衆議院

メインへスキップ



第15号 平成13年5月29日(火曜日)

会議録本文へ
平成十三年五月二十九日(火曜日)

    午後四時二分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 桜田 義孝君

   理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君

   理事 玉置 一弥君 理事 樽床 伸二君

   理事 河上 覃雄君 理事 山田 正彦君

      今村 雅弘君    木村 太郎君

      木村 隆秀君    倉田 雅年君

      佐田玄一郎君    下地 幹郎君

      菅  義偉君    田中 和徳君

      高橋 一郎君    中本 太衛君

      林  幹雄君    福井  照君

      松岡 利勝君    松野 博一君

      松本 和那君    谷津 義男君

      吉田 幸弘君    阿久津幸彦君

      今田 保典君    佐藤 敬夫君

      中村 哲治君    永井 英慈君

      伴野  豊君    前原 誠司君

      吉田 公一君    山岡 賢次君

      瀬古由起子君    日森 文尋君

      保坂 展人君    森田 健作君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   政府参考人

   (外務省総合外交政策局国

   際社会協力部長)     高須 幸雄君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 坂本 哲也君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  安富 正文君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局

   長)           高橋 朋敬君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君

   参考人

   (東海旅客鉄道株式会社代

   表取締役副社長)     松本 正之君

   参考人

   (ジェイアール東海バス株

   式会社代表取締役社長)  吉川 公行君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十九日

 辞任         補欠選任

  坂本 剛二君     下地 幹郎君

  大谷 信盛君     中村 哲治君

同日

 辞任         補欠選任

  下地 幹郎君     坂本 剛二君

  中村 哲治君     大谷 信盛君

    ―――――――――――――

五月二十九日

 自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 小型船舶の登録等に関する法律案(内閣提出第九一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第七三号)




このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省鉄道局長安富正文君、自動車交通局長高橋朋敬君、航空局長深谷憲一君、外務省総合外交政策局国際社会協力部長高須幸雄君及び厚生労働省政策統括官坂本哲也君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、参考人として東海旅客鉄道株式会社代表取締役副社長松本正之君及びジェイアール東海バス株式会社代表取締役社長吉川公行君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。佐藤敬夫君。

佐藤(敬)委員 御苦労さまでございます。

 旅客鉄道株式会社及び日本貨物鉄道株式会社に関する法律の一部を改正する法律案、こういうことでありますが、私も初当選が昭和六十一年でございます。大臣と一緒に、その当時、自民党の中で、いろいろ鉄道改革の仕事、三塚さんや加藤六月さんや鹿野さんや皆さんと一緒にかんかんがくがくの議論をさせていただいたことが、もうきのうのような思い出になっております。しかし、さはさりながら、この十五年間、本当に想像を絶するような、現場もあるいは政治の局面も大変難儀が多かったことだな、こう思っております。

 平成三年に私が運輸政務次官のときに、実は、国鉄改革の精神というのは何だろうかと。それは鉄道の再生ということに尽きるんだ。そして、そのためのもろもろの条件の整備が、総体として具体的な政策としての国鉄改革を形成しているんだけれども、その中でとりわけ大切なのは、もう親方日の丸というところから脱皮しよう。そして、国鉄時代のような、いざとなれば国が面倒を見てくれるような仕組みや認識のもとでは、もう自立経営はできませんよ。まさに、自分の責任で行う、自分の判断が求められる。JR各社が、外部要因に制約されることなく、みずからの責任において経営を行い得る体制を確立することだ。そういうことに基づいて、実は我々も見守りながら十五年走ってきたわけですね。

 ところが、ここへ来て、それぞれスタートした本島三社、そして北海道、四国、九州、JR貨物、こういう問題がまだなかなか思うようにいかないで、少し残っておりますね。こういう中で、JR東の松田さんや東海の葛西さんや西日本の井手さんも残った。スタートのときは本当にそういう意味で一体感があったのですが、ここへ来て、いろいろな記者会見や会社の政策や何かについて、それぞれ会社経営の実態を抱えているわけですから、何か統一しているのかな、これはどういうことなんだろうと思う部分がたくさん見えてきた。

 ところが、この法案の仕上がりに向かって大臣が、この三社の社長と会長ですか、よくお話し合いをされて、少なくとも、この舞台にこの法案を取り上げる行動では一斉にテーブルに着いた。その辺の御苦労話をちょっと御答弁いただけませんか。

扇国務大臣 佐藤先生とは、かつて政務次官もなさっていらっしゃいますし、本当に、私たち御一緒の当時、この国鉄のことでお互いに議論を闘わせた経緯もございます。

 また、今日のJRの分割、民営化になるときの、分割のときのあの激論から考えますと、今のJRの経営状況、そしてまた、その陰で、職員の皆さん方が転職して、多くの皆さんが御苦労されました。それを佐藤先生もじかに御存じですし、私も、私はパン屋さんになった、私はおうどん屋さんになった、あるいはキヨスクでお客様に、いらっしゃいませ、こんにちは、ありがとうございましたと、今までしたことがないことをするようになったという多くの御苦労話も聞いております。

 私は、今回、JR三社同時にスタートしたいという願いを持っておりました。それは、御存じのとおり、お客様に対しても、同じ線路がつながっていて、しかも、お客様に対するサービスも、やはり慣行とか、あるいは連携して仕事をしていかなきゃいけないということで、何とか三社の足並みがそろわないだろうかということで、JR東海、大変しょっている荷物がほかの二社よりも大きいので、本来は自分たちはおくれてもいいというようなお気持ちも大変強かったと思います。けれども、お客様の利便性から考えて、また、皆さんが今までせっかく努力されて、それぞれ借金がなければ黒字経営になっている。この大きさを考えますと、ぜひ同時スタートしていただくことの方が、お互いの励みにもなるし、そしてお客様にもいいサービスができるのではないか。

 そういうことで、いろいろと御事情を聞きながら、皆さん方、どうぞ思いどおりのことを言ってください、もう垣根なしにしゃべってくださいということで、三社そろって忌憚のない意見交換をしていただきました。私は聞き役だったと思いますけれども、むしろ、そのことで皆さんが思う存分御意見を言っていただいて、どうにか合意をいただいて、今日の同時スタートということが切れた。

 そのことだけでも、私は、皆さん方の、二十一世紀だからこうしようというこの今の大きなお気持ちを大事にして、そして、これはJRの職員の皆さんを初め、あるいは日本国民にとっても、この利便性というものを何としても活用していただきたい。そして、皆さんが協力して、安全に、皆さんに喜んでもらえるようなJRになっていただきたいということを、過去の経緯と、そして今後への、未来にかけたスタートになることを念じて、きょう法案も御審議いただいているというのが現状でございます。

佐藤(敬)委員 本当に御苦労さまでした。一つの大きな節目だと思いますし、そういう意味で、いかに厳しい状況に立ち至ったとしても、国の援助などに頼ることなく、自力で問題を克服しなければならないという仕組み。さらに、それがうまくいかなくなったら企業の存立そのものが危うくなるというぎりぎりの決断が常に求められていく。そういう精神の中で完全民営化というものを我々は目指していかなきゃならないんだということで合意をいただいたということでよろしいでしょうか。

 だとすれば、指針を定めるとなっておりますね。局長、今の精神でいけば、この三項目にわたる指針、運賃制度や共用駅等に関する問題だとか、国鉄改革の趣旨を踏まえた路線の適切な維持とか、関連事業における中小企業への配慮、こうあります。

 鉄道事業法の十五条、いわゆる線路の使用料は認可、こうなっていますね。そしてまた十八条は、運賃の通算等に関する協定は事前届け出になっていますね。二十八条、二十八条二項、路線の休廃止は事前届け出になっている。

 ということになると、指針というのは、鉄道事業法があるにもかかわらずもう一回これを適用するというのは、何となく政府の絡みがまだ後ろにべったりつくような感じで、さっき言った完全民営化の精神というものに基づくとすると、ちょっと余計なことなんじゃないのかなという気もするんですが、これはどういう経過でこういうことになったんでしょうか。

安富政府参考人 今先生御指摘のように、運賃の問題あるいは路線維持の問題、それから協定の問題、こういう問題については確かに鉄道事業法にそれぞれの規定がございまして、例えば運輸に関する協定ですと届け出という形をとっておりますし、鉄道線路の使用条件については認可という形をとっています。それから、路線についても、廃止の届け出ということです。

 ただ、これはあくまで手続的にこういう規定があるということで、今回、指針の制度で我々が考えていますのは、御承知のように、JR各社がばらばらで、もし併算制のような運賃になりますと長距離の運賃が非常に高くなってしまう、やはりこれは、もともと国鉄時代だったときの通算と同じようなことをやっていかなきゃいけない。

 ただ、この通算をやるかどうかというのは各社間の協定で決められているわけですが、鉄道事業法では、協定をどう決めろとまでは言えない、お互いにこういう協定を決めたのでこれを届け出ますという形の規制なわけでございます。我々としてはそういう情報を持っていなきゃいけないという意味で、鉄道事業法はそういう幾つかの規定を置いているわけです。

 それから、例えば路線の廃止にしましても、廃止をするとなったら、届け出るということで廃止ができるようになるわけですが、我々はこの指針の中では、できるだけ維持してください、さらに、国鉄改革の趣旨を踏まえた上で十分地元にも説明責任を果たしてください、そういうことをちゃんと言いたい。

 鉄道事業法が掲げています規制と、指針で掲げている精神、国鉄改革の趣旨にのっとってやるんだという精神は全く別でございますので、そういう意味で、今回、指針という形で、新たに最小限の措置として実施することにしたということでございます。

佐藤(敬)委員 仮に、その指針を定めざるを得ないとしても、その内容は必要最小限度にしなければならないと私は思いますし、あわせて、予期しないような規制が完全民営化されるJRに課されるようなことは絶対避けていかなきゃならないという思いは一緒だというふうに理解してよろしいですね。

安富政府参考人 まさに先生おっしゃるように、今回、完全民営化ということで本州三社が全く会社法の規制を外れるということでございまして、今後は、まさに自己の責任においてみずから経営をやっていただくということでございます。

 そうは申しましても、ただ、普通の民鉄事業者とは違う面がある。国鉄改革という中から生まれてきたということから先ほど言いましたような指針を設けていますので、この法律の中でも、この指針で盛り込む事項については制限的に書くようにしております。

 したがって、殊さら指針で詳細な規制なんかをいろいろ書いて細かく経営に介入するようなことは、現在我々としては毛頭考えておりません。あくまで自主的な経営を阻害することがないように今後の運用も図っていきたいというふうに考えております。

佐藤(敬)委員 では、もう一つなんですが、これらの会社が一般の民営鉄道と異なって国鉄改革の中で誕生したという経緯等から、「当分の間」と書いてありますね。当分の間というのがいつも法案のときに物すごい邪魔になるんですね、最後になってきますと。

 普通、常識だと、当分の間というと三年とか五年とかと思うんですが、一番長いのは、刑法施行法の第二十五条第一項に、「旧刑法第二編第四章第九節」公選の投票を偽造する罪「ノ規定ハ当分ノ内刑法施行前ト同一ノ効力ヲ有ス」と。明治四十一年ぐらいに定められた法律が、「当分ノ内」というのでずっと残ってきているんですね。

