衆議院

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第19号 平成13年6月6日(水曜日)

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平成十三年六月六日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 桜田 義孝君

   理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君

   理事 玉置 一弥君 理事 樽床 伸二君

   理事 河上 覃雄君 理事 山田 正彦君

      今村 雅弘君    小此木八郎君

      木村 太郎君    木村 隆秀君

      倉田 雅年君    佐田玄一郎君

      坂本 剛二君    菅  義偉君

      田中 和徳君    高橋 一郎君

      中馬 弘毅君    中本 太衛君

      西川 公也君    林  幹雄君

      福井  照君    松岡 利勝君

      松野 博一君    松本 和那君

      谷津 義男君    吉田 幸弘君

      阿久津幸彦君    大谷 信盛君

      川内 博史君    小泉 俊明君

      今田 保典君    鈴木 康友君

      永井 英慈君    永田 寿康君

      伴野  豊君    細川 律夫君

      前原 誠司君    松野 頼久君

      吉田 公一君    井上 義久君

      山岡 賢次君    瀬古由起子君

      春名 直章君    原  陽子君

      日森 文尋君    保坂 展人君

      井上 喜一君    二階 俊博君

      森田 健作君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   内閣府副大臣       村田 吉隆君

   国土交通副大臣      佐藤 静雄君

   国土交通副大臣      泉  信也君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   江崎 芳雄君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    坂東 自朗君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局長)  乾  文男君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官

   )            渡辺 達郎君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局参事官

   )            田口 義明君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 田村 政志君

   政府参考人

   (財務省大臣官房審議官) 竹内  洋君

   政府参考人

   (厚生労働省医政局長)  伊藤 雅治君

   政府参考人

   (厚生労働省労働基準局安

   全衛生部長)       坂本由紀子君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務

   流通審議官)       杉山 秀二君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  大石 久和君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局

   長)           高橋 朋敬君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月六日

 辞任         補欠選任

  坂本 剛二君     西川 公也君

  中馬 弘毅君     小此木八郎君

  川内 博史君     松野 頼久君

  佐藤 敬夫君     永田 寿康君

  伴野  豊君     鈴木 康友君

  吉田 公一君     小泉 俊明君

  大幡 基夫君     春名 直章君

  保坂 展人君     原  陽子君

  二階 俊博君     井上 喜一君

同日

 辞任         補欠選任

  小此木八郎君     中馬 弘毅君

  西川 公也君     坂本 剛二君

  小泉 俊明君     吉田 公一君

  鈴木 康友君     伴野  豊君

  永田 寿康君     佐藤 敬夫君

  松野 頼久君     川内 博史君

  春名 直章君     大幡 基夫君

  原  陽子君     保坂 展人君

  井上 喜一君     二階 俊博君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案(内閣提出第五三号)

 測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案(内閣提出第五九号)(参議院送付)




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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長大石久和君、自動車交通局長高橋朋敬君、内閣府政策統括官江崎芳雄君、警察庁交通局長坂東自朗君、金融庁総務企画局審議官渡辺達郎君、金融庁総務企画局参事官田口義明君、総務省大臣官房審議官田村政志君、財務省大臣官房審議官竹内洋君、厚生労働省医政局長伊藤雅治君、厚生労働省労働基準局安全衛生部長坂本由紀子君及び経済産業省大臣官房商務流通審議官杉山秀二君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田公一君。

吉田(公)委員 おはようございます。

 毎日毎日委員会が開かれておりまして、答弁する方も大変ですが、質問する方も容易じゃありませんで、しかも朝っぱらから一番でやるなんということは、私にとりましては初めてでございます。大概夕方から夜にかけてやるのがいつもの私なんですけれども、夕方用があるものですから途中で失礼しますので、最初にやらせていただくことになりました。

 まず、交通事故の損害賠償については、御承知のとおり、自賠責と任意保険の両立てになっております。この両立ては、非常にいい面と、それから、何でわざわざ二本立てにしているのか、そういう疑問がないわけではありません。自賠責だけ掛けていたのでは、とても今の交通事故の補償に間に合わない。しかも、三千万円の最高限度額ということですから、大体任意保険で補完をいたしまして、任意保険の契約者はちょっと前までは大体一億円、私も一億円掛けたことがありますが、今はまさに無制限になっているわけですね。

 そういう意味で、なぜこの二本立てにしたのか、二本立てにした意味と趣旨を御説明いただきたい、そう思います。

扇国務大臣 おはようございます。早くからありがとうございます。

 御存じのとおり、自賠責保険は、すべての自動車のユーザーが加入を義務づけられておりますし、また補償内容も同一となっておりますことから、被害者が確実に基本的な補償を受けられる仕組みとなっており、また、自賠責、この保険につきましては、保険会社が利潤を得ることを認めていません。そのために、この保険料水準も大変低い水準に抑えられているというのは御存じのとおりで、今先生がおっしゃいましたように、年間一万三千八百円掛けますと大体三千万が限度です。

 御存じのとおり、今先生がおっしゃいましたけれども、例えば搭乗者、車の中に四人乗っている場合もありますし、一人乗っている場合もあります。もし死亡となった場合、人の命を三千万円で補償できるかということになりますと、これは金額で人の命なんてはかれるわけはありませんけれども、これが家庭とか、あるいは世帯主であって収入はその人だけだという今の現状を考えますと、それぞれが任意保険で自分の判断に応じて補償できるような最低限の補償をしておかなければ、いつ何があるかわからないのが事故でございますので、その予防のための安全料だと思っていただくのが一番いいのではないか。

 まして、掛かっていないという、このごろの若者の場合は任意保険に入る人が少なくなりまして、事故を起こしても補償されないということで、大変多くの事例がございまして、困っている方が大勢いらっしゃいます。

 そういう意味では、自賠責の場合は強制ですけれども、これは一律の補償しか得られない。任意の場合は、それぞれの御本人の判断によって掛金が、今先生おっしゃったように、天井という言い方がいいかどうかよくわかりませんけれども、上限自由であるということから考えますと、今の時代、先生も一億の御経験があるということですけれども、私も一億を掛けておりますけれども、それによって、もしものときというその意味では、自賠責と任意保険、義務と自由裁量というこの二つの形があるということが、皆さん方にとってはよりメリットである、選べるということになると思いますので、こういう組み合わせを運用するということによって、私は、今後もこの制度を維持すべきである、そのように理解しております。

吉田(公)委員 実は、自賠責は旧運輸省担当、それから任意保険は旧大蔵省担当、要するに二つの役所が別々に監督をしている、そこが問題だ、こう思っているのですね。

 例えば、国民金融公庫は大蔵省所管、住宅金融公庫は旧建設省所管、環境衛生金融公庫は旧厚生省が所管、中小企業金融公庫は通産省所管、みんな各省が自分たちの監督権限のあるそういう同じようなものをつくって、そして縄張りをやっている。

 どうもそういうことを考えると、国民金融公庫があるのに、何で中小企業金融公庫があって、農林中金は農林省だと、みんなそれぞれ役所の縄張りで、監督権限のきく、しかも天下りのきくような機関をつくってばらばらにやっているんだ。国民金融公庫に行けば環境金融公庫なんて要らないのに、環境衛生金融公庫は今ないのかな、環境衛生金融公庫はなくしたのかな、そういうように、ことごとく各省で争って、要するに同じような機関を設ける。

 だから、私が疑問に思っているのは、運輸省が自動車に掛ける、これは搭乗者がだれであろうと構わない、とにかく自動車に掛かっているわけだ。それから、任意保険は人に掛かっているわけだ。人に掛けるわけだ。これだけ交通事故が多いのだから、しかも、交通戦争と言われている。一万人、今ちょっと下りましたけれども、約一万人の犠牲者が、死亡事故が起きている、アメリカは四万人だそうですが。そう考えますと、本来なら保険というのは、できるだけ一元化をして、ユーザーがやりやすいようにすべきだ。

 しかも、一万三千八百円の掛金で、最高限度額が三千万。だから、逸失責任というのがあって、この人がもし生きていれば生涯六十歳までどのくらいの所得があっただろうなんということまで計算したら、三千万じゃ絶対きかない話なんです。だから、国が一枚かんで、最初から三千万が最高限度額で、そして、どうしたって任意保険を掛けざるを得ないような仕組みにしておいて、そしてこの二元方式でやっているということに私は疑問を感じているわけ。

 だったら、最初からこの補償限度額を自賠責で一億円にする。したがって、掛金は三倍になるわけですね、三万幾らになる。それで、なおかつ、どうしても不安な人は任意保険を掛ける。そういうようにできるだけ一元化をしてやるべきだ。実は私はそう思っているんですが、その点について、どなたかお答えができる方がおられましたら。

 だって、役所の人だって、高給取りの人が万が一のことがあったら、もしこの人が生きていれば事務次官までなった、そうすると何億円だなんということになったら、お医者さんだって弁護士だってみんなそうだ、とてもそれは三千万なんかじゃできっこないんだから、最初からできっこないような金額を国がやっているなんということはおかしい、そう思っているんですよ。これには何か仕掛けがあるんじゃないか、そう思わざるを得ないんだけれども、そういう点で、私は、前から一元化をすべきだ、こう思っていたわけです。

 その辺、なぜわざわざ二元化にしたのか。わざわざなぜ自賠責をこんな低い納入額で抑えて、限度額をわざわざ三千万だ。三千万なんという話は、もう最初からこれは任意保険を掛けざるを得ないんだ。そういう掛けざるを得ないような状況というのはおかしいのではないか、そう思っていますが、政府参考人の中で答弁のできる人がいましたら答弁をしていただきたい、そう思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 自賠責保険は被害者に対する基本的な補償という性格を持つものでございます。したがって、その内容についても、一律で、どのケースでも同じようなルールでもって適用されるということでございます。これに、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、いろいろな個々の人の事情に従ったサービスを受けることを前提に任意保険が掛けられまして、その二つが両々相まちまして今の自動車関係の保険の制度をなしているということで、これはこれなりに合理的な制度ではないかということでございます。

 また、三千万という限度額でございますけれども、これにつきましては、自動車損害賠償責任保険審議会というのがございまして、そちらの方でその水準についての御検討もいただいているわけであります。

 支払い限度額につきましては、賃金、物価水準、それから他の社会保障制度における給付水準等の社会経済情勢の動向を総合的に勘案した上で、その都度見直しの御検討をいただきまして決定していただいているわけでありますが、現在の支払い限度額は平成三年度の引き上げでございます。その後、物価等が安定していることから、かつ支払い額がおおむね現行限度額の範囲内にあるということなどから、平成十二年六月の自賠審の答申におきましても、保険金の限度額につきましては現行水準が適当であるとの結論をいただいているところでございます。

泉副大臣 先ほど大臣がお答えしましたように、自賠責はまさに最低限の補償、基本補償として整えられた制度でございまして、被害を受けた方々の損害賠償の請求権が絵にかいたもちにならないように、そういうことなんですね。しかも、自賠責の方は保険会社が相手を選択できない。皆さん方、どなたでも申し込みがあれば受けなければならないということになっておるわけです。

 しかし、任意の方は、そのドライバーの運転歴でありますとか人柄とか事故歴とか、そういうことで保険料をいろいろ選択できる。保険会社が場合によってはその相手を選ばないということもできるというようなことでございまして、そうした仕組みをつくらないと、三千万をそれでは六千万に上げて、全部任意でやればいいじゃないかということになりますと、保険料が今の状態よりももっと高くなる可能性の方が大きいというようなこともありまして、これまでも自賠責という制度と任意保険という制度を二本立てでやった方が国民の広いユーザーの方にメリットがあるという考え方でとらせていただいた制度でございます。

吉田(公)委員 実は、今副大臣からお話がありましたように、相手を選べない。それは自動車に掛けているんですから、車検のたびに自動的に掛けざるを得ない。後で質問しますけれども、中には車検を忘れちゃって、したがって、任意保険は入っているんだけれども、自賠責が切れちゃっている、そういう例もありますね。

 これは役所の人に聞くのじゃなくて、大臣、副大臣、つまり政治家同士の判断だ、こう思いますが。

 例えば揮発油税。揮発油税というのは例のガソリン税も含んでいるんですが、昭和二十四年。今小泉総理大臣が道路特定財源の見直しだということを言って、扇大臣は省内で指示を出している、こういう話でありますが、道路財源ですから、当然、道路と自動車、自動車と道路、そういう関係があるわけで、例えば揮発油税なんかは昭和二十九年より特定財源にした。私なんかもこの東京で育ったんだけれども、当時、主な道路は全部砂利道だ。早稲田通りなんていったって砂利道。その当時は、昭和二十九年なんていったら日本にはダットサンぐらいしかありゃしない。動くか動かないかわからないような、何回エンジンをかけてもバッテリーが上がっちゃって、子供のころに、押してくれないかなんて言われたことがあって、押して三十円をもらったことがあるけれども。暫定税率といって四十八・六円にしちゃった。本来は二十四円なんですよ。だから、今、一リッターガソリンを入れると、大体ハイオクが百八円ぐらいで、そのうちの半分が税金で、自動車というのは税金をかけやすいものだから、どんどんかける。

 そういうように、暫定税率なんという税率をぶっかけて、そして年間の自動車関連税というのは五兆七千億ぐらいになる。それを道路しか使えない。それは昭和二十四年だの二十九年に制定したものだから、それは道路に使ったって構いませんよ。だけれども、その次に自動車重量税というのがあるんだ。これも昭和四十六年にやって、これも六千三百円だ。それから、地方道路譲与税というのも、これも暫定税率で、一リッター四・四円なのに、五・二円にしている。

 扇大臣、これだけ事故が多くて、日露戦争より死亡者が多いから交通戦争と言っているわけだよ。だから、こういう道路財源を、こういう自賠責に、要するに引き上げることによって揮発油税を安くしちゃう、そうすれば、ドライバーにとって、ユーザーにとっては、揮発油税は安くて済むんだから、自分たちが事故を起こしたときに、要するにこの自賠責の保険金額を上げたっていいわけだ、ツーペイになるわけだよ。

 そういう発想が政治には必要なんで、それはもう扇大臣に期待をするところまことに大でありまして、そういう発想がないと、道路だから道路しか、補修しか使わないなんて、もう年末になればそこらじゅうで道路工事だ。それで渋滞でストップで、予算を余らすと減らされてしまうものだから全部予算を使ってしまおうなんというので、そこらじゅうで二月、三月になると工事が始まる。もう前々からこれは一種の社会問題になっている。

 だから、そういうように、国が金がなくてどうしようもないのに、道路財源、道路財源といって、その五兆何千億なんという金を道路だけに使ってやっているなんということ自体が、それは二十一世紀の税制のあり方じゃないんだよ。だから、そういう考え方はどうでしょうか。

扇国務大臣 今吉田先生がおっしゃったことは、多くの国民が疑念を持っていらっしゃることと私は同じだと思います。

 今先生が揮発油税とおっしゃいましたけれども、自動車を買うときに、少なくとも国税三税、地方税五税、そして消費税がかかっているのに、なおかつこの税率が下がらない、自分たちだけかかっているというのはおかしいではないかと、私のところへも多くの国民の皆さんの疑問をいただいています。

 あの苦しい中で、日本が、これを入れなければ道路がつくれなかった、財源がなかった。あの当時は、先生も東京でいらっしゃいますから、オリンピックのときに高速道路ができて、最初は百円でございました。私もあのときは百円で通りまして、これはやがてただになるんだよと私は教えられて通った覚えがございますけれども、一度も値段が下がることなく、今は七百円でございます。

 それはやはり、できていないところへもということで、これは当時、お名前を出しては失礼ですけれども、田中角栄総理が、日本を復興させるためには財源確保、受益者負担ということで今日の日本になったということ。むしろ、私たちとしては、あの当時は仕方がなく、またあれがあったからこそ今日までの高速道路ができたということだけは否めない事実であるし、よかったと思っております。

 ただ、事ここに至って、二十一世紀になっても、なおかつ料金は上がり続け、道路をつくり続けるのかという多くの皆さん方の疑問があります。私は言っているのですけれども、少なくとも二十世紀に、全国あらゆるところで国土の均衡ある発展という言葉を政府も使いましたし、あらゆる答申にも国土の均衡ある発展というのがまくら言葉になっております。そういう意味では、東京の皆さん方は便利になっているけれども、我々のところは全然できていないと。私も全国を歩いておりますけれども、歩きましたら、皆さんがおっしゃるのは、道路と鉄道、交通網、これが一番要望が高うございます。

 そういう意味では、今先生がおっしゃいますように、いつまでたっても安くはならないし、いつまでたっても税金は取られるしというものを、国は、どこまでどう高速道路をつくり、新幹線をつくり、どこで国の基本的な成り立ちというものを創造するのか。どこまでやり続けるのか。では、どこでストップするのか。私は、少なくともそれが皆さん方とともに国土交通大臣として考えていく基本的なものだというのをグランドデザインという言葉で申し上げているとおりでございます。

 話が逸脱しますけれども、例えば政治家の皆さん方は一県一空港と言い続けました、この狭い国土の中で、一つの県に一つの空港が要るでしょうかと、これも今疑問になっております。一県一空港と言ったのも政治家でございます。

 そういう意味では、今吉田先生がおっしゃいますように、政治家もいけなかったところは改めて、二十一世紀型にしなければいけない。ただ、むだなことをやめて必要不可欠なところへ集中投資をする、それが私は公共工事の基本的なものだと思いますし、道路特定財源も、では、どこまでつくるか。全国土の大体のレールを皆さんに見せてあります。赤の線で、まだできていないところがたくさんございます。それを切っていいのか切らないのか、これも私は政治家の判断であろうと思います。

 そういう意味では、先生がおっしゃいましたように、もう二十一世紀型にして、国税三税、地方税五税、これを少しまとめたらどうだという御意見は、私は考えられることの一つだろうと思いますけれども、それによって、道路をつくらなくなって、ユーザーの皆さん方が自動車をお買いになるときに安くすることで、果たして、日本の発展をどこでどうストップするのか、発展させ得るのか、二十一世紀じゅうに終わるのか、その目標を設定するのが政治家の仕事だと思っています。

吉田(公)委員 大臣、その点は大いに期待をいたしておりまして、総理みずからがそうおっしゃっているのですから、どうぞ扇大臣も勇気を持って大改革に取り組んでいただきたい。そうしないと、日本はだめになってしまいますよ。

 次に、自動車取得税というのがあるのです。これは地方税の一つになっていますが、本則税率、もともとは三%なんです。それを暫定税率で五%にしたのだ。だから、これは消費税が五%になったから、取得税も消費税並みとして五%にしたのかどうか。これを説明していただきたいと思うんです。

田村政府参考人 お答えを申し上げます。

 自動車取得税につきましては、今御議論がありましたように、昭和四十九年から、本則三%を五%としております。そのときの考え方といたしまして、当時、自動車交通の普及に伴って、地方道、特に市町村道の整備に対する要請が高まっていたこと、そして地方道路事業費に占める特定財源の割合が低い状況にかんがみまして、第七次の道路整備五カ年計画の策定に際しまして、自家用の自動車で軽自動車以外のものについて自動車取得税の税率を三%から五%に引き上げております。

 その後、地方道路財源につきましては、依然として地方道の整備水準が低い、それから地方道の整備に要する経費のうち、特定財源によって賄われる割合も極めて低い。例えば、直轄事業負担金と補助事業に対する地方負担分、それから地方単独事業について、この地方の特定財源を当てはめますと、大体三〇%台でございます。そういったことで、まだ賄われる割合が低いということで、現在、平成十五年三月三十一日まで、その暫定税率を採用しているところでございます。

吉田(公)委員 昭和四十九年に創設ということは、消費税は平成元年ですから、その前に値上げの仕掛けをしていたわけで、そういう意味では、平成十五年には廃止をするのかどうか。大体、暫定税率なんと言って国民から金を取るなんということは、本来許せる話じゃないのです。そういう意味では、何で暫定税率、暫定という言葉を使ったのか、そこのところを説明してくださいよ。暫定なんて、しかも倍だなんて。

田村政府参考人 道路整備五カ年計画を策定する際に、どのような財源で道路事業を五カ年間やっていくかということで、期限を限りまして、五カ年でその財源をつくっていくものでございますので、そういうことから一応五カ年間は暫定的にこの税率を引き上げておこう、こういうことで政府の中で決定をして、継続をしてきている、こういう状況でございます。

吉田(公)委員 五カ年計画というのは、いつからいつまでの話ですか。では、それが終われば暫定税率をなくして、ガソリン税なんか二十四円に下げるのですか。

大石政府参考人 現在の道路整備五カ年計画は平成十年から平成十四年まででございます。平成十五年以降の五カ年計画をどうするかにつきましては、来年の概算要求時点で種々検討させていただくことになると思いますが、現在の道路整備の状況、道路に寄せる国民の期待から考えますと、来年の概算要求では新たな五カ年計画を要求したい、そういうことになるのではないかと考えております。

吉田(公)委員 道路整備五カ年計画、何とか五カ年計画なんと言って、いつもまた五年延ばしてしまうのだ。それで、これは日切れ法案ですとかなんとか言って、我々を追い飛ばして、日切れ法案ですから何とかやってくださいよなんと言って、いつもいつも何か追われて、日切れ法案だからこっちもやらなくちゃいけないみたいに思って、いつもおどかされながらやっているんだけれども、今度はそうはいかないように、次の選挙で私がいるかどうかわからないけれども、平成十五年の改定の時には、できるだけいるようにしたいと思っているわけです。

 それから、次の問題は、これは私は大蔵委員会でも言ったことがあるんだけれども、揮発油税に消費税を五%かけているんだ。そうすると、これは税金に税金をかけているんだから二重課税になるんだ。大蔵委員会のときに、タックス・オン・タックスだからこれはいいのだと言ったわけです。では、日本語で訳したら何と言うのだと言ったら、二重課税だと言うんだと。タックス・オン・タックスならいいとかなんとか言って、英語ならよくて日本語じゃだめだと。そんなばかな話はないので、どうしてこの二重課税を平気でやっているのか。よくこれは国民の皆さん方が黙っていると思ってさ。

 そういう意味では、この二重課税なんということは、何かほかにもあるらしいけれども、本来は税金を二重に課税してはいけないのだから、二重課税になっていることについて、正当性があるのなら説明してもらいたい。

竹内政府参考人 お答えいたします。

 本件につきましては、たしか平成九年以来委員から御質問をいただきまして、私どもと御議論をさせていただいているところでございます。

 価格の中に含まれます個別間接税に相当する部分にも消費税がかかるということは、取引価格を課税標準といたします消費税、EC型付加価値税の性格上、当然生ずることでございまして、私どもは、これを問題と考えているところではございません。

 ちなみに、付加価値税に関するEC委員会第六次指令というのがございます。これは一九七七年に出ておるものでございますが、ここにおきましても、課税標準には付加価値税を除く租税を、この場合は揮発油税でございますが、課税標準に含めるということでございまして、付加価値税の導入されている国におきます共通の考え方、ルールだと承知しておるところでございます。

吉田(公)委員 各国はどうでもいい、日本の税制だから。都合のいいときだけすぐ外国の例を出すんだ。消費税のときもそうだよね、ヨーロッパなんか一番消費税が高いものだから、フランスじゃ一七%ですよと。そんな都合のいいところだけピックアップしてやっておるんだけれども、そうではなくて、日本の税制なんだから、二重課税は本来はやってはいけないことなので、問題があるのならぜひ改めてもらいたい、そう思っています。

 それから、自賠責の審議会の答申では、重度後遺障害者の介護費用を保険金として支払うことを検討する、こうありましたけれども、今後はどういうふうにしていくのか、ぜひひとつお答えいただきたい。

 というのは、交通事故が起きるでしょう。そうすると、介護保険制度で点数をつけてもらって介護保険のお金でやるんじゃなくて、あくまでも交通事故の自賠責の範囲の中で、要するに後遺症だから、介護していかなきゃならない責任があるわけだ。それをちゃんと、一般的な社会的な介護ではなくて、交通事故による自賠責の範囲の中、任意保険の範囲の中でその人の生涯をきちっと面倒を見るのが保険だと思っている。そういう意味で、そういう体制が確立しているのかいないのか、どうなっているのか、説明してもらいたい。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 交通事故によります重度後遺障害者における家族などの介護の負担が大きいにもかかわりませず、これまで自賠責保険の保険金の支払いの対象にされてこなかったということがございまして、先生御指摘のように、この点につきまして、平成十二年六月の自賠審の答申におきまして、介護費用も保険金支払いの対象とすべきということとされました。

 この答申を受けまして、今後、具体的な制度設計につきまして検討を進めてまいりたいと思っておりまして、平成十四年四月に新制度を施行させていただきますときにあわせまして政令を改正いたしまして答申の趣旨を実現してまいりたい、こう思っております。

吉田(公)委員 そうすると、交通事故の後遺症の人たちにとりましては、自賠責保険が責任を持ってこの人たちのその後の生活なり介護なりをきちっと見ていくということですね。そこのところが大事なんだ。

高橋政府参考人 制度を新たに設けます趣旨を踏まえまして今後具体的な制度設計をしてまいりますが、先生御指摘の点なども踏まえながら制度設計をしてまいりたいと思っております。

吉田(公)委員 例えば、六十五歳以上の人が事故に遭った。そうすると、片方では介護保険を受けられる、片方は自賠責で受けられる、それはダブってもいいんですか。それはそうだな、両方金を納めているんだから。

高橋政府参考人 自賠責制度は、制度の谷間という点もございますけれども、そういう意味で、他の制度にない部分につきまして今までカバーしてきたということも念頭に置きながらやっていくということになろうかと思っております。

