衆議院

メインへスキップ



第23号 平成15年5月21日(水曜日)

会議録本文へ
平成十五年五月二十一日(水曜日)
    午前九時二十分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      浅野 勝人君    岩崎 忠夫君
      倉田 雅年君    佐藤  勉君
      実川 幸夫君    砂田 圭佑君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西田  司君
      西野あきら君    馳   浩君
      林  幹雄君    菱田 嘉明君
      福井  照君    堀之内久男君
      松野 博一君    松宮  勲君
      松本 和那君    森田  一君
      山本 公一君    山本 幸三君
      阿久津幸彦君    井上 和雄君
      岩國 哲人君    大谷 信盛君
      奥田  建君    川内 博史君
      後藤  斎君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      長浜 博行君    伴野  豊君
      松野 頼久君    高木 陽介君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    江崎洋一郎君
      金子善次郎君    後藤 茂之君
    …………………………………
   議員           細川 律夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省自動車交通局
   長)           丸山  博君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   政府参考人
   (環境省環境管理局長)  西尾 哲茂君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   参考人
   (新東京国際空港公団総裁
   )            黒野 匡彦君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十一日
 辞任         補欠選任
  谷田 武彦君     馳   浩君
  原田 義昭君     浅野 勝人君
  菱田 嘉明君     山本 幸三君
  山本 公一君     佐藤  勉君
  岩國 哲人君     奥田  建君
  津川 祥吾君     井上 和雄君
  伴野  豊君     松野 頼久君
  二階 俊博君     金子善次郎君
同日
 辞任         補欠選任
  浅野 勝人君     原田 義昭君
  佐藤  勉君     山本 公一君
  馳   浩君     谷田 武彦君
  山本 幸三君     菱田 嘉明君
  井上 和雄君     津川 祥吾君
  奥田  建君     長浜 博行君
  松野 頼久君     伴野  豊君
  金子善次郎君     江崎洋一郎君
同日
 辞任         補欠選任
  長浜 博行君     後藤  斎君
  江崎洋一郎君     二階 俊博君
同日
 辞任         補欠選任
  後藤  斎君     岩國 哲人君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 成田国際空港株式会社法案(内閣提出第八六号)
 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)
 航空法の一部を改正する法律案(細川律夫君外一名提出、第百五十三回国会衆法第二三号)


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、成田国際空港株式会社法案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長佐藤信秋君、鉄道局長石川裕己君、自動車交通局長丸山博君、航空局長洞駿君及び環境省環境管理局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本案審査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君及び新東京国際空港公団総裁黒野匡彦君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩國哲人君。
岩國委員 おはようございます。
 民主党を代表いたしまして、成田空港の民営化の問題を中心にして質問させていただきたいと思います。
 それに先立ちまして、先日、私は、この委員会で、こうした特殊法人、それから今回次々と再編されようとする公団関係の財務諸表については、時価会計を中心にして、しっかりと民間のあるいは納税者の理解を得られるような方向で情報公開されるのかどうか。
 例えとして適切かどうかわかりませんけれども、二つの公団を一つにするときに、お互いに公団がどれだけの資産を、あるいはどれだけの黒字を、どれだけの借金を抱え、人間に例えれば、見合いだけはさせたけれども、どうも持参金つきのいいところの坊ちゃんとお嬢ちゃんだと思っておったのが、何と親の代から借金をいっぱい抱えたような、その息子と娘を結婚させる、こういうふうなことを我々の委員会でお手伝いをして、しかもその後で国民があっとびっくりする。何ということない、政略結婚というのがありますけれども、あの結婚というのは、結局、粉飾のためのカムフラージュ、偽装結婚だったんだ、赤字隠しのためにわざわざ、一緒になりたいと一言も言っていないのに無理やりに一緒にさせて、赤字をできるだけ小さく見せようとするためにやっているんじゃないか、こういう疑惑を持っているのは私ばかりではないと思います。
 そういう観点から、大変残念なことですけれども、私が質問した次の日の朝刊、名前を言えば朝日新聞と読売新聞、この二つの新聞それぞれに、道路公団についてのこういった財務諸表が既にできているかのごとく報道されております。そして、新聞記者が入手したデータによって、債務超過に道路公団がなっていると。
 道路公団が健全な資産を持ち、それから収益も順調でというふうには思えない環境にあることは大体予測はしておりました。しかし、大事なことは、大臣がそういう財務諸表はないとここではっきりとお答えになっているときに、実は国土交通省の局長さんやあるいは道路公団の総裁が、既に七カ月前から始めたその作業の輪郭の報告を受けていないということはあり得ないことなんです。
 また、国会議員が国民を代表して質問しているときに、扇大臣はあるものをないとおっしゃった、その責任は重大だと私は思います。あるいは、御自分はないと思い込んでおられても、実は監督すべき団体の中に、その作業が行われ、しかも外部にこういった情報が提供されている。大臣に情報提供する前に、外部に情報が提供されておったということについて、扇大臣、どのように思われますか。あの新聞お読みになって、ああ、なるほどなと全然驚きを感じられませんでしたか。
扇国務大臣 おはようございます。
 今、御質問中に笑って、失礼をいたしました。それは、私が先日結婚の話を例えたと同じお話をたまたま岩國議員がおっしゃいましたので、私と同じ考えでいてくださるなと思って笑いましたので、失礼をいたしましたけれども、今岩國議員がおっしゃいましたように、私も御質問いただいた翌日の朝刊を拝見いたしました。
 ただ、岩國議員御存じのように、二つの新聞が、いかにもあるように書きましたけれども、片方は六千億円の債務超過、片方は一兆円の余剰金がある、まるで違う話でございまして、その二つの記事をもってしても、いかにでたらめか。リーク合戦しているんですからしようがないでしょうけれども、私はそれを信じておりませんし、まず、この間、私は岩國議員にはっきりと申し上げました。
 昨年の十二月に民営化推進委員会から意見書が提出されました。その意見書をお読みいただいたらわかりますけれども、たしか二十一ページからだと思いますけれども、移行する間にするべきことという項がございます。そして、二十二ページの冒頭に、財務諸表は九月をもって、来年ですね、来年というのはことしのことですけれども、九月にというふうに明記してあります。ですから、民営化推進委員会は昨年の意見書の中で、二十二ページに、確実に財務諸表はことしの九月で出すようにというふうに明記してあります。
 けれども、その意見書を私は総理からいただいて、これでは困ると。九月では十六年度の予算編成にも間に合いませんし、そして、十六年度の通常国会に意見書を尊重しながらこれを法律にしろとまで私は総理に命令されているわけです。その御下命どおりにしようと思ったら九月ではとても間に合わないということで、きょう、後で総裁にお聞きいただいたらわかりますけれども、九月では間に合わないからこれは通常国会、今国会です、この国会中に、国会にも提出できるような、提出というのは公表ですよ、公表できるように前倒しをして、大ざっぱでもいい、五月中に大体出して、六月の国会閉会までには確実なものを私に提出するようにということを公団の皆さん方、道路局長も通じてみんなに下命してあります。
 そして今、岩國議員がおっしゃいましたけれども、実は日本道路公団、例えば例を挙げますと財務諸表検討委員会というものを公団内につくっております。そして、委員長は加古宜士早稲田大学教授、この方が委員長になって、担当職員百五十名、そしてアウトソーシングにも出して、学識経験者とか公認会計士などの意見を聞いて、今作業中でございます。
 その作業途中の議事録を民営化推進委員会が提出しろということを言っているという話を私聞きまして、実は民営化推進委員会の意見書には九月でいいと書いてあるのを、私がわざわざ前倒しにして通常国会で国会に公表できるようにしなさいと言っているものを、私を越えて、どうして民営化推進委員会が九月でいいと言っているのにそっちへ持っていくんですかと、なぜ議事録を請求するんですかと。
 私は、礼儀として、これだけの民間人が入っていただいて、百五十名で今つくっている最中で、結果を見るまではコメントをしない、それが委員会を尊重していることだと思います。少なくとも民間人が入っていただいて、加古先生というのは日本でも有名な公認会計士でいらっしゃいますので、その方たちの意見が、もう五月ですから、間もなく、五月中に大体のものが出てきて、この国会中に詳細な財務諸表が出る、私はこう思っております。
 岩國議員が、あなたが知らないのはとおっしゃいますけれども、知らない方がむしろ公正な判断をしていただける。公団内にこれほどの民間人で、百五十名の職員も使っての委員会ができているということ自体が、結果、私の手元に来てからどうこう言うのは私はコメントできますけれども、現段階では私はそこまで人を疑っておりませんし、これだけの専門家を私は信じておりまして、新聞のリーク合戦は一切私は信じないことにしておりますので、どうか岩國議員も、今国会中にもしも出ましたら、私の方から正式にコメントをさせていただいたり、情報開示をさせていただくつもりでおります。
岩國委員 大臣から非常に詳しく御説明をいただきましたけれども、今までの国会答弁の中でも、大臣というお立場にある方は、心ならずも真実をお述べにならないこともたびたびありました。扇大臣の場合は珍しい例外かもしれません。
 今の答弁を私は真実であると信じたいと思いますけれども、けさの新聞にまた、朝日新聞から出ておりますね。「債務超過ひた隠し」、まさにこの新聞の論調によれば、扇大臣はそのひた隠しの先頭を走っていらっしゃることになってしまうわけです、あるものをないとおっしゃっているんであれば。しかし、この新聞記者は、既に財務諸表を入手しと書いているんですね。ですから、当然これは朝日新聞に対して、ないものを入手するということはどういうことなのか、それは全く虚偽の財務諸表が入手された結果であるのか。
 道路公団の藤井総裁にもおいでいただいておりますけれども、この百五十人の人員で、そして、正確にいつから作業が開始されたのか。そして、六月十八日までにということ、国会開会中にということは六月十八日ということになるわけですけれども、国会開会中ということは、この国土交通委員会にまず提出されるべきだと私は思いますが、その点は扇大臣から後ほど御確認いただきたいと思います。
 また、そうであるならば、委員長にお願いいたしますけれども、国土交通委員会を必ず開いていただいて、あるいは閉会日の朝の新聞の記事で知るとか、あるいは我々の部屋にその書類を持ってこられて、だから開会中にお届けしたんですというようなことにならないように。実質的な意味でこの国土交通委員会に報告されて初めて、扇大臣のおっしゃった、開会中にとか、六月十八日という意味があるのは、この国土交通委員会で我々に報告がなされて初めて国会に報告されたという実が伴うんではないかと思うんです。
 この点の確認を一つと、そして藤井総裁に、百五十人のチームはいつから作業を開始し、作業を完了する、総裁への報告予定日はいつというふうに総裁の日程に入っておりますか。この二点をお願いいたします。
扇国務大臣 岩國議員のおっしゃることはそのとおりで、私はそのつもりで叱咤激励しているわけですから。それと、国会に報告前には、まず、私が前倒ししなさいと言ったので、私が手にしなければ正式な報告ではありません。
 その間、百五十名でいろいろな論議をしておりますから、そのメモをいかにマスコミの連中はとって、それを自分たちは書きたいという、その情報合戦は岩國議員もお察しのとおりでございます。けれども、途中で何と言われようと、それが正しかろうと正しくないといっても、最後に私に報告が来るまでは、私は、途中のそういう書き抜き合戦、スクープ合戦といいますか、そういうものには煩わされないで、正式なルートで正式な報告があるまでということで見守っているということだけは信じていただきたいと思います。
藤井参考人 まず、私ども道路公団につくっております委員会の状況を御説明いたします。
 財務諸表検討委員会という名前をつけております。委員長は加古宜士早稲田大学商学部教授、あと、慶応大学の黒川先生、同じく会田一雄先生、それから早稲田の商学部の川村先生、辻山先生、五人から成ります。
 九月に私ども公団の内部にプロジェクトチームをつくって、それで十月からこの委員会をつくらせていただいております。この委員会は、財務諸表をやるのにどういうことを検討して、内容として踏まえていくかというところがポイントになります。そこら辺、民間の財務諸表のつくり方について、私ども、非常にわかりませんので、その直接的な御指導をいただいたわけでございます。
 例えば、資産の価格を決めるときに、数量を把握するのにどういう区分がいいのか。それから、価格算定というのは公会計ではやっておりません。今度は民間ですから価格算定をしなきゃいけないときに、約千二百種類以上の部分に分けて全部、価格、構造物を分けて数量把握をします。土地も同じようなことです。
 そして、そういうものをもとに減価償却をしてまいるわけですが、その際に前提となるものがあります。資産区分としてどういう区分がいいかとか、評価方法としてどういう原価を使うかとか、あるいは取得原価に入れる内容として補償費はどうするかとか、建中金利をどうするかとか、いろいろな問題がございます。こういうものを先生方に御議論いただいて、そしてお決めいただいて、それに基づいて、作業は道路公団がやっております。
 朝日新聞に五月十六日に出、読売新聞にも同日付で出ましたけれども、これらは、道路公団としては全く作成しておりません。したがって、このような事実はないわけです。そこで、両新聞社に対して、そういう事実はないよということを申し入れておりますし、特に朝日の場合には、事前にこの財務諸表に関する質問はございませんでした。読売新聞は事前にそういう取材がございましたので、今作業中だから、まだ数字は全くできていませんということを申し上げております。
 いずれにしましても、加古委員会をつくって、作業をする仕方を勉強しながら作業しているわけですから、こんな前に、昨年の秋にそういうものができているということはあり得ないわけでございます。
岩國委員 藤井総裁が一貫して、日本の道路の重要性、よく認識され、とりわけ未完成の高速道路、私が関係しておりました出雲、山陰高速道路等についても非常に理解を示していただいたということに対しては、私はそういう面をよく存じ上げております。しかし、今御答弁いただいた、こうした道路公団全体の経営の問題について、今の御説明は幾つか納得のいかない点があります。
 一つは、そういった、朝日新聞に対して申し入れをされた、これは口頭でやったのか、文書でやったのか。文書でやったら、そのコピーを委員会に提出していただきたいと思います。どういう点について抗議されたのか。
 二番目に、総裁あるいは幹部に対して、それぞれの、読売にしても、それから朝日にしても、取材の申し入れを行ってからこういう記事を書いておったのか、取材の申し入れもしないで書いたという記事なのか。この点も、小さい案件ですけれども、確認いただきたい。
 三点目、昨年九月に結成され、十月から作業を開始した。六月十八日まで、あるいは六月十五日の、十四日の国土交通委員会に間に合うように、さらにそれに先立って、扇大臣に六月十日に報告できるようにと、こういった逆算をしていきますと、あと残っているのはせいぜい二週間ぐらいな話ですよ。それがきれいさっぱり、財務諸表らしいもの、影も形もまだできておりません。あと二週間で、それが整っていくような作業になっておるんですか。
 普通は、世間の常識では、もうかなりの書類がたまっておって、あと細かい点の整合性をあれしたり、てにをはを直したり、そういったところにまで来ていると思うのが世間の常識ではないかと私は思うんです。
 それが、書類らしいものは全くない、外部にお知らせするような、大筋の、大づかみの数字さえもありません。それが、あと二週間で突如として扇大臣に報告書として立派な財務諸表が出てくる、ちょっとこういう作業の仕方というのは、私は今まで民間会社に長くおりましたけれども、経験したことがないんですね。もう三月ぐらいに大体作業はできておって、そして五月の終わりには扇大臣に報告をし、そして六月の十日ぐらいにはこの国土交通委員会に立派に説明できるというのが普通考えられる作業計画なんですね。
 今、総裁の説明されたことからしますと、一体今まで何をやっておったのか。それから、これから二週間、神わざのごとく、今まで眠っておった作業チームが急に動き出して、膨大な財務諸表ができ上がるのか、ちょっと信じられないようなところがあるんですけれども、この辺、もう少しわかりやすく説明していただきたいと思います。
藤井参考人 今、三点ございました。
 まず、読売及び朝日に対しては、広報室から口頭で、そのような事実はないということを申し上げました。それから、先週の金曜日に、道路公団から、民営化の関係の組織ができ上がりましたので、それを記者クラブに投げ込みました。一緒に、今、財務諸表関係については作業中です、ですから、まだ数値はできておりませんということも含めた内容の資料を、先週の金曜日にクラブに投げ込んでおります。
 それから二番目に、両社から取材があったかということでございますが、読売からは取材がございました。それに際しまして、まだ現在検討中なので、作成中であり、数値をまとめる段階に至っていないという説明を広報室がいたしております。それから、朝日につきましては、この財務諸表関係についての質問は、事前に一切ございませんでした。
 それから三点目、作業日程でございますが、先ほど言いましたように、道路の場合、今まで公物として全部整理しておりましたから、金銭評価はしておりません。数値評価はしております。何がどのぐらいあるということは決まっていますけれども。
 それで、金額評価をする際にどういう分類がいいか。その際に、例えば維持修繕をやったときの舗装の打ちかえはどうするんだとか、あるいはガードレールを取りかえたときに、前のものと後のものをどういうふうに入れるんだとかいったような細かいことまで全部決めないと、どうしようもありません。
 そういうことを全部、具体的な事例を入れながら先生方に御検討いただいて、私どもだけでは仮定してもいわゆる世間に通りませんから、先生方の御指導で一つ一つそういう矛盾を、これはこうやれば大丈夫だという御指導をいただいて決めてまいりました。この作業が大変だったんです。
 そこで、そういう作業と並行しながら、資産区分と評価方法や何かを決めて、かつ、数量の把握、資産の種類は千種類以上ございます、この作業はほとんど終わっております。それから、資産価額をそれに当てはめて把握するわけですが、これもほとんど最終段階に来ているわけでございます。
 そこで、これが完全に終わったら、すぐにコンピューターで、減価償却のプログラムはもうできておりますから、すぐかけて、これは数値が出てくるのは早うございます。それが出てきたら先生方に見ていただいて、どこが、そのままでいいのか、ここはやはりまずかったな、仮定がまずいのか、そういうものも含めて御判断いただいて、でき上がりましたら、大臣にまず真っ先に御報告をするということで、六月の上旬、上旬といってもなるべく早い日時に大臣に御報告し、そして、さらにこれをどういうふうに今後取り扱うか、大臣の御指示をいただきながら対応してまいりたいというのが今の計画でございます。
岩國委員 大臣に報告される日程の時間取りは、もうしておられますか。
藤井参考人 まだ、加古委員会の御承認をいただかないと出せませんから、日程をいただくというところまでは至っておりませんが、国土省に対しては、六月の上旬ということで、それもなるべく早い時間帯の方がその後の日程も、今度は国としての日程もとりやすいと思いますので、私どもはなるべく早くいたしますということを申し上げている状況でございます。
岩國委員 道路問題、そして道路公団の資産内容、財務内容については、関心が非常に国民的に強い、これは大臣も総裁も御存じのとおりでありまして、私は、これはいいことだと思います。
 道路の重要性というのはいろいろな形でもって国民に認識され、そして、これからも道路が順調に建設されるのか、維持管理されるのか、国民が利用しやすい形になるのか、そういう方向へ持っていくために、我々この委員会の委員一人一人が努力し、審議させていただいているわけですから、この道路公団の資産内容、財務内容というものは、ほかの特殊法人、ほかの公団についても、一事が万事というわけではありませんけれども、一番わかりやすい形でもってこれがきちっと作業がされるということが必要不可欠だ、私はそのように思っておりますから、ほかの公団の審査時間をちょうだいしてまで私が質問させていただいたのはそういうわけであります。
 したがいまして、六月上旬ということであれば、必ずこの国土交通委員会を開いていただき、大臣からしっかりと国会への報告をしていただきたいと思います。
 また、新聞の過当な取材競争、これは容易に想像できます。これについて、朝日新聞の記事、読売新聞の記事、とりわけ朝日新聞はきょうも書いておりますけれども。私は、朝日新聞にいささかの信頼感を持っておったがゆえにこういう新聞記事を、総裁は、これは一〇〇%あり得ないこと、全く取材の要求もしないし、ましてや口頭でそういう事実はないということを言われたにもかかわらず、このような報道をしている、その新聞のあり方というものに非常に不満を表明しておられるわけです。こういった新聞に若干の信頼を持っておったがゆえに、私はこれを引用させていただいたわけであります。
 それでは、次に、本日の成田国際空港株式会社法案に関連して質問させていただきたいと思います。
 総裁、お忙しければ、どうぞ御退席いただいて結構です。ありがとうございました。
 何か御意見ございますでしょうか。
扇国務大臣 今岩國議員がおっしゃったこと、大事なことだと私は思います。
 まず、今総裁からいろいろお話ございましたけれども、岩國議員御理解いただいたと思いますけれども、やはり物には順序というものがございます。私が最初に、九月でいいといった財務諸表を、私は、前倒しいたしますよ、国会中にと総理にわざわざ報告をいたしております。それはオープンになっておりますので。記者会見でも言いました。ですから、これは公表されているわけでございます。
 今岩國議員がおっしゃったこと、いろいろな数字は、マスコミは書く記事がないのかどうか知りませんけれども、SARS以外にこれしかないと思っているのかわかりません。とにかく取材合戦で、どうのこうのと私にも記者会見で聞きます。けれども、私は、これだけの民間人が入っていただいて、しかも、岩國議員御存じのように、七十四の特殊法人の中で十一社しか今まで財務諸表をつくったことがないという事情も御勘案いただいて、私がまず公団から見せていただいて、そして、新聞の記事が合っているか合っていないか、私はそんなことは関係ありません。私は、加古委員長が百五十名使ってつくったものを私がいただいて、それをまず総理に報告をして、そしてその後皆さん方に公開するというのは、もう今お約束していることでございます。
 どうかそれまで、いろいろな取材合戦があろうと思いますけれども、最後は正式なルートで正式な報告があるということで、公表させていただきますので、どうぞ信じていただいて、私は余り裏切る女ではありませんので、お信じいただきたいと思います。
岩國委員 ありがとうございました。
 それでは、成田空港の問題について質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、先般衆議院を通過いたしました有事関連の法案についてでありますけれども、官民挙げてこうした有事に対する対応というものが非常に大事であるという認識は、今、相当浸透したと私は思います。その関連において、この国際空港、我が国で一番大切な空港である成田空港を民営化していくということに関して、一般的に言いますと、有事というものを目前に置いて、それを重要視する流れの中にあるならば、民営会社をむしろ国営化していく方が自然ではないかと思います。
 民営会社であれば、これは民間補償という問題も出てくるでしょう。有事のときに、そこに働いているのは、一〇〇%民間人ばかりです。そうではなくて、成田空港に関しては、官が所有し、経営し、したがって、その補償の問題も複雑になることを避けることができる。そして、そこに働いている人は準公務員ということであれば、有事に対応する日本のあり方としては、成田空港は、むしろ、今から国営化していくべきじゃないかと私は思いますけれども、大臣はどういうふうにお考えになりますか。
扇国務大臣 今、岩國議員がおっしゃったこと、私はいつもここで言っております。国際港湾、国際空港、そして道路、これは、本来的には、国がきちんと整備をして、でき上がってから民間にというんならまだわかるということ、それは本来の姿であろうと、私は、今でも、個人的にも思っております。そうしたいと思っていました。
 けれども、成田が民営化ということで、きのう初めて、参議院で有事の武力対処法というのに審議に入りました。その中でも、これは、有事のみならず、日本は災害列島であるということで、阪神・淡路大震災の貴重な経験をしたわけでございます。そういう意味では、私は、災害対策基本法の中にも、災害のときには、民間であっても、公共に供するものは、これは速やかにということで、新東京国際空港、その当時はですよ、今度は成田になりますけれども、新東京国際空港も、災害対策基本法においても、災害の際にもと書いてありますので、私は、有事のときには当然そうあるべきだと思いますし、また、今の成田の新総裁を任命しますときにも、そのことを篤と言ってあります。
 ですから、私は、本来は国有化すべきではないかという岩國議員のお気持ちもわかりますし、私も、そのように心の中では思っておりますけれども、民営化しなければ、余りにも、サービスの面、経営改善の面、あるいはあらゆる点での活用の面において、今のままでは国際空港の名に値しないというぐらい硬直化している。
 そういう意味で、今度、成田新空港ということで、成田という名前がついて、地域の皆さんの御協力も得、なおかつ、二本の滑走路を、二千五百、完全に完成さすという、そのことをもって初めて民営化ですよということを、新総裁にも厳として就任のときにも私は言ってありますので、いざとなったときには、当然、公共に供するものということで、有事にももちろん対処しなければならない、指定の公共機関としての役割をきちんと果たすということは当然のことでありますし、この有事法のみならず、災害対策基本法にも既に明示してございます。