 この「当分」というのは、どういうふうに解釈したらいいですか。

安富政府参考人 先生御指摘のように、法律によっては当分の間ということでずっと長く続いているのもございます。したがいまして、我々はそういうことがないように気をつけなきゃいけないとは思います。ただ、問題は、現在、当分の間というのを何年というふうに具体的に切るのは非常に難しいと考えております。

 と申しますのは、先ほど来申しておりますように、国鉄改革の趣旨をどう体現するかということでこの指針ができ上がっておるわけでございますから、今後のJR会社の完全民営化の状況がどうであるか、うまくいっているかどうかとか、さらには長期債務、これは国民の負担も含めて償還についていろいろやっておりますので、そういう償還状況、それから、そういう点を照らして、国鉄改革が、最終的に、国民的に見ても、総合的に判断して終了したと考えられる時期まで、我々として、指針制度も含めた運用を図っていきたい。

 ただ、いつの時代にも、まだ要るのか要らないのかということは、常時見直していく必要があるというふうに考えております。

佐藤(敬)委員 「当分」というのが、三年ぐらいで、きちんと目安がつくように、ぜひまた御努力をお願い申し上げたいと思います。

 次は、株式の売却についてですが、大臣、JR会社法の適用が除外されたにもかかわらず政府が株式を所有しているのは必ずしも妥当ではないと思うんですね。したがって、できる限り早期に株式の売却を実施すべきだ、こう思うんです。しかし、売却に当たっては、私は、JR三社が同時に実施する必要というのは全くない、順次、それぞれ必要に応じて売却していくという方針でいいんじゃないかと思いますが、お考えはどうなんでしょうか。

扇国務大臣 今、佐藤先生が御指摘ございましたように、これは、公布の日から六月を超えない範囲で政令で定める日から、こうなっておりますので、私たちもなるべくこれは考えなきゃいけないことですけれども、施行するに当たりましても、少なくとも株の売却という現実がございます。

 今、数字的に、先生御存じだと思いますけれども、JR東日本発行株式の総数の四百万株のうち、公団の保有株が五十万株、JR西日本が二百万のうちの六十三万株、そしてJR東海が二百二十四万株のうちの八十九万株、こういうことになっておりますけれども、同時に複数のJRの株を売却するというのは、私は今の社会情勢から考えても少し無理ではないかというふうに思っております。

 技術的に難しい部分はそれはそれとして、いずれにしましても、この手順だとかあるいは日程等、現段階では未確定ではございますけれども、私は、状況を判断しながら、誤りなきを期していきたいというふうに思っております。

佐藤(敬)委員 どうぞ状況をよく注視しながら、誤りなきように運んでいただきたいと思います。

 やはり国鉄改革に残された課題というのは、三島会社と貨物会社の経営が改善され、上場し、そしてそれらが完全民営化されていく、それが国鉄改革の締めくくりなのだということをずっと言い続けてきました。

 このJR北海道、四国、九州及び貨物の経営は、本当になかなか先が見えない。特に、経営安定基金の運用益なんかにしても、ずっと率が下がってまいりまして、思うような運びになっていない。特に貨物に至っては、いろいろな事業の拡大なり、あるいはどう変身していくか、こういう問題も含めて、やはり何か行き詰まりみたいな感じもする。

 しかし、大体平成十三年まではこの目安を立てようということで努力してきたのですね。十三年という仮のめどを立てたって、やはり現状ではなかなか独立再建にはなっていかない。だとするなら、今度は新しい目標をどこに置いて、この三島と貨物の問題について取り組んでいかれるのか、ここを局長、決断をひとつお聞かせください。

安富政府参考人 先生御承知のように、JR北海道、四国、九州、それから貨物、いずれも十三年度に上場したいということで、関係者は必死の努力をしてきたわけでございますが、ただ、現実問題として、輸送需要の減退による収入の減少であるとか、先ほど先生もおっしゃいましたように、低金利の長期化によって経営安定基金の運用益が確保されないといったような、非常に経営環境が厳しい状況になっております。

 したがいまして、我々としては、今後、この経営安定基金の運用益の確保であるとか、あるいは、固定資産税の特例措置が切れるといったような問題もございますので、ここの手当てをどうするか、さらには、特にJR貨物等について各種助成制度をこれからどうしていったらいいのか、そういう点についていろいろ検討しながら、この完全民営化、上場に向けて、まず我々としては努力していく必要があるかと思っています。

 そういう意味で、ことしの四月から我々のところで、三島と貨物について今後のいろいろな経営支援の方策をどうしたらいいかということで、検討会を設けて具体的に検討を始めておりますけれども、そういう中で、ある程度の成案を得て、できるだけ早い時期にこの上場に向けてのスケジュールに乗っけていきたいというふうに考えておりますが、まだ今の段階で何年度という形で具体的にお示しするところまで至っておりません。

佐藤(敬)委員 局長、ついこの間の清算事業団のあの運用に至っても、一番懸念するのは、政府というのは従来から、安易に本州三社に負担をさせるというような発想をしがちであります。純民間会社として他企業と厳しい競争にさらされる今度の本州三社でありますから、理由のない負担を強いるようなことは決して行うべきではない。ともすると、どうしてもそういうことに、法律を組みかえてもやろうというのが、賛否はあってもこの間の一応の姿でありましたので、そのようなことをすればまさに昔の国鉄へ逆戻りさせてしまうということになるわけでありますから、国鉄改革の趣旨に基づいて、今言ったように、残された三島、貨物を含めて、まだまだ終わっていない、道半ばですぞという気持ちでぜひこの改革を進めていただきたいということをお願い申し上げておきたいと思います。

 最後なのですが、一番冒頭に、もうまさにアドリブで大臣からお答えいただいて、まとめ上げていくのに御苦労されたろうね、こういう同情と、本当は大変努力されたということに敬意を表したのでございますが。

 毎日新聞を見ると、JR東海の要望を受けて、新幹線債務の返済のための優遇措置を検討しているのだけれども、いかなる内容の措置を考えているのか。これは本当なのでしょうかね、新幹線補修を支援、税優遇制度を設置へ、こんなものが出ています。

 この辺の絡みについて、これは、例えば決めたとすると、JR東海だけに適用されるのか、あるいは、これから新しい設備、新しいものをいろいろ考えていくとすれば、こういうものは全部、東海にも、西日本にも、あるいはJR東にも対応される税優遇措置を考えておられるのか、この辺はどうなのですか。

安富政府参考人 経緯についてはもう先生御存じだと思いますので省略しますが、JR東海が、四・五倍という非常な長期債務を抱えているということから、税制措置を含めて何らかの措置を国に要望したいということをおっしゃったわけでございます。そういうことで、これから具体的な制度の検討を行っていく必要があります。

 新聞に出ているような制度、これは、一つのアイデアとしてはいろいろ考えられる。例えば、我々のところでも、民鉄関係では特特制度とかいうような制度もございますので、そういうものも含めたこういう税制面での準備金制度自体というものは、アイデアとしては考えられると思いますが、いずれにしても、これは具体的にこれからどういう方策があり得るのかということを我々としては検討していきたいと思います。

 こういう制度をつくる場合に、一般的な制度ということになりますと、特定の会社ということではなくて、その制度に乗り得る会社については適用があるということにはなってくるかと思います。

佐藤(敬)委員 ありがとうございました。

 十五年、本当に何か自分の政治生活も国鉄改革と一緒にという思いがあったものですから、幾つか申し上げたい点、そして、そこを記録に残しておいて、こういうことを一つ一つ、まだ道半ばのこの国鉄改革に我々も一緒に進んでいきたい、こういう思いで質問をさせていただきました。

 そこで、時間がちょっと余っておりまして、実は本題じゃない内容の質問で、理事の御了解はいただいたのでありますが。

 航空局長、お出ましいただいていますよね。例のニアミスの件のときに、今トータルでプログラムを、非常に熱心に作業を進められているというお話を聞きました。努力をしてください。

 ただ、その中で、こういう問題は含まれているのかどうか。ちょっと羅列をしますので、大体でいいですから、イエスとかノーで答えてくれませんか。

 航空管制官の見る画面の面積が狭い。航空管制官の見る画面照度が暗い。航空管制官の見る画面がモノトーンだ。航空管制官の見る画面で航空機同士がある角度になると便名が消えてしまう。

 これからは提案です。

 羽田を中心とした場合、羽田から出ていく飛行機と羽田を目指す飛行機の色を変えたらどうですか。二次元画面に高度を入れた三次元画面にすべきではないか。三次元画面に航空路を入れるべきだ。色分けをすればこれはすぐに入ることだ。飛行機が接近した場合は、画面が拡大して、そして見やすくなるというような装置はできないだろうか。今現在、飛行機の予約、要するにディスパッチという作業をいまだに型紙でやっているというのは、ちょっと日本はナンセンスじゃないか。一分、三分、五分経過後のシミュレーション画面をつくるべきじゃないですか、別画面で。そうすると、非常に動態がきちんと把握できる。異常事態時に関しては、英語と日本語を同時通訳機で放送すべきじゃないか。そして、まさに小泉内閣というのはスピード解決なのですから、この航空路の整備を、米軍、自衛隊と一度早く話し合って、どっちかを陸へ寄せるとか、あるいは海側へ寄せるとか、こういう交渉をやはりきちんとすべきじゃないか。

 泉さん、そこで顔を見てなにしていますから、ちょっと泉さんにも聞きますけれども、前回の答弁で、あなたは、人間からミスを消すことはできない、人間である以上は必ずミスが起きるのだ、重大性にかんがみという話でいって、これはもう衝突しなかったからよかったと。だけれども、衝突事故が起きてしまったじゃないですか。また同じ答弁をするのですか。そうすると、これは、人間だからミスはある、だからといって、その答弁だけでいったら、いつまでたったってこの問題は解決をしないということです。でも、一回だけ答弁のチャンスを与えますから、どうぞそのことについて。

 今度の中日本航空、それは確かにJALの旅客機よりは小さいにしても、乗っていた六人の人たちがみんな亡くなって、しかも、あれがもし人家とか人がいるところへおっこちてきたら大変な事故になっていたわけですよね。これは管制官は関係ないにしても、やはり航空路とかこういういろいろな規制があるところで起きた事件でありますから。あの私に答えた、重大性にかんがみ、そして、これが衝突事故であったら大変だ、人間にはミスがつきものなのだからという答弁、これ、読みましょうか、いいですか。ちょっと答弁してください。

深谷政府参考人 さまざまな御提案をいただきました。お尋ねがございました九〇七便のニアミス事故、御指摘のように、二度と起こさないようにということで、これまでも、レーダー画面の大きさですとか、照度だとかカラー化だとか、そういったことには取り組んでまいっておりましたが、今先生からいろいろな御指摘をいただきましたので、そういった点は今後もいろいろ検討に生かさせていただきたいと思います。