吉田(公)委員 一番大事なことは、介護保険は介護保険で、区市町村によって多少違うんだけれども、大体三千円ぐらい払っているね。老齢年金をもらっている人は年金から天引きだ。だから、そういう意味では、こちらはこちらとしてちゃんと介護保険制度でお金を払っている。こちらはこちらで自賠責でやっているわけだから、これはちゃんと両方で、ダブっても、例外として、自賠責は自賠責としての責任を果たさなきゃおかしいと私は思う。あなたは介護保険を受けているんだからこっちは払いませんよということにならないように、そこはきちっと制度化してもらいたい、そういうふうに思っています。

 その点、大臣、黙っていたんじゃわからないよ、にっこり笑っていいというものじゃないんだ。答弁してください。

高橋政府参考人 いずれにしても、制度設計はこれからでございますので、御議論を踏まえながら検討してまいります。

吉田(公)委員 扇大臣、よろしく頼みますよ。何かにっこり笑って済まそうと思っているが、そうはいかないんだ。(扇国務大臣「私もそう思います」と呼ぶ)

 それから、紛争処理機関をつくる、こういうことになっていますね。この紛争処理機関というのは新たにつくるんでしょう。国が監督して、紛争処理機関、弁護士さんだとか医者だとか交通工学者だとかそういう人があって、調停はする。調停はするけれどもあっせんはしない。調停とあっせんとどう違うんですか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 紛争処理機関の業務については調停に限らせていただいているわけでありますが、紛争処理の公正かつ中立的かつ迅速な解決を目的とすることを念頭に置くわけでございます。

 この方法といたしましては、適切な事実認定を行った上で、支払い額につきまして第三者機関としての判断を調停案としてお示しして、その受諾勧告を双方に対して行うということでございますので、それが可能な調停によることが適当というふうに考えたところでございます。

 なお、あっせんにつきましては、当事者間の歩み寄りということを勧奨する制度だと思いますので、いわゆる支払い基準にのっとった適正な判断を提示するということがこの紛争処理機関の仕事でございますので、調停の方がなじむかなと思っております。

吉田(公)委員 それで、調停案を出してだめならどうするんですか、その後は。後は裁判しかないわけですか。

 それからもう一つ。紛争処理機関は財団法人にするのか、そして職員数はどうするのか、役員数はどうするのか。これは、理事長とかなんとかいって天下りの人が来てまたやるのかどうか。そういう天下りの人は一切この紛争処理機関には入らないのか。その点、御答弁ください。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まず初めの、調停になりました後のことでございますけれども、この仕組みをつくるときのこれまでの議論の経緯におきまして、保険会社におきましては、調停に従いますという基本的な考え方を表明しておりますので、裁判に行くということなく調停は受け入れられるものと期待しております。

 もちろん法的には、それに納得しない場合には当然裁判ということでございますけれども、できるだけそういう時間のかかることをしないで、迅速に処理するという趣旨でこれが運用されていくものと思っております。

 それから、紛争処理機関なんですが、今民間でいろいろと検討されております。民間主体でございますけれども、財団法人をつくって紛争処理の業務を行うということが検討されております。

 それから、この役員でございますけれども、もちろん、天下りと申しますか、そのようになることはないように適切に対処してまいりたい、こう思っております。

吉田(公)委員 紛争処理機関というのは新たな機関として設けるわけですが、問題は、わざわざ調停案を出すだけでこんな大がかりなものをつくって一体どうするのか。

 調停案なんというのは、次に私質問しますが、自算会でこれはやっているんじゃないの。ところが、この案を調停して、いやだめですと言われたらそれきりで、何日調停に時間がかかるのか知らないけれども、やはりあっせん権限、和解権限、そういうものを持たせてやらなければ、ずるずる問題を引きずるだけ。

 だから、そんなものを幾らつくったって意味ないんで、その辺もちゃんと、調停案だけでやるなんということは、だって、そんなもの保険会社でできるんだ。保険会社同士で調停案つくってやっているんだから。何も国の監督で紛争処理機関なんていって新たにそんなものつくらなくたって、調停案しか出さないんならそんなものは要らない、そういうことになるわけで、その辺も、和解権限、調停権限、そういうものを付与しなけりゃ意味がない、そう思っています。

 次に、自動車保険料率算定会というのがある、通称自算会、こう言っているらしいが。自算会の職員数は約二千名。そして、本部が一、地区本部が九、調査事務所六十七。会員が、損害保険会社が四十七社入っている。一体どういう目的でこの自算会というのがあるのか教えてもらいたい。損害保険会社四十七社が入って、この自算会の職員の法規上の立場というのはどういうことになっているか。会社員なのかね、普通の民間企業の社員と同じことかね。

田口政府参考人 お答えいたします。

 自動車保険料率算定会、通称自算会でございますが、この団体は、損害保険料率算出団体に関する法律という法律によりまして設立されました認可法人でございます。

 どういうことを行っているかという点ですが、大きく分けて二つございます。一つは、自動車保険における公正な保険料率の算出の基礎とし得る参考純率あるいは基準料率を算出するという点でございます。もう一点は、自賠責保険の損害調査等の業務を行っております。

 第一点の自賠責保険の基準料率の算定等でございますが、この算定に当たりましては、会員損保会社から大量のデータの提供を受けまして、それをもとに公正で信頼性の高い料率を会員に提供するという役割を果たしております。

 それから、第二点の交通事故による損害の調査でございますが、自賠責保険が強制保険であるという点、基本補償たる性格を有している、こういう性格を踏まえまして、被害者が均質で適正な補償を迅速に受けられることが重要であるということで、自算会におきましては、全国に設置いたしました調査事務所、御指摘のように全国六十七カ所ございますが、この調査事務所において公平かつ適正な損害額の調査を行っているわけでございます。

吉田(公)委員 そうすると、調査をするのはいいんだけれども、つまり、過失割合というのが一番問題なわけだよ。どれだけ保険会社が払うか。本人が赤信号で渡っているところを事故に遭ったのと、青信号で渡ったときに事故に遭ったところでは過失割合が全然違うんだ。だから、そういう過失割合を調べているのか。そして算定をしているわけなのか。

 そうすると、まず一番最初にどっちが悪いかいいかというのは、警察がやっているわけだ。一一〇番入って、警察が行ってまず実況見分というのをやっているよ。その実況見分によって過失割合が決まって、要するに、刑法が適用するのか行政処分で済むのか、それは警察がやっているわけだよ。だから、この自算会というのは、実況見分のときにちゃんと行ってやっているのかね、それは。

田口政府参考人 お答えいたします。

 自算会の各地の調査事務所におきます損害調査でございますが、案件といたしましては、交通事故案件の中で判断が困難な事案でありますとか死亡等の特定事案、こういったものにつきまして調査を行っております。

 警察等との連携の問題でございますが、自算会におきまして調査を行いますに当たりましては、関係機関の御協力も得ながら自算会職員が損害の調査に当たるという形になってございます。

吉田(公)委員 自算会が調査するといったって、警察行って聞くだけじゃないのか。だって、そこにいないんだからわかりゃしない、実況見分やっているわけじゃないんだから。警察に行って、紛争処理どうなっていますか、過失割合はどうでしょう、いや、これは七対三ですよと。というのは、警察は処分しなければいけないんだから、交通事故に対しては。行政処分にするか、罰金刑にするか、それが重大事故につながっていれば刑務所に、懲役にするか。だって、送検するんだから、場合によれば身柄送検するんだからね。

 そんな、自算会の人たちが夜中に飛んでいって実況見分したなんて聞いたことないよ。何のことはない、警察へ行って聞いてきて、はい、そうですかという話じゃないか。それにしちゃ多過ぎるんだよ、二千名も。どこがお金出しているんだよ、これ。だって、だれも出していないで二千名も、無料でやっているのかよ。

田口政府参考人 お答えいたします。

 基本的には自算会で調査をいたしますが、情報等につきましては警察等からの提供も受けて行っております。

 自算会の資金でございますが、それは会員の保険会社からの拠出等によっているものでございます。

吉田(公)委員 だから、そこが問題だというんだよ。保険会社が金出して自算会をつくっているなんということは、人情からいったって、過失割合は保険会社の方によくなってしまうという可能性がないわけじゃない。そんなのおかしいんだよ。だって、四十七社の人が出しているんだろう。だから、自算会は公正中立で、そして基本的な調査をやっていますなんて、基本的調査って何だよ。

田口政府参考人 自算会の調査でございますが、先ほど申し上げましたように、判断が困難な事案あるいは特定事案について行っているわけでございますが、その内容によりましては、自算会職員が現場におきまして実況見分その他の調査を行っております。

 それから、中立性の御指摘がございましたが、自算会におきましては、審査会あるいは再審査会というものを設けて、有責、無責の判定あるいは後遺障害等の複雑な案件についての審査等を行っているわけですが、この審査会で行った案件にさらに異議のある場合におきましては、再審査会でさらに審査を行う。この再審査会におきましては、交通法学者、弁護士、学識経験者、医師等がメンバーに加わっておりまして、自算会の職員はメンバーに加わっていないということで審査内容の中立性の確保に努めているところでございます。

吉田(公)委員 それ以上やっているとほかに質問ができなくなっちゃうんだ。要するに、ぜひ中立にやってもらいたい。

 その次に、これはまたいろいろなものをつくっているんだよ。自動車事故対策センターというのがある。もう交通事故対策センターというのがあって、各都道府県や区市町村でやっているんだ。警察でもやっているんだ、御承知のとおり、交通安全週間だとかいろいろやっているんだ。今度は自動車事故対策センターなんて、これは一体何をやっているんだよ。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 自動車事故対策センターの業務でございますけれども、大きく分けて二つございまして、被害者の救済事業、重度障害者の方々の療護センターの運営でございますとか、あるいは介護が必要な方に対する介護費用の支給、あるいは交通遺児に対する資金の貸し付けといったような被害者救済事業と、それから、そういう被害者にならないための事業という意味で、事故防止対策事業ということで、例えば、より安全な自動車を開発する、慫慂するために、自動車アセスメントでございますとか、あるいはプロのドライバーについて、事故を起こしたようなドライバーに対して適性診断とかあるいは特別講習といったようなことをやって、事故の再発防止に資するような事業をしております。

吉田(公)委員 よくわからないんだ、説明を受けても。みんな、二重三重にもなっている。自動車事故対策センターというのは各県にもある。職員が七、八人か、十人ぐらい。何をやっているかというと、大体、そこの所長は、本当のことを言うと、陸運支局の人たちが所長をやったり、そういう人たちが肩たたきをやって、そして、あそこの県の自動車事故対策センターの、埼玉支所へ行ってくれないかとか、栃木支所へ行ってくれないかとか、そういうのじゃないの。

高橋政府参考人 事故対策センターにおきましては、地方に支所を設けまして、トラック事業者などの運行管理者に対しまして指導講習をやっているわけでございます。

 この指導講習の体制でございますけれども、事故対策に見識を有する外部の専門家に講師をお願いしておりますが、さらに今後は、そのセンターの職員みずからが講習を行うことができるように、その養成を行っているところでございます。

 なお、今御指摘の地方運輸局のOB職員でございますけれども、講習の運営に対する庶務的な仕事を担当させていただいているということでございます。

吉田(公)委員 庶務だろうが、外交だろうが、別にそんなことを聞いているわけじゃないんだけれども。要するに、そういうところの一つになっていることは間違いないんだよ。

 それから、自動車アセスメント情報の提供。それから、自動車事故による被害者の保護の増進。保護の増進といったって、これは自動車事故対策センターの人が行って介護しているわけでも何でもないんだよ。どっちみち、健康に注意しましょうとかなんとかというビラを一枚ぐらい置いてきて、それでやっていますと。重度後遺障害者の援護。介護料の支給。それから、療護施設の設置、運営なんていったって、三カ所しかつくっていないじゃないか。千人待機者がいるというんでしょう。だから、療養所みたいなのをどんどんつくらなきゃしようがないんだよ。ところが、自算会でも自賠責でも、そういうことについては、千人も待機者がいるのに、いまだに三カ所しかつくっていない。今、一つどこかにつくっているといったな。友の会の運営なんて、余計なことだよ。何の友の会だよ、これは。交通遺児等の援護、それはちゃんとやってくれたら大したものだよ。育成資金の無利子貸し付け、家庭相談、友の会の運営。何だよ、友の会って。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 友の会でございますけれども、これは交通遺児友の会というようなものでございまして、遺児の精神的な支援も含めた方々の集まりということでございます。

吉田(公)委員 たった百三十一億円しかない予算の中で、そんないろいろなことができるのかね、これは。ただもっともらしく書いてあるだけじゃないの、友の会とかなんとかいって。何の友の会だか知らないけれども、何をやっているの。別に紙芝居でも見せているわけじゃないんだろう、これは。

 それから、最後に、さっきの自算会の話なんだけれども、つまり、こういうことがあるんだ。

 要するに、車検をとるのを忘れたから、自賠責に入っていない。任意保険には入っていた。私、たまたま相談を受けた。そうしたら、算定して、この人が金をもらうまでに二年半かかっているんだよ。しかも、この人は母子家庭だよ。子供は教育しなきゃいけない、食べさせなきゃいけない、自分は事故に遭っているから仕事をするわけにいかない。

 それで、いろいろかけ合って、この人だって必死だよ、生活がかかっているんだから。自賠責じゃ百二十万円が最高限度だというんだろう。百二十万円なんというのは最初から超えちゃっているんだよ。そして、自算会へ行ったら、書類をなくしたからもう一回書いて送り直せと、二回やったそうだよ。それで、任意保険がかかっているんだけれども、自賠責が先だから、その次に任意保険の方だから、任意保険の方だってもう適当だよ、まず自賠責を解決してくださいと。ところが、この人が強制保険に入っていないものだから、さあ、今度は要するに国家保障だ。保険から出すのじゃなくて、そういう人たちに対する国家保障というのは年間五十七億か何か出ているんじゃないの。

 さあ、手続が大変で、就職もできなければ仕事もできない。それで、その人は、今度は顔に傷を負ったわけだよ。顔の傷だといったって、女性だから、これは大変なことなんだよ、顔に傷を負うというのは。そんなこと関係ないらしいよ。あなたは女優やるわけじゃないし、何か顔を商売にしているわけじゃないから、顔は関係ないみたいなことを言って、とんでもない話だと思っているんだよ。

 そういうように、問題は、大臣、どんなに理由があろうと、等級を決めかねていようがいまいが、大体こういう人たちに二年半もかかって、あげくの果てに書類を紛失したからもう一回書けとか、しまいには何か、相手が女性一人だと思って、どなりつけているみたいな、そんな自算会というのは要らないというんだよ。運輸省でタクシー近代化センターというのがあるけれども、これだって問題なんだよ、警察官以上のことをやっているんだ、何でもないのに。自算会なんて何にも権限ないじゃないか。だから、それは等級が十一等級になろうが十等級になろうが、そんなことは大した話じゃない。問題は、その等級を決めるために二年半かかったというんだよ。

 きょう、本当は、参考人で自賠責の会長とかなんとかというのを呼びたいと思ったんだ、理事長とか。大体、自賠責の理事長というのは、どういう経歴の人がやっているの。

田口政府参考人 お答えいたします。

 自算会の理事長でございますが、加藤一郎氏でございます。かつての東大の学長をされていた方でございます。

吉田(公)委員 東大の学長だか長男で一郎というんだか知らないけれども、とにかく、そういうことでは困るんだ。困っている人を助けるのが自算会なんだから。それが役所の窓口みたいなことを言って、相手が女の人だと思ってばかにして、あげくの果てに書類を紛失した。二年六カ月だよ。

 それで、私は相談を受けて、これはとんでもない話だと。こういうことがあるから、それで私は運輸省へ電話をしたと思うんだ。何をやっているんだと言ったら、二カ月で出たらしいんだ。たまたま私が知っていて、うるさいやつが言ったものだから、運輸省も何だか二カ月ぐらいでやってくれたらしいけれども。

 全然我々に陳情に来ない人がこういう目に遭っているといけないから、私はあえてきょうは質問の最後にしたわけだけれども、自算会もサービス精神を旺盛にして、ちゃんとやらなきゃ。社会保障的な考え方を持っているとすれば、何も権限を振り回すようなところでも何でもないじゃない、こんなの。威張るところでも何でもないよ。

 しかも、等級を決めるなんて簡単な話でしょう。十対ゼロだというんだから、こっちは過失責任がないというんだから。それで、十二等級にしたというんだよ。

 それも本人は、どっちが言っているか、両方の意見を聞いてみなければわからないけれども、要するに、悔しいから一生懸命勉強して言いに行ったら、こいつは生意気な女だと思ったらしくて、わざと意地悪をして等級を下げたのじゃないか、そこまで疑いを持っているわけだよ。

 これから、交通事故の後遺症や、交通事故で死亡しなくても、後遺症に悩んだり、交通事故に遭う人はこれからどんどんふえてくると思う。だから、自算会というのは大事なんだから、サービス機関として衣がえして、ちゃんとやらなきゃおかしいと思っているんだよ。だから、大臣も副大臣も監督を厳重にして、今度そんなことがあったら、その自算会の東大の学長とかなんとかという人を参考人に呼んで、ちゃんとやるから。

 自算会についての監督権はだれが持っているの、副大臣ですか。何だ、あんなところが持っているのか。

田口政府参考人 お答えいたします。

 自算会の業務の運営につきましては、十分適切なものになりますよう、指導監督等に努めてまいりたいと思っております。

吉田(公)委員 努めてまいりますなんて言っていないで、本当にちゃんとやってもらわなきゃ困るんだよ。交通事故は多いんだから。しかも、車検をとるのを忘れちゃって、自賠責に入っていないというのだから。任意保険は入っている。任意保険の会社は、自賠責に入っていないと途端に消極的になっちゃって、私のところは二番目です、だから自賠責で責任をちゃんとまずとってくださいというから自算会が入ってやったわけだから。自算会の結論が出なきゃ任意保険の方は動かないんだから。そういう谷間にあって全く母子家庭の人が、おれのところも母子家庭だからよくわかるんだけれども、とにかくそういう弱い人たちを、何の権限だか知らないけれども、威張り散らして二年半も置いておくなんということは許されることじゃないんだ。

 だから、必ずこういう自算会の人たちを、今答弁した人は金融監督庁ですか、ちゃんと監督してくれ、金融監督庁というんだから。名前が監督になっているんだから、ほかの省とは違うんだよ。金融監督庁というんだから、ちゃんと。だって、金融監督庁が自算会の監督しているなんて、おかしいじゃないかよ。どうして。最後にそれを聞いて、おしまいにしますよ。

田口政府参考人 お答えいたします。

 先ほども御答弁申し上げましたように、自算会は損害保険料率算出団体に関する法律に基づいて設立された法人でございまして、この法律の所管が私ども金融庁になっているわけでございます。

吉田(公)委員 保険会社を監督しているから、その四十七社が金を払っているから、金融監督庁が監督庁なんだ。監督庁、よろしく監督してくれ。

 これで終わります。

扇国務大臣 吉田先生から貴重な実態を御報告いただきました。私ども国土交通省としては、少なくとも安全第一と言っているにもかかわらず、いざ事故があったときに、皆さん方が安全のために入っている保険すらまともに出てこないという、あるいは俎上にものせるのに時間がかかるということは、大変私残念なことだと思っております。

 交通事故紛争処理センターでありますとか、今の自算会でありますとか、あらゆるものがあったにもかかわらず、一つは損保会社がお金を出し、一つは保険会社が金を出し、自分たちの自衛のためにつくっているのではないかと国民に疑いを持たれるようなことがあってはならないと思いますので、今後すべからく私どもの方として検討できるものは、所管外だと言われて金融監督庁から文句が出るかもしれませんけれども、こういう委員会の御審議は私は真摯に受けて、改善できるところあるいは注意すべきところを、できるのであればしていきたいと思っております。

吉田(公)委員 ありがとうございました。終わります。

赤松委員長 山田正彦君。

山田(正)委員 自由党の山田正彦です。

 国の再保険の制度をやめるということでの法案審議なんですが、この再保険制度は、もともとどのような理由で、どのような事情でできたものでしょうか、副大臣。

泉副大臣 自動車社会が始まる当時、損害保険会社等の体制と申しましょうか、基盤が必ずしも十分ではない、いわゆるリスクヘッジ、どうやってカバーするか、最低限の補償を、何らかの形で国がかかわった方がいい、その考え方のもとに再保険制度というものがつくられたわけでございます。

山田(正)委員 この再保険の制度、もともと、今は金融庁なるものですか、いわゆる保険会社は、当然国の認可事業とか、そういったかなり信用性のあるものに対して業務として認められてやっている、それに対してさらに国がリスクヘッジのために再保険をかける、これはちょっと納得いかないのですが、外国にもそのような例があったのでしょうか。

泉副大臣 外国の例を見ましても、我々が承知している範囲では、韓国、台湾において同じように再保険制度が行われておると承知しております。

山田(正)委員 韓国は、私も調べましたが、日本の制度をまねてやったということで、いわゆる諸外国にはそういう制度はなかったが、日本は官がいわば民の業務に対してそのようなことをやったということになるかと思います。

 ところで、官がそういう業務をやることによって、それにかかる事務費とか、例えば六割のものを国が管理する、そのために、集めた保険料を送金する、一たん国の金庫ですか、国庫に入れてしまう、そういった事務手続から管理費用等、これは大変余分な経費だと思うのですが、年間どれくらいかかっているのでしょうか。

泉副大臣 事務経費には、いわゆる代理店費用というものがございますし、その他、任意保険との関係でいえば、損害調査でありますとか営業費等を案分した部分もございますが、例えば自賠責の事務経費について見ますと、代理店手数料としては一件当たり千六百円を徴収しておるところでございます。

山田(正)委員 では、千六百円徴収して、年間ほぼ四千万件いわゆる自賠責加入者がいるとしたら、大体六百四十億円というお金、これだけのお金が、再保険をすることによって――これは自賠責のための手続費用ですか、再保険とは違いますね。では、今の質問は撤回しましょう。

 今私の聞いたのは、再保険にかかる手続費用、送金費用はどれくらいかということなんですが、それについては質問通告しておったはずですが、副大臣、おわかりですか。

泉副大臣 再保険につきましては、いわゆる保険会社の事務コスト等の削減ということがございまして、保険会社の説明によりますと、約二億円というふうに承知をいたしておるところでございます。

 国においてのこともお尋ねかと思いますが、国においては、これまで年間百二十万件の案件を処理してまいりました。そうしたことが、今回の制度が認められますと合理化されるというふうに我々は考えておるところでございます。

山田(正)委員 今のはっきりした数字等については、確かに算定できないかもしれないですが、自賠責保険制度の手数料等だけで年間大体六百四十億ぐらいが負担されているようですが、それから考えたとしてもかなりの出費がこの再保険制度のためにあった。しかし、これは、私に言わせれば、本来必要ないものであったと思います。

 この再保険制度によって、実は運用益が二兆円もあった、二兆円運用益が残っている。これについては、本来ならば自賠責保険を、それだけの運用益が蓄積されるぐらいだったら当然引き下げるべきではなかったのか。大臣でも副大臣でも、それはどう考えられますか。

泉副大臣 再保険制度は、御承知のようにノーロス・ノープロフィットという物の考え方で整理をされておりまして、保険料そのものもできるだけ安くという、これは当然のことで仕組まれたものでございます。

 二兆円の利益が得られておる。それはむしろユーザーに還元すべきではないかということであったと思います。そうした考え方の中で、保険料を、現在では赤字料率という形で既に一部は還元させていただいております。また、あすは加害者になり被害者になるというような今日の車社会の中で、その果実の一部を被害者の救済に充てていくということは多くの国民が望んでおられることでございまして、一義的に二兆円というお金をユーザーの保険料の減額に充てるということは、必ずしも多くの方々の望まれるところではないということで今日までやってきておるところでございます。

山田(正)委員 副大臣、私の質問とちょっと違っているようですが。

 大臣、お聞きだったと思いますが、二兆円という運用益が残っているということは、自賠責の保険料を引き下げて、もっと安く国民に対してやるべきではなかったのか。それについてどうお考えかという質問ですが、大臣、どう思われますか。

扇国務大臣 少なくとも、山田先生も自賠責の必要性というのをお認めになっていらっしゃるのだと思います。自賠責というのは、一切利益を上げてはいけないという基本的なものがございます。

 ですから、今二兆円というお話がございましたけれども、それは皆さん方の補償のためにあるということ。そして、利益を得ないということのために、補償するものが一銭もなくなったのではこれは何にもなりませんので、そういう意味では、今お話がございましたように、自賠責そのものが利益を上げてはならないという原則に立てば、こういう金額が出てこなければむしろ補償にならないということの担保ですから、言えば、補償するものがなくなってしまうということで、なるべく経費を節約して、そして、皆さん方に納めていただいた自賠責というものを確実に被害者に補償ができるようにという、そのための自賠責であるということです。

 もともと自賠責に入っていない、また任意保険も入っていないという人が多い現在、きのうも参考人の皆さん方の中でそういうお話が一つございましたね。ですから、けがしたことがただの泣き寝入りということになったのではいけないという意味では、自賠責に少しでもゆとりができるということは、むしろ皆さんにとっては安心できることだと私は思っています。

