衆議院

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第11号 平成15年3月25日(火曜日)

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平成十五年三月二十五日(火曜日)
    午前九時十分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    小里 貞利君
      倉田 雅年君    実川 幸夫君
      砂田 圭佑君    高木  毅君
      谷田 武彦君    中本 太衛君
      西田  司君    西野あきら君
      林  幹雄君    原田 義昭君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      山本 明彦君    山本 公一君
      阿久津幸彦君    岩國 哲人君
      大谷 信盛君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      伴野  豊君    前原 誠司君
      高木 陽介君    土田 龍司君
      大森  猛君    瀬古由起子君
      原  陽子君    松浪健四郎君
      後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   参考人
   (道路関係四公団民営化推
   進委員会委員長代理)   田中 一昭君
   参考人
   (創価大学経済学部教授) 岡野 行秀君
   参考人
   (道路関係四公団民営化推
   進委員会委員)      川本 裕子君
   参考人
   (有料道路研究センター代
   表)           織方 弘道君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月二十五日
 辞任         補欠選任
  松野 博一君     山本 明彦君
  鉢呂 吉雄君     前原 誠司君
  二階 俊博君     松浪健四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  山本 明彦君     松野 博一君
  前原 誠司君     鉢呂 吉雄君
  松浪健四郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
三月二十五日
 千曲川上流ダム建設計画撤回に関する請願(岩崎忠夫君紹介)(第一〇三二号)
 同(小坂憲次君紹介)(第一〇三三号)
 同(村井仁君紹介)(第一〇三四号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案(内閣提出第一七号)
 高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案及び高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 本日は、両案審査のため、参考人として、道路関係四公団民営化推進委員会委員長代理田中一昭君、創価大学経済学部教授岡野行秀君、道路関係四公団民営化推進委員会委員川本裕子君及び有料道路研究センター代表織方弘道君、以上四名の方々に御出席をいただいております。
 この際、参考人の方々に一言ごあいさつを申し上げます。
 本日は、御多用中のところ本委員会に御出席をいただきまして、まことにありがとうございます。両案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。
 議事の順序でございますが、田中参考人、岡野参考人、川本参考人、織方参考人の順で、それぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。
 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。
 なお、参考人及び質疑者におかれましては、御発言の際は着席のままで結構でございます。
 それでは、まず田中参考人にお願いいたします。
田中参考人 道路関係四公団民営化推進委員会委員長代理を仰せつかっている拓殖大学教授の田中でございます。
 本日は、国土交通委員会において発言する機会を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さて、参考人として、ただいま本委員会において審議中の本州四国連絡橋公団債務軽減特別措置法案及び高速自動車国道法、沖縄振興特別措置法の一部改正法案について意見を申し上げるわけでありますが、この二法案とも、私どもの委員会が昨年十二月六日、小泉純一郎内閣総理大臣に提出した意見書に基づく政府の措置であると受けとめており、その素早い対応をまずもって高く評価するとともに、国会における早速の御審議を大変ありがたく思っております。
 さて、事柄の性格上、私は、委員長代理としての立場から、第一に私どもの委員会の審議経過について、第二に意見書のポイントについて、第三にその意見書に対する政府の対応ぶりと政府に対する期待について、最後に本委員会において審議しておられる二法案に対する所見を述べさせていただきたいと存じます。
 第一、道路関係四公団民営化推進委員会の審議経過についてであります。
 御存じのとおり、平成十四年六月二十四日、第一回委員会が開催されましたが、その際、会議は原則公開とされ、議事録もインターネットでアクセスすることができます。委員会は、毎週二回、三時間ないし四時間コースで開催され、八月には二度の集中審議を行いました。その結果、八月三十日、第十五回委員会において中間整理を行い、十二月六日、第三十五回委員会において意見書を取りまとめ、小泉総理に提出いたしました。
 審議の模様は、御存じのとおり、委員は七人とも、基本的な考え方から具体的な改善策まで、それぞれ意見が違い、議論百出ではありましたが、大方は、多数意見には反対ではあっても歩み寄る努力をし、あるいは審議を進めるため衆寡敵せずということで妥協し、一つ一つ意見集約を図ってまいりました。
 しかしながら、多くの点で意見集約を図りながらも、最後の二週間、新規建設のあり方など基本的な論点をめぐってどうにも歩み寄りがかなわず、最後の手段として、民主主義の原則に立ち、委員会設置法施行令に基づき、多数決によって最終的な意見を決めざるを得ませんでした。
 今井敬委員長が、多数決により決めるということは委員長としての方針が信任されなかったということであり、職務を全うできなかったとして委員長を辞任されたことは、まことに残念なことでありました。
 とはいえ、意見書の考えは、今時点で考え得る最良の改革案であると考えております。
 第二に、意見書の概要について御説明します。
 ポイントは、以下の七点に集約できます。
 第一点は、債務返済を「民営化の基本方針」の冒頭に掲げ、新会社と保有・債務返済機構を設けることとしたことです。
 機構は、四公団に係る道路資産及びその長期債務を一括承継し、債務を返済します。新会社による道路資産買い取りにより、機構は解散します。
 新会社は、高速道路の運営、管理、建設等を行います。当初は政府が全株保有する特殊会社としてスタートいたします。機構から道路資産を借り受け、長期定額、元利均等返済をベースに算定した貸付料を支払います。発足後十年を目途に道路資産を買い取り、早期上場を目指します。
 第二点は、地域分割です。日本道路公団を三分割するなどして五つの地域に分割します。
 第三点は、通行料金の引き下げです。弾力的な引き下げ策を講じ、平均一割の引き下げを民営化と同時に実施すべきとしております。
 第四点は、今後の道路建設についてです。
 まず、新会社発足までの間、公団は、委員会基準に基づく個別路線の優先順位に従い、重点的に予算配分を行うべきとしております。新会社は、新規建設の参画について自主的に決定いたします。新会社の採算を超える建設は、国、地方等の費用負担を前提とした合併方式など、新方式で対応すべきとしております。大事なことは、新会社への機構からの支出や財投借り入れなどは行わないということであります。
 第五点は、ファミリー企業の改革と徹底したコスト削減です。
 第六点は、本州四国連絡橋公団の債務処理です。後で説明いたします。
 最後に、今直ちに取り組むべき措置として、現行の建設計画を見直すこと、重点的な予算配分を行うこと、現首脳陣にかわり複数の民間企業経験者を登用すること、コスト削減計画を作成することなどを提言しております。
 第三、意見書に対する政府の対応ぶりと政府に対する期待についてであります。
 小泉総理は、十二月十日、意見書提出後の最初の閣議において、まず、七人の委員の方々の熱意と御尽力に敬意と感謝を申し上げるべきものと考えているとし、最終的な意見の取りまとめに当たっては、幾つかの点で意見の対立が解けず、委員長が辞任するなど残念な面もあったところであるが、これまでの審議により、同委員会は、債務の確実な返済、建設コストの削減、ファミリー企業のあり方の見直しなど、今後の改革の具体化に向けて大きな成果を上げてこられたものと認識していると委員会の成果を評価した後、今後、この意見を基本的に尊重するとの方針のもと、これまでの同委員会の成果を踏まえつつ、審議経過や意見の内容を十分精査し、必要に応じ与党とも協議しながら、政府としての改革の具体化に責任を持って取り組んでいきたいと考えていると御発言なさいました。
 一週間後の十二月十七日、今読み上げた後段の部分、今後の方針のところが、そのままの文言で閣議決定されました。これには心底驚いた次第であります。長年行政改革に携わり、この種の閣議決定が判で押したように、政府は、答申を最大限尊重するという言葉になじんできた者としては耳を疑いました。基本的に尊重するとか与党とも協議するということは当然のことであって、言わずもがなのことであります。改革の具体化に当たって、意見書の趣旨、内容が十分生かされることを心から願っております。我が委員会としても、改革の着実な具体化に向けて、監視活動をしっかりやっていきたいと考えております。
 第四、最後ですが、ただいま本委員会において審議しておられる二法案について所見を申し上げます。
 まず、本州四国連絡橋公団債務軽減特別措置法案についてでありますが、意見書では、道路料金、国、地方の出資及び債務切り離しによる本四連絡道路の料金の大幅値下げと債務の適切な処理を進めるとし、「債務の切り離しの財源は、国の道路特定財源とする。債務の切り離しについては、次の五カ年計画の期間内において早期に処理することとし、その額については二〇〇三年度予算編成過程において、政府において適切に決定する。」と言っております。
 これを受けて、本四公団の債務のうち、総額一・三四兆円を道路特定財源により処理することとされたところであり、その処理のため、平成十五年度政府予算案において約二千二百四十五億円計上されたものと理解しております。
 本委員会で審議中のこの法律案は、その法的根拠を与えるためのものであり、この点についての政府の対応を評価しております。ただ、本四の債務処理については、関係地方公共団体を含めた責任の追及がなお必要なのではないかと考えております。
 次に、高速自動車国道法、沖縄振興特別措置法の一部改正法案についてであります。
 既に申し上げたとおり、今後の道路建設について、意見書は、新会社の採算を超える建設投資は、合併施行方式等、国、地方公共団体等の費用負担を前提にした新たな制度により対応することとするとしており、平成十五年度政府予算案における直轄方式による予算措置、そのための法的措置としての本法律案は、意見書に対する政府の対応の一つとして受けとめております。
 ただ、新会社の採算を超えるかどうかの判断をだれがどのように行うのか、また、新会社の採算を超える場合にも、単に直轄方式だけではなく、合併施行方式の選択も考えられるところであり、その場合の会社との協議手続、各種の選択肢の判断基準、判断要件等の整理が必要になるのではないかと考えております。
 以上、簡単でございますが、私の意見陳述とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)
河合委員長 ありがとうございました。
 次に、岡野参考人にお願いいたします。
岡野参考人 私の見解は、きょうお配りしました一枚のレジュメと、それから、以前書きました「「天下の公道」を「私」すべからず」という題のペーパーと、日本交通政策研究会という私たちが勉強しているところで、藤井彌太郎氏それから杉山雅洋氏と三人で、長らく有料道路の問題に携わってきた者として、この際、説明する責任があるんじゃないかというので書いたものでございまして、詳しくはこれを読んでいただければ一番いいと思います。
 したがって、ここでは、今当面のこの法案について意見を述べたいと思います。
 まず、本四公団の債務の軽減措置についてでありますが、平成十三年度の収入が八百四十三億円で、管理費二百四十九億円を五百九十四億円超過していますが、必要な利払い千二百五十億円を賄えず、当期損失が六百五十五億円に上る状態で、このままですと負債の増大が避けられないわけであります。
 経営悪化の原因はいろいろありますけれども、何といっても一番大きいのが経済環境の変化で、景気が低迷し、低成長が続いています。特に関西は、東日本に比べますと失業の率も高いようでございますし、デフレ経済の影響が一層強くなっているようです。それから、国際的にはグローバル化で、工場の海外への立地が非常に進みまして、産業の空洞化が起きております。四国の工場立地件数は、この橋のせいかどうかははっきりわかりませんけれども、全国の伸び率に比べますと、四国の方が高くなっている。しかし、いずれにしても状態がよくないということであります。
 私も、本四公団ができてから、最初のこの橋のころから一緒に勉強してきました。石油ショックの前に我々が計算したときには、三橋でプールして、その場合でも瀬戸大橋は乗用車千九百円で大丈夫だという計算ができていたわけですが、残念ながら、本四架橋の場合には大変不幸でありまして、まず、我々は確かに利用交通量の予測を誤ったということは間違いありません。しかし、これもほとんどが経済環境の見通しの誤りであります。
 それから、一部は、最初のときもそうだったんですが、最近また出てきたようですが、対抗交通機関のフェリーが運賃を値下げしている。しかも、フェリーの場合には過積みがオーケーですので、過積みができない本四架橋はますます敬遠されるということがございます。
 あとは、不幸であったということは、そこの二番目に書きました、高かった建設コストであります。ちょうど第一次石油ショックのあおりを食いまして、一九七三年十一月、起工式の五日前に急遽建設が中止になりました。起工しなかった。したがって、本四公団の場合には、すべてを石油ショック後の狂乱物価の後で建設しなきゃならなかったというので、建設費が非常に高くついた。したがって、そういう意味では、ほかの公団に比べますと、わずかであってもインフレ利得的な資産が全く存在していない。ですから、瀬戸大橋一本でも早く完成していれば、もう少し状況は違ったというふうに思います。
 こういう状況で、今経営状態が非常に悪いわけでありますから、今回法案で提案されていることにつきまして、私は原案に賛成でございます。
 年利払いを年間の収入マイナス管理費で支払える範囲内に縮小させないと収れんしていかないわけでありますから、これはやる必要がある。建設費というのは、もう既に建設してしまったわけですから、これは有名なハロルド・ホテリングという人の埋没費用に当たるわけでありまして、理論の点からいいますと、こういう場合には埋没費用を除いた費用を料金の対象にすべきだ、フォーゴーン・イズ・フォーゴーン、過去のことは過去のことというんですが、そうもいきません。したがって、すべて埋没費用として扱うわけにはできませんで、資源配分に中立的な、できるだけ他のものに影響を与えないような財源を使う、そして、これを埋めて負担の、負債の増大を避けるというのは賢明な策だと思います。
 この場合には道路特定財源を使うわけですから、道路内部の予算配分には多少影響があるかもしれませんが、他への影響は少ないわけであります。
 それから、問題点としましては、第一が、有利子負債約三・五五兆円、平成十四年度末であるわけでありますが、約一・三四兆円の処理で金額的に十分かということであります。今のところの計算ではこれでやっていけるというはずでありますけれども、これは大丈夫かというのが一つの問題です。
 それから二番目は、改編後の道路公団の内部補助による場合には、所得再分配の地域的な考慮が必要である。例えば、道路公団を新しくなったときには分割する。その場合には西に入るのか、それとも全体で見るのか。要するに、道路公団の収入でこれを見ようという考え方もあるわけでありますが、その場合には、所得再分配の影響、地域的な考慮が必要になります。
 それから三番目が、国と地方の出資延長と料金引き下げの収入への影響の考慮が重要である。今のところ、地方の出資を得た場合に料金を引き下げるということになっておりますが、御存じのように、本州四国連絡橋の需要は、料金非弾力的であります。料金の弾力性は小さいわけでありますから、したがって、値下げをすると収入にも影響があります。したがって、収入に対する影響を考えないと、また一・三四兆円面倒を見るだけで済まないということになりかねないので、この点の注意が必要だと思います。
 それから二番目が、国費による高速道路の整備であります。
 第一に、道路公団の従来の、一部出資金がございますが、すべて借金で建設していくということについてはもう既に限界がありまして、これは私も道路審議会のメンバーとして携わっています。だんだん新しく取り組んでいかなきゃならないときに、そろそろ、これでは今までの道路公団の方式でできないなということは、その当時の委員はみんな大体わかっております。
