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第13号 平成15年4月2日(水曜日)

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平成十五年四月二日(水曜日)
    午前九時十五分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      伊藤信太郎君    岩崎 忠夫君
      岡下 信子君    倉田 雅年君
      実川 幸夫君    砂田 圭佑君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西田  司君
      西野あきら君    馳   浩君
      林  幹雄君    原田 義昭君
      菱田 嘉明君    福井  照君
      堀之内久男君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      森田  一君    山本 公一君
      阿久津幸彦君    岩國 哲人君
      大谷 信盛君    川内 博史君
      今野  東君    佐藤謙一郎君
      首藤 信彦君    津川 祥吾君
      伴野  豊君    高木 陽介君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    松浪健四郎君
      後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   参考人
   (本州四国連絡橋公団総裁
   )            藤川 寛之君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月二日
 辞任         補欠選任
  倉田 雅年君     馳   浩君
  砂田 圭佑君     伊藤信太郎君
  中本 太衛君     岡下 信子君
  岩國 哲人君     今野  東君
  永井 英慈君     首藤 信彦君
  二階 俊博君     松浪健四郎君
同日
 辞任         補欠選任
  伊藤信太郎君     砂田 圭佑君
  岡下 信子君     中本 太衛君
  馳   浩君     倉田 雅年君
  今野  東君     岩國 哲人君
  首藤 信彦君     永井 英慈君
  松浪健四郎君     二階 俊博君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案(内閣提出第一七号)
 高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一八号)
 港湾法等の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)
 空港整備法の一部を改正する法律案(内閣提出第一六号)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案及び高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長佐藤信秋君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君及び本州四国連絡橋公団総裁藤川寛之君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山本公一君。
山本(公)委員 おはようございます。自由民主党の山本でございます。
 いよいよ二法案もきょう採決ということでございまして、大臣初め、大変な労力を費やされたことに敬意を表したいと思っております。
 いろいろ議論が出てまいりまして、出尽くしたという感もございますが、私は、御承知のように四国の選出の国会議員でございますし、また、四国の中でも最もインフラ整備がおくれていると言われている四国西南部に生活をしている者でもございますので、思いを込めまして質問をさせていただきたいと思います。
 昨年来、第三者委員会、またこの委員会等々で四国の橋のことが出てくるたびに、そのお話を聞いておりますと、私は、悲しい、寂しい、つらい思いをいたしました。あの橋をどれだけ四国の住人が待ち望んでいたか、そして、橋ができ上がったことによって四国の住人が大きな希望を持ったか、そういうことについて余りお話がなかったように私は思っております。まるで愚かな行為をしたのではないかと言わんばかりの御意見が多々あったやに私は承りました。
 確かに、やり方等については御批判があることも我々は承知をいたしております。しかし、当時、国策として均衡ある国土の発展ということも言われたことも事実でございます。
 四国は一%経済と言われます。この国における地位は極めて低い地域でもございます。同様な地域に、北海道、沖縄、東北という地域がございます。北海道には北海道開発庁、沖縄には沖縄開発庁、東北には東北開発公庫という独自のそれぞれ支援する機関があったことは御承知だろうと思います。にもかかわらず、四国にはそういう手助けをしてくれる公的な機関は何もございませんでした。そうした中で、四国の住民が知恵を絞って、何とかして本州並みの四国にしたいという思いで明治以来頑張ってまいりました。
 あの瀬戸内海では数多くの海難事故がございました。私の記憶にある中でも、紫雲丸事故というのがございました。四国―本州の連絡船、国鉄がやっておりましたが、紫雲丸が濃霧のために沈没をいたしました。そして、修学旅行の生徒たちが何百人と亡くなりました。そういう海難事故を見るにつけ、あの向こう側に渡る橋があったらなと思い続けてきたのも四国の住民でございます。
 橋が三本かかりました。三本は多過ぎたではないかという御議論もあったやに聞いております。北海道と本州は、ある意味で接点は一つです。九州と本州も接点は一つです。関門トンネル、そしてまた青函トンネルで事は足りるいわゆる接点であったと思っております。しかしながら、御承知のように、四国は、本州に数多くの面が接しております。そうした中で、先輩たちが御苦労をされて三本の橋をかけられた。私ども四国の住民にとっては、先輩たちのこの御努力、大いに敬意を表して、感謝をいたしているところでございます。
 にもかかわらず、今日的御時世の中で、そのつくり方、そしてまた維持の仕方等々について、本四公団を初め、その批判が集中をいたしております。確かにこの点については問題があったんだろうと我々も思っており、できたものであるならば、そしてまた四国の住民が感謝をしているものであるならば、その中から、この橋をいかにして維持して、そして活用していくかという前向きな考え方が出てきていいんだろうと思っております。そういう御議論も多々あったことを承知いたしております。しかし、かなりの部分が、まるで、愚かな行いを四国の人間が進めてきた、やったと言わんばかりの御意見もあったことを我々は非常に寂しく思っております。
 百年後の日本の国民は、よくあの時代に、苦しい財政の中であの橋をつくっておいてくれたなと言って、百年後の四国の住民以外に、日本国民全体が大きく評価をしてくれる事業であった、かように思っております。
 そういう意味において、今回、こうやったスキームでの四国連絡橋についての一つの維持管理に、将来に向けての方針が出てきたことを私どもは大いに評価させていただきたい、かように思っております。
 この橋のことについては、私どもも、ある意味からいったら責任があるのかもしれません。そういう意味において、大いに我々も利用をすべく、皆、四国経済をこれからも活性化させていって本州との交流を深めていきたい、かように思っております。
 現に、橋ができる前と今現在では、四国と本州との、言ってみれば旅客輸送人員というのは、橋ができる前を一〇〇とするならば、今現在は二三五と言われております。二・三五倍ふえてきております。橋ができたことによっての効果は、十二分に今生まれつつあるというふうに思っております。
 また、今までは、橋がかかってはおりましたが、四国の島内の道路が充実をしておりませんでした。橋をおりた途端に一般道路を使用しなければいけないという今日までの状況でもございました。おかげさまで、少しずつ四国島内の道路も今整備をされてきております。橋をおりて、一般道にかかることなく四国の高速道路ネットワークの中に入っていけるという状況にもなってきておりますし、これから橋の利用率というのは飛躍的に増大をしていくものだと思っておりますので、ぜひ、委員の皆様方、そういう目でこの本四連絡橋を見ていただきたいと思っております。
 ところで、この橋をつくるにおいては、私は、多分、世界に冠たる日本の技術というのが発揮をされたんだろう、かように思っております。もったいないような技術が今後生かされていくのかいかないのか。まずその点について、国交省の方で、これから先、例えば外国の何とかという国が日本の技術を供与してもらいたいとか、そういうような話があるのかないのか、そしてまた、そういうお気持ちが、この技術をこれから世界の中に供与していくような心構えがあるのかないのか、その点について、まず最初にお伺いいたしたいと思います。
中馬副大臣 山本委員が、本当に私も日ごろ思っていることの一端を述べていただきました。この本四連絡橋、本四架橋は、大変な技術の塊でもございます。御承知のように、明石海峡大橋は世界一のつり橋でありますし、また、生口島から大三島のあの多々羅大橋、これは世界一の斜張橋であります。そして、この中には百五十件を超える特許及び実用新案等が集積されておりまして、大変技術として高度なものであります。
 今、委員御指摘のように、採算性だけが何か論じられておって、技術の波及効果、地域に対する効果も含めてですが、そして日本の技術の誇りといった評価、このこともどうも少しネグられているような気がして、私も残念でなりません。
 アポロ計画で月に人が着陸しました。大変なむだだということが言えるかもしれません。しかしそれは、アメリカにとっての、いや、人類にとっての大きな誇りであったと思いますし、この波及効果というのは大きかったと思いますね。そういう意味におきまして、今回のこの日本が打ち立てました大変な技術、これにつきまして、どうしてこれを維持し、また、これを地球人類に及ぼしていくかということまでも含めて何か考えていかなければならないと私自身も認識をいたしております。
 少し細かいことを言いますと、世界一の、ただ長さだけではなくて、つり橋の高強度のワイヤの開発、今まで二本なかったらあの長さにはもたなかったのを一本でもたせておりますし、それから、海中の基礎への特殊なコンクリートの活用といったようなこともございます。
 ともあれ、そのような日本の技術資産は、同時にこれは世界の技術資産だ、このように評価しなければいけないと思います。
 そういうことで、この技術をどう残していくか、散逸しないようにするかにつきましては、組織論としては別といたしまして、国内の長大橋に関する技術の受託も今いろいろとやっておりますし、また、JICAを通しましての国外への専門家の派遣、こういったことも含めて私どもも真剣に考えていこう、このように承知いたしております。
山本(公)委員 ありがとうございました。とにかく、すばらしい技術をもってできた橋でございます。申し上げましたように、百年先には、本当に日本国民こぞって、いいものをつくっておいてくれたなという評価に値するものだと思っておりますので、そういった技術等についてもぜひ今後活用を考えていただきたい、かように思っております。
 この橋のことにつきましては、今申し上げましたように、今までは橋をおりてすぐ一般道というような形態でございましたが、これから四国の島内の道路がいろいろと整備をされていく中で、橋の利用量というのは飛躍的にふえていくというふうに私どもは思っております。
 そこで、私が申し上げたいことは、四国の高速道路、これは完成というのがもしあるとするならば、八の字ルートだと言われております。御承知だろうと思います、八の字ルート。四国の島内を一周する高速道路ネットワーク、これが四国の高速道路のいわゆる完成だと言われております。
 なぜならば、八の字を完成することによって、四国四県が約一時間圏内で各県庁を結べる、そしてまた、四国の隅々までがその高速道路ネットワークの恩恵に浴することができる、そして、それを発展的に考えていくならば、橋に向かってそれを生かすことができる、そういうような考え方で、私どもは、四国の八の字ルートというのがいわゆる完成だというふうに思っております。
 そこでお伺いいたしたいわけでございますけれども、昨年来の第三者委員会等々で出てきております議論を聞いておりますと、必要性の乏しい道路はつくらないというお言葉が随所に出てきております。必要性の乏しい道路とは一体何なんでしょうか。きょうまで多分いろいろな御議論があっただろうと思いますけれども、もう一度確認の意味で、必要性の乏しい道路という、逆に、必要性のある道路という一つの基準といいますか考え方について、国交省のお考えをお伺いいたしたいと思います。
佐藤政府参考人 現在の高速道路の計画といたしましては、国土開発幹線自動車道建設法などに基づいて定められた一万一千五百二十キロメートルがありますが、これは、全国的な自動車交通網の枢要部分を構成し、我が国の社会、経済、文化の発展のための基盤となる社会資本として、昭和六十二年の法改正において、全会一致で位置づけられたものであります。
 このうち、既に整備計画が策定されました九千三百四十二キロメートルにつきましては、国民経済的に見て整備の必要性があるとして、法律の手続を踏んで決定され、地元にも具体的な計画として提示された区間であり、国土交通省といたしましては、その早期整備に責任を負っているものと考えております。
 今後の高速自動車国道の整備に当たりましては、費用対便益のほかに、新幹線や空港等、幹線交通網への利便性向上などの広域的効果、あるいは高度な医療施設までの搬送時間の短縮などの住民生活、安全への効果、さらには物流拠点へのアクセス向上などによる産業立地の振興などの地域経済への効果などの整備効果を十分に検討して、厳格な事業評価を行い、真に必要な道路の整備を進める所存であります。
山本(公)委員 真に必要な道路ということでございますけれども、私の住んでおります四国の西南部というのは、御承知のように、鉄道もございません。当然高速道路もございません。ルート五十六という二車線の国道が一本ございます。その沿線に十五万人の人が生活をしております。
 そういうところに高速道路をつくるのは、採算が合わないからむだだと言う人もいらっしゃいます。高速道路の採算というのは、輪切りにして、この部分は合わない、この部分は合わないという論理で採算性をはかっていいものなんでしょうか。この道路ができることによって既存の道路の採算性も上がっていくという考え方はとれないものなんでしょうか。さっき申し上げました四国の八の字ルートが完成することによって、今できている道路の採算性も上がっていく、そして、今できている本四架橋の採算性も上がっていく、そういう考え方がとれないものなんでしょうか。
 昨年来の第三者機関等々の採算性のお話を聞いておりますと、何とか区間と何とか区間はそろばんに合わないとか便益性への寄与が少ないとか、そういう御議論ばかり随分あったように私は思っておりますけれども、そういう全体を含めた長いスパンでの高速道路の採算性という考え方はとれないものなんでしょうか。道路局長、どう思われますか。
扇国務大臣 おはようございます。
 山本議員から、きのうからのこのお話をるるお聞きいただいたと思いますけれども、四国の皆さんが元気が出なければならないというのは、おっしゃるとおりなんですね。
 私が、一昨年ですけれども、国土交通省というものがスタートしまして、全国十ブロックに分けて、四国に伺いました。そのとき、四国四県の知事さん、経済界等々お集まりいただいて、懇談会をしました。
 今、山本議員がおっしゃったように、四国の四知事さんは口をそろえておっしゃいました。もし四国が四県でなければ、北海道と同じように開発庁をつくってくれたでしょうね、四国開発庁ができたでしょうねと私におっしゃいました。そこで、四県の知事さんは、我々は一つの県の利益だけを言いません、四国四県は一つのものですと。九州もそうおっしゃいましたけれども。
 私は、この懇談会で四県の知事さんが、自分の県の権利だけ、あるいは自分の県のエゴだけを言うんじゃない、四国は一体であるというこの知事さんのお考えに大変感動もいたしましたし、また、そうしなければいけないと思いました。
 昨日からるるお話が出ていますように、今、山本議員がおっしゃった四国の八の字ルート、私は全国区ですからよく回っていますから、二十五年前から四国も行っています。しかも、四国に行くのにはヘリコプターで行かなきゃいけないというぐらい不便なことも、私はよく知っています。
 ですから、八の字ルートというものができればいいので、私が一番最初にきのうも申し上げましたのは、三本一遍につくらないで、例えば真ん中の分で八の字ルートを先につくってつないでおけばもっと便利だったのになということは、今考えれば考えられなくはない。それができ上がってからもう一本つくってもよかった。三本同時でなくてもよかったんじゃないかという、今の時代から考えれば、八の字ルートの完成を図ってあげるべきであったなという、私は後悔にも似た、またあるいは、四国の経済界等々、県民の皆さんのGDPの伸び方が四国がこれだけだという数字も今言いますけれども、そういうことを考えれば、後先は別にして、今は先に三本の橋ができてしまったけれども、八の字ルートができていない、だったらということは、私はやはり反省材料の中に、順序を一本逆にしてもよかったなと。
 そして、今、山本議員がおっしゃる四国全般の四県の八の字ルートができれば、私なんか東京で本当にありがたいと思っていますけれども、今のように、朝とれた徳島のタイを東京へ飛行機で持ってくるなんというようなことが、八の字ルートができていれば高速道路でも来れたかもしれない。そういうことを考えれば、四国の経済はもっと活発化したかもしれないということは言えると思います。
 私は、きのうもどなたかの質問に申し上げました。四国の橋ができただけで、悲しい数字ばかりではありません、橋ができたおかげで経済的にも効果は上がっているんですよと。四国だけでとっても、これだけ時間が短縮できたということで、年に二千五百億円の経済効果、時間の短縮だけでですよ。時間短縮をしただけでも二千五百億円。しかも、この四十年間で県民のGDPは倍増しているわけですね。
 そういうことから考えれば、既に効果はあるわけですけれども、その効果をよりもっと倍増さそうということからすれば、渡ったところの広島県も岡山県も兵庫県も、あるいは大阪も和歌山も、みんな影響をいただいています。なぜなれば、私の知っている人たちが言うんです。扇さん、朝、徳島からバスで橋を渡って大阪で芝居を見たり京都で芝居を見たりして、日帰りできるんですよ、こうおっしゃる。ただ一方、四国の人は、橋ができたおかげで買い物は大阪や神戸へ行っちゃうんですよ、四国の物を買ってくれませんという愚痴も聞きます。硬軟取りまぜてありますけれども、私は、今、副大臣が申しましたように、この四国の三橋をつくってしまって、でき上がっている、この技術をいかに生かすか。今御要望のあった八の字ルートというものを四国により早くして、この三橋の利便性をもっと高めるためには、八の字ルートを完成さすことなんです。それはよく私もわかっております。