山田(正)委員 どうも大臣の今の答弁では私は納得いかないのですが。

 自賠責保険の支払いが年間約九千億だとする。その中で、百億、二百億、あるいは一千億ぐらい余るということは納得できます。ところが、運用益ですが、二兆円余分にあるということは、それだけ高く自賠責保険料を取り過ぎている、そうなるのではないですか。大臣、お答えください。

扇国務大臣 今山田先生がおっしゃったように、掛けている人の支払い分が少なくて済んだということは、むしろ私は大変喜ばしいことであって、これが、掛けているものが足りなくなったというような事態に日本が至ってはいけないということの自賠責でございますから、そういう意味では、支払い料が少なかったということは、みんなが少しでも気をつけたということなので、それだけの賠償額が少なかったということは、日本の自動車社会にとってはむしろよろしかったというふうに私は理解します。

山田(正)委員 どうも議論がかみ合いません。国民にとって自賠責保険というのは、いわゆる強制保険だから税金と一緒なわけです。だから、税金と一緒みたいな強制保険みたいなもの、これはできるだけ、一円でも十円でも安くしなければいけない。それが二兆円もたまっているということは、それは監督機関としても国としてもおかしいではないかということを言っているわけでして、これは副大臣に。

泉副大臣 確かに、二兆円という果実があってというお話でございますので、果実が出ること自体に着目すれば先生の論理も一つは成り立つかもしれません。実際その両立を今日までもさせてきた経緯はあるわけでございます。ただし、その果実は、再保険することによって税がかからないから我々のところでそういう果実が余計出てきたということもございまして、先ほど申し上げましたように、その果実をユーザーに返すだけが今日の車社会で一番喜ばれることではないという考え方を私どもは持っておるわけでございまして、そこは、ある意味では見解の相違ということになるのではないかと私は思います。

山田(正)委員 いろいろ言っても議論にならないようで、しようがありませんが。

扇国務大臣 いや、かみ合わないのではなくて、先生にぜひ御理解いただきたいことは、今先生が、二兆円の利益があったではないか、それではユーザーに還元すべきだということで、今回はその二兆円のうちの一兆円はユーザーに還元するというふうに私たちは決めております。なるべくユーザーの皆さん方に安いようにということには努力しておりますので、二兆円全部取ってしまう、それでユーザーに還元しないという意味ではなくて、二兆円のうちの一兆円はユーザーに還元するというふうに私たちも考えておりますので、そのことだけは御理解賜っておきたいと思います。

山田(正)委員 二兆円をユーザーに還元するのはこれは当たり前なのですが、私が言いたかったのは、二兆円もたまるということ自体、本来もっと保険料を安くすべきではなかったのか、そういう議論をしたつもりだったわけです。税金と一緒ですから、強制的に取るものですから。

 では、次に進みます。仮に再保険制度をやめる、これは私も当然だと思っていますが、そうしますと、今まで約九千億ぐらいの自賠責保険収入があると思いますが、それを各保険会社が全部これからプールし、支払いのためにそのお金を運用するということになると思います。

 そうすると、かなり、例えば今金利が二・七としても、二百億か三百億ぐらいの運用益が出てくると思うのですが、これは、これから先は、この制度を廃止することによって各保険会社の利益になっていくのでしょうか。副大臣、どう思われますか。

泉副大臣 保険会社の運用益といいましょうか、この部分については明確に区分経理をするということが決められておりまして、結果的に、区分経理で明快に利益が出てくれば、先ほど来先生がおっしゃっておられますような保険料負担の軽減につながるものと思っております。

 手数料などの経費節減につきましては、金融庁、損保会社等での議論の中で経費計算の見直しがこれから進められることになると国土交通省の立場では考えておりまして、そのことについては、金融庁の方でまたこれからお考えいただくことだと思っております。

山田(正)委員 泉副大臣のお考えですと、これまでの運用益分について、例えば保険会社が、もう国が再保険して六割もらわないわけですから、それだけの運用分については区分経理をして、それがいわゆるユーザーのため、いわゆる保険料率の軽減に資するようにすると、はっきり言っていいわけですか。

泉副大臣 区分経理ですから、結果としてそこに運用益が出てくれば、それは一つの考え方として料率の低減につながるということは大いに考えられるという意味で、私は今ここでお約束するだけの立場にはないということを申し上げておるところでございます。

山田(正)委員 それでは、自賠責保険そのものについて聞いてみますが、現在、自賠責保険は、年間一人当たりどれくらいの負担なのか、そしてそれが年間どれくらいの収入になるのか、一般的にお答えいただけますか。政務官でも結構ですが。

泉副大臣 申しわけございません。もう一度お尋ねいただけますか。

山田(正)委員 自賠責保険は、車を買うと必ず保険に入らなきゃいけない、車検のときに入らなきゃいけない。そのときにどれくらいの費用を負担して、それは年間にどれくらいになるものでしょうかというごく簡単な質問なんですが。

泉副大臣 失礼いたしました。

 自賠責保険の契約件数は、十一年度で約四千二百万件ございます。収入営業保険料は、十一年度で一兆六百億円、支払い保険料は九千二百億円というようなことになっておるところでございます。

扇国務大臣 山田先生の御質問は保険料の額の御質問でございますので、自賠責保険の保険料の額としては、自家用自動車の場合は、二十四カ月、二年ですね、二十四カ月の営業保険料は二万七千六百円でございます。このうち、純保険料の約六割相当の一万二千五十円が国に支払われております。それから、残りの一万五千五百五十円のうちの千六百円が代理店に払われております。一万三千九百五十円が保険会社に残ることになります。また、保険会社分のうち七千九百九十円が保険料としてプールされるというふうになっております。内訳でございます。

山田(正)委員 よくわかりました。

 今大体一兆六百億円ぐらいの収入があって、実際に出ているのは九千億ぐらい、いわゆる事故等で払われているのは。そうすると、大体差が一千六百億ぐらいということですね、いわばプールされていくというか留保されていくという部分が。そうすると、非常に保険制度としては健全過ぎるくらい健全な、いわゆる保険料率が若干高いんじゃないかと思えるような内容かと思いますが、それはこれからの議論として。

 それでは、自賠責関係の実態の内容は一体十分なのかどうかというお話をさせていただきたいと思っております。

 まず、自賠責で、その支払いは死亡時に三千万、傷害時に百二十万、あと後遺症によってそれぞれ等級で決められていますね。そして、問題は、傷害のときに百二十万しかないということなんですが、これについては、自賠責としては、交通事故の被害に対してはこれで十分賄っているんじゃないかとお考えか、あるいはそうではないか、いかがでしょうか。

泉副大臣 百二十万円で十分なのかどうかということでございますが、今日までの支払い上限百二十万円の範囲内にとどまった件数は全体の八五%ということでございまして、ほぼこの上限の中におさまっておるというふうに考えておりますし、昨年の自賠審の答申におきましても、現行水準が適当というふうに答申をいただいておるところでございます。

山田(正)委員 小さな事故はしょっちゅう、年じゅう起こっていますから、小さな事故においては、確かに件数においてはそれだけあるかもしれません。ところが、実際に傷害事故で入院するとなったら、治療費だけで普通百二十万を超えてしまう。そういった、けがをして入院するに至った事故について、もっと端的に言いますと、件数で八五%をカバーするんではなく、自動車事故によるいわゆる被保険金額といいますか、いわゆる支払われる金額ですね、保険金金額ではどの程度になっているのか、自賠責のそれの占めている割合は。

村田副大臣 それでは、金融庁の方から答えさせていただきたいと思います。

 ただいま泉副大臣から、件数ベースでは八五%、こういうお答えを申し上げたんですが、金額ベースですと大体二四%ぐらいということでございます。これは、損害賠償額全体が四千三百六十九億円ということでございますから、そのうちの百二十万円を超える部分の損害賠償額の合計が一千四十二億円ということでございますので、二三・八%、こういうことになっているようでございます。

山田(正)委員 それでは、大臣、今お聞きになったと思いますが、実際の百二十万の限度額でもって八五%をカバーしていますというけれども、金額においては二四%しかカバーしていない。違いますか、今のお話ではそう聞きましたが。では、もう一度御回答ください。

村田副大臣 今申し上げた一千四十二億円というのは百二十万円を超えた部分ということでございまして、超えた部分の支払い額が一千四十二億円ということでございます。その部分が、四千三百六十九億円に対する割合が二三・八%ということをお答え申し上げました。

山田(正)委員 限度額は百二十万ですね。交通事故は、自賠責の限度額百二十万。これは死亡事故じゃない、傷害事故の場合ですよ。百二十万の限度額で、自賠責でまず第一次的に支払いがされる。ところが、第二次的に当然、ほとんど実務の扱いでは入院費ぐらいにしかなりませんから、治療費ぐらいにしか、あと休業補償だのいわゆる逸失利益だの、いろいろな損害が出てくるわけです、慰謝料とか。そういったものについて、交通事故における被害弁償額のトータルは金額で幾らになりますかと聞いているんです。

村田副大臣 今申し上げましたのは傷害に関するものでございまして、もうちょっと細かく申し上げますと、支払い額が四千三百六十九億円で、百二十万円以下の損害が四九・四、これは半分ぐらいということですね。それで、百二十万円を超える金額のうちの百二十万円の部分が一千百七十億円ということでございまして、そういう意味で、その二つを、未満のものと、ぴちぴちのところまでいくと、さっき答えようとされた七五%ぐらいとなって、それを突き出る部分、それが二四%ぐらいということでございます。しかも、傷害にかかわるもの、こういう条件がついているということをお答えさせていただきます。

山田(正)委員 どうもはっきり数字の把握がつかないんですが、このまま時間をとってもしようがありませんので。

 いわゆる、私ども実務の扱いでいきますと、自賠責に入っているからといって、足りるのは傷害事故の場合です。治療費、いわゆる入院費等々で終わる。あと本当に必要な休業補償、例えば入院しなきゃいけなくなる、仕事ができなくてあすから収入がないという者に対するそういう休業補償とか逸失利益とか、そういったものは今任意保険で現実に賄われている。だからこそ、任意保険が今、ある意味では八五%の加入率がある、そう私も思っていますが、そういう理解は共通だと思います。

 そして、考えていきますと、この自賠責保険というのは、死亡時に確かに三千万は出るけれども、後遺症が、例えば植物人間とかになったときには、それだけのものは出るけれども、いわゆる一般の交通事故の補償というものには、これは私どもが考えている自賠責はなっていないんじゃないのか。

 例えば、自賠責という二本立て制度の保険制度は、いろいろな手数料もいっぱいかかるし、やめちゃおう、やめちゃって、むしろ、限度額最低三千万円の任意保険にする。今八五%の人は入っているわけですから、それで賄えば、あるいはその自賠責保険にかかる代理店の手数料だけで年間六百四十億、それも要らない。かつ、各保険会社が自賠責保険にかかる事務、管理、いろいろな支払い、いろいろな手数料等々を考えると、かなりの費用が不要なものになる。いわゆる一本立てでいいんじゃないのか。これは、副大臣あるいは大臣、どうお考えですか。

扇国務大臣 今先生がおっしゃいましたように、もう今さら自賠責を抱えなくて、任意だけ三千万掛けた方が安くなるのではないか、むしろその方がユーザーは得ではないかという御理論でございますけれども、少なくとも私たちは、先ほども私申しましたように、自賠責というのは利益を上げないという、ノーロスであるということを言っておりますので、今現実に平成十一年度の収入保険料の総額を見てみますと、自賠責の場合は一兆六百三十八億円、そして支払い保険金が九千二百八億円でございます。任意保険、任意の対人賠償保険の収入保険料の総額が八千七十八億円でございます。支払い保険金が三千九百七十二億円でございます。収入保険料は支払い保険金の約二倍になっております。

 そうしますと、任意保険に一本化した場合には、保険料もかなり高くなるのではないかということが考えられます。また、任意の場合は入らなくてもいいという人が出てくるわけでございますし、また、入らないという人の数も多うございますので、そういうときには、けがさせられ損という人が出てきて補償されないということもやはり考えなきゃいけませんので、私は任意だけに一本化するということは、現段階の社会情勢、あるいは車を利用する年齢層等々から考えても、やはり自賠責というものとの二本立てだからこそ、自賠責の利点もあり、任意の利点もあり、この二本立てであるということで、私たちはかなり安心、安全が保険されているなというふうに考えるべきだろうと思っています。

山田(正)委員 大臣にお聞きしたいんですが、二本立てで、二階建てで、自賠責と任意でやった場合、これは外国にはほとんど例がない、そう思いますが、その二階建ての自賠責保険にかかわる手数料だけで、少なく見ても二千億ぐらいかかっているんじゃないか。それがなければ、その分については、保険料を下げることによって、そして一本立てのいわゆる任意保険でいいんじゃないのか。

 実際に我々実務を扱ってみて、本当に入院とかそういった事故になってくると、自賠責が、もう治療費だけで、あとは何にも出てこない。自賠責に入っても何にもならぬ。何にもならぬというわけではありませんが、そういう事情もあるので、屋上屋を重ねているような制度は、ひとつこの際改めるべきではないのか。

 金融庁から政務官が見えておりますが、外国の実例と、そして、実際に任意保険に今八五%加入していると聞いていますが、一五%加入していないところはどういうところなのか、ひとつそれも含めて御説明いただきたい。

村田副大臣 それでは、最後の方の御質問から答えさせていただきますが、任意保険へ加入していない率は、反対に言いますと、加入率は八四・四%、これは平成十一年度の数字でございますが、そういうことになっております。

 では、残りの一五%ぐらい、どういうところが入っていないかということですが、一番多いのは新車のディーラーで、要するに車として登録はあるんだけれども、あるいはそのときにおいてまだ売れていないということで、任意保険に入っていないもの。あるいは、中古も同じようなことで、ナンバーはついているけれども、要するに運転していないというか、使っていないから入っていないもの。それから、あとは役所の官用車、これは入っていないようでございまして、そういうものを合わせて一五%が未加入のもの、こういうことだというふうに思います。

山田(正)委員 大臣、今お聞きになっておったでしょうか。今、任意保険に入っていない一五%、それは役所の車。何で役所の車が入っていないのかわかりませんが、もし交通事故を起こしたら、役所が金を払ってくれるから保険へ入らなくてもいいといって払っていないのかもしれません。そしてもう一つは、いわゆる新車とか中古車で、実際に保険を掛ける必要がないところ、それが任意保険に入っていないので、ほぼ全部任意保険に入っているんじゃないか。

 そうなったら、任意保険で十分賄えるんじゃないか。何もこの自賠責保険に屋上屋を重ねて、実際の経費、各代理店に千六百円、それだけで六百四十億、そういったお金をかけることは、まさにむだなことをやっている、こういうむだが日本経済をいつもだめにした、そういうことになりませんか。

泉副大臣 自賠と任意と二階建てを一本化するという先生の先ほど来の御主張は、私どもの考え方では、先ほど来申し上げておりますように、国民全体にきちんと万が一の場合に補償してさしあげられるような仕組みにしようというのが根底にあるわけですね。

 任意の場合には、保険会社が相手を選べる、掛けたくてもなかなか掛けられないというようなこともございますし、逆に言うと、多様な保険を引き受けられるというメリットももちろんございます。しかし、最低限の補償をするということが必ずしも全体のユーザーに当然義務づけられるわけではございませんので、何らかの形でそこをカバーしなければならないということで自賠責を考えておるわけです。

 任意保険に加入していない中で、政府保有車の話がございましたが、これは現在約七千六百台余りございまして、率にしますと〇・〇一%というような低い数値でございまして、先ほど来八七%程度というふうに申し上げておりますのは、まさに一般の車の中で加入している方がそういう数字だということですから、官用車はほとんどここの話題になり得ないような率だというふうに思っております。

 繰り返しになりますけれども、確かに、自賠責をやることによって必要な手数料がかかっていることは事実であります。しかし、それ以上にユーザーの方々にお返しができておるというのは、先ほど御説明しましたように、保険そのものが、自賠責がノーロス・ノープロフィットという考え方でやっておるために、大臣からお答えしましたように、保険料収入の総額に比べまして任意保険の場合には支払い金の総額が約半分ぐらいだというようなことからしましても、これをこのまま任意保険に全部移行すれば、保険料は計算上は必ず上がるというふうに私は思うわけです。

 ですから、そのことが国民の利益になるかというふうに考えますと、そうではないのではないか。やはり、今のような制度で最低限の補償を自賠でお引き受けし、それ以上のこと、あるいは多様なものに対応するために任意にお入りいただくということが、一番今日的な車社会の状況に合致しておるのではないかと私は思っております。

山田(正)委員 任意保険が八千七十八億円の収入があって三千九百七十二億円しか支払っていないという先ほどの大臣の答弁でしたが、実際にこれを見ますと、大変な金額が保険会社の収入になっているということになります。

 金融庁の副大臣にお聞きしたいんですが、実際に事故の、例えば任意保険の、幾ら払って幾ら補償しますという保険料率、これは各保険会社が任意に勝手にやることはできませんね。いわゆる金融監督庁なりどこかで決まっているはずですね。そうすると、その保険料の決め方が余りにも保険会社に暴利をとらせていることになりはしませんか。いかがですか。

村田副大臣 任意保険の場合には、自賠責、強制保険とは異なりまして、人身事故というかそういう傷害事故だけではなくて、いろいろな保険事故に対してのカバーをしている、こういうことがございます。したがって、やはり、事故の査定等につきましても、任意保険の場合にはもうちょっと複雑になる。だから、そういう意味で、よりコストもかかっているのではないか、こういうふうに思うわけであります。そういうわけで、任意保険の方が、実態を見ると保険料収入と保険金の支払いに大きな差がある。

 もとより自賠責の方は強制保険であって、ノーロス・ノープロフィットという原則でやっているわけですね。最近では赤字でやっているわけでございますから、それと比較されて、任意保険の方は余り保険金を払っていないんじゃないかと言われると、その比較対照はちょっと適当ではないんじゃないか。

 やはり、保険会社としても、任意でプロフィット、合理的な利益を得てやる、そういう任意保険の世界では、そういう意味では、さまざまな手数料とか事故への備えが要るので差があるというふうに御理解を賜りたい、こういうふうに思っております。

山田(正)委員 今私が申し上げていることに副大臣、答えていただいていないと思うんです。

 八千七十八億あって三千九百七十二億しか任意保険が事故で払っていないとしたら、暴利とは言いませんが、かなりの利益を保険会社がとっている。ところが、自賠責保険は、先ほどの泉副大臣の話では、一兆六百億に対して支払いが九千億ぐらいだった、そういう説明だったと思うんですが、そうして考えれば、自賠責の方が適正になされているという御意見だったと思うんです。

 しかし、考えようなんですが、任意保険の保険料率を決めているのは、言ってみれば金融監督庁で決めているわけですから、保険料率を下げて補償額を上げれば、こういう民間の損保会社にそんなに過大な利益が残るということはあり得ないはずで、むしろ、自賠責で二本立てにやって、実際には入院事故等々になっても治療費しか入らない、みんなが任意保険に入らざるを得ないという状況の中だと、いろいろな意味で、二階建ての費用で自賠責だけで約二千億近いコストがかかっているんじゃないのか、そういうことはやめるべきじゃないかと僕は言っているわけで、それに対して両副大臣、どうお考えですか。

泉副大臣 確かに、自賠責をやることによる手数料が現実にかかっておることは先ほど来お答えしたとおりでございます。

 繰り返しになりますけれども、自賠責という物の考え方が、最低限の補償をしようということで、保険に入っていない車等に対しても対応ができるような仕組みをとりながら、国民全体に自動車社会における安心感を持っていただこうという仕組みでございますので、それを一本化することによるメリットも、確かに先生おっしゃるとおりの点があるとは思いますが、任意保険と自賠責の物の考え方が基本的に違うわけですから、必要な経費としてユーザーの方々に自賠責の分につきましても御負担をいただかなければならない、私はそのように考えておるところでございます。

村田副大臣 先ほどの私のお答えにちょっと付加してお答えをしたいと思っておりますが、任意保険といっても、被害者救済ということが万全でなければ、この自由競争の時代に勝っていけない。つまり、非常に高い保険料を徴収してそれに対する支払いが少ない、こういうトーンになれば、この自由競争の世界でやはり勝っていけないだろう。特に、最近は競争が大変激しくなっているというわけですから、そこは、暴利をむさぼるというような、それに近いお話がございましたが、そんなことはないだろう。しかも、法律上も、内閣総理大臣が、法律によりまして、保険の種類、いろいろな新しいのを開発したときに申請に来たときに、それが保険の数理計算に基づいて合理的なものになっているかということは、やはり監督上見ることになっておりますので、そこは、私どもの責任として、保険金の支払いも合理的な水準であるということは頭の中にあって監督行政をしているということだと思います。

山田(正)委員 お二人とも、ちょっと議論がかみ合っていませんが、いずれにしても、我々交通事故を扱っている者としては、いろいろな被害事故をしょっちゅう相談を受けながらやってきた身として、自賠責とこの二本立ての制度というのは外国にも例を見ない。そして、これだけの、むだなと言ったら怒られるかもしれません、むだな経費が、言ってみれば、自算会とか交通事故相談センターとか各代理店の千六百円の手数料とか、いろいろな形で、それがひいては国民、ユーザーの負担になってはね返ってきている、高い自動車の保険料になってきているということ、これは十分考えて、ぜひこれから先、善処していただきたい。私自身も、特に情報公開を迎えるわけですから、任意保険会社等の支払い状況等について、十分我々政治家もこれから先も目を光らせていかなきゃいけないのじゃないか、そう思います。

 ところで、実務を扱っておりますと、後遺症の認定がよく問題になります。例えば、よくありますむち打ち症、交通事故によって、どんよりとしたこういう日には非常に頭ががんがんしてくるとか、いろいろなむち打ち症がありますが、自賠責の中のむち打ち症の認定だけでも、実は第一級から第十四級までの間に三カ所ございます。

 その中の一番大きいのが九級ですが、九級の十に、「神経系統の機能又は精神に障害を残し、服することができる労務が相当な程度に制限されるもの」、これがむち打ち症の一番強い症状。実際にむち打ち症というのは外形から何も、ただ本人の主訴、訴えるものをもとにして医者が診断するわけですから、これで実際に支払われる慰謝料というのは六百十六万。同じように、外形からは全くわからないもので、十二級というのがあります。神経に頑固な症状を残すものということになりますが、十二級でいきますと二百七十万円。六百四十万円から二百七十万円になるわけです。ところが、十四級、いわゆる神経症状を残すもので一番軽いもの、これが実は慰謝料として百万円というわけですね。

 そうしますと、外形上は全く同じなんです。別にどこにレントゲンの所見が、骨がどうなっている、こうなっているということはないわけです。それでいて、実は、この認定が六百四十万から百万まで、あるいは、自算会では、神経症状なし、ゼロという査定もよく出てきます。ゼロから六百四十万まで、外形上、レントゲン上も、いわゆる形、証拠になるものはなくて査定できる。ということは、自算会の算定の範囲というのは大変な権限を持っているわけです。

 そして、私どもは、自算会に対して後遺症の認定の申し立てをしますと、場合によっては何年もかかる。これは半年、一年というのはざらです。実際に、先ほどお話を聞いておりましたら、自算会の職員等々については全国に随分いらっしゃるようですが、それでやっているようですが、負担するお金、これは金融庁、副大臣にお聞きいたしますが、全部保険会社が、いわば支払う側が全額払っているわけですか。そこはいかがですか。自算会の負担ですか。

村田副大臣 仕組みとしては、任意とそれから自賠責と、両方入っているケースがほとんどだと思いますし、強制保険の方につきましても、まずお払いをして、それで、内部で、例えば保険会社が強制保険と任意保険で違う場合、その場合には事後的に請求するという形になるということだろう、こういうふうに思っておるのです。

山田(正)委員 どうも私の質問によく答えてくれていないのですが、質問通告をしていなかったのでこれはやむを得ません。

 高橋自動車局長にお聞きしたいと思います。

 いわゆる自算会の費用負担は、全額どこがしているのか、そして自算会の理事長は、先ほど加藤一郎さんというお話でしたが、理事が何名いて、それは天下りはいないのか、保険会社からの出向はいないのか、それをここで明快にお答えいただきたい。

高橋政府参考人 私がお答えしていい範囲をきっと超えているとは思いますが、自算会に関する費用につきましては、もともと自算会の業務活動は、保険会社が保険を支払うに当たって事実調査等を行うために、言うなら保険会社の委託を受けて作業するわけでございますので、その活動の経費は保険会社の方から出ているものと理解しております。

山田(正)委員 よく聞こえなかったのですが、自算会でもって今言った後遺症の認定、外形上何もないのに六百四十万からゼロまで査定する。その自算会の職員の費用、調査して、この人はこうこうだという査定をする費用、これは保険会社が負担しているのですかと聞いている。これは保険会社が全額負担しているのですね。

高橋政府参考人 保険会社から払われております。

山田(正)委員 我々、実務をやっていますと、後遺症になった、それで自賠責保険の後遺症認定をもらって、六百万なりあるいは最悪の場合は百万、十四級でもいいからもらいたいと思っても、今、現実になかなかくれないのです。実際にはなかなか認定してくれないのです。十年前より五年前、五年前よりことしとなってくると、どんどん厳しくなってきて、これは両副大臣、聞いていただきたいのですが、なかなか出してくれないのです。

 それは当然のことながら、保険会社がつくった自算会だから、言ってみれば保険会社が金を出して職員の給料から何から全部払っているわけですから、保険会社のためにある自算会だ、そう言えなくもない。そうなれば、当然、もらうものは多く、支払いを少なくという形で、今回国の再保険もやめられたら、まさに交通事故の被害者というのは大変なことになっていくのじゃないか、そう思うわけです。

