衆議院

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第26号 平成15年5月28日(水曜日)

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平成十五年五月二十八日(水曜日)
    午前九時十分開議
 出席委員
   委員長 河合 正智君
   理事 栗原 博久君 理事 菅  義偉君
  理事 田野瀬良太郎君 理事 橘 康太郎君
   理事 今田 保典君 理事 玉置 一弥君
   理事 赤羽 一嘉君 理事 一川 保夫君
      岩崎 忠夫君    倉田 雅年君
      小西  理君    実川 幸夫君
      砂田 圭佑君    田村 憲久君
      高木  毅君    谷田 武彦君
      中本 太衛君    西田  司君
      西野あきら君    林  幹雄君
      福井  照君    堀之内久男君
      松宮  勲君    松本 和那君
      森田  一君    阿久津幸彦君
      岩國 哲人君    大谷 信盛君
      川内 博史君    佐藤謙一郎君
      津川 祥吾君    永井 英慈君
      伴野  豊君    高木 陽介君
      土田 龍司君    大森  猛君
      瀬古由起子君    原  陽子君
      日森 文尋君    後藤 茂之君
    …………………………………
   国土交通大臣       扇  千景君
   国土交通副大臣      中馬 弘毅君
   国土交通大臣政務官    高木 陽介君
   政府参考人
   (警察庁交通局長)    属  憲夫君
   政府参考人
   (農林水産省農村振興局整
   備部長)         中條 康朗君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房長) 安富 正文君
   政府参考人
   (国土交通省大臣官房官庁
   営繕部長)        春田 浩司君
   政府参考人
   (国土交通省総合政策局長
   )            三沢  真君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局長)         澤井 英一君
   政府参考人
   (国土交通省都市・地域整
   備局下水道部長)     曽小川久貴君
   政府参考人
   (国土交通省河川局長)  鈴木藤一郎君
   政府参考人
   (国土交通省道路局長)  佐藤 信秋君
   政府参考人
   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君
   政府参考人
   (国土交通省鉄道局長)  石川 裕己君
   政府参考人
   (国土交通省航空局長)  洞   駿君
   政府参考人
   (国土交通省政策統括官) 河崎 広二君
   政府参考人
   (気象庁長官)      北出 武夫君
   参考人
   (日本道路公団総裁)   藤井 治芳君
   国土交通委員会専門員   福田 秀文君
    ―――――――――――――
委員の異動
五月二十八日
 辞任         補欠選任
  菱田 嘉明君     小西  理君
  松野 博一君     田村 憲久君
同日
 辞任         補欠選任
  小西  理君     菱田 嘉明君
  田村 憲久君     松野 博一君
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 参考人出頭要求に関する件
 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――
河合委員長 これより会議を開きます。
 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。
 この際、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長安富正文君、大臣官房官庁営繕部長春田浩司君、総合政策局長三沢真君、都市・地域整備局長澤井英一君、都市・地域整備局下水道部長曽小川久貴君、河川局長鈴木藤一郎君、道路局長佐藤信秋君、住宅局長松野仁君、鉄道局長石川裕己君、航空局長洞駿君、政策統括官河崎広二君、気象庁長官北出武夫君、警察庁交通局長属憲夫君及び農林水産省農村振興局整備部長中條康朗君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
 引き続き、お諮りいたします。
 本件調査のため、本日、参考人として日本道路公団総裁藤井治芳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
河合委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
河合委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。津川祥吾君。
津川委員 おはようございます。民主党の津川祥吾でございます。
 久しぶりに一般質疑という貴重なお時間をいただきまして、本当にありがとうございます。当委員会もいろいろと重要法案がメジロ押しだったものですから、なかなか一般質疑の時間がなかったわけでありますが、その間に、国土交通行政にかかわる部分でもいろいろな事件といいましょうか報道もございまして、それに関する確認というんでしょうか、そういったこともちょっとさせていただきながら進めてまいりたいと思います。
 昨日通告した順番と若干違いますが、まず最初に、気象庁さんに来ていただいているかと思うんですが、そちらの方からまず質問をさせていただきます。
 気象衛星の「ひまわり」の件でありますが、この気象衛星「ひまわり」が今度次のものにかわるまでの間、アメリカの衛星をお借りするというような形で、ゴーズ九号というんでしょうか、パシフィックゴーズという愛称だそうでありますが、これをお借りして使い始めた。使い始めた途端に、運用上のという話でありますが、ふぐあいが生じたということがございます。
 これが日本を含めこの地域の気象観測体制にどういった影響があるのか、これで信頼性というものは十分足りるのか、あるいは、これまでの経緯と今後の予定、どういった形になっているのか、ちょっと御確認をさせていただきたいと思います。
北出政府参考人 お答えいたします。
 パシフィックゴーズ、ゴーズ九号でございますが、米国の気象衛星の予備衛星として待機しておりました衛星でございます。今回のバックアップに際しまして、事前に米国海洋大気庁は、米国航空宇宙局あるいは米国の大学の協力を得まして、ゴーズ九号の機能、性能の評価を行っておりまして、ゴーズ九号は、十分な期間、運用可能という公式の見解を受けております。
 また、気象庁におきましても、庁内に技術評価委員会を設けまして、ゴーズ九号の機能及び地上施設の改修につきまして詳細な評価を行いまして、十分運用可能だというふうに考えております。
 実際のところでございますが、五月二十二日の十五時に運用を開始いたしましたゴーズ九号は、翌日二十三日の九時から十一時にかけまして、アラスカの地上施設から衛星への指令に障害が発生いたしまして、このために画像が得られませんでした。また、その後、電波障害などにより、短時間一部の画像が得られない障害が発生いたしました。
 これらの障害につきましては、衛星本体の障害ではございませんで、地上施設の障害でございます。日米両国におきまして、これら初期障害に即応できる体制をとっておりまして、いずれも短時間で修復いたしました。
 気象庁としましては、ゴーズ九号の安定運用に向けまして、引き続き米国の海洋大気庁と緊密に連携協力を行ってまいる所存でございます。
 今後につきましては、ひまわり五号の後継機でございます運輸多目的衛星新一号、MTSAT―1Rと呼んでおりますが、の打ち上げを本年度予定しております。運輸多目的衛星新一号の運用開始までゴーズ九号によるバックアップを実施することによりまして、運輸多目的衛星新一号への円滑な観測の引き継ぎが図れるものというふうに考えております。
 以上でございます。
津川委員 十分なチェックを事前にしていただいて運用を開始した翌日にミスが出てしまうという話でありますから、いや、これでもう大丈夫ですと言われても、なるほど大丈夫かとは、なかなか普通は信じていただけないものであります。
 気象庁さんはこの間の地震でも、震度情報でしょうか、オーバーフローして扇大臣におしかりをいただいたというようなことも報道されております。こういった技術的なものに関しては、どうしてもこういったミスが出たりふぐあいが出るということも当然あろうかと思いますが、そういったことは極力ないようにしていただくということが当然必要であります。
 また、例えば、このアメリカのゴーズ九号というのは、もともと予備の衛星でありますよね、アメリカにとっては。ということは、これは、日本も場合によっては、ひまわり五号が運用できる状態のままでその次のものを打ち上げて、時期的には重ねるというのが当然計画としてあったはずでありますが、それもできなくなったという状況ですから、ある意味では、ある程度安全率を見ていたのにそれもオーバーして、なおかつ借りたものもだめだったという話ですから、これは相当ミスが重なった話になります。
 先ほどのふぐあいの中の電波障害に関しては、これは「ひまわり」のときにも当然あったわけですから、これは特別な問題であるとは思いませんが、特に、新たなものを借りるというような状況から進めて、言ってみれば初日にミスが出たわけでありますから、ぜひ、今後そういったことがないようにしていただきたい。
 これから、本当に雨が多い時期に入りますし、台風の時期にもなります。その中で、こういったミスを起こさないということを今後、アメリカに頼って、アメリカが、いや、もうこれで大丈夫ですと言えばそれで大丈夫なのかどうなのか。一応お借りをしているという立場でいえば立場は弱いかもしれませんが、しかし、それは、日本の気象観測システムというものをしっかりと安全性の高いもの、信頼性の高いものにしていくためには、先方まで伺っていって、場合によっては日本の技術者がしっかりチェックをさせていただく、こういったことも必要じゃないかと思いますが、長官、いかがでしょうか。
扇国務大臣 今、津川議員のお話を伺いまして、長官から御答弁すべきところですけれども、私は、今、津川議員のお話で、根本があると思うんです。
 それは、「ひまわり」の衛星の打ち上げを失敗したという、日本の打ち上げの失敗が原因でございまして、本来であれば、とっくにひまわり五号の衛星が寿命が来ていたものを、打ち上げに失敗したためにその継続ができなかった。ですから、宇宙への打ち上げというもの、気象衛星の打ち上げが、失敗しても必ず再度挑戦するという、我々は、この日本独自の技術の開発を持って、人の衛星を借りてすき間を埋めなきゃいけないという残念な状況を早く脱出するということが一番肝心なことでございまして、少なくとも私は、ことしの衛星の打ち上げは失敗してほしくないと願っておりますけれども、アメリカの衛星に日本の技術者がどうこうということは、今の段階では手を出すことはできません。
 かつて種子島から上げました宇宙のロケットも、ほとんど重要な部分をブラックボックスでアメリカから借りておりましたけれども、日本が初めて独自の衛星をつくり上げて、独自の技術力で打ち上げたものが今できるようになりましたので、私は、そういう意味で、次の運輸衛星を打ち上げるということへの最高の技術をみんなで協力していきたいと思っていますし、それが最後の解決になると思っています。
津川委員 かわりに大臣から御答弁をいただきましたが、そもそも論からいうと、本当に日本のロケットで打ち上げる必要があるのかどうかという議論も本当はあると思うんです。
 衛星は日本の衛星です。しかし、衛星ビジネスというのは、これはビジネスでありますから、外国のロケットで打ち上げてもいいはずなんです。それがいわゆる偵察衛星みたいな国防にかかわることであれば、それはそれぞれの国がされることでしょうけれども、こういったことであればどこのロケットをお借りしてもいいはずであります。日本ので上げようと思ったけれども上げられなかった、その次のがすぐには上げられないという状況であるなら、よその国にロケットをお借りする。当然それはお金を払うわけになりますが、日本の衛星をしっかり打ち上げる。衛星をお借りするんじゃなくて、ビジネスとしてよそのロケットを使うというような判断もできたかと思うんです。
 ですから、ブラックボックスの話をされましたが、確かに、国際的な宇宙開発の問題というのはいろいろあるのは私も存じ上げておりますが、それはロケットの問題なのか、衛星の問題なのか、あるいは運用の問題なのか、あるいはそもそものその情報をどういった形で使うのかという目的から考えれば、これをどこまで国産にこだわる必要があったのかというのは、私は問題があったと思っています。
 国産には本当はこだわっていただきたいし、それで成功させるのがもちろん大事な目標でありますが、それができなかったときにはどうするかというのは、では、次のロケットができるまで、「ひまわり」の寿命は尽きてしまいますが、しようがないという判断をするのか、それとも、やはり日本の衛星をほかのロケットを使ってでも打ち上げるべきだという判断をするのかということは、本当は私は議論としてあるべきだったと思います。
 それが残念ながら今回は全くなしで、アメリカの衛星をお借りする形になった。これは、お借りする関係ができているなら、それも一つ、最悪の場合はこういった形にするという判断であったのかもしれませんが、私は、そこは余りH2にこだわることなくやっていく必要があったのではないかなという思いがありましたから、本当はそこのところについても指摘をする思いがありまして、それで質問させていただきました。
 ただ、いずれにしても、まだこの次のものを上げる、これがひまわり六号になるのか別の名前になるのかわかりませんが、来年でしょうか、そういった形で上げるという形で計画をされているというふうに伺っておりますから、それは何としても成功させていただきたいと思いますが、これは結果的にはどうなるかわからないことであります。絶対成功させるというような国もあるそうでありますが、普通はあり得ない話でありまして、成功することもあるけれども、そうでないこともあるので、失敗したときの対応というものも事前に十分にとっておいていただきたいということを指摘させていただきたいと思います。
 では、今度、空港の問題に入らせていただきたいと思います。
 先日、成田国際空港の法律について議論をさせていただきましたが、その中でも私、最後にちらっと触れたんですが、成田空港、やはり地域との問題がいろいろあったというのは、事実として避けて通れないことであろうかと思います。
 その中で、円卓会議が持たれて、その円卓会議に対しまして、国が共生の一般原則と呼ばれる空港建設を進める上での指針というものを示されたという話でありますが、共生の一般原則というものはどういうものか、御説明をいただければと思います。
洞政府参考人 御説明申し上げます。
 成田空港問題円卓会議において国が示した考え方でございますけれども、いわゆる成田空港問題を解決するために、先生今御指摘のとおり、平成五年から六年にかけまして行われました成田空港問題円卓会議というのがございまして、その場におきまして、国土交通省、当時の運輸省から、平成六年の二月二十二日でございますが、空港と地域との共生に関する基本的な考え方、物の考え方といたしまして、「空港と地域との共生に関する基本的な考え方」というものを提出されました。
 これは、国際空港として国が主体的に設置していく大規模空港の建設に際して、空港と地域社会や地域住民との間に相互理解を基礎とした信頼関係を築いていくことが極めて重要であること、それから、空港と地域との共生の問題というものは、空港づくりの問題であると同時に、地域づくりの問題でもある、そういった視点に立って物事を進めていく、考えていくべきだということ等の基本的な考え方を示したものでございます。
 その上に立ってどういう取り組みを行うべきかということ等につきまして、環境対策はもちろんでございますが、地域づくりであるとか、いろいろな視点から総合的、一体的に進めるべきであるということ、それから、幅広い地域とのコンセンサスを得る過程から、節目節目の段階できめ細かな地域との、情報公開、ディスカッションを通じて、そういう合意形成に努めるべきであること等々の基本的な考え方をまとめたものでございます。
 こういった考え方に基づきまして、せんだって御審議いただきましたとおり、成田空港周辺におきましては非常にきめ細かな環境対策、共生策が実施されておりますし、それをフォローするための共生委員会といった、国、地方、住民の方々から成る、そういった実施状況等をフォローするような組織等もできているところでございます。
津川委員 成田問題の議論の中では共生という言葉が随分多用されたというふうに伺っております。この共生の原則、共生の一般原則というんでしょうか、これは空港設置、空港建設を進める上で出てきた話というふうには伺っておりますが、これは成田に限定された話なのか、一般的な他の空港の建設にも適用できるような話なのか、あるいは、一般論としては他の公共事業みたいなものにも基本的には適用できる考え方なのか、それはいかがなものなんでしょうか。
洞政府参考人 この原則といいますか、考え方というものは、この中ではっきり明示されてございますが、成田空港や関西国際空港など、国際空港として国が主体的に設置していく大規模空港の建設を念頭に置いて取りまとめたというふうに記されておりますけれども、まさしくそういうことでございます。
 要するに、国家的な見地から進められるこういう大規模拠点空港等については、地域の視点というものとえてして相反するところもございますし、利害が一致するところというのがないわけで、ないというか、必ずしも一致するわけではないわけでございます。
 国主体、国全体の視点に立って物事を進めていくといった場合に、地域との共生といいますか、ともに発展していく、そういう地域づくり、まちづくり、地域おこしといいますか、そういった視点というのが今までどうしても欠けていたというところがございます。国際拠点空港等を整備するに当たって、その受益を受けるのは広く日本国民全般でございまして、地域の人方にとっては、もちろん全く受益がないわけではございませんが、えてして騒音等マイナスの面ばかりが大きく影響を受ける等々、そういう意味で、地域に根差した空港とは違う、こういう大規模空港等の建設というのを改めてどういう考え方で進めるべきかという考え方を整理したということで、対象は、そういうことで、国際拠点空港等の大規模空港を念頭に置いて取りまとめられたということでございます。
津川委員 第五回の円卓会議でしょうか、そこに提出をされた「空港と地域との共生に関する基本的な考え方について」、運輸省航空局が提出をした書類を、私も、これは議事録ですけれども、見させていただいているんですが、確かに、「国際空港として国が主体的に設置していく大規模空港の建設を念頭に置いて」というふうには書いてありますが、その前に、「特に」という書き方をしておりまして、その全体を見ると、大規模空港もあるけれども、地方空港の事例も考えて、「特に大規模空港についても念頭に置いて検討した」と。
 それから、例えば、今局長がおっしゃった、便益を受ける側と、騒音等々で被害を受ける側、マイナスの影響を受ける側が一致をしない。大規模な空港になればなるほど、これが一致をしない方が多くなるということであろうかと思います。
 それだからこそ、国が主体となってやるような大規模空港については特に共生の考え方というものが必要なんだというような書き方でありまして、裏を返すと、地方空港なりなんなりというものに関しては、当然共生という考え方があって当たり前であって、国がやる大規模事業に関してはそれが欠けていることがあり得るから、それは常に念頭に置かなければならない、そういうふうに書いているように私には読めるんです。
 そういう意味では、これはまさに、成田の話だけではなくて、一般の空港の話であったり、あるいは、この中に書かれているような、地域の方と時間をかけて民主的な話し合いをするとか、広く地域の意見を吸収する、こんなの空港に限った話じゃないわけであって、公共事業にかかわることであれば、恐らくどんなことでもまさに一般原則として言えるようなことではないかと思うんですが、これはほかの事業には当てはめない、あくまでこれは成田の問題だけだというような考え方をしなければならないということでしょうか。もう一度御答弁いただけますか。
洞政府参考人 この考え方は、繰り返しになりますけれども、前文に書いてありますとおり、国際空港等の国が進める大規模空港等を念頭に置いてまとめたということでございます。
 ただ、考え方として、共生の考え方というものは、一つ今日においては、空港に限らず、およそこういうふうな公共的な施設をつくるに当たっては、地域との調和、調整を図るというのは、当然の価値観として広く一般的に認められているところではないかと思います。
 ただ、この考え方におきましては、例えば、住民の皆さん方と、どういう時点で、節目節目で、こういう節目で、こういう節目でという国の計画にのっとった時点等も示しながら、地域の人たちと十分話し、意思疎通を図りなさいというふうに指摘されているとおり、この考え方そのものは大規模拠点空港でございますけれども、広く一般的なものに適用されるものだと考えておりますし、ましてや地方空港に至っては、まさしくおらが町の、自分たちの町の、自分たちの地域の空港でございますから、地域全体の問題としてこれを考えるべきテーマであるということは当然だと思います。
津川委員 この間の質問の最後にちらっと触れましたが、静岡空港でやはり用地の問題が出ております。その中で、知事が、やはり土地収用法でいくんだ、これはもちろん最後まで話し合いで何とかしたい、その努力は続けるというふうにおっしゃいますが、開港時期が平成十八年ということを定めて、そこから逆算すると、万々が一地権者の方が最終的に県の考え方に同意をしていただけないときには土地収用法という手段をとるんだという話であります。
 これはやはり、この間もお話をさせていただきましたが、公共事業どんなものに関しても、例えばいわゆるごね得みたいな形にならないように、最後には、公共の利益を考えれば、個人的な権利、私的財産についても、それは公的な役割の方が優先するんだというような形になる場合も、当然幾つかの例であり得るわけであります。
 そのときの手法として土地収用法というものがあるという認識はしておりますが、個別の話になりますが、やはり静岡空港の状況を見ますと、この間大臣がちらっと指摘をしていただきましたが、ボタンのかけ違い、まさにそういったようなところがございまして、これをこのまま十八年の開港を前提に逆算していくと、やはりこれも強制収用しなきゃいけないんだ、こういう考え方でいくと、まさに今の共生の原則からいくと、著しく反するのではないか。
 これは原則は原則ですから、例外なりあるいは適用されない場合もあるかもしれませんが、大臣、静岡空港につきましては、この委員会でもあるいは別の委員会でも、何度か大臣とお話をさせていただきまして、大臣も大変関心をお持ちいただいていると思いますので、改めて御答弁をいただきたいと思いますが、この共生の一般原則というものから考えれば、静岡空港についても、用地問題がやはり同様に残っているわけでありまして、この解決方法についてどうあるべきか、大臣のお考え方をお聞きしたいと思います。
扇国務大臣 今、津川議員と局長と話しておりましたけれども、最初に話題になりました円卓会議の話は、これはもともと成田空港問題を考える円卓会議でございますから、これは成田空港問題の円卓会議として総論としてお出しになったということでございます。
 中には、今おっしゃったように、すべての公共工事に通ずるようなことも当然書かれてあってしかるべきで、読んでおりますと、ああ、どこにも適用できるなというお考えがあるのは当然ですけれども、この円卓会議は成田問題に関する円卓会議と限定されておりますので、それをすべての、他の空港とか他の地域の公共工事に適用するということとは、私は、むしろ円卓会議の、成田という看板がついた会議の意見の尊重はするべきであろうと思っていますので、それとこれとは別途考えていきたい。
 それがすべてに通じるという中の問題は、共生するというのはどこでも当然なことでございまして、今は男女共生ということで、男と女も共生しようという時代でございますから、すべてに通じることだとは思います。
 それから、静岡に関しましては、地方自治体の知事さんがどう判断されるかということも大事なことでございますし、それは、ちょうどことしが静岡空港十年目でございまして、我々は、計画して十年たって、その結果がなければそれは存続するか廃止するか、そういう基本的な原則を国土交通省は持っております。
 ですから、事業を計画して十年たって、それで一歩も進んでいなければ、あるいは可能性がなければ、どうするかという決断の年がことしでございますから、そういう意味でも、この間申し上げましたように、静岡の知事さんが静岡の県民の皆さんとともにどういう答えを持っていらっしゃるのか、私はまだいただいておりませんし、ことしが十年目の年度であるということだけは知事さん頭にあるので、少し急いでいらっしゃるのかなというふうに拝見はしておりますけれども、ぜひ私は、今津川議員がおっしゃった共生ということをよく静岡の県民の皆さんと知事さんとで話し合って、私のところへどういうことを持っていらっしゃるのか見守りたいと思います。
 共生という言葉はすべてに通じるということは、もちろん認識しております。
津川委員 別に、円卓会議の結論をほかの事業にも適用するべきだということを言っているわけじゃ決してなくて、これは結論の話じゃなくて、たまたまそこに出された当時の運輸省の方針、これが一般的なものを想定しているのではないかという話であります。
 新東京国際空港公団のホームページにもその流れが書いてありまして、円卓会議ができて、そこに対して「基本的な考え方」というものを発表して提出をした、その後、それを成田空港にどうやって当てはめるかが次の問題という形で、その次に、「基本的な考え方」を踏まえて「共生を目指した今後の成田空港の空港づくりの考え方」という形で、次の具体的な提案に入っていきます。
