衆議院

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第5号 平成14年3月29日(金曜日)

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平成十四年三月二十九日(金曜日)
    午前九時二分開議
 出席委員
   委員長 久保 哲司君
   理事 木村 隆秀君 理事 実川 幸夫君
   理事 橘 康太郎君 理事 林  幹雄君
   理事 古賀 一成君 理事 細川 律夫君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      赤城 徳彦君    浅野 勝人君
      小里 貞利君    金子 恭之君
      倉田 雅年君    菅  義偉君
      田中 和徳君    高木  毅君
      高橋 一郎君    谷田 武彦君
      中馬 弘毅君    中本 太衛君
      林 省之介君    菱田 嘉明君
      福井  照君    堀之内久男君
      松野 博一君    松宮  勲君
      松本 和那君    吉川 貴盛君
      阿久津幸彦君    井上 和雄君
      大谷 信盛君    加藤 公一君
      今田 保典君    樽床 伸二君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      平岡 秀夫君    前原 誠司君
      松本 剛明君    高木 陽介君
      黄川田 徹君    山岡 賢次君
      大幡 基夫君    瀬古由起子君
      日森 文尋君    保坂 展人君
      西川太一郎君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      月原 茂皓君
   国土交通大臣政務官    菅  義偉君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (文部科学省研究振興局長
   )            遠藤 昭雄君
   政府参考人
   (文部科学省研究開発局長
   )            今村  努君
   政府参考人
   (文化庁文化財部長)   木谷 雅人君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房長) 風岡 典之君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房官庁
   営繕部長)        春田 浩司君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            岩村  敬君
   政府参考人
   (国土交通省国土計画局長
   )            小峰 隆夫君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           洞   駿君
   政府参考人
   (国土交通省海事局長)  安富 正文君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  川島  毅君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十九日
 辞任         補欠選任
  中馬 弘毅君     浅野 勝人君
  松岡 利勝君     林 省之介君
  森田 健作君     金子 恭之君
  伴野  豊君     松本 剛明君
  山岡 賢次君     黄川田 徹君
  二階 俊博君     西川太一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  浅野 勝人君     中馬 弘毅君
  金子 恭之君     森田 健作君
  林 省之介君     松岡 利勝君
  松本 剛明君     加藤 公一君
  黄川田 徹君     山岡 賢次君
  西川太一郎君     二階 俊博君
同日
 辞任         補欠選任
  加藤 公一君     伴野  豊君
    ―――――――――――――
三月二十七日
 国土交通省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)
 平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第二四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 国土交通省設置法の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)
 平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案(内閣提出第二四号)


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     ――――◇―――――
久保委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、国土交通省設置法の一部を改正する法律案及び平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。
    ―――――――――――――
 国土交通省設置法の一部を改正する法律案
 平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
扇国務大臣 おはようございます。
 ただいま議題となりました国土交通省設置法の一部を改正する法律案及び平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 まず、国土交通省設置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 国土交通省では、地方における交通サービスの安定的な供給、安全の確保、観光振興等の施策の遂行のため、地方運輸局を設置するとともに、自動車の登録や船舶検査等現地において処理することが国民の利便に資する事務につきましては、所要の地に設けた陸運支局、海運支局等において処理しております。
 このような中、今日、交通産業全般にわたります需給調整規制の廃止等の規制改革に対応して、事業者に対する規制を主たる手法とする従来のいわゆる事業監督型行政からの脱却を図りつつ、交通サービスの維持・向上や観光振興を図る観点から、地域の自主性を尊重した地域密着型の行政を展開していくこと等が必要となってきております。
 これに地方運輸局が適切に対処していくためには、地球環境問題や少子高齢化社会への対応等二十一世紀の課題にも十分に留意しつつ、陸運、海運、さらには鉄道や観光まで含めた交通政策、観光政策の総合的な展開を図る体制を構築することが不可欠であります。
 また、この際には、行政改革の観点から、可能な限り組織のスリム化を図るとともに、国民に対する行政サービスの一層の向上を図ることが必要です。
 このような状況を踏まえ、陸運支局と海運支局を統合し、運輸支局を設置することとし、同支局においてこれまでの陸運支局及び海運支局の業務のほか、鉄道、観光等に関する業務を含めて総合的に実施していくことが緊要となっております。
 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第でございます。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 第一に、現行の地方運輸局の陸運支局及び海運支局を統合して、運輸支局を設置できることとする等の措置を講ずることとしております。
 第二に、現行の地方運輸局の海運監理部につきましても、運輸支局設置の考え方に即し、交通政策、観光政策の総合的な展開を図る観点から、これを運輸監理部とすることとしております。
 次に、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案について申し上げます。
 政府におきましては、多極分散型国土形成促進法等に基づき、地方支分部局、試験研究機関などの国の行政機関の官署及び特殊法人の主たる事務所の東京都区部からの移転を推進してきています。現在までに移転対象機関のうち、全体の約三分の二の機関が移転を完了しております。
 平成十四年度におきましては、六つの特殊法人が主たる事務所を東京都区部から移転することを予定しており、各設立根拠法の規定を変更することが必要になっております。
 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第でございます。
 次に、この法律案の概要について御説明を申し上げます。
 本法律案は、平成十四年度において主たる事務所を東京都区部から移転する、日本原子力研究所、宇宙開発事業団、水資源開発公団、日本鉄道建設公団、運輸施設整備事業団及び都市基盤整備公団の六特殊法人について、各設立根拠法における主たる事務所の所在地の規定を一括して改正するものであります。
 以上が、国土交通省設置法の一部を改正する法律案及び平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案を提案する理由でございます。
 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。
 ありがとう存じました。
久保委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
久保委員長 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長風岡典之君、大臣官房官庁営繕部長春田浩司君、総合政策局長岩村敬君、国土計画局長小峰隆夫君、住宅局長三沢真君、自動車交通局長洞駿君、海事局長安富正文君、港湾局長川島毅君、航空局長深谷憲一君、文部科学省研究振興局長遠藤昭雄君、文部科学省研究開発局長今村努君及び文化庁文化財部長木谷雅人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。平岡秀夫君。
平岡委員 皆さん、おはようございます。私は、民主党の衆議院議員、平岡秀夫でございます。
 この国土交通委員会、初めての質問でございます。扇大臣には予算委員会等で御質問させていただいたこともありますけれども、初めての質問ということでございますので、この委員会の運営の仕方と少し違ったところはあるかもしれませんけれども、御容赦いただきたいというふうに思います。
 まず最初に、国土交通省設置法の関係について御質問申し上げたいと思います。
 今回の改正の趣旨については、さきにいろいろ説明をいただいておりますけれども、行政サービスの向上及び行政組織の合理化等の観点から、陸運支局と海運支局を統合し、各都道府県における国の交通、観光行政の総合的な出先機関として運輸支局を新たに設置するということが今回の法律改正の趣旨になっているようでございます。
 振り返ってみますと、国の行政機関については、さまざまな見直しといいますか再編が行われてきておりまして、それがよかったのか悪かったのか、そうしたことをやはり振り返りながら新しい組織のあり方ということを検討していかなければならないというふうに思っているわけであります。そういう点で考えますと、国土交通省は、この前の中央省庁再編の中で、非常に大きな再編が行われた中央省庁であろうというふうに思うわけであります。
 そこで、大臣にちょっとお聞かせいただきたいんですけれども、国土交通省は、昨年、建設省、運輸省、そして北海道開発庁、国土庁といったいろいろな役所が一緒になってできたわけでございますけれども、これが統合された結果としてどのような状況になっているのか、そうしたことについての評価をまずお聞かせいただきたいと思います。
扇国務大臣 昨年の一月の六日、今御指摘になりましたように、旧建設省、旧運輸省、旧北海道開発庁、旧国土庁、四省庁を統合し新たにスタートしましたときには、皆さんに、一番無理な統合の役所ではないか、国土交通省は世帯が大き過ぎてお互いの省庁の壁を取り除くことはほとんど不可能に近いとまで評された出発でございました。
 けれども、私は昨年一年間、まず昨年の通常国会の間土日を全部つぶしまして全国の十のブロックを、この四省庁統合の壁を取り除くために地方懇談会をつくってまいりました。そして十のブロックで、各地方自治体の首長さん、いわゆる知事さん、政令指定都市の市長さん、そして財界の代表、全部で九十名の皆さんに御参集いただいて懇談会を設立し、この四省庁の壁をとってきたところでございます。
 まだ、その懇談会で出されましたこと、国土交通省の体制としては、実績が上がりつつあるものと、今年の十四年度予算についてその実を確実に目に見えるものにすることと、両方ございますけれども、今、予算は通りましたけれども、これを実施する一つの具体例として少し挙げさせていただきたいと思います。
 四省庁を統合したおかげでできること、それは、鉄道駅等の交通の結節点の機能強化、そして次には、あかずの踏切解消などの都市部の交通混雑の解消、また、防災分野のIT化の推進、空港、港湾、道路等の強化によります物流の高度化と交流の円滑化、それらの連携施策が確実に国土交通省になって実現をするということでございます。
 さらに、最近では、皆さん方に御提示しております羽田空港の機能強化に際しましても、省内の連携体制を整備して、河川行政、今までの旧建設省と旧運輸省とが連携、調整を図ることによって羽田空港の再拡張のスピードアップを図るなど、今までは縦割りで考えられなかった事業ができるようになりました。これも今進行中でございます。
 また、国土交通省の予算で、御存じのとおり一割近く公共工事等が削減されております中で、連携事業に対しまして重点配分をいたしております。それは、今申しました鉄道駅等の交通の結節点の機能強化につきましては、その中で二一%増をした。これは、今まで縦割りでできないというものが、一緒になったためにできる、二一%増でスピードアップを図るということでございます。例えばボトルネックの踏切の除去、改良、それから、TDMの推進等によります都市交通の円滑化につきましては、五%増にいたしております。また、公共交通機関、歩行空間等のバリアフリーの推進、これも二十一世紀型でございますので、これも七%の増ということで、国費ベースですけれども。
 このように、私どもは、国土交通省として、今までできなかったことが、連結したことによってよりスピードアップがされ、スピードアップによってよりコストダウンが図れるというようなことが私は大きな成果として出てきているということが言えると思います。
 そういう意味で、私が申しました十のブロック、行きましたけれども、私が出席しなくても事務レベルで各地方自治団体と綿密に連絡をとって諸事業を進めていく、そして地方の声を生かしていく、そういう体制が各ブロックにできつつあると思っておりまして、こういう意味では、今回御提案しました地方運輸局と地方整備局とが共同で連携しながら、この地方懇談会を生かしていくという意味では、大きな期待と、そして今後成果が上がっていくものと、努力していきたいと思っております。
平岡委員 今、大臣の方から、これまでの縦割り行政の弊害といいますか問題点、それがかなり解決されてきているというようなお話がありました。それはそれで大変いいことだろうと思います。これからも総合的な行政の推進ということに常に配意していっていただきたいというふうに思いますし、ただ単に国土交通省だけの行政にとどまらず、政府全体としての総合的な行政の遂行ということについても努力していただきたいというふうに思います。
 そこで、地方レベルの支分局の組織のあり方についてちょっとお伺いしたいんですけれども、大臣、答弁が非常にたっぷりしていただけるので、適宜省略したいと思います。
 一つ、地方運輸局の組織見直しというような方向の中で、例えば陸海空及び観光における二十一世紀型交通ソフト行政の総合的展開というようなことを基本的方向として国土交通省さんは言っておられるんです。
 国土交通省は大きい役所なものですから、地方にもたくさんの支分局がありまして、それらのたくさんの支分局が一体どういうふうにして総合的に行政を行っていくのかというのは常日ごろから考えておられるんだろうと思うんですけれども、今私が申し上げました陸海空を含めた二十一世紀型交通ソフト行政の総合的展開という視点で考えてみると、今地方には地方運輸局と地方航空局というものがあるというふうに伺っているんですが、地方航空局については航空機の安全確保といったような視点の問題もあるだろうと思うんですけれども、先ほど言いました交通ソフト行政の総合的展開という部分について、航空の分野においてはそれなりの役割を持っていると思うんですけれども、そうした部分と地方運輸局とが総合的な行政を推進していくということは確保されているんでしょうか。あるいは、場合によっては組織再編が必要ではないかというふうに思うんですけれども、その点いかがでしょう。
扇国務大臣 今、平岡議員が仰せのように、陸海空でございますので、そういう意味では多岐にわたっておりますけれども、今、地方運輸局と地方航空局に関してのお尋ねがございました。
 地方運輸局は、御存じのとおり、地域におきます交通サービスの安定的な供給、そして陸運、海運等の安全の確保でございますとか、あるいは観光振興等の施策を遂行して、全国を地域的な九つのまとまりに分けて今設置しております。
 また、地方航空局は、航空機の出発でございますとか、あるいは進入にかかわります管制、そして空港管理、運用、そして航空機の検査、コミューター航空に対します業務、航空に関します極めて専門的な、地方ブロックを超えた広域的な業務を所掌しておりますので、そういう意味では、我が国の航空ネットワークの実態が東京圏と近畿圏を中心にした二眼レフ構造であることを踏まえて、東京と大阪の二カ所に設置されております。
 したがいまして、これらを統合するとすれば、高速長距離移動手段としての航空と、地理的あるいは経済的なつながり等を前提とした陸運と海運、あるいはブロック割りの整合を図ることができませんので、かえって非効率的な業務体制になると思っていますので、今の段階では今の体制で、陸海空ということの中での安全性とか総合的に展開するという意味では、今の地方運輸局と地方航空局の間におきましてもお互いに緊密な連携と調整を図ってしていくことが、今一番有効な、また国民の皆さん、そしてあらゆる機関に不安を与えないという意味では、今の段階で推進していきたいと思っております。
平岡委員 組織のあり方については、また総合的な行政という側面以外にいろいろな側面もあろうかと思いますので、引き続き総合的行政をいかに図っていくかという視点から組織のあり方についても検討していっていただきたいというふうに思います。
 それで、今度は、地方運輸局の問題にちょっと入りますと、先ほど来から、二十一世紀型交通政策の総合的展開という国土交通省さんが使われている言葉にこだわり過ぎているのかもしれませんけれども、ちょっとこだわらせていただきたいという点がございまして、もうちょっと話を進めていきたいと思うんです。
 実は、地方運輸局の管轄地域、これ自身は法律事項ではないわけでありますから、今回の審議の対象になっているわけではないんですけれども、今回の陸運支局をつくるに当たって、あわせて地方運輸局の管轄地域の見直しが行われているということでございます。
 この管轄地域の見直しについても、先ほど来から言っておりますように、二十一世紀型交通政策の総合的展開ということを考えて、福井県については少し管轄区域を変えたというようなことがありましたけれども、実は、私、出身が山口県なんですけれども、山口県だけは海事事務とそれから陸運事務というのが何か管轄区域が違うような形になっておりまして、先ほど来から言っている、二十一世紀型交通政策の総合的展開をするのに、管轄地域が違うというようなことでは、総合的な政策の展開ができないんじゃないかというふうに思っているわけであります。
 このように管轄区域が海事行政とそれ以外の行政とで違っているのは、かなり歴史的な背景もあるとは思うんですけれども、この点についてはどのような考え方で今回見直しをしていないのか、あるいは今後の見直しの方向ということについてはどのように考えておられるか、この点についてお伺いいたしたいと思います。
扇国務大臣 今仰せのとおり、少なくとも地方の運輸局の管轄区域を見直して、そして海事事務とその他の事務の管轄区域の整合性を図っていくというのが基本でございます。
 けれども、今仰せになりましたように、福井県と山口県では、海事関係事務につきましては管轄区域の特例がございまして、今回は、福井県は中部運輸局に一元化された、けれども、山口県におきましては、海事は九州運輸局、陸運は中国運輸局というふうに分かれました。
 そして、私も、下関の皆さん方も大臣室に来ていただいて、いろいろお話しいただいたんですけれども、近畿運輸局敦賀海運支局が海事事務を、中部運輸局福井陸運支局がその他の事務をということでそれぞれ管轄しておりました福井県につきましては、今申しましたように、今回この見直しをして、中部運輸局の管轄へ一元化をさせていただきました。これは、福井の皆さん方にも御相談したことでございます。
 ところが、今先生がおっしゃいましたように、山口県の西部におきましては、宇部港、下関港と門司港、北九州港等のいわゆる北九州の関門地域が海の交通経済圏として一体であるということをよく皆さん私におっしゃるんですね。ですから、交通経済圏として一体であるということから考えれば、海上運送事業とかあるいは港湾の運送事業にかかわる海事事務につきましては、九州運輸局の管轄の方が便利なんだと、こうおっしゃるんですね。
 ところが、今御指摘のように、海事事務とその他の事務ということで管轄が異なることになりますと、山口県におきます行政の展開に当たりましては、これは中国の運輸局と九州の運輸局との間で従来にも増して綿密な連携をとっていって、陸運の方は広島の方が便利なんだ、こういうお話もありまして、大変御希望に沿った、私は万やむを得ないと。まあ将来的には、もっと交通網とか便利になればいいんですけれども、現段階では皆さんの御要望はこういう点で、私、今回こういう措置をとらせていただいたということでございます。
平岡委員 先ほど来から本当にこの言葉にこだわり過ぎて申しわけないんですけれども、陸海空における二十一世紀型交通ソフト行政の総合的展開、交通体系を考えるときには陸と海と空というのを一体的に考えていこうという中において、何か山口県だけが空と陸と海は別ですよというふうになるのは非常にせつないものがございまして、ぜひ、先ほど言いましたように、行政と組織というのは必ずしもぴたっとうまくいくということじゃないと私も思うんですけれども、総合的な行政を展開するに当たって、組織がどうあるべきかという点については、常に見直しを検討していただきたいということを要請しておきたいというふうに思います。