 たとえ民間会社になったとしても、公共機関であるという認識だけは持たなければ、私は、国際的に信用して外国から飛んでくる飛行機もなくなると思いますので、その意識だけは確実に保持してもらっていると思っております。
岩國委員 大臣は、認識があればとおっしゃいますけれども、認識や意識に頼らなきゃいかぬような体制を国会としてつくってしまうということは、私はよくないと思うんです。少々認識が薄くても、有事には立派に対応できるということの方が、私は大切じゃないかと思います。民間会社に責任を押しつけておいて、さあ、あんたら、国民の一人として、そして大事な仕事をやっているんだから、有事の際にはほかの国民以上にしっかり頑張りなさいよ、そういう精神的な要請だけでは決して十分ではありませんし、頼りないと思います。
 それから、大臣は今、災害ということを御答弁の中におっしゃっていただきました。
 我々民主党は、災害も含めて、これは国内の有事、そういう基本法案も提出しておるわけであります。決して他国からの武力攻撃だけを有事という狭い意味ではなくて、これは、空港が災害時に果たす、例えば関東大震災が起きれば、成田空港、羽田空港にも夜も飛行機が着陸できるように、私は、かねてから羽田の二十四時間国際空港化を言っているのは、二十四時間いつでも、夜中でも、災害が起きたら、世界の救援隊が羽田へやってくる、そして救援物資がやってくる、そのような体制をふだんからつくっておくべきだ。そういう災害に対する備えという点からも、羽田はもちろんのこと、成田も、そして横田基地も、羽田、成田、横田、三つの空港で、この三千万首都圏の命を守るべきだと私は主張してまいりました。
 その一環として、この成田空港、これを今、民間会社にしてしまえば、規律はない、あるいはモラルも失われると言っているわけではありません。恐らく、そこに勤務しておられる方は、言われなくても、それなりの一つの使命感を持って、きょうも仕事をされるでしょう、あるいは民営化されても仕事をされるだろうと私は思いますし、そう願いたいものです。
 しかしながら、今、日本は、そういった災害についてはもちろんのこと、あるいは武力攻撃ということも念頭に置いて、国会でこういう法案を通過させているときに、民営化した方が有事態勢により効率よく、より的確に、より早く対応できるという、具体的に御説明いただきたいと思います。なぜ、官の公営化された国営の空港よりも、そしてそこに、国営会社に勤めている勤務員よりも、民間会社の方が有事により的確な対応ができるという具体例を示していただけませんか。
扇国務大臣 今回御審議いただいております成田の国際新空港、これも含めて、関空も第三セクターでございます、中部も、民間の第三セクターという意味で言えば、民間でございます。けれども、この有事法案の中にも、あるいは災害対策基本法の中にも、もしものときには指定空港にできる、指定公共機関に指定する、こう明記してございます。
 ですから、私は、法律の中に明記してあれば、例えば、今、岩國議員がおっしゃったように、成田も、そして関空も、そして中部も、指定空港にされる。そういうことにおいては、法律の中に明記してございますので、有事の際にも、災害のときにも、指定空港とされたときには今以上の協力をするというのは、何ら民間になっても変わることがない、法律のとおりに施行できると私は思っております。
洞政府参考人 細かい点について補足させていただきます。
 本件を議論していただきました航空審議会の航空分科会におきましても、このように非常に公共性の高い国際拠点空港を本当に民営化していいのか、その際の重大な問題といいますか課題というものは、大臣がおっしゃっておりますとおり、まず、基本的には、国の基幹的な施設である二千五百メーターの、本来の空港整備をきちっとやれるかどうかということ、それから、有事そして災害、大規模災害等の一たん事ある場合に、この民間機関が適切に対応できるかどうか、そこがちゃんと担保できるかどうかというところが乗り越えなきゃいけないハードルだということで、いろいろ議論をお願いいたしました。
 そこで、今大臣が申し上げましたとおり、例えば、災害対策基本法におきましても、既に、成田公団、それから関空も中部もそうでございますけれども、指定公共機関として指定されておりまして、防災に対する計画をきちっと作成し、これを実施するとともに、この法律の規定による国、自治体の防災計画の作成、実施が円滑に行われるように、その業務について、当該自治体等に対して協力する責務を有するというようなはっきりした義務づけ、性格をまず与えられるとともに、協力義務というのが課せられているわけでございます。
 今御審議されております、武力攻撃事態等におきます我が国の平和と独立及びいわゆる有事法案の中におきましても、同じく指定公共機関として、「政令で定めるもの」と政令で定めることになっていますけれども、この政令で定められる対象に成田の会社は挙がっております。
 そして、この指定をされますと、災害と同じように、武力攻撃事態等の対処に関し、国及び地方公共団体その他の機関と相互に協力して、必要な措置を実施する責務を有するということで、その辺はきちっと担保されているところで、それは、純粋の国の機関と民間の機関との、本当に差はないのかと言われると、それは連絡体制等でいろいろ細かい差異はあると思いますけれども、基本的な責務の遂行においては、このそれぞれの法律においてきちっと担保されているという判断で、民間化、民営化されても大丈夫だ、こういう認識に立ったものでございます。
岩國委員 局長の御答弁いただきましたけれども、私は、まだ少し認識が甘いんじゃないかと思わざるを得ない。民間会社は全部頼りにならぬ、だらしがないと言っているわけではありません。国がやれば民間より必ずいい仕事ができると言っているわけでもありません。しかし、この空港というのは、余りにも一般の産業とは違って特殊な業務なんですね。防衛のためにも、災害対策のためにも、そして日本という、地政学的に見た場合、オランダとは、スイスとは随分違うところがあります。一朝事あれば、隣の国からすぐに救助がやってくる、陸路を伝わって。そうではなくて、日本は空に依存する度合いが非常に強いんです。
 そして、国際化社会と言われれば言われるほど、国際化社会で一番大切なものは何か。国際化社会で、やってくる物、金、人、情報、すべて空からやってくる、これが国際化時代なんです。国際化時代に一番必要なものは何か、空の玄関です。空の玄関を国際空港といいます。
 日本ほど、陸路ではなく、海ではなく、空に防衛と災害救助を依存する国は世界でもまず例がないでしょう。それはどこか小さな国があるかもしれません。世界の経済大国と言われ、一億二千万の人口を持っている国がこれほど空に依存している、それは世界の歴史の中でも例がないぐらいの事態を、我々、今目の前にしているわけです。そのときに、それを扱う国際空港、成田空港、民営化されて、私は、こういった防衛の面から見ても、災害出動の面からいっても、プラスになるという事情を感じ取ることはできないわけです。
 いや、そのときには指定公共機関に直ちに切りかえる。そんな、建物の前に看板をつけかえたり、部屋にビラを張って、あなたたち、きょうから指定公共機関で勤務したんだから、気持ちを切りかえなさいと、その程度の話でどうやってこのことに対応できるんですか、夜の夜中に。少なくともタイミングが悪過ぎる、そして、官ではなくて民の方が頼りになる、対応力が早いということは、今の局長の答弁を聞いても、私は感じ取ることはできません。
 そして、ふだんからそういう意識を持って、官であろうと民であろうと差がないような対応ができるとするならば、これは普通の民間会社とは違った負担を背負っているということになるんです。いいですか。これは松下でもなければ東芝でもない。松下や東芝の社員がふだんから、さあ一朝事あれば、我々は防衛のために、災害出動のために、そんな意識はまず持つ必要がないんです。
 しかし、この会社は、ふだんからそのための特別な訓練もし、そのための特別な配置もし、組織も持ち、やっていかなきゃならぬということは、利益にだけ専念できる民間企業としての経営はできない会社を我々つくろうとしているわけです。矛盾しているわけです。ふだんからそういう体制をとらせるということは、民間会社として、利益率を犠牲にしてまでもそういう体制をとらなきゃならないし、犠牲にしていないとなれば、ふだんからやるべきことをやっていないということになります。私の質問、おわかりですか。
扇国務大臣 岩國議員のおっしゃっていることはよくわかっておりますし、だれしも思うことでございます。
 それで、今局長が言いましたように、災害対策基本法の第六条にもこれは明記してございます、「協力する責務を有する。」しかも、今の有事体制、有事法に関しましても、第二条と第六条にこのことは書いてありまして、第二条の六項には「電気、ガス、輸送、通信その他の公益的事業を営む法人で、政令で定めるもの」、また第六条では「必要な措置を実施する責務を有する。」と、これは明記してございます。
 ですから、今、成田空港が民間になったらというお話でございますけれども、これは少なくとも、ガスも、すべてそうでございますし、鉄道もそうでございます。JRも、これは民間になりました。そういう意味では、すべての日本の、国土交通省の所管する陸海空すべてに関して、この法令の中できちんと、法案の中に明記してございますので、私は、万般怠りなきを期するということ。
 もう一点だけ言わせていただきますと、岩國議員はもう御承知だろうと思いますけれども、一昨年の九・一一のテロのときに、テロ対策でどうするかということで、国土交通省は、陸海空、これを全部点検いたしました。そして、日本じゅうの九十四の空港で、民間の農薬散布のヘリコプターのところまで全部、テロがあったときにはどこをとめるか、どうするかというマニュアルをつくりまして、全管制官に指令をいたしまして、今飛んでいるものはどこにおりるか、これから飛ぼうとするものは飛ばすのか、飛ばさないか、その全指令をテロの対策ということでいたしました。
 そういうマニュアルができておりますので、私は、今回は、これはテロ対策のマニュアルでつくったものではございますけれども、法案の中に明記してあるということで、これ以上の担保はないと思っております。岩國議員の御心配も、私は大変ありがたい、国民みんなが思うことだと思いますけれども、法案に明記してあることだけはぜひ御理解賜り、また、このことで、より以上の、こういうことが抜けているよというところがあれば御指摘いただいて、我々も対象の中に入れていきたいと思っておりますので、今後も御指導いただきたいと思っております。
岩國委員 法案に明記してあるから安心とか、担保できているという考え方が、私はそもそも出発点から間違った方向に行っていると思うんです。
 まず、民営化がいいのか、あるいは公営できっちりと、そういう安全、安心に重点を置いた施設として維持管理していく方がいいのか。今、国民が求めているのは、成田空港のサービスが少しよくなった、いろいろなお店がふえた、そんなサービスや効率をよくすることを求めているのか。それとも、一朝事あれば、国の安心になる、そして毎日毎日の航空客の安全につながる。安全、安心こそ、今この空港に期待されているものじゃないでしょうか。
 その安全、安心をしっかりと保障し、担保するという観点からいえば、民営化がいいのか、今の公営のスタイルを維持し、そしてその中でサービスや効率をよくしていくのがいいのか。私は、今、その議論の原点に立ち返る必要がありはしないかということです。
 法案の第六条、第七条に、法案に書いてあっても、そのとおりにちゃんとできるような実体的な民間会社になり得るのか。民間会社である以上、お客さんへのサービスを一生懸命しなきゃいかぬ、営業もしなきゃいかぬ、広告もしなきゃいかぬ、お客さんをふやす努力もしなきゃいかぬ。そんなことに頭を使い、株主から、あなたの経営姿勢は悪い、利益がまた下がったのはなぜか、こんなことを株主総会でしょっちゅうしょっちゅう責められているような経営者に、今この場で議論しているような、国の安心、人命の安全ということに重点を置いた航空会社になり得るのかどうか。私は、非常に無理なことを要求しながら法案を急いでいるような気がするわけです。
 そういった点を指摘しながら、次に、この成田空港の、仮に民営化されるということになった場合に、その採算性について、今一番大きな問題点は羽田の国際化だと思います。
 私は、羽田の国際化ということは大切なことだし、八年前に私が都知事選挙に立候補したときも、私はそのことを訴えました。今の石原都知事も同じことを言い、そして扇大臣もそれに同じような意見を表明しておられます。
 世界の首都の中で日本がなぜアジアの巨大な田舎都市と言われているのか。空の玄関がないからです。空の玄関がない。玄関のない店にお客さんは来ません。玄関のない東京に未来はありません。
 そして、このアジアのいろいろな都市間競争において、香港、上海、ソウル、シンガポールに負けている。今、東京はアジアの巨大な田舎都市。なぜ巨大か、人口だけが大きいからです。なぜ田舎か、玄関がないからです。東京には玄関がない、だから職場が減っていく、会社が減っていく、活力が失われていく。空の玄関羽田を二十四時間国際空港にすべき。
 仮に大臣が一生懸命努力されてそれを実現されたとしたら、成田から見れば、民間会社になって利益を上げなきゃいかぬときに、羽田という競争相手があらわれて、羽田が国際線に参加してくる。となれば、大きな収入源を失うということが前提となっている、近い将来そういう大きな経営上のマイナスが起きることを考えながらこういう会社を誕生させようとしていることになるわけなんです。
 それでも経営上は大丈夫だとおっしゃるだけのシミュレーションはできているんですか、お答えいただきたいと思います。
扇国務大臣 岩國議員の御認識で私も大変ありがたいなと思っておりますことは、日本の玄関口が時間制限では玄関口にならないという認識は、私は本当にありがたいと思います。
 また、何とか私は、この職について、それを突破したいと思いました。それは、成田空港、一九七八年以来、羽田の国際化というのはタブー視されてまいりました。成田が国際空港で羽田は国内空港であるということで、千葉県に遠慮をして、羽田の国際化はどの大臣も言ってはならないという、まあ口を封じられはしませんけれども、おのずと禁句になっておりました。
 けれども、私は、昨年のワールドカップを契機として、何としてもそれを破りたいと思って、本年の四月の二十五日、初めて、夜の十一時から朝六時まで成田が飛行禁止でございます。それを各省庁、外務省、法務省、農林水産省等々と調整をしまして、本年の四月の二十五日に、夜十一時から朝六時まで成田が閉まっている間は羽田に国際線を着陸させるということを決めました。そして、その第一号が飛んでまいりまして、これは四月の二十五日に許可したわけですけれども、五月の三日、ワシントン発のANAの〇〇一便が、五月の四日の午前一時十分に羽田に到着をいたしました。これが一便です。
 ですから、今岩國議員がおっしゃったとおり、やっと今日に至って成田と羽田で両方で二十四時間オープンに、初めてことしの四月の二十五日からなったということで、この第一便が着いたことを大変喜んでおりますし、できればお昼も、少なくとも十便ぐらいは離発着できないかということを私は努力しております。
 手前みそで悪いんですけれども、ちょっといいでしょうか。十九日、官邸に来たメールなんですけれども、けさ私の手元に届きました。
 それは、失礼させていただきますけれども、書いてありますことは、私は五月の三日(四日)に全日空ワシントン―成田線を利用し、羽田で入国手続をした者です。新しい法律ができて、羽田に着陸できた第一号ということです。全日空の方から、扇大臣を初めとする皆さんのおかげ、この法律がなかったら、翌朝の成田着か欠航だったと教えていただきました。深夜だったのですが、欠航もせず羽田に無事に着陸できてとても助かりました。ありがとうございました。一言お礼を言いたくてメールしました。
 けさ私これを見たところなんですけれども、岩國議員が御指摘のように、両方で二十四時間オープンの玄関がやっと、やっとという言葉を使った方がいいと思いますけれども、一九七八年の成田空港開港以来初めてこれが実行できたということで、ぜひ御吹聴いただいて、東京のあるいは関東圏の玄関口は関空に負けないぐらいの二十四時間オープンになったということを御吹聴いただければありがたいと思います。
岩國委員 大臣の御熱意には敬意を表したいと思います。
 また、こうした成田、羽田、両方相まって空の玄関を大きくする。日本はどんなに領土が狭いから、国土が狭いから、朝鮮半島をとってこよう、満州をとってこよう、そんなことはもう口にすることもできない時代になったことは御承知のとおり。海を広げよう、尖閣列島そして竹島ですぐにドンパチです。空だけは、ドンパチが起きなくてもどんどん活用範囲を広げられる。その広げてもいい空だけを自分の手で狭くしているのは、世界で日本だけです。
 もっともっと空港というものは国のお金を投入して整備し、二十四時間広げて、空の玄関は日本のあちこちにある、国内の物流だけではなくて、そして防衛のためにも、そして災害対策のためにも、日本には空があるから、空港があるから安心だ、こういう国土づくりの発想も私は必要だと思います。
 また、最近関東圏の経済状況も落ち込んでおります。ここに神奈川県の国会議員もおられるし、そして私も含めて東京の国会議員もおりますけれども、そういう首都圏の企業対策、景気対策、それから雇用対策から見ましても、やはり日本の冷え切った経済を底上げするのに一番力の強い首都圏の経済に、空の玄関がない。羽田もなければ成田もない。そして成田の民営化という、私はこれは愚策だと思いますけれども、そういうものを実行しようとするときに、一方では、それと矛盾するように、そこの経営に打撃を与えるような羽田の国際空港を我々は論じなきゃいかぬ。これがおかしいわけなんです。大臣が熱心で、そして実績を上げられている、羽田が二年後に国際空港になった場合に、成田空港の経営は当然それだけのマイナス、得べかりし利益を失うことになるのです。
 逆に言うならば、今我々がつくろうとしているこの成田空港株式会社なるものの経営の健全化を願うならば、羽田の国際化はやってはならないことになってしまう、こういう妙な結論になりはしませんか。羽田を永久に国際空港化しないこと、羽田をできるだけ小さくすること、これが成田の株式会社の繁栄を約束することになってしまうという妙な結論になってしまうのです。
 私の考えは間違っているのでしょうか。御答弁いただきます。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 首都圏の国際航空需要は、今後の見通しでございますけれども、非常に旺盛なものが見込まれております。私どもの審議会におきましても需要予測等を行いましたが、向こう五年間で四%近いような、さらにその先は五%以上の非常に急激な伸びというものが予想されるわけでございます。
 片一方で、成田は二千百八十メーターの暫定滑走路がオープンいたしましたが、これとても、ほっておけば二、三年で満杯になるということがもう確実視されております。そのためにも、我々は二千五百メーター化を一日も早く急いでいるわけでございます。二千五百メーター化ができましたとしても、非常に窮屈な状況でございます。
 それで、羽田というものがございまして、ここは今国内線の拠点空港でございますけれども、再拡張することによって大幅に処理能力がふえます。国内線で相当部分が埋められますけれども、なお余力が生ずるので、その余力の生じた分に国際線を入れて、この旺盛な首都圏の国際航空需要を両空港相まって受けとめよう、こういう考え方でございます。
 そういうことでございまして、羽田ができたからといって、成田が民営化された暁に、何年かたったら経営が左前になる、そういうふうな状況になるとは思っておりません。
岩國委員 道路の利用者予測等において、国土交通省の将来予測がいかに信頼性に欠けるものであったかということは、我々はよく痛感しております。しかし、道路では失敗したけれども、空では必ず自信があるんだというその洞局長の、まあそれが失礼ですけれどもほらに終わらないように、成田の経営者の人はそれを信じられるようになってほしいと思いますけれども。
 しかし、需給関係からいって、もうこれからどんどんふえそうだから羽田の影響はないんだというふうに、民間会社はとらないものなんです。これはお役人が、官庁がされる場合には、まあ敵が出ようと出まいと、言いわけにそれを使っていればいいということになりますけれども、民間会社の経営者というのは、そんな生易しいものじゃないんです。極端に言えば、マーケットシェアを九九%とってみせる、それだけの意気込みでやっている経営者ばかり、またそうでなければ会社の経営なんてできるはずがありません。
 ですから、あっちもふえる、こっちもふえる、だから成田さん文句言いなさんなよと。では、千葉県、茨城県の国会議員も、羽田が国際化されたときに、一人も、結構でございますと、例えば自民党の中でもそうおっしゃってこられるか。私は、これは必ずブーイングが出てくる一つの大きな問題ではないかと思いますから、今のような答弁だけで、はい、結構でございますというわけには我々はまいらないということを最後に申し上げて、質問時間が残念ながら終わりましたので、質問者を交代いたします。
 ありがとうございました。
河合委員長 川内博史君。
川内委員 おはようございます。川内でございます。
 きょうは、成田空港の民営化の問題を議論させていただけるということでございまして、よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 その前に、まず大臣、この前、決算委員会の分科会のときに大臣から教えていただいた「ようこそジャパン」のシールをたくさんいただきまして、私も早速名刺にこうやって張らせていただきましたので、ぜひ、私もキャンペーンの一員として頑張らせていただきたいというふうに思っております。
 そこで、たくさんの海外からのお客様をお迎えしようということでありますけれども、そのお迎えをする玄関が空港ということになるわけであります。
 私も、今質疑をされておりました岩國委員と若干観点は違うんですが、なぜ民営化をするのかな、民営化してどんなメリットがあるのかなということを一生懸命考えているところなんですけれども、まず、そのあたりについて、大臣からのお考えを聞かせていただきたいというふうに思います。
扇国務大臣 川内議員が「ようこそジャパン」のビジット・ジャパンの宣伝の一員に参加してくださるということで、シールを張っていただいたことで、二〇一〇年、外国からのお客様を一千万人誘致しようというビジット・ジャパン・キャンペーン、きょうも関係閣僚会議が夜行われますけれども、私は皆さん方一人一人にそのことをお願いしたいと思いますので、まず、「ようこそジャパン」に御協力いただいたことを冒頭に感謝申し上げておきます。
 それから、今お話しになりました民営化の話でございますけれども、先ほども私、岩國議員に申し上げたんですけれども、新国際空港の総裁がことしかわりました。そのときに、私は総裁に申し上げました。
 正直申し上げて、二千五百メートルの二本目の滑走路が暫定滑走路という、暫定と名前がついている以上は、まだ欠陥空港と言っても過言ではない。パイロットの操縦の安心性、あるいは近隣の空港からしか来れない、二千百八十ではジャンボが着陸できない、そういうことから考えれば、民営化するには、二本の滑走路が完全にできてから民営化するということが本来であろう。国としても、いささかも欠陥空港だと言われるような部分を残して民間にゆだねるには、余りにも国としての面目もない。国として責任を持って二本目の滑走路をつくって初めて国際空港というのが言えるんだろうと思うから、二本目の滑走路が暫定という言葉がなくなるまであなたは民営化と言うのはおこがましいですよというぐらい、私は言っておりました。
 けれども、法律的には皆さん方に提案し、そしてなおかつ、総裁は、そのことを肝に銘じて、民間になるまでにこの二本目の滑走路を完成させよう、暫定という言葉を取ろうということに、総裁、見えていますから聞いてください、総裁が暫定という言葉を取って、晴れて、しかも新東京国際空港といった名前を皆さん方の要望で成田国際空港という、成田という文字が入りますから、そういう意味でも、新たに民間として出発するときには、一人前の完成した空港として旅立つべきであろうと私は思っております。
 また、旅立った以上は、一人前になるんですから、今は半人前ですけれども、一人前としてきちんと、民間としての採算性も合い、パイロットの安全、安心、お客様に安心を得て、成田新国際空港として出発することをぜひ見守っていきたいと私は思いますし、総裁とはその約束のもとに民間会社ということの法律をお願いしているという次第をぜひ御理解いただきたいと思います。
川内委員 今、大臣の御答弁は、民営化することによって、今も恐らく成田というのはいい空港だと思うんですが、さらにさらにいい空港にしていくんだ、完全な空港に向けて努力をしてもらうんだというふうに受け取らせていただいたわけでございますけれども、そもそも、では、民営化をすることによって、今、現にある成田空港よりも、さらにいい空港になるんだということは、具体的にはどういうことがよくなっていくのかということを、事務当局の方から具体的に御説明をいただけますか。
洞政府参考人 成田公団が民営化されて特殊会社になることによりまして、自立的な経営主体が確立されて、まずコスト意識やサービス向上に対する職員の意識も高まるということが期待されます。また、経営に対する規制も緩和され、空港公団の場合と比べまして業務運営の自由度が高まるということになります。このことによりまして、新たなサービスの展開、事業展開というものが容易になり、また期待されるわけでございます。
 こういうことを通じまして、空港経営の効率化が図られ、着陸料等の利用者負担が軽減されることによって、航空会社を含む空港の利用者の利便性が向上するということが期待されます。
 また、空港会社の発展によりまして成田空港周辺の経済活動も活性化されて、地元企業にとってのビジネスチャンス、あるいはこれに関連する雇用の機会も、さらに増大するということが考えられます。こういったことによって、特殊会社化、民営化というものは、成田の地域の住民の方々にも大いなるメリットをもたらすものであると考えております。
川内委員 今るる御説明があったわけですが、利用者利便の向上につながる、そしてまた付近の経済環境、これは首都圏と大きくとらえてもいいんでしょうけれども、総体として寄与していくということでありますけれども、果たして本当にそうなのかなということを若干検証させていただきたいというふうに思うんです。
 公団の総裁にきょう来ていただいております。お忙しい中ありがとうございます。
 御自分たちのことを審議されているわけですから、お忙しい中ありがとうございますというのも変ですけれども、勝手に、いないところで審議されたくないやと思っていらっしゃるかもしれないんですが。
 公団総裁にお尋ねをいたします。
 公団の最高責任者におなりになったばかりでありますが、その最高責任者として、公団としての経営では本当に不自由だ、このままでは手足が縛られて、もうどうにもならない、だからもっと自由にしてくれ、民営化への道を探らせてくれというようなことを、公団として、今まで政府に対して、国土交通省に対して、直訴というか陳情をされた経緯が果たしてあったのか、そして、現総裁御自身としてどのようにお考えになるのかということをお聞かせいただきたいと思います。
黒野参考人 我々の法律を審議いただきまして、ありがとうございます。
 今、直訴というお話がございましたが、今の公団の自由度のない点、これはもう法律で決まっているわけでございまして、直訴してお願いしたからどうなるという分野を超えておりますから、私としては、公団総裁をやる間は公団法に従ってやれよ、こういうことだと思っております。
 ただ、民営化の動きが出てまいりまして、民営化についてどうだという打診がありましたが、それにつきましては、ぜひ民営化をさせてほしい、こういうお願いは申し上げました。
川内委員 公団時代は法律の枠内で業務を遂行するしかないわけでありますから、今の総裁の御答弁は、なるほど納得できるところであります。
 民営化についてどう思うか、ぜひやりたいというお答えをされたということでありますけれども、空港会社を民営化して大変に成功している例として、イギリスのBAAという会社がよく取り上げられるわけでありますけれども、このBAAという会社が大いに成田の今後について参考になるというふうにお考えになっていらっしゃるかどうか、お聞かせいただきたいと思います。
