衆議院

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第7号 平成28年4月20日(水曜日)

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平成二十八年四月二十日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 山際大志郎君 理事 伴野  豊君

   理事 升田世喜男君 理事 富田 茂之君

      石川 昭政君    岩田 和親君

      小倉 將信君    尾身 朝子君

      大西 英男君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    神谷  昇君

      小林 鷹之君    塩谷  立君

      鈴木 憲和君    瀬戸 隆一君

      関  芳弘君    平  将明君

      武村 展英君    寺田  稔君

      冨樫 博之君    根本 幸典君

      野中  厚君    福田 達夫君

      星野 剛士君    三原 朝彦君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      山口  壯君    阿部 知子君

      大畠 章宏君    逢坂 誠二君

      落合 貴之君    近藤 洋介君

      篠原  孝君    田嶋  要君

      中根 康浩君    本村賢太郎君

      中野 洋昌君    藤野 保史君

      真島 省三君    足立 康史君

      木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       林  幹雄君

   経済産業副大臣      鈴木 淳司君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府参考人

   (内閣府大臣官房審議官) 中西 宏典君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 時澤  忠君

   政府参考人

   (外務省大臣官房審議官) 中村 吉利君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           白間竜一郎君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁長官) 日下部 聡君

   政府参考人

   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      多田 明弘君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (原子力規制庁長官官房審議官)          山田 知穂君

   政府参考人

   (原子力規制庁原子力規制部長)          櫻田 道夫君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     瀬戸 隆一君

  尾身 朝子君     神谷  昇君

  勝俣 孝明君     大西 英男君

  宮崎 政久君     鈴木 憲和君

  篠原  孝君     阿部 知子君

  本村賢太郎君     逢坂 誠二君

  木下 智彦君     足立 康史君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 英男君     勝俣 孝明君

  神谷  昇君     尾身 朝子君

  鈴木 憲和君     宮崎 政久君

  瀬戸 隆一君     小林 鷹之君

  阿部 知子君     篠原  孝君

  逢坂 誠二君     本村賢太郎君

  足立 康史君     木下 智彦君

同日

 辞任         補欠選任

  小林 鷹之君     小倉 將信君

同日

 辞任         補欠選任

  小倉 將信君     岩田 和親君

同日

 辞任         補欠選任

  岩田 和親君     根本 幸典君

同日

 辞任         補欠選任

  根本 幸典君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

四月十九日

 電気事業者による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二八号)

同月十五日

 原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求めることに関する請願(清水忠史君紹介)(第一五四三号)

 同(畑野君枝君紹介)(第一五四四号)

 同(畠山和也君紹介)(第一五四五号)

 同(宮本岳志君紹介)(第一五四六号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一七号)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として内閣府大臣官房審議官中西宏典さん、総務省大臣官房審議官時澤忠さん、外務省大臣官房審議官中村吉利さん、文部科学省大臣官房審議官白間竜一郎さん、資源エネルギー庁長官日下部聡さん、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長多田明弘さん、中小企業庁長官豊永厚志さん、原子力規制庁長官官房審議官山田知穂さん及び原子力規制庁原子力規制部長櫻田道夫さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部知子さん。

阿部委員 民進党の阿部知子です。

 九州地方、特に熊本、大分などの相次ぐ余震、被災地の皆さんの御懸念、御心配、また二次災害の発生など、極めて深刻な状況にあります。

 林経済産業担当大臣も、その方面でのいろいろな御尽力をいただいておる中で、本日は、この法案の審議ということでお運びをいただきましたので、本当に国民にとって意味のある委員会となりますように、私から質問をさせていただきます。

 さて、今回、野党の質問はきょうが初めてでございますが、実は原発の最終処分、バックエンドに関しますところは非常に奥が深く、多岐にわたる論議と、そして一番難題かもしれないところの解決を求められるものでございます。

 ことしに入りまして、予算委員会で、民進党の大塚耕平さんが取り上げて林大臣に御質疑されましたが、私は、そもそも核燃料サイクルとはどのようなものとお考えであるのか、林大臣の御認識を冒頭伺います。

林国務大臣 まず最初に、このたびの熊本地方における地震でお亡くなりになりました方々に対しまして、心から御冥福をお祈りしたいと存じますし、また、被災を受けた方々あるいは負傷された方々に対しましても、お見舞いを申し上げたいと存じます。

 経産省といたしましても、私自身が陣頭指揮をとりまして、ライフラインであります電気、ガスの復旧、あるいはガソリンなどの供給、あるいは、食料品、日用品など必要物資のコンビニエンスあるいはスーパーなどを通じた配送、そして、被災した中小企業に対する支援体制などに全力を挙げてきたところでございます。

 引き続き、関係省庁、自治体とも連携をして、やれることは全部やっていきたいという決意で臨みたいと思いますので、また、よろしく御指導いただきたいと存じます。

 核燃料サイクルに関しましては、ウランを原発で使用しますと、ウランの一部がプルトニウムやほかの放射性物質に変化するわけでございまして、この使用済み燃料からウランとプルトニウムを回収し、再処理をしまして、原発の燃料として有効利用するものというふうに理解しているところでございます。

阿部委員 それは再処理と申しまして、核燃料サイクルとは何かをお尋ねいたしました。

 今大臣の御答弁は、再処理とそれを申します。

林国務大臣 核燃料サイクルは、原子力発電所で利用した使用済み燃料を再処理して、回収したウランやプルトニウムを核燃料に加工して、原子力発電所で再利用する一連のプロセスだというふうに思っております。

阿部委員 恐縮ですが、大臣のお手元の資料をごらんいただきたいんです。

 今大臣は、再処理をして、MOX加工をしてというところまではお話をされましたが、核燃料サイクルですので、サイクルというものは回るという意味でございます。大臣の理解する核燃料サイクルとは何なのか。再処理をしてMOX工場で加工いたします。これで本当にウランもサイクルをなし、プルトニウムもサイクルをなしているかどうかを私はお尋ねいたしております。

 これは大臣にお願いいたします、核燃料サイクルの基本認識ですから。(発言する者あり)事実じゃないです。これは、大臣、わざわざ私はこの図をつけたんです。本当にプルトニウムも回っているか、ウランも回っているか、この認識をお尋ねしています。

 使用済み燃料からウランとプルトニウムを取り出します。それは再処理と申します。MOX加工いたします。燃料となります。また、今、日本では軽水炉で燃やします。これはプルサーマルと申します。ウランは循環いたします。プルトニウムはどうなりますでしょうか。

 私は、大臣のお答えに供するように、この図をわざわざ持ってまいりました。多田さんは指名しておりません。大臣にお願いします。

林国務大臣 MOX燃料としてプルトニウムを循環するというふうに理解しております。

阿部委員 では、MOX燃料としてプルトニウムを循環すると申しましても、MOX燃料を軽水炉で一度燃やすのはプルサーマル、そこからまた使用済みMOX燃料が出てきます。これをどうしますでしょうか。使用済みMOX燃料は、どうすればサイクルするでしょうか。

林国務大臣 このサイクルには、使用済みMOX燃料の再処理を含むというふうに理解しています。

阿部委員 使用済みMOX燃料の再処理を含むためには何が必要でしょうか。使用済みMOX燃料の再処理を含むためには、再処理しただけではだめですね、またもう一回燃やさなくちゃいけません。このためには何が必要とお考えでしょうか。

 使用済みMOX燃料、何度も申しますが、普通に、ウラン燃料から使用済み燃料ができて、そこからウランとプルトニウムを取り出して、こちらをMOX燃料にして一回軽水炉で燃やします。しかし、そこで出てきた使用済みMOX燃料は、今大臣は、また再処理しますとおっしゃいました。しかし、再処理までではサイクルは回りません、ぐるぐる回らないとサイクルと言いませんから。

 プルトニウムのサイクルをつくるためには何が必要でしょうか。

林国務大臣 さらにそこからウランとプルトニウムを回収して回していくということになると思います。

阿部委員 回収して回していくには何が必要でしょうか。

 大臣、回していくといったって、皿回しじゃないんだから、回らないんですよ、現状において。

 なぜ回らないかというと、この図の下に書いてございますように、普通、プルトニウムをサイクルとして回すためには、少なくとも高速増殖炉か高速炉でできた使用済みMOX燃料からとってきて、再処理して、もう一回回すことはここでしか現実的にできないんですね。使用済みMOX燃料をもう一度軽水炉で、プルサーマルで回すというのは、これは原子力規制委員会の田中委員長もおっしゃるように、現実的ではないんです。

 すなわち、大臣に伺いたいのは、核燃料サイクルとしてお考えなのはどこまでか。今は、プルトニウムをMOX燃料にして、プルサーマルで、軽水炉でウランは回しています。プルトニウムがもう一回出てきます。これを回すためには、実は、高速炉ないし高速増殖炉までないと、あるいは再処理工場もないと回らない、こういう認識でよろしいですか。

林国務大臣 核燃料サイクルにつきましては、直面する課題を一つ一つ解決しながら、もちろん安全確保が大前提でありますけれども、軽水炉サイクルの実現を図ることがまず第一でありまして、さらに、将来の高速炉の実用化を目指して、推進していく方針でございます。

 具体的には、軽水炉で核燃料サイクルを行う軽水炉サイクルについては、その中核となる六ケ所再処理工場やMOX燃料加工工場につきまして、現在、原子力規制委員会によって、新規制基準への適合性審査が行われているところであります。経産省としても、これらの工場について、事業者、日本原燃でありますが、審査に厳格に対応すると同時に、その竣工へ向けた取り組みを着実に進めるよう指導していくところでございます。

 より一層の資源の有効利用、高レベル放射性廃棄物の量の減少、そして放射能レベルの低減等につながる高速炉の研究開発については、「もんじゅ」の課題への対応、そしてフランスなどとの国際協力を進めつつ、将来の実用化を視野に入れて取り組んでまいります。

阿部委員 では、ここで多田さんに確認させていただきますが、核燃料サイクルとは、今大臣の御答弁のように、ウランについては軽水炉で燃やす、プルトニウムについては高速炉ないし高速増殖炉で回していくということで核燃料サイクルと理解してよいか。イエスかノーかの一言でお願いします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済みMOX燃料を軽水炉で燃やすのか、あるいは高速炉で燃やすのかという点については、現時点では定まってはおらないという理解でございます。

阿部委員 いずれにしろ、使用済みMOX燃料をプルサーマルのような軽水炉で燃やすのか、高速炉あるいは高速増殖炉で回すのか、定まっておらないということはわかっています。

 私の質問は、核燃料サイクルとは高速増殖炉ないし高速炉までも含んだウランとプルトニウムのサイクルを言うのか。それとも、今多田さんが言ったように、使用済みMOXは高速炉や高速増殖炉に行くとは決まっていないから、判断というか、これは保留しているんですか。核燃料サイクルとはどこまでを言うんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 核燃料サイクル、厳密な定義はないかと思っておりますけれども、私ども、先ほど大臣からも御答弁させていただきましたとおり、現在のプルサーマル、軽水炉で燃やすものよりも高速炉でやった方がより有害度の低減等々効果があるということで、将来の技術としてそれを目指している、こういう段階かと思っております。

阿部委員 今回、拠出金にすることに伴って、使用済みMOX燃料についてもそれをまた燃やすときにお金を取るわけですから、当然その先も計画にある。すなわち、高速炉、高速増殖炉も、計画になければ、お金を出す方も、違反というか、いただくお金とやってくださる作業が違ってまいりますから、今、多田さんは明言されませんでしたけれども、やはり政府として統一見解をきちんと出すべきだと思います。

 林大臣にもそのことを御理解していただいた上で、高速増殖炉を含めて、ウランもプルトニウムも回るということでサイクルと言うんだというふうに認識いただかないと、現状それは全然できていないわけです。この図で、上でお示ししたように、辛うじてこれからプルサーマルが回るかどうかというか、使用済み燃料からMOX加工してそれを燃やすということで。

 ここには、既にできたものと、海外で使用実績があるものと、これから開発、計画するものと分けて囲ってございます。これは政府の資料ですから非常にわかりやすくて、私は、国民と共有するのに、核燃料サイクルという言葉が本当に伝わっていないという懸念を持っています。

 そこで何が起こるかというと、今のところ、現状においてプルトニウムは回らない、プルトニウムはサイクルしないわけです。高速炉も高速増殖炉もないし、また、普通の軽水炉で使用済みのMOX燃料の加工をして出てきたものを燃やせるかどうかも、ほぼ実績がない。プルトニウムは回らない、プルトニウムはたまっていく、このことが一番の懸念なんだと思います。

 大臣、失礼します。次の質問に移らせていただきます。

 今の点については、ぜひ大臣も認識を、国民にわかりやすく説明するのが大臣のお立場であります。これは大変入り組んでいると私も思います、一体どこまでがサイクルなんだと。でも、現状、プルトニウムにおいては回っていない。こちらの軽水炉で燃やしてという方も、国内でMOX燃料をつくっているわけではありません、MOX加工工場もまだ動いていません。こっちも回っていない。高速炉、高速増殖炉はまして動いていない、幻でありますから、そういうものの上に成り立つ。

 しかし、そのことがもたらす現実的な懸念は何かということで、これが大ぐくりな二問目になります。

 大臣のお手元に、これは国会図書館の方で拾ってもらいました。二ページ目です。二〇一二年から二〇一六年にかけて、主にアメリカの政府関係者が日本の核燃料サイクル政策に対して懸念を持っておられる、というのはプルトニウムが回っていないから、懸念の第一であります。

 ざっと読んでいただきまして、例えば元国防次官補、ハーバード大学のジョセフ・ナイさん、アメリカは日本政府に再処理工場の稼働中止を求めるべきだ。これは、アメリカは求めるべきだというのであって、日本がどうするかではありませんが、なぜそういうふうに思われるかというと、東アジアで今核をめぐる状況が本当にエスカレーションしていくのではないか。北朝鮮の核・ミサイルの問題、韓国も再処理を希望、日本がどんどんプルトニウムがたまっていっている状況などに鑑みて、アメリカ政府からの幾つかの指摘を拾ってきたものです。

 このことに、大臣の御所見を伺います。

林国務大臣 我が国は、利用目的のないプルトニウムは持たないということを原則として堅持しているところでございまして、これまでもこの原則を遵守するために、事業者が、この政府の方針を明確に認識した上で、プルサーマルや再処理等の事業を実施するよう指導しております。また、原子力委員会が、事業者が策定するプルトニウム利用計画の妥当性を確認すると同時に、核不拡散条約に基づいて、IAEAとの協定を締結し、IAEAの厳格な監視の受け入れなどを行ってきているところでございます。

 こうした我が国の核燃料サイクル政策につきましては、これまでもアメリカ政府の理解を得ておりまして、アメリカ政府は核不拡散上の懸念はないとの認識であるというふうに承知しているところでございます。

 こうした従来からの取り組みに加えまして、今回の法案が成立すれば、経済産業大臣が、認可法人が策定する再処理等事業の実施計画を認可することになります。もちろん、利用計画のないプルトニウムは保有しないという政府の方針に反する計画が策定されることは想像しがたいんですが、万が一、そのような計画が策定された場合には、当然のことながら、認可はいたしません。

 このため、本法案は、アメリカを初め国際社会との関係でも、核不拡散の観点から、我が国のプルトニウム管理に対する信頼性をより高めるものというふうに考えております。

阿部委員 実はこれまでもそうだったわけです。我が国は、IAEAのもと、核拡散を行わない、核不拡散のためにもいろいろな情報を公開はしてまいりました。しかし、そのもとに、四十八トン近くのプルトニウムを既に持ってしまっているという現実がございます。その中で、今般のこの法律ができ上がっていくこと、今、大臣は国のある意味の責任と指導のもとにとおっしゃいましたが、そうであれば、大臣にお伺いをいたします。

 本来は、この法律が出されるときに、電力事業者がプルトニウムの利用の計画を出し、そして原子力委員会もそれをきちんとチェックして、かかる法律をお出しになるべきだと私は思うんですが、現状でそれはなされておりません。さらに、今後、六ケ所村の再処理工場が稼働するまでには少なくとも電力事業者が計画をお出しになる、出さない限りは稼働されない、再処理工場は動かない。今大臣がおっしゃったのは、きちんと計画を見て、それで認可していくとおっしゃったわけですから、出されなければ認めようもないし、稼働もできませんよね。いかがですか。

林国務大臣 六ケ所再処理工場につきましては、二〇一八年上半期の竣工予定でございます。現在、原子力規制委員会によって、新規制基準への適合性審査が行われているところでございます。

 したがって、この六ケ所再処理工場は、新規制基準に適合すると認められれば、地元の理解を得ながら竣工するということになります。

 なお、事業者においては、政府方針であります利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を明確に認識しながら、プルサーマル等の事業を進めているところでございます。その上で、六ケ所再処理工場が操業を開始するまでに新たなプルトニウム利用計画を策定することを表明しているものと承知しているところでございます。

 核燃料サイクルを進めていく上で、政府の方針を踏まえた、こうした事業者の対応は当然のことでありまして、委員御指摘の、この計画が再処理工場の操業前に策定されないようなことは全く想定していないわけであります。その前に必ず策定されるというふうに考えております。

阿部委員 それは当然なのですが、大臣から明確に御答弁いただいて、ありがとうございます。

 何度も申しますが、本来はこの法律の提出段階でそうしたものがあり、原子力委員会がそれをチェックなさるというのが物の手順ですが、少なくともというところで大臣に確約いただきました。

 そして、計画とは、ただ出せばいいというものではございません。出すだけだったらペーパーですから、そうではなくて、実効性のあるものにしなければならない。それから、利用目的のないプルトニウムを持たないという大原則に照らしたものでなくてはいけない。

 そうなりますと、実際に使用できるプルトニウム量、すなわちMOX燃料として使用できるプルトニウム量と再処理から出てくるプルトニウム量は、少なくともバランスしなければおかしなことになります。少なくともバランスです。出てくるプルトニウムの方が少なくて、使える方が多ければ、今までたまった分も消化していけます。でも、プルトニウムがどんどん出てきちゃう、MOXで燃やす方は進まない、例えば炉の稼働がおくれる、進まない、こうなると、少なくとも、プルトニウムは今より積み上がっていきますよね。

 大臣は、今、四十八トン弱ですけれども、これ以上プルトニウムがふえないということをきちんと担保できる、その確約と申しますか、そういうお考えはお持ちなんでしょうか。すなわち、処理から出てくるプルトニウムと燃やすプルトニウムは、最低でもバランスしなきゃいけないということですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 我が国は、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則でありまして、この原則のもとでプルトニウムの適切な管理と利用を行うことは当然だと思います。

 この上で、プルトニウムの保有量については、短期的な増減にこだわるのではなくて、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則のもと、プルトニウムの回収と利用のバランスを十分に考慮しながら、その適切な利用を進めていくことが重要であるというふうに思います。この方針は、エネルギー基本計画に示しておりまして、これに従って、しっかりと対応してまいります。

 なお、プルサーマル炉の稼働状況などにより、短期的にプルトニウムの保有量が増加することが起こり得ますが、そうした事態が一切生じないようにすることが重要というよりも、むしろ大切なことは、我が国が保有するプルトニウムが全体としてバランスがとれた状況にあるということであるというふうに考えています。

阿部委員 その論理のもとに四十八トンになっちゃったんですね。今までがそうじゃなければいいんだと思います。どんどんどんどんふえてきたわけです。今の四十八トンの内訳は、海外二十四・五、国内七・三、六ケ所に四トン強。

 少なくとも、こういう法案を政府の責任においてつくるときは、大臣にあっては、今の四十八トンを、赤字と一緒です、もうふやさないんだ、要するに、ふやさない限りにおいて再処理と稼働を見ていくんだくらいの覚悟がないと、そうはいっても、いっときだ、いっときだ、いっときだと言って、ふえ続けてきているわけです、現状。大臣、このことはどうお考えですか。いっときがずっとになっているんですね。

 これからもまだふえるかもしれない、それは一過性だけれどもと大臣はおっしゃいました。一過性であれば、ずっと前からそうだったんだと思うんです。このちょっとふえたのは一過性だ、ちょっとふえたのは一過性だ、ちょっとふえたのは一過性だと。誰も、ずっとふやそうと思ってやってきているんじゃないと思うんです。

 そこで、具体的な提案で、再処理工場から再処理されるウランの分、燃やせる分、少なくともバランスにしていけば、プライマリーバランスをそろえれば、あとは、たまっていく分は減少に向かわすことも可能であろう。ここを緩めちゃったらどんどんふえるんじゃないですか、どうですか。

林国務大臣 内閣府が公表しているように、イギリスに再処理を委託した使用済み燃料に含まれる、残り約一トンのプルトニウムについては、イギリスの再処理工場が操業を終了する二〇一八年ごろまでに使用済み燃料から分離された上で、我が国のプルトニウム保有量として計上される予定でございます。こうした事実も踏まえれば、少なくとも、我が国が保有するプルトニウムが現状よりふえることはあり得ます。

 ただし、最近の状況を申し上げれば、高浜原発の三、四号機は、現在停止中であるわけですが、実際にMOX燃料を使用してプルサーマルを行ったところでございます。また、日本原子力研究開発機構、JAEAの研究炉の一つであります高速炉臨界実験装置、FCAのプルトニウム燃料の撤去が当初の予定を大幅に前倒しして完了したものと聞いておりまして、このように、直近のプルトニウムの保有量は減少しているところでございます。

阿部委員 それもある意味そうでしょう、イギリスでの処理後の扱いの問題。

 しかし、今私の伺ったことにはお答えではないです。この再処理過程と燃やすところのバランスを伺いました。大臣は、そこは御自身がかかわれるところなんです。今のイギリスがどうこうする、これは内閣府の方でやられることです。とにかく、四十八トン、多いんだから、どうにかしなくちゃいけないんだから、そこはやっていただいて当然です。私は、この法案に即してかけられる歯どめが何かということを伺ったんです。

 確認いたしますが、大臣の念頭には、使用済みの燃料の再処理から出てくるプルトニウムと燃やすプルトニウムをバランスさせるというお考えはないということですね。明確に答えてください。今、違うことで二回お答えになりました。私が提案しているのは、簡単に言うと、すなわち、燃やせる量しか再処理するな。それが赤字を減らすというか、たまったプルトニウムを減らしていく。大臣がかかわれる主体的な役割だと私は思いますが、イエス・オア・ノーでお答えください、明確に。

林国務大臣 繰り返すようですけれども、プルトニウムの保有量については短期的な増減にこだわることじゃなくて、やはりプルトニウムの回収と利用のバランスを十分考慮しながら、適切な利用を進めていくことが重要だというふうに考えます。この方針は、エネルギー基本計画にも示しておりまして、これに従って、しっかりと対応してまいります。

阿部委員 このことを所管する大臣が今私が申し上げた再処理分と燃やす分のバランスすらとれないというのであれば、それは現実的な担保がないということです。やれるところから始めていくしかないのです、たまりたまったんだから。しかし……(発言する者あり)長期は短期の積み重ねですから、余分なことを言わないでください、まして後ろから。

 大臣、大臣にできることを私はストレートに伺っているんです。でも、今大臣からお答えはなかった。逆に、取り出すところと燃やすところのバランスはしないということだと受けとめます。

 次に行かせていただきます。

 この法案では、特にこの法案が再処理ということを目的に事業者から拠出金を集める法案で、さまざまに、アメリカからも懸念がある、経済合理性についても懸念がある中で、果たしてこの法案の中で再処理以外の柔軟性、いわゆる最終処分等々にかかわる柔軟性、核燃料サイクルにかかわると言ってもいいかもしれません、特にこの法律においては再処理以外の選択肢はありませんよね。個別、この法案についてお伺いいたします。再処理以外の柔軟性はないですよね、この法案には。

