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第23号 平成13年6月15日(金曜日)

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平成十三年六月十五日(金曜日)

    午前九時十九分開議

 出席委員

   委員長 赤松 正雄君

   理事 赤城 徳彦君 理事 桜田 義孝君

   理事 実川 幸夫君 理事 橘 康太郎君

   理事 玉置 一弥君 理事 樽床 伸二君

   理事 河上 覃雄君 理事 山田 正彦君

      今村 雅弘君    木村 太郎君

      木村 隆秀君    北村 直人君

      倉田 雅年君    佐田玄一郎君

      坂本 剛二君    菅  義偉君

      田中 和徳君    中馬 弘毅君

      中本 太衛君    西川 京子君

      林  幹雄君    福井  照君

      松野 博一君    松本 和那君

      谷津 義男君    吉田 幸弘君

      阿久津幸彦君    大谷 信盛君

      小泉 俊明君    今田 保典君

      佐藤 敬夫君    中村 哲治君

      永井 英慈君    前原 誠司君

      松本 剛明君    山元  勉君

      井上 義久君    山岡 賢次君

      瀬古由起子君    春名 直章君

      日森 文尋君    保坂 展人君

      森田 健作君

    …………………………………

   国土交通大臣       扇  千景君

   国土交通副大臣      佐藤 静雄君

   国土交通大臣政務官    木村 隆秀君

   国土交通大臣政務官    田中 和徳君

   国土交通委員会専門員   福田 秀文君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十五日

 辞任         補欠選任

  高橋 一郎君     北村 直人君

  松岡 利勝君     西川 京子君

  川内 博史君     中村 哲治君

  伴野  豊君     松本 剛明君

  細川 律夫君     山元  勉君

  吉田 公一君     小泉 俊明君

  大幡 基夫君     春名 直章君

同日

 辞任         補欠選任

  北村 直人君     高橋 一郎君

  西川 京子君     松岡 利勝君

  小泉 俊明君     吉田 公一君

  中村 哲治君     川内 博史君

  松本 剛明君     伴野  豊君

  山元  勉君     細川 律夫君

  春名 直章君     大幡 基夫君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 土地収用法の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)




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     ――――◇―――――

赤松委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、土地収用法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 本案に対する質疑は、去る十三日に終了いたしております。

 この際、本案に対し、赤城徳彦君外五名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守党及び21世紀クラブの六会派共同提案による修正案、また、日森文尋君外一名から、社会民主党・市民連合提案による修正案がそれぞれ提出されております。

 提出者より順次趣旨の説明を求めます。樽床伸二君。

    ―――――――――――――

 土地収用法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

樽床委員 ただいま議題となりました土地収用法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守党及び21世紀クラブを代表して御説明申し上げます。

 本修正案の趣旨は、第一に、国土交通大臣及び都道府県知事は、事業の認定に関する処分を行うに際して聴取した第三者機関の意見を尊重しなければならないものとすること。

 第二に、政府は、公共の利益の増進と私有財産との調整を図りつつ公共の利益となる事業を実施するためには、その事業の施行について利害関係を有する者等の理解を得ることが重要であることにかんがみ、事業に関する情報の公開等その事業の施行についてこれらの者の理解を得るための措置について、総合的な見地から検討を加えるものとすることであります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

 以上です。

赤松委員長 次に、日森文尋君。

    ―――――――――――――

 土地収用法の一部を改正する法律案に対する修正案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 土地収用法の一部を改正する法律案に対する修正案の提案理由の説明を申し上げます。

 土地収用法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、その提案の理由及び内容の概要を御説明申し上げます。

 我が国においては、公共事業の早期段階での情報提供や住民参加が法的に義務づけられてこなかった経緯があります。そのため、住民合意のない事業や、長期を要し必要性を失った事業、また安全性が確認されない事業など、いわゆる公益性が疑問視される事業で、関係住民の間に不利益が予測される場合でも、事業の変更や中止が不可能なまま、事業予定地内の私有財産を共有し、世論の高まりに訴える運動が広まりました。

 このたび政府から提出された改正案は、行政手続の不備や法整備の不足に対する反省がないまま、このようなトラスト運動に対して収用手続を迅速化させることで、行政側からの問題の解決を図ろうとするものです。しかし、事業の計画段階ではなく、収用手続での公聴会を義務づけても、根本解決からはほど遠いと言わざるを得ません。

 そこで、修正案では、平成十五年三月末までに、次のような所要の法整備を行うことといたしました。

 第一に、私有財産を公共の福祉のために用いる際の事業認定機関が事業者と同一となることを避け、公正中立な機関となるよう、内閣府設置法第四十九条または地方自治法第百三十八条の四に基づく独立行政委員会を設置すること。

 第二に、同委員会が、起業者や関係行政機関、地方公共団体より必要な資料や協力などを得る権限を有し、公聴会や専門委員会の結果を考慮した上で収用可能な事業を認定すること。

