衆議院

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第7号 平成16年3月23日(火曜日)

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平成十六年三月二十三日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 今村 雅弘君 理事 衛藤征士郎君

   理事 橘 康太郎君 理事 望月 義夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 奥村 展三君

   理事 玉置 一弥君 理事 高木 陽介君

      岩崎 忠夫君    江崎 鐵磨君

      江崎洋一郎君    梶山 弘志君

      小西  理君    河本 三郎君

      佐藤  錬君    桜井 郁三君

      櫻田 義孝君    島村 宜伸君

      高木  毅君    中野 正志君

      西銘恒三郎君    能勢 和子君

      野田  毅君    古屋 圭司君

      保坂  武君    増田 敏男君

      松野 博一君    三ッ林隆志君

      森田  一君    渡辺 博道君

      岩國 哲人君    岡本 充功君

      下条 みつ君    樽井 良和君

      中川  治君    長島 昭久君

      伴野  豊君    古本伸一郎君

      松崎 哲久君    松野 信夫君

      三日月大造君    室井 邦彦君

      和田 隆志君    若井 康彦君

      佐藤 茂樹君    穀田 恵二君

      武田 良太君

    …………………………………

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通副大臣      佐藤 泰三君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (都市再生本部事務局次長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)  西村 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)  伊藤 鎭樹君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)  竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  丸山  博君

   国土交通委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十三日

 辞任         補欠選任

  梶山 弘志君     小西  理君

  中馬 弘毅君     桜井 郁三君

  二階 俊博君     佐藤  錬君

  保坂  武君     西銘恒三郎君

  松野 博一君     三ッ林隆志君

  村田 吉隆君     江崎洋一郎君

  長安  豊君     樽井 良和君

  山岡 賢次君     長島 昭久君

同日

 辞任         補欠選任

  江崎洋一郎君     村田 吉隆君

  小西  理君     梶山 弘志君

  佐藤  錬君     二階 俊博君

  桜井 郁三君     中馬 弘毅君

  西銘恒三郎君     保坂  武君

  三ッ林隆志君     松野 博一君

  樽井 良和君     長安  豊君

  長島 昭久君     山岡 賢次君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国土利用計画法及び都市再生特別措置法の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第五四号)

 油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案(内閣提出第五五号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国土利用計画法及び都市再生特別措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省土地・水資源局長伊藤鎭樹君、都市・地域整備局長竹歳誠君、住宅局長松野仁君、鉄道局長丸山博君、都市再生本部事務局次長和泉洋人君及び中小企業庁経営支援部長西村雅夫君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田隆志君。

和田委員 おはようございます。民主党・無所属クラブの和田隆志でございます。

 国土交通委員会では初めて質疑に立たせていただきますが、この委員会室にも、たくさんお世話になった先生方、お集まりでございます。本当に今までお世話になりましたし、これから建設的な議論によって国をよりよい方向に導いていく一員になりたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

 それから、石原国土交通大臣におかれましては、きょうは参議院の予算委員会の審議もおありの中で、お忙しい中いらっしゃっていただきまして、ありがとうございます。国家公務員から議員になりましたので、本当に大臣に対して御質問させていただくのは感無量でございますが、これからぜひ、さらに国をよくしていく方向に邁進していただきたいと思います。

 それでは、質問に入らせていただきます。

 本日審議の議題となっておりますのは、都市再生特別措置法の一部改正案でございます。その中で一番の、今国土交通省がポイントに置かれ、売りとされておりますのが、まちづくり交付金という制度の創設ということになっておるかと思います。

 そんな中で、我が民主党としましても、法案をいろいろな角度から検討させていただきまして、制度の創設そのものについて、我々としては、方向性は正しい方向に向かっているのかなというふうに考えておりますけれども、やはり、今までやってきた事業、それとの整理、それから、これからそれを前提として何の課題をどういうふうに解決していくためにこの制度をつくっていくのか、そして、最終的に、この制度を運用するに当たって、今までの問題点として取り上げられてきているところをどのように解決していこうとされるのか、そんな角度から幾つか御質問させていただきたいと思います。

 まず、ポイントとして考えておりますのが、この新しく創設されようとしていますまちづくり交付金制度というものについて、最初の取っかかりとなるものが何であるかということなんですが、今その中身を見ますと、市町村が主体となって都市再生整備計画をつくるということから作業が始まるようになっております。

 現状でも計画と名がつくものは本当にたくさんございます。都市計画法などに、十八条でしたか、たくさんございますが、そういった都道府県や市町村が既につくることとしている計画、またまた国がいろいろな道路や市街地の整備についてつくっている計画、そのようなものとの間でどのような整理を行っていくのか、つくっていく市町村の側にそれについて混乱が起きないのか、そういった視点。

 それから、市町村が実際に計画を策定していくことになりますが、今までは補助事業を中心とした個々の事業に対する計画をつくっておった。それに対して、これからは一括して包含的な計画をつくらなきゃいけなくなりますが、その実施体制がきちんと整っていくかどうか。

 最後に三つ目。政府のこの法案の位置づけとしておっしゃっているのが三位一体改革の一環だというふうに主張されておりますけれども、そうであるならば、この法案の成立を通じまして、国と地方との間の仕事、財源、人材、そういった観点からの適正配分が実際に行われることになるのか、かえってそのバランスを失することになるのではないか。こういった視点を持って質問させていただきます。

 まず最初の、たくさんいろいろなものがあるけれども、その中の整理をどうするのかということについてです。

 今、都市再生というお題目で幾つかのスキームがございますが、これについてお聞きいたします。

 一つ、今まで行ってきた事業にまちづくり総合支援事業というのがございます。この総合支援事業についての制度の概要と今の進捗状況を御説明いただけますか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まちづくり総合支援事業の概要及び進捗状況についてのお尋ねでございます。

 まちづくり総合支援事業は、平成十二年度に創設されまして、補助金改革の一環としてまちづくりに関係する補助金を統合した制度でございます。地域の抱える問題解決のために複数の事業を組み合わせて、市町村が地区単位で策定するまちづくり事業計画に基づき一括採択する制度ということで、個別の補助金に比べて自由度が高い制度でございます。

 平成十二年度に創設されましたときには、当初予算が三百五十億でございましたが、非常に人気が高かったためにどんどんとふえてまいりまして、平成十五年度には七百三十億円ということで、現在、全国津々浦々、約五百五十地区で実施され、評価されている、このように考えております。

和田委員 そのように御説明いただいたように、十二年度に創設されて十五年度まで、どちらかというと順調に予算額もふえてきておりますし、実施されてきているように見受けられましたけれども、そこをさらに今度まちづくり交付金制度を創設されるに至った経緯とその前後の関係等を御説明いただけますでしょうか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まちづくり総合支援事業は、今申し上げましたように、個別補助金を統合した制度でございまして、自由度が高くなったとはいえ、各事業ごとの補助採択要件に適合していなくてはいけない、それから各事業ごとの補助率に拘束される、そういうことで、国費の自由な充当に限界がございました。また、交付対象施設にも限定があるということで、非常に自由度は高かったんですけれども、統合補助金としての限界もあったところでございます。

 地方分権改革推進会議におきまして、平成十四年にこのような統合補助金について現地調査をされて、そういう中でいろいろなことがわかったわけでございますが、このまちづくり統合補助金についても、もう少し使い勝手をよくした方がいいんじゃないかという御意見が地方団体からございました。

 そこで、今回のまちづくり交付金は、従来の個別施設の補助金を束ねたそういう統合補助金とは一線を画して、できるだけ広い施設を対象とするとか、変更交付申請手続を実質的に簡素化する、それから市町村設定の目標、指標をもとに事後評価を実施し公表するといった新しい形として創設しようとしているところでございます。

和田委員 今御説明いただいたように、使い勝手をさらによくしようというコンセプトのもとに、総合支援事業という名から交付金というところに移っていくように私としても認識させていただきます。

 であるならば、後に議論させていただきますが、より市町村の創意工夫を生かせるような制度のつくりと運用とが求められていくんだと考えます。

 もう一つ、現存の制度との関係でお聞きいたします。

 都市再生については、平成十三年に総理を本部長とする都市再生本部が立ち上げられまして、私も実はその当時その作業の一員として携わってきたんですが、その都市再生本部が主体となって都市再生緊急整備地域というものを指定して、都市再生を活性化するというようなことをやってきています。これについての制度概要と今の進捗状況とをお伺いしたいと思います。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 都市の再生を緊急にかつ効果的に行うためには、時間と地域を限定し、そこに国や公共団体の施策を重点投下するとともに、民間事業者の資金やノウハウを振り向け集中させることが必要だと考えております。このため、御指摘の都市再生特別措置法に基づきまして、都市の再生の拠点として、都市開発事業等を通じ緊急かつ重点的に市街地の整備を推進すべき地域として、都市再生緊急整備地域を指定しているところでございます。

 この都市再生緊急整備地域においては、既存の都市計画に基づく規制にとらわれず、民間事業者の創意工夫によって計画を立案できる新たな都市計画制度、これが都市再生特別地区でございますが、こういったものが適用できるとか、あるいは民間事業者による収益施設と公共施設の一体的な整備に対する無利子融資、あるいは事業立ち上げに対する金融支援措置などの特例措置を通じ、民間事業者による都市開発事業を促進しているところでございます。平成十四年六月のこの法律の施行後、都市再生緊急整備地域としまして、現在まで三次にわたりまして、五十三地域、六千百ヘクタールを指定しているところでございます。

 このうち幾つか具体的な進捗を報告しますると、心斎橋一丁目地区、大阪市などで、こういったことを含めまして、これまでに計五地区で都市再生特別地区が都市計画決定され、残り二地区で手続中でございます。また、金融支援等の前提となります国土交通大臣の認定を受けた民間都市再生事業計画としましては、南青山一丁目団地建てかえプロジェクト、これは東京都の港区でございますが、などこれまでに計七件の実績があると聞いているところでございます。

 以上でございます。

和田委員 御説明を聞きますと、簡潔に整理するとすれば、都市再生緊急整備地域は、国が主体となって、しかし、その地域内における民間の活力を最大限に生かすような政策目的でつくっている制度だというふうに認識いたします。

 そうであれば、今回つくるまちづくり交付金制度との関係では、まず、計画的に地域を指定する主体が国である。まちづくりの場合には、実際に計画を策定していくのが市町村である。それから、都市再生緊急整備地域の方では、やる事業主体が民間である。しかし、まちづくり交付金でいうとそれは市町村になる。そういうふうに違っているので重なりはなく、都市再生緊急整備地域における計画を市町村が立てることも可能だというふうに私としては認識しておるんですが、その解釈でよいかどうか。

 それから、今後、各市町村において、実は私の地元になります広島県福山市でもこの地域指定の申請をするかどうかの検討が進んでおるようでございまして、それと並行してこのまちづくり交付金の申請を行っていくかどうかという検討も行っていかなきゃいけない。こういった市町村、全国に幾つか多分ございますので、そういった市町村のためにもその関係を整理していただければと思うんですが、よろしくお願いします。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、都市再生緊急整備地域は、国が指定して、主として大都市が指定されております。仙台とか広島とか、県庁所在地ですと高松とか、それから関東ですと柏市とか、必ずしもそれほど大きくないところも指定されておりますが、いずれにしろ、大きなところで民間活力の活用が期待できるところが都市再生緊急整備地域です。

 まちづくり交付金の方は、市町村が主体で、民間活力が余り期待できないようなところを市町村に頑張っていただこうというのがまちづくり交付金です。そういう意味で、このまちづくり交付金というのは、民間活力の十分でない地方の中小都市において、市町村が中心になって、中心市街地の再生でございますとか駅周辺の拠点整備などを行っていくときに有効だと考えます。

 ただ、制度としては、実は地域の限定を設けているわけではございませんで、この法案の四十六条一項というところに、この市町村がつくる都市再生整備計画は、都市再生基本方針に基づいて作成と書いてありますが、そこに括弧書きで、その地域が都市再生緊急整備地域にあるときには、都市再生基本方針と緊急整備地域の地域整備方針、両方に基づきなさいとなっておりまして、制度的には重なり得るということでございますが、今回の改正の趣旨からして、主として地方都市を念頭に置いておるということでございます。

和田委員 地方都市を中心としたコンセプトであるということについては、私もその方がいいと思っておりますので、ぜひ、地方都市へ中心に配分するような運営を行っていただければと思います。

 ここまでお聞きしてきて、ちょっと大臣の方にお伺いしたいのですが、現存するスキームにおいて、幾つか今お聞きいただいたように、市町村がつくっておるものとして、補助事業への支援というものがございましたし、国が音頭をとってやる再生緊急整備地域における民間事業の支援もございました。こういったところを、都市再生をとにかくスピーディーに行うという観点からしますと、今までの補助事業ではやはり限界が来ておるという認識を多分政府も持っておられると思います。

 私が認識しておりますのは、その方向性を持つならば、もっと大規模に、もっとスピーディーに、補助金から交付金への転換を図るべきではないか、そういう観点を持つわけなんですが、そういった観点をもとに考えると、今までの補助事業で市町村がやってきたこと、つまり、その裏には補助裏というのがあって負担しなきゃいけない人たちがいるんですが、その人たちの経済力や資金力がどんどんこの十年間の間に落ちてきている。

 また、地方単独事業でやっているものについても、御存じのように、地方財政はどんどん苦しい方向に向かっている。そして、数少ない有志である民間の事業者が自分たちの都市を何とか再生しようと思ってやっておる事業、こういったものが幾つかございますけれども、もっともっと広く都市再生のスキームで拾って、みんなでスピーディーに都市再生をやり遂げるというようなことを考えていってもいいのではないかなと思うんですが、この辺についての大臣の御所見をお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 委員の御指摘を待たずとも、私もやはりこの補助金行政というものが限界に達してきているんだと思います。

 総合補助金、総合支援事業というのをつくりましたけれども、これもやはり川とか公園とか道路とか個々に分かれていて、委員御指摘のとおり、補助率も決まっているし、全部ひも、足がくっついていてコントロールされている。ですから、川の予算で公園をつくったり道路の予算で川の方に持っていったりすることがなかなかできない。

 そして、ニーズとしては町全体を、地方都市全体を考えていくのが、地方都市に暮らす、あるいは、地方都市の行政に携わる方々の視点だと思います。そして、単年度主義ですから、スピーディーということを言いますと、限られたボリュームである、またその一方で、地方の財政力も非常に弱まっている中で、負担する部分がボリュームとして余り稼げない、そういうことによってスピード感が遅くなってしまう。そういうものを変えていかないと、だらだら長くいいことをやってもよくないので、できるならば、やはり短期間に、町を再生していくさまざまな手段というものを講じていかなければならない。

 そんな観点に立ちまして、今回、まちづくり交付金というものをつくらせていただいたわけですけれども、この運用の部分で、委員の御指摘等々を踏まえて、スピード感を持って町の再生というものができるようにしていかなければならないと考えております。

和田委員 同じ方向性を持っていただいてありがたいと思いますが、きのうも国土交通省の方々とちょっと議論させていただいたんですが、そういう方針が立てられるならば、今現在まちづくり交付金として構成されている中でも運用の仕方を、例えば、民間事業者がやっていらっしゃるような事業もまちづくり交付金制度の中の概念でとらえて、市町村が実際に受け取ることになりますけれども、市町村から民間事業者に転貸を図るとか、それからさらに、市町村の自分のスキームとして民間事業者への支援を行うということを前提にまちづくり交付金を認めてもよいのではないかなというような意見を持っているんですが、この点について、大臣、御所見があれば、お伺いしたいと思います。

竹歳政府参考人 民間についてもこの交付金の対象に加えてはどうかというような御指摘でございますが、今後の地域、個性あるまちづくりということになれば、企業、NPO、それから住民団体の方々、さまざまな方と市町村が協働してまちづくりに取り組むということが大事だと思います。

 そういう意味で、今回のスキームでも、例えば、まちづくり会社でございますとかNPOの方々とか、市町村がまちづくりを一緒にやろうという人に助成するというときには、この交付金の対象として、間接的に国としても支援するということを考えているわけでございます。

和田委員 この辺になってきますと、本当に実施主体になります市町村のさじかげんで大分違ってくるんだと思いますので、このスキームは国土交通省の専管でもおありですし、きっちりと、市町村がしっかりとした運用をしていくかということをフォローしていただければと思います。

 次に、このまちづくり交付金制度の具体的な内容に少しずつちょっと触れてみたいと思います。

 まず、その前提として、このまちづくり交付金制度のこれから制度が成立して後の作業の流れについて、どれぐらいのタイムスケジュールで取り組まれるのか、また、申請主体になります市町村の側にどれぐらいの作業をしていただくことになるのか、そしてこの年度内にどれぐらいの期間をかけて一つ一つの案件が組成されていくことになるのか。その辺をどのように考えていらっしゃるんでしょうか、お伺いします。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まず、どれぐらいのスケジュールかというお尋ねでございますが、この法律案及び予算案が成立した暁には、ぜひ、いい制度ですので、早く取り組みたいということを考えております。できれば二カ月ぐらいをめどに交付ということができないだろうかということで作業を進めております。

