衆議院

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第19号 平成16年5月11日(火曜日)

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平成十六年五月十一日(火曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 赤羽 一嘉君

   理事 今村 雅弘君 理事 衛藤征士郎君

   理事 橘 康太郎君 理事 望月 義夫君

   理事 大谷 信盛君 理事 奥村 展三君

   理事 玉置 一弥君 理事 高木 陽介君

      石田 真敏君    岩崎 忠夫君

      江崎 鐵磨君    江藤  拓君

      大島 理森君    梶山 弘志君

      櫻田 義孝君    島村 宜伸君

      高木  毅君    中馬 弘毅君

      寺田  稔君    中野 正志君

      二階 俊博君    葉梨 康弘君

      古屋 圭司君    保坂  武君

      松野 博一君    森田  一君

      渡辺 博道君    岩國 哲人君

      岡本 充功君    下条 みつ君

      中川  治君    長安  豊君

      伴野  豊君    古本伸一郎君

      松崎 哲久君    松野 信夫君

      三日月大造君    室井 邦彦君

      和田 隆志君    若井 康彦君

      佐藤 茂樹君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       石原 伸晃君

   国土交通副大臣      林  幹雄君

   国土交通大臣政務官    佐藤 茂樹君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局計画部長)         宮本 敏久君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            薦田 隆成君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  松野  仁君

   参考人

   (東京大学大学院工学系研究科教授)        西村 幸夫君

   参考人

   (金沢市長)       山出  保君

   参考人

   (平安女学院大学生活環境学部生活環境学科教授)  中林  浩君

   国土交通委員会専門員   飯田 祐弘君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十八日

 辞任         補欠選任

  増田 敏男君     寺田  稔君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 景観法案(内閣提出第三八号)

 景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案(内閣提出第三九号)

 都市緑地保全法等の一部を改正する法律案(内閣提出第四〇号)


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     ――――◇―――――

赤羽委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、景観法案、景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び都市緑地保全法等の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 各案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官門松武君、国土計画局長薦田隆成君、都市・地域整備局長竹歳誠君、住宅局長松野仁君及び農林水産省農村振興局計画部長宮本敏久君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

赤羽委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。岩崎忠夫君。

岩崎委員 おはようございます。自由民主党の岩崎忠夫でございます。

 いずれの国におきましても、文明が栄えたときに、その国を代表する町並みをつくってきました。私たちが欧米の都市を観光するのは、そうして形成された町並みを見て、欧米の文化、文明に触れたと感ずるためでもあります。

 一方、我が国は、ここ数十年、世界第二位のGDPを持ちながらも、これまで誇るべき町並みをつくってきませんでした。一面、このことは後世に我が国の繁栄したときを伝えるものを持たないということでもあります。むしろ我が国は、これまで豊かな地場産の素材をふんだんに使った伝統的な町並み景観を、新建材など人工的な素材を無秩序に使った混沌とした町並み景観に置きかえてきました。私は、この点が我が国の今日の豊かさとまちづくりの最大の問題点の一つではないかと考えてきました。

 さすがに、地方団体の間に景観への関心が高まり、五百二十四に上る景観条例、要綱がつくられましたが、条例規制の限界として、財産権の制限にまで及ぶことができず、各地で景観をめぐる紛争が勃発するなど、ここに来て景観に関する基本法制の立法を望む声が急速に高まってまいりました。今回、景観緑三法が立法されようとしておりますことは、我が国の都市計画、地域計画にとりまして画期的なことだと思いますが、その目的、ねらいについて、石原国土交通大臣にまずお伺いをしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま岩崎委員が御指摘されましたように、我が国には固有の素材を使った町並みあるいは村落というものがあったわけですけれども、それが近代化に伴いまして、科学的なものに代替されることによって町並みが破壊されたり、あるいは目に余る広告等々が景観を阻害しているということを、自治体の皆さん方、また、あるいはそこにお住みの住民の方々が強く認識し出したのは、多分昭和五十年代の後半あるいは六十年代に入ってからだと思っております。

 そんな中で、今回は、こういう大きなターニングポイントを迎えて、良好な景観の形成を国政上の重要課題に位置づけさせていただいたわけでございます。

 具体的に申しますと、景観に関する基本理念や、あるいは責務を明確化することによりまして、景観が国政の重要課題であるということを宣言させていただいているわけです。

 それによりまして、委員御指摘の地方での条例等の取り組みで至らなかった点を克服していこうと考えているところでございます。そして、この条例の取り組み等々を実効性のあるものにするために、条例のみでは限界のあった強制力を伴う法的規制の枠組みを用意させていただきました。あわせて、土地利用の制限に応じた相続税の適正評価など税制上の支援措置や、あるいは建築基準法の規制緩和などを総合的な支援の仕組みとして今回は構築させていただいたところでもございます。