 つまり、この「基本的な考え方」というのは、場は成田空港問題の円卓会議でありますが、まさに一般的な話として出された話でありますから、これは、その結論云々ではなくて、この考え方については、ほかの大規模な公共事業についても今後も適用して、ぜひ活用していただきたい。
 大変重要な考え方だと思いますし、ある意味で、成田の反省、あるいはその他の空港の問題も書いてありますけれども、そういった事業の反省から出てきた考え方でありますから、これは社会的にも高く評価をされたというふうに認識をしておりますので、こういったことを、これは過去の成田のものですというような片づけ方をせずに、今後もぜひともさらに深化をさせていただきたいというふうに思います。
 それから、静岡空港の話に戻りますが、事業の再評価については、これから県から出てきて、出てきてから国でまた判断をしていただくという話であろうと思いますが、ポイントは二つありまして、一つは用地の問題、もう一つは需要予測の問題であろうと思うのです。
 用地の問題については、空港に関しては、用地が取得されていなければ設置許可というのは出ないはずでありますが、その中で、知事がわざわざ、とにかく残りのわずかなところは確実に取得できますという紙を提出されている。それに対して、当時、国土交通省の中では、最終的には収用法があるから一〇〇%なるだろうなというような判断をしたという文書をいただきました。
 この判断がもし事実ならば、これから静岡県が土地収用法にのっとって強制収用したいという申請をしてきたときに、国がだめですというのはあり得ない話なんです。設置許可を出した段階で、最終的にはその手段があるからいいですよということで出しているのです。ということは、土地収用法にのっとって出てきたときにはもうそれは許可する、認めるということがもう既に決まっているという形になってしまいますが、これは、土地収用法の考え方からすると、手順が一つむだに、むだにというか、飛ばされているわけでありまして、事前にもうオーケーが出てしまっているということになるのですが、これはおかしいのじゃないか。
 この間ちょっとお話をさせていただいたので、あの文書について国土交通省の中でどういう判断をされたのか。本当に土地収用法があるから一〇〇%知事が言っているとおり何とかなるだろうというふうに考えたのか、それともそうではないのか。それはいかがなんですか。ちょっと局長、お答えいただけますか。
洞政府参考人 最終的に土地を取得できる見込みがなければプロジェクト自身が成り立ちませんから、そこのところは知事さんが責任を持って確保するという決意を示されたということで、国土交通省としては、最終的な手段としてはいろいろな手段があるわけでございましょうけれども、そういう点も、最終的にどうするかは別といたしまして、最終的に地元として責任を持って対処するということを約束いただいたわけですから、それを前提として許可をしたということでございます。
 したがって、これはちょっと先の話でございますけれども、現在、再評価というのが今なされておりますけれども、十年目のこの再評価の時点で、いろいろな視点からの議論がなされて、引き続きこのプロジェクトが必要であるという判断がなされた後に、残りの土地についてどうするかという土地の問題というのはどうしても出てくるし、そこについての国、地方の考え方というのも当然、私どもとしては聞かなければならないと考えております。
津川委員 事業の再評価がされてから残りの土地をどうしようかという話ももちろんありますが、今その話をしておるのではなくて、設置許可を出した段階で、用地が取得されているか、またはされることが見込まれていなければいけないわけで、その見込み方として、同意もされているけれども、あとちょっと手続が残っているんだというのじゃなくて、明らかに反対されている方々がいらっしゃる中で、県としては努力をします、ただ、最終的なやり方として、でも、土地収用法というものがあるからオーケーですよという判断を国がして、それで設置許可を出したという文書があるわけです。
 ですから、そこまで考えてやったのなら、これから事業を再評価して云々という話ではなくて、最初から、つまり設置許可が出てから空港ができる話じゃなくて、その空港がどんなものであるかは別として、用地に関しては、土地収用法が適用できるんだ、それで強制収用できるんだということに関して、ある意味お墨つきを与えてしまった。
 それを県がどういうふうに受け取ったかは知りませんが、少なくともそのときの内部文書として私がいただいた、別に内部告発じゃないですけれども、普通に資料がありますかと聞いたら、言わなかったのに、わざわざ送っていただいたのですが、その資料の中にそういうふうに書いてありましたから、そういうことであるならば、これは、これから土地収用法を知事がどうこうするといったときに大騒ぎになる話じゃなくて、もともと決まっていたという話になるじゃないですか。
 もちろん土地収用法をやらずに円満に話し合いで解決すれば、それはそれで望ましい話でありますが、そうでなかったとしても、これは、もう国は最終的に認めてしまう、少なくとも国としての立場はもうその段階で表明してしまっている。それで、もし県が言ってきたときにだめと言ったら、これは詐欺ですよ、国は。だって、設置許可を出すときには、いや、最後には土地収用法があるから大丈夫ですよと言ったのに、それで実際に聞いてみたらだめだという話になるわけですから。
 それはどうなんですか。もう国としては結論が出ている、再評価された後はまた判断が変わるかもしれませんが、現在の段階では、最終的には土地収用法で強制収用もオーケーで、用地一〇〇%、こういう考え方でよろしいですか。
洞政府参考人 繰り返しになりますが、最終的な土地収用も含めて、県が、地元が責任を持つということであって、だからといって、土地収用法の申請が出てきた段階でそれを自動的にオーケーするということを約束したということでは断じてございません。再評価の結果を見て、また土地収用は土地収用法の考え方があるでしょうから、その考え方に照らして、それが妥当かどうかというのを改めて判断されるということだと私どもは理解してございます。
 まして、国土交通省、当時は運輸省でございますけれども、土地収用をオーケー云々する権限というのはうちにはないわけでございますから、それも含めて、土地収用もその時点で認めたという、要するに許可をする、そういうふうなことを出せる立場にはございません。
津川委員 そうだとするなら、県は一杯食わされたという話でありまして、大丈夫だと思ったけれども、いやいや、それは別問題でありまして、我々はそんな権限はありませんという話になっちゃうわけですよ。それは今後どうなるかわかりませんし、ちょうど再評価の時期ですから、当時そんな制度はなかったわけですから、再評価されてから土地についてどうこうするかなんという話は設置の段階ではあり得ない話であって、今だからそういう話になっているだけですから、当時の設置許可を出した段階での運輸省の問題というものは、責任問題というのはやはり残ると思いますね。
 そのときに用地が本当に確保されていなければ設置許可が出せないという、航空法ですか、それがそもそもある意味でこの静岡空港に関しては余り重要視されなかった。最後には土地収用法があるからといって許可を出しておきながら、でも、それで許可を出すかどうかわからない。許可を出すかどうかわからないということを言っているということは、一〇〇%とれるかどうかわからないという話です。一〇〇%とれるかどうかわからないといいながら、一〇〇%とれるということを信じて設置許可を出すというのは自己矛盾じゃないですか。局長、どうですか。おかしくないですか、これは。
洞政府参考人 いろいろな工事があると思いますけれども、設置の時点ですべて土地が買収されているということはありません。反対者がいるというのは間々あることでございまして、そのときに、最終的に最後まで残った土地をどうするかということに対して、だれが最終的に責任を持ってそれを取得するかということを私どもは確認した上で許可を出しているわけでございます。ですから、自己矛盾ということにはならないと思うし、逆に言うと、それは、あらゆる手だてを使って、設置許可申請者が地元の反対の方々の了解を得るべく努力をするということを信頼しての上の話でございます。
津川委員 県と県民の関係は私は今触れておりませんので、その問題ではなくて、国が県に対してどういう許可を出したのか、そのときの判断は何だったのか、その根拠は何だったのか。その根拠は、実は根拠のない根拠だったという話ですから、それはやはり、過去のこととはいえ、問題があったのではないかという話です。
 今、局長は問題はなかったという話でありますので、ちょっとこれ以上話すと時間がなくなりますから、また別の機会にさせていただきます。
 もう一点、この空港について、需要予測というものを国の方針に従って静岡県も出し直していただきました。その結果が、静岡空港は、開港年度で、一番多くて百九万人、一番少なくて九十七万人という結論が静岡空港需要等検討委員会というところで出されました。それを受けて、静岡県は百六万人だという数字を出しました。
 何で百九万人から九十七万人で百六万人にしたのかはちょっとわかりませんが、それは県の考え方でこういう形になったそうでありますが、これも、国の需要予測に対する新しい考え方に従って出し直していただいたという形であります。
 この需要予測の結果を国としては今後どういうふうに評価をしていくか、これをお伺いいたします。
洞政府参考人 この需要予測につきましては、今後、静岡県が実施します静岡空港の事業再評価の中で、第三者の有識者から成ります事業評価監視委員会の審議等によって、さらに吟味されるということになってございます。
 私ども国土交通省といたしましては、静岡県からの事業再評価の調査結果を受けて、本当に必要とされる公共事業を重点的かつ迅速に進めていくという基本的な考え方のもとで、この需要予測の検証も含めて、必要性の検証をしていくという段取りになってございます。
津川委員 まだ県から正式に来ていないからわからないという回答ですが、これは前に質問させていただいたときも、その需要予測について、これは、需要予測というのは非常に難しいものであるけれども、やはりなるべく正確を期さなければならない、総務省の方からもそういう御指導が来ているという話の中で、では、静岡空港なんかはどうするんですかという話をしましたら、国が新しい指針を出すから、それに従って今出し直していただいているところですというのが答弁だったわけですよ。
 それで、これは出たんですよ。確かに、事業再評価としての最終的な結論はまだ国に対しては出されていないと思いますが、静岡空港の需要予測の委員会はその需要予測の結論を出していますし、県としても需要予測の最終的な結論を出しています。
 それに対して国がどう判断するかというのは、一々事業再評価が全部出てくるのを待つのではなくて、これは早く判断をしてあげるべきだと思うんですね。それは、国が出した指針に対して対応したものをわざわざ出していただいたわけですから。
 これをどういうふうに評価をするか。この数字が九十七か百九か百六か、あるいはもっと多いかもっと少ないかという議論は今ここではしませんが、この県の検討委員会が出した出し方が、航空局が言っている言い方の中で、新しい国内航空需要予測の一層の精度向上についてという話の中で言われていることに適合しているかどうかということを、私、簡単にチェックをしました。その中で、一点だけ指摘をします。
 他の飛行機、他の空港の飛行機との分担を考えるときには、所要時間とか運賃等々、いろいろな要因を合理的に説明できるモデルを使わなければならない。いずれにしても、その運賃というものは非常に大きな要因の中の一つです。ところが、静岡空港の今回の航空運賃の計算は、非常に変わった計算をしています。
 大臣、ちょっと聞いていただけますか。よろしいですか。これが正しいかどうかということを聞いていただきたいんです。
 静岡空港は、羽田とか関空、大阪には近過ぎるから飛行機は飛ばないということになっていますが、札幌、新千歳は路線が開けるだろうという話になっています。新千歳との間の料金がどのくらいになるか、運賃がどのくらいに設定されるかというのを計算する計算の仕方が、札幌から羽田までの料金と、札幌から名古屋までの料金を出します。それで、札幌から羽田までの料金を、これを固定として、そこから名古屋までの距離の差で料金の差を割って、キロ当たり幾らというのを出すんです。だから、東京まで幾らというのがもうこれは固定の金額で、そこから何キロか離れる間に関して幾らずつ上がっていくかというのは、これは名古屋を起点にしているんです。その中間の静岡だから大体このぐらいだという出し方なんです。
 この出し方が本当に合理的かどうか。これは、例えばマイル当たり幾らですとか、まあキロ当たり幾らでもいいんですが、そういう出し方をするか、あるいは、例えば長距離になれば相対的に距離単価は下がりますから、これはもっと別の計算方法は幾らでもできるわけでありますが、札幌―羽田を基本のお金として、名古屋のお金との差額を距離で割って距離単価を出す、この出し方が合理的と思うかどうか。大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 けさのどの新聞か、私、今記憶しておりませんけれども、けさの新聞に、静岡空港ができ上がりせば北海道と静岡の運賃はこうなるという欄が、何新聞かわかりません、出ていました。静岡から直行ができれば二万幾ら、今であれば羽田を経由して三万幾らという数字がたしか、細かいのまでは今覚えていませんけれども、ある新聞に出ておりました。私、ざっと見てまいりましたけれども、まあ、この計算の仕方はいろいろな仕方があるなと。今、津川議員がおっしゃったように、羽田経由なのか、名古屋へ行ってからするのかといういろいろな計算があります。
 それは、静岡の地元の人にしてみれば、静岡から飛び立てば一番安くなるというのは、それは当然のことでありますよね、料金からいえば。ですから、私がいつも言いますように、羽田まで地方から来て、羽田から成田まで行って、成田から国際線というのと同じことであって、静岡の地元の人から見れば、それは、静岡に空港があって札幌に行ければ一番近くて、安く行けるというのは当然のことであって、運賃の今の考え方というのは、どれが正しいとか、どこを経由して行くかというのは個人によりますし、静岡県だって多くて、空港に近い人と、あるいは空港まで行く距離とということを考えますと、私は、運賃によって静岡空港が必要であるとかということとは相入れないと思いますし、計算の方法は多種多様であろうと思いますから、けさの新聞を見ましても、今の津川議員のお話を伺っていましても、どこから計算するかというのは一定ではないと私は思います。
津川委員 それは旅行者が払ういわゆる通行料金の話だと思いますが、そうではなくて、飛行機の運賃の話です。それは、羽田空港から札幌まで行く飛行機に乗ったときの料金、運賃が幾らか、名古屋から札幌に行くときの飛行機の運賃が幾らか、これは定額があるわけですね、定価です。だから、乗る人がどこから行くかとかそういう話じゃなくて、飛行場から飛行場までの航空運賃の話です。その航空運賃が幾らになるかによって、要するに、向こうへ行った方が安いとか、こっちへ行った方が安いとかということはもうころころ変わるわけですね。
 ですから、これは相当正確な数字を出さなきゃいけないんですが、もし正確に出すとしたら航空会社に出していただくのが一番正確だと思うんです。この委員会では、ちょっと今、資料が大臣のお手元になくて御理解いただけないかもしれませんが、距離単価じゃないんです。マイル当たり幾らというやり方ではなくて、東京まで五百十一マイルというふうに言われていますが、その値段がフィックスなんです。それが決まりで、そこからそれ以上の距離に関しては、そこから名古屋までの距離の差を出して、それから料金の差を出して、距離一キロ当たりだったかな、これで出しているのは一キロ当たりなんですが、まあ、一マイル当たりでもいいですが、一マイル当たりの金額を出すんです。
 そうすると、この距離の出し方も、そもそも札幌―東京、札幌―名古屋の距離の出し方も本当に航空ルートに準じた出し方なのかどうかよくわからない数字なんですが、これが仮に正しかったとしても、東京と名古屋だけを基準にして、ほかの空港と札幌を結ぶ運賃も決めてしまう。それどころか、札幌と関係ない別のところもその出し方で出しちゃうんです。
 そういうやり方をすると、今の料金に当てはめて計算をすればすぐわかる話なんですが、札幌―東京と札幌―名古屋の料金を今の金額、まあ、今の金額というか最新の金額で出せと書いていましたから、今出ている最新の、ことしの七月の料金、運賃で出すと、それぞれその数式が出てきます。それを当てはめて、例えば札幌―静岡は大体三便とか六便とかというふうに言われていますが、例えば三便飛ぶ、今飛んでいる大阪―函館便というのは五百七十八マイル、静岡―札幌と大体同じぐらいの距離だと思いますが、その距離の料金が、今のこの計算方式でいくと三万四十五円になるんです。単純な計算ですけれどもね。実際の金額は三万三千円なんです。今、現在の値段です。それで、福岡―仙台は六百六十五マイル。この計算でいくと三万四千九百九十九円、約三万五千円になりますが、実際の運賃は三万七千円です。これは一日五便飛んでいます。
 似たような例が幾つもありまして、実際にこの計算で合うのは札幌―名古屋ぐらいであって、これは大体似たような数字になるんです。ほかの空港を結ぶものは大体違う金額になります。
 これは、高いか安いかという話を今しているんじゃなくて、この出し方が合理的ではないという話です。つまり、札幌も大きな空港ですが、東京、大阪、名古屋というところと札幌を結ぶ運賃というのは、ほかに比べると大体安いんです、定価は。それは単価を見ればすぐにわかります。もっと遠い沖縄線はもっと安くなります。そういうものをローカル線、地方空港同士の運賃を出すときの基準にするという考え方が合理的ではないという話です。
 どこの空港を経由するという話ではなくて、直行便の運賃の話です。直行便の運賃が、札幌と静岡空港を飛行機が飛んだときには値段が幾らで設定されるだろうかというのを想定した計算なんです。その計算を、東京―札幌、名古屋―札幌の運賃をもとにして出しているという出し方が合理的ではないのではないかと思うんですが、大臣のお考えはあるでしょうか。
扇国務大臣 津川議員は今いろいろおっしゃいますけれども、運賃というのは各航空会社の届け出制に変わりました。そういう意味では、各航空会社がどういう計算をし、自分たちは、この路線は薄利多売なのか、あるいは便数をふやして、たくさん乗ってもらうようにするために、うんと普通よりも安くするのか、これは自由競争ということになっておりますから、私が今その計算方法が正しいとか正しくないかと言うのは越権行為であって、それぞれの航空会社が、この路線は幾らにさせていただきますといって国土交通省に届け出がございますから。乗り入れる航空会社が運賃を決めて、国土交通省に幾らにしますという届け出制に今変わっておりますから、私が計算するのではなくて、航空会社が計算するということです。
津川委員 いや、大臣に計算してくださいと言っているんじゃなくて……(扇国務大臣「いや、正しいか正しくないか言えないというのです」と呼ぶ)正しいか正しくないかじゃなくて、これは正しいとは言えないという話です。
 だから、こういう出し方が合理的な根拠になるというのは、今まさに大臣がおっしゃったとおりで、航空会社が決める話ですよ。空港設置者が勝手に、自分のところがどうかということを計算するときに、これは非常に重要な計算ですけれども、それをやるときに、他の路線、特に東京―札幌、名古屋―札幌で、だれが見てもドル箱路線をそのまま、距離をそのままとるのともちょっと違うやり方なんですが、そういうやり方から値段を出してくる。これは、割引率、値引きということも別に計算しまして、そこは非常に複雑で、それは計算しない方がいいんじゃないかと思うぐらいなんですが、でも、基本料金についてさえ、これはどう考えても合理的な考え方ではないと私は思います。
 ですから、これは航空会社に出させるですとか、そういうやり方をした方がより合理的なやり方になると思いますが、大臣、いかがでしょうか。
扇国務大臣 今、そのとおりの手続になっていますから。高く取れば客が来ません、これは当たり前のことですから。
 そういう意味で、私は、航空会社の皆さん方がこの路線は幾らと決めて国土交通省に届け出をされるということが、今まさに自由競争をして、お客が一番安くいい路線を選ぶのは当然のことなので、届け出制に変わったことは、より皆さん方に便利になった、またよかったということで、基本的な料金の決め方というのは私がどうこう言うことではないのはそのとおりです。
津川委員 ちょっとゆっくりやり過ぎまして、時間がなくなってしまいましたが、要するに、こういう計算の仕方で出した数字を基本の数字として需要予測を出すのは、やはり非常に大きな問題があると思うんです。だって、これはそうやって出しているんですから。
 ですから、その金額が、勝手に決められるものではなくて、航空会社が決めるということであれば、航空会社に出していただいて、三社なら三社に、それぞれで出すとか、それぞれ幅があるかもしれませんから、それぞれの幅で出すとか、そのぐらいやらないと合理的な考え方ではないと思いますが、そういう考え方でよろしいですか。大臣、うなずいていただきました。ありがとうございます。
 次に行きます。第三問でございますが、全然最後まで行きませんが、総合政策局長、お待たせをいたしました。
 監理技術者証でありますが、私はこれを廃止すべきだと思います。単刀直入に言いますが、いかがでしょうか。
三沢政府参考人 まず、監理技術者の専任制度でございますが、これは、建設工事の適正な施工を確保して、発注者を保護するということで、技術者を現場に専任させるということで、例えば、施工能力がない不良不適格業者の排除ということにもつながっているわけでございます。
 それで、そのときに監理技術者証というものを一定の工事について要求しておりますけれども、これは、本来であれば、すべての監理技術者の専任を義務づけている工事について義務づけたいところでございますけれども、特に受注者の負担等を考慮して、国とか公共団体が発注者となる建設工事に限ってはこういうものを交付を受けていなければならないということにしております。
 この趣旨も、要するに、こういう工事についてはきちっと適正な施工を確保するということが目的でございますので、これは必要な制度であるというふうに考えております。
津川委員 監理技術者の制度をなくすべきだと言っているのではなくて、監理技術者証が要らないと言っているんです。つまり、監理技術者になるには、そもそも国家資格を取っていなきゃいけない、そのほか、大臣が認めるとか何かいろいろありますが、基本的には国家資格を持っている、つまり技術的には担保された方々なんですよ。
 その方々に、申しわけないですけれども、余り意味のない講習を受けていただいて、一万二千三百円もする講習を受けていただいて、交付に八千百円もかかる。五年に一回更新しなきゃいけない。これを受けに行くのに、仕事を、現場、一日休んで、余り意味ないよなと言いながら受けに行って、こういう証をもらってくる。そんな証をもらったって何の使い道もありませんから、監理技術者というものを置かなきゃいけないというときに、その工事現場ごとに、例えば、この方が監理技術者です、この方が監理技術者になれる根拠としては、例えば、この方は技術士である、あるいは一級土木施工管理技師である、一級建築士であるということが証明されていれば、監理技術者証というものは要らないはずなんです。
 これは、五年に一回、二万円もかけるのは全くのむだだと思います。監理技術者の方が、単純に計算して、今六十二万人いらっしゃいます。その方々が五年に一回更新をすると、大変な金額になるわけですね。五年間で百二十億、そのぐらい本当に出ているかどうかわかりませんが、そのぐらいのお金が、その講習、申しわけないけれども、ほとんど意味のない講習を、ほとんど意味のない何とか証というもののために、お金が吸い上げられているんです。
 建設にかかわる方々というのは、今、公共事業も減って、民間の工事も減って、大変厳しい、でも、その中でも皆さん頑張っていただかなきゃならないと思います。ただ、そういった方々に聞くと、何か、規制緩和だとかいいながら、規制が非常に厳しくなっている、いろいろな規則がどんどんできてきて、いろいろな資格を取っていないとだめになる。
 そんな中で、私が特に要らないものとしてまず考えられるのは、監理技術者証だと思います。監理技術者とか主任技術者という制度は残すべきだと思いますが、監理技術者証はなくすべきだと思いますが、いかがですか。
三沢政府参考人 先生が言われているのは、監理技術者証というよりは、むしろその監理技術者証の交付、更新のときに受講を義務づけている講習の話だろうと思います。
 監理技術者証そのものは、やはり監理技術者の専任制度がある以上、本人等をきちっと確認するという意味で必要な制度であると考えております。
 ただ、この講習につきましては、やはり先生がおっしゃるような御指摘もありまして、現実に、監理技術者証を取っている方が全部、公共工事の受注に従事されるというわけではないので、あらかじめ交付とか更新時に必ず講習を義務づけるということについては、いろいろな問題点もあろうということで、これにつきましては、現在、国会に法案を提出しておりまして、また本委員会で御審議いただくことになろうかと思いますけれども、講習につきましては、要するに、交付、更新時での義務づけは廃止する、そのかわりに、むしろ公共工事の監理技術者として従事する場合は、過去五年以内に、民間の講習も、いろいろな講習も含めて、とにかく一定の要件を満たす講習を受けていればいい、そういう制度に変えるということの法律案を国会に提出させていただいております。
津川委員 では、私は、講習も要らないと思うんです。だから、民間の方にやっていただく必要もない、講習そのものもなくして、監理技術者証もなくしていいと思います。
 ですから、工事現場で監理技術者を置かなければならない、この工事現場には、この方が監理技術者でございます、その方はこういう技術士です、それでもうオーケーじゃないですか。監理技術者証を見る機会は現場ではありません。これは現場のだれに聞いても要らないと言っています。
 私は、ひょっとしたら要るという話があるかもしれませんが、そうであれば教えていただきたいと思いますが、監理技術者証でその方が監理技術者であることを証明する理由というのはあり得ないと思います。その方が技術士であり、一級施工管理技士であれば、もう十分なんですから、それは要らないじゃないですか。なくしてください。