 そこで、今回の陸運支局と海運支局との統合という面なんですけれども、先ほど私が冒頭に申し上げましたように、行政サービスの向上とかあるいは行政組織の合理化といったような視点があるということであろうと思いますけれども、他方、行政組織をいじれば、それによるさまざまなコストの削減といったような面がなければ、組織が肥大化してしまうというようなことではやはりいけないと思うんですけれども、今回の陸運支局と海運支局との統合によりまして、行政改革面から見た効果、例えばポストとか職員についてはどのような状況になるのか、あるいは行政経費ですね、事務経費についてはどのようになるのか、この点についてどのように評価しておられるか、お伺いしたいと思います。
風岡政府参考人 今回の陸運支局と海運支局の統合に伴う行政改革の面での効果というお尋ねでございます。
 私どもとしましては、今般の地方運輸局の組織の見直しに当たりましては、業務の徹底的な見直しを行うとともに、国民に対する行政サービスの低下にならないようにというようなことも十分考慮した上で、できるだけ行政組織の合理化ということに努めたわけでございます。
 具体的なことで申し上げますと、まず支局の数でございます。これは先生御案内のとおり、現在は、陸運支局と海運支局、これを両方合わせますと百十九の支局がございます。これを統合しまして五十一の支局に縮減をする。支局ベースでは六十八の支局を減らす、こういう大胆なスリム化というのを行っております。
 また、海運支局の廃止に伴いまして設置されます海事事務所、これを含めますと、現在百十九の支局が七十七の支局と事務所という形になります。このベースでいきますと四十二の減少ということで、これでも相当程度のスリム化というふうに考えております。
 また、支局の課の数でございますけれども、これは現在は二百三十六の課がございますが、これが三十四減少して二百二になる、そういう意味でのスリム化も図っております。
 それからまた、定員でございます。これは支局の定員でございますけれども、七月一日時点での管理要員の削減、約八十名程度の削減というのを行っておりますが、これに加えまして、自動車検査の独法法人への移行等々によりまして、全体としては、支局ベースでは三千六百七十六人が二千七百六十五人ということで、九百十一人の減、こういうふうになります。
 また、支局の経費の面での影響でございますけれども、これは、庁舎の維持管理費あるいは人件費の削減というようなことで、地方運輸局の経費の面でも相当の大きな効果がある、このように考えております。
 引き続きいろいろ行革の面での取り組みというのは努力をしていきたい、このように思っております。
平岡委員 今おっしゃられたこと、機構の再編によってさまざまなぜい肉がとれていくということは、基本的にいいことだろうと思います。ただ、経費の節減については、きのう質問通告したときにも具体的な数字はまだわかりませんという話でしたし、きょうも、今具体的な答弁がなかったので、まあ抽象的には、多分そういう組織を再編すればある程度の効果があるということはわかるんですけれども、具体的に、どの程度効果があるのかということもやはりちゃんと検証しておいていただきたいというふうにも思うんです。ちょっと時間が足りなかったのかもしれません。どの程度の経費の節減に貢献したのかというようなことについて、わかれば教えていただきたいというふうに思います。
 他方、今度組織再編をしていろいろな行政改革面での効果というのが上がるということはそれなりに結構なことなんですけれども、逆に今度は、さまざまな行政サービスの低下ということにつながってしまったのでは、これは何のための行政改革かわからないということにもなってしまうようにも思います。
 そうした視点から見ると、今回、先ほど御説明ありましたように、陸運支局、海運支局、百十九あったのが七十七になるということでありますけれども、特に八支局については、ほかのところに統合されてしまうために実質的には廃止になってしまうというようなことが予定されているというふうに聞いておるのですけれども、この八支局について、行政サービスの低下ということにならないんだろうかという地域の経済界の方々の、あるいは住民の方々の不安があると思うのですけれども、その点についてはどのように対応されようとしておられますでしょうか。大臣、お願いします。
扇国務大臣 今、現実的には八支局が廃止されるじゃないかとおっしゃいましたけれども、数でいえばそのとおりですけれども、今回の地方運輸局の再編におきましては、御存じのとおり、海運支局と陸運支局を統合して、なおかつ都道府県に一つを原則にして五十一の運輸支局を設置しております。そういう意味では、港湾所在地など海事行政へのニーズが大きい地域に設置されております海運支局につきましては、二十六の海事事務所として存続する、いわゆる存置するということになっておりますので、この職員の少ない小規模の海運支局につきましては、平成十四年には、例を挙げますと、留萌、それから釜石、横須賀など八支局の統合を予定しております。
 これでは、統合によって組織の規模を拡大するということがございますので、手続に当たる職員がふえるということになりますので、そういう意味では、一つのところで両方の仕事をしてもらえるということで、逆に迅速なサービスを提供することができると思いますし、また、休日でも交代で船舶検査を行うことなどが可能になりますので、むしろ全体としての利便性というものは今までよりもはるかに向上していくと思っておりますので、今、廃止されたらというふうにおっしゃいましたけれども、私はむしろ便利になると思っております。
 さらに、この諸手続というのは電子申請でありますとか郵送申請を活用するというふうに、行政のサービスの枠も広げていこうと思っておりますので、御懸念のような、皆さんに御不便をおかけするということはなくて、より便利で、より効率的になるとお考え賜りたいと存じます。
平岡委員 大臣がそうやっておっしゃるので、ぜひその趣旨を地方支分局に対して徹底されるように、大臣の方からもよろしく御配慮いただきたいというふうに思います。
 それでは次に、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案、非常に長い法律案でございますけれども、この法律案について御質問申し上げたいと思います。
 まず最初に、そもそも特殊法人の主たる事務所を移転しなければならない、そういう必要性が生じてきたという点について、現在もその状況が続いているのかということについてお伺いしたいのです。
 今回特殊法人の主たる事務所を移転するという契機になったのは、昭和六十三年当時、「国の機関等の移転について」という閣議決定がされておりまして、その後、多極分散型国土形成促進法といったような法律も出ております。こうした閣議決定とかあるいは法律がつくられた経緯を見ますと、東京都区部における人口、行政、経済、文化等に関する機能の過度の集中の是正に資するというようなことが言われております。
 それとあわせて、例えば、東京等の地価高騰について土地の需給の緩和を図ることが求められているといったような背景もあってこうしたことが行われてきたというふうに説明をされているわけでありますけれども、土地の需給の緩和を図る必要があるというような事態というのは今余り生じていない。むしろ、どうやって土地の流動化を図っていくかということが逆の課題になっている、こんなような状況だろうと思うのです。
 今回の法案を提出されているこの現時点において、昭和六十三年当時と一体どのような変化が生じてきているというふうに思っておられるのか。そして、その変化というのは、今回の法律改正に対して、このまま認めていいというような判断につながるものでありますでしょうか。この点について、大臣のお考えをお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 今おっしゃいましたように、東京都の区部への人口集積、これに関しましては、昭和六十三年の時点で対全国比で六・七%、そして平成十三年の時点で六・三%と大体横ばいで来ているわけですね。
 そして、あらゆる機能というものが集中しているということになっていますけれども、一つには、事務所と店舗等の床面積は、東京都におきます昭和六十三年の時点で全国対比では一四・八%でございます。それが、今、平成十二年時点では一五・二%が集中しております。
 また、卸売販売額というのは、東京都区部では昭和六十三年時点で三三・三%でございましたけれども、現在、平成十一年の時点では三六・六%が集中しているという状況になっております。
 最後に、情報サービス産業の売上高というのは、東京都区部では昭和六十三年の時点で五五・三%の売り上げがあったわけですけれども、平成十二年の時点では五一・三%が集中しているというのが現状でございます。
 そういう意味では、御指摘になりましたけれども、指標によりまして少し差はあるのですけれども、総じて見れば、東京都区部における集中の状況というのは大して大きな変化ではない、わずかな変化と、今数字を申し上げましたので、余り変化はないと見ていいと私は思います。
平岡委員 確かに変化はそれほどないのかもしれませんし、少しは緩和されているのかもしれませんけれども、依然として、東京の一極集中という事態は、やはり我々として何とか克服していかなければならない大きな政策課題であろうというふうに思っているわけであります。
 ただ、今回の法案を見ますと、東京都区部から出ていく先はどんなところかと見ると、横浜とかつくばとか、何か東京周辺というか関東地域に限られているということであります。
 多極分散型国土形成というのは、東京の一極集中を排除するというよりも、一つの政策の方向なんだろうとは思いますけれども、それ以外に、関東地域ということじゃなくて、やはり全国にいろいろな機能が分散していくということも目指しているのではないかなというふうに思うわけです。
 そうした観点から見ると、今回の法律改正の対象になっている特殊法人について、その移転先が関東地域に限られているということは、ちょっと検討不足ではないか。かつては、醸造試験所が私の山口県の隣の広島県にも来たというのもありましたけれども、山口県に来ていただければそれは大変助かるのですけれども、そうしたものはないかもしれませんが、もっと幅広い地域を見て選んでいただければいいじゃないかと思うのですけれども、今回こうした地域に限られているのはなぜでしょうか。それは多極分散型国土形成に資しているというふうに考えてよろしいのでしょうか。いかがでしょう。
扇国務大臣 これも移転先の財政的な、低コストで借りられ、なおかつ低コストで営業でき、そしてサービスだけは低下しない、こういう条件のもとで私は移転先を関東地区というふうにせざるを得なかったといいますか、今おっしゃるようなことになればいいと思いますけれども。
 御存じのとおり、さいたまの新都心という大きなものができまして、私ももちろん行きましたけれども、当事者としては、私は、関東地方整備局など関東地区を所管します地方支分部局が移転対象とされておりますことや、特殊法人等につきましては、移転先地区の決定に当たっては業務上の利便性ということが大きな課題になってまいりますので、それは先生も御理解なさっているところだろうと思いますけれども。そういう意味で、さいたま新都心というところに多く行くというのも、これはもう受け入れ態勢ができているということも一つの大きな条件でございます。
 また、多極分散型国土の形成というのは、国の行政機関等の移転だけによって図られるというものではなくて、地方の振興開発だとかあるいは大都市地域の秩序のある整備ということと極めてリンクしてくることだと私は思っておりますので、今後あらゆる面で、地方の振興開発ですとかあるいは大都市の地域の秩序ある整備ということを皆さんが進めてくだされば私は実現されるものであると思っておりますし、広域的なあるいは広範な施策によって今後そういうことが推進されるという意味では、地方と一体になってそれらのことを話し合っていくということも大きな、国の行政機関等の移転につきましても、東京圏におきます業務の移転ということで適正な配置に資するものであり、また他の政策とも相まって、少なくとも多極分散型国土の形成の一助にもなる、寄与していく、今後もっとこれが広がっていけばいいというふうに、今平岡議員の御指摘のような体制ができればと私は思います。
 とりあえずは、今の利便性、そして向上性、そして多くの皆さん方へのサービス提供ということでは、今回が精いっぱいというふうに考えておりますので、もっと大きく変動していく体制になるであろうとは思っております。
平岡委員 もう一つ、今回の具体的な移転について考えてみますと、実は、国会等の移転に関する法律というのがありまして、二年前に衆議院の委員会で、ことしの五月ぐらいまでに一応の結論を出そうじゃないかという決議が行われているというふうに私は承知しているんですけれども、現在、福島の方とか岐阜の方とか三重の方とかというようなことが具体的な地域名として挙がっているようにも伺っておりますけれども、仮に、国会等の移転先の地域がそうしたところになったときには、今回の移転先というのは、今大臣が利便性とかいろいろ説明されましたけれども、逆に非常に利便性の悪い地域になってしまうんじゃないかなというふうにも思ってしまうわけであります。
 どこに行くかわからないのに、今どこかを前提としてつくれということではないのかもしれませんけれども、国会等の移転の問題との関係において、今回の移転についてはどのように考慮に入れて決められたのか。将来、仮に移転先が決まったときには、何か困るような事態に陥らないのか。その点についてはどのようにお考えになって今回決められたのでしょうか、その点をお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 これは御存じのとおり、国の行政機関の移転ということから考えますと、いわゆる国会等の移転ということは国の行政機関の移転の対象が行政の中枢機能ということで、これはそこまでは言えない国の地方支分部局そしてまた研究機関等、特殊法人の主たる事務所でございますので、今度行政の中枢機能を国会等移転ということで、どこに決まるかわかりませんけれども、それと国会の機能移転ということとは全然別のことで、それは全然影響もないし、また現在どこに決まるかわからないところへ国会等が移転いたしましても、これは私、別のことだろうと思っております。そういう意味では、行政の中枢機能という移転の対象としては、私はこれは別の施策であると思っておりますので、今移ることに対して何らの影響もございませんし、まだ国会で御結論が出ておりませんので、これと対比して言うこと自体も私は別途だと思っております。
平岡委員 現時点においては東京に国会等があるのでそれでいいのかもしれません。国会等といっても、「等」の中には国の行政機関あるいは司法の主要な部分というのがあるわけでありまして、例えば行政機関との関係を考えてみますと、この特殊法人も、予算の作成であるとかあるいは認可をしてもらわなきゃいけないとか、あるいはさまざまな政府の政策との整合性を調整しなきゃいけないとか、そうした行政官庁とのかかわりというのは非常に深いわけですね。
 そういう意味では、仮にどこかへ――国会等の「等」という中には主たる行政機関も入っているわけでありますから、かわったときには今回かわる場所でいいのかという問題は、既に移転したものも含めてですけれども、当然あるんだろうと思います。そのときはそのときに考えればいいやといえば確かにそうなのかもしれませんけれども、常にそういうことを頭に置いて、長期的視野に立って物事を考えていくということをぜひ行政庁さんにも、特に大臣なんかにはそういうことを頭の中に置いておいていただきたいというふうに思っているわけであります。そういうことでございます。
 それで、とりあえず今回はそういうことで、東京に国会等がありますから、それはそれということであろうと思いますけれども、今回の具体的な移転先というのをちょっと見てみますと、特殊法人等整理合理化計画の中で組織形態の見直しの対象になっている特殊法人が含まれております。それを見ますと、例えばこんなふうな状況が生じています。
 日本原子力研究所は、柏市の方へ主たる事務所を移転させるということになっているんですけれども、統合の相手となっている核燃料サイクル開発機構は茨城県の東海村にある。それからもう一つ、宇宙開発事業団は今回つくば市の方へ主たる事務所が移転されることになっているんですけれども、それと統合される対象になっている宇宙科学研究所は相模原市にあり、航空宇宙技術研究所は調布市にあるといったように、移転先が統合という組織形態の変更というものを全く考えないままに決められてしまっているんじゃないかというような疑問を私は持つんですけれども、その点は大丈夫なんでしょうか。ちゃんとそういうことも検討した上でこの移転先というのを決めているんでしょうか。どうでしょうか。
遠藤政府参考人 お答えいたします。
 日本原子力研究所の主たる事務所でございますが、十四年度に千葉県の柏市に移転をするということにいたしております。これは、原研は高崎とかそれから関西研究所とか茨城とかいろいろ分かれておりますので、総合的に判断して柏に移転しようということにしておるわけでございます。
 一方、昨年十二月、御指摘のとおり、特殊法人等整理合理化計画におきまして、原研につきましては、廃止した上で核燃料サイクル開発機構と統合し、新たに独立行政法人を設置する方向で、十六年度までに法案を提出するというふうにされておりますが、そういったところですが、日本原子力研究所におきましては、多極分散型国土形成促進法、この法の趣旨を踏まえまして、当初の移転計画に基づいてこれまで移転を既に進めてきておりまして、現時点で既に本部事務の相当部分を柏の事務所に移転済みでございます。
 したがいまして、法の趣旨を徹底するということと同時に、経済効率から考えましても、当初予定どおり十四年度に移転を完了させることが適当であるというふうに考えておりますので、御理解をいただければと思っております。
 なお、統合後の新しい法人の主たる事務所につきましては、新法人の役割、機能について検討するために、省の中に原子力二法人統合準備会議というものを設けまして検討いたしております。この結果も踏まえまして検討を行ってまいりたい、このように考えております。
今村政府参考人 宇宙開発事業団の件についてお尋ねでございますので、お答えいたします。
 宇宙開発事業団につきましては、御指摘のとおり、茨城県つくば市に本社を移転することといたしております。この理由でございますけれども、宇宙開発事業団はつくばに宇宙センターがございまして、研究開発部門あるいは衛星の追跡管制、試験施設等がございます。
 宇宙開発事業団につきましては、ロケットの打ち上げを失敗いたしました後、その業務のあり方を抜本的に見直しまして、宇宙開発業務の信頼性を一層向上するための取り組みを円滑に進めるため、現在本社に置かれておりますプロジェクトの管理部門、プロジェクト支援部門、企画部門をこのつくばの宇宙センター内に集約するという方針を決定し、平成十二年度に補正予算等もちょうだいいたしまして、その準備に至ったところでございます。
 このとおり、宇宙開発事業団の本社移転はプロジェクト部門を集約するということを主たる目的といたしておりますけれども、今御指摘のとおり、宇宙三機関の本社を統合することになりましたが、この本社につきましては、現在検討中でございます。
 ただ、いずれにいたしましても、この筑波宇宙センターの機能の重要性は統合後も変わらないということでございまして、同センターの規模を踏まえまして、できるだけ早く機能の集約を進めて、信頼性向上のための体制を整備したいという観点から本社移転を進めたい、このように考えている次第でございます。
平岡委員 組織の再編というのは、ある意味では非常に大きな問題であろうと私は思いますけれども、その目的というのは、やはりいかにその組織が機能を発揮するかということが最大の着眼点であろうと思いますので、ぜひそうした視点から、これからの主たる事務所のあり方についても、それぞれよく検討してほしいなというふうに申し上げまして、時間がなくなりましたので、次に一つだけ、今回の法案とは直接関係ありませんけれども、大臣のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
 それは、機内迷惑行為防止法の取り扱いについてでございます。
 ことしの二月に、国土交通省の航空局の方では、機内迷惑行為防止に関する行動指針という通達を出されておりまして、来るワールドカップ開催におけるさまざまな問題についても、こういった指針に従って処理をしていくというようなことが示されたようであります。他方、共同開催国である韓国の方は、法律を制定し、機内迷惑行為については法律で規制をしていこうというようなことをしております。
 我が民主党も、昨年から機内迷惑行為防止法案というものを提出してきておって、この問題について真剣に取り組んでいくべきである、特にワールドカップが近づいているこの時期においては、フーリガン対策といったような問題もあって、やはりきちっと法律で対応していくべきだということを申し上げてきております。私は、法務委員会の方でも理事を務めさせていただいておりますけれども、法務省の方でも、出入国管理法でフーリガン対策にきちっと対処しているということでございます。
 私が申し上げたいのは、かつてエイズ薬害訴訟あるいはハンセン病の隔離政策でも、行政庁の不作為の問題、あるいは国会の立法の不作為の問題、こうしたことが追及されておりまして、この前のBSE問題についても、農水省が一片の通達を出して周知徹底を図って、それでオーケーだというようなことでやってきたというようなことも言われています。
 大臣、本当にこの通達だけで大丈夫なんでしょうか。もし何か起こったときには、国土交通省として、あるいは大臣としてちゃんと責任をとれるんでしょうか。大臣の御見解をお伺いいたします。
扇国務大臣 今御指摘ございましたように、航空機内におきます危険防止ということは、昨年の九月十一日の米国の同時多発テロ以来、航空業界で、乗客の安全性、そして防止というためにどういうことをするかというのを全部拾い上げました。
 ただ、操縦室の侵入禁止措置でありますとか、あらゆることをいたしましたけれども、その個々については、安全性確保のために、むしろそれをここで、どういうことをしたという細かいことは避けさせていただきますけれども、今おっしゃいましたように、テロと迷惑ということとは質が違いまして、あらゆる点で私たちは対処していかなきゃいけないんですけれども、少なくとも迷惑ということに関しますと、いろいろな新聞記事になったり雑誌の記事になったりするような迷惑と、それから完全な事故防止と、私は両方あると思うんですね。
 けれども、迷惑防止に関しましては、私たちは、今の機内の迷惑防止に関する行動指針というのを取りまとめて通達したところですけれども、この通達だけで大丈夫かとおっしゃられますと、現段階では、今までの法令に関しましては、機長がいろいろな対応をできるようになっております。私たちは今、通達で、まず航空会社みずからがこれでやっていくという御返答もいただいておりますので、そういう意味で、現在は通達として、罰則は決めておりません。
 そして、なおかつ今お話がございましたように、ワールドカップサッカーが始まりまして、もう間もなくでございますけれども、大体外国から四十四万人程度の皆さんが日本においでいただく。その中で、国内広域の移動というのは三百八万人が移動するんですけれども、そのうちで約三十六万人は航空によって移動されるだろう。
 そういう意味では、今回は、今御指摘のフーリガンに対しましても、機内で少なくともアルコール類の提供はしない、これを自粛しようということだとか、専門の保安官の要員とか乗務員の教育訓練、あるいは座席配置の工夫等々で我々は対処していこうということで、これは韓国側とも綿密な打ち合わせを現段階でしておりますし、また警察等の関係機関とも十分に連携をし、協力をしていくという体制を現在とっております。
