衆議院

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第6号 平成28年4月6日(水曜日)

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平成二十八年四月六日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 山際大志郎君 理事 伴野  豊君

   理事 升田世喜男君 理事 富田 茂之君

      穴見 陽一君    石川 昭政君

      尾身 朝子君    大見  正君

      岡下 昌平君    木内  均君

      國場幸之助君    塩谷  立君

      助田 重義君    関  芳弘君

      平  将明君    武村 展英君

      寺田  稔君    冨樫 博之君

      野中  厚君    福田 達夫君

      星野 剛士君    三原 朝彦君

      宮崎 政久君    山口  壯君

      大畠 章宏君    落合 貴之君

      篠原  孝君    中島 克仁君

      中根 康浩君    中野 洋昌君

      藤野 保史君    真島 省三君

      木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       林  幹雄君

   経済産業副大臣      高木 陽介君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 吉利君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官) 片山  啓君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          青木 昌浩君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月六日

 辞任         補欠選任

  勝俣 孝明君     木内  均君

  野中  厚君     國場幸之助君

  八木 哲也君     助田 重義君

  本村賢太郎君     中島 克仁君

同日

 辞任         補欠選任

  木内  均君     勝俣 孝明君

  國場幸之助君     野中  厚君

  助田 重義君     八木 哲也君

  中島 克仁君     本村賢太郎君

    ―――――――――――――

四月六日

 直ちに原発ゼロを求めることに関する請願(堀内照文君紹介)(第一二三五号)

 同(吉川元君紹介)(第一四二一号)

 原発再稼働をやめ、再生可能エネルギー中心の社会への転換を求めることに関する請願(阿部知子君紹介)(第一二八七号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一三三一号)

 同(郡和子君紹介)(第一四二二号)

 同(吉川元君紹介)(第一四二三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として外務省大臣官房審議官中村吉利さん、資源エネルギー庁長官日下部聡さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘さん、原子力規制庁長官官房核物質・放射線総括審議官片山啓さん及び原子力規制庁長官官房審議官青木昌浩さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。石川昭政さん。

石川委員 おはようございます。自由民主党の石川昭政でございます。

 本日は、桜も満開になりまして、大臣以下ネクタイも桜色ということです。また、地元の小学校、中学校、高校では、きょう、あすあたりは入学式ということでございますけれども、御案内を断って、私も今回の委員会の質疑に立たせていただきますので、どうぞ充実した質疑になりますよう、よろしくお願いいたします。

 今回は、再処理等拠出金法案ということで質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 エネルギー問題というのは、各国それぞれ事情がございます。また、それぞれが戦略を持って、できるだけ外部要因に左右されない、そういった独自のエネルギー源というものを持って供給しようということで取り組んでまいっているところでございます。

 とりわけ、人類が開発してきました原子力エネルギーをどう利用していくか。爆発的なエネルギーを取り出せる原子力によって、人類社会は飛躍的な発展を遂げた面もございます。一方、これからの時代は、それをどう再利用するのか、そしてまた、どう処分していくのかというフェーズの時代に移ってきたということでございます。

 今回、原子力の平和利用についての世界全体的な取り組み、それから日本の核燃料サイクル、そして今回法改正になります再処理等拠出金法案の三点について、論点をそれぞれお伺いしてまいりたいというふうに考えております。

 去る四月一日、オバマ大統領の呼びかけで始まりました核セキュリティーサミットがワシントンで開催をされました。そこには安倍総理も出席をされたところでございます。核なき社会を提唱するオバマ大統領でございますが、今回のサミットでは、三・八トン、核兵器にしますと百五十発分の高濃縮ウランとプルトニウムを撤去したということを成果として強調されたところでございます。

 そして、サミットではさまざまな成果が公表されておりますけれども、今回の成果について、まずはお伺いをしたいと思います。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、三月三十一日、四月一日の二日間、ワシントンDCにおきまして、核セキュリティーサミットが開催をされました。ここには、五十三の国、さらには三つの国際機関が参加しておりまして、安倍総理を初め約四十名の首脳レベルが参加をいたしておりました。

 このサミットにおきましては、先ごろのベルギーなどにおけるテロ事件を踏まえまして、ISILを初めとする国際テロ組織による核テロの脅威に対し、各国が連携をして具体的措置をとる必要性を再確認するなどといったような成果がございました。

 我が国からは、核物質の最小化への取り組みでございます、東海村の高速炉臨界実験装置、ここからの核燃料の全量撤去を完了したこと、さらに、京都大学の臨界集合体実験装置、ここの低濃縮化を通じた高濃縮ウランの撤去を決定したことを表明し、あわせて、日米の核セキュリティー協力に関する共同声明を発出したところでございます。

石川委員 日米のバイの会談で日米共同声明というものを発出されたというふうに思います。

 そのポイントは二点あると思うんですが、まず一点目は、先ほどおっしゃいました核テロ防止への情報共有に関する協力体制をまず構築していくということ。それから二点目は、核物質の管理を厳格に行う。日本は、これまで平和利用ということで、そういう意味では、IAEAの査察等にも協力をし、核物質の厳格な管理ということに非常に協力をしておりますし、そこに原子力の有効活用ということを見出していったわけでございます。

 それに加えまして、今回、安倍総理はこういうこともおっしゃっております。福島原発事故の教訓や対策を世界に発信していく、これは非常に大事である。二〇二〇年のオリンピックに向けて、福島は今どういう状態なのかということ、それを受けまして、日本では、原子力規制委員会による新規制基準の対応、これは世界で最も厳しい基準をつくり、その審査を行い、それをパスしたもののみ再稼働を行っていくということを世界の首脳の場で表明したわけでございます。