 第三に、起業者は利害関係者からの意見への回答義務などを有すること。

 第四に、公共事業に関する情報公開や利害関係者の参加措置に関し、事業の計画段階を含め、総合的に見直しを行うこと。

 つまり、このたび政府から提出された改正案を退け、現行法を根本から見直すこととしております。

 以上が、この修正案の提案理由及びその内容の概要であります。

 何とぞ慎重に御審議の上、御可決あらんことをお願い申し上げて、提案を終わります。

赤松委員長 以上で両修正案の趣旨の説明は終わりました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより原案及び両修正案を一括して討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、順次これを許します。瀬古由起子君。

瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、内閣提出、土地収用法の一部を改正する法律案に対し、反対の討論を行います。

 第一に、本法案は、むだや自然破壊の公共事業への住民の反対運動を抑え込むことを目的としており、強権的な公共事業の推進を制度的に担保するものであります。

 土地・物件調書作成に関する特例、代表当事者制度の導入、補償金払い渡し方法の簡略化、収用手続における主張内容の制限などにより、各地のトラスト運動を初め、むだな公共事業に反対する運動を抑え込もうとしていることは明らかです。

 第二に、事業認定手続における中立性、公正性が担保されないことであります。

 本法案は、透明性、公正性、合理性を確保するためとして、事業認定手続に、事前説明会、公聴会、社会資本整備審議会の意見聴取、事業認定告示の際の認定理由の公表などを導入するとしています。しかし、都市計画や環境アセスメントの手続などでの公聴会や地元説明会は、事業者が一方的に説明するだけにとどまり、住民が納得いくまで事業者と議論し、結論を得るものにはなっていません。また、社会資本整備審議会からの意見聴取については、意見の聴取先が、事業を進める国土交通大臣が任命する審議会というのでは、中立性を確保できません。さらに、これらの手続を行ったことのみを理由として、住民の合意が得られないまま、淡々と手続が進められることにもなりかねません。そもそも、事業を進める国土交通省自身が事業認定をすること自体、不公正なものです。

 第三に、廃棄物処理施設を収用適格事業にしようとしていますが、廃棄物処理施設用地の選定に当たって、住民参加や環境影響評価が万全でないまま、用地不足の解消だけが優先されるなら、これまで以上に、地権者のみならず周辺住民の不安と不信を一層増大させるだけであります。さらに、第三セクターは情報公開法や関連する条例の適用外であり、住民が用地選定について適当かどうかを判断するための知る権利も保障されていません。

 現在の公共事業は、その計画段階において、関係住民にすら情報が十分に公開されず、住民を含め議論して合意形成を図る仕組みになっていないことです。今求められていることは、計画段階からの住民参加と情報公開を徹底し、事業の公益性等が検証されるようにすることです。

 そもそも土地収用法は、憲法二十九条第三項「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる。」との規定に基づくものですが、今回の改正は、土地収用法の手続を一層簡略化して、憲法二十九条第一項の財産権の保障を侵害するおそれがあり、断固反対いたします。

 なお、社民党提出の修正案については賛成、自民党、民主党、公明党、自由党、保守党、21世紀クラブ提出の修正案については、意見を尊重すべきとする社会資本整備審議会は国土交通大臣が任命することになっており、中立性の担保とはなり得ません。したがって、この修正によって法案の持つ反国民的な基本は変わるものではなく、反対であることを表明して、反対討論を終わります。(拍手)

赤松委員長 次に、日森文尋君。

日森委員 社民党の日森文尋でございます。

 私は、土地収用法の一部を改正する法律案及び六会派共同提案の修正案に反対し、社民党提出の修正案に、当然ですが、賛成する立場から討論を行います。

 最初に、財産権という基本的な権利を左右するような重要法案であるにもかかわらず、わずか二日間の審議で採決をする、こういう事態に対し、審議のあり方に対して、遺憾の意を表明しておきたいと思います。

 第一の問題点は、これまで行政主導で強行されてきた公共事業のあり方に対する政府としての真摯な総括を欠落させ、ひたすら事業の迅速かつ効率的な推進のみを追求する、いわば行政の論理に貫かれた収用法改正であるということです。

 収用裁決に至る事業の多くは、政府が、事業の構想、計画段階における情報公開や住民参加のシステムを確立するという民主主義の基本にかかわる課題に一切手をつけず、公共事業こそ正義との観点から強引に事業を推進したために、各地でトラスト運動など住民の抵抗を招いた結果、これを強権的に解決しようとしたものにほかなりません。

 各方面からの指摘をまつまでもなく、今求められているのは、事業の構想、計画段階での情報公開、住民参加を保障する新たな法整備や行政手続法の改正、あるいは、少なくとも環境アセス法に見られる手法を、都市計画法や河川法、道路法などに整備をすることであって、いたずらに土地収用法を改正することではないはずです。まさに、今回の法改正は本末転倒と言わなければなりません。

