衆議院

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第12号 平成13年5月18日(金曜日)

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平成十三年五月十八日(金曜日)

    午前九時三十四分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 桜田 義孝君

   理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君

   理事 玉置 一弥君 理事 樽床 伸二君

   理事 河上 覃雄君 理事 山田 正彦君

      今村 雅弘君    岩倉 博文君

      木村 太郎君    木村 隆秀君

      倉田 雅年君    坂本 剛二君

      菅  義偉君    田中 和徳君

      高橋 一郎君    竹本 直一君

      中馬 弘毅君    中本 太衛君

      林 省之介君    林  幹雄君

      福井  照君    松岡 利勝君

      松野 博一君    松本 和那君

      望月 義夫君    谷津 義男君

      吉田 幸弘君    阿久津幸彦君

      井上 和雄君    大谷 信盛君

      今田 保典君    佐藤 敬夫君

      鮫島 宗明君    中津川博郷君

      永井 英慈君    細川 律夫君

      前田 雄吉君    前原 誠司君

      松野 頼久君    吉田 公一君

      井上 義久君    山岡 賢次君

      大幡 基夫君    瀬古由起子君

      日森 文尋君    保坂 展人君

      山口わか子君    松浪健四郎君

      森田 健作君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   国土交通副大臣      佐藤 静雄君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源

   局長)          河崎 広二君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整

   備局長)         板倉 英則君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  佐田玄一郎君     岩倉 博文君

  坂本 剛二君     竹本 直一君

  福井  照君     望月 義夫君

  松岡 利勝君     林 省之介君

  川内 博史君     井上 和雄君

  今田 保典君     鮫島 宗明君

  伴野  豊君     松野 頼久君

  吉田 公一君     中津川博郷君

  保坂 展人君     山口わか子君

  二階 俊博君     松浪健四郎君

同日

 辞任         補欠選任

  岩倉 博文君     佐田玄一郎君

  竹本 直一君     坂本 剛二君

  林 省之介君     松岡 利勝君

  望月 義夫君     福井  照君

  井上 和雄君     川内 博史君

  鮫島 宗明君     今田 保典君

  中津川博郷君     吉田 公一君

  松野 頼久君     前田 雄吉君

  山口わか子君     保坂 展人君

  松浪健四郎君     二階 俊博君

同日

 辞任         補欠選任

  前田 雄吉君     伴野  豊君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 農住組合法の一部を改正する法律案(内閣提出第四七号)(参議院送付)

 都市緑地保全法の一部を改正する法律案(内閣提出第四八号)(参議院送付)




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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、参議院送付、農住組合法の一部を改正する法律案及び都市緑地保全法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省土地・水資源局長河崎広二君及び都市・地域整備局長板倉英則君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。

玉置委員 おはようございます。きょうは、農住組合法の日切れということで、明日までに衆議院で採決をしなくてはいけない、こういう課題でございまして、できるだけ簡略にお聞きをしていきたいというふうに思います。

 昭和五十五年、住宅事情の著しい変化ということで、特に市街化区域内の農地を住宅地に転換していく、こういう目的でつくられました法律でございまして、それからもう大分たつわけでございます。私がちょうどこの法案の審議を一番最初にしたときには、神奈川県に住んでおりました直後でございましたので、横浜近辺あるいは藤沢近辺、いつもこの辺の地形を思い起こしながらこの審議に参加をしておりました。そして、日本全国に、特に市街化区域の中の農地がたくさんございまして、営農契約とかいろいろな形で、片方では農業を維持しながら、休耕田を利用してできるだけ多く宅地に放出をしていただこう、こういうことでやってきたのでございますが、当時と今と大分状況も変わってきていると思います。

 そこで、大臣にお伺いをしたいのでございますが、この制定以降、約二十年経過をいたしておりますけれども、全体としてこの組合事業がどういう形で推移をしてきたのか、それから住宅事情等、当時とどのように変わってきたのか、こういうことで、この二十年の経過を大きく取り上げていただいて、いわゆる住宅を取り巻く環境、そして住宅事情等についての変遷と事業内容についての一応評価を大臣の方からお願いしたいと思います。

扇国務大臣 おはようございます。差し迫ったときに重要な御審議をいただいて、ありがとうございます。

 今、玉置先生からお話がございましたように、御存じのとおり、五十六年からこれが施行されたわけでございますけれども、もう二十年たちまして、今まで、この二十年間で全国で六十三組合ができております。そのうちの、平成三年度以降、後半の十年間に四十八という、やっとわかっていただいたというか、この法の意義を御理解いただいて、十年間で四十八という、後半の方がうんとふえたということでございます。

 複数の農住組合が連携して、懸案であった幹線道路の開通等に貢献したという例は、この農住法によって初めてできたというところがるるございます。また、市民農園を整備して、周辺の住民の農作業に親しみやすいというニーズにこたえていった例も事実としてはございますので、そういうことも大きな成果であったろうと私は思います。また、交流拠点としてのコミュニティー広場を整備しましてさまざまなイベントを実施しまして、限られたところをみんなで整備して、利用、活用をふやしていったということも、私は、特色のある町をつくっていった大きな貢献をしてきたと思っております。

 ただ、御存じのとおり、今先生がおっしゃいましたように、現在ではなかなか住宅の需要に合ったものが果たしていつまで続くかというのが私は新たな問題であろうと思っております。そういう意味では、市街化区域の農地というのは、例えば東京の二十三区内でございますけれども、四百六十ヘクタール今あるわけでございます。四百六十ヘクタールというのはどれくらいの大きさなんだろうと思いましても、四百六十ヘクタールというのは東京ドームの三百五十個分なのですね。それだけのものが東京の二十三区内にあるということで、でも、比較的都心に近い地域、あるいは地方都市の中心地などに、割合利便性にすぐれたそういう地域にも相当まだ残っていると見られておりますので、これらの地域では今後とも根強い住宅需要が見込まれることから、なるべくこういういわゆる職住近接、住んでいるところと職場とが近いという傾向にあると思われますので、私も延長していただくときにみんなに聞いたんです。もう役目は終わったのではないですかと聞きましたけれども、それで全国でアンケートをとりました。そうしましたら、今から十年間で、できたらさらに百組合ぐらいつくりたいという希望が出てまいりまして、それだったらやはり皆さん方のために、ぜひこの法案を生かした、農住法の延長が必要だなと判断したのはこういうところでございます。今、農住法を延長していただいて百組合できるということは、数がどうなるかということもさることながら、私は、御希望がある限り、せっかくこれだけの土地を有効に使ってきた、しかも、皆さん方に環境も、まちづくりの中の一環としていいものができたので、ぜひそういうふうに考えようというふうに私も決断した次第でございます。

玉置委員 後ろの十年で四十八組合という希望が出てきたということでございますが、この組合の設立の経過をずっとたどって、組合の所在地を確認していきますと、かなり三重県に集中をして、それも桑名市に集中をしているとか、かなりの偏りが見られるんです。今、四十八組合後半で出ている、あるいは百組合がこれから希望されているという話でございますが、一つは、なぜこんなに、集中したところと何にもないところと、極端に差が出ているのかということ。

 それから、最初は設立十年ということで規定をされて、十年延長されました。そして、十年延長された部分が四十八組合ふえたということですが、今度残った部分、当初三大都市圏だったと思いますが、それが二十五万以上の都市ということで拡大をされてきたということでありますけれども、さらに、地域的ないろいろなバランスから考えて、その後の十年で変化があると思いますが、適用区域についてもどういうふうにお考えになっているかということも含めて、偏りぐあいの原因と、その辺についてお伺いしたいと思います。

河崎政府参考人 御指摘のとおり、農住組合の設立状況を見ますと、設立が相当進んでいる地域が存在する一方で、まだ全く設立をされていない地域もあるということでございます。

 今御指摘がありましたように、六十三の農住組合がこれまでできているわけでございますが、そのうち、御指摘の三重県の桑名市が十四組合を占めているということでございます。この要因でございますが、これは、率直に申し上げまして、桑名の市役所が非常に農住組合の制度の意義だとか効果について深い理解をされまして、地元の農協と緊密な連携をとりながら農地所有者の方々に熱心に啓発活動を行われたという成果があらわれたものと思っております。

 一方で、設立がされていない地域も相当数ございます。これは逆に、農住組合制度の意義だとか効用というのが地元の市町村や農業団体の方々に十分理解していただけなかったというのが原因ではないかというふうに考えております。

 ただ、今先生からもちょっと御説明があったんですが、法施行後二十年間を振り返ってみますと、最初の十年間は、三大都市圏が対象だったということもございますが、七都府県で十五組合でございました。これが後半十年間になりますと、十九の都府県に広がって四十八組合ということで、設立地域は徐々に広がってきているということも事実でございます。

 今後は、特に農住組合が設立されていない地域に重点を置いて、講習会の開催だとかあるいはまちづくりの専門家の派遣などによりまして、普及啓発活動というのを一生懸命やっていきたいというふうに考えております。

 特に、桑名市の例でもありますように、市町村が積極的な参画をすれば非常に大きな効果があるという点がございますので、今年度予算で、市町村に積極的に参画をしていただこうということで、農住組合地区と周辺地区を一体として道路等の基盤整備計画を市町村が策定する場合や、あるいは農住組合の地区に市民農園を整備するといったような場合に、新たに市町村に対して補助をするという仕組みを導入したところでございまして、これらを通じまして市町村の積極的な取り組みを促していきたいというふうに考えているところでございます。

玉置委員 昔よく言われましたのは、大都市の中に、何も手をつけないで、ただ生産をして取り入れもしないような農地がたくさんある、これはもう税金対策だということで言われておりまして、当時、宅地並み課税とかの展開がありまして、実質的には要するに現状主義ということで、現状の作付がなされていても雑種地扱いとか、いろいろな課税方法があったわけですけれども、そういう問題でだんだんと農地を所有されている人が追い込まれてきたというのがあります。

 しかし、今お話しのように、積極的な方が推進役としておられる地域につきましては大変進展を見たということでございますが、逆に今、そういう見方をすると、積極的でない地域が進んでいないということは、この法律そのものがそんなにお役に立っていないのではないかというふうに思うんですが、この辺についてはいかがお考えでございましょうか、大臣。

扇国務大臣 私も思わず笑ってしまって失礼しましたけれども、おっしゃるとおりでありまして、先ほどもちらっと申しましたけれども、この法律を延長申し上げて皆さん方に御審議いただく前にも私もそのことをよく申しました。需要と供給のバランスが果たしてこれでとれていくんだろうか、そういう意味から考えればもう役割は終わったんじゃないかと先ほども申しましたけれども、そのことも随分私も論議いたしまして、それで、私はやはり皆さんのためにしたんです。

 さっきも三重県の話を例に出しましたけれども、あれほど市役所が熱心に農業組合と一緒になってやったということは、現実を見ると、私自身行ってはおりませんけれども、いろいろな場所の例を見せてもらいました。確かに、皆さん方に、今の緑を一カ所に集めたり、住宅の周りにはすばらしい環境をつくったりという、まさに二十一世紀型の住宅づくりもこの農住法の指導によってできているという現実をたくさん見せていただきまして、私はやはりこれは今一番、二十一世紀型にはまることではないかなと。

 しかも、先生がおっしゃいましたように、二十三区内の都市内だけで見ると、いろいろな空き地はありますけれども、現に畑だったところに一カ所にまとめて、しかも、それを平地のところに持っている人は高台にあるところと交換してでも一カ所に集めて住宅を建てよう、そういうことが法案の中に含まれているということの説明をすれば、皆さん、ああ、そうだったのかということで、これは役所側がもっと宣伝を、歩くというよりも、幸いインターネットもございますので、今後はこういうことを早く皆さん方に徹底した周知をしていただいて、御利用いただけるように変わってくるのではないか、そういうふうに考えた次第でございます。

玉置委員 今大臣おっしゃった中で飛び地がございますね。飛び地を今度は要件として入れましょうということになりました。

 これはもう設立当初からいろいろ言われてきたことで、二十年にしてようやく成立をしたという感じで、こちらの方が効果が大きいんじゃないかと私は思うんですね。というのは、最初は大きなところをねらってやりますけれども、実際には飛び地が意外と使われていなくて、どこかに集約されればうまく活用できる、住宅地にもなるし農地にもなるしということですね。用途がある程度集約されて、それだけ大きな規模のものができるということなので、ちょっと遅かったかなという感じがするんですが、片方では、営農を重視したものなのか、住宅地を重視したものなのかというのがあります。

 その問題を含めて、河崎局長の方にちょっとお聞きしたいのですが、まず、飛び地の農地の設定要件というのが今ごろになって取り入れられました。十年前にもう既に見直しのときがあって、そのとき何でやらなかったのかということと、それから、優良な、良好な住宅地を供給するという意味と営農と、どちらにウエートを置いた法律なのかということをもう一回確認したいと思います。

河崎政府参考人 飛び農地要件の緩和の趣旨でございますが、法制定当時は、市街化区域内農地の宅地化のおくれというのが非常に強く指摘された時期でございました。これは先ほど先生からも御指摘があったわけでございますが、そのときに、飛び農地というのは、相対的に言いますと小さな農地ということになります。その飛び農地、小さな農地については、極力宅地化をすべきだという考え方が当時ございまして、これまでのような制度になっておったわけでございます。