三沢政府参考人 まさに、そういう資格を持っている監理技術者の方がきちっと現場に張りついていただければいいわけですけれども、ただ、現実には、例えば、資格を持っていない人を監理技術者として偽って現場に従事させたり、あるいは、二重に現場に、こっちにもいます、こっちにもいますというような形で受注するとか、そういう不良不適格業者が現実には後を絶たないということで、そうしますと、ここにいる技術者は本当にこういう方なのかということをチェックする手段というのは必要でございますので、監理技術者証は、やはり本人を確認する手段として必要なものであるというふうに考えております。
津川委員 本人を確認する必要があるんだったら、別の方法があるじゃないですか。現場にいる人で運転免許証を持っていない人はいませんよ。本人の確認が必要なら、それでやってください。そのためだけに二万円もかけさせるのはやめていただきたい。
 だから、私は、これは非常に簡単な法律の改正です。建設業法の改正で、その監理技術者証の交付と講習の部分を削るだけで済みますから、これはぜひやっていただきたいと思いますし、もしやっていただけないなら、ちょっと議員立法で出させていただきたいということも考えております。
 済みません、警察庁にも来ていただきましたし、鉄道局にも来ていただきましたが、ちょっと時間がなくなりましたので、終わります。またよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
河合委員長 岩國哲人君。
岩國委員 おはようございます。
 民主党を代表いたしまして、国土交通行政一般に関して質問をさせていただきたいと思います。
 まず最初に、この国土交通白書、平成十四年度というものを私も拝見いたしましたけれども、この中には、非常にいろいろな方面から、これからの日本の国土づくり、特に、住みやすいまちづくりということに重点が置かれている。これは、時代の流れというものをある程度反映し、私は大変結構なことだと思います。そういう豊かで暮らしやすい自分の町をつくりたいという願いにこたえるのが、行政の当然の役目だろうと私は思います。
 そういった観点から、まず最初に、最近の都市・まちづくりの中で、私も、ヨーロッパで十年、アメリカで十年、ニューヨーク、ロンドン、パリに住みながら、いろいろな町を見てまいりました。やはり、ヨーロッパのまちづくりの哲学というものとアメリカのまちづくりの哲学というのは、随分違うように思います。
 これは、大臣も世界各地の町を見ていらっしゃったと思いますけれども、歴史の浅いアメリカの場合には、どちらかといえば、外へ外へと広がっていくような拡散型のまちづくりが中心になっているように思います。そして、歴史や伝統というものを非常に大切にするヨーロッパの町は、いたずらに外へ外へと拡散させないで、中をしっかりと守って、そして、その中心に魅力を残しながら、しっとりとした形で皆さんが暮らしていく。
 大ざっぱにヨーロッパ型とアメリカ型とあろうと思いますけれども、今まで全国各地で行われてきた日本のまちづくりは、戦後五十年間、どちらかといえば、アメリカの方へ視察団が行った影響が多いんじゃないかと私は思います。これからのまちづくりというと、アメリカへ視察に行って、アメリカの都市はこうなっておった、ヨーロッパの方は比較的そういう紹介がおくれたり、印象として、これからのそういった都市づくり、都市計画というのは、ヨーロッパはおくれている、アメリカは進んでいる、アメリカから学べ、アメリカ型のそういう影響が非常に強かったように思うんです。
 こういった点、今度の国土交通白書については、ある程度バランスをとっていこうという傾向が見られるのは大変結構なことだと思いますけれども、もちろん、日本の約七百の都市にいたしましても、市という名前がついたところにしましても、何よりも、アメリカ型だろうとヨーロッパ型だろうと、個性を生かすということは大切であって、その個性化を図る方向で、どういう哲学でこれから指導していかれるのか。
 あるいは、そういったこれから都市のすみ分けというものを、拡散型がまだ必要なところもあるでしょう、あるいはヨーロッパ型が必要なところもあるでしょう。そういうことについて、ぜひ大臣のこれからのそういうところに対する行政の理念というものをごく簡単にお述べいただきまして、担当の局長から、具体的に都市政策というものについて、どういうめり張りのついた行政に今転換しつつあるのか、お話しいただきたいと思います。
扇国務大臣 岩國議員には、国土交通白書をお目にとめていただいて、心から感謝申し上げたいと思います。
 私は、国土交通省が三年目に入りまして、ことしはそういうグランドデザイン的なものをお示しして、国民の皆さんとともに二十一世紀を前向きに、我々が今しなければいけないことを、何をしなければ、二十一世紀の、大きく言えばですけれども、百年後は日本がどうなるかということを少しでも示し得れば、私たちは幸せだと思っていますし、また、それを示すべき役割を今担っていると認識しての国土交通白書であるということもぜひ御理解賜って、お目にとまったら幸いでございます。
 なお、今おっしゃいましたように、岩國議員は御経験の中からヨーロッパ型、アメリカ型というふうにおっしゃいましたけれども、私は、もっと言わせていただければ、おこがましいかもしれませんけれども、日本独自の国のつくり方というものがあろうと思います。
 それはなぜかといいますと、狭い日本と言われますけれども、北海道から沖縄まで、これだけ寒さ、暑さ、春夏秋冬の四季も北と南ではうんと違います。そして、それはそれなりに、北海道は北海道なりに北海道のよさ、沖縄は沖縄なりのよさというものがそれぞれ全く違っております。そのよさを私たちは何とか生かしたい、また、それを持続しなければいけない、そういう境目に来ていると思います。
 岩國議員がおっしゃったように、戦後、私は二十世紀をハードの世紀と言いました。そして、二十一世紀はソフトの世紀だと言いまして、私たちは、欧米先進国に追いつけ追い越せということで二十世紀を頑張ってまいりましたけれども、今振り返れば、果たしてハードなものだけでいいんだろうか、一番抜けているのはソフトの部分じゃないかということで、私は、大変悪いですけれども、一つだけ例を挙げさせていただきますと、一昨日から、ロシアのサンクトペテルブルクで建都三百年祭が始まりました。私も行って見てまいりましたけれども、あのソ連時代、赤の時代に、あれだけすごい迫力でみんな改革していったのに、サンクトペテルブルク、昔のレニングラードだけは、市民があの町を守ったんですね、文化を。
 ですから、今日、一昨日から始まった、世界じゅうから百何十カ国の首脳を呼んで、建都三百年祭が始まります。そういう国民、市民があの町を守ったという、文化を守るということが、今三百年祭で世界じゅうから人を呼べるということも、私は、市民の力というものは、文化を愛するという心がいかに大事かということを、レニングラード、今のサンクトペテルブルクを例に挙げさせていただきました。
 日本も、そういう箇所箇所、京都なら京都、奈良なら奈良、北海道、沖縄、それぞれのよさをいかに保ち得るか、百年後もそのよさをもっと発展させることができるかという大前提の中での国土交通白書、大変、ちょっと欲張っておりますけれども、そういう気持ちの中の一端として示させていただいたということでございます。
澤井政府参考人 議員御指摘の欧州型、米州型ということについて、私どもどう考えているかということと、それから、実務的にこれからどのようにまちづくり政策を展開していくかということについて、概略申し上げたいと思います。
 まず、欧米諸国の都市計画制度でございますけれども、これも、欧州の中でも国により、また、米国の中でも州とか市によって異なるところがございます。それから、それぞれの中でも、その時代の変化に対応して中の仕組みは変わってきたということが一つあると思います。
 我が国の都市につきましては、御指摘のような、戦後の高度成長期などを通じた急激な都市化に対応する過程で、いろいろな課題が発生いたしました。
 その課題に対応するために、例えば開発密度をコントロールする地域地区制度につきましては米国のゾーニング制度が参考にされております。また、市街化の広がり自身をコントロールするための区域区分、いわゆる我が国の線引き制度でございますけれども、これはむしろフランスにおける土地占用計画制度というのがございますが、これが参考にされております。さらに、今の都市計画法ができてから十年後ぐらいに我が国で導入された地区計画でございますが、詳細な計画を定めて良好なまちづくりを進めるこの地区計画制度につきましてはドイツのいわゆるBプラン、地区詳細計画制度などが参考にされております。
 こういった諸外国の制度のいいところを取り入れながらこれまで進めてきたというふうなことが私どもの基本的な認識でございます。また、これらの制度につきましても、日本でそういう制度をつくった上で、運用を重ね、その運用の中で得られましたいろいろな教訓を踏まえて、それなりの改善も図られてきたというふうに思っております。
 現在でありますが、我が国は、端的に言えば、これまでの都市化社会、都市が広がる社会から、都市型社会、でき上がった都市がさらに成熟していく段階に移行しつつあると考えております。この中で、我が国のまちづくりの基本的なスタンスも、あえて何々型から何々型という言い方はいたしませんけれども、例えば、少子高齢化等の経済社会情勢の変化に的確に対応していくということ、それから、これまでのような、どちらかといえば都市の拡大、成長を規制、誘導していくという方向から、望ましい都市像を描いてそれを実現していくために規制、誘導をしていくという方向に転換していく必要があると思っております。
 例えば、高齢化ということを例にとりますと、老年人口割合が七%から一四%へ上昇するというポイントをとらえてその時間を見てみますと、フランスでは百十五年かかっております。一方、日本では二十四年でこの七が一四になっております。現在では、欧米諸国と比べても、日本が一番高い水準になっておりまして、このように、日本では、例えばこの高齢化対応のまちづくりというものは、ある意味では欧米以上に先進的に進めていかなければいけない状況にございます。こうした課題に対応していくためには、欧米に学ぶだけではなくて、みずから新たな手法や実現性の高い計画手法、こういったものをつくっていく必要もあると思っております。
 また、拡大に対応するのではなくて、望ましい都市像を描いて、その実現を目指す観点からは、まちづくりに対しまして、例えば地域住民あるいは民間事業者、NPOなど多様な主体の参画を求め、その中で幅広い合意を形成しながら、いわば都市計画をより成熟させていく、日本の特色に対応した個性ある、いわば日本型のまちづくりを進めていく必要があると思っております。
 この中で、各地域につきましても、ただいま大臣が仰せのように、各地域の特色というものを踏まえ、独自の魅力を発掘し、あるいはつくり出して、目指すべき都市像を明らかにした上で主体的に取り組んでいく、さらには、人口減少を踏まえて交流を拡大していくというのが基本であろうと思いますし、現にそういった取り組みを始めている都市もかなり出てきているというふうに思っております。
    〔委員長退席、菅(義)委員長代理着席〕
岩國委員 ありがとうございました。
 確かに、俗にこの高齢化については、ヨーロッパは八十年かかった、アメリカは四十年、日本は二十年の速さで高齢化を迎えている。したがって、ヨーロッパのやり方、アメリカのやり方、まちづくりだけじゃありませんけれども、いろいろなシステムも、よその国から学ぶのではもう間に合わない時代がやってきていると思います。
 これは、国土交通行政についても、あるいは都市計画についても同じことだと思うんです。そういう点からいえば、都市再生の方向について、大臣も局長も今、日本型とおっしゃいましたけれども、都市政策の日本型というのは今までなかったと思います。
 要するに、日本には、町はなくて村しかなかったんです。私の住んでいる世田谷もそうです。要するに、昔の田んぼのあぜ道をちょっと広くして道にしただけ。道路というのは、広くて、真っすぐで、長く続いているのを道路と言いますけれども、日本では細くて、短くて、曲がっている、そんな道路ばかりなんです、世田谷に来ていただければ一番よくわかりますけれども。島根県の出雲市もかつてはそうでした。
 そういう道に対する概念が、道路をつくって両側に家を建てるというのは外国の都市計画、日本は、家と家のすき間を道路として使うというのが日本のまちづくりだったんですよ。根本的にこれはもう変わっていかなければならない。
 もう一つは、今、大臣も局長もおっしゃった高齢化の問題です。
 これから高齢化対応というのは、世界の最先端を日本の行政は意識として持っていかなければならない時代を迎えていると私は思いますから、特に車社会の対応ということを考えますと、人口は都市に集中する、しかも都市の高齢化は急速に今、地方よりも進んできている。その中で、都市を中心としたまちづくりというのは、もう車社会の時代から、車を使えない高齢者、使いたくない高齢者をもっと重視した、車社会から人社会への転換というのは私は必要だと思います。
 したがって、その都市の中の道路や住宅、例えば市役所、商店街、住宅街、みんなそれぞれ別にすみ分けるのが今までの都市づくりだったかもしれません。もうこれからは、商店街の中に市役所を引っ張ってくる、あるいは住宅街の中に商店街を同居させる、そういった共生型、同居型の発想というのが必要じゃないかと私はこの白書を見ながら感じました。
 同時に、車社会から人社会へということを私は申し上げましたけれども、やはり車を使う生活スタイルよりも、毎日とにかく町の中を歩くのが楽しい、歩くから健康を維持できる。公園のベンチをどんどんつくって、高齢者の人をそこへ座らせてひなたぼっこをさせて、三時間いたから、はい、健康になりました、こういう健康法はもう時代おくれなんだ。とにかく歩き回ることだ、歩くことが最大の健康法。高齢者を歩かせるような町、歩きたくなる、歩かせるようなまちづくりというものを私はもっともっとこの交通白書の中に打ち出すべきではないか、そのように思います。
 それに関連して、二つ質問があります。
 一つは、個性的なまちづくりということをおっしゃいましたけれども、全国どこへ行ってもマクドナルドの看板がある。それから、松本議員いらっしゃいますけれども、全国どこへ行ってもまたマツモトキヨシのお店があったり、あるいはケンタッキーの店がどんどんあったり、この個性的なまちづくりを破壊しているのは全国的な統一ブランド。あれが、結局どこへ行っても同じものがある。これは企業にとっては大変いいことでしょう。しかし、そこに住んでいる、地方の、個性をつくるという点からいったら、どこの市へ行っても同じ看板がある、これも私は考え物じゃないか。この点について、どういう指導理念を持っていらっしゃるか、これが一つ。
 二番目は、バリアフリーということを非常に強調していらっしゃいます。バリアフリー、この片仮名、なかなかまだ理解されていない面もありますけれども、このバリアフリーという場合には、一番のバリアフリーは、日本という国の全体を見た場合に、七百カ所も関所があるということなんです。江戸時代には五十しか関所はありませんでした。しかも、手形さえあれば通れたんですよ、金を払わなくても。今は七百の関所があって、お金を払わないと通してくれないでしょう。何でこんな、バリアフリーの一番の攻撃目標は、この七百カ所の関所を撤廃することじゃありませんか、そういうまちづくりという点。
 それから、都市と都市のネットワークということを強調されるのであれば、ネットワークをつくれと言いながら、ネットワークを、次々といろいろな都市を移動するときに、途中で関所があってお金を取る、これはバリアフリーとは全く矛盾しているんじゃありませんか。
 この看板の問題と、二番目に、バリアフリーというんだったら、この関所撤廃ということが私は必要だと思います。
澤井政府参考人 看板あるいは広告の問題でございますけれども、一方で営業の自由ということとの調和の中で、屋外広告物法という法律で営々と景観向上の努力をしているという現状でございまして、これからいろいろな意味で、この法律の実効性を高めるためにどうしたらいいかという検討もしておりますが、例えば、同じ商標だから広告の効果があるところというのは、そういう中でももちろん尊重すべきだと思いますけれども、一方で、景観上どうかというときに、広告の出し方をどのぐらい規制できるかというあたりは、かなりいろいろな検討をしなければいけない課題だと我々も思っております。
 よく言われますのは、ニューヨーク、ヨーロッパ等では必ず壁にそういう商標なんかを打つ、だからビルのそでにつくような広告が少ないというようなことも言われます。そういったあたりも踏まえて、どういった規制が皆様の理解をいただいた上で可能かというようなことも一つの検討課題だろうと思っております。
佐藤政府参考人 先生、関所のお話がございました。まことに恐縮でございます。
 高速道路の関係では約七百カ所、首都高速道路とか都市高速なんかも全部入れますと約千三百カ所の料金所が四つの公団で存在しております。
 これについて、先生の御指摘は、これをなくして、そして自由に走行ができるようにする、そのかわりというのが先生の御主張にはついているんだと思います。前から伺っております。ナンバープレート課金と申しますか、借金している部分の償還については、ナンバープレートに課金をして、それで償還したらどうか、こういうお話かと存じます。
 一点、私どももいろいろな角度から検討をしたりしておるところではございますが、ドイツで、ナンバープレート課金といいますか、走行車、大型車について、一定の額を振り込んだら、年間なり月なりの高速道路の走行を自由にできる、こういうことでやっておりましたが、これはどうしても、使う量と支払う額との不均衡みたいなものがやはりドイツでも問題になっておるようでございます。この秋から、GPSを使って料金を取るような方式でやろう、こういうふうに変えようとしているとも聞いてはおります。
 いろいろな方式というものがあろうかとも思いますし、十分な償還ができて、また新たに建設できる、そういうような方式を確実にはしておく必要があるのかな、そんなふうに思っておるところでございます。
岩國委員 今ドイツの例を挙げられましたけれども、ドイツとフランスは土地でつながっておるんですね。ですから、EUという一つの社会システムの中に入っていくと、今度はドイツだけが無料だということはなかなかやりにくいから、よその国を意識したことをやっている。今、日本の中に中国ナンバーや韓国ナンバーがどんどん走っているなんということはあり得ないわけです。その点をちゃんとよくわきまえて答弁をしていただきたいと思います。
 なるほど、アメリカ、ドイツ、イギリスは無料だ、そのドイツでさえも今度有料制を取り入れたか、これが世界の兆候かと思わせるような誤解を招きやすいのは、そこに一つの問題があると私は思います。
 それはドイツ国民の税金でつくられた道路だからドイツ国民には無料で開放する、わかりいいやり方ですよ。あるいは、よその国から来た人に対してもそこそこのあれはやる。しかし、いろいろな税制から何から統一化していこうというときに、そこを統一化するためには、周りが全部有料制であれば、とりあえずそちらの方に対応していかなきゃならぬというドイツ独特の問題はあるでしょう。
 では、ドイツがあっちをやったからイギリスもまねしたか、アメリカもどんどん有料制に切りかえているかということは、ないわけですから、将来、中国ナンバーや韓国ナンバーがどんどん走るようになれば、そのときの対応というのはまた何らかの方法は考えなきゃいけないでしょう。
 しかし、今我々が目の前にしているのは、都市と都市の間の格差がある、あるいは、島根県、鳥取県のように、高速道路がない、そういう県と、高速道路が何本もあるような県との、要するに都市間格差、県と県の間の格差、これが障害なんです。そういう高速道路を持って国内競争でやっていけるところと、高速道路さえもないような県とでは、明らかにこれはバリアがあるじゃないですか。これも大きな意味では、バリアフリー社会が日本ではまだ実現していないと私は思う点であります。
 それでは、次の質問に移らせていただきます。
 航空局長とこの間、成田の民営化の問題について私は議論をさせていただいたことがありました。今、そうした民営化の動きの中で、何でも民営化がいいとは言えないと私は思うんです。公営でしっかり守るべき仕事というのもあるはずですし、私自身は、民間企業の経営も、それから市役所の経営も、両方とも経験させていただいている。両方のよさというものがわかっていると私は思っております。いわば民と官の両方の経験というのを持たせていただきました。
 民間に任せればすべて何でもよくなるというのは大いなる幻想じゃないかと私は思っております。役人というのは役に立つ人と書いてあるのはこのためかと思わせるような仕事ぶり、そのようなものを意地で見せるときが今来ているんじゃないかと私は思うんです。何でも民間企業に任せたら効率はよくなる、サービスはよくなる、そして利益率は向上する、そのような考え方は間違っていると私は思います。
 出雲市の例を申し上げて恐縮ですけれども、出雲市は、同じ税金で、同じ給料で、しかし、土曜日も日曜日も営業をやっております。土曜日も日曜日も、勤務は五日、サービスは七日、これが出雲市役所が平成元年からずっとやっていることです。税金もよそと同じ、給料もよそと同じ、それで市民はサービスを七日間受けている。官も民も今リストラに取り組んでおりますけれども、出雲市は七割の職員で十割の仕事をやっております。それは数字を調べてみたらよくおわかりのことだと思います。官も民もリストラで、そして二十年間に二割とか三割削減ということを目標にしておりますけれども、出雲市の場合には、二十年間悠々とよそが追いついてくるのを待っているだけです。
 建設省から二人助役さんを三年ずつ私は送っていただいたことがあります。それは平岡助役と松田助役、二人とも優秀な役人さんでした。そして、私の仕事を第二助役として手伝っていただいて、あらゆる公共事業、治水事業から区画整理から鉄道高架から、まちづくりから、国道のバイパス、そして山陰高速道路の準備、二年後には周囲と合併いたしますから、空港整備に港湾整備、公共事業のデパートと言われているぐらいにたくさんの仕事があった。それを全部こなしてきた。
 何よりもすばらしいのは、その二人の助役はともに市民から大変愛されました。霞が関がやっている紙と鉛筆の行政ではなくて、足で歩いて、そして汗を流して、時には住民とともに涙を流して、私はこれが本当の行政だと思うんです。そして、公共事業というものは悪いものだという意識は全くありません。むしろ、一生懸命、役に立つ人、役人が汗をかいて、一緒に涙も流して、そしてまちづくりを、島根県の活力を高めてくれているんだ、そういう思いを浸透させる。これは民間企業にはできないことなんです。
 今こそ、国土づくりということを強調されるのであれば、私は、官の強さ、官のよさというものをもっともっと強調すべきではないかと思います。役所は役に立つ所と書いてあります。それを見せるときではないか。今いろいろな民営化の法案が次から次と毎週この委員会を流れていきますけれども、私は、そういう役所の強さ、役所のよさというものをもっとPRされるべきではないかと思います。空港にしても道路公団にしても、公団には優秀な役人もいるんだ、民間企業ばかりじゃなくて、公団にも成績のいい者が、少しはどうかと言ったら失礼かもしれませんけれども、集まっているということを見せるべきじゃないですか。
 そして、日本の郵便局も、出雲市に倣って、十年前から、ついに土曜日も日曜日も営業を始めました、大都市のデパートの中だけですけれども。やればやれる役所だってあるんですから、私はそういったことを、今この民営化という大きな流れの中で、法案審議をしながら、なぜもっと役所あるいはお役人と言われる方たちが立ち上がって、自分たちの方に任せてくれた方がもっといい仕事ができるんだということをおっしゃらないのか、その点を大変残念に思います。
 さて、扇大臣に質問したいことがありますけれども、先ほど私が取り上げましたこの国土交通白書、この中に、国土交通の行政が国土の防衛のためにどういうふうにお役に立つべきか、どういうふうにすべきかというのは、何ページのどこにどういうふうに書いてあるんですか。
 一朝事があったときに備えるために、今、国会で大臣も内閣の一員であれば、小泉内閣の大きな課題が有事法制を立法化することだったんじゃありませんか。我々民主党も、一生懸命汗をかいて、とにかく国民のために安心できるような法律をつくろうと努力しました。
 この国土交通行政というのは、そういう法律面の有事法制があったとすれば、それを実行して体制をつくるのは、この国土交通省の大きな仕事ではありませんか。あらゆる省庁の中で、国という字を使っているのは、扇大臣、あなたの省しかないんですから。
    〔菅(義)委員長代理退席、委員長着席〕
扇国務大臣 今、岩國議員がおっしゃった、大変大事なことだと思っております。
 我々は、まさに有事法制を審議する前に有事に遭いました、あらゆる面で。それは、陸海空、運輸、建設、あらゆるものが、四省庁統合し、なおかつ、海上保安庁、気象庁という六つの大きなものを抱えておりまして、一昨々年のあの十二月の工作船、これもそうでございました。それから、静岡の上でニアミスを起こしたこともそうでございました、大きな事故には至りませんでしたけれども。そして三宅島の噴火等々、旧国土庁も一緒でございますから、また名古屋の集中豪雨、それこそ鳥取の西部地震等々、戦争だけではなくて、攻撃されるだけではなくて、あらゆる国土自身の有事というものを、私たち、陸海空、絶えずこの危機感を持って対応しているというのが現状でございます。あらゆる面で、我々は、その対応をし、なおかつマニュアルをつくり、そのマニュアルを実行してみるということを、既に全部実行しております。
 私は、それが一〇〇%と胸を張れないのは、やはり今一番最良のものをつくっていても、どんな危機があるかもしれないということでは、やはり一〇〇%と言えない。結果を見て一〇〇%と言えるかもしれませんけれども、現段階では、でき得る限り最上の危機管理をしているというのが国土交通省でございます。
岩國委員 この国土交通白書の何ページのどこにどういうふうに書いてあるんですか、国土防衛のためのどういうハード、制度なりなんなりができているのか。
 この国土交通白書には、これからのまちづくり、国づくりに関しては、喜び、幸せ、美しい、便利、そんな言葉が羅列されています。しかし、一番大切なことは、強い都市づくりじゃありませんか。防衛のためにも強い、災害にも強い、その面が全く完全にこれは欠落しております。本当にそういった面での危機意識を持っておられるのかどうか、国土交通という場合に。
