衆議院

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第17号 平成15年4月18日(金曜日)

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平成十五年四月十八日(金曜日)
    午前九時十一分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岡下 信子君    倉田 雅年君
      実川 幸夫君    砂田 圭佑君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西田  司君
      西野あきら君    林  幹雄君
      原田 義昭君    菱田 嘉明君
      福井  照君    堀之内久男君
      松野 博一君    松宮  勲君
      松本 和那君    森田  一君
      山本 公一君    阿久津幸彦君
      井上 和雄君    岩國 哲人君
      大谷 信盛君    川内 博史君
      佐藤謙一郎君    鈴木 康友君
      津川 祥吾君    高木 陽介君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    二階 俊博君
      後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (金融庁監督局長)    五味 廣文君
   政府参考人
   (財務省理財局長)    寺澤 辰麿君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (住宅金融公庫理事)   吉井 一弥君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
四月十八日
 辞任         補欠選任
  岩崎 忠夫君     岡下 信子君
  永井 英慈君     井上 和雄君
  伴野  豊君     鈴木 康友君
同日
 辞任         補欠選任
  岡下 信子君     岩崎 忠夫君
  井上 和雄君     永井 英慈君
  鈴木 康友君     伴野  豊君
    ―――――――――――――
四月十七日
 移動の権利の保障、移送サービスに関する請願(中沢健次君紹介)(第一七六三号)
 同(金田誠一君紹介)(第一七九六号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案(内閣提出第四四号)
 独立行政法人都市再生機構法案(内閣提出第四五号)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省住宅局長松野仁君、金融庁監督局長五味廣文君、財務省理財局長寺澤辰麿君及び住宅金融公庫理事吉井一弥君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。玉置一弥君。
玉置委員 おはようございます。
 住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の審議が行われておりましたけれども、いろいろな意味で、私たちも附帯決議をつけさせていただくということで賛成をしようかということを一応決定しました。ただ、態度いかんによりますということになりますので、またいろいろ御質問させていただいて、納得できるように頑張っていきたいと思いますが、よろしくお願い申し上げます。
 この法律が施行されるに当たりまして、いろいろな方々の御意見を聞きますと、やはり将来にわたって、一般の方が住宅を建てられるときに、本当に資金確保ができるかという問題がついて回っているわけです。
 それだけに、住宅金融公庫が果たしてきた役割というのは大変大きく評価をされておりますし、日本の住宅事情に関して、量的な補完と質的な補完というものが今まで十分行われてきたのではないか。公的な部分でかなり支援がありましたということが、一つは、競争相手となっておりました民間の金融機関に対して誘導策にもなったのではないか、こういうふうに思うのです。
 逆に、将来の心配としては、そういうことがあったからこそ、金融公庫の直接融資がなくなってしまうということに対する不安というものが金融公庫なり政府なりの調査にもあらわれているということでございまして、やはりここが一番問題ではないか、こういうように思います。
 そういう面から見て、今回、では、直接融資というものがなくなった場合に、住宅政策として政府がとっていかなければならないものについてどういう方法があるのかというのと、それから、今までの持ち家促進とか低金利誘導とか、いわゆる長期、固定、低利というこの三つの分野に対しての指導力があったわけですけれども、これを目指して、住宅金融の今までのレベルを確保するといいますか、質的な部分も含めて確保していこうとすれば、どういうことが考えられるのかということについてまずお聞きをしたいと思います。これは大臣がいいと思いますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 おはようございます。
 今、玉置委員が言っていただきましたように、今までの経過を見ましても、住宅金融公庫の果たしてきた役割というのをそれぞれお認めいただき、なおかつ、多くの皆さん方がそれによって、一般民間金融機関では借りられないものを借りて、自分たちの希望を達することができたという大きな成果だけは万人が認めていただけるということでは、私も大変そのとおりだと思っておりますし、また、それでこそ、今日までこれだけの業績を上げてきて、千八百九十万戸という大きな役割を果たしてきたことはそれが証明していると思います。
 今おっしゃいましたように、それでは今後どういうことになるのかということで、少なくとも質の面ではまだまだ、量は足りたけれども質の面では足りないというのは今玉置委員がおっしゃったとおりでございますので、それよりもまず、金融公庫にかわって、民間の皆さん方が今後どのように金融面でかわっていくのかということが一番大事なところであろうと思います。
 そういう意味では、貸し付け自体というものは民間にゆだねますけれども、公庫がこれを支えていく方向に転換するということで、この場合においても、先ほどもおっしゃいましたように、また今までも議論されましたように、借りるときの選別なき融資、あるいは質の高い住宅の供給、また災害、まちづくりに対する支援、これまでの公庫が果たしてきた役割が、民間も含めました今後の住宅金融全体として引き続き達成されるということでなければならないと私は思いますので、こういう観点から、公庫の廃止とか独立行政法人化の際に、改めて融資業務の取り扱いを判断していきたいと思います。
 私の手元に、金融公庫に寄せられたお客様の声というものがたくさんございます。これは一々読んでいると時間がなくなりますから言いませんけれども、一つ二つ言いますと、一例で、私たちのように自営の者は銀行より融資を一〇〇%断られることがよくわかりました、そのため、公庫さんのように職業に関係なく融資の対象として見ていただけることは本当にありがたいことです等々、もう数限りない言葉をいただいておりますので、今申しましたように、公庫の廃止、そして独立行政法人化する際に、今おっしゃっているこの多くの国民の声というものをいかに融資業務の中で取り扱っていくかということを我々は判断しながら、また指導もしていきたいし、また、これにかわる立派な民間というものが育っていくようにというのが本来の筋でございますので、その点だけはくれぐれも注意していきたいと思っております。
玉置委員 量的な部分よりも質的な部分に対する融資、補てんということでこれから変わってくるだろうというお話でございますが、私たちは、今まで銀行が民間の金融機関としてとってこられた姿勢、これが果たして需要だけで決まってきたのかという心配をしているわけです。
 というのは、当初は、日本の民間の企業が資金不足ということでいろいろな面で銀行にお願いをして融資をされるということで、長期の資金が寝てしまうことに対して銀行が非常に不安を持って、住宅に対する投資が非常に少なかったのではないかと思います。その結果、シェアが非常に最初は少なかった。
 ところが、バブル崩壊を境にして民間需要が非常に逆に少なくなって、その先に、利幅から考えていきますと長期安定という住宅部門、ここにやはり、一時は住専という形で先走りをしましたけれども、それが土地に投機をされて結局アウトになったという反省も踏まえて、やはり長期安定型で住宅ローンを拡大していこう、こういう方向に行かれたということで、一時は住宅公庫のシェアが四五%ぐらいになっていたんですが、今は二二、三%ということで、民間の金融機関の方がそれだけシェアを拡大されてきたということであります。
 そういうことから考えますと、私たちから見ると、住宅需要が逆に落ちているような状況の中で民間が拡大されてきているということは、要するに、利用者側、消費者の方が選別をされてきたということではなくて、むしろ銀行、民間の金融機関の方が、ぜひ住宅ローンをお使いくださいということでいろいろな商品を開発されて、その辺が需要とマッチしたということだと思うんですね。
 そういうことから考えますと、今までの住宅事情の変化の中で、やはり銀行、民間の金融機関の判断というものがかなり大きく左右するということになってくるんですね、利用者にとってみたら。この辺について、大臣はどういうふうにお考えになっているか、ちょっとお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 今玉置委員がおっしゃいましたように、端的に言えば、いいときはよかったけれども、もう住宅金融公庫には、とても長期、低利、固定というものに対抗できないということで、民間が今まで手を出さなかった、また出せなかったと言えるかもしれません。また、もっと銀行も、うはうはという時代がございました、バブルで。もうそこらじゅうにお金を貸しまくってという時代もございましたけれども、民間もいよいよバブルがはじけた後、今の金融業界も堅実な本来の金融業務というものに立ち戻らなければいけない状況が今の金融業界にあろうと私は思います。