 景観三法は、これらの制度を創設、活用することによりまして、委員御指摘の日本固有の地域の自然、歴史、文化等を生かした良好な景観を形成いたしますとともに、あわせて都市部の緑というものを保全していこう、こういうことを目的に仕組ませていただいたところでございます。

岩崎委員 ありがとうございました。

 画期的な、立派な法律でありますので、施行に当たりましては、本当に日本の新しい景観をつくっていく、そういうような意気込みで、ぜひともよろしく運用をお願い申し上げたいと思います。

 この法律のユニークな規定の一つに、景観行政団体という用語があります。そして、景観行政団体は、指定都市、中核市を除き都道府県とされ、あらかじめ知事の同意を得た市町村にあっては当該市町村とされます。

 景観のような地域性の高いものについて、端的に市町村を景観行政の担い手と明確に規定できなかったのはなぜか。これまで景観条例を定めている都道府県が多々あったといたしましても、景観についての基本法制をつくるときには、都道府県と市町村の基本的な役割分担を踏まえ、市町村を原則景観計画の策定主体とすべきではなかったのか。景観行政団体という規定を創設された理由についてお伺いをしたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 御指摘のとおり、今後の景観行政は、最も住民に近い基礎的自治体でございます市町村が担っていくべきものと考えております。

 ただ、現在の景観行政の取り組み状況を見ますと、景観に関する自主条例を定める市町村は、年々ふえて四百五十にまでなっておりますが、それでもこれは全国の市町村の一四%にすぎません。一方、都道府県は、半数近い二十七都道府県で自主条例を定めているのが実態でございます。

 したがって、このような実態を踏まえ、法制度の形としては、都道府県、市町村ともに景観計画を定めることができることとした上で、二重規制が行われることを避けるために、一つの地域においては一元的に景観行政を行う主体である景観行政団体が景観計画を定める仕組みとしております。

 このうち、市町村については、政令指定都市と中核市は自動的に景観行政団体となり、その他の市町村については、手を挙げれば、知事の同意を得て景観行政団体となることができます。

 また、同意の基準としては、よほどのことがない限りは、手を挙げた市町村は知事は同意すると考えておりまして、この考え方について技術的な助言等で明らかにしていきたいと考えております。

岩崎委員 ありがとうございました。

 明快な説明でございました。今後、運用に誤りなきよう期していただきたいと思います。

 次に、景観計画と行為規制の基準についてお尋ねをいたします。

 景観計画には、計画内容の一つとして、良好な景観の形成のための行為の制限に関する事項を定めることとされました。建築物の建築等の届け出に対し、設計の変更等の必要な措置を勧告、命令することができるとされております。

 これまでのまちづくりでは、建築自由の風潮の中で、個々の建築行為が近隣の町並み景観との調和を乱すかどうかのルール自体がなかったことを思いますれば、景観計画は景観形成にとって大きな前進だと考えますが、同時に、我が国においては、これまで個々の建築物の建築がよるべき町並みの姿についての図面ないし指針がなかったこともこれまた事実であります。

 今回の景観計画において、良好な景観を維持すべき、よるべき町並み景観の姿等が明らかにされるのかどうか。そのため、建築物または工作物の形態意匠等行為制限の基準はどのように定められるのか。また一方で、都市計画のように手続と手法が確立しているものとは異なり、景観計画は個人の権利義務を直接に制限するものであるにもかかわらず、計画のつくり方によっては景観行政団体の長に過度の裁量権を与えることとなる懸念はないか、お伺いしたいと思います。

 あわせて、この機会に、良好な景観形成をまちづくりの統一的な理念とするため、都市計画、地域計画、建築関係法律に、景観の保護、調和ないし景観に関する配慮規定を定めることとすることはどうか、お伺いしたいと思います。

竹歳政府参考人 景観行政を進めるに当たりまして、いいものは守る、それから悪いものは排除するというのは比較的合意の形成が容易であるわけでございますが、御指摘のように、我が国の町並みは余りにもばらばらだったということで、基準となる良好な景観の町並みの姿を明らかにすることができない、このような景観行政を進める上での難しさがあったと思います。

 ただ、そうは申しましても、この法律によりまして規制を行う以上は、事前明示性の観点から、できるだけよるべき町並みの姿が具体的に示される必要があると思います。したがいまして、景観計画におきましては、例えば、色彩につきまして、茶色を中心とする色彩とし、周囲の建築物等の色彩と著しく不調和でないというような具体的な基準を定めていく必要があると考えます。

 また、住民の皆様によりよくわかっていただくためにも、イラストとかコンピューターグラフィックとか、こういうようないろいろな技術も活用して住民の皆様の理解を深めていくことが必要だと思います。

 また、恣意的な運用になるのではないかという御懸念でございますが、今回の法案におきましては、公聴会の開催等住民の意見を反映させる措置が義務づけられておりますし、また、条例によりましてさまざまな手続に第三者機関を関与させるということも可能としているところでございます。