 私は、また後ほど申し上げますけれども、高速道路という哲学一つとってみても、道路がいかに大切かということを国土交通省自身がもっともっと認識しなきゃいかぬのじゃないですか。道路をつくって幾らもうけようとか、料金を幾ら集めようとか、あるいはこれからの雇用対策に使おうとか、そういう次元でばかり考えているからこんな日本になってしまったと私は思います。
 よその国は、アメリカでもドイツでもイギリスでも、どこの国もそうです、みんな、高速道路というのは、ローマの時代から、道路というものは、国を守るために、国民の生命財産を守るために、これが一番大切な武器、手段ではありませんか。国土交通白書の中にはそういう意識が欠落しているということを、私は大変残念に思います。
 私は、出雲市の自衛隊にも、出雲市から出ていってほしいということを発言したことさえあります。高速道路のないところに自衛隊を置いてどうするのか、同じ県内のどこかへ行くのに三時間も五時間もかかっているようでは、これは全然防衛という役を果たさないと私は思ったからです。そして、防衛庁にお願いしました、移転するのか、高速道路をつけるのか。防衛庁は、高速道路をつけるという意見でした。ですから、防衛庁は建設省に陳情していただいて、地元の国会議員の方も動いていただいて、そして、ようやく出雲自衛隊には、高速道路がつながるような自衛隊の存在になったんです。
 もう一つ、欠落している大変残念な点は、国土防衛だけではなくて、災害に対するそういう代替交通手段ということの必要性がこの交通白書の中には欠落しているんじゃないでしょうか。
 一朝事があったら、阪神大震災のときに、山陽側の道路が全部全滅しているときに使われたのは、山陰の細い片道一車線のあの国道九号だけだったんです。国道九号は完全に県外の車によって占領されました。地元市民は使えなかったんです。しかし、地元市民はだれ一人文句を言いませんでした。なぜこうなっているかがわかっていたからです。
 しかし、そんなお粗末な状態に放置するのは問題だと私は思います。災害のために、そういう物流、日本国あちこちの人が、九州のものが大阪へ、東京へ運ばれるような代替交通ルートというものをちゃんと確保する、そういう視点がここには、道路行政には欠落しているように私は思います。
 御意見があれば、ぜひ聞かせていただきたいと思います。
扇国務大臣 今、岩國議員がおっしゃったことは、当然、私も同感でございますし、また、そうあるべきであると思っています。
 ただ、残念なことに、私は何度もここで申し上げておりますけれども、先ほども、二十世紀はハードの世紀と言いました。ハードの世紀にもかかわらず、戦後、日本の国土をどうするかというグランドデザインが描き得なかった。
 岩國議員も御存じだと思いますけれども、戦後初めて、兵庫県の姫路城の、あの姫路駅から一直線に百メートル道路ができました。名古屋にも、駅から百メートル道路ができました。それは戦後一番早かったんです。
 そのときに、ああ、すばらしい町ができるんだな、百メートル道路なんて今まで聞いたことも見たこともなかったけれども、こういうすばらしい基本的なまちづくりの基礎があるのであれば、すばらしい日本になるだろうと思っておりましたけれども、その百メートル道路も今や陳腐化して、まさに基本的なグランドデザインがなかったばかりに、今、岩國議員がおっしゃったような、行政、そして各地方自治体との連携の悪さ、あるいは安全性の確保、冒頭におっしゃいました、道路が真っすぐでなくて曲がりくねって、そして消防車も走れないようなところもある。
 そういうことも、グランドデザインがなかったゆえに、ハードの世紀であったにもかかわらず、地権者の反対ということもあったでしょう、財政難ということもあったでしょう、高速道路もつくりましたけれども、残念ながら、外国の道路と違って、狭い日本ですから、一直線につくればもっと近いのに、それもできなかった。
 それは、やはりグランドデザインがなかったゆえの政策の貧困さだと私は思いますから、大変おこがましいと思いましたけれども、その白書の最後にも、私は、初めて百年デザインというものを、国土交通省のタスクフォースをつくって、そのタスクフォースの三十代の若者の意見を皆さんに供して、今後の国土づくり、安全性も含め、あるいは二十一世紀型老齢化社会にも対応できるまちづくりをしようということで、初めて、霞が関では百年なんというのはおこがましくて今までだれも出したことがないんですけれども、三十代の若者が三十二名、知恵を出してつくってくれたもの、まだまだ欠点はあるかもしれませんけれども、まず材料を示して、この材料でいいか悪いか、多くの意見をいただきたいというのが最後に載っております。そして、そこに、連絡をしてくださいというのも、インターネットでも入るようになっておりますので、今、岩國議員がおっしゃった今までの日本に欠けていたものを、多くの知恵をかりながら、国土交通省の政策の一端にぜひ加味させていただいて、お知恵をいただきたいと思っております。
岩國委員 釈迦に説法ですけれども、行政改革というのは、行政の効率化、財政の効率化、金の流れと仕事の流れ、それをどのように時代に合わせて透明なものにするか、これが中心課題だと私は理解しております。
 改革政権とみずから小泉さんは名づけられて、そして国民の高い期待を集めておられます。その小泉内閣の掲げる過去の時代への多くの挑戦の中で、最も重要で最も規模の大きい改革は、質量ともに注目を浴びているのがこの国土交通委員会の仕事ではありませんでしょうか。だからこそ、不正はもちろんのこと、いささかの粉飾や数字の隠ぺいなどがあってはならないことは言うまでもないことだと思います。
 そのための数多くの組織形態を変える作業がこの部屋で進みつつあるわけです。その審議の過程で、不正も粉飾も隠ぺいもあってはならない、見逃してはならない。それは、この掲げられている肖像の中にも、有罪判決を受けられた方もいらっしゃいます。この前の委員室でも、そういう方もいらっしゃいました。いずれも、建設大臣を担当し、公共事業を担当し、不正をやってはならない、その教えとして、常に交通委員会はそういう部屋で審議せられることになっているわけです。
 道路公団についてお伺いしますけれども、債務超過の赤字会社であろうとなかろうと、経営責任がそれだけで直ちに生ずるものではない、そのような仕組みをつくったり、その後の運営の仕方を変えてこなかった国会に責任があると私は思います。
 道路公団の藤井総裁、おいでいただいていますけれども、あなた方公団幹部の責任が問われるとすれば、それは次の四つのケースです。
 一番に、政府、国会に対し、適切な経営内容の報告と改善のための意見を申し出ておられたかどうか。二番目、業務遂行の面で効率の悪さがあったかどうか。三番目、支出の面で不正があったかどうか。四番目、今回の民営化推進委員会に対して適切な資料と情報を提出する義務を誠実に果たしておられたかどうか。特に、財務諸表の加工、粉飾、隠ぺいを図ったことはないかどうか。こういった点は、私は総裁として責任がおありだと思います。仮にあったとすればです。
 公団事務局が中間取りまとめの原案を推進委員会に提出したのはいつですか。その時期だけをはっきりおっしゃってください。
 道路公団の事務局が、総裁が命じておつくりになったプロジェクトチーム、中間取りまとめの原案を推進委員会のメンバーに提出されたのはいつだったんですか。そして、その作業はいつから開始されて、中間取りまとめなるものが推進委員会に出されたのはいつだったのか。その資料そのものは提出していただくことはできますか。
藤井参考人 今先生がおっしゃった中間取りまとめの内容、項目が何かというのは幅広うございます。例えば、関連法人の問題もあれば、財務諸表の問題もあれば、いろいろな問題がございます。その中で、道路公団としてできる範囲と、それから国土交通省としてできる範囲と、また一緒になってやれる範囲と、そういうものがいろいろとあると思います。
 私どもは、そういう意味で、民営化委員会に先立って、扇大臣が国土省の中で指示されて民営化のための委員会を、いわゆる諸井委員会と言っておりますが、おつくりになって議論された、その成果も私どもは常に一つの重要な指示事項として承っております。
 そういう中で、民営化委員会から求められた資料については、可能な限り出しております。可能な限りというのは、膨大な資料でございます。積み上げれば恐らく数メーターになるぐらいのものでございますが、細かいものから大きなものまでございます。それをできるだけ指示の時間に間に合うように努力はいたしております。ですから、出さないということは一切ございません。今ないものは出しておりません。
 多分、財務諸表のことを中心に御質問されているのではないかと勝手に解釈いたしまして申し上げますと、財務諸表については、まだ、どんな形にせよ、民営化委員会あるいは国土省あるいは世間に対して、一切道路公団はつくっておりません。今作業中でございますから、提出をいたしておりません。
岩國委員 同じ答弁は大臣からも伺いましたし、総裁からも私は先般の質問のときにも伺いました。
 全くないと言われるならば、皆さんにお配りしました、川本委員はそのような資料をつくっておられます。公団が償却後再調達価額として作業を行う前提として、取得原価が把握できる帳簿がないといったようなことも理由となっているようですけれども、であれば、昨年十月に民営化推進委員会に提出した固定資産税把握を目的とした財務諸表の基礎データはどうなっているんですか。基礎データもなしにそういった固定資産税に関する資料というのは出せるんですか。
藤井参考人 今先生から見せていただきました十二月六日付の川本裕子委員の資料でございますが、これにつきましては、私ども、民営化推進委員会の事務局から、固定資産税関連の基礎データを算出するに当たり、正味の道路資産額を示すものとしてつくってみたいから、どんな形でも出してほしい、計算をしてほしい、こういう依頼がございました。
 その際、事務局からそういう大胆な仮定を示していただきました。その仮定に基づいて出したものでございますので、これそのものは委員会の中で、「試算作業の留意点」というのが事務局から委員の方々にお示しになっております。
 これは、読みますと、「今回の集計は、固定資産税関連の基礎データを算出するためであり、正味の道路資産額を示すものとして、これをもとに債務超過か否かを判断することは適当ではない。」こういう御説明のもとに、委員会として御議論されたものでございます。
 私どもは、財務諸表というのは初めてでございます。公会計では財務諸表というのはございません。そこで、一昨年、大蔵省の財政審議会の方から、行政コスト計算書というものをまとめられて、それに基づいてひとつ計算してみなさいというのを出したことはあります。これはずっと各省全部、全省庁がこれに基づいて作業をしております。
 しかし、これはいわゆる民間の、民営化のときの財務諸表とは全然異なるものでございますので、道路資産の内訳区分のあり方、各資産の評価方法、あるいは償却資産の棚卸し方法またそれの評価方法を、構造物と土地と、それにおいてそれぞれ違います。また、原価に算入する間接費も、補償費の取り扱い、建設中の金利の取り扱い、その他の間接費の取り扱い、それから道路建設仮勘定の取り扱い、あるいは減価償却の単位及び方法をどうするか、耐用年数をどうするかといったようなことについて、私どもは経験がございませんから先生方にお願いして、昨年の十月に委員会をつくっていただいて、そこで七回の議論を経ながら、私どもが、その方針を示されて、それに基づいて、今資料の集計をし、計算する寸前まで来ている、こういう状況でございます。
 したがって、それまでに何らかの形で財務諸表関係に使えるデータを持つということはあり得ないわけでございます。
岩國委員 今、総裁がいろいろと答弁していただきました。そういった内部の試算、その基本になっているデータというものは、仮にそれが財務諸表と呼ばれるには少し無理があるとしても、同じ資料、同じ数字は、民営化推進委員会とまた財務諸表検討委員会と両方に提出してありますか。そして、それは議事録の中でどのように記録に残されていますか。議事録の提出は可能ですか。この三点、お願いします。
藤井参考人 財務諸表という前提で提出したことはございません。それから、例えば道路延長が幾らだとかいったようなものは出しております。あるいは、採算性、路線ごとにどうなっているかといったようなものは出してございますが、これらは財務諸表には全く使えるものではございません。
 そういう意味で、財務諸表に使えるという前提でのデータを委員会に出したということ、今作業中でございますから、先生方にそういう御説明をいたしまして、しかも、作業の考え方についても、先生方に全部、五回にわたって御説明をいたしまして、そして御理解をいただいたと思っておりますけれども、作業をさせていただいているわけでございます。
岩國委員 そうした、財務諸表とは言えないけれども、それ以外のものはちゃんと提出してあるということですね。とすれば、財務諸表検討委員会にも民営化推進委員会にも、要求があればすべて同じものを出しておられて、そしていつかは財務諸表という肩書で大臣に報告し、我々に報告できる、その準備が今進みつつある。作業過程ではあるけれども、財務諸表というラベルは張ってないけれども、まだ名前がついていない段階だけれども、どんどんこういった試算の根拠となるものは次々と提出されておる、そのように私は理解いたしますが、それで間違いありませんか。
藤井参考人 先生はプロでいらっしゃいますからもう十分おわかりだと思いますけれども、財務諸表のデータと、一般的に民営化委員会から要求されてきているいろいろなものがございます、これは車両の数だとか、いろいろなものがございます、それとは全く別でございます。財務諸表に使えるデータというのは極めて明確にしていかなければなりませんので、それに関するデータは、民営化委員会にも一切提出しておりません。
岩國委員 それでは、最後に大臣に質問させていただきます。
 大臣は、国土交通委員会で、財務諸表提出後議論するとのことを、さきの委員会でも御発言いただきました。単に一方通行で、報告だけすれば終わりではなくて、その報告に基づいて議論する、この委員会で。そのことをお約束いただいておりますけれども、その際には、現在争点となっております次の数値の明記は必ずしていただけることをお願いし、約束していただきたいと思います。
 今総裁のお話の中にもありましたけれども、標準的な単価、建設期間、そして金利に関する一連の根拠資料。二番目に、耐用年数に関する根拠資料。三番目に、争点となり得る建設中金利、金利を資産に入れるか費用として落とすか、こういった点で問題になっておりますけれども、その問題となっておる建設中金利の額。四番目に、試算中争点となり得るであろう補償費の額。そして五番目、再調達にかかわる従前価額からの物価上昇分。六番目、資産区分ごとの各年度にさかのぼり配分する再調達価額。そして最後になりますが、当然のことですが、各道路ごとの内訳。こういったことも含めてこの委員会に提出していただくということをお約束いただきたいと思います。
扇国務大臣 岩國議員が今細かくおっしゃいましたけれども、それらすべて含めて、この間も私、岩國議員に申し上げたと思います。
 少なくとも我々は、特殊法人というものが今七十四ございます、その中で、今までそういうことの計算をしたのは十一しかありません。それは、御存じのとおり、民営化になりましたJRの四社でありますとか、あるいはNTT、そしてJTのたばこ会社等、それから電源開発と関空と、それらしか、今まで十一しか特殊法人でこういうのを出したことないんです。今まで一遍も国はそういうことを要求もしないで七十四の特殊法人が今まで来た。
 これを改めようという大変大事な瀬戸際に来て、今岩國議員がおっしゃった細かいことは、今、私、記録し得ませんでしたけれども、少なくとも、企業会計に基づきます財務諸表というものを出しなさいと言ったのは私でございまして、民営化推進委員会の答申をいただきました去年には、移行に至るまでの過程で、財務諸表という項目が二十二ページの頭に出てまいります。それはことしの九月でいいと書いてあるんですから。にもかかわらず、あらゆる今までの、公団の中につくった財務諸表の検討委員会メンバーの議事録を出しなさいということまで民営化推進委員会から出ています。
 私は、道路公団総裁に言いました。間違えないでいただきたい、民営化推進委員会の答申では来年の九月でいいというのを、私が国会中にと言って、総裁に何としても前倒ししなさいと言ったのは私ですと。私に出すんならわかるけれども、九月でいいと言った人に、しかも道路公団がこれだけ、百五十人の、四公団含めてですけれども、百五十人のメンバーで、金額でいえば十一億円も、アウトソーシングもしながら急いで財務諸表をつくっている努力の最中に、あれ出せこれ出せ、議事録出せ。これは、名前、今総裁から言ってもらったらわかりますけれども、公団の中に、この財務諸表の検討委員会というのは民間のプロを選んでいるわけですね。その人たちに一々中間で、あれ出せこれ出せと、全部仕事がおくれるんです。
 ですから、私は、まず、民間まで入って、そして公認の会計士なり税務処理の人たちを入れて、できたものを持ってくるのは私じゃないですかと。民営化推進委員会は九月でいいとおっしゃっているんですから。そして、私は前倒しすることを総理に言ってありますから、まず持ってきてもらって、それを総理に見せて、どういう発表の仕方をするかというのは、民営化推進委員会は総理が任命された方ですから、そこに出すか出さないかは総理の判断もいただきながら、私は委員会にも当然それをお見せすると思っています。
岩國委員 道路公団が債務超過か資産超過か、これは非常に関心のあることではあります。しかし、債務超過だからといって、藤井総裁の責任を追及する、私は、そんな考えは全くありません。仮に道路公団が債務超過であれば、それはそういう仕組みをつくった国会、そしてそういう運営をずっと認めてきた国会に責任があるのであって、道路公団の総裁じゃなくて、建設大臣、国土交通大臣の方にむしろ責任があると私は思います。
 債務超過になったから道路建設が進めにくくなる、そんなことは思う必要は全くないんじゃないでしょうか。資産超過だからまたこれからどんどこどんどこ道路がつくりやすくなるというのも、またこれ間違いです。こんな、債務超過になろうと資産超過になろうと、今までの仕組みのどこが悪いのか、国会がどこを間違っておったのかということを我々知るために、正直に出していただければいいんです。
 それを、これから自分たちの仕事がやりにくくなるかならないか、そのためにどこを加工したらいいだろうか、いや、そんな作業をやっているんじゃなかろうかと世間が思っているんじゃなかろうかと思うことがこういった作業をおくらせたり、あるいは隠ぺいしているとか加工しているとか、補償費の、あるいは金利の取り扱いをめぐって専門家と意見が合っていないという雑音が聞こえてきたり、私は、そういうことじゃなくて、正直に早く正しい数字を出していただくこと、そして、今までの経営責任は全くないことなんです。
 経営責任があるとすれば、不正な支出をやっておったか、効率の悪いサービスをやっておったか、その点は、これはどんな場合だろうと、資産超過になった場合でもその責任についてはこたえなければならないわけですから、そういった債務超過か資産超過かということにこだわらずに、私はこの委員会にぜひ出していただきたい。総裁自身は決してその責任を問われるのではなくて、国会が責任を問われるべきなんです。
 一部の評論家に、銀行の不良債権にこれを例える人があります。これも間違いです。銀行というのは自由競争で、世界を舞台に経営者の判断でもって不良債権をつくったんです。もちろん、不良債権をつくるような環境を、この長年の自民党政権の経済政策の間違いがお手伝いした面はあると思います。しかし、根本は一つ一つの銀行の経営者です。
 しかし、道路公団の場合は違うんです。これは自由競争の世界でもない、全部国会と政府のがんじがらめの中で皆さん仕事をしてこられたわけですから、その結果がどうなったかということを、どこで国会の議論が欠落しておったかということを私たちに示していただきたい、そのように思います。
 高速道路の今後の建設と公団の財務内容を結びつけるような議論がある、それは私は間違いだと思いますが、大臣はどういう御意見ですか。
扇国務大臣 私は、そのとおりだと思います。
 今まで七十四の特殊法人を、一度もこういうことを論議しなかったということ自体が異常であったと私は思います。
 そして、今おっしゃいましたように、私は、昨年の十二月に、民営化推進委員会から意見書なるものを総理を経ていただきました。そして、総理から、この意見書を尊重しながらこれを処理するようにということを私は御下命いただいて、その民営化推進委員会が出された意見書を、まず国土交通省の中で、今すぐできること、あるいは中間的にできること、最終十六年度の通常国会に法案として出すものという三種類に分けて、即できることはやりましょうということで、もう幾つかは道路公団も協力をして改正を始めております。
 そういう意味では、今岩國議員がおっしゃったように、私たちは、道路をつくるということと、もうかる、もうからないということから考えれば、今からもう一つもつくれません。そういうことではなくて、公共工事のあり方と、そして国のあり方というものを基本的に考えて、道路公団あるいは四公団のむだがあったんならそれをなくそう、これは当たり前のことで、今おっしゃったように、基本的に、姿勢を正すということと、政策の変更と事業の縮小ということとは、公共工事である以上は、必ずしもリンクしない。
 私は、岩國議員がおっしゃったとおりのことを私も感じておりますので、努力していきたいと思っています。
岩國委員 私自身は、何度も繰り返しましたけれども、そういった道路こそこれからの国土づくりの根本であって、この狭い日本の生産性を高めるのは、一番わかりやすくて効果があるのは、道路網を整備すること。国を守るためにも、災害のときに対応するためにも、経済活動の生産性をアメリカの二十五分の一の小さな国で上げるためにも、私は道路建設をどんどん推進すべきだ。
 そして、つくったら国民に無料で開放することです。この小さな日本の国土の中で、生産性を高めて、民間に多くのビジネスチャンスを提供することによって民間活力を引き出して、都市と地方の格差を縮め、雇用の拡大を実現する武器になるのが高速道路を中心とする基幹道路網だと思います。
 有料な高速道路こそ、無用の長物です。高い税金を使って車を走らせないようにして、道路を車が走らないで、道路だけが楽をする、こんな道楽をやっている暇はありません。道が楽をしている、人が下を走って、トラックができるだけ高速道路を走るな、こんな変な国がどこにありますか。税金というのは人が楽をするために払うもの。道路に楽をさせて、人が苦労している、こんなおかしな国はないじゃありませんか。
 発想の転換こそ必要です。有料制の高速道路こそ、無用の長物どころか、動きにくい日本をつくり、高速道路が雇用と景気の大量破壊兵器になっておるじゃありませんか。
 むしろ無料にすることで初めて高速道路が、大量破壊兵器ではなくて、雇用をふやし、民間の活力を引き出し、地方の活力を引き出す大量生産兵器に転換すべきだと私は思います。そのためには、民営化ではなくて公営化を続けて、効率的な公営こそ国民に対する最大のサービスができるんではないかと私は個人的には思います。
 しかし、それがいいのかどうか、その判断を我々にさせていただくために、私は総裁にきょう、そういうことを申し上げました。早く正確な、加工せず、粉飾せず、隠ぺいせず、正直に早く出していただいて、我々が間違っていたんだ、何十年間の日本の道路行政は全く間違いなことをやっている、それをはっきりさせるためにも、ぜひこの委員会で議論をさせていただきたいということをお願いして、私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
河合委員長 一川保夫君。
一川委員 では、私は、自由党を代表いたしまして、一般質問をさせていただきます。
 質問通告の順番をちょっと変えさせていただきますけれども、今ほど岩國委員の方から道路問題のあれが出ました。私は最初に、最近ちょっと忘れかかっていますけれども、ちょっと冒頭に水問題について、水関係の質問から開始していきたいと思います。
 これから梅雨の時期を迎えますと、洪水の危険性が非常にあるわけですけれども、一方で、私は、最近の水資源ということについて、量的にはある程度満足した状態になりつつあるのかもしれませんけれども、質的にはまだまだ重要な課題を抱えているような感じを受けております。また、量の面でも、そうかといって楽観できない面が相当あるんではないかというふうに思います。
 といいますのは、御案内のとおり、最近のいろいろな気象条件、気象状況が異常的な状況が世界で発生しておりますし、我が国においても、近年、雨が非常に少なくなってきたとか、あるいは降雪量もだんだん減ってきたというようなことも聞かれますし、また、場所によってはいろいろなそういう自然の生態系等々の変化、あるいは河川の水質の汚染も部分的には進んできている面もございます。
 そういうことを考えますと、河川に流れている水そのものも、場所によっては減ってきている。我が国は、御案内のとおり、年間降水量は世界で非常に多い国だというふうに言われておりますけれども、しかし、人口一人当たりの量にすると決して多いわけじゃございません。
 そういうことをいろいろと考えてみますと、我が国の水資源のこれからの課題といいますか、基本的な取り組み方針というものをこの機会にしっかりとしたものをつくり上げておかないと、やはり我々は、この水というのは、生命を維持するためにも、また生活を維持するためにも、そしてまたいろいろな社会活動、産業活動を活性化するためにも、全く基礎的な資源であるというふうに私は思います。
 これは近年の、近年というか、最近よく戦争なんかのことがテレビで出ますけれども、アフガニスタンだとかイラクとか、ああいう状況を見ておりましても、水資源の問題ということも含めて、非常に緑の問題も絡んできますけれども、国土の荒廃している国というのは人間の心も荒廃して戦争状態に近づくのかなという感じもいたしますように、やはり水資源の確保ということ、こういったことは非常に重要な問題でありますし、特段支障のないこういう時代に、しっかりと将来を見据えてそういう対策をとっておくということが非常に大事な問題ではないかなというふうに思います。