黒野参考人 BAAのすべてが参考になるとは思いませんが、かなりの部分が、我々の先輩として参考にさせていただくところが多いと思っております。
洞政府参考人 BAAは、一九八七年に、ロンドンにあります空港の株式の公開が行われたわけでございますけれども、この民営化の目的は、向こうの空港政策白書によりますと、公的部門の規模を縮小する、それから従業員の株式保有を通じた経営参加、それから経営の自由度の確保、効率性と顧客対応の向上、そして非航空事業の増大等々を目的としてされたというふうに聞いております。
 結果どうなったかということで、すべての項目について情報を入手しておりませんけれども、財政収入では、これによって二千八百億円相当の収入がふえてきている、また、非航空系収入の増大という面では、従来BAAは着陸料等の航空収入と非航空系収入が七対三だったというものが、民営化後はこれが逆転して三対七、要するに非航空系収入の割合が大幅に改善されたといいますか、ふえたということでございます。
 また、着陸料の引き下げということがありますけれども、着陸料の全体の見直しを行っております。これがどういう過程で、どういう財源とかそういうので行われたかというのは、詳しいことは承知しておりませんけれども、やはりそういう収入がふえたということを前提として全体の見直しが行われたのではないかと考えております。
 そういう意味で、こういう面だけをとらえましても、世界にもいろいろな民営化が行われておりますけれども、BAAの講じた民営化というのも一つの参考事例になるのではなかろうかと思っております。
川内委員 今局長から御説明ありましたけれども、ヒースローのショッピングアーケードなどは大変に有名でありますが、今後成田を民営化されて、航空収入と非航空収入の割合という言葉がありましたけれども、今成田は圧倒的に航空収入、ほとんどが航空収入と言ってもいいわけであります。その非航空収入の割合をどのくらいまで高めようというふうにお考えになられていらっしゃるのかということについて、具体的に数値で目標が設定されているのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
黒野参考人 私ども非航空系収入の増大を図りたいという一番の理由は、いわゆる航空系収入の方はスロットとかあるいはお客様の数とか、我々の努力の範囲外のところでほぼ決まってしまうわけでございまして、特に成田のようにスロットがほぼフルに使われているところでは頭打ちにどうしてもなります。そうしますと、企業として拡大を図るためには、どうしても非航空系収入の方に力点を置くというのが、これが当然の動きだと思っております。
 具体的に、では、どうするか、どのぐらいの数字を目安にするんだということでございますが、これは非常に難しい話でございまして、今、うちの中で議論しています。して、書いては破り、書いては破りの繰り返しをやっておりまして、一応の数字は今持っていないとは申し上げませんが、実はここに至ってSARSという大変難しい問題が出てまいりまして、この影響をどのくらい入れるかによりまして数字が変わります。したがって、私ども努力はしているけれども、今この場でどれだけですよということは申し上げられないというところでお許しを賜りたいと思っております。
川内委員 頑張って非航空収入をふやしたい、きちんと内部では議論もしているということでございますから、それはそれで結構でございます。
 非航空収入の割合をふやしたい、ふやすのはなぜなのかということについてお聞かせいただきたいと思います。
黒野参考人 大きく分けて二つございます。
 第一点は、先ほど申し上げた延長線上でございますが、企業として、事業としては常に拡大を図っていくのが、これが本能ではないかと思っていますし、職員のモラールアップということから考えますと、やはり先にそれなりの目標が要るという点があろうかと思います。
 二番目は、成田空港の各種の使用料、これが諸外国、特に周辺地域と比べますと大変高くなっています。ここを少しでも下げたいというのが民営化の一つの我々のねらいでございますから、そういう意味におきましても、非航空系収入の方にそれを期待する、その原資を期待するというふうに考えているところでございます。
川内委員 各種の使用料を引き下げて、周辺の各空港との競争力において、少しでもその競争力を増すようにしていきたいということでございますが、周辺の各空港というのは、日本はヨーロッパの空港と競争するわけではないわけでありましょうから、具体的にはアジアの周辺のハブ空港ということになるわけでありましょうけれども、その辺、ちょっと後でまた触れさせていただくとして、今、各種の使用料を引き下げたいというふうに総裁の方から御答弁があったわけであります。
 成田の着陸料は高いというふうによく聞いておりましたし、実際に今回のこの法律案で私も資料を見まして、着陸料だけを見ると、確かに、ああ、高いのかなというふうに思うんです。しかし、総裁が今御答弁でおっしゃられた各種の使用料という言葉がございましたけれども、空港を航空会社が離発着に利用する場合に、空港に支払うお金というのは着陸料だけではないわけでありまして、そこで航空会社が成田を使うに当たって負担する、いわば空港利用料、使用料について、その内訳というものを教えていただきたいというふうに思います。
黒野参考人 例えばカウンターを借りるとか、あるいは事務所を借りるとか、そういうのは別にいたしまして、まさに航空に直結しているもので申し上げますと、着陸料、停留料、それから出発手荷物取扱施設利用料というのをちょうだいいたしておりまして、その三つが大きな柱でございます。これを、着陸料と停留料を合わせますと、平成十三年度で五百十八億、出発手荷物取扱施設利用料が二十六億、こういう数字になっております。
川内委員 では、飛行機一機ごとでちょっと考えてみたいんですけれども、成田と、先ほどの民営化で成功したと言われているBAAが経営をしているイギリスのヒースロー空港、成田とヒースロー空港で比べた場合に、ボーイング747ジャンボジェット機に三百一人の旅客が搭乗していて、成田とヒースローにそれぞれ昼間三時間ステイをしたという仮定をした場合に、航空会社が負担をする各種使用料、利用料の総額はそれぞれお幾らになるかということを、数字を挙げてお聞かせいただきたいと思います。
黒野参考人 まず成田でございますが、着陸料、出発手荷物取扱施設利用料を合わせまして百万四千円という数字になります。ヒースローでございますが、ヒースローは着陸料、停留料、それからもう一つ、我が国にはないんですが、ターミナル管制料というのがございまして、これを合わせますと三十四万三千五百七十一円、こういう数字になります。
川内委員 三十四万ですか、ヒースローが。ヒースローの方は、照明料あるいは旅客料等も航空会社が負担をするんじゃないんですか。
黒野参考人 照明料は着く時間によって違いますから、これは別にしまして、今申し上げましたのはエアラインが払う額でございます。したがって、旅客が払う分というのはそれとは別にございます。
川内委員 これは国土交通省の方が書かれた御本から資料を私は見ているんですけれども、空港使用料で、航空会社負担分として、着陸料、照明料それから駐機料、旅客料というふうに出ておりまして、その総額がヒースローでピーク時で、目盛りが正確に打っていないんですが、大体八十万ぐらいのところまでは来ていると思うんですけれども、では、この資料は間違いなんですか。
黒野参考人 では、ちょっとつけ加えさせていただきます。
 先ほど申し上げましたほかに、旅客、お客様が最終的には負担される料金というのがございまして、成田の場合には旅客サービス施設使用料というのが、もし三百一人乗っているとすれば、トータルで六十一万四千四十円になります。同じことがヒースローでもございまして、旅客サービス料それから航空旅客税というのを各旅客から取っております。これは最終的には国に行くわけでございますが、これを三百一人分にいたしますと百八十万二百二十二円という数字になります。
 さらに、これを全部合計します。エアラインが払う分、お客さんが払う分、全部合計した数字、ちょっと質問の順序を乱すかもしれませんけれども、お答えいたしますと、成田は百六十一万八千四十円、ヒースローは二百十四万三千七百九十三円という数字になります。
川内委員 わかりました。
 結局、航空会社が負担しているように見かけ上は見えるんだけれども、実際には航空会社は航空料金としてお客さんに請求しているので、それをどっち側で見るかということで、若干、私が持っているこの資料と総裁のおっしゃっていることが食い違ったんだと思うんです。
 今、総裁の総括的な御説明でよくわかったんですが、結局、航空会社が負担する分と旅客が負担する分を合算すると、成田は、空港使用料、航空会社なり旅客なりからいただく利用料については、ヒースローよりも安い、ヒースローの方が高いということでよろしいんですね。
黒野参考人 私もそう断言したいのでございますが、実はイギリスは管制も民営化しております。日本の場合には管制は完全に国がやっておりますから、管制料金は空港とは別に国が直接徴収しております。ヒースローの場合には、BAAが出資している民間会社が管制をやっておりまして、その料金が先ほどの中に入っております。
 それから、向こうは航空旅客税という、調べましたところ、これは国の税金でございます、これを取っておりまして、これはいわゆる目的税ではなくて一般財源に入るということでございますから、そういうことを考えますと、どちらが高いかというのはなかなか断言できないんですが、単純に、利用するお客様だけから考えれば、先生おっしゃったように、ヒースローの方が高いということは申し上げられると思います。
川内委員 どこで数字を仕切るかということでいろいろ難しい問題はあるんでしょうけれども、今総裁がいみじくもおっしゃったように、航空会社なり旅客なり、空港を利用する、使用する方からいただく料金だけを単純に比較すれば、成田はヒースローよりも頑張っているということが言えるわけであります。
 それで、先ほど冒頭で、民営化することによって各種の使用料を引き下げることが可能になるというふうに御答弁があったわけですけれども、しかし、イギリスのヒースローだけをとってみても、民営化されていることによって必ずしも各種の使用料が、民営化されていても成田よりも高いわけであって、そしてまた、イギリスの物価が日本よりも高いということはなくて、恐らく日本の方が物価水準としては相当高いわけでありますから、そういう意味においては、民営化が利用者利便の向上につながるという言い方は必ずしも正確ではないというふうに私は思うんですね。
 先ほど、経営の効率性とか、あるいは従業員の勤務意欲のさらなる高進というようなお話もあったわけでありますけれども、労働生産性を世界の各空港で見てみると、成田は世界でトップクラスでありますし、ということは、従業員の意識は非常に高い、生産性が高いということでありますから、そういう意味においても、わざわざ民営化しなくても今でも十分に意識は高いレベルにあるということが言えると思うんですね。
 それで、イギリスの空港が民営化されて利益が増大をして、それが各種の利用料の低減につながったかというと、先ほど洞局長も、必ずしも正確にはわからないがといみじくもおっしゃられたように、イギリスのBAAの財務諸表等を分析すると、減価償却、資本の部分に関する費用が成田に比べて極端に少ないために、もともと利益が出やすい体質なんです。
 これは民営化して、物品やあるいは飲食をやろうがやるまいが、昔からもうかっている会社だったんですね。そのもうかっている会社がさらに、売り上げはふえますよ、当然。物品をふやし飲食をふやせば当然売り上げはふえるけれども、利益率としてはずっとそれほどの上昇を見せていないというか、横ばいを続けているわけですから、民営化することによって利益率が拡大をするから、使用者の各種の使用料が引き下げられるはずだというのは、私は若干の論理の飛躍があるというふうに思うんです。ちょっと長い演説をしましたが、いかがでしょうか。
黒野参考人 民営化論の本質の話だと思います。
 私も正直言いまして、日夜それを考えておりまして、近い将来株式会社になった後、どういうふうにするのが一番成果が出ると言えるのかなと考えておりますが、まず、民営化することによりまして自由度が増す、このことは間違いないわけでございますね。それから二番目は、民営化ということは、もう天からお金が降ってくるわけでもないし、国からもらえるわけでもない。要するに、自己責任の追求になりますから、自助努力ということがいやでも求められる。
 その二つを考えますと、今の公団形式よりは、より効率化を図って、非航空系収入にはなりますが、新しい分野での収入は確保できる、これは間違いないと思っております。
 その結果として、例えば着陸料を幾らかでも下げるということができれば、これは我が国にとっても非常に大きいことではないか。ただ、それがBAAと比べてどうなのだというその一点だけで議論させていただきますと、いろいろまた、そうではないということもあるかもしれませんが、私は、今の日本のこの状況、特に成田空港の状況を考えますと、今の自由度を増す、あるいは自助努力の徹底をする、これは極めて大事なことだ、かように思っております。
川内委員 非航空系収入をふやして自助努力をして頑張っていく。私は、今の経済状況の中では限界があるんじゃないか、これから大変厳しい道を歩まれることになってしまうんじゃないかということを危惧しているわけでありまして、先ほど、成田が競合する空港というと、アジアの空港、具体的には香港なりあるいはソウルなりということになるわけでしょうけれども、ソウルなり香港なりというのは、空港の使用料がめちゃめちゃに安いわけですよね。
 これは、成田がこれからどれだけ頑張っても、そこまでの水準にするには、私は恐らく無理だろうというふうに思うんです。それがすべてではないですから、別に日本の国そのものに魅力があれば、いっぱいたくさん人も来るし飛行機も来るから問題はないと言われてしまえばそれまでなんですが、しかし、成田を民営化する目的の一つとして、民営化することによって経営を効率化して、各種の使用料を引き下げますということを堂々とおっしゃる以上、アジアの空港の各種の使用料がなぜここまで安いのか。
 それは、資本の部分に国のお金が大分投入されていて、結局、空港の運営については、先ほどのBAAと全く一緒なんですけれども、減価償却、資本費の部分が極端に少ないから経営がうまく回るわけであります。
 ところが、成田の場合には、今も大きな負債を負っていらっしゃるし、これからも日夜設備投資に腐心をされるとすれば、大きな負債からは逃れられないわけでありまして、そういう意味では、これから大変厳しい経営をしていかなければならないというふうに思うわけでございます。
 もうあと時間も残すところわずかになってきておりますので、質問を大分はしょらせていただきまして、それでは、私は、物販の部分について、世界の免税店の優良顧客は日本人を初めとするアジア人です。これ、問いの二十三番です。成田は日本人にとっては出発空港ですから、そこで物販店を拡大してもそれほどの売り上げの拡大が見込めるとはとても思えないんですけれども、その点について、いや、それでも売ってみせるという意気込みをお持ちでいらっしゃるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
黒野参考人 今の成田の免税売店の一番のお客様は何と日本人なんですね。日本人が成田から外へ出るときに、例えば酒を飲むとかたばこを吸うという方がお買いになる。あるいは、先に土産物だけ買って、安心して遊ぼう、あとは財布を空にしてもいいという方もみえるんですよ。実は日本人が一番買っている。二番目が韓国、三番目がその他東南アジアでございまして、そういうところをターゲットにして販売拡大したいと思っておりますが、先生御指摘のとおり、ヒースローのような、NAのような、ああいう形までにはなかなかいかぬと思います。
 ただし、今これで上限でとまっていますということではありませんし、それから、これからも、二千五百メートルができることによってジャンボ機がより入ってくるという形でのお客様がふえますから、その範囲においても拡大は図れると思っているところであります。
川内委員 私も成田を使わせていただくときに、お土産用に洋酒を買ったりあるいはたばこを買い求めたりしますから、大体みんなそんな感じで利用しているんだろうなというふうに思うんですね。
 BAAのパンフレットを見ると、やはり化粧品を買っている写真には日本人の女の子が写っているし、お酒を買っているお酒売り場の写真には韓国人とおぼしき男性が写っているし、なるほど、BAAはターゲットを絞り込んでパンフレットをつくっているんだなというふうに感じたんですけれども、非航空系収入を頑張って伸ばしたいと。
 民間の会社に移行してから、具体的に、先ほど数値は言えないというふうにおっしゃられましたが、事業計画あるいは投資計画、そして経営計画というようなものをきちんと今この時点で作成されてつくっていらっしゃるのかどうかということを心配するんですけれども、その点についてはいかがでしょうか。
黒野参考人 あるいは繰り返しになるかもしれませんが、先生おっしゃったとおり、事前にその辺はかなり綿密な計画をつくりたいと思っております。
 ただ、武士の商法と言われて、後から、大ぶろしきを広げた割には実が上がっていないではないかというふうなおしかりを受けることもありましょうから、私どもはかなり慎重な数字からスタートをしたい、実績を上げることによって将来伸ばしたい、かように思っております。
川内委員 新聞等では、成田は大変な優良会社だ、民営化して株価が大変な値段になるというようなことを、ちょっと、これは新聞の記者さんが先走りして見当違いにとらえていると思うんですが、私は大変厳しいだろうというふうに思うんですね。
 それはもちろん、成田の会社のキャッシュフロー、現金としては、減価償却の費用というのは実際には外に出ていかないわけですから、キャッシュフローとしては全く心配がないというふうにBS、PLからは読めるわけですけれども、しかし、いかんせん資本費が莫大な額に上っていますから、利益を出すという意味においては大変厳しい経営を迫られるであろう。
 しかも、物販、飲食で、売り上げは必ずふえるでしょう。しかし、物販、飲食というのは、私、商売人ですから、もともと利幅が物すごく薄い、利益が出しにくい、そしてまた人手のかかる仕事ですから、そうそう机の上で計算した程度に簡単に利益が出るような商売はなかなかできないというふうに考えるんですね。そういう意味で、民営化される以上、ぜひ頑張っていただかなければならないわけであります。
 そこで、私は、どうしても最後に、潤沢なキャッシュフローがあるわけだから、そのキャッシュフローをもとに、民営化せずとも各種の使用料は下げられるし、公団の経営というものも、国がしっかりと資本費の部分をサポートすれば、しっかりと競争力のある空港にしていけるはずだったのに、なぜこんなことになってしまうのかということに関して、洞局長から御答弁をいただいて、終わりたいと思います。
洞政府参考人 私どもといたしましては、空港公団は、その財務体質に照らせば、先生の御意見とはちょっと違う立場をとるわけですけれども、自立した経営が可能であるというふうに判断をいたしまして、それで、国際競争力の強化の観点からも効率化を図ることが適切であるということを考えて、民営化するということに踏み切ったわけでございます。
 そういう意味で、一般財源をさらにこれから投入して、そして、キャッシュフローをもとに着陸料の引き下げを行うべきではないかという先生の御主張でございますけれども、このような一般財源の追加的な投入はなくても、そういう利用者還元というのは図れる、そういう見通しのもとにやっているわけでございます。
 また、空港会社の設立に際しましては、現在想定されております空港施設の整備が円滑に実施できる経営体力が確保されるように資本の部を設定することとしてございまして、そういう観点からも、国の追加的な財政支出は必要ないというふうに考えております。
 また、空港公団が減価償却によって生み出しているキャッシュフローにつきましては、施設の更新投資等にこれから充ててもらう必要があるわけでございますから、これを原資として着陸料を引き下げるというのは適当ではないのではないかと考えています。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
川内委員 どうもありがとうございました。頑張ってください。
菅(義)委員長代理 井上和雄君。
井上(和)委員 おはようございます。民主党の井上和雄でございます。
 大臣、本日もよろしくお願いいたします。
 本日は、成田空港株式会社法案の質疑でございますが、私は、基本的にこの法案を支持したいというふうに思っておるんですけれども、その前に、冒頭、少しお時間をいただきまして、私が当選以来、個人的に取り組んでまいりました交通事故の問題に関して、大臣にお伺いしたいと思います。御了承をお願いいたします。
 実は、私がこの交通事故問題に取り組もうと思ったのは、私が当選する前の年、一九九九年になりますが、その十一月に、東名高速で非常に悲惨な痛ましい交通事故があったからでございます。
 この事故に関しては、大臣も御記憶にあると思いますが、東名高速で、ずっと飲酒運転を続けてきた運転手によって運転される大型トラックが、東京料金所の手前で、井上保孝さん、私と同じ名前でございますが、井上保孝さん運転のワゴン車に追突して、車が炎上し、後部座席に乗っていた二人の幼いお嬢さんが亡くなったという本当に痛ましい事故でございます。このトラックが所属する会社が、高知通運という高知の会社なんですね。
 本日は、井上さん御夫妻も傍聴にいらっしゃっています。
 この事故が一つの契機となりまして、その後、井上さん御夫妻を初め多くの交通遺族の皆さんの活動によって、飲酒運転の厳罰化とか、また、危険運転致死傷罪という法律が成立するということになったわけです。
 この事故を起こした高知通運という会社の取締役が、先月、飲酒運転によって事故を起こしたという事件がございました。
 実は、そのわずか三週間前に、四年前の事故の被害者であった井上さんが、高知通運で御講演をされた。まさしく被害者でありながら、加害者である高知通運で講演をされて、そして、本当にその数週間後に、取締役という責任ある立場の人間が、どうも会社の同僚と一緒に酒を飲んでいたようだという話も私は聞いておりますが、飲酒運転をして事故を起こしたということなんですね。本当に、非常にモラルがないとしか言えないような問題なんです。
 トラックによる悲惨な交通事故というのは、本当に後を絶たない状況でございます。私も、やはり首都高速でのトラックによる追突事故によって二人のお子さんを亡くされたという方も個人的に知っております。しかし、そういった事故を起こした原因となった会社の方が余り反省がないという一つの実態を示しているのが今回の出来事ではないかというふうに思います。
 小泉総理も、年頭、交通事故による死者をとにかく半減させるんだということを御公約されているわけですので、ぜひ、こういった問題が起こらないように徹底的にやっていただきたいというふうに私は思っているんですが、どうも、飲酒運転による死亡事故を起こした今回のような会社に対しての行政、監督官庁の姿勢が甘いんじゃないか、もっともっと使用者責任を問えるようなことをすべきじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
丸山政府参考人 ただいま先生から、飲酒運転事故を起こしまして刑法改正等につながった会社の役員が、自家用車運転中であるとはいえ、さらに酒気帯び運転を起こしたということについてのお尋ねがございました。
 国土交通省といたしましては、一昨年の刑法改正によりまして危険運転致死傷罪が創設された、それから、道交法改正によりまして罰則も強化されるということを踏まえまして、安全対策の最重点課題といたしまして、事業用自動車の運転者についての飲酒運転の防止に徹底的に取り組んできたところでございます。
 このような中で、一連の法改正の契機となりました事業者の役員、しかも運行管理業務を総括する立場であった者が、自家用自動車の運転中とはいえ、酒気帯び運転を起こして検挙されたことは、まことに残念といいますか、遺憾なことであるというふうに思っています。
 早速、四国運輸局におきまして、五月六日に、直ちに事業者を呼び出しまして、厳重注意を行いました。それから、五月十五日に、本社及び営業所一カ所につきまして監査を実施したところでございます。さらに、四国管内の全営業所に監査を行うということをしております。この結果を踏まえまして、厳重な行政処分等を検討していきたいというふうに思っております。
 今後とも、私どもといたしましては、警察などとの連携も強化いたしまして、飲酒運転が判明いたしました事業者に対しましては、監査を通じまして厳正に行政処分を行いまして、飲酒運転の防止の徹底を図っていきたいというふうに思っております。
井上(和)委員 飲酒運転に関しては、厳罰化がとられて、実際的に、交通事故の死者が、飲酒運転の事故による死者が減ってきているという事実があります。
 今、監査をやっているというふうにおっしゃいましたが、やはり一罰百戒で、厳しくしなきゃいけないと私は思います。このことに関しては、恐らく、与党の先生方、自民党の先生方も私は賛成していただけると思うんですね。我々自体も、いつ、後ろから追突されて、車がぺっちゃんこになるか、そういうこともわからない。それだけ、非常に大きな社会的な問題になっている大型車両による交通事故の問題なので、ぜひ、私、大臣にも一言御答弁をお願いしたいと思うんですね。ぜひ厳しくしていただきたいんですが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 この件に関しましては、井上議員から、前にも御論議した記憶もございますし、また、ことしの交通安全週間が昨日終わりました。けれども、私は、交通安全期間だけが交通安全に注意をするのではなくて、より厳格に、平時も、しかも、車というのはいつ殺人兵器に変わるかもわからないという危険性を帯びているものですから、運転する一人一人が、我々は殺人兵器を操っているんだというくらいの気持ちで対応するべきである。
 また、運転資格者、しかも営業者というものは、民間よりもその任務の重さというものをより感じるべきであって、私は、国土交通省の地方運輸局が今監査に入っておりますから、この件に関しては、その結果を見て、けれども、一般に交通安全週間だけということではないということを、総理がおっしゃったように、交通事故による死傷者を半減するという目標に向かって、我々は心すべきである。国会議員といえども、ハンドルを握っている方も大勢いらっしゃいますので、我々もまず気を引き締めていきたいと思っております。
井上(和)委員 今回の事件に関しては、高知通運と輸送契約をしていた県の園芸連盟ですか、そこがもう輸送契約を取りやめたということも新聞報道されています。つまり、社会的に、非常にこういう交通事故問題に対する関心もふえています。事故を起こした会社には、やはり社会的責任をとるべきだという世論も今あると思うので、ぜひ大臣、よろしくお願いいたします。
 それでは、法案の質疑に移らさせていただきます。
 今回の法律が施行されますと、空港公団は解散することになりますけれども、現在、九人の役員がいますが、この役員に関してはどうなるんでしょうか。
洞政府参考人 新会社の役員の選定につきましては、この法律が通りました後、成立しました後に、国土交通大臣が任命されます設立委員が検討の上、創立総会において新役員が選任されるものでございます。
 したがいまして、現在の空港公団の役員の方々の取り扱いについても、その場において御議論されるものと考えております。
井上(和)委員 現在は、公団の方は九名役員がいらして、一人を除けば、国または千葉県からの天下りだというふうに私は理解しています。特殊会社ができましても、人事権は国が握る、実質的にはそういうことになるんじゃないかと私は思うんですね。そういう状況の中で、また天下りが続いていくんじゃないかというふうに危惧します。
 先ほど川内委員のお話にもありましたが、成田の非航空収入というのは三一%、九九年の数字ですけれども、関空が七七%ですし、非常に少ないわけですね。そういった意味で、私もマイアミとかフランクフルト空港は時々行きますが、ホテルがあるし、非常に施設としても充実している、恐らく、収益が上がる形になっていると思うんです。そういった意味で、経営の本当にプロを入れていかないといけないというふうに私は思っています。