 そこで、まず出てきましたのは、資金コスト三%路線というのが出てきました。横断道の場合には資金コスト三%ですから、それ以上のものについては政府が面倒を見る、こういう利子補給の制度ができましたのは、まさにその象徴であったわけであります。当時、既に事実上、一部ですが合併施行等が行われておりました。国費による高規格道路、国道の自専道の建設がある程度実際には行われていたわけであります。
 問題の本質は、国費で無料の道路を建設するのか、それとも道路公団に補助をして安い料金にさせるのか。今のところは二分法になっておりまして、国が国道としてつくれば無料であり、道路公団がつくれば有料。料金につきましても、道路公団の場合には、かかった費用を全部、用地費まで含めて回収するという料金で、その中間はありません。こういう二分法であるので、したがって、国がつくったものについては料金は取れないということになっています。
 この点は、私は本当は問題だろうというふうに思います。どっちがつくろうと、国が無料でつくるかわりに、これを国がつくっても多少維持管理費ぐらい取るというやり方もありますし、道路公団の方に補助を出して、そのかわり、例えば用地費を出して、そして料金を安くさせるというのもあり得るわけでありまして、したがって、この二分法については今既に問題が来ていたというふうに考えます。
 原案については、賛成であります。
 高速道路ネットワークの未完成区間が九千三百四十二キロの一部残っております。私は、最後の国幹道審議会のメンバーとしてコミットしておりますから、これはぜひやっていただかないと困るというふうに思います。したがって、残っているものに、一部の整備に充てるということについては賛成であります。ただ、九千三百四十二キロの一部とそれから三・一兆円のこの組み合わせについて、金額と整備規模の問題が残ると思います。それから、別のことですが、多様な料金の異なる有料道路があってもいいのではないかというふうに考えております。これは、今すぐに関係してくることではございません。
 基本的には、道路アプローチ、国がこういう道路の体系が、ネットワークが必要であるということを考えてつくるわけでありますから、既定のネットワークの完成は、私は不可欠だと思います。
 ただし、路線採択の基準の問題につきましても、もう少し考える必要があると思いますが、そもそも、やはり民間がやる場合と、それから少なくとも公共部門がやるときには、採択の基準が違っております。民間の場合には、そこに書きましたように、収益性が基準でありまして、利益から、利益というのは生産者余剰に当たるわけですが、生産者余剰対コストで考えます。公的なものがやる場合には、これは総余剰で、生産者余剰プラス消費者余剰対コストで考えますので、効果分析といっても、その効果の概念が違うわけであります。
 私は、やはり後者でいくべきである、その場合に国が国費を使うということは当然出てこなければならない問題であって、今回の措置については賛成したいと考えております。
 以上でございます。(拍手)
河合委員長 ありがとうございました。
 次に、川本参考人にお願いいたします。
川本参考人 道路関係四公団民営化推進委員会の委員を務めさせていただいております川本裕子でございます。
 本日は、参考人として国土交通委員会に出席する機会をいただきまして、ありがとうございます。大変光栄に存じます。
 本日は、本委員会で御審議をされておられます二法案、本州四国連絡橋公団債務軽減特別措置法案及び高速自動車国道法、沖縄振興特別措置法の一部改正法案に関連しまして、民営化推進委員会の意見書及び同委員会での議論の経験に基づき、私の意見を述べさせていただきたいと存じます。
 まず、道路関係四公団民営化の意義と目的について申し上げたいと思います。
 委員会意見書でも述べられているところでありますが、民営化のそもそもの目的は、郵貯など国民の金融資産からの借り入れにより、返済見込みの低い、採算性の低い道路建設を続けている特殊法人事業の抜本的改革であります。今のままの事業形態で道路関係公団が高速道路建設を続ける限り、将来の国民負担が膨れ上がるおそれが極めて強く、一刻も早く自立した効率的な事業形態に移行することが現世代の責任ではないかと考えた次第であります。
 委員会での議論を通じまして、私は、現行の公団方式の建設は限界に来ているということを痛感いたしました。委員会の意見書では、「料金のプール制と財投資金等の借入・償還を前提に新規路線を建設する現行公団方式は、もはや限界」と、これまでのルールの変更をうたっております。
 具体的に申しますと、四公団合わせて四十兆円という巨額の借金を負っており、金利支払いだけでも年間一兆円を超え、四公団の事業収入に比して非常に大きな数字となっております。さらに、公団から提出された収支の見通しなどを拝見いたしますと、今後予定されている建設には採算の合うものが非常に少ないということが明らかになり、新規建設を行えば行うほど、公団の財務体質は悪化するということがわかりました。
 また、これまでの四公団は、組織としての自主的な意思決定を行わず、経営責任が不明確な状態にあったということが言えます。
 本日の御審議の対象である二法案は、民営化推進委員会が意見を取りまとめた公団事業民営化の一環として実施される措置であると理解しております。
 五つの新会社と保有・債務返済機構(仮称)の設立を可能とする法案の早期立案、コスト削減や企業会計原則に基づく財務状況の把握などにつきましても、本委員会の委員の方々その他政府関係者の皆様方におかれましては、二法案と並行して早急に作業を進めていただきますよう、切にお願い申し上げる次第でございます。
 次に、本四公団の債務処理について述べさせていただきます。
 本四公団の財務の現状から、委員会が最低限の債務処理の必要性を感じるに至った経緯を御報告いたします。
 衆議院調査局国土交通調査室の法案の資料にもございますとおり、本四公団は、平成十三年度を見ますと、料金等の収入が八百四十三億円、管理費などの費用が二百四十九億円、支払い金利が千二百五十億円という、実に収入の約一・五倍もの金利を毎年支払わねばならない状況にあります。このように明らかに赤字、しかもキャッシュフローがマイナスという状態のため、毎年キャッシュが不足し、その分債務が拡大しているという状況です。
 行政コスト計算書上、赤字を計上している公団はほかにもありますが、償却前赤字という状態にあるのは本四公団のみとなっております。また、本四公団は既に予定の建設を終了しているため、今後の収入の大きな改善も見込めない状況にあります。しかも、行政コスト計算書によれば、資産額が三・五兆円、負債が約四・二兆円、出資金が約〇・八兆円と、負債が資産額を上回っている状況にあります。
 このままでは、本四公団の債務は新会社発足以前にどんどん拡大してしまう状況にありますため、委員会としましては、早期に一定の債務の処理をすべきではないかという結論に至ったわけであります。
 債務の処理とあわせ、委員会では、さまざまな本四公団の債務の返済方法についても検討いたしました。
 まず、これまでどおり、料金収入からの返済を可能な限り行います。同時に、民営化に伴う経営効率化の努力が期待されます。また、現在も行われている国、地方からの出資を継続し、この出資金による債務の返済も考えました。意見書では、現行よりも十五年程度の出資の延長を答申しております。
 国民負担は最小限とするのが委員会の原則でございます。本四公団のように毎年債務が拡大する場合には、可能な限り新会社を含めて関係各団体の負担を求めた上で、残る債務を早急に処理することが、将来も含めての国民負担を最小にする方法ではないかと考えた次第であります。
 次に、本日の高速自動車国道法、沖縄振興特別措置法の一部改正法案の審議に関連いたしまして、今後の有料道路建設について、委員会の意見書の考え方を述べさせていただきたいと存じます。
 民営化推進委員会といたしましては、これ以上借金による建設を行うこと、新会社を自主的な投資判断のできない状態に置くことは容認できない、公団を民営化する場合、新会社が建設に参画するかどうかは新会社の自主的な経営判断であるべきであるという考えに至りました。
 同時に、意見書では、「新会社の採算を超える部分について、その財源は国及び地方公共団体が負担する。」としておりますとおり、新会社が参画しない建設は税金によって行うべきだと述べております。
 税金による建設の場合には、具体的には合併施行方式などの形を例示して、財政負担を受けながら、新会社が事業に参画することも考えております。
 新会社が参画する部分というのは、民間企業の行動原理からして、基本的には、投資を回収できる、採算性の合うものであろうと思います。国が必要だと判断しながらも、新会社が参画しない道路については、借金による建設は限界であるという現状認識から、税金を財源として建設するのが筋であろうと考えております。
 また、これは確認になりますが、民営化推進委員会の意見書では、建設自体についてではなく、借金による建設という財源問題について、「全く新しい仕組みを構築し、その下で当事者間の負担のルールを定めることが必要である。」としているものです。
 民営化推進委員会は、今後の高速道路建設について、建設そのものを否定しているわけでは決してございません。むしろ、社会的に必要な道路が建設されるということは当然であると考えております。
 最後に、繰り返しになりますが、もう一度申し上げておきたいことがございます。
 今回の本州四国連絡橋公団の債務の処理、そして道路建設の新しい仕組みの構築、このどちらも、現在の公団が抱える債務の返済を滞りなく行い、民営化による効率化という大目的のための措置の一つであります。この大目的が達成されますよう、意見書の内容の確実な実施をぜひお願いしたいということでございます。
 五つの新会社や保有・債務返済機構の設立に必要な法的措置は直ちに立案していただきたいと思います。
 また、公団の経営の効率化のために直ちに取り組むべき措置として提言している新会社発足までの間の高速自動車国道等建設の計画見直し、道路関係四公団の現首脳陣にかわり企業経営について豊かな経験と知見を有する複数の民間人の登用、コスト削減計画の作成、入札資格要件の撤廃の四つの具体的な措置を挙げております。このほか、企業会計原則に基づく財務状況の把握についても早急な対応をお願いしたいと存じます。
 以上で陳述を終わります。どうもありがとうございました。(拍手)
河合委員長 ありがとうございました。
 次に、織方参考人にお願いいたします。
織方参考人 織方でございます。
 三十年ほど道路公団に勤めた後、今評判の悪いいわゆる関連企業に十年ほど勤めました。二年ほど前から、道路利用者の視点に立って有料道路問題を考えようということで、有料道路研究センターの活動を始めておるものでございます。
 本日提案をされております最初の本四公団の負担軽減に関する法案でございますが、これについては、次の二つの理由から反対でございます。
 第一に、本四公団の経営が破綻していることは明らかでありますが、しかし、本四公団がどうしてこのような危機的な状況に陥ることに至ったのか、その原因と責任を明確にしないまま救済策を講ずることは、現在の有料道路制度に内在する構造的欠陥がそのまま温存され、将来に禍根を残すことになると考えるからであります。
 第二に、現在の本四公団の収支状況から見ますと、現在実施しようとしている一・三兆円程度の債務の切り離しでは抜本的な問題の解決にはならないと考えるからであります。
 十三年度の本四の収入八百五十億円に対しまして、管理費は二百五十億円、民間企業仮定の損益計算書による減価償却費が五百四十億円でございますから、合わせて支出は約八百億円になるということを考えなければいけません。そういたしますと、金利負担の余力はほとんど残されていないわけでありまして、したがって、少なくとも三兆円以上の軽減策を講じない限り、自立可能な抜本的な経営改善にはなり得ないと考えるからでございます。
 現在、本四公団を含め道路四公団の資産、負債を一括して保有機構に移す案が検討されております。この案は、いわば四公団をどんぶり勘定にして、道路公団の黒字で本四の赤字も埋めようというのが基本的な発想ではないかと理解しておりますが、道路公団自体の経営実態すら明確になっていない現時点で、余りにも安易な救済策であると言わざるを得ないわけであります。
 それでは、どうすればよいのかという対案について御説明をいたします。
 冒頭申し上げましたとおり、本四公団は既に破綻しているわけでありますから、一刻も早く民間企業の破産処理に準じて思い切った債務の処理を行い、有料道路として運営可能な額まで負債を軽減した上で、新しい経営主体に引き継ぐべきであると考えております。
 新しい経営主体については、民間企業も含め、幾つかの選択肢があると思います。本四、三ルート一体とする必要はなく、例えば、しまなみ海道については広島、愛媛両県の道路公社に引き継ぐなどということも考えられます。このルートの中間部分は、歩行者、自転車、耕運機なども通る島民の生活道路でございますから、高速道路と一体として取り扱うことはどだい無理があり、早い機会に無料開放することが望ましいと考えております。
 新しい経営主体の決定に時間がかかるようであれば、破綻処理を早急に行うために、暫時、道路公団への仮預けということも可能であろうと考えております。
 次に、直轄高速道路に関する法案についてでございますが、この法案についても反対でございます。理由を四つ書いてございます。
 第一に、民営化委員会の審議の中で、採算性だけでなく、費用対効果に加え、住民生活や地域経済への効果にも配慮して高速道路建設の優先順位を決めることになっておりますが、その具体案ができたとは聞いておりませんし、まして、最終的に新会社がどこまで建設できるかは、これは新会社が自主的に判断すべきことでありますから、現時点では新規建設区間は全くわからないと言っていい状況でございます。
 このような段階で直轄の高速道路の建設を始めますとすれば、これは、採算性、費用対効果、外部効果のいずれの点でも、はしにも棒にもかからない区間から着工されることになる危険性が非常に高いということが危惧されるわけでございます。
 これは、必要性の乏しい道路の建設にブレーキをかけようという行政改革そもそもの理念に著しく反することでございます。
 第二に、直轄で建設された高速道路は、無料道路として国が直接管理する方針だと伺っておりますが、従来から、高速道路は一般道路に比べて格段に高い交通サービスを提供するものであり、有料道路の通行料金は鉄道の特急料金に相当するものだという趣旨の説明が一般になされてまいりました。
 一方、高速道路は有料だという点については、幸いにも広く国民から御理解をいただいていると思う次第でございます。
 それが、同じ高速道路でも、国がつくれば無料、公団、会社がつくれば有料ということになりますと、混乱が生じますし、現在営業中の高速道路の中にも料金徴収経費さえ賄えない区間もあるわけでありますから、これらとの公平性をどう考えるのかというような矛盾が出てまいります。
 私は、有料道路制度というものは、正しく運用される限り、極めてすぐれた制度であり、正しい形で今後とも存続させることが望ましいと考えております。
 資料にIBTTAのゼア・アー・ノー・フリー・ローズという標語を引用させていただいております。世界有料道路協会というのは、世界じゅう二十六カ国の有料道路関係公団及び関連企業が参加している国際機関でございますが、これは平たく訳しますと、世の中にただの道路はない、どんな道路もだれかが何らかの形で費用を負担しているものだという趣旨でございまして、有料道路は、本来、自分が利用する道路の費用は自分が負担するという利用と負担の関係が極めて明確であるという点で、極めて合理的なシステムであるということを強調しているものであります。
 残念ながら、日本の現状では、プール制の範囲が野方図に拡大されてしまい、東名の利用者が北海道の費用を負担しているというようなことが道路公団問題の根源になっていると考えますし、こういう点を改めていくのが今回の改革の趣旨であろうと思っております。
 第三に、十年ほど前から合併施行方式による有料の自動車専用道路の建設が盛んになってきております。国が特定財源で道路の相当部分を完成させて、残りを道路公団が施行して有料道路として管理する方式でありまして、通称、薄皮まんじゅうの表面の薄い皮ということをもじりまして、薄皮有料道路と呼ばれております。既に営業中の薄皮道路で見ますと、国の負担割合は平均で六二%、一番多いところでは九八%にも達しております。
 自動車専用道路は有料にしておくことが望ましいという道路局のお考えが基本にあって、国交省が施行したものを途中から公団にバトンタッチされているということも見聞いたしております。
 もし、この方式、つまり直轄高速についても、でき上がってみたら有料道路だったという形にすることを考えておられるのであれば、最初から直接、公団、新会社に負担金を投入する制度に改める方が、事業執行の統一性、効率性の観点から望ましいと考える次第であります。
 以上のようなさまざまな点を明確にしないまま、会社が建設できそうもないからおれたちが直接やるというのは、いささか乱暴ではないかと感ずるところでございます。
 そもそも、少々言い過ぎかもしれませんが、国交省は行政官庁として政策の立案、指導監督等に専念されるのが本筋でありまして、監督の対象である公団、会社あるいは地方自治体と同じレベルで現業を持っておられること自体が、行政効率化の観点からも見直すべきではないかと考える次第であります。
 対案として、三つ書かせていただいております。
 第一は、高度成長期に策定された一万一千五百二十キロメーターの高速自動車国道計画そのものを見直し、その一部を一般国道自動車専用道路に変更すべきではないかということであります。
 第二に、従来の高速道路の整備手法では、出資金以外は全額金利のつく資金が使われてまいりました。この点を改め、有料道路として建設される場合であっても、国及び地方が費用の一部を負担する制度の改正こそが望ましいと考えます。有料道路利用者が納入しておりますガソリン税などは二重負担に相当すると思われますので、この点についても改める必要があると考えるからであります。
 最後に、薄皮有料道路ですとか、あるいは高速自動車国道に並行する自動車専用道路などという、非常にわかりにくい、複雑怪奇な建設方式の原因になっていると思われますのが、公団と道路局の現業組織の並立であると考えます。この点を改め、これを一元化することを御検討いただいたらどうかということを御提案申し上げたい次第でございます。
