衆議院

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第12号 平成28年5月20日(金曜日)

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平成二十八年五月二十日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 高木美智代君

   理事 神山 佐市君 理事 佐々木 紀君

   理事 佐藤ゆかり君 理事 田中 良生君

   理事 山際大志郎君 理事 伴野  豊君

   理事 升田世喜男君 理事 富田 茂之君

      井野 俊郎君    石川 昭政君

      尾身 朝子君    大見  正君

      岡下 昌平君    梶山 弘志君

      勝俣 孝明君    塩谷  立君

      関  芳弘君    平  将明君

      武部  新君    武村 展英君

      寺田  稔君    冨樫 博之君

      野中  厚君    福田 達夫君

      星野 剛士君    前川  恵君

      三原 朝彦君    宮川 典子君

      宮崎 政久君    八木 哲也君

      井出 庸生君    大畠 章宏君

      落合 貴之君    近藤 洋介君

      田嶋  要君    中根 康浩君

      本村賢太郎君    中野 洋昌君

      藤野 保史君    真島 省三君

      木下 智彦君

    …………………………………

   経済産業大臣       林  幹雄君

   経済産業大臣政務官    星野 剛士君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官)            齋藤 通雄君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房審議官)           浅田 和伸君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           浜谷 浩樹君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           保坂  伸君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           中山 隆志君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房審議官)           黒澤 利武君

   政府参考人

   (経済産業省産業技術環境局長)          井上 宏司君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局長)            糟谷 敏秀君

   政府参考人

   (経済産業省商務情報政策局長)          安藤 久佳君

   政府参考人

   (中小企業庁長官)    豊永 厚志君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            木村 陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            土井 良治君

   経済産業委員会専門員   木下 一吉君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十日

 辞任         補欠選任

  穴見 陽一君     井野 俊郎君

  宮崎 政久君     前川  恵君

  山口  壯君     武部  新君

  篠原  孝君     井出 庸生君

同日

 辞任         補欠選任

  井野 俊郎君     宮川 典子君

  武部  新君     山口  壯君

  前川  恵君     宮崎 政久君

  井出 庸生君     篠原  孝君

同日

 辞任         補欠選任

  宮川 典子君     穴見 陽一君

    ―――――――――――――

五月十六日

 直ちに原発ゼロを求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第二〇七七号)

 原発再稼働をやめ、再生可能エネルギー中心の社会への転換を求めることに関する請願(本村伸子君紹介)(第二〇七八号)

同月十八日

 原発からの速やかな撤退に関する請願(畑野君枝君紹介)(第二一七一号)

 脱原発を実現し、自然エネルギー中心の社会を求めることに関する請願(畑野君枝君紹介)(第二一七二号)

 即時原発ゼロを求めることに関する請願(斉藤和子君紹介)(第二一七三号)

 同(志位和夫君紹介)(第二一七四号)

 同(畑野君枝君紹介)(第二一七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四六号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――

高木委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局参事官齋藤通雄さん、文部科学省大臣官房審議官浅田和伸さん、厚生労働省大臣官房審議官浜谷浩樹さん、経済産業省大臣官房審議官保坂伸さん、経済産業省大臣官房審議官中山隆志さん、経済産業省大臣官房審議官黒澤利武さん、経済産業省産業技術環境局長井上宏司さん、経済産業省製造産業局長糟谷敏秀さん、経済産業省商務情報政策局長安藤久佳さん、中小企業庁長官豊永厚志さん、中小企業庁事業環境部長木村陽一さん及び中小企業庁経営支援部長土井良治さんの出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。尾身朝子さん。

尾身委員 おはようございます。自由民主党の尾身朝子でございます。

 きょうは、質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。

 質問の前に、先月発生した熊本地震により犠牲となられた皆様に深く哀悼の意を表するとともに、被災された方々、その御家族、関係者の皆様に心よりお見舞い申し上げます。被災地の一刻も早い復旧を心からお祈り申し上げます。

 この地震では、多くの中小企業の皆様が被災されました。この方々が、困難を乗り越え、安心して事業を継続していけるよう、しっかりとした支援を政府に強く要請いたします。

 中小企業は、特に地方では雇用の大半を担うなど、地域の経済を支える非常に重要な存在です。また、規模が小さいがゆえに従業員一人一人まで目が届きやすく、子育てで仕事を離れた女性が再就職をする際の受け皿になるなど、多様な働き方を受け入れている存在でもあります。

 しかしながら、地域の中小企業を取り巻く状況は大変厳しいと思います。私の地元、群馬県の経営者のお話を伺うと、アベノミクスの好景気の実感が余りない、いわゆるのれんと言われる老舗の事業者が廃業に追い込まれているケースがあるといった声を多く聞きます。地域を代表するような老舗企業にはいわゆる中堅企業が多いのですが、こうした企業への支援が不十分ではないかという指摘もあります。

 それでは、質問に入ります。

 先般、大臣より趣旨説明があった中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案についてお伺いします。

 まず最初に、この法案の目的について御説明ください。また、今回、法律の名称を中小企業等経営強化法案に変更するということですが、法案の名称を変更することの意味について、あわせてお聞かせください。

林国務大臣 本法案は、地域経済を支える中小企業等の経営力を向上して生産性を高める、こういうことで収益を確保して、経済の好循環を確かなものにするというためのものでございます。

 具体的には、小売業、運送業、製造業といった業種ごとに所管の大臣が指針を示して、これに沿った取り組みを行う中小企業等を支援するということでございます。

 今回新たに措置する内容は、これまでの新事業の支援にとどまらず、本業の成長をも目指すものでございまして、これまでの施策より幅広い取り組みを促すものとなっております。

 また、中小企業基本法上の中小企業に加えまして、地域経済の中核的な企業等のいわゆる中堅クラスの事業者も本法案の対象に加えることとしております。

 このように、支援する取り組みが本業の成長まで拡大すること、そして、計画認定の対象が中小企業、小規模事業者だけでなく中堅クラスの事業者に拡大する、そういうことから、法の題名を中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律から中小企業等経営強化法に改めることとしたものでございます。

尾身委員 ありがとうございました。

 本業をしっかりと支援していただくということ、それから対象範囲が広がったということは大変心強く思います。

 では、この法案により、中小企業などはどのようなプロセスを踏んで、どのようなメリットを享受することができるのでしょうか。大臣、具体的にお聞かせください。

林国務大臣 中小企業等は、政府が小売業、運送業といった業種別に示した経営力向上の指針に沿って、自社の経営状況の分析や経営力向上に向けた取り組みを計画として定めることになっておりまして、この計画を業種ごとの担当大臣に申請して、計画認定を受けた方は固定資産税の軽減や金融上の支援を受けることができるわけでございます。特に、固定資産税の軽減は大きな効果が期待されるんじゃないかというふうに考えております。

 中小企業、小規模事業者の経営力の向上には積極的な設備投資が有効でございます。しかし、黒字法人を対象とした法人税減税等では、中小企業の七割を占める赤字法人の投資を後押しすることはできません。赤字法人であっても負担しなければならない固定資産税の軽減措置は、赤字法人を含む幅広い中小企業の投資を促進することができると考えます。

 さらに、法律に基づく措置に加えまして、補助金や融資などの関連施策を活用して、経営力向上の取り組みを後押ししていくことも検討してまいりたいと思います。

尾身委員 御答弁ありがとうございました。

 今回の施策の対象が、中小企業、小規模事業者、中堅企業に拡大されたことは、大変画期的であり、高く評価したいと思います。

 一方で、今お話がございましたとおり、経営力向上計画というものを作成する必要がありますけれども、日々多忙な事業者の皆様たちが経営力向上計画を作成するというのは大変なことではないかというふうに思います。非常にハードルが高いと感じる方も多いのではないでしょうか。

 この取り組みを促進するためには、きめ細やかな支援が欠かせません。政府としてどのような支援策をお考えでしょうか。具体的にお聞かせください。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 本法案に基づく経営力向上は、本業の成長に着目したものでありまして、幅広い規模の中小企業者、小規模事業者の取り組みが期待されてございます。

 このため、経営力向上計画を小規模事業者を含めた多くの事業者にとって利用しやすいものにすること、また、経営者による計画策定を支援機関がしっかりとサポートするということが重要であろうと考えてございます。

 まず、政府が示します経営力向上の指針におきまして、小規模事業者にも容易に取り組める手法を示しますとともに、計画の認定に当たりましては、それぞれの事業者が経営体力の中でできる範囲で行う取り組みに柔軟に配慮するということが大事だと思いますし、加えて、手続的にも極力簡素なものにするということが肝要だと考えてございます。

 また、日々多用な経営者に計画策定に取り組んでいただけるよう、金融機関を初め、商工会議所、商工会、中小企業診断士が認定支援機関としてサポートをしっかり行っていただくことを期待してございます。

 とりわけ金融機関でございますけれども、中小企業にとって身近な存在でございますし、また、自身の経営にとってもプラスになろうかというふうに考えますので、親身なアドバイスを期待してございます。

尾身委員 ありがとうございました。

 金融機関等も巻き込んだ支援体制をとっていただけるということ、大変心強く思います。この趣旨に沿って、この法案が十分な実効を上げることを期待したいと思います。

 さて、次に、下請企業の取引条件の改善についてお伺いいたします。

 地方の中小企業、小規模事業者の皆さんからは、いまだ、エネルギーや原材料コストの高騰を価格に転嫁できないとの声が聞かれています。自民党の下請対策に関する小委員会でも、仮に親事業者から不公正な取引条件を押しつけられていても、取引が打ち切られてしまうことを心配してなかなか言い出せない、不安でアンケートにも正直に答えられないという声が多く聞かれました。

 このような中で、下請企業の取引条件の改善に向けては、これまで以上にきめ細かく実態を把握し、その実態を踏まえて追加的な対策を講じていくべきだと考えます。

 政府はこの点についてどのように取り組んでいくのか、お考えをお聞かせください。

星野大臣政務官 尾身委員に御回答させていただきたいと思います。

 これまでも、下請代金法に基づいて年間二十万件以上の書面調査を行うなど、実態把握に努めてきたところでございます。しかしながら、御指摘のとおり、取引への影響を心配して、不当な取引条件に直面しても言い出すことができない実態もあることは、極めて深く認識をしております。

 そのため、昨年十二月から行った調査では、アンケート形式の調査だけでなく、秘密保持を前提として、全国の中小企業、製造業等で百九十一社を経済産業省の職員が直接訪問することで、きめ細かな実態把握に努めてまいりました。

 これらの調査では、中小企業側から、代表的なものを三点御紹介させていただきますが、一点目、合理的な説明のない一律の原価低減要請を受けた、二点目、電気料金、原材料価格などの高騰分を転嫁できない、三点目、型の保管や廃棄などに関し、発注者が費用を負担しないなどの声が聞かれてまいりました。

 こうした実態を踏まえて、個別の法令違反行為に厳正に対処する方法だけでなく、中小企業の厳しい実情や悩みの声を政府からしっかりと親企業に対して伝えることが改めて重要だと認識をしております。

 このため、実態調査を踏まえた新たな取り組みとして、四月から、自動車関連産業、建設業の大企業に対しても、調達方針や取引適正化について個別に聴取をするとともに、政労使合意の趣旨を踏まえた対応を促しております。

 今後、代表的な不適正行為を示したパンフレットを作成いたしまして、親事業者の調達担当者レベルにまでしっかりと周知徹底をしていく考えでございます。

 私自身も実際に企業から聞いておりますけれども、例えば一つの会社では、型を保管しておきなさいということを言われている、だけれども、その保管代は出してもらえていない、しかも、ロットが小さい二十個ぐらいの部品をあしたまでに納入してくれと言われると、金型の企業なんですが、金型を取りかえなきゃいけない、ラインをとめなきゃいけない、あげくの果てに、その二十個の小ロットの価格は大量生産したときの価格のままだと。物すごい費用負担になりますし、ラインをとめることになると思っています。こういう実態は極めて深く経済産業省としても認識をしております。

 今後とも、立場の弱い下請事業者の声にしっかりと耳を傾けながら、結果が出ていかなければ意味がありませんから、結果を出す、下請対策に万全を期してまいりたいと考えております。

尾身委員 ありがとうございました。

 下請事業者の取引条件の改善については、今力強いお言葉をいただきました。引き続き、しっかりと実態を把握した上で、着実に取り組んでいただきますように重ねてお願い申し上げます。

 次に、事業承継についてお伺いいたします。

 我が国の中小企業数はこの十五年で百万社も減少しました。地域経済を支える中小企業の事業承継の問題は極めて深刻です。中小企業が事業承継できず廃業に追い込まれれば、雇用はもとより、すぐれた技術やノウハウが失われ、我が国の経済にとって大きな損失となります。

 非上場株式の相続税、贈与税の負担軽減を図る事業承継税制の中の相続税の納税猶予は、発行済み議決権数の三分の二の八〇%、つまり五三・三三%にしか適用されないなど、まだまだ改善の余地があるとの意見も聞いています。

 平成二十七年一月から拡充されて利用実績が上がっていると言われていますが、農地等納税猶予制度の利用実態が平成二十五年で被相続人千六百四十四人だったことに比べると、まだまだ利用は少ないと思います。中小企業の減少を食いとめるためには抜本的な見直しが必要です。

 そこで、お伺いいたします。中小企業の事業承継を円滑にするための課題と、今後の施策の方向性についてお聞かせください。

木村政府参考人 中小企業の事業承継でございますけれども、まず、御指摘の事業承継税制でございますが、使い勝手をよくするための要件緩和を実は行っておりまして、平成二十七年一月から施行してございます。

 緩和後の平成二十七年の認定件数でございますけれども、大体四百二十件程度ということで、見直し前と比較いたしまして約二・六倍に増加をしてございます。税制改正の効果が一定程度出てきているのかなというふうには認識をしておるところでございます。

 他方、税制の利用状況はまだまだ少ないという御指摘がございます。やはり、認知度自身が必ずしも高くないということもございますし、それから、そもそもの株式の評価が大企業の株価に連動しておる点、あるいは、人手不足の中で、税制の雇用要件というのがございますけれども、これがハードルとなっているとか、そもそも後継者難であるというようなことがあろうかと思います。

 このため、取引相場のない株式の評価方法につきましては、中小企業の実態をしっかり反映した評価となるように検討を行っておりますし、また、中小企業の人材確保を支援するための合同企業説明会でございますとか、あるいは、後継者不在に直面している事業者に対しましては、事業引継ぎ支援センターを設置してございまして、後継者のマッチングの支援といったことを行っております。

 引き続き、税制の施行状況等を踏まえまして、しっかりとした制度の運用あるいは改善に取り組んでまいりたいと考えてございます。

尾身委員 ありがとうございました。

 平成二十七年、我が国経済は、経常利益が過去最高水準を記録し、企業の収益拡大が雇用環境の改善や賃金の上昇につながるという経済の好循環が動き始めるなど、総じて言えば緩やかな回復を続けています。他方で、中小企業においては、売り上げの伸び悩み、設備の老朽化、人材不足等の課題に直面し、アベノミクスの恩恵を感じにくい状況にあります。

 我が国の九九・七%を占める中小企業の経営者の皆様がより景気回復を実感していただけるよう、これからも中小企業対策をしっかりととっていただきますことを改めてお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、中野洋昌さん。

中野委員 公明党の中野洋昌でございます。通告に従いまして質問をさせていただきます。

 地元で中小企業の皆様のお声を伺ってまいりますと、やはり景気の回復、これをとにかく望む声が大変に強いわけであります。大企業を中心に非常に利益が上がっているといっても、なかなか中小企業は元気になっていかない、何とかしてほしい、こういう切実なお声が上がっております。

 先ほどもお話ありました、日本の企業の九九%以上は中小企業でございまして、ここが経営を強化する、生産力が上がっていく、こういうところがこれから日本経済を元気にしていくための鍵なのではないかなと思っております。そのための今回の中小企業等経営強化法、極めて重要な法改正である、このように考えております。

 今回、この法律が仮に成立をした後、事業分野別にいろいろな指針が作成をされる、あるいは、各企業がそれを受けて経営力の向上の計画をつくる、それの認定を受ければいろいろな支援措置が受けられる。今回、固定資産税の減免もございます。大変重要な支援措置であるというふうに考えております。

 私が冒頭まずお伺いをしたいのが、仮に成立をすればということでありますけれども、この後の具体的な施行に向けてのスケジュール感というか、どのくらいの期間で大体どのようなものが出されていって、具体的に企業はいつごろどうしていけばいいのか、こういうところをぜひお伺いしたいと思っております。

