衆議院

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第4号 平成13年3月14日(水曜日)

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平成十三年三月十四日(水曜日)

    午後一時一分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 大村 秀章君

   理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君

   理事 玉置 一弥君 理事 樽床 伸二君

   理事 河上 覃雄君

      今村 雅弘君    奥谷  通君

      木村 太郎君    木村 隆秀君

      岸本 光造君    倉田 雅年君

      佐藤 静雄君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    中馬 弘毅君

      中本 太衛君    西野あきら君

      林  幹雄君    福井  照君

      古屋 圭司君    堀内 光雄君

      松野 博一君    松本 和那君

     吉田六左エ門君    阿久津幸彦君

      井上 和雄君    大谷 信盛君

      川内 博史君    今田 保典君

      永井 英慈君    伴野  豊君

      細川 律夫君    前原 誠司君

      吉田 公一君    井上 義久君

      山岡 賢次君    赤嶺 政賢君

      大幡 基夫君    瀬古由起子君

      日森 文尋君    保坂 展人君

      松浪健四郎君    森田 健作君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   国土交通副大臣      高橋 一郎君

   国土交通大臣政務官    今村 雅弘君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君

   政府参考人

   (住宅金融公庫総裁)   望月 薫雄君

   政府参考人

   (住宅金融公庫理事)   邊見敬三郎君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月十四日

 辞任         補欠選任

  田中 和徳君     岸本 光造君

  川内 博史君     井上 和雄君

  大幡 基夫君     赤嶺 政賢君

  二階 俊博君     松浪健四郎君

同日

 辞任         補欠選任

  岸本 光造君     奥谷  通君

  井上 和雄君     川内 博史君

  赤嶺 政賢君     大幡 基夫君

  松浪健四郎君     二階 俊博君

同日

 辞任         補欠選任

  奥谷  通君     田中 和徳君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案(内閣提出第九号)

 高齢者の居住の安定確保に関する法律案(内閣提出第一〇号)




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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案及び高齢者の居住の安定確保に関する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省住宅局長三沢真君、鉄道局長安富正文君、航空局長深谷憲一君、住宅金融公庫総裁望月薫雄君及び同理事邊見敬三郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田公一君。

吉田(公)委員 民主党の吉田公一でございます。

 実は、質問に入ります前に、先週の三月九日の金曜日の報道によりまして、現職の岩井政務官がおられますが、岩井政務官が大手十社以上、旧建設省関係の大手にパンフレットや後援会入会申込書を配付したという記事が載っておりました。

 お互いに選挙をやる身でありますから、後援会申込書を送ったり、お願いをするということは当たり前の話ですけれども、政務官は、御存じのとおり、建設省の河川局長という重要な立場におられた方でございまして、このたび政務官に就任されたわけでございますが、いわゆる選挙を業界ぐるみとか省ぐるみとか、こう言われて批判をされているところが大でございまして、そういう意味で、岩井政務官が農林にも出した、厚生関係にも後援会申込書を出した、あるいは大蔵にも出したということならば、これはこれでまた平等だからいいと思うのでありますが、御出身の影響下にある大手ゼネコンに入会申込書を出せば、当然それは、送ってもらった方は考えるわけでありますから、現職政務官が選挙を目前にしてこういうものを大手ゼネコンに満遍なく送付をするということについてはいかがなものか、そういうふうに思っているわけです。

 私たちみたいに区会議員を上がって都会議員から国会議員になった者は、省ぐるみなんというのは絶対ないわけで、やろうと思ったってできないんだ。悔しくてしようがなかったこともあるけれども、そういう意味では、何で官僚出身の人は省ぐるみでやって、組織も、場合によれば資金も出してもらって、いきなり衆議院議員選挙に出て、こっちは衆議院議員になるまで容易じゃない、三十年もかかっているんだから。高橋副大臣も区議会から都議会から、私の大先輩だけれども、えらい苦労してきた。

 そういう点で、御本人がお答えするのか、あるいは扇大臣がお答えをするのか、今KSD問題も含めてそういう問題については非常に厳しい目で見られているわけでありますから、その点について冒頭お伺いをしたい、そう思っております。

扇国務大臣 私がお答えするのが正しいかどうか、きょう御本人がおりませんので、私も、その新聞に載りましたときに、岩井政務官に、随分新聞に載っていますね、派手ですねという話をしましたら、御本人は、全く知らなかった、後援会が発送したんだというお話でございました。

 今の吉田先生のお話を聞いておりますと、私ももっとできそうなものだなと思いますけれども、私はいたしておりませんし、私も選挙であるということも身をもって感じておりますけれども、少なくともこういうことは、いわゆる業官癒着であるとかあるいは政官業の癒着であるというのが今まで何度も言われてきましたので、私はそういうことを慎むべきであろうと思いますけれども、その筋の専門家が国会に出て、職域代表ということが必要であるということもそれは確かでございますし、野党の皆さん方あるいは民主党の皆さん方も、友愛さんだとか労働組合とか、皆さん方で出ていらっしゃいますというのは、これも一つの大きな組織があってその代表として出てくるんだということは、私は国会の活性化においては大変必要なことだと思います。

 それだったら、私も一言、吉田先生にあやかるわけじゃありませんけれども、私は、先日、日経新聞等々に大々的に一面で鈴木寛助教授の広告を見ました。それは財団法人の日本情報処理開発協会ですけれども、これは旧通産省の下部組織でございます。そして、あの一面の広告は千二百万なんですね、あの広告料。これは民主党の公認候補なんです。しかも、一月に公認候補に決まっているのが、その下部組織を使って一面広告で千二百万も使うということも、私は、いいな、うらやましいなと思っておりまして、私は大臣なのにそういうことがなぜできないんだろうと思いますけれども。まあこれは冗談としましても、私は絶対こういうことを、国民の皆さん方に選挙の前に既に疑いを持たれるようなことはお互いに慎んでいきたいと思って、国民の皆さんに公正な選挙の判断をしていただきたいと心がけていきたいと思っております。

吉田(公)委員 省益、省ぐるみの話が出ますとよく労働組合の話が出ますけれども、労働者の集まりの会に推薦をしてもらったからといって、何か権力があるわけじゃないし、権限があるわけじゃないし、指名権があるわけじゃありません。そこを間違えないでもらいたい、こう思うのでありますが、そういう意味で、とにかくその省の出身の人が隠然たる勢力を持ってやるということについては、やはり権力にある者は慎重でなければならぬ。労働組合なら別に権力なんか何もないので、そういう意味では全然問題が違う、私はそう思っているわけでございまして、大臣からも、現職の政務官ですから、ただ建設省出身の人がやるという話じゃございませんで、どうぞその点は厳重に政務官に注意をしてもらいたい、そういうふうに思っています。

 それでは本論に入らせていただきますが、住宅金融公庫は特殊法人の整理対象の中に入っておりまして、閣議決定をして、公社、公庫、機構その他、整理縮小するものはたくさんあるわけですね。それこそ、公益法人なんていった日には、八千だか一万だかあるというふうに言われておりまして、そういうものを整理縮小することが行財政改革の第一歩でございます。

 行財政改革というのは痛みを伴うもので、その任に当たっている人あるいはそこに勤務している人たちにとってみれば大変つらい話ですけれども、しかし、そういうつらい話を、厳しい話を避けて通れる政治というのはこれから許されない。お互いにそういう意味では、規制緩和なんて言って、実際には民間で大変困っているところもあるわけですが、時代の推移で規制緩和も受けざるを得ない。お酒屋さんの免許だってもうだめだ、だれでも酒屋の免許を取れる。お米屋さんはとっくにだめ。

 そういうように、規制緩和が民間で行われて、そのために商店街やあるいは先祖代々続いてきた商売がだめになるということも仕方がないということで、みんな我慢して、歯を食いしばってやっているわけで、政府系金融機関だけが、あるいは政府系機関だけが特例なんだなんという話はないので、民間に規制緩和をやらせる以上は、やはり自分たちも規制緩和をしていかなきゃいけない、私はそう思っているわけで、きょう総裁がお見えですから、総裁にとってもこれはつらい話。だけれども、これはしようがない。

 そこで、住宅金融公庫は、今度はいろいろな法律案を出してきましたけれども、要するに、閣議決定して縮小整理をするんだと言っているそばから事業拡大みたいなことをやって、バリアフリーとかお年寄りとか言えば生き延びられるんじゃないかと思って今度の公庫法改正をやったわけで、だから、そういう意味では延命策じゃないか、こういう疑いが持たれているわけでございまして、これから整理統合されるような公庫や公社、機構は、そうか、何か延命策で方法はないかなんといって、これからどんどん法律なんか出された日には、こっちだって忙しいんだから、そんな一々延命策の法律につき合っていられないんだ。そういう意味で、どう思っているかということをお尋ねしたい、そう思っているわけです。

扇国務大臣 今吉田先生の方からお話がございましたけれども、少なくとも行政改革というもので、民を圧迫するようなものは整理統合していって、やがては民に移管するというのは望ましい姿だろう、私もそう思っております。

 ですから、今度の政府の国土交通省という、四省庁を統合したことも、まだ実績はございませんから効果はそれほど見えておりませんけれども、この国土交通省になったことも私は行政改革の一環だと思っておりますけれども、少なくとも今まで、今日までの公庫の住宅ローン関係の国民に対する寄与というものの姿は、私はかなり貢献してきていると思っておりますし、また、必要不可欠で、経済の効果も私は大いに上げてきたということは言えると思います。

 細かいことまで言うと時間がかかりますからあえて申しませんけれども、今まで少なくともこの住宅金融公庫の果たしてきた役割というのは私は大きかったと思いますし、平成九年以降、五回にわたりまして、経済対策におきましてもこの公庫融資が中心的な役割を果たしてきております。それも先生御存じのとおりでございます。

 ですから、九年度の住宅着工が百三十四万戸でございました。そのときの公庫のシェアは二九・五%でございました。そして、翌十年度には百十八万戸、三一・八%になりましたけれども、この十年の十一月に百十万戸台までこれが低下したということで、これでは経済効果としてマイナスになる、また、国民が住宅が欲しいという欲望を満たすことができないというので、この十年のときにも、緊急経済対策によりまして住宅公庫枠を広げたわけでございますけれども、そのときに功を奏して十一年度には百二十三万戸まで回復いたしました。これも私は国民の多くの要望であったろうと思います。

 この住宅金融公庫を活用して、少なくとも私は経済効果というものは、生産誘発効果というのは、住宅投資の一・九倍になるというのは、もう吉田先生十も御承知のことでございます。まして耐久消費財等購入額は一世帯当たり二百二十六万円の効果、いわゆる冷蔵庫を買ったりテレビを買ったりということが、これだけみんな購買意欲が出てくるわけでございます。

 そして、これを雇用効果で見ますと、雇用の就業者数は十万戸当たりに二十六万三千人の雇用効果を上げてきた、これもきちんと計算に出ておりますので、私は、経済効果、そして雇用効果等々を含めますと、今までの住宅金融公庫の果たしてきた役割というものも、あながち民を圧迫するばかりではなくて、民を景気づける、勇気づける、その誘発力になったということも、ぜひ私は御評価いただいて、今先生がおっしゃいましたように、なるべく民を圧迫しないというのは原則でございますから、そういう意味で、民を誘発する、その起爆剤になるように私はするべきであろうということは、意見を同じくしております。

吉田(公)委員 今まで住宅金融公庫が果たしてきた役割というのは私も認めるわけで、つまり、戦後、民間の活力がない、国力もないというときに、要するに官の力で需要を喚起するとか、あるいは資本を要するとか、そういう問題がたくさんあって、いろいろな公庫や公社ができました。しかし、既に役割を終えようとしている、終わった、そろそろ整理縮小の時期に来ているというものを見直さない限りは、やはりいつまでたっても民間を圧迫するわけで、経済効果を大臣がおっしゃったけれども、それは民間でやったって経済効果は上がっているわけで、仮に住宅金融公庫だから上がったというわけではない。同じ投資をすれば、これを民間がやったって、もっと効率のいい経済効果がある、そういうふうに思っているわけです。

 問題は、公庫の平成十一年度の融資残高というのが七十四・五兆円というんだ。これはいわゆる、俗に言う隠れ借金と言われている一つだろう、こう思うんですが、その七十四・五兆円という原資はどこから調達しているのか。恐らく、財投もそうですし、一般会計もそうでしょうけれども、今後の問題は償還なんですよ。償還をしなくていいなんというのは殿様商売といって昔からありますが、最後はだめになってしまう。

 だから、そういう意味で、償還を確実に行うという計画はあるのか。もう日本の財政だってそうでしょう、償還計画が全然ないんだから。それで六百七十兆だの八十兆だのなんていって、景気対策だ景気対策だなんていって、景気対策にもならないで、借金だけふえて、国民一人当たり五百万ですよ。

 だから、そういうことにならないように、公社、公庫というのはとかく財投から金を借りちゃ返さない、それから一般会計から繰り入れればいいんじゃないか、こういうことで、要するに、損益計算がうまくいかない。そういうことを考えますと、七十四・五兆円という金の償還をきちっとできる見通しがあるのかないのか、まずそういうことをきちっとしてから住宅金融公庫の存在性というものは出てくるわけだから、返す当てもない、ただいただくだけだなんという話は、そんな話はないんですよ。だから、総裁、その辺は自信あるんでしょうか。

望月政府参考人 冒頭、まず公庫の存在意義についての御質問について大臣から御答弁いただきました。ぜひ御理解賜りたいと存じます。

 私ども、公庫の役割、使命というものはなお今日あるいは今後に向けて重いもの、あるいは手前勝手かもしれませんが、私どもそういう思いを持ちながら日々仕事を勤めている次第でございます。

 今御質問の公庫の資金のあり方でございますけれども、おっしゃるように、現在私どもの融資残高は七十四兆五千億円になっています。では、この原資はどう調達しているかというと、ほとんどが、七十四兆一千億円というものがいわゆる財投からの借り入れでございます。私ども、このお金は、当然ながら、私どもがお借りし、国民の皆様方に、右から左という言葉はよくないんですけれども、そのまま御融資申し上げている、こういう性質のお金であるということを御理解いただきたいと思います。

 この償還の見通し、返済は確実かということでございますが、私ども、率直に申しまして、やはりまず一つには、住宅ローンというのは国民の皆さん方それぞれ日々の生活の最も基幹的な部分である住宅、マイホームについてお借りしたお金である。これが返済が滞るような場合には、最悪の場合には家を手放さなきゃならぬ。こうなりますと、率直に言いまして、ぎりぎり歯を食いしばってでもお返しいただくというのが通常の姿でございまして、そういう意味では、冷たい言い方かもしれませんけれども、非常に優良な債権である、こういうふうに思っております。

 それからもう一つは、私ども融資申し上げるに当たりましては、当然ながら、融資物件についても抵当権を第一順位で設定するとか、あるいは機関保証を含めての保証人、これをしっかりととらせていただいていまして、そういった意味で十分な担保措置が講じられている、こう思っております。その意味では、私どもこの返済は着実にいただけるものであるし、同時にまた、それをもって財投にも着実に、確実にお返しできる、こういう認識でおります。

 ただ、そういいながらも、昨今、この厳しい経済環境の中で、やはりローン返済に現実行き詰まるといいましょうか、困難な方も出てきていることは間違いございません。こういった方に対しましては、私どもは返済を何とかして円滑にしていただくようにということで、いろいろな手を講じながらの努力を今後ともさせていただきたい、こういうように思っております。

吉田(公)委員 総裁からぜひ御理解を賜りたいというお話がありましたが、御理解を賜りたいのならもう少しちゃんとやらないとなかなか御理解が賜れないので、ぜひひとつその辺を、今総裁から漠然とした話は聞いたけれども、償還計画というのはあるのですか。

望月政府参考人 御案内のとおり、公庫の融資というのは、現在でいうと、三十五年とか一定の期間が決められています。個々の御利用をいただいた方々は、それについて元利均等だとか元金均等だとか、方式は二つありますけれども、いずれにしても所定の期間内にお返しいただく、その意味では、それが償還計画に相なります。したがって、毎年毎年の数字を今ちょっと持っておりませんけれども、それはすぐ立つわけでございまして、もう一つ加えますと、最近では、むしろ繰り上げ償還という格好で早目に返ってくるというケースもありまして、償還の面ではむしろ前倒しで返ってきているという傾向も実はございます。あるいは、退職金でお払いするとかいろいろなケースもございますが、私ども、総じて言えば、そういうもので前倒し的に返ってくる、こういうことでございます。

吉田(公)委員 問題は、大体公団とか公社とか機構でもうかっているところなんというのは一つもないので、旧建設省関係でも運輸省関係でもそうだと思うんです。

 例えば、運輸省なんか、それでは吉田政務官にお尋ねするのですが、国鉄清算事業団なんというのは、JRに分離したときに、要するに借金を全部国民につけちゃったわけだよ。そうしたら金利が年間一兆円だというんだ。あげくの果てに二十兆円にもなってしまって、さあ、これで返すのは大変だということになって、国鉄清算事業団は、その赤字を抱えたまま、まだ存続している。だれも整理縮小もしなけりゃ、大蔵省と運輸省と交互に総裁が来て、それでその借金を残したまま給料だけちゃんと取っちゃって、それで三年ぐらいでどこかへ行っちゃうんだ。だから、そういう行方不明者みたいな人を総裁だの理事長に選んで無責任きわまりないと思うんだな。吉田政務官には別に質問通告していないけれども、やはり吉田政務官も写真を撮る都合があるんだろうから、今質問をしたのだけれどもさ。

吉田大臣政務官 御答弁を申し上げます。

 この国鉄、いわゆるJRの完全民営化にかかわる御質問でありますけれども、国鉄の分割・民営化のその根本的な考え方にのっとって、いっときも早く条件が整えばこれらをひとつ完全民営化しよう、これが閣議でずっと踏襲されてきた精神でもありますものですから、そして事情はいろいろありましたけれども、おかげさまでこのたび本州の三つのJR、西、東海、東と本州の三つが民営化できる状況に立ち至りましたものですから、そして東海につきましての若干の足並みの乱れもありましたけれども、委員の御注意を十分徴しまして、法案を通していただいた後、株を処分しますのはまた別途注意深くやらせていただこう、こんなことでありますので、御理解をいただき、ひとつお願いを申し上げたい。

 ありがとうございます。

吉田(公)委員 質問については余り何だか、四国連絡橋の話なんかしていないのだけれども、これで写真が撮れたからいいや。

 それから、公庫の事業費の原資というのは何かとさっき総裁から聞きましたけれども、一体公庫の事務費の原資は何であったのか。一般会計から金を出してもらってやっているのか知らぬが、そうすると、もう最初から返済計画なんかありはしないや。

邊見政府参考人 事務費の原資についてのお尋ねがございました。

 住宅金融公庫の事務費は、人件費を含めまして、十一年度決算では二百三十億円となっているところでございます。

 住宅金融公庫の損益につきましては、借入金利息や事務費等の経費と、そして貸付金利息や手数料等の収入の差に対しまして一般会計から補給金を受け入れることによって全体の収支を保つ構造となっております。

 事務費の原資につきましては、政策的に低利融資を行うため、貸付金利に上乗せすることができないという構造の中にあって、補給金により対応をしているところでございます。

吉田(公)委員 ここに、いただきました資料、損益計算書というのがありますが、利益の方に、一般会計からの受け入れが、六千二百十億円が利益になっている。国民の税金を入れておいて、いつの間にかちゃっかり利益に入れるなんという話はないので、これは本当の利益と言えるかどうかということは、会計上の問題点もあるかもしれないけれども、私はおかしいと思っているわけです。これは一般会計からの税金だよ。それを受け入れておいて、利益なんという話はない。だから、これは本来は抜かなくちゃいけない話だよ。それで初めて自立してこそ、要するに住宅金融公庫の存在があるわけだよ。そんな、毎年六千二百十億円なんという金をもらっておいて、それで金を貸す方は財投でやっているんだと。そうすると、人件費だとか事務費だとかいろいろなものが出てくるんだけれども、それを一般会計から賄って、そして人件費に補てんをしたり、運営費に補てんしたり、管理費に運用したり、そういうことはおかしいのではないか、そういうふうに思うんですが、どうですか。

望月政府参考人 委員御指摘の利益、損失の勘定、私どもの損益計算書上の概念でそういう表現になっておりますが、一言で言うて、公庫が六千数百億円をもうけているというような性質のものでは全くないわけです。逆に、これはむしろ、簡単に言えば、それだけ足りない部分を埋めているという、赤字という言葉もよくないかもしれませんが、むしろ、もうけているというのではなくて、それだけのお金を一般会計からいただいているという経理上の概念でございますので、御理解いただきたいと思います。

吉田(公)委員 要するに利益になっているんだよ、これは。損益計算書を見ると、利益。得しているなんということを言っているのじゃないのだよ、別に商売をやっているわけじゃないのだから。

 だから、一般会計の税金を利益として計上することは間違っているのじゃないか。それを入れて損益計算書をつくって、だから収支が合っているんだみたいな話は、それは本来の独立採算制じゃないわね。

望月政府参考人 白紙で言えばそういう御指摘になろうかと思いますが、これはあくまでも私どもの経理の、損益計算書上の書き方でございまして、むしろここで言う利益勘定に載っけているのは、いみじくも御指摘のような一般会計からいただいているお金ということであって、それ以上の意味はないということは御理解いただきたいと思います。

吉田(公)委員 そうすると、一般会計から受け入れている六千二百十億円というのは、これは返さなくていいの、いただき。

望月政府参考人 そもそもこの補給金なり交付金というもののよって来るゆえんというものが、いろいろあるのですけれども、最も大きな部分は、いわば借入金の調達コストとお貸ししている融資先のエンドユーザーからいただく利息の収入の差というものが逆ざやになっている積み上げがあるわけです。そういったことがたまりたまって、こういう格好で、補給金なり交付金としていただいているものですから、そういう意味では、お返しするものではございません。私どもは、それをいただくことによって初めてこの低利融資というものが実現している、こういうことでございます。

吉田(公)委員 要するに、低利融資をするためには、どうしても一般会計からの受け入れをしなければ低利融資が実現しない、こういうことだと思うんです。しかし、これは本来は、一般会計から繰り入れるのは、地方公共団体でもそうだ、みんな、一般財源の繰り入れをして帳じりを合わせている。だから、一般会計から多額の補助金がなければやっていけないような公庫や公社や機構は、縮小するか廃止をする方向にしない限りは行財政改革なんて口先だけだ。もう本当に、九官鳥じゃあるまいし、行革行革と何十年言っているんだ、ちっとも実現していない。

 だから、そういう意味では、これから、一般会計から恒常的にお金を受け入れてそれを使って運営していますなんというところは、これは縮小化していくしか手はない。

 ところが、私が調べたのは平成五年だ。役員の人が九人、職員数が千百四十六人。そうしたら、今度は平成十二年だ。それから七年たって、職員の人が七人しか減らないんだよ、七人しか。だから、全然これは減らす気もなければ縮小する気もない。とにかく七人にとどめておこうというためには、何でもいいからバリアフリーとかなんとかいって出して、そう言えば生き延びられるんじゃないかなんといって、これは密議を凝らして考えた案だろう、こう思うんだよ。だから、大したことはないんだね、これは。

 だから、そういう意味では、七人しか減らないというのは、総裁、どういうわけですか。

望月政府参考人 まず、補給金、交付金のことで、ちょっと一言だけ冒頭言わせていただきますが、先ほど私申しましたように、五百五十万件というものを現在私ども債権管理させていただいています。いわゆる過去において貸し付けたものの累積がそうです、残が。これは、トータルでいうと、大体調達コストが四・二%でお借りしていまして、お貸ししている金利が三・五%。したがって、単純に言えば〇・七%の逆ざやが起こっています。そういったものについて、ぜひ補給していただく。

 では、何でそんな金利でやっているのかということは、挙げてこれは我が国の住宅政策そのものの根幹の部分でございまして、そういう低利政策でもって庶民、中堅勤労者の方々に住宅の取得を容易にさせよう、こういった政策の中でやっておるということを御理解いただきたいと思います。

 問題は、今の定員の関係でございますが、私ども、現在は千百四十一名でございます。これは、わずか七人しか減っていないじゃないかということでございますが、先生御案内でございますから余りくどくは言いませんけれども、私ども公庫業務というのは、率直に言いまして、質、量ともに今非常にふえてまいっております。単に戸数が多いとかいうことばかりでなくて、端的に言って、融資に当たっての融資相談、審査、こういったものについて従前以上に、昨今のように厳しい経済環境等を踏まえますと、丁寧に相談業務をしなきゃいかぬ。あるいは債権管理も、いろいろと難しい局面になっている中で的確に行わなきゃならぬということ等ございますし、何よりも、私どもの業務は金融機関なり公共団体に委託してやらせていただいていますけれども、やはり大勢の方々に公平なる事務処理ということもまた基本的課題でございます。

 そういった意味で、我々の業務というのは、従前よりもますます、債権管理等を含めてあるいは相談業務を含めて非常に重くなっているという中での数名の減である。私ども、決して気楽なことを言っているわけじゃありませんが、厳しい定員管理あるいは行政改革、こういったことは大きな重い課題として受けとめながらも、ぎりぎりのところで努力させていただいているということについては、ぜひ御理解いただきたいと存じます。