 その中で、以前にも私は申しましたけれども、今までの金融公庫のローンを借りている人たちは本当にまじめな方が多くて、この間、何件ぐらい返していない人がいますかというのも委員会で出ましたけれども、相対的に言えば、住宅ローンで金融公庫に借りた人たちは、こつこつ働きながらまじめに返しているという姿勢が私は本当に目に見えるんですね。
 ですから、特にそういう人たちの金融公庫の住宅ローンの返済の、借りている人の姿勢というものが、民間の金融業界はうらやましくなってきたということも、うらやましいと言ったら失礼ですけれども、本来はそれが普通のことなんですけれども、他の業界に比べて住宅ローンの返済者が本当にまじめだったということで、これはかたい金融業であるということで民間がこんなにふえてきた、今十社ですけれども、これはまだまだふえると私は思います。
 そういう意味で、本来の金融業のあり方というのは、日本人はまじめでございますから、今まで浮かれたものが地について、本来の金融業というものに民間もまじめに取り組んでくる。そして、日本人の勤勉性とまじめに返済していくという姿勢というものを民間も高く評価してきた。そういうことの中で、この国民のよさというものを変に利用されないように、よりそういう信頼性のある、国民が使いやすいようにということが大事なことだと私は思っております。
玉置委員 松野住宅局長にお伺いしたいんですが、この審議の中で聞いておりますと、証券化の支援を五年をめどに考えていきたいというお話でございますが、アメリカと比較をしますと債券市場が非常に小さいという状況の中で、まして、もう既に公庫債等も発行されているわけですね。それより金額が少ないというのが出ていく、とりあえず初年度で二千億ぐらいということなんですが、こういうベースでいって果たして市場形成ができるかどうかという心配があります。
 それと、最初は買い取り型ということでスタートされて、保証型に移行していきたい。最初から保証型は確かに難しいと思いますが、方向としては間違っていないと思いますけれども、こういう日本全体の債券市場の中で、果たして消化できるのかどうかというのと、それから、日本の債券市場がどういうふうに変わっていかないと、こういう住宅でありますとか不動産とかの証券化というのが実際に進まないのか。だから、ある程度拡大されないと進まないんじゃないかというふうに思うんですね。この辺を、まず五年間、市場形成という中で、どういうふうに考えられているのか。あるいは、例えば五年でできないときはどうするのかということも含めてまずお伺いし、もう一つは、住宅ローンの民間金融機関からの量的な確保、こういう保証を買い取りとかという形で果たしてできるのかどうかというところも、全部含めてちょっとお伺いしたいと思います。
松野政府参考人 お答えいたします。
 十三年の十二月に特殊法人等整理合理化計画におきまして、いずれ公庫は廃止する、その途中の段階で公庫融資は段階的に縮減していく、最終的に独立行政法人が直接融資を続けるかどうかはその時点で判断するということでございますが、途中の段階は、民間の今の短期固定あるいは変動のローンが出ているわけですが、民間の住宅ローンと公庫の直接融資、それから公庫の証券化支援事業によるローンというものが併存するという形でございます。まだまだ、今、結構民間の今の短期固定ローンあるいは変動ローンに流れてはおりますけれども、根強い公庫の長期固定に対するニーズもまだあるという現状がございます。
 これを踏まえまして、段階的に縮小しながら、公庫の証券化支援事業によって民間の長期固定の住宅ローンが出ていくようになるということを想定しているわけですが、私どもも、民間がそれを出しやすいようにできるだけの努力をし、公庫とも協力し、また金融機関とも連携を図っていくべく今努力しているところでございます。
 ビジネスとしても、それほど、大変難しいということでなくて、結構望みのあるビジネスではないかと思います。今、銀行がいろいろ商品を、長期固定のローンをそろえて結構出てきているというお話がございますけれども、これは確かに品ぞろえとしては結構出てきておりますが、どうも、これを出した以上は、それを証券化市場に出して金利リスクをそちらでとってもらわなきゃいけないんですが、それほど大量に出ているという気配はありません。したがって、多分ホールドした状態になっている可能性もある。
 ということを考えますと、やはり大量に安定して出すということになると、公庫による証券化支援事業が始まらなければ民間もなかなか出せない。したがって、現場の窓口では短期固定とか変動ローンをお勧めするしかないという実態ではないかと思います。したがって、公庫による証券化支援事業が始まって、出しやすい環境を整備してあげれば、結構これは順調に伸びていくんではないか、こう思います。
 どのぐらいになるかというのは、ちょっと今すぐにはお答えすることができませんが、少なくとも、長期的には公庫の今の長期固定にかわる、代替するものになるということを想定しております。
 米国で三十年ぐらいかかっているということは確かでございますが、一昨日の参考人質疑でも八田先生の方から御説明がありましたように、米国でも最近急激に進歩したのは、やはりコンピューターの世界の発達ということが非常に大きな貢献をしているということで、米国の経験とかそういったものの手助けとして、できる限り早い段階でこれを成熟させた市場にしていきたいということでございます。
 なおかつ、五年たった段階でどうしてもまだ足りないという事態があるときは、残すかどうかということを全体を見て議論するということになるというふうに考えております。
玉置委員 一昨日の八田先生と松原先生と若干意見の違うところがありましたのは、市場形成のある時点で、逆に期限を区切ってこの証券化支援業務を打ち切るべきだ、こういう話をされておりました。
 ですから、どこが成熟かどうかという判断は非常に難しいと思いますが、例えば五年間という一つの目標を定められたということでありましたら、その五年たった時点でどうするかという判断が要ると思うんですね。私たちのこの附帯決議の中にも、ある時期にやはり見直すべきであるというような中身を書かせていただいたのですが、これは十分検討した上で判断するようにということなんですが、その時点でのどういうアクションをとるかということですね。
 この辺については、とりあえず五年はやるよ、五年間を見た時点でもう一回考えようということなのか、あるいは、五年たって、それからまた、なおかつ同じように進めていくのかということについては、どういうふうにお考えでしょうか。
松野政府参考人 参考人質疑でも寺西銀行協会会長のお話がございまして、金融機関としては、公庫がどのように段階的な縮小を直接融資について図っていくのかというプログラムを示してもらえばやりやすいというお話がございました。
 確かにそのお気持ちは理解できるところではございますが、一方で、私ども、公庫あるいは金融機関と協力して、できる限り証券化支援事業が順調に成長していくということを、最大限の努力をしたいと思います。一方で、まだこれから始まるというものでございますので、国民の皆さんが困らないかどうかというものが最終的な我々の判断の根底にございます。
 したがいまして、一方的に骨を削るような形で公庫融資を急激に減らしていって、なおかつ、その時点で、いわば市場がまだまだ、消化できる能力が実はこれぐらいだということでまだ小さい段階で、例えば、金利が上昇傾向に振れ始めて、急激に長期固定のニーズが膨れ上がってきたときに、公庫はもう引いてしまっているというようなことではどうするのか。民間の証券化支援事業による長期固定のローンを、では、抽せんでもやるのかというような、そういう事態にならないように、ある程度の構えは、余裕を持って、国民の皆さんに安心していただけるような手だてはとっておかないといけないという判断がございまして、そういう私どもの気持ちも一方でぜひ御理解をいただきたいということを考えているわけでございます。
玉置委員 五年先と考えれば、幾ら何でも日本の経済がもう上向いていないと日本はもたないですね。そういうときに、いわゆる民間事業が拡大をされて企業関係にお金が流れるということであった場合に、市場からでも住宅向けの個人になかなか集まらないのじゃないか、そういう心配をしておりまして、これをどこで担保するかということがやはり大事だと思うのです。
 それから、市場形成ですけれども、日本はアメリカに比べて本当に何分の一という小さい市場でございますから、どちらかというと株式に非常に多く流れるということなんですね。その中でも、特に個人投資家も少ないわけですね。ですから、どういう形でやられるかというのは、逆に後でお聞きします。
 まず、そこで、先ほどのお話にちょっと出ていましたけれども、寺西参考人の方からアクションプログラムを明示してもらいたいというお話がありました。これは、ある時期に本当に出さないと民間の長期計画は成り立たないのじゃないかということもありますし、このスキームの中でどういう部門を分担すればいいのか、将来ともにそれが継続してあるのかどうかということもあるかと思うのです。この辺の、要するにアクションプログラムについてはどういうふうにお考えになっているか、お聞きしたいと思います。