 まだ正式に制度が成立しているわけではございませんが、市町村の方々からも大変お問い合わせがあるということで、いろいろな御説明も申し上げており、市町村の方でも、いろいろ御苦労もされながら今計画をつくっておられるところでございます。

 そして、この計画が市町村の方でまとまる、それでその計画の中で、いろいろな事業主体の組み合わせから成る計画になると思いますけれども、その中で特に、やはりこのまちづくり交付金の交付を受けて仕事を進めたいということになりますと、市町村の方からこの計画を国土交通大臣に提出していただいて、そして、地元でどういう問題を抱えているんだろうか、それについてどういうことをされようとしているんだろうか、それは本当に実現可能なんだろうかとか、そういうことについていろいろお話をさせていただきながら、交付金を交付して支援すべきものかどうかを判断していきたい、このように考えています。

和田委員 今、二カ月ほどをめどにして最初の交付金を交付したいというようなことが御説明がありました。本当にスピーディーにやっていただきたいと思いますが、その一方で、幾つかの市町村の側に、実態として聞いてみたときに、少し問題ではないかなと思うような事例が見受けられます。

 どういうことかといいますと、先ほど御説明いただきましたが、まちづくり総合支援事業というものがこの十五年度いっぱいまで行われていて、市町村としては、これがそのまま継続されるだろうという見込みのもとにいろいろな計画を立てていた。ところが、今、国の方針が、方向性としては私は正しいと思いますけれども、この総合支援事業は今年度限りで廃止し、来年度から交付金制度に移行するという中で、どうも市町村の側と、国土交通省さんの側でしょうか、まちづくり総合支援事業で取り上げているものはすべてそのまま持っていくからというような雰囲気で御説明されているやにお聞きいたします。

 また、そうであれば、これはもう実態上、衣がえと言わざるを得ないんですけれども、予算額は七百三十億円から千三百三十億円に約倍増、しかし、市町村の数から考えた場合に、合併が終了した後でも千七百ほどの市町村が残りますから、その中でも今もお話のあった地方都市へ中心に配分するということを考えていった場合に、各市町村へ十分な配分額は行われるんだろうかというようなことを若干懸念いたします。

 そういった意味で、市町村の側としては、最低でも今やっている総合支援事業の部分だけは確保したい、そこから先、一体的な計画を策定するのはその次よというふうになっているような感じを受けたんですが、国土交通大臣、その辺、いかがでしょうか。

竹歳政府参考人 今まちづくり総合支援事業としてやっている事業について、どうかということでございます。

 まちづくり総合支援事業は廃止して、新しい助成制度としてまちづくり交付金をつくりました。ただ、実態的に言えば、既に何年か計画で進んでいるわけでございますから、それをこのまちづくり交付金に切りかえていただくということが必要だと思います。

 こういうスキームが転換するわけでございますから、非常に市町村の方々も心配だということで、我々もいろいろな相談に乗っているわけでございますが、今まで続けていることがしり切れトンボに終わってしまうということになると、何のために今までやってきたのかということにもなりますので、そこは安心して続けていただけるように、我々としても配慮していきたいと思います。

 それから、続けまして、合併が進んだ後でも千七百程度市町村が残る、そういう中で本当に要望にこたえられるんだろうかという御懸念でございます。

 今、正式には調査はしていないわけでございますけれども、地方整備局を通じていろいろお尋ねのあるようなところを集めてみますと、大体二百六十から二百七十の市町村が新規に御関心を示しておられるということで、今までのまちづくり総合支援事業の運用実績からいきますと、卒業して、新しく入ってくるというようなことでうまくローテーションしてまいりましたので、我々としては、何とか御要望にいろいろおこたえできるのではないかなと思っている状況でございます。

和田委員 そこは感覚の違いかもわかりませんが、今年度の七百三十億円の規模がそのまま市町村がやりたい規模としてあるとするならば、新規に認められる額というのは六百億円ほどしかないわけですよね。それを、今、オリジナリティーに富んだ、創意工夫に富んだ市町村の計画を支援しますよというふうな予算として組まれるには、少し、少しじゃないですね、けたが一つほど小さいのではないかというような感覚を私は持ちます。

 そういった観点からも、我が民主党としては、よく主張しておりますように、補助金を、全体をとにかく早く廃止して、交付金化するような方向が必要ではないかと思っております。

 さらに続けます。

 先ほど、スピーディーにする必要があるということを申し上げましたし、国土交通省におかれてもそういう認識を持たれているようにお聞きしました。そんな中で、今回の交付金決定に至るまでのプロセスで、それに対して一つのネックになるのではないかという要因についてお聞きいたします。

 まず、市町村が策定する都市再生整備計画は、都道府県に持っていって同意を得なければいけない場合がございます。国や都道府県がやっている事業との関係で広域的な見地からの判断が必要とされる場合、国道の整備やそういったものも例として挙がってございましたが、少なくともそういったことの方が多いのが実態でございまして、実際上は、かなりの場合において都道府県に同意を求めに行かなきゃいけない。

 そういったこととの観点で、今、都道府県の同意というものは、市町村が策定する計画との関係では、どの程度のレベルまで来ていれば同意することになるのか。また、当事者同士、市町村それから都道府県の間で、それを是とする理由というんでしょうか、それをどの程度説明すれば当事者同士が納得できるというふうに思われているのか。私は、質問レクのときには協調責任という言葉を使わせていただきましたけれども、そういったところの仕切りをどのように考えていらっしゃるのか、お聞きしたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まず、都市再生整備計画自体について都道府県の同意が要るという仕組みにはなっておりません。計画は市町村が独自につくるということでございます。その計画に基づいて、まちづくりの交付金を国土交通省各地方整備局に申請される場合にも、写しは県に送っていただかなくてはいけないんですが、その交付金の例えば申請に都道府県が同意するとかしないとかという話もございません。

 同意はどういう場面でということになるかと申しますと、先ほど先生がちょっとおっしゃったように、広域的な調整が必要な、例えば都市計画は都道府県が所管しているわけでございまして、その都市計画をその権限を一定期間市町村に移します、本来都道府県にある権限を一定期間市町村に移すという場面で同意というのが出てくるわけでございまして、一般的な形では、都市再生整備計画について同意が必要という仕組みにはなっておりません。

和田委員 計画自体に同意という行為を求めないという御説明でありましたが、計画を決定し、それを実行しようとしたときに同意を求めるわけですから、余り実態上は変わらないんじゃないでしょうか。

 それから、実際に計画を策定する側の立場に立ってひとつ考えてみていただければと思うんですが、先ほどちょっと触れましたが、国や都道府県、それから自分自身である市町村、それらが既につくっておる計画との関係で、それに対して整合的な計画をつくらなければ、最終的に交付決定まで至らないのではないかというふうに市町村の担当者が考えるのは普通であると思います。

 しかし、よく聞く例としましては、国や都道府県や、はたまた自分自身の市町村、それらがつくった計画というのは、つい最近つくった計画ならまだいいんですけれども、十年も二十年も前に策定されている計画がそのまま廃止されることもなく、かつ、残念ながら実行されることもなく、計画のまま放置されておる。その計画があるがために、今回の創意工夫ある計画というものを策定しようと思っても、それが制約要件になってしまう。そういったことは実態上かなり生じ得るように周辺からは聞こえてくるんですが、これとの調整はどのように行っていけばよいとお考えでしょうか。

竹歳政府参考人 計画自体については都道府県の同意は必要ないと申し上げましたが、もちろん、策定する側に立っていえば、既存のいろいろな計画がございます。それは、既存の枠組みの中で、マスタープランとかいろいろなものができていますから、そういうものには適合しなくちゃいけない。自分がつくった市町村の基本構想というのがありますけれども、そういうものについてももちろん適合しなくちゃいけないということがあります。

 今御指摘の、十年、二十年前につくられた計画で廃止されないままでいる、それがネックとなるというお話がございました。

 確かに、都内でも、戦後つくられて、都市計画決定されて、いまだに実現されていない道路があるという問題が指摘されまして、これについては、計画を見直すとか早く完了させるとか、いろいろな手だてでその問題自体についても取り組んでいこうと考えております。

 今回のまちづくり交付金の関係で、計画で申しますと、多分そういう都市計画道路のような基本的なものについては、将来的というか、この計画においても都道府県にやっていただかざるを得ないので、それを前提としてというか、それと独立した分野で、例えば道路自体を広げる。どんと四十メートルで抜くというようなことはなかなか市町村がこの計画でやらないと思いますけれども、電線の地中化とかバリアフリー化とか、そういうときに歩道の拡幅が必要だ、そういう身の回りのことを市町村がやる。ただ、そこは都道府県道ですから都道府県の同意が要るというようなことで、確かに放置されている計画の問題はありますけれども、そのこと自体が直ちにネックにならないんではないかなと私は考えております。

和田委員 もっと市町村の側にたくさんのヒアリングを行っていただければという思いをいたして聞いておりましたけれども、実際の担当者レベルまでいきますと、本当にそれらの文言から自分がつくる計画の制約が随分あるようにお聞きしております。

 今、そんなに制約要件にはならないんじゃないかというお話でしたが、実際に実例としましては、そういうような国、都道府県、市町村の先行計画を変更して、後の市町村の計画を実施した、そのような例は過去にございますでしょうか。

竹歳政府参考人 具体名を挙げるのは差し控えますが、九州のある県で、大型店の誘致ということを考えておる市があるというときに、そこは必ずしも商業地域になっていないということで、実は地元からは、そういう大型店が来ると地元の商店街が寂れてしまうからやめてほしいという大きな運動がありました。しかしながら、全体を考えるとやはりそこに大型店を市としては誘致したいということで、そういう中に、例えばマスタープランに書いてないじゃないかとか、反対される方がそういうことを言われて、県の方も広域調整しないのかという議論があって、実はその問題はそのマスタープランを変えることによって対応しようとする例がございました。

 私は、多分そういう昔つくった計画で、放置されていて今何かやろうとするときに障害になるというときに、本当にこれがいいんだということになれば、やはり関係者が相談されてその前の計画を変えるということは十分あり得ると思います。

和田委員 実績があるかないかの議論をそんなにしている場合じゃないんですけれども、ぜひ、そういった市町村の側がより計画を策定しやすい環境を国土交通省としてつくっていただければと思います。

 例えば、これは大臣に御所見をお伺いしたいんですけれども、法律構成上、今、市町村は自分のつくった計画に基づいて何かをやろうとする同意を都道府県に持っていくというふうに構成されていますが、今問題になりそうなのは、計画をつくる段階で都道府県にどうやって相談するか。そういう上位概念としての計画が幾つかある場合に、そういったことをどのように処理していけばいいのか。そういったことを都道府県や国と協議できるような環境を整えてこそ、実際に計画策定がスピーディーに進むのではないかと思ったりします。

 そういった意味では法律要件の中に書き込むことがベストだと思いますが、もしそれが難しいのであれば、運用上、政省令で定めるとか、さらに、国土交通大臣のリーダーシップによって一気号令のもとにそういう体制をつくるとか、そういうことを考えていただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。

石原国務大臣 今の点は非常に重要だと思うんです。局長から御答弁させていただきましたとおり、できるとは思うんですけれども、実態問題で、私の身近なところを考えると、都道府県と市区町村との力関係とか、市区町村の方に非常にリーダーシップある方がいて、過去のプランを変更させてもやろうということが起こればできるんですけれども、現実問題としては、反対も必ず再開発あるいはまちづくりなんかでもありますので、市町村の方がそういう方との距離が短いもので、行き詰まってしまうということもやはり私もあるんだと思うんです。

 そういうときどうするかということですけれども、運用上、いろいろな情報公開をして、こうこうこういうときはこうするんだみたいな指針みたいなものを、地域整備局レベルになると思うんですけれども、示させていただくような形で、委員の御懸念とか、現実には起こり得る問題に対処していく施策というものをつくっていかなきゃいけないというのが率直な感想でございます。

和田委員 ぜひ、大臣のリーダーシップにおかれて御検討いただければと思います。

 時間が来ましたので、最後にもう一度、大臣に御所見と意欲のほどをお伺いしたいと思います。

 実際、まちづくり交付金制度をうまく立ち上げていくためには、冒頭申し上げましたが、より自由な市町村の活動領域を確保する。そして、それを担保するためには、もっと予算額が一定規模ないと、各市町村の側が、どうせやってもこのぐらいしかもらえないというような認識のもとに取り組んでしまうのではないかと思います。

 過去に行革担当大臣も御経験されている大臣のことですので、規制のたがをはめていく方向ではなくて、規制をある程度緩和しながら、市町村の自由裁量をふやしていく側にはともに立っていただけるのではないかと思うんですが、今後のまちづくり交付金制度、創設した後の運用の仕方、それらについての意欲のほどをお聞かせいただいて、私の質問を終わりたいと思います。

石原国務大臣 和田委員の大変心強い応援と聞かせていただいたわけですけれども、財政事情が本当に厳しい中で、こういう交付金化ということを今回盛り込ませていただいて、当初の概算要求レベルでは三百億程度だったんです。それを、補助金を廃止するという形の中で一千三百三十という数字になっておりますが、委員が冒頭御指摘されましたように、スピード感、市町村にとりましてスピード感を持ってやるには、やはり事業規模として数億円、大きな事業であるならば十数億円、こういうものがないと、だらだらだらだらいいものをつくるみたいなことになりますので、その点についてはしっかりとこれからも取り組ませていただきたいと思っております。

和田委員 終わります。ありがとうございました。

赤羽委員長 三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造と申します。滋賀県第三区から選出をいただきました。

 引き続き、今回議題となっております国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国土利用計画法及び都市再生特別措置法の一部を改正する法律案に対しまして、同僚委員ともに審議に参画をしてまいりたい。また、先週末十九日にそれぞれの委員が質疑をされておりますし、参考人招致もいただきました。そういった議論を広げながら、踏まえながらの質疑をさせていただきたいというふうに思います。

 国土利用をどうするのか、もしくは都市計画をどの主体がどのように実行していくのかというのは非常に大きな課題である。特に、三位一体改革という、全体的にはいろいろなお考えはあるでしょうけれども、不十分かつ不透明な改革の一環として提案されてきているとはいえ、今回のまちづくり交付金、個々のさまざまな課題を抱える身近な日々の生活圏である都市や町の再生というものなくして、全体的な国土再生や、よりよい生活環境の創造はない、そういう基本方針には賛同をするものであります。

 今回のまちづくり交付金というのは、各市町村も非常に注目をし、また期待をしています。これまでの都市計画、まちづくりという、国が全国規模で計画をして、主導をし、画一的に規制をして、またコントロールをして実行してきたものから、これからのまちづくりというものを市町村や市民という本来の主体にゆだねようじゃないか、また、市町村の自主性や裁量性を大いに発揮してもらおう、歴史、伝統、文化、自然、産業、交通といった都市、町ごとの多様な個性を生かしたまちづくりをやってくれ、また、要綱や条例といったものではなくて、財源的な裏づけもぜひ国として図っていこうという画期的な改革であり、法改正であると私は評価をしております。

 だからこそ、意欲のある市町村が、先ほどの和田委員からの御指摘にもありましたけれども、真に使いやすい、実効性のある制度となるようにしていく責務が我々委員にはあるというふうに思っていますから、こういった観点から審議に参画をしてまいります。

 まず初めに、総論、大きな観点から大臣にぜひお伺いをしたいと思うんですが、今の日本の都市及び町といったものの現状認識というか、問題点というのはどういったところにあるというふうにお考えでしょうか。これだけをお答えいただくと、一時間、二時間、大きな講義にも匹敵するかと思いますけれども、ぜひ簡単にポイントだけ絞ってお答えいただければありがたいと思います。

石原国務大臣 三日月委員が御指摘されましたように、都市の抱える問題点を話せというと一時間ぐらいたってしまいますので、このまちづくり交付金の制度とはちょっと外れるかもしれませんけれども、一つ最近感じました日本の町の問題点をちょっとお話しさせていただきたいと思うんです。

 先々週の週末ですか、九州新幹線の開業式で鹿児島に行った後、大分の方に回りまして、大変観光地として有名な湯布院を訪ねてきたんです。湯布院の駅前というのは、立たれたかどうかは存じませんけれども、それはおよそ、ぱっと、あのゆふいんの森号というJR九州がせっかくすばらしい緑色の電車をつくって、おりて、ああ、ここはすばらしいところだと思わないような、いろいろな看板がラーメン幾らとかアイスクリーム幾らとか、日本の観光地の抱える問題がそのままに、おり立ったときに感じるような町でした。例えば、そこを、まちづくり交付金等々を使っていただいて、景観とあわせて温泉地のイメージにふさわしい町にというか町の一角に変えていく、そういうものにこの制度は使っていただきたいと思うんです。

