衆議院

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第13号 平成16年4月13日(火曜日)

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平成十六年四月十三日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 今村 雅弘君 理事 衛藤征士郎君

   理事 橘 康太郎君 理事 望月 義夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 奥村 展三君

   理事 玉置 一弥君 理事 高木 陽介君

      石田 真敏君    岩崎 忠夫君

      江崎 鐵磨君    江藤  拓君

      大島 理森君    梶山 弘志君

      櫻田 義孝君    島村 宜伸君

      高木  毅君    中西 一善君

      中野 正志君    二階 俊博君

      葉梨 康弘君    古屋 圭司君

      保坂  武君    増田 敏男君

      松島みどり君    松野 博一君

      森田  一君    渡辺 博道君

      泉  健太君    岩國 哲人君

      岡本 充功君    下条 みつ君

      中川  治君    長安  豊君

      伴野  豊君    古本伸一郎君

      松崎 哲久君    松野 信夫君

      三日月大造君    室井 邦彦君

      山岡 賢次君    若井 康彦君

      佐藤 茂樹君    穀田 恵二君

      武田 良太君

    …………………………………

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   参考人

   (筑波大学社会工学系教授)  石田 東生君

   参考人

   (構想日本代表)     加藤 秀樹君

   参考人

   (社団法人九州・山口経済連合会副会長)  飛松 建二君

   参考人

   (社団法人京都経済同友会常任幹事)  上村多恵子君

   参考人

   (帝京大学経済学部教授)  藤井弥太郎君

   参考人

   (作家)

   (道路関係四公団民営化推進委員会委員)  猪瀬 直樹君

   参考人

   (拓殖大学教授)     田中 一昭君

   参考人

   (奈良女子大学大学院助教授)  中山  徹君

   国土交通委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十三日

 辞任         補欠選任

  島村 宜伸君     中西 一善君

  松野 博一君     松島みどり君

  和田 隆志君     泉  健太君

同日

 辞任         補欠選任

  中西 一善君     島村 宜伸君

  松島みどり君     松野 博一君

  泉  健太君     和田 隆志君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 高速道路株式会社法案(内閣提出第一一二号)

 独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案(内閣提出第一一三号)

 日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第一一四号)

 日本道路公団等民営化関係法施行法案(内閣提出第一一五号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案の各案を一括して議題といたします。

 本日は、各案審査のため、午前の参考人として、筑波大学社会工学系教授石田東生君、構想日本代表加藤秀樹君、社団法人九州・山口経済連合会副会長飛松建二君及び社団法人京都経済同友会常任幹事上村多恵子君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の皆様方に、本委員会を代表し、一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。

 本日は、御多用中のところわざわざ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。各案につきまして、それぞれのお立場から、ぜひとも忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。大変限られた時間ではございますが、最後までどうかよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、石田参考人、加藤参考人、飛松参考人、上村参考人の順で、それぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 なお、参考人及び質疑者におかれましては、御発言の際は着席のままで結構でございます。

 それでは、まず石田参考人にお願いいたします。

石田参考人 筑波大学の石田でございます。

 道路関係四公団の民営化関係の法案についての意見を述べさせていただきます。

 まず、結論を先取りして申し上げますと、四法案に私は賛成でございますし、支持をいたしております。

 その理由でございますけれども、今回の四法案については、私が見ます限り、五つの非常にすぐれた点があろうかと思います。

 まず第一点でございますけれども、債務の償還期間を四十五年以内と明確に、絶対的に決めたことでございます。

 従来の有料道路方式では、新しい区間が開通するたびに換算起工日というのを算定いたしまして、実質的に償還期間が延長される、そういうことがございまして、これが国民の批判を招いておったという事実がございます。

 今回の法案では、四十五年後までに債務を完済し、機構は解散するとともに高速道路を無料開放するということを絶対的に定めております。このことを担保するために、コスト縮減策、あるいは、高速道路に係る債務については民営化移行時点の総額を上回らないなどの歯どめがなされている点も評価できようかと思います。

 このように料金徴収期間が四十五年というふうに絶対的に定められたために、やはり徴収期間を長くするために早期完成を目指そうとか、あるいは、債務を積み残さないための徹底した採算重視なんかの機能も期待できますという点が第一点でございます。

 第二点でございますが、高速道路は国民共有の資産であるということをこの法案では明確にうたっておりまして、それも非常に高く評価してございます。

 高速道路というのは、国の最も基幹的なインフラでございまして、国土計画の観点からも国が責任を持つべきであろうというふうに思います。

 欧米の例で申し上げますと、イタリアとかフランスにおきましても、高速道路は最終的には国に移管されるということで、決して高速道路の民有化はなされておりません。民営化はなされておりますけれども、民有化はなされておらない。

 特に最近では、フランスの高速道路の民営化会社、これは混合経済会社という形をとっておりますけれども、それの北部高速道路会社というものの株を民間に放出しよう、そういう動きもありましたけれども、それはやはりまずいんじゃないのということで、混合経済会社という形を続けるということなんかの動きも、新しいものとして出てきております。

 三番目は、高速道路会社の経営自主性と、そのための協議とか契約が非常に透明性のある形でなされるようになったという点でございます。

 各会社が、この法案にもありますように、原則として事業範囲とする高速道路を設定できることが大きい。新規区間については、御存じのように申請方式を採用しておりますし、事業、調査中区間につきましても、協議を踏まえる、実質的な拒否権もある意味では与えられているという点が大きいと思います。

 また、建設に関する資金についての市場調達につきましても、一部については政府の債務保証もついておりますけれども、市場調達が原則であります。これを、完成後には債務と高速道路そのものを機構に引き渡すという形になっております。これは、PFIでいうところのBTLO方式、建設をして、国にトランスファー、移転をして、リースを受けて、オペレートをする、そういうことでございまして、PFIの中では自主性が働くというふうに言われている方式でございますので、このことも評価できると思います。

 評価すべき四点目でありますけれども、料金設定についても、利潤を含まないということも非常に大きな点かと思います。

 四十兆円にも上る債務の確実な返済、あるいは、非常に残念なことでありますけれども、世界で一番高いと言われている高速の料金の引き下げということを考えた場合にでも、いろいろ議論がありますでしょうけれども、やはり料金の引き下げというのが最優先に考えられるべきでございまして、この意味から、経営インセンティブに関しては別の形が考えられるべきではないかな。そういう意味では、利潤を含めないという選択が賢明であろうというふうに考えます。

 五番目でございますけれども、今まで全国プールをとっておったわけでありますけれども、これは、ある意味では、地域に分解をした。高速道路は、当然のことながらネットワークとして機能を発揮するものでありますから、内部補助というのは必要なものだろうというふうに思います。ただし、その内部補助をどういう歯どめをかけるかということも非常に大きな問題であり、同時に考えるべき問題でございます。

 このようなことから、ネットワークごとに協定を結んで、その中で会社間の内部補助はしない、ただし、いろいろな経済変化等に関しましてリスクが存在をするので、機構が債務については一元管理をするという形もよろしいのではないのかなというふうに思います。

 ただし、法案自体はこのようにすぐれた点をいろいろ持っていると思うんですけれども、世の中には、そうはいっても本当にできるの、そういう批判も多いように思います。そういう観点からいたしますと、もう既に改革の歩みは始まっているのではないのかなというふうに考えております。

 その第一番目といたしましては、今回の整備スキームの見直しを明確かつ明快に公開ベースで行ったこと。これは、需要予測の徹底的な公開もそうでございますし、新直轄あるいは有料道路の整備の振り分けにつきましても、評価方法を明確にした上でデータを公開されてお決めになったということ、このことにやはり改革の息吹を感じるものでありまして、信用できるんじゃないのかなというふうに思います。

 二番目が、料金の先行的引き下げの努力についてもされている。ETCを用いた長距離割引、夜間割引等がございまして、社会実験なんかで非常にいい効果をもたらしている実例もございますし、存続を求める声が大きい。このことについては、ぜひ、前倒し的、先行的に実施していただきたいというふうに思います。

 三番目でございます。コスト縮減につきましてでありますけれども、これにつきましても、非常に精力的な検討をされて、数字が積み上がっております。

 でも、実際どうなのということでございますけれども、私が調べました範囲では、工費見直し、工法の見直し等によりまして一五%から三〇%程度のコスト削減の実現がもう既にされておりますし、規格の見直しによってさらに上積みができますでしょうから、実現性があるんじゃなかろうかというふうに思います。

 このようなもう既に始まった改革とこの四法案のいい点が結びつきまして、いい、本当に必要性の高い道路を早期にかつ効率的に整備できるという形が可能になるんじゃないのかなというふうに思います。

 ただし、今後の進め方についても何点か要望がございまして、順に時間内で申し上げます。

 まず第一番目は、経営インセンティブの具体的あり方についての速やかな検討でございます。

 どういう形で本当に経営インセンティブが働くのかということについて、まだ不明確な点もございますので、そのことについては、今後できるだけ早く国民の目にわかる形で議論を進めていただきたいということ。

 二番目は、大きな社会経済状況の変化に対する柔軟かつ迅速な対応も必要でしょう。

 需要予測の結果では、GDPとか人口が交通需要に大きな影響を与えるというふうに言われておりますけれども、これからの東アジアとの関係とか国土の新しいあり方ということを考えた場合に、非常に大きなうねりが来るでしょうというふうにも思えます。そのことについて、機構の中期目標、中期計画あるいは協定を、国民の目に明らかな形で、情報公開の上でどうローリングをしていくかということが重要だろうというふうに思います。

 あと、三番目が維持管理が重要でしょうということと、コスト縮減についてもさらなる具体化を図っていくべきであろうというふうに思います。

 一番最後に、強調させていただきたいのは、やはりこれからにつきましては、意思決定を透明なものにするということが非常に大事だろうと思います。

 そのためには、徹底した積極的な情報公開と、参画型、国民が本当に参画できるような議論、意思決定が必要なのではないのかなというふうに思いまして、意見を終了させていただきます。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 次に、加藤参考人にお願いいたします。

加藤参考人 構想日本の加藤でございます。

 横とじの「道路関係四公団の改革について」という六ページのレジュメに基づいてお話をしたいと思います。

 まず、表紙のところに「「民営化」の目的は、道路行政の改革」である、大きい字でそういうふうに書いておきました。

 私が今からお話しすることはすべて、何が最終基準かといいますと、国益、すなわち国民全体の利益、そういう観点からお話をいたします。

 そういう観点から考えますと、民営化というのは、もともと目的ではないわけですね。では、何が目的かといいますと、四十兆円まで、これはもう今の歳入総額に匹敵する金額です、この四十兆円の債務をいかに国民負担を少なくして処理するかということ。もう一つは、ここは難しいところですけれども、野方図な建設、むだな道路の建設をどうやってとめるかという、この二点に尽きると思います。

 そういう意味では、最初のページの下にちょっと小さい字で書いておりますけれども、公物という名のもとで、現在はどうも私益優先で建設が決められている。公物であるとか公共的なサービスであるとかというのは、道路は公物だ、道路をつくることは絶対的に公共的なサービスだ、まずそこを決まったものということでは考えられないわけですね。どこまでが本当に公共の利益に資するものであるかという、ここのところが難しい。

 ですから、だれが保有するのか、あるいはだれが経営するのかということは、その時代、状況で考えていく、また、考えていって、柔軟に対応できる仕組みにする。私は、民営化の意味はそこにあるんだと思います。

 そういう意味では、民営化というのは、やや逆説な言い方にはなるわけですけれども、投資家ですとかあるいは金融機関ですとか、勝手に政治的な利害で決められない、政治的な利害から手の届くところから、マーケットの力というものを利用することによって離していく、それが逆に公益に資することになる、そういうことであると思います。

 そうやって見ますと、今回の法案は、残念ながら、公益により資するようにするという意味での道路行政の改革にはなっていないのではないか、さらに言えば、近い将来もう一度見直さざるを得なくなるのではないかという危惧を持っております。

 一枚めくっていただきまして、一ページ目からさっと、委員の皆様方、もう今さら御説明の必要もないことでありますけれども、さっとおさらいをしたいと思います。

 まず、道路関係四公団、この仕組みとしての何が問題かということを見ていきますと、一ページ目です、非常に理由は簡単なんですね。赤字事業というのは、これは、どこの会社もこうなれば赤字、当然ですし、あるいはここで挙げております赤字事業の理由というのはすべての特殊法人に共通することですけれども、二つに尽きると思います。一つは、常に需要見通しが過大であったということ、もう一つは、コストの過小な見通し、この二点に尽きるわけです。

 普通であればこの二つの点というのは、企業であれば続かないわけですね。ところが、何でそんなに長期間にわたって続いていって、しかも、その結果として債務がこんなに大きく膨らんだかということの理由が下に書いてあります一から四までです。

 まず、情報開示が不十分であること。

 少し具体的に見ますと、結果としては粉飾決算と言っていいような決算、これが可能になる財務諸表の仕組みです。これは、民営化委員会の過程の中で、国会の中でも随分話題になりましたから、御説明の必要もないと思います。

 もう一つは、需要見通しというものが、どんどん伸びるんだという数字はしょっちゅう出されているわけですけれども、根拠がよくわからない。

 それから、二番目、ここは一番大事なところですけれども、償還主義、プール制というこの二つのどんぶり勘定があるものですから、個々の事業あるいは毎期毎期の事業がどうなっているかというのがよくわからない。償還主義というのは、四十年あるいは五十年先にとんとんになって、お金は返せるよという仕組みですし、プール制というのは、全国一本の道路全部が完成すれば、そのときにはちゃんとうまくいくよという仕組みですから、これは、企業ではなかなかあり得ない仕組みです。

 それから、三番目は、責任の所在が明確でないこと。

 これが仮に、道路であっても、国が直接、いわゆる直轄で行う工事ですと、いろいろ批判はあるとしても、国会で御審議いただいて決まるわけですけれども、そういう意味では、特殊法人という仕組みというのは、市場のチェックも国会のチェックもない。本来いいとこ取りのつもりでつくったわけですし、当初はそうであったわけですけれども、今やそれが悪いとこ取りになっているということだと思います。

 それから、最後に、株主とか金融のチェックが不在ということです。

 金融機関であれば、昨今話題になっております貸し渋りというのがありますけれども、そんな、貸し渋りどころじゃなくても、そんなことはしなくても、四十年先こうなるんだということで、もうそれは、普通の金融機関であれば、まず絶対貸さないわけですね。では、なぜ貸すかというと、結局、これは、今までは財投資金で賄われてきていたわけですし、今後もこの政府案では政府保証がついているということだと思います。それから、いわゆる財投にとっては、道路公団というのは今までとてもいいお客さんであったわけですね。それからもう一つは、ここで財投のお金を出さなくなると、多くの特殊法人が抱えている不良債権の問題、あるいは過大債務の問題が顕在化してしまう。ですから、貸し手側の論理としても、これはどんどん貸し続けるしかないということだと思います。

 次の二ページ、三ページ、四ページは、過大な需要見通し、コストの過小見通しの、ちょっとした御参考までです。

 二ページ目の絵は、これはパソコンから出したものですから、大変見にくくて申しわけありません。アクアラインの収入計画の例であります。

 平成九年度につくった当初の計画が上の太い線です。平成九年の時点で、これは横の目盛りが、一番上が五万五千、五千台刻みで、一日当たりに通る台数ですね。五万五千、五万、四万五千、四万と五千台刻みなんですが、当初の予定がスタート時で二万五千台、それが五年後には四万台余りになり、その十年後には四万六千台になり、平成三十二年には五万四、五千台になるという予定で来たわけですけれども、ふたを開けてみますと、一万台前後で横ばいである。

 そこで、平成十二年度に見直しをいたしました。十二年度に見直しをしたのがその下の線でして、これでもやはり、十二年度に一万台からスタートをし直して、平成二十一年度には三万五千台、それから平成三十二年には四万一千台、そうなっているわけですけれども、多分そうはならない。常にこういう、これはほんの一例であります。

 それから、三ページですが、これも、コストの過小見通しの幾つかの例にすぎません。

 平成六年時点での計画で見ますと、平成六年時点で建設費が十一兆五千四百八十億円、その時点の計画で平成十一年が十五兆八千五百億円です。この差額を見てみますと、過小積算ということで三割ほど安くなっております。同じような例で、第二東名でも現時点と平成八年でやはり三割、それから東京湾のアクアライン、これは全部終わっているわけですけれども、実績と計画で二割の積算になっています。

 四ページ目もやはり同じです。一から六まであります。平成六年の料金値上げ時の経費削減が、これは一〇%減。この建設費一〇%という数字も、内容はよく開示されておりません、一〇%減ということになっております。同じように、平成八年、あるいは平成九年から十一年度の公共工事コスト縮減行動計画、以下、十二年から二十年、十五年から二十年、それぞれすべて一〇%減ということですが、こんなにどんどんコストが本当に削減されていましたら今やすごく安くなっているはずなんですが、それがどうなったかという検証は全くありません。

 結局は、過小積算ということは、こんなにコストが安くできるんだから、もっとたくさん道路ができるということの論拠になっているにすぎないということだと思います。

 五ページ目ですけれども、では、なぜ民営化するのか。

 最初に申し上げたとおりでありますけれども、もう一度これを整理いたしますと、公物あるいは公益の名のもとに道路事業が私益化しているのではないか、建設自体が目的化している。その結果、野方図な道路建設と債務返済の先送りがどんどん進んで、最終的には四十兆円の債務が積み重なって、最終的には経営破綻、そのツケは国民に来るおそれが大いにあるということです。

 民営化委員会のプロセスの中でも、国民負担なしということですけれども、結局それは、今キャッシュを投入しなくても、先にあるのは、税金等による、単に先送りできる、するのみということになるおそれが非常に高いんだと思います。

 これを可能にしてきたのが、今申し上げました公団、あるいはプール制、償還主義という仕組みで、今、外から見えない仕組みによって、これがどんどんつながっているということだと思います。

 では、民営化すればどういうメカニズムが働いてそれが正されるかというのが、下にかいた絵であります。

 償還主義、プール制を廃止すること、あるいは市場によるチェックをきかせること、事業会社としての自主的な判断による経営が行われるようにすること。そのことによって、需要見通し、コスト計算が厳格化され、財務諸表が開示されるようになり、責任の所在が明確化する。その結果、野方図な道路建設に歯どめがきき、極力自力で債務返済ができるようになり、国民負担が最小化される。そういうプロセスだと思っております。

 最後に、六ページ目ですけれども、では、今の政府案がそのとおりになっているかどうかということですが、残念ながら、それとはほど遠い内容になっていると言わざるを得ないと思います。

 まず、いわゆる上下分離方式ですから、資産と負債を管理する保有・債務返済機構と、その道路を借りて管理業務を行う会社に分かれているわけですから、この間の主従関係はこれまでと全く変わらない、むしろ強化されると言ってもいいぐらいです。

 そこの下に、いわば会社の方はかいらい会社にしかすぎないと書いてあります。したがって、道路公団の総裁なり、あるいは一部の委員も含めて、経営の自主性を確保するんだということをしきりにおっしゃいますけれども、幾ら自主性があると力んでみても、実際にそれは、自主性がある仕組みをつくらないと、自主性を持つんだ、持つんだというスローガンを叫んでみても何の意味もないと考えております。この仕組みがそもそも対等でないわけですから、その範囲の中で自主性と言っても、ほとんど実質的な意味はないと思います。

 それから、二番目に、償還主義と料金プール制が温存されております。

 これは、償還主義で四十五年になっているわけですけれども、四十五年というのは、恐らく、今この決定にかかわっている方はほとんど、まあ、残念ながらもう生きていないんじゃないかというようなことを言うと不謹慎かもわかりませんが、しかし、私も含めてそう考えざるを得ないですし、少なくとも現役で、この中でまだまだこの行政に携わっているということにはならないと思います。

 それから、料金のプール制はやはり温存されているわけですし、今後、会社が新しくつくった道路、そこにかかった建設コストというのは、すべて保有・債務返済機構につけていくわけですね。そうなりますと、幾ら区分経理をするとはいっても、それはそれだけの話でありまして、資産も債務も機構が一元管理するという仕組みの中では、従来のプール制は全く変わらない。したがって、個々の事業収支もわからないということになるんだと思います。

 それから、コスト削減ですけれども、これも先ほどの参考三のところで申し上げましたように、削減するという数字を幾ら出してみても、後でそれは削減されていないということですから、民営化の意味というのは、コストをぎりぎり切らざるを得ない、そういう経営努力を迫られて、せざるを得ない状況に押し込めていくのが民営化でありまして、経営陣が削減する、あるいはあらかじめ国が削減数字を示すということとは全く違う。そういう意味では、これは何の担保も行われていないと言わざるを得ないと思います。

 以上、おさらいのようになりましたけれども、最初に申し上げました、したがって、残念ながら、国民全体の利益を反映する案にはなっていないのではないか。ぜひ、これが国会の御審議の中で少しでも国益をあらわすものになっていくような、有効な、有益な御審議をお願いしたいと思います。

 以上でございます。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 本日の委員会の日程が大変タイトとなっておりますので、ぜひ、時間厳守の御協力のほどよろしくお願いを申し上げます。

 次に、飛松参考人にお願いいたします。

飛松参考人 九州・山口経済連合会の副会長飛松でございます。

 貴重なお時間をちょうだいいたしましたので、地方の経済界の立場から意見を申し述べさせていただきたいと存じます。

 参考人前お二人の御意見と大分トーンが違うわけでございますけれども、お許しいただきたいと存じます。

 高速道路は、地域計画のまさに骨格であると申し上げても過言ではございません。私ども地域経済人といたしましては、地域の自立的な発展と産業競争力の根源といたしまして、最も優先的に整備されるべき基礎的なインフラである、かつ、日常生活を初め経済活動、観光などあらゆる面において道路への依存度が高い九州におきましては、緊急かつ計画的な整備促進が必要不可欠であると認識しております。

 道路への依存度を具体的に申し上げますと、お手元にお配りしてございます参考資料でございますが、その一ページ目の資料一をごらんいただきますと、陸上輸送のうち自動車に依存する割合でございますが、九州では、旅客で九二%、貨物で九九%となっておりまして、ほとんど一〇〇%と言ってもよいほどの自動車交通依存でございます。

 これを鉄道で見ましたのがその次の資料の二でございますが、これは鉄道の線路の密度でございますけれども、首都圏の充実度に比べまして、九州ではざっとその四分の一程度にすぎません。また、東九州、JR日豊本線があるわけでございますが、本線とはいえども単線でございますし、便数も少なく、速度も極めて遅い、利便性が格段に低いと言わざるを得ないわけでございまして、九州・宮崎におきましては、結果として高速道路に依存せざるを得ない状況でございます。

 特に、産業面におきましては、経済のグローバル化が進んでおりますが、それに対応して、地域産業の競争力の強化が喫緊の課題と認識しております。とりわけ、アジアに近い九州におきましては、韓国、中国を初めアジア諸国との競争、共存が差し迫った課題でございまして、私ども九州では、環黄海経済圏構想を推進しているところでございます。

 これら近隣諸国におきまして社会資本の整備が急速に進んでおりますが、伝え聞くところによりますと、中国では既に高速道が約三万キロメートルになっている由でございますし、これらを背景といたしまして、安価な製品などが流入しておりまして、製造業に限らず農産物関連におきましても、景気回復がいま一つの現状のもと、大変な脅威となっております。このような状況からも、空港、港湾などの交流拠点の活用とあわせ、これらを一体的、効率的に連結する高速道路の整備は重要でございます。

 さらには、地域の自立的発展を目指す地方分権を実現するためにも、市町村合併の受け皿をつくるに当たりまして、基礎的なインフラの整備は不可欠でございます。特に、高速交通ネットワークの着実、計画的な構築を急がなければならないと考えております。

 お手元の九州の地図があると思います。ちょっとパネルが小そうございますけれども、このような状況にあるにかかわりませず、九州における高速道路ネットワークの現状は、計画総延長約千五百キロメートルに対して、六割程度の供用でとどまっております。中でも、宮崎県では、整備率が三七%という状況でございます。

 また、このパネルでおわかりいただけますように、九州を循環する高速道路ネットワークに不可欠でございます東九州道路、ごらんいただけますように、全く東の方は空欄でございまして、東九州自動車道は、全長四百三十六キロのうち供用区間はわずか百二十九キロ、三割程度しか整備されていない状況でございまして、九州の中でも大変おくれております。

 おわかりいただきやすいように時間距離で申し上げますと、大分市と宮崎市との間は国道十号で約二百キロでございます。これは東京から静岡市までの距離とほぼ匹敵するわけでございますが、東京―静岡間は東名を利用いたしますと約二時間ぐらいで結ばれておりますのに比べまして、大分―宮崎間は約五時間を要します。その差は約三時間にも及んでおります。

 冗談を申し上げますと、宮崎の隣は大分ではなくて、海の向こうのカリフォルニアであるといったような冗談も言われておる状況でございます。

 また、宮崎県内の二大拠点都市でございます延岡と宮崎市の間、国道十号が唯一の幹線道路でございますが、この間九十キロのうち約六割が二車線区間でございます。追い越しもできないところが多うございまして、約二時間半かかります。このことは、宮崎にとりまして大きなハンディキャップと言わざるを得ないところでございます。

 このように、東九州地域におきましては、鉄道が貧弱でございますし、道路の整備も格段におくれている現状にございます。

 一方、多少ひがんで申し上げますと、西九州地域では、既に全線開通しております九州縦貫自動車道に加えまして、先月には九州新幹線が先行開業いたしまして、東九州軸と西九州軸の時間格差あるいは地域格差は、今後ますます拡大していく要素をはらんでおります。ある意味ではがっくりしているというのが東九州側の偽らざる感触でございます。

 東九州地域には、お手元の地図でごらんいただけますように、数多くの空港なり重要港湾がございまして、その周辺には結構大きな工業集積がございます。自動車工場の立地やハイテク関係企業の拡充といった動きも出てきております。また、申すまでもなく、多くの歴史的、文化的遺産や、豊富な食材あるいは伝統工業、さらには、申すまでもなく、魅力的な自然環境やリゾートなど、その産業資源は枚挙にいとまがございません。

 こうしたすばらしいポテンシャルを有する東九州地域でございますが、高速道路がないことに伴う時間的制約といったものが必ずと言っていいほど話の中でネックとなっておりまして、それぞれの点が、まさに点でございまして、面になっていない、線にもなっていない、そのポテンシャルが死んでいるということを申し上げたいと存じます。

 お配りしております資料の地図の一番後ろ側に、九州の産業集積図というのがあろうかと思います。

 ごらんいただきますと、東九州、特に大分県の南部から宮崎、鹿児島へかけての東側の出荷額が、この赤い丸が小さくなっていることがお見とりいただけるかと存じます。

 高速道路は、申すまでもなく、全線が開通して、ネットワークが完成して初めてその機能が十分に発揮されるわけでございまして、企業活動にとどまらず、災害時の代替道路あるいは救命救急活動等々波及効果も大きなものがございます。

 お手元の参考資料の二ページの資料四をごらんいただきたいと存じます。

 これは、九州経済産業局が十五年度にお調べになったものでございますが、部品の調達や商談を考えると取引相手は二時間以内に行ける地域が限度であるという意見が、九州地域の中堅中小企業、メーカーでございますが、寄せられております。また、七割の企業が高速道路が整備されることにより取引の範囲が広がるというように答えておられます。

 例えば、東九州自動車道、九州横断道路延岡線が完成いたしますと、九州の高速道路は大きな円に横軸がまた入りまして、延岡市から宮崎市、大分市、熊本市まですべて、おおむね二時間以内に入ります。そういたしますと、交流可能人口が現在の六十万から六倍、三百五十万人にも上ることと相なります。

 地方の高速道路につきましては、採算重視の立場から、不要ではないかという御意見も一部聞かれたところでございます。しかしながら、生活の利便性の向上や交流機会の拡大といった市民生活の観点あるいは地域経済の観点からも必要性を議論していただきたいと存じております。情報化の時代であるからこそ、人、物の流れが情報も運ぶわけでございまして、この点を見逃すわけにはまいらないところでございます。

 また、既に基本的な骨格はでき上がっているではないかといった認識もあるようでございますが、これは地方に住む者から見ますると、地方を切り捨てておられるにほかならず、また最近、経済構造の二極化現象が言われておりますが、それを助長してしまうというように考えております。高速道路の必要性はその進捗率とか採算性によってのみ判断されるのではなく、我々の子孫の代まで見据えた国土のグランドデザイン、例えばアジアとの関係、位置づけなども考えた上で判断されるべきものであると考えております。

 私どもといたしましては、御審議いただいております道路関係法案は、九州の自立的発展と産業競争力の根源となる高速道路の整備を着実かつ速やかに進めることができる仕組みであるというように受けとめております。

 高速道路の議論の中のポイントの一つでありましたコストの縮減といった点につきましては、今後の道路整備を考える上で必要であると私どもも考えております。民間経営の手法あるいはコスト縮減の工夫など、限られた財源を有効に生かしながら、どのように高速道路を整備していくかということは、私ども地方経済人にとりましても非常に重要なテーマであると認識しております。

 私ども九州・山口経済連合会では、昨年、九州地方知事会と共同で九州地域戦略会議を設立いたしまして、九州は一つの観点から諸活動を展開しております。その会議の中で、九州の一体的発展に資するためにも九州の循環型高速交通ネットワークの構築が必要だといった認識のもと、戦略を進めているところでございます。

 本日御列席の先生方には、こういった諸事情も十分御勘案いただきまして、地方における高速道路の整備を着実にお進めいただける道筋をつけていただきたいと切にお願い申し上げまして、私からの意見陳述を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 次に、上村参考人にお願いいたします。

上村参考人 京都経済同友会の常任幹事を務めております上村多恵子でございます。よろしくお願いいたします。

 私は、経済産業、特に倉庫物流業を私自身が経営をいたしておりますので、物流、ロジスティックスという観点から、また京都、関西地域という観点から述べさせていただきたいと思います。

 お手元にごく簡単なレジュメがございますので、御参照いただきましたら何よりだと思います。

 まず、タイトルを「国民生活とこれからの社会資本整備のあり方」というふうに、あえて社会資本整備といたしました。

 と申しますのは、今回の道路公団民営化の議論をずっと見ておりますと、道路、道路というふうに道路のみに特化して、議論がだんだん中へ中へと狭くなっていくわけですけれども、やはり今大きく時代が変化していくときに、それにふさわしい社会資本整備のあり方、特に空港、港湾、道路、これは三位一体でございます。この国のこれからのグランドデザインの上に立って、そして道路がどうあるべきか、そういった観点をやはりもっと強く持っていただきたい。

 せっかく国土交通省が、前の建設省と運輸省が一緒になったわけでございますから、前に決まった九千三百四十二キロとか一万一千五百二十キロとか、そういうものにこだわらず、もう一度、新しい時代にふさわしい日本地図に絵をかいていく、そういうグランドデザインが必要ではないかと思います。

 まず、物流を取り巻く大きな変化、その前に産業構造の大きな変化がございますが、それは商流、金融、物流のすべてがグローバル化の波の中で、移行期の中で、今非常に大混乱をいたしておるわけですけれども、戦後日本をつくってまいりましたオールドエコノミー体制といいますか、工業を中心とした終身雇用、含み会計、土地担保主義、多重構造チャンネルという一つの旧モデルパッケージから、新しい、ニューエコノミーといいますか、消費を中心として、株主の利益を中心とする、そして労働の流動性を持たせながら、国際会計基準、時価会計とか減損会計とか、そういうものも取り入れながらダイレクトにチャンネルしていく、中抜きと呼ばれるわけですね、そういう新しい一つのパッケージに移行していく真っ最中だと思うんです。

 その移行の中で、制度と新しいルールとの整合性がまだ十分とれていなくて、大きな混乱が社会の中にあると思います。頭でわかっておりましても、なかなか新しい体制に心と体が、企業経営者も含めて、みんながついていけないところがあるのではないかと思います。

 オールドエコノミー体制というのは、長期的でじっくりと取り組めて、安定はしておりますけれども、活力がないということがあると思います。また、新しい、ニューエコノミー体制というのは、おもしろいけれども、せわしなくて、目まぐるしく、ころころ変わっていくものに対して迅速に対応していかなければならないんだろうと思います。

 物流の変化で申しますと、やはり一番大きいのは国際化でございます。製造業が海外進出、特に中国との輸出入がどんどん増加してまいります。特に輸入が増加しております。食糧それから日用品、本当に輸入が多うございまして、恐らく、これからFTAの進展でますます食糧の輸入などはふえていくのではないかと思います。

 ゆえに、やはり港湾、空港を窓口として、全国にいかに効率を上げて運ぶかということが大きな課題でございます。先ほど、取引先との相手は二時間以内が一つの限度という意見が出ておりましたが、本当に、いかに迅速に早く運べるかがキーになってまいります。かつ、調達、生産、販売、消費、リサイクルというものが一気通貫で、一元的に、国際的にやらなければならない、そういったことも求められております。

 それから情報化の進展で、インターネットショッピングや通販が広がっておりまして、ますます物の流れは小口化と多頻度の配送が要求されております。インターネットでは一秒で行きますが、物はなかなか、パソコンの画面からばんと出てくるわけにはまいりませんので、やはり道路のネットワークが必要でございます。