松野政府参考人 この点については、先ほど申し上げましたとおり、一方的に公庫が急激な減少計画を示して、そのとおり実行するということになって、民間の住宅ローン、長期固定のローンを私どもとしてもできる限りの支援をしていきたいというふうに考えてはおりますけれども、それで急激に成長していってほしいと願っているところではございますが、一方的に、その結果として長期固定ローンがかなり不足するという事態にならないように一方では考えておかなければいけないということもございます。
 したがいまして、計画的に、事前に何年は幾らにする、何年は幾らにするということではなくて、やはりその年ごとの金利の情勢とかいうことを判断しながら、また長期固定がどのぐらい選ばれているかというようなことも見ながら、実際には各年度の予算で考えていくということがやはり必要なのではないかというふうに考えております。
玉置委員 年度年度で、ことしこのぐらい、来年このぐらいということでは、なかなか相手も対応しにくいだろうと思います。
 この間の、例えばUFJの、今住宅関係のローンが一兆円あります、これを五、六倍に伸ばしたいとか、そういう予定はあるみたいですけれども、それも周りの様子を見ながらということになってくると、そのときに借りようとされる需要家の方々にとっては、先行き不透明の中で期待をするということになってしまうので、非常にローンがおりにくいのじゃないかなということを思うわけで、そういう面では、ある程度長期方針を出していただいた方が今後進めやすいのではないかというふうに思います。
 ちょっとお話がかわりますが、今七十二兆円あります公庫からの融資残高、その中で、この間ほかの方の御質問によりますと、破綻した部分が千四百億円ぐらい今あるのですか、そういうことがこの間お話が出ておりましたけれども、この証券化のスキームに乗ってしまったときに、破綻をしたら、これはどうなんですか。要するに、扱いがどういうふうになるのか、その辺についてまずお聞きをしたいというのと、今破綻しているものはどういう扱いをされているのかという部分をちょっとお聞きしたいと思います。
吉井政府参考人 証券化支援事業を活用して住宅ローンを実行された場合、お借りになった方が破綻された場合というお尋ねでございましょうか。
 その場合には、基本的には、現在、金融公庫のローンにつきましては、先日もお尋ねがございましたが、いろいろな債務者についての支援策がございまして、私ども、平成十年の閣議決定で、返済期間の猶予等の措置をしております。前回もお答え申し上げましたが、最近かなり大勢の方から御相談をいただきまして、いろいろな返済方法の変更等をやっておるところでございます。
 証券化支援事業になりましても、基本的には、融資を実行していただいた後、直ちに住宅金融公庫の債権になりますので、住宅金融公庫でできる限り、今までの債権と同じような形で相談に応じていきたいと思っております。ただ、若干、スキームとしてどのようなものが、具体的に全く同じにできるかということは、なお詰めてまいりたいと思っております。
玉置委員 今は金融公庫ですからつぶれないことを前提にお話ししたんですが、実は、住宅ローンという、これは分類はちょっと定かではないんですが、いわゆる個人債務者が借りられていた金融機関がつぶれたということでRCC送りになったものが今あります。この辺につきまして、どのぐらいそういうものがあるのかということと、それから、個人向け債権をどういうふうに処理されているのかということを金融庁にお聞きしたいと思います。
五味政府参考人 お答え申し上げます。
 RCCが破綻金融機関から譲り受けました個人向けの債権、これは債務者数で約六万件でございます。このうち住宅ローン債権がどれだけあったかというのは、そういった集計をしておりませんので手元にございません。個人としての債務者数で六万件でございます。
 こうしたものの今後の処理ということでございますけれども、住宅ローンも含めまして、RCCが破綻金融機関からそうした個人向け債権を譲り受けるということになりました場合は、その債権の債権者が従来の破綻金融機関からRCCに変更になるということが起こるわけでございます。変更されるのは、この点、債権者がかわったという点でございまして、その住宅ローン等の債権の内容自体、約定内容ですが、そうしたものが譲り受けに伴って変更されるわけではございません。
 したがいまして、処理といたしましては、RCCは、譲り受け後は、破綻金融機関にかわりまして、個々の契約に従って、引き続いて債務者から弁済を受けて回収を図る、こういう形になります。例えば、従来約定どおりの返済を続けておられた債務者の方は、原則として、引き続き約定どおりの返済をRCCにしていただく、こういう形になるわけでございます。
玉置委員 今回の証券化をした後に金融機関がつぶれた場合、扱いが同じになるのかどうか、この辺はいかがでしょうか。これは吉井さんですかね。
吉井政府参考人 先ほども申し上げましたが、証券化支援事業におきましては、民間金融機関から住宅ローンをお貸し出しした場合、同時に住宅金融公庫の方に債権が移ってまいります。したがいまして、その後に住宅ローンをお貸しした民間金融機関が破綻いたしたとしても、その住宅ローン債権には法律上特段の影響はないものと思っております。
玉置委員 先ほどからお話の中で、債券市場の話を私はしているわけでございますが、この債券市場、これは金融庁の分野もあるわけですね、証券、債券の市場。これは、監督局長で多少、お答えできればお願いしたいんです。
 というのは、市場形成の中で、今回のものが全体、社債とかいろいろありますよね、そういう商品とかを考えた場合に、市場の中でのウエートがどういうふうに変動していくか、それだけの影響力があるのかどうか、その辺について、もしわかればちょっとお答えをいただきたいんですが。
五味政府参考人 お答えをいたします。
 貸付債権、いわゆるローンの証券化というのは、アメリカなどでは非常に活発に行われておるわけで、そのためのマーケット、いわゆるセカンダリーマーケットと言われるものも非常に発達をしておりますが、我が国の場合には、まだそうした市場は未発達という状況にございます。したがって、債権のいわゆる流動化というものは行われますが、これが流通できるような、いわゆる証券化と言うに値するようなものになるためには、まだまだ市場が未熟であるというのが現状であろうと思います。
 そこで、住宅ローンに関連して申しますと、この住宅ローン債権というのは、先ほど来お話も出ておりますけれども、住宅公庫さんでも非常に回収がいいわけで、皆さん、まじめにお返しになります。個人向けの債権というのは、利ざやも割合取れる、収益性の意味では期待のできる分野であるということ、それから、長期固定の貸し付けというものも当然必要になりますが、そのためのALMの技法というのも発達をしておりますし、金利等のスワップによってこれをヘッジしていくというようなこともどんどん発達をしてきております。
 したがって、住宅ローン市場というのは、民間銀行にとってはこれから大いに発展していく市場であると同時に、証券化というものに非常になじみやすい、利ざやが比較的適正に取れているということと、長期でありますので、これを別の形でヘッジしたりしてお金を回していくのも非常になじみやすいということで、証券化が非常に期待されるものであります。
 実は、現在、金融庁の方でも、金融再生プログラム、昨年の十月に策定いたしましたものに従いまして、貸付債権の証券化市場を今後発展させていくためにどういう基盤整備をしたらいいかということを、全銀協それから住宅公庫さんの御協力をいただきまして勉強会をしておりまして、一応の報告も出ましたので、さらにそれを技術的に詰めていくための専門的な検討に入りました。
 私、これは個人の見通しでございますけれども、住宅ローンに関連する証券というのは、これを皮切りにして日本の貸付債権の流動化市場というのが大いに発展をしていくことになるであろうということで、大変重要なものであると思いますし、将来性が高いと思っております。
玉置委員 今は一五%ぐらいですかね、全体の流通している金融の中での。アメリカだと四〇%以上占めているわけですけれども、それが株式にかわる投資先として拡大されていけば、投資家にとってはかなり安定した財源というか、収入源になるというふうに私は思うんですが、言われている割には全然伸びなかったというのは、やはり商品がなかったということですかね。そうだと思います。
 そういう意味で、五年をめどにということなんですが、私は、先ほどの松野さんのお話とか大臣のお話を聞いておりまして、アメリカが三十年かかって、何で日本が五年でできるんだと、まず一番先にそれを思うんですね。
 この間のお話だと、コンピューターの発達によって情報ネットワークが非常に即座に確保できるということが一番大きい。それから、アメリカが苦労されてきた技術ノウハウを日本がある程度見ながらやってきているので、それを使えるというのがあるということなんですが、では、逆に、金融庁に、五年のめどというのは果たして可能かどうかというのをちょっとお聞きしたいと思います。
五味政府参考人 これは、五年ぐらいではやっていただかないと、国民経済上もよろしくないというふうに思っております。
 お話にございましたように、金融技術が非常に急速に発展をしておって、この技術そのものは世界に均てんされているといいますか、少なくとも、日本は米国等の金融技術というものを導入いたしまして経営できる形になっておりますから、そういったIT技術あるいは金融技術、情報化といったものが未発達の段階でアメリカがいろいろトライをしてきた状況に比べると、日本は今、基盤としては恵まれた状況にあるわけでございますので、五年という期間が決して無理な期間ではないはずですし、もしそれで何か困難が生ずるようなら、逆にその困難を克服するための施策を金融庁としてもとっていかないといけない、こういうふうに考えております。
玉置委員 この流れの中で、市場形成の柱になるのはだれなのかというのと、それから、例えば今回の証券化支援の大枠、どの程度考えて市場に出していくのか、その辺をお聞きしたいと思います。