高木委員長 多田電力・ガス事業部長。(阿部委員「ごめんなさい。これは約束が違います。多田さんは指名していません。大臣、考えてください」と呼ぶ)ちょっとお待ちください。

 とりあえず、まず現状をお話しして、大臣に答弁をしていただくようにいたします。

 多田電力・ガス事業部長。

多田政府参考人 法文のことでございますので、私の方からお答えしたいと思います。

 今回御提案させていただいております法案の中では、再処理をするということを選んだ事業者が対象となっております。

阿部委員 では、改めて大臣に伺います。

 直接処分等もありますが、再処理以外の方法の柔軟性はどこでどのように担保するんでしょうか。これは平成二十六年に出されたエネルギー基本計画の中にも、中長期的には柔軟性を持ってとございますし、今、多田部長がおっしゃいましたが、この法案には再処理以外の道はないのです。では、柔軟性はどこでどのように確保されますか。

林国務大臣 本法案は、原子炉等規制法に基づいて原子炉の設置許可を受ける際に、使用済み燃料の処分の方法として再処理を選んだ事業者に使用済み燃料の発生者としての責任を果たしてもらう。

 その意味で、本法案は、使用済み燃料の再処理を行うことを前提としたものでございます。

阿部委員 多田部長の答弁を繰り返していただいたので、それはわかりました。

 私は、それ以外の柔軟性はどのように担保するんですかと聞いているんです。この法案は再処理以外にないと今おっしゃいました、多田部長も、大臣も。では、ほかにどのような方法で柔軟性を担保されるのか。大臣、どうでしょうか。

林国務大臣 核燃料サイクルに関する諸課題はたくさんありますけれども、短期的に解決するものではなくて、中長期的な対応を必要といたします。また、技術の動向、エネルギー需給、国際情勢等々、さまざまな不確実性に対応する必要があることから、対応の柔軟性を持たせることが重要であります。特に、今後の原子力発電所の稼働量とその見通し、これを踏まえた核燃料の需要量や使用済み燃料の発生量等と密接に関係していることから、こうした要素を総合的に勘案して、状況の進展に応じて戦略的柔軟性を持たせながら対応を進めることにしております。

 例えば、使用済み燃料の貯蔵能力の拡大は、核燃料サイクルに関して中長期的な対応の柔軟性を持たせる重要な取り組みの一つであるというふうに考えます。

阿部委員 処分能力の拡大、現実的には、乾式貯蔵なども含めて、オンサイトで拡大しているところもあるとは思います。

 しかし、はっきり言って、それは事業者が御自分でなさっているわけですね。この法案をつくるに当たって、国として柔軟性を担保するというところはどこにあるのかを私は伺っております。

 もっと具体的な例で伺いますと、この法案は、事業者に再処理をいたしますからと言ってお金をいただきますね。このお金は再処理以外には使えませんよね、当然。再処理をいたしますからと言っていただいたお金です。でも、中長期的、アメリカなどはもう既に再処理をやめておりますし、日本も、経済性やもろもろの核拡散の問題で、これをやめるというふうに方針を変えた場合に、この法案で拠出したお金はその変更された方針にのっとって使えるのか使えないのか、具体的に伺いました。

 では、いいですよ、多田さん。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 一回再処理のために支払った拠出金、これが他の目的に使えるかというお尋ねについては、法的には、そこは現行法のままでは使うことは禁じられているというふうに御理解いただければ結構です。

阿部委員 私がその点をして、やはりこの再処理という問題は、今後の方針、中長期的に見て、非常に変わり得るものだと思います。

 しかし、この法案は、拠出したお金を他の目的には使えません。逆に言うと、これから事業者はそれを払うけれども、途中で変わるかもしれないリスクを抱えております。そうした場合は、法改正をするとか、そういうこともあり得ようとは思いますが、それでも、一度出したお金を他の目的には使えないでしょう。その意味で、固定化すると私は申し上げております。

 大臣が、もしこの法案が再処理に固定するものではないとお考えであるなら、その理由を、再処理に固定するものであるとお考えなら、そのように御答弁をいただきたいと思います。

林国務大臣 一般論として申し上げれば、将来的に状況が変化して、政策の見直しが必要というふうになる場合には、本法案についても見直しが行われるということはあり得るのではないかというふうに考えております。

阿部委員 委員長、お聞きになって、私の質問にお答えじゃないと思うんです。

 私は繰り返して、この法案が再処理に固定するものであるとお考えなのか、だって、お金はそれ以外に使えないんですから。あるとお考えならそれでいいんです、あると言っていただければ。この法案はと私は伺いました。いかがですか。

林国務大臣 今回の法案は、大きな方針の枠内で、電気事業の小売全面自由化の中でも必要な資金を確実に確保できるようにするなど、必要な技術的手当てを講じるものでございまして、したがって、戦略的柔軟性に影響を与えるものではなく、核燃料サイクルに係る基本方針を固定化する意図は持ち合わせていないところでございます。

阿部委員 委員長、お聞きになっていて、大臣は苦しい答弁だと思うんですよ。

 私は、この法案が、本当に中長期的に見たときに、お金はいただいて、四十年再処理するお約束の法案なわけです。事業者にとっては、途中で方針が変わったときにお金も戻ってこない、空約束になる、そんな法律をつくっても、だまくらかしだと思うから伺っているんです。

 中長期的に見て、ほかで検討される、方針が変わってもここのお金は使えない。そうしたら、また新たにいただくんですか。そんなことはできないですよ。そういうものになる法案だからこそ、私は問題が大きいと思います。

 再処理に固定しないというふうに大臣がお考えでないのか。ないとすれば、今言ったような抽象的なことじゃなくて、この法案上、どこにそういう担保があるんですか。私はそれがないから賛成できないと思っておりますが、いかがですか。法案上、どこに再処理に固定しないということが明示されているんですか。あるいは根拠があるんですか。おっしゃっていただきたいと思います。

林国務大臣 将来の仮定の話に予断を持ってお答えするのは適当でないというふうに思います。仮に、拠出された資金を再処理以外の処理に利用するのであれば、多田部長が答えたように、所要の法改正が必要になるというふうに考えます。

阿部委員 幾ら何でも、あるリアリティーを持ってこの法律がなければいけないと思うんですね。今大臣がおっしゃったように、だめになったら次の法改正をする。しかし、現在の法律がリアリティーが薄い方であれば、わざわざ今つくってまた次に法改正ということよりも、私は最も適切な法律を今つくるべきだと思います。

 その観点から、次の質問をさせていただきます。

 次のページには、我が国にある原発の台数と、四十年廃炉、あるいはレアなケースですが、例外的な六十年廃炉で、一体、何年に何基残るか。これは、事故もなく、あるいは途中で廃炉を来すような何かの問題もなく、全部が順調に稼働した場合の稼働原発数であります。

 この法案は、これから四十年間にわたって、六ケ所の再処理工場で三・二万トンの使用済み燃料を処理して、そこから約百六十トンのプルトニウムが出てくる。今、核分裂性プルトニウムは既に三十二トンございますし、合わせると、四十年間で二百トンを燃やしていくという法律であります。

 私がここにわざわざ台数を並べましたのは、四十年後に本当に燃やす炉があるんだろうか。新増設をしないとすると、今の大間とか東通とか島根は既にカウントしていますから、それ以外を増設しないとすると、四十年間にわたって二百トンのプルトニウムをMOX燃料として燃やせる炉があるのかどうか。これは多田さんに伺います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生のお配りいただいた資料にもあらわれておりますが、ここが恐らく二〇五七年でも、例えば六十年廃炉にしたケースでも二万六千トンしかないじゃないかと、こういうことを前提にお尋ねかと思います。

 先ほどから繰り返し大臣の方から申し上げておりますとおり、私ども、エネルギー基本計画で閣議決定したとおり、核燃料サイクルというものを自治体、あるいは国際社会の理解を得ながら推進する方針でございます。

 その上で、核燃料サイクルに関する諸課題は、これは非常に長い事業でございますので、一年、二年、こうした短期的に解決するというものではございませんで、中長期的な対応が必要だということも申し上げているとおりでございます。したがって、四十年、五十年先を念頭に置きながら対応を進めるべきだということかと思っておりますけれども、その時点での原子力発電所の稼働状況も含めまして、その時点での状況が、現時点で全て見通せているわけではない、これは正直そういう状況にあろうかと思います。

 ただ、核燃料サイクルにつきましては、このようなさまざまな不確実性がある中で、戦略的柔軟性というものを持たせながら対応を進めるということにしているのは先生も引用していただいたとおりでございまして、今から四十年あるいは五十年先の対応につきまして、予断を持って言及することは困難ではございますけれども、現在、そしてその時点において、やはり核燃料サイクルを進めるという方針を前提といたしますれば、再処理を行うとともに、プルサーマルを進めていくということが重要ではないか、このように考えております。

 いずれにいたしましても、先ほど来先生御指摘の点、プルトニウムバランスという点でございますけれども、大臣も、先ほどプルトニウムの回収と利用のバランスをとるというふうに申し上げていたかと思います。これは、阿部先生のおっしゃるところでいきますと、再処理をして、生むところと、それから使うところのバランスをとるというふうに申し上げております。その点は十分御理解をいただければと思います。

 その上で、いずれにいたしましても、我が国といたしまして、利用目的のないプルトニウムは持たない、これは大原則でございますので、これを堅持していくことはもちろんでございまして、その方針の枠の中で核燃料サイクルを進めていくということで御理解いただければと思います。

 そして、その上で、大臣からお話し申し上げましたように、今回の法案、国の関与も高まっておりまして、そうした観点からも期待できるものと理解をしているところでございます。

阿部委員 今の多田さんの答弁の中で、大臣に確認です。

 回収と利用のバランスをとるということは毎年毎年ですか。毎年毎年、回収と利用のバランスをとられるおつもりですか。今の多田さんの言い方はそういう意味ですか。

 では、大臣からお願いします。

高木委員長 まず多田さんから。

 多田電力・ガス事業部長、時間が迫っておりますので、簡潔にお願いいたします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私が申し上げた趣旨は、その前に申し上げましたように、核燃料サイクル、一年、二年、短期のことでやっていくものではなかなか難しいだろうという趣旨を含めてお考えいただければと思います。

阿部委員 それでは堂々めぐりで、やはり減っていかないでしょうということですね。

 そして、大臣、よく見ていただきたいんですね。今から四十年後、例えば二〇五六年には、もしも全部の原子炉を六十年寿命としたとして、これは本当にあり得ないことだと思いますが、四十年から六十年に延長するのは大変なことですから、それだとしても、実は十基ないし十一基しかございません。

 この計画は、十五基でMOX燃料を燃やさないと、出てくるプルトニウムを処理できないわけです、先ほどの再処理三・二万トンをやってしまえば。ですから、私はリアリティーがないと。燃やす炉がないのにMOX燃料にしてどうしますか。MOX燃料にしなければプルトニウムは余ってしまいます。

 我が国が原発依存度を低減する、新しい炉をつくらないといったときに、まして四十年廃炉という方針を立てたら、当然ですが、この法律は不可能なんです。六十年に延長したって、これだけしか炉がないじゃないですか。どうやって燃やしますか。

 今、電事連の計画は、二〇一五年に十六基から十八基をプルサーマル炉にするという計画を立てておられます。これから少しはふえるかもしれません。しかし、プルサーマルを、すなわちMOX燃料を燃やすためには、審査を通って、炉心の設計からいろいろなものが関係してきます。これだけしか炉がないんです。燃やす場所もないんです。再処理したら余るじゃないですか。

 大臣、どうですか。

高木委員長 林大臣、申し合わせの時間が過ぎておりますので、簡潔に願います。

林国務大臣 現時点では、新増設、リプレースは想定してございません。

阿部委員 では、到底燃やせないプルトニウムをつくるということになり、この法案は欠陥法案だと思います。

 以上で終わらせていただきます。

高木委員長 次に、落合貴之さん。

落合委員 おはようございます。民進党の落合貴之でございます。

 今、阿部委員の大変ポイントを突いた質問だと思いました。

 その質問の前に、九州で大きな地震が先週末、それからきょうにかけて起きています。被災された全ての方にお見舞いを申し上げるとともに、亡くなられた方々に哀悼の念をささげさせていただきます。

 本日は、まず冒頭、経産省に関する地震関連の質問から入らせていただきます。

 まず、熊本を中心とする今回の九州での大地震における地域経済の被害の状況について、どのように把握されていますでしょうか。

豊永政府参考人 お答えさせていただきます。

 私の方から、中小企業の被害の状況の把握についてお答えさせていただきます。

 今般の地震の被害につきましては、全容または詳細につきましては、正直申し上げて、現時点で把握し切れておりませんが、被災地域での事業所の損壊や宿泊のキャンセルなど、中小企業にはかなりの被害が生じていると認識してございます。

 中小企業庁では、発災後に政府系金融機関や中小企業団体に特別相談窓口を設け、被災中小企業の相談に当たりますとともに、それらの団体の周辺や会員の被災状況について報告を求めております。

 それによりますと、現地では、事業場やお店、商店街施設の損壊が多く見られますし、取引先企業の損壊や営業停止、また、交通網の遮断によりまして資材の搬入や製品の搬出が困難であるという声、断水や停電によって操業が難しいという声、それから、観光では、キャンセルがある、ゴールデンウイークに向かって不安であるといった声が多数届けられております。

 既に私どもは、中小企業庁次長以下担当課長数名を現地に派遣しておりまして、直接に被災地域の企業や商店街、商工会議所などの聞き取り、また写真の撮影などを行っているところであります。

 ちなみに、きのうの時点で、熊本県、大分県に置きました相談窓口に届けられた相談件数は三百三十七件となってございます。

落合委員 これらの被害に対しまして、中小企業庁として、経産省として、その対応策、それからこれからの方針についてお伺いできればと思います。

鈴木副大臣 お答えいたします。

 被災された中小企業への対策のお尋ねがありました。

 被災された中小企業への対策としまして、熊本県内に災害救助法が適用されたことを踏まえて、十五日に、現地の公的金融機関や中小企業団体に特別相談窓口を設置するとともに、公的金融機関による特別な貸し付け、セーフティーネット保証などの措置を講じました。

 また、親事業者の工場の操業停止等により全国の下請企業への影響が懸念されることから、地震に伴う下請取引上の留意点を広く注意喚起するとともに、全国四十八カ所の下請かけこみ寺に特別相談窓口を設置いたしました。

 さらに、被災地域における中小企業の窮状を直接把握し、その対応策を政府一丸となって進めるために、被災者生活支援チームとの連携のもと、林大臣を本部長として、私も副本部長を務めますが、総合中小企業対策本部を十八日に設置いたしました。

 先ほど長官からも報告がありましたけれども、同日、早速、職員数名を現地に派遣しまして、被災地域の企業や支援機関を訪問させております。現地からの報告によれば、ある被災企業からは、工場の設備自体が損壊しており、修復には膨大な資金と時間が必要だという嘆きの声や、金融機関からは、顧客が当面の決済資金を緊急に必要としているなどの声が聞こえていると聞いております。

 なお、中小企業庁としましては、被災地域で利用可能な中小企業者向けの支援策をまとめたハンドブックをつくりまして、もう配布をしております。

 引き続き、総合中小企業対策本部の活動を通じて、現場の声をよく聞きながら、関係省庁や地元地方自治体と連携して、被災中小企業支援に全力で取り組んでまいります。

落合委員 これは大きな問題ですので、また途中経過を一般質疑などで取り上げさせていただければと思います。

 今回、震源が移動しながら大きな地震が何回も起きているということで、これを見てみると、断層が連なっていて、それに沿って地震が起きています。

 日本の断層帯をよく調べてみますと、西は鹿児島の西の方から、ところどころ離れていますけれども、四国まで行って本州を突っ切って、そして東は茨城県の鹿嶋まで、ある程度つながっている。

 今回、熊本、大分と、この線に沿って地震が起きました。これは連鎖して起きたんじゃないかというふうに言われています。

 これは、要は、鹿児島の西側には川内原発もありますし、断層の真上ではないですけれども近くにいろいろな原発もあるわけですけれども、連鎖的に、違うところで起こった地震が原因になって、その線上で起きるということも論理的にはあり得るんでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のありました件についてでございますけれども、私どもは地震調査研究推進本部の地震調査委員会でこの評価を行っているわけでございますけれども、今回の布田川断層帯、日奈久断層帯、また別府―万年山断層帯、西山断層帯などの個々の断層帯の長さですとかあるいは地震発生の確率、また想定される地震の規模、こういったものを推定する長期評価というものを行ってきております。

 しかしながら、近接する活断層で発生する地震が連鎖によるものだとする科学的なデータは十分でないことから、現時点では、これらについて、長期評価においては考慮できていないというところでございます。

落合委員 科学的にはとなるとそんなに長い期間見ることができないわけですが、文献などから判断して、これは連鎖的に起こったんじゃないかと推測できるような地震はあったんでしょうか。

白間政府参考人 お答え申し上げます。

 地震調査委員会では、科学的な知見に基づきまして基本的には評価を行うというところでございまして、現時点で、科学的な十分なデータがないということで、考慮できていないというところでございます。

落合委員 東日本大震災のときもそうでしたが、千年さかのぼれば対策ができていたかもしれない。

 調べてみますと、安土桃山時代、一五九六年九月一日に、大分の豊後地震、大地震がありました。そこからいろいろなところで揺れ続けて、四日後には、伏見、京都で大地震。これは、豊臣秀吉のつくった伏見城がすぐに壊れてしまったので、歴史上にもよく出てきます。先ほどおっしゃったのは九州の断層の名前ばかり出ていましたけれども、豊後水道で起きた地震が伏見でも起きている。これは連鎖地震じゃないかと言われています。鹿児島、四国、近畿と、同じような時期に大きく揺れたという文献が残っている。どこまで科学的判断と言えるかと思いますが、こういった、連鎖して、断層を飛び越えて、つながっている断層、断層で伝わって地震が起きることも文献上からは推測できるということが言えると思います。

 これから考えると、川内原発の揺れ、小さかったので大丈夫ですというようなあれも出てきていますけれども、連鎖して地震が起こることに対する備えというのも必要なのではないでしょうか。

 国会の議事録を見てみましても、おととい、橋田気象庁長官も、現在、日本では、平均すると、マグニチュード七の地震は年に一回程度、六の地震は年に十回程度起こるということが統計でわかっている、なので、どこで地震が起こってもおかしくないというように発言をされております。

 川内原発、断層としては距離が近いわけですので、付近の地震がとまるまでとめておいた方がいいと考えることはできませんか。

櫻田政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員の御指摘がございましたように、断層の活動というのは一概になかなか予測しがたいというところがあるのは事実かと思います。ただし、原子力発電所の適合性審査におきましては、発電所の敷地の周辺の地質や地質構造調査の結果などをもとにして、その周辺に存在する活断層が複数のものが連動して動くということも考慮した形で地震動は策定しています。

 例えば、今地震が起きているとされております布田川断層帯それから日奈久断層帯、この二つの断層帯につきましても、この二つが連動して動く、連鎖的にばらばらと動くのではなくて連動して一度に動くという想定をしています。そうしますと、断層の長さは九十二キロという大きな長さになりまして、その断層が一度に動くとマグニチュードは八・一となるというふうに想定されております。この八・一の地震が発生するという想定も織り込んで、川内原子力発電所の基準地震動を定めているというところでございます。

 こういった条件のもとで発電所の安全機能が確保されるということを確認してございますので、今のところ、震源が動いているという話はございますけれども、私どもが想定した範囲の中におさまっているものと考えております。したがって、先ほど委員からもお話がございましたが、今のところ大きな地震動は敷地で観測されていないということはございますし、今申し上げたように、今発生している地震も想定の範囲内ということでございますので、現時点において停止をする必要はないのではないかというのが原子力規制委員会の判断でございます。

落合委員 大臣、科学的にはそうだということですが、豊後地震が伏見の地震まで波及した可能性が高い、それは安土桃山時代ですけれども。政治的な判断として、川内原発を最低でも一時的にでもとめるという判断は、検討ぐらいはするべきではないでしょうか。

林国務大臣 原発の再稼働につきましては、常々申し上げているとおり、高い独立性を有する原子力規制委員会が科学的、技術的に審査して、世界で最も厳しいレベルの新規制基準に適合する、こういうふうに判断した原発のみ、その判断を尊重し、地元の理解を得ながら再稼働を進めるというのが政府の一貫した方針でございまして、現時点においてそういうふうなことは考えておりません。

落合委員 今の基準それから手続の穴というのはあると思います。

 この断層帯は東の方に伝っていくと伊方原発もあるわけですが、これは三号機の再稼働への安全審査が終わったというようなニュースがきのう流れました。

 ここは中央構造線という大きな線が入っているわけです。それから、南海トラフの地震の影響も受けるであろうと思われる地域でございます。これは、原発自体の構造に問題がなくて安全基準をクリアした、立地自治体の同意も得られたというようないろいろな条件をクリアしたとしても、例えば、この伊方原発は、避難の問題というのがあると思います。

 ここは半島へ行けばわかりますけれども、道路の右にも海が見えて、左にも海が見えて、すごく細い半島である。そのつけ根に原発がある。一本しかないこの道の真横に伊方原発がある。ですから、万が一想定外の原発事故が起こったら、恐らくというか、確実に道路での避難はできません。

 船で逃がしますと地元の伊方町は言っています。しかし、港は二つしかありません。三机の港は原発が見えるようなすぐ近くです。これは恐らく使えません。そうしたら、三崎という佐田岬の一番先端の方の港しかない。五千人をその港に運んでいって、漁船で運ぶという避難計画を立てているわけです。

 その三崎港が豊後水道に面していて、太平洋に面していて、津波で港が使えなくなったらその五千人はどうなるんでしょうか。

林国務大臣 通告がなかったものですから明確にお答えできるかどうかわかりませんけれども、避難計画は地域の実情に精通した自治体が策定することになっておりまして、政府としては、自治体と協力しながら、地域原子力防災協議会を通じて地域の実情を反映した避難計画の充実に取り組みまして、その上で、総理を議長とする原子力防災会議で内容を確認し、了承していく方針でございます。

 原子力災害対策にはこれで完璧ということはございませんで、政府としては、防災訓練を通じた検証も含めて、避難計画の改善充実へ向けて自治体と協力して継続的に取り組んでまいりたい、このように考えています。

落合委員 原発政策、エネルギー政策というのは、やはりこういうところにも配慮をしないと、国民的理解は得られないと思います。

 この地域は多くがお年寄りで、避難訓練はしていますけれども、漁船でこういったお年寄りが移動できるのかというようなことも地元の人たちは言っています。私は、縁あって、ここの五千人のうち百人以上は知り合いです。それから、福島の原発の近くにも縁ある近い親戚がいます。地域もめちゃくちゃになってしまいました。個人の生活もめちゃくちゃになってしまいました。こういう人たちへの配慮がなければ、核燃料サイクルも原発再稼働もできないんじゃないですか、国民的な理解は得られないんじゃないですか。

 私は、こういう五千人が見捨てられるような政策を行うような政府であってはならない、そのように思います。それに配慮をするのが政治の役割ではないでしょうか。

 今回の法案について入らせていただきます。今回の法案、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案でございます。

 まず、基本的なことについてお伺いしたいんですが、原子力関連事業の再処理、これは、イギリスですとかフランスですとかロシアですとか、各国を比べてみると、国営ですとか国の機関が事業主体になっている。しかし、日本は、歴史的にも民間が主体でやってきました。今回の法案でも、第三条に、原発を回している事業者が再処理の責任を持つというふうに明記をしています。