 最後に、都市計画法等に景観の保護や調和等の規定を定めるべきではないかとの御提案でございますが、各国の例を見ますと、イタリアでは憲法に、韓国では都市計画法に、イギリスでは何も規定はございませんが、いろいろな立法政策としてはあり得ると思います。

 我が国におきましても、憲法改正の論議の中で、景観権の問題でございますとか環境権も一つのテーマとなっていると伺っておりますので、当面は、基本的な性格と実態的な規制の両面を有する景観法が制定されることを踏まえて、その運用をしっかり行ってまいりたいと考えております。

岩崎委員 次に、眺望の保全についてお伺いをいたします。

 諸外国の景観規制の一つとして、都市内外のランドマークを望む眺望の保全があります。パリでは四十五地点からの景観保全のためのフュゾー規制が定められておりますし、ロンドンでは十カ所に上る眺望地点からの景観が戦略的眺望と命名、規制されております。また、アメリカでも、議事堂などモニュメンタルな建物を見通す眺望を守るため、数多くの都市で高さの規制が行われております。

 既に我が国でも、松本市や倉敷市の条例ではお城の眺望の保持や伝統的建造物群の背景保全がうたわれておりますが、現状では、我が国のシンボルである国会議事堂の背景眺望すら守られておりません。

 今回の景観法のもとでは、こうした眺望の保全はどのように図られるのか、お伺いをしたいと思います。

竹歳政府参考人 眺望景観の保全のお尋ねでございます。

 都市のランドマークとなります歴史的建造物等は、良好な景観の重要な要素でございまして、その眺望景観を保全するためには、眺望の基点から対象に対する視線に合わせて、建築物や工作物の高さ等を規制するためのさまざまな手法や制度を活用することが必要であると考えております。

 景観法案におきましては、景観計画や景観地区という中で、高さについて一定の規制をすることができることとしているわけでございます。

 具体的な景観形成の方法につきましては、個々の地域の状況等に応じ一様ではございません。したがって、地方公共団体において、このような制度や方法をどのように使っていくのが最も効果的か、外国や国内の事例も参考にしながら、研究、検討し、眺望景観の保全を図っていただきたいと考えております。

 なお、国会議事堂周辺につきましては、既に、千代田区におきまして、景観ガイドラインというものを策定しまして、各種開発事業に対して、国会前の交差点等からどのように見えるかなどを踏まえた行政指導を行っているところでございまして、必要に応じて今回の景観法の活用も検討していただけるものと期待しているわけでございます。

岩崎委員 ありがとうございました。

 次に、欧米諸国における景観規制との差異についてお尋ねをします。

 景観形成は、その国の歴史、文化、風土に根差したものでありまして、一朝一夕にできるものではありません。今回の景観緑三法で一挙に欧米並みの景観形成が直ちに可能となるものでもありませんし、また、それがよしとされるものでもありません。我が国ならではの景観をつくっていくことがもちろん大事であります。

 しかしながら、景観形成の手法として、今回の景観緑三法の制定で、欧米諸国における景観規制と比較し、どの点で追いつき、どの点が今後に課題として残されたのか、あるいは今後どうした点が新たな課題となってくると考えているのか、お伺いしたいと思います。

竹歳政府参考人 従来、我が国におきましても、国の法律としては、京都、奈良等の古都や明日香村など特別な地域においてのみ、景観に関する厳しい規制を行ってまいりましたが、今回の景観法により、一般的な住宅市街地や農山漁村等においても幅広く景観に関する規制を行うことができるようになりました。

 また、今までなかなか取り組めなかった建物のデザインとか色彩についても取り組めるようになったということで、制度的に見ますと、欧米諸国の景観に関する取り組みと、かなりの部分、追いついたのではないかと考えております。

 ただ、実際に良好な景観を形成するための規制を活用するかどうかというのは、公共団体や地域の住民の方々の選択によるわけでございますから、地域の良好な景観の形成を図るという住民の意識の醸成や公共団体の体制の充実等が今後の課題であると考えております。

 幸い、近年、地方におきまして大変御熱心に、景観に関する自主条例の数が着実に増加するなど、こういう意識が顕在化しておりますので、国としても、これを積極的に支援していきたいと思っております。

岩崎委員 ありがとうございました。

 手法は西欧水準に追いついてきたということであります。あとは魂を入れる、実際にそのとおり、地方団体あるいは住民の意識を高めるということだということでありますから、今後とも努力をお願いしたいと思います。

 次に、景観形成への住民参加についてお尋ねをしたいと思います。

 我が国で景観形成を図っていく上での問題点は、明確な尺度を持っている西欧諸国の場合と異なり、明確な目指すべき景観の姿が明らかでないこと、すなわち、景観をはかる物差しが明らかでないことにあります。我が国の景観は、これから地域における個々の景観づくりの試みの中から生まれてくるものでもあります。それだけに、景観形成にどのように住民を参画させていくかは決定的に重要なことであります。