 今、むだだむだだとおっしゃるところは、確かにむだは省きます。四車線を三車線にしたり、あるいは三車線のトンネルを掘るところを二車線のトンネルでいいじゃないかとおっしゃれば、そういうコストダウンも図りながら、私は、より経済効果がある、今できているものを生かす方法も国土交通省としては考えていくということを言っておりますので、必ずしも悲観的なものだけではなくて、せっかくつくった橋を生かして、四国が元気を出して、そして、近隣のところにはとれたての新鮮なものをじかにお台所まで運べるとか、そういうことがあるからこそ四国の今の負担率も、近隣の十の府県市で負担していただいているんだと私は感謝もしております。
 そういう意味で、どうか元気を出していただいて、私たちも応援するつもりで、八の字ルートの完成によって今の三橋の生かし方をもっと考えるということに国土交通省の頭を持っていかなければいけないと私たちは思っておりますので、ぜひ元気を出していただくようにお願いしたいと思います。
山本(公)委員 ありがとうございます。元気は十分あるつもりなんでございますけれども、さも四国の人間がばかだからつまらない事業をやったかのごとく言われる方々が時々いらっしゃいますので、むだな橋を三本もつくってという、大臣の言われる後先の話はあったんでしょうけれども、さっき申し上げましたように、四国は本州にいろいろなところで面しております。それぞれの地域の本州とのつながりがあったということもぜひ御理解を賜りたい、かように思っております。
 ただ、何度も申し上げますけれども、橋が生きてくるも生きてこないも、四国の島内の道路の整備、完成というのが大きく関与してくるということをぜひ御承知おきいただき、今後、高速道路の議論が出てくるときに、その地域の採算性が合わないという一点で道路の必要性云々を御判断されないようにしていただきたい、かように思っております。
 与えられた時間がごくわずかでございますので、もうあと一、二点、御質問をさせていただきたいと思います。
 それは、今申し上げたように、四国の八の字ルートが完成することによって橋の交通量というのはふえてくるというのは自明の理でございます。特に四国というのは、御承知のように、非常に潜在的な集客力を持っております。弘法大師さんが残してくれた最大の観光資源が四国八十八カ所、今日また、この八十八カ所のお遍路さんはふえてきておるわけでございますけれども、これは四国全体にまたがっております、四国全体に八十八カ所というのはまたがっております。そういう意味において、四国は潜在的な集客力というのは非常に持っているところだと思っておりますので、交通網が整備されることによってそれぞれの利用量というのはふえてくる。
 そうした中で、大臣もきのう松浪委員の御質問に対して答えていらっしゃいましたけれども、どうしても考えてあげなければいけないのは、今日まで本州と四国との間の連絡の役目を果たしてきた、いわゆる旅客船業者に対する配慮だと私は思っております。
 確かに七百四十四億円、今日まで、お支払いといいますか御支出をしていただきました。それなりに業界は助かっているんだろうと思いますけれども、言ってみれば、当時百三十四あった航路が、橋がかかったことで四十八に今減少をいたしております。そういうことで七百四十四億円というのは使われたんだろうと思っておりますけれども。
 今後、私が想像するプロセスで進行していくならば、橋の利用量というのはどんどんふえてまいります。まして、料金も今回割り引いていただきました。ふえてまいるだろうと思っております。必然的に旅客フェリーへの利用者はやはり減ってくるんだろうと思っております。それは、多少減ることは当たり前といえば当たり前で、いたし方ないこともいっぱいあるんだろうと思いますけれども、環境が激変するようなことがあったら、ぜひそういった方々に何らかの配慮はいたす必要があるのではなかろうか、何らかの配慮というのはいたすべきではなかろうかと私は思っております。それは当然、国及び関係市町村も県も絡んでくるんだろうと思いますけれども、そういうことについては、もう御答弁は結構でございますが、ぜひそういった際には御配慮願いますことをお願い申し上げておきたいと思っております。
 最後に、私どもの一番関心事は、先ほど申し上げましたように、これからの高速道路の完成ということに向けての優先順位のつけ方等々、いわゆる直轄方式も含めて、どういうスケジュールで今後高速道路関係行政を進めていかれるおつもりなのか。私どもは八の字ルートの完成がすべてだと思っておりますけれども、地元においても皆がいろいろ心配をいたしております。我々の地域はもうこれでつかないのじゃないか、かつて四国の国鉄の線路が私の宇和島市で切れたように、高速道路も宇和島市で切れてしまうのじゃないか、そういう心配を随分なされておられます。
 そういう点について、今後のこの高速道路網ネットワーク完成に向けてのスケジュールについて御説明を願いたいと思います。
佐藤政府参考人 高速自動車国道の全体のネットワーク、こういう意味では、一万一千五百二十キロを昭和六十二年にお決めいただいているわけであります。さらに、その中で整備計画が九千三百四十二キロ出されている。こういう状態であることは申し上げてきたとおりでございます。
 この九千三百四十二キロにつきまして、これからは、有料道路だけではなくて、新しい直轄方式ということで、国税と地方税を投入していただいて整備を進めよう。そこで、現在、この法案の御審議をいただいているわけであります。
 大まかに申し上げますと、高速自動車国道、こういう意味でのこれからの残っております建設、九千三百四十二キロで申し上げれば約二千百キロで、二十兆円だったものをコストカットで十六兆円にし、なおかつ、その中で、今お願い申し上げていますような新しい直轄方式、こういうことで三兆円を目安とする、こういうことでまいりますと、おおむね十三兆円程度に、言ってみれば、有料道路で整備する分、九千三百四十二キロの中では圧縮していただける。そしてそれを、新しい公団それから新しい会社という形で整備は何とかしていただけないかということで、これからまたそういう制度設計に取り組む、こういう手順でございます。
 そういう意味では、この法案を通していただきましたら、九千三百四十二キロの中で新しい直轄方式という形でお願いすべきものを、それなりの評価基準、現在検討しておりますが、評価の基準をベースにしながら、地方公共団体ともお話をさせていただいて、目標といたしましては七月ごろにというようなことも考えたりしているわけでございますが、国幹会議をお開きいただきながらその御審議をいただく、こんな手順で考えているところでございます。
 先生御指摘の部分は、多分、さらにそのほか、一万一千五百二十キロと九千三百四十二キロの間、二千キロほどのすき間がまだあるではないか、この部分をどうするんだということかと思います。
 約二千キロの中で、いわゆる一般国道のバイパス、自動車専用道路のバイパスとして高速自動車国道のネットワークを補完し得るという形のものが約千キロございます。供用中のものと建設中のものとございます。そういうものはできるだけ活用して、別にもう一本高速自動車国道をつくるということではなくて、活用して補完させていただくということが必要かと思っております。
 そうしますと、さらに千キロほど残るわけでございますが、これにつきましては、今後またいろいろな工夫をしながら、確実な整備が図り得るというようなことで今後いろいろ工夫をしてまいりたい、そんなふうに思っているところでございます。
山本(公)委員 ありがとうございました。
河合委員長 今田保典君。
今田委員 民主党の今田保典でございます。
 今審議されている法案に対しての質問ということでありますが、その前に、今イラク戦争が勃発しておるわけでありますが、このことによって、国際的に非常に混乱を来しているわけであります。毎日毎日イラク戦争のニュースがテレビで放映されるわけですが、まともに見ていられないというような状況でございまして、これは私だけではなくて、国民全員がそういう思いでテレビあるいは新聞を見ていらっしゃるんだろうな、こういうふうに思います。
 そういった状況を考えますと、果たして日本の危機管理、とりわけ国土交通関係の危機管理というものは本当に大丈夫なのかという思いをしておるわけでございます。
 せんだって、国土交通省の中に、そういったものに対しての対応というようなことで本部がつくられたようでありますが、それが果たして国民の安心というものに伝わっているのかどうかということを思えば、いささか心配な面があるわけでありますし、さらに、そういった国土交通関係の、とりわけ交通関係の危機管理、あるいはそういったものにいかに対応するかという問題になったときに、それぞれの民間の企業にすべてその負担が行くというようなやり方では、なかなか企業として大変なのではないかという声もあるわけでございまして、そういった面での大臣のお考え。
 さらにまた、きのう、この委員会が終わった後、わざわざ大臣から、北朝鮮のテポドンの話がありました。ところが、これは確認されていないということで、きのうの夕方、迷走されたようですが、しかし、きょうの朝ニュースで見ますと、確認をされておる、こういうようなニュースもありました。
 しかし、これは、ニュースあるいはそういう報道というものについては、国民に知らせる義務があるというものについては私は理解をするんですが、誤った情報を流しますと、いたずらに国民に不安を与えるということにもなりかねない問題でございますので、そういったものを含めて、大臣の今とっている対応等々についてお聞かせをいただきたいと思います。
扇国務大臣 まず、一番最後のお話から申し上げたいと思います。
 きのう、この委員会が終わりましたのが十二時十分ごろでございまして、既に十二時のニュースが終わった後、委員会が終了いたしました。終わります直前に、北朝鮮の地対空ミサイルの発射のメモが私に入りました。どこからだと言ったら防衛庁からだということで、これはきっともうニュースに流れたものだと思って、皆さんに番外ですということで、もう委員会が閉鎖した後ですから、私は、番外で、一応ニュースとして申し上げたのです。私も確認をする時間はございませんでしたけれども、防衛庁からのもので、誤報であるとは思えなかったし、先日来から北朝鮮がやるぞやるぞというようなことが世上に言われておりましたので、私は、ついにということを思って、ニュースの一端として、の模様ということを言い添えたつもりでございます。
 確定したものを申し上げたつもりはございませんけれども、ニュースの時間が済んでおりましたので、メモが来ましたので、皆さんに、番外ということをお断りした上でニュースの一端として申し上げたのですけれども、確認する時間があったのかと言われれば、それはなかったということを言わざるを得ません。
 これは、日本の国内の情報網が、大臣に上がったものを再度確認しなければいけないということの方がむしろ問題だと私は思っています。きちんと確認されたものがニュースとして入ってきて、そして、それをよりいち早く国民の皆さんに安心感を持たれるように伝えるというのが我々の一番の務めでございますから、六十キロメートルということで我が国に何の影響もなかったからと思って、私はあえてお知らせしたということでございます。仮にも誤報があってはなりませんので、その点はより厳重に情報網というものの管理そして伝達方法というものを考えなければいけないと思っております。それが最後のお言葉でございます。
 それから、最初のイラク戦争についてのお話でございましたけれども、これは我々も長い経験をいたしました。湾岸戦争のときから今日まで、もう既に十二年たちました。その間に、イラクがクウェートに侵攻したときから、国連で十二年の間に十七回の決議をして、イラクに、およしなさいよということをみんな言ってきたわけですね。その過去十二年間で十七回の国連決議は、安保理でも全会一致でみんな、核武装はおよしなさい、拡散はよしなさい、生物兵器はいけませんと。
 あらゆることで国連が一致して行動できたということは、イラクは百も承知なんですね。それを、査察をしても、オープンにしないで制限をして、ここは見てはいけない、ここは見てもいいということ自体が、イラクの方が国連を軽視し、国連に対してイラクは大変失礼な態度をとり続けているということを私は言わざるを得ないだろうと思います。
 それが昨年の暮れの一四四一という最後の通達ということで、経緯を言いますと長くなりますからやめますけれども、もって国民が、地球上から、ああいう危険な人物が核を持ってはいけないという、そのことを私たちはどうしても言いたい。
 そして、今いろいろな反対運動等起きておりますけれども、一番最初はイラクがいけないんだという主語が抜けているんですね。戦争は、もちろんだれでも反対です。けれども、イラクが違反をしているという主語が抜けて反対だ反対だということでは、これが逆にイラクの強気につながる。みんな、世の中だって反対しているじゃないか、だからおれたちのしていることは正しいんだと、また違った誤解を彼らに持たせてしまうのではないかということを私は大変心配しております。
 少なくとも、私たちは二度と戦争をしないというこの日本の国の姿勢というものは世界に冠たるものだと私は誇っておりますけれども、起こってしまって、過去十二年間、十七回の国連決議、そういうものに違反し、核を隠し、そして生物兵器まで持っているというものをみんなでただそうということに対しては、日本がそういう態度を支援すると言ったことに対しては、これは人類の、民族の、あらゆる者の平和への願いの一端である、戦争したくてしたのではないという、その原点を我々は認識していきたいと思います。
 一日も早く終結するのを望むのは当然ですけれども、普通の一般国民を盾にして、その中に軍服じゃないものを着せて兵士を紛れ込ますというようなことは、私は、本当に残念なことだなと思って、一日も早い終結を願いながら、日本国としては万全の体制をとるということで、今、国土交通省の対応をお話しになりましたけれども、昨日も申し上げましたように、国土交通省の中にイラク問題の対策本部をつくりました。
 ペルシャ湾岸にいる船舶、船員、今のところ把握している数が間違いなければ、船舶が四十四隻、タンカーがその中の二十七隻、日本人の船員が八十六名、そして近隣の諸国にいる旅行者というものも、今、在留邦人を含めて確認し、なおかつ国内においては、あらゆるテロを想定して、新幹線、飛行機、空港、そして原子力発電所、米軍施設等々、万全を期して、私は、九・一一、一昨年の同時多発テロのときにしましたマニュアルを再確認して、警備を厳重にし、そして、我々の同胞が近隣諸国に旅行中であるということも勘案しながら、その確認を確実にしていくということの手だてをとっているところでございます。
今田委員 細々といろいろとお話をされたんですが、私が心配しているのは、そのことによってテロ対策について本当に十分にやっているのかという思いでございます。
 さらに、御案内のように、私は交通関係出身でございますので申し上げますが、テロ対策のためにこれからいろいろやるという際に、例えば航空会社に、鉄道会社に、バスあるいは船会社、そういったところにテロ対策のためのいろいろな方法論をこれから国としてやるとすれば、それを民間企業に負担をかける、こういうことでは本来の対策にはなっていないんではないかというふうに言わざるを得ない部分が出てくるので、そのことを国できちっと責任を持って、財政も含めた対策をしてもらわぬと大変だなというふうに思うんです。そのことについて、一言だけ大臣の方からお考えをお聞かせいただきたいと思います。
扇国務大臣 これはどことは言えませんけれども、一昨年の九・一一のときに、飛行機の搭乗のときの検査、これはフェーズEといいますけれども、日本の場合は、ただ何か持っていないかという探知機的なものでありまして、余り高度な、いわゆる爆発物を持っているかまではなかなか、機械がもっと上等でないと、感度の強いものでないといけないということで、これは政府としてきちんと対応をいたしました。それは今どこに入れているかは言えませんけれども。
 そういうことで、本来は日本は通常の厳戒態勢をしておりまして、フェーズEにしてもなおかつ防ぎ得ない機械であったということで、そういうものも政府としてはランクの上のものを入れようということで入れたりしておりますので、そういう意味では、一〇〇%ということは言えません、いろいろなところにすきがありますから。けれども、今の段階では万全を期す体制をしき、国民に安心をしてもらうようにはしているつもりでございます。
今田委員 どうもありがとうございました。
 それでは、本題に入らせていただきます。
 これまでの高速自動車国道の整備に関するものについて、総括する意味で御質問をさせていただきたい、このように思います。
 昨年の十二月に道路関係四公団民営化推進委員会がまとめた意見書の中に、高速自動車国道の整備について、「高速自動車国道等の建設は国による施行命令等に基づき実施される仕組みとなっており、組織として自主的な意思決定が行われず、経営責任が不明確となっている。」という指摘をされておるわけでありますが、今日、道路関係四公団は、約四十兆円の巨額の負債を抱えておるわけであります。この金利支払いだけでも年間一兆円、こういう膨大な利子を支払わなければならないということになっておるわけでありますが、そういった高速自動車国道整備等のあり方について最初に総括する必要があるという意味で質問させていただきたい。
 私から言わせていただくと、希望的観測に基づいた極めて甘い交通需要の見通し、経済情勢の見誤り、あるいはさまざまな思惑等によって道路計画が進められてきた結果ではないのかというふうに思えるんですが、このことについて、大臣の思いというものをお聞かせいただきたいと思います。
扇国務大臣 今田議員も御存じのとおり、戦後の日本の復興のために、あの貧しい中から、少なくとも経済の立て直しをしよう、国民生活の安定を図ろうということで、財政難のときに借金をしながら道路をつくってきたというのは御存じのとおりです。
 そして、その財源が利益者負担ということと、外資から借りたものもありました、世銀です。そのように道路をつくり始めたのが、ずっとその形のままつくり続けてきて、そして、私たちもあのバブルというものを経験し、あのときに一挙に返済していればよかったと思うこともあります。あのバブルの豊かなときはどこへ行ってしまったんだろう、あのときに借金を返していればよかった、あのときに気がついていれば、道路もすべて、受益者負担ということではなくて、一般財源からきちんとやるべきであった、そういう切りかえも必要ではなかったかということを、反省とともに、私たちは今考えております。
 少なくとも公共事業というものは、空港、道路、港湾、私は、すべて国民からいただいた税金で賄い、そしてそれを、でき上がって、どうぞお使いくださいと言って民間にも港湾等々も開放するというのが本来のやり方であろう。これは私自身も、一民間人として考えても、それが普通だろうと思っています。
 ただ、その場合、今申しましたように、バブルというものがはじけてこういうデフレになるというのは、だれもあの当時考えていません。私自身も主婦の一人として、あのときには、物価が下がればいいな、下がればいいなと思っていました。ところが、今下がり過ぎて、そしてデフレになってしまった。しかも、デフレスパイラルという言葉も使われるようになった。
 そのときに、道路もこれだけの交通量があるだろう、そして、この道路をつくることによって、この道路のそばには工業団地もつくり、そして会社もやってくる、そういう予定で、地方の自治体の皆さんは、この予定された九三四二の道路のそばに工業団地を誘致し、工場が来てくれると思って整地したところも地方自治体にはいらっしゃいます。そういう意味では、私はもっと、つくった道路の経済効果、道路は借金でつくったけれども、周りに経済効果が上がって税収がふえたわよ、私、それでもいいと思うんですよ。だったら、道路が赤字でもいいと思うんです。