 そこで、駆け足ですが半日ぐらいで町の中を歩いたんですけれども、外国のお客さんを連れてきて、ここは本当にすばらしい温泉で、すばらしい観光地だと言えないものもたくさんあるんですね。それはどういうことかというと、大変豊かな地なんですけれども、外部の資本が入ってくると、やはりかなり細かい区画に区切ってのお土産屋さんとか、これもどこにでもあるんですけれども、地元の何とかがつくったアイスクリーム屋さんというような、あとは漬け物の何とかみたいな悪い意味でのスタンダードが林立している。やはり、海外の観光地、温泉場、ヨーロッパなんか行きましても、そういうものは一切ないですね、そういうものを買いたい人は特別なところで買えるようになっているわけですけれども。

 ですから、何が申したいかというと、一つ、観光として人が三百数十万人も来ているような、うまくいっていると言われる町の中にも、実は、日本の町が抱える、アンバランスな、乱開発が行われた結果、町全体の雰囲気が落ちてしまうような問題がある。

 こういうものも実はこのツールを使って直してはいけるんですけれども、このツールはやはり、和田委員の御指摘にございましたように、概算のときよりは大きく産んだつもりではございますけれども、既存の総合支援事業の中を全部切るわけにいきませんから、ボリュームとしては大きくない。ボリュームが大きくないということは、スピード感の達成度は低くなってしまう。その一方で厳しい財政事情がある。そういうものの中で、この制度をいかにその象徴として使っていただくか、そしてこれを育てていって、町という大きな面を変えていく。

 ともかく、一番問題のあるところに手を差して、物を変えていくということを、各地域にあると思うんですね、そういうものに使っていただいて、今委員の御質問にございました日本の抱える町の問題点の除去に役立てていくしかない。ともかく一から始めるしかないな、日本の都市は一からデザインを考え直していくしかないなというのが率直な感想でございます。

三日月委員 ありがとうございました。

 湯布院なんというと、かなり、日本の中でもまだいい方のというか、それぞれ、その土地の皆さんが主体的に湯布院らしさというものをまだつくられている方の町だと思いますので、ほかにはいっぱい全国で、もっともっと画一的な、どこに行っても変わらないような観光地もたくさんありますし、まさに今手を打たなければどんどん廃れていく、もしくは汚れていく、もしかしたらもう遅いかも、手おくれかもしれないんですけれども、そういう意味では、今回のまちづくりの交付金、いわゆる面的な事業を一括して行うという、このことに対する期待はより高まるんです。

 ぜひ次の質問も大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、こういう日本の都市や町の現状をもたらしたこれまでの日本の国土利用計画や都市計画というものをどのように総括されていますか。どこにそういった原因があったとお考えですか。

石原国務大臣 やはり日本の古い都市、町、江戸時代の写真を見ると、東京というのは本当に美しい町ですし、先日も、皇居の中に入りまして、一般にも開放されています二の丸の跡を見てきましたけれども、これは大変すばらしいものがある。そんな中で、生活の利便性あるいは生活の快適性を追求していった結果と、国土の均衡ある発展の名のもとにスタンダードを全国に押し広げる政策をとってきた結果が、現在の特徴のない町にどこもなってしまった。

 これは、何か観光の話ばかりして恐縮なんですけれども、委員が御指摘された代表的な観光地、熱海でも鬼怒川でもいいんですけれども、そこもやはり画一的な、ビルを建て古いものを壊し、人工的につくっていった結果、豊かさを国民の皆さんの多くが享受するようになった結果、今ではそういうものにもう目を向けなくなってしまった、そんなところに大きな問題があるんだと思うんです。

 ですから、今後はやはり、この制度もそうですけれども、自分たちの暮らしているところをどういうふうにしたいかというのは、そこに住んでいる方々が決めるのが一番いいと思うんです。

 すなわち、国から地方へ、そして各地域に、やはり個性というものがどんな町にもありますので、その個性を発揮していくように、知恵と創意工夫によった地域間の競争による活性化というものを後押しするような政策というものを国土交通省としてもとっていかなければならない。全国画一的な、ある種の快適性だけを追求するような施策というものに転換点を打つべきところに来ているんだと思います。

三日月委員 どちらかというと、観光といった分野がよく引き合いに出されますけれども、ぜひそれ以外の観点からも都市を見ていただきたいというふうに思いますし、日本全国、いろいろな地方都市が本当に多くの課題を抱えるに至っておりますので、ぜひ、お忙しい御公務の合間だとは思いますけれども、全国各地の都市をこれを機会に見ていただければというふうに思っています。

 若干、これまでの取り組み等々についてお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、近年の都市再生のための取り組みというものは、特に平成十三年度の都市再生本部の設置以降、いろいろとなされてきました。そして、平成十四年六月には都市再生特別措置法も施行され、平成十四年七月には都市再生基本方針、その後、都市再生緊急整備地域の指定等々、いろいろ行われてきているんですけれども、この間の都市再生にかかわる国の取り組みをどのように総括されているかをお聞かせいただきたいと思います。

和泉政府参考人 お答えします。

 ただいま先生から御指摘があった流れでございます。そのとおりでございますが、都市は、二十一世紀の我が国の活力の源泉と言えるわけでございますけれども、一方、近年における急速な情報化、国際化、少子化等、そういった変化に対して日本の都市が十分こたえられていない。

 今大臣から御答弁申し上げ、先生からも御指摘がございましたように、景観の問題あるいは都市の個性の喪失の問題、そういった問題を踏まえまして、都市再生本部としましては、大都市のみならず地方都市も含めた都市の再生を政府一丸となって取り組む必要がある、こう考えてございます。

 このため、今、先生から御指摘がございましたように、平成十三年五月に、内閣総理大臣を本部長とする都市再生本部を内閣に設置しまして、関係各省挙げて総合的に推進しているところでございます。

 その一端を御紹介しますると、まず、都市再生本部では、国家的な視点からは、基幹的広域防災拠点の整備、あるいはごみゼロ型都市への再構築などの十六の都市再生プロジェクトを選定、推進しているところでございます。また、今委員から御指摘がございましたように、平成十四年六月に施行されました都市再生特別措置法に基づきまして、都市再生緊急整備地域を五十三地域、約六千百ヘクタールを指定し、都市再生特区の創設や金融上の支援措置によって民間都市開発投資の促進を進めてまいりました。

 さらに加えまして、まさにきょう御議論賜っている内容でございますが、稚内から石垣まで、全国の都市の再生を推進するために、歴史的なたたずまいを継承したまちづくり、あるいは防犯まちづくりなど、地域からの意欲的な提案に基づきましてテーマごとの協議会を設置するなどしてそういった問題の解決に努めてきたほか、昨年の九月には、全国の都市からの、地域がみずから考え行動する都市再生活動、こういったものを支援するために都市再生モデル調査を実行することとし、現在、百七十一都市でその調査検討が進んでいるところでございます。

 さらに、そういった流れを踏まえて、今回まさにこの交付金を御審議賜っているところでございまして、そういったプロジェクトの具体化や制度改革等を進め、今粛々と事業の展開が進んでいるところでございます。

 以上でございます。

三日月委員 ありがとうございました。

 ぜひ、粛々とではなくて大胆にやっていただかなければならないことだと思うんですけれども、最後におっしゃった点についてお伺いしたいと思うんです。

 平成十四年四月に、全国都市再生ということで各地方公共団体等から提案を募集されて、約千件の応募があったということを聞いていますし、また、後段にありました全国都市再生モデル調査ということで、六百四十件の応募の中から百七十一件を調査対象と指定されております。そういったものと、今回のまちづくり交付金との関係をどのように位置づけられているのかということが一点。

 それともう一つ。同じような取り組みとして、都市再生本部とは別に地域再生本部というものもあって、何か、国全体再生しなくてはいけないんですけれども、いろいろな再生本部が次から次へと出てきて、恐らく市町村も、都道府県も、一体どないなっとんのや、どこに話をしたらいいんや、どの計画にのっとって我々は計画つくればいいんだということで、非常に混乱、戸惑いがあると思うんです。

 この点について、今回の都市再生、まちづくり交付金創設と、新たに出てきた地域再生というものとの関係について、二点お伺いしたいと思います。

和泉政府参考人 まず、全国都市再生とこの交付金の関係でございますが、いろいろな提案が出てくる中で、まさに、従来の公共事業では対応できないようないろいろなアイデアが出てきております。

 例えば、一例を挙げますと、既成の市街地の中の空き店舗を転用して、スチューデント・シティと言っておりますけれども、仮想都市空間をつくって子供の勉強の場にするとか、あるいは、あいた中小の事務所ビルを転換して地元の学生のいわゆる下宿にするとか、こういったいろいろなアイデアが出てきておりまして、私から申し上げるのも失礼ですが、従来の国土交通省の個別の公共事業では対応できない提案がさまざま出てきております。

 そういった意味で、今回の交付金が創設されれば、全国都市再生の流れの中で、各公共団体がいろいろ汗をかきながら考えてきたまちづくりがまさに実現できる大きなツールが得られるんじゃないか、こういうふうに考えております。これが一点目でございます。

 二点目の御指摘の地域再生本部との関係というお尋ねでございます。

 よく聞かれる御質問ではございますが、地域再生は、まさに全国の地域において地域がみずから考え行動する、これを国が支援するんだ、そういったことを基本としまして、政府一丸となって推進していくものでございます。

 若干経緯を御紹介しますると、平成十五年十月に、内閣総理大臣を本部長とします地域再生本部が内閣に設置され、これを受けまして平成十六年、ことし二月二十七日には地域再生推進のためのプログラムというものを決めております。

 この中で言っていることは、地域における人、物、金等の資源を生かして好循環を生み出すための支援措置を講じることとしているわけでございますが、この地域再生の地域の概念の中には当然のことながら都市が含まれておりまして、現在進めております地域の発意と自主性を踏まえて、稚内から石垣までの全国都市において実施するこの都市再生も、地域再生に十分大きく貢献する手段ではないか、こう考えている次第でございます。

 そういった意味で、二つの本部があってなかなかわかりにくいという御指摘でございますが、そういう観点から、都市再生本部事務局としましても、地域再生本部の推進室というのがございますので、そこと十分連携して、両方の施策がトータルとして地域再生に貢献できるように協力してまいりたい、こういうふうに考えております。

 以上でございます。

三日月委員 そういう意味では、まず大きな地域再生という枠組みがあって、その中に都市再生という概念があるんだというふうに私は理解をいたしました。

 ここは踏み込んでお聞きしたいというふうに思うんですけれども、これはぜひ大臣にお聞きしてみたいと思うんです。

 それでは、都市再生というのは、十九日の岩國委員の質問の中にもありましたけれども、そもそもどのような状態を表現されるのか。参考人招致の中にもありました。伊藤氏は、新しいまちづくりの分野、高齢、環境、安心といったことが必要だし、都市を点検しなくちゃいけない。また、原氏は、都市再生とは地域の生活者の生活再生だという表現をなさいました。また、臼杵市の後藤市長は、これまで余りにも急ぎ過ぎたんだ、立ちどまって日本らしさを取り戻さないといけない。

 都市、町の何がどのような状態になれば都市再生と考えるのか。各市町村には今回、計画の中で定量的な、数値的な目標を定めて実行してほしいということを国はおっしゃっています。それでは、お伺いしたいんですけれども、国としての今回の都市再生というものに対する定量的な数値目標はどのような点に置かれているのかということについて、お考えをお伺いしたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 都市再生について、市町村に定量的なことを求めているんだから国はどうなんだというお話でございますが、市町村に求めている定量的なものは公共事業の事後評価という中でのお話でございまして、都市再生自体について定量的というのは何かと言われれば、都市再生は、実は定義としては都市の機能の高度化、それと居住環境をよくしていこうという二点でございます。

 そういう意味で、例えば居住環境について言えば、個々にいろいろな社会資本整備重点化計画などで、例えば密集市街地の不燃、燃えないエリアをふやしていこうとか電線の地中化率の目標とか、さまざまな目標を定めておりますが、それは五年ごとに期間を区切って重点的に投資をしていこうということでございます。

 そういう意味で、分野別にはそのような定量的な指標というのは国土交通省として持っておりますが、都市の再生自身、例えば日本の国際競争力が何倍になったからどうだというような意味では定量的な目標は持っておりません。

三日月委員 それでは、ちょっと観点を変えてお伺いしたいと思うんですけれども、先ほどの御答弁の中にもありました、都市、町には本当に多くのさまざまな課題が今存在をしています。

 特に、私の選挙区である草津、守山、栗東といったいわゆる典型的な地方都市もそうなんですけれども、長年の懸案である環境問題や、そして省エネやバリアフリーといったものから、切実な課題である駅前商店街の活性化や交通渋滞、そして近年特に住民、市民を不安に陥れている治安とか防犯とか災害対策、そして今回の国会にも提案されております景観、その延長線上にある、大臣なんかはお好きな観光振興といったことなんかもあると思うんですけれども、それぞれ個別の政策が各省庁、部局から提案をされてきております。

 まちづくりという性格上、これらの課題解決といったものが目指されるべきだと思うんですけれども、十九日の原参考人の御意見の中にも、ぜひ都市再生にポリシーを持って取り組むべきだというようなお話、御指摘がありましたけれども、今回のまちづくり交付金と個別政策課題との関係をどのように国としてとらえていらっしゃるのか。また、国として、今回の都市再生及びまちづくり交付金でこういったことを実現したいんだというポリシー、ビジョンがあればお聞かせいただきたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まさに時代は大きく変わっておりまして、今まで、まちづくりが画一的であったとかそういうお話がございましたが、何と申しましても欧米と比べまして我が国の社会資本整備がおくれていて、やはり部門ごとに、道路、公園、下水道、それぞれの分野で頑張るという時代があったと思います。ただ、これからはそういう時代だけではなくて、町として、面として、線ではなくて面として物事に取り組まなくちゃいけない、こういう時代になっているのがまさにこのまちづくり交付金が生まれてきた大きな背景でもあると思います。

 そこで、お尋ねの個別のいろいろなテーマがある、景観、環境、バリアフリー、防犯等々ございますが、それがまさに今回のまちづくり交付金の計画において、それぞれの地域が今自分たちが何が一番大事なんだということを重点に取り組む。

 例えば、東大阪では非常にひったくりとかそういう犯罪が多いというので、ぜひ地域ぐるみでそういう防犯の体制をつくっていこうとかいろいろな取り組みがあるわけでございまして、そういう、まさに知恵と工夫を生かして、それぞれの地域がテーマを見つける。ポリシーとおっしゃいましたけれども、国がこうだというような一つのポリシーを示す時代は終わったわけでございまして、それぞれの地域がそれぞれの中で生み出していくというふうに考えております。

三日月委員 面としての整備、それぞれの個別課題を総合的に解決していくことが必要だという意味では、縦割りのこれまでの行政を壊した都市再生という観点が必要だということは同じ共通認識だと思うんです。

 それでは、私、大事な観点として、先週末の岩國委員の指摘にもあったんですけれども、住む人の満足度であるとか安心度といったものが今まで以上に非常に重要視されていると思うんです。そういった指標、全部事後評価でそれぞれの市町村が設定をして評価すればいいんだというふうにこれまでの御答弁の中からお伺いしますけれども、そういった満足度や安心度といったものの指標は、どのように国としてお考えでしょうか。

竹歳政府参考人 例えば、具体例で申しますと、今稚内で考えられておる指標が五つございまして、それは、一つは交流人口の増加ということで、サハリンとの交流とか北方の観光の拠点として、港と町を一体としたまちづくりが進められないか。それから、やはりお客さんがたくさん来ていただいて、商店街の売り上げがどうなるか。それから、定住人口が増加してほしい。それから四番目に、空き店舗がどれだけ減るだろうか。最後に、実は来訪者と居住者の満足度というのが出てまいります。

 住んでよし、訪れてよしの観光立国ということで進めておりますが、このような満足度はなかなか定量的にはかることはできません。実は、他の地域においても、例えばアンケートの調査でございますとかいろいろな面でこういう満足度についてもはかることはできると考えておりまして、先ほど御指摘の、単に商店街の売り上げがふえたかどうかというような即物的な指標だけではなくて、やはり心の豊かさがあらわせるような指標、こういうことについても、我々も十分踏まえてこの問題に取り組んでいきたいと考えております。

