衆議院

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第8号 平成14年4月10日(水曜日)

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平成十四年四月十日(水曜日)
    午前九時一分開議
 出席委員
   委員長 久保 哲司君
   理事 木村 隆秀君 理事 実川 幸夫君
   理事 橘 康太郎君 理事 林  幹雄君
   理事 古賀 一成君 理事 細川 律夫君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      伊藤信太郎君    小里 貞利君
      倉田 雅年君    菅  義偉君
      田中 和徳君    高木  毅君
      高橋 一郎君    谷田 武彦君
      中馬 弘毅君    中本 太衛君
      林 省之介君    菱田 嘉明君
      福井  照君    二田 孝治君
      堀之内久男君    松岡 利勝君
      松野 博一君    松宮  勲君
      松本 和那君    吉川 貴盛君
      阿久津幸彦君    井上 和雄君
      大谷 信盛君    木下  厚君
      今田 保典君    武正 公一君
      樽床 伸二君    津川 祥吾君
      永井 英慈君    伴野  豊君
      平岡 秀夫君    高木 陽介君
      山名 靖英君    山岡 賢次君
      大幡 基夫君    瀬古由起子君
      原  陽子君    日森 文尋君
      西川太一郎君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      佐藤 静雄君
   国土交通副大臣      月原 茂皓君
   法務大臣政務官      下村 博文君
   国土交通大臣政務官    菅  義偉君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   会計検査院事務総局第三局
   長            白石 博之君
   政府参考人
   (法務省大臣官房審議官) 原田 晃治君
   政府参考人
   (法務省民事局長)    房村 精一君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            岩村  敬君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  竹村公太郎君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  川島  毅君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  深谷 憲一君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十日
 辞任         補欠選任
  赤城 徳彦君     伊藤信太郎君
  松宮  勲君     林 省之介君
  大谷 信盛君     武正 公一君
  前原 誠司君     木下  厚君
  高木 陽介君     山名 靖英君
  保坂 展人君     日森 文尋君
  二階 俊博君     西川太一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     赤城 徳彦君
  林 省之介君     松宮  勲君
  木下  厚君     前原 誠司君
  武正 公一君     大谷 信盛君
  山名 靖英君     高木 陽介君
  日森 文尋君     保坂 展人君
  西川太一郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 連合審査会開会申入れに関する件
 会計検査院当局者出頭要求に関する件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 マンションの建替えの円滑化等に関する法律案(内閣提出第二六号)
 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
久保委員長 これより会議を開きます。
 この際、連合審査会開会申入れに関する件についてお諮りいたします。
 内閣委員会において審査中の内閣提出、道路関係四公団民営化推進委員会設置法案について、内閣委員会に対し連合審査会の開会を申し入れたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 なお、連合審査会の開会日時等につきましては、内閣委員長と協議の上、追って公報をもってお知らせすることといたします。
    ―――――――――――――
久保委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長岩村敬君、都市・地域整備局長澤井英一君、河川局長竹村公太郎君、住宅局長三沢真君、鉄道局長石川裕己君、港湾局長川島毅君、航空局長深谷憲一君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長白石博之君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。木下厚君。
木下委員 民主党の木下厚でございます。
 大臣には、早朝より御苦労さまでございます。
 きょうは、せんだっても質問させていただいたんですが、政治と金の問題、とりわけ公共事業にまつわる政治家の、今口ききビジネスなんという言葉がマスコミなどで使われておるんですが、こういった公共事業に対して口ききによってビジネスが成り立つという、まさに異常な社会になってきている。これは大変驚くべきことであると同時に、まず政治不信の元凶がここにある。
 今、小泉さんは盛んに構造改革ということを発言されております。しかし、構造改革の根本というのは、まさにこういった政治と金、もっと言えば、政官業、この癒着構造の根絶こそがまず構造改革の原点であろうと思います。
 そういう意味で、再三にわたって私この問題を追及してまいりましたが、改めてこの問題を、政治と金、あるいは公共事業と政治家、金との関係について質問させていただきたいと思います。
 さて、先般、加藤紘一元自民党幹事長の事務所代表を務める佐藤三郎さんの件に絡んで、加藤紘一さんが議員を辞職いたしました。これに関しまして、扇大臣から、その根本には、事務所の佐藤三郎という代表の口ききビジネス、あるいは公共事業にまつわるあっせん、こういったものが背景にあったと思うんですが、この加藤紘一さんの議員辞職について率直な御意見を、まず大臣からお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 おはようございます。
 先日も木下議員からこういう件についてるる御質問がございましたけれども、加藤元自民党幹事長が議員辞職という大変重い決断をされたこと、それに関しては、もともと私は、政治家の出処進退は、みずからその決定を下す判断能力というのは、すべからく政治家が有するものであると、みずからの判断をみずから決するということぐらいの決断がなければ政治家としてという話を、マスコミを通じてはっきりと申し上げました。
 みずからの決断をされたということは、一度は総理候補とまで言われた方ですから、やはり政治家としての判断能力をお持ちであったということでは、私は、やはり潔かったと思うし、また、政治家である以上、みずからを律する、そして、みずからの判断はみずから決するというこの判断能力を持ち得ないでは日本の総理・総裁候補になるという資格もなかったと思っていますので、そういう意味では、やはり政治家としての最後の決断をされたと思って、重く受けとめながらも、以後私たちは、みずからそういうことがないように戒めなければならないと思って、きのう本会議の結果を拝聴しておりました。
木下委員 もう一点。先ほど言いましたように、口ききビジネスという言葉がマスコミをにぎわしている。これについては、担当大臣としてどんなふうなお感じをお持ちでございますか。
扇国務大臣 口ききビジネスというものがあること自体が、私は今の世の中、情けないと思っております。まして、国土交通省、一年間に四万四千件も入札をいたしますから、そういう意味では、口ききビジネスがまかり通る世の中というのは情けない。
 日本の沈没の序幕に入ったと言わざるを得ないような現状であるということは、私は、何としてもこれを阻止しなければならないし、また、あってはならないことだと思って、国土交通省としては、あらゆる手だてを通じて、こういうことができないような基本的な排除方法はないかと今探っておりますので、また御質問があれば、るる細かい今の国土交通省の対応というのを御披露させていただければと思います。
木下委員 今、大臣から大変力強い御発言をいただきました。私も全く同感でございます。
 実は、先日、これは三月二十日でございますが、私の事務所にこういった内部文書が郵送されてきました。これにかかわる話を私も調査いたしました。そして、これについて、今週発売のサンデー毎日にこういう記事が出ました。「衛藤征士郎元防衛庁長官の姑息なカネ集め」というようなタイトルで記事にされています。
 なぜ私のところへ匿名でこういう文書が送られてきたかよくわかりませんが、私自身が二十数年間ジャーナリストとしてこういった政治と金の問題を厳しく追及してきた、それを知っておられてあるいは郵送されてきたのかな、そんな思いもいたします。そういう意味でも、私自身は、この政治と金の問題をさらに追及していきたいなと思っております。
 まず、私のところへ送られてきた内部文書について、ちょっと議論させていただきたいなと思います。
 ここに、衛藤征士郎衆議院議員に多額な金を取られております。まずは、衛藤征士郎の方よりAという秘書が建設業協会佐伯支部の方へ来て、私のところの代議士が自由民主党で力を出すためには、代議士の選挙区で党員を多くすることだ、そのためには建設業界の皆さんにお願いするしかないと話を持ちかけたのが一番初めでした。それで協会としては、協会員側にお願いするしかないと役員会で秘書に話すと、昨今は企業から金は取れないので、党員として一人一人入党してくれと言ったので、金を協会から下記の順に出したのであります。平成十年四月二十七日、建設業協会は、佐伯支部の事務所にて現金七百二十八万六千円を秘書のA氏に手渡した。このとき、領収書もなく、名刺の裏に書いて帰ったのであります。その後、本物の領収書を持ってきてくださいと再三請求した後に、党費として自由民主党大分県支部連合会の領収七百二十八万六千円を持ってきました。それがこの領収書でございます。これが平成十年度党費として、平成十年四月二十七日付の領収書で来ております。
 さて、この問題についてちょっと考えてもらいたいんですが、いわば党費というのは、党員の皆さんお一人お一人がその党に納める、これが党費の本来の使われ方であります。業界が、こういった形で七百二十八万六千円、これを一括して払う。恐らく自民党さんの党費は年四千円だと思うんですが、これで計算しますと、党員の中には、家族党員という、どういう名前で呼ばれているか知りませんが、一般党員とそれから家族の方もおられるので、四千円であったり二千円であったりするかもしれませんが、この額でいきますと、恐らく二千何百人の人たちがこうした形で入党している。
 この問題について、衛藤事務所にも私も確認をいたしました。いや、名簿はちゃんと出してありますよとおっしゃっていますが、こうした形で協会が一括して党へ払う、こういう形式はやはり本来の姿ではない。
 これは、かつて架空党員とかあるいは幽霊党員というような話で大問題になったわけであります。業界が一括して、それをどういう形で分けたか知りません。恐らく、名簿を見ましたら百三十社ぐらい協会に入っているんですが、その各社に対して、例えば五人、十人名簿を出すという形でやっているんだろうと思うんです。私も何人かに電話をいたしました。しかし、振り込んだときに党員になっていなくて、確認したら、まだ党員になっていない。いわば架空で党員にならされたという人も何人かいました。
 まず、こういう実態があるということを御承知おきください、これについて特別コメントは要りませんが。依然としてこういうことが行われている。
 さらに、その後、平成十年十一月二十日、五百万円を衛藤征士郎さんの口座に振り込まされた。五百万円、これが何の金かよくわからない。とにかく領収書を出してくれ、領収書がないと決算ができない、そう言ったところ、衛藤事務所の方から慌ててこういった領収書が来たそうであります。五百万円を同じ日付で、十一月二十日に百五十万、百五十万、百五十万、そして五十万という形で送られてきた。
 これは恐らくパーティー券だと思うんですが、本来、パーティー券の場合は、事前に、こういうパーティーに使いますから資金を出してくださいと言うのが当然なんですね。まず五百万円あって、政治資金規正法でいきますと二十二条の第四項ですか、一つのパーティーについて百五十万円が上限であるということを御存じだったものですから、慌てて五百万円を四回に分けて切ったということだろうと思うんですね。
 さらに、平成十一年十月二十七日に、また二百万円を協会として払った。これについても領収書がない。それで言ったところが、慌ててまた百五十万円と五十万円の領収書が送られてきたということをこの方は指摘しているのでありますが。
 これについて、政治資金規正法に違反するかどうかは、私もいろいろ調べました。しかし、これについては非常によくわからない。疑惑があることは事実ですが、完全に違反しているかどうかは、これは事実認定できないということでございます。
 ただ、やはり政治家としての政治的あるいは道徳的、そういった観点からいうと、一括してもらった金を資金規正法に合わせるために百五十万ずつ分ける、こういうこそくな方法というのは、やはり政治家としてやるべきではない。事前に百五十万円という上限があるわけですから、そこはきちんと告知をして、こういうパーティーをやりますという形で告知をした上でお金を集める、そしてきちんと届け出る、これが本来の姿だと思うんですね。
 もし今のようなやり方がまかり通るとすれば、一千万来た、それを今度は百五十万ずつ分ける、そして、それによってパーティーを慌ててやるというような形がもしまかり通るとすれば、これは本末転倒である。まずパーティーがあって、そして、それに対してきちんとした、パーティー券を購入するなら購入する、そういった手続を経た上でやらないと、これはやはりさまざまな形で弊害をもたらす、あるいは業界に対して要らぬ不信感をもたらす。私はそういうことだと思うんです。
 これについて大臣から個別のコメントはいただきませんが、一般論として御感想だけ、もし何かお感じになることがありましたらお答えいただきたいと思います。あくまでも、バックが建設業界でございますので、大臣から、こういうことが本当に許されるのかどうか、その辺をちょっと、御感想だけでも結構でございますので。
扇国務大臣 今おっしゃったことは、私の手元に資料もございませんし、御提出もございませんし、個々のことでございますから、私はそれについてはコメントする資格もございませんし、調査もできておりませんから、何とも言えません。
 ただ、私も自由民主党に籍を置いたことがございます。私は全国区でございますから、自由民主党の党員の中には職域支部というのがございまして、各県で職域支部というのをつくっておりまして、一括で職域支部でお金をまとめたというのが、私がかつて自民党にいたころには、そういうものがございました。
 ですから、それが正しいのか正しくないのか、届け出ているか届け出ていないかというのは、それは再度お調べになっておっしゃればいいことで、私は、現段階では、今資料を持ち得ません。
 ただ、建設業界からというあえての御質問でございますけれども、建設業界にも今大変苦しいところもたくさんございます。しかも、赤字会社からは、三年連続赤字の企業からは献金は受けられないということにもなっておりますので、私は、そういう意味では、建設業界と十把一からげで言うことはいかがかと思います。
 それぞれの会社のそれぞれの経営状況というものがあろうと思いますから、建設業界としてお出しになったのかどうかが、その辺、私には、今知り得る立場にございませんけれども、とにかく、人から見て違法だと思われないような、政治家としてきちんとオープンできるような、情報公開できるような姿勢であるべきだと私は思いますし、それが自治省に届けられて、正式に政治資金規正法の中で違反していないのであれば、私としては何とも言えないことでございます。
木下委員 今大臣の方から、政治資金規正法に基づいていれば問題ないという発言がございました。(扇国務大臣「問題ないじゃない。何とも言えない」と呼ぶ)何とも言えないという発言がございましたが、本当にそうなのかどうか。
 今、資料をお手元にお配りしていると思うんですが、資料一に、大臣、これは先般もお配りしたので御承知だと思うんですが、「大手ゼネコンから自民党の国民政治協会への献金」。平成七年から平成十二年まで、これは政治資金規正法に基づいて届け出たものをこういう形でまとめたのでございます。
 これを見て驚くのは、今、本当にゼネコンが大変な危機を迎えている。ことし、場合によっては何社つぶれるかわからない、そう言われております。既に昨年末、青木建設、佐藤工業、日産建設が倒産して、さらに、三井建設、住友建設、フジタの三社は来春に経営統合する。あるいは、長谷工コーポレーション、飛島建設は事業の大胆な再編を条件に金融機関からの支援を仰いでいる。あるいは、中には、不良債権を、債権放棄して、そして辛うじて営業している。
 実は、この債権放棄というのは、いわゆる金融機関に対する債権放棄ですから、それに対して、今度は金融機関に国民の税金から公的資金を投入する、そういう関係になっているわけですね。そういうゼネコンからこれだけ多額の献金を受けている。例えば、トップに書いてある大林組、平成十二年一千九百万円、あるいは清水建設二千二百万円、これだけすさまじい献金をしているわけでございます。
 実際に私も、平成十三年度決算、三月期決算でどれだけの企業が赤字か、これは調べてもらいました。そうしたら、まず大林組、これは百五十億ですか、マイナスです。それから竹中工務店、清水建設、さらにはフジタ、東亜建設工業、間組、三井建設、淺沼組、錢高組、こういった企業が軒並み赤字決算なんですね。
 こうした企業からこれだけ多額の献金を得ている。これは、国民の税金をやはり食い物にしている。政治家が食い物にしている。あるいは、公共事業を国民の税金を使ってやりながら、そこから献金という形で還流させている。これは、幾ら政治資金規正法に基づいて届け出していても、国民感情から見ると許されざることである、私はそう思うのですね。
 かつて、金融機関に対して自民党さんは多額の献金をさせていました。しかし、公的資金を投入した途端、世間からあれだけ袋だたきに遭って、一たん金融機関からの献金は辞退をしています。どうですか、大臣、これだけの大手ゼネコンから国民政治協会が献金を受けている、これについて御感想をひとつ。これはあくまでも政治資金規正法に基づいて届け出されたものをリストアップしたものでございますので、そこだけは御確認していただきたいと思いますが。
扇国務大臣 これは、先日、木下議員から私に対して、この委員会で資料をお配りになりました。それによって、私も少し、どうしても調べたいと思いまして調べさせていただきましたので、そのことを申し上げたいと思います。
 それは、いただいた資料の中で、債権免除、債権放棄をしたのがどれだけあったかということで、この「大手ゼネコンから自民党の国民政治協会への献金」という表をいただいたものの中では、五つの会社が債務免除しております。フジタが十一年三月三十一日千二百億円、それからハザマが平成十二年九月二十七日一千五十億円、三井建設が平成十三年三月二十九日千四百二十億円、飛島建設が平成九年七月二十八日、保証債務の免除ですね、これが六千四百億円、それから佐藤工業が平成十一年五月二十四日千百九億円というものがございました。
 それと、いただいた表は十二年度までしかございませんでした。それで、自由民主党の方から、十三年度の献金見込みということで、十三年度までの政治献金の表を出していただきました。それによりますと、債権放棄をしたときからゼロになっているところもたくさんございます。十二年度で債権放棄しながら政治献金をしていたのは、少なくともフジタ、ハザマ、三井建設。三井建設は十二年度まではしております。三井建設は十三年はゼロでございます。飛島建設も、これは献金が、平成九年でございますから、これは債務免除をしていながら、免除額が六千四百億円ですけれども、これはずっと続いておりまして、飛島建設は十三年度に初めて献金がゼロになっております。佐藤工業も、これは十一年から全部献金がゼロになっております。
 自由民主党さんの国民政治協会へも、債権放棄されたところからはほとんどゼロになっているのと、たまたま続いて献金していたというところもございますけれども、わずかフジタは十三年度も五万円というだけで、あとは十三年度は全部ゼロでございますので、そういう意味では、私は、自由民主党さんの国民政治協会もきちんと、債権放棄をしたところは献金をもらってはいけないという姿勢をおとりになったのではないかと推察しておりますので、私は、かたがたこういうことがあってはならないということは自由民主党さんも御認識になったんだなと思って拝見しております。
木下委員 今大臣の方から説明がございましたが、債権放棄したから献金をゼロにしたと、私自身は、むしろ問題は、それ以前の問題だろうと思います。
 経営が厳しいのに多額の献金をする、こここそ問題であって、みずからがそうした問題を正せないで、会社経営者として失格だと私は思うのです。ゼロになったから、公的資金を入れたから後は献金をしなきゃいいんだじゃないと思うのです。むしろ、そこに至るまで、これだけ多額の、公共事業ですよ、国の、私たちの税金を使ってやる公共事業、毎年二千万円近くの金を献金していることは、やはりこれは、経営者として、あるいは政治家としてきちんとしていただきたい、私はそう思います。これ以上のコメントはあれですが。
 もう一つ、資料二を見ていただきたいのですが、これは沖縄に関する話ですが、沖縄というと、この前鈴木宗男さんの問題が浮上いたしました。と同時に、やはり沖縄選出の下地幹郎議員、彼に対する献金も、これもまさに異常である。
 資料三を見ていただきたい。これは、私も沖縄へ調査に行ってまいりました。今建設工事が進められております国立組踊劇場、これには、既に報じられているように、鈴木宗男議員、下地幹郎議員、この二人がさまざまな形で関与している。そして、その受注した企業からお二人ともこれだけの献金をいただいている。
 さらに、資料四。那覇港道路、いわゆる沈埋トンネル、これは地元では下地トンネルと言われています。これに対する受注企業からの献金も、これもまた異常である。
 さらに、資料五。国営沖縄公園内の新水族館工事、これについても、受注した企業からやはり献金をこういう形で受けている。
 これは正規に届けているから問題ない、私はそうは思わないのです。国民の皆さんの税金を使ってやっている事業、公共事業、こういったものに政治家がこれだけを献金させる、これはやはり国民の税金の還流である。あるいはあっせんであったり、あるいは事後利益であったり、そうした形での恩恵を受けたからこそそれぞれの企業が政治家に献金をしているわけであります。もし企業にとって何ら見返りがなければ、これは株主から訴えられれば背任罪が成立する事件であります。少なくとも、受注したほとんどの企業からこうした形で献金を受けていることに対して、やはり私は、政治と金の関係からきちんとした警鐘を鳴らしていかなければいけない、そう思います。
 さらにもう一つ言えば、資料六です。
 これはきちんと届けているものですが、尾身幸次沖縄北方担当大臣が、平成十年は全く沖縄から献金がありませんでした。ところが、平成十一年、十二年、恐らく十三年もあるだろうと思います。こうした形で沖縄に突然食い込んでいく。この背景に何があるのか私も調べてみました。やはりその背景にあるのは、自民党の役につく、あるいは沖縄北方担当大臣につく、それによってこうした形で利権構造をつくっていく。やはりこうしたものはきちんと改めていかないと。
 例えば自民党の役職をやる、あるいは沖縄北方をやる。大臣をやれば北海道へ行く、北海道から献金を得る。あるいは沖縄担当大臣をやれば沖縄から献金を得る。これはやはり地位利用でありますよ。この辺をやはりきちんとしないと、これは誤解を招くおそれがある。政治家が、本当に政治をきちんとやる、あるいは国民の皆さんから信頼されて政治をやるということであれば、やはり政治と金の問題というのはきちんとしてもらわなければいけない、私はそう思います。
 大臣はいかがでございますか。建設大臣、国交省大臣をやってから特別そういった業界からの献金がふえたとか、そういうことはありますか。お聞きします。
扇国務大臣 今木下議員のお話を聞いていれば、私はもう、一軒、家が建っているのではないか、本来であれば、そういう言い方をされるのですね。けれども、残念ながら、私は力がないのか、また私はそういうことを一切しないというふうに決めておりますし、私はパーティーを開いたこともございません。
 そういう意味では、むしろ、きちんとこういう形で仕事をすることと献金をもらうこととは別だと私は思います。ですから、政治家の口ききとおっしゃいますけれども、口ききではなくて、政治活動として物を言うことは正しいことだ、政治家としてはですよ。ただ、それをした見返りに金をもらうということが、私はそれは逸脱していると思っておりますので、そういう意味では、政治家活動と後の報酬とが比例してはならない、政治活動は政治活動としてきちんとしていただいて、そしてお金はきちんとした、きれいなお金以外はもらわない、これが当然であります。
 今いろいろ資料をいただきましたけれども、この何とかトンネルとか何とかとおっしゃって、金額にしたらすごい、合計だとすごい金額になるのですけれども、沖縄というのはこんなに景気がいいのかなと思って、私、むしろその方がびっくりするぐらいなんですけれども。そういう意味では、私は、やはり政治家が仕事をすることと見返りをもらうということとは比例してはならないと、厳に慎んでおります。
木下委員 もう時間ですので、今沖縄の話が出ましたのですが、沖縄の今の現状を見ますと、失業率が本土の二倍近くあります。それから、県民一人当たりの所得も本土の七割ぐらいしかないのです。
 決して沖縄は景気はよくないのですね。むしろ本土から毎年三千億円の、これまで沖縄開発にかかわって資金が投入されていた。それがこういう形で一部の建設業者、ゼネコンから献金を受けている。沖縄県民はみんな言っています、本土の大手建設業者が来て、そして地元の業者と組んで、私たちの税金あるいは国民の所得をみんな持っていってしまう。
 こういう問題がやはり起こっているわけですので、これは、この資料をもとにもう一度、政治と金、そして国民に誤解を受けないような、広く薄く、できるだけそういう形で政治を支えてもらうという形に、ぜひお互いに心していかなければいけない、そうした警鐘をする意味で質問をさせていただきました。
 どうもありがとうございました。
久保委員長 大谷信盛君。
大谷委員 おはようございます。民主党の大谷信盛でございます。
 きょうは、木下議員の厳しい質問の後に引き続きまして、観光産業の振興について、厳しく質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず最初、大臣に、我が国の観光産業をいかにこれから発展させていくべきなのか。また、平成十二年には運輸大臣の方から、この国の二十一世紀初頭における観光振興の方策というものについての発表がございましたが、今、それから二年たって、どれぐらい進み、また国土交通という、この二つが一つになった中で、大臣はどんなふうに進めていくのかということが一つ。
 もう一つは、観光産業というものが、何かいま一つ産業としてしっかりと位置づけてこられなかったような気が私は感覚の中でしております。その辺への大臣の感覚、どんな意識をお持ちなのかということ。
 二つあわせて最初にお聞かせいただきたいというふうに思います。
扇国務大臣 大谷議員から観光の御質問をいただきました。
 私は、二十一世紀の第三次産業の中の主幹産業になるのが観光であると認識しております。そういう意味で、私は、資源のない日本の国にとって観光というものが、今後二十一世紀、いかに大きくなっていくか、また大きくしなければいけないかという基本的なスタンスに立っております。
 まして日本は、すばらしいものをいっぱい持っております。京都だけでも世界遺産に登録されたものが十幾つになっています。残念ながら富士山は遺産登録されませんでしたけれども、これはならなかったのですけれども、今も準備中です。
 そういう意味では、このすばらしい日本に世界じゅうの皆さん方が喜んで来ていただいて、そして日本の伝統、文化、そういうものに触れて、ああ、また子供や孫も日本に連れてこよう、そういう国になるべきである、そう認識しておりますので、あらゆる面で日本の観光行政を整備し、なおかつ、観光客が日本に喜んで来てもらえるような体制をとりたいというのが基本のスタンスでございます。
大谷委員 私も全く同感でございますし、この方策の中に、また観光白書の中にも何個か数値目標がございます。これの実行について後で議論させていただきたいのですが、大臣が最後の十分の方でお出になられるということなので、先に申し伝えさせていただきたいのは、今、大臣、私は頑張って、日本に孫を連れて旅行に行きたいのだと世界の人が思うようなところにしたいと。私もそうなのです。数値目標を達成するのはもちろんのこと、例えば十年後、二十年後に観光行政というものがどんな成功をしたかというと、世界じゅうの人がそのように、日本に行ってみたい、死ぬまでに一回は日本に旅行をしたいというようになってもらうような観光としての魅力をこの国が持てるか持てないかだというふうに思うのです。
 しかるならば、それは多分、民間が一生懸命やらなければいけないことでもあるし、行政が一生懸命やらなければいけないことでもある。しかしながら、行政、例えば政府、この国でいうならば、どこがやるのかなというような気がするのです。
 例えばフランスであるならば、観光の担当大臣がおられまして、それが総合政策をやることになっています。きょうも後でたくさん質問させていただくのですけれども、これは外務省の部分ですよ、これは総務省さんの管轄ですよというような話が出てくると思うんですね。総合政策機関を担うところがないんですよ。
 それは、これから国土交通大臣がやっていこうというふうに思っておられるのか、それとも、位置づけていくように、しっかり自分の立つ場所もつくっていこうと思っているのか、そこのところを教えてください。
扇国務大臣 基本的なことでございますので大谷議員に申し上げたいのですけれども、世界じゅうの観光大臣あるいは運輸関係大臣というので、昨年、韓国と日本と共催で観光大臣会合、WTO観光サミットを開かせていただきました。そういう意味では、私は、大変多くの皆さん方が観光に対して、ちょうど九月十一日の同時多発テロ以来の、世界じゅうの観光が落ち込んでいたときでございましたから意義があったと思います。
 ところが、今、観光大臣というお話ございましたけれども、国によってはそういうものがございますけれども、日本の場合は、今申し上げましたように、どの部分が欠けているから日本に来てくださらないのだろうかと、そこが問題なんですね。
 日本は、観光に係る直接の消費というのは二十二・六兆円でございますから、その波及効果を含めますと、計算しまして五十三・八兆円、我が国の生産、GDPの五・七%にも達する、それくらいの可能性のあるものであるし、またその雇用効果というのは四百二十二・二万人に達するという観光業界の今後があると私は思うんです。
 今、外国から日本に来てくださらないことは、日本は物流コストが高過ぎる、ホテル代が高過ぎる、飛行機代が高過ぎる、ホテルでステーキ食べても高過ぎる。あらゆる面で、外国人が日本にいらして、成田から東京都内までまずタクシーに乗ったら二万円近く、それにプラスアルファ高速代。ホテルに泊まって、日本のステーキがおいしいといってホテルでステーキの定食をフルコースで食べたら二万円近く。外国では四人家族の一番最高の食事代に匹敵する。あらゆることで外国人が日本を不愉快に思うのがそこにあるわけで、そういうことを総合的に調整できるのは国土交通省だと思っております。
 道路行政あるいは飛行機の料金の緩和、そして鉄道の料金を下げること、あらゆることは国土交通省がして観光のお客様方に貢献しなければならないということを認識しておりますので、私は、今国土交通省がその任に当たっているということで最大限に努力できると。ましてもうワールドカップが目の前でございますので、ワールドカップで世界じゅうからいらっしゃる四十三万五千人という規模の皆さん方にどういう印象を与えるかということも、最大限に今努力をするというのが国土交通省としての役目だと思っております。
大谷委員 今の回答を聞いておりますと、この会議に、世界観光機関総会に参加をした、それは私で、国土交通大臣である、世界じゅうの観光を担当している大臣とタメを張って話をしてきた、だからこの国においては私が観光行政の責任者なんだというふうに私は今理解をしました。
 まだまだこれから総合政策、確かに道とかレストランとか宿泊費とかというものもありますが、地方の町をもっともっと魅力的にしていく。幾ら成田から都心に来るのに四万円かかろうとも、四万円払っても来たいんだという日本をどうやってつくっていくかという話も一部あるわけですよ。そこの部分を、この後大臣がお出になられてからやっていこうというふうに思っております。退出された後にやらせていただこうと思っております。
 では具体的に、この諸課題の中で、五つ六つあるんですが、きょうは三つ。特に、町の個性、そして国際観光の発展。要するに、外国人のお客様に日本にどうやってたくさん来ていただくようにするのか。そしてもう一つが、産業の強化というか産業への新しい変革というもののために政府はどんな役割があるのか。この三つに絞ってやりたいというふうに思います。
 まず最初に、町の再活性化というか、この町にはこんなふうな売りをつくってこんなふうにしていきたいんだというようなことについて、地方自治体の努力も大きいですが、政府としてはどんな役割があるのか。あと一つ、それにあわせて民間の活力というものがそこに備わらなかったら何もできないんじゃないかなというふうに僕は思っております。
 驚いたし、また旅行業界の中では有名なのが、滋賀県の長浜の黒壁商店街でございます。
 自分たちで、民間の人たちが中心となって、こんな観光地、今ある観光資源というものを発展させていってたくさんの人が来てくれるような、すばらしいガラス細工やオルゴール館というものをつくった。そんな商店街をつくった。私自身も後援会のバス旅行で、やはりここが一番いいですよ、行きましょうよと支持者の皆さんが言ってくれるぐらい地域の中においては有名なところになっている。
 そこはやはり、行政だけがやるんではなく、民間と連携して一緒になってまちづくりという形で進めていったからだというふうに思うんですが、政府としてはどんなふうに御指導をしていこうと思っておるのか、局長の方にお願いしたいと思います。
岩村政府参考人 今大臣の方からお話がございましたように、観光、消費面でも非常に大きな、国民総生産の五・七%を占めるとか、また雇用面でも四百二十二万人だということで、非常に大きな産業でございます。そして、このような観光は、地場産業等関連する産業のすそ野が非常に広うございます。そういうことで、経済波及効果、雇用効果、今申し上げたような数字、非常に大きいわけでございます。そして、これが地域の活性化に大きな役割を果たすという期待もされているわけでございます。
 そういう意味で、今お尋ねのまちづくりとの関係でございますが、国土交通省といたしましては、地域活性化に資する観光の重要性にかんがみまして、それぞれの地域の創意工夫によります個性ある観光まちづくり、これを支援することとしているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、一つは、観光を軸とした地域活性化に取り組む地域に対しましては、観光まちづくりアドバイザーを派遣する。先ほど長浜の事例が出てまいりましたけれども、ほかにもいろいろ地域で工夫をされているところもございます。そういったことを含めて、こういうまちづくりのアドバイザーの派遣ということをいたします。また、広域観光、各市町村、県だけではなく、もう少し広域、東北ブロックなり中部ブロックなりという、そういう広域観光についての支援プログラムの策定を行うなど、こういったソフト面を今実施をしているわけでございます。
 またハード面では、地区の歴史性、さらには建築物の調和に配慮した電線の地中化、あるいは小公園の整備、電線があってはなかなか目ざわりで、景観の面からもということで、こういった電線の地中化等もやっております。また、建築物の修景による歴史的な町並みの保全、こういったことを通じまして良好な町並みをつくる。また、河川において水質浄化を図って、水辺に親しめるようにする。また、町のにぎわいを取り戻すための、今申し上げたような幾つかの施策を講ずることによって、個性ある道づくり、これもやろうということでございます。
 そういったハード面の施策もやっておるわけでございまして、ソフト、ハード両面から、観光を通じて地域のまちづくり、そして地域の活性化、こういったものに取り組んでいるところでございます。
大谷委員 ありがとうございます。
 僕自身の感覚でいうと、ハード面というのは割にもうそろっているような気がするんです。まだまだ足りないところもありますけれども、今あるものでももっともっと外国から来ていただく。本当に日本の方が長期休暇が少ないといえども一年間に大体平均して一人国民五泊するということでございますから、それをやはり、六泊してみたいな、七泊してみたいなというような気にするための、ハードは整っている、ソフトの部分だというふうに思いますので、ソフトを地域が工夫をしてみたくなるような、インセンティブを持てるような、そんな政策をぜひとも考えていただきたいというふうに思っております。それは、やはり民間の活力を活用していくことだというふうに思います。
 次に、時間がございませんので、国際観光の振興についてどんなお考えをお持ちかを教えていただきたいというふうに思います。
 今、例えばウェルカムプラン21という、唯一国際観光の中で数値目標が出されているのは、二〇〇七年、これから五年後に八百万人に、今約五百万人ですから、三百万人の外国からの旅行者の方をふやしていきましょうという計画でございます。これに向けて、これは去年できた計画でございますから、どんな取り組みをされているのか。また、これからの数年間どんな取り組みをしていこうとしているのか。本当に三百万人ふえるのか、それとも看板だけなのか、その辺の方向性というか内容についてお教えくださいませ。
岩村政府参考人 日本を訪れる外国からの旅行者、これをふやすという問題。御指摘のように、世界的に見ても低いレベルにあります。現在の数字でいいますと世界第三十六位だということで、先進八カ国の中では外国からお客様を迎え入れる国としては最下位になっているという非常に残念な状況でございます。実数でいうと、今御指摘あったように四百七十六万人、五百万人弱のレベルでございます。
 その背景をまず知らなければ新しい対策は立たないわけで、理由として三つぐらいあるかと思うんです。
 一つは、日本の観光目的地としての知名度がまず低い、余り宣伝がされていない。それから、宣伝の中身が少し誤っているというか、別の印象を持たれているというようなこともございます。正しく日本を知っていただくことが必要かと思います。それから二番目は、先ほど大臣からの話もございましたように、旅行費用が割高感があるという点。必ずしもすべてが高いわけではないんですが、宣伝が下手なこともあって、基本的には高いと思われてしまっているということ。それから三番目に、日本語が難しい。その結果として、コミュニケーションが難しい。また、案内も日本人中心で、外国語での表示というのが、今整備は進んでいますが、なかなか、日本へ来ても字も読めない、言葉も通じないということで、コミュニケーションが難しいということ。こんな三点ぐらいがあろうかと思います。
 こういうことを克服して、先ほど先生の御指摘のあった新ウェルカムプラン21で、二〇〇七年に約八百万人、倍増させようという計画を立てております。
 具体的な中身でございますが、一つは、日本の観光目的地としての知名度を上げるための国際観光振興会とか在外公館を通じての訪日旅行促進キャンペーンを打ってはどうかということで、海外の観光宣伝、そして日本の文化・観光紹介事業、これを実施することが大事かと思います。