 このことは、行政組織の簡素化にもなりますし、また、民営会社になれば、現在の公団のような膨大な建設部隊は維持できなくなるはずでございますので、この提案は有効ではないかと考える次第でございます。
 以上で私の陳述を終わらせていただきます。(拍手)
河合委員長 ありがとうございました。
 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。松浪健四郎君。
松浪(健四郎)委員 おはようございます。保守新党の松浪健四郎でございます。
 参考人の四人の皆様には、早朝より御出席を賜りました。そして、中身のある陳述を聞かせていただきましたことに対し、御礼を申し上げたいと思います。
 私は、長い間、ペルシャ文化圏で生活をしたことがあります。こんなことわざがあります。木を植えよ、子供を産め、本を読めということわざであります。
 一木一草も生やさない、荒涼とした、広漠とした、高温乾燥の厳しい風土の地にありましては、木を植えることはできません。しかし、社会のみんなが力を合わせれば、はるかかなたを流れる大河から一本の運河を引いてくれば木を植えることができる。しかし、その運河は一人の力では掘ることができない。みんなが力を合わせなければならない。そして、水がやってくれば田畑を耕すことができるし、泥をこねれば家を建てることができる。社会が栄えていく。つまり、水を得るということは、公共のものであり、みんなが力を合わせ、それについて考えなければならないということであります。
 子供を産めというのは、言うまでもなく、私的なことでありますし、そのことにも力を入れなさい。そして、本を読めということは、知的好奇心を持たなければ豊かな心を持つことができないということを我々に教えてくれておるわけでありますけれども、今回の道路の問題を聞いておりましたときに、私は、このことわざをほうふつとさせられるわけであります。
 そこで、質問をさせていただきたいと思います。
 まず、田中参考人にお尋ねしたいと思いますけれども、本州四国連絡道路の建設に当たりましては、特別な法律を制定して、旅客船事業を営む者に対する減船など事業規模の縮小に対する支援及び離職者の再就職の促進等の特別措置が講じられてまいりました。
 民営化推進委員会の意見書によりますと、本州四国連絡道路の通行料金は、債務の処理と同時に大幅な引き下げを進める、おおむね二分の一だというふうにお聞きしておりますけれども、そうしますと、これを実行すれば、本州―四国間を連絡する旅客船需要が減少します。さらに、離職者が生じるなど、事業者及び地域経済に多大な影響を与えるものと考えられることから、関係事業者から民営化推進委員会に要望書が提出されたと聞いております。
 これを受けて、委員会ではどのような審議が行われたのかどうか、お尋ねしたいと思います。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
田中参考人 今、松浪先生のおっしゃる要望書というのは、確かに委員会に提出されました。委員会の各委員も読んでおると思います。
 ただ、その要望書自体を委員会として議論の話題にしたことはありません。それを含めて本四公団のあり方をどうするのかという議論が展開されたと記憶しております。
 おっしゃるように、そもそも、本四架橋をつくるときに、関係の法律ができまして、相応の補償が当時においては行われておりました。過去のことです。今度、確かに、料金を下げればお客が動くということはおっしゃるとおりであろうと思います。しかし、そういう変化に応じていろいろまた関係の業界が影響を受けるというようなことは、どの世界でも見られることです。ただ、これが政府の措置によってそういうことが行われるということについては相応の考え方があろうかと思いますが、正直申し上げて、その補償ということについて委員会で詳細にわたって議論されたことはありませんでしたというのが私の記憶でございます。
松浪(健四郎)委員 次に、岡野参考人にお尋ねをいたしますけれども、民営化推進委員会の地方委員会でも、都市部、地方部を問わず整備を望む声が多かったわけですね。ほとんどの知事が、自分の県ではまだまだ高速道路が不足だ、不足だと主張しておられました。
 それで、一部マスコミ等には、採算性の低い路線の建設を望むのは地方のエゴ、こう呼ぶ風潮が強くあるわけですけれども、岡野参考人はこの風潮に対してどのように思われていらっしゃいますか。
岡野参考人 お答えいたします。
 私、プール制というのも、我々がかなり関係があるわけですが、最近もちょっと、地方を見てまいりましたけれども、我々が東京で見ているのとはやはり違って、地方に行きますと、初めて、ああ、なるほど、そういう点で彼らが高速道路をつくってほしいというのはわかるんですね。ただ、あと、結局問題は、では、それをどうやってつくるかということだと思います。
 もともと、プール制にしましても、エゴというのは最近の話でありまして、ちょうどプール制導入が大体決まったころの新聞は、昭和四十年代の終わりですけれども、私とってありますけれども、社説等々を見ますと、全部、プール制賛成だ。それは、東名や名神の幹線ができて、これで初めて地方の今まで恩恵にあずかれなかったところも恩恵にあずかれる、そういう点で社説はみんな賛成しているんですね。
 ですから、そういう意味では、日本人がそのころはみんなもう少しおおらかで、困っている人といいますか、助けることについて、いいじゃないかというふうに考えていた時代。ところが、だんだん自己主義になってまいりまして、おれのところがよければもうあとはどうでもいいんだというようになってきたのが実態であります。
 したがって、その問題をどう考えるか。私は、もう少しもとへ返って、日本の国内でやるわけですから、地方の人たちでも使えるような道路をつくるべきだというふうに思っております。
 それから、もう一つ、よく間違えがちなのは、東京及び大阪、大都市で道路を見ていますと常に込んでおる、道路というのはこうやって込んで使っているのが効率がいいというような考え方の人もいるわけです。地方に行きますと確かにすいてる。極端な場合はもちろんあります。しかし、数字を調べてみると、我々の目で見える少なさ、東京と比べての少なさと、それから実際に走っている量を比べますと、目の錯覚というのは多少あると思います。意外と、このくらい走っているのかという点がございます。
 そういう点でも、高速道路というのは少なくとも適切なスピードで走れるというのが最低の条件であるわけで、込んで渋滞して動けないなんというのが高速道路とは本当は言えないわけでありますから、したがって、そういう点も考慮して地方の問題も大都市の人たちは考えるべきだというふうに私は思っております。
 以上であります。
松浪(健四郎)委員 同じ質問を織方参考人にさせていただきたいと思います。
織方参考人 道路が必要だということと有料の高速道路が必要だということとの間には、大きな開きがあると思います。
 もう一つ、県知事さんたちが声を上げて、大きくして高速道路をつくれつくれとおっしゃることの意味の中には、私の解釈では、全財源を公団が背負って仕事をやってもらえる、地元負担が何もないという点について大変魅力を感じておられて、言ってみればカモがネギをしょってくるというような受けとめ方があって要望しておられるのではないか。県民一人一人のお考えと本当に一致しているのであろうか。
 私は、有料の高速道路ではなくとも、国道バイパスでありますとか無料の自動車専用道路でありますとか、そういう道路の整備で十分に県民の交通需要は満たされるはずであるというふうに考えておりまして、そういう観点から先ほどの陳述をいたしたわけでございます。
 以上でございます。
松浪(健四郎)委員 次に、川本参考人にお尋ねしたいと思いますけれども、川本参考人も、五回にわたる地方委員会に御出席されましたね。各地の首長や経済界からさまざまな意見がそこで表明されたわけですけれども、一部の委員は、この地方委員会をガス抜きの場だ、こう称したり、意見発表者や会場を訪れた参加者たちに対して、これはサクラだと呼んだりしていたように記憶しています。このような認識は、委員会全体に共通したものとしてあったのか、あるいはその委員一人だけがそのように感じたということなのか。
 また、川本参考人自身は、地方委員会での整備を望む意見を聞いてどのように感じられたのか、その印象は意見書に十分反映されたと考えていらっしゃるのかどうか、お尋ねしたいと思います。
川本参考人 私も一日委員会には参加をさせていただきました。一日委員会におきましては、各地方の首長の方、経済界の代表の方、学識経験者の方、一般の会場参加者の方たちから、さまざまな御意見を伺いました。
 一日委員会での議論を踏まえまして、例えば、弾力的な引き下げ策を講じて、民営化と同時に通行料金の平均一割引き下げでありますとか、本州四国連絡道路の通行料金の大幅な引き下げでありますとか、新会社は今後の高速道路の建設に関し相応の役割を果たすべきであること、現行の高速道路建設方式にかわる新たな制度の検討を政府で行う際、地方公共団体の意見をお聞きするということの事項を意見書に盛り込ませていただいたところであります。
 委員会全体といたしましては、地方の方たちの意見を非常に貴重な意見として伺ったというふうに私は認識をしておりますし、一番のそもそもの問題は、日本の国民全体で、あるいは地方も含めて、この四十兆円という借金をどうやって解決していくのかということに尽きるのではないかというふうに私は存じますので、その点も踏まえて、地方の方たちあるいは都市の方たち、皆さん協力をして考えていく問題だというふうに思っております。
松浪(健四郎)委員 次に、田中参考人にお尋ねをしたいと思いますが、委員会は公開で行うということを第一回の委員会において公式に決定されたはずでありますけれども、報道によりますれば、最終的に提出された意見書の取りまとめは、非公開の会合どころか、五人の委員による秘密会で事実上進められたようですね。中村委員もこのことについて強く異議を唱えられていらっしゃいました。
 公開原則という委員会の公式決定に照らしますと、意見書取りまとめの最も重要なステップが委員会での審議ではなくて秘密会にゆだねられたという事実は、手続的に大きな問題ではないのか、私はこう思いますけれども、委員長代理はどのようにお考えでいらっしゃいますか。
田中参考人 今、松浪委員のおっしゃることは、経過的には事実でございます。
 秘密会といいますけれども、物事は公開の場で十分、どんな場合でもですよ、公開の場で議論し、また個別に一対一あるいは一対二等々でいろいろ意見交換するということはよくあることでございます。
 私たちはイロハのイから秘密会で云々したわけではございませんで、それぞれの意見を、経過を申し上げますと、松田意見というのがありましたけれども、松田意見というのは、秘密会で構成したのではなくて、もともと私どもが委員として、全体の意見をまとめようではないか。その際、松田委員に全体の今までの経過とそれぞれの主張を加味しながら、したがって松田個人の意見も抑えられる部分がございます、そういうもので意見をまとめていただいたらどうかということを、公的な場で、公開の場で申し上げてきました。
 最後の段階でなかなか、先ほども冒頭で申し上げたように、意見の歩み寄りがどうにもならない。その過程で、それぞれの意見を松田君にまとめていただこうということで私たちは意見交換をしたことでありまして、おっしゃるようなふうに受けとめられることは仕方がないことではありますが、経過はそういうことでございまして、公開の席でやったことを確認し、なお、意見の違いは調整していった。時間的なこともございまして、そういう経過をたどらざるを得なかったということでございます。
松浪(健四郎)委員 次に、新規建設について、もう一度田中参考人にお尋ねしたいと思うんですけれども、十一月の意見集約では、債務の確実な返済を確保した上での高速道路収入の一部を利用した建設とされましたが、十二月の意見書では、既存路線の通行料金収入に依存して従来どおり建設を続けようとするのは容認し得ないとされました。
 どのような審議が行われたことによって考え方が変わったのか、お尋ねしたいと思います。
田中参考人 お答え申し上げます。
 新しい道路をどういう形でつくるかということは、実はこの委員会の中間整理のときからずっと大きな課題として再三にわたって議論されました。
 一番の問題点は、今の、通行料金から建設費を出しておる現行方式については、基本的に、現在の公団方式と言いかえますと、現在の公団方式には限界があるということでありますが、料金から建設に回すことについては、それをめぐっての議論が非常に中間整理の段階で大変だったんですけれども、そうではなくて、民営化会社が経営体として当然利益が出てまいります。また、外部からも借り入れすることも可能であります。建設するか否かということは、採算性を考えて、新しい会社が自主的に経営判断する経営管理事項でございますけれども、もし公益性を考慮してつくろうと思えば、そういう自己の内部留保あるいは借り入れ等によってそれは可能であろうというふうに、中間整理のときと、建設についての整理が最終意見では変わっておることは事実でございます。
松浪(健四郎)委員 どうもありがとうございました。時間が参りましたので、これで終わります。
菅(義)委員長代理 前原誠司君。
前原委員 民主党の前原でございます。
 四名の参考人の皆さん方、お忙しい中、また早朝よりお越しをいただきまして、貴重な御意見を開陳していただきましたことを党を代表して御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございます。
 それでは質問に移らせていただきたいと思いますが、基本的な考え方について、私の意見をまず申し上げたいと思います。
 つまりは、日本の高度経済成長が続いていく中で、全国総合開発計画というものが数次にわたって決められ、またその中におきまして、高規格道路というものをどれだけつくるかという大前提が、右肩上がりの経済が続くという前提で決めていかれたんだと思っております。
 九三四二、そして一一五二〇、はたまた一万四千キロ、こういうものが前提の中で、それをどうつくっていくかという議論が私はなされてきたんだと思いますが、現状を見ますと、昭和五十六年ぐらいを境に、それまでにつくられた高速道路というのは百円もうけるのには百円以下でできていたわけでありますが、それ以降は採算が合わなくなった。あるいは、土地の値段、建設費用の上昇等もありまして、百円もうけるのに百円以上のお金がかかるということになり、どんどん赤字が膨らんでいく中で、先ほどお話がありましたように、四公団トータルで四十兆円もの債務というものが膨れ上がってきているというふうに思っております。
 私の問題意識は、過去でどうあったかは別にして、現時点においては、プール制と償還主義というものがやはり大きな問題点として存在するんだろうと思います。言ってみれば、プール制で不採算分野を隠すという隠ぺいの構造ができ上がり、償還主義によって問題の先送りをして、そして採算計画というものを将来に送っている、こういうところに私は大きな問題点があると考えております。そういう問題意識を前提にして御質問させていただきたいと思います。
 まず、川本参考人に質問させていただきたいと思いますが、御自身が委員であられる道路関係四公団民営化推進委員会の意見書では、プール制、償還主義による建設を否定したとあると私は記憶をしておりますけれども、償還主義とプール制によって建設したことはなぜ問題だったとお考えなのか、その点について御意見を聞かせていただきたいと思います。
川本参考人 まず、前提といたしまして、「基本認識」として意見書の冒頭でも述べさせていただいておりますように、現在の道路関係四公団の財務状況は非常に厳しいということが事実としてございます。
 その上で考えまして、償還主義という考え方は、五十年後の計画で収入と費用が合い、建設に要した債務が返済されればよいという考え方であります。五十年間でつじつまを合わせるという考え方だというふうに思います。また、プール制とは、全国の高速道路を一本と考えて、全体で採算が合えばいい、そういう考え方だというふうに思います。また、さらに、新規建設のたびに計画の改定を行うことが可能であったというふうにも伺っております。
 これらの考え方によって、公団は、個別の路線の採算に関係なく新たな建設を進め、五十年という長期の料金収入を想定して計画を立てたために非常に大きな債務を負うという状態に至ったということです。
 委員会といたしましては、これまでの方式が継続されることによって、四公団合わせて四十兆円という巨大な債務がこれ以上に増加したり、将来世代の負担として先送りされていったりすることに対して非常に大きな懸念を持ちまして、意見陳述の際にも申し上げましたけれども、これまでの方式はもう限界であるという認識を持ったわけであります。
前原委員 それでは、事実確認の質問をもう一度川本参考人にお伺いしたいんですが、この償還主義というものを既に公団は変更する意図があるのかどうか、あるいは存続をしていくのか、その点についての御認識をお伺いしたいと思います。
川本参考人 この点に関しては、新会社における変更をお願いしているというのが委員会の立場であります。
前原委員 では、次の質問は、田中参考人とそれから川本参考人、お二人にお伺いをしたいと思いますけれども、御尽力をされた推進委員会の中間整理で、新会社と国が契約を行うということが出されておりました。コンセッションという横文字が契約となっております。この委員会では、中間整理に関してはお二人とも当然ながら提出には御同意をされているというふうに記憶をしておりますけれども、最終的な意見書と中間整理はこの点においてはどう違うとお考えなのか、お二人の御意見をお伺いしたいと思います。