 今、機内での一般の迷惑とフーリガン対策というのは全く別の、両立てだということを御理解いただきたいことと、迷惑に関しては通達で各航空会社がきちんとできる、今の段階でも、機長がそのお客を、飛行機を着陸させておろすということもできるというふうになっていますので、今回は、通達とフーリガン対策とは別途、両々で私たちは安全性を図っていきたい、またそのように措置をしているところでございます。
平岡委員 我々の機内迷惑行為防止法も、フーリガンのような人たちに対しても、いろいろな状態に対応できるような内容のものになっているという意味で、別々のものではなくて一体として考えているということであります。
 我々としては、この法律の必要性というのはずっと訴えているところでございまして、これは行政庁に言っても仕方ない話なんですけれども、ぜひ国会でも審議をしていただくということをお願いしたいというふうに申し上げまして、質問時間が来ましたので、終了させていただきたいと思います。
久保委員長 日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 最初に、国土交通省設置法改正案について質問をしたいと思います。
 大臣の趣旨説明にもございましたように、今回地方運輸局の陸運支局と海運支局が統合されて運輸支局というのが設置をされることになるわけですけれども、このことによって、具体的にどのような行政サービスの向上が図られるのか、どんな効果が生まれるのか、これについて最初にお聞きをしておきたいと思います。
扇国務大臣 提案理由で私が御説明申し上げましたように、地域におきます交通と観光政策の総合的な展開をするというふうに御説明をさせていただきましたけれども、陸運支局と海運支局を統合して運輸支局を設置するというふうに私は申し上げましたけれども、それは、支局では従来の陸運とか海運支局の行ってきた業務というのは別々に分かれておりましたけれども、新たに鉄道と観光等の業務を今までの業務に加え、交通、観光政策全般にわたる業務を総合的に実施することができるということになります。
 それによりまして、例えば具体的に申し上げますと、公共交通活性化のプログラムの策定を通じまして、今回、地域の振興と一体となった地域の公共交通の維持と充実をここで一緒に具体策づくりができるということは、私は大きな利点になると思っております。また、地域の創意工夫によります個性的な観光のまちづくりあるいはそういうものの実施支援プログラムというのも、今までと違って、一体としてそういうプログラムづくりができる。
 そういうふうに、地域と一体となって、公共交通でありますとか、それから観光に対する行政の課題については、都道府県単位で総合的かつきめ細かな施策というものが図っていけるということで、私は、今回の運輸支局の機能の強化を通じまして、地域におきます交通と観光の施策というものが総合的に、なおかつ展開を着実に遂行できるという意味では、大変なメリットが出てくるものと思って提案させていただいております。
日森委員 それと関連して、国土交通省の組織令が改正されるということになります。地方運輸局の部の再編であるとか管轄区域の見直し、これが行われるということですが、その内容についてちょっと最初にお聞きをしておきたいと思うんです。
 特に重要なのは、企画振興部及び交通環境部、これらが設置をされるということになっておりまして、私どもがずっと一貫して主張してまいりました総合交通政策、これを展開する上で非常に重要な役割を果たす部署になるんではないかというふうに期待をしているんです。この辺について、どんなお考えであるのか、お聞きをしておきたいと思います。
風岡政府参考人 今回の地方運輸局の組織の見直しに当たりましては、地域密着型の総合的な行政を展開するとともに、地球環境問題あるいは少子高齢化といった二十一世紀の課題にも対応するということで、御指摘のように、地方運輸局の本局の八つある部、これについて再編をするということにしたいと思っております。
 その内容としましては、まず現行の企画部、これを企画振興部という形に改組をしたい、これによりまして、陸海空あるいは観光に関する行政課題について地域と一体となった交通、観光の総合的な展開が可能になる、先ほど大臣の御答弁にもありましたように、公共交通活性化プログラムの策定、こういったものも進めていきたい、このように思っております。
 それからまた、新たに交通環境部というのを設置いたしまして、環境対策の強化あるいはバリアフリー、情報化の推進といった二十一世紀の課題に対応するということで、これにつきましても、ハード、ソフト両面にわたる地域の交通バリアフリーの総合的な推進とか、あるいは低公害車の普及のための自治体、交通関係者への働きかけ、こんなこともしていきたいと思っております。
 さらに、事業関係の部としまして、鉄道、自動車、海事、こういう部につきましても、効率的、効果的な業務体制を構築するというような観点、それから安全性を重視した事後チェック機能の強化という観点からの再編というのも行っているところであります。
 それからまた、地方運輸局の管轄区域でございますけれども、これも地域における交通行政の円滑かつ効率的な実施を図っていくために今回見直しを行うことにしております。具体的には、秋田県、山形県の管轄でございますけれども、これは、現在の新潟運輸局から東北運輸局の方へ移管をする、また、富山、石川につきましても中部運輸局から新潟運輸局の方へ移管をする、こんなような見直しも行うこととしております。これによりまして、地方運輸局と地方整備局の連携、これもこれまで以上に強化をしてまいりたい。
 以上のようなことを通じまして、私どもとしましては、地域と一体となった新しい時代にふさわしい交通政策の展開、こういったものについて全力で取り組んでいきたい、このように考えております。
日森委員 今、活性化プログラムというお話がございました。これについて、具体的にどんなイメージを描いたらいいのか、例えば組織構成はどんなふうに考えていらっしゃるのかとか、もしそれがおありになったらお聞かせいただきたいと思います。
風岡政府参考人 今回、十四年度予算におきましては、地方ブロック公共交通・地域交通環境計画というものをつくりたいということで予算をお願いしているわけでございますけれども、公共交通活性化総合プログラムというものもその中の一つとして予算化をしているわけでございます。これは、いずれにしましても、地域振興と一体となった地域の公共交通の維持、充実を図っていくというようなことで、これは、自治体、それから地元のいろいろな交通関係事業者、それから私どもの国の機関、こういったものが一緒になりまして、地域にふさわしい、あるいは地域の課題は何かというような観点からそういうプログラムというものをつくっていきたい、このように考えております。
日森委員 ぜひ期待をしたいと思っています。
 続いて、地方運輸局に、所管事務に関する重要事項を調査審議するため、地方交通審議会が置かれております。その活動状況についてお尋ねをしたいと思うんです。
 旧運輸省では、八一年以来、地方における交通の維持、整備を図るために、地域の実情を勘案して長期的な視野に立った総合的な対策を提示するとともに、行政、交通事業者、利用者の行動指標となる交通計画を地域ごとに策定する必要があることから、地方運輸局長が、地方交通審議会、八四年度までは陸上交通審議会であったようですが、これに諮った上で、原則として都道府県単位に、長期的な展望に立って地域交通のあり方を示した地域交通計画を策定しております。
 そこで、各地方交通審議会の活動状況について明らかにしていただきたいということと、総合交通政策を調査、審議する場としての地方交通審議会の一層の活性化を図る必要がある、こう考えておるんですが、具体的な方針なり方向性について、ございましたらお聞かせいただきたいと思います。
岩村政府参考人 第一点目の地方交通審議会のこれまでの活動状況でございますが、今委員御指摘のとおり、一九八一年、昭和五十五年度以来、地方運輸局長の諮問に応じまして、地方交通審議会は、地域の実情に即した公共交通機関、すなわち鉄道、バス、旅客船、さらには航空等の公共交通機関の維持、整備に関します地域交通計画を都道府県ごとに策定してきたわけであります。そして、平成五年からは、計画策定後おおむね十年を経過した計画から順次改定をしておりまして、現在、全国で三十四府県において改定が終わっているところでございます。
 お尋ねの二点目の今後の動きでございますが、十四年度の予算の措置もしておりますが、十四年度からは、従来の地域交通計画にかえまして、地方交通審議会の場で新たに地方ブロックごとの公共交通・地域交通環境計画というものを策定することとしたわけでございます。この計画の中では、既存ストックの有効活用の視点、また、環境対策、さらにはバリアフリー化等、従来の計画後いろいろ出てきた新たなニーズ、こういったものも踏まえながら、幹線鉄道の高速化等のより広域的な課題に対応するということで、都道府県別ではなくてブロックごとに、公共交通のサービスの現状評価、維持、充実の方向性等を提示していきたいというふうに考えております。そして、この計画をつくるために、地方交通審議会についても、検討体制、これを一層充実していきたいというふうに考えているところでございます。
日森委員 計画が計画倒れにならないように、期待をしておりますので、ぜひしっかりやっていただきたいと思っています。
 次に、陸運支局の主な業務の一つに、バスなどの公共交通関係の利用促進に関する連絡調整というのがあります。
 そこで、第一に、地域の生活交通の確保のあり方について審議を行う地域協議会の設置状況及び運営状況、これについてお伺いをしたいということと、二つ目に、地域協議会に、自治体や関係事業者、これは当然入っていると思うんですが、そのほかに関係労働組合あるいは利用者の代表、地域住民代表が参加をしている例もあるようなんですが、その辺について具体的にお聞かせいただきたいと思っています。
洞政府参考人 地域協議会は、平成十三年六月までに全国の四十七都道府県で設置が完了しておりまして、都道府県ごとに開催回数は異なっておりますけれども、現在までに半数近くの道県で十回以上開催されるなど、各協議会において地域の実情に合った生活交通確保のための具体的な協議が活発に行われていると認識しております。
 また、地域協議会は、原則として都道府県が中心となって国、市町村、関係事業者の構成員をもって構成されることになっていますけれども、地域の判断によって、必要があると認めるときはそれ以外の者を構成員に加えることができることになっています。具体的には、労働組合が構成員として参画しているものは、現在十六道県ございます。それから、利用者、地域住民代表が参画しているものは八県ございます。
 地元の陸運支局も、当然のことながら、メンバーの一員として積極的に協議に参画していますけれども、今後とも関係市町村等との緊密な連携を図りながら、しっかり生活交通の確保に努めてまいりたいと思っています。
日森委員 実態はわかりました。
 それで、各県の実態に即した判断によって労組が入ったりあるいは利用者団体が入ったりということなんですが、国土交通省としては、我々としては、労働組合や利用者代表が入ってこそ当然の協議会になるんではないかという気持ちがあるんですが、その辺について、それは地域にお任せするからそれでいいですよということで済むのかどうなのか。大臣でも構いませんけれども、感想がございましたらお聞かせいただきたいと思います。
洞政府参考人 先ほど申し上げましたとおり、地域協議会は地元の都道府県が中心となってその運営、議論の内容等をリードしていく、そういうものでございまして、その構成員についても、メンバーの話し合いによって、必要に応じて適宜関係者をメンバーに入れるということになっておりますし、当然のことながら、個々の路線について、どうするかということをこれから話し合っていくわけで、議論がどんどん活発になればなるほど、それだけ関係者というのはだんだんふえてこようかと思います。だから、どういう段階でどういうところから話を聞くべきか、あるいはメンバーに入れるべきかということは、今後の議論の態様によって大きく左右されていくんじゃないかと思います。
 それから、もう一つつけ加えますと、全体で地域の協議会はできていますけれども、必ずしも全部が同じような関心度とか、あるいは議論の進捗度というのが整っているわけではございません。ですから、私どもの立場としては、全国の協議の状況とか、あるいは成功例、失敗例、いろいろな事例等を積極的に情報提供していくことによって、地域協議会の議論が活発に、本当に、真に意味のある結論が出るようにリードしていくということが重要なんじゃないかと思っております。
日森委員 その情報提供ということについては、ぜひ積極的にやっていただきたいと思います。
 次に、バスの規制緩和について、ちょっとお伺いをしたいと思っています。
 需給調整規制が撤廃をされるということになりまして、乗客の多いラッシュ時間だけ営業参入があるとか、昼間、乗客が少ない時間帯も営業したら、バス会社の経営がそれに圧迫をされて苦しくなってしまうとか、さまざまな問題が出てくるのではないか。結局、例えば、では乗客が少ない時間帯の路線を減らしてしまおうとかいうことになったりしないのかという心配をしています。そうなりますと、利用者にとって大変大きな問題が出てくるというふうに思っています。
 これらについて、いいとこ取りの営業路線だけやるよというふうなことについて、どのような、指導というとおかしいんですが、規制と言ってもおかしいんでしょう、国土交通省としてはどんなことをお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。
洞政府参考人 ことしの二月一日以降、規制緩和が行われて、バスについても参入等が緩やかになったわけでございますが、現時点におきましては、御指摘のような事例、申請はまだ出てきておりません。
 しかしながら、いわゆるいいとこ取りといいますか、既存路線への新規参入事業者が朝夕のラッシュ時など特定の時間帯のみを運行する、これは我々クリームスキミングと言っていますけれども、いいとこ取りでございます、そういう運行が行われる場合には、先生御指摘のとおり、需要の少ない時間帯の、例えば昼間の時間帯のダイヤがなくなってしまうとか、そういう利用者の利便というのが阻害されるおそれがあるというものは、十分私どもも認識してございます。
 このために、改正道路運送法の運用基準というのを私どもはつくって公表しておりますけれども、このようないいとこ取りのクリームスキミング的な運行と判断されるピーク時とオフピーク時の運行回数比率などの判断基準とか是正のための基準等を定めて、事前に公表しております。ですから、これによって、いわゆるいいとこ取りの運行が行われることのないような、言ってみれば事前の予防措置というのが講じられているところでございますし、万が一御指摘のような事象が出てきた場合には、運用基準でも明らかにしていますけれども、手続に従いまして、速やかに必要に応じて事業改善命令等を発して、そこのところの是正をきちっとやらせるという手当てをすることとしております。
日森委員 続きまして、ちょっと陸運支局の業務で二点にわたってお聞きをしたいんです。
 輸送の安全確保のため、事業者に対する監査の実施というのがございます。
 その中で、特に過積載や過労運転の防止対策について、これは関係者あるいは労働組合からもそういう話が当然あるわけですが、過積載、過労運転は、交通事故や交通公害だけでなく、運賃、料金の基本にもかかわり、ひいては輸送秩序にも直結する大きな問題である、この防止策として、トラック産業の荷主との関係を考慮して、荷主の過積載強要を防止するため、啓発広報活動を強化する、荷主に出荷重量証明書の発行を義務づけるなどの要求が出ているようです。一つはそれについてお考えをお聞きいたしたいと思っています。
 それから、トラック、ダンプなどではもう既に決まっていますけれども、それ以外のものについて、自重計だとか運行記録計、それの装着を義務化するというようなことも当然必要になってくるんではないかというふうに思っているんですが、その二点についてお伺いをしたいと思います。
洞政府参考人 先生が御指摘のとおり、一般的に、トラック運送事業者というのは荷主に対して総体的に弱い立場にございますから、荷主側に対して、過積載とかあるいは過労運転防止について理解と協力を求めていくというのは極めて重要なことであると私どもも認識してございます。
 このために、実は平成九年の四月から、トラック運送事業者に対して行政処分を行う際には、荷主に対しても同時に協力の要請書とかあるいは警告書というものを発して、荷主側の理解と協力を要請してきているところでございます。
 また、個々の荷主のみならず、荷主業界全体の理解と協力も得る必要がございますので、平成十二年あるいは平成十三年にわたって、関係省庁、具体的には警察でございますけれども、そういうところと共同して、荷主九十七団体に対しまして、また荷主関係を所管している関係省庁に対しましても協力要請というものを強く行ってきてございます。
 また、適正化事業実施機関が実施しております荷主懇談会というような場もございますけれども、そういう場におきましても、例えば、荷主が過積載を強要した場合には、場合によっては道路交通法によって荷主にも責任が及ぶというようなことも含めて、啓発活動を行っているところでございます。今後とも関係省庁とか関係団体とも協力しながら、荷主に対するこういう広報活動、啓発活動というのを適切に行って、そういう過積載あるいは過労運転等の安全運転の徹底について努力してまいりたいと思っております。
 それから、出荷重量の証明書の義務づけというものにつきましても、運送約款におきまして、荷主は運送事業者の求めに応じて運送の引き受けの際に貨物の重量を含めた運送に必要な事項を記載した運送状を提出しなければならないとなっておりますけれども、私どもとしては、トラック運送事業者に対して、この運送状をしっかり発給してもらって、過積載防止に役立てるよう指導してきているところでございますので、この点も含めて、その徹底を図っていきたいと思っています。
 それから、自重計、運行記録計の早期実用化と装着義務化ということでございますけれども、自重計につきましては、おっしゃるとおり、ダンプにはもう義務づけがついておりますが、一般のトラックの自重計については、これまで技術開発等いろいろ努めてきているところでございますけれども、まだなかなか、正直申し上げまして、精度のいい自重計というのが開発されているとは言いがたい事情にございます。それから、その点も含めまして、一台当たり数十万円といったように、値段が非常に高価でございます。
 精度の点でもまだまだ、あるいは使い勝手の点でもまだ非常に問題がある。それから値段も高い。それから、過積載運行全体の実態については、警察庁の取り締まり件数で見てみますと、問題になりました平成二年が大体八万三千件ぐらいあったのに対して、今十三年度は、これは白い方の営業も含めてでございますけれども、一万八千件ぐらいと、だんだん低下してきている傾向にございます。ですから、そういった今後の自重計の技術動向や、それから過積載違反の状況等を踏まえながら、この辺をにらみながら、引き続き検討していくべき課題なのかなと思います。
 それから、運行記録計ですけれども、先生御指摘の運行記録計はいわゆるデジタコと言われるデジタル運行記録計のことを御指摘になっていると思いますけれども、これにつきましても、徐々に浸透が進んでおりますけれども、まだ一般化されているという状況ではございません。というのは、これも値段がまだ高いのです。安いもので一台当たり十万円以上ですけれども、いいものになると、もっと高くなってきますし、それから、コンピューターシステムも整備しますと、これが数十万ぐらいかかるということで、まだまだ一般的に普及するには値段の点で問題がございます。我々も、運行管理という面でこのデジタコの活用というものについては注目しておるのですが、現時点においてこのデジタコを一般化して義務化するというのはまだちょっと早いのではないかという認識でおります。
日森委員 ぜひ、引き続き積極的な検討をしていただきたいと思います。
 続いて、特殊法人移転の法案について御質問いたします。
 最初に、移転に伴う諸経費を各法人ごとに明らかにしていただきたい。かなりお金がかかるという話もございました。実際、それだけのお金をかけて移転することにどれほどの効果があるのかということも、必要性もあるのかという声も一部ではあるようですから、その辺も含めて最初にお聞きをしておきたいと思います。
小峰政府参考人 今回移転をいたします六法人の移転経費でございますが、平成十四年度におきましては、これは国費、自己資金分、両方合わせますと五十一億円でございます。そのうち国費は九億六千万円ということでございます。
 それから、各法人ごとにどうなっているかというお尋ねでございますが、自己資金分、国費合わせましてお答えいたしますと、日本原子力研究所が三億五千百万円、宇宙開発事業団が六億二百万円、水資源開発公団が十一億八千四百万円、日本鉄道建設公団が七億九千四百万円、運輸施設整備事業団が三億三千五百万円、都市基盤整備公団が十八億七千七百万円ということでございます。
 こういった費用をかけてどんな効果があるのかということでございますが、我々二つの効果があるというふうに考えております。一つは、言うまでもなく、周辺部に、さいたま市ですとか横浜市のような業務核都市を育成していくという効果がございます。また、移転跡地を、都市環境、生活環境の改善、民間都市開発等にも活用することができるという二つの効果がある、こういったこととあわせて、東京都区部への過度の集中の是正に貢献するのではないかということで、必要な施策であるというふうに考えているところでございます。
日森委員 先ほども同じような質問がありましたが、私もちょっとそういう疑問があるのでお答えいただきたいと思うのですが、多極分散型国土形成促進法、大分前にできた法律ですが、これに基づいて移転が行われるというふうに聞いているのですが、都心部からなるべく外へ出していこうということで、先ほど大臣のお話がございましたが、既に三分の二終わっていますよというお話がありました。今度の国会に首都圏整備法とか近畿圏整備法、これの一部改正が出されていて、今度はもう、中に入ってきてもいいよ、工場、学校ですけれども、という話がございまして、直接特殊法人の問題と関係ないよといえばそうかもしれないのですが、どうもちぐはぐさを感じてしまうというところがあるのです。この辺についてちょっと感想がございましたら、お聞かせいただきたいと思います。
小峰政府参考人 今回の特殊法人の事務所の移転の考え方は今御説明したとおりでございまして、人口、諸機能が過度に集中している東京都区部の過度の集中の是正に資するという観点から、政府が率先して範を示すという観点から、行政機関を移転するという考え方でございます。