 そういったことで、この水資源開発の今日的な課題といいますか、そういうものと、今後の取り組み姿勢といいますか、そのあたりをまず基本的にお聞かせ願いたい、そのように思います。
扇国務大臣 今、一川議員には、これから夏に向かって我々に一番大事な点を御指摘いただいたと思っております。
 また、私ども国土交通省、ことしでございましたけれども、三月の十六日から二十三日まで、京都、滋賀、大阪、この三府県によりまして第三回の世界水フォーラムを開催できた。しかも、政府主催で閣僚級の皆さん方が、厳しい国際情勢でございましたから、イラクの戦争がございまして、その中でも百七十の国及び地域と四十七の国際機関が参加してくだすったということは、いかに水ということに対する認識が世界的になっているかということのあらわれでございます。
 一川議員御存じだと思いますけれども、今二〇〇〇年に世界の地球人口が六十億、そして二〇二五年には地球上の人口が八十億人になります。そのときに、今までこの水フォーラムで言われましたことは、二十世紀は領土紛争の世紀であった、二十一世紀は水紛争の時代である、こういう位置づけをして、水の大切さというものを論議されました。そして、我々は、今後、二〇二五年、八十億の人口ができたときには、安全な水をとることができる、そういう安全な水を飲めないという人たちが十二億人、地球上で五人に一人は安全な水を飲めないような時代が来るというのがこの水フォーラムで示されました。そして、なおかつ、不衛生な水しか摂取できない、そういう人がこの二〇二五年には二十四億人に達すると言われました。
 それもこれも世界的には大変なことだと思いますけれども、今、一川議員がお口になさいましたように、近年、日本の国を見ただけでも雨の量が少なくなっています。過去百年間で降水量が七%日本は減少しております。ですから、世界的なことだけではなくて、我が国の中でもこの降雨量の少なさ。
 そして我々は、そのために戦後今日まで、水の資源ということで、水開発をしようということで、利水そして治水両面であらゆるダム工事もつくったりしてきましたけれども、それによって将来の水が確保されたということではなくて、既に今、この夏、東京では、原子力発電所を停止したために、取水の制限をしよう、夜の電気も消そうではないかというようなことも言っております。
 あらゆる面で、水力あるいは電力もそうですけれども、我々はそれがなければ生きていけない時代になって、なおかつ、水の枯渇という、そしてまた地球温暖化という違った面での危機も迎えておりますので、それに対処するためには大変な意識を持たなければならないということがこの水フォーラムで示されたとおりでございます。
一川委員 水資源に対する基本的な認識は、大臣も十分今答弁で理解されていると思います。そういう面では、要はこれから、水資源開発なりこういったものは今すぐ手をかけて来年間に合うというものでもございませんし、相当長期間を要してその効果が出てくる、そういう性格の仕事でもあります。道路の舗装みたいに、舗装すればすぐ車が通れるというものではございませんので、そういう面ではしっかりと中長期的な展望のもとで対応していただきたいなというふうに思っております。
 最近、前の委員会のときにもお話ししましたけれども、我が国の水、飲み水の利用状況を見ましても、ミネラルウオーターの使用量が非常にふえてきているとか、あるいは家庭内での浄水器が非常に普及してきているとか、水の安全性なり、またおいしい水を十分手に入れたいという欲望がだんだん大きくなってきていることは間違いないというふうに思っております。
 また水の値段も、前にちょっとお聞きしましたけれども、もうガソリンよりも普通の飲み水の方が値段が高い。こんなことはかつて信じられないことでございましたけれども、現実問題、市販している水の価格を見れば、ガソリンよりも高いのじゃないかな、そういうことに気がつきます。そういったように、我々は、これからの水資源開発について、相当しっかりとした問題意識を持って対応しなければならないなというふうに思っております。
 そこで、ちょっと具体的な話で河川局長にお尋ねするわけですけれども、我が国の水資源開発施設の重要な部分を占めているダムというのがございます。ダムが築造されて、私自身の身近なダムを見た経験ですけれども、十五年から二十年ぐらいするとだんだんダム下流の河川の水質が悪化してくる、経験上我々もそういうことを学んでおりますし、またいろいろな方もそういうことをおっしゃっております。
 その悪化という中身は、すぐ人体に影響がある悪化というよりも、見た目に汚れてきたとか、あるいはまた、ダム湖の中に、長年たちますと、そこにあった木の根っこが腐ってその湖水にまざってしまう。また、流域の森林管理がだんだんおろそかになって、細かい土砂等が湖水に流れ込んでくるといったようなことも含めて、ちょっとした雨が降れば当然ダム湖の水は攪拌されますから、そこで年がら年じゅう細かい粒子分がそのダムの水の中に含まれてしまう、それが年間を通じて下流に流れ込んでくるということで、今までダムの下流の河原できれいな石ころがごろごろしていたものが、何年かすると、大体そこに草が生えてきますし、また木が生えてくる場合もあります。それはそれで緑が目につくわけですからいいなという人も中にはいるかもしれませんけれども、しかし、河川の水そのものもある面では汚濁が進んできているということにもなるわけです。
 そうしますと、今、ダムそのものの必要性が問われているというような時代でもありますから、私は、このダムという施設をもう一回リニューアルするといいますか、見直すということが非常に大事な時代ではないかなというふうに思います。
 これはハード的に、ダムの構造上、下流への水の供給量をもっとコントロールできるような構造に、可能であれば部分的にそういうものを改造していくということも必要だというふうに思いますし、またダムは当然、水操作をしますから、操作規定というのは人間の話し合いで決まる話ですけれども、その操作規定を見直すということも考えてもいいのではないかなというふうに私は思います。
 私たちの地元のあるお年寄りの人は、いや、毎週水曜日というせっかく水のついた曜日があるんだから、水曜日に中洪水的な水を流せばいいじゃないか、そしてきれいにしたらどうか。一々警報を出さなくても、きょうは水曜日だからちょっと水かさがふえるよというふうにしておけばいいじゃないかということをお年寄りの人が言っておりましたように、私は、やはりもっと人工的に、ダムを抱えている河川は、下流に被害を及ぼさない程度の中洪水を意識的に流すことによって川をきれいにしていくというようなことも含めて、ダムの構造面それから水を管理するための操作規定、そういうものを見直すということについて、河川局長はどういうお考えをお持ちですか。
鈴木政府参考人 川をきれいにするという観点から、ダムの構造変更とか操作規則に見直しをしたらどうか、こういうことでございました。
 まず、構造変更ということについて一例を申し上げますと、ダム水環境改善事業、こういうネーミングをつけて、例えば手取川水系の手取川ダムなどでもやっているわけでございますが、ダム下流に無水区間があるというようなところについて、放流設備を設置して、ちゃんと水を流すようにするというような各種施策を実施しております。
 それから、操作規則の関係でございますが、これは現在は、ダムの弾力的管理試験、今は試験の形でやらせていただいております。どういうことかと申しますと、ダムによって高度調節等を行う結果、利水操作もそうなんですが、河川がもともと持っている流量変動を小さくしているという面があるわけでございます。これが、今委員御指摘のように、河川環境にさまざまな影響を与えている、そういったことを考えて、河川の流量変動のダイナミズムといいましょうか、そういったものを取り戻そうということを基本的な考え方にしております。
 具体的には、洪水期に、洪水調節に支障がない範囲内で、洪水期の制限水位より上に水を一時的にためまして、そしてその水をダム下流にフラッシュ操作を行うというふうなことを試験的にやっております。
 もちろん、出水が予測された場合には早急に水位を制限水位に減らせるということをあわせてやっているのは当然のことでございますが、いずれこういったことを、今試験的にいろいろ全国でやっておりますので、効果ですとか、いろいろな問題点がないか、そういったことを確かめながら、いずれ操作規則の変更まで持っていきたいと考えております。
一川委員 ぜひそういうダムを抱えている河川について、水質を良好にする、そういう対策を、従来のいろいろな考え方にこだわらないで、もう少し頭をやわらかくした対応というのが行政側にも今求められているのではないかなというふうに私は思っております。
 特に近年、ダムの必要性云々というような議論が方々で上がっておりますので、そういう面では、そういうことの反省の中に立って、もう既にあるダムについてしっかりとした対応が必要でないかなというふうに私は思っております。
 それから、今、水資源開発に絡んでお話ししましたけれども、洪水ということを考えれば、河川というものは、当然ながら、洪水防御という面では重要な機能を持っているわけですから、堤防をしっかりと築造して、それをきれいにしておくということも大事なことです。
 こういったものはまた、道路と違いまして、通常、何もなければだれも感じないことなんですけれども、万一大きな雨でも降って、大きな洪水が起こってくると、河川の役割、ありがたみということに気がつくわけです。ふだん何にもないと、河川というのは普通の人は余り関心を持たないケースが多いわけです。ただ、私は、やはり通常、何もないときの河川管理というのは、日常的な管理というのは、ある面ではこれからも非常に重要な問題ではないかなというふうに思います。
 直轄管理されているところについては割ときれいに整備されてきているというふうには思いますけれども、全部が全部、私も見ているわけではございませんからあれですけれども、知事に管理委託しているような、知事管理区間というんですか、二級河川等、あるいは一級河川の知事管理区間は、若干そういったいろいろな日常的な管理が行き届いていないというケースも見受けられます。そういうことも含めて、河川の日常的な管理、きれいに整備しておくということは非常に重要な問題だというふうに私は思います。
 ただ、しかし、河川関係やそういった通常の管理をするための河川の予算というのは、私は、ほかの予算に比べると非常に少ないなというふうに思います。いざ、何か災害が起こると、すぐ災害復旧で直すというのは河川が多いわけですけれども、災害が起こらないようにいろいろな日常的な手当てをするための予算は非常に少ないなという印象を持っております。そういう日常的な河川管理に対する対応方針について御説明をお願いしたいと思います。
鈴木政府参考人 河川の日常的な管理についての基本的な考え方についてのお尋ねでございます。
 御指摘のとおりでございまして、河川の日常的な管理というのは、治水上も、あるいは環境、利水、さまざまな面にわたって、大変重要と考えております。
 今、樹木の関係がございましたので、ちょっとそういう点について詳しく申し上げますと、樹木は基本的には伐採するということが洪水の処理上は必要になるわけでございますが、これもやはり、何でもかんでも、いつでも樹木を伐採すればいいということではなくて、例えば、鳥などの営巣の時期を避けるとか、いろいろなきめ細かなことも考えながらきちんとやっていくということが大事だと認識しております。
 なお、その辺の予算について非常に厳しいというようなお話ございましたが、実は、水辺環境の保全ということに関しては、やはり地域ごとにさまざまな特性があるわけでございまして、きめ細かな水辺環境の保全ということを推進する必要があるだろうということで、地域住民や市民団体による河川の清掃や草刈り、こういったことを地元でいろいろやっていただいている例がございまして、こういった形でやりますと予算というのは非常に少なくて済む。ただし、そういったものに対して、国側としてもきちんとした支援を行う、そういったようなさまざまな仕掛けもあわせながら、今後実施してまいりたいと考えております。
一川委員 河川という空間というのは、今日、いろいろな面で、水辺環境だとか、あるいは水面を眺めるだけで気持ちが安らぐということも当然あるわけでございますので、そういう面では、これからの高齢化社会という中にあって、水辺環境的な、水環境といいますか、国土交通省も親水事業的なものにはだんだん力を入れてきておりますけれども、日常的な河川の管理、水辺環境をしっかりと管理するという面では、引き続き、やはりしっかりとした対応をお願いしておきたい、そのように思っております。
 次のテーマに移らせていただきますけれども、建設産業のことについても、以前、私も何回かお聞きしたことがございます。この建設産業の話題というのは、余りいい話題というのは、こういった国土交通委員会とかほかの委員会でも出てこないです。政治と金の問題になると、いや、建設産業がどうのこうのとか、あるいは入札問題に絡んだいろいろな談合疑惑だとか、いろいろなことが出てきます。
 しかし、私は、建設産業の中で従事している労働者の皆さん方、経営している方々も含めて六百万人ぐらいいるという大変な一大産業だというふうに思っておりますし、また、そこの企業の数も今五十五万ぐらいですか、そういうような数。最近、ここ近年、大分減ってきたというふうに聞いておりますけれども、そういう面では、しかし、依然として我が国の基幹産業の一つだというふうに思っております。
 しかし、一時期、公共投資、公共事業というものが景気対策の一環として、補正予算、補正予算ということで相当つぎ込んできたということも受けて、建設産業もそれをもろに受けて、相当調子のいい時期があったわけでございますけれども、最近は逆にそれが、財政難という中で、なおかつ、いろいろな問題の中で、今、公共投資を含めいろいろな建設市場というのはだんだん縮小してきています。
 こういう背景の中で、二、三お聞きするわけですけれども、我が国のこういった全体のマクロ経済という中で、国土交通省としては、公共投資というものがどういう役割を担っているか、あるいはまた担うべきかというようなことについて、我が国の経済全体の中でこういった公共投資というものについてどういう認識をお持ちなのか、また、それを今後どういうふうな方向へ持っていくべきなのか、そのあたりの基本的なお考えをお聞かせ願いたいと思います。
扇国務大臣 一川議員がおっしゃいましたように、私も、この委員会で、あるいは予算委員会で、公共工事にまつわる質問が、大半が談合だとか丸投げだとか汚職にかかわるとか、そういうことの質問が多かったことは大変残念なことだと思っています。
 私は、そういうことを一掃するために、初めて日本で公共工事の入札と契約に関する適正化法を、これは各党全会一致で通していただいたということは、日本の公共工事のあり方の第一歩を踏んだということで、大変多くの関係者または議員の皆さん方には、全会一致の、公正さという、入札と契約の適正化法に心から感謝を申し上げている。
 でも、これは第一歩でございまして、今までの公共工事というものは、少なくとも日本の経済に大きな役割を果たしてきたというのは、今、一川議員がおっしゃったとおりでございまして、世界に経済大国だと言われるようになったその経済のもとも、先ほども岩國議員がおっしゃいました、道路をつくることによって物流がよくなり、そして外国の流通に対処していけるようにということも先ほども御論議がありました。
 公共工事というものは、国民の利便性と、そして国の経済の発展のために、公共工事をするために税金をいただいていると言っても過言でないと私は思います。我々の生活は、朝から晩までほとんど公共を供しないで生活はできないわけです。それをよくするために我々は税金をいただいていると思っていますので、公共工事というものを悪だと言えるようなことはあり得ないことで、私は、公共工事こそが、国民の生活と安心と安全と国土の発展のためになくてはならないものであるという認識は持っております。
 ただ、今日まで、先ほども言いましたように、二十世紀はハードの世紀で、追いつけ追い越せということで乱暴に工事をしたために、あるいは競争が、需要が多かったために、高度成長期、粗悪な工事、あるいは競争だから、何でも仕事がたくさんあるというのでコストアップになった面もなきにしもあらず。そういう意味では、今現実的に、先ほど冒頭に一川議員がおっしゃいましたように、五十五万社と言われるような建設業界の会社の多さ、そして国の公共工事が少なくとも三〇%減っているにもかかわらず、投資規模が同程度の十数年前より建設業就業者が約八十五万人多いということ自体がクエスチョンマーク、これは需給のバランスが崩れているという証拠でございます。
 そういう意味では、建設業界等々、大変苦しい時代になっているというのは事実でございますけれども、もうあのバブルのような、公共工事がうはうは、右向いても左向いても公共工事だったという時代は過ぎ去りまして、質のよさ、品質勝負ということにもなっておりますので、私は今まで、たとえ二十世紀に一生懸命つくった公共工事が粗悪な部分があったにしても、つくったものは長年持ちこたえられるように、我々は今、二十世紀の負の遺産と言われる部分は二十一世紀に補足していこう。できたものをいかに長く使うか。また、先ほど申しましたような、高度成長期にあるいはコストアップになった部分は、コストダウンをしようではないか。
 それよりも何よりも、公共工事で一番問題は、先ほどもお話が、岩國議員等おっしゃいましたけれども、とにかく日本の工事は長いんですね、期間が。長いからどんどんコストアップになる。一人が反対していてももう工事が進まないという、この公共工事のスピードアップということを図らなければコストダウンも望めないと私は思っていますので、あらゆる意味で、公共工事の真の正しさと、そして国民に供する、国の発展のための必要な公共工事をいかに今後スピードアップをして、コストダウンを図り、質の品質保持をしていくかという大きな原則のもとに、公共工事を進めていくための見直しをしながらやっていきたいと思っています。
一川委員 公共工事は、そういう面では非常に、マスコミに登場するときは悪いニュースで登場するケースが多いわけです。しかし、そこで働いている方々がやはりしっかりと仕事に誇りを持って働けるような、そういう環境をつくってあげるということも非常に大事なことだというふうに思いますので、公共工事そのものの社会的な役割、必要性というのは十分わかっているわけでございますけれども、ぜひ、そういう方向の御指導をお願いしたい、そのように思っております。
 そこで、関連しまして、ちょっと具体的なお話をお聞きします。
 大手ゼネコン絡みの話題というのはよく、いや、会社が合併しただの統合したの、あるいは債権放棄を受けたのという、何か、地方の建設業者から見るととんでもないことを大胆にやっているわけですけれども、何々建設会社が何千億円債権放棄を受けた、何でそんなことができるんだというようなことを我々は地方へ行きますとよく耳にします。
 大手ゼネコンの話題をここで議論するとまだまだ時間を要しますから、ここではちょっと省略いたしますけれども、地方の中小建設業というこの業界をどういう方向へこれから指導していくかということも大変重要な問題だというふうに思います。
 これは、御存じのように、先ほど言いましたように、建設市場そのものが縮小してきている中で、過当競争的にはなりつつありますけれども、一方では、大臣も施政方針演説でお話があったように、建設業を再編成したりとか、あるいは、場合によっては協業化、合併をしたりというようなこと、そしてまた、新分野への進出をいろいろな面で指導していきたいというようなお話もございました。
 場所によっては、地方の建設業が一部、福祉関係の事業に手を出しているというようなお話を聞いたこともございますし、それからまた、いろいろなリサイクル的な、環境対策にかかったようなそういう仕事に経営の範囲を広げていくというようなこともチャレンジしているというふうに聞いておりますし、それからまた、建設業として暇な時期に、農業にその労働力を投入するというようなこともお聞きしたこともございます。
 そういったように、いろいろな新しい分野に、従来の発想を変えて建設業というものを有効に活用していくということも含めて、こういった地方の建設業に対する、これから新しい時代に向けての指導方針といいますか、そういうもののお考えを、もしあったらお聞かせ願いたいと思います。
三沢政府参考人 地方の中小、中堅建設業というのは、立ちおくれている社会資本整備の担い手であるということのみならず、就業機会の確保とか、そういう意味で、地域の経済社会の発展に欠くことのできない役割を担っているというのが現状であるというふうに認識しております。
 ただ、先生御指摘のとおり、公共投資が今減少する中で、やはり地方は比較的公共事業への依存度が高いということがございまして、地方の中小、中堅企業の経営環境も非常に厳しさを増してきている。そういう意味では、地方のこういう建設業についても、再編あるいは淘汰というようなことが避けられない状況になってきているというのが現状でございます。
 そういう中で、私どもは、こういう中小、中堅建設業の再生に向けまして、一つは、非常にまじめに一生懸命仕事をしておられる業者の方々と、いわゆる不良不適格業者が混在しているというのはやはり非常におかしい。そういう意味では、先ほど大臣のお話がありました入札契約法の徹底等を通じまして、不良不適格業者を排除し、逆に、まじめに一生懸命仕事をしている業者が報われるような環境整備をしていくということが非常に大事だと思っております。
 それからもう一つは、やはり各企業ともこれからますます、コスト管理の徹底であるとか、分業、外注化等による事業の効率化とか、あるいはお互い企業間連携ということで、資材購入とか設計の協業化等のいろいろな連携の促進を図っていく必要があろうということがございます。
 それからもう一つ、先ほど先生おっしゃいましたように、地方で既に建設業者の方々が福祉ビジネスに進出したり、あるいは環境関連ビジネスに進出されたりというような、新しい成長分野にみずから非常に積極的に取り組んでおられる例もございます。
 したがいまして、私どもは、今申し上げましたような点につきまして、平成十四年度の補正予算、それから本年度の予算におきましても、事業者団体と連携して、新しい分野進出に向けて適切にアドバイス、アドバイザーといいますか、そういう助言できる体制の整備、あるいは、経営革新に向けてモデル的な取り組みをしていくようなことに対する支援というものを推進することにしているところでございます。
 それから、地方整備局等の建設業担当課におきまして、こういった地方の業者の方々の経営相談窓口を設置いたしました。こういう窓口におきましても、できるだけ実情を踏まえながら、経営基盤の強化に向けた取り組みの促進を図ってまいりたいというふうに考えております。
一川委員 まだ時間もあれですから、ちょっと次の話題に移らせていただきたいと思うんです。
 新幹線の問題、局長いらっしゃっておりますけれども、今、東北新幹線、何かきょうの新聞を見ていても、橋脚が二十何本か損傷したというようなことがぼんと出ておりました。東北新幹線というのは整備してそんなに年数がたっていないと思いますけれども、それは危険性には問題ないとは思いますが、今どういう対応状況なんですか。まず、そのあたりをちょっと手短にお願いしたいと思います。
石川政府参考人 二十六日の地震に伴いまして、東北新幹線の水沢江刺駅と盛岡駅間の六カ所で、六高架橋のうちの、高架橋の二十三本の柱、これについて、コンクリートのひび割れ、またはコンクリートのかぶり部分が一部剥落をして鉄筋の露出が見られるというものが全体で二十三本ございます。
 これにつきましては、現在、応急手当てという形で、基本的に、その部分については鉄骨で上の構造物を支えておりまして、さらに、そこについては必要な樹脂あるいはコンクリートで補強をするということを当面の工事としております。
一川委員 これは、ちょっと新聞の報道を見た限りでは、今、二十三本が損傷したその区間というのは、阪神震災の後、何か、各橋脚を補強しましたけれども、その対象外だったというふうな格好になっていましたが、それは、それで正しいのですか。
石川政府参考人 東北新幹線は前にできたものでございますが、阪神・淡路大震災のときに、あれだけのガル、加速度がかかった地震がございました。それに伴いまして、全国の新幹線あるいはほかの在来線も含めまして、耐震補強工事をやったわけでございます。
 今回の部分につきましては、当時、JR東において、耐震補強は、とりあえず阪神・淡路大震災のレベルがあっても大丈夫なだけの構造物になっているということで、あそこについては直接的なそういう工事はやっていない区間でございます。
一川委員 これからいろいろな被害の確認があって、またそういう時間に質問させていただきたいと思います。
 さて、今は地震で、いつも気になるのは、東海道新幹線と北陸新幹線の関連でございます。この委員会で私も何回か質問させていただいて、大臣も余り明快な答弁をいただけなかったのです。
 北陸新幹線がいろいろな面で、その役割の中の一つに、東海道新幹線のバイパス機能を有するんだ。要するに、補完的な機能を北陸新幹線が持っているという位置づけの中で、東海道新幹線に万一何か大きな事故等が発生した場合には、首都圏と関西圏を連結するルートとして北陸回りの新幹線というものを、やはりしっかりとした役割の中で整備すべきだということが従来から言われてきておるわけです。しかし、相当長大な新幹線でもありますので、まだその進捗状況はそんなに進んでいないのは御案内のとおりです。
 私は、昨年この国会でも、東海道新幹線大規模改修に向けて十五年間ぐらい引当金を積み立てていくというような一部法律改正があったというふうに記憶しております。東海道新幹線を今後十五年ぐらいをめどにして、大規模改修のそういう財源を積み立てしていこうというのであれば、十五年後ぐらいまでには北陸新幹線のめどを立てておく。そうすれば、大規模な改修をやる場合でも、北陸回りの新幹線が通れるような状態にしておけば、東海道新幹線も堂々と改修工事に入れるのではないかというふうに思います。どうもそのあたりの考え方が整理されていないのではないかというふうに思いますけれども、いかがでしょうか。
石川政府参考人 現在の東海道新幹線は、建設してから四十年近くなってきておりますので、そういう意味で、大規模改修をやっていこう、準備をしていこうということで、昨年引当金をつくっていただいたわけでございます。