泉副大臣 四百日余り運輸政務次官をお務めになりました佐藤先生に、JR問題あるいは航空問題等に大変御関心をお持ちいただいて御指導いただいていることを、改めて感謝を申し上げます。

 確かにJALの事故の際に、人間からミスを完全になくすことはできない、そのことを前提に安全対策を講じてまいりたいというふうに私はお答えをさせていただきました。その一つは、管制官同士の関係をもっと密にする、あるいは機械と管制官の問題、あるいはパイロットと管制官の間のコミュニケーションという、そうした面が大切であると思います。

 今回の中日本航空の事故に関しましては、原因そのものは、先生御承知のように調査委員会の結論を待たなければなりませんが、およそ想像できないような事柄でございます。恐らく人間のミスが原因ではないかと、これは個人的に思います。

 ですから、私どもは、前回お答えいたしましたように、人間のミスを完全になくすことはできないという前提は、私はやはりそうだと思っておりますが、だからこそ、十分な教育でありますとか訓練を行い、またミスが発生したときにそれをどうカバーするか、そうしたことが大変重要なものだ。ミスが起きたときに、それが大きな事態を招かないようにさらに注意をする、こんなことを考えていかなければならないと思っております。

 ですから、御指摘の、画面を立体化する、あるいは非常に接近したときにその画面を大きくする、そういう事柄も含めまして、さらに検討させていただきます。

扇国務大臣 今るる御指摘いただいて、ありがとうございました。拳々服膺したいと思います。

 ただ、一月にJAL九〇七便のあのニアミスが起きましたときに、管制官が言い間違えたということも確認されておりますので、あのときには全国の管制官を集めまして主任管制官会議をして、私は、国際便と国内便との便名を同じ九〇〇番台になぜするのだ、それも変えられないかとか、いろいろ協議をいたしましたので、今るる御指摘いただきましたことを拳々服膺して、私たちも、この全国の主任管制官会議で上がったこととともども、拳々服膺したいと思います。

佐藤(敬)委員 もう時間がありませんので、局長、これは項目を申し上げますので、後で私のところへその資料をお届けください。

 中日本航空というのは、八六年五月から九月までに、三件連続してヘリコプターの墜落事故を起こしているのです。旧運輸省は、これに対して立入検査をして、改善勧告をした。この経緯はどうなっているのか。

 ところが、この改善勧告の後、八八年に私の地元の秋田県で墜落事故を起こしているのです。九〇年、九六年にも墜落事故を起こしている。私の調査ではこの程度しか把握できていませんけれども、インシデントを含めて、創業以来どのぐらい事故を起こしているのかということのデータがあったら提出をしてください。

 事故が起きる、立入検査をするたびごとにいろいろなセレモニーがありますけれども、これは単にセレモニーであって、本当に適切な指導監督が行われているのか。行われないとすれば、だれの責任なのだということをきちんと書いて持ってきてください。

 それから、そういう意味で、中日本航空というのはどういう会社なのか。

 過去を含めて、運輸省のOBが入っているのかどうか、このことも言ってください。

 それから、五月二十一日、公正取引委員会が、航空写真測量業務に関する談合の疑いで、独禁法に基づいて十一社に排除勧告をしたのです。この中に中日本航空とありますが、これは今回事故を起こしたその会社ですか。

 もしそうだとすれば、五月二十日に大阪航空局長が同社に厳重注意を文書で与えていますが、この時点で公取から排除勧告を受けることを当局は承知していたのかどうか。

 この点について、後で私の部屋の方に、どうぞその答えを持ってきてください。お願いをいたします。終わります。

赤松委員長 瀬古由起子君。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 まず私は、横浜人材活用センター事件の問題について質問をさせていただきます。

 今から十五年前に、国鉄をJRにするための余剰人員対策として、全国各地に人材活用センターが設置されて、熟練した国鉄職員の仕事を奪って人材活用センターに収容するということで、これは人権侵害として社会的な批判を浴びて、国会でも問題になり、廃止になりました。

 横浜人活事件とは、国鉄当局が人活センターの周りを有刺鉄線で囲み、コンクリートで囲まれた、北向きの、日の当たらない、底冷えのする部屋に押し込めた事件でございます。五人の国労組合員が、人活センターの責任者に全治四週間の肋骨骨折の傷害と三人にけがをさせたとして神奈川県警に逮捕されて、五人は公務執行妨害、不退去罪、傷害を理由に、八七年二月九日、十二日に懲戒免職となりました。

 その後、けがをしたという、これは助役だったのですけれども、実はこの助役が医師をだまして診断書をとっていたということが明らかになりました。自分はだまされたということを、お医者さんが「私もだまされたと思った。」と書いている、こういうものもございます。もうはっきりしているのですね。裁判の証拠としても取り上げられました。事件をでっち上げようとする謀議、これもされていることが、実はテープが、それが明らかになって、これも問題になりました。

 そして、とうとう二人は不起訴になり、九三年五月、横浜地裁では、三人の公務執行妨害、不退去罪の無罪判決が確定いたしました。さらに、逮捕された五人に対して、九五年六月には、東京高裁で懲戒免職無効仮処分が確定いたしました。九七年三月には、東京高裁控訴審で、国鉄宿舎での居住を認め、明け渡しの請求を放棄する全面勝利和解が成立して、逮捕された二人は今でも当時の国鉄宿舎に居住しております。無罪なのに国鉄の宿舎から出ていけなどというひどいこともやったわけですね。

 このような経過を見ましても、横浜人活事件はでっち上げで無罪事件であるとして、旧運輸大臣や鉄道局長も認めておられます。しかし、いまだに職場に復帰できないのですね。どうなっているのだろう。第百四十国会の九七年四月十五日には、衆議院の運輸委員会で、横浜人活事件がでっち上げ事件であるとの認識に立って、当時の古賀運輸大臣は、我が党の寺前巖議員の質問に対して、解決するためにその時間をしばらくおかしいただきたい、こういう答弁をされております。

 もうあれから随分長くたちました。一体どこまで待たすのかということですね。その後、一体どのような検討をされているのでしょうか、お聞かせいただきたいと思います。

扇国務大臣 今瀬古先生おっしゃいましたように、十五年前のことでございます。当時まだ運輸省でございまして、運輸省職員でございました副大臣がおりますので、継続性がありますので、副大臣から答えさせます。

泉副大臣 いわゆる横浜人活事件についてお尋ねがございました。

 今先生おっしゃいましたように、本件につきましては、平成六年の三月、横浜地裁において、職員としての地位確認等を内容とする民事訴訟を提起しておるわけでございまして、裁判係属中でございますので、国土交通省としてコメントすることは差し控えさせていただきたいと思います。

 また、JR各社の社員の採用につきましては、私どもの立場でどうこうと申し上げる立場にないわけでございまして、JR各社が自主的な判断でそのことを決する立場にあるわけでございます。

 確かに古賀大臣が、事実関係を把握してみるという御答弁を申し上げておるわけでございますが、事実関係は私どももその後掌握をいたしておりまして、採用そのものはJRが独自に判断をしていただく、裁判そのものは係属中でありますので、このことについてのコメントは差し控えさせていただく、こういう結論でございます。

瀬古委員 もう無責任も甚だしいですよ。実際には、この暴力事件が全くでっち上げだということが明らかになって、無罪になって、十五年間放置して、そして、あなたは今本訴で係争中だと言うけれども、本来で言えば、こういう事件がなかったのだから、直ちにもう職員にするべきなんですね。それをまだ戻すかどうかという裁判をあなたたちの方で継続させて、もう人権侵害も甚だしいですよ。あなたたちが、この事件はでっち上げ事件だ、無罪だ、直ちに職場に戻そうというようになれば、今までずるずるここまで来なかったわけですよ。

 やはりもっと真剣に考えるべきだし、今まで何度も私たちもこの問題を取り上げてきましたし、かつての大臣もそれを認めて、これは何とかしなきゃならないというように言ってみえるわけです。確かに、その後、国鉄からJRになりましたよ。しかし、もっと早く国が判断していれば、ちゃんとJRに引き継ぐ、就職だって引き継ぐということはできたでしょう。ぐずぐず引き延ばして十五年間やったために、もう国鉄もないわ、行くところがない。そして、もうちょっと待ってくださいと言いながらずるずる引っ張ってきた。

 こんな無責任な態度は許せないと思うのですけれども、大臣、いかがですか、何とかこれは解決できませんか。

泉副大臣 大臣に後で補足をしていただきますけれども、私ども国土交通省は当事者ではあり得ないことは、先生十分御承知でお話をいただいておると思います。しかしながら、問題が大変重大な問題であるという認識で、国土交通省としては、これまで、御当人あるいは御家族の方々も含めまして二十五回にわたっていろいろな御意見を聞かせていただき、また私どもの考え方も申し上げてまいりました。

 しかしながら、当事者でない、裁判が係争中であるということでございますので、このことについては、これ以上国土交通省として立ち入る立場にはないということを重ねて申し上げさせていただきたいと思います。

瀬古委員 この問題については、運輸省は当時報告を受けているわけですよ、こういう事件が起きたと。一方、助役は、だまして診断書までとって、重傷の事故だみたいに見せかけた。そして、そのために逮捕までされて、家族も本人も非常な傷を受けたわけでしょう。こういうことに対して、裁判に裁判を重ねてやっているということについて、あなたたちは指導の責任があったわけですよ。今まで何にもしなかったのですか。そういう放置をしてきたことが、ここに至っているわけです。

 だからこそ、私たちが国会で取り上げたときに、大臣が、これは何とかしなきゃならない、もうしばらく時間をもらいたいと。それは、何らかの、JRやそういうところと話をするという、そういう前提があったからでしょう。ところが、いまだにいつまでも放置されている。これはもう人権問題も甚だしいと思うのです。

 ぜひ、大臣、解決していただきたいと思うのですけれども、いかがでしょうか。

扇国務大臣 瀬古先生がお怒りになっていると雷も鳴っておりまして、お気持ちはよくわかって、天もあなたに味方しているような気がして、私も恐ろしいなと思ったのですけれども、冗談で言っているわけではなくて、それほど深刻だという意味でございますので、お受け取りいただきたいと思います。

 何もしないのですかと瀬古先生おっしゃいましたけれども、何もしないわけではなくて、今副大臣が御報告申し上げましたように、かつて二十五回も御意見を聞いたということでもございますし、もともとこれは、やはり管理者たちの、所属の会社においてどのような処遇を受けるか、それはそれぞれの会社における判断にゆだねるしかないわけでございます。

 今、国土交通省として、一緒になって、それは私には何の権限もないというか、会社に対して特定の個人の責任を問うように求めるということは私に権限がないということ自体は、先生もきっとおわかりいただいた上で御質問になっているのだろうと思いますので、私は、やはりこれは現段階としては困難であると言う以外には言いようがないというのが経緯でございます。

瀬古委員 いや、全く無責任ですよ。もっと早く解決していればこんなにならなかったということなんです。そういう点でいえば、今までの経緯がありますから、JRと話し合って、国としても一定の責任を持ってきちんと話していく。それはかつての大臣もそうやってお約束されているわけですから、もう今さら知らぬよなんというのはちょっと無責任も甚だしいと思うのですね。