 一方、首都圏整備法等に基づく工場等制限制度の廃止という問題でございますが、御理解いただきたいのは、首都圏整備法等の政策体系の基本的な考え方でございますが、この基本的な考え方は、既成市街地等における産業や人口の過度の集中を防止して、その外延の都市開発区域等への諸機能の適正な配置を図るというのが基本的な考え方でございますので、これは特殊法人の移転の考え方と一致をしているということでございます。そういった考え方に基づきまして、今後とも、都市開発区域等における工業団地造成ですとか優遇税制措置等の誘導施策というものを今後とも講じていくということでございます。ただ、工場等制限法の関係でございますが、これは工場等の新増設という社会経済活動の自由を許可制により制限しているという大変強い制限措置でございますが、この制限制度については、産業構造が変化してサービス化が進んでいるとか、それから少子化が進んでいるといったような状況を考えますと、その有効性、合理性が薄れてきているということから廃止するということで、積極的に都市部への集中を促すという観点のものではございません。
 したがって、基本的には、東京都区部において人口、諸機能が過度に集中している状況であるという認識は変わらない。それを解決する手段として諸機能の選択的分散を実施していくということも引き続き維持しているということでございますので、今回の特殊法人の移転、事務所の移転と工場等制限法の廃止は特に矛盾するというふうには考えておりません。
日森委員 この移転に関して、主たる事務所の移転が、そこにお勤めになっている職員の方々、通勤時間が変わってしまうとか、経路が変わってしまって複雑になっちゃうとか、そういう意味も含めて、あるいは通い切れないぐらい遠いところに行ってしまうということも出てくると思うんです。そういう意味では、労働条件に物すごい大きな変化が生じてしまう。
 実は私は埼玉で、今私の選挙区は違うんですが、実家はさいたま新都心のすぐ真下でございまして、そこに七千人以上の国の職員の方々が移ってこられたけれども、違う町に宿舎を準備したり、それなりに大変なことがあったんですが、それにしても、大変に労働条件が変わってしまうということになるわけですよね。
 この辺も十分に配慮していかないとならないというふうに思っているんですが、この辺の問題についてどのようにお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
小峰政府参考人 特殊法人の事務所を移転する際に、勤務されている方々にそのしわ寄せが行かないようにすべきだというのは当然のことでございます。
 これは、昭和六十三年に、当初この移転に際しての閣議決定が行われたときにも、この点は十分配慮しておりまして、「良好な勤務環境及び居住環境の確保、移転困難な職員のための対策その他移転を円滑に行うために必要な対策を講ずるものとする。」というふうにされているところでございます。
 具体的には、それぞれの特殊法人におきまして、通勤困難となる職員のために職員宿舎の確保を図るといったような措置が講じられているということでございます。逆に、オフィス環境の改善といったような、勤務する方々にとってプラスの面もあるということでございますが、そういった措置が、各法人において十分配慮した措置がとられているというふうに認識をしております。
日森委員 ぜひ、こういう移転によってなかなか通勤し切れなくなってしまったからやめてしまうとか、体を壊してしまうような職員が出ないような配慮をきめ細かにやっていただきたいということをお願いしまして、四分五十秒ありますが、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
久保委員長 井上和雄君。
井上(和)委員 おはようございます。民主党の井上和雄でございます。
 二週間ほど前に大臣に質問させていただきましたけれども、また本日もよろしくお願いいたします。
 本日は、一般質疑の方をやらさせていただきたいと思いまして、引き続き、前回と同じように、沖縄の組踊劇場の建設に関して質問させていただきたいと思います。
 この組踊劇場の問題に関しましては、今週行われました決算行政監視委員会でも、私ども民主党の木下厚衆議院議員が大臣に質問したということでございますので、大臣ももう十分この内容に関しては御存じだというふうに思います。
 沖縄の振興のために行われている多くの公共事業、そしてその公共事業を受注している業者、非常に多くの業者から政治献金をもらっている議員の、特に鈴木宗男議員と下地議員の関係というものが明らかになりました。要するに、政治家と金の問題、特に企業献金ですかね、企業献金というものが、公共事業を受注した業者から政治献金されている。非常に大きな、国民的な関心のある問題だと思います。
 昨日のニュースを聞きますと、総理が昨日行われました与党の三党首会談で、公共事業を行う企業からの献金というものは禁止すべきであるというふうにおっしゃったと私は聞きました。
 国土交通省という、大変巨大な公共事業を担当しているわけですね。このことに関して質問通告はしていないんですけれども、私が前回大臣に質問させていただいたときも、大臣はやはりそういうことはよくないということをおっしゃったと思うんですね。また、今週の決算行政監視委員会でも、大臣は恐らく総理と同じようなお考えをお持ちだというふうに私は思いました。とにかく、巨大な公共事業を担当している閣僚の一員として、一言この問題に関してもう一度、繰り返しになるかもしれませんが、御意見をいただければと思いますので、よろしくお願いします。
扇国務大臣 この件に関しましては、先日の決算行政監視委員会もさることながら、一昨日、参議院の予算を通します締めくくり総括におきましても、沖縄の組踊劇場、それからトンネル等々に関しての御質問をいただきまして、資料も配付されました。そして、これらの業者からの政治献金が全部一覧表になって、私もその場で初めて拝見したんですけれども、これはいかがかなと思うような点も私は初めて拝見いたしました。
 それは、例えば私が締めくくり総括で御答弁しておりますけれども、大体月一万円で年間十二万の政治資金でずっと政治家を支援してくださっている、それは大変私はありがたいことだと思っておりましたけれども、それが突然、十二万円がその年だけ百二十万になったり百五十万になったり、一見拝見してこれは少し適正ではないなというようなことが示された、少なくとも一般の皆さんの目から見てそれはおかしいのではないかとお思いになる点が多々提供されました。
 私は、この政治資金のありようというものの表を拝見させていただきまして、疑義を持たざるを得ない部分はきちんと御自身が報告されるなり、あるいは説明の場を持たれるなり、ですから、公共工事の受注業者からそのような、一時的にだけどんと何倍にも、二けたの倍数で政治献金がされるということは、今後、業者に対して国土交通省としては通知を出そうということで、既に一昨日の締め総の済んだ後で、国土交通省内で全業者に通達をするようにということをいたしましたので、私は、一般の国民の疑義を持たれないような姿勢を業者も政治家も持つべきであると思っております。
井上(和)委員 これまでは鈴木議員も、たしか証人喚問か参考人でもおっしゃっていましたけれども、すべて正式に報告してあるんだ、収支報告書で報告してあるから何が悪いんだ、そういうふうにお答えになっていたと思うんですけれども、それもやはり程度問題で、ありとあらゆる受注業者から献金をもらっているというのは、そういう関係があるから受注ができたんだというふうに考えるのは当然ですよね。
 そういう意味で、これまでの自民党または与党の立場から一歩進んで、いよいよ本格的にそういう禁止というものが必要だということをお考えになっているということは非常に大きな前進だと思いますし、政界清浄化ということに非常に役に立つんじゃないかと思うんですが、もう一回、昨日国土交通省として御決定されたということを今おっしゃいましたけれども、その内容に関して、事務方でも結構ですけれども、もう少し教えていただけますか。
扇国務大臣 今、局長が来たようですけれども、私が指示した当事者が来ておりますけれども、私からそれを申しましたので。
 私は、一昨日、その政治献金の一覧表を拝見させていただきまして、公共工事の受注業者からの献金が通常よりも異常にふえているということに関しては、業者もこういうことを是正していかなければいけない。自分たちの姿勢も疑義を持たれないように。何のために公共工事を入札によって受注しているのか。そういう姿勢を改めるということで、私は、この一覧表をつけると余りにもぎらぎらしますので、私の締めくくり総括での答弁を通達に添えて、こういう答弁をしているということを添えて業界に通達するようにといって局長に指示しております。間もなく通達を出すという局長の答弁で、その文書を私に見せるのだと思っておりますので、これを通達することに決めております。
井上(和)委員 それは、例えば公共事業を受注した後に、急にこれまでの献金額をふやすなというふうなことなんでしょうか。
扇国務大臣 これは原点に戻りますけれども、一昨年、私が大臣になって初めて公共工事の入札契約に関する適正化法をつくって、これによって、そういうことができないようになっているんですね。ところが、まだ地方公共団体、市町村までその法律が、昨年の四月一日から施行されたものですから、徹底されていない。そういうことで、私は、改めてその法律の徹底をするために、ことしの二月の六日に、法案の徹底方を局長を入れて事務次官がトップになってするようにということで、新たにつくったのです。今聞きましたら、私が二月に事務次官をトップにしてつくった法律の徹底方の通知とともに一緒に出そうと思っていると今局長が言っております。
 本来はこれらのことが、昨年の四月一日、法律の施行後に起こってはならないというふうに書いてございますし、また、入札に関しては電子入札まで入れているわけですから、そのために、あらゆる公共工事に疑義を持たれない、また業者と政治の癒着がないようにということの徹底を図るという意味で、私は、できればだれが見ても公共工事を受注している業者からの政治献金というものが疑義を持たれないように、また、昨日与党三党で、党首同士で話し合いましたので、全面禁止できるのか、あるいは通常の政治献金でいいのかは、これから政治的なことで与党三党で結論をお出しになって、今国会中にそれを法案として出せるようになれば一番私は明快だと思っています。
井上(和)委員 ぜひ大臣のリーダーシップをもってやっていただきたいと思います。
 それでは、もう少し組踊の問題に戻っていきたいのです。
 私、先週、沖縄に行ってまいりました。三日間沖縄におりましたけれども、とにかく行くところが多い、つまり調査すべきところが多くて、朝から晩まで動き通しだった、非常に疲れる旅行だったのです。
 まず驚きましたのは、自民党のいわゆる有力な議員の方が沖縄に後援会の事務所というのを設けていらっしゃるのですね。
 例えば尾身大臣、沖縄担当大臣ですけれども、後援会事務所があるということで訪ねていきました。「おきでん」という大きなビルがあるんですね。どうも住所を見ますとその中であるというわけで、沖電のビルの中へ入っていきました。沖電の子会社の中に尾身大臣の後援会の事務局がある。その会社の社長さん、もともと沖電の役員だった方が今後援会の事務局をやっていらっしゃるということで、その方にもお会いしました。尾身先生を応援したい、特に通産省出身であるから沖縄でも応援したいという方がいるんだということをおっしゃっておりました。
 またそれ以外にも、山崎拓議員の後援会の事務所もあるということで訪ねてまいりましたら、ある弁護士の方が後援会の事務局を担当して、弁護士事務所でしたけれども、私たち同僚の議員と参りましたら、快く入れてくださいまして、お茶をごちそうしてくださいました。話の途中でわかったことは、どうも私たちを自民党の議員と間違えていたんじゃないかということなんでございます。
 それ以外にも、鈴木宗男議員の後援会事務局をやっておりましたという、総合計画設計室の代表者の方にもちょっとお会いしたいと思って訪問したんですが、いらっしゃらなかった。
 あとは、故小渕元総理の後援会の事務所がありまして、私もそこに行きまして、中へ入りましたら小渕先生の写真が飾ってありまして、今は小渕優子先生の後援会をやっているということらしいのですけれども、そんなわけで、随分多くの方が後援会事務所を持っていられるということなんですけれども、大臣はこういうことを御存じでしたか。
扇国務大臣 申しわけないのですけれども、私、本来であれば全国区の候補者ですから、扇千景の事務所がなくて申しわけないなと思っておりますけれども、そういう先生方の、選挙区でない先生方の事務所があると今初めて伺いました。
井上(和)委員 正確に申しますと後援会の事務所でございますけれども、とにかく選挙区外の方もたくさん応援して、そういう議員の方を支えているということだと思うのですけれども、ただ尾身先生の場合は沖縄担当ということでもありますから、その辺はどうなのかなというふうに私は思います。
 それ以外に、建設中の組踊劇場の場所にも参りました。場所は浦添市という那覇市と隣接している市なのですけれども、小湾というところなのですね。私は、その建設現場へ行きまして、最初はびっくりしました。
 まず、場所自体が一種の工場地帯なんですね。後で調べましたら、都市計画上も準工業地帯になっていると。正面には佐川急便の配送センターみたいなのが組踊劇場の建設現場にあるのですね。南側は海で、テトラポッドがばんとたくさんあるような感じで、道路があって、海があります。そして、周りには日産ディーゼルの工場みたいのとか、あとスクラップを積んであるようなところがありまして、我々、組踊劇場というのは文化施設ですから、文化施設としてふさわしいところにつくられるんだろうというふうに思っていたのですが、何かそれが、はっきり言って埋立地帯、工場地帯で、五分ぐらい行きますと卸商業団地なんというのがばっと建っているんですね。何でこんな場所にしたのかなというのが私の印象でした。
 よく調べてみますと、その組踊劇場の建設用地というのが、もともとは工場だったと。だから周りも工場なのは当然なんですね。この工場というのは拓南製鉄という沖縄では大変大きな会社で、この社長である古波津さんという方は、新聞なんかを見ましても、沖縄の戦争のときの灰じんの中から、とにかく戦争でスクラップがあちこちにたくさんあるから、それを集めて鉄筋をつくって、沖縄の場合には鉄筋住宅の方が台風なんかにも強いということで、非常に事業家として成功をおさめた人だということなんですね。その拓南製鉄の役員の中には、当然自民党の県会議員の方が役員をされているという事実もあります。私の聞いた話では、自民党の県会議員の方の奥様が、先ほど申し上げました古波津さんがお父さんだということであるようです。そしてまた、自民党の沖縄の衆議院議員の方ともこの県議は当然親しい間柄にあるということも聞いてまいりました。
 つまりは、もともとは拓南製鉄の工場があったわけですよね。そしてそれは、やはりスクラップというのは最近もう国内ではなかなか調達できなくて、東南アジアとかそういうところから輸入してくる上で、なるべく港に近い利便性のいい場所がいいだろうということで、一九九三年から新しい工場を中城湾の工業団地に拓南製鉄がつくって、これは約三百億ぐらいかかったそうですけれども、それで新工場を建設して、この浦添にある組踊劇場の場所にあった工場を移していったということのようです。結局、そこの土地があいていた。広大な土地なんですね。約三万五千平米ですから、あいている土地というのは一万坪以上ですよね。
 それで、その組踊劇場の工事現場でいろいろ説明を受けたんですけれども、やはり埋立地なんで、地盤が余りしっかりしていないということで、三十メートルぐらいくいを打って今やっていますよというお話でした。そういうことをすれば当然予算も余計にかかるとは思うんですが、国土交通省としては、当然そういうことも考慮に入れて予算を組んでいるわけですね。
 そこで、私、一般論として考えたのは、先日の決算行政監視委員会でも私どもの今野東議員が大臣に、北海道の日北酸素株式会社の夕張工場の買収に関してちょっと質問されたことを私は覚えています。
 ダム建設のためにこの日北酸素の夕張工場を国が買収した、しかし、その土地はもともと日北酸素という会社がただで夕張市から寄附されていた、工場もただでもらっていた、それを四十四億円で最終的に国が買っていたということに関して、今野議員が大臣に質問されました。大臣も、国土交通省としてもいろいろ調査をしたいというふうにおっしゃっていましたよね。つまり、国が税金を使って民間の土地を公共事業のために買収する。額は非常に巨大な額になるわけですね。北海道の場合でも約四十億。この組踊の場合も、まだ土地は浦添市の土地供給公社と県の供給公社の登記にはなっているんですが、いずれ国が買っていくんですが、約四十億円ですね、正確に言えば三十八億なんですが、やはり巨額な国費が投じられようとしているわけです。
 こういう、国が公共用地を買う場合の選定とか買収の基準というものはどういうものなのか、ちょっと大臣にお伺いしたいと思いまして、お答えいただけますか。場合によっては、部長さんでも結構ですけれども。
春田政府参考人 お答え申し上げます。
 国土交通省の営繕事業における用地を選定する際の基準についてお尋ねがありました。
 国土交通省の営繕事業の用地選定につきましては、国有地、公有地を優先に考えております。これらが困難な場合におきましては、公共団体が手当てを行う民有地を対象に行うこととしております。具体的箇所の選定に当たりましては、官公庁施設の建設等に関する法律第十二条に基づく国家機関の建築物及びその附帯施設の位置、規模及び構造に関する基準に適合しているか否か、そういったことをチェックを行った上で、総合的に判断しておるところでございます。
 例えば、国土交通省の営繕事業の合同庁舎の建築に係る用地の選定といたしましては、第一候補として国有地、第二候補として公有地、それらが困難な場合には、第三候補として、公共団体が手当てを行う民有地を対象として行うこととしております。
 具体的な場所の選定に当たりましては、官公庁施設の建設等に関する法律に基づく国家機関の建築物及びその附帯施設の位置、規模及び構造に関する基準により、地形、地質、気象等の自然条件から見て、災害の防止が図られ、かつ、環境の保全に配慮されているということ、それから、交通の便がよいということ、道路、公園、下水道等に関する都市計画との整合が図られていること、良好な市街地環境の形成に寄与できるということ、敷地全体を有効に活用できる形状である、そういったことを項目といたしましてチェックをし、官庁施設の用途に応じましてそういうチェックを行った上で、総合的に判断して用地を選定しているということでございます。
井上(和)委員 今非常に大切なことを言っていただいたんですね。つまり、これは国土交通省のということで今お伺いいたしましたけれども、公共事業でも、国有地とか公有地がある場合には、まずはそれが優先して考えられるということですね。
 実は、この沖縄の組踊劇場の場所の選定においては二つの候補地があったんです。お手元に資料をお配りしてありますので、ごらんになっていただきたいんですが、これは沖縄県知事、当時の大田知事から文部大臣小杉さんにあてた平成九年六月二十四日の沖縄県の文書ですね。お配りしてありますね。「国立組踊劇場建設候補地の推薦について」というものなんです。候補地として二つ挙げています。浦添市の小湾地区、拓南製鉄浦添工場跡地、もう一つが那覇市天久新都心地区、この二カ所が最終的に沖縄県から文部省に推薦された場所なんです。
 次のページをあけていただきますと、「第四回誘致推進検討委員会 建設候補地の絞り込み状況 平成九年五月二十日」、これは沖縄県が各候補地を採点した資料でございます。一番上に書いてあるのが新都心。新都心というのがその二つのうちの一カ所、天久地区なんですね。項目がありますが、丸か二重丸です。そして、決定したのが三番目の浦添市の小湾地区、これが三番目になっています。
 ごらんになってわかりますように、丸、二重丸、丸、三角、丸、丸、二重丸。一番上の新都心と三番目の小湾地区を比べているわけですが、近隣相乗ということで、小湾地区には三角がついています。これは許容範囲。近隣相乗、ちょっと私意味はわからないんだけれども、恐らく私が受けた印象と同じだと思うんですよ。やはり、周りの環境がこういう文化施設にふさわしくないところにあるということを恐らく沖縄県も判定したんだと思います。しかし、実際には小湾地区に決まっています。
 そして、新都心の場合は、用地は一部が那覇市の土地なんですね。新都心の場合、土地に関しては市所有地です。那覇市の所有地。そして、既に土地も先行取得地なんですね。土地取得も済んでいるということなんです。しかし、拓南製鉄の場合は民有地。そして、これから買わなきゃいけない。拓南製鉄の土地の方が広いという利点があるのは確かです。
 私、ここで、この土地の選定というのを一体だれがやったのかということに関して、文部省にお伺いしたいんですが。
木谷政府参考人 御説明申し上げます。
 国立組踊劇場(仮称)用地の選定は、文部省として決定したものでございます。文化庁におきまして、沖縄県から推薦のありました二カ所について、劇場の諸機能を十分に果たす上で必要な用地面積の確保、交通の利便性や近隣の状況等の立地条件を調査し、専門的調査結果を踏まえるとともに、有識者の意見も参考にしながら、庁内において検討を行いました。
 沖縄振興策の一環として位置づけられておりましたので、この間、内政審議室、沖縄開発庁等の関係省庁とも調整の上、決定案を文化庁において起案いたしまして、最終的には文部大臣の決裁を得て決定したものでございます。
井上(和)委員 この候補地の選定に関して、有識者の委員会があって、現地視察をしたということを私も聞きましたので、何人かの有識者の方に直接お電話をして、私、話を聞いてみました。
 そうしますと、委員の中でもいろいろな意見があったと。特にどこがいいという結論は出なかった。それぞれのメリット、デメリットというものがあるわけで、委員の意見もばらばらであったというふうに私は聞いています。
 そこでお伺いしたいんですけれども、今、沖縄開発庁とも相談したというふうにおっしゃったと思うんですが、そうですか。
木谷政府参考人 そのとおりでございます。
井上(和)委員 そのときの沖縄開発庁長官はだれですか。
木谷政府参考人 鈴木宗男議員でいらっしゃいます。
井上(和)委員 実は、平成九年の十二月二十日に、文化庁と沖縄開発庁が国立組踊劇場の設置場所を浦添市小湾地区に決定したことを発表していますね。
 そして、これは平成十一年になるんですが、拓南産業、これは拓南製鉄の関連会社で、先ほど申し上げました古波津さんが代表者になっているんですけれども、そこから鈴木宗男議員の政治資金団体に二十四万円の寄附がされました。平成十年には何の寄附もされていないんですね。だから、これは何かのお礼なんじゃないかなというふうに疑う根拠がないとは言えないと私は思います。
 そこで、もう一回文化庁に伺いたいんですが、沖縄開発庁として、どういう意見を言ったんですか。何か記録はありますか。
木谷政府参考人 先ほど申しましたように、この用地の選定につきましては、沖縄振興策の一環ということでございますので、沖縄開発庁等の関係省庁とも調整をいたしましたが、この具体的な用地の選定につきまして特段の意見はなかったものと承知をいたしております。
 文部省として、なぜこの両地区のうちから小湾地区に決定をしたかということについて申し上げさせていただきますと、文部省といたしましては、両候補地に関しまして、劇場の諸機能を十分に果たす上で必要な用地面積の確保、交通の利便性や近隣の状況等の立地条件を調査いたしますとともに、先ほどお話がございましたように、有識者の現地視察における意見等も参考にいたしまして、総合的な検討を行ったわけでございます。