 それから二番目が、旅行費用低廉化のために、外国人向けの割引運賃制度。先ほどワールドカップ期間中のことがちょっと大臣からありましたけれども、ふだんでもございまして、割引運賃制度。さらには、ウェルカムカードの導入。これは地域で発行して、それを使うと土産物が割り引きになるとか等々、そういうことに使われているウェルカムカードの導入促進。さらには、外国人向けの低廉な宿泊施設等旅行費用低廉化に関する情報提供。非常に安くて外国人に喜ばれる施設もあるんですが、なかなかそれが伝わっていない。今IT社会ですから、インターネット等を通じて、そういうものがすぐに外国からでもわかるようにするのも一法かと思っております。
 それから三番目が、コミュニケーションの問題でございまして、外国人観光客が日本国内を円滑かつ快適に旅行できるように、外国語表示の充実、これも実際に予算をとって今進めております。それから、良質な通訳案内業者の確保。さらには、外国人旅行者に善意で通訳を行うグッドウイル・ガイドと呼んでおります、全国で四万七千人ほどおりますが、これを活用した通訳案内サービス。さらには、インターネットを通じて情報提供を行う、そういった受け入れ対策の充実。以上三点を中心に進めております。
 とりわけ、来月末からワールドカップが始まります。そういうことで、この機会を逃してはいけないということで、先ほどの大臣からございましたような大会期間中の特別割引だとか、運賃の割引だとか、また観光魅力の海外へのアピール、こういったことをいたします。それから、一つネックであった空港の問題についても、成田の暫定滑走路が四月の十八日に開港しますので、これによって大幅な受け入れがふえるわけでございます。
 そういうこと等々を行いまして、外客の受け入れ体制の改善を図って、先ほど言った点を含めて、倍増に努力をしたいと思っております。
大谷委員 ありがとうございます。大体、一応考えて整えていきつつあるんだなというふうに思わせてはいただきました。
 しかしながら、時間がないから多分局長は説明できなかったと思うんですが、そこに戦略的視点があるかどうかなんですよ。今、これだけそろえました、高いから安いカードをつくりましたとおっしゃいますけれども、例えば、フランスの、ヨーロッパの方が日本に来たいと思うときのモチベーションと、アメリカの方が来たいというときのモチベーションは違うわけですよ。何よりも、この地域のアジアの中で日本に来たいというときのモチベーションと、アメリカの人が日本に旅行したいというときはまた違いますよね。どこに戦略的ターゲットを置いて考えておられるのかなということが僕は大事だというふうに思います。
 具体的に言って、外国人旅行者は、日本の中ではアジアの人が今一番多いです。その中でも伸びつつあるのが、国名を出して言うならば、中国だというふうに思います。ことしはワールドカップということで、日韓でもっとお互いに行き合いしましょう、日韓で世界じゅうからこの二つの国に来るように努力をしましょうという試みはなされている。しかしながら、ふえてきつつあるのが中国だというふうに思います。
 しかしながら、中国の方に、個人的におつき合いをされている方に聞きましたら、日本に来たいけれども、ビザ等々の問題でなかなかおろしてもらえないんだよと。例えば上海という町での生活をされている中国の方々は、所得もぐんと上がってきて、もっともっと、近所、日本もしくはアメリカという国に一回は行ってみたいんだと。まさに日本の三十年、四十年前の時代に、死ぬまでに一回は海外旅行というような時代がありましたが、同じような感覚をお持ちになられている。このときは、日本人が海外に出ていったよりかもっとたくさんのお金を海外、旅行地で落としています。
 ぜひとも近国の方々に日本を知ってもらうという意味でも僕は来ていただきたいんですが、そんな、ビザとかというような壁であったりするようなものに対しては、どのように対処をなされておられるんですか。
岩村政府参考人 総合的戦略ということで、我々もアジアは非常に大事だと思っております。WTO、先ほどの世界観光機関の予測でも、世界平均で二・八倍これから伸びていくという中で、それ以上の五倍強にアジア太平洋地区の観光客がふえるだろうと言われております。そういう意味で、ターゲットを韓国さらには中国に置くというのは、我々当然の前提にしておるわけで、日中韓の相互訪問をふやしていく、交流を拡大するというのも一つのターゲットになってございます。
 そういう中で、中国とのビザの問題でございますが、これも一昨年我が国から中国を五千人訪問した際に、その際でのいろいろなお話の中から生まれてきたものとして、韓国の団体観光のビザを認めるということで、まだ数としてはそうふえておりませんが、既に万の単位でお客様が来られるようになったということで、一歩一歩改善はいたしております。また、ことしも、五月に中国から五千人のお客様が中国全土から東京に集まられる、そういうことも考えておるわけでございまして、いろいろビザの問題、複雑な問題がございますが、我々としては交流が進むように関係の当局にも働きかけをしているところでございます。
大谷委員 働きかけをなされているんですか。働きかけじゃなくて、総合政策でやはりこれはまとめていかなきゃいけないというふうに思うんですよね。何かやはりここに壁があるというふうに局長は思われませんか。歯がゆい気持ちがされませんか。何かどこかで、どんとまとめて政策をつくらなきゃいけないというような気持ちを担当されていてお感じになられませんか。
岩村政府参考人 ビザの問題というのは、観光だけではなくて不法就労等々いろいろ裏の問題がありまして、それを全部我が省でやれということはなかなか難しい、かえって行政が複雑になってしまうというふうに思います。
 ただ、その点で、少なくとも観光客の増大に関して、ビザであるとかCIQの問題がいろいろ支障になっているという点、これについてはいろいろな働きかけという以上に一緒になって考えておりまして、例えば今度のワールドカップの期間中、韓国との間ではプレクリアランスということで特別のことをやる、そういうことで一個一個成果は上がっていると思います。同じ役所じゃないからできないということではないというふうに思っております。
大谷委員 そんなことを言いましたら、日本の国の政府のことですから当たり前。もう一歩なんですよ。ただ、政策の話をしていますので、ぜひともそこの必要性というものは、御認識をもしお持ちであるならば堂々と言っていただいて、どこかの段階で、どこかの場所に、国土交通省を中心にして観光の復興のための総合政策をつくるような機関というものを、法的にも、文化的にも位置づけていくべきだというふうに私は思っております。
 時間がないので、どんどん何個か提案をさせていただいて、それへの回答をいただきたいというふうに思います。
 次に、産業の強化というか、改革ということなんですけれども、どちらかというと、ホテルや旅館や、また観光に従事している産業というところは、規制に守られてきたわけでもなく、また、規制で恩恵をいただいてきたわけでもないような産業が多いというふうに思います。そんな中、これから、ある意味、産業政策的なものが政府として導入されていくのかなというような思いがあります。
 そのときには、少子高齢化の中、また、環境を大切にする二十一世紀の中で、そういう重点政策と絡み合っての、何らかの形での動機づけをするような施策が必要なのかというふうに思います。例えば、多くの旅館と言われるところには大浴場がございます。その浴場に介護のデイサービスをくっつけた場合には固定資産税を安くするとかということによって、たくさんの旅館、大浴場を持つ旅館がデイサービスができるような整備を整えていくようになったりするんじゃないかというような減税策というものが一つ考えられる。
 それともう一つは、融資の話というものも出てくると思うんです。ある程度ベッドが余っているんですよね、今、見ていると。要するに、局地的に、泊まっているところは泊まっている、泊まっていないところは泊まっていないというようなことになっているんですけれども、もっともっとこれから、八百万人外国からふえる、もっともっと日本人の旅行者も五泊から六泊、七泊にしていこうということですから、何らかの設備を投資していかなきゃいけない。それに合わせての何らかの融資ということを考えていけるのかということについて、まずこの二つについて、一分でお願いいたします。
岩村政府参考人 いろいろな施策があると思います。祝日三連休も大いな効果を上げていますし、今始めました連続休暇取得のキャンペーン、こういった面での側面からの支援は我々やっておるところでございます。
 そして今、税そして融資の面での御提案でございますが、今まで幾つかのそういう制度がございますが、今大谷委員からございました点も含めまして、今後の検討課題とさせていただきたいというふうに思います。
大谷委員 ありがとうございます。これから国土交通省が観光の総合政策を担っていく一歩、二歩を始めていくことになると思いますので、ぜひともその税制優遇の方も考えていただきたいというふうに思います。
 あと、もう一つは、圧迫しているのかしていないのか、ある意味、具体的な数字というものが出ていないのが、公営宿泊施設の民間への圧迫のことなんでございます。
 これは、国の今の施策の方向といたしましては、民営化、必要ないものは廃止という方向で進んでいる。それに対して、国土交通省で所管されているのがユースホステルさんということで、あとは違う役所だよというようなことになるのかなというふうに思いますが、この観光振興という総合政策を担おうとする局長におかれましては、どんなふうにこのすべての公営宿泊施設のことについてお考えですか、これから。
岩村政府参考人 我が役所は、おっしゃるとおり、ユースホステルを所管しておるわけでございますが、これについては政府全体で方針が決定されているわけでございまして、そういうことで、平成十二年で閣議決定された五年以内廃止を含めて、きちっとこれが実施されるように、我々としても十分見守っていきたいというふうに思っております。
大谷委員 民営化されてしまえば、それはもちろん民間の今のホテルと同じですから、同じようにやはり位置づけて、大切な観光産業の振興の資源として扱っていかなければいけないというふうに思う。
 しかしながら、公営ということがついていますから、税金であったり、何らかの競争原理にのっとっていないところで優遇されてしまうということが、反対に観光産業、また観光振興を阻害するようなことだけはないように、しっかりとしたチェック機能というふうなものを持っていただきたい、視点を持っていただきたいというのがお願いでございます。
 時間がございませんので、最後に一つだけ、お願いというか、また提案をさせていただきたいんですが、観光白書でございます。その中で数値的目標というものをもっとたくさん挙げていって、その目標に向かってことしは何をしたという評価をしていくことが必要なのかなというふうに思います。
 このウェルカムプラン21、要するに、五年後には三百万人、国際観光、外国人の旅行者をふやしますよという以外には、余り数値的目標が見られていません。三百万人ふえたって、日帰りとか一泊だけだったらそんなに大きな、さっき二十二兆円あって五十四兆円に経済効果が普及するんだというお話がございましたが、これは、ここに来たら、八日間泊まったらということなんですね。八日間泊まればという話なんですね。
 要するに、海外旅行に行ったら、大体八日間、今平均になっていますけれども、これが十日間泊まってくれたりとか、日本人が国内旅行した場合は、五日ではなく七日、八日泊まっていただいたら、もっと経済普及効果というのは膨らむわけですよ。ならば、何人来てくれましたという話だけじゃなくて、宿泊数、今大体六億泊かな、日本人がやっていく中で。その泊数を海外旅行分、日本が行く分、一千二百万泊ぐらいをふやすとか、要するに泊数も、何泊泊まったかというのも数値目標に挙げていって、そのためにはどうしていくんだ、普通、日本に来てくれたら五日しか泊まらないところを十日間泊まってもらうようにどうするんだと、そんなたくさんの数値目標を挙げていくようなことを提案したいと思うんです。
 最後に、局長の、この質問の答えと心意気、総合政策に向けての心意気だけ聞いて、終わりたいというふうに思います。
岩村政府参考人 まさに、ことしは、内閣総理大臣の所信表明の中でも国際交流そして外客誘致という話も述べられたわけでございまして、我々観光を担当する局長として、今の点も含めまして、我々の志高い目標を立てるように努力をしたいというふうに思います。
大谷委員 ありがとうございました。ともに観光産業の振興のため頑張ってまいりたいと思います。
久保委員長 福井照君。
福井委員 おはようございます。自由民主党の福井照でございます。
 まず、副大臣に、景気認識についてお尋ねを申し上げたいと思います。
 三月危機が去りまして、日本全体にはほっとした雰囲気が漂っておりますけれども、私ども週末帰りますと、次はどこの建設業がつぶれるんですかという質問がありましたり、あるいは、補助金が削減されたり地方交付税交付金が削減されたりしまして、このまま地方は切り捨てられるんでしょうかということで、大変暗い状況にございます。
 特に問題なのは、首長さんとかあるいは経済界のリーダーでありますとか、そういう地域の世論をつくる中心人物がそういうことをおっしゃっているということで、大変大きな問題になっているわけでありますけれども、我々抵抗勢力としましては、何とか補正予算で公共事業をこれからもどんどんやっていきたいというようなことを申し上げると、ぱっと明るい顔になられるというようなことを踏まえまして、現下のこの経済情勢、景気認識についてお伺いしたいと思います。
 いろいろな論点があると思いますが、悪の権化のように言われております、特にバブル崩壊後の財政出動六百六十六兆円、あるいは六百九十兆を超えるというそれぞれの年度末での借金の残高はありますけれども、それぞれその年その年で果たしてきたフロー効果もございますし、できたもののストック効果もございます。そのアウトカムがあるはずでありますけれども、バブル崩壊後の財政出動について、果たしてきた役割、効果について、我々としてはどういう検証をすべきなのかということについて知りたいと思います。そういう論点もあるでしょう。
 それから、金融、財政そして税制といういろいろな、軍隊でいえば陸海空とそろえた政府全体の機能の中で、財政の機能を一体どういうふうにとらえるべきなのかということもあるでしょう。ちょうど橋本政権のときに、七五三といいまして、公共事業比を八五%にする。そのブレーキを数カ月間かけたことがございましたけれども、今回は約一年にわたってブレーキをかけ続けてきたという、その時系列の評価をどうするのかという論点もあると思います。
 そもそも、公共事業の目的をそろそろ根本的に改めるべきではないかという時期に来ていると思います。もし補正予算を組むとすれば、あるいは公共事業を本当に根本から改めて額をもっとふやすべきだというような論点があるとすると、例えば日本の美を創造していくというテーマでもって、平成十四年度の補正予算の柱で新たな公共事業をスタートさせる、そんなスタート地点にすべきではないかという論点もあろうと思います。
 いずれにしても、将来の国民生活像、構造改革の次にある私たちの人生の姿というものにマッチした社会をいかにつくるかということの一環、社会計画の一環としての公共事業のスタートにそろそろしなければならないというような論点も踏まえまして、空前絶後の公共事業をこの平成十四年度の補正予算でぜひ組んでいただきたいというふうに思います。
 そこで、現下の経済情勢をいかに把握されているか、そしてバブル崩壊後の、先ほど申し上げました景気対策の果たしてきた役割をどのように考えていらっしゃるか、副大臣からお伺いをしたいと思います。
月原副大臣 今、公共事業等の仕事に携わってこられた経験に基づいて、非常に貴重な御意見がありました。
 御質問の件にお答えいたしますが、現下の経済情勢をどう見ているか。これは、私も政府の一員でありますから、一番端的なところは月例経済報告、そういうものに書いてあります。近く出るわけですが、現在我々が使用するのは、三月の月例報告であります。これには、「景気は、依然厳しい状況にあるが、一部に下げ止まりの兆しがみられる。」こういうことであります。
 より具体的に数字を申し上げれば、昨年の十―十二月期のGDP成長率はマイナス一・二%だ、そして年率でマイナス四・五%である。我が国の景気は依然として厳しい状態にありますが、輸出や生産などの一部に下げどまりの兆しが見られる、こういうような現下の情勢であります。
 先行きどうなるんだということにつきましても、同じく、厳しい雇用・所得環境や企業収益の動向などが今後の民間需要を下押しする懸念がある一方、対外経済環境の改善や在庫調整の進展が今後の景気を支えることが期待されている、こういうふうに言われているわけであります。
 公共工事について申し上げると、これは、一月の工事受注額は前年度比マイナス一五・七%と非常に大きいわけでありますが、ただ、住宅建設について見ますと、新設の住宅戸数が前年同月比でプラス二・八、こういうふうなことであります。
 政府としては、デフレスパイラルに陥ることを回避するため、今後とも経済金融情勢の変化に即応していく、こういうことが月例報告に書いているわけであります。
 私が思うのは、この点については、単なる在庫調整とか単なる経済の流れ、構造改革を離れて、もう在庫がなくなってきた。それは、しばらくみんなが消費して物をつくらなかったら、在庫がなくなるのは当たり前です。そして、アメリカがよくなった。こういうようなことでは、日本の本当の意味の構造改革によって進んでいることではないと私は思っております。こういう点は、今後、日本がやはり真剣に取り組んでいかなければならない問題だと思っております。
 そこで、今のお話の中に、過去のいろいろな経済政策、平成四年から累次にわたって、正確に言うと百三十七兆円のものを、そのうち公共事業費が約八十兆円でありますが、そういう手を打ってきた。これはどういう効果があったんだということでありますが、これは非常に大きな下支えの効果があったと我々は判断しております。
 よく、公共投資の乗数効果が低くなっているんじゃないかと、私もよく新聞なんか見るとそういうふうに書いてあるわけですが、これは、旧経済企画庁、内閣府の試算によりますと、公共投資乗数効果というものについては、短期日本経済マクロ計量モデルでは、一年目でありますが、二〇〇一年の暫定版では一・五だ、こういうふうな数字が出ておる。これは、ここで議論をするつもりはありませんが、所得税減税乗数効果を見ると〇・六九だ。いかに公共投資の効果が短期においても高いかということは政府のデータそのものが示している、私はこういうふうに思うわけであります。
 そういうことで、この長い間の経済に、私は、百三十七兆円の累次の政策効果が下支えした、公共投資八十兆円というのは非常に大きな下支えをした、こう思っております。特に地方においては、私は、このことはみんなが肌で感じておられると思います。そういう効果があったと思っております。
 今後のことでありますが、今お話しのように、補正予算というような話については、我々はまだそういうことを考えているわけではありませんが、十三年度の第二次補正予算、それから平成十四年度の予算、こういうことの公共投資を見ると、非常に御理解をいただいて、前年度の同じような補正と本予算と比べるとこちらの方が多くなっておるということは、やはり、下支えの効果であるとともに、この公共事業がこれからも果たしていかなければならない役割を、政府自身、また、この間予算が成立したわけでありますから、国会、国民の皆さんが理解していただいておる、こういうふうに思うわけであります。
 そこで、経済そのものも、先生もおっしゃったように、ただ乗数効果だけとか、そういうようなことであってはならないのであって、やはり必要な社会資本はちゃんと整備していかぬといかぬ。経済のそういうものを離れてでも、非常にありがたいことに、また、しかし、それを行うことによって非常に効果があるということ、このくらいすばらしいことはないわけでありますから、我々は自信を持ってこのものに進んでいかぬといかぬ、こういうふうに思っているわけであります。
 そこで、具体的な予算の執行のことについてでありますが、これは塩川財務大臣が十四年度の予算が成立したときに、ちょっと重なることもあると思いますが、平成十三年度第二次補正予算の執行が本格化するところであり、これからこれを一体として運用することによって、年度を通じ、景気の下支え効果が切れ目なくあらわれるよう機動的な施行を図ることといたします、特に、現下の経済情勢にかんがみ、年度当初の状況に注意するとともに、例えば、用地取得済みの事業、完成までの残工期の短い事業、民間投資の誘発などが見込まれる事業など経済活性化の効果の高い事業を優先的に施行するよう努めるものとするということを、平成十四年三月二十九日、平成十四年度予算成立に当たってと閣議で発言しておる。このことに基づいて我々は進めていかなければならない。
 そして、御承知のように、ほとんどの我が方が持っておる長期計画というものがこの十四年度で終わる。いよいよ取り組まなければならない。先生がおっしゃったような観点も含めて我々は真剣に検討していきたい、こういうふうに思っております。
福井委員 ありがとうございました。
 どちらかといいますと、情緒的な平面で語られることが公共事業は多いものですから、ぜひロジックとして、国家の論理として、今のようなことで、リーダーシップでやっていただきたいというふうに思います。
 次に、業行政について局長からお伺いをしたいと思います。
 まず、再編をキーワードにいろいろ行政をされているというふうに伺っております。昨年は、与信力において施策を実施されました。そして、前渡金の問題がどうあるべきか、そして自己資本比率がどうあるべきかというような論点で業全体の検討もされているというふうに伺っております。
 これから、大企業もあれば中小企業もあるということで、六十万事業所、七百万人の、規模別に問題点としてどういうふうにとらえていらっしゃるのか。そして、今までリストラが、何が問題で、何が進んで、そして、まだ何が残っているのかというような論点もあるでしょうし、特に銀行との関係におきましては、膨大な有利子負債を抱えながら、新規投資、プロジェクトファイナンスという新たな投資に向けて、建設業界と銀行との関係をどういうふうにとらえていくのかというようなこと、さまざまな論点があろうかと思いますけれども、きょうは、全国の建設業者に対するメッセージをぜひお願い申し上げたいと思います。いわば立体地図を示してもらいたい。私たちは今どこにいるのか、そしてどこに行くのかという座標とベクトルを示してもらいたいというふうに思っております。
 地方に行きますと、割と優秀な、借金もさほどありませんし、技術者も技能者もたくさん抱えて、雇用もしている、まじめに経営している優秀な中小企業が多い。そういう経営体が一体どこに進もうとしているのか。規模を縮小するのか、拡大するのか。今から地域のマネジメントという志をどういうふうに発揮していったらいいのかということについて、迷っているというよりは、むしろ茫然としているというような状況が全国の建設業者の実態であります。
 そこで、本日は、建設業界の現状をどのように認識していらっしゃるのか、そして、技術と経営にすぐれた企業が伸びられるようにするためにどのような環境整備を進めていらっしゃるのか、局長から御答弁をいただきたいと思います。
岩村政府参考人 建設産業は、住宅そして社会資本の整備を担う非常に重要な産業ですし、また、日本の産業の中で非常に大きなウエートを占めているわけでございます。
 現在の状況でございますが、投資がここのところ減ってきている。これは、官民合わせてピーク時に比べて二〇%減ってしまったという非常に大きな減少を見ているわけでございます。
 他方、事業者の数、最近でこそ減り始めましたが、やはりピークから見ると一四%事業者さんの数が多いということで、需給に非常に大きなアンバランスがあるわけでございまして、その結果として、受注が減少しております。
 そしてまた、利益率も、経常利益率でいうと、全産業が二・五%だという中で、建設業は一・六%ということで、利益率も非常に低い。以前ですと三%を超える利益率があったわけですが、利益率も下がってしまっているということで、極めて厳しい経営環境に直面しているのが現状でございます。
 とりわけ、ここで先生がおっしゃったように、幾つかの分野で、それぞれの状況が違うわけですが、一つ、大手ゼネコン、特に、バブル崩壊後過剰債務を抱える、バブルのときに大きな投資をしてしまったそのツケが今来ておる、こういう大手ゼネコン等につきましては、金融機関によります不良債権の処理が加速する中で、公的整理に移行し、また、あるいは経営統合に向かうなど再編の動きが具体化をしているわけでございます。
 また、今後、公共投資が減少する状況にあります。そういうところで、比較的公共事業に依存をしている、その依存度の高い地方の中小、中堅の建設事業者、こういった事業者さんたちも再編淘汰が迫られてくるだろうというふうに思われるわけでございます。
 こういう状況のもとで、今先生御指摘のように、技術と経営にすぐれた企業、これが非常に大事なわけで、まだまだそういう方がいらっしゃるわけですから、こういう企業が生き残り、そしてさらに伸びられるように、まず第一にやるべきは、不良不適格業者の排除、これを徹底すること、それから、市場メカニズムを通ずることになりますが、再編、淘汰の促進を図ることが大事だと思います。そして、企業の経営基盤の強化に向けた取り組みを促進するための環境整備、こういったことに努力をしていきたいというふうに思っております。
 このための手法でございますが、一つは、昨年から施行されております入札契約適正化法の的確な運用を図ること、それと、大手ゼネコンにつきましては履行保証割合の引き上げ、これも既に実施しましたが、これによって経営不振企業の公共事業への参入を抑制する等の措置をやってきているところでございます。
 さらに、持ち株会社等新たな会社法制ができたわけですから、これを活用した経営統合等を促進するための建設業許可の円滑化、さらには技術者異動の自由化等の措置を具体化しているところでございます。
 また、地域の社会資本の整備、また経済、雇用を支えております地方の中小、中堅建設業者についても、経営基盤の強化を図るために新たな成長分野への取り組みなどを支援することが重要であると考えておりまして、十三年度の第一次補正予算で国費十二億円を認めていただいておりますが、建設業経営革新緊急促進事業、これを行いまして、研修であるとかITシステムの構築であるとか、こういったことに対する助成も始めたわけでございます。
 こういった助成の活用や適切な助言を通じまして、生産性の高い企業経営の実現、これを実現するように努力をしていきたいというふうに思っております。
福井委員 ありがとうございました。
 時間がございませんので、菅大臣政務官と都市局長さんと住宅局長さんに一問でやらせていただいて、それぞれお答えをいただきたいと思います。
 都市再生法をつくっていただきまして、本当にありがとうございました。これからいかに実行するかということが問題になろうかと思います。
 そこで、都市再生を進める上での最大のネックはファイナンスだと思います。まず、都市局長さんから、都市再生特別措置法に基づく民間事業者への金融支援の仕組みについてどのように考えていらっしゃるか、特にリテール機能についてのきめの細かい施策がされているかどうか、その辺の御指導をいただきたい。
 それから、大都市におきましては二十世紀の遺物と言われております木造密集市街地の整備のために、今般、NPOあるいは地元からまちづくりに参加できるという仕組みをつくっていただいたので、そのNPOの活用が重要だと思いますけれども、その推進方策についていかに考えていらっしゃるかということについて、住宅局長の方から教えていただきたい。
 そして、菅政務官には、不動産の証券化について、この手法について御答弁をいただきたいと思います。
 特にこの不動産の証券化についてお伺いするのは、我々、インフレターゲット論を推進しておるわけでございますけれども、都市再生でいろいろなプロジェクトがあります。何千というプロジェクトがありますけれども、それはそれでスポットであります。散在するわけでございますので、面的に土地が有効活用され、そして土地の値段が緩やかに上がっていくという理想的な姿にするためには、面的な施策が必要。そのためには、中古の、特に業務ビルのリニューアル施策、そういう市場、マーケットを育成する必要があると思います。アメリカ、ヨーロッパでは、そういうソフトからデザインからビルメンテナンスから、すべての分野を包括したような中古ビルリニューアル市場がございますが、日本にはまだございません。
 そういう現状認識を踏まえまして、特に不良債権の生の姿、生の土地、生のビルをさわるのは国土交通省の所管でございますので、そのための大きな施策の柱として不動産証券化を考えていらっしゃる、その推進方策についてお伺いをしたいと思います。
 以上で、問いは一つでございますけれども、それぞれ順番にお答えをしていただきたいと思います。ありがとうございました。
澤井政府参考人 民都機構からの民間都市開発事業に対する支援でございますが、一つには、民間都市開発事業を進める上で、多くの場合に、公共施設、特に街路を中心とする公共施設とのタイミングが合わないということが隘路になる場合が多いわけでございまして、このために、民間事業者が街路等の公共施設を建てかえて整備するような場合に、それに対する費用の一部を無利子で貸し付けるということを一つ用意してございます。
 また、昨今の金融市場も踏まえまして、ただいま先生仰せのプロジェクトファイナンスの定着なども視野に入れまして、いわば民間都市開発事業に必要な資金調達の呼び水となるような、例えば出資とか社債の取得に対する資金の供給というようなことも考えております。
 これらによりまして、全体として民間事業者の民間金融市場における資金調達の円滑化を図れるように運用をしっかりやっていきたいと考えております。
三沢政府参考人 密集市街地の整備の推進のためには、NPO等の地域住民の方々による主体的なまちづくりへの取り組みが大変重要だということは、御指摘のとおりでございます。
 このため、今年度予算におきまして、従来は公共団体あるいは公団等に限られておりました密集住宅市街地整備促進事業の補助対象事業者にNPO法人等を追加いたしました。それからまた、計画策定とか権利調整を行うNPO法人等に対する組織づくりとか情報提供等の支援も行うということにしているところでございます。
 こういう措置を積極的に活用いたしまして、密集市街地の整備に一層努めてまいりたいというふうに考えております。
菅大臣政務官 不動産の証券化でありますけれども、昨年九月に二つの不動産投資法人が上場され、ことし三月、三番目も上場しました。そして、現時点では約四十九万口、約二千五百七十億円の不動産投資証券が流通をしておるわけでありますし、これからもまだまだこうした投資法人が立ち上げの準備をしているところであります。
 しかし、残念なことに、まだまだ認知度も低く、年金基金の運用対象にもなっていない、実はいろいろな問題がございまして、さらにこの証券化の推進に向けてさまざまな環境整備をしていきたい、そしてこの千四百兆円と言われる個人の金融資産が不動産の取引の活性化のために投入できるような、そんなことのためにぜひ積極的に進めていきたい、こう思っています。
福井委員 どうもありがとうございました。これで終わります。
久保委員長 赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 きょうは二十分間という大変短い時間でございますので、端的に御答弁をいただきたいと思います。
 まず、本年の二月二十七日の本委員会におきまして、扇国土交通大臣の所信表明演説に対する質疑で立たせていただきました。そのときに、日本の観光産業の取り組み、とりわけウェルカムプラン21という具体的な目標を設定される中で、どのような形で推進方をしていくのかという議論のやりとりの中で、扇国土交通大臣からは、それに触れられて、
 ワールドカップサッカー、約四十五万人のサポーターが来ると言われています。その人たちがその後あとどこへ行ってくれるか。これは民民の話なので、私はあえて今、個人的なことで例を挙げさせていただいて失礼ですけれども、日本へ来たサポーターが、日本の国をどこでも自由に、例えば二万円券なら二万円券で、周遊券を買えるんだというふうにしてあげればいいと私は思うんです。
そして、アメリカのパンナムの例を出されて、その後、
 ワールドカップサッカーのサポーターだけではなくて、日本への観光客というものが、もっと知恵を出せばできるのではないかと。
  ですから、運賃の自由化等々で、一万円で九州まで行けますよなんて割引できること、私は拍手喝采しています。そういうことで、観光産業というものを、何とか知恵を出して誘致したいと思っております。
という御発言がある中で、いろいろやりとりをしておりました。
 昨日の報道を見ておりますと、この大臣の御発言を受けての施策として、今回のワールドカップサッカーにおいての外国からのお客さんに対する特典というものが今回設定されたというような報道がございますが、その点について、どんなことが決まったのか、ぜひお知らせを願いたいと思います。
高木大臣政務官 今委員御指摘のように、二月の二十七日の本委員会で、大臣と赤羽委員とのやりとりの中で、ワールドカップの外国人観光客に対する特典、このお話がございました。
 その後、国土交通省といたしましては、関係事業者に要請をしてまいりまして、その中で、特に航空、鉄道を含めた、そういった運輸関係の特別の割引運賃・料金の導入等について要請してまいりました。
 具体的には、航空については、訪日旅行者向けの運賃を、現行は一万二千六百円でございますけれども、国内航空区間どこでも一区間六千三百円、半額といたしまして、また、旅客船については、博多と釜山間のジェットフォイルの運賃を二〇%割引していただくこととなっております。
 またさらに、まだ検討中なのでございますけれども、鉄道については、外国人旅行者が、二万円を少し超える程度で五日間、全国のJR全線を自由席乗り放題できることとすることや、六千円で五日間、特に試合会場でもある埼玉、鹿島、横浜と成田空港、東京都区内の鉄道、首都圏になりますけれども、乗り放題できるようにすることなど検討されております。
 また、高速道路についても、日本人旅行者も対象にいたしまして、成田、関空周辺のワールドカップ大会会場周辺のレンタカーにETCを搭載いたしまして、大会期間中の限定特別割引による高速道路料金二〇%割引をレンタカーを利用する方は還元されるようにするだとか、また、大会期間をカバーする時期に北海道、九州等の高速道路において周遊エリア内乗り放題のスーパー割引チケットを発行することとしております。
 また、ホテル、旅館等においても、連泊割引や日本旅館を印象づけるようなサービスの提供も現在検討しております。
赤羽委員 いっときに四十五万人もの外国客が来るというのは、ある意味では、このような絶好の機会はないというふうに考えております。一度来てくれた四十五万人の方たちが、恐らく長期滞在になると思いますので、長期滞在している間に、日本というのはいい国だな、またもう一度来てみたいな、こう言っていただける絶好の機会ととらえて、ぜひ戦略的に、もう少し大胆に、まず第一歩だと思いますが、国土交通省となった以上、有料道路のある程度の無料化みたいなことも視野に入れたりして、レンタカーについても、思いっ切り、外国語のナビゲーターを搭載させるとか、いろいろな知恵を出して、ぜひ推進方をお願いしたいと思います。総合政策局長も待機していただいていますので、聞いていただいていると思いますので、よろしくお願いいたします。
 続きまして、港湾に関するやりとりをさせていただきたいと思います。
 私、前回の委員会で質問に立ったときに、中枢国際港湾、神戸港や横浜港を初めとするこのような中枢国際港湾についての国際競争力の低下、こういったものが指摘されて久しいわけでありますが、国際競争力を確保することは我が国の喫緊の課題であると認識している、このような政府からの答弁もございました。
 それから、国際競争力の低下、このように随分繰り返し言われておるんですが、この国際競争力の低下してしまった原因はどのように分析をしているのか。特に、我が国の主要港湾をスキップしていってしまう、北米航路とか欧州航路、こういったところで最近日本の港湾をスキップしてしまうということも大変な問題になっている、そういった船舶の増加が大変な問題になっていると思いますが、そのことについての原因分析、あわせて御答弁をいただければというふうに思います。
川島政府参考人 まず、我が国の国際競争力の低下についてでございます。
 我が国港湾で取り扱うコンテナ貨物量は着実に伸びておりまして、例えば、東京港では過去二十年間で四倍になっております。しかしながら、同じ期間にシンガポール港では約十九倍、香港港では十二倍、大きくふえております。こういうことで、近隣アジア諸国に比べまして相対的な地位が低下してきておるという現状にございます。
 この原因でございますが、一つは、中国を初めとするアジア地域の急速な経済発展に伴いまして、アジア発着貨物量が増大をしておるということ。二点目が、我が国港湾のコストを含めたサービス水準が近隣のアジア諸国と比べて低下しているということが原因だというふうに認識しております。
 次に、お尋ねのありました抜港についてでございますが、国際海上コンテナ輸送におきまして、船会社は、輸送の効率性を求めてコンテナ船の大型化とこれに伴う寄港地の選別を進めております。こういう中で、我が国を抜港する船舶が増加しつつあることは事実でございます。
 具体的に申し上げますと、アジアと北米あるいはヨーロッパを結ぶいわゆる基幹航路の寄港数につきまして、釜山、香港、シンガポールなどのアジアの港湾がそれぞれ寄港数をふやしております。その一方で、我が国の港湾への寄港数は、過去十年間で日本の主要港五港において八%程度減少しております。
 この原因につきましては、先ほど申し上げましたとおり、アジア地域の急速な経済発展とあわせまして、我が国港湾のコストを含めたサービス水準の相対的な低下があるというふうに認識しております。
赤羽委員 中国を初めとするアジア諸国の経済発展の中でアジア発着の物流がふえた。相対的に日本の地位は低下しているというのは事実だと思います。
 国際競争力、例えばコンテナの取り扱いの中で、やはり私は二種類あるのではないかと。日本が輸出輸入の発着地になるというものと、もう一つは、大きな割合を占めるのはトランシップメントだ。シンガポールなんというのは、ああいう小さい国ですから、今十九倍ですか伸びていると、その大半がトランシップメントということに位置づけられているのではないかと思います。そのトランシップメントが日本ではとれなくなっている。シンガポール、香港、釜山に取ってかわられている。
 こういったことは、その原因については、アジアの経済発展ということではなくて、それは日本の相対的なコスト高ということが原因という分析なんでしょうか。その点について確認をしておきます。
川島政府参考人 赤羽先生御指摘のとおり、トランシップ、日本でアジアの貨物を積みかえる、この量が減っております。逆に、日本の貨物を釜山等で積みかえていただくというのがふえております。この原因として、コストとサービス両方で、アジアの釜山港、あるいは最近光陽港もオープンしておりますが、そういった港に比べて相対的な競争力が落ちてきておるというのが原因だと思います。
赤羽委員 コストとサービス、そのサービスの中身は何ぞや、こういう話だと思うんです。
 これは、先日の質疑のときも、日本の港湾運送協会挙げて、三百六十四日、一日二十四時間フルオープンという体制をつくったと。こういったことでサービス向上を図ろうとしているという部分があると思いますが、それ以外のサービスの欠点というのはどういうことか。
 先ほど局長の御答弁にございました。コンテナ船がだんだん大型化していく、その大型化に実は対応できないような日本のコンテナヤード、コンテナターミナルの現状があるのではないか。こういったことが、ひいてはサービス低減というか、日本の各主要港湾というのは、大型コンテナ船から見ると非常に魅力のない、寄ることについてメリットが少ない港湾だという認定がされている。こういった理解でよろしいんでしょうか。
    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
川島政府参考人 サービスの内容でございます。
 今、委員御指摘のとおり、昨年末から三百六十四日、二十四時間オープン、これは我が国の港湾でも港湾の労使の御理解、御努力で踏み切られたところでございます。