田中参考人 今前原委員おっしゃるように、中間整理においては、おっしゃるとおりの記述がございます。ただ、まさにおっしゃるように、私どもの考え方は、私どもというのは川本さんもそうだと思いますが、内容に賛成したということではありませんで、提出すること、冒頭申し上げたように、衆寡敵せずということもありますし、まだ中間でもある、議論を展開していくにはある程度妥協することも仕方がないということで、提出することには賛成しましたが、コンセッションという考え方、あるいはその前に、機構から新しい会社に建設費を出すことについては基本的に反対してきたわけであります。
 もしそうでなくても、機構が資産、負債全部持つわけでありますから、非常に強い存在であります。それと新会社がコンセッションするといっても、法律で幾ら強く権限を与えても、それは書いてあることにすぎない。力の強い者と弱い者が対等に議論することはあり得ないのではないかというのがその理由であります。
 最終意見において、じゃ、その点はどうなっておるのか。私たちはそのことには言及しておりません。言及しておらないのは、新会社の自主的な運営を非常に強く考えておりまして、今後、もし国が、今、建設仮勘定、建設中のものも含めてつくってもらいたいという国の基本方針がございますから、それに対してどういうふうに対応するかということについては、新会社の自主的な経営判断ということにとどめておりまして、コンセッションという言葉は、この際、最終意見では使っておりません。
 ですから、冒頭陳述で申し上げたように、今後、直轄手法あるいは合併施行方式でやるにしても、そこのあたりをどういうふうに仕組んでいくかということは非常に重要な問題になろうかと思っておると申し上げたのは、そういう意味でございます。
川本参考人 中間整理はあくまで中間段階の整理でございますので、その後、私どもは審議を重ねまして、最終答申に至ったわけであります。
 一番のポイントは、最終的な意見書におきまして、まず、新会社の自主的な経営判断がきちんと担保されるということを明白に打ち出したわけでございます。新会社が債務の返済を滞りなく行い、民営化に伴う経営効率化を進めていくために、新会社の自主性を求める表現を答申の中では入れさせていただいたという理解でございます。
前原委員 それでは、具体的な法案の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、この本四連絡橋公団についてであります。
 川本参考人に質問させていただきますけれども、この本四連絡橋公団につきましては、とりあえずの止血措置ということでございますけれども、私は、織方参考人のお考えに基本的に賛成でございまして、果たしてこのスキームが成り立ち得るのかどうかというのは極めて疑問を感じております。
 つまりは、一・三四兆円を切り離したとしても、残り三・四兆円、国、地方が出資金を払い続けるということでありますけれども、金利変動、そしていつも間違い続けている採算見通し、こういったことを考えると、このスキーム自体が私は成り立ち得るのかという大きな懸念を持っているわけであります。
 この具体的な中身について、会計の専門家であられる川本参考人はどうお考えになるのかについてお答えをいただきたいと思います。
川本参考人 スキーム自体につきましては、事務局の方で審議の途中に現実性のチェックの試算をしてくださいまして、それを参考にしながら審議を進めたものでございます。
 あくまで、本四の問題に関しましては、公団事業民営化の一環として実施される措置というふうに伺っておりまして、ほかの法案の整備等も強くお願いをしたいというふうに思っております。
前原委員 もう一度質問をさせていただきたいと思うのでありますけれども、これは田中参考人もおっしゃいましたし、今、川本参考人もおっしゃったように、民営化推進委員会においての答申というものの一つの具体化としてこういう法案が出てきているんだという認識は私は持っているわけでありますけれども、その中身が、つまりはサステーナブルなものなのか、つまりは持続可能性があるものなのかどうかという観点からどう評価されるのか、その点についてもう一度お答えをいただければと思います。
川本参考人 委員会は、幾つもの試算を重ねまして、先ほども申し上げましたように、現実性のチェックをいたしてまいりました。もちろん、試算でございますので、大きな経済環境の変化等によりましてその試算の結果が必ずしも現実にならないということは世の常であるというふうに思っておりますが、私ども委員会といたしましては、答申に書かせていただいたスキームというのは現実性のチェックを経たものというふうに考えております。
前原委員 次に、これもお二人に集中して申しわけございません、あとのお二人にはまた後で質問させていただきたいと思いますけれども、いろいろすったもんだがあれ、しかしながら最終答申というものを出されたわけでありますけれども、この最終答申を前提に、何を総理に望まれるのか。
 極めて漠然とした質問で恐縮でございますけれども、先ほど田中参考人は、行政にいろいろ携わってこられた人間として、総理の意思が感じられる、今まで使われた行政用語とは違う、こういうお話もありましたけれども、それも含めてで結構でございますので、田中参考人、そして川本参考人に、何をこの答申を前提に総理に求めたいのか、簡単で結構でございますのでお答えをいただきたいと思います。
田中参考人 非常に重要なポイントでございます。
 私どもの委員会の議論の前提は、設置法において民営化を前提にということがあり、その前に、二〇〇一年末の特殊法人等整理合理化計画、これは閣議決定でございますが、その中でもこの道路四公団民営化の問題がかなり詳細に書いてございまして、それを前提に議論するということが、私たちの委員会に与えられた任務でございました。
 したがって、総理にお願いしたいことは、何のための民営化であるのか、本当の民営化というのをとにかく実現してほしい。そのために今回出された直轄方式のみでは、私、必ずしも十分でないと思います。というのは、冒頭に申し上げたように、合併方式等々についての言及がまだ不十分ですし、全体の絵が、民営化会社との関係というのをどういうふうに描いていくのかという問題は残された課題であり、私たちの描いて、かいてはおりませんけれども、描いておる絵に従って、実は監視活動をやっていきたいと思いますが、総理、政府並びにこの関係委員会においても、その点に御留意いただいて御審議いただければありがたいなと思っておるのが、私の基本的なお願いであります。
川本参考人 私ども民営化推進委員会は、昨年の六月から半年という期間でありましたけれども、延べ百五十時間を超える審議を重ねて意見書をまとめました。その委員といたしましては、この意見書のすべてをやはり確実に実行に移していっていただきたいと強く希望いたします。
 中でも、民営化による効率化という大目的を果たしていただきたい。決して将来に負担を残すということにならないようにお願いを申し上げたいというふうに思います。
前原委員 次の質問をさせていただきたいと思います。
 道路のスキームというものは、国家の財政においてはあくまでもその一部でありまして、これは周知のこととして、国、地方合わせて七百兆円近い債務がある。その中で、果たして今後、今まで決められたような高速道路建設が可能なのかどうかというところは、私は大きな問題点だろうというふうに思っております。
 そこで、岡野参考人そしてまた織方参考人にもお伺いしたいというふうに思いますけれども、今の国の財務状況の中で、計画どおり、つまり九三四二、その後は一一五二〇だという建設計画は、本当に可能なのかどうなのか。それとあわせて、道路特定財源というものをこれからも堅持していくべきだと考えられるのかどうなのか。その二点について、お二人の参考人にお伺いをしたいと思います。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
岡野参考人 お答えを申し上げます。
 現在の財政の状態では、今の計画をそのままやるというのは多分難しいだろうと思います。計画は、要するにテンポの問題であると思います。そのテンポを、めり張りをつけながらやっていく以外にないだろうと思います。
 それから、第二の、特定財源制度の問題ですが、道路特定財源制度については、私はもともと堅持すべきだという考え方です。
 前にも申し上げたことがあるんですが、これは、ある意味では受益者負担の最も典型的な例で、成功した例なんですね。今、盛んにいろいろなところで受益者負担を導入しようと思っても、とてもできないわけです。こういううまくいっていたものについて、私は、もし、道路の整備の方を減らして、そして財源をほかに回したいというのであれば、これは一応減税すべきだろう。減税した上で、改めて、道路の利用者に税金をかけるが、そして違うものに使うけれども、それで国民は納得するか、その過程を経ないではあり得ないというふうに考えております。
 そういう意味で、政治的には大変難しいかもしれないですけれども、そういうことをやらないと、いろいろな点で、私はかなり年をとってまいりまして、最近では恩恵を受ける方が多いわけですけれども、我々もまだ収入があるうちはもう少し負担してもいいんじゃないかというふうに思うんですけれども、なかなか世の中そうはいかないわけです。やはり、受益する者が原則は負担すべきである、その負担の度合いはその人々の経済状態に依存するけれども、原則はやはりそうだという考え方は貫くべきだろう、さもないと日本の財政を将来これから直していくのに大変難しいだろうというふうに考えております。
 以上でございます。
織方参考人 建設続行が可能かどうかということについては、私、全くの利用者の立場といいますか一国民の立場でございますので、断定的なことを申し上げるわけではございませんが、やはりどう見てもこれは無理であろう、道路四公団が行き詰まっているのはまさにその象徴だ、こういうふうに思います。
 次に、道路特定財源でございますが、これは何か余っているようであり足りないようでありというのが現実だろうと思うんですが、地方に参りますと、と言うとこれはまた語弊があるかもしれませんが、思わぬところに思わぬ立派な道路ができているというようなところもございますし、また、最近では、道路特定財源で国から地方に補助金を出しても地方の分担金が賄い切れないということで、むしろ御返上なさるという例も聞いております。
 そういう意味では、道路財源そのものを見直して、本来の財源に戻すかどうかということは政治的な判断でございますから皆様方の御判断だろうと思いますが、少なくとも私が有料道路研究センターという立場でお願いしたいのは、今有料道路に残っております四十兆円の債務といいますのは、言ってみれば、本来道路特定財源でつくるべきものを道路特定財源では足りないから、おまえは郵便貯金から、財投資金から借りてやれよということで無理やり馬車馬的に走ってきたためにできた借金でございまして、ですから、本来制度がきちんとしておれば、もともと早くから道路特定財源を入れた上で整備すればこのような事態にはならなかったと思うわけであります。
 したがいまして、道路特定財源の見直しをする前に、道路特定財源の余力をすべて、すべてといいますか、極力四公団の赤字の処理に投入すべきではないか。
 委員会の冒頭のころに、たしか川本先生から、約八兆円程度の国費負担を投入しないと四公団の正常な民営化はできませんよという御提案があったように伺っておりますが、せめてその八兆円だけでも道路特定財源で面倒見ていただいて、その処理をしていただいた上で、その後、道路特定財源をどうするのかということを考えていただきたい。
 まずは、道路特定財源が足りないということで借金していたものの処理をするために、本来の義務者である道路特定財源の方からの転用をぜひお願いいたしたいということを申し上げておきたいと思います。
前原委員 時間が参りましたので、終わります。ありがとうございました。
河合委員長 赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 本日は、四名の参考人の皆様におかれましては、御公務御多忙の中、また、足元も大変悪い中にもかかわりませず当委員会に足をお運びいただき、貴重な御意見を御開陳いただきましたことを、まず心から御礼申し上げたいと思います。
 まず質問をさせていただきたいと思いますが、私は、実は、政治家になる前、三井物産の商社マンで中国に駐在をしておりまして、中国の大変な勢いの経済成長の中で、社会資本、基盤的なインフラの整備を、とにかく日本では考えられない、国の制度そのものが違いますので一律にはもちろん比較することはできないんですが、短期間に高速道路ができ上がり、そして経済の大動脈となって、まさに今の中国経済の大発展を支えているといったことを見るにつけ、日本の状況とは本当に違うなという歯がゆい思いをしてまいりました。
 昔の日本もそういったことを考えて、先ほど岡野先生のお話もございましたように、プール制とか償還主義というのは今は非常に負の面が指摘されておりますが、こういった制度を利用しなければ日本国内のネットワークを張ることができない、恐らくそういったことで始まった制度だったのではないかというふうに思うわけです。
 そういったことを前提に、岡野先生にまず御質問したいんですが、さはさりながら、民営化委員会で指摘されているように、この制度でやった現状、今現在、四公団合わせて四十兆円の借金をつくり、その結果としてでき上がったものは、一万一千五百二十キロメートルの目標値から見ると七千キロ足らず、いまだにネットワークが完備されていない。これは、一つのビジネスとして見るならば失敗のプロジェクトだったな、こう言わざるを得ない側面もあると感じる部分もあるんですが、その点について、御評価と、評価という中には、現状はまだこの大プロジェクトの途上というようなことの考え方なのか、もしくは、こうなった原因は、ある意味では政治家の口出しが原因だったとかいろいろあるかもしれませんが、そういったことも含めて、現状についての忌憚のない御評価をいただきたいというふうに思います。
岡野参考人 お答えを申し上げます。
 プール制と償還主義が問題で、特にプール制に批判が集まっているわけですが、先ほどもちょっとお話ししましたけれども、実は、プール制について、これを導入するときでも、私たちまだ若かったですけれども、随分議論いたしました。議論した結果、やはりこれをそのままにしますと非常に不採算のものがどんどん取り入れられる可能性があるというので、五〇%ルールというのをつくりました。
 五〇%ルールというのは、新しくつくるところで、要するに五〇%以上は補助しない、そういうルールをつくりまして、それでまず、非常に悪いものについてはカットするようにする。しかも、かつ、それを含めても全体として大丈夫だという範囲でしかプール制は採用できない、そういう枠をかけておりました。それから、償還主義もその点は全く同じであるわけです。
 ただ、私の考え方ですと、今は四十兆円ありますけれども、道路公団の場合には、今のところ、収入から管理費用を引いて、かつ利子まで払ってまだ余裕があるわけですから、この状態さえ続いていれば、それは二十年、三十年では無理かもしれませんけれども、五十年あるいは六十年かかるかもしれません。いずれにしても、大丈夫なことは大丈夫なんですね。
 ですから、私は、道路公団、完全に行き詰まって今の状態は大変だというのは、本四公団については認めますけれども、道路公団については認めない。
 ただ、現在心配されている方々は、今のままでいくと、さらにもっと悪いのもどんどん入ってきておかしくなるだろうということですから、それがないようにすればそれで済む話だというふうに考えています。したがって、やはり今までの点では、プール制と償還主義でそれなりにできてきた。
 早くできなかったじゃないかとおっしゃいますが、これはやはり中国と日本の違いでありまして、中国から来ていた留学生の話を聞きますと、最近はちょっと大変だったらしいですが、そこのけそこのけで、どんどん用地は確保できる。だから、いつでもすぐできるし、場合によっては、条件をたくさん出せばすぐ出ていってくれる。そういう関係で、ちょうど日本の高度成長期に近いような状態です。それが日本の場合にはそうはいかなくなる。
 しかし、今ここまでできたということを考えますと、ちょうど道路公団ができたのが、私が大学を卒業した年です。それから考えてみると、その当時の道路と比べれば、やはりこれだけできたというのは大変なことであろう、そのように評価しています。
赤羽委員 どうもありがとうございました。
 続きまして、民営化委員会の意見書を読みますと、実質的には、料金収入から新規の道路建設に回さない、これはいわゆる税金で対応していく方向になるというような答申だったと思いますが、現実に今の財政状況を考えますと、これからの新規の建設というのは多分難しいのではないだろうかというふうに想像できるわけであります。これは田中先生に御質問させていただきますが、その点についての見通し。
 私、道路の採算性ということをやはり議論する必要があるんじゃないか。道路の採算性というと、非常にわかりやすい通行料と工事費ということでは、そこは一つの採算性というのは理論的には求められると思いますが、それで片づけていいのかなというのが非常に疑問なんですね。やはり、その部分について採算がとれなくても、ネットワークとして成り立つことによって物流が成立するとか、高速道路ができたことによってその地域に工業団地ができるとか新たな町ができるとかという、そのプラスアルファの部分ということは実際の問題として非常にあるのではないか。
 だからがゆえに、全国知事会の意見なんかを聞いていますと、私は本当に驚くばかり。非常に民主的なというかリベラルな知事として有名な方たちも、事高速道路については人が変わったように意見を言われるんですよ。それはどういうことなのかといいますと、やはり高速道路をつくることによる波及効果というのですか、こういったことというのは大変地元の知事さんとして実感をしているのではないか。
 そういったことを考えますと、この民営化委員会のような答申で、私の認識では、実質的に新規建設が難しくなるようなことになって、本当に国益というかその地域益にかなうのか、これは反するのではないかというふうな懸念もかなりあると思いますが、その点についての御認識をお伺いしたいと思います。
田中参考人 私も、地方における一日委員会、三カ所出席いたしました。