 我々の物流業界では、部分の最適化ではなく全体の最適化ということをロジスティックスということで今大きな課題にしておりますが、ロジスティックスという言葉自体がもともと軍隊用語、戦争の言葉でございまして、兵たんということで、武器とか弾薬、食糧、そういったものの補給線をどう確保するか、そういうところのアイデアから来ておりまして、サプライ・チェーン・マネジメントですとかサードパートロジスティックス、そういう手法を使って、今、もう一度機能と役割を見直す作業を我々は一生懸命やっております。

 そういった時代に、ぜひ、新しい時代にふさわしい、工業を中心としたインフラの時代から、消費を中心とした新しい社会資本整備、インフラのあり方というものをまず大きく描いていただきたい、その上で道路の必要性、むだかどうかも含めて、もう一度検討をいただきたいと思います。

 その次に、高速道路のあるべき姿ということなんですが、いろいろな観点があるのですけれども、幾つか挙げております。

 その中でも一番、丸の四つ目のところですが、今なお高速道路のインターチェンジから随分時間のかかる地域がございますので、まだまだ必要でございます。

 それから、高速道路であるのに、いつも停滞している地域がございます。ゆえに、一般道路の混雑に拍車をかける区域がありまして、近畿、関西でいいますと、名神高速道路から中国縦貫自動車道路にかけての区間が本当に込んでおります。ですから、第二名神の整備というのは、これは今抜本的見直し区間に入っているんですけれども、私はもう絶対に必要であるというふうに認識しております。

 これから、関西、近畿は、情報家電とかバイオ、また、アジアとの連携とか観光、そういったものに力を入れていくわけですが、その足腰としてのインフラ整備、関西空港、道路との広域的な考え方、それから、同等機能を持つ道路があるということですけれども、しかし、現実的には、結節点がばらばらでございまして、時間が随分かかっております。基幹ネットワークになっておりません。あわせて、国道だとか府道だとか県道だとか高速道路の連結がとても悪い、そういうことで時間がかかります。

 時間が大分迫っていますので、後のところ、たくさんあるんですが、ちょっとはしょらせていただきまして、次の日本道路公団民営化のあり方への要請というところのお話をしたいと思うんです。

 私は、民営化推進委員会の、ショック療法という言い方はおかしいんですが、かなり最先端の金融の手法による議論のおかげで、今回の政府案というのはかなりいいものが出てきたと思います。恐らく、民営化推進委員会の議論なしにみずからこの案を出すのは無理であったのだろうと思います。旧体制をぶち破る役目を大きく果たされたという意味においては、第二ステップの実施化段階に入ったということだと思います。

 ただ、真っ白なキャンバスに絵をかくことができませんので、現実、実行可能な方法で、今の政府の案にもう少し工夫をしてみてはどうか。

 例えば、リース代をもう少しアップさせて繰り上げ返済をするためには、インセンティブを導入する。そのことによってやる気とか規律とかを出させる方法というのはあるのだと思います。

 それからまた、四十五年の償還でございますが、余りにも長いというか、先のことがなかなかわかりにくい時代でございますので、これで一たん決めたらこの枠組みを絶対何が何でも変えないというのではなくて、ある程度フレキシブルにまた見直すというような制度をぜひ盛り込んでいただきたい。この先、またどんなインフレーションが来たりデフレーションが来たりするかわかりませんので、そういった経済の変化に対応ができるということが大切だと思います。

 それから、二番目に、本来の使命、道路の公共性というふうなことと、それから経済的な合理性、経営というふうなものとのバランス、絶妙なバランスの上に立ってぜひやっていただきたい。

 絶えずこの両者がやはり緊張関係が必要でございますし、どちらかが強くなってもいけません。しかし、私は、願わくは、五一%の公共性とか、本来道路の持つ使命感を大切にして、しかし四九%経済的合理性という、一%はやはりそちらの方にこういったものの場合には少し配慮があるべきなんだろうと思いますし、これを実効あらしめるためには、やはり民営化を進めていかれる方のリーダーにまず私心がないことが大事ですし、それから、本来の使命、公共性と経済的合理性の両方がわかる、そういう方が当たらないと、なかなかいいものにならないんだろうというふうに思います。

 それから、民営化という方針が決まった今となっては、早く枠組みを決定してやりませんと、いたずらに延ばすと、かえって国民的利益が失われると思いますので、民営化という方針が決まった以上は、早くやるということが大切だと思います。

 それから最後に、これは道路の問題だけではないのですけれども、せっかくきょう政治家の先生方がたくさんいらっしゃるので、ぜひお願いをしたいなと思いますのは、大きな時代が変わっていきますときには、玉も石も、玉石両方とも砕くことがあるというような、そういう乱暴なことを政府筋の方で時々おっしゃる方がいらっしゃるんですけれども、私はやはり、玉は玉、石は石として、玉というのは、経済的合理性に合わなくても、時代に合わなくても、やはり残すべきもの、大切にするべきものというのはあると思います。それから、石として、公共性の美名のもとに肥大化したり、あるいは、もう耐用年数を過ぎて用をなさないもの、時代に合わないものもあるかと思いますけれども、これは石だから砕いてしまえというのではなくて、石も何とか磨きながら、玉石一緒に砕くのではなくて、玉と石とをぜひより分けてそういった運営をしていただきたいということを最後にお願いしたいと思います。

 以上でございます。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保坂武君。

保坂委員 本日は、石田参考人初め四人の先生方には、国土交通委員会のために、そしてまた民営化道路四法案の提案に際しまして意見を述べていただきまして、私どもも大変参考にさせていただいたり、私自身、まだ衆議院となりまして日が浅いわけでありますので、質問の内容につきましても若干意思が薄いところもあろうかと思いますが、失礼をお許し願いまして、御質問をさせていただきたいと思います。

 まず、石田先生、そして加藤先生、飛松先生にお尋ねをしたいと存じます。

 道路関係四法案が既に出されまして、提案理由なども御参考、また検討もしていただいたと思うところでありますが、この趣旨の中には、できるだけ少ない国民負担で建設するということが目的にもなっておりまして、できるだけ、あるいは少ない国民負担というふうなことをうたってはおるわけでありますが、先生方の立場で、その実感が国民に与えられるというふうに思われるかどうか、一言だけ三人の先生にお願いしたいと存じます。

    〔委員長退席、望月委員長代理着席〕

石田参考人 国民負担の問題でございます。

 国費の投入は原則としてないということでございますし、料金引き下げも柔軟にかつ大胆にやっていくということを担保する仕組みになっておりますので、うまく実施されれば非常に大きな効果を持つ、そのような法案だと思います。効果はあると思います。

加藤参考人 できるだけ少ないコストでというのは、これは当たり前の話だと思いますね。ですから、当然やらないといけないわけですけれども、しかし、先ほどの参考資料でも申し上げましたように、今までも、国土交通省初め、こんなにコストを引き下げるよということはたびたび言ってきた。しかし、それが実行されていない。要するに、言ったことが実行されていない、どんどんコストが上がっていくというところが問題だと思うんですね。

 ですから、それをどうやって下げるかというところに民営化のメカニズム、民営化の知恵があったはずなんですけれども、しかし、今度の法案でつくられます機構と会社という仕組みを考えますと、残念ながら、そういうインセンティブが働く余地はほとんどないのではないか。ですから、そこのところをぜひ今後いろいろ御審議をいただいて、少しでもいいものにしていただきたいと思っております。

 それから、国民負担というのも、これはいろいろなニュアンスがあるんだと思います。四十兆円の債務を国民負担はなるべく少なく返そう、これも当たり前の話だと思います。

 これも先ほどの繰り返しになりますけれども、四十五年先になったらちゃんと返せるんだという、これも保証がないわけですね。ですから、そこのところがやはりこの法案に欠けている部分、言ったことを実現させるように担保をするための仕掛けが組み込まれていないというところに大きい問題があるんだと思っております。

飛松参考人 経済連の立場から申し上げるわけでございますが、確かに国民負担が少ない方がいいことは間違いない。しかし一方で、必要なものをつくるに当たっては必要な資金は投入すべきであるということも申し上げたいと思っておりますが、今回の道路公団民営化の議論の過程で、いろいろ問題点が白日のもとにさらされたわけでございます。

 その結果としての法案でございまして、その策定、提出される過程におけるさまざまな議論が、今後の民営化された会社がやはり経営の透明性あるいは財務の健全性等について十分考えていくだろうというように理解しておりまして、セカンドベストであるというように理解しております。

保坂委員 それでは次に、石田参考人それから加藤参考人にお尋ねをさせていただきます。

 基本的な考え方として、高速道路の必要性ということもあるわけでありますが、改革の目的、改革をしていくというこの目的の中に、今回の公団の改革、あるいは高速道路の事業の改革、こういうふうに言われて、それぞれの目的を持つわけであります。改革という言葉になると、民営化された場合には会社が黒字でなければならない、黒字であれば改革をされた、そしてまた、高速道路の建設を抑制するとか、そういう意味では、高速道路をつくらなければ改革だとかというふうなことを言われるような風潮もあるわけでありますが、その点について、お考え、いかがでしょう。

石田参考人 改革の目的というのは、あくまで、これからの競争の厳しい時代に、日本として、国際競争力にたえ得るような、かつ国民が豊かな生活を送れるような、そのような交通システムを整備する。その中でも最も重要な高速道路を、大臣の趣旨説明にもございましたように、いかに少ない国民負担のもとに、かつ早期に、かつ着実な債務の返済を伴うような形でどう高速道路を整備していくかということだと思います。

 ですから、民営化そのものが改革の目的になることはあり得ないのでございまして、やはり国民の厚生、地域の発展のための高速道路であろう、そういう基本原則が非常に大事だろうというふうに思います。

 そういう観点から申し上げますと、今度の法案では、やはり、国の関与というのが最小限ではありますけれども組み込まれているということは、そういう国民全体あるいは国の厚生の上昇という点からは望ましいのではないのかなというふうに考えます。

加藤参考人 これはもう私が先ほど申し上げましたことの繰り返しになると思います。

 目的というのは、これは今石田参考人もおっしゃったとおり、民営化が目的ではないんだと思います。道路を今後建設するとしても、それがいかにして合理的につくられるかということ、それから二番目は、既にもう四十兆円にも上ったこの債務をなるべく将来の世代への負担を少なくして返済していくか、この二点に尽きる。その二点についてできるだけうまく処理していく方法が民営化ということだったんだと思います。

 ここで先ほど私以外の三人の参考人の方のお話も聞いて思ったわけなんですが、やはり、どこに住んでいても、日本人、まだまだ高速道路、あった方がいいなと思っていると思うんですね。

 よく道路族という言葉が使われますけれども、私は、そういう意味でいえば、ほとんどの日本人が道路族になるんじゃないかと思うぐらいでして、ただ、そこはやはり、あった方が便利だと思う反面、それをつくるのは、結局、我々日本人全員がそれを何かの形で負担しているわけですから、その負担とつくられるものとの関係ということになってくるんだと思います。それが今、負担の方が過重になって、将来の世代の負担になるのはもう明らかになっているわけですから、そこで、では、どうやってつくるかということが問題になってくるんだと思います。

 先ほどもお二人の参考人の中から、中国はもう三万キロにもなっている、日本の何倍もあるということですけれども、これもいろいろな考え方があると思います。

 何が正しいとは一概に言えませんけれども、例えば一平方キロ当たりの道路でいきますと、日本は三千キロメートル、ドイツとかフランスとかイギリスとか、イタリーでも千六百か千八百キロですし、日本より、より密度の高い高速道路を持っている国というのはベルギーとかシンガポールとかオーストリアという全く平地でちっちゃな国だけですし、アメリカ、中国はもう圧倒的に、統計の中に出てこないぐらい少ないわけですね。これは、一人当たりで見ても、今や九二%の日本人、九二%以上の人が一時間以内に高速道路に行けるところに住んでいるわけです。

 私は、ですから、これをもって十分であるとかもうつくらなくてもいいということを言おうとしているのではないんですけれども、そういう世界の中での公平な日本の高速道路に関する事情、状況をよく見て、その上で、それでもやはり必要だということをきちんと、例えばこういう国会の場で議論して、それで決めていくというプロセスが必要なんだと思います。

 ですから、建設の是非ということと建設についての決定の仕方ということは私は別であると思っておりまして、今回の民営化というのは、その後者について、できるだけ合理的な、恣意的につくる、恣意的に決まる方式を排除していこう、そういうことが本来の目的であった。残念ながら、この法案でつくられようとしているメカニズムではそれが十分こなせないというところに問題がある。ですから、そこを、先ほどから何回も申し上げておりますけれども、御審議の中で少しでもいい方向になるようにしていただきたいなと考えております。

保坂委員 高速道路に対する、あるいは民営化に対するというように具体的に示されてくるわけでありますが、特に日本における状況、今加藤先生からも海外、外国の状況などもお話がありましたけれども、日本における基幹の産業発展をさせる、日本が成長するというふうな状況から見ていくと、やはり道路は必要であって、そしてまた、高速で物流が発展するという立場を考えますと、特に地方で活動されている飛松先生あるいは上村先生にお尋ねをいたしますが、高速道路が需要の少ないところについてはいかがかとか、あるいは高度な地域医療、あるいは地方の産業が発展するためにはこの高速道路が必要であるとか、こういうふうに違いが出てくるわけであります。

 地方として、地方の立場で、どうでしょうか、全国的には多くの知事さん方も高速道路を求めている、そしてその求めているやり方の方法はどうあるべきかということで今回の法案が出されているわけでありますが、そこに期待する部分はいかがでしょうか。

飛松参考人 お手元に先ほどお配りしました地図の中をおあけいただきますと、九州における高速道路全体ができたときの効果というものが左右囲みの中にいろいろ書いてございます。要するに、高速道路ができた結果、何年かかかって出荷額が非常にふえてきているということを示しておる地図でございます。

 御指摘のように、高速道路ができますと人も物もいろいろ動き始める、効果が出るということを如実に示しているわけでございまして、おくれている地方といたしましてはぜひとも高速道路が欲しいということは、この絵からもごらんいただけるかと存じます。

 宮崎におきましては、大分と御一緒に、昨年の国幹会議でございますか、新しい仕組みでございます新直轄方式につきまして、それでやらせてほしいということを東九州道路の一部につきまして申し上げて、お認めいただきました。

 これも、地元で多少の負担をしても早くつくってほしいということのあらわれだと思っておりまして、くどいようでございますが、加藤先生は道路族という表現をお使いになりましたけれども、要するに、地方で公共工事が欲しいとかそういうことではなくて、それを大きな広がりに持っていきたい、何が何でも、何もないというのはひどいじゃないか、何もない段階で例えば地方分権とか、急に同じスタートラインに立てと言われても困る、やはり完成した上で平等に競争させていただきたいという趣旨でございます。

上村参考人 地方におきましてもまだ高速道路がついていないところに対しては、やはり日本国民である以上はナショナルミニマムの体制ということは絶対に実現されなければならないことの一つなんだろうと思います。

 ただ、そうはいいましても、規格ですとかスペックとか、そういうものはやはりもう少し見直してもいいのではないか。八車線とかではなくて、四車線、二車線でいいところも十分ありますし、それから、フェンスのスペックなどももっと見直してもいいと思いますし、それから電話なども、本当に、携帯電話が発達しているときにああいうふうに随所随所に要るのかなというふうにも思いますし、まだまだもう少しコストを下げる方法というのは、工夫をすれば幾らもあるのではないかと思います。

 ただ、先ほど緊急医療のお話が出ましたけれども、やはり緊急医療を受けられるということも大切ですし、それから、防災、防衛というような面からも、高速道路の必要性というのはまだまだあると思います。

 ただ、何らかのコストに対する歯どめをかける。それは、どういう制度をつくっても、どういうルールをつくっても、最初はやはり、先ほど申しましたように、その中でいわゆる人だと思います。その中の人が私心がないことと、それから、先ほども申しましたように公共性と合理性のバランスがとれるという、人に尽きるというふうな感じがいたします。

保坂委員 次に、今回、民営化という四法案を私ども審議しているわけでありますが、今回の公団の民営化につきまして、政府は、とにかく四十兆円に上る債務を確実に必ず返済をする、そしてその期限が四十五年以内で返済をするという見通しをまず立てているわけであります。

 そして、真に、道路の関係については、国民に負担をできるだけ少なくするということでつくり上げていくということをこの手段としているわけでありますけれども、石田先生、加藤先生にお尋ねしますが、このような目的設定というようなものについて、民営化を選んだ、こういう民営化で行くんだということについて、どうお考えでしょうか。

石田参考人 四十兆円の債務の確実な返済と、いい整備のあり方ということでございます。

 先ほどの意見陳述の中でも申し上げましたけれども、今回もう既に改革は始まっているというふうに考えております。需要予測とか整備スキームの振り分け等も、データは全部公開する。従来は、データもモデルも公開せずに、こういう需要予測結果が出ましたということだけでやっておったことに比べますと、非常に議論がオープンになりました。そのことの効果というのは非常に高いのではないのかなというふうに思います。

 いろいろな人の目に触れることによって精度も上がりますし、もちろん信頼度も上がります。そういうことの積み重ねが民営化のスキームの中においても、中期目標とか中期計画、あるいは協定の締結も、これからは非常にオープンな形で、パブリックコメントなんかも取り入れながらされていくと思うんですね。あるいは、そのための民営化という面も非常に色濃くあろうかと思います。ですから、そういう意味でも高く評価できるんではないのかなというふうに考えております。

加藤参考人 これもまた繰り返しになりますけれども、四十五年で返すということになっております。この四十五年という数字がついていること自体が、従来の償還主義が維持されているということになります。

 その償還主義とプール制の問題点は先ほど申し上げたとおりでありますので繰り返しませんけれども、ここに、私は先ほど二つの大きいどんぶり勘定という言い方をいたしました。どんぶり勘定であるがゆえに、見えない。今、石田参考人は情報公開が進んだということをおっしゃいました。確かに、以前に比べると進んだんだと思います。しかし、本質的なところで見えないというところが変わっていないというのは非常に大きい問題であると思います。

 それから、例えば企業でありましたら、飛松、上村の両参考人は企業経営の御専門家ですから、そこはもうよくおわかりだと思いますけれども、企業でありましたら、四十五年先の見通しがこうだということは普通出てこないんだと思うんですね。毎期毎期どうするか、毎事業ごとにどうするかということで経営判断が行われるわけですから、そこの観点、毎期どうするか、毎事業ごとにどうするかというところが、残念ながら、今の仕組みの中では出てこない、見えてこないというところに問題があるんだと思います。

 そういうことで、その四十兆円をちゃんと返せるか、国民負担を、税金投入を極力少なくして返せるかどうかというところに不安が残ると思います。

 このことは、また、民営化推進委員会の中でいろいろな試算、数字が出されておりますけれども、そこでもやはり見通しが極めて小さいということが指摘されております。そのことは、やはり変わっていないのではないか。

 ちょっと長くなりますけれども、私は、道路公団という仕組みそのものが、あるいは償還主義、プール制という仕組みそのものが、最初から問題であったということではないんだと思います。だから、特殊法人なり、あるいは今回、機構の方は独立行政法人ですけれども、こういう仕組みというのは国会のチェックあるいはマーケットのチェックが非常にききにくいものですから、どうやってそれをカバーする仕組みが必要かということなんだと思います。

 こういうマーケットも国会のチェックもきかないというのは、本来は、ある使命を持って、その使命が終わればその組織はもうそれで廃止するんだというのが建前だったんだと思います。ですから、その使命を終えた、どこで終えたことにするかという達成のレベルが本当は必要だったんだと思います。

 例えば、道路を何千キロつくったら終わり、あるいはつくってから十年で終わりにするというのが必要だったんだと思うんですね。ところが、それがなくて、ずるずる来ている。ずるずる来ていることの理由が、先ほどからくどく申し上げますけれども、償還主義とプール制ということなんだと思います。

 企業というのは、いわゆるゴーイングコンサーンでずっと永続するという建前になっております。永続できるように、毎期毎期、事業ごとにチェックをする仕組みになっている、そこが欠けているというところが問題ではないのか。ですから、ここのところをぜひ今後の御審議でさらにいいものにしていっていただきたいと思っております。

保坂委員 時間ですので。

望月委員長代理 松野博一君。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。

 参考人の皆様、御苦労さまでございます。早速質問に入らせていただきたいと思います。

 石田参考人にお聞きをしたいというふうに思いますが、高速道路が現在まで日本の経済の発展ですとか社会生活の利便性の向上等に大きな役割を果たしてきたことは、これはひとしく国民が認めるところでありますけれども、しかし、一方で、今も議論に上っておりましたプール制の功罪の指摘もありました。これは、今までの参考人の議論の中にありましたとおり、一体、日本の中において、国民にとって必要な高速道路というのはどの程度のものなのかという議論が国民の中に今まで合意形成がされてこなかったということが一番大きな問題となってきているのではないかなというふうに考えております。

 国の方としては、一応さまざまな機関を通して、いわゆる九三四二ですとか、等々の数値的な目標を今まで挙げてきたわけであります。先ほど、加藤参考人のお話の中で、高速道路の整備率の評価として、総延長という観点以外にも、例えば、人口一人当たりの観点でありますとか面積当たりのキロ数でありますとか、そういった観点もあるのではないかという御指摘もありました。

 そこで、今後、日本の経済の成長のあり方ですとか社会構造、さまざまな要因を考えたときに、これからの高速道路の整備というのはここまで必要ではないかというような御意見、イメージをお持ちであれば、お話をお伺いしたいと思いますし、その場合の、こういったことを基準としてみんなが議論していけばいいのではないかというような基準に関する御意見がございましたら、ぜひお教えをいただきたいというふうに思います。

石田参考人 なかなか難しい問題でございまして、的確なお答えができるかどうかわからないんですけれども、まず第一に重要なことは、ナショナルミニマムをどう考えるかということだと思います。

 ナショナルミニマムあるいはシビルミニマムというのは、概念自体は非常に古くて、かつ、だれでもおっしゃる言葉なんですけれども、実際にミニマムを数字レベルで表現したということは余りないように思われます。そういう中で、一万四千キロの議論のときに、どこに住んでいても一時間以内で高速道路に到達できるということ、そういうことがやはりミニマムじゃないかなという議論がなされたことは、これは非常に大きなことではないのかなというふうに思います。

 そのほかにも、リダンダンシーですね。大規模災害時に本当に大々的なネットワークがきちんと確保できるだろうかとか、あるいは、今盛んに言われておりますけれども、効率性、採算性の問題等もあろうかと思いますけれども、やはり私は、最低限のサービスレベルはこれをきちんと確保します、そのためにも、ある区間は有料道路方式、ある区間は新直轄で、あるいはそうでないところも中には出てくるかもわかりませんけれども、そのようなときには、国土計画的な観点から土地利用も踏まえて考えるべきであろうというふうに思います。

 そういう意味からすると、プール制、プール制ということで、なかなか、加藤先生もおっしゃるようにどうかという向きもあるんでしょうけれども、一概に否定できない面があろうかと思います。

 これは、全国あるいは地域のプール制の対極をなすものに、鉄道の新規路線の例がございます。日本の鉄道は、世界に比べますと、事業者間を超えて相互直通運転をしてございますけれども、ただし、鉄道の区間については事業者が違います。

 例えば、いい例を申し上げますと、千葉ニュータウンに北総線という線が入ってございますけれども、ここは千葉ニュータウンの中だけでの事業採算性を確保することを義務づけられた、そういうスキームになっております。プール制の対極でございます。その結果どういうことになっているかというと、非常に料金が高くなってどなたも使わない、需要が低迷をしているというふうになってございます。

 それを対極にすると、これは、せっかく建設したものが非常に料金が高くなって使っていただけないというゆゆしき問題もございますので、バランスの問題ではございますけれども、やはりある程度の内部補助につきましてはネットワーク性が非常に大事なものでございます。そういうことで、中でナショナルミニマムの発言もできるのではないのかなというふうに思いますので、プール制について一言つけ加えさせていただきました。

松野(博)委員 引き続き石田参考人にお聞きをしたいと思いますが、本法案の一番の大きなポイントというのは、償還期間を四十五年と法令上に定めて、国民の負担を最小限にしながら債務をしっかりと返済をしていくんだというところにあるというふうに思います。石田参考人は、今回のスキームの中で、この四十五年間という年限で債務がしっかりと償還をされていけるというふうにお考えでしょうか。

石田参考人 絶対かと申し上げますと、絶対になるように努力していただく、そのためのスキーム、これは法案もそうですけれども、今後いろいろな規則をつくっていただくということが必要になろうかと思います。

 ただ、言えることは、債務の返還計画の前提となっているもの、需要予測、人口の動向、経済の動向あるいは金利の動向等、今ある中で一番の信頼が持てる、そういう方法論でありますし、何度も申し上げておりますように、今の中ではデータが公開されている。データを公開する、プロセスを公開する、議論を公開するということが、そういう精度を高めたり信頼性を高める非常に大きな源泉だろうと思います。

 だから、そういうことをこれからうまく構築して、かつ、実際に運用していけば、四十五年というのは、かなりの確度で返済が可能ではないのかな、そういう年限の数値だと思います。

松野(博)委員 加藤参考人にお伺いをしたいと思います。

 先ほど参考人の御指摘の中で、四十五年間の償還期間の中において債務を返還する、担保する制度、仕組みがないではないかという御指摘がありましたが、それでは、例えば、この四十五年間という償還期間を定めて返還をしていくという上において、こういった担保できる制度があればいい、また仕組みになっていればいいということがありましたら、お話をいただきたいというふうに思います。

加藤参考人 四十五年というふうに決めるということは、これも先ほどの繰り返しになって恐縮ですけれども、いわゆる償還主義というものを維持するということです。ですから、私は、ここにほぼ致命的に問題があるとやはり言わざるを得ないと思うんですね。ですから、これを担保する仕組みというのは、私の頭ではすぐには残念ながら出てきません。

 やはり、これが何年であれ、例えば、何年で返せるであろうという見通しをつけて、それでその見通しになるべく近づくようにやっていく仕組みはあるんだと思います。私は、それが本来の民営化の形だったんだと思います。

 ですから、再々申し上げますけれども、民営化することが目的では全くないわけですね。しかし、やはり民営化という形をとって、先ほどから上村参考人も何回かおっしゃいましたけれども、そこにかかわる経営責任者あるいは従業員全体が打って一丸となってそれに邁進する仕組みというのが私はやはり民営化であって、その民営化ということによって、金利の安いところからお金を借りてくる、あるいは、どうしてもこれはつくると返せないと思えばそこはつくらないというような仕掛けができてくるんではないか。

 ですから、先ほどから、じゃ、建設はどうするんだ、建設も必要ではないか、そういう議論は当然あると思います。それはそれで私は、違う仕組みでつくっていく。それは例えば、国が直接税金でつくる、あるいは国民全体にとって必ずしも必要でないとしても、それは地域地域で必要であれば、その地方でお金をある程度負担してつくるというような別の仕組みでつくる、そこを切り分けるべきではないか。切り分けることによって、結果的にこの四十兆というものがなるべく早く、しかも税金投入を少なくして返せる仕組みができていくということに尽きると考えております。

松野(博)委員 加藤参考人にもう一問お聞きをしたいというふうに思います。

 先ほど来の議論の中で、やはり一番の目的というのは高速道路を初め道路というものがもたらす経済性を含めた総体的な公益、国民益みたいなものをどう実現していくかということにあるんだという話がありました。

 その中で、経済性の分野というのは比較的、大勢の皆さんが議論をするときに、数字上の問題で基準が明確になりやすい分野でありますけれども、高速道路が持つ使命の経済性以外の部分といいますか、例えば、参考人の議論の中にもありましたけれども、国防に関する役目、防災に関する役目、また、国民が高速道路の利便性を享受する、そういった面、こういった非経済面に関して評価をしていく、織り込んでいくときに、なかなか議論というのが地域地域によっても違ってまいりますし、その人その人、業界によってもまた違ってくると思うんですが、こういったものを、非経済性の分野を合理的に評価に組み込んでいく方法論ですとか手法、基準値みたいなものがおありでしたらお話をいただきたいというふうに思います。

加藤参考人 これも、私はその専門家ではありませんから、具体的にどういうふうにすればと言うことを持ち合わせているわけではありません。

 ただ、先ほどから幾つか上がりました国防ですとか病人をすぐに運べるかというようなこと、これはやはり私は、高速道路というものがすべてを解決する最大の手段だと考える必要はないんではないか。

 例えば、なるべく速く十分な施設が整った病院に運ぶということであれば、じゃ、高速道路をつくるかわりにヘリコプターを何台か常に用意しておいてという方が私ははるかに安く済むと思いますし、恐らく速く運べるんだと思います。国防上高速道路は全国津々浦々に至るところまで必要かというと、私はそれは必ずしもそうでもないんじゃないかと思いますし、じゃ、高速道路のかわりにそこに自衛隊あるいは米軍の基地があった方がいいではないかということを申し上げると、恐らく、いやいや、それはちょっと困るということも出てくると思います。ですから私は、そこはより柔軟に考えるべきではないのかな。

 先ほど来、ナショナルミニマムという言葉が出てきております。このミニマムという言葉は大変によくわからない。これも先ほど石田参考人がおっしゃったとおり、私も全くそのとおりだと思います。

 御参考までに申し上げますと、やや古い言い方をすると、やはりナショナルミニマムというのは、日本について言いますと、何にもないときに、子供が新しく世帯を持つに当たって、とても古い言い方かもわからないですが、なべかま布団ぐらいを親が用意してやろうか、そういう趣旨で、そのナショナルミニマムを達成するためにつくった仕組みの一つが例えば地方交付税といったようなものだと思います。それがいつの間にか、子供の方は、いやいや、やはり洗濯機も冷蔵庫も要るし、車も要るし、テレビも要るし、はっと気がついたら各部屋にテレビが一台ずつあるぐらいのところになってもまだナショナルミニマムは達成されていないというような、今の日本というのはそういう状況に近いんじゃないかと思っております。

 ちなみに、平成の初めから十年余りで、いわゆるナショナルミニマムを達成するのに必要、それを国が補助する仕組みである交付税、その交付税の算定根拠になる基準財政需要額というのが、平成になってから後の十年余りで倍になっているわけです。私はこれ自体も、ミニマムというのは何かという、余りそのレベルではなくて、個々にもっと柔軟な発想で、何が必要か、あるいは経済の発展とは何かということについて考える必要があるんじゃないかと考えております。

松野(博)委員 時間の関係で最後の質問になるかと思いますけれども、石田参考人にお聞きをしたいというふうに思います。

 民営化論という議論の中で、一方で高速道路無料化という案、議論も出ているわけであります。今の加藤参考人のお話の中にも、すべてを民営化という取り組み以外にもさまざまな、直轄方式とのバランスが大事じゃないかというお話もございました。

 この高速道路を無料化して、税を投入しながら債務の返済を図っていくんだ、また必要な道路をつくっていくんだ、そういうお考えに関してどのようなお考え、評価をされているかをお聞きしたいというふうに思います。

石田参考人 今回の法案でも、最終的、四十五年後までには無料化をするということで、同じところを目指していられるのだろうと思います。ただし、そのプロセスが違うということでございます。

 今回の法案の目的にもありますように、やはり四十兆円にも上る債務をどう確実に返済するかということが非常に大きな問題でございます。

 そのときに、日本の高速道路は、なるほど料金は世界最高で高いんですけれども、実際に高速道路を選択される方は、高いとは思われるものの、料金以上の便益を何らかの形で認められている、あるいは公正妥当なものであろうということの認識の上にお金を払って高速道路を選択される、そういう行為をされているわけですね。その選択の結果が年間二兆円以上にも上る料金の収入であるということでございます。

 これは、今必ずしも国の、あるいは有料道路の原則にはなっておりませんけれども、サービスに対する対価だというふうにも思っていられる方、感じていられる国民の方も、ユーザーの方も多いんではないのかなと思います。そのことをやはりどう考えるか、その収入をどう生かすかという観点がまず一点だと思います。

 それと、税を投入するということは、今まで使っていたところへの税の投入ができないということになります。例えば、都市内では環境問題あるいは安全の問題あるいは混雑の問題ということで、ますます、私自身はまだまだ道路整備が必要だというふうに思っておりますし、地方部におきましても、先ほども申しましたけれども、リダンダンシーの問題とか、あるいは防災上の配慮といった観点から、必要性は非常に高い。必要性が高いにもかかわらず、そこへ充当できる資源を高速道路だけに充当するというのは、いささか問題もあろうかなというふうに思っております。

 以上でございます。

松野(博)委員 地域経済の立場から、また企業経営の立場から、飛松参考人、上村参考人にお話をお伺いしたかったんですが、ちょっと時間の関係でできませんでした。おわびを申し上げます。

 どうもありがとうございました。

望月委員長代理 玉置一弥君。

玉置委員 民主党の玉置一弥でございます。

 きょうは、参考人の皆さん方には、大変お忙しい中、この国土交通委員会に御参加いただきまして、ありがとうございます。

 今回の高速道路民営化法案、これは私たち国民が期待しているものなのかどうか、あるいは道路行政のあり方がこれから変わっていくのかどうか、こういうところが大変大きな問題点だというふうに見ておりまして、私ども、政府の民営化推進委員会の成り行きからずっと注目をしてまいりました。そして、今回政府案が提出をされまして、まず一番びっくりいたしましたのは、民営化推進委員会が出しました意見書、これと政府案が大分違うなという感じを受けたんですが、先日、小泉総理に聞きますと、考え方は踏襲している、こういうことなんです。