 今までは積立金をすることを書いていただけなので、民間の責任をはっきり明記したということになりますが、なぜ日本は再処理を国が責任を持ってやらないんでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 政府として、核燃料サイクルを進める方針につきましては、昭和三十年代から原子力開発利用長期計画において決定しているところでございます。当初は、再処理等に関する基礎的な研究が行われていたものと認識をしております。

 その後、こうした状況を踏まえながら、民間事業者側から、再処理の実用化段階においては、民間でそれを進める意向が表明されたものと承知をしております。

 こうした経緯を受けて、今日に至るまで、我が国では、再処理事業は民間主体による事業として実施されてきておりまして、関連する技術や人材も民間に蓄積しているものと認識をしております。

落合委員 歴史的にも民間がやってきた、技術も知識も運営方法も蓄積をしていると。

 原発もそうですけれども、一回何か起こったら、一企業で対応できないような大きな問題も起こってくる。そういった中で、国の責任というものはもうちょっとしっかりと法律の中に規定をするべきだと思います。

 国の責任というのは、今回の法案の中では、どこに、どのように書いてあるんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的にまず申し上げますと、国の関与といたしまして、経済産業大臣が、新しい認可法人の理事長を任命する等々の人事の関係、それから実施計画を認可するといった国の関与が定められているところでございます。

 それに加えまして、今回の法案の第五十八条という規定がございまして、新しい機構が業務困難に陥った場合の措置というものが書かれております。その中で、業務困難に陥った場合には、権利の引き継ぎ等を別に法律で定めるという規定がありますが、その場合において、その法律がとられるまでの間は、経済産業大臣が、政令で定めるところにより、当該再処理等業務の全部または一部を行うものとするという規定も設けております。

 これはもちろんラストリゾートでございまして、緊急避難的な措置ではございますが、最終的に国が役割を負うということは明記をさせていただいたところでございます。

落合委員 任命ですとか認可、これぐらいでしたら責任とまでは言えないと思います。そして、ラストリゾートの部分しか国の責任が明記されていない。

 本当にもうどうにもならなかったときに、では、経産大臣、責任を持ってやってくださいと言ったら、先ほどおっしゃった、その知見もない、経験もない、そういった国の機関に全部丸投げされても、これは対応できないわけでございます。平時にも国の責任をしっかりと明記していない、これは一つの穴なのではないでしょうか。それは指摘をさせていただきます。

 さらに伺いますが、今回、認可法人という形態をとりました。国と事業主体である原燃の間に組織をつくっているわけですが、間にかますことで、また責任の所在、指揮系統などが複雑になるということも言えると思います。なぜ原燃の直轄にしなかったんでしょうか。

星野大臣政務官 お答えをいたします。

 本法案により新たに設立をされます法人は、競争が進展した競争下においても使用済み燃料の再処理等を着実かつ効率的に行うために、これまで再処理等事業が民間主体で実施されてきた経緯や、関連技術、人材が民間に蓄積していることから、民間を主体とし、運営に国が必要な関与を行いつつ、事業を将来にわたり確実に実施するため、自由な解散に歯どめがかかる主体であることが必要だと判断をいたしました。

 こうした観点から、審議会での議論においても、法人の類型として、独立行政法人や特殊法人といった国の機関ではなく認可法人が適切とされ、こうした議論を踏まえて、本法案で新たに設立する法人を認可法人とすることとしております。

落合委員 国がやらないことは理解はできたんですが、民間主体でやるという上で、原燃という実施主体があって、運営主体がもう一つあるというのは、責任の所在、指揮系統で問題が起きるのではないかという点で質問をさせていただきました。ここは運用が開始されてから具体的に問題が起こる可能性もありますので、そのときにまた指摘をさせていただきたいと思います。

 それで、今回機構ができるわけですけれども、運営委員会と事務局で構成されます。事務局員というのはどれぐらいの人数を想定しているのか。それから、この事務局員の構成、電力会社から人を派遣してもらうのか、エネ庁から行くのか、どのぐらいの割合でやるのか、新規採用するのか、そういった陣容について伺えればと思います。

日下部政府参考人 ただいま、新たな法人の組織の構成についての御質問がございました。

 この法人は民間の発意によって設立をされます。したがいまして、組織のあり方の具体については、発起人を中心として検討されるものと認識をしております。したがいまして、政府として、現段階で具体的に想定しているものではありません。

 ただ、法人の規模につきましては、似たような業務を行っている原子力損害賠償機構というものがあります。この機構が当初数十名の規模で業務を開始しているということからすれば、今般の認可法人もその程度の規模でスタートすることになるのではないかと考えております。

 それから、先生のもう一点の御指摘で、人員構成の件ですけれども、本法人は再処理事業にかかわる法人であります。原子力事業者が人員構成の面でも積極的に協力するということですから、恐らく電力会社を中心として人員構成がされるということだと考えます。法律でも、原子力の事業の知見だけではなくて、金融あるいは組織運営、そうした専門家をもって構成するということになっております。

 経産省としては、役員人事の認可などのプロセスを通じて、この法人の運営にふさわしい体制になるように対応していきたいと考えております。

落合委員 今までは、資金管理法人、お金を管理するだけだったわけですが、原環センターがありました。この資金管理法人は、どのような人数で、どういう構成だったんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 原環センター、正確には公益財団法人原子力環境整備促進・資金管理センターと申しますけれども、組織体制といたしましては、評議員十名、理事十名、監事二名、常勤の職員が五十一名という体制でございまして、現行の積立法の関係で、資金管理業務という部がございますが、そこに十名おられる、こういう体制でございます。

 この公益財団法人は一九七六年に設立された古い法人でございまして、みずからさまざまな調査研究を別途行っている法人でございます。

落合委員 この新しくつくる機構が責任を持って、そして的確に運営されていくには、専門性それから独立性も必要だと思います。どういう組織ができ上がってどうやって機能していくのか、これは私も注視をさせていただきたいと思います。

 それでは次に、法案の文言について伺いたいと思います。

 今までは、法律の目的は、再処理のために積立金を積み立てることと管理すること、これが目的として明記をされていました。

 今回、よく見てみますと、目的の前段の部分に、「発電に関する原子力の適正な利用」という文言も入っています。再処理について言及する前に、原発に関する、「原子力の適正な利用」という文言も目的の中に入っているわけです。

 これは、明確に、原発の再稼働を推進して利用していくということもこの法案の目的の中に入れたというふうに解釈してよろしいでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 本法案では、使用済み燃料等の再処理等を着実かつ効率的に実施するため、従来の資金面での手当てにとどまらず、認可法人を創設する規定等、事業を安定的に実施するための措置を盛り込んでいるため、目的規定を改めたものでございます。

 御指摘の「発電に関する原子力の適正な利用に資するため、」という文言は、認可法人制度を同様に採用している最終処分法の例に倣い、法技術的な観点から加えたものでありまして、政策的な方向性を示すことを意図しているものではございません。

落合委員 私は、元官僚ではないですのでプロではないですけれども、これを読んでいて、使用済み燃料の再処理等の実施のためと後半書いてある部分は、そういう内容なので、まあいいんじゃないかなと思ったんですが、わざわざその前に「発電に関する原子力の適正な利用に資するため、」とつけているのは、後で何か別の目的があってつけたことも考えられるんじゃないかなと思いました。

 それから、後で取り上げますけれども、「着実な実施」と書いてあるこの「着実な」も、本当にこの言葉でいいのかなと。先ほど阿部委員の質問したことへの答弁を考えると、わざわざ「着実な」という言葉をここに入れる必要というのはないんじゃないかなと、この目的について感じます。

 私は、この法律に書いてあることと、今委員会の審議それから予算委員会などで取り上げられているやりとりとが少し何か違うような気がしますので、これはどう変わっていくのか、ここもポイントだと思います。

 それから、この法案は、法律の名前も変わっています。再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律から、再処理等の実施に関する法律になります。

 実施という言葉が使われているわけですけれども、今まで何回も何回も、再処理工場、MOX燃料工場、延期がされてきました。この法律の名前もこういう、的確というか、具体的な文言を使うようになったということは、今まで延期していたこの稼働がいよいよ実行段階に入ったことを示していると考えていいんでしょうか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 本法案は、使用済み燃料等の再処理等を着実かつ効率的に実施するため、積立金制度及び資金管理法人制度を廃止し、拠出金制度に改めることとしております。したがいまして、当然に、法律名について、現行の、再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の改正が必要であります。

 その際、従来の資金面での手当てにとどまらず、認可法人を創設する規定等、事業を安定的に実施する措置を盛り込んでいることから、再処理等の実施に関する法律との名称に改めるものでございます。

落合委員 稼働が近づいているかどうかについては特に言及がなかったので、それは関係ないということであると思います。

 「再処理等」の「等」というのは何なのかと見てみますと、定義も、現行法と新しい法案では変わっています。

 例えば、第二条四項一号が、現行法では「再処理」としか書いてないんですが、新しい法は「再処理に伴い分離された核燃料物質の加工」というのが加わっているわけです。

 要は、MOX燃料がこの定義の中に入った、今までは入っていなかったが、入って、今回、再処理工場だけではなくてMOX燃料の加工にも拠出金を使いますということをはっきりと明記しましたということでよろしいですね。

星野大臣政務官 御指摘の規定は、MOX燃料加工の関連事業を制度の対象に加えるために変更したものでございます。

 なお、使用済み燃料を再処理する以上、回収したプルトニウムはMOX燃料に加工し、プルサーマル発電で利用する必要があることから、この意味で、使用済み燃料の再処理とMOX燃料加工は不可分であります。

 こうしたことを踏まえて、競争が進展した新たな環境のもとにおいても、MOX燃料加工を含む再処理等の事業が全体として着実かつ効率的に実施できるよう、拠出金制度の対象とすることとしたということでございます。

落合委員 前の法律に比べますと、国の責任は明記はされていませんけれども、民間が主体となって政府の言う核燃料サイクルを具体的に進めていくことがより具体的にこの法案には書かれていると思います。

 私は、昨年八月に一人で六ケ所村の施設に行ってきました。一年生議員に対しても現場の方はかなり詳しく説明をしてくださいまして、現場の方々は本当に一生懸命働いていらっしゃいました。

 そのときに、去年の八月にもらったパンフレットには、稼働の時期について、再処理工場のところもMOX燃料工場のところもシールが張ってあって、延期された日にちが書いてありました。たしかそれは二〇一六年三月再処理工場稼働と書いてあったと思います。もうあと半年ちょっとで始まるんだと思っていたんですが、また延期になった。

 そのシールが張ってあったのが恐らく二十二回目の延期で、去年の秋に二十三回目の延期をしていると思います。これは二十年ぐらいですか、それ以上延期を繰り返していて、前の宮沢大臣にも、これは断念をするという選択肢も政治的には考慮に入れた方がいいんじゃないかという質問をしましたが、現状ではそれは絶対に選択肢にもないということでございました。

 それで確認なんですが、二十二回目の延期はなぜ延期をして、二十三回目の延期はなぜ延期をしたんでしょうか。

 なぜかというと、今回の延期は新規制基準に適合するためですというふうな説明を以前レクのときに受けたんですけれども、新規制基準に伴う事業変更許可の申請というのは二〇一四年の一月に出していて、恐らく二十二回目の変更もそれでの変更だったんじゃないのかなと思いまして、質問させていただきました。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 六ケ所再処理工場につきましては、一昨年の一月、日本原燃株式会社が原子力規制委員会に新規制基準への適合性確認を申請し、現在、同委員会による厳格な審査が継続しているところでございます。

 その後、二〇一四年十月に二十二回目の、二〇一五年十一月に二十三回目の竣工時期の見直しが行われておりますが、いずれの見直しにつきましても、技術的な課題やトラブルによるものではなく、原子力規制委員会による審査の進捗を踏まえ、一層の安全性向上の観点から行われたものと認識をしております。

落合委員 二〇一四年一月に新規制基準に対する申請を行ったけれども、何か問題があって、もう一回延期することになった。新規制基準に対する適合という点からもう一回延期したということですね。

星野大臣政務官 全くそのとおりでございます。

 繰り返しになって恐縮ですけれども、二〇一四年十月に二十二回目の、二〇一五年十一月に二十三回目の竣工工事の見直しが行われておりますが、いずれの見直しにつきましても、技術的な課題やトラブルによるものではありません。原子力規制委員会による審査の進捗を踏まえて、一層の安全性向上の観点から行われたものでございます。

落合委員 その前までは、ガラスで固化する技術がなかなかできなかったということで何回も延期をしていましたが、これだけ延期が重なっているということは、しっかりとどの点なのかということを説明することも必要なのではないかと思います。

 この法律の定義にも、再処理のところにMOXが入りましたので、もう少しMOX燃料について伺えればと思うんですが、いろいろな論文等を調べてみますと、そもそも、普通のウラン燃料よりMOX燃料は費用が高いのではないかというような問題があると思います。

 ウラン燃料とMOX燃料でどれぐらい差があるのか、これは把握はされていますでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 MOX燃料の価格についてのお尋ねでございます。

 一般論といたしまして、MOX燃料は、ウラン燃料と比べますと、使用済み燃料の再処理、あるいはプルトニウムを含みます燃料の加工等を追加的に行う必要がございますので、割高になるというふうに認識をいたしております。

 しかしながら、具体的にどの程度というものについては、政府としては把握をしておりません。事業者ごとに個別に契約で結ばれているというふうに理解をいたしております。

落合委員 政府というのは何でも統計を、重要なものは数字をとるものだと思うんですが、エネ庁でその数字はとっていないということですね。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 資源エネルギー庁として、そのような統計は持ち合わせておりません。

落合委員 ほかの役所がそういう統計をとっているということは把握していますでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 MOX燃料に特化して比較可能なデータとしてあるかどうかわかりませんが、一般論として申し上げますと、貿易統計という形で、海外からの輸入物について何かしらの統計があるかもしれないとは思っております。

落合委員 これは、私、さらに調べていきたいと思うんですが、今わかっている時点では、二〇一二年に内閣府がまとめた資料、通常のウラン燃料の費用は一トン当たり二億七千万円、MOX燃料は四億二千万円というふうに、日経新聞十二月十八日三十七面にありました。

 それから、ことしの朝日新聞二月二十八日三面、貿易統計等、財務省の統計から計算をして、直近の、高浜原発に二〇一三年に搬入したMOX燃料の値段は、割り算すると、ウラン燃料の九倍であるというふうにあります。

 どれぐらい高いかということは、政府の言う核燃料サイクルを推進する上では絶対に把握しておかなければいけないものなのではないでしょうか。どうですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の現時点での把握というものを私どもとしてしておりませんということを申し上げましたけれども、核燃料サイクルの方針を考えていく際にそのようなコスト面についても考慮して判断していくべきだという御指摘は、まさにそのとおりだと思います。

 ちょっと御紹介させていただきますと、平成十七年十月に原子力政策大綱ができております。その中で、四つのシナリオというのを選びまして、その比較検討をいたしております。

 安全性、技術的成立性、経済性、エネルギー安定供給、環境適合性、核不拡散性、海外の動向、政策変更に伴う課題、社会的受容性、選択肢の確保、これは将来の不確実性への対応能力、こういう十項目から比較考量をしております。

 この中で経済性ということでコスト面についても評価をしておりますが、そこで、先ほど来議論となっております、再処理をするというシナリオ、使用済み燃料は再処理するけれども利用可能な再処理能力を超えるものは直接処分するというシナリオ、使用済み燃料は全て直接処分するというシナリオ、それから当面全て貯蔵して将来選択をする、こういう四つのシナリオについて比較考量をした結果、経済性については少し割高ではあるけれども、国内で使用済み燃料の再処理をし、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本的な方針とするという政策判断がなされている、このことを御紹介させていただきます。

落合委員 少し割高だというふうにおっしゃいましたが、平成十七年というのは十一年前なわけです。朝日新聞が調べている調査では、二〇〇一年と二〇〇九年で全然金額が違うんです。結構高騰しているんです。

 電力自由化法案の審議があったときに原発は安いというふうにおっしゃっていたにもかかわらず、MOX燃料の値段がわかりません、しかもその計算をしたのは十一年前ですというのは、あのときの法案審議、説得力はあったんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど来から話題となっておりますものについては、海外に委託をして、お願いをしてそれを処理するお金のことになります。

 割高と申し上げておりますけれども、まさにそうした核燃料サイクルの重要な部分である再処理事業を海外に委託する、交渉によって値段が左右されるという状況を脱して、国内で核燃料サイクルを完結するという目的もあり、先ほど来議論になっています六ケ所村での再処理工場の竣工に向けての準備が進められているということだと思っております。

 国内に竣工した暁に、今九倍とおっしゃいましたけれども、そうしたようなことになるかという点につきましては、新しくでき上がります機構において精査、運営委員会も外部の知見もかりてしっかりと精査をして、効率的な核燃料サイクル事業の実施というものに向けて実現をしていきたい、このように考えております。

落合委員 これは、今度審議するFIT法でも、太陽光は高い高いと具体的に数字を出してきているわけですから、こういった法案を審議する際に、やはり、MOX燃料はどれぐらいかかるのかという試算は、仮でも出してくるべきなのではないでしょうか。それじゃないと、政府の言う持続可能な核燃料サイクルを回していくことが可能なのかもわからないですよ。

 我々はそれを見た上で、これは持続可能だというふうに国会で判断をして法案を通すのが真っ当な手続の踏み方であって、幾らかかるかわからないのに、これは絶対必要で正しいので法案審議してください、こういった国会の審議を続けていては、原発政策、核燃料サイクルの政策について国民的な理解も深まりません。今のこの国会審議のあり方、情報の出し方、ぜひこれは改善を願いたいと思います。

 MOX燃料は再処理工場が稼働したら大体幾らぐらいになるのか、いつ数字が出る予定なんでしょうか。決まっていなかったら、どのぐらいのめどで出させる予定なんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 新法人が設立されますと、そこの大事な業務といたしまして、拠出金単価を決定するという仕事が入ってまいります。その拠出金単価を定めるに当たりましては、今議論となっておりますMOX燃料加工にどれだけの費用がかかるのかといった点につきましても精査をして、反映していくということになろうかと思っております。

落合委員 ここが一番重要なところなのではないか。

 それで、もう一本の柱が、先ほど阿部委員の言った、プルトニウムは消費できるのか、新設を予定していなくてプルトニウムは消費できるのかという問題だと思います。

 プルトニウムの量もしっかり処理できていくのかもわからない、そして、どれぐらいお金がかかるのかもわからない、こんな状態でいろいろな法案を審議して採決するべきではない。これはこの法案だけじゃなくて、たくさんあります。こういう行政の姿勢に私は疑問を呈して、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、逢坂誠二さん。

逢坂委員 逢坂誠二でございます。

 きょうは、経産委員会で質問の機会をいただきまして、委員長初め理事の皆さんに心からお礼申し上げます。ありがとうございます。

 それでは、きょうは、私も、今回の法案の対象になっております、主に核燃料サイクルについてお伺いをしたいと思うんです。

 私は、この間、核燃料サイクルについて政府からいろいろと説明を受けております。しかしながら、どうして核燃料サイクルを進めるのか、その意義がどうもよくわからないんですね。いろいろとメリットをお話しされるわけですが、それが私にはメリットには感じられないのであります。

 したがいまして、きょうのこの質疑の中では、ぜひ私に、核燃料サイクルを進めるメリット、意義を納得できるような説明をしていただきたいというふうに思います。

 まず最初に、経産大臣にお伺いしますけれども、何度もお話しになっていることとは思いますが、今回、核燃料サイクル、定義そのものもいろいろ問題はあると思いますけれども……(発言する者あり)

高木委員長 恐れ入ります。質疑中ですので、御静粛に願います。

逢坂委員 核燃料サイクルを進める意義について、大臣の方から簡潔に御説明いただければと思います。

林国務大臣 我が国は、エネルギー基本計画で閣議決定したとおり、自治体や国際社会の理解を得ながら、使用済み燃料の再処理等を行う核燃料サイクルを推進する方針でございます。

 使用済み燃料を再処理する場合、使用済み燃料を直接処分する場合に比べて、高レベル放射性廃棄物の量の減少、そして放射能レベルの低減、回収されるプルトニウム等の資源の有効活用などの効果があるというふうに考えています。

 具体的には、例えば軽水炉サイクルの場合、高レベル放射性廃棄物の体積を直接処分する場合に比べて四分の一に減らすことができますし、その放射能レベルについては十分の一以下にすることができます。また、核燃料物質を有効利用して、新たに一、二割程度の核燃料を製造できるといった効果がございます。

 こうした効果のある核燃料サイクルは、原子力を重要なエネルギーとして使用してきた資源に乏しい我が国にとっては必要なプロセスであるというふうに考えておるところでございます。

逢坂委員 今の説明はこれまでも何度も政府が繰り返し話してきたことなんですけれども、ただ、私、先ほど阿部委員と大臣のやりとりを聞いていて若干不安に思ったものですから、実はこれは通告はしていないんですけれども、重ねてお伺いしたいと思うんです。

 大臣、今の原子力政策の中で課題というのは、原子力発電の中で課題というのは御自身はどのように捉えられておりますでしょうか。

林国務大臣 まず何をおいても安全が第一だというふうに思っておりまして、そういったことは、やはり、事業者はもちろんですけれども、国民全体にもよく理解をしてもらうように対応するというのが大事だろうというふうに思っています。

逢坂委員 通告していないのでこれ以上深入りは避けたいと思いますけれども、確かに日本の国はこれほどの地震大国でありますから、その国において五十基を超える原子力発電所を抱え込むということは、安全性の面で大丈夫かということは一つあろうかと思います。

 もう一つ、原子力発電で根本的な問題として世界的に言われているのは、よく俗っぽい言い方をしますけれども、トイレのないマンションという言い方をする。使用済み核燃料が発生をして、その処理について具体的にどうすべきか、これが定まっていない、これも原子力発電の一つの大きな課題だろうというふうに思うわけです。今、使用済み核燃料は国内には一万八千トンあるというふうに伺っておりますけれども、これの行き場所がないんだというところが、やはり原子力発電を始めてからのずっとの課題だろうというふうに思います。

 今回対象になりますこの核燃料サイクルでありますけれども、この一万八千トンの使用済み核燃料を、ある種、通常であればこれはごみ、廃棄物、捨てるものという考え方なんでしょうけれども、それを有用な資源とみなして、それを再処理して、再加工して、新たなMOX燃料をつくっていくということなんだろうというふうに思いますけれども、核燃料サイクルの課題というのは、大臣、どのようにお考えになっていますか。

林国務大臣 先ほど答弁したように、まず安全が第一でありますのと、それから、資源が乏しい我が国においては、やはりどうしても原子力発電が、減らすにしても、現状においては必要だということもあわせて理解してもらうことが大事だろうというふうに思っています。

逢坂委員 核燃料サイクルの課題というのは、これも私が思うところ、実は、どんなに核燃料サイクルを続けても、使用済みMOX燃料というのは出るんですね。だから、通常のウラン燃料の発電と結果的には全く一緒だということなんだろうというふうに思っています。

 加えて、使用済み核燃料を再処理する、再加工する、そしてMOX燃料が出てくる、そのMOX燃料が今度さらに使用済みMOX燃料に、それをさらにどうやって加工していくかというところについて、理論上、あるいは実験室の上で、非商業的なベースの上では何とかなるという実験結果はあるけれども、具体的にそれが実用技術として本当に実現できるのかどうかというところも、私は大きな課題なんだろうなというふうに思っております。この点は、きょうはこれ以上詰めることはやめにしますけれども。

