衆議院

メインへスキップ



第15号 平成14年5月22日(水曜日)

会議録本文へ
平成十四年五月二十二日(水曜日)
    午前十時三十二分開議
 出席委員
   委員長 久保 哲司君
   理事 木村 隆秀君 理事 実川 幸夫君
   理事 橘 康太郎君 理事 林  幹雄君
   理事 古賀 一成君 理事 細川 律夫君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      赤城 徳彦君    小里 貞利君
      岡下 信子君    倉田 雅年君
      小西  理君    菅  義偉君
      田中 和徳君    高木  毅君
      高橋 一郎君    谷田 武彦君
      中馬 弘毅君    中本 太衛君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      二田 孝治君    堀之内久男君
      松岡 利勝君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      吉川 貴盛君    阿久津幸彦君
      井上 和雄君    大谷 信盛君
      今田 保典君    樽床 伸二君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      伴野  豊君    平岡 秀夫君
      前原 誠司君    高木 陽介君
      山岡 賢次君    大幡 基夫君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      保坂 展人君    西川太一郎君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   法務副大臣        横内 正明君
   国土交通副大臣      月原 茂皓君
   国土交通大臣政務官    菅  義偉君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (警察庁刑事局長)    吉村 博人君
   政府参考人
   (警察庁交通局長)    属  憲夫君
   政府参考人
   (財務省大臣官房審議官) 藤原 啓司君
   政府参考人
   (経済産業省貿易経済協力
   局長)          林  洋和君
   政府参考人
   (経済産業省貿易経済協力
   局貿易管理部長)     松井 英生君
   政府参考人
   (経済産業省製造産業局長
   )            岡本  巖君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  大石 久和君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           洞   駿君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    縄野 克彦君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・
   リサイクル対策部長)   飯島  孝君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十二日
 辞任         補欠選任
  倉田 雅年君     岡下 信子君
  中本 太衛君     小西  理君
  二階 俊博君     西川太一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  岡下 信子君     倉田 雅年君
  小西  理君     中本 太衛君
  西川太一郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 道路運送車両法の一部を改正する法律案(内閣提出第八〇号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
久保委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、道路運送車両法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長大石久和君、自動車交通局長洞駿君、海上保安庁長官縄野克彦君、警察庁刑事局長吉村博人君、警察庁交通局長属憲夫君、財務省大臣官房審議官藤原啓司君、経済産業省貿易経済協力局長林洋和君、経済産業省貿易経済協力局貿易管理部長松井英生君、経済産業省製造産業局長岡本巖君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長飯島孝君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
久保委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。高木毅君。
高木(毅)委員 おはようございます。自由民主党の高木毅でございます。
 きょうは、道路運送車両法一部改正の審議について質問させていただきます。
 その前に、本論に入ります前に、大臣にぜひ質問をしたいというふうに思いますので、よろしくお願いをいたします。それは、奄美沖に沈んだ不審船の件であります。
 五月の初旬、海上保安庁は、精力的に潜水調査を行っていただきまして、多くの成果を上げていただいたというふうに考えております。二体の遺体も収容されましたし、あるいは多くの武器なども収容されたわけでございます。非常に結構なことだというふうに思いますし、その努力に心から敬意を表したいというふうに存じます。
 しかし、やはり不審船の最終的な目的などを確認するためには、ぜひとも引き揚げが必要だというふうに私は考えております。潜水調査を終了いたしました八日には、海上保安庁もそのようにコメントしていただいております。しかも、天候に非常に左右されるわけでございまして、台風の来ない間、できれば今月末から六月中、遅くても七月にはということも言われていたわけであります。
 ところが、ここへ来て、日中間に新しい事件が発生したわけでございます。すなわち、瀋陽の総領事館の事件が引き揚げに影響を及ぼすのではないかというふうに私は心配しておりますが、大臣には、そのようなことのないように、ぜひこの場で引き揚げに対する強い意欲というものを示していただきたいというふうに思いますし、また、海上保安庁には、今後予定している日程などを含めて、段取り、計画というものをぜひこの場で披瀝していただきたいと、お願いする次第でございます。よろしくお願いをいたします。
扇国務大臣 おはようございます。
 大変大事なときに、しかも戦後初めて、不審船というものと銃撃戦を行ったという初の体験でございますし、過日、奄美の被弾をいたしました船体、操縦席の一部でございますけれども、それを国土交通省の玄関に展示いたしまして、多くの皆さんがごらんになりました。
 特に私が感心しましたのは、多くの子供たちが見学をしてくれたということです。そして、余りの皆さん方の反響に、これを全国持って回ったらどうだという声もあったぐらい、現実の銃撃戦の生々しい跡を見て、こういうものが日本近海を回遊しているのかと。しかも重武装しているというものであれば、国民はおちおちしていられない。海上保安庁に幾ら船があっても、四方が海でございますから守り切れないのではないかという一抹の不安も、あれを見た方はみんなおっしゃいます。
 なれば、何としてもこれを引き揚げて原因を究明し、しかも、これを警告して、なおかつ、日本の近海にそういうものはない、国民が安心して、漁船も安心して操業できるような状況を保持しなければならないという海上保安庁の責任の重さと、我々国会議員としても何としてもということのために、今高木議員がおっしゃいましたように、二月の下旬から三月上旬にかけて、まず水中カメラによる調査、そして今月の一日から八日まで、八日間の潜水士及び潜水艇による調査をいたしました。これも、八日目の朝、お天気が悪くなりまして濁りまして、見られなくて、半日早く引き揚げたというのも事実でございます。そういう意味で、気象的な問題もございますので、なるべく早く、残る作業を徹底して、国民の前に開示できるような状況に持っていくという重い責任を私は感じながら、そして、でき得るならば、国民の前に開示できるようなものをすべて収集したい。
 そして、中国のEEZの中ですから了解もいただく。そして、今の場合は何の反応もありませんし、好意的でございますし、しかも、作業中も向こうは黙って見ていてくれるという、大変順調にいっておりますので、当初の目的を達成し、国民の安全と安心の確保に資する大事なことをさせていただきたい、そして明快にしたいという思いは、私は当初から変わっておりません。
 ありがとうございます。
縄野政府参考人 日程についてのお尋ねがございましたので、お答え申し上げます。
 今月初めの潜水士あるいは潜水艇による船体の外観の調査の結果を現在分析中でございまして、どのような工法、引き揚げの作業の方法、それと、その工法によって可能かどうかということについて、今検討中でございます。
 気象、海象、風の強さとか波の高さの問題がございまして、台風の襲来もございますので、私どもとしましては、引き揚げが可能という決定をした上で、できれば六月中には引き揚げ作業に着手したいというふうに考えております。
高木(毅)委員 大臣には、大変力強い決意のほどをお述べいただいたというふうに思いますし、海上保安庁からは、六月中にはという時期まできちっとお示しをいただいて御答弁いただきました。心より感謝を申し上げます。今後とも、引き揚げに対する努力というものを、心よりお願いを申し上げるところでございます。
 それでは、本論でございます法案について質問させていただきます。
 この法改正には非常に関係が深いといいますか、抹消登録につきまして、これのもとにもなっております使用済自動車の再資源化等に関する法律案、すなわち、自動車リサイクル法案について少しお聞きをしたいというふうに思います。
 本法案は、自動車の不法投棄防止、あるいはまた資源の有効利用を目的とする、車の部品等のリサイクルによる、いわゆる循環型社会の構築を図るためのものでありますけれども、その費用調達として一種リサイクル税のような負担を、自動車購入時にユーザーに負わせるということにもなるわけでございます。これらは、消費者の購入意欲をややもすると鈍らせるのではないかというふうにも思います。
 言われるまでもなく、今大変な不景気なときでございまして、なぜ今こうしたときにこのような法制定を推進されるのか、その理由あるいはまた意義というものをぜひ大臣にお尋ねしたいというふうに思います。
岡本政府参考人 御説明申し上げます。
 使用済みの車、年間今五百万台ぐらい出てまいりまして、それを、管理型の処分場ということで、処理をした最後のシュレッダーダストの埋め立て処分を今やっているんですが、処分場が大変逼迫してまいっております。それから一方で、昔は使用済みの車のリサイクルというのは、いわゆる有価の世界で回っていたんですけれども、リサイクルで得られるスクラップの値段というのがどんどん下がるという事情、一方で、最後のシュレッダーダストの埋め立て処分費用というのがどんどん増嵩するという中で、逆有償の状況を呈するに至っております。これを放置しました場合には、埋め立て処分場の逼迫という問題、それからいわゆる不法投棄のような問題が深刻に懸念されるということで、しっかりとした制度の設計ということで二年前から議論を開始したものでございます。
 全体としまして、一番しんどいシュレッダーダストの処理でありますとか、エアバッグ、フロンの処理というようなところを、メーカーに拡大生産者責任の考え方のもとに担っていただき、他方で、今先生御指摘の費用の点につきましては、今でも、使用済みの車を中古の販売業者等のところに持ち込んだ場合に、廃車の手数料という形でユーザーの方々に御負担いただいているんですけれども、同様の排出者責任という考え方から、ユーザーの方々に御負担いただく。これは、家電のリサイクルの場合にもそうした方式を採用した次第でございますが、その費用を負担していただく時点として、不法投棄というものの誘因を断ち切るという観点から、新車販売時に一定のリサイクル費用を預託していただくということに制度を設計して、法案を提出させていただいているものでございます。
高木(毅)委員 ただいま排出者責任ということで御説明いただいたわけでございますけれども、私は、車というのは非常に高いものでもございますし、また、もちろん自動車メーカー、販売者としての責任というものもあるわけでありますから、私は、リサイクル費用の負担はメーカー側が負うのは当然ではないかなというようなことも実は思っております。循環型社会の構築が求められているわけでありますから、そうした中で、企業努力としてこうした義務をメーカー側が負うということも必要ではないかなというふうに思います。
 実は、先日、ある主婦の方にこの自動車リサイクル法のことを話をさせていただきましたら、やはりその主婦の方は、それはおかしいんじゃないか、ただでさえ非常に高いものを買うについて、なぜ、全面的にといいますか、一〇〇%ユーザー側といいますか、買う側が負担しなければならないのか、自動車会社が負担してしかるべきではないかというようなことを言われたわけであります。
 そしてまた、後でこのことについても質問いたしますけれども、この集まった資金は資金管理法人というものに管理されるわけでありますけれども、こうしたメーカー側といいますか販売者側の責任ということになってきますと、私は、この資金管理法人の設置もこの際必要なくなるのではないかなというふうなことも思うわけでございまして、ちょっと重複するかもしれませんけれども、その辺のことをもう少し具体的にお聞かせいただけたらというふうに思います。よろしくお願いいたします。
岡本政府参考人 リサイクルの費用につきましては、今提案申し上げておりますリサイクル法の中では、競争の中で、各メーカーがリサイクルの料金というものを設定するということにいたしております。メーカーには、できるだけリサイクルしやすい、そういう車の開発、生産というものに努力してもらう、それを促すという意味において、メーカー間の競争でやっていくということにいたしている次第でございます。
 その費用をメーカーが負担するという点につきまして、排出者責任という家電リサイクル法でも採用した方式というのが一つあるのでございますが、そのことに加えまして、仮にメーカーがそれを負担するとした場合には、それは車の価格の中に内部化されて、最終的にはユーザーの方々に転嫁されていくということになろうかと思いますが、そういう方式をとりました場合に、リサイクルの費用、すなわちリサイクルが容易なものをできるだけ工夫して開発してやったという、そのことが全然見えなくなってまいりまして、私どもは、リサイクルしやすい設計なり部材なり、そういったものを使った車の開発というものをメーカーに促す、それをプッシュする意味においても、リサイクルの費用というのは、いずれにせよ、最終的にはユーザーの方々に御負担していただくことになるわけでございますので、その分が外ではっきり見えるような形を採用した方が競争を促すことにつながるのではないかということで、今御提案申し上げておりますような費用の預託の方式を採用して、法律の提案をさせていただいている次第でございます。
高木(毅)委員 よくわかりました。ぜひ、メーカー側がそうした意味においてしっかりと責任を果たしていくように、努力をするように指導監督をすることが必要かというふうに思いますので、よろしくお願いしたいというふうに思います。
 次に、このリサイクル対象品目の中にフロン類というものがあるわけでございますけれども、そのことについて一つお聞きしたいというふうに思います。
 私は、フロン類、エアバッグ、シュレッダーダストが今回のリサイクルの対象となっているわけでありますけれども、最近、フロンというのは余り使われていないというふうな認識を持っているのでありますけれども、どうなのかなということを一つお聞きしたいと思います。仮に今使われたとしても、ますます減っていくんだろうと思います。このフロンというものをあえてこの時期に対象三品目の中に含めるという必要性はどこにあったのかなということを質問したいと思います。
 それから、一つ、細かいことかもしれませんけれども、仮にそうしたエアコンを後づけした場合、その費用というものはどのような形になって、どの時点で払うというか、そういうところをちょっとお聞きしたいので、よろしくお願いいたします。
岡本政府参考人 車の場合、カーエアコンの冷媒としてフロンが利用されております。当初のものは、CFCというオゾン層破壊の効果、加えまして温暖化の効果というのが非常に激しいものでございまして、モントリオール議定書を踏まえまして、CFCは生産禁止ということになってまいりまして、今は代替フロン、HFCというものを引き続きカーエアコンの冷媒として使っているところでございます。
 このHFCも、地球温暖化の効果が天然ガスの千数百倍ということで大変大きいものでございまして、いずれにしても、カーエアコンからフロンが不法に排出されるという事態は回避すべしということで、昨年の通常国会で、これは先生方の議員提案で、フロンの回収・破壊法というものが成立した次第でございます。
 私ども、フロンを使わない冷媒の開発というふうなことも今関係のメーカーにおいて進められつつあるわけですが、現に今走っている車というのはフロンを使ったカーエアコンのものが断然多いものですから、今回のリサイクル法の中で、カーエアコンからフロンはしっかり抜き取ってそれを破壊する、そういった作業を関係の事業者の方々に求めることにいたしているものでございます。
 今先生の御指摘の中にございました、後づけということで、カーエアコンがついていない車の場合には、これは当然その部分の費用はいただかないということで、リサイクルの費用は大きく三本立てから構成されておりまして、一つがシュレッダーダストの処理の費用、エアバッグの処理の費用、三つ目がカーエアコンの回収・破壊の費用ということで、カーエアコンがついていない車については、そのカーエアコン部分の費用は請求をしないということで進めてまいりたいと考えているところでございます。
高木(毅)委員 後づけのエアコンの場合はどのようになるわけですか。簡単にひとつ、時間も余りありませんので。
岡本政府参考人 後づけで、実際に廃車になる段階でフロン冷媒のカーエアコンがある場合には、それは、引き取り業者のところに持ち込んだ際にその部分がついているという確認がされる場合には、それ相応の費用をいただくということになろうかと思います。
高木(毅)委員 先ほども少しお話ししましたけれども、多額の資金が集まる資金管理法人を設置するわけであります。現在七千六百万台の車が走っていると言われておりまして、今は一台二万円程度だというふうに言われておりますから、単純に計算をいたしますと一兆五千億円にもなるわけでございます。
 第三者機関として資金管理法人を設置してリサイクル料金を管理するわけでございますけれども、具体的にどのような形を想定しているのか。非常に多くの金が扱われることになりますので、透明性とかあるいは公正性とか、どうなるのか。そしてまた、俗に言われるところの天下りの先になるんじゃないかというような心配もあるわけでございますけれども、ぜひ、後の天下りの方については特に大臣からお話をお聞きしたいと思いますし、前半の方は担当の方でも結構でございます、よろしくお願いいたします。
岡本政府参考人 今回、リサイクルの費用は、審議会の議論の中で、消費者の代表の方々を初めとして、不法投棄のおそれを回避する観点から、排出時ではなくて新車販売時にあらかじめ費用を預託する、そういう方式にすべしという御主張が大勢を占めました。それから他方、関係の自治体、地方公共団体からも、不法投棄の処理でお困りになられているという事情から、自動車のリサイクルの制度設計に当たっては、費用をあらかじめ、頭で取るようにという強い要望が寄せられました。したがって、私ども、新車については新車販売時に、既販車については施行後最初の車検時までに費用をあらかじめ預託していただくという方式をとったわけでございますが、そうしました場合に、今度は、あらかじめいただいた料金を安全確実に保全、運用するというところが大きなテーマになってまいりました。
 これを、最初は、各メーカー等にやってもらえばいいじゃないかというふうに考えたんでございますが、この義務者の中には、並行輸入業者のように非常に零細な業者の方々もいらっしゃいますので、十年余にわたって費用を安全確実にキープしておくという点において、滅失のおそれがあるという点が一つどうしても心配でございました。加えまして、各メーカーがその費用を、あらかじめいただいたものを収受するということにした場合には、法人税の課税の問題がどうしても回避できないということで、その二つの理由から、外につくるということで資金管理法人というものを法律の中に位置づけることにした次第でございます。
 この費用につきましては、先生今二万円というお話がございましたが、議論の過程でそういった数字が出たこともあるんですけれども、メーカーはできるだけ競争を通じて安くしようというふうにしておりますのと、それから、実は、仮に二万という場合には、エアバッグの処理費用というのが半分ぐらいを占めておりまして、既販車についてはエアバッグを搭載している車というのが実はそう多くはございませんものですから、既販車について言えば、私どもは、二万円ではなくて一万円台の前半ぐらいに落ちつくんではないかというふうに考えております。
 それにしても、大変大きなお金を預かるということになりますので、この法人につきましては、公益法人なり、いずれにしても非営利の法人ということにし、かつ、徹底した内部のコントロールと外部の監査、情報開示、それを法律に基づいて、この資金管理法人については厳しく求めていくということにいたしております。
 それから、天下りの点については大臣にお尋ねでございましたが、私ども経済産業省という立場で一言言わせていただきますと、この点は、民間法人でございますので、人的な構成というのも民間がまず主体的に判断されることになろうかと思いますが、この資金管理法人が行うこととなります資金管理業務に精通した人材というのは、民間ビジネスを経験された方々の中に数多くおられることから、本法人の常勤役員には当然そうした民間の方々の中から適切な方が起用されることが想定されておりまして、したがいまして、私どもといたしましては、御懸念のような事態は生じないものと考えているところでございます。