三日月委員 そういった指標も今回は市町村ごとに設定をして取り組んでいくんだということでしたし、一つ前の御答弁の中で、そういうものを国として何か一つ決まったポリシーを持ってやるのではなくて、それぞれの市町村ごとに、各都市ごとに、町ごとにそれぞれ課題があるだろうから、それに基づいて取り組んでもらえればいいんだというようなお話がありました。

 それならば、お伺いしたいと思うんですけれども、今回のまちづくり交付金、個別の補助金よりは国の関与や規制といったものは少なくなるとはいえ、交付金という形、性質上、その交付対象を国が決めるという形の国の関与というものはやはり残ってしまうことになると思うんです。かえって、当初の目的である個性あるまちづくりや市民主役のまちづくりといったものを何か阻害してしまうような制度になるんではないかという危惧を持つんです。そのあたりについて、いっそのこと権限も財源も全部移譲してしまった方がいいんじゃないかとも思うんですけれども、いかがでしょうか。

石原国務大臣 先ほど来御答弁させていただきますけれども、地方の知恵と創意工夫による競争によってその地域を活性化していくものにこの交付金というものを役立てていただきたいということから、財政面の支援を行うというのがコンセプトなわけでございます。

 限りある財政支援、すなわち財政措置である以上は、国としてその交付金を交付すべきかすべきでないかというような判断というものはやはり残しております。しかし、原則として、計画の内容に対する国の事前関与というものもございませんし、先ほど和田委員の議論の中でございましたように、運用面で市町村の自主性をどう担保していくのかということをしっかり確立すれば、創意工夫の競争というものが地域再生に全面的に役立つんだと私は思います。

 これもせんだっても御議論があったんですが、では、その採択に当たってどういう採択基準をとるのかということと、その採択基準をよりどうやってクリアにしていくのか、あるいは、これは定量的な判断になるんですけれども、費用対効果分析がどんなようなものなのかとか、いろいろなアイデアが出てくる事業の熟度というか、どこまで成熟している事業なのかといったものをどう評価するかということがポイントだと思いますし、そこのところは透明性、客観性というものをしっかりと担保していかなければならないと思っております。

 結論から申しますと、ですから、最低限の関与はするけれども、あとの部分はやはり創意工夫、知恵の出し比べというところに力点を置いていく。

 それと、もう一つ忘れちゃいけないのは、実は私、委員のお地元の草津市を訪ねたことがございまして、かなり、人口が京都の方からも流入していて、大学が立命館を初め三つ四つあるということで、うまくやっている地域だと思うんですけれども、気のきいた人がいると町はよくなるんですけれども、何とかしてくれ、何とかしてくれという人ばかりのところは、やはり、歩いていると疲弊している、全部をお任せできるような状態にもない。

 ですから、逆に、どう相談を、こんなことをやってみたいんだけれども、それが本当に正しいかどうか相談に乗ってくれというような問いもかなり来ておりますので、その両方にしっかりと目配りをして、個性あるまちづくりに貢献するような政策展開というものにしていかなければならないと思います。

 それと、もう一言だけ言わせていただきたいんですが、先ほどちょっと観光になぜこだわったのかということなんですけれども、地域再生というと、私、五つぐらいのポイントがあるんだと思うんです。というのは、私がしつこい観光、あるいは教育、医療、建設、地場産業、この五つぐらいのファクターをどういうふうに元気にするかということが地域再生の大きなポイントだと思うんです。

 というのは、各地方都市、やはりいろいろな旅館、ホテル等とありますけれども、これが総じて地元の旅館業、ホテル業というのは余りぐあいがよくない。あるいは、教育ということでも、委員の草津市は極めてまれだと思うんです。大学が後からどんどん来ていて、その大学で修学した方がそのまま草津市に住むといったようないい環境になっているんですけれども、高等学校とか、もう少しほかの大学でも見ますと、うまくいっていなくて、生徒さんが集まらなくて、昔はその地域の有名な学校であったというものが、高校にしても大学にしても廃れている。あるいは、医療というのは病院だと思うんですけれども、地方の病院もうまくいっているところは少なくて、病院が経営がなかなかうまくいっていない。それと、建設というのは、公共事業にどうしても頼るような体制に地方の産業構造がなっちゃって、これも地方単独事業、あるいは国の公共事業も減ってしまっているからうまくいかない。それともう一つ、地場産業というようなものも、各地域にあったはずなのが、海外に出ていってなくなってしまった。

 この五つのファクターの再生というものなくして、地方都市の再生というものはなかなか頭の中でも考えられない、そういう意味で観光を例に出したんですけれども、教育でもいいわけです。委員のお住まいの草津市のうまくいっている例、こういうものをほかの都市に提示することによって町は成長しますし、よみがえるんだと思っております。

三日月委員 ぜひ草津に来ていただいて、じっくりとそのあたりの議論をしてみたいというふうに思うんです。

 国の関与はないんだ、事前の計画段階にもないし、運用面でもないんだ、ただ採択の面で若干ある、この採択の面が非常に大きいというふうにも思います。

 地方には気のきいた人、たくさんいますので、大いに権限も財源も地方に移譲していただいて、地方が本当に自由にまちづくりができる環境を整えていく必要があると思います。国の関与はやはり大き過ぎますし、このままいくと、その決定過程において、残念ながらこれまで日本の政治をゆがめてきてしまった談合や密室やあっせんや、もしかしたら口ききといったものも、これはこの採択に当たって起こるおそれもあるような制度ですから、ぜひ、こういった計画の決定段階にあっては、国の関与もしくは指導によって、その変更された計画等々の徹底的な情報公開の必要性を強く要請をしていきたいというふうに思っています。

 若干各論に踏み込んでみたいと思うんですけれども、まちづくりとか地域活性化という目標には、その地域の鉄道とかバスとか、いわゆる公共交通といったものが欠かせない要素になると思うんです。別にJR出身だから言うわけではないんですけれども、今回出される市町村の計画も、多くは駅とか路線整備とか乗りかえ施設、アクセスの整備だとか、こういった分野を多く含んでくるものと予想をされています。

 岩國委員は、高速道路のインターチェンジのあるなしの市町村のことを話題に出されました。新たにつくる、整備するといったことも必要ですけれども、今ある路線、設備を有効に活用するという観点が極めて大事だというふうに思っています。今回のまちづくり交付金の活用可能性、交通といった観点からどのようにとらえていらっしゃるのか。

 もっと踏み込んで聞けば、多額の道路財源があります。全部道路だけに使うのではなくて、こういうまちづくりのために、もしくは地域交通のために、総合交通体系を確立することにむしろ回してでも、道路だけじゃなくてそういう鉄道とかまちづくり交付金にもっと回してでも財源的な裏づけを持って取り組むべきだと考えますけれども、お考えをお聞かせいただきたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 都市再生本部におきまして全国都市再生を最初に打ち出したときの一番の目玉は、鉄道の結節点、鉄道とか交通の結節点を再生させよう、その後にいろいろなアイデアが出てまいりましたけれども、最初のスタートはそういう公共交通の結節点、そこが昔の都市の中心地であり、そこがシャッター通りになっている、それを何とかしなくちゃいけないということだったと思います。

 JRの駅は全国では四千六百ほどございまして、その中にはたくさんの無人駅もございますが、特急、急行以上がとまるところでも千あるというようなことで、やはり昔の交通の結節点は、まさに町の顔でもあったところであり、いろいろなストックもありということで、いろいろな利用価値がある場所であると思います。したがって、今回のまちづくり交付金でも、やはり中心市街地ということが一つの大きなテーマですし、それは駅の周辺ということにもなると思います。

 それから、道路財源の話でございますが、まさに道路の財源というのは、まちづくりの骨格をつくるという意味でも非常に重要な役割を果たしています。今回の千三百三十億の中にも三百億、道路の財源が入っております。

三日月委員 恐らく、この計画作成段階にあって、市町村はJRを初めとする多くの鉄道事業者に積極的に話し合いをしていくでありましょうから、ぜひその財源的な裏づけも、千三百三十億のうち三百億だと言われましたけれども、より制度を充実したものにするために、全部で十一兆円もあるんですから、こういった総合的な交通体系をつくっていくために、もっともっとつぎ込んでいくべきだということもあえて提言をしておきたいというふうに思っています。

 その千三百三十億円といったものの使い方なんですけれども、今後出される計画にもよってくると思うんですけれども、その配分についての考え方等、現時点であればお聞かせいただきたいと思います。もし多くの、千三百三十件応募があれば、すべてに対して一億円ずつ振り分けることになるのかとか、その辺の考え方についてあれば、お聞かせいただきたいと思います。

竹歳政府参考人 御指摘ございましたように、市町村がいろいろ構想を練っておられる具体的な事業内容とか事業規模が明らかでございませんので、今、どれぐらいの規模になるだろうかというようなことは申し上げられない状況にあります。

 ただ、先ほど御質問がございましたまちづくり総合支援事業、この実績は整理されておりまして、これを申し上げますと、五百何十カ所やっておりますけれども、それぞれ数億から数十億、かなりの幅がございます。

 ただ、今までの平均は四・八年でそれぞれの地区が終わってきているということで、今回のまちづくり交付金も三年から五年というようなことを一つの目安に申し上げているわけでございますけれども、例えば、五年間で一地区二十五億円やるとすると年間五億円というようなことになります。四割というようなことも申し上げておるので、そうすると、各地区に二億円ぐらいが一つの平均的なイメージになるんじゃないかなと思います。

三日月委員 必ずしも一律である必要はないと思いますし、ぜひ、先ほどの御答弁の中にもありました、民間活力が十分ではない地方都市の再生のために手厚く使っていただきたいということも要請をしておきたいというふうに思います。

 最後になりました。

 先ほど和田委員の方から、今回の都市再生整備計画、今回、やはりその計画をどのようにつくるかというのが市町村の自主的な裁量のある都市計画、都市再生をするのに非常に重要な観点になると思うんです。

 今回、これは条文で言えば、五十四条、五十五条、五十六条、五十七条、このあたりがいわゆる市町村がつくる計画に対して都道府県がどう絡むんだというような部分ではないかと思うんですが、どの程度の強制力、拘束力があるのか。やはり市町村が計画を立てて、都道府県の同意、もしくはこれまでの計画との整合性等々があれば、どうしてもそれが手かせ足かせになるということが懸念されるんですけれども、このあたりについてお聞かせをいただきたいというふうに思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 今回の都市再生の整備計画は、市町村が中心になって、市町村がみずからの課題とか目標を設定してつくるものでございまして、計画自体について国や都道府県が関与するわけではございません。

 それから、まちづくり交付金についても、市町村が国に申請を行うということで、写しを都道府県に送るとか、そういうことは行いますけれども、事務的な経由とかそういう問題は別としまして、申請自体に都道府県は関与いたしません。

 先生が御指摘の条文につきましては、実は、先ほども若干御答弁を申し上げましたけれども、今の都市計画の仕組みでございますとか、道路の管理の仕組みというのは、国、都道府県、市町村が役割分担をしている。本来の権限を持っているものについて、市町村がワンストップでやりたいからその権限を譲ってくれというお話でございますので、本来管理者の、本来権限を持っている方の同意を得ざるを得ないと思います。

 都道府県と市町村の権限の配分というのは、実は、地方分権推進委員会以来、長年議論をされていて、今後もいろいろ考えていこうということになっていますけれども、今、一応の権限の配分というのが決まっておりますから、その今のルールを動かす以上は同意が必要だ、その範囲で同意が必要だと申し上げているわけでございます。

三日月委員 ぜひ、これまでの反省を踏まえて、まちづくりの主役である市町村、市民が主体的に取り組める体制と制度をつくっていかなければならないと思いますし、将来の世代に世界に誇れる都市を受け継ぐんだというような方針も示されています。

 何より、今そこに住んでいる人たちの満足度が高まるまちづくりが可能となるように、国の関与が市町村の自主性を妨げることがないように自由度を保障していくべきだ、また、採択に当たっての透明性、客観性をしっかりと確保すべきだということを要請するとともに、将来的には、国の交付を受けずとも、多様で自由なまちづくりが可能となる真の地方分権、地域主権の確立の必要性を強く訴えまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 松崎哲久君。

松崎(哲)委員 民主党の松崎哲久でございます。

 昨年十一月に初当選いたしまして、今回、国土交通委員会、初めての質問でございます。

 国土交通省という大変巨大な官庁を担当させていただくということで非常に一生懸命勉強いたしまして、また今回も、この質問に際しまして、国民生活にとりまして非常に重要な法案なものですから、一生懸命準備をしてまいりました。

 実は、国土交通委員の方ではないんですが、自民党の先生に、今度質問することになったんで一生懸命やっているんだと申しましたら、いや、自民党の方は、重要なことは自民党の政調の部会の方でやるんだ、こういうふうに豪語されました。それは事実なのかもわかりません。私も昔自民党におりましたことがありましたので、事実かもわかりませんが、この委員会、ずっと一生懸命出席して拝見しておりますと、どうも、反対側の自民党の先生方の御出席が少ないように思うんです。

 この法案、特に重要法案だと思いまして、民主党の方も、ネクストキャビネットでも真剣に議論し、また国土交通部門会議でも熱心に議論いたしておるんですけれども、自民党さんの方のこの法案にかける御認識が、多分、重要法案だということは間違いないんだと思うんですが、重要なことは部会でやるというような御認識であるならば、それはやはり国会軽視、委員会軽視と言わざるを得ないんで、大変困惑をいたしております。

 私の質問に先立ちまして、若干、委員の先生方も御出席してふえたようですので、このまま進めさせていただきます。

 先ほど同僚の三日月委員の質問の大臣の御答弁の中で、外部の資本が入ると乱開発を生むというような御発言、御答弁があったように私の耳には聞こえました。これは大変誤解を受けるような発言だと思うんですが、もし必要ならば答弁を修正されていただいても結構だと思うんですが、大臣、いかがでしょうか。例えば、アイスクリームの看板というのは外部の資本だったのかどうかということを含めて御答弁いただければと思うんですが、大臣。

    〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕

石原国務大臣 私が申しましたのは、地域を限定して、地元の方々がそういうお話をされていたということで例を出したわけでございます。

松崎(哲)委員 とりあえず、それはそういうことで結構なんでございます。

 十九日の岩國委員の質問で、大臣は、稚内から石垣までというキャッチフレーズのまちづくり交付金に対して実際はどういう都市をイメージしているか、こういう質問がありました。それに対して、大臣は、神戸だとか逗子の小坪だとか、そういう御答弁をされたんですが、またさらに外国ではと問われて、ロンドンというふうにお挙げになりました。つまり、大臣のイメージは、大都市だとか、しょうしゃなリゾート地というのに限られているようなんですが、実は、それを伺いまして、私ども民主党の委員は大変に驚いているわけでございます。

 その後の竹歳局長のほかの質問に対する御答弁から推察すれば、このまちづくり交付金というのは、都市再生本部が、大都市優先であったそういう傾向を修正して、民間活力もなかなか活用しにくい地方都市の再生に重点を置くことが目的だ、局長の御答弁はそうだったと思うんですが、念のため、改めまして、本改正の目的ということについて大臣の御認識はどうかを伺いたいと思います。

石原国務大臣 各地域が、地元の方々の創意工夫と努力によって競争することによって町を活性化していくものに財政的な御支援をさせていただく、それにあわせて権限を移譲していく、これがポイントでございます。

松崎(哲)委員 さらに同じく岩國委員の質問に対しまして、和泉都市再生本部長だと思いますが、都市再生事業の成功例として六本木ヒルズを挙げられたんですね。その理由としては、二千九百億円かけて二千六百万人、人が来ている、これは事務局長に対してじゃなくて、こういうような御答弁があったんですが、本交付金も、事後評価、先ほどの三日月委員の質問の中にも局長の御答弁ありましたけれども、事後評価ということがうたわれておりまして、大変重要なことになっているわけです。また、事後評価の基準として、なるべく定量的にやりたい、こういう御答弁もあるわけでございますが、定量的というのは、先ほどのお話にありましたような、何万人ふえたとか、それから、臼杵市には四十六万人が五十何万人にふえたとか、そういう、わかりやすい反面、数が多くなればいいのかというような問題もあるんだと思うんですね。そうすると、例えば、岩國委員の質問にありましたけれども、人がふえて緑が減る、では、これはその地域にとっては本当にいいことなのかどうか。

 ですから、事後評価というのは、定量化するにしても、慎重に考えていかなければいけないというふうに思うんです。金曜日の御答弁の中で、大臣は、採択基準は事前に皆さんにお示しする、こういう御答弁をいただいているわけですが、同じように事後評価の基準も、質問に対しては幾つか出てきておりますけれども、やはり要綱のような形で事後評価の基準についても皆さんに、皆さんにというのは我々委員会ということだと思いますが、示していただけるのかどうか、質問いたしたいと思います。