 そういう意味で、私は、道路のつくり方が受益者負担と借金でつくっていくという、この方向転換ができなかったことが今日の姿を招いた。とにかく工事に時間がかかり過ぎるから、どんどん値段が上がっていく、コストアップする、そして日本は、御存じのとおり、最初からグランドデザインができていないものですから、もう住んでいるところ、あるいは山、谷、トンネル、橋、あらゆるところで、諸外国の高速道路と違って地形的にコスト高になるような地形の中で、しかも長期にかかってますますコストアップする、そういう悪循環に陥ったことだけは確かでございます。
 そういう意味で、私は、すべて反省材料はこれとこれだろうということは言えますけれども、それをいかに今後克服して、そして、より国民に負担を少なく、よりいいものを提供できることが公共工事ですから、その公共工事のあり方というものも転換期に来ているということを私は認識しながら、この民営化委員会の皆さん方の御意見も聞きながら、より二十一世紀型の公共工事を進めていくということの今転換期に差しかかって、我々は、過去の借金をどうするか、まずその整理の一端を皆さん方に供しているというのが現状でございます。
今田委員 今、大臣が言われたように、戦後、道路が非常に不足をしている、そういう時代に、日本の国土開発に道路をつくらなきゃならぬ、こういう思いで当時はやった。そのことについて、私は大変な評価もしたいし、そのことによって日本の発展もある程度できたのかな、こういうふうに思っております。
 しかし、その時代に金がなかった。そのことによって、自動車ユーザーから税金をいただいて、いわゆる道路をつくるための目的税という制度をつくったわけですね。それはそれとして非常に有効的で、しかも、そのことによって道路も大変つくられた、こういうことではないのかなというふうに思いますけれども、ただ、そのいわゆる道路特定財源という安定した財源が長期にわたって確保される、そういうふうに確認された結果、果たして、必要でもない道路、あるいは急ぐ必要もなかった道路、そういったものをつくらなかったかという思いも正直言ってあるわけですよ。いわゆる浪費ですね。そういったものが目立つようになったのではないのかというふうに思うわけであります。
 したがって、今後、この道路特定財源のあり方、今後の道路行政について、ある程度見直しというか、もう一回原点に戻って考える必要があるんではないかというふうに思うんですが、このことについてどう思いますか。
扇国務大臣 そういうことができれば、私ももっと肩の荷が楽になると思います。ただ、今までたまった四十兆円、もう今四十一兆になるかと言われておりますけれども、それをどうするのか。今までも料金を払っていただいて、この料金はやがてただになりますよと言ったのに、いまだに、ただになるどころか、上がり続けている。なおかつ上がり続けて、四十一兆になんなんとするものがある。それを、それじゃ今までのものはどうするのか。今までの借金を整理しなければ一メートルもつくらないということであったのでは、またコストアップになっていく。ですから、希望を満たしながらも、この四十兆、四十一兆に近いというものをどう整理していくかということの、今、苦しい時代を迎えているんです。
 私は、道路はつくっても子供や孫に残るからいいと思いますけれども、借金だけは何とか目安をつけなきゃいけないということで、我々は、最大限、これだけの年数でこれだけ返していこうという目安を今立てて皆さんに供したり、また、お知恵をいただいたりしているというのが現状でございます。
 私は、そういう意味では、今、先ほど申しましたように、今田議員もおっしゃいましたけれども、考え方を変えていく時代に来ているのではないかということ自体は事実ですけれども、厳然としてある借金は、では一般財源なのか、また重ねて全国民、高速を通らない人からも借金のために払ってもらうのかというと、またこれも問題になると思いますので、その辺の整合性をとりながら、少しでも希望の持てる解決方法を私たちは探って、皆さんに御論議いただいているのが現状でございます。
今田委員 これまで高速自動車国道は、借金をして建設をし、そして、その借金を返済するために道路を利用される皆さんから料金をいただいておった、こういうことだと思うんです。しかし、今回政府は、民営化推進委員会が提出した意見書を受けまして、借入金ではなくて、税金によって高速自動車国道を整備するための新たな直轄方式を導入するというふうになっておるわけであります。
 それで、今までの方式と若干変えて、四分の三国が負担するよ、こういうふうになっておるわけでありますが、従来の直轄国道についての国の負担と、今回変えようとする負担についての整合性について、どのようなお考えのもとでこの法案を出されたのか、お聞きをしたいと思います。
佐藤政府参考人 先生の御指摘は、従来の整備、こういう観点から申し上げますと、一般国道の直轄事業の場合に、新設、改築を行います場合には、国が二、地方が一。つまり、国の負担が三分の二である。今回お願いしております高速自動車国道整備の新しい直轄方式につきましては、国が三、地方が一。四分の三と四分の一。こういうことで、その考え方がどういう理由かという御指摘かと思います。
 現在、法案で御審議をお願い申し上げております高速自動車国道法の二十条、地方に便益がある場合には負担をいただくことができる、ただし、別途法律が必要なんですよ、こういう筋立てで従来あったわけでございます。高速自動車国道は、本来国が整備する場合には、したがいまして国が十分の十、ベースの考え方はそうでございました。しかしながら、乏しい財源の中で税金を使うという点につきましては、ほかの需要がたくさんあるということで有料道路制度を活用。したがいまして、実際は、十分の十の国の負担という形で実施されてきたものは全くないわけではございます。
 一方で、一般国道の場合には、国と地方の分担割合は、補助負担率なんかを本当にどうしようかということをいろいろ十年ほど前にも考えたときに、直轄国道という面でいえば、やはり国の負担が重かろうということで二対一。補助の地方道なんかは五対五。都市計画道路なんかもそうでございますが、そんな物の考え方があったわけでございます。
 そうしますと、新しく直轄方式ということで高速自動車国道の整備を始めるに当たりましては、国十分の十というのも、これは地域の協力といいますか、現在の状況においては、必ずしも時宜を得ていないといいますか適切ではないんではないか、こういう御指摘もあって、したがいまして、幾分かの地域の負担、地方の負担ということも考える必要があるだろう。
 しかしながら、今申し上げましたように、一般国道が国の負担が三分の二であれば、高速自動車国道は、やはりその広域性という面におきましては、国全体としての効用あるいは広域的な、その地域にとどまらない効用、こういうものが直轄の国道よりもそういう意味では大きかろう。そんな点も考慮いたしまして、そうだとしますと、三分の二と一の間、四分の三、国が七割五分の責任を持つ、負担をするという点については適切なものか。こんな考え方をいろいろ整理した上で、国が四分の三以上ということにしたわけでございます。
 その場合に、沖縄と北海道は特例がもともとございますので、その適用をする。さらに、それぞれの地方の経済力といいますか財政力に応じまして後進地域のかさ上げ特例も適用することにしよう、こういう形で今回の法案をお願いしているということでございます。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
今田委員 制度は制度として、これはそれぞれお考えがあるということで、あえてそのことについて私は触れません。ただ、こういったものは時々で変わるということではまずいと思うんです。例えば、昭和六十年代にこういう制度だったよ、ところが、十年たったらまたこういう制度になりましたよ、これでは、何か早い者勝ちという意識にどうしても立つんですね。
 したがって、私は地方に住んでいるわけですが、何々国道促進協議会とか、あるいは何々高速道路推進委員会とか、いろいろな団体があって中央省庁に陳情に来る、こういう場面が今数多く見られるわけであります。これは、何物でもない、早い者勝ちだ、とにかく早くやってしまえばこちらが得だ、正直言ってこういう考えが先立っているんですよ。そういう制度であってはならぬというように私は思うんです。
 そういうことを含めてこの負担割合を決めたのかどうか、そういったことも含めて検討されたのかどうか、お聞きをしたいと思います。
佐藤政府参考人 先生御指摘のように、単に要望が強いとか、あるいは何度も何度も大会を開くとかいう形で優先順位を考えているということではございません。
 今度の民営化推進委員会の審議の中で、中村委員からも、優先性についての評価の基準、物の考え方というものはお出しいただいたところでございます。私どもといたしましては、これを実際に適用し得るようにということで、現在、国土交通省としていろいろな検討をしながら、学識経験者の先生方の御意見も伺うという形で、基準、物の考え方の整理をしているところでございます。
 そういう意味では、外部経済効果といいますか外部効果、採算性、それから費用便益、こうしたものをそれぞれ大きな項目として、その指標をいろいろな形でとるというようなことを整理しながら評価の基準を考えているというところでございます。
 また、一般論といたしまして、道路の整備を進めるに当たりましては、そういう意味で、費用便益などを事前に十分チェックして、十分な効用があるというものについて、これは事前評価ということでございますが、事業を実施するに当たっての評価。それからさらに、事業中に、時間を要しているというようなものについて、着手して五年、なかなか進まない、あるいは十年たっても完成しない、こういうものについては再評価ということで事業中の評価をする。さらに、完成すれば事後評価ということで、本当に所期の目的、効用を達しているかどうかというようなこともチェックするということを、平成九年からいろいろなやり方でやり始めてきているところでございます。
 こうした客観的といいますか、世の中に十分御説明できるような、いわゆるアカウンタビリティーというものを常に心がけながら、道路の整備あるいは計画の推進、こういうことをやってまいりたいと思っております。
今田委員 私は山形出身でございますが、地方に行きますと、建設コストが高い、あるいは使い勝手が余りよくないという高速自動車国道をつくるよりも、一般国道自動車専用道路、いわゆる高規格道路をつくってもらった方がよりその利用度が高いという声も正直言ってあるんです。
 そういう意味からして、今ほど言われた高度経済成長の時期に策定された現在の高速自動車国道計画というものを本当にこのまま進めていいものかどうかということを考えれば、言われている方々のそういう声をお聞きしますと、そうでもないような気がするんですよね。それぞれの地域に合った道路整備というものもあってしかるべきではないのかというふうに思うんですが、このことについて、いろいろ議論された経過がある、あるいは検討されたとすれば、お答えをいただきたいと思います。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
佐藤政府参考人 高規格幹線道路全体の計画という意味では、一万四千キロメートルをお決めいただき、その中で、高速自動車国道ということで一万一千五百二十キロの予定路線をお決めいただいている、これが現状ではございます。
 先生御指摘の、高速自動車国道でなくても、使い勝手のいい道路が早くできるのなら、それでもいいではないかと。場所によっては、地域によっては、ネットワークの中ではそういうところがあろうかと思います。
 先ほど来ちょっと申し上げましたが、一万一千五百二十キロの中で、実は、一般国道の自動車専用道路、こういう形で既に整備を進めている、あるいは供用している、こういう部分が約一千キロございます。これにつきましては、例えば高速自動車国道の計画が本来はもう一つあって、両方ともネットワークとして重複していくというようなことがあってもよろしいかと。
 しかしながら、これは、一般国道のせっかくそういう計画があるのなら、改めて高速自動車国道を別に一本つくるよりは、当面、その機能を代替して、恐らく地域によっては、かなり長い間といいますか、もう計画そのもののマスタープランとしてはそれでいいんだというようなところもあろうかということで、現在、一万一千五百二十キロの中で一千キロを、そうした一般国道の自動車専用道路で補完するといいますか代替する、こういう形で整備をし、供用しているという部分があるわけでございます。
 先生御指摘のように、今後ともに一般国道のネットワークの中で、一般国道の整備は安全性なり防災あるいは町の渋滞解消という形で急ぐ、しかしながら、高速のネットワークはその一部として機能させるような使い方をすると、二つが一つになってむだがなくなる、こういう地域も、路線もあろうかと思いますので、そうした工夫をこれからもできるだけしてまいりたい、そういうふうに思っております。
今田委員 次に、直轄方式による高速自動車国道の料金について、この方式でつくった道路については無料という基本の考え方ですが、既にでき上がっている有料道路あるいは整備された区間との整合性、これが非常に心配されるんです。整備された区間と、これから新たにつくろうとしている道路との整合性についてどのようにお考えになるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
佐藤政府参考人 先生の御指摘は、今度お願いしております新しい直轄方式、これについては、それぞれ国と地方の負担で税金で整備する。したがいまして、基本は無料。こういう点について、ネットワークの中では、しかしながら、既に整備を進めてきている、あるいは整備が終わっている高速自動車国道の有料道路の部分との整合性がそれで十分とれるのか、こういう御質問かと思います。
 御指摘のように、悩ましい部分が出てこようかとは思います。特に、まだら模様になるような場合にはどうしたものか。有料道路があって無料があってというまだらが出てくるような場合に、なかなか悩ましい問題ではあろうかと思います。
 そういう意味では、基本的には、利用者にお支払いいただく料金のかわりに、言ってみれば国の税金と地方の税金でつくる。いずれにしましても、道路の整備の場合には、税金で整備させていただく場合にも、受益者負担ということで特定財源でお願いしている、こういう形でございますので、そういう意味では、受益者負担、同じような形ではあるんですが、出方が全然違う、こういう問題でありますし、実際にお通りいただくときに、まだらで、それぞれバリアがあったりしたら使いづらい、こういう問題もあろうかと思います。
 この点につきましては、具体の路線、区間を選定する上で地方公共団体とも十分御相談申し上げながら、余りおかしな形にならないように工夫、努力をしてまいりたいと思っております。
 ベースは、先ほど申し上げましたように、評価の基準としてどういう物の考え方がよろしいか、これを、学識経験者の先生方の御意見も伺いながら客観的な評価基準というものを整備してまいりたいと思いますが、それで一律にやるとまだらみたいな問題が生ずる可能性があるので、そこは地方の公共団体の皆様ともよく相談させていただきながら、おかしな形にならないように、こういうふうに思っております。
 ついでに、大変恐縮ですが、一言申し上げますと、日本の場合には、有料道路制度というものをベースにして高速自動車国道の整備を進めさせてきていただいている。実は、イタリアもフランスも、基本的には有料道路が主体ではございます。どこの国も実はこの問題がございまして、イタリアは、南部の方はどちらかというと無料の道路で税金で、それからフランスも、南仏の方は無料の道路で税金で、こういうような形でやっておる部分が多いわけでございます。
 なかなか悩ましい問題ではございまして、実はアメリカも、一九五六年に、アイゼンハワー大統領のときに、これからの高速自動車国道はディフェンスハイウエーということで税でやろう、こう決意を固められて、そして特定財源として、ガソリン税をハードに充てて、無料でのインターステートハイウエーをつくってきている。その前は、実はアメリカも有料道路の部分が六千キロほどありまして、今全体のネットワークは、もうディフェンスハイウエーは八万キロを超えているわけでございますが、それぞれそういう形で、整備を早くやるということといろいろな工夫をするという形の中で、多少悩みながらやっておるというのが各国の実態ではございます。
 私どもの場合には、そういう意味で、これから三兆円が目安の新しい直轄方式を入れる、こういうことでいえば、先生の御指摘のように、おかしな形にならないように気をつけろ、こういうことだと思いますので、十分整合を図りながらやってまいりたいと思っております。
今田委員 私が言わんとしていることを局長が言われたので、まさしくそのとおりなんですね。ぽつらぽつらとできますから、それをつなぐようになりますと、やはりまだらになっちゃうんですが、そうした場合どうするんだという声が地方に結構多いんですよ。十分気をつけて、ここをきちんとしていただきたいな、こういうふうに思うところであります。
 そこで、高速道路の通行料金の値下げの問題が言われておるわけでありますが、本四道路やあるいは東京湾横断道路は値下げをしましたね。そのことによって、随分と交通量が多くなりました。やはり、同じ収入を得るにしても、ある程度料金を安くして、交通量を多くして収入を上げるという方が本当の意味での利用拡大だと思うんですね。
 そういった意味からして、私は、値下げというものはある程度考えなきゃならぬではないかというふうに思っておるわけでありまして、さらに値下げをすることによって高速道路を利用される、あるいは東京湾の横断道を利用される、そのことによって周りの地域の経済発展も考えられるわけであります。
 冗談になりますが、東京湾の横断道のあれなんかは、今、乗用車は三千円ですか、こちらから行く場合、ゴルフに行くよりも料金が高いんですよ、正直言って。そういうことで利用されないということもあるので、料金をいろいろ検討されて、値下げをして拡大を図るということが必要なんではないかということ。
 もう一点は、私、運輸関係に携わった関係もありますが、バス、タクシー、トラック。バスの場合はお客様に高速道路の料金を負担してもらうということになっているんですね。それはハイヤーもそのとおりです。ところが、トラックはそうはいかないんですよ。荷主の負担というふうにはなっていないんですよ。実質は企業主が負担しているんですよ、事業者が。そういった意味で、高速道路の利用度が非常に少ないんですね、高速道路を利用される方が。高いものですから。
 ただ、最近、運転手の労働時間の把握の仕方が若干変わりまして、昔は、いわゆる走行キロで労働時間を把握するという方式から、今は時間で労働時間を把握するという立派な機械が出ましたので、高速道路を走ることによって時間が短くなる、そのことによって労働時間も短くなるという設定の仕方を今やっていますので、そういう点で若干変わってはきているんです。
 ただ、先ほど言ったように、トラック関係はなかなかそうはいかない、荷主負担というのは。そういった意味で、高速道路が高いという声が非常に多いんですよね。さらに、御案内のように、排気ガスの問題とか、あるいはスピードリミッターですか、そういったものとか、いろいろな問題が今トラック関係の方に負担がかかっているんですよ。そういった意味で、ぜひ高速道路の値下げについて真剣に、全体的に、全国的に検討していかなければならない時代に来ているんではないか。