 そこで、皆さん方にそれぞれお伺いしたいんですが、まず一番目、これからの受け皿のあり方ということで、上下一体民営化というものが推進委員会の案にあったわけでございますけれども、政府案で出てきたのは、上下分離で上のみが株式会社化ということでございます。

 それから、改革の目的の中で、民間企業の自主性確保、いわゆる自己責任でこれからの企業がやっていこうということでございましたけれども、これをできるだけ少ない国民負担で建設をするんだというのが政府案となりました。

 また、通行料金につきましては、永久に有料というのが民営化推進委員会の意見でございましたけれども、政府の方は四十五年後に無料化ということでございます。

 そして、一番の違いは、建設費は、民営会社が自己判断で、建設できるという判断をすれば自己調達をしなさいというものが推進委員会の意見でございましたけれども、政府案の方は、建設費用は政府保証をつけて調達をするということで、ここに政府の判断が入るということになりました。

 こういうところと、それから、最もの違いは、先ほどから話の出ております九三四二キロ、この建設について、建設が困難ということが民営化推進委員会の意見でございましたけれども、政府案の方は全線建設、こういうことになりました。今後の費用がふえないという、借金がふえないという推進委員会の大変大きな目標が、政府案では現状と余り変わらない、ある時期希望されればどんどんとふえていくということであります。

 それに対して、また民主党の案があるわけですけれども、これはお話を始めると非常に長くなりますのでやめます。私たちから見ると、やはり、政府のいわゆる答申を求める推進委員会がありまして、それに沿って政府案というのは論議されて出てくるというふうに本来は想像するんですけれども、今回、余りにも差があるということでございますから、それぞれ、どういうふうに受けとめられましたか、そこについてお聞きをしたいと思います。石田参考人の方からぜひよろしくお願いします。

石田参考人 民営化推進委員会の大きな意義は、やはり議論を公開で、すべてをオープンにして、国民の意識、注意を喚起したことだというふうに思います。そのことによって、いろいろなところでの議論のオープンネスといいますか、精度、信頼度が増してきたということでございます。

 ただし、委員もう既に御承知のように、民営化委員会の運営そのものにも随分いろいろな紆余曲折があったように伺っております。ですから、最終的なものが、尊重すべきであろうと思いますけれども、もう一度やはりこういう国会の場等で、きちんと議論されてしかるべきものだろうというふうに思います。そういう席にお招きいただきまして、非常に光栄でございます。

 そのことでいろいろな対立点の御指摘がございました。でも、基本的には、民営化委員会の意見書の最初の方に、必要性の乏しい高速道路はつくらない、債務、できるだけ少ない国民負担でやるんだということが民営化の二大基本原理であるということが明記してございまして、そのことを直接の目的とするという意味においては、政府案も同方向だろうと思います。ただ、手法が違う、そういう違いはあろうかと思います。

 一々細かく申し上げませんけれども、資金については自己判断で市場調達をするということでございました。そのことも、今回の法案は基本的には同じであろうということでございます。

 ただし、金利のこともございますので、資金コストを安くするために政府調達については一部つけよう、そういう御判断だろうと思いますし、九三四二につきましても、抜本的な見直し区間も入ってございます。それは先ほど来申し上げておりますけれども、整備スキームの見直しも公開の場で行ったということでございますし、高速道路についてはその債務を上回らないということも明記されてございますので、基本的には同じ方向だろうというふうに思います。

 そういうことと、もう一つは、高速道路はやはり国民共有の非常に重要な資産である、共有化すべきものであろう、そういう中において、国の責務というのは一定程度あるだろうというふうに思います。自己責任で、民間会社にすべてが任しておけるというふうには少なくとも私には思えません。

 そういう観点から、今回の法案は、国民負担の最小化、これは税投入も料金もそうでございますけれども、そういうことから非常に高く評価できるのではないのかなというふうに考えます。

    〔望月委員長代理退席、委員長着席〕

加藤参考人 まず大前提としまして、道路公団を民営化していくというのは、民営化推進委員会で議論される前に、これは政府がみずから閣議で決定したことです。ですから、ここからスタートしないといけないと思います。

 では、今回の法案なり、あるいは推進委員会で議論されたことが民営化に値するものかどうなのかという、そこが次の問題になってくるわけですね。

 ですから、そもそも民営化がいいかどうかという議論は別途あると思いますけれども、政府がスタートしたのは、民営化するんだという、そこからスタートしたわけですから、じゃ、政府はそこで言ったことについて、ちゃんと言ったことを実行しているかどうかというと、これは、推進委員会あるいは今回の法案で、残念ながらどんどん後退してきていると言わざるを得ないと思います。

 特に、私の記憶では、推進委員会の設置法の審議の締めくくり総括の答弁のときに、小泉総理が、立て続けに六、七回、最終的にはこの会社は上場するんだという言葉を使われました。ですから、じゃ、今回の法案が、上場、小泉総理が公式の場所で、国会という場所で上場するんだと約束されたことが実現できるかどうかということを考えると、残念ながら、ほとんどその見込みはないんじゃないかと思います。

 推進委員会の意見書と今回の法案との比較を若干いたしますと、私は、推進委員会は何とか辛うじて民営化という形を実現できるぎりぎりのところだったのではないかなと思っています。

 幾つかありまして、先ほど玉置委員おっしゃいましたように、上下一体ですから資産と負債を、当初スタートしたところは上下分離ですけれども、十年間たったら資産を買い戻すということですから、会社が資産と負債を自分が保有して、それを自分の責任で意思決定していく。ですから、十年先ということにはなりますけれども、そこはぎりぎり担保されているわけです。

 それから、建設をする場合には、それは政府保証はなくて自分で金を借りてというところも一応何とか担保されてきておりますし、それから、新会社の採算を超える建設投資というのは、これは国なり地方自治体の費用負担を前提にした別の制度により対応しているということで、そこもきちんと明記されておりますといったような幾つかのところで、みずから判断する、自主性を発揮できる余地が辛うじて残っていたのではないか。

 そのいずれもが今回の法案ではなくなっているという意味では、小泉総理が最初に約束したような仕組みが守れていないわけですし、民営化委員会の設置法の第二条、これが「所掌事務」ですけれども、ここで、民営化委員会の仕事として「民営化を前提とした新たな組織及びその採算性の確保に関する事項について調査審議し、その結果に基づき、内閣総理大臣に意見を述べる。」と書いてあります。

 意見を述べる、ここは意見を述べるだけでありますから、それに絶対従わないといけないということではないんですが、その第二条の第二項に「委員会は、前項の意見を受けて講ぜられる施策の実施状況を監視し、」云々とあります。

 これは、意見を述べたものは、政府はそれを最大限尊重して、大体それを受けてというのは、単に聞き流すということではなくて、やはりそれを受け入れてということだと思います。受け入れてという前提があるからこそ、実施状況を監視するというわけですけれども、今回のこの法案というのは、受け入れた形にはなっていないですから、実施状況の監視も何も、前提が崩れてしまっているな、そんな感じが私はしております。

玉置委員 あと、同じ意見をお伺いしようと思ったんですが、ちょっと時間が十五分ぐらいずれておりますので、圧縮する意味で、違うことをそれぞれお聞きしたいと思います。

 飛松参考人にお聞きいたしますが、最初は、新設はつくらないというお話でございました。そのときと、今回政府案のときと、この受けられた印象をまずお伺いしたいということ。

 それから、先ほどのいろいろな資料、お伺いしますと、今、六十万人ぐらいの経済活動を通じた方たちが三百五十万ぐらいに非常に拡大される、六倍近くなるということで、そのお話だけを聞きますと、非常にこれはすごいし、何とかしなければ、こう思うんです。

 私たちからすると、例えば今はプール制で、個別料金じゃなくて、いわゆる国幹道路としての扱いを受けられる、全国平均レベルを使っての料金設定ということになるんですが、分離された場合は、そのウエートが若干地方に高くなるような形に料金が設定されていくのではないかというふうに思います。

 そういうときに、やはり多少高くとも、経済性という面から考えて、大いに活用すべきだ、建設すべきだとお考えになりますのか、あるいは、料金は別問題ということで、何らかの措置をとらないといけないというふうにお考えになるのか、その辺を含めてお伺いしたいと思います。

飛松参考人 先ほどの御質問にお答えしたときにも触れたかもしれませんが、私ども、今回の政府案につきまして、百点満点とは思っておりません。セカンドベストと申し上げましたけれども、それでも合格点はとれるというように考えているわけでございます。

 それは、やはり地方に住んでいる者にとりまして、民営化委員会の議論の過程において、凍結だ、つくるな、むだだと言われたことについて、かちんときておりまして、委員会の公聴会にも出まして、大分私ども頭にきた話が多かったのでございます。

 そういった点が、今回の政府案では、いろいろのからくりがあるのかもしれませんけれども、九三四二につきましてはおおむねできそうだ、あるいはその先の基本計画路線につきましても、いろいろな基準によってパスすればつくれそうだというように受けとめておりまして、その意味で、九州としては、着実な整備が進むというように受けとめている次第でございます。したがって、よかったというのが正直なところでございます。

 それから、料金設定の問題でございますが、これも先ほどちょっと申し上げましたけれども、私どもは、ぐずぐずしているとまたつくらないと言われちゃかなわないから、県費を出しても早く新直轄をやろうというような踏み切りをしたわけでございます。

 したがいまして、多少有料料金が高目になってもそれはやむを得ないかもしれない。だけれども、その前提として、今回の議論の過程で明らかになりました野方図であるとかもたれ合いであるとかいろいろ出てまいりましたが、その辺は、当然のことながら十分会社経営として吟味された上での料金設定が出てくるはずだ、その上での料金であれば首肯し得るというように考えております。

 以上でございます。

玉置委員 引き続きまして、上村参考人にお伺いしたいと思います。

 先ほどお話の中で、今の経済状態とかあるいは物流等を考えた新しいルートづくりというものがやはり必要だというお話でございます。

 昔は、地域と地域を結ぶのが高速道路だというような観点で、地域を想定しながら道路ができてきたと思うんですが、おっしゃるように、港湾、空港とか、施設とか、あるいは都市のどういう部分とかいうように、はっきりした目的でつなぐというのはなかなかなかったんですね。そこを多分言われているんだと思いますけれども、今回の道路をつくることになった政府案ですから、大いにそういうのは活用をされていいと思いますが、やはりどういう道路を目的につくるべきだということをお考えになっているのか。

 そしてまた、料金ですけれども、今はプール制で、今度区分されますね。物流コストからいうと、いろいろなレートの違う道路を通っていくようなことになってくるので非常に積算が難しいと思いますけれども、この料金のあり方についても御意見ございましたら、お述べいただきたいと思います。

上村参考人 まず、どういう道路をつくるのかなんですが、高速道路というのは、時間と距離というものを、要は非常に変えてくれるわけですね。つまり、距離が遠くても近いということ、距離が遠くても時間的には短いということを可能にしてくれるものが高速道路だと本来思うんですけれども、日本は以前の私流に言わせればオールド経済体制のときには、どちらかといえば輸出を中心として、輸出国だったと思うんですが、やはり輸出を中心としてロジスティックを考える、道路網を考えるというもので今の道路の計画はできてきたと思うんです。

 九千三百四十二キロは多分そのころにできたと思うんですけれども、むしろこれから輸入が多くなってくるわけですから、日本が消費の国、輸入をこれからももっとしていく、そういうときに、私は、主要な空港、港湾から絶対三時間以内で物が届くというところが一つのめどかなというふうに物流の面からは思っております。

 それから、先ほど政府案と民営化案というので、私には聞かれなかったんですが、そればかり考えていたのでちょっと言わせていただきますと、恐らく民営化案というのは、民営ということに非常に忠実というか、先ほども言いましたように、最先端のいわゆる金融の経済手法を使っておられる。

 日本の場合、時価会計だ、減損会計だというのはまだこれからですよね。それから、ディスカウントキャッシュフローで、現在割引価値を出して今の時価評価をするというようなものもまだこれから、今一生懸命政府の方でも、国際水準に合わすとか合わさないとかどうするとか、税法との整合性をどうするとか、まだそこ自体が日本の中でこなれていないのに、それよりももっと進んだ最先端の手法でもって、債務超過であるとか債務超過でないとかというふうな議論がずっと進んでしまったというのが、私には非常にちょっと進み過ぎているなというふうにまず感じました。

 思想と哲学が全然違うというのは、国民的共有財産である道路はそもそもそういうものであるという考え方と、そうではなくて、民間に払い下げるというか、そういうことをしてもよいという考え方との大きな大きな思想的な哲学の違いがあると思います。その上に成り立って、いろいろなルールを出してきておられるわけです。

 私は、上下分離でいいと思います。これからの時代というのは物を持たない時代、民間企業でも、どんどん全部売って、リースバックをやって、物を持たない。軽く軽く、アセットを軽くしていっている時代ですから、今度の民営化法でも当然アセットを持たない経営というのはあり得るし、その方がかえって採算がはじきやすい、わかりやすいんだろう。でないと、上下一体になりますと、不動産なり路線の時価換算というものの計算方法がまた非常に複雑になってまいると思います。そういうことです。

 ちょっと先ほどの質問からそれてしまいましたけれども、区分されるから料金がややこしくないかということでございますが、それはやはりややこしいと思います。しかし、工夫があると思います。今、スルーで全部、ETCでもスルーで行くわけですから、それこそ情報化をうまく、情報の機器をうまく利用しながら、一つ一つ、そんなに一々お金を払わなくてもいいというような、そういった工夫というのが可能であるというふうに思います。

 以上でございます。

玉置委員 私たちは、今回の民営化は国民に対してどんなメリットがあるんだろうということが非常に関心があるわけでございます。

 特に、四十数兆円と言われる債務、これをどういう形で償還していくのか。ここには、いわゆる料金の中に含めた償還財源を生み出す、こういう形で償還をしていくわけでありますけれども、私たちの民主党の案の中には、一部をやはり税金で賄うべきという考え方が従来からございます。

 というのは、自動車関係諸税が五年ぐらい前から余りぎみだ、あるいはもうちょっと前から余りぎみで、拡大解釈をされて自動車関係以外のところに使われてきている。そういうお金が大分たくさん出てまいりまして、それともう一つは、最近新設をされる高速道路の仕様あるいは一般国道の仕様が非常にぜいたくになっているということで、そこから十分財源が確保できるのではないか。

 ですから、例えば建設費用の二割削減、三割削減、先ほども表にございましたけれども、あれでいくと半分以下になっているはずなんです。少なくとも本当にそういう状態があるのではないかなということを想定いたしまして、今、地方と国と合わせて六兆円強、六・五兆円ぐらいの自動車関係諸税があるわけですけれども、国で使っておられるのがたしか四兆四千億円ぐらいですね、二兆円が地方。四兆四千億をむだに使うならば、少なくとも一兆数千億ぐらいは償還財源に充てられるのではないかというふうに思います。

 まず、償還をなぜ料金だけでやるのか、あるいは、なぜ自動車関係諸税の余裕分を念頭に置いた計画がないのかということで、どちらを考えればいいのかというのが一つと、ちょっと時間がないのでまとめて言いますけれども、今後、民営会社として経済的なインセンティブがなければやっていけないだろうというふうに思うんです。これを、今後の課題ということで先ほどもお述べになりましたけれども、このところについて、どういうインセンティブを与えれば民営会社として生き抜けるか。この二点について、特に石田先生と加藤先生、それから上村先生にお伺いしたいというふうに思います。よろしくお願いします。

石田参考人 道路関係の税金の投入ということでございまして、先ほども松野先生の御質問に対してお答えをいたしましたけれども、道路あるいは交通の整備というのは、まだまだ必要とされる箇所も多いんじゃなかろうかと思います。都市内の歩道がない貧弱な道路で子供さんが通学も怖いとか、あるいはバリアフリーの問題とか、あとは環境問題等がありまして、なかなか余裕はないんじゃなかろうかなというふうに思います。

 もちろん、ぜいたくにし過ぎることはだめで、費用の縮減には最大限の努力をすべきであろうとは思いますけれども、いろいろなニーズを考えましたり、あるいは提供されているサービスレベルを考えますと、必要とされるところはまだまだあって、せっかく二兆円を超えるお金を払っていただいているので、それについては、襟を正してコスト縮減に努めながら、あるいは効率的な事業に努めながら、きちんと使わせていただく、償還に向けて使わせていただくということが大事だろうというふうに思います。

 あと、民営会社のインセンティブでございますけれども、料金には利潤を含めることはできないということでございましたけれども、大学も四月一日から独立行政法人になって、職員の働きがいとは何だろうということをいろいろ考えているわけでありますけれども、いい仕事ができる、やりがいがあるということが、やはり職員あるいは経営陣にとっても最大のインセンティブだろうと思うんですね。

 そういう観点からすると、できるだけ早く早期に償還ができる、あるいは、あまねく高速道路の便益が国土全体に及ぶような、そういう使命感に燃えた仕事ができるということ、その見返りとして若干の処遇の改善もあろう、そのようなことが少なくとも私自身が考える働きがいにつながっていくんじゃないのかなというふうにも思います。

 ですから、そのことをどう担保できるか、協定のあり方、あるいは事業計画のあり方について、今後こういう場、あるいは関係の機関で、精力的な議論が速やかに展開されることを非常に望んでおります。

 以上でございます。

加藤参考人 今玉置委員がおっしゃいました、償還財源として税金を使えばいいではないか、私は全くそのとおりだと思っております。

 これは、一つには道路特定財源の問題があると思います。ですから、今の仕組みでは、道路特定財源というのは一般的な国道をつくるお金だけに回されて、国道及びその周辺の事業も含むわけですけれども、高速道路を中心とする有料道路はあくまでも利用者が負担する、こういう仕切りになっているわけですね。ですから、私は、この仕切りそのものを見直すことも今回の改革の中には本来あったと思っております。

 民営化をするからといって、これが全く別々ということはないわけでして、当然四十兆円という膨大な債務があるわけですから、四十兆円をすべてしょった組織は、これは会社として成り立つ形ではないわけですね。

 ですから、民営化をしようと思えば、四十兆円の例えば半分としてもいいです、これは棚上げをしておかないといけない。その上で残ったもの、これはもう、きょうのお二人の参考人は企業経営の御専門家ですから、そこはもう十分おわかりだと思います。後で、むしろ私よりも両参考人にお話ししていただくと貴重な御意見が伺えるんじゃないかと思いますけれども、その会社としてしょえる部分に限定して、そこについては大いに経済的なインセンティブを働かせてもらって、自力で一生懸命返してもらう、残りの棚上げしたところについては、これは税金でもって処理していくしかない、これが本来の民営化ではないか。税金で処理していく上で、特定財源をこれに充てるということは大いに本来考えられた。その方が日本の税金を有効に使うという意味でははるかにすぐれた仕組みであったと思います。

 ところが、今回の案では、残念ながらそういうことになっていないと思いますし、では、企業としてどういうインセンティブがあるか、どういうインセンティブを与えられて、その返さないといけないものについて一生懸命返していくかというところについても、これは、先ほど来出ておりますけれども、資産も債務も自分で持たない会社には、幾らその経営者が自主性がある、コスト削減をすると言っても、そのインセンティブはもともとほとんどないと言っていいのではないか。ですから、これは仕組みにもう既に問題があると言わざるを得ないと思います。

 私は、本来であれば、民営化された会社が利益を上げていいと思います。その利益というのは、これは、一部の論者、民営化委員会の委員の中にもそういうことをおっしゃる方がいましたけれども、それは、職員の給料アップというようなことになって、職員を利するだけではないかということですけれども、利益の定義というのは、これは、残余、給料なんかを払った残りの部分ですから、それを配当で配られるわけですね。

 この場合には、当初は、この会社の場合には国が株主ですから、利益は国に入るわけです。ですから、大いにインセンティブを与えて、その利益が国に入るのであれば、それは、利益という形で入ろうが、返済資金という形で入ろうが、国庫の中に入る、同じことですから、私は、そういう仕組みが本来あってよかったのではないかと考えております。

 もう一つ、全く別な話としてですけれども、最初の道路特定財源について言いますと、私は、もう既にこの特定財源の使命は終了している、ですから、これはこれでどうするかということをぜひ国会で御議論していただきたいなと考えております。

上村参考人 高速道路は、高規格幹線道路と正式には申しますけれども、高規格という意味でいいますと、まだまだ高規格でないところが本当に多うございます。

 つまり、何が言いたいかといいますと、私ども物流業者の中で、まだまだ一般道路の中では、十トン車ですとかトレーラーですとか、そういったものを通すには幅が足らないとか、アスファルトの荷重がそこまでいっていないというような道路が日本じゅうにはいっぱいございまして、そういう意味では、やはり高速道路は高規格幹線道路ですから、そういう一つの観点からも、整えるという必要性、そのところも決してお忘れなくと思います。

 そして、今の件ですけれども、私は、償還というものは、これは四十五年以内になっていますから、必ずしも四十五年目いっぱい使わなくてもいいんだろうと思います。もし四十五年までで繰り上げ償還ができれば、そうした場合には何か割り戻しがあるだとか、そういうインセンティブを与えてみればどうかなと思います。

 ただ、これは、今の政府案では、利益を出さない。道路特定財源も私はぜひ使ってほしいのは、今本当に、結節点、いわゆるインターチェンジ付近、結局、物すごく渋滞して、高速道路に乗れば結構スムーズにいきますけれども、乗るまでのところの道が、あるいは高速道路自体の設計が古いままになっていたりというふうなこともたくさんあるんだろうと思います。

 ですから、今はもう十分じゃないかということではなくて、そういった機能が、かつてつくった機能が今ちゃんと十分働いているか、そういうチェックをしながら、ぜひそういうものにもやはり私は使っていただきたいと思いますし、それをどういうふうに考えるか、利便性と利用頻度と、それからそういった整備というふうなもののあり方をどう考えるのかというのは、その地域地域、そのインターチェンジの中で、路線路線の中で考えていくしかないんだろうと思います。

 それから、企業経営の中で借金がゼロというふうな企業は、基本的にはないわけでございます。だから、本当は、高速道路というものを最終的には無料化にするということがなければ、しかし、高速道路はあくまでだれのものかというと、国民の共有財産だから、最終的に無料にするということだからこそ、借金の償還を急いでやって、早く無料にしようという考え方なんだろうとは思うんですけれども、もう全く企業経営的な考え方でいえば、利息が払えればそんなに別に慌てて返済ばかり急がなくてもいいという考え方も成り立つわけでございます。しかし、高速道路というのは本来そういうふうに考えるべきものではないのだろうというところで、私は、四十五年以内という、以内のところで、今回五つに分かれるらしいんですけれども、みんなが競いながらというところでやる気を起こしていただけたらと思います。

 それから、民営会社のインセンティブは、本体ではなくても、関連事業の中でいろいろ考えられるんじゃないでしょうか。私自身がぱっと考えつく中でも、飛行機のように料金がマイレージみたいにたまっていって、何か後の観光だとかホテルだとかショッピングだとかそういったものにも、ポイント制でマイレージのようにたまるといいなと思ってみたり、そういったこともできるでしょうし、また観光事業もできるでしょうし、それからインターチェンジを使った新しい物流配送センターも考えられるでしょうし、またそこを使って、なかなか市街地では自転車のロードレースだとかいろいろなロードレースとかできませんけれども、マラソンの会場にもなるでしょうし、夢のあるいろいろな関連事業の中でインセンティブは考えられる、アイデアでいけると思います。

玉置委員 最後の質問にしますけれども、飛松参考人にお聞きしたいと思います。

 東九州に高速道路がつきますと、JR日豊本線がかなりの影響を大きく受けるのではないかという心配も私たちはしております。

 人口がふえればそれもまた逆に取り返すということになるわけでございますが、その辺の論議が地元でなされてきたのかどうか。あるいは日豊本線の将来についてどういうふうなお考えがあるのか。

 それから、もう一つは、インターチェンジのつけ方でございまして、今、上村参考人がおっしゃったように、インターチェンジをうまくつければ、混雑解消になりますし、いろいろな地域との結びつきを強めることができるということで、非常に大事なポイントだと思うんですね。

 そういう面で考えていって、インターチェンジを地元で準備されて、ここにつけてほしいとか、お金をある程度出すとかいうような用意があるのかどうか、その辺を含めて、ちょっと最後にお伺いして、終わりたいと思います。

飛松参考人 大事な御質問だと思います。

 日豊線、要するにJR、鉄道との関係でございますが、現状から申し上げますと、日豊線の利用者は、地元の方ではない、要するに時間のゆっくりある方々でございまして、これは、高速道路が通ろうが通るまいが、やはり鉄道の旅を楽しまれる方。あとは、近距離の、地元民でいうと通学生でございますね、これは時間が正確だというようなことでしょうか。したがいまして、今のところ、産業人として見ますと、JRと競合する部分は余りないというように考えております。

 もっと平たく申し上げますと、私どもの日本地図の中に、福岡からの時間距離について書きますと、延岡、それから都井岬、日南、これが五時間以上で、一番遠くなっているわけですね。非常にゆがんでいる。これは、JRであればまさに鉄道の長さで決まっちゃうわけでございますが、高速道路は、工夫一つで遠くにあるものが近くなるわけでございまして、産業人としては、その時間のメリット、それが際立っているということに着目したいと思っております。

 それから、インターチェンジの問題でございますが、これまた微妙な問題でございまして、我も我もとつくるようになりましたら、高速道路でなくなってしまいます。したがいまして、やはり地域計画の上でのポイントを絞ってつくるべきである。

 したがいまして、一般道路と一緒になってしまったような高速道路ではやはり高速道路とは言えませんので、そうなるともっと、二車線ではなくて四車線欲しいということになると思いますので、幹線道路らしい高速道路をつくっていただきたいというのが正直なところでございます、お答えになっておりませんが。

玉置委員 ありがとうございました。終わります。

赤羽委員長 高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、参考人の皆様方には、大変お忙しいところを当委員会にお越しいただきまして、貴重な御意見を拝聴させていただきましてありがとうございました。

 それでは、早速質問に移らせていただきたいと思いますけれども、先ほどから、今回の道路公団民営化の問題ということで、その目的の部分、四十兆にも上る債務をしっかり返済できるのかどうか、こういったものが大きな目的であるというような発言がございました。

 四人の方、それぞれお立場が違いますけれども、四人の参考人にお伺いしたいのは、四十五年かけて返す、逆に言うと、石田先生の方はこれをかなり評価され、加藤先生の方は、これはなかなか厳しい、もっと言えば、そういうプール制、償還主義が今まで先送りをしてきたじゃないか、これは余り変わっていないみたいな、そういう評価をされているんです。

 正直、四十五年後というのは、加藤先生から先ほどの御発言にもありましたように、ここにいるメンバーというのはほとんどいないであろうな、いらっしゃる方もいると思いますけれども。ただ、正直、四十兆もの債務というものを返済するときに、では、一年、二年で返せるかというとこれは返せないわけで、やはり長期間にわたるであろう。

 これは端的にお伺いしたいと思うんですが、四人の方にそれぞれ、この四十五年で返すというのが今回のスキームにおいて可能であると思うのかどうか、ここをお伺いしたいと思います。

石田参考人 いろいろなところで議論されて、いろいろなところでいろいろな推計も行われて、数字上は可能だということになっているというところだと思います。

 そのためのスキームをどうするかということでありますけれども、先ほども申しましたように、これから四十五年という長い中にはいろいろなことが起こるでしょう、そのことに対してどういう対応策が講じられるか、そういう仕組みをどのように今考えるかということだと思います。

 そういう観点からしますと、中期目標、中期計画を、国と相談しながら、あるいは国がお決めになるということでございますし、協定につきましても、五年を目途に改定をしていくということになっておりますので、その仕組みをいかにうまく活用するかというところにかかっていると思います。

 そのときのキーポイントは、何度も申し上げておりますけれども、やはりすべてを公開の席でいろいろな人に議論してもらって、いろいろな観点からの見方を盛り込んでいく、そういうことを柔軟かつ迅速にやっていくためのいろいろな規則とか仕組みをさらに具体的に設計していくことが今後必要だと思います。

 そのことにつきましては、先ほど来申し上げておりますけれども、これは加藤先生と大きな違いではありますけれども、ここ数年間の国の動きは非常に評価すべきものがあって信頼できるのではないのかなというふうに私自身は考えております。

加藤参考人 これも繰り返しになりますが、結論から申し上げますと、極めて困難だろうと思います。

 私は、人間というのは、何でもそうですけれども、今まで何をやってきたかで世間の評価が決まるものだと思います。ですから、先ほど、参考一、二、三の中で申し上げましたけれども、幾らできるできると言っても、できるとはだれでも言うものですから、では、あなたはどうだったんですか、過去、本当にできるできると言ってきたことはできたんですかというところでやはり判断しないといけない、そこに尽きると思います。

 少しつけ加えますと、四十五年ということを設定すること自体が、これも繰り返しになりますけれども、民営化になっていないわけですし、コスト削減ということがいろいろ言われます。しかし、この四十兆円、大部分がこれは金利負担分なんですね。ですから、建設コストを少々削減する、あるいは道路を少し規格を下げる、あるいは、いわゆるファミリー企業というところで言われているようなものを、もっといろいろうまいビジネスをするといったものでは、到底、けたが二つ違うレベルですから、そういうあらゆる努力はもちろん当然すべきですけれども、しかし、残念ながら、それでは間に合わないと思います。

 ちなみに、民営化委員会の中でされた試算というのは、たしか金利が四%ぐらいで行われております。もしこれが一%、二%、数%上昇すれば、この四十兆円というのはあっという間に百兆円を超えるわけです。

 これも御参考までに申し上げますと、皆さん御承知のことだと思いますけれども、いわゆるファミリー企業が行っているSA、PA、サービスエリア、パーキングエリアのビジネスというのは、合計して、売り上げで大まかなところ三千億円程度、たしか利益が七百億円程度だったと思います。これに対して、道路公団、日本道路公団だけとってみても、売り上げと言える、それに匹敵するものでいえば二兆一千億ぐらいですし、利益に匹敵するものでいえば一兆二千億ですから、けたが二つ違うわけですね。ですから、金利がどうなるかということだけでもう決定的に違う。

 ですから、細々した歳出カットというのは、これはもちろんやるべきですけれども、やはり仕組みのところをどうするかというところがほとんど決定打になる。それからすると、残念ながら見通しは大変難しいなと思っております。

飛松参考人 お答えしにくいお尋ねだったと思うんでございますけれども、経済人の立場で申し上げますと、十年で返すと言われれば、とんでもないという感じでございます。

 一方、加藤先生が言われるように、気の遠くなるような先だと言われればそうかもしれませんけれども、やはり四十五年、しかもそれは限度であるという償還の期限の日取りでございますから、いろいろ議論の過程で出てきた問題等を詰めていけば、そのくらい時間をかければ返せるんではないかという意味で、絶対不可能だというようには考えておりません。

 私ども、お金を貸す場合でも、銀行でございますが、それが何の見合いなのか、今度の場合は道路、補修管理は必要でございますが、永久に使われる道路というふうに考えますので、通常の設備投資資金のように十年そこらで計算をする必要はないだろうというようなことも言えないではない。

 ただ、金利の動向というのは、これはいかんともしがたい部分もあろうかと思いますので、絶対と言われると、そういう絶対と言えることは世の中にあり得るはずがないと思っていることも申し添えなきゃいけませんけれども、現在考えると、この四十五年というのは、まあ、いいところかなというのが率直な印象でございます。

 以上でございます。

上村参考人 私も、皆さんおっしゃるように、これからの金利動向というのが非常に大きなかぎだとは思います。

 まず、四十五年というのは、本当に、その間に経済のどんな大きな変化が来るかというのがかなり予測がつき切りません。しかし、今から前の四十五年を考えますと、やはりある程度のインフレというふうなものは予測できるのかなと思っております。過去から現在にかけてはそうだったと思います。

 ただ、今までの四十兆円の中身というのは、これは一番日本の土地の地価の高いときの用地買収というのが結構多かったんだろうな、もちろん金利もそうですけれども、用地買収に結構お金がかかったんだろうなという気がいたしますので、これからつくっていく分に関しては、今までのような形での用地買収の費用は要らないんだろうというふうに思っております。

 ただ、この四十兆円というのはもう確定しているわけですけれども、ただ、返済表を私も拝見させていただきましたが、四十五年間のしっかりとした返済表を幾通りもつくっておられました。やはりこれは、借金というのは、返す気があれば返せるんだと思います。また、返すというような形での毎年のいわゆる数字に対するチェックがあれば返していけるものだろうと私は自分自身の経験から思っております。

高木(陽)委員 続きまして、高速道路の整備の必要性ということでちょっとお伺いをしたいと思うんですが、飛松参考人また上村参考人、地方の代表というか、そういう声を先ほどおっしゃっておられましたし、また、経済の視点からも言われていたと思うんです。

