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第25号 平成15年5月27日(火曜日)

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平成十五年五月二十七日(火曜日)
    午前十時四分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
   理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      荒巻 隆三君    岩崎 忠夫君
      倉田 雅年君    佐藤  勉君
      実川 幸夫君    高木  毅君
      竹本 直一君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西田  司君
      西野あきら君    林  幹雄君
      原田 義昭君    菱田 嘉明君
      福井  照君    堀之内久男君
      松浪 健太君    松野 博一君
      松宮  勲君    松本 和那君
      森田  一君    山本 公一君
      阿久津幸彦君    岩國 哲人君
      大谷 信盛君    奥田  建君
      川内 博史君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      伴野  豊君    高木 陽介君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    金子 哲夫君
      原  陽子君    日森 文尋君
      山谷えり子君    後藤 茂之君
    …………………………………
   議員           井上 和雄君
   議員           細川 律夫君
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      吉村剛太郎君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (内閣府政策統括官)   山本繁太郎君
   政府参考人
   (消防庁長官)      石井 隆一君
   政府参考人
   (財務省国際局長)    渡辺 博史君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省海事局長)  徳留 健二君
   政府参考人
   (国土交通省港湾局長)  金澤  寛君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 鷲頭  誠君
   政府参考人
   (海上保安庁長官)    深谷 憲一君
   政府参考人
   (環境省地球環境局長)  岡澤 和好君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十七日
 辞任         補欠選任
  砂田 圭佑君     竹本 直一君
  松宮  勲君     松浪 健太君
  山本 公一君     佐藤  勉君
  岩國 哲人君     奥田  建君
  日森 文尋君     金子 哲夫君
  二階 俊博君     山谷えり子君
同日
 辞任         補欠選任
  佐藤  勉君     山本 公一君
  竹本 直一君     荒巻 隆三君
  松浪 健太君     松宮  勲君
  奥田  建君     岩國 哲人君
  金子 哲夫君     日森 文尋君
  山谷えり子君     二階 俊博君
同日
 辞任         補欠選任
  荒巻 隆三君     砂田 圭佑君
    ―――――――――――――
五月二十六日
 油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)(参議院送付)
 海上衝突予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)(参議院送付)
 特定都市河川浸水被害対策法案(内閣提出第九五号)(参議院送付)
 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)(参議院送付)
は本委員会に付託された。
五月二十七日
 航空法の一部を改正する法律案(細川律夫君外一名提出、第百五十三回国会衆法第二三号)
は委員会の許可を得て撤回された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 航空法の一部を改正する法律案(内閣提出第八七号)
 航空法の一部を改正する法律案(細川律夫君外一名提出、第百五十三回国会衆法第二三号)
 航空法の一部を改正する法律案(細川律夫君外一名提出、第百五十三回国会衆法第二三号)の撤回許可に関する件
 油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案(内閣提出第六九号)(参議院送付)
 海上衝突予防法の一部を改正する法律案(内閣提出第七〇号)(参議院送付)
 特定都市河川浸水被害対策法案(内閣提出第九五号)(参議院送付)
 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第九六号)(参議院送付)


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、航空法の一部を改正する法律案及び第百五十三回国会、細川律夫君外一名提出、航空法の一部を改正する法律案の両案を一括して議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省航空局長洞駿君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。今田保典君。
今田委員 おはようございます。民主党の今田保典でございます。
 航空法の一部を改正する法律案について質問をいたしますが、これまで、いろいろな方々からお話がありましたように、いろいろな御意見もありました。そういう関係で、若干、私の質問の中で今までお話しされたことと重複する部分があるかと思いますが、御勘弁をいただきたい、このように思います。
 この航空法の一部を改正する法律案の質問に入る前に、きのう夕方の六時二十分ごろ、宮城県沖で地震があったわけですが、そのことで国土交通省としてどういう対応をされたのか、あるいは被害状況がどのような報告があったのか、この部分について御報告をお願いしたいというふうに思います。
扇国務大臣 おはようございます。
 今、今田議員がおっしゃいましたように、昨日十八時二十四分ごろに宮城沖を震源とする地震が起こりまして、国土交通省としましても、本省あるいは地方整備局、地方運輸局、それから海上保安庁、気象庁が被害状況の収集に努力をいたしました。それから、関係省庁で一緒になってまず点検をしております。それから、東北新幹線仙台―八戸間での運転を見合わせましたし、また、国道、県道では通行どめの区間がありました。また、家屋につきましても、一部損壊したということもございました。家屋の一部損壊は百四十一棟に上っております。これは、きょうの午前七時までの状況でございます。
 それから、土砂崩れも五十一カ所、がけ崩れが三カ所という状況が入っております。
 ただ、国土交通省といたしまして、申しわけないけれども、反省点が一点ございます。それは、皆さん御存じだと思いますけれども、全国に地震計というものが設置してございます。その全国に網羅しております地震計は、三千四百三十一機、地震計が全部設置してあります。その三千四百三十一の地震計が一分間ごとに一回データを気象庁本庁に送ってまいります。
 ところが、きのうは、その三千四百三十一の地震計が、余りに地震が大きかったものですから、一分間に再度反応しまして、データが五千回を突破いたしました。
 それで、気象庁の情報収集能力が五千回なんだそうでございます。きのうはその五千回をオーバーしたために、その情報収集、データの回線がパンクをいたしまして、一部ダブった情報を流すという大変申しわけない事態が起こりまして、けさから早急にその措置を求めましたら、あっという間に一万回にできるんだそうです。五千回の倍で一万回にできるんなら、なぜ最初から一万回にできないのかということで、危機管理体制の、危機意識が薄いということで、厳重注意をし、既に今もう一万回の収集能力になっているという点は、国土交通省、気象庁としては反省点でございますので、それらも含めまして、今後も余震が予測されますので、情報収集に当たっていきたいと思っております。
 以上です。
今田委員 私もたまたま車に乗っておって地震がわかったんですが、その後、十分ぐらいたった後でしょうか、私も山形なものですから、心配で携帯電話で電話をかけたんですが、つながらないんですね、パニック状態なんですね。これは、本電話もそうだったのか知らぬけれども、やはりこの被害状況というのは、だれでも知る権利もあるし、また、情報交換をしたい、こういうことですので、これは、今後の課題として、電話、いわゆる連絡網をどのように確保するのかという問題があるなというふうにつくづく感じたところであります。
 そこで、今ほど詳しく被害状況について、あるいは状況についてお話があったんですが、私も、この地震の対応について、防衛庁から私の部屋にファクスが届いておったんです。十八時三十分に災害対策室を設置した、それから、三十一分には、防衛庁としていわゆる地震の状況を見るためにもう既に飛行機が飛んだ。それから、ざっと、分ごとにいろいろな対応をして、最終的には八時三十分に対策会議を開いた。こういう素早い対応が防衛庁で行われたというファクスが私のところに届いたんですが、国土交通あるいは政府としてそういう対応はどのようなことをやったのか、知る範囲で結構ですから、もう一回お知らせをいただければ大変ありがたいと思います。
扇国務大臣 今、今田議員がおっしゃいましたように、防衛庁と同じことでございますけれども、既に、発生後、まず官邸の対策室が設置されました。国土交通省としましても、十八時二十四分に非常態勢に入りました。これは地震と同時でございます。
 それで、たまたまこの時間、みんなまだ役所にいたものでございますから、すぐに招集がかないまして、二十四分に東北地方整備局及び東北運輸局の非常態勢がとられました。まず、九時三十分発のみちのく号が出発をしていたんですけれども、このときに、高速自動車国道の点検終了、これが二十時二十分でございます。
 そういう意味では、まだまだ被害状況も続いております中で、今後一番国土交通省として要注意は、がけ崩れで国道閉鎖、あるいは路線等々の点検というのに時間がかかるということでございますので、対策本部が設置されましたし、私も都内におりまして即電話が入りまして、対策本部を省内でするべきか、あるいは官邸で内閣挙げての対策本部にするかという連絡待ちということでございまして、きのうの場合は局長級が集まりまして、事務次官も国土交通省内の対策本部には入っておりました。そういう意味では、対応をすべて、地方整備局、地方運輸局挙げて点検に入ったというのが現実でございます。
今田委員 今回起きた地震によってけがされた方が大勢おられるということでございますので、そういった方にお見舞いを申し上げたい、このように思います。
 そこで、私も東北出身でございますのであえて申し上げますが、この地震によっていろいろな被害がこれから明らかになるだろうというふうに思いますので、ぜひ、国土交通省としてのできる範囲内で、できる限り早く災害の復旧に努めていただきたい、このことをお願い申し上げまして、本題の質問に入らせていただきます。
 まず、私どもの民主党で航空法について提案をしておったわけでございますが、この法案について、政府案に対するいろいろな注文も正直言って申し上げてまいりました。
 そこで、与党あるいは航空局と意見調整をさせていただきながら今日まで来たわけですが、最終的に私どもの意見を政府案に、修正をしていただける、こういうことになりましたし、また、後ほど御提案を申し上げますが、附帯決議についてもいろいろと私どもの御意見を入れてもらえる、こういう確認をさせていただきましたので、我が党から出している法案については先ほどの理事会で取り下げをさせていただきましたので、よろしくお願い申し上げます。
 したがって、今後私が質問することについては、政府案に対して質問をする、こういうことになりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 そこで、最初に、機内安全阻害行為ということについて質問したいわけです。
 機内安全阻害行為等とは、当然、禁煙場所での喫煙、たばこを吸う、それからいろいろな行為があると思うんですが、該当すると思う部分について具体的に説明をお願いしたい、このように思うわけです。特にたばこの部分は、政府は、便所等という「等」を入れてくださいと私ども言っておったんですが、なかなか意見が合わなかったんですが、その部分を重点的にお答えを再度確認させていただきたいと思います。
洞政府参考人 具体的な行為は、国土交通省令で定める行為ということで省令で定めることとしてございますが、それぞれの行為について申し上げますと、乗降口または非常口の扉の開閉装置を正当な理由なく操作する行為、携帯電話等の電子機器を使用する行為、航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為であって当該航空機の安全の保持、当該航空機内にあるその者以外の者もしくは財産の保護または当該航空機内の秩序もしくは規律の維持に支障を及ぼすおそれのあるもの、離着陸時に座席ベルトを着用しない行為、手荷物を通路に放置する行為、離着陸時に座席のリクライニング及びテーブルをもとの位置に戻さない行為、みだりに救命胴衣等の安全のための器具を使用または移動する行為、そして、喫煙でございますけれども、喫煙につきましては、便所において喫煙する行為というふうに定めることと考えております。
今田委員 そうなりますと、後ほどの私どもの附帯決議の中にも入れさせていただいたんですが、例えば、たばこを便所で吸った者については刑罰を加える、しかし、通路とか座席とかそのほかでたばこを吸っても、禁煙場所で吸った場合刑罰に値しないのかということになります。ちょっと私どもはなかなか理解しにくいところがあるな、こういうことでいろいろ今日まで注文を申し上げてきたんですが、この部分はどうなんですか。
洞政府参考人 私どもは、安全阻害行為という概念でそれぞれの行為をとらえることとしてございまして、喫煙に関しましては、せんだっての答弁でも申し上げましたが、トイレの中において喫煙をするということは、非常に燃えやすい状況になっている、また監視の目も行き届かない等々の危険性の度合いが非常に高いということで、ここに着目してトイレ内における喫煙をその行為の対象としているわけでございます。その他の通路であるとか客席における喫煙につきましては、そういう危険性が少ないということで、その行為を特に罰金を科する安全阻害行為としてはとらえていないということでございます。
今田委員 今ほどの回答でちょっと私もなかなか合点がいかない部分があるんですが、いずれにしろ、何年かたっていろいろな問題が出てくるだろうというふうに思いますので、それらも含めて今後十分に検討する必要があるのではないかというようなことでお願いをしたいと思います。もちろん、その部分についても後ほどの附帯決議の中にお願いをしておったところでございます。
 次に、電子機器の規定についてお伺いをいたします。
 現在、平成十年三月に出された航空局技術部長通達に基づいて、航空機内での携帯電話等の電波を発する機器は使用してはならぬよ、こういうことになっております。今回の法律改正に当たってどのような点が、今までそういったものを通達を出していた部分以外の部分で新たに設定されたものがあるのかどうか、変更されたものがあるのかどうかお聞きをしたい、このように思います。
 また、携帯電話、世の中に非常に広く普及されておるわけでありますし、また、ビジネスマンが飛行機に乗るという機会が多くなるかと思います。したがって、電話も非常に重要なビジネスの一つになっておるわけでありますが、しかし、機内で電話はだめだよということであれば、機内にもっと機内用の電話の設置等、数をもっとふやす必要があるのではないか、また、利用客からそういうことも言われているんだろうというふうに思うんですが、この部分についてお伺いをいたします。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 平成十年の三月二十日、航空局の技術部長通達というのがございまして、そこにおきまして、機内での携帯用電子機器の使用について、次のとおり禁止措置をかけております。
 携帯電話等の電波を発する機器については常時使用禁止、そのほかの一般携帯用電子機器については航空機の離発着時において原則禁止ということでございまして、補聴器とか心臓ペースメーカー等の極めて微弱な電力を使用した医療機器及び運航者によって航空機システムへの干渉を起こさないことが確認されたものは使用してよいということになってございます。
 これは、財団法人の航空振興財団という調査機関において、長年にわたっていろいろ調査研究をした結果を受けてのものでございます。
 今般、電子機器の使用につきまして、機長が禁止命令を行う対象行為を定めるに当たりましては、これまでの経緯を踏まえまして、現在禁止されている機器について禁止命令の対象とすることを考えておりまして、同じ措置を講じようとするものでございます。
 それから、電子機器の使用を制限するのであれば機内電話が必要だという御指摘でございますけれども、おっしゃるとおりでございまして、我が国の航空会社が運航しております航空機のうちで、中・大型機につきましては、国際はもちろんですけれども、国内線につきましても、ほぼ、公衆電話といいますか、そういうものがついております。
 ただ、そういう電話がついているということを知らないお客さんも結構いらっしゃるというのが実態ではなかろうかと思いますし、利用者の利便性の向上からは、こういうふうに設置されているもののPRに今後努めていきたいと思いますし、実は、小型の飛行機というのはなかなかまだついていないんですけれども、そういう意味で、公衆電話の設置について会社をいろいろ指導してまいりたいと考えております。
今田委員 今局長が言われたように、本当に電話はどこにあるのかわからないですよ。私もようやく最近になって場所がわかったという状況でございまして、これはやはり周知徹底をしないとまずいのかなという感じがいたしますので、ぜひお願いをしたい、このように思います。
 次に、機内でのセクハラ行為についてお尋ねをいたします。
 政府案によりますと対象は乗務員に限定されているというのは、なぜなのかというふうに思うわけでございます。いわゆる乗客同士のセクハラ行為であっても、法案の安全阻害行為、あるいは当該航空機内の秩序を乱し、または航空機内の規律に違反する、こういう行為に該当するというふうに考えられますけれども、なぜその対象を乗務員だけにしたのかということについてお尋ねをしたいと思います。
洞政府参考人 客室乗務員は保安要員でございます。その保安要員に対するセクハラ等によってその業務に支障を生じさせた場合には、航空の安全に支障が生じるおそれがあることから、客室乗務員へのセクハラ行為等を禁止命令、処罰の対象になり得るよう、省令で定めることとしております。
 一方におきまして、乗客同士へのセクハラ行為につきましては、迷惑行為ではございますけれども、その性質上、航空の安全に支障を生じるものではないというふうに考えておりまして、今回の禁止命令、処罰規定の対象とすることは考えておりません。
 しかしながら、ほかのお客さんへセクハラ行為をする者がいた場合に、客室乗務員が制止するというようなことになった場合に、その制止に従えばそれで済むわけでございますけれども、その制止を聞かず、客室乗務員に対して当該行為者が暴言を吐く等々、保安要員としての業務に支障を生じさせた場合には、この禁止命令、処罰の対象ということになってまいります。
 そういう意味で、余りにも目に余って、そしてそういうのをやめようとしない、それで客室乗務員の制止命令等にも聞かず反抗するというようなお客様に対しては、この罰則の対象になり得ると考えております。
今田委員 今ほどの行為、あるいはいろいろな、機内でのいわゆる秩序を乱す、こういう行為が行われる可能性が強いわけでありますけれども、そのことに対して機長は、やめなさい、あるいは継続してはならないよというような命令をすることができる、こういうことになっておりますが、現実として、機長は操縦に専念をしているわけですから、機長が客室に来て、それはやめなさい、こういうことはできないわけですね。
 そういった場合、この法の解釈として、機長の命を受けた客室乗務員が当該お客様に対して命令するということができる、あるいはそうしなければならない、こういうことなのか、その部分についてちょっとお知らせをいただきたいと思います。
洞政府参考人 機長は、その航空機に乗り組んでその職務を行う者を指揮監督する権限を有しております、航空法七十三条でございますが。それで、これを受けまして、機長みずからが命令書を交付せずとも、機長の指揮監督のもとで、機長名の命令書をもって客室乗務員が行為者に対して機長の権限を代行することができるということでございます。
今田委員 そこで、そういったことを何回も注意を申し上げたにもかかわらず、これはどうしても違反者ということで引き渡しをしなきゃならぬということになった場合、到着地において、いわゆる命令したにもかかわらず違反した乗客を現地の警察に引き渡すということがあるんだろうというふうに思いますけれども、その場合、どのような方法をとるのかという問題があります。さらに、犯罪行為の立証をいかにして行うんだろうかという問題があります。
 航空機は、公共交通機関である以上、一般の旅客あるいは乗務員に対して余り負担をかけるというようなことがあってはならないんだろうというふうに思うんですが、なかなかこの手かげんが難しいんだろうと思いますけれども、先ほど言ったように、いわゆる犯罪行為を行った方をどのような形で引き渡すのか。中には警察はいないわけですからね。それはどういうことを想定されているのか、お聞きをしたいと思います。
洞政府参考人 先生おっしゃるとおりでございます。
 今回の法律の施行に当たりましては、証拠の収集でありますとか、あるいは違反行為者の警察への引き渡しなど、その間の連携とか連絡方法とか、そのことに関しまして航空会社と警察当局との協力関係が極めて重要になってまいります。
 したがいまして、法の施行に向けまして、会社、警察との協力関係の構築、具体的にどうやって連絡するか、連絡先とか、あるいは連絡の内容とか等々、警察と当該航空機と会社を通じた具体的なそういう連携の方法。それから、必要なマニュアルの作成。できるだけ証拠を集めるということであります。物証もさることながら、人証といいますか、証人を確保していく方法などなど、警察当局と御相談申し上げていろいろの調整を行うとともに、こういう点に関しまして抜かりのないよう航空会社を十分指導してまいりたいと考えております。
今田委員 これは、やはりマニュアルをきっちりとやってもらわぬと、要するに、一般の人が犯罪者を引き渡す、こういうことになるわけですから、当然、その方に対して危険性も出てくるわけであります。ここの部分は非常に簡単なようでなかなか難しい問題だろうなというふうに思いますので、先ほど局長が言われましたように、マニュアルをしっかりとつくっていただいて、いろいろなところで研修を重ねていただきたい、このようにお願いをしたいと思います。
 次に、裁判管轄権の拡大の検討というようなことでいろいろ質問したいんですが、国際民間航空機関あるいは関係するところで検討された結果、その航空機関で採択をした航空機内におけるある種の犯罪に関する国内法制化についての総会決議というものがあるやに聞いております。さらに、航空機内犯罪に関するモデル法制案というものもあるやに聞いております。
 航空機が次に着陸する国に裁判管轄権を拡大するよう求めておるというようにお聞きしているんですが、機内迷惑を、安全阻害行為等を犯したお客様に対して法の網にかける、こういうことの観点から、国際的な動向を見きわめつつ、我が国においても拡大を検討する必要があるんではないかというふうに考えておるんですが、この点についてどうお考えなのか、お聞かせをいただきたいと思います。