 この点について、自算会そのもののありよう、副大臣、このままでいいのかどうか、金を保険会社が出していいものかどうか、そこはいかがですか。ちょっと答えてください。

泉副大臣 確かに、自算会の費用を保険会社が持っておるということは、今先生御指摘のようなことが疑われる可能性があると思います。

 しかし、保険会社は自算会にそういう仕事を委託してやってもらうという仕組みをとっておるわけでございますので、自算会自身が自助努力と申しましょうか、そういう疑いをかけられないように、今後迅速な事務の処理を含めまして、姿勢を正していく必要があると思います。

山田(正)委員 高橋局長にもう一つ聞いておったのですが、自算会の理事、職員、いわゆる理事の内訳、それの中身をちょっと教えていただきたい。

高橋政府参考人 私どもの監督団体ではございませんので、ちょっとその点については御答弁ができないわけでございます。

山田(正)委員 監督官庁はどちらになりますか。金融庁ですか。

村田副大臣 個々の役員につきまして、私どもの方で役所のOBかどうかという形で把握はしておりませんが、ざっと見たところ、国家公務員だった者が二名いるということは承知をしております。

山田(正)委員 国家公務員だということは、いわゆる金融庁、財務省のOBだということですか。保険会社からは入っていませんか。

村田副大臣 役所がどこであったか、そこはちょっと御勘弁をいただきたいというふうに思いますが、一応、二名国家公務員であった者がいるということだけを御報告させていただきたい。

 それは、常勤の理事と非常勤の理事がおりますが、非常勤の方であるということは聞いてございます。

山田(正)委員 自算会の中身についてもう少し突っ込んで聞こうかと思っておりましたが、どうやら私の質問時間が終わったようでございます。

 自賠責の再保険制度を含めて、これは大変大事な問題でございまして、副大臣に申し上げておきますが、当然これから先はますます情報公開されていきますし、その中で自算会そのものも国民の目にさらされていくわけですから、できるだけ早い機会に本当に公正中立なものに改める、そしてお金の出どころもきちんと是正しなければ、これは国民が納得いかない。今、自動車事故に遭った被害者の不満というのは、先ほど吉田公一委員も言っておりましたが、大変なところまでその不満は達しているところです。どうかその意味で御承知いただきたいと思います。

 質問を終わります。

赤松委員長 日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 最初に、基本的な問題について何点か質問させていただきたいと思います。

 残念ながら、今の山田先生の御意見と私はちょっと違いまして、車の保有者に義務づけられている自賠責保険というのは、台湾と韓国だというふうに先ほどお聞きしましたけれども、諸外国に例を見ないということなんですが、被害者保護という観点からいうと、いわば画期的な世界に誇れる制度ではないかというふうに私どもは評価をしております。

 この世界に誇れる自賠責保険なんですが、規制緩和三カ年計画に基づいて政府再保険制度が原則的に廃止をされるということになります。審議会の答申だと思うんですが、その中で、自賠責保険の将来について、強制保険、引受義務、この二つはちゃんと堅持をしつつ、保険会社間の競争を促進する方策について検討するということが言われておりました。これは規制改革の三カ年計画の中でもそう明言されているんですが、これだけでは明確にならないのです。

 これを踏まえて、自賠責保険の将来像についてどんなお考えをお持ちなのか、最初にお聞きをしておきたいと思います。

泉副大臣 今先生お話しいただきましたように、自賠責制度につきましては、十二年三月の閣議決定の際に、将来について保険会社間の競争を促進するというようなことが付記されております。

 自賠責そのものについては、先生には高く評価をしていただきまして、我々もこの制度を維持していく必要があると思っております。これからはより合理化するということが最も大切だというふうに考えておりまして、結果として保険会社が経費を効率化していくことにつながるように努力をしてほしい、また私どももそうした努力をお願いしていきたいと考えておるところでございます。

日森委員 私がよくわからなかったのは保険会社間の競争を促進する方策ということなんですが、具体的にはどういうことがイメージされるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 今副大臣の方からお答えさせていただきましたけれども、現在の自賠責の仕組みについては、基本的な補償を維持するものとして合理的なものと考えているわけであります。それと同時に、将来的に保険会社間の競争を促進するということをどう受けとめるかということでございますが、それにつきましては、保険会社の経営において効率的な経営をしていただいて経費を少なくしていただく、その努力をしていただくというような趣旨というふうに受けとめております。

日森委員 競争が促進をされることによって保険料が下げられるとかいうことも当然考えられるというふうに理解してよろしいでしょうか。

高橋政府参考人 そこまで具体的に頭に描いているわけではございません。

日森委員 わかりました。それぞれ詰めていっていただきたいと思います。

 それから、今度の法改正については再保険制度の原則廃止ということが中心になっています。この再保険制度というのは、先ほど申し上げたとおり、私どもとしては大変評価をしてきたわけなんですが、政府として、再保険制度が果たしてきた機能といいますか役割といいますか、これについてどのような総括をされているのか、評価をされているのか、改めてお聞きをしたいと思います。

泉副大臣 昭和三十年当時、この制度を設けようとしましたときには、いわゆる保険会社のリスクヘッジをカバーするという意味で再保険制度をつくらせていただきました。その結果、国民の皆様方には一応安心して車社会に入っていただくことができた。

 それは、その後の車社会が、事故を招くという際にも再保険の果実でもって被害者救済を行う、あるいは、一部では交通安全にかかわる啓蒙活動をするというようなことまでやらせていただきまして、私どもとしては、今日までその使命を十二分に果たしてきたと思っておりますし、二兆円という果実をさらに運用させていただくことによって、今後とも被害者救済に充てるし、ユーザーの方の保険料の軽減にも充てるということで、当初の目的を果たしてまいったと思っております。

 ようやく今日、保険会社の体制も整ってきたということで再保険制度をやめさせていただくことになりましたけれども、今日までの成果は十分国民の皆様にも御理解をいただけておるのではないかと思っておるところでございます。

日森委員 そうすると、確かに政府再保険制度は原則廃止をするけれども、二本立て、これは将来にわたってもきちんと堅持をしていこうという方向性で、これからも被害者保護の充実に当たっていくということが政府の基本方針と考えてよろしいでしょうか。

泉副大臣 先生おっしゃるとおりでございます。

日森委員 ぜひそういう努力をしていただきたいと思います。

 それから、三つ目になりますけれども、先ほど副大臣もおっしゃいました、リスクヘッジ機能はもう要らない、これが前提で政府の再保険制度が廃止をされるということになりましたけれども、実は、昨年第一火災が破綻をするということがございまして、これからも損保会社が破綻をしないという保証はどこにもないのではないかという不安の声があるわけなのです。

 そういう状況で、確かに、いろいろストックをして、それぞれ会社間で持ち合って保険金の支払いに支障がないようにしますというお話があるようですけれども、再保険を廃止して保険金の支払いに本当に支障が生じないのかどうなのか、改めてこれもお聞きをしておきたいと思います。

村田副大臣 今委員が御指摘になりましたように、自賠責の分野で、各損害保険会社間で共同プール、こういう仕組みを整えておりまして、一つの会社が破綻しても保険金の支払いには支障が生じないような、そういう仕組みを備えている、こういうことが一つでございます。

 金融庁としては、日常的には、損害保険会社が適正なソルベンシーマージンを確保していく等の観点から、各会社の経営の健全性というものをモニタリングを通じて見ているということのほか、損害保険契約者保護機構というものを設けておりまして、自賠責保険の保険金は全額保護されるということでございますので、いろいろな仕組みを講じて被害者の救済に万全を期している、こういうことをお答えしたいと思います。

日森委員 わかりました。

 そこで、再保険の廃止ということは、再保険の運用益を利用してこれまでずっと続けてきました被害者保護の政策、さまざまな政策があると思いますが、この被害者保護の政策を損保会社に譲ることになるのではないか、お任せしますと。そこまではちょっと言い過ぎかもしれませんが、損保会社に譲ることになるのではないかというふうに思っているのです。

 そうすると、一般的に見てわかるように、被害者と損保会社は当然利益が相反する。対立とまで言いませんけれども、それは、なるべく保険料は少ない方がいいというふうに考えるのが人情だろうと思いますから。営利企業であり、しかも被害者と利害が対立をする損保会社が、これからもますますニーズが拡大をしていく被害者保護の政策について十分やっていけるのかどうか、そういう心配の声があって当然だと思うのです。これに対して政府がどうお答えになるのか、お聞きをしたいと思います。

村田副大臣 自賠責保険の運用益の各年度の具体的な支出の内容についてでありますが、これは、従来、社団法人の日本損害保険協会が、その諮問機関であります運用益使途選定委員会の審議を経て決定した、こういうことでございます。その使途をより明確化して、かつまた決定プロセスの透明性を高める、こういう観点から、今年度分から、同委員会での議論に加えまして、審議会での議論も経て決定する、こういうことにしたところでございます。

 各年度の運用益の使途については、こうした手続によって決定されていくわけでございますけれども、保険会社が運用する資金が増加することも踏まえまして、金融庁としても、被害者対策の充実に、より一層の注意を払っていきたい、こういうふうに考えているわけであります。

高橋政府参考人 国の関係についてもお答えさせていただきたいと思います。

 再保険廃止後につきまして、政府再保険が果たしてきました被害者保護の機能にかわった措置を講じております。

 一つは、公正な第三者による保険金支払いに関する紛争処理の仕組み、それから保険会社から被害者への情報開示義務、それから支払い基準違反に対する国の命令の仕組み、さらに加えまして、累積運用益の二十分の九を活用いたしました被害者救済対策の実施、こういった新たなセーフティーネットを整備いたしております。

 全体として被害者保護対策というものを充実してまいりたい、こう思っております。

日森委員 損保会社による運用益をどう使うか、それはどこが決定されるのですか。ちょっと今聞き漏らしたものですから、もう一度。どういうところで審議をされて、審議会、選定委員会ですか、どんな方々が入って。

村田副大臣 これから詰めるところはまだございますが、今まで損保協会がございまして、その諮問機関であります運用益使途選定委員会、ここで審議をしていただく、こういうことになっておりましたけれども、新たにその委員会の審議に加えまして、ここのところは今後議論があるところでございますが、金融庁の自賠責審議会あるいは金融審議会でも、企画的な仕事については所掌がございますので、そういうところで議論していくのではないかというふうに思っております。

日森委員 損保協会の選定委員会というところはわかりましたけれども、今後のこういう被害者保護の諸施策を決めていくような機関には、当然国が関与するということを前提に検討していくということなのでしょうか。

 運用益を使うのにさまざまな被害者保護の施策がありますね。ニーズもどんどんふえている。先ほどいろいろな意見もありました。そういうものにこたえていくのに、それを決めていく機関としては、国が積極的に関与する、あるいは国が決めるのか、どういう機関でそれを決定していくようなことを考えていらっしゃるのか、聞かせていただきたい。

村田副大臣 私が今申しましたように、国の審議会でも、そうした運用益の使い方については国も積極的に関与する仕組みをつくっていく、こういうことでございます。

日森委員 自賠責の審議会が中心で、これまでのように決めていく方向で検討しているというふうに理解してよろしいのですか。

村田副大臣 はい。

日森委員 ありがとうございました。

 それと関連して、審議会の答申の中で、特会分と保険会社分の事業全般について見直しを求めているわけです。

 先ほど来吉田先生からもお話があったのですが、例えば介護の問題ですね。しかし、自賠責でいうと、大変お金が少ない、わずかヘルパー二日分ぐらいの金しか出ない。だったら、これは社会保障政策としてやらせた方がいいのではないかということで、介護保険の適用にしていくとかいう見直しがあると思うのです。

 そういう意味からいうと、自賠責の守備範囲というのは一体どこまでなのか。どうも審議会の答申を見ていると、自賠責の守備範囲をやや縮小して、そこからはみ出た分は社会保障政策一般でカバーしなさい、こう言っているようにも見えるのです。この辺はこれからの課題になると思うのですが、この間の参考人の方もおっしゃっていましたが、自賠責できちんと面倒を見てほしい、これは交通犯罪なんだという意見までありました。

 そういう意味からいうと、今後、どのように調整を図っていくのか、整理をしていくのか。その方向性だけでもお示しいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 平成十二年六月の自賠責の答申では、先生御指摘のとおり、特別会計、保険会社分の事業全般にわたって見直しを行うことという指摘がされております。

 しかし一方、現状を見ますと、一般の社会保障では交通事故による被害者救済を十分カバーできていないということも実情だろうと思います。

 このために、一般の社会保障で十分にカバーできていない被害者救済対策については、自動車損害賠償保障制度として、全体として適切に対応を図って、被害者救済対策の充実を実現してまいりたい、こう思っております。

日森委員 ちょっと早口でよくわからないところがあったのですが。

 社会保障政策でカバーするというのは当然あるけれども、見直しの過程で、自賠責でこれまでやってきたことを縮小するようなことはない。それから、ニーズがあるけれども、それには自賠責としてこたえられるところは積極的にこたえていくという趣旨なんでしょうか。ちょっと、もう一度お願いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 見直しをするという点については、それは不断に見直しをしていかなければいけないと思います。そういう意味で、私どもは、被害者救済対策の事業につきましては、重点化を図るとか、効率化を図るとか、そういった努力はしていかなければいけないと思いますし、それから、新しいニーズというものにどのようにこたえていくかということも検討していかなければいけないと思います。

 そういうことをあわせて、一般の社会保障ではカバーできていない部分について適切に対応していくべきだろうというふうに思っているところでございます。

日森委員 自賠責保険の理念であります被害者保護ということを積極的に前面に出した整理の仕方をぜひやっていただきたい。そのことを要望しておきたいと思います。

 続いて、ユーザーメリットの関係についてお伺いをしたいのですが、基本中の基本問題で、もう何人の方も質問されているのですが、今までの累積運用益を二十分の九と二十分の十一にそれぞれ分けて、被害者保護とユーザーの負担軽減に使いますということになったのですが、なぜ二十分の九なのか、なぜ二十分の十一なのかという根拠が、どうもいま一つ理解できないのです。

 これはどんな議論があってそういうふうに決められたのか、改めてお聞きをしたいと思います。

泉副大臣 今日まで、ユーザーへの利益還元、そして被害者救済ということにこの果実を活用させていただいてまいりました。

 今回、そうした今日までの実績というものも当然考えて取り組ませていただくことにしたわけですが、具体的に比率を決定するということにつきましては、いわゆるユーザーによる保険料負担の軽減に充てることを基本としというのが一つございます。また一方に、運用益を活用した被害者救済などの充実に充てる必要があることという、どちらかといいますと、基本とするということと必要なものに充てるというふうに、若干差を持ったお考えを我々はちょうだいしたわけでございます。

 こういうことを踏まえまして、先ほど申し上げましたように、一方では、これまでやってきた約二百億程度のもろもろの事業を踏まえながら、二十分の十一と二十分の九という比率を決めさせていただいたということでございます。

日森委員 いや、なぜというのがよくわからないのですが、きっとどこかであうんの呼吸でこういうふうに決まったのかなという気もするのです。

 先ほど来申し上げているとおり、自賠責保険の基本理念は、あくまでも被害者保護である。ここを充実しようというふうに考えていくと、昨日の参考人の意見陳述の中にもありました、ユーザーといってもあすは被害者だ、決してユーザーと被害者が対立する関係じゃないんだ、自分も被害者になる可能性も多分に持っていると。それだけ交通事故の問題というのは、百十万人が負傷者になっているわけですから、社会的問題だと言えるんだということを考えていくと、どう考えてもこの運用益の重点は被害者保護というところに置くべきじゃないのかというふうに考えたいのです。

 しかし、割合は一一対九でどうも被害者保護の方が少ないということになるのですが、どうなんでしょうか。重点を置くべきだというふうに私は考えるのですが、それについてお考えをもう一回聞きたいということ。

 それから、九千億円ですか、二十分の九。九千何億かになると思うのですが、これで本当に、現状維持じゃなくて、先ほども申し上げましたけれども、さまざまなニーズにこたえた被害者保護政策というのを十分やっていけるのかどうなのか。

 その二点についてお聞きをしたいと思います。

泉副大臣 今先生おっしゃいましたように、自賠責の運用益については、全額被害者救済に充てるべきだという御意見が確かに大変強いと私も承知しておりますし、私が被害者団体の方にお目にかかりましたときも、ぜひそうした方面に活用してほしいという御意見を伺わせていただいております。

 しかし一方では、もともとユーザーの方々がお納めをいただいたものであるから、保険料率の軽減に充当すべきである、そして、被害者救済というものは、国民一般に車社会が広がった今日では、いわゆる社会保障制度的な面から対応すべきではないかという、真っ向から対立すると申しましょうか、異なった意見がございました。

 そういうことを考えまして、先ほど申し上げましたように、一一対九というふうに定めさせていただきましたが、今日的な金利情勢で、約二%というふうに考えますと、九千億の中から百八十億円の果実をちょうだいできるわけでありまして、平成十三年度予算の被害者救済対策等の約百八十六億円という歳出規模を予定させていただいております。こうしたことから考えますと、必ずしも十分ではありませんけれども、今日までやらせていただいた、また、これから充実する被害者救済対策に必要な金額としては、一応納得できる二十分の九ではないかというふうに我々は思っておるところでございます。

日森委員 その果実を運用するわけですから、分子が大きい方が当然いいわけで、そう考えていくと、どうも二十分の九と二十分の十一というふうに割ったというのがもうひとつ理解できないということが残ります。

 私の個人的な意見で言えば、逆転かそれ以上に、例えば二十分の十五ぐらいは被害者保護にしていくということで果実が生まれていけば、先ほどいろいろな先生方がおっしゃいました、療護施設が足りないとか、あるいはもっと精神的なケアまで含めたことをやってほしいとか、そういうさまざまな被害者保護に手当てがしていけるというふうに思ったんです。保険料を安くするといっても何百円、二百円かそこらの話じゃないかという議論もありますし、しかもそれは一定の期間内でしかできない。これは本当に自賠責保険の趣旨からいってそれでいいのかという疑問は残りますが、もし意見があったらまた後でお聞かせいただきたいと思うんです。

 それから、保険料を軽減しますというふうにおっしゃっているんですが、期間限定、しかも額も少額。しかも、運用益で生まれてきた二兆円はこれまで私も含めてユーザーが払ってきた保険料でございまして、これまで払ってきた人に返すべきじゃないのかというふうに思うんです。それはなかなか難しい話かもしれませんが、ユーザーに還元するのは来年から平成二十年までだという格好になっているんですが、その辺もあわせてお聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 ユーザーに還元する仕組みあるいは考え方についてのお尋ねかと思います。

 累積運用益の二十分の十一をユーザー還元するわけでありますけれども、その仕方につきましては、現在、料率は赤字料率なわけでありますが、均衡料率というものが計算できるわけであります。その水準から、保険会社あるいは国がそれぞれ運用益を出しながら差を埋めるわけでありますが、その負担分を取りまして、残りを保険料率として皆さんに負担していただく。それで、保険会社が、言うならば国の分を立てかえることになりますので、保険料等充当交付金という名前にしておりますが、国に対してそれを交付申請し、それを立てかえ払いしてもらったということで払っていく、こういう仕組みでございます。

 それで、ユーザー還元の期間、対象のことでございますが、確かに累積運用益というのは過去のユーザーの一人一人の蓄積ではございますが、その一人一人にお返しするというのは事実上非常に困難なことでございます。

 一方で、考えてみますと、自動車ユーザーのほとんどは長期にわたって自動車のユーザーでございますので、過去と現在の自動車ユーザーの集団につきましては、ほぼ同一というふうに言えるのではないかなということで、このため、この運用益を十四年度から六年間の間に保険料水準の抑制という形を通じてユーザーに還元するということにした次第でございます。

日森委員 そういう意味からいうと、返す人も、全然今まで払っていない人がこれから返してもらうとかいうこともあるわけなんで、そこに金を二十分の十一も使うんだったら、むしろ、日本の人口の百人に一人が事故で傷害に遭うあるいは死亡するという状況になっているわけですから、百万人を超えているわけでしょう、そちらにきちんとお金を使う、その方がはるかに運用益の使途としては有益だというふうに思うんです。

 今度の法案の中ではそうなっているようですけれども、ぜひこれからも、こういう形ではないんでしょうけれども、そういう基本を押さえてやっていただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。

 それからもう一つは、来年の四月一日から二十年の三月三十一日までに効力が生じた契約について、交付金を損保会社や組合に出しますというふうになっていると思います。これは附則七項ですかね。一方、自賠責の懇談会の報告では、運用益などを保険料の引き下げに用いるに際して、保険会社等のための補助と批判されないよう、スキームと具体策を検討するように求めているわけです。

 これについて、具体的にどのような工夫をされようとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 ユーザー還元の仕組みというものでございますけれども、先ほど少し申し上げたわけでありますが、保険会社に対する補助金という形ではございませんで、現在の収支の均衡料率を頭に描きながら、それに対して、今運用益は国とそれから保険会社がそれぞれあるわけでございますので、ユーザー還元に充当する分をまずそこから差っ引くと申しますか、そういうことにいたします。それで、残りをユーザーに負担していただくということになりまして、国の方は、言うなら後払いになる形になります。

 保険会社に先に負担していただくということになりますので、それを後で、これだけ負担しましたということを申請していただいて、それに対して出す。(日森委員「それは交付金ですね」と呼ぶ)はい、交付金ということにいたしておりまして、決して保険会社に補助するわけではなくて、ユーザーの水準を下げるために使った分の立てかえをしていただいている、それを国から交付金という形でもって払う、こういうやり方をしていきたいと思っております。

日森委員 時間もだんだん迫ってきますので、次の問題に移りたいと思います。

 被害者対策の強化について幾つかお尋ねをしたいと思うんです。

 例えば、先ほどもお話が出ましたけれども、高度機能障害者の在宅介護料、これは、重度障害者を自宅で介護している家族に運用益から支給をされる。介護料というのは一日当たり二千二百五十円だそうです。介護されている方は、御存じのとおり、二十四時間休む暇もなく、精神的にもくたくたになって介護をされる、その介護料が一日二千二百五十円。これはヘルパーでいうと、たった二時間分のヘルパー代にしかならない、こういう問題もあります。

 これは一例ですけれども、これから事故の中で高度障害というのはふえてくると思いますし、それから脳の障害なんかも当然出てくるわけで、そこに被害者保護の目をきちんと向けていくということが重要な課題になっている。にもかかわらず、こういう実態でしかないわけですね。

 例えば、介護保険でいえば、最重度の場合は月額三十五万円分のサービスが受けられる。この落差というのは非常に大きいわけで、これは吉田先生も御指摘になりましたけれども、こういうことを改善していくということが大変重要になっていると思うんです。

 そういう意味で幾つかお尋ねをしたいと思うんですが、一つは、どのような施策を検討しているのか、また、今申し上げたとおり、特に重度の後遺障害の方々の救済対策について具体的にどのような対策を進められようとしているのか、まずこれをお聞きしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、交通事故による重度後遺障害者の方々がここ十年間大変ふえていまして、二倍になっているということでございます。重度後遺障害者対策に重点を置いた被害者対策が求められているというふうに思っております。

 このため、これを重点に取り組んでまいっているわけでありますが、具体的には、常時介護及び随時介護を要する重度後遺障害者に対する介護料の支給範囲を拡大する。従来八百人くらいの対象、いわゆる植物人間の方だけだったものを、常時介護あるいは随時介護が必要な被害者の方々に拡大することによって約六千名に拡大するということを今年度から取り組まさせていただいています。

 それから、療護センターにおきます介護病床の新設であります。それから、在宅介護の方々はお疲れでございますので、少しでもそのお気持ちにこたえるということで、短期入院の制度、そのための協力病院の制度といったようなものを創設いたすなどいたしまして対策に取り組んでいるところでございます。

日森委員 確かに前進はされているのでしょうけれども、例えば短期入所なども、実際には付き添いがつかなければだめだみたいな話で、介護する人が休めないとか、そんな実態も今あるようです。

 ですから、先ほど申し上げたように、介護給付、介護する家族に対する運用益からの給付なども少し見直しをしていただいて、在宅で頑張っている、在宅で例えば介護をしているけれども、お金だけでもちろん判断できる問題ではないのですが、そのお金で逆に民間のヘルパーさんを雇ったりということも可能になるような、その程度の厚い給付水準みたいなことを見直していただきたいというふうに思います。それはちょっとお願いで、ぜひこれからの改善の目標というか課題にしていただきたいというふうに思います。

 それから二番目に、情報公開が義務づけられました。確かに前進と言っていいと思うのですが、これまでの被害者の中で、この情報開示がなかったためにいろいろ見過ごされてきた、いわば損をしたような事案もたくさんあるのではないかというふうに思うのです。

 これからは、情報開示がされて被害者も一定の情報をとれるし、それなりの判断基準を持つことができることになると思うのですが、これまで開示がされなかったために見過ごされてきた被害者の方々、この方々についてはどういう対応をされていくのか、お聞きをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおり、これまで情報提供の仕組みがなかったことによりまして、事実認定等が適切でなかった事案について過少払いがわからなかったというような事案がなかったとは言えないということだと思います。

 しかし、私どもも、この過少払い問題につきましては、政府再保険制度の中で再保険金の支払いを通じて是正してまいったところでございます。

 今回の法律案におきましては、被害者に対する情報提供の仕組みがございますので、被害者保護の充実のための措置を盛り込んでおるというふうに思っております。今後は、このような問題は相当改善されるものというふうに考えております。