 しかしながら、今日的には、小規模な農地であっても、住宅地における良好な都市環境の形成の観点、緑地としての機能だとか、あるいは防災上の機能だとか、そういったものを、積極的にその意義を認めて、従来のような限定をすることはないのではないかというふうな考え方で、今回の改正におきまして、飛び農地において営農地を確保することができるというふうなことをお願いしているところでございます。

 しかしながら、基本的には、農住組合事業というのは、農地を宅地化するという基本の部分がございまして、営農地を確保する場合、営農地の確保を飛び地で行うという場合でも、いわば営農地を確保する場合の選択の幅を広げたという趣旨でございまして、農住組合の地区内の農地の相当部分を住宅地に転換するという法の規定については、引き続きこれは維持をしております。

 したがいまして、そういった意味では、市街化区域内農地を計画的に宅地化するという法の趣旨は、今後とも変更がないということでございます。

玉置委員 大部分は、もともとの飛び地でない指定の農地であって、ほかのところも含めていいよ、こういうことでよろしゅうございますね。――ということだそうでございまして、一応納得いたしました。

 もう一つの法律の方、緑化の方でございますが、都市緑地保全法についてちょっとお聞きをしたいと思います。

 まず大臣に、ヒートアイランド現象というのがありまして、大都市の中で、いわゆる照り返しみたいなものでございますが、もう大変な熱を蓄えてしまって、これを何とかしないといけないということで、緑地の施設整備という形で行われてきたということでございますが、一応、もう六大都市等で指定をされているということでありますが、大変な田舎の方までこういうものも活用されているという話を聞いております。

 このヒートアイランドという現象を緩和するためという緑地整備の本来の目的と、それから、どういうふうなことを想定してやられてきたのかということをお聞きしたいと思います。

扇国務大臣 今、玉置先生おっしゃいましたヒートアイランド現象が二十一世紀の大都市における大問題になっております。御承知のとおりでございます。

 私どもは、大都市の都心部におけるこのヒートアイランド現象というものをどうしたら防げるのか、防げないまでも、少なくとも、温度を一度下げることによってどれだけ変わってくるかというようなことを研究もしながら、勉強してきたわけですけれども、学者の先生方に実験していただきましたときには、屋上の緑化推進というのをいたしております。

 特に東京都なんかは、東京都と一緒になりまして屋上の緑化の推進を進めておりますけれども、それ以外にも、いわゆる風致あるいは景観、生活の潤いの確保、これはもう都市計画の改革の中では避けては通れない問題でございますけれども、個性ある町づくりというものを実現するためにも、大きな効果を発揮するという、その大きな効果を発揮するものを、少なくとも地方分権という流れの中で、大都市圏に限ることなく、地方にも自主的に、また主体的な町づくりを支援していこうという仕組みが今回の緑化施設整備計画でございます。

 この緑化施設整備計画によりまして、例を挙げますと、外国のことで失礼ですけれども、私はこういう立場になると思わないでドイツに行ったときに、エコハウスというのを見せていただいたことがございます。たまたまそこへ行きましたときにも、ドイツのヘッセン州のカッセルというところへ私は行ったのですけれども、そこに、グリム童話を出した兄弟がございますね、あの兄弟がずっと住んでいて、そこがグリム童話の発祥の地になっているのですけれども、そこでエコハウスというものができておりまして、屋上の緑化、そして緑豊かな町づくりというものを私は現実に見てまいりまして、エコハウスの中にも入ったことがございます。

 けれども、それは、私たちにとりましても、本当に緑というものがいかにヒートアイランドにも、あるいは精神的に人間にも与える影響等々を含みますと、これこそが一番今日本の都市政策の中で重要視しなければならない問題だと私は思っておりますので、特にこの緑化施設整備計画というものを出させていただいて、認定制度をぜひ続けて、皆さん方に協力していただきたいという意味でございます。

 温度が何度下がるという計算もできておりますけれども、長くなりますので、資料は、もしお入り用でしたら、後で改めて現実に出ております資料を御提供したいと思います。

玉置委員 私たちが目にするのは、都市開発をすると何もかも緑をはいでしまって、その後コンクリートとかあるいはアスファルトとかいうもので覆ってしまうということで、特に都市化が進む中でそういう地域が大変温度が上がってきているという現象をよくお聞きします。

 一つは、そういう地域に、先ほどおっしゃったように、屋上なりあるいは路肩に緑地帯を設けて、そこを維持管理していくということは非常に大切だと思いますが、もう一つは、緑地をはがないでそのまま残すようなことをやはり指導されていくということも非常に大事かと思うのですね。

 法律ができてしまうと、これはまたちょっと緑地の中でも方法が違いますけれども、例えば山間部にできた道路の歩道のところに並木道があるという、これは大変むだな感じがするのですね。周りがみんな緑なのに何で緑が必要なのかと。何か造園屋さんのためにつくった道路みたいな感じがする。これは日本全国にもかなりありまして、制度ができてしまうと、そういうふうにひとり歩きしてしまう。だから、例えば道路の基準がこうだということであれば、どこでもそれを適用しようとするということ自体が間違いだと思います。

 そういう意味で、ちゃんとした適用でこの緑地の保全ができていくかどうかということで、ちょっとこれは板倉局長さんにお伺いしたいのですが、具体的な協定管理といいますか、要するに、土地所有者の方に対して、市町村なり県がどういう形で認定をして、どういう形で所有者と話をされて、どういう形で維持管理していくのか、そして、本当に必要かどうかという見きわめをどこでされるのかということをちょっとお聞きしたいと思います。

板倉政府参考人 このたびの改正案の中で、緑地保全地区をより一層良好な状態で管理するために管理協定制度というのを御提案申し上げているわけでございますが、その背景といたしまして、緑地の所有者というのが大変高齢化が進んでおりまして、自分の緑地でありながら十分管理できないまま放置されている、荒れたままに放置されているというような状態が各所にあらわれているわけでございます。

 そういったことで、この管理協定制度というのは、地方公共団体が緑地の所有者にかわりまして管理をさせてくださいということで申し出をすることによりまして、緑地の保全及び管理を行う制度でございまして、具体的には、枝打ちとか下草刈りとか倒木の除去、それから病虫害の防除、それから日常的な巡視等の管理行為を行うことにいたしております。

 それが必要かどうかという判断でございますが、これは、いずれ認定の運用のガイドラインみたいなものを検討する必要があろうかと思いますが、一般的には、荒れたまま放置されているような緑地につきましては、良好な管理状態に戻す必要があるということで、優先度が高いものと考えておりまして、そういったところから優先的にこういう協定を結んでいきたいというふうに考えております。

玉置委員 余り地域を具体的に言うとしかられますから言いませんけれども、とんでもない田舎と言ったら怒られますけれども、そういうところで緑地化が進んでいるとかいうのがありまして、何か目的と違うのではないかなという感じがするのですよ。私の地域もあるから言わないのですけれども、怒られますけれども。

 実際に、そういうふうに行政の方が、これこそまた同じく、積極的な方がおられて、ずっとそればかりやっておられる地域は進んでいて、そうでないところは全然進んでいないのですね。だから、意外と大都市が進んでいないという現状になっています。特に、横浜近辺とか。川崎もそうですが。

 そんな状態なので、逆に言えば、そういう進んでいない地域をこれからフォローアップして、なるべく目的に沿った地域が本当にできるような状態にやっていくということが大事だと思いますが、これに対して大臣と局長、では局長さんから先にちょっとお言葉をいただいて、大臣に、今後偏りをどうやっていくかということについてもう一回御回答いただきたいと思います。

板倉政府参考人 玉置先生御指摘のとおり、緑地保全地区の指定状況を見てみますと、確かに全国的なばらつきといいますか、そういうものがまだございまして、例えば、御地元の京都でございますと、古都の緑地を歴史的風土と一体的に保存したいということで、歴史的風土特別保存地区、御案内のとおりでございます。

 こういったものを中核といたしまして、近郊緑地保全地区とか、それから本法による緑地保全地区とか、あるいは昔からの風致地区というようなもの、いろいろな関連施策を組み合わせて保存に努めていらっしゃるわけでございますが、例えば愛知県でございますと、社寺林、鎮守の森みたいなものをきめ細やかに拾う、箇所数は多うございますが、全体の面積はさほどでもないというような努力をされているところもございます。

 また、東京都なんかは、独自に条例を設けられまして、条例独自の緑地保全地区とか、あるいは緑地保全地区というのは行為規制によって土地の買い取り請求が非常に多うございますけれども、そういった予算措置を一々するというのが大変だということで、逆に全面的に買収して都市公園として整備するというような試みも行われておりまして、今御指摘のような点につきまして、私ども緑の基本計画というものをマスタープランとして策定しておりますので、各都市がそれぞれの地方の実情に応じまして必要な緑地保全地区というものを積極的に指定していただくように、今後とも一生懸命努力してまいりたいと思っております。

扇国務大臣 今の先生のお話が私は大事なところで、各地区でこれを実施している格差があると言っても差し支えないと思いますけれども。

 ちなみに、私は、特に都市の場合は重要なので、あえて今先生がおっしゃいましたので例を挙げますけれども、東京がこの百年間で二・九度温度が上がっております。名古屋が二・四度、札幌二・三度、京都二・三度、福岡二・三度、仙台二・四度、大都市平均では二・四度でございます。そして、中小都市では一・〇度でございます。

 ですから、中小都市でおくれているというところは一・〇ですから、そういう意味ではそういう格差はあるかもしれませんけれども、特に私が今問題にしておりますのは、少なくとも緑があったらどれだけ違うかということなんですね。一〇%緑が増加しますと、夏の一番暑いときでも二・二度温度が下がるんですね、自然と。そして、二十三区内のビルの屋上を全部緑化していただきますと、少なくとも最大で一・四度ヒートアイランド現象を抑えることができる。

 そういう実績が出ておりますので、私は、今おっしゃったように、地域によっては余り進んでいないではないかという先生のお話ですけれども、大都市に限ってはこれだけ効率的なんだ。

 特に、東京の場合もそうですけれども、二十三区の中では緑のある率が二二%なんですね。ところが、丸の内だとか大手町においては、緑のある率が三%だ。これだけ二二%と三%と差があるわけですから、やはりビルの一番密集しているところはどうしても屋上に緑を使ってほしいというのは、こういう数字に基づいて、今度の法案に対して、私はぜひこれを広用していきたい、そして都市のヒートアイランド現象を低下させていきたいと思っているのが実情でございます。

玉置委員 もう終わりますが、本当にCO2問題も含めて大変大きな効果があると思いますので、ぜひ頑張っていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 次に、山田正彦君。

山田(正)委員 自由党の山田正彦です。

 きょうは、一昨日の一般質疑も兼ねて、法案の質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、都市緑地保全法の一部を改正する法律案と農住組合法の一部を改正する法律案、これを読ませていただきましたが、いわゆる都市緑地の放置されたものを、自治体とかあるいは第三セクターとか、そういったものがかわって管理してやろうではないか、また、農住組合法もそうなんですが、いわゆる交換分合をスムーズにやろうではないか、そういう法律だと読ませていただきましたが、実際に、今の小泉政権になって、小さい政府をはっきり目指しているとすれば、必要ない法律はできるだけ整理してもう廃止してしまう、これが大事なのではないか。

 その中で、この都市緑地保全法の一部を改正する法律案は、こういった緑地の管理というのは、言ってみれば民法の事務管理の規定で十分賄えるのではないか。そしてまた、農住組合法の一部を改正する法律案というのは、土地改良法の交換分合のところをよく読んでみますと、それに全部書いてあるではないか。

 そうすると、この二法案とも、屋上屋を重ねるような、小泉総理のおっしゃっている、いわゆる小さい政府を目指している立場からしてはどうなのか。それについて、ひとつ大臣か副大臣に御答弁いただきたい。

佐藤副大臣 最近の都市の緑の減少というのは非常に大きなものがございまして、この十年間で、埼玉、千葉、東京、神奈川を合わせますと、東京都都心三区の面積の二・四倍に相当するような樹林地が減少していっているわけであります。

 ですから、何とかして都市の緑を残したい、そうすることによって、先ほどからお話に出ておりますとおり、ヒートアイランド現象などを抑えたり、いろいろなことをやっていきたい。そのためには、安定的に緑地を確保していくということは非常に大切だろうと思っています。そのために、緑地保全区域においては建築物の規制などをする、非常に厳しい規制をかけていくということが緑地の保全を図っていくという上で必要であろうと考えておるわけであります。

 また、先ほど局長から答弁がありましたとおり、緑地の所有者は非常に高齢者が多いわけであります。これは横浜の調べでありますけれども、もう既に所有者の六十代から七十代の人たちが七一%、七〇%を占めているという状態にあります。そのために、地方公共団体や緑地管理機構が土地所有者との間で緑地の管理のための協定を締結して、土地所有者等にかわって適切に緑地保全をしていく、こういう制度を今回創設をさせていただこうとするものであります。

 先生御承知のとおり、お話があったとおり、緑地の管理に関する民法上の契約をすることも当然あるわけでありますけれども、地方公共団体が長期的に保有していく、そして緑を守っていくということを考えますと、この管理協定制度を法定化することによってそれは可能になるだろうと思っておるわけであります。

 また、相続税の評価減を行ったりしまして、土地所有者等の負担軽減を行う、そういうことも可能になるわけでありまして、長期的に緑地を創設していく、守っていくということにつながると思いますので、御理解をいただきたいと思っております。