 そういう意味では、今回の核セキュリティーサミットというのは、東日本大震災からの復旧復興、福島原発事故の収束、こういったものに対して、日本政府はしっかり取り組んでいるんだということ、前進しているというイメージを海外に発信できたいい機会なのではないかなというふうに私は思います。

 今回、私は、この核セキュリティーサミットを報道で見ておりまして、世界では、逆に核テロの危険性が高まり、核の拡散が非常に懸念されているんだなということを強く感じた次第です。

 安倍総理はこういうことも言っています。利用目的のないプルトニウムは保持していない、それを実践する模範国だということも表明をされました。利用目的のないプルトニウムは保持していない。つまり、日本には原発が五十数基ございまして、それの使用済み燃料を今後再処理しても、それをまた消費することが前提となっている。これが、今回テーマになっておりますけれども、プルサーマルであり核燃料サイクルだろう。

 つまり、その意味では、この核燃料サイクルのミッシングリンクをいかにつなげていくかということがこれから核セキュリティーにとっても大事な視点だ、それを前提としているということをまず私は指摘しておきたい。

 そこで、お伺いします。

 日米原子力協定によって使用済み燃料の再処理が認められている我が国でございますけれども、再処理事業が着実かつ効率的に実施される体制を整備する今回の法改正によって、二〇一八年の日米原子力協定の改定に寄与できるのではないかと私は考えておりますけれども、政府の見解はいかがでしょうか。

日下部政府参考人 お答え申し上げます。

 日米原子力協定、これは我が国の原子力活動の基礎をなす一つだと思っております。これからもアメリカとの間で円滑かつ緊密な原子力協力を確保していくことが重要だと思っておりますが、その際には、先生御指摘のように、利用目的のないプルトニウムは持たない、こういう不拡散の原則を堅持しておくことが絶対必要だと思っております。

 従来、こうした方針を遵守するために、我が国は、事業者に対して、政府のこうした方針に沿ってプルサーマルあるいは再処理事業を行うように指導しておりますし、さらには原子力委員会が、こうした事業者が策定するプルトニウム利用計画の妥当性を確認しております。加えて、不拡散条約に基づきますIAEAとの協定に基づいて、IAEAの厳格な監視の受け入れも行っております。

 今回の法案が成立すれば、こうした従来からの取り組みに加えまして、経産大臣が、認可法人が策定する再処理事業の実施計画を認可することになります。利用目的のないプルトニウムは保有しないという政府の方針に反する計画を策定することはあり得ないと思っておりますけれども、万が一、そうした計画が策定された場合には、当然のことながら経産相は認可をしないということになります。

 したがいまして、この法案は、アメリカとの関係においても、あるいは国際社会との関係においても、不拡散の観点から、我が国のプルトニウムの管理に対する信頼性をより高める効果がある、このように考えております。

石川委員 まさに、そのとおりだと私も思います。

 しかしながら、一部の国や一部の学者の中で、日本のこの余剰プルトニウムの問題というのは何度も指摘を受けているわけでございます。そういったことが日本の原子力の平和利用の方針に沿ったものであるということをさまざまな機会に、そして、私が一番大事だと思うのは、二〇一八年の日米原子力協定の改定をスムーズに行うということが極めて大事だというふうに思っております。

 そして、今回テーマとなっております再処理事業でございます。これは、決して一朝一夕で完成するものではないということは、我々自身、よく理解しているわけでございます。しかしながら、もし万が一、原子力協定が改定できないとなると、再処理ができなくなり、原子力発電そのものが行き詰まる可能性が出てきてしまうのではないかなというふうに思います。

 重ねて要請いたしますけれども、こうした我が国の方針、丁寧かつ明確に説明を行っていただけるようにお願いしたいですが、その取り組みについてのお考えをお伺いしたいと思います。

日下部政府参考人 今先生が御指摘になりましたように、利用目的のないプルトニウムは持たない、こういう方針について、日本は従来からしっかり取り組んでいるし、こうした法案をつくることによって、それをより確実なものにするということについては、アメリカのみならず、国際社会に向けて、いろいろな形で発信をしていきながら理解を深めていきたいと思っております。

石川委員 ぜひよろしくお願いしたいというふうに思います。

 次に、核燃料サイクルというものは、大きく分けて、軽水炉で使うプルサーマルと、それから高速炉サイクルと、ちょっと違った循環サイクルがございます。よく知られている事実ではございますけれども、世界で最も実用化されているのは軽水炉サイクルでございまして、その燃料、ウラン235というのは天然ウランのわずか〇・七%しかないわけです。それを三%から五%に濃縮して高めて使用している。それでも、ウランの利用率というのはたった一%しかないわけでございます。残り九九・三%、軽水炉では燃えにくいと言われるウラン238でございます。そして、このウラン238に中性子を吸収させてできるプルトニウム239を主な燃料とする高速炉ということをあわせて利用することで、ウランの利用率が九〇%から一〇〇%と飛躍的に拡大していくということが理論上言われているわけでございます。

 高速炉と併用することで、天然ウランの節約効果、それから高レベル放射性廃棄物の発生量も、軽水炉サイクルの四分の一から七分の一に低減できるわけです。また有害度も、天然ウラン並みになるまで十万年かかっていたものが、軽水炉のサイクルでは八千年に短縮をし、高速炉を回しますと三百年まで短縮できるというふうに言われております。そして、何より厄介なマイナーアクチニドというものを潰すことができる、こういう効果もございます。