 その一方で、これからの高速道路整備ということで、今回のスキームでは新直轄方式等々も入れていくという話でありますけれども、交通需要が少なくとも、地域の医療、地方産業、先ほど加藤先生はヘリコプターだとかも使った方がいいんじゃないかみたいな御提案もありましたけれども、やはり、地域によってかなりニーズが違うのであろう。

 私自身も、東京の出身で、東京は道路があるからと思う反面、一方、これだけ渋滞しておりますと、環状道路を早くつくってもらいたいという要望もございますし、これまでの二年間ぐらいにわたる民営化論議の中に、よく言われたむだな高速道路、むだな道路はつくるな、そういう発言がいろいろなところであったんですけれども、このむだな高速道路というのが実際あるのかどうかですね。

 例えば、費用対効果から見たらそういう角度はあるかもしれませんけれども、トータルに見て、むだな高速道路というのがあるのか。例えば、規格や構造、これが過大であったりして、有料道路にした場合に需要が低迷して採算が合わないということでのむだという言い方はあると思うんですけれども、本質的に、やはり道路というのは必要なところにはつくっていくと思うんです。この点について、それぞれのお立場でお伺いをしたいなと思います。

石田参考人 むだな道路はあるかということでありますけれども、やはり、かかる費用との関係及び国民の負担との関係で考えるべきだろうと思うんですね。

 そういう意味からいたしますと、今回の案の中では、すべてが費用便益分析、しかも、便益については非常に抑制的に、余り過剰な推計をしていない、そういう数字でありますけれども、費用便益分析の結果がいずれも一以上である、社会的に見て効果がありますよということのクリアをしております。

 需要予測あるいは費用見積もり等に基づいたものでございますけれども、このことについてはオープンな議論をされている。したがって、ある程度信頼できるだろう、今ある一番いいものであるという意味で信頼できるだろうと言っていいと思います。

 そういうことからすると、今回の中で言われている道路については、むだな道路というのはないだろうというふうに思います。

 ただ、道路は、あれば非常に便利で快適でいいんですけれども、やはり財布の方も考えないといかぬ。そのことについては、ユーザーにお願いできるところは有料道路方式で、あるいは、有料道路方式の負担について軽減するために、税投入をするという意味での新直轄方式という、いろいろなメニューを用意されましたので、整備方式についてもより効率的になったのではないのかなというふうに思います。

 以上であります。

加藤参考人 むだであるかどうかというのは、これはもう議論で決着がつかない話だと思いますね。恐らく、道路の周辺に住んでおる方にとっては、いや、それはないと困るということですし、たまたまそこに行った旅行者が、それこそよくテレビのニュースなんかでやっていますけれども、いや、一時間待っても通った車が十台ですねみたいな、これだと、ほかの地域の人にとってはむだに見えてしまう。ですから、ここは議論の決着がつかないところだと思います。

 ですから、あくまでも、今、石田参考人がおっしゃったように、費用との兼ね合い、これは、すべては高速道路の場合には今までは利用者が払ってきたわけですけれども、利用者、あるいは、もっと広く道路一般について言えば国民が税金で負担しているわけですから、あくまでも限られたお金でどれだけつくるかということの見合いということだと思います。

 そういう意味では、私は、むだであるかどうかということ、必要性ということを議論するときに、四十兆円、あるいはそれが五十兆、六十兆と膨らむかもわからない、その借金を抱えているということの経済的な問題なんかも含めて、やはり総合的に議論する必要があるんだと思います。

 むだであるかどうかということについて一つだけ具体的な例で申し上げますと、今、第二東名・名神高速道路というのはもう既に建設中であります。私は、聞きますところ、とにかくこれ、残り全部完成させるために、この民営化の議論が進み出してから、建設工事が一段とピッチが上がったということも聞きますが、第二東名がどうかということで考えますと、これは、今の東名というのは日本の大動脈だから必要だ、それにしょっちゅう込んでいるではないかというイメージをもとにした議論がよく行われますけれども、イメージというのは怖いものですね。よく込んでいるのは、例えば東京から厚木とか、この辺でして、静岡県から向こうに行くと、ゴールデンウイークのときでもそうは込まないなと思います。

 そこにもう一本つける。つけるに当たっては、たしか私の記憶では、前提が、中央高速も今の東名、名神も、今の交通量が全く同じで、さらにもう一本つけて、それで一・三倍とか四倍とか、それぐらい交通量がふえるという前提ですけれども、国民経済的に、先ほどのお金の使い道をあわせて考えると、私は、それぐらいのところにさらに第二東名をつくるのであれば、それこそ宮崎県とか九州とか北海道につける方がむだが少ない、そういう判断もできるんだと思いますし、そのあたりが、どうもきちんとした計画、戦略性というのがない、そこに問題があるのではないかと考えております。

飛松参考人 意見が一致した点もあってうれしく思ったのでございますけれども、四十兆の借金会社の問題と、それから公共財である道路の是非というのがちょっと違うと思うのでございます。

 道路というのは、今話題になっております高速道路は骨格道路と言われまして、やはり骨がなくなっては、人間、崩れるわけでございまして、ぜい肉部分、要するにぜいたくきわまりない立派な道路をつくるということは必要ないけれども、骨組みである例の九三四二ぐらいは、これはやはりぐずぐず言わないで早くつくれ、あとは頑張るぞ、こういうのがある意味じゃ経済人の見解じゃないでしょうか、心配していると前に進まないということもございますし。

 田舎で見ていますと、東京に来ると、つくったってまた渋滞するんだからむだだという気もいたします。一方、東京から遊びに来られた方が来られて、一時間あるからちょっと行ってみたいとおっしゃる。例えば高千穂に行きたいとおっしゃる。いや、これは一日あるいは一泊していただきますと言うと、みんなびっくりして、田舎だなとおっしゃる。その屈辱感のもとに生きているわけでございますので、むだと言われるかもしれませんけれども、やはり骨組みはぜひともお願いしたい。その上でむだかどうかの議論もお受けしたいと思っております。

 失礼しました。

上村参考人 むだかどうかなんですけれども、ある高速道路のある特定の部分だけをとらまえて、たまたま全く車がないというふうなことでよくむだであるというふうなことになりますが、やはり道路はネットワークだということと、それから、部分最適ではなくて、やはり全体の最適化を考えていかなければなりませんので、その部分だけをとらまえるという議論は、私はとても、それこそむだじゃないかというふうに思います。

 それから、需要予測ですけれども、需要予測の仕方が、今までの旧型の経済体制の延長線上で需要予測をしておると思います。借金返済も、四十五年後、二〇五〇年ぐらいを目標にするわけですから、需要予測も含めて二〇五〇年ぐらいから現在を見て、そして、二〇五〇年の日本がどうあるべきか、そのときの産業構造がどうあって、どういう人口分布に持っていきたいか、どういうふうに都市の再生を図りたいか、その中で高速道路もどういうふうにつくりたいか、借金返済と同時に、日本の二〇五〇年もあわせて考えながらぜひ需要予測もしていただきたい。そのときに、逆に、これぐらいのいわば需要予測が成り立ち得る、それぐらいの大きなデザインをかいてもらいたいと思います。

 それから、先ほど関西の、近畿のところを地方と言われてちょっとショックを受けていまして、東京の方から見ると東京以外は全部地方なんだなと思っております。関西も地方かもしれませんが、でも、決して関西人は関西を地方だと思っておりませんで、そういう意味では、言葉の問題ではありますけれども、第二名神の問題は、それこそ国の背骨という言い方を今なさいましたけれども、本当に骨格的なところでございますので、ぜひ、その背骨のところがちょん切れてしまいますと、私は成り立たないと思います。

 それから、むだという意味でいいますと、抜本的見直し区間に入ってから、これはずっと凍結のまま手つかずで、いろいろなものがとまっているんです。道路というのは恐らく十年二十年かけてやっと完成するようなものですから、もう土地の買収だとかいろいろなものが始まっておると思います。それが全部金利になってついていっているんだと思います。凍結の間もずっとこれは金利になってついていっている、これほどむだなことは私はないと思います。

 やるならやる、本当にだめならだめと、逆に早く結論も出していきませんと、先行した投資に全部金利がついていってしまう。もし仮にやめになったとしたら、これはまたコンクリートの塊みたいなものを壊して、そしてまたどこかへ捨てに行かなくちゃいけない、これもまた非常に大きなむだになってしまう。単に、やめれば採算が合うかというと、そんな単純なことではありませんで、やめるにはやめるなりのまた大きな費用が発生するということもぜひお忘れにならないでいただきたいというふうに思います。

高木(陽)委員 先ほど地方という言い方をしました。地域というふうに言いかえて、地域の代表ということでよろしくお願い申し上げたいと思います。

 今回の新直轄方式でいきますと、地方の負担がふえていく、ふえていくというか負担しなければならないというのがございます。これは釈迦に説法でございますけれども、道路公団がスタートしたころ、いわゆる税金で高速道路をつくることができないという現状の中で、料金方式またその後のプール制等々を導入しながらこのネットワーク化を図ってきたと思うんです。

 ここで民営化論議となりまして、では、残る二千キロぐらいの、九三四二の問題をやる場合に、採算が合わない部分、さまざまな、いろいろな状況等を勘案しながら新直轄方式という考え方が出てきたと思うんですが、そうなりますと、今まで、それぞれの地域でできてきた高速道路、これは地方は負担していませんね。一方、これから新直轄でつくるところは負担をしなければいけない。では、今までできた人は得をして、後からこの新直轄でやる地域の方々というのはかなり負担をしなければならないという不公平感、この差は何だろう。

 今までの優先順位のつけ方で道路をつくってきた部分というのが、これはもうだれもが納得する、こちらが先にできてこちらは後になるというのをみんなが納得していれば問題ないと思いますが、なぜあっちが先にできてこっちが後だったんだ、いろいろな問題があると思うんです。

 そういった中で、飛松参考人と上村参考人にちょっとお伺いしたいのは、そこら辺の不公平感というのをお持ちかどうか、これからさらにつくっていく場合、新直轄の場合には負担をしなければならないということで、どうでしょうか。

飛松参考人 意見陳述あるいは御質問に答える段階で申し上げたかと存じますけれども、私ども大分県との境目のあたりにつきましては、新直轄方式を年末の国幹会議でお認めいただきまして、その過程でも、県内でも議論がございました。道路公団ならば持ち出しじゃない、新直轄にすると持ち出しになっちゃうじゃないか。要するに、負けじゃないかという議論でございます。

 私どもの方は、あるいは予算措置を講じました県の方も、そんなことを言っているとまた凍結論が出てくるぞと。我々の願いは、とにかく早くつくっていただきたい、それで実績を示して、やはり骨格道路ができてよかったと言ってもらうということの選択で新直轄を採用させていただきました。

 したがって、不公平感がないかと言われればないとは申しませんけれども、それを超えた行動を示したというようにお受け取りいただきたいと思っております。

 確かに、新しい民営会社、採算が厳しくなるわけでございますから、評価の高いところからしていくとなりますと、現在交流の少ないところはやはり後回しにされる可能性が出てまいります。そういった時間的余裕を考えますと、新直轄の採用をすべきであったというように今は考えております。

 以上でございます。

上村参考人 今お話にありましたように、新直轄で負担をしてでもやはりつくりたい、それに対して不公平感がないといえば、そうではないけれどもという切実さ、それはもう非常によく理解ができます。やはりそれほど生活あるいは産業というふうなものと密接なんだろうと思います。

 ただ、近畿の、関西にかけては、私は、これは新直轄はあり得ないというふうに思います。先ほども申しましたけれども、これはもっと国幹的な、国の施策の中で考えていく線路であると思いますので、私は、新直轄という考え方はこれに関してはちょっと考えられないと思います。

高木(陽)委員 もう時間も限られております。最後に石田参考人にお伺いしたいと思うんです。

 先ほども民主党の玉置委員の方からも特定財源の話が出てまいりました。高速道路を無料化していくという考え方の中で収入が減っていく。一方で、特定財源をそういう形で返済に充てていったらどうか、こういうような御提案もあるようでございます。

 実際問題、今までの考え方としてみれば、料金を払ったいわゆる利用者がこれを返していこう。ここに来てもし一挙に、ガソリン税を含めて、そういう高速道路を使わない、けれども自動車税を払っている、こういう人たちが負担をするということになった場合に理解が果たして得られるのかどうか。

 また、暫定税率との関係もあると思うんです。もし一般財源化した場合には、今本則の税率の二倍となっているわけですから、これをもとに戻さなければいけない。そうなったときの、現実問題としてのこの無料化案というのがどういうふうになっていくかということをお伺いしたいと思います。

石田参考人 暫定税率の問題でございますけれども、特定財源制度をやめるときには、やはり暫定税率をもとに戻す、そういう覚悟でやらないとだめだろうというふうに思います。

 そのことについてどういう議論をするかということでございますけれども、アメリカに比べると日本でガソリン税が高いとよく言われますけれども、ヨーロッパ等の先進国に比べますと非常に安い方でございますので、環境問題とか混雑の問題なんかを考えた場合に、私は、もうちょっと取ってもいいんじゃないのかな、そういうので環境対策に資する、あるいは安全対策を講じるとかということなんかもいいんじゃないのかなと思います。

 それと、道路特定財源を高速道路を使わない人からも取って高速道路の償還に使うというのは、先生おっしゃいますとおりに、やはり全く使わない人も相当程度おられると思いますけれども、そういう人たちの理解を得るのはなかなか難しいんではないのかなというふうに思います。

 以上でございます。

高木(陽)委員 以上で終わります。

赤羽委員長 穀田恵二君。

穀田委員 参考人の皆さん、本当にきょうはありがとうございます。貴重な御意見をお聞かせいただいて、感謝を申し上げます。

 お一人ずつ質問させていただきます。

 まず、石田参考人に。

 二十一世紀は環境の時代ということは、これは異論ないと思います。参考人は、「これからの道路整備を考える」という論文の中で、今の都市高速道路は、環境的にも景観的にも満足できる状態ではないので、大気汚染、騒音、振動、路線の地域分析などに配慮したい、いいイメージの道路をつくらないといけません、こう述べておられます。こういう点で、具体的にはどのような措置をすべきなのか、お考えを一つお聞きしたい。

 二つ目に、また同じく論文では、コストの問題を述べておられます。私は、今の道路のコストというのが、とりわけ談合などで工事費が高騰しているという実態を目にしている、多くの方々もそう思っておられます。きょうの陳述でも、意思決定と経営の透明性が重要だと述べておられます。

 私、そのとおりだと思うんです。今度民営化することによってそういうことが不透明になりはしないか。特に落札率などでいいますと、今まで未供用区間で九八%以上などというとんでもない実態があり、そして、なおかつ、献金がバックしてくるような事態が起こっている。こういう問題などからしても、私は、今のこれを防ぐためにはどうすればいいか、この二つについてまずお聞きしたいと思います。

石田参考人 都市内の高速道路のあり方でございます。

 私は、環状道路もそうでありますけれども、都市内の高速道路というのはまだまだ整備の必要があろうということを先生が言及されました原稿の中でも述べております。

 と申しますのは、高速道路は非常に空間の効率性がいい、非常に限られた空間をたくさんの自動車を通すことができる、安全に迅速に通すことができる、そういう効果を持っておりますし、環境への配慮、これは多少お金がかかりますけれども、東京の外郭環状線のように緩衝緑地帯も整備をする、防音壁もきちんとしたいいものをつくると、相当程度沿線への悪影響を軽減することができる。そういうことをして高速道路のサービスレベルを上げて、都市内の細街路等に進入をしている自動車を集中させて、一元的に、環境問題等も解決できる可能性があるだろうというふうに思っているのがそこで書いた趣旨でございます。

 そのような、やはり先端的な都市内道路、特に環状道路というものの整備のあり方を、いろいろな制約はありましょうけれども、真剣に考えていかなくちゃならないというふうに考えております。

 二番目のコストの問題でございますけれども、民営化によって本当に系列化とかファミリー企業の問題が解決できるかと申しますと、私は、必ずしもそういうことが保証されているわけではないと思います。これは、民間会社でも系列会社、子会社をお持ちですし、民営化のモデルとしていろいろ参考にすべきJR等も子会社を多数抱えられておりますし、系列化なんかも進んでいるように思います。

 そういう中で調達をどううまくするか、どう安く、効率的にしていくかというのは非常に大きな課題でございます。そういう観点からも、やはり公開性、透明性というのは重要でありまして、その意味からも、国のある程度の関与というのは必要ではないかなというふうに思います。

 非常にくだらぬ例で申し上げますと、国鉄時代には路線ごとの収支が報告されておりました。まさに今、高速道路も路線ごとの収支が報告されておるとおりでございましたけれども、JRになってから、民営化されてからはそういう収支の報告がなくなりまして、どこでどういうお金の回り方をしているのかというのは、一般の企業会計以上にはわからなくなりました。

 そういう面もあろうかと思いますけれども、ぜひ、今回の民営化には、その辺の経営データあるいはどういうことが行われているのか、どういう需要があるのかというデータの公開がまず大前提になるだろうというふうに思います。

穀田委員 ありがとうございました。

 それでは、加藤参考人にお聞きします。

 参考人のいろいろな著作を見てみますと、持論の一つに、民営化問題については国民的なレベルで議論しなくちゃならぬということの必要性を説いておられます。

 私は、道路公団の民営化というのは、最初は、借金をどうなくすか、むだな道路をどうつくらないか、そして政官財の癒着をどうなくすか、こういう国民的な関心があったと思うんです。しかし、どうもそれにこたえていないというのが現状で、それでまた国民的議論が起こっていないんじゃないかと思うんですが、その辺はどうお考えかということが一つ。

 二つ目には、先ほども東京アクアラインの問題にお触れになりました。私どもも、一九八六年、こういう需要予測自身が必ず破綻を来すということを当時警告をしまして、そしてまた工事費も上がるだろうということを言いましたけれども、まさにそのとおりになったわけですが、今度の民営化というのは、道路をつくり続けるということだと思うんですよね、結局。

 そこで、きょうお話がありましたように、最後のレジュメのところにありますが、四十兆円のツケがさらに拡大するだろうという話をされています。ですから、私もそうだと思うんです。その辺の詳論をできれば二つ目にお願いしたいと思います。

加藤参考人 まず第一の点ですが、これは抽象的なことになってしまうと思います。

 私は、民営化推進委員会、これはいろいろ問題はあると思いますけれども、しかし、こういう委員会をつくって、そこでなるべくオープンな議論をしていくという意味では、かなり国民的な関心を呼んだ、ちょっと本来の筋じゃないところで呼んだ部分もありますけれども、それなりの役割は果たしたんだと思います。

 先ほども申し上げましたように、そこでの結論というものが、私は、これ自体は満点からほど遠いものだとは思いますけれども、それでも一応の民営化の範囲におさまるものは出てきたのかな。しかし、そこから先が、一応オープンな議論を経たものと全く似ても似つかぬ案が出てきたところが問題なのではないか。国民的議論ということでいうと、そこにプロセス上の問題が大いにあったのではないかと思います。

 それから、少しそれるかと思いますけれども、私は、これも再三申し上げますように、道路をつくるかつくらないかということと、それから今まで道路をつくる主体であった道路公団をどうするか、その結果として、むだな高速道路が今の仕組みの上でできないようにするには、あるいはその債務をどうやって、なるべく国民の負担を少なくして返すにはどうするかということとは別の話なんですね。ここがどうもずっと混同されて、このことがまさにオープンな、あるいは国民的議論というものの中で正確に把握されていなかったことの理由になっているのではないかと私は思います。

 それから、第二点目、済みません、第二点目というのは何でしたか。

穀田委員 ツケがさらに拡大するんじゃないかというあたりを少し詳論していただけますか。

加藤参考人 これについては、これも先ほどの繰り返しになりますが、企業というのは、恐らく、飛松参考人はまさにその御専門ですけれども、四十五年という単位でお金を貸したり、事業をしたりはしないわけですね。ですから、その中で一つの見通しをつくるということは、これは政府としては当然ですけれども、その見通しのつくり方、それから、それをつくるに当たって、やはり今までどおりのやり方、ほとんど今までどおりのやり方が踏襲された形で今後も建設が進むわけですから、そういう状況の中で、四十五年でちゃんと返せるという見通しというのは極めて小さいのではないか。

 これも先ほどの繰り返しになりますけれども、コスト削減というのは当然やる話ですけれども、コストを何割削減するということは、これは、普通の会社では、あらかじめ周りの人間が決めることではなくて、経営当事者が努力の中で示していくことなんですね。ですから、あらかじめ政府が、役所が何割削減ということを決めて、それでそれならやれますということは、これはやはり本来の筋ではないのではないか。

 それから、これも繰り返しになりますけれども、金利動向で大きく違うわけです。四%という先ほど申し上げました前提自体が決して辛い前提ではないですから、それ以上に悪くなるとどんどんどんどん膨らむというおそれはやはり大いにある、残念ながらそう考えております。

穀田委員 飛松参考人にお聞きします。

 先ほど、レジュメの中にも、子孫代々まで見据えた国土のグランドデザインに基づいての判断が必要だ、こうお述べになっていました。

 そこで、九州・山口経済連合会の交通基盤に関する要望を見ていますと、例えば、関門海峡道路、それから島原、豊予、いわゆる五全総に基づく六大海峡横断道路の点について触れています。これが一つの今お話があった国土のグランドデザインといいますか、そういうふうなことと関連して参考人はお考えでしょうか。その辺いかがでしょうか。

飛松参考人 一応切り離してお考えいただきたいと思っております。

 私ども、地域戦略会議をつくりましたのは昨年でございまして、その裏には、これまでの経済人あるいは政策当局が考えておりました日本の経済の将来像につきまして、この民営化の議論もそうでございましたけれども、それなりのやはり構造改革的な発想が出てきたわけでございまして、それを受けて、地域戦略会議で九州は一つであることを確認しよう。

 そのためには、私ども、機能主義と言っておりますが、何でもかんでも、ないから欲しいというだだっ子ではなくて、ここをやった方がより効果が高いとか、あるいはここは、救急あるいは災害等を含めて、そろばん以外の必要性があるからつくらなきゃいけないとか、要するに、白地に勝手に絵をかくんじゃなくて、それなりの相互に議論をして必要性を吟味した上で色づけをしていこうというのが私どもの戦略会議の発想でございまして、その中で、やはり循環型高速交通体系は絶対必要だ、これなくしてはアジアの中でやられっ放しだというような考えが浮かんでいるわけでございます。

 したがいまして、全部についてという議論よりも、私どもとしては、まず循環高速体系である東九州をぜひ真っ先にお願いしたいというのが本音でございます。

 以上でございます。

穀田委員 では、上村参考人にお聞きします。

 私も京都に住んでおりまして、参考人が時々産経新聞に書いてはりまして、その中では、特に京都の庭園などを一つ出して、経済的合理性に合わない日本の伝統的美しきものをいかに残していけるだろうか、こういう発言をなさっています。

 さらに、第三回世界水フォーラムの京都と水の語らいという中で、「日本の人は「京都はもっともっと京都らしくあってほしいな」という気持ちがあるのに、なぜかできない。」「もっと日本人全体で京都を守り育ててゆくような費用というか、そういうものが捻出されていきませんとムリです。」こういうふうに語ってはります。

 私も同感でして、その結論でこういうふうに言ってはります。「京都、この歴史都市のなかで、生活や働く場もあるわけなんですが、そういう歴史都市を大切にしてゆくことが、日本のなかでもいちばん大切なことではないのかな」、こうおっしゃっています。

 一番最初に石田参考人がおっしゃった、環境を守るために一点集中している、こういう議論に私は立っていないんです、つまり、それを入れなければもっとできるという立場に立っているものですから。

 とりわけ京都だとか奈良だとかというのは、歴史的風土として世界遺産にも登録されているにもかかわらず、ど真ん中に高速道路を入れる。例えば、御存じかどうか、私と上村さんは知っているんですけれども、堀川通りといいますか、それから西大路通りという、ど真ん中に入れて、しかもそれを地下に潜らせる。しかし、そうなりますと、三十五メートル以上の換気塔を外へ出す。京都は盆地ですから、それでなくても大変だということと、そんな不細工なと言うとしかられちゃいますが、そんなものを出してええかいなと思うのが普通の感覚ではないかなと私は思うんです。

 したがって、こういう角度から見た場合どんなふうにお考えかということをお聞きしておきたいと思います。

上村参考人 歴史的な都市として、やはり京都というのは、高速道路も国民的共有財産ではありますけれども、この京都という都市自体が国民的な共有財産として、これはだれしもの心の中にある日本の風情とか景観というふうなものを、やはりこのグローバル化の中でこそ守り育てていかなければならないと私は思っておりますので、きょうそのお話が出ましたことを本当にうれしく思っております。

 今、穀田先生の御質問は、そういう景観の中に高速道路が似合うのか、そういうことですね。

 これは、えらいローカルな話になるんですが、今高速道路が逆にないために、五条通りというのが一号線につながるんですけれども、どうしても大きなトラックがあそこを通らざるを得ないわけなんですね。

 それで、イメージとしましては何か歴史都市の中で高速道路が似合わない、こう頭の中ではお考えになるかもしれませんけれども、例えば一号線という大きな、いわゆる京都のど真ん中を今トラックが走らなければならないという状況があるがために、かえって、御所の近くだとかあるいは東寺だとか西本願寺だとかというところを、十トントラックとかトレーラーとか生コン車が通らざるを得ないわけです。

 ですから、高速道路が似合わないから、そうしたら何か隣にトラック野郎みたいな車がのこのこと行きながら、観光の方々がそういうものと一緒に走りながら、では本当に京都のそれが風情かというと、イメージと実態との乖離というふうなものがすごくあると私は思うんです。高速道路があった方が、むしろすっきりとバイパスは通せる、そして産業用のトラックはむしろこちらの方から通せるというふうに、かえって景観が守れるのではないか。今、高速道路がないことがかえって何か、市街地の中にまでトラックを通さなければならない、そういう非常に矛盾が起きてしまうということがあります。

 いわゆる景観というのは難しくて、だれがどこから見た景観かというのが大きいんですけれども、私自身は、どちらかというと、トラックと一緒に走らない方が何か京都の風情が守れるような、そんな気がいたしております。

穀田委員 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 これにて午前中の参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の皆様方に、本委員会を代表し、一言御礼のごあいさつを申し上げさせていただきます。

 本日は、参考人の皆様方におかれましては、大変短い時間ではございましたが、それぞれのお立場から実に貴重な御意見を賜りましたことを心から感謝を申し上げる次第でございます。本日ちょうだいいたしました皆様の御意見を今後の議論の参考として、より一層深まった議論を展開してまいる所存でございます。

 本日は、まことにありがとうございました。

 午後三時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十分休憩

     ――――◇―――――

    午後三時二十五分開議

赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、高速道路株式会社法案、独立行政法人日本高速道路保有・債務返済機構法案、日本道路公団等の民営化に伴う道路関係法律の整備等に関する法律案及び日本道路公団等民営化関係法施行法案の各案審査のため、午後の参考人として、帝京大学経済学部教授藤井弥太郎君、作家・道路関係四公団民営化推進委員会委員猪瀬直樹君、拓殖大学教授田中一昭君及び奈良女子大学大学院助教授中山徹君、以上四名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の皆様方に、本委員会を代表し、一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。

 本日は、大変御多用中のところ本委員会にわざわざ御出席をいただき、まことにありがとうございます。また、開会まで大変お待たせをいたしまして恐縮でございます。各案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと存じます。本日は、大変限られた時間で恐縮でございますが、最後までどうかよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、藤井参考人、猪瀬参考人、田中参考人、中山参考人の順で、それぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 なお、参考人及び質疑者におかれましては、御発言の際は着席のままで結構でございます。

 それでは、まず藤井参考人にお願いいたします。

藤井参考人 藤井でございます。

 それでは、これらの法案につきまして意見を述べさせていただきます。

 公団の民営化をめぐりましては、特殊法人改革の観点からのアプローチと道路整備の観点からのアプローチがなされておりますが、ここで、私は道路整備からのアプローチをとりまして、その後で制度の問題に至りたいというふうに考えます。というのは、民営化あるいはどのような民営化が適切かということは、どのような道路整備と経営が必要かが先決の問題だからでございます。

 社会が必要とする道路ネットワークを策定することは、社会を代表する政府の責務であろうというふうに考えます。その中には、特にこのような社会インフラは将来世代の福祉に影響いたしますけれども、企業や市場というのはそういう将来世代の福祉という観点をとる立場にはございません。

 そこで、道路ネットワークを策定することは政府の責任でありますが、同時に、政府による必要な費用負担もその責任であろうと思います。

 今後どのような整備が求められるかにつきましては、不必要な道路は建設しないとされておりまして、換言しますと必要な道路は整備するということで、それ自体は自明でございますが、不必要なとは何か、あるいは必要なということは何かということの内容を明確にせねばならないというふうに存じます。

 従来の考え方としましては、昭和四十二年に七千六百キロ計画が定められたときの路線設定基準があるわけでございます。後、昭和六十二年に一万四千キロ整備に改定されたとき以来、現在まで、路線採択基準として六つの基準が公にされております。

 第一に地方都市を連絡する路線。第二に重要空港、港湾を連絡する路線。第三に大都市圏の環状路線。第四に重要区間の混雑を緩和する路線。第五に災害時の冗長性を確保する路線。そして第六に全国の都市、農村からアクセス一時間で到達できるネットワーク。そういう基準がございます。

 この多くは、ごらんのように効率性の基準でございますけれども、ミニマムアクセスの基準だけが、高速道路によって広域の社会や市場に参加する機会の均等ということが意図されております。したがって、効率性とは異なる性格の基準になっております。

 最近、西欧でいわゆるソーシャルエクスクルージョン、社会的阻害の問題というのが大変に言われておりまして、この基準はそれに対応するものになっているわけです。効率性と機会均等の基準を調和させた結果が一時間という線引きになっていると思います。

 問題は、社会的に必要とされる路線の費用負担でございまして、これをプール制に依存するならば、社会的な要請の費用を、たまたま他の路線の利用者であるにすぎない者だけが負担するということになって、不公平、不効率だということに、結果、されます。

 そこで、歯どめのないプール制となることを避けるために、昭和六十年の道路審議会の答申で、赤字路線を採択する場合には他の路線からの内部補助をコストの二分の一までとする、その不足分は公共補てんとするといういわゆる二分の一ルールというものが提案されて、最近まで十三道においてそれが適用されてきたわけです。これに加えて、平成十年だったかと思いますが、景気対策として、高速道路投資が前倒しされました。

 そのような措置を含めて国費支出が行われたわけですが、御案内のように、平成十三年にすべての国費支出が打ち切られました。これは、その分、利用者負担に転嫁するということを意味しておりまして、これが、現在の料金値下げを妨げる一因になっております。

 もちろん、必要性の基準は状況の変化に対応しなければなりませんので、民営化推進委員会の提案されたいわゆる中村基準と、それを受けました国交省の森地委員会の提案では、費用便益比率と採算性と外部効果が必要性の項目として挙げられているわけです。提案されました費用便益比率の内容は利用者の便益、採算性が事業者の便益、外部効果が地域社会の便益でありますから、この三項目で道路整備に発生する便益と費用を網羅的にあらわせると企てたものと考えられるわけです。

 そこで問題は、これら三項目を総合するウエートでございます。

 示されておりますが、一つには、民営化推進委員会のアンケートが行われまして、それによってつけられたウエート、それから自治体のおつけになったウエート、それから森地委員会がつけられたウエートでございます。添付いたしましたレジュメの表がそうでございますが、私が意外でございましたのは、アンケートで採算性に与えられたウエートが〇・三六という、私が予想したものよりもかなり低かったということでございます。

 私の推論では、高速道路はもう既に半分以上できておりますので、高速道路を既に確保した沿線人口というのは総人口の半分以上になるはずであります。そうしますと、高速道路について既得権を持っているこれらの人々にとっては、残る路線は不採算のむだな路線だといって切り捨てることが、そういう主張をすることが合理的であります。それにもかかわらず、このアンケートで採算性に対して与えられたウエートが三六%にとどまったということ、つまり、大半の人は、採算性あるいは債務だけをもってむだなとは定義していないということを示されたのではないかというふうに考えます。

 御案内のように、この評価基準を用いて新直轄の区間が選択されました。その一方で、法案では、新会社は、建設について、従来のような政府の命令によってではなくて、協定により自主性を確保するという規定が定められております。

 民営化の最大の利点は、政策の責任と経営の責任を明確に分離するということであります。その点からいいますと、法案の一つの論点である建設あるいは債務について、責任の分離と社会による負担の方式を定めた協定という方式プラス新直轄のセットに私は基本的に賛成でございます。

 次に、法案に賛同するもう一つの点は、償還後のインフラの道路管理者、つまり社会への帰属でございます。

 高速道路は重要な社会インフラでありますので、私企業でなく社会に帰属させるべきであるという議論は、海外を見てもむしろ普遍的だろうと思います。

 交通サービスでは鉄道が民営化されているわけですが、高速道路には幾つかの独自の点がございます。

 第一に、現在の段階では、高速道路は基幹的な交通インフラであります。鉄道は既に、都市間か、あるいは都市圏の旅客輸送に特化しておりまして、特に物流については機能を持っておりません。我が国ではJR旅客会社が鉄道インフラを所有しておりますので、市場構造からいきましても、鉄道が物流で果たせる役割というのは制約されております。そういう意味で、経済を担う高速交通の基幹というのは、物流を含めて、道路にならざるを得ない。

