衆議院

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第21号 平成15年5月16日(金曜日)

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平成十五年五月十六日(金曜日)
    午前九時三十分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    倉田 雅年君
      実川 幸夫君    砂田 圭佑君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西田  司君
      西野あきら君    林  幹雄君
      原田 義昭君    菱田 嘉明君
      福井  照君    堀之内久男君
      松野 博一君    松宮  勲君
      森田  一君    山本 公一君
      渡辺 博道君    阿久津幸彦君
      岩國 哲人君    大谷 信盛君
      川内 博史君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      伴野  豊君    高木 陽介君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (警察庁警備局長)    奥村萬壽雄君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   政府参考人
   (環境省大臣官房審議官) 小林  光君
   参考人
   (新東京国際空港公団総裁
   )            黒野 匡彦君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月十六日
 辞任         補欠選任
  松本 和那君     渡辺 博道君
同日
 辞任         補欠選任
  渡辺 博道君     松本 和那君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 成田国際空港株式会社法案(内閣提出第八六号)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、成田国際空港株式会社法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長三沢真君、航空局長洞駿君、警察庁警備局長奥村萬壽雄君及び環境省大臣官房審議官小林光君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として新東京国際空港公団総裁黒野匡彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林幹雄君。
林(幹)委員 おはようございます。自民党の林幹雄でございます。
 成田空港のある成田市は、実は、千葉県第十選挙区で、私の地元になっているわけでございまして、かつて、平成十年、十一年でありましたけれども、運輸政務次官を務めまして、この成田空港問題を担当したこともございました。
 振り返ってみますと、反対派農家に訪問したり、あるいはまた、成田といえば反対運動という代名詞であったんですが、賛成運動というのは聞かないけれどもどういうわけかということから、賛成署名運動、二十六万人署名が一気になったり、いろいろございました。そのときに、時同じくして、二千百八十メーターの暫定滑走路の建設を決断したのも思い出すわけでありますけれども、当時の事務次官であったのが、きょう参考人でお越しいただいております黒野総裁でございました。大変懐かしく感じます。
 その後、いろいろありましたけれども、民営化問題が浮上いたしまして、特に、中部空港、関空と一緒になって上下分離論というのが主流を占めたこともございましたけれども、地元の成田からは、その当時から、やはり成田空港単独民営論というのが強くございまして、本日、このような形で成田空港単独での民営化が一歩も二歩も近づいたということに対しまして、大変感慨が深いものがございます。
 新東京国際空港から、来年四月には晴れて成田国際空港という形になるわけでありますし、いよいよもって世界の成田ということでスタートが切られるわけであります。地元選出議員として大変感銘を感じているところでございまして、本日は、その地元の熱い思いも込めて、質問に入りたいと存じます。
 まず最初に、騒音対策と地域との共生策についてお尋ねをしたいと思います。
 成田空港は、建設の過程で大変激しい反対運動が生じたのは御案内のとおりでございまして、いわば血と汗の歴史そのものでありますし、昭和五十三年の五月二十日開港以来は、これまた騒音との闘いの歴史でもありました。それから紆余曲折いたしまして、話し合い路線に相なりました。騒音対策や周辺地域と空港の共生を実現するために事業を、国と公団が地元に示した共生大綱のもとに行われてきているところでございます。
 この成田国際空港株式会社法案では、環境、共生策について所要の規定がなされていることは評価するわけでありますけれども、今後民営化して、仮に、失礼でありますけれども、赤字といいますか、今回のように、イラク戦争あるいはまたSARSの問題で急激に旅客が減る、発着回数が減るということになることだってあるわけでございますし、ことしの連休をとってみても、成田から海外へ出たのは二十三万人で、例年から比べると四〇%減だ、こういうふうに言われております。
 こういうふうなこともないとは限らないわけでございまして、今後、採算性を理由に、環境問題、地元との共生策、こういうことが切り捨てられないかどうか、これは大変心配なところでございます。
 今後とも、そういうことがあったにしてもしっかりと続けていくということが担保されているのかどうか。これも含めて、周辺地域の代表として大変憂慮しているものですから、まず冒頭、これを確認しながらお尋ねしたいと存じます。大臣、よろしくお願いします。
扇国務大臣 今、林議員がおっしゃいましたように、日本の航空行政はどうあるべきかということと、日本が今日まで、戦後、経済大国と言われるまでになった中にも、果たしてすべてが国際的に先進国たり得るか、そういう大きなクエスチョンマークも私自身の中にもまだ残っていますし、また、今の世界情勢の中、特にアジアという中での日本のあり方。
 今、林議員が、自分の選挙区ですとおっしゃっていただいた。多くの御協力には感謝をいたしますけれども、今御自身がおっしゃったように、一九七八年五月二十日、あれだけの闘争の中で成田が開港いたしました。言ってみれば、七八年に開港しましたけれども、七三年にでき上がって五年間、でき上がった空港が開港できなかった。その歴史を見ても、日本がいかに難しいときに差しかかっていたかというのは、今、お地元の反対闘争も振り返りながら、感無量なものがあるだろうと思います。
 ただ、一九七八年から今日まで、たった一本の滑走路で国際空港だと言ったこと自体がおこがましかったと私は思います。途上国に行っても、我々国会議員が海外視察に行って、どこの国際空港においても、一本の滑走路で国際空港と看板が上がっているところはありません。しかも、先進国の首脳会議に総理を出す国、日本で首脳会議を開く、この日本の玄関口である成田が、一本の滑走路で七八年から来たということ自体も、私は、国際という看板を恥ずかしいと思うくらい、成田の皆さんもお考えだろうと思います。
 そういう中で、騒音と共生、大事なことです。けれども、それによって日本の地位が左右されるということであってはならないと思いますし、近隣のアジア、仁川、上海、シンガポール、どこをとってみても、みんなハブ空港たり得る立派な空港が、ダブルで、しかも四千メートル級の滑走路ができています。そういう意味では、私は、今この法案で、林議員がおっしゃいますように、新東京国際空港から成田国際空港に名前が変わることは、地元の御要望でしたし、悲願ですから、私は地元の皆さんにも大変いいことだと思っています。けれども、これが民営化されたときに、たまさか昨日、衆議院で有事法制が通りましたけれども、一たん何かあったときには、民間会社になった場合にどのようなことが協力されるのか、そういう制約もございます。
 しかも、私の考えでは、これは多くの国会議員と御論議いたしましたけれども、国際空港、国際港湾、道路、これはすべて国民の税金で基本的なものは国がつくって、そして、採算性がとれるようになったら民間にどうぞというのが私は基本だろうと思っています。
 国際と看板がついた以上、国際的に信用されなければ、船も来ませんし、お客も飛行機も来ません。そういう意味では、国際空港という看板をつける以上、民営化したときに、その民営化を担う重荷というものを、きょうはたまさか総裁も参考人で見えていますけれども、私は、大変重い荷物をしょっていただく民営化である、民営化するためにはそれだけの責任があるということをぜひ自覚していただき、なおかつ、私が申しましたように、一本の滑走路で、暫定滑走路と暫定がつく滑走路が二本目、昨年四月の十七日、暫定でオープンしました。
 私は、暫定という名前がついている以上、一人前の国際空港ではないと言い切りました。そのように、成田国際空港になる以上は、成田の皆さんの御協力はさることながら、国としても、国際という看板がある以上は、民営化しても国と民間の緊密な連携をとって、私は、国際社会に信用を得るような成田国際空港に生まれ変わることを最後まで見届け、なおかつ国土交通省としても綿密な連絡をとりながら、これから民営化として育っていくものを皆さんでお育ていただきたい。特に地元の御協力がなければ暫定という言葉は取れません。そういう意味では、今後も私は、国際空港たり得る立派な日本の玄関口と言えるようになっていただきたい。
 もともと、冒頭に申しましたように、いまだに滑走路が暫定で、なおかつ成田におりていただいて、御存じのとおり、香港あるいは仁川等々から二時間なり二時間半で飛んできて、成田のCIQで一時間並ばされて、成田から国内線に乗りかえる羽田まで一時間半かかり、なおかつタクシーでは二万円強、そして高速道路は羽田まで二千三百五十円。
 これでは国際という看板がまだ未完成であるということだけは肝に銘じて、国際行政というもののあり方、国際的にどうなるのか、空港のあり方等々も含めて、我々は皆さん方と真剣な議論をし、今後の民営化に向けた課題を一つずつクリアしていきたいと思っております。
林(幹)委員 同じ騒音対策の地域の共生策につきまして、黒野総裁からもその決意をお聞かせ願いたいと思いますので、よろしくお願いします。
黒野参考人 昨年の十二月に、政府から公団を民営化するようにという最終的な指示をいただきまして、その後から検討を始めたわけでございますが、大きな問題が幾つかございましたが、その中でも特に重要な問題が、今先生御指摘の地元の共生策でございます。
 これにつきましては、周辺の九つの市町村、それに県、国土交通省、私どもも入りまして、ことしの二月の二十八日で覚書を交換いたしました。その中で、従来からやらせていただいております共生策を着実に続けるということをはっきりとお約束させていただいておりますし、また、その一部につきましては、今御審議賜っておりますこの法案の中にも入れてございます。
 かような意味で、周辺の方々の御心配は完全に払拭されたとは言えないかもしれませんが、私ども、必ず実行するということをこの場をおかりいたしまして改めて申し上げたい、かように思っております。
林(幹)委員 心強いお話をいただいて、ちょっと安心したところでございますが、続いてお尋ねします。
 先ほども大臣から指摘があったとおり、二千百八十メーターの平行滑走路につきましては、昨年四月にそれこそ暫定的に供用開始をしたところでございます。しかし、現在も滑走路予定地に二軒の農家が居住しておりまして、私は実質的には一軒だと理解しておりますが、用地問題は解決しておりません。このため、本来の二千五百メーター化ができないままになっているわけであります。
 大臣は、二千五百メーター化ができなければ完全民営化しないと述べておりますが、二千五百メーター化がおくれて民営化のめどが立たないのでは、この法案制定の意義が全くなくなるわけであります。現在の二千百八十メーターではジャンボ機の使用は不可能でありますし、発着回数が制限されております。現状ではあと二、三年で満杯となるというような試算もあるわけでございまして、いつまでもだらだらとやるのはもう許されないのではないかというふうに思います。
 そこで、この二千五百メーター化の実現化のために、国土交通省、特に大臣の取り組みの決意をここでお聞きしたいわけでありますけれども、仮に反対農家の理解が得られないときには北側に延伸するということしかなくなるわけであります。北か南か、いずれにしても、そういう時間的なこともございまして、決断をしなければならない時期が来ると思います。その時期は大体いつごろなのかどうか、その辺を含めてお尋ねしますし、もう一点は、民営化は二千五百メーターの滑走路が完成してからでは遅いのかどうか、それもあわせてお尋ねをしておきます。
扇国務大臣 私は、今、林議員がおっしゃったように、二千五百メートル、もともとこれは原案でございますから、あすにでも二千五百にしたいというのが本音でございます。しかも暫定という、先ほども申しました言葉を使わなきゃいけないということ自体が私は不本意でございますし、国際的にも信用をなくする。
 今おっしゃいましたように、二千百八十だとジャンボが使えない。近隣から来る、近隣から来れば余計時間がかかって、成田のCIQの通関も、羽田まで行くのも時間がかかって、何のために飛んでくるのかわからないということになるので、国際という名前を使う以上は、私は、一日も早く最低二千五百で二本目をつくっていただきたい、そして、それが完成するまで民営化という言葉を使うのはおこがましいんじゃないのと総裁に言ったぐらい、私は決意がかたい、私の決意をあらわしたものでございますし、これは日本として、国際的にも暫定という言葉を一日も早く取るという目標だけは私は旗をおろしてはならない。
 いつまでにというふうにおっしゃいましたけれども、あしたにもこれができればいいということで、私は、暫定滑走路がオープンします昨年ですけれども、四月の十七日、成田へ行く道で、その一軒のおうちにお電話をかけました、電話番号を調べてもらって。たまたまお留守でしたけれども、私は、成田まで暫定滑走路のテープカットに行くんですから、その一軒のおうちへごあいさつに行こうと思いました、それは常識的なことですから。けれども、お電話をかけましたら留守番電話でございましたので、扇千景と申します、きょうは成田に行きますのでお宅へごあいさつに行きたかったんですけれども、お留守なようですからというので留守番電話には私は入れさせていただきました。
 それから私に対してお電話はかかってきませんけれども、今おっしゃった、でき得れば、今日まで多くの皆さんが、そのためにパイロットも危険を感じたことがあるかもしれない、あるいは一軒のそのおうちも騒音で大変だろうと思いますので、でき得れば目標の二千五百、達成、北伸という話を今おっしゃいましたけれども、そうしないで、今の計画のまま達成できることを、最大限の努力も総裁もなさいますし、国土交通省もそのつもりでおります。
林(幹)委員 同様の、平行滑走路二千五百メーターの整備についての考え方というか決意を黒野総裁からお聞きしたいんですが、あわせて総裁には、経営方針というか、この際、民営化に至る取り組み方、黒野ビジョンを聞かせてもらいたいと思うんです。
 というのは、民営化をどんどん進めていく中で大事なのは、やはり意識革命、意識改革だろうというふうに思います。どちらかというと、公務員の意識は、サービスをしてやるという意識なんですね。ではなくて、お客様は何を求めているか、これがやはりサービスの原点だと私は思うんですね。ですから、これからは職員から社員になる、そしてコストを意識して、言ってみればサービス感覚を変えることだというふうに思います。つまり、やる気を持たせることが第一だろうというふうに思っております。
 そこで、総裁は、民営化に行く道のり、どのように取り組んでいくのか、また、どのような空港にしたいのか、どのような会社にしたいのか、そういった黒野ビジョンをあわせてお聞かせ願いたいと思います。
黒野参考人 まず、二千五百メートル化の問題でございますが、先ほど大臣からも御指摘がございました。実は、もう大臣は私の顔を見たくないと言われるぐらい会うたびにしかられておりまして、日夜我々も努力をいたしているところでございますが、いましばらくお時間をおかしいただきたい、これしか申し上げようがないのが非常に残念でございますけれども、日夜、私も含め努力をいたしております。
 いつになれば見通しがつくのかとか、あるいは、今先生おっしゃいましたもう一つの選択肢、そちらの方にいつ切りかえるのか、その辺のタイミング、総合的に判断しなければいけないと思っておりますが、いましばらくは、本来の空港の敷地内での二千五百メートルにつきまして最大限の努力をさせていただきたいと思っておりますので、重ねて申し上げますが、いましばらくお時間をおかしいただきたい、かように思っている次第でございます。責任は重々痛感いたしております。
 次に、どのように民営化するかという御質問でございますが、私は、不幸というか、経歴からいたしまして民の経験がございません。したがいまして、ここで余り、大見えを切ったりあるいは奇をてらうようなことを申し上げるだけの力はございませんが、民営化というのは突き詰めていけば二つに尽きると思っておりまして、お客様本位、これが一点と、二点目はコスト意識、それを全社員が持つ。この二つだと思っております。これをベースにいたしまして、これからどういう会社にしていこうかということを今まさに社内で議論いたしております。
 私が仮に著名な経営者で、おれについてこいという一言で済むなら楽でございますが、むしろ私は、今、みんなで議論をして、みんなの意識の中にそれぞれが悩んで民営化のビジョンを描く、このプロセスが大事だと思っておりまして、新しい会社のビジョンをどうするか、議論を続けております。
 今、幾つかのキーワードを考えておりますが、一つは、お客様に対しましては、お客様の信頼、満足。地域に対しましては共生、ともに発展するということ。経営につきましては、透明性のある安定した経営、また迅速かつ的確な行動。そのようなキーワードをベースにいたしまして、まさに社内で議論をしているところでございます。
 このような形でもちまして、皆様方から、民営化してよかったなと言われるような会社にしたいと思っておりまして、今大変厳しい中での船出でございますが、ぜひ、後になって、よくやったなと言われるような会社にさせていただきたい、かように思っているところでございます。
 先生おっしゃいましたように、社員一人一人の心の問題、最後はその問題でございまして、私も就任以来、心の中の民営化、これをまず心がけるべきだということだけはきつく社員のみんなに指示をいたしているところでございます。
林(幹)委員 心がけというか決意をお聞きしたものですから、しっかりと取り組んでいただきたいというふうに思いますし、エールを送りたいと存じます。
 そこで、総裁にお尋ねしたいのは、これから民営化になって新規事業の展開がなされるわけでありますが、地元企業への影響についてちょっとここでお尋ねしておきたいと存じます。
 欧州では、空港運営は、着陸料などの空港事業収入と、テナントとか売店とか、そういったターミナルビルの運営を主とする非航空収入が大体フィフティー・フィフティーが理想だ、こう言われておるわけであります。民営化することによって非航空系収入が増大するのは結構なのでありますけれども、一方では、みずからの利益を追求する余り、地元の企業を圧迫する、あるいは地元の経済を損なうようなことにならないのか、ちょっと危惧があるんです。
 と申しますのは、子会社をつくったり、あるいは関連会社を設立したりなどしましてどんどん中間管理会社として参入していって、結果的に地元の企業を追い出してしまうことになりかねやしないかということを懸念しておりまして、地元の代表としても大変憂慮しておるところでありますので、その辺ちょっと、総裁、どういうお考えか、お聞きしたいと思います。
黒野参考人 民営化いたします一つの大きな柱は、従来公団ではできなかったことを株式会社という形でできるようにする、行動の自由をそれだけ広げていただく、そこに収益をも求めることによって、会社全体の向上を図るだけではなくて、利用者の皆さんにそれを還元するということでございますが、先生おっしゃいましたような御心配があるのは無理からぬことだと思っております。
 今、成田空港公団は、航空系収入が七に対しまして非航空系収入が三、七対三、そんな数字になっておるわけでございますが、この三を何とか大きく伸ばしたいと思っているところではあります。ただ、かといいまして、今既に空港ビルの中で地元の方々あるいはその他の民間の企業の方々が仕事に従事され、店を開いてみえるわけでございまして、そういう方々を、言葉は悪いですが追い出すとか、そういうことは到底できることではないと思っておりますし、するべきではないと思っております。
 また、業種の中におきましては、空港会社あるいは空港の関連会社が手を染めるのになじまない事業もあるかと思います。その辺につきましては当然地元にやっていただくということでございまして、私は、常識的な範囲において地域と空港が共存できる、共栄できる、そういう道を求めていきたい、かように思っているところでございます。
林(幹)委員 次に、国土交通省にお尋ねしますけれども、民営化になれば今後政府が株をどんどん売却していくわけでありまして、そうすると、最終的には、株主の利害が経営上の最優先課題となっていくわけであります。
 仮に、外国の企業がどんどん株を買い占めて、外国資本が会社の議決権の相当割合を占めるようになった場合、大規模災害や有事の際など運用面で問題が生じないのかどうか。例えばイギリスでは、政府が黄金株を保有して、政府の関与の余地を残すことをしております。それで担保しているわけでありますけれども、黄金株類似制度だとか、あるいは外資規制の導入だとかを検討すべきと思うが、その点はいかがか。
 もう一点は、成田空港の着陸料が世界一高い、こう言われています。ジャンボ機で約九十五万円。韓国の、先ほど大臣もありましたけれども、仁川国際空港の約三倍、こう言われておりまして、民営化すれば着陸料は下げられるのか、そしてまた、引き下げる道のりというか道筋はどんなふうになっているのか、あわせてお聞きをいたします。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 まず第一点目の御質問でございますが、一般的に、外国資本に関する規制を設けるかどうかにつきましては、そういう規制を設けなければ解決できないような公益上の必要性があるかどうかという観点から慎重に検討していく必要があると思います。