 しかも、改正案に盛られた収用手続の合理化は、住民合意を形成するための手続が不十分であることへの警鐘であり、同時に、安全弁でもあるトラスト運動の排除を意図しており、到底容認できるものではありません。

 改正案自体の問題点にも触れなければなりません。事業認定段階での事前説明会や公聴会の義務づけが行われました。しかし、実施主体を中立の第三者にゆだねたり、住民の意見に対し起業者の文書による回答や、それらを申請書に添付することを義務づけるなど、踏み込んだ措置を講じない限り、結局、これまで同様、聞きおくだけの説明会、公聴会で終わることは明らかです。住民の意見を尊重するといっても、その裁量権は行政にあり、制度として担保されない以上、納得することはできません。

 事業認定に際し、意見を聴取するとされた第三者機関についても、その中立性、公正性は極めて疑問です。社会資本整備審議会から委員を選任するのであれば、政府からの独立性は担保されないからです。

 法案審議の過程でも、起業者、利害関係者双方から独立した国家行政組織法三条委員会の設置要求について、合理的理由を明示しないままこれを退けました。何をもって公益とするのか、その基本的な審査を行う第三者機関が、行政から独立した機関でなければならないことは当然のことです。三条委員会を否定することは、とりもなおさず、完全な公平性、中立性を担保しようとする意思を政府みずからが放棄したものであり、到底国民の納得を得られるものではありません。

 収用手続の合理化も大きな問題と言わなければなりません。土地所有者が百人以上、しかも補償額が少額の場合、市町村長による公告縦覧手続でよしとする問題、補償金払い渡し方法の簡素化については、いずれもその合理的理由はあいまいであり、かつ、補償金支払い方法の変更については、依然として民法の規定を逸脱しているとの疑念を払拭できません。

 また、附則に示された内容も、住民の理解と協力を得るという本改正案の趣旨に逆行するものと言わなければなりません。

 以上、重立ったものについて申し上げましたが、本改正案及び六党共同提案の修正案に反対し、社民党の修正案に賛成をする私の討論といたします。(拍手)

赤松委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 これより採決に入ります。

 土地収用法の一部を改正する法律案及びこれに対する両修正案について採決いたします。

 まず、日森文尋君外一名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立少数。よって、日森文尋君外一名提出の修正案は否決されました。

 次に、赤城徳彦君外五名提出の修正案について採決いたします。

 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、赤城徳彦君外五名提出の修正案は可決されました。

 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。

 これに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、赤城徳彦君外五名より、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守党及び21世紀クラブの六会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。大谷信盛君。

大谷委員 ただいま議題となりました土地収用法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、保守党及び21世紀クラブを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    土地収用法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法律の施行に当たっては、次の事項に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。

 一 社会資本整備審議会のうち、事業認定の審議に携わる委員については、法学界、法曹界、都市計画、環境、マスコミ、経済界等の分野からバランスよく人選するとともに、事業推進の立場にある中央省庁のOBの任命は原則として行わないこととし、事業認定の中立性、公正性等の確保に努めること。

 二 事業認定の審議に当たっては、当該事業に利害関係を有する委員は当該審議に関わらないようにするなど厳格な運用を行い、事業認定の中立性、公正性等の確保に努めること。

 三 公聴会については、その透明性を高めるため、開催に当たっては、開催期日・場所等について事前に十分な周知を図るとともに、議事録の公開など情報公開の徹底に努めること。

 四 公聴会が形骸化することのないよう、公聴会で述べられた住民等の意見は第三者機関に適切に伝えるとともに、公述人相互の間で質疑が行えるような仕組みとするなど、住民意見の吸収の場という公聴会の本来の役割を果たすよう、規則改正を含め必要な措置を講ずること。

 五 事業認定判断の透明性等の向上を図るという法改正の趣旨を踏まえ、改正法の公布後に事業認定申請された事業については、公聴会の義務的開催など改正法の内容を踏まえた運用を図ること。

 六 今回の法改正の趣旨にかんがみ、政府は各都道府県と協議して、収用委員会の役割が的確に果たされるよう努めること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

赤松委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤松委員長 起立多数。よって、赤城徳彦君外五名提出の動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、扇国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。

扇国務大臣 土地収用法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見、ただいまの附帯決議において提起されました社会資本整備審議会における事業認定に関する審議の中立性、公正性等の確保などの課題につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長初め委員各位の皆様方の熱心な御討議、また御指導、そして御協力に対しまして深く感謝の意を表し、ごあいさつとさせていただきます。

 ありがとう存じました。

    ―――――――――――――

赤松委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤松委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

赤松委員長 次回は、来る二十日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前九時三十九分散会




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