 法案では、公聴会の開催、景観計画の策定または変更の提案、景観協議会、景観整備機構、緑地管理機構への参加、あるいは景観協定の締結など、盛りだくさんの仕組みがうたわれておりますが、景観形成や町並み形成に当たって住民との連携、協働をどのように図っていこうとされるのか、お伺いしたいと思います。

竹歳政府参考人 御指摘のとおり、我が国では、目指すべき景観の姿が明確になっていないという大きな課題がございます。このため、これからの我が国の景観形成に当たりましては、地域住民の暮らしや活動、住民によるさまざまな景観づくりの試みを通じて、景観に対する共通認識を醸成させていく必要があり、住民との連携や協働を図っていくことが極めて重要であります。

 今お話にございましたように、今回の法案におきましては、景観計画の策定に当たっての公聴会の開催等、それから景観協議会、景観協定など、さまざまな手法を盛り込みまして、より積極的に住民の方々に参加していただくような仕組みを準備したところでございます。

 こうした新たな仕組みを活用して、今後一層、地域住民との積極的な連携、協働のもとに個性ある良好な景観の形成が図られるよう、制度の普及啓発、地域住民の景観に対する意識の醸成等に取り組んでまいります。

岩崎委員 ありがとうございました。

 住んでみたいところが訪れてみたいところと言われます。これからの観光戦略には、観光名所中心の点的な観光ではなく、持続可能な観光を目指し、地域の魅力を全体としていかに高めていくかが問われます。日本らしい町並みの喪失が我が国の観光の魅力を低下させている一因だと言われますが、美しい町並み、美しい田園風景を維持し、つくり上げていきますことは、地域の魅力を高めるために不可欠であります。美しい町でなければ人は来ません。

 すなわち、観光客、訪れる人の視点と地域づくりの視点とが重なり合ったところにこれからの観光があると考えられます。

 そこで、観光立国の観点から、景観形成をどのように進めていったらよいのか、この法案は観光政策にどのようにかかわっているのか、石原国土交通大臣にお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 ただいま岩崎委員が御指摘されましたように、景色のいいところには観光客がおいでいただきますけれども、来た方が、有名なところであっても、何だこれはというようなことがあっては、その地域の魅力ということを高めているとは言えないと思います。

 日本では、やはり観光地においてもやたらと広告物が並んでいたり、歴史的な町並みですけれども電線が上を覆っていたり、そういう例が見受けられることがやはり多いんだと思います。

 先ほど来政府参考人からも御答弁させていただいておりますけれども、今回の法の制定によりまして、建築物のデザインや色彩の統一を図ることが可能となったり、さらには、景観計画に沿って屋外広告物の規制を行って、簡易な手続によって広告物を撤去するなど、実効性の高い違反広告物対策というものも、初めて国の法律として組ませていただいております。

 このように、景観法を活用した良好な景観の形成を促進することで、地域の特性を生かしたまちづくりがなされることによって、そこが魅力のある町、景色のきれいな町ということになって、観光立国の実現というものに役立つものと考えております。

岩崎委員 ありがとうございました。

 平成十六年度予算におきまして、良好な景観形成による観光立国を推進するため、二百億円の景観形成事業推進費が新たに予算化されました。まちづくり交付金と並んで、地方都市再生や景観形成に取り組む地方の市町村にとりましては、その配分に熱い期待が寄せられているところであります。

 地方にこそ我が国が誇る景観形成の素材が豊富にあります。しかし、十分な財源がありません。二百億円と、決して多くない額でもあります。この景観事業費は財源の乏しい地方の市町村に重点配分することが必要だと思われますが、どのような事業であったらこの事業に採択されるのか、対象事業、採択要件について端的にお示し願いたいと思いますし、また、地方への重点配分の決意のほどを石原国土交通大臣にお伺いしたいと思います。

薦田政府参考人 お答え申し上げます。

 例えば、電線類の地中化とかあるいはシンボルロードの整備といった良好な景観形成に資する事業につきまして、その年度当初の時点では地域のコンセンサスが得られていないとか、あるいは埋蔵文化財調査が完了していなかったりして、事業着手ができないような場合があります。

 このような事業につきまして、年度途中になりまして、地域の努力によって地元の調整とか調査が完了して、事業を実施する環境を整えて、例えば予定されているイベントの会期に事業を間に合わせる、そういうような必要がある場合に、追加的な財政措置を行うことができますように、これは一例でございますが、景観形成事業推進費を措置したところでございます。

 推進費の配分に当たりましては、都市、地方を問わず、景観形成のための地域の主体的、緊急的な取り組みを促進するという観点から、地域のニーズ、実情を十分に考慮してまいる所存でございます。