 この経営力向上計画、恐らくかなり多くの企業が申請を上げてくるのではないかということを考えておりまして、各省でそれぞれ担当のところが認可をするというふうにも聞いておるんですけれども、かなりの件数でございますので、スムーズに支援措置が受けられるようにしないといけないし、それぞれの中小企業にとっても、何か、どこに相談してどうしていけばこれが進めていけるのか、こういうのがよくわからないから余り使えない、こういうことになってはいけないわけでございまして、施行の体制をしっかり準備しておく、これはかなり大事なことだというふうに思います。

 これら施行のスケジュールやあるいはそういう施行の体制について、まず冒頭お伺いをしたいというふうに思います。

林国務大臣 中野議員御指摘のとおり、固定資産税の減税を初めとする支援策、これはより多くの中小企業、小規模事業者の皆様に御活用いただくことが重要、大事でございます。法律上は、公布後三カ月以内に施行することと定められておりますが、固定資産税の減税は、法律の施行後に新たに購入した機械及び設備、装置が対象となっていることから、政府としては、公布後三カ月を待たずに、できる限り早い施行を目指したいと考えています。

 また、中小企業者は、基本方針または事業分野別指針に基づいて経営力向上計画を作成しまして、事業を所管する大臣に申請するということになっております。施行後すぐに申請を行うことができるよう、厚生労働省、農林水産省あるいは国土交通省等の関係省庁と連携しつつ、基本方針や主要な分野の事業分野別指針を速やかに公表することとしたいと思っております。

 加えて、中小企業者が円滑に申請を行うことができるよう、申請書の作成や手続に当たって、疑問に答える専用電話の設置、あるいはまた各省庁における施行体制の整備をしっかりと行ってまいります。

中野委員 今までも中小企業を応援するいろいろな仕組みをつくってきたんですけれども、現場で何をしたらいいのかわからないとか書類をつくるのが大変だとか、実は少しの工夫で簡単に乗り越えられる、いろいろな準備さえすればやってくれるけれども、なかなかそれが伝わらないような場面も今まであったわけでございます。大変大事な支援であると思いますので、万全の準備を図っていただきたい、このように冒頭お願い申し上げます。

 続きまして、資金繰りの関連について、ちょっと一点お伺いをしたいと思います。

 地元の中小企業でも、資金繰りの関係でいろいろなお声があります。私がよく伺うのは、個人保証の問題でございます。二代目に引き継ごうと思うんだけれども、やはり個人保証をしないといけない、そういう意味でなかなか引き受け手がない、こういうことも聞いたことがございます。

 また、事業で新しく展開をしたい、起業したい、いろいろな資金の需要というものはあるんですけれども、いざお金を借りるとなるとこれがないと貸してくれないですとか、やはりこれが非常に重荷になっている、負担になっているというお声を伺います。

 政府としても、こうした課題は十分に認識をされていると思っております。経営者保証のガイドラインですとかさまざまなものを、個人保証を求めないというようなものも策定をされておりますけれども、ただ、まだまだ実態としてはこれが求められている、また、こういうものがないと融資が受けられない、こういう状況がまだ現状としては多いのではないか、これをしっかり改善していくべきではないか、このような認識を持っておりますけれども、政府の御答弁を求めたいと思います。

齋藤政府参考人 お答えを申し上げます。

 私ども金融庁といたしましても、金融機関が融資を行うに当たりましては、担保や個人保証に過度に依存せず、取引先企業の事業内容あるいは成長可能性といったものを適切に評価して融資を行っていただくことが重要である、これが私どもの基本的な考え方でございます。

 そういう意味では、議員御指摘ございました経営者保証ガイドラインというようなもの、これが融資慣行として浸透、定着していくことが極めて重要であるというふうに考えておりまして、これを金融機関に促してきているというところでございます。

中野委員 金融庁の答弁、非常に簡潔でありました。しっかり促していくという答弁でありましたけれども、実際にどういう結果になっているのか、結果もしっかりと認識をしていただいて、まだまだ個人保証がない融資というのは割合としても非常に低いというふうに、たしか一割台ぐらいだと聞いておりますので、しっかり数字としても結果が出ていくような取り組みを進めていただきたいと要請申し上げます。

 続きまして、下請取引の関係で質問をさせていただきます。

 中小企業は、取引先の大企業に対してさまざま、いろいろな要請があって、これが私は少し行き過ぎている部分もあるのではないか、こういう実態もあるのではないかと思っております。

 例えば、中小企業が今海外に進出をしていく、こういうこともいろいろございますけれども、よく聞くケースとして、大企業が、発注した機械製品の納入とあわせて図面も出してほしい、こういうことで図面を入手して、海外の安いところでこれをさらにつくらせる、海外はこんなに安くできる、では、あなたのところも安くやりなさい、こういうような事案も聞くわけでございます。

 これはいわゆる知的財産権の侵害にも当たるのではないかというふうにも考えておりますし、こうした不当な形で技術を吸い上げていく、こういう企業に対しては、やはり公正取引委員会の対応も含めてしっかりと措置を講じないといけない、このように私は思うんですけれども、経済産業省としてこの問題をどのように認識されてどう対応されていくのか、答弁いただきたいと思います。

星野大臣政務官 中野委員にお答え申し上げます。

 まさに委員御指摘のとおり、技術やノウハウ等の吸い上げについては、経済産業省としても課題があるものと認識をしております。

 具体的には、最近実施した調査においても、工程監査によって、型やさまざまなものの図面、工程表などの開示を強要され、技術、ノウハウの流出が懸念されるといった声を実際に聞いております。

 親事業者が優越的地位を濫用して、契約の対象でない図面や設計データ等を無償で下請事業者に提供させるような行為は、下請代金法で明確に禁止をしている不当な経済上の利益提供要請や買いたたきに該当するおそれがあります。

 経済産業省としても、法令違反が確認された場合には、立入検査や改善指導などの厳正な対処をしているところであります。しかしながら、下請事業者は、法令違反行為に直面しても、取引上の影響を心配してその事実を申告しがたい実態もございます。

 このため、業界団体や親事業者に対して適正取引や法令遵守を求め、違反行為の未然防止を図っていくことも重要だと考えております。

 具体的には、自動車産業や素材産業などの業種別の下請取引ガイドラインにおいて、法令違反の具体例とともに、問題を生じさせないための望ましい取引慣行を提示いたしまして、親事業者に対して周知をしているところでございます。

 今後、御指摘の事案を含め、代表的な不適正行為を示したパンフレットを今作成しております、それを親事業者の調達担当レベルまで周知徹底していくことが重要だというふうに思っております。

 一番苦慮しておりますのは、先ほど委員もおっしゃっていただいたように、密室でやるわけですね。なかなか下請業者の方はそれを報告しにくい、圧倒的に親事業者の方が立場が上なわけでありますから。ここの密室性を起こさないように親事業者の担当者がしっかりと認識をしておかないと、こういうことが繰り返されるということになりますので、そのことをしっかりと担当者レベルまで徹底周知していくことが極めて重要だというふうに考えております。

 さまざまな機会を捉えてさらなる実態把握に努め、問題の解決に向けて、結果を出していかなきゃ意味がありませんから、しっかりと取り組んでまいりたいと思っております。

中野委員 ありがとうございます。

 星野政務官から、結果を出さないと意味がない、大変力強い御答弁をいただきました。まさに、私もそのとおりだというふうに思っております。

 この問題にかかわらず、やはり元請と下請の関係というのは、力関係という意味でも大変に厳しいものがございまして、いろいろな場面でやはり下請取引のやり方は不適切なのではないか、こういう事例が多々あるわけでございます。しっかりと政府としても把握をしていただいて、それを大企業、元請にこれはだめだということでしっかりと周知をしていただく、ぜひお願いをしたいというふうに思います。

 最後に、一問質問させていただきたいのが、先ほど来申し上げてきた下請取引の適正化をしっかり進めておりますということを私もいろいろな場面で話させていただくんですけれども、この下請取引の間で、実は私たちの立場は抜けているんじゃないですかというふうに言われたことがありまして、それは何かといいますと、フランチャイズの関係でございます。

 例えば、コンビニの店長さんとかが典型的だと思うんですけれども、確かに取引先という意味では、元請、下請という関係かと言われると、フランチャイズというのはフランチャイザーとフランチャイジーということで、恐らく下請取引という概念には入ってこないのではないかなというふうには思うんです。しかし、力関係という意味では圧倒的にやはりフランチャイザーの方が強いということで、いろいろなオーナーさんとかも負担がいろいろ大変なんだ、こういうお話も伺うわけでございます。

 こうしたものに対する対策というのは、確かに、お話を伺うと、私も、現段階でこれはやはり少し抜け落ちているのではないか、こういう思いも持ったわけでございますけれども、今どういう仕組みがあって、もし不適切な事案があった場合、どういう取り組みでこういうものを改善していくのか、こういうことについて最後に答弁を求めたいと思います。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、フランチャイズ契約は独立した事業者間の契約ではございますけれども、加盟店と比べ規模が大きい本部の方は、加盟店との間で公正な取引を確保するには一定の配慮が必要だろうと思います。

 具体的には、二つの法律のもとで規制をしております。一つは、中小小売商業振興法におきまして、本部における契約前のロイヤリティーの算定方法などの事前情報開示規制を行っております。それから次は、独占禁止法でございますけれども、契約後において不公正な取引が行われる場合には、事業者などからの申告をもとに、公正取引委員会が調査し、排除措置命令等の措置がとられるなど、独占禁止法違反への対処が行われております。

 今後とも、こうした取り組みを着実に進めまして、加盟店の振興等に努めてまいりたいというふうに思っています。

中野委員 以上で終わらせていただきますけれども、繰り返しになりますけれども、中小企業が元気になることがやはり日本経済復活の大きな鍵でございますので、ぜひとも、しっかりと法律を成立させていただいて、中小企業の応援をさらに進めてまいりたい、このような決意を申し上げまして、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

高木委員長 次に、中根康浩さん。

中根(康)委員 おはようございます。民進党の中根康浩でございます。

 この法案、最終的には私どもも賛成をしていきたいという思いの中で、きょう質疑に参画をさせていただいておりますけれども、今までの与党の二人の先生方の御質問に対する大臣の御答弁を聞いても、例えば、一番わかりやすいところは、赤字法人であっても負担をしなければならない固定資産税を軽減するということは、中小企業の経営にとって大変寄与するところである、こういう御趣旨の御答弁があったわけでありまして、これは、前国会に引き続いてこの国会においても民進党から提出をさせていただいている、中小企業に対する社会保険料の軽減法案と我々が申し上げているものの趣旨を十分酌み取っていただいた法案の内容であるというふうにも受けとめさせていただいております。

 ただ、なぜ固定資産税だけであって、我々が主張している社会保険料については軽減対象にしてくれなかったのか。固定資産税を軽減するということは、相当総務省ともやりとりがあって、今回、三年間だけということになっていますよね。つまりは、三年後にもしかしたらなくなってしまうかもしれない、総務省が、自治体の税収が減ってしまったら、この政策はだめだと抵抗を強めかねない、こういうことでありますけれども、私どもが提出している社会保険料の軽減法案は、ほかの省庁には何ら影響を与えない。中小企業庁や経産省の中だけで完結できる法案であって、しかも、それがあまねく社会にいろいろと好影響を及ぼす。これは、この後るる申し上げてまいりたいと思っております。

 なぜ、社会保険料は軽減の対象にしてもらえなかったのか。民進党が言っているからだめなんだということではなくて、ぜひ、この後申し上げますが、中小企業憲章に、中小企業の立場に立って考える、政策づくりをするということでいえば、虚心坦懐に必要なことをやっていただくということが必要であったのではないか、こういうことを冒頭申し上げておきたいと思います。

 大臣、まず初めに、中小企業において正社員雇用がふえるとどのようなメリットがあるとお考えになられますか。御答弁をお願いしたいと思います。

林国務大臣 中小企業において正社員がふえるということのメリットといたしまして、まず、社員が定着することで採用の悩みから解放されるわけでございますし、働く人の動機づけになります。そして結果的に、商品やサービスの向上につながりまして業績の向上につながり得るというふうに思いまして、そういった点が指摘されるところでございます。

 また、中小企業の現場の声としても、例えば職人を多数雇用する企業において、日雇いで雇用していた若手の技能者全員を正規雇用化したところ、まず熟練技能者から若手の技能者への技能の伝承が可能となりまして、後継者問題が解消したというのがあります。それから、若手の技能者が重要な職場を任せられまして、責任感が強くなって、品質管理が徹底され、技術も向上したといった声もあるというふうに聞いております。

 いずれにしても、従業員の正社員化は中小企業側にもメリットがあるというふうに考えております。

中根(康)委員 いいことばかりですよね。まさに、中小企業の経営力強化に資する、正社員をふやすということが。

 では、中小企業で働く人にとって、今まで失業中だった人が正社員として雇われた、あるいは非正規で働いていた人が正社員になった、こういった場合に、働く人たちのライフスタイルにおいてどのような変化が生じると思われるか、大臣、改めて御答弁いただきたいと思います。

星野大臣政務官 中根委員にお答えいたします。

 働き方の多様化が進む中で、各自のライフスタイルに合った形で働ける場が提供されることが重要であると考えております。

 厚生労働省が平成二十六年度に正規労働、非正規労働の職場の満足度について調査を行ったところ、仕事の内容、やりがいについては、正規労働、非正規労働を通じて差がありませんでした。雇用の安定性、福利厚生、賃金等では正規労働の方が満足度が高く、逆に、労働時間、休日等の労働条件では非正規労働の方が高かったというアンケートが出ております。

 こうしたことから、非正規労働者が正規労働に変わることで、労働時間、休日等の労働条件について満足度が下がる一方、雇用の安定性、福利厚生、賃金等については満足度が上がるという結果が出てきております。

中根(康)委員 その程度じゃないんですよ。もっともっといいことがいっぱいあるんです。これは、正社員化して生活が安定して将来見通しが立てば若者が結婚できる、そして、結婚すれば、少子化対策というか子供を産み育む環境が整う、子供がふえれば社会の活力につながる。失業中だった人が、あるいは非正規だった人が正社員として働くようになれば、社会全体にもっともっと大きなメリットが生まれてくるということをぜひ経産省も御認識いただきたいというふうに思います。

 それでは、三問目なんですが、今のお話とつながるところなんですが、中小企業において正社員雇用がふえると、税収とか社会保険料収入はどうなりますか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 厚生労働省の賃金構造基本統計調査というものがございまして、それによりますと、中小企業に相当します従業員数が十人から九十九人の企業における正規労働の従業員の賃金水準は月収二十七万三千円、非正規労働の従業員の賃金水準が十九万六千円となってございます。両者の賃金水準に差があるのは事実でございます。

 このため、単純に、非正規労働の従業員が正規労働に転換し実際にも給与が増加したとすれば、所得税や住民税などの税収は増加することが見込まれ、また、社会保険料は賃金水準に比例して増加しますから、社会保険料の増加が見込まれるということになります。

 一方、業績の改善がないままに賃金または人件費だけが上昇することとなれば、中小企業の経営を圧迫するおそれがなしとしません。

 したがいまして、円滑な実現のためにも、企業の生産性の向上、収益の強化が求められると考えてございます。

中根(康)委員 正社員雇用がふえると、税収も上がるし社会保険料収入もふえると。

 つまりは、今お問い合わせを申し上げた三問、中小企業において正社員雇用がふえると、中小企業の経営力が強化される、働く人にとっても望ましいライフスタイルが求めやすくなる、それから、地域社会においても税収がふえる、社会保険料がふえる、国全体の活力にもつながると、いいことばかりですよね。いいことばかり。

 いいことばかりを実現する方法があるんですよ、ここに。ここにというのは、私どもが提案した中小企業社会保険料軽減法案なんですよ。これをやると、このいずれにおいても、いわゆるウイン・ウイン・ウインの関係を築くことができるということにつながるということでありますので、この国会で議員立法としては成立する見込みが少なくなったのかもしれませんけれども、これは経済産業省に、大臣に差し上げたいと思いますので、ぜひ次の国会では、今回の法案の改正法案、追加法案としてでも結構ですので、一度、国会休会中に御検討を賜りたいと思います。改めて、今回の私どもが提案した法案の必要性について、資料をもとに検討を加えていきたいと思います。