 そのことに関して、例えば、では、役員は、今、天下りは五〇%以上は入れないというふうになっているようですが、総役員数がふえれば、現在の役員がそのまま残れるというふうなことにもなると思うので、そういうことのないように、本当に経営効率を上げる、経営目的を達成するというような観点からやっていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
洞政府参考人 先ほど答弁申し上げましたとおり、新役員につきましては、これから検討される事柄でございます。先生の貴重な御意見を踏まえて、当然、そのことも踏まえて検討されるものだと考えております。
井上(和)委員 次に、今の空港公団の債務の状況に関してお伺いしたいんですね。
 空港整備部会では、債務完済は三十年目で可能だということを言っておりますが、その基礎となる一年間の平均利益というのが二十三億円というふうに見積もっているというわけですね。今、空港公団、七千億近い債務を抱えていると思いますが、これまで赤字で、やっと去年、十億の収益が出たということですね。こういう状況の中で、総務庁も平成十一年の行政監察で、今後の収支、非常に厳しいということを言っているんですが、債務の返済に関してはどうなんでしょうか。どういうふうに考えていますか。
洞政府参考人 昨年の交通政策審議会の航空分科会におきまして、空港の民営化をいろいろ議論されました際に、いろいろな試算がなされてございます。
 こういった試算につきましては、先生のおっしゃるとおり、前提条件の置き方によって結果も変わり得るものではございますけれども、基本的には、経営の効率化や新規事業による増収等を通じまして、設立初年度から黒字を計上するということを見込んでいるところでございます。また、現在有しております債務も、先ほど先生おっしゃいましたとおり、約三十年で債務の完済ができる、そういう試算が出ておるのは事実でございます。
井上(和)委員 だから、非常に経営環境は厳しい中でやっていかなきゃいけない。それだけに、非常に経営能力が問われることになりますので、ぜひ、社長等の人事、やはりしっかりと経営ができる人を入れてやっていく、そういうことが非常に大事だと思います。
 それで、先日の衆議院の本会議で、大谷議員が大臣に、この法案に関して代表質問をしておりますが、その際、大臣が、成田、関空、中部以外の民営化は考えていないというような御答弁をされております。
 私は、岩國委員、川内委員とはちょっと違った考えを持っておりまして、民間会社であっても、日本国内で、日本国の法人であるわけですから、それは、災害、有事に対しても、社会的責任はきっちり果たすべきであるのは当然だというふうに考えておりますので、民間会社でもいいというふうには思っているんですね。
 だから、国営二十二空港あるわけですね、それ以外の第二種B、第三種空港もあるわけですから、そういう空港も民営化して、効率化を図って、借金を抱えているところはどんどん黒字にするというふうに考えるのは当然だと私は思うんですが、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 先ほどからの御論議で、井上議員が民間人の経営経験者を入れるべきであるというのは、まさしく私は大賛成で、四公団にも民間人を入れることを今実行しまして、それと同じように、私は、今後、成田新国際空港もそうなるであろうと思っておりますし、またそのように指導していきたいと思っております。
 ただ、残念ながら、御存じのとおり、成田と関空と中部、これは国際空港の拠点空港である、私がそういう位置づけをしておりますのは井上議員もう御存じのとおりで、国策として我々はそのようにしていこうと。
 けさから岩國議員とも、玄関口が狭いではないか、もっと確実に日本の玄関口を確保しろというお話もございましたけれども、私は、その拠点空港の三空港自体の整備というものも、今皆さんがおっしゃるように、国際空港、拠点空港としての能力を持ち得るような空港にまずしなければ、現状では、既にアジアの近隣の空港に劣っている。料金にしても機能にしても、あるいは離発着の回数にしても既に満杯に近い。
 そういう状況の中で、それ以外の国内空港ということを今おっしゃいましたけれども、日本じゅうに全部で九十四ございます。今井上議員がおっしゃったように、では、国際線が離発着しているのは二十三、国際線がおりているからそこももっとしろというお話は、私はわからなくはありませんけれども、少なくとも、日本じゅうの旅客離発着、乗りおりするお客様、航空旅客の約六割が、今現在、羽田空港に集中しております。そういう意味で、地方から増便する要望も出ております。もっと羽田へ乗り入れさせてくれ、ここからも、稚内から石垣まで、ある地域全部から羽田へ乗り入れたい、乗り入れたいという御要望はありますけれども、既にそれとても満杯でございますので、空港の整備そのものが、この拠点三空港以外、国内線に対しては、今それだけのゆとりがないというのが現状でございます。
 地方は、地方自治体がかなり負担しておりますので、そういう意味では、地方の自治体が管轄として自分たちが持っている空港がございますので、それはそれで、地方自治体の御意見によって整備するということがあろうと私は思いますけれども、国としては、少なくともこの三空港、拠点空港の玄関口、国際空港であるという拠点空港の整備に今精いっぱいで、その予算もとれるかとれないかと毎年予算のときにもめているような状況でお恥ずかしい次第です。
 私は、そういう意味では、空港の全国のネットワーク性、そして、ネットワークの中で考えた今後の二十一世紀の拠点空港のあり方という点から見れば、他の国内空港について今私どもが手を出すと、それは、この間も通していただいた照明をしなきゃいけないとか、そういう部分的なものはありますよ。けれども、空港自体の考えとしては、今それぞれの維持と向上というのは、地方自治体の意見を聞きながらしなければいけないということで、拠点空港三空港に今限っているというのが現状でございます。
井上(和)委員 大臣、まさしく大都市の拠点空港をやるためには、今地方にある空港の経営効率を上げなきゃいけない。今、空港整備特別会計から空港の維持に、十四年度の予算で一千五百六十三億なんですね。空整特会というのは四千五百七十七億、そのうちの一千五百億ですから三四%、これが維持に行っているわけですよ。
 では、大都市拠点空港の整備に一体幾ら使われているかといったら、千二百億。地方空港の整備に六百億ですよ。だから、本来これは空港整備、名称どおりにとれば空港整備のための特別会計だけれども、実際の整備、特に、まさしく大臣が今おっしゃったような大都市の拠点空港の整備に使われているのは二〇%もないんじゃないですか。四千五百七十七億のうちの千二百億しかないと言われています。だから、まさしく今、そこが問題なんですね。
 羽田の沖合展開に一兆円ぐらいかかるし、関空も二期工事で約一兆円かかるわけですね。だから、今まさしくこの空整特会がもう成り立たない状況だ。これを何とかしなきゃいけない。それをどうするかと考えたら、今四〇%近いこの空整特会の予算を占めている維持管理、やはりここを何とか効率化しなきゃいけない。それにはやはり、二十二の国営空港を初めとする、国がこの特別会計からお金を出している地方の空港も、何とか民営化して独自にやってもらうべきじゃないんですか。大臣、どう思いますか。
 そして、今の特別会計の状況にあっても、受益者負担の原則というものがもう成り立たない状況になっていると思うんですね。だから私は、この空整特会はもう解体すべきだというふうに思っています。どうでしょうか、大臣でも局長でも。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
扇国務大臣 まず、井上議員に、国会の御論議の中で思い出していただきたいと思うんです。四十七都道府県、一県一空港と国会議員が言った時代がございます。とても、この狭い日本で一県一空港、それは政策の一つかもしれませんけれども、これだけ離島が多いところに空港が必要だというのはわかります。四十七都道府県、一県一空港といった政策、これは国会議員から出た案ですけれども、今考えれば、果たしてそれが必要であったか。それは、新幹線がなかった、まだ高速道路ができていなかった、そういうところで一県一空港政策というのが国会で論議されたのを御記憶にあろうと思います。
 私は、そうではなくて、やはり今の時代は、空港、飛行場も必要だ、新幹線も必要だ、高速道路も必要だ、一般道路の拡幅も必要だ、こういうふうになってまいりますと、今おっしゃったように、空港特会がどうこうということ、これも必要です。空港特会よりも空港周辺整備機構の方がむだだと私は思っていますよ、御存じのとおり。例を挙げれば長くなるからやめますけれども。
 少なくとも伊丹だけでも、今まで周辺整備機構というもので、伊丹空港の維持費というのは、空港ができてから今日まで一千百億です。ところが、伊丹の空港周辺整備機構ということで、整備費というのが六千三百十三億円かかっている。それから考えても、私は、空港自体の六倍も周辺整備で、飛行機に関係ないことにお金を使ってきたということも勘案しなければ、空港特会だけではなくて空港周辺整備機構というものも、果たして今になってみれば、今でも伊丹に毎年百億近いお金を払っている、それは飛行機に関係ないことです。騒音防止というのはわかりますけれども、もう時代も来ているし、飛行機も騒音が小さくなっている。また、なるべく騒音がしないようにということで、垂直にまではいきませんけれども、民家の上をなるべく通らないで早く上昇するようにという飛行機の機能も強化されました。
 そういう意味では、空港特会で一県一空港というものにばらまくということではなくて、見直すべきということであれば今ある空港を、新規は離島以外つくらないと私は明言してあります。ですから、その整備を図っていくというのは、空港特会があったからこそ今までの九十四の空港ができたとある意味では言えますので、その辺の整合性というものは考えていきたいと思っています。
井上(和)委員 松野議員から五分間いただきますので、よろしくお願いします。
 つまり、空港をつくるとき、この場でも恐らく議論をされたと思うんですが、需要予測をきちっと立てて、採算が合うということでつくっていると思うんですね。それが一度もうできているわけですから、まさしく政策的に大都市の拠点空港を国としてやらなきゃいけないんだから、今赤字のところも多いと思いますが、とにかくそういうところも民営化をして、黒字になるような努力をしてもらうべきじゃないかということを私は申し上げているわけですね。
 そして、今の受益者負担の原則、要するにプール制というものはもう成り立たなくなっているわけですから、やはり一般財源からもきちっと入れて、これは別に地方に住んでいるから成田空港は関係ないということは、これは全然言えないわけですから。
 要するに、ハブ空港、ゲートウエーですから、やはり首都圏の拠点空港には一般財源からもしっかり入れて、つくるべきものを優先順位を決めてつくる。だからこそ、今大臣も総合的な公共事業の整備計画をお考えになっているということだと思うんですけれども、ぜひ、これまでのような空整特会によって、要するに、ばらまいていくということではなくて、優先順位をしっかりと決めた政策をやっていただきたい、こういうふうに私は思っておりますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 先ほども川内議員がおっしゃいました、空港予測は、離発着の予測は信用できない、道路だけ見ても、今まで予測は違ったじゃないか、御指摘のとおりです。今、井上議員がおっしゃったように、空港予測をして空港をつくったとおっしゃいますけれども、全部外れています。だったら黒字に全部なっているはずです。
 黒字であれば、もっと地方自治体も、自分たちが一〇〇%株を買い取るとおっしゃる。あるいは、今の九十四の中でどれが採算性とれているかというと、九十四の中で黒字になっている空港は、後で局長に答えてもらいますけれども、ほとんどありません。それは、空港の建設費等自体も高くはついておりますけれども、今おっしゃった離発着の乗客数を、黒字だと思ってつくったとおっしゃいますけれども、必ずそうではありません。
 我々は、赤字かもしれないけれども、その地方の経済的な発展のためには、その地方の利便性、経済性のためには空港をつくってさしあげよう。均衡ある国土の発展が二十世紀の目標でしたから、すべからく、僻地であっても、あるいは離島という、離島のハンディキャップをしょっているところにも、赤字でも空港をつくりましょうと今までやってきたから九十四できたわけです。
 けれども、今振り返ってみれば、もう九十四でいいではないか、それよりも、今あるものをいかに有効に使うか。また、安全性のためには整備をしなきゃいけない点が多々、年数とともに出てきました。そういう意味では、今ある空港をより、地方自治団体と協力し、なおかつ、今おっしゃった拠点空港には国際化、ハブ空港たり得る姿を完成させるために集中的にしようというのが今回の事の一端で、黒字でないところを、赤字をしょって民間にしろとおっしゃるのは、だれも引き受け手がありません。
井上(和)委員 それでは、その空整特会、今のように、空整特会のうち、大都市拠点空港にわずか一五%しか使われていないという状況を解して、ぜひ再検討をしていただきたいと思います。
 それで、もうこれで質問を終わりますが、今大臣もおっしゃった地方空港の収支の状況に関して、一切私、資料を見ていないんですね。だから、ぜひ、全部赤字だったら赤字だという収支の状況を明らかにしていただきたいと思いますので、局長、これ、もう時間ないから答弁結構です、ぜひよろしくお願いいたします。
 どうも、これで質問を終わります。ありがとうございました。(発言する者あり)
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 空港別の収支というのは、実は非常に難しいんです、会社の経営のように、すぱっと収支、どれが収入、どれが支出というふうに各空港ごとに割り切るというのは。というのは、全体、私どもプールでやっていますから、各空港のほかに航空路もやっております。そういったもので、全体のネットワークとして維持運営しているという面がございますので、なかなか空港ごとに収支を出すというのは難しいんですが、ただし、一定の大胆な前提を置けば、そういうものは出せると思います。
 また、空整特会そのものの透明性を向上させるべしという強い要請がございます。そういう中において、私どももいろいろ工夫をして、そういう空港別の収支といいますか、経営状況がどうなっているかというのがわかるような、そういうふうな手法を今一生懸命検討しておりますので、できるだけ早くそういうものを出して、先生方にお示ししたいと考えております。
井上(和)委員 終わります。どうもありがとうございました。
河合委員長 松野頼久君。
松野(頼)委員 民主党の松野頼久でございます。
 何か、大臣、こうやって友人のお母さんと議論をするのも非常に不思議な気分でございますが、ぜひひとつ胸をかしていただくように、よろしくお願いを申し上げます。
 それでは早速質問に入りますが、我が党の大谷議員の本会議の質問で、大臣は、今回の成田空港の民営化に対して、経営の一層の効率化、そして経営の透明性の向上、利用者サービスの向上を目的とするというふうにお答えになっているんですけれども、これをちょっと具体的に伺いたいと思います。
 経営の一層の効率化は何を目指していらっしゃるのか。具体的に、例えば着陸料を値下げするとか、給油施設料金を安くするとか、あと、旅客サービス施設料金を安くする、こういう何か具体的な方向というのはないんでしょうか。局長でも結構です。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 成田空港は、開港後、きのうで二十五周年、二十五年を迎えました。暫定滑走路も昨年の四月に完成して、経営基盤も成熟してきている。そういう意味で、大臣がいつも力説されておりますとおり、諸外国、特に近隣アジア空港の状況を見ますと、我が国の国際拠点空港としての受け入れ体制というのは非常に見劣りがするもの、早急に我が国の国際競争力の向上、確保を図る観点からも、国際拠点空港の充実強化、効率化というものが急がれているところでございます。
 そういうことのために、成田空港につきまして、国が本来必要であります二千五百メーターの整備について責任を持ち、適切に対応するという前提のもとに、創意工夫を生かせるような自立的な経営環境を整えるとともに、経営の一層の効率化、経営の透明性の向上、利用者サービスの向上等を推進することを目的として、民営化を行うこととしてございます。
 今般の民営化によりまして、自立的な経営主体が確立されて、コスト意識やサービス向上に対する職員の意識も高まるほか、経営に対する規制が緩和されて、空港公団の場合と比べて業務運営の自由度が高まり、直営の免税店等新たなサービス分野の展開が可能となります。
 このようなことによりまして、空港全体の経営の効率化が図られまして、着陸料等の利用者負担を軽減することによりまして、航空会社のみならず、空港の利用者の利便性が向上することになります。また、株主はもちろんでございますし、空港周辺の経済活動も活性化されることによりまして、地元企業にとってのビジネスチャンス、あるいは雇用の機会も増大するということが期待されるところでございます。そういういろいろなメリットをもたらすものであるというふうに考えて、民営化を図るものでございます。
扇国務大臣 今局長が答えたのは、基本的な姿勢でございます。
 私は、松野議員が今おっしゃったように、私の子供と同期生ですけれども、若いからこそ、こういう国際化の空港というものについて、より新しい発想で御指示いただいて、また二十一世紀の日本のあり方のために頑張ってほしいと思ってあえて申し上げますけれども、松野議員が成田にいらして楽しいでしょうか。また、行きたいと思うでしょうか。飛行機に乗る以外に、成田へ子供と女房を連れていって、食事をして、眺めて、あれが空港の飛び立つ夜景を見て、そしてゆとりを持った時間を過ごそうと思えるような空港はあるでしょうか。私は、それが大事だと思うんです。
 そして、民営化ということで、あえて私申し上げますけれども、今の東京国際空港公団、少なくとも役員の中に、総裁は旧運輸省、副総裁は旧運輸省、理事は旧運輸省、理事は国税庁、理事は警察庁、理事は千葉県、理事は空港公団の採用です。監事は運輸省が採用しております。また、非常勤ですけれども、監事には衆議院の委員部長が入っています。これらの人たちで新しい発想ができるとお思いでしょうか。
 ヒースローのような、あるいは先ほどからも論議出ました、行って楽しい、また、飛行機に乗る以外にも、あの空港へ行って食事をして、そしてコミュニケーションをとって、すばらしい空港だなと、夜景を見ながら飛行機の乗りおりで一杯飲むというような、デートスポットになるような、そういう国際空港であってほしいと私は願っておりますから、今のような役員の頭のかたさから考えれば、とてもそういう、行くのが楽しいというような発想ができるようなことが出てこないと思います。
 私は、民営化すれば、民間の新しい知恵、新しい能力、また他空港に負けない空港になること、また、デザイン一つをとっても利便性を図った楽しいものになるであろう、そう期待しながらこの法案を見守って、なおかつ行き先を楽しんでいますので、松野議員も、どうかこれからの日本の国際空港のあり方に、うんと発言をしていっていただきたいと思います。
松野(頼)委員 大臣、本当に、私が言いたいことをすべて言っていただいたようなすばらしい答弁ですが、もう一つ、利用者から見ますと、三千万人の人が海外に出かけているわけですね。その方は一番何をしてもらいたいかというと、楽しいのもそうですが、やはり航空料金が安くなるというのも一番の目的じゃないかと僕は思うのです。
 いろいろな報道を見ていますと、日本の航空料金、今、民間は、いろいろな経営努力によって、空席をないようにとかいって、随分安くしようという努力が見られるのですが、そこが公団側の姿勢というのがいまいち私は見られないと思うのです。
 それで、報道によって一番出ていますのが、世界一高い着陸料金、これを今回の民営化で、今、局長に具体的に伺いたいのは、引き下げる方向で持っていくのか。そして、旅客サービス施設使用料というのもそうです、給油施設使用料金もそうです。こういうお金が必ず航空料金にはね返ってくるんですよ。これをやはりまず第一に、少しでも安いエアチケットを販売するという、その公的な部分のお金を下げることが私はまず第一の目的ではないかと思うのですが、その辺、局長、具体的に、これは下げるんだと、この委員会でどうか発言してください。
洞政府参考人 その点に関しましては、もう公団総裁の方からも再三にわたり明言されてございますけれども、日本の空港使用料は、正直言いまして、世界一、欧米と比べて高いというのは事実でございます。
 そういう意味で、今回の空港の民営化を通じて、経営効率を高めて、コストの縮減等を通じて、そしていろいろ非航空系事業収入の割合を高めて、民間会社として、トータルとして経営が効率化されて、そして、それが着陸料等の利用者の負担の軽減などに図られるというのが今回の民営化の目的でございますので、できるだけ早期にこういう着陸料等の引き下げが実現されるよう、私どもも空港会社を指導してまいりたいと考えております。
松野(頼)委員 もう一つあるのがテナントの使用料なんですけれども、これは具体的に資料を僕も見てびっくりいたしました。空港のチェックインカウンターというのが、多分御存じだと思うのですが、ワンブロック一坪ぐらいしかないのです。これの月の賃貸料金が十九万なんです。それで、百平米のテナントの毎月の家賃、公団は家賃じゃないんですね、売り上げの歩合というのを取っていまして、三十坪のお店で、Aクラスという一番利用客の多いところで大体百六十万ぐらい、月ですよ、坪五万以上の負担をしているのです。何と預かり金は二十四カ月分の二千四百万円、これが非常に高いんですね。
 ですから、先ほど大臣がおっしゃっていました、家族で空港へ連れ立って、まず、おもしろくないのもそうですけれども、一番腹立たしいのは値段が高いことなんです。一万円札があっという間に消えてしまいます。
 そしてもう一つ、航空料金にはね返ってきますのは、このチェックインカウンターですね。テナントの賃貸料金です。
 これは、ようやく私、見て初めてわかったのですが、よくツアーで行くと、何々ツアー、何々ツアーというのがこんな小さいチェックインカウンターに、だっと名前を連ねているんですね。ああいう価格競争をしているところは、よく見ましたら、坪十九万の、ワンカウンター十九万円の家賃を払うのが高いから、ああやってみんなでお金を出して少しでも安くしようという努力をしているわけですが、このテナント料金、どうですか、局長、下げますか。総裁でもいいです。
黒野参考人 大変厳しいお話を伺っておりますが、私はかねてから申し上げておりますが、自由度を増していただき、それから自助努力ということの延長線上で、コストは下げたいと思っております。その結果として、着陸料等各種の料金を下げたいと思っております。
 テナントさんも、これは空港会社から見れば大事なお客様でございますから、このお客様との関係はやはり良好な状態に持っていかなければいけないということで、極力引き下げの方向で努力はしたいし、何らかの実績を上げたい。私が引き続き経営をする場合の話でございますけれども、努力してまいりたいと思っております。
松野(頼)委員 ぜひ、やはり利用者にとって一番のしてほしいことは、航空料金が下がって、飛行機に乗るときに安い価格で乗れることがまず第一だと思うので、どうかそこの部分をよろしくお願いしたいと思います。
 本当はもっとたくさん聞きたいことがあったのですが、あと十分になってしまいましたので。
 民営化をした後に、先ほど大臣が周辺整備の話をされていたのですが、非常に、飛行機以外の部分で六倍も周辺整備にお金を使っているということをおっしゃっていました。見ますと、成田空港にもそういうのがあるんですね。芝山鉄道株式会社という資本金七十一億円の本当に二キロぐらいの鉄道を、まだ最近開業されていますけれども、ここに六八・四%の資金が公団から入っています。これについて、七十一億円の、約八十億円ぐらい投資しまして、売り上げは五・八億しかないのですよ。これは間違いなく、これで経営が成り立つとは思えないような鉄道会社でありますが、民営化の後にこの鉄道会社はどうされますか。
黒野参考人 成田公団を民営化するときに、周辺の方々が大変心配をされました。従来、騒音対策あるいは広い共生策ということで、地域との共存共栄を図るということでやってまいったわけでございますが、これが株式会社になると途端に冷たくなるのではないかという御心配をされました。かなり長い間にわたりまして、地元公共団体、もちろん国交省にも入っていただきまして、議論を重ねた結果、従来から公団として地元にお約束していること、これはきちんとやります、こういう覚書を交換し、かつ、今御審議賜っております法案の中にもその趣旨を書き込んでございます。
 会社になった後、これを単なる効率性だけで、えいやと線を引いてしまう、切ってしまうということは、私どもとしては、してはならないことだと思っております。これは、長い目で見れば、成田空港株式会社という企業体が地域と共存していく、共栄していくためには必要やむを得ない、やむを得ないというとこれも問題かもしれませんが、ぜひとも必要な経費だと思っております。
松野(頼)委員 それともう一つ、関連の公益法人で、成田空港周辺地域共生財団というのがありますね。これは基金が百億円ありまして、公団が五十億円出している。残りの五十億円は周辺の市町村だとか関連で出しているらしいのですが、今現在、この財団の業務は何ですか。それと、どうも今この百億円の基金を切り崩しながら、徐々に減っていっているらしいんですけれども、この財団との関係というのは今後民営化後も続けていくつもりか、お答えください。
黒野参考人 この財団は、空港公団としてできない周辺対策につきまして、今おっしゃった基金等を使って事業をやっていただいております。株式会社になった後も引き続き存続をしていただきたいと思っておりますが、毎年の事業が本当に効率性があるかどうかにつきましては、出捐者としてそれなりの発言をし、チェックをしなければいけない、かように思っております。
松野(頼)委員 空港の環境整備に対しては別のところからもお金がちゃんと出ていますでしょう。今大臣がおっしゃっていた、そこのところを直さなきゃいけないんですよと言っていたことと全く逆のことをおっしゃっているんですが、各論になると違っちゃうんですよね。これは今、六倍も周辺整備にかかるんだから直さなきゃいけないと真横で大臣がおっしゃったじゃないですか。なぜこういうむだなことをやりながら、これから民営化というところに進みながらもこういうものを残そうとするのか、もう一回答えてください。
黒野参考人 繰り返しになりますが、私どもはむだだとは思っておりません。
 もちろん、これからも個々の事業についてチェックは要るかと思っております。今ここでこの事業を切るとか、そういうことになりますと、成田空港株式会社そのものが地元と断絶するということになりますから、これは成田空港が、きのうでちょうど開港二十五周年に当たりましたけれども、その間の長い歴史の中でやっと地元との関係で安定した状態になっている、その結果でございますから、このよき状態をそのまま継続させていただきたいと思っております。
松野(頼)委員 総裁も二〇〇二年の十二月の二十九日の日経新聞の中で、「空港使用料をとにかく引き下げ、成田の魅力を高める必要があります。民営化の最大の目的もそこにあります。」民営化されて自由になったらどんどん値下げするというふうに日経新聞に答えていらっしゃるんですね。ですから、民営化の目的、さっき大臣もおっしゃいましたように、とにかくいろいろな魅力のある事業を一方ですること、それともう一つ、利用者のコストを下げること、この二つが目的だというふうに私は思っています。
 しかし、各論になると全く、百億円の基金を収益が上がらないからどんどん食いつぶしているような財団は残すとおっしゃい、そして芝山鉄道という、これもどう見ても利益が上がるとは思えないんですよ。地図を見せてもらいましたけれども、本当に百軒、二百軒の家のところをわずか二・二キロをつないでいる、その人たちの利用者しかいないような、もうまるで地域対策のような会社を残しながら、それで、片やテナント料金は下げます、ここは安くします。利用者の料金は安くしますと言いながら、それだけじゃありませんよ、まだ関連の会社、公益法人は、芝山鉄道を初めとして臨空開発整備株式会社、空港情報通信株式会社、ここには六割から五割以上の資本金が公団から入っています。また、関連会社として成田空港施設、メディアポート成田、日本空港給油、こういう会社は、ある意味ではもうかっているわけですから、これは公団が直接やって利益を公団がとればいいじゃないですか。