 今おっしゃるように、どこに行きましても、知事さんあるいは市町村長さん、経済界の方々は、高速道路の建設を前提にしていろいろなプロジェクト、観光地もありますし工業団地もございますし、いろいろそういうものを実は進めておるんだ、順番を待っていたところで、さて払いませんとやられてはかなわないという声が、おっしゃるように、何をおいてもそれだけは変わらない。そのことは非常によくわかります。理解できます。それについては先ほども織方参考人からもお話がありましたが、道路公団につくってもらえば地元負担がかからないという点が非常にあったことも事実であろうと思います。
 特に、つくりかけのもの、今後つくるものについては、御承知と思いますが、非常に不採算なものが多いです。先ほどおっしゃったように、料金収入と建設コスト、いずれにしても建設費を借りてこなければいけないわけですから、そのコストを考えますと、非常に不採算なものが多いわけです。
 プール制を維持してくださいということがあわせて議論されるわけです、地方公共団体の首長さんからは。それは、今まで順番を待っていたというのもありますし、プール制によって、単独ではマイナスになるけれども、何とか可能であるという前提があるからであろうと思います。
 しかしながら、プール制を維持するためには、普通のプールでも同じなんですが、常に水が一定に入ってこなければいけないんですね。ところが、収入のある中央道とか東名とか名神だとか、そういう優良な道路というのは非常に少ないわけであります。これからできるもの、できつつあるものについては、今申し上げたように採算がとれないものが多いわけですから、逆にプールの水が減ってくるわけです。泳げなくなっちゃうおそれがあるというのが現状。そういう例えをしていいかどうかわかりませんが、そういう認識でおります。
 だったらば、道路が、必要な道路、ネットワークとして必要なものもできなくなるではないか。私は国鉄改革にも関係しましたけれども、それまでは地方交通線をうんと切ってきたわけですね、国鉄時代に。ところが、JRになってから、それは中にはございますけれども、むしろ、ネットワークとして生きさせたいということの方向が強く出ております。それは、今先生のおっしゃったようなネットワークとして活用していこうという考え方に立っておると思います。
 しかし、それでももたないものもあるという考え方なんですね。ですから、今、一般有料道路というのは日本道路公団がやっていますが、一般有料道路の中でネットワークを形成するものは、今度は新しい会社にも持ってもらいますけれども、高速道路と同じ扱いにしますけれども、そうでない道路については、国あるいは地方公共団体に譲渡していくという考え方をとっております。
 新しい会社はもうつくらないではないかということ、それは経営判断でありますから、非常にマイナスになる、採算のとれないものについては、おっしゃるようなことになろうかと思います。なろうかと思いますが、国家としてどうしても必要なものについては、それは、新しい会社も普通の会社ではありませんで、やはり公益性を重視した、例えばJRだとか電力会社だとかいうのと同じように、あるいはNTTのような立場にあるわけでございまして、公益性が非常に強いわけでありますから、十分その点も配慮するように意見書でも言っております。
 言っておっても、なおかつ採算がとれないようなものについては、先ほどからも申し上げておりますように、合併施行方式、今回法律案も出ております直轄方式等々によって、国、地方が必要なネットワークを形成していかざるを得ないというふうに思います。
 では、この財政状況の中でどうなるのだということは、問題は大きな問題でありますけれども、ただ、そういう中で、やはりその必要性を吟味してやっていくのがこれからの方向ではないかというふうに理解しております。
赤羽委員 ありがとうございます。
 今の御答弁にありました今回の法案審査における直轄方式のいわゆる新方式は肯定的だという認識でよろしいですか。――ありがとうございます。
 続きまして、今回の民営化についてちょっと話をしたいと思うんですが、私は基本的には、経済的な規制緩和というのは非常に肯定的な立場なんですが、ただ、基本的なインフラについての部分での民営化というのはなじむのかなと。
 要するに、民営化の議論のときに、需給調整規制の緩和のときのうたい文句が、規制緩和をすることによって事業参入しやすくする、事業参入することによって競争原理が生まれ、サービスが向上し、コストもミニマイズされる、こういうふうに言われているんですが、いろいろ見ていますと、なかなかそうもいかないことが多いですね。
 恐らく、イギリスの鉄道なんかも非常に感じたんですが、独占的なものを民営化した場合、その規制緩和のよさが出るというよりも、独占的なところについてあぐらをかくというか、民間企業の悪い部分が出るケースが非常にあるんではないかと思います。まさか、道路とか、線路も自分で今さら線路を引いて新しく事業参入するような間抜けな経営者というのはいないわけでして、本当にちょっと私は、その辺はどうなのかなと少し懸念もしております。民有化であるがゆえに、公的な側面がありながら会社が立ち行かなくなったといった場合には道路の経営をギブアップするのか。
 阪神・淡路大震災のとき、私は地元が神戸なものですから、高速道路が倒れたわけですね、倒れないはずの。ああいった場合に、民間会社だとそこでもう倒産するんじゃないかなと思うんです、あんな広範囲で道路が倒れたりすると。その場合、復旧事業みたいなことはどういうふうに整理していくのか。
 私は、あと、安全性とか、高速道路にしても、メンテナンスというのも当然民間会社によるという発想なんだと思いますが、やはり民間企業というのは当然利潤を上げるということで、利潤の追求と安全性の担保というのは非常に微妙なところがあると思うんですね。
 この辺についての懸念というのは、本当に民営化イコールプラスなのかというと、このことについてはちょっと、規制緩和はよしとする私でも、社会的インフラ、道路の民営化というのは、世界じゅう例を見ても余りないようなことをやろうとするのは、これまで四十兆円もつくってきたという、僕は失政だと思いますよ、そこについては、私も、何で、つくらなければいけない道を順番的に決めて、もうちょっときっちりつくらなかったのかなというふうに先達たちの失政は僕は認めざるを得ないけれども、だからといって、過去の債務を帳消しにする手段として民営化するということが本当に正しい答えなのかどうかというと、ちょっとクエスチョンがつくんです。その点について、時間もないんですけれども、簡単に岡野先生と田中先生にコメントをいただければありがたいと思うんですが。
岡野参考人 私は、道路については、実は、民有化といいますか民営化には余り賛成していないわけです。
 アラン・ウォルターズという有名なイギリスの経済学者がおりまして、彼は非常に自由主義者で、道路についても民営化したらどうかという提案をしながら、自分で検討しております。
 民営化が非常に成果を上げるというのには条件があるんです。その条件は何かといいますと、一つは競争が存在する、二番目が技術革新が速いということです。技術革新が速ければ、それだけコストの安いもの、あるいはいい新商品が出てくる、こういうことがあるものですから、その産業がそちらの面でも競争状態が保証できるということだろうと思います。
 ところが、彼自身言っているんですが、振り返ってみると、道路はそうはいかぬな、今は道路をつくるのに新しい技術でぱっとできるということもないだろうし、それから、競争はどう見ても激しくできっこない。したがって、彼は、やった方がいいとは言いながら、極めてネガティブといいますか消極的な態度をとっております。私もそれはよくわかるわけであります。
 今の日本の場合でも、もし道路公団をばらして売るというのであれば、私は、インターネットを使いましてシンジケートをつくって、東名、名神、東北道ぐらい買って、そして経営して、うんともうかったところで売ってやめるということができるぐらいだろうと思います。
 そういう点で、やはり独占になってしまいますと、これはうまくいかない。その例が、最近新聞にも出ておりましたけれども、イタリーのアウトストラーデという高速道路の運営会社があるわけですが、そこの株式をアパレル大手のベネトンが買いまして、TOB、公開買い付けをいたしまして、そして持ち株比率を三〇%から八四%に引き上げて傘下におさめました。買収総額は約一兆七百億円だそうです。
 これはなぜそうなったかといいますと、実は大変もうかっていて、株式を上場しているものですから、もうかるものですから外資が目をつけまして、外国の投資家が買いたいと言ってきたものですから、やはりそれは渡せないというのでベネトンがかわりに買ったということであります。
 そして、これは十二月三日の日本経済新聞に紹介されていましたけれども、民営化のイタリーではもうけ過ぎであると。ただ、料金は日本に比べまして非常に安いです、補助金も入っていますけれども。
 それで問題になったのは、もうけ過ぎなのに、政府のインフラ整備計画の三割も実行していない。当然もうかって、それ以上にもうかるならやるけれども、余り割に合わないということであればほかにお金を使った方がいいわけですから、したがって、インフラ整備に充てないというのでかなり批判が出ているという記事が載っていましたけれども、多分、日本の優良な高速道路でやったら、こういうことに近いことが起きるのではないか。
 それからもう一つは、やはり道路というのは、特に高速道路がそうなんですが、韓国では、高速道路の四カ所、実際にもし戦闘機をおろそうとしたらおろせるようになっております。北朝鮮には十一カ所あるそうです。それから、スウェーデンにも高速道路のすぐそばに格納庫があって、そこから出てきてすぐ高速道路を使って飛び立つことができるようになっているそうですが、そういう防衛とかあるいはライフラインとしての道路の役割を国が全く無視していいかといいますと、私はやはりそうはいかないだろうというふうに考えるものですから、民営化につきましてはかなり消極的です。
 実際に、公的な企業であろうともインセンティブをつけるようなことをすればいいんですが、実際問題としては、がんじがらめにしておいて、何かやろうとすると、民業圧迫というのでやらせない。民業圧迫で、しかも、料金も規制されていて、収入が上がらないから成績がよく見えませんと、収益がこんな悪い、収益率がこんな低い会社があるかと。それは当たり前で、したがって、インセンティブを与えるような条件をつけてやれば私はもっとよくなるだろうと思いますので、必ずしも民営化にしなくてもいいじゃないかというのが私の見解です。
河合委員長 田中参考人、恐れ入ります。時間が超過しておりますので、簡潔にお願いいたします。
田中参考人 簡単に申し上げます。非常に重要な点であり、基本にかかわる話でございます。
 私ども民営化委員会は、民営化を前提にと冒頭に申し上げましたが、その立場に立っております。ただ、そう閣議決定やら法律に書いてなくても、私は、今の状況よりも一歩でも民営化は進めた方がよろしいという立場に立っております。
 それは、確かに地域独占になります。分割いたしましても地域独占になります。しかしながら、人のふり見て我がふり直せという、JRの場合もまさに地域独占になるおそれがありますが、空とも車とも競争するということ、そういう条件がありますので、何も同じ業界だけの競争というのでなくても競争はあり得るということです。
 もちろん、公益的な事業でございますから、法律が要ります、基本的に。何をやってもいいという話にはならない。当然、NTTに対してもJRに対しても法律がありましたように、公益事業について、例えば鉄道事業法というのがありますから、そういうたぐいの法律で、料金について、あるいは監督権についてどこまで決めるかわかりませんけれども、今後の問題ですが、政府の規制は最小限にする必要がありますけれども、今、赤羽先生おっしゃるような基本的な問題については、やはり規定が必要であろう。確かに、そこで問題は、大きな地震があったような場合については、JRの場合でもございましたけれども、これはやはり国が関与せざるを得ないというのを法律にも書くべきだと思っております。
 それから、関連事業については、当然今のようなことはあり得なくて、かなり自由度を増して、ウエートが高まると思います。その収入というのはかなりのものになります。ただ、新しい会社というのは金もうけの会社ではございません。もうけてはいけないというのではなくて、適正な利潤は当然にないとインセンティブが働かない。そういうことを前提に、しかも、安全については当然のことであります、安全確保は現在と同様に措置がとられなければいけないと思っております。
 日本的な方式でいいから、外国のことも賛成しますが、日本的な方式で、より競争的で効率的な民営化を目指すべきではないか。
 繰り返しますが、そういう立場で意見書をまとめたものでございまして、赤羽先生のいろいろな御心配は、その中で解消し得るものと私は理解しております。
赤羽委員 どうもありがとうございます。
 本来なら、委員会試算の前提条件についても本当は質問したかったのですが、質疑時間が終了しましたので、これで終わらせていただきます。ありがとうございました。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 自由党の一川保夫と申します。
 本日は、参考人の皆様方、大変御苦労さまでございました。
 まず最初に、田中先生と織方先生に代表してお伺いするわけですけれども、これからの道路の整備の基本的なあり方みたいなところをちょっとコメントいただきたいんです。
 これまで戦後六十年近く、経済も順調に割と伸びてきた中での道路整備であったわけですけれども、もう既に少子高齢化社会に突入をしまして、間もなく日本の人口も徐々に減少していくような時代を迎えてきているわけです。経済も、今のような状態が続くかどうかわかりませんけれども、高度成長というのはそんなに想像できない。
 そうした場合に、こういった時代背景の中で、今後の道路整備のあり方というのは、これまでのような制度で道路を整備するということ、あるいは道路の構造それ自体もそうですけれども、それでいいのかどうかということをもっと真剣に考えておかないとまずいのではないかと思いますけれども、そのあたりに対するお二人の何か御見解がございましたらお聞かせ願いたいと思います。
田中参考人 非常に基本的なスタンスにかかわる問題でございます。
 基本的には、高速道路、とりわけそのネットワークというのは必要なものだと私は考えております。ただ、今までのやり方、公団方式といいますか、プール制と償還主義でありますが、四十兆円という借金でやるやり方、これは、利子が一%変わると四、五千億変わるわけですよ。非常に大変なことですし、プール制を昭和四十七年に始めたときは一つの非常にいいアイデアだった。非常に知恵者が考えられたと思います、当初は。しかしながら、そのプール制についても、先ほど申し上げたように、プールにどこからか水が無限に入ってくるような状況ではないということが基本認識であります。
 そういう状況の中で、これを効率化、効率的な経営にさせるためには民営化がやはりいいであろう。しかし、民営化した会社がどこまでやるか。自主的な経営判断に基づきますから、自主的な経営判断に立った上で、国家として、あるいは地域としてどうしても高速道路が要る、国道が要る、類似の道路が要るということになれば、それは別途、民営化会社がつくらない場合、考えるべきではないか。
 今後、世の中が変わっていけば、確かに人も少なくなりますが、このまま少なくなるとしても、やはり高速道路のネットワークというのは時代時代に応じてなお必要になってくるのではないかという基本認識は私は持っております。
 ただ、繰り返しますが、今の時点での効率的な経営ということになれば民営化しかないわけでありまして、その場合の条件は、先ほど申し上げたとおりであります。
織方参考人 先ほどの冒頭陳述のときに申し上げたんですが、私は、今の道路整備計画一万一千五百二十キロでありますとか一万四千キロというものの見直しは基本的に必要じゃないかと。これは、高度成長が永遠に続くという前提に立った計画でございます。これが現実に合っていないわけでございますから、今の時点でどれだけの道路ネットワーク、その中で、高速道路、自動車専用道路、国道、県道、地方道というもののあり方を見直す必要があろうかと思います。
 この場合に、国が中央で見て、おまえのところに必要なのはここだろうと、もちろんこれは陳情があるからお決めになるのだろうと思いますけれども、陳情される側は、自分たちが責任を持つということを考えないで、だれかがつくってくれるならぜひ欲しいというお気持ちで陳情されているケースが非常に多いというふうに私どもは見ております。
 したがいまして、今後の道路計画の見直しに当たりましては、地域ごとといいますか、例えば東北ブロックでありますとか関東ブロックでありますとか、中部、中国、四国か九州かという地域ブロックごとで、本当にこの地域に必要な道路は何なのか、その財源の手当てをどうするのかということを見きわめた上で、それぞれの地域の責任、国からはこれだけの財政的な補助が出ているよという割り当てをもちろん見きわめた上でお決めになればよろしいのじゃないかというふうに基本的に考えております。
田中参考人 一言追加、ちょっと言い落としたことがありますので。
 私は、先ほど、今後とも高速道路が必要であるというのは、超長期的に見て社会が変わったときにおいてもそういうことは考えられるということを申し上げたので、意見書自体では、現在の整備計画というのは見直さないといけないということを明確に申し上げております。そのことだけ申し上げておきます。
一川委員 川本参考人にお伺いするんですけれども、推進委員会のメンバーの一人だったということなんですけれども、今回の二つの法案が出されておるのは、一つの民営化の流れの中で、それを先取りしてこういうものが出てきたというような御認識だというふうに承ったんです。
 道路公団自体の民営化の姿がまだ具体的に見えてこない中で、当面こういう方式で具体的にスタートするということを今政府が提案されておるわけですけれども、基本的にはこれでよろしいというお考えなんですか。