高木(毅)委員 大臣にぜひ一言、天下りについてお願いいたします。
扇国務大臣 これは高木委員御承知かと思いますけれども、リサイクル法というのは我が省の主管ではございません。これは経済産業省が出す法案でございまして、私どもは主管としてリサイクル法を提出しておりません。
 そして、今の法人も、これは経済産業省の所管で、私はまさに縦割りだと思って拝見しておりますけれども、本来であれば、製造と実際に運行する道路運送車両法と一体になってするべきだと思いますけれども、これは所管が明快に分裂して縦割りになっていますので私の力でどうしようもなくて、本来であれば国土交通省に所管させていただいて、全部させていただけるのなら、私はこれはもう簡単だと思いますし、この御審議も並行してできますからいいんですけれども、私にしましたら、全責任を負わせていただくのなら、ぜひうちの所管でさせていただきたいと思います。
高木(毅)委員 どうもありがとうございました。失礼いたしました。
 では、リコール制度について一つ二つ聞きたいというふうに思います。
 今回、リコール制度が新しく罰則強化等がされたわけでありますけれども、諸外国と比較して、今回のこの改正はどういったものかということを一点。それから、後づけ装置として、今回タイヤとチャイルドシートについて新設されるわけでありますけれども、タイヤについては若干その事例などもお聞きしておりますけれども、チャイルドシートについて、今まで相当数のこういったリコールのようなものがあったのかどうかということ、それから国内にどの程度チャイルドシートの製造業者等があるのかということ、そういったことを把握していらっしゃるのかなということ、これをお聞きしたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 リコール制度は、自動車の構造、装置の設計、製作に起因するふぐあいを原因とした交通事故あるいは故障、そして公害の未然防止を図るということを目的といたしまして、ふぐあいがあると考えられる自動車などを市場から事前に回収して改善措置を講ずるための制度でございます。
 自動車を製作もしくは輸入、販売した自動車メーカーなどは、この制度に基づきまして、その自動車の構造、装置について設計または製作に起因するふぐあいが発生し、またそのおそれがある場合には、その構造、装置を改善するために、国土交通大臣にリコールの届け出を行うとともに、ユーザーにこれを周知して、回収、修理を行うなどの措置を行うということになっています。
 この制度によりまして、ユーザーは、使用している自動車にふぐあいがあった場合には確実にその内容を知ることができ、また改善のための修理等を受けることができます。
 この制度に基づきまして、平成十三年度におきましては、我が国において、届け出の件数にして約百七十件、延べ対象台数が三百三十万台のリコールが実施されております。
 また、諸外国を見ますと、自動車等のリコール制度を導入している国はアメリカ、カナダ、イギリス、オーストラリアの四カ国でございますけれども、ドイツなどEU加盟国においても二〇〇四年には導入が予定されております。また、これらの国におきましては、自動車のいわゆる後づけ装置なども対象となっておりまして、今回の、今御審議をお願いしています改正法案の中には、新たに装置リコールの制度を盛り込んでいるものでございます。
 また、チャイルドシートのこれまでの自主回収事例と製造業者等の数についてのお尋ねでございますけれども、チャイルドシートの安全上の基準は道路運送車両の保安基準において定められておりますけれども、チャイルドシートにおいて、保安基準に不適合またはそのおそれがあるふぐあいが発生し自主回収が行われたものは、平成十一年以降では五件、販売台数にして四十三万台があるということを把握しております。
 また、本年の一月現在におきます国土交通省のチャイルドシートの装置型式指定を受けている国内のチャイルドシート製造事業者、そして輸入業者も一社ありますけれども、合わせまして二十三社に上っております。
高木(毅)委員 どうもありがとうございました。
 この際、私、なかなか質問の時間がいただけませんので、この法案じゃないところでございますけれども、ちょっと一点、もう時間もないのですが、取り急ぎ聞きたいと思います。
 実はETC。きょうは大石道路局長さんにも来ていただいておりますけれども、なかなかETCが普及をしていかないので、かえって渋滞を引き起こしているんじゃないかなというような気がしております。専用ゲート、混在ゲートとありますし、それから領収書の問題だとか、あるいはほかのハイカ等と比べての優遇措置等あるわけでありますけれども、渋滞解消というような意味において私は非常に大事なシステムだと思いますので、ぜひ普及をさせていただきたいわけでございますけれども、今後の見通しとかあるいは改善策といったもの、時間がございません、簡単にひとつお願いいたしたいと思います。
大石政府参考人 ETCについてお尋ねでございます。
 我が国のETCは世界に先駆けたシステムでございまして、利用者と所有者が分けられている、高額決済ができる、全国統一的なシステムであるといったような大きな特徴がございまして、この普及が進みますれば、交通渋滞はおろか、いろいろな料金施策を展開する上で不可欠なシステムでございます。
 早期に普及するよう我々も努力していきたいと考えてございますが、昨年の十一月末に全国展開を始めたばかりでございます。しかしながら、五月二十日現在、車載器のセットアップ数で三十万台。利用状況につきましては、当初の十二月では一日五万台、利用率〇・九%でしたが、現在では一日十三万台、利用率二・二%と二倍以上になってございまして、極めて普及が進んでおりますVICS以上の普及速度を持っておるというように認識いたしております。
 そのため、ETC専用レーンの積極的な設置を図っております。料金所での七〇%で、いずれかのブースで専用レーンがあるという状況でございますが、さらに車載器の普及を図るため、全国展開に合わせまして期間限定割引、各公団一万円までの二〇%割引や、ことしの七月からは現行のハイウエーカードの割引率を勘案したETC前納割引の導入を図るべく準備を進めておりますし、ETCならではのきめ細かな料金サービスができるという特徴を生かしながら、近い将来、都市高速における渋滞回避のための乗り継ぎ割引でありますとか、あるいは短区間の利用の割引等について対応できるよう、施策をもう既に実施いたしておるところでございます。
 このようなサービスが早期にできるよう準備をいたしまして、ETCの普及促進を図り、料金所渋滞の緩和やきめ細かな料金施策を導入していきたいと考えております。
高木(毅)委員 どうもありがとうございました。
 実はもう一つ、警察庁の方に、交通安全協会に対して少し質問をしたかったわけでございますけれども、時間がなくなってしまいましたので、申しわけございませんが、またの機会にさせていただきたいというふうに思います。
 以上をもちまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
久保委員長 今田保典君。
今田委員 私は、民主党の今田保典でございます。
 道路運送車両法の関係について質問したいと思いますが、その前に大臣に、ちょっと、見解といいますか、確認といいますか、そういったことでお聞きしたいんです。
 後に登録抹消制度等の問題があるわけでありますけれども、これらについては自動車リサイクル法との関連があるのではないかというふうに思うわけでございますが、そのリサイクル法の審議がまだなされていない段階で、この部分について先に審議をして採決をするということについて、果たしてそれでいいのかどうか、あるいはリサイクル法とは全く関係ないからいいんだという認識でおられるのか、その点についてお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 今田議員の今の御質問、先ほどもリサイクル法に関して大臣にという御質問があったんですけれども、これは所管が違いますので私が軽々に御質問にお答えできないということをちらっと申しましたのも、そういう意味でございます。
 国会の中でどの法案をどうするかというのは私のあれではございませんけれども、きょう、こうして皆さん方に御論議いただいておりますが、自動車リサイクル法が審議に入っていないこの段階において、道路運送車両法の改正案が採決まで進むということに関しては、今回のこの道路運送車両法の改正案というのは、一つにはリコールについての罰則強化、それから、リコール命令の制度の創設でありますとか、あるいは後づけ装置、先ほどもチャイルドシートの話が出ましたけれども、例えばチャイルドシートのような後づけのリコール制度の導入といった、これはリコール関係の規定でございます。
 それからまた、不正改造車というのがたくさんございますので、そういうものに対する罰則の整備と、その他の不正改造対策に関する規定、これが二つ目でございます。三つ目には、自動車が確実に解体等されるということを確認するための抹消登録制度の整備に関する規定、この三つが大きな柱であるのは、今田先生、御存じのとおりだと思います。
 私は、リコール関係と不正改造車関係、また抹消登録をするというこの制度の整備のうち、輸出抹消に関する規定につきましては、その内容は自動車のリサイクル法案とは全く関係がないものだ、独立しているものだと思っております。
 また、抹消登録関係の規定につきましては、施行日が公布から二年六カ月以内という長い準備期間を置いておりますので、それまでの間に自動車リサイクル法が成立すれば、道路運送車両法の改正案が先に成立いたしておりましても、私は何らそこにそごがあるわけではないと感じておりますが、自動車リサイクルの促進のためには、基本的には、いずれの法案も今国会で通していただく。環境、CO2等々とか、あるいは自動車のリサイクルのための廃棄処分の最終、抹消登録までも見届ける。産んだ子供は、育てて、そして最後まで活躍してもらって、最期も見届ける。この方式を確立するために、私は今国会で、ぜひ皆さん方の御協力で両々相まって通していただきたい。でも、こっちを先に審議していただいても何ら差異はないと思っております。
今田委員 私は、別にそのことについて批判とかそういうことを申し上げるのじゃなくて、せっかくこれから私を初めとして質問をして、この法案について採決まで持ち込む、こういうことでありますが、そのリサイクル法案がもしも通らなかった場合に、こちらの法案も若干影響するんだよというのでは論議できないということで、私は確認の意味で質問したわけでありまして、その点についてもう一度、そういうことですよね。
扇国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、これは、仮にですけれども、自動車リサイクル法が成立しなかったらという今の今田議員のお話だと思いますけれども、それは、解体業者等が発行します解体証明書等によりまして解体を見届けて抹消登録をする、そういうことの対応も可能でございますから、改正道路運送車両法が単独で成立しておりましても十分に意義がある、私はそう思っております。
今田委員 では、私も、そういう確認といいますか認識のもとで、これから質問をさせていただきたい、このように思います。
 まず、登録抹消制度の関係でありますけれども、中古車輸出の実態についてお尋ねをしたい、こういうふうに思っています。
 中古車輸出は毎年およそ百万台あるとされておりますけれども、いずれも税関を通して行うことでありまして、およそとか約とかそういうものではなくて、一台単位で把握されているものだというふうに私は思っておるわけでありますけれども、この点はどうなっているのか、まずお聞きをしたい。
 それから、税関を通さない不正輸出、あるいはスクラップとかその他に名前をかえての輸出が存在するのではないかということ。
 それから、北海道の釧路の方に行きますと、バイクの中古車を譲ってくれという業者がいっぱいいるんですね、スピーカーを鳴らして。そういう方のお話を聞くと、漁船の船員がお土産がわりにバイクを持っていくというような話もお聞きしたわけでありまして、いわゆる土産がわりに持っていく中古車、これも輸出の扱いになるんだろうというふうに思いますけれども。
 中古車が国外に持ち出されることがきちっと把握できるようなシステムというものをきちっと立てていかなければならないということを考えれば、約とか大体というか、そういうものではないんじゃないかなという感じはしますが、この点についてお聞きしたいと思います。
藤原政府参考人 お答え申し上げます。
 今、中古自動車の輸出台数をちゃんと把握しているかということでございますけれども、十三年度の数字を申し上げます。
 私ども毎月、輸出申告書をもとに貿易統計というのをつくっております。この貿易統計に計上されました中古自動車の輸出台数でございますけれども、十三年度におきましては四十八万七千三百五十六台となっております。
 それから、先ほど御質問のありました、旅客あるいは船員がお土産品として中古車を持って帰るんじゃないか、そういうお話がございました。この台数も把握しておりますが、これにつきましては、十六万七千八百八十四台というのが昨年度の計数でございます。
今田委員 今ほど、後段の部分ですけれども、漁船とか貨物船とかの船員の方がお土産がわりに持っていくバイク等々について、これはどういう形でお届けするんですか。私はこういうことで持っていきますということで、どこかへ届けるわけでしょう。
藤原政府参考人 今お話のありましたいわゆる旅具通関扱いの携帯品としての中古自動車でございますけれども、申告手続は、従前は口頭でやっておりましたけれども、現在では書面を出して申告をしていただくということになっております。
今田委員 いずれにしろ、私はそれは正直に届けた方だろうと思うんですが、大きなコンテナの中にないしょでバイクあるいはちょっとした軽自動車をぶっ込んで、全く無届けで外国に持っていくというのが、目の当たりに私は実際に見ておるんですね。そういうことを思えば、このことは大変心配だなというふうに思うわけであります。
 そこで、盗難車が年間六万三千台を超えるとも言われておるわけでありますけれども、このうち、高級車を中心にした台数が輸出されているというふうに報道されておるわけでありますし、実際にそうだろうというふうに思いますけれども、その実態について把握しているのかどうかということをちょっとお聞きしたいんですが。
吉村政府参考人 お答えを申し上げます。
 委員御指摘のとおり、自動車盗の認知件数は、平成十年までは年間三万五千件前後でございましたものが、平成十二年に五万六千件、昨年は六万三千件を数えております。その内容も、いわゆる三百万円以上の高級車が約二〇%。かぎをかけていても盗まれてしまう例というのが、十年前は三三%でありましたのが、最近は半分以上ということも目立っているところでございます。
 盗難被害に遭った車両が、実際にそれじゃ海外にどれぐらい出ているのかという実態については、必ずしも実は明らかではございませんが、日本国内で被害に遭った盗難の四輪車、これを国際刑事警察機構、ICPOに日本から登録をしておりますので、このうち、外国の捜査機関が発見をしたということで日本に通報があった件数が、平成十二年の四月から始まっておりますので、十二年中は八百六十五件ありました。それから、十三年中は、これは一年間でありますが、八百九十二件。ことし一月から四月までは、多少減っておりまして、百十件という数字になっております。
今田委員 今ほど、最後の部分で、発見されたものについては、その後処分はどうしているんですか、これは。これは日本に返すとかなんとかやっているんですか。
吉村政府参考人 実際に警察でとっております検挙の数字と、それから今御紹介しました数字は、これは外国において当該盗難自動車が発見されたという数字でありますので、直接の関係は実はないわけでありまして、あとは民事問題ということになります。
 実態としては、高級車の場合は、損害保険に、自動車保険に加入していらっしゃる方については、盗難の時点で相応の補てんがなされていると思いますので、損保会社と当該国との関係、民事関係ということで処理をされることが多かろうと思います。
 警察としましても、海外で盗難車両が発見されたという旨の通報等があった場合には、速やかに所有者にその旨を連絡して、早期の被害回復ができるように援助はしておるところでございますが、外国に持っていった車との関係ということになりますから、なかなかスムーズにいかないケースがあるとは承知をしております。
今田委員 ちょっとしつこいようですけれども、もう一回聞きます。
 盗難車が外国で発見された、その持ち主は保険に入っている、盗難されたということで、それで保険が支払われる。支払われますよね、一たん。それで、その方の車が外国で見つかった場合に、保険会社から金を戻してくれ、こういうことはあり得るんですかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
吉村政府参考人 今御答弁申し上げておりますのは、警察の事柄というより、民事関係なのでありますが、私の承知している限りでは、損保会社が盗難被害者に既にお金を払ったといたしますと、その車に対する所有権といいますか追及権は損保会社が持っておりますので、国によって、いわば民法の善意取得が適用されるような国と、そうでもない国と、どうもいろいろあるようであります。
 したがって、損保会社が実際に発見された国から日本に車を持ってきたいというときに、その輸送代金をどうするかというような問題も含めて、なかなか一筋縄ではいかない問題があるということは承知をしておりますが、警察としてそこで何ができるかという問題が実はあるんですけれども、所有者あるいは損保会社の意向をよく聞いて、当該国につないでやるということぐらいかなと思っております。
今田委員 どうもありがとうございました。
 それで、盗難車が実態として堂々と輸出されているという状況は、私にはどうしても理解できないんですね。なぜならば、せっかく車体番号というものをつけてやるわけですよ。それを十分チェックする機能さえ持っていれば、そういうものは私は防げるのではないかというふうに感じておったわけであります。
 ただ、一部の話で聞きますと、車体番号を抹消したり改ざんした車は輸出承認をしなければいいということでありますけれども、実態はなかなかそうではないというような話も聞くんですが、ちょっとお話を聞いたところ、輸出承認制度というのが平成七年まであったわけですけれども、七年から廃止されたということですね。そのことによって、そういった悪いやつが車を盗んで輸出するというものがふえてきたのではないかというような感じもするわけですけれども、この点についてどのように理解をされているのか、お聞きをしたいと思います。
林政府参考人 お答え申し上げます。
 御指摘の輸出承認制度でございますけれども、これは昭和四十年から導入いたしました。その目的は、粗悪な中古自動車が輸出されて、日本の自動車の評価、評判が下がる、あるいは日本の工業製品全体の評判を悪くするということから導入されたものでございまして、輸出される中古車両の品質や性能面をチェックするということでございました。
 御承知のように、その後、日本車の性能が飛躍的な向上をいたしましたことから、規制緩和の一環として、平成七年にその制度を廃止しております。
 なお、この制度がなくなったから盗難がふえたのではないかという御指摘でございますけれども、私どもの理解では、この制度をやめたのが平成七年でございますが、先ほど警察庁からの答弁にもございましたように、十一年、十二年ごろからふえているということを考えますと、必ずしも相関関係があるとは言えないのではないかというふうに理解をしております。
今田委員 どうもありがとうございました。
 それで、話はちょっと戻りますけれども、自動車リサイクル法が制定されますと、乗用車が、メーカーで決める話なんですけれども、二万円前後ぐらい費用負担というようなことが報道されておるわけでありますけれども、この費用を惜しむこと、あるいはその返還を求める力が働くことが考えられるということでございまして、その一方、自家用乗用車は、七年から八年ぐらい乗りますと、立派に動くにもかかわらず、商品として価値はゼロになる、こういうことであります。
 そこで、考えられることは、リサイクル費用の返還のために実質的にはゼロの価格で輸出することが考えられます。これを仲立ちする業者もあらわれるだろうというふうに思います。その結果、輸出された近隣の諸国が日本車の投棄場といいますか、そういうふうに瞬く間になるのではないかと懸念されるわけですね。そのことによって環境摩擦というものが起こるのではないかという心配をしておるんですが、この点についてお聞かせをいただきたいと思います。
岡本政府参考人 リサイクルの費用をあらかじめ頭でいただくということにしておりますので、中古になって、それで輸出されたということで、リサイクルの作業、フロンを抜くとか、エアバッグを取り外して処理するとか、シュレッダー処理する、そういう作業を要しない、そういう形のものについては、あらかじめいただいた料金をそのままにしておくわけにいきませんので、私ども、それは、返還請求があればお返しをするということに制度を今組んでいるところでございます。
 一方で、今先生の御指摘の点でございますが、日本から中古の車を出すという場合には、どうしても、海に囲まれていますから、用船費用等が結構かかるということで、関係の業者の方々に聞くと五万円から十万円ぐらいの費用がかかるということでございまして、一方で、リサイクルの費用二万というのは、私どもはちょっと既販車については高過ぎるのじゃないかと思っていまして、先ほども御答弁申し上げましたように、多分一万円台の前半とかそういうレベルかと思いますけれども、それの請求が経済的な強いインセンティブになって、先ほどのような、一方で用船費用等がかかるというものを促すということには必ずしも至らないのではないかと考えております。
 なお、返還に当たりましては、適切な輸出手続等にのっとって輸出されたものであるということは確認した上で返還をするということで、手続の適正化を進めてまいる所存でございます。
今田委員 今ほど私が質問したのは、私が思っていることじゃなくて、一般的にいろいろなところで言われているんですよ。ですから、今ほど言われたようなことが心配されているわけですから、やはり国民にしっかりとその部分については周知させる必要があるんではないかというふうに思うわけでありまして、このことを御要望申し上げます。