 こういう関連会社や関連団体の関連法人を、今後民営化に当たって、きちっとそこは整理するのかしないのか、もう一回答弁ください。
黒野参考人 二つに分けてお答えをさせていただきたいと思います。
 まず周辺対策、これにつきましては、再三の繰り返しで恐縮でございますが、従来約束したことを着実に実施していく、ここのところは私どもとしては全く否定するつもりはありませんし、否定した場合には大変な混乱が起こるだろうと思っております。
 二番目に、関連会社の件でございますが、私どもは、関連会社に仕事をやってもらう、あるいは関連会社が収益を得るということは空港における全体の利益を上げることでございますから、関連会社を有効に使っていこうと思いますが、その中で、むだがある、あるいは公団が直接やった方がいいというものがあれば、それは大胆に廃止するということもやろうと思っています。
 要は、成田空港という場を通じて生ずる利益をなるべく一元化して、それを利用者に還元するということでございますから、関連会社につきましても、引き続き残すところについては、例えば給与とか、あるいは定年制とか、かなり厳しい管理をしていかなければいけないと思っております。
松野(頼)委員 もう時間がありませんので、細かいことは申し上げませんけれども、この空港の民営化というのは、非常に競争相手がいない市場での民営化であるわけですよ。
 今回はまだ一〇〇%政府が株を持ちますから、十六年まではそう問題はないんでしょうが、それでは最終的に民営化する意味がないわけですから、一般的に株を一般の方に買ってもらうというと、株式会社の普通の経営体としての考え方は、株主に対して利益を配当するという一方の側面があるんですよ。それと、こういう公共性のある事業に関しては利用者に対して安く還元するという、株主ももうけさせたい、利用者にも安く提供したいという相反する二つの部分を持ちながら民営化をするという非常にレアなケースなんです。
 それで、競争がない中で、こういうレアケースの非常に難しい民営化、市場原理を導入するやり方をやる中で、こういう特殊なものを残しながら、ですから、一般の競争が働くところならいいですよ。六八%も公団が株を持っている会社を入れて、そこと相みつをとるなり入札をするなりということでもいいですよ、競争があるならば。ただ、こういう空港という、隣に私は空港を建てますよということが許されないような、競争のない部分での民営化をしながらこういう運営をするわけですから、よほどそこのモラルハザードの防止と透明性というものは担保しなければいけないと思うんです。
 特にこの共生財団に関しましては、別途空港の騒音整備にお金が出ているんですよ。なぜ二重にこの共生財団をつくる必要があるんですか。答えてください。
黒野参考人 空港が直接行っている分野と財団がやっている分野、さらには市町村がやっている分野、さまざまな分野がございまして、過去の歴史の中で一歩一歩積み上げてきたものでございますから、今のお話は、いわばそういう地域の共生策がある、これは必要なんだという前提での会社経営、その中で利益を上げ、投資家にも、あるいは利用者にも応分に分ける、そういう経営がこの成田空港株式会社には求められているというふうに理解をしております。
松野(頼)委員 過去を責めているわけではありません。この民営化という一つの契機に、やはり負の遺産というものはしっかりと整理をして、決して追及しているわけではないんです、前向きな議論として、これから民営化をするに当たりまして、やはりマイナスの部分はなくす、そしていいところをどんどん取り入れて、非常に難しいレアケースでありますけれども、この民営化を私は推進してもらいたいというふうに思っている立場からこういう苦言を呈するわけであります。
 どうかそこはしっかりと考えていただいて、まだまだ時間があればいっぱい聞きたいことはあるんですけれども、大臣、本当に政治家が大臣になられて自分の言葉で語ってくれて、私たちも好感を持てますし、納得のいく答弁をしていただける大臣なので、どうか最後に決意と、今のお話を総括して答弁いただけますでしょうか。
扇国務大臣 空港が競争相手がないとおっしゃいましたけれども、そのとおりで、空港の民営化というのは、それだけにモラルハザードが求められ、そして民営化したときには、まさに株主総会を開いて、堂々と情報公開をしながらやっていける、私はそれが民営化だと思っています。
 それは空港のみならず、道路公団もそうでございます。四公団一緒になるといいますけれども、公団という、道路というのは競争相手がお互いじゃないんです。分割して、それが競争にならないんです。道路の競争相手というのは無料の一般道路であり、あるいは一般の、同じ道路があって初めて競争なんですね。高速道路自体を分割して、それで競争するということには私はならないと思っておりますし、空港も同じでございます。
 そういう意味では、より、民営化というのは、今まで以上に、総裁も決意を述べられましたけれども、民営化するまでのこの期間に多くの知恵を集めて、きちんと目に見えた民営化の実を上げるということを私たちは期待し、また見守り、私が職にある間は指導していきたいと思っています。
松野(頼)委員 どうもありがとうございました。
 私たち野党は議会のチェック機能でございますので、厳しいところもあったのはお許しください。どうもありがとうございました。
河合委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時三分開議
河合委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。赤羽一嘉君。
赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。
 きょうは、成田国際空港株式会社法案につきまして何点か御質問させていただきたいと思いますが、どうかよろしくお願いいたします。
 きょう、実は午前中、民主党の岩國委員から、国際拠点空港は国営化するべきだ、こういう御発言がありました。御本人、今はいらっしゃらないんですが、岩國委員は、規制緩和、民営化論者だというふうに私は思っておりましたので一瞬びっくりもしましたが、よくよく考えてみれば、国の基盤たる国際拠点空港、まさに大臣よく言われますが、日本の玄関である成田国際空港を本当に丸ごと民営化していいのか、こういった議論というのは当然あるわけであります。災害のときとか万が一のことということも言われておりましたが、本当に民営化がすべていいのか、こういった議論というのは私はあると思うんですね。
 よく大臣がおっしゃられますように、上物の部分については、私は、もっと民営化がされて、成田空港というか、そこに行かなければ堪能できないことがあれば、成田空港はちょっと遠過ぎてそれに値するかどうかわかりませんが、本当にそういった意味での非航空事業のところについては大いに競争が図られるべきだというふうに思っておりますが、空港のあり方、下物の部分については議論があるところではないかというふうに私は思うんです。
 ちょっと議論の整理として、まずそもそも論として、民営化を導入しなければならないとされた具体的なデメリットというのはどう考えられたのか。午前中の大臣の御答弁の中に、国際拠点空港と値しないほど硬直化していたんだ、こういった御発言もございましたが、それはどういったことが、何が硬直化していたということで民営化が議論になったのかということをお答えいただきたいというふうに思います。
洞政府参考人 民営化されていなかったためにどのようなデメリットがあったのかという御質問だと理解いたしますが、なかなか難しい質問で、うまいお答えになっているかどうかあれなんですけれども。
 というのは、成田空港は、開港以来二十五年を経過して、ようやく経営基盤が安定してきた。それで、暫定滑走路が昨年四月に供用が開始されたということで、ようやく民営化できる条件が整ってきたということでございます。それ以前においては、まさに滑走路一本の非常に使い勝手の悪い、それから処理能力も非常に諸外国と比べて低い空港であったわけでございまして、そういう中において、本来の施設整備もまだなされない中で、民営化をするというような状況にはなかったというのははっきりしていると思います。そういう意味で、ようやく民営化の条件が整ってきたということが言えるんじゃなかろうかと思います。
 その上で、民営化していたならば公団と比べてどういうメリット、デメリットがあったのかということで、単純にそういう目で眺めてみますと、公団である場合においてはさまざまな面で国への依存度が高くて、経営が全体として硬直的で、それこそコスト意識やサービス向上に対する職員の意識が低いということから、例えば近隣のアジア諸国の空港と比較して、国際競争力を高める上で、利便性といいますか使い勝手をよくするためのいろいろな利用者利便の改善とか、そういった面が、そのインセンティブがどうしても低かったということだと思います。
 また、着陸料を下げるためには、それだけそれを補てんする、あるいは自分で稼ぎ出す、そういう努力が必要になってくるわけでございますけれども、御存じのとおり、公団の場合は経営という面での規制が非常に強く、新規事業への進出というのは大幅に制約されており、むしろ、どんがらをつくってそれを賃貸するというだけで、自分で商売をするとか、そういったことは大幅に制約されておりました。そのために、自分で商売をしていわゆる非航空系収入を増大させて、自分で稼いでそれを内部補助で着陸料等を下げる、あるいは、先ほどのお話のようにテナント料等に反映していくというようなことも、やろうと思ってもなかなかできなかったということがあったと考えております。
赤羽委員 今回、この議論、国際拠点空港の民営化に当たって、国土交通省は当初、国の航空施策との整合性を図ることが重要である、いろいろな理由があったと思いますが、そのためには上下分離方式による民営化を行うべきじゃないか、空港整備を行う下物法人は公的な法人とすることを提案されたと伺っております。
 それで、今局長の御答弁にもありました、最近アジアで国際競争力を増している空港、幾つもあるわけでありますが、例えばこの中でも、シンガポールのチャンギは、これは経営主体は公団になりますね。この公団が民営化かどうかはわかりませんが、チャンギは公団だ。マレーシアのクアラルンプールのセパン空港については国営会社がやっている。香港はどうかというと、香港もたしか公団ですね。あと、ソウルの仁川につきましても公団だ。台北については、国営というか、国そのものが運営をしている。
 ですから、国際競争力を整備していくということが、ちょっときのうの参考人質疑のときにも話しましたが、その障害というのは、非航空部門についての、先ほど言いました上物についていわゆる民間が競争するということは私は非常によくわかるんですが、下物について、要するにイギリス型というのは全世界じゅうでも数が少ないのではないかというふうにも思います。
 こういったことというのは、当初国土交通省もそう志向されていたというふうに聞き及んでいるわけでございますけれども、結局、この法案の形は、三空港を個別にかつ上下一体として民営化するという方針、これを受け入れたというその議論の過程、いろいろあったと思いますが、こういったところに落ちついた理由についてお答えいただきたいと思います。
洞政府参考人 最初に、先生今御紹介されました諸外国の国際空港のそれぞれの経営形態等についてちょっと御報告させていただきます。
 まず、ソウルの仁川国際空港は、政府及び民間出資による仁川国際空港会社が空港の管理を行っておりまして、言ってみれば我が国の特殊会社に相当する。また、香港の国際空港も、政府及び民間の出資によりますエアポートオーソリティー、香港空港会社というものが行っておりまして、これも我が国の特殊会社に相当するというふうに考えております。シンガポールのチャンギ国際空港は政府全額出資の公団でございます。それから、クアラルンプールの国際空港は、当初政府全額出資で設立されまして、一九九九年に一部株式が公開されたマレーシア空港管理会社が空港の管理を行っている、こういう状況でございます。
 私ども国土交通省は、成田、関空、中部の三つの国際拠点空港の民営化につきましては、平成十三年の十二月に閣議決定されました特殊法人等整理合理化計画に基づきまして、昨年一年間かけて、空港の整備と管理運営を行う主体を分けて管理運営主体の完全民営化を図るいわゆる三空港一体の上下分離案、そして、今回の案でございますけれども、各空港ごとに上下一体で個別に民営化する案等々につきまして、空港管理法人とか自治体、航空会社等、関係者の御意見等を踏まえましていろいろ比較検討等を行いながら議論を行って、最終的に、今回のように各空港ごとに上下一体で民営化を図ることとしたものでございます。
 三空港一体の上下分離案につきましては、空港整備や環境対策の実施等について公的な主体が責任を持って対応するということでございまして、そういう意味で、空港の整備等について国の責任がきちっと担保できる、確実であるということ、それから、下物は一体として公的法人が責任を持って対応して、上物は三空港それぞれ同時に別々の主体が管理運営部門について完全民営化を図ることが可能となるというメリットがあります。
 しかしながら、一方で、一つの空港において上下分離ということでございまして、二つの法人がそれぞれ下と上を管理するということになりますので、経営責任の明確化が確保しにくいという特徴があると考えます。要するに、例えば投資一つをとっても、下物の会社と上物の会社の考え方の調整等に時間もかかるし、必ずしも利害が一致するというわけではございません。そういう意味で、経営責任の明確化というのが非常に不明確になるというデメリットがございます。
 片一方で、各空港ごとに上下一体で民営化する場合には、下物、上物を一つの法人が行うことになるために、そういう意味での経営責任の明確化とかあるいは経営の効率性の確保というものが図られるほか、先ほどのお話にもございましたとおり、成田は成田の特有の、これまでの歴史的な経緯等を踏まえた固有の事情、課題等がございます、関空は関空で課題がございますが、それぞれの異なる課題、事情につきまして適切な対処がそれぞれ可能になるというメリットがある一方で、三空港が、それぞれいろいろ置かれている状況が違いますから、同時に完全民営化というようなことはできません。
 国際拠点空港の民営化につきましては、何といっても、先ほどのお話にございましたとおり、非常に公共性の強い施設でございます。日本の国際競争力に直に直結する問題でございますから、もう最終的には国が国際拠点空港の整備については責任を持ち、適切に対応するということが最大の前提になっております。
 それから、午前中のお話にもございましたけれども、災害時とかあるいは非常時にもきちっと対応できるという保証が必要でありますし、また、それぞれの個別の空港事情にもこたえることが必要であるということ等の基本的な認識のもとに、そういう意味で比較考量の結果、一応最終的には、各空港ごとに上下一体で民営化するとしたところでございます。
赤羽委員 それでは、この民営化を始めるに当たって、民営化はするけれども、さはさりながら、国もしっかり、責任を放棄しないということであるわけでありますけれども、その国の関与のあり方というのがやはり非常に難しい部分が出てくると思うのですね。それを理由にいろいろなことが、国が関与しなくてもいいところをオーバーコミットメントしたりとか、そのかげんというのが非常に難しいような気がするんです。
 今後、新しい株式会社に対して、午前中、大臣の御答弁で、いろいろ現状の公団が、いわゆる天下りというか、旧運輸省、旧霞が関出身の人がつかれているといった御答弁がありましたが、今後はこういった天下りに対する制限というものをどう考えていらっしゃるのかということが一点。あと、非航空事業部門において、道路公団のときにいろいろ問題になりましたいわゆるファミリー企業的な存在というのをどうつくらないようにしていくのか、どう回避していくのかということについてどのようにお考えか、お答えいただきたいと思います。
洞政府参考人 まず、役員の選任、解任につきましては、本法案におきまして、国土交通大臣の認可を受けなければ効力を生じないものとされております。
 それから、特殊会社になりますけれども、これは特殊会社であっても営利企業でございますので、国家公務員の退職後の再就職につきましては一定の就職制限、いわゆる二年、五年の就職制限というのがかかってくるということになります。
 また、具体的な役員の選任につきましては、国土交通大臣が任命します、選任します設立委員によっていろいろ検討がなされ、創立総会においてその役員が選任されるということになるわけでございますけれども、これまでの議論のとおり、いわゆる民間企業として期待されている経営の効率性等々を発揮できるような、そういったものに貢献できるような人材というものを当然選任すべきだという御意見等を踏まえて、適切な考慮が払われるものと考えております。
 また、空港会社の子会社等の扱いにつきましては、経営を効率化するために子会社等も活用していくことは、民間会社である限りにおいては当然考えられると思いますが、特殊会社化されまして商法や企業会計原則が適用されて、子会社も含めて連結決算によって情報がすべて公開されることによりまして、市場の厳しい監視にさらされるということになるわけでございます。そういう意味で、透明性も担保されると思われます。
 したがって、いわゆるファミリー企業といった、非常に子会社等を不当に潤わせるようななれ合い等、不透明な関係といったもの、こういった問題というのは避けられるものと考えておりますし、なお、空港会社が非常に公共性の高い企業であるということをかんがみますれば、そういう子会社等を不当に潤わせるようななれ合いは厳に慎むべきものであると認識しております。
赤羽委員 ぜひ、いわゆるファミリー企業的なものが発生しないようにしっかりとお願いしたいというふうに思います。
 今回の民営化に対しまして、国土交通省もよく御存じだと思いますが、定期航空協会から、考える今回の成田空港民営化の目的というのは二つある、こういうふうに言われております。
 一つは、民営化することによって効率化を促し、その経営効率の結果、いわゆる非航空部門の収入が拡大する、そして、その果実として、着陸料を初めとする料金の値下げにつながる、これが第一点だ。もう一つは、完全民営化を果たすということは、結局株式を売却する、その売却で得た資金を、まさに本当は日本で一番便利なはずの羽田の再拡張等々に再投資される。この二つが今回の成田国際空港の株式会社化に期待するものだというふうに御要請もあったかと思いますが、この点について当局としてどのようにお考えなのでしょうか。
洞政府参考人 定期航空協会は、先生の御指摘のとおり、着陸料を初めとする料金の値下げに反映させる、あるいは株式の売却益で拠点空港整備に再投資することを掲げておりまして、これを目的としてといいますか、これを掲げる一方で、そのためにも、先ほどの空港審議会の場におきましても、上下一体という形態を強く推すというような意見を述べていらっしゃいました。
 私どもといたしましても、着陸料の値下げという点につきましては、まさしく民営化による経営効率化等を通じて、エアライン等を初めとする利用者の利便を増進するということがこの民営化の大きな目的でございますので、着陸料値下げにつきまして、公団総裁も必ずやると明言されてございましたけれども、私どもとしてもその辺を強く指導していきたいと考えております。
 また、空港会社の株式につきましては、一般会計または空港整備特別会計に帰属して、その株式を売却して得られる収入は、それぞれ株式が帰属していた会計に帰属するということになります。空整特会に入りました収入は、実際に収入が得られた時点で検討することになりますけれども、先生御指摘のとおり、羽田等を初めとします大都市圏拠点空港の整備の財源に充てられる等、それぞれの資金需要がある分野で活用されるというふうに考えております。
赤羽委員 この着陸料に関しまして、先日の参考人質疑で定期航空協会の代表の方が、いわゆる諸外国の事例に倣って、着陸料の高騰を今後招かないようにプライスキャップ制の導入をするべきだ、こういった御意見もあったようでございますけれども、国土交通省として、プライスキャップ制の必要性、またあり方についてどのような検討がなされているのか、お答えください。
洞政府参考人 着陸料の設定につきましては、航空法によりまして事前届け出制になっておりますが、ただし、国土交通大臣の変更命令つきの事前届け出制でございます。特定の利用者に不当に差別的な取り扱いとなる料金や、空港会社が、社会的、経済的な事情に照らして著しく高額で、空港利用を困難とするような料金を設定しようとする場合には、国土交通大臣がその変更を命じるようになってございます。そういう意味で、着陸料についても、この制度によりまして十分対応が可能であると考えております。
 一方で、プライスキャップ制は、あくまで一定の範囲内で値上げをしてよろしい、こういう制度でございまして、もう先生もよく御存じのとおり、物価指数に、政府が決定した値、プラス・マイナスxというものを加減して決めた数値の範囲内で料金水準の引き上げを認めるという制度でございまして、これについてはいろいろな議論がございます。コストとは関係のないxという外生的な指数を用いるということや、この数値をどういうふうに決めていくんだ、あるいは変えていくんだ、合理的な運用ができるのかといったような課題等々があって、まだ議論が継続中でございます。
 そういう事情もございまして、また一方で、空港公団の民営化は、国際競争力のある自立的な経営主体を確立して利用者利便の向上が図られることを目指すものでございまして、料金の値上げを前提としたプライスキャップ制の導入というのは今回見送ることにした、こういうことでございます。
赤羽委員 続きまして、空港の利便性についてちょっと話を移したいと思いますが、先ほど申し上げましたように、成田国際空港にしても、極めて都心から遠い。関西国際空港も、関西在住の私なんかから見ても極めて遠い。伊丹空港なんかも、実は空港までの最寄りの駅がないとか、最寄りの駅はあるんですけれども直接行けないで、急行もとまらないような阪急蛍池でおりてバスで行くというような、極めてアクセスがよくない。幾ら空港の中に魅力あるファシリティーがそろったとしても、そのアクセスが貧弱であると、家族で空港にちょっと遊びに行こうとか思っても、そこに行くまでが大変不便な状況であればなかなかその思いというのは達せられないと思いますが、この成田国際空港に対する空港アクセスの整備についてどのような改善策が図られようとしているのか、お伺いします。
石川政府参考人 現在、都心と成田空港間につきましては、御承知だと思いますが、二つのルートがございます。一つが京成スカイライナーでございまして、上野、日暮里と成田空港間、一日二十五往復、所要時間は最速五十一分でございます。もう一つがJRの成田エクスプレスでございまして、これは、東京、新宿、横浜等と成田空港間でございまして、これも一日二十三往復で、所要時間は、東京駅と空港第二ビル間は最速で五十一分の特急運行ということになってございます。
 先生御指摘のように、さらに成田空港と都心との間のアクセスの利便性向上を図るために、実は運輸政策審議会からも答申をいただいておりまして、空港と都心の間の所要時分を三十分台にできないかというふうなことでございます。これを実現するために、現在、成田新高速鉄道という、いわゆるBルートと言われているものでございますが、これについての鉄道整備事業を補助採択してございます。この事業を行うために、千葉県でありますとか関係の市町村あるいは空港公団が出資した第三セクターの成田高速鉄道アクセス株式会社というのができてございまして、会長は千葉県知事でございますが、これに対しまして、既に鉄道事業許可をしてございます。この整備ができますと、都心と成田空港間で三十六分間で結ばれるということでございまして、この早期実現を図ってまいりたいと考えております。
 現在、これにつきましては工事着手前の環境アセス調査というのを行っておりまして、今後は、このアセス調査を推進するとともに、平成二十二年度の開業に向けて努力をしてまいりたいと考えております。
赤羽委員 確かに、成田エクスプレスができて以降、私たちも成田空港に行くのが大変気が楽になったというか、利便性が随分増したなというのを感じました。それまでは、バスで行くとかなって、もう時間が読めなくて、相当朝早く出なければいけないということがありました。それが今回、Bルートで大幅に短縮されるということは喜ばしいと思いますが、平成二十二年というと、またがくっという感じがしますね。
 どうせ七年後やるんだったら、リニアモーターカーを導入するぐらいの目標を掲げてやられたらどうですか。リニアモーターカーが山梨でずっと試験走行ばかりやっていてもしようがないし、目標として、まあリニアに乗りたいということも含めて、成田がリニアになると何分になるか知りませんけれども、そのくらいのことを掲げてやっていただきたい、そういうことが大事なんじゃないかというふうに思うわけでございます。
 もう一つ成田についての懸念としては、二本目の滑走路がいわゆる暫定の状況である。これは、本当にこれまでの長い歴史の中で旧運輸省のそれぞれの皆さんが大変な御苦労をされ、いろいろな御苦労があったということはよくよく承知をしておりますが、やはり玄関たる国際空港の二本目の滑走路が、わずか何人かの反対で本格平行滑走路がなかなか完成できないというのは、これは日本にとっては非常に不幸であるというふうに私は思うんです。
 二千五百メーターの平行滑走路の完成を、目途というんですか、そういったことも含めて、それが完成しなければ、今回、成田国際空港を民営化して日本の玄関としよう、こういった思いは私はなかなかなし遂げられないんじゃないかと思うんですが、その点についても含めて御答弁があればよろしくお願いしたいと思います。
扇国務大臣 けさからこの法案に対しての御審議をいただいておりますけれども、今赤羽議員がおっしゃったように、私は、先ほども答弁の中で、大変行き過ぎた答弁ですけれども、二本目の滑走路が完成しなければ一人前の国際空港ではないとまで言い切りました。それくらいの強い意思を持っておりますし、また、近隣諸国のどの飛行場をとってみても、最大二本の滑走路があって国際という看板を張っています。
 もう一つ例を挙げれば、国の名前は挙げませんけれども、日本がODAとして経済的な支援をしているある国へ行きましたら、日本のODAのおかげでこの空港ができましたといって説明を受けました。立派な滑走路のある空港ができておりました。私は、ただただ恥じ入るばかり。これだけ役に立っているのに、一方、足元の我が国の玄関口の、国際空港と看板張ったにもかかわらず、一九七八年から昨年の四月の十七日まで、一本で片肺飛行してきた。まことに危ない限りでございます。
 それが、二本目の滑走路、暫定という言葉を取って、両翼がそろった一人前の飛行機と同じように、私はこれが完成して初めて、今度は成田国際空港という、成田という名前が入った以上は、地元の皆さんも、改めて成田という名前、このネーミングが成田ブランドになるように、御協力も賜れるものだと思っております。
 過去の事例からいたしますと、私が国会議員になったころでございましたので忘れもしませんけれども、とにかく国会議員の中にも一坪運動に名前を載せた国会議員がたくさんいらっしゃいました、あえてあの当時公表しませんでしたけれども。そういうことで、今日まで暫定であるということの一端は、最初のボタンのかけ違いだというのも過去に申しました。
 ですから、今回法案を通していただいて成田空港というものが民営化されるのであれば、私は、両翼のそろった、ちゃんと飛び立てる飛行機と同じような一人前の空港になることが一日も早いことを願い、我々にできること、また、地方自治団体と地元の皆さんと協力し合ってきた今までの歴史の上に立ってなおかつ協力し合う、最大限の努力をするということは私は必要であろうと思いますので、少なくとも民営化のときにはきちんとした、せめて国際的に胸を張れる二本の滑走路で私は旅立ってほしい、そう思っております。
赤羽委員 どうもありがとうございました。