 そういう点では、今までの経過も踏まえて、よく話し合っていただくということで、解決のための御努力をいただけませんか。大臣、いかがですか。

扇国務大臣 瀬古先生のお気に召すお答えができるかどうかわかりませんけれども、少なくとも、訴訟と別の場で解決するということができるような根拠を見出すことができないというのが今の現状でございます。民事で皆さん係争中です。その外で私たちが過去にさかのぼって雇用者と立場をかえてどうこうするということは、行政として対応するということの方が、むしろ私はそこに無理があると思っていますし、現段階では困難があると言うしか言いようがないと思っています。

瀬古委員 前のときには、国鉄の問題では、当然その報告を運輸省は受けていたわけですよ。そして、運輸省もそれを認めていた経過があるのです。だからこそ責任が、私は、もっと早く解決すればこんなことにならないと言っているのです。

 そういう点では、大臣がきちんと責任を、今までのこの経過も踏まえて、今いろいろな権限があるとかと言われますよ、しかし、もっと早く解決すれば十分できた問題であるという経過に照らして、私は努力をしていただきたいと思うのです。

 私、もっと許せないなと思うのは、でっち上げ事件を引き起こした加害者である当時の国鉄の役員とか職員はどうしているかというと、責任者はJR東日本の東京本社社長を歴任、その後JR東関連会社の役員となっている。一方では十五年間も家族も本人もひどい状態に置いておいて、一方では医者をだまして診断書を書かせて事件をでっち上げた人の責任者が社長におさまっている。こんなひどいやり方があるだろうかと、私は心から怒りを感じています。

 実際には、国鉄の問題については当然国に責任があったわけで、そういう意味では、本来でいえば、監督官庁であった運輸省が、ごまかしてにせの診断書をとって事件を引き起こしたようなこの職員に対しては、きちんと処分をしなきゃいけなかったと思うのですね。それを放置して、一方では出世しておさまっている。こんなひどいことはちょっと考えられないと思うのです。

 実際には、今、この事件の当事者の皆さんは、引き続き身分としては継続しているわけですから、国鉄の宿舎に住んでいる。これも、裁判を起こして、国鉄の宿舎を、今はJRの宿舎ですけれども、出ていかなくていいというようにきちんとなっているので、全く知りませんよなんというのはちょっと無責任だと思うのです。

 もう一回、再考願いたいと思うのです。

泉副大臣 刑事事件で無罪が確定したこと、これは事実でございますし、私どもも承知しております。また、民事事件として、仮処分の結果、賃金の仮払いが認められておるということなども承知をいたしております。しかし、本訴によって今横浜地裁で争われておりますことについて、私どもは、繰り返しになりますが、国土交通省は関与する立場にないということは御理解をいただけると思います。

 もっと早くというふうに言われますけれども、これは時間の経過、そして、JRができますときの、ちょうどこの時点でいろいろなことが起きておりますけれども、私ども、当時の運輸省としては法律に基づいて適切な処理をしてきたということを申し上げておきたいと思います。

瀬古委員 全く責任がないというか、本当に正義というものがないということを私はつくづく思います。十五年間も、無罪が確定して、なおかつ本訴だからといって、それはもちろんJRの問題もありますよ、国が、直接ではないかもわからないけれども、少なくとも、指導監督をする責任があった運輸省がきちんと継続して責任を持つということは当たり前のことです。これは、時間がございませんので、今後引き続きやっていきたいと思っています。

 いいお答えが出していただけるようならお返事いただきたいんですが、余りいただけないようなら、もう結構です。いいお答えでしたら、どうぞ。

扇国務大臣 いや、きちんと言っておきませんとね。

 今、瀬古先生、当時の幹部が今涼しい顔をして何か偉い位置についているではないかというお話がございました。私は、もしその人たちが先生がおっしゃる加害者という観念であるのであれば、もちろん民事であれ刑事であれ責任を追及されると思いますし、その労働者の皆さん方もその人に対して訴訟を起こすというのが、もしもその人がいけないというのであればですよ、けれども、訴訟を起こしていらっしゃらない。今、瀬古先生が、涼しい顔をして次の役についているとおっしゃいますけれども、別に、民事でも刑事でも、労働者側からも訴訟は起こされておりません。

 そういう意味では、無責任ということではなくて、そのために民事も刑事もあるわけですから、司直の手に、もしもそれが加害者であると言われるのであれば、私はきちんと提訴されていたと思います。訴訟が起きていないということもぜひはっきりしておきませんと、何か犯人を逃がしているみたいに思われても困りますので、そういうことをぜひ御理解いただきたいと思います。

瀬古委員 そういう、まさに言いわけ的なことは聞いても仕方ありません。確かに訴訟は起きていなくても、こんなひどいことをやった国鉄の職員がいたというなら、裁判を起こさなくたって処分しなきゃだめですよ、そういう規定になっていたんだから。そういうことについても、裁判をやっていないんだから何が悪いなどという居直りは絶対許されませんよ。

 もう時間がありませんので、次に参ります。

 JR東海の子会社のジェイアール東海バスは、昨年十一月二十九日、同社の乗り合いバス九路線、七十六系統、延べ四百六十三キロのうち、愛知、岐阜、福井、静岡県内を走る七路線、三十九系統、三百八キロを廃止することを発表しました。一般路線の何と六割にも上ります。

 中には、JRバス発祥の地と言われている路線がなくなってしまう。太平洋と日本海を桜でつなごうという、国鉄バスの車掌が植えた、大変有名な桜バスというのがありますけれども、桜街道とも言われておりますが、そこも廃止するなど、この突然の発表は、沿線の自治体はもちろん、バスを利用している住民に大きな不安を与えております。廃止対象の沿線の中には、山間部を走る路線が大変多いんです。私も実際にその路線に乗ってまいりました。ほかに公共交通手段がないために陸の孤島となってしまいます、何とかしてほしいという、存続を求める声が大変大きいわけですね。

 私は、実際に、その路線にも自分で乗ってみましたし、乗客の皆さんにもインタビューしたり、また、廃止計画に関係する自治体、瀬戸市、天竜市、龍山村、そして水窪町など、各首長にもお会いして、懇談をしてまいりました。いずれも、地域の唯一の公共交通機関が廃止されるということに大変強い危惧を持っておられます。このバスを使って障害者が作業所に行っている、それももうできなくなってしまうという声も聞きました。既に沿線自治体では対策協議会が発足しておりまして、ジェイアール東海バスに対し廃止の延期の要望をしていますけれども、私も東海バスの会社にお会いしましたが、廃止はもう前提だと言って全く方針を変えようとしていません。

 旧国鉄時代からの住民の暮らしと地域の経済を支えるために、鉄道のない山間部などに乗り合いバスを走らせ、その役割を果たしてきたこのJRバスでもありますけれども、こういうバス路線、大臣は委員会でも繰り返し国鉄改革の経緯を強調されておりますが、このような一方的な廃止は決してお認めにならないと思うんですけれども、いかがでしょうか。

扇国務大臣 今回の法案の中でも、指導、勧告という事項が別途入っておりますのも、先日も私、瀬古先生に申し上げたと思いますけれども、そういう今先生がおっしゃいますような、本当に山間僻地、まさに陸の孤島になりかねないところは、何としても路線を、これは鉄道の話ですけれども、ローカル線を廃止しないでほしいということで、指導、勧告という言葉を入れさせていただいた。この間、先生にも私申し上げたと思っています。

 それと同じことですけれども、ジェイアール東海、御存じのとおり、今先生おっしゃいました、昨年十一月、本当に苦しい中ではございますけれども、一般乗客バスの七十六系統のうち三十九系統、今先生がおっしゃるとおりの事実でございます。

 その中で、関係の市町村との話し合いを進めている、これも私聞いておりますので、話し合いの結果どうなりますかというのは、私、今、予測することはできませんけれども、今先生がおっしゃいましたような、多くの懸案を抱えながらの話し合い。

 ただ、一つ、私ぜひ先生に御理解いただきたいと思いますのは、今までJRバスに対する自治体の補助金、これが、交付について、これまで国鉄改革法の附帯決議に基づいて制約があったんです。けれども、今般この制約を見直す方向でございますので、もしもこれが地元の話し合いで進められて、どのようにいくかという前提がありますけれども、その話し合いによっては、従来のJRバスに対しては自治体は補助できないということになっていますけれども、今回、需給調整規制の廃止を契機として、今後はJRバスへの自治体の補助も認められるということになったわけです。

 それで、もしもこのために、ジェイアール東海バスの経営判断にもこれがプラスに影響して、これを与えられれば東海も考える、そういうちょっと明かりが差してくる話もございますので、今後、私は、地元の自治体との話し合いを見守りながら、私たちもできるだけのことをしていきたいと思っております。

瀬古委員 実際には、この関連自治体というのは、私もずっと回ってみましたけれども、大変財政力の弱いところなんです。だから、金を出せといっても、もうとってもできない。

 それで、実際には、通学している子供たちや病院に通院するお年寄りが使っている。もうどんどんバスを打ち切られることによって、自治体がもう今本当に財政的に厳しい中で、これ以上何ともならないという声を上げておられるわけです。それはもう大臣も自治体の状況をよく御存じだと思うんです。だから、決して明るいという状況ではないわけです。

 では、バス会社は自治体とよく話し合うかというと、私ももう直接何回もやりました。そしたら、もう廃止が前提です、それから考えるのは自治体のお考えでどうぞ、うちはもう断固廃止が前提ということを譲らない、こういう大変頑強な姿勢なんです。こんなことで本当にいいんだろうかというふうに思うわけです。

 そういう点では、少なくとも、関係自治体や住民との協議で、やはり存続してほしいという声が強ければ、金を出さなきゃやらないぞみたいな形ではなくて、もっと話し合うような御指導をしていただくということが必要じゃないかと思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。

扇国務大臣 今の瀬古先生のおっしゃる意味はよくわかるんですけれども、ただ、ジェイアール東海といっても、JR東海とバス会社とは全く別であるということだけは、先生にも御理解賜っておかなきゃいけないと思うんです。

 独自のバス会社になりますと、これはもう全く、運営に関しては、バスの需要については、一般のバス会社と同じような道路運送法に、これは法律が変わってしまうものですから、ジェイアール東海といってもJRと同じものではないということは、先生もうきっとおわかりになっていておっしゃっているんだろうと思いますので、ぜひその辺は、ジェイアール東海という名前がついているから、今まで政府と同じように援助もし、そして指導もし、いろいろしなさいとおっしゃいますけれども、本来は、バス路線というものは独自になっておりますから、私たちから指針に基づいて指導、勧告するということは、本来は民営の普通のバス会社と同じ状況だということだけは、ぜひ御理解しておいていただきたいということだけ、ちょっとつけ足させていただきます。