日森委員 これからはそうなんですが、これまで、例えば随分不満があったけれどもよくわからなくて泣き寝入りをしてしまったと思われている方、そういう方についても、情報を提供してくれと言えば情報が開示されるのでしょうか。そうすれば、自分の今まで思ってきた不満や不信というのは払拭されるかもしれないし、あるいは誤った保険給付を受けていたとかいうことがわかると思うのですね。

 これからはそうなんですが、これまでの問題についてはそういうことはお考えにならないのでしょうか。

高橋政府参考人 被害者の方に対する情報提供については、今御審議いただいている法案で初めてつくった制度でございますので、将来に向けたものではございますが、したがって、遡及適用というようなことを考えることはちょっとできないのですけれども、しかし、事実上の問題として、そういったような問題が起きた場合には、前向きに受けとめていくというふうにしたいと思っております。

日森委員 ちょっと時間が押してきましたので幾つか省きますが、いわゆる払い渋りについて若干お聞きをしたいと思うのです。

 これはさまざまな方からお話があったと思うのですが、追加払いしたケースが、過去十年間で三千八百十二件、総額五十七億四千三百八十三万円だそうです。一九八九年から九八年までの十年間で、追加払いしたケースが最も多かったのは九二年度の六百四十一件、十億四千万円。その後若干減りましたけれども、九八年にはまたふえて、二百六十九件、五億八千万円。これだけの追加払いということが明らかになっています。これだけ見ていると、どうも会社の方の払い渋りというのが明らかにあるのではないのかというふうに判断せざるを得ないと思うのです。

 この辺のことを踏まえて幾つかお聞きをしたいと思うのですが、払い渋りということが今言ったような数字で随分明らかだと思うのですが、これをどういうふうに政府としては受けとめておられるのか。また、我々の側からいうと、どうも会社の方で保険金の見積もりを低く抑えてきたという傾向があるのではないかというふうに思っているのですが、その要因について、お考えがあればお聞きをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 自賠責につきましては、任意保険と異なりまして、国が定める支払い基準に従った支払いがされてきたというふうに思っております。一部を除きまして、大多数の事案については適正に支払われてきたというふうに思っております。

 しかし一方で、一部の事案に、調査不足でありますとか支払い基準の適用の誤りとかいうことで不適切な支払いが見られるということがあったのも事実でございます。そのようなことが原因で過少払いが生じたということではないかと思っています。

 今後はそういうことがないような仕組みを今回御提案させていただいているというふうに思います。

日森委員 数字上だけではなくて、例えば裁判の場などでも、マスコミで報道されていることを取り上げますと、弁護士が代理人になったら保険の給付が倍になったなんという例は一つや二つじゃないというふうに聞いていますし、それから、思いあぐねて裁判にまで持っていったら示談額が当初提示額の七倍になったなんという事例がごろごろあるわけですね。これを見ていると、どうも会社の方の払い渋りというのは明らかにあった、こう言わざるを得ないのです。

 これについては今お話を伺いましたので結構なんですが、今度、支払い基準について法律で定めましたということになりましたけれども、これまでも支払い基準があって、しかも、ちゃんと国がチェックをして追加払いをさせてきた。今度は法律化されることによって、ではどれだけ適正化が進むのかということについて、どの程度効果があるのかよくわからないのです。それについてお聞きをしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 支払い基準は再保険制度のもとで機能を果たしてきたというふうに思っております。したがって、この支払い基準の機能を再保険廃止後も明確にするということで、これを法定化するというふうにいたしました。しかも、これを保険会社に遵守義務を課すということにいたしたわけでございます。

 加えまして、支払い基準に違反する支払いにつきましては、保険会社に対して指示あるいは場合によっては命令といったことをできるようになりましたので、この措置によって被害者保護を図ってまいりたい、こう思っているところでございます。

日森委員 ちょっと勉強不足で申しわけないのですが、そのチェックはどこでやられるのですか、支払い基準に沿っているかどうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 まず、基準を明示しまして遵守義務を課しておりますので、国の方では、死亡とか重要な事案につきましては当然届け出がございますから、そこでチェックができます。それ以外の場合は、被害者の方が、これは支払い基準に合っていないんじゃないかと思えば私どもの方に届け出ていただける、そういう制度になっております。

日森委員 特定事案以外は保険会社と被害者の間でやりなさいということでこれからは進んでいくことになるんじゃないかというふうに思っておるんですが、それはいいです。

 ちょっと関連して、保険会社が支払い基準に従って保険金を支払う遵守義務があるということになって、それに違反をすれば命令したりすることができるということになるわけですけれども、具体的に、例えば死亡事故とかを含めた特定事案以外のことにでもきちんとそれが担保できる、そういうことはどういう方法で政府はやられようとしているのか、それとも、保険会社のいわば善意に、善意というか保険会社の裁量にお任せしておくのか、ちょっとお聞かせいただけますか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 一つは、先ほど申しましたように、支払い基準に合っていないという場合には、被害者の方々がこれを私どもの方に届け出ていただく制度がございますが、それ以外にも、今回、紛争処理機関というのを設けておりますので、保険会社の支払い等について、言うならば不満というか納得いかない部分があればこの制度を活用していただけるということになります。

日森委員 被害者の方にも情報が開示をされるし、基準についても徹底して明らかにしていくという宣伝も含めてやっていただきたいと思っています。

 時間がなくなりましたので、飛ばします。紛争処理機関についてちょっとお伺いをしたいと思います。

 紛争処理機関の全体像というのは今の段階では余り明確になっていないんですが、先ほど来お話が出ているように、自算会が九八年以降随分改善をしてきて、それなりに、例えば再審査制度を入れるとか工学的な専門家を入れて調査をしていくとかいうことで改善してきました。この自算会と紛争処理機関の関係についてどういうふうにお考えなのかということが一点なんです。

 というのは、自算会そのものは全部損保会社がお金を出す、先ほどのお話で費用も全部損保が出すというふうになってきたわけですが、紛争処理機関はあくまでも公平性、中立性というのが担保されなければいけないし、そういう意味では、ひもつきでない機関として設置をされていく必要があるというふうに思っておるんです。

 実は、きのうの参考人の質疑で私質問したんですが、損保協会の荒木専務理事ですか、この機関に対するかかわり方としては、例えば財政的な支援をしたりということもできる限りやっていきたいと。私の方は、金出しても口出すなという話はしたんですが。そう考えていくと、紛争処理機関の中立性、公平性というのはどう担保されていくのか。財政面について国としてどれだけ保障していくのか。

 それから、ちょっと時間がないので一遍に聞いちゃいますが、体制についてどうされていくのかということについてお答えいただきたいと思っています。

 体制というのは、例えば保険金の支払いと保険金の額に対する不満、これだけを処理するとかいうことだけじゃない。実は、事故をめぐっても、この間の審査会の報告書の中にもありましたけれども、これは自算会なんですが、自算会自身も、現場に行って事故の調査をする、的確に事故の原因を把握するとか、事故の現場について正しく把握をするとか、そういう仕事をしないと実際の算定ができないんじゃないかというような報告がありました。こういうことまで含めて紛争処理機関がやっていくような体制をつくっていくのかどうなのか。

 大変重要な問題だと思っているんです。それについてちょっと、一括で申しわけないんですが、お答えいただきたいと思います。

泉副大臣 今回新たに設けさせていただきます紛争処理機関というものは、御指摘のように、公正中立でなければならないということは当然でございまして、そのことに意を尽くして、この機関のあり方について規定をさせていただいておるところでございます。

 国土交通省としましては、一定の関与を行っていくことは、被害者の方々の特に御要望が強かった点でございますので、当然やっていく考え方でございます。金銭的な面で、財政的な面でどうするかというのは、関与のあり方を踏まえて、これからもう少し時間をかしていただきたいということでございます。

 それから、現場等に出かけていくということは、実際、紛争処理機関が、弁護士、医師あるいは学識経験者という方々を想定して今考えておるわけでございまして、一つ一つに現場対応ができることは実態上は難しいんではないかと私は思います。ですから、基本的には、被害者の方あるいは損保会社等の方々の御意見を徴していくということを中心に判定をしていただくことにならざるを得ない。特別の場合にはもちろん現場に出かけていただくこともあるかと思いますが、そうしたことで公正な判断をしていただきたいと思っておるところでございます。

日森委員 まだ漠とした中身でよく理解できないんですけれども、例えば外国の例でいいますと、裁判外の紛争処理制度、ADRと言うそうなんですが、これはもう中立性、公平性、これが大原則になっているということなんです。これは、被害者それから保険会社双方からの影響を完全に排除したシステムとして存在している。

 そうでなければ、外から見ても、自算会についてはどうも色眼鏡で見られちゃって困るというお話を大臣されましたけれども、形の上でもそういうことが絶対にないような、そういうADRというのが一般的で、そこが第三者的に全く独立して裁定していくんだという制度になっているんですね。ですから、ぜひそれに遜色のないような機関としてこの紛争処理機関を設置していただきたいと思っているんです。

 ちょっと副大臣のお話を聞きますと、どうも、お金もかかるだろう、人も相当必要になるから、これは損保会社からもそれぞれ応分の負担をいただかないと難しいかもしれないというようなニュアンスとも聞き取れますし、それから、ある意味では、損保会社の人がその機関に入ってきたりということもあり得るんじゃないのかという心配もしているんです。

 そうなると、やはり、これは自算会ほどじゃないにしても、そんなに変わらないんじゃないか、本当に公平に判断してくれるんだろうかという疑問が出てくるのは当然だと思いますから、改めてそれについて、決意で結構ですからお聞かせいただきたいと思います。

泉副大臣 先ほど御答弁申し上げましたことに誤解があってはならないと思いますのでもう一度申し上げますと、ADR、先生引用していただきましたが、これに何ら遜色のない中立公正な紛争処理機関にいたしたいと思っております。ましてや保険会社の人がこのメンバーに加わるということは、全く予定をいたしておりません。

 先ほど申し上げましたのは、事実を保険会社の立場として報告してもらうというようなことはやらせていただきたい、また必要だと思いますけれども、メンバーに加わることは予定していないということで、御理解を賜りたいと思います。

日森委員 私どもは、この法案は大変問題点を抱えている法案だという認識は持っています。しかし、これまでの歴史と現在の流れの中でこういう改革をしていくということであれば、それはやむを得ないだろうという判断もしているのです。

 しかし、きょう私が発言した中身は、それぞれの委員さんが発言した中身というのは、本当に被害者にとって、政府の再保険制度がなくなったにしても、被害者を保護していく、被害者救済の制度なんだという基本を逸脱しないように、さらに被害者救済の政策が前進するような運用をこれからも図っていただいて、二本立てという制度を堅持して進んでいただきたいということを最後に申し上げて、ちょっと早いですが、質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。

赤松委員長 保坂展人君。

保坂委員 社会民主党の保坂展人です。

 ただいまの日森議員のこの法案についての質問に関連をして、私は、一つの交通事故について、生命の尊厳、これをどう考えるかということを質問させていただきたいと思っています。

 今、委員席に新聞記事をこれからお配りいただきたいと思いますけれども、実は、二年前の九月二十日に、旧運輸省の航海訓練所の初の女性航海士だった藤原裕喜子さんという三十二歳の女性が、異様な改造をしたRV車に追突をされて、そして痛ましくも亡くなるという事故が起きたのです。

 実は、私、昨年八月四日に法務委員会でこの問題を取り上げまして、このRV車が、実は、これは捜査関係者もびっくりしたのですが、車検が通っちゃう、現在、何の問題点もなくこれが通ってしまうということをただしました。そして、同時に、亡くなった藤原さんの上司であった当時の航海訓練所の次長の安本さんにおいでいただいて、藤原さんがどういう方だったのかということを御紹介いただきました。

 ちょっと、かいつまんで。

 政府参考人として来ていただきましたけれども、安本さんは、藤原さんは平成元年九月に航海訓練所に初の女性航海士として入所されました、練習船青雲丸を初め各船に歴乗されて、平成十年の十月、海王丸の二等航海士として乗船勤務になりました、そして九月の二十日、二年前ですが、同船から自宅に帰る途中に不慮の事故に遭遇された、藤原さんは航海訓練所助教授に昇任されて、彼女の今後の活躍を、航海訓練所職員のみならず、同窓生全員が期待しているところでありました、また彼女は、夢は帆船のキャプテンになることだと言っていて、ニューヨークなどで開催される帆船フェスティバルに海王丸で参加することを楽しみにしておりましたという証言を痛切にしていただきました。

 そこで、まず国土交通省に伺いたいのです。

 このときもただしました。こうしたRV車が車検を楽々とパスしてしまう。だれが考えても藤原さんの事故は――新聞記事に写真がありますよね、お父さんが立っておられます。このお父さんも運転席から見えません。ましてやオートバイは全く見えない死角の状態に入り込んで、二十メートルずっと押されて、そして亡くなる。こういうことを放置してはいかぬのじゃないかということをただしましたが、これは具体的にどのように改善の措置が図られているのか、明快にお答えいただきたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 保坂先生から、この点については重ねて御質問をいただいていると承知しております。

 一昨年九月に発生しました車高を上げた改造車による死亡事故や、あるいはRV車系、レジャービークル系の車におきまして非常に死角があるということで、幼児が巻き込まれて死ぬといったような事故もございます。大変痛ましい事故が起きているというふうに承知しております。

 私どもとしましては、その防止に必要な運転視界を確保するということが大事だと思いまして、そのための基準を設ける必要があろうかと思いまして、昨年来検討を進めてまいったところでございます。まだ基準案は検討中の段階ではございますが、改造車やRV車を含むいわゆる車高が高い、車の高さが高い車両につきまして、運転者が車両の付近にいる幼児を容易に確認できる視界を確保できる、そういった方向で検討していきたいと思っております。

 例えば、具体的に申し上げますと、車両の直前とか左側の直近に、幼児を模したような、高さ一メートル、直径三十センチメートルぐらいの円柱を置いて、それを視認できるかどうかというようなことが要件としてできるかどうかといったようなことを検討しようかと思っております。

 しかし、国土交通省といたしましては、今検討中でございますけれども、この検討結果をまとめまして、またパブリックコメントもいたさなきゃいけないと思っております。その結果を踏まえまして、できるだけ早く運転視界基準を定めたいというふうに考えております。

 これにより、安全な運転視界が得られない危険な改造車やRV車を自動車検査において排除していくというふうにしていきたいと思っております。

保坂委員 扇大臣、どうでしょう、今国土交通省から答弁があったわけですけれども、この車、今いろいろなふうに聞けるんですけれども、例えばミラーをつければ視界が確保されるかもしれないですね。こういう異常な形状の車で、今、ミラーも義務づけられていないんですね、要するに、この下を見るミラー。

 そもそも、こういう車そのものの改造が車検をパスしてしまうというところに根本的な問題点があるのじゃないか。これは目黒通りの紀ノ国屋前ですよ。都心を、交通過密の中でこういう車が楽々と車検をパスして走る。

 この状況そのもの、どうでしょうかね、率直に御感想でも一言いただきたいのです。いかがでしょうか。

扇国務大臣 私も今これを拝見しまして、補助ミラーは義務づけかというふうに聞きましたら、まだ義務づけではないと。私、この間も、車が通って、見ていまして、少なくとも、前に、ライトのところに補助ミラーというのをつけているのがありました。これは自主なんだそうです。

 ですから、今後、今保坂先生がおっしゃいましたように、道路運送車両の保安基準、この中に、少なくとも補助ミラーをつけることぐらいは義務づけるというふうに今後指導していきたいと私は思うし、とにかく、町を歩いていますと、歩いていなくても、私は車に乗ったり歩いたりしていますけれども、こういう改造車が多過ぎるのですね。今、改造することが、すごいお金をかけて改造して、これが格好いいという世の中でございますので、改造するのは規制できませんけれども、みんな基準に合っていればいいのですけれども、それを最小限にとどめる、補助ミラーをこの基準の中に義務化するということも、少なくとも最低限は私は改正していくべきであろうという感想を持っています。なるべく早くしたいと思っています。

保坂委員 補助ミラーはもちろんなんですけれども、どうでしょう、タイヤがこんなに異常にでかい。そして、これは補助ミラーだけで対応するものではないと思うんですね。そもそも車としての目的、交通安全のためにも、こういう車両そのものの基準を見直すべきじゃないですか。パブリックコメントを今後出されるというときに、ミラーをつけるかどうかの話だけに終わらせないでほしいと思うんですね。国土交通省の方から。

高橋政府参考人 車高の問題についてでございますけれども、今、車高のことに関しては、補助ミラーでもって視界を確保するという方向での基準ができないか、こういうように思っておりますが、いろいろとパブリックコメント、御意見あろうと思いますので、そういった意見を踏まえながら基準化に取り組んでまいりたいと思います。

保坂委員 大変残念な答弁なんですが、ちょっと進めたいと思います。

 本日は、車の問題だけじゃなくて遺体の尊厳の問題についてちょっと伺いたいので、警察の方にも、厚生労働省の方にも来ていただいております。

 これは警察の方に伺いますが、藤原さんの事故はいつ起きたのか、何時何分ころに起きて、そして彼女が亡くなったことを確認したのはどの時刻だったか。藤原さんの事故は何時何分に起きて、亡くなったのを確認したのは何時ごろだったか、その間どのぐらい開きがあったか。警察の方、お願いします。

坂東政府参考人 委員お尋ねの件は、平成十一年の九月二十日の警視庁の玉川警察署管内で起きた事故の件かと思いますが、この事故発生は同日の十九時五十八分ごろということでございます。それから、私ども警察サイドで死亡を確認いたしましたのが二十時二十七分ころということでございます。

保坂委員 では、さらに警察の方に伺いますが、その二十時二十七分ころ、どこでどなたが死亡を確認されたんでしょうか。

坂東政府参考人 事故発生の被害者の方を救急車で病院の方に搬送したということのようでございますので、それに警察官も、同乗かどうかはちょっと確認しておりませんけれども、ついていっておりまして、それで救急病院のお医者さんが死亡を確認したということで、その旨を同行している警察官が報告を受けて確認したということでございます。

保坂委員 念のため、その病院というのは小倉病院で間違いありませんか、警察の方。

坂東政府参考人 委員御指摘の病院でございます。

保坂委員 これは命の問題で、結局、亡くなった方はもうしゃべれないわけですよね。ここの委員会でも何回も語られました。これは改造の問題とはまた別で、自分の娘がどこで死亡を確認されたかを当然遺族の御両親は知りたいわけですよね。警察の方、どうも教えてくださらなかった。

 そうすると、保険の支払いでも困るんですね、どこで死亡を確認したと。それで、保険会社が全部つぶさに病院に電話をしたんです。この小倉病院にも電話したんだ。そうしたら、そういう人は来ていません、該当者はいませんと言って、みんないないことになっている。いないんです。ところが、今言われたように、警察の方と救急隊は行っているんですね。

 どうも話をいろいろ聞いてみると、その病院には受け入れずに、救急車の中に乗り込んで、ああ、この方は亡くなっていますねと言って医者の方が確認した。しかし、病院は正式に受け入れていないのでカルテは残らない。正式な診療行為というふうにこれは言えるんですか。

 厚生労働省の方に来ていただいていますので、これはどういう行為なんだ。法的根拠はあるんですか。救急車の中に乗り込んだお医者さんはどういう行為なんですか。生死の判別というのは、医者としての、一番厳粛な、最も高度な判断でしょう。カルテが残らないというのはどういうことですか。

伊藤政府参考人 まず、カルテにつきましては、医師がみずから診療している患者さんの記録として医師法に基づき作成するものでございまして、これにつきましては、法律上保存の義務も課されているわけでございます。

 そこで、医師法によりますと、既に死んだ方を診る場合につきましては死体検案というふうな言葉を使っておりまして、死亡診断書につきましては診察中の患者さんが死亡した場合に交付するということでございまして、それ以外の患者さんにつきましては、死体検案書というものを交付することになっております。

 したがいまして、この患者さんにつきましては、病院到着前に救急車の中で死亡が確認されているわけでございますから医療行為の対象にならないという考え方でございまして、当然カルテの作成の義務も生じないという考え方になるわけでございます。

保坂委員 でたらめじゃないですか、そういう答弁は。

 警察の方に伺いましょう。どうですか、救急車に乗って病院へ行ったんですよ。それでお医者さんが乗り込んだ。今聞くと、カルテ作成義務はないと。

 それで、保険会社から、認定しなきゃいけないですからね、死亡時刻はいつだと。実際に、その後、遺体が警察の方に運ばれましたよね。そして、東京都の監察医制度があって、監察医の方が間に合わなくて、翌日夕方三時ぐらいでしょう、監察医の方がその遺体に向き合ったのは。だから、法的には、事故捜査の手続からいえば、この方、藤原さんが亡くなったのが確認されたのはこの事故から十八時間とか十九時間たってからじゃないですか。この点、いかがですか。

坂東政府参考人 私ども捜査当局の方で死体検案書というものをちょうだいしたのは、翌日の午後二時過ぎということでございます。

保坂委員 では、厚生労働省に聞きます。

 つまり、カルテ作成義務はないわけですよね。そうすると、この救急車に乗り込んだお医者さんのやった行為というのは、医師法に基づくどういう行為に当たるんですか。それで、死体検案書をつくらないわけですよね。結局、亡くなったかどうかを警察はそれで判断しているわけですよ。

 そして、そういうことが放置されてきていることについて、一番問題は、保険会社がそれこそ照会をしても、そんな人は来ていませんと言うのはうそじゃないですか。虚偽の応答をするということ自体許されるんですか。命の尊厳にかかわる問題ですよ。

伊藤政府参考人 本件の場合の具体的な事実関係につきましては私どもは調査しておりませんが、仮に病院到着前にお亡くなりになった患者さんをそこの病院の医師が診ている場合には、死体検案書を作成するということになるわけでございます。

保坂委員 では、警察の方にもう一回伺います。

 もう、さんざん国会でたくさんの議論があって、これは警察庁も法務省も、交通事故の問題を被害者あるいは被害者の遺族の側に立ってもう一回見直そう、こういう議論をしてきていますよね。

 そこで、警察の方は御両親に対してどこの病院か教えていないのですよね。どうして教えなかったのですか。

坂東政府参考人 私ども警察におきましても、被害者対策というものを積極的に推進しているところでございまして、交通警察におきましても、交通事故に遭われた被害者の方々の心情にも十分に配慮したような形の被害者対策を実施しているところでございます。

 そこで、委員からもいろいろとこういった交通事故に絡みます被害者対策の御指摘を受けているところでございますので、警察庁といたしましても、各都道府県警察に対しまして、交通死亡事故御遺族に対する早期連絡とか、あるいは御遺族と御遺体の早期対面、さらには御遺体の早期引き渡し等につきまして、全国会議等を通じて重ねて指示をしているところでございます。

保坂委員 今の答弁はこの一連の質問を受けとめていただいたということで大変評価できるのですけれども、ただ、実際上、この藤原さんのケースでいえば、御両親はついに警察からも、どの病院でうちの娘が死亡を確認されたのかということを知らされなかったのです。検事さんから教えてもらった。そこでようやくわかった。そして、今の厚生労働省の答弁も、カルテもつくらなくていいし、これは適法なのだということですけれども。

 これは、扇大臣にもう一度伺います。

 交通事故の場合、亡くなった側というのは本当に何の証言もできないのです。結局、こういう事故でも、やはりオートバイに乗っていた娘さんの方が過失が重いのではないかという相手側の主張があるようです。六、四でオートバイに乗っていた方の方が悪い、こういう主張が出てくるわけですね。だって、証拠がないのですから。少なくとも病院に運ばれて、そして解剖しないまでも、CTスキャンで見たり、レントゲンを撮ってどこを骨折していたか調べたりとか、そういうことがされれば、まだ遺族としては、こういう打撃を受けてこうやって亡くなったと主張できるわけです。

 今お話を聞いておわかりのように、結局、亡くなった途端に捜査上は一つの証拠になってしまう。そして、病院は、もう死んでいるのだから扱わない。こういうことで、この場合はいろいろな不備が重なって二十時間程度警察に置かれてしまったわけです。こういうことについて、扇大臣、ぜひ改善を求めていただきたいと思うのです。これは国務大臣としてぜひ問題意識を持っていただきたいと思います。いかがでしょう。

扇国務大臣 私、今、事例と、それからかつて委員会で細かい御質問があったというデータを存じませんので、そのことに対してここをどうすればいいということを今私は軽々に言えませんけれども。

 少なくとも、これは旧運輸省の嘱望された女性であるということで、身びいきをするわけではありませんけれども、こういう貴重な人材が犠牲になったということに顧みて、今後私たちがどう対処すべきか、この死者を、ただ死者として葬るのではなく、今後の交通安全のあり方の一助にして、そして私たちは、貴重な体験として、彼女の死をむだにしないように、今後の安全対策に資するために検討させていただきたいと思います。

保坂委員 もう亡くなった命は戻らないのですね。だから、遺族の方が思われるのは、せめて娘の犠牲の後に、違法ではないのですから、適法改造なのですから、これが放置されて、何も変わらない、これだけはやるせないなという思いをいろいろ訴えられてきた。その思いを今大臣に受けとめていただいたというふうに思います。

 そこで、警察の方に、さらにちょっと確認的な質問になりますけれども、両親が遺体になかなか対面できなかったですね、早く会わせてあげてほしかった。前回、といっても去年ですが、そのときの警察の答弁では、運転免許証でわかった、ヘルメットを両親に見せて確認してもらったとかだったのですが、十一時半に会わせられたというふうに何回も言われているのですね。これは事実は違っていたということだと思うのですよ、翌日一時過ぎだったと思うので。その点ちょっと確認をしたいと思うので、正確なところを御答弁願いたいと思います。