吉田(公)委員 極端なことを言えば、〇・七%の逆ざやがあると総裁が御答弁なさいましたが、〇・七%の逆ざやだけを補てんするのが一番効率がいいわけだね。それはそうでしょう。役員の人が九人いて職員が千百三十九人いるわけだから、職員が七名減って役員は全然減らないというのはおかしな話だけれども、これは既得権でやっているんだろう、こう思うんです。

 それからもう一つは、例えば、これは民間金融機関を圧迫していると、とかく金融機関から余り評判がよくない。それで、国民金融機関で財投を投入して、あげくの果てに六千何百億円か一般会計から繰り入れて、そして〇・七%の要するに金利の逆ざやを補てんしているわけだ。

 ところが、じゃ、これを銀行に一たん任せたらどうだ。それで、住宅金融公庫の提携金融機関というのは八百あるんだ。これに手数料を払っているわけでしょう。銀行に払う手数料が四百三十億円というのは本当かね。それから、地方公共団体にも五十六億円の手数料を払っている。沖縄公庫手数料として、これは大した額じゃないけれども。こんなに、五百億円近い手数料を払っているわけだけれども、つまり、こういう手数料も要らなくなるわけだよ。

 銀行直貸しであれば、おたくの方の金融機関の提携機関は全国で八百しかない。ところが、金融機関を私が調べたら、都市銀行が九行で支店数が二千九百六十三もある。それから、地方銀行は六十四行あって支店数が七千八百八十。全国網羅しているわけだよ、農協も入れて。全部入れたって何万軒という金融機関がここにあるわけだ。だから、そこへ金を流せば、極端な話、住宅金融公庫は要らないわけだ。要らないで済む。金融機関は助かるわけだよ。そこは極端だけれども、論理上はそういうことが成り立つわけだ。

 だから、住宅ローンなんというのは、長い間おつき合いいただくものだから、要するに、民間金融機関としては欲しい人たちなんだよ。それを住宅金融公庫が税金を投入して、財投で投入してどんどんやるものだから、金融機関としては、そんなのは私たちに任せてくれればもっと効率よく安くやるのにな、こう思っているに違いないんだよ。そこが住宅金融公庫の限界なんだよ、効率、サービスということからいって。金融機関をもっとふやすとか、農協だって一万三千四百四十五支店あるんだから、そういう八百なんて限定しないで、何でこれ、八百に限定しているんですか。

望月政府参考人 ちょっと正確に申し上げる必要がありますけれども、私ども委託申し上げている金融機関は、都銀から始まって地銀、第二地銀、信用組合、信用金庫、農協、漁協等々、すべて対象にさせていただいておりまして、それが八百前後でございます。その支店網等を含めますと、二万以上の支店、組織を活用させていただくというか委託申し上げている、こういう次第でございまして、言ってしまえば、我が国のほとんどの金融機関のネットワークの上に公庫業務を展開させていただいているということを御理解いただきたいと思います。

 これについて、私どもは、おっしゃったような業務委託手数料を払わせていただいています。また別途、検査関係では公共団体にもやはり検査事務を委託申し上げていまして、その関係でも委託手数料を払わせていただいています。

 さて、両方合わせたこの委託手数料が五百億強だと思いますけれども、これが高いか安いかということになります。

 確かに、民間でやった場合にはどうなるかということを我々計算もしていませんけれども、まさかこれ、ゼロというはずはございません。いずれにしても、私どもはかなりリーズナブルなお金で事務をやっていただいているなというふうに、率直に言って私はむしろ感謝している次第でございます。これも、挙げて、五十年来の公庫業務についての全国の金融機関の深い御理解と、その間に培われたよきパートナーシップ、こういったもののおかげで今日の業務が展開されておる。そのおかげで公庫の職員も千百名で済むし人件費も百億前後で済む、こういった構造になっているということはぜひ御理解いただきたいと思います。

 ただ、そういった中で、先生もちょっと今触れられましたけれども、民間金融機関においても、昨今、住宅ローンに対するいわゆるリテールについて、かなり重視されている機関も出つつあります。こういったところとの協調というのは当然大事でございます。しかし、私ども申し上げたいのは、公庫、政策金融機関としての役割がどうかということになりますと、我々はやはり、端的に言って、公平に融資申し上げるとか、あるいは特に中堅所得層に対する重点的な配慮だとか、さらに言えば質を誘導する、政策的な重みを誘導する、こういったこと等ある。その一つにバリアフリー等の問題もある、高齢者問題もある、こういう御理解をぜひお願い申し上げたいと存じます。

吉田(公)委員 政府の景気対策の一つとして、ゆとり償還で、大体、景気をよくするためには自動車産業と住宅産業が回復すれば景気はよくなる。それは、従事する人たちも多いし、末端にまで景気が行き渡るわけで、そのためのゆとり償還ということで、五年間は元金を返済しなくていい、六年目から元金と利息を返済してくれ、こういうことをやったわけだ。さあ、これにみんな飛びついたわけだ。五年間、利息だけでいい、五年後、要するに元金を返していけばいいのだ。ところが、六年目になったら、元金と利息でどんと来て、それで景気が悪くなっちゃって、さあ、どうやって返したらいいかと言っている人がたくさんいるわけだ。

 ところが、当時の金利が高くて、だから住宅金融公庫で金利を下げてやればいいと思うんだけれども、今、高いからみんな借りかえをやっているわけだ。銀行が安いものだから、銀行に借りかえてやってもらうのだけれども、こういう人たちを救済する措置というのは、何かあるのですか。

望月政府参考人 お話しのように、私ども、今までの感覚あるいは実感として、経済は右肩上がりであり、所得、収入も右肩上がりで行くというふうなことになれていた時代が率直に言って長いことございました。そういった中で、私どもの住宅金融公庫のローンにつきましても、特に平成五年、六年、両年度にわたりまして、いわゆるゆとり償還、なかんずく我々はこれをスーパーゆとり、こう言っているのですけれども、それまでもゆとり償還制度というのは昭和五十四年からいろいろな形でやっておるのですけれども、平成五年度、六年度、とりわけかなり傾斜のきいたゆとり償還制度を導入させていただいたことがございます。

 これはどういうことかというと、通常三十年とか三十五年で融資申し上げているわけですが、最初五年間の月々の返済額を計算するに当たりまして七十五年で返すということを計算の根拠にしまして、それではじかれる元利均等あるいは元金均等の場合の償還必要額というものを五年間は払っていただきたい、六年目からは通常の融資期間に戻した計算で出てくるお金を払っていただく、こういう制度でございます。

 これは、率直に言いまして、今先生御指摘のように、六年目からは当然のようにその期間が切れるものですから、ちょうどまた経済的に厳しい状況になったのが平成十年、十一年と入ってきていまして、私どもとしては、単純に計算すると大体一・七倍から八倍くらいの返済額の増額を見るわけです。これと経済環境というものがダブルできいてくると、返済される方々にとっては非常に厳しい話になりまして、これについてどう対応するかということは、非常に重い課題として平成十年以降取り組んでまいっております。

 率直に言いまして、スーパーゆとり制度というものはその二年度でやめてしまいましたけれども、七年度以降も計算期間を五十年とするゆとり償還制度というのは残っていたわけですけれども、これはとにかくできるだけお使いにならないようにと。よくよく理解していただきたい、六年目からはこういう高額になりますよということを十分周知徹底する、相談もする、もっと言えば、個人個人の方々の家計診断相談までさせていただいてということをやったものですから、急速にこの利用率が落ちまして、平成十二年度からはこの制度をやめさせていただきました。

 とはいっても、今までお使いになった方々が返済の段階でいろいろと御苦労されているということも事実でございます。そのために私どもは、これについては、はっきり言いましてできるだけマイルドなといいましょうか、激変を緩和するような償還の道を探ろうということで、特に平成十一年度からは、私ども、最低十年間返済期間を延長する、あるいは、ボーナス併用をしている方については、ボーナスが出なくなったというような人も多々あるものですから、それを一般ルールというか、ボーナス併用をやめてしまうとか、いろいろな条件変更をさせていただいていまして、これまで平成十年から今日まで十万八千件くらいの方々の変更をさせていただいておる。言ってしまえば、そういうゆとり償還の利用者については、できるだけお使いにならないようにという指導をし、制度もやめ、しかし、過去においてお使いになった方々については、返済で困窮されるのにおいて、きめ細かい相談に乗り、条件変更をもって臨む、こういったことを今やらせていただいておるという次第でございます。

 なお、一言つけ加えますと、そのほかにも、何もゆとり償還利用者ばかりではなくて、最近では非常に経済状況が厳しい中で、いろいろな面での返済にお困りになる方々も残念ながらふえております。そういうところに対しましては、私ども、十年の十月の閣議決定に沿いまして、同じようにあるいはそれよりもう一歩突っ込んだような格好での条件変更をさせていただいておる、そのためのまた濃密なる指導、相談をさせていただいておる、こういう状況でございます。

吉田(公)委員 要するに、バブル期の公庫融資金利というのは高いので、今返済と一緒に大変困っているわけで、それをやはり救済するという道は、例えば二代で返す。おまえはこの家を継ぐのだからと、せがれもちゃんと保証人になって延ばしてやったらいいと思う。不良債権なんかみんなそうだよね。金融では、延びたら不良債権になっちゃうんだけれども。不良債権じゃないけれども、返せないんだから、だから今度は二代であなた方は負担して返しなさいよということにしたらどうですか。だって、国の金だって六十年償還だよ、いつの間にか。しかも借りかえありだっていうのだから。だから、今お金を借りた人が……(発言する者あり)そうだよ、借りかえできるのだから、自由自在なんだよ。

 だから、十年間で償還しますなんて言っているうちに、最後六十年になっちゃって、提案した人が十三回忌を迎えちゃって、全然知らんぷりしちゃって、そんな無責任な財政があるかっていうんだ。そこが無責任だというんだよ、私は。六十年後に返済しますといったって、法事だって五十年たてばおしまいだから、それを借金だけは六十年間借りかえがオーケーですなどといって勝手なことをやっていて、こういう借りた人には全然だめだというのはおかしいと思うんだな。

 だから、二代で返済できるような手続をすれば、二代続けて返済を延ばしてやれば払えるのだということにしてやれば、金利は、長くかかるけれども、負担は、だけれども、その時代の世代の借りた人は助かる。ぜひそういうふうにしてもらいたい、そう思います。

 時間がだんだんなくなってまいりましたので、高橋副大臣にまで話が行かなきゃいけませんから、先に進めさせていただきます。

 公庫融資公庫融資とよく言うんだ。だけれども、私みたいに、高橋副大臣もそうだけれども、区会議員やったり都会議員やったりしてくると、建築基準法というのは地方行政機関の役目だから、そうすると、公庫融資かどうかということが問題になってくるわけだ。融資つきの建物だと、えらい厳しいのだよ、審査が。例えば、準防火地域だとすれば準防火にしなきゃいけない。だから、ガラス一枚はめるのだって網入りガラスにしなきゃいけないとか、いろいろな制約がある。

 それで、今度は、前面道路が四メーターなきゃいけないというんだよ。それで隅切りは絶対二メーターなきゃいけないという。東京も大阪も、大都市もそうなんだけれども、昭和三十年代ころ建てた人はもう建てかえをしなきゃいけない、四十年で。ところが、前面の道路が、幅員が四メーターないんだ、どういうわけだか十センチ少ないんだよ。何で、売ったときの人が、わざわざ十センチぐらい少なくしなくたっていいじゃないかと思うんだけれども、私のところがそうだったんだ。

 だから、住宅金融公庫の金、おれは借りられないんだよ、総裁。五センチ少ないというんだよ。ロケットだって五センチぐらいの誤差があるだろう、だから、はかったやつが五センチちょっと伸ばして、ああ、ありましたと言えばいいものを、区役所行って毎回毎回やっているものだからみんなばれちゃって、吉田さんのところの自宅は四メーターないのだ、三メーター九十五しかないのだというのをわかっているんだよ。だから隅切りは今度三センチか四センチ足りないんだよ。ついと高い銀行金利でやったんだよ。だから、金融公庫の融資なんて、建築基準法に合致して完了検査証を添付しなかったら、住宅金融公庫に申し込めないんだ。そんな人、何割いるんだよ。割合からいけば、要するに完了検査証というのを添付したはがきで、それをもらってつけて、住宅金融公庫へ申請書を出すんだよ。総裁は知らないだろうな、そんなこと。最初からいい家に住んでいるから。そうなんだよ。

 だから、私の家は、昭和三十八年に建てた建て売り住宅だから、変えようと思ったって容易じゃないんだ。しようがないから自分で下へ潜ったりして、それで板の間なんかばんと外れるでしょう、応急修理は何でやったと思う、総裁。車のジャッキでもって上げるんだ。すぐ上がっちゃうよ。そうすると平衡が保てるんだよ。もうそれで大体半年は大丈夫。そういう生活の工夫もやっているんだよ、一応は。

 だから、住宅金融公庫の融資といって、いかにも国民生活に関連あるみたいなこと言っているけれども、借りられる人は二割か三割だよ。だから、そこのところを国民のためになんて言ったってだめなんだ、それは。一定の人のためにだよ。自分が努力したって、隅切りを削ってくれる人は他人だから、その人は前面道路の公道に面しているんだから、私のところは隅切りなんか削る必要ない、こうなる。そうすると、その人は生涯高い銀行の融資しか受けられない、こういうことになるわけだよ。ぜひひとつその点を理解してもらいたい。自分が違反建築している人はしようがないよ、それは。だけれども、どうにもならないことがあるよ、個人じゃ。前面道路を拡幅してくれといったって、人の家が並んでいるんだから。夜中に行って塀を壊して更地にしちゃって十メーター広げちまおうなんてわけにいかないんだから。ぜひその点も勘案してもらいたい、そう思っています。

 それから、マンション建てかえ、バリアフリーリフォームに関して、とにかく一括償還制度を創設するということ、毎月毎月払わなくていいよ、そのかわりあなたが死んだときには全部もらうよなんてハゲタカみたいなことをいって、死んだときには全部返してもらいたいなんていって、まさかお通夜に返還要求書を届けるんじゃないだろうな、これは。死んだときにといったって、死んだ人はもういないんだから、次の人が払わなきゃいけないんだよ。そういう点は大丈夫なのかね。

三沢政府参考人 今先生御指摘ございましたように、今回の死亡時一括償還制度の最大の特色は、高齢者が亡くなられたときにその元本を一括してお返ししていただくというところに特色があるわけでございます。

 これはどういうことかといいますと、高齢者が亡くなったときに、原則的には相続人の方が一括して返済していただくということでございます。ただ、相続人が返済がやはりできないというような状況が当然ございます。その場合は、恐らく、多分、高齢者の方が住んでおられた土地建物も相続しないというような形になるかと思いますが、それについては、最終的には当該住宅を処分した上でその中から回収させていただく、こういう仕組みになろうかと思います。

吉田(公)委員 仕組みといったって別に仕組みはないで、亡くなるときに取り上げようというのだから、要するにこれは仕掛けだ、仕組みじゃなくてね。

 しかし、遺族にとってみれば、確かにお金を借りているんだから返さなきゃいけないとは思っていながらも、借りた人が亡くなってがっくりきているところへ、約束だからひとつ全額払ってもらおうじゃないかなんて相続人に言って、四十九日も過ぎないうちに、お墓の金があったら返せよなんて、そういうことにもなりかねないんだ。

 だから、いかにもよさそうな話だけれども、では、相続人が極端な話十万円しかない、相続したときに、それは十万円払えばそれでいいのかね、相続人は。

三沢政府参考人 通常の場合、例えば相続財産が先生おっしゃるように十万円しかない、一方で負債は例えば五百万とかあるという場合であれば、恐らく大多数の場合はもう相続を放棄されるということになろうかと思います。もし相続を放棄されますと、当然のことながら、その土地建物につきまして、その元本についての回収を図らせていただくということになるわけでございます。

 ただ、先生おっしゃいましたように、これはやはり通常の融資と大変異なる仕組みでございまして、やはりこの制度、仕組みを選択していただくかどうかにつきましては、事前にきちんと御説明をした上で、また相続のときどういう影響があるかというようなことも十分理解していただいた上で御利用いただくということが大事でございますので、この点につきましては十分留意していきたいというふうに考えております。

吉田(公)委員 そこは、いいようで、遺族に対する負担等もある、しかも残された人がまたお年寄りで奥さんだったなんということになれば、これはなかなか容易じゃない、そのときはもう住宅金融公庫もあきらめる、そういうことでやるしかないね、これは。

 それから、高橋副大臣にお尋ねいたしますけれども、民間賃貸住宅でよく私ども相談を受けるんだけれども、家賃が滞っちゃった、三カ月間払えなかった、したがってどこか公営住宅なり住宅公団、住宅公団は家賃が高いんだまた、公営住宅よりか。だから、公団住宅じゃ入れません、公営住宅しかない。その公営住宅へ申し込めば、年一回しか募集していないとかなんとかいってなかなか入れてくれるチャンスがない。

 だから、緊急避難的にちゃんとやはり入れてあげられるような、バリアフリーや手すりをつけたりなんかするのも結構だけれども、実際にそういうふうに困っている人を救済してやらなきゃ意味がない。その点はどうか。

高橋副大臣 吉田さんのいろいろ洒脱な質問に答えるのは非常に厳しいのですが。

 高齢者の住まいの確保ということにつきましては、民間の賃貸住宅の支払いが滞ったり、困った、払えないというふうなことになりますと立ち退きを求められますが、こういうふうなことにならないように、居住が適切に確保できるようにしたいと私は思っているんです。私もいろいろ陳情を東京都の中で受けておりました。

 このために、高齢者の状況に応じまして適切な住宅の確保が行われますように、低所得者向けの公営住宅や高齢者の所得に見合った家賃対策補助を行う、それで高齢者向けの優良賃貸住宅等の的確な情報提供というふうなことで努力していきたい、こう思っております。また、お困りになっているような場合には、福祉部局等と緊密な連絡をとりまして、高齢者が安心して住めるような措置を講じていきたいと思っております。

 吉田先生は御承知でしょうけれども、東京都においては十三年度は新規土地を購入しての公営住宅の確保ということはやらないと聞いておりますので、それでも東京都はリフォームや建てかえはやっていくということでございますが、私どもは、公営住宅の新規な供給といいましょうか、住んでもらうためには、制約がありますけれども、リフォーム等に努力いたしまして、今までのストックの有効活用も考えながら、高齢者に対して必要な公営住宅の供給ができますように努力いたしたいと思っております。

 さらに、急速に増大する高齢者のお住まいの需要ということを考えますと、これを大量的に供給を図るということは難しいのですが、そのためには、今回創設をお願いしております高齢者向け優良賃貸住宅制度におきましては、民間事業者等の活用といいましょうか、それと公団、公社等の、先ほどいろいろ御意見をお述べになりましたけれども、既存賃貸住宅ストックを有効に活用するというふうなことで効率的な供給を図って、これらの施策によって高齢者が安心して住めるように取り計らいたいと思っております。

吉田(公)委員 実は、高齢者向け優良賃貸住宅については民間にどの程度の補助がなされるか、こういう質問なんです。

 問題は、昨年、国土調査促進特別措置法という法律を通したんだ。これは、国が半分五〇%、都が二五%、県が二五%、区市町村が二五%というんだね。つまり、大阪なんかは、樽床さん、七%ですか、国土調査が行き渡っているのは。東京が一七%かな。だから、早くやろうというので国土庁がやったんだけれども、しかし、肝心かなめの都や区が金を出さないんだよ。それで、結局、こういう法律を出して地籍調査をやろうじゃないかといっても、できない。

 だから、この法律案の中に国が三分の一、それから地方が三分の一、こう言っているんだけれども、国は三分の一出したとしても、例えば東京都が三分の一出せない。だから、そういうときには一体どうすりゃいいんだ。結局この話はこれでストップ、こうなっちゃう。その点、どうなんですか。

今村大臣政務官 吉田委員の御質問は本当にいつも私は感心するのでございますが、言葉がやわらかいけれども中身は大変厳しい、これはまさに生活者の視点に基づくものだ、私もしっかり勉強させていただきます。

 ただいま御指摘にありましたことはまさにそのとおりでございまして、これは地方の皆さんがやはりしっかりついてこなければいけないわけです。そういった点につきましても、私たちも、国で計画を立てていく上で地方の財政事情あるいは住宅事情等々しっかりヒアリングをして、そしてこれだけはぜひやりたいというものについて今後進めてまいりたいというふうに思っております。

吉田(公)委員 最後になりましたが、バリアフリー化の補助その他はいいんだけれども、例えば、全然交通の便が悪くて生活環境もうまくいかない、そういうところを、手すりをつけてあげたり段差をなくしたりして、何だか知らないけれども、余っている空き家を埋めようじゃないか、そういうことが行われないとも限らないので、そういうことはないということでぜひお願いをしたい、そう思っています。

 ちょうど時間となりましたので、質問を、まだ幾つか残っていたんですけれども、この次もう一回やることになっていますから、またやらせていただきます。どうもありがとうございました。

赤松委員長 以上で吉田公一君の質問は終わりました。

 次に、井上和雄君。

井上(和)委員 民主党の井上和雄でございます。

 先週の金曜日の本会議におきましては、今回の法案の一つである高齢者の居住の安定確保に関する法律案について、扇大臣に代表質問をさせていただきました。大臣、先日の御答弁、まことにありがとうございました。まず御礼を申し上げたいと思います。

 さて本日は、この高齢者の法案ともう一つの法案である住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案について質問をさせていただきたいと思います。扇大臣、高橋副大臣、また政務官の皆様、よろしくお願いいたします。

 法案の内容に入る前段といたしまして、我が国の住宅問題に関して、多少お時間をいただきまして先生方と議論させていただきたいと思います。

 まず冒頭に、大臣にお伺いいたしますが、大臣が今住んでいらっしゃる御自宅がどのようなものか、例えば広さとか築年数とか、もし差し支えなければ教えていただけますでしょうか。

扇国務大臣 私、細かい数字は今手元に資料がございませんからわかりませんけれども、私は今渋谷区というところに居住しておりまして、これは昭和三十四年に求めたものでございます。大体土地が、平米でいうとちょっとわかりませんけれども、当時私が買いましたときは、百五十坪弱だったと思いますけれども、約百五十坪で、その当時は正直申し上げまして坪十万円でございまして、銀行に千五百万借金をして約百五十坪の土地を求めたというのが今から四十二年前ぐらいでございます。

 ずっとそこに住んでおりまして、こんなことを言っていいのかどうか私わかりませんけれども、あえて御質問ですから。子供が二人おりまして、適齢期になって結婚したのでございますけれども、出ていかないんですね。収入ではとても外で住めない、同居してということで、子供二人が結婚いたしまして、三世帯が一つの家に住むということになりました。皆さん嫁でございますので、台所が三世帯ではとてもまずいということで、一時外に出まして借家に住みまして、全部建て直しまして、そして三世帯が一緒に住めるように建てかえました。それが一九九一年だと思います。

 結婚してそれぞれということで、今、第一種ですから三階建てでございまして、一階が長男、二階が次男、三階が私らの夫婦という、三世帯同居でございます。それぞれが二LDKという感じでございまして、そういう状況の住まい方をいたしておりまして、まれに見る三世帯同居でございます。

井上(和)委員 大臣、どうもありがとうございました。

 私、大臣は大変な名門の御出身でいらっしゃいますので、大変御立派な御自宅をお持ちじゃないかなというふうに思っておりました。でも、渋谷で百五十坪の邸宅にお住まいということで、恐らくは誘導居住水準は十分超えられているんじゃないかなというふうに私は推測いたします。

 冒頭に大臣にそういうことをお伺いしましたのは、今後私が議論をしていくために、ぜひ誘導居住水準とか日本の住宅の現状ということについて議論をさせていただきたいということで、今大臣のお言葉にもありましたが、お子様たちがなかなか家賃が高くて同居をされたということも、やはり家賃が非常に高いという今の日本の、特に都心部の現状があるということだと思うのです。そういうことに関してちょっとまた御質問させていただきますが。

 私、個人的になりますが、政治の世界に入る前に十六年間外国に住んでおりました。長らくアメリカとインドにいたのですけれども、それ以外にも世界で三十カ国ぐらいの国を仕事で訪問いたしてまいりました。国連の職員をやっておりましたので、仕事上いろいろな国で仕事をしてきたという経過がございます。

 ちょうど六年前、政治の世界に入るために日本に帰ってまいりまして、やはり何といっても日本の住宅事情が非常にひどいということが本当に痛切な感想でした。私の場合、最初、賃貸住宅を探したのですけれども、ほとんどが二DK、四十平米から五十平米で、家賃が十万円ぐらいということで、私がその後勤務していたのは国会の秘書ですから、その給料内で暮らせる住宅を探すというのは非常に大変だったということを今でもよく覚えていまして、日本の住宅というのは正直申し上げて開発途上国レベルじゃないかな、特に賃貸住宅なんかに関しては私はそういうふうに思っています。

 都心部には非常に立派なビルが立ち並んでいるのですね。ところが、一たん住宅地に入ると、大臣がお住まいの渋谷とかあの辺を除けば、やはりかなりウサギ小屋と言われるような住宅が非常に多いところがまだまだたくさんあると思います。日本が豊かなのは日本人が貧しいからだということを言った外国人がおりましたけれども、まさしくその言葉を私は今でも実感いたしております。