洞政府参考人 我が国の刑罰法令の適用範囲につきましては、原則として属地主義というものをとっておりまして、日本の国内、そして日本の航空機内において行われたすべての犯罪について適用するということになっているわけでございます。これは刑法一条に書いてあります。これに対しまして、国外犯につきましては、一定の重大犯罪等を除きましては、我が国の刑罰法令は適用されないこととなってございます。
 今回の処罰の対象とする機内安全阻害行為などは、ハイジャックのように、国際社会が共通に、しかも連携して処理すべき重大かつ凶悪な犯罪と認めた行為には該当しないので、今回は我が国の刑法の一般原則によることとしたものでございます。
 具体的には、日本の航空機内で行われた行為は、それはどこを飛んでいてもすべて処罰の対象になりますし、日本の領空内におけるすべての航空機、外国航空機も含めて日本の領空内における航空機内において行われた行為については、処罰対象とすることが適当であると判断したものでございます。
 裁判管轄権の問題につきましては、各国もいろいろな法制がございますけれども、本件につきましてはとりあえずこういう考え方で整備しておりますが、今後の国際的な動向等々も踏まえながら、なお必要な場合には手直しをしていくことも考えたいと思っております。
今田委員 国際民間航空機関が採択をしました航空機内犯罪に関するモデル法制案というのでは、酩酊あるいはセクハラ行為全般を犯罪として規定されております。この法案の施行後、機内迷惑行為や安全阻害行為の発生状況の推移を見て、これらの行為に対しても罰則を加えるということを将来的に我が国でも検討すべきではないかという考えを持っているんですが、このことについてどうですか。
洞政府参考人 これまでも航空会社におきましては、昨年の二月に航空業界に対しまして私どもの方から通達いたしました機内迷惑行為防止に関する行動指針というものに基づきまして、泥酔者に対しては、運送約款に基づき搭乗拒否を行うほか、必要に応じて機内におけるアルコール提供を自粛するなどの対応をとっておりますほか、機内迷惑行為対処マニュアルというものを作成して、機内での迷惑行為に対しても適切に対応するほか、このための教育訓練というものをあわせて行っていらっしゃるところでございます。
 今後とも、国土交通省といたしましては、このような機内安全阻害行為等の実態把握を引き続き行いまして、航空法及び航空法の施行規則を社会情勢の変化に応じて適切に見直しを行うよう努めるとともに、その際、酩酊行為とか、先ほどの機内のセクハラ行為等の航空機内の秩序を著しく乱す行為に対する罰則の適用につきましても、その適用を含めて検討を加えることとしてまいりたいと考えております。
今田委員 それは余り時間がたつといろいろな問題が発生するということもありますので、ぜひ早急に検討していただきたい、このように思います。
 次に、現在、航空業界は非常に厳しい状況に置かれております。特に、最近はSARSの問題が発生したり、いろいろな問題が発生しております。イラクの戦争の問題とかアフガニスタンの問題とかありまして、航空業界は非常に厳しい状況に置かれておるわけでありますけれども、政府として、我が国の航空業界に対して、今後そういったことを踏まえまして支援体制を、どのようなことをとろうとしているのか、あるいはとろうと考えておられるか、お聞かせをいただきたいと思いますし、さらには、航空業界の現状認識というものを、政府として見解はどのように持ち合わせているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、航空業界は最近のイラク戦争、そしてSARSというものによって大変大きな影響を受けてございます。
 国際線の四月の搭乗実績は前年度比で約四割激減しておりますし、五月の搭乗実績と予約状況、それから六月の予約も対前年度比で約五割程度に落ち込んでおりまして、最大で三割近くの減便を強いられているところでございます。そういう状況を受けまして、今年度、大手航空グループ合計で約千五百億円程度の大きな減収が見込まれているところでございます。
 こういう状況にかんがみまして、国土交通省といたしましても、イラク戦争の勃発直後に、航空会社については、航空機へのテロ等による第三者に損害が発生した場合の政府措置、政府補償でございますけれども、そういう措置を延長いたしましたほか、国際線の発着枠ルールの適用を一時停止して、弾力的に減便が行えるように措置したところでございます。
 さらに、この五月の二十一日でございますが、航空会社に対しまして日本政策投資銀行の緊急融資制度を適用することを決定いたしまして、航空会社の資金調達についてのセーフティーネットを用意したところでございます。
 航空産業というものは、我が国の経済活動及び国民生活に果たしている役割は極めて大きいものがございますが、今回の事例のように、戦争であるとかあるいはこういう病気の問題というような、一種の不可抗力的な天災みたいなもの、天災といいますか人災かもしれませんけれども、そういったものに対しては、ある面で非常に脆弱な面を持ち合わせてございます。
 航空産業、航空会社というものは、そういう宿命を持っているというのは事実でございますけれども、そういうことも含めまして、日ごろから、適切なといいますか、足腰を強くして、こういったものに対応できるような体力をつけておくということが必要でございます。
 幸いにして我が国は、日本国内という非常に大きな市場というものもございます。こういったものも一つの大きな支えになっているところでございますけれども、こういった状況を踏まえまして、航空会社のまずは体力増強、強化、日ごろのそういった努力が必要だと思いますし、また政府といたしましても、航空会社のそういう宿命みたいなものを踏まえまして、今後の需要動向であるとか航空会社の経営状況等を踏まえまして、今後とも必要に応じて適切に対処してまいりたいと考えております。
今田委員 今までいろいろありましたが、カナダの方でSARSの問題がまた発生しているし、いろいろなところで、国際的にも多様化しておるといいますか、航空会社そのものがそういったものに四苦八苦している、あるいはそういうものに非常に左右される企業体だというふうに私も理解をしているのですが、その都度、ぜひひとつ航空局としても、あるいは国土交通省としても、適切に対応をお願いしたい、このことを申し上げておきます。
 次に、特殊会社の件についてお尋ねをしたいわけですが、昨年の十月に日本航空と日本エアシステムが特殊会社形態による経営統合が行われたわけであります。
 この件について政府としてどのように評価しているのかという点についてお尋ねをしたい。また、従来は航空運送業者が外資規制の対象となっておりましたが、今回の法改正で特殊会社等も外資規制の対象とするということになっております。その目的は何なのかということでございます。いわゆる航空運送業者の特殊会社に対する外資規制はほかの外国でも行われているのかどうか、あわせてお尋ねをしたいと思います。
洞政府参考人 お答え申し上げます。
 世界の国際航空市場を眺めますと、経済活動のグローバル化に伴いまして、欧米の航空会社が競争力強化のために世界的な規模での連携関係の樹立であるとか拡充に動いておりますほか、一方におきまして、アジアの航空会社が低コストを武器に国際旅客の獲得を目指して攻勢に出るなど、非常に厳しい経営環境にございます。世界のトップクラスの航空会社といえども、経営危機とか破綻に追い込まれている企業も出てきておりまして、我が国の航空会社につきましても、文字どおり国際航空市場での生き残りをかけた企業戦略が必要となってございます。
 JALとJASの経営統合というものも、このような非常に厳しいグローバルな競争に耐え得るような事業基盤を確立することを目的として行われたものと認識してございます。
 具体的に、国内線を中心とするJASと国際線に重点を置くJALとの経営統合を通じまして、グループ全体として、国内、国際にわたりまして、広範で一体的なネットワークを形成することによりまして、より安定的な事業運営の確保を図るほか、効率的な経営体質の確立というものを目指しているものと認識しています。
 昨年の十月に持ち株会社が設立されて、経営統合が実現しましたけれども、これまでの間、いろいろな販売部門等の統一等々の企業の再編等行われてまいりまして、ことしの四月には路線の再編成も行われました。幹線はJAL、地方路線はJASに集約を行うなど順調に統合が進んでいるところでございまして、来年の春には、この持ち株会社のもとに、これがさらに、国際と貨物はJALインターナショナル、国内の旅客事業はJALジャパンというものに事業が再編されるというふうになるということで、今準備が進んでいるところでございます。
 国土交通省といたしましては、JAL・JASグループがこのような経営統合を通じまして、それこそ効率的な事業経営を図りながら、それを通じて、生活路線の維持など利用者ニーズに適合したサービスの提供を行う、そして同時に、外国航空会社とのグローバルな競争に勝ち残っていけるよう、今後一層努力することを強く期待しているところでございます。
 それから、今回の法改正におきまして、持ち株会社についても外資規制をかけることとした理由と諸外国の状況でございますが、国際航空というものはそれぞれ各国との権益の交換の上に成り立っておりまして、それぞれの権益を行使できるのは、それぞれの当該国の実質的な支配下といいますか、コントロール下にある航空会社というものにこの権益が与えられる、こういう構図で動いているわけでございますし、また国内航空市場も、やはり実質的に日本国民が支配するそういう航空会社しか国内の運航はできない、これは諸外国においてもまさしく同じでございます。
 こういう実質的な支配を何で担保しているかというと、議決権の行使の割合、株式の所有の割合であったり、役員の構成の割合であったり、こういったメルクマールで実質的な支配が行われているかどうかというのを判断しているわけでございます。
 アメリカにおきましては、議決権の四分の三以上が米国市民によって所有されている、役員の三分の二以上が米国市民であること等の外資規制が行われております。これは持ち株会社も同じでございます。
 それから、EU諸国におきましては、EUの加盟国またEUの加盟国の国民が議決権の過半数を有しているという規制が行われてございます。
 それから、申しおくれましたけれども、航空会社に外資規制をかけますけれども、持ち株会社はその航空会社の経営を実質的に支配しているところでございますので、ここに外資規制をかけなければ本当に自国、当該国の支配権が及んでいるかどうかというのがしり抜けになっていく可能性がございますので、その親会社である持ち株会社にも外資規制をかけるものでございます。ですから、欧米におきましては、当該運航会社そして持ち株会社においてもこのような外資規制が行われております。
 また、シンガポールとかマレーシアは持ち株会社がございませんので、持ち株会社に対する外資規制の制度は設けられてはおりませんが、当然のことながら、実際に運航する航空会社に対しては、実質的な持ち株、持ち株といいますか、株式の取得の制限がかかってございます。
今田委員 次に、飛行計画の事前通報、これの義務が緩和される、こういうことでございますが、事前通報義務が緩和されることになったのはどういうことが具体的に背景としてあるのか、御説明をお願いしたいし、あらかじめ飛行計画を通報することが困難な場合ということになっているのですが、その困難な場合というのはどのようなことを想定されておるのか、この点についてお尋ねをしたいと思います。
洞政府参考人 近時、いわゆるドクターヘリ等の救急ヘリ等の活用が進むということが予想されておりますけれども、そういった場合に、緊急時の対応という性格上、飛行計画を事前に通報する時間的な余裕がない、あるいは飛行開始の準備が整ったとしても、負傷者を搬送すべき救急医療機関が確定するまでに飛行計画の通報ができず出発できないなど、飛行計画の事前通報が困難なケースが生じるということが予想されるところでございます。
 また、こうした救急ヘリ等以外にも、ヘリコプターによる、例えば山の奥での木材搬送など事業形態の多様化がいろいろ進んでいるわけでございますけれども、こういう山間部の作業現場など携帯電話の電波が届かないような場所を起点とする飛行も行われているところでございます。このような飛行に際しましては、携帯電話の電波の届く地点まで地上を移動して飛行計画の通報を行った後、また戻って飛行を開始するなど、時間と手間の非常にかかる方法をとらざるを得ないところでございます。こういった方法を避けようとする場合には、場外離着陸場としての、地上に通報手段の存在する場等を逆に選定せざるを得ないなど、運航の効率性という面からも非常に支障を来してございます。
 こういう状況を踏まえまして、今般、安全性に支障のない範囲内で規制を緩和することとしたわけでございますけれども、具体的に、事後でもいいよという場合は、国土交通省令で定めることになってございます。
 このような場合といたしましては、先ほど申しましたように、救急ヘリのように速やかに飛行を開始する必要から飛行計画を事前に通報するいとまがない場合とか、あるいは山間部における物資輸送のように出発時において電話等の通信手段がない場合等を想定してございます。
 このような場合におきましては、飛び立った後、速やかに、一定の範囲内でございますけれども、通報していただく必要がございますけれども、事後でも飛行計画を通報していいという改正を今回行うこととしたものでございます。
今田委員 その場合、各地方に飛行場があるわけでございますが、その飛行場に急に着陸する場面も出てくるんだろうと思いますね。そういった受け入れ体制というのは具体的にどうなっているんですか。いつでもそういう状況は受け入れできますよというふうになっているのか、お聞かせをいただきたい。
洞政府参考人 飛行計画というのは事前に提出をされるわけでございますけれども、出発地、飛行経路、そして目的地という計画の全体の概要が関係の官署にすべて送られてまいります。そういうことで、それぞれのところで準備をするものでございますし、それから、何より一番重要なのは、万が一事故が起こった場合にその捜索救難を速やかに行うということが大きな目的としてございます。
 そういう意味で、大きく目的が達成できる範囲内で今回規制緩和を行おうとするものでございまして、事後でもいいよというので、いつまでも、後になっても、何日たってもいいよということではございませんで、飛び立って速やかに電波が届くような範囲、大体半径九キロぐらいなんですけれども、その範囲内で無線を使って、目的地とか飛行ルートとか用途とか、そういったものを関係のところに連絡する、こういう措置をとれるということにしたものでございます。
今田委員 ありがとうございます。
 次に、空の保安体制についてお尋ねをしたいと思います。
 現在、海上船舶については海上保安庁、あるいは鉄道については鉄道警察という保安組織があるわけでありますけれども、航空に関してはこれに対応するものがちょっと私の調べでは見当たらない、こういう感じがするんですよね。私は、海上や陸上と同様に空についても必要なんではないかと常々思っておるのですが、その辺ちょっと素人なので、今あるのかどうかと、それから、このことをどこかの時点で検討された経緯があるのかどうか、お聞かせをいただきたいと思います。
洞政府参考人 一般的な制度として、警察官が飛行機に乗り組む制度というのはございません。
 しかしながら、昨年の六月のワールドカップ期間中の対策といたしまして、いわゆるハイジャック等の防止のため航空保安対策を強化する必要性があるという中で、警察官の警乗、エアマーシャルと言っておりますけれども、について、警察庁と航空会社等の協力を得て、ワールドカップの期間中を中心に実施いたしました。そして、その後、ワールドカップの終了後は、これは今は、やってございません。
 国土交通省といたしましては、この警乗実施に関しまして、具体的な効果、実施手法のあり方、あるいは航空機を利用される利用者の反応等につきまして、警察庁などの御協力を得ながら、関係者間で、検証会といいますか、いろいろ検証を行ってきているところでございます。
 当該検証の中でいろいろな課題を整理しているところでございまして、今後とも、テロ情勢等を考慮して、一度やった実績がございますので、警察当局、航空会社等とその実施の必要性等について十分相談してまいりたいと考えております。
今田委員 実は、今月の二十四日の日に、私、海上保安庁主催の観閲式に出席をして、扇大臣といろいろ見学させていただいてきたわけですが、彼ら保安庁の皆さんは誇りを持って一生懸命取り組んでいるという姿を見て、これは海だけではなくて空も、そういった方々を十分に養成しながら、そしてそこに働く、保安のために働く方々が誇りを持ってやれるような体制を空の方でもやれるようなものがないのかということをつくづく感じたところでございます。ぜひ今後、いろいろの場で検討していただければ大変ありがたい、このように思います。
 次に、若干時間がありますので、この法案とは若干ずれますけれども、平成十三年一月の三十一日に、静岡県の焼津市上空におきまして、日航機同士によるニアミス事故があったわけであります。そして、去る五月七日の日に、業務上過失傷害の疑いで、管制官二人と機長一人の計三名が書類送検をされました。警視庁と千葉県警の合同捜査本部は、事故調査委員会による調査報告書に基づきまして、管制官と機長双方の人為的ミスが事故原因だというふうに断定をしました。
 しかし、どうもこの調査報告書が刑事手続に利用されたということは、事故調査機関の独立性を確保する意味で問題があるのではないかというふうに一部の方々から指摘をされております。
 また、国際民間航空条約の趣旨に基づいても違反の可能性が強いというふうにも言われておるわけでありまして、政府として、この件についてどうお考えがあるのか、また、どのようにキャッチをしているのか、お聞かせをいただきたいと思いますし、あわせて、事故の内容を見ますと、なぜ機長に責任があるのかというふうに素人ながら思うんですが、このことについて、ぜひ、いろいろ検討された経緯もあるんでしょうけれども、差しさわりのない範囲でお答えをいただきたいと思います。
扇国務大臣 今、今田議員がおっしゃいましたように、これは平成十三年一月の三十一日でございました。私も本当にぞっとした事件といいますか、ぞっとしたニアミス事故と言うべきでしょう。また、日本航空の九〇七便の事故に関しましては、航空管制官の二名、しかも後ろに指導員もいたということ、なおかつ、日本航空の機長一名の計三名が平成十五年の五月の七日、今おっしゃったとおりに、警視庁から東京地検に書類送検をされたというのが事実でございまして、安全確保を最大の使命といたします航空輸送において、百名に上る方々が負傷したということに関しましては、本当に遺憾でございますし、今回の措置については、私たちは厳粛に受けとめるという姿勢をとっております。
 また、国土交通省といたしましては、再発防止ということに関して、大きく三つに分けて我々は対策をいたしました。また、それを今徹底しております。
 まず一つは、航空機の衝突防止装置、これと航空管制官の指示がもし異なった場合、その場合には航空機衝突防止装置の指示に従うということを徹底しようということでなければ再度の防止にならないということで、これは、衝突防止装置の指示に従うということを徹底いたします。それがまず一つ。
 二つ目には、航空管制官の訓練監督者の資格の要件の導入。監督者がそばにいながらという指導、そういうものが果たしてよかったのかどうか、指導に落ち度はなかったのかということで、指導者の資格要件の導入をしようということで、厳正に指導者をつくっていくという要件を強化いたします。
 それから三つ目には、航空管制官の定期的な審査制度の導入。あの狭い画面の中で、長時間画面を見ながら誘導するわけですから、いわゆる管制官の疲労度あるいは勤務状況等々もございますので、すべてこれらを定期的に審査制度を導入しようということをいたして、以上の三つのことで、同種の事故の再発防止に全力を挙げるように努力しているというのが現状でございます。
 今回の書類送検を受けまして、今、今田議員がおっしゃいましたように、航空の安全性を守る責任の重大さというものを改めて痛感しますと、果たして、事故の防止に真剣に取り組み、航空の交通の安全の確保に万全を期してまいります。けれども、書類送検が機長にとって厳し過ぎるのではないかと、今、今田議員のお声もございました。これは捜査当局の判断でもございますので、私がそれを厳し過ぎるとか厳し過ぎないとかというような判断は、私の口からは申し上げられない。やはり捜査当局の権限でございますので、私はただ、以後の再発防止に全力を挙げるということにお答えをとどめさせていただきたいと思います。
今田委員 私が質問したのは、事故調査委員会の報告書をもとにして、いわゆるそれを利用して、捜査本部がその報告書をもとにして、今ほど言った人為的ミスだというふうに事故原因を断定した、こういうふうになるんですが、事故調査委員会の報告書をこのような形で使っていいのかどうかということでありまして、ちょっと私は首をかしげる部分があるんですが、この点についてお伺いします。
扇国務大臣 今、今田議員がおっしゃいましたように、即、事故調が入りました。事故調の検査というのは、再発防止のための検査でありまして、これは犯罪捜査のために使われてはならない。事故調の権威というものは、再発防止のために厳然とした立場をとっているということで、私は、事故調の調査というものは、次への安全性のための調査であって、犯罪のための調査でないというその区別だけはきちんと、事故調が権威を持って再発防止の検査をする。
 また、警察がみずからの捜査によって犯罪をどうこうとおっしゃることは、それは警察の話であって、国土交通省としては、事故調の権威においても、その調査の結果というものが犯罪の捜査に適用されたり、あるいは転用されるということは厳にないということで、私は、事故調の権威というものを再発防止に重点的に、原因の捜査と、次への安全対策のための権威はあるということで、区別をしていかなければならないと思っています。
今田委員 時間もちょっと過ぎましたので、この問題は余り議論を交わしますと、いろいろ問題があるので私は終わりますが、しかし、事故調査委員会の報告書がそういった形で使われること自体、これから非常に問題があるんですよね。そのようなマスコミの報道もされたというふうに私は認識しているんですが、変に一般の方が誤解をしているという部分があるので、今後十分に気をつけて、その部分の扱い方について考慮していただきたい、このことをお願い申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
河合委員長 福井照君。
福井委員 皆様、おはようございます。自由民主党の福井照でございます。
 まず、法案提出者、細川先生から御答弁をいただきたいと思います。
 私の調べた範囲内でございますので、ひょっとしたら間違っているかもしれません。事実関係が違うかもしれませんけれども、二〇〇一年十一月、今御質問されていらっしゃいました今田保典先生の御質問以来、問題提起をされまして、そして民主党案の法案を第百五十三国会に提出をされ、そして政府の方で二〇〇二年二月の機内迷惑行為防止に関する行動指針というものが出て、そして、それでもやはりなお残る問題ということで今回の政府案が出された。
 そういうことで、ここで改めて、細川先生初め、御提出の法案を出されたということを初めとする御努力に対して敬意を表したいと思います。
 そしてきょう、本日を迎えたわけでございますので、恐らく感無量かと存じますけれども、今日までの御感想、今までの議論に対する御感想、どうか思いのたけを、せっかくの機会でございますので、ぜひお述べをいただきたいというふうに存じます。よろしくお願いいたします。
細川議員 今、福井委員の方から、思いのたけを述べてみたらというお話でございました。
 私がこの問題を取り上げましたのは二〇〇〇年の夏でございまして、総選挙の直後だったと思います。ちょうど二〇〇二年、これは昨年ですけれども、ワールドカップも予定をされておりまして、そこで世界じゅうから観光客が集まる、中でもフーリガンの人たちが暴れるんではないかというような心配もございました。
 そこで、航空会社の職員の皆さんとかあるいは学者の皆さんと相談をして、法制局ともいろいろ相談をしながら民主党案をまとめたのが二〇〇一年の十一月でございまして、それからいたしますと既に一年半が経過しているところでございます。
 法案を国会に提案して、そして何も審議をしてもらえなくて、いわばたなざらしに遭っている。こういうことは、法案をつくりましてせっかく提出したのに、何も審議をしてもらえない、これは、本来の国会の機能がおかしいのではないか、そんな感じも持ったこともございます。そういう意味では、このように今回政府案が提出されまして、私どもの民主党案も一緒に審議をされたということは、本当にうれしく、感慨無量でございます。