 私たちは、どちらかというと、日本の場合、機関投資家がまずいろいろなところにいろいろな分担をして、それが動き出して、徐々に徐々に個人が入っていかれるというのが今までの市場形成のパターンだったと思うんですが、その辺の一つの流れを御説明いただきたいと思います。松野さんですかね、大臣ですかね、では、お願いします。
松野政府参考人 主役がだれになるかという、この市場を形成していくときのあれですが、最初の融資は民間の金融機関がおやりになりますので、そういう意味での主役の一人でございます。
 それを、例えば買い取りでスタートいたしますと、買い取りをして証券化市場に出して資金調達するという公庫がその次のプレーヤーとして出てまいります。その証券化市場でそれを買い取るという機関投資家の方々、今現在ですと、これは通常の債権と異なりまして毎月の元利金のフローがあるというようなこと、それから、住宅ローンの特性として、金利が動いたときに、特に低下したときに繰り上げ償還ということがございます。
 したがって、少しずつ毎月の元利金が変化したりする、そういうちょっと複雑な面があるものですから、今のところ、機関投資家に買っていただくということでございますが、いずれこれが大きくなってまいりますと、次の段階として、いわばその証券化市場の中の二次市場といいますか、従来買ってある債権を今度加工いたしまして、特徴のある商品として、ローリスク・ローリターン、これはずっとホールドしたまま、いわば将来の、老後のための蓄えといいますか、そういった意味でお買いになる方がいらっしゃるでしょうし、それからミドルリスク・ミドルリターン、それから、かなり金利の部分に着目したハイリスク・ハイリターン、こういった商品の開発が行われて、アメリカではそういう実態になっております。そういうニーズに応じた商品開発が行われて、そこに個人投資家が参加してくるというようなことになろうかと思います。
 将来、公庫の機能を代替する形では、できるだけ早く大きな市場になってもらいたいと思いますが、公庫の機能を代替する規模としては、公庫がかつて長期固定を供給してきたその規模まで到達していただければいいということですが、今までの毎年のフローで最大のところは十兆円ですが、これは建設戸数も非常に大きな時代のことでございますからそこまではいかないにしても、数兆円というようなところまで成長していくということが期待されるのではないかというふうに思っております。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
玉置委員 逆ざや現象についてちょっとお聞きをしたいんですが、住宅金融公庫が財投資金を活用されて、これを利用者に貸し付けを行ってきたということですが、平成八年ぐらいから逆ざやになって、これは一つ、繰り上げ償還といいますか、こういうのもありますし、逆に、借りたときの金利と貸し出している金利とが明らかに逆ざやになっているということなんですよね、比較で。そういうことで、二つの現象があります。
 片方の繰り上げ償還、期限前の繰り上げ償還については公庫さんの問題だと思いますが、この逆ざやにつきましては、八年からもう既にずっと続いているわけでございまして、少なくとも七十二兆円の中の大部分が今のままいきますと逆ざやだと思うんです。
 そういう状況の中で、当分の間、将来ともにこの逆ざやが続くというふうな現象が今起きているということに対して、国庫からの補給金という形で今住宅の方に出されているのと、あと、公庫債を発行されているということで穴埋めがあるわけです。
 確かに、仕組みとしては、契約したときのもので返せというのはわかるんですけれども、明らかに長く続くような場合に何か方法を考えなきゃいけないんじゃないか、こういうふうに思うんですが、財投の責任者として理財局長に、公庫だけじゃないと思うんですよね、今の償還の実態は。国債もそうですよね、実際は。その辺を含めて、財投資金のこういう貸し出しについての制度をどういうふうにお考えになっているかというのをお聞きしたいと思います。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 御指摘のように、長期固定の資金を貸し借りする、融通をする場合には、長期金利が低下局面になりますと、債務者の方は繰り上げ償還をするということが有利になりますけれども、貸し出しをしている者につきましては、貸し出し側につきましては、長期の資金調達をして長期に貸しているということですから、それの繰り上げ償還が行われますと、そこにコストが発生いたします。
 したがって、そのコストをだれが負担するかという問題が出てくるわけでございますけれども、民間におきましても、長期固定で資金の貸借を行います場合には、一般的に、金利の低下を理由とする繰り上げ償還というのは認めていない。そのコストが償えないからでございます。
 住宅公庫の場合には、政策といたしまして、住宅ローンの借り手が繰り上げ償還をすることを認めております。したがって、では、そのコストをだれが負担するかという問題が出てくるわけでございますが、それは、現在は住宅公庫が負担をすることになっているということなのでございますけれども、では、それを財投である私どもが負担できるかということが次に問題になる、御質問の点だろうと思うんです。
 財政融資資金は、御承知のように、政府の信用に基づきまして、最も有利な資金を財投債等の形で調達をいたしまして、その金利を、調達した金利で貸し出しをする、つまり、利ざやをとらずに長期固定の貸し出しを行っているわけでございます。そのことによって、最も低利で、かつ長期の良質の資金を提供しているということでございますので、繰り上げ償還を受ける場合のコストを負担できるという構造になっていないわけでございます。
 現在は、住宅ローンの借り手が繰り上げ償還をすることについて、七兆円前後ございますけれども、それを政府がコストと認識して、いわゆる政策コストということで負担をしているということでございまして、財政融資資金がそれを受けることはできない。ただ、資金的には繰り上げ償還を受けることは現在行っておりますが、その際には補償金をお支払いいただくという形で私どもは資金の繰り上げ償還に対応しているというところでございます。
玉置委員 想定されたときの金利がどの程度かというのは国債とも連動するわけですけれども、私たちが大蔵委員会でいろいろやっているころに、六・八%とか非常に高い国債の利率、あれは八・八までいったのかな、何かすごい、今から考えるとうそみたいな数字ですけれども、アメリカは当時一五%ぐらいだったと思うんですよね。そういう高いときに金利自由化の話があって、金利は絶対、我々は今の金利より上がると思ったんです、当時は。それがだんだんと減ってきて、もう一・幾つとか、とんでもない数字ですけれども、余り利息が少ないと金融の意味もなくなってしまうんではないかという心配もあるんですが、借りる側からすると安い方がいい。
 当時の金利と今とトータルしてプールしますと、いつも一定であればいいんですが、将来ともにもうちょっと年数がたつと、安い方にトータルで移行していくというふうな感じがするわけですね。ですから、プールした中で考えて、調整金利的なもの、さっきのコストがありましたけれども、それを絶えず計算されて、その部分から拠出をするということはできないのかなというふうに思うんですが、その辺は技術的にいかがでしょうか。
寺澤政府参考人 お答えいたします。
 今、アメリカの国債の例を挙げられましたけれども、我が国でも、過去に高い金利で発行した国債を市中で買い入れ消却を行っておりますが、その場合には、額面百円ではなくて市場価格、その金利のもとで前提とされる債券の価格で買い取る、時価で買い取るわけでございます。それは、例えば百二十円であったり百十五円であったりするわけですが、それによって債権者、債権の所有者に対して不測の損失を与えないという形にしておるわけでございます。
 例えば、住宅金融公庫でも債券を発行しておりますけれども、繰り上げ償還をする、つまり買い戻すわけですが、その場合にはやはり高い市場価格で買うということは同じでございます。
 それで、今先生がおっしゃいました、それでは財投がそういうコストを負担するように貸出金利を上乗せして、それである程度資金を持っていればいいではないか。それは一つのやり方であろうと思いますけれども、その場合には、私どもが住宅金融公庫に貸し出す貸付金利が、現在よりもそのバッファー分だけ高くなるということですから、いずれにしても、住宅公庫に発生する政策コストは同じになっていくというのが金融的には言えるんじゃないかと思います。
玉置委員 短期的に見ればそうなんですけれども、長期でプールしておけば、その変動の中での行ったり来たりの話ですからという意味で私は申し上げたわけで、ずっとそうなっていれば、ある程度カバーできたかなということなんですね。だから、ある程度そういうものをこれから先考えてやっていく必要があるんではないかなというふうに思います。
 ですから、全く出と入りが同じだということでなくて、若干の変動分とか経費分とかというものは、やはりそこに負担すべき当然の理由がある、こういうふうに考えるので、きょうはちょっと時間がないので言いませんが、また今後も検討していただきたいというふうに思います。
 これは、この間から大臣の方も、逆ざやはどうしようもないんですよねとおっしゃるので、どうしようもないのではなくて、やはり長期的に見て考えていかないといけない部分ではないかというふうに思います。そういう面で、ぜひお願いをしたいというふうに思います。
 それから、ちょっと時間があと余りありませんので、かいつまんで、要点だけでお聞きをしたいと思います。
 これは、金融庁がおられるときの方がいいのかな、こういう証券化が進んでまいりまして、市場がある程度形成をされるということになりますと、先ほどのお話の中にもありましたように、将来の不動産に対する証券化とか、それから貸しビル本体に対する証券化とか、こういうものが考えられるのではないか。