 処分量が四分の一から七分の一に激減する、減らせるということは、処分場の負担を大幅に減らすことができるんじゃないか、こういった観点から、日本では核燃料サイクルそれから高速炉サイクルということを目指してやってきたわけでございますけれども、今回「もんじゅ」の原子力規制委員会からの勧告もあり、高速炉、高速増殖炉の展望がなかなか見出せない中で、今回のプルサーマル、そして再処理事業を円滑に進めるための法案を審議するわけですけれども、こうした核燃料サイクル、それから高速炉の将来展望について、大臣にお伺いしたいと思います。

林国務大臣 核燃料サイクルにつきましては、今、石川委員が御指摘のとおりでありまして、高レベル放射性廃棄物の量の減少、そして放射能レベルの低減、そしてまた資源の有効活用などの観点から、エネルギー基本計画で閣議決定したとおり、自治体や国際社会の理解を得つつ、推進する方針でございます。

 通常の原子炉で行う軽水炉サイクルにつきましては、その中核となる六ケ所再処理工場、MOX燃料加工工場について、現在、原子力規制委員会におきまして新規制基準への適合性審査が行われているところでございまして、経産省としても、これらの工場につきまして、事業者、日本原燃が審査に厳格に対応すると同時に、その竣工へ向けた取り組みを安全最優先で進めるよう指導してまいります。

 また、原発の再稼働につきましては、プルサーマル発電を行う炉も含めて、原子力規制委員会によって新規制基準に適合すると認められた場合のみ、地元の理解を得つつ再稼働を進める、こういうのが政府の一貫した方針でございまして、引き続き、この方針に従いまして、プルサーマルの着実な実施へ向けて取り組んでまいります。

 高速炉の研究開発については、「もんじゅ」の課題への対応、またフランス等との国際協力を進めつつ、将来の実用化を視野に入れて取り組んでいきたいと思っております。

 こうした直面する課題を一つ一つ解決しながら、安全確保を大前提に核燃料サイクルを推進してまいります。

石川委員 林大臣の決意をお伺いしまして、ありがとうございます。

 今回の「もんじゅ」の問題と、それからプルサーマル、軽水炉サイクルというものを推進しているのが、経産省、文科省と、それぞれ実施体制が異なっているわけですね。これは日本のため、ひいては人類のためには、やはり省庁の垣根を越えて、こういったプルサーマルサイクルも高速炉サイクルも極めて重要なサイクルなわけですから、ぜひとも今後の協力体制を林大臣のもとでつくって取り組んでいただきたいというふうに考えておりますので、ぜひとも御検討をお願いしたいというふうに考えております。

 それでは、次の質問に移りたいと思います。

 今回の再処理事業を進めるに当たって、最も重要なのは、その施設を受け入れていただいておる青森県、立地自治体との信頼関係でございます。

 核燃料サイクルは、私も視察に行きましたけれども、本当に多く、たくさん青森県に集中立地をしているわけでございます。我々にとっては、青森県の皆様には本当に感謝しなければならない、このように考えているところでございます。

 しかしながら、六ケ所再処理工場の竣工時期が二十数回見直されたり、そういったことがあり、立地自治体はトラブルも非常に心配になっているわけでございます。何より関心が高いのは、財政支援がどうなるのか、あるいは地元の若い人の雇用はどうなるんだろうか、こういった問題。そして、青森県とは、核燃料サイクル施設の立地への協力に関する基本協定というものを国とも交わしているわけですね。

 今回、新法人をつくるわけでございます。その効力というのはもちろん変化はないと思いますけれども、それを含めまして、地元、立地県との信頼関係の構築にどのように取り組むか、政府のお考えをお伺いします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおりでございまして、原子力発電所の立地、運転と同様に、使用済み燃料の再処理等につきましても、立地自治体等関係者の理解と協力が大変重要でございます。

 中でも、先生御指摘いただきました今回の法案の対象となります再処理等の事業につきましては、現在その中核施設が青森県内に集中立地している状況でございまして、今後の事業の着実な実施に向けまして、青森県あるいは六ケ所村の御理解を得ていくことは極めて重要でございます。

 率直に申し上げますと、本件につきまして審議会で議論を始めた当初には、日本原燃の取り扱いにつきまして、一部御地元の方から御懸念を招いてしまった、こういった面もございました。

 その後、六ケ所村の村議会を初め、さまざまな機会に、今回の検討の趣旨、目的、つまり新しい事業環境のもとでも使用済み燃料の再処理等が滞ることのないよう技術的な手当てを行うものである、こういう点の御説明を重ねてきておりまして、青森県を初めといたしました立地自治体の皆様にも御理解をいただいているものと認識をしております。

 特に、これまで日本原燃という会社が地元で果たしてきた役割、これは大変大きゅうございます。この点につきまして、今回の法案によりまして新しい制度が設けられた後も変わりはないだろうね、こういった御関心が高い、これは先生御指摘のとおりでございまして、この点は私どもも十分に認識をいたしているところでございます。

 今回の法案の中でも、日本原燃という会社そのものにつきまして何か手をつけるということはいたしておりませんで、そのまま株式会社として存続をすることにいたしております。再処理等の事業につきましては、新しい認可法人、こちらの方から委託を受けるという形に変わっていくわけでございますが、現業、再処理等という事業につきましては引き続き日本原燃が担っていただく、こういう仕組みになっているところでございます。

 その上で、先生の方から幾つか個別に御指摘のありました、まず国からの財政支援でございます。

 これは、国の方から青森県あるいは六ケ所村に対しまして交付金というものを今やっておりますけれども、これはこの法案の措置にかかわることなく継続されることになる、このように考えております。