 アジアの国を見ますと、今シンガポールや韓国の方が事住宅の広さに関しては日本よりも進んでいると私は思うのですね。このままいくと、アジアのほかの国にも広さということに関してはどんどん追い抜かれていってしまう。そうなりますと、若い人だって、何でこんな日本の狭い家に住んでいなきゃいけないんだといって、どんどん国外脱出をする、今でもかなりそういう方もふえていますが、そういう状況にもなってしまうのではないかというふうに思います。

 先ほども誘導居住水準という話を申し上げまして、今、四人世帯で百二十三平米、都市部でいきますと九十一平米が一つの目標になると考えるわけです。東京でしたら、九十一平米のマンションというのはなかなか見つからないと私は思うのですね。あったとしても相当高額で、普通の勤労者にはなかなか買えないような、手の届かないものになってしまっているんじゃないかというふうに思います。

 先ほどは大臣のお宅に関してお伺いしたのですが、日本の住宅政策を担う国土交通省の住宅局の職員が、一体どういう住居に住んでいてどういう生活をしているかというのをぜひ大臣にも興味を持っていただきたいと私は思っているんですね。恐らく調査はされていないと思うんですが、ぜひ一度調査していただいて、現地も見ていただければと思うんですが、いかがでしょうか。

扇国務大臣 日本人の住宅感覚というものは、私も長い間いろいろなところを見てまいりましたし、人生的にも先生よりは長く生きておりますのでいろいろなものを見ておりますけれども、根本的に違うことは、日本人は自分の住宅を持ちたいという願望が他の国に比べて大変多いということですね。これは、日本国というこの島の中での居住範囲の狭さ、それから住宅にあこがれるという住民性、民族性といいますか。

 アメリカで私がキャンピングカーで旅しましたときに、いつでもキャンピングカーで日本と違っていろいろなところに駐車できるものですから、設備ができているものですから、何人も老夫婦に会うのです。老夫婦に、どうしてキャンピングカーにお乗りになっているんですか、リタイアして働いたお金でと言いましたら、扇さん、全然感覚が違う、日本人は一生働いたお金で、先が短いのに一軒の家を建てる、これが外国人にはわからないと。

 私たちは、一生働いたお金で、三千万出したら物すごいキャンピングカーが買えて、そして、その老夫婦がキャンピングカーに乗って、寒いときには南の場所へ行って暖房が要らないようにする。暑くなったら北へ行って、そして涼しいところにキャンピングカーをとめる。そして、孫たちのところには時々キャンピングカーで、運転して会いに行けばいい。そして、年金をもらいながら、キャンピングカーで、食べたいなと思ったらおじいさんと二人でそこら辺の川で魚を釣って焼いて食べる。お小遣いが欲しいなと思ったら庭の水まきでアルバイトをして、私たちは楽しい人生を過ごしていますと。日本人は、なぜ一生働いたお金で先行き短いのに立派な家を建てるのですか、だれのために建てるのですかと、そういう人生観の違いというものを、例えば私はアメリカの多くの老夫婦に言われました。

 そのように、どうしても、日本人が自分の個人の住まいを、一戸建てを欲しい、そういう今までの土地執着度といいますか、そういうものが基本的に違うのだということもぜひ私は理解したいと思います。

 今おっしゃいましたように、都心の居住水準が狭いではないかということですけれども、私は、誘導居住水準の観念というものは、少なくとも都心なら仕方がないと思うのですね。だったら、先ほど吉田先生のお話がございましたけれども、東京都の二十三区内あるいは山手線の内側は、建ぺい率とかあるいは高さ制限とか全部取っ払って、マンハッタンのようにして、そして週末、金曜日の夜からは、緑が欲しければ近郊に行く。こういうパリだとかそれからマンハッタンのような考え方を日本人が持つようになれば変わると思いますし、私は、先生のような年代の方はみんなもうそういう感覚を、今手をたたいていらっしゃる樽床先生も若いからそういう感覚をお持ちなのだろうと思います。仕事をするときには都心で、週末は家族と郊外へ、私はこれが、感覚的にだんだん欧米式になってくるのではないかと思います。

 ただ残念ながら、今役所の話がございましたけれども、役所の皆さん方は、役所の世帯用の宿舎といいますか、働いて、そしてそこを利用して、なるべく役所に近いところということで、ちなみに国土交通省は、申し上げるのは気の毒なようなもので、国土交通省の職員がかわいそうなのですけれども、世帯用宿舎というのが、渋谷区に十一棟、二百二十戸持っております。それから川崎市の高津区に二棟、六十戸、それから文京区に一棟、十二戸というのがございます。そういうことで、三カ所ございますけれども、少なくとも今先生がおっしゃいました誘導居住水準にはほど遠いというのが現状でございまして、今の世田谷の宿舎は三十九から六十四平米でございます。最も戸数が多いのは五十六平米なのですね。ですから、そういう意味では、今理想としております四人世帯の九十一平米にはほど遠い。五十六平米が一番多いわけですから。ちなみに五十六平米といいますと、今の誘導居住水準でいきますと、少なくとも最低水準ということになります。

 ですから、そういう意味では、私これを発表するのは大変気の毒だと思って発表しないようにしようと思ったのですけれども、でも現実は現実でございますから。必ずしも国家公務員がいい場所のいいところに住んでいる、優雅な生活をしているということではないということもぜひ御理解いただいて、今度、経済効果のためにも都内の公務員宿舎を全部建てかえて、そして地域の住民の皆さん方の御理解をいただいて、都市開発の一環として、居住区と、そして緑を回帰する、そういう基本設計のもとに建てかえるということも私は大変重要なことであると思っていますので、ぜひその辺のところも御理解いただきたいと思います。

井上(和)委員 大臣の人生観とか文化観とか、そういうお話をいただきまして、私も大変勉強になりました。

 職員の方の住宅の件に関して、私は、誘導居住水準というのがあるわけですから、これは別に国家公務員だからそれを我慢しろということではなくて、もしつくり直すのでしたら、そういう誘導居住水準に見合ったいいものをつくって、やはり国民の一人である国土交通省の職員の方が、ぜひちゃんとした生活ができるというふうにしていただきたいと思います。そういうことによってだんだん皆さん、先生方も、恐らくまた政府も、本当にちゃんとした住宅をつくるような政策を打っていかなければいけないというふうに認識されてくると思います。特に、大臣が大変この住宅問題に関して深い御見解をお持ちだということで、感心いたしました。

 それで、次の質問に移りますけれども、今度は住宅費の問題に関してちょっとお伺いいたします。

 持ち家を所有している私の友人たちも、住居としては広いのだけれども通勤に毎日往復三時間かかるとか、その上また非常に重い住宅ローンを抱えているというのが現状ですし、多くの国民がそういう状況にあるわけですね。勤労者の家計を最も圧迫しているのが住宅費と教育費であるというのは、もうごく一般的に言われております。私自身も、私の選挙の際には、やはり勤労者の方に、とにかく今勤労者が一番苦しんでいる住居費と教育費の問題に一生懸命取り組みますということを公約に掲げまして当選させていただきました。

 そういう意味で、ぜひやはりこの問題を何とかしなければいけないということでお伺いしたいのですが、住宅費が勤労者の家計を本当に圧迫しているという現状をどういうふうに認識していらっしゃいますでしょうか。

扇国務大臣 私、先ほどもお答えしましたように、今の日本の現状では、一番苦労なさるのが勤労者だと思うのですね。

 とにかく自分の家を、一時は一軒家が、一戸建ちの家が欲しいということで郊外に行った。そして郊外に行って一番お困りになるのは、通勤が一時間半かかって、そして往復三時間のロスというもので親子のつながりが少なくなって、家へ帰ったらもう子供が寝ている、朝は子供が寝ている間に出てくる。その一戸建ちが欲しいという住宅取得の願望が、どうしても手に入るのは遠いところということになって、ひとえに通勤のロス時間というものが、私は親子の疎外感というものにもつながってきていると思います。

 今お話がございましたように、少なくとも一番近いところで、直近のところに住んで、そして通勤したいということになれば高くなる。そういうことですけれども、今の家計調査によりますと、実収入に占める住宅費の支出、これが大変割合が多くなっているということなのです。ちなみに、借家世帯等と持ち家のローン返済世帯のいずれにおきましても、大都市は全国の平均を上回っているのですね。

 どの程度上回っているかといいますと、民営の借家を借りている世帯の割合というのは、全国平均が一四・三%でございます。ところが大都市は一七・四%ということだけでも、大都市がいかに大変かということの実数でございます。そしてまた一方、持ち家のローン返済の世帯割合というのは、全国平均が一六・九%でございます。ところが大都市におきましてはこれが一八・六%と。こういう数字を見ましても、今井上先生が御指摘のように、大都市に住んでいる皆さん方はいかにローンに苦しんでいらっしゃるかということの実態の一つでございます。

 私は、その意味におきましても、今回特に、この十三年度におきましては、新住宅ローンの減税の税制の見直し、そして延長、新たに新制度を制定するということでの法案も出させていただきまして、皆さん方が、ことしの六月で切れる住宅ローン減税というものを、今計画をした人たちはこれに当てはまらないということで、新たにこれも出させていただきました。

 そして、私が先ほど申しましたように、私なんか三世帯同居ですけれども、なるべくなら、今一番個人で資産を持っているのが六十五歳以上という数字が出ているわけですから、その人たちはなぜお金を使わないかというのは、やはり老後が不安だから使わないわけです。少なくとも子供たちと一緒に住むために、おじいちゃんやおばあちゃん、あるいはお父さん、お母さんが一緒に住める家を増築したり新築したりしようというためには、何としても住宅取得資金の贈与を受けた場合に贈与税額の計算の特例をしよう、拡大をしようということで、本年度は、皆さん方に御審議いただきますように、今までは三百万円だったのを今回は非課税の限度額を五百五十万円に引き上げました。

 これも、一緒に住めればお金を今出しても安心して老後が過ごせるなという、いわゆる二世帯同居ですとか三世帯同居とか、そういう一緒に住めるという、老後の不安を少しでも取り除いてこの金額をふやしていったというのも、十三年度、皆さん方の御賛同を得てこれが実現できれば、今おっしゃった負担率というもの、いわゆる過重な住宅ローンの重さというものを二世代で緩和していくということにも役立つのではないかと私は思っております。

井上(和)委員 今の大臣の減税の問題とか贈与税の拡大の話は、やはりこういった住居費の問題に対する対症療法でしかないと思うのです。私は、この問題の根本は、日本の住宅のコストが高過ぎる、建設費が高いということですね。土地の方は大分下がってまいりました。それにしても、まだ住宅は非常に高いわけです。

 一般に、勤労者は年収の五倍の住宅を買うことができるというふうに言われています。ただ、私は、この五倍という数字がひとり歩きしていて、多くの勤労者が実際に年収の五倍の住宅を買ってみたらもう住宅ローンであっぷあっぷしているというのが現状だと思います。勤労者がゆとりのある生活を送るためには、できれば年収の三倍ぐらいの住宅を購入できるように住宅の価格を下げなければいけない、下げる努力をしていく必要があると思うのですけれども、この年収の五倍という数字がどこから出てきたのかということに関してちょっとお伺いしたいのですが。

三沢政府参考人 年収の五倍という数字でございますが、これは平成四年に閣議決定されました生活大国五カ年計画の中で、勤労者世帯の平均年収の五倍程度を目安に良質な住宅の取得が可能となることを目指して近づけていくという目標が、この計画の中で示されたわけでございます。

 このときの五倍ということの前提でございますけれども、結局、いろいろな条件のもとで住宅取得のためにどのくらい資金調達が可能か、その額が五倍になるようにという想定でございます。さらに具体的に申し上げますと、勤労者の年収、当時八百七十五万円ぐらいでございましたけれども、平均的な年収を前提に、返済負担率はぎりぎり年収の二五%以内に抑えていく、そうすると当時の金利を前提にしてどのくらいお金が借りられるだろう、そういう計算をいたしますと、大体その数値が年収の五倍程度になったということから、これを一つの目安にしたということでございます。

 なお、ちなみに平成四年当時は、この年収倍率は実態として六倍ぐらいあったわけでございますが、現時点でいろいろな状況の変化もございまして、それからいろいろな政策努力も効果はあったかと思いますが、東京でマンションの場合四・八倍、全国平均ですと四・六倍、こういう数字になっております。

井上(和)委員 今住宅局長から年収の二五%ぐらいの支払い、ローンを払っていくということから五倍という数字が出たというお答えがありました。

 問題は、年収の二五%ということで、月収ではないのですね。年収というのには、大体日本の勤労者の賃金の構成から考えていけば、ふだんの月収プラスボーナス、残業手当、そういうものが入って年収になっているわけですね。となりますと、今の時期のように、ボーナスもどんどん減る、残業もないというときになりますと、これはもう月収の三〇%を超えるようなローンの負担になってしまうのですよ。だから今多くのサラリーマンが大変苦しい生活をしているということを私はここで指摘いたしたいと思います。

 私は、国土交通省の第八期住宅建設五カ年計画の案というのを拝見いたしました。これは平成十三年から十七年度の概要なんですね。今後の住宅政策の方向として、ストック重視、市場重視、高齢社会への対応、都市居住地域活性化への対応ということが重点方針として掲げられているのですけれども、今私が申し上げたように、住宅のコストを下げる、勤労者が豊かな生活ができるように、家賃の少ない住宅に入れるように日本の住宅建設コストを下げるとか、そういうことがまるっきり述べられていないのですね。

 日本の建設業の生産性が低いことは国際的にも非常に有名な話で、大体外国の半分ぐらいなんでしょうか。こういった建設業の生産性の低さが最終的には住宅のコストを上げて多くの国民を苦しめているということになっているわけですよ。ところが政府としては、一体そういう問題に本当に取り組んでいるのかといったら何にもやっていないじゃないですか。こういう問題にぜひ真剣に取り組んでいただきたいのですが、どうですか。

扇国務大臣 今先生から、少なくとも第八期の住宅の計画はどうなんだ、コストが高いと。第八期の住宅建設五カ年計画というのが十三年から十七年ということで決まりましたけれども、今先生がおっしゃいましたように、海外に比して高いというのは、私、認めるところでございますし、私自身も家を建てたときに高いなと思いましたので、実感ではございますけれども、では国土交通省として何ができるかということで、今度の第八期の住宅建設五カ年計画におきましても、少なくとも適正な市場の競争を通じて住宅建設のコストを削減しようということで幾つかの要点をまとめてございます。

 少なくとも、一つとしては、建築基準法の改正による建築規制の合理化、これを規制を外すことによって緩和してより大きなものをより低コストにできるんじゃないか、これが一つでございます。

 二つ目には、住宅性能表示制度によりまして、住宅市場の条件の整備、住宅性能というものは安かろう悪かろうではなくて、住宅自身の性能をよくすれば長もちするということで、これも私は大事なことであろう。そして、安かろう悪かろうというのはもう昔の話であって二十一世紀型ではない。品質保持ということも必ずしなければならない。

 また三つ目には、海外資材の相互の承認の推進によりまして、輸入住宅や海外資材あるいは部品の導入、これを円滑化させることによって低コストになるのではないか、これも三つ目の柱としては大事なことだと思っております。

 四つ目には、コスト低減のモデル住宅の整備をしまして、リーディングのプロジェクトの推進をしていこう。これはなるべく、今外国からも何とか住宅何とか住宅というのが展示してございますけれども、ああいう低コストが簡単な工法でできるというようなことも、一つの低減モデルの住宅という意味では、日本人はそれを見に行けるということで、それも日本の本来の住宅産業の刺激になって大きな効果を出してくると私は思っております。

 そして最後には、中小の住宅の生産者を対象とした住宅の生産の合理化の促進をしようということなんです。ちなみに、先生に申し上げるのは、平成四年を一〇〇%とした場合には平成十一年度の日本の標準的な一戸建ての住宅の建設コストは約八七%、そして中高層の住宅の平均建設コストは約七八%、低減しているのです。これも高さとか何か、いろいろな今言った外国からの資材等々で平成四年に比べますとこれだけ安くなっているということも事実でございます。

 今まで申し上げました五つのことをより発揮すれば、二十一世紀型の低コストということも可能ではないかということで、なるべくなら欧米に近づくのが皆さんのためになるということはわかっておりますので、できる限り今後も一層の低減に努力していきたいとは思っております。

井上(和)委員 大臣に申し上げたいのは、私は低コストにしろと言っているわけじゃないのですね。今のコストが余りに高過ぎるからもっと生産性をちゃんと上げるようにして、リーズナブルなコストにできるようにしろということを申し上げているわけなんですね。

 私は、日本の住宅がこれだけ貧弱であるというのは、やはり政治の責任だ、つまり、政治が住宅の質の問題なんかに余り政策的なことをやってきていなかったという事実があるからだと思います。そういう意味で、今回の第八次の計画を見ても、国土交通省として建設業の生産性の問題を本当に真剣に取り上げているというふうには私はどうしても思えないんです。

 そういう意味で、やはり多くの国民に本当に密接に関係のある問題なんですね。だから、こういうことこそやはり政府が本当に真剣に取り組まなきゃいけないというふうに私は思います。ぜひ大臣にも、今後一層のこの生産性の向上ということに関しての御努力をお願いしたいと思います。

 それでは、住宅金融公庫の法案の方に関してお伺いいたします。

 もう既に今、吉田先生から住宅金融公庫に関してはいろいろ御質問がありました。多少重複いたしますが、住宅金融公庫法の第一条に、その目的として、銀行その他の金融機関が融通することを困難とするものを融通することを目的とするというふうにあります。大臣も、いや民業を圧迫していないというような御答弁をされました。

 私もいろいろ調べてみますと、例えば私の家に入っていたチラシなんかを見ますと、マンションが売り出されていて、民間銀行のローンつきで二十五年で、変動金利だけれども二・五%だというふうにもうチラシなんかにも書いてあるんですよね。東京三菱銀行では変動では二・二五%、これはつまり公庫の金利と同じですね。固定金利でも二十年ぐらいのものが出ているわけですね。

 だから、私は、民間銀行でやれないんだということに関しては納得はできません。そして、公庫のお話を聞きますと、公庫融資は長期の固定金利で、民間では出せないものをやっているんですよという御説明をよく伺います。しかし、公庫だってこれは固定金利じゃないんですよね、基本的には。十年までは固定金利、十一年以降は四%になるわけですよね。正確には固定金利じゃない。最初の十年までが二・五五、その後が四パーということですから、確定金利だということになります。

 だから、私は、どう考えても民業圧迫ではない、民間ができないからやっているんだという御説明には納得しないんですが、大臣いかがでしょうか。

扇国務大臣 先ほど吉田先生にもお答えしたので聞いていただいたと思いますけれども、今まで日本の現状から考えますと、住宅公庫の果たしてきた役割というのは私は井上先生もお認めいただいているところだろうと思いますけれども、さりとて、二十世紀が済んで二十一世紀に入って果たして今後はどうなんだということが私は大きな問題になろうと思います。

 ですから、戦後今日まで住宅公庫の果たしてきた役割というものを考えながら、ではどうするのかということで、ではここで全部なくしてしまって完全に公庫というものをゼロにすれば、民間の皆さん方が普通の銀行でこれだけのローンをしてくださるか。今先生はチラシが入っているとおっしゃいましたけれども、果たしてそのチラシで条件整備ができるだろうか。民間の金融機関の場合は特に条件が厳しくて入りにくいということも、今吉田先生るるお話がございましたけれども、住宅公庫だって厳しいじゃないかというお話をおっしゃいましたけれども、民間金融機関の場合はもっとローンの条件が厳しい、また保証人も要る、あらゆる条件が要るというのは私もよく存じておりますので、そういう意味で、今先生がおっしゃるように、今まで果たしてきた役割は認めるけれども、今後民間に全部委託したらどうかとおっしゃいますけれども、私は一概には、急激に緩和することはできない。ある意味では、将来的に住宅金融公庫としての役割がもう終わったよという時期が、先が見えてくるということが私は言えるかもしれませんけれども、今はまだ二十一世紀になって二十世紀の分を引っ張っている。

 また、今先生は、チラシが入っているけれどもこれは固定ではないかというふうにおっしゃいましたけれども、あるいは長期であり固定であり、そして低利であるという三条件を満たすものが果たして民間の金融機関にあるだろうかといいますと、実際に今井上先生もかわりに民間の金融機関をお探しになると、なかなか今の金融公庫と同じ条件で貸してくれるところというのは簡単には見つからないと思います。

 そういう条件整備というものがありますから、私は、将来的にはそういう話も出てくると思いますけれども、まだ住宅金融公庫の役割というのは、今の民間の、日本の国民の住宅事情から考えれば、急激に今ゼロにして皆さん方が路頭に迷うということもあると思いますし、そういう意味では、激的な緩和ということは今できないというふうに思っていますので、先生が最初におっしゃいましたことに関しては、今後の問題として私は大いに検討させていただく素材を含んでいらっしゃる提案だと思っております。

井上(和)委員 大臣が今おっしゃいました条件整備ということは確かに必要なんですよ。アメリカでやっているのは、住宅ローンを債券化してそれを投資家に売る、金融機関が投資家に売ることによってそのリスクを広く投資家に負担してもらう。だからこそ、アメリカのモーゲージローンは決して借りにくいというものではありません。そういったことをやらないで、ただ単に住宅金融公庫を廃止するということを私は申し上げるつもりはないんです。つまり、今の住宅ローンの制度をもっと変えていくということをこの後ちょっと議論させていただきたいと思います。

 その次に、住宅金融公庫は、実質的には住宅ローンの利子補給をしているということになるわけですけれども、政府としての利子補給、財政負担の基本的な考え方というものをちょっとお伺いしたいんですが、副大臣、お願いします。

高橋副大臣 今、原則的なお話を御質問になりましたが、公庫融資につきましては、基本的には借り入れするときの市場の金利水準を参考にしまして、長期、固定、低利の融資を行っております。それで、これを実現するために一般会計からの利子補給を行っている、こういう次第でございます。

 ですが、財政負担の効率化を図るという観点から、所得の高い方、年収千二百万円を超すもの、給与所得者では千四百四十二万円を超すものや、規模の大きい住宅、床面積百七十五平米を超すものを取得される方々については、財政投融資の金利を上回る貸付金利を設定しまして、利子補給は行っておりません。また、返済負担の緩和が見込まれます十一年目以降の金利や時限措置として行っております特別割り増し融資につきましても同様の考え方に基づきまして金利設定を行っておりまして、財政負担の効率化を図っております。

 ちなみに、基準金利適用要件の概要と申しますのをちょっと説明しますと、共通要件は耐久性基準です。それで、選択要件はバリアフリータイプまたは省エネルギータイプ、この二点でございます。

井上(和)委員 今、住宅金融公庫の延滞の状況なんですけれども、平成七年度末では千九百三十七億円あったのが十一年度末で四千百六十三億になっているんですね。倍になっています。財団法人の公庫住宅融資保証協会の代位弁済、貸し倒れになって代位弁済をさせた額というのも、七年度には一千億あったのが二千二百八十六億になっているということですよね。不良債権の額もどんどんふえているわけですね。そして、補給金を出している。そして、補給金以外にも特別損失金というのを出していますね。ちょっとそこらあたりを御説明いただきたいのですけれども。

三沢政府参考人 二つ御質問があったかと思います。

 一つは、公庫に対する財政負担のお話でございまして、公庫に対する財政負担、補給金につきましては、平成十三年度予算案では四千四百五億円の補給金の措置をお願いしているところでございます。それで、平成十三年度の補給金につきましては、これは、先生御承知のように、いわゆる特別損失というのは発生しないということで、全額必要補給金を平成十三年度で措置するという前提で組んでいるものでございます。

 それからもう一つは、先ほどのいわゆる公庫の不良債権といいますか、延滞債権の方の関係でございます。

 確かに、六カ月以上の延滞債権の比率で見ますと、だんだん額も率もふえてきているというのが実態でございます。直近の数字で大体〇・五六%ぐらいの延滞率ということでございます。これは、昨今の経済情勢の中で、例えば失業とかリストラということで、経済情勢の悪化の中で、当初は予定していたけれどもなかなか返済が困難になってきている、こういうことを反映しているのかと思います。

 これにつきましては、先ほども公庫の総裁の方から話がございましたけれども、個別に親身に相談に乗りながら、できるだけ住宅を持ち続けながら、しかし、返済を少しいろいろな措置を講じて緩和しながら返済していただくということで、最終的にそれが本当にもう返せないということになりますと、先ほどの信用保証協会の代位弁済に行ってしまいますが、そうならないようないろいろな措置を講じながらいろいろな相談にも乗っているという状況でございます。

井上(和)委員 信用保証協会の財務内容なんかに関しては、ちょっと質問通告していなかったので、後でぜひ資料を見せていただきたいと思います。

 つまり、補給金として四千億、さらに不良債権としても四千億程度生ずる可能性があるということですよね。もう一兆円近くなってくるわけですね。

 公庫の構造的な問題というのは、現在のように低金利の時代になれば、繰り上げ償還がふえて公庫の収支がだんだん悪化してくる。逆に高金利の時代には、貸出金利と財投金利の逆ざやでまた収支が悪化するというふうになっているんじゃないでしょうか。