 同僚の岩國先生が、むしろ無料にすべきだという意見もありましたが、私は本当に無料にしていただきたいという個人的な思いもあります。そのことについてぜひ今後検討していただきたいということと、どのような議論をされているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
扇国務大臣 お答えする前に、今田議員におわびしておきたいと思うんですけれども、さっき私、地対艦ミサイルと言ったつもりが、地対空ミサイルと言ったようで、大変なことの間違いなものですから、地対艦ミサイルのつもりで言いましたので、ぜひその辺御理解いただきたいと思います。
 それから、今おっしゃいましたトラック業界の問題ですけれども、これは本当に深刻な問題で、私もいろいろな声を聞いております。ETCの普及ができないのも、そういうトラック業者の皆さん方は、ETCを使っても何のメリットもないと。そして、今おっしゃったように、これからは排ガス規制、そして、御存じのとおりのスピードリミッターというようなものもつける。あらゆる意味でトラックにばかり何か金のかかることを言われるというお話ももちろん聞いておりますし、トラック業界全体の経営状態が悪いことも事実でございます。
 そういう意味で、ETC等々をつけていただくのであれば特段の割引をしなければいけないということを今計画しておりますので、局長から細かい割引率に関しては答弁していただきたいと思います。
佐藤政府参考人 先生、高速道路といいますか、有料道路全体の料金について、利用者が利用しやすいようにいろいろな弾力的な料金を設定すべきじゃないか、割引すべきじゃないか、こういう御指摘かと思います。
 三つほど申し上げたいと思うんでございますが、一つは、時間帯によって安くさせていただくと随分と御利用がふえる、こういうケースもございまして、実は十四年度にもう実験しておるんでございますが、例えば一般道路が非常に込んでいて、有料道路、高速道路が非常にすいているというような路線の場合に、朝、通勤時間帯に半額にいたしましたら倍ぐらいの交通が展開したということで、弾性値が一を超えている。こういうような場合には、まさしく料金を安くすることによって、逆に場合によっては収入増にもつながり得る、地方の県庁所在地で実験いたしてみたところ、そんな結果も出ております。こうした時間帯による設定、こういうのが一つあろうかと思います。
 それから二つ目には、特にETCの場合には、例えば首都高速道路なんかで、短区間で、三キロとかいうようなところで乗っておりるというようなときに、やはり基本的に、都内でいえば七百円取られる。これにつきましては、短区間割引というようなことが、ETCであれば、実は出口でオーバーヘッドの装置をつけて捕捉し得るので、必ずしも料金所じゃなくても。そんなことを今設備を設置しているところでございまして、そうした工夫というものもETCによって考えることができるようになる、こういうことだと思っております。
 三つ目には、トラックの御議論がございました。ETCの場合には、それこそ長距離割引などについて捕捉しやすいというような点もございます。したがいまして、ETCに関しましては、トラックの場合の長距離割引を、どういうセットの仕方にするかという点について今いろいろ検討しているところではございますが、いずれにしましても、長距離を走られるということは夜間も走る、こういう形でもございますので、その場合にはETC割引というものの充実を一層図ろう、これは十五年度ぜひやりたいと思って、今、制度設計を詰めているところでございます。
 そういう形で、できるだけ利用者の皆様にお使いいただきやすいような、特にETCを使った割引、こういうものの充実等を早急に図ってまいりたいと思っております。
今田委員 このETC関係なんですが、これは十三年の三月三十日に導入されたわけでありますが、ちょうど二年になりましたね。しかし、いまだに利用される方が少ないというのは、いろいろな問題があるんでしょうけれども、まず一つは、値段が高い。それからもう一つは、自家用車につける際に、何というか複雑で、しかもダッシュボードの近くにつけるものですから、いろいろ複雑化して格好が悪いということもあるんでしょう。そういうこともあってなかなかつけてもらえないというのが実態ではないのかな。
 私から言わせれば、無責任な話で大変恐縮なんですが、この機械については思い切って無料にしたらどうだと。無料にして、そしてどんどんと利用してもらう。その方が、長い目で見た場合に、私は決して損失ではないと思うんですよ、普及すると思うんですよ。
 そういうことを考えれば、もう少し導入していただけるようなことをしっかりと検討する必要があるんではないか、こういうふうに思うんですが、この点についてどうですか。
扇国務大臣 ETCに関しましては、今まで、御存じのとおり、高速道路の渋滞、その三割は料金所である。そして、料金所で渋滞している一年間の経済的な損失効果というのは十二兆円に及ぶ。そしてなおかつ、CO2の排出量が、ETCで渋滞がなければ二割から三割削減できる。あらゆる意味でETCというのは一石三鳥である、あるいは四鳥になるかもしれないというくらいなものであるにもかかわらず、私は、諸外国が日本のETCを導入しているにもかかわらず、日本がおくれたのはどういうことなんだと。
 そして、少なくとも高速道路でこれだけの効果がありながら、今も今田議員がおっしゃったように、反省材料はあります。今、規制緩和、規制緩和と言っておりますけれども、ある意味で、ETCを導入するときには、私も国土交通省でよくもめるんですけれども、この機械で日本はいくよと言ってせいぜい二つの機械で限定すれば、逆に規制をかけて一斉にこれでいくと言ったらもっと普及したんではないか。もっとたくさん売れますから安くなる。今は二十何種類も機械ができちゃって、規制を許したために分散しちゃったんです。私がこれを最初に言ったときには八社十二種だったんです。それが今、こんなにいろいろな機械ができちゃって分散したために、ばらけてコストダウンにならないという、これも逆効果なので、私は、むしろ規制をかけるべきだったんではないか。
 私のところへも、今ほとんど携帯電話を持っているんだから、携帯電話で料金を一緒にできるようにしたらいいじゃないですかと。そして、国土交通省は研究所を持っておりまして、一生懸命研究して、とにかく日本は丁寧で精巧なものをつくるということでおくれにおくれたという事実もございます。
 そういう意味では、ただ通行するだけにETCを使うのではなくて、今後は、ガソリンスタンドから何から、本体は車の中にETCの機械をもう組み込んでしまう、車体に入っているというのも私は考えるべきだと思うので、今後もっともっと、そして、予算の中で今後はレンタルをかなりするということも、これも細かいことを聞きたかったら局長にちょっと聞いてください、うんと今度予算をとって、ETCに転換しようというふうにしていますので、それも、今おっしゃった、車載器をただにしろ、私も本来はそうあるべきだと思っています。
 そういうことで、時間がかかって、いまだに普及率が悪いということを言っていますけれども、十五年度中に全部やるとなれば、私はトラックの皆さん方にも御理解をいただいて、少しは車載器を安くして、レンタルにするか、あるいはいろいろな方法を考えながら、私は、今言った一石四鳥にも三鳥にもなるという、渋滞緩和とCO2排出量、環境を含めたETCの導入は、何としても実行していきたいと思っています。
佐藤政府参考人 二点申し上げたいと思います。
 一点は、十五年度中にETCが全国の高速道路の料金所で全部使えるように、普及の上では、一つはここがネックでございました。大臣の御指示で、五年ぐらいかかる、こういう感じのものを、とにかくことし一年でやってしまう、こういうことになりましたので、一つ申し上げたいと思います。
 それから、ETCの場合には前納割引というものをさせていただくということにしておりまして、昨年の七月からでございましたが、五万円の前納をしていただくと五万八千円までお使いいただける。これは、ハイウェイカードがことしの二月いっぱいで発行を停止いたしました。来年の二月いっぱいで通用も停止。高額のハイウェイカード、五万円と三万円でございますが、偽造が大変多い、こういうこともありまして。そのハイウェイカードの五万円券が五万八千円までお使いいただける、これと同じ割引を、ETCの場合にも、五万円お払い込みいただくと五万八千円までお使いいただけるということで約一四%の割引が適用になる、こういうことも実行しているところでございます。
 さらに、先ほど申し上げましたが、ETCに限定して、いろいろな社会実験なり割引というものが実はETCの場合には可能であるということでございますので、早急に、先ほど申し上げましたような短区間割引であるとか、あるいは長距離割引であるとか、そうした形の割引をさらに充実してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。
今田委員 ぜひひとついろいろ検討されて、皆さんが本当に利用されるようにお考えいただきたい、このように思っております。
 次に、道路公団のファミリー企業関係についてお伺いしたいんですが、日本道路公団は赤字にもかかわらず、ファミリー企業は黒字経営であるということもお聞きしております。そのファミリー企業問題が公団の経営問題に深くかかわっていると言われておるわけでありますけれども、一説には、ファミリー企業が公団OBの天下り先となっているというふうにも言われておるというのであります。これは私もそのとおりだなというふうに思うんですが、この点についてまず一点お伺いしたい。
 また、道路公団が、外注業務に関する入札、そういった関係に関してどのようなシステムで今やっていらっしゃるのか、ちょっとお聞きしたいんです。いろいろこれも変なうわさも時々出てくるので、このことについて明確にお答えをいただければありがたい、このように思います。
藤井参考人 まず、ファミリー企業への天下りについてお答えいたします。
 私ども、いわゆるファミリー企業には、世間が言うイメージが二つございます。それは、十三年度の行政コスト計算書上の子会社、関連会社、これが八十四社ございます。これはきちっと確定できるわけでございます。それからもう一つ、その外側に、仕事をたくさんとっているじゃないかと。七、八割も道路公団の仕事をとっているけれども、こういう八十四社のような計算書上はカウントできない、整理できない、そういうグループもあります。
 そこで、私ども、まずファミリー企業、この八十四社を中心に施策を考え、さらに、それと同じような考え方をベースに国土省と御相談してその他のものに対しても対応していくということで臨んでおります。その際に、十三年度のルールでいきますと、私どもの公団出身の社長が八十四社のうち約六十社ございます、七一%。役員数でいいますと、六百五十九名のうち三百三十名ですからちょうど半分、こういうことに相なります。これが非常に誤解を招くし、社会的ないろいろな批判を招いているところでございます。
 そこで、私ども、内部に経営改善委員会というのがございまして、その委員会は民間の方だけで構成されている委員会でございます。そこで報告を、昨年の秋末に出していただきました。子会社、関連会社への社長への再就職の自粛とか、あるいはOB役員の半減とかといったようなものでございました。
 これらはもちろん当然やるわけですが、さらにそれに加えて、今回、政府・与党協議会におきまして、国土交通省の方から、公団職員については今後ファミリー企業への役員には就任しない、さらに、現在社長として就任している人も、こちらからお願いして御退任いただく、こういうことを共通な政策として打ち出されました。私どもは、この方針に従いまして、今後、法的な権限はございませんけれども、そういうことで要請し、協力を求める、こういうことをやってまいりたいと思っております。
 それからさらに、こういったことはその他にも出てくるかと思いますが、これは、言ってみれば生首の問題でございますから、それから権限がないものですから、そういう意味で、かなりこちらからお願いする、強くお願いする、これの繰り返しをしながら、六月の株主総会あるいは秋の株主総会等々を一つの目安にしながら努力していきたいと思っております。
 それからもう一つ、二番目の問題ですが、その企業が独占的に仕事をしている、ここに大きな問題があるじゃないかということがございます。これに対しましては、私ども、十五年度から、極めて明快な、明快というかきちっとした対応をさせていただきたいと思っております。
 それは、私ども、平成九年からいろいろと努力はさせていただいてまいりました。例えば、今までは随契だったけれども、競争入札を導入していくということで、徐々にほかの人たちにも参加できる機会をふやしました。しかし、それにも限界がございます。
 そこで、今回、例えば維持修繕業務とか保全点検業務では、高速道路のこういう業務の経験を持ったところしか今までは参画できなかった。そうすると、当然今まで入ったところがやって、新しいところは入れないわけです。そこで、直轄国道のような、交通量が多くて、ちゃんとした一般の道路で経験を持っている会社はいいじゃないかということで、高速道路という字を消しました、一般道路の実績を認める。
 料金収受業務についても、今までは道路公団の料金収受の経験を持たなきゃいかぬという、これだったらもう全然変わりません。そこで、同種の経験、例えば駐車場の経営で料金収受をやったとかといったような経験を持った経験者を事業に配置できるならばどこでもできるよ、こういうふうにいたしました。さらに、料金収受業務で、地域要件というのが非常に評判が悪かった。それは、その地域のものはその地域しかだめです、そこにちゃんときちんとした店を構えてなきゃだめですよというのに対しましては、そういう地域要件は一切排除する、こういうことにいたしました。
 さらにもう一つありまして、株の持ち合いというのがあります。いろいろな事情はあったんですけれども、株を一〇%以上持ち合っている会社が一緒に競争参加しますと、世間からいえば、何か話し合いがしやすい状況になっているじゃないか、こういうふうに疑惑の念を持たれます。そこで、公取と御相談いたしまして、株式保有率が一〇%を超したものは、もう一切同じ競争の中には遠慮してもらう、だから、一〇%以上の企業が同じ指名の中には入らない、こういうこともルール化いたしました。
 さらに、もう一つ加えて、随契というのがございます。今まで維持管理なんかは、四月一日から連続的に仕事をしなきゃいけません。そうすると、どうしても、同じ会社でやってもらった方が現場も楽なわけです。そこで、今まで随契を、三回、三年間にわたっていいということにしておりました。しかし今回は、それを見直しまして、成績が極めていい場合は一回だけ、だから二回ですね、三回というのを二回にして、しかもそれは成績がいい場合ということにいたしまして、制度改正をしたということです。
 これが百点とは思っておりません。またいろいろな問題が出てくると思いますので、出てくれば、即刻、いろいろな形ですぐ対応できるようにしていきたいと思っております。
今田委員 もっと質問する項目があったんですが、時間が参りましたので、質問を終わります。ありがとうございました。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 では、引き続きまして、質問をさせていただきます。
 昨日も質問させていただきましたけれども、その続きということで、今回新たに新直轄方式の高速道路の制度を創設するという中で、確認したいと思います。
 新直轄方式ですから、当然、事業主体は直轄、国がそれを実施するということになるんだろうというふうに思います。昨日、道路局長からお話がありましたように、今、整備計画で高速道路はおおむね二千百キロぐらい残されている。残事業費からすると約二十兆円ぐらいになるんだろうけれども、そこに何かコストダウンをいろいろと努力すれば、十六兆円ぐらいで対応できるだろう。
 一方、これは政府・与党申し合わせだと思いますけれども、この新しい新直轄方式で高速道路を整備する投資額は、おおむね三兆円ぐらいを予定している。それをいろいろ逆算的にしていけば、延長的には五、六百キロか知らないけれども、何かそんなような数字になるんですかね。きのうのお話では、キロ七十億とか八十億とかいうような数字が一応試算されるわけです。そういうことで、逆算すれば、五百キロ前後を、それはどうなるかわかりませんけれども、この新直轄方式でカバーするというような大ざっぱな試算が成り立つわけです。
 では、実際問題、新直轄、要するに国がみずから事業主体となって実施する場合に、そういう事業量をこなしていくその実施体制というものが果たして大丈夫かねという見方と、一方では、今日、行政改革をしなければならない、また地方に対していろいろな分権をしていくという一つの大きな時代の背景があるわけです。こういう構造改革という、小泉政権もそういうことをキャッチフレーズにされていますように、そういう時代の大きな要請、課題に対して、新しく国がみずから事業主体となって、国庫補助率、負担率のもとでこういう仕事を実施していくということは、こういう時代の流れに逆行するような格好にはなりはしないか。行政改革ということから考えてみましても、ちょっと問題ではないかな、そういう考え方も当然出てくるわけです。
 今は、地方公共団体等のいろいろな技術スタッフの実力からしましても、もうこれぐらいのことは地方公共団体でも十分こなしていけるじゃないか。今回、地方から負担を新たにいただくということであれば、事業主体というものを直轄にこだわらなくてもいいのではないかという考え方が一方ではあるのではないかというふうに私は思いますけれども、こういうことに対する基本的なお考えをこの際御説明をお願いしたい、そのように思います。
扇国務大臣 昨日から一川議員にいろいろ御質問いただいておりますけれども、皆さんが、この新直轄方式で逆に地方の負担がふえるのではないか、地方へ重荷をかぶせて、地方分権、地方分権と言うけれども、権限だけ与えて、財源的には地方が苦しくなるんじゃないかという御懸念も、私はなきにしもあらずだと思うんですね。
 けれども、今回はこの直轄方式というのを、もうきょう、論議していますから、なぜこうなったかということはよします。ただ、国と地方の負担による直轄方式の中で、今までと今回は全然違うことをしようということの、二つございますけれども、この直轄方式を導入することによって、一つは、新たに発生する地方の負担、これを少なくとも道路特定財源の地方への移譲を行う。
 どう移譲するかということは、例を挙げますと、今まで道路特定財源の中で、自動車重量税の国分が八千三百四十億円でございました。要するに、四分の一です。そして、重量税からは税源の移譲が、地方は重量税のみで二千七百八十億円。それを今回は四分の一から三分の一にいたしますと、国が重量税の分が八千三百四十億から七千四百十億円に減ります。そして地方が、三分の一になりますから、二千七百八十億円から三千七百十億円にふえるわけです。その間の差額が九百三十億円というわけでございまして、それを地方に出そうということです。
 また、その九百三十億円の中は、約四百八十億円は市町村道の補助の削減に対応しよう、そして、なおかつ、半分の四百五十億円は新たな直轄方式の導入に伴う都道府県の負担増に対応しようというふうで、トータルで九百三十億円を、道路特定財源の重量税の割合を四分の一から三分の一に変えるということで、今冒頭に申しました、発生する地方の負担というものを軽減する方法を考えよう。