 この結果、浦添市小湾地区を設置場所とすることに決定した理由といたしましては、まず第一に、用地面積が、那覇市の方は約一万四千平米に対しまして浦添市の方は最大で約三万六千平米と広く、十分な建物建築面積や駐車場面積等の確保が可能であり、施設設備の整備の自由度が高いこと、二番目に、近隣に住宅や学校がないなど、劇場の催し事や観客の集散等の行いやすい環境にあること、三番目に、海に向かって開けた立地であり、海洋県沖縄において、伝統文化を通じたアジア太平洋地域の交流の拠点施設として設立する劇場の設置場所にふさわしいこと、これらのことから、設置場所を浦添市小湾地区に決めたところでございます。
井上(和)委員 今、三万六千平米ということで、土地が広いということをおっしゃいましたけれども、実際に劇場用地としているのは二万四千平米だけなんですよね。そうでしょう。
 それで、私、国立劇場の敷地面積、一体どのくらいかと調べてみたんですけれども、国立劇場の本館で敷地が三万一千平米、新国立劇場が二万八千平米。ただし、本館の場合、大劇場で千六百席あるんですね。新国立劇場も千八百席あるんです。沖縄組踊劇場は六百五十席しかないんですよ。要するに、我々からいえば、選挙区の市とか区のホール、そういうぐらいの大きさだと私は思うんですね。同じような大きさで文楽劇場というのがありまして、七百五十三席。この敷地面積というのは四千平米ですよ。
 何でそんな広い土地が必要なのか。駐車場が必要だと。それは必要なわけなんですよ。なぜかといいますと、国立組踊劇場設置候補地に関する交通アクセス等基礎調査報告書というのが出ているんですね。これは、沖縄県の教育委員会が民間の国建という会社に委託して、交通アクセスの問題を調査しているんです。
 ここに書いてあるのは、「小湾地区の周辺は基本的に産業・流通地区であり、日常的に一般市民や観光客が来訪する場所ではない。そのために、来訪には特別の動機付けと誘導案内が不可欠である。」こういう場所だから、それは駐車場がなきゃだれも来ないということなんでしょう、基本的には。
 これに対して、もう一方の天久地区の方は、現在、地域振興整備公団により、地区の持つ恵まれた立地条件を生かしながら、行政、商業、業務の各種中枢機能、総合公園と一体となった文化機能、高水準の住宅地等の複合的機能を有する魅力ある新都市の形成を目指して那覇新都心開発整備事業が進められている、そういうところなんですよね。
 だから、その広さだけで、既に公有地、先ほども国土交通省から御説明があったように、わざわざ四十億円もの税金を出して私有地を買ってこの劇場をつくる必要があったのかというのが私の疑問なんです。
 それで、値段の問題にちょっと移りたいんです。
 私は、沖縄に行ったときに、浦添市の企画課に行きまして、値段のことも聞きました。買収価格が坪五十二万五千円、一平米十五万九千円、これは私、非常に高いと思いましたよ、埋立地で。それで、浦添市の御説明では、ちゃんと鑑定士が鑑定したということを聞きました。そうなんでしょう。しかし、高いなと。
 つい最近地価公示があったので、浦添市の地価はどのくらいかなというのも調べましたが、市の商業地域の一番高いところで平米二十万、坪六十万。ただ、それは商業地域。この拓南製鉄のあった土地、つまり準工業地域ではそれより随分安くなるんじゃないでしょうか。実際に不動産屋に行って聞いてみたら、三十万か、高くたって四十万だろうというふうに言われました。
 この土地は、まだ国として買っていないわけですね。当然これから買うわけです。そのときに新たに地価を決定するわけですけれども、どういうふうにして買うんですか。
木谷政府参考人 お答え申し上げます。
 この浦添市小湾地区につきましては、まず最初に、先ほど来民有地であったというお話でございますが、実は、私ども、用地を決定いたします前に、平成九年十月の段階で、浦添市長から文化庁長官に対しまして、事前に関係地権者の同意を得ており、浦添市土地開発公社をして先行取得することに何ら問題がないという旨の報告があったわけでございまして、そのことを前提に選定をさせていただいたということをまずお断り申し上げたいと思います。
 用地の購入でございますが、文化庁といたしましては、劇場用地を劇場開場後十年程度を目途に、逐次適正な時期に適正価格で購入することとしておりまして、そのために必要な予算措置を行うこととしております。土地購入に当たりましては、当該用地について、毎年度、不動産鑑定士等により土地の鑑定評価を行いまして、その評価額の範囲内で、地権者である両公社と協議を行い、その価格を決定し、用地の購入契約を締結するということにしてございます。
井上(和)委員 となりますと、国が必ずしも坪五十万を出すということにはならないということでよろしいですか。
木谷政府参考人 仰せのとおり、したがいまして、文化庁の購入価格が県と市の公社の当初の購入額を下回るということもあり得るものでございます。
井上(和)委員 とにかく、土地が高いというのは私は確かだと思いますので、本当の適正価格というのは幾らかというのを我々もしっかり調査していきたいと思っていますから、皆さんもぜひしっかりとやっていただきたいと思います。
 それでは最後に、別の問題にちょっと移りまして、これは平成七年、ちょっと前になるんですけれども、沖縄で、当時の運輸省が、三カ所のリゾートホテルの沖合の一定海域を免許がなくても水上バイクが運転できる地域に指定するということを官報で告示したんですね。平成七年七月四日、運輸省告示第四百五号。それが突然、二カ月後、平成七年の九月四日、運輸省告示第五百七十二号によって廃止された、わずか二カ月で。
 私は、役所というのは、一度決めたこと、それは決めるまでいろいろな検討をされる、しかし一度決めたらなかなかそれを変えない。うちの菅幹事長なんかは、役所は一度決めたら絶対変えないんだ、それが行政の問題点だというふうにいつも言っています。しかし、この場合、もう二カ月でぽっと変えちゃった。これはどうしてなんでしょう。
 そして、実はその裏に、鈴木宗男議員が運輸省に電話をして、つまりは自分の後援会の幹部のホテルの海域を指定しないで、別のホテル三カ所を特別にしてそういうことをやったのはけしからぬと恫喝したというような情報もあるんですが、そういうことはあったんでしょうか。お答えください。
安富政府参考人 まず、沖縄における水上オートバイの無免許の操縦水域の設定が中止になった件でございますが、これは、委員御指摘のとおり、平成七年の七月四日に官報告示をしまして実施しようとしたわけです。これは、基本的に沖縄の観光振興という観点から、沖縄県等の要請もございまして、関係者と当該構想について検討して告示をしたということでございますが、告示した際には、地元の漁協等も一応内々、一部についてはある程度了解をしておったわけですけれども、その後、告示後、地元漁協あるいは地元警察などにおいていろいろ調整をしてまいりましたけれども、漁業権との調整あるいは安全性の問題ということで地元からの反対がございまして、最終的に地元の理解が得られなかったということで、実施ができなかったということでございます。
 この間には、県議会でもいろいろこの議論がなされまして、問題点の指摘があったり、あるいは沖縄県の水産業の中央組合長の会議で反対決議があるといったようなことがございまして、どうしても地元の理解が得られないということで中止した経緯がございます。
 それから、先ほど、電話があったかという件でございますが、当時、沖縄及び北方問題に関する特別委員長であった鈴木議員から当時の担当局長に電話がございました。その際には、ちょうど七月一日にその件について新聞が出たばかりでございまして、自分は聞いてないとか、地元では危険だと言っているといったようなことで御指摘があったということが確認されております。
 ただ、いずれにしましても、先ほど申しましたように、中止しましたのは、そういう電話ということじゃなくて、地元の最終的な理解が得られなかったということでございます。
井上(和)委員 終わります。
久保委員長 一川保夫君。
一川委員 自由党の一川でございます。
 では、引き続き私の方からも、今回のこの二つの法案に関連して質問をさせていただきたいと思うんです。
 まず冒頭、扇大臣に基本的なお考えをお聞きするわけです。
 国土交通省設置法の改正の中身は、要するに出先機関の統廃合的なものが内容だと思いますけれども、全体の、これからの国土交通省という役所の、特に出先機関の整理統合なり、そういう問題に関しての基本的なお考えをお聞きするわけです。
 今、時代の流れがいろいろと変わってきておりますけれども、基本的には、やはり行政改革ということが一つの大きな我々の課題になってきていると思うんですね。そういう一つの大きな課題がありますし、それからまた、国家公務員の定数削減ということも、これまた緊急の重要な課題でございます。それとまた、国の抱えているいろいろな権限なりそういったものをできるだけ地方に移譲する、地方分権という一つの流れもございます。それとまた、国土交通省も現行、直轄事業というものをたくさん抱えていると思いますけれども、こういった業務もこれから地方の方に徐々に移行していく、そういう時代になるのではないかなという感じもいたしますし、また、直轄で対応するような大規模なそういう事業もだんだん少なくなってくるような感じもいたします。
 そういう時代のいろいろな流れ、これからの動きを見ていると、現在の国土交通省の出先機関というものが、もっとしっかりとした計画のもとに対応していかないと、いろいろなニーズ等、そういった出先機関のいろいろな業務、今私が言いましたようないろいろな課題に対して、的確にこたえていけないような事態になるのではないかなということを心配するわけでございます。
 今、国土交通省、全体で定数が六万六千ぐらいいらっしゃると思うんです。その中で、地方部局、支部局というんですか、そういうところに所属をしている方々が四万四千余りいらっしゃると思うんですけれども、そのほかに、海上保安庁なりあるいは気象庁ですか、そういう外局関係に勤務されている方々が一万八千余りいらっしゃるというような大ざっぱな格好で記憶しておるんです。
 こういう四万四千が地方の支部局にいるという中で、恐らく出先機関は、私も正確にはわからないんですけれども、今回国土交通省、大臣が先ほどお話しのように、四省庁統合になって、その出先機関もこれから当然整理されていくんだろうと思いますけれども、旧建設省の地方建設局、今は地方整備局ですか、そういうような名前になっております。それから、旧運輸省の関係が運輸局という形で、これは別々にあると思いますけれども、その下に今度の法律の対象になっている運輸支局というものが設置されていくと思います。
 そこで大臣に、こういった今の重要な政策課題を持つ中で、国土交通省は今回の予算の中でも七兆円を超える予算を持って、相当の職員の方々がそこで勤務をされていて、また相当の大きな権限もあるわけですけれども、こういう地方の出先機関というものを今後どういう形で整理統合していった方がいいというふうにお考えなのか、そのあたりの基本的なお考えを大臣からお聞きしたいなというふうに思うわけです。
 実は先日、国土交通白書という、こういう何か概要めいたものを見させていただきました。こういう白書というのは今まで余りなかったので、そういう面では扇大臣の考え方がこの中に相当入っているなという印象を強く持ちましたけれども、書いている中身そのものは、時代のいろいろな流れ的なものを、これからの課題めいたものを、しっかりと問題意識を持たれた中で、整理されているなというふうに私も思います。
 そういう面では、これからこの業務を国民の期待にこたえてしっかりと実施していくということが本当に重要なわけです。国民と最も接しやすい立場にあるのが出先機関の職員であり、その組織だと思いますけれども、こういった出先機関の将来のあり方ということについての大臣の基本的なお考えをお聞かせ願いたいと思います。
    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
扇国務大臣 今冒頭に一川議員からるるおっしゃっていただきましたように、国土交通省、四省庁統合で、本当に巨大官庁と言われます。仕事も巨大、陸海空でございますけれども、定員も、今お示しになりましたように、私ども昨年統合しましたときには、四省庁で六万八千三百五十六名という巨大な職員数でございます。けれども、そのときに、編成時に削減しようということで、まず百八名削減をいたしました。そして、十三年度以降三千七百四十五名の削減をしようという目標値だけは決まっておりますけれども、ただ切るというだけではなくて、彼らの仕事自体も効率よくしなければいけないということで、今回の行政改革といいますか、あるいは地方分局、国家公務員の定数削減等というあらゆることの総合的な観点から、今回の法案をまとめさせていただいたということでございます。
 今、国土交通省の白書も、一川議員、手にしていただきました。これは本来であれば四省庁統合ですから四省庁分、一省庁が少なくとも七百ページぐらいになりますと、四省庁統合するとその掛ける四ということになりますから、膨大な厚さになるわけですけれども、そうではなくて、現代に即したようにということで、各省庁の中では初めてですけれども、CD―ROMで白書をつくったということで、多くの皆さん方にCD―ROMを通じて、読み切れないものもCD―ROMならわかるということで、私は、初めての試みでしたけれども、提出をさせていただきました。
 また、今おっしゃいましたように、二十一世紀、激動の世紀でございますから、我が国を活力あふれる国際競争力のあるものとするためには、また、個性ある地域、魅力ある地域というものを自立させていくためにも、私は、今回の行政改革による地方分権、さらにこれを進めていくということで、大きな成果が上がっていくものと思っております。
 細かいことは、先ほどからもお答えしておりますように、あらゆるところで利便性を図り、なおかつ効率性を図るようにということで、陸運支局と海運支局の統合によって運輸支局を設けるというように、整理して合理性を高め、利便性を高めるということにしているわけでございます。
 こういう意味では、私は、定員削減をするだけではなくて、少なくとも効率が上がるように、私たちは、地方の出先機関につきましては、今後とも各機関相互の連携を一層緊密にするということを図っていきたい。また、業務の重点化あるいは簡素化を図るということによって、不断の見直しを行って、少なくとも行政をめぐる社会経済情勢の変化に的確に対応して、地域における総合行政の効率的な、またそれを推進していくということに私たちは協力し、なおかつ実を上げていくように指導し、そして皆さんの御意見をいただこうというふうに転換しているところでございます。
    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
一川委員 先ほどちょっと触れましたように、地方の出先機関といいますのは、それぞれの地域の国民の方々、関係するいろいろな業界の皆さん方も含めて、直接接触する機会の非常に多い部局でもありますので、効率的にいろいろな業務にタッチされるというのは当然だと思いますし、地方公共団体の行政機関とのいろいろな比較とか、ほかの省庁とのいろいろな比較とか、そういうことが常に話題になることでございますので、しっかりとした指導をお願いしたいというふうに思います。
 そこで、ちょっと副大臣にお答え願いたいのですけれども、国土交通省、中央の役所は一つの役所の建物の中に全部入っておるわけですけれども、今出先機関は、先ほどちょっと触れましたように、地方整備局と地方運輸局ですか、そういうまだ大きく分かれた状態で、しばらくは続くというふうに聞いておるわけですけれども、地方の運輸局なり整備局も、やはり一つの官庁の出先ですから、行く行くは一つになった方がよろしいのではないかなと。
 今入っている庁舎の問題なり、あるいはそこで働く職員の問題なり、いろいろあろうかと思うのですけれども、また、出先機関がある県なり市町村は、割とそういうのを移転してほしくない、そこに引き続きいてほしいという強力な要請が一方であるわけですけれども、そうかといって、その要請にこたえてばかりいるとなかなか行政改革もできないということでございます。
 どうなんですかね。地方整備局、地方運輸局、そういったものを将来的には統合するというようなことも含めて検討されたらいかがかなというふうに思いますけれども、どうでしょうか。
月原副大臣 どうも、お答えいたします。
 なかなか着眼が鋭いところがあってお答えにくいところもあるのですが、御承知のように、今大臣が御説明申し上げましたように、四つの省庁が一緒になった。特に出先のことについて考えてみれば、御承知のように、昔は、道路あるいは河川、そういうものについては地方建設局だった。それから、港湾、空港、こういうものについては港湾建設局だった。これは議員も学んだ分野で、よく御存じだと思いますけれども、これは特別よく似た専門性を持っておる分野であります。そして、大きく言えば、社会資本を整備する役割を果たしておる。そういうところで、この二つを一緒にして、先ほどお話しのように地方整備局にした、こういうことであります。ですから、旧運輸省、旧建設省、それの社会資本整備関係をまとめて整備局というものにしたということであります。
 他方、旧運輸省関係でいえば、交通のサービスの向上や安全確保、そして新たに、地方には、それまでそう具体的なものではなかったのですが、観光関係、今我が省自身が二十一世紀のリーディング産業として位置づけようとしておるこの観光部門、そして、それぞれの地域がその特色を生かしたそういうものをつくってもらいたい、こういうことを考えておりますので、そういう部門を担当するものとして地方運輸局というものをつくっておるわけです。
 そこで、今お話しのように、建物が一緒のところもあります、それから分かれておるところもあります。そして、まさにおっしゃったように、今度新しく建物をつくるときには運輸局それから整備局を一緒にしたいな、こう思っておるところがあると、地元の方は、これはうちの方へ置いてもらわぬといかぬという、はやそういう希望も我々のところに来ております。
 しかし、大きな流れからいったら、今申し上げたように、社会資本整備、交通、それから観光、そういうようなものに携わるところは、専門の分野も異なるということから、これは当面は、当面というか、それぞれの分野で努力していってもらいたい、こう考えております。
 そして、地域の細やかなニーズあるいは職員の管理というようなことを考えましても、そして運輸については、最近頻発して申しわけないのですが鉄道の事故とか、それから自然災害とかいうようなものもありますが、それに的確に対応できるように、こういうようなことで、この二つのもので当面動いていきたい。ただし、この二つのところが緊密な連絡をとっていく、できれば同じ建物の中でそれぞれの局が協力し合っていくという方向に持っていきたいと思っております。
 そして、地方整備局の区域と地方運輸局の区域がちょっとそごしておるところが地域によってあるわけですが、そのことは合わすことによってさらに一層緊密な連絡ができるように、緊密な協力ができるように考えているわけであります。
 以上です。
一川委員 当面はそういうこともやむを得ないという感じもいたしますけれども、大臣も常々おっしゃっていますように、やはり国土交通省という新しい官庁としてさま変わりをして国民の期待にこたえていくということであれば、従来の縦割り的な業務を、お互いに連携をとりながら、新しいそういう期待にこたえていく、地域のいろいろな振興に果たしていくということからすれば、より綿密に連携をとれるような、そういう組織はもちろんでございますし、実際の器もできるだけ意思疎通が図れるような形にしていく、また、地域の方々もそこへ行けばいろいろな人たちに会えるという状況にしておいた方がよろしいのじゃないかなというふうに私は思いますので、一つの課題として受けとめていただいて、取り組んでいただければありがたいというふうに思います。
 そこで、これは中身のわかる方で結構なんですけれども、私は、申しわけないんだけれども、実は海運支局とか陸運支局というところに出入りしたことが今までなかったのですけれども、ここにはどういう方々が日常的に出入りしておるのでしょうか。また、どれぐらいの人たちが日常的にそこへ出入りしておるのでしょうか。ちょっとわかる方、御答弁できれば。
風岡政府参考人 まず、陸運支局の仕事でございますけれども、一番端的なものが自動車の登録ですね、あるいは車検、こういった事務をやっております。
 それで、私、たまたま今手持ちにありますのは東京陸運支局の数字でございますけれども、例えば東京陸運支局、これは品川にあります非常に大きなところでございますが、ここですと、自動車の登録件数で、関係の人がお見えになるのが年間三百二十万件あるということであります。
 また、自動車の検査についても、車検の検査証を交付しますけれども、これも検査件数としては年間二百二十万件あるということで、自動車をお持ちの方、ディーラーの方、そういう方の出入りがあります。
 また、道路運送事業の関係で手続をとる方、バスとかタクシーとかトラック関係の事業者の方々があります。
 また、海運支局の方につきましては、これは船舶検査を行いますので、そんな関係で、例えば、これはやはり東京海運支局のケースでございますと、年間で三百件程度の検査をするというようなことで、そういう船舶検査の方。
 それから、船員関係につきましては、船員手帳の交付というような事務も行っておりますので、これも年間八千件ぐらい東京海運支局の場合にはお見えになるということで、そういうような方々が中心だというふうに考えております。
一川委員 今処理している件数そのものは相当大きな数字だというふうに思います。しかし、実際にそこに出入りしている方々は相当な数の件数を持ち込んでお仕事をされておるんだというふうに思いますので、それだけの件数の人が出入りしているわけじゃないと私は思いますけれども。
 こういった業務、今回、統合というのですか、組織の見直しの中で統合を図っていくという、検討された結果がこの法律として改正案で出てきておるわけですけれども、この業務内容等から見まして、例えば、地方公共団体にこの際ある程度任せたらどうかとか、あるいは民間にある部分は任せたらどうかとか、そういう検討というのは、今回のこの支局の統合の段階では何も検討はされなかったのでしょうか。
月原副大臣 お答えいたします。
 国土交通省としては、従来から、地方のことはもう地方に、できることは地方に、そして民間でできることは民間にということで取り組んできているわけでありますが、今回のこの問題については、その発足のときに、一応、地方にできることは地方に、あるいは民間にできることは民間にということで、例えば自動車検査は独法人にする、これはことしの七月一日からでありますが、そういうような方向でやっております。
 そんなことで、そういうことはもう既に最初の段階で、中央省庁発足のときに中央の方において十分検討されたので、地域のところをいかに合理的にやっていくかということに主力を置いていましたので、精緻な考え方で今委員の御指摘のような検討は現段階では行われていないというふうに申し上げたいと思います。
一川委員 これも一つの今後の課題かと思います。
 支局の原則は都道府県に一カ所ということなんだけれども、北海道だけ七カ所というのはちょっと気になります。それは面積がでかいですから、そういうふうになっているといえばそういうことかもしれませんけれども。いろいろな歴史的な経過もあるんでしょうけれども、原則各都道府県一カ所にしたのであれば、北海道ももう少しスリムにした方がよかったのではないかなという強い印象を私は持ちますので、また御検討をお願いしたいというふうに思います。