 この繰り上げ償還のリスクというのを不動産のローンを証券化することによって多くの投資家に負担してもらっているというのが、アメリカの要するに不動産モーゲージの証券化なんですよね。だから、私は、やはりこういうふうに長期のローンのリスクを広く不動産投資家に持ってもらうというような証券化を図っていくことが必要ではないかというふうに考えているのです。

 それで、もう一点ですけれども、先ほど高橋副大臣から御説明がありました財政負担の点に関して、高所得者には財政負担、利子補給していないんだという御説明がありました。しかし、給与所得者の場合、年収千四百四十万以上の場合はしないということですよね。千四百四十万以下というのは給与所得者のほとんどが入るのじゃないでしょうか。九五%だと私は思うのですよ。こういう現在のような財政赤字の状況で、果たしてかなりの高額所得者に対しても利子補給をしていく必要があるのかという問題も私は議論されるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

三沢政府参考人 先生おっしゃいますとおり、いわゆる高額所得者について、公庫の融資は高い金利設定としている。その場合の基準が、例えば給与所得者であれば千四百四十二万、それからそれ以外の自営業者の方ですと千二百万、こういうような基準になるわけでございます。

 これは、確かにこの金額をどういうふうに考えるかというのは、いろいろ議論があるところではございますが、考え方は、おおむね平均的な年収の二倍ぐらいまでという考え方で従来からも設定されているということでございます。

 では、その二倍というのはどういうことかということでございますけれども、年収が一千万を超える方といいましても、例えば四十代あるいは五十代で、それなりに中年に差しかかり、例えば会社では管理職にそろそろなった、あるいはもうかなり定年に近い、こういうような一つのイメージなのかなと思いますけれども、こういう長いことまじめに働いてこられたサラリーマンの方が例えば退職直前に住宅を買われるというときに、これに対して住宅の持ち家取得の支援を行っていくということがいいのか、それとも高い金利を適用してしまうということがいいのか、それは確かにいろいろ議論はあるところでございますけれども、現在の考え方は、そこは持ち家取得の支援を行っていくべきであるということからこういう基準額の設定をしているというふうに認識しております。

井上(和)委員 一つの問題点として、当然年収の高い方、例えば千四百万ぐらい年収のある方がつくる家というのは大きいですから、そうなると借りる額も大きい、だから利子補給もふえるということじゃないですか。どうでしょうか。

三沢政府参考人 まず、規模の大きい住宅について、一定規模以上の規模の大きいものについては、高い金利設定にして利子補給の対象にしていないということが一つございます。

 それからもう一つは、年収が伸びるとそれに応じて借入金額がぐいぐい伸びるかというと、そこは必ずしも、当然伸びるのですが、比例的に伸びるというほどの関係にはないということで、したがいまして、そのことが直ちに補給金の増につながっているということにはならないんじゃないかというふうに考えております。

井上(和)委員 私の申し上げているのは、やはりこういう財政赤字の時代ですから、税金の使い方を本当によく考えていかなければいけないということなんですね。だから、先ほど申し上げましたように、別に民間だから金利が高いという時代じゃないですから、はっきり言って。このように今のような融資制度を続けていくことに私は疑問があるということを申し上げたいと思います。

 基本的に、私は、住宅金融公庫は今後は年収の制限というものをしっかりと設けて、先ほども御答弁にあったのですが、中低所得者の住宅の支援をするということに特化するというのが一つの改革の案じゃないかと思います。

 例えば、今大体、年収七百万以下の人が給与所得者の八〇%程度なんですね。だから、そういう方に利子補給をして貸すというのも当然理屈として成り立っていくというふうに私は思います。また、それ以外にも、当然民間の金融機関から借りられない方もいるわけですね。収入の少ない方とかいらっしゃるわけですから、そういう方に対しては逆に手厚くやるというのが政府系金融機関としての役割ではないでしょうか。それ以外にも、障害者とか高齢者とか、最近非常に問題になっているシックハウスの患者さん、そういった特殊な居住者に対して当然融資できる制度は必要ですから、そういうことをやる。これこそ民間のできない融資ではないでしょうか。

 一つの案として、例えばアメリカのように、もう公庫の直接融資をやめて、民間による住宅ローン債権を買い取る機関にして、それはどうしてもやはり政府がやって、政府が保証をつけるということが必要なわけですよね。そうすることによって、投資家が安心して買って、そして広くリスクを負担するということができるわけですから、やはりそういう住宅ローンの債権化というものを本当に真剣に考えていく必要があると思うのですが、いかがですか。

三沢政府参考人 これは、アメリカのことはもう先生の方が十分お詳しいわけでございますけれども、アメリカのやり方というのは、一つは低所得者に対する信用補完、それからもう一つは、やはり今先生おっしゃいました住宅ローンの証券化の支援、こういったことで資金の確保を行いながら、さらにかなり思い切った減税とか、あるいは場合によっては利子補給、こういういろいろな手段をミックスしながら組み合わせてやっていく。そういうやり方をとった場合に、今の公庫がやっている長期、固定、低利の直接金融と同じ効果が絶対できないのかと言われると、それは直ちに否定できないことかとは思います。

 ただ、これも先生もう御承知かと思いますけれども、アメリカが今日のような形に至るまで、非常に長い歴史の中でこういう仕組みが培われてきた。例えば、信用補完であれば、大恐慌の一九三〇年代から始まって、それが今日まで受け継がれている。それから、いわゆるリスクを資本市場で処理するためには資本市場の成熟というのが当然大事になるわけでございますけれども、こういう資本市場の整備について、アメリカの場合でも、証券化について支援に乗り出してから軌道に乗るまでやはり十数年の年月を要してこういうふうに来ている、非常に長い歴史の中でいろいろなことをやりながらそこに至ってきているという違いはあるというふうに御理解いただきたいと思います。

 それともう一つは、アメリカの場合、確かにそれはそういうやり方ができるじゃないかということではあるんですが、一つは、やはり証券化のために非常に多様な機関が、いわゆる公的な機関があり、あるいはまた、信用補完をやっている機関も非常に多様で、これは正直言って何か相当複雑な仕組みであるなという感じは率直にいたします。

 公庫のように直接金融ということで一つの金融機関が貸す仕組みと、アメリカ型のように市場を前提とした非常に多様な公的機関がいろいろなことをお互いにやりながらやっていく仕組みと、本当にどっちが簡素とか効率化という原則からいっていいのかなというところは、やや慎重な議論が要るのかなという感じをしております。

 ただ、やはりこれにつきましては、長期的にどういうあり方がいいのかということについては、いろいろな議論があるわけでございますので、私どももアメリカのことも含めて十分勉強していきたいというふうに考えております。

井上(和)委員 どっちが効率がいいかということは、もう結論ははっきりしていると思います。民間の方が効率がいいに決まっています。そのことだけは申し上げたいと思います。

 それで、時間がなくなってまいりましたので、高齢者の法案に関してお伺いしたいと思いますけれども、まず、高齢者住宅の定義というのをどう考えていらっしゃるか、ちょっとお伺いいたしたいと思います。

扇国務大臣 私は、二十一世紀型がまさにこれに当てはまると思います。世界一の長寿国でございます。まして、申しわけないんですけれども、男よりも女の方が、八十四歳という世界一の平均寿命でございますので、二十一世紀は老齢社会がやってくると物にも書いてございますし、実感としても私は老齢社会を迎えるのではないかと思っております。

 そういう意味では、井上先生が今御指摘になりましたように、高齢者向けの住宅というのは、今後二十一世紀の大きな課題になってくる。また、民間の賃貸住宅でも、お年寄りを入れない、貸さない、そういう民間もたくさん出てきております。

 そういう意味におきましても、今後私は、一般的には、高齢者あるいはお年寄り、それに加えて身体機能が低下するということからは、ハード面におきましても、段差の解消でありますとか、先ほども先生ちらっとおっしゃいましたけれども、バリアフリーの手すりをつけるとか、車いすが通れるような広い廊下にするとか、そういったバリアフリーを完備するということの必要に応じた福祉政策との連携によりまして、高齢者の身体機能に応じた適切な福祉サービス等が提供されるということが、高齢者の住宅にとっては大変必要な、また今後それをしなければならないという大きな二十一世紀の住宅のあり方の基本になってこようと思っております。けれども、今回、法案におきまして、先生はもう目を通していただいて、きょうも御論議いただきますように、少なくとも高齢者の居住の安定の確保のためには基本方針を定めることとしておりますけれども、厚生労働大臣と協議の上で、ここは福祉のサービス等々との連携に関する基本的な事項を定めるということにしていきたいと思っております。

 今までもお話を聞いておりまして、これは蛇足ではございますけれども、少なくとも先生が公庫の、もう民間に全部移管したらどうだということも先ほどから私伺っておりまして、そういうことも考えながらも、なおかつ公庫融資が肥大化して、あるいは民間を圧迫するということのないように、今後私どもとしては、景気の動向や民間の住宅ローンの状況を踏まえつつ、公庫を適切に指導していかなければいけないなということも実感としてわかっておりますけれども、一言ぜひつけ加えさせていただきたいと思いますことは、今の公庫のあり方と民間とどこが違うかというのは、先ほども私ちらっと申し上げたんですけれども、金利の話はもう済んだからやめますけれども、民間の場合はローンを借りに行きますと、しなきゃいけないのは、提出してくださいと言われますものは、申込書に職業欄、そしてあるいは少なくとも勤務先、そして職業種、そしてその会社の資本金は幾らか、そしてその会社の従業員数等々を、あらゆることをこれは書き込まなきゃいけないんですね。そういうことからいいますと、少なくとも今の公庫の融資制度というのは大変客観的な審査で、公平に行っているということも私はぜひ加味させていただきたいと思いますので、今までのお答えの中での補足と、そして今の高齢者住宅というものは二十一世紀型にするということを厚生労働大臣と検討していきたいと思っております。

井上(和)委員 今の大臣の高齢者の住宅の考え方に関しては非常にすばらしい御答弁をいただきましてありがとうございます。ぜひそういうふうにしていただきたいんですよね。

 そうしますと、今回の高優賃ですか、私、現場の方からの声を聞くと、ぜひグループホームにも対応できないか、やっていきたいという声もあるんですね。省の皆さんのお話を聞くと、どうもコレクティブハウスをイメージとしているんだけれども、どうもグループホームはどうかなというようなお答えもいただいたんですが、私、二十一世紀型というのであったら、少し柔軟にこの制度を使って、もしグループホームをやりたいというような方がいたら、グループホームをぜひできるような制度にしていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

扇国務大臣 私、これも二十一世紀型、先ほど申しました高齢社会を迎えたときのグループホームということは、私は大きな要因の一つであろうと思いますし、現実に私、お友達同士で、私たち全部一緒に住みましょうね、それぞれ部屋を共同で、ワンフロアの中で、同じ階にして、それぞれが元気な間は人に貸して、そして連れ合いが死んだときには順番にそこへ入っていって、グループホーム的な住まい方をしようねと約束したこともあるんです。

 ですから、そういう意味では、今先生がおっしゃいました単身の高齢者がグループで共同生活を行って、コレクティブハウジングという新しい方法を考えるということも、私は今後、住まい方に対応していくという上で大変大切なことだ、また、これが二十一世紀型であるということは仰せのとおりであろうと思いますけれども、私は今後、少なくとも高齢者が共同で利用する食堂とかリビングとか、そういうものを設ける場合にはこれを補助対象とするということと、コレクティブハウジングなどの多様な住まい方を可能にするような配慮をするということも私たちは大きな二十一世紀型として考えさせていただきたいと思っております。

井上(和)委員 どうもありがとうございました。終わります。

赤松委員長 以上で井上和雄君の質議は終わりました。

 次に、瀬古由起子さん。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 最初に、住宅金融公庫法等の一部改正案についてお聞きいたします。

 今回の改正では、特別割り増し融資制度の適用期限を五年間延長するとしております。従来どおり継続するのではなくて、生活空間倍増の緊急融資を変更して、戸建ての住宅は百二十五平米以下のもの、マンションでは七十五平米以下のものについては割り増し融資を廃止することになっているわけです。

 こうしますと、融資対象の大きいものに重点化するということになるわけですが、今後ふえてくると思われる都市部での高齢者用の規模の小さい住宅融資は縮小されるということにならないでしょうか。その点いかがですか。

三沢政府参考人 今般の公庫融資額の縮減につきましては、民間金融機関が住宅ローンに対して積極的に取り組んでいる、こういう状況を踏まえて一定の縮減を図るということがその趣旨でございますけれども、これによります実質的な縮減額は、平均的には大体五%ぐらいかなということで、これは、例えば首都圏の七十五平米以下のマンションを例にとりますと、平均では百万円程度の融資額が減るというような想定でございます。

 その場合に、例えば、先生御指摘になりました、高齢者向けの規模の小さい住宅取得についてどうなのかなということがございます。

 ただ、こういう高齢者向けの住宅をお求めになる方というのは、当然のことでございますけれども、どちらかというと、若い一次取得層ではなくて、比較的中高年の、多分二次取得の方が多いのかなというふうに思いますけれども、こういう、まだ高齢化に至っていない、例えば、高齢化予備軍と言うのは失礼ですけれども、五十代の方の場合でいいますと、こういう方は比較的年収が高い、したがいまして、百万円の縮減が仮にあったとしても、その分は多分民間住宅ローンを十分お借りになれるお立場であろう。

 それからもう一つは、もう既に高齢化に入って、定年退職されて年金でお暮らしになっている方、こういう方もいらっしゃるわけでございます。ただ、こういう方については、どちらかというと、こういうマンションを買う場合には大体手持ちの資金を相当お使いになって、新たな借入額を仮に起こす場合でも、借入額が逆にむしろ小さい、当然年金収入の中で払える範囲でしかお借りにならないということがございますので、多分公庫の基本融資額で十分賄い得る額なのかなということで、そういう意味では、今回の縮減が例えばそういう高齢者向けの小さいマンションの取得に支障があるということにはならないんじゃないかというふうに考えております。

瀬古委員 この法案の中では、住宅金融公庫の融資保険のてん補率を公庫とのあわせの融資で一定の要件に適合するものについては融資残高の九〇%から一〇〇%に引き上げるというふうにしております。一〇〇%にすると民間ローンの貸し渋りがなくなるということで理解をしてよろしいでしょうか。

三沢政府参考人 今般、住宅融資保険のてん補率の拡充をお願いしておりますけれども、これは、先ほど御説明申し上げました特別割り増し融資制度を、融資額を一方で縮減するということに対応しまして、その補完を図るということで、公庫とのあわせ融資で、しかも返済負担率が一定以下になる方につきましては、これは選択によりまして一〇〇%全額てん補を行えるというような見直しを図ろうとしているものでございます。

 これは、ただいま申し上げましたように、民間ローンを借りた、その九〇%じゃなくて、一〇〇%全額について公庫が信用補完を行うということでございますので、これは融資選別がなく、民間ローンが円滑に供給されるということにつながるのではないかというふうに考えております。

瀬古委員 今日の不況のもとでの事業不振、倒産、リストラで、延滞件数はどうなっているかといいますと、平成七年度末で一万四千二百五件、滞納率が〇・二三%なんですね。それが今日、平成十一年度末で二万八千百十八件、滞納率でいいますと〇・五一%、四年間で滞納件数も滞納率も約二倍になっているという状況がございます。ローンの破綻件数も平成十一年度で一万五千三百七十三件と、ここ二年間で一・六倍にふえてきているわけですね。

 この実態、そして何でこういう実態になっているかという点はどのように把握されているでしょうか。そして、なぜこういう実態になっているのかという点はどのようにお考えでしょうか。

邊見政府参考人 延滞の状況でございますが、今先生御指摘のとおり、平成十一年度末におきます六カ月以上の延滞債権額は四千百六十三億円となっております。これは、貸付金残高に対する割合は〇・五六%でありまして、漸次増加傾向にございます。

 また、長期にわたりローンの支払いが滞り正常化の見込みがない債務者に対しましては、公庫住宅融資保証協会が債務者にかわって公庫に代位弁済を行っておりますが、その実績も、平成九年度には九千七百十五件、平成十年度は一万四千百四十件、そして平成十一年度は一万五千三百七十三件と増加をしているところであります。

 これらの背景でありますが、基本的には経済状況の悪化がその主たる要因となっております。また、引き続き住宅ローンを抱えている家計をめぐる環境が依然として厳しいものがありますために、今後の延滞債権や代位弁済の増加が懸念されるところであります。

 こうした状況に対しまして、公庫ではいろいろな措置を講じております。公庫の融資の利用者が延滞に陥った場合でも、公庫が公的な金融機関であることにかんがみまして、個別に返済相談を行いまして、個々の利用者の事情に応じて返済条件の変更等を働きかけているところであります。

 具体的に申し上げますならば、公庫支店及び受託金融機関の公庫窓口におきまして返済相談を行い、家計の状況であるとか今後の見通しなどをお聞きしまして、必要に応じ、それぞれの状況に応じたさまざまな返済方法の変更の措置も講じております。例えば、ボーナス併用返済の取りやめでありますとか、あるいは法定期間内での返済期間の延長でありますとか、また、元金均等返済から元利均等返済への変更でありますとか、こういった措置を講じているところであります。平成十年の四月からの実績を見ますならば、既に十万八千件ほどの返済方法の変更措置を講じているところであります。

 さらに、昨今の経済動向を踏まえまして、平成十年の四月からは、ゆとり返済利用者に対する特例措置、これは最長十年間の返済期間の延長でございます、を実施しております。また、平成十年の十月の閣議決定を受けまして、勤務先の倒産等によりまして返済が困難となった利用者の方に対しましては、特例措置、それは返済期間を最長十年延長することでありますとか、据置期間を最長三年間設定することでありますとか、あるいは据置期間中の金利を五%を限度に引き下げる、こういった措置を講じております。

 今申し上げました、ゆとり利用者に対する特例措置は、平成十年の四月から行っておりますが、既に一万件を超えておりますし、今申し上げました、いわゆる新特例と言っておりますものも、平成十年十二月から、既に一万七千件余を実施しているところであります。

 このように、債務者の生活を守るという観点から、公庫といたしましても、最大限の対応をさせていただいているところでございます。

瀬古委員 さまざまな取り組みをしていただいていると思うんですが、今お話がありましたように、国民生活自体は本当に大変な状況になっているということが、この公庫の滞納の状況を見てもおわかりいただけると思うんです。

 例えば、これは地域別に見ても、深刻な問題がすごく反映しております。北海道などは延滞率が一・〇八%。全国平均で〇・五六ですから、そういう意味で、約倍ぐらいの延滞率があるという状況もございます。これはかなり地域経済の落ち込みと連動しているということが言えると思うんですね。そういう意味では、公庫の貸し付けはどうあるべきかということがやはり問われていると思います。

 そういう意味では、例えば、貸し付けるときには、ともかく貸してくれと言えばみんな貸せばいいかというと、公庫法の目的そのものが、国民が健康で文化的な生活を営むに足る住宅の建設及び購入に必要な資金、そして、銀行やその他一般の金融機関が融通することを困難とするものを融通する、こういうふうになっていまして、そういう意味では、公庫法に基づいて、よくその方の事情も聞きながら、その人に合った貸し付け、本当に返済できるかどうかということを踏まえてやらなきゃならないと思います。

 また、一たん貸しても、今日の深刻な事態を考えますと、返済も、一方的に、六カ月滞納したから、はいいただきますよ、全額返済、こういうケースも実は、率直に言いまして、幾つかの全国の取り立てのケースで聞き及ぶわけですね。少なくとも、今の経済的な状況が本当に大きく反映しているということがありますので、そういう無理な貸し付けも問題ですし、また返済も、一方的に、十分話し合わないで、突然、六カ月滞納したから全額返還せよみたいなことをやるというのは大変問題だというふうに思うんですが、その点での対応はどうでしょうか。

邊見政府参考人 ただいま先生御指摘のありました、融資の段階においても十分に考えて融資すべしということでございます。

 現在、公庫におきましては、融資の段階において、資金計画診断というような形で、実際に取得されて、そして返済になったときに十分にそれが計画的になされるであろうかという相談をしっかりやっております。また、延滞になりましても、先ほど申し上げましたように、機械的に処理するのではなくて、個別に、親身になって返済相談に応じているところでございます。

 また、地域によって差があるという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたけれども、基本的には、経済状況の悪化が主な原因であると考えます。そして、住宅ローンの延滞に密接な関係があります完全失業率あるいは人口に占める破産申し立て件数の割合、こういった指標を見ますと、地域ごとに差がございます。御指摘のように、例えば北海道であるとか九州であるとか、こういったところは、全国の平均に比べまして、完全失業率も破産申し立て件数割合も高うございます。公庫の延滞率も、平均に比べますと、九州とか北海道が高くなっております。

 こうした状況でありますが、先ほど申し上げましたように、返済が困難になりました方に対しましては、親身な返済相談を積極的に行って、特例措置の方法とかこういった的確な対応を行っていくよう努力しているところでございます。

瀬古委員 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、今、こうした深刻な経済情勢の中で、ローンが払えなくなっているという事態もあるわけです。本来、私は、住宅が困難な場合には、公営住宅なりそういうところに入らなきゃならない人たちもたくさんいらっしゃると思うんですね。ところが、今、普通の住宅でも、なかなか公営住宅の入居が大変な状態になっている。その上に、高齢者の住宅といっても、なかなか空き家を待っていても、ほとんど回ってこないという状態になっている。

 それで、無理して自分の家を、先ほど大臣が民族性と言われたんだけれども、ある意味で持たざるを得ないというか、本来なら公営でもっとゆとりのある住宅があればそこに入りたいんだけれども、そこに入れなくてやむを得ず、高い家賃を払うことを思えば、ローンを払っていけば何とかなるんじゃないか、何とかいけるんじゃないかと思って家を買ったけれども、それがいろいろな、今日的な経済情勢で払えない、こういう事態になっている。

 そういう点で、私は、今までの、国の持ち家政策という点でも、確かに返済に余裕のある方は借りていいんですが、今、かなり無理をして住宅を買わざるを得ないというか、そういう事態になっているんじゃないか。そういう点では、今、政府の持ち家政策そのものについてもどうなのかと、見直しが求められていると思うんですが、その点、いかがでしょうか。

扇国務大臣 きょうも、先ほどからの論議をお聞きいただきましたように、瀬古先生がおっしゃるように、私は、持ち家という願望というものはあるという、これは、日本は特に狭いところで、ないものねだりといいますか、ないもの求めといいますか、これは希望であることは、私はいいことだと思うんですよ。希望を持って生活し、また、自分の働きによっていいものを、自分たちのゆとりある暮らしをしたい、そして自分の思うような家を持ちたいというのは、これはもう当然の目標値ですから、私は、そういう意味ではとてもいいことだと思います。

 今、瀬古先生がおっしゃいましたように、ローンでやっと入れた、それが破産だとか倒産だとか、そういう今の社会現象によってやむなく住宅ローンの支払いが苦しくなってきた人たち、そういう人たちにとっては、公庫融資を活用してせっかく取得した住宅というものに対しての、失業、リストラ等によりローンの返済が困難になった場合という御指摘がございました。

 これはできる限り、居住することが確保されるということが大変重要なことだと私は思いますし、また、それに対して適切な措置をとるということ、今、参考人からるるお話ございましたけれども、積極的にこのローンの返済相談を行うということで、住宅ローンの返済相談所の設置、相談体制の強化というもの、これは指導してきておりますし、また現実にできております。

 そういう意味でも、積極的にローンの返済相談を行うとともに、返済期間の延長、そして据置期間中の金利の引き下げ、これも私は大変重要なことだと思っておりますので、返済負担の軽減を私たちは図っていくという意味におきましても、貸付条件の大幅な変更ということも、今、参考人からるる御説明申しましたように、大きな対策であろうと私は思いますので、できる限り、いろいろな条件があっても、せっかくお入りいただいたところにそのまま住んでいただきたいというのは人情でございますので、何とかそういうことに対処できないかという方法を考えて、今、参考人が申しましたような方法で対処しているところでございます。

 少なくとも、今申しましたような公庫を通じての公営住宅の募集窓口の情報というものを提供してございますので、ぜひ先生もいろいろな機会にこういうのを利用していただいて、せっかくお入りいただいた皆さんが、夢と希望を持ってお入りいただいたと思うんですよ。ですから、その夢と希望を失わないような行政を指導していきたいと思っておりますので、ぜひ先生も指導に御一緒に貢献していただきたいとお願いしておきたいと思います。

瀬古委員 私も地方議員をやってきましたから、いろいろな相談も承ってきたんですよね。それで、今、公庫の方から言われたように、いろいろな、さまざまな制度はつくってこられたと思うんです。しかし、基本的な制度のあり方としては、確かに、当面支払いを延ばすとか、その困っている間は一定の期間の延長を図るとかやるんですけれども、最終的には、その分利息が膨れ上がって、払う金額がどんどんふえていく、こういうような仕組みになっていると思うんですね。

 これは、普通の民間の企業、銀行の場合はそういうことは当然あるわけですけれども、しかし、公庫という場合には、何かいろいろ特例があって、制度を使ったらどんどん返す額がふえてくるというこの仕組みは、やはりもう少し今の時世に合った形で見直すことが必要だと思うんです。