 お配りをした資料の一、二なんですけれども、これは中小企業憲章、線を引いてあるところ、「どんな問題も中小企業の立場で考えていく。」と書いてあります。つまりは、中小企業が求めていることを政策として具現化するということが宣言されているわけです。

 その右のページには、「中小企業は、国家の財産ともいうべき存在である。」と。したがって、中小企業の立場に立って考えていくということが大切だということ。

 それから、二の方には、「中小企業の声を聴き、どんな問題も中小企業の立場で考え、政策評価につなげる」と繰り返し明記をされておりますし、その下の方には、「中小企業の要諦は人材にある。」と。つまりは、先ほど大臣が最初に御答弁された正社員雇用をふやしていくということ、これも大切な中小企業の声であるということ。

 この中小企業憲章を改めて読み返していただければ、私どもが御提案を申し上げている法案の必要性が徐々にわかってきていただけるだろうと思います。

 徐々にというのは、まだまだ材料があるんです。

 資料の三、中小企業の人手不足の状況といえば、不足しているという企業が五〇%以上あるわけです。

 それから、資料の四、人手不足だとどのような影響があるかというと、売り上げ機会が逸失される、残業代、外注費のコストが増加し、利益が減少する、納期の長期化、遅延の発生が生じるという、人手不足による悪影響が示されているわけであります。

 資料の五は、働く側の人たちの意識なんですけれども、安定性や給与に力点を置くと、大企業に就職をするということになってしまって、なかなか中小企業が選択をされないということを示しております。

 資料の六から十は、平成十九年、ちょっと古いんですけれども、経済産業省自身が公的負担と企業行動に関するアンケート調査ということでお調べになった結果が、中間報告という形でありますけれども示されております。

 この中で、資料の八をごらんいただければ、全体の八三%の中小企業が法人税や社会保険料の負担が重いと考えておられる。御案内のとおり、社会保険料は、大臣も御答弁されたように、赤字であっても納めなくてはいけないという実情があるわけであります。

 資料の九は、現行の社会保険料負担が企業の国際競争力にも悪影響を与えているというものでございます。社会保険料負担が国際競争力に影響を与えていると、つまりこれは悪影響ですよね、答えた企業が六三%を占めているということを示しております。

 資料の十、社会保険料負担が中期的に増大した場合は、現状でも負担感が大きいのに、さらに、例えば厚生年金だとか協会けんぽの保険料が上がった場合に中小企業はどうするかということでありますけれども、製品、サービスの価格を引き上げる、あるいは賃金、雇用の調整、つまりは、これはさっきと逆に、正社員を非正規にしたり、あるいは場合によっては解雇したりというように、社会保険料が増大をすると、企業経営にもあるいは雇用にも悪影響をもたらすということが示されております。

 それから、資料の十一、これはみずほ総研の調査資料でありますけれども、中小企業が国に期待する支援策として要望が最も多いのは、社会保険料負担の軽減ということであります。グラフを見ていただければ、圧倒的にこの要望が大きいということがおわかりをいただけると思います。

 それから、資料の十二であります。これは、商工会議所がつくったものでありますが、右側の下のところをごらんいただければ、中小企業の求める支援策、社会保険料負担の軽減を求める割合が五五・五%と、これも断トツ一位ということになっているわけであります。

 それから、資料十三、これは衆議院の経済産業委員会で、小規模企業振興基本法とかあるいは商工会や商工会議所による小規模企業支援法の際につけられた附帯決議、一番左の方、下線を引いたところなんですけれども、「社会保険料が、小規模企業の経営に負担となっている現状があることに鑑み、小規模企業の事業の持続的発展を図るという観点に立ち、従業員の生活の安定も勘案しつつ、小規模企業の負担の軽減のためにより効果的な支援策の実現を図る」というふうに明記をされているわけでありまして、この委員会において、国会において議決をされているわけであります。

 それから、海外においても社会保険料の負担軽減を図る施策がとられているということを示している、一つは、資料の十四の、フランスにおける社会保険料負担の事業主軽減措置の例でございます。それから、資料の十五は、スペインにおける社会保険料の事業主軽減措置の例でございます。

 詳しくは言及をいたしませんけれども、このように、国内外において、中小企業の社会保険料の負担の軽減をするということが中小企業の経営に多大な寄与がなされるということを示しておりますし、冒頭申し上げましたように、中小企業憲章の精神からいっても、これだけ明確に中小企業から要望がある社会保険料の負担軽減を、政府として、政策としてやらない理由がない、やらなければならないのではないかというふうに考えるわけであります。

 中小企業は、こういったところからもわかるように、正社員を雇いたいと考えているけれども、それをちゅうちょさせている大きな理由の一つが、正社員をふやすと、赤字であっても社会保険料負担が重くなるということ。これは、中小企業憲章の立場に立って、中小企業の要望を受けとめて政策をつくるとすると、もちろん固定資産税の軽減も大切なことでありますけれども、それ以上に社会保険料負担の軽減ということが、今回、本来的にはなされるべきであったのではないかというふうに思います。

 中小企業の正社員雇用をふやすために、中小企業の社会保険料負担に対して何らかの支援をする必要があると、大臣、改めてお伺いいたしますが、お考えになりませんか。

星野大臣政務官 お答えいたします。

 多様な働き方が模索される中で、その要望に合った形で働く場が提供されることが重要であると考えております。

 政府では、ことし一月、厚生労働省において、不本意ながら非正規雇用となっている労働者の比率を平成三十二年度に一〇%以下にすることを目標とする正社員転換・待遇改善実現プランが策定をされております。

 経済産業省としても、非正規雇用で働く方々を正規化することは重要な課題であると考えておりまして、このための負担の軽減に資すべく、小規模企業持続化補助金において、社会保険に加入している事業所が新たに従業員を雇用する場合には、補助上限額を五十万円から百万円とする特例を設けるなどの支援を行っているところでございます。

 なお、社会保険料の負担に対する支援については、多額の費用を要するものと考えておりまして、慎重に検討すべきではないかと考えております。

 いずれにいたしましても、非正規雇用で働く方々を正規化するという重要な課題について、引き続き、厚生労働省とも連携をし、検討をしていきたいと考えております。

中根(康)委員 ワンショットの支援策じゃ中小企業は食いつかないんですよ。経営は持続的、長期的なものであるということでいえば、一回五十万円を支援したって、これは焼け石に水ということなんです。

 それと、社会保険料負担の軽減になぜ踏み込まないのか、こういうことなんですけれども、その理由として、多額の経費がかかるからという今政務官の御答弁であったわけなんですけれども、固定資産税の軽減だって、これは先ほども申し上げましたように、自治体の税収減ということになるわけなんですけれども、その意味では、総務省から恐らく一定の注文がついているんだろうと思います。

 では、多額の経費がかかるかというと、全然違うんですよ。むしろ、我々が提出した法案を実現すれば、返ってくるリターンの方が多いというか、さっき言ったように、税収もふえる。税収がふえるというのは、資料の最後にも添付してありますけれども、正社員がふえると所得税の税収がふえますよね。それから、それに伴って住民税の税収がふえますよね。それから、将来見通しが立って安定した生活が送れるようになれば、消費も活発になって消費の税収もふえますよね。

 そうすると、一番最後に資料を添付してありますので、ごらんいただければありがたいんですが、下の右側の十五年間の財政収支の試算を、我々、この法案における試算をさせていただきました。助成額は、確かに、十五年間で一兆八百五十億円と結構大きな数字のように見られますけれども、しかし、その後の法人税の減収というのは、社会保険料がふえて、その社会保険料は企業経営においては損金に算入されるものですから、法人税の減収ということにつながって、これはもう制度としてやむを得ないところなんですけれども、今申し上げましたように、消費税がふえる、所得税がふえる、住民税がふえる、こういうことで、完全にペイできる政策だということでありますし、社会保険料の収入ということでいえば、二兆九千四百三十七億円もふえるということでありますので、やらない手はないということであります。

 改めて、資料十六に戻っていただいて、このいわゆるポンチ絵をごらんいただくと、民進党が国会に提出している法案の概要をおわかりいただけると思いますけれども、簡単に御説明申し上げますと、法施行後五年間に正社員をふやした中小企業に、ふやした正社員に係る社会保険料額のうちの事業主負担分の二分の一に相当する額を十年間助成するという内容でございます。

 この法案は、人に対する投資として生産性の向上につなげるもので、閣法の、設備投資を促進し生産性の向上につなげるものと考え方は同じ、共通するところがあるわけでありますし、赤字法人でも負担しなければならないというところにおいても、閣法と共通するところがあるわけであります。

 この法案がもし成立すると、今申し上げました、税収の増ということ、社会保険料の増ということ、あるいは少子化対策にもつながるし、働く人たちのライフスタイルの向上にもつながるということであります。中小企業における正社員雇用が促進されて、生産性の向上や後継者育成など、さまざまな経営課題の克服にも効果があるということでありますし、正社員がふえて、結婚する人がふえ、少子化対策にもなる。繰り返しになりますが、所得税、住民税、消費税の税収がふえ、社会保険料収入もふえ、財政にも寄与する、地域の活性化にも結びつく。

 大臣、きのうまでの段階でこの法案の概要をごらんいただくようにお願いをしてありますので、改めて、この法案、やらない手はない、やればいいことばかり。どうですか。民進党が出したからやらない、そういうメンツとかじゃなくて、やるべきだと思いますが、大臣、いかがですか。

林国務大臣 非正規雇用ではなく正規化することは、大変重要な課題だというふうに思います。

 ただいま星野政務官から申し上げたとおり、経産省としては、雇用の促進の観点から補助金のかさ上げ等の措置を講じているところでございまして、また、正規雇用をふやすには、やはり中小企業自身が収益力を向上させる、このための原資を確保することが大事だと。

 この観点から、今回の法案による生産性向上の支援、下請業者に対する大企業の収益の還元、適正な転嫁の推進、そして、よろず支援拠点を初めとする支援機関による中小企業のサポートなどを行っていく、そういうことで正規労働者の雇用が促進されるということを期待しているところでございます。

 今、中根先生の力説されました、民進党が御提案されている議員立法の内容については、前回、近藤議員からの御質問に対して御答弁を申し上げたところでございますけれども、まず、社会保険料の負担についてですが、現行制度は事業主と従業員とが二分の一ずつを分担することとしておりまして、この事業主側の負担を助成により軽減するということは、社会保険制度の根幹にかかわるものでございまして、慎重な検討を要するものというふうに思います。

 これを実施するためには、御党の試算によれば、初年度は二百億円程度になりますけれども、十年目には年間約二千億円以上が必要となるということになりますと、本年度の中小企業対策経費約千八百億円を上回る規模になるわけでございまして、多額の国費投入ということになります。こういった問題について、ちょっと問題があるのではないかというふうに考えているところでございます。

 いずれにせよ、正規労働者を初めとする労働者の雇用の促進が重要であるという点を踏まえつつ、どのような措置を講ずるべきかについて、さまざまな知見を伺いながら、真剣に検討を進めてまいりたいと思います。

中根(康)委員 今回、政府から出されている設備投資に対する支援策ですよね、固定資産税の軽減が。この閣法と我々が出した法案とセットでやれば、設備投資を増大させて経営力を強化する、そうすると、中小企業が正社員が欲しくなるんですよ。欲しくなるんだけれども、社会保険料負担があって、欲しいけれども雇えない、この状況を乗り越えることができるんですよね。

 なぜそういうことを言うかというと、我々が出した法案は、どの中小企業にも無条件で出すというわけじゃないんです。正社員雇用をふやした企業の、ふやした分の事業主負担の二分の一を十年間支援するということでありますので、設備投資などを活発にやって積極的に事業展開しようとしている、そういう前向きな会社に対して、さらに社会保険料負担を軽減して支援をするということになりますので、これは全然無駄なお金ではない。

 それから、ここにも書いてあるんですよ。「法律による措置事項の概要」、二つ目の四角のところに、「新規増加の正規労働者に係る社会保険料の額のうち、中小企業者が負担すべき額の二分の一に相当する額」というふうに書いてあります。

 つまりは、社会保険制度の根幹に触れるというわけではなくて、社会保険料の事業主負担をそのまま軽減する、我々、略称として中小企業社会保険料軽減法案と言っておりますけれども、実はそうじゃなくて、二分の一に相当する額を支援申し上げるということでありますので、決して、社会保険制度の根幹に触れる、あるいはそこを崩すというものでは全然ないということを、ぜひ、この後、審議が終わった後ゆっくりと法案を読み返していただいて、厚生労働省にもどこにも全く迷惑はかけないということでありますし、巨額の予算がかかるということでありますけれども、単年度で考えればそうかもしれない、だけれども、中長期的に考えて、収支を考えれば、先ほど御紹介申し上げましたように大きなメリットがあるし、数字にあらわれないライフスタイルの変化があって、子供がふえて、人口がふえて、労働力がふえる、地域を支える人がふえる、地方創生にもつながるということでいえば、これはもう全く問題ない。

 やらなきゃ損だ、こういうものでありますけれども、これは、今言ったように、社会保障制度の根幹を崩すというものではないわけでありますので、今、大臣の御懸念は一つ解消されましたよね。それから、中長期的に見ればこれはペイするということでいえば、二つ目の大臣の御懸念も解消されましたね。その二つは解消されたということになると、もう問題ないですよね。さらに問題はありますか。ないですよね。

林国務大臣 中根先生とちょっと感覚が違うところがございまして、二つとも、私は問題が解決されたとは理解しておりません。

中根(康)委員 解決されているんですよ。だって、社会保険制度の根幹にかかわるとかおっしゃったでしょう。どこがかかわっているんですか。どこが触れていますか、大臣。どこが社会保障制度の根幹に触れていますか。では、長官で。

豊永政府参考人 済みません、少しお答えさせていただきます。

 委員の言及のありました日本商工会議所の要望、人件費の社会保険料の負担が大きいというのが一番にあるのはおっしゃるとおりでありますけれども、公表した際の三村会頭の会見の中身を見ますと、確かに、社会保険料の負担軽減、法人税の軽減、それからエネルギー価格の上昇という三つのコスト要因だという御指摘をされておりますけれども、そのうち改善要望があったのは後者の二つでございまして、恐らく、制度論もございまして、社会保険料の負担軽減については御言及されなかったと承知してございます。

 それから、お話を聞いて思いましたのは、人件費総額を高める力を中小企業の人たちがどう持つかということがやはり本質だろうと考えてございまして、それが正規であろうが非正規であろうがと言うと言い過ぎかもしれませんけれども、その人件費を払える力をどうやって中小企業が蓄えるか、そういったことを支援することが、ひいては正規労働者の増加につながっていくものと承知してございます。

中根(康)委員 大臣、固定資産税を軽減することだって、固定資産税の理念を相当、ねじ曲げたというわけじゃないけれども、大分押し切ってやったんでしょう。多少のことを無理しなきゃ中小企業のためにならないんですよ。それが政治じゃないですか。

 ここまでといたしまして、最後に一問だけ。

 この法案で、例えば歯科医師、お医者様が新しい医療機器を導入するときにも、これは軽減の対象、支援の対象になるんですか、ならないんですか。

木村政府参考人 固定資産税の減税の件でございますけれども、御質問いただきました、例えば病院とかあるいは歯科医師が使用されます設備につきまして、医療機器は、税の法令上、器具、備品に当たるという整理に現在なっておりまして、そういう意味でいいますと、本特例措置は機械装置のものでございますので、直接の対象にはならないということでございます。

 他方、病院の中でも、例えば給食用設備でございますとかクリーニング設備、あるいはボイラーといった汎用的な設備というのはいっぱいあるわけでございますけれども、そういったものは、当然、広く対象になるというふうに認識をしてございます。

中根(康)委員 医療機関からは、医療機器は結構値が張るものですから、それに対する支援策も含まれているんじゃないかということで期待感もあったんですけれども、直接はそうではないということでもありますけれども、それもぜひ今後の検討課題としていただきますように。

 以上で私の質問を終わらせていただきまして、あとは田嶋先生にお任せいたしたいと思います。ありがとうございました。

高木委員長 次に、田嶋要さん。

田嶋(要)委員 おはようございます。田嶋要です。よろしくお願いします。

 今、中根さんの熱弁を聞いておりまして、私も共感すること多々でございまして、やはり年に一度ぐらいか二度ぐらいか、中小企業に関する法案がやってまいりまして定点観測することは大事だと思うのでありますが、私は同時に、何か限界も感じるわけでございます。