 そこで、政府案が提案をされまして、この委員会でも審議をされ、委員の皆さん方の御努力で修正の方向に進んでいるとも聞いております。私どもが提案をいたしました法案も、そういう意味で意味もあったかというふうに思っております。政府の皆さん方、法制局の皆さんや、あるいはまた委員の皆さん方にも、本当に敬意を表する次第でございます。
 願わくば、この国会の中で議員立法がたくさん提案をされまして、そしてそれを審議、あるいは政府案とともに審議をされることが盛んになることを願ってやみません。本当にありがとうございました。
福井委員 紳士的な御答弁をいただきまして、本当にありがとうございました。
 そして、政府から御答弁いただきたいんですけれども、要は、この法律が世界から見て、縦、横、斜めから見て、今どういう位置づけにあるのかということを、私が最後の質問者でございますので、整理をして御答弁をいただきたいと思います。
 ICAO、国際民間航空機関総会において、国内法制化に関する勧告決議が出たのが二〇〇一年の十月で、その中身は、民主党案にもございましたように、安全性の阻害というものと、そして機内の秩序、規律を乱す暴行その他の行為と、目的が二つあって、だから乗客同士あるいは酩酊というのもそのスコープ・オブ・ワークに入っていたというのがこのICAO総会で承認された立法モデルでありました。
 その後、特にアングロサクソン系の国々で、アメリカ、イギリス、カナダ、オーストラリアで、乗員への暴行、脅迫、喫煙等、酩酊、喫煙、脅迫等、乗員への業務妨害行為等、粗暴行為等ということで、それぞれの国でそれぞれの規定があって、そして罰金の額が決まっているというそれぞれの立法がされております。特に、先ほど議論がございました拡張裁判管轄権についても定めがあるという中で、今回の法律が出てきております。
 しかし、私の解釈は、そういうアングロサクソン系の英米法の中では比較的簡単によその国で法律ができたわけですけれども、我が国の刑法、民法、憲法も含めてかもしれませんが、プロシアに源流を発する非常に厳密なる規定をしている、刑事罰とはこういうものであるという我が国の中で、国民に新たな刑罰を科するという極めて難しい中身を法案として出されたことに対して、本当に深く感謝を申し上げ、敬意を表させていただきたいと思います。それが、今、細川さんが悩みを露呈された根本的な理由だというふうに思っております。
 我が国の法律体系の中では、本当にすき間を縫うようにこの法案ができているということで、芸術的なるテクニックを使って法案をつくられたということに対して、本当に当局に感謝を申し上げたいと思います。
 それで、洞局長から、このICAO、国際的な機関で今までどういうふうに整理されてきて、これからどういう方向にあるのか、そして、海外でどういう法律ができていて、もしわかれば、今後どういう国でどういう法律ができようとしているのか、そのグローバルなポジショニングをぜひここでお示しをいただきたいというふうに思います。
洞政府参考人 一九九〇年代におきまして、トイレ等におきます喫煙など安全阻害行為等がいろいろ世界的に急増したことを受けまして、ICAOが平成十三年の十月に、三十三総会におきまして、いわゆる機内迷惑行為防止の国内法制化を勧告する決議というのが採択されたわけでございます。これを受けまして、各国がいろいろアクションをとっておりますし、その前にも、アングロサクソン系は既に法制化を行っていた国もございます。
 現在、ICAO全体におきまして、世界を対象に、この国内法制化に関する各国の取り組み状況についてフォローアップの調査を行っているところでございます。その結果はまだ出ておりませんが、こういう状況の中で、アメリカ、イギリス、カナダ、豪州そして韓国といった諸外国においても国内法制化がなされておりまして、日本が今回、国内法制化を行うということになりました。
 先生御指摘のとおり、この法制化を行うというのは、それぞれの国の法制というのがございまして、例えば、刑法はもちろんでございますけれども、軽犯罪法とかそういったいろいろな一般法がございまして、酩酊とかセクハラとかそういう粗暴行為というものは、規律できる部分はやはりあることはあるんですね。また、それでできないものもございます。そういった中で、新たに重い刑罰を科すことになるわけでございますので、その構成要件とか法益であるとか、そういう細かい非常に慎重な検討が必要でございます。
 このために、日本といたしましては、ICAO勧告以来、約一年間かけて、国民の皆様に対するアンケートを含めまして、関係の航空会社、労働組合の皆さん、そして法務当局、そして刑法学者の皆様方といろいろ議論を行ってきて、今回の政府の案というものにこぎつけたわけでございます。
 そういうことで、安全阻害行為ということで、かつ、一つ一つをとってみると、それ自身は軽微な行為であるけれども、それを反復継続することによって安全におそれが及ぶ可能性があるという考え方で、今回の法制をまとめたわけでございます。
 諸外国におきましては、日本と同じように、それぞれ国の独自の事情がございますので、その中で処罰対象行為そのものを規定しているわけでございまして、横並びに見ても、各国すべて同じというわけではございませんけれども、おおむね日本の今回の案とほぼ同じような行為を規定されているというふうに理解してございます。
 なお、今回こういうことでスタートいたしますけれども、今後の機内におきますこういう安全阻害行為あるいは機内迷惑行為等々の実態等、あるいは国民の意識等々を踏まえながら、今後ともこの対象行為につきまして、常時見直しを行っていきたいと考えております。
福井委員 ありがとうございました。
 もう一つの論点で、やはり、縦、横、斜めで整理をさせていただきたいのは、飛行機という交通手段、モードは、こういうことで本日お決めいただくということになろうかと思いますけれども、それ以外の、船とかバスとか鉄道とかという手段の、そういうキャリアの中では、どういう取り決めがあり、今後どういうことが課題なのかということをお示しいただきたいと思います。
 海上運送法とか道路運送法、鉄道営業法という中で条文があり、そして省令がありということで、罰金まで決まっているものもございますけれども、この法律を決める直前に、飛行機はこう、ほかの手段はこうということで、ぜひ整理して御答弁をいただきたいと思います。
洞政府参考人 先生御指摘のとおり、航空以外の交通機関におきましても、運行もしくは旅客の安全を害する行為につきまして、それぞれの交通機関の特性に応じた禁止、処罰規定が設けられてございます。
 鉄道につきましては、鉄道営業法におきまして、暴行脅迫をもって鉄道係員の職務の執行を妨害する行為、一年以下の懲役でございます。列車運転中の乗りおり、扉の開閉及び乗車用ではない箇所への乗車、二万円以下の罰金などが処罰対象として定められております。
 自動車につきましては、道路運送法というのがございまして、他の旅客に危害を及ぼすおそれがある物品もしくは迷惑となるおそれがある物品を持ち込む行為、走行中にみだりに運転者に話しかける行為などが処罰の対象として定められておりまして、二十万円以下の罰金がかかっております。
 船につきましては、海上運送法というのがございまして、立入禁止場所に立ち入る行為、みだりに消火器、非常用警報装置、救命胴衣その他の非常の際に使用すべき装置または器具を操作し、または移動する行為などが処罰の対象でございまして、三十万円以下の罰金にかかっております。
 一方、航空につきましても、航空法において、爆発物等を航空機内に持ち込む行為につきましては五十万円以下の罰金に処せられていることに加えまして、いわゆる航空の危険を生じさせる行為等の処罰に関する法律というのがございまして、こういう行為は三年以上の有期懲役、それからハイジャック等につきましては無期または七年以上の懲役ということで、既に法制化がなされているところでございます。
 航空に関しましては、さらに、航空法七十三条の三というのがございまして、航空機内にある者が、安全阻害行為等をし、またはしようとしていると信ずるに足る相当の理由がある場合は、必要な限度で、機長が行為者に対して拘束等の措置をとることができるというような規定もございます。
 今回の法改正は、これまで航空に関して処罰の対象とされておりませんでした行為のうち、航空の安全に支障を生じさせるおそれのある行為にまでその対象を拡大して、安全に万全を期するようにしたものでございます。
福井委員 ありがとうございました。
 次に、仏つくって魂入れずということにならないように、この法律の趣旨を徹底するためにどうしたらいいかという案を、今、政府としてどういうふうにお持ちかということをお伺いしたいんです。
 ちょっと引いて考えますと、今回の法案の意味というのを自分なりに考えさせていただいておりまして、世界で最初に顧客満足度を第一とした、とにかくプライオリティーナンバーワンは顧客満足だというふうな経営手法を取り入れたのは、スカンジナビア航空という航空会社でございました。もう二十年ぐらい前に、若い社長が就任しまして、顧客満足度第一位という哲学のもとに、会社の構成とか、あるいは、最初の十五秒が大事だということで、会社の方とお客様の接点を一番大事にした。とにかくそういうことが航空会社で起こってきたというのが、非常に意味があるというふうに思います。
 最近では、サウスウエスト航空が、逆に、顧客第二主義というプライオリティーをつくっておりまして、顧客は、カスタマーは二番目、一番はだれかというと、キャビンアテンダントを中心とする会社の職員だということで、そのエンプロイーズが満足するとお客さんも満足するというような哲学で、今サウスウエスト航空は非常に頑張っているということがございます。
 しかし、もっと大事なのは、顧客満足度が一番にしても二番にしても、一番大事なのは、サービスを提供する側の航空会社あるいは航空会社の職員の皆様方の志だというふうに思います。
 変なお客さんの満足度を最大化する必要は全くないわけで、一番大事なのはサービスサプライヤーの志を達成することだ。株式会社ですから、もちろん利益を最大化することが株式会社の目的でありますけれども、しかし、会社の方々、会社の志というのは、お客様を安全に、快適に目的地まで定刻にお届けをするということで、皆さん一生懸命頑張っていらっしゃる、だから今回この法律が大事なんだ、つまり、皆様方の志を達成するためにこの法律があるんだというふうに私自身は解釈をさせていただいております。
 そんな意味で、この法律の周知徹底のための計画、航空会社や利用者に対してどのように働きかけをされるつもりか、洞局長からお伺いをしたいと思います。
洞政府参考人 これまでも、各航空会社におきまして機内迷惑行為対処マニュアルというのを作成してございますけれども、当省といたしましても、今回の法施行に伴いまして、必要なマニュアルの作成について航空会社を指導すること等によりまして、そして、あわせて、航空会社におかれまして、乗務員の皆さんに対して十分な教育訓練がなされるよう指導してまいりたいと考えております。
 こういう法律をつくっても、この法律が守られなければ何にもなりませんし、また、こういった行為に対して毅然として対処することが何よりも一番重要なことであろうと思います。
 また、今回の法改正につきまして、国民の皆さんに新たな刑罰を科す内容であることも踏まえまして、法律の施行前にさまざまな手段を通じて十分に周知徹底を図るよう、また機内におきましても、施行後におきましても、その周知を徹底するよう、航空会社を指導してまいりたいと考えております。こういう法律ができた、こういうことをやれば罰則がかかるということを周知徹底させて、抑止力という機能を十分に発揮することを考えております。
 また、具体的な周知の方法といたしましては、国土交通省のホームページの掲載とか、チラシ、ポスターあるいは機内誌への掲載等々、それからキャンペーンというものを実施して、その徹底を図っていきたいと考えております。
福井委員 ありがとうございました。
 今、ホームページとかいうお話がございましたので、ちょっと、問題は小さいかもしれませんけれども、今回質問させていただくに当たりましてインターネットでいろいろ調べておりましたら、航空連合さんの政策情報というのがございました。
 二〇〇二年の七月十二日の第四回機内迷惑行為防止検討委員会というものの、JAL、ANA、JASの皆様方と、それから航空局の皆様方と航空連合の皆様方とのお話し合いの場の議事録が、航空連合側からだけですけれども議事録整理がされておりまして、航空局の御答弁が、悪代官未満といいましょうか、悪代官より悪いといいましょうか、とにかく、抽象的で議論にならないとか、言葉じりをとらえているわけじゃないんでしょうけれども、余りにもかわいそうな、航空局の皆様方にとっては極めてかわいそうな情報がインターネット上で見られるという状況をまず指摘させていただいて、それで、せっかくの機会ですから、国会の議事録において、政府としては、一生懸命法制化に対して頑張ってきた、しかし、そういう法律の性格上、慎重に考えざるを得なかったので、その過程での議事録だったというようなことを、ぜひここで御答弁をいただきたいというふうに思います。
洞政府参考人 先生の今の御指摘のとおりでございます。
 安全阻害行為の抑止は、私どもとしても非常に重要であると認識しておりましたけれども、法制化に当たっては、国民に新たな刑罰を科する、五十万円以下の罰金をかけるという非常に重たい処罰でございます。そういったことでございますので、具体的に、どういう行為をどういう理由で対象とするのか、実務的な検討を慎重に行う必要があるということで、先ほど申しましたとおり、一年間かけてさまざまな角度から検討をしてきたところでございます。
 その中で、会社それから労働組合とともに、さまざまな意見交換をいたしました。御指摘の議事録は、その過程におきます熱心な議論の過程においての、その熱意のあらわれということ、あるいは、法制化という、罰則という極めて重要な問題についての慎重なる検討が必要だという趣旨の延長線上でのやりとりだというふうに理解していただきたいと存じます。
福井委員 ありがとうございました。
 では、最後に、大臣から総括、御答弁、御決意をいただきたいと思います。
 いや、決して言葉じりをとらえているわけじゃないんですけれども、たまたま平成十三年十一月二十七日のこの国土交通委員会の席におきまして、先ほどの今田先生の御質問がございました、この法律に関して。それで、途中を省略しますが、云々かんぬんで、かといって、ではこの法律をつくれば機内迷惑行為がなくなるかというと、そういうことでもないと思うんですねというふうに大臣が御答弁されています。
 これは議事録に永久に残りますので、そういうことも含めて、すべて総括して、今までの経緯を御整理いただいて、そしてまた、今後のこの機内迷惑行為撲滅に対する大臣の御決意を御紹介いただいて、最後にさせていただきたいと思います。
扇国務大臣 人によっては、迷惑行為というのは、いろいろな判断の仕方があろうと思います。そういう意味では、私は、迷惑行為というものは、その人、その人に感じる感じ方で違うと思いますけれども、事は航空機の中の安全性に関することでございますから、今まで局長が申しましたように、平成十三年の十二月から十四年の十月まで一年間かけて、今お話がございましたように、航空会社、労働組合、そして機内の迷惑行為に関しますあらゆることに関しての航空会社も入った迷惑行為というものを五回にわたって論議をし、なおかつ、一般国民からアンケートもとっております。
 そして、御存じのとおり、私が申しましたように、十四年の十二月にはガイドラインというものもつくりまして、これも指導に当たって、局長が全部の航空会社にそのガイドラインも説明をいたしております。
 そして、平成十四年の五月から六月にかけまして、三千五百人の皆さん方にアンケート調査をいたしました。その旅行客に対しての調査の結果は、特別な法律が必要であるとする回答が、これは過半数を占めました。それほど一般の人から見ても、迷惑行為というものが目に余る。新たな法律をつくって、罰則もして、罰金も科すということの方が、きちんとした安全性が保たれる。
 乗客の態度もさることながら、乗務員の皆さん方は、保安要員としての重要な役目を兼務しているわけでございますから、サービスだけではなくて。そういう意味で、この回答者の三千五百人の中の過半数の皆さん方が、新たに法律をつくって、そして以上のような検討の結果、今回の法律をつくって、きちんと徹底をするべきであるという結果によって、法案の提出をさせていただいたわけではございますけれども、今、局長が言いましたように、法律をつくったからこれが全部なくなるというわけでもありません。
 少なくとも私は、この審議の中で、一番残念だったことは、どの議員からだったでしょうか、自分の知っているスチュワーデスが、一番迷惑行為で目に余るのは国会議員だということをおっしゃいました。これは、今ちょっと、どなただったか、瀬古議員だったか何か、忘れましたけれども、自分の知っているスチュワーデスが、国会議員が一番行儀が悪い、これは大変私は残念なことでございますので、この審議を通じて、我々も、国会議員はVIPではありません。一般と同じように、我々はこの迷惑行為に、まず国会議員が身を正すということも、私は大きな反省のもとに、国民に、私たちはこの周知徹底をし、自らを戒めながら、より快適な空の旅ができるように、この法案を適用しなくても済むような、そういう航空行政というものがしっかりと根づいて、そして、より観光客の誘致に役立てる。
 国会議員も私は行儀が悪いとは思っていません。(発言する者あり)みんなきちんとした認識を持っておりますので、そういうことをぜひ、私たちは言われるようなことがないように気をつけながら、快適な空の旅の安全性を確保するために努力していきたいということを、改めてこの法案の提出と、今までの御論議の中で感じた次第でございます。
福井委員 ありがとうございました。以上で終わります。
    ―――――――――――――
河合委員長 この際、お諮りいたします。
 ただいま審査中の第百五十三回国会、細川律夫君外一名提出、航空法の一部を改正する法律案につきまして、提出者全員から撤回の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 内閣提出、航空法の一部を改正する法律案について議事を進めます。
 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 この際、本案に対し、栗原博久君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党の七会派共同提案による修正案が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を求めます。今田保典君。
    ―――――――――――――
 航空法の一部を改正する法律案に対する修正案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
今田委員 今田でございます。
 航空法の一部を改正する法律案に対する修正案の趣旨説明を行います。
 ただいま議題となりました航空法の一部を改正する法律案に対する修正案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党を代表いたしまして、その趣旨を御説明申し上げます。
 第一に、機長の中止命令の対象となる安全阻害行為等の例示として、航空機に乗り組んでその職務を行う者の職務の執行を妨げる行為を加えることとしております。
 第二に、政府は、この法律の施行後三年を経過した場合において、この法律による改正後の航空法第七十三条の四第五項の規定の施行の状況を勘案し、必要があると認めるときは、当該規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする旨の規定を追加することとしております。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
河合委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより原案及び修正案を一括して討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 内閣提出、航空法の一部を改正する法律案及びこれに対する修正案について採決いたします。
 まず、栗原博久君外六名提出の修正案について採決いたします。
 本修正案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立総員。よって、本修正案は可決されました。
 次に、ただいま可決されました修正部分を除いて原案について採決いたします。
 これに賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立総員。よって、本案は修正議決すべきものと決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、栗原博久君外六名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党の七会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。
 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。原陽子君。
原委員 ただいま議題となりました航空法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、自由党、日本共産党、社会民主党・市民連合及び保守新党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。
 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。
    航空法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点 に留意し、その運用について遺憾なきを期すべ きである。
 一 機内安全阻害行為等の実態把握を引き続き行い、公表する等の措置を講じるとともに、航空法及び同法施行規則を、社会情勢の変化に応じて適切な見直しを行うよう努めること。その際、航空機内のすべての場所においての喫煙及び他の旅客へのセクシュアル・ハラスメント等の航空機内の秩序を著しく乱す行為に対する罰則の適用を含めて検討を加えること。
 二 機内安全阻害行為等に対する罰則については、法律の施行までに広く一般に周知の徹底を図り、啓発に努めること。
 三 機長や乗務員の権限の濫用を避ける観点から、ガイドラインを作成する等の必要な措置を講じること。
 四 航空運送事業者の持株会社の経営状況及び財務状況の健全性と航空安全・公共性が確保されるよう、持株会社に対して適切な指導監督を行うよう努めること。
 五 飛行計画に係る事前通報義務の緩和については、通報義務を負っている者に対して適切な指導を行うよう努めること。
以上であります。
 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。
河合委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 採決いたします。
 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。
 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣扇千景君。
扇国務大臣 航空法の一部を改正する法律案につきまして、本委員会におかれましては熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことを深く感謝申し上げたいと存じます。
 今後、審議中におかれます委員各位の御審議、御高見、附帯決議におかれまして提起されました機内安全阻害行為等の実態の把握、あるいは社会経済情勢の変化に応じた法令の適切な見直し、一般への周知徹底等への、少なくとも我々は、それにつきまして、趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。
 ここに、委員長初め各委員の皆様方の御指導、御協力に対しまして心から感謝申し上げ、ごあいさつとさせていただきます。
 ありがとう存じました。
    ―――――――――――――
河合委員長 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