 最後に大臣に一つお願いがございますが、要するに空港整備というのは長い歴史があって、継続性があるがゆえにいろいろ難しい問題がある。午前中の御答弁にもありました、各都道府県、一県一空港というような、今から見たらどう考えても、私もどうなんだろうというようなこともされてきたのも事実でありますが、それはそれとして、やはり扇国土交通大臣のもとで二十一世紀のあるべき空港整備のあり方ということを、やはりゼロからクリアにして打ち出していただきたい、こういうふうに思います。
 今まで、本来先にやらなければいけなかった国際拠点空港整備が後回しにされてきた。その非常ないろいろな葛藤の中でゆがんだ形になっているわけですから、そのゆがみはぜひ是正していただき、羽田についても積極的に私は踏み込んだ提案をされていただきたいし、やはり都市に本当の国際競争力をつけるという観点で、ぜひバランスのある、また斬新な、具体的な御提案をいただければというふうに心から強くお願い申し上げまして、私の質問といたします。
 ありがとうございました。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 引き続き質問させていただきます。
 この法案に対する皆さん方の関心あるところはだんだん絞られてきているような感じもいたしますし、私自身も、質問しようとしたことも幾つかは重複してきておりますけれども、大事なところを確認の意味でもう一回聞かせていただきます。
 今ほども話題になっていましたけれども、来年から特殊会社化を図るということで、本格的な民営化に向けてスタートを切るというような格好だと思います。先日の参考人質疑のときに三人の参考人の方にもお尋ねしたわけですけれども、とりあえず、来年度から特殊会社化するまでの間、政府として、あるいは国として、最低限どういったことを残された時間にやっておくべきかということについての御意見をちょっと聞いたわけでございます。
 先日、私も大臣にもお願いしましたように、今の暫定平行滑走路、未完成状態でございますけれども、これを二千五百メーターに完成すべく、大臣が先頭に立って頑張っていただきたいというような趣旨の質問もさせていただきました。来年の四月に特殊会社化するまでの間に、政府として、国土交通省として、少なくともこれとこれとこの問題についてはある程度方向性をしっかりしておきたいとか、あるいは解決しておきたいというような課題めいたものがあるとすればどういうところがあるのか、そのあたりを御説明願いたいと思います。
扇国務大臣 この間も一川議員から、私がこの責にある間に何とか目安がつくように努力しろという叱咤激励をいただきました。私もそのようにしていきたいと思っております。
 何よりも、けさからも議論がありますように、国際空港としてのあるべき姿、それを、少なくとも近隣の諸外国の空港と対比しましても、国際という看板をつけてそれにたえ得るような空港でなければならない。最低限二本の滑走路がなくて国際という看板を上げること自体が私はおこがましいということも言いました。
 ですから、新総裁を任命いたしますときに、私は彼に、二千五百というものを、二本目の滑走路を、暫定という言葉を取るということを最大限努力してくれ、私たちにできることなら私たちも協力をするけれども、まず総裁に着任した上で、何としてもそのことを努力してほしいということも申し添えました。
 そして、けさ申し上げましたように、今の空港公団の役員、九名おりますけれども、ほとんどが官僚的といいますか、まさに官僚の天下りと言っていいかもしれませんけれども、柔軟な発想ができるとは思えません。みんなもう間違いのない、かたい人ばかりでございます。空港ですから、間違えないのはいいんです、それは間違ったら困るんですから。けれども、旧何々、旧何々という、やはり今の時代に即して、やわらかな発想で日本独自の二十一世紀型の国際空港だというような発想を出して、それを実行し得る、責任感を持って、自分がこの職にいる間は職に命をかけてでもこれを実行するというような、そういう新しい発想のもとに二十一世紀の国際空港たり得る姿というものを提案し、なおかつそれを実行し得るような体制というものをとらなければならない。
 私は、たとえ民営化するにしても、助走期間で既にその計画というものをある程度持っていなければ、いきなり民営化にもいきませんし、あらゆる意味で、法人になっている間にその線を出し得るような役員体制、民間の新しい能力というものもそこに傾注してほしい、そのように願っておりますので、欲を言えば切りがありませんけれども、最低限はそれくらいのことをぜひしてほしいと願っている次第でございます。
一川委員 そこのところをちょっと大臣に確認するわけですけれども、本格的な国際拠点空港としてのそういう姿に少しでも近づけたいということを今おっしゃいましたし、また、そのための体制づくりというようなことも含めて期待しているというお話でございますが、それは、今度、来年四月からスタートする特殊会社という組織のある間にそういうことを目指してほしいということなんですか。そこのところをもう一回。
扇国務大臣 私は、民営化に持っていく段階だと思っています。いきなり民営化といっても、今、まだそれだけの体力はありません、民間に対抗できるだけの。また、民間として責任持てるものが確立できていると思いません。ですから、私は、特殊会社として、民間に持っていく間に何としても成田というものが、新たな成田というこの法案を御審議いただいて、成田新国際空港というネーミングがついたときにはぜひその方向性というものを持って、そして民営化に持っていくべきだと思っていますので、今すぐすることと、あるいは、中長期に民営化に向けて助走していきながら整備を整えていくところと両論あろうと思いますけれども、今できることは、民営化に向けて、この特殊会社の間に、私は、国と、そして、今までの新国際空港の歴史と新たに成田になるこの成田新国際空港との整合性というものを図っていくというのがその期間だと思っております。
 今すぐ図るというのは、すぐ着手していきたいということは、先ほどお答えしたようなことでございます。
一川委員 そこのところでもう一つ、その前段の話になるのかもしれませんけれども、今、新東京国際空港公団ですか、こういう体制で来年の四月までいくわけですね。そうすると、来年の四月までの間に、では、最小限整えておきたいということ、要するに、助走期間といいますか、準備として、大過なく特殊会社に送るということでいいのか。そのあたり、私はそういうものじゃないと思いますし、公団というものを抱えている来年の四月までの間に、まあ時間的にはそう長くはないわけですけれども、最小限こういったことは少なくとも来年の四月までにはある程度方向づけをしておきたいというようなことがあるんではないかというふうに思いますけれども、そのあたりはいかがでしょうか。
扇国務大臣 先ほど申しましたように、私は、今すぐできることは、先ほども総裁が来ておりまして御本人から発表されましたけれども、経営の合理化でありますとかサービスの向上でありますとか、また、少なくとも国際拠点空港としての整備ということでいえば、これは長期的な考え方をしなければならないと思いますけれども、平行滑走路を初めとします空港の施設の建設とか環境対策とか地元との共生策。そういうあらゆる面があるものですから、それは、過去の歴史とともに、新たな新会社でも、あるいは民間になっても引き継いでいかなければいけない部分、それが、先ほど総裁が言いました地元の皆さんとの共存共栄ということでございます。
 私は、それ以前に、少なくとも、事業計画の認可でございますとか、あるいは空港会社を指揮監督するというような立場からどうあるべきか。国との共生ということも必要でございます、民間になったから、もう国の手を離れたから自由にどうこうということではなくて、やはり公共ということから考えれば危機管理ということも、また、有事法制の論議中でありますけれども、有事にはということから考えても、国と公団とのあるべき姿というものも見直す部分は見直す。そして、彼らに自由裁量を持たせてどこまでやっていけるかということも私は大事なことだと思っておりますので、国と公団とのあり方、公団と地元とのあり方等々、私は三角形になっていると思いますけれども、その三角形がどこが頂点ということではなくて、すべて三角形の頂点はどこでもが頂点になり得るという形で私は考えていくべきだと思っております。
一川委員 今ほどのお話にも関連しますけれども、先ほど来のいろいろな質疑の中にもこういったことがしょっちゅう出ておりました。今大臣もおっしゃいましたように、来年度以降も、国と新しい特殊会社とのいろいろな関係、お互いの連携、役割分担ということは非常に大事なわけです。参考人の皆さん方も、課題の一つには、先ほど大臣が触れられましたような体制づくりといいますか、例えば、政策の立案、また、それをいろいろと具体的に計画として企画する、そしてそれを実施する、管理するというところをどういうところが受け持って、どこが責任持って対応していくかというところをしっかりと整理しておかないと、何となく無責任体制みたいな形で推移してしまっては何にもならないということを心配しておられました。特に、これは午前中来いろいろ話題が出ておりましたけれども、国の責任、役割分担ということも絡めて、来年度以降、特殊会社が組織化された後、こういった成田国際空港というものに対するいろいろな政策めいたものの立案、そしてそれを具体的な計画としてつくっていく、それを現場で実施していくといったようないろいろな仕事の分担、役割みたいなところは、基本的に大臣はどのように考えておられるか、そのあたり、現段階での考え方を御説明願いたいと思います。
扇国務大臣 理想的な空港といいますか、国際空港に値する整備あるいは装備、そういうものは先ほどから御論議しておりますけれども、私は少なくとも、そういった空港としての事業計画の認可でありますとか、あるいは空港会社に対する監督責任、監督の命令、規制というものも国がしょっていると思いますので、そういう中で国が責任を持って、新たな成田空港の運営等については、空港会社から新たな創意工夫が上がってくると思うんですね、国に対して。そのときに、それを事業認可して、そしてそれを見守るということの国としての責任は、上がってきたものに対してもっと責任を持って我々は監督もし、なおかつ環境等々の整備も国として責任を持って環境アセスを調査するというようなことも私は大事なことだと思いますので、そういう意味では、国と新たな空港会社というものが本当に連携していかなければならない。
 しかも、環境アセスなんというのはどの時点で環境アセスをはかるかということは、そのときそのときによって変わってまいります。そういう意味では、この環境アセスなんかは国が一体になって責任を持って環境アセスの結果を出すというようなことも私はどうしても必要だと思いますので、新たに国としての責任と、そして新たな空港会社としての役割との連携というものは絶えず持っていなければならないと思っています。
一川委員 次に、これも先ほどの赤羽さんの質問の中にもありましたけれども、ここのアクセスの問題は先ほどお聞きしましたのでちょっと省略いたしますけれども、あれ以上具体的な答弁は、もう現段階ではないと思います。
 ただ、局長さんの御答弁を聞いていると、平成二十二年ですか、に何か新しい高速鉄道が、一応目標にしているということらしいんですけれども、大分まだ時間がかかるという面ではちょっと残念な思いもしますけれども、現時点ではそういう構想、計画というか、そういうもので動いているということでございますので、それ以外に都心と成田空港を連結するような、何かそういう新たな構想めいたものは今のところは何もないわけですね。
扇国務大臣 局長が答弁をいたしました以外に、私が今千葉の知事さんと話し合っておりますことは、アクアライン。このアクアラインが、当初四千円で通行しましたものが、二千円にして、今交通量がふえております。けれども、アクアラインを渡った先がないんですね。ですから、私は千葉県の知事さんに、アクアラインを渡ったところから成田までの高速道路を何とか、直轄事業でもいいから、両方で力を合わせてやりましょうと。
 そうしますと、成田へのアクセスが、神奈川県、川崎の人たちは、アクアラインを通って高速道路に乗っかればもっと成田に行きやすくなる。ぐるっと東京から一回りして行かなくてもいいわけでございますから、例えば車で行くとしてももっと便利になるのではないかということで、これはまだ正式には公表しておりませんけれども、直轄でもいいからとにかく早くしようではないかということも、まだ話の段階でございますけれども、そういうことも今内々で知事さんと話し合っているということもぜひ御勘案いただいて、一刻も早く一人でも多くの人が便利になるようにと願っております。
一川委員 そういった国際拠点空港と都心とを連結するような交通手段というものは非常に緊急を要する重要な課題でもございますので、今大臣のお話にあったように、あらゆるいろいろなことを検討の中に入れて、ぜひ促進方をお願いしておきたい、そのように思っております。
 それとともに、関連いたしますけれども、これも先日の参考人の方にもちょっと御意見をお聞きしましたが、我が国に三つの国際拠点空港というものを実施中でございます。例えば、この成田国際空港でもよろしいわけですけれども、そこの飛行場へ行くのに、今言ったようにいろいろと時間のかかる場合もある。それから、外国からその飛行場におり立ったときに、日本の国内に行こうと思っても非常に時間がかかるというようなケースが当然現実あるわけでございます。
 そういうことに対して、小型機でもよろしいわけですけれども、国際拠点空港と国内の主要な地方空港とを連結するような航空ネットワークみたいなものを将来的な課題としてそれに取り組んでいくというようなことは考えられないのかどうか。我々地方にいる人間からすると、成田空港とか、あるいは場合によっては関空なんかに行く場合に、地元の飛行場から直接そこの飛行場へ乗り入れできるようなものがあれば、これまた、今眠っているような潜在的なニーズを引き起こす可能性だって十分あるわけでございますので、そういうことも将来の課題としては考えられないのかどうか。そのあたり、国土交通省のお考えをお聞きしておきたいと思います。
洞政府参考人 国際拠点空港と地方空港を結ぶ国内線の充実というのは、まさしく国内、国際の乗り継ぎ利便の向上といった観点、また、当該国際拠点空港がある地域の国内移動利便の向上を図っていくというのが大変重要な課題であると認識してございます。
 例えば成田空港をとってまいりますと、暫定平行滑走路が去年の四月に供用されたわけですけれども、国内線の発着枠を年間約二万回に拡大しておりまして、就航路線も、従来一本の滑走路であったときには、新千歳と名古屋と伊丹と福岡、わずか四路線しかなかったわけですが、暫定滑走路がオープンになりまして、仙台の路線が新設されました。これによって、発着回数も、従来の二・五倍の年間一万一千回に増大しております。また、この八月からは、新たに広島線が運航を開始する予定ということでございます。
 残された枠というのが限られておりますので、著しく伸びるというのは成田に関してはなかなか難しゅうございますけれども、例えば関空をとりますと、関空は今十五都市と結んでいるわけでございます。関空は発着枠というのは十分あるわけでございますので、関空会社も、今先生がまさに御指摘のとおり、地方路線等には小型機等を使って、需要のサイズに応じた機材を投入して乗り継ぎ利便を発展させる。あるいは、関空からしか出ていない国際線というのがあるわけですから、そこに行くためには、当然のことながら飛行機で行くのが一番便利なんですから、そういう意味でも乗り継ぎ機能を強化するということで、いろいろなプロモーションであるとか、あるいはインセンティブというものを与えて涵養しているところでございます。
 私どもも、国際拠点空港と国内線の乗り継ぎ利便というのは切っても切れない関係にございますので、そこのところはできるだけ支援していきたいと思っておりますし、また、いろいろなインセンティブ措置等について知恵を出していきたいと考えております。
一川委員 徐々にそういうふうに拡充しつつあるというお話でございますが、私も、やはりこれは、今地方空港を抱えている地域はそれぞれいろいろな問題意識を持っていると思いますけれども、いろいろな面で、地方空港を一つの拠点としてその地域全体の活性化を図りたいという思いが皆あると思うんです。
 その中の一つには、いろいろ路線数をふやしていきたいという思いも当然あるわけでございますし、それから、国際化時代の中で、できるだけ交流を促進していきたいという思いも当然あるわけでございます。
 また、お話を聞きますと、外国から日本の国際空港に入りたいという要望を持っている国もたくさんあるというふうに聞いておりますけれども、現実はそれに十分対応し切れていないということであれば、場合によっては、それこそ暫定的でもよろしいですから、地方空港でそういう飛行機を受け入れられるところがもしあるとすれば、そういうところで一たん外国の飛行機を受け入れて、そしてまた都心とを結ぶようなネットワークもそこにつくっていけばいいわけでございますので、そういう航空ネットワークみたいなものを、余り細くしないで、できるだけしっかりとフォローしていただきたい。
 今、経済不況という中で、地方空港同士のいろいろな航空ネットワークがだんだん寂しくなってきているというような感じもいたしますので、そういうことも絡めて、こういった国際化時代の中で、国際拠点空港と地方空港といろいろ連結するような航空ネットワークということも十分また念頭に入れていただきたい、そのように思っております。
 さて、最後にちょっとお聞きしますけれども、成田空港の場合は余りこういったことが問題になっていないというふうに聞いておりますけれども、空港における駐車場対策というのは、我々地方にいる人間としては、そういう苦情をよく聞くケースがあるわけです。
 それは各地方空港のいろいろなやり方いかんだと言えばそれっきりかもしれませんけれども、要は、駐車料金が非常に高いということとか、ボリューム、全体の駐車台数が少ないというところも中にはあるかもしれませんけれども、ある程度滞在して旅行に出るような方々も、そこに車を置いておく場合に、結構そういった面で駐車料金を取られてしまう。あるいは、場所によっては全然駐車料を取らないところも地方空港ではあるようなお話も聞きますけれども、いろいろと対応にばらつきがあるような気がいたします。
 こういったところ、現状では駐車場というのはどういう形式で運営されているのかという実態と、今もし何か課題めいたものがあるとすれば、今後の対策といったことについて御説明をお願いしたいというふうに思います。
洞政府参考人 空港の駐車場につきましては、空港の設置管理者でございます国であったり、あるいは三種空港でありますと地方自治体、そして新東京国際空港公団、関西国際空港株式会社が、それぞれ空港と一体となって整備をしてございます。
 一方で、その管理につきましては、基本的には空港の設置管理者が行っておりますけれども、国が設置する一種空港と二種A空港それから自衛隊との共用飛行場につきましては、人員上の制約から、民間事業者に管理をゆだねてございます。具体的には、財団法人の空港環境整備協会であるとか、あるいは羽田空港では日本空港ビルデング等が行っているというぐあいになっております。
 駐車場の料金に関しましては、近隣の民間駐車場の料金水準でございますとか駐車場管理に必要な経費等を考慮して設定されているものと承知してございますけれども、これについてはいろいろ御批判があることは私どもも承知してございます。安過ぎるという料金も実はあるんです、近隣との、民間駐車場との競争というのがありますから。というようなのもございますし、また、先生今御指摘のとおり、長期間にわたる場合の駐車料金について、高いというような声もございます。
 そういうこともございますものですから、今後、そのあり方について、私どもの方としても、先ほど申しました近隣の駐車場の料金水準とか必要な経費等々に照らして適当な、あるいは駐車場の回転率とか、そういうのもあるわけでございまして、羽田のようなところは、御存じのとおり、駐車場待ちで高速道路がわあっと埋まってくるような状況もあるわけでございます。
 いろいろなことを加味して、考慮して料金を決めるということになるわけでございますけれども、いろいろなそういう御批判もあるということでございますので、そのあたりを十分念頭に置いて、そのあり方等について私どもとしても調査研究してまいりたいと考えております。
一川委員 特に地方空港は、空港に行くまでのいろいろな交通手段がまだ十分完備されていない飛行場も当然あるわけでございますから、乗用車で乗り入れる方がほとんどでございますけれども、そういう観点からすると、今の駐車場対策というのも、やはりある程度国土交通省としても点検をしていただいて、もし何か、先ほどちょっと触れられた、例えば財団法人とかそういうところが対応している駐車場というのは意外と料金が高いんじゃないかなという感じもいたしますし、それから、駐車場に出入りするのに時間を要するとか、そういうこともいろいろと聞いたりしますので、そういうことについても十分また御検討をお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
河合委員長 瀬古由起子君。
瀬古委員 日本共産党の瀬古由起子でございます。ちょっときょうは声が出にくいので、失礼いたします。
 この法案は、成田国際空港について、その設置、管理を現在の公団方式から株式会社方式に変更する、要するに民営化するということなんですが、前回の審議でも、民営化によって第一種国際空港における国の責任を大きく後退させることにつながらないかという各委員からの懸念が表明されておりました。
 そこで質問いたしますが、国土交通省は、この成田空港の民営化の方針が閣議決定されたときは、民営化について反対する見解を発表しておられました。成田空港整備、運営に関する事業は、公共性の強い事業の性質にかんがみれば、当該事業を、利潤追求を第一の目的とする一般民間企業に単純に移管することは適切でない、このように述べておられます。この方針がどうして今回変わったんでしょうか、お聞きします。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、国土交通省では、特殊法人等の廃止または民営化を前提にゼロベースで見直すという総理の指示を受けまして、平成十三年九月、行政改革推進事務局に対しまして、空港公団の民営化に当たっては、成田空港の整備、運営は我が国の国際航空政策と不可分であるということ、また、過去の歴史的経緯や大規模内陸空港であることを踏まえた環境対策、共生策の実施が不可欠であることなどの諸課題の解決が図られる必要があるという旨を報告いたしました。
 その後、国土交通省では、昨年の四月、一年間をかけて国際拠点空港の民営化を含む今後の空港の整備に関する方策について議論を行いまして、関係者からのヒアリング等を行いまして、昨年の十二月に答申を取りまとめたわけでございます。この答申におきましては、国際拠点空港の民営化につきまして、先ほどの国際航空政策と非常に関係があるという点を踏まえて、国が国際拠点空港の整備について責任を持ち、適切に対応するという前提のもとに、それぞれの空港が創意工夫を生かせるような自立的な経営環境を整えるとともに、経営の一層の効率化、経営の透明性の向上、利用者サービスの向上等を推進することが必要であるとの基本認識が示されました。
 また、成田公団につきましては、開港後二十五年を迎え、経営基盤も成熟しつつあることから、完全民営化に向けて平成十六年度に特殊会社化して、本来の平行滑走路二千五百メーターの早期整備を着実に推進して、できるだけ早期に株式上場を目指すことが必要である、その際には、過去の経緯や大規模内陸空港であることを配慮して、環境、共生策の適切かつ確実な実施を確保することが必要であるという結論が得られたところでございます。
 この法案におきましては、これらの結論を踏まえまして、完全民営化に向けて十六年度に特殊会社化しようとするものでございまして、法案の内容におきましては、二千五百メーターの平行滑走路等の整備を推進するための国の関与を確保すると同時に、経営の自由度を高めるものとなっているほか、環境策、共生策の適切かつ確実な実施について新たに詳細な規定を設けているところでございまして、従前の問題点について十分対応できていると考えておるところでございます。
瀬古委員 民営化に反対だというときに、利潤追求を第一の目的とする一般民間企業に単純に移管することはできない、こういうふうに述べていらっしゃいますから、そのことが、今述べられた、例えば航空政策の問題だとか過去の経緯だとか環境対策だとか、こういう問題は、利潤追求を第一の目的とする民間ではやれないという強い懸念を表明された。それが、大丈夫、国が責任を持ちますから。それは民営化とどういう関係があるんでしょうか。民営化で利潤追求しないということですか、国の監視のもとでやれば。今回、条件はもう十分できた、国が何らかの形で責任を持ちますよといったら、企業の営利性を追求するという性格はすべて抜けて落ちた、こういうふうに考えていいんでしょうか。
洞政府参考人 先ほど言いましたが、大都市拠点空港は国の航空政策と非常に密接に関係する重要な施設、公共性の高い施設でございます。そういう性格を考慮して、片一方で民間活力によって経営の効率化を図る、この一見すると相対立するような概念をいかに調和させるかということが問題なわけでございまして、今回の法案の中におきましては、先ほども申しましたとおり、空港の基本的な施設は国が最終的に責任を持ってきちっと整備をさせる。それで、基本計画をつくって、会社を指導して、必要に応じて監督命令等を発する。また、成田空港に特有の問題として環境、共生策、これを抜きにしては成田空港の存立そのものというのがなくなるわけでございます。
 そういう意味で、これらの業務を特別に会社の業務としてきちっと規定し、そして、国はこの環境、共生策について適切な配慮を行う等の規定を配備し、そしてまた、それに従わない場合にはこれも監督命令等をかける等々によって、そういう公共性あるいは国の政策との整合性と、いわゆる民間企業としての経営の効率性、経営の自由度というものの両立を図るという措置を行った上で、民営化を図っても大丈夫だ、こういう結論に達したわけでございます。
瀬古委員 何重にか国が保証するから大丈夫だと言われたんですが、しかし、全く利潤追求を第一の目的とする民間企業に移管することは適切でないとかなり強い調子で言っていらっしゃったのにトーンダウンされたという点でいえば、本当にその意味で保証されているのかどうかという問題があります。
 そこで、大臣にお聞きしたいんですけれども、その後、大臣も支持されましたけれども、成田、関空、中部の国際拠点空港を一体化して上下分離方式、つまり空港の整備と管理運営を分ける方式、この案を出されたんですが、この案が採用されないで、結局、成田の単独民営化が法案化されることになった。この理由を、ちょっと重なりますけれども、もう一度明らかにしていただけるでしょうか。
扇国務大臣 人にはいろいろな考え方がございまして、私は私なりに、少なくとも上下分離すべきであるというのは、阪神・淡路大震災の、私は神戸生まれですから、あの大震災のとき、これは港湾もそうですけれども、すべからく地べたがだめになるんですね、空港も滑走路が命でございますから。ですから、災害列島と言われる日本の中でもし災害があったときに、民間で滑走路自体の整備、補修等々が確実に早期に安全に補修できるんだろうか、あるいは、一時閉鎖しても、再開港するときに速やかにできるだろうか等々、安全性も含めて考えれば、私は、下の空港、滑走路というものあるいは土台というものは国がきちんと責任を持ってするべきである。
 そして、そのかわり、上の、例えば民間を入れて新しいデザインのもとに、先ほどからいろいろお話しになっておりましたけれども、ヒースローのように、あそこへ行って買い物したい、前の空港で買わないでヒースローへ行って買うんだというぐらいな魅力のあるショッピングセンターができているというようなところから考えれば、上は上で、民意の創意工夫で、私はかつても言いました、特に関空なんかはすばらしいロケーションです。離れているといえども、海の上ですから、すばらしいロケーションで、あそこがあのアクアラインの海ほたるのようにデートスポットになり得るような、すばらしいビューを持った関空ですから、そういうことも上物を民間でやればもっと創意工夫ができて名物になる。飛行機に乗るんじゃなくて、あそこへ行こうというような知恵が出てくるんじゃないかという意味で、私は上下分離ということがいいのではないかという意見を持っておりました。