 賛成の方向の法案とは承知はしておりますけれども、いつも何となく、いまいちだなという感じも正直ありまして、本当に現場の企業の皆さんは大歓迎というようなことになっているのかどうか、そこは本当に常に考えなきゃいけないですし、私ども民進党の保険料に関する提案を含めて、過去の常識では考えられないようなことや非連続な政策も虚心坦懐に考えるときに来ているんじゃないかなということを常々感じます。

 私、四国の方でかつてJCの皆さんとパネルディスカッションをしたこともあるんですが、やはりそのときも言われたのは、保険料なんだ、法人税なんかそんなに大してうれしくないよみたいなことを言われたんですよね。そのとき、がんと殴られたような、ああ、そうなのかという声は現場にたくさんあるわけでありまして、財源の問題は常に壁でありますけれども、やはりそこは、中小企業をどう応援していくかということは、少し私は今のやり方では限界を感じるわけであります。

 また同時に、前回、一年前にも申し上げましたが、役所の方の人事もちょっと調べてみたら、金融課長というポストもこの十年間で六人かわられておりまして、一年半の人事なんですね。やはりこういう短いサイクルでは、本当にきめ細やかな政策、そしてそれがきちんと受け継がれているかなという心配もあるということを御指摘申し上げたいというふうに思っております。

 まず最初に、生産性についてでございますが、生産性と開廃業率に関してきょうも取り上げてみたいと思います。

 まず大臣にお尋ねしますが、企業の税負担、今も税の話でございました。法人税のように赤字法人関係ないところ、固定資産税のように関係あるところ、関係ある税がございますが、税負担というのは企業の生産性にはどのように影響すると考えていらっしゃいますか。

林国務大臣 企業の税負担は、企業が自由に使える手元資金、キャッシュフローの水準を左右する大きな要素の一つであるということから、設備、研究開発、人材など、各方面の投資にも影響を及ぼすわけでございます。

 このため、税負担を小さくすれば、企業が多様な投資をさらに行う余地を増大させますし、その結果、企業が生産性を向上させる可能性も高めることができるというふうに考えております。

 経産省としては、企業の税負担を軽減するため、まず、今年度から法人実効税率を二〇%台に引き下げる、そして設備や研究開発を対象とした投資減税を講じているところでございまして、こうした政府の取り組みに呼応しまして、企業が積極的に投資を拡大し、生産性を高めていくことを期待しているところでございます。

田嶋(要)委員 税負担は生産性に影響する、大きな影響があると私も思います。

 そうすると、日本はサービス産業の生産性が低い、中小企業のサービス産業が特にひどい、そういうことをよく言い続けられていますけれども、当事者は不愉快だと思いますよ、そういうことを言われると。何だ、俺たちが悪いのかという気持ちもあると思うんですね。

 だから、私は、特にサービス産業に関して、そういうことを言われる背景は本当に何なんだろうか、では本当に十分な応援をしてきているのかということがやはり今改めて問い直されなければいけないと思うんです。

 次の質問、資料を配付してございますので、資料の一をごらんください。以前もお配りしたことがあって、時間的に余り触れることができませんでしたが、これは、サービス産業側の方々からいただいた資料でございます。

 要は法人税、要するに利益が出たときにかけられる税であることはもちろんでございますが、租税特別措置というのがございますね、租特、租特と言われているものでございます。こういったいろいろな、何というか、特例みたいなことがさまざま、ここに上の方に書いてございます四つですね。特に欠損金、受取配当、こういったことで、要は値引きされているわけでございまして、実質的な負担ということを、全産業の平均ではなくてそれぞれの業界に分けていくと相当違うという現実があるわけでございます。

 そこで、大臣に次の質問ですが、利益計上法人の法人税の負担率の差というのが、結果としてサービス産業の低い生産性の一つの原因になっているということはないんですか、どうですか。

林国務大臣 田嶋議員御指摘のように、国税庁の調査によれば、サービス業の法人税負担率二二%が製造業の一五%の負担率より高いと示されていることは承知しております。こうした税負担の差がサービス業の各方面への投資に影響している可能性は否定できないわけでございます。

 製造業の法人税負担が低くなる大きな要因は、今、田嶋先生御指摘のとおりでございますが、経産省としては、法人実効税率について、この四月から二〇%台に引き下げを実現したところであります。

 引き続き、さまざまな政策減税や本法案の固定資産税に係る軽減措置について、サービス業に幅広く利用されるよう、全力で取り組んでまいりたいと思っています。

田嶋(要)委員 下げれば、利益を出している会社一律に恩恵が行くわけでありますけれども、これだけ、五ポイントとか産業界で差があるということは、これはやはり日本にとって非常にマイナスではないかな。

 昔は製造業が圧倒的な時代もありました。今は七割とかそういうサービス産業の比率があるわけでございます。せんだってのFITの審議のときにも、電気をいっぱい使っているところ、大きな割合を占めるのはやはり製造業であります。製造業が何かとこの経済産業委員会でも議論の中心であるのは今まで事実だったと思うんですね。

 しかし、それは、全体の産業の今の姿とは相当乖離があって、残念ながら、今までの惰性というか流れの中で、経済産業省を中心としたいろいろな検討も、あるいは制度設計の枠組みも、やはりまだ製造業中心になってしまっているという面。製造業を軽んじるということじゃないですよ。だけれども、サービス業にしっかりとした支援が本当に行っているのかということを私は問題視したいというふうに考えております。

 そこで、今回、法案の中にも、固定資産税の減税、史上初だとおっしゃっておることで、さぞ総務省との折衝で御苦労されたことには敬意を表したいと思うんですが、これも、機械設備に関して何らかのパスした、オーケーが出た中小企業に対して三年間ということでございますが、これはやはりサービス産業に軸足を置いた支援とは言えないんじゃないかなと思いますが、いかがですか。

林国務大臣 先ほどのサービス業の租税特措でありますけれども、この租特は、サービス産業そのものも結構利用されているわけでございまして、例えば、設備投資減税では、サービス業の利用が、件数ベースで約四割、そして金額ベースで約七割でありますし、また、所得拡大促進税制は、件数ベースで約六割、金額ベースで約五割を占めておるのを、まず申し上げておきたいと思います。

 御案内のとおり、この固定資産税の減税措置は、三年間、固定資産税を二分の一に軽減するものでございまして、本措置と同様に中小企業の投資を促進する税制であります中小企業投資促進税制の利用実績を見ますと、平成二十六年度の適用件数約六万二千件のうち、製造業は二万件でありますが、サービス業などそれ以外の非製造業は約四万二千件と多くなっております。

 本税制も同様に、製造業に加えてサービス業にも相当程度利用されるものというふうに想定をしているところでございます。

 例えば、飲食業であれば厨房設備だとか、宿泊業であれば業務用クリーニング設備などについて、本税制が広く使われるものというふうに想定しているところでございまして、この固定資産税のみならず、金融支援や人材育成などでも幅広い業種を支援することにしておりまして、これらも通じてサービス業に対する支援を行っていきたいと思っています。

田嶋(要)委員 支援がゼロとは言っていないわけでありまして、件数も余り大事な、指標というか、私はやはり総額としてどの程度行っているかということを注目すべきだと思います。

 大臣、事務方につくってもらった資料を読まれているからお気づきかどうかわかりませんけれども、租特でこれだけサービス産業に行っているのがありますと。それは、いっぱいある中の二つを今説明されていたんですよ。全体の比率を見ていますか。私はちゃんと資料をつくってもらいましたよ。租特全体のうち何割が製造業に行っているか、御存じですか。

豊永政府参考人 租特全体ということに必ずしも正確にお答えできないんですけれども、私ども中小企業庁で持ってございます中小企業投資促進税制で申し上げますと、全体で申し上げまして、一〇〇%としますと、製造業で三二%、サービス業では一五・七%という数字になってございます。

田嶋(要)委員 私、つくってもらって、七割なんですよ。製造業で七割なんです、租特は。

 だから、やはり木を見て森を見ずの議論で、今みたいに大臣が説明されたら、聞いていらっしゃる方は、ああ、そうかと思っちゃいますよね。事実はやはり違います。だから、役所も、そんな自分たちにとって都合のいいところだけ情報を出されても、それはみんな勘違いしますよ。サービス産業には同じだけの支援は行っていないんです、これは。だから、ここをやはりちゃんと押さえていただきたい。

 それから、補助金に関しても、一年前の質問で、要するに、ものづくり補助金というものに、ものづくり・サービス補助金というふうに加えましたという答弁があったんですね。加えたこと自体が、後から来ているということじゃないですか。

 では、今、そのものづくり・サービス補助金は、額としてどのぐらいサービス産業に行っているんですか。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 二十六年度補正に基づきまして、ものづくり補助金の類型として、ものづくりかサービスかということで申し上げますと、採択件数で一万件と六百件ということになってございます。

田嶋(要)委員 よくわからない答弁ですけれども、要は、二割ぐらいなんです。ものづくり・サービス補助金も、サービスに行っている金額は、私がいただいた金額としては大体二割ですね、平成二十六年度補正予算。そういうことで、これが現実だということであります。

 最後に、この点については、昨年、宮沢大臣がこういうふうにおっしゃっていただきました。「小売、卸も含めて、サービス業に対する政策というものが政策的に余りなされてこなかったという反省はございまして、やはりサービス業のまさに生産性向上といったものを徹底的にやるように、事務方には指示を出しているところであります。」これは平成二十七年三月二十日の御答弁ですよ。大臣の前任者がそのように一年前におっしゃっておるんです。

 だから、私が気にするのは、人がかわって、メンバーがどんどんどんどんかわったときに、こういう大臣の吐露されたお気持ちがちゃんと組織として受け継がれているか、それをちゃんとやっていただいているかということ、大臣、いかがですか。

林国務大臣 御指摘のように、昨年三月二十日の衆議院の経産委員会において、先生から、サービス産業の生産性向上に政策の軸足を移すべきといった旨の御指摘をいただき、当時の宮沢大臣が、サービス産業に対する政策が余りなされてこなかった反省と、今後は充実させていく旨のお答えをさせていただいたというふうに認識しております。

 先生のその御指摘を踏まえまして、昨年四月に、日本経済再生本部におきまして、サービス産業チャレンジプログラムを取りまとめました。サービス産業の生産性向上に政府が一体となって取り組むこととしたところでございます。

 さらに、このプログラムに基づきまして、日本サービス大賞による優良事例の普及やサービス経営人材の育成など、各取り組みを進めると同時に、本日御審議いただいております中小企業等経営強化法によりまして、生産性向上に向けた中小企業の取り組みを後押ししていきたいと考えております。

 今後とも、サービス産業の生産性向上に向けまして、施策を総動員しながら取り組んでまいります。

田嶋(要)委員 時間が限られてきましたので、もう一つ、開廃業に関して、これも私が一年前のここの場での質問で取り上げた信用保証についてお伺いをしたいと思います。

 資料をお配りしておりますので、ざっと見ていただきたい。これも前回使った資料をもう一度配らせていただきました。

 フローで見てもストックで見ても、ストックの額ですね、それからその構成の中の質、二ページ目は質とそれからフローでございます、三ページ目の一番下のグラフがストックでございますが、日本はちょっと異常値だと。日本のこういう信用保証のありようというのは、とてもほかの国と比較できるような普通の状況じゃないということですね。非常事態のときと平時が区別なく行われ、そしてこういう状況がずっと続いてしまっている。

 これは、最終的に、過保護な行政が競争力のない企業をいっぱいつくってしまっているのではないのか、そういう指摘もあるわけでございまして、この信用保証に関するところが、開廃業の問題、そして生産性の問題に必ずつながっていくのではないか、私はそういう仮説を立てておるわけでございます。

 大臣、ここは、少しやっていただいているという話も聞いていますが、改善しなきゃいけないですよ。英米の開廃業率を目指しているんでしょう。それがもう日本再興戦略に明記されていますから、英米を目指すんだったら、英米のやり方をまず研究して、例えば、間接金融なのか直接金融なのか、メーンバンクはちゃんと機能しているのか、キャッシュフローを見て金を出すような貸し手側の能力というのはちゃんとあるのか、何でもかんでも保証に頼ってしまっていることになっていないか。

 いかがですか。その辺の改革が、そんなすぐ結果は出ませんよ、だけれども、日本が何十年とやってきてしまったこのありようは、特にこの資料二だと、一九九八年から相当質が変わってしまった、九八年からこの保証の性質が変わってしまった、こういうところを、二十年ぶりの改革に着手してもらうことが、日本がなぜこんなに創業も廃業も低いんだとか、サービス産業が生産性が低いとか言われなきゃいけない、その根っこの問題に取り組むことだと思いますが、大臣、いかがですか。

林国務大臣 信用保証制度につきましては、現在、一律に融資額の八割または十割を保証する仕組みになっております。このことがかえって、金融機関に本来期待される事業者へのきめ細かいサポートを阻害していまして、それにより経営改善が進まない事業者が多数存在しているのではないかというふうな問題意識のもとで、昨年秋以降、中小企業政策審議会のもとに専門部会を設置して、見直しの議論を進めているところでございます。

 具体的には、今後の作業部会の取りまとめを待つわけでありますが、中小企業の資金繰りに大きな支障が生じないよう慎重に進めることといたしたいが、その内容につきましては、中小企業にしっかりと寄り添う金融機関を信用保証協会が適切にリスク分担して支えることで中小企業の経営改善を促していく、また、セーフティーネットのあり方を見直しまして、大規模な経済危機等が発生した場合には、より機動的に発揮できるようにする、今度の熊本地震がそうでありますけれども、一方で、危機が去れば速やかにもとの状態に戻れるようにする、こういう措置を盛り込むことを今検討しているわけでございます。

 これらの措置によりまして、借入金の返済期間の延期、リスケを繰り返すといった一部の中小企業に早期の経営改善を促す、創業や成長のための資金を適切に供給することによりまして生産性の向上を図るという方向でしっかりと検討してまいりたいと思います。

田嶋(要)委員 この関係の信用補完制度に、過去三年の平均予算措置額は幾らですか。

木村政府参考人 信用補完制度に対します、平成二十六年度から平成二十八年度までの過去三年間の平均の予算措置額でございますが、約八百七十一億円でございます。

田嶋(要)委員 大分下がったような印象もいたしますが、それでも巨額ですね、先ほどの中根先生の議論も含めて。だから、そういった巨額のお金が今続けてずっと何十年も入ってきているんだが、それが本当に中小企業のためになっているのかということです。

 最後に、では何が大事かということでありますが、開廃業の問題、生産性の問題、きょうあす急に解決するなんということはありませんよ。だからこそ、創業率を高めるという意味でも、未来の起業家をしっかり教育して、教育の世界でそういったところから教えていくことが、私は急がば回れの近道じゃないかなというふうに思っております。昨年も、そういった意味で創業教育、起業教育ということを申し上げさせていただきましたけれども、そうした抜本改革を教育の部分でやっていただきたい。

 きのう、いい雑誌をいただきまして、確かにやっていただいています。

 そして、配付資料の一番最後のページをごらんください。資料の四でございますけれども、これは前回配った資料で、少し加えて出しております。

 どのデータを見ても日本は飛び抜けて低いということでございます。下の右側のところで、低いわけでございますが、このいただいたものを見る限り、平成二十七年一月の調査によると、小学校では一〇%、中学校では三〇%以上のところで起業家教育を受けたというアンケート結果が、二千校のアンケート結果で出ているというふうに書いてありました。もしそれが事実なら、全国でそういった取り組みは広がっているというふうに思うんですけれども。

 ぜひ大臣、信用保証に巨額のお金を入れている、片っ方でベンチャー教育は数千万円ですか、そんな感じだと思うんですね。ちょっと時間がありませんけれども、全然桁違いなんですよ。やることが僕は逆だと思いますね。やはりベンチャー教育にもっとでかい予算を向けて、子供たちのときから、自分はどういう生き方をしていくんだ、サラリーマンとしてどこかに就職するもよし、だけれども、自分で何かを始めるということに関して日本は余りにも力を入れてこなかったのではないかという思いがございます。

 最後に、大臣、この点に関して、予算措置も含めて、文部科学省と、それから、前大臣がおっしゃっていました、金融教育もこれは不可分だとおっしゃっていましたけれども、文科省、金融庁と一緒になってこの分野の徹底的な強化を私はお願いしたい、これが中小企業対策の一丁目一番地だというふうに思っています。いかがですか。