瀬古委員 そんなことはわかっております。

 しかし、ジェイアール東海バスは、実はJR東海の一〇〇%出資の会社なんですよ。役員はすべてJR東海の社員で占められております。路線の廃止によって、その役員はもとに、JRの東海に帰ることができて仕事は保障されるけれども、出向の労働者は、廃止によって仕事がなくなってしまう、もとの職場で就労が保障されているわけではない。赤字が見込まれる事業は子会社にしてその責任を回避するというやり方が今回とられたわけです。JRのバスだけ、もうからない路線だけ切っていくわけですよ。

 私も実際にそこの発祥の地に住んでおりましたからよく知っていますが、民間のバスは割合人のいるところを通るけれども、国鉄バスは、わざわざ人のいないようなところを通って、そして多くの住民の皆さんのために頑張ってきたわけですよね。それをもう赤字だからとばさっと切るなんということは、それは余りにもひどいんですね。

 今回、完全民営化という形でいうけれども、少なくともJR東海についても、このバス路線の維持、バス会社の運営の問題について責任があると私は思うのです。初めから赤字路線は切っておいて、あとはもう知らぬ顔などという、そしてもうかる鉄道の部分だけいただきなんて、こういうやり方は私は許せないと思うんです。

 その点、きょうは、JR東海の社長にということを言っていたんですが、社長はいらっしゃらないというので大変残念ですが、副社長さんにおいでいただいておりますので、いかがでしょうか、できれば、このローカル線の維持の問題、それから労働者の雇用の問題、ぜひこの問題についても御答弁いただきたいと思います。

松本参考人 社長は所用で出席できませんので、私、代表取締役副社長の松本でございますが、会社を代表してお答えさせていただきます。

 先ほどお話ございましたように、当社とジェイアール東海バスはそれぞれ独立した会社でございまして、それぞれが会社の健全経営ということで努力を行ってきております。また、ジェイアール東海バスも昭和六十三年に国鉄改革法に基づいて発足したものでありますけれども、それ以降、収入の確保あるいは業務の効率化等々、会社の健全経営、存立をかけて経営努力を行ってきたということでございます。

 また、当社といたしましても、その間、別会社でありますので、商法とかあるいは税法とかいろいろな制約のある中で、できる範囲で協力するという形でやってまいったという事実はございます。

 しかしながら、現状におきまして、バス部門、特に一般線につきましては、当初に比べてお客様は半分以下になっているというようなことで、極めて厳しい状況になっておりまして、また、今後を見通した場合に、やはりこれから一層競争が激化するという中で、ジェイアール東海バスとしてさらに抜本的な経営体質の改善を図るということが必要だというふうに判断をいたしまして、路線の再編成等を含めた効率化施策というものを実施するというふうに聞いております。

 これは、早期に経営を立て直す、あるいは今後の自立経営が可能な経営基盤にしていくという観点から、その考え方ということについては、当社としてもこれはやむを得ないものだなというふうに考えておりますが、先ほど途中でお話がございましたが、バス会社、既に協議会が発足しているところもありますし、あるいは今後のところもございますけれども、そういう中できちんとした対応をしていくというふうに聞いておりまして、当社としてもそれを見守っていきたいというふうに考えてございます。

 また、もう一点、雇用のお話がございました。これにつきましては、やはり雇用の問題点、極めて重要な問題でございますので、発生するこの問題につきまして、バス会社としてもきちんとした対応を考えているというふうに聞いております。

 当社といたしましても、実は今、バスに従事している社員の半分以上がJR東海からの出向の社員でございます。したがいまして、この方々はJR東海の社員でもあるということでございますので、この方々につきましては、バス会社の方からも、JR東海に復帰させてほしい、全員をきちっと復帰させてほしい、その雇用の場を与えてほしい、こういうようなお話がございますので、それを受けて、当社の中でも検討いたしまして、それについては、要望に沿いまして、全員をJR東海に受け入れて、その中で、鉄道事業とかあるいは関連事業とかを含めた幅広い人材の活用をしていこう、そのための雇用の場を確保していこうというふうに考えてございます。

 なお、この出向者の復帰の件につきましては、既に労使の協議をいたしておりまして、このことについては全組合と妥結をいたしております。

 また、出向者以外の社員につきましても、バス会社等に聞いているわけですけれども、他の営業所への転換とかあるいは高速線への転換、あるいは関連事業への運用等を含めてきちんと対処する、できるというふうに聞いております。

 以上でございます。

瀬古委員 実際には、JR東海に戻っても、バスを運転していた人ですから、違う仕事についてくださいといったって難しくなってくるわけですね。そして、かなり広範囲で労働者がいますから、そういう点では、自分の住んでいる地域からも離れて、家族と暮らすなんということはできなくなります。そういう点でも、ぜひ労働者の声をしっかり聞いて対処してもらいたいし、また、めちゃくちゃな路線の切り捨てにならないように、私はJR東海としても責任を持ってもらいたいと思います。

 ジェイアール東海バス株式会社の社長も来ていただいておりますので、私も担当者とお会いしましたけれども、一切もう何が何でも路線は廃止、こういうかたくなな姿勢は、自治体の関係者から見ても住民から見ても大変問題があると思うのですが、その点いかがでしょうか。

吉川参考人 ジェイアール東海バスの社長の吉川でございます。

 今の御質問に答えさせていただきます。

 当社は、JR東海から分離独立いたしまして以降、分離の趣旨にのっとって一刻も早く自立経営をできるように努力してまいりましたが、一般線の乗り合いバスにつきましては、会社が発足した、昭和六十三年ですけれども、このときの利用人員を一〇〇といたしますと、平成十一年度では四五と半分以下になっております。その結果、会社の経営にとっても見過ごせないほどの赤字が拡大していくような状況に陥っております。

 このために、平成十二年十一月、先ほどからお話出ておりますように、採算の見込みのない路線については撤退するという計画を明らかにし、地元の自治体との協議を開始しております。それ以降、現在に至るまで、各自治体、市町村の方とも折衝を重ねてまいりまして、多いところでは五回の協議を重ねております。

 これまで、この場で、当社の経営の実情とか乗車人員の減少の状況、それから廃止計画の理由とか内容、そういうふうなものについて御説明するとともに、地元からの御意見、御質問に対しては、会社のさらなる実情とか、会社が対応できるもの、できないもの等を説明するなど、誠意を持って取り組んできておるつもりでございます。

 当社といたしましては、今後とも関係の各県に、つい最近設置された対策協議会という場がございますが、そういうものを通じて、御理解を賜るように努力してまいりたいと思っております。

瀬古委員 協議会のあり方も、協議するのではないのですね。廃止しますのでよく理解してもらいたいと、こういう場なのですよ。ですから、スケジュールを見てみますと、もう何月に廃止とはっきり決まっていて、これからどうするかという問題ではないのです。やはり、そういう点での姿勢が問われていると私は思います。

 時間がないので、次に移ります。

 安全問題について伺いたいのですけれども、鉄道輸送の最大の公共性とは安全問題であるということは言うまでもありません。本法案の改正を機に、本州三社の一層の営利経営によって鉄道輸送の安全が脅かされるということは、あってはならないことです。

 今までの議論の中でも、死傷者がJR発足当時と比べて低下していること、これが国鉄改革の成功の一つ、こういうふうに挙げられております。確かに、死傷者が減るということはいいけれども、本当に安全を一層充実するという方向でJRの経営が進められているのかということで、若干伺いたいと思うのです。

 鉄道事業者は、何らかの事故などによって列車が一定時間以上遅延した場合には、運輸局に届け出をしなければならない。その届け出件数は、いわゆる運転阻害事故件数は、JRの発足時と現時点でそれぞれどうなっているのでしょうか。また、その件数のうち、いわゆるJRの責任による部内事故件数は、この間どのような件数になっていますでしょうか。

安富政府参考人 先生お尋ねの運転阻害事故でございますが、JR各社より報告がありました運転阻害事故のうち、部内原因によるものにつきまして申しますと、一九八七年に七百八十五件、一九九九年では千二百六十件発生しております。分割・民営化当時の件数と比較すると増加の傾向を示しておりますけれども、一九九二年以降は、ほぼ千二百件前後で推移しているという状況になっております。

 JR発足以後、運転事故については減少傾向を示しておりますが、阻害事故については増加している。この原因は、一つは、非常に輸送力をつけてきたということがございますけれども、非常に緻密な路線といいますか、ダイヤでやっているというようなことも原因して、何らかの事故が起こりますと阻害事故になってしまうというようなことがあるかと思います。

 ただ、我々としては、何とかこれを減少させるという方向でこれからもやっていかなければいけないと思いますが、この阻害事故が増加している、あるいはなかなか減少しないという点については、我々としても十分認識していまして、今後の対策をいろいろ検討していきたいというふうに考えております。

瀬古委員 一定の車両のこの間のJRの走行距離は、六十二億七千五百万キロから、九八年度は、七十八億三千五百万キロと一・二五倍にふえております。その間、鉄道の部門の職員がどんどん減らされているわけですね。JR発足時と比べて、約三〇%も減っているわけです。とりわけその中で、安全、サービスを確保する職員が減っているということが大変特徴だと思います。

 JR東日本は、検査保守業務の縮減を目指して、設備部門におけるメンテナンス体制の再構築を組合に提案しております。この提案では四月から導入をするということなのですけれども、その導入の目的と、四月から導入するということになっていたのですが、実際にやられていません。それはなぜか。その点、わかりましたら、教えていただけますか。

安富政府参考人 先生御指摘のように、現在、JR東日本につきましては、保守点検作業につきまして、中期経営構想等を踏まえまして、メンテナンス体制の再構築ということで現在検討しております。

 この辺につきましては、近年の保守点検作業が、より専門的で高度な技術になっているということから、これへの対応をより柔軟に行えるような体制を築きたいということ、あるいは、グループ会社全体として、技術の維持、継承が確実に行える体制を構築する必要があるということで提案をしているわけでございますが、現在、具体的な内容を検討しています。

 当初、例えば四月ぐらいにとかいう話もあったかというふうに聞いておりますけれども、現在、関係者といろいろな調整をしておりまして、この保守体制の再構築、社内的にもいろいろな慎重な検討が必要だということで、まだ最適な再構築のあり方について検討する必要があるという形で、若干おくれているというふうに認識しております。

 我々としては、この社内での検討ということを見守っていきたいというふうに考えております。

瀬古委員 JR東日本が昨年十二月に明らかにしました「メンテナンス体制の再構築について」。そのねらいは、当社が将来にわたり競争力を維持し発展していくために、設備メンテナンスにかかわる最先端技術の導入、対応による一層の安全性の向上と効率化が緊急課題となっていると。要するに、鉄道収入の伸びがなかなか期待できないので設備メンテナンスの検査保守業務を縮減する、こういう方向を目指しているということが書かれております。

 私は、将来鉄道収入の伸びが期待されないからといって、特に安全問題についての、安全業務の一層の下請化とか外注化を行う、こういう問題については、大変慎重にしなければならないと思うのです。

 ことし、実は三月十七日に東海道線上りの鶴見駅構内で脱線事故がございました。この事故現場は、東海道線、京浜東北線、横須賀線等が並行し、当日事故発生時五分前には東海道線の下り列車が通過しており、仮に、その列車とすれ違いざまに通過すれば大事故になった可能性が高いものでございます。