 私どもとしまして、あわせて輸出入、港湾行政手続のワンストップサービス化、大臣が再々御答弁しているかと思いますが、港に着いてから港から貨物が出るまで、その時間を短縮する必要がございます。そのためのワンストップサービス化でございます。それと、国際水準の高規格コンテナターミナルの整備、これがございます。船型の大型化で、世界的に十五メートル級あるいは十六メートル、そういったコンテナターミナルの整備が諸外国で進められております。それと、幹線道路網とのアクセス性の向上、これがございます。また、管理運営につきまして、北九州港で導入しておりますPFI、こういった手法を導入することによる管理運営のさらに一層の効率化といった点の課題に取り組む必要があるかというふうに考えております。
赤羽委員 サービスの中で、そういった労働面があると。もう一つは、これも大臣が繰り返し御答弁されているワンストップサービスのことで、ただ、このワンストップサービス、きょうはここで詳しく議論するつもりは余りありませんが、従来の、旧大蔵省の主導してきたSea―NACCSと旧運輸省の主導してきたEDI、これが平成十五年ですか連携をとるということでありますが、これだけで本当に実際ワンストップサービスがフル稼働するのか、現実、そこはラインがつながったとしても実際通関業務ができるのか、こういった指摘もあります。
 今、保税地域への強制搬入の制度、これを見直すべきだとか、輸入前の申告とか輸出後の届け出といったことを導入するべきだといったようなことを言われている専門家もおると思いますので、ぜひこの点についても、せっかく平成十五年にSea―NACCSとEDIを一本化しても、機能しないというような話では本当に残念な結果なので、その点についても考慮、検討すべきだというふうに思っております。
 私、シンガポールには何回か行ってああいったシステムを見てきたことがありますけれども、ハード面というのはそんな難しい話じゃないな、システムというのは日本が追随できないようなことじゃないなと。ですから、要するに、ハードではなくて非ハードというか、まさに役所との業際のところをどうするかみたいな、連携をどうするのか、いわゆるその辺のことがクリアできれば、そんな難しいことをシンガポールはやっているわけではないというふうに思いますので、この点についてもぜひ実際機能するような形でお願いしたいと思います。
 あと残り時間少ないのですけれども、議論したいのは、今、コンテナの大型化に対応する高規格コンテナターミナルの整備ということで、十五メーターも現在神戸に四バースしかない、こういった話もありますし、実は、神戸のことを見ても思うのですが、バースが深くてもその後背地、コンテナの箱を置くエリアが狭いと余り有効活用できていないということもあります。
 例えば、神戸と大阪というのは、大阪港と神戸港というのは一つの大阪湾、これはいつも言っているんですが、一つの大阪湾で年間取り扱いがコンテナで三百五十万TEUなんですね。採算ラインというのは、一つのバースで二十万TEUぐらい扱えれば十分採算がとれる、こう言われている中で、これはある意味では、現状のやりくりの中で今の物流というのをさばけるキャパはある。しかし一方では、大阪でも十五メーターバースを二つつくろうと工事中である。これは、一つはエバグリーンが使うということは決まっていると聞いておりますが、一つは公共バース的な、新方式でやっていますので公共バースとは言いにくいかもしれませんが、そういったものができる。
 これは、当然、大阪港も神戸港も、大阪市も神戸市も国土交通省に対して港湾計画を出した、その認められた港湾計画にのっとった建設だと思うのですが、これだけ相対的な国際競争力を失っていると言いながら、従来の港湾計画にのっとってそれぞれが港湾整備をしているということは、オール・ジャパンという観点から見て本当に正しいやり方なのかどうかということを私は非常に疑問に思うわけです。
 十五メーターバースが大阪港にもできたら、恐らくこれはまた大阪港と神戸港の間で値段のたたき合いみたいなことになる。日本の国益ということを考えますと、私は、本当に北米航路また欧州航路がしっかり寄れるようなスーパーハブというものを国策としてどうつくっていくのか、どう位置づけていくのかということが大事だと。それは、新しくつくるというよりも、既存のところを明確に国として意義づけて、位置づけて、そしてそこに国費を大胆に投入する、ポートセールスを行うということが私は大事なのではないかと。
 そういった意味で、これはいきなりでは無理でしょうけれども、今の港湾管理者の体系というのは、実態としては地方自治体単位になっているわけですね。大阪港は大阪市、堺泉北は大阪府、神戸港は神戸市、尼崎港は兵庫県。あんな一つの大阪湾の中で四つも港湾管理者がいること自体、非常に非効率だと思う。このことについて、やはり国土交通省として、新しい時代の中でどのように国策としてのスーパーハブ港を育てるかということは、もう考えなければいけない時期に来ているんではないかというふうに私は思います。
 その点についての御見解と、それにあわせて、時間も迫っておりますので、このスーパーハブ、いわゆる中枢国際港湾というのは、港湾法の中ではどこにも定義づけられていないんです。港湾法そのものの法律の中では、特定重要港湾という中の一つなんですね。港湾法の中というのは、コンテナのことも随分書いてあるし、国際競争力云々ということは書かれているのにもかかわらず、このいわゆるスーパーハブというようなことは、実は附則みたいな、基本方針の中でしか書かれていない。これは、港湾法自体古い法律だと思いますが、要するに、コンテナターミナルをどうするのか、新しい物流の中でスーパーハブを日本に一つ二つつくっていくんだ、こういう施策が本当に今の国土交通省の中にあるのならば、港湾法の中での意義づけ、また港湾管理者、オーソリティーのあり方、こういったものを抜本的に検討することをぜひ始めるべきだというふうに考えております。
 そのことについて、検討があるならば御見解を聞かせていただきたいし、なければその点についての御見解を局長から御答弁いただいて、私の質問を終わりにしたいと思います。
川島政府参考人 まず、一体として神戸港、大阪港とが機能しておるではないかという御指摘でございます。全くそのとおりだと思います。
 大阪湾では神戸港と大阪港、東京湾では東京港と横浜港、伊勢湾では名古屋港と四日市港、これらは背後圏がほぼ重なっておりまして、一体として機能しているのが実態でございます。
 国土交通省としましては、こういう背景を受けまして、平成十二年の四月に港湾法を改正させていただいております。
 この一つのポイントとしまして、国土交通大臣が港湾行政の指針として基本方針を定めることになっております。港湾の開発、利用及び保全等に関する基本方針でございますが、この基本方針の中に、港湾相互間の連携の確保に関する事項、これを追加したところでございます。
 さらに、この港湾法の改正に基づきまして基本方針を策定しております。そこでは、国及び関係する港湾管理者が相互に連絡調整する体制を構築するということ、かつ、大阪湾、東京湾、伊勢湾等で取り扱うべき国際海上コンテナ貨物量、トータルの量も湾ごとに定めて公表しているところでございます。
 この基本方針を踏まえまして、各湾ごと、例えば大阪湾におきましては、近畿地方整備局、神戸市、大阪市等で構成されます大阪湾港湾連絡推進協議会がございます。この場で、先生御指摘のように、効率的に、かつ一体的に国際競争力を回復していくための整備及び利用のあり方について話し合いをさせていただいているところでございますので、そういうことできちっとした方向を出していくべきだというふうに考えてございます。
 次に、中枢国際港湾の港湾法上の位置づけについてでございます。
 御指摘のとおり、中枢国際港湾というのは、港湾法との関係で申しますと、港湾法の三条の二で、先ほど申し上げました国土交通大臣が定めます基本方針の中で、中枢国際港湾の定義と配置が定められてございます。これらの中枢国際港湾で、我が国港湾の国際競争力の確保に努めるということになっております。
 また、神戸港、横浜港などの中枢国際港湾は、いずれも港湾法第二条の重要港湾のうち、国際海上輸送網の拠点として特に重要な港湾としての特定重要港湾に位置づけられているところでございます。
 次に、スーパーハブ港湾について検討を始めておるかということでございます。
 各ユーザーの方々、あるいは経済界の方々、あるいは港湾管理者の方々といろいろな議論をしておりまして、スーパーハブ港湾と申しますか、中枢港湾のうち、特に限定をして国際競争力の向上を目指すべきじゃないかという意見が出ておるのは事実でございます。これにつきまして、現在、関係の方面の方々といろいろな場で御相談をさせていただいておるところでございます。そういう検討を始めまして、今の段階では結論が出ておりませんが、きっちりとした議論をして、間違いのない方向づけをしていく必要があるというふうに考えてございます。
 以上でございます。
    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
赤羽委員 各地方自治体が一つのテーブルに着く協議体ができたということは評価したいと思いますが、ぜひ旧運輸省、国土交通省の強いリーダーシップのもとで、国益を損なわないようによろしくお願いを申し上げまして、私の質問といたします。ありがとうございました。
久保委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 世の中では、何で国会はスキャンダルの問題ばかりやっているのか、もっと経済や暮らしの問題をまじめにやれ、こういう声を、我々はいろいろなところでしかられるわけでありますが、きょうは朝早くから、先輩、同僚の皆様が、国の大事な問題についてこんなに熱心に御議論されている。一台のテレビカメラも来ていない。記者の方は一人おいでなのかどうかあれですが、もっと私たちは、こういうまじめにやっているところを国民に知ってもらいたい。
 先輩、同僚の皆様の御努力に敬意を表しつつ、できるだけ簡潔に質問を行いますので、答弁も簡潔にしていただいて、国土交通委員会でありますから、ダイヤグラムどおりうまくいくように協力をしていただきたいと思います。
 そこで、早速でありますが、私は、まずJR株式の売却の問題についてお尋ねしたいと思います。
 昨年の通常国会で、十二月から施行された完全民営化法によって、本州JR三社については、経営上の規制がかなり撤廃され、スピーディーかつ柔軟な経営が確保され、私もいろいろな方々からお話を伺っておりますけれども、非常によい成績を上げておられる。
 例えば、JR東日本のICカードの導入とか、東京モノレールとの連携強化であるとか、また東北線、常磐線、高崎線の東京駅乗り入れとか、利用者の利便向上につながる事業展開がされてきている。国鉄改革以来、大変、やればやれるんだ、私たちは、今厳しい経済環境の中にありますけれども、官民または働く方々、労組、そして国民の理解、こういうものが一致すれば、こんな歴史的な大きな成果を上げる改革ができるんだという自信を感じているわけであります。
 そこで、私は、こうした法的な規制緩和だけではなくて、もっともっと本当の意味での民営化という意味では、やはり日本鉄道建設公団が保有しております株式というものをできるだけ早くすべて売却すべきではないかという意見を持っております。
 新聞報道によりますと、鉄建公団は二日の日に、JR東日本の株それから西日本の株の売却を進めるために、いわゆる主幹事証券会社というものを選定した、こういうふうに新聞に書かれておりました。
 具体的な売却スケジュールはどうなっているんでしょうか。簡単に教えてください。
石川政府参考人 JRの株でございますが、JRの株を保有する日本鉄道建設公団は、今お話がありましたように、JR東日本の株五十万株、それからJR西日本の株六十三万四千株、これの売却の準備を進めるために、四月の二日、JR株の売却の主幹事証券会社として、JR東日本株につきましては野村証券それからゴールドマン・サックス証券、JR西日本株につきましては日興ソロモン・スミス・バーニー証券、それとUBSウォーバーグ証券をそれぞれ選定したところでございます。
 今後の具体的な売却スケジュールでございますが、現時点ではまだ未定でございますが、株式市場の状況やJRの株価の推移、あるいは我が国経済の動向等を踏まえつつ、時期を選んで適切に実施してまいりたいと考えております。
西川(太)委員 これは仕上げにつながることでありますから、また、今後のいわゆる民間の本当の活力を身につけるという意味でも、ぜひ早急に実施していただきたいとお願いをしたいと思います。
 先回もお尋ねをいたしたのでありますが、ちょうどこれは公取からコメントが出されて、それに対して扇大臣からのコメントが出された直後の私のお尋ねでありました。改めて、JAL、JAS統合問題について伺いたい、こう思います。
 大臣おいでですけれども、これはかなり具体的、個別の問題でありますから、航空局長にお尋ねします。
 前段省略して、要するに、経営統合については、三月十五日に、さっき申し上げました公取委が、国内航空分野における競争を実質的に制限するおそれがある、こういうふうにコメントされているわけでありますけれども、それに対して、その後、国土交通省はどういう見解を持つに至ったのか、この点をお聞きしたいと思います。
深谷政府参考人 御説明申し上げます。
 日本航空と日本エアシステムの経営統合の問題でございますけれども、これに関しましては、現在、公正取引委員会でいわゆる事前審査を行っていらっしゃる最中というふうに承知しておりますけれども、先生御指摘のとおり、去る三月十五日に、公正取引委員会の方からの問題点の指摘がございました。私どもといたしましては、公正取引委員会の方から、この問題点の指摘を踏まえまして両当事者から今後提出される対応策を踏まえて、この統合計画について引き続き検討をしている最中というふうに伺っております。
 いずれにいたしましても、本問題につきましては、第一義的には、両当事者と公正取引委員会の間の問題でございますけれども、国土交通省といたしましては、競争促進を通じて利用者利便の向上が図られるということが極めて大事な点だろうというふうに認識をしておりまして、現在、その事前審査の対応を見守っておるところでございます。
西川(太)委員 見守っているところに、追っかけお尋ねするのもいかがかと思いますけれども、見通しというのは、これはやはりみんな関心を持っていますよね。単に見守っているだけじゃなくて、どういう見通しを持って見守っているのか、こういう聞き方をしたら、どんなふうにお答えいただけるんでしょうか。
深谷政府参考人 先ほども申し述べましたように、先月の問題点の指摘につきまして、現在、日本航空それから日本エアシステム、この両当事者が公正取引委員会の方へ、その問題点の指摘についての内容の確認でございますとか、両当事者としてどういう点をどういうふうに受けとめればいいのか等々に関しての照会、調整を行っている最中だと承知しております。
 いずれにいたしましても、日本航空、日本エアシステムの対応策がこの問題点の指摘を踏まえて固まり次第、公正取引委員会の方に両当事者から提出するということになろうかと思いますけれども、私どもといたしましては、そういった両当事者の対応策、これを踏まえて、きちんと適切に対応していきたい、かように考えております。
西川(太)委員 ぜひひとつ、国民の利便のためにも、的確な行政の関与をというか、力を発揮していただきたいとお願いをしたいと思います。
 次に、低公害車について副大臣にお尋ねをいたします。
 与党三党は、四月二日に、デフレ対策としての税制改正について緊急提言を行ったわけであります。アメリカが、住宅と自動車の販売、特にアメリカの場合には、これはちょっと特別な例でありますけれども、自動車ローンの金利をゼロにして、そして大変な台数を売って、いろいろ問題もあったんですけれども、景気の牽引になったことは間違いない。
 そういう中で、例えば、低公害車は、これから国会に、今週ですか、かかってくるであろういわゆる京都議定書の国内関連法の問題、こういうことにも資するわけでありまして、省エネでありますとか環境対策のためにも、国土交通省は税制措置の拡充というものをしていかれる必要があるんじゃないか、こう思うわけでありますけれども、これに対しての月原副大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。
月原副大臣 今西川委員お話しのとおり、我が国土交通省もこの問題について真剣に取り上げております。先生等の御努力によって自動車税制のグリーン化というのが実現したわけでありますが、昨年の四月以降、低公害車の車種が大幅に増加しております、登録台数も上半期で約六十五万台に達しておるということでありますから、先生の言われたような効果が我が国においても取り上げ方いかんによっては出てくる、こういうことであります。
 そこで、与党の緊急提言や経済財政諮問会議等における議論や経済をめぐる諸情勢を踏まえつつ、低公害車に関する税制上の特例措置については検討してまいりたいと思っておりますが、今のところ、具体的には、例えば自動車税、自動車取得税で減税の対象となっている低燃費かつ低排出ガスの低公害車を取得した場合、法人税の税額控除の対象とならないか、こういうようなことについて今真剣に考えているところであります。
西川(太)委員 これは、ぜひ、経済対策にもなりますので、早急に確実にお願いをしたいと思います。
 最後に、大臣に、ただいまの低公害車の問題も一言いただきたいと思います。せっかくおいででございます。一言いただきたいと思います。
 最後の質問は、先般、私は、大臣に日米観光交流のことについてお尋ねをさせていただきました。
 ブッシュ大統領が日本に見えて、ハワイでの日本の観光客が激減した、また、あのニューヨーク、いわゆるメーンランドに対するアウトバウンドも日本からは減っている、こういうことについてぜひ協力をしてほしい、こういうことでありまして、その間、国土交通省は御努力をなさいまして、観光関連業界の皆さんの御協力を得て、三月にはハワイに一千人規模の官民合同使節団を派遣されましたし、また、これから五月下旬にはニューヨークに一千人程度の同じく官民合同使節団を派遣され、観光需要を喚起する、こういうふうに承知をいたしておりますが、このことはまことに時宜を得たものだ、こう思うわけでございます。
 しかし、この間も申し上げましたが、こうしたさまざまなイベントも大事でありますけれども、やはり、日米間の基幹的な、いわゆる定期的な議論というもの、パイプをつなぐということも私は大事だろうと思うんです。平成六年以降中断をいたしております日米両国間の観光交流促進協議というものを再開することが大変重要だ、こう思うんでありますが、国土交通省がこの問題のイニシアチブをとっていただくことをお願いして、御答弁をいただきたいと思います。これで私の質問を終わりたいと思います。
扇国務大臣 今、西川議員がおっしゃいましたように、日米間、双方合わせて通常年間六百万人という行き来がございます。先日ブッシュ大統領が訪日されまして、小泉総理との間で協議が行われ、そして、今御指摘のありましたように、三月上旬でございますけれども、国土交通省としましては、羽生国土交通審議官を団長とする、民間の各航空会社、観光業界のトップレベルに、観光のハイレベルミッションを訪米させまして、そして、ワシントンで日米の観光交流の大方針について意見を交換いたしました。そういう意味で、そのときに行きまして、今度はハワイへ、今仰せのとおり、高木国土交通政務官を団長としまして千人規模の官民合同の使節団を派遣しまして、交流の大イベントをさせていただきました。
 また、手前みそのように聞こえますけれども、これは大事なことなので御披露させていただきます。
 五月の下旬でございますけれども、二十二、二十三、二十四限定出発ですけれども、五日間で十一万三千円という、割安のニューヨーク五日間というもので、大統領と小泉総理、そしてこういう広告をさせていただきまして、少なくとも、ニューヨークを訪れて、メトロポリタンの美術館に行きまして交流イベントを行おうということで、ビジット・ニューヨーク・一〇〇〇ということで、これを実施させていただきます。
 そして、一番大事なことは、今最後に西川議員がおっしゃいました日米の観光交流促進協議会、平成六年以後これが中断されているというのは西川議員仰せのとおりでございます。それを、今度は、今申しました三月に派遣しましたハイレベルのミッションというもので、米国政府と中長期な観光交流の拡大を図るための官民の合同会議というものを検討を始めまして、そして、おかげさまで、四月の末までに結論を出すということについて合意が図られました。
 そのために、四月の十九日でございますけれども、米国側としては、商務省ベーカー次官補、そしてまたエバンス商務長官が来日されまして、私とともに、この協議を立ち上げよう、平成六年以来中断しておりましたので、そういう意味では立ち上げていこうということで行事を進めていって、そして、定期的にするように、これを調印するまでに運ぼうということを約束しておりますので、これも今御指摘のとおりのことが復活する、そして、将来に向けて、日米間の交流をより図っていくということに資していきたいと思います。
 それから、今低公害車の普及のためのというのを、済みません、冒頭に申し上げなきゃいけなかったんですけれども、これに関しましては、少なくとも、低公害車の開発というものに対しては、国土交通省としては、開発に対する補助金も出し、そしてこの間も、小泉内閣はこぞってまず低公害車を実施しようということで、限定つきで、しかも期日を切って、各閣僚もすべての低公害車を利用しようということを申し合わせたところでございます。
 低公害車は、二十一世紀の国土交通省の環境という大事な原点に立ってこれを推進してまいりたい、観光もさることながら、これもおさおさ怠りなく実行していくというふうに考えております。
久保委員長 一川保夫君。
一川委員 きょうは一般質疑だということなので、私の方から、国土交通行政に関する課題の一つだというふうに私自身は認識いたしておりますけれども、建設業界の今後のあり方ということについて、大臣ほか関係の方にお尋ねしたいというふうに思います。
 我が国の経済社会が戦後ずっと発展してきた中で、特に二十世紀の後半期というのは、建設業界というものが相当成長してきた産業の分野であるというふうに思います。ただ、これが二十一世紀直前にしまして、経済不況という一つの大きな流れの中で、建設業界そのものも体質改善ができないままに二十一世紀に突入しているわけですね。
 そういう中で、では、この産業というのはどういう役割を占めているかというふうに考えてみた場合に、会社の数といいますか、事業主の数だけでも五十六万ぐらいの事業主がいる。また、そこで働いている方々が六百五十万人もいるというふうにも言われております。では、これから先行き、この業界、この産業というのは絶対大丈夫かねというふうに見たときには、非常に危ない部分がいろいろと見え隠れしているわけです。
 今、全体の世の中の風潮としまして、ゼネコンそのものが非常に何かすごく悪いというようなイメージもだんだん定着しつつありますけれども、ゼネコンをトップにした建設業界、こういったものが我が国の経済社会において現状ではどういう役割を担っているというふうに大臣はお考えですか。まず、そのあたりの御所見をお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 一川議員が御指摘のように、我が国の建築業界、戦後、今日まで多くの役割を果たしてきたことは万人の認めるところだろうと思っております。
 ところが、バブル崩壊後、今、失われた十年というふうにあらゆるマスコミでも言われておりますけれども、バブル崩壊後も建設業界、業者が十万ふえ、ところが、公共工事は二〇%減る。ここに大きな問題が起こっているのは、一川議員御指摘のように、しかも一番難しいのは、中小業者がそのあおりを食っているということでございますので、そういう意味では大変苦しい現状にあることだけは間違いないと私は思っております。
 また、一番困るのは、正直申し上げて、ある地域にとっては公共事業が一番の基幹産業になっているという地域がございます。そういうところで一番建設業者がふえているんですね。そこへ一番波が来ているということで、そういう意味では心を痛めております。
 建築業界というのは、戦後の今日をつくったのみならず、災害時でありますとか何か事が起こったときに、一番素早くそれの再建に向けて協力し、しかも、あらゆるところで人命救助等々に対しても、地域の皆さんとしては、建築業界というものが復旧過程におきましてもあらゆる点で協力してきてくれた、また、お金を惜しまないで、報酬を求めないで協力している、そういう事実も、災害列島と言われる日本の中で建築業界の早期復旧に果たした役割というものも大きなものがあっただろうと私は思っております。
 そういう意味では、一方では苦しみながらも、他方で、彼らの持てる技術、しかも戦後、今日まで、あの敗戦の中から世界に誇る技術を建築業界が持ち得た。私たち、外国へ行きましても、扇さん、あの橋は日本の業者がつくってくれて、我が国では一番いい橋なんだよとおっしゃいます。
 そういう意味では、建築業界の果たしてきた役割というもの、また、今後これらが技術を保持しなければいけないということにとっては、中小企業は苦しい中でも、また、二十一世紀は老齢社会に向けてバリアフリー等々、建築業界の果たさなきゃいけない役割というものがまだまだある、そして、彼らの熱意と技術というものを高く評価しながら、むだを省くということだけには私たちは気をつけていきたいと思っております。
一川委員 最後の、これからのあり方については、また後ほど、もう一回お願いするわけですけれども。
 大臣は建築建築とおっしゃったが、建設業界の全体の中で、先ほどちょっと私が触れましたように、要するに、ゼネコン、ゼネコンと言われる分野ですね、総合建設会社、ゼネラルコンストラクターというふうに言われておりますものが、何か非常に今日、国民全体から見ても不信な目で見られている。それからまた、今おっしゃった地方の中小建設業界の方からも、ゼネコンと言われる部分に対しては、今ゼネコンの分野がいろいろな面で信頼性を失いつつあるんではないかという感じもいたします。
 ゼネコンということに対して、私は最近特に気になるのは、最近の経済不況、いろいろな不良債権の処理という観点で、また会社の再建ということも含めて、債務免除を受けるゼネコンが非常に目立っているわけです。いろいろな業界の中でも、建設業界のゼネコンというのは割と目立っている分野だと思いますね。では、地方で苦労している中小建設業界はその債務免除を受けているかといったら、それは何にも受けていないんです。むしろ、倒産していく会社が非常に目立ってきておるわけです。こういう債務免除を受けているようなゼネコンを、今後、健全化していくということは望ましいわけですけれども、ある面ではまた淘汰しなきゃならない部分があると私は思います。
 では、こういうゼネコン、債務免除まで受けている、会社の再建を図ろうとしている、どっちかといえば経営が失敗したような会社だと思いますけれども、これが公共工事を受ける企業としてふさわしいのかどうかということも含めて、ゼネコンという、こういった部分の建設会社というものに対しては大臣はどのように評価していらっしゃいますか。
扇国務大臣 今おっしゃいましたように、大手ゼネコン、そういう言い方をしますと、少なくとも建設業界に占める大手ゼネコンのウエートというものが大変大きいというのは、私は一川議員がおっしゃるとおりだと思います。
 そういう意味では、私は、先ほど申しましたように、高い技術力を発揮して建設業界全体をリードしているということも一方言えると思うんですね、先ほど例を挙げましたように。けれども、今おっしゃったように、国内外の情勢を考えたときには、建設産業というものが国際競争力を高めていくことが期待はされておりますけれども、現実は、重要な役割を担いながらも、だんだん降下しているというのは現実でございます。
 しかし、投資の減少に伴う受注の減少というので、先ほど私申しましたけれども、苦しい経営状況の中で、少なくとも主要五十社で見ますと、大手ゼネコンというのは、受注は、平成八年度から十二年度の間に二六・四%減でございます。全体の公共工事は二〇%ですけれども、大手ゼネコンに関しましては、十二年度までの間に二六・四%の減。そして、建設投資全体は一五・七%減。そういう減少というものは現実にありますので、少なくとも、債務免除を受けたゼネコン等、バブル崩壊後の過剰債務を抱えるゼネコンにおきましては、不良債権処理が加速する中で、少なくとも皆さんがお考えになっているように、法的な整理に移行していって、そしてあるいは経営統合に向かうなど、あるいは再編の動き、そういうものを具体化していくというのは当然のことだろうと思っております。
 先ほど私が申しましたように、そのために、技術力を維持向上し、そして経営基盤の強化をするという新たな道をどう開いていくか。そういう意味では、企業の枠を超えた再編というものも私は必要だろうと思っております。今後、国土交通省におきましても、いわゆる持ち株会社等新たな会社法制を活用した経営統合を促進するために、建設業許可の円滑化、あるいは技術者異動の自由化等の、企業の合理的な組織再編を可能とする施策を具体化するなど、技術と経営にすぐれた企業が生き残り、伸びられるように私たちは指導していくということです。
 一方、私は、国土交通省に申していますことは、債務放棄をしたり、あるいはあらゆる面で公的資金が注入されたり、そういう業者に対しては、次の入札のときに果たしてランクが落ちるのか落ちないのか、Aランクのままでいいのか、あるいは正式に債権放棄をしたときにはBランクに落ちるのではないか、そして、公共工事の入札に関する頻度というものが当然私はあってしかるべきであるということを国土交通省に厳しく、入札資格というものの検査、変更というものも厳重にするようにということを申しております。
一川委員 担当の局長さんにそのところをちょっと具体的にお尋ねしますけれども、今大臣、ある程度総括的にまとめてお話しされましたけれども、債務免除を受けたような、どっちかというと、ゼネコンとしては経営に非常に失敗したような会社が堂々と公共工事を受ける、そういう機会が与えられる。債務免除も何も受けていない小さな会社でもそれだけの技術力は幾らでもある会社はたくさん今そろっておりますけれども、そういうところはなかなかそういうものに参画できないようなケースも結構あるわけですけれども、こういうことも含めて、本当にこれからの建設業というものを健全化を図って再編成していくということであれば、何か公共工事の発注の段階でそういうものをある程度リードしていくやり方があるんではないかというふうに思いますけれども、そのあたりは、具体的な施策としては何かとられていますか、それとも、今後とる予定がありますか。
岩村政府参考人 今大臣から御説明申し上げましたように、建設産業、非常に厳しい経営状況にあって再編を余儀なくされる状況にあるわけでございます。
 この再編をどう進めていくかということについてでございますけれども、行政としては、やはり個別企業の経営に直接関与するというのはいかがなものかということで、市場のメカニズムを利用しながら、技術と経営にすぐれた企業が伸びられる環境整備、そして企業が多様な経営戦略をとることが可能となるような環境整備、そういう環境整備を進めていきたいと思います。
 そして、今お尋ねの、債務免除を受けたようなそういった企業は、少なくとも公共工事について、入札資格に関して差をつけるといいますか、それなりの評価をすべきではないかという点につきましては、一点は、大手ゼネコンについて履行保証割合の引き上げ、これを実施したわけでございます。これによって、金融機関から、企業の経営不振であるということで履行保証割合が上がる、その結果として、履行保証割合に見合うだけの与信を与えなければいけないということで、金融サイドからその企業の参加が難しくなるような仕掛けを一つとったわけでございます。
 それから、あと、特定JV工事について、従来、履行保証はございませんでしたけれども、履行保証を導入するというふうなことで、この大手ゼネコンについての経営不振企業の公共工事への参入の抑制、そういった具体措置をしたわけでございます。
一川委員 かつては公共工事を施行する企業というのは、要するに経営内容が健全な会社をある程度対象としていろいろなものがなされてきた時代があったと思うんですね。最近はそのあたりが非常に野方図になり過ぎまして、逆に経営を再建するために公共工事をもっとたくさんくださいというようなずうずうしい言い方をする会社も中にはおりますように、非常にモラルが低下しているというふうに思っております。
 しかし、こういう状態を放置すると、ますますこれから将来に向けて、この建設業界というのは、私は、だんだん本当に体質的に立ち直れなくなってしまう危険性もはらんでおりますし、また、そこに従事している若い経営者だとかあるいはそこで働いている労働者の皆さん方も、やはり仕事にだんだん誇りがなくなってくるというふうに思います。
 国土交通省、大きな役所になりましたから、公共工事のほとんどをつかさどっているわけでございますので、建設業全体に対する今後のあるべき方向に向けて、やはりしっかりとした指導をされた方がよろしいのではないかというふうに思います。
 そこで、時間も参りましたので、きょうは予定した質問、十分できませんでしたけれども、先ほど来、最近この建設業界と政治家のかかわりの問題、お金と政治の問題に尽きるわけですけれども、やはり建設業界もどっちかというと発注者側とか政治家の方に目を向け過ぎている、そこに依存し過ぎた嫌いが、私は建設業界にもその反省すべき点があると思うんですね。また、それを利用した政治家の側にも当然反省する材料がたくさんありますし、まだまだその真相をしっかりと解明すべき問題も今日あります。
 私は、やはりこれから、建設業を経営する方々も含めて、むしろ、もっともっと国民の側といいますか、いろいろな公共工事、地域住民のいろいろな意見にもっと謙虚に耳を傾けながらいろいろな建設業に取り組むという感覚が必要じゃないかというふうに思います。どうも今までの業界の皆さん方は、発注する役所の方へ出入りする、あるいは政治家の方へ出入りするということにとらわれ過ぎているのではないか。
 先ほど大臣から、建設業の中には、いろいろな災害復旧だとか、あるいは場合によっては人命救助的なものにもいろいろと貢献してきたというお話がございました。私も、そういうこともよく見かけることもありますし、それはそれとして非常にすばらしい役回りをしてきたというふうに思いますけれども、ある面では、また選挙になると非常に目立つという業界でもあります。そういうことで、非常に誤解されやすい体質を持った建設業界でございます。
 ただ、しかし、私は、先ほども言いましたように、この建設業界というのは、やはり六百五十万人という人がそこでもし働いておるとすれば、これから将来に向けて、非常に雇用不安定な時代でございますので、この業界を健全な姿でしっかりと再編成なら再編成を図っていく、また、新しい時代の新しいそういう仕事にタッチできるような体質に徐々に切りかえていくということが非常に大事ではないかなというふうに思っている次第でございます。
 そこで、大臣、最後に御所見をお伺いするわけですけれども、公共工事、これからいろいろな面で見直しが検討されております。また、片や財政再建の時代でもございます。また、今までどっちかというと国サイドでやっていた仕事を地方にできるだけ任せるという、地方分権。当然公共工事も、国で発注していたものを徐々に地方公共団体が発注するようなスタイルに変わっていくケースもふえてくるというふうに思います。また、仕事の中身も、公共的な仕事は、本当に大規模に、新規に開発するプロジェクトというのはだんだん減っていくと思うんですね。今まで整備された施設を改修するとか維持管理していくというような仕事のウエートがふえてくるわけです。
 そういうことをいろいろと考えてみた場合に、従来のような建設市場というのはだんだん縮小されていくという流れに私はあると思うんです。そうすれば、当然ながら、先ほど触れましたように、この建設業界というものも、もっと健全な経営ができるようなスタイルでしっかりと導いてあげるということが大変大事なわけでございますけれども、こういった建設業界全体に対する今後のあり方といいますか、この行く末につきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 一川議員の、建設業界に対して、言ってみれば大変温かい目で見ていただいたことに、私は、多くの皆さん方が感謝していらっしゃると思いますし、また、そういうお言葉を聞いて、より身を引き締めて、政治と業界のあり方というものも今多く話題になっておりますので、考えていって、身を正しながら、業者も立ち直って、また、今までの姿勢を反省して、変えるべきところは大いに変えるべきだ、私はそう信じております。
 ただ、今後の建設業界というものは、少なくとも、創造力だとか活力だとか、そして世界の建設の技術というものに対応できるような研究開発をしていかなければ私は取り残されていくと思います。まして、一昨年でございますけれども、公共工事の入札と契約に関する適正化法を通していただきまして、電子入札というものを実施しております。しかも、また十五年度中に四万四千件の電子入札をしようとしております。世界じゅうから入札が来るわけですね。そうしますと、より技術競争になってまいりますので、そういう意味では、私は、絶えず発展的な技術競争にたえ得ることをしなきゃいけない。
 また、今、日本が持っております世界一の橋梁技術ですとか掘削技術、世界に誇る持っているものをいかに生かしていって、今後それを世界に発信できるか。そういう大きな二十一世紀型の建設業界の姿勢というものが今後試され、また、そういうものに対抗し得る体力をつけていくということが業界の大きな発展になることだと私は思っておりますので、そういう技術を生かしながら、より総合的に、私は、日本の業界が健全な姿勢に立ち戻ってくれることを国土交通省としては最大限に見守り、できることがあれば育てていきたいと思っております。
一川委員 終わります。ありがとうございました。
久保委員長 瀬古由起子さん。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 私は、公共事業費の高どまりについて質問いたします。
 昨年十一月に内閣府が出しました地域経済レポート二〇〇一、これは資料一で皆さんにお配りしているものなんですけれども、見ていただきますと、公共建築工事、それから民間建築工事の単価差がぐっと開いております。幾つかの建設材料についてごらんいただいても、公共工事の単価がうんと高くなっているんですね。これはなぜかという問題なんです。公共事業予算を組むときに使われる建設材に関する物価データが、建材メーカーや建設会社のために高く設定されているんじゃないか、こういう疑問が出されております。
 政府は、建材の市場価格のデータをどこから手に入れているかといいますと、材料単価の調査委託を独占的に受けております二つの財団法人、経済調査会と建設物価調査会の月刊の出版物、「積算資料」「建設物価」を基本にしております。きょう私、ちょっと重たいんですが、持ってまいりました。「積算資料」それから「建設物価」、こういうものを基本に、建設資材の単価を参考にしてつくられているわけです。
 それで、この問題については、英字紙のザ・ジャパン・タイムズが、これが大変問題だということを指摘している、書かれている文章がございます。どういうように載っているかといいますと、調査員の不足のためにまともに調査をせず、業界団体に言われたことを書き写すだけ、中には、百五十四のガラス製品の十七種の値段、二千六百十八項目の値段は三年間にわたって同一数値だ、全く調査していない、このように指摘しております。
 調査会の発行している「積算資料」の広告、こういうものを見てみましても、ここには大手の建材メーカーのいろいろな宣伝がだあっと載っているわけですね。こういう問題もございまして、データをメーカーの顔色を見ながらつくっているんじゃないか、調査という形でやっているために市場価格よりも高くつり上がる、こういう仕組みがあるんじゃないかというふうに言われております。
 国土交通省は、なぜいつまでもこのような財団法人に任せきりにして、建設材の価格として使用するんでしょうか。もっと、専門家も含めた独立性、透明性の高い、材料単価を検討する機関について検討すべきだと思うんですが、いかがですか。
岩村政府参考人 瀬古委員から今、地域経済レポート二〇〇一からということで御指摘がございました。
 ただ、これは、このレポートもよく読んでいただきますと、民間建築物と公共建築物の中で、例えば、民間建築物は居住用、すなわち住宅、これが半分を占めている、一方、公共建築物は住宅に比べて単価が高い非居住用が七割を占めているというように、その前提がちょっと違うわけで、単純に比較をして公共建築物の単価が高いということにはならないのかなというふうに思います。