 そこで、お手元に資料を配付させていただきました。

 先ほど大臣が、高レベル放射性廃棄物、これの毒性を低下させるんだとか減容化できるんだということが核燃料サイクルの一つの意義であるという説明をされているわけですが、私はそこには異論を唱えざるを得ないんです。それはなぜか。

 お手元にこのような資料を配付しましたけれども、ごらんいただきたいんですが、ウラン燃料を使って発電をする、発電をすると使用済みウラン燃料が発生する、これが一万八千トンある、これの処理ができないことがトイレのないマンションと言われる一つのゆえんであります。

 そして、今回、核燃料サイクルというのは、それを再処理、加工する、このプロセスの中で、先ほど大臣御指摘の高レベル放射性廃棄物が発生するわけであります。大臣は、この点について、これがもともとの使用済みのウラン燃料に比べると体積が四分の一になるなどのメリットを主張したわけであります。

 ところが、この再処理、加工をしてつくったMOX燃料を使って発電をすると、新たな使用済みMOX燃料が発生するわけであります。

 そうなりますと、本来比較すべきは、高レベル放射性廃棄物のかさが減ったり毒性が減るということを比較するのではなくて、使用済みのウラン燃料と使用済みのMOX燃料、これがどうなのかというところを比較しなければ、本当の意味での比較対照にはならないのではないか。逆に言うならば、高レベル放射性廃棄物というのは核燃料サイクルをやらなければ発生しないものなんですね。

 この点について、私は、今大臣がおっしゃったことが核燃料サイクルのメリットだというふうにはどう逆立ちしても思えないのでありますけれども、この点、事務方の方で何か説明はありますでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生お配りいただいた資料を手元に置きながら説明させていただきたいと思います。

 今お話がありましたように、ウラン燃料を使って発電した後に使用済みウラン燃料が発生するというのはおっしゃるとおりでございまして、この一万八千トンの処理方法がまだ、トイレのないマンションというのは、ここの部分というよりは、本来は、次の高レベル放射性廃棄物の処分場が決まっていないというところかと思っております。

 その上で、今先生が、使用済み燃料と高レベル放射性廃棄物を比較するのは必ずしも適当ではないのではないかというお話がございました。

 私の理解からいたしますと、高レベル放射性廃棄物は確かに再処理をしないと発生しないものでございますけれども、使用済み燃料を再処理して、それを取り出して、もう一度上の方で発電に使う、そこで使用済みMOX燃料が出てまいります。私どもは、使用済みMOX燃料をもう一度再処理したいと思っております。

 そこで比較すべきものは、使用済み核燃料一本から高レベル放射性廃棄物では四分の一になるということでございます。もう一回使うということにしますと、MOX燃料一に対してもう一回四分の一になる高レベル放射性廃棄物になる、こういうことでございまして、四分の一掛ける二で、二が四分の二になる、こういう比較をしていただければ、体積が減っていくという点は御理解をいただけるのではないかと思っております。

逢坂委員 その点、使用済みMOX燃料を再処理してもう一回使っていけば御理解いただけるのではないかというところについては、これからまた議論させていただきたいと思いますが、ここであえて言わせていただきますと、それでは、使用済みMOX燃料の再処理の方式とか、現状ではそれは決まっているんですかとお尋ねをしたら、決まっていないんですよね。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済みMOX燃料をどう再処理するかという点につきましては、これは六ケ所の再処理工場では対象としていないということは申し上げられます。それから、その主体、方法についてはこれからの検討事項であるというふうにお答え申し上げたいと思います。

逢坂委員 私の資料をごらんいただきたいんですが、ちょっと先の議論になってしまいましたけれども、話題が出たのであえて言わせていただきます。

 私の資料の下の方に「使用済MOX燃料が発生(新規)」と書いてあって、処理の方策は、二〇一〇年ころから検討を開始する、その処理のための施設の操業が六ケ所再処理工場の操業終了に十分間に合う時期までに結論を得ると。これが平成十七年の原子力政策大綱に載っている政府の基本方針だというふうに思うわけですが、多田部長、これでよろしいんですよね。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 こちらの先生の資料にございます原子力政策大綱、平成十七年十月十一日原子力委員会決定、この中でこのような記述がある、これが現在まで踏襲されている、このように理解しております。

逢坂委員 そこで、多田部長、六ケ所の再処理工場というのは、いつ操業予定で、何年ぐらい使う予定でおられますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども議論がありましたけれども、二〇一八年度上期に竣工予定でございまして、計画上は四十年間の操業予定にしております。

逢坂委員 核燃料サイクルが回ることに意義があるんだというような説明、すなわち、一回回れば四分の一になる、さらにもう一回回れば体積の面でさらにそれが減っていくんだ、そういう言い方をしているわけですが、事実上、現時点で核燃料サイクルは、少なくとも国内においては回っているというふうには言えないと私は思うんです。その理由はなぜか。

 二〇一〇年ころから検討を開始する、そして六ケ所再処理工場の操業終了に十分間に合う時期までに結論を得るとなっていて、ここまでに処理をするとは書いてないわけですね。どういう方針なのかは、最低限、結論を得るですから、操業するとも書いてないわけであります。

 すなわち、使用済みMOX燃料の再処理をするということは、この原子力政策大綱から判断すれば、四十年ぐらい先なのかなと思わざるを得ない。もちろんこれは、場合によっては、十年でできるのか十五年でできるのかわかりませんけれども、現時点では随分雲をつかむような話なのではないかなというふうに思うんですが、多田部長、いかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の資料にもございますように、現時点で一万八千トンの使用済み燃料が発生しております。六ケ所が竣工した暁にはこれを再処理していくということになります。

 これにも相当な時間を要することは御承知のとおりでございまして、次の、使用済みMOX燃料を再処理する方策というものを決めて、そして建設、操業するまでにはある程度の時間が存在する、このように理解をいたしております。

逢坂委員 では、もう一回話を戻させていただきます。

 それでは、まず、使用済みウラン燃料の再処理、加工、MOX燃料にして発電をするという、いわゆる政府の言うところの核燃料サイクルの一回目の輪、この一回目の輪というのは、今、国内で完結できるようにさまざまな整備は進んでいるんでしょうか。

 例えば六ケ所の再処理工場だったら一八年上期に操業予定だということでありますけれども、多分それだけでは国内では一回目の輪というのは回らないはずなんですが、いかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御資料にございます再処理工場が稼働いたしましても、その後のMOX燃料加工、この工場も建ち上がる必要がございます。そして、これも先ほど来御議論がありますように、いわゆるプルサーマル発電といいます、原子炉が稼働し、そこでMOX燃料を装荷し、無事御地元の理解も得て稼働し始める、こういったプロセスを経る必要がありまして、それぞれに乗り越えていく課題がある、このように認識をいたしております。

逢坂委員 すなわち、核燃料サイクルが有効だ、有効だとは言っているものの、現在、国内でまだ一つ目の輪を回すための条件すら整っていないのが実態ではないかというふうに思います。

 多田部長、もしわかったら教えていただきたいんです。六ケ所の再処理工場というのは、最初、数千億の規模で竣工すると見られていたけれども、これは二兆円以上今かかっている、当初の三倍以上の経費になっているというふうに聞いていますが、MOX燃料の加工工場のコストというのは当初と現在とどれぐらいかかっているか、そして、今の工事の進捗の状況などはおわかりになるでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 MOX燃料加工工場ですが、当初の計画は千二百億円程度でございました。それが、今、二千百億円程度に上昇しているということでございます。

 それから、現在の建設の状況でございますが、現場をごらんいただくとあれですが、まだ建屋ができ上がっておりませんで、そこの地盤が整備されている、基礎工事がなされているところと認識しております。

逢坂委員 すなわち、今回の法案は、核燃料サイクルに対して電力会社からお金を出していくことを今まで以上に明確化しようという法案なのでありますけれども、そもそも、今回、政府が重要だと思っている核燃料サイクル自身が、国内の条件整備もまだまだ不十分な中だろうというふうに思うわけですね。

 加工工場に至っては、まだ整地、基礎、その段階であるということなわけでありますので、ここでさらに将来の負担まで決めて、拠出いただいて、核燃料サイクルは非常に重要なものであるというふうに位置づけるのは私は非常に危ういのではないかなという気がするわけであります。

 だから、なぜこんなに核燃料サイクルにこだわるのかが私はわからないんですね。大臣、いかがですか、今まで話を聞いて。

 大臣は、当初、高レベル放射性廃棄物の減容化だというふうにおっしゃいましたけれども、少なくとも、今までのやりとりを聞いていて、高レベル放射性廃棄物の減容化を仮に認めるにしても、新たな使用済みMOX燃料が出るんですよという話をさせていただきました。仮に核燃料サイクルがよいものだというふうに判断をしたとしても、再処理工場もまだ当初見込みほどのペースで竣工はしていない、加工工場もできていない、なのに今回のような法案を提出する、これはいかにも不確かな要素が多過ぎるんじゃないですかというふうに思うんですが、いかがですか、大臣。

林国務大臣 まずは、六ケ所再処理工場をスタートさせるということによってサイクルが動き出すという形になりますので、安全確保を大前提に核燃料サイクルを着実に推進させていくためにも、六ケ所が稼働することがまず大事だろうというふうに考えております。

逢坂委員 後で指摘をさせていただきますが、六ケ所を仮に稼働させても加工工場が国内にないとすれば、六ケ所は単なるプルトニウムの製造工場にしかならないんですね、新たにできたプルトニウムを使ったMOX燃料の加工を海外に頼まなければいけないわけですから。これだけ見ると、日本は極めて危ういことをやっている。

 実際には加工もできないプルトニウムをただ生産するだけなのではないかというふうに悪く見られても仕方がないのだという気が私はするんですね。加工工場もできないのに再処理工場だけ稼働させたって、ほとんど意味がないというふうに思います。これは、時間があれば後でまたさらに議論させていただきます。

 そこで、多田部長に改めてお伺いしたいんですけれども、私が問題にしているのは、高レベル放射性廃棄物は全く新規に発生する廃棄物ですよ、核燃料サイクルをやらなかったらやる必要のないものですよということが一つの指摘。

 それから、もう一つの指摘は、使用済みウラン燃料が普通の原子力発電では出るけれども、今度は使用済みMOX燃料が新規で発生をする。使用済みMOX燃料と使用済みウラン燃料、この性質の違いについてちょっと言及していただけますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 幾つか申し上げたいと思います。

 まず、最後にお尋ねの使用済みウラン燃料と使用済みMOX燃料の有害度とか組成の差という点でございます。

 これは、使用済みMOX燃料と一口に申し上げましても、それぞれの燃料がどのような組成となっているかということ、どの程度の燃焼が進んだかということもあわせて考えますと、ぱっと一律に簡単に申し上げることは難しいわけでございます。

 ただ、一般論として申し上げますと、使用済みウラン燃料に比べますと使用済みMOX燃料の方が、プルトニウムやマイナーアクチノイドという長寿命の核種、こうした放射性物質を多く含んでおりますために、使用済みMOX燃料と使用済みウラン燃料を単純に比較いたしますと、使用済みMOX燃料の方が有害度は高くなると考えております。

 その上で、先ほど高レベル放射性廃棄物というものが再処理をしないと出てこない新しい廃棄物だ、こういう御指摘がございました。それは、そういう面ではそのとおりかと思いますが、しかし、私ども、今、目の前に使用済み核燃料という廃棄物が存在いたします。この廃棄物は、大臣からもお答え申し上げましたように、高レベル放射性廃棄物に比べますと有害度も高く、そして体積も多いということでございます。

 この使用済み核燃料を直接処分することについても実は問題がございます。スウェーデン、フィンランドはそうした取り組みをしておりますけれども、使用済み燃料をそのまま容器に封入いたしまして地層処分をいたしますので、再処理後のガラス固化体に比べまして閉じ込め性能というのは一般的に劣るというふうに言われております。

 それから、もちろん、ガラス固化体の中にはウランも入っておりませんし、プルトニウムも入っておりませんが、使用済み燃料そのものはウラン、プルトニウムをそのまま含んでおりますので、当然有害度が高くて、またこれは再臨界の可能性も高い、こういうふうなことでございまして、こうしたことを考えながら直接処分というものについても考えていかなければいけない、このような課題があろうかと思っております。

逢坂委員 まず話を整理させていただきますと、使用済みMOX燃料は使用済みウラン燃料よりも毒性が高いということでよろしいですね。

 崩壊熱についてはいかがですか。一般的に使用済みMOX燃料の方が、崩壊熱容量というふうに言ってよいかどうかわかりませんけれども、それは高いというふうに指摘をされているわけですが、これは使用済みウラン燃料と比べていかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 崩壊熱についてでございますが、委員御指摘のとおり、使用済みウラン燃料に比べますと、使用済みMOX燃料の方が長期的に見て崩壊熱は下がりにくい、こういう傾向にございます。

 ただ、燃料取り出し直後の両者を崩壊熱レベルで比較いたしますと大きな差異はない、また、両者とも崩壊熱は数年程度で十分に低くなるということでございますので、使用済みMOX燃料が、使用済みウラン燃料に比べまして、崩壊熱という点で特別な扱いが必要になるということはないのではないか、このように認識をいたしております。

 実際、御承知のとおり、使用されたMOX燃料、これは国内でも四基で実績があるわけでございますけれども、他の使用済みウラン燃料と同様に燃料プールで安全に保管されている、こういう状況になっております。

逢坂委員 今の話からすれば、使用済みウラン燃料と使用済みMOX燃料は崩壊熱においてはほぼ同じだろう、熱が下がっていくのはMOX燃料の方が長くかかるけれども、取り扱い上はほぼ同じだろうという話であります。

 であるなら、先ほど多田部長の方から、取り扱いの厄介なとおっしゃったかどうかはちょっと定かではありませんが、いわゆるごみとしての使用済みウラン燃料が存在をしている、だから、それをそのままに放置しておくことは不都合があるので、再処理をして高レベル放射性廃棄物にすることによって、高レベル放射性廃棄物にすればそこにはウランもプルトニウムも含まれないし、再臨界のおそれもないんだということであります。

 それでは、使用済みMOX燃料は再臨界のおそれというのはないんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、使用済みMOX燃料ももう一度再処理をするという考え方に立ってございます。使用済みMOX燃料をそのまま廃棄物として扱うわけではなくて、使用済みMOX燃料も再処理をし、そこからまた有用資源を取り出して発電に使っていく、こういう考え方をとっているわけでございます。

逢坂委員 それでいうならば、再処理をし続けるということなんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 現時点で定かな方針を申し上げることはなかなか難しいわけでございますけれども、現在、私ども、資源の乏しい我が国にとって資源の確保というのは非常に重要であるという観点から、資源の有効利用、さらには有害度の低減、そして減容化、こういう三つの大きな効果を持ち合わす再処理ということを中心といたしました核燃料サイクル、これは基本的な方針として今後続けていく、こういうふうに考えているところでございます。

逢坂委員 それでは、その今の説明をそうですかということでとりあえず聞いたとして、では具体的に、例えば六ケ所の再処理工場の操業終了、これは四十年後ですね。ということは、二〇一八年に操業するわけですから、二〇五八年。二〇五八年時点で、我が国で原子炉の四十年ルールを適用したときに残っている原子力発電所、炉の数というのはどれぐらいになるかおわかりでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど阿部委員がお配りいただいた資料にあったかと思いますが、四十年でいきますと三基しか残っていない、そして六十年廃炉ですと十基だったか十一基だったか、そのような数字だったかと思います。

逢坂委員 そうなんですね。実は数基しか残らないということなんですね。それも、六十年ルールを適用すれば十基を超えるということなんです。

 すなわち、今、核燃料サイクルを回して再処理する、再処理すると言っているんですけれども、実は使用済みMOX燃料の再処理のめどについては必ずしも立っていない。そして、その時間軸でいうと、六ケ所の再処理の操業終了に十分間に合う時期までに結論を得るですから、ここで操業すると言っているわけではありませんので。

 すなわち、使用済みウラン燃料を再処理、再加工してMOX燃料をつくる、プルサーマルなり、あるいはフルMOXなりをやってしまうと、使用済みMOX燃料がどんどんどんどんふえていくわけですね。ふえていって、それの処理の見通しがないままに、ある一定程度の時間は経過せざるを得ないというふうに私は思うんですね。

 先ほど多田部長は、いやいや、使用済みMOX燃料も再処理をするから、安全だとはおっしゃいませんでしたけれども、再処理をするんだ、だから私が指摘したような問題を回避できるかのような答弁をしているわけですが、現状の使用済みウラン燃料が残っている状態と同じような状況が少なくとも十年や二十年続くというふうに思わざるを得ない。あるいは、今もう既にある使用済みMOX燃料、既に国内には幾ばくかございますから、それはもうずっとこれから残らざるを得ないというふうに私は思わざるを得ないんですけれども、いかがですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 使用済みMOX燃料の再処理工場の稼働時期について、今現時点で定かに申し上げられることはありません。

 私どもといたしましては、稼働が行われるまでの間、しっかりと安全に使用済みMOX燃料についても保管していくということをやりながら、その稼働の準備を進めるということではないかと思っております。

逢坂委員 使用済みMOX燃料の再処理、再加工の準備が整うまで安全にしっかり管理をしながらということなんですけれども、その論点というか、その物言いでいいますと、現在の使用済みウラン燃料についても同様のことが当てはまって、それは、非常に不確かな核燃料サイクルに乗り出すというのも政策としての一つの選択肢ではありますけれども、もう一方、今の使用済み核燃料を安全に管理しつつそれを再加工しない、再処理をしないという道も一つの選択肢なんだろうとは思うんですが、なぜ原子力政策大綱などにそういうことは明確に位置づけられないんでしょうか。

 私が何度も何度も聞いてもわからないのは、両方が並列で比較をされて、それでもなお核燃料サイクルの方が有利なんだというところが見えてくるのなら、ああ、核燃料サイクルもありかなとは思うんですが、そこのところが全く見えないんですよ。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもちょっと御紹介いたしました平成十七年の原子力委員会の政策大綱の中で、四つのシナリオを掲げまして、十項目で比較をして、そして我が国としては、ウラン、プルトニウムを回収する、再処理を行う、これは全量再処理と言っていますけれども、そうした路線を選んだわけでございます。

 その観点から、先生の御疑問というところについて私も何度か試みているわけでございますけれども、繰り返しになって恐縮ではございますが、要するに、私どもは、資源が乏しい我が国において自給率を高めたいというふうに考えているわけでございます。国内に資源が乏しいがゆえに、中東に依存する油とか、それから、安定性においては油よりはいいですけれども天然ガスといったようなもの、化石燃料に依存することは安定性の観点からもよろしくないであろう。それから、もちろん環境適合といいますか、CO2、地球温暖化の観点からも、化石燃料に依存し過ぎるのはよろしくない。そういう意味で、エネルギーミックスの中でも、原子力というものを、捨てられない大事な、重要なベースロード電源だ、こういうふうに位置づけたわけでございます。

 こうした原子力発電というものをやっていくに当たって、ウラン燃料というもの、これも海外から輸入しているわけでございますが、これを使った使用済み燃料を、さらにみずから核を取り出して加工する、みずからさらに資源に変えることができる技術というものを我が国において確立し、そして、サイクルを回すと言っておりますけれども、そのような形で原子力発電というものを自給率の高い電源として確保していく、これは大変大事な政策的な目的である、このように考えております。

 その観点から、この核燃料サイクル、再処理を中心とした核燃料サイクルをやらせていただいている、このように御理解いただければと思います。

逢坂委員 普通の人なら、そこで、はい、そうですかと言うんだと思うんですが、私は普通じゃないのかもしれないので、では、コストの面でいかがですかというところなんですね。

 今、日本は資源に乏しいというふうにおっしゃいましたけれども、それでは、この核燃料サイクルをやってどれぐらいコストがかかるのかというところは詳細に検討されているのかどうか。あるいは、核燃料サイクルをやらずに諸外国からウラン燃料を買う、これを続けた場合と比較してどうなのか。使用済みウラン燃料をワンススルーで直接処分することと比べることも一つの比較でありますけれども、それでは、直接ウラン燃料を今までのように海外から買い続けるということによるコスト、このこととも比較はされているんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほどもちょっと議論になりました海外への委託の件でございますけれども、まず、海外への委託の現状につきまして個別に私どもデータを持ち合わせておりませんけれども、その上で申し上げますと、やはり海外に委託せずに国内で加工する能力を持つということが我々としては必要だと思っております。

 コストの面で考えますと、当然、これは御理解いただけると思いますが、海外に委託した場合、海外から安全をしっかり確保した上での非常に厳密な輸送といったようなことがかかります。したがって、国内で加工するものよりも、海外に加工を依頼して逆輸入するというのは一般的には高くなる、国内で処理した方が安く上げられるだろう、こういうふうな考え方を持っております。

逢坂委員 ちょっと私の質問の仕方が悪かったのかもしれません。

 私が聞いたのは、海外でMOX燃料の加工をしたのと比較ということではなくて、そもそも核燃料サイクルをやらずに、資源に乏しい我が国だということであるけれども、核燃料サイクルにかかるコストがもし物すごく大きいのであるならば、直接これまでのようにウラン燃料を海外から買うということとの比較、要するに、原子力が大事だということであれば、核燃料サイクルをやらずにウラン燃料をよそから買うんだということを続けることと核燃料サイクルを新たにやることとのコスト比較というのはされていますかということです。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今のお尋ねに対しては、将来のウラン燃料の価格が一体どうなるのかという点がわからないと、恐らく厳密な精査はできないんだと思います。

 その観点からいいますと、今ウラン燃料は少し落ちついておりますけれども、今後、中国を初め新興国が原発をたくさんやっていくということになれば、ウラン燃料が逼迫し、それが一般的に価格上昇につながるおそれはあります。

 したがって、私どもは、別途、備蓄であるとか、あるいは川上に行って探鉱するとかいったようなこともやっておりますけれども、いずれにしても、海外に依存したままということは、少なくともエネルギーのセキュリティーを考えたときに、安定性を考えたときに、コストとの関係を考えても、引き続き、国内での加工路線というものを考えた方がいいと思っております。

 その点につきましては、先ほどもちょっと紹介をいたしました四つのシナリオ、原子力政策大綱の中で言われているところでございますけれども、確かに経済性という点ではコスト高になるというのは当時も指摘をされております。

 それを認識した上でちょっと読み上げさせていただきますと、先ほど読み上げました十項目は省きますが、「十項目の視点からの各シナリオの評価に基づいて、我が国においては、核燃料資源を合理的に達成できる限りにおいて有効に利用することを目指して、安全性、核不拡散性、環境適合性を確保するとともに、経済性にも留意しつつ、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本的方針とする。」と書いております。その前提といたしまして、「原子力発電の推進に当たっては、経済性の確保のみならず、循環型社会の追究、エネルギー安定供給、将来における不確実性への対応能力の確保等を総合的に勘案するべき」だと。

 こういう大前提の認識がありまして、その上で、この十項目を今申し上げましたような評価をし、そして、国内で再処理をやっていくという判断を平成十七年にされた、こういうことであろうかと思っております。

逢坂委員 話を少し戻させていただきたいんですけれども、先ほど、私の質問の仕方がちょっとまずかったのかもしれませんが、海外でMOX燃料に加工するということに言及をいただきました。海外でMOX燃料に加工すれば、それはコストは一般的には高いだろう、輸送のこともあるから安全性の面でもそれは非常に危ういであろうという指摘だったと思います。

 しかし、先ほど、もし仮に今回の法律のスキームにのっとっていわゆる核燃料サイクルをやろうとしたときに、国内の加工工場というのは竣工のめどが必ずしも今立っていないわけですから、現在日本が保有している三十二トンの核分裂性プルトニウムを原料にして、当面は海外で加工せざるを得ないんじゃないですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 国内のMOX加工工場、先ほど基盤工事をしているというふうに申し上げましたが、これは二〇一九年度上期の竣工を目指しております。したがいまして、六ケ所の再処理工場の敷地の横にありますけれども、ほぼ一年おくれというふうな形で竣工いたします。