 また、雇用を含めまして、立地基本協定という御指摘もいただきました。こちらも大変自治体の御関心がお強いところでございますが、実は、国は当事者ではございません。これは日本原燃が自治体と結んでいるものでございまして、そのことについて子細に私どもが申し上げることは必ずしも適切ではないかと思いますけれども、我々が承知している限りにおきましては、地元の御意向は日本原燃側も十分に承知をしておりまして、今回の制度の成立のいかんにかかわらず、立地基本協定の趣旨は従前のとおり継続される、このようなことになるかと思っております。

 今、日本原燃が担っております地元の雇用、特に、おっしゃいました若手の雇用、これは高卒の方を含めました雇用、あるいは地域振興に対する貢献、こういった役割については、今回の制度の前後によって変更があるということはないものと認識をしております。

 いずれにいたしましても、地元との信頼関係を我々も大変重要なものと認識しながら、この事業の着実な実施に向けて丁寧に対応していきたいと思っております。

石川委員 ありがとうございます。

 やはり何より大事にするのは立地自治体の視点、信頼関係、これをもとに再処理事業を進めなければ日本全体のサイクルが行き詰まるということでございますので、くれぐれもよろしくお願い申し上げたいというふうに考えております。

 さらに、法案の中身の審議に移りたいと思います。

 原子力小委員会のもとに設けられたワーキンググループでの議論、そして百八十九国会衆議院経産委員会附帯決議が今回の法改正のベースになっているんだというふうに承知をしているわけでございますが、法改正の背景、それから意義、目的、重ねてお伺いしたいと思います。

高木副大臣 委員御承知のように、昨年の経産委員会での附帯決議も踏まえておりまして、特に今回の法案、四月一日に電力の小売全面自由化が実施されましたし、そういう原子力事業をめぐる事業環境が変化する中で、特にエネルギー基本計画に示しました方針を前提に、使用済み燃料の再処理などの事業が着実にかつ効率的に実施されることを目的としております。

 具体的に申し上げますと、現行、これまでは積立金方式におきまして、資金が原子力事業者に帰属しておりますし、また原子力事業者から再処理事業者への支払いが義務づけられておりません。このことから、原子力事業者が仮に破綻した場合に、再処理などの事業に必要な資金が確実に確保されないおそれもございます。

 この点、拠出金方式におきましては、原子力事業者から認可法人に資金を拠出させることで資金を認可法人に帰属させる、また認可法人に再処理などの事業の工程管理や資金の管理、支払いに責任を負わせる、これらによりまして、原子力事業者の経営状況にかかわらず、必要な資金が安定的に確保され、事業の着実かつ効率的な実施が可能になると考えておりますので、ぜひともこの法案、速やかに成立をお願い申し上げたいと思っております。

石川委員 ありがとうございます。

 着実かつ効率的に再処理の事業が行われるように新たな法人を立てるという理解でよろしいですね。

 そうしますと、これまで積立金を管理しておりました原子力環境整備促進・資金管理センターというところが、指定を受けてその業務を担っていたわけでございます。短く省略して、原環センターというそうですが、この法人から新たに再処理事業のみ切り出して、新たな法人にその事業の着実な促進と資金の管理を担わせる、そういう理解でよろしいでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のいわゆる原環センターでございますが、公益財団法人でございます。原環センター自身は、今御指摘の積立金法の業務、それ以外にも、NUMO、高レベル放射性廃棄物、こちらに関する資金管理業務をやっておりますし、そもそも、この二つの資金管理業務以外に調査研究をやってございます。

 御指摘の、今回この法案で対象となっております使用済み燃料の資金に関する積立金業務はなくなるわけでございますので、その業務はそのまま新しい法人の方に移管される、こういうことになりますし、今ございます二兆円を超える資金もそのまま移管されることになるということでございます。

石川委員 ありがとうございます。

 そうしますと、これまでの実施体制、原環センターでは地層処分などの最終処分と今回の再処理事業、両方行っていたわけでございますけれども、それではなかなか事業が進みにくい。進めなかったわけじゃないんですが、なかなか思うように進めなかったというのは事実だと思うんですね。今度、新たに法人をつくって、再処理のみを促進する事業を新たにつくるわけでございます。

 こうすることによって、やや計画上おくれぎみの再処理、核燃料サイクル事業を促進させようというのが今回の意義、目的だと思うんですが、それでよろしいでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の今回の法案の目的は、再処理等の事業を着実かつ効率的に実施するということでございます。

 今御指摘の原環センターの関係は、あくまで資金管理のみをやっておりました。今回は、新しい認可法人において、資金管理とともに、その前提となります計画をしっかりつくる、その費用についても精査をする、さらに加えて、適正なガバナンスということで、外部の有識者の見解も活用しながら、ディシプリンをきかせていくと申しましょうか、スケジュールがおくれることのないように、費用も膨らまないように、このようにやっていくということで今回の法案を提案させていただいている次第でございます。

石川委員 ありがとうございます。それに期待したいというふうに考えております。

 また、原子力事業環境整備検討専門ワーキンググループで示された再処理費用の総額というものがございます。これは十二・六兆円だということが言われております。ただし、これは六ケ所で再処理される使用済み燃料だけが対象ですが、今回の改正によって、日本に存在する全ての使用済み燃料が対象になるというのが今回の法改正にも含まれているというふうに思います。

 これにつきまして、これまでの計画で再処理を予定している使用済み燃料が大体どのぐらいあって、そして、新たに今回の法改正によって対象になる、追加される使用済み燃料というのが幾らぐらい、何トンぐらいあるのか、もしわかればお伺いしたいというふうに思います。