 それからもう一つ、中を見てちょっと理解できなかったのは、地方運輸局なんかのこれからの業務改善の一つの柱になっております二十一世紀型交通ソフト行政の総合的展開という、わかったようなわからないような言い方をしているわけだけれども。あらゆるものがみんな包含されるような表現でございますけれども、これは具体的には何をやろうとしているんですか。
岩村政府参考人 今後地方運輸局が業務を改善していく一つに、今御指摘の二十一世紀型交通行政の総合的展開ということを申し上げております。具体的な中身でございますが、大別して三つぐらいあるんだろうと思います。
 一つは、ことしの二月までに完了しております交通事業全般にわたります需給調整規制の廃止ということで規制緩和が進んできているわけでございますが、これに対応いたしまして、従来の事業監督型行政手法、これをやめて、安全の確保だとか環境問題への対応等々を重視した事後チェック型の行政に変わっていくこと。そして、その仕事の中身としての、例えば行政手続、これについては電子申請に変えていく、またさらにワンストップサービスをするというようなことで、国民の負担を軽減する、言いかえれば国民へのサービスを向上させる、そういったことが一つの柱になっております。
 それから二番目が、近時、地方公共団体等々からニーズが非常に高まっております観光振興などのいわゆる地域振興と一体となって公共交通の維持、充実を図る、こういうことをやっていかなきゃいかぬ。すなわち地域密着型の行政、これが二番目の柱でございます。
 それから三番目は、二十一世紀の課題でございます地球環境問題、そして少子高齢化社会への対応、こういったものに対応するために、例えば低公害車の普及であるとか交通バリアフリー施策の展開、こういったことをしていくこと、三つ大別してあるかと思います。
 そして、これらを総合的に進めるために、先ほど御答弁申し上げましたけれども、十四年度からは、この政策展開のために地方ブロックごとの公共交通・地域交通環境計画を策定する、そういうことによって総合的な展開を図っていきたいというふうに考えているわけでございます。
一川委員 今説明を聞くとなるほどなという感じもいたしますけれども、そこのところをもっと。
 どっちかというと、地方運輸局は今まで、地域の皆さん方、地域づくりなりまちづくりなり、また地方公共団体の方々が入りづらい役所であったなという感じを私は持っております。そういう意味で、今おっしゃったような、これからの新しい時代に向けての重要な課題に対して積極的に取り組んでいきたい、そういう中でいろいろな情報を提供しながら地域と一体となっていろいろな業務を遂行したいということであれば、それはそれで非常に私は意味があるというふうに思いますので、もっともっとわかりやすい形で政策の中身を国民の方々にPRされた方がよろしいのではないかなというふうに思います。
 そこで、余り時間もなくなりましたけれども、特殊法人の問題についてお尋ねしたいと思うんです。
 先ほど来も議論に出ておりますように、特殊法人の移転の話というのは、多極分散型国土形成の法律以来、一つの大きな課題として国の機関等の移転の問題があったわけですけれども、これも相当時間が経過しまして、その後最近、御案内のとおり、東京都心においても相当地価が下落してきておるというような傾向もございますし、何か、マンションの価格も下がってきたとか、当時こういう多極分散型のことが議論されたときの時代背景と今日と大分変わってきておるわけだけれども、しかし、一たん決めた以上は計画に乗っかってある程度やらなきゃならないというのも一つの行政の仕事であるわけですけれども、特に特殊法人そのものの組織なりこれからの形態みたいなものを、民営化も含めて、ここ最近非常に活発に議論されてきておるわけです。
 こういうことをいろいろと見ておりますと、そういう本来の特殊法人のあるべき姿というものがまだ十分結論が出ないままに移転だけが先行するということがあるのではないかなという、ちょっと心配をするわけだけれども、そのあたりはいかがなんですか。
小峰政府参考人 国の行政機関の移転につきましては、どんな機関をいつごろ移転するかということは、移転計画というのがありまして、これに基づいて行われております。特殊法人改革について、昨年の十二月に特殊法人の整理合理化計画が閣議決定をされましたので、これに基づいてこの移転計画そのものを見直したということでございます。
 具体的には、廃止して他の組織に引き継がれるとされました地域振興整備公団については、そういったものについては移転計画から当然除外をする。それから、組織のあり方について引き続き検討するということになりました日本道路公団等につきましては、その検討結果が明らかになるまで移転計画上の取り扱いは留保するということにいたしました。
 それから、今回御審議をいただいております移転対象の六法人でございますが、法律上はこの六法人は今回の特殊法人の整理合理化計画でいずれも独立行政法人になるということが決まっております。ただ、法律上は特殊法人と独立行政法人は同じ扱いということになっておりますので、従来の計画どおり移転をしていただくということでございます。したがいまして、基本的には特殊法人の整理合理化計画等に即したものになっているということでございます。
一川委員 そういうことでは今の行財政改革の趣旨に即した対応をしておるという答弁でございました。
 当然ながら、特殊法人の業務、事業内容とか組織形態の見直しというのは、緊急の課題として今取り組んでいるわけでございまして、そういう面では、そういう路線として当然強力に推進しなきゃならないわけでございますので、民営化という問題も含めて、これからこの移転問題というのは、変に先行しないように、やはりしっかりとした見直しをした上での対応がなされた方がよろしいんではないか。民営化されてしまえば余り国は関与する必要もないわけでございますので、そういったところも十分心がけていただきたい。
 最後にちょっと大臣に所見だけ伺いたいんですけれども、こういった国の行政機関の移転という問題、これまでの移転実績もあるわけでございますけれども、そういう反省点も踏まえて、今後どうあるべきかなというところについての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 国の行政機関の移転の重要性、またその移転によってどれほど行政的に縮小し、また金額的あるいは効率的にも効果が出たか、私は大変大事なところであろうと思います。
 今回の国の行政機関等の移転ということに関しましては、東京都区部への過度の集中を避けようということで、さいたま市や横浜市といった業務核都市、業務ができる範囲の都市に移転するということになっておりますので、私は、そういう意味では効率が上がるのではないかと。
 例えば、今実績があると一川議員がおっしゃいましたけれども、平成十二年でございますけれども、関東地方整備局を初めとして、このときに六千三百人の職員がさいたまに異動いたしました。国の機関がさいたまの新都心へ移ったことによりまして、少なくとも広域に行政拠点の形成の核となって今さいたまで動き出しております。これも私行ってまいりました。
 新たなところへ行っておりますけれども、問題は、人数が移転しただけではなくて、その移転した後の跡地が東京の中でどのように生かされていくか、これも私は総合的に大きな意味があろうと思っております。
 移転の跡地につきましては、例を挙げますと、六本木に防衛庁がございました。防衛庁が移転いたしまして、この跡地が大体十・一ヘクタールあるわけですね。これも今回は民間によって再開発がされるんですけれども、公園も道路も、そして東京に残された唯一の十ヘクタールを超える土地ということで、乱開発されてはならないということで、民間の活力を活用しますけれども、東京都の中で生活環境の改善に大きな利用価値があろう、また、そのようにしていかなければならないと私は思っています。
 移転したことによって、職員には多少の不便を感じている職員がなきにしもあらずですけれども、移転した職員がよく東京に出てきて、私も会いますけれども、もうさいたまが近くなって、東京都内で霞が関へ通っているよりも、さいたまから通ってきた方が短縮した時間になるんですと言って、私に報告に来る職員もおります。
 そのように、私どもは、オフィス環境の改善でありますとか、あるいは地方に移ったことによって賃貸料が安くなったというようなことで、経済的にも利点が上がっておるということです。
 私は、今後、できればもっともっと、利用するお客様に対しても、国民の方から、ワンストップサービス、そこへ行ったらすべて用事が終わる。今までのように、四省庁で、あっちこっち行って、しかも整備局あるいは運輸局等々で、もう地方整備局なんかを転々としているというのではなくて、ワンストップサービスというのを私は目標にしておりますので、本来は国土交通省も、二号館、三号館と分かれていなくて、本当は一つの建物に入れればいいなと私は思っているぐらいでございますので、そういう利点を最大限に生かして、仕事の効率と、そして国民の皆さんに、ワンストップサービスの、すばらしい、よくなったと言われるような成果を上げていきたいと思っております。
一川委員 終わります。ありがとうございました。
久保委員長 瀬古由起子さん。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 私は最初に、国土交通省設置法の一部改正案について質問いたします。
 今回の法改正では、支局統合によって行政組織のスリム化を強調していますけれども、とりわけ私が心配しています安全面、そして地域への影響について伺いたいと思います。
 まず第一に、陸運に関する点ですけれども、安全について私たちは、未然防止の観点から事前チェック体制の強化、そして再発防止の視点から事後チェックの両輪を一貫して要求してまいりました。この間、規制緩和の中で事前チェックが軽視されていることを大変重大な問題だと思っています。
 現実に、この間交通事故は増大しております。また、リコールにつながる重大な欠陥での事故など、人身の危険に直結する自動車、鉄道事故などが起きていますけれども、こうした事故は、事故が起こってからの対応ではもうカバーできないわけですね。この分野では、政府が国民の安全に責任を持っていることを示す慎重な対策が私は必要だと考えます。
 そこでお聞きしたいんですけれども、今回の支局の統合で、安全に関する体制が後退するということはないでしょうか。そして、安全行政の面の強化の予算、そして人員の思い切った配置が検討されているのかどうか、その点を伺いたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 交通事故の防止対策の充実につきましては、今般の地方運輸局の組織再編に当たりまして最も重要な課題であると我々も認識してございます。このために、地方運輸局におきましては、先生今おっしゃいましたとおり、事前のチェックそれから事後チェック体制の強化をきちっと図って、いわゆる社会的なルール、規制というものをしっかりチェックする。いやしくも、輸送の安全が損なわれることがないように、我々としてもしっかり取り組むということで、例えば、自動車の業務監査指導という事後チェックを行うための部をつくったり、あるいは監査指導課というものをつくったり、あるいは支局に監査課といった組織を新設したり、あるいはこのための監査旅費の増額等を図る等によって体制の強化を図ることとしております。また、事業用自動車による重大事故の情報を収集、分析していくための体制の整備ということで、この十二年、十三年度にかけて、主要な支局においては、専門の人員を五人ほど増加などを図っているところでございます。
 また、先生がリコールの点を今御指摘になりましたけれども、リコールという観点から見ても、本省も含めますとリコールの担当職員をほぼ倍増しております。それから、ふぐあい情報をユーザーから直接受け付ける電話のフリーダイヤル化であるとか、あるいは国土交通省のホームページにふぐあい情報収集コーナーを設置したり、ユーザーからのふぐあい情報を収集して分析できる体制を充実して、本省もそうですし、地方もそうでございますけれども、自動車メーカー等への監視体制を強化しているということでございます。
 そういう意味で、今後とも、事故防止対策の充実強化を図るために、私どもとしては、地方運輸局も含めて、引き続き努力してまいる所存でございます。
瀬古委員 では、もう一点。今度は、海運支局の廃止の問題について伺いたいと思います。
 海運に関する組織は、この間一貫して縮小されてまいりました。今回、支局の統合について、大分県の津久見、留萌、そして木江、釜石、こういったところから、とりわけ地元から存続の強い要望が出されております。津久見では、造船所などが津久見以南の地域に立地している、海運業者数も県南に多いなどの地域特性から、ぜひ海事事務所として存続してほしいという具体的な提案もされております。
 これらの地域について、どのような対応をされようとしているんでしょうか。とりわけ届け出事務など、住民や自治体の負担にならないような検討というのを当然するべきだと思うんですけれども、その点いかがでしょうか。
安富政府参考人 今回統合する予定の海運支局でございますが、現在、組織規模が非常に小さい。局によっては、三名とか四名というような局もございます。そういう意味で、なかなか専門的なサービスが迅速に提供できないとか、あるいは、なかなか休みもとれないということで、休日なんかの対応が困難というようなことがございます。そういう観点から、今回、他の運輸支局等と統合して組織を充実させるということによって、専門的なサービスの迅速な提供とか、あるいは休日の船舶検査等の拡大といったようなことが可能になるのではないかということで、我々としては、全体としての利便性の向上がこれで図られるというふうに考えております。
 ただ、やはりそうは言いながら、支局がなくなるということは多少不便がございますが、この点につきましても、例えば船員の雇い入れ契約の公認等の事務につきましては、関係市町村がいわゆる委託といいますか、船員法第百四条の第一項で、指定市町村制度という形によって市町村が業務を行うことができますので、その点についても地元市町村と調整してまいりたいというふうに考えております。
 それからさらに、そういう住民の方々、利用者の方々の不便をなくすために、例えば電子申請であるとか郵送申請といったような事務が可能になるような手続の大幅な拡大であるとか、あるいは特に検査官等による出張、事務が非常に多い場合には出張で対応するといったようなことも含めて、行政サービスが低下しないように努めてまいりたいと思っております。
 今後とも、行政サービスの水準の維持につきましては、地元の方々ともいろいろ御相談しながら御理解を得てまいりたいというふうに考えております。
瀬古委員 こういう海運支局というのは長い歴史がございまして、また、そこの事情もございます。ぜひ、実情をよくつかんでいただいて、サービスの維持、向上ができるように取り組んでいただきたいと思います。
 では、もう一つの法案ですけれども、特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案について質問させていただきます。
 多極分散型国土形成促進法による国の行政機関等の移転に関する基本方針、これは一九八八年七月に閣議決定されたものですけれども、これに従って特殊法人の東京二十三区からの移転が決められております。
 当時、この法律を制定する過程で、我が党は、東京二十三区からの移転だけでは東京一極集中を解消することにはならない、周辺市街地も含めて東京圏への集中は、変わらないどころか、一層これは強めることになるんじゃないかということを批判してまいりました。首都圏全体で見ると、現状はどうかといいますと、むしろ人口の流入も増加傾向を示しております。一九九五年は東京圏はマイナス五千二人に対して、二〇〇〇年は八万七千九百九十五人と転入超過数が急増しております。特殊法人などは、移転対象の三分の二を完了したと言われておりますけれども、この間、結果としては、指摘したとおり、東京圏全体への集中が一層進んでいるということが言えるんではないかと思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
小峰政府参考人 お答え申し上げます。
 国の行政機関の移転先が関東地区が多いというのは御指摘のとおりでございますが、これは、地方整備局など関東地区を所管する地方支分部局等が移転対象となっていること等に基づいて各特殊法人において移転先地をそれぞれ決定していただくに際して、利便性等が考慮されてそういうことになったのではないかというふうに思われます。
 したがって、これが首都圏そのものの人口の分散、機能分散にはならないのではないかという点は確かにそのとおりだというふうに思いますが、それによって東京圏の人口集中がさらに促進されたのかどうかという点については、跡地を公園、道路それから都市環境、生活環境の改善等に使っているところが多いといったようなことも考えますと、この行政機関の移転によって人口集中が促進されるということはないのではないかというふうに考えております。
瀬古委員 もちろん特殊法人の移転だけがそれをもたらしたとは言えませんけれども、それは何とか東京の一極集中をなくしていくという一つのねらいがあったわけで、そういう点では、効果がないどころか、その後いろいろ問題が出てまいりました。
 例えば、出かけていったところでは、先ほどお話がありましたけれども、業務核都市という問題がございます。実はこの構想があちこちで破綻しているといいますか、大変問題になってきております。例えば横浜のみなとみらい21地区では、ランドマークタワーなど今まで建設したビルはテナントがようやく埋まるという状況なんですが、これから建てるビルはテナントが見つからないで、区画整理による保留地も予定の値段で売れず大変な赤字が出る、こういうふうに推定されております。自治体の負担も大変な状態になっているんですね。それから、ショッピングセンターだとか巨大デパートができて、周辺商店街は寂れて、シャッター通りがあちこちで出てきております。結局、何とかそれぞれ拠点に業務核都市をというのが余り成功していないわけですね。そういう地域振興につながっていない。
 しかも、特殊法人の出ていった跡地、先ほど大臣が言われましたように、そこで開発がまた行われるわけですね。そうしますと、またそこで人口の集中が起きてくるという問題で、東京圏全体に業務機能と人口を集中させるという流れがやはりこの間出てきているんじゃないか。
 そういう点では、決してこれは特殊法人の移転だけの問題ではありませんが、全体的な総合政策の中で、やはり東京圏における人口集中や業務機能の集中というのがなかなか直らない、ある意味ではむしろそれを促進させる、そういう状況に今なっているということが言えるんではないかと思います。
 そこで、国の行政機関等の移転に関する基本方針では、別表二というのがありまして、移転を要請する特殊法人が掲げられております。今回法案に盛り込まれている特殊法人はすべて当初の計画から対象になっております。
 考えてみますと、移転先を取りまとめてから既に十三年も経過をしているわけですね。当時は、これも先ほどお話もありましたように、東京圏における地価の高騰という問題、それから土地問題で、地上げ屋が出てきて、そして住みなれた住民をある意味では追い出していく、こういう大変深刻な事態が起きていたわけですね。そういう状況がございましたが、現在は、御指摘ありましたように、地価もずっと下落傾向になっていますし、多極分散型国土形成促進法当時とは随分社会経済情勢が変わってきているという問題があるんですね。私は、やはりこういう段階でもう一度、今の移転の問題がいいのかどうかということについて検討しなきゃならないんじゃないかと思うんです。
 今度の国会で、この委員会でも審議されましたように、これは二十三区にはとどまりませんが、首都圏等で工場や大学の立地制限を解除する法案まで提案されています。一方では、十三年前の方針を既定のものとして進めていく、全くそれと反対の都市再生などが進められ、そして首都圏では全く逆の政策が混在している、こういう状況は、何でこんなことが起きるんだろうかと。ですから、ある意味では、何のための移転なのか、移転を行うこと自身に目的があるのかというように言わざるを得ない状況にあるわけですが、その点、どのようにお考えでしょうか。
小峰政府参考人 行政機関の移転は、決して、一たん決まったものであるから時代に合わなくなってもそのまま進めるというものではなくて、現在においても十分意味があるというふうに我々は考えております。東京都心部にかなりの人口、諸機能が過度に集中をしているという現状認識は変わりませんので、それを是正していく必要があるわけですけれども、そのためには、都心部が担っている機能を周辺の地域でかわって担えるような業務核都市のようなものを育成、整備する必要がある、その核として、国の行政機関で移転できるものをなるべく移転していただくということでございますので、基本的には、そういった政策目的というのは現代においても必要なものではないかというふうに考えております。
瀬古委員 各地方自治体においても、業務核都市のあり方を今もう一回見直さなきゃならないんじゃないかというように言われているわけですね。今までの延長線上ではいかない事態がございます。
 例えば移転先を見てみますと、都市基盤整備公団は、横浜市のみなとみらい21関連街区にある、現在建築中の横浜アイランドタワーを自己使用することが決まっております。自分がつくるものなんです。
 この横浜アイランドタワーは、都市計画を変更して、当初の計画の五十階建てから二十階建てに変更しちゃった、要するに、もう五十階建ては無理だという状況になっているわけです。そして、その上、もともと賃貸用に都市基盤整備公団がつくったものなんですね。ところが、自分がみずから入らざるを得ない、こういう状態になっているわけです。今、みなとみらいでも、全体の計画どおり売れている保留床というのは二六%と言われて、かなり厳しい状況にある。だから、建物をつくっても入らないので自分が入る、タコが自分の足を食べる、こういう事態もなきにしもあらずなんですね。
 それから、日本鉄道建設公団と運輸施設整備事業団は統合するという方向で、同じビルに入るという状況ですけれども、まだここは移転先が決まっていないわけですね。この横浜アイランドタワーとか、みなとみらい21の中心にあります、これは三菱地所が所有します日本一高いあのランドマークタワーに入居することを検討しているとも言われているんですけれども、実際にはそれぞれの地域の破綻しつつある開発の穴埋めのところに、ともかく気の毒だから入らざるを得ないみたいな、そういう状況になっていくとか、どこへ入ろうかなと、場所も決まらないのに法律だけ移転することを決める、ちょっとこれはやはりおかしいんじゃないかというように思うんですけれども、その点、いかがでしょうか。
小峰政府参考人 御指摘の、都市基盤整備公団の横浜アイランドタワーへの移転の件でございますが、これは、都市基盤整備公団が、横浜市内において、オフィスビルの竣工時期ですとか立地、規模、こういった観点から具体的な移転先を検討してきましたところ、交通の利便性ですとか関係機関との連絡性ですとか執務環境、こういったものを考慮して、このビルが適当であるというふうに判断したものでございます。