 第二に、鉄道は、インフラとその利用という本来の意味で上下一体のシステムであります。鉄道は、レールを所有すると同時に列車も運行させるという意味で上下一体のシステムであります。それに対して、道路は、あるいは空港や港湾は、もともと、インフラの所有と、例えば乗用車、トラック、バスの所有者とは違うわけです。あるいは、空港の所有者とエアラインも違うわけです。そういう意味で、これらは元来、上下分離のシステムです。

 したがって、上下分離である以上、上物の利用者から利用の公平性を確保するということが強く求められるだろうと思います。あるいはまた、列車運行や航空機については競争や技術革新ということが考えられますけれども、インフラについては余りそういうような革新が期待できないというふうに考えます。

 それから第三に、高速道路と一般道路の間の強い競合関係、または補完関係でございます。

 アメリカの例ですけれども、高速道路の民営化が行われて、その際に、一般道路の整備はしないという契約をしたことがありました。しかしながら、結局、一般道路は整備せざるを得なくて、したがって、民営化された高速道路が再公有化されたというケースがございました。

 そういうように、高速道路と一般道路の整備と経営は、整合がとれるシステムであることが望ましいというふうに考えます。

 さらに、これは私の考え過ぎかもしれませんが、セキュリティーの問題がございます。

 現在、震災のおそれがありますけれども、災害時には即座の対応が要求されるわけで、その意味で、高速道路のネットワークが私有のもとにあれば対応に手間取るおそれがございます。

 これらの理由から、私は、償還後の社会への帰属ということに賛成でございます。

 最後に、新しいシステムが適切に働くように、二つの点を御要望したいと思います。

 一つは、新会社の運営にできるだけ自由を確保すること。

 例えば、推進委員会の御意見にもありましたように、料金体系について上限制を取り入れるというようなこと、あるいは業務範囲につきましても、各公団には建設その他の技術の高度な蓄積がございますので、これを用いて海外進出ができるのではないか、そういうような夢が可能であることを望みたいと思います。

 それから第二に、貸付料から用地費を除外することの御検討をいただきたいと思います。

 用地費の除外につきましては道路審議会が答申に繰り返してきたことでありますし、昨年の暮れのJHの改革本部の答申でも述べられているところであります。用地費はもともと、御案内のように、減価償却の対象となりませんし、用地費のための債務を償還対象としてすべて償還期間内の利用者に負担させるということは、世代間の不公平でもありますし、料金の低下を妨げることにもなります。

 この用地費の除外は償還主義の部分的な修正になりますけれども、資産を道路管理者に移管する時点で、適当な一部債務を伴った移管というものもあってもよいのではないかと考えるものでございます。

 雑駁でございましたが、私の意見とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 次に、猪瀬参考人にお願いいたします。

猪瀬参考人 では、発言させていただきます。

 お手元にお配りしてある「国土交通委員会説明資料 参考人猪瀬直樹」というのをちょっと開いておいていただいて話を進めさせていただきます。

 少しこの間のプロセスからお話しさせていただきたいと思います。

 道路公団民営化の議論が政治課題にされたのは、たかだか二年半前です。それまで、高速道路料金は定期的に値上げされ、国民はいや応なく認めさせられてきた。借金返済も、三十年が四十年になり、四十年が五十年になり、このままだったら六十年になるかもしれませんでした。

 なぜそうなってしまったのか。このままでは大変なことになると思って、僕が特殊法人の実態調査を始めたのが、八年前の九六年です。そして、道路公団を初めとする特殊法人の実態を「日本国の研究」という本で問題提起しました。

 調べてわかったのは、だれも責任をとらないシステムの存在です。この一枚目を見ていただくとわかるんですが、公団の高コスト体質、七百八社に二千五百十九人の日本道路公団からの天下りがあったり、あるいは、ファミリー企業から六百六十人ものお抱え運転手が派遣され、それだけで五十五億円の委託費が払われているとか、職員の仕事であるにもかかわらず、料金徴収手当が出ていたり用地交渉手当が出ていたり、こういうふうな特殊法人の実態があるということであります。

 戻りますが、公団の総裁は天下りで適当に入れかわるだけだし、職員も、年功序列で何のリスクもとらずに給料をもらい、ファミリー企業に天下りできる。これではいけないというのが民営化です。

 民間会社は利益を出さないと倒産です。赤字が続いたら、経営者は退陣し、社員はリストラされる。収益が出たら、株価は上昇し、社員の給料もふえる。そういう当たり前のことを実現するのが民営化なのです。

 二〇〇一年の四月に小泉内閣が誕生して、僕は、石原行革担当大臣のもとにつくられた行革断行評議会のメンバーに入りました。そして、小泉首相に道路公団の民営化プランを提出したのが二〇〇一年の夏です。ちょっとめくってください。左から見ます。二〇〇一年の八月に道路公団分割・民営化案を提示しました。すぐ横に、その当時、扇前国交相が、民営化には二十年かかると発言なさっています。

 そして、当時小泉さんに見せた民営化プランは、次のページをめくっていただきますとわかりますが、現在審議中の民営化案の原型になっていると言って間違いないでしょう。

 借金を返済するために保有機構を発案したのは、民営化会社に高いリース料を支払わせるためでした。利益を出すとしたら管理費を削減するしかないという形にして追い詰めないと改革にならないからです。ゆるゆるの管理費こそファミリー企業が生息している場所であり、親方日の丸の世界をつくり上げている元凶だと、これまでの調査で実感していました。借金を返すために汗水流して働いてもらうのです。

 これからは、今政府から提出されている審議中の民営化法案の中身についての意見を申し述べたいと思います。

 僕は、まず、四十兆円の借金の返済、料金値下げ、地域分割の三つが民営化の要諦だと思っていました。三年前の夏に小泉首相に示したプランも、この三点が柱です。

 冒頭述べたように、これまでの道路公団方式では、三十年たったら無料が、四十年、五十年、このままだったら六十年になるかもしれなかった。それが、今回の民営化法案では、四十五年以内での債務返済が初めて法律に明文化されました。今までは三十年とか五十年など法律には書いてなく、運用で適当に変えて、都合よく先延ばししていたのですから、四十五年返済を法律に明記したということは大きな前進です。

 民営化委員会の意見書では四十年返済としましたが、「五十年を上限とし、その短縮を目指して設定」とも書いています。そして、委員会では、四十年返済と四十六年返済の両方の試算も公表しています。四十五年返済は、意見書で示した返済期限の幅の中におさまりますから、まあ四十年がより好ましいのですが、そういう意味では意見書に沿ったものと僕は理解しています。

 それから次に、料金値下げ。

 料金値下げは、国民が一番望む民営化の対価です。平均一割と料金別納割引制度の廃止に伴うさらなる値下げを実施し、合計二割の値下げという政府の方針が現段階で決まっていますから、これは改革の成果です。これがいかに前例のないことか、皆さんに知っておいていただきたい。

 例えば、この四月一日に民営化した東京メトロは、民営化時に値下げなどしませんでした。抱えている借金が一兆円弱しかないのにです。国鉄だって、民営化以降、料金値上げこそありませんが、値下げはしていません。

 民営化委員会の意見書では、引用しますが、

 夜間料金の半額割引や通行台数一万台以下の道路の通行料金の三割引き下げ、ターミナルチャージの撤廃など、実情に応じた弾力的な引き下げ策を講じて、平均で一割の通行料金引き下げを民営化と同時に実現する。

  通行料金は新会社発足時の水準より引き上げない。なお、本州四国連絡道路の通行料金は、債務の処理と同時に大幅な引き下げ(二分の一程度)を進める。また、東京湾アクアラインの通行料金については大幅な引き下げを検討する。

と、かなり具体的に提案しました。これはぜひそのとおりにやっていただきたい。

 三つ目のポイントは、地域分割です。

 これについては新聞もちょっと誤解しているところがあって、機構において債務を一体として管理するから全国料金プール制は温存されたと言われています。つまり、東名のお金で北海道の高速道路をつくる仕組みは残ったというわけですね。

 でも、これは、昨年十二月二十二日に民営化の基本的枠組みが公表される直前の十二月十八日木曜日の時点で、小泉首相に地域分割の必要性を確認しています。小泉首相は、当然、分割の意義を理解されていて、やるというふうに宣言しました。

 ここは本当に大事なところですから、年明け以降も、委員懇談会において、道路局長らをお呼びし、何度も確認しました。その結果、会社間の競争原理を確保するため、高速道路の今後の建設に係る債務は、会社ごとに料金収入による貸付料で返済することを基本とする、会社はこの貸付料を支払う経営責任を負うとの政府の法令解釈が示され、分割会社の自己責任が明確になりました。

 分割で経営単位を小さくし、効率化し、値下げすることで利用者に還元しながら、四十五年で借金を返済する、完済する。その意味で、当初のプランの基本は少なくとも実現したと思っています。

 国鉄の民営化と比べてみるとわかりやすいでしょう。国鉄は三十七兆円の債務を抱えていました。三年前に僕が民営化プランを提出した際には、道路四公団の累積債務は三十八兆円ですから、ほぼ同じです。国鉄と道路四公団の債務総額は同じですが、国鉄の民営化では、三十七兆円のうち、実に三分の二、二十四兆円が国民負担となりました。国鉄は瀕死の重病人だったからです。

 逆に、道路公団の民営化は、本四公団の債務処理に新たに一兆三千億円を注ぎ込むぐらいで、基本的には新会社の自力返済を可能とするスキームにしました。国鉄は瀕死の重病人ですが、道路公団は糖尿病のようなもので、民営化という形できちんと節制のメニューをつくれば間に合う、そういう段階で民営化を提案したのです。

 道路の民営化会社は借金返済に充てられるリース料が毎年約二兆円と予想され、そういう厳しい支払いを課すことで国民負担の最小化原則を貫こうとしました。

 次に、建設の問題に移ります。

 当初、小泉首相に民営化プランを提出したとき、まず、日本道路公団に投入されている三千億円をゼロにするところから始めてほしいとお願いしました。税金は、利子補給金の名目で、いわば金利を水割りする形で使われており、郵便貯金等からの借金で建設する部分に税金が流し込まれるというどんぶり勘定になっていました。その結果、二〇〇一年十一月に、税金三千億円投入がゼロになりました。このゼロになったところが出発点です。

 民営化委員会では、採算性など、建設の優先順位の基準を示しました。そして、昨年十二月二十二日の政府・与党枠組みで、新会社はみずから借金しても最大値で七兆五千億円以内、新会社でやらないものは税金で建設する、これが約三兆円、こういうふうに分けられました。料金収入で管理費すら賄えないものが税金でやるというふうになったわけですが、この分けたということは非常に重要だというふうに理解してほしいと思います。

 日本道路公団に投入されていた三千億円の税金をどんぶりの外側にとりあえず移して透明化して、だれがどれだけ負担するか明確にしたのです。税金でつくる新直轄道路は七百キロで、年額約二千億円ぐらいですが、これは単年度の予算で決めることです。当たり前ですが、予算は国会で毎年毎年審議して決めます。国民が選んだ国会議員のうち、もう要らないと判断した者の数が上回れば、管理費すら払えないような高速道路は建設できない仕組みになっているわけです。

 民営化会社は、残された千三百キロの部分についてどこまでやるかやらないかというのは、コストをどこまで下げられるかなど、機構と協議します。公団で二十兆円かかることになっていた投資額は、新会社では最大で七・五兆円です。新会社には事実上の拒否権が与えられているので、協議の結果次第では、すべて建設するとは限りません。協議が実らなければ社会資本整備審議会にかけられるということを前提に条件闘争するということになります。

 社会資本整備審議会が国土交通省の諮問機関だから国交省寄りの結論を出すというふうに批判する人がいますが、審議は公開で行われます。不合理で恣意的な議論になるか否かは、メディアや国民が監視できる仕組みが用意されたのだから、これは皆さんの関心にかかっているというふうに思います。

 また、新会社と機構が対等に協議する条件として、国交省からは保有機構の理事長へは天下りできないと、二月二十六日木曜日に小泉首相と確認しました。

 道路公団の民営化では、何とか国民負担の最小化原則が貫徹できました。国鉄の例と比べれば、かなりよい改革だと思います。電電公社がNTTになるとき、当初の分割に失敗しています。こうしたことを振り返れば、料金値下げ、日本道路公団を東、中、西の三社に分割、四十五年以内の債務の返済を獲得できた今回の民営化案は、どうにかよくここまで来たなというのが実感です。及第点はとれていると思いますから、何とか今国会で成立させていただきたい。

 僕としては、民営化委員会の仕事は続きます。これから、政省令レベルで骨抜きがないように監視するのが自分の責務だと思っております。

 以上です。ありがとうございました。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 次に、田中参考人にお願いいたします。

田中参考人 本委員会で発言する機会をちょうだいし、光栄に思っております。

 法案の問題点について申し上げたいことはたくさんございますが、そのポイントは提出した資料をごらんいただくこととし、ここでは大きく二点について申し上げたい。

 まず第一点は、法案は民営化法案とは言えないということであります。

 去る四月二日の当委員会において、国土交通省の佐藤信秋道路局長は、二〇〇二年末の民営化推進委員会の意見書のうち、民営化会社が道路資産を保有するという点と、高速道路の料金に利潤を含めるという点、この二点は国民の理解は得られないなどの理由で法案に採用しなかったと説明されました。実は、この二点こそが民営化のコアであります。にもかかわらず国民の理解は得られないとは、民営化は国民の理解を得られないということに等しい。

 国土交通省は、各県の知事に意見を求め、この二点については知事全員が反対したことをもって国民の理解は得られないと判断されているようですが、多くの知事は、同時に、九千三百四十二キロはいかなることがあっても整備すべきだという御意見の持ち主でもあります。

 多くの国民が、借金をしてまで高速道路は要らないという中で、知事の意見が果たして国民の理解と同じであると言えるのでありましょうか。このことは、逆に、経済合理性を無視してでも今後とも高速道路をつくりたいとする人たちにとって、この二点がいかに大きな障害となっているかを示しているとも言えます。

 政府案に盛り込まれなかった最初の点からお話ししたいと思います。

 民営化会社が資産を保有するということは、同時に負債をも抱えるということであります。このことは二重の意味を持ちます。

 第一は、これで民営化会社は自立的経営を余儀なくされるということであります。

 国の命令のもと、経営責任のないまま野方図に赤字道路をつくり続けてきたことが今日の道路公団問題の根幹であります。民営化とは、その反省から出てきた考えにほかなりません。そして、政府自体が民営化を決定したのです。すなわち、経営責任を持った自立的組織に高速道路の経営を行わせる、これが民営化のスキームを考えるに当たっての基本であります。

 しかし、政府案では、資産も負債も国の機関である保有・債務返済機構が持ちます。民営化会社は建設、管理の業務を受託した会社にすぎません。いわば機構のファミリー企業であります。債務の返済責任は機構に一元化され、民営化会社は、協議に基づき、料金収入の大半をリース代として機構に納付するだけなのでありますから。

 石原国土交通大臣など、民営化会社の自主性は尊重されると言われる向きもありますが、経営責任のない会社に自主性を与えることに一体何の意味があるのでありましょうか。この点については後でもう一度触れます。

 第二は、資産と負債をあわせて持つことによって、民営化会社は政治の関与から相対的に自立することになります。

 高速道路は基幹的インフラであり、その整備は社会経済的要請を無視することはできませんが、投資効率を無視した野方図な建設は、もはや我が国の現状からは回避すべきものと考えます。しかし、道路公団という経営責任のない組織は、こうした道路の建設を続けてまいりました。その背後に政治的要求があったことは否定できないと考えます。

 負債の返済も自己責任となり、それに失敗したら経営責任が問われるとしたら、会社の経営者の顔は政治家の方を向くことはできなくなります。政治家は会社の経営者の責任を負ってはくれないからであります。

 経営者は、まず、利益を確保できるか、債務を返済できるかを考えます。それによって、会社は政治の関与から相対的に自立することになります。そして、実はこのこと、政治の関与から自立する、これこそが民営化の大きな目的であったはずであります。

 政府案ではそれは実現できません。資産も債務も保有・債務返済機構が負うということは、現在の道路公団と同じような政府機関が残るということでありますから、相変わらず、この組織に対する政治の関与が続き、赤字路線が野方図につくり続けられるということを意味します。

 このことを考えれば、何としても高速道路が欲しいとされる各県の知事たちが会社に資産と債務を持たせることに反対されたのは、至極当然のことであります。しかし、それは、これまでの反省に立っての道路公団の民営化の方向とは全く相入れないものであります。

 次に、佐藤道路局長が、国民の理解は得られないとして法案に取り入れなかった第二の点に移ります。

 料金収入に利潤を含めないということは、会社が単なる業務受託組織にすぎないということを意味します。このことは、経済活動に対する国土交通省の基本姿勢を疑わしめるものであります。民間会社に利益を認めないで、なおかつ、半世紀近くの間の経営の存続を保証するということは、計画経済的発想そのものであります。自分の言うとおりにしろ、利益は出ないかもしれないが、つぶすことはしないということであります。これは、利益が出ないを利益が少ないと置きかえれば、現在の道路公団がファミリー企業に対して言っていることと全く同じであります。

 政治評論家の屋山太郎氏は、特殊法人のばっこする現状を官僚制社会主義と称されましたが、料金に利潤を含めないということは、会社を思うがままにコントロールしたいという官僚制社会主義が、はしなくもにじみ出たものと言えます。法案による民営化会社は、どう取り繕っても民営会社とは言えず、せいぜい政府の規制の強い独立行政法人であります。

 日本では既に多くの民間企業が公益事業を展開しております。そうした企業の本体業務に利潤が認められないという事例は、残念ながら、私は知りません。民間企業とは、利益を追求するものです。そこに経営責任と経営の規律が生まれるのであります。利益を追求できないということは、責任も負わないということであります。仮に責任だけを負わせるというのであれば、これは単なる奴隷的労働です。まさか政府はそのような組織をつくるつもりではないでしょう。

 したがって、この二点を欠落させた法案は民営化法案とは認められないと言わざるを得ません。佐藤道路局長の発言は、国土交通省みずからが、この法案は名ばかりの民営化であり、真の民営化は行わないと宣言したと同じことであります。

 申し上げたい第二点目は、政府案で言う会社の自主性を尊重するということは全く意味がないということであります。

 昨年末の政府・与党申し合わせは民営化会社の自主性を尊重することになったと伝えられますが、事実上、経営責任を負わないことになる民営化会社に自主性を認めることに何の意味があるのか、私には理解できません。会社の自主性が尊重されたかどうかを評価するためには、自主性がない場合と比べていかなる効果があるかを検証する必要があります。

 政府案には、野方図な赤字道路の建設の中止、政治の関与からの離脱等、本来の民営化が目指すべき基本的課題に対する効果がどこにあるのでありましょうか。本法案は、民営化会社が道路資産を保有する、高速道路の料金に利潤を含めるというこの二点を採用しなかったために、会社は名ばかりの民営会社になっております。そして、これを取り繕うためにさまざまな装置が設けられております。

 しかしながら、先ほども申し上げたように、この民営化会社は、しょせん保有・債務返済機構のファミリー企業にすぎません。佐藤局長は、三分割によって競争原理を導入すると御説明されたようですが、残念ながら、分割でさえそういった装置の一つにすぎません。

 現在の道路公団がファミリー企業に会社の自主性を尊重すると言ったところで、あくまでファミリー企業としての自主性であります。そのような自主性のもとで競争が行われるものなら、既に、公団傘下に多数あるファミリー企業は激しい競争を繰り広げていなければなりません。しかし、言うまでもなく、そのような状況にはなっておりません。ファミリー企業は、経済合理性の外にあるからファミリー企業なんです。JRに競争が働いたのは、それぞれが自立した会社だからであります。競争は自立が前提であります。

 国土交通省は、道路公団に対して、はしの上げ下げまで指示したと言われております。その道路公団は、ファミリー企業に対して、はしの上げ下げどころか、はしの置き方まで指示していたと考えられます。

 今回の法案では、この道路公団が上下分離されて、保有・債務返済機構と民営化会社に分かれるだけであります。国土交通省は、依然として、保有・債務返済機構を介して、民営化会社に対して、はしの上げ下げを指示することになります。

 よしんば、自主性を尊重して、はしの上げ下げは自由にしていいと言ったところで、ただし茶わんの持ち方はこれまでどおりの自分の指示に従えということでは何の意味もありません。ひとえに、民営化会社を自主的な組織としなかったことにその原因があります。

 早い話が、いわゆる民営化後四カ月以内に、民営化会社は、国土交通大臣と協議して、域内の未整備の計画路線をつくるのかつくらないのか判断することとなっておりますが、そもそも、向こう四十五年間に、つくることはできないと会社は言えるのでありましょうか。しかも、機構が六カ月以内に作成し、大臣認可を得る債務返済計画は、民営化会社との対等な立場での協定と言いながら、結局、押しつけざるを得ない話ではないか、さように考えます。

 かくして、会社の自主性の尊重なるものの実態的効果はほとんどありません。あるとすれば、名ばかりの民営化を糊塗する効果でありましょう。これは、前述した佐藤道路局長の発言と同様に、国民を愚弄するものであります。

 以上であります。ありがとうございました。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 次に、中山参考人にお願いいたします。

中山参考人 奈良女子大学の中山です。

 早速ですが、意見を述べさせていただきます。

 まず、今回の高速道路など、こういった公共事業をめぐる論点というもの、私自身は、恐らく二つあるのではないかと思っています。

 一つは、特別会計とか公団もしくは第三セクター等で実施されてきて、破綻に直面している、もしくは破綻した公共事業を今後どう見直していくのかという論点です。もう一つは、今後の高速道路計画、そういったものも含め、公共事業のあり方をどう考えるべきなのか、この二つの大きな論点があるかと思います。

 まず一点目ですけれども、破綻した公共事業をどう見直していくのか。そもそも、なぜこういったことが大きな問題になっているかと申しますと、特別会計にしろ、公団にしろ、第三セクターにしろ、本来、独立採算で事業が進むはずだったんです。ところが、大半の国民にはそのように説明していたと思うんですが、それが困難となり、このまま放置すると国民、市民に多額の財政負担が発生する、そういう事業が少なからず存在してきたこと、これがこういった独立採算性の公共事業もしくは公的事業の見直しに関する大きな背景であったと思います。

 この間、全国でそうした事業の見直しに取り組まれてきました。そういった中から、幾つかの破綻処理の原則、そういったものが浮かび上がってきているのではないかと思います。

 まず一点目は、そのようにして取り組まれてきた事業にそもそも公共性があったのかどうか。事業に公共性があるかないかというのは、公共事業や公共的な事業を処理していく場合、非常に大きなポイントになると思います。残念ながら、この間、全国で破綻してきた第三セクターのかなりの部分はそういった公共性に欠けていた面が少なからずあったように思います。

 また、その中で議論されてきたことは、できる限り国民、市民の負担をゼロもしくは最小にするということであったと思います。

 それと同時に、こういった破綻処理については極力国民に開かれた形で議論をしていく、こういった三点が原則として考えられてきたのではないかと思います。

 そういったことを踏まえてこの道路公団のことを考えますと、高速道路というのは極めて社会資本としての公共性の高い分野だと思います。もちろん、社会資本として疑問性のあるような高速道路もあるかもしれませんが、大半の高速道路というのは公共性の非常に高いものではないかと思います。

 かつて、日にちは忘れましたが、道路公団の関係で国会で参考人として意見を述べましたが、そのときも、道路公団のように非常に社会資本として公共性の高い分野には民営化はなじまないのではないかという発言をいたしました。この考えは今も変わっておりません。大半の第三セクターなんかと比べると、高速道路というのはインフラとしては非常に社会資本としての公共性が高い、そういった分野は民営化には基本的になじまないのではないかと思っています。

 ただし、従来どおりの道路建設を今後も進めていっていいのかというと、それは違うと思います。少なくとも今までのような形での道路建設はストップして、料金収入等についてはすべて借金返済に充てていく、そういった対応が要るのではないかと思います。

 それと同時に、徹底したむだの排除を行っていく必要があると思うんですが、ただ、むだの排除という場合、それを民営化によって実現することも可能でしょうが、同時に、公的な分野のままで置いておいて、情報を公開する、国民に開かれた組織にしていく、そういった国民監視のもとでむだを排除していくという方法ももう一方であるのではないか、そのように考えております。

 二点目ですが、高速道路建設などをそもそもどう考えたらいいのかということです。

 特に高速道路建設については、地方経済との関係を抜きには議論できないと思います。今の日本の地方は非常に経済的に厳しい状況に置かれています。ただし、問題なのは、高速道路などの整備が不十分だから地方経済が衰退しているのかどうか、その点を考えることが重要だと思います。

 とりわけ、この間、地方経済を支えてきた産業、第一次産業、製造業、商店街、そういったものが非常に厳しい状況に置かれています。九〇年代、こういった地方経済を支えてきた産業が厳しくなるにつれて、景気対策ということで公共事業費が拡大されました。地方は、本来であれば自立的な産業を育成していくのが望ましいのでしょうが、そういう中で公共事業に依存するような経済体制になってきたのではないかと思います。それが、この二、三年、公共事業費の削減とともに、公共事業にかわる新たな産業が見出せないというところで地方経済の深刻さが見られると思います。

 問題は、そういった状況の中で、高速道路建設や、二〇〇四年度に新たにつくられますまちづくり交付金、もしくは、この間進められている市町村合併に伴う合併特例債、そういった主に公共事業に関するものを続けていくことが地方経済の自立的な再生につながるのかというと、私自身は、残念ながら、一時的な効果しか持ち得ないのではないかと思います。

 その一方で、この間進められてきた構造改革をどう見るのか、これも非常に重要な問題だと思います。

 御承知のように、構造改革の中で徹底した規制緩和が行われてきました。また、都市再生ということで、全体として公共事業費は削減しますけれども、二〇〇四年度予算を見ても明らかなように、都市再生関係の公共事業については、厳しい予算の中で重点的に予算配分が行われています。

 ただ、そうした規制緩和、都市への重点化、そういうことをこの間行ってきた中でどういうことが社会的に生じているかといいますと、バブル経済のときに問題になった東京への一極集中、これが今再び起こってきています。

 幾つかのデータを示しますと、例えば、二〇〇一年の十月から二〇〇二年の十月、この一年間で全国では十四万人の人口がふえています。十四万人の人口がふえていますけれども、そのうち八万人は東京都でふえています。

 また、二〇〇二年の都道府県間の人口移動を見ます。転入超過の県が全国で九つあります。一位は東京都で七万三千二百七十五人。二位が神奈川県で二万九千七十六人。都道府県間の人口移動を見ても、東京への人口の集中は極めて顕著です。

 また、人口だけに限りません。経済活動を見てもそのとおりです。二〇〇〇年から二〇〇二年で、全国で、資本金が百億円以上の株式会社が六十二社ふえています。二年間で六十二社ふえましたが、そのうち四十八社は東京都内でふえています。率にすると七七%です。

 また、一九九九年から二〇〇一年にかけて、全国で、事業所、株式会社が一万二千九百八社ふえています。そのうち六千五百三十社は東京都内でふえています。ざっと、ふえた株式会社の五〇%は東京都内に立地しています。

 また、この間、雇用問題が深刻になっています。同じ二年間に全国で百十万人の従業員がふえていますが、そのうち四十五万人は東京都内でふえています。

 また、産業構造が変わってくる中で、IT産業等が非常に重視されています。この間、情報通信業に従事する人が全国で二十四万人、二年間でふえています。ところが、そのうち十二万人は東京でふえています。

 バブル経済のときも東京への一極集中が非常に問題になりました。ところが、この間、東京への一極集中は、バブル経済のときと同様、もしくはそれ以上にすごい勢いで進んでいます。徹底した規制緩和や、税金を都市部に重点的に投入していく、そういうことを行えば、東京への一極集中が進むのは明らかです。一方で東京への一極集中が起こりながら、地方で高速道路を一生懸命つくっても、なかなか地方経済の自立的な再生というのは難しいと思います。

 では、一体どうすればいいのかということですが、地方経済の再生を考える場合は、公共事業に依存しないような地域経済をどうつくっていくのか、ここが大きなポイントになると思います。もちろん、そのためには、今進められているような規制緩和や都市再生、市町村合併、三位一体の改革、こういったものについてはもう一度国土の均衡な発展という点から検討し直す、国土の均衡な発展を保障するような行財政制度の確立、この辺が非常に重要になるのではないかと思います。

 もちろん、従来のように、地方経済を公共事業によって立ち直らせていく、そういう政策も望ましくないと思います。むしろ、公共事業には依存せずに地域経済の再生をどう立て直していくのか。

 とりわけ重要なのは第一次産業だと思います。御承知のように、カロリーベースでの自給率はもう既に四割です。木材に至っては二割を切っています。日本は決して農業や林業に不適切な国ではありません。そういった、公共事業に依存しない地域経済の再生を図っていくということがまず重要ではないかと思います。

 同時に、公共事業の内容も見直していく必要があると思います。

 今、三位一体の改革等で一般財源化が議論されています。二〇〇四年度については公立保育所の運営費、今後は義務教育、そういったものが大きな争点になると思います。ただ、最も地域の自主性を発揮できるような分野というのは、むしろ社会資本整備だと思います。社会資本整備については、一般財源化を進めて地域の自主性を生かす、そういう中で社会資本整備の効率性がむしろ図られていくのではないかと思います。

 同時に、高速道路のような広域的な公共事業の必要性というのも当然あります。ただし、一度決めたからそれを何が何でもやるというのではなく、もう一度、時代の変化とともに、財政再建との整合性、社会的な必要性を含めて、こういう国会の場できちっと議論し、広域的な公共事業については再度検討していく必要があるのではないかと思います。

 それと同時に、高速道路との関係でいいますと、交通政策をやはり見直す必要があるのではないかと思っております。二十世紀は確かにモータリゼーションの時代でした。でも、二十一世紀、ヨーロッパでは既に、モータリゼーションの時代から公共交通優先の交通体系へと変わってきています。別にヨーロッパには限りません。隣のソウルでも、高速道路を撤去して河川を再生するという事業が町の中で進んでいます。二十一世紀の公共交通の優先、そういったことも含めて高速道路整備については考えていく必要があるのではないかと思います。

 以上です。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古屋圭司君。

古屋(圭)委員 自由民主党の古屋圭司でございます。

 座ったまま質問させていただきたいと思います。

 きょうは、四名の参考人におかれましては、御多忙の中、ありがとうございました。特に田中、猪瀬両参考人は、民営化推進委員会のメンバーとしてこの議論に加わられました。お二方が一堂に会されるという貴重な機会でもございますので、民営化委員会の意見あるいは政府案との比較において質問させていただきたいと思います。

 実は、私、週末にこの質問が決まりまして、両者の本をしっかり読ませていただきましたけれども、やはり公団改革にかける熱い思いであるとかあるいは情熱、また、お二方とも大変個性あふれる方だなということははっきりこの中から読み取ることができました。

 ただ、この本の評価をする委員会ではございませんので、この委員会につきまして、平成十四年六月二十四日から始まって、五十二回やられた、百五十時間以上議論したということでございますので、そこでいろいろな議論があった、お互い相当意見が食い違うところもあったと思いますけれども、幾つかの論点に絞って質問させていただきたいと思います。

 まず最初は、この民営化の目的について、基本論をお伺いさせていただきたいと思います。

 意見をまとめる過程で確かにいろいろな議論があったわけでございますけれども、仮に大別をすると、こういう枠組みで考えた場合はどうかということを質問したい。まず一つの考え方は、やはり会社の自立、活力を出す、新しくできる会社ですね、これを優先する立場、これが一つの考え方。一方では、やはり国民負担を軽減する、これを優先する立場、この両方の立場からお聞きしたいと思います。

 まず、会社の自立を優先するということになると、例えば料金の値下げというのは、当然これは、減収が大きいと利潤に影響しますから、とてものめないだろう、あるいは大規模な税金投入というのも必要になってくるだろう。一方、国民負担の軽減ということを優先するなら、当然税金の投入は避けなくてはいけない、また、料金も安ければ安いほどありがたい、こういう視点でございますので、会社の自立を優先するのか、あるいは国民負担の軽減をするのかというこの基本的な哲学、理念の問題で、猪瀬、田中両参考人はどういうふうにお考えなのか。

 むしろ、参考人の資料あるいは本で見ると、田中参考人は明らかに会社の自立というのを優先されるのかな、猪瀬参考人はやはり国民負担の軽減というのを優先されるのかなと思いますが、お二方からこの点についてまず御意見をちょうだいしたいと思います。

猪瀬参考人 今の会社の自立と国民負担の軽減、これを両方同時に実現するために分割・民営化を考えたわけです。そういう議論をしてきたと思います。

 どういうことかといいますと、料金値下げをすると、当然ですけれども、収入は若干減りますね。収入が減りながら、なおかつ四十兆円の借金を返す、そういうことが両立するということが求められているわけですね。これを、国鉄のように税金で負担するということではなくて、道路会社が自分で借金を返すということなんです。これは一つ重要なことなんですけれども、僕は最初に申し上げましたが、国鉄というのは瀕死の重病人でしたけれども、道路公団の場合はおよそ一九七〇年ぐらいの国鉄だと思っていただければいいわけで、つまり、税金を投入しなくても十分に自立は可能である、民営化は可能であるということなんです。