 それにあわせて、MOX燃料の加工事業等に要する費用も今回の法改正によって追加の対象となったわけでございますけれども、その追加の費用、あるいは総額でもいいんですが、先ほど申し上げた十二・六兆円からどのぐらい上乗せされるか、概算があれば教えていただきたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 何点か御質問いただきました。

 まず、使用済み燃料の全体の量のイメージでございます。こちらにつきましては、平成二十七年の三月時点で、六ケ所の再処理工場で再処理が予定されている燃料、これが約一万八千トンございます。それで、現在の積立金法の対象となっておりません、計画をされていない、予定されていない燃料、これが約二千六百トンあるという状況でございます。いわゆる使用済みMOX燃料については後者の方に含まれている、このように御理解をいただければと思います。

 全体の費用についてでございますが、先ほどの答弁でも触れさせていただきましたが、まさにそうした費用全体については、今回新しくできます認可法人において、外部の有識者の方々の知見も活用しながら精査をしていくということになりますので、現時点で事業に要する全体の金額が幾らになるかといったことを申し上げることは差し控えたいと思っております。

石川委員 ありがとうございます。

 確かに、これから設置される認可法人の方で、そういった全体的な計画と資金がどのぐらい必要かということをこれから綿密に調査して計画を立てられるということでございますので、サイクル事業全体にとってこの認可法人がいかに重要な存在になるかということをぜひ御認識いただきたいと思います。

 そこでお伺いしますが、今回設置をされる認可法人の運営委員、それから職員の皆さんも、非常に原子力に対する専門知識も必要ですし、会計、経理、その他さまざまな問題に対して非常に専門知識が問われるわけでございます。そういった専門人材をいかに集めてくるかということがこれから重要だと思いますが、そういった新法人の運営方針がございましたらお伺いします。

星野大臣政務官 石川委員にお答えを申し上げます。

 新たに設立をされる認可法人におきまして、実務に当たる職員については、まさに御指摘のとおり、再処理等を含む原子力に専門的な知識を有する人材の確保が不可欠だというふうに考えております。

 これらの職員につきましては、今後、認可法人の理事長等を中心に具体的な人材募集の方法が検討されることとなりますけれども、この際、原子力事業者は、認可法人の設立や組織の構築に向けて積極的に協力する考えであると表明もしていただいておりますし、そのように承知をしております。

 加えて、認可法人におきましては、重要事項の意思決定を担う運営委員として、再処理等の原子力分野に詳しい専門家のみならず、経営または金融、プロジェクトマネジメントといった、原子力以外での幅広い分野での専門性を持つ外部有識者を充てることとしております。したがって、国内で適性のある有識者を選定するに当たりましては、相応の人材の厚みがあるものだというふうに認識をしております。

 いずれにいたしましても、運営委員の人事につきましては、認可を通じて、国も一定の関与を行うところでありまして、国としても、認可法人全体として適材適所の組織設計が行われるよう、努めてまいりたいと考えております。

石川委員 法改正が成立した暁には、ぜひ早急に、迅速に、そういった人選を含め、運営方針もしっかりとしたものを示していただきたいというふうに考えております。

 そして、核燃料サイクルの完成のためには、たくさん課題がございますけれども、最終的には、MOX燃料を使用する原子力発電所の再稼働というのはどうしても避けて通れない、これは不可欠なわけでございます。電事連の計画によりますと、十六基から十八基でプルサーマルの導入を目指していくという方針を掲げてございますけれども、これらを全て再稼働できるかどうかというのが非常に鍵だというふうに考えております。

 先ほど林大臣にも言及いただきましたけれども、この審査の申請状況等々、これらの見通しについてお伺いいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 プルサーマルに関します申請状況ということでございます。

 現在、今までの申請済みのものも含めまして、規制委員会に二十六基の手続がなされております。

 そのうち、川内原発一、二号機は稼働をしております。高浜原発の三、四号機は現在停止中でございますけれども、実際にMOX燃料を装荷するということを行ったところでございまして、いわゆるプルサーマルを行ったところでございます。このほか、今四つ申し上げましたけれども、二十二基残りますが、この二十二基の原発のうち八基がプルサーマルを行う計画を有しているということでございます。したがいまして、高浜原発の三、四号機を加えますと、十基がプルサーマルを行う計画を有する原発として手続を行っている、こういうことになります。

 こうした状況でございますので、今後、審査が進んでいきますれば、新規制基準に適合すると認められる原発がふえていくことが見込まれます。これに伴いまして、プルサーマルを実施する原発の再稼働もふえていくものと見込まれるわけでございます。

 大臣からも先ほど御答弁ございましたけれども、原発について、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合すると判断した原発のみ、その判断を尊重し、地元理解を得ながら再稼働を進める、こういう政府の一貫した方針でございますので、これに基づいてしっかりと進めていきたいと思っております。

石川委員 ありがとうございます。

 電力システム改革によりまして、電力の自由化、総括原価、地域独占を廃止いたしまして、先ほど高木副大臣から事業環境の変化があったという御指摘がございました。私もそのとおりだというふうに思います。

 先ほど多田部長からも御答弁をいただきましたけれども、再稼働に向けて各電力事業者は懸命に取り組んでいるわけでございますが、もし仮に再稼働が見通せず、経営難に陥るようなケースがあってはならないと思いますけれども、こういった場合でもきちっと拠出金を出させる。出させるという言い方はよくないかもしれませんけれども、そういった資金をプールしておかなければならないということが今回の法律案の重要なポイントだと思います。