川本参考人 冒頭に申し上げたことの繰り返しになりますけれども、二法案については、私ども民営化推進委員会が意見を取りまとめた公団事業民営化の一環として実施される措置だというふうに理解しておりますので、今後、五つの新会社と保有・債務返済機構の設立を可能とする法案でありますとか、あるいはコスト削減、企業会計原則に基づく財務状況の把握などにつきましても早急に取りまとめをしていただきたいというふうに、私としては、作業を進めていただきますようお願い申し上げたいところでございます。
一川委員 わかりました。
 では、新しい法案の中で新直轄方式というのが提案されておるわけですけれども、岡野先生にちょっとお伺いします。
 先生は基本的に御賛成だということらしいんですけれども、なぜ直轄方式でやるのがいいのか。私は、今の行政改革という流れとか地方分権という流れからすると、若干こういう流れに逆行しているんじゃないかという感じを持っているわけですけれども、先生はなぜ賛成なんでしょうか。
岡野参考人 先ほども、この点、問題になりましたけれども、実はやり方が幾つかあるわけです。
 織方参考人も言われたように、一つのやり方は、道路公団に補助をして、そして料金を上げさせないでやらせるというのがあります。しかも道路公団の経営は悪くならない、そういうことでできます。
 もう一つは、今の直轄方式で国がやる。国がやるというのは、道路公団が有料道路として道路整備を始めたのは、先ほどもちょっとお話ありましたけれども、もともと、日本のその当時の財政では、早くつくりたいのにとてもできない、したがって、お金を取っても乗ってくれるようなところでやれるところは借金して返せばいいんだから、それを使ってやっていこうというので、車の両輪の形でやってきたわけです。ですから、もし余裕があれば、本当は全部国が無料の道路でやってもいいわけでありまして、その例がアメリカであるわけですね。
 アメリカは、第二次世界大戦前は有料道路を盛んにやっておりましたから、したがって東部ではたくさん有料道路が今でも残っております。しかし、一九五六年に新しい法律で、連邦防衛道路という形で大きなネットワークを考えて、そして今度は、連邦政府が九〇%持つから有料道路にしてはならないという形で進めまして、今のアメリカのネットワークができているわけであります。
 ですから、もし余裕があったらそういうやり方もあるわけですから、私は、今度直轄でやるというのはそのケースを実は頭に描いたわけでして、有料で、しかも採算をとりながら、公団が経営を悪くしないでやっていくのはちょっと無理だろう。そうすれば、国が面倒を見てやらなければならないというのはある意味では当然じゃないか、そのように考えております。
一川委員 私も、先ほど来議論が出ていますように、効率性のいいところ、採算性のとりやすいところを民営化することはごく常識的な考え方であるわけですけれども、採算性が悪くても、我が国の国土の均衡ある発展、日本列島の、利便性といいますか潜在的な能力をある程度バランスをとるためには、現時点では効率が悪い、採算性がとれなくても、行政が責任を持って、公的な方式でもってカバーするという考え方に立つわけです。
 今おっしゃったように、では、事業主体を直轄にするか、地方自治体にするか、あるいは別の者にするか、いろいろな考え方があると思うんですけれども、ただ、今の行政改革という、行政のコストをできるだけ縮めていくという一つの流れからすると、私自身は、この直轄方式、もうちょっと検討した方がいいのかという感じもするわけです。
 そこで、織方先生にちょっとお伺いするわけですけれども、今、公団の有料道路制の問題が出て議論されております。各地方の都道府県の公社等が有料道路をたくさん実施しまして、今それをいろいろと管理されておるわけだけれども、私の印象としては、特に地方公共団体が有料道路でやってきた地域というのは、その県の中でも割と立ちおくれている地域、後進的な地域で、当時ちょっと、採算的というか、効率的という考え方もあったんでしょうけれども、なかなか予算措置が難しいということで、どうしても急ぐのであれば有料制でやりなさいということで、その後進地域を道路でカバーした時期があるんじゃないかと思うんです。しかし、それは、現時点では大変格差となって残ってきておると思うんです。
 一つの県内で無料で通れる道路、有料で通らざるを得ない道路、そういうものが何となくアンバランス的にあるような気がするんですけれども、そういうことについて、織方先生はどういう見解をお持ちでしょうか。
織方参考人 長い有料道路の歴史の中で、昔は、まだ高速道路が始まる前の有料道路といいますと、各県の小さい有料道路であったわけでございます。これは、おっしゃるとおりに、非常に立ちおくれた、トンネルですとか橋ですとか、便益の高いところを道路公団がお引き受けしてやるということでやってきておりました。
 その後、だんだん国費の方が豊かになってまいりましたといいますか、財源措置が講じられるようになりまして、それで有料道路経営が成り立たなくなる、つまり、並行する本来の道路の方が改良されまして、有料道路の方が惨めになるというような事態が出てきた時期がございました。そういうところにつきましては、もうこのまま持っていても赤字がどんどんふえるだけだからということで、思い切って償却をして、無料開放した例もございます。
 最近、県の道路公社が御自分で有料道路をつくっている例がかなりふえてきております。道路公団の一般有料道路は高速道路に連結する自動車専用道路に限られまして、地方の有料道路は、それからもう一つ規格の低い、一般国道のバイパスのような、あるいは県道の部分的な改良みたいなものを有料道路でやっておられますが、これと道路公団の有料道路の違いは何かというと、その最終的な責任はだれがとるのかということの違いだろうと思うんです。
 最近の新聞を見ておりましても、ある県の道路公社で、当初は三十年で償還する予定であったものが、開通して十年ぐらいの時点で、どうも計画どおり交通量が見込めない、このまま持っていても見通しが立たないというものを、早目に県費を投入して無料道路にしてしまっているという例が出てきております。それから、まだ営業中の有料道路であっても、有料道路をつくったときには確かにそれなりの効果があったんですが、その後、先ほど言いましたように道路財源がふんだんに配賦されまして、並行するもとの道路がかなり立派になったために、有料道路を通らなくとも十分に役割が果たせるという状況が随所に出てきておりまして、多分、全国の有料道路公社の中で、経営状態がこのままでいって計画どおりに償還できるというところは数少ないんではないか。各公社とも、道路公団あるいは本四公団と似たような問題を抱え込んでいるはずでございます。
 ただ、この場合の違いは、最終的に、これはもう県が責任をとらざるを得ないということははっきりしているということではないかと思います。
一川委員 最後になりますけれども、これは川本先生にお聞きします。
 今回の新直轄方式も、国と地方の負担割合を、一対三ですか、こういうような負担割合で決めております。これは、一種の受益者負担的な考え方も当然入ってくるんだろうと思いますが、実際に高速道路的なものを利用する者が負担する部分と、あるいはまた道路をつくっている場所、その地域の方々が負担する、実際に道路を使うか使わないかは別にしまして、ある県に高速道路をつくる、だからそこの県が負担しなさい、しかし、そこの県の人が、その高速道路を圧倒的に多数が使っているかどうか、それはわかりませんけれども。
 例えば、東京にある高速道路を東京に住んでいる人がどれだけ使っているかというのは我々はちょっと定かではありませんけれども、そういう、利用者の負担と地域の負担というのはどのようにあった方がいいのかというのが非常に難しいところなんだけれども、何かそれに対するお考えはございますか。
川本参考人 経済的に負担と受益をどのように組み立てるかというのは、いずれの世界でも、いずれの事柄についても非常に難しいことだというふうに思っております。
 ただ、現在の高速道路というものの建設に関しましては、やはり大方の場合、そこに通っている道路があれば、そこのところに住んでいらっしゃる方たちに、実際に利用されておられなくても経済的な波及効果があるというふうに考えるのが一般的なのではないかというふうに思います。
 ですので、今回の案については、もちろん御議論があることは重々承知しておりますけれども、一つの考え方であるというふうに私は認識をしております。
一川委員 以上で終わります。ありがとうございました。
河合委員長 瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。
 参考人の皆さん、御苦労さまでございます。よろしくお願いいたします。
 まず最初に、織方参考人にお伺いいたします。
 本四公団の問題については、先ほど織方参考人は、破綻処理を行うべきだというお話をされました。本四公団については、建設の当初は、これは全会一致で三ルートを建設するという合意があったと思います。しかし、その後、経済情勢の変化で、この本四公団、何回も、このまま三本でいいのかという、見直しをやらなければならないチャンスも幾つかの場面であったと私は思います。
 その点で、織方参考人は、この見直しができなかったというものは一体どういう原因があったというふうにお考えでしょうか。そして、結果として経営破綻状態に陥った最大の原因と、その責任はどこにあるかということは、どのようにお考えでしょうか。
織方参考人 ただいまの御質問、大変に重要な問題でございます。
 これは本四公団に限らず、他の公団にも共通するものでございますけれども、私は、日ごろから申しておりますのは、前の先生の御質問にも一部お答えした部分もございますが、公団という制度がだれも責任をとらなくてもよいシステムだったということに尽きるのではないかと思います。
 ちょっとここに新聞のコピーを持ってきております。これは、本四架橋とアクアラインという二つの巨大プロジェクトが破綻した経緯について、ジャパン・タイムズの吉田さんという記者が元高級官僚に取材した記事を翻訳したものでございますが、この中で記者がこう書いております。二つのプロジェクトは赤字になるかもしれないと最初から知りながら、大蔵省の査定を通し、財政的なリスクの高いプロジェクトを始めるという政治的な決定に太鼓判を与えるために交通需要予測を高く設定したという官僚たちの発言があるということで、国土事務次官をやられて、その前に経済企画庁の総合開発局長をやられて、戦後の国土総合開発のすべてに携わってこられた下河辺さんのお言葉を引用しておられます。これは、そのお言葉、そのまま書いてあるようでございますが、大蔵省に出すために予測交通需要量をでっち上げるわけだ、それは今でもそうなっているんじゃない、こういう発言がございます。
 これはまた別な雑誌でございますが、同じ下河辺さんが日経ビジネスの取材に対して、本四架橋建設時のことを思い出してこういうふうな発言をしておられます。「当時は必要以上に費用対効果を気にしすぎた。だから採算が合うように、交通量を水増しして数値を作った」。これは、経済情勢が変わったとかバブルがはじけたという以前に、最初から、これだけかかった費用を償還するためには交通量が幾ら必要かということを逆算して計算したということを述べておられるわけであります。
 ジャパン・タイムズの記事に戻りますが、次のところで、ある政治的な決定がなされると、たとえバラ色の構図を描くためにデータを操作せざるを得なくとも、官僚はそれに従うしかないということであったというふうに記事にまとめておられまして、これは、元建設次官でありまして、公団総裁もお務めになられました高橋国一郎氏の発言を引用しておられます。それが役人の限界だよ、再三再四、建設に反対したけれどもだめだった、当時からアクアラインの採算はとれないと思っていたと、非常に正直に発言しておられるわけであります。
 アクアラインについても、私も、当時公団の担当の部長であった者から直接、償還計画をつくるために必要交通量をひねり出した経緯を実際に聞いております。
 今申し上げたことでおわかりと思いますが、政治的決定が先にあって、償還計画がそれに合わせて、これは下河辺さんのお言葉を引用いたしますと、でっち上げると言っておられますが、私どもでは鉛筆をなめると言っております。鉛筆をなめて償還計画が作成されるわけでありまして、そのもっともらしい償還計画があれば、ほとんど何の審査もなく大蔵省から財投資金がどんどんつぎ込まれてきたという構図であります。
 政治的決定に当たりましては、地元各県知事さん、首長さんあるいは建設業界団体等からの強力な陳情や働きかけがあったことも明らかであります。
 したがいまして、たとえ政治的な決定があったとしても、その事業計画を第三者の目で厳しくチェックするシステムがあればそれが防げたのではないか、そのために民営化が必要ではないかというのが今度の民営化委員会のポイントではないかというふうに考えておるわけでございます。
 本四公団に対する地元自治体の出資期間の延長要請をされたわけでありますが、これに対して、地元知事さんのどなたでしたか、地方は陳情したけれども、決定したのは国だ、我々には責任がないんだというような発言も聞かれました。要するに、こういう大きいプロジェクトを推進した者が、だれも現在の破綻について責任を感じていないというのが最大の問題点であります。
 だれが責任の順番として一番重いのかということについては、ちょっと明言を差し控えさせていただくといいますか、私自身も、特に政治と国の関係ということについては判断する範囲を超えておりますが、少なくともこの中で、国と公団の関係、昔は建設省と公団の関係ということから見ますと、公団の歴代総裁は国交省からの天下りで占められているわけでございまして、責任の所在が非常に不明確なんですね。計画をお立てになった方が実行する側に回って担当するわけでありますから、公団の方針なのか、国の政策で国も責任を負う、最終責任をおとりになるのかがはっきりしていないというようなことがまさに問題の根源であろうというふうに思います。
 例えば、今盛んに扇大臣がセールスウーマンを務められて普及に努めておられますETCでございますが、これも、公団が有料道路の徴収を合理化するために計画されたものなのか、国交省がITSの一環として積極的に進めようとしておられるのか、その辺が、我々国民の目から見ますとどうもはっきりしない。その辺の責任のあいまいさが有料道路事業全体に通じた大きな課題であろうというふうに考えておる次第でございます。
 ちょっと長くなりますけれども、今、公団総裁の天下りという問題に触れたついでに、つい先週、公団OBのファミリー企業の社長の総退陣という記事が出ました。私も実は、冒頭申し上げましたが、十年間ほどこのファミリー企業の社長を続けてきた経過がございますので、その立場から一言だけちょっと申し上げさせていただきたいのであります。
 この問題については、どうも、どなたの発案かわかりませんが、公団業務の実情を御理解しておられない。多分、公団総裁であるとすれば、あの総裁は、技術的には日本の土木業界の第一人者と言われておりますが、管理問題についてはほとんど興味を示しておられない。その結果、余り詳しいことを御存じない方ではないかというふうに見ております。
 ファミリー企業といいますのは、公団業務の特に管理段階では、従来、公団職員が直営で行っていたものを、経営効率化のためにアウトソーシングしたものでありまして、本来の公団業務そのものなんです。したがって、公団職員が定年前に退職してファミリー企業に異動するということは、一般の企業でも広く行われている制度でありまして、これが問題であるというのであれば、むしろ総裁の天下りの方をもっと厳しく考えるべきではないでしょうかということを申し上げたいと思います。
 もっと重要なことは、確かにファミリー企業に問題がないとは申しませんけれども、こういう大衆受けのするといいますか、非常にわかりやすい派手なニュースで国民の関心がそこに集まるわけでありますが、本来の公団改革の中心であります、必要性の乏しい部分の建設にどうブレーキをかけるのかということについて余り進んだ審議が行われていないということについて懸念をしているところでございます。
 やや御質問には脱線したかもしれませんけれども、この機会に述べさせていただきました。
瀬古委員 ありがとうございました。
 長い間公団に勤められて、鉛筆をなめたといいますか、なめさせられた織方さんのお話でございましたが、そこで、田中参考人と川本参考人にお聞きしたいと思うんです。
 今、だれも責任をとらないまま破産状態に陥ったこの本四公団について、民営化されれば一定のチェックができるんじゃないかというお話もありました。しかし、本当に、破産状態の中で、実際には、本四公団の債務をどういうふうに継承していくのか、そして、これからの需要予測の問題についても、また鉛筆がなめられるということがないのかどうか、それから、今まで、では、破綻しているからということで特定財源による穴埋めをまずやる、こういう問題を、私は抜本的な解決と言えるのかというふうに思うんですね。やはり問題を先送りにするだけじゃないか。
 そういう意味では、将来また需要予測が狂って国民に負担をかぶせるということにならないか、いろいろな問題を心配するわけですけれども、こういう問題についてもっと抜本的に、破産状態を破産状態として認めて、どうするのかということをやはりやらないといけないんじゃないかと思うんですが、その点、いかがでしょうか。
田中参考人 今、瀬古委員のおっしゃった議論は、私どもも委員会で同じような議論を展開した記憶がございます。
 ただ、行きつ戻りつの議論の中で、向こう五十年間、償還主義に立っているといえばその考え方に立っているかもわかりませんが、そのスパンでいろいろな試算をした場合に、政府が政府予算案で出したもの、それから、本日法律案として出てきたものの一・三四兆円という数字で何とか、幅はありましょうけれども、いくのではないか。ただしかし、おっしゃるように、利子率が少し変わっても大違いになりますし、世の中がどう変わってくるか、そのことは予測できません。それは、単に本四の四兆円ばかりの話だけではなくて、四十兆円全体について同じことが言えるわけであります。大きな社会変動、経済変動があったらば、これはとてももたない。