 それは意見として私も言いましたけれども、今局長が言いましたように、委員会をつくって委員会の審議をしたら、一体化の方がもっと責任を持てる、こうおっしゃるんですから、私も自分の意見が入れられないということも当然あるわけでございまして、私は私の意見として、それがより有効であるし二十一世紀型だと思ったんですけれども、三空港それぞれ生い立ちが違います、時期も違います、また場所も、関空のように海のビューを持ったすばらしい場所もあるし、成田のように、海のない陸の中の、周りの民間の中に建っているということもあります。それぞれの空港の持ち味が違うものですから、三空港別々にという委員会の御意見も、私はそれもごもっともだ。
 私は私なりの意見があるけれども、上下一体になっても、先ほど総裁が出ていらっしゃいましたけれども、民間になったら民間の上物はもっと工夫するんだという総裁の御意見もありましたので、私はそれに期待したいと思いますし、また、私が思っていたようなものをつくってくだされば、これは民間にした成果が出ると思いますので、見守っていきたいし、また、期待もしているというのが今の心境でございます。
瀬古委員 そうしますと、今大臣が言われたように、阪神・淡路大震災のときの、土台が壊れた、滑走路が壊れた、こういうときの態勢も民間で十分やれるという確信をお持ちになって今回の方針を転換されたというふうに考えていいですか。
扇国務大臣 それは国が責任を持って、空港というものの事業計画、すべて国が許可するわけですから、そのときの許可責任というもの、そして環境も、先ほど申しましたように、これは国が環境アセスというものも調べるということも責任があるわけですから、事業計画と事業認可、すべてのものに対して国が責任を持つ。
 また、この法律の中に書いてありますように、六条ですか、やはり法案の審議中ですからこれはきちんと正確に言わせていただきますけれども、災害対策基本法の第六条の中にも明記してございますし、協力する責任を有すると書いてございますし、また、指定公共機関というものが新東京国際空港公団とちゃんと明記してございます。これは災害対策基本法でございます。そして、参議院できのうから審議に入っています有事法制の中におきましても、第二条でも、公益的事業を営む法人で政令で定めるもの、また第六条におきましては、指定公共機関は必要な措置を実施する責任を有するとちゃんと法律の中で明記してございますので、私は、そういう意味では、どの法律のどこをとってみても、民間になっても指定公共機関としての責任を有するということだけは間違いなく履行していただきたいと思っています。
瀬古委員 災害などはやはり指定公共機関と国がきちんと責任を持つ、特に国際拠点空港と言われる場合には。その点は、私は全く同じじゃないと思いますし、また、その点での若干意見があります。
 しかし、とりわけ今回、一体化による上下分離方式が、露骨な関空の支援だったんじゃないか、成田のもうけを関空に回すということに対する批判があったのではないかという点も指摘されております。
 もう一つ、私は成田の民営化という問題で言いますと、やはり民営化が一つの大きなもうけにつながっていくという問題点について指摘されております。調査会社や証券会社が、着陸料を三割から五割下げても、上場すれば株式の価値は四千億から五千億円になる、こんな優良企業はほかにないという報道もございます。
 公団を株式会社に移行して民営化することによって公団の出資金などを株式に変えることになると、その売却益は一体どれぐらいと今見積もっていらっしゃるんでしょうか。その売却益の使途、使い道を今どういうふうに考えていらっしゃるんでしょうか。
洞政府参考人 空港会社の株式につきましては、当然のことながら、株式を上場した上で売却することを予定してございますので、一体幾らで売れるかということは、第一、いつ売り出すかというのがまだ決まっておりません。先ほどの二千五百メーターの平行滑走路がいつできるか、あるいはめどがちゃんと立つのか、それから、空港会社のその時点での経営の状況とか株式市況等に左右されるということでございますから、現時点では不明でございます。
 また、空港会社の株式の売却収入は、空港公団に対して出資持ち分を有しております一般会計または空港整備特別会計に帰属することになります。一対九の割合で出資していますので大半が空港整備特別会計に帰属することになるわけですけれども、こうして国に償還された資金につきましては、それこそ大都市圏拠点空港の整備の財源に充てられる等、それぞれの資金需要がある分野で活用されるということになると考えております。
瀬古委員 財界の代表であります日本経団連は、昨年の十一月十九日に「今後の空港整備と国際拠点空港の民営化問題について」という提言を発表いたしました。ここでは、拠点三空港について次のように提言しています。一つは、「三空港間の立地コスト平準化を狙いとした上下分離方式が議論されてきているが、空港経営の自主性、効率性を確保する観点からは、個別空港ごとの民営化が妥当である。また、三空港の個別民営化に当たり、民営化の方式については、各会社等の判断に委ねるべきである。」二つ目には、「国際拠点三空港の民営化の方法としては、現時点で株式価値が最も高くなると想定される成田をまず単独で早期に完全民営化した上で、その売却収入を、空港整備特別会計を通じ、羽田空港の再拡張、そして関西国際空港の整備および関西国際空港株式会社の経営改善に重点的に充当することが妥当である。」このように財界は提言をしています。
 考えてみますと、今国土交通省がとっている方針は全くこの方向を目指している。そういう意味では、文字どおり財界の要求を受け入れたのではないかというふうに思われます。関西国際空港株式会社への補給金、これは毎年八十億円、三十年間にわたってお金をつぎ込んでいく、こういう補給金の創設、そして、本法案によって公団を株式会社に移行して民営化することによって公団の出資金などを株式に変えて、その株式などの売却益を空港整備特別会計を通じて関空の二期工事や中部国際空港に重点的に引き当てる道を開くということにこれでなるんじゃないかというふうに私は思います。
 私も関空の問題も指摘させていただきましたが、文字どおりの破綻状態にある。これを成田で救うというやり方が財界から提案され、それを受けて立つという形で今回提案されていると思います。
 成田は首都圏の国際需要を独占しています。その上、民営化によって、免税売店やホテルの経営などを今度直営できるようになる。これはだれがやっても、幾つか空港がたくさんあればいいですけれども、競争ないですから、文字どおりこれは独占的にぼろもうけができる、こういう方向が打ち出されているわけです。
 財界の要求を受け入れる形で国の責任を後退させる、そして、空港経営を民間に任せることによってもうけを民間に売り渡す仕組みをつくったのではないかというふうに思われます。そういう点では、財界の提案どおり今回進められたと考えていいんじゃないかと思うんですが、いかがでしょうか。
洞政府参考人 財界の要望をそのまま受け入れたのではないかという御指摘については、そういう要望を受け入れたということはございません。結果として結論が一致したということでございまして、それは結果でございます。
 先ほど申しましたように、いろいろな可能性を含めて議論し、比較考量した上の結果でございまして、それが財界の要望と結論において同じであったということだと思います。
瀬古委員 大体、航空行政などは、財界の提言、要求と大体一致するということが多いんですが、これほどぴったり一致したものというのは、大変私もびっくりしているわけでございます。
 民営化による最大の問題は、ここでもいろいろ懸念が出されておりますけれども、やはり成田空港の歴史、経過ですね。空港騒音等における周辺の生活基盤が切り捨てられるんじゃないか、こういう懸念がございます。
 それで、お話もありましたように、昨年四月から二本目の滑走路が、暫定的ではあるけれども完成して、そして、四半世紀にしてようやく複数の滑走路を備える空港になったけれども、それでもまだ立ち退きを拒否する農家もございますし、全長二千百八十メートルの中途半端な暫定滑走路を余儀なくされています。
 私は、なぜこんな事態になったのかという点も指摘されているわけですけれども、やはりこの空港をめぐる異常な歴史をしっかり考えなきゃならないと思います。もちろん、この歴史には、いわゆる過激派の暴力学生による運動の攪乱、こういった不幸な結果をたどったことも、私たちはこの問題についても批判してまいりました。しかし、土地収用における国の強権的な態度というのを、それを増幅したことも否めないと思います。民主主義の手続を踏まずに、住民を軽視した巨大公共投資がどういう結果を生むかということを、この成田の問題は大変見事に示していると思います。
 私は、政府、空港関係者が、建設決定から今日までの三十八年間、この時間を深く学んで、歴史を学んで、やはり現実に、現在に生かしていく、このことが必要だと思います。その点で扇大臣の、今日までの成田の歴史的な認識、そして、それをどう生かすかという率直な御意見を伺いたいと思います。
扇国務大臣 このことは、この委員会で、今回の法案のみならず何度も御議論いただいて、瀬古議員も、私の持論といいますか、一政治家としての反省も含めて、私は、今までの歴史を振り返って御説明したこともございます。
 もともと、今御説明がありましたように昭和四十一年、一九六六年、初めて閣議決定して以来、今日まで、私は、諸外国へ行って、いつも国際空港におりて寂しい思いをいたします。なぜ、経済大国たり得る、また、国民の努力によって戦後こんなに早く復旧復興し、そして、世界の中でアジアを代表してサミットに総理が出かけるという、また、日本でサミットを開くというような戦後これまでの努力は、国民のすばらしい英知と勤勉さと、そして基本的なまじめさ、みんなが欧米先進国に追いつけ追い越せということで今日の日本をつくったというそのすばらしい中にも、やはり追いつけ追い越せというこの心の中で、ある意味では一番おくれておりました空港というものを、何とか経済大国たり得るように、経済の活性化のために拠点空港をつくろうということで、私は、最初のボタンのかけ違いがあったことは認めざるを得ない。
 また、空港の場所選定によって、あっちがいい、こっちがいい、こっちへ持ってきたら反対だ、いや、うちは賛成だという、賛成していただけるところを探し探し、また、その中には政治的圧力があったとやなかったとや、そういうことも言われます。けれども、やはりどこかに日本の玄関口をつくらなきゃいけなかったあの時代、そしてなおかつ、高度成長で追いつけ追い越せという国民の要望に備えて日本の玄関口というものを成田に決めた。そのときからのボタンのかけ違いで、地元の賛成が得られないまま国が決定したということは、国会の反省も含めて、政治家としても、私は、おのおのが政策をつくるときにいかにその政策のつくり方の過程が大事かということを思い知ったというのが現実でございますから、できてしまったものを、できているものをいかにコストを安く、また、環境を考えながら活用していくかということでなければ、我々は、先輩が努力して、反対も押し切ってつくっていただいたこともあります。地元の賛成でもある、反対している方もいらっしゃいます。けれども、我々は、玄関口を持たない日本なんてあり得ませんから、そういう意味では代替地もきちんと提供もしておりますけれども、いまだに御賛成いただけない方も、数人でいらっしゃいますけれども、存在します。
 けれども、私は、そのために日本の国益を損なってしまうという基本的な原則に立って、もうこれだけの年数たった以上は、毎日テレビで世界じゅうのニュースも入る世の中になって、やはり日本のあるべき姿の中で、代替地を用意されたのであれば、まあこの辺で自分たちも子供たちの将来のためにという広いお考えを持っていただきたい。また、そのことには最大限の努力をし、誠意を尽くして、あるものを最大限に有効活用するという意味においても、私は、過去の反省とともに前向きに対処していくのが、今現在、国会に籍を置いている我々の大きな責任ではないかと思って、そのように努めていきたいと思っております。
瀬古委員 住民の反対を押し切って強引に公共事業を進めるという形が、これは成田だけの問題ではない。例えば、今問題になっておりますあの川辺川の問題もそうですし、また、中部国際空港も関空の二期工事も、そして、全国の今進められようとしております地域空港の問題も本当にボタンのかけ違いがなかったのかという点もしっかり胸に置いて、一つ一つ見直していただきたいというふうに私は思います。
 そこで、騒音問題について最後伺いますけれども、騒音対策を中心とする地域との共生は国で行うということになっていますが、民間に丸投げすることはないということを約束できるでしょうか。そして、とりわけ、民間会社が適切な環境対策を行わない、ある意味では地域の基盤整備を軽視する、そういう場合にはそれを行わせるような命令をする、このように解釈していいでしょうか。
洞政府参考人 先生御指摘のとおりでございます。
 成田空港につきましては、過去のいろいろな経緯を踏まえて、騒音対策を初めとするきめ細かな環境対策とともに、地域と空港の共生を実現するためのさまざまな取り組みが従来から行われてまいりました。このような環境、共生対策は、経営形態のいかんにかかわらず、確実にかつ適切に実施されることが必要でございます。
 そういうことで、この法案では、これらの共生事業を空港会社の事業として明記すると同時に、これらの事業を営むことが会社の責務であることを明確にしてございます。また、国は、空港会社がこういう対策を円滑に実施できるよう国が必要な配慮を行うこととし、最終的には国土交通大臣が空港会社の業務について監督命令を発し得ることとしているところでございまして、この法案のもとで、環境対策、共生策が確実かつ適切に実施されるよう会社を指導監督してまいりたいと考えております。
瀬古委員 では、具体的にお聞きしますけれども、例えば千葉県が毎年実施しております環境調査では、残念ながら環境基準を達成しているところは三一・八%、三割しかないわけですね。もともとこの環境基準というのは、昭和五十八年十二月二十七日までに達成するということになっている、十九年前に達成しなきゃならないのにいまだに三割しか達成していないと、地元から大変厳しい御指摘がございます。
 それからもう一点、谷間の地域というのがございます。滑走路の配置、形状の中で、その間にある谷間の地域への対策というのが不可欠ですけれども、実際にはこれは自治体がやっている。もっと公団や国が責任を持ってやってもらいたい、こういう要望も出ています。
 公団も実態調査をやっていると聞いていますけれども、この点、どのように考えていらっしゃるんでしょうか。二点、お願いします。
洞政府参考人 端的にお答え申し上げます。
 現在の国それから空港公団の騒音対策は、原則として、いわゆる騒防法の体系によりまして、W値の七十五以上の区域に対する住宅防音工事等を実施しておりますけれども、成田空港におきましては、七十五未満の区域においても、地元自治体と協力して、空港の周辺市町の独自の騒音対策として、あるいは、きめ細かな環境対策を行うこと等を目的として設立されました共生財団を通じて、騒防法の対象区域を超えて住宅の防音工事等の対策を行っております。
 現時点で、環境庁の告示に基づく七十Wの環境基準の達成時期を明示することはなかなか難しい問題がございますけれども、国、空港会社では、この法案のもとで、今後ともこれらの環境対策をきちっと推進してまいります。
 また、いわゆる谷間地対策、谷でございますけれども、この谷間地対策につきまして、現在、空港周辺市町独自の事業として騒音対策が実施されております。また、空港公団では、これらの騒音対策等を行う自治体に対し、周辺対策交付金の交付により財政的な支援を行ってございます。
 国とか空港公団の環境対策には、一定の基準により全国的な視点で実施せざるを得ない事情もございまして、現行制度について御理解をぜひいただきたいと存じますけれども、今後とも、成田空港におきます環境対策、共生策につきましては、できる限りの対応に努めてまいります。
瀬古委員 こういう一番大事な環境問題などをまだ残していて、これが民営化されたらどうなるんだろう、ちゃんと責任を持って国がやってほしい、こういう不安はやはり渦巻いていますし、実際には、やるという約束をしておきながら基準未達成というものを残している。こういう点でも、国の責任を民間に投げていくというやり方は大変問題があるということを指摘して、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。
河合委員長 日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 成田空港が民営化されるその第一歩を歩み始めようということになっているわけですが、私、個人的にも大変感慨無量のものがあります。今から三十数年前ですが、実は、芝山や三里塚の農民と一緒に成田空港の建設についての運動にかかわってきた一人として、大変感慨深いものがあります。もちろん、瀬古先生が言われたように過激派では断じてございませんが、そういう意味も含めて質問させていただきたいと思っております。
 最初、新聞記事を忘れてしまいましたが、民営化に際して最重要課題の一つと言われているんだと思いますが、現在、二千百八十の暫定滑走路、平行の滑走路ですが、これを二千五百にしなければならない、こういうふうに言われているんだと思います。
 一部報道によりますと、この滑走路、本来の延伸部分ではなくて、その反対側、北側というんでしょうか、そこを公団が既に用地を確保して、これは新聞によると保安用地とか、ちょっとうろ覚えなんですが、用地を確保して、既に購入済みであるんだという報道がなされておりました。
 この経過と、既にその用地を購入しているとすると、こちら側に滑走路を延ばして二千五百メーターを確保するのではないのかという記事もあったものですから、その辺の真偽についてお伺いをしたいと思っています。
黒野参考人 新聞記事の内容はほぼ正確でございます。
 昨年以来、今の空港の域内でどうしても地権者の方の納得が得られなくて用地が買収できないときには、今買ってある土地を使って北へ延ばしたらどうかという案は現実にございます。ただ、私どもといたしましては、やはり空港の中でつくるのが本来の筋でございますし、北へ延ばすということはそれだけまた騒音地域を北の方に広げるおそれもありますので、今の段階におきましては、本来の空港の敷地内で、今残ってみえる地権者の方々に誠意あるお願いをして、その中で土地を入手し、つくる、そこに今全力を挙げております。
日森委員 そうすると、既定の方針どおり、とりあえずまだ協議は続けていくということになると思うんですが、しかし、無制限に時間があるわけではない。新聞の報道ばかりで申しわけないんですが、二〇〇七年ごろには株式を上場できるんじゃないかというふうな報道がありますから、そんなに長い時間はかけられない。いつごろまでにこの結論を出していくような目算でいらっしゃるのかどうか、お聞きをしたいと思います。
黒野参考人 大変微妙な問題でございまして、私もいつごろですよということを申し上げられると幸いなんですが、何分にも地権者の方々という相手がありますので、今の段階で、私からいつごろですということはちょっと控えさせていただきたいと思っております。
日森委員 いずれにしても、これまでの歴史を踏まえて十分な協議の上で決定されるようにお願いをしておきたいと思います。
 二点目ですが、民営化をされるということになると、どういうふうに会社と国が責任を分担していくのかということが大きな問題になると思うんです。先ほどもお話がございました環境対策であるとか地域との共生の問題、それから中長期の地域振興策あるいは災害復旧、こうした問題で会社と国との責任分担、役割分担が明確にされなければいけないし、基本的な点では国の責任がどうしても担保されなければならない、こんなふうに思っております。
 とりわけ、環境、地域共生、この二つの問題については、これはもう詳しいことは申し上げません、総裁、もう一番御存じなはずで、これまでの経緯から考えて、地域との連携によって特段の努力を払っていかなければいけない、こう思っているんですが、どのような対応をされていくのか、お聞きをしたいと思います。
黒野参考人 環境問題につきましては、基準をつくるのは国の方の仕事だと従来からやってきておりますが、今の公団が株式会社になったといたしましても、周辺の地域との関係におきましては株式会社が責任を負う、これは当然のことだと思っておりまして、現在御審議賜っておりますこの法案の中にもその趣旨が明記してございますものですから、その線に沿ってこれからも対応してまいりたいと思っております。
日森委員 今の問題について大臣の決意、決意というと変ですけれども、お聞きをしたいと思うんですが、よろしゅうございますか、国の責任の問題。
扇国務大臣 先ほどから御論議を日森議員にお聞きいただいたとおりでございまして、我々は、たとえ民間になっても、国際空港という看板である以上は、事業計画あるいは許可制度等々、どれをとってみても国が最終的に責任を持ってしているということだけは間違いがありません。
 そして、先ほども申しましたように、災害対策基本法、また有事法制等々にも指定公共機関というものが法案の中に明記されているわけでございますから、そういう意味では、民間になっても、指定公共機関というものが、空港がそれに位置しているということで、私たちは責任を、確実に、民間と協力しながらも最終責任は負ってもらう、また、国としてもそれを負うということに関しては、私はきちんと整理ができて、それぞれの責任を痛感しているということだと思いますし、またそうするべきである、法案に明記してある以上は遵守するべきであると思っております。
 ただ、冒頭に日森議員が感無量だとおっしゃっていただいて、かつてというお話をおっしゃいましたけれども、私は、そのときにどういう関与の仕方をなすったのか存じませんので、環境問題で関与なすっていたのかどうかがわかりませんけれども、先ほどからお話ございましたように、瀬古議員の環境問題のお話がありましたけれども、そういう意味では、民間になろうと今までどおりであろうと、この点に関してはいささかの変更もない。
 また、民間になれば責任追及で、株主総会なんかしたときにはより追及されるから、国会よりもその方が怖いんじゃないかと思いますので、そういう意味では、民間の責任というのは、民間と直接対比しているだけに、私は大変重いものになると思って、より一層充実するんだろうと思っております。
日森委員 三点目なんですが、今度は自治体との関係についてお聞きをしたいと思うんです。
 先ほども一部出ていましたが、成田の新高速鉄道、空港環状道路、空港放射状道路、これらを整備するということになっています。それから、恒久的な共生策、これについても制度化をしていくという話も出ておりますし、地方自治体が出資が可能となるような措置についても当然考えていかなきゃいけない。それから、従来どおりの空港公団用地の貸し付け問題、さらに、これは先ほどお話が出ましたけれども、厳しい経営が予想されている芝山鉄道、これを延伸していく、こうした問題がたくさんあると思うんですが、これらの問題について、具体的にどう対応されていくのかということについてお聞きをしたいと思います。
洞政府参考人 成田空港におきましては、先ほど来から申し上げておりますとおり、大規模な内陸空港であること、建設の過程で地元の激しい反対運動があった経緯等々から、騒音対策を初めとするきめ細かな環境対策とともに、地域と空港の共生を実現するためのさまざまな取り組みが従来から行われてまいりました。
 このような環境、共生策は、経営形態のいかんにかかわらず、確実かつ適切に対応されることが必要でございまして、この法案におきましては、これらの対策を空港会社の事業として明記するとともに、これらの事業を営むことが会社の責務であることを明確にしてございます。
 さらに、国は、空港公団の民営化に当たってのこれらの対策のあり方につきまして、千葉県を初めとする関係自治体とたび重なる協議を行いまして、環境対策等について今後とも相互に協力して対応していくことを確認するとともに、例えば、これまでどおり継続して行うこととされた成田新高速鉄道への負担や芝山鉄道延伸の検討など八十項目を超える地元からの要望事項について、今後とも誠実に対応することを約束したところでございます。必ず今後とも継続してやります、あるいは、これらの項目については完全民営化までに結論を得るべく真摯に双方が協議します等々の整理をきちっと行ったところでございます。
 また、地元自治体による出資につきましては、株式を公開して以降に、市場で株式を買い入れていただくということになります。
 いずれにいたしましても、国土交通省といたしまして、空港会社の経営の自主性を尊重しつつ、地域と空港の共生という理念のもとに、地域の方々の御協力を得ながら業務の運営がなされますよう、適切に指導してまいりたいと考えております。
日森委員 暫定平行滑走路、これが供用開始になったことに伴って、新たな問題が生じているというふうにも言われています。
 一九九五年から実施をしてきました民家の防音工事、これは既存住宅については一回限りということになっております。御存じのとおり、共生委員会は、恒久的な再助成制度、こういうものが必要なのではないかということを要求していますし、これに対して空港公団も前向きな姿勢を示して、ともかく前向きに勉強していきたい、こういうふうにお答えになっているというふうに聞いています。
 具体的に言いますと、例えばB工法のサッシが重くて扉があけにくいとか、かなり細かい要求が出ているんです。それから、開閉部の消耗が早過ぎるので何とかしてほしいとか、交換費用を住民が二割負担している、これは不公平じゃないのか、こういう話も出ているんですね。修理に時間がかかり過ぎるという不満もあるということも出されているので、これらの問題について、特に恒久的な再助成制度、これについて公団側は勉強されてきたはずなんですが、それがどう今実を結びつつあるのか、お聞きをしたいと思います。
黒野参考人 再助成につきましては、当該木造住宅の場合には耐用年数が二十二年となっておるところでございまして、その二十二年を過ぎた後での改造につきましては二回目もやらせていただくということに、とりあえず今、一歩進んでおります。
 さらにその先どうするかということにつきましては協議事項になっておりまして、それぞれ立場立場で意見もございますものですから、これから相談をさせていただきたいと思っております。
 それ以外、今御指摘の点、幾つかございますが、これにつきましても、問題点を出し合って率直に意見交換するということを今やっている最中でございまして、結果としては、常識的なところにお互いおさめるということになるのではないか、そういう方向でやってまいりたいと思っているところであります。
日森委員 これは細かいところですが、空港が地域と共生していくために、小さな問題でも真剣にこれまでも取り組んできたと思いますし、これからも積極的に取り組んでいただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。
 これは何人かの方から同様な質問が出されていますが、民営化によって相当の株式の価格が見込めるというふうにされておるんですが、二〇〇二年十二月の国土交通省の交通政策審議会航空分科会、今後の空港及び航空保安施設の整備に関する方策についての最終答申は、羽田の拡張工事の早期着工と早期完成、同時に国際定期便の就航を図る必要があるという提言をされているわけです。
 そうすると、成田で株式が、今やもうかっている会社だから大分いい値がつくぞ、これを売却していけば何とかやっていけるぞという話になるけれども、しかし一方で、早期に羽田の着工、完成を目指して、一部国際便も就航させるということになると、成田の方にも当然影響が出る。しかも、羽田は首都圏そのものですから、大変利便性も高いとかいう問題があると思うんです。
 羽田の国際化、どの程度を想定されているのか、私まだちょっとつかんでいるわけではありませんが、この国際化によって相当影響を受けるんではないかということを一つ懸念しているわけです。この辺についてどう考えているのかということと同時に、成田は国際、羽田は国内というすみ分けをやってきたというか、役割分担を首都圏の空港の中でやってこられたわけですが、この航空行政のいわば原則とされてきたものが修正されるということになるのではないか。両空港の役割分担、これは将来にわたってどのように考えておられるのか、航空局長にお聞きをしたい。(扇国務大臣「私が言います」と呼ぶ)では、大臣。