 もし仮に事業者が経営難、破綻した場合に、どういう対応ができるのかということもある程度用意をしておかなければならないと考えますが、現時点での検討状況がございましたら、お伺いします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、経営状況のいかんにかかわらず、しっかりと資金を確保するというのが今回の目的でございまして、そのために、この法案で拠出金化という手当てをさせていただいたところでございます。

 今回の法案の中では、全体の費用、それから拠出金の金額、こういったものにつきましては新しい認可法人が定めていくことになります。

 その際に、全体の費用につきましては、拠出金の金額と申しますけれども、拠出金の単価に前年度に発生いたしました使用済み燃料の量を掛けて金額を得ていくという仕組みにしております。

 したがいまして、仮に再稼働が進みませんと掛け算の一方が積み上がっていかない、こういうことになりまして、全体の費用が足りなくなってしまうのではないかという懸念も別途ございます。これは個々の事業者の破綻とはちょっと別の話でございますけれども、そういった懸念はございます。

 この点については、この法案の中で、別途、単価の定め方というのを決めておりまして、単価というのは掛け算のもう一方の要素でございます。こちらにつきましては、再処理を行う使用済み燃料の量、再処理に伴い発生いたします核燃料物質の量、それから、これらをもとに再処理等の業務を行うために要する費用、これらの長期的な見通しに照らしまして、総合勘案の上定めることになっております。したがいまして、足元で、翌年度にどれだけ再稼働が進む、進まないということと全体の費用の回収とは直接はリンクしない形になっております。

 こうしたことを踏まえまして、確実に資金を確保するような仕組みとしていきたいと思っております。

 先ほど、懸念がありますというふうに申し上げましたけれども、懸念がありますが、それもお伝えして、しっかりとした対応をしているというふうにちょっと修正したいと思います。

石川委員 ありがとうございます。

 今回の法律を通すことによって、経営の見通しがますます厳しくならないようにしていくのが我々の務めだと思いますし、先ほど多田部長がおっしゃった、今回の拠出金の算定の方式というものは大きな変化はないということでございますが、引き続き事業者とのそういったコミュニケーションをしっかりとっていただきまして、今般審議される再処理等機構法によって、我が国の核燃料サイクル事業が少しでも進展することを期待して、私の質問を終わりたいと思います。

 本日は、まことにありがとうございました。

高木委員長 次に、中野洋昌さん。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。

 先ほど石川先生の方から詳細な御質問もございました。一部重複もいたしますけれども、通告に従いまして質問をさせていただきますので、よろしくお願いをいたします。

 使用済み核燃料の最終処分に向けたいわゆるバックエンドの取り組みについては、着実な実施に向けてしっかりとした体制を確立する、これは非常に大事でございます。また、本年四月に既に、電気事業の小売の全面自由化、こういうものもまさに実施をされているわけでございまして、こうした自由化の取り組みを進めていく中でも再処理等の事業に要する費用を安定的に確保する、これも非常に重要でございます。

 ですので、これらの取り組みを進めるという本法案の重要性、必要性につきましては、多くの方に御理解をいただけるのではないかな、私はこのように感じております。

 そこで、この法案を議論する大前提といたしまして、まず冒頭、大臣にお伺いをしたいんですけれども、使用済み核燃料をどのように最終処分していくのかという方法については、再処理をする、こういう方法もございます、あるいは、直接処分をする、こういうやり方をとっている国もございます。

 使用済み核燃料の処理の方法につきまして、現在、政府のエネルギー基本計画では再処理をするという方針になっているわけでございますけれども、直接処分と、ほかの手法と比べまして再処理を選択したメリット、あるいは、直接処分に比べてすぐれている点ということだと思いますけれども、これは何かについて、まず前提としまして、大臣から御説明をいただきたいというふうに思います。

林国務大臣 御案内のとおり、我が国は、エネルギー基本計画で閣議決定したとおりでございまして、自治体あるいは国際社会の理解を得つつ、使用済み燃料の再処理を行う核燃料サイクルを推進するというのが方針でございます。

 再処理する場合、使用済み燃料を直接処分する場合と比べまして、先ほども答弁申し上げましたけれども、まず高レベル放射性廃棄物の量の減少、そしてまた放射能レベルの低減、そして回収されるプルトニウム等の資源の有効利用などの効果があるというふうに考えております。

 具体的に言えば、例えば軽水炉サイクルの場合、高レベル放射性廃棄物の体積を、直接処分する場合に比べまして、四分の一に減らすことができます。放射能レベルについても十分の一以下にすることができる、また、残存する核燃料物質を有効利用いたしまして新たに一、二割程度の核燃料を製造できるというような効果がございます。したがって、これに取り組むところであります。

 なお、諸外国においては、先生御指摘のように直接処分を行っている国がありますし、また一方、これらのさまざまなメリットを踏まえて、核燃料サイクルを進めている国もございます。

 我が国は、この核燃料サイクルを進めるという方針でございます。

中野委員 ありがとうございます。

 大臣の方から、三点、メリット、再処理をする理由について御説明をいただきました。

 そこで、本法案では、再処理等を行うための資金の安定的な確保、あるいは事業を完遂するための実施主体を確保すると。ですので、新しく認可法人制度を創設するわけでございます。再処理をやはり安全に行わないといけない、そして着実に、しかも透明性を持った形でしっかり行っていかなくてはいけない、そういう意味では新たに設置される認可法人のガバナンスというものが非常に大事になってくる、このように思います。

 機構の理事長については大臣の方の任命というふうに思いますし、運営委員会の委員についても機構の方で任命をする、こういう形だと思います。これは、どういう方を任命するのかというのがやはり一番大事になってくるかなというふうに思います。