 私たちの考えも、今時点でこうした方が一番いいのではないかというのは、冒頭に私の意見陳述で申し上げた我々の意見書でございまして、これが絶対であって、これでうまくいくはずであると現時点では考えますけれども、しかし、繰り返しますが、なかなか難しい問題を含んでいるということですから、抜本的にこれがなるのかということについては、おっしゃる考え方は当然ございますけれども、次善の問題としてはこうするのがベター論であろうというふうに考えております。
川本参考人 債務の返済についてでございますけれども、委員会といたしましては、以下の三つの処理の方法を活用して債務の返済をしていくというふうに答申を上げさせていただいております。
 本四の事業を引き継ぐ地域会社の料金収入による返済、それから経営効率化でございます、三つ目に国、地方の出資の継続でございまして、このような方法によって返済が可能であるということが委員会の事務局による試算の結果というふうに理解をさせていただいております。
 もちろん、当然のことのように、本四に限らず、この四十兆円の債務というものをどのように確実に返済していくのかということをきちんとチェックしていくことが大事というのは、本当にこれほど大事なことはないわけでありまして、今後、需要予測に関しましては、民営会社であれば、自社の経営にかかわることでございますので、予測をより改善していくというようなインセンティブが働くのではないかというふうに考えております。
瀬古委員 岡野参考人と織方参考人にお聞きしたいと思うんですが、新たな高速道路の建設というものは、私は、本当に必要なものだけ限定していくという上では、一たん凍結して、そして、その道路がどうしても高速道路でなければならないかどうかも含めてきちんと検討すべきだと思うんですね。
 先日、委員会でこの問題を取り上げたんですが、結局、国幹審で決めた一万一千五百二十キロは動かせないと。これはどうしてもやらざるを得ないという立場に立つと、今回、新会社による建設もしくは直轄の二方式による建設が行われるんですが、一番のもとの一万一千五百二十はもう崩れないんですね。やはりこの総枠ありきというものを今本当に見直すということをまずやらないと、結局、いろいろな制度をつくったり、いろいろな金を、税金をつぎ込むけれども、最初の方針どおりやりますよということになるんじゃないか。この点、いかがでしょうか。
岡野参考人 今、もう一回全部チェックしようということはあり得るとは思いますけれども、実はもうそのときにチェックしているわけですね。それから、地元ではそれなりのちゃんと計画をつくって、そして出して、それらしいものが出てきたわけですから、それが、今滞っているか、あるいは変わっているかということのチェックは必要かもしれません。
 ただ、そうなりますと今度は、その中でも、それを越えて、別のところにもっといろいろあるんじゃないかという話があれば別ですが、さもなければ、その中でどこを取り上げて順序をつけてやっていくか。そのときには、当然、効率性、効率性というのは収益性の効率性じゃなくて、社会的な効率性というのは考えなきゃならないわけです。ですから、必要というのは皆さんどういうふうに考えていらっしゃるか、このことをはっきりさせないと、私は必要だと言うのと、もう少し多くの人が必要と言っているのと、あるいは一つの業者が必要と言っているのと違うわけですから。ですから、もう少し必要というのをちゃんと正確に位置づけるということをやればいいわけであります。
 ただ、今の既存の計画の中ではかなりの部分がもうできているわけでして、あと、つなげばいいという段階のものが非常に多いわけですね。それをそのままにしておくかという話になるわけでして、ですから、私は、もう一回それを調べてみるというのは結構ですけれども、既に初めはテストを経てきたものである、そういう考え方でおります。
織方参考人 私は、この四公団問題が検討されるようになった一番基本的なものは、やはり、本当に今までの計画でやっていけるのかという疑問が出たからこそ始まった問題だろうと思います。
 そういう意味では、結論から申し上げれば、当然、一万一千五百二十キロ、一万四千キロの計画は見直してしかるべきだ、見直すべきである。
 しかも、民営化委員会の答申の中で、採算性だけではなく、費用対効果に加えて、さらに外部効果と言われますものも含めて優先順位を決めよう、こういうことになっておるわけでありますから、その優先順位に従って、それが有料道路として経営が可能なものであれば、新会社で有料道路として建設される。あるいは、一定の国なり地方の負担があれば民間会社でもできるということであれば、民間会社が、従来の公団の方式といいますか、これはもちろん償還主義ではなくて、厳密に経営上の判断をなさって建設されればいいわけでありますから。
 その辺の色分けをきちんとした上で、なお本当に必要があるところについて、しかも、必要な財源の措置が可能であればおつくりになればいいことであって、一度決めた計画であるからこれはあくまでやるのが国の責務であるということは、いつまでたっても大東亜戦争が終わらない状況ではないか、こういう認識を持っております。
瀬古委員 ありがとうございました。
河合委員長 原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 私は、今、道路行政というのは大変大きな転換期にあると思っておりまして、道路特定財源によるものと料金収入によるものと二本立てでやってきた道路事業を、今国会は大きく見直すチャンスにあると思います。特に道路特定財源に関しては、塩川大臣は一般財源化すべきだと何度も言っておりましたが、実際は何の見直しにもなっていないと思います。しかも、道路行政というものがますます国民にわかりづらくなっていると思います。
 このような私自身が持つ問題意識から、今回審議されている二法案について、それぞれの参考人の方に御質問をさせていただきたいと思います。
 まず、本四公団の法案についてお尋ねをしたいんですが、この法案をよく読みますと、趣旨説明の部分と法律案の中身がずれていると私は思います。先ほど、田中参考人、岡野参考人の方から、特定財源によって債務を返していくことを評価されていたと思うのですが、確かにこの提案理由のところを読みますと、国土交通省は、有利子債務は約三兆五千億円で、その一部である一兆三千億円を切り離して、国の道路特定財源により早期に処理することと言っています。しかし、法案の中身の方を読んでみますと、その第二条に、「一般会計による債務の承継」ということで、一般会計で承継するというふうに条文には書かれています。
 なぜ提案理由では特定財源で返済すると書いているのかということを政府の方に尋ねましたら、自動車重量税から一般財源に入るものを充てるから、観念的に言えば道路特定財源から返済することになるという説明を受けたんです。でも、そうしたことは法案の中身では触れられていなくて、そして、その数値というものは予算書にも出てこないそうです。つまり、何の保証もないと言えると思います。
 そうすると、受益者負担というふうにいっても、道路特定財源を保持する一方で一般会計から借金を返していくのであれば、借金だけは受益者以外にも負担させるという、これは今まで国土交通省が繰り返してきた受益者負担の原則というものを転換させる大きな政策の転換になると思います。にもかかわらず、国民には十分な説明責任を果たしているとは思えず、私は、これは道路行政の異常事態だというふうに思っているのです。
 このことについてそれぞれのお立場から御意見を伺いたいんですが、このように、道路特定財源を保持しながら、一方で、借金の方は、この第二条の中で言うように、一般財源で承継すると書かれている部分についてどう思われるか。それぞれにお尋ねをしたいと思います。
田中参考人 私どもの委員会の意見書もごらんいただいたと思いますが、私たちの意見書においては、まず所要の債務切り離しによるんだ。その財源はどうするかというと、国の道路特定財源とする。債務の切り離しについては、次の五カ年計画の期間内において早期に処理することとして、その額については十五年度予算編成過程において政府において適切に決定してください。こういうことを、これはかなり早い段階で意見の集約が、今井委員長のときでございましたけれども、行われたものでございます。
 ここでは、一般会計によるということは言っておらない、委員会としては言っていないということを申し上げておきたいと思います。
岡野参考人 少し誤解がおありになるんだろうと思うんですが、自動車重量税というのは、収入額の四分の三が国です。それから、四分の一が地方の道路目的税となっております。そして、国の収入の四分の三のうちの八割は、これはいろいろいきさつがあるわけですが、道路の財源とするということが既に非常に前から決まっておりまして、したがって、形式上は一般財源ですが、実は、ずっと使われてきた経緯からいいますと、道路特定財源なんです。
 ですから、こういう表現であっても、別にそれは、今から所得税からもいただきますという話ではないわけであります。その点、多分、説明の仕方が悪かったのでそうなったかと思いますけれども、おかしい話ではないというふうに思います。
川本参考人 委員会といたしましては、まず認識として、最初にも申し上げましたように、本州四国公団については、明らかに赤字、キャッシュフローがマイナスの状態ですから毎年キャッシュが不足して、そのために債務が膨れ上がってしまうという状況に対して、まず止血が大事だという認識でございました。
 もちろん、当然のことのように、その穴埋めに際しては、民営化新会社に対する無制限の国民負担というものを前提としているわけでは決してないということを確認させていただきたいと思います。
 さらに、答申の内容といたしましては、書かせていただいたものとしては、「債務の切り離しの財源は、国の道路特定財源とする。」というふうに明記させていただいていることをお答えしたいというふうに思います。
織方参考人 冒頭陳述のときに本四に対する道路財源の投入については説明を申し上げましたので、この点はちょっと省略させていただきます。
 私は、道路特定財源というのは一応の意味はあると思いますが、問題は、今本当に必要なところに必要な金額が配賦されているかという点が非常に不明確である。例えば大都市周辺をごらんになりますと、まだまだ必要な道路は幾らも残っております。というふうなことも考えますと、やはり、これもまた我田引水になりますけれども、利用と負担の関係が明確になるような形で道路財源が配賦される。つまり、これは車両の保有台数とか人口比とかいろいろなデータがあろうと思いますけれども、そういう形で配分されるのであれば道路特定財源というのはそれなりの存在意義があると思いますけれども、現在の実態を見ますと、やや疑問になってきております。
 これは、実は世界的にも同じ傾向でございまして、先ほど岡野先生から、アメリカで法律で禁止されたということを申し上げましたけれども、これは大分昔の話でございます。二〇〇〇年に新しい連邦道路法というのができまして、アメリカでも、道路の建設はしてみたけれども後の維持管理費が出ないということを受けまして、維持管理費については有料道路でやってもいいよという法律改正をやりまして、それで、これは今まだテスト段階でございますが、三つの州でプロジェクトを募って、制度の切りかえを行おうとしているわけであります。
 一番大規模なのはアウトバーンであります。アウトバーンは、速度制限がない、料金も取らないということの代名詞になっておりましたけれども、数年前から、実は大型貨物車について、一日当たり幾らという料金を税金と似たような方式で取っておったわけでありますが、この夏からは、走行距離に応じて大型貨物から料金を取るということが実施されることになっております。もう法律は大分前に施行されましたが、準備がおくれておりまして、多分この夏からそういうことになるだろうと思います。
 そのかわりに、今まで車の保有者に一律に課していた車両保有税を減額いたしまして、トータルとして料金収入と個別の国税の収入が均衡するようにしようという考え方をとっております。この辺が大変に合理的な制度であって、日本の財政投融資と道路特定財源とを考える上で参考になる事例ではないかというふうに思っております。
原委員 ありがとうございます。
 次に、高速自動車国道法の改正の方で、また四人の参考人の方にお考えをお聞かせ願いたいんですが、官邸が主導で行ってきた道路関係四公団の民営化推進委員会と、国土交通省道路局やいわゆる道路族と、道路政策をめぐって政府の与党内で二つに分かれているため、このことについて、今、小泉政権が何をしたいのかということが国民は全くわからなくなってきているような状態にあると思います。
 今回、民営化については、来年度、法案が出てくることに先駆けて、直轄の高速道路の法案を今国会で通そうということに関して、私は問題だと考えています。
 このことも、高速道路で料金収入という受益者負担でやってきたことに対して、一部は国と地方に負担をかぶせるという、これもまた大きな政策の転換であるわけですが、その割には、官邸からも政府からも十分な説明があるというふうに私は思っておりません。
 今回、私もこの法案を勉強していく中で、本当に一から道路行政というものを今勉強しているんですけれども、非常にわかりづらい、さらにわかりにくくなっているような状態にあると思います。これでは、国民はもっとわかりづらい状態にあると思います。
 この点に関して、今回新たに出てきた問題点や、また、これだけ道路行政がわかりづらくなっているような状態で、これからこうした問題をどう整理して、どう解決していくことが望ましいかということを、また四人の参考人の方にお考えを伺いたいと思います。
田中参考人 今、委員がおっしゃるように、政策、なかんずく具体的ないろいろな行政について、国民にとってわかりやすいものであるということは非常に重要なことであります。
 しかし、今回の措置については、私どもの昨年十二月六日に提出いたしました意見書の考え方に沿っており、おっしゃる、難しさというんですか、わかりにくさというのは、それほど私は感じておりません。
 というのは、基本的に、まず、地方に三対一で負担していただくという点については、委員会七人のほぼ全員が、現在、すべて高速道路については日本道路公団がおやりになっておる。つまり、地方の負担なしということではなくて、地域の声を当然聞いてつくるわけでありますが、地域が負担して初めてそこに、道路の必要性、当然必要性もこれらに関係してくる話であって、地元がやはり何がしか負担すべきであるということは、委員会としては終始余り異論がなかったことであります。ただ、三対一がいいのかどうかということまでは、私どもは議論しておりません。
 それから、直轄の問題につきましては、御存じのとおり、新しい会社と保有・債務返済機構、仮称でございますけれども、私どもの意見書では、今の四公団を再編成して新しい会社、これは地域分割して五つになると思いますが、それと保有・債務返済機構ということに分けております。そこで、新しい会社というのは、経営の自主性、当然自己責任が生じてきます。もちろん、公営企業的な事業を行うわけですから、勝手なことが全部できるわけではなくて、必要最小限の、料金等々についての、例えばプライスキャップ制等々の導入等は必要であろう。最小限の政府の規制は必要であろうけれども、極力、とにかく自由度を与えて、経営の自己責任というんですかを図っていこうという立場に立っております。
 そうすると、今建設中の道路、それから今後つくる道路については、御存じのとおり、非常に不採算のものが多うございます。いかに公益性を持つ新しい会社であろうとも、採算に合わないものは恐らくつくらぬであろう。そうした場合に、しかし、ネットワークとして、国家の政策として必要かどうかという判断がそこに入ってくると思います。
 したがって、意見書では、合併施行方式といいまして、一部については、例えば一〇〇のコストがかかるものについて、新しい会社、五〇は負担できるけれども残りの五〇は自分で負担できません、国なり地方なりが負担してくだされば一緒にやってもいいよというようなやり方、新幹線でもそういう方式がありますけれども、そういう方式など、新しい方式を検討してくれということをこの意見書の中で言っております。その一つのあらわれがこの直轄方式ではないか。
 ただ、その際に、民間企業になりますから、新しい会社の採算性そのものを一体どう判断するかとか、あるいは合併方式というのもあるわけでありまして、その際、直轄方式との関係はどういうことになるのか、合併方式について、協議の方法とかというのはこれからいろいろ整理していく必要があるであろうというふうに思っておりますが、直轄方式そのものについては一つの前進ではあろうというふうに考えております。
河合委員長 岡野参考人、時間に制限がございますので、簡潔にお願い申し上げます。
岡野参考人 それでは、簡単に意見を申し上げます。
 今度の直轄方式ですと、今お話ありましたように、三対一で、地方が一負担することになっております。今までの直轄国道の新築、改築が、三分の二が国で、三分の一が地方でした。そして、高規格幹線道路の改築の場合だけが、十分の七が国で、十分の三が地方でした。それと比べますと、四分の三ですから、今度は国が十分の七・五になりますから、残りの二・五になりますので、前よりも減るわけです。しかも、それを自動車重量税の配分を変えて地方に回すわけですから、実際上、全部国、国と言ってはいけないですが、道路特定財源で面倒を見たと全く同じになるわけです。こうすれば、地方の場合の問題もなくなるわけです。
 今まで、なぜかというと、道路公団にやってもらえば全く負担なし。国道の高規格幹線道路でやると、今言いましたように十分の七ですから、十分の三だけ負担しなきゃならない。それがやはり、実際、地方の問題、政治の問題になれば、なるべく負担しない方がいいということで、道路公団にやれ、やれという話になるわけですが、今度のこの形は、実際上、実質的には地方の新しい負担がなくて高速道路ができるということですから、私は、この方法は、これから特に採算の悪いところをやる場合にはいい方法だろうというふうに思っております。