坂東政府参考人 委員御指摘のように、別の委員会で御質問がありましたときに、御遺族の方と御遺体の対面時間のお尋ねがございまして、事故発生当日の二十三時三十分ごろというような形でお答えをさせていただきましたが、その後改めて警視庁で再調査をいたしました結果、委員御指摘のように、翌日の午前一時ごろであった、このように警視庁から報告を受けております。

保坂委員 再び警察の方に伺います。

 やはり交通事故については、現場で処理をされる、事に当たる警察官の方は、大変な仕事だと思うのです。そして、数が大変に多い。そういう中で、遺族の側からやはりその真相をよく知りたいという声も高まってきた。ますますそういう意味で、最初の捜査、それから事実確認、いろいろ万全を尽くしてもなお至らないところも、それは出てくると思います。

 そこで、先ほど大臣にも伺った点なのですが、結局、亡くなった方の遺体を司法解剖するかどうかという視点だけで扱っている。解剖しなくていいということであれば、もうこの場合何にも残っていないのです。恐らく写真しか残っていないでしょう。例えば、レントゲンもないし、出血状況のチェックも全くできていないわけです。そういうことで、結果として、これが民事訴訟などになっていけば、物証がないわけですから、もう亡くなった方はいないわけですから、まだ、けがをしていても、けがを押してその証言に立てばその事実は明らかになります。

 警察の方で、遺体の損傷状況やあらゆるデータを遺族の側あるいは被害者の側に立ってもっと確保する。これは警察だけではできないと思います。厚生労働省、医療現場ともしっかり連携をとって、そういうふうにぜひ事を運んでいただきたい。いかがでしょうか。

坂東政府参考人 私ども警察におきましても、当然ながら、交通事故が発生した場合におきましては緻密な捜査を行っているところでございますが、特に、今回の事故のように、一方の当事者が亡くなられたり、あるいは重体等のために事情聴取ができないような事故とか、あるいは当事者の言い分が食い違ったりする事故につきましては、両当事者の責任の軽重を公平に見きわめる必要があるために、事故捜査指導官という、交通事故に関しての知識なり知見を非常に豊富に持っている、そういった指導官による実地指導を行う等して、適正な捜査に努めているところでございます。

 こういったことも含めまして、いずれにいたしましても、被害者対策にも、十分に被害者の御心情も酌んだ上での対策を講じていきたい、このように考えております。

保坂委員 それでは、泉副大臣に伺います。

 どういうケースだったかということはもう十分おわかりだと思うのですね。この車両改造の問題一点ですね。今、国土交通省の観点は、ミラーです、補助ミラー。これで視界を確保する。

 どうですか、こういう車で、小さい子供や孫が道路で遊んでいますよ、三輪車が走っているかもしれない、視界はないですね、これは。補助ミラーということで本当に対応できるんだろうか。自動車というものが、利便性はある、それからレジャーとしての楽しみもあります。しかし、それは、少なくともお互いの命を守るというところでぎりぎり整備されていかなければいけないわけで、この車両改造の問題について、ミラーだけでいいのかどうかという見解を伺いたいんですね。やはりここは政治主導で、指導性を発揮していただきたい。

泉副大臣 先ほど政府参考人がお答えをいたしましたように、保安基準の見直しを進めておる最中であり、またパブリックコメントによってよりよいものにしていこうという努力をしていくことは当然だと思います。

 ただ、この写真を見せていただきますと、こういう車両が、子供が遊び、老人の方がいらっしゃるような市街地をなぜ走らなきゃならないか、こんなものがどうして必要なのか、そういう感じを私はこの写真から受けました。ですから、特定の目的でどうしても必要であるということであれば、保安基準としては合格させても、何か目的を限定したところで走行するというようなことであれば、私はそれは許されることだと思いますけれども、この事故の事実関係あるいは背後はよくわかりませんが、私としましては、こういう車両改造については、安全という観点から、さらに厳しい基準が必要かなと思って先生の質疑を聞かせていただいた次第でございます。

保坂委員 別の委員会ですが、八月にこの問題を取り上げさせていただいて以来、国土交通省の方でも検討作業が始まっていると思うんです。しかし、扇大臣が言われたように、この亡くなった方は女性初の航海士で、雑誌とか何かにも紹介されているんですね。本当に将来楽しみだったと、本当に言葉を詰まらせながら証言してくれましたよ、その上司であった方が。

 そういうとうとい犠牲があって、しかし、役所の方ではまだ執着しておられるのはミラーで、そのものが、泉副大臣が今おっしゃったように、どうしてこれが市街地でとだれもが感じる。これは、捜査関係者はみんな直観したそうですよ、これは違法だ、これは違法改造だと。調べたら合法だったんですね。これは警察の方も検察の方もそう思ったそうです。

 だから、少なくとも命を守るという観点で、国土交通省の方も、これは厳しく、今これは現在進行形ですね。ぜひその点はミラーだけにとどめないでいただきたいということを強く要望して、私の質問を終えたいと思います。ありがとうございました。

赤松委員長 午後一時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十三分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時三十二分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。瀬古由起子君。

瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。

 自賠責法の関連で質問させていただきます。

 まず第一に質問いたしますが、過去十年間の交通事故の死傷者の推移はどのようになっているでしょうか。

江崎政府参考人 過去十年間で見ますと、まず交通事故の発生状況でございますが、二十四時間死者数で見ております。それでまいりますと、十年前、平成三年が一万一千百五人、これが、直近の平成十二年でございますが、九千六十六人ということで、二千三十九人減少しております。パーセントでまいりますと一八・四%の減少ということでございます。

 片や、交通事故の発生件数も御参考までに申し上げますと、平成三年の六十六万二千三百八十八件に対しまして、平成十二年には九十三万一千九百三十四件。二十六万九千五百四十六件、比率にいたしまして四〇・七%増加をしております。

瀬古委員 死亡者が少なくなるということは好ましいことなんですけれども、しかし、なおかつ九千人の死亡者がいるという点でも大変重要ですし、また、今言われたように、全体では事故が四〇%強ふえている。負傷者でいいましても、かなりふえております。

 なぜこういう状態になっているのかということは、警察を初め国土交通省としては、どのような分析、そして被害防止の対策を今まで講じられたんでしょうか、お伺いします。

坂東政府参考人 お答えいたします。

 昨今の事故の発生状況につきましては、今ほど内閣府の方から御答弁したとおりでございますが、事故が多発している原因についていかんというお尋ねでございますけれども、事故発生の原因というものは、やはりいろいろな要素が複合的に絡み合っているのではないかというふうに感じているところでございます。

 そこで、私ども警察庁といたしましては、こういった増加傾向にある事故というものを抑止するために、悪質、危険性あるいは迷惑性の高い違反行為に重点を志向した交通指導取り締まり、あるいは幼児から高齢者までを対象とした段階的、体系的な交通安全教育、さらには交通安全施設等の計画的な整備等、各種の交通安全対策に、関係省庁あるいは関係団体、さらには地方公共団体とも連携を図りながら、積極的に取り組んでいるところでございます。

瀬古委員 事故をなくすために、どうやったら事故をなくせるのかということのやはり検討が必要ですし、一つ一つの具体案が必要になってくると思うんです。

 そこでお伺いしますけれども、信号機のある交差点で、横断歩道横断中または横断歩道付近を横断中に右左折車両にはねられた歩行者の死傷者数の推移はどうなっているでしょうか。

坂東政府参考人 交通信号機のあるところで歩行者が被害に遭った死傷者数の推移でございますが、平成二年の数字で約七千三百人弱でございますが、昨年の数字でございますと一万一千人から二千人程度ではないかと思います。済みません、詳細な資料を持ち合わせておりませんので。

瀬古委員 この十年間で、右左折車両による死傷者の数が大体一・五四倍ぐらいふえております。右左折車両の事故という問題は、信号が歩行者にとっても車にとっても青だという場合に歩行者と車がぶつかる、こういうケースであるわけですけれども、これは明確にかなり事故数が多いわけですね。そうすると、これについてどうするかという検討が当然必要ですし、今までそれの対策がどのようにとられてきたのかということは当然あったと思うんです。

 私は、大体、こういう交通事故を防ぐためには、やはり歩行者が青信号で通行中は右左折車が横切ることがないような歩車分離式信号、こういうものに切りかえていく必要があるというふうに思うんですが、これは具体的にどのように検討され、現在どのように進行しているんでしょうか。

坂東政府参考人 委員御指摘の歩行者と車両の通行を時間的に分離する、いわゆる歩車分離運用の信号というものは、交通の円滑という観点に配慮しつつ適切に運用すれば、横断歩行者の安全の確保のための有力な手段の一つとして考えているところでございます。

 そこで、現在の歩車分離運用の信号機の設置数でございますが、全国で約一千五百基という数になっております。

瀬古委員 一体こういう歩車分離の信号をどのぐらいの規模で急いでつくらなきゃならないのか。そのうち、現在、今千五百基と言われましたけれども、どの程度進んでいるというその認識は、どうお考えでしょうか。

坂東政府参考人 交差点で歩行者と車両というものをどのような形で制御して、円滑にかつ安全な交通流をつくっていくかということに関しましては、当然ながら、交通の状況とか、あるいは地域住民の御意向等々も踏まえながら、総合的に判断するということになろうかと思います。そういった意味で、こういったそれぞれの個々の交差点につきまして、都道府県公安委員会が個別にいろいろな事情を判断した上で、先ほど言ったような形で、結果として全国に千五百基の歩車分離信号が設置されているということだと承知しております。

瀬古委員 実際には、この歩車分離の信号をつくる場合に、車が円滑に進まないからということで、なかなか難しいという問題もあるわけですね。

 しかし、最初にいろいろ数字を言っていただきましたけれども、やはりかなり交通事故の数が多いということと、そして、なおかつ、もうこの十年、二十年にわたって右左折車両の事故というのも顕著なんですね。そういう点で、私は、もちろん地域で十分御相談いただいてつくるわけですけれども、余りにもテンポが遅過ぎると思うのです。

 そういう意味では、もっと抜本的に、予算の上でも、そして対応の上でもやらなければならないし、例えば、せめて通学路だとか公共施設のあるところは優先的にやるとか、もうちょっと戦略的といいますか、積極的な対応が必要ではないかというふうに思うのですけれども、大臣、いかがでしょうか。

扇国務大臣 瀬古先生がおっしゃるまでもなく、今の日本の現状と、そして、今、担当者から数々数字が出てまいりましたけれども、少なくとも、私も、この件数を考えますと、果たしてこれでいいのかなと。しかも、私の手元にも数字が来ておりますけれども、自動車事故というものに関しまして、年間で大体八十五万件、そして死者が九千人超、重度の後遺症のある人たちが千九百四十四人。

 こういう数字を見るときに、私たちは、どこまで、何ができるんだろうか。また、基本的には、国土交通省としては、私がいつも言っておりますように、今の日本の現状で、この道路で、これだけの車の数と人、これが共生できるということが果たしていいんであろうか。もっと道路行政というものを基本的に考えなければならない。

 しかも、私が行きました北海道で感じましたことは、一番見通しのいいところでさえ事故が起こる。北海道のようにあんなに見通しがいいところでも、つい安心するんでしょうねと聞きましたら、北海道の人たちは、いえ、私たちではありません、他府県から来る人が、こんなに車がなくて見通しがいいからといってばんばん飛ばすので、他府県の人が北海道で事故を起こすのですと北海道の人がおっしゃったのです。

 けれども、必ずしも見通しがいいだけではなくて、お互いの注意、そして車が殺人兵器になるということの認識も我々は持たなければいけない、運転する側も歩行者側も。そして、私たちはそれを基礎に考えて道路行政のあり方、今先生は信号のことをおっしゃいましたけれども、四つつじあるいは大交差点等々、私は、あらゆるところで国土交通省の今の日本に即した道路行政の基本というものをこの辺から考えていかなければならないという認識をけさからいたしております。

瀬古委員 全体的にはそういう何らかの対応をしなければならないということは、もう大臣も御認識いただいたと思うのです。

 しかし、やはり具体的に一つ一つ対策を詰めていかなければならないと思うのですね。大変だ大変だと言いながら、それこそ一万人近くの死者を出しているという事態は尋常ではないわけで、そういう点で、私が今言いました右左折車両の問題一つをとりましても、やはりこの今までの施策でいいのかということが問われております。

 例えば、右折車と左折車を比べてみますと、右折車の方が左折車よりもそれこそ五倍も事故が多い。そういう場合にはどういう対応があるのかとか、やはり幾つかの具体的な対応でぜひ進めていただくということが必要なんで、とりわけ、この右左折車の対応を、もっと抜本的な対応としてできないか、こういう声も出ておりますから、その点、大臣、御検討いただけませんでしょうか。

泉副大臣 今御指摘の右折車の事故発生率が高いというお話でございますが、そういうことを含めまして、我々今日まで道路交通に関します調査をやって、少しずつではありますが、対策を立てておるところでございまして、ほぼ十年ぐらいのデータを蓄積する中で、車と歩行者の分離信号を設置することが有益であるところもありましょうし、その他の施策をこれからも考えてまいりたいと思います。

瀬古委員 一つ一つ具体的な対応をぜひお願いしたいというふうに思います。

 次に参ります。

 国は再保険事業を通じて事故をチェックする場合には、過失割合などを見るだけではなくて、やはり、一つ一つの事故が起こってきたときに、一体この事故はどのような原因で起きているのか、なぜ同じような重大な事故が起きるんだろうかとか、また、どのようにすれば事故が防げるのかとか、もっとリアルな被害実態、そして事故原因の究明、こういうものをやる必要があるんじゃないかと私は思うのです。

 その点では、再保険事業の中で、先ほど、事故のいろいろな状況については、それこそ、警察に聞きに行くだけなんというような調査ではなくて、きちんと、どのような事故が起きたのか、何が原因なのか、こういうような分析や対策が私は必要だというふうに思います。

 そういう意味では、今回の改定で、国に対する報告は死亡とか重度の後遺障害に限るということになります。

 そうしますと、確かに重度障害の事故や死亡事故については分析していただくということも、それは当然重要なのですけれども、同時に、小さい事故が何回も繰り返されている、こういうケースなどについてもきちんとつかむ必要があるというふうに思うのです。

 そういう点では、この再保険事業の問題の場合には、事故の実態だとか態様など再発防止に必要な情報がちゃんと盛り込まれるように、それが議論されるような申請の仕方、そして、その被害の実態を把握することを通じて、国としては、やはりきちんと再発防止の対策をこの再保険事業の中でも位置づけるということが大事ではないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

泉副大臣 御指摘のとおりだと思っております。

 交通事故は、人と車と道路という三つの要素が大きく考えられるわけでございまして、その要素のそれぞれの絡み合いの中でいろいろな事故が起きておるというふうに考えております。

 我々といたしましては、警察庁と一緒に、財団法人でございますが、交通事故総合分析センターというものをつくらせていただきまして、交通工学、車両工学あるいは心理学、いろいろな専門家の方々に発生した事故のデータの分析をいただいておるところでございまして、そうしたデータをもとに、新しい施策をつくりますとともに、その情報を公開しながら、また多くの知恵をかり、事故分析を一層充実させていく、事故発生原因の分析を充実させると同時に、それに対応して施策を展開してまいりたいと思っておるところでございます。

瀬古委員 具体的にどういう状況が事故現場で起きているかといいますと、被害者の遺族に加害者側の損害保険会社から、被害者の過失が大きかったということで示談を進めようとしてきたわけですね。そうすると、遺族は納得できないということで、何とか事故の真実を知りたい、息子の名誉を守りたいという一心で、それを覆す証拠をいっぱい集めようと思っても、例えば警察に行っても、警察からは刑事裁判が終わるまでは何も教えられないという答えが返ってくる。そして、民事裁判を起こしてようやく手に入れた調書を見ますと、死亡事故でありながら、車やバイク、衣類などの物的証拠の保全、検証がほとんど行われていない、こういうケースも実はあるわけですね。

 それから、警察では調書を見せてもらえない。事故の状況を全く知ることができないで遺族はどうしているかというと、交通量の少ない早朝や深夜を選んで事故現場に通って、路面に残されたブレーキの痕跡を撮影し、測量を行って図面を作成したり、スクラップになった加害者の車を買い取って、事故のバイクと突き合わせて物理的な鑑定を専門家に依頼する。本当にすさまじい努力を、自分の子供の名誉を守りたいというためにやろうと思ったら、大変な状況にあるわけです。そして、警察の初動捜査の結果や損保会社が判断した過失割合が全然間違っていたというケースもございます。

 中には、こういうケースもあるのですね。被害者が意識不明の間に加害者の供述だけで事故処理が進められる。事故から約一カ月後に被害者が意識を取り戻したときには、自分が全く通ったことのない狭い路地から猛スピードで飛び出して事故が起こったのだと、こういうように書かれていた。そして、この被害者は、後遺障害が残ったために仕事を失って、損保会社からは被害者の重過失ということで判断されて、自賠責の保険金さえカットという事態です。これを覆す努力をしたのですけれども、本当に大変な状況が生まれてきています。

 そういう意味では、こういう努力を被害者の側が必死でやらなければこういう問題が本当に解決しないのかという点で、もっと改善方法があるのではないかと思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

扇国務大臣 瀬古先生がおっしゃいますように、どこをどう改善するかという、その一つが今回であると御認識賜りたいと思います。

 それは、今までは、今おっしゃいましたように、なかなか事故の現場を調査するというのが素人ではできない、御遺族の無念も晴れない、あらゆることがあったと思いますけれども、それをいかに充実させていくか、そういうことで、今回はこの制度を改正しまして紛争処理機関というものをつくりましたために、今度は、この紛争処理機関におきましては、保険会社などに対して資料を提供することを申し入れることができる。

 このことだけでも、私は、被害に遭われた皆さん、あるいは加害者になる場合もありますけれども、お互いに、資料の提出を求めることが今までできなかったけれども、請求すればこれを求めることができるということだけでも、せめて私は半歩でも前進させていって、皆さん方の現実の究明、事実の究明というものの一助になるのではないか、そう思っております。

 また、今回の紛争処理委員に対しましては、交通工学の専門家を加えることにいたしておりますので、それも、私ども今後検討して前向きに処理できるようにしていきたい、多くの皆さん方の疑問に一歩でも解決方法を見つけていきたいと思っております。

瀬古委員 その紛争処理の機関が、本当にきちっと正しい判定ができるかどうかという問題が実はあるわけですね。それのもとにするのは、例えば事故現場の科学的なデータだとか分析だとか、こういうものが必要なんですね。ところが、今はそういう分析はほとんど警察任せという形になっています。

 事故もたくさん起きるものですから、警察は、例えばひき逃げ捜査とか、こういうのは犯人を特定する場合には科学的な手法も随分駆使されているのです。ところが、実際の交通事故の現場といいますと、これはとても非科学的で、大変問題があるというふうに指摘をされているわけです。

 例えば、被疑者の供述調書を見ますと、A地点で相手を発見し、B地点でブレーキをかけ、C地点で衝突した、こういう内容が十センチ刻みで記録されている。これを見ても、こんなデータで、大体瞬間的に起きる事態をこういう言葉で再現できるのかという問題があるわけですね。こういう点でも、事故の調書を見ましても、大変非科学的で、ある意味ではおざなりになっているという状況がございます。

 それと同時に、大半の事故というのは、ある意味では、人証といいまして、大体、それこそ供述調書のひな形に合わせて調書類というのはつくられておりますから、そういう意味では、現場での事故車の写真までが張っていないようなそういう調書もたくさんございます。そういう点で言えば、もっと科学的な調査によって、そして被害者にも納得できる、こういう基本が私はまず大事だと思うのです。

 そういう意味では、残念ながら、私が先ほど言いましたように、審査機関が実質的な審査を行い得るかどうかというのは、どれだけ科学的なきちんとしたデータを確保できるかということが決定的だと思うのです。その点では、私は調停機関も若干問題があるとは思っていますが、しかし、もとになるそういうデータが本当に不十分なままでは、調査機関も警察のはっきりしないような調書をそのままうのみにするという形になりますので、この点でも、科学的な調査のあり方というのを、この際、自賠責の事業としてきちんと位置づけなければならないのではないか。

 それが、大体、責任割合が何割だ、何割だと、何か損保会社が言ったままを、それについて反論が十分できない、反論しようと思ったら大変な事態だ。こういう点では、被害者の方々が苦労しないでいいような、きちっとした分析をする機関、そういうものが必要ではないかというように思うのですけれども、その点いかがでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 紛争処理機関、今度制度を設けさせていただくことを提案させていただきますけれども、この処理業務の中で、保険会社などから資料の提出を求めるということがございます。それから、必要に応じまして、紛争処理機関がみずから調査をしたり、あるいは鑑定を依頼したりということもあろうかと思います。それから、紛争処理委員の中にこういう交通事故とか交通工学に詳しい方に入っていただきまして、事実関係、データについての御判断をいただく。

 そういう中で、より真実と申しますか、客観的な事実というものを把握していくことができるのではないか、こう思っております。

扇国務大臣 今先生がおっしゃいましたように、私は、科学技術的な見解が必要であるというのは、今の時代にとっては当然のことだろうと思います。旧態依然とした調べ方だけではなくて、科学技術によっていかにデータを集めるか、これは、今の時代で、今の日本の科学技術をもってすれば、私は可能だと思っております。

 交通事故の総合分析センターを設立するというのは、そのためでございます。ですから、私は、先生がおっしゃるように、科学技術的なデータをいかにしていくか、交通事故の分析、あるいは今後それが起こらないための科学技術の分析をしていくというのが一番重要な点だと思っております。

 今局長が言いましたけれども、それ以上に、今回はこの交通事故のデータをマクロに分析して、その結果によって事故の多発地点の対策などをとっていくというのは、私たちにとっては大事なことでございます。また、重大事故につきましては、公安委員会と一体となって、あるいは学識経験者、専門家等の協力を得つつ、当該の箇所の事故発生の原因について調査し、所要の対策を講ずるべく道路交通環境安全調査委員会を設置すると、このように手順を決めております。

 少なくとも平成十二年三月の二十三日に道路局長、警察庁交通局長の連名で関係機関にこれを通知しているのですから、私は、今先生がおっしゃった、科学技術的に、今の日本の知識の中ででき得る限りのことをして、そしてさらに、業務用のバスですとかタクシーとか、あらゆる業者の意見も聞いて、地方の運輸局の総合的な事故情報を収集して、そして専門家の意見を聞きながら、どういうふうにしていくかという調査分析があって初めて再発防止対策ができるということで、私たちはこれを反映させていく、そういうふうにしていきたいと思っておりますので、今おっしゃいました科学技術の分析というものは、今後もこの交通事故総合分析センターの活用をさらに図っていきたいと思っております。

瀬古委員 少なくとも、遺族が現場検証で毎日道路に立たなきゃならないなどという、こんな悲しいことがないように、ぜひ改善をお願いしたいと思います。

 交通事故の高次脳機能障害認定についてお聞きします。

 交通事故外傷による記憶力低下など、脳に重い障害が起きる高次脳機能障害の北海道内の患者、家族でつくる脳外傷友の会、コロポックル、ここの患者さん六人が、交通事故の後遺障害の認定を行う自動車保険料率算定会に対して、全国で初めて、同時に障害認定を求める集団申請の準備を進めておられるということが報道されておりました。

 実は、本当は一人一人が申請をしてもいいのですけれども、この障害の認定というのはとても厳しいわけですね。それで、この障害は外見から見ては大変わかりにくいという点で、実際には全国でも四、五万の患者さんがいらっしゃるというんですが、実際に申請をされて障害認定までいったというのはもう本当にわずかなんですね。ほとんど認められないという状態になっています。集団申請によって、何とか、認定基準の緩和だとか社会的な問題提起、きちっとこれでしたいのだということで、その熱い思いが伝わってきます。そういう意味では、現在の認定基準では、こうした障害に十分対応できていない。

 現在、家族からの要求で、実は厚生労働省も、基準づくり、いろいろな障害の基準、これについてはやっているというふうに言われているわけですけれども、こうした動きも見ながら、ぜひ、今回のこういう交通事故の認定についても積極的な認定ができるように、見直しなど、御努力をお願いしたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

扇国務大臣 これが一番難しいことだと私は思っております。私の友人の一人もこれで意識不明のまま休んでおりますけれども、この高次の脳障害、本当に見た目が何もないという難しさですね。

 これは第一級から第九級まで階級が分けられているのですけれども、この分けられている階級の中でも、特に本年の一月から新たに認定システムをスタートさせております。これは先生も御存じだと思いますけれども、自動車事故によります高次の脳機能障害につきまして、医師団の、専門家の合議制に持っていきました。これによりまして、審査を行って、後遺障害としての的確な認定をして、自賠責の保険の支払いを行うようにと、ことしの一月から新たにスタートしております。

 このような新たな認定システムの中で、一月からでございましたから、三月までのまだ三カ月の数字しか出ておりませんけれども、一月から三カ月で計八十七件審査を行いまして、七十一件について高次脳機能障害として等級の認定を行っております。八十七件のうち、大体約八割を保険金を支払う対象として認定しておりますけれども、まだまだこれで十分とは言えません。