 ある意味では、公営住宅などがもっと豊かにあれば、もうあきらめてそこへ入るということも可能なんですが、それもできないという場合もございます。そういう場合に、私は、一つは、特に病気だとか倒産、リストラというか、本当に深刻になった急変の事態の場合には、今公営住宅に入った場合には、公営住宅に入る人たちのための国の制度というのは、当然いろいろな助成制度があるわけですが、同じように、何とか頑張って、この期間何とか乗り切れば後々またローンを払っていけるという方には、少なくとも公営住宅で国や自治体が負担しているような制度の適用で、こういう場合は例えば一定期間減免も必要ではないか。後へ延ばして金をもっともらうんではなくて、そういう措置も思い切って考えなきゃいかぬのではないかと思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。

扇国務大臣 今瀬古先生がおっしゃいましたように、おっしゃることはごもっともなんですけれども、まじめに一生懸命働いてローンを返していらっしゃる方もいらっしゃることも事実でございますので、そういう意味では、今の制度の中でも、特別に窓口をつくったり、今申しました延命措置といいますか引き延ばしということも緩和してございますので、そういう意味では、一生懸命働いて返済していただいている皆さんとの公平性ということから考えても、特別にこういう事情であるからという相談窓口を開いているわけでございますので、理想は理想として、私もそうしてさしあげたいなという気持ちはございますけれども、今の現状では、一生懸命返してくださっている方との公平性ということも考えて、なるべくは延長をしたり、そして、皆さん方の今どれくらい返せない状況であるかという情報、個々に合った適切な窓口の御相談で対応しているということも、一つの住宅金融公庫としての大きな情報公開といいますか、窓口をあけて、皆さん来てくださいということで現在対応していますので、ぜひ、私は、今そのことを利用していただくということしか、これ以上、公平性を欠くということも、希望としては、心持ちとしては、そういう方は当分ただにしてあげたいなという思いは同じでございますけれども、その辺は御理解賜りたいと存じます。

瀬古委員 公平性といいましても、今の社会は、まじめに働いていても倒産したり、それからリストラになったり、病気になったりするわけですよ。ふまじめだから病気になるわけじゃない、倒産するわけじゃない、リストラに遭うわけじゃないんですね。全然働く気がない、そういう人たちのことを言っているわけじゃないんです。みんなまじめに働いていて、たまたまこの会社にいたために倒産した、リストラに遭ったということがあるわけですね。そういう方は本来公営住宅に直ちに入っていただくというふうにしなきゃいかぬわけですけれども、それは手当てがされていないわけですよ。ですから、そういう場合は、今までの延長線上でない、今日の経済状態に応じた形で、公営住宅に対する国の補助、私はもっとやるべきだと思うんですけれども、そういうお金の使い方というか、国の、ローンが払えないという、本当にまじめに働いていた方が払えない場合の特別の措置というのはあってもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、その辺は大臣、いかがでしょう。それは公平という点でも公平だと思うんですね。

扇国務大臣 今瀬古先生がおっしゃいましたように、本当にまじめにだれしも一生懸命働いて、倒産を目標に働いているわけではございませんし、今の社会情勢で心ならずもというのが、私は大きな、皆さん方の苦悩の発端であろうと思います。

 ですから、そういう人たちに対して、今参考人からもるるお話し申し上げましたように、少なくとも私どもはこれに対しての貸付条件の変更ということ、平成十年から十二年の十二月末現在でも、少なくとも貸付条件の変更の承認状況というのは一万七千百六十二件である、これも私は大きな、今までできなかった措置をとった証拠であろうと思いますので、私は、そういう意味では、これだけで十分とは言えませんけれども、少なくともそういう窓口をつくって皆さん方の個々の御相談に対応しているということも、精いっぱいの公庫としての努力でございますので、ぜひその点は御理解賜りたいと存じます。

瀬古委員 その程度なら民間の金融機関でもやれるんじゃないか。公庫の公的な果たす役割をやはりこの機会に発揮していただきたいと思います。

 次に、住宅市街地における共同建てかえやマンションの建てかえで、利息は毎月払って元金は高齢者の死亡時一括償還制度が今回の改正案に盛り込まれております。借り入れ時の年齢六十歳で借入金額が一千万円、借入金利が二・六%、十一年目以降は四・〇%となります、こういう条件で計算するとしますと、通常の元利償還の方法では二十年目で完済することになるわけですね。

 ところが、今回提案されている死亡時の一括償還制度ですと、利息だけ払っていきますと、六十歳から大体八十八歳六カ月で元金を完済したのと同じ額を返済したことになるわけです。さらに、その後もその方が長生きをされて、長生きすればするほど利息をどんどんまださらに払い込んで、亡くなった時点で、さっきハイエナみたいな話がありましたけれども、さらに一千万円の元金の一括払いをしなきゃならない。もう元金分は十分払っているわけですね。

 私、かつてサラ金相談でずっとやったことがあるんですけれども、何かよく似ていて、利息だけでどんどんとって、それでまだ全部残っているぞといって死んだらまた全部取り上げちゃう。こういうあこぎというか、長生きしたら、よく長生きしてくださいました、頑張ってここまで二十八年間も払われましたねと言って、そういう方には、長生きした長寿者に二重に払わせるということについてはもうちょっと検討すべきじゃなかったかと思うんですけれども、その点、大臣、いかがでしょう。

扇国務大臣 何か瀬古先生のお話を聞いていますと、私も余り長生きしない方がいいななんて思っちゃって、今の世界一の長寿国を喜んでいいのか悲しんでいいのか、何か悲しくなってしまうんですけれども、私は、そうではなくて、少なくとも今回の場合の死亡時の一括償還制度というのは、生きている間、御存じのとおり、今先生がおっしゃいましたとおりに、元金の返済をしないでよいということで、皆さん方は喜んでこれに乗ってくださると私は思うんですね。そして、希望の持てる生活ができるということで、毎月の支払いを利払いのみとするということによって高齢者の皆さん方の毎月の負担を軽減する、また、今生きている間に有効に楽しく生きようという、そういう高齢者の活力に私は大きく寄与するところがあると思うんです。

 この制度というものは、今おっしゃいましたように、生涯にわたって資金を利用できるようにするものなんですから、私は、生きているときにちまちま自分はこれだけしかないんだと毎日苦しい思いをして生きないで、生きている間は少なくとも元金を返済しないでいい、金利だけでいいということになれば、少し気持ちのゆとりができるということで、私はこれは大きく高齢者の皆さん方にお喜びいただいて、また希望の持てる毎日を過ごしていただいておりますけれども、今先生が、では長生きしたらあと全部ただにしろよ、もうとっくに返したじゃないか、こうおっしゃいますけれども、それでは私、何か長生きしたら全部ただになっていいなという、またそれで長生きしたからその分はという、ですから、そういう意味では、私は、先生がおっしゃいますように、利用者が長生きして、そして融資期間が長くなるほど利払いの総額は当然に大きくなっているというのはおっしゃるとおりだと思うんですよ。けれども、この制度というものは、そのことを承知していただいた上で、最初から御説明申し上げて利用していただいているという前提があるわけでございます。

 ただ、だまして、さっき何かサラ金の例をおっしゃいましたけれども、サラ金のようにだましたんじゃなくて、これはお入りいただく前に十分話し合って、理解していただいて御利用いただいているというのが、サラ金の例と一緒にされるというのは、私はこれは気の毒だと思いますので、高齢者に対しても失礼でございますので、これはきちんと、お入りになる前に前提としてよく話し合っておりますので、ぜひ――利用者が希望するという場合におきましては、繰り上げ償還することも可能なんですね。皆さん方で、定期が解約になってちょっとお金が入ったから繰り上げて償還するわという方もあるんです、事実、お年を召した方で。そういう方には繰り上げ償還することも、御本人の選択で可能でございますよという選択幅があるものですから、長生きされた場合だけ減免措置を講ずるというのは、長期の借り入れというものに対しての金利を減免するということだけでは、私は必ずしも、財政負担の増大とか、あるいは他の利用者との間の、不公平という言葉が適するかどうかわかりませんけれども、均等とまではいきませんけれども、長生きした人と早く死んだ人と差があるじゃないかとおっしゃいますけれども、長生きした方は長生きしただけの喜びを持っていただけるということでは、私は、選択制というものを御本人に説明しておりますので、御理解いただけることではないかなと思っております。

    〔委員長退席、河上委員長代理着席〕

瀬古委員 もう払って、六十歳から八十八歳六カ月、九十歳になるまで払い続けて、そして後、相続の方が払えないということになりますと家をとられてしまうという問題などは、サラ金と違うと言われたんですが、サラ金だって最初からだましてやるわけじゃないんです。いいですよ、利息さえ払っていただければと言って、永遠に利息を元金を超えてまで払わせる、こういうやり方が今問題になっていて、そういう点では余りにも、九十歳近くまで払わせて、元金まで払い込んだのに、まだこのまま生き続ける限り払っていくというやり方は、ちょっと国がやる制度としては検討を要するんではないか。

 時間がございませんので、次に参ります。

 高齢者の居住安定確保法についての質問をさせていただきます。

 国土交通省は、第八期住宅建設五カ年計画で、高齢者向けの賃貸住宅について十一万戸の供給、公営住宅のバリアフリー化改修工事については八万三千戸、公庫、公団のバリアフリー化改修工事については二十二万五千戸などを目標にしております。しかし、二〇〇〇年度における高齢者世帯は約千五百四十万世帯であり、二〇一五年には全世帯の約四割に相当する二千三十万世帯に上るとされております。

 本法案は、高齢者住宅を民間活力により供給して、国、自治体の供給はその補完とする、こういう位置づけであると思うんですけれども、これでは国、自治体の責任が不明確になって、結果的に民業だけに依存する、こういう住宅政策となっているのではないかと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。

扇国務大臣 今回先生方にお示しいたしました、高齢者の居住に関しての安定確保に対しましての御審議をいただいているわけでございますけれども、先ほどお答えしましたことと重複するのは避けたいと思いますけれども、今後、高齢社会を迎えるということはもう先生も御承知のとおりでございますので、大きくは、バリアフリー化されたものが、今までのものではほとんどないわけですね。けれども、今回はバリアフリーを全部しようということ。また、大家さんが、高齢者であることを理由に拒否する傾向が強いということからも、高齢者が安心して居住できるというような賃貸住宅の供給促進が私は喫緊の課題であろうと思っておりますので、これも今回は取り入れていこうということでございまして、高齢者の単身あるいは夫婦世帯、先生が今数字をおっしゃいましたけれども、今後十五年間で三百九十万世帯が増加するんですね、夫婦の場合、単身の場合。ですから、そういう意味で、三百九十万世帯が増加することを見込まれていますので、これは民間活力を活用しまして高齢者向けの賃貸住宅の供給を促進することが重要であるというのは、先生も御認識賜っていることだろうと思います。

 そういう意味で、このために、今度の法案におきましては、民間事業者が行う高齢者向けの優良な賃貸住宅の供給について、既存のストックの活用を含めて、助成措置を講ずる、こういうことにしますと、民間の皆さん方がやっていらっしゃることに対しては大きな後押しになる。そういう意味では、私は大きな効果を発揮するのではないか。しかも、高齢社会を迎えるについては、これを今しておいていただくことが、私は民間活力の大きな底入れになるというふうに考えていますし、民間による供給が不十分な場合は、少なくとも地方公共団体、公団あるいは公社が必要に応じてみずからの高齢者向けの優良な賃貸住宅の供給を図るようにこれを措置するということの両建て、三頭立てですかね、そういうふうになっていますので、国も地方公共団体もこれを一緒になってやっていく。また、公営住宅につきましても、シルバーハウジング等を初めとしての、高齢者の居住の安定確保について積極的に活用していくという意味においては、二十一世紀型の大事な法案を御審議いただいていると認識しておりますので、よろしくどうぞお願いしたいと思います。

    〔河上委員長代理退席、委員長着席〕

瀬古委員 公営住宅などは、ある意味では、今でも大変絶対量が少ないという中で、これから増加分に見合うものをつくったとしても、絶対量そのものが足りませんから、基本的には国や自治体が責任を持ってやらなきゃならないということは当然ですし、もちろん民間がやるのを大いに応援するというのはいいんですが、基本はやはり国や自治体にちゃんとその責任を据えるべきだというふうに思っています。

 では、具体的な内容についてお聞きしますけれども、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅、高齢者円滑入居賃貸住宅は貸し主の登録に基づいて行われるものですね。したがって、登録が進まなければ供給されないことになる。あくまでも貸し主の自発性に任せる、こういう形になって、幾ら計画を立てても、自発性ですから進まないということがあるわけです。

 その点は、貸し主の登録の促進というのは具体的にどういうことを考えてみえるでしょうか。

三沢政府参考人 登録住宅と申しますのは、ねらいといたしましては、現状においては、高齢者は家賃の滞納の不安があるということで入居が拒否されるような現状があるということが一点と、それからもう一つは、やはり高齢者の方に、いろいろな状態にある民間借家の状況が一元的にわかるような仕組みが現在ない。そうすると、高齢者の方は自分であちこち行ったりいろいろなことを探して回る。それは必要な努力でありますけれども、やはりそこで一元的に、一覧性をもって閲覧できるような、そういうものが必要だろうということで、今回設けているわけでございます。

 それで、そうしますと、家主さんの側から見て、これに登録してどういうメリットがあるのかということにつきましては、この法案の中で家賃債務保証制度というのを創設いたしまして、ここに登録した場合には家賃の債務保証を求めることができる、債務保証してくれということを言える、それによって大家さんは高齢者により貸しやすくなり、貸す場合には大家さんにとってみれば、やはりできるだけ広く入居の希望の方に情報が伝わった方がいいということですので、そこに登録されるだろう。そういうことで登録が促進されることを期待しております。

 ただ、いずれにいたしましても、この登録制度の趣旨とか債務保証制度の趣旨そのものが周知されないと活用されないというようなこともございますので、これは当然のことでございますが、公共団体とも協力しながら、かつ不動産業界にも協力を求めてそういうことの周知徹底を図り、登録が促進されるように頑張っていきたいというふうに考えております。

瀬古委員 この住宅については、登録に当たって、加齢対応の構造とか設備の有無、これは必要条件になっていません。そういう点では、これでバリアフリー化は進むのかという問題がありますし、先ほど家賃の問題があったんですが、家賃についても、申請書では家賃が示されていない、こういう状況があります。そういう点では、家賃も明示させるということが大変必要になってくると思いますし、家賃も、近傍同種家賃と均衡を失しないようにするということで、近くの家賃が高けれりゃその家賃も高くなってしまうという問題があるわけですね。こういう点では、今回のこの住宅の趣旨との関連ではどういうように考えたらいいでしょうか。

三沢政府参考人 二点お尋ねがあったかと思います。

 一つは、その登録住宅について、バリアフリー化されていないではないかというお話でございます。

 これにつきましては、確かにバリアフリー化を要件にしておりません。これはやはりバリアフリー化された住宅であるということが望ましいことは先生おっしゃるとおりでございますが、ただ一方、現状においてバリアフリー化されている民間賃貸住宅ストックというのが〇・三%しかないということからしますと、これをその登録の要件とした場合に、結局その登録住宅が、住宅として登録されるような量が十分に確保できるかどうかというようなことについてやはり懸念があるということでございます。

 ただその場合に、登録に当たって、バリアフリー化されているかどうか、そういう設備の状況は高齢者の方がやはりきちんとわかるようにして、そうすると、自分の身体の状況に応じて、ここはバリアフリー化しているから自分はここに行こう、自分はまだ元気だからこれでいい、こういう選択がきちっと可能になるような、そういう記載方法というのを十分配慮していきたいと思っております。

 それからもう一つ、当然、家賃に関する情報もやはり非常に重要なものだというふうに考えております。

 ただこれは、市場の動向とかあるいは応募状況によってもかなり変動し得るということでございますので、その記載を、定額で幾らというふうに書くのはなかなか難しいのかなと思っております。ただ一方で、先生がおっしゃるように、余り抽象的な表現では情報として意味がない。したがって、例えば一定の幅を持った金額でこの幅の中へ入るとか、少なくともそういうことがきちんとわかるようなことを国土交通省令で定める登録事項とするという方向で検討していきたいと思っております。

瀬古委員 財政援助していないので口が余り出せぬなというか、こういう思いが多分あるんだと思うんですが、高齢者がやはり円滑に入居できるような対応を大いにしていただきたいと思うんです。

 特に、現実に今問題となっているのは、事故とか病気だとか、それから家賃不払いのおそれがあるということで、不動産業者だとか家主が高齢者の入居を拒否している、そういう問題があるわけですね。これをどうするかということで、もっと不動産業者や家主に対して、高齢者を受け入れる、継続居住に協力するように国として指導をするべきじゃないかと思うんですが、その点いかがでしょうか。

三沢政府参考人 やはり大家さんはそれぞれ、家賃の滞納の不安とかあるいは高齢者の方が病気になったときにどういうふうなことになるのかなとか、そういう不安があるから結局なかなか貸されないという状況があるわけでございます。これについて、そういう状況をできるだけ解消するような方策を講じるのがやはり一番重要であるということで、今回、登録制度と家賃債務保証制度を一体的に設けるという仕組みをこの法案の中でお願いしているわけでございます。当然のことながら、こういう登録制度の運用に当たりましては、やはり不動産業界等の協力もいろいろ得ながら、制度が十分に活用されるようにやっていく必要があるかと思っております。

 そういう意味で、この登録制度の趣旨の意味するところは、高齢者が断られるような状況をやはり解消しなければいけないんだ、そういうことについて不動産業界にもよく理解していただくようにお願いしていきたいと思っております。

瀬古委員 終身賃貸借制度について質問します。

 この制度なんですけれども、今、自己破産が年間十二万件を超えている。契約期間中に家主が倒産するとか自己破産するという場合があるわけですね。賃借人というのは、今借地借家法によって抵当権設定後の賃借権は第三者に対抗できないとなっていて、抵当権が設定されている場合は賃借権がなくなるのではないかという問題がございます。そういう意味では、その賃借権を保護する、このことがやはり重要ではないかと思うんですが、その点はどうかという点と、それから、途中で家賃改定ということが問題になります。契約は長期なんだけれども途中で家賃がどんどん上がっていく、こういう歯どめ措置、これはどう考えていくのか。それから、家主、貸し主の方で、中途解約があったり、特に高額な前払い家賃という問題があって、一遍に金額をどんと払っちゃうという場合があるわけですね。その中で、例えば貸し主にいろいろ問題が起きたという場合にその払ったものはどうなるか、そういうトラブルについても何らかの対応をしなきゃならぬと思うんですが、その点いかがでしょうか。

三沢政府参考人 一点目の、家主の倒産したようなケースでございます。これは、先生もう御承知のとおり、抵当権設定が入居の前にされている場合には、抵当権が実行されると、これはもう借家法の通則ということで、賃借権は対抗できないということになります。この点に関しましては、この終身賃貸借も同じでございます。ただ、抵当権でなくていわゆる私的整理の一環として賃貸住宅が売却されるというようなことがございます。それはもう当然のことでございますけれども、賃貸住宅に居住をしていれば新しい取得者には対抗できるということになるわけでございます。

 それから、二点目の家賃の増額請求の問題、これも、借地借家法の一般則に従って処理されるということで、特にこのことに関して特別なものがあるわけではございません。借地借家法三十二条の借賃増減請求権の規定が適用されまして、もし法外な請求があれば、最終的には裁判所の関与によって解決するということになろうかと思います。

 それから、三点目の前払い金の問題は、これは大変大事な問題でございまして、この法案の五十八条の認可の基準の中で、賃借人が前払い家賃を支払う場合には賃貸人は中途解約などによりその返還債務を負う、そういう場合に備えて必要な保全措置を講じなければならないというふうにしております。では、具体的にどういう保全措置があり得るのかということにつきましては、現在、学識経験者とか消費者団体の方々にも入っていただきまして検討委員会を設けまして、今検討を進めているところでございます。

瀬古委員 時間がございませんので、最後に大臣にお聞きしたいと思うんです。

 一点は、阪神・淡路大震災でも明らかになりましたけれども、地震とか火事とか水害で家が消滅した場合は出ていかざるを得ない。その場合に、二重ローンの問題があるわけですね。一方では今まで借りていたローンを返しながら、新しく家をまた購入するという場合にこういう問題が出てくる。鳥取県などでは、家が損壊した場合には世帯に個人補償して、今新しい境地を切り開いているという面もあるわけです。そういう意味では、ぜひ再入居ができるように、二重のローンにならないような措置が考えられないかということが一点でございます。

 それから、もう一点なんですけれども、実は、私の住んでおります千種区の公団団地で老夫婦が餓死しているのが発見されたという事件がございました。これは家賃が滞納で追い出しの手続の中で発見されたんですけれども、もう何カ月後に偶然発見されたとかいう例が今いっぱいあるわけですね。そういう場合に、ドイツなどでは、一定家賃を滞納した場合は福祉との連携などもかなりやって、家主協会が連絡するとかいう対応があります。先ほど大臣が、この住宅の制度と福祉の制度の連携と言われたんですが、こういう家賃が払えないという方の場合に、死ぬまで発見されないという形でなくて、公営住宅に入居するなり福祉事務所に連絡するなり、こういう措置を講ずべきじゃないかと思いますけれども、この二点、済みません、まとめてお願いいたします。

扇国務大臣 今瀬古先生から大事な御指摘があったと思いますけれども、御存じのとおり、私も神戸出身でございますので、阪神・淡路大震災のときに壊れた家を持っておりますけれども、少なくとも、今後、災害で家を失った、そういう高齢者というものが、先生がおっしゃるように、従前の居住地になるべく再び住みたいというのは、これはあろうと私は思いますけれども、復興住宅を建設するに当たりましては、大量の住宅供給を一定期間に建設可能な場所で実施しなければならない、こういう条件がございますので、従前の居住地域ないしはその周辺で復興住宅を建設するということが困難な場合、もうこれは必ずございます。阪神・淡路のときもそうでございます。そのような制約がございますけれども、阪神・淡路大震災は、今申しましたように、復興住宅の入居の募集に当たりましては、入居希望の皆さん方の、高齢者、そして障害者の優先という意味で、従前の居住地での入居にできるだけ配慮することを、阪神・淡路大震災の後の復興工事で実践してまいりました。

 そういう意味から、高齢者の住みなれた地域での居住に一定の配慮をするというのは当然のことだと私は思っておりますけれども、災害復興に関しましては、日本は災害列島でございますので、建設可能地等の利用を踏まえて可能な限り高齢者が安心して住みなれた地域に、従前のように、近く、より早く住めるようにというのは今後も地方自治体と協力して努力すべきことだと私は認識しております。

 また今、地方の、名古屋の話を例に挙げられましたけれども、これは大変不幸なことだと私は思います。入居者のプライバシーにも配慮するという、何か難しいことで、どこまでかかわっていいのかということもございますけれども、家主が把握できる限界もあろうと私は思います。けれども、私どもは、家主に責任を負わせることだけでは困難であるということもこの間の事例でよくわかっておりますので、少なくとも公共の賃貸住宅におきましても、家賃滞納が起こった場合におきましては、入居者の状況というものを踏まえまして、必要に応じて福祉への連絡をする、そして連携をとって対処するというのは、先ほど先生にも申し上げましたとおり大事なことであろうと私は思っております。そのためには、従来よりも福祉政策と連携して、緊急時の対応、そういうときは生活相談、あるいは生活の支援サービスつきの公営住宅であるシルバーハウジングプロジェクトの実施を図っておりますので、それをぜひ御利用いただきたい。

 また、今度の法案で創設しております高齢者向けの優良賃貸住宅におきましても、緊急時の通報装置がついております。これも今回の法案で御審議いただく大事な要点でございますので、その補助対象にこれを加えるということをしておりますので、緊急時の通報装置は補助対象としてこれをつけるということになっておりますので、緊急時の対応サービスを受ける体制を確保するようにというのが本法案の中に組み込まれていることも御認識賜りたいと私は思います。

 最後に、先ほど先生がおっしゃいましたように、こういうことは福祉と連携ということで、厚生労働大臣と連携をとって、二度と、寂しい思いで死んでいて気がつかないなんという寂しい国にならないように努力していきたいと思っております。

瀬古委員 どうもありがとうございました。終わります。

赤松委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社会民主党の保坂展人です。

 本法律案、特に高齢者居住のための法律案の審議に先立って、どうしても私は、いわゆる借地借家法の定期借家権の問題、このことを検証していきたいと思うのでございます。

 といいますのは、この定期借家権、私どもは反対をしましたけれども、長いこと議員間で議論がなされ、また政党間でも相当の議論があった制度でございます。そして、その制度の中で、ファミリー向けの優良賃貸住宅が多数供給されるんだというようないわば目測のもとに、周知期間はかなり短かったとは思います、二カ月半ぐらいの周知期間でこの定期借家制度というのができたわけなんですが。

 まず具体的に、定期借家制度ができてどういう変化が起きてきたのかというところを何点かお聞きしていきたいと思います。住宅政策は、やはり安心、安全、あるいは生涯安心して住める住宅というところで大変大事な問題だと思いますので、お聞きをしたいと思います。