高木委員長 申し合わせの時間が経過しておりますので、簡潔に願います。

林国務大臣 創造性やチャレンジ精神を持つ人材を生み出して起業に対する意識を高めていく、それにはやはり小中学校の段階から起業家教育を進めていくことが大事であるという認識は持っております。

 既に、これまでに経産省としては、小中学校における起業家教育のモデル事業を支援してきたところでございまして、今年度からは、これまでのモデル事業で得られた知見の共有や、企業、団体の紹介を通じて文科省との連携を強化して、起業家教育のさらなる普及と充実に取り組んでまいりたいと思っています。

田嶋(要)委員 では、信用保証も起業家教育もどうぞよろしくお願いいたします。

 以上です。

高木委員長 次に、大畠章宏さん。

大畠委員 民進党の大畠章宏でございます。

 きょうは、同僚議員に続いて、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案について質問をさせていただきます。

 今回の法律の趣旨あるいは概要等について、私もこの内容について検討させていただきました。この法律案の趣旨、中小企業、小規模事業者、中堅企業の経営の強化を図るため、事業分野ごとに新たな経営力向上のための取り組みについて示した指針を主務大臣において策定するとともに、当該取り組みを支援するための措置を講ずる、確かにこういうことが現在必要だと私も考えます。

 中身については、既に同僚議員からも質疑がございましたので、省略させていただきたいと思いますが、実は、この質問をするに当たって、この法律案の内容を示しながら、地元の、実際に企業を経営している何人かの方にお会いをして、今度経済産業省としてこういう法律を出す予定であるが実態を聞かせてほしいというので話を伺ってまいりました。

 一人の経営者は、これも大変大事だと思うけれども、実態としてどうかというと、これからどんな経済状況になるのか。特に、私が訪れたところは全てものづくりの中小企業です。新市場開拓に力を入れているけれども、どんなところに力を入れたらいいかわからない。これは先ほど公明党の中野委員からの質問にもありましたが、何をしたらよいかわからないというものと共通しているものかもしれません。それから、ものづくり力を強化したい、こういう意欲を持っていますし、そのためには人材の育成が必要だ、こういう意見もございました。

 別な企業の経営者は、人、物、金がない、これからどんな状況になるのか先が見えない、新産業の創造を私も目指しているが、どういう展開をするのかよくわからない。それから、これは茨城県ですが、南の方は元気なようだけれども、県北経済はダウンしているという意見がありました。中小企業といっても、三百人以下が中小企業ですから、小規模企業者、これは二十人以下ですよね、ここのところにも的を当ててくれませんかと。それから、高度化資金を活用したいんだけれども、どうも県の方ではなかなかそういう予算がないようだとか。

 それから、もう一社に行きましたら、ものづくりの世界で生きている人ですから、ものづくりの世界の雄である東芝、三菱の今回の事例には本当に落胆しているといいますか、あれだけの大企業がああいうことをやってしまっているのかというので大変衝撃を受けておりました。

 これは私もそうでありますが、日本の国のものづくりの雄というのは、ナンバーワンは三菱ですね。三菱重工業というのがあって、傘下の企業がずっとたくさんあります。その三菱の主力である自動車会社が、きょうの読売新聞のトップニュースにもいろいろ出ておりますが、なかなか想像しがたい内容であったようです。

 それで、これは先ほども中野委員からの質問にもありましたが、元請、下請、下請企業者がやはり弱い立場にあって、上の方からかなり、何といいますか、過度な要求を受けながら、なかなか断り切れない。

 どうもこの三菱自動車の今回の燃費試験の偽装問題については、親会社から次々と過度な要求をされて、この新聞によると、二〇一一年二月には燃費目標二十六・四キロだったけれども、五月、ですから三カ月後には二十七・〇に引き上げられ、その次には、今度、九月には二十八キロに引き上げられ、そして一二年の八月には二十九キロに引き上げられた。こういうことで、この問題に応えなければ、ひょっとしたらいろいろおかしくなるんじゃないかと思って、かなり窮地に追い詰められて、そしてこういう事態に入って、今日に至っているように感じます。

 だとすれば、ものづくりの世界で一体何が起きているのか。いわゆる過競争、競争を激化していいものをつくろうというのはわかりますが、現実に無理なところまで指示をして、現実に無理なことを無理やりつじつま合わせに物事を重ねて今日の状態になってしまったように感じます。そうなりますと、ものづくり自体が、土台が壊れ始めているんですよね。

 大臣、日本の国の戦後七十年間というのは、何といっても自動車とコンピューターで裾野を広げて、日本人の戦後の仕事の場をどんどんつくっていったんですね。アメリカから強く、自動車も買え、コンピューターも買えと要求されましたけれども、それをはねつけたのが当時の通産省ですよ。「官僚たちの夏」という小説に書かれていますが、これをはねのけて、自前の技術で自動車をつくり、コンピューターをつくって、裾野を広げて、日本人が生きていくための仕事をつくっていったというのが通産省の大きな仕事の柱だったと思うんですが、今回の事案を見る限り、どうもその根底のところが覆され始めている。これは深刻な事態と受けとめなければならないと思うんです。

 そこで、先ほどの地元の人の話に戻りますが、ものづくりの雄である東芝や三菱がなぜこういう事態になってしまったのか、日本の、日本人のものづくりの魂はどこへ行ってしまったんだ、どうもそこら辺、深刻に、今回はものづくりの同業者として将来に対して不安を持っている。もう一度、職場では、心を開き話し合いのできる職場とか、打てば響くの職場の環境だとか、古い言葉かもしれませんが、武士道精神とか大和魂とか、決められたことは守る、正直を基本に誠実に生きる、うそはつかない、これがものづくりの原点だったと思いますよ。

 そういう意味で、もう一度ものづくりの根本を問い直してほしいという現場からの声がありましたが、経産大臣、このことについて経産大臣としてどういう御認識をお持ちか、最初に伺いたいと思います。

林国務大臣 先生御指摘のとおり、いろいろの歴史を繰り返して今日のものづくりがあるわけです。昔は、昔というか過去、通産省時代は、例えば繊維とか鉄鋼とか自動車とか、特定の産業に焦点を当てて育ててきて、そして、先生が言われるように、自動車産業やコンピューターに大きく転換していって今日があるわけですけれども、キャッチアップしてきた時代とは違いまして、今、新たな価値を生み出すことが求められるようになっているわけであります。それが、見きわめるのはなかなか難しい時代だろうというふうに認識しております。

 そういった意味では、ものづくりプラスサービスになるのかな、ものづくりにとどまらずに付加価値も加えて、そういったビジネスモデルに転換していくのではないかというふうに思うのと、そういう中でいきますと、自動車産業も技術革新が進んでいまして、自動走行もあれば、あるいは水素自動車というのも開発されておりますし、あるいは、航空機産業だとかロボット分野だとか、そういったものも広がっていくわけでありまして、そういう形の中で、やはり日本のものづくりは生かされるのではないかというふうに認識しております。

大畠委員 ただいまの経産大臣の御認識、伺いましたが、私は、省を挙げて、ものづくりの世界にも、緊急事態といいますか、今回の三菱あるいは東芝、ドイツのベンツもそうでありますし、スズキでもそういう類いのものが報道されておりますが、ものづくりの世界の皆さんに、もう一回日本の戦後のものづくりの原点に立ち返ってもらいたい。

 競争に勝つこと、あるいは経済的に優位性を持って拡大することは重要だけれども、安全第一、そして、消費者、国民に対する奉仕の精神。そして、収益は第三にしてもらいたい。

 今の企業は、収益第一主義になり切ってしまったんじゃないでしょうか。とにかく勝てばいい、あるいはもうかればいい、ごまかしてでももうかればいい的な発想で日本の国がものづくりに入ってしまったら、これは、この三菱さんの問題でもそうだし、ベンツもそうですが、その次の展開はもう無残な形になると思うんです。

 ですから、これは単に三菱、東芝だけとか、自動車業界だけにとどまらず、ものづくり、経団連に集中しているかもしれませんが、企業の経営者の方を一度お集めになって、大臣から、もう一回原点に立ち返ってほしいと。日本の国が七十年かかって築いてきた信頼を一瞬にして失いますから。三菱だって、あれだけの日本のものづくりの雄のところが、日産自動車の傘下に入って三菱自動車が再生するという流れになりましたけれども。

 私は、非常事態を経済産業省として打ち出して、ものづくりの関係者に対して、もう一回先人たちの思いを思い起こしてものづくりに励んでほしいという指示を与えるべきだと思いますが、改めて経済産業大臣の御所見を伺いたいと思います。

林国務大臣 大畠先生の提言を検討していきたいと思っております。

 また、一点、例えば、ものづくりの中で、コマツとか、あるいは先生の地元の日立とかはかなり進んでおりまして、例えば、建機にセンサーを取りつけまして、世界に建機を輸出していますけれども、それがどこでどう動いているか、とまっているか、東京におって、本社におって一目瞭然で、そして、その修理のフォローができるとか、そういったふうに極めて進んでおります。

 また、ドローンを飛ばしていろいろ写真を撮って、設計を機械化して、第三次加工をしまして、センサーを建機につけると、熟練工でなくても設計どおりに建機を動かせる。

 つまり、これから人手不足の中であっても、女性も参加して土木作業もできる社会に入るのではないかというのを予見して、もうそういう企業の方々は進めているのも実情でございまして、そういった意味では、ものづくりは、私はまだまだ十分生きているというふうに感じているところでございます。

大畠委員 ぜひ林大臣のもとに、ものづくりの関係者の皆さんに、原点に立ち返ってほしい、収益第一主義では必ずおかしな形になってくると。

 この問題、さかのぼると、小泉政権下で会社法という法案を通して、会社は株主のものという一行が入ったんですよね。従業員のものでもなければ、社長のものでもない。アメリカでそういう会社法があります。それに倣って日本でも入れたんですが、もともと日本は、会社というのは株主のものじゃなくて、従業員や社長のものという認識が強かったんです。

 聞くところによると、株主総会でも、我が社はということを社長さんが株主の皆さんにお話をされましたが、アメリカの株主総会では、ユアカンパニーから始まるという話が伝わっております。ぜひ日本のものづくりの基本的な考え方というのを、難しい社会でありますが、伝承できるように努力をしていただきたいと存じます。

 それから、先ほどの地元の声の中に、アベノミクスの効果が全く伝わらない、こういう話がありました。いわゆる地方都市の地域経済の再生について、経済産業省としてはどのようなお考えで今取り組もうとされているのか、これについて伺いたいと思います。

林国務大臣 中小企業の状況について、例えば、数字になりますけれども、経常利益は過去最高水準であるし、また、日銀短観によれば、資金繰りのDIは二十五年ぶりの高水準、そして、全体としては改善傾向にあるというふうに考えておりますが、また一方、ことしの一―三月期の中小企業の景況調査によれば、やはりまだまだ弱い動きが見られるということでございます。

 そして、地域や業種によってはばらつきが見られますし、設備の老朽化に伴う出費がかさみ、楽な経営ではないとか、あるいは中国経済の影響を受けて受注が減少しているといった厳しい声も耳にしているところでございます。

 こうした状況を踏まえまして、やる気を持った中小企業を支援して経済を底上げしていくことが大事だろうというふうに思っておりまして、そのため、取引条件の改善に向けて、大企業への調達方針のヒアリング、また、ものづくり補助金による新商品の開発などへの支援、そして、各都道府県にあるワンストップ窓口、よろず支援拠点の拡充などに取り組んでおります。

 さらに、生産性向上につきましては、本日御審議いただいております中小企業等経営強化法案を提出したわけでございまして、固定資産税の軽減措置などによりまして、生産性向上に取り組む中小企業を支援してまいりたいと思っております。

大畠委員 それでは、具体的な、地元の企業、ものづくりの企業経営者からの意見をベースに質問をさせていただきます。

 まず、最近の傾向として、いわゆるガソリン自動車、エンジン自動車から、今後電気自動車に移ってくるだろう、こういうことも地元では予測されています。それで、エンジンの部品をつくっている企業なんですが、これからそのエンジンの部品の注文がなくなっちゃうんじゃないか、後は何をやったらいいんだろうと。

 今の傾向としては、かつては大手の企業から、これをつくりなさい、あるいはこれを発注しますからといって、資金繰りから設備投資にかけてかなりの丁寧な指導がありましたが、最近では、自分で考えてください、自分で培った技能をベースに生きる道を自分で考えてください、そういうことに今なり始めていまして、一生懸命自分でも考えているんだけれども、例えばエンジン部品を使った自動車は部品点数三万点と言われていますよね。今度は、電気自動車になると、部品点数がおおよそ一万点、三分の一になるんですね。そうすると、三分の二の部品は要らなくなる。ということは、関連の中小企業の仕事がなくなるということなんですよね。

 完全にエンジン自動車がなくなるとは思いませんが、徐々に、インドの例を見ても、中国の北京の例を見ても、大気汚染で大変ですから、これからは、エンジン、ガソリン自動車じゃなくて、電気自動車に切りかえようという動きは強まってくると思うんです、海外でも。そうなると、部品をつくっていた中小企業は一体これから何をやったらいいんだろう、五人、十人でやっている企業でみずから新しいものを考えなさいといっても、これはなかなか難しいです。

 さっき通産省の例を出しましたが、戦後の通産官僚は、日本人が生きていくために、アメリカからの圧力を受けながらも、自前の自動車と自前のコンピューター開発は放棄しないというので頑張ったわけですよね。いろいろアメリカから意地悪されたとしても、かなりはね返してやってきたんです。

 そうなってくると、今回、中小企業の法律案では、いわゆる中小企業のこの認定を受けた人には、経営の、財務管理の高度化とかあるいは固定資産税の軽減というものをしてあげますよというんだけれども、それをした上で何をやったらいいのかという目標値を、やはり経済産業省として、次の時代はこういう形になるだろうというものを示してあげないと、小規模企業者にとっては目標が定まらないと思いますが、この件について、現在経済産業省としてはどういうことを考えておられるのか、お伺いします。

豊永政府参考人 中小企業が産業構造の変化にどう対応していくかということは極めて大事なことだと思いますし、そのための新たな技術の開発が極めて重要だと考えてございます。

 中小企業庁には、中小ものづくり基盤技術高度化法というものがございます。この法律に基づいて、技術指針、これは高度化指針というように呼んでございますけれども、それを策定しておりますけれども、この中でも、今委員の例示がございました電気自動車のような成長分野への進出が重要というものの明確化を近年したところでございます。

 それを裏づけるものとして、予算措置として、サポイン事業、サポーティングインダストリー事業というのがあるわけですけれども、ここ数年で四十三件の電気自動車関係の産学官連携、中小企業ですけれども、採択し、支援してございまして、その成果は広く他の事業者にも公表するということを行っております。

 また、先ほどお話のございましたものづくり補助金、これはサービスも加えてございますけれども、三年間で電気自動車に係るものを六十件採択してございます。

 このように、時代の変化に対応した中小企業の取り組みをサポートさせていただいているところでございます。

大畠委員 今、長官から高度化事業というのがございましたが、かつて高度化資金というものをつくって、これを使いながら中小企業も次の時代に打って出る土台をつくりなさいということなんですが、これは各県におおよそ任されていまして、中には予算ゼロのところもあるんです。過去のいろいろなことからそうなったと思うんです。各県ばらばらかもしれません。

 一度、各県の状況をフォローアップして、なぜ予算化しないのか、こういうところを詰めていただかないと、その関係筋はこれも利用できないということですから、この高度化事業についてはもう一度現状を、四十七都道府県全部調べて、予算ゼロのところについては何らかの形で指導をして、ものづくりの危機のときですから、再度引き締めて、ものづくりの中小企業のてこ入れを図るべし、そういう資料を出していただきたいと思うんですが、長官のお考えを伺います。

豊永政府参考人 高度化事業というのは、中小企業の集団事業を国と県が共同してサポートするということになってございますけれども、国が八割、県が二割というのが一般的なルールで、拠出して、それを低利で事業協同組合等に貸し付けるというものが典型的な例でございます。

 既に返済し終わったものもございますけれども、組合の中には、脱落といいますか、廃業される方がいたり、組織率が少し落ちたりして少し利用が落ちているところがございます。