岩崎委員 我が国と欧米の都市との最大の違いは、欧米の都市では緑豊かな町並みがあり、市街地に公園や緑が豊かであるのに対し、我が国では、地方都市においても市街地に公園や緑が乏しいことであります。しかも、これまで都市の緑を保全し、創出しようとする政策努力が積み重ねられたにもかかわらず、実際には都市の緑は大きく減少し続けているという実態にあります。

 私は、都市の住宅地で相続が発生するたびに敷地が細分化され緑が少なくなっていくさまを見るにつけ、もちろん公園緑地の整備は進めなければなりませんが、我が国の都市においては、一般の建築敷地の緑化を進めなければ、都市の緑の減少はとどまることはないと痛感をいたしております。

 今回の改正で、市街地の緑が少ない地域では、建築敷地の緑化を進めるため、緑化地域を創設し、緑化率規制を採用いたしました。私は、緑化率規制の採用は、今後建築敷地緑化の柱となるものであり、時宜にかなったものだと思います。

 問題は、緑化率規制の対象が、敷地面積が一千平米以上の建築物の新増築と想定されていることであります。これでは一般市街地の緑化は図れません。都市に緑を回復させるためには、敷地面積の小さな一般建築物にも緑化率規制が必要であります。

 今後、相続税、固定資産税などの税制を含め、実効のある総合的な建築敷地緑化対策を講ずる必要があると思いますが、石原国土交通大臣のお考えをお伺いしたいと思います。

石原国務大臣 岩崎委員が御指摘されましたように、やはり都市の緑を回復するためにということで、今回緑化地域制度というものをこの法律案の中に仕組ませていただいたわけでございます。

 平成十三年度以降、東京都において、条例で敷地面積一千平米以上の建築物についての緑化の義務を求めた実績があることから、今回は原則敷地面積を一千平米以上の建築物とすることとしておりますが、委員御指摘のとおり、やはり、それじゃ広過ぎるという話もあると思うんですね。地域の実情に応じまして、地方公共団体が対象要件を引き下げることができるようにすることを、この中で政令等々で検討させていただいております。

 また、地区計画で保全する緑地については、敷地規模の制限はございません。委員御指摘のとおり、税制等々につきましても、これらの今お話しさせていただいた制度の積極的活用を図るとともに、税制面を含めてさらなる支援方策についても、これからできる限り早急に検討して組み込ませていただかなければ、運用上支障を来すのではないかと私も考えております。

岩崎委員 時間が来ましたので、これで質問を終わらせていただきます。どうもありがとうございました。

赤羽委員長 若井康彦君。

若井委員 おはようございます。民主党の若井康彦です。

 この景観法、今の時代の状況に大変ふさわしい法案だということを私も申し上げたいと思います。

 国民は、この景観を通じて国の今のあり方を見ていると思いますけれども、大臣を初め、きょうここに集まっておられる皆さんすべてが、今の日本の景観は望ましいものではないということを共通の認識として、この法案の審議に当たっておられると思います。

 余りに美を欠いている、それだけではなくて、むしろ、これから望ましくない方向に進んでしまうのではないかということに対して、大変に危惧を抱いているというふうに私は思っております。

 この景観法、電線の地中化ですとか看板の規制、このだれにもわかりやすい対策、これも必要なわけですけれども、その後ろにあります大変に深い国づくりや都市づくりのあり方、これらを構造的に見直す、そうした契機として位置づけるべき法案であるというふうに考えます。

 まあ、単純に言うと、景観というのは、厚化粧の女性を見るのではなくて、本当の意味で素肌の美人をつくっていく、あるいは健全な心身をつくっていくということに尽きるわけですけれども、そうした点から、この法はみんなで議論をすべきものであるというふうに考えております。

 まず、先般の大臣の答弁に関連をして、社会資本の整備の基本方向についてお伺いをしたいと思います。

 毎年三十数兆円公共事業がなされているわけですけれども、今、大きな時代の曲がり角にあって、それが時代にマッチした形で行われているのかどうか、これがこれからの景観をつくる上で非常に大きなキーになるというふうに思いますけれども、そうした観点から幾つかお尋ねをさせていただきます。

 先般、社会資本整備重点計画が発表、閣議決定されております。この中で横断的な重点目標の設定、省庁間の事業連携の強化、民間との連携等が挙げられているわけですけれども、景観形成という観点から、幾つかこの中にテーマがある。水、緑豊かで美しい都市生活空間等の形成、あるいは大規模な地震や火災に強い国土づくり、こうしたものは広い意味で景観形成と非常に重要な関連のある項目だと思いますけれども、この時代、これからの人口が減少をし高齢化が進み、都市の中に遊休化する土地がどんどん出てくる、そういう時代にあっては、公共事業のシフトというものを思い切って考えていくべきではないかと思います。

 先般の道路公団民営化の議論の中にも、まだまだ交通量はふえるというふうに御発言があったわけですけれども、そうであるならば、例えば、自動車交通の環境負荷を軽減する、そうした観点から、道路事業の中から水と緑のネットワーク整備を図るというようなことも考えるべきではないかと思いますけれども、大臣の御所見はいかがでしょうか。