 全員が例えば電力の関係者、こういう形になれば透明性はどうやって確保されるのか、こういう話も出てくるでしょうし、かといって、再処理というのは非常に専門的な話でもございますので、かなり知見を持った方というものも必要である。

 安全に、着実に、透明にというのは実は非常に難しいテーマなのではないかなというふうに思いますけれども、任命に当たっての国の方針というものを今回お伺いしたいというふうに思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、認可法人のガバナンスというのは非常に重要な課題でございまして、その意味で、役員あるいは運営委員といった方々の人事も非常に重要でございます。

 法案の中では、役員人事につきましては、先生も御指摘ありました理事長それから監事につきましては、大臣が任命をする。それから、その他の役員につきましては、民間の発意ということでございまして、理事長が任命するわけでございますが、経済産業大臣が認可をしなければならない、こういった形になっております。それから、運営委員につきましても、同じように、理事長が任命いたしますけれども、経済産業大臣が認可をするという形になっております。

 その中で、今先生御指摘でございますけれども、一言で言えば全体のバランスが極めて大事だということかと思っております。

 御指摘のように、再処理事業という極めて特殊で専門分野でございますので、こうした分野についての知識を持っている人がいなければならない、こういう点と、他方で、実務能力と申しますか、組織マネジメント力といったようなことも勘案する必要があろうかと思っております。

 効率性、透明性という観点からは、認可法人の運営というものにつきましては、先生の御指摘であります、いわゆる電力事業に通じた人たちだけには任せない、こういう仕組みにしているわけでございまして、重要事項の意思決定機関としての運営委員会というものを設置するのもそういった一環でございます。

 加えまして、この運営委員会は、八人以内の運営委員と機構の理事長及び理事から成る、理事長一人、理事は四人以内となっておりますので、運営委員の方が多数のボディーになるわけでございます。そうした組織体が重要な意思決定を決めていく、こういった仕組みにしているわけでございます。

 その重要な役割を担います運営委員には、先ほど星野政務官の方からもお話がございましたけれども、再処理を含みます原子力事業、さらには関連いたします技術、経営、金融、さらにはプロジェクトマネジメント、こういった専門家の外部有識者の方々になっていただく、こういったことを考えているわけでございまして、これらのバランスの中で今おっしゃるような適切なガバナンスというものを実現していきたい、このように考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 この新たに設置される機構というのがまさに再処理の業務を、実質的には司令塔的な役割というかこういう立場を担っていくんだろう、このように私は思っておるわけでございますけれども、これは、再処理業務というのも、今までの経緯も見てまいりましたけれども、なかなか時間がかかる場合もあったり、いろいろな形で予定どおり進まなかった部分というのもあったというふうに思うんです。

 この業務の運営のあり方というものを経済産業省、国としてどのように評価をしていくのかということも非常に大事だと思います。また、なかなかうまくいかない場合というのもあると思いますし、こういう場合には国が一体どのような形で責任を持って対処をしていくのか、こういうことも大事でございます。これらについてはどうお考えか、お伺いをいたします。

日下部政府参考人 ただいまお尋ねいただきました認可法人の運営につきましては、再処理事業をまずは効率的にやってもらわなきゃ困る、一方で着実にやってもらわなきゃ困る、この二点だと思っております。

 したがいまして、再処理事業を効率的かつ着実に進められるかどうかという視点で評価を行っていくということなんですが、そのやり方につきましては、一つは、先ほど御指摘ありました外部有識者を含む運営委員会、そこでまず自己評価を行ってもらう。それに加えて、経産省が、実施計画の認可、拠出金単価の認可、あるいは理事長の任命、運営委員会の委員の任命、こうしたプロセスを通じて、今申し上げた再処理事業の効率的かつ着実な実施という視点で評価をしていくということになろうかと思っております。

 さらに、万が一認可法人が業務困難となった場合、こうした事態も想定をしておりまして、法律の第五十八条において、その場合には国が別途の立法措置をもってしかるべき対応を講じるという点も書いてございます。

 こうしたことから、こうした法案ができますれば、現状よりも、再処理事業に対する国の関与、それから責任、双方とも強められるというふうに考えておりますし、そうした自覚を持って国も対処していきたいというふうに考えております。

中野委員 ありがとうございます。

 効率的に、着実にしっかり進めていく、こういうお話がございました。

 私の方からは、これに加えて、大前提でございますけれども、安全に再処理を行う、こういうことも非常に大事だと思いますので、これに関連をして規制基準の関係の質問を、きょう規制庁に来ていただいておりますので、お伺いをいたします。

 原子力発電所につきましては、福島第一原発の事故の教訓を踏まえるということで、世界でも最高レベルの水準の規制基準にした、こういうことはもちろん皆様御承知のとおりだと思いますけれども、今回議論をされる再処理等という業務がございます。発電所以外のさまざまな業務、再処理工場もございますし、貯蔵物の管理をしていくという部分も出てくる、あるいはMOX燃料の加工をしていくというところもある、さまざまな施設が出てくる、こういうことでございます。

 これについての安全性の審査という意味では、現在規制庁の方で審査が行われているものというふうに承知をしておりますけれども、これらについても福島第一原発の事故の教訓を踏まえて十分に厳しい規制基準となっているのか、審査となっているのか、これについてお伺いをしたいというふうに思います。

青木政府参考人 ただいま御質問いただきました再処理施設そのほかの核燃料関係の施設でございますが、それらの規制基準につきましても、原子力規制委員会といたしましては、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえまして、最新の科学的知見、国際原子力機関の安全要件及び各国の規制基準、そういったものを参考にしながら新規制基準を策定したところでございます。