 ところで、JR東日本はこの事故原因についてどのように述べているのですか。どのようにつかんでいますか。

安富政府参考人 御指摘の事故でございますが、今お話がございましたように、三月十七日午前四時五十一分ごろ、東海道線の鶴見駅構内で発生したものでございます。

 我々としては、事故後、関東運輸局の方から担当官七名を現地に派遣させまして調査を行いますとともに、JR東日本に対して、事故の原因究明と再発防止対策を講ずるように警告書を発出したところでございます。

 具体的な事故の原因については、まだ詳細な調査が必要かと思いますが、本件事故の原因につきましては、当日、事故直前に行われた軌道保守作業の結果、軌道の一部に平面性の狂い等が生じ、これがもとで脱線した可能性が高いと考えられておりますけれども、現在、東日本、JR貨物では、鉄道総合研究所に具体的に原因の詳細な分析を依頼して、調査を進めているところでございます。

 国土交通省としては、今回の事故につきまして、作業後の検査に不適切な点があったというようなこともございますので、四月十三日付でJR東日本に対して、改めて確実な検査体制について確立するよう指導したところでございます。

 現在、この事故の現場におきましては、運転再開のためということで、脱線防止ガードを設置し、時速四十五キロの徐行運転を行っているという対策を講じているところでございます。

瀬古委員 実際には、この補修後の仕上がりの確認、こういういろいろな確認をする作業、こういうものについて、JRが本当はやらなければならないのを怠っていた、そういう報告がございます。

 今、JRは次々と、こういう一つ一つの工事だとかそういうものについての責任管理体制を一応持っているわけですが、これをどんどん縮減を図るという方向を打ち出しております。

 深くは言えませんけれども、例えば、営業線工事保安関係仕様書というのがあるのですけれども、これを見ると、こんなことを書いております。

 いろいろ保安の打ち合わせをする場合には、あくまでもこれはアドバイス、作業安全上の注意喚起を行うことは差し支えないけれども、事故に関する注意や安全管理に関する内容について、指示もしくはそれに近い行為があった場合は、その行為が施工管理とみなされ、当社が特定元方事業者になるおそれが出てくるため、当社は安全上の注意事項は記入しない。

 要するに、一々監視していると、何か起こったときにはJR東日本の責任になってしまう。どんどん、委託した下請業者に管理の責任も任せていく、そして文書も、そういうチェックするのも、記入しないで、もし事故があったら下請業者にとってもらう、こういう方向が今打ち出されてきているわけですね。今、下請体制の状況は大変な中で、実際には、単価は切り下げられて、安全や作業管理の責任だけを負わされる、そういう厳しい条件を強いられております。

 もう時間が来ましたのでこれ以上質問はできませんけれども、JRの社員を大幅に人減らしをやって、安全輸送を具体的に支える作業の責任を回避して、下請業者に任せるだとか、労働者に厳しい労働条件を押しつける、こういうことは本当に許してはならないというふうに思います。鉄道の安全行政に責任がある政府としても、きちんとJRに対して物を言う、このことをぜひ要望して、私の質問といたします。

 ありがとうございました。

赤松委員長 次に、保坂展人君。

保坂委員 社会民主党の保坂展人です。

 今月はハンセン病訴訟の判決があって、これを内閣がどういうふうに受けとめるのか、国会としてどういう意思が示せるのか、与野党ともに議論が国会の方ではまだ続いているわけですけれども、いろいろな問題が二十一世紀に、まだまだ前世紀の、しかもひょっとすると十九世紀の遺物というふうに言っていいようなことが放置をされてきた、こういうことを我々思わされるわけです。

 そこで、私、本日は、本法案の一番のスタートラインであった国鉄のいわゆる分割・民営化に絡んで、JRに対する不採用問題を中心に政府の見解をただしていきたいというふうに思います。

 一九八七年に、七千六百人の当時の国鉄労働者がJRへの採用を拒否されて、九〇年四月に千四十七名が解雇された問題について、事はILO条約、ILO勧告、ここに絞って、大変大事な議論、しかも限られた機会を十分生かしましてお聞きをしていきたいと思います。

 まず、基礎的なところからいきたいと思いますので、外務省にも来ていただいているのですが、昨年十一月にILOの最終勧告がこの問題で提示をされました。これは日本が批准をしているILO八十七号条約及び九十八号条約に基づくもの、このように理解をしていますが、これらの条約というのは、簡潔に言って、一体どういうものなのか。お願いします。

高須政府参考人 ILO八十七号条約と申しますのは、結社の自由及び団結権の保護に関する条約ということでございまして、労働者及び使用者が、みずから選択する団体を設立し、これに加入する権利を有するということを決めております。また、労働者及び使用者が団結権を自由に行使することができるということを確保するために、加盟国として、必要かつ適当なすべての措置をとることということを決めております。

 また、ILO九十八号条約は、労働組合から脱退することを雇用の条件としている、あるいは組合員であるという理由で解雇されるという不利益な扱いを受けないように、労働者が、反組合的な差別待遇に対して十分な保護を受けることを決めております。このように、労働者の団結権の尊重ということがこの規定でございます。

保坂委員 長い年月にわたって国際社会でいろいろな議論を経て、日本も、両条約、時間差はありましたけれども批准をしているわけです。

 続けて外務省に伺いますが、苦情申し立ての審査は、ILOの結社の自由委員会で実質審査が行われたというふうに理解しておるのですが、この委員会の役割と権限、これも簡潔にお願いしたいと思います。

高須政府参考人 結社の自由委員会ということでございますけれども、昭和二十六年にILOの理事会で設立された非常に古い委員会でございます。具体的には、ILO理事会の附属委員会がたくさんありますけれども、その一つの委員会ということでございます。

 その役割ですが、加盟国の条約上の義務の有無を審査するというわけではありません。労働組合の組合権侵害に対する労働者団体等からの申し立てがある、そうしますとそれを審査する、そしてその結果をILOの理事会に報告するということが役割でございます。具体的にその審査の結論が得られたときには、関係政府が是正措置を講じることというようなことを勧告いたします。場合によっては、情報をさらに提供しろという勧告をすることもございます。

保坂委員 結社の自由に関しては、そもそもは、結社の自由に関する実情調査調停委員会という仕組みが持たれ、事前の審査を基本にしようという考えだったようですけれども、事実上は、この五十年、結社の自由委員会は、いわゆる事後の、あるいは今発生し、まさにそれを訴えるという形で、過去五十年にわたって二千件の労使紛争が処理をされているというふうに聞いております。

 さて、これらILO条約は日本政府がみずからの意思で批准したものであって、この条約を遵守することは、これは国際法上における日本国政府の義務というふうに考えますが、これを確認したいと思います。

高須政府参考人 結社の自由委員会が出します勧告ということでございますけれども、これは、労働組合権の侵害に関する労働者団体からの申し立てがある、その審査の結果、こういうことを勧告するという結果になるわけでございます。この結果といいますのは、加盟国の条約上の義務があるかどうか、義務に違反したかどうかということを法的に審査する委員会では必ずしもございません。

 他方、条約勧告適用専門家委員会というものがございます。こちらは、関係加盟国が結社の自由に関係する八十七号条約とか九十八号条約に違反するかどうかという申し立てがございます、これに対して、条約の適用状況がどうか、さらには条約上の義務違反があるかどうかということについて審査し、そしてその結論を出すということで、そこに少し違いがございます。

保坂委員 それもちょっと後から聞こうと思ったのですが、今聞いたのはもっと簡単なことで、ILO条約を日本政府は批准をしている、批准をしているということは、国際法上、この条約遵守義務が日本政府にあるかどうか、当たり前の話ですが、それを確認したいということです。

高須政府参考人 日本政府が締約いたしました条約に基づく義務というものは誠実に実施するということが、当然のことながら、日本の政府の責任であり義務であります。

保坂委員 過去に、結社の自由委員会が日本政府に対して、個別の労使紛争に対して勧告を出したケースがどのぐらいあったか。私どもがちょっと調べてみましたところ、三件というふうに聞いているのですが、それでよろしいかどうか。これは、どうですか、厚生労働省の方で把握されていますか。

坂本政府参考人 突然のお尋ねですけれども、その点については把握をいたしておりません。

保坂委員 ちょっと待ってください。これは予告しているので、把握していないでは困るんですね。三件というふうに私どもは調べておるのですが、国立病院関係の紛争だというふうに言われていますけれども、これが勧告をされてその後にどうなったか。これは政府の措置はどういうふうにされたのか。これは全く無回答はだめですよ、予告していますから。

坂本政府参考人 恐れ入ります。

 私ども、事前にその情報をいただいておりませんでしたので、的確な答弁については、ちょっとこの場ではいたしかねます。

保坂委員 外務省の方はわかりますか。これは事前に外務省と厚生労働省に聞いて、これは厚生労働省に答えてもらおうというのでやっているのですよ。何か事務方の手違いかどうかわかりませんが、外務省の方はわかりますか、件数だけでも。

高須政府参考人 申しわけございませんけれども、私、今持っておりませんので、三件で正しいかどうかということを確実には申せません。調査させて、すぐに回答させていただきたいと思います。

保坂委員 では、厚生労働省、間に合うかどうかわかりませんけれども、ちょっと直ちに調べて、後半のところで答弁していただくよう用意してもらえますか。

 それでは、この二つのILO条約について、先ほど外務省からも御説明いただいたのですけれども、昭和二十八年の九十八号、団結権及び団体交渉権についての原則の適用に対する条約。これは第一条で、「労働者は、雇用に関する反組合的な差別待遇に対して充分な保護を受ける。」その二項には、「労働組合に加入せず、又は労働組合から脱退することを労働者の雇用条件とすること。」については、これを問題にするというような箇所がございます。

 また、もう一つの条約八十七号、結社の自由及び団結権の保護に関する条約の八条には、「この条約に規定する権利を行使するに当たつては、労働者及び使用者並びにそれぞれの団体は、他の個人又は組織化された集団と同様に国内法令を尊重しなければならない。」この「国内法令」というのは、この条約に規定する保障を阻害するようなものであってはならないということをはっきりとうたっています。

 これについて国土交通省の方から、いわゆるILO条約の基本の部分について、これを尊重するという認識があるのかどうか。

泉副大臣 先ほど外務省からお答えをいたしましたように、日本は、批准した条約については遵守する義務があると承知をいたしております。

保坂委員 それでは、ILOの勧告、これは中間勧告というのが九九年にございました。そして、昨年に最終勧告というのがございました。中間勧告と最終勧告は、若干、視点というか内容に違いはありますが、しかし最終勧告に書いてあるように、中間勧告を差しかえるのが最終勧告ではなくて、中間勧告を踏まえて最終勧告を出したのだ、こういうふうにILOの方は、結社の自由委員会ですか、こちらの方は言っているようです。

 そして、この中に、千四十七人の方の不採用の問題、これを何とか解決をしていくべきだと。この勧告を読んでみると、最終勧告の方には、委員会は、千四十七名の関係する労働者が一九九〇年四月以降採用されていないという結果にいまだに苦しんでいるという事実にかんがみ、公正に補償される解決に早急に到達するという目的から、JRと申し立て組合の交渉を積極的に推進するために、政府に対する以前の勧告を喚起すると。以前というのは中間報告のことだと思います。