 空港会社につきましては、各営業年度ごとに、事業計画に対する認可でありますとか重要な財産を譲渡する場合の認可を義務づけておりますほか、必要に応じて、業務に関して監督上必要な命令を発することができるようにしているなど、この空港会社法等によって広範な規制が適用されてございまして、これによりまして適切な業務運営は確保できるものと考えております。
 また、災害とか有事等の緊急時につきましては、災害対策、有事対応に係ります法令等によりまして、指定公共機関として所定の計画をつくる、あるいは国、地方公共団体の措置に協力する等々の義務規定がかかってございますし、適切に対応できるものと考えております。
 こういう考え方から、今の関西国際空港あるいは中部国際空港のそれぞれの会社につきましても、同様の判断から、外資規制というものは行っておりません。
 また、イギリスで導入されています黄金株とは、特定の個人投資家が一定量を超えて株式を譲り受けようとした場合とか、あるいは空港の施設を売却しようとする場合に政府が拒否権を発動できるというものでございますけれども、それにつきましても、先ほど申しましたとおり、重要な財産の譲渡等を大臣の認可事項にしているなど、この空港会社法等によって不適切な事業の運営を差しとめることができる仕組みとなってございます。
 等々から、御指摘のような制度の導入は見送ったものでございます。
 それから、民営化をすれば着陸料は引き下げられるのかどうかという御質問、その道筋はという御質問でございますが、先ほどの総裁の御答弁にもございましたとおり、今回の空港公団の民営化というのは、国際競争力のある自立的な経営主体を確立して、経営の効率化とコストダウン、あるいは意識の改革等を通じた経営の効率化等を通じて、着陸料等を含めました利用者負担の軽減など、利用者利便の向上が図られることを目指すものでございます。
 そういう意味で、その具体的なスケジュールとか時期を明示することは困難でございますけれども、コストの縮減等を図るほか、先ほどの非航空系収入を増大させていく等によりまして会社全体として経営が効率化されまして、そして、目的でございます早期の着陸料の引き下げが実現されますよう、国土交通省としても空港会社を指導してまいりたいと考えております。
林(幹)委員 警備体制についてお尋ねをしようと思ったんですが、時間切れだそうでございまして、警察庁の警備局長には大変申しわけなく思い、次回にまたしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
 これをもちまして終了いたします。ありがとうございました。
河合委員長 大谷信盛君。
大谷委員 大谷信盛でございます。
 引き続きまして、成田国際空港民営化法案について御質問をさせていただきたく思います。
 我が国の空港行政というものは、建設を中心とした時代から、今度は、つくったものをいかに上手に効率的に運営していくか、その中で、利便性、また国際競争力をいかに高めていくかという移行期にあるというふうに認識をしております。
 しかしながら、国際拠点空港でいいますと、成田の滑走路がまだ二千五百メートルに達していない、また関西国際空港の二本目の滑走路ができていないなど、財政的な問題、また地域の環境問題なども含めて少しおくれている、それをどうやって両立させていくのか、効率化と建設を両立させて速やかに、今回議題となっております民営化等を含めてさらなる利便性の向上を図っていくべきなのかということが大きな視点、観点ではないかというふうに思っております。
 以上、私のこのような認識のもと、質問をさせていただきたく思います。
 まず最初に、去年からの私の提案でございます、関西におきます伊丹空港のあり方いかんについて先にちょっと見解をお聞きしてから、成田空港を含めて民営化の論議に入らせていただきたいと思いますが、局長、お願いできますでしょうか。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 関西圏におきましては、旺盛な航空需要に対応するため、これまでは、既成市街地内の空港でございます伊丹空港に依存せざるを得ない状況が続いてまいりましたけれども、関空の二期工事や神戸空港の建設というものが、いよいよ目に見える形で開港が迫ってまいりました。また、今後の航空需要の動向の見通しとか、それから、関西国際空港がなぜ建設されるに至ったか、そういう歴史的な経緯等を踏まえますと、改めまして関西圏におきます三空港の役割分担を図って、伊丹空港の航空機騒音の影響等を軽減する条件が整いつつあるという認識をしてございます。
 こういう認識のもとに、昨年、大臣の御指示を受けまして、航空審議会の空港整備部会におきまして、伊丹空港のあり方について御審議いただいたところでございます。
 具体的には、伊丹空港は環境基準が達成されておらず、また近年、騒音影響も増大していることにかんがみまして、ジェット機のプロペラ機枠への振りかえであるとか、ジャンボ機の就航制限等の空港の騒音を軽減するための方策をとるべきではないか。また、国際線の就航が関空に限定されるという方針であること等にもかんがみますと、降格につきましても、今の一種空港ではなく、二種空港と位置づけることが適当ではないか。降格の見直し。また、伊丹空港は非常に利便性が高いけれども、片一方で騒音影響が大きいので、これに係ります環境対策費についても、特別に航空会社や利用者に負担を求めることも考えられるのじゃないかといった論点等につきまして、関係者等からのヒアリングを行い、御審議いただいたところでございますが、賛成、反対、いろいろな御意見を伺いました。
 ということで、また時間も限られておりましたことから、その空港審議会の答申におきましても、伊丹空港につきましては、「その利便性を生かしつつ、航空機騒音の影響の軽減に努めるとともに、併せて国際拠点空港としての関西国際空港との適切な機能分担や連携の在り方を検討していくことが適切である」とされたところでございます。
 現在、地元におきまして、関西経済連合会の提唱に基づきまして、地元の経済界それから関係府県政令市をメンバーとする関西三空港懇談会が設けられておりまして、私もそのメンバーとして参加してございますけれども、ことしの二月に第一回の会合が開かれまして、三空港のあり方についての議論が始まったところでございます。地元の関係者が主体的にそういう問題意識を持って、中長期的な、ロングレンジで三空港のあり方を議論されるということは大変有意義なことであると考えてございます。
 国土交通省といたしましても、本懇談会のいろいろな議論を踏まえまして、関空と伊丹空港の適切な機能分担や連携のあり方、伊丹空港の騒音軽減方策等々につきまして、地元市や航空関係者との共通認識を深める努力を積み重ねながら、その具体的な方策を検討してまいる所存でございます。
大谷委員 わかりました。関西三空港懇談会では、局長も、オブザーバー参加か正式メンバーかわかりませんが、お入りになられていることでございますので、ぜひともこの三空港のあり方、特に伊丹に関しましては、今、関空よりか大きくなって、年間一千八百万人の方が利用されていますので、利便性というものが経済に与える大きな影響がある、いい影響があるということ、連携性、関連性というものを踏まえた上での御議論をぜひとも続けていただきたいという認識を、利便性というものを必ず大事にしていただきたいということを改めて強調させていただいて、成田の民営化の方の議論に移らせていただきます。
 私の夢は、きょうは成田空港の民営化の法案審議でございますが、行く行くは伊丹空港の民営化等の論議もこの委員会でできるのかな、そうなることがいいのではないかなというふうに私は思っています。将来の効率性や利便性を向上していく上において、きっと国内空港にも、きょう議論するような民営化の考え方というものが適用されるのではないかというふうに思っています。
 まず最初、一般的な空港行政について大臣にお伺いしたいんですが、参議院の方に行かれているということでございますので、同様の質問を後でさせていただくとして、まずもって局長にお聞きしたいのです。
 一県一空港というような言い方で、我が国の空港ネットワークを整備していこうということで始まった空港整備行政というもの、今、九十四、もしくは百一とかというような言い方もありますけれども、空港があって、それなりに一県一空港的なネットワークが完備したというふうに思われる。
 そんな中で、国際拠点空港、そして首都圏の拠点空港というものが若干満杯になって、整備し直さなければいけないという状況にあると思うんですけれども、どんな段階で一段落を迎え、また、これからさらにどの段階で一段落を迎えていくのか、空港整備の中でどんなふうに節目というものを見て戦略的に政策をお立てになられているのか。漠然とした答えで結構でございますので、ちょっとイメージをお聞かせいただけますでしょうか。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 空港整備に関しまして、どれくらい整備された時点で一段落と考えるのかという御質問でございます。
 大臣が再三力説されておりますとおり、近年、アジアにおきます大規模空港の整備が非常な急テンポで進む中で、我が国におきましては、大都市圏における空港容量が不足している状況にございます。
 我が国が二十一世紀において国際社会に伍して生きていくため、国際競争力を強化し、さらなる発展を遂げていくということのためには大都市圏拠点空港の整備が最重要の課題でございまして、成田空港の平行滑走路の二千五百メーター化あるいは羽田空港の再拡張、関西国際空港、中部国際空港の整備をできるだけ早期かつ着実に進めていく必要があると考えております。
 そういうことで、今後の空港整備は、これらの大都市圏拠点空港の整備を最優先の課題として投資の重点化を図っていくこととしてございまして、平成十五年度予算におきましても、空港整備事業費全体の七割以上、七五%を大都市圏拠点空港の整備に投入しているところでございます。
 一方におきまして、地方空港、一般空港につきましては、供用の空港数は全体で九十四を数えまして、空港まで一時間でアクセスできる人口も約七五%、二時間圏内でカウントしますと約九七%という状況に達してございまして、空港の配置的な側面からの整備は、全国的なレベルから見ると概成したというふうに考えているところでございます。
 そういうことで、今後の地方空港整備につきましては、平成十三年六月の「国土交通省における公共事業改革への取組」において明らかにされておりますとおり、今後の地方空港の新設につきましては、現在継続中のものを除きまして、離島を除いて原則として抑制していくという方針に従って、今後は、就航率の改善であるとか定時制の確保であるとか空港のバリアフリー化であるとか、それから空港アクセスの改善、鉄道等の整備等、既存空港の質的な向上のための事業に重点化していくということで取り組んでいきたいと考えておるところでございます。
大谷委員 今の答弁で大体イメージがわかりました。ネットワーク化というものが一段落をし、これからはやはり、空港運営というか、ハードからソフトの方に政策も大きく重視をしていっているということだったというふうに思います。
 一つもう一回聞きたいのは、何に比べておくれているとか進んでいるかということで答えが変わってくるのかというふうに思いますが、例えばアジア近隣諸国ですと、四千メートル級の滑走路を二本備えたような国際拠点空港ができていて、アジアの出入り口になっているような空港がたくさんございます。場所を言えば、韓国であったり香港であったりシンガポールであったりするような空港です。これを見て、我が国の国際拠点空港づくりがおくれているというような指摘をされたりすることがあります。
 それは多分、できている、できていないで言えばおくれているのかもしれませんが、もしこれをおくれていると認識するならば、何が問題で、何を解決していかなければいけないのか、競争力を高めるために何を解決していかなければいけないのかという認識をお持ちなのか、教えていただけますでしょうか。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、世界各国の主要空港におきましては、特にアジアにつきましては複数滑走路を有するというのが通例でございまして、先ほどの香港にしましても、上海の浦東国際空港というのが九九年の十月に開港していますけれども、それからソウルの仁川国際空港等々、複数の四千メーター級の滑走路を持つ空港が次々に整備されつつある状況にございます。
 また一方で、我が国におきましては、欧米に比べて空港整備が非常におくれておりまして、先ほどの大臣のお話にもございますとおり、首都圏における国際空港について見ても、昨年の四月にやっと成田の暫定平行滑走路ができたということでございまして、数年内にはこれも需給の逼迫が予想されるなど、非常に受け入れ能力として不十分であり、早急な整備が急がれるところでございます。
 アジアの国際ハブ空港を目指すという意味での国際拠点空港の整備を図るという観点よりも、日本の経済社会発展の基盤となる、ライフラインとなる空港、玄関口の間口が狭くてお客さんが入り切れないということでは、情報の発信にしても人の往来にしてもそこのところが制限されるわけでございまして、それがひいては日本の経済社会の発展に大きなブレーキをかけるということになるわけでございます。
 ヨーロッパのように、五百キロメーターの圏内に大空港がそれぞれの国にあって、それぞれのお客を奪い合って、そしてヨーロッパの玄関口として競い合うという観念は、このアジアにおいては余りにも距離が遠いですから、そういういわゆる国際ハブ空港、アジア圏における玄関口としての覇権をねらうというようなことよりも、日本の経済社会をまず発展させていく、そのブレーキになってはならないという観点からの国際空港の整備というのが非常に急がれるということであると認識してございます。
 そして片一方で、こういう国際拠点空港の整備がなぜおくれてきたかということでございますけれども、これは言いわけになるかもしれませんが、我が国の国土、環境の制約要因等から、空港を沖合に展開したり海上空港として整備するなど、空港整備に非常に多額の資金あるいは非常に長期の時間がかかる等々から、航空需要に的確に対応するための大都市圏拠点空港の整備におくれが生じてきたことによるものだと考えてございます。
 そういう認識に立って、おくれているところに今後重点投資を図って、日本の空港のウイークポイントである大都市圏拠点空港の整備を早急に行う必要があると認識しているところでございます。
大谷委員 確かにアジアの各国に比べたら、日本の土地の方が高いですし、人口密集も高いところに空港をつくっていかなければいけないということで、摩擦、負担というものが空港建設における中で非常に大きかったというふうに思います。
 一部の有識者の指摘によりますと、例えば空港整備特別会計というものはいわゆるプール制でございまして、内部補助システムでもって空港のネットワーク化を図っていこうという考え方から生まれた制度で、代表質問の中でも御指摘をさせていただきましたが、これは、一九五〇年代、六〇年代、それなりに意味のあったものである。そして、八〇年代半ばぐらいから、特別会計のお金は、地方空港整備からいわゆる首都圏国際拠点空港整備に戦略的に投下をされて、今では約三割が地方空港で、七割が首都圏国際拠点空港というところで整備費に使われているわけなんですけれども、一部の指摘は、いや、それは遅過ぎたんだ、八〇年半ばでスイッチをしてきたけれども、それでももっと以前に、これからはハブとかいうようなアジアの玄関口になるためにはもっともっと資本の投下が必要だったのに、地方空港の整備にばかりお金を使い過ぎてしまった、それは、プール制という内部補完システムがあるがゆえに、自動的にお金が配分されていったと。
 もっとひどい指摘になりますと、地方からの要請にこたえるだけで、戦略的にお金を配分するのではなくして、要請にこたえるようなことだけを重視して配分して、地方空港が、乱造という言葉を使っている方がおられますけれども、されていったというような言い方がなされるんですが、その辺についてはどのようにお考えですか。整備がおくれた原因だと考えるか、いや違う、それはそれなりに役割があったんだというか、その辺の見識を、これからの議論のために一度ここではっきりさせておきたいというふうに思っております。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のとおり、航空というのは一空港だけで整備するわけではなくて、国内のネットワークをきちっと整備して維持管理していく、これがなければ何の意味もないわけでございますので、片一方において、一般空港、地方空港を含めた全国的な国内ネットワークの整備を図っていくということも、これまでは重要な課題でございました。
 そして、先ほども申しましたように、大都市圏拠点空港の整備ということにつきましては、お金もかかりますけれども手間も非常にかかるし、それから合意形成等にもいろいろ時間等々がかかっていく。非常に、言うはやすく行うはなかなか難しいようなところがございまして、そういう意味で地方空港、一般空港のネットワークの方が先に進んでいって、相対的に大都市圏拠点空港の整備の方がおくれていったという面は否めないと思います。
 しかしながら、今国内のネットワークは、先ほど申しましたように建設中の空港も含めましておおむね概成されてきたという段階におきましては、大都市圏拠点空港等の整備、ここは集中的に全力を投入して、一刻も早く立ちおくれをキャッチアップするということが望まれるわけでございまして、そういう意味では、空港整備特別会計といいますか、そういった会計の仕組みをフルに使って、こういう特別会計の仕組みがあったからこそ全体のネットワークの整備も進んできたという面も逆に言えると思います。
 また、この空港整備特別会計の全体のプールの中で重点投資分野を明確に規定することによって、そこに集中的にお金を配分して、そして立ちおくれを解消していくという面でも大いに効果があるというふうに私どもは考えてございます。
大谷委員 その過去の、反省というべきなのか政策評価を踏まえた上で、大都市拠点空港の整備を経済発展の成長の足かせにならないようにしていかなければいけない。そんなとき、ではこの空港整備特別会計、すなわちは空港整備のための財源をどうするのかということがハードづくりの大きなネックになってくるというふうに思うんですが、私個人はこのように考えています。
 空港整備特別会計だけでは不十分ではないか。やはり、しっかりと大きな玄関口をつくるためには、一般会計から予算というものがもっともっと必要ではないか。しかしながら、それはある目的を達成するためであって、その目的を達成し終わると、ある時期から、空港整備特別会計も含めてどんどん小さい会計規模にしていかなければいけないのではないかというふうに考えています。
 簡単に言うと、今の空港整備特別会計を小さくしていく。つまり、着陸料を安くしていく、航空機燃料税というものを少なくしていく、最終的にはなくしていくということを決めて、その方向に向かっていきつつ、しかしながら、一般財源で、目的、すなわちは大都市拠点空港の整備をするために、戦略的にまず三年間、五年間というような形でこれだけ出してハードを完成させてしまいましょうという考え方がなかったら、私は、総額も、今求められている額にしたら足りないんではないかという感覚を持っているんですが、その辺の感覚はいかがお持ちですか、局長は。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 空港整備特別会計の財源というのは、おっしゃるとおり、着陸料等の利用者負担を中心に賄われてきたところでございますけれども、また一方で、一般財源の投入は平成十五年で一千五百三十六億円ということでございまして、空港整備特別会計の歳入全体の約三分の一になってございます。また、公共事業費全体に占める空港整備の割合は、十五年度で一・九一%ということで、過去最高ということでございます。
 おっしゃるとおり、空港整備特別会計の今後の見通しを考えますと、大都市圏拠点空港等の整備、また、その中でも羽田の再拡張事業というもの等々は俎上にのってきましたし、歳出の規模というのはさらに拡大していくことが予想されるわけでございまして、この財源対策をどういうふうに図っていくかというのは非常に重要な問題になってまいります。
 私どもといたしましては、現下の厳しい財政状況ではございますけれども、こういう空港整備事業の必要性等々を考えますと、重点投資をできるだけ図っていき、不要不急のものはできるだけ抑えていくという一方で、財源としてはそれでも非常に拡大することが予想されますので、一般財源等の拡充に今後とも努力しなければならないと考えているところでございます。
 そういう意味で、先生の今の力強い御発言をお聞きいたしまして、何とぞ今後とも、強力な御指導、御支援のほどをお願いしたいと思います。
大谷委員 頑張ります。
 少し具体的な例を出すと、こういうことなんですね。
 関西国際空港がございます。一兆二千億円の有利子負債がございます。これを返していけるのかというと、いや、返していけますよ、必ず返していきますよと。しかしながら、数値的には非常に不安な部分が多くて、本当に返せるのかなとみんなが心配している、しかしながら整備はしなければいけないということで、あっちこっちで、財源、工面を工夫して、今整備をしているような状況。
 それをしっかりと国会の場に持ってきて、ここは戦略的に必要なんだから資本を投下しようじゃないか、もしくは、いや、しばらく我慢をしてもらおうじゃないか、そういうことを決めて、ゴーとなったらちゃんとどんと投資をする、重点投下をする、ある時期まで待つんだったら待つというようなことをやらなかったら、先細り型の建設がずるずる続いてしまって、国際競争力、すなわちはこの国の経済成長に足かせになってきてしまうんではないかという懸念があるので、ぜひとも何らかの形で、大きな議論で大きく決断をして、大きく資本投下ができるような、そんな場面で議論をしていけるようにしていきたいというふうに思っています。
 大臣が戻ってきてからまた質問させていただくとして、次に、民営化について議論させていただきたいというふうに思います。
 成田の民営化、その前に、民営化全体の考え、代表質問でも質問させていただいて、国際競争力を確保するために、経営の合理化や効率化、利用者の利便向上を図るために民営化をするんだという一般的な御回答をいただきました。
 その中ではっきりさせていきたいのは、利用者利便の向上というのは何を指しているのかということです。