 したがいまして、現時点で国内にMOX加工の能力がないじゃないかという御指摘はそのとおりでございますが、二〇一九年度上期に能力を持つようになるということを目指して、今準備が進められているということかと思っております。

 その上で、MOX燃料につきまして、コストが高いけれどもどうして続けるのかという点につきまして、先ほども平成十七年当時のことを申し上げましたけれども、私ども、やはり、核燃料サイクルは、資源の有効利用と、それから高レベル放射性廃棄物の量の減少、減容化、そして有害度の低減というこの三点、非常に大きな政策要素といいますか、達成できる大きな政策効果であろうと思っております。

 これを今後、海外ではなくて国内で再処理あるいはMOX燃料の加工というプロセスを完結する形で実現することができますと、これは結果的に、MOX燃料等のコストも最終的に相対的に低くなっていくことも期待できようかと思っておりまして、この実現に向けて、関係者とともにしっかりと努力をしていきたいと思っております。

逢坂委員 正直申し上げまして、やはり聞いても私には理解できないんですよ。私の理解力が乏しいのかどうかわかりませんけれども。

 それで、多田部長、この核燃料サイクルというのはいつまで続けるんですか。どこかではやはりやめるんですよね。やめないんでしょうか。永遠に続けるんでしょうか。さっき多田部長が指摘した、使用済みMOX燃料の不安定さといいましょうか危険度というのは、永遠にそれを続けていくから、とにかく処理し続けるんだから大丈夫なんだという説明のようにも聞こえたんですけれども、どこかで私はやめるんだろうというふうに思うんですね。そのときにやはり使用済みMOX燃料というのは残るというふうに私は思うんですけれども、その際にはこの処理はどうするんですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、核燃料サイクル政策を推進する方針ということを申し上げておりまして、現時点で、いつやめるとかいつまで続けるというふうな予断を持っているわけではございません。

 他方で、これも再三議論にございますように、将来への不確実性というものを頭に置きながら、戦略的柔軟性を持たなければいけないと思っております。

 その上で、先生からお尋ねの、仮に核燃料サイクル政策を最後やめたときには使用済みMOX燃料が何かしら残るのではないか、こういうことかと思います。

 これも、将来の技術の程度、発展の程度にも依存するところがあろうかと思っておりまして、必ず使用済みMOX燃料がどの程度残るんだとかいったことは言い切れないものと思っております。

 例えば、ガラス固化体は最終処分するけれども、プルトニウムとかウランにつきましては、単体で保有せずに、核不拡散性の措置を講ずるという形で、何かしらの形で残っている、つまり、使用済みMOX燃料の形では残っていないというふうな方法もあろうかと思っております。

 また、仮に使用済みMOX燃料が残ったといたしましても、それが極めて少量になっていて、その処理、処分がその時点では大変容易になっているというふうな状況もあろうかと思っております。

 いずれにしても、それを言い切れるのかというと、私どもは現時点で言い切れるわけではございませんが、そうした可能性もあろうかと思っております。今申し上げましたように、将来の時点でさまざまな可能性が考えられますので、今それをどうするのかということについて直接のお答えはできません。

 その上で、今申し上げましたのも、核燃料サイクルをいつやめる、いつまで続けるという何か前提があっての話ではなく、あくまで仮にやめるときはということでの御説明であるというふうに御理解いただければと思います。

逢坂委員 私、今の多田部長の話を聞いていて、デジャビュを見ているような気がするんですね。

 デジャビュを見ているというのは、三十年前とか四十年前、四十年前は少し行き過ぎかもしれませんが、三十年ぐらい前に、原子力発電所をやっていって使用済み核燃料の問題はどうするんですかというときに、いろいろな方がその問いを出した。そのときに答えている答弁と私は似ているような気がしますよ。科学技術の進展とともにとか、そのときになればとか、いずれ時期が来ればきちんと処理ができるんだといったようなことを言っていたのと同じようなことを今また改めて使用済みMOX燃料に対しても言っているんじゃないのかなという気がして私はしようがないんですね。

 私は、科学技術というものはいろいろ追求してその可能性を探っていくというのは、これは大事なことだと思います。何も、原子力技術に真っ向からふたをするということは、私は、それは必ずしも科学、サイエンスという点では正しい姿ではないんだろうと思うんですが、実用の技術としてやはり相当問題がある、限界に来ているなという気がせざるを得ないんですね。

 きょうは、環境への負荷の問題とか、プルトニウム収支の問題ですとか、あるいはこれから原発の稼働基数が最終的にどうなるのかといったところと連携した話がまだできていないんですけれども、大臣、最後に、ここまで話を聞いても、やはり核燃料サイクルというのはいいもので、推進すべきものだというふうに大臣はお思いですか。少しの疑問とか、やはりちょっと課題があるなとか、推進が基本姿勢だけれども何か課題があるぞということがわかった、いやいや、俺はよくわからぬけれども大臣だからやるしかないとか、何か感想はありますか。

高木委員長 林大臣、恐縮ですが、簡潔に願います。

林国務大臣 いろいろとやりとりを拝聴しておって、課題はあるというふうに認識をしております。

 そういう中で、今後とも、エネルギー基本計画の方針に沿って、プルトニウムの適切な管理と利用を行っていきたいというふうに考えています。

逢坂委員 終わります。

高木委員長 次に、中根康浩さん。

中根(康)委員 民進党の中根康浩でございます。

 原発使用済み燃料の再処理のための拠出金法案、今から質疑を行ってまいりたいと思います。ぜひ誠実に御答弁賜りますように、よろしくお願いを申し上げます。

 民進党四人目でございますが、さすがにこの分野で知見の高い三名の議員の皆さん、阿部先生、落合議員、逢坂先生、それぞれ的を射た的確な質問であったという思いで拝聴いたしておりました。重要なポイントばかり指摘をされたわけでございますが、その意味では、私の質問も重複をするところがあろうかと思いますが、そのことも恐れずに質問を進めてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。

 使用済み核燃料の処理、処分については、民主党政権時代の平成二十四年の九月に発表した革新的エネルギー・環境戦略、これはもう皆さん十分御理解をいただいておると思いますが、ここには、「核燃料サイクル政策を含む原子力のバックエンドの問題に正面から取り組んでいく必要がある。」と明記をされているわけであります。民進党としても、現実に存在する使用済み核燃料の処理、処分に責任ある対応を果たしていくことが必要だと考えております。

 四月から始まった電力自由化における環境下において、発電事業者の経営状態がどうなっていくかが不透明ということにもなるわけでありまして、民進党としても、電力自由化に賛成した以上、自由化に伴う変化に対応した法整備に協力していかなければならない、そういう責任を帯びているものと考えております。

 電力自由化の環境下で、使用済み核燃料の処理、処分を現実的に進めていく法案自体は必要である。問題は、今までも質疑が行われていたように、中身であるということでございますが、その中身について議論をしていきたいと思います。

 現行法では、第一条の目的規定で、「この法律は、原子力発電における使用済燃料の再処理等を適正に実施するため、使用済燃料再処理等積立金の積立て及び管理のために必要な措置を講ずることにより、」と規定されております。これが、改正案では、再処理事業を着実にという言葉に置きかえられているということでございます。

 再処理事業を着実に進めていくためという改正趣旨でございますが、そのこと自体は理解ができるわけでありますが、再処理を着実に実施していく前提として、現行法に規定されているように、それが適正になされる必要があるということも当然だと思います。着実に実施することを重視する余り、安全性やプルトニウムバランスへの配慮を欠いたまま再処理等の事業が進められることがあってはならないということであります。

 そこで、これは落合議員も取り上げた点でございますけれども、法案第一条の「使用済燃料の再処理等の着実な実施のために必要な措置」という表現を、使用済み燃料の再処理等を適正に実施するために必要な措置と改めるべきではないかと民進党としては考えておりますが、御見解を承りたいと思います。

鈴木副大臣 御指摘のとおり、本法案第一条の目的規定におきましては、「発電に関する原子力の適正な利用に資するため、使用済燃料の再処理等の着実な実施のために必要な措置を講ずる」と規定をいたしております。

 これは、従来の資金面での手当てにとどまらず、認可法人の創設など、使用済み燃料の再処理事業を安定的に実施する措置を盛り込んでいるため、法目的を「着実な実施」と規定したものでありまして、現在お示ししている条文が我々としては適切と考えております。

中根(康)委員 阿部先生も質問されたことでありますけれども、第一条の「着実な実施」という表現からは、今後、国は再処理事業のみで使用済み核燃料を処理、処分していくという方針であるとの誤解を国民に与えかねないわけであります。

 また、改正案の第九条では、「機構は、特定実用発電用原子炉設置者が拠出金を納付したときは、認可実施計画に従い、当該拠出金に係る使用済燃料の再処理等を行わなければならない。」と規定されております。拠出金は全て核燃料の再処理事業に使われることとなっており、これでは、再処理事業以外の選択肢が将来的にも想定されないように読めてしまうわけであります。

 使用済み核燃料の処理、処分には、直接地中に埋設する直接処分方式もあり、再処理事業と併存させていくという方式もあります。

 そして、二〇一八年に完工するという六ケ所村の処理施設は、これも落合先生が指摘をされましたが、今まで何度も完工延期を繰り返しており、実際に予定どおり稼働するかは不透明な状況が続いております。

 こうした状況下では、核燃料政策において、本法案のもとに実施される再処理事業以外の柔軟な政策をとる余地を残しておく必要があると考えます。

 そこで質問になりますけれども、この法案は、あくまで自由化による事業環境変化に伴い、再処理事業を着実に実施するためのものであり、将来的に再処理事業のみを使用済み核燃料の処理、処分方法として固定化するという趣旨のものではないということでよいかどうか、御答弁をいただきたいと思います。

林国務大臣 繰り返しになりますけれども、核燃料サイクルにつきましては、高レベル放射性廃棄物の量の減少、放射能レベルの低減、資源の有効活用などの観点から、エネルギー基本計画で閣議決定したとおり、自治体や国際社会の理解を得つつ、推進する方針でございます。

 また、エネルギー基本計画においては、核燃料サイクルに関する諸課題について、中長期的な技術動向、エネルギー需給、国際情勢等のさまざまな不確実性に対応する必要があることから、状況の進展に応じて戦略的柔軟性を持たせながら対応を進めるということにしているところでございます。

 今回の法案は、このような大きな方針の枠内で、電気事業の小売全面自由化といった環境変化のもとでも、再処理等の事業に必要な資金を確実に確保できるようにするなど、必要な技術的手当てを講ずるものでございます。

 したがって、本法案の提出をもって、政策に関する戦略的柔軟性に影響を与えるものではなく、核燃料サイクルに係る基本方針を固定化する意図は持っておりません。

 なお、エネルギー基本計画においては、使用済み燃料の直接処分に関する調査研究を推進することとしておりまして、政策を立案、推進するに当たって、将来の選択肢についてさまざまな観点から検討する、調査研究を進めることにより新たな知見を得ていくことは重要な取り組みでございまして、こうした観点から、直接処分についても調査研究を進めているところでございます。

中根(康)委員 使用済み核燃料の処理、処分方法として、再処理事業のみに固定化されるものではなく、柔軟性は確保されるという御答弁であったということですよね。大臣、うなずいておられますので、そのように確認をさせていただきます。

 次の質問になりますけれども、これも阿部先生が鋭く指摘をされたところでございますけれども、核燃料サイクル政策の柔軟性を確保するため、将来的に状況が変化し、政策の見直しが必要となるような場合には、本法案についても見直しを検討し、必要な措置を講ずるということでよろしいですか。改めて確認します。

鈴木副大臣 大臣からも御答弁申し上げておりますけれども、本法案は、新たな事業環境下でも、核燃料サイクルを推進する政府の方針に基づき、使用済み燃料の再処理に関する一連の事業が着実かつ効率的に実施されることを目的とするものであります。

 その上で、一般論として申し上げれば、御指摘のとおり、将来的に状況が変化をし、政策の見直しが必要となるような場合には、本法案につきましても見直しを行うことはあり得るものと考えております。

中根(康)委員 具体的には、直接処分や暫定保管を可能とするための技術開発や必要な措置など、多様なオプションの検討を進めるという条文がこの法律の中に必要ではないかと考えるわけでありますけれども、御見解はいかがでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的な条文の御提案でございますけれども、核燃料サイクル、先ほど来ありますような目的でやっているわけでございますが、多様なオプション、これを検討することは重要であろうかと思っておりまして、エネルギー基本計画の中でも「中長期的な対応の柔軟性を持たせる。」ということを明記しているところでございます。

 この意味でございますけれども、核燃料サイクルに関する諸課題、これは短期的に解決するものではなく、中長期的な対応を必要とするということ、それから技術の動向、あるいはエネルギー需給、国際情勢、これらさまざまな不確実性に対応する必要がある、こういうことから、さまざまな要素を総合的に勘案し、状況の進展に応じて戦略的柔軟性を持たせながら対応を進める、こういった趣旨であろうかと思っておりまして、私どもはこの方針で取り組んでいきたいと思っております。

 その上で、この法案は、今申し上げましたような大きな方針の枠内で必要な技術的な手当てを講じるものでございますので、先生からの御指摘の点につきまして、条文の中で必ずしも明記する必要はないのではないか、このように考えているところでございます。

中根(康)委員 次に、プルトニウムバランスと認可の関係についてお尋ねをしてまいりたいと思います。

 エネルギー基本計画には、プルトニウムについて、「平和利用を大前提に、核不拡散へ貢献し、国際的な理解を得ながら取組を着実に進めるため、利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則を引き続き堅持する。」との原則が明記をされております。本法案に基づいて核燃料再処理事業を進めるとしても、この原則と矛盾しない運用を行う必要があるわけであります。

 そこで質問になりますけれども、アメリカが我が国の核燃料サイクル自体に懸念を示しているということであれば、二〇一八年の七月に期限を迎える日米原子力協定の継続に影響するのではないか、アメリカの懸念を払拭することがこの法案でできるのかということについてお尋ねをしたいと思います。

日下部政府参考人 今委員御指摘になりました、アメリカの懸念がもしあるとすれば、それを払拭することが重要だと思っておりますが、現在、我々の認識は、日本の核燃料サイクル政策、それはまさに利用目的のないプルトニウムは持たないという原則のもと展開されていて、政府の方針を理解した上で事業者がプルサーマルなどをきちっと実施していく、さらには、原子力委員会が原子力事業者が策定するプルトニウム利用計画の妥当性を確認する、さらに、核不拡散条約に基づいて、IAEAとの協定を締結し、IAEAの厳格な監視を受け入れる、こうした対応を行っておりまして、こうした我が国の不拡散原則の中における核燃料政策の方針、取り組みにつきましては、今までもアメリカ政府の理解は得ていると考えておりますし、現在でも、アメリカ政府は日本において核不拡散上の懸念はないとの認識を持っていると考えております。

 こうした中ではあるんですけれども、今回の法案が成立いたしますれば、経産大臣が、認可法人が策定をする再処理事業の実施計画を認可することとなります。利用目的のないプルトニウムは保有しないという政府の方針に反する計画が提出されることは想定しがたいと考えておりますけれども、万が一、そのような計画が策定された場合には、当然のことながら、認可をしないということとなります。

 したがいまして、今回の法案は、アメリカとの関係でも、あるいは国際社会との関係でも、我が国のプルトニウム管理に対する信頼性をより高める効果がある、このように認識しております。

中根(康)委員 今長官が御答弁いただいたことと少し重なる質問を続けてまいりたいと思います。

 問題となるのは、法案の第四十五条。四十五条の一項には、「機構は、業務開始の際、使用済燃料の再処理等の実施時期その他の経済産業省令で定める事項について使用済燃料の再処理等の実施に関する中期的な計画を定め、経済産業大臣の認可を受けなければならない。」と規定されております。

 二項の柱書きでは、「経済産業大臣は、前項の認可の申請に係る使用済燃料再処理等実施中期計画が次の各号のいずれにも適合していると認めるときでなければ、同項の認可をしてはならない。」と定め、二項の一号で、「当該使用済燃料再処理等実施中期計画に係る使用済燃料の再処理等が適切かつ確実に実施されると見込まれるものであること。」と規定されているわけであります。

 ここで、プルトニウムバランスを失した計画には認可を与えないことの確認をしたいと思いますが、政府方針である利用目的のないプルトニウムは持たないとの原則に反する実施中期計画を機構が策定した場合には、この四十五条二項一号を根拠として、経産大臣は認可をしないということでよろしいでしょうか。

日下部政府参考人 今まさに委員が御指摘になったように、経産大臣が利用目的のないプルトニウムは保有しないという原則に反する計画が策定された場合にこれを認可しない、こうした場合の根拠となる条文は、法案第四十五条二項第一号の「再処理等が適切かつ確実に実施されると見込まれるものであること。」というところの規定を活用しての行動でございます。

中根(康)委員 具体的にもう一つ質問していきたいと思います。

 政府は、事業者に対して、利用目的のないプルトニウムは持たないという方針を認識した上で事業を実施するよう指導し、仮にこの方針に反する再処理事業の実施計画を機構が策定した場合には、経産大臣はこれを認可しないものとするという修正を行うべきだというふうに考えておりますけれども、いかがでしょうか。

星野大臣政務官 お答え申し上げます。

 本法案は、再処理等の着実な実施を目的とした技術的なものでございます。

 御指摘の点につきましては、利用目的のないプルトニウムを持たないこととの個別具体的な規定を置かずとも、法案四十五条第二項第一号の「再処理等が適切かつ確実に実施されると見込まれるものであること。」という包括的な規定を根拠として、経済産業大臣が計画を認可しないことは当然に可能であるため、条文修正を行う必要はないと考えております。

 なお、現行の積立金法におきましても、プルトニウムバランスに関する規定は何ら設けられていないところでございます。

中根(康)委員 国民にわかりやすいように、条文修正をすべきではないかと御提案を申し上げたわけでありますけれども、現状の法文でも私どもが申し上げておる趣旨は十分反映されている、こういう御答弁でありますが、できればわかりやすく修正を行ってほしいと、改めてお願いというか御提案を申し上げておきたいとは思います。

 次に、法案の第四十五条二項一号で、「当該使用済燃料再処理等実施中期計画に係る使用済燃料の再処理等が適切かつ確実に実施されると見込まれるものであること。」が認可の要件となっておりますが、適切かつ確実に実施されるかどうかについては、再処理事業を基本的に推進する経産省の立場だけではなく、中立的な機関の意見を聞いて認可決定に反映させていくことも重要ではないかと考えております。

 中立的な機関として考えられるのは、先ほどからも名前が出ておりますが、原子力委員会。原子力委員会は、原子力の平和利用やプルトニウムの需給バランスの確保についての役割を担うことが期待をされております。専門的な判断を行うことも可能な組織ということであります。

 そこで、認可法人が策定する再処理事業の実施計画を経産大臣が認可するに際しては、原子力の平和利用やプルトニウムの需給バランス確保の観点から、原子力委員会の意見を聞くものとし、その意見を十分にしんしゃくして認可の適否を判断すべきだと思いますが、この点についての経産省のお考えをお聞かせください。

鈴木副大臣 先ほど来答弁が繰り返されておりますけれども、我が国は、利用目的のないプルトニウムを持たないとの原則を堅持しておりまして、平和利用を大前提としております。再処理等の事業につきましては、こうした国の基本的な考え方に沿って、新たな認可法人や関係事業者によって適切に実施されるものと考えております。

 なお、国の方針に反する計画が策定されることは想定しがたいのでありますが、万が一、そのような計画が策定された場合には、当然のことながら、認可しないこととなります。

 経済産業大臣としまして、こうした認可の判断を行うに当たって、関係行政機関に対し、必要な照会を行うことは重要と考えております。御指摘の原子力委員会に対しましても、原子力の平和利用に係る透明性の向上を使命とする立場からの意見をしっかり聞いて、それを十分にしんしゃくして認可の適否を判断してまいりたいと思います。

中根(康)委員 次に、再処理事業が及ぼす影響についてなんですが、この影響は、幅広く原子力委員会の意見を聞くことに加えて、再処理事業を総合的、大局的な観点から評価する仕組みを構築していく必要があるとも考えております。

 再処理事業推進主体とは独立な立場にある機関が評価をする、つまりは第三者が評価をする仕組みをつくることも必要で、また重要だと考えますけれども、再処理事業の推進に際して、再処理の推進主体とは異なる独立の立場にある第三者的な機関が事業を総合的、大局的な観点から評価する仕組みを構築することについてのお考えをお聞かせいただきたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今般の御提案させていただいております法案を成立させていただきました場合には、再処理等の事業は新しい認可法人がやっていくことになるわけでございますが、その際、これも申し上げておりますように、外部の有識者を含めました運営委員会、こういうものが関与をするということになります。この運営委員会、適切に評価を行いながら進めていくこと、PDCAサイクル的なことをやっていくことになろうかと思います。その際、原子力の平和利用、あるいは地域の振興、こうしたさまざまな視点からの第三者の評価が必要ではないかと思っておりますし、また、それが重要であろうと思っております。

 その際に考えますこととして、第三者の評価といたしましては、有識者による検討の場、これは例えば審議会、こうしたものを活用するというのも一つの考え方でございますし、また、地域の振興という観点からいたしますと、立地自治体を初めとして地域の声を丁寧にお聞きして事業に適切に反映していく、こうしたことも重要かと思っております。また、平和利用という観点では、先ほど来御議論がございます原子力委員会、こちらの方に審議をいただく、こういったことが大切かと思っておりまして、いずれにいたしましても、先生御指摘の総合的、大局的な観点、我々としては、再処理事業というものを幅広く評価する仕組み、これをしっかりと検討し、具体化していきたいと思っております。

中根(康)委員 次に、国民負担について質問していきたいと思います。

 これも落合さんが指摘したところでありますけれども、新制度においては、MOX燃料加工など、現行の積立金制度よりも対象事業が拡大するということになりますけれども、対象事業の総額はどの程度の額と想定しているのか。現行の積立金制度では対象とされておらず、国民負担が増加するのではないかという懸念に対して、改めて御答弁をお願いしたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、事業に要する総額でございますけれども、これは法案が成立した後、新法人におきまして精査がなされることといたしておりまして、私ども政府の方から、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えたいと思っております。

 一般論として申し上げますと、MOX燃料加工に要する費用を含めまして、今般、拠出を求める制度の対象といたしました事業に要する費用は、全て現行の制度のもとにおきましても電気料金での回収が想定されている費用でございまして、全体として国民負担を増加させるものではないと認識をいたしております。

 なお、現時点で、事業者からの最新の報告によりますと、六ケ所再処理工場に係る事業費は約十二・六兆円と見込まれているところでございます。いずれにいたしましても、冒頭で申し上げましたように、事業に要する費用につきましては、新法人におきまして精査をされることになると思っております。

中根(康)委員 次に、全体として国民負担を増加させるものではないと今御説明をいただいたわけでありますが、これまで料金に算入されてこなかった具体的に計画を有さない使用済み燃料が対象に加えられれば、少なくとも短期的には料金の値上げの要因になるのではないか、こういう不安についてはどのようにお答えになるでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、現行の積立金制度のもとでは、具体的に計画を有さない使用済み燃料、この再処理等に要する費用は電気料金の原価には算入されておりません。

 しかし、これらの費用につきましても、本来は、再処理等の具体的な計画が固まって、実施される段階になりますと、電気料金によって費用が回収される性格のものである、このように考えているわけであります。