 これは、将来にわたり安定的な輸送を確保するために必要となる大規模改修に向けた引当金でございますが、これはJR東海がみずからのお金をいわば引き当てるということでございまして、みずからの費用で事業を行う、そのためのみずからの費用を引き当てるということでございます。それに対して税制上の支援を行っていこうというものでございます。
 一方で、整備新幹線につきましては、国と地方の税金を支出してこの費用をつくろうというものでございます。したがいまして、費用の構造がそういう意味では違うということだと思います。
一川委員 それはそういうことなんでしょう。しかし、一般国民から見れば、東海道新幹線がそういうふうにして大規模な改修の準備に入るのであれば、改修工事を始めるまでに北陸回りの新幹線を整備すればいいじゃないかというふうに素朴に思います。
 それから、フリーゲージトレーンというような新しい技術開発でもって、全部できなくても、部分的にはそういう列車を走らすことによって連結することもできるわけでございますので、そのあたり、北陸新幹線のこれからの取り組み方針、進め方ということについてはいかがですか。どういう基本的な考え方で臨まれるんですか。
石川政府参考人 北陸新幹線につきましては、ある意味では、整備新幹線の中で先行的に平成九年十月に高崎―長野間が開業しているわけでございます。長野以北については、現在、御案内のとおり、平成十二年十二月の政府・与党申し合わせに従って、長野―富山間を全線フル化ということで、おおむね十二年強後の完成を目指すというようなことでやっているわけでございます。
 それで、全線の整備となりますと、仮に大阪まで未着工区間の整備を行うといった場合には、さらに二兆一千億円程度の工事費が必要になるということもございますので、こうした財源をどういうふうに確保するか、調達するか。それから、ルートの問題や収支採算性、投資効果などの検討の基本的条件を確認する必要があるということにならざるを得ません。
 したがいまして、いずれにしましても、北陸新幹線については、今後とも、政府・与党申し合わせに従って着実な整備を図っていくということになろうかと思います。
一川委員 いつもそんなような答弁なんですけれども、東海道新幹線も北陸回りの新幹線も、その沿線に今住みついている人口というのは四千万台、ほぼ同じような人口が張りついているわけです。そういう中で、先ほど言いましたような東海道新幹線の本当のバイパス的な機能を北陸回りの新幹線に持たせるということであれば、もっとしっかりとしたスケジュールを持って対応していただきたいというのが私の気持ちでございます。
 また、沿線の地方の都市も、ある程度目標を与えることによって、今日の冷え込んだ地域経済をいろいろな面で民間の力をかりて活力を持たせていくという面では、大きな起爆剤にもなりますので、しっかりとした目標をできるだけ早く提示していただきたいということをお願いしまして、質問を終わらせていただきます。
河合委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午前十一時五十六分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時五分開議
河合委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 質疑を続行いたします。大森猛君。
大森委員 日本共産党の大森猛でございます。
 きょう、私は、ダム問題二点、お聞きをいたしたいと思います。
 最初に、三月から試験貯水を始めた奈良県川上村の大滝ダムの右岸、白屋地区で発生している地すべり問題についてお伺いをいたします。
 白屋地区では、今、家々の壁やブロック塀、土塀の床や地面に亀裂や大きなひび割れが発生して、住民が、それこそ夜も寝られないと大変な不安を訴えておられます。私も一昨日現地を見て、状況をつぶさに見てまいりました。対策の問題については後で触れますけれども、あるおうちでは、自宅にある、なくしたら取り返しがつかない、こういうような代々伝えられているものを娘さんの嫁ぎ先に移転する、そういうことをされている光景を目の前にしまして、これは本当に地域の皆さんの心配の度合いが大変深刻なものであるということを深く実感してまいりました。
 例えば亀裂の状態を見ていただきたいと思うんですが、写真が小さくて大臣のところから見えるかどうかわかりませんが、こういう亀裂が方々に入っております。これはある建物の駐車場部分でありますけれども、これの延長線上に、ずっと畑に二、三十メートルぐらいひび割れが入っているわけです。それから、この奥が建物の中になるわけなんですが、残念ながらかぎが閉まっていましてここは拝見できなかったんですが、この中にもずっと亀裂が入っているという地元の方のお話でありました。
 訪問した住宅では、例えば窓のサッシがゆがむ、壁が落ちる、玄関の引き戸の基礎が盛り上がって閉まらなくなってしまっている、土間の床にひび割れ、あるいは床の盛り上がりもありました。さらには、農産物、芋などの地下収納庫、そこの土壁が陥没あるいは沈下しているというようなこともありました。ブロック塀なんかも、ひどいところでは十センチぐらいずれてしまっているというところまであったわけであります。こういう地殻の変動が家の地下で起こっている。地割れが、隣の家の下からブロック塀にずっと亀裂が走って、庭やあるいは壁にまで地割れが走っている。水道管が破裂しているところもありました。
 もともとこの白屋地区というのは、かなり急な、紀ノ川、吉野川のV字型の谷の斜面にあるわけです。最初に発見されて約一カ月の間に、急速にこういう状況が今広がっているわけです。集落には高齢者が非常に多い。不安で夜も寝られないという訴えは、これは本当のものだと、私、現地を伺って感じたところであります。
 ですから、今、一定の対策をやられているわけでありますけれども、今緊急に必要なことは、こういう住民の不安をきちんと取り除くということにあるのではないか。そのために必要なこととして、希望する人は直ちに移転できるようにすることではないかと思います。住民の不安解消のために、国としても、村ともよく協議した上で、まず第一にこうした点に取り組むべきではないかと思いますが、まず、この点、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。
鈴木政府参考人 ちょっと私の方からお答えいたします。
 御指摘のように、大滝ダムは三月十七日に試験湛水を開始しております。そして、現在、白屋地域において家屋や田畑に多数の亀裂が発生するなどの現象が生じている、これは事実でございます。最大で二、三センチ程度の亀裂があるところもございます。
 これは貯水池の水位の上昇に伴ってこのような現象が生じているという状況を踏まえますと、ダムの試験湛水との因果関係が疑われる状況になっておりまして、しっかり早急に調査をして必要な対応をするべきである、このような認識でございます。
大森委員 住民の不安をなくすという点で、やはり移転の問題が一番大きな今焦点になっていると思うんですね。この点についてどういうお考えでしょうか。
鈴木政府参考人 住民の不安解消のために移転等の措置ということのお尋ねに関してでございます。
 御指摘のとおり、住民の方々の不安解消が何より重要と私どもも認識しております。当面、観測計器の増設、伸縮計、これは機械の名前でございますが、あるいはクラックのゲージ、クラックの幅をはかるゲージの計測値、そういったものも現場で公表して、地元の方が現状がどういうことなのかをきちっとわかるようにするというようなこと、あるいは地区内への監視用詰所の設置ですとか、当方の職員の二十四時間常駐などの措置を講じております。
 ということでございますが、不安解消のために移転ということでございますが、すぐに住民の方々すべてに移転していただくというようなことは、現状では考えておりません。
 不安解消のため、でき得る限りの対策を実施するとともに、万が一に備えてということも必要でございますので、これについては、川上村の方と協議をしまして、対岸の川上中学校というのがございますが、万一の場合にはそこに避難していただく。さらに、そこの橋を渡る前に、当方で場所を確保しまして、今、そのための仮避難小屋、避難場所というのも設置中でございまして、間もなく、今週中にもでき上がるということでございます。
 そういうようなことで、万々一の対応については地元に御説明をしております。
 なお、家屋に実際に亀裂が入っているというようなことで生活に支障がある方々もおられるわけでございます。これは、現在、七世帯、十三名ございます。そのうちの三世帯はおひとり暮らしでございます。今までのところ、川上村といろいろ相談いたしまして、教職員用の住宅であいているのがございますので、これを今四戸確保していただいております。それ以外についても、今、当方で対応することも含めて、川上村の方と協議中ということでございます。
大森委員 万が一の場合に中学校の体育館を用意する、これは当然の、当たり前の話でして、それさえなかったらこれはもう何もなしということで、不安解消という点での抜本的な策をやはり検討すべきじゃないかと思うんですね。
 大体、この問題での国交省の対応というのは非常に問題だと思うんです。
 二十六日の東京新聞で、この問題、「こちら特報部」という特集を組みましたけれども、この中でも、北西さん、この方は私たちもお会いをしてきましたけれども、「北西さんが、国交省の紀の川ダム統合管理事務所に通報したのは四月二十五日。だが、国の腰は重い。」実際、日本地すべり学会、砂防・地すべり技術センターの専門家が調査に入るまで三週間かかっているわけですね。私たちの現地での聞き取り調査でもそのことを確認いたしました。大滝ダムの支所に二十五日に通報して、写真を撮りに来たのは五月九日、十日以上かかっているわけですね。
 SARSでも対応のおくれが大変問題になりましたけれども、これはそれ以上にひどい対応ではないですか。
鈴木政府参考人 御指摘のとおり、現地の方で、四月二十五日に地元の方から現地を見に来てくれというような御連絡がございまして、私どもの支所長が現地を確認しております。その後、五月九日には、観測データ、亀裂の状況等の調査結果について協議をしております。あるいは、亀裂箇所については、現実にそこに水が入り込むとこれはぐあいが悪いものですから、そこに不漏性シートを設置するとかというようなことはもう既に対応しておりますし、計器類も五月十日までに増設しているということでございます。さらに、五月十一日には、試験湛水が原因だということが疑わしいということでございますので、試験湛水の水位の上昇を、湛水していたわけでございますが、これをとめております。今、その水位を維持しろと、これは専門家の意見も聞いた上で対応しているわけでございます。
 したがって、そういったことで、現在のところ、地すべりの動いている量というのも非常に減ってきている、こういう状況でございます。
 さらに、こういったことについて、現地調査の結果については地元の方々にも結果報告を行っております。
 特に大事な点でございますので、ちょっと詳しく申し上げますが、現地を見ました専門家の見解について若干御紹介申し上げますと、地すべり現象が起こっているということ、それから、原因は直ちに判断はできないが、湛水との関係が疑わしい、原因解明あるいは対策のためにもきちっとした調査が必要だ、それから、地すべりの初期段階であって、脆性破壊に至ることは考えにくい。脆性破壊と申しますのは、簡単に言えば、急激に地すべりが拡大する、大きな……(大森委員「もういいです、それは」と呼ぶ)はい。
 そんなようなことでございまして、私どもとしては不安解消のためにさまざまな対策を講じておりますし、初動動作で若干遅かったんじゃないかという御指摘がある点も承知しておりますが、今後、きちっとした対応を実施したいと考えております。
大森委員 初動のおくれがあったことはやはり認めるべきですよ、こういう場合に。四月二十五日に通告して、本人のところには九日に写真を撮りに来たというわけですよ。十日ぐらいの時間がかかっているわけです。そうした点をきちんと指摘しておきたいと思います。
 それで、現地の方は、専門家が来て安全だと言われても、不安は残るわけですね、これから先、一体どうなるのか。この観測をいつまで続けるつもりなんですか。どういう状況をどのように続けていくのか、その辺はどうなんですか。二年、三年待たなくちゃいけないんですか。
鈴木政府参考人 現在、地すべりの挙動を観測しているということがございますが、もう一つは、実際にどういうところで、具体的にはどういう深さのところで地すべりが起こっているのかということを把握することが実はこの対策を考える上で大変重要でございまして、それについて鋭意、それは二年とかそういうようなことではもちろんございませんで、一月とか二月とかいう範囲で、地すべりの挙動をまず確認するということが最優先でございます。その上で、必要な対策をどうするかということについて早急に考えてまいりたいと思っております。
大森委員 二月か三月たったら何らかの結論を出すということですか。
鈴木政府参考人 時期について確定的なことをちょっと申し上げにくいんですが、いずれにしても、この問題について、ダムの供用がおくれるということにもなりますし、何よりも地元の方々に大変な御迷惑をおかけしているところでございますので、とにかく急ぎで、全力で、できるだけ早く結果を出していきたいと考えております。
大森委員 これはどういう結論になるか、それは全く未確定なわけですね、時期も未確定。そこあたりの説明が現場でほとんどされていない。二年待つのか三年待つのかというような、これは私の言葉ではなくて、住民の皆さんの声ですよ。こういうものに対する明快な回答がないから、ますます皆さんが不安を募らせるということになっているわけです。ですから、住民の不安を取り除く、そのために最大限のことを行う必要があると思うんです。
 今の答弁にはありませんでしたけれども、こういう観測の中で、例えばクラックゲージで、一時間で二ミリ、二時間連続した場合には緊急避難というようなことを出されているようでありますけれども、この問題も、例えばこれから梅雨期、台風期に入っていくわけですね。大変難しい、困難な状況も出てくると思うんです。こういうものに対してどうするのか、これも明快な対応の方針も示されていないわけですね。
 さらに観測の体制、一定のお話はありましたけれども、観測の箇所等はもっと住民の声を聞くこと。あるいは巡回などについても住民の希望を聞いてきちんととっていくということ。さらには水道管の破裂等、既に実害が出ているわけですね、窓枠の壁が剥落するとか引き戸が閉まらないとか。こういうのに対して万全の対策をきちんと国の責任でとっていくということは、これは住民の皆さんへお伝えしてよろしいでしょうか。
鈴木政府参考人 村の方とも今相談しておりまして、そういった具体の被害については、当然またこちらの方で対応する必要があると考えております。
大森委員 実は白屋地区というのは、代々、地すべり地帯として大変有名なところなわけです。国会でも、たびたびこの地区は問題になってきました。
 例えば、この地域、私も見て感心したんですが、水路とか畑の畝のつくり方ですとか家屋の構造なども、こういう地すべりが多い地域だということを考慮したつくり方が行われているということになっているわけです。
 そして、今から三十年ほど前に、大滝ダムの計画が煮詰まる過程で、地域の住民の皆さんはみずから学者に委託して、地すべり問題を中心とした調査をされました。委託研究調査をしたのは、当時の肩書で、元金沢経済大学学長の吉岡金市氏と金沢経済大学の助教授の和田一雄氏であります。お二人によって、これはコピーでありますけれども、奈良県川上村大滝ダムに関する調査研究書がまとめられました。
 こういう研究書については、国交省としてこれを把握し、これを参考にされたでしょうか、当時。
鈴木政府参考人 地元の方で、奈良県川上村大滝ダムに関する調査研究というもの、今委員御指摘の両先生が報告書を書いているということは承知しております。具体に、もう三十年前のことであり、いつ把握したかという時期について正確に把握することはできませんが……(大森委員「肝心のところが聞こえにくいんです」と呼ぶ)済みません。そういった報告書があることは承知しておりました。
 私どもとしましては、奈良県ダム地質調査委員会というのが、これは県の方でつくられたものでございますが、白屋地区に関して、昭和四十八年から五十三年に全九回この調査委員会が開かれております。当方として、当時は建設省でございますが、建設省といたしましても、大滝ダム地すべり対策委員会というのを五十五年から五十六年に全十回開催しておりますし、さらに引き続いて、平成十一年から十二年までの間、これも二回ほどやっておりますが、こういった検討委員会をして現地調査を行い、その調査の結果を踏まえ調査委員会で各種検討を行った結果、現在に至っているということでございます。
大森委員 この調査報告書の中では、お寺の過去帳まで丹念に調べて、地すべりや水害があったことが字名の中に残されているということも明らかにしたり、約一年間の調査を通じて、この地区が歴史的に地すべりの多い地域であったということを明らかにされております。そして、この結論として、「大滝ダムの建設によつて白屋地区の地すべりは拡大され、それを防止する方法はないので、その対策としては水没者と同じように、他の安全なところに移転するより外ないということである。」このように指摘をされているわけですね。
 いわば、当時、これはどんどん進められている計画の中での一つの警告であったと思うんですけれども、事実上これを無視した形で今日まで進めてきた結果が、国交省が今回調査に入って、地すべり現象の前兆である、あるいは地すべりのケースであるというような現象が今日引き起こされているという意味では、私は、国交省、当時の建設省の責任は大変大きいと言わなくてはならないと思います。
 私ども日本共産党も、かつて、一九八〇年の予算委員会で白屋地区の地すべり問題を取り上げております。我が党の奈良県選出の辻第一議員でありますけれども、この質問の中で、今お話があった昭和五十三年十一月の奈良県の地質調査委員会の意見書に触れて、対策について質問しているわけですね。
 当時の建設省の答弁では、白屋地区集落の下部のり面の安定が影響を受けるおそれもありますので、地すべり対策工事を行いましてのり面の安定を図り、白屋地区は潜在性地すべり地区であると考えられ、地すべり対策法として、鋼管くい工、深礎工、集水井等が考えられるが、地すべり対策の具体的な設計に必要な調査研究を行っておりまして、必要な対策を十分に行ってまいりたい、こういう答弁をされているわけですね。
 こういう三つの方法を例示して対策を講じる、このように答弁されているわけでありますけれども、しかし、現実にそういう地すべり現象の前兆が起こっている、地すべりのケースが今現に起こっているということで、これは当然、この対策が何らかの形でやはり不十分ではなかったか。改めて私は、これを今日的に検証する必要があるのではないか、第三者も含めてきちんとこれを今日的に検証する必要があるんじゃないかということが一つ。
 それからもう一つは、今述べられた対策、その対策に当たっての調査のデータ、図面に即したり、一連の基礎データと対策の内容、そういう資料をこの機会に全面的に公表していただきたいと私は思いますが、いかがでしょうか。
鈴木政府参考人 地すべり対策工事についてのお尋ねでございます。
 これにつきましては、先ほどから申し上げておりますが、大滝ダム建設に当たって、専門家等による委員会での検討等も踏まえながら調査検討を行った結果、鋼管くい等による地すべり対策が必要であるということで実施してきたわけでございます。
 具体的には、鋼管くいを現地で、この地区だけで百六十五本、アンカー工を二百十九本、押さえ盛り土工を三万七千立米、集水井、これは、縦穴を掘って横に放射状にボーリングをうがちまして水を集める、こういうものでございますが、それを三基実施しております。
 地すべり対策に対する情報につきましては、今後とも適切に公表してまいりたいと考えております。
大森委員 改めて、第三者を含めて今日的に検証するということも要求しておきたいと思います。
 地すべりというのは防止しがたいというのが一般に言われております。逃げるが一番というのが大体言われていることでありますけれども、ましてや、古くから地すべり地帯として、多発地帯と言われたところにダムをつくるということでありますから、一層そういうことが必要ではないかと思います。
 かつて、水没者と同じように移転させるべきだという調査研究が出されている中で、それが実際上はやられなかった、今日の事態がもたらされているということからくる今の問題を打開するためにも、そして、あそこで三十数戸、高齢者が多い、ひとり住まいの世帯が多い、そういう中で、住民の不安を本当に解消していくということで、次の問題に移る前に大臣の御見解をお聞きしておきたいと思います。
扇国務大臣 今、るる大森議員からお話が出ました。私も、一番最初に、四月の二十五日から五月の九日までの間何をしたんですかということをまず省内で諮りました。そして、今局長がいろいろ答えましたような、まず事務所がコンサルタントに依頼してこれを調べてもらったというようなことで、当初、時間がかかり過ぎるのではないか、この間何をしていたんだということを省内で私はすぐに言ったわけです。
 現段階で、今おっしゃったように、あらゆる面でこれまで行ってきた対策が十分であったのかどうか、これは改めて検証する必要があるということで、昨日でございますけれども、五月の二十七日に、専門家から成る大滝ダムの白屋地区の亀裂現象対策検討委員会、これを設置し、そして、今おっしゃったように、今後はこの委員会も活用しながら、現在起こっております亀裂、そういう原因の究明を行うとともに、最大限万全な対策をとる方策を探す、そして専門家の意見を聞くということで我々は今後も対応しなければならない。
 水をためるようにつくったダムに水がためられないなんというのは何のためにつくったのかわからないというので、私もそのことを言ってありますので、今後、昨日立ち上げたばかりでございますけれども、原因究明だけは明快にしていきたいと思っています。
大森委員 ぜひ、居住者の不安を解消という点でも、一度大臣も現地を見ることも含めて、今後の対策を強めていただきたいと思います。
 次に、川辺川ダムの利水訴訟について質問をしたいと思います。
 御承知のように、五月十六日、福岡高裁は、川辺川ダム建設をめぐる土地改良事業について、国の同意手続が要件を満たしていないとして農家側逆転勝訴の判決を言い渡しました。この判決は土地改良事業の違法性を問うものでありますけれども、同時に、川辺川ダムそのものの必要性を問うものであると思います。
 そこで、関連して幾つか質問をいたします。まず、河川局長に質問をいたします。
 この判決で、農水省は上告断念の発表をいたしました。その結果、五月三十日でこの判決が確定することになります。このダムは、利水と治水の二つの多目的ダムであります。判決が違法と判断した国営土地改良事業について、仮に事業を中断あるいは縮小といった事態になった場合、ダムそのものの計画が変更を迫られるということになると理解してよいと思いますが、いかがでしょうか。
鈴木政府参考人 川辺川ダムの土地改良事業の福岡高裁判決を受けてのお尋ねでございました。
 川辺川ダムからのかんがい用水の取り扱いについては、農林水産省から、現段階では具体的な取り扱いはまだ聞いておりません。国土交通省としましては、こういった段階でダムの計画変更について言及することは適切でないと考えております。
 今後、農林水産省から国営川辺川土地改良事業の具体的な考え方を聞いて、必要な検討を行い対応したいと考えております。
大森委員 そうしますと、国交省としてはいろいろな選択肢、幅広い選択肢があるということだと思いますが、そういう点では、判決についてまともに検討すべきだと思うんです。
 土地改良事業には反対するあるいは不同意の人が三分の一以上、一千数百名いるわけですね。このことを判決がきっちり認めて、農水省もそれに従うということになったわけです。圧倒的農民が、もう水は要らない、こう言っております。これは、利水計画を見直すということが当然の道ではないかと思います。
 実際、亀井善之農水大臣は、土地改良事業に係る農業用用排水事業、区画整理事業については、工事契約に基づく契約解除の手続を開始している、こういう答弁までされているわけですね。そうしたことをきちんと見て対応することが必要だと思うのです。これらを見ないで、ただ、まだまだ必要だということに固執する、事業の継続を願うということは、やはり今日の大きな流れにも、あるいは国民の今の要望にも逆らうものになるのではないかと思いますが、いかがでしょうか。
鈴木政府参考人 これもいろいろなところで再三申し上げておることでございますが、川辺川ダムは、球磨川流域の二市七町四村の約十二万人の生命財産を守るために必要であるという考え方に変更はございません。
 ただ、先ほど申しましたように、今後、農林水産省から国営川辺川土地改良事業についての具体的な考え方を聞いて、その上で必要な検討を行い対応していく、これが私どもの考え方でございます。
大森委員 今の治水という面と利水という面と、その目的の前提が大きく変更になってきているわけでありますから、当然これは判決の方向に沿って対応していくべきだと思うのです。
 現地では住民討論集会が続いております。扇大臣は、この間の五月二十日の閣議後の記者会見で、この集会の結果を見守っていきたい、その結果が出なければ国土交通省の計画変更は考えられないというような趣旨のことを述べておられます。それは、集会の結果が出るまでは少なくとも着工はしない、こういうぐあいに当然の流れとして受けとめてよいと思いますが、いかがでしょうか。
扇国務大臣 私は、五月二十日の記者会見で明快にそのことを申してありますし、また、御存じのとおり、九州地方整備局と熊本県と一体となって、地元の皆さんの意見を聞こうということで住民集会を立ち上げて、なおかつ、現段階まで、反対の人も賛成の人も入っていただいた住民大会でございますので、討論会、今まで七回で、一万一千二百人が参加して討論しております。そういう意味では、きっと先生も御存じだと思いますけれども、この集会は少なくとも一般公開されております。
 ですから、私は、その集会の皆さん方の、何らかの結果を出していただくということになっておりますので、結果が出るまでは川辺川ダムの本体工事着工を行わないということを言明しておりますし、また、その意見がどう出るかということも見守っているということも、記者会見で申し上げたとおりでございます。