 それから、交換分合制度でありますけれども、地方に行きますと、土地改良法において、農地をまとめるということが行われております。しかし、今回の場合には、住宅地とそれから農地を別々につくり上げていくということが中心になるわけでありまして、そういう面で、農地などの従来の地方における交換分合制度とは異なるわけであります。その辺を御理解いただきたいと思います。

山田(正)委員 どうも今の答弁ではよくわからないのですが、緑地を指定するのは都市計画法でもできるし、緑地の管理をしようとするならば民法の事務管理でもできるし、農地の交換分合も土地改良法で知事の許可を得ればできるわけですから、私はこの法律は全く必要のない法律、屋上屋を重ねるものであるということは変わりないのじゃないか、そう思いますが、これを幾ら論じても仕方がないことで、ひとつ大臣、副大臣ともに、これから先、行政、政治のあり方として、いろいろな法律がいっぱいあるわけですが、これから整理していかなければいけない、もう要らない法律、そして二重、三重にもなっていて必要のない法律は抹消する、そういう方向での行革というもの、この立場を十分考えていただきたい、そう思います。

 実は、私の方できょうお聞きしたいのは、今小泉内閣のもとに、いわゆる郵政三事業の民営化、いわゆる特殊法人の改革というのが言われております。そうしますと、国土交通省においても特殊法人というのはいろいろあるわけですが、道路公団、小泉総理は聖域なき改革、そういう言葉で、当然道路公団についてもその特殊法人の改革を進めるべきだ、そうとらえている、そうおっしゃっていると私は思っておりますが、大臣、いかがでありましょうか。

扇国務大臣 私は、今山田先生がおっしゃいましたように、高い支持率によって誕生した小泉内閣が、結果、何をするのかと、結果、何が出てくるのかと、高い支持率だけであったのかと、これでは、国民の皆さん方は、あっという間に低支持率になるだろうと、これはもう予測されるとおりでございます。

 今おっしゃいました聖域なき改革であるとか、ゼロからの出発であるとか、あらゆる言葉は代表質問でも予算委員会でもお聞きになったとおりでございまして、私たちは今からその実を、何を上げていくのかということが、今後、私は多くの国民の皆さんと議員の皆さん方の注視するところであろうと認識しております。

 ですから、今先生がおっしゃいました、あらゆるところに改革の目を向ける、私はそのとおりだと思うんですね。ですけれども、この間も論議していただきましたけれども、あらゆる特殊法人、しかも聖域なきということでございますから、今先生が例に出されました道路公団に関しても例外ではありません。

 また、私は弁明するつもりはございませんけれども、道路公団自体も、私は、ある程度人員の整理をしたり、あるいは機関の縮小をしたり、あらゆることで努力はしてきたと思います。けれども、私がいつも言っておりますことは、余りにも有料道路なりの料金が高過ぎるのではないかと、これは一般国民の偽らざる気持ちだろうと思うんです、私自身もそう思うんですから。私も乗っていてそう思います。

 特に、私は、日本人ならともかくも、外国に対しては全く理解されないと。なぜこれがフリーウエーでないのだとおっしゃるのですね。ですから、そういう意味では、払う金額が受益者負担という原則に立つならば、何とか納得していただける程度というのはどの程度が納得していただけるんだろうかという根本まで論議しなければならない、私自身もそう思っております。

 私の手元に、道路公団が幾つ機関を減らしたとか人数を減らしたという数字もございます。けれども、その数字をもって私はよしとしておりません。ですから、私はあえて今それを申し上げるつもりはありません。それは単なる努力しているという現実だけであって、努力目標というのは今私が申し上げたもっと高いところになければ、今先生がおっしゃった小泉内閣の小さな政府、しかも聖域なきということには当たらない、値しないと私自身も思っておりますので、あえてここの細かい数字は申し上げないで、私は、あらゆるところで聖域なき改革を断行するということを、数字として、結果、こういう小さな数字ではなくお示しでき、国民の納得できる体制というものを断行しなければならないと思っております。

山田(正)委員 今の大臣の発言を聞いて少し希望を持ったのですが、いわゆる聖域なき改革の中で、大臣としては道路公団の改革に着手する、そういうことなのかどうか、ひとつ明確に御答弁いただけますか。

扇国務大臣 国土交通省というものは、第一は安全を旨としております。ですから、あらゆるものが安全を確保できる、最低限しなければいけないことというのは何なのか、そのためには幾ら要るのか、私はそれが第一だと思っております。けれども、余分なところを切るというのは二十一世紀になって当然のことでございますので、今後見直していくということは必ずしなければならない。ただ、切ればいい、削ればいいということではない、国民の皆さん方に安心して御利用いただける、最低限の守らなきゃならないものはどこまでだというのを私は整理すべきだと思います。

山田(正)委員 扇大臣は断行するという言葉を使われましたので、間違いなく道路公団に対してもこれから改革に着手するということだと解させていただきます。

 ところで、先ほど大臣もお話ししておりました、日本の高速料金は大変高い。諸外国に比べて、例えば韓国、フランス、イタリアあるいはドイツ、アメリカ等々に比べて、一体どういう割合なのか、通告しておったのですが、それを御回答いただきたいと思います。

佐藤副大臣 先生から質問の通告がありましたので、役所に調べさせました。

 一キロメートル当たりの料金につきましては、日本は二十四・六円。韓国では一九九九年三月ですけれども約三円です。フランスでは一九九八年一月で七円。イタリアでは一九九七年一月で五円です。アメリカは各州によっていろいろ違いますけれども、ニュージャージーの料金は一九九九年一月で約三円となっております。また、ドイツにおきましては、料金システムが少し違いまして、一週間なら一週間分使った料金ということになるわけであります。一定期間中の料金となります。有効期限が一日である場合には六百六十四円となっております。

 物価水準はいろいろと違いますけれども、ちょっと物価水準も申し上げておいた方がいいと思いますけれども、一九九九年、日本一四〇のときに、フランスが一〇七、イタリアが九二、アメリカが一〇〇、ドイツが一〇九です。

山田(正)委員 大臣、お聞きになっていたと思いますが、日本の高速料金は韓国の八倍高い、イタリアの五倍高い。そして、アメリカとかドイツ、イギリスは本来無料である、ところどころ場合によっては有料になっている。こんな物すごい高い高速道路料金、これが日本の物流コストを非常に高いものにし、日本の産業競争力を失わせてきている。

 そんな中で、ちなみに、この東京から北海道まで四十フィートのコンテナを運ぶとしたらどれくらい費用がかかるか、私も国土交通省に調べていただいておったんですが。仮に東京からアメリカの西海岸まで四十フィートのコンテナを運ぶとしたらどれくらい物流コストがかかるか。日本の高速道路を使った場合にどの程度いわゆるコストアップ、かかっているかということ。これは国土交通省にとって大変大事な問題でありまして、ひとつ、それも含めて大臣の御見解をお聞きできればと思います。

扇国務大臣 先ほど私が申しましたように、世界的に日本が高いというのは、もうだれしも思っていることでございます。

 しかも、先生は今コンテナのお話をなさいましたけれども、少なくとも今の日本の物流コストでは、私、二十一世紀、物流という面から見ても、とても世界に対抗し得るものが維持できるか。入ってくるものも手元に届くまでのコストが高い。日本から出すものも、今先生がおっしゃいました、コンテナを例にとられましたけれども、それじゃ、私たち一般住民の考え方で言いますと、百キロの物を岩手から横浜に送ったら、陸送して、これは千四百九十円でございます。横浜から同じ百キロを北米に送ったら、これは千百円でございます。

 それくらい物流コストが高いのは、今先生がおっしゃった、高速道路が高い、また今まで運輸省、建設省が縦割りでございまして、港から道路に行く、十分以内に主要道路に入る、あるいは高速道路に行く、主要都市に行くという、その立体的な国土づくりをしていなかった。港と道路とが離れている、飛行場と都市との距離があり過ぎる、そういうことが、私は二十世紀を反省した場合に、あらゆることでコスト高になっていることは否めないと思います。

 特に、私は、今アメリカ、ヨーロッパと比べてくださいましたけれども、今の日本の地形、これはやはり無理があるところもあると思うんですね。まず第一が、地震国であるということ。ですから、地震のない平たんなヨーロッパと違って、また、あの広大なアメリカと違って、アメリカも少し地震ありますけれども、ただ、大きさが違いますから、地球上〇・三%。しかも、日本の七割は山である。三%のところに住んでいるというこの急勾配。この勾配によって、トンネルをつくり、川を渡る橋脚をつくり。あらゆることでの道路にかかるコストが諸外国に比べてもともと日本の地形上は高くかかるということを勘案しても、何とか安くできないかというのが私の願いであり、庶民の感覚であろうと思いますし、冒頭に申しました物流から考えても、私はこのコストを削減しなければ、二十一世紀の日本の物流というものは諸外国におくれをとると思います。

 その原因を、今申しましたような、もともとの日本の地形というものをぜひ御理解賜りたいと。それはよくわかるんです。今、私コンテナのいろいろなランキングがありますので、それを申したいけれども時間の都合で省きますけれども、要するに、私は、諸外国の平たんな、欧米の、鉄道一つとってもそうですけれども、コストがかかるということだけは頭の中に置いて、何とか低廉化することに努力していきたいと思っております。

山田(正)委員 八倍も五倍も高速料金が高い、これは日本の地形が云々じゃないかという扇大臣のお話のようにも受けとめたんですが、いわば、なぜこんなに八倍まで高いのか。ひとつ国土交通省として、大臣及び副大臣、いずれも結構ですが、その理由をはっきりと御説明、皆さんが納得できるようにしていただきたい。その責任が、大臣として、副大臣としてある、そう考えますが、いかがですか。

佐藤副大臣 先生御承知のように、利用者負担で行っているわけでありまして、建設、管理に要した費用を料金収入で償っていく、そのことが非常に高くしている最大の原因だろうと私は思っております。

 さらに、大臣からお話ありましたとおり、日本は地震国であるということ。さらに、非常に軟弱な地盤で、この補強工事に非常に費用がかかるということ。また地形が、急な地形が多いためにトンネルなど、それから橋など非常に多くつくらなくちゃならぬということ。それから、狭いですから用地買収が非常に困難であるということ。時間がかかる、費用もかかるということ。それから、国土の六割が積雪寒冷地帯であるということ。雪対策、防雪柵をつくったり、非常にそれだけ金がかかっているわけであります。

 ちなみに、日米比較をしてみますと、そういう日本とアメリカとのいろいろな条件をなしにして、そして同じような条件でもって工事したとしましたら、日本の場合には工事費が約一・八倍、用地費で五倍、それだけの違いがあります。

 そういうものが日本の料金を高くしておる大きな原因だろうと思います。

山田(正)委員 今お話を聞きましたが、私も道路公団のインターネットを調べてみましたら、いわゆる日本は地震国であって建設費が高い、用地買収費が高い、そういうお話でした。

 それで、実は今アメリカは建設費が一・何倍日本より安いようなことを言っておりましたが、私自身もイタリアとか、イタリアも地震国です、韓国等々の高速道路の建設コストも調べてみますと、ちなみに、日本が平均でキロ当たり三十九億。韓国が、都市部三十二億、地方部二十億六千万となっていますが、イタリア、山間部が四十九億、丘陵部が三十五億、イタリアの平たん部が二十一億。こうして考えてみますと、ほとんど建設コストは変わらない。それが五倍も八倍も変わってきている。では、用地買収費はどうかと申し上げますと、大体、確かに日本の用地は高い。しかしこれも韓国等をよく調べて比較してみますと、大体三倍ぐらい高い。しかし三倍ぐらい高いといっても、用地費は、今までの日本の高速道路にかかった全三十七兆のうちの六兆円にすぎない。そうであれば、その占める割合からしても、用地費が高いから高速道路は八倍も高い、それは言えないはずであって、なぜ高いか、そこについてもう一度副大臣、みんなが、国民が、議員の皆さん方が納得できるその説明をしていただかなければ、私は納得いきません。

佐藤副大臣 私、先ほど最後に申し上げましたけれども、いろいろな条件を抜きにしてアメリカと日本の比較をすると、数字を先ほど申し上げましたが、工事費がアメリカの一・八倍になる。それはなぜかと申しますと、ほかの数字を持っていませんので、日本とアメリカを比較しながらちょっとお話しさせていただきますけれども……

山田(正)委員 アメリカは、高速道路が原則無料ですから、もし比較するなら韓国と比較してください。

佐藤副大臣 工事費の比較をしながら、そのことをお話ししようと思ったのです。

 工事費が今一・八倍かかると私は申し上げましたけれども、アメリカが一キロメートルつくるのに約二十一億かかります。日本は二十三億かかります。大体同じようなものなんです、いろいろな条件を抜きにしますと。そう考えてみますと、先ほど申し上げましたいろいろな条件が重なって、日本は、用地費ですとか地震になったときのそういう耐震性のものをつくるだとか、構造物がそういう面で相当違うわけですね。金がかかるわけですよ。そういうものを全部合わせますと、どうしても高いものになってしまうということであります。

山田(正)委員 今お話を聞いてみると、そう大した差はないのですが、アメリカはそれを無料でやっており、例えば韓国にしても建設コストは大した差がない。それなのに、日本は韓国の八倍高い。これは納得いかないじゃないか。用地買収費でも説明できる問題じゃないか。それについて、どうも副大臣は私の質問に答えたと思えない。大臣、いかがですか。