扇国務大臣 そのことはきょう午前中からも議論しましたので、日森議員もお聞きいただいたのだと思いますけれども、国際空港と言って、日本の玄関口だと朝から皆さんおっしゃいました。その日本の玄関口が、御存じのとおり、かつても言いましたけれども、諸外国から空港に受け入れるときに、ヨーロッパへ行って地図を見れば、本当に日本がどこにあるかわからない、日本の地図だから真ん中に赤く塗ってあるからわかりますけれども、私が世界じゅう、ヨーロッパへ行って主要な皆さん方に面会したときに、大きな世界地図があります。けれども、ヨーロッパは全部、一番右の端のはるか探さなきゃわからないようなところに日本がかいてある。ですから、ヨーロッパ等々から発着して、いい時間に日本に向けて発着したのが、大抵着くのは夜中か早朝になっちゃうんですね。
 ところが、今、日森議員おっしゃったように、国際空港でありながら、成田は、今までの諸般の事情で十一時から朝の六時まで離発着を禁止。では、どこへ行くんでしょう。関空は二十四時間オープンといったから、成田に着くべきものが全部関空に行くか。やはりそうでもないんです、航空協定もございますし。
 私は、そういう意味で、関空の二十四時間オープンは、関西の玄関口だと言った以上は、きょうも朝から皆さんが成田は日本の玄関口だとおっしゃる以上は、成田が閉鎖している、クローズしている午後十一時から朝の六時までは羽田を利用するという、成田と羽田と両方相まって、お互いに譲り合って二十四時間オープンというのが、国際化している二十一世紀の日本の地位にとっては重要なことだと思っております。
 そういう意味では、小泉内閣で、二〇一〇年、五百万人弱の来日者を一千万人に倍増しようというその目標達成のためにも、これは二十四時間オープンでなかったら、ヨーロッパの皆さん方にサービスにならないんですね。
 なおかつ成田と羽田のアクセスの悪さ。先ほどからも御論議が出ました、遠くて、高くて、時間がかかる。国際のお客様を迎えようと思っても、成田から羽田へ来ていただくのに一時間半かかって、タクシーで二万以上、そういうものを払っていただいて、なおかつ時間がかかるということでは私はいけない。
 今すみ分けとおっしゃいましたけれども、この財政難の中で、私は、あるものは最高に有効活用する、なおかつ千葉がクローズしている時間に羽田をあけるというのは当然のことだと思います。やっとその緒についたばかりでございますから、そういうことは、成田が二十四時間オープンしてくださればこんなありがたいことはありません。日森議員も関係しているとおっしゃいましたので、かつて。それなれば、その関係筋でぜひ二十四時間オープンに御協力いただければこんなありがたいことはないと思っていますので、そういう意味で、私は、すみ分けということではなくて、あるものを最大限に利用するということでなければ国際競争力に勝ち抜けない、そういう日本の航空行政であると認識しております。
日森委員 航空局長、株式の関係とか影響などについてはどうなんでしょうか。
洞政府参考人 端的に申し上げまして、首都圏の国際航空需要は、今後とも非常に旺盛な需要増というものが見込まれてございます。
 羽田の再拡張を行って、そして国内線の需要に対応した発着枠を確保した後に、余裕枠を利用して国際定期便の就航を図るということにしてございますが、これに伴って成田の経営に悪い影響を及ぼすとか、そういったことは全くないと確信してございます。
日森委員 これも何度もお話に出ていることなんですが、国土交通省は、好業績の成田の収益で赤字の関空を救済する、こういう批判が出てきたことも一つの要因として、大臣は上下分離ということをずっと主張されてきたということを先ほどお聞きしたんですが、この上下分離論からいわば撤退をして、個別の民営化という道をとることになりました。
 しかし、一方で、国の公団への出資金三千億円のうち一千五百億円から二千億円、これは国に返還されるんだ、こうされているんだと思います。この法律の附則十二条第二項、出資金のうち政令で定める額が新会社への無利子貸付金となり、第三項では、当該無利子貸付金の権利は、政令で定めるところにより、一般会計または空港整備特別会計に帰属するということが定められているわけです。この政令について、一つは、具体的にどのような内容を想定しているのかということと、これはもうみんなが心配しているというか、やはりそうだったのかということなのかもしれませんが、きのう参考人の質疑では、空港は国全体で考えるんだから、拠点空港についてお互いに、内部補助ではないけれども、支援し合うことは重要なんだという御意見も確かにございました。しかし、どうも、赤字の関空救済のための上下分離というところから撤退したにもかかわらず、実際にはこういう形で関空救済を行うのではないかということを心配を、心配というか、そう思っているので、それについて、事実関係についてお答えいただきたいと思います。
 このお金については、例えば成田空港圏自治体連絡協議会というのがございますが、ここでは、出資金は国に返す必要ないんじゃないかという意見がありまして、三千億円あるんだったら、そのうち一千五百億円は新会社へ、その他、いろいろあるんでしょうが、少なくとも五百億円は、先ほど御批判もございましたが、成田空港周辺地域共生財団等に配分したらどうだ、こういう意見も事実あるわけです。これらについてどのようにお考えになっているのか、お聞きをしたいと思います。
洞政府参考人 無利子貸付金の返還額、それから、帰属先を定める政令の内容につきましては、現在鋭意検討中でございまして、具体的な額等がいまだ決まっているわけではございません。
 それから、収入の使途につきましては、実際に収入が得られた時点で検討することになりますけれども、先ほど来から申し上げておりますとおり、例えば空港整備特別会計につきましては大都市圏拠点空港の整備等の財源に充てられるなど、それぞれの資金需要がある分野で活用されることになると考えてございます。
 それから、空港会社の適正な資本額を上回る国からの出資金については、財政法の観点から国に返還することになっておりまして、一般会計と空整特会から国際拠点空港の整備費として拠出してきたという経緯を踏まえまして、出資金の一定額を国に返還するとしたものでございます。
 共生財団に配分せよという主張があったことは承知してございますけれども、それはそれ、これはこれということでございまして、返してもらうものはきちっと返してもらうということでございます。
日森委員 この財団などについては問題の指摘もありましたけれども、しかし、これまでの経緯の中で成立をしてきたというかつくられてきたということもございますし、先ほど総裁がおっしゃったとおり、しっかりとチェックは必要だと思いますけれども、それなりに有意義な仕事をしっかりとしてもらうということも、共生という観点からいうと重要になっていると思いますので、ぜひその辺も配慮していただきたいということをお願いしておきたいと思います。
 最後になりますけれども、いろいろ議論を聞いていまして、民営化されると何かよくなるぞ、利用者にも還元されるし、その他もろもろいいことがたくさんある、着陸料も下げられるかもしれないとかいうこともあるんですが、実際には、例えば航空収入外の収入ですね、これはどれぐらいの目標を持つのかとか、どれぐらいの計画でこれをふやしていくのかとかということがなかなか定かになっていないということにちょっと不安を覚えているわけです。
 もう一つは、先ほど申し上げました交通政策審議会の航空分科会、これの最終答申、今後の空港及び航空保安施設の整備に関する方策の最終答申の中で、経済社会活動のグローバル化、ボーダーレス化の進展によって国際航空需要は自動的に増大していくんだ、よっぽど環境の変化がなければということが前提なんでしょうが、そういう立場で答申がされているようです。
 もちろん、それを前提に成田の問題も考えていらっしゃるということになると思うんですが、これは実際、具体的にどういう根拠で自動的に航空需要が増大をしていくのかということについて、わかりやすく説明していただけたらありがたいと思います。
洞政府参考人 私どもの空港政策審議会で航空需要予測というのを行っております。その結果でございますけれども、経済社会活動のグローバル化、ボーダーレス化ということを背景に、要するに国境がなくなって、人の往来あるいは物の移動、生産拠点の分散化等々、いろいろな活動が全地球的な規模で行われるわけでございますけれども、そういったものを背景に、国際航空需要は、向こう五年間は私どもの予測では三・六%、そのさらに五年間は五・一%増大すると見込んでございます。
 国の需要予測は当たらないという先ほどの御指摘がございましたけれども、航空の需要予測はマクロとしては非常に当たっている、むしろ、トータルとしては予測よりもふえている事例の方が多い、それだけ航空需要というのは旺盛です。ただ、一つ一つの空港に当てはめていくとなかなかちょっと難しいところがあるというのが正直なところなんです。
 それで、私ども、先ほど言いましたように三・六%、五・一%と見込んでおりますけれども、これは結構控え目な数字でございまして、世界の航空企業の集まりでございますIATAというのがございますが、二〇〇一年に公表しています予測では、日本の国際旅客は四%と予測しています。それから、国際民間航空機関という国連の機関が二〇〇一年に公表しておりますアジア太平洋の国際旅客は、二〇一〇年までの伸び率が七・五%、ボーイング社は二〇〇二年に公表していますけれども、全世界で四・九%、我々の予測よりも高い数値を出しておりまして、どれが当たるか当たらないかはそれはわかりませんけれども、いずれも国際航空需要は、一時的な需要の変動というものはいろいろなあれがありますけれども、長期的にはこういう高い伸びで伸びていくという予測はいずれの方面でもなされているところでございます。
日森委員 当たるも当たらぬもという話みたいで何かちょっと不安も感じるんですが、しかし、それを前提に組んだということなので、それはそうでしょうと言うしかないんですが、ともかく、まだまだ不明朗な点が多い。特に利用客への還元の問題や着陸料の問題、いいことがあるぞというふうに新聞で書かれたりしていますけれども、なかなか具体的なところまで行っていないような感じもいたします。
 それはまた後で聞こうと思ったんですが、もうきょうでおしまいのようですので、そういう機会もなくなりましたけれども、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
河合委員長 江崎洋一郎君。
江崎委員 保守新党の江崎洋一郎でございます。
 本日は、本来であれば金子善次郎委員が質問をさせていただくところでございましたが、本日開かれております政治倫理審査会に出席をしております。急遽ピンチヒッターということで質問をさせていただきます。
 甚だ恐縮でございますが、既に当委員会におきまして御審議いただいた質問内容もあろうかと思いますが、御了解をいただければと思います。
 それでは、早速ですが、成田国際空港株式会社につきましての質問をさせていただきます。
 成田空港では、昨年四月に平行滑走路の供用を開始しました。しかし、滑走路予定地に住んでいる農家の用地買収ができないために、本来の計画の二千五百メーターよりも短い二千百八十メーターに今変更されているわけでございます。その結果、現在は大型機が離発着できないという大きな制約がある状態で運営をされているわけでございます。日本を代表する国際拠点空港として今後の首都圏における航空需要の増加に対応していくためには、一日も早く、本来の計画どおりであります二千五百メーターの平行滑走路を初めとする空港整備が必要なわけでございます。
 しかし、長年にわたって解決できない用地問題や大きな投資を伴う極めて公共性の高い空港整備を、一民間企業である成田国際空港株式会社が確実に実施することが今後できるのでしょうか、また、政府として今後どのような責任を果たされるのか、扇大臣にお考えをお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 江崎議員に、けさからの御審議、全部お聞きいただいていないとは思いますけれども、大事なことでございますから、再度、ダブる面を御承知いただいてお答え申し上げたいと思います。
 本来の二本目の滑走路が暫定でなくなるようにということは、私は口を酸っぱくして言っております。そして、今お帰りになりましたけれども、総裁を任命いたしますときにも、特殊会社化された後においても、この二千五百、二本目の滑走路、暫定という言葉を取るということに最大限努力してくださいということを申し上げました。
 何回も申しますように、一九七八年以来、四半世紀かかってやっと暫定ということは余りにも国際的に恥ずかしい。そういう意味では、近隣の諸外国の国際空港と対比いたしましても、経済大国日本らしくない、また先進国の日本らしくない。江崎議員も途上国にもいらっしゃるでしょう。私も、先ほども申しました、途上国の空港におりて、立派な空港ですねと、いやいや、日本のODAで援助していただいたおかげでこの空港ができましたと言われて、つくり笑いをせざるを得なかった。
 そういうことも含めて、この日本の現在の地位からすれば、二本目の滑走路が一日も早くまともな二千五百、二本でも足りないと言われているんですから、それを二十六年かかって、今ちょうど二十六年目、これでは余りにも恥ずかしいと思いますので、私は、特殊会社になろうと民営化になろうと、暫定という言葉を取って、二本で初めて飛び立てるというつもりで、両翼を少なくともそろえていただきたい、できれば尾翼もそろえていただきたいというのが願いです。
 せめてこの暫定という言葉を一日も早く取り除いていただくこと、それが国際空港という、しかも、今度は成田という名前をつけます。今までは新東京国際空港でございましたけれども、成田国際空港になりますので、そういう意味では、私は、地元の皆さんの責任も重くなると思います。けれども、国は最後まで、私たちは、定める基本計画の達成に最大限に、義務づけるかわりに責任も持つ。そして、事業計画の認可あるいは空港会社に対する監督命令等の規制も設けて国が責任が果たせるように最大限に努力し、なおかつ、国が空港会社に対して無利子の融資というものも、所要の財政支援もするということも含めて、私は、一日も早く政府として用地の解決に取り組んで、ジャンボが離発着できる二千五百の二本目の滑走路の完成を目指していっていただきたいと思っております。
江崎委員 本当に、一日も早くこの整備を急いでいただきたいと思います。また、社名も変わるということでございます。地元の皆様の意識も高めていただきまして、よりよき空港整備をお願いしたいと思っております。
 続きまして、関連して、空港の国際比較という観点から御質問申し上げたいと思っております。
 上海、仁川など、近年、北東アジア地域において大規模空港が次々に開港しまして、国際ハブ空港間競争が激化しているということは皆さん御承知のとおりでございます。仁川空港は、三千七百五十メーター滑走路が二本、二十四時間使用が可能であるのに比べ、成田空港は、二本の滑走路のうち、一本は、先ほど申し上げましたように二千百八十メーター、使用可能時間は午前六時から午後十一時までです。また空港利用料金も、成田空港は仁川の二・五倍であります。国際ハブ空港間競争では、既にハードの面で我が国は負けているというふうに言えるんではないでしょうか。
 保守新党、我が党では、観光立国を目指しまして、現在の外国からの訪問者四百七十七万人を、倍増の一千万人にすることを具体的目標としております。そのためには、日本の国際空港、とりわけ成田空港の国際競争力を向上させていかなければならないという問題意識を持っております。
 そこで、アジアの新設大規模空港に比べまして、世界的に見ても極めて高い水準にある着陸料を引き下げることも不可欠であると考えられますが、国際競争力向上実現に向けた政府としてのお取り組みについてお伺いをしたいと思います。
扇国務大臣 この成田の法案をお出ししてから、本当に、朝からだけでも多くの皆さんが同じ気持ちを持っていただいています。
 私は、国会に籍を置く皆さんとしてはいろいろなところへお出ましになりますから、日本の空港の玄関口だという大見えを切った空港が、二本目の滑走路が暫定であるということを論議することすら恥ずかしいと思うくらい、我々は、なぜ国際という看板をつけているんだろうと疑問符を持たなければならないような国際状況。しかも、御存じのとおり、日本の成田、関空ともに着陸料はジャンボ一機で九十万円台。そして、アメリカのケネディ空港、フランスのドゴール等々、韓国の仁川も三十万円台、イギリスのヒースローに至っては着陸料は七万八千円です。
 そのように、我々は、国際空港としてはどうなんだと言われますと、まず着陸料が高い、なおかつ安全性の面でも、二本目の滑走路も暫定だから、パイロット等々も含めて、まだ一人前でない滑走路を国際という看板をつけているということも恥ずかしいことです。
 また、諸外国では、空港から少なくとも十分以内に所要の駅なり所要の高速道路に乗れるという利便性もあります。また、国際線から国内線への乗りかえに時間とお金がかかるというのはほとんどありません。広い空港で動く歩道等に乗ることはありますけれども、国際空港からそのまま国内線に乗りかえということも可能でございます。
 ところが一方、この成田空港でございますけれども、成田へ着陸して、成田から羽田へ行くには、タクシーに乗っていきますと二万円強でございます。そして、高速道路代は二千三百五十円かかります。これは外国人にとっては、不便で、高くて、むだな時間がかかる。もう恥ずかしい限りでございます。国際化としてどう思うんだと言われますと、余りこういうことを委員会で恥をさらして、日本の国際空港がそんなものかと外国の人になめられるようなことは御論議しなくてもいいような空港に一日も早くしていきたい。
 いろいろ問題を取り上げれば切りがありませんけれども、中期的な拠点空港は、第一種ですから、少なくとも完備する、そして大胸張って、今江崎議員がおっしゃいましたように一千万人の来日を目指して、さあいらっしゃい、玄関口を広げましたよ、便利ですよ、安いですよ、どうぞと言えるような空港に一日も早くしていきたいと思っています。
江崎委員 ぜひ、世界に誇れる国際空港としての整備も重ねてお願いをしたいと思う次第でございます。
 続きまして、今、感染が大変拡大しております新型肺炎SARSに関連した御質問を申し上げたいと思います。
 現在、アジア地域を中心に、これら新型肺炎は感染が拡大しているわけでございます。我が国においては、今のところ国全体の経済成長に対する大きな影響というのは出ていないようにも思えますが、しかしながら、航空旅客の減少が経営に直結します観光や航空業界では、関連企業の深刻な経営不振が心配されるわけでございます。最悪の場合には、我が国の航空業界全体の国際競争力低下にもつながるおそれがあると考えられます。
 このような状況の中で、我が国の国際航空旅客の五四%を取り扱う成田空港にもかなり影響が出ているものと考えられます。成田空港公団の月間収入が十五億円も減少しているとのお話もございます。これでは、民営化を目前に、公団の今年度の決算見通しは大幅に赤字になってしまうのではないかというふうに心配されるわけであります。
 政府は、先ごろ、経営が悪化した、あるいは予想される航空会社に対して新型肺炎の緊急経営支援を行うことを決めましたが、民営化を目前にした成田空港公団や民営化後の成田国際空港株式会社にも、このSARSのさまざまな影響というのが考えられるわけでございます。
 しかし、経営不振を原因として、航空旅客の利便性低下や空港運営の安全性に影響があってはなりません。また、特殊会社化や上場に当たってマイナスとならないよう、経営の健全性を確保するため何らかの経営支援策を講じるべきではないかとも考えられますが、御見解をお伺いしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、イラク戦争や特にSARS等の影響によりまして成田公団の収入にも悪影響が出ておりまして、四月の一カ月間で約十九億円の減収になったと聞いております。こういう中にありまして、公団は、今後、建設工事の抑制であるとか施設維持等のコストの抑制そして管理コストの節減等によりまして、総額で約九十億円の支出削減策を実施するということを聞いております。
 まずは、今後、このSARS等の影響がどれくらい続いていくか、そしてまた、公団のこれに対する対応を見守ってまいりたいと考えておりますけれども、その上で、経営上重大な支障が生じるような事態になった場合には、必要な措置等について検討したいと考えております。
江崎委員 このSARSの影響というのは大変深刻な問題ではないかと思います。そういった点で、ぜひ、政府のお立場としてもくまなく目配りをしていただいて、今後の推移を見守っていただきたいと思います。
 以上で質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
河合委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより討論に入ります。
 討論の申し出がありますので、これを許します。大森猛君。
大森委員 私は、日本共産党を代表して、成田国際空港株式会社法案に反対の討論を行います。
 反対の第一の理由は、成田空港について、その設置、管理を現在の公団方式から株式会社方式に変更し、民営化することであります。これは、第一種空港における国の責任を大きく後退させ、空港経営を民間に任せるものにほかなりません。
 現在黒字になっている成田空港を民間に任せることは、財界の大もうけを保証するものであります。着陸料を三割から五割下げても、上場すれば株式の価値は四千億円から五千億円になるという調査さえあります。株式の売却や閉鎖的な空港での飲食など、商業施設での収益も巨額になることは想像にかたくありません。
 さらに、成田の黒字で関西国際空港や中部国際空港などの膨大な赤字を埋めて、国民からむだと浪費と批判されている関空二期工事や中部国際空港建設工事につなげることなどのねらいがあると言わざるを得ません。
 さきに国土交通省が持ち出した三空港一体化・上下分離方式は、政府・与党、航空業界からも異論が出て破綻をしましたが、そのかわりとして、関西国際空港株式会社への補給金の創設、伊丹空港の着陸料引き下げとともに、本法案によって、公団を株式会社に移行させ、民営化する道がとられました。日本経団連は、公団の出資金を株式にかえて、その株式の売却益を、空港整備特別会計を通じて関空第二期工事等に重点的に引き当てるとの提言を出しており、本法案は、それに全面的にこたえたものと言わざるを得ません。
 反対の第二の理由は、空港の環境対策や周辺の生活基盤事業が後退させられる危険があることであります。
 成田空港は、設立経過からして、空港騒音等における環境対策や生活基盤整備は公団の重要な業務として実施されてきており、今後とも継続しなければならないものであります。この業務は現在でも不十分であります。事業実施主体が公団から株式会社に変わることは、利潤追求を第一とする経営に変えることであり、そのために、非収益事業で、かつ経営を圧迫することになる環境対策や生活基盤整備が切り捨てられることになるのは必至であります。
 以上で、反対理由を申し上げ、反対討論を終わります。(拍手)
河合委員長 これにて討論は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより採決に入ります。
 成田国際空港株式会社法案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
河合委員長 次に、内閣提出、航空法の一部を改正する法律案及び第百五十三回国会、細川律夫君外一名提出、航空法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。
    ―――――――――――――
 航空法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
扇国務大臣 ただいま議題となりました航空法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
 航空が国民の足として定着し、だれもが日常的に利用できる身近で便利な交通機関として、今や国民生活の向上や経済活動にとっても欠くことのできないものとなる中で、近年、トイレでの喫煙その他の航空機内における安全阻害行為等が急増していることから、このような行為を抑止し、航空の安全を確保する必要が高まってきております。また、昨年、我が国で初めて航空運送事業者が持ち株会社を設立して経営統合を行うなど、航空輸送をめぐる経済社会情勢が大きく変化してきており、これに的確に対応するために、所要の措置を講ずる必要があります。
 このような趣旨から、このたびのこの法案を提案することとした次第でございます。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明を申し上げます。
 第一に、航空機内にある者は安全阻害行為等をしてはならないこととするとともに、機長が行為者に対して禁止命令をすることができることとし、命令に違反した者は罰金刑に処することといたしております。
 第二に、航空運送事業の許可の要件として、申請者の持ち株会社等の議決権の三分の一以上を外国人が占めないこと等の事由を追加することといたしております。
 その他、飛行計画の事前通報義務について、一定の場合には飛行を開始した後でも通報することができる規制緩和を行うこととしております。
 以上が、この法律案を提案する理由です。
 この法案が速やかに成立いたしますように、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
河合委員長 次に、提出者細川律夫君。
    ―――――――――――――
 航空法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
細川議員 ただいま議題となりました航空法の一部を改正する法律案について、民主党・無所属クラブを代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 航空機の路線が拡大し、旅客の大衆化が進むにつれ、国の内外を問わず、機内における迷惑行為が急増いたしました。航空機内は、他の交通手段の場合と異なり、密閉された狭隘な特殊空間であります。そうした特殊性にかんがみ、迷惑行為につきましては、安全性の観点からも、また平穏性保持の観点からも法規制を行うべきであるとの考え方に立ち、民主党といたしまして検討を重ね、一昨年の十一月二十八日、本法案を衆議院に提出したものであります。
 その後、一年半が経過する中、政府も慎重に検討を重ね、法案策定そして提出に至った点につきましては高く評価すると同時に、なぜもっと迅速に、我が党の案も審議の俎上にのせた上での濶達な議論ができなかったのかとの遺憾の念も抱いているところであります。
 とにかく、こうして両案を一括して審議いただくことによって、空の交通を、安全性、利便性、快適性のより高いものにしていくため、建設的な議論ができることを期待しております。
 次に、本法案の内容について御説明申し上げます。
 我が党の案では、航空機内における迷惑行為等を未然に防止し、旅客の安全で快適な飛行を確保することを目的とし、一定の電子機器等の作動を禁止し、違反した者は罰金に処すること、また、一、乗組員の職務の執行を妨げた者、二、他人に対して著しく粗野または乱暴な言動で迷惑をかけた者を罰金に処することを規定しております。二の迷惑行為には、既に軽犯罪法の処罰に当たるとの解釈が定着をしている喫煙禁止場所での喫煙、他の旅客や乗組員に絡んだり因縁をつける行為も含まれており、政府案に比べ、より広い範囲の行為を処罰の対象としていることが明確なものとなっております。
 また、政府案では、安全阻害行為等に対し機長の中止命令を規定し、その命令に違反した者を罰金に処することになっているのに対し、我が党の案では、同種の行為をした者は直ちに処罰することを可能にしております。
 ぜひとも、全会派の御賛同により本法案を成立させていただきますように、よろしくお願いを申し上げます。
河合委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る二十三日金曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後三時二十九分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.