 それともう一つは、では、当時の電電公社のように、国鉄が重病人であれば、電電公社は重病人じゃなくて元気だったわけですね。したがって、分割しづらかった。あのときに分割できなかったのが非常に悔やまれるわけですけれども、やはり分割することによって競争原理を導入する、会社の自立というのはそういうことだと思います。

 今回は、分割・民営化あるいは料金引き下げ、そして四十五年以内に四十兆円以上の借金を返すということを確定したので、会社の自立か国民負担の軽減かというふうな分け方ではないのではないか。あえて言えばそういうこともあるかもしれないけれども、それを三つうまく重ね合わせながらこういう民営化の形をつくり上げてきたというふうに御理解いただければと思います。

 もちろん、僕自身、まだ幾つか民営化委員会のとおりにならなかった部分がたくさんあるので不満はあるんですけれども、とりあえずある程度の形はできたなというふうに思っています。

田中参考人 今、古屋委員の御質問でありますが、この点については、私、猪瀬参考人が御説明になりましたが、違いはありません、基本的に。

 若干御説明申し上げます。

 私たちがやってきた道路関係四公団民営化推進委員会というのは、何でもかんでもできるわけではなくて、おのずから制約がございます。もちろん法律、設置法がございますし、その前に、前年十二月十九日の閣議決定、特殊法人等整理合理化計画、その閣議決定に沿ってやらなければいけないという制約がございました。猪瀬参考人は申し上げませんでしたが、その中に国民負担の問題も書いてありますし、それから、会社の自立は、民営化である以上、民営化を前提に議論しなさいということになっていますから、当然のことでございます。

 ただ、違いはどこに出てくるかというと、この二つは二者択一ではないんですが、今回の法案において果たして自立というものが担保されておるのか、また、分割は確かにされるんですけれども、本来の分割の意味をなした分割になり得るのかということを問題にしておるわけであります。

 猪瀬参考人と違うところを一点だけ。今申された点から言いますと、国鉄は確かに瀕死の重病人で、私は、そのときに事務局として民営化を考えた責任者の一人でありますが、日本道路公団について、ぴかぴかの会社であるのかどうであるかというのは、実は、民間企業並みの財務諸表がないわけでありますから、そこははっきりわからない。財務の状況は多分よろしいであろう、国鉄に比べれば、ということでありますが、確かに古屋委員御指摘のとおり、私は、仮にそれが民間並みにやってマイナスの場合でも、これはJRと同じように政府として対処してやれば、長い目から見ればそれは国家のためになるのではないかという基本的な立場の違いはあったかもわかりません。

 以上です。

古屋(圭)委員 今、御両人のお話を聞きまして、田中参考人は、十二月の二十二日の意見書の中でも、そもそも民営化とは、独立した普通の民間会社をつくることにほかならないという御指摘をされたと思います。そういう意味からすると、私は、やはり会社の自立というものにプライオリティーを置いているんだろうという理解でございました。しかし、今のお話を聞くと、ちょっとはっきりとしたお答えはなかったわけです。

 では一方、ちょっと視点を変えまして、税金の投入というのはどうなのかということで、大規模な税金投入という視点ですね、これについては果たして反対なのか賛成なのか。これはやらざるを得ないのか、こういう聞き方の方がいいかもしれないけれども、これについて御両人から簡潔にお答えをいただきたいと思います。

田中参考人 先ほど申し上げたように、日本道路公団の財務の状況が、民間並みの企業会計にのっとっておりませんから、よくわからない、最後までわからなかったんです。その点がございますが、一般的、抽象的に申し上げれば、古屋委員おっしゃるように、さっきあいまいであったということであればはっきり言いますが、私は会社の自立が重要であると思っております。そうしないと本当の民営化にならないということであります。

 したがって、日本道路公団が本当に資産割れしておるのであれば、ここは意見書のところでは妥協しておりますが、十年間というゆとりを、十年程度というのはとっておりますけれども、私は基本的な当初の意見をこの際申し上げれば、資産割れしておればそれは税金投入もやむを得ないだろう。ただ、それは閣議決定に反することでありますから妥協したということであります。

 以上です。

猪瀬参考人 これは、メディアは随分混乱したんですね。

 議事録を読んでいただければわかるんですが、債務超過、債務超過と言い出したのは、道路公団の内部から出てきた人の意見です。今、田中参考人がおっしゃった、債務超過であるかどうか、債務超過であるだろうというふうな言い方でおっしゃっていました。

 ただ、問題は、確かに財務諸表等がきちんと十全に公開されていないという問題があって、これは大いに問題だ、藤井治芳前総裁の指揮下にある道路公団の大変重要な問題だった。しかしながら、本質的な問題はそこにはありません。

 なぜならば、道路公団というのは、四公団合わせて二兆六千億円の料金収入を持っています。二兆六千億円の料金収入を持っていて、道路公団だけでも二兆円ですけれども、そういう料金収入を前提に、料金収入によって、何年間料金を徴収できるかということによって資産の価値が決まるわけですね。これが収益還元法です。これが今常識なんです。

 これは民主党の方々にも申し上げておきますが、菅直人代表も、収益還元法で土地の問題を考えるのは当然である、不動産の問題を考えるのは当然だとおっしゃっていますが、まさにそのとおりなのです。これは重要なことですけれども、東名高速の簿価を見れば一兆五千五百億円なんですよ。同じような簿価で見ると、東北横断道、秋田道、山形道、磐越道、これを合わせると東名高速よりちょっと長いんですけれども、これで大体簿価が一兆三千八十五億円なんですね。つまり、東名高速の簿価と、新しくできた、こう言ってはなんですけれども地方の、田舎の方の道路の簿価が一緒であるというふうに考えると、簿価を中心にして、土地の取得価格、あるいは、それに基づいた計算をして債務超過だと言っても意味がなくて、東名高速の年間収入は二千七百億円なんですね。そうすると、二千七百億円の年間収入があって簿価で一兆五千だ。これはすぐ払えちゃうわけです。東北横断道の年間収入はたった三百億円ですよ。

 ですから、簿価で債務超過だというふうなことを幾ら議論しても、つまり、不動産のコンクリートと地面の価格を前提に、道路公団が債務超過であるから税金を投入しなければいけないという議論がメディアに横行したんですよ。これは明らかに間違いでありまして、日本道路公団に税金を注ぎ込んで、日本道路公団を単体で独立させてぴかぴかの会社にして、それで一体何になるんですかということなんです。それが自立した経営ですかと。違いますよ、これは。

 道路公団を分割することが、つまり、むだを省いて分割して競争させることが大事なんであって、しかもなおかつ、あなた方は料金徴収権を持っているじゃないかと。三十年あるいは四十年、今回四十五年と決まりましたが、四十五年間の料金徴収権を持っているじゃないか。これで十分に借金も払えるし値下げもできる、そういうことを問題提起したわけですよ。

 ですから、そこのところで、収益還元法で物を考えるかどうか、バブルの時代の簿価の考え方をしているかどうか、ここが一番分かれ目だったんですね。そこのところをはっきりさせていかないと、今回の改革の意味がわかってこないということになるんです。

 ですから、先ほど委員御指摘の、会社の自立か税金投入の軽減かという話ですが、会社の自立もできるし、税金投入なんかしなくたってできるわけです、これは全く。特にそれを強く申し上げたかったわけです。

古屋(圭)委員 ありがとうございました。

 税金投入というのは、当然これは、猪瀬参考人の方は選択肢の中から外れているという理解を私もいたしますし、田中参考人はやむなしという考え方だと思います。

 そこで、ちょっと視点を変えまして、次は、この民営化の議論をするに当たって、私らもメディアからのいろいろな報告を聞いております。与党というのは時には厳しい批判にさらされるというのは当然だとは思いますけれども、そういう中で、ややもすると論調が、立派な黒字会社をつくらないと改革ではないとか、高速道路の建設を抑制すること自体が改革である、こういう論調があったと思います。特に、高速道路の建設をしない、抑制しなければという視点で、高速道路はやはり公共性はあると私は思いますので、そういう意味ではユニバーサルサービスというのは考えざるを得ないと思っておりまして、例えば、電力会社だって民間ですけれども、電力は全国に引いていますし、NTTしかりであります。

 そこで、こういった論調について両参考人はどういうふうに考えるか。特に、やはり会社の自主性がないと田中参考人は先ほど、政府の関与が強過ぎるということ、あるいは、道路というのは真に必要な道路だけつくればいいのだという趣旨の御発言がありましたが、では、本当に真の道路をつくるかどうか、その判断基準は一体どうなっているのかということについての言及もございませんでしたので、この点も含め、まず田中参考人にお聞きしたいと思います。

田中参考人 非常に重要な御質問だと思います。

 よく私どもの意見書についても、議論している最中から、つくるのかつくらないのかということにウエートを置かれ過ぎました。

 高速道路を全国にどういうふうにつくるかというのは、道路政策あるいは高速道路政策そのものであります。それを、つくられたもの、あるいはこれからつくろうとするものを民営化するということと、どの基準でつくるかつくらないかということは、分けて考える必要があると思います。

 私たちの意見書でも言っておりますように、今でもすべて日本道路公団がつくっておるわけではなくて、地方といわば合併施行というのもやっております、両方から金を出して。だから、いろいろ工夫すればよろしい。

 民営会社が、自立した会社がつくるかつくらないかというのは、これは採算上から当然考える。あるいは、民間会社といっても、地方の要請、地元の要請もやはり考えながら民間会社というのは経営するものでありますから、そこら辺は会社としても、金もうけだけ、プラスになればいいというものではないと思いますけれども、会社としてやっていけない、しかし、国家としてどうしても要るとか、地方としてどうしても要る、高速道路が要るという判断に立てば、やはり国としてはつくる必要があるだろう。そのあらわれが新直轄と言われるものであります。

 ですから、新直轄というのをどこから新直轄にするのかということは、結局、自立した民間会社ができないというものはやはりこれはできなくて、国家が必要とするものはやはり要るでしょう。その要るか要らないかという判断、それはまさに政治であります。そういうふうに理解しております。

古屋(圭)委員 今の、真に必要な道路はどうかというところで、田中参考人の意見書も見せていただきましたけれども、その中で、ある程度具体的な基準をつくれというような指摘もあったと思います。

 今の御指摘ですと、それはいわゆる普遍的なルールではなくて、あくまでも民間の新しい会社の自主性において判断すべきであって、具体的なスキームというのは特に必要はないんだというふうに理解をいたしましたけれども、果たしてそれで本当に道路としての公共性というものを十分に果たすことができるのかどうか、私は、そういった疑問が一方では出てくるのは当然だと思っております。

 そこで、今田中参考人がそういった趣旨のお話をしましたので、次は猪瀬参考人に、今の田中参考人の基本的な考え方に対してどういうふうに考えておられるかについてお伺いしたいと思います。

赤羽委員長 その前に、田中参考人。

田中参考人 今古屋委員の御質問、ちょっと誤解があると思いますので。

 今おっしゃった中で、例えば、九千三百四十二キロのうち、あと二千キロばかり、そのうち六百九十九キロはもう新直轄でやることになりましたが、その七十線区について優先順位を客観的に極力つくりなさい、いわゆる中村基準ということを申し上げておるわけで、一般的に高速道路を、どういうものを、高速道路をつくるかつくらないかという議論を私たちの委員会がやっておる、そういう役割でもないというふうに理解しておるということを念のために申し上げておきます。

猪瀬参考人 まず、これは一番最初に、特殊法人改革から始まったと申し上げました。コストの感覚が全く違うんですね。これは小泉総理もよく発言しましたが、もともと民営化委員会で僕が請求した資料なんですが、非常電話が二百五十万円かかる、それが、ちゃんと費用明細を出して全部分析していったら四十万円になった。つまり、これは八割引きですね。そういうふうなことを考えると、たかだか非常電話ということだけれども、では、あのトンネルは幾らだ、この橋は幾らだ、この盛り土でつくったコンクリートは幾らだ、こうやっていくと、八割引きはともかく、相当高いコストでつくっているんだろうなというところがまず問題なんです。

 そういうことをできるだけ明らかにしていくのが民営化委員会で、情報公開しながら問題を詰めていったわけです。したがって、結局二〇〇一年の、三年前の夏の段階で、九三四二の残り二千キロ余りをつくるのに幾らかかるんだ、二十兆円だというふうな国土交通省、道路公団の答えがありました。

 そういう問題を詰めていったらどのくらいまで減るんだろうかということで、まずこれは民営化以前の問題として、民営化委員会ないしは、これは政治の問題ですけれども、役所と国会がきちんと詰めていけばいい話なんですが、いずれにしろ、そういうことをやっていくと、まず二割はカットできるだろう。当たり前ですけれども、二割はカットできるだろう。だったら二十兆円が十六兆円になるだろう。こういうふうになったんですが、もっと、三割カットしろとかいろいろな話がありました。

 それから、もちろん、単に建設費のコストが二十兆円だからもっと安くなるだろうということだけではなくて、管理コストは幾らなんだ、管理コストは四公団で六千億円もするじゃないか、この六千億円だって三割カットできるだろうと。

 こういうふうに問題を設定していくという流れが非常に重要であったわけでありまして、そういう中で、つまり、税金を投入しないでできるだけ安く建設するなら建設する、建設する場合にも優先順位ははっきりとあるだろう、こういうことで、優先順位の基準を決めまして、優先順位に基づいて建設していく。

 ただし、どのくらいの長さを建設するかというのは当民営化委員会の権限ではありませんので、これは国幹会議というところで国会議員と有識者が決めるということですから、基本的には政治の問題ですね、九三四二というのは。これは自民党も民主党も含めて、民主党は当時ありませんでしたが、一九八七年の国土開発幹線自動車道建設法というので、全会一致で一一五二〇という予定路線をやる、こうなっているわけですから、僕はこれの決定をやり直すべきだと思います。

 いずれにしろ、あと残り二千キロ余りをどうするかということで、結局いろいろ詰めていく過程で、絶対できるだけコストを削減していく、最後の最後の段階でさらに二・五兆円コスト削減する、こういう話を詰めていったわけです。したがって、今ここで、僕の提出資料の先ほどめくった次のところに区分けした絵が載っていますけれども、有料道路事業会社が背負うのは七・五兆円以内、こういうふうになったわけです。

 これは距離の問題は書いてありません。距離の問題は二千キロですけれども、要するに、残り二千キロが、お金の問題で半分になったと思えば、距離が半分になったと理解することもできます。残り、有料道路会社が七・五兆円引き受けながら、なおかつこの七・五兆円をめぐってそれぞれの会社が、東会社、中会社、西会社が機構と話し合いながらこれをさらに削減していくということも現実的には可能です。これはやればいいことなんですね。

 なおかつ、この外に外した三兆円は、二〇〇一年に日本道路公団に対する三千億円の投入をゼロにしましたね、その三千億円の行き先の一つだと思うんですけれども、年間二千億円ぐらいだと言われていますが、十五年で。先ほど僕が最初に言いましたが、これははっきり言って、非常に採算性の悪い道路ですね、これをつくるかつくらないかは国会議員の問題で、先ほど、国土の均衡ある発展という言葉が出ましたが、国土の均衡ある発展ということを強く主張する国会議員の数が多いかどうか、少ないかどうか。あるいは、本当にむだな道路が要らないかどうかという議論が国会で真剣になされるかどうか。そういうことによってこの三兆円は、単年度の予算ですから毎年二千億円ずつ、これはやめるのなら国会でおやめになればいいということであります。

 そういうことで、申し上げたのは、必要か不必要かということは、最終的には、コストカットしながら優先順位を決め、その上でなおかつ民間会社が引き受ける部分と税金でやる部分に分けていく、税金でやる部分は単年度だからやめるのならすぐやめられる、こういう話です。

 それから、僕個人的な思いとしては、東名高速の御殿場から手前の東京までは第二東名要らないと思いますよ、あれ二兆円浮きますけれども。そういうことを言っていたんですけれども、それはどうも採用されていないんです。それは残念なんですが、一応そういうことです。

古屋(圭)委員 今、御両人のお話で、相違点というか、それが、ある程度私も理解することができました。

 時間がないのでちょっと次に進ませていただきますけれども、次が、さて、高速道路というのは一体だれのものなのか、こういう視点から質問させていただきたいと思います。

 政府案では、御承知のように、最終的には国民の共有財産となる、四十五年たったら返して無料化をするということでございます。

 田中参考人は、意見書の中でも、あるいは今の陳述の中でも、やはり会社による買い取り、私有化ですね、これを主張されておりまして、政府案とは反対側にあるわけでございますけれども、一方、猪瀬参考人の方はこの問題については特に触れておられませんでした。すなわち、私の理解するところによると、だれが資産を所有するかというのは余り本質的な問題ではないというふうに私は解釈をさせていただいております。

 そこで、まず田中参考人にお伺いしたいんですが、会社による買い取りは絶対条件というふうにお考えでございましょうか。

田中参考人 私は、提出した資料においても、またきょうの御説明でも、今古屋委員の指摘の点を最重要なポイントとして申し上げました。

 我が国では、他の公益的事業、公共事業においても、国民的財産であるというものはほかにもたくさんございます。しかしながら、高速道路は、ほかの国道以下と違いまして料金を取っております。しかも、これは私の理解では、受益者負担として将来とも管理費として取る必要がある。時代が変わって、まだ高速道路は、今のスピードではなくても、要る道路がいろいろ出てくると思います、ネットワークとして。

 そういうことを考えたときに、高速道路というもの、料金を取れるというものであれば、道路という名前は共通でありますけれども、これは、新幹線とかあるいは他のNTTの施設であるとかと同様に私的な財産と見なければいけない。その上で必要な最小限の規制をしていけば済む。その方が資本主義国家としての我が国の基本的な物の考え方ではないか。なぜ高速道路だけが別であって、新幹線は鉄道会社のものであるのか。考えようによれば、NTTの施設あるいは電力会社の施設だって同じことが言えると思います。

 それは、時代時代において、これは民間会社に持たせても必要な最小限の規制を公益上していけば、それで我が国としては十分もつのではないか。その方が企業として、あるいは、将来、株主としても、その企業をチェックし、企業としての自立性の上からも、日本国としては当然の物の考え方ではないかというふうに私は考えるからであります。

古屋(圭)委員 今の田中参考人のお話は、所有をすることが一番のベースの話である。ということは、逆に言えば将来も永久有料ということになると思いますね。

 会社が資産を保有すれば、普通の民間会社になるということを目指しているわけですから、そうなると固定資産税であるとか法人税も当然払っていただくということに私はなると思います。

 そこで、猪瀬参考人に対して、今の田中参考人の意見に対しましての考え方をお聞かせいただきたいと思います。

猪瀬参考人 これは、上下一体とか上下分離とかという言葉が出てきて話が混乱するようになったと思うんですね。こういう言葉は要らないと思うんです、本来。

 なぜならば、料金徴収権というのは所有権なんです、実質的な。つまり、コンクリートの塊を持つか持たないかということが本質的な問題ではないんですね。イタリアでもフランスでも料金徴収権です、所有権というのは、基本的に。

 有名な、悪名高いと言っていいかどうか、横井英樹という人がいて、ニューヨークのエンパイアステートビルを買いに行って失敗したんですね。これは所有権を買いに行ったんですよ。所有権を買いに行って失敗したんです。コンクリートの塊を買いに行ったら、営業権は別だったんです。つまり、営業権が実質的所有権なんですね。

 この部分が非常に大事なことなんで、この営業権の権限をどのくらいにするかということなんです、問題は。

 したがって、民間会社ですから自主権を持たなきゃいけない、当然です。それが、ただ、NTTのように、地域通信網を全部民間会社に私的独占で渡してしまいましたから、結局その部分は失敗だったんですね。地域独占、あの通信網を渡しちゃうと、これは私的独占ですから、したがって、公的な部分で押さえておいて競争参入させればよかったわけですけれども、そうしたら光ファイバー網がもっと普及し、敷設が進んだと思いますが、それはともかくおきまして、つまり、何が公であるか、何が私であるかといろいろ問題があります。

 だから、道路公団を全くの私有として、全くの松下やソニーのような会社として考えるかどうかという問題なんだけれども、これを松下やソニーとしての会社として考えるなら、一定の国の財産を松下やソニーみたいな会社へどんどん渡して勝手にさせるということはないわけですね。しかも、もちろん松下やソニーは乱高下します、株価が。そういう世界ではないんです。東京電力のような世界ですね。東京電力の安定した株主は、東京電力みたいなところは株買います、余りもうからないけれどもね。東京電力みたいな世界であって、だから、そういう一定の公益性を持った会社である。なおかつ、民間会社としてきちんとしたガバナンスがある、こういうことです。

 ですから、この民営化の話が出てから、このスキームであっても、外資系のというか、やはり民営化会社の株買いたいという話、よく聞こえてきていますよ。

 だから、問題は余り単純に考えない方がいいんで、これを巨大な独占企業体としてとにかく生き延びさせるよりも、分割して競争させていくということと、それからもう一つ大事なことは、もちろん、田中参考人の言っているように、その全体の所有権があっても構わないんですよ。ただ、それは、現在のところ国民的コンセンサスが得られていなかったんですよ。だから僕は、将来そういうことをオファーとして民間会社が申請した場合に、十年後の見直しとかありますからね、そういうことをまた話し合いできる可能性、余地は残しておいた方がいいと思います。

 そういうことであって、一番大事なことは、いかにコスト意識を持たせて、借金返して、値下げさせるかということですからね。気をつけないと、本当の独占企業体になったら値下げなんか絶対しませんよ、これは。

 ですから、そういう危ういところでこのスキームは成り立っているんだということでありまして、なおかつ、先ほど言ったように、値下げと分割と借金返済と、矛盾するものを何とか適合しながら解決する、こういうことであります。

 もちろん、当然ながらむだな建設はまだ残っているんですよ。これが問題なんです。できるだけそれを少なくしていくというか、コストの安い形で、それからむだな路線はなるべくつくらないようにするというところはまだ国会議員の課題として残っていますけれどもね。

 以上であります。

古屋(圭)委員 今御両人からお聞きしまして、田中参考人は、これはもう根幹の問題である、所有する、私有化をする。一方、猪瀬参考人は、やはり民間企業としてのガバナンスというものが大切であって、これはそう根本的な、本質的な問題ではないということでありまして、ここは相当御両者で両ウイングに離れているなと思うんです。

 そこで、きょうはせっかく藤井参考人も来ていただいていますので、国幹審のメンバーも務められたお詳しい専門家としての立場からお伺いしたいんですが、いわゆる民営化はフランスとかイタリアでも進んでおります。ほかの例でもそういった完全私有化というか、私有化ということはイコール永久有料化ということだと思うんですが、これは私はないというふうに理解をしているんですけれども、実際にそうなのかどうか。それから、どうしてそういうふうな方式をとっているのか。その辺のことについて藤井参考人からお聞きしたいと思います。

藤井参考人 海外の事例について非常に詳しく知っているというわけではございませんけれども、私が知っている限りでは、イタリアにおいてもフランスにおいても、全国的なネットワークについて永久的に所有権を私的に任せるというところには至った例はないというふうに思います。

 さらに、イギリスで、恐らく今度初めて有料の高速道路が開通いたします。有料の橋は今までありましたけれども、有料の高速道路が初めて開通いたしますけれども、これもいわゆるBOTです。ビルド・オペレーティング・トランスファーで、最終的には、一定の期間後は社会に所有が戻される、そういう形になっております。

 私自身としては、先ほど申し上げました、あるいはレジュメの二のところに書いてございますように、もともと高速道路のネットワークというのは社会に帰属すべきであり、なぜ鉄道と違うかというのが先ほど申し上げましたことでございます。

 ちなみに、鉄道の場合にしましても、JRは民営化されましたけれども、鉄道建設公団はパブリックなコーポレーションとして残ったわけですね。完全な民営化が行われたわけではなくて、そういうような建設のネットワークを組織する、策定して建設する機関というのはやはり残ってしまった、そこら辺もお考えおきをいただきたいと思います。

 差し当たって以上でございます。

古屋(圭)委員 それでは、もう一点お聞きしたいんですが、今回は、民営化推進委員会の意見書と政府案並びに、まだはっきりはしていないわけですけれども、民主党案というのが新聞報道等でも出てきておるというふうに理解をいたしております。

 まず、民営化委員会の意見書というのは、十年以内に私有財産化、永久有料化ということですね。それで、当然会社に資産は帰属をする。政府案は、御承知のように国に帰属をする。民主党案につきましては、これはまだはっきりしていないんですけれども、新聞報道等によりますと、三年以内に無料化ということで国等に帰属をするということであります。

 そうなりますと、民主党案と田中参考人が主張されている案、これはある意味で百八十度違うところにある、こういうふうに私は理解をしているんです。これは哲学というより、基本理念としてもそうだと思うんですが、この辺について、まず田中参考人はどういうふうにこの民主党案、まだはっきりしていないということが前提でございますが、こういうふうに報道されているけれども、いかがかという御見解をお聞きしたいと思います。

田中参考人 確かに古屋委員のおっしゃるとおり、もし新聞報道あるいは雑誌等で言われておることが、民主党の案ということは無料化するということですね、初めから無料にする、それから、税金でもって債務は返済していくということであるならば、私が主張しておることと違います。むしろ、私が言っていることは、永久にといいますか、額はうんと下がってくると思いますけれども、料金は取ることは必要かと思います。

 それから、ちょっと誤解がないように申し上げておきますが、固定資産税の問題は、民営化したJRの場合でも、うんとやはり考慮してあります。固定資産税が一般的に計算すると五千億以上かかるということもございましたけれども、JR並みに低くしてもらうことが可能であれば、相当固定資産税は下げることができるということは申し上げておきたいと思います。

 それから、民主党の案がなぜ私のそれと違うかといえば、要するに受益者負担ということを考えるのが、いかに額は小さくても、私たちの社会では基本的な物の考え方ではないか。それを、高速道路を使う者も使わない者も、いかに少額であるとはいえ国民一般が負担するということは、税の原則にも必ずしも適切な考え方ではないと思いますし、こういう資本主義の社会で公正に、公平に生きていく上でも適切な考え方ではないというふうに私は考えます。

古屋(圭)委員 この民主党案に対しまして、これも新聞報道ということが前提でございますけれども、猪瀬参考人はどういうふうにお考えでしょうか。

猪瀬参考人 本当に民主党は困ったものなんですね。菅直人さんは、前に民営化委員会の意見がいいと言ったんですよ。それで、選挙になったら急に無料化だと言い始めてね。僕は電話しましたよ、菅さんじゃなくて民主党のほかの方に。困っちゃうな、急に変えてもらうとと言ったら、いや、代表の言うことだからなかなか変えられないんですよとか言っていて。

 やはりまじめに物を考えてほしいんですよ。菅さんというのは基本的な問題はわかっていた人なんですよ。やはり選挙に勝ちたいために、急にポピュリズムで慌てて切りかえたのは、僕は、哲学を忘れちゃだめだと思うんです、人間は。

 それはともかくおきまして、基本的に無料化というのは、ではどうするかということなんですけれども、例えば、道路公団で八千何百人いますよ、四公団合わせると一万二千ぐらいいます、職員。この職員はどこに行くんですか。公務員にするんですか。これを公務員にしたら、行政改革に逆行することになりますよ。

 それから、問題なのは、民営化が僕が大事だと言ったのは、道路公団をスリムにしていくということですよ、民営化というのは。実は、別に国道というのがあって、国道の管理事務所があって、ここでもまたちんたらちんたら仕事をしているわけですよ。官にあるものをできるだけ民に移し、準公務員的な公団をさらに民間に移していく、こういうことによってコスト削減をしていくわけですが、公団的なものをさらに官に移すということであったら、これはコストの肥大化というか、作業効率とかのいろいろな肥大化に結びついて、結局大きな政府になっていくわけです。国道事務所に働いている人は、実はもう一回、今度は公団みたいに持っていって、さらに民間に持っていくぐらいのことをやらないと。とにかく、今、公団の人を民間に持っていくわけですよ、そうやってスリム化していくわけですからね。より行政の拡大というか肥大化に結びつくような考え方をしてもらっちゃ困るということです。

 それから、いずれにしろ、これは四十兆円もの借金を返さなきゃいけないわけです。これは返すスキームを考えたわけで、民間会社に仕事を抱えさせて、あなたが汗水流して働きなさいよ、そして四十兆円の借金を返しなさいよと、住宅ローンを抱えたお父さんみたいにして、むち打って、働きなさいよということなんですよ。そういうことをやらせるためにこれは考えているわけですから。

 ですから、先ほどの資産の所有という問題も重要な問題なんですが、固定資産税を取らないでもいいから、とにかく借金を返させるというスキームなんです、これは。

 借金を返すためには、これはコンクリートの資産を全部自分が持っちゃうと、大体四十年前後の間に八年ぐらいの開きがあるんですよ、借金返済の期間が。八年というのは二兆六千億円の八倍ですから、二十兆円ぐらい違っちゃうんですよ、借金返す金額が。だから、とりあえず資産は保有機構に預ける形にしたんですね、借金返済第一の、優先のスキームだから。

 無料化にして、どこから金を持ってきて払うんですか。それはおかしい話ですよ。だって、車を使っている人は十人に一台以下ですよ、高速道路。受益者負担の原則に反するし、どこからか税金持ってきて埋めるんだったら増税になりますし、どうやって処理するかさっぱりわかりません。

 いずれにしろ、不十分ではあるけれども、とりあえずこうやって返すんだという形をつくり上げたんです。ですから、無料化論が後からのこのこ出てきて、しかも詰めもなくて、話がひとり歩きしているのは非常に危険だと思います。

 以上です。

古屋(圭)委員 もう時間がございませんので、今、民主党の無料化案ということでナンセンスだというお話がありましたけれども、田中参考人、最後にお聞きしますけれども、この無料化案についてはいかがお考えでしょうか。

田中参考人 無料化案については、この点、猪瀬参考人と同じなんですが、私は、官から民へというのが小泉構造改革の基本あるいは自民党の今までの考え方だったと思いますし、一般の人も、そのことを構造改革上問題視したことはないと思います。私は長年行政改革に携わっておりますけれども、官から民へ、国から地方へというのは一つの大きな構造改革で、物の考え方であります。

 そのことから考えると、無料化案をもしお出しになるとすれば、それは、今お話のあったように、公団がやっていたこと、特殊法人のやったことをもう一回官が取り上げることであります。役所がやるぐらい非効率なものはないんです。というのは、役所というのは独占なんですから、すべて。独占は、間違いが起こるし、むだが多いんです。役所は縦割り、独占にならざるを得ないんです、重複したら責任がはっきりしなくなりますから。

 ということは、将来無料化するということは官がやるということですね、国にしろ地方にしろ。それは必ず非効率になる、時代の流れに反するのではないかというのが私の考え方であります。

 以上です。

古屋(圭)委員 最後に一言。

 今、田中参考人が、所有の問題と無料化の問題は、これは明らかに民主党案とは対極にあると思うんですね。しかし、民主党の推薦できょうは参考人に来られている。大変つらい立場もよく御理解申し上げながら、時間が参りましたので、参考人質疑を終了させていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 大谷信盛君。

大谷委員 民主党の大谷信盛でございます。

 きょうは、私の方は、高速道路株式会社法案、これはいわゆる公団の民営化法案なんですけれども、この法案が民営化に値するのかどうなのかに集中をして議論させていただきたいというふうに思います。

 その前に一つ、二つお伺いしたいんですけれども、今、古屋先生の方から民主党の質問が田中参考人、猪瀬参考人にございましたが、猪瀬参考人は借金を返すということを優先して、民主党の無料化案は云々というような御答弁を今なされましたが、少し誤解をされているようなので、そこの誤解だけまず最初に解かせていただきたいというふうに思います。

 猪瀬先生の民営化案というのは行革という話から出てきたものでありまして、もともとは、我が党の石井紘基先生と連携をして猪瀬先生が頑張っておられた。その著述を見て私も勉強させていただきました。

 しかしながら、我々が言っております民主党の無料化案というものは、この国の交通体系全体を考えて、なおかつ、どうやったら、都市の再生であったり、この国の根幹である、国づくりである、血流である道路を上手にもっと利用できるかというような大きなステージに観点を置いて出てきたのが無料化案であるということをまず最初に御理解いただきたいというふうに思います。

 それで次に、私、きょうは、これを見ますと、猪瀬直樹さん、作家・道路関係四公団民営化推進委員会委員とあるんですけれども、これは田中参考人も入っておられていて、おやめになられて、もう一人の方もおやめになられて、今委員会を開いたら三人の方が出てこられない。ということは、ほとんど機能していなくて、何か破綻しているんじゃないかというふうに思うんですけれども、この委員会というのは今どんな役割をしているのか。

 マスコミ等々の報道を見ますと、猪瀬参考人は、監視するために私はいるんだというんですけれども、別のマスコミ報道なんか見ると、居残っているんじゃないのか、居座っているんじゃないのかというふうに言われたりしますけれども、これは一体、委員会というのは今どんな役割をして、どんな役目で監視を猪瀬先生はされているのかという、この委員会の位置づけをはっきりさせてから質問に入らせていただきたいというふうに思います。