石原国務大臣 若井委員が御指摘されましたように、日本の戦後著しい高度の経済成長の中で、公共投資というものはどちらかというと量の充足というものに焦点が置かれてまいりましたし、そこで重視されましたのは経済性であり、あるいは機能、こういうものを重視してきた。しかし、そういう中で、委員御指摘のとおり、時代が変わって少子高齢化社会になって、この中で、日本の景観、いいところもありますけれども、かなり昔のいいものが壊されているという認識を多くの方々が共有しているということは、やはり今、価値観の転換点を迎えている。まちづくりにいたしましても、都市計画についても、新しい価値観を持ってこれからやっていかなければいけないという認識を持っているんだと私は思います。

 そして、委員が御指摘されました社会資本整備重点計画の中でも、御指摘のとおり、水、緑豊かで美しい都市生活空間の形成、こういうことはこれまでどちらかといえば言っていなかったと思います。川を一つ見ても、先日、荒川を見てまいったんですけれども、かみそり堤防に代表されるように、コンクリートで固めて水害を防ぐというものが中心でありましたけれども、これからは、自然な水辺の空間の再生ということで、アシを生やしたり、池みたいなものをつくってそこに自然を呼び込むみたいなことも今取り組ませていただいております。あるいは、川は真っすぐ流れた方が洪水等々でいいということで、曲がっていた川をばんと真っすぐにして、護岸も底も全部コンクリートで固めるみたいなものがあったわけですけれども、今、蛇行河川の復活など、自然環境の保全と再生というふうにも公共投資の目をシフトさせていただいております。

 これからもこういう視点、これまでとは違う視点を持って、自然を再生するという観点で公共投資というものも行っていく。その分、効率性というものは若干犠牲になるわけですけれども、やはり自然を回復するということに一つのポイントがあるような気がいたします。

若井委員 今大臣のお言葉にありました価値観の転換ですけれども、基本的には私は、今の社会状況の変化というものを反映しているというふうに考えたいと思います。

 それに関連いたしまして、先般、国土交通省は美しい国づくり政策大綱を発表しておられる。価値観の転換を背景に、これから公共事業のあり方についても大きく襟を正して方向を変えていきたいとおっしゃっておられるわけですが、先般の大臣の答弁の中に、この美しい国づくり政策大綱の中で言われている景観のアセスメントですけれども、これについては早期に制度化するというふうにお答えになっている。今年度中に幾つかについては、それについてもう具体的な形で固めていきたいという御答弁があったわけですが、この景観アセスメントについて、どのような具体的な内容をお考えになっておられるのか、あるいは今既に作業を進めておられるのであれば、それの内容等について教えていただきたいと思います。

門松政府参考人 委員御指摘の公共事業におきます景観アセスメントシステムにつきましては、良好な景観形成に持続的に取り組むために、昨年の七月に公表しました美しい国づくり政策大綱におきまして位置づけられたものでございます。

 ただ、景観に関する技術的な評価基準等が確立されていない現状にありますことから、景観アセスメントの仕組みの確立に当たっては、暫定的な取り組み方針を作成の上で試行を繰り返し、ステップアップさせていきたいというふうに考えてございます。

 具体的には、今年度より直轄事業の一部、大体三十事業程度に試行的に導入することとしているところでございます。

 今後は、この試行の結果を踏まえて、できるだけ早い時期に景観アセスメントの仕組みの確立を図ってまいりたいというふうに考えてございます。

若井委員 今の三十事業の内容について教えていただければ大変ありがたいのですが、それに関連をいたしまして、あわせて、分野別の公共事業についてガイドラインを定められる。

 先ほど石原大臣は、かみそり堤防をビオトープに変えるかどうか、そうした検討もしておられるやにお話がありましたけれども、分野別の公共事業の景観に関するガイドラインというものをつくる。後ほど少し議論をしたいと思いますけれども、自治体が今進めております景観に関する条例、これらとも非常に深い関係があると思いますので、分野別の公共事業の景観ガイドライン、これについてはどのような作業を今進めておられるのか、あるいはどのような予定でこれをつくろうとしておられるのか、それについてお答えを願いたいと思います。

竹歳政府参考人 分野別公共事業の景観形成ガイドラインでございますが、現在、国土交通省におきましては、実は、既に航路標識すなわち灯台等についてはことしの三月に策定済みでございますが、そのほか六分野、道路、河川、港湾等については検討中ということでございます。

 例えば、道路につきましては、かつて昭和六十三年及び平成五年に道路景観整備マニュアル(案)というものをつくっていろいろ活用してまいりましたけれども、それからもう十年たっておりますし、こういう新しい時代であるということで、新たに有識者の方々にお集まりいただきまして、道路デザインに関する近年の新たなニーズや事例を踏まえて、道路事業について、例えば各段階で留意すべき必要な基本的事項と参考となる事例等について取りまとめ作業を行っているということでございます。