 それから、このリサイクル法が制定されると同時に、今まで大きな矛盾であった自動車重量税の還付が実施される。この還付は、私はこれまで機会あるごとに指摘をしてきたわけであります。これまでちょっと時間がかかり過ぎたなというふうに思いますけれども、重量税の還付の具体的方法について御説明をお願いします。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 自動車重量税の還付制度というのは、自動車関係業界等の長年の強い強い要望でございまして、自動車リサイクルのインセンティブとして大きな効果があるというふうに考えております。
 具体的には、使用済自動車が自動車リサイクル法の枠組みに従って適正に解体されたことが改正道路運送車両法の永久抹消登録等によって公的に確認された場合には、その使用済自動車を引き取り業者に引き渡した者に対して、原則として、その引き渡しを行った日から自動車検査証に記載されております自動車重量税の有効期間の末日までの期間に応じた額の重量税が還付されるというものでございます。
 具体的な重量税の還付の手続につきましては、申請者が陸運支局等と税務署にそれぞれ出向かなければならない手間を避けるために、永久抹消登録等の申請の際に、あわせて、陸運支局等が自動車重量税の還付申請の窓口となりまして、還付事務の効率化のために、その際の電子データを国税庁に提供する方式で考えておりまして、そういう方向で税務当局といろいろ話をしているということでございます。
今田委員 自動車は、まともな自動車については、下取りということでメーカーがとって、そういう手続等々について御本人に指導するということもあるんですが、例えば、新車を買った、それで、不幸にも二、三カ月後に交通事故に遭って、その自動車がだめになった。それはとても下取りができないような状態なわけですから、そういう場合はスクラップ屋にやるわけですよね。その場合はどうするんですか。
洞政府参考人 その場合も同様でございまして、事故等で、もう全損で、これはスクラップするしかないという自動車というのは結構あるわけでございますが、それは今回の永久抹消登録制度によってきちっと、これもリサイクル法の仕組みに従って解体されますので、そこを確認した上で、そして、その残存期間に応じた重量税の還付というのをきちっとあわせて行う。同じ仕組みでございます。
今田委員 わかりました。
 それで、抹消登録制度の整備と手続についてでありますが、おおむねそのことについては私は理解をするわけでありますけれども、ただ、届け出事務の簡素化というものについて一般の方にお聞きしますと、何かちょっと煩雑だなというような言い方をされる方もおるわけでありますけれども、これはもっと簡素化できないのかという話もあるんですが、この点についてちょっとお聞きしたいと思います。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、法律案を読みますと非常な細かい手続の連続になっておりまして、極めて煩雑な手続のような印象を受けるわけでございますけれども、我々はそういう手続をできるだけ必要最小限、届け出事項なども必要最小限度のものとして、そして手続の煩雑化というのもできるだけ避けるべく、十分な検討を今後行っていくということでございます。
 また、具体的に、今私どもは、自動車の保有関係手続等について、現在、ワンストップサービス化ということで、これは実は平成十七年を目途といたしまして、パソコン上の画面で、自動車の登録等、あるいはこれに関連する税の関係とか警察の関係の車庫証明等々の各種の事務をあわせて一度で処理できるような、しかも簡便にできる、非常に平易なソフト、今そういうものを導入を目指して関係省庁と鋭意検討を進めています。
 こういう電子申請手続の活用等によって、今回のこのリサイクルの抹消登録等の手続も当然こういうものにのってくるわけでございますから、こういう電子申請手続の活用等を図りまして、できるだけ簡便で、だれでもできるような易しい方法というものを実現したいと考えております。
今田委員 今ほどの話のように、私は、やはりだれでもできるような仕組みをつくってもらわぬと、せっかく環境面から考え出されたリサイクル法との絡みですので、やはりきちっとやっていただきたいな、こういうふうに御要望申し上げます。
 次に、リコール制度の見直しでございますけれども、これまでの勧告から命令に強化をするということについては私は理解をいたしているところでありますが、ただ、リコール制度の一番重要なことでありますけれども、リコールを行うか行わないかという認定は、まずメーカーが自主的に判断をしているというのが実態ですね。メーカーの自主性がなければ成立しないのが今のリコール制度なわけです。そのことは、この今の状態ではやむを得ないということでありますけれども、肝心の認定を国として当然出すわけでありますけれども、もう少しかかわり方について、責任を持ったかかわり方をすべきではないのかというふうに私常々思っておるわけですが、いわばもっと踏み込んだリコール制度をすべきではないのかというふうに思うのですが、この点についてどうですか。
月原副大臣 お答えいたします。
 御心配の点、車が非常に多くなって、安全が重要な地位を占めているだけに十分わかりますが、現在、大体原則は、先生御指摘のとおり、法六十三条の三によって、メーカーの方から言ってくる、それに基づいて国土交通省が、原因、対象の車両、改善措置の内容が適切かどうかということを確認してメーカーを指導しているということでありますが、そのほかに、ここにちょっとパンフレットがありますが、国土交通省、こういうパンフレットもつくって、ユーザーの方に、ふぐあいのところをフリーダイヤルで言ってくれと、そういうふうなこともやっております。それから、定期的に製造会社あるいは整備会社、そういうところに検査に入っておりまして、そのときに、年間四千から五千ぐらいのユーザーからの意見がメーカーに届いておるという点もありますので、そういうことについて、大きなことについては現場に行ったときに話を聞いて確認する、こういうことをしております。
 そして、我が方としても、そういう耳となるところも拡大しているとともに、その措置については、御承知のように、昔は運輸省の交通公害研究所というのがありましたが、今、独法人として、国交省の関係として交通安全環境研究所というのがありまして、そこでいろいろ研究して、安全であるように手を打っておるというのが現状であります。
今田委員 リコール制度は、メーカーの自主性という制度で今やっているわけですけれども、ただ、やはりこれは、メーカーの方々というよりも、むしろユーザーを中心にした国民的な立場でのリコール制度への関与というものが私は必要なのではないかというふうに思っておるわけであります。
 既に今ほどパンフレットなんかも見せてもらったんですが、そういうことでやっていらっしゃるんだろうというふうに思いますけれども、ただ、本格的にこうした取り組みをきちっとやるんだ、ユーザーを中心にしたリコール制というものをやるんだという認識に立たないとまずいのではないかというのと同時に、今ほどパンフレットを見せてもらったんですが、せっかくそういうふうにつくられたパンフレットが果たして国民にPRになっているのかというと、私はそう思わないですね。
 例えば、車検のときにそれをちょっと一枚加えれば何のことないですよ、所有者にわかるわけですよ。今こういう制度があります、ここに電話下さい、あるいはここにメール下さい、こういうことをやってくれればいいわけであって、そんなに手間暇かかるわけでないわけであります。そういういろいろなアイデアを出しながら国民にPRをするということが最も大事なのではないか。そのことが私は立派な製品をつくり上げるということにもなるんだろうというふうに思いますが、このことについてちょっとお聞きしたいと思います。
月原副大臣 今先生御指摘の点、十分頭に入れて、国民の皆さんに国土交通省としてもその問題を直接承る制度をつくっておる。ただ、非常に多いものですから、そういうものをやった場合、それからメーカーに来た場合、これはちょっと話が繰り返しますが、そういうことを一回メーカーに与えて、そしてその反応を見ながら我が方の研究所もそれに取り組んでいく。先生のお考えを十分承知しながらこれからも行動していきたい、このように思います。
今田委員 次に、後づけ装置を対象にしたリコール制度がこの法案の内容なんですが、その対象がタイヤとチャイルドシートという、この二つの品目にした理由ですね。こうした場合のために、今製造物責任法というものが法律としてあるわけですけれども、それとの関係、どういうふうになっているか、お聞かせをいただきたいと思います。
洞政府参考人 先生御承知のとおり、後づけ装置にはいろいろなものがございます。広く一般の方々に使われているものから、主にいわゆるマニアの方々に使われているものとか、それから消耗品に近いものであるとか、いろいろなものがあるわけでございますけれども、後づけ装置のリコール制度の対象装置につきましては、この法律に基づきまして、主として後づけ装置として大量に使用されていると認められているというものを対象とすることとしております。
 これは要するに、非常に普及品であるために一般のユーザーが自動車に自由に取りつけられるものであって、安全基準に適合していない場合にユーザーみずからが改善することが非常に難しい、また、大量に普及しているために、安全基準に不適合な場合にその影響範囲が非常に広範に及ぶということから、装置メーカーによる迅速かつ確実な改善措置が講じられるよう今回後づけ装置の制度を導入することとしたものでございまして、具体的な品目、どういう装置を対象とするかは政令で定めることになっております。この対象といたしましては、現在、私どもとしては、流通の多いタイヤとチャイルドシートをここに政令で規定するということを考えているものでございます。
 それで、後づけ装置リコール制度、リコール制度と製造物責任法との関係でお尋ねでございますけれども、リコール制度は、自動車による事故、故障そして公害の未然防止を目的として、ふぐあいが考えられる自動車等を市場から事前に回収して改善措置を講ずるための制度であります。言ってみれば事故防止の予防的な措置でございます。一方で、製造物責任制度というものは、製品の欠陥によって発生した個々の事故等の損害、実際に事故が発生して、損害について、メーカーに過失の有無にかかわらず損害賠償責任を課すことによってユーザーの救済を図るための制度。ですから、事前に事故を予防するための予防的な措置と、事故が発生した場合の損害をどうきちっと補てんするか、そういう制度でございますから、これらの両制度が相まって補完し合うという関係にございますので、ともに適切に機能することによって消費者保護の実効が上がるというふうに考えております。
今田委員 ちょっと質問する前に、扇大臣、食事をする時間が欲しいということですので、どうぞ、退席されて結構です。(扇国務大臣「本会議」と呼ぶ)本会議ですか。ああ、そうですか。退席されて結構です。
 次に、チャイルドシートとかタイヤを販売するときに、いわゆる使用者が特定されていないわけですね。それから、両装置とも、製造メーカーは比較的中小事業者が多いのが実態ではないのかなというふうに思います。こうした実態を見ますと、リコール情報の伝達のときに、いわゆる特定されていない使用者なわけですから、どのようにその情報伝達をするのかという問題があるんだろうというふうに思うんですね。
 自動車のように大きいものであれば、ある程度、あるいは特定された使用者ということでわかるんですが、タイヤとかチャイルドシートとかはなかなかつかみにくい。そういう情報伝達というものはどういうふうに考えているのか、お聞かせいただきたいと思います。
洞政府参考人 リコールに関する情報をユーザーに伝達するということは、リコールを実施する上で極めて重要なポイントと考えております。
 先生の御指摘のとおりでございまして、車につきましては登録制度というのがありますから、どの車をだれが使っているか、ユーザーをはっきり明確に把握できますし、その個々人に対してダイレクトメールを送って注意を喚起して、車を持ってきてくださいというようなことができますけれども、後づけ装置については、登録制度とかそういうのがございませんから、流通の実態等を見て、メーカーが個々のユーザーを把握するということは困難でございます。
 そのために、この装置リコールを実施する場合、メーカー側におきましては、お客様の相談窓口とか、ユーザーへの販売のための流通ルート等を活用して、ユーザーにリコール情報を伝達していくということが必要になるわけでございます。
 しかし、このリコール制度のもう一つのポイントは、国に届けることによって、国もこういうメーカーと一体となって、ユーザーに対して注意喚起を行っていくというところが最大のメリットでございまして、国土交通省におきましては、こういう装置メーカーからのリコール届け出を受けまして、プレスの公表や、ホームページを私ども持っておりますけれども、そこへ掲載を行いますと同時に、自動車検査などの際に、陸運支局や整備工場を通じてユーザーへの注意喚起を、今でも行っておりますけれども、そういった装置についてもあわせてこういう注意喚起を行うなどによりまして、広くユーザーに広報して、効果的なリコールの実施が図られるよう対処していきたい、こういうふうに考えております。
今田委員 ちょっと時間も余りないので、一部飛ばさせていただきます。
 不正改造の関係でありますけれども、要するに、若い人が自動車を、基準に反するような改造を勝手にやって道路を走っている、こういう状況が数多く見られるわけでありますけれども、整備事業者がそういったことのお手伝いをしなければこういったものは出ないというふうに思うのでありますが、そういういわゆる不正改造業者の実態というのを把握されておるのかどうか。把握というのはちょっとおかしいのですが、おおよそどのぐらいあるんだというようなことを把握されているのかどうか、ちょっとお聞きしたいと思います。
洞政府参考人 把握しているのかという御質問に対しましては、正直申し上げまして、把握しておりません。
 整備事業者は、私どもが監督する事業者でございまして、認証を受けた事業者は全体で八万七千事業者ございます。
 ただ、こういう事業者は、不正改造を行った場合には、それが発覚した場合には厳しい行政処分を受けるということでございますから、もちろん、そういう不正改造をやって、そういう司法、行政処分を受けた整備事業者というのは年間二十件ほどございまして、これは事業停止という罰則を食らうわけです。
 ただ、実態は、私どもも聞いておりますと、どうもそういう整備事業者ではなくて、それ以外のいわゆる普通の、一般の工場といいますか、そういうところが大半ではないかというふうに推測されるところでございます。
今田委員 認証事業者がいわゆる不正改造をやった場合、当然、処分は行われるわけですけれども、司法と行政についてやるわけですね。その関係をちょっとお聞きしたいと思います。
洞政府参考人 認証工場が不正改造を行った場合には、道路運送車両法九十一条の三、要するに、認証工場等が守らなきゃいけない事項、保安基準に違反するような改造を行った場合ということでございますけれども、そういうことを行ってはいけないということになっているわけですが、その遵守事項違反となりまして、同法の九十三条によりまして、三月以内の期間を定めて事業の停止を命じ、または認証を取り消す行政処分を行うということでございます。
 それで、先ほど申しましたとおり、十二年度の実績でございますが、二十件が不正改造を行った事業者として、整備工場の事業停止ということで、台数によって加算されていくんですが、少なくとも十日以上の事業停止処分を科せられております。
 また、認証工場が事業停止処分に従わない場合には、現在では三十万円以下の罰金ですけれども、今回の改正で、これが五十万円以下に引き上げられます。
 また今回、そもそも不正改造を行ってはならないという禁止規定が置かれますけれども、不正改造を施工した整備事業者につきましては、新たに、六月以下の懲役、そして三十万円以下の罰金というものが科せられるということになります。
今田委員 同時に、整備不良車も同様に責任をとってもらわなきゃならぬというふうに思っているわけでありますけれども、いまだに黒煙をまき散らして東京都内を走っている姿も時々見られます。特に田舎の方に行きますと、余り周りで指摘しないものですから、堂々と黒煙を散らして走っている車が見られるわけですけれども、そういった整備不良車にも、措置というものはきちっと対応すべきだというふうに思うんですが、これについてはどうですか。
洞政府参考人 整備不良車に対する措置ということでございます。
 今回、不正改造車についての措置は、要するに車検のときはきちっとした形で車検を通して、その後みずからの意思で不正改造を施工する、言ってみれば、非常に悪質な使用者が対象になるわけでございますけれども、こういう人たちは、従来、街頭検査等でそういう不正改造を見つけて整備命令を発令しても、言うことを聞かずに、そのまま整備を行わないで相変わらず使用し続けるということなので、今回、そういった悪質な不正改造車については、整備命令を行った上で、そして整備を行った後、現車を提示するということを新たに義務づけております。同時に、その間、その辺がはっきり識別できるように、整備命令標章というステッカーを貼付するということを義務づけておいて、外見的にもそれがはっきりわかるようにしています。
 片一方で、今の御指摘の黒煙が、どれかというのはちょっと断定はできませんけれども、経時劣化する部品等に対する点検とか整備が要するに適切でないということのために、黒煙を、おっしゃるとおりもくもくと出して走っている車をよく見かけますけれども、これとても、街頭検査等で発見した場合には、整備命令とかそういったものをきちっとやっているわけでございます。こういう人たちは、正直言って善良な方が非常に多いんです。不正改造車じゃなくて、普通の、要するに点検整備とかそういったものを行っていないようなユーザーの方は、ほとんど、八割以上の方がきちっと直して、直しましたということで持ってまいります。
 ですから、こういう方々は、現車提示まで求めなくても、きちっと後をフォローしてやっていけば対応していけるということが期待されますので、現車提示まで厳密に義務づけるというようなことまではきちっとやっていませんけれども、おっしゃるとおり、そういう点検を行っている事業者の中にも悪質な方もいらっしゃるかもしれませんから、そういう場合には、気をつけて、その辺がきちっと行われるようにフォローしていきたいと考えております。
今田委員 今ほどのことで私も理解をするんですが。
 次に、不正改造を撲滅するためには、まずは不正部品を売らないことだろうと私は思うんですよね。
 例えば、幅の広いタイヤとか、あるいはどのようになっているんだかわからぬようなマフラーをつけて走っているわけですが、それが堂々と市販されているわけですよ。そういう販売店に何か罰則を加える方法はないのかと。また、そういう販売店は取りつけも手伝っているんですよね、そういう不正改造する若者と一緒になって。
 そういう根っこからの対策をやらぬとなかなか不正改造というものはなくならないのではないかというふうに思うわけでありますが、この対策をきちっとどういう形でやるのかという課題だろうというふうに思うんですが、この点についていかがですか。
洞政府参考人 不正改造を促すような部品の製造、販売に対する対策についてのお尋ねでございますが、自動車の改造に使用される部品を製造または販売したことのみをもって違法として処罰の対象とするということは、確かにそういう御意見も、今回の改正でもいろいろございました。しかしながら、例えば着色フィルムというのが売ってありますけれども、この着色フィルムは、車両の後部の側面とか後面のガラスに張るということは、保安基準上違法ではございません。認められております。また、世の中には本当に車の好きな方がいらっしゃって、公道を走行しないレース用の車両に装着するマフラーというものもきちっと販売されております。そういうことで、単にそういうものを販売しているからといって、それを直ちに禁止するというのはなかなか法律的には難しかろうと思います。
 ただ、御指摘のとおり、そういうのを売りながらそういう改造等もあわせてやっていらっしゃる事業者の方もいらっしゃると思いますけれども、今般、不正改造そのものを禁止する規定というものを新設しましたので、そういう改造を行った者は、何人も、不正改造部品を公道を走行する自動車に装着した段階で違法性を問えるということになったわけですから、十分な抑止効果というものがこれで期待できるんではないかということでございます。
 そういうことで、今後は製造業者や販売会社に対しても、不正改造車排除運動等を私どもやっておりますけれども、そういった運動等を通じて、広報啓発活動を強力に推進することによりまして、こういう違法行為を助長することのないよう指導してまいりたいと考えております。
今田委員 次に、オートバイ、バイク、あるいは乗用車もそうなんですが、けたたましい騒音を出して走っているというのが、駅前や住宅街、特に夜中、真夜中に走っている車があるということで、そのことで殺人事件なんか起きたりしているわけですが、これ、もうちょっと厳しく取り締まる方法はないのかというふうにつくづく感じるわけであります。
 不正改造車と同時に、そういった暴走族的な行動に対して、もう少し突っ込んだ取り締まりというものをやる方法はないのかというふうにつくづく思っているんですが、この点についてどうですか。
属政府参考人 委員御指摘のような車両の騒音につきましては、周囲の人々へ多大な迷惑を与えるものでありまして、その抑止は大変重要な問題だというふうに認識をしております。
 警察といたしましては、その原因ともなっている不正改造車両に対しまして、道路交通法上の整備不良車両の運転禁止や、消音器不備自動車等の運転、騒音運転の禁止等の各種規定を活用いたしまして、取り締まり及び行政処分の点数告知を行っているところであります。ちなみに、平成十三年中には、騒音防止装置に係る整備不良で約二千三百件、消音器不備で約一万二千件、騒音運転で約六百六十件、それぞれ検挙をしております。
 今後とも、これら不正改造を行った整備不良車両に対しまして、陸運支局との合同取り締まり等、関係省庁と連携を保ちながら、さらに徹底した取り締まりを図っていきたいというふうに考えております。
今田委員 こういうことがあったんですよ。
 私、山形なんですけれども、地元で夜中の二時ごろ、けたたましいバイクの騒音で眠れない、したがって、近くに交番があるわけですので交番に走り込んだそうです。ところが、その交番は一向に動かないと。
 それは、私はわかるんですよね。一人ではできないんですよ、交番の人たち、お巡りさんは。対応できないですよ、だれだって命が惜しいわけですから。そういうときに、交番から最寄りの警察署に一報すればどっと五、六人で来て捕まえるという、その体制が私は必要なんではないかなと。ところが住民は、近くに交番があるんだから何で交番のお巡りさん動かないんだと、こういうことなんですけれども、私から言わせれば、若者三、四人動いているわけですからね、それにお巡りさんが一人で行ってやれるということは、今の時代になかなか大変だと思うんですよね。