 もう具体的に言いますけれども、当然ながら、後で、大臣が答弁の中で、着陸料を安くしていこうと努力することをお答えとして答弁を終わりますというふうに言っていただいたんですけれども、局長、当然ながら、利便性の中には、着陸料の低下、すなわちは利用者への利便、料金体系における低廉化ということが入っているんでしょうか。また、そのほかにも大事な目標みたいなものがあったら、具体的に教えていただけますでしょうか。
洞政府参考人 世界全体で見ますと、国際空港は、近年、さまざまな形態で民営化が進められてございます。もう先生よく御存じのとおりの、イギリスを初めとしまして、ドイツ、イタリアといったヨーロッパ諸国あるいはオーストラリアとかアジアの諸国でも、株式公開等によりまして民営化が一部で進められているところでございます。
 このポイントは、やはり何といっても競争でございます。民営化をすることによって民間的な経営手法を導入することによって、コストの削減であるとか空港経営の一層の効率化、合理化というものが期待されているところでございまして、そういったものを通じて、先ほど先生がおっしゃいました着陸料の負担の問題を含めた利用者負担の軽減とか、あるいは、競争という意味で、航空会社やお客さんに来てもらうための、足を運んでもらう、飛んできてもらうためのサービスの向上といったことを通じて、とにかくこの厳しい国際競争の中で打ちかっていくということが何よりも最大の目的であろうかと思います。また、国の財産を民営化することによって、あわせて国の財政に寄与するということも、副次的な案としてはございます。
大谷委員 すなわちは、どんどん空港の効率が高まって、国際競争力も高まっていく中には低廉化も入っているということですし、もっと言うならば、これは、三つの国際拠点空港に手法を適用していこうということが決まっておりますけれども、ここはやはり、どう聞いても、国内線にもこれは行く行くは活用できるなというふうに思っておるんですが、今回、どうして三つの国際空港から始めていくということになったのか。
 すなわち、ネットワーク化でいいますと、国内は国内のネットワークがあって、国際拠点空港というのは国際線の中での別のネットワークがありますから、三体分離をして民営化ができる状況にあるという理屈なんだというふうに思いますが、これは、将来、国内の民営化も考えていますよということなのか、それとも、全く考えていないということはないということなのか。
 代表質問のお答えでは、現段階では考えられる状況にないということでございましたが、効率化を高めていく、利便性をよくしていくということが非常に証明される手法であり、多分成田空港の民営化が行われていったとしたら、そのことをもさらに実体となって証明してくれるものだというふうに私は思っておるんですが、局長自身、国土交通省としてはどんなふうにお考えなのか。現段階では考えていないかな、もう少し突っ込んで、具体的に説明をしていただけますでしょうか。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 成田と関空と中部の三つの国際拠点空港を民営化するということで取り組んでいるわけでございますけれども、この三空港は、言うまでもなく、国際線を中心とした我が国の玄関口でございます。
 国際拠点空港というものにつきましては、空港ごとに経営主体を確立して、国際路線を中心として独立採算の経営を行ってきたところでございまして、それぞれの空港がそれぞれ独立して、他の国の国際空港と競争していくということでございます。
 そのために、それぞれ独立した独立採算の経営主体によって経営を行ってきたところでございますけれども、国が国際拠点空港の整備について最終的には責任を持ち、適切に対応していくという前提のもとでアジア諸国において国際空港の整備が進んでいること等も踏まえまして、国際競争力の確保の観点からこの民営化を図って、利用者負担の軽減や利用者サービスの向上あるいは経営の透明性の向上等を推進するということのために民営化するということにしているところでございます。
 片一方で、じゃ、ほかの国内空港はどうだということでございますけれども、国内空港は国際拠点空港と異なりまして、先ほど言いましたように、単体として機能するというよりも、全体の、全国の各空港が相互に結びついたネットワークを形成することによって初めて有効に機能して、利用者の利便を確保できるというものでございます。
 そういう意味で見ますと、個々の空港について、確かに単体で見ると、もうかっている、もうかるといいますか採算がとれている空港もある一方で、とれていない空港も全体あるわけでございます。しかし、それはそれとして、とれていないからといってその空港が不要だというわけではなくて、全体のネットワークの形成、維持向上といいますか、そういった観点から、これは国が空整特会で一元的に管理、整備等を行っているところでございまして、また着陸料水準の設定等も、国がいろいろ政策等を考えて決定しているところでございます。
 そういう意味で、国内と国際の空港の果たしている機能といいますか、それから、そういったものが直ちに民営化になじむかどうか。国内空港について全く将来とも民営化になじまないということをここで断言するつもりは毛頭ございませんけれども、現段階におきましては、全国的な国内のネットワークの維持向上を図るという観点からは、いましばらく全体として運営をして、必要な整備等を行っていく必要があるんではないかというふうに考えている次第でございます。
大谷委員 イギリスは七つの空港を同時に一九八六年に民営化をした。要するに、今回、成田という単体一個の空港が民営化されるんではなくて、七つの空港が一緒になって民営化した。日本の場合ですと、最初の質問で、整備が一段落したというふうに、局長、おっしゃっていただきました。そういう意味では、ある程度、もう整備するお金が必要なくなってきて、維持するお金が必要なだけで、必ずしも空整特会で、航空機燃料税、着陸料でお金を集めて一生懸命整備をする必要がなくなってきたということを最初の一段落したということは示しているわけですから、そこそこ民営化をしていく条件が整ったんだというふうに私は思っているんです。
 必ずしも民営化先にありきということを言っているわけではありませんが、例えば、伊丹は黒字なんですか、赤字なんですか。ある人によると五十億ぐらいの赤字だと言う人もおられる、また反対に、行政改革推進事務局の試算したというものが、残念ながら公開されていないんですけれども、それによりますと、どうやら黒字だと言われている。
 伊丹が黒字だから、それをネットワークの中から一個引き抜いて民営化しちゃったらいいなんというような短絡的なことは私も思っていません。これを何らかの形で、ケースでみんなが民営化できたら、例えば、今伊丹ですと百億円の環境対策費を国が負担しているということになっていますが、それを努力してさらに黒字をふやしていったならば、国の財政負担なくして環境対策費というものを空港の上がりの中で出していけるわけなんですよ。まさにこの民営化というのは、政府の財政負担というものさえ低減できるような意味のあるものだというふうに思っておるんです。その辺は、考えると、やはり現段階で民営化しようと思っていますとも言いにくいとは思いますが、十分余地のあるものだというふうに感覚的にとらえられるというふうに思いますが、それについての感覚的な御反応はいかがですか。黒字か赤字も言ってください。
洞政府参考人 イギリスは、ロンドン市内の空港を一つのBAAというところが持っていまして、全国の七空港について民営化をしたということでございまして、ほかの地方空港は依然として国ないし地方自治体等の管理運営する空港でございます。
 それから、国内につきまして、確かに、空港の全くの新設という意味ではおおむね概成しているということを申し上げましたけれども、今後とも地方空港につきましては、質の向上を図っていくという意味では、いろいろなアンバランスもございますし、就航率の改善等々を図っていてもすべての空港が同じような状況にあるわけではございません。そういう意味では、全体をにらみながら必要な手当て等を行っていく必要があるだろうと思っています。
 ちなみに、伊丹空港についてはもうかっているのかもうかっていないのかというお話がございましたけれども、これは、実際にそれぞれの空港について収支を計算するというのは非常に大胆な前提を置かなければならないので、ここではっきりしたことを申し上げられませんけれども、環境対策費とかそういったものを加味していけば赤字であるというふうに考えてございます。
 そういう意味で、先ほども申しましたとおり、国内空港の民営化について将来とも全然可能性はないということを申し上げるつもりはございませんけれども、現段階におきましては、つまみ食い的にこの空港を民営化する、この空港は民営化しないというような議論というものではなくて、やはりトータルとして、全体の考え方としてそういったことが本当に成立していくのかということ、そこに問題点がないかどうか等々を慎重に見きわめる必要があるんではないかと考えております。
大谷委員 代表質問でも聞かせていただきましたとおり、少ない財源をこれから戦略的に投資していかなければいけない。また、きょうの成田空港民営化論議から国内空港の民営化、やる、やらないということを決めるんではなくして、何が一番いいんだろうかという議論をしていかなければいけない。そんなとき、やはり空整特会の情報化、特にその中でも、空整特会というのはこの国の空港全体の財源を確保する制度になっていますけれども、個別にもどんどん戦略的なものを考えるために収支を出していかなければいけないというふうに思っておりますので、これからぜひとも、全体ではなく、森だけではなく木も見ていくような、そんな分析思考を、住宅もそうですし、高速道路もそうですし、道路公団もそうですし、この空港にもぜひとも適用をしていただきたいというふうに思っております。
 大臣が戻ってこられましたが、総裁、ちょっと来ていただいておりますので、大臣のおられる前で総裁に質問をしていきたいというふうに思います。
 総裁、忙しい中、御苦労さまでございます。まず最初に大きな質問をさせていただきたく思いますが、総裁は、成田空港が民営化をして、どんな姿になったとき民営化が成功したというイメージをお持ちですか。株がたくさん売れて株主がたくさん配当をもらって喜ぶというのもそのうちの一つでしょうし、着陸料が安くなるというのもそのうちの一つでしょうし、二千五百メートルの滑走路が完成をするというのもそのうちの一つでしょうし、ちょっとイメージを総括的に短く述べていただけたらというふうに思っております。
黒野参考人 若干勝手な話になるかもしれませんが、私の夢として申し上げれば、まず第一は、二千五百メートルが完成している状態が一つであります。
 それから二番目は、今もいろいろひんしゅくを買っておりますゲートの警備でございますね、あの辺がかなり簡略化されて、世の中から見ても普通の空港である、かつてのような危険は遠ざかった空港である、そういう形が二番目であります。
 三番目は、地域の方々に愛される空港ということで、地域の皆さんが、例えば、今晩夕涼みに空港見物に行くか、そういうふうに気軽に立ち寄っていただける空港、これが三番目。
 それから四番目に、これも一つの大きな問題でありますが、都心から非常に遠いという問題がございます。これにつきましては、今着手しております新しいアクセス鉄道、これが完成いたしまして、都心と三十分台で結べるという夢が実現する、外見的からいいますとそんなところが私の当座の夢でありまして、見方によっては小さい夢だなとおしかりを受けるかもしれませんが、まずその辺から実現していきたい、かように思っているところでございます。
大谷委員 わかります。特に三番目の愛される空港ということはぜひとも、時間がかかることでございますし、伊丹空港は空港との共生ということで地域の方々と頑張らせていただいておりますので、また見本にしていただけたらというふうに思っております。
 黒字が三年間続かないと完全民営化ができないわけですが、成田空港、新東京国際空港公団の機関誌でもございますグリーンポートレポートというもの、いつも私読ませていただいておりまして、努力をされておるんだなというのは対外的には見てとっておるのですが、今、この公団状況の中で、それなりの効率化を図る努力というものはもちろん総裁のもとでやられているというふうに思います。一体どんな努力で、あとどんなものをしていかなければならないのか。
 そして、成田空港が民営化の株式会社になったとき、どなたが社長になるかは私にはわかりませんが、もし黒野総裁が社長になるとしたら、効率化を進めていくために何をまた一番に、二番に取り組んでいかなければいけないのかという、黒字にして、黒字維持を続けていくその施策について少し教えていただけますでしょうか。
黒野参考人 私といたしましては、投資家本位の経営ということをするつもりはございませんが、民間会社である以上は最小限の黒字は出さなければいけない、それが経営者の義務だと思っております。そのために幾つかのことをやらなければいけないと思っておりますし、既に着手しているものもございます。
 まず申し上げますと、収入の拡大でございまして、今度の法案を通していただくことによりまして私どもの会社の行動範囲が広がるわけでございまして、その中におきまして、非航空系収入の拡大に一層の努力をいたしたい。もちろん、地域との共生ということを考えながらの話でございますが、まずこれが一つでございます。
 コストの削減でございますが、これにつきましては、空港公団の今の時代から新規採用につきましては抑制ぎみに既にやっておりますが、引き続き、効率性を上げるということで、職員を減らす、少数精鋭主義に徹するということが必要かと思っております。
 また、昨今いろいろ問題になっておりますいわゆる公共事業の入札方法、これにつきましても、より安い方法はないか、よりいい方法はないかということを、許されている制約の中で今模索をしておりますし、また、この法案が通って株式会社になった後につきましては、さらにまたそれが前進することができるのではないかと考えているところでございます。
 なお、直接御質問にはございませんが、実は、今SARSという大変難しい問題に直面いたしておりまして、四月を例にとりますと、営業収入が予定の二割減という大変厳しい状態にございます。これにつきましては、より一層のコストの削減、経費の節減、あるいは工事の中で緊急度の低いものは先延ばしする等の措置を既にとっておりまして、かようなことを積み上げながら、三年という期を待たずに上場ができたらなとさえ思っているところでございます。
 以上でございます。
大谷委員 わかりました。
 内部的な努力というものを今聞かせていただいたわけですけれども、多分、総裁が社長になるかどうかわかりませんけれども、社長になられた方から、将来こんな声が出てくるのではないかと思っているんですね。管制の費用が高いだとか、同じ一本の滑走路でも発着回数の枠をもっと広げていくような空路であったりするようなもろもろの開発だとか、あるものをさらに有効に利用していこうというような考えを持つんじゃないかなというふうに思っています。
 いずれまた管制の民営化というような議論も、その成田国際空港の社長さんから出てくるような時代があるのかなというふうに私は思ったりしておりますが、そんなこともあるのかなということを、今総裁である黒野さんに一つ聞いておきたい。
 もう一つは、当然ながら、今四つの成田空港の将来の姿がございましたが、その中では着陸料が安くなるということも入っているわけですね。ちょっと後先になって申しわけないんですが、再確認でございます。
 その後ちょっと非航空系収入のことについてお聞きしますが、先に二つ、よろしくお願いします。
黒野参考人 まず、既存の施設の有効活用ということかと思いますが、空港と申しますのは、改めて申し上げるまでもなく、地上施設と空間と両方がセットになって機能が発揮できるわけでして、できますれば、成田空港をめぐる空域がもう少し余裕ができますと今の滑走路の有効活用、利用等が高まることは間違いないと思っておりまして、それだけの需要は将来的にあると思っております。
 ただ、この辺は国の大変な御努力をお願いしなければいけないところでございますから、私どもだけで勝手な夢を描くわけにはいかない。これから粘り強くお願いし、御努力を要請してまいりたいと思っているところであります。
 また、着陸料につきましては、普通は商品の値段というのは売る方がまず決めてということになるのでございますが、私どもは、着陸料を値上げするどころか、これはやはり下げなければいけないという大きな使命を背負っていると思っておりますし、今回の民営化の目標の一つがそこにあると認識をいたしております。
 無論、空港の利用者一人当たりの負担が多いか少ないか、これはいろいろな基準がございまして、世界では日本よりも高いところが数字上あるわけでございますが、少なくともエアラインが直接払う着陸料という面では、成田を初め日本の空港が格段に高い、この事実は否定できません。
 かような状態のまま推移いたしますと、今、国全体でビジット・ジャパンという形で外国からもっともっと観光客を呼ぼうではないかという一つの国民運動を起こそうとしているときに、やはりこの点につきましては少しでも下げる努力をし、実現するということが世界に対するメッセージにもなると思いますから、民営化した後も、その点については格別の努力をしてまいりたいと思っておるところでございます。
大谷委員 おっしゃるとおりだというふうに思います。着陸料に関する認識をお持ちであること、とても安心をいたしました。ただただ、次の社長がだれになるかによって違うのかなということだけが心配でございます。
 次に、民営化ということでよく言われるのが、非航空系収入をふやしていくから着陸料等々も安くしていくことができるんだ。非航空系収入というものは、いわゆるテナント料であったり、空港会社が直営でデューティーフリーショップ等々小売店を経営して、それで上がりを取っていくんだということですけれども、これは、単にやはり素人がお店を開いても、店の配置もしくは空港全体のデザイン、デパートを見たらわかるように、七階、八階、最上階の展示場にモネの絵なんとかいうようなものをやるからこそ、下から上にエスカレーターで上がっていくときに、ああ、あの服かわいいわ、あの色きれいねということで婦人服、紳士服等に寄って売れていく。素人ですから、それぐらいのことはわかるんですが、デパートさんの経営の中にはもっともっと深い配置の知恵というものがあったりすると思うんです。
 空港の経営、小売りをするにしても、やはり深い知恵があって初めて成り立っているんだというふうに思うんです。その辺の人材的なものであったり工夫的なもの、今現段階、公団ですから考えていないことはないと思うんですが、本当にふやしていけるのかなという疑問が素朴にあるんですが、その辺はどうですか。
黒野参考人 確かに、御指摘のような問題はございます。武士の商法で、ふたをあけてみたらかえって赤字がふえたという形になってはいけません。この点は十分留意しながら進めるつもりでございますが、実は、今の段階から、例えば免税売店とか、それにつきましては、職員を出向いたしまして勉強させているということを、既に手を打っております。
 また、空港公団が直営でやるか、あるいはテナントでやるかというこの二者択一ではなくて、その真ん中に、空港公団の計算でやるけれども関連会社にやらせ、その利益を空港に集中する、こういうやり方もございます。各業種によってケース・バイ・ケースで対応してまいりたいと思っているところでございます。
 いずれにいたしましても、今度の法律改正のポイントの一つは、空港から生ずる利益をなるべく空港会社に集中して、その利益を利用者に還元する。その利用者の中には当然エアラインも入っているわけでございまして、先ほどお話し申し上げました着陸料の引き下げの原資にもするということかと思っております。
 ただし、また繰り返しになりますが、地域との共存共栄、これも配慮しなければいけない。その辺のバランスをとりながらやっていかなければいけないと思っているところであります。
 また、関連会社につきましては、その監督といいましょうか、本社からのチェックを厳しくすることによりまして、世上いろいろ批判を受けますような、天下りあるいはファミリー企業といった批判を受けないように、いわば空港会社の一部門であるというぐらいの認識で一体となった運営をし、むだのない成果を上げたい、かように思っているところでございます。
大谷委員 総裁の方から先に天下りの話をされましたので、ありがとうございます。
 本当に、別に、官におられた優秀な人材が民に行って活躍するということは、何ら私は問題にしておりません。ただ、官におられた方が民間に行って給料をはむということを中心にして必要でない仕事がふえていくということが問題であるのでございまして、会社になったらそっちの部分の効率化というものにも、ぜひとも新社長になられた方に手を入れていただきたい、チェックをしていただきたいというふうに思っております。
 それとあと、最後に総裁に一つだけ聞きたいんですけれども、いつ完全民営化になるんでしょうかというのが大きな世間の関心だというふうに僕は思うんです。黒字を三年続けて、今黒字だそうなんで、来年四月からですから、そのプラス三年で、二〇〇七年からすぐできるんじゃないか、やろうとしているんじゃないかとか、いやいや、大臣の答弁によりますと、経営の実績とか株式市場の状況とかおっしゃっておるんですが、その辺はいかがお考えなんですか。早ければ早い方がいい、それとも、やはりどこかのタイミングがあって、このとき、この基準というものを大事にして、尺度というものを大事にしてやっていかなければいけないという尺度があるのか、ちょっとその辺について、時期も含めてお教えいただけますでしょうか。
黒野参考人 今の点につきましては、国のお立場と若干我々違うかもしれませんが、将来、民営化するということで株式会社になった以上は、私は、なるべく早く全株、市場に出していただいて、完全な民間会社にするということが望ましいと思っております。
 会社だけから申し上げれば、通常は、三年間の収支を見て、これならば投資家の皆さんが安心して株を買っていただけるなということをお示しした上で上場が認められるということでございますから、株式会社になった後三年間、健全な経営を少なくとも続けなければいけない。したがいまして、早ければ、この三年間の決算が出た段階で上場問題が浮上してくるということかと思っております。
 ただ、私、運輸省におりますときにJRの上場問題に若干手を染めたことがございますが、そのときの経済情勢あるいは証券市場の状況がございまして、私どもだけの意見がそのまま通ずるとは思っておりません。思っておりませんが、繰り返しでございますが、この三年間の決算を見た上で、遅くともその時期に上場ができるということを目安にはしたい、かように思っております。
大谷委員 わかりました。