猪瀬参考人 質問する人は、委員会が公開しているということを御存じなのかどうか。つまり、委員会が委員懇談会となっても公開していて、そして議事録も全部公表されています。ですから、一月、二月、三月も全部やっているんです。そういうことをまず知らないで質問に出てくること自体が僕には信じられません。

大谷委員 議事録公開されている云々かんぬんの問題でなくして、いわゆる委員が過半数出席されていない中で、委員会としてこれがまともに、委員会が定数切れているわけですから、委員会として成り立っているのかどうなのかという質問なんです。

猪瀬参考人 これも、不勉強だから僕は言いますけれども、まず、委員というものを放棄してやめた人に責任の追及が行かなきゃいけないということが第一点。

 それから、委員会は委員懇談会という名称に変えましたが、国鉄再建監理委員会でも、あのときは五人なんですけれども、一人やめちゃったんですね。あのときは多数決じゃないので、五人全員一致という建前になっていましたから、実は国鉄再建監理委員会というのは途中から懇談会だったんです。だけれども、一応委員会としてやっていました。数のことは余り問題じゃないんです。

 それで、委員会が委員懇談会になっても委員会活動は続けられており、そこに道路局長やら道路公団総裁やらが出席して、我々の質問に答えて、そして膨大な議事録がつくられています。

 そういうところにぜひ傍聴に来ていただきたいなということであります。

大谷委員 なるほど。定数にかかわらず委員会は開催されていて、十分機能を果たしているということですね。

 そうしたら、その委員会というのも結構なぞが昨年の末、多かったように思うんですが、例えば十二月の二十二日に政府・与党の申し合わせということで発表がなされたんですけれども、その事前の段階で、猪瀬委員が非常によく、根回しというか動いておったというふうに報道がされておる。小泉総理と、十八日だったというふうに記憶しておりますけれども、元利均等であったりとか固定金利であったりするようなことを言質をとったから大丈夫だみたいなことが報道されていたというふうに思うんです。これは委員として、委員長もおられましたし、委員長代理であった田中参考人もきょう来られていますけれども、何かお墨つきをもらってやったのか、それとも勝手に動いたのか、言っているだけなのか。一体何だったのか、その辺のところをちょっと先にはっきりさせていただけますか。

猪瀬参考人 これも、ちょうど田中参考人がいるから、むしろ田中参考人に聞いたらいいですよ。

 つまり、十二月九日に委員会が開かれ、そして、次の委員会は十二月十九日であるというふうに確定しているわけです。委員会の日程の決定は委員会でなされます。ところが、十二月十七日に突然田中委員の方から、十九日の委員会は開催しないと。それは、しかし、委員会で決めることだから、僕は同意しないけれども、でも開催しないとなってしまったらこれはできない。したがって、僕は、十二月十八日に小泉さんのところへ行ったわけですよ。全然当たり前のことです、十二月十九日に予定の委員会があるわけですから。

 そういうことであって、事実関係を精査して、そしてその事実関係を踏まえて、それで質問してください。

大谷委員 田中参考人にお聞きしたいんですけれども、私はやはり、事実関係はもちろん大事ですけれども、事実関係がそうやって見えないところもあるわけです。

 委員長がおられて、委員長代理がおられた。それでみんなでこうやってやっている中で、委員だけが突出してやったといったら、これは委員会としての議論のルールが成り立たないわけなんですよね。

 田中参考人にお聞きしたいんですけれども、これは別にお墨つき渡していないのにそうやって動いているんですけれども、これは委員会として機能していたんですかね。(猪瀬参考人「いや違う、ちょっといいですか」と呼ぶ)田中参考人にお聞きしています。

赤羽委員長 私は、委員長の権限で、まず猪瀬参考人の発言を認めます。

猪瀬参考人 今言ったように、委員会が、十二月九日に、次の委員会は十九日であると決まっていて、その十九日に委員会がないということが十七日に突然、委員会は開かないという権限を田中さんは持っていないにもかかわらず委員会開かないと言って、十九日の委員会はなくなったわけです。いいですか、そこの事実だけ踏まえて。それ以上のことはもう言いません。

田中参考人 十二月九日に、十九日に開くことは言いました。しかし、それには前提があります。ボールは国交省に行っておるわけです。つまり、委員会としては、ボールは意見書として投げた、その答えが出てこないわけですね、国交省から。出てこなければ、私どもとしては集まっても議論することがない。相手のところまでボールをとりに行くことはない。

 したがって、十七まで、ぎりぎりまで待ったんですけれども、それぞれの委員に、何も全員集まって会議しなければ変えられない話ではありませんから、電話でそれぞれ、私はこう考えると。だから、十九日は、もし出てこなければ、出てくれば直前でももう一回電話すればいいんですが、ついに出てこなければやりようがないということで各委員に聞きましたところ、大部分の方が、猪瀬さんは例外です、決めたことだから開けということでしたけれども、多数があなたの言うとおりであるということでありましたから、ボールが向こうにあるのに集まって議論しても仕方がない、むしろ私は、開かないことが国交省に対する一つのインパクトになるのではないかと。

 長年行政改革をやっておって、こっちの方からとりに行って失敗したことがたくさんあります。あるいは、そういうことをおやりになって失敗したことがあります。したがって、断固としてこの際は、我慢して十九日を迎えた方がいいというふうに私は考えたから、そういうふうに皆さんの意見を聞いて取りやめたわけであります。このことはあちこち書いたりしゃべったりしておりますが、改めてきょう申し上げておきます。

大谷委員 わかりました。連携不足があったんだなということはよくわかりましたし、事実関係ということで、事実関係も再三今猪瀬参考人から言われましたので、それを踏まえて、もうちょっとまた役割というものを考えたいと思います。

猪瀬参考人 だから、やめる権限はないんです。その十二月九日にしか、要するに十九日の件を決める権限はその委員会でしかないんです。それを勝手にやめちゃって、放棄したんですね。十九日に別に、回答が来ないとかおっしゃっているけれども、十九日に開いて回答を待ったり、あるいは十九日にそこで決議して何らかのことをやればいいわけであって、後から、十二月二十二日に、こういうようになりました、そこでやめますというんじゃ、何にもしないで待っているだけでしょう。まあ、それ以上はやめます、この話はくだらないから。

 以上です。

田中参考人 議論を矮小化したくないんです。私と猪瀬さんが意見が違うからどうのこうのという問題ではなくて、私どもは政府といろいろ議論しておるわけです。

 それから、間違えてもらいたくないのは、委員会を開催するかどうかというのは、議事規則上、委員長であり、あるいは委員長代理が、その日どうするかということは決めることは可能であります。

大谷委員 中身に移りたいというふうに思います。

 民営化にこれは値するかどうかということなんですけれども、私は、株式会社という名がつくからには、利潤を追求する、そのためにいろいろなマーケティングをし、商品をつくって売り出していく、また、その過程上においてコスト削減をしていくということが、うちの母親でも理解できる、利潤を追求する民営株式会社というものの当然のあるべき姿だというふうに思うんですね。

 これ、法案を見てみますと、政府・与党申し合わせでは、通行料において利潤を上乗せできないということになっているわけですね。そうすると、高速道路株式会社という、通行料でもうけることをイメージさせるような会社じゃなくて、SA、PAという、いわゆるサービスエリアでフードだとかというような非交通使用料収入でもうける会社ですから、高速道路フードサービスセンター株式会社法案じゃないのかなというふうに思うんですけれども、これは本当に、利益が追求できなくて、本来の民営化、いわゆる株式会社だって言えるんですか、言えないんですか。まずは猪瀬参考人、その次に田中参考人にお答えをお願いしたいと思います。

猪瀬参考人 四公団の年間収入は今幾らだか御存じですか。(発言する者あり)ああ、質問しない。二兆六千億円です。そして二兆円余りのリース料を払う。これがまず出発点ですよ。そこでは利益出ないですよ。しかし、結果としての利益は出るんです。それで、六千億円の管理費がありますね。これをできるだけコストを削減していくということによって利益が出てきます。それから、当然ながらネットワーク収入というものがあります。

 だから、僕はこの問題はずっと前から言っていますけれども、御殿場のアウトレットモールなんて外資系がやっていますよ。土日満杯ですよ。それを自分で経営すればいいわけです、自分のエリアの中で。例えば、では、東京から御殿場間の交通量が、御殿場のアウトレットモールが自分のものであったとすればそこでの収入も得られるし、そういう非常に収入が得られやすい企画を考え、ビジネスチャンスを考えていくことによって交通量もふえますね。そこで出た利益は、当然、有料道路会社の利益になりますよ。

 したがって、結果としての利益は認められるわけですよ。つまり、ぎりぎり二兆六千、管理費六千、リース料二兆、ここではないですよ、利益なんて。そこから汗水流して働きなさい、こういうことですよ。

田中参考人 非常に重要なポイントでございます。

 料金には利潤を含めないというのが十二月二十二日の政府・与党の申し合わせでも書いてありますし、今度の法案においてもそれが基本になっています。つまり、料金はこれこれこれを償うものであるということは、裏返せば、利潤は含まないということであります。

 努力をして利益を出すとします。しかし、それは、基本は料金からでありますから、五年計画になるか六年計画になるか、どういう計画、それぞれ中期計画を立てると思いますが、仮にそこで利益が出れば、基本は料金から得ているものですから、料金を下げなければいけません、利益を得たらいけないんですから。逆に言うと、努力すれば努力するほど、奴隷のように、減らされる、そういう経営はしないだろうと思います。とにかく努力しないだろうと。

 だから、計画経済のように割りつけて、これほどでやりなさいと限度額を示して、守らせて、監督してやる。それは決して、会社が自主的に経営する考え方に立っておるものではない。強制的に守らせるという発想に立っております。それは従来の公団だって、若干形は違いますが、同じようなやり方で来た。

 ですから、利潤を含めないということは、ではどうするかというと、結局、褒賞費みたいに、努力したところに褒賞費やるのか。何ぼか、そのうちの幾らか、どういう基準でやるかわかりませんけれども、やるかというぐらいなことしか考えられないんですね。

 ですから、どんな企業でも、自分の本業において、先ほども申し上げましたが、利潤を認めないというのは、それは企業じゃないんですと私は理解しております。

大谷委員 私も田中参考人の意見に全く同感の感想をこの法案に持っております。まず、競争するインセンティブがどこにも働きません。にもかかわらず、利潤は出るし、これは十分借金を返せるからすばらしいスキームだというふうにおっしゃる方がおられるんです。

 猪瀬参考人、これは本当に今田中参考人がおっしゃったとおりで、全然経営の自主性を持っていないんですから、どんな努力をしても民営化された株式会社だと言えないというふうに思うんですけれども、それはどうお考えですか。

猪瀬参考人 先ほど説明したように、リース料をぎりぎり取るわけですよ、借金返済のために。しかし、そこから始まるわけです。もうインフラを実質もらっているわけですよ、インフラの権利、料金徴収権を。したがって、経営努力すれば幾らでも利潤は出てくるんです。これは当たり前でしょう。

 つまり、先ほど言いましたように、御殿場のアウトレットモールみたいなものをつくればいいじゃないか。それだけじゃないですよ。何とか温泉とかつくっていいわけです、敷地内に。あるいは、山間部の土地なんか安いですから、サービスエリアを拡大して、そこにビジネスチャンスはまた幾らでもつくれますね。そういう流れの中で通行料収入がふえていったら、それは民営化会社のものですよ。法人税として払うわけです、それは当然。

 それで、経営努力によって生み出した利益は、当たり前ですけれども、ボーナスや何かで還元され、あるいは逆に、経営努力をしなければリストラされるわけですね、高いリース料を払わなきゃいけないわけですから。そういうふうにインセンティブはきちんとあるわけです。

大谷委員 SA、PAの部分でインセンティブがあると。

 しかしながら、私が今言っているのは、利潤を通行料に含めちゃいけない、利潤を追求しちゃいけないと、ある一面で言われて、こうやって制約をされている運営主体が民間の株式会社だって言えるのかということなんですけれども、そこはどうですか。

猪瀬参考人 先ほども言いましたけれども、ソニーや松下じゃないんですね。これは東京電力型の会社ですよ。ですから、利益が余計に出るようであれば、料金値下げとして還元していくということは当然一つの道筋ですよ。キロメートル当たり幾らと取っているのがそうですから。したがって、単に、一方で利潤追求しながら、過大な利益が出る場合には料金値下げに持っていくというのは、これは当然です。公共交通機関でも料金はみんな認可要件ですよね、基本的には、私鉄でも何でも。それから東京電力だって、円高で物すごく差益が出たら電力料金下げましょうとかいう話になりますよね。ですから、過大な利益が出れば、国民というか利用者に還元されるのは、これは当然です。

 ただ、それは毎年毎年ということじゃないから、一定期間の経営努力の結果出てくる利益というものは、当然課税の対象になるわけですよ。それを毎年毎年見直していくわけじゃないですからね。これはかなり長期的な期間の中で経営努力をして利益を生み出していく。これは基本的には変わりません。

田中参考人 補足したいと思います。

 今、公益的な事業、電力にしろNTTにしろJRにしろ、運賃・料金に利潤を含めないことにはなっておりません。最小限、もちろん、公益事業でありますから、大もうけしてはいけません。これは今井委員長も、常々そうおっしゃっていました、大もうけするものじゃないと。

 だけれども、大もうけしないということと利潤を一切認めないということは、また話が別であります。電力会社には、ちゃんと電力料金の中に、最小限であっても利潤は認めてある。JRの運賃・料金にもそれは認めてある。NTTもそうである。それは、監督官庁なりなんなり、必要最小限の規制によって、国民をバックに物を考えておるということを補足的に申し上げておきます。

大谷委員 この会社のインセンティブについて、ちょっと質問の方向性を変えたいというふうに思うんですけれども、猪瀬参考人にお聞きしたいんです。

 午前の参考人質疑では構想日本の加藤参考人が参加されて、これは上場できるに値しない会社だというふうに言われた。私もそのとおりだというふうに思います。これ、将来的に上場できる会社なのかどうなのか。もし上場できる会社だと考えるんであるならば、その理由と、一体どこの証券取引所で上場されるのか。業種分類では道路なのか、不動産なのか、それとも食料なのか、物流なのか、一体どこなのかというこの三つを、猪瀬参考人、その次に田中参考人にちょっと教えてほしいんですけれども。

猪瀬参考人 これは民営化委員会の幅を超えた話ですから。小泉さんは、上場を目指す、こう言っていますね。

 それから、基本的には、JR東日本が完全民営化を果たしたのは、つい数年前、一、二年前ですね。西日本がついこの間ですね。ですから、完全民営化には十五年ぐらいかかったということです。それで、JRの場合は、あと、三島会社といって、北海道、九州、四国、これは当面、あるいは貨物の会社も株式の売却のめどは立っていませんね。

 この民営化会社については、道路については四十五年間の料金徴収権を与えられていますので、株式の上場は可能だと思います。それから、さまざまな形でそれぞれの東会社とか中会社とか西会社が出資して、幾つかのビジネスを展開していくことも可能だと思います。そういうことで、これはむしろ僕に聞くよりも、外資系の方々に聞いた方が早いかと思いますが。

 それから、イタリアではベネトンが主要な株主になりましたよね、イタリアの道路会社は。ビジネスチャンスとしては、ネットワーク収入というものが相当期待できる。近藤総裁なんかは、三千五百億円今ネットワーク関係の収入があるけれども、これを一兆円にできる、こういうふうに言っていますけれども、僕はそれもかなり期待できることは確かだと思いますよ。そういうネットワーク収入と兼ね合わせながら交通量がふえていけばいいだろうなということであります。

 つまり、昔からそうなんですけれども、東急でも西武でも、私鉄というのはあって、そしてターミナルステーションがあって、それから終点に遊園地があるというパターンがありますから、インフラ整備というのはそういうソフトと一体となった形で展開されていくんだと思いますよ。ところが、道路公団というのはそういう発想がゼロだったんですね。ですから、今度民営化会社になると、昔の私鉄のような形になるんじゃないですか、発想としては。

 ですから、これを民営化というのは意味があるのであって、今までは、とにかく道路公団というのは道路建設公団にすぎなかったんですよ。自分のインフラのネットワーク効果というのを使おうとしなかった、そういうところにビジネスチャンスを見出そうとしなかったんですよ。ですから、そういう意味ではこれから絶対に今よりずっとよくなるのは当たり前ですよ。

田中参考人 私は株の専門家ではありませんので、どういうことになるか判断がにわかにはつきませんが、ただ、一般的に申し上げたいと思います。

 きょう冒頭の説明のときにも申し上げたように、この会社というのは、せいぜい、政府の規制の強い独立行政法人であると申し上げました。なぜなれば、既存の債務、それから新しく七・五兆円以内でつくるということでありますが、そういうものを全部ひっくるめて、それぞれ東と中と西、例えば今の道路公団だけでいえば、そういうふうに、料金収入から支出を引いてリース料を出していくと思います。一方で、機構は四十五年間にそれを確実に返さなければいけないわけですから、逆に言えば、それを三社に、あるいは首都と阪高もありますが、要するに民営化された各会社に協定という名のもとに、本当は協定じゃなくて、四十五年間に返さなきゃいかぬわけですから、既存のものとこれからのものとを割りつけていかなきゃいかぬわけです。協定という名のもとにこれほど、新しいものだけについて言うと、トータル七・五兆円以内であなた方はやらないと、それが限度額であって、あとはおまえたちの負担にするよと。だからこそ、私は、それはいわば社会主義国家における計画経済のようなものであると。

 ですから、そういう規制のもとで業務をやっていくわけですよ。逆に言えば国家が保証しているわけです。ですから、そういう会社の株を買うか買わないか。多分最低限の利益は出るはずでありますから、しかも安心感がありますから、私は素人でありますけれども、結構買う人もいるのではないかというふうには思いますが、いかがでしょうか。

大谷委員 そうですか。猪瀬参考人と田中参考人、全く別の理由から上場できるんじゃないかと。猪瀬参考人の方はできるんじゃないのだったので、ちょっとあやふやでよくわかりませんでしたけれども。

 僕、これは四人にお聞きしたいんですけれども、簡潔に言っていただいたらいいんですけれども、別に、このスキームで道路建設をし、借金を返済していくのであるならば、民営化のこの株式会社の看板、お冠を与えなくたって、独立行政法人で、第三者機関と政治、国会の場でしっかりとコストダウンというものをさせるスキームをつくり、監視体制をとり、なおかつ路線はどうするのかということを、この国会の場もしくは政治の、国民の見える場でしっかりと論議をして決めていけば、独立行政法人で十分できるじゃないかというのが私の印象なんです。

 これは、皆さん、やはり民営化じゃないとこの目的というのは達成できないのかということについて、このスキームの形、独立行政法人と民営化とどう違うんだということについて、藤井先生から教えていただけますでしょうか。

藤井参考人 大変広範な御質問なんですが、私自身は、独立行政法人じゃなくて、民営化する方が有利だと思います。

 民営化の利点は、最初に申し上げましたように、政策の責任と経営の責任をはっきり分離することです。独立行政法人ではなかなかその分離が難しいと思います。実際に、今まで公社、公団というのは、本来、その分離をするはずだったんですけれども、結果において分離はできなかったというのが実際の経過としてはわかっているわけです。その意味では、民営化をする方が私は望ましいというふうに思います。

猪瀬参考人 今まで道路公団だったから、これを民営化するということだったのです。

 それから、先ほど、上場できると言ったんですよ、僕は。間違えないでくださいね。ネットワーク収入を含めて、これは優良会社として認知されるということを言っているわけです。ただ、そのためには、常に常に国民の監視は必要ですよ。というか、国会議員の監視が必要なんです、本当は。石井紘基さんみたいに、きちんと細かいファミリー企業の分析とかしていればいいんですよ、国会議員はもっと、民主党の方は。

 それはともかくおきまして、独立行政法人というのは、要するに特殊法人だったわけですね、それは名前が変わっただけですから。そんなことを今さら言い出してもらったら困りますよ。

 民主党の無料化の話もありますけれども、無料化にして、とりあえずそこの職員をどこに持っていくんですかということなんですよ。それから、そこでやる工事とか維持管理、メンテナンス工事とか、だれがやるんですか。こういうことをはっきりさせないと、きょう、民主党だから、今、僕はしゃべりますけれども、そういうことを言わないで、民営化委員会のやったこととか、あるいは今回の法案がどうのこうの言われても、今まで三年間努力してここまでつくり上げてきたんですよ。それをまた、イロハのイみたいな話を始めてもらっても困りますよ。

 以上です。

田中参考人 きょう提出したペーパーでも、あるいは御説明したことでもその点を一番強調したんですが、私は、先ほど古屋委員が御指摘されたように、民営化の基本は何であるか。経営の自主性、ガバナンスが一番重要であるというふうに考えるわけです。だからこそ所有のことまで言及しました。

 今の提出された法律案を見ますと、それがあたかも、論理的に追っかけていくと、私が先ほど申し上げたように、むしろ独立行政法人として構築した方が話がわかりやすいではないかというふうに現在の法律案から帰結したものであります。

 なぜなれば、独立行政法人は、何も特殊法人とは同じではございません。であれば、政府は、何も独立行政法人をつくる必要はないんです。通則法をつくり、基本は、政策は政府がつくって、その執行を独立行政法人に、三年なり五年なりであなたのところは中期計画でこれほどやってくださいと目標を示します。独立行政法人は、その三年なり五年なりでそれをブレークダウンして、これほどやります、毎年度計画もつくりますと。政府の政策の執行を的確にやろうとするのが、しかも効率的にやろうとするのが、独立行政法人の構想された考え方であります。

 したがって、今回の法律を見ると、どうもその方がふさわしいのではないかなというふうに、申し上げたとおり思ったものですから、重ねて説明しました。

 以上です。

中山参考人 私自身、最初にも述べましたように、高速道路というのは基本的なインフラになりますので、これを民営化するということ自身は、やはりもうちょっと慎重に考えた方がいいと思います。

 むしろ、独立行政法人がいいかどうかは別ですけれども、行政がきちっと関与して、行政、国会もしくは県等できちっと議論して、こういった基本的なインフラを地域経済の活性化にどう活用していくのか、そういったところで県民なり県なりがきちっと意見を述べられるような、そういった公的な機関に所有なり今後の権限なりを残しておくという方が望ましいですし、その上でむだをきちっと排除できるような仕組みを考えていくことが望ましいのではないかと思っています。

田中参考人 一言補足させてください。

 私は独立行政法人がいいと言っているわけじゃなくて、今回提出された法律案は、私が期待した、あるいは民営化推進委員会が期待した民営化ではないよということを強調するためにあえてそういう言い方をしたということを御理解いただきたいと思います。

大谷委員 田中参考人が言わんとしていることはよくわかっています。本来の提唱されていた民営化であれば一番よかったんだが、当時の民営化の中身とは全く違ってしまっているということだというふうに理解していますし、私もそのように思っていますから、きょうはその思いで質問をさせていただいております。

 例えば、猪瀬参考人にお聞きしたいんですけれども、二〇〇一年の石原国土交通大臣が行革担当大臣のころに特殊法人改革の議論が始まって、猪瀬参考人がそこでお役割を果たしておられたころ、猪瀬さん、三十年で償還するんだ、なおかつ新路建設はなしなんだというふうにたしか言っておられたと思います。

 いや、あれは考えが変わったんだ、そんなことは言っていないというんだったら後で言っていただいたらいいんですけれども、そう言っていたとしたら、今回のこの民営化の法案というものは、かなりトーンが落ちているというか形が変わっているものになっているんですが、それでも及第点、合格点を渡せるに今でもやはり至っていますか。

猪瀬参考人 事実をきちんと確認してしゃべっていただきたいですね。

 建設を一切しない場合には三十年で返せる、そういうふうに、四公団を含めて、日本道路公団にはキャッシュフローがあるよということを申し上げたんです。それで、新規建設については一時凍結して、そして、どうやって建設するか、優先順位等を含めて検討しましょう、こういう提案をしたんです。そのときにきちんとテレビでも言っています、南極の氷じゃありません、一時凍結して、そしてどうするかを決めましょうと。それで第三者機関をつくることになっていく流れになるわけです。ですから、事実関係を正確に把握して言っていただきたい。

 それから、民営化委員会をずっと開いた後、一個も建設しなければ三十年で返せるわけですが、では、どのくらいだったらどうかといろいろな試算を出します。これは民営化委員会はたくさん試算が出ています。その試算を見ていただければわかります。

 田中参考人がどこかで、四十五年先は自分は生きていないわなんて言ったけれども、民営化委員会では、四十年ケースと四十六年ケースの返済の試算を出しています。それから、途中途中の委員会でもいろいろな試算が出ていますので、基本的には、先ほど言いましたけれども、料金徴収権を持っている会社ですから、収益還元法で考えると大体どのくらいでどうなのかということはすぐ計算できるので、確かに、財務諸表等で見えない部分がいっぱいあったんだけれども、しかし、現在どのくらい収入があるということと、要するに管理費はどのぐらいかかるということから、基本的な計算はできるんです。そういうことです。

大谷委員 済みません、繰り返させていただいてよろしいですか。

 ですから、言っていることが当時も今も変わっていないから合格点だと言っているんですか、それとも、当時思っていたことと、三年間議論を積み重ね、もっともっと公団のことを知って、なおかつ、ああ、これだったら合格点だねと言ったのか。どういう状況で言葉が変わったのかということを教えてほしいんです。

 私の勉強不足を言われるのは十分結構でございます。ただ、どう変わったのか、変わっていないのか、この二つに一つなんですよ。

猪瀬参考人 料金値下げ、分割、そして借金返済、これが基本ラインですよ。これができたということですね。三年前には考えられないことでした。道路公団民営化という言葉はありませんでした。更地から立ち上げてここまで来たんです。

 それで、またちょっとそれますけれども、田中参考人が、新会社が経営の自主性を持つこと、債務の早期確実な返済、それから保有機構からの資金還流はない、地域分割、料金値下げ、こう言っています。田中さんと僕は意見が少し違うところがあるんですが、これは基本的には、六、七割できているわけです。

 いろいろな問題点も残っていますが、しかし、基本的なところで、繰り返しますけれども、料金引き下げ、分割、借金返済四十五年明記ですよ、これが決まったということで一応合格点だということになります。

大谷委員 なるほど。

 田中参考人にも同じことを聞きたいんですけれども、これは田中参考人の出してくれたペーパーの言葉をかりれば、車をつくってエンジンはできていないじゃないか、見た目は言っていたのに似ているけれども、全然思っている方向に進まないスキームじゃないのかというふうに言われているんです。今猪瀬参考人がおっしゃったことに対して、私は、それはやはり看板がついただけで、実質、最初言っていたものと中身は全然とれないんじゃないかというふうに思うんですが、田中参考人はどうでしょうか。

田中参考人 民営化というものをどういうふうに把握するか、観念するかということだと思います。

 私が総理に、この点、この点、この点とただべたにお示ししたのが間違いだったかもわかりません。基本になることと、それから、それさえ行われれば、あとは最小限の規制でチェックしていけるものと、分けてやるべきだったかもわかりません。

 きょう冒頭の陳述で申し上げたあの二点が私にとっては民営化の基本でありまして、古屋委員が指摘されたことは間違いないところであります。したがって、その基本が液状化しておれば、その上に建つものは非常にぐらぐらするものであり、砂上の楼閣であると申し上げたのはそういうことであります。

 国民の監視あるいはマスコミの監視、国の監視がないと運営できないような会社では困るんですね。必要最小限の監視でいい。監視だけからいえば、今の道路公団だって、旧建設省、今の国土交通省がきちんと監督することになっているんですよ。監督するだけではだめなんですね。中からわき上がる効率化、法人自体の自分のガバナンス、これを確立することが非常に重要であるということを重ねて申し上げておきます。

大谷委員 ありがとうございます。

 これだけ議論を重ねた委員の中でもこれだけ中身の評価が違うんだということがよくわかりましたし、残り時間、あとどれぐらいあるかわかりませんけれども、国会審議の中でしっかりと、私は、利便性、国民利益ということを中心にして、もちろん、猪瀬参考人が言っている、借金を返すということも大事なことなんですけれども、議論をしていきたいというふうに思います。

 本日は、まことにありがとうございました。

赤羽委員長 高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 参考人の皆様方には、お忙しいところ、国土交通委員会に来ていただきまして、ありがとうございました。

 特に猪瀬参考人と田中参考人、民営化委員会の委員を務められたということでかなり集中的に意見陳述という形になっておりますけれども、ほかの方々にも御意見を伺いたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。

 まず、先ほど古屋委員のところで民主党案のことがちょっと出てまいりましたけれども、まだ法案が出てきておりませんので、具体的な形で質問するということができません。本来であれば、政府案と民主党案というのが並んで、その上でこういう参考人の陳述ができればよかったかなと思うんです。

 そういった中で、私たちも報道でしか知り得ない部分がございますけれども、例えば昨年の十一月の衆議院選挙のとき、あのときは、各党、マニフェストという形でこの道路公団問題を取り上げたと思います。そのときに、民主党のマニフェストの中では、無料化にすると、かなりインパクトのある提案であったと思いますし、また、それとともに、最近の報道では、やはり全部無料化すると借金返しはどうなるんだといういろいろな指摘もあったようで、その中で、首都高、阪高は有料にするみたいな報道もなされておりました。

 そこまでの情報でしかないんですけれども、その上であえて参考人の皆様方にお伺いをしたいんです。

 先ほど、猪瀬参考人だったと思うんですが、受益者負担の問題、十分の一しか自動車が高速道路を走っていないみたいなお話をされましたけれども、まさに今回の民営化の論議の大きな焦点となったのは、四十兆もの債務をどうしていくのか、どうやって返していくのか、本当に返せるのか、こういったことが大きな問題であったと思います。

 そうしますと、無料化とした場合に、受益者負担ではなくて税で返していく。いわゆる高速道路を利用しない人がそれだけの負担をして、果たして理解が得られるのかどうか、こういった問題が出てくると思いますけれども、その点につきまして、四人の参考人それぞれ、藤井先生からお伺いできればと思いますので、よろしくお願いいたします。

藤井参考人 私も無料論については情報を持ち合わせていないのですが、一般的な議論でお許しをいただきます。

 既にもう田中参考人、猪瀬参考人からお話のありましたように、受益者負担の問題、要するに、受益者と負担者が分離してしまうということによる不公平、これは確実に発生します。

 それからまた、もしも料金がコストを的確に反映しているのであれば、無料にするとコストに値しないような利用が発生するということも事実であります。これが一番困るのが、混雑がさらに増加するのではないか、その点ですね。その点からいいますと、もう一つの系として出てきますのは、一般道路との間の機能分化が確実にできない、高速道路の利点が生かせないという点があります。

 それから三番目に、債務の償還に税金を充てるというのは、実は非常に直截で、透明なやり方です。しかしながら、いわゆる経済学でオポチュニティーコストと申します機会費用が発生します。言い方をかえると、それだけ分、ほかの道路整備に充てることができないというマイナスが発生するわけです。

 それらを考えますと、無料よりも、これは経済学者というのはやはり価格論にどうも選好があるので、バイアスがかかっているかもしれませんが、私は、価格をつけて、できるところまではやるというのがマーケットメカニズムとしては正当だろうというふうに考えます。

猪瀬参考人 これは、無料にしたいという気持ちは大事なんですよ。だから、急に菅直人が選挙戦略でそういうふうにしようとしたというのは、ああ、無料だったら受けるな、こう思ったわけですね。これは、だけれども、実は、基本的に我々が高速道路は高いなと思っているんですよ。高いなと思っているところに玉を投げてみたということでしょう。

 しかし、高速道路は高いなということについて、実は、民営化委員会で僕は値下げをしきりに主張したんです。ところが、値下げに反対する委員もいるわけですよ。大変なんです。とりあえず値下げということで、値下げをすることによって同時に借金も返すという矛盾する命題をとにかく解決しようとしたんです。

 ですから、安くしてほしいという、それは、僕自身も利用者ですから、もっと安くならないかといつも思っていますよ。そのためにいろいろな形で議論をして考えてきたので、議事録をよく見ていただきたいんですね、だれが値下げに反対した人なのか、だれが賛成したのか、よく見てほしい。やめた人には値下げに反対した人がいますよ。

 ですから、値下げをし、なおかつ借金を返す、そして競争させるということです。無料というのはもう夢物語ですから、そういう無料化案がこれから民主党から出ても、恐らくだれも信用しないと思いますよ。

 以上です。

田中参考人 石原国土交通大臣がよくおっしゃることで、私はそれに賛成なんですが、民営化の目的、民営化というのはそれ自体が目的ではない、手段であると思います、それはそれで正しい。しかし、本当の民営化はどうであるか。この議論を委員会でするに当たって、多くの人が注意をしてくれました。これは民営化が成功するとべらぼうにもうかる会社になる、だから、その点を今から気をつけておかなければいけないよと。

 ということは、料金を値下げし、本当にその利便性を国民が享受できる、それから良質なサービスを安いコストで得られるということにすることは非常に重要なことであります。それは民営化会社だからできるんであろうと私は思います。