 まず国土交通省の方に、定期借家権の制度ができて、例えば、家を借りている人に、いきなり新しい定借という制度ができたので、これからその新しい制度にあなたの家は切りかえますよ、それについては、嫌なら出ていってもらいます、こういうようなケースがあったのかどうかということについてどうでしょうか。

三沢政府参考人 新しい定借制度ができて同意しない人間は出ていってくれというようなケースがあったかどうかという御質問でございますが、御承知のとおり、定期借家契約は、この法律の施行前に契約されました居住用の建物につきましては、当分の間、合意があっても新しい定期借家契約を結ぶことができないということになっております。したがいまして、御指摘のようなケースがあったというふうには私ども聞いておりません。

保坂委員 では、住宅局長、伺いますが、ここに座談会の雑誌記事がございます。ここには、前建設省民間住宅課長補佐の太田秀也さんという方が座談会の聞き手、進行役で、かなり専門的かつ率直な話を展開されているんですね。

 この太田さんの発言の中に、切りかえを内容証明郵便などで送りつけてきて、今回、新しい定借という法律ができ、三月一日以降は新しい方式に切りかえることになりました、同意されない場合は出ていっていただきますという悪質なケースもあったようでございますねと発言しているんですね。この方はまだ国土交通省に在職されておりますか。また、こういう実際の発言があったということを踏まえて。

三沢政府参考人 太田補佐は去年ぐらいまで住宅局におりました課長補佐でして、今、別のポストにおりますけれども、まだ国土交通省の職員でございます。

 それで、太田補佐がそういう発言をしているというのは、ちょっと私、それを読んでなかったので、大変申しわけございませんが、承知していなかったんですが、その点については、本当にそういうことがあったのかどうか、またそういうことについてはどういうような処理がなされたかどうか、それをきちっと調べてみたいと思います。

保坂委員 住宅局長がきちっと調べてみたいということなので、ぜひお調べいただきたいと思います、その太田課長補佐の耳にも入ったということで発言されていると思いますので。

 実際に定期借家権は、昨年四月の時点では四千件中百八十件、四%ぐらいですか、近年は大体どの程度の賃貸住宅市場のパーセンテージを占めているのでございましょうか。どのくらいの普及なんでしょうか。

三沢政府参考人 実は、最直近での調査の数字というのをまだ現在持ち合わせておりませんが、一つの賃貸住宅情報誌の、これはちょっと古くて恐縮でございますが、去年の六月分の調査でございますと、全登録物件のうち三・一%、それから一戸建ての登録物件では二六・五%が定期借家として登録されているというような情報がございます。

 ただ、先生、やはり私どもも最新の状況を踏まえて調査が必要であるというふうに考えておりまして、定期借家制度の活用状況につきましては、平成十三年度、これは本格的な調査でそういう実施状況等を調査してみたいというふうに考えております。

保坂委員 これは私が、議員立法で一緒に提案する寸前まで行って、こじれてしまいまして提案できなかったので、関心を持って調べているんですが、不動産フォーラム21の二月号に、東急リバブルという会社の統括部長の武井さんという方が、余り思わしくないスタートのようですと書いているんですね。

 この方の出している数字だと、大手不動産会社の首都圏実績は一〇%程度数字が上がっているというんですが、当初期待された老夫婦などの賃貸予備軍からの優良な賃貸住宅の供給はもうほとんどと言っていいほどない、他社も同じだろうと。原因としては、どうも契約手続が面倒というムードがあることと、法人の場合は定期借家はだめよというケースが多い、加えて、やはり更新がないので、借家人は期間満了で必ず退去しなきゃいけない、こういうことがマイナス要因なのかな、こう書いておられるんです。

 定期借家導入で、相当マスコミでも議論がありました。どちらかというと推進の議論が多かったんですね。ここに持ってきていますのが一九九八年五月二十八日の毎日新聞なんですが、ちょっと古い資料から引っ張り出したので折れていますけれども、「家賃下がり「礼金」廃止も」というのが見出しになっているんですね。つまり、定期借家権が導入されることによって、賃貸料の低下や、礼金というのはそもそもそんなに法的根拠がない、算定不可能な慣習としてあった、これは礼金なんかなくなるんだ、こういう方向に行くんだという予測があったんですが、さて、実態はどうでしょうか。住宅局長、お願いします。

三沢政府参考人 礼金、敷金は、礼金と敷金とちょっと性格が違うようでございますが、いわゆる従来の普通借家にありました慣行的な金銭受領、礼金とか一時金とかいう名前で呼ばれておりましたけれども、今回、定期借家契約を機にこれをやはり改めるというような側面もある、そういう新しい契約形態であるということで、私どもも例えば定期賃貸借住宅の標準契約書というのをつくっていろいろ制度の普及に努めておりますけれども、その中では、礼金、一時金欄について、その表示の欄を削除して、要するに慣行的な金銭受領についてはもうできるだけ改めていただきたいということは周知徹底を図っているところでございます。

 ただ、その結果としてどのくらい廃止されているのか、そういうことについて、ちょっと今現在まだ調査しておりませんので、また平成十三年度の調査の中できちっと調べていきたいというふうに考えております。

保坂委員 当時の建設省は、定期借家制度は歓迎だ、これはやはり住宅哲学の根本変更ですね。家は買うから借りる時代へ、こう言っていたので、やはりもっときちっと押さえてほしいと思うんです。

 またここで太田秀也さんが率直なことをおっしゃっているんですね。この点についてどうだろうかという発言なんですが、つまり礼金がなくなるかどうかなんですが、この太田さんの発言を引くと、我々も関心があったのは礼金とか敷金、権利金の話で、定期借家の物件が百八十二件あって礼金受領が百三十六件、まあまあ取っているんですね、百八十二のうち百三十六ですから。既存物件でいうと、三千五百八十一ある中で礼金を取っているのが千五百で、半分以下になる。ということは、どうも定借の方が逆に取っているというデータがあります、こうおっしゃっているんですね。後で渡してもいいですよ。こうおっしゃっている。

 さらに、今局長答弁の中で、我々もこれは議員間でも政党間でも随分議論したんですが、標準契約書、これは日本賃貸住宅管理業管理局協会というところがつくっていた標準契約書にも礼金を取っていいと書いてあるんですね、これはいかぬことですね、こう言っているんですね。こういう事実を御存じですか。

三沢政府参考人 そこで言われている標準契約書というのがどういうものか私どもちょっと把握しておりませんけれども、私どもは、先ほど申しました定期借家のための標準契約書、これは学識者とかそれから消費者の……

保坂委員 委員長、ちょっと見せていいですか。

赤松委員長 はい。

三沢政府参考人 礼金を取ってもいいという意味がどういう意味か、私どもちょっと正確にわからないので、これはきちっと調査してみます。

 ただ、先ほど申し上げましたように、表示欄はもう削除いたしましたので、基本的にはこういう受領はないという前提の標準約款で、そういう標準契約書の普及を図っているということでございますが、ただ、ちょっと、こういう話がございますので、事実関係をもう一回きちっと調べたいと思います。

保坂委員 それでは、標準契約書に礼金を取っていいとなっている、これは指導の必要がありますか。

三沢政府参考人 ちょっと、先ほど申し上げた、取っていいということの意味がいま一つよくわからないんですが、つまり、これは、慣行的な金銭受領として授受しているもので、これをでは絶対に取ってはいけないという標準契約書にできるかというと、それはきっと多分難しいんだろうなと。ただ、これからの標準的な契約の姿としてはそういうものを改めていただきたいということで、先ほど申し上げました表示欄を削除しているわけですけれども、ただ何か、取らないことにするとか取ることを禁止するとか、そういうことにもまた直ちにはならないのかなという気がいたします。

 ですから、当事者間でお決めになることについてどういう方向に我々は誘導したいかということですが、当事者間の自由にするといったことについて絶対だめだということまで言えるかどうかという問題かと思います。

保坂委員 この定期借家権は大変な新しい制度なので、国会の議論も不足していたんです。それで、始まって一年でしょう。建設省の方が、いや、こんなはずじゃなかったと言っているわけですよ。定借で我々が言ってきたのは、礼金は合理的な理由がないという話だったんだけれども、一体どういうことかなと、ずっと話題にしているわけですね。

 今局長が言ったのは、一番最初の答弁は違いましたよね。やはりそういう、標準契約書等でもそこについては規制してあるという話だったはずなので、少なくとも礼金は取ってよいですというようなことを標準契約書の解説だとかそういうものに書いてあるとしたら、これはおかしいんじゃないでしょうか。どうですか。

三沢政府参考人 やはり我々の気持ちが、気持ちといいますか、今回の標準契約書の趣旨は、そういう慣行的な金銭受領を改めたいということが前提でございますので、そういう趣旨からすると、もし不適切な点があれば改めるべきだと思います。

保坂委員 それでは、高齢者住宅の方にも入って議論をしていきたいと思いますけれども、先ほど東急リバブルの方の書かれたものを、つまり高齢者向けの物件などの供給が定期借家権では余りない、このことについてはどうでしょう、住宅局長。つまり、定期借家権導入のときに、これはお年寄りの単身者、あるいはいわゆる高齢者と呼んでもいいんですが、高齢者の方がなかなか住宅が借りられないんだ、定期借家権導入によってそういう人たちがむしろ借りやすくなる、物件も非常にふえてくるという予測が語られたんですが、実態はどうですか。

三沢政府参考人 恐らく、高齢者向けの住宅として賃貸で供給されるためには、定期借家というのも一つの方策でございますけれども、本日もこの法案でいろいろ御議論いただいているように、例えば定期借家だけで大家さんの不安が本当に解消するのかといったような環境整備がやはりあわせて必要なのかもしれないなという感じがいたします。

 ただ、ちょっと、具体的な供給量とか市場の実態としてどうなのかということにつきましては、申しわけございませんが、これからの調査ではっきり把握してまいりたいと思っております。

保坂委員 今までちょっと定期借家権の議論を差し上げたんですが、扇大臣にちょっと伺いますけれども、今回の高齢者向けの住宅供給安定確保に関する法律案の中で、家賃保証制度の問題がございますよね。家賃が支払えなくなる場合に、半年間はいわばかわりに保証しましょうという制度なんですけれども、これは、やはりお年寄り、高齢者が払えなくなった場合に、半年後に払えるようになるというケースはなかなか想定しにくいんじゃないか。ここの点は、扇大臣、どういうふうにお考えですか。半年間払えないものは七カ月目にも払えないんじゃないか、率直に言って。

扇国務大臣 先ほどからもそのお話が続いておりまして、高齢者の皆さん方で払えなくなった場合ということも想定しながら今回の場合は配慮しなきゃいけない。

 ただ、それを払えないからといって放置するのではなくて、先ほども私、瀬古先生に御答弁申し上げたんですけれども、福祉の面から考えても、厚生労働省と一緒になって、私どもは払えなくなったお年寄りに対してもどう対応していくのか。公団だけの面から見るんじゃなくて、福祉の面からも目を向けようということを考えておりますので、そういうときにも配慮していきたい、そのように考えております。

保坂委員 それでは、具体的な条文に触れながら聞いていきたいと思うんですけれども、これは住宅局長の方にお聞きしようかと思うんですが、この法案の五十八条には、賃貸人に書面による説明義務を、これはたしか定期借家権のときには、書面でつくり、またその本人に対して説明義務を課していたと思うんですが、本案には説明義務規定がないように思えるんですね。

 しかも、老人、高齢者が相当長期にわたって住む、そういう契約に、これは終身建物賃貸借ということを説明する義務を課していないのはなぜなんでしょうか。

三沢政府参考人 定期借家の場合との比較でございますが、定期借家の場合は、結局、やはりある期間が来れば出ていかなければいけない、そこがまさに定期借家のポイントでございまして、まさにそういう定期借家の特性に着目してそういう説明義務規定が置かれているというふうに私ども理解しております。

 今回の終身借家は、要するに借家人が生涯にわたって住み続けられる、そこにまさにポイントがあるわけでございますので、このことに関して、むしろ借家人のメリットになるということでございますので、特段説明義務規定を法律上は置いていないということでございます。

 ただ、先生、やはりこれは事実の問題として、当然この制度を利用していただくに当たっては十分この中身を理解していただくことが必要でございますので、そういう事実の問題として、十分理解していただくようないろいろなことは講じていかなければいけないというふうに考えております。

保坂委員 ちょっと細かいことになりますが、これは、終身建物賃貸借の契約をする際に「公正証書による等書面によって契約をする」ときに限りとあるんですが、その場合に、借地借家法三十条の特約で賃借人不利事項が無効であるというところが当てはまりませんよという規定ですけれども、公正証書等による、この「等」ですね、これはどういうことを指しているんですか。公正証書以外のどういうものを指しているんでしょう。

三沢政府参考人 「等」といいますのは、公正証書以外の一般の書面を指しております。

保坂委員 そうすると、局長、これは公正証書が望ましいけれども、公正証書である必要はないということでございますか。公正証書を一応書いているけれども、一般の書面でもよろしいですよ、これが「等」に込められているということでいいんですか。

三沢政府参考人 おっしゃるとおり、公正証書に限定されるものではないということでございます。

保坂委員 つい我々、何か人が余り悪くないので、公正証書等というと、公正証書でやるんだな、公正証書だなというような、ちょっとそう思っちゃうんですけれども、どうでしょう、やはり不動産業者の方なんかは、今の国会議事録を読めば、「等」というのは一般の書面もありだというと、そっちを選びますよね。そういう予測が立ちますね、これは。どうでしょう、住宅局長。

三沢政府参考人 これは大変申しわけないんですが、これはやはり法律の書き方なものですから、代表例を挙げて「等」という書き方になっております。

 それで、いずれにいたしましても、この法律の意味するところ、趣旨をきちっとわかるように、これはやはり説明しなければいけないということがございますので、そのことにつきましてはきちんと機会あるごとに御説明していきたいというふうに思っております。

保坂委員 ぜひ、その公正証書等というところの「等」がほとんどになって、公正証書はほとんどないということにならないように、我々も監視をしていかなければならないと思うんです。

 法案六十五条で、要するに同居人は、賃借人、終身の契約をされた方が亡くなって、その亡くなったことを知った一カ月後に手続を、所定のものをしなさいよと。これはどうでしょう。

 例えばいろいろな事情で、一カ月というのは短過ぎるんじゃないか。あるいは失踪しちゃったりとか、山登りに行って、何か行方がわからないとか、いろいろな事情がございますよね。そういう場合は、これはどういうふうになるんでしょうか。

三沢政府参考人 まず、山登りとか失踪した場合でございますが、それは死亡を知ったときからということでございますので、知らなければ、その期間は期間の進行が停止されるということでございます。

 一カ月につきましては、これもいろいろ御議論があるところかと思いますが、現にずっと同居していた方については、その高齢者の方の死後のいろいろな手続を済ませた上で意思決定をするためには、一カ月という期間があれば通常の場合であればいいのかなということで、一カ月というふうにさせていただいているものでございます。

保坂委員 一カ月は私は短過ぎると思うんですけれども、今度は配偶者の資格ですね。

 例えば、それは婚姻の手続をしていた配偶者ではなくて、内縁の夫ないし妻であったという場合はどうなのか。いかがでしょう。

三沢政府参考人 この場合の賃借人と同居していた配偶者につきましては、内縁の妻といいますか、事実上夫婦と同様の関係にある者を含めて、継続居住できるという規定でございます。

保坂委員 それじゃ、ちょっとここで扇大臣にお聞きしたいんですけれども、これはやはり同居する人の、六十歳以下の場合が結構あると思うんですね。介護をするためとか、あるいは血縁関係がなくてもそのお年寄りと一緒に住んでいこうと。そういう方が、もしそのお年寄りが亡くなったときに、丸ごと、生活場面ごと出なければいけないということになりますよね。この点はどうでしょうか。いろいろ不都合が生じてくるのではないかと思うんですが、いかがですか。

扇国務大臣 これは私、法的によく存じませんけれども、少なくともどれくらいの年数居住することが同居人と認められるかという法的なものもあろうと私は思いますので、法的なことはちょっと私よくわかりませんけれども、少なくとも何年間か夫婦同然の居住者として認められるという、その限度があろうと思いますので、それは、たくさん弁護人もいらっしゃいますし、法的には何年を同居人と認めるかというのはあろうと私は思いますけれども、ただ、一週間で同居人とは認めないというのは事実でございまして、その辺の年数は、ぜひ法的に御勘案いただきたいと思います。

保坂委員 では、局長に答えてもらおうかな。

 要するに、夫婦じゃなくて同居する場合、例えば、六十五歳の人に対して二十七歳の若者が一緒に住むよとかあるじゃないですか。そういうときに、二十七歳ならまだどこへでも行けそうだけれども、あるいは五十三歳の人が七十何歳の人と一緒に入るとか、そういうことも考えられますよね。そこは、やはりお年寄りの居住、つまり選択を、そこの年齢のところで、つまり介護する側のところを切ることで、やはり不都合が生じるのではないかな、こういうことです。

扇国務大臣 居住者の年齢が六十五歳以下でどうこうという、年齢制限というものはないというふうに解釈していただければいいと思いますので。私は、年齢でこの人は同居人と認める、同居人と認めていない、それではないということだけは申し上げられると思う。

保坂委員 またちょっとそれも誤解でございまして、では局長、要するに、だれだって住めるのですよ。聞いているのは、亡くなった場合の問題です。どうですか。

三沢政府参考人 住めることについてはいいんだとおっしゃいますが、もともとこれは、制度としては、やはり高齢者単身あるいは高齢者夫婦のための制度として、生涯、生きている間は安心して暮らせる、そういう契約として創設するものでございます。

 ただ、住めるということについても、高齢者の心身の状況変化によりまして、途中で介護が必要になって、同居人が必要になったときに、それを一緒に住んじゃいかぬよ、そういうことは確かに言わないということでございますが、ただ、では、介護をしたら同居人の方が高齢夫婦が亡くなった後もそこに住み続けられるかというと、それは本来終身借家、高齢者が生きている限りはそこに住んでおられるという、その制度の趣旨からはちょっと外れるのではないかというふうに考えております。

保坂委員 それではもう一点。

 何点か高齢者の居住の件に関して伺ってきたのですけれども、住宅政策全般というところで、もう少し幅広く今度はお聞きをしていきたいと思うので、住宅局長にちょっとお願いをしたいと思うのですが、現在の、特に大都市地域、首都圏だとか京阪神だとかにおいて、持ち家及び借家の、それぞれの構成がどのようになっているか、これからの予想ですね、高齢者住宅自身がどういう状況に今後予想されるのかという点について、まず簡単にお願いできるでしょうか。

三沢政府参考人 現時点で、六十五歳以上が世帯主の高齢者世帯で見ますと、持ち家率は、これは比較的高くて八二%ぐらいになっております。このうちさらに大都市だけで集計した数字はございませんが、恐らく大都市の場合は、全国平均よりは、借家にお住みの方の比率が若干高いのではないかというふうには推測されます。

 ただ、これからやはり大都市で非常に急速に高齢化人口がふえていくということからしますと、まさに借家というものに着目して、相当急速に高齢者が住まえるような住宅を供給していく必要があるということから、今回の法律案をお願いしているものでございます。

保坂委員 次に、既に平成十年に始まった公団賃貸住宅で高齢者向け優良賃貸住宅という制度がございますね、これの住宅の供給実績はどのようになっているのか。あるいは、これはまた民間にもお願いをするということになっていますが、これは予定どおり、期待どおりに進んでいるのか、あるいはおくれているのか、あるいは公団住宅ではその現状はどうか、その点についていかがでしょう。

三沢政府参考人 まず公団住宅の方からお答え申し上げます。

 平成十年から予算措置で始まっておりました公団住宅における高齢者向けの優良賃貸住宅につきましては、平成十一年度と十二年度で約六千戸の認定を見込みまして、現在その整備の推進を図っております。

 それから、平成十三年度から十七年度まで、これは、先般閣議決定いたしました第八期住宅建設五カ年計画の中では、合計一万八千戸、向こう五カ年間で予定をしているということでございますので、今後ともこれは着実に供給されていくということになるかと思います。

 それから民間でございますが、これは民間、公社公団を全部含めた平成十二年度までの累積の中で民間事業者によるものはどのくらいかというのを見ますと、約三〇%ぐらいということでございます。ただ、これは、平成十年度、十一年度、十二年度という形で年次的な経過を見ますと、十一年度は十年度の約六倍、それから十二年度はさらにその二・四倍ということで、かなり増加をするような傾向を示しているということでございますので、これからも、今回の法案にございますような適切なインセンティブを与えることによって、これはまた着実に伸びていくのではないかというふうに期待をしております。

保坂委員 既に何人かの委員からこのお話も出ていますけれども、公営住宅、東京などは新設はゼロですよね、そして低所得の高齢者の居住確保は大いに困難になっている。今回のような制度をつくるというのも一つなのかもしれませんけれども、やはり基幹的に、公営住宅、パブリックな住宅をきちっと押さえていくということをするべきなのではないかということについては、基本的なお考えはいかがでしょうか。

三沢政府参考人 公営住宅の基幹的な役割をどう考えるかということでございますけれども、これは、まさに公営住宅法に規定されているとおり、国と公共団体が協力いたしまして、健康で文化的な生活を営むに足りる住宅を整備して、これを住宅に困窮する低所得者に対し低廉な家賃で賃貸等することによって、国民生活の安定と社会福祉の増進に寄与することということでございます。

 それで、供給の方法につきましては、これはやはり地方公共団体の状況等によりましていろいろあるわけでございます。新規の団地の建設ということもあるわけでございますけれども、先ほどからも御議論ありますように、既存団地の建てかえ、これによって実質戸数もまた増加する場合がほとんどでございますが、さらに、いろいろな、例えばエレベーターの設置のようなリフォームによって、既存ストックが、今まで高齢者向けに実質は使えなかったというようなストックが高齢者向けのストックとしても新たに活用可能性が開けていく、こういうようないろいろな方法によりまして、やはり今後とも公営住宅のこういう役割をきちっと果たしていくことが非常に重要だというふうに考えております。

保坂委員 非常に重要なので、先ほど定期借家権の現状についても踏まえましたし、今回の二つの制度、終身建物賃貸借ともう一つ、こういった今提案されている制度をもって高齢者の住宅の供給を図っていこうということも一つだと思いますけれども、やはり基本として、公共住宅、特に、所得の低い、経済展望の持ちにくい、そういう高齢者の皆さんに対する住宅確保のための公共住宅、公的な住宅の拡大、きちっとそれは出すという点についてはいかがですか。

扇国務大臣 今保坂先生のおっしゃるとおりでございまして、先ほども東京都の話を先生がおっしゃいましたけれども、今後東京都におきましても、都営住宅につきましては、十二年度ゼロということを先生おっしゃいましたけれども、少なくとも、建てかえによりまして、三千二百九戸、これが供給できるということで、数が三千二百九戸というのがございまして、これは建てかえによりまして、平均的には約二割の公営住宅が増加するという数字がちゃんと出ておりますので、これも私はぜひ取り上げて御勘案いただきたいと思いますし、今おっしゃいましたように、低所得者の高齢者借家世帯の居住の確保ということに対しては、私は、地方公共団体の状況によりまして、今、東京都の例を一つ挙げましたけれども、この供給方法につきましては、新規の団地の建物や既存団地の建てかえあるいはリフォームによる既存のストックの活用等々、いろいろな方法がとられてまいりましたけれども、今後とも公営住宅の供給を推進して、高齢者の借家世帯の居住の確保ということは、二十一世紀型だと先ほども申しましたけれども、私は今後重要なことであろうと思っております。

 またさらに、急速に増大します高齢者の住宅需要に対応するためには、量的な供給を図るとともに、少なくとも今回創設をお願いしております高齢者向けの優良賃貸住宅制度は、私は皆さん方と一緒に、民間事業者等の活用あるいは公団、公社の既存の賃貸住宅のストックの活用によりまして効果的な供給を図ることができるというふうに考えておりますし、また、これらの施策によって高齢者の居住の安定を図るという意味では大きな貢献ができると思っております。

保坂委員 局長がおっしゃるように東京都はゼロだけれども、今大臣言われたように建てかえは三千幾つあるんだと。

 ところが、例えば人口密集地の東京都世田谷区などでは、建てかえられた公団の住宅なんかは大変立派で、きれいなんですね。ところが、これも常時抽せんがない状態、つまりいつでも入れるんですね。いつでもというか、つまり抽せんで競ってという時代ではなくて、空き家がある状態になっています。どうしてかというと、やはり二DKで十三万から十七万という家賃にその原因があるんですね。昔は、公団住宅などは民間のマンションとかよりは安かったんですが、バブルを経ていろいろな計画が長期にわたってずれていく中で、実勢家賃よりどうも高いぞ、民間より高いぞということが実態になってきているんですね。

 やはり、ここらは是正して、もう少し下げないと、この経済状況の中ではお年寄りなどが安心して住めないと思うんですが、その点はいかがですか。せっかくですから、大臣に。

扇国務大臣 今おっしゃいましたように、これは、少なくとも安くということは大切なことだと思いますけれども、高賃金の人たちばかりではなくて、特に高齢者の場合は、家賃の滞納ということも今まで言われておりますし、滞納不安、家賃を払わない人たちの不安解消と、あるいは選択、両方がかみ合っているわけでございまして、今おっしゃいましたように、いいものには高いから入れない、では、入ったけれども、途中で自分がいろいろな身体的な障害でお金が違う方にかかって、これを払い切れない、私はいろいろな個々のケースがあろうと思いますけれども、先ほどもお話ししましたように、私どもはそういう人たちの個々の状況を聞いて、窓口をつくったということも今大きくお役に立っている、また御相談に応じていただけるということでございます。