竹歳政府参考人 事前の目標とか、そういうものを定めるわけでございますから、事後においては、それがどのように達成されたか、達成されなかったらその理由は何だったのかということで事後評価を行うわけです。その結果は、まず第一に、納税者たる市民に公開されますし、また、もちろんすべての関係者の方々にその結果は公表されるということになると思います。

松崎(哲)委員 結果ではなくて、事前にこういうことで事後評価をするという基準は公表されないのかという質問の趣旨でございます。

竹歳政府参考人 事後評価の基準でございますから、今申し上げましたように、五年間にこういう目標を達成しようということが明らかになっているわけでございますから、それが達成されたかどうか。それ以上の基準は、今のところ考えておりません。

松崎(哲)委員 私がその質問を先に振りましたのは、定量化ということで、何万人ふえたからというようなことだけで、はかってよいのか、こういう意味でございます。

 事前の目標というのは市町村が計画の中で出してくるわけですね。そうすると、その事前の目標というものも採択の基準になって、それがどうであれば事後評価としては、ある意味では採択基準を満たしていない、こういうことになるのかということなんです。

 もう少しわかりやすい評価を、市町村が自分で出してくるのではなくて、こういうことであればこういう形で評価していくというようなことを事前にお示しいただいていた方が市町村としても目標を立てやすいのではないか、こういう趣旨の質問をさせていただいているんです。

竹歳政府参考人 今回のまちづくり交付金というのは、それぞれの地域の個性とか工夫ということを重視しているわけです。百の都市があれば百のいろいろなプランが出てくるということでございますから、それを横で評価するような画一的な指標があるというものではございません。

 そうすると、何をやるかと申しますと、ある地域にこういう問題がある、それについてはこういう、例えば高齢者が安心して住めるような住宅を供給したい、駅前にそういうものをつくりたいとか、それぞれの地域が指標をつくられる。それを見て、本当にそういうことができるのかなとか、そういうことをいろいろお話を伺って決めていくということで、事前にこういう指標を用意してくると採択されやすいですよとか、そういうことは考えていないわけでございます。

松崎(哲)委員 それでは、次の質問に進めたいと思うんですが、各論に行きたいと思うんです。

 今回の都市再生特措法の改正案の十五条に公共公益施設というのを定義しているわけですが、「公共施設その他の公益的施設」というふうにあるんですが、この公益的施設というのはどういうもので、どこまで含まれるかということを質問させていただきたいんです。

 第二条の二項に、「この法律において「公共施設」とは、道路、公園、広場その他政令で定める公共の用に供する施設」これはもう明快になっているわけですが、その政令というのは施行令の一条で、「下水道、緑地、河川、運河」等々、こう加わっております。しかし、公益的施設については規定がないわけでございますね。

 そこで、公益的施設というのはどういうものを指すのか、法令による定義があればそれをお聞かせいただきたいし、また、ないのであれば、具体的にどういうものなのか。例えば図書館だとか特別養護老人ホームだとか託児所だとか病院だとか、一般的用語として公益的だと思われるものがどこまで実際には含まれるかということを伺っておきたい、こういう趣旨でございます。

竹歳政府参考人 御指摘のとおり、公益的施設につきましては法律上の定義は書いておりませんが、これは、今御指摘のように、社会通念上、幅広く公益的な施設を意味しておりまして、文教施設とか社会福祉施設とか図書館とかさまざまなものが、まあみんなが使うというものは公益的施設だというふうに考えております。

松崎(哲)委員 そうしますと、まちづくりにとって有用な施設、町が活性化するためにも必要なものをなるべく広く解釈していこう、なるべく広く認めていこうという御趣旨と思ってよいのかどうか。つまり、それは他省庁の所管に係るような施設であっても本交付金の対象として認めていただけるのかどうかということを伺いたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 このまちづくり交付金は、市町村が都市再生整備計画をつくりまして、そこで、これはこの地域にとって必要だというような福祉とか文化とか商業等とか、なるべく幅広い施設を対象にしていきたいというふうに考えております。

 ただ、今、他省庁所管の施設はどうかというお話でございますが、本格的な施設となりますと、それはやはり、先ほどから予算の額が小さいんじゃないかというお話も出ているぐらいでございまして、本格的なものになれば一個何十億円というふうになりますので、それは各省庁で補助対象にしていただきたいな。そういうために、都市再生本部というところで、都市再生基本方針で、各省庁が協力してやるとなっているわけです。

 ただ、ここで幅広いと言っておりますのは、実は、縦割りのすき間、ニッチに当たるような部分、例えば高齢者の方とお子さん方が一緒に遊ぶ施設は高齢者の施設なのか保育所なのか、そこにコミュニティースクールをやっていたとする、それは文教施設なのかとか、そういう、縦割りからいくとなかなか拾えないような施設がございます。

 それから、これもよく補助金について御批判がある点ですけれども、一定規模じゃないと補助金採択されないから、必要以上に大きなものをつくってしまうというような話がございます。

 本格的なものは各省庁にお願いするとしても、そういう、採択基準には満たないものだけれども地域にとってはこれが必要だというようなものは、ぜひ、こういう自由な、使い勝手のいいということを言っておりますので、この交付金で対象にしていければと考えております。

松崎(哲)委員 今局長の御答弁の中で一定規模にならなくてもいいという御答弁がありまして、これは後での質問にかかわりますので、ぜひ局長も記憶しておいていただきたいんです。

 駅前シャッター街、これはもう全国津々浦々いろいろな問題になっております。例えば商店主が高齢になるとか後継難、それでシャッターが閉まってしまう、これは全国の現象としてあるわけですが、そうすると、どうしてシャッターをあければいいかということを地域では悩んでいるわけですけれども、これは、地域が元気になれば、活性化すれば、お金さえ持ってくればシャッターがあくというものではなくて、実は親子関係だとか相続だとか、そういう問題も絡んでいるということが、地域の実情を聞いてみますとあるわけでございます。

 というのは、自分がやっていたところが空き店舗になるんだから新たにテナントを入れようとする。今までは自分が使っていた、あいたからだれかに借りてもらおう、テナントが入ってしまう。そうなると、自分の子供が、例えば今は地方へ転勤で行っているのが帰ってきたときに使うことができなくなるというようなことを恐れて、どうせそれだったら、例えば高齢でお店を閉めたとしたならば、代がわりが起こるまで、今度は子供たちが自由に使うまで、他人に貸して返ってこなくなってしまっては困るから、それをあけたままにしておく。こういうような発想が実は空き店舗のオーナーの中にもあるわけだと思うのですね。

 そうしますと、じゃ、シャッターが閉まったままにして放置しておいてはいけないわけですから、市町村やNPOなんかが絡むことによって何とかこれをあけてもらいたい。そのためには、そういう店舗を借り受けて、それはテナントが、個人じゃなくて市町村だとかNPOとかが借り受けて公益的施設に使うことができれば、シャッターもあくし、まちづくりの中で公益的施設もふえるし、非常に住民の利便も増す方策だと思うんですね。

 問題は、テナントが、買い受けるのではなくて、借りるんだということに本交付金が使えるのかどうかを質問させていただきたいと思います。

竹歳政府参考人 結論から申し上げますと、それはできる、ぜひそういうこともやっていきたいと思います。

 NPOが直接買い取る場合もありますし、今のように借りるというような、いろいろな事情によっていろいろなパターンがあると思いますけれども、いずれにしろ、市町村がそれを応援するというときにはそれも国が後押しするというふうにしたいと思います。

    〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕

松崎(哲)委員 結論からすれば借りられるということでありますからそれでよろしいと思うのですけれども、要するに、それは、市町村が借りる、NPOにしても、市町村が支援しているNPOが借りる場合の賃料だとか敷金だとかいうようなものにも交付金が使えるというふうに解釈してよろしいんでしょうか。

竹歳政府参考人 その点はまだ考えていませんので、よく考えておきたいと思います。

松崎(哲)委員 使えるんだけれども借り賃に出るかどうかわからないというのはちょっと解せないことなので、ぜひそういうのにも使用できるように、実際に私がこの質問の前に地域の事情を説明しましたように、とにかく閉まったシャッターをあけるためにはいろいろなことが考えられて、それは例えば今言ったような、借りる、要するに買い取るのではなくて。今までの補助金だとかいう制度は、物をつくる、箱物をつくるとか、つくるためには買い取るわけですから、そういうものに非常に重点が置かれていた。

 それが今度はまちづくり交付金に変わることによって、局長もおっしゃっているように使い勝手がいい、その使い勝手がいいというのが売り物なんですから、さらには、先ほど一定規模に満たないものでも対象となる、一定規模に満たないものなんだから、まさに駅前のそういうシャッターが閉まってしまった店舗などにはそういうやり方が非常に有効なんじゃないか、こう考えますので、ぜひ賃料などにも使えるような方向で御検討いただきたいと思いますが、御答弁いただければ。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 我々が考えておりましたのは、既存の空き店舗を借りて中を改修する、そういう費用は市町村が補助する、それは応援しようと思いました。

 賃料というのは運営費でございます。この交付金というのは三年から五年と申し上げていて、そういう経常的な経費ということは、先日の御質問で、防犯のための警備員の経費はどうかという御質問に対して、社会実験としてはそういうことは考えられるという御答弁を申し上げましたけれども、同じような観点から、そういう経常的な、その後もずっとやるということについてはちょっと考える必要があるんじゃないか。

 社会実験ということならできると思いますけれども、ずっとというのはなかなかすぐにはお答えできないなと考えたわけです。

松崎(哲)委員 もちろん、その施設を何かに利用するわけですから改修の工事等は必要だと思いますので、そういうのに出していただけるというのは非常に有効だと思います。

 ただ、賃料という意味は、普通の契約というのは二年とか三年というのが契約期間ですから、そういう意味では継続的とはいうものの、三年とか二年とか区切られているものですから、社会実験ということであっても、そういうものが一地域でやってみて有効であればまた次の施策を考えていただくという意味でも、ぜひ社会実験として認めていただく施設があればいいなというふうに考えております。

 質問を続けますが、まちづくり交付金、非常に使い勝手がいいと先ほどからもさんざん話が出ていますが、市町村でちょっと要望をいろいろ聞いたりしていますと、今回のまちづくり交付金になると、調査費について、これはまず市町村の方で自主的に、主体的に計画を立てて目標も設定してということなので、それはまず計画ありきだろう。計画ありきだろうから調査費については出ないんだというような説明を受けている、あるいは心配をしている。

 ところが、まちづくり総合支援事業ですか、この交付金が継続されるものがあるというふうに先ほども御答弁がありましたけれども、そのまちづくり総合支援事業の中では調査費が出た事例もあるというように聞いているんですが、まず、まちづくり交付金では調査費は本当に対象とならないのか。仮にならないとすれば、使い勝手がいい交付金のはずなのにかえって使い勝手が悪くなっているのではないかというふうに思うんですが、いかがでしょうか。

竹歳政府参考人 御指摘のとおり、まちづくり総合支援事業のときには事業調査ということで計画の策定について支援をしておりましたが、今回のまちづくり交付金に係る都市再生整備計画につきましては、計画の補助、補助という概念がないんですけれども、そういう助成はしないということにしています。

 これはなぜこういうふうにしたかということでございますけれども、委員御指摘のとおり、計画づくりというのが非常に重要なわけで、その計画というところに地域の知恵と工夫が結集してくると思います。ただ、この交付金というのは、地元で住民の方々も巻き込んでいろいろな計画をつくって、それをもとに五年間でこれだけ交付金が欲しいというような話になるわけでございますから、やはり地元の取り組みということをまず、そこは自前でやっていただかざるを得ないんですけれども、お願いしたいと考えています。

 ただ、確かにそういう最初の枠組みの計画については助成の対象にはならないんですけれども、例えば、その計画の中に広場があって、そのレイアウトのような詳細な計画をどうしようかとかNPOの活動をどう支援していこうとか、そういう具体の話になると、この交付金の対象にはなります。

 それから、計画の策定については、個別には助成はないんですけれども、国土交通省の直轄調査費というのをかなり拡大いたしまして、これは直轄調査ですから、助成と違って一〇〇%全部国土交通省が持つというようなことで、本当に困っている方々については、そういう調査という形で応援もできるんじゃないかと考えております。

松崎(哲)委員 今の御答弁で大体仕組みもわかりましたし、実際必要な場合にはどういうことを国土交通省の方がお考えいただいているかということもよくわかりました。

 次に、先ほど三日月委員の、総合交通体系を考えていく必要があるんじゃないかという質問の御答弁で、鉄道結節点になるような、あるいは交通結節点となるようなところをまさに再生していきたいんだという局長の御答弁がございました。

 私の選挙区、実は埼玉十区というところでございまして、関越自動車道が通っておりまして、それに圏央道が交差しておりまして、まさにそういう交通結節点になるインターチェンジも幾つもございます。さらには鉄道、JRもありますし、東武東上線というのがあります。その中で、分岐している、あるいはJRと東武の乗りかえ駅もあるというような、まさにまちづくりというのを考える場合に、駅、鉄道、こういうことが重要な要素になってくる地域なんですけれども、そういう地域の事情を考えて、どういうふうにこの交付金をその地域にうまく現実に当てはめていくかということが重要な要素ということで考えているわけです。

 当然、駅があれば駅前広場があります。国土交通省のこのまちづくり交付金の説明資料には、駅前広場のイメージイラストが出ております。その絵にある施設はみんな交付金の対象になるというふうに考えてよろしいんですか。例えば、駐車場、自由通路、歩道橋、駅舎、噴水、植栽、いろいろございますけれども、イメージイラストにあるんですから、これは全部対象になるというふうに考えてよろしいでしょうか。

竹歳政府参考人 御指摘の、駐車場それから自由通路、歩道橋、噴水、こういうものについては幅広く対象になるということでございます。

 それで、駅舎でございますけれども、これはもちろん公共団体経由の助成対象という意味で、除外されるものではないんですけれども、国から鉄道事業者へ補助するという大きな制度がございますので、主としてそういう制度と連携する形で進めていくのがいいんじゃないかと思っております。

松崎(哲)委員 駅舎が除外されるという御答弁だと思いますね。ただ、駅が重要な鉄道結節点であるし、駅前広場には駅舎というのは一番重要な施設であるのは明らかで、公益的施設だと思うんですね。

 駅舎は確かに鉄道事業者のものだといえばものなんですが、最近はどの地域でも橋上駅舎というのがありまして、まず、南口と北口をつなぐ橋の上に駅舎を載っける、そうすると、南北の通行ができて、南口の商店街も北口の商店街も活性化が図れる。こういうことで橋上駅舎というのがどんどんできてきているわけですが、そういう現状を考えますと、既に橋上駅舎というようなものは、一方で鉄道事業者の施設ではあるけれども、やはり公益的施設ということでまちづくりの中の重要な要素になるので、これが除外されるというのは画竜点睛を欠くというような感を否めないんですけれども、いかがでしょうか。

竹歳政府参考人 先ほどの御答弁で語尾がはっきりしなかったかもしれませんが、そういうものが除外されるものではない、対象にはなり得る、だけれども、大きなものですから、直接鉄道事業者へ国が補助する仕組みがございますので、そういう方の活用がいいんじゃないかなということを申し上げたわけでございます。

松崎(哲)委員 ちょっとはっきり聞き取れなかったもので、失礼しました。

 対象になり得るということは結構なんですが、ただ、他の補助の対象になるということでございました。これは当然鉄道事業者に対する補助金ということで、どういうふうになっているかということを、鉄道局長さんおいでいただいているんでしょうか、お願いいたします。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 駅舎についての補助でございますけれども、私ども、鉄道駅総合改善事業というものを行っておりまして、特に、自由通路ですとか広場の整備、今、都市・整備局長からお話がありました都市事業と一体的に鉄道駅を改良する場合には、これはバリアフリーの施設も含めて補助対象というふうにいたしております。

松崎(哲)委員 そうしますと、まちづくり計画の中に橋上駅舎も含めて絵がかかれている、計画ができているといったときに、ほかの部分はまちづくり交付金から交付金をいただいて、橋上駅舎の部分あるいは主に鉄道駅に係る部分については別途鉄道局の方の今の総合改善事業から補助金をいただける、こういうふうに解釈してよろしいでしょうか。

丸山政府参考人 私ども、駅・まち一体改善事業と称しておりまして、国土交通省が一緒になったことでもございますので、都市側の補助金と鉄道側の補助金を同時採択という形で一体的に整備ができるように運営を今しておるところでございます。

松崎(哲)委員 それで、今度は、橋上駅舎、自由通路、どちらの交付金、どちらの補助金を使うかということはまた別としまして、実際に橋上駅舎をつくるとかなり膨大な金額が必要になるということも承知しているんですけれども、一方、スロープだとかエスカレーターだとかエレベーターだとか、バリアフリーの観点からいろいろな改善がなされておりますが、これは事業者に対して規制という形で行われているのか。