 ほかの特殊法人についても同じでございますが、移転先の選定に当たりましては、各機関、所管省庁が利便性ですとか入居条件等を勘案して総合的に決めているということで、特に開発の埋め合わせという観点で行っているものではございません。
瀬古委員 ともかく、経済的な情勢も社会情勢も変わってきている中で、やはり一定の見直しといいますか、検討はする必要があると思うんですね。実際には、移転をするという場合には移転費用も必要ですし、また、向こうで何か自分たちの建物をつくるのかといったら、そこで借りる、そういうやり方ですからね。
 そういう点でいえば、本当にそこで経済的に、財政的に今大変な中で、実際に、事実上破綻しているところに入らざるを得ないみたいな、そういうやり方になっているという点では、私は、やはり改善すべきだというように思います。いつまでもあの時代おくれの閣議決定を引っ張り出して、強引に移転をさせる。閣議決定だって、実際には、強引に移転せよ、何が何でもやれということを言っていないわけで、そういう意味では、やはりもう少し自主的な検討が必要ではないかというように思います。
 次に、先ほど少し出てまいりましたが、移転することによって、職員の皆さんの通勤体制、先ほど大臣も言われたように、もちろん近くなったという方もいらっしゃいますけれども、やはり遠くなるという方も実際にはいらっしゃるわけですね。とりわけ、宇宙開発事業団などは移転先も遠くて、職員の移動距離も大変大きくて、不安も生まれております。
 それで、今まで局と労働組合との話し合いもやられていたんですが、もう一方的に打ち切って進めるぞという形で、問答無用の形で進められている部局もあるというように聞いております。少なくとも、勤務地をかえるという場合には、職員の意見もよく聞いて、一方的に進められることがない、こういう配慮が必要だというように思いますけれども、その点、いかがでしょうか。
扇国務大臣 先ほども少し職員の話をいたしましたけれども、やはり移転に当たっては、便利になる人とあるいは不便になる人と両方確かにあると思います。けれども、私たちは、労働条件というものは皆さん方が働きやすいようにあらゆる条件を考慮しようということで、少なくとも職員の宿舎の確保を図るということも大きなことだと思って、現在、労働組合に対しましても説明会を開いております。
 ちなみに、どういうことをしたかということで例を挙げますと、移転の対象の法人における職員の宿舎の確保というようなことでも十分に配慮しようということで、例えば、日本原子力研究所では、柏の周辺で宿舎を借り上げる予定をしております。また、宇宙開発事業団では、東京とつくば市の中間地点で宿舎を借り上げようという計画もしております。それから、水資源開発公団におきましては、さいたま市ないしその周辺で宿舎を借り上げようという、これも予定でございます。そして、日本鉄道建設公団におきましては、これは東急綱島駅付近で宿舎を借り上げようという予定をしております。そして、運輸施設整備事業団におきましては、これも横浜近郊で宿舎を借り上げようという計画をしております。最後に、都市基盤整備公団では、これは横浜市と川崎市の両方にあります現有宿舎というものを今後有効に利用していこうということで、なるべく職員の皆さん方が、移ることによって負担が大きくならないように、あらゆるできる限りの手当てをし、そして、快適な仕事、効率が上がるお仕事に従事していただこうというふうに努力していくつもりで、また現実に努力中でございます。
瀬古委員 住宅もそうですけれども、実際には家族を抱えていますので、通勤通学、いろいろな問題が出てまいりますので、ぜひ、一方的に話し合いを打ち切るということがないように、今後とも引き続き努力をしていただきたいと思います。そして、何といっても、全体の計画そのものも、やはりこれでいいのかという点はもっと検討をする必要があるというように思います。
 では、残された時間、一般質疑ということで、都市基盤整備公団の廃止問題について質問させていただきます。
 昨年末の特殊法人等整理合理化計画で、都市基盤整備公団は、賃貸住宅事業、これは、「自ら土地を取得して行う賃貸住宅の新規建設は行わない。」そして、「賃貸住宅の管理については、可能な限り民間委託の範囲を拡大し、効率化を図る。」そして、「また、居住の安定に配慮しつつ、入居者の同意を得た上で、可能なものは棟単位で賃貸住宅の売却に努める。」と盛り込まれて、都市基盤整備公団について、「集中改革期間中に廃止することとし、」そして、「都市再生に民間を誘導するため、事業施行権限を有する新たな独立行政法人を設置する。」このようになっております。
 まず最初にもう廃止ありき、その後の管理は一体どうなるのかと、今公団に住む住民は大変居住に不安を持っていらっしゃいます。居住安定に最大限の力を注ぐことは、私は、政府として当然の責務だというように思うんですね。
 そこで、今居住者が持っている不安について、どのように解決するのか、どう考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。
 まず第一なんですけれども、「自ら土地を取得して行う賃貸住宅の新規建設は行わない。」このようになっています。従来、政府は、民間では供給されていないファミリー向けや高齢者の賃貸住宅は公共が建設していく必要があるというふうにされていたとありますが、今までのその方針とか政策というのは変えたんでしょうか。公団がファミリー向けや高齢者向けの賃貸住宅をもうつくらないというのはどういうことでしょうか。その点、まず第一点、お聞きします。
三沢政府参考人 我が国では、特に大都市地域においてファミリー向けあるいは高齢者向けの賃貸住宅ストックが不足しているという状況にあるのは御承知のとおりかと思います。その中で、従来は、民間事業者は、新規に土地を取得して敷地を整備してファミリー向けの賃貸住宅を供給するということをなかなかやってこなかったわけでございます。これは一つには、やはり敷地を整備すると事業期間が長期化しやすい、あるいは家賃で土地取得費まで回収するのは困難であるというようなことが原因だと言われております。このため、従来は公団がみずから賃貸住宅を直接供給するという方式をとってきたわけでございます。
 ただ、今回、民にゆだねられるものは民にゆだねるという行政改革の基本方針がございます。
 そういう目で、もう一回公団のこの賃貸住宅建設事業について見直しをいたしますと、公団が整備した敷地を民間に賃貸して、その上で民間が賃貸住宅を建設するという方式をとるのであれば、民間でもそういうファミリー向けの賃貸住宅の供給を行うことが可能であるというふうに考えられるところから、そういう制度を創設し、基本的にはそちらの方に移行するということにしているものでございます。
瀬古委員 今まで、次々と住宅をかわらないというか、ファミリー向けの、そういう方々の住宅、高齢者の賃貸住宅、こういうものについては、民間が開発して、土地の取得までやって、実際に家賃でそれを賄うことは難しい、だから公団が今までそこを引き受けてやらざるを得ないということになってきたわけですよね。
 しかし、民間でやれるものは民間でやる。しかし、やれないと言っているんだから、これは公共でやるのは当然じゃないですか。土地の基盤整備だけやってあげて、その上に、民間でやってくださいよ、ある意味では至れり尽くせりというか、絶対損はしませんよみたいなやり方でやったら、基盤整備で物すごい莫大なお金がかかれば、実際にはもうけだけはどんどん民間がとってしまって、本当に責任持って、国としてファミリー向けや高齢者向けの住宅が建設できないということになりませんか。
 民間でやるなら、民間に基盤整備もやらせればいいのです。やれないから公団がやらなきゃならないとなっているのですから、公団でやっていいんじゃないですか。なぜできないという状態になったのですか。
三沢政府参考人 いわゆるまちづくり、都市整備あるいは住宅に関するいろいろな業務というものを見ました場合に、一般的には、民間が非常にやりにくいというのは基盤整備の部分である。むしろ、上物の建築活動なり、その建築活動でできたものの例えば住宅の管理なりは、民間でも可能なものであるというふうに言われております。従来はそこを一貫して公団がやっていけるという方式をとってきたわけでございますけれども、今回は、民間にゆだねるものはやはりゆだねるべきであるという観点から、基盤整備部分は公団が責任を持ってやりながら、上物の住宅の建築については民間にやっていただくという方向に移行するというものでございます。
瀬古委員 もちろん、民間でやれるものはやればいいのですが、民間でやれないから公団でやってきた。公団がやることに何か問題があったんですか。私は、問題があったからこういうふうに変わったというならわかるけれども、民間でやれないからやってきたんですというだけの話で、やってきたのに、民間でやれるものは民間でやれと、無理やりにそこに合わせて、これならやれるでしょうかみたいなやり方は本末転倒だと思うのですけれども、何か公団がやることに問題があったのですか、それはいかがですか。
三沢政府参考人 都市基盤整備公団も特殊法人でございますので、公団がやることに問題があるかどうかというよりは、むしろその公団の業務として、基本的には民間を補完するという観点から、本当にどの部分が民間にできないのかということを検討した上で、公団の業務を何をしていったらいいかというふうに考えていくということだと思いますので、今回も、そういう観点から再点検をした上でそういう方式に移行するという考え方でございます。
瀬古委員 私は、こういうやり方というのは大変問題になってくると思うのですね。今でも問題ですけれども。
 民間でやれることは民間でやるんだと言うけれども、やれないものは条件をしっかりつくってやって、それで、どうぞやってくださいみたいなのは、これは本当の民間でやれることは民間でというやり方じゃないと思うのですね。じゃ、民間が次々と、こうしてくれ、ああしてくれと言ったら、みんなそのとおりですとおぜん立てをしてやらなきゃならないということになってしまいます。
 実際には、九九年の公団法改正のときに参考人として委員会に出席された三井不動産の社長岩沙さんは、現段階では土地を購入して企業的な、経営的な観点で賃貸住宅事業を中堅層向けに供給する条件が整っていない、このように明言されて、わかりました、そのとおりですね、じゃ、整うようにいたしましょうといって、本来国がやらなきゃならない、公的にやらなきゃならないものもみんな譲り渡してしまう。そして、条件はもう企業の言うとおり、できるようなところまで条件を整えてあげるなんということをやったら、本当に国の姿勢が私は問われていくと思うのです。
 次に進みたいと思うのですが、合理化計画では賃貸住宅の売却が、条件つきではあるけれども明記されました。昨年八月に、特殊法人等の改革事務局案では、賃貸住宅の建設、管理は民間にゆだね、新規の賃貸住宅の建設は行わない、既存の賃貸住宅は順次売却とされていました。ところが、十一月に発表された主要七法人の改革の方向については、民間への売却の文言が消えております。そして、整理合理化計画では、それがまた入る。何でくるくる、こんな重要な方針が、賃貸住宅の売却をめぐって方針が変わってくるのか。国土交通省は、当初、賃貸住宅の売却は困難だと言っていたじゃありませんか。なぜ困難だと言っていたんですか。今日、その売却できるという条件はどのように改善されてきたんでしょうか。
三沢政府参考人 昨年の経緯を多少御説明申し上げますと、昨年の夏の段階で、先生御指摘のように、行革事務局の方からは、既存賃貸住宅は順次売却するという提案がなされたわけでございます。これにつきましては、順次売却ということでございますので、賃貸住宅全体を対象にして、基本的には売却の方向でという考え方でございますので、これについては、私ども大変問題があるという認識をその段階でお示ししております。
 具体的には、例えばやはり入居者二百万人の方々がいらっしゃる。しかもそれが賃貸住宅ストックとして大変な重要な役割を果たしているということ。それから、順次売却といった場合に、例えば収益性の高いものだけ売れていって収益性の悪いものが残り、全体としての賃貸住宅経営に支障を及ぼすのではないか。あるいは、他用途への転用が住宅政策上必要なところについてもどんどん行われてしまうということになりはしないかというような懸念から、そういう認識を示したものでございます。
 最終的に、昨年の年末に策定されました整理合理化計画の中では、基本的には公団が保有する住宅政策上の必要性を点検した上で、一棟単位で売却をして、かつその入居者の同意を要件としていくというような考え方でございますので、そういう考え方であれば、その夏の段階での行革事務局の提案に対しましていろいろ申し上げました問題点、これは必ずしも発生するものではないので、その場合には、一定の場合には売却の努力ということもすることもあるということで、そういう方針を決定されているものでございます。
瀬古委員 国土交通省としては、もし売却などということが起きたら大変なことになる、実際には家賃の減額だってどうなっていくのか、それから、空き家が発生したら店舗などに転用されて、変な店が入るんじゃないかとか――大体、二百万人の理解を得ることは困難だとはっきり言っていらっしゃったわけですよ。それを無理やりにねじ伏せられたと言うとあれかもしれませんけれども、ともかく一戸一戸の売却はないからいいんだとか、住民の同意を得た上でならいいんじゃないかと言うんだけれども、これで皆さんが最初から反対してきたことが条件として十分に満たされているのかということは、私は問題だというふうに思うんですね。
 少なくとも、同意という問題でいえば、では、全員同意してという形の同意がとられるんでしょうか。そして、同意しないという人が出れば、どういうような扱いになるんでしょうか。また、同意は公団の業務を引き継ぐ独立行政法人がとるのか、それとも売却を受ける業者がやるのか、こういうことも考えられますけれども、その点はいかがでしょうか。
三沢政府参考人 公団賃貸住宅を売却するといたしましても、その場合、やはり高齢者世帯を初めとする入居者の方々の居住の安定を図っていくということは大変必要不可欠なことでございまして、入居者の理解を得た上でないと売却ということはできないというのがまず前提にございます。
 こういう観点から申し上げますと、まず入居者の同意は、それは賃貸人である公団あるいは公団を引き継いだ独立行政法人がとるということ、これはもう原則でございます。それから、全員同意かどうかという点については、これも基本的には全員同意に近い形が望ましいというふうに考えておりますけれども、ちょっとその辺の具体的な詳細についてはこれからさらに検討してまいるということで考えております。
瀬古委員 例えば棟単位で売却するという場合に、オフィスビルになってしまうとか、それから風俗の業者が入ってくるとか、こういう問題がありますよね。そうしますと、ここの条件である居住の安定の確保という点では問題が出てくるというふうに思うんですけれども、その点はいかがでしょうか。
三沢政府参考人 まず、居住の安定の確保ということからいいますと、当然そこを売却することが住宅政策上どういうことになるのかということを十分点検した上でなされるべきことは当然でございます。
 それから、もちろん例えば売却の後の用途等につきましても、それはどういう相手方でもいいということになりませんので、やはりその辺、きちっとした用途にお使いいただける方を選定しながらやっていくということになりますし、また、必要であれば、売却に際してきちっとそういう条件をつけながらやっていくということになろうかと思います。
瀬古委員 時間が来ましたので、最後、大臣に一言お願いしたいと思うんですけれども、例えば、先ほどファミリー向けだとか高齢者向けの住宅を民間にゆだねると言うけれども、実際には民間は来ないということだってあるんですね、いろいろやっても。そういう場合には、やはりきちんと国として責任を持たなきゃならないんじゃないかと思うんですね。
 その点だとか、それから、やはり今まで公団がやってきた高齢者向けの住宅など、一定の家賃の減免制度だとか国が補助していた、そういう問題なんかもあると思うんですね。それが、民間にゆだねられたらもうみんななくなってしまうのかという点で大変多くの方々は不安に思っていらっしゃいます。その点、一言大臣に御見解を伺いたいと思います。
扇国務大臣 皆さん方に不安を抱かれないようにというのが一番大事なことだと思っております。
 ただ、私は、賃貸住宅経営が可能な水準の地代で公団の土地を賃貸するということによって民間の賃貸住宅の供給を促進できるという点は多々あろうと思うんですね。
 実例として、この間、公団が仕組みについて説明会を開催いたしました。例えば、東京で説明会に来た人が百三十社、二百名がいらしたんですね。そういう意味では、民間事業者の関心も大変高いということがこれでもって言えると思いますので、私は、民間の人たちの賃貸住宅の供給が着実に今後伸びていくであろうということは予測できるというふうには思っております。
 他方、今おっしゃいましたように、賃貸住宅の皆さん方の不安と、そして民間になったらどうなってしまうんだ、こういう不安をお持ちの皆さんもあろうと思いますけれども、私は、公団の賃貸というものに関しまして、これは財政支援として確実に、平成十四年度からは民間によりますことを原則として、公団は公共施設整備等の条件整備に重点的に取り組むというふうに明示してございまして、これによって、補助事業の制度も適切に活用する。
 また、公団賃貸住宅のみを対象としないで、財政支援としては、主として過去の高金利時に供給された賃貸住宅に関しましては、家賃から回収すべきコストを借入金利よりも政策的に低く設定するというように、例えば、ファミリー層に見合うような適切な家賃で供給するための利子補給がございますし、これを平成十三年度の補正予算におきましても、九百五十五億円を計上して措置したということでございますので、今議員が御指摘のような不安、そして今後の展望があり、しかも今の皆さん方が、ああ、このまま住み続けられるんだなというふうな展望を持っていただけるような施策に努力していきたいと思っております。
瀬古委員 終わります。ありがとうございました。
久保委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時三十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時四十五分開議
久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。松宮勲君。
松宮委員 自由民主党の松宮勲でございます。
 きょうは、限られた時間でございますが、本日の審議の対象になっております二つの法案の目的とする、例えば国土交通省の総合交通政策とかあるいは観光政策が、地域の実情を踏まえながら一体的、総合的に展開される重要性、あるいは、多極分散型国土形成の一環としての特殊法人の東京都区部からの地方移転等々の大前提となるべきは、やはり私どもの日本国が、地域の実情を踏まえながら、生き生きとして、将来に希望の託せるような国土形成を図っていくということに尽きると思います。
 そこで、私は、現下の国土交通行政にとりましても、あるいは日本政府全体にとりましても、今一番大事な喫緊の課題というのは景気問題、経済問題だろうと思います。そこで大臣に、まず、国土交通行政を展開していくに当たっての前提となるべき経済、景気の実態をどう御認識していらっしゃるのかをお伺いいたしたいと思います。
扇国務大臣 日本の現状を考えますときに、これは国土交通省としてお答えすべきなのか、政治家としてお答えするべきなのか、大きな範囲がありますので、まず国土交通省としての目線というものを御報告申し上げたいと思います。
 それは、今月の八日でございますけれども、発表されました昨年十月から十二月までのGDPの成長率、これはマイナス一・二%、今議員がおっしゃったとおりでございます。そういう意味では、年率でマイナス四・五%でございますから、何とかして経済を活性化さそうということで、十四年度の予算も、いろいろなことがある中で、今までにないスピードで、皆さんに御審議をいただいて、一昨日、参議院で通過したところでございます。また、我々は、十三年度第二次補正を皆さんに通常国会の冒頭で上げていただきました。
 そういうことからいいますと、今まで公共工事というものの考え方で、工事の受注量そのものは、一月の工事の受注額が前年同月比ではマイナス一五・七%という大きな落ち込みをしておりますけれども、十三年度の二次補正、そして本年度予算の早期成立ということで、私は切れ目のない仕事をしていく。
 大体、四月、五月は落ち込みの、言えばすき間でございましたけれども、そのすき間というものも補正予算でつなぎ、なおかつ通していただいた予算をなるべく早く地域、地方自治団体等々に配分して、これを早期に執行するということで、私は、必ずしもマイナスの暗いイメージだけではなくて、そういうことで、民間の皆さん、元気を持っていただきたいと思います。
 もう一つ、私は法案のことで言わせていただきますと、御存じのとおり、この間地価動向というのを発表させていただきました。これは、限られた地域ではございますけれども、大体横ばいになってきたり、あるいは、場所によっては上昇しました。どういうところが上昇したかといいますと、それは都市開発が進んだところが上昇しました。
 例えば、今まで日本一高いところというのは銀座四丁目のあの鳩居堂の前あたり、あれが日本一の地価でございました。ところが、今度、東京駅の真ん前の丸の内、これが新しく改装されまして、新しい丸の内が誕生します。そうすると、今度、地価の評価では丸の内が一番高くなりました。
 そのように、この間皆さん方に御審議をいただきまして、きょうやっと参議院で通りますけれども、都市再生法とか、あらゆることで絶えず活性化を図ることによって、民間が疲弊しておりますものが活力が出てくる、そして二十一世紀型になるんだと。
 暗い面を挙げれば切りがありません。そういうことで、元気を持って、前向きに、今の日本を変えていくんだということで、公共工事の限られた予算の中で集中的に投資し、今継続しているものは集中的に投資して、それを仕上げていくというふうに、いろいろな工夫があって、特に国土交通省、公共工事をたくさん背負っていますので、より元気の出る二十一世紀の初頭の日本をつくっていく足がかりを皆さんの法案審議の中でつくっていきたいと思っております。
松宮委員 明るさを求めて暗きを見ずという格言がございます。砂漠に道迷う旅人が、あと水筒の中に飲み水はもう半分しかないと考えるのか、いや、まだ半分あるぞ、こう見るかによって、随分生きざまというものが変わってまいります。私どもの景気も、景気の気は気分の気ということで、できるだけトンネルの先の曙光を確実なものにしないと、今大事なそういう時期に日本は置かれているんだと思います。
 ただ、残念なことに、例えば一昨日、商工中金が発表いたしました来年度の日本の中小企業の設備投資計画は、一年前に比べて、製造業で四四%ダウン、サービス業で四六%、合わせて平均で四五%もダウンという、希有の非常に厳しい状況に置かれております。
 こういう経済実態でございますからこそ、大臣御指摘のように、平成十三年度予算では、一次、二次と二度にわたる補正予算を計上いたしたところでございますし、それから与野党が経済の危機を認識されたからこそ、平成十四年度の予算も一昨日参議院で成立を見たということだろうと思います。
 私は、今日本経済の置かれている状況というのは本当に厳しい状況で、ありとあらゆる政策を総動員してでも、このデフレのスパイラルがとまらないダウンワーズの道というものを阻止しなければいけない、こういう感じでございます。