 この最終勧告の、政府としての公正な補償という部分について、これを正面からきちっと受けとめていただきたいということなんですが、この点に関して、国土交通省、いかがでしょうか。

扇国務大臣 今保坂先生が、ILOの勧告、十一年十一月の中間勧告、それから昨年の、平成十二年十一月の勧告をお読みになったわけでございますけれども、少なくともこの一〇四七問題に関しましての昨年十一月のILOの勧告は、今先生がお読みになったとおりでございます。

 そして、昨年の五月三十日に出されました四党合意の受け入れに関しましては、今先生がお読みにならなかったところでは「二〇〇〇年五月三十日に採択された四党合意を受け入れるよう、強く要請する。」これが十二年十一月のILO第千九百九十一号事件の勧告でございます。

 ですから、私どもは、この勧告に基づきまして四党合意の受け入れを強くお願いもいたしましたし、また、人道的な観点から、政治の場におきまして解決に向けた努力の積み重ねが行われた結果の昨年五月三十日のいわゆる四党合意でございます。

 これまでにも、私も何度もこの一〇四七の皆さん方にもお会いしておりますし、御意見も聞きました。そして、四党で合意したものを、ILOからこれを強く要請するということになっておりますので、私は、これを政府としましても踏まえつつ、与党と十分に連絡をとりながら、適切な措置をしたいと思っております。

保坂委員 これから聞こうと思うことをお答えになっていただいて、そういう意味では質問の圧縮になったのですけれども。

 少し厳密に、もちろん政党間の議論を大いに素早く進めて、完全解決に向けて一刻も早く頑張ろう、そういう気持ちでおりますけれども、国会の場ですから、政府として公正な補償というのをどのようにとらえているか。この点について、例えばILOにおける解釈としては、金銭補償だけではなくて、職場復帰や損害賠償などの広範な内容を指すものであるというふうに承知をしているのですが、その点の見解、今示せる範囲で結構ですから、お答えいただきたいと思います。

泉副大臣 国土交通省といたしましては、今大臣からお答えをいたしましたように、昨年十一月の委員会の案は、四党合意を受け入れるようすべての関係者に対して強く要請するということでございますから、それ以上のものでもないし、それ以下のものでもないと考えております。

保坂委員 では、もう一度確認しますけれども、つまり、フェアな、公正な補償ということが勧告内容にあるわけですね。これについては政府としてもきちっと受けとめる、こういう立場だということで確認してよろしいですね。

扇国務大臣 私、先ほども申し上げましたとおり、少なくとも四党合意事項、与党とこの合意事項に関して綿密な連絡をとりながら検討すると申し上げましたとおりでございますので、しばらく見守っていただいて、検討するのを見ていただきたいと思います。

保坂委員 ニュアンスとしてはそれを受けとめるというふうにも聞こえるのですけれども、国会の場は議事録で見る方もおりますので。ほとんどそうかもしれません。ですから、公正な補償というILO勧告を政府としてきちっと受けとめるかどうか。では、副大臣いかがですか。

泉副大臣 公正な補償という意味が、私必ずしも十分に理解できておりません。

 繰り返しになりますが、委員会は四党合意を受け入れるようにということだけで、あと政府に対しては情報を提供しろということしか言っていないわけでございまして、それ以上のことはこの委員会からの文言にはないと私ども考えております。

保坂委員 泉大臣、去年の十一月の、当時の役所の方で訳されたものがありますよね。ここには、「関係する労働者が適正に補償される解決に早急に到達する」、そういう言い方ですね、「適正に補償される」という。これの英文はフェアでしょう。ですから、これは、適正であるというよりは公正に補償されるというのが正しい訳文ではないかと思っているんですが、適正であれ公正であれ、こういうものは出ているんですよ。それを受けとめるかどうかという簡単な質問です。

泉副大臣 その適正な、あるいは公正なというのが、四党合意を受け入れるということを委員会は勧告しておりますので、その四党合意の結論がいかようになるかを、政府としては、国土交通省としては見守っておるというのが実態でございます。

保坂委員 受けとめるというのと見守るというのは違うんですか。

扇国務大臣 保坂先生、おわかりの上で御質問になっているんだと思いますけれども、四党合意、これは先生の社会民主党も入っております。

 この四党合意の三の(三)というところでございますけれども、「与党と社民党の間で、和解金の位置づけ、額、支払手法等について検討を行う。」と明記してございますので、検討するということでございます。

保坂委員 それじゃ、次に進みます。

 それで、中間報告にも、例えば、JRと関係労働者の間に紛争解決のための努力がされていること、国労及び全動労問題を解決する努力を続けていると。例えば、ILOに対して日本政府が伝えているということがわかりますし、また、中間報告は、強く政府に対して、この問題はどうなっているのかということを報告を求めたわけですよね。

 これについて、日本政府としては最初にどのような情報を提供したのか、あるいは追加情報の主なものを特に知りたいわけなんですが、いつ、どんな形で、どんな情報を提供されたのか、ちょっとそのあたりを、鉄道局長。

安富政府参考人 十一年ですか、中間報告が出ましてから、我が方としては、これに対して追加情報という形で幾つかの情報を提示してまいりました。

 具体的に申しますと、国鉄改革についての職員の合理化の状況であるとか、あるいは職員採用手続の仕組みとしてどういうふうになっているかという問題、さらには設立委員と国鉄との関係、さらには国鉄清算事業団における雇用対策としてどういうことをやってきたかという問題、そういう問題について幾つか、細かく言いますとあれですが、追加情報という形でILOの方の事務局に対して提供しているところでございます。

保坂委員 恐らく、最終勧告を読めば、政府がどのような情報を提供したのかということは想像できるわけですね。あるいは部分的にはわかります。しかし、全体像がちょっとわからないんですね。

 ですから、これまでこの案件について政府がILOに提供した情報、これはいわゆるILOの中で議論されたわけですから、これを公表していただきたい。いかがでしょうか。政府提供情報を明らかにしていただきたい。いかがですか。

安富政府参考人 我々が追加情報という形で提供した内容について公表しろということでございますが、我々としては、あくまでILO事務局に対していろいろな審査を判断する際に適宜適切にやっていただきたいという観点からやっているものでございますから、これは広くオープンにするというよりも、それを受けてILOの勧告内容がオープンになっているものと認識しております。

保坂委員 扇大臣に伺いたいんですが、いろいろ時代が変わって、まさにこれの解決が急がれていますよね。今大臣がおっしゃるように、四党合意の話も出ました。

 これはILOに政府が公式に出した報告ですから、何も秘密文書とか、そのたぐいじゃないと思うんですね。この問題を早期にかつ生産的に解決するためには、これは扇大臣にも伺いたいんですが、こういう問題については、政治主導ではっきりと示していただきたいんですね。情報を公開していただきたい。それがこの千四十七名問題の何か妨害になりますか。何か障害になりますか。僕はならないと思うんです。

 大臣、いかがですか。大臣の見解だけ聞いて、次に進みます。

扇国務大臣 これが一〇四七に影響するというようなことではなくて、ILOに、政府といいますか、情報を提供したことに対して、公正な判断をするためのILOでございますから、ILOの勧告ぐらい私は公正なものはないと思っています。

保坂委員 ですから、ILOの勧告を生んだ根拠となった情報が、日本政府が出した情報なわけですよね。恐らくそれを検討、吟味した上でILOは判断した。その情報のもとを見せていただきたい、示していただきたい。それは、この千四十七名の、それを見ると、何か解決が遠のくという問題でもなかろうと。

 さっきから鉄道局長ばかり手を挙げているんですが、もうこれは無理なんです、だめだというんでしょう。だから、大臣は政治決断でそういうことをやはり進めるべきではないかと私は言っているんです。わかりますか。ILOに日本政府が出した情報、この情報を明らかにすることは何らこの問題の解決の阻害にならないと思うんですが、その点、一点だけ簡潔に答えてください、扇大臣。時間がないので。大臣にお願いします。

安富政府参考人 正式な規定は別にしまして、ILOの内規で、基本的に、ILOの事務方に政府が出したものについては公表しないということになっていると聞いております。また正式に調べます。

保坂委員 それでは、この問題は指摘をしておきます。これは、もうそっくりそのままじゃなくたっていいんですよ。こういうことを示したんだということを出していただければ議論は進むと思います。

 では、その議論の中身に入りますけれども、ILO勧告は、国労や全動労は広域異動に非協力的だった、このことが組合間の採用率の顕著な相違の原因となっている内容と考えられるというふうに最終勧告では言っているようです。

 局長に伺いますが、このような理解でよろしいですか。わかりましたか、今の。

安富政府参考人 広域異動に非協力であったから採用率が低くなったということのお尋ねがございましたけれども、我々としては、ILOへ申し立てた労組の主張によれば、北海道における所属組合員の採用率が他労組に比べて著しく低いと指摘されておりますが、これは、原地原職にこだわらずに事前に広域異動に応じたほかの労組の多くの組合員の数というものを全く考慮していないものであるというようなため、地元JRへの採用率を考えるに当たっては、当然、このような広域異動に応じた者も考慮に入れるべきだということを述べたにすぎません。

 以上でございます。

保坂委員 そうすると、局長の見解としては、広域異動に非協力的だったから組合員の採用率の顕著な違いが生じたというふうにILO勧告は言っていないということですか。

安富政府参考人 ILO勧告では、具体的にそういう広域異動に協力したかしなかったかということで採用率に違いが生じたということではなくて、そういうことを明確に言っているというふうには考えておりません。

 我々として、あくまで広域異動というものも含めて採用率の違いといったものについては考慮すべきだということをILO事務局に言ったということでございます。

保坂委員 それじゃ、続けて局長に伺います。

 広域異動というのは、国鉄時代の末期に、北海道や九州の余剰人員を本州で吸収するために、広い範囲で北海道や九州から本州に異動される形で実施された人事異動である、こういうふうに理解してよろしいですか。簡潔にお願いします。

安富政府参考人 そういう理解で結構でございます。

保坂委員 そうしますと、この異動に応じた個人は、国鉄分割・民営化の採用の時点では本州に異動している。北海道、九州には、もう既にそこにはいなかった。北海道と九州に残っている人の場合は、組合の所属にかかわらず、広域異動には応じなかった人である。こういうふうに把握してよろしいですか。局長、いかがでしょう。

安富政府参考人 我々は、実際に北海道に残っている人たちがどのくらいの採用率になったかということだけではなくて、全国的に、広域異動に応じた人も含めて、最終的に、組合員全体の中で、全国のといいますか、各JRにどういうふうな採用になったかということも含めて考えるべきではないかということを申しているわけでございます。

保坂委員 では局長に伺いますが、この分割・民営化あるいは広域異動について、ではこれに組合として協力しましょうという組合と、それは反対だ、だめだ、交渉しろ、こういう組合とあったわけでしょう。それは歴史的に事実として明確にあったわけですよね。それが千四十七名問題を生んでいるんじゃないでしょうか。そこの点、明確にしてほしいと思うんですね。