 そういう体制をとらないと、やっていらっしゃるんでしょうけれども、特に都会なんかはそうでしょうけれども、田舎の方でもそういう事態になってきている。それが、いわば田舎の方ではそういうことでだれもとがめない。そのことが一つのきっかけになって、そして堂々と今度一つのグループをつくって、そして都市部の方になだれ込んでいくというふうに、いわば予備軍なんですよね、そういう方は。そういうことを早くから摘み取っておくということが必要なんではないかというふうに思うんですが、この点についていかがですか。
属政府参考人 騒音をまき散らして走る、そういう車、いろいろあるわけですけれども、そういう場合に、交番とかあるいは一一〇番通報というようなことで、住民の方からお申し出があった場合には、直ちに交通機動隊とかそういった機動力のある部隊を出して取り締まりに当たっているところであります。
 特に、暴走族になりますと、警察としても相当の態勢をとらないと十分な取り締まりができませんので、交通部門のみならず機動隊を動員するなど、関係部門が一体となって、あらゆる法令を適用して、取り締まりに努力をしているところであります。
 また、先般の道路交通法の改正によりまして、共同危険行為等の禁止違反につきまして罰則が大幅に引き上げられました。そういった規定をこれから大いに適用して、取り締まりの徹底を図っていきたいというふうに考えております。
今田委員 一つは、社会的な問題として非常に大きな問題となっておりますので、ぜひ取り組んでいただきたい、このように思います。
 次に、時間もないですが、整備管理者の問題をちょっとお聞きしたいと思います。
 選任義務についてでありますけれども、これを緩和するということについては、基本的に、私から言わせればどうなのかなという感じがするわけでありますけれども、整備管理者の規制緩和の主たる動機についてお伺いをしたいと思いますし、一方で、規制緩和というのは自己責任を強く求めるものだということを考えれば、原則に逆行しているのではないかというふうにも思えるわけでございまして、経済的な規制がどんどんと緩和されていく中で、私は必ずしも規制緩和がいいというものではないと思うんですね。社会的責任にかかわるものについては、やはり規制というものはある程度加えなければならぬというふうに思うんですよ。
 そういった意味では、整備管理者というのは、社会的責任というものは非常に大きなものがあるというふうに思うんですが、この基本的な論点について率直な意見をお聞かせいただきたい、このように思います。
高木大臣政務官 整備管理者の選任要件に関して御質問がございましたけれども、現在、大型トラック、バスなどの一定の自動車を使用する場合は、使用者が適切に点検整備を実施するよう、自動車の保守管理を専門的に行う整備管理者の選任を使用の本拠地ごとに義務づけております。
 使用者が走行距離等の使用状況に応じた点検整備を実施することは、自動車の安全確保、もう一つは環境保全のために、今後とも不可欠なものとも考えております。ただ、マイカーを初めとする自家用自動車等の小型自動車の保守管理については、自動車の技術の進歩や、また使用の態様の変化等によって、使用者みずからが行う必要がある日常点検は、専門的な知識を必要としない限定的なものとなってきております。
 今回の見直しに関しましては、このような自動車の技術の進歩等を踏まえて、整備管理者の選任義務を緩和しても安全上の支障がないと認められる自家用乗用車等の車種についての規制を緩和するものであって、例えば、大型トラック、バス等の点検整備、専門的な知識を必要とする車種については、引き続いて整備管理者を置くこととしております。
今田委員 時間もないですので、もう少しお聞きしたかったんですが、一点だけちょっと申し上げて、私の質問を終わりたいと思います。
 今ほど、トラック事業者あるいはバス事業者については整備管理者を置くんだということなんですが、それは私はわかっているんですよ。むしろ、ホテルやゴルフ場、学校、そういったところの供用車があるわけですよ。それは五台も六台も持っているところがいっぱいあるわけですから、そういったところに整備管理者を置かないというのは私はいかがなものか、こういうことを申し上げたいわけでありまして、このことを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
久保委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時三分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時十二分開議
久保委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。阿久津幸彦君。
阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。
 道路運送車両法の一部を改正する法律案について、リコール制度の見直し、そして、時間があればということになりますが、抹消登録制度の改正、二つの内容を中心にお伺いしたいと思います。
 まず初めに、リコール制度の見直しについてなんですが、リコール勧告に従わない場合は公表しリコール命令を出すという大変強い制度改正が必要となった最大の要因は、言うまでもなく、二年前に発覚した三菱自動車工業株式会社のいわゆるリコール隠し事件にあったと私は理解しております。
 この事件は、皆様も御存じのとおり、平成十二年七月に当時の運輸省が立入検査等を行って事実が発覚するまで、三菱自動車工業株式会社が約三十年にわたって組織的にリコール隠しを行ってきたものでございます。その手口は悪質きわまりないもので、三菱自動車は消費者や販売会社などから寄せられた事故、危険等に関するクレーム情報のほとんどを社内において別管理しておりました。一九九八年四月から二〇〇〇年六月までだけを見ても、約九万件寄せられたクレーム情報の三分の二、六万件余りを隠しておりました。許せないのは、運輸省のリコール関係業務に係る立入検査時にも、別管理されたクレーム情報を社員のロッカーに隠させ運輸省に報告せず、内部通報があるまでその実態が明らかにならなかったことであります。
 そこで、大臣にお伺いいたします。
 三菱自動車工業株式会社による約三十年にわたる組織的リコール隠しについて、旧運輸省の監督責任も含め、改めて国土交通大臣の御見解を伺いたいと思います。
扇国務大臣 参議院の本会議で答弁がございまして、おくれまして申しわけありませんでした。
 阿久津議員の御質問でございますけれども、今おっしゃいましたように、この三菱自動車のリコール問題、リコール隠しといいますか、これは平成十二年の七月、国土交通省、当時はまだ運輸省でございましたけれども、この立入検査によりまして、同社におきましてクレーム情報についての虚偽報告があったことが判明しました。その後の調査の結果、リコール届け出をせずに、自動車の回収、修理を行っていたことが判明したものでございます。このために、当時の省としましては、これらの行為につきまして警視庁に告発いたしました。また、裁判所に通知するとともに、同社に対しまして業務改善についての警告書を交付したものでございます。
 このような行為は、もとより、事故の未然防止などを目的としたリコール制度に対する自動車ユーザーの信頼というものを著しく損ねる、こういうことで、極めて遺憾であったと思っております。また、この件では隠ぺい工作が組織的に行われていたということで、残念ながらこの不正行為を見抜けなかったということに関しては、当時の省としても大変これを重く受けとめ、今の国土交通省としてもこれを引き継いでおりますので、何としてもこれを厳正に反省しながら受けとめていこうと。
 また、今回のリコール制度の見直しにつきまして、この件を踏まえまして、御存じのとおり、リコールの命令制度を今度創設いたしました。これは、今までの罰則を大幅に強化いたしました。どのように強化したか。これは、個人の罰金刑二十万、これを三百万円に引き上げました。そして、会社の場合は、今まで二十万でございましたけれども、これを二億円にまで引き上げる。また、懲役刑、これを一年以下でということも新設をいたしました。
 私どもは、罰金が、あるいは刑が重ければ再発防止できるということではございませんけれども、ひとまずはこういうことで今後遺憾なきを期していく、そのつもりでおります。
阿久津委員 この事件は、当時の運輸省、行政が三菱自動車によってなめられた、そういうふうに言われても仕方がない事件でありましたし、私がどうしてもふんまんやる方ないのは、一般消費者を含む国民をばかにしているんですね。これは、怒りはおさまらないのですけれども、事件を十分に検証した上で、この反省を生かして、よりよい法案にしていくことが扇大臣と同じように私も大切だと考えております。
 そこで、事件の反省を生かす意味で、クレーム情報の大切さということがあると思うんですが、自動車メーカー等に集中するユーザー等からの事故及び危険等に関するクレーム情報を、自動車メーカー等が初報、最初のふぐあいの情報の段階から国土交通大臣に報告するよう義務づけたらどうだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。
洞政府参考人 ユーザーからメーカーに寄せられましたクレーム情報につきましては、国土交通省がメーカーに立入検査を行う際に、その処理が適切であるかどうかも含めて確認してございまして、必要な場合には、メーカにおけるリコール業務が適切に行えるようメーカーを指導しているところでございます。
 なお、自動車メーカー等が初報の段階から国土交通大臣に報告するよう義務づけてはどうかという考え方につきましては、現在、私ども国土交通省も直接ユーザーから苦情を受け付ける、そういう仕組みをつくっておりますけれども、先ほど副大臣の方から御答弁がございましたとおり、年間五千件あるいは七千件という情報が私どもの方に寄せられています。各メーカーには、商品性に関する情報等を中心に、それこそ一社当たり数万単位のクレーム情報が寄せられてございまして、これら雑多な未分類のクレーム情報をすべて国土交通省に報告するというようなこととした場合には、そういうものを適切に処理できるかどうかということ等を考えますと、現行の監査による確認、これはもう、三菱事件を契機として、体制も強化して、そういったことをきちっとやるような仕組みというのをつくってきておりますけれども、監査による確認が適当じゃないかと考えているところでございます。
阿久津委員 私は、重要情報というふうな規定を置いても報告させるべきだと思うんですね。といいますのは、やはり初報というか、このクレーム情報があって初めてリコールが成立するわけですから、これが極めて大事だというふうに考えております。
 それで、ちょっとこちらの衆議院の調査局国土交通調査室からいただいた資料で、実際、初報とクレームの状況はどうなっているのかなというふうに私も調べさせていただいたんです。
 「不具合の初報入手からリコール届出までの期間」というのがありまして、これは四十七ページにあったんですけれども、見ておりましたら、一番下のところに「国産車の不具合の初報入手からリコール届出までの期間(平成十二・平均・三菱除)」と書いてあるんですね。この「三菱除」というのはどうなっているんだろうなと思って私も調べさせていただいて、情報をいただいて、見ましたら、皆さんにお配りしてあるんですけれども、これは、三菱だけで表をつくるとこんなになってしまうんですね。これは表からはみ出てしまって書けないぐらいの状況でありまして、この表で見て、十二月を超えたという数字が七七・三%、平成十二年。これは、国土交通省の自動車交通局技術安全部からいただいたデータで、私の方で推計させていただいたものなんですけれども、そういう状況です。これはやはりほかのメーカーと比べても三菱が突出しておりまして、逆に言えば、ほかのメーカーはかなりまじめにやっているんですね。そこを見ても、やはりこれを反省して、きちっと生かしていかなければならない。
 そこで、こういうふうにメーカー側が隠してしまうこともあるということでいえば、国土交通省の独自情報というのですかね、独自に情報をとること、このことが大変重要になってくると思うんですが、先ほどちょっと話にもありましたけれども、ユーザーからのクレーム情報等を国土交通省が独自に収集する体制整備を必要と考えておりますが、その整備状況はどうなっているのか。あわせて、収集したクレーム情報の調査分析体制についてもお答え願いたいと思います。
洞政府参考人 クレーム情報の収集体制、クレーム情報の調査分析体制についての御質問でございますが、国土交通省では、ユーザーからの情報をみずから収集し、リコールの適正な実施に役立てるため、本省及び地方運輸局におきまして、フリーダイヤルを活用した不具合情報ホットライン、インターネットや電話によるユーザー相談等不具合情報処理システムを整備して、自動車に関するふぐあい情報の収集を行っております。
 こうして収集いたしました情報を分析するとともに、メーカーやディーラーへの立入検査による監視体制を強化するなどにより、リコールの確実な実施が図られるようメーカーを指導しているところでございます。
 こうした業務につきまして、国土交通省では、三菱自動車工業の事案を契機として増員を行いまして、現在、本省において担当課長以下七名、地方運輸局においては十三名、その体制整備を行う前と比べましてほぼ倍増いたしまして、そういう担当官を配置して対応しているところでございます。
 国土交通省といたしましては、今後ともふぐあい情報の収集を一層積極的に行いますと同時に、特に必要と思われるふぐあい情報につきましては、独自に試験研究機関等を活用した原因等の調査分析の充実を図ること等によりまして、引き続きリコールの迅速かつ確実な実施が図られるよう適切に対処してまいりたいと考えております。
阿久津委員 ぜひ情報収集の方を頑張っていただきたいと思いますし、またその情報を生かしていただきたいというふうに思っておりますが、情報収集の後は、やはり情報公開というか情報公表が大切になってくるというふうに思うんですが、国土交通省の収集した自動車の事故・クレーム情報を、メーカー名、車種、型式等含めて一般消費者である国民に公表すべきだというふうに私は考えているんですけれども、いかがでしょうか。
洞政府参考人 国土交通省で収集した自動車のふぐあい情報の公表についてでございますが、平成十二年五月に自動車のふぐあい等に関する情報を二十四時間受け付けるシステムを設置いたしまして、また平成十二年十月には、フリーダイヤルを活用した不具合情報ホットライン及びインターネットを通じたユーザー相談等不具合情報処理システムを整備して、ユーザーからの情報を収集しておりますが、平成十三年の七月には、こうして収集されましたユーザーからの事故やふぐあいの情報を活用して、自動車不具合情報一覧ということで、自動車のメーカー名、車種、型式、ふぐあいの内容などをホームページ上で公開しておりまして、国民の皆様が自由に情報を入手することができるようにしております。
阿久津委員 二十四時間のフリーダイヤルの方は、音声メッセージによるということで、私が聞いた範囲では、評判が必ずしも一〇〇%いいわけではないというふうに聞いているんですけれども、ホームページの方は大変好評と聞いておりまして、ぜひこれからも続けていただきたいというふうに思っております。
 それで、アメリカでは死亡事故率の高い車ランキングなんかも発表しているんですね。これはちょっと名前を出してしまうと、三菱のパジェロは、やはり予想どおりというか、上位にランクされています。
 これは、消費者がそういう事故率などの公表情報を分析した上で、消費者の方が車を選択する、そのことによって、ふまじめな業者は残れなくなってしまう、市場から退場させられるということで、大変いい効果を自由主義社会の中に生むというふうに私は確信しておりますので、ぜひこういう方向でやっていただきたいというふうにお願いしたいと思います。
 次に、三菱自動車工業株式会社のリコール隠しを例にとりますと、最終的には内部情報によって発覚しているんですね。隠して隠して隠し抜いた結果だというふうに思うんですけれども、この内部情報は私は非常に大切なものだと思いますし、また内部情報の提供者、内部告発者の保護も重要だというふうに考えておりまして、実際、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律というのができておりまして、六十六条の二では、「法律又はこの法律に基づく命令の規定に違反する事実がある場合においては、これらの者の従業者は、その事実を主務大臣に申告することができる。」それからもう一つ、「その従業者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない。」というふうに法律になっているんですね。
 そこで、お伺いしたいんですけれども、リコール隠し等を今後二度と起こさないためにも内部告発情報は重要だと考えておりますが、いかがでしょうか。それから、内部告発者の人権等を守る保護規定が本改正案には盛り込まれるべきだというふうに思うんですが、いかがでしょうか。その辺、お答えください。
扇国務大臣 内部から提供していただく情報、これがなければ物事が始まらないということも言えますし、また、今おっしゃいましたように、自動車のふぐあいの情報とかあるいはメーカーの不正行為、こういうものに関します情報として、これは大変有益なものと思っておりますけれども、その有益なものをいただいて、情報提供者の保護、これが、今阿久津議員がおっしゃったように、大変大事だと思っておりますし、これは、内閣府の国民生活審議会、ここにおきまして、現在、企業の自主行動基準の指針の中で、おっしゃいましたような公益通報者保護制度、これを検討しているところでございます。
 国土交通省としましても、その検討状況を参考にしながら適切に対処したいと思っておりますけれども、この報告は今後検討しますけれども、来年の春に報告がまとめられると伺っておりますので、ぜひ早急に私たちもそれを参考にして手を打っていきたいと思っております。
阿久津委員 その報告書の後でも結構でございますので、ぜひそのような方向で内部告発者の情報及び告発者保護をする方向に持っていっていただきたい、大臣の強いリーダーシップを期待しております。
 これまでずっとリコール制度についてお話をさせていただいたんですが、私は三菱自動車工業に別に恨みはないんですね。恨みがあるどころか、私の母は三菱グループに勤めていたことがありますし、家内は三菱自動車工業のちょっと医療関係のところに就職をしておりました。そういうお世話になった会社なので本当は再生してほしいという思いで、いろいろな思いで質問をしていたんですけれども、この質問に当たって資料請求を三菱自動車にしたんですね。そうしたら、答え方がやはりよくないんですね。まだ改善されていない。
 私は、三菱自動車に過去十年間の全役員のリストをくれと言ったんです。私が聞きたかったのは、簡単に言えば、こういうリコール隠しのような大事件が起こると、大体の場合官僚が天下りをして、それでやるんですね。私はそういうのは余りよくないというふうに思っていまして、そこを調べたかったんです。その理由も申し上げました。しかし最初の答えは、余り公表していない、いろいろあって紛失している場合もある、総務課に来たばかりで日が浅くてよくわからない、こういうふうに答えた。
 それで私は、これはひどいと思って、秘書室に、秘書にもう一回今度電話させ直して、秘書課の方と、秘書室の方と話をした。そうしたら、いきなり何を言うかと思ったら、民主党ですか、伊藤英成議員と懇意にしておりますと。何を言いたいのかというふうに、私は怒り心頭したんですよ。
 これはやはり、企業体質というのは私はなかなか直らないんだと思うんです。やはりトップがきっちりとしたリーダーシップを持って、それと同時にフロントラインをきちっと変えていかなければ直るものではない。私は、この場をかりまして、三菱自動車工業株式会社に猛省を促したい。早く改善して、きちんと、これは国民のためなんだという思いで会社の運営に携わっていただきたいということをお願いしたいというふうに思っておりますが、一言、コメントがあれば。
扇国務大臣 会社に成りかわれといったのでは私困りますので。
 私は、それよりも何よりも、株式上場している会社の内部というものは、毎年の株主総会前にすべての株主に報告する義務があります。そういう意味では、私は、そういう会社がどういう態度をとったかわかりませんけれども、もしも御存じであれば、株主の人に公開質問状を出させればいいんです。それで簡単に資料は出てまいります。出ていなければ株主総会でこれはもう大騒動になりますから、そういう意味で、役員の説明は株主総会で追及もできますし、国会議員だから余計怖がったのかもしれませんけれども、私は国会議員だからこそ出すという、国会議員をうさん臭く思われないように私たちも気をつけなきゃいけないと思っておりますし、何に使うんだろうと思って、向こうはもうすぐ守りの態勢に出る。守るということは悪いことをしているという証拠ですから。
 そういう意味では、会社の体制を変えていかなければいけないというのは当然私はあろうと思いますけれども、こういうところで議論したことを会社にちゃんと、国会の議事録をお送りになって質問なすってもいいし、株主総会に公開質問状をお出しになってもいいと思います。
阿久津委員 ぜひそうさせていただきたいと思います。
 それで、ちなみに私も、株主ではないんですけれども、実は三菱自動車工業の一般消費者の一人だったんですね。私、デザインも好きだったし、エンジンもなかなかよかったので、二台も乗っているんですよ。二台って、もちろん一台ずつですよ。だけれども、やはりそのときも、証拠がないですから一般消費者にはわからないですから、クレームを大分言いました。いろいろと問題がありました。ちなみに、ギャラン・ラムダと、その後三菱ギャランという車ですかね、本当に残念だったというふうに思っています。
 ちなみにもう一つ報告すると、私が調べさせていただいた資料、最終的に三菱自動車工業から届いたんですけれども、それを丹念に調べましたら国土交通省からの天下りはございませんでしたので、報告をさせていただきます。
 それで、次の質問に移って、抹消登録制度について質問したいと思うんですが、もう余り時間もありませんので、スピードアップで、最後の質問だけ簡単に質問したいと思うんです。