扇国務大臣 これは、もともと先生も御理解あると思いますけれども、戦後日本の中で立ち上がるときに、どういう日本をつくるかということから出発しておりまして、さかのぼりますと、やはり政治家の知恵でございます。

 いかに今日まで早く日本が復旧したか、復興したか。予算のない中で、受益者負担ということで、名前を挙げることがいいことかどうかわかりませんけれども、山田先生御存じですからあえて申し上げますけれども、当時、受益者負担ということで、通る人間から金を取ろうよということで、田中角栄先生の発想で今の日本の高速道路づくりがスタートしたことは、先生も御存じのとおりでございます。

 本来であれば、国が負担をして、国の基本政策として、国土づくりの一環としてやっていれば、私は、受益者負担というものの考え方が全く変わっていたと思うのですね。けれども、あの当時の日本の状況では、今日の日本の状況まで持ってくるためには、通行する皆さん方に受益者負担として負担していただく、その発想のために今日まで広がってきたんだと思うのです。ですから、財政上、国の予算の中で、全部それを国で、国費で負担する。だれでもただにして差し上げたい。私もただで通りたい。

 先生御存じのとおり、オリンピックのときに初めて高速道路ができました。うれしかったです。私、乗ったんです。百円でした。そして、あのときには、やがてこれはただになるのよと言われて、百円払っていたのです。それから一度も下がりませんでした。今七百円でございます、首都高速一つとってみても。ですから、果たしてそのままでいいのかどうか。

 ですから、高い料金を払ってなお混んでいるというので、今はETCを使ったり、なるべく人件費を使わないように、あの料金の人間を削減しようということで、ETCの導入も私が大臣になって二年前倒しにして、だからETCも、あの機械をつける人は、今二万から約三万弱するのですね。ですから、それも値段を下げなければだめよ、割り引きしなきゃだめよというふうに私は今言っております。

 二十世紀の日本をつくるためには、あの時点ではこの方法しかやむを得なかったというものを今日まで引きずってきたというのが現実でございますので、私たちは今、先生が御指摘のように、少しでも節約をして、道路公団の役目があと何年必要なのか、日本じゅうにどれだけこれをつくっていくのか、そういう基本政策というものをグランドデザインの中で示していき、そして安くできるところはなるべく皆さん方に還元していくべきだ。でなければ、国際社会に太刀打ちできない、そのつもりで取り組んでいきたいと思っているのが今の現状でございます。

山田(正)委員 小泉総理も改革改革、何とかいたします、扇大臣も何とか安いようにします、そのために努力しますというお話ですが、具体的に、では今のように韓国の八倍も高い高速料金をどうやったら本当に諸外国並みにやることができるか。

 ETCというのですか、私不勉強でよくわかりませんが、そういったものを導入したり、あるいはそれだけで今の高速料金が八分の一まで下がるものか、とてもそんなものではない。そうすると、システムそのものが間違っているんじゃないのか。今の道路公団の料金収受システムから、保守管理、点検その他のシステム、その他が大変な割高になっているんじゃないか。あるいは、この前週刊ダイヤモンドが「巨大利権の闇」と大きく取り上げております。こういう内容、疑惑を思わせるようなものが実態としてあるんじゃないかと思う。

 一つ政務官にお聞きしたいのですが、いわゆる道路公団の決算内容、それについて少し御説明いただければと思います。

田中大臣政務官 ただいま日本道路行団の収支の内訳についてのお尋ねがありましたので、お答えをいたします。

 日本道路公団の平成十一年度決算では、収入は二兆三千百八十億円でございまして、ほとんどが料金収入になっております。費用については、道路の維持修繕や料金収受などに要する経費である道路管理費が三千二百六十二億円、また、人件費などの一般管理費が一千五十七億円、さらに、借入金の金利などが九千二百七十三億円となっております。収入からこれらの費用を差し引いた収支差の九千二百十四億円を償還準備金繰り入れとして費用に計上し、借入金の償還に充てております。

 以上でございます。

山田(正)委員 もう一度政務官にお聞きしたいのですが、三千二百六十二億円の、いわゆる高速道路に関しての管理費の内訳、そしてその仕事の内容と、それをどういうところに委託してあるのか、あるいは道路公団が料金収受等を直接やっているのか、それについてもお答えいただければと思います。

田中大臣政務官 数字的にお答えをさせていただきたいと思っておりますが、維持修繕などの工費が九百五十三億円、保守委託費が二百三十億円、保全点検などを行っております。さらに、業務委託費が一千二百四十七億円、料金の収受、交通管理業務の委託などを行っております。そのほか、光熱水の料金等が八百三十二億円でございまして、合わせて三千二百六十二億円という数字でございます。

山田(正)委員 政務官、引き続きお答えいただきたいんですが、いわゆる工費の維持管理費九百五十三億、これはどういうところに委託していますか。

田中大臣政務官 日本道路公団の料金の収受、交通管理などの維持管理業務については、高速道路の草創期といいますか、最初は公団みずからが行っておったわけでございますが、その後は、組織や人員の抑制、経営の効率化を図る観点から民間の企業に委託をしております。

山田(正)委員 その民間の企業とはどういう企業なんですか。例えば、いわば悪名高い施設協会という財団法人がありましたね。サービスエリアとかパーキングエリアのほとんどの利権の、何というのか、そういった団体だと称されてきておりますが、そういったかつての施設協会が出資した関連会社、道路公団のファミリー企業、そういったところに委託しているんですか、していないんですか。

田中大臣政務官 先生の方からいろいろと言葉があったのでございますが、一応御説明だけ申し上げておきますと、財団法人の道路施設協会の出資による会社に出していることは確かでございます。

山田(正)委員 政務官、ちょっと低い声でしたが。

田中大臣政務官 済みません。

 それから、旧道路施設協会では、平成十年九月までに公団の管理業務を受注していた五十六社の株を処分して、株式を引き継いだ財団法人の道路サービス機構で、平成十二年三月までに残る十社のうち六社の株を処分した、こういうところでございまして、今日の状況になっておるわけでございます。

山田(正)委員 扇大臣、私の手元にいわゆるファミリー企業六十六社の資料を持っておりますが、この名前をずっと読んでいきますと、北海道ハイウェイ・サービス、奥羽道路サービス、東北道路サービス、福島ハイウェイサービスと、ずっと子会社です。ここがいわゆる料金収受業務から保守点検からあるいは維持管理。

 例えば、私もこういうことがあったんですが、弁護士をやっていまして、交通事故の相談を受けた、いわゆる高速道路での交通事故。ガードレールを壊したわけです。その運送会社さんは、二十二万の見積もりがあったので、それで修理しようと思ったら、道路公団から、それではだめです、指定の業者に修繕をやらせてほしいと。そうすると七十八万かかった。私、今でも書類を持っております。これが実態なんです。これがいわゆるファミリー企業なんです。

 道路公団にある意味では巣くっているファミリー企業、これが今でも料金収受からあらゆること、大臣、政務官もよく聞いていただきたいんですが、それをやってきている。その三千二百六十二億円というお金はそういったものに使われてしまっている。

 ところが、韓国の道路公団は、料金収受等はそういう下請のファミリー企業、そういうところにやっているのでしょうか。それとも自分で、みずからやっているのでしょうか。いかがですか、副大臣。

佐藤副大臣 先に、先生から六十六社のお話がありましたけれども、平成九年に特殊法人の整理合理化がありまして、そのときに、先ほど田中政務官からお話がありましたとおり、五十六社はもう株式は持っていない、普通の株式会社になってしまったわけです。さらにその後、施設協会が二つに分割されたことは御承知のとおりです。そして、それも漠然と二つに割ったのでは前と同じようになってしまって大変だということで、まだら模様にして経営をさせた、そして競争させていく、そのように変えたわけです。先生御指摘のとおり、いろいろな問題もあったものですから、今既に変えまして、もう既に子会社のような形をとっておりません。さらに、そのときに第三セクターも入れまして、八社がもう既に入りまして、競争でする。ですから、公募型の指名競争入札を今行っております。

 ただ、韓国の場合には日本と違いまして、そういうふうに任せたりしていない部分もまだ残っておると聞いております。

山田(正)委員 調べてみますと、確かに平成九年の十二月、閣議でもって施設協会等のファミリー企業、子会社、おかしいじゃないかと指摘されて、それを解消する。いわゆる持ち株をなくした。持ち株をなくして、今までの施設協会を、ただ財団法人を二つに分けただけ。そのいわゆる持ち株の売却益はどうしたのか。当然剰余金等々がかなりあったはずだ。それについて不明朗じゃないかという指摘がこのダイヤモンドの週刊誌できちんとなされております。

 ちなみに施設協会、私が調べてみますと、テナント業務、パーキングエリアとかサービスエリアのテナント業務だけで五百億の収入があるわけです、お店を出すだけで。ところが、約五百億の収入があるのですが、そのうち道路公団に使用料としてたった四十六億しか払っていない。そして、施設協会が出資してつくったいろいろなハイウエーサービスとか、何とか高速道路パトロールとかという六十六社の会社、この会社のうちに、いわばほとんどが道路公団あるいは建設省の天下り。天下りを受け入れて、そこでどのようなことがなされてきたのか。これはひとつ大臣みずから調べていただければはっきりわかることですが、いわゆる大変なむだをしてきている。これが高速道路料金の非常にコストアップの要因につながっている。そうお考えではありませんか。

 ちなみに、ここは大事なことですが、キロ当たりかかるコスト、韓国の高速道路と日本の高速道路がキロ当たりかかる経費、同じ高速道路ですから料金収受にしても保守点検にしてもそう変わるはずはない。ただ、経費が一キロ当たり管理するのに幾らかかっているか。これを通告しておきましたので、ひとつ、政務官お答えになりますか、では政務官から。

田中大臣政務官 お尋ねのありました日本と韓国の高速道路の管理費の比較について調査の資料を御説明しておきたいと思います。

 平成十一年における日本道路公団の管理費は、一キロメートル当たり約五千七百万円、韓国の道路公社では約二千六百万円でありまして、二倍程度となっております。もう一点、日本の平均賃金が韓国の約二倍であることを考慮すると、両国間において単位延長当たりの管理費には、差がないとは申しませんが、余り大きな差がない、このようなことであろうと思います。

 ちなみに、民間委託費の全体に占める人件費の比率が、おおむね六割程度になっているのではないか、このような数字もございます。

山田(正)委員 いわゆる高速道路にかかる管理費用、これは今おっしゃいました、日本は一キロ当たり五千六百七十五万もかかっている。ところが、韓国は二千五百三十八万円で……(田中大臣政務官「二千五百五十三万でございます」と呼ぶ)おたくからもらった資料ではそうなっているね。でたらめだね。どうなっているのかな。こんなばかなことはないと思うのだが。いずれにしても、大変なコストアップ要因になっているのです。

 ところで、道路公団は、料金収受から保守点検、すべての管理業務をいわゆるファミリー企業に委託しておいて、八千八百人職員がいる。これは一体何をしているのか。そして、その職員一人当たりの給料は幾らもらっているのか。聞くところによると、一人平均一千万もらっているとか、大臣、大変な高給をいただいているというお話ですが、ぜひ調べてお答えいただきたい。

扇国務大臣 山田先生から、るる資料をお示ししながら、いろいろなことを指摘していただきました。

 少なくとも、一番原点は、どこにどうというのを、これから調べるのは当然のことながら、私は、小泉内閣において、この百五十一回国会で、あらゆるものをゼロベースからやるんだということを宣言してございます。しかも、行政改革ということに関しましても、行政大綱のポイントとしてある程度示されました、少なくとも平成十七年度にすべて抜本的な見直しをするということを行政改革大綱でもうたっております。

 ですから、特に国土交通省としては、道路公団のみならず、今御指摘のあったようなことを例示をとりながら、あらゆることで整理し、なお小泉内閣のゼロからの出発、ゼロベースから検討するということと、行政改革大綱で締められましたポイント、平成十七年までということを私たちは念頭に置きながら、十七年ではなくてもっと前倒しにしてお示しできるように、また、むだなことは当然外していく、不正があれば正していくというのは基本姿勢でございますので、国民の前にあらゆる情報を開示していくという姿勢で私は対処していきたいと思っております。

山田(正)委員 私の持ち時間がなくなってしまいましたが、いわゆる聖域なき改革、小泉総理が言っている、それを本気でやるんだったら、具体的にやるんだったら、大臣も先ほど、道路公団について、改革して、断行して、そして料金の引き下げにかかりたいと。これを必ず実現させていただきたいし、そして私も、まだいろいろ調べておりますし、これからの問題についてもまた次の機会に必ず質問を続行させていただいて、とりあえずこの道路公団の高速道路料金だけでもきちんとした対応をしていただきたい。そうお願いいたしまして、私の質問を終わらせていただきます。

赤松委員長 瀬古由起子君。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 農住組合法、緑地保全法の関連で質問させていただきます。

 都市の緑は、先ほど議論になりましたように、ヒートアイランドを和らげる点でも、また環境保全ということでも、防災の観点で見ても、震災の際の避難地になるとか、水害の場合にも水を浸透させる機能を持っております。さらに、新鮮な農産物の供給源にもなる。