 また一方、単価を構成している中の建設資材の価格調査をしている団体でございますが、今御指摘のように、財団法人経済調査会と財団法人建設物価調査会が半世紀にわたってこの調査をしているわけでございます。
 それで、今英字紙を引かれて、実態が心もとないというような御指摘もございましたけれども、ちょっとその実情を申し上げますと、財団法人経済調査会は、現在二百名の職員で調査をしております。また、財団法人建設物価調査会の方は、二百四十人の人員で資材の価格調査をしておるわけでございます。また、調査員の経験年数も平均して十二年から十三年ということで、そこに指摘してあるような、調査能力が欠けているというようなことはないというふうに思っております。我々としては、十分な調査体制を有しているというふうに思っております。
 また、両調査会は、調査の成果の品質を向上するという目的で、ISO9001の認証を取得しているわけでございます。また、価格調査基準、調査のマニュアルでございますけれども、これを定めまして、適正に調査を実施しているところでございます。
 また、当然のことながら、両調査会は職員に対する研修等も行って、調査精度の向上に常に努力しているわけでございまして、より効率的な調査体制の追求をしているというふうに認識をしているところでございます。
瀬古委員 確かに、公共建築と民間建築との違いはあります。しかし、建設材料が一・五倍も二倍近くも違うなどということは、私はやはりこの問題はもっときちんと検討しなきゃならないと思うんですね。
 会計検査院に来ていただいているのでお聞きしたいんですが、会計検査院は平成八年度で、橋脚補強工事でメーカー希望価格、希望販売価格をそのまま採用して、積算額を六千二百万円も過大見積もりしているということを指摘されていますね。それから、平成十二年度には、高速道路の建設事業に伴う建設解体材の処理単価も、二千八百九十万円も余分に支出している。こういう、検査院自身が、大変問題があるというように指摘されているわけです。
 このような業界寄りの建設材価格の出し方では、検査院としては問題だというように思われませんか。いかがでしょうか。
白石会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 私ども会計検査院といたしましては、公共事業の検査に当たりましては、契約価格やその前提となります予定価格の算定につきまして、重点を置いて検査をしているということでございます。
 今先生の方から平成八年度と平成十二年度の決算検査報告のお話がございましたが、私ども会計検査院といたしましては、こういう価格の適正ということを検査いたします際には、個別具体的な公共事業の検査に当たりまして、各発注者が採用いたしました労務費あるいは材料費等の価格につきまして、発注者みずからが調査したものであるか、あるいは発注者以外の第三者による調査結果を参考としたものであるかということは問いませんで、それぞれの価格がそれぞれの工事等の実情を適切に反映したものとなっているかどうかということに重点を置いて検査を行っているということでございます。
 こういった検査の中で、私どもとして、その参考資料として使われている計数につきまして、御質問のような刊行物の価格がどのように利用されているかということを見ているということで、その一環として、ただいま先生の方からお話しございました、平成八年度の決算検査報告あるいは平成十二年度の決算検査報告におきまして、参考資料等の利用に当たって問題があるということで指摘をし、検査報告に掲記をさせていただいたということでございます。
 いずれにしても、私どもとしては、一般的に刊行物の価格について適正かどうかということを見ているということでは必ずしもございませんで、あくまでも個々の公共事業の検査をするということが私ども会計検査院の役割と申しますか立場ということでございます。その検査に当たりまして、刊行物の利用の仕方が問題があればそこで指摘をさせていただくということでございます。
 今後とも、公共事業の検査に当たりましては、価格設定については十分留意をしてまいりたいと思っておりますし、このような検査を通じまして、刊行物の利用において問題があるかどうかということにも一段と十分注意を払ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
瀬古委員 建設材料、資材の単価が高くなると全体の公共事業がやはり引き上がっていくわけですね。それがやはり適正でないという場合に、刊行物に問題があるという場合は、それは会計検査院として調査しなきゃならないと私は思うのです。それは問題じゃない、今当面出ている金額が問題なんだというようにはならないと思うのですね。もとに返ってきちんと調査をしていただきたいと思うのです。
 それで、何で会計検査院がそこまでさかのぼれないのかということについて、資料の二枚目、三枚目を見ていただきたいのですが、実は、この資料を出しております経済調査会や建設物価調査会に、国土交通省及び、びっくりしたのは会計検査院から天下りでそこに派遣されておられるといいますか、そこで働いておられる。余り突っ込むと自分たちの身内のOBを追及しなきゃならないということになるのでどうも都合が悪いというように見れるんじゃないか、国民的な常識からいって。
 実際に、この二つのところに、経済調査会でいいますと、国土交通省は理事長以下三名、会計検査院は一名、天下りされております。建設物価調査会は、国土交通省が理事長以下二名、会計検査院が一名なんですね。こういうものはやはり癒着だと言われる、それをたとえ天下りしてもちゃんとやっておりますと言っても、国民から見たら、どうも追及が弱くなるんじゃないかというふうに言わざるを得ないわけですね。
 こういう公共事業の材料単価の調査法人への天下りというのは禁止すべきじゃないかと思うのですが、その点、いかがでしょうか。国土交通省と会計検査院、両方伺います。
岩村政府参考人 御指摘のように、旧建設省の出身者でこの財団法人に再就職している者がいるわけでございますけれども、こうした方々は、長年の建設行政で培われました豊富な経験そして知識を生かし得る、そういう人材だということで、調査会の方から登用されたものというふうに考えております。
 OBが価格調査機関に就職していることが調査の中立性を疑わせるんじゃないかということでございますが、これは逆に、資材の売り手、買い手のいずれの立場に立つものではないということでございますので、この再就職によって調査が中立性を損なうということはないものというふうに考えております。
白石会計検査院当局者 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、会計検査院の出身者で、退職いたしまして御指摘の法人に再就職している者があるということは、これは事実でございます。
 しかし、私どもとしては、これらの者は、いずれも長年検査業務に従事をしてきている者でございまして、そういう意味では、公共工事のコスト等の問題についても、経験、知識を有している者ということでございますので、そういった経験、知識を生かし得る人材として就任をしているものというふうに認識をしているものでございます。
 会計検査院としては、会計検査という職責を果たすべく厳格、公正な立場を守らなければいけないということは当然のことでございまして、OBが就職をしているからということでその団体に有利な取り扱いをするということはしていないところでございまして、今回御指摘の建設物価調査会あるいは経済調査会の関係につきましても、私どもの基本的な役割が、個々の会計検査、個別の公共工事の検査を行っていくということでございますので、そういうことを通じて、刊行物価格等に問題があれば、これは指摘をさせていただくということでやらせていただいているということをぜひ御理解をいただきたいと思います。
瀬古委員 民間と公共の場合に物すごく価格の差がだあっと開いてきている、こういう問題はなぜかという問題について、やはりもっと真剣に検討していただきたいと私は思うのです。きちんと知識やその経験を生かして就職しているんだと言われるけれども、実際には、そこに今、公共工事をめぐってきちんとしなきゃならないという国民の注目がやはりあるわけですね。そういう点では、今までの延長線上でない、見直しも本当に図らなきゃならないと私は思うのです。結果としては、天下りをやっている人たちが何か操作したとかなかなか言いにくいということになっていないとしても、国民に疑念をわかせるようなやり方についてはやはり検討すべきだと思うのですね。
 もう一つの問題について伺います。
 ダム建設にかかわる環境調査の大半なんですが、これはダム水源地環境整備センター、こういうところがやっているわけなんですね。二〇〇〇年度で、ダム環境調査は百四十九件、四十四億五千万円なんです。すべて随意契約になっております。
 これは、実は問題のある財団法人なんです。財団設立時に、基本財産十億円のうち八億円近くは、ダム建設で潤っておりますゼネコンやメーカー、コンサルタント会社が寄附しています。ゼネコン丸抱えの環境調査会社と言ってもいいと思うのですね。財団職員は、約七十人のうち四十二人はゼネコンやコンサルタント会社からの出向です。出向者の給料は、一年目は出向元の企業、二年目以降は財団も半分を負担する、こういうふうになっているそうなんです。
 財団に出向していたある企業の社員は、もともと財団は、ダム建設がうまく進むように旧建設省がゼネコンに人と金を出させてつくらせた、環境調査のための委員会の人選や調査の中身については、役所の担当者とあらかじめ打ち合わせをやった上でやっていた、建設に影響するような調査結果が出るはずがない、ここまで証言しております。
 驚くべきは、この財団に国交省や水資源公団からも出向しているんですね。財団法人の看板で仕事をしている職員が七人もいます。さらに、この財団に旧建設省の官僚が天下りしている。常勤役員四人のうち、何と四人とも国土交通省からの天下りで、元北海道開発事務次官を初め幹部がこの役員を全部占めている。ゼネコン、役所丸抱えに、天下りオーケーだ、これでどうしてまともな調査がやれるんでしょうか。
 私も、幾つかの調査の内容について現地から聞いてきましたけれども、本当にまともな調査をやって、建設はもう問題だといった結論を出したものがないぐらいなんですね。徳山ダムなどは、私の地元ですけれども、今国が出してくるこういう調査結果について、地元の野鳥の会の皆さんたちは大変問題だというふうに指摘されているわけですけれども、こういう問題についてちゃんと改革をすべきだと思うのですけれども、いかがでしょうか。
竹村政府参考人 ダム水源地センターに関しましての委員の御質問に対してお答えいたします。
 ダム事業は、下流の治水と利水という非常に大きな公共性を持った国民の安全と安心を実施する事業でございますが、ダムをつくる地点における環境への影響、また、その環境にはどのような長い間の影響があるか、それを緩和するためにはどうしたらいいかという、環境を大事にしていこうという必要性から、昭和六十二年に設立された公益法人でございます。
 この内容は、今委員御指摘のように、民間の方々の英知と行政のサイドの考え方、それが一体となった新しい分野の研究調査でございまして、私どもは、民間の英知と行政上のニーズで総合的な研究体制をとっているこの財団法人は、非常にすぐれた実績を出しておるという認識を持ってございます。
 具体的に申しますと、ダム、貯水池及びその水源地域のさまざまな調査や研究に対する技術開発に伴う特許等をもう既に七十取得してございます。その特許は、公共事業を実施する場合はすべて無償でございまして、国民に供してございます。また、一般のコンサルタント等が実施する水質環境調査手法の各種マニュアルをもう既に五十八件出しておりまして、民間の方々が簡易な、そして定型的な調査ができるように、新しい分野の部分に関します調査研究を実施しているという内容になってございます。
瀬古委員 実際にはこの調査によって、現地ではオオタカやクマタカやイヌワシのいる本当に自然豊かな地域がどんどん開発されて、自然が壊されていっているわけですよ。そういう点では、こういうところに役所も天下りをして一緒になってやるなんというのは、とんでもないことです。
 もう最後になりましたけれども、先ほどお金と政治家の問題も出されましたけれども、実際には今、公共事業から政治家にお金が還流している。特に、自民党の国民政治協会への政治献金は、八〇年代六十二億一千百九十四万円、九〇年代は四十八億九千百五十八万円に上っております。二〇〇〇年単年度でも三億八千二百五十万円。公共事業にまつわるこの税金の還流について、三月二十八日ですけれども、与党の三党首会談で小泉首相は、公共事業の受注企業からの献金の規制を検討する、このことが話し合われたんです。ところが一方では、自民党が、大手のゼネコンの業界団体、日本建設業団体連合会に献金要請をしていたということが明らかになりました。要請を受けた日建連は、三億円を各社に割り当てて、少なくないゼネコンが三月末までに振り込んだと言われております。
 そこで私は大臣にお聞きしたいと思うんです。こうした政官財の癒着の問題ですね、企業献金の問題。とりわけ公共事業受注企業からの献金は少なくとも規制すべきだという声が当然今出ているわけですね。こういう問題について、一方では言いながら、一方ではどんどん献金を要請する、そしてゼネコン側もそれにこたえるというやり方ですね。それから、先ほど私が言いましたように、天下りがどんどん行われている。そういう問題についてはどのようにお考えでしょうか。やはり改善しなきゃならないと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 問題が多々ございまして、献金の問題、天下りの問題、それぞれ私、問題があろうと思っております。
 けさからも、また先日もこの委員会で、民主党さんの方からも献金のリストをいただきました。私は、そのリストの中から、債権放棄をしたもの、あるいは債務保証してもらったものに対してどうかというのを調べたのを、けさ冒頭に木下議員からの御質問に私はお答えいたしましたけれども、そんなに、公共工事、献金するほど余力があるんだろうかと一般の皆さんがお思いになるのも当然ですし、私も思います。それだったら、もっとコストダウンできるんじゃないかということが一点。
 そして、公職選挙法なり政治資金規正法なり、正式に国民の皆さんに開示できる、情報公開できるというものでなければならないというのは、これはもう原則でございます。少なくとも、先ほどおっしゃったように、一定の時期に一定の業界から奇異に感じる献金があるということに対しては、私は、これはやはり姿勢を正さなきゃいけない、そういう疑義を持たれるということ自体が残念だと思います。
 それと、もう一つ残念なことは、このごろマスコミ等々、国会でもそうですけれども、口ききということですね。こんな情けないことはないと私は思います。口ききのための会社を設立するなんというのは冗談じゃない。
 それを是正しようということで、私たちは、御存じのとおり、全会一致で通していただきました公共工事の入札と契約適正化法、それによって電子入札しますことと、国土交通省としては、少なくともこれを予防しようということで、予定価格の事前公表、事前に公表してしまえば、予定価格を出してしまえば、談合も口ききもできませんから、それをしてみようということで、今それを実験的にしております。ただ、国の直轄事業に対しては、事前公表はならないという法律的な制約がございますので、直轄工事じゃないものに関して、これを事前公表しております。
 ただ、今瀬古議員がおっしゃったように、これはメリットとデメリットとあるんですね。最初に値段を公表してしまいますと、それぞれの会社は、ああ、これが一千億か、ああ、これが一億の事業かということで、自分たちで積算する努力をしないんですね。ですから、今おっしゃった高値どまりの受注になりかねないというデメリットもある。また、それぞれの建設会社が入札するときに、積算努力をしないから、いいかげんな仕事をするんじゃないかというクエスチョンマークもあります。
 そういう意味で、あらゆることを今実験しておりますけれども、それぞれのメリットとデメリットはございますけれども、我々は、国民の目に疑義を持たれないような公共工事でなければ、公共という字を見れば公なんですから、少なくとも、そういうことを是正するために、国土交通省、でき得る限りの実験と実施をして成果を上げていきたいと思っております。
瀬古委員 何としても政官財の癒着を正さなければ、国民の信頼は生まれないと思うんです。そういう点では、もちろん入札の改善もあわせてですけれども、やはり企業献金禁止、天下り禁止という点でも本格的なメスを入れていただきたいと思います。
 以上で終わります。ありがとうございました。
久保委員長 原陽子さん。
原委員 社会民主党の原陽子です。
 私は、つい先日まで環境委員会におりましたので、きょうは環境の側面から扇大臣に、新幹線などの騒音に関することに関して幾つか御質問をさせていただきたいと思います。
 先日、環境省設置法第五条に基づいて環境大臣が環境の保全に関する基本的な施策に関する重要事項について勧告を行った事例のすべてを教えてくださいと質問主意書でお願いをしたところ、これまでに勧告が三件出ていることがわかりました。それは、一つが航空機の騒音対策について、もう一つが新幹線鉄道の騒音対策について、もう一つが新幹線鉄道の振動対策について。これは三つとも今の国土交通省が所管する事項であるということと、この三つすべてが騒音や振動、いわば音に関するものであるということがわかりました。
 この質問主意書の中で、政府は、この三つの勧告とも、「環境保全は推進されたと考えている。」と答弁をしていますが、実際には、勧告から二十五年が経過した今でも、すべての新幹線の路線で騒音基準を達成した路線はないということです。住居地域では七十ホン、商工業地域では七十五ホンという基準に対して、平成十二年のデータを見ますと、東海道で七十六、山陽が七十八、東北八十三、上越七十九、長野七十三と、数字を見ただけでも、すべての地域でこの基準を超えています。
 このように騒音にかかわる環境基準が達成されていないということを大臣はどのように思われるか、最初に聞かせてください。
扇国務大臣 人間はすべからく、より速く、より快適に、そしてより経済的に、これを追求するのが世の常でございます。速ければ、少しは音も出るでしょう。では、遅い方がいいのか、あるいは、もっとお金をかけてもこれを防止するべきか。そういう人間の欲望と、それを満たすものとの矛盾と整合性、そういうものすべてを私たちは考えながら、そして、より快適に、より速く、より安くと、そういう条件のもとに、あらゆるものの発展と、そして、それを発展させるだけではなくて、環境を追いかけていくということとが両々相まって、私は世界じゅうに伍していける日本の地位というものがつくられるのであろうと思います。
 個々の問題については局長から答弁させますけれども、私たちは、人間の追求心理、あるいは、より文化的に、より文明的にというものとの整合性というものをより勉強しながら、なおかつ整合性を図っていくというその基本理念だけは持っていたいと思います。
原委員 私たちがより快適に生活をするという部分に関しては、もちろん経済的な面というものもあるかもしれませんけれども、やはり豊かに暮らしたいというところの国民のその豊かな生活環境というものも同時に求められていくものだと、大臣がおっしゃったとおりに私は思います。
 私は、このことに関して、もう一つ、新幹線の騒音に関する質問主意書というものを出しました。この中で、こうした騒音に係る環境基準を最終的にいつまでに達成するつもりなのかということを私は聞いたのですが、明確な答弁を得ることができなかったので、きょう、もう一度ここで改めて聞かせていただきたいのですが、いつまでに、だれが責任を持って、先ほど大臣は環境を追いかけていくということをおっしゃったのですが、この環境基準を達成していくおつもりなのか、教えてください。
石川政府参考人 新幹線の環境基準につきましては、新幹線を運行する鉄道事業者、それから建設主体であります日本鉄道建設公団、これが第一義的な責務を負っていることから、これらがその達成に努力するものであると考えておりまして、国土交通省といたしましては、早期にこのような基準が達成されるよう、今後とも指導をしてまいりたいと考えております。
原委員 やはり、環境省から出ている勧告が三つで、それが三つとも国土交通省が所管する事項にかかわる。こうした勧告、出ているのは、結構前なんですよ。昭和四十六年、四十七年、五十一年と、私が生まれる前に出されている勧告なので、こうした問題にしっかりと対応していかないと、これからもっともっと新しい問題が出てきたときでも対応がおくれてしまうということになるおそれがあると思うので、ぜひ、よろしくお願いします。
 ここからは、ちょっと具体事例を挙げてお尋ねをしたいと思うのですが、福岡市と鹿児島市の間に計画をされている九州新幹線では、公害対策に大きな欠陥があるということが現在危惧されています。最初の環境影響評価では、そこの路線を時速二百十キロを前提に走るということで、騒音や振動の予測を行いました。最終的な環境影響評価では、時速二百四十キロを前提に予測を行ったそうです。しかし、実際には二百六十キロで走行することが予定をされていると聞いております。
 実際には二百六十で走るのに、環境影響評価では二百四十を前提に測定をしたということなので、私は、これは改めて環境アセスメントというものをやり直すべきではないかと思うのですが、どうでしょうか。
石川政府参考人 九州新幹線鹿児島ルートでございますが、ここにかかわる環境影響評価、これは、御指摘のように、昭和六十一年の十月に評価報告書が作成されまして、関係地域内において当該評価書が公告縦覧されてございます。この縦覧された当該評価書におきましては、列車の最高速度時速二百四十キロで予測評価がされております。一方で、この新幹線そのものは二百六十キロで工事実施計画になってございます。
 それで、二十キロの差があるではないかという御指摘でございますが、平成十一年六月に施行されました環境影響評価法におきましては、列車の最高速度の増加が毎時二十キロメートル以内の場合には、軽微な変更として、環境影響評価の手続を経ることを要しないということとされてございます。したがいまして、本件につきましては、環境影響評価のやり直しということは必要はないと考えております。
原委員 わかりました。でも、やはり数値が違っているわけですよね。二百四十で測定したけれども、実際に走るのは二百六十と。例えば、そのような評価の法律の中で二十キロの差がある場合にはやらなくてもいいというふうに決められていたとしても、やはり実際にこういうものというのは、たとえそこで決まっていても、数値というものは正しく出していかなくてはいけないと思うので、必要はないという御答弁だったんですが、私はやり直すべきだと思うということを再度述べさせてください。
 次の質問に移らせていただきます。新幹線の騒音、振動公害の防止策として緩衝地帯というものを設置するそうなのですが、そのことについて質問をさせてください。
 東海道新幹線を建設した時代には、この緩衝地帯という考え方がなくて、ゼロメートルで新幹線高架に接するような家がある地域が多くありました。それで、名古屋の新幹線の公害訴訟では、二度にわたり、国鉄を加害者として、損害賠償を支払えという判決もありました。この東海道新幹線の時代の教訓を生かして、東北・上越新幹線では、埼玉県内で路線の両側二十メートルずつを緩衝地帯として国鉄は買い上げて、その二十メートル以内に住んでいる人たちは移転補償を受けることができたそうです。
 このような緩衝地帯の設置というものは、騒音や振動の公害防止対策として、ほかの新幹線の路線でも模範とすべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
石川政府参考人 新幹線の騒音あるいは振動対策、これをどうやっていくかということでございますけれども、騒音対策につきましては、基本的に、新幹線を運行する鉄道事業者あるいは建設主体である日本鉄道建設公団、これが、防音壁のかさ上げ、パンタカバーの設置、あるいはパンタグラフの数を減らすというふうな、音の発生そのものをどう抑えていくかといういわゆる音源対策、これを行うということがまず第一でございます。それから、その次に、音源対策のみではなかなか難しいという場合には、周辺の家屋の防音工事というふうなことも行うことになると思います。
 さらに、沿線に今御指摘のような道路だとか公園だとか緑地等を配置する土地利用対策ということも、振動や騒音対策として一つの方法であると認識してございますけれども、これはその町の全体のあり方ということにもなりますので、沿線の地方自治体等において検討されるものと考えております。
 御指摘の東北新幹線の例でございます。大宮駅周辺におきましても、沿線の地方自治体が道路や公園、こういうものに利用するということを前提に、当時の国鉄がこれを買収して、その後自治体による買い取りが行われたと聞いております。
原委員 では、引き続き、九州新幹線の建設に関してのことで質問を続けたいと思うのです。
 国鉄が昭和五十九年に沿線住民に配布した「九州新幹線 環境影響評価報告書案の概要」というパンフレットがあります。この中で、例えば、音源対策のみでは環境基準を達成できず、土地利用施策などが必要だと予想される地域もある、このような地域に対して、新幹線の路線については、地元において新幹線計画と整合した公共施設の配置の土地利用施策を行うことが良好な沿線環境をつくる上で必要である、かつ、それは騒音を初め振動、日照障害等に対する路線の環境対策としても最も有効なものですと、この九州新幹線の中では述べられています。
 ここで述べられている土地利用施策とは緩衝地帯をつくるということで、それが公害対策として最も有効だという考えを出しているわけで、私は、この考え方というものを、自治体任せではなくて、現在の国土交通省としても尊重するべきではないかと思いますが、どうでしょうか。
石川政府参考人 今御指摘のパンフレットでございますが、当時国鉄が実施していました九州新幹線の環境影響評価、これにつきまして地域の住民の方々への説明のためにつくられたパンフレットでございます。
 このパンフレットにおきましても、先ほど申し上げましたように、まず音源対策というものを基本とするんだ、音源対策のみでは達成が困難な場合には、障害防止対策あるいは土地利用対策を含めた総合的な対策が必要である、こう述べられているところでございます。これは先ほど私が答弁したのと全く同じでございまして、土地利用対策につきましては、やはり沿線地方自治体等によってこれを実施していくものと考えておりまして、鉄道局としても必要に応じて鉄建公団等を指導してまいりたいと考えております。
原委員 実際の九州新幹線の工事では、沿線住民が実は緩衝地帯を要求しているにもかかわらず、鉄建公団は無視して家の間近に高架橋を建設しているんです。水俣市や八代市がその例なんですが、私、ちょっときょう写真を持ってきたので、ぜひこれ、遠くからで見にくいかな、大臣にも見ていただきたいんですが。
 ここに家があって、このすぐ上を新幹線の高架橋が走っているんですよね。こちらもそうなんですけれども。これは高架橋ができている水俣市の例であって、これが八代市なんですが、これは工事の途中です。ちょっと見にくいんですが、これも家がすぐそこにあって、ここで工事を行っているというような写真です。
 これでは、住んでいる人にとってみると圧迫感も大きいし、こうした問題をやはり何とかしていかなくては、その地域、もちろん自治体に任せておくというのは十分わかるのですが、でも、こうした事業を所管して監督することができる立場にある国土交通省として、やはりこうした問題、実態があるということを私は知っていただきたいと思います。
 質問主意書の答弁の中で、これまで騒音とか振動対策として八百件の移転補償を認めているということがわかりました。私は、この写真の水俣と八代の例も当然移転補償が行われるべき事例だと思いますが、どうでしょうか。
石川政府参考人 ただいま御指摘の件は、水俣市の長野地区や八代市の地区だろうと思いますが、ここの問題につきましては、新幹線の建設に係る移転補償というものにつきましては、他の公共事業の場合と同様でございますが、公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というのがございまして、これによって、事業に必要な土地の取得に伴って移転が必要となる建物等を移転補償するという対象としているわけでございまして、御指摘の場所につきましては、新幹線建設事業に必要な土地の範囲外であるために、移転補償の対象となるものではございません。
原委員 いや、それはだから、法律の上というか、皆さんがおっしゃるこういうペーパーの上の話だと思うのです。実際にこういう写真を見て、ここに本当に住めるのかと聞かれたときに、やはり生活するにはいい環境ではないですよね、この上を今は新幹線は走っていないんですが、走ることになるわけですから。こうしたところに移転補償を認めていくという、本当に積極的な答弁が欲しかったなというふうに私は思います。
 きょうは環境省の方にも来ていただいておるので、ちょっと質問させてください。
 水俣市の場合に、この周辺というのは、以前は住居地域として用途地域に指定されていました。住居地域の騒音基準は七十ホン以下だそうです。でも、平成八年にこの路線の両脇の五十メートルが準工業地域に変更されて、そうなると、騒音の環境基準が七十五ホン以下へと緩和をしてしまいます。これは私は、住民にとっては非常に不利な変更だと思います。
 住民がもともと住んでいたところに路線を敷いて、そして、それに合わせて用途変更する。基準を定める側として、環境省として、このような運用がなされているということについてどう思われるでしょうか。
西尾政府参考人 今の御指摘は、水俣市の長野地区の御指摘だと思います。
 新幹線鉄道騒音の騒音防止につきましては、もとより最大限音源対策を進めていっていただくとともに、障害防止対策、土地利用対策を含む総合的な施策が必要であります。そういう見地から、水俣市では、新幹線沿線を非住居系の利用に誘導しようという考えで用途地域の変更を行ったものと聞いております。それ自体は地域のお考えによるべきものであろうというふうに考えております。
 そういうことでございますけれども、沿線住民の方々の生活環境を保全するという見地から、七十五ホン超の場合には速やかに対策を講じることはもちろんでありますが、この辺の地域は、設計施工に当たりまして、著しく条件の悪いような住宅等はないかといったような点につきましてもきめ細かく把握していく必要があるのではないかと思っております。
 そういうことでございますので、鉄道建設公団等におきまして今後どのように取り進められるか、国土交通省と連絡を密にしてまいりたいというふうに考えております。
原委員 やはり私たちの生活環境を守ってくれるのは環境省だと私は信じていきたいので、ここは国土交通省と連携をとっていただきたいと思います。
 国土交通省も環境省も自治体に任せているということだったのですが、住民は、この件に関しては、もとの住居地域という指定に戻すように要求をしております。幾ら自治体に任せているといっても、やはり国土交通省には指導とか監督をしていく義務があるし、そうした立場にあると私は思いますので、時間が来てしまいましたが、最後に、せっかく大臣にもこの写真を見ていただいたので、こういうことについて移転補償というものをしっかりと行っていくかどうかということをちょっとお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。大臣にお願いします。
扇国務大臣 冒頭に申しましたように、全国あらゆるところで、新幹線も通っておりますし、飛行場もありますし、高速道路もございます。そういう意味では、法にのっとって私たちは施行するあるいは路線を決める、そしてそれを決定するという手順を踏んでおりますので、そのように予定どおりさせていただいて、また、できれば住民の皆さんと、より円満な解決方法で対処していくというふうにするべきだと思います。
原委員 もちろん、周辺の住民の皆さんの声や生活環境といったものにもしっかりと耳を傾けていっていただきたいということをお願いして、私の質問を終わります。ありがとうございました。
久保委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時二十分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三分開議
久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 内閣提出、マンションの建替えの円滑化等に関する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省都市・地域整備局長澤井英一君、住宅局長三沢真君、法務省大臣官房審議官原田晃治君及び法務省民事局長房村精一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武正公一君。
武正委員 民主党・無所属クラブ、武正公一でございます。マンション建替え法につき質疑をさせていただきます。
 まず、マンションは、言うまでもなく、敷地内に公園だとか、あるいはマンションの建物には通路、あるいはマンションの敷地のちょうど外縁部には街路灯など、それぞれの区分所有者の資産あるいは出資、出費によってかなり公的なスペースを補完しているというような指摘があるわけでございます。そうはいっても、税額上、マンションの区分所有者に何ら優遇されているところは見受けられないわけでございますが、マンションの所有者が公的なスペースをかなりの部分補っているといった件について、国土交通大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 マンションというものに対しての御質問でございますけれども、一般的に、他の個人住宅等々の住居と同じように、マンションの共用部分、そういうものは基本的には個人の、それぞれの所有者の財産だとみなされると私は思っております、常識的には。共用のスペースも含めての整備費用というようなこととか、あるいは今問題になっております、マンションの管理費の中から建てかえ用の費用をみんなで積み立てていくとか、そういうことに関しては、所有者においてそのマンションの保持というものに対してのそれぞれの認識のもとに負担していらっしゃるというのが私は現実だと思います。
 また一方、マンションは土地の有効利用を可能とする住まいの形態でございますので、その敷地内にオープンスペースなど共用のスペースの充実を図る、これはやはり、よい環境の中に住まいをする、そういう意味では、私は良好な住宅環境というものの形成には必要なものであると思っております。
 一定の割合以上のオープンスペースを確保するマンションの建てかえ等については、これまた問題が多々市場にも起こっておりますので、そういう点につきましては、費用の補助を行う制度というものを設けてありますので、できる限りはそういうものを利用しながら、良質なマンションの環境保持というものを図っていけるようにするべきだなと思っております。
武正委員 大臣から、戸建て住宅との比較がございました。戸建て住宅の場合は、住宅の前の道路を自治体が整備をしてくれる、あるいは街路灯もやってくれる、そういったところをマンションの所有者は御自身で負担をされている、こういった認識について私は指摘をさせていただいたわけであります。
 さて、今回の建替え法の中で、マンション管理組合等の方にお話を伺いますと、こんな御指摘もあります。せっかく三十年のローンを払い終わったら、今度は建てかえだと。せっかくローンを払い終わって、これからそういった負担を月々なしで住めるんだけれども、これでもし建てかえをするときに、今までのような等価交換だったらよかったんですが、それもなかなか難しいといったことになりますと、この建てかえに参加しない場合には何がしかのお金をもらって、それも今かなり低いといった指摘もあるんですが、今度は賃貸住宅に入らなきゃいけない、こういった指摘があるんですね。せっかく今まで三十年のローンを払い終わって、やっと自分の資産になったなと思ったら、それが建てかえで、今度はまた負債が発生する。それを好まなければ、そこから出ていって、賃貸住宅に住んで月々お金を払う。こういったことについて、やはり問題点を指摘する声がマンション管理組合等からも出されております。
 この点につきまして、大臣の御所見とともに、法務省の政務官からは、財産権の侵害に当たらないのかどうか、この点についてお願いをしたいと思います。
扇国務大臣 大体、日本のマンション、ちょうど年数的に建てかえの時期に、あらゆるところで時期が到来しております、許容年数が来ております。そういう意味で、今武正委員がおっしゃったように、あらゆるところで問題になり、それぞれの事例が発生しているところです。
 もともと、建てかえに対します負担の軽減というものは図らなければならない、それは当然のことだろうと思っておりますけれども、一定の要件を満たすマンションの建てかえについては除去費とか、あるいは新たに新築するマンションに対しての共用部分の整備費等、補助を行っておりますけれども、建てかえの参加者の住宅取得、それらに関しては御希望は変わるわけですね、今おっしゃったように。私は建てかえのところへは行かないで違うところへかわるのよという方もいらっしゃいますので、この場合には住宅金融公庫の優遇措置が受けられるようにという指導もしております。その中には高齢者ですとかあるいは身障者でいらっしゃいますとかそういう弱者の方がいらっしゃいますので、そういう方には公営住宅の優先入居、あるいはそれだけではなくて従前居住者用賃貸住宅にかかわる家賃の対策補助、そういうものとか移転料の支払いに対する補助、それらを行っております。高齢者とか低所得者等の居住の安定を私たちはまず図っていかなければいけない。マンション自体の建てかえに対しては組合ができておりますから、それぞれの居住の皆さんで図られることですけれども、万が一その中に、今申しましたような高齢者とかあるいは低所得者、あるいは身障者の方がいらっしゃる場合には、そういう手当てをしなければならないと思っております。
下村大臣政務官 財産権の侵害に当たらないかという御質問がございました。
 建てかえ決議に反対した区分所有者が最終的に建てかえに参加しないこととした場合、その区分所有権を売り渡さなければならないということになります。しかし、区分所有物件は物理的に一体不可分であるという特徴がございますから、大多数の区分所有者が建てかえを希望しても少数の反対者が存在すれば常に建てかえが実施できないものということになりますと、大多数の区分所有者の権利が不合理な制約のもとに置かれるということになるわけでございます。
 そこで区分所有法は、建てかえに反対する区分所有者に対しては、その区分所有権を時価で買い取ることを保証するとともに、合理的な要件を定め、その要件が満たされている場合に限って建てかえ決議ができるものとすることで、区分所有者の財産権との合理的な調整を図っております。
 したがって、建てかえ決議の結果、反対者が区分所有権を売り渡さなければならないということになったとしても、財産権の侵害には当たらないというふうに考えております。
武正委員 大臣の方から公的融資のお話がありましたが、融資といってもやはり借金に変わりはございません。また建てかえについて、国土交通省さんの検討委員会の報告では、区分所有者一人当たりの金銭負担は千五百万以上二千万が一番多いということでございます。建築後年数は平均三十八年といったことも出ておりますので、これは後ほど三十年か四十年かの議論でまた使わせていただきたいと思います。
 今、政務官の方からは時価というお話がありましたが、その時価が問題でありまして、極端に安い場合には、本当になけなしのお金をもらって賃貸に入らなければならないといったことが指摘をされているわけでございます。
 それでは、引き続き法務大臣政務官には、建てかえ決議のルールの明確化の環境整備が必要と考えるが、区分所有法の中間報告でどうなっているか、また今回の建替え法と区分所有法のすみ分けはどのようになされているのか、お答えいただきたいと思います。
下村大臣政務官 建てかえ決議の要件の明確化に関しましては、法制審議会建物区分所有法部会におきまして議論が重ねられてまいりましたが、先月取りまとめられた中間試案では、老朽化を理由とする建物の場合と災害等で建物が損傷を受けたことを理由とする建てかえの場合のそれぞれについて、客観的に明確な要件を掲げております。
 具体的に申し上げますと、老朽化の場合には、基本的には築後三十年または四十年が経過したときに、災害等で建物が損傷を受けた場合には、建物をもとに戻すのに要する費用が一定の基準を超えたときにそれぞれ建てかえをすることができるものとする案を示しているところでございまして、現在意見募集、意見照会の手続をとっております。