河合委員長 次に、内閣提出、参議院送付、油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案及び海上衝突予防法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。
    ―――――――――――――
 油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案
 海上衝突予防法の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
扇国務大臣 ただいま議題となりました油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案及び海上衝突予防法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明を申し上げます。
 まず、油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 現在の油濁損害賠償保障法に係る責任限度額につきましては、平成六年の改正により引き上げられておりますけれども、その改正後においても、一九九七年に我が国で発生しましたナホトカ号事故、一九九九年にフランスで発生したエリカ号の事故といった大規模な事故が発生し、多額の損害を生じさせたことから、限度額を引き上げて被害者保護をさらに充実させる必要性が高まっております。
 このため、これらの事故の経験を踏まえまして、二〇〇〇年十月の国際海事機関法律委員会において、一九九二年の油による汚染損害についての民事責任に関する条約に規定されている油濁損害に係る船舶所有者の責任限度額を約五〇%引き上げることが採択され、本年十一月一日から発効することになりました。
 我が国といたしましても油濁損害賠償保障法を改正し、本限度額の改正を取り入れ、国内法を整備する必要があります。
 このような趣旨から、このたびの法律案を提案することとした次第でございます。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明を申し上げます。
 この法律案では、油濁損害に係る船舶所有者の責任限度額を約五〇%引き上げることとしております。
 次に、海上衝突予防法の一部を改正する法律案について申し上げます。
 船舶交通の安全を図るための海上交通の基本ルールにつきましては、その国際性にかんがみ一八八九年以来国際規則が作成され、主要海運国は、いずれもこれらの国際規則をそれぞれ国内法化してきております。我が国におきましても、明治二十五年に海上衝突予防法が制定されて以来、国際規則に対応して、数度の改正を経て今日に至っております。
 今般、二〇〇一年十一月の国際海事機関総会において、号鐘の備えつけに関する事項等について、一九七二年の海上における衝突の予防のための国際規則の一部改正案が採択され、本年十一月二十九日から発効することとなりました。
 我が国としても海上衝突予防法を改正し、同国際規則の改正を取り入れ、国内法を整備する必要がございます。
 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第でございます。
 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。
 この法律案では、船舶が備えるべき音響信号設備のうち号鐘の備えつけが不要な船舶の範囲を拡大する等の改正を行うこととしております。
 以上が、油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案及び海上衝突予防法の一部を改正する法律案を提案する理由でございます。
 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議のほどをよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
河合委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 この際、休憩いたします。
    午前十一時四十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時二十七分開議
河合委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 午前に引き続き、内閣提出、参議院送付、油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案及び海上衝突予防法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長三沢真君、海事局長徳留健二君、港湾局長金澤寛君、政策統括官鷲頭誠君、海上保安庁長官深谷憲一君、内閣府政策統括官山本繁太郎君、消防庁長官石井隆一君、財務省国際局長渡辺博史君及び環境省地球環境局長岡澤和好君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿久津幸彦君。
阿久津委員 民主党の阿久津幸彦でございます。
 本委員会で二つの法案が同時に審議されるわけでございますが、同僚の大谷信盛委員と役割分担をいたしまして、私の方は、油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案について伺いたいと思います。
 実務的な法案ですので、ぱっぱかぱっぱか聞きたいと思うんですが、まず、本法改正の背景または改正に至る理由を扇大臣の方から伺いたいと思います。
扇国務大臣 今、阿久津議員からおっしゃいましたように、油濁損害賠償保障法、これは御存じのとおり、趣旨説明でもいたしましたように、タンカーから流出の油に対して、汚染の損害が発生した場合にどのように補償していくのかということなんですけれども、その損害については、一定の限度額、これは現状では約二百十六億円まで国際油濁補償基金というもので補償をされております。
 ところが、先ほども私が趣旨説明で申しましたように、国際油濁補償基金によります補償額につきまして、我が国で発生しましたナホトカ号の事故、これは一九九七年一月でございますけれども、補償総額が二百六十一億円になっております。それから、フランスで発生しましたエリカ号の事故、これは一九九九年十二月ですけれども、補償総額が二百四十億円ということになっておりまして、このように大規模な事故が発生し、なおかつその補償額の膨大な金額が今申し上げたとおりでございますので、そういう経緯を踏まえまして、二〇〇〇年の十月ですけれども、IMO、国際海事機関の法律委員会におきまして、これではということで、基金の補償額の現在の約二百十六億円から三百二十五億円、要するに約五〇%の引き上げというものが、条約の改正が採択されたわけでございます。
 それに伴いまして、二〇〇三年の十一月よりこれが発効されますので、我が国としても、この条約の改正内容を国内法化していく、改正していくということでこの法案をお出ししまして、油濁損害賠償保障法を改正するに至ったというのが経緯でございます。
阿久津委員 たしか平成六年にも国際条約の中で引き上げが行われたんだと思うのですが、この三百二十五億円という責任限度額が果たして適正なものなのかという点についてお伺いをしたいと思うのです。
 今回の責任限度額の引き上げ率はなぜ五〇%とされたのか、また、今回の引き上げで油濁事故対応として十分なのか、三百二十五億円で十分なのかどうか、これをまず伺いたいと思います。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 責任限度額の引き上げについての根拠と油濁事故対応として十分であるかということについてお答え申し上げます。
 限度額の引き上げにつきましては、油濁損害賠償保障法のもととなっております千九百九十二年の油による汚染損害についての民事責任に関する国際条約の中で、年率六%までの範囲で引き上げることができるというふうに規定をされておりました。
 具体的には、条約改正が審議された二〇〇〇年十月のIMO法律委員会におきまして、本規定によりまして、一九九三年から二〇〇〇年までの七年間、年六%の複利で計算された最大限度が五〇%でございました。この最大限度額が採択されたということでございます。
 このため、国内法を改正いたしまして、油濁損害賠償保障法におきましても五〇%の引き上げとするということでございます。
 今回、限度額が五〇%引き上げられることによりまして、国際油濁補償基金からの補償を含めて三百二十五億円の被害までカバーできるということとなりました。これによりまして、ナホトカ号事故、これは二百六十一億円の補償がされております、それからエリカ号事故につきましては二百四十億円程度と見込まれておりますが、同規模の事故にも対応できるということでありまして、十分な補償額が確保されていると考えております。
 なお、本年五月のIMO外交会議におきまして、これまでにない規模の油濁事故にも対応し得るよう、現行の国際油濁補償基金の補償限度額を超えて補償するための追加基金、千二百億円でございますが、追加基金の設立を内容とする議定書が全会一致で採択をされました。我が国としても、関係者と協議の上、EU諸国等の批准状況を見ながら対応していきたいと考えているところでございます。
阿久津委員 今、IMOの追加基金の話がございましたので、これで何とかなるのかなという気もいたしますが、国際的に見て、後ほどの質問とも関係するのですが、アメリカなどは独自で千二百億円ぐらいの限度額まで対応できるようにしている。
 それで、先ほどの局長の御説明で五〇%の値上げが最大限なんだというお話があったのですけれども、この三百二十五億円、これまた、これで十分かどうかというのもなかなか言い切れる問題ではないと思うのですが、当面は一応これで十分というふうに考えてよろしいのですか。それとも、本当は、もう少し値上げできるのであればもっとしたいところなんでしょうか。値上げというか、もう少し上限を超える額を限度額にした方がいいのであれば、それを望むのでしょうか。ちょっとその辺だけ。
徳留政府参考人 先ほどお答え申し上げましたように、これまでの過去の例を見てみますと、ナホトカ号事故あるいはエリカ号事故等につきましては三百二十五億円で十分対応できるということでございました。現状におきましては対応できるのではないかというふうに考えているところでございます。
阿久津委員 現状ではオーケーというお話をいただきましたが、今度は逆の観点から、今回の引き上げで船舶所有者の大幅な負担増にならないのか、また、この負担が関係企業の経営等に支障を来すことにはならないのか、同時に、船舶所有者等の関係者からの意見は十分踏まえたのか、その点についてもお伺いしたいと思うのです。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 今回の責任限度額の引き上げによりまして、五千トン以下の船舶におきましては四・八億円から七・二億円、十四万トン以上の大型タンカーにおきましては九十六億円から百四十億円ということで、責任限度額が五〇%引き上げられたということでございますが、船舶所有者は、油濁損害が生じた場合の損害をカバーするために保険に加入しておりまして、実際の船舶所有者の負担は保険によって担保されております。また、保険料の増加もそう大きなものではないというふうに見られておりますことから、船舶所有者に対して大きな負担を課すものではないのではないかと考えております。
 なお、本条約の改正に当たりましては、船舶所有者、石油業界等の関係者の御意見を十分お聞きしましたが、特段の反対はなく、これに理解を得られておりまして、我が国としては、こういった業界の方々の御意見、そしてまたナホトカ号事故等の教訓にもかんがみまして、本条約の改正について賛成したということでございます。
阿久津委員 船舶所有者の負担なんですけれども、具体的に言いまして、千トン未満と、一番大きい船でも結構なんですけれども、大体どのぐらいになりそうですか。船舶所有者の負担金のアップの部分なんですけれども。
徳留政府参考人 保険料のアップという御趣旨だと思いますが、保険料につきましてはなかなかわからないのでございますが、五千トン以下の船ですと十万円程度、あるいは大型船になりますと数百万程度になろうかと思いますが、船の全体の運航費用ということから比べますと非常にわずかなものであるというふうに考えております。
阿久津委員 次に、この国際油濁補償基金の仕組みについて少し伺いたいと思うのです。
 私どもは、日本の船舶は安全で性能もよいというふうに確信をしているのですけれども、国際油濁補償基金の負担割合は日本が一番多いんですね、二〇%ぐらいか二五%ぐらいですか、一番多いというふうに聞いております。我が国はかなり安全性に気を配っている国だと思うのですけれども、油の取引量によってこの負担金が変わるというふうに聞いているのです。考えようによっては、もっと安全にタンカーを運航するというインセンティブも働きませんし、ちょっと不公平ではないかというような素人考えもあるのですけれども、この点についていかがでしょうか。
吉村副大臣 賠償保障法の成立に至る経緯、また、それに基づきます基金の内容、その枠の増額については、ただいま大臣の方から答弁をされました。
 その基金は、今委員申されましたように石油の受取量に比例をするわけでございますが、年間十五万トン以上受け取る石油会社が拠出しまして基金をつくっておるわけでございます。
 委員おっしゃいましたように、我が国のタンカーは、大変船齢も若く、また船底もダブルになっておるもののウエートが大変高うございまして、そういう面では、安全性においては他国と比べますと格段にランクは上だろう、このように思っておる次第でございます。
 我が国の船齢は平均十年程度でございますが、ロシアあたりはもう二十年を超しておる。人間でも同じかもしれませんが、年をとると随分と破損もひどくなってきておりまして、それだけに、事故の確率、また、事故が起きた場合の被害の大きさといいますものは当然予想されるわけでございます。
 したがいまして、そういう面は我が国といたしましても十分に主張をしておりまして、相当他国も理解は示してくれておる、このように思っておりますが、まさにそのようなインセンティブが働く主張、基金の負担割合にインセンティブが働くような方法というのは十分これから検討していかなければならない点だろう、このように思っておりまして、鋭意努力も積み重ねていきたい、このように思っております。
阿久津委員 どうもありがとうございます。
 私も、どうも日本人というのは国益をがりがりと主張するのが本当は苦手なのかな、謙虚というか、そういう美徳もありますし。それで、この部分はぜひ、私どもも応援したいと思いますので、主張するべきは主張していただいて、日本の主張は、私はこれはエゴではないと思います。世界のタンカーの安全性の向上にもつながると思いますし、事故を起こしたら、あるいは整備不良だったりしたら、その国は場合によったら条約からはじかれるんだよというようなことも含めてやっていただきたい。
 それからもう一つ、お願いなんですけれども、後ほどの質問とちょっと関係してくるんですけれども、アメリカなどはこの条約に加盟していないというふうに聞いているんです。アメリカは最大の油取引国だというふうに聞いていますので、ぜひアメリカの方にも、加盟するとかいうことを促していただきたいということをお願いしておきたいと思います。ちょっと局長の方から、この点でコメントございましたら、一言いただきたいんですけれども。
徳留政府参考人 インセンティブにつきましては、副大臣からお話がありましたように、今努力しているところでございます。
 アメリカはOPA九〇という独自の油濁補償基金制度をつくっておりまして、そういうことで国際基金の条約には加盟していないというところでございます。アメリカはそういう事情から基金には加盟していない、こういうことでございます。
阿久津委員 次に、油濁に係る国際条約を締結していない国が、先ほどの中でもアメリカということで、あると思うんですけれども、この条約により、諸外国のタンカーによる日本の油濁損害については補償が完全になされるのかどうか、そこを確認したいというふうに思うんです。
 先ほども出ましたアメリカ、日本のタンカーが国際基金に加盟していない米国領内で事故を起こした場合は、取り決め上どうなるんでしょうか。
徳留政府参考人 日本のタンカーが米国で事故を起こした場合ということでございますが、油濁損害事故を起こした場合に、米国は、先ほど申し上げましたように独自の制度を持っておるわけでございまして、これが米国油濁法、OPA九〇、オイル・ポルーション・アクト九〇というものでございますが、これに基づきまして独自の制度をとっております。
 先ほどから議論になっております国際基金条約、九二年の責任条約よりも高い責任限度額を船舶所有者に課しておるということでございまして、例えば十四万トンの船でございますと、二百五十億円まで責任限度を課しているということでございます。二百五十億円まで船舶所有者が払うわけでございますが、被害額がそれ以上の場合、あるいは船舶所有者が払えない場合には、最高十億ドル、千二百億円を限度とした基金からの補償がなされるということになっております。
 なお、日本の船舶所有者等がアメリカに行く場合には、実際は十億ドル程度の保険に加入をしているというのが通例であると聞いております。
阿久津委員 そうすると、アメリカに行く場合には特別な保険に入ってタンカーを運航しているということですね。
 私は、やはり今の話、アメリカは豊かな国ですし、強い国ですから、アメリカが独自で自分の国はそういった形で、基金も十分に積んで守れるけれども、アメリカのタンカーも安全なタンカーの一つだと思うんですけれども、先ほどの話との関連で、そのアメリカが抜けることによって、むしろトラブルというか、事故が起こる率が高い国ばかりこの条約に残ってしまうような事態にならないかということをちょっと心配しているんです。そこの点について、アメリカに国際条約に加入するようにもっと強く言う必要はないでしょうか。いかがでしょうか。
徳留政府参考人 恐らく、その当時のことを私は詳しくわかりませんが、アメリカにもあるいはそういう働きかけをしたのではないかなと思いますが、アメリカは独自の道を歩くということで設定した。アメリカは、特にまた州法と連邦法といろいろ違いがあって、国として、連邦として約束しても、州法のまた別の規定があるというようなことで、なかなか難しい事情もあるということも聞いておるところでございます。
阿久津委員 次に、アメリカと正反対というふうに言っていいのかもしれないんですが、例えば北朝鮮のタンカーが日本の領内で事故を起こした場合どうなるのか伺いたいと思うんです。北朝鮮はこの国際条約にアメリカとは違った意味から加入をしていないと思うんですが、その点、どうなるんでしょうか。
徳留政府参考人 今御指摘のように、北朝鮮はこの国際基金条約に加盟をしておりません。
 一方、国際基金条約におきましては、油濁の被害国が国際基金に加盟している場合には、加害者である船舶の国がこの基金に加盟していなくても国際基金から補償がされる、こういうことになっておるわけでございます。
 具体的に、北朝鮮の船舶が油濁損害を起こした場合にはどういうことになるかといいますと、基本的には、被害者であれば、日本の関係者は北朝鮮の船舶所有者に、当然まず第一義的に賠償請求をするわけでございますが、実際にはなかなか、保険にも入っていない、あるいは資力もないということでございまして、そういう場合には、私ども、国際基金に損害の補償請求をする、こういうことでございまして、基金から補償がされる、こういうことでございます。
阿久津委員 どうもありがとうございます。この条約に入っていれば、一応、最低限、日本の船は補償されるんだということを伺いまして、安心いたしました。
 それで、次の質問に移らせていただきたいと思うんです。
 タンカーの事故は、これは本当は起こってしまう前に未然に防ぐのが一番だというふうに私も考えております。未然の事故防止策というか、それについて伺いたいと思うんです。
 国土交通省でもタンカー事故に対する被害を最小限にするための努力を十分にされていると思うんですが、先ほど副大臣の方からシングルハルとダブルハルのお話がございまして、日本の船はだんだんダブルハルに移行しているんだという話もございました。ダブルハルというのは、船の底が二重になっているというんでしょうか、二層性というか、それで、外からぶつかった場合も油がすぐには漏れないようなシステムをいうというふうに伺っているんですけれども、この普及対策はどうなっているのか。
 それから、これも先ほど副大臣の方からもお話がありましたが、やはり私は、エリカ号事故とかナホトカ号事故、それからプレステージ号事故等を見ると、船の年齢というか船齢が事故と密接にかかわっているんではないかと思うんです。先ほど副大臣は、日本の船は大体平均十年ぐらいで、ロシアは何年とおっしゃったんでしたか、二十年以上というふうに聞いています。
 それで、事故が起こったナホトカ号はたしか二十七年ぐらいだったと思いますし、エリカ号もプレステージ号も大体二十五年前後の船齢だったと思うんですけれども、船齢に対する制限とか規制を考えているのか、あるいは考える予定があるのかどうか、この辺を局長の方から伺いたいと思います。
徳留政府参考人 今、油濁事故防止のための対策と、それから船齢による制限、規制等についてのお尋ねがございました。
 まず、タンカーのダブルハル化の問題でございますが、海洋汚染防止条約という条約がございますが、その条約の規定に基づきまして、一九九六年、平成八年でございますが、それ以降建造される新しい五千デッドウエート以上の油タンカーはすべてダブルハル化するということになっております。したがいまして、現在建造される船はすべてダブルハルということでございます。
 それから、それ以前に建造された船が残っておるわけでございますが、その以前に建造されたシングルハルタンカーにつきましては、例えば一九九六年以前、八二年から九六年の間に建造された船につきましては、船齢二十六歳または二〇一五年のいずれか早い時期に廃船するということが国際的に決まっておるところでございます。
 我が国は、条約によるこれらの規制を確実に履行してまいるということにしておりますし、さらに、外航のダブルハルタンカーの特別償却制度というものを認めることによりまして、税制優遇措置でございますが、こういうことによりましてダブルハルタンカーの普及を促進しておるところでございます。
 さらに、船齢規制に関しましては、ただいま申し上げましたように、さきの条約によりまして二十六歳という一つの線があるわけでございますが、昨年のスペイン沖におきますプレステージ号事故を契機に、EUサイドにおきましては、さらにこのダブルハル化の過程を早めようという提案をしておりまして、現在、国際海事機関、IMOにおきまして議論をされているところでございます。これにつきまして一言申し上げますと、先ほど、二〇一五年以降はシングルハルは使えないと申し上げましたが、これをさらに二〇一〇年まで前倒ししよう、こういう提案をしておるところでございまして、現在検討中、審議中でございます。
阿久津委員 ありがとうございます。ぜひ、船齢規制というか、余り古過ぎる船が、整備も十分でなく、航行できないような対策も引き続きとっていただきまして、安全にこれからも努力していただきたいというふうに思っております。
 次に、事故が起こってしまった後の話を少しさせていただきたいと思うんです。
 事故が起こってしまうと油が海に流れ出てしまいます。ナホトカ号事件なんかも、ウミウが油に包まれて、大変悲惨な光景がテレビ等で映し出されたわけですけれども、油処理剤というんでしょうか、油が海に出てしまった場合、それを分解するなり抑えるなりする処理剤はどのようなものが使われているのか。
 それから、バイオレメディエーションという、タンカー事故等によって環境中に流出した石油の除去を分解微生物を利用することによって促進させようという研究がなされていた、あるいはいるというふうに聞いているんです。何か、タンカー事故が起こるとこの研究はやろうという話になるんですけれども、またすぐ縮まってしまうみたいで、なかなか思うように研究が進んでいないと思うんですけれども、こういったいわゆるバイオ製品を油処理剤として取り入れないのか。この点について海上保安庁の方から伺いたいと思います。
深谷政府参考人 御説明を申し上げたいと思います。