 私たちは昔から、土地証券という話を何回となく研究したことがあるんですが、余りにも投機対象になるということで、当時はアウトになりましたけれども、やはり、長期の資金が寝てしまうことに対するカバーをしようとすれば、証券化というのは非常にいいアイデアだと思うので、こういう面で、ある程度定着した場合に、不動産そのものの証券化とかあるいは貸しビルの利用権というものについての証券化とか、あるいは長期債務に対する証券化というものがもうちょっと拡大されていくのではないかというふうに思うんですが、この辺についてはいかがでございましょうか。
松野政府参考人 不動産の証券化は大変重要な課題だと思います。また一方、特に千四百兆円に上ります個人金融資産がございます。これを不動産市場に振り向けていくということで、大変強力な買い手が出てくるということでございます。そのことによって、不動産取引が活発化する。結果として、都市の優良な建築のストックというようなものができていくという効果があるのではないかと思います。
 不動産の証券化につきましては、これまでも不動産特定共同事業あるいはSPCを活用して進められてきたところでございますが、平成十二年、投資信託法等の改正によりまして、いわゆるJ―REIT、不動産投資法人の設立が可能となりました。
 これらによりまして、不動産証券化全体の市場規模は、平成十三年度末で、六兆四千億円に上ってきております。
 J―REITにつきましては、一昨年の九月に初めて東京証券取引所に二つのJ―REITが上場されておりますが、その後、現在では合わせて六つの投資法人が上場しております。合計九千億円の不動産が投資法人により取得されているということで、順調に推移しているのではないかと思います。
 国土交通省としても、今後とも不動産の証券化の促進に向けまして、税制の整備でありますとか、普及啓発活動、あるいは投資判断を行う運用会社に対する指導の実施等に努めてまいりたいと考えておるところでございます。
玉置委員 今は国土交通省のお話でございますが、債券市場とかいう面で見たときに、金融庁はこの証券化問題についてどういうふうにお考えになっているのか。さっきちょっと説明がございましたけれども、具体的にもうちょっと踏み込んで言っていただければありがたいんですが。
五味政府参考人 お答えいたします。
 債権の証券化と申しますのは、金融のモデルでいいますと、市場型金融モデルというのに当たるものでありまして、日本が戦後、経済復興の過程で、あるいは経済成長、高度成長の過程で、大いに活用してまいりましたいわゆる産業金融モデルといったものと対置させられるものであります。
 昨年九月に発表されました日本の金融の中期ビジョン、金融庁で取りまとめをいたしましたけれども、この中でも、これからの金融というのは、市場型の金融モデルと産業型の金融モデルを複線的に活用していくということが非常に重要である、こういう位置づけになっております。
 その中の市場型金融モデル、つまりマーケットでの洗礼を受けることで金融というものを真に必要なところへお金が回るようにしていくというやり方について、非常に重要な要素というのが債権の流動化であり証券化である。そして、その証券化市場を活発化するあるいは育成をしていくことであるというように述べられております。
 お話にありましたような、もちろん、今御説明のあった不動産の証券化だけでなく、さまざまな商品というものが証券化されている。なかんずく、日本経済の中で非常に大きなウエートを占めておりますいわゆる貸付債権というものが、証券化になじむものについて、これがどんどん証券化され流動化されていくということは、資金調達の多様化ということに資する。同時に、投資家の皆さんにとっては投資機会の増大ということで、間接金融に頼り過ぎている現在の構造を直接金融と適切なバランスに持っていって、日本経済をマーケットの洗礼にさらし競争させることで発達をさせていくということに非常に資するものですので、どこまでお答えになったかわかりませんが、非常に重要な課題として、私ども、この証券化あるいは証券化市場ということに取り組んでまいるということを考えております。
玉置委員 本当は、国債がこれからどういうふうに、消化されていくときに有利か不利かということもいろいろお聞きしたかったんですが、ちょっと時間がありませんので、最後に一点、私どもの同僚議員の方から何回も出ておりますが、中古住宅市場の整備とか、それから、新規になりますと品質確保のためのチェック機能とか、そういうものが、要するに証券化という流通の中で、商品の保証という面から見ると必要じゃないかというお話が出ております。
 これについて、国土交通省としてどうお考えになっているのか、その辺を聞いて終わりたいと思います。
松野政府参考人 中古住宅市場の整備というのは、我が国の住宅市場の中で大変重要なこれからの課題でございます。
 委員御存じのとおり、米国あたりと比べますと、大変新築に偏った市場になっておりまして、中古流通市場が大変規模が小さいということでございます。また、中古住宅の価値の低減というのが経過年数に応じてかなり大きいという市場でございますし、米国あたりの安定した、しっかりした中古市場にぜひ持っていかなければいけないと思います。
 そのために、既に住宅性能表示制度、これは新築住宅を対象にしてスタートいたしましたが、昨年末から中古住宅にも適用するということで、消費者がその性能をよく見ながら、安心して買える市場を整備していくということを実施してきております。
 また、宅建業者の方々の価格査定マニュアルにつきましても、従来、いわば通り一遍に、経過年数が幾らだと大体幾らぐらいというふうな考え方でおりましたが、これを、その維持管理状態等を含めて評価するというようなマニュアルに変えていっていただくというようなことも実施しております。
 また、証券化支援事業の中でも、公庫が果たしてきた質の確保をやはり守っていくというような運用ができるような体制にしていくということを考えております。
 また、中古市場は、現在のスタートする証券化市場ではまだ対象にはしておりませんが、いずれ中古市場のしっかりした市場が整備できて、この評価の手法が確立してきますれば、その債権についても一定の評価が得られるということになりますので、中古住宅もこの証券化市場の対象に持っていきながら、それとあわせて中古住宅市場整備も進めていきたいというふうに考えているところでございます。
玉置委員 長時間にわたって、金融庁、財務省、ありがとうございました。これから市場形成のためにぜひまた御協力いただきますようよろしくお願いします。
 ありがとうございました。終わります。
菅(義)委員長代理 赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案の審議が一応これで、一番最後ということでございますので、きょうは、与えられた時間、繰り返しになるような総括的な質問から始めさせていただきたいと思います。
 これまでの日本の住宅政策の中で、その住宅政策を支えてきた住宅金融公庫による直接融資が果たしてきた役割を、今回の制度改正の中でどうやってその役割を担っていくのかということが今回問われているわけでありますが、まず最初の質問として、住宅金融公庫の直接融資が果たしてきた役割とは何ぞやと。
 全銀協の報告などでは、官業ゆえの特典だとか、全国民の負担による一部国民への見えざる所得移転だという非常にネガティブな評価があって、私は先日の参考人質疑でも、これはちょっといかがなものかというような発言もいたしましたし、住宅金融公庫の当事者の皆さんからしても、もうちょっと言いたいこともたくさんあると思いますので、吉井理事でも局長でも結構でございますが、思いのたけを、最後の御答弁になると思いますので、ゆっくりしていただければと思います。
松野政府参考人 住宅金融公庫の果たしてきました機能、これは大変重要なものでございます。戦後、建設戸数、住宅が約五千五百万戸ぐらいというふうに言われておりますが、その中の約三割、千八百数十万戸につきまして公庫が融資をしてきた。いわば国民に大変期待され、その役割を担ってきた。
 マイホームを取得するというのは、多額の資金が必要でございます。したがって、長期固定の融資というものがなければ計画的な返済計画も立てられないということで、公庫の持っております長期固定融資機能というのは大変重要な役割を果たしてきましたし、質の面におきましても、公庫の住宅は安心して購入できる、建設できるというようなこともございまして、そういった面。
 さらには、最近では、バリアフリー化あるいは省エネルギーといった政策的なことにつきましても基準金利の適用条件にするというようなことで、政策的な推進をこの公庫の融資によって果たすことができてきたというようなことでございまして、これまでの公庫融資というのは大変大きな役割を住宅政策の中で果たしてきたというふうに考えております。
赤羽委員 その住宅金融公庫が果たしてきた、いわゆる超長期の固定金利による国民の住宅取得を推進してきた、こういった場面、この制度を変えるわけですね。
 一方では、その評価の中に、マイナスの評価としては、民業を圧迫してきたとか国の財政赤字をつくってきた、こういった批判がある。そこをちょっと究極的にいきますと、要するに、制度を変えることによって、今まで果たしてきた役割、今局長の答弁があった役割がそのまま移管できるのか。制度改革によって、これまで果たしてきた役割が一〇〇としますと、一〇〇全うでき得なくてもそれはやむを得ざると考えているのか。その辺はどういうような認識に立っていらっしゃいますか。