 また、区分所有法と本法案との関係につきましてもお尋ねがございましたけれども、本法案は、主として区分所有法上の建てかえ決議がされたことを前提として、決議後の建てかえ事業を円滑に進めるための措置を定めるものでございますので、建てかえ決議の手続や要件について定めた区分所有法ともすみ分けができているものと考えております。
武正委員 今、中間報告の、三十年、四十年というお話がございましたので、国交省さんの御説明では、築後三十年超が平成十二年度で十二万戸のものが十年後九十三万戸になりますよ、こういった御説明を使っておりますので、ある面、築後三十年というのが一つ念頭にあるのかなと思うんですが、今法務省さんからは三十年、四十年ということが出ておりますので、副大臣におかれましては、この四十年についてどのように考えられるのか。
 あわせまして、マンションにおきましては、管理費平均月額一万一千百九円、修繕積立金七千三百七十八円、この使途に、今回の四条二項二号にありますが、建てかえに向けた合意形成を図るための検討費用を入れることが可能かどうか。これは法務大臣政務官に。
 また、あわせまして副大臣並びに政務官には、修繕積立金というのがありますが、マンション建てかえ基金、こういったものが考えられないかどうか。
 以上、あわせまして御答弁をお願いいたします。
佐藤副大臣 区分所有法の建てかえ決議の要件につきましては、現行のいわゆる費用の過分性の要件の不明確性が強く指摘されていることは、先生御承知のとおりです。それが随分訴訟の原因にもなってきているわけであります。
 マンションの建てかえを円滑に進めるためには、決議の要件は国民にわかりやすく、そして明確なものでなければならないと思っております。先般公表された法制審議会の区分所有法改正中間試案において示されている建築後年数のみを客観的要件とすることは、このような観点から適切なものであると考えております。
 この場合、これまでの建てかえの実績を見ると、先ほど先生おっしゃったとおり、築後三十年から四十年で建てかえているものが圧倒的に多いわけであります。公営住宅や市街地再開発事業の要件に用いられている築後年数も三十五年程度であること、建てかえの合意形成には一定の年数を必要とする、そんなことを考えますと、築後年数としては三十年を採用することが適当であると私どもは考えております。
 なお、マンション建てかえ基金の創設等を今御質問でございましたけれども、マンションの管理組合においては、将来の大規模修繕に備えて、管理規約等に基づきましてすべての区分所有者が毎月所定の修繕積立金を積み立てているところであります。しかしながら、これと同様に、将来の建てかえに備えるために規約等により区分所有者間で基金を設け、建てかえ資金を積み立てておく仕組みを設けることについては、すべての区分所有者が建てかえに参加するとは限らないこと、途中で転居する者に対する取り扱いなど、検討するべきことがたくさん残っていると考えております。
 なお、マンションの建てかえ事業に対しましては、建てかえの検討段階から再建マンションへの入居に至るまで、調査設計計画費、共同施設整備費等への補助、住宅金融公庫の融資、公的債務保証等の制度により、資金面で総合的な支援を行ってまいりたいと考えております。
下村大臣政務官 お答えいたします。
 区分所有法上、管理組合は建物及びその敷地等の管理を目的とする団体とされておりまして、その目的に含まれる費用であれば区分所有者から集めることができるものとされております。
 ところで、マンションの建てかえは、現在のマンションを取り崩して新たな建物を建築するということでございますので、一般論としては建物の管理には含まれない事柄と考えられますし、また、区分所有者の中には建てかえに反対する者が含まれていることから考えても、建てかえに充てるための費用を管理組合が区分所有者から徴収するのは検討すべき問題点が少なくないと考えられます。
 もっとも、建物を維持した場合に、今後どれだけ費用がかかるかは建物の管理に関係する事柄であり、建てかえを検討する場合にも重要な判断材料になると考えられます。
 このように、建てかえの検討に必要な費用についても、建物の管理に関係するものであれば、修繕積立金やあるいは管理費から支出することができるのではないかと考えられると思います。
武正委員 副大臣からは三十年が適当というような御答弁がございましたが、国土交通省さんの委員会は、平均の年数は三十七年といったことを出されておりますし、また、日本建築学会は、コンクリートづくりの共同住宅の耐用年数を四十七年と昭和六十三年に推定しておりますし、平成十年度の税制改正では、これまでの六十年償却が四十七年に改正されておりますので、私は一律に三十年というのはいかがなものかなというふうに考えるところでございます。
 そしてまた、今政務官の方からは、いわゆる管理と建てかえはやはり概念的にちょっと違いますよと。ただ、そこでクロスオーバーさせることは可能なんだというような前向きな御答弁をいただいたところでございます。
 そういったところで、引き続きまして、この建てかえについては専門的知識が必要なのかといったところが言われております。もちろん、専門的知識には、いい形での専門的知識と、もしかすると、ある面、誘導的な専門的知識の両方が考えられるところでありまして、そういったいい意味で、マンション管理士さん、あるいは百万人いる建築士さん、そして五万あるマンション管理組合をサポートするようなNPO専門家集団、そしてまた行政、これがどういった形で専門家としてこの建てかえにかかわっていくのか、これについて国土交通大臣の御所見をお願いいたします。
扇国務大臣 今、マンション管理士及び建築士等の専門知識の活用ということで御質問いただきましたけれども、マンションの建てかえを行うために、その合意形成でありますとか、あるいは事業の採算をとる上で、法律上とかあるいは建築基準法上とかのそういうものを、住民に対して開示をしなきゃいけないということで、不動産あるいは金融、税制等、広範囲にわたる皆さん方の専門知識が要るというのは今おっしゃったとおりだと思います。
 その建てかえを行う検討をした管理組合とか区分所有者に対しまして、マンション管理士、建築士等の専門家とか地方公共団体の公的機関から情報提供をしたり、あるいはアドバイスが行われる体制というものを整備していくのが一番重要なことだ、またそれが住民に納得していただける一番大事な原点だと私は思っておりますので、国や地方団体におきます建てかえに関する相談とか、あるいは情報提供ができる体制というものを、国土交通省が定めますその基本方針に盛り込むこと、これは大事なことだろうと私は思っております。
 それに基づきまして、国土交通省といたしましては、地方公共団体等と連携して、相談窓口の設置、あるいはインターネットを活用して情報提供体制の整備、または管理組合に対する建てかえ検討費の補助、それらを行って専門知識の活用というものが積極的に図られるように、今おっしゃったような一級建築士三十万人とかマンションの管理士、そういう資格のございます方々が大勢いらっしゃいますので、その方たちを活用しながら国土交通省も指導していきたいと思っております。
武正委員 最近、マンションの内覧会に建築士さんを同行するようなことがふえているというふうに聞いております。
 この建築士さんの設計監理業務というものに名義貸しをしていた建築士などが厳しく責任を問われていたり、あと、私、県議会のときに、彩福祉グループ事件が埼玉県であったときに、契約書を見させていただいたんですが、いわゆる監理のところが空欄なんですね。建築監理は、本当はそこにちゃんと署名捺印がなければいけないのですが、そういった契約書で、あの彩福祉グループ事件のときの契約が交わされていたこともあります。
 そういった意味で、建築士さんにもこの点については厳しく取り組んでいただけるとありがたいなと思っておりますのは、実際、例えば建築確認の、行政の建築主事は千七百人、これは消防法で、新宿雑居ビル事件で大臣に御質問したときにも触れた点でありました。年間百万件、とてもやりきれない、それで民間にということですが、逆に、行政が確認段階で入らないと、住民が反対する建物が次々に建つといった危惧もあるわけなんですね。
 そういった中で、先ほど、行政の窓口、地方自治体はふやすんだというような、それを方針に書き込むよという大臣の御答弁でありましたが、政務官からは、現状、市町村のマンション相談の窓口は幾つぐらいあるのか、御答弁をお願いします。
菅大臣政務官 お答えをいたします。
 都道府県以外に政令指定都市、中核市及び特例市等で七十の市を指定いたしております。さらに、マンションというのはこうした大都市に大部分が建築をされておりますのでこのようにしておりますけれども、しかし、その他の市町村におきましても、建てかえが必要である、そういう該当の市町村におきましては、これから体制を整えていきたいと思っていますし、所要の体制整備を行うよう協議してまいりたいと思っております。
武正委員 市町村にはまだ置かれていないのが実態のようでありますし、国土交通省さんも実際のところ把握がまだできていないようでありますので、引き続き把握に努め、またその開設を促していただければと思っております。
 そういった中で、そういった行政をサポートする民間の専門家集団という意味ではNPO、この育成というものがやはり必要ではないかなと思っております。
 実は埼玉県にはNPO埼管センターというのがありまして、マンション管理組合をサポートする専門家集団。ここでは、埼玉県が主宰するマンション管理専門の相談窓口、月二回あるのですが、そこに相談員を派遣したりしております。
 こういったNPOの育成あるいは活用について、副大臣の御所見をお願いいたします。
佐藤副大臣 今先生おっしゃったとおり、専門の知識を持った人材やさまざまな方がNPOをつくって、営利を目的としないで活躍していただく、非常によいことだと思っています。
 今先生、埼管と言いましたけれども、幾つかそういうものができていまして、一番の長い歴史を持っているのが、横浜マンション管理組合ネットワークというのがございまして、これが一九九五年六月からやっている。既にネットワークが二〇〇〇年の一月現在で百二十七組合、二万六千九百三十一戸が加盟している。
 そういう意味で、非常に身近に相談をされる、またセミナーを開く、それは公的な面ももちろんでありますけれども、そういう方々がNPOをつくってやっていただくということは非常にいいことだと思っていますから、その育成をこれからも促進してまいりたいと考えております。
武正委員 浜管ネットと言われるところで、今副大臣がお話しのように百二十七組合ということで、行政の窓口も、許認可と立入検査でもう手いっぱいなんだという話もありますので、こういったNPOの活用をぜひお願いしたいと思います。
 そこで、今回の新法でありますが、四条二項二号に、「マンションの建替えに向けた区分所有者等の合意形成の促進に関する事項」の上に、マンションの建てかえに係る情報の提供に関する事項その他というものを加えることによって、いわゆる区分所有法の建てかえ決議の前に正確な情報を区分所有者が得られるようにしていくべきではないかなと。
 先ほど法務大臣政務官からも、この管理と建てかえのラッピング、重なるところが実はあるんですよというような趣旨のお話がありましたが、これについては大臣、御所見いかがでございましょうか。
扇国務大臣 今お話にありましたように、まずマンションの建てかえありきではなくて、マンションの建てかえをする前に、今住んでおります建物の現状、どの程度なのかというようなこととか、あるいは、維持修繕を続けた場合と、しなかった場合とのマンションの格差ができております、そういうものについても確実な情報を集めて、なおかつ区分所有者間で十分な検討を行う、そのためにも組合はあると思われますので、そういうところで判断されることがまず重要である。
 自分の住んでいるところはどういう状況にあるのかと、それぞれが知ることが一番大前提であって、その後で基本的にどうするかということで基本方針を定めますと、今おっしゃったように、法案の第四条第二項第二号の建てかえに向けた区分所有者等の合意形成の促進等に関する事項、それには、マンションの建てかえまたは修繕の判断に関する技術的な指針でございますとか、あるいは適切な合意形成のためのマニュアルの作成、そして情報提供、相談体制の整備等が含まれるものと考えておりますので、このような考え方に基づいて、関係者に対して積極的な情報の提供を進めていきたいと思っております。
武正委員 私は、ぜひここの点については、先ほど提案したような形を新法には加えていくべきだろうというふうに考えております。
 さて、建設白書は平成八年に、一般論として欧米の建物との寿命の比較が出ております。日本は二十六年、アメリカ四十四年、イギリス七十五年ということであります。
 そうした中、今百年マンションというものを公団も含めてつくられておりまして、これはメンテナンスしやすいようにパイプシャフトを設けたり、あるいは床下配管方式ということで、コンクリートのはりの上端に床を形成して、その下には設備のための空間スペースを設ける、こういった形で、マンションの寿命を延ばそうといったことが行われております。
 これについて、大臣として、三十年という副大臣のお話もありましたが、逆にこれからはやはり国民のストックとして住宅も寿命を延ばしていく。その中で、今は新規着工戸数は一九八〇年から戸建てよりもふえているマンションの寿命を延ばしていくべきではないか、メンテしやすいように、改造しやすいように。この点について大臣の御所見をお願いいたします。
扇国務大臣 これはマンションだけには限りませんで、ビル自体も私はそうだと思っております。こういうものすべてに対しましては寿命というものが当然あろうと思いますけれども、物理的には、仕様でありますとか、施工や維持管理の状況、あるいはまたその地域の気候等、それらの変動によってそれぞれの寿命というものが変わってくると思っております。社会的には、住戸の面積でありますとか設備等の水準が今のニーズに果たして対応し得るのかどうか、そういう居住の皆さん方の御意見で私は定まってくるものと思っておりますし、一概には言い切れないと思っておりますけれども、今おっしゃいましたように、私も手元に持っておりますけれども、マンションの長もちをさせる、あるものを大事にする、そういう意味が一番大事だと。
 例えば、建てかえてもそのものを重要視する、そういうことでは、長期修理計画の作成とか、あるいは定期的な修繕の実施を支援する、これが一つ。住宅金融公庫融資の基準において耐久性に配慮する、これが二つ目。また三つ目には、住宅品確法に基づく住宅性能表示制度において、劣化をおくらせる対策とか維持管理のしやすさ、そういうものについて表示して情報提供を行っていく。この三つの方法にかてて加えて、高い耐久性を持った構造の躯体と可変性の高い内装とにより構成します、今おっしゃいました、私もこのスケルトン・インフィル住宅の技術開発というものを持っておりますけれども、日々こういう新しい技術が開発されてまいりますので、そういうものに大いに取り組んでいくということが大事だと思いますけれども、これからもなお一層、耐久性のいい、そして品確、維持というものが一番重要だと考えております。
武正委員 ヒンカクは両方の意味があるということでございますけれども、今大臣からもそういった前向きな御答弁をいただいたのですが、先ほどちょっと私は所沢のダイオキシンと言いましたが、ちょうど私が埼玉の県議会にいたときに所沢でダイオキシン問題がありまして、そのときに、東京から年間三百万トンの建築廃材が埼玉に来て、そこで中間処理をして、最終処分場にまた県から出ていくといったことが指摘をされておりました。
 政府もこの通常国会には京都議定書の批准というようなことを伺っておりますが、この産業廃棄物の処理でもCO2が大変大量に排出されるわけでありますので、やはり先ほど触れたように、マンションが戸建てを上回ってもう二十年たつ、マンションの建築が上回っているわけでありますから、これから予想されるのは、激増する建設廃材の主役はマンションだという時代になりますので、ぜひとも、寿命の長いマンション、あるいはメンテしやすいマンションが必要であることを改めて指摘させていただきます。
 続いて、副大臣におかれましては、いわゆる既存不適格マンション、建築後に容積率が決められましたのでオーバーしている、これを建てかえようとするとき、ではそのオーバーしている分を認めることができるのかどうかというのが一点。それから、都市計画で認められた一団地の住宅施設については、周辺と比べて容積率を低く設定していますが、これも同様に、これを建てかえるときに、周辺と同じようなことが、引き上げることが可能なのかどうか、その二点、お答えをお願いいたします。
佐藤副大臣 既存不適格マンション建てかえのときに、この対策が非常に重要であることを私たちも認識をいたしております。
 このために、空地の整備など、人が自由に通れる場所をつくって、そして、それに応じて容積率の緩和を行うという制度がございます。総合設計制度というものがございますけれども、既にこの制度も随分、全国で二千二百六十八件という多くの方々が利用しておりますけれども、この制度で対応していきたいと考えております。
 さらに、一団地の住宅施設の都市計画が決定されておるわけでありますけれども、周辺よりも容積率が非常に低く抑えられておるわけでありますけれども、このままでは居住のニーズに見合った十分な広さの住宅への建てかえが困難であるわけであります。
 これに対しましては、建てかえに当たりまして、地区計画制度の活用などによりまして良好な環境の確保を図りつつ、一団地の住宅施設の都市計画を解除して、周辺や地区内の基盤整備とバランスのとれた容積率へと引き上げることなどによりまして対策は可能でありますから、その旨、公共団体に周知、助言してまいりたいと考えております。
武正委員 今副大臣が触れられました総合設計制度なんですが、これは阪神大震災で被災したあるマンションの例なんですけれども、震災から五日目に臨時総会を開催、一月二十二日ですね、建設会社に依頼して、大規模修繕か建てかえか、費用調査をした。そうすると、一件当たり、小規模の補修で五百万、大規模だと千二百万、建てかえで千九百万という答えが来まして、それで、ただやはり、大規模修繕の場合は、中古住宅市場で高い評価を受けることは難しい、建物評価として低い位置にとどまらざるを得ないということで、建てかえの方に結束していった、そういった記録があります。
 その中で、総合設計制度を当初から提案を受けたらしいんですね。ただ、総合設計制度では、今お話しのように公開空地を設けることを条件としておりまして、多くの割り増し率を得るにはより大きな公開空地を設けなければならない。
 そうしますと、結局は、そこのマンションの場合ですと、建築可能面積やその形式に大きな制約を課すことになりまして、例えば、駐車場を地下につくらなきゃいけない、そうすると機械式にしなきゃいけないので費用がかさむとか、あるいは、では余剰床の売却はだれが責任を負ってくれるんだとか、良好な住宅環境がかえって得られないんじゃないかということで、総合設計制度を選択しなかったというマンションがございます。ですから、それも一つの画期的な制度なんですが、いろいろなケースがあるということを指摘させていただきます。
 大臣におかれましては、これはいろいろな施設についてよく言われるんですが、水回りにお金がかかるんだというような指摘がよくあるんですね。要は、配管設備等の修繕、これについてはちょっとお金がかかるんじゃないかという指摘がありまして、これを受けてではないんでしょうけれども、平成八年、規制改革で、いわゆる指定業者のまちまちだった基準を改めよう、きちっとつくろうという形になっているんです。
 そういった意味では、マンションの修繕、建てかえで、水道工事店につきまして、よりいろいろな業者さんが参加できるようにしていくべきではないかと考えますが、この点について御所見を伺います。
扇国務大臣 今おっしゃいましたように、水道工事、水回りは一番大事なところで、女にとっても特に注目すべきところなんですけれども、残念ながら水道行政を所管するのは厚生労働省でございまして、私がお答えするのは適当ではないと思います。
 けれども、私は、マンションを建てかえますときに、一番費用がかさみ、また、水漏れとかそういうマンションに対しての害が出ますところが一番大事な水回りでございますので、そういう意味では、費用の軽減を図ることはもちろんですけれども、防水等々の安全性というものを認識しながらするというのはもちろんのことでございますので、今後とも、必要でございましたら関係省庁に働きかけていきたいと思っています。
武正委員 まさにおっしゃるとおりでありまして、水というのは大変大事なところで、所管が厚生労働省だというのが、ああそうなのかなといったところもあったんですけれども。
 これで規制改革されても、どうしても指定業者の登録を今までのように重視するようなところがまだまだあったり、これまた排水の方も、やはり下水に全部流せるわけじゃなくて、貯留槽を設けて夜間流すというような形で、結構、水の入りと出というのが、実はマンションの修繕や建てかえでは大変ポイントになっているといったことを指摘させていただこうと思っております。
 それで、先ほど大臣から、ビル自体もそうである、マンションだけではないよ、寿命を延ばすには、というお話なんですが、既に国交省さんが取り組んでおられます外断熱でございます。これは、国交省の営繕部報告書の内容では、積雪寒冷地で高品質なグリーン庁舎を実現する最も有効な手段というような報告書もございますし、今度シックハウスについていろいろ法案も出そうとしておりますが、このシックハウス、ダニ、カビといった原因も、高温多湿な日本の風土にいわゆる内断熱、結露が生じやすいこの方式がシックハウスの実は原因となっているんではないかということが言われております。
 また、都市基盤整備公団から御回答いただきますと、この外断熱については、連続的全室冷暖房には外断熱が有効だ、ただ、間を置いたり即座にといったときには内断熱の方が暖まりますよといったこと。それから、ただ、躯体の保護効果はやはり外断熱の方がありますよ、寿命が延びますよといったこと。ただ、防耐火性能については配慮が必要だ、すなわち躯体のコンクリートの外側に断熱材や外装材を設けるからだといったことであります。ただ、やはり難点はコストである。断熱材、外側の外装材の保持、窓周りなどの細部のおさまりなどの複雑化から、手間と材料費で割高になる、こんな御回答を得ているんです。
 やはり、外断熱によってマンションあるいはビル、そしてまた日本の建物を日本の風土に合ったような形で、そしてシックハウスへの対応もしっかり踏まえた上で、この外断熱というものを取り入れていくことが、先ほど言いました京都議定書をこれから批准していく中で、省エネといったことからも必要ではないかなというふうに思っておるんです。まだまだ日本の省エネ、いわゆる断熱についての目標は、ドイツに比べると目標値が二倍から五倍ぐらい日本の方が高いといった指摘もあるわけなんですが、外断熱を日本の住宅に取り入れていくことについて、そしてマンションに取り入れていくことについての大臣の御所見をお伺いします。
扇国務大臣 今おっしゃるとおり、外断熱工法と内断熱工法、それぞれメリット、デメリットがある、これはおっしゃるとおりでございますし、外気の温度変化に対して躯体が保護されるために劣化しにくい、これはもう当然のこと、素人が考えてもそうだろうなと思います。
 一方、これは施工が複雑なんですね。お手元にこういうものが行っていると思いますけれども、大変劣化しにくいことはあるけれども、施工が複雑で建設コストが大体割高になるということですね。しかも、二階以上の施工をする場合には足場を組まなきゃいけないというので、もっと割高になる。外断熱工法をするときにはそういう条件がある。
 また、このほか、省エネルギー性の面では、外断熱工法というのは冷暖房の終了時に効果が持続しやすい、これは当然のことですね。それがメリットです。けれども、逆に冷暖房の開始時には短時間で効果があらわれにくい、当然です、外ですから。そういう意味では、これがデメリットになる。
 メリットとデメリット、それから値段の安い高い、いろいろ考えていきますと、さて、どちらがいいんだろうと。一般の皆さんでも、あるいは専門家でも、まだそれぞれのメリットとデメリットで判断しにくいというようなところもございますし、地域によっても、この外断熱と内断熱の工法の適用の範囲というのは変わってくると思います。
 そういう意味では、私は、個々の建築物の設計条件とか、適切に判断されるべき問題であると考えていますので、それぞれの地域とそれぞれの住民の選び方、それによってこの外断熱工法と内断熱工法、どちらを選ぶかというのをしていくべきであって、私はまだ一概にこちらがいいと、メリット、デメリット考えますと、私の口から一方的に言うわけにはいかないと思っています。
武正委員 メリット、デメリット相半ばというお話がありましたが、先ほど来、やはり建設廃材のこと、それにはやはり躯体を丈夫で長もちのものにしていく必要があります。そういった意味では、躯体保護効果があると都市基盤整備公団が御回答されておりますので、これはやはりメリットの方が多いんじゃないかな。
 あわせまして、京都議定書を政府は批准するわけです。ヨーロッパでは建築物理という分野がありまして、水蒸気理論というんですが、これが日本の建築分野では欠けているという指摘があるんですね。ですから、例えば、建築主事さんも、これからやはり水蒸気理論とか建築物理、こういったことの教育とか、あるいは試験にこの科目あるいは項目を入れていく必要もあるといった指摘もあるぐらいなんですね。今まで日本になかった建築物理、水蒸気理論、並びに外断熱については、京都議定書を批准する今、やはり国土交通省としての取り組みが必要ではないかなというふうに考えます。
 あわせまして、先ほど品確法のお話がありましたが、品確法では、結露防止装置という項目があるんですが、多くの識者からは、品確法の中でも結露を防止することの取り決めがなし崩し的に骨抜きにされているという指摘もあります。ですから、この点についても、品確法もいま一度、結露を防止して、そして寿命を延ばすといった点では再検討が必要ではないかなということを指摘させていただきます。
 続きまして、今新法の第五十五条第二項に、暴力団とかオウムのような、善良な市民に受け入れられない集団の入居を、建てかえ時にはそういった集団がどさくさに紛れて入居してしまう可能性がある、それを事前または事後に阻止する機能が必要ではないかという指摘がありまして、その中で、五十五条二項に、建替組合の設立公示後の区分所有権の処分は、省令により施行者の承認が必要とあるが、ここをもっと踏み込んで、後刻いわゆる迷惑組織と判明した場合は裁判所をしてその承認を速やかに取り消すことができるという趣旨の内容にできないか。なお、公告以前三年にさかのぼって同様の措置も付加する、こういったことを提案するマンション管理組合の方がいらっしゃるんですが、副大臣の御所見をお伺いします。
佐藤副大臣 この法案は、マンションの建てかえを円滑化することを目的とする法案でありまして、おっしゃるような者の入居を防止する措置をこの法案に盛り込むことは困難であると考えております。
 今先生おっしゃった第五十五条第二項は、権利変換手続の円滑な進行の確保の見地から、権利処分の自由を制限する趣旨の規定でありまして、この修正によりお尋ねのような処分制限を行うことも、やはり困難であると思っております。
 なお、区分所有法第七節は、共同の利益に反する行為を行う者の排除等の措置を定めているところでありまして、そのような行為を行う者については、建てかえ前または建てかえ後のマンションの管理組合において、これらの規定に基づく措置を講ずることが考えられると思います。
武正委員 先ほど法務大臣政務官からもお話がありましたように、管理と建てかえはもう密接不可分あるいは重なっているわけでありますので、ぜひ建替え法でも、万が一移転しなければならないときについては先ほどいろいろお話がありましたが、まず区分所有者の立場に立っての法律が必要ではないかなというふうに考えるわけなんですね。
 これは建替え法とはなじまないというお話がありましたが、やはり建てかえ前にそういった善良な市民に受け入れられない集団が入居してしまうと、これがまた建てかえについてそれを阻害したり、あるいは大規模修繕を阻害したりという要因にもなりますので、私は、建替え法でやはりこれについても取り組むべきでありますし、もしかしたらこれは区分所有法でも取り組んでいただかなきゃいけない、両方の法律でカバーをしていくといったことが必要ではないかということを、区分所有法も今中間の案が出され、これから法改正といった中で指摘をさせていただきたいと思います。
 最後になりますが、阿久津委員の時間をちょっとおかりをしまして、お許しをいただきまして、マンションには当然庭に公園があったり芝生が植わっておりまして、これは本法とは直接は関係ないんですが、私は校庭の芝生化議員連盟の一員でありまして、この間、杉並区の和泉小が全面芝生化したときに、Jリーグの川淵チェアマンに来ていただいて話を聞きました。
 そうすると、子供が、二十年前はそれこそ十本の指で立っていた。今の子供は、足の裏に墨を塗って立ちますと、指が六つしか映らない。つまり、薬指とか小指ががちっと地面をかんでいないというのが今の子供の足だそうです。
 それはなぜかというと、やはりはだしで遊んだり、あるいは外で転げ回ったりすることがないからだといった指摘を川淵チェアマンがしておりまして、まさに私もそのとおりとうなずいたわけで、それこそ校庭の芝生化も進めるべきというふうに考えておりますが、東京駅前、一番皆さんが御利用されるところに芝生が植わっておりますが、そこには立入禁止という看板がございます。
 私は、今、国土交通省さんの芝生の概念が、いわゆる修景施設ということで、景色として芝生を見るといったことでくくられておりますので、芝生には立ち入っちゃいけないよ、こういったことが続いてきたわけなんですが、やはり私はここで、芝生は遊ぶもの、親しむもの、転げ回るもの、そういった形に見直していくべきではないかなと思うんですが、最後、これは大臣の方から御所見をお伺いします。
扇国務大臣 武正議員は校庭を芝生にという議員連盟をしていらっしゃるようでございますけれども、私は、自分の子供を小学校に入れますときに、東京じゅうの小学校を見て回りまして、土の運動場のある学校に入れました。それは芝生以前の問題で、私は、いかに土というものが大事であるかということで、芝生よりももっと土の方が私個人としてはいいと思っております。
 それから、都市公園のお話が出ましたが、都市公園と指定されているところで立入禁止区域がある、あるいは芝生の育成状況があり、そういうところで立入禁止というのがあるというのも、もちろんこれは公園の管理者がおりますので、公園管理者の管理上のやむを得ない事情があるのだと私は思います。常識的には、芝生とか、芝生でなくても子供に立入禁止区域があるということを教えることも私は教育の基本だと思っていますので、芝生はすべて立入禁止というふうには教える必要もないし、時と場合によるし、まして、マンション等々の私的な公園では立ち入り自由だという意味で、私は、今おっしゃった中で、個人のものと、あるいは部分使用でその権利者のものと、あるいは都市公園等々は判断の基準が違うと思っておりますので、それぞれの場所でそれぞれの適応性を子供に教えるということを基本にしたいと思っています。
武正委員 以上で質問を終わります。
 ありがとうございました。
久保委員長 阿久津幸彦君。
阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。
 武正議員の質問と重なっているところは避けまして、若干オーバーラップしている部分は角度を変えながら質問をさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
 まず初めに、私も武正議員の指摘どおり、マンション建替え法と区分所有法の二つの法律の違い、性格の違いというか、役割分担の部分には非常に大きな関心を持っておりますので、その点から質問させていただきたいと思います。
 初めに、マンションの建替えの円滑化等に関する法律案の目的は何か、国土交通省の方にお尋ねしたいと思います。
三沢政府参考人 御承知のとおり、我が国のマンションストック、現在約四百万戸を超えまして、居住者が約一千万人に上っております。マンションは、今現在、都市における住まいの形態として広く定着してきているというのが現状でございます。
 ただ、老朽化したマンションが今後非常に急増するということが見込まれておりまして、区分所有者による良好な居住環境を備えたマンションへの建てかえを円滑化するということが、居住水準の向上や都市再生の観点からも非常に重要な課題であるというふうに認識しております。
 本法案の目的でございますけれども、こういう点を踏まえまして、マンションの建てかえの円滑化等を図るために、建てかえ団体への法人格の付与とか権利変換による権利の移行の円滑化等の措置を講じまして、マンションにおける良好な居住環境の確保を図るということを目的としております。
阿久津委員 続きまして、建物の区分所有等に関する法律の目的は何か、法務省の方からお答えいただきたいと思います。
原田政府参考人 建物の区分所有等に関する法律の目的でございますが、一棟の建物を独立した区画に区分し、その各部分を所有権の目的とする、こういう形態のものにつきまして、その権利関係を定める。さらに、そのような建物及びその敷地などを共同して管理するための方法、これらについて定めたものでございます。
阿久津委員 今の二つのお答えを聞いて非常におもしろかったんですが、どちらがいいというのではなくて、私は、マンション建替え円滑化法というのは、建てかえを円滑化するという明白な意思を持った主観的な色彩の強い法案であるのに対して、区分所有法というのは、先ほど区分所有者の権利関係というお話がございましたが、要するに規律を、できるだけ意思を加えないよう配慮しながら、客観的に示した法律であるのかなというふうに私は理解をさせていただいたんです。
 そこで、ちょっと気になるのが、この両案の整合性の問題なんですが、本法案と区分所有法との整合性について、国土交通省の方からお伺いしたいと思います。
三沢政府参考人 この法案は、区分所有法の建てかえ決議が行われた後、建てかえの事業実施段階における法制度を整備するというものでございます。したがいまして、あくまで建てかえ決議が居住者の意思として決議された後に、それではその事業を円滑化していこう、そういうものでございます。
 また、この法案に基づいて設立される建替組合というのは建てかえ決議に合意した区分所有者で構成されるという点、それから、その事業計画は建てかえ決議の内容に適合したものでなければならないということにしておりまして、こういうことによりまして、区分所有法の建てかえに関する制度と十分整合のとれたものとしているところでございます。
阿久津委員 今の御答弁を伺っても、私はなお整合性が少し心配なんですね。といいますのは、建てかえ決議という接点でつながっているわけなんですが、やや強引な接ぎ木の形になっているのかなというふうに感じておりますので、これは、後ほど時間があれば質問をさらにさせていただきたいと思っております。
 そこで、二つの法律を接続役みたいな形でつなぐ極めて重要な意味を持つ建てかえ決議について、もう少し詳しく法務省の方にお伺いをしていきたいと思うんです。
 武正議員の質問ともちょっと重なっている部分がありますが、建てかえ決議の要件について、区分所有法の改正に向けて法制審議会ではどのような議論がなされているのか。特に甲案と乙案の違いの部分を強調してお話しをいただければと思います。よろしくお願いいたします。
原田政府参考人 建てかえ決議の要件でございますが、現行法におきましては、老朽それから損傷、一部の滅失その他の事由により、建物の価額その他の事情に照らし、建物がその効用を維持し、または回復するのに過分の費用を要するに至ったときという客観的要件が定められております。いわゆる過分の費用の要件と一般に言われているものでございますが、これと区分所有者及び議決権の各五分の四以上という決議要件が定められているところでございます。
 しかしながら、この過分性の要件というのが非常に抽象的過ぎる、区分所有者が建てかえを計画し実施するに当たって基準になりにくいのではないかという御指摘がございましたし、そういうことから、決議後においても要件を満たしていないことを理由として決議の効力を争われる可能性がある。そうしますと、仮に訴訟などが提起されるなどして紛争が長期化することもあり、建てかえの実施がおくれることになる、これが建てかえの阻害要因になっているのではないか、こういう問題指摘があったところでございます。
 そこで、法制審議会におきましては、現在、建物区分所有法部会において区分所有法の見直しのための検討をしておりますが、先月、この区分所有法部会において中間試案を取りまとめました。今先生の方で御指摘がありましたのは、その中間試案に示された案についての御質問ということでございますが、今申し上げたような問題指摘を受けまして、建てかえ決議の要件に関して、建てかえをすることの合理性を基礎づけるより具体的かつ明確な基準を定める、こういう観点からそれぞれ案をお示ししているものでございます。
 具体的に申し上げますと、建てかえにつきましても二つの場合を分けまして、老朽化を理由とする建てかえの場合と、それから災害等で建物が損傷を受けたことを理由とする建てかえの場合とに分けて検討しております。
 老朽化を理由とする建てかえにつきましては、これは築後三十年または四十年という一定年数が経過したときに建てかえができるとする案と、それから、年数の経過に加えまして、建物の個別的な事情を反映させるという趣旨から、建物の管理状況により建てかえ対象に一定の限定を加えた案というものを乙案として示しているわけでございます。
 もう一方の、災害等で建物が損傷を受けたことを理由とする建てかえにつきましては、これは、建物の効用の維持または回復をするのに、現在の建物の価額を超える費用を要するに至ったときとする案と、さらに、現在の建物と同等の建物の建築に要する費用の二分の一を超える費用を要するに至ったときとする案、これを甲案、乙案としてそれぞれお示ししているということでございます。
阿久津委員 老朽化の場合の乙案について、もうちょっと詳しくお話しいただけませんか。
原田政府参考人 老朽化の場合の乙案ですが、もう少し詳しく申し上げますと、まず、甲案が、先ほど申し上げましたとおり、建物が新築された日から三十年または四十年を経過したときという経年、年数の要件のみでございます。
 ただ、これにつきましては、単純に年数だけで建物の現在の状況というものがはかれるものではない、老朽化の進行の度合いというのは、個々の建物で相当に異なることがございます。特に、例えば、一定期間の経過ごとに大規模な修繕の計画をしている、そのために、それに要する費用として修繕積立金を積み立てておくということが一般に行われております。
 このようなマンションにつきましては、単純に三十年または四十年を経過しただけで建てかえが正当化されるということがない場合があるということで、乙案は、まず、原則としましては、建物が新築された日から三十年または四十年を経過したときとしますが、これにただし書きをつけまして、一定期間の経過ごとに行う修繕計画、それに要する費用として修繕積立金を積み立てておくことをあらかじめ集会で決議し、または規約で定めていた場合であって、区分所有者に新たに費用の負担を求めることなく当該計画に基づく修繕を行うことができる場合、これを除くということにしております。
阿久津委員 どうもありがとうございます。
 極めて重要な問題なので、ちょっとだけ確認させていただきたいんですが、今の乙案の意味というのは、簡単に言うと金だけ、金だけと言うとあれなんですが、修繕費用のお金だけ積み立ててあれば、よいというか、除外されるんだというふうに理解していいんでしょうか。それとも、建てかえではなく修繕で十分に対応できるという判断を前提にしている話なんでしょうか。
原田政府参考人 基本的に、こういう長期の修繕計画、そのための積立金を積み立てるような形でマンションを購入した方々というのは、そういう計画に基づく修繕を行うことが可能であればそれを実施していくということだろうと思います。
 相当年数がたったということでどうしても建て直したいというとき、その際に修繕計画等についての見直しをしていただく。その見直しをして、現在の計画ではとてもやっていけない、新たに相当な費用を使わなければやっていけないというようなことが明らかになれば、その計画を見直すことによってその計画を廃止して、それで建て直しをするということも可能になるということでございます。
阿久津委員 ありがとうございます。積み立ての一方で、建てかえの可能性と修繕の可能性を探った上で、きちんとした判断に基づいて行うということを確認させていただきました。