川本参考人 先ほどの御指摘の、政策がわかりにくいということに対して説明責任を果たすべきだという御論は、本当にもっともなことだというふうに思います。
 その意味におきまして、民営化委員会におきましては、会議を全部公開にいたしましたということで透明性の確保を図れたというふうに思っております。特にその中でデータとファクスを検証いたします作業にかなり試みまして、そういう意味で、今後、政策決定の現場での分析というものが非常に大事であるのではないかと思います。特に需要予測のようなものについては、それが後々きちんと検証できるような体制というものが望まれるというふうに思っております。
織方参考人 委員会の答申をどう評価するかという趣旨の御質問があったと思いますが、私は、あの答申が、あの趣旨に沿って、十年を目途にした民間移譲というようなことが完全に実施されるのであれば合格点を差し上げていいのではないかと思うわけでありますが、どうも、与党と協議してとかいう条項の中で、大分疑わしくなってきたなという懸念を持っております。
 小泉首相が、当初の意気込みから見ますとかなりトーンダウンされたというふうに感じておりますが、小泉首相は昔から郵政改革に熱心な方でございまして、この問題は、言ってみれば、財投資金である郵便貯金と出口側の道路特定財源という関係がございますので、小泉首相があれだけ郵政改革に燃やした熱意があれば、まだ道路公団改革にも希望が持てるかなというひそかな期待を持っているというのが私の率直な意見でございます。
 それから、わかりにくいという点については、これはおっしゃるとおりだと思います。先ほどの薄皮道路でありますとか、高速自動車国道に並行する自動車専用道路なんというのは、だれが聞いてもわからないんです。これは、国土交通省の方でも、道路局以外の方だったらおわかりにならないようなものであろうと思います。したがって、道路公団問題、ファミリー企業といいますと、これはだれでもわかるんですね。こういうものが、某評論家、作家先生がまた熱心におっしゃるものですから、この問題だけは国民は理解するけれども、根本の道路行政の問題の核心のところが説明されない、理解されないということについては、私は大変いら立ちを感じております。
原委員 ありがとうございました。きょうの意見を今後の審議にも生かしていきたいと思います。
 終わります。
河合委員長 高木毅君。
高木(毅)委員 自由民主党の高木毅でございます。
 随分長時間にもなりましたし、お昼がもう過ぎてしまいまして、さぞ皆さんもお疲れかというふうに思いますが、私は最後の質問者でございますので、どうぞよろしくお願いをいたします。
 それでは、早速、高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案に関して質問をさせていただきます。
 まず田中参考人にお聞きをいたしますが、本法の改正では、高速自動車国道整備に向け、四公団民営化に関する当面の措置として、また、新会社による整備の補完措置として、今もお話がございましたけれども、国と地方の負担によるいわゆる新直轄方式導入という、地方の負担というものを求めているわけでございますけれども、参考人は以前、高速道路整備に地元負担を求めることはよいというふうに述べていらっしゃいます。
 ここに、参考人が書いていらっしゃいます、これは日刊建設工業新聞に載っていた記事でございますけれども、少し読ませていただきますと、「私は地元負担を求めるのはいいことだと思っている。今までのようにタダで整備してもらっていては地元の声を反映しづらく事業が政府主導になってしまう。道路整備に自己負担することで、ああしたい、こうしたいと自分たちの意思が通せるようになる。地元が負担するのであれば、国道がいいのか高速道路がいいのか考慮するはずだ」というふうに述べていらっしゃるわけでございます。
 もちろん、これも一つの側面だというふうには思いますけれども、そうしますと、いわゆる整備計画九三四二のうち、未開通の残された約二千三百キロあるわけでございますけれども、その沿線に当たる地元だけが、これまでと違って負担を強いられるということになるのではないかというふうに思います。この点をぜひ御指摘したいわけでございます。
 すなわち、先に建設されている高速道路沿線は地元負担が強いられることはない。しかも、ずっと待たされていたわけでございますけれども、そうした今まだできていないところの未開通地域の地元のみが負担をすることになる。これは、同じ国民として不公平ではないかというふうに考えるわけでございます。
 そうした先行した地域とまだ未開通の地域、この格差というのはどのように考えればいいのかということを、ぜひ田中参考人にお聞きしたいというふうに思います。
田中参考人 確かに、今、新聞、お読みになったような発言を私はしておりますし、今現在もその主張は変えておるわけではございません。
 おっしゃるように、先行したところは公団がつくってくれるわけですから負担なく、それから、今まで待ちに待ったところがこれから大変な負担になるという声は、先ほど申し上げましたが、私、全国三カ所の一日委員会に出ましたけれども、なべて先生がおっしゃるような御意見でございました。それに対しては、私は、今までの方式でやるということはそれは理解できますけれども、一種の既得権益なんですね。改革をするときには、それはある程度やむを得ない面もいろいろございます。
 という言い方とともに、今回のこの法案に限って言えば、先ほどどなたかおっしゃいましたけれども、地方の負担も一応道路財源から負担するという形をとっておりますので、実質的な意味においては、先生のおっしゃる話にはならないで、配慮がされておる。
 しかしながら、繰り返しますが、私は、地元が負担することによって本当にその道路が生きてくる、地方分権の時代でありますから、生きてくるという物の考え方には引き続き立っております。
高木(毅)委員 ありがとうございました。
 そうすると、田中参考人は、道路特定財源を使ってということに関しては肯定的であるというふうにとらえればいいわけですか。
田中参考人 私どもは、その点、非常に重要な点でありますが、委員会としては道路特定財源を云々するということは実はやるべきではないという、つまり、委員会の立場としては、それは基本的な政策、政治の話であって、まさに議論されておるところであって、私たちに与えられた任務の外の話であるというふうな前提で議論を進めてきました。そのことだけ申し上げておきます。
高木(毅)委員 どうもありがとうございました。
 それでは次に、ぜひ四人の参考人の皆さんにお聞きをしたいというふうに思います。
 いわゆる新直轄方式というのは、採算性のとりにくい路線の整備を目的としているわけでございまして、そうしますと、採算性の悪さというものが何かということをあらわすことが必要になるかというふうに思います。
 実は、これは例示として、非常に見にくいかと思いますけれども、こういった、これは京都だとか大阪だとか兵庫、あるいは私の地元でございます福井をずっと一周しております、近畿圏環状高速道と言っていいかと思いますけれども、こういったものを持ってきました。非常に図が小さいので見にくいかというふうに思いますけれども、簡単に内訳を申し上げますと、名神高速道路が米原―吹田間で百九キロ、中国道が吹田―吉川間で約四十キロ、そして舞鶴若狭道、これが吉川―敦賀間でございますが、百六十二キロ、そして最後に北陸道、敦賀―米原間四十六・六キロでございまして、総延長三百六十キロになるわけでございます。
 このうち、実は先日、三月九日でございますけれども、京都府の舞鶴東と福井県の小浜西間の約二十五キロが完成をいたしまして、私もその開通式に出たばかりでございますけれども、これで、この近畿圏環状高速道と言えるものの未開通部分が、若狭湾地域のちょうど五十キロだけが残ったということになります。
 この五十キロが開通をいたしますと、その環状高速道が完成するというふうに考えられるわけでございますけれども、採算性というものを考えるならば、今申し上げたように、いろいろな高速道路がそれぞれをつないで、利便性の高い環状道路としてとらえていくべきではないかなというふうに思います。
 今、残された未開通部分五十キロがいろいろと取りざたされているわけでございますけれども、こうした私の考えをお聞きいただきまして、それぞれ四人の参考人の方々のお考えをお聞かせいただきたいというふうに思います。
田中参考人 手元にその具体の場所の資料を持ってきておりませんので、一般的な考え方を申し上げますが、委員会といたしましては当然採算という点は重視していまして、高速道路を整備する場合に、一応、中村先生の考えられた基準に基づき、中村基準と申し上げておりますが、それで優先度を公団に決めてもらう。
 それはどういうことかといいますと、その中身は、当然、BバイC、費用対効果も考えますし、それから進捗状況、執行率がどこまで上がっておるかということも重要な要素であり、三番目に、外部効果といいますか社会的な効果、つまり、二次医療、高度医療の機関に行くまでに大体一時間以内で行けるようにするとか、そのそれぞれを一対一対一でウエートをかけるのか、どこにウエートをかけるのかというのはこれからの政策の問題でありますが、そういうふうに客観的な数値によって優先度を、今建設中のもの、今度つくるものについて決めていこう。そうした上で、もちろん新しい会社は採算性を重視して道路を建設するんでありましょうけれども、場合によれば建設しない場合もあると思うんです。しない場合に、その優先度で順番は決まってきますから、その中で、その優先度に従って、国としてどういうふうにそれを整備していくのか、ネットワークとして非常に重要なものは何であるということを配慮して新しい方式を考えてくださいということを意見書で申し上げているわけです。
 したがって、今、先生御指摘の場所について、どういうBバイCになっておるのか、どういう執行率になっておるのか、社会的効果とかネットワークとしてはどうなのかということを十分配慮してその優先度は決められるものと理解しております。
岡野参考人 それはネットワークによるわけでして、今お話しいただいたところは、六十キロとおっしゃったんですが……(高木(毅)委員「五十キロです」と呼ぶ)五十キロですか、その残っている部分を見ますと、多分、費用効果分析しますと高いはずです。というのは、ほかがあるから、つながることによってほかがあるということの恩恵も受ける。ですから、同じ五十キロで、新しく、全然ないところに五十キロをつくるのと比べればはるかに高いはずです。
 それがネットワークであって、しかも実は、路線というふうになっていますけれども、その路線のそれぞれの収入、交通量は相互に依存しているわけです、片一方がなければ片一方がないという関係もあるわけですから。
 そういう意味で、路線別の収支というのはかなり問題があるわけで、ネットワークとしての収支のようなことをお考えになればいいわけでして、収益性の問題についても、その考え方でいけば今の投資基準を援用することができる、それでお答えになると思いますが。
川本参考人 まず採算性の悪さということはどういうことかといいますと、今後上がってくる収入で建設のコストや営業のコストを賄い切れない状況だというふうに理解をいたします。
 御指摘のように、ネットワークというものは非常に大事だというふうに認識しておりまして、高速道路は、広域的な連携によって、地域の自立促進でありますとか活力ある地域社会の形成に不可欠であるという認識は、もう当然のことのように委員会でも、私個人でも思っております。ですから、今後、高速道路の整備自体を否定したりネットワークの完成を否定したりするものでは当然ないわけであります。
 ただ、このまま続ければ、必ずや国民の大切な資産である郵便貯金や簡保のお金に穴があきかねない、その懸念が非常に強い、そういうような状況の中で、そうなると必ずや国民負担が生じてしまうのではないか。そういうような危険性がある場合に、民営化委員会において取りまとめた基準といいますのは、事業効率と採算性と、その他外部効果を勘案した基準によって今後の高速道路建設がなされていくというふうに理解をさせていただいております。
織方参考人 私の持論は、路線別の採算性とか効率性とかいうことではなくて、やはり地域ネットワークとしての評価をすべきだというふうに考えておるわけであります。したがいまして、民営化委員会では、全国三分割という非常に大ざっぱなといいますか、大きいくくりをされておりますけれども、私はもうちょっと小さく、北海道、東北、関東ブロック、あるいは近畿ブロック、中国、四国ブロックというふうにブロック別に分けて、そのブロックの中でも地域プールを考える中で着工の順位を考えていくということが一番合理的であり、説得性があるということを当初から思っております。
 今のプール制の問題点も、プール制そのものが悪いんではなくて、これは冒頭の陳述のときも申し上げましたけれども、野方図に拡大したプール制が悪いんです。地域ネットワークの中でのプール制というのであれば十分に合理性を持つものでありまして、その最大の理由は、私も道路公団在職中に何回も料金値上げをやったわけでありますが、値上げをするたびに、東名、名神の利用者から、いつまで我々の料金で北海道、四国に余り採算性のよくない道路をつくり続けるのかという強い意見があるわけでございます。
 ですから、その辺を皆さんが、例えば今の近畿地区であれば、名神あるいは北陸道の黒字を若狭の道路につぎ込んでもいいじゃないかという合意が成り立つのであれば、その範囲の中で、もちろん国の補助とか地元負担を含めた上でお決めになればよろしいことでありまして、決して個別の路線の建設を否定するものではございません。
高木(毅)委員 どうもありがとうございました。
 それでは、次に岡野参考人にお尋ねをいたしたいと思います。先ほど来、参考人、触れてもいただいておりますけれども、改めてお尋ねをしたいと思います。
 岡野参考人は、本来、先に民営化ありきということではない、いわゆる社会資本としての高速道路の整備をどうするかという、高速道路のあり方を先に問題にしているというふうに私は認識しているわけでございます。私も、同感といえばそういうことでございますけれども、高速道路というのは、先ほど来お話もいただいておりますけれども、単なる物の物流だとかあるいは人の移動だけではなくて、ほかにも大きな意味がある、意義を持つものだというふうに考えております。
 今、特にイラク情勢がこういったことでもございますし、それから北朝鮮という問題もあります。例えば日本の防衛というものを一つ考えたときにもそうでありますし、先ほど来話もございましたけれども、阪神・淡路大震災のような災害のときだとか、すなわち、国民の命だとかあるいは生活を守るもとになる役目を道路というものは大きく果たしているというふうに私は考えております。
 ちなみに、阪神・淡路大震災のときに、いわゆる太平洋側の道路が使えなくなって、まさに京阪神の特に大型の車両が日本海側へ集中したという事例もございました。有事のときだとか災害発生を想定した場合、最近は特に東海大地震だとか、あるいは東南海・南海大地震というものも取りざたされているわけでございますけれども、ぜひ高速道路が、いわゆる非常に利用度の高い地域、太平洋側だけではなくて、同様の機能と役割を持ったものを日本海側にも備えるということ、これは、仮に多少通行量が少ないにしても、私はそうした意味で整備することは大きな意味を持つというふうに思っておりますが、こういったことこそが高速道路の本来のあり方ではないかというふうに思っております。
 こういったことにつきまして、岡野参考人に御意見をお聞かせいただきたいというふうに思います。
岡野参考人 民営化推進委員会の方々は、大変実はお気の毒だったと思うんですね。初めから民営化を前提とした議論をしなきゃならないというのは、もし私だったら、非常に難しかったと思います。
 実は、あの法律をつくるときの委員会に参考人で出ておりまして、賛成しました。しかし、大変苦渋の賛成でありました。範囲が非常に広い。限りなく公的なものに近い民営というのもあるし、もう全く純粋に民営というのもある。私が大体想定したのは、もう非常に公的なものに近い民営しかないだろうなと実は頭で思っておりました。
 今、確かに非常に景気が悪くて、経済成長も十年以上こんな調子ですから、とてもお金がないわけです。でも、時間はかかっても、常に、どういうネットワークが日本にとって必要であるか、しかもライフラインとしてということも考えて、どういうネットワークが必要であるかということは絶えず研究して頭に置いておく必要があると思うんですね。そして、できれば、これをできるだけ早く整備していく。これはあとはお金の方の問題ですから、なければしようがないわけです。ただ、阪神・淡路の大震災があったときのように、リダンダンシーがあったらと後で言うようなことがないように、ぜひ日本の国土を大事にしたい、そう考えております。
高木(毅)委員 どうもありがとうございました。
 時間でございますので終わらせていただきますけれども、つい先日でございますけれども、扇大臣が、道路関係四公団からファミリー企業に天下っている公団出身社長に辞職を求めるということを正式に発表いたしました。私は、道路公団改革の問題については、高速道路整備といわゆる民営化がないまぜに議論されていたというような感がありますけれども、道路の整備は整備として、そして民営化に関しては、経営の効率化をしっかりと図って、より国民に対するサービスを向上させる、これは本当に大いに結構なことだというふうに思っております。
 この点を一点申し添えまして、以上で私の質問を終わらせていただきます。本当にどうもきょうはありがとうございました。
河合委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。
 この際、参考人の方々に一言申し上げます。
 本日は、貴重な御意見を賜りまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして、厚く御礼を申し上げます。(拍手)
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時二十二分散会


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