 議題になっている二つの法案は、いずれも都市の緑化という点では共通しております。その立場で質問をさせていただきます。

 まず、大臣の認識をお聞きしたいと思うのですけれども、食料・農業・農村基本法の第三十六条二項で「国は、都市及びその周辺における農業について、消費地に近い特性を生かし、都市住民の需要に即した農業生産の振興を図るために必要な施策を講ずるものとする。」としております。都市農業を残して営農を保障することは、環境を守り、災害に強い町づくりという点でも重要だと思うのですけれども、その点、大臣いかがお考えでしょうか。

扇国務大臣 瀬古先生が今おっしゃいましたことは大事なことだと思いますけれども、今先生がおっしゃったことを実現するために、この農住法というのができたというふうに御理解いただければ一番いいのではないか。

 例えば、点住しておりますところでばらばらにやっていたのでは効果が上がらない。ですから、なるべく組合の皆さん方、農民の皆さん方、お持ちになっている皆さん方と相談して、住宅は一カ所に集めて、そして、跡を緑化、あるいは農地を大事にしていく。その両立が初めてこれによって計画的に行われるのではないかと思いますので、今先生がおっしゃっていただいたことの実現のために、この法案を提出させていただいて、なお延長させていただくという趣旨がそこにあるというふうに御理解賜るとありがたいと思います。

瀬古委員 農住組合法は、先ほど出ましたように、三重県の桑名市などの一部の地域では、一定の普及をしておりますけれども、全国的にはまだわずかしか進んでいない。農住組合はもともと住宅地にするのが基本ですけれども、しかし今日的な状況を見ますと、農地を残す、それから、都市の緑化という観点から、これはそういう方向で進めるんだというんだけれども、制度の見直しの中でもっと農地を残していく、緑地を残していく、こういう観点での見直しもさらに必要ではないかと思うのですけれども、その点、いかがでしょうか。

扇国務大臣 そういう意味では、先ほど申しましたような飛び地等々、また一カ所に集めるということは大事でございますけれども、基本的に私は、生産緑地の地区制度の環境というものが指定されておりまして、その概要の中で、生活環境の確保に相当な効果があるという五百平方メートル以上のところに関しては、一定の農地の地区を市町村が都市計画で決定するというふうにこれはつくられておりますので、そういう意味では、農業を何年以上行うことについてというのは、そこでは要件になっていないのですね。

 ですから、そういう意味では、特にこの指定によって、自分たちでずっと農業をしていくんだというその希望のある人たちについては、建物の建築等は、それは指定された場合はできないことになっていますね、三十年という。これも、今先生がおっしゃった、農業をする人の意見を尊重して、その気持ちを大事にして、あるいは住宅地にすることとの整合性、また、農業をやっていらっしゃる人たちの意見を尊重するという意味において、私は、その整合性を一番図っていくということにおいて、これが役立っているというふうに感じております。

瀬古委員 この制度によって、生産緑地に指定を要請するということは、私は積極的なことだと思うのですね。しかし、今、都市農業のあり方そのものが、少し考えなければならないだろうというように思うのです。

 バブル時代は、農地が宅地や駐車場になる、こういうことがありまして、農地をつぶして開発をどんどん進めていくということが起きた。ところが、今、バブルがはじけて、都市の農家の実情も大きく変化している。農業ではもう食べていけないのだということで、農地を処分して宅地化してアパートをつくったけれども、今入居者が思うように入らないという状況もございますよね。駐車場をつくってもうまくいかない。それならもう一度頑張って農業を続けようではないか、そういう人たちも今出てきているわけです。

 それだけに、生産緑地の指定をうんと広げていくこと、そして追加の指定をすることが私は今非常に求められていると思うのですね。

 ところが一方、今大臣が言われたように、指定されると三十年間という営農の枠組みがつくられていってしまうわけです。どうしようかなと今悩んでいる人たち、選択肢がなくて、どうしようかと言っているのが実情だと思うのですね。そういう意味では、生産緑地にすることによる三十年営農という条件をぜひ緩和して、負担を軽減する、そして追加指定を認めるということが大事ではないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

扇国務大臣 今先生がおっしゃいましたように、それぞれの農家にそれぞれの条件あるいは環境の変化がおありになるのは当然でございます。

 ですから、今おっしゃいましたように、少なくとも市町村長に対して買い取りの申し出ができるまでの期間は三十年というふうになっておりますけれども、三十年という期間は条件として農業を続けるということをおっしゃっていますけれども、その間いろいろな条件があって、例えば世代交代した、若い人になったけれども、とても自分たちは世代がかわって三十年なんかしたくないというようなことがあった場合には、三十年と限らなくても、途中であっても、営農に従事することが困難であるというふうにわかったときには、それは買い取りの申し出ができるというふうになっていますので、私は必ずしもそれによって三十年という期限が生産緑地地区の指定に対して支障になり得るとは思っていない。

 また、そういうふうになっていますので、私は、個々の皆さん方の御家庭の、あるいは農家の皆さんの生活の変化によっての対応というものはここでできていると思いますので、それはぜひ遠慮なく申し出ていただきたい、そのように考えております。

瀬古委員 確かにいろいろ途中でそういうことができるということがあっても、今の日本の農業に対する展望というのがなかなか出てこないという面では、この三十年というのは決意する場合の重荷になっているという面はあると思うのですよ。もう少し農業をやっていて頑張れるなという希望があればそういう点でのクリアはできるのですけれども、その点がちょっと、かぶさってくるという点では、さらに今後の改善を検討していただきたいと思います。

 特に、もう一つ、農地がなくなっていく大きな原因としては、税負担の問題があるわけですね。特に、相続を契機に起こる高額の相続税を払うための農地の売却、転用。それは、今現在、相続の際の土地評価を宅地として評価されるからなのです。そして、農地の千倍、万倍という農業の生産性とは全く無縁な評価額になって、そして結局農地を売却せざるを得ないという状況になっています。固定資産税だとか都市計画税の評価額も、時価を基本に決められているので、どんどん上がってくるわけですね。

 そういう意味では、私は一つ例をとってみたのですが、埼玉県の川口市というところをとってみますと、一九九一年には市街化区域の農地が一千平米当たり七千九百六十四円であったものが、一九九八年には三十三万二千四百七十八円と、四十一・七倍という状況になっております。

 地価はバブル崩壊後下がっていますけれども、固定資産税は決してそういう状態でない、上がっていく。これでは農業は続けていけないし、都市農家に農業を続けて生活できるようにする、これはある意味では、国土交通省というか、都市の緑を確保するという点では、私は欠かせない条件だと思うのですね。

 そういう点では、過重な税負担を農家にかけないようにすることが都市の緑を確保する上では重要だ。そういう点で、関係省庁に働きかけるなど、国土交通省の立場からぜひ努力していただきたいと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

扇国務大臣 今先生が埼玉の例を挙げられまして、四十一倍になっているというお話をなさいました。けれども、地区によりましてはもっと格差がございまして、御存じのとおり、少なくとも農地と宅地の間では、地域によりましては百倍近い固定資産税の差があるのですね、全国の中では。

 ですから、今先生がおっしゃいましたように、例を挙げれば、埼玉は四十一倍ですけれども、全国で百倍も差があるというところでは、これを考えたら、とてもじゃないけれどもこのままの方がいいな、苦しいけれども、とても宅地並みの課税をされたのではたまらないと思われるのは、私は人間として当然の心理であろうと思います。

 けれども、その中で、私たちは、今の実態を考えて、これも慎重に検討していかなければならないとは思っておりますけれども、では、少なくとも保全すべき農地というものはどうあるべきなのか。では、宅地にと言っているけれども、地方公共団体が都市計画におきまして生産緑地地区として指定するほか、あるいは市街化調整区域への編入を行うというときにはどうなるのか。そのときには、特別にこの場合は固定資産税の軽減もする、あるいは相続税の納税の猶予もする、そういうふうに各地方自治団体で工夫もしております。

 私は、百倍も、あるいは例を挙げられた埼玉の四十一倍もというと、それはちょっとねというのは当然の心理だと思いますので、今、地方自治団体で、私が申しましたような、市街化区域におきましての税制の軽減とか、あるいは納税の延長とか等々図っておりますので、その辺で何とか、自分の生活設計といいますか、農業を専業でやっていくのか、あるいは今回の法案のようにしていくのか、それは個々の御判断だろうと思いますけれども、私は、特に地方自治団体のこの計画に対しては、私たちも助言をしていき、少なくとも慎重に検討してもらいたいというふうに申し上げるつもりでございます。

瀬古委員 少なくとも、都市の緑を確保するという上では、それぞれ地方自治体が行っているものはありますけれども、国としてもやはり何らかの対応は当然検討していくべきだと思うのですが、その点大臣いかがですか。

扇国務大臣 今申しましたとおり、私は、この法案が延長されるかどうか、みんな見ていると思うのですね。ですから、私は、特にこの法案を通していただいた後は、各地方整備局を含めて、地方自治体に申し渡しをしていこうと思っております。

瀬古委員 ぜひ国としても対応をお願いしたいと思います。

 時間がございませんので、次に参ります。

 箱ブランコの問題について質問いたします。

 昨日テレビでも取り上げられました、公園や幼稚園、保育園などで見かける揺りかご型のブランコ、いわゆる箱ブランコと言われているのですけれども、ここに重大な事故が続いております。

 一月には島根県で、園児がブランコから転落して、地面とブランコの間に頭を挟まれ死亡しました。また、四月には福井市内の公園で、過って転倒した小学二年生が、やはり頭を挟まれて骨折し、この影響で右の目が見えなくなっています。こういう事故が起きております。

 福井県では撤去や安全確保の通達を出したところですけれども、この事故を受けて、福井市では、市内百四十基すべてを撤去するという状況になっております。

 箱ブランコは、その重量、勢いからくる衝撃の度合い、これは他の遊具と比べてすこぶる大きいものがございます。また、地面との間隔が狭くて、挟まれたら下敷き死になってしまう、こういう危険な状況がございます。

 そこで、質問しますけれども、国土交通省は、都市公園はもとより児童公園、幼稚園、保育園などを含めて、箱ブランコの設置状況と事故の実態をどのように把握されているでしょうか。

板倉政府参考人 箱ブランコの設置状況それから事故の状況についてのお尋ねでございます。

 国土交通省では、子供の遊び場の安全確保を図る観点から、平成十年度に全国の都市公園等における遊具の設置状況について現状把握のための調査を行ったところでございます。

 この調査によりますと、箱ブランコにつきましては、全国の都市公園におきまして約九千八百基、児童遊園その他で約四千四百基、計約一万四千二百基が設置されているということでございます。

 また、都市公園におきます事故につきましては、国土交通省といたしましても、これまでにも、公園管理者に対しまして、事故情報の提供、安全管理の強化に関する注意喚起等を実施してきたところでございますが、特に公園管理者に対しまして三十日以上の加療を要する事故については、逐次、発生報告について要請してきたところでございます。

 国土交通省に報告のあった三十日以上の加療を要する遊具に関する事故は、過去五年間、平成八年度から十二年度までの間に八十六件ございまして、そのうち、箱ブランコに関するものは八件、全体の九%を占めております。

瀬古委員 箱ブランコによる死亡、重傷事故は、新聞の報道をずっと調べて市民団体の皆さんが発表したものがございます。きょうは、箱ブランコ裁判を考える会という会なんですが、そこから了解を得まして、皆さんのお手元にお配りさせていただいております。

 この調査によりますと、少なくとも一九六〇年以降、死亡が十九名になっています。重傷重体等二十八名、計五十件以上が重傷重体以上といいますか、ですから、ちょっとしたけがだったとか、もう本当に、それは新聞の報道にならないものはたくさんございますが、新聞の報道だけでもこれだけの重傷事故が次々と起きているわけなんですね。

 NPO組織でありますプレーグラウンド・セーフティー・ネットワークが平成九年に実施したアンケート調査では、全国千百八十七の自治体の公園で、過去一年間に遊具で二百五十九件の事故が報告されていますけれども、そのうち、箱ブランコの事故は事故件数で第一位、二九%にもなっております。

 九〇年には、国民生活センターが全国の八病院から実は調査をしているのです。これは私が調べてみましたら、いろいろな事故調査の場合に、全国で八つの病院からそういう調査をとるなんというのは全く少ないのですね、本当は何千病院からとるということが必要なんですが。わずか八病院からとっても、この国民生活センターの報告によりますと、過去十年間のブランコ事故は四百八十四件と報告されております。

 この事故の実態というのは御存じでしょうか。

板倉政府参考人 箱ブランコの事故等に関するNPOあるいは国民生活センターの実態調査について把握しているかということでございますけれども、まず、先ほど先生御指摘の箱ブランコに関するNPO、プレーグラウンド・セーフティー・ネット、PSNというところの調査によりますと、平成三年から八年までの六年間に全国紙や地方紙を含む新聞に掲載された公園、遊具に関する事故の記事を収集、分析したものとして公表されているわけでございますが、その期間に発生した事故として三十二件が報告されておりまして、この中で箱ブランコに関する記事としては五件が報告されているところでございます。

 また、国民生活センターの調査におきましては、昭和五十年から平成二年三月までの十五年間に、国民生活センターに、全国の消費生活センター並びに協力八病院から寄せられた公園等の遊具に関する危害情報に関するものでございまして、全体として千四百七十件の危害情報が寄せられております。このうちブランコ、これは箱ブランコとその他のブランコの区分はございませんが、ブランコに関する危害情報が御指摘のとおり四百八十四件ということが報告されているわけでございます。