 不法投棄が深刻な社会問題というふうになっております。この不法投棄をさせないような抹消登録制度の改正というのは、私は非常に評価するし、その効果を期待したいというふうに思っております。それで、長期間にわたり中古新規、解体、輸出のいずれもされない運行停止の自動車について、その使用実態の把握はどのように行われているのかを、簡単で結構です、お答えいただきたいと思います。
洞政府参考人 まさに今回の改正案におきまして、自動車が解体または輸出されるまで、陸運支局等がその自動車を着実に把握することができるような制度とすることとしておりまして、具体的には、一時抹消を受けた自動車の所有者等は、だれに自動車を譲渡したのかを証明できるような契約書等を一定の期間保管しておいて、陸運支局等が一時抹消の名義人から順に譲渡の状況を調査しようとする場合には、その書類等を提示して譲渡先を証明しなければならないこととしております。
 運行停止による一時抹消登録の後に相当の期間が経過しても中古新規あるいは解体、輸出の届け出がされていないというような自動車につきましては、陸運支局等が、所有者等に関する必要な調査を行った上で、届け出を懈怠している者に対して催告その他の必要な措置を講ずることとしています。
阿久津委員 続けてもう一つ。
 今回の輸出抹消制度の改正は盗難車の不法輸出防止にも効果を上げるというふうに期待されておりますが、輸出抹消の手続を受けたまま通関しない自動車、これは不法投棄につながる可能性が私はあると思うんですけれども、通関しない自動車へのチェックシステムは用意されているのでしょうか。これも簡単にお答えいただければと思います。
洞政府参考人 今回の輸出抹消制度の導入によりまして、自動車を輸出しようとする者は、事前に陸運支局等に申請をして輸出を証明する証明書を取得して、これを税関に提示しなければ通関できないこととなるため、盗難車の輸出防止に効果が上がるものと考えています。
 陸運支局等が証明書を発行した自動車については通関する際に税関による証明書の確認が行われますので、陸運支局等としては、後日、税関との情報交換等によって、証明書を取得したにもかかわらず通関しない自動車を把握することができます。これによりまして、きちっとその証明書の返納を求めたり、あるいはそれに違反する場合には所定の過料等の制度を設けておりまして、そういうことによって、きちっと、変なふうにならないようにフォローできる体制をとっています。
阿久津委員 何とか法の網の目をくぐって盗難車をさばこうとする、そういうやからもおりますので、ぜひチェック体制の方をよろしくお願いいたします。
 最後に扇大臣に質問させていただきます。
 本法改正により各地の陸運支局の負担がかなり増すというふうに私は思うんですが、今後の体制整備についてどのように考えるのか。また、自動車の使用実態をしっかりと把握していくには一般ユーザーを含む多くの国民の理解が必要であると考えておりますが、陸運支局の登録、検査時間の延長等を検討する考えはないかどうか、お答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 厳しい定員事情の中で、国土交通省といたしましても、リコールの要員の確保等、必要な体制の整備に努めているところでございますけれども、改正後の抹消登録制度等を的確に運用していくための体制につきましては、業務の効率化等、その実施を心がけていきたいと思っております。また、ユーザーの方にきちんとした、そして円滑な対応ができるような体制の確立に努めてまいりたいと考えております。
 また、委員御指摘の今の陸運支局等の登録、検査時間につきましては、現状の定員を前提としますれば恒常的な延長は困難と考えておりますけれども、月末とかあるいは年度末等の申請がかなり集中いたします時期には、これを延長するような弾力的な対応をしてまいりたいと思っております。
 さらに、ユーザーの利便性を向上させるということで、国民の御理解を得るという点から、今回の改正案におきまして、自動車の所有者に紙の解体証明書を提出させています現在の運用を変えまして、自動車リサイクル法に基づきます情報管理センターの解体確認情報を陸運支局等がオンライン等によりまして確認することとして、手続の簡素化を図ってまいります。これは証明書等々の提出が不要になります。
 また、そのほか、自動車の保有関連手続、ワンストップサービス、先ほども局長が申しましたけれども、これはワンストップサービスで、パソコンの画面上で関係手続を一括してできる仕組みを目指しております。これは、御存じのとおり、平成十七年度までに、検査あるいは登録、車庫証明、納税、これを一括してできるワンストップということでございますので、国民の皆様の御理解あるいは御協力が得られるように、手続の簡素化にはより一層努力していきたいと思っております。
阿久津委員 予算が厳しき折、人がいなければ知恵を使えという意味で、ワンストップサービスは本当に高く評価したいというふうに思っているんですけれども、私は、必要なところにはお金を使っていいというふうに思っているんです。
 一応お願いだけ最後にして終わりたいと思うんですが、陸運支局、足立、品川、練馬を調べたんですけれども、登録、検査業務で、基本的には大体九時から十六時までなんですね。ただ、十二時から十三時の間一時間、休み時間があって、その間はできないんですね。現状の人で無理してやれというふうには申し上げませんけれども、これだけでも、人をふやしてでも何とかその時間帯の検査もできるようにしていただければということをお願いしまして、私の質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。
久保委員長 一川保夫君。
一川委員 自由党の一川保夫でございます。
 今回の法律の一部改正につきまして、引き続き質問をさせていただきます。
 我々が日常生活上見かける中に、野積みされた使用済自動車的なものが、非常に景観を壊したり、あるいは地域のいろいろな生活環境に悪影響を及ぼしているような情景を時々見るわけです。今日の車社会の中で、年間四百万台から五百万台ぐらい使用済自動車が発生するというふうに言われておりますし、また、地方の山間部にも、一種の不法投棄的な廃車といいますか使用済自動車が目立っているケースもございます。そういうことを考えますと、今回の法律改正に基づいて、こういう課題に緊急的に対応しようとする考え方はそれなりに評価するわけでございます。
 それに当たりまして、現状に対する環境省の認識をちょっと確認します。
 現在、先ほど言いましたように、使用済自動車の適正な処理が非常におくれているということに尽きるんだろうと思いますけれども、そういう野積みにされたような形で、一種の資源だというふうに言われておりますけれども、現実は相当みっともない姿で放置されているケースが非常にあるわけです。それからまた、非常に不法に投棄されているケースもあるわけでございます。こういうことについて、環境省は現状をどのように把握されているかということと、また、今後こういう問題については基本的にどういう姿勢で臨もうとしておられますか、そのあたりをお聞きしたいと思います。
飯島政府参考人 使用済自動車の不法投棄や野積みの問題に関する御指摘でございますけれども、背景といたしまして、近年、産業廃棄物の最終処分場の逼迫の状況がございまして、自動車の、最後にがらになりますシュレッダーダストというものなんですが、このシュレッダーダストの最終処分費用が非常に高くなってきたこと、それから、資源としての鉄スクラップの価格が非常に低迷しているということによりまして、使用済自動車の価値が総体的に低下してきております。従来の自動車リサイクルシステムは、これまでリサイクルに回っていったものについても、いわば機能不全に陥りつつある、こういった背景がございます。
 昨年、環境省が、都道府県と保健所設置市を通じまして、使用済自動車の不法投棄や野積みの実態について調査を行いました。平成十三年八月の時点でございまして、都道府県などが把握しておりました不法投棄及び野積みの自動車は、全国で約十二万六千台。ですから、使用済自動車の二、三%を占めるという状況でございました。
 これらの不法投棄や野積みにつきましては、廃棄物処理法に基づきまして措置命令などの行政処分をする必要がございますので、これまでも都道府県に対してそういう指導をしてまいりましたが、引き続き厳正な廃棄物処理法の行政処分をしていくこととしております。
 さらに、御指摘のございました使用済自動車の適正処理とリサイクルを確保するために、新たな仕組みを構築しようということで、自動車メーカーに対しまして、フロン類やエアバッグ、シュレッダーダストの引き取りあるいはリサイクル、フロンの場合は破壊でございますが、これを義務づけることを内容といたしました使用済自動車の再資源化等に関する法律案をこの国会に提出したところでございます。この法案が成立、施行されますと、使用済自動車の不法投棄は従来より格段に減少するというふうに期待をしているところでございます。
一川委員 今、この国会に使用済自動車の再資源化等に関する法律案が提出されているということで、格段に減少するということでございますので大いに期待はしますけれども、こういう問題について、例えば各地方公共団体等が、条例等を持っているところもあるのかもしれませんけれども、積極的に取り組んでいるような事例というのが、もしわかったら二、三、教えていただきたいのだけれども、何かありますか。
飯島政府参考人 先ほど、全国ベースでの不法投棄、野積み自動車のお話をさせていただきましたけれども、非常に顕著なのが離島でございます。離島におきまして、リサイクルがうまく回らないので野積みされているという状況が近年非常に顕著になっております。
 これは、私の今知っている範囲のお話でございますが、沖縄県の離島におきまして、昨年度、一斉に不法投棄自動車、放置自動車を一掃しようということで、これは内閣府の方の補助も出まして、環境省がプラン、協力いたしまして、放置自動車の一斉撤去の事業を行っております。本年度は沖縄本島におきましてもそういう事業を行うというふうに聞いております。
一川委員 離島等のそういった狭い地域にとっては大変深刻な課題だろうと思いますけれども、また今後の指導方をよろしくお願いしたいと思います。
 そこで、次に、今回、この抹消登録制度の中で、特に輸出の部門についてこの制度を設けたというその理由。これは国土交通省でよろしいのですか。そこら辺、もうちょっと、お願いします。
洞政府参考人 輸出にかかわります抹消登録制度を設けた理由でございます。
 今回の抹消登録制度の改正は、自動車リサイクル法の枠組みに従いまして、使用済自動車が適正に解体処理されたことを陸運支局等が確認する仕組みとすることをねらいとしていますが、そのためには、年間約百万台あると言われる輸出される自動車について正確な実態を把握することによって、解体を確認する必要がある使用済自動車と区別できるようにしておく必要があります。
 また、最近におきまして、年間六万台を超えると言われる自動車の盗難が発生しておりまして、その中には海外に輸出されているものもあると言われていることから、これらの自動車の輸出を阻止できるようにすることが求められているところでございます。
 以上のような二つの観点から、今回新たに輸出抹消登録制度を創設することとしたものでございます。
一川委員 要するに、使用済自動車等が輸出されていくケースというのは、今の輸出抹消という登録を受ける場合と、一時抹消されたものがその後輸出されるというようなケースもあるやに聞くんだけれども、そういうことを適正に行うという面では、税関とのいろいろな連携プレーが大変重要な課題だというふうに思いますね。
 そこのところは、まあ、言葉で言えば簡単なことなんだけれども、現実問題として、具体的にどういうことを考えておられるのか。そのあたりの御説明をお願いしたいと思います。
洞政府参考人 具体的な税関との連携でございますけれども、税関におきましては、陸運支局等が発行いたします証明書、輸出抹消仮登録証明書または輸出予定届出証明書と、いろいろなのがございますけれども、そういったものが提示されて、正当な権原を有した者が行う通関手続がなされたということを税関当局が確認すると同時に、陸運支局等におきまして、税関に対しまして、証明書を発行した車が確実に輸出されているかどうかについて確認を行いまして、輸出される自動車の正確な実態を把握することとしております。
 なお、陸運支局等が税関に照会することによって輸出事実を確認するための具体的な方法につきましては、今まさに税関当局と細かく詰めているところでございますけれども、今後、確実かつ速やかに運用できるような、それこそパソコン等を通じたそういう電子手続等も含めまして、税関当局とも鋭意調整してまいりたい、今その最中にあるということでございます。
一川委員 そういう手続というか流れが今回幾つか出てくるだろうと思いますけれども、一時抹消登録をした自動車が、ルールからすると、解体なり輸出という流れの中で、ある一定期間後にはそういう届け出が必要になってくるわけだけれども、そのある一定期間を経過してもそういう届け出等がなされないというようなケースは想定されるわけですね。そういう場合に、これまたいろいろな面で、情報管理センターですか、こういうところが入って、陸運支局とのいろいろな連携が出てくるんだろうと思いますけれども、こういったことに対しては、どういう具体的な対応を考えておられますか。
洞政府参考人 一時抹消登録をいたしました自動車につきましては、一般的に言っておおむね一年程度を念頭に置きますと、大方の自動車の、帰趨といいますか、が大体わかってまいります。一時抹消登録をした自動車について、要するに解体されたとかあるいは輸出されたという連絡が入れば、それはもう確認できるんですけれども、そういう適正な届け出がなされていない場合の対策はどうするかということが問題になろうかと思います。
 そういう場合には、改正後の制度では、一時抹消を受けた自動車の所有者は、だれに自動車を譲渡したかを証明できるような契約書等を一定の期間保管しておき、陸運支局等が一時抹消の名義人から順に譲渡の状況を調査しようとする場合には、その契約書等を提示して譲渡先を証明しなければならないこととしております。運行停止による一時抹消登録等の後に相当の期間が経過しても、中古新規、解体あるいは輸出等の届け出がなされていない自動車につきましては、陸運支局等が所有者等に関する必要な調査を行った上で、届け出を懈怠している者に対しまして催告その他の必要な措置を講ずる、要するにその後の自動車の運命がどうなったかということを追跡できるようなアクションを起こすこととしております。それを具体的にどういう間隔でやるかということについては、その実態等をさらに詰めまして、しかるべきタイミングでそういうアクションを起こすように今検討しているところでございます。
一川委員 我が国は自動車産業でもっている部分もありますので、新車の輸出は盛んに行われております。片や、俗に言う中古車の輸出みたいなものですね、今の使用済自動車等が当然絡んでくるわけでしょうけれども、中古車を輸出用に扱っている業界、こういう分野でやっている仕事というのは余り表には出てこないわけですけれども、非常に大事な部分であるような感じもいたしますし、そうかといって、世の中には余り認知されていないような感じもするわけでございます。
 そういう業界、会社が、もっとしっかりと、経営が成り立つような方向での指導なり施策みたいなものが、これは財務省か経済産業省かわかりませんけれども、何かそのあたりの部門が絡んでくるというふうにお話を聞いております。中古車の輸出という問題に対する施策というのはどういうふうに動いているのか、そのあたりの御説明をお願いしたいと思うんです。
松井政府参考人 お答えを申し上げます。
 経済産業省におきましては、粗悪な中古自動車が輸出されて日本車の評価が低下することを防ぐことを目的といたしまして、昭和四十年から、輸出貿易管理令によりまして、輸出される車両の品質や性能面をチェックする手続を設けてまいりました。
 しかしながら、この輸出に係る規制は、その後の日本車の性能の飛躍的な向上などによりまして当初の規制目的を達したため、平成七年に規制緩和をして廃止したところでございます。
藤原政府参考人 お答えを申し上げます。
 先生先ほどおっしゃっておりましたように、近年、自動車の盗難が急増いたしまして、その一部が海外に不正に輸出されているのではないかといったことが社会問題となっております。
 こういう状況の中で、税関といたしましては、この盗難自動車等の不正輸出を水際で阻止するという観点から、盗難自動車等に関する各種の情報の交換を初めといたしまして、警察との協力体制を整備する、あるいは、必要に応じまして、通関のときに抹消登録証明書の原本の提示を求めまして、車台番号等の確認を行う。それから、大型エックス線検査装置、これはコンテナを開くことなく検査できる装置でございますが、そういったものを活用いたしまして、不正輸出のおそれのある貨物の一層厳正な検査を行う。それから、船舶の乗組員等が携帯して中古自動車を輸出するケースがよくあるわけでございますが、これは、従前は口頭で申告をしておりましたけれども、書面で申告をしていただくというようなことを内容といたしまして、さまざまな対策を講じ、積極的に取り締まりに取り組んでいるところでございます。さらに、ことしの四月からは、警察から提供を受けました盗難自動車等に係る情報を電子的に活用いたしまして、中古自動車等の輸出通関時の審査あるいは検査の強化を図っているところでございます。
 今申し上げましたいろいろな施策を講じております結果、平成十三年における盗難自動車等の摘発台数、その前の平成十二年は二百四十七台であったわけでございますが、これを大きく上回る九百五十六台となっております。
 今御審議されております道路運送車両法の一部を改正する法律案におきましては、新たに輸出抹消登録制度が設けられまして、中古自動車の輸出前の抹消仮登録等が義務づけられることになっております。これによりまして、中古自動車を輸出しようとする者は、輸出抹消仮登録等の手続をしなければ中古自動車を輸出することができないこととなります。税関におきましては、関税法七十条という規定がありまして、他法令の確認という規定がございますが、これに基づきまして、中古自動車の輸出通関の際に、輸出抹消仮登録等が行われているかどうかを確認いたしました上でその輸出を許可するということになります。
 今後とも、関係省庁との間で緊密な連携をとりながら、盗難自動車等の不正輸出の阻止に努めてまいりたいと考えております。
一川委員 では、次の問題に移ります。
 今回のこの法律の一部改正で、リコール制度の対象範囲を拡大するのが入っております。そこで、国土交通省にお尋ねするわけですけれども、チャイルドシート、ああいうものは、最近、若い夫婦にとっては相当負担になるようなケースも出てきているような感じも受けるわけですけれども、リコール制度の対象にするということになれば、当然そういう後づけ装置をデザインする人とか、あるいはそれを製作する人とか、あるいはまたそういうものを扱っている業者とか、そういうところに対してしっかりとした啓蒙なり事前の指導というのは非常に大事だなというふうに思いますね。
 それとまた、そのリコール制度の対象にしたことによって、何かへ理屈をつけてそういうものの価格をまた上げていくということがちょっと気になるんですけれども、そういうことが心配ないのかどうか、そういうことも含めて、どういうようなこれからの指導方針で取り組んでいかれるのか、そのあたりをお聞かせ願いたいと思います。
洞政府参考人 おっしゃるとおり、後づけ装置をつくっているメーカーは、今回はタイヤとチャイルドシートというのを念頭に置いていますけれども、タイヤ業界はともかくとして、チャイルドシート業界も二十三社ございますが、大半が中小企業でございます。そういう意味で、こういう中小企業のメーカーの皆さん方は、このリコール制度の対象になることに対する非常な不安といいますか、そういったものを抱いていらっしゃいまして、そういう不安を解消して速やかなリコール実施の体制がとれるようにいろいろ指導していきたいと思っております。
 まず第一には、そのリコール制度の対象となる後づけ装置について、リコールを実施するか否かの具体的な判断とか、その後の手続をきちっと円滑に行えるように、道路運送車両の保安基準に対する判断をさらに容易にするための具体的な事例等を交えたガイドラインみたいなものをつくってやるとか、あるいは、リコール手続の詳細を示したマニュアル等を策定して関係の業界に周知徹底なり指導というのを図っていきたいと思っております。
 それから、ふぐあいに関する情報の収集やリコールの周知というものが次に重要になってくるわけでございますけれども、事業者におけるお客様相談窓口や、販売店の店頭などの既存の情報提供ルート、これはメーカー側の努力で行われるわけでございますけれども、これを支援する形で、国土交通省においても、ユーザーから収集した情報、要するにクレームを事業者に提供すると同時に、リコール届け出を受けてのプレスの発表、ホームページへの掲載、陸運支局や整備事業者を通じて広くユーザーに広報することによりまして、周知の徹底と事業者に対する支援というものを図ってまいりたいと考えております。
 また、これによって値段とか価格が上がるということが懸念されるのではないかという先生の御指摘でございますが、そういう意味では、メーカーが独自でそういったリコールの実施体制なり広報体制をしくということになるとなかなか大変でございますけれども、逆に言うと、今までもチャイルドシート業界は自主回収等これまで五件ほどやってきておりますけれども、今度は、そういったものを国が支援をするという形になるわけですから、そういう意味でのコストの増というものは余り予想されないのではないかと思っております。
 また、もっと細かいことを言うと、リコール保険というようなものも実際にございまして、そういう保険料等はそのコストに反映されるかもしれませんけれども、それは全体として見ればそんなに大きなコストアップ要因にはならないだろうと思っております。
一川委員 安全上どうしても必要な後づけ装置については、余り負担にならないように、ぜひいろいろな面の御指導をお願いしておきたい、そのように思います。
 最後に、二点ぐらい大臣にお聞きしたいわけですけれども、この質疑はスタートするのが若干おくれたものですから、私の質問の終わりはできるだけ予定時間になるように早めたいと思います。