 将来とも、いかに安くなっても、高速道路の管理費は相当高くつくんだろうと思います。それを利用する人たちが受益者として負担する。利便性を買っているわけですから活用するのは当然であるという意味において、民主党さんがどういうことで、人気取りでおやりになるというのかどうなのか知りませんが、その点については私は必ずしも賛成しない、それは先ほど来申し上げておるとおりであります。

 以上です。

中山参考人 まず無料化ですけれども、詳細がはっきりわかりませんので正確なことは申せませんけれども、一つは、やはり負債の返済を優先すべきではないかと思います。同じ料金を下げるのであれば、高速道路以外にも料金を下げた方がいい分野というのはたくさんあると思います。ですから、そういう意味では、まず返済を優先すべきということ。

 それからもう一つは、実質的に税金で補てんする形で無料化をするとなると、地域経済に与える影響も無視できないと思います。例えば、今でも、九州の南部から高速道路を使って博多まで買い物に行くという人がふえています。これを無料化してどんどんそういうことを進めていくとなると、地元経済から見てもかなり厳しい状況が起こってくるのではないかと思います。

 それを民間企業の努力でやるというならともかく、税金で補てんする形でそういうことをするということが果たして地域経済という点から見て望ましいのかどうか、その辺はもう少し慎重に考える必要があるんじゃないかと思います。

高木(陽)委員 ありがとうございました。

 四人とも無料化に対してはかなり厳しい御意見を持っておるなという実感を……(猪瀬参考人「よろしいですか」と呼ぶ)どうぞ。

猪瀬参考人 高木委員にお願いしたいんですけれども、料金引き下げの問題なんですが、意見書でかなり、一万台以下のそういうところは三割ぐらい下げろとか、いろいろ細かく書いたんですね、夜間半額にしろとか。こういうことをぜひ実現するように頑張っていただきたいんです。空想的な無料化論と違って、非常に現実的な、では、幾ら金が入って幾ら減るんだとかというふうな計算もして出していますから、ぜひよろしくお願いします。

高木(陽)委員 要望もございましたので、しっかりと委員会での議論にも役立てたいと思いますが、もう一つ、これは先ほど田中参考人、猪瀬参考人でも御発言の中で出た言葉で、むだな道路という言い方をされたんですね。

 これは午前の委員会の参考人質疑でもちょっと確認をしたんですけれども、今まで、優先順位のつけ方で問題はあったと思いますが、やはり道路というのは公共的なものとして、特に地域にとってみて大きな存在であると思うんです。そんな中で、規格、構造が過大であったりだとか、また、有料道路にした結果、需要が低迷して、ある意味でいうと採算がとれない、こういう意味ではむだという言い方もあるのかもしれないんですけれども、そもそもむだな道路というのが、具体的にこの道路がむだなんだというふうに言えるのかどうか。なかなか難しいんではないかと思うんですが、この点に関しまして、猪瀬参考人、田中参考人、どのようにお考えなのか、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。

猪瀬参考人 むだな道路はあったんじゃないですか。四国に三本要らなかったでしょう。あれは一本でよかったと思いますけれどもね。そういうことなんですよ。

 だから、そういうことをこの三年間いろいろな形で議論して、コストを大体一本幾らなんだとか、区間ごとにどのくらいだとか全部出してもらって、そして検討を加えていって、そういう資料が国会議員の方々にも届いたと思いますよ。そういう中で結論を出していただくということなんですね。

 例えば有料道路だったら、有料道路をつくるときに、無料というか普通の国道もつくらなきゃいけない、二本になりますよね。どっちかにすればいいわけですから、そういう意味でむだなものをなくしていくとか、新幹線みたいなものをつくらなくても、つまり、東名高速のような立派なものじゃなくても、山形新幹線みたいにミニ新幹線みたいなものをつくるとか、いろいろなコストの削減の方法があって、そういうことについてほとんど三年前までは議論の対象にならなかったんです。だから、こういうことをきっかけに、やはりこれはむだな投資ではないか、百億円のものを三十億円でできるじゃないか、こういうことをきちっと話し合っていくとか、決めていくということがなかったんですね。

 とりあえず有料道路会社が七兆五千億円以内のものを引き受けるということで、これは保有機構と協議していくわけですから、そういう協議の中で、さらにコストの問題を含めて、やはりこれは省いた方がいいとか、もう少し違うふうにした方がいいというふうな意見が出てくるということを期待しているんです。

 抜本的見直し区間というのもありました。これは第二名神の大津から高槻までの間のところ約一兆円なんですけれども、これは抜本的見直しになりました。これは京滋バイパスがほとんどできましたので、三本になるんですよ。三本は要らないからやめた方がいい。具体的にこうやって詰めていくと、何がむだかむだでないかということがわかってくるんじゃないでしょうか。

田中参考人 高木委員がおっしゃった、私がむだという言葉を使ったかどうかちょっと記憶がありませんが、いずれにしても、今時点で考えたときに、おかしいなという道路はたくさんございます。

 私のところの大学には北海道短大があるものですから、北海道から来る学生が多いんですが、国道と高速道路が並んでいる。必ず高速道路の横には国道があるわけです。高速道路しかないと関所になりますから。そうすると、北海道では、その子の里だそうですが、何人もおりますけれども、国道が、信号の距離も長いし、すいすい通れる。ただですよね。その横っちょ、高速道路はだれも走っていないと。それは当たり前ですよ。片一方は銭を取られなくて走れるのに、お金を払って走るばかはいないということだろうと思います。それが幾つも見られるということですから、やはり国家としての投資としてはおかしいのではないか。

 それから、大分前になりますが、和歌山県知事とあるパネルディスカッションで議論したんですけれども、そうはいっても、田中さん、和歌山から白浜、ずっと先っちょを通って三重まで高速道路をつくりたいと言うんですよ。そうすると、同時に国道もつくらにゃいかぬですね。高速道路だけつくるわけにいきませんから。だって、国道をつくって信号の間隔を非常に間遠にしてやれば高速道路と同じ効果があるんじゃないですか、それをまだ高速道路もつくらにゃいかぬと。まあしかし、知事としてはそれは仕方がない。

 こういうふうな話がよくあるわけでありますが、高速道路をつくるぐらいならば、国道なり県道なり整備しなければいけないところはいっぱいあります。

 私は島根県の出身ですけれども、あれほど大政治家がたくさん出ておられますが、あの竹下元総理が消費税を導入した人だから遠慮されたかどうか知りませんけれども、石見地方をごらんになったら、あの九号線というのは、トラックでも通れば、田んぼにおりていないと危ないぐらいの道路なんです、国道でありながら。この国道をきちんとしてもらって上がり下がりが容易になればどれほど便利になるか。

 それはさておいて、高速道路というのはやはりおかしいでしょうという話を申し上げたいと思います。

高木(陽)委員 続いて、四人の参考人にお伺いをしたいと思いますが、先ほどから何度か出てきた帰属の問題。四十五年間で返済をして、それで帰属は国の方になってくる。公共的なものだ、こういう考え方だと思うんですけれども、高速道路というのはそもそも公共財なのか、または国民の共有財産と考えるか否かということです。

 民営化推進委員会の中でのいろいろな論議で、特に田中参考人たちは、株式会社として永久有料化、そういう発想をずっと主張されたようでありますけれども、公共財として国に帰属していった方がいいのか、それとも、借金が返せてもずっとやっていった方がいいのかということを、再度四人の方々それぞれにお伺いをしたいと思います。

藤井参考人 私は経済学をやっておりますので、言葉をかなり厳密に使わざるを得ない立場にあります。先ほどからお話の利潤についても、経済学者からいくと、いらつくような御議論があります。

 今ここで言われた公共財というのも、本来の意味は集合的消費財という意味でありまして、日本語の公共という意味は実はないのです。共同で消費するという財でありますから。日本の場合に公共というと、何か、お上のものとか社会全体の役に立つものという意味はございますけれども、そういう意味で、道路は一般的に公共財とは認められておりません、経済学的な意味では。

 ここで言う、先ほど議員御指摘の公共財というのは恐らく公共的な財という意味だろうと思いますが、そういう意味で申しますと、私は最初から申し上げましたように、最終的に社会に帰属させるのがやはり正しいというふうに考えているわけです。将来永劫にわたって利益の対象とするというのは若干望ましくないんじゃないか。

 ただ、誤解がないように申しておきますが、永久有料論と帰属の問題とはまた別個の話です。要するに、社会に帰属した後も管理費だけを取るということは実はあり得る話でありまして、その管理費を取るときに利潤を認めるかどうかというのが、プライベートな企業とパブリックな社会への帰属との違いの要点であります。

 そういう意味で、私は社会に帰属させる方が正しいと思っている人間でありますが、最終的には、これは一つの哲学論争になってしまうというふうに考えます。

猪瀬参考人 これは、だから無用な論議を引き起こしたんですね。上下一体、上下分離とか、全然本質的な問題じゃなかったんです。上下一体だから、では大丈夫かとかなんとかいうと、関西空港は上下一体ですからね。それでどんどん赤字をつくっていきますから、経営の自主権は別の問題なんですね。そういうつまらない議論に話がそれていった部分がありました。

 それで、鉄道の場合は、要するにオペレーションがありますから、新幹線やいろいろなそれと線路が一体とならないと仕事ができませんよね。道路の場合はただゲートをつくるだけですから、高速道路に対して。そのゲート、まあ関所みたいなものですね、そのゲートに料金徴収権を与える。それで、料金徴収権を与えるゲートの会社に、一定の建設の負担とそれに対する支払いを求めるということですよ。そして、サービスを求めるということです。

 その所有権というのは何かという問題なんですね。ですから、基本的に、私鉄なんかも、ここからここまで線を引っ張りますという営業の認可をもらって、そして線路を引っ張った部分についてお金を取るということ、重ねて言えば同じことになりますけれども、道路というものにゲートを設けてお金を取るということですから、これは一定期間内にそれは返上する、また再契約する、こういうことが大事です。イタリアのアウトストラーデなんかも、三十年なら三十年、それからもう一回再契約するんです。ですから、定期借地権みたいな発想だと思いますよ、基本的には。

 だから、何でもかんでも、これは、藤井治芳さんから、道路公団内部改革派という人たちはみんな上下一体で、同じことを言っているんですよ。やはり道路公団の人というのはそう考えちゃうんですけれども、今、道路公団は上下一体ですよ、そういう意味では。それでいて全然何も改革が行われていないわけでしょう。だから、本質的な問題はそういうところにないということです。

 基本的には、それは公共的な財でありますよ。それは公益性のある会社だということです、基本的に。そういう公益性ある会社でありながら、なおかつ、当然ですけれども、経営効率を上げるためには利潤追求の動機があるのは当たり前ですよ。ですから、当たり前のことを変なふうに曲げられて表現されているようなところがちょっとあるような気がします。

 そういうわけで、ちょっと長くなりましたけれども、ただ、これ、所有の形態についてのバリエーションがあるということだと思いますよ。だから、どういう形態にしたら、経営の自主権、あるいは国民にとって一番幸福であるかどうかという、その経営のバリエーションの問題をどういうふうに考えていくかということにすぎないと思います。

 以上です。

田中参考人 公共財かどうかというのは、もう専門家の藤井参考人がおっしゃったとおりで、そこら辺の道路と同じようにお金は取れない、取ろうとしても取れないもの、これは公共財です。あるいは、警察そのものも公共財ですよ。そういう意味からいえば、高速道路は公共性は確かにありますけれども、それは公共性からいえば、単にハイウエーだけではなくて、新幹線だってNTTの線路だって電力だって、すべて公共性はあるわけです。

 その点はさておきますが、これは所有するか否かというのは、私、きょう何回も申し上げましたので言いませんが、国のものにするかどうかというのは、外国がどうであるかも参考にはなりますけれども、我が国としてどう考えるのかということであろうかと思います。それは、まさに政治が考えることかもわかりません。

 これが、新しい会社が所有しないことによって、四十五年なら四十五年リースする格好になる。私たちの意見書では、十年以内であっても、自分でお金を調達して自分でつくる。つくったものはその会社のものになるということなんですね。であれば、非常にそこにインセンティブが働くわけです。それから、十年程度たったらば、すべて資産も債務も会社のものになるということになれば、もう初めから一生懸命やるわけですよ、黙っておっても。それを、いろいろな命令によってそれを達成していくのか、そうでないかという違いなんです。

 それで、私たちの意見書でも、これはJRと同じなんですが、資産も債務も移しかえたら、その後は、何年で返そうと、それは会社の自主性に任せればいいんです。だから、償還主義はやめましょうということで、あるいはプール制はやめましょう、これは見直す時期にあるというのは、七人全員の一致した意見なんであります。

 そこからスタートしておるのに、四十五年で全部償還する、しかも足並みそろえて償還するということは、プール制以外の何物でもないじゃないですか。それはすべて、繰り返しきょう申し上げましたが、所有は重要な問題であって、それをリースでやるために発生する考え方であると思っております。

中山参考人 まず、公共財かどうかということですが、これは、その性格から見ても、明らかに公共的な性格が強いと思います。

 ただ、問題になりますのは、公共という場合、国か自治体かという一つの大きな問題があると思います。高速道路なんかでも、例えば東名とか名神のように明らかに受益が広範囲に及ぶ道路と、同じ高速道路といっても、確かにネットワークは組んでいるものの、その受益の範囲が非常に限定されている高速道路、いろいろとあるわけですね。

 先ほどのむだの議論とも関係しますけれども、一般的に、補助事業とか直轄事業は、とってこないと損だという地元の意識が非常に働きがちだと思うんですね。補助事業や直轄事業でも地元負担はありますが、地元から見ると、国の税金は自分のところがとってこないとよそでとられてしまうだけだ、そういったところが非常に大きなむだを生んできたと思います。

 高速道路も一緒でして、広範に受益が及ぶような高速道路はともかくとしまして、そうとは違う、一つの県内でとどまるとか、たとえネットワークを組んでいてもそれが非常に限られたエリアの場合は、国が全部考えるのではなくて、できるだけ地方分権を進めて、地域で自分たちのお金の使い道を考えられるような仕組みをつくることがむだを省く上でも一番重要ですし、また、いずれそういったところがきちっと高速道路を管理していくべきではないかと思っています。

 ですから、基本的には公共財ですが、それを国か自治体かというと、その辺は一律に国というふうにはなり得ないのではないかと思っています。

高木(陽)委員 時間も大分わずかとなってまいりましたので、最後、猪瀬参考人と田中参考人にお伺いしたいんです。

 これは、先ほどの大谷委員または古屋委員のときにも論議となったんですけれども、料金の問題です。今回の政府案というのは、通行料金に利潤を含まない、収益は関連事業で上げる、これを基本にしておりまして、コスト縮減、需要拡大等々、そういう努力に応じたインセンティブを別途措置する、いわゆるサービスエリア、パーキングエリア等々でいろいろ考えられると。

 これは猪瀬参考人もそのとおりだというような発言でずっと来られたと思いますけれども、民営化委員会の中で、田中参考人の方はいわゆる利潤を含めと、ここら辺のぶつかり合いがかなりあったと思うんです。そこのそれぞれのお立場の意見があると思うんですけれども、もう一度ここで確認をさせていただきたいと思うんです、この利潤を含む、含まないということのメリット、デメリットを。

猪瀬参考人 先ほど田中参考人が、十年をめどに買い取りというふうな話が民営化委員会の代表的な意見のごとく言っていますが、それは二人が特に強く主張したのであって、それだけのことであって、それで、もちろん、余りこれに僕はこだわらないんですよ、国民のコンセンサスの問題ですから。

 実際には、十年だとまだ借金が三十兆円以上あって、無理なんですね。ですから、それは十年たったときにまた考えればいいことだし、それか、借金の減りぐあいを見ながらというふうな柔軟性ある考え方を僕はしておりまして、まあ、国民のコンセンサスの問題だなと思いながらずっといたんです。

 あと、今のお話のあれは、田中参考人たちが委員をやめちゃってから、この問題はさらに委員懇談会で小泉さんにもいろいろ言ったりして、基本的には、だから、ある種合意されている部分というか認識として共有されている部分は固定資産税を取らないということで、利潤が出ないように見えるんですが、現在のリース料設定の段階においてはそうなりますが、これは五年後の見直しとか十年後の見直しとかというふうなところでは話し合いになるわけですが、結果利益というのは出てくるわけですね、これは当然。

 先ほど申し上げましたが、経営努力することによって交通量はふえる。御殿場のアウトレットモールみたいなものが仮にあったとして、それが自分のものだとしたら、そこの売り上げがふえるということと、そこに行くための通行量がふえるので、交通料収入がふえる。そういうふうな意味で、最終的に結果利益というものが出てくるんだと。

 こういうことで、一生懸命働けば利益が出る、ただ、過大な利益については当然値下げの対象になる、こういうことであります。

田中参考人 今、料金の問題をおっしゃいました。適正な利潤を含むということは、十四年の十二月六日に提出した意見書にきちんと書いてあります。それには猪瀬委員も賛成されたはずであります。利潤を含まないとは書いていないんです。「適正な利潤を含むものとし、」とちゃんと意見書には書いております。それと、十年をめどに買い取るということも意見書にきちんと書いてあります。それは、猪瀬委員はそのときには、多数決しましたが、多数決で賛成されたはずであります、少なくとも異論は唱えられませんでした。ということであります。

 それで、今、インセンティブを別途考えるということでありますが、それについては具体的に何も書いてありませんので、猪瀬さんが今やっていらっしゃる委員懇談会でも盛んに追求しておられましたけれども、料金に利潤を含まないでどういうインセンティブを与えるのかなと、非常に関心を持って見ておりますということだけにとどめたいと思います。

高木(陽)委員 時間が参りましたけれども、料金に利潤を含むという問題に関しまして、例えば、今、田中参考人が適正なというふうに言いました。その前に猪瀬参考人が、国民のコンセンサスが必要だというふうなお話がありました。

 やはり国民の側から見ると、この私も選挙で選ばれた議員として感じるんですけれども、有権者の方々といろいろと話したときに、もし利益が出た場合、利潤が出る場合、それはやはり借金返しにちゃんと使っておいてもらいたいというふうに今の段階ではかなり多くの方が思っているのではないかな。もしくは料金を下げてもらいたいと。そして、やはり何年後かの見直しの段階でそれなりの、借金の返すペースが早いだとか、もしくは、いろいろなコスト削減で利潤が出る体質になってきただとか、そういった部分での論議という方がコンセンサスは得やすいのかな、こんなことも今の参考人の皆さん方の意見を聞きながら感じました。

 以上で終わりたいと思います。

赤羽委員長 穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、本当に御苦労さまでございます。貴重な御意見を本当にありがとうございました。

 まず最初に、中山参考人にお聞きしたいと思います。

 実は、京都でも市内に高速道路が乗り入れられるという計画がずっとありまして、また、お聞きすると、中山参考人は奈良のようですし、奈良でも、平城京のあたりを高速道路が入るというようなことまであるそうです。

 ですから、きょうはそういう点をひとつお聞きして、先ほどありましたように、国民に多額の財政負担をさせる、今の時点で発生させるというのは、存在しているもとでは、よくないと。

 私は、社会資本整備のあり方として、このままつくり続けるというのは問題じゃないかという立場に立っています。特に都市部での高速道路建設については、午前中にもお話ししたんですが、大気汚染、さらに騒音、振動や環境、まして、京都や奈良の場合には景観への影響という問題を考慮して、抜本的見直しが必要じゃないか。したがって、都市のど真ん中に高速道路については私は反対だという立場です。その点の御所見をお聞きしたいんです。

 特に、いつも論議の中心になるのは、京都でも奈良でもそうですが、中の渋滞が大変だからということになるんですが、私は、総合的な交通体系自身が必要じゃないかと。だから、高速道路をつくればいいというものじゃないという点も私の考えでございますが、その辺の御所見をまず最初に伺っておきたいと思います。

    〔委員長退席、今村委員長代理着席〕

中山参考人 この間、ヨーロッパ等でも二十世紀型のまちづくりの見直しがかなり進んでいると思います。とりわけヨーロッパなんかでも、歴史的に重要な町の真ん中に高速道路を通すというところは皆無じゃないかと思います。むしろ、この間、ヨーロッパで重点的に取り組まれていますのは、町の中に乗り入れる車をどうやって減らしていくのか、それをどういう形で公共交通に置きかえていくのか。二十一世紀はどこの国でも、とりわけ先進国では高齢化が進みますけれども、高齢者にとって優しい移動手段とは何なのか、そういったことが各国で議論されていると思います。

 そういう中で、町の中に高速道路を乗り入れるというよりも、むしろ今支配的になってきているのは、かつての路面電車とは違いますけれども、新型の路面電車、LRTとか、もしくは、日本の各地で取り組まれてきていますけれども、コミュニティーバスとか、そういった公共交通を拡充していくことで動きやすい地域社会をつくることができないか、そういったことが特にヨーロッパなんかでは顕著に議論されていると思います。

 また、これは、今議員がおっしゃったように、環境問題にとっても非常に重要ですし、地域経済という点から見ても非常に重要だと思います。高速道路をつくりますと、どうしても町の中から外部に消費が出ていってしまいます。反対に、高速道路ではなくて、そういった公共交通で町の中を移動しやすいような町に変えていった場合は、もう一度中心部の活性化が図られるということが起こっています。

 そういった意味では、二十世紀は確かに、自動車交通というのは便利ですから、そういったことを重視したかもしれませんけれども、これから二十一世紀、高齢化が進んでいく、むしろ中心部の活性化をもう一度考えていく、そういう時代では、高速道路を通すよりも公共交通網を拡充して、町の中で人々が移動しやすいような、とりわけ高齢者でも移動しやすいような交通体系をつくっていくことが重要ではないかと思います。

穀田委員 二つ目に、先ほど猪瀬参考人もおっしゃいましたけれども、京都の場合は近くに三つ高速道路を建てようというもので、おかしいという話がありました。同じように、実は淀川左岸線とありまして、えらい小さい話になりますけれども、それも今度は阪神高速の方でいいますと、公団は不採算路線と判断しているんですよね、私は当然だと思うんですけれども。

 ところが、それをやりますと、もともと道路公団が今のやり方でつくる場合には大阪市は六十億円の負担でよかったんだけれども、今度、自力でやるとなると三百八十億円の負担になる、こういう事態になりかねないんですよ。だから、私は、先ほど中山参考人がおっしゃった、地方自治体としても、今の財政負担という問題からしてもそう簡単じゃないんじゃないか、だから、そういう角度も含めて物を見る必要があるんじゃないかと思うので、その辺をもう一度中山参考人にお願いしたい。

 もう一つ中山参考人にお願いしたいのは、先ほど、最後の方で公共事業のあり方ということを言っていますよね。私は、参考人がいろいろな文書で書いておられますが、改めて、第三の道という形で求められているんじゃないかと思うんですね。

 その辺の詳しい点を二つ、ちょっとお話しいただければ。要するに、地方自治体との関連、それから公共事業のあり方、第三の道ともいうべきもの、こういう点の参考人の御所見をお伺いしたいと思っています。

中山参考人 まず阪神高速道路の件ですけれども、その大もとにあるのは都市再生の考え方だと思います。とりわけ、この都市再生、二〇〇四年度予算を見ましても、国際空港、拠点港湾、大都市の環状の高速道路網整備、そういったところは、財政が非常に厳しい中でもかなり優先的に予算が割かれていると思います。もちろん、すべて一〇〇%国が責任を持つわけじゃなくて、今おっしゃったように、自治体に対しても非常に大きな負担になってきます。財政状況が厳しい中で、こういった環状の高速道路網整備を優先させないとだめなのかというと、むしろ私自身は、もうちょっと慎重に考えるべきではないかと思っています。

 これは国土交通省の今の予測がいいのかどうかは別としまして、少なくとも、もうあと二、三年で日本の人口はピークになります。またさらに、ややおくれますけれども、自動車交通量、自動車の所有が減っていくのも明らかです。そういった時代になることが明らかであるにもかかわらず、果たして、環状の高速道路網を大都市部にまだこれからつくっていかないとだめなのか。この辺はもうちょっと慎重に考えておく必要があるのではないかと思います。

 それからもう一点、公共事業の基本的な考え方なんですが、まず、従来のように、どちらかというと公共事業予算を地方に、余り言葉は適切じゃないかもしれませんが、ばらまくような形での地域振興というのは決して望ましくないと思います。これがこの間の公共事業に依存する地域経済をつくってきましたし、膨大な財政赤字をつくってきた原因ですので、従来のように公共事業中心に地域経済を支えていくというのは望ましくないと思います。

 さりとて、では、公共事業をこのまま一気に減らしてしまって、都市再生を重視することで、日本のかなりを占めている地方経済をこのままいくと破綻させてしまっていいのかというと、これもよくないと思います。

 むしろ、そういった公共事業予算を大幅に見直して、先ほど申しましたように、第一次産業とか製造業とか社会保障とか、そういったところできちっと地域で雇用が確保できる。むしろ公共事業予算を地域で、そういったところで雇用が確保できるような予算に回して地域経済の自立を図っていくという、従来とも違うし、さりとて都市再生とも違うような、そういった路線を考えていくことが地方にとっては一番重要ではないかと思っています。

穀田委員 次に、猪瀬参考人と田中参考人に少しお聞きしたいと思うんです。

 先ほども、ファミリー企業の問題がいつも問題になっていますし、推進委員会でもそんな議論がされたことは承知しています。実は私も、この間、随分、ファミリー企業も問題だけれども、道路建設にかかわるゼネコンといいますか受注企業という問題もこれまた大変な問題だなということを実感しました。

 公団発注の未供用七十区間の三百六十一件の工事での落札率が九八%を超えていたり、一件の工事以外は、すべての工事、受注企業、ジョイントベンチャーですが、公団のOBが天下っている。さらにつけ加えて言えば、これは国会の予算委員会で質問したことですから、受注企業から自民党に五年間で二十八億円もの政治献金がされている、こういうことがありました。

 ファミリー企業の問題は随分問題になっているんですが、やはり今度の場合、その規模からいいましても、建設関係の受注企業とのいわば政治腐敗、これをなくすこともとても大切だと思うんですね。だから、民営化すればこういった問題がなくなるとお考えか、それとも、また新たなメスはメスとして入れるべきなのか、その辺はお二人からお聞きしたいと思います。

    〔今村委員長代理退席、委員長着席〕

猪瀬参考人 穀田委員のおっしゃったことは、今回提出されている資料で委員会の意見書がありますので、委員会の意見書の、二百三十五ページ以降、ファミリー企業の詳細なレポートを出しております。

 もちろん、御存じのように、OBが天下りすると受注率が一〇〇%近くなるわけですね。そういうことが現実にあるんだということがこの間の、僕は八年前にそういうことを言ったんですけれども、民営化委員会ができたりする中で国民にそういう認識が共有されていったということ自体のプロセスが改革なんですね。

 民営化すれば当然競争入札になりますし、それから、今、新規参入障壁というのがありまして、例えば高速道路で仕事をするときに、アスファルトを塗るときに、前に経験があるかどうかということが書いてあるわけですね。前に経験がないから新規なんですけれども、経験があることとか書いてあるわけです。そういうふうな新規参入障壁というのがあったり、いろいろなものがあるんです。これを、この民営化の流れの中で、当然、競争入札した方が民営化会社としては仕事を安いコストでできるわけですから、そういう形で競争入札させることによってコストを低く抑えていくとか、いろいろな形でやっていくことになると思います。

穀田委員 質問をちょっとうまく言っていなかったかもしれません。

 ファミリー企業の問題はおっしゃるとおりで、三千億円近い、そういう話があるというのは僕が全部言っているんですけれども、それでなくて、建設にかかわる受注企業のゼネコン、あっちの方も大変な話になっちゃうか、その辺はどうですかという話なんです。

猪瀬参考人 大枠でまず言うと、二十兆円が十兆円になったというふうなことは、投資される総額が減ったということは、それは全体に建設関係の仕事が減ったということに連動してきます。そうすると、これは基本的にコストを安くやっていくという方向に流れてはいくでしょう。そういう大枠がある。あとは、それぞれのいろいろな問題は個別ケースであると思います。

 そういう中で、国民の厳しい監視の目がこれから民営化の流れの中で出てきますよね、当然ですけれども。今までのような、ファミリー企業が各地域の建設会社とつながりながら仕事をやっているようなずぶずぶの体質は、どうしてもこれからは、民営化されていけばそんなことやっていられなくなりますよ。そういうことですね。

田中参考人 今お尋ねの点は、何も高速道路の建設にかかわらない問題であります。公共事業一般の問題かもわかりません。

 私は、実はほかの、今機構と名前は変わりましたけれども、独立行政法人になった旧公団の入札監視委員長をやっておりますが、そういうものを見ても、一番いい方法は、指名競争入札とかどうとかではなくて、一般競争入札をさせることです。

 それからもう一つ言えば、予定価格をオープンにすることですよ。予定価格をオープンにするとみんな上に張りつくんじゃないかと言いますけれども、逆です。予定価格に近いところでやったら落札できませんから。これは実験的にやって、本当に落ちております。

 ですから、後の話は別にして、一般競争入札を徹底するということが非常に重要であるというふうに思います。そのためにも、新しくできる会社が本当に完全な意味での民営化会社でないと、政治に左右される会社であればなかなかそれが難しいであろうということをコメントしておきます。

穀田委員 藤井参考人にお聞きしたいと思います。

 参考人のレジュメにもありますように、日本でいいますと、道路というのは、つくり続けるといいますか、いわばあの一万四千キロ、そして一一五二〇とか、そういういろいろな数字があります。この基本となっているのは、実は、政府の四全総なり五全総という計画になっています。

 先ほども皆さんからむだという話が出たときに、例えば本四架の三つはどうかと猪瀬参考人もおっしゃっていました。また、田中参考人の文書などでは、東京のああいう橋の問題について触れられていました。実はこれは、五全総などではもっと大がかりな、いわば六大海峡プロジェクトみたいなものがあります。

 私は、道路をつくり続けるというその未来のところに、実は全総の計画が下地にあって、そういう橋脚も含めてつくり続けるということになりはしないかと。それは今の段階で、今までの経過からしますと見直す時期が来ているんじゃないかというふうに率直に思うんですね。

 参考人は、今までの、例えば従来の路線設定基準、そして今後の考え方という中に、いろいろお話ありましたけれども、そういう未来方向へ向けて今私どもはそれでいいのかということについてどうお考えか、御所見をお伺いしたいと思います。

藤井参考人 お話しの点の、四全総で今の一万四千キロができている、あるいは、そのうちの一万一千五百二十キロをプールでつくるという、その基本になっている六つの基準の中の一番の問題になるのが、ミニマムアクセス一時間という、そこの部分が効率性と全く反する基準です。ですから、むだという場合には、このミニマム一時間という公平性は、一体ぜいたくなのかどうか、それをまず問わなきゃならない。

 フランスの場合には、先ほどちょっと御紹介したかもしれませんが、国土の開発の、日本語に訳しますと社会資本の基本整備法のような法律がありますが、それでは、全国土から高速道路なりあるいはTGVの駅まで自動車で四十五分以内にアクセスするようにネットワークをつくると書いてあるんですよ。

 それから、現在、日本のJRの場合には、地方交通線区と幹線系線区があるわけですが、幹線系線区が約一万三千キロあるわけです。それからいいますと、一万一千五百二十キロというのはそう過大なネットワークではないと私は思うわけです。

 それからいま一つは、新しい基準によりますと、費用便益分析をやる。費用便益分析の費用便益比率が一よりも下がったもの、あるいはマイナスになるもの、これについては、先ほど猪瀬参考人からもお話がありました京滋バイパスとか、あるいは北海道の幾つかの路線のように、完全に見直す路線が出ました。しかし、それは部分的な修正であって、基準全体の修正ではないわけであります。

 私は、やはりBバイCが一を超えているというものが基本的には望ましい。しかも、その場合の便益には利用者の便益しか実は入っていないんですね。外部効果が全く計算されていない。これは計算しにくいからですけれども。したがって、費用便益分析の比率でいけばもっと実際には高くなるだろうというふうに解釈されますので、費用便益分析を基準にする限りは、現在の大部分の道路は必要だという結論になっている、そういうふうに私は思います。

穀田委員 一言だけ。

 時間が来ましたのでやめますけれども、いずれにしても、あの評価基準その他を見ますと、プラスの設定はあるんですけれども、自然や環境その他含めて、マイナス、マイナス、マイナスという効果が余り出ていない数字になるような形式になっているのは、ちょっと私自身はいかがかと思っています。そして、ああいう六大海峡プロジェクトなどというのは、それこそ東京アクアラインの過大な見積もりの結果を再び招くであろうということを私自身は思っていることを指摘して、終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 これにて本日の参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の皆様方に、本委員会を代表いたしまして、御礼のごあいさつを申し上げさせていただきます。

 本日は、参考人の皆様方におかれましては、大変遅くまで、また、長時間にわたり貴重な御意見を賜りましたことを心から御礼、感謝を申し上げる次第でございます。本当にありがとうございます。本日ちょうだいをいたしました皆様方の貴重な御意見を今後の審議の参考として、議論をより一層深めてまいりたく存じ上げる次第でございます。今後とも、何とぞ御指導のほどよろしくお願いを申し上げます。

 本日は、大変にありがとうございました。

 次回は、明十四日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後六時二十九分散会


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