 ぜひとも利便性を高めるためにも、一日も早く完全民営化になった方がその可能性が高まると思っておりますので、ぜひともそこは新会社、新社長にリーダーシップを、どなたになるのかわかりませんけれども、していただけたらというふうに思っております。
 局長に、もう一回最後に確認で質問をさせていただきたいんですが、大臣に本会議で質問を、着陸料のプライスキャップについてさせていただきました。現在、もし不当な料金設定が行われた場合においては大臣がその変更を申し述べることができるということで、これで十分プライスキャップになっているんではないかというニュアンスの回答だというふうに受けとめておるんですが、不当というのは何を見て不当だと言うのかなというふうに思っているんです。
 総裁を前にしてちょっと失礼なんですけれども、おととし、九・一一のテロがあった直後に、新東京国際空港公団さんはIATAの方に値上げの申請をされて、交渉された。それも、たしかあれは次の月だったかな、十一月だったかな、割に航空業界が、こんな利用者が少なくなって低迷にあえいでいるときに、何かえらく自分のことしか考えていないのかなと。それはそれで、空港側は空港側でいろいろな論理があってのことだとは思うんですが、二期目の工事のことも踏まえてだというふうに思うんですが、ある試算では百億、二百億ぐらい着陸料収入がふえたにもかかわらず、新しい二本目の滑走路が供用開始されてから、なのに上げてしまうという指摘もありますし、いやいや、将来着陸料を安くするために、今整備の段階だから一生懸命やっているんだという考え方もあります。
 いずれにせよ、不当な料金設定というのは、額だけじゃなくてタイミングも入るんじゃないかというふうに思うんです。やはりそれなりのプライスキャップみたいなものが必要かなと思っておるんですが、その辺は、今後、来年の四月一日から、我々がこの法案に賛成させていただいて成田国際空港株式会社になってから心配ないんですか。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 まず、着陸料の設定につきましては、航空法に基づきます事前届け出制となっておりますが、これは運輸大臣の変更命令権がついているということでございまして、変更命令を出す場合は、特定の利用者に不当に差別的な取り扱いとなる料金、それから、空港会社が、社会的、経済的事情に照らして著しく高額で、空港利用を困難とするような料金を設定しようとする場合には変更を命じることができるというふうな仕組みになっているわけでございます。
 片一方で、プライスキャップということでございますけれども、プライスキャップは、もう先生もよく御存じのとおり、物価指数に政府が決定した値を加減して決めた数値の範囲内で、要するに物価上昇率プラス・マイナスx%の範囲内で料金水準の引き上げを認めるという制度でございまして、このxというコストとは関係のない外生的な指数を用いるということとか、この数字をどうするか、どういうふうに決めるかという合理的な運用ができるかどうかといったような課題等があるものでございます。そういう意味で、料金の値上げを前提としたプライスキャップ制ということでございますので、今回はその導入を見送ることとしたわけでございます。
 また、ちなみに成田空港の着陸料につきましては、空港管理者であります空港公団が、料金の設定時に航空会社に対し、国際航空運送協会、IATAに対しましてその算定根拠等について情報開示を行って、双方が合意するという、オープンでかつ透明な形で設定する仕組みになっておりまして、今後ともこうした方法がとられていくというふうに考えております。
大谷委員 法律を教えていただいてありがとうございます。
 ある意味、それはそれなりに不当なことがないようにチェックをしていけることが、民営化されても譲渡されていることだというふうに理解をいたします。また、そごが生じたときは議論をさせていただけたらというふうに思っています。
 最後に、大臣にお伺いしたく思います。
 またこの後、津川委員の方から大臣にもさんざん質問があるというふうに思いますので、私の方はその質問への総括的な質問をさせていただきたいんですが、民営化というものをぜひとも広めていくべきだというのが私の考えであり、またもう一つ、特別会計というものを縮小していくかわりに、戦略的に一般財源で資本を空港整備に投下していくというのが私の考えであります。
 そんな中、この民営化というものが、成田空港に限らず、大きく広く空港整備のための手法を、建設から運営というソフトづくりの方に移していく、そんな時期だというふうに今思っておるんですが、全体ながら、この建設から運営に移っていくことに関しての大臣の最後の、抱負というか所見というようなものをいただいて、質問を終わりたいというふうに思います。
扇国務大臣 参議院の本会議で中座しまして申しわけありません。どこまでどのように審議が進んでいるかは定かではありませんけれども、いつも大谷議員に御質問いただいている中では建設的な御意見をいただいておりますので、多分、今までも建設的な御意見が開陳されたものと拝察しております。
 今、総合的なというお話ございましたけれども、ことしは、空港というものが、民間航空が再開されましてちょうど五十年目でございます。これは、昭和二十九年でございますから、一九五四年ですね。ですから、ちょうどことしが五十年。そういう意味では、ことしは航空業界にとって大変意義のある年である。また、こういう御審議をいただけるというのは私は大変ありがたいと思っております。
 昭和二十九年、初めて飛びましたときには、その当時は一日十便です。それが今八百便です。そして、年間に少なくとも今は九千万人の乗客が航空で利用していただいているという、この五十年間の隔世の感というものは、私は、それに対応できた航空整備ができているかどうか。今、諸般のことをおっしゃいました。着陸料もおっしゃいました。あるいはアクセスの問題も出ております。あらゆる面で、この五十年間、日本がこれだけ成長してきたものに対して、国際空港のあり方。
 そして今、御論議がどこまで出たか知りませんけれども、我が国で供用の空港というものが九十四空港、地方空港入れて、ございます。九十四の中で、果たして国際空港の資格たり得るもの、また、着陸料も含めて、今総裁からもお話が出ましたけれども、着陸料が高いだけではなくて、空港から、あるいは諸外国のように港湾も空港も道路も含めて十分以内に高速道路に入れるとか、あるいは鉄道とアクセスができているとか、そういうことが完備できているかというと、数だけは九十四ありますけれども、その中で国際空港たり得るもの。
 また、九十四の中で、今国際線が離発着しているものが二十三ございます。だけれども、それは地方空港も含めて、ジャンボではございません、小さい飛行機も含めて、九十四の中で二十三が国際線が離発着しております。そういうことも含めて、狭い日本と言われますけれども、北海道から沖縄まで、多岐にわたる、そういう地形の中で、諸外国からの受け入れ。
 そして、先ほどからも民営化の話が出ておりますけれども、空港の安全性と信頼性、住民の信頼はもとよりですけれども、何よりもパイロットが安心して離発着できる空港であるということが、いろいろな管制の話も今大谷議員から出ておりましたけれども、すべてが安全、安心で、日本へ行くのは本当に何の心配も要らないよという信頼を得るということが一番大事なことで、どんなに空港を整備いたしましても、客がなければ赤字でございます。
 そういう意味では、あらゆる面で空港行政、果たして今の九十四をどことどことどこを重点整備するか、そういうことも含めて、私たちは今回、成田というものも含めて、初めて新東京国際空港という名前から成田国際空港という、成田という名前がついた以上は、私は、今の成田空港の千葉県はもとより、あるいは担当者にしても、大変な看板を成田としょうということに対しての責任感もおありであろうと思います。
 また、これがうまくいけば、世界に冠たる成田空港という名前が出るわけでございますから、地域の振興のためにも大きなメリットがあろうと思っておりますので、万般あらゆる面において、民間になりましても、安全性のため、また有事のためにも、国と民間の空港のあり方の連携は今以上でなければならないという条件のもとに、私は民間というものを考えております。
 今総裁がるるおっしゃいましたけれども、私は、今の現状を見れば、韓国の仁川、香港、上海、どの空港と比較しても、整備的にもまだ国際という看板が重い。この国際というものが成田国際空港に、民営化すれば民営化するほど責任が重くなるということをひしと感じていただいて、私は万般怠りない対応をとっていただきたいと思っています。
 それが日本の経済産業に大きな影響を及ぼすと思っていますので、すべての面で連携をとりながら、一日も早く、民間になって初めて一人前ですから、今は半官半民で国におんぶにだっこですから、そういう意味では、私は早く一人前に育っていただきたいものを指導し、なおかつ連携していきたいと思っています。
大谷委員 時間ですので質問は終わりますが、世界じゅうからナリタと言われるように次の社長には頑張っていただきたいというふうに思いますし、この法案、民営化論議というものが盛んになって、空港の利便性の向上が図られることを御祈念申し上げまして、質問を終わります。ありがとうございました。
河合委員長 津川祥吾君。
津川委員 民主党の津川祥吾でございます。
 大谷委員に引き続きまして、質問させていただきます。
 ちょっと朝からの議論もございますので、きのう通告させていただいた質問と、若干、順序、内容が変わりますが、御容赦いただきたいと思います。
 まず一点目は、非常に細かい話で恐縮なんですが、洞局長に教えていただきたいことがあります。
 用語の話でありますが、本法の第五条に会社の目的、会社がその目的を達成するために次の事業を営むものとするというのがありまして、一、二、三、四、五、六、七ございますが、その一つ目に、成田国際空港の設置及び管理、二にも、これこれの設置及び管理、三のところには、これこれのものの建設及び管理と書いてあります。この設置という言葉の意味がよくわからないんですが、設置とはどういう意味でしょう。
洞政府参考人 設置及び管理でございますけれども、成田空港というのは空港全体を設置して管理するということでございまして、三号では、それぞれの店舗とかそういう事務所等々についてはつくって管理をするということではないかと考えております。
 それでお答えになっていますか。
津川委員 要するに、設置というものが、これから新たにつくるという意味なのか。これは、管理という意味でいえば管理ということになるでしょうし、つくるという意味なのか。その辺、法律的な用語なのかよくわかりませんが、ちょっと教えていただけますか。
洞政府参考人 設置というのはあくまでつくるということでございまして、全体をつくるという意味もございますし、それぞれの施設を設置する、個々の施設を新しくつくるというのも設置でございます。
 つくったものを維持運営するというのが管理というふうに理解しています。
津川委員 つまり、成田はまだ完成し切っていないという現状でありますが、完成し切ったという状況になった場合は、設置ということは業務から外れるんですか。管理という形になるんでしょうか。これはどうなんですか。
洞政府参考人 空港というのは一つの生き物でございますから、これでもってすべて施設が完成して、これ以上はもう寸分たりとも変更ないということはないわけでございますので、技術進歩とか世の中の状況に応じまして、日々新たな施設の設置とか、そういった問題が出てこようかと思います。
津川委員 わかったようなわからないような答弁なんですが。
 わかりました。空港というものは、空港だけじゃありませんが、こういったものは設置者という定義がありますから、これを設置した人がそもそもやらなければならない管理の範囲と日常的なメンテナンスの部分の管理というものを分けて恐らくこういう書き方になっているんじゃないかというふうに思いますが、まさにまだ完成し切っていないという部分が私はちょっと気になったものですから、お伺いをさせていただきました。
 それでまた、本論といいましょうか、一番最初のところからお伺いをさせていただきますが、大臣にお伺いをいたします。
 きょう朝からもございますが、日本の航空行政のあり方、最終的な目標をどういうふうにとらえているのか。私は、この法案が、その最終的な目標を目指す中でどういう位置づけになるのかということをお伺いしたいわけでありますが、大臣としては、日本の空港はどうあるべきか、航空行政はどうあるべきかということをどのようにお考えされているか。グランドデザインという言い方はもう余りしないそうでありますが、この辺についての大臣の基本的なお考えを、まず冒頭お伺いしたいと思います。
扇国務大臣 これは何度もこの委員会でも御論議が出たと思いますけれども、先ほども大谷議員にお答えいたしましたように、日本の空港は、大体、離島を外しましても九十四という数で、私は、一応は整備としては、これ以上の空港は必要がないということで、新規の空港はつくらないということを決めました。そして、先ほども申しましたように、今ある空港でどの程度利便性の向上を図るか。そして、御存じのとおり、これはもとをただせばもっと長くなりますのでやめますけれども、空港特会のあり方。そして、もうかるところでもうからないと言うとちょっと語弊がありますけれども、道路と同じでございます。地方の、ローカルで採算性がとれなくても地方の利便性のためにはつくっていこうということで、九十四の空港の中でどことどこがと言われると、ほとんど、今の離発着の値段、欧米の少なくとも三倍の着陸料を取っているということでは、私は、国際的に日本が空港整備ができていると大言壮語することはできない、まだまだ未完成であると言わざるを得ない、そう思っております。
 ですけれども、今日、おかげさまで成田も、暫定滑走路をしても、いまだに二十三カ国から乗り入れの申し入れがある。そして、先ほど林議員からお話ございましたように、成田空港が午後十一時から翌日の六時まで使えない、それで日本の玄関口というものが果たして役割を果たし得るだろうかと。極端な言い方をいたしますけれども、津川議員も外国へ行って、その国で世界地図が、大体大統領のところにみんなあります、ごらんいただいたらわかりますけれども、日本の地図は日本が赤く真ん中にありますけれども、諸外国へ行きますと、日本はどこにあるかわからないぐらい、一番右の端にちっちゃいのが日本です。ですから、外国が一番いい時間に出発すれば、日本に着くのは大体夜中か早朝か。地球上全体から見れば、欧米先進国から出発して日本に着くのは通常の時間外ということになります。
 ところが、関空はおかげさまで二十四時間オープンになりましたけれども、成田は十一時でクローズ、朝六時までは離発着できません。それではということで、四月の二十五日に、十一時以後、朝の六時までは羽田で国際便を、何かのとき、霧があろうとかあるいは機械の故障とかのときにも羽田へ離発着オーケーということをいたしました。五月の三日でございますけれども、津川議員も御存じの、ワシントンから第一便が飛んでまいりまして、これは機材の故障でございましたけれども、本来であれば二十四時間飛行機がおくれるところを、ワシントン発で日本時間で十時に出て、五月四日の午前一時十分に第一便が羽田に着いてお客様をおろし、CIQを通したということで、最初のテストが、テストじゃないですね、本番がもう終わりまして、大変皆さんに利便性を体験していただきました。
 そのように、私は、成田と羽田で二十四時間オープンという、それで初めて国際という言葉が使えるのであろうと。十一時を十分過ぎたらもうクローズ、関空へ持っていくしかないということでは、やはり国際的に通用しない。そういう意味も含めて、日本の国際行政というものを、あるものを最大限に利用する、それが私は、今アジアの諸国におくれている国際行政をカバーする大きな政策の一つだと思って、あえて夜は羽田に着陸も考えたというのが今の現状でございまして、現実的にはそれが実行できた、やっとできたというのが今の実感でございますので、あるものを最大限に利用して、最大限の国際的な看板を張っていこうというのが今の航空行政のあり得る姿でございます。
津川委員 要するに、飛行場の数は随分できたけれども、利用者の利便性という観点から見るとまだまだ不足をしている。あるいは、待機をしていただいている外国の航空会社もあるということから考えれば、需要も必ずしも満たされていない、需要に対する供給が満たされていないというようなことかもしれません。
 今、国際的なものに関してお話をいただきましたが、国内も当然飛行機は使っているわけで、もう一方の国内に関する航空行政、御見解があればお伺いいたします。
扇国務大臣 国土交通省になりましてから、まだ三年足らずでございます。今、三年目に入っています。今までは、旧運輸省、旧建設省、縦割りでございました。ですから、先ほども話に出ましたけれども、港湾、空港、鉄道、あらゆるもののアクセスが未完成である、諸外国に比べて不便である、アクセスが完成されていないということで、空港におりても、新幹線、高速道路に入るのに荷物が不便である、そして港とくっついていない、そういうことから見れば、陸海空の需要というものと経済産業の面から見ても、日本はグランドデザインがなかったからということをあえて言わせていただければ、私はまだまだ未完成だと思っています。また、現実にもそうでございます。
 そして、御存じのとおり、地方によっては、いや、もうそれは扇さん、うちは道路も大変なんだからまず高速道路、高速道路をつくったら次は新幹線、新幹線をつくったら次は飛行場、皆さん要求されます。それは、あれば便利でしょう。ところが、高速道路をつくって飛行場をつくると高速道路の需要が減りました、新幹線をつくって飛行場ができると新幹線の需要が減りました、目測が全部狂ってくる。
 これだけの人口とこれだけの経済効果の中で、陸海空、飛行場、新幹線、道路、全部が整備できればそれにこしたことはありませんけれども、国内でいえば空港の全部の九十四の数、離島は別にいたしまして、それが、空港をつくってもアクセスが完成していなければ、私は半人前だと思っています。一人前の働きが、空港のよさも発揮できない。そういう意味では、空港と道路と鉄道と港と、あらゆるもののアクセスをもう一度考え直さなければ、むだが多い、しかも、産業的にも経済的にもコストアップになっているという大きな原因があるので、そういう意味では考え直す必要もあろうと思っています。
津川委員 国内においても利便性の向上ということ、特に飛行機だけではなくて、ほかの交通機関とのアクセスもしっかり考えた上で整備をしなければならないということであろうかと思います。
 成田の議論をするときでありますから、やはり触れないではいられないのが地域住民の方々との共生ということだと思います。新幹線もそうでありますが、空港も、地域の方々にとっては、ある意味で迷惑施設もいいところでありまして、大変うるさいものでありますから、その辺のところも地域の方々に御理解をいただく中で整備をしていかなければならないということも当然だと思います。
 それで、そういった視点を持ちながら進めていかなければならない、当然予算の範囲内でということになろうかと思いますが、そんな中で、先ほど自民党の林委員が質問された中で御答弁をされていたかと思うんですが、国際空港について、国際という名のつく、看板のある空港は基本的には国が整備をして、最終的には民営化をしていくのが原則だというような話をされました。
 国際と名のつく空港というのは、通称では随分たくさんあるのかなと思うんですね。ちょっと先ほど思いついて今これを質問しているので、しっかり自分で調べておりませんが、新千歳も国際と言っていたような気がしますし、福岡も国際だったような気がするんですが、これは通称の国際ではなくて、いわゆる正式名称に、新東京国際空港と言われるような、正式名称に国際が入るもの、そういう認識でよろしいですか。
扇国務大臣 御存じのとおり、空港には第一種から第三種、そしてその他というものもございます。ですから、本来であれば、第一種空港、これが日本には四空港ございますから、本来はこれが正式な国際空港であろうと思います。
 けれども、その他ローカルで、第二種でも第三種でも、あるいは離島と一緒にプロペラが飛んでいるのもありますし、お隣からちょこっと来ているのもありますし、そういうものから見ると、先ほども私、大谷議員に申し上げたかもしれません、林議員だったかもしれませんけれども、少なくとも国際便が離発着、国際便というあくまで国が違う便が離発着しているものが今現在では二十三あるわけでございますから、国際便が離発着しているからすべて国際空港だと言えるかというと、私は、定義的にはそれは本来は国際空港ではない。日本の定義からいえば、世界に対して、日本の九十四の中で国際空港は第一種の四空港ですよということも言えるかもしれませんけれども、現実的に国際便が離発着しているんだから二十三全部国際じゃないかと言われれば、これも解釈の問題ですけれども。
 空港の位置づけ、第一種から第三種、そしてその他ということからいえば、第一種というのが、日本が世界じゅうに国際空港ですよということで、あとの十九というのはローカルで、この地域とこの地域限定でという意味で国際ということが、離発着しているというのが現実でございます。
津川委員 その国際の定義もそうなんですが、そう言われるものに関しては、国が設置をして民営化するのが原則だという話をされたものですから、広い意味で、国際便が飛ぶような地方の空港も含めて、国がやるか地方がやるかは別として、最終的には民営化をしていくのが原則というふうにお考えなのか、今おっしゃった第一種だけのことでお考えなのか。民営化についての考え方であります。
扇国務大臣 私は、正直申し上げて、現段階で九十四ある空港の中で、民営化して、引き受け手はありません。民営化というのは、端的な言い方をすれば、商売になる、そういうものでなければ引き受け手はありません。そういう意味では、今、ローカルといいます言葉が悪いかもしれませんけれども、一種以外の第二種、第三種で国際便がおりているのは、その地域と地域、二国間協定とか二地点協定で、どうしてもここへ台湾から飛行機をおろしたい、あるいは韓国から飛行機をおろしたいという地域協定でおりているのであって、国際線の定期便がおりているわけではありません。
 ですから、そういう意味で、まず第一種の四つある、国際空港と世界じゅうに看板を出している、いわゆるジャンボが乗りおりしている四つの国際空港という看板を、第一種に規定しているものだけでも今の国際線に対抗できるものに仕上げなければ、日本の航空行政というものは、先ほどからの、着陸料あるいは整備、アクセス、すべてのものが未完成である。未完成ばかり九十四あっても、それは経済にも産業的にも、あるいは観光客を受け入れるためにも私は不備があると思いますから、少なくとも第一種の国際空港と位置づけているものですら完備されていないという現状を一日も早く整備して、整備した上でなければ、私は民間の引き受け手がないのではないか。赤字とわかっているものの引き受け手はありません。