 大臣、今回のこの一部改正、いろいろな中身が含まれておりますけれども、例えば今も話題になりましたようなリコール制度の対象範囲を拡大するとか、こういうことも含めて、規制緩和とかそういう流れに逆行することじゃないかとか、あるいはまた、先ほどの抹消登録の手続面がだんだん複雑になってくるということになると、今の行政改革の流れに反するんじゃないかとか、そういうことをいろいろと指摘される方もいると思いますし、また、現状がその法律にまだ対応し切れていかないという心配を込めて、こういう制度改正は時期尚早ではないかというようなことを言う人も中にはいるらしいんですけれども、基本的に今回のこの一部改正は、大臣のお考えとして、今の行政改革なり規制緩和なりという一つの新しい時代に向けての流れに対して逆行するものではないかということに対する国土交通大臣としての見解をぜひお聞かせ願いたいと思います。
    〔委員長退席、実川委員長代理着席〕
扇国務大臣 一川議員が御指摘のように、国土交通省としまして、御存じのとおり、経済的規制はできる限り緩和を図る、他方、国民の安全確保等、あるいは環境の保全などの社会的観点から設けていかなければいけない規制というものは社会的経済情勢の変化に的確に対応するという、この原則というものはおわかりいただけると思っております。
 今回の道路運送車両法の改正によりまして、不法投棄をなくすために、一時抹消登録後の解体の届け出を義務づけるということ、そして自動車メーカーによりますリコールの実施をより確実なものにするということでリコール命令権を創設するということに関しましては、従来にはなかった手続でございますので、そういう意味では、新たな改正は、リサイクルの促進でありますとか、あるいは自動車に関します安全確保、環境保全が十分に図られるためにはこれは必要不可欠である、そう認識しております。
 また、リコール制度を例にとりますと、自動車ユーザー等からは、御存じのとおり、国がより積極的に関与する、私は、むしろ関与すべきであるという指摘を今までいただいておりました。そういう意味では、一川議員が御指摘のとおり、行政改革あるいは規制緩和に極めて重要であると認識しておりますので、今後この運用の詳細を検討するに当たりましては、そうした観点から御批判を受けることのないように注意をしながら、なおかつ、国民の安全と、そして環境というものを加味していきたいと思っております。
一川委員 それでは、最後に、大臣に一点またお聞きするわけですけれども、国土交通省という官庁、従来から当委員会でいろいろと話題が出ていますように、非常に大きな官庁で、守備範囲も当然広くなっているわけですけれども、きょう話題になっておりますこの自動車問題というのはまた国土交通省の中でも大変大事な部門でございますし、特に自動車の安全性の確保といいますか、これからの新しい時代に向けて、より安全な自動車の走行というのは当然国民は期待しているわけだし、今、年間一万人ぐらいの交通事故死があるというふうにも聞いておりますように、大変な犠牲者だと思いますね。
 そういうことを考えてみた場合に、こういう自動車の安全性向上に向けてのこれからの新しい施策みたいなものを、国土交通省としてもしっかりと問題意識を持って取り組んでいただきたいというふうにも思いますし、片や自動車にかかわるような施策としては、例えば道路の整備とか、また道の駅的な、ああいうものをつくって、高齢化社会の中でより高齢者のドライバーに安全に運転していただくための施設の整備ということも当然大事なことでございます。また、昔に比べれば、やはり道路の整備水準も向上しておるというふうに思いますし、一方では、環境からのいろいろな規制が車の方にもかかってきておる。
 そういうことをいろいろと考えてみた場合に、車社会の中で、これから国土交通省として、車、自動車の安全性の向上に向けての新たな施策に対する取り組みの基本的な姿勢を、ぜひ大臣からお聞かせ願いたい、そのように思います。
扇国務大臣 今、一川議員が御指摘になりましたように、平成十三年度の交通事故によります死傷者、これは二十年ぶりに九千人を下回りました。これは八千七百四十七人、こうなったわけですけれども、一方、負傷者の方が百十八万人と、逆に過去の最悪を更新してしまったということで、死者は少なくなったけれども、負傷者が多い、こういう状況でございますので、交通事故の現状というものは、依然として私は大変厳しいものであると認識しております。国土交通省としましては、今議員がおっしゃったように、高齢化の到来でありますとか、また交通事故の実態など、社会状況の変化を踏まえまして、自動車の安全性向上を図る観点から対策を講じていきたいと思っておりますけれども、具体的に三つ指摘させていただきたいと思います。
 まず一つ、衝突時に運転者を保護するだけではなくて、歩行者の被害も減少するなどの車両の安全基準の拡充と強化。バンパーをやわらかくしますとか、いろいろ方法が技術的にありますので、まず、これが第一。二つ目には、高齢者などのうっかりミスによる事故を防止するなどの、高度な安全技術を取り入れた先進安全自動車の開発と普及。そして、三つ目には、一般ユーザーへの安全性に関します情報提供によりまして、安全な自動車の開発と普及を図る自動車アセスメントの推進。この三つに積極的に取り組むことによって、今おっしゃいましたような社会への対応に対処していきたい、そして、それを政策に入れていきたいと思っております。
一川委員 若干早いですけれども、終わらせていただきます。
実川委員長代理 瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 国土交通省は、一九九七年度より、過去一年間及び過去五年間についてのリコール届け出内容とその傾向を分析し、その結果を公表しております。二〇〇〇年度の分析結果について、昨年十一月に明らかにしております。リコールの届け出件数は百七十六件で、過去最高です。リコール対象台数は二百四十一万一千台で、歴代三番目。ここ三年は国産車の増加が顕著となっていると。この増加の原因は一体何でしょうか。なぜ、国産車で欠陥車が生まれるのか。国交省はこの分析をどのようにされているのでしょうか。まずお聞きいたします。
    〔実川委員長代理退席、委員長着席〕
洞政府参考人 リコールの届け出が増加している原因の分析についてのお尋ねでございました。
 リコールの届け出件数と対象台数は、先生今御指摘のとおりでございまして、平成十二年度は、三菱によるクレーム隠しの影響もございまして、この分が二十件ほどございますので、これを除いても届け出件数は過去最高となっております。
 これは、私どもはこういうふうに考えております。
 主として新技術とか新機構の採用が進みまして、だんだん車が複雑化して、対象装置が増大してきている。それから、コストダウンということで、部品の共通化がいろいろ進んできております。ということで、一つの装置がいろいろな車に採用されているというようなこと。
 それから、平成七年からリコール制度というのが法律で初めて規定されたわけでございますけれども、これによりまして大型特殊自動車でありますとか輸入の二輪車等が新たな対象になりまして、こういった対象の自動車がふえてきたというようなことなどによりまして、乗用車、特殊車及び原付・特種車の届け出件数及び対象台数が大幅に増大しているというふうに考えております。
 また、装置別のリコール届け出では、原動機、それから制動装置の増加が顕著でございます。
 リコールの届け出内容につきましては、今後さらに分析を進めていきたいと考えております。
瀬古委員 車の構造が複雑化すればするほど、製造については、メーカーとしても、本当に慎重に慎重を期したことにしなきゃならないというふうに思います。
 ところが、この分析の内容を見てみますと、国産車のふぐあい発生原因は、設計によるものが六十六件と、全体の五五%を占めているわけなんですね。設計によるものというものは、設計には、性能、それから耐久性、それから純粋な設計自体、そういうものがございます。ところが、この設計自体のミスがあったものというのが全体の四三%になっておりますね。
 車をつくるという場合には、やはり私は設計が基本だと思うのですよね。ここが狂っている、ここにミスがあると、重大な事故になりかねないという問題があると思うのですね。この点は、こういう欠陥車の問題を出していく、分析する上では大変重要な内容を含んでいると思いますが、この点、どのように分析なさっているでしょうか。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、平成十二年度のリコール届け出内容の分析結果では、国産車のふぐあいの発生原因のうち、設計に係るものは五五%になっております。その分析の内容によりますと、設計に係るふぐあい発生原因の内訳は、使用方法、走行条件などの使用実態に対して評価基準が十分でない等、設計ミスに原因があったものが四三%で一番多く、次いで、想定した以上の例えば高温、寒冷地等で使用される等、使用環境条件の設定の甘さ等、性能評価が不十分であったというものが九%、それから、耐久性の評価が不十分だったというものが三%、こういう内容になっております。
瀬古委員 いや、それはわかっているのですよ。私の聞いているのは、なぜ設計ミスがこれだけ大きいのかということについて、どのように分析なさっていますかと聞いているのです。多いというのは私も知っているわけです。どうしてこういう大事な、基本的な問題で重大なミスが起きているのか、このことはいかがですか。
洞政府参考人 設計ミスが多い理由という、そこまでの分析は正直言って行っておりませんが、設計ミスが中心であるという傾向は、長年余り変わっていないんじゃないかというふうに考えております。
瀬古委員 それならなおさら重大ですよね。設計ミスがこれだけ重い比重で欠陥車を生み出しているということになれば、こういうふぐあい、欠陥車について国土交通省は、旧運輸省も含めて、一体何を自動車メーカーに対して監査をしているのかということが問われることになるわけですね。
 私、実は複数の自動車メーカーの担当者に聞いてみました、なぜこんな設計上の重大なミスが出てくるのか。
 実は、先ほど出ましたように、コストダウンという大変重要な問題がございます。コスト削減のために、新車の開発期間は、デザイン決定からラインオフ、生産まで、従来は十九カ月だったのが今では十三カ月だ、設計は派遣に任せ、試作車はやめてコンピューターで仮想検討するだけで、検査は間引きでチェックだ、お客様がテストドライバーです、こういうように実際に現場の方が言っていらっしゃるわけですね。テストドライバーにされるお客様は大変なことですよね、命をかけて車に乗らなきゃならない。生産現場は、ライン工程が速く、作業が間に合わないため、ラインをとめるとどなられるために、そのまま流してしまう。これでは欠陥車や不良品が生まれないはずはない。国土交通省は、こういう実態を御存じなんでしょうか。
 このような、自動車産業の最大の使命である安全設計や検査の充実さえも放棄して、リストラ、合理化でコスト削減が行われている。リコール多発の原因は、そういう点で見れば、調査結果から見れば、本当によく分析すればはっきりしているんです。コスト削減競争の中でリコール隠しが起きている。リコールするよりはリコール隠しした方がもうかる、こういう体質が自動車メーカーの中にあるということなんですね。こうした体質が、先ほど指摘されたように、三菱自動車の三十年にわたる組織的なリコール隠しを生み出した。三菱自動車だけじゃありません、富士重工業やダイハツ工業など、大企業のリコール隠しがずっと続いたんです。
 その上、会社ぐるみの悪質なリコール隠しでも罰則が大変軽くて、まあ、リコール隠ししたらやり得、こういうような自動車メーカーの体質と、今回法改正がされるわけですけれども法整備の欠陥、こういうものがリコール隠しを助長したと言えるんじゃないかと思うんですね。そこをしっかりと国土交通省は分析して、今後の自動車の安全という問題を考えなきゃならないと私は思うんですけれども、いかがでしょうか。
洞政府参考人 先ほどの先生の御質問に関連して、設計ミスが非常に多いのは問題ではないかということでございますけれども、日本におきます、今までのリコールの届け出の対象となった台数と全体の保有台数との比較というものを考えてみますと、ほかの国がどういうふうになっているかというデータを正確に持ち合わせておりませんけれども、リコールの対象となった台数の全体の保有台数に占める割合を考えると、例えばアメリカなんかと比較しますと、日本の方が相当低いという状況は言えるんじゃないかと思います。
 それから、今の御指摘の点でございますけれども、コスト削減、経費削減等をやって、リコールを届け出するよりもリコール隠しをした方が、要するに経費が少なくて済むという体質が生まれているのではないかという御指摘でございますけれども、先生おっしゃるとおり、近年相次いで自動車製作者による不正事案が発生したことは、自動車の安全性に対する国民の信頼を揺るがせて、社会的に非常な多大な影響を与えたところでございまして、重く重く受けとめているところでございまして、そういう経験を踏まえまして、今回の法律改正案というものを提出しているところでございます。
 この背景が経費節減のためであるのではないかという御指摘でございますけれども、御存じのとおり、三菱自動車工業によるリコール隠し事案の発覚以降、三菱はこれによって大変なダメージ、社会的なペナルティーを受けたわけでございまして、このようなリコール隠し事案の発覚以降、リコール隠しのような行為は極めて社会的に大きなダメージを受けて、企業の存立さえも危うくするような、経済的には引き合わないことはもちろんでございますけれども、そういう認識というのが非常に浸透してきたんじゃないかというふうに考えております。
 国土交通省といたしましては、こういう同種の事案の再発を防止して、国民の安全を確保するために、自動車メーカー等による自動車リコールの実施をより確実なものとすることとして、今回の改正案を提出したものでございます。
瀬古委員 大臣にお聞きしたいと思うんですが、今回、確かに三菱はひどいことをやって、それなりに国民から見放されるという事態になったわけです。しかし、それまでに事故が起こったり安全性の問題で国民が犠牲になるということはあるわけですよね。
 そういう点では、先ほど出ましたように、この事件は内部告発があってわかったわけです。しかし、私が言いたいのは、もう三菱はちゃんとダメージを受けたからいいじゃないかみたいな考え方じゃなくて、今これだけ設計ミスなどが出ているんだから、もっと国土交通省としては責任を持って、この今の車づくりの体質についてもっとメスを入れなきゃだめだと私は思うんですよ。
 それは確かに、製造会社同士、メーカー同士が競争するというのは、世界的な競争の中でやっているんです。だからこそ、行政がそれに対して、安全性を無視したやり方は問題だということを、本来ならもっと事前にチェックをしなきゃならなかったわけですね。この点は行政の責任としてあるんじゃないかというふうに私は思うんですが、その点、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 先ほどからもるるこのお話が出ておりまして、三菱の例がたくさん出ました。
 私は、こういうところでこのように三菱のリコール隠しというものが議題にされること自体が、三菱自動車の生命にかかわるぐらいな大変なことである、自分たちのしたことの余りの重さというものは、今もずっしり彼らは感じているであろうと思っております。
 また、そのことによってということではありませんけれども、今、役所の対応が遅きに失したのではないかというお話もございましたけれども、先ほども私、阿久津議員にお答え申しましたように、私どもも、権限がもちろんあるんですけれども、会社ぐるみで行ったということに関しては、我々がそれを見抜けなかったということに関しては大変申しわけないということも先ほど申しました。
 けれども、今回は、社会的な制裁のみならず、改正後、今申しましたように罰則規定というものが大変強化された。虚偽報告だけでも、罰金が今まで二十万円以下であったものが、これが三百万円以下。そして、法人に関しては、二十万以下だったものが二億円以下というふうに、先ほども私申しましたように、罰則が厳しくなったから、これによってみんなびっくりしてやめるというのじゃなくて、会社の存立にかかわる、企業の生命が奪われるということで、こんなに国民からの厳しい審判が下る会社というものも大変、今まで会社をつくった意味がなくなっちゃいますから。今、瀬古議員が御指摘のように、社名変更しなきゃいけないというぐらいなダメージを受けるということは、私は、自分たちの犯した罪については重々感じていると思いますし、多くの株主に違反行為であるということを認識させて、そして必ず是正すると信じております。
瀬古委員 私は、今回法律で、リコール隠しなどに重い罰金刑なり、そういうことになるということは賛成なんですが、では、それだけで本当にそれに恐れをなして、といって、その内容も、今のメーカーからいうと、本当に恐れをなすようなものかというと疑問には思うんですが、それでリコール隠しはなくなるかというと、そうではないという点も具体的な事例でお話ししたいと思うんですね。
 今回は三菱の例でありますけれども、幾つかのメーカーもリコール隠しをやってきた。それから、今のこのコストダウンの競争の中で、またそういうことが生み出されかねない。そういう点で、私は国土交通省の姿勢というのは大変大事だと思っているんですね。
 そこで、具体的な事例で伺いたいんですが、ことし一月横浜市で、三菱自動車のトレーラーがタイヤ脱落で歩行中の主婦を直撃して死亡させております。メーカーは、これは欠陥としてでなく整備不良として今取り扱っているんですね。
 しかし、大型車のタイヤが、車輪を車軸に固定するハブが破損しタイヤが外れる事故というのは、三菱だけで二十五件、ハブごとの脱落というのは、大型ダンプにとどまらず観光バスに至るまで発生しているんです。タイヤの脱落事故というのは、三菱だけでなくて他のメーカーでも二十一件起きております。しかし、ハブによる脱落というのは三菱だけなんですね。
 そして、メーカーは無償点検を行っているけれども、ベテランの整備士らは、本当に整備不良が直接の原因とは思えない、このような疑念も表明されています。
 国交省は、この事件を契機に、三菱自動車にこの大型タイヤの脱落事故についての立入調査を行いましたか。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、本年一月の十日に発生しました三菱の自動車のタイヤの脱落事故につきましては、ハブが破損してタイヤが脱落したものでございますけれども、この原因につきましては、現在神奈川県警において調査中でございます。
 国土交通省といたしましては、安全確保の観点から、同月の十六日、その原因究明及び早急な再発防止策を講ずるよう、当該車両の製作者であります三菱自動車に指示をいたしまして、同社からは、同月二十二日、ホイールナット締めつけ不良等整備不良によってハブが摩耗し、ハブの破損に至るとの報告があり、その結果を踏まえて、同社では、同種のハブを装着している大型車全部を対象としてハブの無償点検を行って、一定以上ハブが摩耗しているものについては交換する対策を講じているところでございます。
 本事案におきましては、ホイールの取りつけ等の際、ホイールナットなどの締めつけが適正な方法で行われ、かつ適切な点検整備がなされていればハブの異常摩耗が生じないと考えられること、また、実際に調査した結果におきましても、そのような実態であることから、設計または製作の過程に原因があるというふうに判断するのは困難でございまして、現時点ではリコールには該当しないというふうに判断しております。
 したがいまして、本事案に関して、現在までのところ立入検査は行ってございません。
瀬古委員 今答えられたように、神奈川県警自身は、整備不良だけでなく、ハブの強度や材質、製造方法などにふぐあいがあった可能性もある、このように見て、これは欠陥の可能性があるということで、警察庁の科学警察研究所に鑑定を依頼しているんです。欠陥があるかどうかまだ決まっていないんですよね。今調査中で、大体一年ぐらいかかると言っているんです、はっきり結論が出るのに。ですから、当然こういう事故があった場合はリコールの対象になるような欠陥車であるかもしれないということがあるわけですね。
 そういう点では、何でここに出かけていって立ち入りやらないんですか。メーカーからこれは整備不良ですよなんて聞いただけで、整備不良ですといって国土交通省はこんな重大な問題を何で断定できるんですか。実際に現地へ行ってクレーム台帳、ほかに三菱のタイヤ脱落事故が起こっていないのかどうかとか、実際には三菱がこっそりと設計変更をやっていないのかどうかというのは、現地に行かなきゃわからないでしょう。それを見ないで、どうして国土交通省は、これは単なる整備不良の問題だなんて、結論を勝手につけられるんですか。はっきりしてください。
洞政府参考人 私どもは、立入調査はやっておりませんが、本事案が発生したこと、しかも、これが三菱自動車に集中しているということを非常に重く受けとめまして、発生直後から、立入検査はしていませんが、三菱自動車等、その実態等あるいは苦情等、過去の事例等それから構造等々について細かく、本省に呼んでいろいろな調査等を行っております。
 そしてまた、点検の結果もその過程過程において報告を受けております。その結果といたしまして、きちっと点検を行っている大型自動車については、そういう摩耗というのは起こっておりません。
 ただ、はっきり言って、ほかの自動車についてどうかという実態がはっきりいたしませんけれども、そういう事例が起こっていないということは、総体的なアセスメントではございませんけれども、ほかの車と比べてどうかということについては、比較というのは推測できるところでございますけれども、だからといって、直ちに、これが製造上のあるいは設計上のミスで、そして同一型式においてこれがずっと定性的に摩耗が発生するというものではないということがはっきりしている以上、ここは今の段階でリコールの対象であるというのを断定するのはなかなか難しいと思います。
 もちろん、神奈川県警の鑑定の結果が出た時点で新たな問題点が出てきました場合には、必要に応じて必要な対応をとりたいと思っています。
瀬古委員 あなたたちは欠陥車でないと断定しているんですよ、はっきり言って。三菱自動車に出した通知がございますけれども、今局長が言ったように、本件に関して、自主点検を実施する旨報告を受けているが、再発防止するためにいろいろ点検をやりなさい、そしてそういう点検をやった内容を報告して、そしてユーザーなどにも徹底しなさい、こういう程度で、この事故は欠陥ではありません、整備不良なんだということをわざわざ三菱自動車にお墨つきを上げて、こうして通知をしているわけですね。
 大臣、私ぜひ聞いていただきたいんですが、死亡事故まで起きているわけですよ。そして、警察自身が、これは欠陥車の可能性があると。なぜなら、同じ事故でも三菱以外は起こしていないわけです。だから、三菱だけがなぜこういう事故が起きるのかというのは、当然欠陥車の可能性というのは随分私は高いと思うんですね。
