまして、対策の進捗管理を行っております。また、技術的難易度の高い課題に対しましては、これもそうでありますけれども、政府として財政支援をすることにしております。

 こうした考えのもとで、廃炉・汚染水対策の安全かつ着実な実施に向けて、国も前面に立って取り組んでまいりたい、このように考えています。

木下委員 今のお話を聞いていると、特に政府参考人のお話を聞いていると、そのまま受け取ると、非常に着実に進んでいると。はっきりお答えになられなかったなとは思ったんですけれども、事態は収束しつつあるのかなという感覚をやはり持ちます。

 ただ、規制庁の方は、そうはいっても、安全性が確保できるかどうかという部分については引き続き見ていくというところで、実際に事態がどうなっているのかということを規制庁もしっかり見ていただく、それから、政府の方もしっかりとその辺を指導していただくという部分では、そういう関係を保ちながら、着実に前に進めていただきたいなというふうに今思いました。

 その中で、ちょっとお話しいただきたいんですけれども、この凍土遮水壁のお話、ほかにも政府がいろいろと補助金等々出して廃炉・汚染水対策をやられています、多核種除去装置であるとかそういうものもありますけれども、この凍土遮水壁に関して、今年度の予算でいうと三百数十億入れられていますけれども、今までにどれぐらい国費投入されているのか、それから、今後どれぐらいの金額がかさんでくるのかといった見通しも含めて、わかる範囲で結構ですので、お答えください。

平井政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで凍土壁にどれぐらいの国費を投入してきたのか、これからの見通しというところについての御質問でございました。

 凍土方式の陸側遮水壁につきましては、平成二十五年九月三日の原子力災害対策本部での決定で、東京電力福島第一原子力発電所における汚染水問題に関する基本方針というのが示されておりまして、先ほど大臣からの答弁にもありましたように、技術的難易度が高く、国が前面に立って取り組む必要があるものについては財政措置を進めていくということを決めているところでございます。

 これを踏まえまして、凍土方式遮水壁大規模整備実証事業といたしまして、平成二十五年度予備費で約百三十六億円、同補正予算で約百八十三億円、平成二十六年度補正予算で約二十六億円を計上いたしまして、合計約三百四十五億円を措置しているところでございます。

 なお、今後、冷媒の冷却に必要な電気代、機器の保守点検といったような維持管理に必要な費用がランニングコストとして発生することになりますが、これらの維持管理費用等については東京電力が負担することになってございます。

木下委員 ありがとうございます。

 ちょっと私の言っていることが間違っていたみたいで、今までで三百四十五億ということですね。電気代であるとかその辺は東電がこれからやるんだということなんですけれども。

 そこで、これは今までの歴代の大臣、茂木大臣から小渕大臣であるとか宮沢大臣であるとか、皆さんに聞いていたんですけれども、補助金でやるということは、国の資産じゃないんですよね。そういうことだと思うんです。

 これはなぜなのかということを今までもずっと聞いてきたんですけれども、なぜこんなことを聞くかというと、今まで世界的にも前例のないことだというふうにおっしゃられました。これは総理も言われていましたけれども、どこかでこういう事故が起こったときに、我が国がしっかりとそういうふうなノウハウを持って助けに行くということができるようにしようということだと思うんです。そうだとするならば、これを東電の資産として持たせると、ノウハウはどこにたまるのかということなんですね。

 これはやはり、補助金で三百何億も出して今までやってきた。資産は東電ですといって、今急にどこか近隣の諸国で事故が起こったときに、果たして東電がそこへ行って何かのノウハウを提供することができるかというと、誰もが想像できないと思うんですね。

 大臣、ここはなぜ国の資産としないのかということをお答えいただきたいんです。

林国務大臣 繰り返しになりますけれども、汚染水対策は世界に前例のない困難な取り組みなものですから、政府と東電が一体となって中長期ロードマップを策定して、それに基づいて進めていくということで、今政府として財政支援をしているところであります。

 したがって、先生御提案のように凍土壁を国有化したとしても、現状の汚染水対策に関する課題を一足飛びに解決できるというわけではないのではないかというふうに認識しております。

 こういう考えのもと、引き続き、廃炉・汚染水対策の安全かつ着実な実施に向けて、国も前面に立ちますけれども、取り組んでまいりたいと思っております。

木下委員 時間になったんですけれども、早く終わろうと思ったんですけれども、今までの大臣の皆さんはこれをどう言われているかというと、とにかく事態を収拾させることに専念する、そういうことだけを言われているんですね。

 今までの答弁、この前の答弁を聞いていると、私が無理やり言わせたところもあるんですけれども、事態が収拾しつつあるんだと感じるような御答弁だったと思うんです。だから、もうそろそろ、事態が収拾の方向に向かっていると判断するのが可能であるのであれば、この辺も含めて早急にこれは考えていく必要があると思います、必ず。

 というのは、これから先、電力自由化になって、東電だけにそういうふうな資産を持たせてどうこうというふうな話もまたこれは考えなきゃいけない。そう考えたときに、やはり……

高木委員長 持ち時間が経過しておりますので、質疑を終了してください。

木下委員 政府が前面にというふうに言いながら、必ずそういうところでいろいろなゆがみが出てくると思いますので、ぜひとも、大臣、こういうことを考えていただきたいと思います。

 以上で終わります。ありがとうございます。

     ――――◇―――――

高木委員長 次に、内閣提出、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 これより趣旨の説明を聴取いたします。林経済産業大臣。

    ―――――――――――――

 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

林国務大臣 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 我が国は、エネルギー基本計画に基づき、使用済み燃料の再処理やプルサーマル等の核燃料サイクルを推進することを基本的方針としているところです。

 他方で、本年四月に電気事業の小売全面自由化が開始されるなど、電力システム改革が進行し、また、原発依存度が低減していく中で、再処理等の事業に必要な資金が安定的に確保されないといった事態が生じ、使用済み燃料の再処理等が滞ることも否定できません。

 こうした新たな事業環境においても、使用済み燃料の再処理等が着実かつ効率的に実施される仕組みを整備するべく、本法律案を提出した次第です。

 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。

 第一に、現行の積立金制度を廃止し、発電時に再処理等に必要な資金を拠出金として納付することを原子力事業者に対して義務づける拠出金制度を創設します。その際、MOX燃料加工等、再処理工程と不可分な関連事業の実施に要する費用も拠出金として納付させることとします。

 第二に、再処理等事業を着実かつ効率的に行うための主体として、認可法人に関する制度を創設します。認可法人は、使用済み燃料の再処理等の実施に関する計画の策定、拠出金単価の決定、拠出金の収納、使用済み燃料の再処理等の実施を行います。解散については別に法律で定めることとして、自由な解散に歯どめがかかることとします。

 第三に、必要な資金を安定的に確保するのみならず、効率的に事業を実施する観点から、認可法人の運営に関し、有識者を含む運営委員会において意思決定を行うとともに、実施計画の策定を経済産業大臣の認可制とするなど、国が一定の関与を行うこととします。

 以上が、本法律案の提案理由及びその要旨であります。

 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十一分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.