 次の質問に移らせていただきたいと思います。
 続いて、中間試案の本文に掲げた案以外で、法制審議会において建てかえ決議の要件として議論されたものはあるのか、お話しいただきたいと思います。
原田政府参考人 中間試案において本文に掲げた案以外でございますが、建てかえ決議の要件として議論されたものがございます。これにつきましては、中間試案の注の部分に記載されております。具体的に申し上げますと、一つは、客観的な要件は設けない、単に五分の四の決議要件のみで建てかえができるとする案でございます。それからもう一つは、端的に決議要件を五分の四からさらに四分の三に引き下げるという案でございます。
阿久津委員 それで、どうなったんでしょうか。
原田政府参考人 この二つの案を注に落としたということでございますが、決議要件だけで建てかえができるとする案につきましては、これは区分所有者の私的自治を非常に尊重するという立場から、支持する意見もございました。ただ、これに対しましては、合理的な理由がない場合でも多数決だけで建てかえができるということで、区分所有者の財産権保障の見地から慎重に対応すべきであるという意見があり、部会の審議におきましても、建てかえの決議につきましては客観的要件を設けるべきであるという意見が多数を占めました。したがいまして、中間試案では、これを注に記載するにとどめることにしたものでございます。
 それから、もう一つの決議要件を四分の三に引き下げる案につきましては、これは、決議要件を引き下げましても、決議に反対した方の区分所有権、これを賛成した方々が買い取る、取得する費用の負担が非常に重くなりますので、決議要件を引き下げるだけでは建てかえの円滑化にはつながらないという指摘がございました。部会の審議においても、特に積極的にこれを支持する意見はなかったわけでございますが、ただ、建てかえの円滑化を図るという観点から見ますと、最もわかりやすい方策の一つであろうということで、注に記載されることとしたものでございます。
 これは、中間試案の注に記載された案につきましては、現在広く意見を求めておりますので、その結果を踏まえて、さらに引き続き検討をしてまいりたい、このように考えております。
阿久津委員 決議要件のみで建てかえを可能とする案が試案に採用されなかったことを確認させていただきました。
 次に、建てかえ決議の手続が順調に進んでいても、突然、区分所有者間あるいは旧地主などとの間でいろいろな問題が生ずることがあるというふうに思うんですが、建てかえ決議に何らかの問題が生じた場合、いわゆる紛争処理に向けてどのような解決方法を持ち合わせているのか、お答えいただきたいと思います。
原田政府参考人 区分所有法は、最初に申し上げましたように、私人である区分所有者間の関係を規律する法律ということでございます。
 このような区分所有者間で、区分所有に関して紛争が生じた場合の紛争解決でございますが、基本的には最終的に裁判所に持ち込まれてその解決が図られるということになろうかと思います。例えば、建てかえ決議において定めました決議要件もしくは客観的要件を満たしているかどうか、さらには、手続が規定されているけれども、その手続に不備があった、こういう場合につきましては、やはり最終的に裁判所において紛争処理が図られるということになろうかと思います。
阿久津委員 法務省への最後の質問になるんですが、建てかえ決議を円滑に進める上で、ずばり何が大切とお考えですか。
原田政府参考人 先ほど御説明申し上げましたように、建てかえ決議には五分の四というかなりの多数の区分所有者の賛成が必要でございます。したがいまして、これを円滑に成立させるためには、区分所有者間の合意形成に向けて、建てかえに関する情報を可能な限り区分所有者に公開する、十分な判断材料を提供するということが一つ。それから、時間をかけて区分所有者の意見を聞き、その理解を得ていくというプロセスが必要になろうかと思います。
 中間試案におきましても、建てかえ決議の手続に関して一定の手当てをしておりますが、それも今申し上げましたような十分な情報開示と意見を聞く機会を確保するという観点からのものでございます。
阿久津委員 やはりキーワードは情報公開だということを確認させていただきました。どうもありがとうございました。
 次に、続けて少し細かい質問になってしまうんですが、国土交通大臣の定める基本方針について伺いたいと思います。
 本法の第四条二項の二号、区分所有者の合意形成の促進ということが書かれているんですが、そこには具体的にどのような内容を盛り込むおつもりでしょうか。大臣の方からお答えいただければと思います。
扇国務大臣 先ほどお答えしたと思っておりましたけれども、武正さんからもその第四条二項第二号についての御質問がございました。
 今阿久津議員がおっしゃいましたように、少なくとも、マンションというものの建てかえの検討が行われる基本は、まず建物の現状というものを知ることが一番大事なこと、第一歩だと私は思っております。
 それぞれの居住者が、自分の建物の現状とか、あるいは維持とか修繕とかそういうものを続けた場合の比較、続けていないものの比較、そういうものを、各マンションで組合をおつくりになっていて、それぞれが認識していらっしゃるんだろうと私は思うんですよ。組合のないマンションもございますけれども。そういうところで的確な情報を把握して、それによって区分所有者間で十分な論議が行われた上で判断されることがまず重要である、これが一義的なことでございます。このためには、建てかえに向けた区分所有者間の合意形成の促進に関する事項として、マンションの建てかえまたは修繕の判断に関する技術的な指針でございますとか、あるいは適切な合意形成のためのマニュアル等をつくって、情報の提供あるいは相談体制の整備、そういうものが基本的に必要だと思っております。
阿久津委員 どうもありがとうございます。ちょっとくどくなってしまったんですが、極めて大事なところなので、確認をさせていただきました。
 それで、今までの答弁、国土交通省の方と法務省の方、両方伺って、改めて聞きたいんですが、区分所有法とは別に建てかえ決議に至るまでの手続を円滑化する法案を新たにつくる考えはあるのかどうか、ざっくばらんに国土交通大臣の方から御見解をお答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 今法務省でるる細かいことまで阿久津議員の御質問にお答えになっておりまして、私も拝聴しておりまして、少なくとも建てかえ決議の明文化、これは私は大事なことだと思います。そういう意味で、区分所有法の改正の検討が行われているというのはおっしゃるとおりでございます。
 一方、今私たちは法案を出させていただいています。基本方針において建てかえに向けた区分所有者等の合意形成の促進に関する事項、これを定めているのは今私がお答えしたとおり、四条二項二号のとおりでございますけれども、国土交通省としても、これに従って情報の提供でございますとかあるいは相談体制の整備、今申しましたようなことですべて、建てかえ決議に向けての合意形成の円滑化を図る、そういう意味で私ども推進していきたい、そう思っておりますので、別途の法案を策定するということは、マンションの建てかえに関する法体系が複雑になって、両方でつくっていくというようなことは、住民の皆さんにとってはかえってわかりにくくなると思いますので、私は、国土交通省としては、これを出させていただいて、今の法案の中でぜひ御理解を賜って、前向きに対処できるようにしていきたいと思っています。
阿久津委員 私、個人的には、国土交通省の円滑に向けた細かい配慮というものは、建てかえ決議までにおいても若干必要とされる部分があるので、それはそれで、独自で法をつくるという考え方があってもいいと思うんですけれども、今の大臣のお答えも非常によくわかりますので、今のお答えをもって、現在は区分所有法とは別に建てかえ決議に至るまでの手続を円滑化する法案を新たにつくる考えはないということを確認させていただきました。
 続いて、あと幾つか、ちょっと気になる点を総合的に伺っていきたいと思います。
 民間事業者も組合員として参加できるように本法案ではなっていると思うんですけれども、その理由は何でしょうか。国土交通省の方からお答えいただきたいと思います。
三沢政府参考人 マンション建てかえを担う区分所有者というのは、例えば土地建物の権利関係に関する知識とか、あるいは工事の設計施工に関する知識とか、十分な知識を必ずしも持っていないケースが多いかと思います。それから、資金力についてもやはり十分でないということが多いということがございます。
 したがいまして、今回この参加組合員を設けましたのは、区分所有者の意向に応じまして、民間事業者のノウハウとか資金力を活用できるように、こういう趣旨から参加組合員の制度を設けているところでございます。
阿久津委員 今のお答えなんですけれども、プラス面の部分というのは私も理解しているつもりなんですけれども、何でも悪く考えるべきではないのかもしれないんですが、民間業者の中には暴走するような業者もあるいはいないとは限らない。その上での歯どめも、知事が計画案を認可するとか、配慮されているのはわかっているんですけれども、暴走をとめる部分で、もう少し何らかの歯どめが必要と考えているんですけれども、その点、何か御意見がありましたら。一言だけで結構です。
三沢政府参考人 この法律におきまして、参加組合員については、事業の参加に必要な資力及び信用を有する者であって、定款で定められたものであるということが必要とされております。したがいまして、これは組合員の四分の三以上の同意が求められるという点が一点でございます。それから、資力、信用については、都道府県知事による組合設立認可に当たっての非常に重要な判断要素でございまして、これをきちっと審査するということによりまして、参加組合員制度の適切な運用が図られるというふうに考えております。
阿久津委員 個人的には、もう少し歯どめが必要なのかなという感じはいたします。
 続いて、ちょっと細かい質問なんですが、本法第四条「基本方針」第二項の四号「再建マンションにおける良好な居住環境の確保」とは、具体的にどういう意味か。再建マンションを含めた周囲の環境と理解してよいのか、確認をさせていただきたいと思うんです。
三沢政府参考人 基本方針の中で「再建マンションにおける良好な居住環境の確保に関する事項」というのを定めることにしておりますけれども、ここで言う「居住環境」というのは、基本的には当該マンションの建物及び敷地が備えるべき居住環境を意味しているというふうに理解しております。
 具体的に申し上げますと、例えば耐久性とかバリアフリー等の建物が備えるべき良好な居住性能の確保、あるいは敷地の中でのオープンスペースの整備とか緑化、さらには、場合によっては福祉施設とか子育て支援施設を併設するとか、そういったことの推進に努めていくということをこの文言であらわしているという理解でございます。
阿久津委員 再建マンションそのものの良好な居住環境の確保というのは、もちろん必要なことだと思います。
 ただ、「居住環境の確保」というふうに言った場合には、私は、例えば野っ原に建てかえマンションがあるのと六本木の真ん中に建てかえマンションがあるのとでは、おのずと条件が変わってきますし、周囲の問題を含めた配慮というものは欠かすことができないと思っております。
 そして、あえて申し上げれば、そのときに問題になるのが高層マンションなんですね。
 一応確認しておきますけれども、私は高層マンションそのものに反対するつもりは全くございません。ただ、都市再生二法案のときに扇大臣ともいろいろな議論をさせていただいたんですけれども、どこでもかしこでも高層マンションを建てていいというわけにはいかないと思っているんですね。特に、今回の建替え法案が成立いたしますと、余剰床の問題等もあって、結果としてマンションが上に伸びていくしかないのではないかというふうに思っておりまして、高層マンション化対策というのも必ず必要になってくると思います。
 何かコメントがありましたら、一言お願いいたします。
三沢政府参考人 当然、建築物の建築に当たりましては、これはマンション建てかえに限りませんで、周辺環境への配慮というのは必要なことでございます。
 ただ、このことにつきましては、基本的には、都市計画法とか建築基準法による建築規制によって担保されている。さらに、その地域の実情に応じて、必要な場合には公共団体において地区計画等を定めるということによって、いわばその地域のルールとしてそれをお決めいただくということが本来の姿であろうと思います。
 したがいまして、たまたまマンションの建てかえという機会をとらえて、そういうルールのないところで通常を上回るような配慮を要求するということについては、非常に慎重な議論が必要なのではないかというふうに考えております。
 ただ、当然のことでございますけれども、各自治体において、その地域の実情に応じまして、都市計画とか建築規制とは別に、例えば、紛争の防止のために、紛争の予防条例等で住民への説明等一定の手続というのを要請している場合につきましては、これに従ってきちっとした話し合いをしていただくということは非常に重要であることは、申すまでもないことでございます。
阿久津委員 私も、最終的には地方分権の考えからいっても、各自治体の判断になるんだと思うんです。ただ、ゾーニングというか、大きく高層マンションが建てられる地域と緑を残す地域と、そんな考え方もあっていいのかな、そんな指導もあっていいのかなというふうに考えております。
 最後に、マンション建てかえに係る居住安定措置について、これは本会議でも聞かせていただいたんですが、もう少し詳しく、本法第九十条の規定を踏まえ、具体的にどのような措置を講じるおつもりなのか、お伺いしたいと思います。
三沢政府参考人 今先生御指摘のとおり、この法律案の第九十条におきましては、建てかえ事業の施行者並びに国及び公共団体は、国土交通省の基本方針に従いまして、賃借人それから転出区分所有者の居住の安定の確保に努めなければならないという旨を明記しております。
 具体的にはどういうことかということでございますけれども、高齢者など住宅に困窮する転出者の方々に対する支援措置として、一つは、地方公共団体による住宅のあっせん、あるいは公営住宅等の公共賃貸住宅への優先入居というようなこと。それからもう一つは、従前居住者用賃貸住宅に係る家賃対策補助、これは具体的に申し上げますと、代替住宅の家賃と従前住宅の家賃に差がある場合には、その差額について、国及び公共団体で補助していくということでございます。それから三つ目に、賃貸人が賃借人に支払う移転料の支払いについて補助をするということ。
 こういうことをこの基本方針の中で定めまして、実施をしてくということでございます。こういった措置によりまして、建てかえに参加できないような方々につきましても、居住の安定を図っていくということに最大限努力してまいりたいというふうに考えております。
阿久津委員 パーフェクトアンサーというか、本当に丁寧な措置をとっていただいて、逆に恐縮をしてしまいます。
 実は、私の個人的な意見なんですけれども、勧告によって外に出なければならなくなってしまう方々と、決議の中で参加したくても参加できなくて外に出ざるを得なくなってしまう方々の差異というものを、実は個人的にはそんなに感じていないんですね。やはり大事な財産権の問題が絡んできますので、法律でどういうふうに処理したらいいのかなというふうに思っておりました。ところが、法律上ではなかなか難しいけれども、特別な配慮という形でこのような方針を勇気を持って決めていただきましたのを高く評価したいと考えております。
 最後に、一つの家族が同じ屋根の下に暮らす一戸建て住宅と異なって、マンションというのは、さまざまな価値観を持った、さまざまな事情を抱えた異なった人々が同じ空間に暮らす特別なコミュニティーだというふうに考えております。そのような人々が合意形成を円滑に行うには、何といっても、一歩一歩着実に信頼醸成を築き上げていくことが最も大切なことであることは言うまでもございません。その信頼醸成を築き上げる上でかぎを握るのが、私はまさに情報公開であるというふうに考えております。そのことを訴えまして、質問を終わらせていただきます。
 どうもありがとうございました。
    〔委員長退席、木村(隆)委員長代理着席〕
木村(隆)委員長代理 日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 かなり質問の内容が重複をしておりまして恐縮でございますが、今さら変更はできません。このままやらせていただきたいと思います。
 この法案の前に、都市再生二法というのを審議させていただきました。そこでも申し上げたんですが、このマンションの建替え円滑化法というのは、ある面では景気対策、景気対策というか内需拡大といいましょうか、そういう側面もあるというふうに思っています。それはそれで私の感想なんですが、実は、この法案が通ると、ちょっと心配していることは、居住者が住み続けたいという意思に反して追い出されてしまうという問題も含んでいるのではないか、そんな心配をしているんです。
 特に、その場合、どう合意を形成していくのかということが最大の課題になっているというふうに思うのですが、居住者の合意形成について、この法案の中でどういうふうに担保をされ、あるいは保証されていくのかということを最初にお聞きしたいと思います。
三沢政府参考人 居住者の合意形成に関する事項についての配慮でございますが、この法案の第四条第二項第二号におきまして、先ほど大臣からも答弁がございましたように、基本方針の中で「マンションの建替えに向けた区分所有者等の合意形成の促進に関する事項」というものを定めることとされております。
 ここで定めることを予定しておりますのは、具体的には、例えばマンションの建てかえとか修繕の判断に関する技術的指針、つまり、どういう場合に建てかえをし、あるいはどういう場合に修繕という選択をしたらいいか、その選択の判断ができるような一つのガイドラインというものをつくるということとか、それから適切な合意形成をするためにはどういうやり方をしていったらいいだろうかというようなことについてのマニュアルをつくるといったこと、あるいはまた、そういったことを含めまして、いろいろな情報提供とか、あるいは居住者の方々から相談があったときに相談に応じられるような体制を整備していくということについてこの基本方針の中に盛り込むことを予定しております。その上で、それぞれについて具体的な措置を講じさせていただきたいというふうに考えております。
日森委員 これまで、恐らく国土交通省の資料だったと思うのですが、区分所有法を適用してそれぞれ建てかえなんかが行われてきたと思うのですが、これまでの例だと、ほとんど全員が合意をした場合に建てかえができたというふうな資料がたしかあったと思うのです、今ここに、手元にないのですが。その辺の、今までの実績というか経過については、御存じの部分があったらちょっとお聞かせいただきたいと思います。
三沢政府参考人 ちょっと手元に正確に全員合意の場合とそれ以外の場合の数字は持っていないのですが、先生おっしゃるとおり、実質全員合意に近いようなケースも相当あったかと思います。
 ただ、一方で、やはり五分の四の建てかえ決議というものを用いて建てかえが進められているケースがございまして、その場合に、先ほども法務省さんとの間で御質問がございましたように、建てかえを決議した後に、どうも建てかえの要件を満たしていないんじゃないかというような形で裁判で争われたりして、これがなかなか建てかえを進めにくくしているというような状況もございますので、現実には、全員合意の場合もございますし、やはり五分の四の決議をとってやっている場合もあるということかと思います。
日森委員 次は負担の問題なんですが、例えば、マンションなど、外壁の塗装をやり直すだけでも莫大な費用がかかるというのは今常識になっているわけです。建てかえとなればさらに多くの費用がかかるということになってくると、建てかえ費用を支払えない居住者が当然出てくることが予想されるわけです。結局対応できない人は転居せざるを得ないというところに追い込まれていくわけでして、そういう意味では、居住権みたいなものが著しく侵害されるおそれもあるのではないかというふうに心配をしているんです。
 そういう意味では、そうした方々に対する救済措置について、先ほどちょっと御答弁いただいたんですが、改めてちょっとお聞かせをいただきたいと思います。
三沢政府参考人 いわゆる従前居住者の居住の安定というのが極めて大事であるということは、もう先生御指摘のとおりでございます。
 それにつきましては、この基本方針の中で、マンション建てかえ事業の施行者並びに国及び地方公共団体は、基本方針に従って、賃借人及び転出区分所有者の居住の安定の確保に努めなければならないということをこの法律案の第九十条で明記をしております。
 この基本方針の具体的な中身といたしまして、先ほどもちょっと申し上げましたが、高齢者などの住宅に困窮されるような方々に対する支援として、公営住宅等への優先入居、あるいは従前居住者用の賃貸住宅に係る家賃対策補助、それから移転料支払いに対する補助といったようなことを基本方針に定めて実施することとしております。
 それからもう一つ、高齢者の方々が例えば転出しないで建てかえに参加できるようにするための一つのやり方ということで、住宅金融公庫の融資の中で、建てかえのために高齢者の方がお金を借りた場合に、毎月の返済は利子負担だけとして、例えば元金の返済は死亡時に一括して償還するというような特別な償還制度というのも用意しております。
 こういったこと全体を通じまして、従前居住者の居住安定に関する措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
日森委員 それと関連して、売り渡し請求制度が出てきますね。これは以前からある話なんでしょうけれども。これはどうも建替組合側に強過ぎる権利ではないかという気がしてならないのです。こういう請求が行われて一方的に居住権を奪ってしまうような可能性も当然出てくるわけで、一つは、売り渡し請求に対する感想みたいなのがあったらお聞かせいただきたいということ。
 それからもう一つ、地方公共団体に一定の負担をいただいて、先ほどおっしゃったような救済の措置の制度もつくられるということになっているんですが、例えば、今現在も地方財政はどこでも厳しい状況にあって、公営住宅などなかなかつくれないとかいうことになっているわけです。しかも大量にこういう救済措置をしなければならないようなことが発生してくると、地方自治体の財政負担も相当なものになってしまうのではないか、とりわけ都市部なんかは、ということについての感想でもコメントでも結構ですが、お聞かせいただきたいと思います。
三沢政府参考人 一点目の、売り渡し請求でございますが、これは、実は今の区分所有法の中で、建てかえ決議があった場合には、その後、建てかえに参加されない方に対して売り渡し請求をできるという規定が既にございます。
 今回のこの法律の中で規定しております売り渡し請求は、その場合の売り渡し請求を請求できる主体として、新たに建替組合というものが請求できるというようにしたわけでございますので、その意味では、何か今までの法律と違ってさらに一層厳しくなったというような性格のものでは基本的にはないというふうに理解をしております。
 それからもう一点、非常に厳しい財政状況の中で、公共団体の対応はどうだろうかという御質問かと思いますけれども、やはり当然、公共団体が的確に居住安定措置を講じていただくというのが、まず一義的には公共団体の非常に重要な責務だと思っております。
 その場合に、ただ、やり方といたしましては、例えばその従前居住者用住宅一つにしましても、新たに土地を買って新規に建設するとか、そうすれば大変お金はかかるのですが、例えば、そうではなくて既存の公営住宅ストックをできるだけ活用していただくとか、あるいは、やり方としては民間住宅を借り上げて従前居住者用住宅に使うというやり方もございまして、これだと非常に財政負担の少ないやり方で効率的にできるというようなこともございますので、そういう限られた財政状況の中で、こういった効率的なやり方をぜひ活用していただくように、私どもの方でもいろいろな助言をしていきたいというふうに考えております。
日森委員 きめ細かい支援措置というのが当然必要なんですが、例えばひとり暮らしのお年寄りだとか、そういう方々が転居せざるを得ないというふうなことも当然想定されるわけで、しかも今まで住んでいたマンションの近くに住めるとは限らないわけですね。
 そういうことも含めると、もうちょっと丁寧な、きめ細かい支援措置が当然あってしかるべきだと思うのです。例えば引っ越し費用なんか、こういうものについて、ちょっと細かい話で申しわけないのですが、どんなふうにお考えなんでしょうか。
三沢政府参考人 引っ越し費用につきましては、基本的には、標準的な額を決めまして、その額の範囲で公共団体と国の方で補助をしていくということでございますので、普通の引っ越しであれば大体カバーできる、そういうような補助制度として想定をしております。
 それから、近場になかなかいい住宅がないんじゃないかというお話がございまして、先ほども申し上げましたように、今回、従前居住者用住宅として民間住宅を借り上げるという方式も、新たにそういう民活型のやり方も導入しております。そういう意味では、今までよりも幅広い選択肢の中でそういう住宅もお選びいただけるような、そういう制度も用意させていただいているということでございます。
日森委員 ぜひ丁寧な支援措置をできる限り幅広く講じていただきたいと思います。
 と同時に、そういう支援措置があって、先ほど御答弁の中で、相談窓口であるとかいうものは設置をしたいというお話がございました。そういう情報がどこにあるのかということがわからないと、せっかく手厚い支援措置を講じていても、それが宝の持ちぐされにならないとも限らないわけですね。補助や融資、税制、債務保証、いろいろな措置があるわけですけれども、その窓口というのは一体どういうところになるのか、どんなイメージなのかということや、それから、だれが責任を持ってそういう説明をなさるのかということについてお聞きをしたいと思います。
三沢政府参考人 今いろいろ先生からお話がございましたような、支援措置等に関する情報提供とかあるいは相談窓口を設けるということは非常に大事なことでございまして、これはまさに、今回基本方針の中でもそういう体制の整備についてきちっと書き込もうとしていることの一つでございます。
 具体的にだれがということについては、これは実はいろいろな主体があろうかと思います。一義的には、当然、公共団体のいろいろな窓口においてそういう情報が提供できるような体制を講じていくということがまず一つございます。それから、民間の方々、例えばマンション管理士というような制度も新たに創設されまして、これからまた、マンション管理士として登録された方に御活動いただけるわけでございますけれども、そういった方々でもきちんといろいろな求めに応じて、あるいは公共団体と連携しながら情報提供できるような、そういう体制を講じていくということもございますし、それから、NPOの活用というお話がございましたが、そういういろいろな相談活動をやっているNPOの方々もございます。そういう公的な分野、それから民間分野、それらが全体としてネットワークを持ってきちっとした情報提供ができる体制をつくっていくということが非常に大事だと思いまして、これについては最大限努力してまいりたいというふうに考えております。
日森委員 基本的には、地方公共団体がその窓口になるというふうに当面は理解しておいてよろしいということでしょうか。(三沢政府参考人「はい」と呼ぶ)
 では続いて、先ほども御質問がありました、やはり気になるところなんですが、法制審議会では、老朽、損傷、一部滅失、この建てかえ条件を緩和して、老朽化の基準を築後三十年または四十年で線引きをして適用するという、そういう部会の中間試案というのが出されました。先ほどの御答弁で、これは間違いないと思うのですが、国土交通省は実はその三十年という線で仕切りをつけたいという御答弁じゃなかったろうかと思うのですが、それを最初に確認をさせていただきたいと思います。
三沢政府参考人 建てかえの決議の要件につきましては、先ほども御議論いただきましたように、できるだけわかりやすく、明確であるということが、これからの紛争の原因にならない大事なことだというふうに考えております。
 そういう意味からいうと、まず一つは、建築後年数というのを客観的に定めていただくということが非常に重要だと思っておりますが、その中で、では建築後年数としてどういう数字がいいのかということでございます。
 それで、これは先ほど副大臣からも御答弁申し上げましたけれども、今までの建てかえの実績を見ると、築後三十年から四十年で建てかえられたものが多い、三十七、八年が平均と言っておりますが、ただ、これは、実は実際に着工した時点をとらえております。そうしますと、当然のことながら、建てかえ決議という意思決定はやはり数年前にされているというのが実態でございます。それから、公営住宅とか再開発事業の要件でも、築後年数というのは大体三十五年程度であるというようなこと、こういったことを勘案いたしますと、築後年数としては、四十年というよりは三十年という方がやはり実態に合っているのではないかというふうに考えているということでございます。
日森委員 わかりやすいといえばそういうことになるのかと思いますが、もし、甲案、乙案の甲案を採用するとするならば、今後、新たなマンションを建てて、業者さんもそうなんですが、販売するときに、説明責任として建てかえ時期、これを明示しておくということも当然必要ではないかという気がしています、仮に局長がおっしゃるとおりの話でいけば。
 それから、売り渡し請求権、これについても、経済負担が困難な、弱者と言われる、高齢者の方もそうなんですが、そういう人のことを配慮すると、経過措置であるとか別の配慮、配慮と言っていいかどうかわかりませんが、そういうものも当然必要なのではないかというふうに思うのですが、その辺ちょっと局長の感想で構いませんが。
三沢政府参考人 一点目の、これから建てるマンションについてはそういう情報を明示すべきであるということでございますが、これはちょっと改めて御説明申し上げますと、この三十年というのは、要するに多数決五分の四で決議できるときの要件である。したがって、逆に言うと、三十年たったら必ず建てかえをしなければいけないとか、そういう性格のものではなくて、三十年過ぎれば、全員同意がなくても、五分の四という多数決原理で建てかえが進みますよという制度でございます。したがいまして、具体的に何年で本当に建てかえをするかというのは、これは個々のケースによって相当違ってくると思います。
 今までの実績は確かに三十年から四十年の間ということでございますが、これは過去、高度成長期に建てられたマンションでそういう実績になっているところでございます。これから建てるマンションについては、恐らく耐久性というのは非常に上がってはくるだろう。したがいまして、これから建てるマンションについて、三十年しか寿命がありませんよというようなことではなくて、それはやはり、きちんと長もちするように使っていただくというのがまず大原則であろう。
 ただ、先生がおっしゃいましたように、三十年たてば五分の四という多数決で、もし区分所有法がそういう改正をされました場合にはということでございますけれども、五分の四の多数決で建てかえ決議ができますよという制度の周知については、これは当然必要なことでございますので、これはいろいろな形で、公共団体なり、あるいは先ほどのマンション管理士が相談に乗るなり、情報提供をするなり、そういう形で周知徹底を図っていくということが必要だというふうに考えております。
 それから二番目の、経過措置とおっしゃいます意味は、先ほど申し上げました従前居住者対策という意味では、この法律に基づきまして基本方針にきちっと定めましていろいろな対策を講じていくということでございますので、具体の建てかえに即してのそういう高齢者等への対策は、そういう中で努力してまいりたいというふうに考えております。
    〔木村(隆)委員長代理退席、委員長着席〕
日森委員 わかりました。
 けれども、やはり心配があります。甲案と今回のマンション建替え円滑化法の組み合わせでいきますと、仮に法制審の方でそう決まって、この組み合わせができると、マンションの建てかえというのが一層促進をされる。もちろん促進するためのものなのでしょうけれども、そうすると、どうも一部の業者だけが甘い汁を吸うのではないか、ついそういううがった見方をしてしまいます。そして、支援措置は随分厚くとられているけれども、結局、弱者が切り捨てられる、そういう結果が生まれるのではないかという心配がやはり払拭できないのです。
 そういう意味からいいますと、私の個人的な見解なのですが、やはり乙案の方がそういう意味では妥当性があるのではないかというふうな感想を持っているのですが、局長、ちょっと御感想をお聞かせいただきたいと思います。
三沢政府参考人 乙案はどうかという点でございます。
 乙案は、要するに、修繕積立金を積み立てている場合には五分の四の多数決で決議ができない、非常に単純化するとそういう案なわけでございます。
 これはなかなか、いろいろな問題を含んでいるというふうに考えておりまして、要するに、管理組合でまじめに、自分たちで、将来の修繕に備えてきちっとお金を積み立てていたら、そのことが逆に、建てかえのときに建てかえしにくくなってしまう。それはどうも、適正な管理をきちっと促していくという観点からは余り望ましくないのではないかな。非常に極端な言い方で申しますと、修繕積立金の積み立てをサボって、余り積み立てていなかったら建てかえがしやすくなる、これはちょっと、管理をきちんとするという観点からはやはりどうなのかなという疑問を、正直言って抱いているということでございます。
日森委員 わかりました。
 それから、なるべく重複しない質問をするので、通告外の話ばかりで申しわけないのですが、建築リサイクル法というのがございまして、先ほど阿久津さんのお話でしたか、武正さんでしたかね、マンション建てかえが進んでいくと、九十何%はリサイクルされているけれども、しかし、五%はやはり建築廃棄物として出てしまうという結果が、環境省の調査でしたか、何か出ていたと思うのです。
 いずれにしても、この法案の中でも特に基本方針とかいう中で、その辺に対する対策も担保しておく必要があるのではないかという気がしているのです。もちろん、一〇〇%リサイクルできますということであれば問題ないのですが、これまでの経緯を見てくると、どうしても五%以上は廃棄物として出てしまうという結果があるわけですから。しかし、基本方針を見る限り、そういう建築廃棄物に対する対応というのが明記されていないような気がするのです。
 これは全く通告なしなので申しわけないのですが、それについてちょっと御見解を伺いたいと思います。
三沢政府参考人 基本的な物の考え方としては、当然、マンション建てかえに当たっても、できるだけ建築廃棄物が出ないようなやり方をとっていただくというのが非常に大事なことであると思っております。それともう一点は、そもそも建てかえについても、やはり長もちさせるということとよく比較考量した上で、何でもかんでも建てかえるということじゃなしに、十分な情報をもとにして建てかえをしていただくということも非常に大事なことと考えております。
 ただ、リサイクルのやり方までこの基本方針の中に書くかどうかというのは、ちょっと難しいところがあるのかなという感じがしておりまして、この法律そのものは、どちらかといいますと、先生先ほど建てかえを促進とおっしゃいましたが、決して促進ではなくて、建てかえ決議がなされたことを前提に円滑化していくという法律でございますから、そういう円滑化という法の目的からして、どこまで基本方針にそういうことを書き入れるかについては、ちょっとまた十分検討させていただきたいというふうに考えております。
日森委員 私の個人的な見解としては、ぜひ、どういう格好になるかわかりませんけれども、それはもう当然予想されることなので、やはり基本方針の中に、あえて何らかの形で組み込んでおく必要があるのではないかという気がしています。
 余り時間がなくなりましたけれども、もう一度、団地型のマンションについて最後にお聞きしたいと思うのです。
 民間の建設によるものでも、地域のコミュニティーの場になっているという実態があると思うのです。その団地型マンションの建てかえについて、この法案の中で何か特別な配慮がされているのかどうか、お聞きをしたいと思います。
三沢政府参考人 団地型マンションでは、先生おっしゃるとおり、やはり全体として一つの地域のコミュニティーができているというケースが多いかと思います。したがいまして、その団地の建てかえを行うに当たりましては、その土地の合理的利用ということとあわせて、やはり地域コミュニティーの機能の維持ということも考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。
 そうしますと、複数の棟の建てかえをばらばらにやるのではなくて、やはり一体的な計画のもとに実施する、それが望ましいし、また、そうするケースもこれからは多くなってくるのではないかというふうに考えられます。
 この法案の中で、こういう団地型の建てかえにも対応できるように、団地内の複数棟において建てかえ決議が行われた場合には、これらの区分所有者が一つの建替組合を設立できるということにしておりまして、これによって、団地の居住者全体の意向を踏まえた、一体的な計画に基づいた建てかえ事業の実施ができるように配慮しているところでございます。
日森委員 終わります。ありがとうございました。
久保委員長 松野博一君。
松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。
 マンション建てかえの円滑化に対して質問させていただきたいと思いますが、法案の性格上、通告をした質問がほとんど今までの答弁の中で丁寧にお答えをいただいたものですから、若干通告外の質問が入ってくるかと思いますけれども、どうぞよろしくお願いをいたします。
 まず、マンションの建てかえのニーズの問題でありますけれども、三十年から四十年での建てかえの実例が多いということであります。
 先日の大臣の答弁の中では、一つは耐久性、安全性の問題と、もう一つはライフスタイルの変化によるものという、二つの側面が考えられるというお答えがあったわけでありますけれども、現状において、建てかえられるマンションの建てかえ理由、これが主に安全性、耐久性によるものであるのか、また生活者のライフスタイルの変化、生活のクオリティーの変化で現状のマンションでは満足できなくなった、不都合になった、そういうような理由から建てかえられるようになったか、どういうふうに把握をされているか、質問させていただきたいと思います。
三沢政府参考人 これについては、一つのアンケート調査がございますけれども、建てかえに関心を持ったきっかけは何ですかというアンケート調査をしましたところ、この中で一番大きいのは、今後の修繕に要する費用を考えると今から建てかえを検討することが望ましいと考えたからという答えが四二%ぐらいございました。ただ、それ以外に、かなり高い比率でお答えいただいているのは、例えば、地震や火災等に対する安全性への不安からというものとか、それから建物の居住性に対する不満からというようなものがございます。それから、それよりちょっと比率は落ちますけれども、大規模修繕が必要となっているけれども多額の費用が必要であったからというような答えも相当数見られるというようなことでございます。
松野(博)委員 その質問をいたしましたのは、コンクリート住宅の物質としての耐久性から考えると、どうも日本のマンションというのは建てかえの周期が短過ぎるというようなことが言えるかと思うんです。もしもライフスタイルの変化や生活、世代が上昇することによっての生活の質の変化によって建てかえが望まれているということであれば、これをもっと若い世代にうまく流通をさせると、先ほど来、建築廃材の問題ですとか資源の有効活用の問題が指摘をされておりましたけれども、まだまだ建てかえという手法によらなくても十分対応できる部分もあるかと思います。そのためには、中古市場をより確立していくこと、税制等の補助等が考えられると思いますが、一つの課題として今後取り組んでいただきたいというふうに考えております。
 本法案の一つの大きな柱といいますか目玉が、建てかえを行う団体の法的地位が確立をされたということだと思います。区分所有者が集まって法人格を有するマンション建替組合をつくる。
 このマンション建替組合の法的な責任の範囲。例えば一回マンションを取り壊して新たに建設をされる途中、マンションという物体は消滅をしてしまうわけであります。そういうことがあってはならないわけでありますけれども、例えばマンションを取り壊したが建たなかった場合、こういうことがないように十分な計画案を練り、また公的セクションというのが関与するということだと思いますが、例えば、マンションの建てかえがうまくいかなかったような場合の責任問題も含めて、この法人格を有するマンション建替組合の責任の範囲について、質問をさせていただきたいと思います。