 そうすれば、当然国土交通省としては、現地に行って、一体設計がどうなっているのかとか、そして全国から今クレームがどのようにこういう問題について出ているのかというのは調べるのが当たり前だと思うんですね。それを、会社から来てもらってそれを聞くだけで、それで通知まで出して、そしてこれが欠陥車だと断定できないといって、もう大丈夫ですよと安全宣言をさせる。
 三菱は今ずっと、それこそリコールではなくて、順次取りかえていっているわけですね。こんなのだったら、何か公然と、リコールといいますか、こういうことを許すことになるんじゃないか。はっきりとリコールですと言わないけれども、これは整備不良ですよと言いながら、どんどん部品をかえて、そして国土交通省がそれにお墨つきを与える。
 死亡事故まで起きているんですから、これはもっと真剣にちゃんと立ち入りもしてやらなきゃならないと思うんですけれども、大臣、どうでしょう。
扇国務大臣 瀬古議員の御指摘になったこともよくわかりますし、また、死亡された方の方から見れば、なぜという疑問が残っていると思います。
 きょうもこのリコールの話で随分お話が出ましたけれども、国土交通省としましては、事故発生のたびに立入検査するわけにいきません、正直申し上げて。そういう意味で、検査体制というものを強化しようということで、人員をわずかですけれども、十名から十九名にリコール担当官というものを増員することによって、立入検査の強化を図っていきたい。
 そういうこともいたしておりますし、また、立入検査につきましては、御存じのとおり、メーカーに寄せられましたクレーム情報、これは大変たくさんあるというのは御存じのとおりでございますので、そういうことについても、この処理の体制とかあるいは処理の内容が適切であるかどうかも含めて、私どもは、その員によって確実に点検し、なおかつそれを整理して、するべきことはする、その姿勢にはいささかの後退もございませんし、むしろそれを積極的に取り入れていきたいと思っております。
 今の三菱の事案につきましては、これは今も先生御指摘になりましたように、まだ警察の方で検査中ということでございますので、それぞれの結果を待って、より適切な方法をとるべきであるということが判明いたしましたときには、私どもとしても、これは後手ではなくて、その事故の正確性を期するという意味で、その結果を待ってもう一度考えるということも必要であろうと思います。今申しました立入検査員あるいは国のリコールの担当官をふやしましたので、これも含めて検討すると思っております。
瀬古委員 私は、立ち入りをやって全部チェックせよとは言っていないんです。少なくとも重大な事故が起きたときには、それはもう直ちに立ち入って、そして、設計の変更がないのか、ほかから同じような、本当にこのケースの場合は三菱の車しか起きていない事故ですから、当然欠陥が考えられるわけですよ。それを行きたくないというのは、何か行きたくない理由があるのかしらと思ってしまうわけですね。
 そういう意味では、今大臣が言われたんですが、確かに警察の結果というのもあるんですが、本来でいうと国土交通省が、その車の車輪の脱落はどうして起きるのかということだってみずから検査しなきゃならないと思うんですね。
 ところが、残念ながら今の国土交通省の体制は、車の検査一つとってもメーカーにお願いするみたいな形になって、全然信頼性がないわけですね。
 そういう点では、やはり人をふやしていただいて体制をつくるということも必要ですし、同時に、そういう重大な事故が起きた場合にはやはり独自に検査をしていただく、こういう体制も必要ですし、そして今回のこの死亡事故については、私は、警察結果を待たずして、やはり独自で、やはり自分の目でちゃんと三菱に入っていただきたいと思うんですが、その点いかがでしょう。
扇国務大臣 国土交通省が向こうを呼んで事情を聞いて何もしなかったわけではございませんで、国土交通省は、車輪の脱落事故の防止の徹底についてということで、関係団体、地方運輸局、これらすべてに四月の二十六日に通達も出しましたし、また、車輪の脱落事故防止の徹底についてということで、これも四月に、関係のところ全部に国土交通省の通達というものも出しております。
 ですから、これは当たり前のことをしただけですから、一々これをしたあれをしたと私どもが自慢するわけでもございませんし、当然の措置として国土交通省としては対処しておりますし、総点検するべきであるというこの徹底も図っております。(瀬古委員「入っていただけますか、再度三菱に、この問題で」と呼ぶ)これは、警察の結果がわかってから再度検討いたします。
瀬古委員 今の問題でも、いろいろ通達を出すにも、どういう立場で出すのかによって違うわけですよ。私がさっき言ったように、これは欠陥車ではありません、こう言って、整備不良が問題ですというので出すのか、欠陥車の疑いありというふうに出すのか、そういうふうに立場が違うわけですね。
 今回の場合はもう、欠陥車ではございません、あくまでも整備不良ですと、メーカーの言うままに出しているから、何度通達出したって、会議やったって問題だと言っているんです。本当に欠陥でないのかどうかということを調べないでやるなんということは私はあってはならないと思うんです。こんなことをやったら本当にメーカーは大喜びで、幾ら欠陥が出ても、今までは隠してやってきたけれども、これからは堂々と、国土交通省のお墨つきをもらってリコールができるんだ、こんなことがあってはならないと思うんです。
 もう一点、私、国土交通省の姿勢について伺いたいんです。AT車、オートマチック車の暴走事故の問題を取り上げたいと思うんですが、今このオートマチック車の暴走事故というのはあちこちで起きております。
 今皆さんのお手元にお配りしました自動車のふぐあい情報というのは、国土交通省がホームページとしてつくられて、そしてこの中で特にAT車の暴走事故について載せられているものなんですね。私は、先ほどもお話がありましたように、国土交通省がこういうふぐあい情報を堂々と発表するというのは、これは大変積極的だと思っています。
 ただ、若干気になるのは、幾ら申し出があっても、「内容については国土交通省では責任を負いかねます。」というふうにわざわざただし書きがついている。いや、私は全部持てと言っているわけじゃないんです。しかし、少なくともここに出てくる重要な問題については一定、責任を持たなきゃいかぬのですね。
 特にオートマチック車の暴走事故については、メーカーは、一切運転者、ユーザーの責任だということを言っています。しかし、ユーザーの責任でこれだけたくさんの暴走事故が起きるはずないんですね。実際には、これを見てみても、駐車場で一たん停止して再度車両を前進しようとしたとき、いきなり暴走、ブレーキペダルを踏んだがとまらず、三十メートル先の樹木をなぎ倒して二メートルほどの土手の下に転落したとか、走行中にアクセルペダルが戻らず事故を起こしたとか、いっぱい出てきています。
 しかし、これは全部本人の、運転者の責任ということで切り捨てていいものなのかどうか。もちろん運転者のミスもあるかもしれない、しかし、これだけの情報が送られて、相変わらず国土交通省は責任を負いかねますなんと言って、一体オートマチック車の暴走について調査や研究なんかをしないのかという問題なんですよね。
 私は、メーカーは全部本人の責任だと言っていますけれども、そんなことはないと思うんです。これを見てみても、何か怪しいなというものがあるわけです。そうすれば、怪しいかどうかというのは当然調査もしなきゃならぬのですね。本当にメーカーのところに行って、ちゃんとそのクレーム情報がどのように入っているのかということも、この国土交通省のホームページだけじゃなくて、メーカーのところに行って調べなきゃなりません。そして、本当にメーカーはこっそりと設計変更していないのかと。今までは国土交通省もメーカーを信じていらっしゃったけれども、これだけクレーム隠しが起こった以上は、やはり大丈夫かという目で見てもらわなきゃならないと思うんですね。
 メーカー自身もこの問題を取り上げているわけですけれども、全体には、メーカーはこのオートマチック車の暴走事故はどのように把握しているんでしょうか。つかんでいますか、国土交通省は。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、オートマチック車のクレーム情報というのは非常に多うございまして、各メーカー等から調査報告を受けておりますけれども、平成十二年度は約六百件ほどの報告を受けております。
 それから、先生今提出されております、国土交通省に寄せられて、ホームページ上でふぐあい情報を公開しておりますけれども、平成十三年四月一日から十月三十一日までの七カ月間において四十一件ございます。
 それで、オートマチック車につきましては、先生も御存じのとおり、国土交通省は、昭和五十九年以降、各メーカーに対してすべての案件についての報告を求めると同時に、昭和六十二年から平成元年にかけて、交通安全公害研究所において総合的な調査研究を行うなど徹底的な原因究明に取り組んできました。
 その結果でございますけれども、AT車の構造装置面については安全性が確認されていますけれども、その使用や整備の状況によるふぐあいの発生が皆無とは言えないことから、メーカー側におきましては、その信頼性等を向上するためのいろいろな工夫、対策というのがとられているところでございます。
 要は、先ほどの問題もそうなんですが、リコールということになると、その型式についてはほっておけばその問題が必ず発生してくるというようなものと、あとは、個別の車に欠陥があって問題が生じてくる、オートマチック車についてもいろいろな苦情が出ていますけれども、この型式について必ずこういうやつが出てくるという定性的なものかどうかというのをどう判断するかというのは非常に難しいわけでございます。
 だから、先ほどの三菱の事件につきましても、これをリコールと判断すべき、あるいはすべきでないというところになると、先ほど言いましたように、きちっと整備点検が行われていればそういう摩耗は生じないという事例がかなりの部分、かなりでもないですが、相当の部分はあるわけですから、それでもってこの型式はリコールであると断定するのはなかなか難しい。
 ただ、整備の問題といって、それをほっておいて、ユーザー側に責任を押しつけて、メーカーは何も知らぬというのでは、メーカー側の責任を果たしたことになりませんから、今回の事案におきましても、三菱に対しては、特にこの問題は、三菱だけについて車輪の脱輪というのは起こっているわけですから、その点検の仕方あるいは整備の方法等について特に徹底しろと、また、車検場においても、三菱の車にはこういうことの問題が生じている可能性があるから、三菱の車が来たときにはぴしっとその辺の注意喚起をしろということを徹底しているところでございます。
 そういう意味で、三菱のそういう点検整備の励行についてのユーザーに対する啓発指導が十分であったかどうかというのは非常に問題があるところだと私どもは認識しております。
瀬古委員 あなたのようなやり方だったら、もうリコールなんて金輪際出てきませんよ、よっぽどか内部告発がない限り。
 これだっていろいろ苦情が出ていて、メーカーは、これは全部本人の責任だと言っている。そして、あなたも同じように、これは構造上は全く問題ないといって……。調査も、今は体制も十分じゃないでしょう、国土交通省は。自分でAT車を動かして、本当に大丈夫かどうかの調査なんかしたことないでしょう。AT車の暴走事故について、具体的にメーカーのところに行って、そのふぐあい情報がどのように入っているのか、どのように設計変更がされたのか、されていないのか、個別に調査もしたんですか。していなくて、どうして構造上の問題でないなんて言えるんですか。
 今、ユーザーの皆さんから、これは構造上問題があるんじゃないか、調べてほしいといって、実はこれは八王子の岩瀬さんという方なんですが、トヨタクレスタの車は、何度もブレーキを踏んだが、エンジンは高回転で、時速最高百キロで、一つの踏切と二つの信号を突破してようやくとまった、幸い深夜だったので命拾いとなった、販売店も問題のある車だと認めながら、トヨタはその欠陥を一切認めない。
 その他、外国のボルボ車の暴走など、運転者が悪いといった不誠実なメーカーの対応にもう困り果てて、ユーザーの皆さんが国土交通大臣あてに、立入調査の実施、原因究明をやってほしいと正面から国土交通省に申し出ているわけです。この処理、どうなっていますか。ちゃんと調査されたんですか。
洞政府参考人 私どもは、個々のクレーム情報を受けるたびに、それぞれの情報についてそれぞれのメーカーに、問い合わせ等、調査等、聴取して、その対応状況等をちゃんと聞いております。(瀬古委員「立ち入りしたんですか」と呼ぶ)立ち入りはしていません。
 それから、今のクレスタの件につきましては、事故車のトヨタ側の調査というものをこのユーザーの方はまだ拒否をされておりまして、トヨタ側は、この事故車について、実際に行ってその原因等を調べる状況にはなっておりませんという状況でございます。
瀬古委員 これだけいろいろ問題が起きて、何とか入って調査してほしいというのに、立入調査もやらないで、そして問題ないと言って、メーカーと同じようなことを言っている。こんなことで本当に自動車の安全性というのは確保できるんだろうか。
 そして、先ほど、ユーザーは車の調査を拒否していると。何で拒否しているのかというのははっきりしていますよ。持っていくところがメーカーだからなんですよ。自分の車がふぐあいだといって調べてくれと言ったら、メーカーに持っていってくださいと言うんでしょう、あなたたち。そうしたら、ユーザーは、自分の車が問題だというのに、メーカーに持っていきたくないわけですよ。メーカーは全然問題ないと言っているのに、こそっと部品をかえられたらたまらないと。国土交通省自身で調査してほしいと言っているのに、あなたたちは相変わらず、メーカーに持っていってくださいと言っているだけだと。こんなやり方では、私は、本当に車の安全性というのは保たれないと思うんです。
 もう時間がありません。今、御存じのように、確かに今回のリコール隠しでそれなりのペナルティーを受けた業者もありますが、今、自動車メーカー全体では、トヨタを初め空前のもうけになっています。そういう陰に、ユーザーのこうした安全性の問題、それから、労働者の労働の実態、下請の犠牲、いろいろな問題が起きています。私は、ぜひ大企業の責任としてきちっと社会的な責任を果たさせる、こういう国土交通省の体制、検査体制などをしっかりするということをしないと、いつまでもメーカーの言うなり、こういうのでは、私は大問題と思います。ぜひこの点での改善を要望いたしまして、私の質問といたします。
 ありがとうございました。
久保委員長 保坂展人君。
保坂委員 社会民主党の保坂展人です。
 きょうは道路運送車両法の改正案の中で、まず私は、不正改造の禁止ということがここにうたわれたことは大変いいことだと。ただ、これが本当に魂がここにこもってくるのかどうかがとても問題だと思います。
 国土交通省の方に伺いますが、この不正改造のチェックポイントといいましょうか、どういった点を主にチェックするということで提出されているのか、簡潔にお願いをしたいと思います。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、不正改造問題というのが今大きな社会問題になっております。
 不正改造車、いろいろな不正改造がございますけれども、着色フィルムを運転席あるいは助手席のサイドのミラーに張って、視界がよく見えないというようなものから、車高を非常に低くして、そうすると、踏切なんかを走ると底がすり減って、あるいはまたいでしまって身動きがとれなくなったり、あるいは逆に、車高を非常に高くしていくと、これも視界がとれなくなって事故の原因になったり、車体をはみ出すような大きなタイヤをつけて、そして安全性に問題があったり、あるいは、マフラーを外して騒音等の環境問題を引き起こすとか、いろいろな不正改造が起こりますけれども、ここは、街頭検査等をやって、整備命令を出して、直しなさいといろいろ指導をしても、もともと悪意を持ってといいますか、意図的にやっているわけですから、そういう指導といいますか措置がなかなか徹底されないということで、これについては幅広く禁止をするという禁止措置を新たに設けると同時に、是正措置の、きちっとそれを徹底させるための措置を設けた、こういうことでございます。
保坂委員 今の局長の答弁を確認すると、要するに、不正マフラーなどで騒音を大きく出す、あるいは車高を極端に上げたり、それからシャコタンというんでしょうか、うんと下げてしまったり、あるいは車体からはみ出す幅広タイヤというのは何となくイメージできないんですが、これから取り上げる事案でおわかりだと思います。それから着色フィルム、そういうことが不正改造のチェックポイントとなっていると。
 扇大臣も覚えておられると思うんですが、実は一年前にこの問題を取り上げました。改造RV車。この事故の犠牲になったのは、当時の運輸省の、日本で初めての女性航海士ということで、船乗りの教育に当たっていたという、それから、アメリカに帆船の乗組員として乗ってこれから出ていこうという、希望にあふれたときに、オートバイでこの事故に遭った。
 しかも、この写真でおわかりのように、運転席に乗ると、前方は二メートル先まで見えません。横は一メートルまで見えないんですね。目黒通りの紀ノ国屋というスーパーがありますが、そこを信号待ちしているところを後ろからどつかれて、どうも三回続けてひかれるという悲惨な事故でございます。
 藤原裕喜子さんとおっしゃいますけれども。この事故なども、今回の改正案の一つの動機になったに違いないというふうに思うわけです。しかし、昨日御連絡をとって、きょうも御遺族にも来ていただいていますけれども、今、どのような経過をたどっているのかと聞いてみると、一応ここで検証しておきたいことが幾つか出てまいりました。
 まず、警察庁に伺いたいんですが、この事故車両、写真に写っている事故車両に、いわば違法改造というか、そういう違反があったのかどうか、御存じでしょうか。
属政府参考人 平成十一年の九月二十日に世田谷区内で発生したRV車による交通事故の関係だと思いますけれども、被疑者が運転しておりました車両は、通称トヨタランドクルーザーでありますけれども、全長が四百八十・五センチのところを、改造後は四百八十三センチ、幅につきましては、百七十九センチのところを二百十四センチ、また高さにつきましては、百九十三・五センチのところを二百六十五センチということで、高さは相当大幅な改造をしているといったような状況だったと聞いております。(保坂委員「違法だったかどうか」と呼ぶ)
 この辺については、一応車検はクリアしていたというふうに承知をしております。
保坂委員 私、これは実は、衆議院の法務委員会そして国土交通委員会で、こんなものが車検を通るのかという驚きの声を上げながら、議事録があるんですが、やはり通るんですね、これ。通るという答弁を二回、国土交通省からいただいているんですよ。
 そして、刑事裁判では、これは平成十二年の十月三十日ですが、小泉正三裁判長、東京の刑事十二部ですが、結局、本件の自動車の改造については、自動車検査に適合したものであって、違法な改造でなくという事実認定までされているんですね、裁判所が。これが違法じゃないということを、御両親はやはり納得できないという思いがあるわけですね。これが本当に検査に合格するんだろうか。改正案じゃないですよ。現行の保安基準にこれが適合するのかどうか、これはどうでしたでしょうか。国土交通省、新しい事実、わかってきたでしょうか。
 国土交通省は、昨年も一昨年も、このような車がパスをするんですかという私の質問に対して、この車は検査で合格をしておりますというふうに答えています。昨年は、こういう車の改造が車検をパスしてしまうところに根本的な問題があるんじゃないかということに対して、道路運送車両の保安基準、ミラーをつけるということで対応していきたい、こういう答えだったんですね。それ以外に何かありますか。
洞政府参考人 確かに、車検上は基準をクリアしていたということで、これはパスしております。
 それで、平成十一年九月に発生した車高を上げた改造車による死亡事故や、RV車等の死角による幼児の死亡事故というのは非常にあるわけでして、大変痛ましい事故でございまして、国土交通省は、その防止に必要な運転視界を確保するための基準について検討を進めてまいりました。先生先ほど言いましたように、二メーター先が見えないというふうな。
 具体的には、改造車やRV車を含む車高が高い車両について、運転者が車両の付近にいる幼児等を容易に確認できる視界を確保する基準案を作成して、昨年の六月の、先生御質問があったあの時点で、自動車安全シンポジウムにおいて公表して、パブリックコメント等をやったということで、これは新型車については、ミラーをつけさせるということで措置をしようということにしております。
 それに加えて、今回、今回といいますか……(保坂委員「それは後で聞きます。ちょっと順番があります」と呼ぶ)いいですか。
保坂委員 ちょっと、それは最後に聞きたかったんですね。今回考えておられるらしいのですが。もう少し国土交通省、準備してくださいね、質疑のやりとり。
 実は、御両親は、何だったんだろうかということで、弁護人を通して、東弁の会長を通して、平成十三年の八月に、これは関東運輸局の東京陸運支局長さんに向けて照会申し出書というのを出しているんですね。これは本日見せていただいて、私、驚いたんですね。
 この照会の事項は、こういうことですよ。要するに、この車両は保安基準違反にならないんですか、改めて聞きたいということなんです。それについて、関東運輸局の東京陸運支局長は、ヘッドライトの取りつけ位置は保安基準に不適合であると答えているでしょう。不適合である。これは、基準は一・二メートル、実際にこの車は一・六メートル。それから、タイヤがフェンダーよりも外側にはみ出している場合は保安基準に不適合であるとも答えています。したがって、この車両がこのまま車検場に持ち込まれた場合はどうなりますかという問いに対しては、「保安基準に不適合であり、検査には合格しない。」と答えているんですよ。今までの国土交通省の答弁と違う、実際に現場でやってもらうと。
 しかも、この車の問題点を指摘してもらうと、やはりヘッドライトの位置が、一・六メートルと高いということに加えて、側面ガラスに例の着色フィルムが張ってある、それから車のはみ出しもあるから、さっき局長が答えた四つのうちの三つまで満たしているわけです。こういうふうに答えていると御承知ですか。
 そのくらいは用意して、局長に見せてあげなきゃだめですよ。正式に照会しているんですから。