津川委員 なかなか議論が前に進まないんですが。
 要するに、黒字なら民営化できるから、黒字にしたら民営化をするべきだという考え方ですか。そうではなくて、国際空港は完全なものにして民営化をするべきだ。それは、千歳におりているのはあれは国際線だと思うんですが、今国際線じゃないというふうにおっしゃられた……(扇国務大臣「共用だからです」と呼ぶ)共用。国際線ではないんですか。
洞政府参考人 ここで言う民営化の対象としているのは、あくまで国際拠点空港でございます。
 国際線が乗り入れているから、一般的には国際空港という名前をつけて、俗称でいろいろありますけれども、それはあくまで国内線が中心の空港であって、その余力の中で国際線を、一部チャーターを入れたり、定期便の少数を入れているということでございまして、今回民営化の対象としてふさわしいというものは、まさに海外の空港と競争をしていく国際拠点空港の三空港、成田と関空と中部、こういうことが、民営化することによって活性化を図って競争力をつけて、諸外国と勝負をして着陸料を下げていく、こういうふうなことがまさしく期待されている。
 それ以外の空港は、先ほど申しましたとおり、国内線のネットワークを形成する空港というものがほとんどでございますから、これはまだ、先ほど大臣がおっしゃいましたとおり、すべて整備が完了してパーフェクトになっているわけではない。やはりトータル、ネットワーク全体として不備なところはきちっと是正していって、国と地方の適切な責任分担のもとに整備をしていく必要がある。民営化の対象として今すぐこれをどうのこうのと議論するのはまだ早いのではないか、こういう認識を申し上げたところでございます。
津川委員 そういう認識を申し上げたと言ったって、申し上げたのは大臣でして、洞局長がおっしゃったんじゃないんですが。
 ですから、私は洞局長の見解を伺ったのではなくて、大臣が先ほどの御答弁の中で、国際と名のつく空港は国が整備をして、しっかりしたものにして民営化をしていくのが原則だと。原則ですから例外はあるのかもしれませんが、そういうお話をされたものですから、それについてちょっと確認をさせていただきたい。
 通称で新千歳国際空港と言うかどうか、ちょっと正確に覚えていませんが、国際線がちょっと来ているからそれは国際空港だという話、これはちょっと別の話。ただ、正式名称でいうところの国際がつくのは、新東京国際空港、それから東京国際空港、関西国際空港、中部国際空港、大阪国際空港、大阪は伊丹なんですけれども、これも国際がつくんですね。ですから、大臣が先ほどおっしゃったことをそのまま受け取りますと、伊丹もしっかり整備をした後に民営化するのが原則であるという話にかかるんです。
 ですから、伊丹は例外であるということであればそういうふうにお答えをいただければいいんですけれども、いかがでしょうか。
扇国務大臣 伊丹は国際空港でスタートいたしましたけれども、今国際便の離発着はいたしておりません。国際空港ではなくなります。
津川委員 では、さらにお伺いしますが、中部国際空港、これもその原則の中の国際になるんですが、私の認識では、これは国が設置しているのではないか。そうすると、大臣がおっしゃる国際空港、五つある中の、伊丹はこれは別だ、それから中部も違う、関空も恐らく違うんですね。そうすると、残るは成田が、この法律が通るとまさに大臣のおっしゃる原則になるんですが、例外の方が多いんですね。それはどうなんでしょうか。
扇国務大臣 私が申しましたのは、原則を申し上げた、理想です。道路もそうです。国際港湾もそうです。けれども、本来はそうあるべきですけれども、国が予算的にやっているといつできるかわからないから、民間で、経済界と地域とが全部一緒になってお金を出して、第三セクターでもいいからつくって、国に補助をもらって完成させてください。早期完成、早期利用というふうに持っていきたいという御希望があれば、それは万やむを得ない。そのかわり、安全性というものに対しては、許可をするときに、本来であれば、国がやっていれば、道路もそうですよね、特会でやっています。そのように、理想としては、本来国際と名のつくものは国が責任を持って、国際的に看板を張って、さあ玄関口です、どうぞいらしてくださいというのが原則だというのを、私は原則を申し上げたんです。
 けれども、地域によっては、いやいや、自分たちもお手伝いするから、自分たちが主体になって、そしてなるべく早く完成させたい、一日も早くつくり上げたい。今、中部国際空港、そうですね。万博までにやりたい。これは地域の経済界と、そして愛知県地方の関連の地方の皆さんが、万博のために何としても、自分たちもお金を出し、そして知恵も出す、民間がトップになってやっていくというふうな御提案があれば、それも国際空港たり得ることの条件をつけて、認可して今工事中であるということであります。
 私が申し上げたのは、原則を申し上げて、そうありたいということを申し上げたのが現実でございます。
津川委員 今回の民営化議論の中で、先ほど大谷さんも指摘をされたかと思うんですが、国土交通省としては、当初いわゆる上下分離でありました。それがいろいろな議論の中で、上下一体で個別という形になりましたが、この経緯と、それぞれ、上下分離と上下一体のメリット、デメリット、それをそれぞれどのように評価されて今回の形に落ちついたのか、それを御説明いただけますでしょうか。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 成田、関空、中部の三つの国際拠点空港の民営化につきましては、平成十三年十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、昨年一年間をかけまして、空港の整備と管理運営を行う主体を分けて、管理運営主体の完全民営化を図る三空港一体の上下分離案、それから、各空港ごとに上下一体で個別に民営化する案などにつきまして、関係者の意見等も踏まえていろいろな比較検討を行った上で、最終的には、各空港ごとに上下一体で民営化を図ることとしたわけでございます。
 三空港一体の上下分離案につきましては、メリットといたしましては、空港整備や環境対策の実施等について、下物法人であります公的な法人が責任を持って対応しやすい、かつ、三空港同時に、上物であります管理運営部分について完全民営化を図るということが可能であるというような長所がございます。しかしながら、片一方において、一つの空港で上物と下物が二つの別々の法人がそれぞれ管理するということになるわけですから、例えば投資一つをめぐっても、上物と下物のそれぞれの意見調整とか利害とか、そういったものが必ずしも一致するかどうかというのは、えてして対立することもあるかもしれない。また、そういうことのために経営責任のトータルの明確性というものが確保しにくいというような、デメリットといいますか、そういったものが考えられます。
 片一方で、各空港ごとに上下一体で民営化するという場合には、一つの空港の設置、管理というのを単一の法人が行うということになりますけれども、そういう意味では、経営責任の明確化であるとか経営の効率化といいますか、そういった確保が期待されるほか、各空港ごとのそれぞれの特殊事情、いろいろな課題があるわけでございますけれども、それぞれの特殊な課題、個別の課題について適切な対処が可能であるというようなメリットがある一方で、三空港同時に完全民営化を図るというようなことは、また別の問題ということになるわけでございます。
 そういうことで、私ども、そういうメリット、デメリット等いろいろあるわけでございますけれども、国際拠点空港の民営化につきましては、今大臣がおっしゃいましたとおり、要するに、あくまでやはり国際拠点空港でございますから、国が空港の整備については最終的な責任を持つ、必要な場合には適切に対応することができるという前提のもとで、それぞれの空港が創意工夫を生かせるような自立的な経営環境を整えて、そして経営の一層の効率化とか利用者サービスの向上等々を推進することが必要である、また、そういうふうなものが可能であるような組織形態ということ、そしてまた、成田の特殊事情、関空の特殊事情等々について、空港の事情、抱える課題に適切に対応できるという観点から、各空港ごとにそれぞれ上下一体で民営化するということとしたものでございます。
扇国務大臣 今、洞局長がいろいろお答えしましたけれども、正直申し上げて、私は上下分離論者でございました。上下一体にすべきではないというその根拠は、日本の空港、どこへ行っても余り魅力はありませんね。空港で飛行機、国際線に乗るけれども、早目に行って空港の中で買い物をしようとか、あるいは、ヒースローとかあらゆるところを見ても、早く行ってあそこで何か買おうとか、あそこで楽しもうとか、あそこで食事しようとかというのは、民間が物すごく入っているからなんです。
 ところが、日本の国際空港、成田もそうです、関空もそうです、早目に行ってあそこでどうこうしようという建物自体の楽しさもありませんし、関空だって、あんないい場所にあって、私は言うんです、なぜ上下分離か、上をもっと活用してほしいと。関空の空港ロビーなんかは、サンセットの一番いい場所にあるんです。私は、あそこでもっと上を民間の知恵を出して利用させて利益を上げるべきである。今、関空なんか、どんどん店が減っています。そういうことを考えれば、上のターミナルというのは、もっと民間の知恵を生かして魅力のあるターミナルにするべきであるということで、私は上下分離ということを申し上げたんです。
 今申し上げましたように、成田は、二〇〇二年でございますけれども、三月の決算期で三十三億円の利益を出しました。そして、上下分離にしたらどうなるかということを計算しましたときに、上下分離しましたら、成田は少なくとも百五十四億円の増になる。けれども、中部は二十三億円のマイナスになる。関空は少なくとも百二十七億円のマイナスになる。だから、これは成田の利益を全部ほかにばらまいては困ると思いますよね、個人的には。ですから、成田は先に民営化するということを、きょう総裁はもうお帰りになっちゃったのかな、総裁の前で私ははっきり言いました。民営化するのであれば、少なくとも二本の滑走路が暫定でなくなるということが民営化する前の前提条件であるということを、総裁の任命のときに懇々と私は言ってあります。
 そのように、私は、上下分離というのは、先ほどももう議論が出ていましたから、総裁もおいでになって、大谷議員にもお答えしましたけれども、いかに空港の整備を活性化さすか、そういうことの知恵が、役人だけでは味もそっけもない。霞が関の建物と同じ。だから、私は、上下分離でもっと民間の知恵と工夫と、そしてだれしもが楽しいということを空港に入れてほしいということで上下分離という言い方をしたんですけれども、採算性等々で一括ということであれば、これは私の個人的な理想ですから、なるべく理想に近づいて、民営化しても、私が言っているよりも楽しいものをつくってくださればもっといいと思っていますので、あえて今、上下一体で民営化ということになっているということだけは御理解いただきたいと思います。
津川委員 なかなか理解しにくい説明だったんですが。
 空港ごとの特色ですとか空港自体に魅力というものを出すにも、別に私はこれは上下一体でもいいんだと思うんですね。例えば東京でいえば、羽田なんかもそれなりの魅力のあるところです。大きな空港でいうと、例えば名古屋なんかも大きいですが、残念ながらあのビルは余りおもしろくないのは事実ですね。田舎の方に行くと、新千歳は非常におもしろくなりました。
 そういった意味で、それぞれ工夫をして、これまでの単なる空港、飛行機に乗ったりおりたりするだけのところというのではなくて、その地域の核となったり、本当に魅力的なものにしていくという工夫は必要でしょうし、それを実現していくためには、一つ民営化というものも大きな推進力になると思います。それは、ひいて言えば、先ほど冒頭に大臣にお伺いをしましたが、空港の利便性を考えるときにも、空港にまでは早く行けても空港の中で時間がかかってしまうのでは、これはやはり利便性が非常に高いとは言えない。例えば、中にお店があれば、外で買っていかなくて、ぱっと行ってそこで準備できるわけですから、これはむだな時間も減ります。そういった意味での利用者の利便性を上げる意味で、民営化というのは一つの流れに沿ったことだというふうに思います。
 ただ、先ほど総裁は、私は総裁には質問通告していなかったのでお帰りになられましたが、二千五百が前提だというお話をされました。これも利用者の考え方からすれば、例えば、余り待たされないとか飛行機の本数が多いとかいうことになれば、これも利便性の向上になるでしょうし、需要に対して対応できるということになると思います。
 そうおっしゃるなら、これは、この今回の法律の中でも基本計画に従って整備をしなければならない形になっていますが、基本計画では滑走路はいまだに三本なんですよね。まあ二本にしてもいいんですが、これを本当に実現するなら、その今の「一」の二千五百ではなくて、北側に延ばすということも全然問題ない。問題ないというか、それはそれで当然議論はしなきゃいけないでしょうけれども、この基本計画に従ってやるべきだということであれば、こだわって時間を余りかけることをせずに、その計画自体を見直しするとか、そういった対応も可能じゃないかと思います。
 それで、北伸についての話と、あともう一つは、基本計画に三本となっているのがどうもすっきりしないんですね。二本でいこうというんなら、これは基本計画も二本にするべきだと思うんですが、その辺のお考えはいかがでしょう。
洞政府参考人 お答えを申し上げます。
 昭和四十一年に現在の成田空港の基本計画というのが定められておりますけれども、この中におきましては、御指摘のとおり、二本の平行滑走路と横風用滑走路の計三本の滑走路を整備するということが決まっているわけでございます。
 昨年の四月に、二本目の滑走路となりましたが、暫定平行滑走路が供用を開始しましたけれども、これは二千百八十メーターということで、本来の二千五百メーターのB滑走路というものの観点からするとまだ道半ばであるというような状況になってございまして、この二千五百メーターの平行滑走路のできるだけ早期の整備に、国も会社も、関係者一丸となって最大限の努力を行ってまいりたいと考えております。
 なお、横風用滑走路につきましては、基本計画に載っておりますけれども、平成三年から、先生御存じのとおり、空港と地域の共生を理念として開催されました成田空港問題シンポジウムというのがございましたけれども、ここで、横風用滑走路の建設計画については白紙の状態に戻すという整理がされました上で、これを受けて、その後平成五年から、成田空港問題円卓会議というものが開かれました。そこで、この横風用滑走路の整備については、二千五百メーターの平行滑走路が完成する時点で改めて提案をするという整理になってございます。
 ですから、死んでいるわけではございませんで、二千五百メーターの平行滑走路をできるだけ私ども急ぎますけれども、その完成した暁で、その時点におきまして、この横風用滑走路の整備の必要性等々について吟味した上で、改めて、この取り扱いについてどのようにするかというのを決めたいというふうに考えております。
津川委員 これは、言ってみれば、本州四国連絡橋が三本だったのが、どうしようかどうしようかといって、まあとりあえず一本始めようといったけれども、将来の夢を消すことはないだろうといって計画だけ残したのに非常に近いんですね。
 これはやはり空港建設は、まあほかのものもそうですが、終わらせるのが重要だと思います。つまり、ここまでつくるべきだという目標をしっかりつくってそこまで早く到達する。その上で、改良するべきところはどんどんやっていかなきゃいけないんですが、将来つくるかもしれない、建設中という状況をずっと続けるのではなくて、成田は例えば二本なら二本でいくんだ、あるいは四千と二千百八十でいくんだというんなら、それはそれで一つの結論だと思います。別のところでその補完、第三空港をつくるというのであれば、そちら側の議論を早く始めなきゃいけない。だから、この議論をいつまでも放置しておくべきではないと私は思うんです。特にその民営化の中で、総裁に対してはとにかく早くやりなさいというふうにおっしゃいますが、基本計画はそのままにしておいて、現場の方にただ早くやれという、これもいかがなものかと思います。
 これは、計画はこのままずっと放置していくおつもりですか。
洞政府参考人 二千五百メーターの平行滑走路については必ずやるということで、そして話し合いによってこれを進めるということがこの円卓会議ではっきり合意されているわけでございます。その二千五百メーターが完成した時点で横風用滑走路についてはその後どうするかというのを改めて考えようという整理になって、そういう意味では、先生おっしゃるとおりペンディングになっていますけれども、とりあえず今の段階では、この二千五百メーター化をやるということはもう極めて明白でございまして、それ以上の横風用滑走路につきましてはシンポジウムで白紙に戻すということになっていますので、そういう意味では、ある意味白紙でございます。ですから、そこを削るべきだという御意見もあろうかと思いますけれども、しかし、改めて提案するという整理がなされています以上、これは計画の中にそのまま載せているという状況でございます。
津川委員 改めて提案するからといって、計画に残さなきゃいけないと書いているわけじゃないんで、別にそれは消してもいいと思うんです。
 二千五百は必ずやるんだという話でありますが、どういうふうにやるんですか。
洞政府参考人 二千五百メーター化につきましては、先ほど来、総裁の方からもお話がございましたけれども、今、空港公団、自治体、関係者、農民の方々に、いろいろな手だてをして懸命の説得工作を続けていらっしゃるということでございます。
 また片一方で、総裁がいらっしゃいませんけれども、一坪農地等、要するに北原派等の全くこれまで話し合いのテーブルにも着けないような土地につきましては、裁判におきまして、共有持ち分制度の部分を公団が金銭で譲り受けることができないかどうか、そういう訴訟もことしに入って出しておりまして、二十件中八件ぐらい、ちょっと今正確な数字を持っていませんけれども、こういったものが今裁判に持ち込まれているというような状況でもございますし、もう本当に、まごまごしていると二千百八十メーターの滑走路もすぐ数年で満杯になるという状況の中で、もう一刻の猶予も許されない、そういう問題意識のもとに懸命の説得工作を進めているということでございます。
津川委員 話し合いをされる中で、我々は必ずこの二千五百メートルをつくりますというのを前提にした話し合いじゃないはずなんですよ。つまり、あなたの土地は必ずもらいますというのを前提にして条件の話をしているわけじゃないはずですから、例えば二千五百の中で、今農家の方が、それはいかにしてもちょっとここからは退きかねるという結論が変わらないのであれば、それは別の方法、つまり北側に延ばすなりなんなりというような議論を進めていかなければならない。北側に進めないということを前提にするなら、これはいつまでも問題は解決しないというままにずるずるいく話であります。
 そうなると、今回民営化するという話も、完全民営化、株式上場はその二千五百メートルができてからというようなお話だそうでありますから、そうすると、この法律の方向性に関しても、結論が出ないスタートになります。その辺は、本当に二千五百を前提にするということであれば、もちろん話し合いはしっかり進めるにしても、地権者の方がどうしてもということであれば、どうしても二千五百をつくるならそれ以外のところという形になると思うんです。それを想定した上での話し合いにならなければならないと思うんです。
 ちょっと根本論でお話を伺いますが、空港の設置許可に関しては、用地が確実に取得することができるということが前提になっているはずでありますが、これを、結果としてできずにスタートしてしまった。この理由は何でしょうか。
扇国務大臣 これは何度もここで御論議いただきましたけれども、私は、一つには最初のボタンのかけ違い、そういうものが今日まで、あえて昨年の四月十七日に暫定で第二の滑走路をオープンしたという、先ほども申しました一九七八年から今日までの足取りというものは、ひとえに最初のボタンのかけ違いであったということで、少なくともそれが政治判断で間違っているとおっしゃれば、それは政治判断で間違っていたのかもしれません。私は、反省すべき点は多々あろうと思います。
 ですから、最初のボタンのかけ違いというものでこんなに時間がかかるんだ。少なくとも、今、津川議員がおっしゃったように、昨年の四月十七日に暫定で第二滑走路をオープンするときの公団の職員の苦しさ、また、国土交通省、旧運輸省ですけれども、みんな、一九七八年から今日まで、今冒頭におっしゃった基本的な滑走路の完成のために地域住民といろいろな話し合いをしたにもかかわらず、最初のボタンのかけ違いで狂ったものが今日まで尾を引いているということだけは事実でございますので、私は、そういう意味では、努力をしながらも理解を得られなかったボタンのかけ違いがこんなに年数がかかるということの大きな反省材料として、今もいろいろな法案を御審議いただいていますけれども、なるべく事業段階から住民の意見を聞こうというようなことも反省の中で入れてきたというのも大きな歴史の流れだと思っていますので、そういう意味でも、私たちはそれを次の事業に生かしながら、二度と二十一世紀はそういうことのないようにということで、今、あらゆる法案の御審議いただいているのもその根本であろうと思いますので、それはそれとして私たちはきちんと認めていって、今後に生かしていこうと思っています。
津川委員 確実に取得できると思った用地が取得できなかった。その確実にできると思った一つの背景には、最終的な手段としての土地収用法というものがあったかと思います。
 三沢局長に来ていただいておりますが、土地収用法というものが、そもそもどういったもののためにあるのか、その運用の精神をちょっと御説明いただけますか。
三沢政府参考人 土地収用法の趣旨ということかと思いますが、土地収用法は、公共の利益となる事業のため必要となる土地を強制的に取得する場合の要件とか手続等を定めておりまして、公共の利益の増進と、それから私有財産との調整、これを図りながら、もって国土の適正かつ合理的な利用に寄与するということを目的にしている法律でございます。
津川委員 確かに、公共性のある事業であれば、最終的には地権者の方にもうんと言っていただかなければ話は進まないということはたくさんあると思いますが、それでもやはり私有地の権利というものも非常に大きなものがございます。