大森委員 いま一つの焦点は、土地収用委員会の問題があります。一昨日もその審査が行われましたけれども、土地収用法四十七条二号では、収用委員会に申請した際の事業計画書と実際の計画が著しく異なるときは収用申請を却下できるとしているわけですね。ダムをめぐる漁業権の収用について審議する熊本県の収用委員会の塚本会長も、変更が軽微なのか著しいのかを収用委で判断し、著しいものであれば、申請を取り下げさせるか却下すると述べておられます。
 もし申請が却下されることになればダム計画そのものが白紙に戻るということに、当然の帰結としてここにつながっていくと思うのですが、この点はいかがですか。
鈴木政府参考人 収用委員会に係るお尋ねでございますが、収用裁決申請の扱いについては、川辺川ダムからのかんがい用水の取り扱いについて、これも先ほどと同じことになるのですが、農林水産省から具体的な考え方をまだ聞いていない、こういう現段階において、国土交通省として収用裁決申請の扱いについて今の段階で言及することは適切でないと考えております。
 いずれにしましても、農林水産省から国営川辺川土地改良事業の具体的な考え方を聞いて、必要な検討を行い対応したいと考えております。
大森委員 却下されることになれば、これは当然、白紙に戻る、あるいはそれに近い抜本的な再検討ということになると思うんですね。同時に、これほどの判決が出る中で、却下というような結論が出る前に、みずから取り下げるというぐらいのことをしてもいいじゃないですか。
鈴木政府参考人 これも今申し上げたとおりでございますが、具体に、農水省の方がどのように国営川辺川土地改良事業をしていくのかということがきちんとされないと、当方の計画をどうするのか、計画変更は必要ないのか必要があるのか、そういったことでございますので、今の段階で、こういう場合にはどうなのかというふうなお尋ねについては、答えることは困難でございます。
 先ほど申しましたように、具体的な考え方を聞いていない現段階で、国土交通省として収用裁決申請の扱いについて言及することは適当でないと考えているというのはそういうことでございます。
大森委員 農水省の動向その他、いろいろな条件がつくにしろ、今こうした判決も出た中で、当然これは変更はしなければいけない、今の現行計画を見直さざるを得ない。時期はいつかにしても、いずれにしても、いつかこれをやらなければいけない局面が必ず来ると思うんです。その際には、当然、法律に基づいて基本計画を変更することになるわけですね。当然、これも特定多目的ダム法で、変更の際には国土交通省に知事からの意見聴取が義務づけられているわけですね。
 これは間違いないですね。当然そういうことで進むと思うのですが、この点どうですか、確認しておきたいと思います。
鈴木政府参考人 ただいま委員の方から、当然ダムについて計画変更することになる、それは間違いないというお話でございましたが、その点も含めて、これは、農水省の方の考え方がきちんと示されないことにはわからないわけでございます。
 それから、川辺川ダム云々ということではなくて、一般論として、特ダム法に基づいてその計画を変更する際には、法律の規定に基づきまして知事の意見を聞く、こういう規定がございます。
大森委員 熊本県知事も既に記者会見等では、利水についてはダム以外も視野に入れてあらゆる角度から考えるということで、ダム以外の方法も検討することも示唆する発言をされているわけです。また、これから農水省がどういうことでいくかというお話がさんざんありましたが、農水省は、新たな利水計画策定のためには地元の調査をしなくてはならないわけですが、これについても熊本県知事は、調査については不参加だ、参加しないというようなことも表明されているわけです。流れが今ここに来て大きく動いていることは、もう間違いないことだと思います。
 いずれにしろ、そういう方向で進んでいる中で、大臣に対して、今こういう動きの中で、改めて、法律的にもいずれかの段階で必ず知事とも意見聴取等をしなくてはならないという状況の中で、このダムの受益県である熊本県の知事と会って、ダムのあり方の問題やら必要性の問題、治水の問題等々を真摯に話し合うことが今求められているのではないかと私は思いますが、この点どうでしょうか。
扇国務大臣 私は誤解がないようにしていただきたいと思いますことは、我々は多額のお金を使い、日時を使い、そして、反対の皆さん方、五木村、相良村等々、水没する人たちは最初は反対でした。けれども、その必要性に応じて、皆さん方は断腸の思いで賛成なすって、反対から賛成に変わられた。
 そして、私のところにも、この五木村の村長さんあるいは相良村の村長さん、そして農業に従事する女性も大臣室にいらして、私も事情を聞きました。そのときに皆さん方は、我々は最初反対だったけれども断腸の思いで賛成に回ったんだ。御存じのとおり、二市七町四村の住民の、少なくとも約十二万人の生命にかかわることであるからという、大変真実で、苦しい胸のうちをじかに私は聞かせていただきました。
 それらのことを踏まえて、むだ遣いでやめなさいとおっしゃるのなら、この約十二万人の生命をだれが保障するのかということも含めて、先ほど申しましたように、熊本県知事さんとそして地元の皆さんで、これだけの回数で、協議会をつくっていただいて、反対の人も賛成の人も入ってこの協議会をして結論を出すというときに、その結論を、参加している住民の皆さんの協議会を無視してトップ同士で話を決めてしまうというのは、それこそ越権行為だと私は思います。
 そういう意味では、この協議会というものは、知事さんも、うちの地方整備局も、住民の反対、賛成も入って結論を出そうという話し合いを既に七回行っていらっしゃいます。そして、一万五千人の参加者の意見というものは大変貴重な意見だと私は思っています。トップ同士で話を決めて住民無視ということにはむしろなってはならない、私はそのような考え方でいます。
大森委員 トップ同士で住民を無視して決めるのは、私もそういうやり方には反対であります。
 今お話があったように、断腸の思いで、それこそ七年間裁判を続けてきて、今回の判決でやっと農民の声が通ったという声などもあるわけであります。ですから、そういうことも含めて知事といずれの段階で必ずやらなくてはならないわけでありますけれども、真剣に意見交換を行う。そこですべてを決めるということではもちろんありませんから、そういう姿勢に立って、大臣が賢明な判断をされることを期待して、私の質問を終わりたいと思います。
扇国務大臣 今の大森議員のあれで誤解があってはいけないと思いますけれども、私は、今回の判決というのは、土地改良事業の計画規模を縮小するということに対しての手続が法的な要件を満たしていなかったという判決でございます。
 その後の事態は、土地改良計画の見直しというものはあってしかるべきだと私は思いますけれども、そうではなくて、我々は、土地改良事業そのものの必要性が否定されたことではないということと、土地改良事業を縮小するということと全然関係がない、違ったことであるということだけは認識の上で、区別して正確な判断をしていきたいと思います。
大森委員 全く区別することはできないと思います。やはり、事業計画全体の利水、治水、そういう目的を構成する重要な一環にかかわる今回の判決でありますから、これは当然、今後の動向について判断する材料にしなくてはならない、そういう判決であったということを申し上げて、質問を終わります。
河合委員長 原陽子君。
原委員 社会民主党の原陽子です。よろしくお願いします。
 私も、先ほどの大森議員に引き続きまして、川辺川ダムのことについて何点か、重なる部分もあると思いますが、御質問させていただきたいと思います。
 先ほど、河川局長さんとのやりとりを聞いていて、農水省の判断を見てこれから決めていくということであったので、私の方からは総合政策局の方に、何点か事実の確認だけをさせていただきたいと思います。
 今回、福岡の高裁で出た川辺川利水裁判判決に対して、先ほどもありましたけれども、農水大臣は、上告をしないとして、農業用水確保のための必要な整備を進めるということを、当然のことながらその見直しというものを記者会見の中で表明しております。
 まず最初に、事業認定申請書の中から確認をさせていただきたいんですけれども、これは旧建設省の時代です。旧建設省の建設経済局は、平成十二年十二月の二十六日に、土地収用法に基づいて川辺川ダムの事業認定を行いましたが、事業認定申請書、つまり、これが土地収用法の第十八条二項一号に基づく事業計画書で、起業者から提出された利水事業に関して、この事業計画書の中ではどのように書かれていたのかという点を、まず総合政策局に確認させていただきたいと思います。
三沢政府参考人 川辺川ダムの事業計画におきましては、洪水調節計画、流水の正常な機能の維持それから利水計画、この三つが記述されております。そのうち、利水計画として、かんがい用水計画及び発電計画の二点が示されております。
 そのうち、かんがい用水計画につきましては、熊本県人吉市及び二町四村において農林水産省が国営川辺川土地改良事業を進めており、当該事業が完成すればかんがい用水の供給が可能となり、その結果、農作物の増産等、農業所得の増加や農業経営の安定化が図られる等の内容が書かれております。
原委員 こちらにも同じもの、これはコピーなんですけれども、建設省の方が出している事業計画書の中の利水計画のかんがい用水計画の部分があるので、今読んでいただいたんですけれども、割愛されておられた部分もあったので、私の方からも読み上げさせていただきたいと思います。
 「農林水産省が既存農地及び造成農地からなる約三千十ヘクタールの農地について、畑地かんがいや水田の用水補給を目的とした揚水機場や幹線水路等の新設及び農地の規模拡大と集団化を図るための農地造成と区画整理を総合的に実施する「国営川辺川土地改良事業」を進めており、本事業が完成すれば、」云々というふうに書かれていると思うんです。
 今の文言のところでさらに確認をさせていただきたいんですけれども、今私が読み上げた事業計画書の中で言っている「畑地かんがいや水田の用水補給を目的とした揚水機場や幹線水路等の新設」というのが、今回の判決で言われている「農業用用排水事業」を指していて、この事業計画書の中で言われている「区画整理」というものが、判決の中で言われている「区画整理事業」を指しているということで間違いはないでしょうか。
三沢政府参考人 事業計画書の中に「畑地かんがいや水田の用水補給を目的とした揚水機場や幹線水路等の新設」とあるのは「農業用用排水事業」を指し、同様に、「区画整理」とあるのは「区画整理事業」を指すというふうに考えております。
原委員 ということは、今回は、この両方が法定要件を満たさずに違法と判決をされたという認識で間違いはないでしょうか。
三沢政府参考人 今回の判決におきまして、農業用用排水事業及び区画整理事業の二つについて、計画変更の同意要件が満たされず、手続上違法という判断があったというふうに認識しております。
原委員 そして、この判決を受けて農水大臣からは、上訴を取り下げて、農業用水確保のために必要な整備を進めていくと。つまり、認定された事業の農水省に係る部分の見直しを表明しているというふうに私は認識をしているのですが、その点、総合政策局としての現在の認識はどのようなものになっていますでしょうか。(扇国務大臣「農水省に聞けば」と呼ぶ)
三沢政府参考人 これは農水大臣の方から談話が発表されておりまして、その談話が出されたということは承知しております。
原委員 大臣の方から、農水省に聞くべきだということがあったんですけれども、しかし、今回の事業認定計画というものは、まあ旧建設省なんですが、国土交通省が今はこの事業の認定省となっているわけなので、この辺、事業を認定した省庁としての事実の確認をさせていただいているということで、質問は続けさせていただきたいと思います。
 今回、違法と判決をされたということは、つまり、この当時事業認定したのとは違う事業が進められていることになると言えると思います。利水事業が今回争われるようになったことの背景には、単に同意した方の数が三分の二に達しなかったという問題だけではなくて、計画変更をきっかけに自分も事業からおりたいと言っていた農家の人をおろさせなくて、無理やり判こを押させたために、七十七名もの死者というか、亡くなっておられる方が判こを押すような結果があったというようなことも聞いています。
 今回、国営事業として見直すということを農水大臣はおっしゃっているので、つまり、今ある計画を見直すということは、もっと小さいものにしていくのではないかというふうに私は思っているのです。
 三千ヘクタール以上のものが国営事業の要件ということになっているそうなんですけれども、この数値は間違いはないか、ちょっと総合政策局に確認させていただきたいんですけれども、おわかりになりますでしょうか。つまり、国営事業になるためには三千ヘクタール以上の事業のものを国営事業の要件というふうにしているそうなんですが、いいですか、確認させていただいて。
中條政府参考人 今、国営事業の要件についてお尋ねでございますが、水田を対象としたものにつきましては、かんがい排水事業は三千ヘクタールが採択要件になっておりますし、畑地かんがいを対象としていますものは一千ヘクタールがその対象となっております。
原委員 つまり、今認定されているものが三千十ヘクタールで事業認定を出されていて、これから見直していくだろうということになると、縮小されていくだろうと考えると三千ヘクタールよりももっと小さくなるのではないか、そうすると国営事業として成り立たないのではないかというようなことも考えられると思います。
 いずれにせよ、見直しはしなくてはならないときが来る、見直しをしていくという考えでおられるのであるならば、一般論としてで結構なんですけれども、これも総合政策局長に聞きたいんです。
 今三千十ヘクタールと非常にぎりぎりのところで、もしかしたら、国営事業になるために、三千ヘクタールを超えるために無理やり判こを押させるようなことをさせたんじゃないかというような声も聞かれたりしていますが、もし、その見直しをしていく中で、三千ヘクタールを超えないと国営事業として成り立たないということになった場合に、事業の認定庁としてとる態度の中に、私は、事業認定の取り消しというものが当然含まれてもおかしくないと思うのですが、その点はいかがお考えでしょうか。
三沢政府参考人 一般論でというお話でございますので一般論で申し上げますと、事業認定処分を行った後に事業計画に関する事情の変更が生じた場合、これは、まずは起業者において事業計画を変更する必要があるかどうかというのを判断することになります。
 なお、法律上、土地収用法上、事業認定後に認定庁が認定を取り消すという旨の規定はございません。
原委員 済みません、最後のところ、ちょっと聞き取れなかったので、もう一回お願いします。
三沢政府参考人 土地収用法上、事業認定後に事業認定庁が認定を取り消すという旨の規定はございません。
原委員 では、その土地収用法についてお尋ねをさせていただきたいんですけれども、現在、平成十二年十二月時点での事業認定に基づいて熊本県の収用委員会が審理を行っていますが、その事業認定の中身に今回違法とされる事業が含まれておるわけで、そして、その事業を所管する農水省が見直しするということを公言している場合に、収用委員会が行使できる権限とか選択肢というものにはどのようなものがあるでしょうか。
三沢政府参考人 今回の判決を受けて、起業者の方では、農林水産省の今後の利水計画を見きわめながら具体的な対応を検討されるものと考えておりますが、収用委員会の審理をどう進めていくかということにつきましては、これは収用委員会の審理指揮にゆだねられております。
 したがいまして、具体的には、収用委員会は起業者に対して今後の具体的な対応について説明を求めるとともに、当然、起業者の方でも、必要に応じ資料を提出する等の説明責任を果たしていくべきものというふうに考えております。
原委員 例えば収用委員会の方から、審理の中止とか事業認定庁への差し戻しとか事業認定の取り消しの勧告というものもできるというか、収用委員会が行使できる権限とか選択肢の中に含まれているかどうかという点を教えていただきたいと思います。
三沢政府参考人 これについて、法律の仕組みがどうなっているかということを御説明させていただきたいと思います。
 事業認定の告示後、起業者が当初の事業計画を変更する場合に、収用委員会は、起業者から事業計画変更の申し出があった場合に、その事業計画の変更の内容について説明を聴取した上で、事業計画の変更が軽微なものと判断した場合には、変更された事業計画に基づき審理を進めていくことになります。
 それから、仮に収用委員会が、事業認定を受けた当初の事業計画と変更された事業計画との間に著しい差異を判断した場合には、収用委員会は収用裁決申請を却下しなければならないというのが法律の規定でございます。
原委員 ありがとうございます。
 そうしましたら、次に、農水省にも来ていただいているので農水省にお尋ねをしたいんですけれども、今回の川辺川利水裁判の判決の中で裁判所が認めた農業用用排水事業、区画整理事業、農地造成事業の同意者数にカウントされている農家の方が所有する事業の面積の総計というものは数値として持っていらっしゃいますでしょうか。
中條政府参考人 国営の川辺川土地改良事業につきましては、受益農地一筆ごとの現況の地目、面積、所有者、耕作者、これについては把握をしております。そしてまた、それを個々の受益農家ごとに集計したものもございます。しかしながら、今御指摘の事業につきましては、それを同意者ごとに、同意者としてまとめて集計したものは用意してございません。
原委員 今、地目と面積と何を把握なさっているとおっしゃいましたか。
中條政府参考人 今申しましたのは、現況の地目、面積、所有者、それから、往々にしまして所有者と耕作者が違う場合もございますので、耕作者、以上でございます。
原委員 そうすると、面積も把握なさっているわけですね。
中條政府参考人 まず、一筆ごとの農地ごとに今申し上げた情報を収集しまして、今度それを受益農家ごとにまた集計し直しまして、そうしたものは持っております。ですが、御質問のありました、そのうち同意者についての集計したものは持っておりません。
原委員 しかし、面積の数値もちゃんと持っていらっしゃるということは、足し算をしていけばすぐに出てくることだと思うので、ぜひその総計というものを出していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
中條政府参考人 御指摘のとおり、集計は可能でございますので、集計したいと思います。
原委員 ぜひその面積の集計をしていただきたいと思っていますし、今回、国営事業の要件を満たす三千十ヘクタールの土地で事業認定されているんですけれども、見直しをしていく、そして、今回、その七十七名の亡くなられた方の判こもあったとかいうこともあるので、もう一度面積の計算というものをしっかりとしていただきたいと思います。
 いつぐらいまでならそうした計算というものは可能なのでしょうか。
中條政府参考人 受益者の方が相当数おられますので、相当時間を要するものと思います。まずは集計に入りたいと思いますので、先が見えましたら、具体的にいつごろまでということが言えるような時期が来ましたら、また御報告したいと思います。
原委員 ぜひ、なるべく早目にちゃんとした数値というものを出していただきたいと思います。
 先ほども大森議員からもありましたけれども、私もぜひ、今回の川辺川のこの判決に関しては、農水省のこれからの態度を見て判断していくという答弁がずっと続いていたとは思うんですけれども、しかし、やはりその事業を認定している国土交通省としてもしっかりと主体となって考えていっていただきたいと思っていますので、ぜひ大臣も、昔は反対だったけれども賛成に回った地元の方に直接会われてお話を聞いたということもおっしゃっていましたが、知事さんとも会って、そして、今でもダムは要らないんじゃないかという思いを持って反対なさっている方たちともお話を聞いたりしていただきたいと思います。やはりどこかでだれかが判断をしなくてはいけない問題だと私は思っていますので、ぜひ、事業を認定した庁としての責任というものも感じていただきたいと思います。
 話題は全然がらりと変わってしまうのですが、前回審議をしていた都市再生機構について、法案の質疑は終わったんですけれども、その後もちょっと気になって見ていたら、気になる点があったので質問させていただきたいと思います。
 都市再生機構についてなんですが、平成十三年の六月に、財務省の税政制度等審議会に設けられた公企業会計部会公企業会計小委員会というところが特殊法人等に係る行政コスト計算書作成指針というものを定めて、十七特殊法人に対し、販売目的で所有する不動産も含めて、民間企業会計方式の財務諸表を作成し、開示するようにという方針を平成十三年末の時点で出しています。
 これは都市基盤整備公団も入っているんですけれども、この指針で都市基盤整備公団も民間企業並みの財務諸表を作成しているのではないでしょうかという疑問を持っているんですが、この点、いかがでしょうか。
河崎政府参考人 財務諸表についてのお尋ねでございますが、都市再生機構に関連する都市公団並びに地域公団の財務諸表につきましては、やはり公式なものといたしましては、公企業会計ベースのものでございます。
 しかし、その上で、御指摘の、平成十三年六月に示された財政制度等審議会の小委員会におきます特殊法人等に係る行政コスト計算書作成指針についてでございますが、これは、特殊法人等について、民間企業として活動を行っていると仮定した場合の財務書類を作成することにより、最新の企業会計原則の統一的な適用を試みようとするものであるということでございます。
 それで、この指針に基づきまして、実は財務省から御要請がございまして、他の特殊法人も同様でございますけれども、都市基盤整備公団と地域公団につきましては、平成十二年度決算から、企業会計原則を試行的に導入いたしました行政コスト計算書を作成しております。したがって、これまで、平成十二年度決算、十三年度決算につきまして作成をされております。
 この行政コスト計算書の中では、特に資産の評価の点に御興味がおありのようであると考えておりますが、一般の企業と同じように、販売用の不動産につきまして、取得時の価格が大幅に下落をした場合、これを強制的に評価減をするということを行うものが内容でございます。
 以上でございます。
原委員 そうしますと、五月十四日の独立行政法人都市再生機構の審議の中で、販売用不動産についてはこれまでは取得原価で計上してきたが、企業会計原則に従った場合には、強制評価減制度の導入で、したがって、著しく時価が下落した場合には、時価でもって評価を強制的に減するということを行うという答弁だったんですが、平成十三年度末の時点で、財務省の方針の中で、既に、販売目的で所有する不動産については時価評価をしているのではないかと思っていまして、それで、来年の七月に出してくるものとどこがどう違うのかということがよくわからないのですが、その点を教えていただけますでしょうか。
河崎政府参考人 五月十四日に答弁申し上げましたのは、現在の公会計制度と、これから独立行政法人制度になった場合の企業会計原則でどこが異なるかということで、ただいま先生が言われたような答弁をした経緯がございます。
 ただ、先ほど答弁いたしました行政コスト計算書でやっておりますのは極めて過渡的なものでございまして、例えば評価というものも非常に簡略な方法で評価しておりますし、それから、会計監査の制度というものも今はないわけでございます。そういった意味では、今は正式なものは公企業会計ベースのものであるというふうなことでそのような比較の答弁をしましたが、その答弁の前段といたしまして、資産についてすべて機構移行時に時価評価した上で、その後の会計処理につきましては企業会計原則で行う、したがって、強制評価減制度もしっかりした意味での導入が図られるというふうな趣旨でございます。
 したがって、前段の機構移行時における時価評価というものが先生の御指摘に対応するものだろうというふうに考えておりまして、それについてはきちっと法律上、第三者である資産評価委員が、移行時点で、移行時点における機構に承継する資産について時価評価をするというふうな形での制度をつくっておりまして、厳格な時価評価が行われるということでございます。
原委員 もう一つ確認させていただきたいんですけれども、都市基盤整備のときの審議の中で、国土交通省の事業許可なしに先行取得された塩漬け土地が都市基盤整備公団に三十七地区あったと思うんです。こうしたいわゆる塩漬け土地と言われるものは、販売目的で所有する不動産というものに入るのでしょうか、入らないのでしょうか。
河崎政府参考人 保有資産についてはすべて時価評価をするわけでございますが、未認可地区の保有する土地が販売用不動産になるのか、あるいは賃貸用のものになるのかということについてはいろいろなケースがあり得ると考えておりまして、必ずしもすべてが販売用不動産となるとは限らないということだろうと思います。
原委員 さまざまなケースがあるということで、例えば入らないとすると、国土交通省から認可されてもいないような塩漬け土地は、来年七月の一日に時価評価を、移行するときになさるんですよね。七月一日に時価評価をしますと、審議の中で大臣が財務諸表をちゃんと出すということを答弁されたと思うんですが、その約束させた財務諸表の中でも、ちゃんと国民に対して明らかになっていくような財務諸表として出てくる、財務諸表の中にちゃんとそうした土地も明らかになって国民の前に公表されるのでしょうか。
河崎政府参考人 若干先ほどの繰り返しになりますが、都市再生機構移行時に行おうとしている資産の時価評価というのは、機構が現在の都市公団及び地域公団から承継するすべての資産を対象にして行うものでございます。
 したがって、販売用不動産のみならず、賃貸用に、例えば定期借地をやっている土地でありますとか、あるいは賃貸住宅の資産でありますとか、そういう固定資産についてもすべて対象になっておりますので、ただいま先生が言われました未認可地区の保有土地についても当然時価評価が行われるということでございまして、都市再生機構移行を機に厳格な時価評価が行われまして、その後は、企業会計原則に基づいて、透明性の高い、あるいはわかりやすい財務諸表が策定、公表されることになるというふうに考えるところでございます。
原委員 ありがとうございます。
 都市整備公団のときにも財務諸表についていろいろ質問させていただいて教えていただいてきたんですが、まだまだわかりにくい部分もある、見えない部分もあると思いますので、ぜひ、七月一日のときに出てくる財務諸表に関しては、先ほども答弁でおっしゃってくださいましたように、だれにでもわかりやすい、勉強している人だけがわかるのではなくて、本当に広く国民の皆さんにわかりやすいものになるように公表をしていっていただきたいと思います。