 いずれにいたしましても、こうした費用を料金に転嫁する場合に、全体の料金の水準が上昇するかどうか、こちらにつきましては、原発の稼働によりまして燃料費の減少といったことが起こる、それから、新法人が、先ほどから申し上げておりますが、精査と言っておりますけれども、どのような拠出金単価を定めるか、こういった他の要因も含めて決まることであるかと思っておりまして、現時点で確たることを申し上げることは困難ではないかと思っているところでございます。

中根(康)委員 国民負担についてもう一問。

 具体的に再処理の計画を有していないものの再処理費用についてはどのような規模になるのか、どのように算定するのか。改めて、もう一度御答弁願いたいと思います。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 具体的に再処理の計画を有していないものについての重ねてのお尋ねでございます。

 こちらにつきまして、今後精査されていくことになりますけれども、現時点で計画をしていない使用済み燃料につきましても、六ケ所村にございます再処理工場、これと同規模の工場におきまして再処理することを想定いたしております。

 一般論として申し上げますと、この新工場の建設、運営には、既に準備が進められております六ケ所の再処理工場で得られます経験、知見、こういったものが生かされるということと考えておりまして、一定の効率化が図られる、このように考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、多くの新しい認可法人におきまして、専門家等の外部有識者にも加わっていただきながら、この費用について精査を行う、こういうふうに考えておりまして、現時点で予断を持ってお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。

中根(康)委員 差し控えるという御答弁が幾つか続いておりまして、なかなかはっきりと不安が払拭されるとは言えないような感じもいたしますけれども、さまざまな課題がそういう意味では残っている、国民の不安が十分解消されたり、あるいは疑問に対して十分説明されたりということでもない、こういうことも感じるわけであります。

 そういう意味では、法律というものは不断に見直しを図っていかなければならないということでありまして、この法案の附則第十六条には、「政府は、この法律の施行後五年を経過した場合において、新法の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と規定をされております。仮に本法案が今国会で可決をされ、ことしじゅうに施行をされた場合には、本法の検討が行われるのは二〇二一年ということになってしまいます。

 原子力政策を取り巻く環境は日々激変をいたしておりまして、原発の再稼働、電力の自由化、二〇一八年の七月に満期を迎える日米原子力協定、二〇一八年度の上期に竣工予定とされている六ケ所村の再処理工場等、核燃料サイクルをめぐる状況が今後変化していく可能性を考えると、施行後五年後の見直しでは遅きに失するのではないかと感じざるを得ません。

 エネルギー政策基本法の第十二条五項では、エネルギー基本計画について、「政府は、エネルギーをめぐる情勢の変化を勘案し、及びエネルギーに関する施策の効果に関する評価を踏まえ、少なくとも三年ごとに、エネルギー基本計画に検討を加え、必要があると認めるときには、これを変更しなければならない。」という規定もあるわけであります。

 このこととも比較しても、施行後五年後の見直しの検討というのは明らかに期間が長過ぎる。そして、検討のみならず、その結果に基づく必要な措置を講ずることもまた必要であるわけでございます。

 そこで、やはり見直し期間の修正を提案しなければなりません。

 附則第十六条を修正して、改正法施行後五年を経過した場合とされている法全般にかかわる見直しのための検討開始時期を、三年を経過した場合とし、それに加えて、施行後三年を経過した場合、検討及びその結果に基づく必要な措置を講ずるものとすること、必要な措置を講ずるに際しては、本法案の質疑における政府答弁や附帯決議の内容を踏まえて行うこととすべきだと考えておりますが、見解を伺いたいと思います。

林国務大臣 中根議員御指摘のとおり、本法案附則第十六条におきまして、法律の施行後五年を経過した場合において、必要があると認められるときは、検討を加え、必要な措置を講ずる旨、規定をしております。

 これは、六ケ所再処理工場の竣工時期、二〇一八年度上期や、MOX燃料加工工場の竣工時期、二〇一九年度上期などに鑑み、見直しの要否の判断に十分な実績等が整う時期として、施行後五年を見直し時期としたものでございます。

 また、他方で、御指摘について、状況の変化に応じまして、政策の見直しをより早期に行うことが必要となるような場合には、適切なタイミングで見直しを検討することはあり得るというふうに考えております。

 なお、同条に基づき必要な措置を講ずるに際しては、これまでの国会における答弁、あるいは附帯決議の内容を踏まえて検討していくことは当然であるというふうに考えます。

中根(康)委員 先ほど申し上げましたように、この三年の間に、日米原子力協定の期限が迫っている、満期を迎える、それから六ケ所再処理工場が竣工予定である、あるいは電力の自由化がことしから始まっている。この三年の間にかなり重要なポイントがやってくるわけであります。五年というのは余りにも長過ぎて、この三年の間にエネルギー政策をめぐる環境の大きな変化が幾つもあるわけであります。

 したがって、三年後の見直しというのは、五年と書かれていても、もし法案どおり五年と書かれていたとしても、三年後には間違いなく見直しの議論が必要になってくるわけでありますので、この際、法律そのものを五年から三年に書きかえておくということについて、改めて前向きな御答弁をいただけないでしょうか。

林国務大臣 繰り返しになりますけれども、状況の変化に応じまして、政策の見直しをより早期に行うことが必要となる、このような場合には、適切なタイミングで見直しを検討したいというふうに考えます。

中根(康)委員 見直しをしていただくということは約束をしていただきましたけれども、法案の修正については、前向きとも後ろ向きともとれるようなとれないような、こういう御答弁であったということでありますが、前向きな御答弁であったということで理解をしていきたいというふうに思います。

 本法案が施行されて三年後の二〇一九年までに、六ケ所村の再処理施設が完成しない場合や、認可法人のファイナンスやガバナンスに問題が発生していた場合には、民進党としてしっかりと見直しを提案していくということになるわけであります。その意味でも、そのときに、あのときの答弁と違うじゃないか、こういうことにならないように、この法律をぜひしっかり運用していっていただきたいとお願いを申し上げておきたいと思います。

 また、短期間での見直しに修正することを検討するということは、ある意味、この法案は、再処理のみを核燃料の処理、処分方法として固定化するものではないということで、短期間で見直しをするということは固定化するものではないということを先ほども御答弁いただきましたけれども、改めて、その意味でも短期間で見直すということで理解してよいかどうか、お尋ねを申し上げます。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今の短期間の見直しのお話と、それから、途中でございました、再処理事業のみを処理、処分方法として固定化しないということの関係でございますけれども、私どもの理解といたしましては、今回の法案それ自体は、電気事業の小売全面自由化といった環境変化の中でも、再処理等の事業に必要な資金を確実に確保できるようにするなど、必要な技術的手当てを講じるものであるということは重ねて申し上げておきたいと思います。

 全体の大きな方針は、エネルギー基本計画にありますように、戦略的な柔軟性を持たせながら核燃料サイクルをやっていく、こういったものでございまして、この法案の提出それ自体がこの政策に関する戦略的柔軟性に影響を与えるものではない、こういうふうに考えておりまして、核燃料サイクルに係る基本的方針を固定化する意図は持っていないというのは先ほど大臣から御答弁があったとおりではないかと思っております。

 私どもは、状況の変化に応じて、この法律の運用、施行をしっかりやっていかなければいけない。そして、見直す必要がある場合にはその見直しをしなければいけないという点は共通の認識ではないかと思っております。

中根(康)委員 柔軟性が確保されるものであると約束をしていただいたものと改めて確認をさせていただきたいと思います。

 また、改めて確認ということになりますけれども、本法案の改正趣旨は、今も部長からお話がありましたように、電気事業の小売全面自由化に伴い、総括原価方式が撤廃されるため、原子力事業者の経営状況が悪化し、必要な資金が安定的に確保できないこと、各原子力事業者の共同子会社である事業実施主体が存続できないことにより再処理等が滞るおそれがあるため、早急な対応が必要であるというところは理解をするところであります。

 現実的には、ふえ続ける使用済み核燃料を責任を持って処理、処分していくためにも本法案は必要であるということを私は理解をさせていただいたと申し上げておきたいと思います。

 本法案に対する懸念は、この法案をもって、国が使用済み核燃料の処理、処分に関して、核燃料サイクルを前提とした再処理処分のみを今後維持していくという硬直的な政策に陥ることや、またプルトニウムバランスを無視した計画のもとに無秩序にプルトニウムが蓄積されていくということにある。懸念はそういうところにあったということであります。

 今までの答弁は、必ずしも十分とは言えませんけれども、この法案が将来にわたって再処理以外の選択肢を排除するという趣旨の法ではなく、状況の変化によっては見直しもあり得るということは確認できたと思います。

 また、利用目的のないプルトニウムは持たないという政府の示した原則に反した計画を提出した場合には、認可を行うことはないということも再三にわたって確認をさせていただいて、ある程度の懸念は払拭できたというふうに思いますが、プルトニウムバランスに対する答弁はいささか不安が残るものであったということは、これは実感としてつけ加えておかなければならないと思います。

 民主党は二〇三〇年代に原発ゼロという方針を掲げてまいりました。民進党でも原発に依存しない社会をつくっていくという方針に変わりはありませんが、この法案はその方針とも必ずしも矛盾するものではないと理解をさせていただきます。

 原発に依存しない社会をつくっていくにしても、蓄積された核燃料廃棄物の処理、処分はいずれにしても必要となるわけでありますから、政治責任という点からも、これは放置できないわけであります。使用済み核燃料の処理、処分には国が責任を持って取り組むべきであり、この法案は、国の関与という点では一歩前進であると評価もできると思っております。

 我が党の立場としては、法案に不十分な点は多々感じるものの、電力自由化の環境下で使用済み核燃料の処理、処分を責任を持って進めるべきと考えることや、あるいは青森県民の感情にも配慮することが必要だということに基づいて、この法案に対する賛否の対応を考えてまいったところであるということを改めて申し上げさせていただき、準備をさせていただきました質問は御答弁を賜ったということでございますので、若干時間を余しておりますけれども、これで私の質問を終わらせていただきます。

 大臣、最後に、もう一度全般にわたっての御所見をお聞かせいただければと思います。

林国務大臣 ただいまの附則第十六条における見直しにつきましては、三年を目途に検討して、見直して進めたいと思っております。

中根(康)委員 時間が若干ありますので、見直しの期間の点だけではなくて、今、私が民進党のこの法案に対する考え方をるる申し上げたわけでありますけれども、こういったことをお聞きいただいた御所見、御感想を、最後に力強く御表明いただければということでありますが、いかがでしょうか。

林国務大臣 さまざまな御意見、あるいはまた課題などもありました。それを乗り越えて進めていく第一歩だと思っておりまして、先生の御意見なども踏まえて進めていければというふうに思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

中根(康)委員 終わります。

高木委員長 午後一時十五分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十一分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十五分開議

高木委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。藤野保史さん。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 質問に先立ち、熊本県を中心とした九州地方地震によって犠牲になられた方々に心から哀悼の意を表します。今も強い余震が相次ぐなど、前例のない過酷な状況で、心身ともに疲労のきわみにあるという方がたくさんいらっしゃると思います。心からお悔やみ申し上げるとともに、日本共産党としましても全力を尽くしてまいりたいと思っております。

 本法案ですけれども、核燃料サイクル政策について、電力自由化のもとでも国の関与を強めて推進しよう、こういう中身になっていると認識しております。

 しかし、国民世論といいますのは、三・一一を経験して、まさにその多数が原発のない日本というのを求めている。ですから、本法案は、この多くの国民世論に反する形でさらに核燃サイクルを進めようというものだと思います。

 しかも、午前中、各委員から指摘がありましたように、このサイクル自身がもう破綻しているというふうに私も思っております。

 高速増殖炉の「もんじゅ」は、総額一兆円以上投入していますけれども、二十年間、一度も発電していない。昨年十一月には、原子力規制委員会も、そのあり方を抜本的に見直すべきという勧告を出すに至っております。

 そして、プルサーマル、再処理で生まれるプルトニウムを加工したMOX燃料を普通の原発で使うプルサーマルも、電事連の計画では昨年度までに十六基から十八基が稼働しているという計画でしたが、もうことしですけれども、一基も動いていない、こういう状況であります。

 私も昨年十月、六ケ所村の再処理工場を視察させていただきましたけれども、ここも動いていない、もう二十三回も延期しているということであります。

 内閣府にお聞きしたいんですが、三月二十九日の原子力委員会で、電気事業連合会が今後のプルトニウム利用計画についてどのような見解を示したでしょうか。

中西政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘のとおり、三月二十九日に原子力委員会の方で、これまでの取り組みの状況とか、今後のプルトニウムの利用計画等々についての電気事業者の考え方を聞かせてもらいました。その概要を簡単にかいつまんで御紹介させていただきます。

 まず、全国の十六から十八基の原子炉でプルサーマルの導入を目指す方針そのものについては、導入目標時期としていた平成二十七年度は見直す必要がある。また他方、プルトニウムを各社で確実に利用する予定の基数には変わりがない。また、信頼性のあるプルトニウム利用計画等の策定のためには原子力発電所の再稼働が大前提でございますけれども、現時点では、再稼働時期等の具体的見通しが得られていないプラントがあります。電気事業者としては、引き続き、原子力発電所の再稼働の見通し、六ケ所再処理工場の操業時期等を踏まえながら、新たなプルトニウムの回収が開始されるまでのできるだけ早期に、プルトニウム利用計画等を策定し公表する。こういうようなことの報告を受けてございます。

藤野委員 計画が示せなかった、電事連自身がやはり具体的計画を示せない、こういう状況であります。ですから、核燃サイクルはもう回っていないということは端的にあらわれているというふうに思います。

 大臣にお聞きするんですが、本法案で再処理を強化する、着実に推進という言葉もありましたが、やってもサイクルは回らない。何でこれは固執されるんでしょうか。もう破綻しているんじゃないでしょうか。

林国務大臣 午前中も答弁申し上げましたけれども、エネルギー基本計画で閣議決定したとおり、自治体や国際社会の理解を得つつ、使用済み燃料の再処理等を行う核燃料サイクルを推進する方針でございます。

 使用済み燃料を再処理する場合、直接処分する場合に比べまして、まず、高レベル放射性廃棄物の量の減少、それから放射能レベルの低減、回収されるプルトニウム等の資源の有効利用などの効果があるわけでございます。

 具体的には、例えば軽水炉サイクルの場合、高レベル放射性廃棄物の体積を直接処分する場合に比べて四分の一に減らすことができますし、放射能レベルにつきましては十分の一以下にするわけでありますし、また、残存する核燃料物質を有効利用しまして、新たに一割から二割程度の核燃料を製造できるといった効果がございます。

 こうした効果のある核燃料サイクルは、原子力を重要なエネルギーとして使用してきた資源に乏しい我が国にとっては必要なプロセスであるというふうに考えております。

藤野委員 今大臣、三つの意義を答弁いただきました。高レベル放射性廃棄物の量が減る、そして放射能レベルも減る、そして有効活用できる、こういうことなんですが、この三つの意義というのは本当なのかというのをちょっときょうは見ていきたいと思うんですね。

 配付資料を配らせていただいておりますが、一枚目を見ていただきますと、再処理のプロセスを示したものであります。これに沿って、ちらちら見ながら質問していきたいと思います。

 まず、再処理すれば高レベル放射性廃棄物の量が減るということであります。再処理すればそういうものが出てくる、有害なものが出てくる。その中には、午前中、逢坂委員からも御指摘ありましたが、高レベルの放射性廃棄物だけでなくて、低レベルのものも出てくるわけですね。

 配付資料の一でいいますと、下の方に緑で囲んであるのがいわゆる高レベル、左の方で赤とか濃い紫で囲んであるのがそれ以外の中、低レベルの廃棄物であります。ですから、再処理しなければ出てこないものとして、高レベル以外に、低レベルのものがあるわけですね。

 配付資料の二枚目をごらんいただければと思います。これは日本原燃が出した資料をもとにつくったんですけれども、日本原燃自身が、六ケ所再処理工場を一年間動かすとこういうものが出てきますよと御説明しているものであります。ガラス固化体は皆さんよく御存じだと思うんですが、それ以外にも、低レベル濃縮廃液の乾燥処理物、これは体積でいえば三百五十立方メートル、低レベル濃縮廃液の固化体、あるいは廃溶媒の熱分解生成物、廃樹脂と廃スラッジ、さまざまなものが出てくるわけですね。

 再処理する使用済み燃料自身は一年間に八百トンと言われております。これを内閣府にいただいた資料で体積に換算しますと、約三百七十五立方メートルになると御説明いただいております。それ以外に、再処理したことによって固体として出てくる廃棄物が、日本原燃の説明によると、下の方に囲っておりますが、約千九百七十立方メートルに達するということであります。体積比でいえば実に五・三倍になるわけですね。

 実はこの五・三というのも控え目な数字でありまして、東海村の再処理工場、あるいはフランスの再処理工場はもっとたくさん出るわけですが、日本原燃の見立てでも五・三倍の体積の固体廃棄物が出てくる。

 大臣にちょっとお聞きしたいんですが、再処理しなければ生まれないこういうものが再処理によって生まれてくる。これは放射性廃棄物です、高レベルではないにしても。ですから、再処理によって有害なものが減るとは言えないんじゃないですか。むしろふえるんじゃないでしょうか、大臣。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 配付していただいている資料を拝見いたしますと、確かに、低レベルの廃棄物も合算いたしますと廃棄物がふえる、こういう御指摘かと思います。ただ、私ども、高速炉はこの試算とは別だと思います。

 これは、二〇一二年に原子力発電・核燃料サイクル技術等検討小委員会というところに出された試算によりますと、確かに、今の軽水炉サイクルのところまででありますと、廃棄物の量が合算いたしますとふえるということになりますけれども、いわゆる高速炉の方までいきますと、燃料の高燃焼度化などを通じまして、直接処分を行う場合と比べまして、高レベル放射性廃棄物のみならず、低レベル放射性廃棄物と合算いたしましても減少するという試算も出てきております。したがいまして、核燃料サイクルを行いますと直接処分よりも低レベル放射性廃棄物が多く発生すると一概に言うことはできないのではないかと思っております。

 それから、先ほど御紹介いたしました平成十七年の十項目での四つのシナリオ分析の際にも、こうした環境への負荷といったところもしっかりと勘案の上、判断をした上で、再処理をするというふうな方針を決めたところだと思っております。

 いずれにいたしましても、放射性廃棄物を安全に処分するという観点から、極めて有害度の高い高レベル放射性廃棄物の量を減少させていくこと、有害度の低減を図ること、これが極めて重要だと思っています。

 このお配りいただいておりますものは、高レベルのものも低レベルのものも関係なく全部体積で判断しておりますが、こうしたことで単純に合計して比べることも適切ではないというふうに考えております。

藤野委員 事実はやはり否定できないんですね。これだけのものが出てくる、再処理によって出てくるんです。これは再処理しなければ出てこないんです。ですから、再処理によって有害なものが減るなんというのは到底成り立たない。

 配付資料の三枚目に行っていただきますと、では四十年やったらどうなるのかという話なんですね。一年でさえ五倍になっちゃう。四十年やりますと、ここにあるんですけれども、実に百五十倍を超えるんです、体積でいえば。

 大臣、この資料は、試算というお話が先ほどありましたけれども、これは総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会コスト等検討小委員会に提出された電事連の資料に基づいて原子力資料情報室が試算されたものであります。ある意味試算なんですけれども、もとの使用済み核燃料が一・五万立方メートル、これに対して、四十年間やると二百三十万立方メートルになると。

 ですから、今度は大臣にお聞きしたいんですが、これは四十年分なんです、配付資料の二枚目は一年分なんです。一年で見ようが四十年で見ようが、再処理によって、再処理しなければ出てこない有害な廃棄物がたくさん出てくる。これが事実じゃないですか、大臣。

 大臣です。いや、いいです、同じような答弁になりますから、多田さんはさっき十分しゃべったでしょう。大臣です。

高木委員長 とりあえず、今の御説明のところだけ、簡潔に。

 多田電力・ガス事業部長。

多田政府参考人 恐縮でございます。

 今の御質問でございますけれども、確かに、再処理をしないと出てこない廃棄物というものが存在するのは御指摘のとおりでございますが、私ども、再処理をすることによって得られる政策的効果は極めて高いと思っておりまして、それを単純に比較することはできないと思っております。

藤野委員 次は大臣にお答えいただきたいんですが。

 次に、大臣がおっしゃいました、放射能レベルが減るという趣旨のことだと思うんですけれども、今、配付資料の二枚目で見てきたのは固体なんですね。再処理すれば、固体以外にも気体あるいは液体という形で廃棄物が出てくる、これが実態だと思います。

 これは多田さんにも確認したいんですが、再処理で生まれる液体や気体の廃棄物、これはさまざまな処理をすると思います。いろいろなフィルターを通したり、乾燥をさせたり、蒸発させたりすると思いますが、最終的には環境に放出する、これは間違いありませんね。これはもう端的にお願いします。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 法令の基準を守るのは当然でございますけれども、希釈の上、放出をするという手順をとっております。

藤野委員 配付資料の四枚目をごらんいただければと思うんですが、これは、六ケ所再処理工場で日本原燃が、一応、管理目標値として出しているさまざまな気体廃棄物、液体廃棄物の目標値であります。これに対して、右の青い方は、原子力発電所で一般的に定められている目標値ということになります。

 これを見ていただきますと、例えば気体、上の方のところでいいますと、原発からは出ないことになっている、斜めになっている、希ガスのクリプトン85とかがこれだけ出る前提になっている。さらには、プルトニウム、これも、もちろんですけれども原発からは出ることになっておりません。しかし、これが二・九掛け十の八乗出てもいいということになっている。

 液体でいえば、トリチウム、今福島第一でも大変問題になっておりますが、このトリチウムでも、原発に比べますと桁が全然違うんですね。原発は三・七掛け十の十二乗ですけれども、六ケ所再処理工場は一・八掛け十の十六乗ということになります。今一Fで問題になっている数値は、一番下の方に参考と書いてありますが、福島第一では八・三掛け十の十四乗ベクレルということで、原発の基準値より相当高いんですけれども、その一Fに比べても、さらに二桁上のトリチウムを出していいことになっているわけです。

 再処理工場には、普通の原子力発電所に比べて桁違いの放射性物質の放出が気体、液体という形で認められている。原発と再処理工場、完全なダブルスタンダードじゃないでしょうか。

 しかも、この管理目標値のあるものは、日本原燃のある意味願望といいますか、再処理工場のための特別の基準でありまして、何かの規制値であるとか何かの基準値があるわけじゃないんですね。日本原燃が定めた願望のような数値で、ですから、これを達成できなくても、原燃の事業許可が取り消されるとか、そういうことじゃないわけです。

 大臣にお聞きしたいんですが、放射能レベルが減るどころか、原発よりも多くの放射能が液体や気体の形で放出されるんじゃないですか。

林国務大臣 原子力規制委員会の基準というかルール、これに従って対応しているというふうに理解しています。

藤野委員 事実は否定できないと思うんです。やはり原発はそれなりに五重の壁なんていっていろいろやっているけれども、再処理工場はそんな壁はないんです。遮蔽のあれが全然違う。そのもとで気体や液体がこうやってだだ漏れになっているというのが実態なわけです。

 もう一つお聞きしたいんですが、資源として有効活用できるとも大臣はおっしゃいました。これも本当なのかということなんですね。

 原子力発電を行った場合、発電前と発電後で、ウラン235、238、プルトニウム、その他もいろいろ出てくると思いますけれども、この中で最も割合の多いものは何かといいますと、ウランであります。ウランが、大体、使用前と使用後で一番多いと思いますけれども、これを確認させてください。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ウラン238が該当すると思います。