 内容について、再処理施設に関する新規制基準を御紹介いたしますと、まず、原子力発電所に対する新規制基準と同様に、地震、津波評価の厳格化、竜巻、火山、森林火災等のいわゆる外部衝撃、さらに内部の溢水、そういったものに対する対策をきちんと明確化いたしました。また、万一重大事故等が発生した場合においても対処できる対策を求めているところでございます。

 重大事故等対策につきましては、設計基準事故よりも厳しい条件において発生いたします臨界事故、冷却機能の喪失による高レベル放射性廃液の蒸発乾固、放射線分解により発生する水素の爆発等への対策を求めているところでございます。

 そのほかの貯蔵設備等につきましても、その設備の特徴を踏まえまして、福島第一原子力発電所事故の教訓を踏まえた新規制基準としているところでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 再処理等の関連の新しい規制基準、これについても福島第一原発の事故の教訓を踏まえて十分に厳しいものとした、こういう具体的な中身を御説明いただいたというふうに思います。

 再処理工場が使用済み核燃料の再処理というものを行いますと、もちろんウランやプルトニウムが回収をされる、こういうことでございます。

 先ほど石川委員の方からも冒頭の方で御質問がありました、プルトニウムを日本が保持する目的というのはあくまでも平和利用のためなんだ、これは非常に大事な観点だというふうに私も思っております。

 先ほどの御答弁では、プルトニウムの利用計画というものがあって、再処理等の計画というのももちろんそれに合致をしていくものでなくてはならない、当然それが出てくることが期待をされる、また、そういうものでなければ恐らく認可というものもされないんじゃないか、こういう御答弁もありまして、これは非常に大事な観点だなというふうに私も考えておるわけでございます。

 あくまでプルトニウムは軍事的に転用されるものではない、こういうことについて諸外国から疑念を持たれないようにすることが非常に大事だ、仮に指摘があった場合には、しっかり説明責任を日本が果たせるような体制を万全にとっていくことが大事だ、私はこのように考えております。

 これにつきまして、どのように御対応されていくのかということを御説明いただきたいというふうに思います。

片山政府参考人 原子力規制庁へのお尋ねでございますので、保障措置の観点からお答え申し上げたいと思います。

 我が国は、核不拡散条約に基づき、国際原子力機関、IAEAと保障措置協定を締結しております。国内の核物質が平和的な利用から核兵器その他の核爆発装置に転用されていないことの確認を、この協定に基づき、IAEAから受けているところでございます。

 具体的には、保障措置協定に基づきまして整備された原子炉等規制法の規定に基づきまして、原子力事業者等から各施設が保有する核物質の在庫量などの報告を受け、原子力規制委員会がIAEAとともに施設に立ち入り、核物質の測定や分析などを行うことによって、それら報告の正確性を確認しているところでございます。

 再処理施設におきましても、IAEAと合意した手法に基づき、同様の確認を行っております。また、再処理施設が運転開始をした暁には、IAEAの査察官が二十四時間体制で常駐をして確認をすることになっております。

 こうした取り組みを通じまして、プルトニウム平和利用の透明性を確保できると考えているところでございます。

中野委員 ありがとうございます。

 規制庁側から、透明性をいかに確保していくのか、保障措置の徹底ということにつきまして御答弁をいただいたというふうに思っております。

 先ほどの質問でも、経済産業省側からも、しっかりそれは説明責任を果たしていくんだ、こういう御答弁もございましたし、私は、これは徹底してやっていかないといけない、このように考えております。

 最後に、テロ対策についてもお伺いをしたいというふうに思います。

 やはり、欧州などでもテロが多発をしている、こういうこともございますし、プルトニウムのセキュリティー管理を徹底していく、この重要性というのは、私は、近年、非常に増大をしているんじゃないかなというふうに考えております。

 政府におきまして、再処理等の事業を行う場合のテロ対策、これについて取り組みをしっかりと強化していくべきではないか、このように考えますけれども、御答弁をいただきたいと思います。

片山政府参考人 お答え申し上げます。

 我が国の再処理施設を含む原子力施設のセキュリティー対策につきましては、IAEAの核物質防護に関する基準を踏まえまして、原子炉等規制法に基づき、事業者に対し、テロリストの侵入を阻止するための種々の防護措置を求めているところでございます。

 具体的には、原子力施設の周辺に立ち入り制限区域、周辺防護区域を設け、フェンス、センサー、監視カメラ等を設置し、警備員による巡視を実施すること、また、重要な設備を大きな衝撃から守るため、周辺に防護壁を設置すること、出入り口における従業員等の本人確認、金属探知機などによる探知の実施、重要な設備の周辺で作業する場合には二人以上で行うことといった内容を我が国の国内規制に取り込んでいるところでございます。

 また、こうした規制要求が確実に実施されているかどうかは、毎年、規制委員会が行います核物質防護検査で厳格に確認をいたしております。

 こうした我が国の取り組みにつきましては、昨年二月にIAEAの国際核物質防護諮問サービスミッションを受け入れましたが、その中におきまして、日本の核セキュリティー体制、原子力施設及び核物質の核物質防護措置の実施状況は、全体として強固で持続可能なものであり、また近年顕著に向上しているとの見解が示されているところでございます。

中野委員 ありがとうございました。

 本法案を通じて、バックエンドの取り組み、これはやはり国として責任を持って進めていかなくてはならない大事な取り組みでございますので、これをしっかりと進めていく、こういうことを改めて決意もいたしまして、また、政府の方にも、しっかりとやっていく、こういうことを改めてお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時一分散会


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