 また、その後、平成八年から十二年まで、全国の消費生活情報ネットワーク、PIO―NETと言われているようでございますが、によりまして国民生活センターに寄せられた公園に関する児童遊具に関する八件の危害情報のうち、ブランコ、これはすべて箱ブランコのようでございますが、に関する危害情報は四件というふうに承知しております。

瀬古委員 国民生活センターは、当時、こういう事故がどんどん起きているということについて、なぜかということを分析して、これは遊具の安全基準がないからだということを指摘しているわけですね。そして、進言しております。

 こうした危険性が放置されていることを、当時の新聞によりますと、建設省も何らかの安全基準を設ける時期に来た、このように述べておられるわけです。そして、ガイドラインの作成をすることになったと報じられておりますが、ガイドラインはできたのでしょうか。

板倉政府参考人 御指摘のとおり、平成二年度に、国民生活センターが遊具の事故に関する情報を取りまとめまして、遊具の安全基準や安全管理の強化についての必要性につきまして、当時の建設省に対して、要請をされているというのは御指摘のとおりでございます。

 これを受けまして、建設省におきましては、平成二年から五年間をかけまして、安全対策に関する国内及び海外の事例について調査、分析を実施するとともに、器具の安全点検のあり方、安全基準の考え方等の検討を進めてきたところでございます。

 また、平成十年には、都市公園等における遊戯施設の設置状況につきまして詳細な実態調査を行うとともに、都市公園の遊戯施設における具体的な事故事例の分析調査を行ってきたところでございます。

 こうした調査等を踏まえまして、平成十一年度から、学識経験者から成る都市公園の遊戯施設の安全性に関する調査検討委員会を設けまして、計画、設計等のハード面、管理運営等のソフト面も含めまして、都市公園の遊戯施設の安全管理に関するガイドラインの策定に向けて、現在、作業を進めているところでございます。

瀬古委員 大臣、ぜひ聞いていただきたいと思うんですけれども、とても危険だということで、遊具の安全基準がないということで、それを指摘されたのは九〇年なんですね。もうそれから十一年たっております。いろいろやったと言われるんだけれども、その間にどんどん事故が起きているわけですね。

 それで、大体、欧米では、七〇年代から遊具の安全基準を持っている国もありますし、大半の国はこの安全基準というのは当たり前のように持っておるわけです。それは法制化されている国もございます。ところが、日本は全くない。そして、十一年前から警告されているのにガイドラインもできていない。

 少なくともこの十一年間は、この箱ブランコで、新聞などで、テレビなどで、どんどん子供が箱ブランコの底に頭を突っ込んで、そして重傷事故が起きたり死んでいるというのが、今これを見ても、本当にすさまじい状況なんですね。国土交通省、前の建設省ですけれども、一体何をこの十一年間やってきたのかと私は率直に言いたいと思うんです。配付した資料だけでも、十一年間で、そのやらなあかんと言ってから十三人亡くなっているのですね。二十七人以上が重体重傷の事故で、中には、重体と言っても本当に大変な状況で、もう寝たきりになったとか、こういう方もいらっしゃるわけですね。

 そういう意味で、実はこの事故では、九歳の子供が原告で裁判に訴えているわけです。この子は重傷事故になったわけですけれども、ブランコを押していて、そして怖くなって離した途端、下に挟み込まれたという状態なんですけれども、子供たちだれでもがやっている遊び方で事故に遭った。そうしたら、どう言ったかというと、遊び方が悪いと言われたと。子供はどう言っているかというと、私は苦しかったけれども、亡くなった人は意見も言えない、その子たちの代理で私は言いたいのだと言って、裁判で九歳の子供がこうした大人を告発しているわけですね。企業や自治体を訴えているわけです。

 私は、企業や自治体の責任というものも、管理責任もございますけれども、しかし、これは危険だな、何とかしなきゃいかぬということで、十一年前にガイドラインをつくらなきゃならないと言っていた建設省がずっと放置してきた責任というのはあるんじゃないかと思うんですけれども、大臣いかがでしょうか。

扇国務大臣 今先生がおっしゃいましたように、私、昨日のテレビは残念ながら拝見していないんですけれども、これは以前にも委員会で問題になった件でございます。

 今まで何をしていたのかというお話はさることながら、全国の今の公園におきまして、この箱ブランコと称する遊具、これは約一万四千基設置されているんです。少なくとも、この管理は地方自治体が管理するということになっておりますけれども、今先生が指摘なさいましたように、大きな数字が出てまいっておりますので、旧建設省の報告をするのは私も気が引けるんですけれども、今までは旧建設省でございましたので、旧建設省としましては、今まで、都市公園の遊具に対する注意事項というものを、全国の安全基準を検討しながら安全に注意しなさいということをしてまいりました。

 手前みそになって余り言いたくはないんですけれども、平成十年には遊戯施設における事故事例調査を実施しております。これは建設省でございますけれども。これは、報告中の箱ブランコを含む十一の事故事例について、平成十年に調査分析をしております。平成十一年から十二年にかけまして、建設省で遊戯施設の安全性に関する調査検討委員会を設置しております。そこでは、都市公園の遊び場の安全確保についてのガイドラインを作成する方向を打ち出す、これが平成十一年から十二年で委員会を設置したというのが……(瀬古委員「それはもう十分承知しております。今までどうかということです」と呼ぶ)そうですか。

 そういうことで、旧建設省としては今までこういうことをしてまいりましたけれども、国土交通省、本年になりまして、私もこの重要性にかんがみまして、遊戯施設の安全性に関する調査検討委員会は新たに国土交通省として引き続きやっていって、現在検討中のガイドラインにつきましては、策定の時期を少なくとも年度内中に策定しようということを言っております。ガイドラインを策定するまでの間につきましても、安全点検の徹底を含めて、私たちは、的確な対応を講ずるように申しつけてございます。少なくとも年度内には委員会からのガイドラインを出していただけるものと私も委員会の論議を期待しているところでございます。

瀬古委員 ガイドラインを早くつくっていただくというのは、それは私は当然だと思いますけれども、よくも十一年間もこのままになってきたということ自身が私は反省が必要だというふうに思うんですね。

 それと同時に、ガイドラインができるということなんですが、今子供たちが遊んでいるわけですね、今も一万四千基の箱ブランコで。そして、これはきのうテレビで、事故で重傷を負った子供のお父さんが言っているんですが、遊具をすべて撤去してほしいとか言っているわけじゃないんだ、けがをしながら子供たちが学んでいく危険性や、危険性を避ける技術を身につける、こういう遊具は必要なんだ、子供がけがをするということはあるんだ、しかし命を落とすようなものは、これはなくしてほしいんだということを訴えられていました。

 ですから、もう時間かけて時間かけて立派なすばらしいガイドラインをつくられるということは期待していますけれども、その間に子供たちがどんどん事故で死んでいる。これは、ガイドラインをつくるまでもなく、私は、この箱ブランコについては当面使用禁止にするなり撤去するなりやらないと、今年度内に箱ブランコの関係のガイドラインはできたけれどもその間に何人か死んだというのは、それはとんでもないことだと思うんですね。

 もう撤去をやっている自治体がどんどん今ふえています。そういう意味では、自治体としても不安で不安で仕方がないという状態があって、かなり問い合わせもあると思うんですけれども、今まで通達なども出していただいていますけれども、きちんと撤去という形でやはりこの時期にはやるべきでないか。その上で立派なガイドラインをつくるというのは、それは結構だと思うんですが、その点いかがですか。

扇国務大臣 瀬古先生の切実な、子供を持つ親のお話も、私もよくわかります。

 ただ、地方自治体で管理しておりますし、今先生が撤去したらどうだというふうにおっしゃいましたけれども、全国の都市公園の遊戯施設というものは、今まで事故分析をしますと、事故があった件の中で一番パーセンテージが多いのは複合遊具なんですね。複合の遊具において事故を起こしたものが十二年度で七五%を占めて、合計で、平成八年度から資料をとっておりますので、複合遊具が四十八件ですから、五六%を占めております。そして、普通のブランコ、箱ブランコじゃなくて普通のブランコが一五%で、箱ブランコは九%なんですね。

 ですから、箱ブランコだけを撤去したら安全性が確保できるかということではなくて、パーセンテージからいいますと、複合遊具を一番先、五六%を占めているものを撤去しなきゃいけないということになりますので、そうではなくて、やはりその中で子供がいかに学んでいき、その遊具を利用しながら子供たちがみずから知恵を出して伸び伸びと育っていただきたいという思いは同じでございますので、私は、ぜひこのガイドラインをつくって、公園で子供たちが子供たちらしくこれを使って遊んでもらえるような安全性の確保のガイドラインをつくり、しかも、このガイドラインの検討を進めるに当たりましては、御存じのとおり、検討委員会の中に幼稚園、保育園を所管します文部科学省の皆さん方にも入っていただいて、省庁一緒になって委員会で検討していただいています。

 本年度内というのはもう間もなくでございますので、ぜひ先生にも今後お知恵があれば出していただいて、ただ撤去すれば安全が確保できるというのではなくて、より子供が有効に利用していただけるようなガイドラインをつくりたいと私は思っております。

瀬古委員 もう時間がございませんので、あとは言えませんけれども、やはり、私が箱ブランコの例を出したのは、重傷事故や死亡事故が相次いでいるという問題で特別に出しているんです。もちろん、もっと危険ないろいろな遊具もございますけれども、それはそれで、死亡事故がもし起きるという場合は、それは考えなきゃいかぬのです。

 しかし、これほど死亡事故や重傷事故が起きているひどい遊具というのはやはりないわけで、そういう点では、私は何らかの検討をしないと、何かこれが問題にできないような理由が国土交通省にあるのかとつい思わざるを得ないので、そうでなければ、やはり毎日毎日のことですから、撤去するかどうかも含めて、ぜひこの箱ブランコの研究と御検討は、これは急いでやっていただきたいと思います。

 最後、その一点だけ、イエス、ノーだけ、大臣に。

赤松委員長 いや、もう終わっておりますから。もう時間が来ておりますので。

扇国務大臣 させていただきます。

瀬古委員 ありがとうございました。では、よろしくお願いいたします。

赤松委員長 日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 農住組合法と緑地保全法について質問いたします。

 先ほど山田先生のお話で、本当にこの法律はどの程度効果があるのかというお話がありましたので、なるほどというふうに私も思ったんですが、その辺も含めてちょっと御質問したいと思うんです。

 二十年で六十三組合しか、いや、あるいは六十三組合もという評価もあるかもしれませんが、六十三組合しか残念ながら結成をされていないという御報告がありました。先ほども何か御質問があったと思うので、その基本的な原因は一体どこにあるのか、法律上の問題があるのかどうなのか、それらも含めて一つ聞きたい。

 私は埼玉なんですが、埼玉は五組合ほどこれまで結成をされてきましたけれども、平成五年を最後にしてそれ以後はないわけなんです。どうも、仄聞するところによると、この法律を使うよりも例えば土地区画整理事業でもう少し広い範囲をやってしまうとか、その中に含めて分合なんかもやるとかいう手法の方が非常に使われていて、むしろ限定したこのやり方、制度ではなかなか使い勝手が悪いんじゃないか、あるいは、近隣との関係も含めてどうも十分に効果が発揮できないんじゃないか、そんな思いがあるのではないかというふうに想像しているんです。そういう意味で、あるいは再開発事業もそうなんですが、土地区画整理事業や再開発事業、これらの制度と比べて、この制度はどうも限界がある、そういう感じがしてならないんです。

 そういう意味で、局長で結構ですが、ちょっと御見解をお願いしたいと思います。

河崎政府参考人 ただいま先生御指摘になりましたように、農住組合の設立総数が二十年間で六十三組合という実績は確かに少ないと言わざるを得ないと存じております。

 この原因でございますが、農住組合制度そのものは非常に柔軟な制度で、基盤整備から上物の整備まで一体的にこなせる制度という特色を持った制度でございまして、私どもとしては制度的には非常に活用できる制度だというふうに思っておるわけでございますが、残念ながら、地元市町村あるいは地元農協の現場担当者レベルにおきまして、制度の意義あるいは効用につきまして十分な御理解が得られなかったというのが大きな原因だというふうに考えております。

 ただ、六十三組合の設立の推移を見てみますと、昭和五十六年に法が施行されて平成三年までの十年間では七府県十五組合でございました。これが平成三年以降の後半の十年間になりますと四十八組合ということで、三倍以上の伸びを示しているわけでございます。この間、平成三年、平成六年に逐次対象地域を拡大したり、あるいは地区要件を緩和した。さらに、最近地価が下落をするようになってまいりまして、農地所有者の方が持っていても仕方がない、やはり土地は有効活用しようというふうな機運も高まってきた。それに、我々地道にやってまいりました講習会の開催だとか、あるいはアドバイザーの派遣といった普及啓発の効果が近年になってようやくあらわれてきたのではないかというふうに考えておりまして、今後とも普及啓発に努めてまいりたいと思っております。

 それから、もう一点御指摘のありました、市街地整備事業の手法として限界があるのではないかというふうな御指摘でございます。

 現在、市街地整備の手法といたしましてはさまざまな手法がございまして、ただいま先生から御指摘ありました土地区画整理事業あるいは市街地再開発事業等々のいろいろな再開発事業というのがございまして、農住組合事業もその一つの手法でございます。確かに、数の上では土地区画整理事業や市街地再開発事業が主流になっております。それに比べまして、農住組合の事業実績は少ないと言わざるを得ないわけでございます。