 いずれにしましても、委員の御指摘のとおり、改めて高度化事業の実施状況を精査したいと考えてございます。

大畠委員 次に、小規模事業者といえども、よい人を採用したい、この意欲は強いんです。ところが、一言で言えば、新卒の大学生関係は、テレビのコマーシャルに乗っている企業とか、そういうところを求めたがるんですよね。しかし、実際の地域の中小企業の名前は全く浮上しておりませんから、選ぼうと思っても、何かよくわからないから選べなくて、ほとんど地域の中小企業にはそういう人は来ません、一言で言えば。

 何とか中小企業の、五人でも十人でも二十人でも、もともと松下だってそうですし、日立だって、創業小屋というのがありますが、単なるモーターの修理工場なんですよ、日本鉱業さんの。モーターの修理工場から今日の日立になったわけですし、今のパナソニックさんも、松下幸之助さんが二股ソケットを発明したところから始まったんですよね。

 だから、小さい企業といえども、将来大きく発展する可能性のある企業もあるんです。ところが、自分でテレビのコマーシャルとか、人材を集めますという大キャンペーンを張るだけの資産、資源がありません。

 そこで、これも中小企業庁長官にぜひお願いしたいと思うのは、公的な機関が、企業の実力値、人間規模とか資本金じゃなくて、例えば、この企業は五人の企業だけれども毎年黒字経営をしていますとか、非常に意欲的な経営者がいますとか、あるいは、社会保障についてはきちっとその制度を活用していますとか、その企業の実力値というのを五つぐらい挙げて、それを冷静な数値判断をして、レストランじゃありませんが、五つ星とか三つ星とか、そういう評価を、例えば中小企業庁が評価基準を設けて。

 今、中小企業の数が、先ほど尾身さんの質問の中で、百万社減ってしまったと言っていましたよね、中小企業。一九九九年には四百八十四万社あったのが、二〇一二年には三百八十五万社、約百万社減ってしまって、一社当たり十人とすれば、一千万人の雇用が失われちゃったわけですね。

 ですから、中小企業の一番のベースは人材をいかに集めるかということですから、そういう工夫を、私は、中小企業庁として、学生さんがその企業の実力を公正に評価できるような仕組みをつくって、そして学生さんも安心して挑戦する、自分の人生をかけてものづくりを始めるんだと挑戦できるような指標をつくるべきだと思いますが、長官、このことについてはどのようにお考えか、お伺いします。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 中小企業庁では、やはり若い方々に中小企業、小規模事業者の実態、魅力を十分知っていただくことが極めて大事だと考えてございます。

 二十七年度だけでも、合同企業説明会や職場見学会を約四千回、四千二百回ほど開きました。そのうち、就業まで至ったものも、かなりの実績があると承知してございます。

 それから、例年でございますけれども、最近は、地域で活躍する中小企業、小規模事業者三百選という形で、地域に根差して活躍している企業を紹介してございます。特に、人材育成ですぐれた取り組みをした企業とか、いろいろなパターンを設けておりますし、海外展開で従業員をふやした企業なども対象にしてございます。

 今委員の御指摘のございました、企業の実力を中小企業庁が評価する指標を設ける、大変貴重な御意見だと思いますが、実態的に容易でないのと、また、企業の方々から歓迎されるかどうかというものも心配でございますけれども、きのうそうした御指摘があったので、少しホームページというものを調べてみました。

 中小企業、小規模企業白書によりますと、小規模事業者でも約四割、私ども捕捉できる小規模事業者ですからちょっと大き目なんだと思いますけれども、四割の方々がホームページを持っておられます。大別して、個人事業主の方々ですと、若干商品もしくはサービスの紹介が中心になってございますけれども、法人形態の場合には、法人の概要なども少し書いてあります。

 若い方々は、そういったホームページを極めて親しく見る機会が最近は多いと考えます。そういった中小企業、小規模事業者が、自分の魅力を、商品なり企業の理念なりをも含めまして、若い方々にメッセージが発揮できるよう、IT化、その他の環境づくりに尽力したいと考えてございます。

大畠委員 確かに、長官のところでそういう評価機関をつくると、どうして我が社が星二つなんだとか、何で一個なんだと、多分電話が来るかもしれません。ですから、そこは知恵を出して、第三者機関とか何か、有識者による評価機関、レストランの星の評価も、誰が評価しているかわからないというんですよね。誰が評価しているかわからないけれどもこういうことになっているというのですが、そういう第三者機関的なものを設置して、その方々に評価してもらうというのも一つかもしれません。

 現在のホームページでもいいです。中小企業のうち、ホームページで、どういう状況にあるというのを一覧表か何かにして、学生さんがその中から自分に適する中小企業を見出せるようなデータベースみたいなものは中小企業庁としてもできると思いますから、いろいろ工夫していただきたいと存じます。

 それから、もう一つの希望があります。せっかく採用した若者、十人なりの中小企業の場合、みずからの企業の中で教育するというのは非常に至難のわざなんですね、毎日が忙しいですから。ですから、採用したら一年間だけでも教育をして、その人の能力をスキルアップして、例えば、海外に出したり、あるいは見聞きをして研さんを重ねて、自分が実践に立ったときにはより能力を発揮できるような教育機関というものの充実をお願いしたいという声がありますが、これについて、中小企業庁あるいは経済産業省の現在の対応策と今後についてお伺いします。

星野大臣政務官 大畠委員にお答えを申し上げます。

 今般の法案においても、人材育成は、中小企業、小規模事業者の経営力強化に向け重要な柱と位置づけております。例えば、事業分野別経営力向上推進機関は、事業者が従業員に行う人材教育も支援をすることとしております。

 また、全国九校の中小企業大学校では、企業経営、組織マネジメント、財務管理、マーケティングなどの研修を実施しております。ことしからは、それだけではなくて、まちなか大学校を校舎外の都市部でも開講するなどの受講しやすい環境を整備することになっております。

 一方、厚生労働省では、キャリア形成促進助成金やキャリアアップ助成金など従業員の能力向上を支援する制度や、ものづくりを中心に技能、技術向上のための在職者訓練を行うポリテクセンター、初めて聞いた言葉だったので私も調べてみましたら、ポリテクとは、ポリ、多様な、テクニーク、技術、ポリテクニーク、諸工芸を語源としたフランス語であるそうでありますが、それを設けております。

 また、他省庁の施策も紹介する中小企業人材活用ハンドブックを配布するなど、関連省庁とも協力をして人材の育成の充実を図ってまいりたいと思っております。

 いずれにしても、人材教育は、中小企業、小規模事業者の経営力強化に向けて極めて重要な柱だと認識をしております。

大畠委員 人というものが企業の宝ですね。だから、ぜひそこの人材育成について力を入れて経済産業省としても取り組んでいただきますよう、強く要望いたします。

 さて、前回の質問のときもちょっと取り上げましたが、国際展示場の課題についてお伺いしたいと存じます。

 この経済産業委員会の委員のメンバーの皆さんも、最低でも年に一回ぐらいは、国際展示場、いろいろな展示会をやっていますから、行ってごらんになったと思うんですね。こんな企業があるのか、ここで何をつくっているんですかといったら、〇・一ミリの穴をあける能力を持っていますとか、へえ、こんなところができるのかとか、加工ができますとか、ドローンの展示会なんかもありました。そこに年一回ですが、全国から中小企業の経営者と従業員が集まって、我が社ではこんなものをつくっているんですと展示するんですよね。

 お手元に私の事務所でつくった資料がございます。ちょっとごらんいただきたいと思います。

 これは、そういう国際展示場ですが、東京ビッグサイトがオリンピックの期間の間、七カ月間使用ができない、こういう話を日本展示会協会の資料で知りました。前回は、展示場の、全世界の中で日本はどうかということをお話し申し上げまして、日本でももっと拡充をという質問をさせていただきましたが、今回は、東京オリンピックの開催の期間の間、七カ月間、一番上のグラフでありますが、二〇二〇年の四月から十月まで、七カ月間は全く開催ができない、こういう話を伺いました。

 これはいろいろと東京都も頑張ったでありましょうに、東京ビッグサイトでは二万平米の拡張棟を建設するという計画で今進んでおりますが、しかし、東京オリンピックの開催中は、この拡張棟もオリンピックの警備のために使用は不可、こういうことになっているようであります。

 そうなってきますと、二〇一九年の四月から仮設の展示場をつくる、真ん中に書いてありますが、東京テレポート前のところに二万四千平米の仮設の展示場をつくるそうでありますが、これも、二〇二〇年の四月から十一月まではバスの停車場になるので、取り壊してオリンピックのために使いますということになって、結局は、東京ビッグサイトでは国際展示場が全く開催できない、こういう問題点が挙がってまいりました。

 問題点として四つほど聞きましたが、一つは、七カ月間の間に、毎年の例であれば、おおよそ百七十本の展示会が開催されるようでありますが、この間の五万社の出展希望者が、ほとんどが中小企業でありますが、出展できない。このときに、契約誘発効果というのが一兆六千億円失われることになる、これも予測値であります。

 それから、出展社の九五%は中小企業者であり、何万人ものバイヤーが買い付けのために来場している。展示会が開催できなければ、中小企業の売り上げを激減させ、倒産など経営危機に陥らせるおそれがある。

 三点目には、最近の国際展示場には、約一万一千社の海外企業も出展しており、十万人の海外バイヤーが買い付けに来日している。この機会を失うことになれば、国際社会からも非難されるであろうという話を伺いました。

 それから、七カ月間の展示会が開催できなければ、出展を支援する企業の仕事も失われ、これは展示会場の照明とか展示品とか、そういうサポートの企業でありますが、これが千七百億円の売り上げが全くなくなる可能性がある、こういう話を伺いました。

 愛知県で今、二万平米ぐらいの国際展示場を新たにつくるというのは聞いているわけでありますが、しかし、やはり東京という場所ということで世界からも日本国内からも出ている中小企業もおられますので、この対策案として二つあるというんですね。

 一つは、オリンピックマスメディアセンターというのは、もともと他国では仮設のセンターを建設している。これが通例だそうであります。これが、今のところ、どうもだめだ、既設の東京ビッグサイトを使うということでオリンピック計画が進んでいるので、これはだめだという話なんですが、であれば、例えば、東京都内の築地市場の跡地がございますので、ここに五万平米規模の仮設の展示場、あるいは八万平米の仮設の展示場をつくれば、全く七カ月間使えないということがなくなるので、ぜひ、中小企業のために、このようなことを政府としても力を入れてやっていただきたい、こんなお話が来ております。

 これについて、経済産業大臣の選挙公約をちょっと見せていただきましたが、成田空港の近くに国際展示場をつくるというのは、前回か前々回の先生の公約の中に入っていましたので、それも含めて、現在の大臣としての御所見をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 千葉県には幕張メッセもございまして、これも影響があるわけでございます。

 空港の近くにこういう大きなコンベンションセンターがあるといろいろ利便性が高まるだろうということで、私は空港周辺の設置を主張しているところでございまして、地元の成田市もおよそ賛成なんですけれども、なかなかいろいろな問題があって、実現には全然至っていないところでございます。

 ただいま御指摘の件でございますけれども、東京都が主体でございまして、東京都は、展示会の関連事業者への影響を最小限にするため、まずビッグサイトからの近隣地であること、それから必要な展示面積を確保できることといった条件のもとでさまざまな選択肢を検討してきた結果、お台場地区の仮設展示場の設置やビッグサイトに隣接する拡張棟の早期竣工などの措置を表明したものというふうに聞いているところでございます。

 どこに仮設展示場を設置するかは都が判断する事項でございまして、経産省としてはコメントする立場にはないのではないかというふうに、どちらかというと差し控えたいなとも思っております。

 そういったことから、展示会の関連事業者の声をよく聞いて、そして、展示会の開催が可能な限り実現する方策などにつきまして、東京都あるいは千葉県の関係自治体やら関係省庁等と調整してまいりたいというふうに思っています。

大畠委員 経済産業省、国と都の関係ですから、そういう御答弁しかないと思いますが、ただ、先ほど申し上げましたように、今の計画であれば、七カ月間東京ビッグサイトというのが、国際展示場として、仮設の展示場でさえ使えないということで、この間の五万社の出展機会がなくなる、一兆六千億円の経済効果も失う。オリンピックというのは非常に大事だと思いますが、中小企業に、言ってみれば泣いてくれというのは、これは経済産業省として、よしとするわけにはいかないんじゃないですか。

 中小企業、例えば地域の方では、先ほども尾身さんもおっしゃっていました、アベノミクスの恩恵が感じられない、これが地域の中小企業の実態ですよ。それから、公明党の中野さんもおっしゃっていました、何をしたらいいかわからないというのが中小企業の実態だというんです。与党の皆さんでさえ、地域の状況を聞いてみるとこういう声なんですから。

 そのときに、七カ月間も、せっかくの出展機会、地元で一生懸命穴あけ機械をやったり切削をやっている企業としては、オリンピックみたいなものですよ。オリンピックに、予選会に出て、うちはこんなことができるんですよというPRの場なんですよね。その機会を七カ月間も奪ってしまったのでは、その中小企業の死活問題に直結しかねません。

 したがって、仮設展示場というのも、二万四千平米つくるんだけれども、オリンピックの期間中、警備の都合で取り壊すという話ですから、全く意味がなくなっちゃうんですよね。であれば、築地なんかが空き地で、今、聞くところによるとまだ使用計画が何もないというんですよ。だから、ここのところに、五万平米でもぼおんとしたのをつくって、この仮設展示場、二万四千平米なんかやめちゃって、つくってやれば、何もオリンピック期間中閉鎖する必要はないんですから。

 こういうことを、経済産業省として、ごり押しするのはどうかと思いますが、こういう案もあるんじゃないかと。中小企業が困るんだから、オリンピック期間中会場を閉鎖するみたいな計画はやめてくれ、こんなことは言えるんじゃないかと私は思います。

 さらに、東京ビッグサイトを、メディアセンター、これは主にテレビ関係の機材を入れるそうですが、この改造費に二百億というふうに言われていますが、これが、これでは足りないんじゃないか、一千億近くになるんじゃないか、こういう話も聞いています。

 ですから、もう一度、投資対効果じゃありませんが、それだけのお金をかけるんだったら、もう一回いろいろなことを考えてみる価値があるんじゃないか。東京都だって考えますよ、と私は思います。オリンピック最優先で、中小企業は泣いてくれというのは、これは経済産業省として、よしとするわけにいかないと思うんですが、この件について、再度、これはやはり大臣の御決意をお伺いしたいと思います。

林国務大臣 大畠先生提案の築地市場跡地も含めて、東京都あるいは千葉県あるいは関係自治体、関係省庁と、いろいろ方策などを検討し調整してまいりたいと思っております。

大畠委員 ぜひ、ここのところは、この法律案も非常に大事ですが、中小企業の現実あるいは声を聞きながら適切に決断し、東京都とも連携して対応していただきたい、そういうことを申し上げて、私の質問を終わります。

高木委員長 次に、藤野保史さん。

藤野委員 日本共産党の藤野保史です。

 本法案は、中堅、中小そして小規模事業者の経営力を強化する、そういう法案だと認識しております。

 安倍政権が近く決定すると言われておりますニッポン一億総活躍プラン、案を見させていただきますと、本法案が何回も出てきて、わざわざ明記されて、これによっていろいろなことをやるんだ、経営力を強化するんだ、こううたわれております。

 このプランの中身の是非は別としまして、私たちも、中小企業や小規模事業者が活性化する、これ自身は、本当に地域経済あるいは国民生活の向上にとって極めて重要な課題だと思っております。

 本法案は、そうした経営力強化をどうやって図るのかということでいろいろ言っているわけですが、ITとかロボットの導入などもメニューに上がっているということで、それはそれ自体否定するものではないわけですけれども、中小業者あるいは小規模業者、規模が小さくなればなるほど、大事なのはやはり人の力になってくるというふうに思っております。

 人材、どうやってしっかり応援していくのか。私、この間、幾つかの事業者の方々から、働く人を大切にしてこそ、結局は会社も事業も発展していくんだというお話を聞いてまいりました。この視点がやはり大事なのではないかということで、きょうはこの立場から質問をさせていただきたいと思います。

 まず、前提として確認したいんですけれども、本法案は、中小企業等の定義を追加しまして、この中に社会福祉法人や医療法人、NPO法人等を対象に含めるということになっていると思いますが、間違いないでしょうか。

豊永政府参考人 委員のおっしゃるとおりだと考えます。

藤野委員 この法案によって、そうした医療法人、NPO法人にも支援が当たっていくということになると思うんですが、今、地域で回ってみますと、やはり地域を支えている、雇用を支えているのは、いろいろな企業があるんですが、その中でも、社会保障、医療や介護、こうした事業所が地域を支えているというのを、私も地元でたびたび痛感しております。