 これらの残り六分野につきましては、遅くとも今年度中に策定する予定でございますが、策定したガイドラインは、地方整備局等に通知、直轄事業で適用することとしております。また、公共団体等においても活用いただけるようなものにしたいと考えているわけでございます。

若井委員 ということでありますれば、アセスメント及びガイドラインの内容については、景観法と連動をさせるというふうに私たちは認識をしておいてよろしいでしょうか。

竹歳政府参考人 今回御審議をお願いしております景観法は、法律的な制度の枠組みということでございますが、その内容にあるいろいろな公共施設の整備に関する技術的なものというのは別途整備するということで、法制度と技術的な技術基準等の整備が相合わさって良好な景観形成に役立つんだ、このように考えているわけでございます。

若井委員 それから、先ほどちょっと御説明がありましたけれども、景観というのはいわゆる環境などと違ってなかなか計数化しにくいということで、アセスメントにしてもガイドラインについても、非常に人間の感性といいますか、地域の特性、そうしたものを反映しているということになろうかと思いますが、今の作業の内容をお聞きしておりますと、それらがどのように反映をされるのか。

 例えば公共事業、今、マニュアルをつくったりする段階から、それぞれの地域の実情に詳しい住民であるとか学識経験者であるとか、そうした主体の意見を踏まえる、それらを取り込んでいくということが一番重要なことじゃないかと思うんです。今のお話の中にはそうした要素が余り感じられないんですけれども、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

門松政府参考人 環境アセスメントにつきましては、景観形成に当たり配慮すべき事項、あるいは施設の規模とか形状とか配置などに関する景観整備の方針、これらを策定して、それに基づいて予測、評価を行って事業に反映していく、そういう仕組みを検討しております。

 この景観形成に当たりまして配慮すべき事項や景観整備の方針を策定するに当たりましては、今委員御指摘のとおり、地域の歴史、文化等を十分に踏まえる必要があります。委員会等を設置するなどして地域住民あるいは学識経験者等の多様な意見を聴取して、またNPOとも幅広く連携して対応する必要があると考えております。

若井委員 では、次の質問に移りたいと思います。

 緑とオープンスペースについてでございますが、国土審議会では、美しいまちづくりの柱の中に、公園や緑が不足をしている問題、あるいは町を美しくするための工夫が欠けている問題、そして失われつつある田園風景、この三本を挙げておられるわけです。

 人口の半分が住んでおります大都市圏、確かに、公園や緑、そうしたものが圧倒的に欠如をしているということは皆様の共通の認識だと思いますけれども、先ほど岩崎委員が御審議をなすっている中でいろいろお話を聞いておりますと、民間の宅地の中に何とか緑をふやしていく工夫を今回は盛り込んだというお話でありました。

 先般、私も京都の景観の視察に参加をさせていただいたわけですが、京都のような場合には、例えば、千年間かかって、鴨川があったりあるいは社寺仏閣があったり、基本的には骨格的な緑等のネットワークがしっかりしている。そういう中では個別のそうした宅地を緑化していくということは有効かと思いますけれども、戦後急速に形成された大都市圏では、私は、それだけでは全く十分でないというふうに思います。むしろ、この骨格的な緑のネットワークあるいは生態系を回復していくということには、何としても国を初めとする公共セクターの強力なてこ入れがなければ、これは成り立たないというふうに思うわけです。

 そうした意味から、先ほどの都市緑地保全法の改正、さらにこうした骨格的な緑のネットワークをつくるための方策をつけ加えなければならないと思いますけれども、その点については、何かこれから御検討なさるという予定はないのでしょうか。

竹歳政府参考人 都市における緑の確保ということは、安全で魅力のある都市づくりということに極めて重要な役割を果たしております。

 今回、景観緑三法ということで、その一つに都市緑地保全法等の改正の審議をお願いしているわけでございますが、この中では、単に都市公園として公園緑地を整備していくだけではなくて、里山などの緑を緑地保全地域というような形で守る、また、緑の少ない都心部においては、緑化地域というようなことで、民間の大規模建築敷地について緑化を進めるというようなことで、緑をつくる、守る、緑化するというさまざまな、多様な手法、また多様な主体によって都市の中の緑を回復、創出していきたい、このように考えておるわけでございます。

若井委員 今局長がお答えになられた内容については私も知っての上で御質問させていただいているわけですけれども、そういう確率的に出てくる緑地を都市内部にふやしていくということは当然だ、これまた、これまでも既にされてきているわけですね。例えば公園事業なりで粛々と進めてこられた。しかし、今欠けているのは、それらをしっかりと結びつけて、都市の中に、循環的な環境というふうに例えば国土審議会は言っておられますけれども、そうしたものをつくるための工夫が欠けているのではないかということを申し上げているわけです。その点についてはいかがでしょうか。