洞政府参考人 先生、申しわけございません。そこの内容を事前に勉強していません。
 こういう不正改造車というのは、車検のときにはクリアするんです。それで、車検をクリアした後、着色フィルムをつける、あるいは車高もぐっと上げる、それから、フェンダーミラーをと、そういうのが多いんですよ。
保坂委員 そんなこと言わないでくださいよ。こういう車がパスするんですかと聞いてきたんだから、今のところ車検ではパスしちゃうんですよと答えてきたんだから、それはやはり違うと言ってくださいよ。現場の支局長が違うと言っているんですよ。どうですか。
洞政府参考人 パスいたしません。
保坂委員 あっさりでしたね。そうなると、この裁判の判決も、誤った情報で下されたんじゃないかというおそれも出てくるんですね。
 そこで、そういったことを踏まえて、もう一度警察庁に伺いますが、保安基準から見て、該当車はやはり違反車じゃないか。これは世田谷区の玉川署なんですが、玉川署はどのような確認をしていたのか。着色フィルムなどは張られていたのか。この点は今わかりますか。資料がなくてわからないなら、それでしようがないのですけれども。
属政府参考人 現在、手元に資料等がございませんので、現時点ではちょっとはっきり申し上げられません。
保坂委員 国土交通省の現場の陸運局の方はちゃんと答えてくれた。ほぼ同時に、やはり弁護人を通して玉川署に、私が今聞いた点なんですが、これは違反車両でしたか、保安基準に合致していましたかとか、フィルムはどうでしたかとかいうふうに、弁護士会を通して照会状というのを出しているんですね。それを心待ちにしておったわけです、御両親は。驚いたと言うんですね。昨年の十一月二十九日、回答書というのですが、「貴意には沿い兼ねます。」、あなたの意には沿いかねます。つまり、情報はゼロですよ。
 これはいかがなものかというので、警視総監に手紙を書かれたそうです、野田警視総監に。手紙を一部紹介しますと、陸運支局に再確認したところ、保安基準に違反していることがわかったと。なおかつ、玉川署より持ち込まれた加害車に対して、保安基準に抵触している箇所を指摘した検査票を捜査官に交付していたことも判明したというんですね。つまり、違反車両だったということがわかったわけです、捜査現場で。にもかかわらず、貴意に沿いかねるということは、疑わしきをただし、真実を追求するべき立場の警察署が、何か事実を認めないまま隠ぺいをするんじゃないか、こういう疑いさえ持ちたくなりますと。月に何回か事故現場に花を供えに訪れるたびに、だれもが一見して自分の身を守ることは不可能だと確信するような車に、つまりこういった違法改造車、三度も追突され轢殺されたのに、その加害車が違法車であったと認定されず、これは民事訴訟においては、むしろ旧運輸省の指導教官だった娘さんの方が過失率六割という主張を受けているんですね。娘の悲鳴が聞こえてくるようですという手紙を書かれている。
 この警視総監への手紙に対しては、簡単なお手紙が来ているんですね、ことしの一月です。これは玉川署の署長から来ているんですが、これは全く逆なんですね。保安基準にこの車は適合していると判断していますと。これは、今の流れを見ると、明らかにこの遺族から見ておかしいというふうに思うんですね。
 ぜひ事実を検証してきちっと調べていただけませんか。局長、いかがですか。
属政府参考人 事件そのものについては業務上過失致死事件として起訴されまして、既に判決も下されておるというふうに承知をしています。
 ただ、今お話しのような具体的な事実関係等については、きょう私初めてお聞きしたわけで、詳しいことは承知しておりません。今後また調べてみたいというふうに思います。
保坂委員 きょうは法務副大臣にも来ていただきました。
 私ども、法務委員会の方で、三年ほど前でしょうかね、片山隼君の交通事故をめぐって。当時の法務省も検察の現場も大転換をしまして。今まで被害者の方には情報を開示しないのは当たり前という姿勢があった。やはり被害者の方が、失ってしまった家族がどのような状況で亡くなったのか、それを捜査情報という形でなるべく開示してほしい、こういう取り組みを法務省自身もされてきたと思いますし、警察庁も挙げてやってきていると思うんですね。しかし、なおこういう課題があるということを踏まえて、ぜひこれは積極的に推進していただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
横内副大臣 ただいまこの新聞を読んでおりまして、大変に痛ましい事故でお嬢さんを亡くされた被害者の御遺族の皆さんに、心からお悔やみを申し上げたいと思います。
 個別のこの事件の捜査の状況とか証拠の状況なんかについては、プライバシーの問題もありますからお答えできないわけでありますが、一般論としまして、この事故が起こった状況の全体を検察当局としては総合的に判断をして、適切な処分をしているというふうに承知をしております。
 なお、委員が御指摘になりましたように、三年前でしたか、片山隼さんの事件をきっかけにして、検察としてはできるだけ御遺族に対しては状況は御説明をするようにしております。事件の状況、とりわけ、検察がどういう判断をして、どういう求刑をしたのか、それから裁判でどういうようなやりとりがあったのか、そして控訴は、どういう判断で控訴をしたのか、しないのか、その辺については被害者と御遺族には十分御説明をするようにしておりまして、既にこの件について御家族、御遺族には一回説明をする機会があったというふうに聞いておりますが、さらに今後も説明をさせていただく機会があるというふうに承知をしておりますので、この点は十分懇切に、できるだけの御説明はさせていただきたい、検察としてはそういう対応をするというふうに承知をしております。
保坂委員 ちょっとこれは違法改造という問題から少し離れますけれども、先日やらせていただいた三角停止板の話の続きをちょっと深めさせていただきたいと思います。
 扇大臣が乗っていらっしゃる車、トランクをあけるとそのまま三角停止板が出てくるということですね。しかし、それではだめなんだというお話が事務方からありましたよね。そのことを大臣自身もそこで知るということだったんですが、私、議事録をもう一回読み返してみると、国土交通省の方、これまた変わらないと思うんですけれども。
 なぜこの問題を問題にしているかというと、三苫剛嗣さんという方が慶応大学の三年生で亡くなっているんですけれども、結局亡くなった後で過失を問われるんですね。つまり、高速道路上で三角停止板を出さなかったという過失があるということを指摘される。息子さんを亡くされてただでさえ痛ましいのに、その一分もしないうちに三角停止板が出せるのかどうかということも含めて、これは大きくまじめに議論をしなければいけない問題だということを、これも何度も指摘をしてきました。
 そこで、この三角停止板について、扇大臣が乗っておられるような車をそれでいいと。実際に出るわけですからね、トランクを開けば。そのあたりの姿勢はどうですか、国土交通省は。やはりだめだということでしょうか。
属政府参考人 いわゆる三角表示板の表示につきましては、道路交通法施行令におきまして、後方から進行してくる自動車の運転者に見やすい位置に置いておくなどというふうにされております。
 今お話がありましたように、後部のトランクをあけると自動的に三角表示板が出るという件についてでありますけれども、このような三角表示板の表示の仕方につきましては、自動車の停車位置、これは必ずしもその車線にきちんと沿った形で停車する場合だけじゃありません。トランクが逆向きにとまるといったようなケースも間々あるわけです。
 そういったようなことで、自動車の停車位置とか、また後部のトランクのあきぐあい等に左右されまして、三角表示板が必ずしも後方から進行してくる自動車の運転者が見やすい位置に置かれているとは認められない場合もいろいろあろうというふうに認識をしております。
 また、最近の欧米車の中には、後部のトランクをあけると、今先生が言われましたように、トランクの扉の内側に三角表示板が取りつけられたものがあるということは承知をしております。が、これは三角表示板を収納するためのものでありまして、この取扱書にもいろいろ書いてありますけれども、三角表示板はそれを取り外して道路上に置くというようなことになっていると承知をしております。
保坂委員 ちょっと、実物を持ってきてみたんですが、実験してよろしいでしょうか。もしよろしかったら扇大臣、組み立ててみてください。私は二つ持ってきたので、どちらでもいいんですが。よろしければ実演というか、実験をしてみていただきたいんです。――簡単に組み立てられるようになっているんですね。ほかの方でも結構です。(発言する者あり)
久保委員長 現物を提示することについては私が先ほど許可しました。
保坂委員 簡単だけれども、やったことがないとなかなかてこずるんですね、どうやるのかなと。これを高速道路上で――これはなかなかできないですね。(発言する者あり)いや、つまり、練習してきては意味がなくて、二十年、三十年車に乗ってきてもなかなか、そっちだったらできるんですけれども。
 ちょっと、では後にしましょうかね。なかなかできなかったということで。演技ではありません、全く。
 結局、これはトランクの中に入っています。トランクの中に入っていて、レジャーに出たりとかあるいは帰省だったりとか、いろいろトランクの中に物がいっぱい入っているというときに、これを取り出して、またこれを組み立てて、そしてまた持っていくというのは、これはなかなか時間がかかります。相当の時間がかかる場合もあるのですね。
 したがって、私が前から言っているのは、簡単にこれを取り出して組み立てられる場所もあるでしょう、しかしそうじゃない状況も、特に高速道路上なんかそうですから。これは法令では、当該自動車がその他の理由により停止しているものであることを表示しなければならないとあって、結局そういう三角形のものにするというのは規則ですね。これについては、もっとよりよいものを開発するべきだし、これ以外のものを使うと違反になるとか過失を問われるということはちょっと硬直した考え方ではないかということを指摘しますが、いかがですか、警察庁。
属政府参考人 御指摘のいわゆる三角表示板ですけれども、故障その他の理由により高速自動車国道等の本線車道等に停止せざるを得ない場合に表示が義務づけられておりますけれども、警察庁としては、道路交通法施行規則におきまして、三角表示板以外に停止表示灯という停止表示器材についても認めております。
 また、現在の停止表示器材にかわるものとしてよりよい適切な器材が開発される場合には、国民の負担等も配慮しながら、国土交通省とも連携しながら、導入することはやぶさかではないというふうに考えております。
保坂委員 では、扇大臣に伺います。
 この三角停止板について、前回もやりとりさせていただいたのですけれども、今警察庁からの答弁は、国民の負担も考えながら国土交通省と連携してやっていきますということなんですけれども、これは二年間、毎回変わっていないのです。これで三回目、同じ答弁をいただいたのですけれども。
 高速道路には、電光掲示板で、三角停止板を用意しましょうという呼びかけがあるのですね。高速道路で緊急事態でとまってしまったときに、これらの停止板を出せるような状況じゃない場合がある、そのときに、例えば別の手段で危機をあらわすということを、しっかり取り組んでいただきたいと思うのですね。これは国土交通省の側の仕事でもありますから、いかがでしょうか。
扇国務大臣 まず、保坂議員に申し上げたいと思います。
 先ほどから藤原裕喜子さんのお話が出ました。これは、国土交通省に聞いていただくのも情けないといいますか、国土交通省にとっては大変大事な人材でございます。しかも、初めての女性の二等航海士が誕生したわけでございますから、そういう意味では、私たちに御質問いただくときには、本当は、思い入れをしては、公平でなければいけないんですけれども、特に国土交通省にとっては、最初の女性二等航海士、免許を持った有能な女性を亡くしたということは、我々にとっても本当に残念至極でございますので、御遺族のお気持ちは本当にいかばかりかとお察し申し上げ、また御冥福もお祈りしたいところでございます。
 二度と事故を起こさないという意味では、今の保坂議員の三角板の話もございますけれども、私、四十数年優良運転免許者でございます。警視総監賞だけもらっていませんけれども、あらゆる賞をいただいています。それはそういう運動にかかわっていたからなんですけれども。
 三角板ができるまでは、高速道路であればまず発炎筒を投げること。発炎筒を車の後ろに投げることで、何かがあるなと、みんなよけてくれます。ですから、そういう意味では、三角板を組み立てる間は、まず発炎筒をつけて、それを後ろへ投げる。持っていって置かなくても、自分で投げればいいんですから。そうしますと、大体のところはよけてくれます。その間に三角板を設置すればいいのです。私のはうまく外れるようになっていました。私は、あけただけでいいんだと思っていましたけれども、これは外れて下に置けるようになっているというのもわかりました。
 まずは、組み立てるまでに発炎筒をたくということで。高速道路を走っていても、ごらんになったことはあると思いますけれども。何が起こるかわかりませんので、まずは身を守るために発炎筒を、これは別にどうということはありません、安いものでございますので、まずそれを設置した上で三角板を立てるという二段階方式をしていただくことが保身のためには一番大事なことだと思っております。
 何よりも、車というものは凶器になり得る。自分で事故を起こさないということが第一だと思いますけれども、こういう悲しい話題を多く委員会でしなければいけない時代を、なるべく避けて、私たちもできる限りの安全を期していきたいと思っております。
保坂委員 それでは、警察庁に伺いますけれども、今扇大臣がおっしゃるとおりだとは思います。ただ、状況によっては三角停止板が出せない。だって、けがをしていたりする場合もありますし、あるいは後ろのトランクが荷物でぎっしりだという場合もある。
 発炎筒とおっしゃいましたけれども、夜間、光を放つ、あれはマグネシウム灯というのですか、光って燃えるものがありますね、ああいうものを例えば三角停止板にかわって路上に、ここに車があるよということでほうり投げるとか、そうやって危険を報知するというようなことは、これはいいのかどうか。
 そして、今扇大臣は発炎筒と言われましたけれども、発炎筒で対応するということはどうなのか。
 いかがですか。
属政府参考人 故障等の緊急時の措置、あるいは交通事故の措置ですけれども、そういうような場合に、三角表示板をきちんと置くまでの間にどうするかという問題は確かにあると思います。
 先ほど扇大臣が答弁されましたように、発炎筒をたくというのも非常に有効な手段だと思います。また、そういうもの以外に、そういうような緊急時において何らかの方法をドライバーが自分の判断でやったというような場合には、それをもって違反だとかなんとか問擬する必要はないというふうに私は感じております。
保坂委員 実は、教則本などに紹介をされていて、私もほとんど知らなかったのですが、点滅表示灯というのも一応使っていいということになっているそうなんですね。
 この、ついに組み立てられなかった、もうちょっと練習してくればよかったですけれども、三角停止板以外に、点滅表示灯というのは、だれでも使えるのでしょうか。余り見たことがないのですけれども、どういうわけなんでしょうか、警察の方で。
属政府参考人 これにつきましては、道路交通法施行規則で規定がありまして、灯火式の停止表示器材ということで認めております。具体的には、点滅式のものであること、夜間、路面上に設置した場合に二百メートルの距離から点灯を容易に確認できるものであることということであります。
 これにつきましては、障害のある方なんかが一々外に出てそういうものを後ろに置くことがなかなか困難な場合もあるというようなことから、そういう灯火方式のものを例えば車の見えやすい位置にすぐ置けるというような形でやることも必要だということで認められたものであります。
保坂委員 ということは、障害のある方でなかなか外でこれを組み立てられないという場合に、点滅灯というのを車上につけることを認めているということですけれども、要は、危険だということを示せばいいわけなんですよ。
 だから、規則とかを大幅に緩和して、トランクもそれからボンネットの上にもつけて、ひっくり返るかもしれないですから、前も後ろも夜間でもわかるようにして、こういうことで対応できるでしょう。それが生命財産を守るということになりませんか。警察庁、どうですか。三角じゃなければ全部違反だみたいな考え方は、もう、ちょっと時代に合わないんじゃないか。三角停止板もいいけれどもほかの手段もどんどん使う、こういうふうに考えられませんか。
属政府参考人 繰り返しになって恐縮ですけれども、三角表示板を使用していただく、そしてまた停止表示灯を停止表示器材として認めているということについては、繰り返し申し上げているところであります。それ以外にさらにいいものがあれば、これにつきましては先ほども申し上げましたけれども、国民の負担等も考慮しながら、国土交通省とも連携しながら、導入することを検討したいというふうに思います。
 ただ、今のところ三角表示板を上回る器材が新たに開発されたというふうには承知をしておりませんので、今後とも、そういった器材の開発動向を踏まえながら対応していきたいというふうに思います。
保坂委員 扇大臣、今のは、結局は、障害のある方はこうやって上に紫のサイレンみたいなものをつけて危険を示す、こういう話なんですね。それは、いろいろな手段をちゃんとルール化して、事故の状況というのはわからないわけですから、硬直した発想ではなく安全を図っていただきたいし、努力していただきたいと思うんですね、国土交通省としても。いかがですか。
扇国務大臣 これは私の、自分のことから考えましても、まず自分が車を買ったときから、自己防衛をどうなすべきかということ。自分は人に危害を与えない、そのかわり自分も与えられないということを考えますと、助手席の足元にも懐中電灯をつけるところがあります。今、懐中電灯で、上は電気がつくけれども真ん中が赤というのもあるんです。いろいろなものがありますから、そこに置くだけでもいいんです。そうしたら、体が御不自由な方でも、それをつけて窓から出すだけでもこれはサインが行きます。そういうふうに、これは規則でなくても、自分が三角板を設置するまでの時間にこれがあるという。私はいつも言うんです、何かがあったときには、自助、自分で自分を助ける、そして共助、ともに助け、最後が公助だ、公に助ける。三段階あると思うんです。
 ですから、私は、すべてのことがそうなんですけれども、車も、今何か三角板を置くことが基本だとおっしゃっていますけれども、三角板を置く前に死んじゃっちゃ意味ないんですから。そういう意味で、いろいろなものを自分で考えて、まずそれをしてから、最後は時間があれば三角板を立てればいいんですけれども、その前に、まず第一段階では、自助の努力というものは、運転手も両方相まって考えていくべきだと思いますし、法的にも、余り縛って、これを置くまでは認めないなんということはないように、また、今も認めないことはないと言っていますから。いろいろなことを開発してくださる方があると思いますので、私はどんどん開発していっていただきたい、また、それを取り入れていくのも新たな考え方だと思っています。
保坂委員 高速道路で自動車事故でとまってしまった息子さんが、後ろから猛スピードで来た車に衝突をされて亡くなった。息子さんは帰ってこない。しかし、その後の過程で、三角停止板を置かないといういわば、つまり過失があるじゃないかというようなことで、二重に苦しいわけですね。御遺族の方は、相当いろいろ調べられて、それにかわる安全基準をと、例えば発炎筒も、助手席にあるんじゃなくて、運転席の方にあって、すぐに出せるというようなことも大事ではないかという提案もされています。
 それから、夜間の場合、今懐中電灯とも言われましたけれども、マグネシウムで燃えるような、これは道路公団などが使っているんでしょうけれども。
 三角停止板にこんなにこだわってやっているのは、結局これをやらないとだめだという仕組みになっていて、事故がいざあったときにこの停止板を、しかも扇大臣の車のようにトランクではだめで、路上に置かなければならないというような、そういう狭い限定はやはりやめていただきたいということを申し上げたいと思います。
 一点だけ三菱のことを、指摘するだけになるかもしれませんけれども、私も三菱のデリカワゴンという車、四WDの車に乗っている友人がおりまして、その友人が車のタイヤを二輪、後輪だけでしょうか、履きかえたそうです。家族連れで高速を走っていたら、エンジンルームから出火したんですね、もこもこもこと煙が出てきて。これはびっくりして、何だということで調べてみたら、ちゃんとマニュアルに書いていますと言うんですね。同じタイヤをつけないと、いわゆる車のタイヤの差で摩擦熱が出て、煙が出る。あるいは、炎上しちゃったのもある、丸焼けになったのもあるみたいですね。これはどうかというので国土交通省に、注意というんですかね、いろいろお調べ願って、一応その通達みたいなのは出してもらっているんですが、衆議院の自動車部の皆さんも、車のプロですけれども、そんな話、聞いたことないというふうにおっしゃっていました。
 車というものは、やはり安全を乗せるもので、タイヤを前輪だけ二つ、後輪だけ二つかえたら炎上するかもしれない、そんなことはちょっと想像外なんで。リコールの中でこれも省かれていますよ、こういうものも。ですから、これは安全ということにかけて重大なことだという指摘だけして、これは一例じゃありません、幾つもそういう例があるんで、指摘だけさせていただいて、ちょっとこの議論を終わらせていただきたいと思います。ありがとうございました。
久保委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
久保委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 道路運送車両法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
久保委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
久保委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
    ―――――――――――――
久保委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時三十八分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.