 これは全国的な傾向だと思うんですが、これもちょっと中小企業庁に確認したいんですが、地域で雇用を支えている産業について中小企業庁はお調べになって、都道府県ごとに、上位五位の産業といいますか、出されていると思うんですが、どのような状況になっていますでしょうか。

土井政府参考人 お答え申し上げます。

 医療、介護分野の雇用者数が一番多い都道府県が多数あるというのは事実でございます。

 この背景には、地域の雇用を担う中心産業は、かつての製造業から小売サービス業や医療、福祉業に変遷しておりまして、製造業の従業者数が減少している一方で、サービス業とか医療、介護業者が従業者数をふやしている状況にあると思います。

 日本全体で見ましても、医療、介護業における従業者数は、平成十四年の四百三十万人から、平成二十八年には七百七十一万人に、この十五年間で大きく増加しておりまして、地域の雇用を支えます重要な産業に成長してきていると認識しております。

藤野委員 その資料を見させていただきますと、やはり上位五位で医療業とかそういうもの、第一位のところもたくさんあります。

 大臣の地元があります千葉県も、医療業が第三位、社会保険、社会福祉、介護事業が第五位ということですし、私の選んでいただいている北陸信越ブロックでいえば、医療業が長野、石川、富山、福井でいずれも第二位、あるいは、社会保険、社会福祉、介護事業が新潟、富山、石川などで第三位ということで、まさに地域で雇用を支えているメーン産業になっているということであります。

 きょうは、その中でも特に介護事業についてお話を伺いたいと思っております。

 経産省は、ことし三月二十四日に報告書を出されました。将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会という研究会をつくられて報告書を出されていると思うんですが、ここを拝見しますと、いろいろ介護のことがおっしゃられていて、いただいた資料では、介護保険給付費というのは予算ベースで十兆円を超えている、関連を含めればそれ以上の波及効果も既に及ぼしていると。

 この報告書で、今、この十五年間のお話がありましたが、今後必要になる介護職員の数の見通しについて、どのように推計をされていますでしょうか。

保坂政府参考人 お答え申し上げます。

 将来の介護需要に即した介護サービス提供に関する研究会におきまして、厚生労働省の過去の調査をもとに、当省で一定の仮定を置いて試算をしましたところ、高齢化による介護需要の増加等に伴いまして、二〇三五年にさらに約百万人の介護職員が必要と試算したところでございます。

藤野委員 そうですね。今後さらに大変多くなってくると。報告書を見ますと、二〇三五年には、全就業者数に占める介護職員の割合は現在の二倍近くになる、都道府県によっては、全就業者数に占める介護職員の割合が一〇%近くになるところもあるという推計なんですね。実に十人に一人の方が介護職員というところも出てくるわけで、これは大変なことだと思います。

 つまり、介護事業所など社会保障に関連する産業というのは、まさに地域の雇用を支える重要な役割を果たしている。ですから、こうした事業所を応援するということは、雇用を支え、地域経済を応援する、もちろん経済産業省にとっても重要な仕事になってくると思っているわけです。

 さらに、これはちょっと大臣にもお聞きしたいんですけれども、私、お話を聞いた中ではっと思いましたのは、こういう御主人がいたんですね。自分のうちの近くでNPO法人が親の介護をやってくれた、だから自分は商売を続けられたんだというふうにおっしゃっていたんですね。

 この方は老舗の御主人なんですけれども、まさに介護事業所というのは、介護を引き受けることによって、自分たちの事業所で雇用をつくることはもちろんなんですが、ほかの事業者さん、商売されている方が介護離職をしなくても済むような、そういう役割も果たしている。

 介護離職というとサラリーマンという印象もあるわけですが、そうではなくて、自営業者や商売をやっている方にとっても、親の介護で仕事ができなくなるということはあるわけでして、そういう意味でも大変重要な役割を果たしている。直接、雇用を支えるだけではなく、間接的にも地域の雇用を支えている。

 ですから、大臣、逆に言いますと、身近で、地域で介護事業所がなくなっていくということになりますと、これは、地域で商店や商売をやっている方が存続できなくなってくる、こういうことにも直結してくると思うんですが、大臣、この点、いかがでしょうか。

林国務大臣 介護事業者は地域の経済や雇用を支える重要な役割を担っております。安定的な事業を営むことができる環境を整備することが重要だろうというふうに考えています。

 小規模な介護事業所につきましては、一般に人件費比率が高くて、職員の待遇改善や生産性向上投資のための余力に限りがあるなどの課題があるというふうに承知しております。

 本法案においては、小規模の介護福祉事業者を含め、生産性の向上を支援することとしておりまして、関係省庁と連携しまして、医療、介護、保育の分野で事業分野別指針の策定を検討しております。IT化による事務負担の軽減など、生産性向上の方法をわかりやすく示すこととしております。

 また、小規模事業者持続化補助金によりまして、介護事業を行う小規模事業者の広報などの販路開拓を支援しているところでございます。

 今後も、関係省庁と連携し、特に厚生労働省とも連携いたしまして、介護福祉事業者の経営面からのサポートをしっかりと行ってまいりたいと思っております。

藤野委員 今、大臣から、厚労省という名前も挙がりまして、関係省庁と連携してという答弁がありました。

 やはりこれは、経営面ということもありましたけれども、今の制度をどうしていくかという点でもしっかり連携していただきたいということを今からまたお聞きしたいと思うんです。

 こうした介護事業者から、私、直接、実際お話を聞いてまいりました。地元の一つであります長野県では、昨年十一月に、安心・持続可能な介護保険に向けた交流フォーラムというものも開催をされまして、県内から多くの関係者の方が集まりました。このフォーラムに向けて、県内の事業所の介護事業者の方にアンケートをとりますと、大変興味深い結果なんですね。

 例えば、職員が足りているというところは四四%ありました。しかし、確保困難が五六%で、とりわけ地域密着型の介護事業施設では、七割が職員の確保は困難だ、こういう回答であります。赤字が大変多いわけですけれども、赤字の原因で一番多いのが介護報酬の引き下げなんですね。これが四割近く達しております。介護報酬の引き下げによる減収率が一〇%を超えた、一割以上減収したというところが地域密着の施設で大変多くなっているという状況が浮かび上がりました。

 安倍政権というのは、介護離職ゼロというのをずっと言っておりますし、今回も掲げられている。しかし、実態としては、この介護報酬の引き下げというのが、今本当に地域に、昨年四月にやられましたけれども、地域で頑張っている、踏ん張っている小規模な介護事業者に極めて大きな打撃を与えているというふうに思うんです。

 これは、前提として厚労省に認識をお聞きしたいと思うんですが、そういう認識を厚労省はお持ちでしょうか。

浜谷政府参考人 お答えいたします。

 平成二十七年度の介護報酬改定におきましては、全体として、事業者の安定的な経営に必要な収支差が残るようにしつつ、適正化を行う一方で、介護職員につきましては、一人当たり月額一万二千円相当の処遇改善を実現するための加算を設けるとともに、中重度の要介護者等を受け入れる場合に加算するなど、きめ細かく配慮することによりまして、質の高いサービスを提供する事業者には手厚い報酬が支払われるなど、一律の引き下げとならないようにしたところでございます。

 また、介護報酬改定後も、介護報酬の請求事業者数は増加しており、現在、安定的に介護サービスが提供されているものと考えております。

藤野委員 厚労大臣も、安定的にサービスが提供されていると。その理由は、報酬の請求が上がってきているからだということなんです。

 しかし、私は、本当にこれは実態を見ているのかと。東京商工リサーチによりますと、二〇一五年一月から十二月に発生した老人福祉・介護事業の倒産、この件数が、調査以来過去最高になった、前年比四〇%増。その中で、小規模事業者の倒産が全体の六五・七%を占めているというレポートを発表しました。

 この東京商工リサーチはこう言っているんですね。特に定員十人以下の小規模デイサービスの基本報酬の下げ幅が大きく、その影響が懸念されていたが、そこの増加が目立ったというんですね。

 基本報酬を下げているんです。加算、加算と今おっしゃいましたけれども、加算というのは、小規模事業者にとっては、申請も大変だし、その加算の条件を満たす環境整備もこれまた大変なわけで、加算じゃ無理だと。一方で基本報酬を下げておいて、それによって一〇%以上減収というところがたくさん生まれているもとで、加算で何とかしろと言われて、対応できない、だからやむなく廃業を選んでしまうというところが多いんですね。

 私は、そうしたところの実態をまず踏まえるべきだと。請求が上がってきているから、どの事業者から上がってきているかわからないもとで、請求が上がっているからいいんじゃなくて、地域で頑張っていた小規模デイを含めた事業者がふえたのか減ったのか、あの介護報酬によって。そこをリアルにつかむ。そうしてこそ、やはり実態というのが見えてくるというふうに思うんですね。

 ぜひこれは、厚労省、できないはずはないと思うんです。請求が来ているからいいんだじゃなくて、どんなところから。先ほど言ったように、各地域で、産業で、これだけやっているというのをつかんでいるわけですから、そこがふえているのか減っているのか、これはぜひつかんでいただきたいというふうに思います。

 時間の関係で先に進ませていただきますけれども、やはりこうした具体的な中身をもう少し紹介させていただきたいと思うんです。

 私は、長野県の三つのNPO法人から具体的なお話を聞いてまいりました。

 木曽地方で、山の中ですけれども、介護事業をされているNPO法人は、経営者はこうおっしゃっていました。生産性を上げろといっても、頑張ってもそう上がるものではない、人を対象にして人がやっている事業なので、そう簡単じゃない、やはり、介護報酬、基本報酬を上げてもらわないと困ると。その方は、木曽の人のために、木曽地方の人のために介護事業をやりたいと、建設業から転業して今やっているんだ、この施設でしか働けない地域の人もいる、自分たちが支えているという自覚でやっている、こうおっしゃっていました。

 また、飯綱町で介護事業をやられているNPO法人の経営者は、安倍総理は介護士の報酬を一万円以上引き上げるというが、とてもそんな体力はない、介護報酬を引き上げてほしいとおっしゃっていました。

 ここで働いている二十代の若者、三人働いているんですが、お話を聞きますと、何でここで働いているんですかとお聞きしますと、利用者の方と接することができる、アットホームなところがいい、こうおっしゃいました。経営者の方は、こういう若い人に給料を出したいんだけれどもなかなか出せないというふうにもおっしゃっていました。

 さらに、松本市、この松本市のNPO法人の経営者の方は、介護報酬の引き下げで経営は苦しい、二十代の常勤職員の給料は月十五万円ぐらいだとおっしゃっていました。

 ここで働いている若者にもお話を聞きましたら、やはり、利用者の皆さんからありがとうという一言をもらうと、やっていてよかったと感じるんだというお話をされていました。

 結局、やはり、私は、お話をお聞きして、こういう事業所を支えているのは人の力なんだなと改めて実感しましたし、介護報酬の引き下げというのは、この人の力をまさに直接そいでいるというふうに実感したんです。

 大臣、改めてお聞きしたいんですが、介護事業所というのは、先ほど見たように地域経済を支えています。直接、間接雇用を支えている。やはり経産省としても応援しなければならないというふうに思うんですね。ですから、介護報酬の引き下げはだめなんだということで厚労省にもしっかり物を言っていく、これが必要じゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。

林国務大臣 介護の現場で、賃金が低い、あるいはまた身体的、精神的に負荷が大きいといったようなことから、介護人材の採用が困難だというような課題があるということは認識はしているところでございます。

 このため、厚労省などにおいては、介護職員の業務負担軽減や処遇改善のための方策について検討が進められているというふうに承知をしております。

 経産省としても、生産性向上あるいは経営力の強化を支援するといったことを通じまして、介護職員の負荷軽減あるいは処遇改善をサポートしていきたいというふうに思っています。

藤野委員 大臣、やはり、今後の経営をよくしていくというのは、サポートしていくのは大事だと思うんです。けれども、今まさに困っている、今まさに介護報酬引き下げで困っている、この困っていることを取り除いてあげるということも大事なことだと思うんです。

 先ほど、固定資産税の話で総務省といろいろやりとりされたということもありましたけれども、厚労省にももっともっと積極的に働きかけるべきだということを強く求めたいと思います。

 先ほど、本法案が、経営力強化の中身として、ITとかロボットとかいろいろメニューにしているということも紹介しました。あるいは、厚労省でいろいろ検討されているということも聞いております。ただ、単純にものづくりの手法を介護の現場などに持ってくるというのは、これはやはりどうなんだろうと思うようなこともあるんですね。

 例えば、私がびっくりしましたのは、厚労省で審議会が設置されておりまして、介護のシゴト魅力向上懇談会、審議会といいますか懇談会。この中で、自動車のトヨタのカイゼンの手法を介護に取り入れよう、こういう議論がされております。

 ことし一月十二日の第一回の懇談会で、オージェイティー・ソリューションズという会社、トヨタが五一%持っている会社なんですけれども、ここの提出資料でいろいろされているんですね。

 驚きますのは、介護労働者、医療労働者の行動をビデオで撮影して、何秒かかっているか、何秒無駄があるか、こういう立て方というか、調査なんです。改善案一、二と出ていまして、改善案一は、歩行時間が長い、改善前は百一秒だ、改善すれば五十七秒になるとか。あるいは、改善案二として、無理な姿勢で作業している、これを改善すれば七十秒が六十秒になるというんです。

 私、ちょっとびっくりしました。ただでさえくたくたに疲れているんです、介護労働者は。人を相手にしています。その介護現場の皆さんに、十秒削れ。政府がこんなことを検討しているということに、私は率直に言って怒りを感じました。そもそも、介護という仕事の本質がわかっているのかと。

 先ほど木曽の経営者の方のお話を紹介しましたけれども、人を対象にして、人がやっている事業ですよね。あるいは、松本の若者もこう言っていました。利用者の方からありがとうと一言もらえるのがやりがいなんだと。

 こういう仕事の現場にこういうやり方を持ち込むというのは、本当に許されない。私たちも、効率化が全てだめだとか、そういうふうなことを言っているわけではありません。必要なものはあるでしょう。しかし、やはり、労働者や介護利用者の個人の尊厳を傷つけるような、こういうやり方は許されないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

林国務大臣 やはり、人手不足などの課題を抱えております介護福祉分野の事業者でありますけれども、所管する厚生労働省とも連携をいたしまして、医療あるいは介護、保育の分野で、生産性向上の方法などをわかりやすく示した事業分野別指針の作成を検討しておりまして、事業者がより効果的に生産性向上に取り組むということを期待しているところでございます。

藤野委員 ですから、そういう分野別指針にこんな事例を絶対入れないでほしい。厚労省と連携するというのであれば、絶対こういうやり方を現場に持ち込まないでほしいというふうに思います。

 最後にもう一点。

 長野県上田市の製造業の労働者の方からもお話を聞いてまいりました。ここは社員が百七十人ぐらいで、ほとんどが正規雇用なんですね。組合が春闘をしっかりやって、ことしも二十四時間ストもやって、経営者もしっかり話し合いに応じていただいて、いろいろな交渉をやったそうですが、去年は六千九百円の賃上げをして、ことしは七千二百円の賃上げを実現した。初めは経営者は六千円とおっしゃっていたそうですけれども、やったと。

 これも働いている若者に聞きますと、やはりこの賃上げではまだ貯蓄がふえるところまではいかない、だから実感はそれほどないとおっしゃっていました。ただ、やはり組合があったから賃上げになったともおっしゃっていまして、同級生が勤めている会社は組合がないからことし賃上げがなかった、しかし、うちは組合があってよかった、こうおっしゃっておりました。

 つまり、やはり介護だけでなく製造業でも、働く方を応援していくということが最大の鍵になってくる。本当に生産性向上という場合には、働く人を大事にする視点、これを外してはいけないというふうに思うんですね。

 そのためにも、やはり経産省としても、中小企業、小規模業者の声に耳を傾けるという支援を強めることが大事だと思うんですが、その決意を最後に大臣にお伺いして終わりたいと思います。