 二つ目には、整備計画の策定及び変更に当たっては、地方公共団体の意見を聴取しよう。
 それは、地方が負担する分があるんですけれども、それをほとんど丸々補助するんですけれども、そういうふうに地方の意見を聞くという、この二つの条件で直轄方式というものを導入しよう、地方に負担をなるべくしてもらわないで、なおかつ国と地方での両方、そういう苦肉の策といいますか、地方へ負担のかからないようにという策を練ったというのが現実でございます。
一川委員 大臣のその説明もそれはそれでよろしいんですけれども、私が特に気になるのは、国がみずから事業主体になってこれだけの新たな事業をこれからこなしていくということについて、本当に大丈夫かねという見方が一つ、一方であるわけですね。要するに、国の直接今抱えている技術スタッフなりその職員の体制でもって、この新たな制度をつくって本当に十分こなしていけるのか、そういう心配が一方である。
 また、発想を変えれば、いや、それは国みずからやらなくても、地方公共団体にこの仕事をやることを任せてもいいじゃないか。高速道路を今直轄でやるという制度をつくろうとしているわけですけれども、地方公共団体にもこれだけの仕事をこなしていける能力は私はあると思いますので、地方公共団体にこの仕事を実施主体としてやらせる、そういう制度というものを残してもよかったではないかというふうにちょっと聞いているわけですけれども、そこはいかがですか。
佐藤政府参考人 施行主体といいますか、事業の主体、こういう意味で申し上げますと、国ということにまずなろうかと思います。
 多分、先生御指摘の部分は、実態行為として、測量であるとか用地の買収であるとか工事であるとかいう点について、直轄の要員というのが、それを一から十までやれるだけの余裕があるかというか、あるいは、この行政改革の中でそういうことが可能なのか、こういう御指摘かと思います。
 そういう意味では、先生の御指摘のように、一つは、現在九千三百四十二キロの整備計画は、既に道路公団において調査を進めている、あるいは現実に用地買収して工事をしている、こういう区間が大部分でございますので、その中で新しく直轄に切りかえるという場合に、それぞれ、結局事業主体としては国でございますが、お互いの、実際、だれが、どっちが、どういう形で事業を進めればいいか。最も適材適所、こういう考え方でやらないと、あしたから、今まで一生懸命、用地買収で顔突き合わせて、公団の職員でやっていた人が、ある日突然全く見も知らない人がまた来ている、こういうことでは多分事業はうまくいかない。したがいまして、そこの部分は、まず適材適所でやるんだ、こういうことを一つ申し上げるべきかと思います。
 もう一つは、先生御指摘の地方公共団体の御支援、これを実態としてやってもらってもいいではないか、こういう御指摘でありました。
 実は、これにつきましては、用地の買収であるとか、あるいは地元に対して工事なり計画の御説明を申し上げる、従来から公共団体の皆様と一緒にできるだけ地元に入ってやったりしておるところでございますが、そこの関係というものを一層強くしていただく。したがいまして、用地の買収、あるいは、場合によっては工事の分担ということもあり得る問題かとは思います、もう一つの議論として。
 これは、現地現地に即して適材適所というような観点で、最も事業がスムーズに進むようにということで、具体のこういう行動は十分調整しながらやってまいりたいというふうに思っております。
一川委員 そういったことはこれから、何というんですか、局長さんの答弁を聞いておりますと、昨日来、具体的にこの新直轄方式でカバーする道路の事業量的なもの、どの、どれだけの路線を延長おおむねこれくらいやるかどうかというような話はまだこれから詰めるんだというようなことでございますので、今この場でそれだけ議論してもなかなか詰まっていかないと思いますので、また後日にしたいと思います。
 さて、今回の法律改正で、沖縄の特別措置法の一部改正ということも盛られております。これは、聞くところによりますと、法律上こういうふうに改正しなきゃならないんだということを一応お聞きしておりますけれども、沖縄における高速道路というのは、五十七キロぐらいの整備計画はほぼでき上がっておるというふうに思います。しかし、もうあとやることがないのにもかかわらず、なぜこういう法律改正をするのかなというのは、一つ素人的には思います。
 また一方では、こういう新たな新直轄方式というものを導入して、沖縄の場合ですから相当高率の国庫負担率で実施するわけですけれども、そうすれば、こういう制度ができたんであれば、新たな路線をこの新方式で、沖縄ももっと延長を延ばしてほしいというような要請もあり得る話だと思いますけれども、そういうことに対してはどう対応されるんですか。
佐藤政府参考人 最初に、沖縄県におきます高規格の幹線道路の現状をまず御説明申し上げまして、それから考え方を次につけ加えさせていただきたいと思います。
 沖縄では、沖縄県における高規格幹線道路、こういう形で申し上げると、沖縄自動車道と、それから一般国道の五百六号の那覇空港自動車道、これは国道のいわゆる自動車専用道路、この二つが計画されておりまして、沖縄自動車道は、延長約五十七キロでございますが、昭和六十二年に全線供用しているところであります。
 それから、那覇空港自動車道、延長約二十キロでございますが、現在までに、沖縄自動車道と接続する西原ジャンクションから南風原南インターチェンジの間、延長五・九キロが平成十二年に供用されまして、南風原南インターから豊見城インターは、延長約三・五キロがこの四月二十六日に暫定供用される予定であります。
 さらに、事業中である豊見城インターから那覇空港南インターの間、延長二・七キロにつきましては、平成十八年度の供用に向けて、用地買収、工事を促進しているところであります。
 残りますのが、那覇空港南から那覇空港インターの間、延長約八キロでございますが、現在、事業着手に向けて調査等を進めているところでございます。
 そういう意味では、高速自動車国道の新直轄方式ということで沖縄県で予定されている部分、区間、路線というものはないわけでございます。
 しかしながら、長期的な制度改正でもございますので、沖縄については今後一切、高速自動車国道が、計画なり構想が二十年後、三十年後にもあり得ない、こういうことでもまた困るわけでございますので、そういう体制づくりだけは、受け皿としての費用負担割合、こういうものだけは決めさせていただいておく必要があるであろう。空振りの沖縄には規定を適用しない、こういうわけにもまいらないというのがやはり大事なことだと思いますので、今回あわせて変更させていただいている、こういうことでございます。
一川委員 沖縄へ行かれた方なり沖縄に関心のある方々は、要するに、沖縄県というのは特殊な事情に置かれている県でございますし、いろいろな面でまた戦後の懸案事項が未処理な県でもありますので、私は、もし沖縄県の皆さん方の要望が出てくるのであれば、やはりこの新しい方式でも、あの北部方面はまだ幹線道路が完備されていないと思いますし、また、石垣島等でもそういうことがあり得るかもしれません。だから、何かそういう可能性を秘めた制度であるのであればいいわけでございます。いや、全然やる気もないのに法律だけ直すというのも何かおかしいなという感じもちょっと受けておりましたので、そのあたり、十分御検討をお願いしたい、そのように思っています。
 さて、今回のいろいろな道路のやりとりを聞いておる中で、要するに、今、国土交通省が抱えている道路の整備のあり方ということを見たときに、現実もう既に採択をされて継続的に実施されている道路というものをもっと責任を持って早く完成させるという、その体制、対策がまだ十分軌道に乗っていないんではないかなという感じを受けております。
 これは、扇大臣もこの場でよく答えられておりますように、ローカルルール、地域の実情なりそのニーズに合わせましてできるだけ弾力性を持たす中で、今予定されている道路の整備を早期に完成させる、その努力を、もっと国土交通省と都道府県が、そのあたりの対応方をお互いに知恵を出し合って、早く軌道に乗せていただきたいなというふうに私は思います。
 前にもこの委員会でも、私、自分自身のところもちょっとお話ししたことがありますけれども、四百十六号線という石川県から福井県へ抜けている、越前海岸へ抜けている、国道に昇格して十数年たっている道路があるわけですけれども、県境付近で、人も車も通れない区間が約六キロぐらい残されている。これは前にも、国道で、車も通れない、そういう道路があるんですかと聞いたときに、それが全国的には何カ所かあるというお話を聞いたことがあります。
 しかし、私は、やはり国道として一応路線認定して、今日までいろいろな面でそれなりの努力はされているんだろうと思いますけれども、いつ何どき自然災害があるかもしれない、また、今、非常事態的なことがいろいろなことが話題になっておる。こういう時代に、少なくとも国道と名のつくような路線は、国土交通省が責任を持って、車が通れるぐらいの道路改良を早急に対応すべきだというふうに私は思っております。
 そういう面では、従来のようなそういう道路の構造規格というものを、場合によってはもうちょっと弾力的に対応しながら、暫定的でもよろしいですから、早く整備しておくということは非常に大事ではないかというふうに思いますけれども、そのあたりに対する基本的なお考えをお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 わかっているものを少し、少しというよりかなりスピードアップするべきであるという御意見は、もうそのとおりでございます。スピードアップすればするほどコストダウンにつながりますから、私は、より多くの皆さんの御要望にこたえるという意味では見直しするということが一番大事なことだと思いまして、ことし初めてこういうことでローカルルールを導入するということも、皆さん方にこの間御説明申し上げました。
 そして、特に、日本の地形というものは中山間地帯が多いということで、ローカルルールを導入するということが日本の道路をつくる上においては、ローカルルールの導入でより、高規格道も含めてですけれども、追い越しの区間もついて二車線で構造をするというようなことも、ローカルではいろいろな知恵を持っていらっしゃいますので、その山間地に合ったようなローカルルールの導入をしながら工事を縮小する。ローカルルールを導入することによって、今までは例えば三車線ずつで六車線というものもつくっていましたけれども、これもローカルルールで二車線で、二車線二車線の四車線ですね、要するに六車線を四車線に縮減しようということで、これも早くしようということで、六車線を四車線にするというだけでも、少なくとも、トンネル工事一つとってみても六割事業費が削減できるという数字も出てまいりました。
 そういう意味では、きのうも私申しましたけれども、ETCという話もさっきも出ました。ETCを導入することによって、インターチェンジがあのぐるぐる回るトランペット方式ではなくてダイヤモンド方式でいくというだけでも三割削減できる。
 そのように、改めて今回は見直しをして、早期の着工、早期完成、そういう意味であらゆる手だてを導入しようということで、コストダウンを図りながら、コストダウンすることでスピードアップできる、そういう相乗効果を今後はしようということで、ことし皆さん方に御論議いただき、より効率的な方法でより能率アップを図ろうと思っております。
一川委員 ぜひそういう考え方で、計画され、なおかつ今採択されているものについては、一日も早く供用開始できるような体制に持っていくべきだな、そのように思っております。
 さて次に、国土交通省、かねて大臣もおっしゃっていますように、四つの官庁が統合されて、統合の効果を発揮しながら積極的にPRしていきたいというようなお話もございました。
 実は、四月一日から国土交通省の出先機関がいろいろな名称変更されております。我々地元の方の地方紙にも二面を使って、要するに、今は○○工事事務所という名称が河川国道事務所に名称変更する、名称変更しても従来と同じような気持ちで仕事に頑張りますというような趣旨の、新聞に相当紙面を使ってのそういう広告を出しております。
 こういった、要するに、国土交通省としての広報活動的なものというのは基本的にはどういう考え方で取り組んでおられるのか、そこをお聞きしたいと思います。
中馬副大臣 一川委員御承知のとおり、日本は、まだ貧しい段階におきましては政府が責任を持って総合計画をつくって、そして産業関連のインフラを中心に進めてきたわけであります。その場合には、例えば立ち退きにしましても、これで停電が少なくなるなら、これで新鮮な魚が自分のところに来るのであれば、まあ、不満はあるけれども仕方がないなということで、かなり国民も納得してこれに従われたわけでございますが、こうした成熟社会といいましょうか、豊かなことになってきて、しかも、産業インフラの方から生活関連のインフラの方にかなり移ってきております。そういう中で、総合的なことの必要性から国土交通省という形で四省庁の統合が行われたわけでございます。
 そうしますと、さきに御審議いただきました社会資本整備重点計画におきましても、これは、ただ政府がそのように決めて進めるのではなくて、幅広い国民の方々の意見を聞いて計画そのものもつくっていくという形に変わってきております。そしてまた、事業をするに当たっても、その都度評価をしたり、あるいはまた住民の意見を聞いたりすることの制度にしてまいりました。国交省としてもこれで大きく変わったわけでもございます。
 そのことを御理解いただくために、広報の基本的な考え方を申しますと、幅広く国民の方々に我々の施策を知らしめる必要もあります。そういうことから、大臣、副大臣、事務次官等の定例の記者会見はもちろんやっていますが、月刊「国土交通」を初めとする各種の広報誌への掲載、それから、ホームページを立ち上げております。また、新聞、テレビ、各種メディアを通じまして政府広報の積極的な活用をいたしているところであります。
 一つの例で申し上げますと、この間、国土交通省でお決めいただきまして法律も通りましたが、現在のデフレ状況を解消するために、個人金融資産、眠ったままになっておりますが、これをお使いいただくことが、いかにゆとりある住宅、もっと広い住宅に住んでいただくという、一つの国民生活を変えていくインセンティブを働かすと同時に、これは大きな経済効果があるわけですから、制度をつくりましても一般の方々から利用されなければ意味がないわけでございまして、これも政府広報として強く政府の方にも迫っておりますが、これを法律が通りましたのを機にどんどんと国民に知らしめるということで今やっているところでございます。
 これは政府の方も非常に協力的でございまして、政府広報の方も、フジテレビでこの四月の四日に「キク!みる!」という番組でやるようでございますし、「アクセスNOW」というので神奈川テレビで四月五日に放映されます。それから、日本テレビで「ご存じですか」という番組あるいは日本テレビで「新ニッポン探検隊!」、こういったテレビも使っておりますし、新聞の突出広告で四月の十四日から二十日にかけましてこれを打ちます。それから、新聞の記事の下広告で四月十二日に掲載予定でありますし、それから、既に配りましたけれども、首都圏の新聞各紙に「にっぽんNOW」という、こういう広報紙といいますか、これに「住宅取得資金の贈与は三千五百万円まで非課税」と書いて、「若い世代にマイホーム取得のチャンス」だ。
 こういうようなことも政府がやっているところでございまして、かなり幅広く広報活動をしていることを御報告申し上げる次第でございます。
一川委員 国土交通省が今実施されているいろいろな施策なり行政の内容をもっとPR、国民の方々に正しく理解していただくという面では非常に大事でございますし、お互いそこのあたりは十分また知恵を出し合って取り組んでいただきたいと思います。
 私はいつも、国土交通省の行政をこれから実施する上で、あるいは施策を立てる上で非常に心配になることは、きょうも冒頭山本委員からもちょっと指摘がありましたけれども、国土の均衡ある発展とか、あるいは都市と地方がお互いに相互依存関係を持ちながら発展していく、そのあたりの言い回しが最近だんだん減ってきたのではないかという感じがするんです。
 都市再開発とかいろいろなことががんと表に出てきていることは出てきていますけれども、効率性の問題とか、そういう経済効果的な議論が相当前面に出てくるわけです。私は、やはり、国土の均衡ある発展ということを念頭に置きつつ、国土交通省ですから、日本列島、そういった潜在力を生かすという意味では、国土の利便性なりいろいろな社会資本をできるだけバランスよく整備していくという基本的な考え方を常に持っていただきたい、そのように思いますし、また、都市と地方が変に対立しているような図式というのはよくないというふうに思っています。
 大都会の皆さん方はまた地方の恩恵にあずかっているわけだし、地方の皆さん方も大都市の恩恵にあずかっているわけです。特に、国土交通省が所管しているような、例えば水資源の開発というのは東京の方は群馬県のダムに依存しているわけだし、それから、東京都から出てくるごみは周辺の府県に処理していただいておるという関係もございます。また、食料を運んでくるのも道路で運んできておるわけですけれども、そういうことも地方と都市の相互関係があるわけでございますし、防災的な観点からすれば、当然ながら、上流地域で防災的な施策が実施されていて都市が守られているということもあるわけでございますので、都市と地方が対立するというような、そういうことにならないように、できるだけ国土交通省の広報活動の中で国民にそういうことを理解させるような努力をぜひ私は基本的にやっていただきたい、そういったことをお願いするわけですけれども、大臣、何か御所見あったらお願いしたいと思います。
扇国務大臣 るる、いつも一川議員と御質問いただいたりお答えしたりしておりますけれども、私は、この衆議院の国土交通委員会、本当に前向きに御検討いただいていると思いますし、また、その中でいろいろないい御意見もいただきました。
 特に、今一川議員がおっしゃったように、都市と地方ということで、ばらばらになって対立するんじゃないか、そういうことではなくて、私は、二十世紀がハードの世紀、二十一世紀はソフトの世紀と言い続けてきましたのも、やはり田舎のよさ、あるいは地方のよさ、そういうものが、今まではみんな都市に向かってしか目が行っていなかった、地方の人も。自分たちがいい財産を持っていながら、自分たちの財産を生かし切らないで、東京に向かったり、あるいは都市に向かったりという、視点が一つの方向に行っていたんじゃないかというふうに私は反省もしております。
 そしてなおかつ、二十一世紀は、地球規模での問題、環境とバリアフリー、そして日本は世界一の老人社会、そういうことではバリアフリー社会というものもつくっていかなきゃいけない。今までの二十世紀と違った視点が二十一世紀に出てきた。そういうことを私たちは国土交通省としてとらえて、日本国全体に、外国から見ても、日本へ行きたい、日本はすばらしいと言ってもらえる転換をしなければいけない、それが個性ある地域の発展ということにつながっていく。
 地域のよさというものを諸外国にも知られていない。点と点の、東京がいいとか、奈良がいいとか、京都がいいとかという点と点はあるけれども、もっとローカルなよさというものを私たちは知らしめるべきであるし、またそうするべきである。北海道も、雪祭りのときだけ飛行機はとれない、雪祭りのときだけホテルもとれない、あとはない、それでは困るのです。