 私も友達を見ておりますけれども、一見、見た目は何もない、普通の人間で、どこが悪いともわからないという難しさ。それと、第一級から第九級までの認定を専門家がどのように認定するか。これによって、最高位第一級でも三千万しか出ませんから、そういう意味では、皆さん方、これは素人ではできませんので、専門家に任せるしかないということでございますけれども、専門家に任せるのも、やはりきちんとした、医師の、専門家の合議制へ持っていったということで、少なくとも公平性が少しは保たれ、また、皆さん方に御満足いただけないとは思いますけれども、その中で最良の合議制ができたということで、これを見守って、なおかつ皆さんの御判断に今後は誤りなきを期していきたいと思っております。

瀬古委員 ぜひ実際の生活実態なども見て、御家族の方は、表面上は本当に何もない状況だけに、またさらに深刻な問題がたくさんございます。そういう生活状況なども含めて御判断いただいて、ぜひ大きく拡大して、受け入れていただけるようにお願いしたいと思います。

 時間がございません。トラック関係の問題に入ります。

 交通事故発生件数の割合では、全体では三%にしかすぎませんけれども、一たん事故が発生すれば、大事故となり、多くの被害者を出す営業用貨物自動車の事故対策も、自動車損害賠償保険の保険料を低下させ、また必要な給付を充実させるためにも大変重要です。

 ところで、営業用貨物自動車の死傷事故件数の推移によると、増加傾向になっています。この十年間の死傷者件数はどのように推移しているでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 営業用トラックの死傷事故件数は、平成十二年に三万二千九百五十三件発生しております。最近十年間で一・三七倍となっております。

 また、最近十年間の営業用トラックの走行キロの変化を見てみますと、十一年までの十年間で約一・四二倍となっております。

 したがいまして、営業用トラックの走行距離の増加が死傷件数の増加に関係しているのではないかというふうに思っております。

瀬古委員 果たして走行件数だけかという問題なんですけれども、これは「物流ウィークリー」という雑誌の中に書かれているのですが、大型車、普通車とも、平成七年以降は微増を続け、同十年に減少を見せたものの、同十一年になって、一転急激な増加傾向を示した、不況感が強まる中、運賃の下落などを背景にした過重労働など、増加の要因と思われる、業界ではこのように書いているわけです。

 実は十年前に規制緩和が行われまして、貨物自動車運送事業法が施行されまして、もともと過当競争状態にありました同業界が、一層過激な競争状態がつくり出されました。さらに、長引く不況によって、運賃のダンピングはもとより、過積載、過労運転等で労働条件が一層引き下げられているということが大変深刻でございます。

 特に、規制緩和によって、優位的な地位による、要するに荷主による運賃ダンピングが容易に行われて、そのしわ寄せが過積載や過労運転による安全、労働条件の切り下げとなってあらわれております。

 国土交通省や厚生労働省は、荷主に対する指導や法的強化など、過積載や過労運転を防止するために、それぞれどのような対策を行っていらっしゃるのでしょうか。

扇国務大臣 今先生が御質問の、一般的なトラックの運送業者に対して、少なくとも荷主に対して運転者というのは弱い立場にあるものですから、今先生がおっしゃいましたように、過積載であるとか、あるいは過労運転、そういうものの防止というものを私たちは少なくとも荷主に対して理解と協力を求めるというのは当然のことでございます。

 今先生がおっしゃいましたように、今後も引き続いて、警察庁あるいは厚生労働省と密接に連携しながら、あるいは荷主の業界を所管する省庁、荷主関係団体、そういうものの御協力も得ながら、私たちは、過積載等の違反に対しては荷主にも責任が及ぶということを周知徹底させるということでございますし、また、荷主に対してさらなる啓発活動を展開することによりまして、荷主とトラック運送事業者間の適正な関係の確保に努めてまいり、お互いの連携を密にしていきたい、そのように考えております。

瀬古委員 今まで荷主に対して、無理なダンピングなどが労働条件の悪化や過積載につながっているんだ、これを改善しなさいというような一定の何らかの要請だとか、そういうものは出されたことはあるんでしょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 荷主業界全体の理解を得ることは過積載あるいは過労運転防止にとって必要だということから、昨年二月に荷主九十七団体に対し国土交通省として要請を行いまして、地方段階でも同じような要請を行いました。さらに、本年五月にも、新たにこれら荷主団体及び関係省庁に対しまして、警察庁とともに連名で文書による要請を行いまして、その周知徹底を図ったところでございます。地方におきましては、トラック事業の適正化事業実施機関が実施する荷主懇談会などの場を通じまして、過積載等の違反には荷主にも責任が及ぶことを周知する等の啓蒙活動を行っているところでございます。

坂本政府参考人 交通労働災害による死亡を防止するために、厚生労働省におきましては、交通労働災害防止のためのガイドラインを策定いたしております。この中には、適正な労働時間等の管理のほか、荷の適正な積載を含む適正な走行管理等を規定いたしております。

 このガイドラインに基づいた対応が事業主等によって講じられますように、都道府県の労働局、労働基準監督署を通じまして、必要な対応を行っております。具体的には、それぞれの地域の実情に応じまして、荷主を含む事業主に対して、文書による要請でありますとか、荷主懇談会の開催、集団指導等を行っております。

 今後とも、都道府県労働局等を通じまして、地域の実態に応じた要請、指導等を行ってまいりたいと考えております。

瀬古委員 そのような御指導をされて、昨年十一月二十一日には大阪労働局長名で荷主関係団体の長あての通達を出しておられます。

 本来運転のプロであるトラック運転手の交通労働災害に占める割合が半数になっている、これは大変問題だということを指摘して、荷主の方々が無理な発注条件、過積載やスピード違反を前提とした到着時間の指定、荒天候の無視、こういったものを提示することがないように理解と御協力をという要請をされているんですね。

 そういう点では、やはり荷主のかなり無理な発注条件などが、今日、プロとしてのトラック運転手が交通事故に巻き込まれていく大きな要因を占めているということが、どこの省庁の認識でもなっている状況だと思います。

 そこで、きょうは、とりわけ荷主への指導責任を直接負っている経済産業省にも来ていただいていますので、これまで直接どのような御指導をなさってきたのか、なぜこれがなかなか改善されないのか、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。

杉山政府参考人 経済産業省といたしましても、過積載等による違法運行の防止対策ということにつきまして、所管の業界団体にいろいろ協力要請を行っております。さらに、個別の業種につきましても、毎年、災害防止月間、こういった機会をつかまえまして、過積載等の防止による交通災害防止というものについての協力を要請しております。

 さらに、国土交通省あるいは警察庁の要請に基づきまして、過積載あるいは過労運転の防止、こういうものを訴えるパンフレットを配布したり、あるいは周知徹底をお願いするというようなことも所管の業界団体にやっておるわけでございます。

 引き続き、関係省庁とも連携をしながら、過積載等の防止による安全確保のための取り組みに努めてまいりたいと考えております。

瀬古委員 改めてこの問題を重視していただいて、指導を徹底するための通達、もしくは、とりわけ重大事故を起こしているところへの立ち入り、指導監督、こういう点での強化はどのように考えてみえるでしょうか。

杉山政府参考人 過積載の防止対策につきまして、私どもの省のほかに、警察庁あるいは厚生労働省、農林水産省、国土交通省等をメンバーといたします各省庁の連絡会議等も設置をされております。そういった場でも議論をして、よく関係方面の方々とも御相談をしてまいりたいと考えております。

瀬古委員 もちろん、全体で共同してやっていくということが大事なんですが、これまで重大な事故がずっと起きていて、そしてプロである運転手が事故を起こさざるを得ない事態にどんどん今追い込まれている。これは、一番中心である経済産業省がもっとしっかりやらなきゃならないというふうに思うんです。

 そういう点では、もう今までの延長線上じゃだめだと思うんですね。その点での具体的な対応をぜひ考えていただきたいと思うんですが、通達も含めて、御指導いただくということはどうでしょうか。改めてお聞きします。

杉山政府参考人 先ほど扇大臣からもお話があったと存じますが、こういった問題の効果的な実施ということのためには、関係者が一丸となって取り組む必要があると存じます。経済産業省も努力をいたしますが、先ほど申しましたような、政府全体として、よく連携をとった取り組みということに努めていきたいと考えております。

瀬古委員 改めて、営業用自動車の死傷事故件数を減少させるためにも、政府は荷主による運賃ダンピングや過積載、過労運転を防止させるために全力を尽くしていただきたいと思います。

 国土交通省はもちろんですけれども、一番責任のある経済産業省ももっとしっかりリーダーシップをとってやらなきゃならないという点で、私は、最後、ちょっと大臣の、もう一度の御決意を伺いたいと思います。

扇国務大臣 交通事故はないにこしたことはございませんし、私たちの願いもそこにあるわけでございます。

 まして、国土交通省、先ほども私申しましたように、陸海空でございますから、私たちは、とにかく安全というのを第一義的な目標として、あらゆる点で、対処できるところは各省庁連絡をとり、また、今の国土のあり方そのものも、私はグランドデザインと言い続けておりますので、一件でもあるいは一人でも、交通事故により大事な人生をむだにすることのないように、私は注意しながら、連携をとって、国土交通省としての対処もしていかなければならないと、つくづく、きょう皆さんの御意見も聞きながら、気持ちを新たにしているところでございます。

瀬古委員 ありがとうございました。終わります。

赤松委員長 午後三時五十分から委員会を再開することとし、この際、休憩をいたします。

    午後二時十九分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時二分開議

赤松委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 この際、お諮りいたします。

 政府参考人として金融庁総務企画局長乾文男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 質疑を続行いたします。玉置一弥君。

玉置委員 自賠責保険の審議も大詰めに参りまして、ぜひいい結論を導いていただきたいというふうに思います。

 私ども、懸案の課題と言いまして、再保険廃止はそれこそ二十年近くいろいろ訴えてきたわけでありますが、ようやく再保険廃止がかなったということで、ある面ではほっとした部分があるんですが、この収支の状況から見ると、二兆円もたまるほど業績のいいときになぜやらなかったのかということと、それから、四年ほど収支決算は赤字で、赤字が目の前にあって、そして今や金融、保険ともに業界が大変大混乱の時期でございまして、こういうときに再保険廃止というふうに踏み込まれるというのは、ちょっと時期が違うのかなという感じがするんですよ。だけれども、それを言うとまた再保険が続くので、言いませんが。

 少なくとも、この間のいろいろなお話の中では、環境が整ったという話と、それからリスクヘッジが、十一年の改正で損保業界がグループとしてプールするようになりました、そういうことでいわゆる事故を防げるということでございますので、素直に受け取りまして、まず、そういう状況に整ったんだな、だからこういう再保険廃止に踏み切られたということに理解したいと思います。

 そういう中で、当初、政府の閣議決定の中で、再保険廃止についての五つの条件というのがございました。一つは、被害者保護の充実、それから政府保障事業の維持、政府再保険の運用益を活用した事業のうち必要な事業の継続、自動車ユーザー等へのメリット、合理的な範囲のコストによる制度改正。ちょっと意味がよくわからないのですが、こういうのがありますということなので、特に、政府保障事業の維持という部分につきまして、これからどういうふうになっていくのか、また最近はどうなっているのかという状況についてまずお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 政府の保障事業は、ひき逃げ事故や無保険車による事故に遭った被害者に対しまして、国が本来の損害賠償義務を負う者にかわり損害のてん補を行うものでございます。

 保障事業の受け付け件数及びてん補金額でございますが、近年増加傾向にございまして、十二年度は、無保険事故が約九百件、約十八億円、ひき逃げ事故が約四千百件、約三十二億円となっております。双方の合計は約五千件でございますが、五年前と比べまして、件数ベースで約一・二倍という状況でございます。

玉置委員 ひき逃げとか無保険とかというのは減少傾向にないということでございまして、ずっと引き続きこういうものはあるんだという想定のもとに事業継続になるわけでありますが、このときに、被害者の方々の救済として、自賠責保険がいろいろな面でふぐあいも結構あったというふうに私は思っております。

 被害者救済対策で、自賠責としての部分で、逆に言えば、この改正を機に、今までの運用をもとにこれから新しい自賠責制度を充実させていこうということであれば、どのようなことに取り組んでいかれるのか、国土交通大臣にお伺いしたいと思います。

扇国務大臣 今回の法案に対しまして、むしろ私は、玉置先生からいろいろないい御提言をいただいたり、また先生の御経歴の中から、こういう交通事故に関してはむしろプロでいらっしゃいますから、そういう意味では、被害者の多くの皆さん、あるいは運転する側、両方の立場から、今回の法案に対して、締めくくりにいい御提案をぜひ出していただいて、私たちも今後の目標にしたいと思います。

 また、平成十二年三月の閣議決定での五条件、今先生も口になさいましたけれども、その第一の被害者保護の充実、この五条件の中の最初のことに関しては、私は大変重要なことであると思っています。

 今先生が御質問になりました、ひき逃げ等々に関しての無保険車による事故の場合の被害者の救済というのはどういうふうにしていくか。これは、今まで、先生も御存じのとおり、再保険制度を通じて保険金の支払いの適正化というものを実施して被害者の救済対策に努めてまいりました。また、今先生がおっしゃるように、世の中には、ひき逃げ、無保険車、いわゆる保険をかけてない車というのは数多くあるということもございます。

 今回は、自賠責制度の改革後もこのような被害者の救済対策が大切であるというのは、この閣議決定の五条件のうちの第一にしているわけでございますので、少なくとも私は、御指摘のとおり、今回の制度改正におきましても、紛争処理の仕組みというものをぜひ創設して、そして政府としても、きちんと支払いの適正化対策を講じ、また運用益の二十分の九を被害者の救済対策に充てるということにいたしております。

 国土交通省といたしましても、車社会による負の側面をなるべく軽減していきたい、そのように考えております。支払いの適正化、あるいは被害者の救済事業の実施を通じて、被害者の救済の充実に今後も一層努めてまいりたいと思っております。

玉置委員 今回、再保険制度の廃止に伴いまして、それぞれの保険会社の支払い能力の担保というものがやはり問題になってくると思いますし、片方では、事前チェックから事後チェックという形で、保険金の支払いのチェックはどういうふうになされていくかといういろいろな問題点がございます。これを順次お聞きをしたいと思います。

 まず、金融庁にお伺いいたしますが、保険会社の支払い能力の担保について、まず、主要損保会社の収益状況がどう変化しているか。そして、今回は一〇〇%自賠責の部分が損保会社に行くわけでございまして、これを収益として別建てで管理されるということでありますが、いずれにしても、全体の収益に、プラス・マイナスの変化があったときに、ほかの保険との関係でもやはりかなり影響が出てくるだろうというふうに思います。そういうときにどう対処されるのか、そして損保会社の現在の状況は、果たして落ちついているのか、安定しているのか、その辺も含めて、どういうふうに今現状を把握されているかということをお伺いしたいと思います。

田口政府参考人 お答えいたします。

 保険会社の損益等の状況でございますが、毎年度提出されます業務報告書等によりまして、決算の状況や契約の状況、さらにはソルベンシーマージン比率、これは通常の予測を超えて発生するリスクに対してどの程度の支払い余力を有しているかを示す指標でございますが、こういったものの状況をチェックしているところでございます。また、日常的なモニタリングや立入検査等を通じまして、財務状況の把握に努めているところでございます。

 そこで、最近の損益の状況でございますが、主要損害保険会社十四社の損益の状況を見ますと、平成九年度以降減収が続いてきたわけでございますが、平成十二年度におきましては、保険料収入がやや増加いたします一方で、保険金の支払いも増加しております。他方、各社の経営努力によりまして、事業費の比率、これは保険料収入に対する事業経費の比率でございますが、この事業費率は低下してきております。この結果、経常利益は平成十二年度で、前年度に比べ約八%の増加ということで、悪化傾向に歯どめがかかってきたという状況になってございます。

 それと、再保険を廃止した場合の損保会社の担保能力でございますが、自賠責保険につきましては、損保会社の間で共同プール事業が行われておりまして、仮にそのうちの一社が破綻いたしましても、プール全体で当該保険会社の引き受けた保険に係ります支払いを担保する仕組みとなっております。また、セーフティーネットの措置といたしまして、損害保険契約者保護機構という組織ができておりまして、これによりまして自賠責保険の保険金は全額が保護される形になってございます。

 したがいまして、自賠責保険につきましては、仮に損保会社の経営が破綻するというような事態が生じましても、保険金の全額を保護する仕組みが整えられているところでございます。

玉置委員 この損益状況、保険別に見ると、自賠責は支払いが保険料を上回っているということですが、よくわからないんですね。正味収入保険料と正味支払い保険金と保険引受事業費、大体こういう仕分けになっていまして、保険料収入から支払いと引受事業を引いた部分が収支差ですよね。これで見ると、自賠責が赤字で任意保険がかなり大幅黒字ということになっておりますが、今回、統一されました後、若干の運用益が増加してくると思います。

 その辺を含めて、例えば、全く任意保険も別管理なのか、自賠責と任意保険は自動車保険ということで一本化されていくのか、そして収支状況の見込みについてお伺いしたいと思います。

田口政府参考人 お答えいたします。

 まず収支でございますが、御指摘のように、正味収入保険料と保険金引受費用、こちらの差額で収支が基本的に成り立つわけでございます。

 それと、保険会社の中の収支でございますが、自賠責保険とその他の任意保険につきましては、区分経理で、別勘定で経理が行われます。資産運用につきましては、全体を通じて運用がなされるという形で行われるということでございます。

 全体の収支の今後の見通しでございますが、これは現時点で明確なことを申し上げるのはなかなか難しゅうございますが、過去三年ほどにわたりまして保険の状況は大変厳しい状況が続いていた、収入保険料も減収が続いていたという状況から、各社のリストラ努力等によりまして事業費の圧縮等が進んでいる、保険料収入も、平成十二年度ではようやく歯どめがかかり、わずかながら増加に転じてきているということで、今後の見通しとしては、現時点で考えますと、やや改善の方向に向かっているのかなというふうに考えております。

玉置委員 自動車以外の損害保険等もございまして、収支からいくと、自賠責は若干赤ですけれども、そのほかは比較的順調で、結構収益率が高いような事業という形に見られるのです。自賠責保険そのものはノーロス・ノープロフィットということでやってきたということでありますが、そもそも、二兆円も運用益が積み重なって残ってしまうということで、何がノーロス・ノープロフィットなのかよくわからないというふうに思います。

 そこで、大臣にお伺いしたいのですが、ノーロス・ノープロフィット、この再保険が廃止されまして損保会社が全額引き受けるということになるわけでありますけれども、この場合も適用されるのか、そして、任意保険は全く自由にかなり大もうけをしているわけでありますけれども、この辺についてはどうされるのか、お伺いしたいと思います。

扇国務大臣 今先生がおっしゃいましたように、もともと私も、この法案を提出させていただきますときに、二兆円もあるのにどうしてなんだということを随分役所で論議したのです。

 今先生がおっしゃったノーロス・ノープロフィット、これが果たしてどこまで原則だということ。今回、この二兆円の中でも、少なくとも自賠責保険というのは、被害者の保護を目的として加入することが義務づけられておりますので、高度の社会的な保障という色彩、そういうものを持っていると思いますので、労災保険のような公的機関が実施する保険に準じて、保険者が利潤を得て行うべきものではないという考え方に基づいて先生が今おっしゃいましたノーロス・ノープロフィットの原則を採用してきたというのは事実であろうと思うのです。

 今般、政府の再保険制度、廃止されることとなりますけれども、要するに、自賠責保険の社会保障的側面は何ら変更されるものではない。ですから、ノーロス・ノープロフィット原則についても変更はございません。

 少なくとも、先ほど私が申しました二十分の九、約九千億円になりますけれども、長期の預託金利、これは大体約二%を予測しておりますので、それできちんと運用していけるということを私も説明を受けて、ユーザーの皆さん方にはその運用益の残りの一兆一千億を還元するというのですから、まあその辺かなというふうに、大変申しわけないのですけれども、本来だったらもっと返してしまえと言いたいところなんですけれども、これはやはり今までの原則、ノーロス・ノープロフィットを原則にするという意味においては、この程度、万やむを得なかったかなというふうに考えております。

玉置委員 毎回説明をしていただきますときに、保険金が入る期間と払い出しの期間がずれておりまして違うのですよ、ここは保険金がプールしてあるから黒字に見えるけれども、実際は、払い出しのときには赤字になってという話を二十数年間聞いておりまして、その都度、この運用益のプールはもうなくなるのですよという話がありました。ところが、いつの間にか二兆円という膨大な金額になりました。

 今この収支を見ておりますと、四年間確かに赤字なんですが、今の金利がもう例外的に低い金利でございまして、こういうものが大きく影響していると思うのですね。ですから、金利がまた通常ベースに上がってくれば当然運用益もたくさん出てくるだろうし、うまく回転できれば、今ある基金でかなりうまく処理していけるし、ユーザー還元も若干年数が延びるのじゃないか、こういうふうに思います。ぜひ有効に活用できるようにまた御指導いただきたいと思います。

 それから、支払いのチェック、今までは事前チェックということでございましたが、今度は事後チェックになります。この大変多い件数を審査していただいて、これで、過少払いとか過払いとかというのが出ているのですが、事後チェックというのはそんなにうまくできるのだろうかというのと、それから、払った後の回収を、あるいは取り立てをどうするのかというのも含めて、どういうふうにお考えか、お聞きいたしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 これまで政府再保険制度のもとで、保険金の支払いにつきまして全件の事前チェックをしてきたわけでございます。今回の制度改正によりまして、再保険制度に基づくこのような全件チェックは廃止いたしまして、これにかわり、支払い適正化のための事後チェックといたしまして、まず、公正な第三者による保険金支払いに関する紛争処理の仕組みを設けます。それから、死亡事案などにつきまして、保険金の支払いの届け出、国の保険会社に対する指示などの、国による最小限の事後チェックの仕組みを設けます。それから、保険会社の保険金支払いに関しまして情報提供の仕組みを設けるものでございます。これらによりまして、事後チェックが機能してまいるというふうに考えております。

玉置委員 膨大な数字でございますし、また保険会社の制度が企業の割には余り徹底されていなくて、個人的に結構いろいろやる人が多いのですよね。そういう問題もありますから、支払った中身がどうかというのもありますが、逆に、ちゃんと扱われているかどうか、そういうチェックも必要だと思うのですね。それをぜひお願いしたいと思います。

 というのは、後の方で言おうかと思ったのですが、実は保険会社、これは金融庁の分野になるのだと思いますけれども、保険金の支払いの方法が妥当かどうかという中身になりますが、私のところに相談に来られた方で、保険会社と契約をしていたのだけれども、保険会社をかえようと思ったら保険証書がなかったという話がありました。

 それは、ずっと継続されて、何台もの車を契約されていたのですけれども、初めてわかったのが、保険の代理店なり社員の方ですが、最初は契約されているのですけれども、途中から、お金だけもらうようになって、契約書が送られてこない、こういうことになりまして、割引率でわかったのですね。よその会社に申し込んだら、当然その割引率が継続されるのですけれども、初めてと同じ扱いになるというので、おかしいじゃないかということになったのですね。業界でいうと、いわゆるのみ行為ということになるのですけれども、こういうのがあるということで、私もびっくりしまして、そこの損保会社にお電話をして、来ていただいて、いろいろ事情を調べていただいたということもあります。

 それから、何回もこの委員会で出ておりますが、保険屋さんと親しいと有利になるというのがあるのですね。これは人情としてはわからないことはないのですが、場合によっては、事故を起こして、後から入ったというのもあります。こういう不正を語れば、山ほどある。大体皆さん自慢げにお話しされますから、聞いておりますとそんなのがありまして、そういうチェックはどこがされるのかということなんですが、ちょっとお聞きしたいと思います。

田口政府参考人 お答えいたします。

 保険会社の不正行為の問題でございますが、代理店や社員によります保険料の横領等の不正行為の発生、ただいま御指摘あったわけですが、こういった事態を防止するために、損保会社におきましては、領収証等の管理点検の強化でありますとか、代理店、社員の日常管理の強化といったようなさまざまな防止策を講じているわけでございます。また、口座振替など現金を使わないで決済を行う、キャッシュレス化を推進するというような方策も講じられているところと承知しております。

 金融庁におきましても、保険料の横領等の不祥事件が発生いたしました場合には、保険会社から金融庁に対しまして不祥事件届け出という届け出の提出を義務づけているところでございます。また、この不祥事件届け出に限らず、一般の方からの投書などによりまして、そういった各種の情報、あるいは私どもで行います検査を通じましても不祥事件の把握に努めておりまして、そうした事件を把握いたしました場合には、保険会社に対しまして、その詳細な事実関係あるいは発生原因を追求するとともに、再発防止策等についてのチェックを行っているところでございます。

玉置委員 そういう型どおりのことはよくわかるのですけれども、私が申し上げたようなことが実際に山ほど出回っておりまして、業界の方に聞くと、当たり前だという顔で、そんなのを知らないのかという感じで言われたのです。それがチェックできていないのですよね。

 だから、書類上というよりも、会社を通さないで会社の書類を使ってやっているか、あるいは出先の代理店なり営業所、そういうところから直接発行されているか、何らかの形でお客さんには何かが届いているという形になっていて、企業本体からの書類が実際には行っていないということになると思うのですよね。だから、場合によっては私文書偽造になるのかわかりませんが、そういう行為だと思うし、まさに詐欺行為なんですよね。

 ということで、これは、損保の場合は期間が短いですから、一年たてば、あるいは五年たてば大体わかるし、優良な人を集めれば絶対もうかるのですよね、だから損保会社が成り立つわけですけれども。それは、個人的にやっておられる方がいて、こういうことが行われているということで、ぜひ何らかの形でチェックできるように頑張っていただきたいというふうに思います。