 それから、新規に、まず北と南をつなぐ自由通路あるいは橋上駅舎化するときに、必ずそういうものが設置されていなければいけないのかということについてお尋ねしたいと思います。

丸山政府参考人 お答えいたします。

 既存の駅舎を橋上化いたします場合に、エレベーターの設置ですとかバリアフリー化を同時に行うということが必ずしも義務づけられているわけではございません。

 ただ、橋上化というような大規模な工事を行う場合には、なかなか機会というのがないものですから、そういう機会をとらえてバリアフリー化を進める方が望ましいというふうに考えております。

松崎(哲)委員 今のお答えは、計画の中に、当然、ここはスロープ、ここはエレベーターというようなことを計画に入れておいて、ただし、一期目の工事というか事業としてはそれが外れていても構わない、こういうように解釈させていただいてよろしいですね。

丸山政府参考人 先ほど申し上げましたように、バリアフリー化を同時に行う義務はございませんので、先生がおっしゃったとおりでございます。

 ただ、その機会をとらえてやっていただく方が望ましいとは思っております。

松崎(哲)委員 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 今までのお話を伺っておりまして、このまちづくり交付金が、主体的に市町村がまず計画を立てる、こういう仕組みがよくわかってきたんですが、市町村にとっては、事業計画の期限三年から五年というようなことがあるというふうに説明をされていて、実は、この五年というのは短いんではないかという指摘というか要望があるわけなんですが、これについていかがでございましょうか。

竹歳政府参考人 今回のまちづくり交付金につきましては、スピーディーに、一定期間に一つの目標を達成しよう、こういうような意気込みでやっているわけでございまして、基本的に三年から五年ということを申し上げております。

 また、先ほど申し上げましたように、まちづくり総合支援事業の平均事業期間は四・八年ということで、まあ五年というところがいいところじゃないかなと思います。

 ただ、もう少しじっくり取り組もうと考えられるところももちろんあるわけでございまして、それは一期、二期というような期間を区切った計画をつくられて、一期で相当の成果が上がった、これは続けてやる価値があるとなるとまた二期に進むというようなことで、そういうやり方もあるんではないかと思います。

松崎(哲)委員 ありがとうございました。

 先ほどの鉄道の方の話、駅舎の話とも共通してなんですけれども、一遍にやろうとすると市町村の方の財政の負担もなかなか大変なものですから、計画としては大きく、大きくといいますか書いておいて、それを段階的に実現していくという方が市町村にとりましてもやりやすいんじゃないかというふうに思いますので、そういう質問をさせていただいた次第でございます。

 質問を続けます。

 次に、駅等あるいは町を活性化させるためには、そういうハードの面だけではなくて、当然ソフト、でき上がった施設をどのように運営していくかというような部分も重要であるというふうに認識されるわけですけれども、そういうノウハウを持つ人材が市町村にいるとは限らない、だから人材を外から求める、これは可能だと。

 例えばお祭りだとかイベントがあった、そういうもののプロデューサーみたいな人を委託するということも含まれていると考えてよろしいでしょうか。

竹歳政府参考人 ソフトの事業として、そういうイベントとかシンポジウムとか社会実験とかいろいろ申し上げておりまして、そういう中でプロのイベントプロデューサーに仕事を一部お願いするということは当然あって、それを交付金の対象とするということでございます。

松崎(哲)委員 基本的には継続的なものでないからという御答弁が先ほどありましたから、一、二回委託してやって、継続するようであればあとは自前でやれ、こういうような趣旨でしょうか。

 それともう一つは、時間とか報酬だとかいうようなものに何か制限があるのか。さらには、個人ではなくて団体や企業でもいいのかどうかについて御質問したいと思います。

竹歳政府参考人 イベントというのは一回ごとにやっていくものですから、継続するものではないという意味とも重なります。

 また、個人でなくても、団体、企業、もちろん結構でございます。

松崎(哲)委員 ありがとうございました。

 今の制度は大変有効だと思うんですが、一方で、市町村の中に、例えば職員の中に有能な人材がいて、そういうことは自分でできるんだよといった場合に、それは通常の業務じゃないとして、イベントのコーディネートとかですから通常の業務でないわけですけれども、そういう人件費的な部分を事業経費として算入するということは可能であるか。多分、恐らくそれはノーじゃないかなというふうに想定はするんですが、いかがでしょうか。

竹歳政府参考人 市町村の役場の中にもたくさん有能な方がいらっしゃって、そういうことを熱心に取り組まれている方もいらっしゃいます。ただ、それは役場の方で人件費を払ってもらわなくちゃ困るわけでございまして、そういうような経常的な経費はこの交付金の対象にはなりません。

 そこがまさに、地方交付税と違って、こういう機動的な国の仕組みで財政支援をするという点にあると思います。

松崎(哲)委員 例えば今の話ですけれども、休日に通常の業務とは全く違うことをやるのであれば対象として含めていいような感じもいたしますけれども、これは質問ではなくて、感想を述べたということに済ませたいと思います。

 時間がございませんので、最後の質問になりますけれども、十九日の自民党の委員の御質問の中に、まちづくり交付金は、中都市に対する包括的補助制度として、アメリカのCDBG、コミュニティー・ディベロプメント・ブロックグラントに比肩する制度だというような評価がございました。ただ、ブロックグラントですから包括的補助ということで、確かにまちづくり交付金というのはこういう考え方をとっているとは思うんですが、CDBGというのは多額の予算を用いているにもかかわらず事後評価が困難だというような、アメリカでの評価が必ずしも肯定的にとらえられていない制度なんではないかというふうに思っているんです。

 私の今の発言の趣旨は、まちづくり交付金というのはCDBGだとかいうようなものよりももっといい制度だと思いますし、また、もっといい制度であらねばならない、こういうふうに思っておりますので、これについて御所見をいただければと思います。

竹歳政府参考人 アメリカのコミュニティー・ディベロプメント・ブロックグラント、コミュニティー開発の一括交付金というのは、一九七四年にできて、その後もずっと続いております。今ちょっと御指摘がございましたように、実はいろいろ、いいぞというのと、問題だと両方ありますけれども、トータルとしては役に立ってきていると思います。

 ただ、アメリカの都市問題というのは、失業とか貧困とかスラムとか犯罪とか、日本の都市問題と局面が若干違うところがあって、アメリカのこの仕組みは、低中間所得者層に対して、適切な住宅、快適な住環境を提供する、それから雇用機会をふやすとか、いろいろな目的を持ったものでございます。

 一括交付金という意味では我々も同じような方向に行っていると思いますが、やはり日本は日本なりの問題に的確に対応できるような制度に育てていきたい、このように考えております。

松崎(哲)委員 私の今の発言の趣旨は、まちづくり交付金が要するに日本の新しい制度としていい交付金であってもらいたいと思いますし、そのために私どもも審議に参加している、こういうことですので、ぜひそういう目的、当初の地方都市再生という目的のために有効に活用されるような制度であっていただきたい。

 さらには、自治体のこれからの運用の面で、私どもが質問させていただいたようないろいろな趣旨をお酌み取りいただきまして、政省令、これからさらにつくられていくと思いますし、また基準等もつくられていくと思いますので、御検討いただきたいと申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 岡本充功君。

岡本(充)委員 私、これまで行われてまいりました同僚議員の質問を踏まえながら、再度確認をしていく必要のある部分についてももう一度質問させていただく、そういった形になるかと思いますけれども、どうぞ、再確認、さらに細かな点について踏み込めれば踏み込んでいただきたいと思っております。

 これまで行われてまいりましたまちづくり総合支援事業の反省、総括ということは、これまで、同僚議員の質問に対しまして答弁があったところでございます。

 そういった中で、私、もう一つちょっと聞いておきたいことがありまして、これまでのまちづくり総合支援事業、ほかの省庁所管の支援事業との連携はどのように行われていたのか、お答えいただけますでしょうか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まちづくり総合支援事業と他省庁との事業との関連という御質問でございますが、今までは、やはり何といっても国土交通省の個別の事業について、まちづくり総合支援ということで一括して助成してまいりましたので、他省庁の問題については、今まで余り意識していないということでございます。

岡本(充)委員 私はこの問題をちょっと後でも触れさせていただきますけれども、こういったまちづくりの観点は、国土交通分野だけではなくて、ほかの省庁の事業ともぜひ協力してやっていってほしい、こういった思いで、私、今回の交付金がうまくワークしてほしいというふうに考えております。

 逆に、私、例えばタウンマネジメントの面でTMO事業というのをこれまで行ってこられた経済産業省から見られたまちづくり支援事業の意義、また、これと連携するようなケースがなかったのか、ちょっとお尋ねしたいんです。

西村政府参考人 お答えいたします。

 経済産業省といたしましては、商店街対策等のまちづくりを進めるためには、商業の活性化に資する事業とハード面の整備とを一体的に実施することが重要であると認識いたしております。

 このため、これまで、国土交通省を初めといたします関係八府省庁とともに、共通の窓口である中心市街地活性化推進室を設置し、市町村からの相談などに統一的に対応いたしますとともに、年四回程度、関係府省庁連絡協議会を開催し、連携して支援する体制を整備しているところでございます。

 具体的には、国土交通省が支援されます市街地再開発事業、土地区画整理事業や街路整備事業と一体的に、商業活性化のための支援を具体的に行ってきているところでございます。

 今後とも、国土交通省を初め関係府省庁と連携を密にしながら、中心市街地活性化支援策を講じてまいる所存でございます。

岡本(充)委員 今の答弁だと、その前の竹歳局長さんの御答弁とすれ違うのではないかと思うんですが、再度確認させてください。

竹歳政府参考人 今経済産業省の方から御答弁いただきましたように、中心市街地についてはそれは各省庁が寄って集まってやっておりますが、その中で、このまちづくり総合支援事業自体が、他の例えば福祉とか医療の問題とか、そういうこと等意識してやっていたのかという御質問だと私は受けとめましたので、この事業自体の実施に当たってはそこまでは、主として自分たちの事業を考えていた、こういうふうに御答弁申し上げました。

 中心市街地については、商店街の活性化と市街地整備ということで、主として、国土交通省、経済産業省、総務省が窓口になりまして、関係各省庁協力してやっているところでございます。

岡本(充)委員 今、竹歳局長さんの方から御答弁がありましたが、まちづくり総合支援事業ということは、これも、当時のキャッチフレーズを見る限りでは今回と非常に遜色ないようなキャッチフレーズで、非常に使い勝手のいい支援事業だ、こういうような内容になっていた割には、私、それぞれの省庁の間で十分連携がとれていたのかなという印象は強く持っております。ぜひ、今回のまちづくり交付金に対しましては、そういった懸念が後から指摘されることのないようにしていただきたいと思っております。

 さて、まちづくり交付金の、今度、いろいろな諸般の手続、こういった手続もこれまで同僚議員が質問してまいりましたけれども、まず、それぞれの市町村が計画を立てて申請をするというこの申請の期限、いつまでに申請するというめどを立てているか、期限のめど。

 そして、採択していただくための評価のポイントを、ぜひ、恣意的な政治家の影響力に左右されないような明確なものを御返答いただきたい。この二点に限って、交付の手続、返答いただけますか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 まず、申請期限等のスケジュールでございますが、この法案及び予算が成立した暁には速やかに施行するべく現在準備を進めているということで、施行後おおむね二カ月程度で、この新しい制度で交付金を交付することができるように取り組んでいきたいというのが第一点でございます。

 それから、採択のポイントでございますけれども、都市再生整備計画に定められた目標の内容、計画に記載された事業等がこの目標達成に資するかどうか、計画の実現可能性を確認して交付金を交付して支援するということで、なるべく客観的な基準を明らかにするとともに、事後の評価ということで透明性を確保して、非常に公明正大にこのまちづくり交付金が運用されるというふうに努めてまいりたいと思います。

岡本(充)委員 申請期限のめどという意味では、交付まで二カ月ということは、では、申請の期限はそれより短いということでよろしいですか、一点目。

竹歳政府参考人 はい。交付する前に申請していただくことになります。

岡本(充)委員 採択となるための評価のポイントですけれども、何らかの、例えば政治家の恣意的な関与があった場合は、これは情報公開する、もしくはそういった請求に対して公開する、そういった御意思はあるんでしょうか。

竹歳政府参考人 一般的に、制度に対するお問い合わせとか、実はいろいろあるわけでございますが、そういうことについて一つ一つ情報公開するということは考えておりません。

 ただ、この制度が、先生が御懸念のように、何か恣意的に採択されて、効果もないようなところに交付金が交付されて、単に何の結果も生まなかったというようなことがあってはならないということで、事後評価というようなことでそういう点をきちっと透明にして、オープンにしていきたいと考えているわけでございます。

岡本(充)委員 私は、恣意的に効果のないところに交付金がおりるとまでは思っていません。横並びに並んだ幾つかの事業の中で、おい、おれのところをやってくれよ、こういうような話にぜひ左右されないように、その仕組みづくりをお願いしなければならないと強く思っております。

 そして、次の質問に移りますけれども、都市再生整備計画を立てるに当たって、県のかかわりというものがどのようにあるのか。特に、都市計画決定をしなくてもよいと県が判断した場合に市町村に通知するというのが五十七条の条文になっております。これに対して、市町村が、いやいや待ってくれ、実はこうでというようなことで、都市計画審議会、いわゆる都計審の方に抗弁したり、もしくは、どういう経緯でうちの事業が県の都市計画決定変更をしてもらえなかったのか、それを情報を公開してもらえる、こういった制度はあるんでしょうか。

竹歳政府参考人 二点ございまして、一つは、先ほどから御議論になっております、県が持っている権限について、都市計画の権限、道路管理の権限を移譲してもらう、それについて同意するかどうかという論点が一つ。それからもう一つは、県が定める用途地域、地域地区のような計画について、今回市町村がこういう仕事をする上で変えてほしいと要請するという仕組みがございます。一つは協議です、一つは要請です。

 要請については、今お話がございましたように、なぜそれが県の採用するところにならなかったか、それから、もともと都市計画審議会にかけるときにも、市町村からはこういう素案が出てきています、しかしここはこう変えましたというような、二つそろえて審議会に出すとか、それから、だめというときにはその理由を公開するということで透明性を確保しているところでございます。

岡本(充)委員 では、市町村の抗弁をする機会というのはないということでしょうか。

竹歳政府参考人 運用になると思いますけれども、都道府県と市町村という公的な主体の関係でございます。それをオープンに協議をし、同意する、要請する、同意しないということでございますので、いずれにしろそういう中で、なぜこういうやりとりが行われているかということは双方の立場から明らかにされていく。

 必要に応じて、市町村は、いろいろな形で自分の意見を述べる機会はたくさんあるのではないかと思います。

岡本(充)委員 対等な立場のオープンな自治体であればいいんですけれども、これは確実に強弱があるわけでありまして、そういった中で、市町村の方から都道府県の方にそういった強い要請ができるのかどうか。今回、市町村の自主性を大きく尊重するせっかくのこういった法律案でございますから、ぜひそういった部分について、明確な方針を明示していただきたいと思っております。

 そして、次の質問に移らせていただきますが、市町村の中では、実は今回のこの交付金の問題も、厳しい財政の状況下においては、いわゆる裏負担、交付金で交付されない部分のお金についての負担が大変重い、そういった中で、手が挙げたくても挙げられないという市町村もあるやに聞いております。

 そういった意味で、この補助率を上げる、いわゆる裏負担を、極端なことを言えば免除するというところまでの何らかの思い切った政策、こういったものはとれないものでしょうか。

竹歳政府参考人 このまちづくり交付金は補助金ではございません。したがって、全国一律の補助率という概念はございません。

 どうなるかといいますと、平均的に見れば四割交付されると申し上げましたけれども、それは平均でございまして、整備計画の内容によって、地方単独の事業がふえればおのずと減るしというようなことでございますが、平均的に見れば約四割となっております。

 そこで、財政が厳しい市町村については、補助金でいう、かさ上げのようなことをやってはどうかというお尋ねでございますが、実は市町村はどこでも財政事情が厳しいというのが現実でございます。したがって、このまちづくり交付金を使おうとする市町村にとりましては、みずからの財政事情を考慮しながら、身の丈に合った計画を作成していただくしかないのではないかと考えております。

 なお、地方財政措置につきましては、現在、総務省と調整して、地方の負担について、なるべくそういう負担が軽くなるようにというようなことは我々としても努力をしているところでございます。

岡本(充)委員 そういった意味で、本来であれば、交付金という形よりも、いわゆる税源を移譲するといった方法をとって、より市町村が使いやすいお金にしていくという方向がいいんじゃないかと思うんですけれども、これについて、大臣、いかがお考えでしょうか。