扇国務大臣 今、赤羽議員がおっしゃいますように、我々は、今回の法案で住宅金融公庫というものの民営化ということで、真に今借りている人、また、住宅ローンを当てにして将来を計画していた人たちの夢を壊すことがないようにというのは、私は、この法案を提出しました最初にお答えしたと思いますけれども、そのまま移管できるかどうか。今まで住宅金融公庫の果たしてきた役割、いろいろありました。けれども、御存じのとおりに、このままでいけば、全部国が保証すればそれは間違いない、そして安心だ、長期、低利、固定、これができるかどうか。
 そのためにも、今回あわせてお願いしております証券化ということも、これは初めてのことでございます。先ほど玉置委員からもお話が出ておりましたけれども、将来、この証券化というものが、アメリカでは既に大きな役割を果たしていますけれども、日本では住宅ローンの証券化ということが初めてでございますから、そういう意味では、今おっしゃったように、住宅金融公庫の果たしてきた役割がそのまま不安なく民間の皆さんに、あるいは民間業者としてもできるようにということの保証のために、この証券化ということも私たちは御提出しているわけでございます。
 御存じのように、先ほど玉置委員からお話が出ておりましたように、今の日本の国債というものを見ても、アメリカに比べて日本は国債もまだ少ないわけでございます、二百九十九兆円、アメリカは三百七十二兆円。けれども、この証券化というもの自体を、さっき御論議いただきましたけれども、これは私たちは初めてこの証券化ということに取り組んで、今おっしゃったような、今までの金融公庫と同じようなものにこの証券を育てていこうというふうに考えているわけでございます。
 ですから、そういう意味では、今アメリカで既にこの証券化というのは、先ほど玉置議員から五年でいいかというお話が出ましたけれども、アメリカの場合は一九六五年から三十年かけて、今アメリカのこの証券業界というのは四百五十五兆円に育っているんですね。ですから、アメリカの三十年で四百五十五兆円ということからすれば、玉置議員の五年でいいのかどうかという話も、金融庁も理財局も言っていましたけれども、私はそういう意味では、今回は、今、赤羽議員がおっしゃった、個人に、民間の皆さんに安心してもらえるように、裏打ちのためにこの証券化もあるんだ、これはセットなんだというふうに考えていただいて、今までお借りいただいた皆さん方、また、今後も借りようとする、民間が今、十、手を挙げておりますから、これがもっと多くなってお互いに競争して育っていくこと、そして証券化ということで裏打ちができるということで、両立てでいって不安をなくしたいというのが今回の大きな願いでございます。
赤羽委員 ちょっと繰り返しになりますが、証券化をするために支援業務をされるわけで、そのプロセスというのはいろいろな問題があるというのは議論されてきたことでありますが、その難しいプロセスを越えて証券化というのが現実のものとなってある程度の規模のマーケットができたとしたら、住宅金融公庫が行ってきたような、超長期、固定、低金利によって国民の住宅取得が促進されてきた、こういった同じようなものが実現できると考えているのか。
 そうではなくて、超長期、固定、低利ということ自体が非常にノーマルじゃないんだという主張がありますね。そもそもそういったこと自体がおかしいんだと。これは資本主義経済としてはあり得ないんだという論があって、今までがちょっと、戦後の日本の住宅政策という特殊事情から行われてきた住宅金融公庫の直接融資という特殊な政策であって、今後はちょっと違うんだよ、こういうことが本音なのか。
 いや、そうじゃなくて、今、大臣御答弁あったように、今回の証券化というものが立ち上がってある程度の規模のマーケットができれば、今までと同じような住宅取得、国民の取得容易性ですか、アフォーダビリティーの向上というのは担保されるというふうに考えられているのか。その辺の見通しはどうなんでしょうか。
松野政府参考人 長期、固定、低利、公庫が出しておりますものが証券化支援事業でどの程度代替できるかというのがまず第一の問題だと思いますが、現在既に、ほぼ同じ仕組みで、公庫がみずからの資金調達のために財投機関債という形で、同じスキームで証券化をスタートしております。これは今は、例えば初年度十年間二・一五とかで十一年目以降三・五というスタイルで長期、固定、低利が出せているわけですが、これは実は、税金をつぎ込まないで今できております。
 したがいまして、これは公庫がいわばその信用力を背景に証券化支援をするということで、相当長期、固定、低利というのが実現できるということがわかってきております。したがいまして、このスキームを使って民間に出していただくことで、かなりの部分は公庫の長期、固定、低利を代替していけるのではないかという見通しがあります。
 その結果として、公庫が担ってきた質の確保の面、公庫が義務づけをしております、基礎基準と言っていますが、これは証券化支援事業の中でも確保していただくということですから、そこは、そういうことでかなりの部分が実現する。
 あとは、政策的に従来公庫がカバーしてきましたまちづくりの部分あるいは災害対応の部分、こういったものが住宅政策として全体必要なんだけれども、五年たったときに、証券化支援事業だけで本当にカバーできているのかどうか。それは、その時点で住宅政策として切り捨てるというのではなくて、その住宅政策を実現する上で、証券化支援事業でカバーできていない部分がどのぐらいあるのかということをよく見なきゃいけないということと、それにかわるやり方が税制だとかその他の方法であり得るのかということも一方で総合的に検討してみて、その時点で判断をするというようなことになるのではないか。
 したがって、住宅政策の基本的なあり方を変えるというのではなくて、それは維持したまま、保持したまま、技術的にどんなことが可能なのか、あるいは、直接融資でどうしても担わなければならない部分があるのかどうかというのをその時点で判断したいという基本的な考え方でございます。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
赤羽委員 今の局長の御答弁にもあった件でございますけれども、この前の参考人で八田先生も御指摘になりましたように、住宅金融公庫の果たしてきた役割というのは、資金的な面だけではなくて、住宅金融公庫が、融資対象である住宅について、地方公共団体等に委託をして、設計段階でまず審査をしている。また、直接現場に行って、工事内容が今言われたような一定の技術基準に適合しているかどうかの審査も行っている。こういった物件審査機能、公庫が果たしてきた役割のこの機能を証券化支援業務の中で、いま一度の御答弁になるかと思いますが、機能が担保されていく、そのように認識されているのかどうか、重ねて。
松野政府参考人 質の確保についての御懸念でございますが、先ほど申し上げましたとおり、公庫の義務づけをしております基礎基準については、証券化支援事業でもその質の確保をしていきたい。
 問題は、その担保があるのかということです。これにつきましては、証券化支援事業の対象となるものにつきましては、例えば公共団体の場合もあるかもしれませんが、ベースは、民間の確認検査機関とか住宅の性能評価機関、このあたりを活用していただいて、そうした要求した水準を満たしている、基準を満たしているという証明書を発行していただいて、その上で買い取りをするとか、そういったことで実施面でもこれを担保していきたいというふうに考えております。
赤羽委員 同時に、住宅金融公庫の直接融資で、住宅の耐久性の向上とか省エネルギー化とかバリアフリー化に対しての融資条件とか貸付金利で優遇政策を、政策誘導されていましたね。こういった機能についてはどのように考えられておるのか。
松野政府参考人 先ほども申し上げましたが、要するに、基礎基準につきましては、公庫が義務づけておりますので、同じものを義務づけます。
 ですから、問題は、公庫で優遇措置をしている、その誘導している誘導基準はどうなるか、省エネルギーあるいはバリアフリーといったものでございます。公庫で義務づけていないものを証券化支援事業で義務づけるというのは非常に難しい問題でございますので、その部分は、では、今後どうするかということでございます。
 バリアフリーにしても省エネルギー化にしても、公庫の基準金利の条件にすることによって、急速に世の中に普及してまいりました。これが五年たった時点でどういう状況になっているか、つまり、もう一般的なものになってきているのかということも見なければいけない。どうしても政策的に何かの措置がないとこれはできないのではないかというような状況にあれば、その時点で、直接融資でそれを担うのか、あるいは税制その他の手段で担うのか、そういった点もあわせて総合的に評価をして議論していただくことになるというふうに考えております。
赤羽委員 マンションのときの議論でもありましたが、住宅の長命化というか質的向上を図っていこうというのは、これは本当に、今の国交省の住宅政策の中心でもあると思いますし、ぜひ、今回の住宅金融公庫のこの変化に伴って、バリアフリー化や省エネルギー化、また、質的向上が途絶えないような形で住宅政策として取り組んでいただきたいということを強く申し入れをしたいと思います。
 ちょっと外れますけれども、今回の住宅ローンの担保証券の市場の整備化は、アメリカは、そういった証券化とともに、税制面、住宅ローン利子所得控除制度、こういった税制制度で持ち家の取得支援を行っております。今回、日本もアメリカ並みの税制による持ち家取得支援が必要というふうに考えますが、この点についてはどのようなお考えでしょうか。
松野政府参考人 我が国は、今、住宅ローン減税制度、借りてから十年間でございますが、一%相当額を税額控除するという仕組みをとっております。最高年間五十万円で、最大の場合は、したがって五百万円の減税になります。