 御指摘の油処理剤でございますけれども、これにつきましては、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律というのがございますけれども、そこで、いわゆる技術上の基準、こういうものがそれに基づいて決められておるところでございます。実際は、油を細かい粒子にしまして海水とまじりやすくした上で、自然界の浄化作用の促進を図るというものでございます。
 今先生御指摘のバイオにつきましては、私どももそういう議論があるのは承知しておりますけれども、現在の時点では、なかなか国際的にも国内的にもきちんとした基準が決まっておりません。また一方で、環境に与える影響、これが実際どうなんであろうか、その辺の安全性の問題というのもまだ十分確認ができておりませんで、その結果、現在では、先ほど申し上げましたような法律に基づく基準、これにはまだ採用されておりません。したがって、現在は使えないということでございます。
 ただ、今後バイオの研究が進んで、そういった製品による油処理、こういうことが可能になってくるかどうか、これは今後の国際的ないろいろな研究も踏まえながら、私どもとしましても、当然、その可否、必要性について十分検討していきたい、かように思います。
阿久津委員 現時点では、確かにバイオの詳しい安全性あるいは効果等も国際的にまだ定まっていないというふうに私も聞いております。
 ただ、私は、このバイオ技術を取り入れたバイオレメディエーションに大変期待をしておりまして、これは化学物質を油処理剤として使うよりも二次的な被害が少ないという予想も現時点ではありますので、ぜひ、引き続き研究を各方面でしていただきまして、実用化できて、環境に優しい油処理が行われればというふうに願っております。
 航行安全についても長官に伺おうと思ったんですが、ちょっと時間がなくなってしまいまして、申しわけございませんが、これで終わらせていただきます。
河合委員長 大谷信盛君。
大谷委員 民主党、大谷信盛でございます。
 阿久津議員に引き続きまして、私の方は、同時に審議にかかっております海上衝突予防法の一部を改正する法律案について御質問をさせていただきたく思います。
 内容といたしましては、号鐘という、船の航海、見えにくいときに自分の位置を知らせるための器具として鐘をたたくというものが、今まで十二メートル以上の船から必要とされていたんですが、これが二十メートルの船まではもう要らないだろうということで、国際条約も同時に改正をされていくという内容でございます。
 まず一番最初に、これがどのように、どんなふうにして実態役立っていたのか、それがなくなったら安全性には支障を来さないのかというような一般的なことをまずこの場で教えていただけたらというふうに思いますが、局長もしくは海上保安庁長官にお願いします。
深谷政府参考人 御説明を申し上げます。
 先生今御指摘のとおり、号鐘の設置義務につきましての緩和のお願いをしておるわけでございますけれども、この号鐘につきましては、いわゆる視界制限状態、見えにくい、霧とかそういった状態のときに使われるということを前提にして備えつけがされておるわけでございます。今回、千九百七十二年の海上における衝突の予防のための国際規則というのがございまして、これが改正になって、先生今御指摘のように、二十メートル未満のものまでその義務づけについては緩和しようという国際約束ができたわけでございます。
 長さ十二メートルから二十メートルまで引き上げて大丈夫かということかと思いますけれども、長さ十二メートルから二十メートル未満の船につきましては、今後号鐘が要らないということにはなりますが、他方で、汽笛の備えつけにつきましては引き続き義務がかかってございます。そうしたことから、今申し上げましたような視界制限状態、よく見えにくい、視界の悪い状態にある、そういった水域において、錨泊ですとかあるいは万一の乗り揚げ、こういった場合におきましては汽笛を使っていただく、こういうことによりまして基本的には安全が図られる。
 また、万一汽笛が使用できないような場合がありましても、その他の、例えばサイレンでございますとか笛だとか、そういったことでも有効な音響を発することは可能であろうというふうに思いますが、これらの手段でもよいというふうにもルール上されてございますので、こういったことによって、今回の規制緩和をいたしましても安全上特に支障はないだろうというふうに考えてございます。
大谷委員 汽笛の鳴らし方等々とかは後でちょっとお聞きしたいと思っておるんですが、海上保安庁さんの方からは安全上大丈夫だろうということでございます。
 今回、国際機関の中で先に、十二メートル以上の船にもう号鐘は必要ないだろうということが決まって、我が国もそれに準じて法案の修正、改正をしていくということなんですけれども、この国際機関に提案したのは日本だというふうにお聞きをしておるんです。それがそうだとした場合、どのような現状認識、現状調査もしくは船舶に従事されている方々、運営されている方々からの声がどの程度、どんなふうにあって、これは我が国から国際機関に提案をしようということに至ったのかということについて、それでは、国土交通省の方にお聞きさせていただきます。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、号鐘の備えつけの緩和につきましては、日本の方から提案をしたものでございます。
 この提案の背景といたしましては、ユーザーの方々からの御意見等もございました。そしてまた、私どもとしていろいろ調査をした結果、提案できるなということでIMOに提案したわけでございます。
 一つの論拠として申し上げますと、号鐘は、先ほど保安庁長官が申し上げましたように、視界不良時において船舶が座礁または停泊したときに、他の船に自船の位置を知らせるためのものでございます。
 一方、長さ二十メートル未満程度の船舶でございますと、通常の航行区域といいますか、大体沿岸を航行することが多いということで、他方、タンカーとか大型の船はかなり沿岸を離れて航行するわけでございます。そういう意味で、小型の船舶が遭遇する船舶は、相手としても小型の船舶が多いということでございます。
 そうしますと、小型の船舶同士で、要は、自分が停泊している、座礁しているということを知らせることができればいいのではないかということでございます。一方、号鐘は非常に音の通りがよくて、一キロメートルぐらい先まで届くわけでございまして、従来はこれを持っておったわけでございますが、小型の船の場合には、大体百メートルぐらい事前に相手の船がわかりますと、回避行動といいますか、停止あるいは回頭することができるということでございます。そういうことであれば、何も号鐘というものを持たせなくても、先ほど長官申し上げましたように、汽笛あるいはサイレン等の他の措置でも十分に安全な対策は講じられるのではないかということでございます。
 こういったことで、国際条約の改正につきまして国際的に合意をされたということでございます。
大谷委員 また別の方からしますと、号鐘を霧のときに鳴らすということを、小さい船のオーナーさんというのは、最近十年、十五年で急激にプレジャーボートの人口が増加しておりますから、御存じでない方も多い。というのは、そんな経験をしたことがないということもあって、号鐘がどこにあるのかも、船に装備されていたかどうかということもわからない。
 また、一応、免許証のときには鳴らさなきゃいけないということはわかっていたけれども、霧もしくは視界が不良のときにそんなものを使ったことがないというのも現状であって、これはやはりもう必要ないかな、船に常備されている警笛の方で十分ではないかな、そんなこともあったんですかね。そちらの方はどんなふうに把握をされているんですか、実際の使われ方です。
徳留政府参考人 御指摘のような御意見もございました。
 そういうことで、なかなかふだんはそういう危険な状況に遭遇していないということもあったと思いますが、余り使われていないということもあったというふうに聞いております。
大谷委員 今、さすれば新しい方法で安全性を高めることを考えていかなければいけない。それは汽笛、警笛というようなもので十分ではないかということなんです。
 これは鳴らし方というものがありまして、右へ曲がるときは短音で一発、左に曲がるときは短音で二発鳴らしていく。バックをするときは短音で三発鳴らしていくとかというような汽笛の鳴らし方というものがあるんですね。それは、霧の中であろうがなかろうが、あるわけなんです。
 この場合、号鐘の鳴らし方というのは、何か法規を見ますと、×××、たたけ、たたけ、たたけということなんですけれども、カーンと一回長音を鳴らしても、ちょんちょんと鳴らしてもというような、何もルールが決まっていませんでした。ただ鐘の音ということで、ああ、これは船が近くにいるんだなということはわかるんですが、警笛、汽笛の場合ですと、短音を鳴らすのか長音を鳴らすのかというのが、一応法規では決まっておるんです。右に旋回するときに短音一発とか、左に旋回するときは短音二発とかと、港の非常に混雑したところではあるのかもしれませんが、ふだんからなかなかされているようには現状なっていないというふうにお聞きするんですが、本当にこの警笛、汽笛で安全性の確保というものが、号鐘にかわってできるんでしょうか。
深谷政府参考人 実際の鳴らし方に関連してのお尋ねでございます。
 物によりましては、法令上、長音一回であるとかそういうふうな規定があるケースもございますけれども、今回議論になります、いわゆる視界制限状態における長さ十二メートル以上二十メートル未満の船舶につきましては、先ほど海事局長も御答弁申し上げましたが、錨泊中あるいは万一の事故のような乗り揚げの最中、こういったところでの自分の位置を知らせるということによって安全を確保する、こういうことでございます。
 汽笛の鳴らし方自体については特段の法律上の規定はございませんけれども、二分を超えない間隔で自分の船の位置がわかるように発してください、こういうことでルールが定められております。
大谷委員 それは調べて知っております。
 私が非常に心配しておりますのは、鳴らし方が決まっていないということもあるんですけれども、ふだん鳴らすことになっているけれども、そんなにみんな鳴らして走っていない。そこに、全く同じ音質である警笛を霧の中で使うようにするというふうにしたって、今まで使われていないんだから、なかなか使われないんじゃないのかなという心配があるんです。告知、周知徹底とかというようなことも含めて心配をしておるわけなんですが、その辺はどうなんでしょうか。
深谷政府参考人 海の上で船舶が航行する場合のルールとしまして、現在改正をお願いしております海上衝突予防法があるわけでございますが、その三十五条で、いわゆる視界制限状態にある場合についての規定がございます。航行する船舶操縦士としては、当然のことながらこのルールを熟知しているという前提がございますが、私どもといたしましても、船舶航行の安全が保たれる、これは大事なことでございます。現場の海上保安官、そういったものも通じまして、機会あるたびにそういった指導なりをしていくことによっても安全を確保してまいりたい、かように思います。
大谷委員 もちろん、文面、インターネット等々によっての告知、周知というものはあるでしょうけれども、やはり船を持って海、川、湖で運航する船長さんというもののマナーがさらに高まっていく必要があるんだというふうに思いますので、長官におかれましては、現場にもっともっと出ていただいて、制服を着ている姿の写真をこの前拝見いたしましたが、ぜひとも現場に立って陣頭指揮をとっていただきたいというふうに思っております。
 もう一つ私が気になっておりますのは、これは確かに、号鐘というものが汽笛、警笛にかえることができるのならば、ほかも、技術の進歩等々によって不必要になってしまった整備、また反対に、これはもっともっと充実しなければいけないような整備、そのすべてが多分安全性を向上するためにあるというふうに思うんですが、一つ二つ、私が見ていて気がかりになったものがございます。
 例えば発煙筒というものを積むことになっておりまして、船が、機関が故障した等々になった場合は発煙筒をたいて知らせて、海上保安庁もしくは近辺の船また水上警察に救援、救助をお願いするみたいなことになっておるんだそうでございます。これは、よくよく聞いておりますと、発煙筒なんというのは、たいてみたけれどもなかなか見つけてもらえなかったということが、これまたプレジャーボートで海の上、川の上を運航している人たちの間では聞くんだそうですが、その辺はどうなんですか。発煙筒で十分なのか、それとも、技術の進歩によってそれにかわるようなものができてきたのか。
 聞くところによりますと、鏡みたいな単純なもので相手にぴかぴかとやると、あっ、あの船は多分とまっているんだなというので、鏡なんかで自分たちの危険を知らしめて助けてもらったケースの方が多いのではないかというようなことも聞くんですが、その辺はどのように現状把握されており、また、この発煙筒について、安全性を高めるために何かほかの施策がありますでしょうか。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 小型船舶に係るいろいろな安全を守るための備品についてのお尋ねでございます。
 我が国の船舶におきましては、船舶安全法に基づきまして、船舶の堪航性あるいは人命の安全を確保するために、必要最小限の施設あるいは設備等を持っていただくということにしておるところでございます。
 今御指摘のありました発煙信号、発煙浮き信号でございますが、これは、船舶が遭難した場合、あるいは事故があった場合等に、視認距離に非常に近づいた、救助相手が非常に近いところにいる場合に、自船の位置を知らせるための装置であると我々は認識しております。
 そういうことで、やはり小型の船でございますから、なかなか見つけにくいということがございますので、せっかく救助に近くに来ていただいても、視認できなくてだめだということもあります。そういう場合に必要な装置ではないかと思っておるところでございます。
 それから、先ほど、日光信号鏡のお話もございました。
 日光信号鏡につきましても、確かに有効なものであるというふうには思っておりますが、ただ、雨の日とかあるいは曇りの日とかになかなか使えないのかなということもございまして、もちろんこれを持っていることは有効だと思いますが、発煙浮き信号は、そういう意味で、現状では必要ではないかと思っておるところでございます。
 そのほか、安全のために、例えばラジオ等を持って、航行の気象、海象情報などを入手するための設備とか、あるいはその他、ナブテックス等の、いわゆるテレックスみたいなものを持っているというようなことで安全の確保に努めておるところでございます。
 いずれにいたしましても、私どもは、今後とも、技術革新の進展、あるいはまた関係者の方々の御意見もいただきながら、こういった設備の備えつけ等について適切に見直し等を進めていく所存でございます。
大谷委員 テレックスを積んで安全性を高めるようにという規制はないわけですね。個々の船主さんが、テレックス等々を自分で装備してということですね。
 安全の規制に関しては高められるところはどんどん高めていっていいというふうに僕は思うんですが、その辺のことが一番聞きたいわけなんです。
 長官、ぜひ備品なんか見ていただいて、いいもの、悪いものありますので、鏡といったって、真ん中に穴があいていてドーナツみたいな鏡で、上手にやれるようなものになっておりまして、見ると、これは別にお金がかからなく、安全性が高まるものというのはたくさん出てくると思いますので、一回洗い直しの作業が要るのかなというふうに思っています。
 技術革新ということで言うならば、国際VHF無線、いわゆる海上保安庁さんがお使いになられている無線ですけれども、この無線に入ろうと思ったら免許が要るわけですね。そのネットワーク網の中に入るのに、免許がなかなか難しくて持てない。それは、大阪湾の中を、東京湾の中を航行して楽しんでいるプレジャーボートの方々には必要ないのかもしれませんが、少し距離を乗るようなレジャーをされている方には、私はそれなりに必要な備品かなというふうに思っておるんです。
 余り無線の免許証を簡単にして、たくさんの方がネットワーク網、通信網の中に入ってこられると、海上保安庁さん的には業務上支障があるのかなとも思ったりいたしますが、いずれにしても、すばらしい、いざというときには役に立つ便利な通信網、そしてそんなに値段も張らない機械だというふうに思うんですね。これを少し応用して、無線でこれだけ通信技術が発達しているわけですから、新しい安全性を高めるための無線機、もしくはGPSみたいなものとか、何か考えているような、そんな議論をしているようなことは、今内部ではあるんでしょうか。
徳留政府参考人 VHF無線につきましては、おっしゃるとおり、非常に有効なものであろうと思っております。ただ、先ほどおっしゃいましたように、無線局の免許や、あるいは維持の問題等がありまして、これを義務化するのは規制強化というようなことにもなるのではないかと思って、直ちにできるかどうかちょっとわかりませんが、今後検討していく課題ではないかと思っております。その他の、GPS等につきましても導入を進めておるところでございます。
大谷委員 義務化までしなくても、何か新しくこれに準じたものをつくっていくような規制を新たにつくって需要をつくっていく、その結果として安全が高まっていくということを提案させていただいておりまして、これを無理やり義務化しろというようなむちゃなことは私は申し上げておりませんので、ぜひ、何か内部で御工夫をいただくようなことがあればというふうに思っております。
 それと、今局長の方からラジオというのが常備、義務化されておるということでございますが、ラジオの目的を再度この場で確認させていただきたいんですが、常備の目的は何ですか。
徳留政府参考人 お答えいたします。
 ラジオは、先ほど申し上げました航行海域の気象あるいは海象情報などを的確に入手するために備えつけていただいているというものでございます。
大谷委員 済みません、僕、もしかして誤解しているのかもしれません。ラジオというのは無線機を英語で言うんですけれども、そのラジオですか。それとも、いわゆるAM、FM、短波のラジオ、普通の電気屋で売っているラジオですよね。(徳留政府参考人「はい」と呼ぶ)わかりました。
 私、ラジオがなかなか普及していなかった時代には非常に便利な道具だったというふうに思うんですが、今、先ほど局長もおっしゃられましたように、テレックスだの携帯電話だの、携帯電話で大体わかるわけですね、天気予報云々かんぬんというような情報というのは。それも、ラジオみたいに、どこかの、時間を合わせないと出てこないというようなものではなく、自分が欲しいときに欲しい情報が入るような装備になっていて、ラジオが不必要だとまでは言いませんが、ここもやはり技術革新というものが起こっていて、何らかの、新しい技術に合わせた備品の義務化もしくは不必要化みたいなものが要るんではないかというふうに思っているんですが、天気のことでいうと、何かそんなことを考えられていることはございますでしょうか、気象情報について。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 ラジオにかわる、先ほど申し上げました、そういう情報が入手できるような通信設備を有している場合にはラジオは必要ないということ、例えば、先ほどちょっと申し上げたナブテックスというようなテレックスのシステムとかいうようなものがあればこれは代替できるということでございます。
大谷委員 大きな船で遠いところまである程度行くようなときには、絶対にいわゆる無線機や観測機器というようなものを積んでおるわけですけれども、近所にいるときで、天気予報というのは、急にあらしが来るだとか雲行きが変わるだとか、プレジャーボートの方はそんなずっと乗っているわけではないですから、わかっているつもりでも、海の恐ろしさ、水上の恐ろしさというものは、まだまだ、体感している、悟っているところまでにいっていない。そうすると、やはり逐次何らかの形で情報が入ってくるようなものを、僕は義務化とまでは言いませんが、持つように、装備するようにしろというような御指示というのか提示みたいなものをした方がいいのかなというふうに思うんです。
 そのときに、新しい、自動的に常に海上保安庁さんからの無線が、こっちからは入れませんけれども入ってくるだとか、ずっと海もしくは水上にいる人たちに、気象情報が音波もしくは活字で出てくるというようなシステムを考えてもいいんではないか。これは新しい需要にもなるし、また、安全性も高まるというふうに思うんですが、その辺はいかがですか。
徳留政府参考人 今、私どものところで、最近の技術の進展あるいはIT技術の進展等を踏まえまして、海洋レジャーといいますか、小型プレジャーボート等の安全性をより高めるためのいわば高度安全管理システムというようなことについて研究をしておりまして、海上保安庁の情報あるいは海象、気象情報、そういったもの等をネットワークで結びまして情報がとれるような、そういうハード、ソフトのシステムを研究中でございます。
大谷委員 ぜひ、大分世の中、通信技術の進歩で変わっておりますので、それに合わせての安全性のさらなる向上に努力をしていただけたらというふうに思っております。
 それと、もう一つお聞きしたいのが、プレジャーボートの事故が増加している。そんな中、資料を見せていただきますと、見張りを立てていなかった、要するに人為的、これは怠けていたのか、もしくは運転上まだまだ未熟であって、見張りをしていたけれども見張りになっていなかったとか、いろいろな理由があるというふうに思うんですが、ある程度、高まってきた海上での事故というものが少し頭打ちになっているというふうに見てとれるのかな、海上保安庁さんの努力もここにあるのかなというふうに思うんですが、これまでの努力、それから、これからの取り組みについて、ちょっと大ざっぱな方針について長官の方からお聞かせいただけたらと思います。
深谷政府参考人 特にプレジャーボート関係の、安全に楽しんでいただく、海難をいかに防ぐか、これは、先生御指摘のように大変大事なことでございまして、私どもといたしましても、プレジャーボート海難の未然防止、こういったことを図りたいと強く思っております。そのためには、私ども、いろいろするとともに、実際、愛好者みずからの方でも、先ほど見張りの話もございましたけれども、安全の意識を高めていただいて、自主的な安全対策をとっていただくことがとても大事なんだろうというふうに思っております。
 そういう観点も含めまして、私どもといたしましては、海難防止講習会、こういったことを各地で開催するとか、あるいは、民間団体を育成して、今まで、海上安全指導員あるいは安全パトロール艇、これもボランティアでございますが、そういった活動へも私どもとしても協力をしたり、あるいは連携をしたり、こういうことを図りながら、みずからの安全の意識を高めていただく、こういうことを取り進めております一方、やはり夏がハイシーズンでございますので、七月の後半には、二週間以上にわたって、官民挙げて全国の海難防止強調運動、こういったこともやらせていただいております。
 また、私どもは、一たん何かございますれば、巡視船艇を出し、航空機を出し、なるべく迅速な救助に当たるということにしておりますけれども、一方で、やはりみずからの皆さんの安全対策というのも、万一の事故があった場合の備えもしていただきたいということで、私どもが日ごろからお願いしていますのは、一つは、例えば救命胴衣。救命胴衣を着用している場合といない場合では生存率が格段に差がございますので、ぜひこれは救命胴衣をつけていただく。あるいは、何かあったときの連絡手段。プレジャーボートはそう大げさなものはなかなか積めないということもございます、そういった場合でも、少なくとも携帯電話のようなものは持っていただくような、こういったお願い。あるいは、海の緊急電話、一一八番というのがございます。こういったことをぜひまた有効に利用していただく等々の活動を私どもやっておりまして、プレジャーボートの事故の未然防止、こういったことに努めてまいりたいというふうに思っております。
 おかげさまで、昨年一年間、やはりプレジャーボートの海難船舶は引き続きございますけれども、十三年の千三十一隻に比べますと昨年は八百六十七隻とやや減少したということで、引き続き努力をしていきたい、かように思っております。
大谷委員 ぜひともよろしくお願いします。
 また、東京湾のふくそう海域などでの具体的な取り組みなども聞きたかったんですが、時間がなくなりましたので、最後に、去年の暮れに、私、舞鶴の方に行って海上保安庁の施設を、私の地域の大勢の方とで見学させていただいて、テロの取り締まり、新しい船なんかも見せていただきましたが、最後に、ほんの三十秒だけしか時間が残っておらないんですが、日本海近海におけるテロの対策の新しいその後の取り組み状況について、また、方針を聞かせていただけますでしょうか。長官にお願いいたします。