 その意味では、国土交通省の果たすべき役割というのは極めて大きいものがあると存じますが、その一つの例として、今大臣御指摘の平成十三年度の第二次補正予算、随分たくさんの公共事業、施設整備が計上されております。この執行の準備状況をちょっとお聞かせいただきたいと思います。
風岡政府参考人 十三年度の二次補正予算の執行状況でございますけれども、内容は、先生御案内のとおり、構造改革を加速するということで、緊急対応プログラムというものを実現するために補正予算の編成がされたわけでございますが、私ども国土交通省の関係では、その中の事業といたしまして、例えば羽田空港の暫定国際ターミナルの整備の拡大など大都市圏の空港機能の強化とか、あるいは都市計画道路で地方自治体が一定の期間内に完了するというような宣言をした路線、これの用地買収とかあるいは整備の促進とかそういうもの、さらには歩行空間とか鉄道駅のバリアフリー化、そういうような構造改革につながるような事業を盛り込んでいるところであります。
 これの実施状況でございますけれども、補正予算自身は二月一日に成立したばかりでありまして、数字的なことは私ども残念ながらまだ把握ができておりませんけれども、この補正予算の内容が先ほど申しましたような内容でありまして、緊急に実施をする必要があるものとして取りまとめられておりますので、当然のことながら、私どもとしてはその事業の執行というのに全力をかけて取り組んでいるところであります。
松宮委員 とにかく、地域経済を初め日本経済全体が置かれている状況にかんがみまして、ぜひとも切れ目のない早期かつ完全な執行というのをお願いいたしたいと思いますが、あわせて、一昨日成立いたしました十四年度の予算の執行の問題なんです。
 過去の経済対策を顧みて考えてみますと、今の日本経済の置かれているような状況よりもう少しやわらかな、景気の沈滞期、しかし今よりは厳しくない状況でも、新年度予算成立早々、上期に、多い年には八割を超えるような、前倒し執行というのをやってきたはずでございます。
 現下の経済実態に照らしますと、来年度の予算も、先ほど御指摘の平成十三年度の二次補正と合わせて十五カ月通算の予算で、前年度の当初予算に比べて六%ふえているんですよ、こういうことを国土交通省、大臣もセールスポイントにしていらっしゃいます。ならばこそ、来年度の十二カ月予算も含めてトータルで、できるだけ前倒しして執行しなければ、十五カ月予算といっても、実際に執行されるのがこれから四月以降であるならば、これは、平成十三年度の二次補正予算もさることながら、成立したばかりの新年度予算についても、極力、地域経済の実情も十分に踏まえた上での早期執行方をぜひともお願いしたいと思うのでございますけれども、いかがでございましょうか。
風岡政府参考人 十四年度の公共事業等の予算の執行でございますが、本日の閣議におきまして、財務大臣から、年度を通じて景気の下支え効果が切れ目なくあらわれるよう機動的な施行を図る、そういう旨の御発言がございました。
 私ども国土交通省の所管事業の執行に当たりましても、この方針に従いまして、特に現下の経済環境というものを考慮して、年度当初の状況に十分注意をする、それからまた、用地取得済みで早期に着工が可能な事業とか、あるいは民間投資の誘発をもたらすような可能性のある事業、すなわち経済活性化の効果の高い事業、これを優先的に実施するようにしていきたい、このように考えております。また、先ほどの十三年度の二次補正予算でございますけれども、これも十四年度の当初にかけていよいよ本格的な実施段階ということになるわけでございますので、先生御指摘のように、十四年度の予算と十三年度の二次補正予算、一体的に運用していく、こういうことで進めていきたいと思っております。
松宮委員 私も、きょう国土交通省からの御連絡で、本日の閣議で塩川財務大臣が来年度の予算の執行についての御発言があったのを聞かされました。
 今官房長お答えのように、受けとめ方によっては、景気の実態を認識した上での大事な執行の必要性というのをお述べになっていらっしゃるような気がするんですけれども、しかし、量的な関係というのは何らメンションされておりません。これが、これまでの経済対策との基本的な違いでございます。
 そこで、来年度の予算の早期執行との兼ね合いで、あるいは早期執行も一つのエレメントとして、今の経済実態に照らして総合的なデフレ対策の必要性というのは各方面から指摘されておりますし、私自身も、第二弾、第三弾のデフレ対策が必要だろうと思っております。さきに、二月に打ち出されましたデフレ対策で、総理は、経済の実態に照らして大胆かつ柔軟というおなじみのフレーズで、二の矢、三の矢もあり得る、そういうお考えを既に述べられているところでございます。
 株は、御案内のような空売り規制の強化等々、あるいは公的資金の投入もあったのでございますが、何となく、九千四百円をうかがうレベルから、今一万一千円台ということで、小康状態。三月危機というのは一体どこに行ったんだというような過去形で語る方もいらっしゃいますが、現実はそんな生易しいものじゃございませんし、デフレスパイラルは、緩やかなスパイラルどころか、私はもう確実にそのスパイラル過程に入っていると思います。間違いなしに、近い時点において抜本的なトータルの経済対策が必要だろう、そういう時期が到来すると思います。
 その中で、繰り返しでございますが、国土の大事な社会資本の整備と同時に、本日の法案の対象にもなっておりますような陸海空の関連する膨大な産業、膨大な雇用力をお持ちになっている国土交通省の出番というのは、まことに重かつ大だろうと思います。
 多くは申しません。その中で税制というのもデフレ対策で大事な役割を果たすと思います。とりわけ、今巷間いろいろな分野で、政府の税調なりあるいは経済財政諮問会議等でも、活力ある税制、日本経済、後ろ向きの構造改革だけじゃなしに、前向きの攻めの構造改革をやっていなければ、この一億二千七百万の国民、四つの島の中で生存は保証されない。そういう意味で、前向きの税制改正というのも、大きな政策的アジェンダとして登場しつつあります。
 国土交通省として、例えば、非常に民需の惹起に大きな役割を果たしております住宅建設の促進等も含めて、税制について今どういうお考えかを最後にお聞かせいただきたいと思いますし、大きな役割を果たしているからこそ、国土交通省、次なる総合経済対策でもしっかりと十二分に国民経済的に課せられている責務を果たしていただきたい、それだけの大きな役割を国土交通省は担っているんだということを、エールを送らせていただきながら、御回答をお願いしたいと思います。
扇国務大臣 私もかなり元気でございますけれども、元気のいい御声援をいただいて勇気百倍でございまして、こういう委員会の論議を皆さん方が一般にお聞きいただくとみんなも元気が出て、景気の気は元気の気だと最初におっしゃいましたので、私はいいと思います。
 現実的には、設備投資の今の現状、報告をされました。それと、やはり不良債権処理の今日までの期間のおくれ。それから、我々としては、少なくともPFIというものを初めて実行しようということで、民間の活力と民間のノウハウ、これをPFIによって引き出していこうということも大事なことでございます。
 それから、今税制とおっしゃいましたけれども、税制の中で、特に私どもは大事にして、また景気に資するようにということで、今までのあらゆるところでの税制というものの見直しをしていこうということで、例年は、自由民主党、責任政党で、いつも秋でないと税調をお開きになりませんけれども、ことしは早くお開きいただけるということで、自由民主党だけに私はおんぶするわけではありませんけれども、税制問題について堂々と私は論議を闘わせていただきたいと思っております。
 それとともに、あらゆる税制、所得税のこともございます、また遺産、相続税の金額の増大もございます。そして、今は核家族でございますけれども、少子高齢化社会になったので、おじいちゃん、おばあちゃん、千四百兆の中で半分以上をお年寄りが持っているものですから、夫婦で先行き寂しいなと思う人も、今の預貯金から、子供たちとあるいは孫たちと一緒に住むから住宅を改造する、あるいは広げていく、二階建てにするというような、今までは新規でしたけれども、中古、改築に対しても税制面で見るべきであるというようなことも含めまして、税制改革がこの景気の浮揚に大きな役割を果たしていく、私はそう思っております。
 そういう意味では、不動産の証券化、これも外国では既に始まっておりますから、私は、あっという間にこの不動産の証券化ということも、日本では今、大きな声で言うと悪いですけれども、皆さんがゼロ金利で困っていらっしゃいますので、では、証券化にいった方が間違いないというふうに思っていただいて、それも含めて、景気のあらゆる面で国土交通省の対応、ぜひ与党、野党を超えて税制の改革等に対して御助力いただければ景気がよくなると確信を持って前進したいと思っております。
松宮委員 ありがとうございました。大変心強い御回答です。ぜひ私どもも頑張らせていただきたいと思います。終わります。
久保委員長 赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 きょうは、参議院本会議も後で段取りされているようでございますので、大変短い時間でございます。昨日提出いたしました質問通告、最後の方はできないかとも思いますが、まず御容赦のほど、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 まず、きょうの議題となっております国土交通省設置法の一部を改正する法律案につきましては、役所の説明にもありましたように、まず、平成十一年四月二十七日に閣議決定をされた国の行政組織等の減量、効率化等に関する基本計画において、「行政事務の効率的執行の観点から地方支分部局の整理合理化を推進することとし、」同時に、「民営化、独立行政法人化等事務及び事業の減量、効率化を行う機関にあっては、その合理化に対応した整理を実施する。」こういったことを受け、同時に、平成十二年の四月に、総務庁から当時の運輸省に対しまして、船員行政監察結果というもので、海運支局の再編整理を図る必要がある、こういったことも勧告を受けて、今回の法改正に至ったものというふうに理解をしております。
 今回、全国五十二カ所の陸運支局と六十七カ所の海運支局を五十一カ所の運輸支局に統合する、こういったかなり複雑なプログラムになっていると思いますが、これは本当にこの行政改革の勧告にあるような合理化に資するものとなっているのかどうか、こういったことについてまず確認をしたいと思います。
 まず、陸運支局五十二カ所、海運支局六十七カ所の建物は、運輸支局五十一カ所に統合されることによってどうなるのでしょうか。五十一カ所にまとまるのかどうか。建物自体は、陸運支局、海運支局それぞれこれからも併存するのかどうか、まずこの点、ちょっと細かいことで恐縮ですけれども、確認させていただきます。
風岡政府参考人 御指摘の陸運支局五十二カ所とそれから海運支局六十七カ所、これを運輸支局ということで五十一カ所に統合することにしております。
 この場合、現実問題として、それぞれの建物がどうなるのかということでありますけれども、まさにこういう形で統合しますので、いずれにしましても、当面はそれぞれの支局が建物としては使われることになると思います。将来的には、例えば近隣のようなところにあるものについては建物が一体になるということだというふうに考えております。
 ただ、建物が事実上残るといいましても、仕事の内容としては、運輸支局というふうになりますから、それぞれの建物で陸の仕事も海の仕事も受け付ける。現場に即した事務というのはそれぞれ残るところはあるかと思いますけれども、そういう意味で、アクセスポイントがふえるという効果はあるというふうに考えております。
赤羽委員 業務内容の改善について入る前にもう一点だけ。
 よく効率化、行革の話でいきますと、人員削減がされるのかどうか、こういったことが必ず問われると思うのですが、この点については、今回の措置でどうなるのでしょうか。
風岡政府参考人 運輸支局の定員がどうなるのかということでお答えをさせていただきたいと思います。
 七月一日時点で見ますと、管理要員、これの削減が約八十人ほど削減できるというふうに考えております。それに加えまして、七月一日には自動車検査独立法人というものができまして、そこに検査業務を移管するということになります。その関係で、八百三十二人の削減というのがあわせて行われます。その結果、支局全体で見ますと、現在三千六百七十六人の体制が二千七百六十五人ということで、全体としては九百十一人の減、こういうようになると考えております。
赤羽委員 今の御説明にもありましたが、私は、今回のこの法改正では、効率化、スリム化という意味では、まだ具体的にはそこまで踏み込めていないんではないか、そういう評価になるんじゃないかと。今言われたように、人数も、八十何人減るということは確かに減量ですけれども、その車検の部分というのは組織が変わるわけですから、実質的には減るわけじゃありません。
 ちょっとお願いをしておきたいのですけれども、役所のペーパーというのは「運輸支局の設置」とかいって、陸運支局五十二、海運支局六十七、足したら百十九、これが運輸支局五十一、海事事務所二十六で七十七になる、ですから組織のスリム化だと。こういうことをやっているから、役所のペーパーは信用されないんですよ。(発言する者あり)別に野党の人に声援してもらう必要もないんだけれども、まともに考えれば、これはスリム化になっていないわけですよ。ですから、なっていないことはなっていないと認識をしながら、しかし、今官房長のお答えにあったように、今後の将来の方向づけとしての第一歩だというふうな説明をされた方が国民の理解は得られるというふうに私は思います。それはお願いでございます。
 それで、具体的に業務改善について、二十一世紀の新しい交通政策を云々とか観光行政にと、業務改善の基本方針というのは大変すばらしいというふうに私も思いますが、では、その新しい業務をどういうふうに実行していくのか、そのためのどういう組織改正であるべきなのかということが大事なわけですよ。
 目標は、やれ陸海一体となって観光行政も取り込んでその窓口になりますと言うのは簡単だけれども、実際、この運輸支局に、ある意味では陸運支局、海運支局を運輸支局に変えただけで突然その業務が改善されるほどそんなに易しい話じゃないというふうに実は思います。
 この部の再編とかを詳しく見ますと、企画部が企画振興部というものになって、新設されるのは交通環境部という部が一つだけですよね。実際、この一点の変更で、本当に午前中からの御答弁があるような地域と一体となった行政が展開されるのかどうか。こういったことは、これから相当気合いを入れて取り組まなければいけない仕事になるのではないかというふうに思います。組織を変えたとしても、そこに魂を入れなければ、なかなか業務改善というのはされないのではないかと思いますが、そういった点について、具体的な取り組みに対するお考えをぜひお聞かせいただきたいと思います。
風岡政府参考人 今回の地方運輸局の見直しにつきましては、本局レベルのこと、それから支局のところ、この二つがあるわけでございますが、先生ただいま御指摘の本局のところにつきましては、企画部を再編するような形で企画振興部あるいは交通環境部、こういうものを設けまして、地域と一体となった公共交通とか観光行政の推進とか、あるいはバリアフリーとか環境問題とか新しい課題もありますから、そういうものに取り組んでいくということを考えております。それは本局レベルでの取り組み体制ということになります。
 あわせて、運輸支局ということで原則都府県に一つ設けるわけでございまして、そこでもやはり、本局と連携をして総合的な展開をしないとなかなかきめ細かい対応ができないというふうに考えております。私ども、今回の組織の見直しの中で、先ほどの本局だけではなくて運輸支局においても企画担当のセクションというのをつくることにしております。それぞれ、規模によりまして、課の体制をとる場合とかあるいは企画調整官というような形になるとか、さまざまでございますけれども、いずれにしましても、総合的な取り組みというのが運輸支局でもできるような組織的な体制というのをあわせてやっておりますので、できるだけそういう形で本局と連携して有効な取り組みができるようにやっていきたい、このように考えています。
赤羽委員 今回の措置、私は決して悪いものではない、いわゆる縦割りの弊害を一つにまとめて、よりフィールドの大きい行政をしていこうという意味では、方向づけは間違っていないと思いますので、ぜひこの改正が単なる看板のかけかえだけに終わらないように取り組んでいただきたいというふうに思います。
 中で、これまでの神戸海運監理部が今回、兵庫陸運支局とともに統合されて、支局にはならずに、ここだけ神戸運輸監理部ということになるようになっています。この理由について、神戸港の特殊性にかんがみ云々と、こうあります。私は、神戸選出ということだけではありませんが、やはり神戸港の極めて重要な、重要性をかんがみての別扱いというか位置づけになっているのかな、このように考えておりますが、今回の神戸運輸監理部設置の背景というか思いをぜひ伺いたいと思います。
 それに加えまして、きょう、本当は時間があればいろいろ議論もしたかったんですが、神戸港とか、菅政務官の選挙区であります横浜港とか、こういったいわゆる主要五大港というか、日本のメーンポートの国際競争力がなくなっていると随分言われておりますが、今回の神戸の措置については、そういった重要性にかんがみて、またメーンポートの国際競争力を回復させよう、こういった思いがあるのかないのかということをぜひ御答弁いただいて、大変短時間で残念なんですけれども、終わりにしたいと思います。
高木大臣政務官 ただいま神戸運輸監理部の設置及び港湾の国際競争力の回復についてのお尋ねがございましたけれども、今委員御指摘のように、神戸港は特に日本有数の港湾であるということ、甚大な被害をこうむった阪神大震災以降も我が国の海上交通の重要拠点であるというように認識をしております。
 具体的には、税関または検疫所等の行政機関、または倉庫業、海運業、造船業の本社など、港湾、海事関係の官民の諸機関が神戸に集積しております。このため、兵庫県については、神戸港を中心に、関東、中部、近畿、それぞれのブロック機関に次ぐ膨大な海事行政のニーズ、これが生じており、今回の組織再編に当たっては、このような兵庫県における海事行政のニーズの特殊性または重要性を踏まえて、同県における行政サービスの低下を招くことのないようにということで、引き続いて、ブロック機関に相当するような形で神戸運輸監理部を設置することにいたしました。
 もう一つ、神戸、横浜といった、国際競争力をどうしていくのかという問題も御指摘がございましたけれども、これについても、我が国の主要港湾の国際競争力を確保するということは本当に重要なことである、このように認識しておりますし、その上で、ハード、ソフト一体となった対応を官民あわせてやっていかなければいけない。
 特に、ソフト面について申し上げますと、年末年始、ことしから港湾の二十四時間のフルオープン化、また輸出入、港湾行政手続のワンストップサービスなど港湾のサービス向上に努めること等、例えば神戸港においては、港湾施設使用料、これを約三割減額するなど港湾諸料金の低減化に努めて、国際競争力に対応しようとしております。
 また、ハード面についても、神戸港、横浜港を初めとして、我が国の国際海上コンテナの輸送の拠点である中枢国際港湾において、高規格のコンテナターミナルを重点的に整備しよう、そのように考えております。
赤羽委員 今回の法改正による組織がえに魂がしっかり入ることを期待いたしまして、私の質問を終わりにさせていただきます。どうもありがとうございました。
久保委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
久保委員長 ただいま議題となっております両案中、まず、国土交通省設置法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 国土交通省設置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
久保委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 次に、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案について議事を進めます。
 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大幡基夫君。
大幡委員 私は、日本共産党を代表して、平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案に対して反対討論を行います。
 反対する理由の第一は、この法律による特殊法人の移転が、東京一極集中の是正には何の役にも立たず、むしろ東京圏への業務機能を一層集中する結果をもたらすからであります。
 それは、東京、神奈川、埼玉などの首都圏全体の人口は一九八八年の基本方針の決定後も転入超過数が急増していることからも明らかであります。しかも、移転後の跡地が再開発され、政府の言う東京二十三区の業務機能集中の抑制にもつながりません。
 さらに驚くべきことは、既に、都市再生関連法案で、都心への事務所ビルの建設ラッシュともいうべき公共事業が集中的に行われようとしています。つまり、全く逆の政策が混在しつつ進められつつあるのであります。
 反対理由の第二は、移転先を取りまとめてから十三年も経過しているのに、抜本的な見直しを行わないからであります。
 移転の基本方針を定めた多極分散型国土形成促進法制定当時は、バブル経済のもとで東京を中心とする狂乱地価が起こり、地上げ屋が横行し、住民が住みなれた町から追い出されるという事態が広がっていました。しかし今日、地価の下落とデフレ経済など、社会経済情勢が大きく変わっています。国と地方自治体の財政は危機的状況にあります。にもかかわらず、最初に移転ありきの方針にしがみつき、莫大な税金を使って移転を強行することは許されません。
 第三の理由は、主な移転先である横浜みなとみらい21など業務核都市は、ビルを建設してもテナントが入らず、莫大な赤字になっています。しかも、巨大なデパートの進出などで周辺商店街は寂れ、シャッター通りと言われるなどの寂しい状況になっています。
 これでは、政府の言う業務核都市の活性化にならないばかりか、逆に地域の疲弊を招くものです。
 このような税金の全くのむだ遣いの移転には到底賛成できないことを指摘して、反対討論を終わります。(拍手)
久保委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
久保委員長 これより採決に入ります。
 平成十四年度における特殊法人の主たる事務所の移転のための関係法律の整備に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
久保委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
久保委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十一分散会


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