石原国務大臣 まちづくり交付金は補助金と異なるものでございますから、今局長が答弁したように、一律の補助率という概念はございません。

 委員の御指摘は一切財源を移譲しろという考えですけれども、そういう考えがあることは承知しておりますけれども、私どもは、補助金の統廃合をした形で、交付金という形で地方の裁量を重視する、また権限も与えていく、その様子を見るということも私は期間としては必要なんじゃないかと思っております。

岡本(充)委員 ぜひ、そういう期間が必要だというお考えのようですけれども、その期間をできるだけ短くして、しっかり財源の移譲を検討していただきたいと思っております。

 同僚の和田委員が指摘した部分にちょっと重なる今からの質問でございますけれども、新規の今回交付金は実質六百億円程度だと和田委員が先ほど質問で指摘しておりました。実際に今年度新たに新規事業として手を挙げようと構えている、待っている市町村もあるとは思いますが、こういった新規事業で、千三百三十億円という数字、いっぱいになる可能性ももちろんあるとは思います。

 そういった中で、次年度以降、新規にまた手を挙げたいという市町村が出てきたときには、今回のこの交付金の概念からいいますと三から五年かけての事業に対して交付される交付金でありますから、来年度、再来年度は枠がいっぱいということでもう新規事業が採択されない、そういった懸念はないんでしょうか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 先ほども申し上げましたように、今回の千三百三十億の中には、現在まちづくり総合支援事業としてやっているものを切りかえていくものも入っております。そういうものは卒業していきますから、今までの経験からいいましても卒業してくるものと入学してくるものがあってということで、十七年度以降、新規が、今の三―五年でいっぱいで入り切れないということにはならないと思います。

岡本(充)委員 でも、本年度の六百億円ほどのあきが出るという見込みは来年度はないわけですよね。

竹歳政府参考人 卒業する部分はだんだんと減っていきますので、新規の部分がだんだんふえていくということになると思います。

岡本(充)委員 私の質問は、今年度差額が、七百三十億と千三百三十億の間の六百億円、では、来年度卒業する見込みで来年度あくだろうなと見越しているのは国土交通省としてどれだけなんでしょうか。

竹歳政府参考人 千三百三十億自体について、今までも非常に人気があって三百五十億から七百三十億にふやした経緯がありますから、それ自体のボリュームの議論があると思います。

 千三百三十億がフィックスして今のままだとした場合に、私どもの今の市町村からの聞き取りによると、半分以上は新規の方々が使えるということになるんではないかと思っております。

岡本(充)委員 今の答え、ちょっとすれ違っていませんか。新規に、今年度じゃないですよ、来年度卒業するだろうと見込んでいるのは国土交通省として幾らかということを伺っているんです。

竹歳政府参考人 これはもう少し精査してみないとわからない面がございますけれども、今私が把握しているところでは、千三百のうち、継続していくというのは六百ぐらいで、残りは新規ということで、先生から御指摘なのは、その新規のうち、ことしの分が詰め込んでいくから十七年度の新規は少なくなるんではないかという御趣旨だとすれば、それはそういうことになると思います。

岡本(充)委員 今局長が最終的に認められた、数値的にはまだ出せないんだ、計算されていないんだと思いますけれども、来年度以降、やはり採択の事業が少なくなっていくということは明白だと私も考えております。そういった意味で、おっとり構えている市町村には残念ながら今回の交付金がもらえない、こういうことにならないように処置を求めるところであります。

 ちょっと時間の関係上、次へ参ります。

 先ほどから質問しておりますけれども、他省庁の関連事業との統合的な政策の必要性という意味で、空き店舗の活用について一つだけちょっと伺いたいと思います。

 今回、経済産業省が本年度の予算の中で、商店街等の中小商業活性化支援ということで、大型空き店舗の対策支援の費用を、三億五千万円でしたか、計上してみえると思います。

 小型の空き店舗に対する支援の事業というのは、経済産業省もしくは中小企業庁としてどのように考えていらっしゃるんでしょうか。

西村政府参考人 お答えいたします。

 商店街の空き店舗を減らし、消費者にとって魅力のある商業集積としてまいりますためには、その商店街の置かれました状況を踏まえました対応策を総合的に講じていくことが必要でございます。

 このため、経済産業省といたしましても、中小小売商業振興法及び中心市街地活性化法を車の両輪といたして取り組みを行っているところでございます。

 お尋ねの、商店街の空き店舗問題につきましては、空き店舗の後のテナントが埋まらない要因といたしまして、賃料が高どまりいたしておりましたり、建物所有者が住居として使用している場合も多いため、地権者や建物所有者の理解と協力を得ることが重要であると認識いたしております。また、地権者や建物所有者が、テナントとの建物管理や賃料に関する煩わしい交渉を嫌う場合も見られるわけでございまして、こうしたケースにつきましては、TMO等の公的機関が一たん賃借してテナントに転貸することが効果的であり、一部の地域では積極的な取り組みも行われておるところでございます。

 これらの取り組みに見られますように、まずは、各地域におきまして、地権者、建物所有者の理解と協力を求める努力を行うことが重要であると認識しております。

 また、空き店舗に対します直接的な対策といたしましては、空き店舗を活用いたしましたチャレンジショップや託児所等のコミュニティー施設の整備に関しまして、改装費用及び賃借料等に対する補助を行いまして、各地の努力を後押ししているところでございます。

 経済産業省といたしましては、空き店舗対策を含めまして、意欲のある商店街に対する総合的な支援を行っていく所存でございます。

岡本(充)委員 ぜひ、先ほど国土交通省の方では賃料などは今回の交付金の対象になりにくい、社会的実験であればという前提でしたけれども、中小企業もしくはそういった店舗を営んでみえる方々への支援という意味も連携をして行っていっていただきたい。ハード面、ソフト面そして金融面でのあわせての総合的な支援をしっかりお願いしておきたいと思っております。

 さて、今回の交付金を充てて行う都市再生整備計画の対象地域以外で、都市計画法の中で今行われております市街化調整区域、それから、その市街化調整区域から市街化への編入、この問題について少しだけ質問させていただきたいと思っております。

 実際に今、人口フレームという考え方がこの都市計画運用指針の中で示されております。都市計画運用指針をひもときますと、この中で、「人口を最も重要な市街地規模の算定根拠としつつ、これに世帯数や産業活動の将来の見通しを加え、市街地として必要と見込まれる面積をそのまま即地的に割り付ける方式(いわゆる人口フレーム方式)を基本とすべきである。」こういうふうな指針が示されているんですが、これが、ある意味一つの壁になって、現状、特に大都市ではない地方都市において、商業地を核とした土地利用、もしくは商業地を核とした地域の活性化策がなかなか難しい現状にあるようです。

 この都市計画運用指針について、人口フレームを少し緩めていく、こういった見直しをされていく御予定はありませんでしょうか。

赤羽委員長 質疑時間が終了しておりますので、端的に御答弁のほどよろしくお願いいたします。

竹歳政府参考人 人口フレームは、昭和四十三年の都市計画法ができたとき以来、計画的なまちづくりのための手法として活用してきています。ただ、最近では、もう線引きをやめてもいいという法律改正もしましたし、市街化区域、市街化調整区域のそういう開発についてはかなり弾力的に取り組んでいるところだと思います。

 個別についても、計画的な市街化に影響がなければ商業地とか工業地の開発を認めるというようなことも行われておりますので、そのケース、ケースで考えていく必要があるのではないかと考えております。

岡本(充)委員 ありがとうございました。

 以上で終わります。

赤羽委員長 穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、前半で、大臣と、都市再生をめぐる問題について議論したいと思います。

 大臣は先週の質疑で、都市再生のすぐれた見本のイメージとして鎌倉市などの例を挙げ、景観を阻害するようなものに対して建設を抑制する、これは高さ制限もある、さらに、こういったものを都市再生の一つの参考に、あるいは目指すべきものだと考えていると答弁されています。私はここに非常に着目しまして、大事だなと思ったものですから、こういう点で、まず私自身は、大臣がおっしゃったイメージとして、都市再生というよりはまちづくりの印象だというふうに受けとめました。

 そこで、二年前に制定された都市再生特別措置法などの趣旨説明を見ますと、政府の言う都市再生というのは、民間の資金やノウハウを活用することを前提として、民間の力が最大限に発揮できるようにするものです。だとすると、私は、都市再生とまちづくりのイメージというのは違うんじゃないか、両者は相入れるのだろうかという思いをぬぐえないんですね。

 そこで、大臣に、民間活力を活用するということと、都市再生またはまちづくりという問題についての基本的所見を少しお話しいただければと思っているところです。

石原国務大臣 都市再生というのは、きっと、日本にあります都市が、国際間が大変今距離が近づいておりますので国際化、インターネット等々による情報化あるいはそこに暮らす方々の高齢化などにこれまでの政策というものが必ずしも十分に対応できていなかったために、都市機能の高度化や都市住民の居住環境の向上を目的として都市再生ということを基本的には位置づけているんだと思っております。そして、それを内閣の重要課題の一つとして、都市再生という形で推進してきた。

 委員が民活というお話をされましたけれども、民間活力があるところはやはり大都会なんでしょう、きっと。これまでの取り組みというものは、ともすれば、民間活力が相対的に高い大都市、この大都市というのも、都市というのも非常にあいまいな概念で、人口何万以上とか言えばもう少しクリアにはなるんだと思うんですけれども、そういうところになっていたと私も思います。

 民間活力が相対的に乏しい地方都市でも、このまちづくり交付金を使って地域の再生、地方にも中核都市もありますから都市の再生というものが行えるように、地方が持っております観光資源やノウハウや社会的遺産や歴史的な建物あるいはそこに暮らす人たちのニーズというものを踏まえた主体的な取り組みをまちづくり交付金は財政的に支援しよう、そういうものだと思うんです。

 このようなまちづくりにおいては、民間活力で言われるところの企業だけではなくて、地元のNPOの皆さんあるいは地域の住民の皆さんなどの、これもある意味では企業以外も民間の活力なわけでございますので、こういうものは私は不可欠じゃないかと考えております。

 まちづくり交付金は、何度も申しておりますように財政支援措置なんですけれども、これは、これまでの支援が、どういう建物を、あるいはどういう河川を、どういう道路を、どちらかといえばハードに中心があったものを、地域を活性化する、もちろんハードも大切ですけれども、計画を策定することや、さっきも社会実験では経常費を国費でやることもできるというようなソフトの施策も対象として、市町村だけではなくて、民間活力のもう一方の雄であるところのNPO法人や地域住民の皆様方の主体的な取り組みを支援するとの今回の財政支援措置の目的意識をやはり的確に伝えていくということが私は必要なのではないかと思っております。

穀田委員 基本趣旨は大体わかりました。ただ、実態はどうかという問題があるんですね。

 そこで、当時この都市再生特別措置法を議論したときに、趣旨説明では、民間の資本やノウハウを都市再生に振り向けることが大事だ、さらに、民間の力が最大限発揮できるように事業手法の改善充実、民間の都市開発事業の隘路となっている規制の見直しを行う必要がある、割とこういう形で出しているんですね。

 だから、私は、今大臣がおっしゃった民間活力とまちづくりという関係で見ますと、いわば、後半の方に述べた民間の活力と違って前の方に述べた民間活力なんですけれども、それでいいますと、進むかというと、逆に町壊しの事例も随分あるんです。

 そこで、私、この間、参考人質疑でもお話ししたわけですが、京都の事例に即して若干述べてみたいと思うんです。

 大臣がわざわざ自然と景観と言ったものですから、私は京都に住まいしている者として、自然と景観が京都の魅力だということは御承知のとおりです。

 ユネスコは、実は平安京とその近郊を九四年十二月に世界文化遺産として登録しました。それは、単に社寺十七というだけじゃなくて、周りの東山、北山、西山という三山含めた全体として価値があるということを言ったわけですね。そういうのを守ってほしいというのを、これまたユネスコだけじゃなくて、日本国民全体が願っているものだと思うんです。

 ところが、バブルの時期の民間活力の活用ないしは導入というと、当時、高さ制限の緩和が一斉に連続して行われまして、実は、京都が京都でなくなる事態がつくられた。それがマンションやビルの乱立という形になって、そしてその結果、逆に京都のすぐれた自然と景観が、だれが見ても破壊されるという事態になり、それは景観が破壊されただけじゃなくて、町と住民の追い出しという結果になったということも否めない事実なんですね。

 それだけならよかったんですが、さらに九九年以後、またこの事態が再燃しています。住民の方はまちづくり憲章やその他で対抗しているんですが、結果として、今京都のど真ん中に、四十メートルを超え、十二階建ての高層マンションが〇〇年から〇三年までに十九棟以上も建てられて、当時のバブル時期以上の事態が出ています。そこでは金もうけの論理が優先をして、住民の暮らしの視点が欠けているということが私は特徴だと思うんです。そういう事態をまず見てほしいというのが一つなんです。

 それともう一つ、今大臣が、NPOを初めとした民間の活力というお話がありましたので、私もそれは当然だと思っております。特に、そういう町が壊されている実態もあるんですが、もう一方、今言いましたように、地区協定やその他のお話もしたと同時に、民間の商店主なんかが頑張って、商店街も頑張って町おこしをやっている事例もあるんですね。

 それは、私の住んでいますところで西新道商店街というのがあるんですが、そこは、商店街は住民にどんな貢献ができるか、それから、地域住民は何を商店街に期待しているのかという調査を始めて、商店街と町の活性化の議論をやりました。

 きょうも局長はスピード、スピードというふうに必ず言うんですけれども、今まで何年もかかったそういう事業計画をつくるに当たって、六カ月それから二カ月、こういうふうに早めてきているわけですけれども、やはり住民のサイドからいうまちづくりというのは結構時間がかかるんですね。

 それで、西新道商店街では、商店主がよく苦労をされて、地域との共生、地域との協働、こういったものを柱に住民の暮らしに丸ごとかかわろうじゃないかということで、地域住民、消費者の安心の提供、さらには、地域住民の、消費者の目線に立った地域コミュニティー事業をベースにした活性化を推進し、先ほども同僚の議員からありましたように、空き店舗を、そういう形でみんなが憩う、集うところにしたり、それからファクスネット事業をやったり、高齢者の給食サービス事業をやったり、さらにはお年寄りの生活支援ネットの構築をしたりして、結果としては、中小企業庁などの商店街活性化のモデルとなったぐらいやっています。

 個々の商店主はまさに民間です。先ほど述べた大資本とは違って、生活に密着し、暮らしの視点があると私は思っています。だから、先ほど大臣がおっしゃったように、そういう意味でいうと、今こそ、私は民間活力といった場合に、大資本じゃない、いわば地域のまちづくりに参加している住民参加の民間活力というものも本当に大事にする時期に来ているんじゃないか、その点は割と同意見じゃないかと思うんです。この辺を少しお聞かせ願えれば。

石原国務大臣 ただいまの穀田委員のお話を聞かせていただいておりまして、私も、京都の町並みが、規制緩和の中で四十メートルを超える巨大なビル等々が、一時期、お寺が拝観料を取るという形で高い階のホテルをつくることに反対したということがあったと記憶しておるのでございますけれども、そういうことで地元の方々が自分たちの住む町並みを守っていこうという動きがあって、ある程度守られてきたものも、ある意味では、規制緩和によって高いものが建つということによって、古くからの町並みをなくしつつあるということは事実だと思います。

 その一方で、委員が御指摘になっているような、地域住民やNPOの方々が協力してまちづくりをやっていこう、やはり私たちの町を守っていこうという動きがその中にありますし、私はそういうものを応援していかなきゃならない。

 特に、高い建物とかあるいは目に余るような広告宣伝物というものは、別途提出させていただいております景観三法等々で対処させていただきたいと思っておりますし、委員が言われるところの民間活力というものは、都市再生がその地域に住み続けられるまちづくりをというものと相反するということではないと認識しておりますし、大企業が規制緩和によって、どういう人たちがそこにどういうものを建てたかはわかりませんけれども、企業が建てていますから、企業が規制緩和によって景観を壊す、あるいは町並みを壊すということに対しては、やはりその地域地域の特性、京都といっても広いですから、商業地域で高いビルが建っているところは私は当然いいんだと思いますけれども、神社仏閣等々のすぐ横に高いものが建つとか、そういうものを、住民運動として町並みを壊さないというような動きがあることも知っておりますし、そういうものは多としていかなければならないんだと思っております。

穀田委員 最後の方におっしゃられた神社仏閣その他の横に建つという話については、今度、景観法その他のところでやらせていただきたいし、現実はバッファーゾーンがありませんから、それこそ平等院のところにばんと建っている、それから野宮神社の横にばんと建っているとか、こんなのはしょっちゅうありまして、そういうところが、都市再生だとかまちづくりという名前で現実は進行していることについて私は警告を発しているつもりなんです。だから、その意味で、地方の都市が、私いただきました政府の発行している資料でも、確かに疲弊しているということだとか、何とかしなくちゃならぬということについての意見があることも、それは当然なんです。