 私の解釈では、土地収用法というものは、例えばそこに道路をつくる、あるいは空港をつくる、何でもいいですが、そこにかかった地権者の方がいたずらに反対をして、それでお金をたくさん取ろうとするような対応をしたとするならば、それはやはりむだなコストを引き上げる、無用なコストを引き上げる形になりますから、それ以上の交渉には対応できない、その最後の一つの手段だと思っております。だから、公共性が高ければやってもいいということでは決してない。特に、航空法の中にしっかり書いているように、これは最後は収用法を使えばいいということではないと思うのですね。基本的にはそういったことはあってはならない。
 大臣も、二十一世紀にはそういったことはあってはならないというお話をされました。例えば成田のことにつきましても、円卓会議の結論として、この土地収用法は使わないというのが結論であったかと思います。それは当然履行していただきたいと思いますし、国は、考え方を変えて、やはりやるなんということは決してないようにしていただきたいと思いますが、土地収用法というのは極力使うべき法律ではない。そうならないための準備をしなければならないし、それを使わざるを得ない状況というのは厳に限られなければならないと思います。
 そんな中で、全く同じ空港の話なんですが、静岡空港で、やはり用地が完全には取得されていないで今工事が進んでおります。その中で、これは設置者は県でありますが、県としては、最終的な土地収用法、強制収用というものも考えるというような話でありました。
 そもそも、これもボタンのかけ違いかもしれませんが、最初にいろいろな方が反対をされた、そんな中で用地が取得できるのか。空港設置許可を出すときに、わざわざ静岡県知事が確約書を出しているんですね、土地は必ず取得できますと。まだ同意されていない方にも十分に配慮をしながら誠心誠意交渉に当たれば、すべての用地を取得することができるということを確約します。ただ、このときの確約の裏に、国側としても、最終的には収用法があるから大丈夫だろうということで判こを押したということを伺っています。
 こういう運用の仕方は、私は、まさに今大臣が言われた、二十世紀は許されたかもしれないけれども、二十一世紀はいかがなものかという視点に立てば、この点についての問題意識というのはしっかり国も持っていただきたい。それについて、大臣、見解いただけますでしょうか。
扇国務大臣 すべからく、冒頭に津川議員がおっしゃった、航空行政というものはそもそもどうあるべきか。中部国際空港ができて、そして静岡空港というものの予測乗降者数等々、果たしてどの程度、静岡空港が最初に立地計画をしたときと今の段階とどれくらい変わってきたか、しかも、静岡空港周辺の経済状況はどうであるか、貨物等々もそれだけの需要があるかどうか、そういうことも私は改めて見直すというのが今であろうと思っております。
 ですから、これは県の権限でございますから、知事がどの程度どうなさるかというのは私は見守りたいと思いますけれども、現段階では、私のところに、収用法をかけるとかなんとかというお話は全然来ておりません。けれども、私は、中部国際空港というものを急ピッチで拠点空港として今整備しておりますので、それとの兼ね合い、そして管制空域の問題、安全性ですね、そういうものも改めて御検討いただくのも静岡県としては大きな問題だろうと思って、静岡県のなさり方、私は、改めて御報告があれば伺いたいと思っています。
津川委員 空港をつくるかどうかはもちろん県が考えることです。県が考えることであり、県民が判断することです。それについては今は触れませんが、設置許可に関しては、これは国がやっているんです。法律でしっかりと、用地が確保されなければならないと書いているんです。それがされなかったがために成田がこういうことになっているんです。その反省から考えて、二十一世紀はそういうことはしないというのであるならば、少なくとも、これからどう判断するかは今はお伺いしませんが、この許可の出し方に問題があったという認識は持っていただきたい。
 それから、土地収用法に関して、いやまだ来ていないという話じゃないんです。これはもうしっかりいただいていますよ、国土交通省さんから、この許可に関しては大体とれていると。それから、確約書において、県が今後とも精力的に折衝を続ける、仮に同意が得られなかった場合でも、最終的に土地収用法により県が当該用地を収用できることから、確実に用地を取得できるものと認められる、これは国土交通省からいただいた書類であります。つまり、この段階から、土地収用法を前提にして許可を出しちゃっています。
 これは過去の話ですから、ちょっと今は、これは裁判もやっていますので、私はこれ以上触れませんが、この問題は単なる県の問題ではなくて、国の航空行政にかかわる重大な問題なんです。しかも土地収用法という、これも大事な法律でありますが、この運用については厳にしっかりと運用されなければならないものが、最初にこれが想定されてやっているというのは大きな間違いであろうと思います。
 大臣、よろしいですか。――よろしいですか。コメントは今いただきましたから、それで結構です。
 最後にもう一つ伺います。
 先ほどハブ空港とおっしゃいました。ハブ空港が韓国にできている、近隣アジアにできているという話がありますが、日本にハブ空港は必要ではないんじゃないかと思います。これについては、国土交通省としてはハブという言い方を私は変えたと思っておりました。国際拠点空港という言い方に変えましたから、認識が変わったのかなと思ったんですが、先ほどまたハブ空港という話をされましたので、まだ日本にハブ空港が必要であるというお考えかどうか、大臣のお考えを伺いたいと思います。
扇国務大臣 ハブという言葉のあり方もさることながら、品物もあるいは人も全部日本を素通りして日本におりなくなったときには、日本の今の社会的な地位というものは国際的に保持できない。今、観光客一つとってみてもそうです。一年間に千六百万人出ていって、入ってくるのは五百万人弱。これでは余りにも日本の財産が出ていくだけで、日本に入ってくる益がない。ですから、あらゆるもので産業の空洞化、経済の空洞化とも言われています、人も空洞化になりつつある、知能も空洞化になりつつある、そういうことで日本は生きていけないんです。
 そういう意味で、私は、ハブでさえなくなるということ、全部日本の上を通過して、品物もおりない、人もおりない、知恵も海外に行く、人も海外でしか金を使わない、日本に来るものはないということになったのでは我々の責任は重大であろうということで、国土交通省、陸海空ですから、そういう意味で、せめてハブ空港たり得るというものさえなくしてしまうということは、今の港湾、空港、すべて、近隣のアジアの諸国を見ているときに、日本は国際的におくれている。都市もそうです、国際都市たり得るかということも言いました。
 そういう意味で、国土交通省のあらゆる政策の中で、陸海空、そして都市もそうです、あらゆる意味で、日本が二十一世紀、国際的に経済大国たり得ないかもしれません、もう。けれども、日本の国としての地位というものを保つためには、あらゆる面で国際情勢を見ながら、何もかも要りませんと言ってだれも来なくなったのでは、私は自滅するだけだと思っていますから、そういう国にしたくない。そのために、私は、あらゆる面でハブ以上のものができれば一番いい、そう思っています。
津川委員 日本の上を物や人が素通りするのは日本に用がないからであって、ハブ空港があっても、これは空港の中にしか用がない話ですから、空港があればいいということではなくて、日本にそもそもそういった用のある、そういう国にならなければならないし、それは空港なり港湾をつくればいいということではないと思います。
 時間になりましたので、終わります。ありがとうございました。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 御苦労さまでございます。
 この時間帯の質疑でございます。こういう時間帯を割り振りいただきましたので、できるだけ簡潔にさせていただきます。
 若干、質問の中身が今までの委員の質問と大分重複している面もございますので、ちょっと質問の順番、通告した順番を変更させていただいて要点をお聞きしたい、そのように思っております。
 最初に、今大臣もおっしゃいましたけれども、陸海空、人間と物の輸送を扱っている国土交通省として、最近の国民の関心事は、テロの問題とか、あるいは今のSARSの問題、こういったことが非常に、連日、テレビ、新聞等で報道されておりますからなおさらのことでございますけれども、日本にいつどんな影響があるのかということで大変神経質になっている面もあろうかと思います。
 特に国土交通行政としましては、こういう航空行政、それからいろいろな港を抱えておるということもありますし、海外との人間と物の行き来の一つの玄関口を扱っている、そういう重要な行政を預かっている官庁でございますので、今日国民が関心を持っているテロ対策とかあるいはSARSといったような、こういう新しいいろいろな関心事に対して、そういう危機管理体制というのは、当然省内ではいろいろな検討はされて、もう既に実施されていると思いますけれども、そういった危機管理に対する対応状況、また今後の取り組み方針といったところを大臣から御説明願いたいと思います。
扇国務大臣 今、一川議員がおっしゃいましたように、連日、毎時間のニュースのトップはSARSのニュースから始まります。そういう意味では、我々は今一番SARSに関心を持ち、やっと一昨年の九・一一、あの九月十一日の同時多発テロ以来、経済も空港も、あらゆる面で影響を受けました、それがやっと少しもとに戻りかけたかなというところにSARSの問題です。
 そういう意味では、経済的にも産業的にも、あるいは精神的にも、大変このSARSというものが今私たちに重くのしかかっておりますけれども、まず、この水際作戦、幸いに今、日本人の発症はございません。そのために、我々は、水際作戦で最大限のSARS予防をしようということで、空港、あるいはおっしゃったような港湾、そして観光客等々にも、大変御迷惑はかけますけれども、最大限の検査をさせていただくということをいたしております。
 まず第一には、対象地区と日本とを移動する皆さん方に、お客様に対する十分な情報提供をしよう、出ていく人にも、そこは危ないですよと。また、そういうことを外国にいる日本人に対しても、情報の提供というのが一番私は大事だろうと思って、それを一番にしております。
 そして二つ目には、もしも感染の旅客が発生した場合にはどうするか。これは、内閣でこのことで関係閣僚会議をいたしまして、すべての点でこれの対処マニュアルというものをつくりました。それによって感染や二次感染の予防をしよう、それは厚労省も空港も、あるいは我々国土交通省も、それから海上保安庁も含めての対策を、マニュアルをつくっております。
 例えば、飛行機の中でもしも、自分はどうもせきが出る、あるいは熱が出てきたというような人は、もし、外国から来る飛行機の中で発症した場合には、まずスチュワーデスに言う。スチュワーデスは機内でお医者様がいるかいないかを聞く。そして、その疑わしいと思われる人を一番飛行機の後部座席に移動する。そして、その方の使うトイレは、失礼ですけれども、洗面所も特定させていただく。そして、機長に連絡をして、もしも空港の、どこか一番近いところでおりて、検査ができる空港はどこかということを探す、そういうふうなマニュアルも全部つくっております、例えば飛行機を例に挙げれば。
 そういう意味で、私たちは空港で、少なくとも着いたお客様に対して、体温検査なんですけれども、赤外線の、あれ、八百万なんですけれども、その赤外線検査でまず、お客様に一々赤外線検査ではからせていただいて、熱があるかどうかということも、大変失礼ですけれども、これもやらせてもらっているということで、あらゆる面で、発生した場合に、一番最初に、日本は隔離病棟というものが少なかったんですけれども、厚生労働省の大臣の御努力で、今二百くらい病床も、隔離病棟もできました。そういう意味で、安全対策をとっております。
 もう一つ、一番大事なことは、SARSによって大変お客が減り、そして中小企業で、中小零細まで入れていいでしょうか、大変財政的に困っている業種がたくさん出ております。昨日も一つ観光業者が倒産したという話も出ましたけれども、これは四月の十七日でございましたけれども、中小業者というものの資金繰りに対応しようということで、信用保証協会による保証枠を二倍にしようということで、今これも対応をしております。
 また、五月の十五日から、休業手当等の一部を助成する雇用調整助成金というものも、これは厚労省の中ですけれども、それを利用して、旅行事業者でありますとか航空事業者をこれに追加しようということで対処方法をとっております。
 また、航空事業者に関しましては、日本政策投資銀行の緊急融資について早期に実現できるように、これを今大至急で調整中でございます。
 そのように、あらゆる面で、まず発生させないということ、そして二次感染をさせないという予防、そして業者に対しての手当てというものを今つくっているというのが、SARSに対する対応でございます。
 テロに関しましては、既にこの委員会でお話ししましたように、テロ対策にとっては、これは九・一一のときに、すべての航空、鉄道、そして新幹線等々の運転席に入らない、操縦席に入らないというようなことも完備いたしておりますので、そして、検査も、フェーズEという一番強い検査方法でお客様に対して検査を、失礼ですけれども、させていただいているということで、テロ対策は、一昨年の九月十一日のテロ対策以来、これは今でもその対策を続けております。
一川委員 今ほどお話があったように、こういったSARS対策一つ取り上げてみましても、国土交通省はもちろん大事な部門を受け持っておりますけれども、関係する省庁もたくさんございますので、そのあたりの連携をよくとられて、観光客なり、いろいろなお仕事で行き来するお客さんの対応はもちろんでございますけれども、飛行機とかあるいは船舶の中で働いている人たちのチェックも、それはしっかりとやっていただかないと、そこがもとで何かが起こったということになると大変なことになりますから、そういうことのないように、ぜひしっかりとした対応をお願いしておきたい、そのように思います。
 次に、航空局長にお尋ねするんですけれども、先ほど来、成田空港の話題が出ておりますので、我が国の国際拠点空港という中で、関空なり中部国際空港ですか、その空港、今、鋭意仕事を進めておるというふうにお聞きしておりますけれども、現段階での進捗状況、大体、目標どおりいっているのかどうかということと、それから、現時点で抱えている両空港の課題といいますか、やはりこれからの一つの重点的に取り組むべき分野としてはこういうものが残されているというようなところがあるとすれば、そのあたりを、ポイントのところをお話ししていただきたいというふうに思います。
 それから、当然ながら、この前、都市再生の議論の中でも大臣も答弁されていますように、こういった国際空港的なものがしっかりと整備されていかないと、国際競争力に負けてしまうといいますか、本当に国際的な競争力を強化するという面で、空港の果たす役割というのは非常に大きいんだというようなお話もございました。
 しかし、成田空港一つとりましても、国際という名前をつけるにはまだまだちょっと荷が重いというようなお話もございましたように、関空なり中部国際空港というのは今現状どうなっているかというところを要点だけ御説明願いたいと思います。
洞政府参考人 我が国が国際競争力を強化して、二十一世紀においてさらなる発展を遂げていくということのためにも、国際拠点空港の整備が最重要の課題であると認識してございます。
 ということで、アジアにおける大規模空港の整備が進む中において、我が国では大都市圏を中心に空港容量が不足している状況にございまして、成田、関空、中部といった国際拠点空港の整備を早期かつ着実に進めていく必要があると考えてございます。
 具体的に、成田につきましては、もう先ほど来から申し上げておりますとおり、昨年の四月の暫定平行滑走路の供用に続きまして、本来計画であります平行滑走路二千五百メーター化のできる限りの早期完成に向けて努力してまいります。
 また、関西国際空港二期事業につきましても、予定どおり二期用地造成工事を進めることとして、供用開始に必要な施設の整備につきましては、今後の需要動向や関西空港の経営状況等を見つつ行うこととするということが、昨年末の扇国土交通大臣と塩川財務大臣との間の申し合わせによって決まっておりますけれども、この申し合わせにのっとって、着実に整備を進めてまいります。
 さらに、中部国際空港につきましても、二〇〇五年の開港に向けて、それをさらに一月前倒しして、二月にも、できるだけ早くオープンをしたいという地元の要望も受けまして工事を急いでおりますけれども、本年二月には用地造成が概成する等、予定どおり空港整備を着実に進めているところでございまして、順調に進んでございます。
 残るは、残るといいますか、これは、羽田の再拡張の問題が最後に残るわけでございまして、この羽田の問題につきましてもいろいろな課題がございますけれども、扇大臣、それから首都圏の関係都道府県の首長さんたちとの協議会というものを設置していただいて、そこにおいていろいろな課題についての意見交換、ディスカッション等を行っていただきまして、この課題をできるだけ解決して、できるだけ早く、その早期着工に向けて今努力をしているところでございます。
 これらの国際拠点空港等の重要性にかんがみまして、今後の空港整備に当たりましては、今後、投資の重点化をさらに図っていく等、適切に対処してまいる必要があると考えております。
一川委員 では、次に、成田空港の問題で、先ほど来いろいろと質疑のあったことと重複いたしますけれども、私なりにもう一回確認いたします。
 いろいろな当初のボタンのかけ違いで、開港以来二十五年、四半世紀も経過している中で、この前、昨年、ようやっと平行滑走路を暫定的に供用開始したという経過も見られるとおり、この成田空港というのは地元側と、特に地主の皆さん方と大変なトラブルがあったわけでございますけれども、まだ、現在、それが未解決で残っているわけです。
 そこで、当初、林委員からもお話がありました、先ほど津川さんからもお話があったかもしれませんけれども、飛行場と地元との地域振興に向けたいろいろな対策めいたものが議論されておりますね。エアポート計画なるハイカラな名前もつけられて、いろいろなことをやっておられますけれども、特に、地域と共生するためのいろいろな振興策というのは、それはそれで非常に大切なことでございますし、また、特に、あのあたりは農業地帯でもございます。
 もともと、農地をそういうふうに提供していただいた中で飛行場をつくった中でございますので、地域の農産物をまた航空行政の中でうまく生かせれば最もいいんでしょうけれども、そういった農業振興ということも含めて、総裁の先ほどの御説明によりますと、九市町村ですかを対象にして大変な今努力をしている最中だというお話が総括的にございました。
 具体的には、千葉県なり、あるいはまた関係する市町村とも連携をとって、本当に具体的な目標を持ってしっかりとした取り組みをしていかないと、なかなかこういう問題というのは、会議ばかり重ねていて、物事が現場で動いていかないというケースがよくありますので、そういったところが非常にちょっと気になるところですけれども、再度、こういった地域振興策なり農業振興策について、今、具体的にどういった取り組みをしているのかというところをもう一回御説明願いたいと思います。
黒野参考人 繰り返しになるかもしれませんが、この法案をつくる段階におきまして、ことしの二月二十八日に、新東京国際空港公団民営化に関する覚書というものを地域の方々と交わしました。
 その中に、農業につきましてもかなり詳しく書いてございまして、例えば、多機能型農業公園事業への協力とか、あるいは里山の整備、また、農業基盤整備への助成、そういうことが載っておりまして、従来もやっておりましたが、引き続き、この覚書に基づき、我々としては、やるべきことはやるという覚悟でございます。
 ただ、なかなか地域全体の意見がまとまるのも難しい。その辺もありますから、我々の方だけでリーダーシップをとるわけにもいかないということで、これからも連携をとりながらやりますが、全体としてどうやってレベルアップを図り、実現していくかということだと思っております。
一川委員 お話はそういうことになるんでしょうけれども、具体的に、現場で物事が着実に前進するように、ぜひ、今まで長年いろいろなことで取り組んでこられたと思いますけれども、現実問題、いろいろな課題が残されてきておるということは、関係者のまだ努力する分野が残されているのではないかという感じもいたします。また、そういったお金で物事を処理するというだけのことで対応する分野は簡単でございますけれども、相手の気持ちをほぐしながら、それをしっかりと理解していただくということでは、やはり誠心誠意そういう態度を見せるということも大変重要なことでございますので、その点に対してしっかりとした御努力をお願い申し上げたいな、そのように思っております。
 そこで、私もこれで最後にしたいと思いますけれども、大臣の方に。
 先ほど来いろいろと議論されておる中に、ちょうど昨年の今ごろのこの国土交通委員会で同じような質問をさせていただいたわけですけれども、暫定平行滑走路供用開始の式典が四月にあったんですか、それを終えた後のちょうどこの国土交通委員会でございまして、大臣も先ほどの答弁にあったように、式典の現地に行かれる途中で反対派の代表の方に電話を入れて、あいさつをしようということでの連絡を入れられたということのお話の報告も当時ございました。
 それは、やはり基本的には、扇大臣というキャラクターといいますか、そういう面では、普通、平凡な男性の大臣にはまねのできないことだなという感じもいたしますし、非常に気配りが行き届いた面があったなというふうに私はそれなりに評価いたしております。
 それをもう一歩前進して、今千葉県の知事さんも女性の方でございますけれども、お互いにそのあたりをもっとしっかりと連携をとる中で、来年度から本当に本格的に、まだ本格的な民営化じゃないですけれども、特殊会社として民営化に移行するということであれば、それまでの間、大臣と知事が先頭に立って、反対派と称する皆さん方と本当に親身になって何か話し合う場を私はもう一回設けてほしいなというふうに思っております。
 大臣も、昨年のこのやりとりの中では、そういう出番があれば誠心誠意努力したいというような答弁もおっしゃっておりました。