深谷政府参考人 それでは、なるべく簡潔にお答えを申し上げたいと思います。
 テロ、とりわけ、例えば不審船対策につきましては、御案内のとおり、一昨年の十二月にああいった工作船の事件がございまして、私どもといたしましては、法制面、装備面、それから運用面、そういった各方面三位一体の対策が必要だろう、大事だろうというふうに思います。
 法制面につきましては、海上保安庁法を平成十三年の十一月に改正していただきました、そういったこと。あるいは装備面につきましては、十四年度補正、十五年度予算におきまして、防弾化あるいは新しい巡視船艇をも含めまして、整備に当たっております。他方で運用面でございますが、これにつきましては、一昨年の十二月の工作船事件を踏まえまして、私どもといたしましても当庁の対処方法を一層見直すとともに、防衛庁・海上自衛隊との連携が大変大事だろうということで、共同対処マニュアルあるいは共同訓練の実施、こういったことをやっておりますし、また、一般的テロ、特に原子力発電所のような重要施設、こういったことにつきましては、おととしの九・一一以降、とにかく二十四時間警備を、巡視船を張りつけまして警備に当たるというふうなことで万全を期したい、かように考えております。
大谷委員 わきを締めるという言葉がありますが、思い切りやっているんだというようなメッセージを世界じゅうに発信していただきたいというふうに思います。
 ここで大臣に質問をしたかったんですが、残念ながら時間切れになってしまいましたので、次回の委員会でぜひともまた御議論させていただけたらというふうに思っております。
 ありがとうございました。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 では、引き続き質問をさせていただきたいと思います。
 今回のこの法律の改正の理由の中にも、平成九年の一月のナホトカ号の事故を受けての、その後も大規模な事故がほかの国でもございましたけれども、そういうものを一つの反省としながら、今回、その限度額の引き上げということでございます。
 当時、私の地元でナホトカ号の重油が漂着したということもございまして、当時のことを思い起こしますと、よく今のような状態まで回復したなという感じはいたしますけれども、島根県沖だったですね、あそこで一月の二日に沈没して、それで福井県の三国町の沖合に着底したのが一月の七日だったですかね。相当の重油、六千トンぐらいのものが漂流したということでございました。
 その当時、沿岸の皆さん方は大変な御苦労をされまして、しかし、被害は非常に長期間に及び、なおかつ広大に広がっていったわけでございますけれども、重油が漂着した時期は、緊急事態ですから、各市町村、漁業協同組合、いろいろなボランティアの皆さん方が中心となって、全力でそれを回収するなりということでいろいろな対応をされたわけでございます。その後、そういったもろもろのかかった経費を、どういうふうにしてそれを対応するかということでのいろいろな議論が当時もございましたし、我々もいろいろなところへ要望に上がったことを思い起こすわけでございます。
 当時ああいう事故が発生して初めて、こういう油濁補償基金的な制度があるということがわかった点もあるわけでございますけれども、あのナホトカ号の事故の処理が、聞くところによりますと、昨年、その補償関係が一応決着したという報道がございました。そういうふうにお聞きしておりますけれども、最終的にどういう姿で決着したのかというところの概要を御説明願いたいというふうに思います。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 ナホトカ号事故につきましては、国、地方公共団体、漁業者、観光業者等が被害者として、船舶所有者、保険会社等に対しまして被害請求のための裁判を起こしました。平成十四年十月に、補償総額約二百六十一億円で和解に達しました。この合意された金額につきましては、既に支払われているというふうに考えております。
 なお、この二百六十一億円につきましては、国際油濁補償基金から百五十一億円、船舶所有者から百十億円ということで支払われておるところでございます。
一川委員 そのことについてちょっとお尋ねするわけです。
 これは最終的に話がついたということですからお互いに了解済みのことだと思いますけれども、もともとこういうことについて、要望額といいますか請求額といいますか、よくわかりませんけれども、どれだけの要求があって、それに対して最終的に二百六十一億で決着したということですけれども、それは、どういう要望に対してそれだけの額で最終的に決着したということになるんでしょうか。そのあたり、ちょっと御説明願いたいと思います。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 それぞれの方々が損害額ということで請求をするわけでございますが、総額で三百五十億円、細かい数字までちょっと今確認しておりません、三百五十億円程度の請求がされて、これに対していろいろ査定があって二百六十一億円に決着したというふうに理解しております。
一川委員 そういう査定行為が当然入ったんだろうと思いますが、こういう事故は、当然、二度とあってはいけないような事故でございますけれども、しかし、今日、我が国の周辺、タンカーが毎日毎日相当なものが行き来しているんだろうと思いますし、また、いつ何どきどういうことが起こるかもしれないという面では、このナホトカ号の経験、教訓というのは今後の我が国のそういういろいろな制度に生かされていかなければ当然ならないわけでございます。
 国土交通省の大臣は、こういった問題、当時は大臣も私も同じような政党にいたと思いますけれども、ここの理事、今不在ですけれども、民主党の理事の玉置さんが、当時災害対策本部長で現地へ行ったことを思い起こします。大臣は、ナホトカ号のこういった事故というものを一つの教訓にして、今後の大臣のこういうものに対する決意のほども含めて、現段階での所感をお聞かせ願いたい、そのように思います。
扇国務大臣 今、一川議員がおっしゃいましたように、私もあの当時大変、みんなマスクをしてひしゃくのようなもので行ったり、海岸でいろいろなものを集めたりという、本当にこれしか方法がないのかなと思えるような旧式なといいますか、もっと効率のいいことがないんだろうかと思いながら対処したのを記憶しております。また、一川議員もそのことを思われたんだと思いますけれども、あの後、反省材料といたしまして、少なくともあれは裁判に入るということで、裁判に入りましたら船主の責任制限の有無という争いが起こりまして、船主というのは外国なものですから大変裁判が長期になるということで、これではとても耐えられないということで、速やかな補償を実施するという観点で和解になったというのが現実でございます。
 ですから、今、一川議員がおっしゃいましたように、局長から言いましたけれども、国として十八億八千七百万円、海上災害防止センターが百二十四億五千万円、漁業者が十七億六千九百万円、観光業者が十三億四千四百万円、地方自治体が五十六億三千八百万円、船主が七億七千四百万円、その他で二十二億六千五百万、合計で補償総額二百六十一億という割合になったわけです。
 少なくとも私は、平成九年一月、ナホトカ号というのが、我々の予想に反しまして、先ほど一川議員がおっしゃいましたように、約六千二百キロリットルの重油を流出させたということで問題が起こりまして、この被害というのは、日本の一府八県に深刻な被害を及ぼした。
 そのために、我々は今後どうしようということで、国におきましても、大規模な油の流出事故というものを教訓として、国土交通省でもあらゆる面で対応しようということで、一つには、タンカーの海難事故の防止対策として、タンカーの船体の二重層、先ほどからも議論になっておりますダブルハル化、船体の底を二重にして油の流出を防ごうというダブルハル化をするということ。それから、外国船舶の監督の強化のために外国船舶の監督官を増員しましょうということで、これは後で海上保安庁長官に聞いていただくとわかりますけれども、今の海上保安庁の職員で日本の海岸全部を監視しようというと、今の職員では一人三キロ監視しなきゃいけないということになりまして、海岸を見張るだけでも一人で三キロ見張っていないとこれは防止できないということで、これはもう海上保安庁長官に後で細かいことを聞いていただいたらわかりますけれども、そのような中でもできる限りの増員をしようということが二つ目でございます。また、事故処理の対策というものを強化しようということにおきまして、私たちは、大規模な油の流出、タンカーの事故にも対応できる大型のしゅんせつ船、また油回収船というのを建造しまして配備しました。最近では、平成十四年度に大型しゅんせつ船の油回収船の白山、これは私も進水に立ち会いましたし、これを新潟に配置いたしまして、私も新潟へ行ってこの白山の配置を見てまいりました。
 また、先週の土曜日、海上保安庁の海の練習を公開いたしまして、今田議員にもこの観閲式に来ていただきましたけれども、この油回収の、しゅんせつというものを海上で実演で多くの皆さん方に見ていただいたというようなことも実行いたしております。
 油を拡散させるというような薬剤、これも先週の土曜日、海に色をつけて、食紅をつけまして、赤や黄色の色をつけて回収するというものを、防除する資材を、これも全国に配付しているということで、あらゆる点で私たちは、この教訓を踏まえながら、関係省庁と連携をしながら、タンカーの海難事故の防止というもの、事故対策、処理体制というものを強化することに今懸命になり、なおかつ、いつもよりも予算をいただいて、いささかの準備態勢というものができているというのが現状でございます。
一川委員 今大臣からもちょっと触れられましたけれども、海上保安庁のサイドでもって、ナホトカ号の事故の経験を踏まえて、今具体的に対策としてどういうことがなされているのかというポイントのところを御説明していただけますか。
深谷政府参考人 それでは御説明を申し上げます。
 先生御指摘のナホトカ号という大変悲惨な事故があったわけでございまして、これを踏まえまして、私どももいろいろな措置をその後とりました。
 簡単に御説明申し上げますと、平成七年に既に、油によって汚染が出たような場合の対応につきましての我が国全体のことにつきまして、閣議決定で、国家的緊急時計画というのが実はできておったわけでございます。今申し上げましたように、平成九年ナホトカ号事故、その後、ダイヤモンドグレース事故、こういったものもございました。こういったことの経験を踏まえまして、この緊急時計画を見直しをいたしました。
 その結果、例えば、各関係機関の役割分担をきちっとする、あるいは防除資機材の情報を各機関、全国一元化するなどの見直しを行う一方で、また、こうした事故を踏まえまして、法律制度面でもやや足らざるところがあったという反省をいたしまして、平成十年でございますけれども、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律の一部改正を行いました。
 海上保安庁長官が、一たん事があった場合に、関係行政機関の長などへその防除措置の実施を要請することができるような仕組みでございますとか、あるいはナホトカ号の事故の際に、現にそうであったわけでございますが、領海外で外国船舶から油が流出したようなケース、こういったケースにつきましても、海上保安庁長官が海上災害防止センターに直接指示ができるような法制度の仕組み、こういった手当てをさせていただいたところでございます。
 他方では、実際面の話としましては、外洋においても十分対応可能な大型油回収装置でございますとか、あるいは防除資機材の整備を図る等々、万全の体制をとるべく努力を続けてきているところでございます。
一川委員 当時も、こういった事故に初めて遭遇したということもございまして、補償交渉の窓口を一本化してほしい等のいろいろな要望がございましたし、また、各市町村、各県、いろいろな団体等で応急的に対応した、オイルフェンスの問題とかドラム缶の問題だとか、そういった、油を回収して、それをまたどこかへ運搬して処理するというようなことについてのいろいろなことがあったわけでございます。
 当時、海上災害防止センターなる組織があるということも私も初めて知ったんですけれども、いろいろなお話を聞く限りでは、相当重要な仕事を受け持つことになるわけでございます。当時、緊急的にすぐそういった組織が対応できたかどうかという面での多少の反省はあるのかもしれませんけれども、この海上災害防止センターなる組織、本来どういう業務をやっている組織で、今現在どういう課題を抱えて取り組んでいるかどうかわかりませんけれども、この海上災害防止センターの役割といいますか、そういうことについてちょっと御説明願いたいと思うんです。
深谷政府参考人 ただいま海上災害防止センターについてのお尋ねがございましたけれども、この海上災害防止センターは、実は昭和五十一年に、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に基づきまして、当時は運輸大臣、現在は国土交通大臣でございますけれども、認可法人として発足をしたものでございまして、海上災害のための措置を実施することを基本とする任務の法人でございます。
 では、具体的にどういうことをするかをかいつまんで申し上げますと、例えば、油が流れる、あるいは船舶の火災が起きる、こういったような災害が起き得るわけですが、そうした場合に、緊急性等がございますれば、海上保安庁長官の指示を受けて、そういった油防除あるいは消火活動、こういうものに当たる。また、船舶所有者が一義的な責任を持ちますけれども、そういった責任を持つ船舶所有者からの委託を受けて同様な業務を実施する。こういうのが一つの大きな柱でございます。
 他方では、防除資機材、こういったものをみずから持ちまして、備えつけ義務を持っておる船舶所有者にかわってそういうものを備えて、一たん事ある場合にはそれを利用していただく。
 あるいは、いろいろな船舶乗組員の防災訓練、こういったことも実施しておりまして、認可法人として民の力も入って設立された法人でございますので、いわば官民一体となった日本の防災体制の一翼を担っている法人かというふうに思います。
一川委員 そこで、この機会にちょっと、どなたが答弁できるかわかりませんけれども、ナホトカ号の事故で福井県の三国の沖に重油が流れ出したのは全体の三分の一ぐらい、残り三分の二ぐらいはまだ沈んで残っているというふうにお聞きしております。当時も、それをどうやって監視して、もし油が出たらどうするかということは相当心配しておりましたけれども、島根沖に沈んでいる重油というのは、今現状どうなっているんですか、そして、今後それはどういうふうになる見込みなんですか。どなたかわかりませんか。
深谷政府参考人 先生今御指摘の点につきましては、海上保安庁におきましては、必要に応じ鋭意海面の監視活動、こういったことをやって、実際問題があるかどうかということの把握に努めてはおります。
一川委員 この問題というのは、我々素人的に考えておると何か非常に危ないなという感じもいたしますし、専門的な方に言わせると、相当の水圧がかかっているから大丈夫だと言う方もいらっしゃるわけです。しかし、相当のボリュームのものが海の底にあるということでございますので、ぜひ、その監視方なり対策めいたものが必要であれば、しっかりとした対応をしていただきたい、そのように要望しておきたいと思っております。
 それから、先ほど大臣がお話しになった油回収船も、日本海側にも、新潟港にも最近配置になった。それ以前に北九州の方にも配置になったというお話も聞いております。それはそれで、当時のことから考えれば、日本海側に当時一隻もなかったわけでございますので、非常にすばらしいことだというふうに思います。
 今、こういう船、タンカーが、日本海を相当の量が行き来しているというふうに聞いておりますけれども、例えば、お隣の韓国なり中国なり、そういったところでもしこういうような重油の流出事故等が発生した場合に、向こうの、相手国からのいろいろな要請があれば、我が国のこういう油の回収船というのはそちらまで出向いて協力をするということは、船の構造、能力からすれば十分できる構造になっているのかどうかということ。それは外交上の問題もいろいろとありましょうから、向こうの政府からの要請を受けてのこちらの判断が当然必要なわけですけれども、回収船の能力、機能からしてそれは十分対応可能なのかどうか、そのあたりを確認したいと思います。
金澤政府参考人 お答え申し上げます。
 委員御指摘のように、ただいま我が国には三隻の大型しゅんせつ兼油回収船がございまして、いずれの船舶も、船の構造上は外航、外洋航海はもちろんできる構造になっておりますし、それから職員の海技免許の保有状況からいたしましても、いわゆる近海区域につきましてはそのまま航海できる。近海区域と申しますのは、東経九十四度から百七十五度、南緯十一度でございますから、おおむねシンガポール、ジャカルタ、ニューギニア、日付変更線のあたり、ホノルルまではちょっと入りませんが、ですから、韓国、いわゆる日本海については当然その領域でございます。そのあたりまでは、今の海技免許の状況からも航海できる船員が乗り組んでいる、そういう状況でございます。
一川委員 日本は世界的に見てどの程度のレベルにあるかというのは私は十分わかりませんけれども、我が国のことですから、ほかの国に負けない、性能のいい回収船だというふうに思いますので、よその国からそういう要請があった場合でもしっかりと対応できるような能力を当然備えていただきたい、そのように思っております。
 次に、もう一本の法律に関連してのことでございます。
 これも若干質問が重複するかもしれませんが、近年の船舶の装備しているいろいろな機器類が相当進歩してきているのは当然でございますけれども、こういういろいろな機器類が性能がアップしたことによって、従来からのいろいろな規制とか安全対策的なものに対する制度的なものがもう陳腐化して、それを見直すべきじゃないかということがあるのかないのか。それはちょっと私自身もわかりませんけれども、そういうことについて、現状では問題がないんだということで解釈してよろしいのか、そういったところの説明をお願いしたいと思います。
徳留政府参考人 船舶に装備する機器類の規制でございますが、基本的には、海上人命安全条約あるいは海上衝突予防条約等の国際的な約束に基づいて実施されておるところでございます。これは、船舶が、国際航海、一定のところではなくて外国にも頻繁に行き来するということから、こういった国際的な規制が課されているということでございます。
 他方、航海設備の機器類等につきましては、技術革新あるいはIT化の進展等によりまして小型化、高性能化が進んできておるところでございます。私ども国土交通省といたしましても、我が国の先進的な造船、舶用工業の技術力を結集いたしまして、技術革新に対応した設備規制の見直しというものを常に検討しておりまして、そして、その結果を国際海事機関におきまして提案し、国際条約という形で反映をしてきておるところでございます。
 例えば、近年では、従来、船舶の通信はモールス通信という通信システムでございましたが、衛星通信技術あるいはデジタル通信技術を用いることによりまして、新しい世界的な遭難及び安全の救難システムというものを構築いたしまして、こういったものの機器の導入を図っております。
 またさらに、いろいろな航海設備の機器類についての見直しも行っておりまして、最近におきましては、衛星航法装置の設置をする一方で、他方、従来、例えば天文航法という形でいろいろな設備、機器類を要求しておりましたが、こういったものは廃止するというようなこと等もございます。
 そのほか、最近の技術ということでいえば、AISの導入、これは船舶自動識別装置といったような、船が自船の位置をお互いに知らせ合う、こういう機器の導入といったことで、新しい技術を導入して安全性の確保に努める。他方で、不要となった規制につきましては廃止していくということで、随時見直しを行っているところでございます。
一川委員 では最後に、最近、プレジャーボート、それから、いろいろなレジャー的なものを含めたそういう小型船舶が大変沿岸部を行き来する状況になってまいりました。海上交通量が相当増加している傾向にあるというふうに思います。一方では、マリンスポーツ的なものが沿岸部でいろいろと楽しまれているという時代でもございますし、また、漁船も当然ながら行き来するわけでございます。
 そういう中で、海難事故等が発生しないような対策、そういったことは当然いろいろな面で検討されて、また実行されているんだろうと思いますが、そういう実態なり、それから、万一事故が発生した場合の処理の仕方としてのいろいろな保険制度、そういったようなことも、これは水産関係の漁船の場合にちょっと話題になったときもございましたけれども、そういうことについて、今現在とられている海難事故防止に向けての対策等につきましての状況、これからの取り組み方針等について御説明をお願いしたい、そのように思います。
吉村副大臣 先ほど大谷委員の御質問にも海上保安庁長官の方からお答えしまして、若干重複するか、このように思っておりますが、何はともあれ、プレジャーボート、いわゆる楽しみのためのボート、レジャーボートでございまして、何といいましても、愛好者が安全意識を持つということが大事だ、このように思っております。
 そういう中で、先ほどもお答え申しましたが、愛好者みずからが安全意識を高めるということで、海難防止講習会の開催、小型船安全協会等の民間団体の育成、海上安全指導員また安全パトロール艇等、ボランティア活動への協力、連携の推進等の安全対策を講じるとともに、毎年七月後半の十六日間にわたりまして、全国海難防止強化運動等を強力に実施しておるところでございます。
 また、事故が起きてはならないんですが、事故が起きた場合のことをかんがみまして、救命胴衣の着用、携帯電話等の連絡手段の確保、一一八番の有効活用等を、今安全キャンペーンということで進めておる次第でございます。
 また、あわせて、御質問がございました保険でございますが、今プレジャーボートの保有隻数が約四十七万、このように言われております。しかしながら、損保の中で、車、バイク、家屋等々に比べますと圧倒的に数が少ないという現状でございまして、保険加入者がそれの約一割、このように言われております。
 これは、保険会社も、対象が非常に小さいものですから研究不足というところもあるんじゃないかと思いますが、しかし、役所としましては、万一の事故のときの備えのためにも、保険会社にもいい商品を開発するように働きかけをしておる次第でございまして、業界団体の協力を得て、免許の取得時また更新時にも保険に加入するというようなことのPRも大いに業界自体も進めてもらいたいという働きかけを現在しておるところでございます。
 以上でございます。
一川委員 ありがとうございました。
 終わります。
河合委員長 大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 私ども、今回の海上衝突予防法改正案あるいは油濁損害賠償保障法の改正案、いずれも賛成の立場をとるものでありますけれども、きょうは、関連して、海難事故の問題で幾つか質問をさせていただきます。
 これまでの質疑の中でもありましたように、過去三年ぐらいの全国の海難事故の状況を見ますと、漁船、プレジャーボートなどの件数が引き続きかなり高い。一方で、件数は低いけれども、タンカー、貨物船等の事故もこの二、三年では増加傾向にあるというのが全国的な海難事故の特徴ではないかと思います。同時に、こういう海難事故が全国的に多発する水域、危険水域、こういうのもいろいろ指摘をされております。私の住む横浜、神奈川県と千葉県に挟まれた浦賀水道航路、中ノ瀬航路もその一つであります。
 浦賀沖に、あのペリー提督、黒船が来航して、ことしでちょうど百五十年になるわけでありますけれども、黒船ならぬ巨大船あるいは危険物積載船、さらには、きょう油濁の問題もありますので、タンカー等のこの二つの航路の通航の状況をまずお聞きしたいと思います。
深谷政府参考人 御説明を申し上げます。
 浦賀水道航路、中ノ瀬航路についてのお尋ねがございましたけれども、直近の一年間、昨年でございますけれども、平成十四年の浦賀水道航路におきましては、海上交通安全法、それから、現地を管轄しております第三管区海上保安本部長が一定の指導をやらせていただいておりますが、そういったことに基づく通報制度がございます。これによりますと、隻数、浦賀水道につきましては二万七千二百六十三隻、年間で、それから中ノ瀬航路につきましては八千九百三十五隻ということになってございます。