 それから、何度も出ておりますが、後遺障害についてお聞きをいたしたいと思います。

 重度後遺障害について、自賠責の支払い限度額は、最も多い一級で、死亡と同じ三千万というふうになっております。しかし、実際には、重度後遺障害の方は、その後の治療、介護のために膨大な費用が必要となっておりまして、一級の場合に平均五千五百万円という算出がされております。自賠責保険のあり方懇談会のときの資料にもそういうのが出されているわけでありますが、これを見ても、一級で五千五百万、二級で約四千万、三級で三千六百万。保険の限度額からずっと算出していきますと、かなりの差額が出てまいります。

 これがやはりかなり問題だということで、いろいろなところからこの限度額の引き上げをお願いしたいという話が来ておりますが、国土交通省の見解をお伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 自賠責保険の支払い限度額でございますけれども、政令で規定されておるわけでございます。自賠審におきまして、その見直しの必要性について適宜検討が行われているわけでございますが、平成十二年の六月の答申におきまして、保険金限度額自体につきましては、現行水準が適当であるというふうにされております。

 ただし、この自賠審の答申では、介護に要する費用に関する保険金の支給について指摘がなされております。この点につきまして、新制度を施行させていただくときまでに政令改正に向けて具体的な検討を進めてまいりたいと考えております。

玉置委員 当委員会でも何度もお話が出ておりますので簡単にいたしますが、今の介護制度に該当しない年代から重度後遺障害ということで寝たきりになっている方がたくさんおられる。救済事業のところにも入れないという方は大変な負担になっているわけでございますから、ぜひ検討していただきたいというふうに思います。

 それから、無責事故と過失相殺についてお伺いをいたします。

 被害者が死亡して加害者側の証言のほかに証拠がないというような場合の取り扱いについて、自賠責審議会の中でも論議されてきましたけれども、被害者の死亡事故については、実態として被害者が不利に取り扱われる場合が多いと聞いております。死亡されなくても、先ほどもお話が出ておりましたけれども、ぶつかったときに片方が救急車で入院してしまった、片方は現場に残っていたというときに、加害者であれ被害者であれ、どちらでも現場に残された方のお話を聞くということが優先されている。場合によってはそのまま事故調書がつくられて、それが支払いの基本になるということであります。

 私の知り合いにも、バイクで走っていて、軽乗用車が急に曲がってきて、そこの下に突っ込んでしまったと。体の上を車が通過したのですよね。慌ててというか、見ていた人が救急車を呼んで入院したのです。実は、被害者なんですけれども、加害者の方の話を一方的に聞いてやったために、大分実際の状況と違った形で事故調書ができてしまったということで、私も警察に、目撃者を探して連れていけと、そしていろいろ話をして大分中身が変わったのですけれども、そういう形が実際にあるわけですね。そういう問題が一つ。

 それから、これらの事実認定についての立証責任をどうするかという問題ですね。

 目撃者がおられて、そういう方々に聞けば一番いいわけでございますが、夜間とか人通りのないところについてはなかなか難しいということがあるので、こういう事実関係の認定についてどうするのかというのをお聞きしたいということでございます。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 死亡事故などのような場合に被害者側が不利に扱われることがないように事実認定の適正化を図る必要性が高いということについては、御指摘のとおりだと思っております。

 このため、今回の制度改正におきましては、保険会社から被害者に対する情報提供を義務づけるというふうにいたしております。あわせまして、公正中立な立場の紛争処理の仕組みを設けるというふうにいたしておるところでございます。

 このような措置を通じまして、死亡事故におきましても、被害者側が不利に扱われることのないよう、情報提供の充実や事実認定の適正化が推進されるようになるものと考えております。

玉置委員 それから、自賠責保険の被害者の過失相殺について若干お伺いしたいと思います。

 現在の政府保障事業については過失相殺が適用されないというふうになっているとお聞きしておりますが、これはいかがですか。

 それからもう一つ、このあり方懇談会のときに、過失相殺の緩和という話題が出ておりまして、今の保障事業について適用されないということで、明らかに、交通事故のいわゆる保険適用の人たちに比べて不利な扱いになっているということで提言されておりますが、これについてどのように今考えておられるか、お聞きしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 政府保障事業につきましては、いわゆる重過失減額というものがされていないという事実があるわけでございますが、これは、この保障事業が、本来損害賠償の義務を負う者にかわりまして国が損害のてん補を行うという事業でございますので、今度は、国が本来の損害賠償を負う者に対して求償していくということになるわけでございます。

 これにつきましては、当然、通常の民法のルールに従いまして裁判が行われることになりますので、やはりそのことを思いますと、重過失減額というような措置をとることになりますと国が不利になるということになりますので、なかなか通常の自賠と同じようにすることは難しいというのが今の現状でございます。

玉置委員 自賠責懇談会の中にもこういう議論があるほどでございますから、よほど不利な訴えがあちこちに出ているというふうに思われますので、これをどうしていくのかというのをぜひ検討いただきたいと思います。

 それから、金融庁にお伺いします。

 先ほどの無責事故のように、無責事故というか、要するに現場に片方の方がおられて片方が入院してしまったというときに、一方的な事故の調書ができ上がった、これに対して、二、三回審査されて、そのまま支払いされるということになりますが、実際には、もうちょっとチェックしないと一方的な調書になっている。

 これがわかるかどうかはちょっとわかりませんが、こういう審査が実際にできるかどうかというのと、保険の支払いとして、本当はこれは適正でないと思うのですが、どうしたらいいのか。この辺について、お考えがあればお伺いしたいと思います。

田口政府参考人 お答えいたします。

 自賠責保険におきましては、損害調査に当たりまして、例えば被害者が死亡して加害者側の証言のほかに証拠がないというような場合などにおきまして、加害者側の証言のみによって被害者に不利な判定はしないという扱いにしてございますが、任意保険におきましても、事故現場の状況の確認等によりまして事故状況の的確な把握を行うことが当然必要であると考えております。

 任意保険の保険金支払いに関します問題については、基本的には当事者間で解決すべきものではございますが、保険金の支払いに関しまして、当事者間の主張の相違等によりましてトラブルが見られるのも事実でございます。そこで、そうした過程において、保険会社の業務の運営に問題があるような場合におきましては、私ども金融庁といたしましても、保険業法に基づき適切な監督を行ってまいりたいと考えております。

 なお、交通事故が発生いたしました場合における任意保険の保険金支払い適正化を図る措置でございますが、現在、総務省所管の財団法人交通事故紛争処理センターでありますとか、損害保険協会が設置しております損害保険相談室、あるいは自動車保険請求センター等によります和解のあっせん、あるいは裁定の仕組み等がございまして、こうした仕組みが任意保険の支払いの適正化に寄与しているものと認識しております。

玉置委員 後の関係もございますので、乾局長にお伺いしたいと思います。

 自賠責審議会では、被害者の代表あるいはユーザーの代表等が委員として参画されておりまして、審議が行われてまいりました。今後は、金融審議会と自賠責審議会に、二手に分かれるわけでありますが、自賠責審議会の方は料率のみを検討するというような話をお聞きいたしております。ですから、自賠責の根幹にかかわるような、あるいはスキームとか、その辺の問題になりましたら金融審議会というふうな場で論議をされるということでございます。いろいろな立場の人々が委員としておられると思いますけれども、そういう人たちがこの自賠責についてわかるかどうかという心配がちょっとあります。

 そういう面で、金融庁としては、この金融審議会での自賠責部門の中に、部会というのですか、どういう人をそろえて、どういうふうな審議をしていくのか、これについてお伺いしたいと思います。

乾政府参考人 お答えいたします。

 自賠責保険に関しましては、昨年、この自賠責審議会、まだ全体での審議会でございますけれども、自賠責審におきまして答申をいただいたところでございまして、そこで相当包括的な点につきまして御審議いただきまして、答申をいただいたわけでございます。その答申の一つの形といたしまして今回法案審議をお願いしているわけでございますけれども、当面の私どもの課題は、いただきました答申で指摘されました事項につきまして、着実に具体化を図ることであると認識しております。

 そこで、この一月の中央省庁再編で自賠責審議会の機能が、今御指摘のありましたように、金融審議会の自賠責保険制度部会と、それから従来からあります自賠責審議会に分かれたわけでございます。金融審議会の自賠責保険制度部会の方につきまして、現時点で新たな諮問を行うことは予定をしておりませんけれども、今後仮に自賠責保険制度に関する審議をお願いすることとなりました場合には、必要に応じまして、いろいろ、こうした分野に関係のある方、御造詣の深い方からヒアリングを行うなど、適切に対処してまいりたいと思っております。

 いずれにいたしましても、金融審議会の委員の構成につきましては、具体的な審議をお願いすることとなった時点で検討してまいりたいと考えているわけでございます。

玉置委員 結構専門的な部分がありまして、議員の中でもなかなかわかりにくいという方もおられるわけですから、事情を知って、一つの流れがあって、そして問題点がある程度いつも明確になっているのですけれども、それでもなかなか動かないということなのですね。今度は損保会社が全部扱うわけですから、一つの商品と見ないで、やはり固定的な被害者救済という事業もやっておりますし、そういうものを十分理解していただいて、ぜひ新しいスキームを考えていただきたいというふうに思います。

 それから、医療費の問題について国土交通省にお伺いしたいと思います。

 救急車で担ぎ込まれて、後で高い請求が来るというのが大体のパターンなのですけれども、特に交通事故に関する医療費というのは非常に高いのですよね。なぜ高いのかというと、緊急の場合ですから、イエス、ノーを本人が言えないという弱みもあると思います。治療費も同じように算出されていると思うのですよね。この辺について、どういうふうな見解を持っておられるのか、また今後どうされていくのかという点について、お伺いしたいと思います。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 交通事故の治療におきましては、通常、保険診療ではなくて自由診療で行われるという状況でございますけれども、自由診療における請求単価がまちまちでありまして、中には高額となることもございましたために、医療費の支払いの適正化ということが従来御指摘を受けていることだったと思っております。

 平成元年七月に、自算会と損害保険協会と日本医師会の協力のもとに診療報酬基準案というものがつくられまして、その普及に努めているところでございます。現在、四十四都道府県におきまして、この診療報酬基準案により実施しているということでございます。

 今後、残る三府県につきましても、引き続きこの考え方の浸透が図られるよう努めていきたい、こう思っております。

玉置委員 毎回、この医療費が問題になるわけですが、何となくべらぼうに高いという感覚を持っていまして、実際にもうちょっと厳しいチェックが必要かと思いますが、この医療費のチェックについては、金融庁、自算会なんかでのチェックはこういうものが入っているのですかね。要するに、こういうことでこういう治療をやりました、保険審査会だと、点数幾ら、こういうふうに出ますけれども、こういうのは請求額そのままで見ているのかどうか、その辺についてもちょっとお伺いしたいと思います。

田口政府参考人 お答えいたします。

 自算会におきましては、医療費請求の審査を行う医療費調査担当者の配置など、自算会におきます医療費調査体制の整備も現在図っているところでございます。

玉置委員 地域によっても違いますし、重度によっても違うと思いますが、余りにも基準がないような感じがいたしますので、ぜひきちっとした制度でお願いをしたいというように思います。

 それでは警察庁に、交通安全対策についてお伺いをしたいと思います。

 悲惨な交通事故が少しでも減るということが交通安全対策を今まで強化してきた最大の目標でありますけれども、交通事故としてはどういうふうに変化をしてきているのか、それから、どのような交通安全対策を主にとってこられたのか。

 それからもう一つは、昔は、特別委員会で交通安全委員会が当国会の中にもありまして、週一回、毎週水曜日だったと思いますが、開会をして、いろいろなことを論議してきたわけであります。それだけでもかなり啓蒙の影響力があったわけでありますが、最近は、それぞれの部署にはあるのですけれども、統合されたものが活発に動いているようには全く思えない状況でございます。

 この交通安全対策について、政府部内でどういうふうな形で取りまとめをされ、どこで方針を決定されて、それぞれがどう分担してやっているのかというのを、これは警察庁に聞いても答えられますか。とりあえず、答えられるところまでお願いします。

坂東政府参考人 お答えいたします。

 まず、事故の発生状況についてでございますが、交通事故の死者数でございますけれども、昨年は九千六十六人ということでございまして、これを十年前の平成三年と比べてみますと、二千三十九人の減少ということになっております。もう一方、負傷者数でございますけれども、昨年中の交通事故による負傷者数は百十五万人を超えておりまして、これは、十年前の平成三年と比べてみますと、三十四万人の増加ということになっておりまして、負傷者数につきましては、過去最高を更新しているという状況でございます。

 そこで、この負傷者数の内訳でございますけれども、重傷者数につきましては過去十年ほぼ横ばいで推移してきているところでございますが、軽傷者数が非常に増加してきているということでございまして、全体として、今申しましたような負傷者数の増加になっているという状況にございます。

 そこで、こういった非常に厳しい交通事故情勢に対しまして警察がとっている対策いかんということでございますけれども、警察におきましては、地方公共団体あるいは関係機関、団体との連携を図りながら、交通事故を科学的あるいは総合的に分析した上で、地域の交通事故の発生状況に即した諸対策といたしまして、交通安全施設等の充実整備、あるいは交通事故に直結する悪質、危険な交通違反に対する指導取り締まりの強化、さらには交通安全教育やあるいは広報啓発活動等を推進してきているところでございます。さらには、こういった交通安全対策を一層図るために、今国会にも道路交通法の改正案等を提出して御審議をいただいているところでございます。

 それから、もう一つのお尋ねでございますが、当然ながら、交通事故防止対策というものは一つの省庁あるいは行政機関だけではだめだ、総合的な対策が必要ではないか、そこで、政府としてはどういう形で総合的なまとまりをしているのかというお尋ねでございますけれども、御案内のように、交通安全対策基本法、それに基づきまして、政府におきましては、関係省庁が集まって総合的な交通安全の諸対策を推進すべきということで、昨年度末、本年三月には第七次の交通安全基本計画というものを策定したというところでございますので、こういった基本計画を踏まえながら、関係省庁あるいは関係機関が連携しながら、交通安全諸対策というものを進めていくべきものだというふうに考えているところでございます。

玉置委員 死亡者は若干減少しておりますけれども、事故全体はふえてきている、約三〇%ぐらい事故が増加したということですが、この原因はどういうふうにとらえておられますか。

坂東政府参考人 お答えいたします。

 交通事故は、人と車両、さらには交通状況等の、交通上のさまざまな要因が複雑に絡み合って発生するものというように考えているところでございまして、交通事故の増加の理由を明確に特定することはなかなか困難だと思います。しかし、こうした交通事故の負傷者数というものの増加は、自動車の保有台数あるいは運転免許証の保有者数の増加等に呼応するような形で増加してきているということがうかがわれるところでございます。

玉置委員 ということは、免許取得時に、あるいは車が相手に渡るときに、ある程度ユーザーに注意を促すという対策とか、あるいは、おとといの事故、東北自動車道ですか、バスに追突した大型トラックとそれと接触した小型乗用車が炎上したというものがありましたけれども、ああいうふうにいろいろな事故がさまざまにあるわけですね。

 これについて、やはり、いろいろな形での事故調査というものがあって、それに対する政府としてのしかるべき対策というのが出ていかないといけないと思うのですね。この委員会でも時々そういう話が出ておりますが、いまだに、それを全体をまとめて分析したり、あるいはそれに対する対策をやるというのがなかなかないのですよね。

 例えばトラック協会に対して、車間距離を守れという話が時々やられます、あるいは過積載の話もやられますけれども、何となく、たまにぼちぼちやるかという感じでやっておられて、これが事故につながっているから今本当にやらなきゃいけないという意識じゃないのですよ。

 そういうことじゃなくて、やはり今回の事故をとらえてみても、では、なぜそういうふうにバスに接触したのか、そして本当に車間距離がとられていたのかどうか。我々は昔、名神自動車道ができましたときに、百キロで走るときは百メーターあけろと教えられたのですよね。最初のうちは忠実に守っていましたけれども、そのうちだんだんそんなにあけなくていいやというように思いました。首都高速なんというのは、下の道路よりも間が詰んでいて、いつ接触してもおかしくないという状況なんですが、そういうふうに、なれというものもありますよね。それから、やはり運転技術もあると思います。それと、やはりプロのドライバーは基本となるべしであって、プロのドライバーがまず事故を起こすということは失格なんですよ。

 そういうことから考えると、まず、一般的に運転を仕事とされている方を中心に、やはりいろいろな通達、対策をして、そして本当の事故原因を究明し、航空機とか鉄道事故とかと同様に、その分析した結果を事業者なり運転手さんに知らせて事故を防ぐということが必要かと思うのですが、先ほど、私じゃないですけれども、ほかの方の答弁の中に、何か分析センターを今度つくるとかつくらないとかいう話がありましたね、その辺も含めてちょっとお答えをいただきたいと思います。

坂東政府参考人 私ども警察庁と、それから旧建設省というのでしょうか、旧運輸省、これが一緒になりまして、交通事故総合分析センターというのをつくりまして、ここで交通事故をマクロ的にあるいはミクロ的に分析いたしまして、その結果というものをいろいろな形で広報し、あるいは行政機関に提供して、それぞれの省庁の交通安全や事故防止対策に生かしているところでございますので、さらに一層この交通事故総合分析センターの事故分析というものの高度化が図られるような形でいろいろと指導していきたい、このように考えております。

玉置委員 もう時間がなくなりましたので、お話を変えます。

 被害者救済対策についてお伺いをしたいと思います。

 今、全国で三カ所、建設中を入れたら四カ所、事故対策センターの診療施設といいますかがありますけれども、これを見ると、どこともに経営が赤字で、その補てんをこの運用益の中からしているということになっておりますが、委託方式がいろいろととられてまいりまして、これで多少カバーできるだろうというふうに思いますが、今、入院待機をされている方がまだかなりおられるということでございます。

 それで、新しい診療施設をつくるよりも、協力病院を、委託のできる協力病院のベッド、こういうところをぜひ確保していただきたいと思うのですが、こういう方法でいわゆる足りない部分についてぜひカバーをしていただきたいと思いますが、これについてはいかがお考えでございましょうか。

高橋政府参考人 お答えいたします。

 療護センターにつきましては、千葉、東北、岡山の三カ所、それからこの七月に中部の療護センターが開設されるわけでございます。今九十二人ほどの方がお待ちになっておられますけれども、少しでもそういう方々に対してベッドを提供するということにいたしたいと思っております。それ以外にも、既存のセンターの中に併設する介護病棟の整備も進めております。

 それから、先生御指摘のように、一般の病院に協力を求めるということについてでございますが、特に短期入院という制度を今度設けさせていただきましたので、この制度を使いながら、協力病院をできるだけ広げていくことによって病床数を確保するというふうな取り組みもしてまいりたいと思っております。

玉置委員 お金をかけないで、できるだけあるものを活用するということで、ぜひお願いをしたい。

 それから、最後に一つ、自宅介護の方もかなりおられるわけでありますが、この方たちの中で、介護している親が先に亡くなった場合どうするのだろうという心配があります。これは、昔、大蔵委員会の中で信託制度の話をしているときにたまたまそういう話がありまして、というのは、重度の身体障害者の親の方が、自分の心配は何だと聞くと、もうともかく、自分が先に死んだら子供はどうするのだというようなことがありました。同じような話がこの交通事故の場合もあったわけでありますが、こういう場合にはどういうふうに政府としては対応されるのか、これについて最後お聞きをしたいと思います。

高橋政府参考人 大変難しい課題であると思っております。交通事故被害者の在宅介護では、親が死亡した場合の後の問題といったようなことがあるわけでございますが、大変重要な課題であると認識しております。どのような制度を適用できるのかという問題を含めまして、いろいろと検討すべき課題がございますので、いろいろな角度から検討をさせていただきたいと思っております。

玉置委員 終わります。ありがとうございました。

赤松委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。瀬古由起子君。

瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、ただいま議題となりました自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案に対する反対討論を行います。

 反対する第一の理由は、本法案が、政府再保険を廃止し、支払い審査も死亡や重度後遺障害など一定のものに限って届け出による事後チェックの道が残される程度で、それ以外は民間任せとなり、不適切なものがあってもチェックできず、被害者保護、救済という国の行政責任の大幅な後退につながるものであるからです。これによって、損保業界の保険金払い渋りが一層横行し、チェックもできなくなり、現状でも不十分な被害者、遺族への救済措置の一層の後退につながるからです。

 国が自賠責の再保険事業の改善拡充を行う中でこそ、事故の調査、損害の拡大防止等の措置を速やかにとることが可能であり、自動車事故による被害者救済の対策にとどまらず、自動車事故等の原因の究明、事故発生防止、被害をどう少なくするかなど、国民の命、健康を守る施策を政府が責任を持って行えるのです。

 第二に、新たに設置される第三者機関も、中立公正で被害者の立場に立つ調停機関になる保証がないからです。

 現在、自算会や損保会社により、一方的に被害者に一〇〇%の過失があると断定されたり、過失相殺により、保険金が支払われず、大きく減額される問題が残っています。しかし、新たな第三者機関は、現在の自算会の中に設置された再審査会とは基本的に変わるものでなく、被害者保護と救済のための実質的な審査が行われる保証がないからです。

 第三に、これまで再保険特会での運用益を財源に重度後遺障害の被害者救済が行われてきましたが、それが後退するおそれがあるからです。

 国が再保険を廃止しても、累積運用益を経過的にユーザーへの保険料低減と被害者保護などに充当するとしていますが、低金利政策のもとで、財政融資資金預託金利ではいずれ枯渇せざるを得ないことは明白です。逆に、国の再保険で運用益を生み出した財源が民間保険会社等に移行することで、国の責任で行う被害者保護、救済は、「当分の間」を経過すれば法的根拠を失うことになりかねません。

 以上の理由から本改正案に反対することを表明し、反対討論を終わります。(拍手)

赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより採決に入ります。

 自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、赤城徳彦君外六名より、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合、保守党及び21世紀クラブの七会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。樽床伸二君。

樽床委員 ただいま議題となりました自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、社会民主党・市民連合、保守党及び21世紀クラブを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たり、次の事項につき適切な措置を講ずべきである。

 一 自動車事故被害者、特に重度後遺障害者等の増加にかんがみ、一層の被害者保護の充実を図ること。

 二 自動車事故による損害に対する支払について、損害保険会社等は、公平性を確保するとともに、被害者等に対する情報の開示及び説明等を充実することを含め、より一層の適正化を図ること。

 三 指定紛争処理機関については、現在ある審査機関等と連携を保ち、効率的な運営を行うとともに、紛争処理業務の独立性、中立性及び公正性を確保し、所管官庁の出身者がその役員になることは厳に抑制すること。

 四 運用益活用事業については、その内容の適正化と効率化を図るため、自動車事故対策計画策定の際に自賠責審議会等の場で十分議論するとともに、その結果についても意見を求めること。

 五 金融審議会自賠責部会は、自賠責保険制度の根幹にかかわる事項について検討するなど、その機能の充実・強化を図ること。

 六 損害保険会社等は、自賠責保険料を百パーセント運用することになることにかんがみ、その適正かつ効率的な運用を図り、あわせて従来以上に被害者に対し配慮すること。

 七 自動車事故の被害者の救済及び自動車事故の防止に関しては、この法律の施行後五年以内に、社会経済状況の推移等を勘案し、賦課金制度の導入の可能性を含め、検討を加えること。

 八 自動車事故を防止し、国民を事故被害から守り、精神面も含め、被害者を救済するための諸施策については、各省庁がより一層協力し、総合的な取組みを図るよう努めること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。(拍手)

赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、赤城徳彦君外六名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、扇国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。

扇国務大臣 自動車損害賠償保障法及び自動車損害賠償責任再保険特別会計法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれましては熱心な御審議、御検討をいただきまして、ただいま可決されましたことを深く御礼申し上げます。

 また、今後、審議中におかれましての委員各位の御高見、また、ただいまの附帯決議におきまして提起されました一層の被害者の保護の充実などの課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め各位の御指導、御協力に対しまして深く感謝の意を表し、ごあいさつとさせていただきます。

 ありがとう存じました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

赤松委員長 次に、内閣提出、参議院送付、測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。

    ―――――――――――――

 測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

扇国務大臣 ただいま議題となりました測量法及び水路業務法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。

 測量法及び水路業務法におきましては、測量及び水路測量の成果をそれぞれ統一させる観点から測量及び水路測量の基準を定めており、現在、このうち経緯度の測定についての基準は、我が国独特の基準となっております。

 しかしながら、近年、測量及び水路測量の基準に関しましては、世界標準化が進展するとともに、地球規模の測位システムの普及等の測位技術をめぐる国内及び国際の環境が大きく変化しつつあり、経緯度の測定についての基準を世界標準に適合させる必要があります。

 このため、測量法及び水路業務法が規定する測量及び水路測量の基準のうち、経緯度の測定についての基準を、世界標準である世界測地系に変更する必要があります。

 次に、その要旨を御説明申し上げます。

 第一に、測量法においては、基本測量及び公共測量における経緯度は、世界測地系に従って測定しなければならないこととしております。

 第二に、水路業務法において、水路測量は、経緯度については世界測地系に、その他の事項については政令で定める基準に、それぞれ従って行わなければならないこととしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。

 以上が、この法律案の提案理由及び要旨でございます。

 何とぞ、慎重御審議の上、速やかに御可決いただきますようお願い申し上げます。

赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時十五分散会




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