 ちょっと時間が余ってしまいましたが、質問を終わります。ありがとうございました。
河合委員長 中本太衛君。
中本委員 まず最初に、通告はしていなかったんですけれども、大臣に御意見だけお伺いしたいと思いまして、一つお話をさせていただきたいと思います。
 昨年の十月の二十一日、補欠選挙の際に、私は福岡に行きました。そのときに、横断歩道を渡っている際に、右折車が急にスピードを上げて突っ込んできまして私に当たりました。幸い、体重が重かったせいで飛ばされずに済んだのですけれども、右足膠原粉砕骨折ということで、手術をして二カ月の入院、そして一カ月車いす、そして一カ月松葉づえというような状況になりました。今も痛くて、足を引きずって歩いている状況でございます。
 ただ、問題なのは、その経過ではなくて、実は加害者の話をちょっとしたいと思うんですけれども、加害者は、私に車を当てた後、警察に行きまして、免許証を提示しました。そして、任意保険にも入っている、任意保険で全部賠償しますよというようなことを言いながら、実際は任意保険に入っていなかったんですね。そして、術後何日たっても、こっちが連絡してもつながらなかった。今でもつながらない状況でございます。
 こういった際に、警察に問い合わせると、罰金五十万円、そして、あとは示談、民事でやってくださいよと。こっちが訴えない限り、実は向こうから賠償のお金は取ることができない。しかし、向こうが支払い能力がない場合は、これも取ることができるかどうかわからない状況でございます。
 先日も、お二人の娘さんを亡くされた井上さん御夫婦が傍聴席に来られておりましたけれども、今、交通事故に関する刑罰がちょっと軽過ぎやしないか、また、任意保険の問題でございますけれども、そういった点においてもっと任意保険の内容を義務化させる必要があるんじゃないか、こう考えるわけでございますが、大臣、御意見だけお聞かせください。
扇国務大臣 中本議員が、選挙期間中と今おっしゃいましたか、交通事故に遭われて、御不自由なお姿も私も拝見しておりましたけれども、そういう事故に遭われたとは知りませんでした。こうして質問に立っていただけるぐらい回復なすったのであれば何よりと思っていますけれども、今聞いたら、粉砕骨折とおっしゃいましたか、大変治りにくいことだろうと思いますので、お大事にしていただきたいと思います。
 私どもは、交通事故半減政策というものをしております。一万人を切るという交通事故死あるいは交通死傷者。交通事故死は少なくなったんですけれども、交通事故はふえ続けております。そういう意味では、今おっしゃったように、基本的には、日本の道路事情と車の台数との格差によって渋滞が起こり、あるいはモラルの問題もあって、日本の国の道路事情がすべて車に適しておるかといえば、私はそうではないと思います。
 今、中本議員がおっしゃった、なぜ交通事故が起きたかという原因が私はわかりません。向こうが信号を無視したのか、先生の方が停車しているところへぶつかられたのかよくわかりませんから、それは別といたしまして、私は、車を取得し、車を運転する以上は、少なくともあらゆる対処をしているべきである。私はいつも、ここでも申しましたけれども、車は凶器になり得る、殺人凶器になり得るという自覚を持って運転するべきであるし、車を購入するときには、自分たちは、これは人を殺す殺人凶器にもなり得るという自覚で購入し、なおかつ安全運転をするべきであろうと私は思います。
 そういう意味では、どこにどういう原因があったのかわかりませんけれども、車を取得する以上は、私は、そういうことは自覚して運転免許を取るべきであろうと思いますし、車を購入するときにも、できればすべての任意保険等々に入るべきだと思いますけれども、警察で虚偽記載をしたというのであれば、それは立派な犯罪だと思います。
中本委員 ありがとうございます。
 決して私が交通違反したのではなくて、横断歩道の上を歩いているところを突っ込んできたというような状況でございまして、周りにもほかの議員がいて、一番体の大きな私だけが見えなかったと加害者が言われておりました。
 実は、こうやって足が不自由になりますと、日本の社会というものが、けがをしている人間、障害者の人間、高齢者の人間にいかに適していないかということがよくわかるわけでございます。
 そして、実際に自分が生活をして一番困ったのが、実はごみ処理なんですね。普通に、可燃ごみであれば、これはとっておいて、まとめて、妻が宿舎に来たときに捨てればいいんですけれども、生ごみの処理、これは非常に困るわけでございます。たまたまアメリカにいる友人にそういった話をしたところ、いや、アメリカにはディスポーザーというシステムがあって、生ごみをそこで砕いてそのまま下水管に通すんだよ、そういった話をされたわけでございます。
 しかしながら、日本の今の状況では、自治体等では、処理槽つきのディスポーザーを除いては自治体が制限している、また許していないといった状況があるわけでございますけれども、一般的に、ディスポーザーを設置することは、下水道に負荷を増大させる、また水環境への影響も懸念される、そういったことを言われておるわけでございます。
 しかし、今現在、さまざまな要因、さまざまな要因というのは、生活様式の変化でありますとか高齢化社会、また都市におけるごみ問題の深刻化、そういった要因によりまして、ディスポーザーをつける、そういった要請が高まっているわけでございますが、国土交通省の御見解を教えていただきたいと思います。
曽小川政府参考人 ディスポーザーについてのお尋ねでございますが、御案内のように、生ごみを粉砕いたしまして排水管に流下させるディスポーザーにつきましては、先生御指摘ございましたように、ごみ収集の簡素化でありますとか、ごみ出しの軽減などから導入を求める動きがある一方、これも御指摘ございましたけれども、汚濁負荷量の増加でありますとか管渠内の堆積物の増加など、下水道施設に悪影響を及ぼすおそれがあるわけでございます。特に、大都市の場合には合流式下水道というものを採用しておりまして、こういうところでは、特に雨天時の越流水によりまして公共用水域の水質汚濁というものが懸念されるわけでございます。
 このようなことから、ディスポーザーの使用につきましては、下水道管理者でございます地方公共団体が、下水道施設の構造でありますとか処理能力等の特性を踏まえまして使用の可否について判断をされておるところでございますが、通常、我が国の下水道整備の計画におきましては、ディスポーザー排水の受け入れを前提として策定はされていないということから、ディスポーザーの使用につきましてはほとんどの自治体で自粛要請がなされておるわけでございまして、特に六十六市町村におきましては、条例等で規制をしておるというのが実情でございます。
 こうした中で、近年、新たに建設されるマンション等におきましては、下水道に接続する前段階で一定の処理を行うタイプのディスポーザー、先生御指摘ございました、いわゆる処理槽つきのディスポーザーというものの普及が見られるわけでございますけれども、このようなタイプのディスポーザーについては、適切な使用また維持管理が担保されるということを前提に使用が認められておるというところでございます。
 国土交通省といたしましては、処理槽のないいわゆる単体ディスポーザーの設置につきましては、今申し上げましたような、地方公共団体が下水道施設の実情に応じて使用の可否というものを適切に判断すべきであるというふうに考えておりますが、その際の判断材料として、現在、北海道歌登町と共同で社会実験を実施しているところでございまして、これらの知見をもとに、地方公共団体に対しまして適切な情報提供を進めていきたいと考えております。
中本委員 今、部長言われたように、北海道歌登町で社会実験をして、中間報告がされているという話でございますが、何らかの問題が生じたかどうか、教えていただきたいと思います。
曽小川政府参考人 歌登町のディスポーザーの社会実験についてお尋ねでございますが、ディスポーザー設置によります下水道施設への影響につきましては、旧建設省土木研究所等におきまして、これまで研究の積み重ねを実施してきております。
 その結果によりますと、汚水量につきましては余り増加傾向が見られませんけれども、発生いたします汚泥については、生汚泥が三〇から四〇%程度、また余剰汚泥につきましては約一五%程度増加するというようなことが明らかとなってきております。
 そういったことを受け、平成十二年から四年間の予定で、国土交通省、北海道また歌登町と三者で共同いたしまして、ディスポーザー導入の影響及び効果を総合的に評価するための社会実験を行っておるところでございます。
 お話ございました平成十四年五月に取りまとめました中間報告によりますと、ディスポーザー設置地区におきましては、ごみ回収に出される生ごみの量が、従前に対しましておおむね重量で半減というふうになっておりますし、また処理水質等につきましても、下水処理への影響というものはほとんど認められていないという状況でございました。
 しかし、これに対しまして、下水管渠への影響というものが認められております。ディスポーザー設置によりまして、下水管渠内に、卵の殻でありますとか貝殻を多く含む堆積物が増加するというようなこと、また、下水管渠内にスライム状の有機性の付着物が多数発生するというようなことで、下水管渠の腐食の原因となる硫化物の発生というものが懸念されるということが判明したわけでございます。
 今後は、各種調査の精度向上のため、引き続き下水道への影響調査、ごみ収集、処理への影響調査等を行いまして、平成十五年度、ことしが最終年度でございますので、取りまとめを行いまして、地方公共団体に対しまして適切な情報提供を図っていきたいと考えております。
中本委員 今、管渠での腐食ということが話に出ましたけれども、特に都市部におきましては、管渠が腐って、それに伴って道路が地盤沈下してしまう、そういった問題が起きているようでございます。これに関しましては、実際、管渠の清掃回数をふやせばどうにかなるのか、そういった点と、もう一つ、下水道処理場に対して何か問題があるのかどうか、特に都市部においてどういった問題があるかということをちょっと教えていただきたいと思います。
曽小川政府参考人 お答え申し上げます。
 最近の下水道施設の現状ということになろうかと思いますけれども、多くの都市におきましては古くから下水道整備に取り組んできておりまして、こういったいわゆる大都市というところでは、近年、耐用年数を超過いたしました下水道施設というものが増加傾向にあるわけでございます。例えば、全国で三十四万キロの管渠が整備されておりますけれども、その耐用年数でございます五十年を経過した下水管渠というのが、現在ではおおむね七千キロ程度あると言われております。これは、今後増加するということが確実になっておるわけでございます。
 また、下水の中が滞留をいたしますと、下水の中に含まれております硫黄分が変化をいたしまして、硫化水素が発生をします。こうなりますと、コンクリートの管が腐食をするというようなことも新たに判明してきておりまして、こういったことから、最近では道路陥没といったことも起きておるわけでございます。特に東京都あたりでは、一年間に千件から千五百件ぐらいの道路陥没がこういった管渠の老朽化に伴いまして発生をしているということもございますし、老朽化いたしますと管渠の流下能力というものが阻害され、都市機能ということに重大な影響が出るということを懸念しておるわけでございます。現状といたしましては、そういう管渠の更新の問題が非常にございます。
 さらに、処理施設につきましても、これまで二次処理ということで、いわゆる生物処理を主体とした処理を行ってきておりますけれども、今後はさらに、こういった大都市が閉鎖性水域の中に放流するというケースが多いわけでございますので、こういったところも含めて、処理場につきまして、さらに二次処理から高度処理というものを導入しながら、今後、より高いレベルの水質保全に寄与していく必要があるんではないかというふうに考えているところでございます。
中本委員 それはぜひとも頑張っていただきたいんですが、ちょっと一つ懸念することがありまして、今言われたとおり、地方自治体ではなかなか認められにくいという状況の中で、米軍の施設は実は使っているんじゃないか。つまり、特に沖縄なんかの施設では、米軍だけが許されて、一般家庭で許されていないんではないか。また、東京近辺におきましてはアメリカ大使館、実際に、東京は合流式下水道でございます。そこで浄化槽のないディスポーザーをもし使っていたとしたら、そのまま大使館で使われた生ごみが下水道を通って下まで運ばれるわけでございますが、実際のところ、アメリカの施設または米軍の施設はどうなっているのか、教えていただきたいと思います。
曽小川政府参考人 特に沖縄の米軍施設におきますディスポーザーについてお尋ねでございますが、沖縄県の米軍施設の汚水を処理しております沖縄県中部流域下水道につきましては、実は、昭和三十九年に米国民政府により策定されました沖縄中南部統合下水道計画というものを受けまして、昭和四十一年の七月から、米国民政府と琉球政府によって事業が実施されたところでございます。その後、復帰に伴いまして沖縄県に移管され、周辺の市街地を取り込みながら、現在、整備が進められておるという経緯があるわけでございます。
 このような状況の中において、沖縄県におきましては、移管時に既に供用開始されていた状況であったことから、米軍施設を含め、単体ディスポーザーの設置状況については、現在のところ把握をしていないという状況でございます。
 ただ、米軍施設を含めまして、受け入れた下水につきましては、現在、沖縄県におきまして適切に処理がなされておるというふうに聞いておるところでございます。
中本委員 ぜひとも詳しく調べていただきたいと思います。
 先ほど部長言われたとおり、ディスポーザーの導入によりまして、可燃ごみに含まれる厨芥が減少してごみの含水率が減少するといった状況にごみがなると思いますけれども、においの問題であるとか、またカラス等による被害、収集の作業の効率化からいっても、ディスポーザーの普及が都市部では望まれると僕は思います。
 また経済効果からいっても、今、下水道の恩恵にあずかっている家が全国三千万戸、その一戸一戸にディスポーザーがつけられたら、これは大体、一体四万円前後だと思います、一兆二千億円の経済効果があるな、そう思っておるわけでございます。
 現実的に、今、ごみ処理に関しまして、清掃工場などに補助金を出しているわけでございますが、ディスポーザーの普及に関して国土交通省として何らかのアイデアがあるのかどうか、教えていただければありがたいと思います。
扇国務大臣 まず、アイデアの問題は後で部長からお答えしますけれども、私はホノルルにコンドミニアムを持っています。主婦ですから、私は、コンドミニアムにいるときにはディスポーザーを使っております。なおかつ、ディスポーザーを使うためにはコンドミニアムのルールがございまして、朝八時から夜八時まで時間厳守。それは、ディスポーザーを水を出して使うときに音が大きいものですから、コンドミニアムなものですから、制限されております。それから、限られた島の中で生活していますけれども、ディスポーザーの下水道処理というものも、今、海に垂れ流しているわけではございませんで、あの中できちんと処理できております。
 ですから、今、対処方法をということをおっしゃいましたけれども、私は日本にもディスポーザーができれば、主婦というものの利便性がすごくできる。
 それから、念のために、中本議員が今生ごみで困ったとおっしゃいますけれども、環境問題で、簡便な生ごみ処理機というものも、これくらいのものでございます。上から入れて、一番下からはきれいなものになって出てくるというような簡易の生ごみ処理機というものもございますから、お足元が御不便であれば、とりあえずは簡易ごみ処理機を御利用になればいいことだと私は思います。
 ディスポーザーが日本の家庭にできることは大変便利なことですし、また、今お話ありましたけれども、我々はルールの中で、ディスポーザーで卵の殻はいいけれどもタマネギの皮はだめよという、全く考えられないけれども、ディスポーザーの中でタマネギの処理ができない、そういう難しい規則もありますので、取り入れるときにはそれらの規則をきちんと守るということが前提であろうと私は思います。
 すべて主婦としての心得という、今のごみ分別と同じように男性もそれに参加していただければありがたいし、国土交通省として、下水処理の一つの方法としてディスポーザーのあり方というものを今後部長に考えていただくように、何かあれば言っていただきたいと思います。
曽小川政府参考人 ディスポーザーの採用につきましては、先ほど申し上げましたように、現在、社会実験等をしておるわけでございます。
 こういった結果を見ながら、それぞれの地方公共団体がメリット、デメリットというものを総合的に勘案して最終的な採用、不採用を決定されていくというふうに考えておるところでございます。
 ただ、先生の方からアイデアということの御質問がございましたけれども、実は、アイデアというより、こういった条件が整わないとディスポーザーの設置が非常に難しいということで、いわゆる合流式下水道の改善ということを早急に進める必要があるのではないかというふうに思います。
 すなわち、合流式下水道は、先生御案内のように、汚水と雨水が同じパイプで流集をされるということで、ちょっとした雨が降りますともうオーバーフローして、未処理の下水が公共用水域にそのまま流されるということでございますが、こういった合流式下水道を採用しております都市というものが、指定都市とか県庁所在地を中心といたしまして非常に早くからいわゆる下水道事業に着手した都市ということになるわけですけれども、全国で百九十二都市ございます。こういったところで、仮に改善をしないままにディスポーザーを解禁するということになりますと、越流する汚濁負荷というものが非常に増加をし、そのことによって公共用水域の水質汚濁を助長するということが懸念されるわけでございます。
 そういった意味で、ディスポーザーの採用というものを大都市で進める上では、こういった合流式下水道の改善をまず先行させて実施していくということが、結果的に、ディスポーザーを普及しようという自治体にとっては必要になるというふうに考えているところでございます。
中本委員 今、部長が言われたとおり、ディスポーザーの普及には合流式から分流式というような状況も大切だと思いますし、大臣の言われたとおり、何でもかんでもディスポーザーに流していいのか、ディスポーザーどころか、下水道に何でもかんでも流していいのか、これは個人のモラルというものが非常に大切になってくると思います。
 そこで、ちょっと下水道全体のお話を聞かせていただきたいと思うんですけれども、昭和四十五年以降、日本の下水道は急速に発展しました。これはもう国土交通省の働きに敬意を払いたいと思いますけれども、まだまだ大都市と地方の差が激しいということは明らかなことだと思います。
 ただ、最近は、合併浄化槽の方が金がかからなくて地方においては有効だといった議論もされておりますけれども、先日、東京湾再生推進会議が行動計画をまとめたように、環境を考えたら、高度処理をして、とにかく生物がすみやすい水環境にすべきだと思いますけれども、この高度処理をされた水の性質、これも含めて国土交通省にお話をお伺いしたいのと、もう一点、日本の下水道技術は世界最高水準だと聞いております。ただ、これは世界じゅうからいろいろな技術をまとめたものであって、日本独自の技術が少ないという話も聞いております。今後数年の、維持管理を含めて、日本の技術開発と展望、これを教えていただきたいと思います。
曽小川政府参考人 まず、下水道の高度処理についてのお尋ねがございました。
 現在、我が国におきます下水道普及率につきましては、平成十三年度末で全国六三・五%となっておるわけでございますが、その中で五万人以下の中小市町村が二九・五%ということで、非常に低い水準にございます。下水道事業としましては、こういったところの普及拡大ということを一つの大きな柱にいたしておりますが、もう一方で、水環境の改善といったことが求められるわけでございます。
 その中で、大都市等がございます閉鎖性水域、こういったところでは特に高度処理が必要になるわけでございますが、この高度処理につきましては、欧米の、特に北欧に対しまして非常に低い水準でございまして、我が国の高度処理の普及率というのは九・七%という極めて低い水準にあるのが実態でございます。
 しかしながら、湖沼でありますとか三大湾の閉鎖性水域の富栄養化の防止の観点、また、おいしく安全な飲み水の確保のための水道水源の水質保全というような観点から考えてまいりますと、今後積極的に高度処理を推進していく必要があるというふうに考えておりますし、さらに、一昨年来非常に大きな問題となっておりました、いわゆる環境ホルモンということに関しましても、下水道の処理によりまして、特に高度処理によりまして、非常に高い、ほとんど除去されるというようなレベルまでこういった高度処理で対応が可能だということになっておるわけでございまして、そういった観点からも、ぜひ高度処理を積極的に進めていきたいというふうに考えております。
 特に、高度処理というネーミングの問題でございますが、これについても、極めて特別な処理というような感じもいたしますので、もう少し、通常処理というようなことの位置づけをしながら積極的に取り組んでいきたいというふうに考えております。
 それからもう一点、技術開発の問題でございます。
 これにつきましては、先生御案内のように、我が国の下水道は非常におくれておりましたので、技術も外国から輸入する、導入して、それの技術をさらに高めていくというようなことを行ってきております。
 ただ、現在では、そういった努力によりまして、世界的に通用する技術水準というものを確保できるというような状況になっておりまして、今後、地方公共団体、大学、民間、関係研究機関などとの調査、連携を密にしながら、より積極的な技術開発を進めていきたいというふうに考えております。
中本委員 最後に、大臣に質問させていただきたいと思います。
 大臣は宝塚出身ですから、「ベルサイユのばら」の話はよく御存じだと思います。実は一説には、フランス革命は下水道がその当時パリに普及していなかったから起こった、そういった話があります。
 ルイ十四世のころ、フランスの宮殿は今のルーブル美術館のところにありました。そのとき、ルーブル美術館のそのあたりは森林になっておりまして、その当時、下水道がなかったものですから、市民の方々はその森林に排せつをしていた。それで、余りにも臭くてたまらない、そういったことでルーブルからベルサイユに宮殿が移された。そうなると市民との距離が離れてしまって、ついに十六世のときに、マリー・アントワネットが、パンが食べられない、ではかわりにケーキを食べなさい、そういった話をしてギロチンに遭った、そういった話を聞いております。
 これは、実は下水道の普及率が今六〇%を超えているわけでございますが、普及率というのは余り意味がない話だと私は思っているわけでございます。道路の舗装率とか道路がここにできたと違いまして、下水道は、あるかないかなんです。なければ、その地域は全く使えない、その恩恵に遭わないといった状況にあると思います。
 そしてもう一つ、大臣が観光ということをよく言われておりますけれども、今、この御時世、下水道が普及していない地域に、外国人がなかなか観光客として来にくいんじゃないか、そういった面もあります。
 そして、最後に衛生面におきましても、これは例えば、今SARSという病気がはやっておりますけれども、中国に行きますと、大都市は、上物は立派にできていても、実は下水道は、川にそのまま処理しないで垂れ流している。例えばSARSのウイルスにしても、これは便には九〇%ぐらい残るわけでございますから、そのまま川に流されたら、魚介類、そういったものに影響は出てくると私は思います。
 そういった面から考えましても、もうとにかく、日本の下水道、この六〇%をなるべく一〇〇%に持っていかなければいけないと思います。
 ただ、一方では、予算の減少、また地方自治体の財政難から、なかなか下水道の普及というものは図れないわけでございますが、これはどうにかふやさなければいけない、こういった考えのもとにおきまして、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
扇国務大臣 少なくとも、文化国家であるか、もしくは先進国か途上国か、あらゆる面での判断基準というものがあろうと私は思います。
 そういう意味で、今、中本議員がおっしゃった、下水道完備ということで先進国か途上国かといえば、日本は下水道処理そのものに着手したのが欧米に百年おくれております。御存じのとおり、忠臣蔵が討ち入りしたときにはフランスの下水道は完備していました。ですから、今「ベルサイユのばら」を例えられましたけれども、私は日本人ですから忠臣蔵を例えますけれども、そのように、我々はもともとスタートが百年おくれているわけですから、今の普及率から考えればやむを得ない事態もあります。
 そして、下水道処理ということで予算をつけると言っても、これは県の名前は出しませんけれども、ある県は、我々の地方自治体はお金がないから分担金が払えないから下水道は今結構です、そう言った県もございます。そういう意味では、私は、文化指数、下水道処理の面から見て文化水準というものをはかれば、日本はまだ文化の面では途上国と言わざるを得ない。
 そういう状況を、より二十一世紀の環境を重視した社会にするためにも、私は、文化の面でもあらゆる面で先進国たり得る日本にするということが大事なことだろう。特に目に見えない部分できれいにするという、見た目だけきれいなのはもうほかにもいっぱいありますから、目に見えないところできれいにするということがいかに私は日本にとって大事なことであるかということを痛感しておりますし、また、やろうと思えば、日本は全部周りが海なんですから、この国内だけできれいな日本にしようという処理を考えれば、技術面でも私は必ず先進国たり得る技術を持ち得ていると思っていますので、そのように今後政策面でも頑張っていきたいと思っています。
中本委員 何とぞ大臣のお力を発揮していただきたいと思います。
 これで終わりにします。
河合委員長 次回は、来る三十日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後二時五十二分散会


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