大森委員 数千隻から二万数千隻の大変な通航状況でありますけれども、そういう通報する義務のある以外の船舶を含めると、これは海上保安庁の統計でも、大体一日平均、過去には九百隻以上というような年もあったようでありますけれども、最近は六百隻から八百隻近い船が、一日の間に、わずか七百メートルという狭い航路を通る大変危険な水域、航路となっているわけであります。しかも、通る船というのは、お話があったように、巨大船、三十万トンのタンカーあるいは天然ガスを積む船でも十五万トン、鉄鋼関係の船とかコンテナ船、そして自動車運搬船等々に加えて、五百トン級の内航船、タンカー、貨物船等々で、本当に大変な船の通航だと思います。
 過去にもいろいろ事故等もありましたし、これは世界的にも最も船舶のふくそうする地域と言われて、海運関係の皆さんの間では、危険なところというような点では大変有名な箇所であると思うわけなんですが、その点で、まず大臣のこの航路、この水域に関する認識と、また、そういう面で、特にこの間、取り組まれてきた対策等について、御意見、お聞かせいただけたらと思います。
扇国務大臣 きょうも先ほどから御論議いただいておりますように、また、大森議員は一定の区間をおっしゃいましたけれども、四面を海に囲まれております日本でございますから、そういう意味では資源の大半を海外から輸入しているという日本の現状から考えますと、私たちは海上輸送に大きく依存している。なおかつ、特に今おっしゃった東京湾、あらゆる面で首都圏への輸送等、大動脈となっておりますので、浦賀水道航路におきましても、今言いましたように年間約八千七百隻の巨大船、これが行き交っているということだけでも大変な交通量であり、ふくそうの中での御苦労というものも多々あろうと思います。
 そういう意味でも、大規模な海難事故の発生というものは、我々国民の生活とか、あるいはあらゆる経済活動に大きな影響をもたらすというのは当然のことでございますので、我々は、安全を確保する必要があるという意味では大変重要なことであると認識もいたしております。
 そのために、海上保安庁、先ほど長官も言いましたけれども、海上交通安全法というものに基づきまして、東京湾において、航路の設定とかあるいは速力の制限、そういうものの特別の交通ルールというものを決めております。一つには巡視船艇の常時の配置、そして二つ目には海上交通センター、先ほども御説明申し上げておりましたけれども、それによります巨大船等に関する航行管制とか、あるいは海上交通に関します情報提供などの実施、これがやはり大事だと思っております。三つ目には、航路等を明示する灯浮標、いわゆるブイが浮いていますけれども、それらの航行の標識の整備というものが一番大事である。
 私も行きまして、船で、私は大きい方が遠慮するんだと思ったら、ちゃんと対面交通で右左もきちんと標識ができているということも見てまいりまして、そういう意味では、今後とも、今おっしゃいましたような交通の安全性と、なおかつ大規模な海難の防止、あらゆる面での航行船舶に対する、ふくそうする東京湾における航行の安全の確保に努めてまいらなければならないと思った次第でございます。
大森委員 私も先日、東京湾海上交通センター、今お話にもありましたが、東京マーチス、視察をしてまいりました。大変な御努力をされているということをよく実感してきたわけでございます。
 また、一定の、今大臣からも答弁があったような対策がとられているわけなんですが、最近、私の方にEメールをいただいた水先人の方が述べておられましたけれども、ともかく、事故の件数には上がらないけれども、ニアミスとか大変危険な思いを日常茶飯事のようにやっている、そのことは本当に筆舌しがたいというようなことをその中で述べておられました。
 こういう海上衝突関係の法案が審議される際に、特に横須賀、浦賀沖ではこの間重大事故が何度か起こり、そしてその都度、法律の改正やら制度の強化が行われてまいりました。それがその後どうなっているかということをこういう機会に改めて検証するということも大変意義があることではないかと思います。
 そこで、最初に、一九七四年、昭和四十九年、LPGタンカーの第拾雄洋丸の衝突事故、これはガソリンよりも揮発性の高いナフサを積んでいたということで大変な事故になり、三十三人の方が亡くなられる大事故となったわけですが、このときは、この事故をきっかけに水先人の制度を強化しよう、こういうことが国会でも議論になりました。
 制度の強化、きょうは時間の関係で、現状がどうなっているか、あるいは対象船舶に見合う水先人の体制があるだろうかという、検証したい点はいろいろあるわけですけれども、その一つ、先ほど申し上げた水先人の方もおっしゃっておられましたが、水先人をめぐる規制緩和、このところどんどん進んできている。
 そういう中で、とりわけ水先人免除というような動きも出ているやに聞いているというお話もありました。こういう大事故をきっかけに強化されてきた水先人の制度が、時間がたって、のど元過ぎれば熱さ忘れるではありませんけれども、そういう初心、所期のそういう水先人強化の原点を失ってこういう点を緩和していく、ましてや免除するようなことがあっては、また大事故がいつ起こるとも限らないと思うわけでありますけれども、この点、今後の水先人の体制、これらを強化していくという見地から、まず御答弁をお願いしたいと思います。
徳留政府参考人 お答え申し上げます。
 水先人の状況等についてまず御説明申し上げます。
 水先制度は、まさに船舶交通の安全の確保と運航能率の向上のために国際的に実施されている制度でございまして、我が国におきましては、特に交通の難所とされる港あるいは水域十カ所におきまして、免許を受けた水先人が乗船するということを義務づけておるところでございます。
 現在、強制水先の対象となる水先区におきまして約六百名の水先人の方がおられまして、年間十五万隻の船舶の水先を行っておられます。
 また、強制水先対象船舶の条件ということでございますが、例えば東京湾関係について申し上げますと、横須賀港内におきましては三百トン以上の船舶、横浜、川崎港内におきましては原則として三千トン以上、その他の水域については一万トン以上の船舶について水先人を乗せなければならない、こういうことになっておるところでございます。
 今後の水先のあり方ということでございますが、私ども、船舶の交通の安全あるいは運航の向上ということから、水先制度というものは非常に重要な役割を果たしているということは認識しております。ただ、港内の状況、新しい施設の状況、船舶の運航の状況、あるいは新しい装備等の状況等を踏まえて今後の水先のあり方については考えていきたいというふうに思っているところでございます。
大森委員 事故等を考えて、安易な規制緩和はやはりやってはならないということを申し上げておきたいと思います。
 二番目に、一九九七年、平成九年、ダイヤモンドグレース号、これは私も現地の調査に参りましたけれども、横浜本牧沖合で底触して破口し、原油が流れ出した事故であります。これも当初推定された流出原油よりかなり実際には少なかったわけでありますけれども、それでも、最大南北十五キロ、東西十八キロに流出した原油が拡散するという事故でありました。
 この油の回収の問題では、先ほど来議論もありまして、ナホトカ号の関係で、大型船の三隻体制、全国二十四時間以内に大体出動できるという体制ができたことは、これは前進だと思います。清龍丸が引き続き老朽船のままであるという点が、これは今後改善の努力をぜひしていただきたいと思うんですが、大型船だけじゃなくて、国交省の方では、いわば地域密着型の、油やごみを回収する海洋環境整備船というのがあるわけですね。これは今全国に十隻配備されておりますけれども、ところが、その全体がやはり老朽化、あるいは体制の不備、不十分さが指摘をされるようになっております。
 例えば経過年数でいいますと、十隻のうち六隻が二十年以上、最高二十六年となっておりますので、老朽化が進んでおります。しかも、乗組員の半分以上が非常勤職員の船が、やはり十隻のうち六隻にもなっている。神戸港湾に配備されております紀淡丸などに至っては、法定免許が必要な部署まで非常勤の人を乗せているということなわけですね。これは、安全の確保、それを継続的に進めるという点で大変問題があるのではないかと思います。
 そういう中で、地方議会からも、こうした海洋環境整備船の体制強化等を求める意見書なども出されているところでございます。これは和歌山県の白浜町でありますけれども、海洋環境整備事業の充実を求める意見書、こんなものも出されております。改めて、こうした海洋環境整備という点で全面的に改善をすべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。
金澤政府参考人 お答えを申し上げます。
 老朽化しております環境整備船あるいは乗組員に関する対応についての御質問でございます。
 環境整備船につきましては、全国で、先ほど先生御指摘のとおり十隻が、東京湾、伊勢湾あるいは大阪湾を含む瀬戸内海で活動しております。建造後かなりの年数を経過している船舶も御指摘のとおりございますが、これらにつきましては適切な維持補修を実施しておりますし、また、所要の機能に支障のないよう努めております。今後とも維持補修に万全を期しますが、必要に応じ、その更新も行ってまいりたいと思っております。
 また、環境整備船の乗組員につきましては、海技免状を必要とする乗組員とそうでない乗組員とございますが、海技免状を必要とする、いわゆる法定職員ということでございますが、それにつきましては、船舶職員法に定めております乗組員の基準に従いまして、運航に必要な人員を乗船させているところでございます。
 乗組員などが退職いたしまして欠員が生じてくる場合がございますが、その場合に、国家公務員の定員をめぐる環境というのは昨今非常に厳しいものがございまして、その必要な人員をすべて正職員で確保することが困難な状況にございます。御指摘のとおり、紀淡丸は非常勤職員が一名乗っております。そのため、非常勤職員を採用するなどして適切な職務体制の確保に努めているところでございますが、今後とも、この事業というのは重要でございますので、その職務の執行が十分図られますように、私ども、あらゆる検討をいたしまして、その職務執行が充実しますように取り組んでまいる所存をしております。
大森委員 非常勤の比率が全体でも六六・七%ということになっているわけで、これをできるだけ改善すると同時に、法定職員、海洋国日本の国交省が、当の国交省が船舶の法定職員をきちんと満たしていないというのはやはり問題だと思いますので、この点だけでも少なくとも緊急に充足させるということをぜひお約束いただきたいと思います。
 三つ目に、同じく東京湾口で起きた事件、なだしお号事件がございます。これは一九八八年、昭和六十三年、自衛隊の潜水艦と釣り船の衝突事件でありますけれども、大変衝撃的でありました。私も当時、わずか八トンの笹舟に乗って現地の調査に行って、もう大変なずぶぬれになった記憶をしておりますけれども、このなだしお号事件の関係で、いろいろその後対策等をとられてまいりました。
 最初に、自衛隊艦船による海難事故、このなだしお号事件以降、どういうぐあいになっているでしょうか。これが一点目ですね。それから、あわせてもう一つは、自衛隊が、海上衝突防止のために、東京湾海上交通センターの管制との連絡体制、これは当然何らかの改善といいますか、とられたと思いますけれども、その二点、お聞きをしたいと思います。
深谷政府参考人 御説明を申し上げます。
 先生今御指摘の潜水艦「なだしお」の海難事故がございましたのは、昭和六十三年の七月二十三日でございました。それ以後、お尋ねの海上自衛隊艦船の関係する海難につきましては若干数ございまして、東京湾におきまして、当庁が把握しているところによりますれば、平成六年に二件、それから平成九年に一件、こういう海難事故がございました。
 また、先生今お尋ねの「なだしお」の海難事故を踏まえて、当庁の海上交通センターとの関係というのは改善されたのかという御趣旨だろうと思いますが、「なだしお」の海難事故が起きましたその直後、政府全体の取り組みといたしまして、総理府に第一富士丸事故対策本部というのが実はできましたが、そこでいろいろな対策が取りまとめられました。
 その一つとして、船舶航行の安全に関する対策要綱の中で、海上自衛隊艦船、これが東京湾内を航行する際には、先生にも御視察いただいた東京湾海上交通センターとの情報交換、これがとても大事だということで、その緊密化を図ることになりました。海上自衛隊艦船からのセンターへの通報というのは、今日でも着実に行われておるというところでございます。
大森委員 通報が海上交通センターにもされるようになったということでありますけれども、では、自衛隊艦船の浦賀水道の通報は、この十年間、大体どういうような回数で行われてきたのでしょうか。
深谷政府参考人 今お尋ねの海上自衛隊艦船の通報の実態でございますけれども、一番直近の昨年は、一年間で二千二十三隻の通報がございました。
 では、最近十カ年の動向はどうだ、状況はどうだ、こういうお尋ねでございますけれども、海上自衛隊の艦船については、数としましてはやや減少ぎみという状況でございます。先ほど、昨年が二千二十三隻と申し上げました。ちなみに、平成十三年でございますと二千二百八十隻、全体的には、今申し上げたような傾向でございます。
大森委員 通報回数が、過去、この十年間では三千二百五十一回が最高で、減ってきてもまだ二千回の通報がされているということでありますが、あそこには、海上自衛隊の横須賀基地と同時に、米軍の横須賀基地もございます。米軍の艦船の東京湾海上交通センターへの通報の回数、自衛隊の方は、今減少して二千二十三回というお話がありました。米軍の艦船の通報は、この十年間の状況はどうでしょうか。
深谷政府参考人 同様の点につきまして米軍艦船の関係についてのお尋ねでございますので、申し上げますと、昨年、平成十四年、隻数にいたしまして百三隻でございました。
 それでは最近の傾向はどうだということでございますが、この十年間、大ざっぱに申し上げますとほぼ横ばい状況、もちろん、年によって若干ふえたり減ったりしてございます。この十年間をならして見ればほぼ横ばい状態かなというふうに認識しております。
大森委員 横須賀を母港にしている米艦船だけでも十一隻ある。しかも、母港にしている艦船以外も常時出入りしている。原子力潜水艦にしても、この間、恐らく、寄港日数でいえば数千日、寄港回数も数百回になっていると思いますが、自衛隊の艦船が二千回を超える通報なのに対して、米海軍については百回程度という数字ですね。どうして米軍の方がこのように少ないんですか。
深谷政府参考人 少ない点につきましては、まさに実績がそうだということなのでございますけれども、私どもといたしましては、米軍につきましても我が国の法令の海上交通安全法等を遵守していただくことになっておりますので、それが実績だというふうに認識しております。
大森委員 海上交通安全法を遵守するというのは、海上交通安全法のどういう条項のどういう部分を遵守されているんでしょうか。
深谷政府参考人 海上交通安全法に基づきまして、一定の船舶につきましては通報義務がございますので、それに遵守した通報が行われているというふうに認識しております。
大森委員 一定の船舶というのはどういう船舶ですか。
深谷政府参考人 例えば、巨大船、危険物積載船、あるいは曳航するような場合は大変長くなりますので、そういったものが海上交通安全法上は通報義務がございます。
 例えば二百メートルを超えるようなものにつきましては、これは巨大船として海上交通安全法に基づきまして通報をいただく、こういう仕組みがございます。
大森委員 そうしますと、原子力潜水艦は二百メートルのこれに該当するんですか。浦賀水道を通過する際に、原子力潜水艦は通報しているでしょうか。
深谷政府参考人 今申し上げましたように、巨大船に該当する場合は通報をいただいているということでございます。
大森委員 原子力潜水艦の場合は通報しているかどうかわかりませんか。
深谷政府参考人 先生お尋ねの原子力潜水艦につきましては、私どもがお願いしております仕組みの中では、一万トン以下と思いますので通報の対象にはならない、こういうふうに御理解いただきたいと思います。
大森委員 航行安全指導集録というのがあります。これは海上保安庁交通部安全課が出したもので、海上交通安全法二十二条に基づいて指導する基準、いわば指導基準ですね、これがその指導基準であります。位置通報等を行うべき船舶として、その一つが、今おっしゃったような巨大船等、巨大船あるいは一万トン以上等々ですが、もう一つ、これは通報すべき船舶が定められているわけです。それは何かといえば、総トン数が百トン以上であって、最大搭載人員が三十人以上の船舶、こういうぐあいになるわけですね。
 巨大船あるいは総トン数一万トン以上の船舶に仮に原潜が該当しなくても、この二番目の基準には当然該当をする。国内法令という場合はこの指導基準全体を含めて国内法令でありますから、当然原潜もこれに従って通報すべきものではないんですか。
深谷政府参考人 御説明申し上げます。
 今先生御指摘のとおり、海上交通安全法という法律に基づいての通報義務を負うものと、それから、この場でも御説明いたしましたけれども、当該地を管轄する第三管区本部長の行政指導ベースのお願い、通報、この二種類ございますが、先ほどのお尋ねの原子力潜水艦につきましては法律上の通報義務には該当しないというふうに御理解いただきたいと思います。
大森委員 それはおかしいですね。国内法令という場合、こうした指導基準等を含めて国内法令というわけですね。実際に自衛隊は、こういう巨大船以外も通報しているんじゃないですか。
深谷政府参考人 御指摘のとおりでございます。
大森委員 時間が参りました。
 自衛隊艦船には適用して米軍の艦船には適用しない、これは大変問題だと思うんですね。横須賀港湾、浦賀水道航路及び中ノ瀬航路、大変危険な水域であって、船舶の航行の安全を守るという点では、自衛隊の艦船であれ米軍の艦船であれ、安全の確保という点では同等にきちんと国内法令を適用すべきじゃないかということを私は言いたいと思うんです。
 時間がもう参りましたので質問を終わりますけれども、大臣、この点で一言御見解を述べていただいて、私の質問を終わりたいと思います。
扇国務大臣 安全性に関しては万全を期すべきだと思いますけれども、外務省等々と私たちは連絡を密にして、より国内の皆さん方の安全性のために、連結をしながら対処しているというのが現状でございます。
大森委員 終わります。
河合委員長 日森文尋君。
日森委員 社民党の日森文尋でございます。
 最初から最後まで、油濁損害賠償保障法についての質問になります。
 今回の改正で損害補償額が五〇%ふえるということでは、一歩も二歩も前進をしたというふうに評価をしていますし、私ども、この法案については賛成をしていきたいと最初に申し上げておきたいと思うんですが、油濁損害賠償保障法の目的であります被害者の保護を図る、こういう観点からいうと、残された課題もまだまだたくさんあるのではないのかという思いがあります。
 被害者を保護するためには、油防除資金をどうするかという問題と一緒に、油濁事故が起こることを前提として必要な油防除体制をどう構築していくのか、このことを車の両輪として考えていかなければならないと思っています。
 最初に、二〇〇〇年四月に、先ほどもお話が出ましたけれども、日本環境災害情報センター設立準備会というところが発行しました「流出油災害から何を学ぶか?」というパンフレットがございますが、この中で、海上災害防止センターの防災部長さんが「ナホトカ号事故への海上災害防止センターの対応」と題する報告の中で、油の防除作業を行うと日々お金が必要で、これは直接作業を行う会社が立てかえる形で行われている。しかし、このお金が数千万、数億円、こうなることが大変多い。しかし一方では、これにどれぐらいお金がかかるかという確定金額は査定の後でないとわからない仕組みになっている。しかも、いつ払えるかということも現段階では確約できないんだ、こういうことになっているようなんです。
 したがって、このナホトカ号のときに、直ちに、緊急に油を除去する作業をしなければいけない、にもかかわらず、こういう説明をしたところ、玄関で怒って、とんでもない、こんなことじゃ仕事ができない、こう言って帰ってしまった会社が何社もあったというお話をされておりました。同時に、現在の国際油濁基金からの支払いを前面に出してのやり方というのは、現代社会、現状に即して言うと、通用しづらい無理な面があるのではないかとまで報告の中でおっしゃっているわけです。
 このナホトカ号の場合は、国がとりあえず九十億円立てかえをして、関係会社に請求額の数十%をセンターが査定したということで仮払いした、これで実施をすることができたというふうに言われているわけです。
 このことが何を示しているかというと、今回の改正によって確かに補償額が増額されるわけですが、しかし、現在のシステムでいうと、現場での混乱、早急に、一日も早く、一時間も一秒でも早く対応しなければいけないというときに、なかなか、はい、わかった、実際には設備も全部あるけれども、金がいつ出るかわからぬ、これではちょっとうちの会社はつき合えないよという話になりかねないということになるんじゃないかと思うんですね。
 それで、実際には、口約束ではない契約を早急に結んでいくようなことであるとか、あるいはお金は、このナホトカのときは九十億円前払いという制度が緊急にとられたのですが、そういう早期支払いのシステムとか、あなたたち、すぐ仕事してもらってもすぐに安心だよ、従業員が路頭に迷うことはないんだよ、直ちに仕事に着手してもらえるんだよ、国がしっかりと保証するんだよ、そういう体制をつくる必要があるのではないか、こんなふうに思っておるのですが、国土交通省のお考えをお聞きしたいと思います。
徳留政府参考人 私、直接の海上災害防止センターの担当ではございませんが、国際油濁補償基金の補償金をできるだけ早く支払っていただく必要があるという見地から一言申し上げたいと思いますが、基金からの補償がなかなか時間がかかったということがございました。
 現在、国際油濁補償基金に対しまして、できるだけ早期に補償額を支払ってくれるようにということで、いろいろな、例えば査定する、評価をする人の数をふやすとか、あるいは請求をしやすいようなマニュアルを整備してもらうというようなことで、まず、こういう制度的な形で改善をするように申し入れをしているところでございます。
日森委員 ナホトカのときのように、国が、最初に、どれぐらいかかるかというのはその規模によるのですけれども、当面立てかえておこうとか、後でちゃんと精算すればいいじゃないか、とりあえずの、基金から来るまで待っているのではなくて、一日も早く、一秒でも早く対応するために、そういう制度みたいなものはお考えになっていくということはないのでしょうか。
深谷政府参考人 ただいま海上災害防止センター、ナホトカ号のケースを引用されましてお話しいただきましたものですから、私の方から若干触れさせていただきますと、御指摘のように、当該事案におきましては、一月二日に事故が発生しているわけでございまして、現実問題としての作業へのお支払い、こういったものの資金繰りの関係で、三月に至りまして政府の方から九十億ばかりの借り入れをセンターが実施してお支払いをした、こういう経緯が先生御指摘のとおりございました。
 このセンター、この十月に独立行政法人に移行いたしますけれども、今後とも、先生御指摘のようなことは大変大事なことだろうというふうに思います。実際の事案に応じまして、迅速な資金手当てができますよう、関係部署と協議しながら迅速な対応を図るべく努力をしたい、かように思います。
日森委員 ぜひ、具体的な対応について検討いただきたいと思います。
 それから二つ目ですが、これはもうニュースでも随分報道されましたが、朝鮮船籍の貨物船が茨城県の日立港の防波堤に乗り上げた、本体が使う油なんでしょうが、これが流出をした。この朝鮮船籍、これは当然、言うまでもなく基金には入っていないわけですね。その船をどうするかという問題がありました。それから、パナマ船籍の自動車運搬船が、これもテレビニュースで随分報道されたのですが、伊豆大島の波浮港沖に乗り上げて、つい最近までどうするかということですったもんだしていました。
 最初の一つ目は、こういう事故について、だれが油濁対策費を負担しているのかということについてが一点と、それから、関連して、日本の近海で起きているこうした事故、幾つもあると思うんですが、さっきも言った朝鮮籍の船の場合はそうなんですが、船主が基金に入っていない、あるいは、ナホトカのときもそうなんですが、実際の被害額が基金による補償限度額を超えてしまう、こういう場合があるわけです。