 この背景といたしましては、何と申しましても、土地区画整理事業というのは大変長年の歴史があり、かつ実績もある事業でございまして、各公共団体に非常に深く浸透しておりますし、施行主体も地方公共団体あるいは公団、組合、個人、幅広いものがございます。一方、農住組合事業というのは、あくまで農地所有者の方々の自発的な発意に基づいて設立をし事業を行うという事業でございますので、そういった意味での両者の違いによって大きな差が出てきているというふうに考えております。

 しかしながら、農住組合事業は、市街化区域内農地を、必要に応じて営農を継続するという特色を持ちながら良好な住宅地に転換をするという特色ある制度でございまして、例えば、周辺がある程度市街化が進行してきている、そういうことで大規模な区画整理事業の実施について合意形成が困難な場合というのがございます。また、農地所有者の方々が、当面営農を継続しながら一方で良好な住宅地を供給したいというふうな意向がある場合には、市街地整備の一つの有効な手法として、今後とも我々としては重要な役割を果たすものと考えておるところでございます。事実、これからも農住組合を活用したいという旨の要望もたくさん参っておるところでございます。

日森委員 今のお答えでよくわかりました。

 広い範囲の区画整理事業だと合意形成がなかなか難しい。その場合、もう少し小さい範囲でこの制度を活用してともかく進めようということはわかるんですが、そうすると、土地区画整理事業の何か補完的な役割を果たしていくような制度ではないかという気が一方ではします。同時に、区画整理事業自体も、土地のただ取り法とかいう批判も当然ありましたし、必ずしも今でも評判がいいということではないんですが、どうもそんな気がしてならないんですが、それはそれでうまく組み合わせてぜひ活用していただきたいと思うんです。

 ちょっと関連して聞きたいんですが、先ほど、この制度を存続させるためにアンケートをおとりになったら、約百組合から希望があったと。先ほどの御質問もありましたけれども、どうも地域的に偏りが甚だしいということがあったんですが、その百組合というのは大体どういうところから手が挙がっておられるんでしょうか、ちょっと参考までにお聞かせいただきたいと思います。

河崎政府参考人 現在の六十三組合の存在する県は十九都府県でございますが、これからの百八組合については二十八都府県に広がってきております。これは、あくまでアンケート調査でそういう要望があるという時点でございますので、どこにどのぐらいというところまで突っ込んだ御説明はなかなかできないのでございますが、例えば、今まで全く実績のなかった東北地方にもございますし、それから沖縄にも広がってきているといったようなことで、従来よりもかなり広い範囲に広がる可能性があるというふうに考えております。

日森委員 そこで、先ほど局長の御答弁でもございましたが、この制度を実際活用するに当たって、例えば農協とかいうところに大変事務の負担がかかるとかいうことがあるわけなんです。これを普及させていって本当に百組合が実際にやってみようという思いになっていくためには、この制度を支援していく農協等に対する市町村あるいは国の支援が当然必要になると思うんです。その辺について、具体的にどうお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。

河崎政府参考人 農業団体に対する支援についてでございますが、農住組合制度におきましては、農住組合法第九十一条の規定によりまして、事業の円滑な実施を図るため、農住組合が農業団体等に対し必要な助言、援助を求めることができるということになっております。この制度を十分に生かしていくためには、農業団体の職員の方々が制度の趣旨や事業手法について十分な知識を持って事に当たられることが重要であるというふうに考えております。

 このため、国といたしましても、農業協同組合の担当者等を、これは市町村も含めての話でございますが、対象といたします農住組合制度に関する講習会を定期的に実施しておりますし、地方公共団体、県のレベルにおきましても、県独自に行う市町村職員や農協担当者を対象とした講習会、あるいは地域ごとに開催される情報交換会の実施というようなことで内容の周知に努めているところでございます。

 それから、もう少し農業団体と市町村の連携というのが大事ではないかなというふうに我々は常々思っておりまして、そういった観点から、実は今年度から、市町村に対する補助制度、具体的に言いますと、農住組合事業の地区と周辺を一体的に考えて道路等の基盤整備計画を市町村が策定する場合、あるいは農住組合の地区で市民農園等の農住コミュニティー施設を市町村がやりたいという場合に新たに補助をするというようなことを始めましたので、そういったことを通じて、市町村の積極的な参画を求めていくようにしていきたいというふうに考えております。

日森委員 農業団体に対するそういう支援措置もそうなのですが、一つは、実際に農住組合をつくりたい、つくってやってみよう、そういう地域に対して、例えば国やあるいは市町村が、市町村は難しいかもしれませんが、国がコンサルタント的な者を派遣して、実際にこういう手法でやればこういうふうになりますというようなことを具体的に一緒になって勉強できる、そんなシステムも必要ではないかという気がするのです。ぜひ御検討いただいて、しっかりやっていただきたいというふうに思います。

 ちょっと時間がなくなりましたので、都市緑地保全法について二点だけお聞きをしたいと思います。

 一つは、緑地を保全していくというのは自治体の役割が非常に大きい。自治体でどういう政策を持って緑を保全していくか、これは非常に大きな課題になっているのだと思うのです。私の知っている範囲での自治体の中でも、例えば緑の町づくり条例とかいう条例を制定して、そして、この町の緑をきちんと守っていこうという動きが随分活発になっているというふうに聞いています。

 今、分権の時代ですから、特に国でガイドラインを指し示すというのは当然のことなのですが、むしろ、自治体に負担を余りさせないで、支援措置を講じて、自治体みずからが条例などでこの町の緑をきちんと守ろうというふうなところに誘導していく必要があるのではないか、そんな気がしているのです。

 基本計画がまだまだ少ないというお話がございましたけれども、それも関係して、どうやって関係自治体にこれを広げていくのか、その基本的考え方についてお聞きをしたいと思います。

板倉政府参考人 先生御指摘のとおり、緑地の保全あるいは創出といったテーマで一番基本になりますのが緑の基本計画の策定促進ということでございまして、これはおっしゃるとおり市町村が策定主体でございまして、いかにその市町村の取り組みが強化されるかというところにポイントがあろうかと思います。

 私ども、これまでも、策定市町村に対しまして、技術的な助言とか策定費補助というような形を通じまして、できるだけその策定が促進されるようにということで努力してまいっておりまして、今までの策定市町村が三百五ございますが、その三分の一に当たる九十五市区町村が、平成十一年度一年で策定されたということも事実でございます。

 今回の法改正におきましては、この緑の基本計画の中身を充実すると同時に、策定に当たりまして住民参加の手続をきちっととるように法律で書いたところでございまして、近年、里山の保全とかそういった関心が非常に高まっておりますけれども、そういうことをバックにしまして、さらにその策定が促進されるように努力してまいりたいと思っております。

日森委員 時間がなくなりました。最後にお願いなのですが、そういう意味では、緑を守る、あるいはふやしていくという意味でのNPOの団体、今度これも含まれることになりましたけれども、むしろ、国土交通省だけでやるというのは大変厳しさがあるかもしれませんが、このNPO団体を育てていく、そういう支援策もぜひ具体的に考えていただきたいということをお願い申し上げて、時間が来ましたので質問を終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 井上義久君。

井上(義)委員 初めに緑地保全法についてお尋ねしたいと思います。

 都市における緑地の保全は、都市景観とかあるいは豊かな生活環境の確保といった意義にとどまらず、最近クローズアップされてきておりますヒートアイランド現象への対応でありますとか、あるいは都市防災の上で極めて重要である、このように思うわけです。

 ところが、都市の人口集中に反比例して都市の緑地が減少してきている。都市緑地保全法が制定された昭和四十八年以降もその傾向は変わらないというふうに伺っているわけでございます。特に、平成六年、七年には、緑の基本計画の策定とか、あるいは緑地保全、緑化推進の制度拡充などを内容とする法改正も行われている。また、平成六年七月には施策の体系化と目標の設定を盛り込んだ緑の政策大綱も策定されておりまして、旧建設省はこの大綱に沿って総合的な対策を推進してきた、このように理解しているわけです。

 都市の緑が減少し続けているという状況を見ますと、これまでの法制度とかあるいは施策というものが余り有効に働いてこなかったのではないか、このように言わざるを得ないのではないかと思うのですけれども、それについての認識と、もう一点、省庁再編で国土交通省になって、これまでの都市だけではなくて、港湾だとか空港とか、極めて広い面を所管するようになったわけでございまして、この統合のメリットを生かして、緑の保全の上でも今後強力な取り組みが必要だと思うのですけれども、まずこの二点についてお尋ねしたいと思います。

板倉政府参考人 お尋ねの第一点目につきまして、事実関係だけ申し上げますけれども、都市の緑地の減少に対して、緑地保全地区等の現行制度が余り有効に働いていないのではないかという御指摘でございますが、これにつきましては、一つは、先ほど以来申し上げておりますように、緑地保全地区の土地所有者が非常に高齢化しておりまして、管理が十分行き届かないということが一点。それから、税制面で相続税の軽減措置が講じられておりますが、それも必ずしも十分でなかったのではないかということが二点目。それから、自治体側の理由といたしましては、緑地保全地区を指定いたしますと行為規制がかかりますので、そうしますと土地の所有者から土地の買い取り請求が出てくる、そういったものに対する予算措置、財源措置を十分講じる用意がされていないというような事情があったかと思います。

 こういった問題につきまして、私どもは、できるだけその土地所有者の負担軽減を図りつつ、都市の緑地の保全が有効に機能するようにということで、例えば、緑地保全に関する補助の法定化をしたり、予算措置としまして平成十三年度で約二・二倍と買い取り予算を増額する、あるいは緑の基本計画の制度の拡充に努めるといったような関連施策につきまして充実に努めておりまして、さらにこれが一層活用されるように努力していきたいと思っております。

扇国務大臣 今井上先生から緑の政策大綱についてのお尋ねがございましたけれども、今御指摘されましたように、私どもとしては、旧建設省、御存じのとおり、平成六年でございましたけれども、この二十一世紀の初頭を目標として、この緑の政策大綱の中で目標を三つ立てました。

 御存じのとおり、この目標を三つ立てました中には、道路、河川、公園等の緑の公的空間量を三倍にするというのが一つでございます。また、所管の公共施設等の高木の本数を三倍にする、これが二つ目でございました。三つ目には、市街地におきます民有地も含めた緑地の占める割合も三割以上にしよう、そういうことを目標にいたしました。

 このアクションプログラム等々につきまして、平成八年には改めて大綱のアクションプログラムをつくりまして、それに基づいての諸施策の展開を図ってまいりました。

 今回の省庁の再編を踏まえまして、先生から、どのような統合のメリットがあるのか、どうしていくのかというお話でございますけれども、これまでも、御存じのとおり、道路、河川、公園等を対象といたしまして緑の政策大綱を決定して、あるいはそれを改定しながら、そして、特に今回は、港湾や空港を含むより効率的、効果的な、総合的な形で都市の緑の確保が図れるように今後は努力していくということでは、今までのものをよりスピーディーに、より総合的に前進するということでございます。

井上(義)委員 先ほど局長から緑の基本計画のお話がございました、市町村が総合的な都市における緑地保全のマスタープランとなる緑の基本計画を策定することが極めて重要と。ところが、実際は、都市計画区域を持つ市町村の一五%、マスタープランを持っている市町村の半数にとどまっているという現状を考えますと、やはりこの基本計画は、しっかりつくってもらうといいますか、市町村につくらせるということは非常に重要だと思うんですけれども、その辺について、これからの取り組みをちょっとお伺いしたいと思います。

板倉政府参考人 井上先生御指摘のとおり、緑の基本計画の策定を促進するということが何よりも都市の緑を保全、創出する上で大切なことであるというふうに私どもは思っておりまして、先ほども御答弁申し上げたんですが、これまでも策定市町村に対しまして積極的に技術的助言とか策定費補助というようなことを行ってきたわけでございまして、ここに至って策定がややピッチを上げて進んでいるということでございます。

 今回の改正におきましても、この緑の基本計画の中身の充実とあわせまして、今里山の保全とかそういうことで住民の関心が非常に高まりつつございますので、できるだけそういった住民の参加手続の中で緑の基本計画が策定されるように、法律上義務づけるというようなことを講じまして、さらにその策定が促進されるように私ども一層努力していきたいと思っております。

井上(義)委員 ちょっと具体論に入りますけれども、今回の改正のポイントの一つは緑地管理の強化ということです。里山なんかで残されている貴重な都市緑地が所有者の高齢化などで荒廃、減少が進んでいるというようなことから、いわゆる管理協定制度を創設して土地所有者の負担を軽減する、あわせて自治体とかNPOがより積極的に緑地保全を図れるような仕組みをつくろう、このこと自体は私も高く評価しております。

 ところが、今回創設された管理協定制度、この適用範囲が緑地保全地区に限定されているわけです。緑地保全地区は現状極めて少ないわけでございまして、これで本当に緑地の保全が進むのかというのが疑問としてあるわけでございますし、また、いろいろ話を聞きますと、緑地保全地区に限定はしているんですけれども、管理協定ができれば緑地保全地区の指定が推進できるんじゃないか、こういうことが背景にあるのかなというふうには思うんですけれども、実際にこれで緑地保全地区が相当拡大するというふうに考えていらっしゃるのかどうか、それをまず確認しておきたいと思います。