藤野委員 ですから、一般的には、大体、使用前、使用後で、プルトニウムは一%ぐらいしかできなくて、ウランが235と238合わせて九四%に達する。ですから、六ケ所再処理工場で一年間で八百トン再処理するとよく言われますが、そうしたら、九四%というと大体七百五十トンぐらいウランが出てくるわけですね。いわゆる再処理ウランというようなものになるわけです。

 これも経産省に確認したいんですが、プルトニウムは活用するとおっしゃるんですが、このウランも資源だというふうに捉えていらっしゃるんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ウランにつきましても、使えるものがあるというふうに考えております。

藤野委員 そうですね。東京電力のホームページでも、プルトニウムと並んでウランを準国産エネルギーというふうに位置づけておりますので、これもやはり活用すべき資源だということになってまいります。

 では、その再処理されたウランというのは使われているのかということであります。

 本法案はMOX燃料加工工場を新たに拠出金の対象にするわけですけれども、このMOX燃料というのはプルトニウムとウランをまぜ合わせてつくるわけであります。プルトニウムは六ケ所村の再処理工場でつくられたものを使うというわけですけれども、ウランの方はどうなのかということなんですね。

 ウランの方は再処理から生まれたものを使うのか。配付資料の一枚目に戻っていただいて恐縮ですけれども、一枚目の一番右上にウラン酸化物粉末というのがわざわざ囲ってあるんですが、これを使うのかということなんです。

 経産省にお聞きしたいんですが、日本原燃は、このウラン酸化物粉末、いわゆる再処理回収ウランを利用する具体的計画を持っているんでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 ちょっと今手元になくて定かではございませんが、日本原燃は、ウラン酸化物粉末につきましては備蓄をしているということかと思っております。

藤野委員 そのとおりなんですね。備蓄している、ためているだけなんです。これを利用する計画は全然持っていないんですね。

 配付資料の五枚目を見ていただきますと、これも日本原燃の資料であります。これを見ていただくと、見ていただくのは一番左上だけでいいんですけれども、MOX燃料をつくる際に、プルトニウムの方は、上のPuというのはプルトニウムでありますが、確かに、再処理施設から隣に今つくっている燃料加工建屋に持ってくる、こういう矢印がついております。しかし、ウランの方は、再処理施設じゃなくて再転換施設からというふうになっております。

 ですから、結局、再処理工場でプルトニウムとウランを分けて、それぞれ粉末にして、配付資料の一にあるようにウラン酸化物粉末というものにするわけですけれども、このウラン酸化物粉末はいわゆる戦略的備蓄という名のもとにずっとためておかれている。MOX燃料には生まれ変わらないんですね。これが実態じゃないでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生配付の資料の五ページの左上をごらんいただきますと、御指摘の赤で囲ってありますウラン粉末、これは確かに再処理工場とは関係なく、外から持ってくるものでございます。

 他方で、この赤い網かけがかかっているところ、プルトニウムの富化度が五〇%となっているMOX粉末がございます。これは、再処理施設からとございますけれども、この再処理工場で生成されたもの、その再処理工場で生成される過程はこの一ページのものでございます。この一ページの黄色いウラン酸化物粉末の下にプルトニウム・ウラン酸化物粉末がございますが、ここでまさに取り出したウランを使っているということでございます。

 したがいまして、再処理工場で取り出しましたウランというものを全く使っていないということではございません。

藤野委員 利用実績があるのは私も知っております。例えば、九五年でいえば、年間装荷量千トンに対して二十トン使ったことはある、〇・〇二%。

 ただ、ウラン粉末としてわざわざ生成したものは使われていないんですよ、全く。私の質問はそういうことなんです。ですから、九四%出てくるわけですね。八百トン処理したら七百五十トンというオーダーで出てくるものが、全く使われていない。戦略的という言葉のもとに備蓄されているわけです。

 これも経産省にお聞きしたいんですけれども、日本が国内外で保有しているウランは総量で何トンでしょうか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今手元に数字を持ち合わせておりません。

藤野委員 これは七千トンなんですね。

 プルトニウムは国内外で四十七・八トン、この間三百三十一キログラム返しましたけれども、そういうオーダーです。ウランは全く使われません。再処理しても再処理しても使われないんです。海外で再処理しても使われない。だから、七千トンというオーダーでたまっている。これが実態であります。

 何で使われないかといいますと、先ほどMOX燃料の話もありましたけれども、やはり再処理すると厄介なんですね。ガンマ線も強くなる、遮蔽の費用も物すごいかかる、いろいろな形でもう使わないというのが世界的に共通している。そういう実態であります。

 ですから、大臣、これはちょっとお聞きしたいんですけれども、プルトニウムは四十七・八トン、ウランは七千トン、どっちも利用計画すら立てられない。そのもとで、ただただ積み上がっているわけです。これが再処理の現状じゃないでしょうか。有効活用なんて全くされていないんじゃないでしょうか。いかがでしょうか。

林国務大臣 先生御案内のとおり、高浜原発三、四号機の二基、これは現在停止中でありますけれども、実際にMOX燃料を使用してプルサーマルを行ったところでございます。このほか、八基がプルサーマル計画を行うということで、原子力規制委員会による審査を受けているところでございます。

 今後、審査が進めば、プルサーマルを実施する原発の再稼働もふえまして、プルトニウムの消費も進んでいくものというふうに見込まれるわけでございます。

 六ケ所再処理工場は、ほぼ二年後の二〇一八年上期の竣工予定でありまして、稼働後も五年をかけてフル稼働に至る予定でございます。このため、直ちに核分裂性プルトニウムが回収されるわけではございません。そういった意味では、ちょっと長いスパンで対応していく形になります。

藤野委員 私の質問は、ウランというのは全く使われていない、資源の有効活用と大臣はおっしゃいましたけれども有効活用されていないわけです。だから七千トンもたまっているわけです。七千トンです。ですから、再処理によって、有害なものが減るとか、放射能レベルが減るとか、あるいは有効活用できるとか、全くそうなっていないということが言いたいわけです。

 ですから、再処理の意義、再処理の三つの意義と大臣がおっしゃったことが全て破綻していると言わざるを得ないというふうに思うんですね。こういうものはきっぱり撤退すべきだというふうに主張いたします。

 その上で、別の話も聞きたいんですが、先ほど、MOX燃料加工費用が幾らになるのかという指摘もありました。大事な指摘だと思います。

 配付資料の六枚目を見ていただきますと、アメリカもMOX燃料をずっとやってきました。しかし、やってきた結果、初期の見込みよりも七倍以上予算がふえてしまって、二〇一四年の予算書では、負担し切れないかもしれないと。ちょっとここはまだ腰が引けているんですね、かもしれないですから。しかし、二〇一五年度は、もうとうとう、MOX燃料製造施設及び関連施設を凍結状態、コールドスタンドバイというふうにして、他のオプションを検討するようにというふうになっているわけです。

 ですから、ある意味、もう先行例があるわけですね。そういう意味でも、このMOX燃料工場を加えるというのがいかに無謀なことかというふうに思います。

 しかも、大臣、私の衆議院本会議での質問に対して、費用をどう回収するんだということについては、事業者が判断と言いながら、こうおっしゃっております。本法案において制度の対象としたような発電にかかわる費用は電気の利用者から料金の形で回収することが一般的だ、こうおっしゃったわけです。

 大臣、本法案で再処理等の対象を拡大して、核燃料サイクルにかかわる費用が一体幾らになるのか、全く総額も示さない。この法案とは別なんだと言って説明されるわけですけれども、私は別じゃないと思いますよ。

 大臣、試算も示さずに、国民から電気料金で取ることは一般的だと言う、そこだけ認める。こういうことが許されるんでしょうか、大臣。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、前提として、今回、拠出金制度をつくらせていただきますが、現在も積立金制度は存在しております。その中で、積立金として対象としている費用、これは今回追加するMOX燃料費用を除いたものでございますけれども、こちらについて、先ほども御答弁しましたけれども、事業者からの報告によれば十二・六兆円、こういったものは出てきているわけでございます。

 その上で、大臣からの御答弁の内容は、原子力発電に伴って発生する使用済み燃料を処理するための費用というものは電気事業を行っていくために必要な費用でございますので、これにつきましては、電気の利用者の方から御負担いただくのが一般的ではないか、このような趣旨を御答弁した内容だというふうに理解をしております。

藤野委員 何の内容もない答弁だったと思うんです、私が引用したことを大体おっしゃったような話で。

 大臣にちょっとお聞きしたいのは、政府は再処理にかかわる費用を現行と同じく託送料金という形で回収しようとしているんじゃないかという報道があるんですね。託送料金というのはいわば送電線の利用料のようなもので、高速道路の利用料のようなものですよね、電気を通していくわけです。この託送料金で再処理にかかわる費用を現行と同じく求めていくという報道があるんですが、こういう検討をされていることは事実かどうか、まずお答えください。

林国務大臣 再処理等に要する費用は原子力事業者が負担することが大前提でございまして、託送料金による費用回収に係る新たな措置は講じておりません。

藤野委員 新たな措置を講じているかを聞いたんじゃなくて、検討しているのかということです。これについてはいかがでしょうか。

林国務大臣 現時点で検討してございません。

藤野委員 今後は検討されるんでしょうか。

林国務大臣 現時点では検討してございませんし、今後のこともまだ検討してございません。

藤野委員 なぜかといいますと、これは電力自由化あるいは発送電分離と密接にかかわる問題だからお聞きをしているわけです。発電と送電を分けるわけですから、送電線の利用料に発電部門のコストが乗っていくということになると、電力自由化あるいは発送電分離をしたにもかかわらず、やはり原発優遇じゃないか、こういう話になってくるわけで、ですからお聞きをしているわけであります。

 配付資料の七枚目を見ていただきますと、これは、電気料金の請求書には表示はされていないけれども現在これだけのものが電気料金に上乗せされているということを示した、経済産業省の提出資料をもとにつくりました。

 例えば、東京電力エリアでは、一番下のところにありますけれども、標準家庭で合計で月額二百三十九円、こういう原発関連の費用が入っている。九州電力でいえば、月額二百六十三円であります。知らないまま、表示もされないまま負担させられている。

 皆さんも御存じだと思うんですけれども、再エネの賦課金については電気料金のところに書いているんです。結構高いので、あれを見ると、再エネというのは高いよねと思うんですが、原発については、これだけ乗っているにもかかわらず、あの請求書に載っていない。これが実態であります。

 配付資料の八枚目は託送料金の資料であります。小さい字で恐縮です。

 経済産業省にお聞きしたいんですけれども、確認ですが、再処理の費用というのは原子力発電でしか生まれない固有のコストですよね。地熱とか水力発電では生まれないコストですよね。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘の再処理に係る費用、これは原子力発電に伴う費用で固有のものとお考えいただいて結構です。

藤野委員 ですから、これは発電の中でも原発だけで発生する費用であります。もしこれが託送料金ということで送電部門の料金に含まれるということになれば、大変おかしなことになる。

 例えば、普通に、電力自由化になりました、よし、私は原発のエネルギーはちょっと嫌だから、再生エネルギー一〇〇%の会社の電力を買おう、そう思ってそういう再生エネルギー一〇〇%の会社の電力を買ったとしても、その再生エネルギー一〇〇%の会社だって送電線は使わないといけない、その会社だって託送料金を払わないといけない。

 その託送料金の中に原発でしか生まれない固有のコストが入っていたら、結局、それを選んだ人の思いが実現しない、こういうことになると思うんですが、大臣、いかがですか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 今、消費者の方々の選択において、託送料金の中に原子力という固有の発電の費用が乗せてあるとよろしくないのではないか、こういう御指摘かと思います。

 先生の配付資料にもあったかと思いますが、一つ事実だけ申し上げますと、現在の再処理積立金がございますが、この積立法ができました二〇〇五年よりも前に発生しておりましたものについても、積立金につきましては、現在、過去分といたしまして全ての需要家の方からいただくことが必要だろうということで、託送料金の中に乗っているというものがございます。

 したがいまして、費用負担のあり方につきましては、先ほど大臣からも御答弁ありましたように、現時点で検討しておりませんし、今後のことも検討しておらないということで、そのとおりでございますけれども、事実関係として、そういった関係があるということだけ補足させていただきます。

藤野委員 いや、ですから、今乗せているから聞いているんです。今託送料金に乗せているから、これを電力自由化後もやるんですか、検討しているんですかということで、大臣は検討していないとおっしゃいました。これは大変重要な答弁だと思うんですね。これはぜひ取り消さないで、託送には乗せないということを貫かないといけないというふうに思うんですね。

 やはり、再処理の費用というのは原発でしか生まれないし、しかも長期間にわたります、しかも巨額のコストです。これをどう負担させていくのか。発電会社が、原発を使いたい、原発でやるんだといって、それを胸を張って消費者にこれは原発の電力ですとやってやるんなら、そうやっていただければいいと思いますけれども、再生エネルギーをやっている会社にまでこの託送料金という形で負担させるようなことがあっては絶対にならない。

 大臣は検討していないとおっしゃいましたから、これはぜひそのとおりにしていただきたいと思います。

林国務大臣 先ほど検討していないと申し上げたのは、本法案に関するもので答弁したものでございます。

藤野委員 では、本法案以外では検討されるんですか。

林国務大臣 原子力全般というか、その費用の負担のあり方につきましては、今後、個別の内容を踏まえて検討すべきものではあるのではないかというふうに考えております。

藤野委員 これまた重大答弁でありまして、ですから、結局検討されるんですね。これを託送に乗せる、こういうことですか、大臣。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 原子力発電にかかわるものという趣旨でまいりますと、例えばでございますが、廃炉を円滑にするための会計制度というものをつくらせていただきました。そうした廃炉に伴って発生する費用などにつきまして、場合によっては、その費用の負担、投資回収についてのさらなる対応のあり方というのは考えなければいけない課題として存在することは事実でございまして、これをどうするかということについてはまだ結論が出ているものではございません。

藤野委員 先ほど大臣が答弁を修正されたのは極めて重大で、本法案では検討していないけれども、ほかの場面で検討すると。

 これは、発電にかかわるコストを託送料金という送電にかかわるコストに乗せていく、しかも、原発でしか生まれない再処理にかかわる費用を乗せていくということになります。これは、重ねての指摘になりますけれども、本当に絶対許されないと思うんです。発送電分離とか電力自由化といいながら、結局原発は優遇していく、結局原発温存のための仕組みをつくっていく、こういうことになるわけであります。

 大臣、この問題は非常に重要な問題だというふうに思うんですね。絶対に許されない、引き続き追及したいと思います。

 三・一一の原発事故以後、国民は、率直に言って、電気料金とか電気のあり方ということについて認識を一変させているというふうに思います。

 私もよく覚えているんですが、二〇一三年の六月四日、当委員会で、電気事業法の参考人質疑、議事録を読ませていただきました。そこで、消費生活アドバイザー協会の辰巳さんがこういう発言をされているんですね。いろいろおっしゃった後、

 ああそうか、働かない原子力発電のお金まで料金で負担させられていたんだというふうなこともわかってきたということで、とてもよかったと思います。

  これがもし自由化になって、そういう話が全て隠れてしまって、例えばトヨタさんのお話も出ましたけれども、料金がどういう積算のもとに出ているかというのがわからなくなることは、やはり私たちとしては、知ってしまった以上、もう少し知りたいというふうに思います

こうおっしゃっている。

 大臣、ですから、消費者、国民は、三・一一以降、電気や電気料金について認識を一変している。

 こういう認識、大臣、ありますか。

林国務大臣 まさにそのとおりだと思います。

藤野委員 ですから、もう知ってしまったんです、国民は。知ってしまった以上、もう少し知りたい、こうおっしゃっているわけですね。

 しかし、それにもかかわらず、託送料金という形で知らないうちに乗せられるわけですね。再生エネルギー一〇〇%と思って電気を買うようになったらば、そこに再処理の費用も乗っていた。これを、大臣、認めることになるわけですね。これは絶対許されないというふうに思います。

 しかも、託送料金というのはもう一つ問題がありまして、電気料金については、経過措置ではありますけれども、公聴会という形で国民がチェックできる仕組みがあると思います。経産省、間違いありませんか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 これまでの認可料金、それから今の経過措置料金についてもし値上げをするという申請が出てくれば、公聴会の対象となります。他方、託送料金については、公聴会の規定はございません。

 それから、先ほど来、私どもが託送料金で回収することを何か結論を得ているというふうなことで、前提として御指摘があるようでございますが、先ほど大臣の方から申し上げておりますように、私どもとして現時点で何か具体的な結論を得ているわけでは決してございませんので、誤解ないようにお願いしたいと思います。

藤野委員 いや、私は答弁を変えられたから問題にしているんですね。それは後でまたやりますけれども。

 今確認しましたが、電気料金につきましては、公聴会があって、値上げするときとかは市民とかが関与できる仕組みがあるんですね。そこで何が入っているのかという資料も出るし、議論もされるし、そういう意味では大変重要な仕組みがあるわけですが、託送料金は、今答弁あったように、公聴会がない、チェックできないという仕組みになっております。

 ですから、先ほどの辰巳さんの発言、知った以上はもっと知りたいという国民の意識にもかかわらず、託送料金という形でこっそり入ってきて、しかもそれをチェックする仕組みもなくなってしまったということであります。

 大臣、これで本当に国民の思いに応えることはできると思われますか。

多田政府参考人 お答え申し上げます。

 託送料金について公聴会の規定がないことは先ほど申し上げたとおりでございますけれども、かわりの措置ではございませんけれども、御案内のとおり、電力取引監視等委員会、今は電力・ガス取引監視等委員会になっておりますが、その監視委員会の方で、専門家の知見をかりまして、そこで厳正な審査をしていくという点、それから、そのプロセスに消費者の方々にも参加していただく、こうした形になっておりますので、御承知おきいただければと思います。

藤野委員 大臣、いかがですか。今のと同じ質問です。

林国務大臣 今の政府委員の答弁のとおりでございます。

藤野委員 やはりこの法案は本当に問題が物すごくあるんですね。

 先ほど言ったように、本法案の意義と言われる三つの問題、有害なものが減るとか、有害度が低減するとか、資源が有効活用できるとか、こういうのも全く成り立たない。しかも、MOX燃料加工工場の費用を新たに加えるにもかかわらず、それも試算していない。

 そのもとで、再処理にかかわる費用、これを託送料金に乗せるということを否定しなかった。具体的に決めるとは私も言っておりません。要するに、検討をする、検討が必要だと大臣はおっしゃったわけですね。本当にもう二重三重にこれは許されないというふうに思います。

 こういう形の核燃料サイクルというのはもう破綻しているし、これを国の関与を強めて推進するというのは許されないというふうに私は思いますが、大臣、いかがですか。

林国務大臣 先ほどから答弁しているように、現時点で何らか具体的な決定をしたということはございませんで、現時点ではそういう意味では検討していませんが、今後、原子力に関する費用の負担、投資回収について、さらなる対応のあり方については引き続き検討をしなければというふうに考えているところでございます。

藤野委員 もう最後になりますけれども、その回収のあり方なんです。ですから、回収するのなら、自分のところの発電は原子力ですよ、そういう会社ですよと言ってやるべきで、託送に乗せるということは、発送電分離とか電力自由化とか言いながら、結局は、原発温存、原発優遇のための資金をそうやって回収しよう、それは嫌だと言っている人からも回収しよう、そういう仕組みになるということで、これは絶対に許されないということを指摘して、質問を終わります。

高木委員長 次に、足立康史さん。

足立委員 おおさか維新の会の足立康史でございます。

 きょうは、私はふだん経産委員ではございませんが、我が党の木下委員が別の委員会の視察で外しておりますので、私は、望んで来たというよりは、木下さんからやってくれということで参りましたので、何とぞ御理解のほど、よろしくお願いします。

 さて、まず申し上げたいのは、九州の地震、犠牲になられた方々、また御遺族の皆様にお悔やみを申し上げますとともに、被災されている全ての方にお見舞いを申し上げたいと存じます。

 まず冒頭、川内原発の話から申し上げたいと思っておりましたが、ちょっと順番をかえさせていただいて、今、共産党の藤野委員の方から、大変重要な、いろいろな御指摘がありました。私は、共産党さんとは立場を異にしておりますが、指摘の点はすごく大事だと思います。特に、国民はいろいろ知ってしまったんだという御指摘があって、もっと知りたいと。当然、私もそうだと思います。藤野先生、いろいろなところで隣に座ることが多いんですけれども、大変尊敬しているんですが、私も全く同感であります。

 かつて、自民党政権というか、民主党さんが政権交代される前まで、自民党政権でずっとやってきた、進めてきた原子力政策については、それはそれで一つの合理性があったと思いますが、全く同じようにこれからもできるわけではない。むしろ共産党さんは、伺っていると、もうやめた方がいいんじゃないかというお立場、民進党さんは、ちょっとよくわかりませんが、基本的にはこのサイクル政策も賛成されていると承知をしていますが、私はもっと力を入れてやった方がいい、こう思います。

 その理由は、まず、ちょっと誤解があってはいかぬので、再稼働については、我々は余り賛成していません。原発再稼働責任法案という法案を昨年の国会に出しました。すなわち今の法体系のままで、地元同意とか避難計画とか最終処分とか、いろいろな問題について、今の法体系のままで再稼働をどんどん進めていくことについては、おおさか維新の会は反対なんです。だから、今稼働していることについては反対なんです。

 ただ、何か科学的ではない、何か政治的な観点から川内をとめるとか、それは私はよくわからない。それから、こういうサイクル政策についても、では、これまで長年にわたってこの原子力政策を推進してきた日本がサイクル政策を本当にやめていいのかと。

 私たちが、よく大阪でも前代表の橋下さんとかと議論してきた最大のポイントは、小泉元総理とはちょっと観点が違うんですが、視点は違うんですが、やはり最終処分の問題は大きいテーマだと思っています。

 先ほども藤野委員の方から、放射性物質がいろいろ出ているんだとか、それから原子力優遇じゃないか、こういう話がありましたが、もう既に日本は大量の使用済み燃料、高レベル放射性廃棄物をたくさん抱えているわけですね。それは、ちょっと詳しくありませんが、十万年とかいう時間の中で解決していかないといけない問題で、我々おおさか維新の会は、十万年は長過ぎると思っています。三百年だったら何とかなると思っています。

 そういうふうに思うようになった根拠は何かというと、やはり東日本大震災の瓦れきなんですね。瓦れきを受け入れた。瓦れきは、福島の瓦れきじゃないですよ、福島以外の瓦れきを受け入れたわけです、大阪市は。もう大変だったんですよ、大阪市役所が大阪市民に取り囲まれまして。野党を支援されている方が多いと思いますが、取り囲まれて、橋下市長は大変な思いをしながら瓦れきを受け入れたんです。

 福島ではない瓦れきを応援することも大変だったんですね。何で、これで放射性廃棄物を受け入れる町が出てきますか。

 そういう観点から、もっと力を入れて、法体系ももっともっと整備をして、サイクル政策は当然だし、その先に高速炉なんかもしっかりと研究をし、実証し、実用化していくべきである、私はこう思っています。

 通告でいうと、一番最後の方になりますが、大臣、私は政府・与党もだらしないと思いますよ。そういう反対の声に押されて、まあ、原子力政策だけじゃないです、労働政策とかもそうですよ。野党に残業代ゼロだとか首切りだとか言われたらやめちゃうわけですよ、政府・与党は。だらしないですよね。やるべきことはやる。原子力政策もそうです。共産党の藤野委員がおっしゃったように、本当のことを言った方がいいですよ、もっと。