 そういう意味では、小泉総理がおっしゃっておりますように、稚内から石垣島までというような言葉も使っていらっしゃるのを、地方を忘れない、また地方の特性を生かそう。今、特に観光も含めて、第三次産業の主幹産業として観光を、外国からのお客様を倍増でお迎えしようという計画を立てていますけれども、お迎えして、どこがいいんだ、ここはこんなにすばらしいんだというようなものをお見せするためには、都市だけではなくて、都市がもう国際化の一番おくれていることになってしまっていますから、地球上では。日本はおくれている、国際都市と言えないというような時代ですから、地方のよさをもっとアピールすることによって、私は、観光客の倍増も、もっとローカルにお呼びする、そしてまた行きたいと皆さんが言われるような、言っていただけるような地方の個性というものを生かしていきたい、そのように考えております。
一川委員 終わります。ありがとうございました。
河合委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 きのうに続いて質問をいたしますが、まず最初に、今回の新しい直轄高速道路についてお聞きをしたいと思います。
 この間いろいろ御答弁などもありましたけれども、もう一つ明瞭でないのが、この直轄の事業規模、与党・政府の申し合わせでは、当面三兆円を現時点での目安、今後は必要に応じて見直すというぐあいになっておりますけれども、これ、改めて、なぜこうなったのかという点と、あわせまして、今後の対象路線、これは今後検討していくという御答弁に尽きておりますけれども、重ねて二点、お聞きをしたいと思います。
佐藤政府参考人 今御審議をお願いしております新しい直轄方式なるものについての、三兆円、こう御説明申し上げております規模の目安でございますが、これについての根拠がどういうものか、こういうことでありました。
 高速自動車国道整備全体の事業費につきましては、平成十五年度以降で申し上げますと、約二十兆円、細かく申し上げますと十九・七兆円、こうなるわけでございますが、こういう中でコストカットしようということで、おおむね四兆、合計いたしますと四兆三千億ぐらいが目標だ、こうなるんだと思います、細かく数字を申し上げますと。先月の二十五日に、コスト縮減の御報告も、政府・与党にも申し上げさせていただいたところであります。細かい数字で申し上げればそういう形になって、そうだとしますと、十九・七兆、そのままコンマ兆円で計算していけば十五・四兆ぐらい残るわけでございます。
 その中で、結局、新しく直轄方式を入れる、こういう観点で申し上げますと、両面から考えたというふうに御説明申し上げればよろしいでしょうか、まず、新しい直轄方式ということで、どれだけの事業費を安定的に何とか一般道路事業の中で、税の中で頑張り得るか、こういう面から申し上げますと、十五年度は大体一千三百億円を事業費としてお願い申し上げておるわけでございますが、平年度化して、平準化して考えますと、おおむね二千億円ぐらいは何とか頑張ってまいりたい、また可能であろう、こういうふうに考えて、それが実質十五、六年。こう考えますと、二千掛ける十五で三兆円ぐらい。実際に要する時間というのは、多分十七、八年かかるんだと思います、来年度が千三百億円でございますし。一つはそういう形で考える。
 もう一つは、今度は逆に、では定性的にはどういうものが本来そういう事業になじむんだろう、こういう面から申し上げますと、実は、民営化委員会で最終意見、いろいろいただいておるわけでございますが、いずれにしましても、公団にかわる民営化会社、ここが建設も継続していただく、ここは考え方としては共通なわけでございます。それがどのぐらいの規模になるか。あるいは、公団、要するに新会社が建設を自主的にある程度は考えていくというようなことを考えますと、どういう路線はなかなか建設になじまないかな、こんなことも一つあるわけでございます。そういう面から申し上げますと、料金収入によって管理費が賄えない、こういう路線、区間については、なかなか有料道路としてやっていくというのは厳しいんだ、こういう面もございます。
 そして、投資余力みたいな観点から申し上げると、委員会の中で御議論いただいたいろいろな可能性という中で、おおむね十三兆円から十五兆円ぐらいは可能ではないか、こういう試算も出ておりますので、そういう意味では、さっき申し上げました細かい数字でいえば十五・四兆円ぐらいが残るとして、今後建設必要、こういう形になるとして計算、九千三百四十二キロの中で、その中で三兆円切る、こういうふうになりますと、残り、十三兆と申し上げていますが、細かい数字でいけば十二・一兆円ぐらいとなるわけでございますが、その規模であれば、また一方で公団及び新会社で建設するということが可能であるというような制度設計、何とかできるといいますか、やれるように努力しよう、こういうふうなことにしたわけでございます。
 そういう意味で、両面から考えまして、おおむね三兆円を目安、こういうことで提出させていただいているわけでございます。
大森委員 そうしますと、十二兆円余りの事業については新会社が必ず引き継ぐということを前提に御答弁をされているわけなんですが、では、具体的にお聞きをしたいと思います。
 現在既に工事をされています第二東名、第二名阪、東京外郭環状道路、いわゆる東京外環ですね、こういった道路について、民営会社が、どうも採算とれそうにないと判断して、整備を引き受けないという事態が生じた場合は、国直轄で整備をするということになるでしょうか。
佐藤政府参考人 先ほど申し上げました、公団及び新会社でどのぐらい新規建設を継続していただけるかという点について、残り分については全部やれるというふうに私申し上げているわけではなくて、先生御指摘のように、その中で、投資の可能性としてはあり得るでしょうが、制度設計として可能であるようには制度設計していきたい。
 しかしながら、仮定の問題として今先生おっしゃるのは、仮に、新会社が外環なんかの場合に採算がとてもとれないだろうということで建設から手を引くというときにどうするか、こういうことだと理解してよろしいんですね。
 そういう意味では、どういう制度設計をさせていただくか、それから、仮に新会社が発足したとして、新会社がいろいろな判断をしながら、路線、区間も新会社なりの考え方でまた考える、こういうことだと思います。制度設計によって多少変わってくるところがもちろんあるわけでございます。
 したがいまして、仮定の問題で答えづらいところがあるわけでございますが、どうしても新会社が経営採算上、絶対にこれ以上の投資がどこかの路線、区間ではできません、こういう形になりました場合には、また地方公共団体ともよく相談申し上げながら、その処理をどういうふうにしていくかということをその状況に応じて考えざるを得ないんだ、こういうふうに思っております。
 ただ、そういう意味ではできるだけ事前にお互いの建設に対する速度というものはまた調整しながらやっていただく、こういうことだとは思っております。
大森委員 仮定の問題ではありますけれども、第二東名、第二名阪、東京外環、これについても国直轄もあり得るということですね。あわせて、制度設計の中には、今、直轄か、あるいは新会社か、第三の道というのも制度設計の中に含まれるのか。さらに、仮に、東京外環について言えば、今局長からお話があったような、どうも引き受けかねるということがあった場合に、調整として現在の公団に対する執行命令、こういうものも制度設計の中に含まれてくるのか。この三つの点をお聞きしたいと思います。
佐藤政府参考人 具体の路線につきまして、これはどういう取り扱いになるかという点については、非常にお答えしづらいといいますか、これから評価の基準をつくりながら整備して、それを適用して、そして公共団体とも相談しながら詰めていく、こういうことでございますので、非常に答えづらいという部分は御理解いただきたいと思います。
 それから、仮に、先生の御指摘の第二東名、名神であるとか外環であるとか、こういう議論で申し上げますと、定性的には、新直轄方式なるものの適用対象といいますか考え方は、管理費もなかなか出ない、しかしながら、その必要性が非常に高いという路線、区間に適用していく、こういう考え方ではございますので、そういう意味では、定性的には多分違うんじゃないかなと思います。しかしながら、これは、評価基準をきちっとした上で、公共団体と調整しながら、意見を聞きながら決めていく問題だ、こういうことになるわけでございます。
 次に、これも本当に仮定の問題で、しばらく先の話ではありますが、仮に、具体のそうした第二東名、名神あるいは東京外環といったところが新会社がどうしても採算上やれない、こういうときにどうするか、こういう御指摘であります。
 したがいましてといいますか、それは、新直轄を今回のこの法律でお認めいただいた後で、残りの公団、新会社において建設していただくそのやり方について、どういう形で制度設計するかということにまた話が戻ってまいるわけではございますが、その場合には、やはり国として、必要であるということは、多分もう一回見直してみても必要性は非常に高いということでございますので、その整備のあり方について今後の制度設計の中でまたいろいろな工夫を組み立てながら、また法律として、新会社が行うべき制度設計という形で、目標は、来年の通常国会にまたお諮りする、こういう形になろうかと思っております。
大森委員 仮定の話ではありますけれども、しかし現実には、新会社の採算性、見通し等と、国あるいは国民が希望する道路との間に矛盾が必ず生まれるところが、全国的にも各地に生まれてくるのではないかと思うんですね、そういう点をどうするのかという点がもう一つわかりませんけれども。
 具体的に、私は、外環道路、東京外環、これは扇大臣もたびたび一メートル一億円という形で引き合いに出されておりますけれども、先日、外環道路の市川市部分の調査をしてまいりました。関係者のお話も聞きましたけれども、この道路は、市川市だけで当面二千七百戸、将来的には三千六百戸という立ち退き戸数になるということが一つ。二つ目に、計画路線周辺に幼稚園から高校まで二十近くの教育施設がある。三つ目に、多くの緑地、自然、遺跡を壊す、破壊するということで、今なおこれは関係住民の合意を得られていない、そういう路線であります。
 今言いましたように、その上に一メートル一億円という莫大な財政負担であります。これは市川―松戸間十キロメートルで九千七百億円です。松戸―三郷間はあれしますが、市川―松戸間で九千七百億円、これは一般国道と二階建ての道路であります。これは後で正確な数字も教えていただきたいわけなんですが、市川―葛飾間で一般国道四千五百億円ということで、外環千葉県区間十二・一キロメートルで高速部分と一般国道の部分、合計で一兆五千億円。一メートル一億円も超えるような大変な規模の道路になっているわけですね。
 そして、これは昨年の七月に民営化推進委員会も現場を視察されて、報道でも、多くの委員が際立つ不採算性ということに驚き、疑問の声を上げたというぐあいにされております。
 そこで、今概数で申し上げましたけれども、外環道路の総事業費、松戸―市川区間の工事費、それから、これまで投下した資金はどのぐらいになるのか、そしてさらに、松戸―市川区間の収支率はどの程度になるのか、お答えいただきたい。
佐藤政府参考人 まず、外環の収支率について、結果として申し上げたいと思います。三郷から三郷南、三郷南から松戸、それから松戸から市川、合計で二十キロございます。これにつきまして分けて申し上げたいと思います。
 予測そのものは、昨年の八月二十二日に一定の仮定に基づきまして第十二回の四公団民営化推進委員会にお出しした資料をベースにして申し上げたいと思います。そういう意味では、平成三十七年度の断面の収支の見通し、こういう形で申し上げたいと思います。
 三郷から三郷南、延長四キロでございます。平成三十七年の断面収支といたしましては、収入が二十四億円、管理費と金利が三億円と二十三億円で二十六億円、収支率が一〇八。それから、三郷南と松戸、六キロでございますが、収入が二十億円で、管理費が三億円、金利が四十億円、こういうことで収支率といたしましては二一五でございます。それから、松戸―市川、十キロでございますが、収入は約四十億円を見込み、管理費が六億円、金利が二百二十三億円ということで、収支率は五七三。これは平成三十七年断面で御説明を申し上げていた数字でございます。
大森委員 松戸―市川間で収支率が五七三%ということで、これは今大赤字で問題になっている東京湾アクアラインでも三三六%、比較をしても、けた外れにひどい、悪い数字になっているわけです。
 同じく道路公団が民営化推進委員会に提出した資料では、この松戸―市川間、市川市区間のBバイCは一・八と、現行整備計画区間のうち、未施行命令区間等、二〇〇二年度までに供用予定区間を除いた八十八区間の中で十一番目に低い数字になっているわけですね。ですから、これではもう採算がとれないということは多くの人が予測しているわけです。こういう道路でも民営新会社はこれを本当に引き受けるのか。引き受けないのじゃないか。
 現に私、ずっと市川を歩きまして、道路関係の人たちはこれはもう当然直轄道路になると思い込んでいる。今までの一般に報道されている中身で言えば、これはもう直轄道路になるだろうということで、いや、そうじゃないよと言うことは、大変驚くような状況になっているわけですね。
 ですから、これは、新しい民営新会社が、東京外環道路について、こういう状況ではあるけれども、これは引き受けられるんだ、あるいは引き受けられないんだという辺は、地方自治体、関係住民、一番いいのは、こういうのをなくしてもらったら一番いい、そういう思いなんですけれども、そこを知りたいというのが率直な気持ちだと思うんですね。
 それは、佐藤道路局長でもいいのですが、大臣に、その辺はどうなんですか。
扇国務大臣 民間会社にゆだねてしまった場合、採算性のとれない仕事は民間はしないというのは原則だろうと思います。それは、今の世の中を考えても、民間会社でみすみす、もうからない、赤字であるという仕事を民間は引き受けません。そういう意味では、私は、民間会社にするという中で、今回もこの道路というものをすべて採算性をとることしかしないというのであれば、夢も希望もなくなってしまうと思います。
 ですから、その中でも、今、外環の例を挙げられましたけれども、三郷それから市川間、今までの道路で、例えば東京都内をただ通過するだけが一四%なんですね。それは関越にも上越にも全部つながっていない。だから、わざわざ用事はないけれども、東名から来て東京都を通過するだけで、CO2だけ排出して通っていくというのが一四%あるわけです。少なくとも、地方のローカルと結ぶ路線を完成させようということで外環も圏央道もあるわけです、これはもう九三四二に入っているわけですから。
 ですから、私は、少なくとも民間会社にするということは大変いいことで、ただ、民営化委員会でもおっしゃっておりますように、採算性のないものは今後はつくらない、そう言い切れるのか。では、今の一四%、ただ素通りで東京を汚していくものは、二十一世紀の環境問題にどう対応するのか。そういう意味では、今後民間会社にゆだねるというときにも、そういう国策としてこれを考えるということを、そしてまた、九三四二はきちんと国幹会議で決められているんだ、その枠の中であるということを認識しながら我々は考えていかなければいけない。
 今日まで、では今、もったいないから、赤字になるから、しないでほうっておきなさい。それでは今後二十一世紀はどうなるか。CO2の排出量を削減できるか、あるいは交通量と渋滞、一年間で渋滞だけで十二兆と言われる経済的なロスはどうするのかということを考えて、やはり総体的なグランドデザインというものをきちんと二十一世紀立てておかなければ、私は、先ほどからも御論議がありますように、これを通すことによって経済効果が上がり、道路は赤字かもしれないけれども、その経済効果たるや大変なものがあるという話も、一川議員にもさっき話しました。しかし、場所によっては、赤字でも道路をつくることによって、その地域の発展が図られるという、総体的な経済効果を考えないでは国の政策としては通用しないと私は思います。
 そういう意味で、トータルで、我々は今後、十六年度の通常国会にこの法案を出すということで、今あらゆる知恵を絞り、そして民営化委員会の意見も尊重しながら策を練って、先ほども一川議員にお話ししました、コスト削減もこのようにするんだ、そして非常電話もこうするんだときのうも申し上げました。あらゆる面で経費の削減を図りながら、国民のより多くの皆さんが二十一世紀型の交通体系というものを理解していただけるように、最大限の努力をするためにあらゆる方法をとっているというのが現状でございます。
大森委員 やはり大臣は、きのう来の、あるいはそれに先立つ社会資本重点計画法の議論の中での私どもの指摘、結局、総枠ありきなんですよ。尽きるところ、国策なんだ、九三四二があるんだ、採算は度外視してもやりなさいということでしょう。それしかないじゃないですか。それこそがこの間の公共事業の膨張につながったのじゃないかと思うんですね。このことを私どもは再三指摘してきたわけですよ。
 あわせて、具体的に申し上げれば、現場では、今局長の答弁、大臣の答弁がありましたけれども、いずれにしろ、どうなるか。外環道路を今後、来年以降進めていくのはどこになるのか。国策があるから民営会社にやってもらうんだということではだめだと思うんですね。
 そこで、制度設計等々をやられる、事業主体がどうなるかわからないのに、現地では現にどんどん工事は進んでおるわけですね。まず、私もびっくりしたのですが、まだ外環道路の工事はやっていないから、平地だと思ったら違うんで、どんどん山が削られ、橋脚等もできているわけですね。つまり、一般国道あるいは取りつけ道路が先行してどんどん進められているということで、ちょうどきのう申し上げた、地域開発と称してルートを先行したと同じような、いわば同じようなやり方で進められている。
 しかも、現地では、公団はこれからどうなるかわからぬから、今のうちに土地は売った方がいいですよというようなことを言って、用地買収なんかも進められているわけですね。そんな状況であるわけです。
 ですから、採算の見通し、先ほど言いましたように、五七三%、大変だ、環境が破壊される。採算だけじゃない。確かに採算だけじゃありません。環境の問題もある、経済効果の問題もあります、教育環境も破壊される、交通需要予測も定かではないというところで、こういう道路については、これはもう、それこそ三十年来地元の皆さんの反対運動は続いているわけです。ですから、こういう機会に改めて建設計画を一たん凍結し、抜本的に見直しをする、そういうことも判断の一つに加えていいのではないかと思うんですね。
 この外環道路をめぐる計画の中では、かつて金丸建設大臣、一九七三年でありますけれども、大臣として、県、市町村そして住民が真っ平御免だ、こういうことであれば、これはとりあえず取りやめるべきだというような発言までされ、当時大きく報道された経過もあるわけですね。かつての建設大臣もそういう柔軟な発言、金丸大臣ではありますけれども、こういう発言をしたこともかつてはあるわけですね。
 ですから、今申し上げたような点から、こういう機会に改めて建設計画を一たん凍結し、抜本的に見直しをする、こういう選択肢もあってよいのではないか、少なくとも、来年度以降、そういう制度設計が定まり、どういうところが引き受けるのか、そこらがはっきりするまでは工事を中断するとか、そういうことぐらいは検討してもよいのではないかと思いますけれども。