三沢政府参考人 マンション建替組合というのは、ある意味では一種の協同組合的な性格のものでございますが、実際にこういう組合の事業が破綻した場合、先生がおっしゃるとおり、問題になりますのは、組合と組合員との関係、特に組合員の責任というのは一体どうなんだろうということが問題になるわけでございます。
 これは、建替組合というのは、当然のことでございますが、組合員とは別個の法人格を有するものでございますので、法律的には、仮に組合の事業が破綻しても、組合の債務について組合員個人が直接責任を負うということではなくて、いわゆる有限責任であるというふうに解しております。ただ、例えば、清算金債務のような形で組合に対する債務が既に具体的に存在している場合には、その範囲で組合員は責任を負うという形になろうかと思います。
松野(博)委員 本法案のもう一つの柱が、権利変換手法を確立するというところにあるかと思います。従前のマンションの区分所有権や抵当権等、さまざまな債権というものが新しく建てられるマンションに移行されるわけでありますけれども、その中で、一番立場が弱い人の権利というのをこの権利変換手法の中においてどう守っていくか、このことも大事な視点だと思います。
 例えば、借家人の権利に対しては、この権利変換手法においてはどういうふうに保護されるんでしょうか。
三沢政府参考人 マンションの建てかえ事業におきまして、借家権は原則的に権利変換の対象となる再建マンションに移行するということでございますので、借家人はその再建マンションで居住等を継続することができるということになります。この場合、その権利変換計画を定めるに際しましては、借家人の同意を得なければならないということになっております。
 それから、借家人が再建マンションにおける借家権の取得を希望しない場合がございますけれども、その場合は、施行者に申し出ることによりまして、借家権にかえて補償金を受け取ることもできるということになっております。
 先ほどから申し上げておりますけれども、こういうような申し出を行った場合も含めまして、借家人がマンションから転出することになった場合に関しましては、国土交通大臣が定める基本方針に従いまして、公共賃貸住宅への優先入居など、居住安定の確保を図るための所要の措置を講ずるということにしているところでございます。
松野(博)委員 この観点も既に出た質問の中にありましたけれども、建てかえに参加をしないでマンションから出ざるを得ない人、その人たちから、建てかえるマンションの区分所有権を時価により買い取るということになっております。
 日本でよく、利口な家の買い方というのが言われるんですが、これは、中古住宅を買いかえていくのが日本では最も効率的な家の買い方だというふうに言われます。というのは、日本は上物に対する評価というのが著しく低い、建物の評価が低いわけであります。特にマンションに対して、年を追って古くなってきたマンションに対する評価、時価というのが極端に低くなる傾向があります。このことが、今回のマンション建替え法案に関しては阻害要因になると思いますし、都市部の高層化を阻んでいるし、また一部の、まだ弱くなったとはいえ、日本人の土地信仰、一戸建て信仰を助長している傾向があるかと思うんです。
 この上物、特にマンションに関する時価評価の問題、このことに関してどういうような整理をされているのか、見解をお聞きしたいと思います。
三沢政府参考人 現状におきまして、なかなか日本では住宅の上物の価値に着目した評価というのが今まではなされてこなかったというのは事実かと思います。やはり、どちらかといいますと、土地に着目してその価値というのを語ってきたという現状がございます。
 ただ、これからの住宅を考えますと、先生御指摘のとおり、やはり長もちするものをきちっとつくって、そのことが中古流通市場の中で循環して、それがまたさらに全体のリサイクル問題等に対しても適切な対応となっていく。全体としてこう循環していくような構造をつくっていくというのは非常に大事でございます。
 このためには、やはり幾つかポイントがございまして、まず、日本は非常に上物の減価が激しいと言われていますが、それは、一つは住宅の耐久性の問題があったかと思います。ですから、まず住宅の耐久性を、つくるときからきちっと長もちするようなつくり方をしていく。そのための、例えば住宅金融公庫融資等において、そういうことをきちっと基準にしていくというようなことをやっていく必要があるかと思います。
 それからもう一つは、中古市場でなかなか流通しない、しにくい原因の一つとして、消費者側が、このマンションというのは本当に大丈夫なんだろうかと、それに関する十分な情報が必ずしも得られないというところがございます。そうしますと、やはりそれについて、この中古マンションについては例えば過去どのくらいきちっとした修繕がなされているかとか、そういうことについてはデータをきちっと蓄積して、消費者にわかるような体制をつくっていく、そのことが必要だろうと思います。
 それとあわせて、そういうことがきちっと評価できるような時価の評価の手法、これを確立していくということが必要でございまして、こういったことを通じまして、やはり先生がおっしゃいます、中古住宅の時価というものがきちっと市場でそれなりに評価されていくというような仕組みをつくっていく、これにこれからも努力していきたいというふうに考えております。
松野(博)委員 今のお話にありましたとおり、特に日本で中古マンションの価額が低い大きな原因が、一つは、居住できる年限が短い、次の世代、その次の世代に引き継いでいくことができないということと、マンションが老朽化した場合になかなか今までの日本の法律では建てかえることが難しかったということが、マンションの中古市場での流通性を落とし、マンションの時価の評価を落とすという大きな原因になってきたかと思います。これは、この法案、鶏が先か卵が先かということでありますけれども、ぜひ、この法案によって建てかえを円滑に進めることによって、マンションの区分所有権の債権としての権利というのをしっかりと確立をしていかないといけない、そういうふうに思うものであります。
 この建替え円滑化法案のもう一つの視点というのが、防災や居住環境面で問題になるというふうに考えた場合に建てかえの勧告を地方公共団体ができるという点にあるかと思います。
 これは、具体的に、例えば防災面、安全面での危険性というのは外観や建築された年数等で判断がされるものと思いますけれども、居住環境等を含めて、そういったものを地方公共団体がどういった具体的な手法によって判断をしていくのか。また、恣意的な判断がされないように明確なわかりやすい基準をつくることも必要ではないかと思いますけれども、この具体的な勧告までの手順、そしてだれを対象にこの勧告が行われるのか等も含めて、この問題に関して整理をしていただきたいと思うんですが。
三沢政府参考人 建てかえ勧告の問題でございますが、まず、建てかえ勧告をする場合の基準ということでございます。これにつきましては、国土交通省令によりまして、構造の安全性とか設備の老朽度等の項目について基準を整備していくという考え方でございます。
 これの一つの例として、現在、不良住宅密集地区を買収方式で整備する、いわゆる住宅地区改良事業というのがございますが、そこで不良住宅の判定基準というのがございます。そういうものも一つ参考にしながら、これから国土交通省令で基準を定めていくという考え方でございます。
 具体的に申し上げますと、例えば構造の安全性でいいますと、柱とか壁のひび割れ、変形等の状況とか、設備の老朽度については、給排水設備とか電気設備がどのくらい老朽化しているか、老朽化した度を判定する、そういうような具体的な基準を定めるようにしております。
 いずれにいたしましても、先生御指摘のとおり、恣意的な勧告がなされるということでは非常に問題でございますので、やはりこの制度の趣旨にのっとってきちっと運用されるように、老朽化マンションの実態を踏まえまして、わかりやすく、かつ客観的な基準を策定するという考え方で臨んでおります。
 それからもう一つ、この法律上、市町村長が勧告を行うということになっておりますけれども、勧告に当たりましては都道府県知事に協議しなければならないということになっておりまして、そういう意味では、例えば隣の町とで運用がばらばらだ、そういうことのないように、広域的な観点からきちっと適正な統一的な運用がなされるというようなことを確保していきたいというふうに考えております。
 それから、だれに対してということは、これは要するに当該マンションの居住者の方々に対して勧告をするということでございます。
松野(博)委員 最後の質問にさせていただきたいと思いますが。
 今までの議論の中でも、今、昭和三十年代、四十年代、日本の高度成長期に建てられたマンションが建てかえ期に入っておる。その当時の日本の経済力であるとか安全基準の問題、また日本人の生活の質に対する要求点の問題等を考えると、今回マンションの建てかえという事態になっていることはいたし方ない部分があると思いますが、今後これが、また三十年後にもう一回建てかえ、また三十年で建てかえということになりますと、資源の有効活用がなされていない、建築廃材等の問題もあるということになりますから、これはもう既にお答えが出ていますので、今後のマンションの建築に関する指導に関しては、長期に使用できる耐久性というのを十分考慮していただきたいと思います。
 そして、この質問はこの法案とは若干離れるんですが、都市の高層化ということに関して、例えば日本の中心街の夜間人口というのはニューヨーク等に比べると極端に低い人口になっておりますし、東京と同じぐらいの人口密度のヨーロッパ都市と考えると雑然としている。やはり、都市に人を呼び戻すための高層化というのも必要だと思います。
 昔は、仕事を引退して老後は田舎で、広々としたところでゆっくりというような風潮であったんですが、今、老後は都会で、老後はマンションでという傾向が広がっております。老後こそ、医療機関が備わり、衣食住、いろいろな面で満足度が高い、そういった都会で暮らしたい、かぎ一つで生活できるマンションで暮らしたいということがあって、若いうちは田舎で暮らしても老後になってきたら東京に戻ってマンション暮らしだと。
 僕自身もそういうふうに思うところがあるんですが、そういった面で、今後の都市の住宅の高層化に関して最後に御所見をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
三沢政府参考人 今先生おっしゃいましたとおり、やはり都心居住に対するニーズ、高齢者の方もそうでございますし、それから働いている世代等も、やはり職住近接ということに対するニーズが非常にこのごろ高まっているというのが現状でございます。
 これに対応していくためには、地域の状況によって高度利用可能なところについては高度利用を図りながら、例えば高層マンションというようなものを含めて、そういう事業の展開を図っていくということが非常にこれから大事になっていくわけでございます。
 ただ、一方、これも先生お話の中にございましたけれども、非常に老朽化したマンションというのは、逆に、ほっておくとどんどん空き家化が進み、空洞化していってしまうというところがございます。そうしますと、今回の法案の趣旨でもございますけれども、そういうことを避けるためにも、やはり一定の、客観的な、ある程度、条件からもう建てかえた方がいいというときには円滑に建てかえできるような法制度を整備するということが、ある意味ではそういう空洞化を防ぎ都市再生というものに役に立っていくということかと思いますので、そういう観点からも、この法案につきましていろいろな施行努力をしていきたいというふうに考えております。
松野(博)委員 終わります。
久保委員長 山名靖英君。
山名委員 公明党の山名靖英でございます。
 昨年、マンション管理適正化法が成立をいたしました。マンションをめぐる住民間のいろいろなトラブル、あるいは管理組合、管理会社等をめぐるいろいろなトラブルがございまして、管理の適正化を図ろうということで、議員立法で提案をいたしました。私もそのかかわりを持った一人として、その成立に心から喜んでいる一人でございます。
 今回は、さらに前進をさせる意味から、マンション建替え円滑化法という、建てかえのマンションがスムーズに権利移行なり諸問題が解決できるように今回の法律提案になったところでございまして、その矢継ぎ早の取り組みにまず心から敬意を表したいと思います。
 もうたくさんの質問が出まして、本当に重複するかもわかりません。かき分けかき分け質問をさせていただきたいと思いますが、わかりやすく質問しますので、ぜひわかりやすく御答弁をお願いしたいと思います。
 そこで、整理をする上から最初にちょっとお伺いしたいと思いますが、現在、マンションの利用状況につきましてはいろいろな状況変化がございますし、特に空き住戸がふえている。古いマンションになればなるほどあいている。あるいは又貸し的に所有者と違う人が賃貸をしている。それから、高齢者のみがお住みになっている。こういった、正規ともいえない形の利用状況が一方で進んでいるようでございます。
 築後三十年経過したストックのマンションの平均値として、空き住戸が一一%、賃貸されている住戸が二四%、六十歳以上のみが居住する住戸が三六%、こういった統計も出ておるようであります。
 こういったストックの状況を背景といたしまして、三十年経過したマンション居住者からのアンケート調査をとったところがございまして、それによりますと、管理組合等におきまして、今後の修繕費用の増大に対する懸念が四二・五%、安全性への不安が二七・五%、居住性への不満が二七・五%。こういった形で、逆に言えば、建てかえをしなきゃならない、そういうニーズ、関心、こういったものが一方でふえている。こういう実態もございます。
 さらには、建てかえについて現在検討をしているというところがおおよそ二〇%、以前には検討したけれどもそこに至っていないというのが一七%、関心があると答えたのは二八%等々、そういう意味では、全体の三分の二が建てかえへの前向きの気持ちを持っておるようでございます。
 そして今回、建てかえのいろいろな問題、権利問題を含めた問題を整理して、そしてスムーズな建てかえができるように今回の法律制定になったかと思いますが、総括的に、今回の法律の制定の意義について再度確認をさせていただきたいと思います。
佐藤副大臣 この法案は、建てかえを行う団体の法的位置づけが不明確なことや、権利の円滑な移行のための法的仕組みがないことなどの現行法制の課題を踏まえまして、建てかえ事業の円滑な実施に必要な基本的な制度を確立するものであります。
 本法案は、現在検討中の区分所有法の改正に先立って提案されたものでありますが、今先生いろいろなデータをおっしゃいましたけれども、建てかえ決議済みのマンション、今は五地区ある。さらに、平成十四年度中に決議予定のマンションが四地区ある。そのほか、検討中のマンションが百二十二地区ある。それらの事業が、運営のルールや法的仕組みがしっかりすると促進されるわけでありますから、そういう面で、この法律をつくる大きな意味があると考えております。
山名委員 そこで、スムーズに建てかえが進めばいいわけですが、建てかえに向かう前提としての合意形成、ここの部分がまず最大の難関ではないかというふうに思っております。
 特に、先ほどのデータで見るように、高齢者が多くなっている。当然、建てかえにかかる取り壊し費用なり、また新たな建物に対する負担、こういった金銭面の負担に対する不安、心配、こういうものが一方でございます。
 また、建替組合に至るまでの間、いろいろな意味で、権利問題等含めて、きちっとした情報提供あるいはいろいろな相談体制の強化、こういったものをしっかり確立して、そして建てかえ決議をし、建替組合への移行、こういう手順になるわけでありまして、その前提となる合意形成をするための情報提示なり相談窓口なり、そういったものがやはり必要ではないかと思っておりますが、どのようにお考えでしょうか。
三沢政府参考人 これにつきましては、おっしゃるとおり、やはり合意形成というのがまずイの一番で大事なことでございます。
 これにつきましては、基本方針の中で、合意形成の促進に関する事項ということを定めることにしておりまして、その中には、例えば建てかえを検討するに当たって、建てかえでいった方がいいのか、あるいはこのまま長もちさせて修繕でいった方がいいのか、それがきちっと比較検討できるような、そういう判断基準になるような例えばガイドラインをつくるというようなこととか、あるいは、みんなの間で合意形成を図っていくためにはどういう手順、どういうことをやっていったらいいかというようなマニュアルをつくっていくとか、それから、そういうことも含めまして、きちっといろいろな情報を提供し、あるいは、むしろ御相談があれば適切にお答えできるような体制の整備、これは公共団体もございますし、それからマンション管理士、これが新たに今登録をしているところでございますけれども、こういう方々にアドバイスをしていただくということもございますし、あるいはNPOの活用というものもございます。そういったような、総合的にいろいろな相談体制を整備していくということを一つはきちっとやっていくということが非常に重要だというふうに考えております。
 それからもう一つは、今お話しになりましたように、結局、高齢者が相当、三十年を過ぎたマンションで三六%ぐらいいらっしゃる。そうしますと、やはりこういう方々が行き場所がないということでは、とても建てかえの合意形成に向けて円滑に話し合いができるという状況にないわけでございます。したがいまして、こういう方々、特に賃借人とか転出区分所有者等の居住の安定にかかわる措置をきちっと講じていくというのは非常に大事なことでございます。
 これも、具体的に申し上げますと、例えば公営住宅等への優先入居、それから従前居住者用賃貸住宅に係る家賃対策補助とか、あるいは移転料支払いに対する補助というようなことをやっていくということを、きちっとこれも基本方針の中に決めまして、これを実施していくということがやはり合意形成の上にとっても非常に大事な点だというふうに考えております。
 こういうことを含めまして、建てかえの合意形成につきましては最大限の支援をしていきたいというふうに考えております。
山名委員 区分所有者あるいは建替組合のそういう不安に対してきちっとした対応をしてあげる、そのためには、さきに成立をした適正化法のマンション管理士、こういった人たちがその具体的な窓口になろう、こういうことでございます。当然、名称独占であって、実務的な経験を持つ管理業務主任なり、あるいは業界が持つ区分所有管理士ですか、こういった人たちも、そういった形の、いわばアドバイザーという形で大いにそういう不安解消に寄与していただきたい、こういうふうに思っております。
 そこで、本法律では、建替組合の参加組合員になる、こういう方法と、もう一つは、権利者全員の同意を得て、個人施行者、こういう形で実施する、こういう方法がとられておるわけであります。
 私は、個人施行者がマンション建てかえに乗り出すというのは、これは大変難しいし、なかなか大変だと思うんですが、今回の法律の中で、どうして個人施行者というのをあえて入れたのか。当然、個人でこれはできませんから、何らかの知識を持ちノウハウを持つ、そういったところへの委託業務、業務代行、こういったことにならざるを得ないんじゃないか。こういった場合、そういう委託できる人、業者というのはどういうところが考えられるのか、この辺についてお教えいただきたいと思います。
三沢政府参考人 まず、個人施行者制度の趣旨、個人施行の制度はどういう場合に使われるかということでございますけれども、一つは、例えばこれは組合方式でやりますと、どうしても団体的な事業運営、一定のルールを決めてそれにのっとって運営していくというようなことになりますけれども、そういう運営じゃなくて、これはやはり全員の同意で事業を進めたいという場合に、この個人施行方式というのは使い得る手段であるというふうに考えています。
 それからもう一つ、建替組合は、建てかえ決議がなされた後の一つの事業執行方法として運営しておりますけれども、こういう建てかえ決議の客観要件を満たさないような場合、これは全員同意でやればできるわけでございますが、全員の同意に基づいて、引き続き全員同意で事業を施行したいというような場合にも一つ使い得る手段かと思っております。
 それからもう一つ、ディベロッパーの方が組合に参加組合員として入るやり方もあるわけでございますけれども、これも、ディベロッパーが個人施行者になりまして、それをみんなが同意してやっていくという事業方式も可能でございますので、組合方式をこの法律では基本としながらも、それ以外の多様な事業形態への対応を可能にするという観点からこれを用意しているわけでございます。
 なお、別途、先ほど申し上げました、組合の中にディベロッパーなり外部の方が参加組合員として入っていくという方式も十分使い得るということでございます。
山名委員 権利関係等、極めて法律的、専門的なものになるわけでありまして、そういう点ではディベロッパーが個人施行者になるというケースも当然出てくるでしょうけれども、区分所有者の皆さんが、あるいは建替組合の皆さんの思いがきちっと反映されるように、特にマンション管理士なんかは、この新しい法律についての知識というか、まだノウハウが試験項目に入っていなかったと思いますので、しっかりと研修をやっていただいて、そごのないように、ぜひこれをお願いしたいと思います。
 それから、さっきも出ましたが、構造設備が不良で当然居住に不適当なもの、保安上、衛生上極めて有害な、そういったいわゆる老朽マンションに対して市町村長が勧告をする建てかえ勧告、これをうたっておりますが、果たして、市町村にそういう勧告できる能力というか、失礼ながら専門家がいるのか。ここら辺の取り組みが一方で大事になっていくと思うんですね。
 とともに、いきなり建てかえ勧告なんですよ。やはり事前に改善勧告があって、その後で建てかえ勧告というのが本来の手順じゃないかと思うんですが、そういう点で、いきなり建てかえ勧告というふうに法律で定めた理由は何なのか、あわせてお願いします。
三沢政府参考人 法律上は建てかえ勧告ということから始まっているわけでございますが、当然こういう勧告を出すに当たっては、事前に、やはりその前に勧告という形でない、事実上のいろいろな指導なり御相談を当然していくというのが通例のケースでございます。それで、ある意味では、そういう土壌が整ったところで、では、後の居住安定計画をつくるためには、例えば勧告という形をとってきちっとした措置を講じるというやり方も考えられるわけでございます。
 したがいまして、具体のやり方としては、勧告の前に事前の相談なり指導が当然あるのが通例でございますし、また、そういうような勧告の運用になるように、これは都道府県知事と勧告を必ず協議してやっていきますので、私どももそういう勧告の運用については、都道府県にもよくその趣旨を周知徹底して、市町村が余り具体の運用に当たって迷うようなことがないような、そういう指導をきちっとしていきたいというふうに考えております。
山名委員 もう時間が残り少なくなりましたが、建てかえの決議後に反対者の権利を買い取る請求期間、これを本法では二カ月、こういうふうにしておりますが、一方で、区分所有法は決議後四カ月、こういうふうにしているわけですね。ここの乖離、整合性をどうとるのか。なぜ二カ月ということで本法が定めているのか。この辺の問題が一つ。
 それから、先ほども出ましたが、売り渡し請求における時価算定の問題ですが、これは、時価という算定で売り渡し請求等売買するということは、ある面では一番考えられる方法では公平かな、公正かなと思っているんですが、現実の現場での対応というのは、早くこれを明け渡してもらいたいとか、早く出たいからどうとか、その辺の現場での交渉事でもあるわけですね。それが、いわゆる時価方式でやるといっても、現場的には決してそういうふうにならないんじゃないか。だから、その価格をめぐって、売り渡し価格をめぐって、かなりのトラブル、紛争、こういったものが起きるんじゃないかと私は老婆心ながら危惧しているんです。
 少なくとも、算定基準といいますか、これを明らかにし、さらにそれを公表するというところまできちっとやっていかないと、本当の意味での公正はとれないし、また、自由な競争といいますか、こういったことはできないんじゃないか。だから、その算定基準の策定に当たっては、むしろ第三者機関等もきちっとつくった形で公平さを担保する、確保する、こういったことも私は必要ではないかと思っておりますが、簡単に答えてください。
三沢政府参考人 一点目の、まず売り渡し請求権の期間でございます。
 区分所有法に基づく売り渡し請求は、まず二カ月間の催告期間を経過してさらに二カ月ということでございますが、先生おっしゃるとおり四カ月でございます。
 今回の建替組合につきましては、設立時点では、決議から通常はやはり大体二カ月ぐらいは過ぎている、そこから起算して既に二カ月ということでございますので、そこについては基本的には区分所有法と矛盾はないというふうに考えております。
 ただ、組合の設立認可が二カ月よりも手前にあった場合はどうなるか。短くなっちゃうじゃないかという御疑問もあるかと思いますけれども、その場合には、設立認可じゃなくて、二カ月たったところを起算点にして、それから二カ月ということに法律上なっておりますので、そこは区分所有法と整合をとっております。
 それからもう一点、時価のお話。これは大変難しい話でございまして、これについては、もう先生おっしゃるとおり、仮に当事者間に本当に争いがあった場合には、最後は訴訟で確定するというような性格のものではございますけれども、ただ、やはり、時価の算定に関する事例等をきちんと集積させて算定基準を標準化するというようなことはこれからも必要になってくると思いますので、そういう紛争の未然防止に資するため、そういうようなことをこれからも検討していきたいというふうに考えております。
山名委員 わかりました。
 マンションの占める位置づけというのは、地域のコミュニティー形成の上では極めて重要なことであり、都市再生の面からも重要なわけであります。そういう意味から考えて、これからさらに地域にマンションを開放するという意味からも、いわゆる福祉施設、子育ての、そういう福祉施設を合築の形でやるということならば、しっかりと税制上、財政面での、あるいは容積率の面での緩和策、こういったものをぜひお考えいただきたい。現にハートビル法だとか建築基準法等の改正が今出ておりますが、そういう点で、こういった建てかえマンションについてもその対象になろうかと思いますが、ぜひこれをお願いしたいと思います。
 最後に一点だけ、ペイオフ対策です。
 マンション管理組合にとっては、このペイオフ制度解禁は極めて関心事であります。管理組合には、何十億と資金を保有しているといいますか積み立てているところが多いわけであります。これに対して、そういう不安を解消するために、ペイオフ対策として、国土交通省はどのような配慮、手を打っておられるのか、これを最後にお聞きして終わりたいと思います。
佐藤副大臣 お尋ねのペイオフ対応策といたしましては、国土交通省としましては、マンション管理組合の修繕積立金等資産の適正な管理運用を支援するために、財団法人マンション管理センターを通じまして、管理組合に対し、セミナーの開催ですとか、インターネットホームページ、パンフレット等によるペイオフ解禁問題に対する情報提供等を実施しております。
 パンフレットの作成でありますけれども、こういうパンフレットをつくりまして、これを都道府県及び政令指定都市に全部配付済みであります。
 さらに、十三年度からセミナーを開催いたしまして、十三年度に三回、十四年度に十二回を開催いたします。
 この問題は非常に関心の高い問題でありますから、地方公共団体に対する研修等を実施し、地方公共団体の職員に対しては、国土交通大学校においても本年度より研修を実施いたしております。
 管理組合の資産の適正な管理運用を支援するためにも、これらの取り組みをしっかりと進めてまいりたいと考えております。
山名委員 時間をオーバーして済みません。終わります。ありがとうございました。
久保委員長 西川太一郎君。
西川(太)委員 私は五つほど質問を用意したんですが、今、山名先生が私と同じお尋ねを二問なさいました。三問目から入らせていただきたいと思います。
 それは、マンションの区分所有者というのは、ただいまもお話がございましたように、経済事情、または年齢、その他いろいろお立場が違うわけでありますけれども、共通していることは、基本的に、いわゆる建てかえに関する専門家というのはそう多くはないんじゃないか。そうなりますと、建てかえ時期が来たそうした区分所有者の方々に対して、民間のそうした専門的知識を有しておられる方々が協力をしていただけるというシステムをつくっておかないといけないんではないか、これが促進には不可欠な要素ではないかと私は思いますが、三沢住宅局長に、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
三沢政府参考人 今先生御指摘のとおり、マンション建てかえを担う区分所有者の方々というのは、やはり専門的な知識という観点からいいますと、例えば、土地建物の権利関係に関する知識とか、あるいは工事の設計施工というようなことについて専門的な知識を持っていない方が普通であろうというふうに考えております。それから、専門的知識に加えて、例えば資金力という面でも必ずしも十分でないということも多いかと思います。
 こういうことから、一つは、民間事業者の方を活用するという観点からは、参加組合員制度というのをこの法律の中で用意しておりまして、参加組合員としてディベロッパーが建替組合に参加することができるという仕組み。それからもう一つ、先ほどお話が出てまいりましたが、区分所有者が同意すれば個人施行者という形でディベロッパー等が参加できる、こういう道も開いておりまして、これは、どういう道を選ぶかというのは区分所有者がそれぞれ選択いただくことでございますけれども、そういう意向に応じて民間の方のノウハウを活用できるような仕組みを用意しているところでございます。
西川(太)委員 ほとんどの方々がローンでマンション等を購入されているケースが多い、こう思うわけでありますが、抵当権の取り扱いというのがそういう際には当然問題になってくる、こう思います。
 この法律案においては、抵当権はどのように処理されているんでしょうか。
三沢政府参考人 この法律の一番の特徴は、マンション建てかえ事業というのを権利変換という仕組みでできるようにするというところでございます。
 具体的に申し上げますと、土地建物に関する権利が円滑にできるように、建てかえ前と建てかえ後で権利関係がどういうふうに変動するかという権利変換計画をあらかじめ策定いたしまして、これに基づいて、ある一定期日に権利が新しいマンションに一斉に移行するという手法でございます。
 抵当権につきましても、これは権利変換の対象といたしまして、従前のマンションに設定されていました抵当権は、計画に定めますと、その計画に従って新しいマンションに移行するということになりますので、建てかえの前後を通じましてその担保価値というのは保全されるという仕組みになっております。
西川(太)委員 菅政務官にお尋ねをいたしたいと思いますけれども、マンション建てかえに要する費用の負担というのは、最終的には個々の区分所有者が負担することに当然なるわけであります。しかし、先ほど来、大勢の質問者からも、また私も少し触れましたが、年齢または経済状態、いろいろと異なる区分所有者、こういう方々の負担というものが重くならないようにしていくことも、建てかえを円滑化するためには必要な措置ではないかと思うんであります。
 国の財政事情が非常に厳しい折でありますけれども、こうした個々の区分所有者の負担軽減のための助成政策は、この法律ではどう考えられておりましょうか。
菅大臣政務官 お答えをいたします。
 建てかえを円滑にするために、建てかえに参画する区分所有者の経済的負担を軽減する観点から、国庫補助、住宅金融公庫融資、税制により支援を行うことになっております。
 そして、具体的には、一定の要件を満たすマンション建てかえについて、優良建築物等整備事業に基づき、調査設計計画費、除却費、共同施設整備費等に対して補助を行うこととしております。
 また、住宅金融公庫融資につきましても、都市居住再生融資制度により、基準金利等の最も優遇された条件で融資を行うことになっています。
 さらに、税制につきましても、既存の一般的な住宅に係る特例の活用を図るほかに、譲渡所得税や登録免許税についての特例措置を創設するものであります。
西川(太)委員 先ほど、災害対策特別委員会で、四人の地震の専門家においでをいただきまして、ここに御出席の議員の皆様も何人かその席においででございましたが、いろいろお話を伺いました。
 そういう中で、やはりまだまだ耐震、免震といいますか、そういうものが十二分でないということの御指摘が数々ございました。仮に今後、そうした建てかえ時期に来た、しかも、平均して、集合住宅に限らず、住宅の、建物の寿命は二十六年、こういう専門家のお話がありました。そうなりますと、結構頻繁にこれから建てかえていかなきゃいけない。
 例えばこれは新耐震基準というんですか、こういうものが昭和五十六年に施行されたわけでありますけれども、それ以前に建てられた建物というのは二千百万戸あるそうであります。その後建てられたものが、もう一回言いますと、全住宅ストック四千四百万戸のうち、二千三百万戸は新耐震基準施行後に建築された住宅であります。それ以前のものが二千百万戸あって、そのうち新耐震基準レベルの耐震性を有していない住宅というのが千三百万戸ある。
 これは一戸建てももちろんあるわけでありますから、すべてがマンションとは限らないわけでありますが、しかし、今まで私の東京の下町なんか、工場があったところが、あるとき突然それが解体されて、次に通ったときにはもうマンションが建ち上がっているような、随分簡単に建っちゃうのもあれば、日本橋の方のすばらしいマンションは、もう何年たってもなかなか積み上がらずに、施工業者がつぶれちゃったのかと思ったらとんでもないことで、それだけ丁寧な建築をしてと、そういう差がありますね。
 こういう耐震性、免震性というようなものについて、今後建てかえに際しては十分配慮をしていかなきゃいけないと思いますが、これについてはどんなことが考えられるのでございましょうか。
三沢政府参考人 まさに今先生がおっしゃいましたとおり、昭和五十六年の新耐震基準以前につくられた建物が約半分ある。そのことがまさに、やはりこれからマンションも含めて建てかえ等を積極的に図っていかなきゃいけないという理由の非常に大きい原因の一つだというふうに考えております。
 その場合に、新しく建てかえていただくに当たっては、当然のことながら、建築基準法の中で新耐震基準になっておりますので、まず、当然耐震構造にはなるわけでございますが、その中でやはり、さらに耐震性のより高い、ある意味ではグレードの高い耐震構造にしていただく。そういう場合には、いわゆる建てかえにする場合に、一定のマンションにつきましては助成措置がございますけれども、さらにそういうグレードの高い耐震構造、免震構造にした場合には、その補助についても上乗せをいたしまして助成して、そういう、いい、ある意味では防災上も非常に安全な建物を建てていただくように、そういう促進措置を講じているところでございます。
西川(太)委員 最後に、佐藤副大臣に基本的なことをお尋ねして質問を終わりたいと思います。
 住宅というものが、単に戸数では十分に足りているというレベルに日本はなっているわけでありますが、今さら申し上げるまでもなく、かつてはウサギ小屋などと言われてまことに不面目なことであったわけでありますが、十分な住宅のレベルを維持しながら質量ともに充足をしていくという意味で、この法律の果たす役割は極めて大きいと思います。
 基本的に、これについての国土交通省の姿勢を佐藤副大臣に伺って、扇大臣おみえになりましたけれども、佐藤副大臣に伺って、私の質問を、まだ時間はうんとありますけれども、終わりたいと思います。
佐藤副大臣 西川先生おっしゃったとおり、日本の住宅というのは、本当に質のよいものをつくっていかなければならないと思います。わずか三十年や三十五年でもうだめになってしまう、こういう住宅政策というのを続けておいてはいけないと私は思っています。やはりこれからは、八十年、百年という、長い間もつ、何世代も入れる、そういう住宅でなければならないんだと思います。
 そういう意味でも、今度の法律というのは、良質な住宅をつくる、そういう多くの方々の期待にこたえられるように、そういう面も含めて今度の法律はつくられたわけでありますから、しっかりと多くの方々にその趣旨をお話をしながら進めていきたい、そう考えております。
西川(太)委員 国土交通省の御奮闘をお祈りして、質問を終わります。
 どうもありがとうございました。
久保委員長 一川保夫君。
一川委員 私の方からも、このマンションに関する建替えの円滑化に関する法律について質問させていただきます。
 たびたび扇大臣に対して質問をさせていただいておりまして、やるたびに若干緊張感がなくなってまいりますけれども、しかし、マンションの問題、私自身はマンションに住んでおりませんので、ちょっと実態がよくわからないところもあるわけですけれども、非常に、都市部におけるこういう居住施設としては大変大事な部分でございますので、そういう観点で幾つか疑問に思う点についてお話ししたいと思います。
 その前に、マンションの管理の適正化の推進に関する法律というのが、一昨年ですか、議員立法で制定されました。当時私たちは、実はこの法律に反対いたしました。まだ法律のねらいというものが十分わからないというか理解できない。また、いろいろな面で国家試験的なものを設けていくということに対して、今の行政改革なりそういう流れからすると、ちょっと逆行するような部分もあるのではないか。また、いろいろな面で役所の天下り的な窓口をまたつくってしまうんじゃないかというようなことも含めて、当時反対をいたしましたけれども、どうなんですか。この今の適正化法、施行されて一年余り経過しておると思いますけれども、現実、この法律のねらいどおりに物事が動いているのかどうか、その実情。
 それから、マンション管理士という試験をパスした人がそういう資格を得て、マンションのいろいろなトラブル等に対する相談事に対応するというような趣旨もあったと思いますけれども、こういう試験が行われて、今どれくらいマンション管理士と称する方がいるのか、そういうことも含めて、法律の施行状況、実態を御説明願いたいと思います。
佐藤副大臣 マンション管理士制度につきましては、昨年の十二月に全国で十万人の受験者が集められて、第一回目の試験が実施されました。今月下旬以降、マンション管理士が助言指導等の業務を開始することになっております。
 国土交通省といたしましては、マンション管理士試験の実施を通じて、国民のマンション管理に関する認識が一層高まったと考えております。この制度が広く活用されるように、マンション管理士の所在、履歴等の情報の提供をしっかりと実施してまいりたい、そう考えております。
 それから、マンション管理者の登録制度につきましては、今月三十日までの国土交通大臣への登録が義務づけられておりますけれども、現在その作業を進めておるところであります。この法律につきましては、マンション管理業者に対しまして、重要事項説明等の業務規制が課されることから、管理業者と管理組合との間で発生している管理委託内容の説明不足等によるトラブルの防止が図られるものと考えております。
 いずれにしましても、国土交通省といたしましては、これらの取り組みを進めまして、マンションの管理の一層の適正化を図るために、この法律の着実な施行を図ってまいりたいと考えております。
一川委員 御答弁ではっきりわからなかったんですけれども、試験を受けた方が十万人ぐらいいらっしゃると。それで、今実際に管理士として登録されておる人は、現状はどういうことですか。
扇国務大臣 今副大臣が申しましたように、受験者が十万人でございましたけれども、この合格者数は七千二百十三名でございます。それから、今副大臣が御報告申しました中で、マンション管理業者の登録状況、これは四月の九日現在で、登録済みの業者が二百七十六業者、そして申請中は約五百業者ございます。
一川委員 数多くの方々がマンションの管理について関心を持っているという一つのあらわれだと思いますけれども、要は、今のマンションの実態等に対するいろいろな相談窓口として、この法律の趣旨にのっとってしっかりとした対応、これからだと思いますけれども、その法律の目的、趣旨に沿ったそういう法律の施行がなされますように、また御指導の方をお願いしておきたいと思います。