 余り演説になるとまた怒られるんですが、もう一つだけちょっと御紹介をしておきたいのは、四月七日の原子力特委、藤野委員も御一緒していますし、田嶋委員も御一緒しています、阿部先生も御一緒していますが、原子力特委で、私は環境省にある質問をしました。

 福島第一原発から放出された放射性物質、どれだけ今管理できているんですかという質問をしました。申し上げていることはわかりますか。福島第一は爆発しました。たくさんの放射性物質が大気とかに出たわけですね。東電によると、セシウム137だけでも十ペタベクレル、一万テラベクレルが飛び出したわけです。

 では、今、そのうちのどれだけを除去土壌とかあるいは指定廃棄物という形でマネジメントできているんだというと、結論からいうと、いろいろ仮定を置いて、さまざまな仮定を置いて試算をしてもらいました。これは事務的にずっとやってきたんです。環境省の事務方とずっと詰めてきて、こういう仮定を置いて、こういう仮定を置いて、こういう仮定を置いたらどうなるかということで、これはそういう意味では私が試算したということかもしれませんが、環境省の水・大気環境局長から御答弁をいただきました、原子力特委で。

 要すれば、そういうセシウム137、134も含めてもいいですが、半減期が違いますから、例えば134、137、セシウムの放出量について試算すると、陸域への沈着量、日本の国土に降った放射性物質の一、二割は管理しています。要は、剥ぎ取った土壌とか指定廃棄物で管理できるのは一、二割なんです。逆に言うと、八、九割はどこかにあるんです。

 だから、昔、福島第一の前には、我々の環境にはセシウム137はなかったんです。研究所、京大にはありますよ。東海村にはあったかもしれない、六ケ所村にもあったかもしれないけれども、我々の近辺の環境には今まではセシウム137はなかったんです、人工物ですから。でも、二〇一一年の三・一一以降は、我々の近辺にあるんです。

 だから、戦前戦後、今は災前災後といいますけれども、我々は新しい日本として再生をしていかなあかんというのが基本的な認識で、藤野委員も共有していただけると思いますが、そうした観点から、我々の先輩である沢昭裕先輩も、私は国会議員になってから、何度か食事をしながら、御指導を仰いだことがありますが、ずっと、もっと政治がしっかりしてくれということをおっしゃっていたわけであります。

 大臣、私は政府・与党はだらしないと思っているわけですが、そういう原子力政策の推進に向けた大臣の御決意というか、その辺の御認識をぜひ開陳いただければと思います。

林国務大臣 私も、原子力政策についての重要な提言の一つとして、沢昭裕さんの論文を拝読いたしました。

 沢さんは、数々の講演の機会などを通じて、与野党の国会議員や原子力関係者に対して、原子力政策のあり方について精力的に発言を続けてこられた。御指摘の論文もそうした活動の一環にあるものだと認識しております。

 原子力に対する国民の信頼を得ていくためにも、まず国がきちんと国民に向かって原子力の重要性、必要性を発信していかなければならないという思いをしているところでございます。

 国として、原子力政策のあり方の方針を示して、必要な制度整備を行う責任をしっかりと果たしていかなければならないというふうに考えています。

足立委員 ありがとうございます。

 政府は頑張っていらっしゃると思うんですが、だらしないのは、失礼ですけれども、与党はもうちょっとちゃんとしていただいて、原子力関連の法整備をもっと力強くやっていかないともう間に合わない、こう思うわけです。

 ただ、私は、これは行政府だけの問題じゃないと思っています。

 きょうも、原子力特別委員会の理事懇がお昼にありました。田嶋委員と御一緒しました。私は、民進党の方は総じて余り尊敬していないんですが、田嶋委員はすごく尊敬しています。田嶋委員は野党筆頭として、国会の中で野党筆頭としてちゃんとワークしている人は少ないんですが、やめておきましょう。原子力特別委員会の田嶋筆頭は、本当にずっと、御持論だと思いますが、アドバイザリーボードをしっかりと、原子力特別委員会をつくったはいいが、大変専門的な領域なんだから、アドバイザリーボードをちゃんとつくろう。これは国会の事故調でもずっと提言があった話ですから、私もこれは大賛成です。立法府は立法府で、そういうことをしっかりやろう。与党の皆さん、これはぜひやりましょう。なかなか盛り上がらないんですよ。原子力特別委員会の理事懇の中でむにゃむにゃやっているんです、与野党の筆頭二人で。失礼しました。平先生がいらっしゃるのに、ちょっと気づいていなくて済みませんでした。

 そういうことで、私は、三権それぞれで、行政府については、我々は原発再稼働責任法案という法案を出しています。立法府にあっては、アドバイザリーボードをしっかりつくっていこう。

 そして、もう一つ、きょう、実は通告をしようと思ったけれども、政府は答えられないからといって通告していないテーマがあります。それは司法の問題です。

 結局、今、九州、川内であれ、高浜であれ、司法判断がぶれていますね。これは、時間がたてば安定してくるのであればまだいいけれども、大変難しいテーマです。私は、知財高裁というのができていますから、しっかりと原子力高裁というものをつくった方がいいんじゃないかと。

 ところが、これを政府に質問をしたいと言ったんだけれども、それは司法の話を行政府が答えられないということで通告をやめました。では、これはどこで議論できるかというと、国権の最高機関である立法府しかないですね、司法は自分で裁判所をつくれないんですから。だから、これは我々がつくるしかないんです、立法府でしっかりと。ところが、政府にこれを聞いても仕方がありません。

 委員長、私は飛び込みで申しわけありませんが、理事会で一つだけ、また機会があれば御検討いただきたいテーマが今のテーマです。要すれば、原子力高裁みたいなものを、ただ、それをつくりましょうといってもできませんから、一回、政府はちょっと見ておいていただいて、国会でそういうものの要否について議論する自由討議みたいな場をぜひつくることも検討いただきたいと思いますが、理事会でぜひ御検討いただければと思います。

高木委員長 検討いたしますが、一義的には原子力委員会が主軸でございますので、そちらの方でぜひとも御検討をお願いしたいと思います。

足立委員 では、原子力特委の方で、また提案をしていきたいと思います。

 そもそも論はそれぐらいにさせていただいて、熊本の話にちょっと戻らせていただきますが、福島第一原発事故を受けて規制庁もできた。そういう中で、今回の熊本、大分、九州の地震、これは規制庁にとって、あるいは政府にとって、想定の範囲内だったということでよろしいですか。

山田政府参考人 川内原子力発電所については、先生御承知のとおり、安全審査をさせていただいております。

 その中では、今回の地震が繰り返して発生をしております布田川、日奈久断層については、文献調査の結果等から、両断層が連動することを考慮して、長さ九十二・七キロメートル、マグニチュード八・一の地震が起きるということで評価をされていることを確認しております。

 また、地震動評価においては、マグニチュードと、震源から発電所までの距離からその影響評価をしておりまして、布田川、日奈久断層帯による地震の影響は、より近傍の別の断層に比べて小さいということについても審査の中で確認をしているところでございます。

足立委員 想定内だということであります。

 国民の皆様が若干心配されているのは、今回の地震は、本震が二つ、三つ起こったというようなことが議論されているので、若干、今回の地震はこれまで経験したことがないタイプの現象であるという報道があるものですから、心配をされる方がいらっしゃるということだと私は理解していますが、今の御答弁にあるように、想定の範囲内だということであります。

 そうであれば、二つ更問いで申し上げると、これを、何か政治がちょっととめるというようなことが、そもそも政治がというのかな、それは規制庁の委員長なのか経産大臣なのか、誰かわかりませんが、政府が政治的な判断で、いや、科学的にはこれは想定の範囲内だからとまっていない、今も稼働しているわけです。これを、何か政府が、政府の判断として、あるいは規制委員会の判断として、川内原発の出力調整とか停止、これをさせるツールというかメカニズムは何かあるんでしょうか。

山田政府参考人 まず、今週十八日の午前に開催をされております原子力規制委員会では、現状において川内原子力発電所を停止する必要がないという判断をしておりますけれども、引き続き、地震の状況については注視をして、原子力発電所の状況について情報発信に努めるとともに、適切に対応してまいりたいというふうに考えております。

 お尋ねの運転を停止させるという制度でございますけれども、原子炉等規制法第六十四条第三項の規定に、原子力規制委員会は、原子炉等による災害発生の急迫した危険がある場合において、原子炉等による災害を防止するため緊急の必要があると認めるときは、発電用原子炉施設等の使用の停止、その他原子炉等による災害を防止するために必要な措置を講ずることを命ずることができる、こういう制度はございます。

足立委員 わかりやすいですが、すると、きのう、環境委員会で菅元総理が、予防的にとめたらどうだ、俺のときはやったんだ、こういう御質問があったと報道されていますが、そういう予防的にとめるというメカニズムは今の法体系の中では私はないと理解していますが、どうですか。

山田政府参考人 今御答弁をさせていただきましたとおり、急迫した危険が迫っている場合と規制委員会の方で判断をした場合についてはとめるということはございますけれども、現時点、これも先ほど申し上げましたとおり、そういった状況にあるというふうに判断しているところではございません。

足立委員 実は、きょう午前中の審議で、さまざまな委員の方が立たれて、議論がありました。

 その中で、川内原発の停止の問題についてはそこでも議論があって、科学的にはとめる必要がないということについて、質問されている方も同意をされていました。政府が、いや、科学的にはこれは必要ないんだ、想定の範囲内だから問題ないんだという御答弁があって、質問者も、なるほど、科学的にはそうなんですねと。

 でも、政治的に、政治判断でとめたらどうかというような御議論があったわけですが、今も御答弁ありましたように、私は、仮にもしそういうことをする政府があったら、それは、例えば九州電力も株式会社ですから、場合によっては株主代表訴訟で、何でとめたんだ、合理的理由はどこにあるんだ、その科学的合理性、あるいは制度としての合理性を必ず追及されるわけで、もしそれを乗り越えて、政府・与党が何かデモとかプラカードとかに押されてそれをやると、それはよくない。

 私たちおおさか維新の会は、今申し上げた科学的とか政治的、それは両方あると思いますよ。科学的判断、政治的判断はあると思います。でも、おおさか維新の会が、橋下前代表が党をつくったときから、私たちが一番大事にしてきているのは法の支配です。それは国内だけじゃありません。国際的にもそうです。法に基づいてやろうよということでありまして、よく最近は立憲主義とかいう言葉がはやりですが、一体何が立憲主義なのか。私は、別に元総理をここで批判するつもりはありませんが、浜岡原発をめぐる停止、あるいはもう一回再稼働させるときの四大臣会合、一体どういう法令に基づいて行われたのか、いまだによくわかりません。だから、必要な法令はしっかりつくろう。

 そして、当時の民主党さんも、当時、支援機構法をつくったときに、原子力のあり方については抜本的な法令整備をやるんだと附則六条に書いてあるわけです。しっかりと各政党が、では、原子力政策の抜本的な制度見直しはどういう政策体系なんだということを出し合って、ぜひ、政府任せじゃなくて、おおさか維新の会以外の野党におかれても、原子力政策はどうするんだということをしっかり法令レベルで提案をしていただきたいと、ひとり言でありますが、要望しておきたいと思います。

 最後に、きょうは法案審議ですから、サイクル政策の話に行きたいと思います。

 先ほども質疑の中でありましたように、全量直接処分から全量再処理まで、あるいはそれ以外もいろいろなシナリオがあるわけでありますが、これはもう基本的に再処理、サイクル政策を推進していく、これはエネルギー基本計画に書いてあるわけですが、それで政府・与党は決まっているということでいいんですね。

林国務大臣 我が国は、エネルギー基本計画で閣議決定したとおりでありまして、自治体や国際社会の理解を得つつ、使用済み燃料の再処理等を行う核燃料サイクルを推進する方針でございます。この方針に変わりなく、しっかりと進めてまいります。

 こうした核燃料サイクルは、原子力を重要なエネルギーとして使用してきた、資源に乏しい我が国にとっては必要なプロセスであるというふうに考えております。

足立委員 今御紹介いただいたサイクル政策の意義は、午前中も三つにわたってるる議論があったところでありますが、これは民主党政権においても変わらないと私は理解しています。

 二〇一二年、平成二十四年九月十四日の革新的エネルギー・環境戦略、これで核燃料サイクル政策について、民主党政権の末期かもしれませんが、つくられています。そこに書いてあるのが、「核燃料サイクルは中長期的にぶれずに着実に推進する」。すなわち、政権交代があっても、このサイクル政策についてはぶれずに推進をしてきたし、これからもしていく、私はそれでいいと思っているんです。

 ついつい国会審議になると、いろいろな意見が出ますが、少なくとも政権を担っていく立場からいえば、これは推進をすべきだし、我々おおさか維新の会は、特に有害度を、十万年はちょっと耐えられないから、三百年の世界に持っていきたい、心からそう思っています。三百年の世界に持っていけば、今の政府あるいは自治体が責任を持って判断することができる。もちろん、専門家の皆さんは、地層処分というのはそういうものじゃないんだから、余り心配するなとかいう議論があるのは承知をしていますが、我々はそう思っています。

 きょうは外務省がおいでですね。

 このサイクル政策は、敷衍して広く論ずれば、アメリカの高官もいろいろな発言をされたりしますが、不拡散の問題とか日米原子力協定をどうするんだとか、そういう議論があるわけで、外交的観点も全く関係ないわけではないと思います。

 外務省にお聞きしたいのは、要すれば、例えばアメリカ政府は、日本の政権がサイクル政策をやめると喜ぶんですか、悲しむんですか。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 一般論といたしまして、やはり政府といたしましては、我が国の原子力政策を決定するに当たりましては、核不拡散上の観点ですとか国際的な理解を得るということについて、適切な配慮を行いつつ実施していく必要があろうかと考えております。

 御指摘の点でございますけれども、先ほど来御議論がありますとおり、我が国といたしましては、核燃料サイクルを推進するという方針でございますので、政府として、それを断念することを前提とした答弁というのは差し控えるべきものであろうと考えております。

足立委員 この話は、もうちょっと本当はやろうと思ったんですが、なかなか平場で深まらないかもしれないので、かつ時間もないので、もうやめておきます。

 基本的に、このサイクル政策は、エネルギー政策、あるいは経産省、資源エネルギー庁の政策として行われていますが、もっと広い観点での位置づけも当然あると思うんですが、なかなか平場で議論されません。これから、ぜひまた時間をいただくことができれば、そういう国際的な核の問題、これは議論をしっかりしていきたいと思います。

 外務省、もう一つだけ。

 最近、トランプさんの話がちょっと議論になりますが、日本のサイクル政策は、余り細かいことだからあれかな、大統領になるかもしれないトランプ候補は、今、アメリカは歓迎しますか、どうですかと伺いましたが、それでも答弁できないんだから、トランプ大統領候補の話は聞いてもだめですね、やめておきましょう。(発言する者あり)

 聞きたいですか。ちょっとお願いします。

中村政府参考人 お答え申し上げます。

 繰り返しになって恐縮でございますが、我が国として、核燃料サイクルを推進するという立場でございます。仮定のお尋ねにお答えすることは差し控えたいと存じております。

足立委員 我が党の代表が、トランプ大統領候補の発言を引いて、何か日本も核武装を議論すべきだと言ったみたいな若干間違った報道が一部あったんです。

 我々が言っているのは、別に核武装すべきだと言っているんじゃなくて、もし、日米同盟とか自衛隊を否定する政治グループがあれば、その方々の言っていることを貫徹させていくと、トランプ大統領のもとでは日本も核武装を検討しなくちゃいけなくなるんだけれども、本当にそういう覚悟はあるのかという、おわかりだと思いますが、若干やゆ的な意味で申し上げているので、ぜひその辺は御理解をいただきたいと思います。

 もう時間が来ましたので終わりますが、我が党は維新の党時代に、江田憲司当時の共同代表も含めて、高速炉はちゃんとやるべきだと書いたんです、紙に。書いてあるんです。江田憲司さんはちょっと今立場が変わったようでありますが、おおさか維新の会は、きょう申し上げたような立場で、これからもしっかり頑張っていくことをお誓い申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございます。

高木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 この際、本案に対し、山際大志郎さん外三名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党及びおおさか維新の会の四派共同提案による修正案が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。落合貴之さん。

    ―――――――――――――

 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

落合委員 ただいま議題となりました修正案につきまして、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党及びおおさか維新の会を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。

 修正の趣旨は、附則第十六条において、改正後の新法の施行の状況等を勘案し、必要があると認めるときは、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて、必要な措置を講ずるための年限を、この法律の施行後五年を経過した場合から、この法律の施行後三年を経過した場合に改めることであります。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより原案及びこれに対する修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。真島省三さん。

真島委員 私は、日本共産党を代表して、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 反対理由の第一は、東電福島原発事故の痛苦の経験後もなお、破綻済みの核燃料サイクル政策を、国の関与を強めることにより、一層推進する仕組みをつくるものだからです。

 法案は、原発の再稼働に伴って発生する全ての使用済み燃料の再処理事業費を将来にわたって確保するため、現在の積立金方式を拠出金制度に変えようとするものです。

 これは、再処理事業とその関連事業の着実な実施、すなわち、核燃料サイクル政策の継続、原発の維持存続策にほかなりません。

 しかし、これでは、原発の運転で生まれる核のごみの処分の問題や、再処理により増加する余剰プルトニウムの問題を、今よりも深刻化するだけで、解決するものにはなりません。

 「もんじゅ」に代表される高速増殖炉サイクルも、軽水炉でMOX燃料を使用する軽水炉サイクル、プルサーマル計画も、既に破綻しています。肝心の六ケ所再処理工場そのものが、これまでに二十三回も失敗するなど、まさに八方塞がりではありませんか。政府はこのことをはっきりと認め、核燃料サイクルから直ちに撤退すべきです。

 反対理由の第二は、今後の再処理事業や関連事業にかかる費用の全体像を国民に示さないまま、将来発生する使用済み燃料の再処理に加え、MOX燃料加工工場の運転や解体費まで、電気料金という形で国民にツケを回そうとするものだからです。

 六ケ所村の再処理工場はたび重なる竣工延期に伴い、施設の建設工事だけでも当初見込みの約三倍にまで膨れ上がっています。再処理事業そのものの実現の見通しはついておらず、事業費が当初の見込みから増大することは明らかです。

 ところが、政府は質疑の中でも、再処理事業やその関連事業の総事業費の全容を明らかにしませんでした。際限ない国民負担を強いるものであり、到底容認できません。

 なお、自民党、民進党、公明党、おおさか維新の会提出の修正案は、これまで述べた法案の問題点を解決するものではないため、賛同できません。

 今政治がやるべきは、核燃料サイクルの土台である日米原子力協定をきっぱりと廃棄するとともに、原発ゼロの日本を願う国民世論に応えて、原発から撤退する道を決断すべきであることを最後に指摘し、反対討論といたします。(拍手)

高木委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより採決に入ります。

 内閣提出、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。

 まず、山際大志郎さん外三名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決いたしました修正部分を除く原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、山際大志郎さん外二名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。本村賢太郎さん。

本村(賢)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 核燃料サイクル政策は、今後の原子力発電所の稼働量、再処理施設の稼働時期、技術革新、国際情勢等と密接に関係しており、事業期間も長期にわたるため、将来の状況の変化に適切に対応できるよう柔軟性を確保すること。そのため、将来的に状況が変化し、政策の見直しが必要となるような場合には、政府は責任を持って、本法律案についても見直しを検討し、必要な措置を講じること。

   また、本法附則第十六条の規定に基づく見直しに当たっては、政府答弁や附帯決議を踏まえて行うこと。

 二 核燃料サイクル政策の将来における幅広い選択肢を確保する観点、さらに、すでに発生している研究炉の使用済燃料や福島第一原子力発電所の使用済燃料対策の観点から、使用済燃料の直接処分や暫定保管を可能とするための技術開発や必要な措置など、多様なオプションの検討を進めること。

 三 プルトニウムの需給バランスに関して、「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を堅持するとともに、政府は原子力事業者に対して、この原則を認識したうえで再処理事業を実施するよう指導し、仮にこの方針に反する再処理等事業の実施中期計画を認可法人が策定した場合には、経済産業大臣はこれを認可しないものとすること。

 四 認可法人が策定する再処理等事業の実施中期計画を経済産業大臣が認可する際には、原子力の平和利用やプルトニウムの需給バランス確保の観点から、原子力委員会の意見を聴くものとし、その意見を十分に斟酌して認可の適否を判断するものとすること。

 五 再処理事業が及ぼす影響は、地域振興から国際安全保障に至るまで幅広いため、事業の推進に際しては、事業を総合的・大局的な観点から評価する仕組みを構築すること。

 六 使用済燃料の貯蔵能力の強化や高レベル放射性廃棄物の最終処分地の選定を巡る課題の解決に向け、国がその責任と役割をより一層明確にしながら的確に対応すること。

   また、使用済燃料の安全な貯蔵は、短期的のみならず、中長期的にも必要なものであり、政府の積極的かつ責任ある関与のもと、乾式貯蔵施設等による中間貯蔵能力の拡大を進めるものとすること。

 七 使用済燃料の再処理等を進めるに当たっては、青森県、六ケ所村など立地自治体等関係者の理解と協力が不可欠であることに鑑み、今後とも再処理事業について、これら立地自治体等関係者との信頼関係の下で、円滑かつ連携して進められるよう留意すること。

 八 安全確保を大前提に、再処理等事業を適切かつ効率的に進めていくためには、これまで蓄積されてきた再処理等に係る人材・技術等を散逸させることなく最大限に活用することが不可欠であることを踏まえ、再処理等の現業を担う再処理事業者に対する使用済燃料再処理機構による管理・監督等に当たっては、適切な安全管理や民間企業の活力発揮を損なうことのないよう留意すること。また、従事者の雇用の安定や人材の確保・育成、関連技術・技能の継承に努めるとともに、憲法並びに労働基準法に基づく労使自治を尊重するものとすること。

 九 我が国の核燃料サイクル政策の推進に責任を有する国は、その責任を果たすため、電力小売全面自由化により競争が進展し、また原子力依存度が低減していく中においても、認可法人が使用済燃料の再処理等を適正に実施できるよう、適切に関与すること。その際、我が国のエネルギー政策と整合して一体的に推進されるよう、認可法人に対し十分な指導監督を行うこと。

 十 電力システム改革以降の競争の進展や原子力依存度の低減など新たな環境下においても、原子力事業者が、必要な人材・技術を維持しながら、今後国内において増加する廃炉の安全かつ確実な実施や新規制基準への対応、使用済燃料の処理、地球温暖化対策及び電力安定供給への貢献等の課題への適切な対処が可能となるよう、事業環境の整備について、今般の制度的対応を進めることと並行して検討を行い、必要な措置を講ずること。

   特に、原子力損害賠償制度について、原子力損害賠償支援機構法附帯決議並びに改正電気事業法(第三弾)附帯決議等を踏まえ、電力小売全面自由化により小売事業者間競争が進展する中における国と事業者の責任分担や発災事業者とその他の原子力事業者との間の負担の在り方等を含め、速やかに検討を行い必要な措置を講ずること。

 十一 過去に発生した使用済燃料の再処理等に要する費用については、再処理等の適正な実施が図られるよう検討し、その積算に係る具体的な考え方を明らかにするとともに、適時その検証を行うこと。

   なお、原子力事業者における事業環境の変化等の個別事情も十分踏まえて、納付方法の変更等に可能な限り柔軟に対応すること。

   また、経済産業大臣の認可を要する認可法人の設立にあたり必要となる事業計画書の記載事項については、使用済燃料の再処理等の実施及び拠出金の収納等の業務に関する事項のほか、財務に関する事項及び安全対策に関する事項を含めること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立多数。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、林経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林経済産業大臣。

林国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

高木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時四十五分散会


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