林国務大臣 介護福祉分野に携わる人方の声に耳を傾けて、しっかりと対応してまいりたいと思っております。

藤野委員 質問を終わります。

高木委員長 次に、木下智彦さん。

木下委員 おおさか維新の会、木下智彦でございます。

 きょうもお時間いただきまして、ありがとうございます。あと二十分ほどですので、おつき合いいただきたいと思います。

 まず、きょう、本題に入る前といいながら、これこそ私は本題だと思っているんですけれども、きのう産業競争力会議があったと報道でも出ておりました。そこの中で、いろいろ書いてあって、きょうの本題にもこれはつながるんだと思っているんですけれども、生産性を向上していくあらゆる手だてを打っていくんだと。その中で、AI、人工知能であるとかロボット、ITを活用して第四次産業革命をやっていくんだというふうに言われたということだったんですね。

 私、そこで思ったんですけれども、確かに、そういうことができたらいいよなというふうには思います。しかし、どうやってやるのか。人工知能、ロボット、それからITの活用、これは今までやっていなかったかというと、AIはこれからの技術といいながら、ロボット、ITなんかはもう既に産業の中で取り入れられている。その中で、これをフルに活用して、そして産業革命をしていくんだというふうに私は読み取ったんですけれども、実際にどういうふうにできるのかというのは想像がつきにくいと思うんですね。

 理想の社会だと思います。理想の社会だけれども、それを本当にどう活用してやっていくかというのは、これは本当に大きな課題だと思っていて、これをだめだとか、そういうふうなことを言うつもりはないんです。やっていかなきゃいけない、ただ、やっていくには、その道筋がしっかり示されなければ、産業を実際に担っている経営者、そして働いている方々も、一体何をしたらいいのかということが見えないと思うんですね。

 だから、そういう点も含めて少し解説を、大臣もしくは政府側でも結構です、していただきたいなと思うんですけれども、お願いいたします。

林国務大臣 先ほどもちょっと答弁で触れたんですけれども、例えばコマツでは、ドローンを飛ばして工事現場を自動測量して、そのデータを使って、センサーを各重機に取りつけて、そしていろいろな重機が自動的に対応している。もちろん運転はするんですけれども、そこには、熟練工でなくても、重機が操縦できれば設計どおりに工事が進められていく。

 ということは、女性進出の場にもなる、人手不足の解消にもつながっていくというようなことを実際に見てみまして、こういうふうに進んでいくのかな、今までは熟練工しかそういった難しいところの重機の操縦はできなかったというのが、こういうふうに我々も免許さえあればできるのかなというのを実感したわけでございまして、これが第四次革命の一つなのかなというふうに感じたところでございます。

木下委員 確かにそうですね。コマツさんなんかは相当すごいことをやられていて、あと、聞いているところによると、重機という非常に高いものが世界じゅうに散らばっている、それをGPSなんかで、どういうふうにして稼働しているのか、そのデータをとってまた次の開発につなげていく。そのために、どこか海外のそういうセンサリングをしているような会社を買収したんですかね、何かされたというようなことも聞いていて、そういうことをどんどんどんどんやっていくところが時代をリードしていく。そして、そういうところは当然のことながら生産性も高いわけですよね。そういったところがリードしていくんだと思います。

 きょうは、そういうことの趣旨がこの法案の中に私は書いてあるんだろうなというふうには思っているんです、そういう話をしたいなとは思っているんですけれども、ちょっと、もう一度産業革命の話をしたいんですね。

 なぜかというと、もともと産業革命というのはイギリスで起こった。工業というんですか、工場が機械制工場になっていった。機械を使った工業が発達していった。それで飛躍的に生産性も伸びて、中身、質というのも高まっていったということなんです。ただ、そこの背景にあるものがいろいろ私はあるんじゃないかなと。

 これはいろいろなところで研究されていますけれども、当時は、イギリスは植民地をたくさん持っていた。そういったところが原料になるようなものを供給する地になっていたわけですね。なおかつ、そこででき上がったものも、そういったところの市場というものがあった。それ以外の社会的な基盤というものも、各種の革命があったことによってそろっていて、資本が蓄積される状態になっていて、大きな投資ができるような社会的な状況にもあった。もう一つ大きなことがあったと私は思っていて、それは、農業革命が起こっていたことによっていわば余剰労働力というのがふんだんにあった。こういった状況が全てそろっていたからこそ、今の世の中の基盤になるような産業革命ができ上がったと思っているんです。

 ただ、今回の第四次産業革命というところは、我が国で言っている第四次産業革命というのは、何となく、そういう要素、そういう条件ではないような気が私はするんですね。逆に言うと、困っているんだと思うんです。困っている。何が困っているかというと、労働力不足という形になっている。

 そのために、外からの労働力も入れることも考えなきゃいけないし、お年寄りの方々も、働ける人には働いていただく。女性もどんどん社会進出をするということと、それから、生産性を向上していって、各分野でそういったものをやっていって、これで何が起こるかというと、かつて日本が輝いていた時代を取り戻すこと、どこかの選挙の標語みたいになりますけれども、そういうことを目指しているんだと思うんです。

 だから、状況が私はちょっと違うなと思っていて、これは何が言いたいかというと、要は、第四次産業革命と言葉一言で言ってしまうといいんだと思うんですけれども、では何をするのと。今、コマツのお話もされましたけれども、それだけじゃ国民にはぐっとこないんですね。何をするのかということがなかなかちゃんと表現しにくい。これを頭と知恵を絞って、省庁の方々も含めて、一言で言ってこうなんだということをやはり国民に指し示していただきたいんです。だから、そこを大臣にお願いしたいなと。

星野大臣政務官 木下委員に大変高尚な、未来を見据えた御質問をいただきました。

 まさに、第四次産業革命において我が国は何をするのか、どういう方向を目指すのかということだと思います。

 ドイツも一生懸命やっておりますが、彼らはそのまま訳しているんですね。インダストリー四・〇という言い方をドイツはしております。そのままですよね。我々は、インダストリー四・〇を模倣するのではなくて、ソサエティー五・〇というキーワードを今回も挙げさせていただきたいと思っております。

 それは何かといいますと、今、委員がおっしゃったように、AIもあります、IoTもあります、ビッグデータの利活用もあります。いろいろなものがありますけれども、それはそれぞれ領域も融合をしていきます。

 日本が目指すソサエティー五・〇というのは、社会の質を上げていくこと、社会のためになること、もっと言えば、日本の国民の皆さんのためになる方向にこうした新たな分野を全部融合していくということで、あえてインダストリー四・〇ではなくてソサエティー五・〇なんだということを示させていただいているというふうに認識をしております。

木下委員 ありがとうございます。通告もないところをしっかりと答えていただきました。

 確かに、そういったものを融合していくこと、これの組み合わせ、ここの知恵をどう絞っていくかというところも一つの課題なんだろう。だから、単一の技術だけではこういう革命は私は起こらないなと思っておりますので、ぜひとも、そういったところも積極的に打ち出していただいて推進していただくべきかなというふうに思います。

 では、この法案の中でちょっとそういうのに似たようなところ、似たようなところというか、もっと政府としては打ち出すべきことがあるんじゃないかな、そういう視点でちょっと質問をさせていただきたいんです。

 事業分野ごとに経営力向上の方法などを踏まえた事業分野別指針、いわばガイドラインというのが示されるというふうに言われています。主な事業分野が示されているんですけれども、この事業分野、どうやって選んだんだろうなと。どうやって選んだんだろうとはどういうことかというと、果たしてその分野が成長分野なのか、それともこれから成長すべき分野なのか、それとも乗りおくれている分野なのか。どういう分野を頭に想定してこの事業分野というのを設定されているのかということをまず聞きたいんです。

 というのは、それがないと、要は、おくれているところを助けるためにやろうとしているのか、伸ばすところをもっと伸ばそうとしているのか、それとも、日本がこれからこういうふうな分野で打ちかっていくんだということを示しているのか、これがわからなければ、日本はどういうふうな国になるんだろうというのが私はわからないと思うんです。だから、これはどういう感覚でそういう設定をされているのかということを教えていただきたい。

豊永政府参考人 お答え申し上げます。

 相対的に生産性が低い、競争力が弱いと言われる産業を対象にしているというのが端的な言い方だと思いますけれども、実は、それは弱者ではないんだと思います。

 実際に、その産業の中にしっかり高い生産性を維持している、また海外との比較をしても優秀な企業があるとすれば、多くの人たちがまだそこに至っていない、逆に伸び代があるんだという産業でもあるんだろうと考えておりまして、多くの人たちがまだ伸び代を残していながら現状ではそういう域に達していない、そういった産業がこの法案の対象だと考えております。

木下委員 ありがとうございます。

 どうでもいいと言ったら失礼なんですけれども、そういう話だと思うんです。そうなると、今の話を聞いていると、逆に言うと、まずは世界と肩を並べられるところまでやるんだと。そこから先、伸びていけばいいんだと思うんですけれども、それが、ちょっと強引かもしれませんけれども、第四次産業革命につながるのかという問題が私はまだまだあるんじゃないかなと思うんです。だから、その先も含めてどう考えるかということを国民に示さないとだめだと私は思うんですね。

 それからもう一つ、事業分野ごとにガイドラインを示すというふうにここには書いてありますけれども、果たしてどんなガイドラインが示されるんだろうな、これがもう一つ大きな問題なんだろうと思っているんです。これが示されなければ、もしくはこれがしっかりと示されることによって、どうやれば生産性が高まっていくのかというふうな一つの道しるべになっていくと思うんですね。だから、これが本来出てこなければ、この法案というのは実際にワークするかどうなのかということは、私は判断ができないんじゃないかなというふうに思っています。

 その点について一言いただければと思います。

豊永政府参考人 本来、生産性はより高ければ高い方がいいというふうには考えますけれども、中小企業の実態また特性を考えますと、未体験ゾーンまでのモデルを示されてもなかなか達成できないんだと私どもは考えます。そういう意味では、ベストプラクティスという言葉がございますけれども、同業の中で高みにいる会社の、なぜそこに至ったかという成功例、これが非常にいい指標になるんだろうと考えてございます。そういう意味では、この指針の中では、そうした成功企業のモデルをできるだけ多く示していきたいと思っています。

 一方で、高いハードルを示せば示すほど、では自分はもう諦めちゃおうという小規模事業者があらわれないとも限らないので、そういった意味では、規模に応じて、より高い高みから、ある意味では身の丈に合ったものまでもそろえる必要があるとも同時に思っております。

木下委員 今のを聞いていると思うんです、これは政府主導の経営コンサルなんだと。私は、ここに書いちゃえばいいと思っているんです、経営コンサルを政府が事業分野ごとにちゃんとやっていくよと。そう言えばもっとわかりやすいと思うんですね。

 ただ、一つ、そうなると問題が出てくるところがある。経営コンサルというのは結構いろいろ、海千山千もあるんだと思っているんです。私も仕事で経営コンサルの人と昔相当やりとりしました。ラジオのパーソナリティーをやっている経営コンサルだと言われていた人とか、ラジオをずっと聞いていましたけれども、聞いていても、確かにいいことをいろいろ言われるんです。

 でも、そのときにいつも思っていたのは何かというと、いい経営コンサルというのか、私が信用できる経営コンサルというのはどういう人だろうと思ったら、ただ口を出していろいろ示してやるだけではだめなんですね。やはり自分がそこの業界に対して投資をするなりして、自分がリスクを持って、そしてその業態を何とかしていこう、こういうことを考えられているような経営コンサルが本物の経営コンサルだし、そういったところは、失敗することもあるかもしれませんけれども、相当な確率で伸びていく、私はそういうふうに思っているんです。

 では、これを、経営コンサルだと言いながら政府ができるのか。ここは、また一つ、私は議論しなきゃいけないことだと思うんです。これを踏み越えていくというのは相当難しい。なぜならば、政府がやると満遍なくやらなきゃいけないから。これは多分、経産省さんはいつもジレンマを感じられていることだと思うんです。ただ、もうここへ来て、第四次産業革命だ、こういう分野なんだというふうに言うのであれば、めり張りをつけてそういうことをやっていってほしいなということ。

 それからもう一つ。もう一つは、さっきも言われました、成功事例をベストプラクティスにしようというふうに言われている。ただ、大きな問題があるなと思っているのは、業種内でやはり切磋琢磨していって競争していく。競争の中から、そういったベストプラクティスになるような会社が生まれてくるんですね。そういったところをいろいろまねしていくことになるんだということを、まねというのか、そこからアイデアをいろいろと取り入れてまた経営に生かしていくんだと。

 ただ、さっきも言われました、そこまでいかないようなところもある、そういったところにはそういったところなりの指針を示していくんだと。ここが私は大きなところだと思うんです。なぜならば、本当に生産性を考えたときに何が必要かといったら、それは当然のことながら、そういう生産性の高いところにどんどんどんどんこれを集約化していくことなんですよね。生産性がどんなに頑張っても低いところは、また違う分野で活躍してもらう、ここも私は、政府がこれから先明確にしていかなければならないと。

 それをしないと、ずっとしがみついて何とか細々やっていく。今までは、政府はそこに対しても直接金融であったり間接金融という形で助けてきた。ただ、これから先はそうじゃないんだよ、本当の幸せのためにはそういった集約化もしていくべきだということをここに私は明確に書いていただきたいというふうなことをお願いしたいんですけれども、大臣、いかがですか。そういった考え方をどう思われますか。

林国務大臣 私としては、まず、やる気を持った中小企業を支援していくというのが基本でありまして、今回の法案を軸として、生産性向上に取り組む中小企業の支援を行っていきたいというふうに考えています。

木下委員 まだまだいろいろと議論したいことはあるんですけれども、きょうはこれで終わりにさせていただきたいと思います。

 ぜひとも頑張っていただきたいと思います。よろしくお願いします。

高木委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

高木委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 内閣提出、参議院送付、中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

高木委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、山際大志郎さん外四名から、自由民主党、民進党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及びおおさか維新の会の五派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者から趣旨の説明を求めます。中根康浩さん。

中根(康)委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表し、その趣旨を御説明申し上げます。

 まず、案文を朗読いたします。

    中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。

 一 事業分野別指針については、中小企業を取り巻く経営環境が時々刻々と変化することに鑑み、関係省庁が緊密に連携しながら、優良事例の適宜の見直し等を含めたPDCAサイクルを実効性ある形で確立し、中小企業・小規模事業者、中堅企業の経営力向上に資する最新かつ最良の情報が盛り込まれた指針を提供し続けるよう努めること。

 二 経営力向上計画については、基本方針で中小企業・小規模事業者、中堅企業に分かりやすい認定基準を示すとともに、申請手続・書類については、できるだけ簡素なものとし、事業者の負担軽減を図ること。

 三 特に小規模事業者においては、資金や人材などに制約があり事業の持続的発展が困難な状況が多いことに鑑み、認定経営力向上事業を行う意欲ある小規模事業者に対しては、十分な支援措置を講じるよう配慮するとともに、広く制度の活用が図られるよう、制度の概要、対象、必要手続き等についての情報提供、相談体制の整備等遺漏なきよう万全を期すこと。

 四 認定経営革新等支援機関の業務に経営力向上に係るものが追加されることに鑑み、定期的な調査を通じて各支援機関の支援実績や得意分野をより分かりやすく公表し、中小企業等の利便性を高める工夫を行うとともに、同機関による支援の質・量の拡充を図るとの観点から、同機関に対して必要な支援を行うこと。

 五 固定資産税による設備投資減税ができるだけ多くの中小事業者等に活用され、投資効果が最大限に発揮されるべく、対象企業や設備等について周知徹底に努めるとともに、制度の期限到来時に適切な判断ができるように、政策効果等について適宜情報収集・分析等を行った上で、対象設備の充実等を含め必要な検討を行うこと。

 六 中小企業等の経営の強化を図り、生産性を向上させるという本法の政策目的が十分に達成されるよう、その効果等について適時適切に把握するよう努めるとともに、生産性の向上が付加価値の増大につながり、単なる人員削減とならないよう十分留意すること。

 七 赤字法人であっても納付義務のある社会保険料が、中小企業・小規模事業者の経営に大きな負担となっている現状に鑑み、中小企業者における正規雇用等を促進する観点から、雇用に伴う中小企業者の経済的負担の軽減に必要な措置を講ずること。

以上であります。

 附帯決議案の内容につきましては、審査の経過及び案文によって御理解いただけるものと存じておりますので、詳細な説明は省略させていただきます。

 何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。

高木委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

高木委員長 起立総員。よって、本案に対し附帯決議を付することに決しました。

 この際、林経済産業大臣から発言を求められておりますので、これを許します。林経済産業大臣。

林国務大臣 ただいま御決議のありました本法案の附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいりたいと考えております。

    ―――――――――――――

高木委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

高木委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

高木委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時六分散会


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