 さて、今回のこのマンション建替え円滑化法、建てかえの円滑化を図る法律ですから、当然現行制度でもやってできないことはないわけです。きょうもそれに関連したいろいろな質疑があったわけですけれども、もう一度確認のためにお聞きするわけですけれども、現行の制度でもってもう既に建てかえたマンションも幾つかあるというふうに聞いておりますけれども、現行の制度上、何が問題でこういったマンションの建てかえというのは円滑にいかないのか、そのあたりをもう一回整理して御説明をお願いしたいと思うんですけれども。
三沢政府参考人 現行制度のもとでマンション建てかえを進めるに当たって、どういう課題があるのかということでございます。
 これは幾つかございまして、一つは、建てかえを行う団体の法的な位置づけとか運営ルールというのが非常に不明確であって、意思決定や契約行為等が円滑にできない。例えば、建てかえの発注をしようと思ったときに一体だれの名前でするのかというような問題がございます。それから、区分所有権や抵当権などの関係権利を再建したマンションに円滑に移行させるための法的な仕組みがない。例えば、従前のマンションを取り壊すに当たって抵当権者の同意を全部取りつけなきゃいかぬ。それから、登記なんかも、結局個々の権利をみんながそれぞればらばらに登記をしていかなきゃいけない。そういうような非常に困難性、問題点が指摘されているというのが一つでございます。
 それから、それ以外にも、先ほどからお話が出ていますように、建てかえに向けての合意形成が事実上なかなか難しいということとか、それから資金確保の困難性、あるいはやむを得ず出ていく方に対してどういう手当てができるのかという点について十分制度的な対応がなされていないというようなことが、現行の制度のもとで建てかえをする場合の課題であるというふうに認識しております。
一川委員 それで、現在の制度の中で建てかえを行ってきた事例というのは幾つかありますけれども、現実問題、こういう建てかえの話し合いがスタートして建てかえが終了するというのは、大体どれぐらい時間をかけてやっているものなんですか、現状は。わからないですか。
三沢政府参考人 いろいろな事例が正直言ってございますけれども、やはりおおむね五年前後はかかっているというのが通例だというふうに聞いております。
一川委員 マンションの規模の大小なり、そういうものは当然影響するわけでございますし、入っている方々もいろいろな思いがあるでしょうから、なかなか合意形成が基本的には難しいものがあるなというふうに想像いたします。そういう面で、今回の円滑化法では、そういう現行制度上でのいろいろな、先ほどお話にあったような問題点をクリアするために、いろいろな法的な根拠を与えながら、意思決定しやすいような状況に持っていくということだろうと思うんですけれども。
 現行制度の中に建物の区分所有等に関する法律というのがございます。これは昭和三十七年ごろに制定されたというふうに聞いておりますけれども、その後、昭和五十八年ごろに大幅な改正でもって、マンションの管理上の問題、あるいは、場合によっては建てかえも含めて、意思決定についての合意形成の一種の手続めいたものについての規定が新たに設けられたというふうに聞いております。それまではどうも全員が賛成しないと物事がすべて進まなかったという時代があったというふうに聞いておりますが。
 今回はこの新たな法律をつくるわけですね。きょうもこれまでにその議論がちょっとあったわけですけれども、今回のこの新しい法案といわゆる区分所有法との関係というのをどういうふうに理解したらよろしいんでしょうかね。
三沢政府参考人 区分所有法は、今先生おっしゃいましたように、区分所有法の中に建てかえの決議という制度を設けております。これは要するに、基本的には全員同意でやるというのが区分所有法の世界でございますが、その例外として、建てかえについては一定の場合にその五分の四の多数決で決議できるということを定めているものでございます。
 ただ、区分所有法では、建てかえ決議の制度というのはそこまでは設けておりますけれども、決議後の事業の実施については特段の規定は設けておりません。この法案は、まさにその決議がなされた後、具体的にその事業を進めるに当たって、先ほど申し上げました、例えば建てかえを担う団体の法的な位置づけがないとか、権利を円滑に移行させる仕組みがないとか、そういう課題に対応できるような、その事業実施段階での法制度を整備するという性格のものでございます。
一川委員 建てかえる間、当然ながらそのマンションには居住できない状態になるわけですね。割と規模の小さいマンションであれば、皆さん方はいろいろな知人、友人等を頼って、あるいは地域の人のお世話で仮住まい的なものが対応できるかもしれませんけれども、大規模なマンションを建てかえる場合に、この工事期間中の仮住まい的な住居というものを、どういう形で、だれが、どういうふうにあっせんしていくかということも含めて、大変な問題ではないかなと。その期間中の、何というんですかね、実際に借りるわけでしょうからいろいろな経費もかかると思いますけれども、そういうことも含めて、基本的にはどういう考え方をお持ちなんでしょうか。
三沢政府参考人 建てかえ期間中の仮住居の問題でございます。
 仮住居につきましては、これは、建てかえを進められますその各自が自分のそれぞれの責任において手当てを努力いただくというのが、まず第一義的な原則でございますけれども、しかし、例えば大規模なマンション等の場合でいいますと、やはり仮住居の確保というのが実際問題としてはネックになって、建てかえの合意形成そのものがしにくくなるというケースも懸念されるわけでございます。
 こういうことに対応するため、国土交通大臣が定める基本方針の中に、そういう仮住居対策として公共団体が果たすべき役割を含む必要な事項を盛り込むということを考えています。
 具体的に申し上げますと、例えば、これについても公共賃貸住宅へ優先入居をできるようにするとか、あるいは公共団体で民間賃貸住宅を借り上げて一定の期間だけ手当てをするとか、そういう対策も含めてどういうことをやったらいいかということをこの基本方針の中に盛り込むというふうに考えているところでございます。
 なお、これは、例えば東京都でも非常に大きい問題意識として意識されておりまして、この法案の提出と合わせまして、東京都もこの法案がもし通ったらこういう対策をやりたいというようなことも、いろいろ、例えば都営住宅を活用しますとか、都が設置している都民住宅を活用しますとか、そういうような方針を出しているところでございまして、また、その公共団体でいろいろな先進的な取り組みがあるようなことについても、ぜひほかの公共団体にも御紹介しながら、こういう仮住居対策というのを進めていきたいというふうに考えております。
一川委員 そこで、ちょっと局長にお尋ねするんですけれども、これはちょっと事前の通告からはみ出すかもしれませんけれども、今現在住んでいるマンションはそのまま住んでいて、全く新たな場所に新しいマンションを建てるなり、あるいは建てたものがあるといったときに、皆さん方の意思を尊重した中で、そっちへそっくり移ってしまうというようなことが、この法律の範疇かどうかわかりませんけれども、そういうことについてはどうなんですか。
三沢政府参考人 この法律は、基本的には、やはりその敷地の中で壊してそれを再建しなきゃいけない、そういう難しさに起因する問題をどうやって解決していくかというところが基本でございますので、全然別の場所にそっくり行ってしまうという事業のやり方は、この法律の中では想定はしていないところでございます。
 ただ、それに近いものとして、この法律の中で、参加組合員として例えばディベロッパーの方が入りまして、そのディベロッパーの方が別のところに新しいマンションを建てる。全部というわけにはいきませんけれども、例えば、相当程度そっちに行きたいという方は行っていただいて、逆に余った床の部分はディベロッパーの方が取得して、また事業費に充てていくとか、そういうやり方も活用可能でございますので、全部そっくりというわけにはいきませんけれども、この方式の中でもかなり多様なやり方はできるのではないかというふうに考えております。
一川委員 この法律はそういったことは想定していないということなんですけれども、工事期間中の仮の住宅ということをいろいろと考えてみた場合に、区分所有権を持っている方々なり、いろいろな法的な権利を持っている方々の合意が成り立てば、そういうことも当然想定されるわけですね。
 それはこの法律の範疇じゃないということになるのかもしれませんけれども、よく一種の等価交換的に交換するケースも、役所だってよくやっているわけですので、そういうことも考えれば、建設期間中の大勢の方々の住まいをいろいろな面で探し歩くなんというのは大変なことなんだけれども、そういうことについて、もう一回局長の責任ある答弁をいただきたいんだけれども、この法律はそういうのは対象にしていないということなんですか。それとも、場合によっては対象になり得るということなんですか。
三沢政府参考人 確かに、引っ越しのことを考えると、そういうやり方があれば仮住居を確保する必要がないので、そのこと自体としては一つの有力なやり方だと思いますが、ただ、この法律は、先ほど申し上げましたように、基本的にその敷地で、要するに一回壊して建てなきゃいかぬ、そこの難しさをどうやって解決するか、そこに着目したことでございますので、もちろん、任意のいわゆる権利変換といいますか、そういう仕組みとして、契約に基づいてそういうことをすることはできるわけでございますけれども、この法律ではちょっとそれは想定していないという御答弁をさせていただきたいと思います。
    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
一川委員 わかりました。それは現行制度の中でも、応用力を働かせて、やろうと思えばできることだと思いますけれども。
 そこで、大臣に御見解をお伺いするわけですけれども、今現在マンションに入っている方々が、何十年か前に入居されて、その当時のマンションに住んでいる方々の年齢構成というのは現状では相当変化してきておるのは当然でございますし、また家族構成も変わってきております。また、今住まいしている方々のこれからの新しい住居に対するいろいろなニーズも非常に多様化してきて、もっと快適なところに住みたいというのはどなたもみんな思っているわけです。
 片や、それだけの負担能力があるかなしかということも含めて、非常に悩ましいことがたくさんあろうかと思います。新しく建てかえるということになれば、高齢化社会に対応した、そういうバリアフリー的な対応も当然でございますし、そういう面で、合意形成を図るというのは、一言では簡単に言いますけれども、相当難航するような感じがいたします。
 そこで、大臣のこの法律に対する思いというか決意的なものを、こういうような状況を踏まえますと、大変なものがあるなというふうに私は認識するわけですけれども、大臣の御所見をお伺いしたい、そのように思います。
扇国務大臣 一川議員はマンションに住んだことがないのでという冒頭のお話がございまして、今、大体都市に住もうと思いますと、一戸建ての家というのは、なかなか我々の思いの中ではうまくいきません。
 希望はあっても取得することが不可能に近いということで、普通のサラリーマンの三倍の所得で家が買えるようにしようという基本的な政策はございますけれども、住宅が欲しいといって一度郊外に出ていった人が、今は通勤時間の浪費とかそういうことで、帰ってこよう、こういう状況にある中で、今既に住んでいるマンションの皆さん方も、老朽化しているということと、老齢化しているということと、子供たちが出ていってしまって老夫婦二人になってしまった、あらゆる面で社会情勢の変化によってマンションの多様性も出てくると私は思います。
 まして、きょう午前中からも御議論がございましたように、現在建てかえなければいけないマンション、そして今後老朽化するマンションの数というのが膨大な数に上ります。私の近くにありますマンションも、皆さん、建てかえるのに、今まで管理費だけしか払っていなくて、積立金を積み立てていない、そういうマンションもございます。また、積立金は積み立てたけれども、時代が変わって、積算してみたら、とても積み立てたお金では足りないということで困っているマンションもございます。今建てかえなければいけない、そういう中で困っていらっしゃるところもたくさんございますので、そのために、マンションの建てかえの検討に当たって、私たちは、老朽化したマンションに住んでいて、もし地震でもあったらということを考えまして、何としても皆さん方が円満なマンションの建てかえができるようにということで、このことをぜひ皆さんに御理解いただきたいと思ったわけでございます。
 また、今一川議員がおっしゃいますように、老夫婦等々あるいは身障者等、今住んでいるマンションをかわらなければならないという人たちに対しては、改めて私は国土交通大臣が定める基本方針というのをつくるというのを先ほども申し上げました。その基本方針の中で区分所有者等の合意形成の促進に関する事項というのをきちんと明記いたしまして、その事項の中には、わかりやすく解説した技術的な指針、こういう技術でこうなりますよということを示す指針でありますとか、あるいは合意形成のためのマニュアルの作成をいたしまして、どういうスケジュールでこれを建て直しますよというようなそのマニュアルの作成とか、あるいは先ほども御質問がございましたマンション管理士とかあるいは建築士等の専門家とか、そしてまた地方公共団体等の公的な機関を最大限に活用し、そして、先ほど局長も申しましたように、東京都においては既にいろいろなことで、この法案が通れば、自分たちの相談の枠組みをつくるとか、建てかえのガイドブックまで東京都はつくろうとなさっています。
 そういうふうに、私たちは、老朽化したマンションを何とか安全な方法でということで、情報の提供、またアドバイスを行う体制というものを一緒になってつくっていきたいと思っておりますので、今マンションに居住している皆さん方が、安心して新しいマンションに建てかえる手順、方法、そういうものを作成していきたいと思っております。
    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
一川委員 私がお聞きしたいことは、もう今までの質問と大分重複しておりますので、これで最後にさせていただきますけれども、特に質問する事項はもうありませんから結構ですけれども、ただ、マンションというのは、先ほど来私が言っていますように、日本の高度成長期に地方から相当都会へ出てきたような方々も含めて、若いうちは狭いところでも、ある程度簡素なところでも我慢しながら、当時、相当の資金を投げ出して取得したような人もたくさんいらっしゃると思いますけれども、しかし、これからの時代というのは、もう少しゆとりを持って、人生をしっかりと充実したものとして送っていただくという面では、やはりある程度質的にいいマンションに建てかえていかなければならないと思います。
 それぞれの居住者のニーズは多様化しておりますけれども、そういうことも含めて、国土交通省が直接関与する部分というのは私は余りないと思いますけれども、できるだけそういう関係者の方々がいろいろな面でやりやすいような、そういう条件をしっかりと整備して支援していただけるような、そういう法律の施行をぜひお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。
久保委員長 大幡基夫君。
大幡委員 日本共産党の大幡基夫です。
 マンションの建替えの円滑化等に関する法律案について質問をします。
 法案の内容に入る前に、マンションの建物管理に関して伺います。
 全国マンション管理組合連合会から、区分所有法改正に対する要望書が出ています。これは今回の円滑化等に関する法案への要望でもあるというふうに聞きました。そこで特に強調されているのは、建物の耐用年数を延ばすための法整備、建物の長寿命化施策のための法整備を強く要望しています。
 今回の法案でマンションの建てかえを円滑に進めるという場合にも、その前提として、既存のマンションをきちんと管理し、必要な改修を行い、長く大切に使う、そのための施策の充実があると思います。この点は意見の相違がない問題だというふうに思うんですが、大臣に、この点について改めて御確認したいと思うんですが、どうですか。
扇国務大臣 大幡議員も町をお歩きになってお感じになると思います。管理の行き届いたマンション、管理の行き届かないマンション、見た目だけでも歴然としております。そして、管理の行き届いたマンションというのは、それなりに管理費が高くても長もちしている、品質保持、そういうことでは、私は、町を歩いていても大変よくわかります。
 もっとわかりますのは、値段でございます。築二十年のマンションでも、管理の行き届いたマンションは余り値下がりがしない。築十年のマンションでも、管理が行き届いていないところは値下がりがひどい。マンションの管理をする、しない、品質保持ということでは、歴然と、年数がたてばたつほど差が出てくる、私はそのように認識しておりますし、私自身の目にもそのように見えております。
大幡委員 国土交通省として、耐用年数を延ばすための施策だとか、延命、長寿命化のための施策の法整備について大いに努力していく、そういう考えについて確認したいというふうに思います。
 そこで、法案にかかわって、先ほどからも議論になっていますが、区分所有法の改正議論の中で、マンションの老朽化の目安の一つとして三十年とか四十年とかの年数が議論になっています。私は、これに非常に大きな疑問を持っています。
 二年前に建設省の建築研究所がマンション総プロの中間報告というのを出しているんですが、この中で住宅ストック更新周期の国際比較を示しています。イギリスが百四十一年、アメリカ九十六年、フランス八十六年、ドイツ七十九年、そして日本は三十年でしかない、こう述べて、日本の三十年は短過ぎるというふうに、批判をするというニュアンスで問題を指摘しています。つまり、この中間報告で三十年は短過ぎるというふうに批判している年数が目安として議論されている。しかも、この三十年、四十年というのは整合性が全くないんですね。
 例えば、税法や企業会計などで、資本投下に対しての減価償却資産の耐用年数は四十七年です。これは資産価値の基準だから、老朽化の建てかえ年数ははるかに長くなるはずです。
 また、日本建築学会の工事仕様書では、計画耐用年数を六十五年、高耐久性で百年としています。つまり、これからのマンションの仕様として六十年、百年もつマンションをつくろう、こういうふうに言っているんですが、これは、当時の建設省での検討と同じ考えだというふうに聞きましたが、間違っていませんでしょうか。
三沢政府参考人 国土交通省では、これまでも住宅の耐久性の向上に関する検討をいろいろ行ってきております。一つは、建物の耐久性向上技術の開発という研究を実施しまして、耐久性を向上するための建築物の設計指針等をまとめております。
 この中では、建築学会が作成した工事仕様と同様に、鉄筋コンクリート造の建物については、耐用年数の一つの目標として、例えば、一般のもので六十五年にするためにはどういう仕様、設計施工にしたらいいかというようなこと、あるいは、高耐久性のもので百年にするためにはどうしたらいいか、そういうような設計の内容を研究の成果としてつくって、それをまた指針としてまとめているということは、事実でございます。
大幡委員 つまり、六十五年、百年もつマンションをつくろうというふうに言っているわけですよ。そういうときに、老朽化の目安にする基準として三十年、四十年を議論するというのは、私は本当に矛盾しているというふうに思います。
 さらに言えば、定期借家権つき分譲マンションというのがありますが、この分譲マンションは五十年以上の借地期限終了時に原状回復するということになっているわけです。三十年というと、その期間中にも老朽化マンションということになるわけです。これも全く話が合わない。
 今言ったような数字は、それぞれの用途や目的によって決めているものであるわけですが、それにしても、この三十年というのは短過ぎると思うんです。うがって見れば、この低い数字の設定というのは、やみくもに改築需要を出そうという意図があるんじゃないかというふうに疑ってしまう。
 この三十年、四十年に対しては、マンションの居住者から本当に大きな不安の声が出ています。つまり、三十年とか四十年とかという老朽化年限の数字が出てくると、それがいつの間にかマンションの耐久年数の基準にされるおそれが出てくる。そうすると、業者さんが、利益優先で、三十年、四十年もてばいい、こういうふうな動きが出てくるだとか、あるいはまた管理組合も修繕意欲がそがれる、さらに、三十年、三十五年と住宅ローンを払ってやっと自分のものになった、そうすると、そこからまた新しいローンが始まる、つまり一生住宅ローンと固定資産税の両方をマンション居住者は背負わされる、こういうことを実際に心配しておられる声が随分とあるわけです。そういう点で、私は、区分所有法というのは法務省の所管ですが、この区分所有法で三十年とか四十年とかという年数を入れるのは適切ではないというふうに思っています。
 そこで、そもそも、建てかえが必要となるようなマンションの老朽化は年数だけで判断できるものではない、これは常識だと思うのですが、このことも改めて確認したいと思います。
三沢政府参考人 建てかえの決議要件に何を用いるかというのはいろいろな議論があるところでございますが、やはり建てかえの決議の要件というのは、明確で、後でトラブルにならないようなものであることが望ましいということが私どもの考え方でございます。そういう意味からいいますと、建築後の経過年数を建てかえの決議の要件にするというのは、一つの非常に有力な案ではないかというふうに私どもは考えております。
 それと、耐久性の高いものをこれからきちっとつくっていくということと、それから、過去つくられたもので、やはりもう実際、例えば耐震構造にしてもきちっとなされていないとか、エレベーターをつけようと思っても構造上できない、ある意味では過去の高度成長期の一つの産物として、そういう必ずしもよくないストックが残っているものを建てかえるという話と、これからいい耐久性のあるマンションをつくっていくという話は、それはやはりおのずと別の話ではないかというふうに私どもは考えております。
大幡委員 年数についての検討が意味を持つというのはわかるんです。そして、三十年前、四十年前に建ったマンションが、現実の問題として、その中に老朽化しているという物件があるというのもわかるわけです。しかし、今この時期に、六十五年とか百年とかそういう耐久性のあるマンションをつくろうということをしているときに、なぜあえて三十年、四十年というふうな基準を設ける必要があるのか。
 私は、やはり大事なことは、老朽化を論じるときには、物理的な面、つまり機能的な面などを総合的に考える。そういう点で、国土交通省として、老朽化を診断、判断するための技術基準、先ほどの議論の中で、判断基準を作成するというふうに答弁を聞いて、私はそれは本当に必要だというふうに思うのですが、今国土交通省が検討している老朽化のための判断基準ということについて、その内容の基本点などを話してもらえませんか。
扇国務大臣 年数を、本来であれば六十年のものを三十年にすることは、私どうしても、先ほどおっしゃったことは訂正していただきたいというか、間違っているとはっきり申し上げたいと思います。大幡議員が業者のあっせんみたいなことを言って、何か建てかえなくていいものを業者のために建てかえるんじゃないかとおっしゃったことは、それはもう全く本体の趣旨と違うことでございますので。
 ただ、一番簡単なことを言いますと、人間の寿命と同じで、男の人みんな七十六歳が平均寿命だ、七十六ですよと言っていても、五十で死ぬ人もあれば六十で死ぬ人もあるし、百まで生きる方もある。大体、手入れが行き届いているといいというので、四十五歳ぐらいから体の身体検査して、人間ドックに入って、長もちさそうと。
 日本人の中で、多くの国会議員の先生いらっしゃいますけれども、例えば自分で日曜大工をしてペンキも塗ろうというような男の人がすごく少ないんです、男が。あえて男と言わせていただきます。欧米の先進国では、男性が日曜大工だとか何かで物すごく自分の家を大事にするんですね。そういう手入れ一つとってみても、私は、長もちするということだけは、だから差があるということ、三十年と六十年の差がおのずと出てくるということもぜひ御理解いただきたい。業者のためではありません。
大幡委員 いや、扇大臣、ちょっとそこは謙虚にしてほしいのです。つまり、そういう不安の声がマンションの住民の中から今あるんだ。大事な法案だから、そういうやはり住民の不安の声や危惧の声をしっかり受けとめて、万が一にもそういう事態が起こらないように仕上げていくというのが必要なんですよ。
 もう時間があれなので、さっきの質問はもういいです。前へ進めます。
 それで、基本方針に判断基準を明記するということは重要なことです。その際に、その判断基準がやはり住民合意の条件になるわけですよ。何かさっきの答弁で、建てかえまで時間がかかる、三十年で、そこから話し合いが始まって長くかかるというふうなことなんかもあったらしいですが、そうじゃなくて、だれから見ても建てかえが必要だということがはっきりするという中身が大事で、そういう点では、この判断基準というのは非常に重要な意味を持つわけです。
 当然建築研究所が中心になりつつも、私は、より広い専門家の英知を結集して、審議会答申などにするなど、いわばハイレベルなものにするということが必要じゃないかというふうに思いますし、その内容を全国の管理組合に周知徹底するための特別の対応というのも大いに検討してほしいというふうに思うのです。
 あわせて、この判断基準とともに必要なのが、地方自治体による勧告基準です。今回の法案で、市町村長による建てかえ勧告制度が明記されました。この勧告というのは、敷地内への立ち入り権を行使して調査をする、区分所有者全員に勧告するというものです。これは社会的にも非常に大きな影響を与えます。事実上の強制ということにもなりかねない側面を当然持ちます。この勧告を市町村がばらばらにやるということになれば、住民はたまったものじゃない。いわば国が共通のマニュアルをつくるというのは当然で、ある意味では、老朽化建てかえの場合の要件以上に厳密性が要求されるというふうに思います。
 この市町村の勧告についての基準についてどう考えているのか、明確にしてもらいたいと思います。
三沢政府参考人 建てかえ勧告の基準の問題でございますけれども、これはもうおっしゃるとおり、客観的なものでなければいけない、明確なものでなければいけないというふうに考えております。
 これにつきましては、国土交通省令によりまして、構造の安全性とか設備の老朽度等の項目について基準を整備していくという考え方でございます。例えば、構造の安全性について言いますと、柱とか壁のひび割れとか変形等の状況とか、設備の老朽度でいいますと、給排水設備とか電気設備の老朽化の状態、こういうものを判定して、きちっと具体の勧告に当たって客観的な基準になるようなものをつくっていくという考え方でございます。
 いずれにいたしましても、これはやはりわかりやすいものであるということと、客観的なものでなきゃいかぬ、これが二つ非常に大事なことでございますので、運用がばらばらになったり、あるいは恣意的な運用にならないように、基準の方を明確なものをつくっていきたいと思っておりますし、それから、勧告を行うに当たりましては、この法律上、都道府県知事と協議しなければならないということにもされておりますので、そういう意味からも、市町村ごとでばらばらな運用になるということについては、きちっと統一的な運用が図られるよう担保できるというふうに考えておりますので、それにつきましてさらに県等に対しても適切な助言をしていきたいというふうに考えております。
大幡委員 本当にこの基準も、私は、最新の科学と技術の到達点を踏まえて、客観的で具体的なものをつくるということを重ねて要望したいというふうに思います。
 このように、建てかえ問題を考えるときには、これは本当に十分な調査設計というのが決定的に重要になります。今回、この法案に関する予算措置で、いわゆるこの建てかえ決議を上げる前の段階、建てかえを検討するための調査作業を行う場合でも補助の対象になるというのが出されています。
 そこで、確認したいのですが、いわば建てかえを考えて調査をした、その結果として補修や修繕で対応できることがわかった、こういう場合でも補助の対象となる、このことを確認できますか。
三沢政府参考人 建てかえの検討に当たりまして、区分所有者が情報を共有して十分な意見交換を行いながら合意形成を図っていくということが非常に重要でありますので、こういう観点から、十四年度予算の中で建てかえ決議前の調査設計、あるいはいろいろな検討に対する費用についても補助の対象に加えております。
 これは、あくまでその建てかえの検討ということに対する補助でございますので、その結果がどうこうということではなくて、そういうプロセスに対する補助であるというふうに御理解いただきたいと思います。
大幡委員 建てかえを考えて、いわばそのための調査という場合には補助の対象になるということだと思います。
 次に、この建てかえ決議と建替組合の問題についてお聞きしたいのですが、マンションの建てかえは管理組合の主体性が基本で、マンション住民の立場に立って行われるべきことは言うまでもありません。今回の法案で、建てかえに関する決議は二つの要件があります。一つが区分所有法に基づく五分の四の決議、そして、建替組合は建てかえ合意者の四分の三となっています。
 この建てかえ決議に当たっては、実際に進める上では、五分の四あるからというだけで突き進むということはやはりあってはならないというふうに思います。また、この建てかえ合意者の場合も、既に管理組合の建てかえ決議において建てかえに合意した人ではありますが、ここでも、この組合設立の合意は建てかえ事業そのものにかかわる問題でありますから、民主的な手続による合意を最優先すべきだと考えます。
 神戸被災地の建てかえなんかのときには、建てかえ合意をした人が最終的にはやはり建てかえの反対に回ったというふうなことなんかも幾つか聞いていますし、そういう点では、こういうようなことも踏まえて、基本方針の中には十分な合意形成の必要性を改めて明確にする必要性があると考えますが、この点、いかがですか。
三沢政府参考人 建てかえ決議をするに当たっては、やはり十分な情報を共有した上で、しかも正確な情報を得た上で議論をしていただいて、その上で合意形成を図るということは、もう当然のことでございます。ただ、建てかえ決議がなされた場合には、その後はやはり円滑な建てかえ事業が執行されるということも非常に大事でございまして、この法案は、そういう観点から円滑化に資するという目的で整備するものでございます。
大幡委員 十分な合意形成の必要性を明確にするということについては当然ですね。
 この建替組合の問題ですが、本法案で組合を認めると。その最大の検討点は参加組合員制度で、この参加組合員は民間ディベロッパーということになると思います。これが組合の主体性を損なうことになるんじゃないかという懸念が寄せられています。
 率直に言って、今の管理組合の現状というのは、住民が主体にきっちりできているというのはむしろ少数だというふうに私は聞きました。民間ディベロッパーの利益最優先の建てかえが進められるということを危惧する声がマンションの関係者からもあったのですが、こういう問題を生じさせない保証というのはどこにあるのか。また、こういう問題の知識やノウハウに不足しがちな建てかえ参加者が、いわばこの参加組合員によって左右されることのないような十分な対応をとる必要があると思うのですが、この点どのように考えておられますか。
三沢政府参考人 参加組合員制度というのは、区分所有者の方々が、例えば土地とか建物の権利関係とかあるいは工事の設計施工、こういったものに対する専門的な知識を必ずしも有していないという現状にかんがみまして、外の民間の方のノウハウあるいは資金力というのを活用できるように、そういう道を開いていくということでございます。
 ただ、その参加につきましては、当然のことながら、区分所有者の意向を十分に反映するということは当然大事でございますので、組合の重要事項ということで定款で定めなければならないということにしておりまして、具体的に言いますと、組合員の四分の三以上の多数の者の同意を得るということが制度上必要とされております。
 なお、これはこれとして、やはり組合員の方々が、みずから自分でしっかりした知識を得て、しっかりした情報を得て、それぞれきちっとした判断をしていただくということは、これも当然非常に大事なことでございますので、これも再三申し上げておりますように、そういった組合員の自主的ないろいろな判断に資するような情報提供なり、あるいはそれに相談に乗れるような体制の整備、これについても十分努めていきたいというふうに考えております。
大幡委員 この建てかえ決議にしても、また組合設立の同意にしても、少数意見が出ることは容易に想像できます。今回のこの法案に対して、一般紙、これは三月八日の読売ですが、少数意見も尊重した判断が肝要になる、このように指摘をしています。
 特に、建てかえに参加できない人の居住保障という問題は非常に重要です。みずからの財産を売り渡して他に移転する、このことは参加できない人にとっても居住権にかかわる大問題だし、参加する人にとっても負担の増加に伴う問題です。こうした方々に対する国や地方自治体の措置はどのようにやるのか。
 実際、今、良質な公共住宅自身が大きく不足をしています。本法案に盛り込まれている国や地方自治体の居住の安定確保に関する責務を果たす具体的中身について、どのようなものかについてお聞かせいただきたいと思います。
三沢政府参考人 居住の安定に関する措置を講ずるというのは極めて大事なことでございまして、このため、マンション建てかえ事業の施行者、それから国、公共団体は、国土交通省が定める基本方針に従って賃借人それから転出区分所有者の居住の安定の確保に努めなければならないということをこの法案の九十条において明記しております。
 この基本方針の中では、転出者の方々に対しましては、具体的な支援措置として、公共団体による住宅のあっせん、あるいは公営住宅等の公共賃貸住宅への優先入居、それから従前居住者用賃貸住宅に係る家賃対策補助、それから賃貸人が賃借人に支払う移転料の支払いに当たっての補助、こういうことを定めて実施することにしております。
 それから、転出されない方の負担軽減という観点からいいますと、マンションの建てかえにつきまして、一定の場合に国と地方公共団体が助成をするということとあわせまして、そういうマンションの建てかえの資金について、住宅金融公庫の一番優遇された金利で貸し出しをするといったようなこと、あるいはその債務保証をきちっとできるような制度を用意する、さらにはいろいろな税制上の措置を講じるというようなことで対応しているというところでございます。
大幡委員 私は、財政的な検討という問題も、本当に深くやる必要があるというふうに思うのですね。従前居住者用住宅補助などについても、結局、半額は地方自治体ですから、そういう点では地方自治体の負担があって初めて対応できるものだ。そうすると、地方自治体が対応するという保証はどこにあるのか。こういうことなども含めて、一層詰めた検討と議論が必要だというふうに思います。
 最後に、扇大臣に、二つのことをお聞きしたいと思うのです。
 一つは、建てかえはいわば組合員のためにある、そのために大事なことは住民の意思の尊重と民主的な合意形成の実現である。そのためには、管理組合に対する知識や経験の供与というのが本当に大事なのですね。管理組合への情報提供という点では、この間、ホームページの開設などが行われていますが、今回の法案によって、国や地方自治体のよりきめ細かな対応が必要になるというふうに思います。この点について、どうか。
 もう一つは、ペイオフの問題なのです。
 私は、マンションの組合の人と懇談して、この四月からの解禁で管理組合が本当に苦悩している、下手をしたら、建てかえどころか、日常の維持管理も不可能になるというおそれを抱いているところが随分あるのです。関西分譲住宅管理組合協議会というのは、ペイオフの実施に当たり、マンションの修繕積立金は一戸当たり百万円まで保証するという請願署名まで今始めて、取り組んでおります。
 扇大臣はもちろん、ペイオフの担当ではありませんが、閣僚の一員として、またマンション対策を所管する閣僚として、修繕積立金などをいかに安全に保有するかということについて、この管理組合の悩みだとか対策を求める声を、ぜひ率直に受けとめていただきたいということをお願いしたいと思うのです。
扇国務大臣 建てかえをするときには十分に意見を尊重しろという御意見でございますので、それはおっしゃるとおりだと思います。また、そのようにしていきたいと思いますし、それに必要な情報の開示でございますとか、区分所有者間での十分な議論を詰めていただくということが大事だと思います。
 先ほどからも、私、国土交通大臣の基本方針というのを定めるというふうに申し上げておりますけれども、その中でも、建てかえに向けた区分所有者同士の合意の形成の促進に関する事項というものも明記いたします。
 そういう意味では、これに従って、技術的な指針でございますとか、あるいはそのマンションの状況というものに対してマニュアルの整備、そして、それを皆さんにわかるように情報を提供していくということも大事なことだろうと私は思っておりますので、これからは積極的な情報の開示と、それから相談の窓口をつくるということも大事だというふうに申し上げておりますので、そういうことでの基本方針を私たちは示していきたい、そう思っていますので、その点については、御参考にしていただければと思っております。
 それから、ペイオフに関してでございますけれども、これは正直申し上げて、私もマンションを持っております、大変困っています。
 そして通知が来ます。管理組合から、積み立てている分のこの分はこの銀行に移し、この分は一時現金にし、この部分は何とかと、こう三方向に分けましたよという通知が参りました。皆さん困っていらっしゃいまして、管理組合自身が自己管理をしなければいけない時代に入ったということ自体は、私は、みずからの責任というものを管理組合の皆さんがやはり自覚しなければいけない時代なのだと思います。
 これは管理組合だけじゃなくて、ペイオフ全体に対する国民の認識の問題でございますけれども、その運用を支援するために、私たちはペイオフに対応できるようにということで、財団法人マンション管理センターがございます、その管理センターを通じまして管理組合に対して、セミナーの開催をいたしましたり、あるいはインターネットのホームページ、パンフレット等によって、このペイオフ解禁問題に対する情報提供というのを行うようにいたしました。こういうものがお手元に行っているかもわかりません。
 こういうもので、少なくとも皆さん方に普通預金の、決済をするという決済性の預金についても、ペイオフの解禁となる来年度まで、これは来年までいいわけですけれども、普通預金に対しても来年度までに地方公共団体の職員に対する研修というものをしていこうということで、これにも明記してございますし、都道府県におきます相談体制の充実というものを図っていく。
 また少なくとも、これはちょっと手前みそといいますか、大事なことですから言わせていただきますと、財団法人マンション管理センターからマンションの管理組合に対して、ペイオフ解禁問題に対する情報提供はもとよりですけれども、今申しましたように、セミナーとかそういうことで、それぞれの管理組合がいろいろな対策を選んで、そして少なくとも、区分所有者の皆さんに周知徹底するということも私は努めていただきたい。
 そういう意味では、私たち、地方公共団体の職員の研修ということを今の段階では国土交通省としてするまでで、私たちがペイオフ自体を、あなたはこっちにしなさいと言うほどの権利もございませんし、私たち自身も果たしてこれが安全で安心かと言われると、ペイオフになったときには苦しいな、せめて、こういう共同体の積み立てに対してはという陳情も来ております。
 ですから、私も内閣の一員としては、そういう団体に対しては、ペイオフの適用除外というものがあり得るかどうかということも含めて今後検討しながら、できればそうしたいなと私も個人的には思っておりますけれども、どこまで努力ができるか、一応、国土交通省としては対応を検討してみたいと思っております。
大幡委員 ぜひ、その対応を重ねてお願いしまして、質問を終わります。
    ―――――――――――――
久保委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、来る十二日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時五十八分散会


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