 問題は、今ありましたように、大資本の身勝手な町壊しといいますか、そういうものを規制するということも、両側面が私は必要だと考えていますので、そこはさらに次の議論の中で突っ込んでやっていきたいと思うんです。まちづくり交付金がそうした住民らのまちづくりを支援するものであるならば大いに結構なことだ、しかし、本当に住民主体のまちづくりを支援するものかどうか、そういう点では若干私は疑問を感じているということは述べておきたいと思います。

 そこで、法案について一、二の点ただしておきたいんですが、今度の法案は、第十四条第二項関係で都市再生基本方針を書いています。この都市再生基本方針というのは、特措法に基づいて、都市の再生に関する施策の重点かつ計画的な推進を図るため、都市再生の意義、目標、政府が重点的に実施すべき施策に関する基本的な方針等について、内閣総理大臣が作成し、閣議決定を経て定めるものであるとしています。つまり、まちづくり交付金というのはこの基本方針の枠内だということが根本にあると見ていいわけですね。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 先ほどからのお話で、まちづくりという言葉と都市再生というのは違和感があるということが基本におありになるようでございます。ただ、都市の再生の定義というのは二つございまして、都市機能の高度化と都市の居住環境の向上、こう二点あるわけです。

 先ほど御指摘がありましたように、今までの都市再生特別措置法というのは、民間活力の活用、大都市中心だということで、これからやろうとしているまちづくりというのとちょっと違うんじゃないかというお話がございました。

 そこで、今回はその点をはっきりするために、章を分けて、今までのそういう民間活力、大都市中心は第四章で「都市再生緊急整備地域における特別の措置」と書きまして、新しい仕組みは第五章で「都市再生整備計画に基づく特別の措置」こう書き分けております。

 都市再生基本方針の中で都市再生整備計画がつくられ、まちづくり交付金も交付されるわけでございますけれども、何をこの都市再生基本方針に書くかと申しますと、今までお話し申し上げておりますようなまちづくりという観点がはっきり出るように基本方針を書く。例えば、市町村の自主性の尊重でございますとか少子高齢化とか地域社会のいろいろな地域の特性に適応したものにする、それから、地域資源を活用し創意工夫を最大限発揮する、民間との協働、地域の積極的参加を進める、既存ストックを活用する、得られる成果の重視というようなことで、今回のまちづくり交付金について、今まで御答弁申し上げましたようなことをきちっと内閣の方針として、まちづくりとして進めるんだということを基本方針に書く、このような段取りになっております。

穀田委員 それは説明はそのとおりなんです。問題は、私は、都市再生基本といいますか、そこの何が起こっているかという総括や、それを踏まえてやる話であるということを言いたいわけです。

 例えば、バブルの崩壊後、駅前再開発だとか土地区画整理事業は、喧伝されるように、本当にこれは破綻したりとんざしたりする例が多くなっているわけですね。国土交通省は、再開発事業や土地区画整理事業がどうなっているのか、その事態を把握しているだろうか、そして、中止または行き詰まっている事業はどのくらいあるのか、原因は何と見ているのか。ここの肝心かなめのところが私は大事だと思うんです。そこはいかがですか。

竹歳政府参考人 まず実態でございますが、組合による区画整理は全国で約千地区ございますけれども、そのうち、約一割強に当たる百三十三地区でいろいろな課題が生じております。

 再開発については、全国で二百地区が都市計画決定済みでございます。そのうち事業中が百二十二地区で、その二割弱に当たる二十三地区で保留床処分上の課題が生じております。

 休止した地区でございますが、平成十四年以降、土地区画整理事業は六地区、再開発は十七地区です。その原因は、やはり経済変動、バブルの崩壊というようなことが大きいわけでございまして、区画整理ですと、事業費の一部に充てる保留地の処分金、これが十分に売れない、再開発事業では保留床が十分に売れないというようなこと等がございまして、いろいろな必要な見直しを今やっているところでございます。

穀田委員 今あったのは、結構、皆さんは数字的に言うと一割だとか二割だとか言っていますけれども、これは大変なものなんですね。保留地や保留床に買い手がつかない、あるいは思いどおりの処分ができないということで事業が成立しなくなっているわけですね。

 私は、ある茨城県の町の都市再生区画整理事業を調べてみたんだ。ここでも現在の計画では立ち行かなくなって、計画を大幅に変更しています。現計画では組合員が六十七、変更した計画は十八名と約四分の一。施行面積も十・七ヘクタールから六・〇。それから保留地処分金も、現計画では十一億九千万円であったものが、それが変更後は五億八千万、これも半分だ。だから、計画変更後、膨大な公的資金を出す予定になっていて、国庫補助金が一億五千七百万円、さらに町の補助金が三億一千三百万、助成金が一億一千八百万。結局のところ、計画を大規模にしたために事業そのものが成り立たなくなって、膨大な公的資金をつぎ込まざるを得なくなった、こういうふうなことが起きているわけですね。だから、私は、こういう都市再生区画整理事業こそ全面的に見直すべきだと考えているんです。

 ところが、本法案は、都市再生整備計画の目標を達成するために必要な事業として、公共公益施設整備事業、市街地再開発事業、それから防災街区整備事業、土地区画整理事業、さらには住宅施設の整備に関する事業なども挙げられていて、これでは、さきに指摘した、破綻した都市再生事業を繰り返すことになりはしないか、この疑念があるわけです。そこを簡単に。

竹歳政府参考人 簡単に申し上げますと、いろいろな問題が生じている区画整理、再開発は、やはり日本経済の全体の一部として、バブルが破裂して、まちづくりだけじゃなくていろいろなところで問題が起きたわけでございまして、その問題とまちづくり交付金事業とは全く別の話でございます。

穀田委員 なぜこんなことを言っているかというと、地方自治体が、破綻した事業を焼き直して都市再生計画を作成してもまちづくり交付金を受け取ることがあり得るということなんですね。そこを私は言いたいわけですよ。だから、そこを見ていただかないとだめじゃないかなと私は思います。

 もう一つは、地方自治体の計画に、先ほど言いました大手といいますか大資本が参加したり、事業の一部を受け持ったりする場合の件です。

 私は、法改正による地方都市再生の候補地の一つである鎌倉市の深沢地区を調査してみました。これは深沢地域国鉄跡地周辺整備計画と言われるもので、八七年、国鉄分割・民営化に伴い、旧国鉄跡地を中心としたまちづくり構想が持ち上がりました。本当に大規模なものでして、地図もあるんですけれども、こういうものを当初出していたわけです。そして、藤沢市、鎌倉市にまたがるもので、藤沢市は貨物駅跡地に新駅をつくり、深沢地域も大規模な再開発を行うというもので、規模は、鎌倉百六十二ヘクタール、藤沢七十九ヘクタールにも及ぶと言われています。

 この計画は、もともと鎌倉市など地元でまちづくり協議会をつくり進められていた。ここに国土交通省都市・地域整備局所管の財団法人都市みらい推進機構が事務局を務めるインテリジェント・シティ整備推進協議会が参画を考えていて、この深沢地域を対象とした情報化社会でのまちづくりのあり方というものを研究テーマに、鎌倉市に提言を行っています。

 だから、こうした地方自治体、いろいろな計画がありますよね。そういう計画に大資本や大手の企業が参画した場合でもまちづくり交付金の採択を受けることができるのかという点はどうですか。

竹歳政府参考人 それは鎌倉市と藤沢市、御地元が決められることで、もちろん、だれがやるかということよりも、どういう計画かということがまちづくり交付金の重要な判断基準になると思います。

穀田委員 そうなんです。どういう計画かとつくるときに、それが従来のまちづくり協議会がやられていたものと、それと、インテリジェント・シティ構想だとかという形で進めている大手資本のやり方とが違うときに起こる内容上の問題を私は言っているんですよ。

 それで、実はそれを見ますと、その集いのインテリジェント・シティ名簿なんかで見ますと、この推進協議会の鎌倉市深沢地域IT化まちづくり研究会、この名簿を見ますと、主査は東京瓦斯、委員には、東日本電信電話株式会社、NEC、三菱電機、飛島建設、清水建設、沖電気工業、日立製作所、これ全部名前を連ねているんですね。だから、結局のところ、こういうことが、今お話あったように、どういう計画かというところまで参画しているわけです。鎌倉市はオブザーバーとして研究会に参加しているにすぎなくて、したがって、これでは住民が望むまちづくりとは異質なものとならざるを得ない、こういうことを私は指摘したいと思うんです。

 この議論を通じて私は何が言いたかったかというと、結局、住民のまちづくりという問題について、主体が、どこにこれをやるのか、また、計画の内容をどこに置くのかというものをしっかり見据えなくちゃならぬ。

 そういうものだったらいいんだが、残念ながら、今までの民間活力という流れ、規制緩和という流れ、そして、それが地方都市に行かないからといって、実際は、公共事業的な、公益的なものをしながら呼び起こしていくということが本当に活性化だとかまちづくりになるかということを私は言いたいわけなんですね。しかも、実はそういうところまで大手の資本が加わってくるということが、私は異質なものと必ずなるだろうということを指摘しておきたいと思うんです。

 最後に、私はなぜこの問題を言っているかというと、都市再生整備計画というのは都市再生基本方針に基づくとされています。何度もこれは皆さんがお話ししていますように、先ほど大臣もお話があったように、やはり国際競争力を高める、それから、土地流動化を通じて不良債権の問題の解消に寄与するとされているわけなんです。結局、やはりここが柱にあるんですよ。

 ですから、あちこちで破綻している再開発や区画整理事業の解決を図ったり、シャッター通りとなった問題を住民主体で本当は解決すべきだという点がなかなか縁遠いものになるだろうということだけ指摘して、質問を終わります。

赤羽委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより討論に入ります。

 討論の申し出がありますので、これを許します。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党を代表し、反対討論を行います。

 第一の反対理由は、バブル崩壊でとんざ、破綻した駅前再開発や土地区画整理事業を見直すことなく、都市再生という新たな名で開発事業を継続することになるからです。

 バブル時に計画された再開発事業や土地区画整理事業の中で、地価の下落やキーテナントの撤退等により、行き詰まっている事業がふえています。国庫補助金や市町村の補助金、助成金など、公的資金の投入によって事業を存続、継続せざるを得ない事態もふえており、今日的な見直しと解決こそ求められています。

 しかし、本法案によって、実質上破綻した事業が市町村の都市再生整備計画に位置づけられ、まちづくり交付金が投入され、住民生活の向上に役立たない開発事業が継続されることになります。

 反対理由の第二は、市町村が作成する都市再生整備計画は、民間活力の導入などを目指した都市再生基本方針に基づくことを前提としています。大企業やゼネコンのためのまちづくりとなる可能性があるからであります。

 都市再生基本方針は、国際競争力を高め、土地の流動化を通じて不良債権の解消に寄与することを意義とし、京都などで進行している町壊しを促進した民間活力の導入を一つの中心に置いています。これでは、大企業の利益になることはあっても、住民が望む、住民を主体にしたまちづくりを困難にしてしまいます。

 最後に、まちづくり交付金が、住民を主体としたまちづくりにこそ使われるよう求めて、私の反対討論を終わります。

赤羽委員長 これにて討論は終局いたしました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより採決に入ります。

 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国土利用計画法及び都市再生特別措置法の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立多数。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、衛藤征士郎君外三名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を聴取いたします。若井康彦君。

若井委員 民主党の若井康彦です。

 ただいま議題となりました国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国土利用計画法及び都市再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案につきまして、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 案文はお手元に配付してありますが、その内容につきましては、既に質疑の過程において委員各位におかれましては十分御承知のところでありますので、この際、案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国土利用計画法及び都市再生特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 国土利用計画法に基づく土地利用基本計画作成費等交付金の廃止に当たっては、都道府県等による国土利用計画法に係る事務の施行に支障が生じることのないよう、適切な財源措置を講じること。

 二 都市再生特別措置法に基づく都市再生整備計画については、まちづくりに関する多様な住民のニーズに対応したわかりやすい指標により目標等が示されるよう配慮すること。

 三 まちづくり交付金については、国の関与を極力少なくするとともに、市町村の創意と工夫による都市再生の推進が可能となるよう、その運用に万全を期すこと。また、まちづくり交付金の採択に関する透明性を確保するとともに、まちづくり交付金を充てた事業等に係る評価を適切に行うための仕組みを構築し、評価結果を公表すること。

 四 市町村による自主的な都市再生を推進するため、都市計画の決定等に係る権限及び道路整備に係る権限で市町村が希望するものについては、可能な限り移譲されるよう特段の配慮をすること。

 五 全国の都市再生を推進するため、住民主体のまちづくりを支援する専門家、まちづくりNPO等の育成や外部からの人材活用に努めること。また、地方の中小都市における都市再生に資するため、独立行政法人都市再生機構は、市町村による都市再生整備計画の作成に積極的に協力するとともに、まちづくりに関するノウハウの提供等に努めること。

 六 国民生活の質の向上と地域経済社会の活性化を図るため、全国の都市再生の取組に対する支援を積極的に行うこと。その際、地域の実情にあわせ、都市基盤の整備、中心市街地における居住の推進や商業の振興、歴史的な街並みの保存、医療・福祉施設の整備、地域産業の振興等が総合的に推進できるよう特段の配慮をすること。

 七 社会資本整備やまちづくりについては、地方の自主性を高める観点から、国庫補助金の交付金化、統合補助金化等を引き続き推進するとともに、市町村への更なる権限移譲を検討すること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

赤羽委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

赤羽委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣石原伸晃君。

石原国務大臣 国の補助金等の整理及び合理化等に伴う国土利用計画法及び都市再生特別措置法の一部を改正する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま可決されましたことを深く感謝申し上げます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました、まちづくり交付金について、国の関与を極力少なくし、市町村の創意と工夫による都市再生の推進が可能となるよう、その運用に万全を期すとの趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長、理事を初め、委員各位の御指導、御協力に深く感謝の意を表し、ごあいさつとさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

赤羽委員長 次に、内閣提出、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案及び油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣石原伸晃君。

    ―――――――――――――

 海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案

 油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

石原国務大臣 ただいま議題となりました海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案及び油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案の提案理由を御説明申し上げます。

 まず、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案について申し上げます。

 船舶からの大気汚染の防止につきましては、これまで、諸外国を含め、特段の大気汚染防止規制が講じられておりませんでしたが、近年、窒素酸化物及び硫黄酸化物による酸性雨の問題を契機として、大気汚染防止施策の必要が生じております。

 国際的にも、平成九年九月に、船舶からの大気汚染の防止を目的とした千九百七十三年の船舶による汚染の防止のための国際条約に関する千九百七十八年の議定書によって修正された同条約を改正する千九百九十七年の議定書が採択され、各国において批准が進んでおります。

 我が国としても、国際的な連携のもとに、船舶からの大気汚染の防止を図るための措置を講じ、国際的な責務を果たしていく必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、船舶用原動機から放出される窒素酸化物に係る基準を設けるとともに、基準に適合する船舶用原動機の設置及び運転を義務づけることとしております。

 第二に、船舶用燃料油について、硫黄分濃度の基準に適合するものの販売及び使用を義務づけることとしております。

 第三に、船舶発生の油や廃棄物に係る焼却の規制等を行うこととしております。

 第四に、規制の実効性を担保するため、大気汚染の防止のための設備について、検査を義務づけ、その検査に合格した船舶に証書を交付するとともに、外国船舶の監督を行うこととしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 次に、油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案について申し上げます。

 タンカーによる油濁損害につきましては、二〇〇二年にスペイン沖で発生したプレステージ号事故など、現在の国際基金による補償限度額を超えると見込まれる大規模な事故が発生していることにかんがみ、平成十五年五月に、追加的な国際基金の設立を目的とする千九百九十二年の油による汚染損害の補償のための国際基金の設立に関する国際条約の二千三年の議定書が採択されたことから、我が国においても同議定書に対応した措置を講ずる必要があります。

 また、我が国沿岸では、タンカー以外の船舶による油濁損害の賠償や座礁した船舶の撤去が適切に行われない事故が発生していることから、タンカー以外の船舶について、新たに油濁損害の賠償等に係る保障契約の締結を義務づけることにより、被害者保護を充実させる必要があります。

 このような趣旨から、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、同議定書に基づき、被害者が、追加基金に対し補償の請求等を行うことができることとしております。

 第二に、タンカー以外の一定の船舶に対し、油濁損害の賠償や座礁船舶の撤去のための保障契約の締結を義務づけることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案及び油濁損害賠償保障法の一部を改正する法律案を提案する理由です。

 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

赤羽委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る三十一日水曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十四分散会


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