板倉政府参考人 管理協定制度というのが緑地保全地区に限定されていて、それが本当に実効が上がるのかという御指摘かと思います。

 確かに、これは相続税の現在の緑地保全地区内における四割程度の軽減措置をさらに管理協定を結んだ場合には高めるということで、ある種の、客観的に範囲を確定するために緑地保全地区に限定するというようなことが必要になっているわけでございます。

 御指摘のように、この軽減措置を講ずるということが一番、私どもが目指しておりますのは、土地所有者の負担を軽減するというところに着目しておりまして、それによりまして土地所有者の協力がより一層得やすくなるということで、緑地保全地区の指定が促進されるんではないかという期待を持っているわけでございます。

井上(義)委員 それともう一点、管理協定制度を軌道に乗せて緑地保全地区の指定が円滑に進められるようにするためには、一つは予算措置とか、あるいは実際に管理をしてもらうNPOなんかを含む緑地管理機構などへの助成とか、そういう周辺施策が必要なんじゃないか、このように思うんですけれども、どういうことを具体的に考えていらっしゃるか、お聞きしたいと思います。

佐藤副大臣 井上先生おっしゃるとおり、やはり促進をするためには国の支援措置が非常に大事であります。そのために、今年度の予算、土地の買い入れですとか施設を整備するのに二・二倍に増額いたしております。二十九億五千万という予算を組ませていただいております。

 さらに、地方公共団体が機動的に、裁量的にこういうことを推進していくという上で、統合補助金制度を創設することにいたしております。要するに、ひもつきでない、自由に、裁量的に施設をつくったり土地を買ったりできる、そういうこともさせていただいておるわけであります。

 NPOの問題は、もちろんそういう方々の協力をいただかなければこれは維持管理がやっていけないわけでありますから、NPOの支援策に対しては、今全体のNPOに対しての支援策の議論も巻き起こっているところでありますから、鋭意検討させていただきたいと思っております。

井上(義)委員 ぜひ前向きに検討していただきたいと思います。

 それから、もう一つのポイントは、いわゆる緑化施設整備計画認定制度を創設したことだと思うわけです。

 ヒートアイランド現象というのが非常に大きな問題になっていまして、このヒートアイランド現象の緩和のために都市部の緑化面積、緑被率をどう拡大していくかという観点で、我々もこれまで長い間主張してきましたけれども、いわゆる屋上緑化あるいは壁面緑化というようなこと、具体的にこれを進めるということは今回初めて制度として出てきたわけでございまして、これまで東京都初め全国の自治体で相当一生懸命やっていて、国の支援措置を求めていたということからいえば、私は大変大きな前進だ、こう思うわけでございます。

 具体的に屋上緑化を進めていくに当たって、特に、地域によっては例えば目標なんかをきちっと決めて具体的に推進するというようなことがないとこれはなかなか進まないんじゃないか、こう思うんですけれども、この点どうでしょうか。

板倉政府参考人 屋上緑化を進めるに当たりまして目標を具体的に設定すべきではないかということでございますが、私ども、先生御案内のとおり、国のレベルにおきましては、緑の政策大綱におきまして、二十一世紀初頭を目途といたしまして、市街地に占める緑地の割合というのを三割以上、先ほど大臣が申されたとおりでございまして、それからアクションプログラムでも、二〇〇〇年までに二五%以上を目標とするというようなことを掲げております。

 それで、その中で屋上緑化をどう位置づけていくかという問題でございますが、これはやはり各市町村におきまして策定される緑の基本計画の中で具体的には御検討いただきたい。例えば、先生先ほど御指摘になりました東京都、これは大変先進的な取り組みをされておりまして、今後十五年間の屋上緑化の目標としまして、都市公園の約半分に当たる千二百ヘクタールを屋上緑化する。これは別の見方からしますと、緑化可能な屋根の屋上の面積の約三分の一に相当するという、目標水準としては非常に高い目標を設定されているわけでございます。

 こういった先進的な取り組みを私ども十分に参考にさせていただきまして、新しく策定する緑の政策大綱におきましても屋上緑化をきちっと位置づけまして、そしてまた、各自治体が策定する緑の基本計画におきましても具体的な目標として設定されるように、公共団体とよく御相談を申し上げていきたいと思っております。

井上(義)委員 それから、この認定制度の認定要件が、聞き及ぶところによりますと、面積でいうと千平米以上というふうに想定されているようなんですけれども、千平米といったらかなり大きな建物だと思うんですよね。

 この千平米にした根拠と、地域によってはもう少しこれを緩和して、進捗状況によっては見直していくということが必要なんじゃないかと思うんですけれども、その辺はどうでしょう。

板倉政府参考人 屋上緑化等の敷地面積といたしましては、私ども、御指摘のとおり、千平米以上ということを考えているわけでございますが、これは緑地が少ないオフィス街等におきまして、緑化が周辺の環境改善に一定程度の効果が期待できる規模ということで、一応千平米ということを考えたわけでございます。

 それから、税の優遇制度も、固定資産税が軽減されるということで絡んでおりまして、これはある程度事業者が努力していただくということを前提に仕組まれた制度でございますので、やはり一定の規模というものが求められるということではなかろうかと思います。

 なお、ちなみに、この一千平米ということになりますと、東京二十三区を例にとりますと、着工建築物の敷地面積の約半分程度が対象になってくるということでございます。

 とりあえず、そういうことで、千平米以上ということでスタートさせていただきたいと思いますけれども、その後の政策効果等も見きわめながら、必要があれば見直しについて検討させていただきたいというふうに考えております。

井上(義)委員 それから、この屋上緑化なんですけれども、税制を主体とする今回の支援措置、固定資産税を半分にする、これだけで果たして本当にインセンティブとして十分なのかなということを非常に心配しています。やはりこの屋上緑化というものが目に見えて進んでいくというふうにするためには、この屋上緑化に伴う、そういう税制上のインセンティブだけではなくて、例えば省エネですとか社会貢献とか、いろいろな効果もあると思いますし、そういうことを周知、広報するということと、もう一つは、それぞれ自治体がさまざまな政策を展開しているわけでございまして、そういう都市部の自治体との連携ということがこの政策効果を倍増するようになるんじゃないかというふうに思いますので、今後の、この事業の効果的な推進について御所見を承れればと思います。

佐藤副大臣 先生おっしゃるとおり、固定資産税の軽減措置はもちろんでありますけれども、そのほか、資金のあっせん、そういうことも今考えておりますし、それから、緑化施設の管理の代行をする、そういうことも今考えておるわけであります。

 さらには、先ほど統合補助金制度を創設したということを申し上げましたけれども、屋上緑化もやはりこの制度を利用しまして、そして十分に推進できるようにやってまいりたいと考えております。

 さらに、容積率の割り増し制度もつくりまして、そして屋上緑化面積相当の床面積を割り増ししていきたい、そういうことも考えておるわけであります。

 さらに、先生今おっしゃったとおり、推進するためのいろいろなPRをもっともっとしなくちゃならぬと思っております。先ほどからお話が出ていますとおり、ヒートアイランド現象の緩和なんというのはもちろんでありますけれども、屋上に緑化施設をつくりますとそれだけ建物の寿命が延長する、そういうこともありますし、緑が屋上にありますと建物のイメージもアップするわけでありますから、そういうことも含めまして、いろいろなメリットを幅広く関係者に知ってもらう努力をさせていただきたいと思っています。

 そして、これらを周知、普及することによって、この屋上緑化の促進を一層図ってまいりたいと考えております。

井上(義)委員 扇大臣、都市再生本部がスタートをいたしまして、扇大臣が中心的な役割をこれから果たされることになると思いますけれども、この都市再生のキーワードの一つが、やはり緑の確保ということだと思うんですけれども、大臣の御決意を承れればと思います。

扇国務大臣 小泉内閣になりまして、御存じのとおり、森内閣のときに言われました緊急経済対策、その中に都市基盤整備というものがございましたけれども、それをより早急に立ち上げなければならないということで、小泉内閣になりまして、五月の八日に内閣のもとに都市再生本部を設置いたしました。けさ第一回の会合を開いてきたところでございます。

 井上先生がおっしゃいますように、今だんだん少なくなっております都市の中で、いかに緑の重要性というものを私たちは考えなければいけないか。土地利用の再編あるいは公共施設の地下化によるオープンスペースを確保して、失われた緑を回復する、そういうことも欧米諸国では既にやっております。

 歌にありますように、「東京砂漠」という歌までできて、これでは私、とても皆さんが潤いの持てる人生を送ることができないと思います。そういう意味では、私は、これは失われた身近な緑を回復する、そして川のせせらぎも回復するということで、日本橋ももう一度復活させようというようなことも含めまして、この都市再生本部において、少なくとも緑を回復し、しかも、ゆとりのある、精神的にもすばらしい国際都市だなと外国の皆さんが見学に来てくださるような、そういう緑を回復した都市づくりというものを今後計画していきたいと思っております。

井上(義)委員 農住組合法についてこれまで議論が随分出ておりましたが、私は今回の再延長について、一つは、総量として住宅需要が減りつつある中で、本制度を継続する必要性が希薄になっているんではないか。それから二つ目は、既成市街地内にまだ多くの低未利用地があるわけで、住宅供給に農地を充てる必要はもうそれほどないんじゃないか。それから三つ目に、都市環境や防災上の観点から、市街地内の農地が高く評価されつつあるわけで、これは今まで議論してきたとおりですけれども、助成策を講じてまた宅地化を促進するということについてはいかがなものかというような意見、指摘がなされているわけでございます。

 この市街化区域内農地の宅地並み課税の問題、生産緑地の問題、これについては別なところで議論しなければいけないと思っていますけれども、やはり生産緑地なんかの指定要件なんかも若干時代に合わせて変えていく必要があるんじゃないかということも含めて、別なところで議論したいと思いますけれども、今回これを延長した根拠といいますか、先ほどから若干議論が出ていますけれども、こういう指摘があることについて、もう一回確認の意味で答弁を求めたいと思います。

河崎政府参考人 まず、今後の住宅宅地需要についてでございますが、御指摘のとおり、長期的には住宅需要というのは減少に向かっていくだろうということでございますが、住宅需要の基礎となる世帯数の見通しによりますと、二〇一四年までは相当程度まだ増加が続くというふうに見込まれております。それを受けて、平成十二年六月の住宅宅地審議会の答申におきましても、今後当分の間根強い住宅宅地需要があるということで、平成八年から平成二十七年の間で約十三万ヘクタールの宅地需要が見込まれるというふうに指摘をされているところでございます。

 この場合、これらの需要にどういうふうに対応していくかということでございますが、確かに御指摘のとおり、都市部に残る工場跡地だとかあるいは駐車場、低未利用地を活用した住宅供給というのは都心居住を実現するという意味でも大変重要な課題であるというふうに思っております。一方で、市街化区域内農地も、具体的に言いますと、今後とも根強い住宅需要が見込まれるような比較的都心に近い地域、あるいは通勤に便利な駅の周辺、地方都市の中心部といったようなところにも相当残っております。

 したがいまして、こういう地域につきましては、今後とも農地の転用というのが進んでくるのではないかというふうに思っておりまして、それを個別に開発をするということになりますと、農地と宅地が無秩序に混在したり公共施設の足りない住宅が供給されるといったようなことで、かえって緑だとか防災機能にとってマイナスになってくるのではないかというふうに思っておりまして、ここはやはり、農地所有者等が協同して組合をつくり、基盤の整った良好な住宅地を形成する農住組合制度の意義は今後とも大きいのではないかというふうに思っております。

 さらに、昨年アンケート調査をやったわけでございますが、その結果、市町村から返ってまいりました答えは、現時点で今後十年間に約百組合の設立が見込まれるというようなこともございますので、そういったようなことから、今回、組合の設立認可期限を十年間延長するということをお願いすることとした次第でございます。

井上(義)委員 制度、政策あるいはこの法律、やはり常に政策効果というものをきちっと評価、検証していくということは、これから非常に大事だというふうに思っています。都市の緑地保全ということについて、もう少し総合的にこれから、先ほどもちょっと指摘しましたけれども、市街化区域内農地の今後の扱いの問題等を含めてきちっと議論をしていきたい、こういうふうに思っておりますので、最後に扇大臣の御所見を承りまして、これで終わりにしたいと思います。

扇国務大臣 井上先生から総合的な御意見を賜りました。私は、最初に申し上げましたとおり、これの延長が果たして必要なのかどうかということも随分検討させていただきました。そして、今需要と供給の問題から考えれば果たしていいのであろうかということも、いろいろなデータを勘案しながら検討させていただきましたけれども、むしろこれがなくなったら、あるいは住宅と農地とのバランス、それから整合性がとれなくなると今局長も一言申しました。そういうことから考えても、特に、都市の近く、いわゆる住宅と通勤地域の近接ということからもまだ需要があるという結果が出ましたので、今回の法律として出させていただきました。

 それぞれのメリット、デメリット等々ございますので、何よりも私は、この法案によって、組合と今までの全国のバランスを先生もさっきお聞きいただきましたように、一生懸命やったところだけがふえているという結果が出ておりますので、ぜひ、この法案が十年延長されたということを地方整備局を通しまして各地域と組合とよく連絡をとって、農住法の延長の効果が上がるように指導してまいりたいと存じております。

赤松委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 まず、農住組合法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 次に、都市緑地保全法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松委員長 次回は、来る二十三日水曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会




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