 私は、先ほども触れましたように、この航空問題というのは、成田問題というのは、我が国の歴史に残るような、そういういろいろな経過があったというふうに思いますが、節目節目でやはりそういうふうにしっかりとした決断で行動に移されておれば、またいろいろな局面も出てきたんだろうと思いますし、これからも出るのではないかというふうに思いますので、ぜひ大臣にはそういうお気持ちで、特殊会社に移行するまでに、何とか新しいそういう局面を切り開くために最大限の御努力をお願いしたいなというふうに思いますけれども、そのあたり、大臣の御決意の方をお聞きしたいな、そのように思います。
扇国務大臣 一川議員が言ってくださるのもありがたいお話なんですけれども、私は、あえて今おっしゃいましたので名前を出させていただければ、島村さんとおっしゃいます、その電話番号を聞きまして、島村さんにお電話をさせていただきました。できればお玄関で、きょうは成田に来ました、暫定ですけれども滑走路を開港しますので、島村さんには今まで以上に騒音等々御迷惑をかけると思いますということをごあいさつしたかったというのが本音でございます。
 けれども、その後、私は島村さんにお電話もいたしておりませんし、向こうからもかかってきません、もっとも私の電話番号を留守番電話に入れませんでしたけれども。
 ただ、私は、今ここに総裁いらっしゃいますけれども、総裁就任の辞令を渡すときには、懇々と二本目の滑走路の完成も努力してくださいとお願いしました。それと、今までの経緯で、二十五年間、四半世紀かかったと今おっしゃいましたけれども、あらゆる国会議員、歴代の大臣等々で、皆さん努力なさいました。けれども、それが今日暫定であるということは、私は、今までの皆さんの努力というものを多としながら、なおかつ、私でお役に立つならばということも申してあります。
 そういう意味では、地元の皆さん、今回も、この法案で成田国際空港という、成田という名前をつけるというのも、今総裁がいらしていますけれども、地元の皆さんのこれは要望なんですね、成田というネーミング。
 ですから、これも、地元の皆さんの要望で成田という名前を入れるということは、成田の皆さんにとっても大変責任が重くなるという意味でございますので、私は、今までの経緯と、今まで努力していった多くの方々の努力を多としながら、また総裁は総裁なりに就任以来努力していらっしゃいますので、いつでも出番があれば言っていただければ、もう少し待ってください、もう少し努力しますというお話でございますので、今、一川議員がおっしゃったように、私が在任中に私でお役に立つことであれば、いつでも、お役に立てる場があればお役に立ちたいと思って、一日も早い国際空港としての一人前の姿になることを念じております。
一川委員 そういう大臣のお気持ちでございますので、ぜひ総裁も大臣の出番をつくってあげていただいた方がよろしいのではないか、本当にこういうものは人の気持ちの問題でございますから。
 これまで、本当に何十年間もお互いに自分たちの言いたいことをそれなりに言いながら、やはりお互いの立場もありましょうから、いろいろなことがあったと思いますけれども、反省するところはお互いに反省し、そして、どっちかといえば国サイドが反省すべきだと思いますけれども、そういう観点に立って、扇大臣の在任中にまた新たな局面が展開できるような、そういう場をぜひ総裁の方に設けていただけるように最大限の御努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。ありがとうございました。
河合委員長 この際、休憩いたします。
    午後零時二十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十六分開議
河合委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 今回、いわゆる特殊法人の整理合理化の一環として、新東京国際空港公団が特殊会社化される、こういう法案が提出をされました。法案提出の背景などを見ましても、また、きょうのこれまでの議論などを聞いておりましても、今、一体なぜ特殊会社化なのかということがもう一つはっきり見えてこないというのが率直な感想であります。
 大臣の午前中の答弁にもありましたように、当初は三つのハブ空港の上下分離などの話も出て、それは短期間に白紙状態になって、今度は成田の特殊会社化ということなわけですけれども、きょうからその審議に入ったわけであります。
 上下分離会社については、先ほど大臣の思い入れを込めた御答弁もありましたけれども、今回、こういう空港公団の特殊会社化が、日本を代表するこういう国際空港として、成田空港について、特に私は利用者及び住民、さらには航空会社、これらにとって今回の特殊会社化がどういうメリットがあるのか、簡潔にまずお聞かせいただきたいと思います。
扇国務大臣 午前中からも審議が続いております。また、きょうは公団の総裁も先ほどからお見えになっておりまして、論議を大森議員もお聞きいただいたと思いますけれども、公団が特殊会社になることによりまして、今までもそうでございますけれども、より以上に自立的な経営というものが確立される。そして、そのために、先ほどから総裁もお答えになりましたけれども、コスト意識、コストダウンを図ろうということとか、あるいはサービス向上、これは国鉄の民営化のときにも証明済みでございますけれども、サービスの向上を、国際空港だからよりサービスを図らなければいけないということで、サービスに対する職員の意識ということも先ほど総裁の口からもおっしゃっておりました。
 そういうものがより一層、今のような役人的な態度ではなくて、よりお客に喜ばれる、また適切な、そしてあっちの窓口へ行ったりこっちの窓口へ行ったりというよりも、ワンストップサービスというものも成田空港自体の中で行われるであろう。しかもこれを、少なくとも特殊会社になることによりまして、経営に対するいわゆる規制を緩和して、なおかつ、彼らが自由に、自分たちの裁量で、より効率的な、より規制のない、規制のないと言うと変、ある程度規制を緩和されて、緩やかな発想のもとに、民間の発想を取り入れるような政策が空港自体にも生まれてくるのであろう。
 そういうふうに考えておりまして、今回のこの特殊会社化というのは多くのメリットを持っていると私は思いますし、先ほどからも着陸料の利用負担の高さということも議題になりましたけれども、そういうことも民間になればなるほど、より着陸料の軽減ということも考えて、利便性を図るということへの意識が働くと思いますので、今後、それらを私たちも、また委員の皆さん方にも見守っていただき、よりこれが図られるように努力するということを、先ほどの総裁の話も聞きながら、我々もそれを見守っていきたいと思っております。
大森委員 今回の法案との関係で申し上げますれば、特殊会社化するけれども、空港の設置管理あるいは事業の範囲、国の監督、地元対策というのは、基本的にそれは変わらないわけですね。法律事項ではありませんけれども、出資金の返還、こういう面は大きな変化があるわけでありますけれども、成田が抱えているさまざまな、きょうも議論があった、環境上、騒音の問題、あるいは滑走路等の新たな問題等々、では、これが一体具体的にどうなっていくのかという点をお聞きしたいと思うんです。
 騒音問題、環境上の問題、これは後ほど詳しくお聞きするとして、今もお話がありました空港使用料あるいは着陸料、これがどういうぐあいに改善をされるのか。あるいは、これは大臣からもお話がありましたけれども、空港内のレストラン、これは成田に限りませんけれども、相当高い。私自身もその都度実感をしておりますけれども、そういう料金の問題も含めて、これらを具体的にどう改善されていくのか、その方向とプログラムをぜひこれは示していただきたいと思うんです。
洞政府参考人 空港公団の民営化は、経営の効率化を促して、利用者負担の軽減などの利用者利便の向上が図られるということを目指すものでございます。
 そういうことで、コスト意識に目覚め、そして徹底的なコストダウン、あるいは投資の峻別化等々をやって、全体の会社の経営の効率化を図ることによりまして、それを通じて着陸料等やあるいはテナント賃料とか、そういったものに還元されていくということが期待されているわけでございます。
 そういう意味で、今具体的にいついつからということを、具体的なスケジュールを申し述べるわけにはいきませんが、それをなくしてはこの民営化というものは意味がないわけでございますので、その辺のところがしっかり図られていくよう、行政としても空港会社をしっかり指導してまいりたいと考えております。
大森委員 海外からの観光客の誘致という点は、これは大臣もたびたび強調されていることであると思うんですが、今、こういう利用客に直接かかわる使用料、あるいはかかわってくる着陸料等について、もうちょっと具体的にその改善の方向、これは、海外からの観光客を本当にふやしていく、増加を図るということとの関係でも大変重要だと思うんですね。方向としては、当然それは負担を減らしていくという方向であるとしても、具体的にもうちょっとプログラムとしてそれを示すべきではないかという点が一点ですね。
 それからもう一つは、関連して、これは特殊会社といっても、空港の持つ特殊性から、例えばオーストラリアでは外資規制が一定やられているということを聞いておりますし、ヒースロー空港についても、政府が黄金株を保有しているということも聞いております。こうした対応については、成田空港についてはどうなっていくか。あわせて二点お聞きをしたいと思います。
洞政府参考人 まず、後段の御質問の方からお答え申し上げます。
 外資規制を設けるか否かについては、そのような規制を設けなければ解決できないような公益上の必要性があるかどうかという観点から、慎重に検討していく必要があると考えております。
 この空港会社、成田空港株式会社に関しましては、各営業年度ごとに事業計画に関する認可でありますとか、重要な財産を譲渡する場合の認可を義務づけておりますほか、条文そのものは、もう先生御存じのとおり、必要に応じて国が業務に関して監督上必要な命令を発することができるようにすることなど、空港会社法によりまして広範な規制が適用されておりまして、これによって、先ほどお話が出ました黄金株というようなものによって、例えば重要な財産の売却等を規制できるようにするとかいう効果というのは、別途この法律によってきちんと担保されているということ等によって、適切な業務運営が確保できるということから、外資規制については、今回の改正案の中には入っていません。
 また、同様の考え方からして、既に特殊会社化されております関西空港株式会社についても、また、民間会社でございます中部空港株式会社についても、このような外資規制というのは今行われてございません。
 それから、着陸料の具体的な引き下げのスケジュールを示すべきではないかということでございますが、今の時点でいついつから下げるということをスケジュール的に明らかにすることはできませんが、正直申し上げまして、成田の着陸料というのは、着陸料自体としては非常に、世界で最もトップクラスのレベルにございまして、IATA等関係の諸国からもその辺の引き下げについて強い要請を受け、いろいろ交渉等もされているところでございます。
 そういう中にあって、今後、民営化をされていくというようなスケジュールが明らかになっているわけでございますから、新しく株式を公開するに当たっても、この辺の収入の見通し等がどういうふうになっていくのか等々については、ある程度のレベルの段階で明らかにしていかないと、投資家の信頼を得るということはなかなか難しいんじゃなかろうかと思います。
 今後の経営の動向等を十分なお慎重に見きわめながら、その辺のスケジュール等も順次明らかにされるものと考えております。
大森委員 次に、空港の整備についての今後の展望という点でありますけれども、我が国の空港施設の整備の原則は、第一種空港は国が設置し管理するのが基本になっております。基本施設である滑走路、誘導路、エプロン、これも国の責任。現在運用中の空港では、成田が公団、関空は関空会社という例外的な形になっております。
 これまで、いろいろ説明の中でも、民営化の事例としてロンドンやオーストラリアの事例が出されておりますけれども、多くの国々では国や自治体あるいは公団などが経営主体である。そういう点で、問題を抱えた、これはもういろいろきょうの議論の中でも指摘をされております、そういう問題を抱えたまま民営化するという点は、やはりこれはどうしてもいろいろな疑問が出てこざるを得ないと思います。
 成田の特殊性の最たるものが、この間の空港の計画、整備の過程での歴史的なさまざまな経過、問題点があるわけでありますけれども、開港して二十五年たつのに、これは大臣も口をきわめて指摘をされたように、B滑走路も正式に供用されていない、横風滑走路に至っては、これは白紙状態、めども全くないような状況であります。
 こういう問題、本当に大きな問題を抱えたまま、民営化の方向に特殊会社化していくということで、本当に、では、これからの整備は進むだろうかという不安を多くの方が持たれるのは当然ではないかと私は思いますが、この点はどうでしょうか。
洞政府参考人 大臣がたびたび力説されておりますとおり、成田空港は、我が国を代表する国際拠点空港でございまして、その整備については最終的には国が責任を負う、負わなければならないということでございます。
 そういうことで、今回、特殊会社化されました後におきましても、二千五百メーター滑走路などの空港施設の整備が着実に行われるよう、本法案においては、国が定める基本計画に適合した空港整備を会社に義務づけることとするほか、最終的には国が会社の業務について監督命令を発することができるようにしてこれを担保してございます。
 また、国が空港会社に対して無利子貸し付け等の所要の財政支援を行えるようにするなどの財政的な措置も講じているところでございまして、何といっても、民営化するに当たっても、この二千五百メーターの施設の完成のめどがちゃんと立っているということでないと、繰り返しになりますけれども、会社としては、空港としては不完全なものであり、投資家の信頼を得るという意味においてもこの二千五百メーター化というものが最大の前提になると考えております。
大森委員 私は、御答弁などを伺っているうちに、やはり特殊法人の整理合理化計画と、こういう政府全体の特殊法人、一般化した方針が出されて、先にとにかく改革ありきと、ああいうことで、こうした整備の問題、あるいは環境の問題含めて、本当に十分検討して、こういう方向、特殊会社化の方向が出されたかどうか、こういう点、やはり今なお疑問が残るところであります。
 具体的に、次に騒音、環境問題等についてお聞きをしたいと思うんですが、私も先般、成田空港へお邪魔して、いろいろ、当局にも、それから関係周辺の住民の皆さんのお話も伺ってまいりました。
 周辺自治体や住民の皆さんは、やはり強い、大きな不安を抱えておられます。例えば、B滑走路直下にお住まいの方を初め、関係の方に伺いましたけれども、従来どおり、騒音対策をきちんとやってくれるだろうか、この辺が一番皆さんの不安と疑問の集中しているところでありました。
 今、空港の騒音対策としては、全国の空港一般については、公共飛行場周辺における航空機騒音による障害の防止に関する法律、いわゆる騒防法、これによって対策が講じられております。
 この法律に基づく特定飛行場が、大阪国際空港、福岡空港など、十空港あります。成田もその一つでありますけれども、空港周辺対策は空港公団が行う。これまで、通常は国が行っている対策を公団ということで、国並みに取り扱われてきたわけですね。関空の場合には、これは海上空港ということで特定飛行場ではない。したがって、会社が空港周辺騒音、環境対策を行っているわけではありませんから、こういう会社が行っていくということでは、成田が初めてのケースになるわけですね。
 だから、そういうことも、推進する、したいという、担う体制という面からも、不安があるわけなんですけれども、特殊会社化されても、この点は同様の扱いで、新会社になっても従来どおり騒音対策については力を入れてやっていくんだということは当然のことだと思うんですが、この一番基本的なことをまず確認しておきたいと思います。
扇国務大臣 今、大森議員がおっしゃった、きょうも朝から議論がされておりますけれども、空港の存続の可否というのは、地域の皆さんとの共生、それが一番私は大きな問題点であったと思います。
 先ほどからも、成田空港の生い立ちを言われておりまして、私は、先ほども最初にボタンのかけ違いということを申し上げましたけれども、それも地元の皆さんとの共生というものが図られなかったというところからボタンのかけ違いが始まったんだろう、そう推察いたしております。
 そういう意味では、現に、今国際空港として、日本の玄関口だということで、成田の位置づけがされておりますので、今回、特殊会社化されましても、より民営化されたら、民営化に至っては、特にお役所という観念がなくなって、地元の皆さん方ももっと話しいい、気楽にしゃべれる相手にならなければ、私は将来はないと思っております。今回、成田空港株式会社というふうに目指しておりますので、今回はとりあえずは特殊会社化されますけれども、その経営形態、そして地元との共生、そして環境対策、騒音防止、これらは今まで以上により近い距離で話し合える位置になるのではないか、そのことも私は大いに期待しております。
 また、それでなければ、成田空港株式会社の将来はないと言っても過言ではない。まして、これは内陸にあるわけでございますから、その立地条件から考えても、地元との話し合いと、地元の共存共栄、お互いに利用し、なおかつ、自分たちの成田という看板をつける国際空港であるという誇りも持っていただくためには、より近い距離で話し合える環境というものを整えるということが私は一番大事なことだと思っていますので、今まで以上に、そういう点では配慮されると思っております。
大森委員 話し合いの近さが今まで以上、配慮についても今まで以上、対策についてもこれまでの水準を超える、そういう対策をとるよう、これはぜひ努力をすべきだと思うわけなんですが、現在の到達点はどうかということでありますけれども、空港の騒音は、低騒音機の導入が進んだものの、これは千葉県が調査をやっております。各調査地点を固定して、騒音の調査地点、やっておりますけれども、これは十二年度、六十六カ所中、航空機騒音に係る基準を達成しているところはわずか三一・八%にすぎないわけですね。
 これは、御存じのように、昭和四十八年、十年の範囲でこれを達成するということで、昭和五十八年十二月二十七日までに達成するその環境基準が、達成されているところは六十六カ所中三一・八%にすぎないという状況なわけですね。十八年たっても三割しか達成されていないというのが実情になっているわけです。
 私、今大臣から、これまで以上の体制とお話がありましたけれども、先般、公団に伺った際には、今以上のことはできないともとりかねないような、そういう御説明もあったわけですね。ですから、基準の達成、これをどう見るかということはありますけれども、少なくとも環境基準、これをきちんと達成していく、基準が達成する見込みは一体、今は三一%、これは年によって若干の上下はありますけれども、いずれにしても、今そういう状況であるわけです。
 ですからこれを、では、環境基準、十年以内に、昭和四十八年に達成するといった、それを一体どうするのか。そういう見込みも含めて、特殊会社化する中で、ここらの問題は具体的にどうするのか、これはお聞きしておきたいと思います。
洞政府参考人 成田空港につきましては、多くの農民の方々から貴重な土地の提供を受けると同時に、さまざまな犠牲を伴いながら建設が進められてきたという過去の経緯を踏まえまして、また、内陸空港であることに起因する騒音問題等の環境問題の大きさに配慮して、これまで行ってきたさまざまな取り組みが引き続き確実に実施されることが必要であると考えておりますし、環境基準の達成に向けて、引き続き、きめ細かな騒音対策、環境対策、共生策等を行っていく必要があると思います。
 地元の住民の方々から見ると、公団から会社に変わって、その辺の対策はなおざりになるんじゃないか、そういう不安感が強い、不安の気持ちがあるというふうに聞いております。
 このため、国、空港公団では、空港公団の民営化に当たっての環境対策、共生策のあり方につきまして、千葉県を初めとします関係の自治体とたび重なる協議を行ってまいりまして、環境対策、共生策等につきまして、今後とも相互に協力して対応していくことを確認すると同時に、八十項目を超える地元からの細かな要望事項について、今後とも誠実に対応していくということを覚書という形で約束したところでございます。
 引き続ききちっとやっていくもの、今後この取り扱いをどうするかということを協議していくもの、関係者が共同してほかの関係者に働きかけていく事項等々、八十項目にわたってきちっと整理を行いました。
 この法案におきましても、また、環境対策、共生策の適切かつ確実な実施を確保するための措置を明確に規定しているところでございまして、今後とも、地域と共生する空港というものを理念として、環境対策、共生策の適切かつ確実な実施に努めてまいります。
大森委員 平行暫定滑走路を供用開始されたわけですが、この騒音問題が新たにクローズアップされてきております。
 私も先般、この暫定滑走路の直下の民家にお邪魔して、防音工事のやっている部屋にも入ってまいりましたが、相当これはやはりうるさい。
 成田空港から郷土とくらしを守る会というのが、この暫定平行滑走路飛行コース直下南側の芝山町というところと飛行コース東側の多古町の調査をしまして、アンケート調査を発表しております。
 これによれば、直下地域では八〇%の住民がうるさいと感じている。睡眠についても六五%が影響があるとされております。そのほか、騒音による会話の中断、テレビや電話の音や声の聞き取りに障害があると言っております。こういう実態を、やはり去年の四月、約一年余り、既に供用開始、暫定供用をやられているわけでありますけれども、きちんと再認識する必要があるのではないかということが一つ。
 それから、今いろいろ局長からお話がありましたけれども、まだまだ御答弁が抽象的なわけですね。
 新東京国際空港公団民営化に関する覚書、四者の覚書がことし二月二十八日に行われました。この中で、これらの対策を継続遵守するとるる述べられておりますけれども、今後の課題等については、ほとんどが今後の協議に先送りされているわけですね。
 今、先ほど申し上げました環境基準の達成を、では、一体いつまでに達成するのか、こういう大きな経営形態の変更という法案が出されたこういう時期にこそ、その具体的な展望をきちんと明らかにすべきではないかと思うんですね。
 抽象的に一般的な努力じゃない、この環境基準についても、どういう立場でいつまでにどうするのかという具体的な展望を出すべきではないかと思いますが、先ほどの平行滑走路の騒音の問題とあわせてお答えいただけますか。
扇国務大臣 今、たまたま大森議員が四者のお話をなさいました。この四者の合意事項、これは私は大変大きな重みがあると思いますね。