扇国務大臣 大森先生の御意見とも思えませんし、というのは、反対をして、やめたら先どうなるか。二十一世紀の東京のCO2の排出量をどこでどう解決するのかという対案をお示しいただければ考える余地はあると思いますけれども、ただ反対と言われても、これは少なくとも、国のありよう、私は、すべて言っておりますけれども、これとても、今までの欠陥はあると思うんですよ。日本の九三四二で、例えば成田の国際空港に高速道路が通っていない、国際空港インターチェンジというのもないんですね。これも欠陥だと私は思っていますよ。例えば、国際港湾といっても、国際港湾に高速道路と新幹線が全部連絡しているべきなんです。
 そういうことを考えれば、大森先生が反対だとおっしゃるのは、反対は反対でいいです、意見ですから。ただ、これをやめて何があるんだ。では、この外環なりあるいは圏央道なり、今計画している九三四二も全て反対、おくらせればおくらせるほどコスト高になる、その責任はだれがとるんですか。CO2の排出量、どこでどう緩和で、走らなきゃ車を全部やめるんですか。そういうことが今現実にできないじゃないですか、通っているんですから。
 ですから、そういうことで、少なくとも、住民の皆さんに御理解いただくためにこれだけの年数をかけたわけです。そういう意味では、私は、国のあり方、二十一世紀の考え方、国土づくり、あらゆる交通機関の立案というものも、国土交通省は二十一世紀型をつくろうとしているということだけは申し上げておきます。
大森委員 大臣もよく私の質問を聞いていただきたいと思うんですが、私が申し上げたのは、ここにもちゃんとメモがありますけれども、建設計画を一たん凍結し、抜本的見直しをこの機会にやったらどうかと言ったわけですよ。住民の皆さんの三十年来の反対運動は紹介しましたよ。しかし、私が申し上げたのは、こういう機会に抜本的に見直しをしたらどうかという提案を差し上げたわけですよ。そういう議論でこの間ずっとやってきた。
 財政が潤沢にあり、環境も現にあるということであればそういう論議も通るかもわかりませんけれども、今日の財政事情というのは、これはもう大臣がよく御承知のとおりであります。国、地方全体が破綻同様の状況の中で、財政の問題、環境の問題、経済効果の問題、総合的に判断をしなければいけないと思うんです。ですから、ただただ九三四二、国策があるからということでこれを全くの前提にしないで、改めてこれを抜本的に再検討、見直す必要があるんじゃないかということを要求しておきたいと思います。
 少なくとも、これは重ねて、先ほども申し上げましたけれども、そういう新会社の形態やあるいは方向がはっきりするまでは、用地買収をどんどん進めるようなことはやはりあってはならないと思うんです。この点を要求して、次の質問に移りたいと思います。
 昨日、本四連絡橋公団の問題について質問をしましたけれども、ほとんどもう時間がなくなりましたが、きのうも申し上げましたように、民営化形態をあいまいなまま、ただただ国民に税金を、負担を求めてはならないということであります。この点で、国と地方の負担はありますけれども、財界や銀行には何の負担も求めていない。もともと、きのう経過を申し上げた一九七五年の八月の閣議決定、その直接の契機になったのは、当時の財界、経済界からの凍結解除の要請であります。自民党の太田行政改革推進本部長も、地方自治体が要望したのだから地方自治体にも負担していただくんだという趣旨の日経新聞の取材記事も報道されておりました。
 同様の問題として、それだけ経済効果が出ているのであれば、なおさら経済界、特に銀行には、返済条件、一切変更を求めないということになっているわけでありますけれども、これはきちんと財界等にも必要な負担、少なくとも返済条件等について、何らかの緩和策ぐらい要請すべきだと思うんです。これをお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
扇国務大臣 御意見かと思いまして、失礼をいたしました。
 おっしゃるとおり、あらゆる地方自治団体にも、それから銀行にも申し上げておりますし、御存じのとおり、本四に出資しております銀行という話をなさいました。なぜ銀行が出てきたのか、私にもわからないんですけれども、財界、銀行というあえての御指摘でございましたけれども、今、本四に対して貸し付けております金利の減免あるいは債務の免除、そういうことを行うということは、少なくとも今の本四公団の今後の資金調達を極めて困難にする。
 そして、一つだけ申し上げますけれども、これがお答えになるかどうかわかりませんけれども、私は、各公団に民間人を導入して新たな認識で公団の立て直しをすると言いました。そして、この本四にも民間の皆さんに入っていただこうと言って、みんな二の足を踏まれます。
 それは、公団の改革よりも、まず公団に行って火中のクリを拾うのは嫌だ。しかも、銀行や財界に頭を下げたり地方自治団体に頭を下げて、借金取りに謝って歩くような役はだれがするか。例えばですよ、極端に言えば。それくらい、民間の皆さん方が、この公団の幹部に入っていただきたい、新しい血で立て直していただきたい、そして、しかも一年間二千弱の報酬で、今の民間の取っているお金よりも安い値段で入ってくださいと言うと、それこそ、銀行や皆さんに頭を下げるのは大変嫌だという。
 でも、国のためだからとあえてお願いしたりもしますけれども、それほど、本四の財政の立て直し、効率化を図り、そして本四の通行の量をふやすということに関しては、みんな今ではとても手おくれだと思われて、民間を入れていただくのは大変苦労しているということをもってしても、いかに民間の皆さん方の知恵で見るだけでも、銀行や地方自治体に頭を下げているかということ。そして、本四の保持、三本の橋をつくってしまった今の現状保持で、少しでも皆さんに安くして通行量をふやそうということへの新たな出発点の努力をしているということが今回の法案で皆さんに御論議いただいた原因でございますので、努力していないということは、私は、ぜひ理解してあげていただきたいと思います。
大森委員 終わります。
河合委員長 日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 きょうは、最後の、おなかがすいている時間の質問になりましたが、しばらく辛抱いただきたいと思います。
 最初に、特殊法人全体がそうなんですが、とりわけ道路公団が経営破綻していく、四十兆円という膨大な負債を抱えていたり、行き詰まりを見せているということの基本的な原因は、実は、政治的な圧力に屈したというか、これに左右されてきたことがこうした結果を生み出したのではないかというふうに私は思っています。
 問題は、だから、こういう結果を生み出してしまったことに対する総括、これをしっかりやることが実は一番大事なことであって、原因、それからそれを生み出した温床、ここにしっかりとメスを入れなければ、道路公団等含めた特殊法人の改革ということにはならないではないかというふうに思っています。
 この間の質疑で、政治的な圧力がありまして、実は、まず政治が物を決めていく、そして、それに従って後で理屈をつけていく、例えば、交通量の問題、需要の問題なんかもそうなんですが、それを合理化するために数合わせをしていくんだ、そういうふうな話も出てまいりました。これから道路行政をきちんとやっていくためには、こうした今までの問題点をしっかり払拭していかないとだめだというふうに私は思っています。
 そういう意味で、大臣にお聞きしたいんですが、政治的な圧力を排除すること、それから、とりわけ極めてあいまいに行われてきた交通量の推計、こうしたものもきちんと正していかないと、いろいろ制度を変えても同じような事態が起こるのではないかという心配をしているんですが、その辺について、最初にお聞きをしておきたいと思います。
扇国務大臣 日森議員がおっしゃった中で、やはり、政治判断の間違いというようなこともおっしゃいましたけれども、戦後今日まで、日本の国土をどうするかというグランドデザインが国民のみんなに徹底していなかった、またつくっていなかった、そこに政策の貧困さがあったんだろうと私は思います。
 ですから、どこの空港と港湾とが直結していない。少なくとも、日森議員にも御理解いただけると思いますけれども、じゃ、国際都市という条件は何かといったら、国際港湾があって、国際空港があって、高速道路が通って、新幹線が通って、一般の道路がある、そういう全部アクセスのそろったところが国際都市であると今一応定義としては言えますね。世界じゅうそういうふうにつくっています。ところが、日本は、その条件が全部そろっているところがどこかといったら、ちょっと考えないと挙がりませんね。そういうことも含めて、戦後今日まで営々とつくってきた国土づくりの中で、私は、グランドデザインがなかったことが政治的な判断の間違いもあったと言えるようなことにつながっているのではないか。
 例えば、高速道路一つとってみても、部分的に通っているところがあって、それがつながっていない。つながっていなければ役に立たないのは当たり前ですよね。そういうことも、全部のグランドデザインというものが戦後今日まで国際競争力に勝ち得るというものを示し得なかったということは、私自身にも、あるいは行政的にも、長期計画といってもせいぜいが五年、十年。百年なんというのはとてもじゃないけれども出せなかった、私はそう思いますので、少なくとも、国土交通省、四省庁統合したんですから、今、百年デザインをつくっているというのが現実でございます。
 だれが悪い、かれが悪いって、それはもうみんな悪かったと思います、みんなそのときは、うはうはしたんですから。ですから、バブルだといったって、バブルで踊っていない人だっていっぱいいるんです。けれども、こういうバブルのはじけた後遺症でみんなが疲弊している。これも、状況の判断ができなかったことも事実ですけれども、バブルのときは、うはうは言った、浮かれたという人、それも、じゃ、浮かれていない人は正しかったのか、浮かれた人間だけが悪かったのかと今言ってもせんないことですから、私は、そういう意味で、二十一世紀の初頭に国土交通省が四省庁統合したということだけでも、グランドデザインをつくるべきだということで、根本的な解決の一助にしたいと思っています。
日森委員 私も、総合的な交通体系をつくる、物流にしても人流にしてもそうなんですが、それは当然必要だというふうに思っています。そういう意味では、大臣おっしゃるとおり、四つの省庁が一緒になって国土交通省になって、それをつくろうということについては大賛成なんですよ。
 しかし、問題は、これまでの経過の中で確かにそういうこともあった。ともかく建設ありきであって、この建設をするために合理的な理由が必要だ。これは採算性一つとってみたら、そのためには通りもしない車の量をカウントして、だからこれで採算がとれるから道路がつくれる、そういう理屈を並べてやってきた経過があったのではないか。そのことは事実だと私は思っているんですよ。これはもうどの道路とは言いませんけれども、鉄道にしてもそうですし、飛行場にしてもそうじゃないですか、地域。そういうことについて是正をしていかないと、これからそれはやりませんということで排除していかないと、制度を変えても同じようなことが起こるということを心配しているんです。それは結構です。
 それで、これは参考人質疑が先日ございました。それで、本四架橋とアクアライン、これが破綻した経緯について、元建設事務次官ですか、国土交通事務次官ですかがさまざまなところで発言をされていたりするというお話が参考人から出されました。
 その中で、こうおっしゃっているんですが、経済情勢が変わったとかバブルがはじけたとかいう以前に、最初から、これだけかかった費用を償還するためには交通量が幾ら必要かということを逆算して計算したんだというふうに当時のトップがおっしゃっているという記事が出ていますということを参考人がおっしゃった。
 大臣はその参考人の場にいらっしゃいませんでしたが、そういう話がありました。それは、それぞれの雑誌なんかに書かれているわけですから、我々は、それはそうでしょうと。しかも、トップがそうお書きになるんだから、これは事実でしょうということもあるものですから、最初にこれを大臣にお聞きしたんです。
 こういうことを、政治的な圧力でまず路線を決めてしまう、あるいは、強引に決めた路線について、これは何としてもつくらなきゃいけないから、後で理屈をくっつけて、いわば合理性のない数字を当てはめたりするようなことを、これはもう一切やらない、やらせないということを大臣にぜひ決意していただきたいと思うんですが、それはいかがでしょうか。
扇国務大臣 昔と違いまして、今は、積算をすることを物すごく厳しくしています。一つの工事で入札するにしても、積算というものをきちんと公開しています。ですから、その当時、この交通量というのはどういう計算の仕方をしたのか、ちょっと私よく把握していませんけれども、今、工事がありきということで、それに合わせて交通量をしたと日森議員がおっしゃいました。私は、そういう計算方法をそのときして、それがまかり通ったのかなとクエスチョンマークを頭の中で思っていますけれども、今は、そういうことはできなくなっています。
 あるいは、事前評価とか事業評価とか事後評価、この評価制度というものも国土交通省は取り入れていますし、また、先生方からいろいろ何か言われましても、私たちは、その積算率というものを、評価をきちんと公表していますから、こういう計算の仕方で積算しましたよということが、今、インターネットでも流れるようになっています。ですから、かつてのような、まあ、かつてどういう計算をしたか知りませんけれども、先に事業ありきということで、それに合わせたというようなことは今は通用しなくなっているということで、国土交通省の出しているものに対しては、こういう国会でも綿密に御論議いただければ、積算というものがどういう積算の仕方をしたかが明々白々になるという時代であるということを私は申し上げたいと思います。
日森委員 それはもう、ぜひしっかりしたものをやっていただきたいと思うんです。
 それからもう一つ、どうも、政治的な圧力、だれがどうかけたという話は別ですが、確かに、住民の要求について、もちろん、要望するということはどこでもある話ですが、要するに、そういう圧力で随分つくられた、いろいろな意味がありますよね、政治駅だとか政治路線だとか政治道路だとか、いろいろ言われるところがあるんですが、そういうことを、これも排除していかなきゃいけない。
 本当に客観的に、国民だれもが納得できる基準でつくられていくということが当然なわけで、そういう意味では、例えば鳥取県などでは、議員から口ききがあった場合は職員がそれを文書に残して情報公開の対象にする、こんなことまでやろう、片山知事はそういうふうに言っているんですね。恐らくそれはやられていくんだと思うんですよ、これは限度があるかもしれませんが。そうして透明性を保つ中でこれから決めていくような制度をつくっていかないとちょっと心配だという思いがあるんですが、そのようなことをお考えになっているかどうか、ガイドラインみたいなものをお考えなのかどうかをお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 もう何度も、政と官の関係については、あらゆるところで、予算委員会でも、あるいは各委員会でも話題になりました。
 これは、昨年の七月、閣僚懇談会におきまして、このような場合の対処方法というのを定めました。というのは、今、鳥取の例を挙げられましたけれども、公正中立性が確保されないおそれがあるものにあっては、対応が極めて困難なもの、そういうものに対しては、大臣に報告をする。みんな、だれから何を言われたかといって対処方法に困ったときは、大臣に報告して、その判断を仰ぐことというのをまず決めました。そして、この案件の処理の経緯を記録して保存しなさい、これも決めさせていただいております。これを決めたのが、昨年の七月の閣僚懇談会でございます。
 今現在、私のところにまだ、昨年の七月から今日まで、そういう事例は上がってきておりませんけれども、そういう方法が、今、鳥取の例を挙げられましたので、今の内閣でもきちんと昨年そういう手順を決めて、国土交通省としてもこれを対処するようにということを全部に言い渡してあります。幸いと言うべきでしょうか、今まではまだ私のところに上がっておりませんけれども、制度だけは設定いたしました。
日森委員 その制度によると、例えば情報公開の対象には当然なるということになるんでしょうか。
扇国務大臣 これは記録してございますので、開示請求がありましたら、いつでも開示できるというのが国土交通省の姿勢でございます。
日森委員 ちょっと本四公団についてお聞きをしたいんですが、本四公団の特別措置法案は、平成十五年に限って定めているということになっています。これは、いろいろな委員さんからも御質問がございました。一・三四兆円を切り離したとしても、平成十六年度以降だれが責任を持っていくかということが一つ出てくるのではないかというふうに思っているんです。
 それから、もう一つ大きな問題としては、公団本体の赤字を減らす、これをやっていくためには、将来的に利子が利子を生んでいくような構造というのをここで断ち切っていかないと、極めて難しいのではないかというふうに思っているんです。そういう意味で、借金全体が四・七兆円。これは、返済計画を今どのように考えているのかというのが二点目なんです。
 それから、これは大変な話で、五十年かけてとか四十年かけてという話になっていますが、民営化の問題も含めて、四公団全体で四十兆円です。この返済計画は、今すぐ出せと言っても難しいとおっしゃるかもしれませんが、しかし、それはどういう方向性を持ってやられていくのかということについてお聞きをしておきたいと思います。
佐藤政府参考人 三点のお話がございました。
 最初は、本四の債務一・三四兆円を十五年度限りで切り離して、十六年度以降は、しからばどういう形でだれが責任を持つのか、こういうことであります。
 法律でお願い申し上げておりますように、一般会計に承継していただく、こういうことであります。そうだとしますと、その具体の債権を政令で決めさせていただくということになりまして、その総額が一・三四兆円である、こう申し上げておるわけでございます。そうしますと、この一・三四兆円を一般会計で承継していただきますので、政令段階で政府としてこれをきっちり返そう、こういうことになるわけでございます。
 そして、目標として、今度は予算措置という面もございますので、現時点で、十六年度以降の額が幾ら幾らと決まるわけではございませんが、五年間を目標にして返済するということを前提にいたしまして、五年でありますと、利息の〇・一三兆円と合わせまして一・四七兆円、こうなるわけでございます。五年間で処理する場合には、年平均で申し上げますと約二千九百億円余り、こうなるわけでございます。道路特定財源の税収見込みの中で、自動車重量税の一部を充てていくことによってこういう返済が可能であろう、政府の中でそう決定していただくことになっているわけでございます。十五年度は、その初年度として二千二百四十五億円を予算措置として充てていただく、こういう内容としているところでございます。
 それから二つ目、本四公団全体の債務の四・七兆円の返済計画は大丈夫か、こういう御指摘がございました。
 債務四・七兆円のうち、有利子の債務は三・五兆円あるわけでございますが、この債務を一・三四兆円切っていただくことによりまして、残りの有利子債務が二・二兆円でございます。これを含めて、平成五十七年度までの間に返済が可能であろう。現実的には、例えば平成十三年、既に、料金収入として八百四十三億円、これに対しまして、利払いが千二百五十億円、管理費が二百四十九億円、こういう状態でございますので、債務が累積していく。今申し上げました一・三四兆円をカットしていただくということによりまして、交通量の伸びといいますか料金収入の伸びを見込まなくても、何とか平成五十七年度までに有利子の債務については返済し得る、こういう見通しがつき得るものである、こういうことであります。