 今回、私たちは、この法案を提案しますことによりまして、先ほども申しましたように、厚生労働大臣と連携をとりながら、あるいは皆さん方の、ただ入りたい、ここから出たくない、あるいは払えなくなったときはという、先ほども私は福祉と両面でというふうに申しましたけれども、少なくとも、そういう意味で、既存のストックの有効活用も含めながら、あるいはリフォームしたり、あるいは必要な公営住宅の需要と供給のバランスと皆さん方の個々の状況というものによってそれぞれが選別できて、また御相談に乗れるように、これが私は今度の大きな目標でございますので、ぜひ先生方にも、今世田谷の例をお挙げになりましたけれども、ぜひそういう窓口を御利用いただいて、皆さん方の御要望にこたえ得るような、個々の対応ができるような本法案にしていきたいと思っております。

保坂委員 今の議論をちょっと続けてみたいんですけれども、この法案で提案されている制度を使わない高齢者の方もたくさんいらっしゃると思うんですね。もちろん定期借家権等も使わない。つまり、今までと同じような賃貸の入居者として、要は厚生労働省の範囲で、今度は福祉という分野で、払えないときは福祉があるよということなんだけれども、やはり人間ぎりぎりまで何とか自分の力で払って、そして自分の居住空間で安心して過ごしたい、こういう思いは多くの方が持っておられると思うんですね。

 ですから、大臣にお聞きしたいのは、今回の制度などではなく、ごく当たり前の賃貸、公団の賃貸に高齢者が入りたいというときに周りのマンションより大変高いという実態があるとしたら、やはりこれは率直に、高齢者の方がもっと通常の賃貸契約を結んで入居できるような工夫なり改善をぜひ考えていただきたいということなんですが、いかがでしょうか。

扇国務大臣 少なくとも、今先生がおっしゃいますように、低所得者であろうと何であろうと、できているものに入っていきたいという御希望がある、あるいは民と公を問わずという先生のお話でございましたが、私はそのとおりだと思うんですね。これは選択の問題でございますから。

 でも、少なくとも私は、市場において決定されております家賃、いわゆる民間ですね、そういうものの基準から比べればということになりますと、低所得者の皆さん方、高齢者にとりましても支払いが困難な場合が民間でもあるわけでございまして、公団だからというだけではなくて、先ほども申しましたように、個々の事情によっては、民間に入っていようが公団に入っていようが条件は同じだと思うんですね。

 けれども、少なくとも私は、家賃というものの支払いが困難な場合には、本法案で創設しようとしております高齢者向けの賃貸住宅制度におきましても、民間事業者による高齢者向けの良質な賃貸住宅の供給の促進を図る、そういうふうになっておりますので、民間の皆さん方にもこの法案が通ればぜひそのように御協力をいただき、またそして、該当の住宅に入居する一定の低所得者の高齢者につきましてはその収入に応じて一定の家賃対策の補助を行うということが、今度新たな高齢者に向けての大変なサービス、サービスと言ったら変ですね、皆さん方に対して御希望にこたえて供給できる、そういう一定の家賃対策の補助を行うことができるということになっていることに対しては、ぜひ本制度の活用によって低所得者の高齢者の居住の安定に努められるというふうに考えていますので、今民間とおっしゃいましたけれども、私は、民間とか公とかということではなくて、低所得者の高齢者の選択によって補助ができるということは新たなことだと思っております。

保坂委員 扇大臣、あと残り時間が少なくなってまいりました。ちょっと話を整理してみたいと思うんです。

 この制度も一つの新しい提案でございます。しかし、この制度だけがすべてになるわけではありません。賃貸で公団の住宅が今高齢者の単身の方や御夫婦の受け皿になっているかどうか、そこを考えると、例えば建てかえをしてバリアフリー化をしてみても、やはり家賃が高くなってしまって、民間より格段と質もよくて安いというのではなくて、むしろ民間より高いということで空き家が多いという現状があるんです。ですから、ここも、高齢者の方が賃貸で気持ちよく住めるような措置、この制度とはまた別でございますが、そういうことも政策として進めていただきたい、こういう要望なんですね。いかがでしょうか。

扇国務大臣 きょう、先ほどから御審議しておりますように、やはり二十一世紀型というのが、今保坂先生がおっしゃったような、私は新たな考え方であろうと思いますので、今後高齢者というものの対象がどんどんふえてまいりますので、今先生が御指摘のような面も、今後考えていく上には大きな参考にさせていただけるものだと存じております。

保坂委員 それでは、今大臣はそういうふうに答弁いただいたのですが、住宅局長、今の議論を踏まえて、おわかりだと思いますけれども、この提案のみが高齢者の居住形態になるわけではございませんので、一つの選択肢として今提案されているわけですから。今、公団住宅などで家賃の水準が高い。ここは、少なくとも市場の実勢より一段と、これは安心して安いというところまでお考えいただくように、これまた是正をしていただきたいという点についてはいかがでしょう。

三沢政府参考人 今回の法案で御提案を申し上げているのは一つの方策であるけれども、これがすべてでないというところはおっしゃるとおりかと思います。今後ともいろいろなことは検討していく必要があるとは思います。

 公団の家賃の話につきましては、市場実勢より高いかどうかという点については、公団の家賃は市場家賃ということで、近傍同種の家賃と比較して、鑑定もとりながら決めております。それからまた、定期的に、先生御承知のように、今度の四月にはまた募集家賃の見直しということをいたす予定でございますので、そういう意味では、市場の実勢に合わせた見直しをきちっとやっていくということが大事かなというふうに考えております。

保坂委員 それでは最後に、公団の家賃の議論がちょっと続きましたけれども、マーケット、市場は、やはり安ければ競争が起きるのです。いい物を安く売っているお店には行列ができる。やはり今、公団の都心部で、つまり常時入れますよという状態になっていること自体が市場とちょっと離れてきているのかなという認識を皆さん方も持っていただきたいと思いますし、そして、何より高齢者の方にとって安全と安心、これが一番大切です。

 ですから、この法案についてもより吟味する必要もあるでしょうし、自分が亡くなることを前提に契約するというのも一つの合理主義なんですけれども、しかし、今までの通常の賃貸の形でできたら気持ちよく暮らしていきたいという気持ちを多くの方がお持ちでしょうから、そのことをぜひ大臣初め要請をいたしまして、私の質問にかえたいと思います。

 ありがとうございました。

赤松委員長 以上で保坂展人君の質疑は終わりました。

 次に、井上義久君。

井上(義)委員 公明党の井上義久でございます。

 初めに、今後の住宅政策について、何点かお伺いしたいと思います。

 今後の住宅政策の方向性としては、ストック重視、市場重視というふうに思いますし、第八期の五カ年計画でもそういう方向が示されているわけですけれども、特に、良質な住宅ストックの形成をどう図るか。しかも、市場機能をうまく活用しながら国民の多様なニーズにこたえていくということが重要かと思うのですけれども、この住宅市場、特に日本の場合は中古住宅市場と賃貸住宅市場の形成が非常におくれている。やはり良質な住宅ストックを形成するということを考えますと、この中古住宅市場をどうやって形成していくかということがこれからの最大の課題の一つだと私は思っているわけでございます。

 その中古住宅市場なんですけれども、平成十年段階で、年間約十二万戸しか日本の場合流通していない、同じ時期のアメリカの大体三十分の一という状況でございまして、今後、この中古住宅市場をどう形成していくのか。特に、日本の場合は不動産税制とか住宅金融あるいは建築基準法とか宅地建物取引業、いわゆる宅建業法等、今の住宅諸制度がどうしても新築住宅に偏重しているということもあって、なかなか中古住宅市場が育たないということがあるわけで、第八期の五カ年計画でもアクションプログラムをつくる、こういうふうにうたわれているわけですけれども、今後、この中古住宅市場をどのように育成していくのかということについて、まずお伺いしたいと思います。

三沢政府参考人 先生御指摘のとおり、やはり日本の中古住宅の流通というのは、諸外国に比べてまだまだ少ないというのが現状でございます。これにつきましては、昨日、第八期の住宅建設五カ年計画が閣議決定されまして、この中で、やはり適切に維持管理、リフォームがされた住宅ストックが円滑に流通するような住宅市場の環境整備をしていくことが非常に重要であるという認識がこの計画の中に示されております。

 このため、この計画に基づきまして、具体的に中古住宅市場、リフォーム市場あるいは賃貸住宅市場等につきまして、市場の環境整備に向けた具体の施策と、それからそれをいつまでにやるか、そういう実施時期を明らかにしたアクションプログラムというのをつくりまして、これを成案を得次第公表するということのため、現在検討を進めているところでございます。

井上(義)委員 これは少し踏み込んで、例えば税制の問題とか宅建業法の問題だとか、具体的にどういう中身をこのアクションプログラムでは考えているのか、おっしゃれる範囲で結構ですから。

三沢政府参考人 具体的な中身は現在検討中でございますが、例えば中古住宅市場でいいますと、非常に大事なのは、やはり中古住宅についての性能表示あるいはこれをきちっと評価する仕組み、それからこの中古住宅は今までどういう修繕等を経てきたか、どういうメンテナンスがなされてきたかという履歴情報がきちっとわかって活用できるようなシステムをつくっていくこと、そういったことが大事かと思います。

 それから、リフォームでいいますと、例えば標準的な契約関係書類をきちっとつくっていくとか、そういうようなことにつきまして今後検討を進めていきたいというふうに考えております。

井上(義)委員 今、性能表示の話が出たのですけれども、新築住宅については品確法がいよいよ施行になったわけですけれども、良質なストック形成ということを考えると、中古住宅についても品確法をどうやって適用していくかということが今後の課題だと思いますし、今お話があった例えば修繕履歴あるいはマンションでいうと修繕積立金がどのぐらいあるのかというようなことが、例えば宅建業法の重要事項説明なんかにきちっと入ってくるということなんかも市場活性化の補完作用として非常に重要なんじゃないか、こういうふうに思うのです。

 というのは、今、例えば今回の法律でバリアフリー改良ということについて、死亡時一括償還制度ができて私は非常に期待しているのですけれども、投資をしたんだけれども住宅の資産価値が上がらないと、死亡時一括返還といっても、投資するという気になかなかなれないというふうに思うのです。そういう点をもうちょっときちっとしなきゃいけないんじゃないかと思うのですけれども、この辺はどうですか。

三沢政府参考人 先生がおっしゃいましたとおり、中古市場の中で、今までですと日本の住宅というのは、ややもすれば非常に短い期間で価値がどんどん減っていくということでございますが、そういうことじゃなくて、中古市場の中で適切にメンテナンスをしていくと住宅の価値がきちっと維持され、場合によっては価値が増すというようなことが成立していくことが、これからの高齢化社会にとって高齢者の居住の安定にも結局またつながっていくということかと思います。

 そのための適切に住宅の価値が評価されるような市場の条件整備というのが非常に大事だということで、一つは、今お話ございました住宅の履歴に関する情報の提供とか活用方策につきまして、アクションプログラムの中で非常に重要な一つの目玉だということで現在検討を進めております。これにつきましては、またいろいろな形で案ができましたら、ぜひいろいろな御意見を聞いてまいりたいというふうに考えております。

 それからもう一点、宅建業者の重要事項説明の話でございますが、中古分譲マンションにつきましては、一棟の建物の維持修繕の実施状況が記録されているときは、その内容、そういう事柄を説明させなければならない旨を追加する内容の省令改正、これを本年度末をめどにすることといたしております。

 それからさらに、今後はまた、マンション以外の中古住宅の履歴情報の整備、また、これに関しては重要事項説明につきましても今後の検討課題ということで、いろいろ検討していきたいというふうに思っております。

井上(義)委員 品確法のいわゆる中古住宅に対する適用、この辺はどういうふうに考えていますか。

三沢政府参考人 品確法、いわゆる中古住宅についての性能表示の問題、これも非常に大事な課題だというふうに考えております。

 中古住宅の性能表示は、恐らく新築住宅の性能表示とはかなり変わった特性を持っている。例えば、新築住宅の場合であれば、メーカーなり売り手が責任を持つということでございますけれども、通常、私人間で取引されるものについて、どういう形できちっとした性能表示をしていくか、そういうような問題もあるわけでございまして、これはちょっと、やはり相当本格的な検討をこれからしていかないといけないと思っておりまして、これも、このアクションプログラムの中の一つの非常に大事な課題であるということで、検討を進めたいというふうに考えております。

井上(義)委員 次に、マンション対策について何点かお伺いしたいと思います。

 マンション対策については、我が党は平成十一年の三月にマンション再生に関する提言というのをつくりまして、旧建設省にも申し入れして、いわゆる都市型住宅の重要課題としてマンション対策ということを一生懸命これまで取り組んできたわけです。提言に盛られた種々の政策については、国土交通省にマンション対策室が設置されるとか、かなり前向きの検討がなされて、かなり具体的な対応をしてきていただいているということについては評価しております。

 昨年十二月には議員立法でマンション管理適正化法が成立をして、ことしの夏の施行に向けて政省令の検討が今なされているということだと思いますけれども、このマンション管理適正化法の施行に当たってまずやってもらいたいことは、マンション居住者のニーズに即応したきめ細かな対応が必要ということで、喫緊の課題は、やはり適切な情報周知と的確な相談体制の確立だと思うのですね。特に、自治体の相談窓口の充実とか、相談能力の向上、あるいはインターネットを活用した情報提供、今、マン管センターでやっていますけれども、国土交通省でもぜひやってもらいたい。こういうことをきちっと、できればお願いしたい。

 特に、自治体の相談窓口。一応窓口はそれぞれ都道府県につくっていただいているんですけれども、実際に相談しても的確な答えが返ってこないということがあって、マンション居住者とか管理組合の皆さん、ここをもうちょっとしっかりしてもらいたいという要望が非常に強いんですね。本当は、今度マンション管理士の制度ができますから、少なくとも窓口にはマンション管理士の資格あるいは同程度の能力を持った人をぜひ配置してもらいたいというふうに思うんですけれども、これについてちょっと。

三沢政府参考人 これは先生がよく御承知のとおり、マンションに関しましてやはりいろいろなトラブルがある、これに対してきめ細かい相談ができる体制が一番大事だということで、議員立法でマンション管理適正化推進法をおつくりいただいたわけでございます。それで、私どもといたしましても、その施行の責任に当たる者として、やはりこの法律の制定を機に、居住者なりあるいは管理組合のニーズにこたえるような、そういうきめ細かい、いろいろな相談体制の充実ということを努力していきたいというふうに考えております。

 先生今御指摘のとおり、現在、公共団体で相談窓口を設置しているということにはなっているけれども、どうもいま一つ、相談に行っても余り親身になっていないとか、あるいは適切な人がどうもいないんじゃないかというような声を我々も耳にするところでございます。これは、一つはやはり相談窓口の職員の資質といいますか知識の向上というのが非常に大事でございまして、これに対しまして、やはり研修等を通じまして、いろいろ、知識あるいは資質の向上を図っていく必要があるというふうに考えております。

 これからやはり、マンション管理センターが行う研修もございますし、それから、これはこれからの話でございますけれども、場合によっては、公共団体が連絡協議会的なものもつくって、そこで、お金を持ち寄って、外部講師も頼んで、そういう研修をやる体制をつくるとか、そういうようなことをやっていくことが非常に重要だというふうに考えております。

 それから、先ほども御紹介いただきましたマン管センターのホームページでございますけれども、これもやはり公共団体の方でお使いいただかないと意味がないわけでございますので、やはりそれぞれの公共団体の端末においてそれをきちっと見るなり、あるいはいろいろな方の相談に当たって、そういうことを参照していただくなり、そういうことをそもそもやっていることも知らない公共団体もあるいは多いかと思いますので、そういうことの周知徹底を図っていきたいと思っています。

 なお、マンション管理士の活用でございますけれども、まさにマンション管理士というのは、管理組合とか居住者のアドバイザーとして専門的な知識がある人間として、そういう資格を名乗っていただくということが法律の趣旨でございますので、当然、マンション管理士が、これから試験のためにいろいろな準備を進めていくわけでございますけれども、合格者が出て、登録がされましたら、ぜひこういう方々には公共団体との連携を図っていただくような、そういうお願いもしていきたいというふうに考えております。

井上(義)委員 マンション管理士、今年度中に試験をやるというお話も聞いているんですけれども、今既に、例えば高層住宅管理業協会なんかでも、区分所有管理士というような、かなり専門的な知識を持っている人が結構いらっしゃるので、すぐに行政窓口で専門家を育てろといっても、そう簡単にいかないので、できるだけそういう人たちを活用するとか、窓口で適切な対応ができるように、ぜひ指導をお願いしたいということを要望しておきます。

 それから、マンションの管理適正化法を議員立法でやりまして、その次の大きな課題は建てかえ問題だ、こういうふうに我々は認識しています。

 今回、死亡時一括償還制度、住宅金融公庫にビルトインして、これも一つの大きな前進だと思うんですけれども、これからやはりマンションの建てかえというのが最重要課題になってくると思いますので、区分所有法の改正との関連もあると思うんですけれども、マンション建てかえ円滑法というような法整備を、これは急がなければいけないんじゃないか、こういうふうに認識しているんです。この区分所有法の改正とか、マンション建てかえ円滑法というような法整備について、どういうふうにお考えか、お伺いしておきたいと思います。

三沢政府参考人 マンションにつきまして、現在、築後三十年を超えるマンションというのは約十二万戸ございます。ただ、これが十年後には九十三万戸に達するということで、今後、老朽化したマンションが急速なスピードでふえていくということが見込まれるわけでございます。そうしますと、当然の問題でございますけれども、やはり建てかえの問題が非常に、今以上に重要になってくるということでございます。

 私どもは従来から、いろいろな事業制度を使った、国庫補助であるとかあるいは金融公庫の都市居住再生融資であるとか、あるいは、まさに今回の法案の中で、金融公庫法の改正案の中で、マンション建てかえに参加する高齢者についての死亡時一括償還といったようないろいろな施策を従来からも講じ、あるいは検討してきたところでございますが、やはりマンションの建てかえについては、制度的な問題がどうしても、いろいろあるということかと思います。

 例えば、建てかえ事業を安定的に進めるための制度がない。例えば、建物がなくなっちゃいますと、管理組合がなくなっちゃう。そうしますと、法人格として建てかえを推進する継続的な事業主体が消滅してしまう、あるいは区分所有法では、建てかえに関して五分の四の多数決で決議することができる、こうしていますけれども、その要件について非常に抽象的な書き方をしていまして、これがいつも居住者の間でトラブルのもとになってなかなか進まないというような実態があるわけでございます。特に、区分所有法の問題につきましては、法務省の方におかれましても、先般、法制審議会の方に見直しについて諮問をしたというふうに聞いております。

 私ども国土交通省におきましても、法務省と連携を図りながら、私どもは、やはり住宅政策の見地から建てかえというものを重視していかなければいけないということで、そういう事業実施段階、事業法的なものになるのかどうか、そういう法制度のことも含めまして、ぜひ検討していきたいというふうに考えております。

井上(義)委員 次に、今回の高齢者居住安定確保法、金融公庫法の改正について何点かちょっとお伺いします。

 最初に、今回、高齢化社会に対応して、いわゆるバリアフリー化を推進するということで、死亡時一括償還制度を導入して、高齢になってもぜひ家をバリアフリーに改造してもらって快適な生活をしてもらいたい、我々も大変そういう気持ちになっているんですけれども、このバリアフリー化を進めるに当たって、一つは容積率を上乗せするとか、あるいは建築規制についても、東京なんか特にぎりぎりで家が建っているというケースが多いものですから、例えば廊下をちょっと広げるとか、あるいは水回りをバリアフリー化するといっても、こういう配慮が必要なんじゃないか、こう思っているんですね。そういう点で、ハートビル法、これは大臣告示でこういうことができるような仕組みになっているものですから、これについてどういうふうにお考えになっているか、ちょっとお伺いしておきたいと思います。

扇国務大臣 今先生から御指摘の高齢者に対しての住宅のバリアフリー化というのは、本当に私は大事なことだと思っておりますので、今回、この高齢者社会におきますこういう状態に対応するために、先生も今お口になさいました平成六年のハートビル法、これは高齢者と身体障害者が円滑に利用できるという特定の建築物の建築を促進する法律でございますので、このハートビル法を活用しまして、その制定をして、高齢者が円滑に利用できる建築物の建築の促進を図っていくというのは当然のことでございますけれども、特に、今先生がおっしゃいました容積率というのは、特に東京都等々、このハートビル法に基づいて告示を定めて、一定の要件を満たす場合にはこの緩和を行ってきたところでございます。それはもう先生の御承知のとおりでございます。

 なおかつ、現段階では、現行の告示等において、戸建ての住宅が対象となることや、あるいは増改築の場合も対象となることが必ずしも明快になっていない、そういう欠陥といいますか、不足分がございますので、今後この見直しは行っていかなければならないことだ、そう思っておりますけれども、現在、告示の改正案につきましてもパブリックコメントを行っているところでございますので、できるだけ早期にこの改正を、住宅のバリアフリー化の促進を図ってまいるためには必要であると思っております。

井上(義)委員 ぜひ戸建て住宅についても容積率の緩和ができるように早期に実現していただきたい、こう思います。

 それで、今回の高齢者居住安定確保法、我々は、高齢社会に対応した住宅のセーフティーネットということで、かねてからの主張でございますし、高く評価しておるわけでございます。問題は、実際の政策効果、これがやはり国民の目に見える形で出てくることが非常に重要だ、こう思うわけです。そこで、今回導入されたこの高齢者円滑入居賃貸住宅制度とかあるいは優良賃貸住宅、利用見込みとか整備目標、この辺についてどういうふうにお考えになるか。

三沢政府参考人 まず、高齢者円滑入居賃貸住宅の見込みでございますが、現在、民間賃貸住宅に移動する高齢者世帯は全国で年間約五万戸ぐらいであるというふうに見込んでおります。そうしますと、その五万戸ぐらいに入居される高齢者世帯について円滑に入居ができるようなということが一つの目標でございますので、これから登録を促進するに当たっては、やはりそれを一つの目安としてやっていきたいというふうに考えております。

 それから、高齢者向けの優良賃貸住宅につきましては、これは昨日閣議決定いたしました第八期の住宅建設の五カ年計画におきましては、十一万戸という計画を立てております。その初年度に当たります平成十三年度予算では一万六千戸、これは、予算制度でありましたが、平成十二年度と比べますと二・三倍の戸数でございますが、そういう戸数をもって供給の促進に努めるということにいたしております。

井上(義)委員 法案の中身の問題で、今回、高齢者の建てかえとか、それからバリアフリー化といういわゆる改良における死亡時一括償還制度が導入されたわけなんですけれども、これまでもリバースモーゲージ方式というのは我々もずっと主張してきて、今回それが導入されるということで十分評価しているんですけれども、ただ、実際に償還を行う際に、相続時にトラブルが発生するということが想定されるわけで、これを防止するためには、契約時に相続人等を含めて制度の内容について十分説明をしておく必要があるんじゃないかということ。

 もう一点、今回の終身建物賃貸借というのも、私は、当局はよくお考えいただいたというふうに非常に評価しているんですけれども、よく考えられた分だけ制度がちょっと複雑で、これも利用する者は高齢者ですから、やはり十分説明する必要があるんじゃないか。

 それから、特に円滑入居賃貸住宅は、利用者が保証料を負担しなきゃいけないということで、この保証料をどのくらいに低く設定できるかということがやはり使い勝手がいいかどうかということになると思うので、この辺についてもどうお考えなのか、この三点。

三沢政府参考人 一点目の死亡時一括償還制度、これにつきましては、死亡時に元金を償還していただく、返していただくという制度の特色からいいますと、やはり最終的には相続人から返していただくということが通常の形態になるわけでございますが、そうしますと、あらかじめ、制度を御利用いただく方に、相続人に対してどういう影響があるかということも十分御理解いただいた上で利用していただかないといけないということで、この点は非常に大事な点でございますので、公庫あるいはこれの債務保証をする機関に対しまして、十分な相談をした上で、かついろいろな説明の機会をとらえてその趣旨を周知徹底するように指導していきたいというふうに考えております。

 それから二点目は、終身建物賃貸借制度、これは民事法の特例ということですので、確かに非常に内容が複雑な面がございます。それから、これは利用される方が高齢者でございますので、やはりこれも非常にきめ細かい周知を図ることが大事だなということで、特にできるだけ当事者間のトラブルを未然に防止するという観点からは、やはり標準契約書を作成して普及に努めるというようなことが必要かなということで、この検討も進めたいと思っております。それから、いろいろな機会を通じて積極的に広報を図っていくことは当然でございます。

 それから、三点目の円滑入居賃貸住宅の保証料でございます。これにつきましては、保証料はやはり高齢者にとって利用しやすい金額とするということが大切でございますので、これについては、予想を超えたリスクへの対応は国費による基金も充てまして対応するということにしておりますが、具体的な保証料の額は月額家賃の二%程度とし、これを二年分一括して保証料を徴収するという仕組みを予定しております。