 この制度で一%減税するというのは、今のこの低金利時代ですと、二、三%あるいは一%、この時代ですから、米国の利子所得控除制度という、税額控除ではなくて所得の中からその分控除する。そうすると、税率によって、人によって違うわけですが、かなりの税率の方にとっても、今の一%をストレートに控除する方が有利なケースが非常に多いということもございます。それから、今申し上げましたように、利子の所得控除するというやり方は、税率の高い方、つまり高額所得者の方が割合有利になるというようなことも指摘をされております。その辺の議論もあるかと思います。
 いずれにしましても、現在の住宅ローン控除制度がことしの十二月で切れますので、その後の住宅減税の制度をどうするかということは、今御指摘のありましたような米国型の制度も含めて、総合的に検討していくべきではないかというふうに考えております。
赤羽委員 ありがとうございました。
 それでは、証券化に対していろいろ懸念する意見があるので、そのことについてどのように考えられているのかということで、一つ二つお聞きしたいんです。
 アメリカで証券化が盛んになったのは、そもそもアメリカの銀行の規模の小ささにある。つまり、小さな銀行がその地域の人たちだけに住宅ローンを貸していたらその地域がどうなるかわからないという大きなリスクがあって、そのリスクを証券化してみんなに広く負担してもらうという意味で需要が大きかった、日本と状況が違うんじゃないか、こういった指摘についてはどのような御見解でしょうか。
松野政府参考人 確かに委員御指摘のように、地域の金融機関が持っております債権、これは地域によっては、例えば不況の地域だとかそういうところで、債権として割合評価が低くなるような地域だったりすることがあります。したがって、そのままではなくて、むしろ一つの全国的な機関がそれを買い取って、いわば大数の法則によって平均的な姿として証券化市場に出すということが可能なので、米国でも、ファニーメイのような機関が全国的な規模でこれを買い取って証券化するという手法をとっております。
 我が国でも、地方の金融機関がございますし、また一方、御指摘のように、かなり大手の金融機関もございます。ただし、大手の金融機関も中小の金融機関も、証券化手法をとらない限りは長期固定のローンを出すための金利リスクをとれない。自分ではとり切れないものですから、金利リスクは証券化市場でとってもらうということがどうしても必要になります。地域の問題だけではなくて、長期固定を出すための金利リスクをどうしてもその手法でとらざるを得ない。したがって、大手も各地方の中小の金融機関も含めて、この手法によって初めて長期固定ローンを安定的に出せることになるということだと理解しております。
赤羽委員 また、証券化のこういった市場が本当にうまく機能するかという懸念で、慶応の吉野先生は、これは住宅局長に質問するのが適当かどうかは別なんですが、日本の金融機関の場合は、良質な住宅ローンのお客は自分のところで持っていたい、こういう気持ちが強い、結果として、流動化される証券というのは余り良質じゃないものが出回るんじゃないか、こういったことで、実際市場がファンクションしないんじゃないかというような御意見もあるようですけれども、その点についての御見解をお伺いしたい。
吉井政府参考人 お答え申し上げます。
 証券化支援事業が始まった後、民間金融機関は、それぞれ多分、今でも出しておるような住宅ローン、いろいろな商品を並べて提供することになると思います。ただ、証券化支援事業として募集したものはすべて金融公庫に売っていただきますので、その中で一部は自分のところにとっておくということはできないような仕組みにしたいと思っておりますが、そもそも、お客様に対してそれぞれの銀行の自行のローンをお売りになるということは十分あり得ることだと思います。
 ただしかし、考えてみますと、民間金融機関が出しておりますローンの中心は、変動金利型でございますとか、二年または三年、せいぜい五年ぐらいの短期固定の金利のものでございまして、長期固定のローンは銀行の資金調達の構成上なかなか出せないというふうなことで証券化支援事業は始まったわけでございますので、長期固定の住宅ローンにつきましては、証券化支援事業が始まりましたら、こちらの証券化支援事業によるローンを活用していただけるものと思っております。
赤羽委員 それでは最後に、中古住宅市場について質問をしたいと思うんですが、日本において中古住宅市場が発達してこなかった理由の一つに、住宅金融公庫が中古住宅への融資というのを結果として大変制限してきたこと、こういった指摘があるわけであります。
 私は、既に今の住宅戸数、既存の住宅戸数が日本の世帯数を上回っている。そういう意味では、ある意味ではこれから新築の住宅のマーケットというのが余り、少子化でもあるし、どれだけ拡大が見込まれるのかというと、そんなに明るい話でもない見通しがある。そうなった場合に、中古住宅の流通というものを本当に真剣に考えていかないといけないんだというふうに思いますが、今回、証券化についてもとりあえずは新築だけが対象となって、中古住宅というのは対象から、懸案事項としてですか、将来に対象とするというような考えだと聞いておりますけれども、中古住宅の市場化というのはそんな簡単なことじゃないし、大きな制度変革の中でますます取り残されてしまってはどうなのかなと非常に心配もしておりますが、この点について御見解をいただいて、終わりにしたいと思います。
松野政府参考人 確かに、我が国の中古住宅への融資、かつて住宅金融公庫も、新築に比べますと中古住宅への融資の条件は悪かったという時代がございますが、近年、中古住宅の中にも優良な維持管理されたものがございますし、新築と同様な扱いをしていくということで、ほとんどイコールフッティングになってきております。あわせまして、中古住宅の性能表示も昨年の年末から実施できるようにいたしました。それから、中古住宅の価格査定マニュアルも改正していただいて、維持管理の状況も適切に判断材料にしていただくというふうに変えてきております。
 我が国の、新築が主たる市場であるような住宅市場から、これから大いに転換していかなければいけない。米国は新築住宅の三倍から四倍の中古住宅市場がある、我が国は逆に新築住宅市場の十分の一程度しかないという、全く逆の市場でございます。これを大きな中古住宅市場に持っていくことによって、米国も、そういう全体の中古住宅市場の大きな循環の中で証券化のローンが使われております。
 我が国もいずれそういうことに持っていかなければいけないということで、当初は新築住宅を対象にスタートいたしますが、今申し上げましたような中古住宅の整備をしてしっかりした中古住宅市場に持っていきながら、中古住宅の評価も確実にできるというところに持っていって証券化支援事業の対象にするということで、中古市場のますますのいわば育成を図っていきたいというふうに考えております。
赤羽委員 中古住宅市場がしっかり育成されることが、私はかねてより言っておりますが、ノンリコース制度の導入なんかにもつながるものだというふうに思っておりますし、そのためにも、性能表示だけじゃなくて、スーパーリフォームについてもしっかりと取り組んでいただきたい、こう強く要望いたしまして、質問を終了いたします。ありがとうございました。
河合委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、順次これを許します。大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案に対し、反対討論を行います。
 今回の法案は、住宅金融公庫の目的、業務に、貸付債権の譲り受けまたは貸付債権を担保とする債券等に係る債務の保証関係を追加するものですが、同時に、附則において、平成十九年三月三十一日までに、別で法律の定めるところにより公庫を廃止し、公庫からその権利及び業務を承継する独立行政法人を設立するために必要な措置を講ずることを定めるものであります。
 これらの措置は、国民の住宅取得、住生活の安定、居住水準の向上等にそれなりの役割を果たしてきた住宅金融公庫を、特殊法人合理化計画に従い、融資業務を民間金融機関にゆだね、住宅債権を証券化する証券業務を新たに行うものです。そのことを前提にして住宅金融公庫の独立行政法人化を附則に盛り込んでおり、国民の住生活に大きな影響を与えるものであります。
 以下、反対理由を申し上げます。
 反対の第一の理由は、いわゆる特殊法人等改革の一環として、国民の不安や反対を無視し、公庫を独立行政法人に移行させるために、国民の住宅取得にそれなりの役割を果たしている住宅金融公庫を廃止する期日だけを先行して附則で規定しているからであります。まだ議論もしていないのに廃止を前提にすることは、国会軽視と言わなければなりません。
 第二の理由は、今回の改正で新たに導入される証券化支援業務は、特殊法人整理合理化計画の趣旨に従い、公庫融資の段階的縮小の一環として行われるものであります。住宅金融公庫融資は、長期、固定、低利等という特徴を持った融資制度であり、その縮小は、住宅を取得しようとする国民に大きな影響を及ぼし、住宅資金供給機関としての公庫の役割を縮小するもので、国の住宅取得支援策の大幅な後退であり、金融機関にそれをゆだねるものであるからであります。
 第三の理由は、金融公庫の証券化支援業務は、リスクをすべて公庫に転嫁し、民間金融機関にとっては、みずからの住宅融資に係るリスクがほとんどなくなるなど、金融機関に一方的に有利な制度であるからであります。この仕組みは、市場金利が上昇すれば債券市場の縮小を招き、債権が売れず、公庫が抱え込まざるを得なくなるなど、すべて公庫に負担をかぶせるものとなっています。この制度の大もとのアメリカでは、金利変動によって、日本の数倍の公的資金を投入している事実を見ても明らかであります。
 第四に、住宅担保ローンが民間主体となることで、融資抑制や選別融資などの事態も考えられ、その結果、町場の住宅需要を縮小させ、町場の工務店等の経営に悪影響を及ぼすことも考えられることであります。
 以上、反対の理由を申し述べて、反対討論といたします。(拍手)