安富政府参考人 実際のJRへの採用が、いわゆる協力的かどうかということで採用されるかどうかは別として、具体的に、広域異動について協力的な組合あるいは非協力的な組合があったことは事実でございます。

保坂委員 それでは局長に伺いますが、広域異動に協力的な組合で採用されなかった人というのは相当いるんですか。

安富政府参考人 あくまで、当時のJRへの採用ということについては、国鉄の方から、年齢、健康状態、勤務状況等の項目を採用基準として、この基準に従って国鉄が客観的かつ公正に採用候補者名簿を作成することにより採用を実施したということでございまして、このことはILOの事務局にもそういうふうに報告しております。

保坂委員 今お聞きしていて、ちょっとまた首をかしげるんですが。

 局長にさらに伺います。

 国鉄の名簿作成の過程で組合間に著しい採用の差異があった、これは労働委員会命令も認めているし、一連の関係する判決もこのことは否定していませんよね。この理解は間違っていますか。

安富政府参考人 中央労働委員会は別にしまして、東京地裁を初め東京高裁における一連の判決については、国鉄の名簿の作成の過程でいわゆる不当労働行為があった場合においてもJRが法的責任を負うべきか否かというのが争点になっているものでございまして、当該不当労働行為があったか否かの点については、裁判所として判断するまでもなく、国鉄が行った採用候補者名簿の作成については、JRがあくまで不当労働行為責任を負わないということを判示したにすぎないというふうに理解しております。

保坂委員 それでは、泉副大臣に伺います。同じ質問です。私、今の答弁ちょっと理解できませんので。

 こういう問題の解決には、認めるところは認めて、そして歩み寄るところは歩み寄るということが、本当に虚心坦懐に必要だと思うんですね。

 国鉄の名簿作成の過程で、やはり組合の違いで採用率に著しい差異があった、このことは、各地の労働委員会やあるいは判決の中でも、それは違っていたとは言われていないんですね。このことはお認めになりますか、副大臣。

泉副大臣 この点につきましては、いわゆる広域異動に非協力的であったかどうかということが組合間の採用率の差になったとの趣旨での認定では特になかったと我々は考えておるところでございまして、今先生がおっしゃいますように、名簿作成の段階で組合の考え方が影響したというふうに御指摘のようですが、私どもはそういうふうには考えていないということです。

保坂委員 そうすると、非常に不思議な話なんですね。では、どうしてその千四十七人の方々が、これは国労と全動労ですか、この二つの組合の方々が解雇ということに結果として相なったわけですね。いわゆる広域異動に協力的な組合の人たちは雇用を継続された。結果としてその事実はあるわけですよね。

 それで、裁判の論点になっているところ、一連の判決の中で、旧国鉄の不当労働行為の責任はあったとしてもJR各社はこの責任は引き継がないんですよということをそれぞれの判決は言っているんじゃないですか。よろしいですか。この点、確認的に副大臣に求めたいと思います。

 旧国鉄の不当労働行為の責任があったとしてもJR各社はこの責任を引き継がないと一連の判決は言っているんじゃないですか。

泉副大臣 東京地裁の判決は、旧国鉄時代に行われました配属命令についてJRに法的責任があるか否かが訴訟の対象になっておることは御承知のとおりでございまして、あくまで仮定の議論として、仮に国鉄が承継法人の採用候補者の選定及び採用候補者名簿の作成に関して不当労働行為を行ったとすれば、その責任は、設立委員ではなく、不当労働行為の主体である国鉄ないしはこれを引き継いだ清算事業団が負うべきものであるということを示しているにすぎないわけでございまして、国鉄や清算事業団の責任の存在そのものをこの裁判の結果として示したものではないわけでございます。したがって、このことをもって、裁判の、今先生がおっしゃったような御指摘がなされたということではないと思っております。

保坂委員 いや、僕は判決の要旨をただ述べているだけで、その価値判断まで踏み込んでいないので。

 では、局長の方に今度伺いますね。

 実は、調べてみると、国労が、国鉄労働組合が、国鉄の採用者名簿の作成について不当労働行為であるということで、当時の国営企業労働委員会、国労委に対して救済申し立てを行っています。この事件は、国鉄分割・民営化以前の、これは一九八七年ですか、昭和六十二年三月十八日に国労委に対して申し立てられましたよね。この結末はどうなりましたか。どうです。覚えておられれば。

安富政府参考人 申しわけございません。覚えていません。また調べて御報告したいと思います。

保坂委員 実は、八八年、昭和六十三年九月二十八日に、国労委、この場で却下されたんですね、この救済申し立ては。その理由は、国鉄清算事業団が労働組合法上の責任の帰属主体となることはなく、ひいて本件について被申立人適格を有しない、こういうふうに述べているんですよ。これは私どもで調べて、文書も入手しています。

 これは確認できますか、こういう却下決定があったと。

安富政府参考人 今先生がお手元で読んでおられるような却下決定があったものと思いますが、また確認したいと思います。

保坂委員 それでは、副大臣、また別方面から今の問題いきますね。

 最近出された、もうつい最近ですよね、五月九日の東京地裁判決は、国鉄分割・民営化の際の配属差別について、不当労働行為があったとしてもその責任は国鉄や清算事業団が負うべきだと。

 国鉄や清算事業団の責任は現在鉄建公団が引き継いでいる、こういう理解でよろしいですか。つまり、責任があったかないかという話じゃなくて、責任はどこが承継しているのか。

泉副大臣 国鉄清算事業団の仕事は、現在は鉄道建設公団が清算の部分については引き継いでおります。

 今先生がおっしゃいましたのは五月九日のことだと思いますが、設立委員ではなく、不当労働行為の主体である国鉄ないしはこれを引き継いだ清算事業団が負うべきものであると。それはそのとおりだと思いますが、そのことと先ほど来先生が御指摘になっておられますことは状況が違うということを先ほど申し上げたわけでございます。

保坂委員 時間も迫ってまいりましたので、要するに、千四十七人の方たちが、亡くなった方もいる、大変苦しい思いで、今、日々を苦闘しておられる。そういう苦闘をいつまでも放置しない、そういう決意が必要だというふうに思っているのですね。

 では、泉副大臣、その場合に、JRに法的責任がもし仮にないとすれば、旧国鉄にあったのか、旧国鉄にもしあったのだとすれば、そこを承継している主体がこの責任をとっていくのか。どっちもなかったという話はないだろうと思うのですね。つまり、当事者はだれもいませんでした、ちょうど宙ぶらりんの、当事者が、全部退場して、いない時期だった、こういうふうには言えないはずなんですね。ですから、やはりそこのところは、国がしっかり整理をして解決を図るという姿勢が必要だと思うのです。いかがですか。

泉副大臣 東京地裁で争われました事柄は、別の案件と申しますか、今先生がおっしゃっておりますように、清算事業団が負うべきものであるという文言はございますけれども、これは別の案件として、そう言われた判決が出ておるわけでございまして、先ほど来申しておりますように、国鉄や清算事業団の責任の存在そのものを判断した裁判ではないというのが私どもの認識であります。

 政府としては、今日までJRとも話をしてまいりましたし、今日までの過程で何度もいろいろな事柄がございました。その上で、政府として、国土交通省としてやるべきことはすべてやって、法的な処理はこれ以上はできないという判断をいたしました。

 それを受けて、人道的な問題として、政治的な判断で、四党が、先ほど来申し上げておりますような内容のものをお示しをし、当事者同士の話し合いが行われておると私どもは認識しておりまして、その結果をもって、政府としてなすべきことがあれば、またその時点で対応をしなければならないと思っておるところでございます。

保坂委員 残りの時間がわずかですから、扇大臣に伺います。

 このILO条約、反組合的な差別だとか、あるいは組合を一つ特定して解雇するというようなことを禁じている、そういう条約の中身に日本は批准国として国際法上の責任も負うと外務省も答弁をしていただきました。

 そして、今、解決が迫られているこの現実の中で、二十人の方が既にもう亡くなっている。それから、地方自治体の早期解決を求める決議が実に六百五十にも上っている。そこのところを、このILOの示した勧告、これをしっかり踏まえて、この問題の、これはもちろん政党間の話し合いもあるでしょうし、最終的には、その話し合いをもとに政府としてもこの事態の打開に踏み込んでいただきたいと思うわけですけれども、総括的に大臣に伺います。

扇国務大臣 先生もこれだけ一生懸命御質問いただいたり、御審議いただきました。

 ただ、私は、その当時素人でございまして、一般の国民から見れば、国鉄分割のときに、二十七万七千二十人という職員が、そして清算事業団に移ったのが二万三千六百六十人です。その清算事業団に移った人たちに、御存じのとおり、再就職のあっせんをし、平均の就職相談、一人当たり七十四回、そして就職のあっせん三十四回、これだけしてまいりました。

 この一〇四七の皆さん方の何人かが私のところへいらっしゃいました。そのときに、私、申し上げたんです、みんな一生懸命苦労していると。そして、これだけの人数が、再就職しなさいとあっせんもし、相談もし、そして、皆さん、同じ同僚が転職して、苦労して立ち上がっている人もいるじゃないですかと、私、何度もそう申し上げました。同じ立場にいた人で、これだけの相談に乗って、残りの一〇四七の人に対して、四党の合意を受け入れなさいとILOで勧告されたのですから、勧告が出たら、一〇四七の皆さん方もぜひこの勧告を重視していただきたい。政府も、四党合意を検討しながら対処していきたいと思っています。

保坂委員 大事なところは、今、一番最後のところだったのです、大臣。一番最後に、一〇四七の方たちも勧告を遵守していただきたい、こう言われた。

 それから、政府は検討と言われた。政府は受けとめてくださいよ。それだけ一言お答えいただいて終わりますから、大臣、一言お願いします。

扇国務大臣 四党合意ということが、先生にも私さっき申しましたとおりでございますので、私は、四党合意を受け入れなさいというILOの勧告を重く受けとめるべきだと思っています。

保坂委員 先ほどの追加答弁、できましたか。

 時間がないので、簡潔にお願いします。

坂本政府参考人 結社の自由委員会の勧告の関係でございますが、先生がおっしゃっているのは、この三件だろうと思うのです。

 一つは、いわゆる日教組槙枝事件と言われる事件でございます。これにつきましては、一九七八年、八六年、八七年、九一年と四回にわたって勧告が行われております。

 二件目は、一九八三年と八四年の二年出ておりますけれども、いわゆる人事院勧告が凍結された事件についてでございます。

 それから三件目は、一九九七年に出ておりますけれども、これは医労連の配転あるいは団交拒否をめぐっての案件で勧告が出されております。

保坂委員 いろいろ議論させていただいて、最後の、扇大臣の勧告を重く受けとめるという御発言を重く受けとめまして、私の質問を終わります。どうもありがとうございました。

赤松委員長 次回は、明三十日水曜日午後四時二十分理事会、午後四時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時七分散会




このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © 2014 Shugiin All Rights Reserved.