 それから、四十兆円の返済計画でございます。
 御指摘のように、四十兆円、個々具体にはそれぞれまず公団ごとの債務を、特に日本道路公団の場合には高速自動車国道と一般有料道路それぞれを分けながら考えているわけでございますが、まず、それぞれの公団ごとに自分たちできちっと債務が返済し得る、こういうような形の返済計画を立てる、こういうことでございます。管理費の縮減等を図ることによりまして、適切な投資計画に基づく建設も進めながら、管理費の縮減その他を工夫しながら、五十年以内に償還することが可能であるというふうに考えております。
日森委員 これに関して、これも参考人質疑のときに、元公団職員だった織方さんという方が大胆な提起をされていました。私どももこれは具体的に検証していかなきゃいけないんですが、具体的に債務を返済していくための提案についてお考えをお聞きしたいと思うんです。
 一つは、高度成長期に策定された一万一千五百二十キロの高速道路計画そのものを見直して、その一部を一般国道自動車専用道路に変更すべきではないか。先ほどもそういう御意見がありましたが、そのことによって、債務が膨れ上がっていくことを防いだりすることができるのではないかということが一点。
 それから、次は大胆な提案だったんですが、道路特定財源の余力をすべて四公団の赤字処理に投入すべきではないかという大胆な提案がありました。
 民営化推進委員会で、川本委員も、八兆円程度の国費を投入しないと、四公団については正常な民営化はできないから、その八兆円だけでも道路特定財源で面倒を見るべきではないのかという提案もありました。
 これについて、今いろいろお話しいただきましたが、大分長いスパンで、本当にこれで借金返済できるのかいなという疑問もあるものですから、ちょっとこれについて、それは荒唐無稽だよというのか、それとも検討に値するというのか、どう考えているのか、聞かせていただきたいと思います。
佐藤政府参考人 二点のお話がございました。
 一つは、高速自動車国道の計画そのものについては、その一部を一般国道の自動車専用道路に変更して整備すべきではないか、こういうお話でございました。
 一万一千五百二十キロという全体の計画の中で申し上げますと、九千三百四十二キロが高速自動車国道として整備計画があります。そのほか、約一千キロ弱が一般国道の自動車専用道路に、あるいはバイパスの規格の高いもの、こう御理解いただいてもよろしいと思いますが、既に高速自動車国道の計画に並行して供用している、あるいは事業をやっている、こういう部分がございますので、それは補完的措置として活用させていただくんでしょう。残りの一千キロについてどうするか、こういうことが一つの問題であるわけでございます。
 そういう意味では、一般国道のバイパスの規格を上げて、二本つくらずに一本でということは大事な工夫だと思っております。九千三百四十二キロの中で申し上げますと、新しく直轄方式ということで、言ってみれば税で整備させていただくという部分を今お願いしている。これはこれで一つの考え方として御理解いただけるものと思います。
 残り一千キロ、残っている中で具体的にどうするかという議論でいえば、一般国道の自動車専用道路でバイパスを必要としている、いろいろな要因でそういう場合がございますから、そこの規格を考慮しながら、工夫して高速自動車国道の機能が代替できるという区間があれば、できるだけそれを活用していく、こういう工夫をしてまいりたいと思っております。これが最初のお話に対するお答えでございます。
 次に、道路の特定財源を道路関係四公団の債務の返済にできるだけ充てたらどうか、何はともあれ充てろ、こういう御議論だと思います。
 そういう意味では、国の道路の特定財源としていただいております、平成十五年度で申し上げますと約三兆四千億円あるわけでございますが、多いじゃないか、こういうお話はともかくといたしまして、大変な一般道路の整備の御要求というのもありまして、全部道路関係の公団の債務返しに回す、こうなりますと、例えば歩道の整備ができない、あるいは全国で一千カ所ある踏切の除却も進まない、地中化も進まない、こういう状態になるわけでございますので、ここのところは、結局、新たにそういう整備、ほかの整備、安全、安心、あるいはまちづくり、あるいはバイパスの整備であるとか、区画整理であるとか、再開発であるとか、いろいろなことをやっているわけですね。
 そこの部分をとにかく全部やめてでも、道路関係の四公団の債務返しに回せ、こういう御議論につながっておりますので、多分また国民の御理解がいただけないんじゃないだろうかと思っているところでございます。
日森委員 それから、これは最初のときにも質問したんですが、今度新しい制度が入ります。公団とそれから直轄方式になるわけですね。
 先ほども、まだら模様というのがありまして、さっき言った、どこか、島根とか、たしか大臣の兵庫にも何かまだら模様があったような気がしたんですね。走ったときに、同じ道路を走っていて、料金を取って、ただになって、また料金を取られたというところがあったような、なぜそうなっているかちょっとわかりませんが、そんなことが出てきたり、いろいろするわけです。
 これから、その客観的な基準については、道路局長、もう口が酸っぱくなるほどおっしゃっていて、それぞれ幾つか基準を挙げて、そういう基準で、例えば直轄でやるのはここだとかいうことを決めていくんだというふうにおっしゃっていました。
 これは最初の話に戻るんですが、そういう基準をしっかりと決めながら、実は政治介入も防いでいくような、同時にそれができないと、本当の意味で国民から納得できる基準にならないんじゃないかというふうに思うんですが、その辺の決意をもう一度お聞かせいただきたいというふうに思います。
佐藤政府参考人 評価の基準の整備をしながらということでお答え申し上げました。結局、評価基準、いろいろな考え方といいますか、学説的にも、学問の世界でもいろいろな考え方があるというのは、先生御承知のとおりだろうと思います。
 それで、中村先生からは大きな項目として三つ挙げていただいていますので、採算性と残事業に対する費用便益それから外部効果、こういうことでありました。
 これを、いろいろなウエートづけが、例えばこの項目そのものを、一対一対一なのか、あるいは外部効果が問題としては一番大きいよ、こういう意味でいえば一対一対二あるいは三のウエートを置くとか、こうした御議論も必要なところであるわけでありますので、そういう意味では、評価の基準そのものは、一次的にこの方式、この計算式で出すべきであるというふうになってくるか、二つぐらいの計算式を用意して、そしてその答えを両方見ながら、県とも相談しながら、こういう形になるのかというようなことについては、もう少し詰まってきたら、学識経験者の委員の先生方の御見解も承りながら、また私どもも勉強して詰めていきたい、こう思っております。
 ちなみに申し上げますと、例えば、同じ費用便益でも、例えばドイツなんかでは、大都市集中の部分とそれから閑散地域と、言ってみれば例えば東ドイツに提供する場合には便益のウエートを変える、一対二にする、こういうような考え方も国際的にはやっておるわけでございますので、私どももその辺を、学識経験者の先生方の御意見をいただきながら、幾つかの考え方を整理して、国民の多くの皆様に御理解いただけるような基準というものに整理していきたいと思っております。
 その際に、先生のおっしゃる、政治的圧力を排除すべし、こういうことであります。地方の公共団体の御協力もいただいてといいますか、御意見をいただいて、しっかりと調整しながら、こういうことでありますので、何よりも地域の住民の皆様、それから、公共団体がそれを集約し、また民意を反映するという意味では、そういう意味でのいろいろな取り組みをしながら、きちっとした整理をしていきたい、そんなふうに思っているところでございます。
日森委員 議事進行に協力して、終わりたいと思います。ありがとうございました。
河合委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより両案を一括して討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。瀬古由起子君。
瀬古委員 私は、日本共産党を代表して、本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案及び高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案に対する反対の討論を行います。
 まず、本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について申し上げます。
 反対の第一の理由は、今回の措置が、本州四国連絡橋公団を民営化した新会社の重荷をなくして、その営利を保証するために、国民負担による債務処理を先行的に決めるものです。このような民営化先にありきの債務処理対策では、今日、本四公団が抱える問題の解決にならないばかりか、問題を先送りするだけです。
 第二の理由は、これまで政府が行ってきた過大な需要予測による採算の見通しのない大型公共事業を抜本的に見直しもせず、破綻に追い込みながら、そのツケを税金投入という形で国民に押しつけるものであるからです。こうした事態に立ち至った責任の所在や納得できる今後の見通しなどについて、政府と本四公団がまずみずから明らかにすることは、国民に対する最低限の責任です。いわゆる本四公団の組織形態など今後の行方は全くわからない中で、国の道路特定財源により処理することは余りにも拙速、無責任です。
 第三の理由は、政府は今年度予算で公共事業を削減したとしていますが、本四の債務を別枠とすることで、道路予算が減額したかのように見せかけ、実質増額していることに見られるように、この法案が公共事業の浪費を促進する手段になっていることは重大であり、反対です。
 次に、高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 反対の第一の理由は、国直轄高速道路の制度化は、公共投資基本計画を廃止したとしながら、実際は、一万四千キロの高速道路計画は、国土のグランドデザインと称する五全総に忠実に受け継がれていることです。経済社会情勢の変化に応じた高速道路の必要性の再検討の見られない、総額方式はそのままに、この目標達成に向けて突っ走るものだからです。
 第二の理由は、道路特定財源の新たな使途を確保し、温存するものであることです。道路特定財源は、歯どめなき道路建設の元凶であるとして、国民的批判にさらされ、小泉首相でさえ一般財源化を言わざるを得なかったのです。結局のところ、一般財源化をほごにすることにほかなりません。
 以上、両案に反対の討論を終わります。(拍手)
河合委員長 次に、原陽子君。
原委員 私は、社会民主党を代表して、本州四国連絡橋公団緊急特別措置法案及び高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部改正案につきまして、反対の立場から討論を行います。
 まず、高速自動車国道法案についての反対の理由を申し上げます。
 第一に、道路公団などの民営化会社は二〇〇五年度に発足する予定であるとしながら、なぜ二〇〇三年度から新方式をスタートさせるかについての説明が不十分であるということ。
 第二に、公平で客観的な選定基準がなければ、優先順位は極めて不透明なものになるということです。どの路線をどの方式でつくるのか、決定に当たっての公平を期すための客観的基準が、まず示されるべきです。
 第三に、新直轄方式の導入等に対応した国から地方への税源移譲の不十分さです。税源の移譲とはいっても、実際は譲与税の配分割合の拡充にとどまっているにすぎません。個別の自治体にとってみると、新直轄方式で整備する区間の地方負担分はきちんと手当てされるのか、心配が残っています。
 第四に、高速道路整備計画の内容や道路整備のあり方、道路特定財源の見直しについても、総合交通政策、総合交通体系確立の観点から、将来性のある具体的なビジョンというものがまるっきり示されていないという点です。
 結局、政府案は、民営化されたらつくれなくなる心配があるので税金を投入して早くつくってしまおうというだけの法案だと思います。
 次に、本四公団法案についての反対理由として、三つのコンセンサスの欠如を指摘します。
 第一は、国民のコンセンサスの欠如です。公団の赤字は、政府の施策の失敗であり、政治的介入の放置と交通量推計の甘さが根本にあり、本四公団が危機的な財務状況に至った政府の責任について、総括及び説明が不十分であり、いまだ国民の納得が得られているとは言えません。
 第二に、地元自治体のコンセンサスの欠如です。公団に対する地元十府県市の追加負担問題が先送りされており、財源問題は決着しないままの見切り発車のスキームであるということです。
 第三に、将来世代に対するコンセンサスの欠如です。この法案は、二〇〇三年度に限った法案であり、二〇〇四年度からのことについては不明確です。公団本体の赤字を減らすためには、将来的に利子が利子を生む構造を防止すべきです。ETCなど必要性と渋滞削減効果に乏しい機械の導入に道路特定財源の使途を拡大するくらいなら、もっと借金返済に回すことだってできると思います。
 説明を受けた側のコンセンサスが得られない限り、説明責任を果たしたことにはなりません。
 以上、両法案に対する反対討論を終わります。(拍手)
河合委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより両案について順次採決に入ります。
 まず、本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、栗原博久君外二名から、自由民主党、公明党及び保守新党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。栗原博久君。
栗原委員 ただいま議題となりました本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、公明党及び保守新党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえさせていただきます。
    本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たり、次について適切な措置を講じ、その運用に遺憾なきを期すべきである。
  本州四国連絡道路の完成によって、一般旅客定期航路事業の経営に重大な影響が懸念されていることに鑑み、関係する地方公共団体の協力を得て必要に応じ適切な措置を講ずるよう努めること。
以上であります。
 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
河合委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。
扇国務大臣 本州四国連絡橋公団の債務の負担の軽減を図るために平成十五年度において緊急に講ずべき特別措置に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御検討をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げたいと存じます。
 今後、審議中における委員各位の御高見、また、ただいまの附帯決議につきましては、その趣旨を尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長初め各位の御指導、御協力に対し、深く感謝の意を表し、ごあいさつとさせていただきます。
 ありがとう存じました。
    ―――――――――――――
河合委員長 次に、高速自動車国道法及び沖縄振興特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
河合委員長 次に、内閣提出、港湾法等の一部を改正する法律案及び空港整備法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。
    ―――――――――――――
 港湾法等の一部を改正する法律案
 空港整備法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
扇国務大臣 ただいま議題となりました港湾法等の一部を改正する法律案及び空港整備法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして、御説明を申し上げます。
 まず、港湾法等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 近年、我が国の港湾においては、近隣諸国との国際競争を強く意識しながら、既存の港湾施設の高度利用を図りつつ、その機能を高めていくことが求められております。中でも、入港届等の港湾関係諸手続の迅速化及び臨海部の低未利用地における港湾空間の再構築が必要とされております。
 このような趣旨から、このたびの法律案を提案することとした次第です。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。
 第一に、国土交通大臣は、港湾管理者が受理する入港届等を迅速かつ的確に処理するため、電子情報処理組織を設置し、及び管理することができることとし、その電子情報処理組織を使用する港湾管理者は、使用料を負担しなければならないこととしております。
 第二に、民間都市再生事業計画の認定を受けた事業者が行う公共施設の整備について、その対象施設に港湾施設を加えることとしております。
 次に、空港整備法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 我が国における空港整備につきましては、空港の配置的側面からの整備が概成しつつあることを受け、これからの空港整備に当たっては、就航率の改善や定時性の確保による信頼性の向上など、高質化のための措置を重視していくことが必要であります。
 このような趣旨から、このたびのこの法律案を提案することとした次第です。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明を申し上げます。
 第一に、就航率の改善に必要な照明施設及び無線施設用地を空港の基本的な施設として位置づけ、国及び地方公共団体がその費用を負担すべきものとすることとしております。
 第二に、地方公共団体は、より性能の高い一定の照明施設及び無線施設用地に係る工事を施行することができることとしております。これにより、その費用の一部を国が補助することができることとなります。
 以上が、港湾法等の一部を改正する法律案及び空港整備法の一部を改正する法律案を提案する理由であります。
 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。
 ありがとう存じました。
河合委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後零時三十八分散会


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