 その場合、ナホトカの場合も、数字を挙げませんけれども、何度も質問が出ているように、和解をして、実際の額よりも大分少ない額でそれぞれ涙をのんでもらった。先ほどの大臣の答弁にもございました、それぞれが応分に痛みを分かち合って何とかしようということになったんですが、結局、その処理費を自治体やあるいは漁協やさまざまなところが負担をしなければならない、そういうケースがあるわけです。
 これは、先ほど阿久津さんの話にも、阿久津さんでしたか、あったと思うんですが、OPAの話。アメリカでは、基金には入っていないけれども、OPA九〇という独自の制度をつくって、こうした問題についてきちんとカバーができるということになっているというふうに聞いています。また、ヨーロッパでは、この国際条約のほかに、不足する分については自前のルールでカバーをしようという制度もつくられているというふうに聞いています。被害者の側が費用負担まで背負う、これはどう考えても理不尽なことであって、ヨーロッパやアメリカは、被害者が負担をするなんというばかなことはないようにしようということで制度をきちんとつくっているというふうに聞いているんです。
 我が国は、実際、その制度については極めて問題、問題というか、なくて、国際油濁補償基金に参加しているだけだったんですね。ナホトカの問題を挙げるまでもなく、こうした問題がこれからも起きてくる、生じるおそれがあるということになるのではないかと思うんです。
 だから、我が国でも、アメリカのOPAであるとかヨーロッパのルールもそうなんですが、これらを少し勘案しながらといいますか参考にしながら、独自に体制や基金を創設する。これは先ほどのいち早くお金を出して民間の業者も含めて対応してもらうということにも関係すると思うんですが、そういう独自の制度をつくる必要があるのではないかというふうに切実に思っているんですが、この辺についてお考えをお聞きしたいと思います。
鷲頭政府参考人 まず、第一点目のお尋ねに対してのお答えを申し上げたいと思います。
 船舶が座礁した場合の油防除等に要する費用というのは、船主が負担するということがもちろん原則でございます。
 お尋ねの伊豆大島で座礁したファル・ヨーロッパという船でございますが、これにつきましては、船主が加入しております保険によりまして経費が支払われるということであるというふうに聞いております。
 また、茨城県日立港沖の北朝鮮籍のチルソン号につきましては、船主が加入している保険では十分対応できないということで、油防除などにつきましては、茨城県が無責任な船主にかわって実施しているというふうに聞いております。
徳留政府参考人 米国や一部のヨーロッパでは、被害者保護のために独自の制度を有しているではないかという御質問でございますが、これにつきまして御説明申し上げたいと思います。
 まず、米国につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、OPA九〇ということで、油タンカーによる油濁損害に対する補償制度というものを構築しておりまして、これは千二百億円まで賠償するという制度でございます。
 他方、私ども日本は、先ほどから説明しております国際基金に加盟しておりまして、これによりまして、国が被害者になった場合には、改正後には三百二十五億円まで損害賠償が受けられる、こういう制度でございます。
 そして、他方で、EUで、ヨーロッパで一部さらにこの基金に対して上乗せをする制度というものについての検討がエリカ号事故の後起こりまして、独自でヨーロッパでつくろうという話し合いがございましたが、これは最終的には、日本を含め、その他のEU諸国、それからその他の国も含めて、IMOで追加基金をつくろうということについて、つい今月の中ごろでございますが、国際的に合意がされまして、これによりますと、現在の基金の三百二十五億を超えて被害が発生した場合に千二百億まで対応しよう、こういうことになっているところでございまして、この追加基金については、まだ批准ということについては今後の課題でございますが、そういう制度ができておるということでございます。
日森委員 日本も含めて千二百億まで補償できる制度を、新たにこれからつくろうということに今なっているということですか。
徳留政府参考人 条約そのものについては合意ができてということでございまして、後、批准するかどうかということは、これからの課題でございます。
日森委員 ぜひ批准していただきたいと思います。でないと、先ほど朝鮮船籍の話の場合は茨城県が負担しますということになるけれども、負担した茨城県が負担しっ放しで後は何もないということであれば、これはちょっと国との信頼関係、もちろん朝鮮ともできるかもしれませんが、いろいろなところでぎくしゃくした関係になると思うんですね。
 そういう意味では、保険でカバーできなかった分もそうなんですが、それ以外の朝鮮船籍みたいな、保険に入っていない、基金に入っていないところの船籍の船が事故を起こした場合などについても何かきちんとカバーできるような、そういう体制も当然必要ではないかというふうに私の方では思っているので、その辺も全部含めて、新たな制度についてぜひ前向きに御検討いただきたいと思っています。
 次に行きますが、四月の十八日、ことしですが、総務省が海上災害対策に関する行政評価・監視結果に基づく勧告というのを発表いたしました。この中で、地域防災計画、これは各県、市町村つくらなきゃいけないというふうになっているんですが、この中で漂着油対策がない市町村が約半数もあったというふうに言われていますし、それから、流出した油を防除する資材が整備されていない地域、海域もあったと。それから、海上保安庁、今十一ですかね、管区本部があるのは。隣接している海上保安庁本部相互でも資材調達での連携、調整がない、こんなことがこの勧告の中で明らかにされていました。
 いろいろ手は打ってきて、それぞれ対応はされてきていると思いますが、細かい点といいますか肝心なところで見てみると、随分不十分な点が目につくということになっているんじゃないかと思うんです。四月十八日ですから、もう五月、既に一カ月以上経過をしているんですが、一カ月で全部この勧告を改善できるということにはならないと思いますが、具体的にこの勧告に基づいてどのような措置をとっているのか、あるいはとろうとしているのか、これを実施するために今後どのような計画、スケジュールでやろうとされているのかということについて、お聞きをしたいと思います。
深谷政府参考人 先生御指摘の総務省の勧告につきまして、当庁関係の部分につきまして御説明を申し上げたいと思います。
 先生御指摘の勧告におきまして、まさにお触れいただきましたような部分といたしまして、排出油の防除資機材等の調達、輸送方法等について、近隣の管区本部相互間において、事前の連携及び調整を図るよう徹底すること、こういう指摘をいただいておるところでございます。
 当庁におきましては、これまで、管区本部間において、例えばナホトカ号のようなケースもございましたが、そうした油の流出事故につきまして、資機材を搭載した巡視船艇を派遣し合うというふうなこと、あるいは資材の調達、そういったことの輸送、こうしたことの連携につきましては、実態的にはそれなりに円滑に行われてきたというふうには考えてございますけれども、改めて御指摘をいただきましたので、私どもといたしましては、管区本部ときちっと連携、連絡をとりながら、指摘をいただいた点につきましては、さらなる徹底をきちっと図るための方策、こういったことを講じていきたいというふうに思います。
 また、スケジュール的には、こういった点はもう早急にとりたいと思っておりますけれども、他方で、勧告に対しましての対応ということにつきましては、六カ月以内にお答えを総務省の方にもするというふうな一定のルールがあるそうでございまして、それにはきちっと対応していきたいと思います。
石井政府参考人 お答え申し上げます。
 四月十八日の勧告を受けまして、消防庁といたしましては、海岸線を有します三十九の都道府県の規定状況を調べましたところ、六都道府県において、漂着油の除去等の実施につきまして明確な規定がないということが判明いたしました。
 このため、都道府県に対しまして、管内の市町村に勧告内容を周知すること、及び、今後の地域防災計画の見直しに当たっては、必要に応じ、最寄りの海上保安本部等関係機関と連携して、漂着油等への対応を含めた海上災害対策の的確な規定となるように、五月十五日付で通知を出しております。また、あわせまして、その翌日の十六日に、都道府県の消防主管課長会議においてもその徹底を図ったところでございます。
 なお、この勧告におきましては、漂着油の除去を円滑に行うためには、市町村に排出油防除計画の内容を周知することが必要だということも指摘されていることもございますので、消防庁といたしましては、御所管の省に対して、早期に周知をしていただくように要請を行うといったようなことで、関係省庁と連携して、しっかり取り組んでまいりたいと思っております。
 また、勧告にもありましたので、早期に、三十九の都道府県を通じまして、関係市町村における規定状況なり、それから、意見があれば言えというような、そういう勧告もいただいておりますので、そういった点も調査しまして、例えば明確な規定のなかった都道府県であれば、それを、どうしてそうなのかというような理由でありますとか、あるいは、国の防災基本計画において、漂着油等の除去についての責務なり役割分担をもうちょっと明確にしてはどうかという議論もございます。こういった点についての御意見もいただいて、そしてまた、その結果を内閣府等関係省庁と御相談をしてまいりたい、こういうふうに思っております。
日森委員 市町村単独で常日ごろからこれを準備しておくというのは、地域防災計画はつくれるけれども、実際に、その計画に基づいて、迅速に対応するための装備であるとかあるいは資材であるとかいうものを準備するというのは、大変な思いがあると思うんです。そういう意味で、ぜひ、消防庁、というよりはむしろ総務省になると思うんですが、消防庁の方からも全面的な支援、もちろん計画の見直しも含めてなんですが、それをお願いしておきたいと思います。
 次に、先ほど申し上げました報告の中の、「流出油災害から何を学ぶか?」という報告書、この中で、住友海上のリスク総合研究所というところがあるそうなんですが、これも若干処理剤について触れられておりましたけれども、ここの研究者が油処理剤について報告をしております。
 これはナホトカのときなんですが、油流出事故に際して広く使用が許可されている油処理剤が、確かにかつてよりは毒性が軽減されているとはいえ、明らかな生物への毒性が認められている、その一方で、非常に毒性の低い微生物製剤の使用が検討されてこなかったのは行政の怠慢であったと言えないだろうかというふうにおっしゃっているわけです。
 また、僕も耳なれない言葉で、初めて聞いたんですが、バイオレメディエーションと言われるのがあるそうなんですが、微生物製剤販売者が十分なデータもないままに現地に売り込みに入ったということが残念ながらあったと思われるということも同時に報告をされていますが、油処理剤の毒性、それから微生物製剤に関しての知見や研究、当時は非常におくれていたんではないか、十分ではなかったということを指摘されているわけです。
 先ほどもちょっとあって、まだまだ研究は十分ではないという答弁をいただいたような気がするんですが、それから数年たっているわけですから、その後、日本では、我が国ではどの程度研究成果が蓄積をされてきたのか、それから、今後、特にバイオの方なんですが、これの実用の見通しというのは一体どうなのかということについて、お聞かせいただきたいと思います。
岡澤政府参考人 油処理剤につきましては、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律に基づきまして技術上の基準が定められておりますが、御指摘の微生物を利用した油処理につきましては、現在のところ、国際的にも国内的にも明確な基準が定められていないという状況でございます。これは、微生物を利用した油の処理剤を使用した場合に、環境影響、特に生態影響ということでございますけれども、そうしたものが見過ごせないおそれがあるということからでございます。
 国際的に見ましても、まだ基準をつくれるというふうなところまで科学的な知見が集積されているという状況ではないという認識でございますが、微生物を利用した油処理剤の実用化につきましては、今後、国際的な動向も踏まえ、関係機関との調整も図りながら、検討を続けてまいりたいというふうに考えております。
日森委員 特に、処理剤の毒性というのは問題になっているわけですから、早急に、現在のバイオについての研究、もちろんこれは、使い過ぎると生態系に影響を与えるということに当然なるんだと思います。それから、使い方の問題にもいろいろあるようです。ナホトカのときもいろいろ実験的にやってみて、さまざまなデータが得られておるようですけれども、ぜひ、この辺について、研究を積んでいっていただきたいと思います。
 それから、現在、サハリン沖で、天然ガスと石油開発事業、これが行われているというふうに聞いています。この海域と直結をする北海道のオホーツク沿岸の年間の水産業の総水揚げ、これは三千億円と言われているそうです。
 問題なのは、今、この天然ガス、石油の開発事業なんですが、仮にここで広域汚染事故が発生をすると、当然、北海道沿岸も重大な被害を受けるということになるのではないか、そんなことを大変心配しています。
 この事業にはヨーロッパ復興開発銀行というのが出資をしているようなんですが、ここが、近く、戦略的環境アセスメントというのを実施することになっているようです。日本も、我が国も、国際協力銀行がサハリン2というところに融資をしているわけですが、しかし、残念ながら、緊急時対応計画という、これに我が国が、あるいは我が国の関係企業が関与できない、こんな状態があるようなんです。それから、北海道沿岸については緊急時対応計画が十分に策定をされていないということも指摘をされているというふうに聞いているんです。
 そうすると、今は事故がないからいいでしょうということになっているかもしれないけれども、大きな開発事業であって、この事業の是非はともかくにしますが、おそれは必ずあるはずなんです。とすると、この二つの問題について、我が国としても主体的に早急に解決をしていくことが求められているのではないかというふうに私は思います。
 これについて、一般的な話になってしまうかもしれませんが、お答えができる方、財務省ですか、お願いしたいと思います。
渡辺政府参考人 お答え申し上げます。
 国際協力銀行からの融資に関連して、どのような審査等が行えるかということについての御質問でございますが、今議員が御指摘になりましたヨーロッパ復興開発銀行の融資に関連いたしましては、同行において、環境、社会並びに健康に対する影響評価というものを行っておりまして、融資を行うに際して、環境面等の影響について綿密な審査を行うことというふうにされておるわけであります。
 翻りまして、我が国の国際協力銀行の場合でございますけれども、現段階ではまだ融資の申請は来ておりませんが、仮に、今後融資の要請がなされた場合には、本年の十月一日から適用されます新しい環境ガイドラインというものがございますので、これを参照しつつ、適切な配慮がなされているかどうかということを十分に審査していく予定になっております。もしその際、適切な環境社会配慮がなされていないという場合には、融資を行わないというふうに承知しているところであります。
日森委員 時間がなくなりました。まだ聞きたいことがたくさんあるんですが、最後に大臣、済みません、私の友人で大変海釣りが好きな男がおりまして、ぜひ大臣に聞いていただきたいというのがあって、どうも海が汚いと。川はだんだんきれいにしているんだけれども、海の方はどうもなかなか汚いまま放置をされていて、釣りに行っても不愉快な思いをするんだけれども、大臣、海をきれいにするために何か考えていることがありますかということをぜひ聞いてくださいというのがありましたので、一分で結構ですが、お願いしたいと思います。
扇国務大臣 今、日森議員がおっしゃいましたように、川のみならず、海をきれいにというのは当然のことでありますし、また、我々は海から釣ったものを食しているわけですから、そういう意味でも、釣りに行った人あるいは子供たちと、今後、今からちょうど夏、海水浴、あるいはあらゆる季節になりますので、海がきれいであるということが大事なことだと思いますし、土曜日に、私は海上保安庁の観閲式に行きまして、東京湾に船で出ましたけれども、皆さんが、海が少し汚いでしょうと言われまして、これは何ですかと言ったら、もう赤潮ですとおっしゃいました。そういう意味では、海をきれいにするということがいかに大切かということをこの間も見てまいりましたけれども、少なくとも私どもは、陸上からの汚濁物質の流入、これだけは避けなければいけない。
 また、御存じのとおり、国土交通省は四省庁統合いたしましたので、海をきれいにするために、この統合のメリットを生かしていかなければいけないということで、東京湾の再生プロジェクトというものを初めとする海洋環境の保全と再生のための取り組みを進めております。
 一つには、少なくとも下水道の事業に関します海洋への流入を阻止しようということで、汚濁負荷の削減ということで、これは都市・地域整備局下水道部がやっております。
 それから二つ目には、海面に浮遊するごみや油の回収、横浜のいわゆるあの辺も含めまして、海浜の美化ということに取り組もうということで、この活動には、河川局と港湾局と海上保安庁が一緒になって海の美化のために協力しようということでございます。
 そして三つ目には、船舶からの油の流出などによります海洋汚染の防止をしようということで、これは港湾局と海事局と海上保安庁が一緒になってこの事業をしよう。
 また、最後になりますけれども、海底の汚濁のしゅんせつをしようということで、これは新たに、覆砂ということだそうでございますけれども、これは専門的に、私も聞きましたら、新しい砂を入れて悪い砂を出していくというのを覆砂というそうでございます。言葉は何かちょっとよくわからないんですけれども、これをしようということ、それからまた干潟の保全等々、再生しようということで、これは河川局と港湾局が一緒になってやる。
 そういう意味で、あらゆる点で国土交通省としては、周りが海で囲まれて、すばらしい日本の国だという、これはもう観光誘致にも誇れるようなものを我々は再生したいということで、東京湾の再生プロジェクトというものをしておりますので、関係省庁また関係自治体等とも協力しながら、皆さんが日本の海はすばらしいと言ってもらえるように一歩でも近づきたいということで、国土交通省、頑張っていきたいと思いますので、またお知恵もかしていただきたいと思います。
日森委員 安心して海釣りに行くように伝えておきたいと思います。ありがとうございました。
河合委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。
    ―――――――――――――
河合委員長 これより両案について討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。
 まず、油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 次に、海上衝突予防法の一部を改正する法律案について採決いたします。
 本案に賛成の諸君の起立を求めます。
    〔賛成者起立〕
河合委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。
 お諮りいたします。
 ただいま議決いたしました両法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
    〔報告書は附録に掲載〕
     ――――◇―――――
河合委員長 次に、内閣提出、参議院送付、特定都市河川浸水被害対策法案及び密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣扇千景君。
    ―――――――――――――
 特定都市河川浸水被害対策法案
 密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
扇国務大臣 ただいま議題となりました特定都市河川浸水被害対策法案及び密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。
 まず、特定都市河川浸水被害対策法案について申し上げます。
 近年、都市部の河川流域においては浸水被害が頻発しており、また、集中豪雨の頻発により浸水被害の危険性が増大しているにもかかわらず、通常の河川改修による浸水被害の防止が市街化の進展により困難となっているところです。
 このために、この法律案は、特定都市河川及び特定都市河川流域の指定、流域水害対策計画の策定、河川管理者による雨水貯留浸透施設の整備、雨水の浸透を著しく妨げる行為の許可等の措置を講ずることにより、総合的な浸水被害対策を推進しようとするものでございます。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明を申し上げます。
 第一に、国土交通大臣または都道府県知事は、一定の要件に該当する河川及びその流域を特定都市河川及び特定都市河川流域として指定することといたしております。
 第二に、特定都市河川の河川管理者、関係下水道管理者、関係都道府県知事及び関係市町村長は、共同して、浸水被害対策の総合的な推進のための流域水害対策計画を策定することといたしております。
 第三に、特定都市河川の河川管理者は、特定都市河川流域において雨水貯留浸透施設を整備することができるとしております。
 第四に、雨水の浸透を著しく妨げるおそれのある行為をしようとする者は、都道府県知事等の許可を要することとする等により、特定都市河川流域における雨水の流出を抑制することといたしております。
 第五に、浸水被害を防ぐべき目標となる降雨が生じた場合の浸水が想定される区域を都市洪水想定区域または都市浸水想定区域として指定し、円滑かつ迅速な避難を確保するための措置を講ずることといたしております。
 そのほか、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 次に、密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。
 密集市街地は、一たん地震等が発生すれば被害が甚大となるおそれのある市街地であり、特に大火の危険性が高い密集市街地については今後十年間における重点的な整備が必要であるとされております。
 このため、個別での建てかえが進みにくいこと、防災上必要な基盤施設が不十分であること等の密集市街地の特性に的確に対応しながら、その安全性を高めていくことが喫緊の課題となっております。
 この法律案は、こうした状況を踏まえ、防災性能を備えた建築物への建てかえ及び防災上重要な公共施設等の整備を促進することにより、密集市街地の防災機能の向上等を図ろうとするものでございます。
 次に、この法律案の概要につきまして御説明を申し上げます。
 第一に、防災再開発方針を防災街区整備方針に改め、これに新たに防災上重要な公共施設の整備及びその周辺における建築物等の整備に関する計画の概要を定めることとしております。
 第二に、密集市街地内の一定の区域について、建築物に関する防火上の制限、敷地面積の最低限度等を定める特定防災街区整備地区を都市計画において創設することといたしております。
 第三に、特定防災街区整備地区内等において、柔軟な権利変換手法により防災性能を備えた建築物及び公共施設の整備を行う防災街区整備事業を創設することとしております。
 第四に、都市施設として整備すべき防災上重要な公共施設について、施行予定者を定める等、その確実な整備を進めるための特別の措置を講ずることとしております。
 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うことといたしております。
 以上が、特定都市河川浸水被害対策法案及び密集市街地における防災街区の整備の促進に関する法律等の一部を改正する法律案を提案する理由でございます。
 これらの法律案が速やかに成立いたしますように、御審議のほどよろしくお願い申し上げます。
 ありがとうございました。
河合委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。
 次回は、明二十八日水曜日午前九時理事会、午前九時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後四時十二分散会


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