井上(義)委員 最後に、住宅金融公庫について大臣にお伺いしておきたい、こう思います。

 特殊法人の改革が言われて、それから民業圧迫というような指摘もあって、金融公庫を廃止した方がいいのじゃないかという議論も一部にあるわけですけれども、私は、いわゆる住宅融資というのは国民生活に密着していますし、しかも個人にとっては極めて多額の融資であるということとか、あるいは住宅政策のいわゆる政策誘導を行う上でかなり重要な役割を今なお担っている、こういう認識になっているのですけれども、この辺についてどういう認識を持っておられるのかということ。

 あわせて、第八期の住宅五カ年計画がスタートするのですけれども、その中で住宅金融公庫の果たすべき役割とか位置づけというものをやはり明確にしておかないと、この廃止論ということがまたいろいろな形で出てくるのじゃないか。これについて見解をお伺いしておきたいと思います。

扇国務大臣 今井上先生から御指摘がございましたように、住宅の取得というものは、年収の数倍の借入金を要するという、人生の設計の中でも大変大きな影響がある、私はそう思っておりますけれども、少なくとも住宅金融公庫が、金融動向にもかかわりませず、あるいは長期、固定、低利の住宅資金を安定供給していくという面においては大きな役割を果たしてきたと思っています。

 なぜ民間と公庫との差があるのか、どこが違うのかとおっしゃれば、少なくとも、民間の場合は変動の金利制が取り入れられておりますけれども、住宅公庫の場合は固定で、少なくとも私たちは三十五年間の長期の固定融資であるという点が違いますし、また、民間の場合は金融の状況によって貸し渋りが行われるのですね。けれども、公庫の場合は安定的に資金の供給ができるということでも大きな役割があろうと私は思いますし、御安心いただける、お勧め品であるということでございます。民間の場合は、申し込みますときに、職業でありますとか勤務先、そして勤務先の資本金額でありますとか従業員数あるいは役職等々も書かなければいけないというのが民間の場合でございますけれども、公庫の場合は客観的な書類審査のみで、公平な取り扱いができるということでも大きな寄与をしてきたと私は思っております。

 今後、高齢者向けの住宅に対する融資の改善など、政策的には、意義の大きい分野に対する融資の充実を図るということも含めて私たちは推進してまいりたい。そして、高齢者に真に喜ばれる住宅の金融公庫であり続けなければならない。そして、利用者がある場合に限り、私どもはこの融資制度というものを、景気の動向、民間の住宅ローンの状況等を踏まえつつ、国民の良質な住宅取得を推進するための公庫の融資が適切にその役割を果たせるように私たちは公庫を指導してまいりたいと思っていますので、ぜひ御理解賜りたいと存じます。

井上(義)委員 以上で終わります。

赤松委員長 以上で井上君の質疑は終わりました。

 次に、松浪健四郎君。

松浪委員 保守党の松浪健四郎でございます。

 住宅金融公庫法等の一部を改正する法律案、高齢者の居住の安定確保に関する法律案について審議されておるわけでございますが、一言大臣に御礼を申し上げたいと思います。

 人類の遺産、世界の観光資源を失ってはならない、この御視点から、与党三党の派遣団をアフガニスタンに派遣していただきました。つきましては、大臣の素早い決断のたまものであった。そして、その一員に加えていただきましたことを心から御礼申し上げたいと思います。

 質問に入らせていただきたいと思います。

 高齢化社会を迎えました。そこで、国土交通大臣は国土交通行政をいかに進めていくのか、住宅政策を含めて基本的な考えをまずお尋ねしたいと思います。

扇国務大臣 きょうは、委員会で貴重なお時間を皆さん方から御審議いただいて、心から感謝申し上げております。

 今松浪委員がおっしゃいましたように、私どもは何としても、日本の住宅状況あるいは今後の二十一世紀の住宅はどうあるべきなのか、そういう意味では、高齢社会を迎えるに当たっては、今までと違った、バリアフリー等々、あらゆる面においても国土交通行政の具体的な取り組みをしていかなければならない。

 その中では、特に今、大重点は、一つとして、今申しましたように、交通のバリアフリー法に基づく公共交通機関あるいは道路、駅前広場等のバリアフリーは、二十一世紀、大事なものの一つであろうと私は思います。また、歩道や公園等の基盤の施設にかかわります十分な歩行空間の確保、それから段差の解消、そういうものも大事な二十一世紀型であろうと私は思っております。

 それからまた、先ほども私お答え申し上げたのですけれども、ハートビル法に基づいた、身体障害者であるとか老人に対しての、不特定多数の人々が利用できる公共的な建築物のバリアフリー化、これも大事なことであろうと思います。

 そして、最後には、さらに住宅につきましても、きょう御審議いただいておりますように、バリアフリー化された公共賃貸住宅の供給を推進していくということ。そして、このたびの法案におきましても、この促進をし、なおかつ高齢者の入居を拒まない住宅の情報提供など高齢者の住居の安定確保に資する、私は、これが本法案の大事な基本的なものであろうと思いますし、二十一世紀の姿であろうと、努力していきたいと思っております。

松浪委員 今の大臣の御意見と御決意を受けまして、三沢住宅局長にお尋ねしたいのです。

 住宅のバリアフリー化について、これまで、また今後、どのようにして取り組んでいかれるのかということと、もう一つ、今後、地域振興を進めていく上で地場産業の振興は欠かせないと考えます。そこで、住宅における木材の活用そして木造住宅の振興、これも極めて大切である、こう考えるわけでございますが、それらについてお答えいただきたいと思います。

三沢政府参考人 一点目の、住宅のバリアフリー化についてでございますけれども、これから高齢社会が進む中で、バリアフリー化というのは大変重要な課題でございます。

 このため、従来から、一つは、住宅金融公庫の最優遇金利であるいわゆる基準金利を適用いたしまして、バリアフリー化された民間住宅の建設あるいはリフォームを推進してまいりました。それから二つ目は、公営住宅とか公団住宅、いわゆる新築されます公的な賃貸住宅、これは原則としてバリアフリー化をするということ。それから三番目に、既存の公的な賃貸住宅につきましても、例えばエレベーターの設置であるとか、あるいはバリアフリー改造であるとか、そういったことを推進してきたわけでございます。

 これらに加えまして、本日御審議いただいておりますこの高齢者の法案によりまして、一つは、民間等による高齢者向けの優良賃貸住宅の供給の促進、それからもう一つは、公庫の死亡時一括償還制度、あるいは登録住宅と債務保証制度の一体的な創設、こういったことによりましてさらに一層の推進を図るということにしております。

 今後の目標でございますけれども、昨日決定されました第八期の住宅建設五カ年計画の中で、二〇一五年におきまして、手すりの設置と広い廊下、段差の解消、いわゆるバリアフリー三点セットと呼んでおりますけれども、それが全部整っている住宅ストックを全体の二割、それからあと、居住者の個別の事情に応じてするバリアフリー化がさらに二割ということで、合計全住宅ストックの四割を何らかの形でバリアフリー化するというような目標を立てて政策を推進することにしております。

 それからもう一点。木造住宅の振興策についてのお尋ねでございますけれども、御指摘のように、地域材等を活用した木造住宅の整備の推進というのは、木造住宅に対します国民の非常に高いニーズにこたえるということはもとより、地域の林業あるいは木材加工業、住宅建設業等、いろいろな産業、地域振興にも資するというものでございます。

 このため、従来からも、いろいろな地域とか気候に対応した住宅の仕様の開発、あるいはいろいろな講習会の開催とか消費者への情報提供等々、あるいはさらに木造公営住宅の建設といった施策を通じまして、木造住宅の整備を推進しているところでございます。

 それから、やはり木造住宅の担い手であるいわゆる中小工務店の方々に元気で活動していただくということが非常に大事でございますので、これにつきましても、いわゆる瑕疵保証とか完成保証、こういった制度への対応を支援することによりまして経営基盤の強化を進めております。

 今後とも、先生御指摘の趣旨に沿って頑張っていきたいというふうに考えております。

松浪委員 次に、住宅金融公庫の望月総裁にお尋ねをしたいというふうに思うわけです。

 バリアフリー化、これは極めて大切だ、十分に理解しておるわけでありますが、それでは、総裁、公庫はどのように取り組んでおられるのか、また、いかれようとしておるのか、そして木材の使用、木造建築等についてどのように公庫は取り組まれていこうとされているのか、お尋ねしたいと思います。

望月政府参考人 高齢化社会がますます進んでいく中で、住宅のバリアフリー化というのは、先ほど来大臣、住宅局長が御答弁申し上げたように、全く大事なことである。その思いは、その考えは、私も公庫も全く共有しているところでございます。

 たまたま手元にある厚生省の調査なんかを見ますると、平成十一年の一年間で、家の中で亡くなられた方々というのは一万人くらいいらっしゃるそうでございますが、そのうち六十五歳以上の方が七割以上を占めている。けがをされた方になるとその数倍、あるいはもっといくかもしれません。

 こういったことを考えますと、私ども、公庫の融資の面でも、バリアフリー化というものは高齢化社会の住宅という観点からも本当に大事である。要するに、安心、安全な家づくり、こういった観点から公庫も及ばずながら努力させていただいています。

 幾つかのことを申し上げるとくどくなりますのであれですが、とりわけ平成八年度から、バリアフリー工事については、私ども金融公庫融資の中では金利が一番有利なというか安いというか、基準金利適用をいたしております。耐久性というものを要件にしていますが、バリアフリーをやることによって家をつくろう、あるいはリフォームしようというものについては、基準金利適用だということでやらせていただいています。

 参考までに、平成八年度では、バリアフリー化した住宅というのは私ども公庫が融資対象にした家の二三%でございましたけれども、おかげさまで着実に上がっていまして、平成十一年度には五四%近くになっております。半分以上の家がバリアフリー化を進めている。今後我々は、引き続いて、この問題は非常に重要なテーマ、こう受けとめて頑張っていきたいと思います。

 それから、木造住宅の関係でございますが、言うまでもありませんけれども、環境問題を考えましても、あるいは住宅そのものが、地域とのかかわりが非常に深い、その地域の風土、歴史、文化、こういったものに深く根差している。こういったことを考えますと、木造住宅でかつ耐久性の高い家をつくるということが私ども非常に大事な課題の一つである、こう考えております。これまでも特別割り増し制度なんかをやったりしていますが、特に、地方公共団体といいますか地域の住宅政策の連携の中で、我々としては割り増し融資等々によってこの推進にいささかなりとも頑張っていきたい、こう思っている次第でございます。

松浪委員 私も住宅金融公庫を借りて家を建てて、まだかなり残っておりますけれども、そのうちバリアフリーのためにお金をお借りしなければいけないかもわかりませんが。

 話はかわりますけれども、実は、きょうある新聞を見ていますと、アメリカの土木学会が関西国際空港を評価されておる。それは、モニュメント・オブ・ザ・ミレニアムに選定されたというふうに書かれてあるんですが、具体的なことがよくわからないんで、何か大変なことらしいんですけれども、このことについてちょっとお尋ねしたいと思います。

深谷政府参考人 先生お尋ねのモニュメント・オブ・ザ・ミレニアムの件でございますけれども、これは米国土木学会が現在進めておられる事業だそうでございまして、その中身としましては、二十世紀を代表する世界的な大事業、これを十の分野ごとにそれぞれ世界の中から一つずつ選定しようという事業だそうでございます。

 なお、アメリカの土木学会、これは大変歴史がございまして、一八五二年に設立をされて約百五十年たつわけでございますが、全米の工学系の学会の中で最も古い歴史を有しているそうでございます。会員数は全体で十二万三千人を抱えているそうでございますが、アメリカの中だけではなくて、欧州でございますとか日本ですとか、そういった世界じゅうに会員を擁している、こういったものだそうでございまして、世界二十五カ国に支部なぞを持っているんだそうでございます。

 先ほどのモニュメント・オブ・ザ・ミレニアム、これにつきましては、具体的には、一昨年の十二月にパナマ運河が水路交通部門という中で選定されたんだそうでございます。それに続きまして、関西国際空港が十の部門の一つの空港部門としてパナマ運河に次いで選定をされたということで、その技術的水準の高さ、これがそういうところで認められたのかなという意味で、大変喜ばしいことかな。

 なお、ほかにも八部門、これは長大橋部門だとかそれから高層ビル部門、そういったところで、ゴールデンゲートブリッジだとかエンパイアステートビル、こういったものが候補に挙がっている、そういったものだそうでございます。

 以上でございます。

松浪委員 立派な空港である、そして私の選挙区、私の故郷にこの関空があるということを大きな誇りにさせていただきたい、こういうふうに思う次第であります。

 飛行場の話が出たついでのことでございますけれども、一昨日、私は成田におりたわけですが、なかなかおりることができない。何としてもやはり第三空港が必要ではないか、こう考えますと、もう二〇〇六年に完成を目指して静岡空港が工事に入っておるわけでありますけれども、これはやはり必要だ。

 そこでお尋ねしたいのは、スケジュールどおりにちゃんとこれが完成するのか、そして静岡空港について国土交通省はどのように考えているのか。静岡といいますと、一つの国に例えればニュージーランド、アイルランドぐらいあるわけですね。そこに空港がない。しかも、私は実は新横浜のすぐ近くに住んでおるわけですけれども、静岡空港、第三空港、暫定的でもいいかもしれませんが、使えるとしたならば物すごい便利になるんですね。横浜の人からすれば、こんなありがたいことはないんですが。この静岡空港についてお尋ねしたいと思います。

深谷政府参考人 静岡空港についてお尋ねがございました。

 静岡空港につきましては、第三種空港としまして、静岡県が設置管理者ということで平成六年に事業採択がされて、現在工事が進められております。設置管理者の県としましては、十八年の春ごろの供用開始を目指して、今工事が進められているというふうに承知をしております。

 なお、静岡県は、先生御指摘のとおり、大変大きな経済力もございますし、観光資源も大変豊富だというふうに承知しております。そういった意味で、他の地域との交流、旅客流動は大変活発なものがあるというふうに思っております。

 そうした中で、静岡県では、北海道だとか九州、沖縄、そういった方面との交流につきましては、鉄道あるいは道路、こうしたものを利用すればやはり大変時間がかかりますし、空港といっても、羽田あるいは名古屋というのが現在ございますけれども、これについてはやはり二時間程度のアクセス時間がどうしても必要だ。

 こういったこと等々を考えてみますと、静岡空港の整備は、高速交通サービスの提供によりまして、利便性向上あるいは人、物、情報の交流をますます盛んにしていく、こういったこととして大変必要性は高いんじゃないかというふうに認識しておりまして、静岡県の産業でございますとか経済の活性化、こういうものにも大きく寄与していくものではないだろうかというふうに認識をしております。

松浪委員 ともかく、この国にありましては、空港をつくるということになりますと、いちゃもんがついたり反対運動が起こるわけでして、あのバーミヤンという、大仏のある、ほとんど人が住んでいないあの山の中にも実は空港があるのですね。諸外国では空港というのがあって当たり前だ、そういう認識が強くあるにもかかわらず、静岡という大きな経済圏、ここでなかなか前へ進まないというのでは困りますので、積極的に、二〇〇六年には供用開始できるように最大の御尽力を賜りたい、こういうふうに思います。

 それで、この静岡空港は新幹線のトンネルの上にあるわけですね。新幹線のトンネルの上にあるとしたならば、そこに駅をつくるというのは、当然アクセスのことを考えれば機能的である、我々はそのように考えるわけです。

 そこで、鉄道局長は、ここに駅をつくるということについてどのように考えられているのか、お尋ねしたいと思います。

安富政府参考人 先生御指摘のように、静岡空港はちょうど新幹線のトンネルの上に設置されるということで、地元では昨年の九月に、新幹線新駅の候補地ということで、ターミナルの直下に駅をつくろうということで決定されたというふうに聞いております。

 ただ、現在、東海道新幹線は現に大動脈として動いているわけでございまして、具体的に新幹線の新駅を設置するという場合に、基本的にはJRが、ダイヤの状況とか、あるいは当然のことながら建設費あるいは収支採算性といったようなことをいろいろ検討して決定するということになるわけでございますが、現在、JR東海の方は、具体的にこの東海道新幹線が非常に大動脈として目いっぱい走っているということもございまして、ダイヤの状況等からして非常に難しい問題だということを言っております。

 我々としても、これは空港との関係でいろいろ必要性については認識しておりますけれども、JR東海も含めて、関係者間で、いろいろな課題について、これからどう克服できるのか、そこら辺、新駅の案件についての成熟性を高めていって、どういった形で環境づくりを図っていくかということを考えていくべきではないか、それが重要ではないかというふうに考えております。

松浪委員 ダイヤ的に難しいというお話でございますが、二〇〇六年の話でございます。今から十分に研究をされて、いい知恵を出されるよう切望いたしまして、時間が参りましたので質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

赤松委員長 以上で松浪健四郎君の質問は終わりました。

 森田健作君。

森田(健)委員 21世紀クラブ、森田健作でございます。もう最後の十分でございます。よろしくお願いいたします。

 きょうは今村政務官にお話を聞きたいと思います。

 よく、国民というか、私たち一般でございますが、それはお役所的だねとか、それはお役所仕事だよという言葉を使ったりします。政務官は、その人たちはどういう思いでそういうお言葉を使うと思われますか。イメージいたしますか。

今村大臣政務官 後ろに国土交通省のお役人さんもおられるので大変答えにくいわけでございますが、一般的に言うと、やはり威張るとか、無愛想であるとか、時間が来たらさっと帰るとか、あるいは親身になって相談に乗ってくれないとか、あるいは縄張り根性が強いとか、そんなことだと思います。

森田(健)委員 いや、さすがですね。将来を嘱望されている政務官でございます。はっきりと言うところ、私、好きでございます。いや、そうなんでございますよ。実は私、東京都民、私の友人なんですが、十五人に聞きました。大体今の言葉に集約されるのです。一つ、することが遅い。二つ、してやっているという感じがする。三つ、何か冷たいな。そうなんですよ。政務官のおっしゃるとおりなんですよ。

 それで、例えば今回の高齢者の法案でございますね。円滑に入居し安心して生活できる賃貸住宅市場の整備、賃貸住宅情報の提供体制を整備、これはいいのですよ。私、この法案、多分高齢者の皆さんは、ああ、やっと一歩進んでくれたかな、そう思うのじゃないかな、そう思うのです。

 考えてみてくださいよ。うちの父親はもう今九十二なんですよ。母親は八十三でございます。言うなれば、戦前に、日本頑張れといって戦争をやって、そしてめちゃめちゃになって、でもまた戦後復興のために、本当に自分の青春時代をなげうってきた人たちでございます。そういう人たちが、やはり日本国に生まれてよかった、日本のために働いて、一生懸命頑張ってよかったと思われるようにしていかなければならない。

 衣食住、高齢者になればなるほど、この住に比重がかかってくるのが当たり前でございます。しかし、住宅情報の提供体制で終わってしまうと、これはだめなんだよ。おい、こういう情報があるよ、ぽんと終わっちゃう。私はここなんだと思うのです。高齢者なんですから。そこで、簡単に言うと、少し親身になって相談に乗ってやる。言うなれば心のケアでございますね。その辺をも含めてこれを運営していかないと、この制度もお役所的になってしまうのではないかな、そのように思うのでございますが、今村政務官はどのようにお考えでございましょう。

今村大臣政務官 先生、全くおっしゃるとおりだと思います。

 私も、今度こういう新しい仕組みをつくって、またお金も使ってお年寄りのために頑張るということでございますが、とにかく箱をつくって、それにやはり心を入れるといいますか、そういうことがないと、この制度はうまくいかないと思います。特に高齢者の賃貸については、正直言って、やはり貸す方が嫌がるのは当然考えられますから、そこをどのようにしっかりとサポートをしてあげるかということが、やはり一番この制度を生かすポイントではないかなということで、私は今、役所の方にも、そこらはもう厳しく注文をつけているところでございます。

 余り言うと時間がなくなりますが、とにかくそういうことで、いろいろな、ただ住宅情報を提供するだけじゃなくて、やはり特に入居後のケア、例えば途中で亡くなられた後の配偶者の、お連れの方の困った御相談とか、あるいは、きょうもいろいろ出ていましたけれども、賃料が払えなくなったとか、そういうときには、センターをつくりますが、やはり、そういったところが親身になってこれはぜひやっていくように、私もしっかり指導をしてまいりたいと思います。

森田(健)委員 本当に力強い御答弁、ありがとうございます。

 そこで大臣、私は、大臣は大変正義感に満ちあふれた大臣だと思うのでございます。先ほど言ったように、やはり高齢者は大事にしなければいけませんね。

 私、小さいころ、こういうことがあったのですよ。実を言うと、数人でいじめちゃったことがあるのですよ、小学校のころ。そうしたら、母親に言われまして、おまえ、何だと。おまえたち、何人かでおまえのお友達をいじめたりしたけれども、謝ってきなさいと言われ、私、その友人の家に謝りに行ったのです。そのときに母親に言われたことを、私は今でも覚えています。一度はおまえのいじめた友人の気持ちになって、もし自分がそうだったらどういう気持ちがするのだということを、私、言われたことがあるのです。今でも後悔しているのでございます。

 高齢者は、言うなればその窓口に立った人が、高齢者というのはやはりいろいろと、あるときにはもう面倒くさいなと思うときも、それはあります。しかし、一度は、自分のお父さんかな、お母さんかな、そういう気持ちを持って接してあげるということが大事じゃないかな。

 そういう意味で、扇大臣に強い御指導を賜りたいと思うのですが、もしお考えがあったら、一言どうぞ。

扇国務大臣 今回の法案の審議につきまして、きょう午後から、るる各党の皆さん方から、いろいろな御意見をいただいたり意見交換をさせていただきました。

 今の二十一世紀の日本の世の中、まさに高齢社会になる。私もその一人の仲間入りをするわけでございます。そういう意味では、今おっしゃいましたように、ただ相談の窓口をつくっただけでは、親身になって果たして相談に乗ってくれるかどうかわからない。いい人に当たればいいですけれども、余り不親切な人に当たったんじゃ窓口が逆に死んでしまう。

 意味なく窓口を開いたのでは意味ないと私は思います。そういう意味では、窓口の相談者の育成ということも私は大事な要点の一つだろうと思います。ただ単に窓口を開くだけではなくて、親身になってお一人お一人に対応できるように、その相談の窓口の人たちの育成ということも大事なことだろうと思っておりますので、これは厚生労働大臣等々とともに、一緒になって福祉を含めた窓口にするべきであろうと私は思っております。ただ住宅へ入っていただければいいというものでないということを心して、私は今後対処していきたいと思っております。

森田(健)委員 ありがとうございます。

 何しろ十分なものですから、短いものですから、では、もう一つだけ質問させていただきます。

 住宅局長、私の友人に、ハワイで、コンドミニアムというのですかね、あれを買いたいから何かいいところないかと私言われたことあるのです。私、何回か情報を提供したのですが。

 そのときに、彼が、おい、これはだれがつくっているんだと。だれがって、どういう意味だ。日本人がつくっているのかよ、アメリカ人がつくっているのかよと言うんです。いや、日本人だ。あ、日本人のはだめだと言うんです。アメリカ人がつくったやつをおれは買いたいんだと。何でだ。彼いわく、日本人のつくったコンドミニアムというのはみんな狭いんだ、外国人のつくったのは広いんだ、例えば天井も高い、こう言うんですね。なるほどな。

 これは、やはりいろいろな感覚の問題もあるのかもしれませんが、都市と地方においての、例えば家族四人でどのくらいの平米といいますか、どのぐらいの広さが理想というか、目指しているのか、特に都市部において。その辺のお考えがあれば、ちょっと御提示賜りたいなと思います。

三沢政府参考人 住宅の広さに関する水準をどのくらいに考えているかというお尋ねでございます。

 私どもでは、昨日、住宅建設の五カ年計画が閣議決定されましたが、その中で、誘導居住水準という言葉を使いまして、そういう広さについての一つの目安を示しております。

 具体的には、例えば四人世帯の場合で都市部での共同住宅、いわゆるマンションでございますが、マンションの場合は九十一平米くらいということで、これも確かにアメリカなんかの住宅に比べるとまだまだ狭いんじゃないかという御指摘もあるかもしれませんが、政策誘導する上での一つの目安としてこういう水準を設定いたしまして、いろいろな形でこれを誘導していきたいということでございます。

 具体的な目標は、二〇一五年までに全体の世帯の三分の二までがこういう水準を達成していただきたいという目標でございますので、これを目指してまたいろいろ努力してまいりたいと思っております。

森田(健)委員 わかりました。

 もう時間だということですけれども、先ほどのことに戻りますけれども、やはり国民の皆さんが、何かお役所的だとか、これはお役所仕事だなんて言われるのは、ある意味では非常に悲しいことですね。そういう意味において、私たちは、そういうことを言われないように、ただ四角四面で物事をはいよというのじゃなくて、やはり愛情のこもった、心のこもった、そういうものを私たちはやっていかなければならないんじゃないかな、大変生意気事ですが、そのように言わせていただきます。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次回は、来る十六日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時四十四分散会




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