河合委員長 次に、原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。
 社会民主党を代表して、住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案につきまして、反対の立場から討論を行います。
 この法律案に反対する理由として特に強調したいのは、国民がそれを希望していないという点です。
 住宅購入に際して、住宅金融公庫融資を利用したいと考えている人は八〇・二%、公庫の長期、固定、低利融資は今後も必要かについては必要が八三・四%、公庫の実質廃止を民間にゆだねることについては反対が六九・九%など、各方面で行われた複数アンケート調査で明らかになったことは、国民が、まだ住宅金融公庫の存在意義を認めているということです。
 また、参考人質疑を通しても、銀行業界も学識経験者でも、存在意義が全くないとする立場をとっている人は皆無に近く、政府案でさえ、段階的に融資事業を縮小すると、あいまいにぼかしていることがその証拠です。
 人々が公庫に求めている存在意義には次のようなものがあります。第一は、公庫が差別のない融資を行ってきたこと。第二は、長期、固定、低金利の融資であること。第三は、公庫融資が、バリアフリーや省エネなどの基準を織り込み、住宅の質の向上に寄与してきたということ。そのどれもが、民間では実現してこなかったことです。
 また、長期、固定、低金利という長所が同時に抱える構造的な欠陥が専門家からは指摘されているにもかかわらず、それをそのままにして、住宅ローンを証券化するアメリカ方式を技術的にまねしただけになっています。
 さらに、住宅ローン市場における官民の役割は何か、住宅政策はどうあるべきかの議論は全く熟しておらず、その二点における方向性が明らかでないまま、先行七法人で廃止という結論だけが打ち出されました。
 高度成長期の住宅難の時代から、国の住宅政策の一環として、国民の持ち家取得にどのように貢献し、何を反省せねばならないか、財政投融資や一般会計から国民のお金が投入される特殊法人としてどのようにあるべきか、改革の基本に立ち返り、さらなる議論と、民意を反映した改革を希望して、私の討論を終わります。(拍手)
河合委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより採決に入ります。
 住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、栗原博久君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守新党の四会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。井上和雄君。
井上(和)委員 ただいま議題となりました住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党及び保守新党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において、委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
    住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。
 一 今後の住宅政策の展開に当たっては、公共賃貸住宅、民間賃貸住宅及び持家住宅についてバランスのとれた施策を講ずることとし、民間賃貸住宅の居住水準の向上を図ること。
 二 住宅金融公庫の資産負債管理の推進に当たっては、資金調達手段の多様化と財務状況の公開を積極的に行うこと。
 三 住宅金融公庫の貸付けに係る住宅の耐久性に関する技術の普及に努めるとともに、引き続き住宅建設コストの低減に努めること。
 四 良質な中古住宅の流通の円滑化のために、中古住宅の評価システムの普及、市場における住宅情報の提供機能の整備等に努めること。
 五 住宅金融公庫融資に係る延滞債務が増加している現状にかんがみ、今後の経済状況を踏まえ利用者の事情に配慮した返済困難者対策を講ずるよう努めること。
 六 住宅金融公庫融資については、障害者、高齢者等社会的弱者の居住の安定、シックハウス問題への対応、地域材を用いた木造住宅の建設推進、外断熱の推進等住宅の省エネルギー化等の政策誘導機能を重視したものとなるよう努めること。
 七 証券化支援業務の推進に当たっては、将来的に保証型の支援業務が拡大するよう努めること。
 八 住宅金融公庫から、その権利及び義務を承継する独立行政法人の業務については、平成十九年三月三十一日までに、民間金融機関が長期固定ローンを大量・安定的かつ公平に供給している状況を充分検討した上で、国民の住宅取得に支障がないように留意して決定すること。
以上であります。
 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
河合委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立多数。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。
扇国務大臣 住宅金融公庫法及び住宅融資保険法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただきました。ただいま可決されましたことを深く御礼申し上げます。
 今後、審議中における各議員の皆さん方の御高見、また、ただいまの附帯決議におかれまして提起されました民間賃貸住宅の居住水準の向上、政策誘導機構を重視した金融公庫、国民住宅取得の支障がないように留意した独立行政法人の業務の決定等につきましては、その趣旨を十分に尊重してまいりたいと存じております。
 ここに、委員長初め各委員の御指導、御協力に対し深く感謝の意をあらわして、ごあいさつとさせていただきたいと思います。
 ありがとう存じました。
    ―――――――――――――
河合委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
河合委員長 次に、内閣提出、独立行政法人都市再生機構法案を議題といたします。
 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。
    ―――――――――――――
 独立行政法人都市再生機構法案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
扇国務大臣 ただいま議題となりました独立行政法人都市再生機構法案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
 我が国の都市の状況を見ますと、大規模な工場跡地や地上げによる虫食い地等の土地利用が、社会経済情勢の変化に対応して適切に転換できていないほか、防災上危険な密集市街地については権利関係が複雑であることなどから、民間だけでは市街地の整備改善を図ることが困難な状況にあり、民間による都市再生の条件整備を図ることが大きな課題となっております。
 この法律案は、平成十三年十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画に基づき、都市基盤整備公団を解散し、地域振興整備公団の地方都市開発整備部門と統合して、新たな独立行政法人都市再生機構を設立するものであります。
 これにより、大都市及び地域社会の中心となる都市において、社会経済情勢の変化に対応した都市機能の高度化及び居住環境の向上を通じた都市の再生を図るための市街地の整備改善、賃貸住宅の供給の支援等を行うとともに、都市基盤整備公団から承継した賃貸住宅等の管理等に関する業務を行うことにより、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図り、もって都市の健全な発展と国民生活の安定向上に寄与することとし、また、それらを効率的、合理的な執行体制を行うことになるものでございます。
 次に、この法律案の概要について御説明を申し上げます。
 第一に、都市再生機構は、既に市街地を形成している区域において、都市再生に民間事業者を誘導するための条件整備として、権利関係の調整等のコーディネート業務や関連公共施設の整備を行うとともに、市街地の整備改善のための事業を実施することとします。
 第二に、民間事業者による賃貸住宅供給に資するための敷地を整備して提供することとし、賃貸住宅の供給については民間事業者にゆだねることとしております。
 第三に、良好な居住環境を備えた賃貸住宅の安定的な確保を図るために、都市基盤整備公団から承継する賃貸住宅を引き続き管理するとともに、必要な建てかえ等を行うこととしております。
 第四に、新たに市街地を整備することを目的とする宅地開発等、政策的に機構が実施する必要がなくなった業務は新規に着手しないこととします。
 第五に、機構の組織形態を独立行政法人とすることとし、自律的な業務運営を可能ならしめ、責任ある経営が行われるように、所要の措置を講ずることといたしております。
 以上が、この法律案を提案する理由でございます。
 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
河合委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
河合委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。
 本案審査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。
    午前十時五十六分散会


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