 それで、あえてこれは国会でございますのできちんと申し上げておきたいと思いますけれども、これは、千葉県の堂本知事、それから自治連絡協議会の皆さん方、例えば成田市長、富里市長、大栄町長、多古町長、そして下総町長、芝山の町長さん、そして横芝の町長さん、松尾町長、そして蓮沼村長さんと、そして先ほど出席しておりました黒野総裁と、そして当局からは洞局長が出ておりまして……(大森委員「あります」と呼ぶ)お持ちになっていますか、それなら結構ですけれども。
 私は、この中で明記してあります一番最後のページ、読むと時間がかかりますからやめますけれども、今お持ちでしたら、この二枚目の五番というところに、現在の環境対策、共生策というものについてということで、公団の規定に基づいて実施されている、今般の民営化のための法案においては、環境対策、共生策を事業の範囲として現行以上に明確かつ詳細に定める、こうなっております。
 そういう意味では、私は、この協議の重さというものは、これだけの十の市長、町長さんがお立ち会いになっているわけでございますから、まして、この皆さんの御要望で成田という名前を入れてくれということで、私もそれでいいだろう、皆さんの御要望であればということでこれが成っておりますので、ぜひ、私は、そこまで言っていただければこれ以上の覚書の明快なものはないということを大森議員にも御認識賜って、私たちが口でこうしますと言うよりも、この覚書に明記してあることの方がよほど重みがあるというふうにおとりいただければいいと思います。
大森委員 もちろん、この四者の協議というのはそれなりの一定の意義も当然あるものと思いますし、そこで確定したものについては、当然それは実行していただく。しかし、同時に先送りされている問題もあるわけでありますから、その点を明確にするということとあわせて、例えば、今の、常にこういう問題は具体的でなくてはなりませんから、航空局長、環境基準の達成について具体的にどういう決意で臨まれるのか、そこら、もしありましたらお答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 これは必然的にといいますか、自然の成り行きもかなりあるんですね。
 成り行きというのは何か。飛行機がだんだん、日進月歩でございまして、飛行機自体の騒音が本当に出なくなるような新たな装置がつけられ、新たな機械が開発され、そして、極端に言いますれば、滑走する距離がなるべく、直角というのはヘリコプターじゃないんですからオーバーですけれども、飛び立つ角度をなるべく早急に高度に飛び上がるということも飛行機の発達とともに今できております。
 そういう意味では、私も時々成田へ行って音を聞いておりますけれども、私は東京都内に住んでおりますけれども、都内で取材のヘリコプターがブンブン、私は明治神宮の近くなものですから、もうデモがあったり何かするたびにヘリコプターが来るんですけれども、その音の方が私は成田に行ったときよりもヘリコプターの方がうるさいというんですね、これはまあ全然関係ないことですけれども。
 ヘリコプター自身の騒音はまだうるさいんですけれども、国際便というのは本当に騒音が低くなり、なお滑走路が低空じゃなくて、なるべく早く飛び上がる装置というものが工夫されて、日進月歩で飛行機自体にも騒音の低下ということが図られてきたということも、これも私は歴史だろうと思います。そういう意味では、この四者の中で、今どの程度、数字でもって示せといえば局長が答えますけれども、そのこともぜひ御理解をいただきたいと思います。
大森委員 時間が参りましたので、きょう実は、環境省にも来ていただきまして、W値の問題を含めてお聞きする予定でありましたけれども、時間が終わりました。お越しいただきながら質問できなくて、大変申しわけなく思います。
 もう終わりますけれども、またこれは別途お聞きするとして、具体的な、どうしても要望しておいてほしいという問題がありました、谷間地域の問題、谷間地域を第一種区域にしてほしい。ことし三月の、これは成田の市騒音対策委員会、成田市議会議長からも第一種区域を谷間地域に拡大してほしい、こういうような要望も出されておりました。
 この点についてだけお聞きして、私の質問を終わりたいと思います。
洞政府参考人 お答えを用意しておりませんけれども、そういう申し出があったということでありますならば、中身をよく吟味して検討したいと思います。
大森委員 終わります。
河合委員長 原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。
 本日は、本当に貴重な質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
 それでは、まず冒頭に大臣に、これは民営化の大きな意味での御質問を一つさせていただきたいと思います。
 成田空港が民営化されると、国際競争力のある自立的な運営ができ、利用者の利便を向上させることができるということを言われておられますが、民営化された場合のメリット、デメリットというものをまず教えていただければと思います。
扇国務大臣 原議員も午前中から、総裁がお出ましになって、民営化された場合にはこうなる、自分たちはこうするということを総裁自身の口からお聞きになったと思います。私は、それがすべてだと思います。
 彼らの意識というものが、彼らというのは公団、今の公団でございます、総裁がおっしゃったように、自分たちも含めた職員の意識というものがまず変わってきた。そういう意味では、私はこれは大変なメリットだと思います。
 もともとそうあるべきだったんですけれども、どうしても親方日の丸的な、そういう意味では、総裁がおっしゃったように、自分たちの意識自体ももう既にここで御答弁に立たれたように変わってきた、また職員自体ももう変わりつつある。認識をまた自覚して責任の重さを感じているということが、私は本当に、今までもそうでなきゃいけなかったんですけれども、こういう事態になって改めて意識改革が起こってきたということ自体が大変なメリットだと思っております。また、そうでなければ、これは特殊法人を民営化するということも、私は意味がないと思います。
 そういう意味では、まず民営化というものが先にある、その途上で、今お話が出ておりますように、成田という名前をつけたと私申し上げました。これも、今回は新東京国際空港公団を解散して、成田国際空港株式会社というんですから、成田という名前をつけるということによって、先ほども大森議員に申し上げましたけれども、地元の十の市長さん、町長さんも意識が変わってきた。成田という名前がついたら、自分たちにも責任がある、そういう地元の共存共栄という意味でも、地元の認識もまた変わってきたということも大きなことだろうと思います。
 また、民営化に向かって、先ほどから言われております、世界一高いと言われる九十万を超えるこの着陸料というものも国際的に少しでも自分たちで安くしよう、そういう努力もうんと働く。それは責任感が伴うということで働くわけでございますので、そういう意味では、私は大変大きなメリットがあると思っております。
 ただ、私は、デメリットと心配しましたことは、何かがあった、危機管理、そういうときには、民営化で、民営化になって、少なくとも自分たちは民間なんだから国に指図されることはないよというようなときには、危機管理という面では大変不安が残るというので、その点をきちんと国と、新たな民営化、株式会社になります成田国際株式会社に対してもきちんと連携をとっていこう、そういう危機管理の不安をないようにしようと思っているのが、一番大きなデメリットといいますか、要注意事項だと私は思っています。
原委員 ありがとうございます。
 つまり、民営化されるということは、もうけ主義ということになってくると思うんです。大臣も先ほど言われた危機管理のところの心配という話で、もう二、三点私が心配している事項があるので、それについてもちょっとお伺いしたいんです。
 つまり、もうけ主義というものが優先されてしまうと、超過密な運航や環境破壊、空港関係労働者のリストラによる労働強化と、安全点検の合理化による安全軽視につながるのではないかというような不安の声も聞かれたりしていますので、こうした心配につながることはないのかどうかということを大臣にお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 原議員も飛行機にお乗りになるのでお感じになると思いますけれども、空港行政で一番大事なことは安全性でございます。ですから、今、原議員がおっしゃるように、利益を求める、そのために過密になり、そして安全性が脅かされる、これは一番信用を落とすことです。これでは国際空港たり得るものが、まず第一資格失格でございます。そういう意味では、空港行政の第一要諦は安全性である、しかも信用性である。そのためには、今おっしゃった利益誘導型ということで、ただ利益の追求のために安全性を第二次的なものにするということはまず成田の信用を落とす、それでは自分で自分の首をくくるようなものであると私は言えると思います。
 ただ、そういう意味では、先ほど申しましたように、今回の法案によりましても書いてありますように、事業計画の認可でありますとか、あるいは空港株式会社に対する監督命令等、あらゆるものに対しましての規制をある程度設けているのは、これはもう国際的なものとしてやむを得ない事態だと思っていますので、この規制というもの。また、空港株式会社が安全性の確保を、少なくとも適切な安全性を図った運用をしていく、そういうことに対しては、最低限、しかも安全性の面では最大限の指導監督を我々も今後していこうと思っておりますので、今おっしゃった御心配は当たらないと思っております。
原委員 もちろん、安全性、信頼性というものは一番大切なところだと思っていますし、これからやはり国際化の中で、国際的にもこれからの空港整備というものは、大臣も力を入れて午前中からの答弁でもおっしゃっているように、私も大切なところというか重要なことになってくると思います。
 こうした国際競争の強化や、あと安全性とか信頼性というものが非常に高く求められているというのであれば、そうした空港政策の中で、本当に民営化というものがふさわしいのかということをちょっと思っていて、国際競争力とか安全性とか信用性ということであれば、逆に、国がみずから整備をしていくという方法も今までどおりあるのではないかと思うのですが、この点、本当に民営化がこれからの日本の国の航空政策としてふさわしいのかどうかということを大臣に質問させていただきたいと思います。
扇国務大臣 今でも私はかなり努力しているとは思っておりますけれども、やはりどこかに親方日の丸的な意識がなきにしもあらずというのは、何かありますときに連携の悪さ、そういうものも私はあろうと思います。
 そして、成田へいらしたらよくおわかりになりますように、どこで何を聞いたらいいのか、インフォメーションと書いてありますけれども、インフォメーションに行くまでが既にわからない、そういうこともあるわけですね。ですから、そういうことでは、民営化されたら、国鉄が民営化されてうんと親切になったり、うんとわかりやすくなったのと同じように、特に国際空港ですから、いろいろな言語をしゃべる人があります。けれども、それが今回は民営化されることによって、民間の能力、民間のノウハウ、そういうものを取り入れたより利便性の高い空港になることによって、私は、利用者へのサービスというものがうんと今まで以上に向上するであろう、そう思います。
 それともう一つは、経営の合理化、これは民間に近づくということで、民間は今、世の中、御存じのとおり、原議員の同期生もきっとリストラに遭う人も就職できない人もいらっしゃると思います。そういう意味では、世間の、民間のリストラ等々経営の厳しさ、そういうものにさらされるわけですから、よりコストダウンを図って経営の合理化を図ろうということを、私はみずからするんではないかと思います。
 そういう意味で、自動的にコストダウンを図ったり、また経営の合理化とともに明確化、これが世間にはっきりと目に見えるようになる、それは私は大きなことだと思っていますので、ぜひこの利用者のサービスの向上、経営の合理化と経営の明確化、こういうものが明らかにされるということで、今回の法案でも、ただ、一点、先ほど申しましたように、事業計画の認可とかあるいは空港会社に対する監督命令、そういうものだけはある程度国が責任を果たさなきゃいけないということで、経営の効率化に対しても、利用者の負担軽減を含みます利便性の向上が図られるなど、民営化のメリットを入れながらも、安全性と産業に対する指導というもの。
 なぜかといいますと、CIQ一つとってみても、成田空港そのもの自体が民営化されても、CIQなんかはみんな各省庁が出張っていますね。そういう意味で、CIQなんかはみんな連携していかなきゃいけません。空港自体は民営化されても、その中で行うCIQ一つとってみても省庁が出張っておりますので、そういう意味では、より連携をとって、今申しました効率化あるいはサービス、そして経営の明確化、そういうものがより鮮明になってくると思っています。
原委員 ありがとうございます。
 サービスの向上ということだったんですが、今回、経営の効率化に役立つ新たなサービスも幅広くできるようにしたいということで、例えば、役立つ新たなサービスというものは、具体的にどのような事業を今のところお考えになられているか、御答弁をお願いします。
扇国務大臣 これは、私が答えるのはおこがましいと思いまして、さっきいらしておりました公団の総裁がどういう計画を持っていらっしゃるかというのを、私が自分の要望で、こういうふうにしてほしいと言うことは、きっとおこがましいことなんだろう。私よりも、もっと大きな意味での民営化、民間の活力というものを入れるべきだと思います。
 例えば、私からの要望として、飛行機に乗らなくても、成田へ行って、子供と一緒にお食事もいただいたり、夜景も見ながら飛行機の離発着を子供に見せる、子供を連れて成田に遊びに行こう、そして、夏は成田へ散歩に行って夕涼みがてら飛行機の発着を見ようというような、一般の人が飛行機に乗るためにだけ成田へ行くんじゃなくて、空港自体そのものが、私、ターミナルビルというものは、それだけの魅力があるべきだと思います。
 ただ、残念ながら、成田というのは羽田のように港が見えませんからね。内陸にありますから、見晴らしは余りいいとは思いません、ただ飛行機が離発着するだけのを見るんですから。羽田なんというのは、空港とレインボーブリッジは見える、海ほたるは見えるというので、もう本当に楽しくて、デートスポットにもなっていますけれどもね。
 みんなが、乗るだけではなくて空港に行って楽しみたい、楽しむべき施設がある、そういうような魅力ある空港になるということが、よりサービス向上に役に立つ、乗るだけの空港ではない、みんなが利用できる、楽しめる、私はそういう空港になってほしいという思いでございます。
原委員 同じ質問なんですが、これは航空局長に、具体的にどのような事業を考えているかということで、大臣の答弁以外に、何かこんな事業を考えているというものがあれば、よろしくお願いします。
洞政府参考人 新規事業の中身というのはケース・バイ・ケースであると考えてございますけれども、現時点において具体的に想定されている事業といたしましては、例えば、ターミナルビル内において売店等の直営店を経営するというようなことを具体的に考えていらっしゃるというようなことを聞いてございます。
 それで、こういう新規事業の展開を通じて非航空系収入を、先ほど総裁は今三割が非航空系収入だとおっしゃいましたが、ヨーロッパとかはこれが七割、六割にまで達しているというような状況もございまして、三割というのは余りにも低過ぎる状況でございます。だから、いろいろ多面的な知恵を工夫しながら、この非航空系収入を増大させていくということが求められているわけでございます。
原委員 ありがとうございます。ちょっと、無理なときに質問してしまったかなと思うんですが。
 そうしたメリット、新規事業のサービスをしていく中で、大臣がおっしゃっているような、夢のある空港でしたっけ、そのような運営に本当になっていけるのかどうかという疑問は一方で持ちつつ、思いは私自身も受けとめさせていただきたいと思っております。
 民営化していくとすると、先ほどもサービスの向上や経営の合理化、明確化ということがありましたが、つまり、採算というものが大きな問題になってくる、課題になってくると思っています。
 公団は空港の警備に年間百億を支払っているという報道があると思いますが、警備に百億というのは、とても巨大な額だと思っています。
 例えば、新会社となって、新会社の経営に問題が生じた場合に、会社の裁量権と、国土交通省の監督や是正についての権限というものは、どのような関係として位置づけられて対応していくのかということを答弁をお願いします。
扇国務大臣 今、空港警備に百億はすごいお金だと原議員はおっしゃいました。これは、空港の安全性のためにというか、使っている百億です。伊丹空港は、周辺整備機構で周辺に、空港に何の利益もありませんけれども、周辺の皆さん方に年間約百億払っています。それでも高いと思いますか。
洞政府参考人 今般の空港公団の民営化は、繰り返しになりますが、経営を効率化して収益を増大しようというインセンティブを持たせるなど、国際競争力のある自立的な経営主体を確立しようというものでございます。
 したがいまして、空港会社の業務運営に当たりましては、できる限りその自主性を尊重していくことが基本でございますけれども、片一方で、空港会社の業務の公共性の高さというものにかんがみますれば、空港会社の業務全般にわたって仮に不適切な業務運営があった場合には所要の改善措置を講ずることができるよう、国の意思を反映させるための仕組みとして、いろいろな事業計画の認可であるとか監督命令等の制度を設けて、その辺のところをきちっと管理監督していくという仕組みにしているところでございます。
原委員 百億という数字を出したのは、お金というのはやはり使い方によるとは思うんですけれども、例えば、民間の会社で警備に百億を出しているとなると、何か、倒産しちゃうんじゃないか、倒産しないのが倒産してしまうんではないかという疑問を持ったので、今の段階で百億使っているのが民間の新会社になった場合でも大丈夫なのかというか、本当にそれで会社として倒産しないでやっていけるのかというところの疑問があったので、先ほど御質問をさせていただいたということであります。
 最後に、附則の十条のところに書かれているもので、幾つかお伺いをしたい点があります。
 本四架橋の場合と今回の新国際空港公団の民営化では、対応が異なっていると思います。本四の方では政府が長期債務の返還を分担する。成田空港では、新会社出資を分担し、株式は全額無償で政府に譲渡されるというふうになっています。この対応の違いについての理由または背景というものを、まずお伺いをしたいと思います。
洞政府参考人 本四公団につきましては、平成十三年度の収支状況が管理費を上回る収入があるものの、利払いが非常に大きく、当期損失金が六百五十億円発生しており、損失金の累計である欠損金は、一兆一千億円に達しているということを聞いております。
 また、平成十三年度の交通量というのが、平成九年度の償還計画における計画の交通量の六八%しか達していないというようなこと等から、一刻も早く財務状況の改善を図って、ほうっておくと国民負担がどんどん膨らんでいくわけでございますから、将来における国民負担の膨張を避けるとともに、本四架橋としての自立的な経営を可能とするために、本四架橋公団の有利子債務の一部を切り離して、国の道路特定財源による早期処理を行うこととしたと聞いてございます。
 一方で、新東京国際空港公団につきましては、新会社が公団の債務をすべて承継しても自立的経営が可能でございます。ちゃんと期間内にこの借金を返済できるというめどが立っております。民営化は可能であると判断したものでございまして、本四公団の取り扱いと新東京国際空港公団の取り扱いとは、そういう意味で異なったものとなったものでございます。
原委員 それで、公団の今の長期借入の残高というものが平成十三年度末で五千七百六十六億円あるということで、これは新会社が引き受けるということで、その新しくできた会社が独自で清算していくということなのでしょうか。
洞政府参考人 十三年度末で新東京国際空港公団の長期借入残高は五千七百六十六億円でございます。これは新会社がその全額を承継して、償還していくということになります。
原委員 では、もう一問航空局長にお伺いしたいんですけれども、附則の第十条で政府が保有することになる株は、どのような判断で、いつごろをめどに上場するのか、政府出資との関係はどう理解をしていけばいいのかということを御説明お願いします。
洞政府参考人 政府出資はこれまで三千億円に上ってございます。新会社の設立に当たりましては、他の会社等の事例等々を見ながら、会社の経営状況等をにらみながら適切な資本金の額を設定する必要がございまして、その残りにつきましては、無利子貸し付けとして国庫に返納してもらう予定としてございます。
 また、株式の上場の時期につきましては、平行滑走路の二千五百メーター化の実現のめど、あるいは空港会社のその当時の経営の状況、株式市況の状況等を総合的に勘案して検討していく必要がございまして、現段階では未定でございます。
原委員 次に、政府が得る株式の売却利益というものは、国のどの会計に入って、どういう目的で支出されるかということをお伺いしたいんですが、政府が取得する株式は、政令の中で、一般会計または空港整備特別会計に帰属するとあります。
 この成田空港の場合、株式の売却で得た利益がほかの空港整備に回っていくようなことになっていくのかどうか、それとも成田空港のための利便性の向上に使われていくようになるのかどうかということをお願いします。
洞政府参考人 成田公団に対します出資は、一割が一般会計、そして九割が空港整備特別会計から出資されてございます。したがいまして、空港会社の株式は、原則的にはこの割合に応じまして、一般会計または空港整備特別会計に帰属して、株式を売却して得られる収入は、それぞれ株式が帰属していた一般会計ないし空港整備特別会計に帰属することとなります。
 空港整備特別会計に入りました収入は、これは空港整備特別会計の中で、例えば大都市圏拠点空港整備のための財源に充てられる等、それぞれの資金需要がある分野で活用されることになると考えております。
原委員 ありがとうございました。
 きょうは本当に質問の時間をいただきまして、ありがとうございます。これで終わります。
河合委員長 次回は、来る二十日火曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時二十四分散会


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