竹歳政府参考人 先ほど京都のお話がございましたが、東京におきましては、江戸の大名屋敷があった山手線の中はかなり緑が豊富でございますが、山手線を出まして環七、環八あたりに行きますと、スプロール市街地で、昔は杉並木がたくさんあったところがもう密集市街地になっているというような大変大きな問題がございます。

 そうしたことから、実は、緑のネットワークというようなお話がございましたが、遊休地が都市構造の変化、経済社会の変化によって生まれてくるということで、そのように生まれてきた遊休地を活用することが都市の中における緑の確保ということでかなり重要な役割を果たしていると思います。

若井委員 切りがありませんけれども、そうやって確率的に出てくる緑をどのように結びつけるかという、それこそが一つの公共的な施策だと私は思いますし、その点について、この都市緑地保全法の改正はまだ非常に不十分だというふうに私は思いますけれども、今後、さらに御検討をぜひお願いしておきたいと思います。

 時間がありませんので先へ進みますが、先ほどちょっと触れました、失われつつある田園風景の問題です。

 人口は日本人の四分の一しかいないかもしれないけれども面積は八割ある、残りの方々も今はそうした景観の中で時間を過ごすことを望んでいる、そのことがまたこれからの農村的な社会、そうしたものの活性化につながると思います。

 先般、農水大臣がお答えをいただきました、景観との調和を図りつつ農地の利用促進や森林施業を図る。ただ、よく考えてみますと、このこと自身はこれまでもしてきたことです。それで守れないからこそ、今、田園地域、どのようにこの景観を守り、あるいはつくっていくかということが検討されなければならないというふうに私は思うわけです。

 今回のこの法案の共同提案者である農水のサイドでは、より具体的にはどんな方策を考えておられるのか、もう少し聞かせていただければと思いますけれども、いかがでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、農村景観につきましては非常に貴重なものと考えておりますけれども、このような農村景観につきましては、農業生産活動の営みを通じて形成されるものであるというふうに考えておるところでございます。

 こうした景観を守るためには、魅力ある農村づくりに向けまして、地域の個性を生かして、多様な主体が参画できるような農村振興施策を展開していく必要があるというふうに考えているところでございます。

 このため、農林水産省におきましては、個性ある魅力的な農山漁村づくりに向けまして、今後の施策の展開方向を明らかにする水とみどりの「美の里」プラン21を昨年九月に策定、公表したところでございます。このプランの中で、農業農村整備事業等、私どもの関連事業につきましても、その実施に当たり景観配慮を原則化するということを基本とした取り組みを行っているところでございます。

 また、これを具体的に進めるために、それぞれの市町村におきまして、農村地域の環境保全に関する基本的な方針として、田園環境整備マスタープランというものを作成していただきまして、この中で景観に関する事項を具体的に定め、景観に配慮した事業の展開を図ることとしているところでございます。

 こういった取り組みとあわせまして、今回、景観法に基づきまして、市町村に景観農業振興地域整備計画の策定を今回の法案の中で制度化することとしておりますけれども、この中で、景観と調和のとれた農業的土地利用の誘導を図るということを進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

 こういった法制度的な仕組みとあわせまして、先ほど申し上げました私どもの事業展開に当たっての田園環境整備のマスタープラン、これらと相まちながら進めることによりまして、よりよい農村景観の形成を進めていきたいというふうに考えておるところでございます。

若井委員 田園風景といいますか農村景観の場合は、都市地域と違って、非常にそれぞれ個別の個性といいますか、非常に多様な地域だと思うわけですけれども、これらを一律に守っていくといいますか、そうしたことはなかなか難しいと思うんですね。

 それだけに、都市地域でも同じですけれども、地域の一種の自発的な、あるいは自立的なそうした景観保全、景観形成の工夫が必要だと思いますが、そうしたものを助長していくといいますか、バックアップをしていくという意味で、今の整備計画、マスタープランのお話は大変よくわかりましたけれども、もう一歩踏み込んで何らかの方策を考えられる、あるいは講じられる、そうしたおつもりはないのでしょうか。

宮本政府参考人 今委員の御指摘のございましたように、農山漁村の景観というものにつきましては、農林漁業のまさに生産にかかわる農地、森林、これがきちんと適切に利用されていること、あるいは農地、森林の風景と集落のたたずまいの調和といった面、あるいは自然環境そのものの美しさ、あるいは農村特有の伝統行事、文化が醸し出す美しさ、こういったふうに非常に多様な形での農村の美しさというものがあろうかと考えております。

 したがいまして、委員御指摘のように、こういったものを一律に規制するといいますか、取り組み方針を明示するといったことは必ずしも適切ではないというふうに考えておるところでございます。

 先ほど来、国交省さんの方からも説明がございましたけれども、地方自治体におきましては、いろいろな景観条例等が現在相当数策定されておりまして、こういった中で地域の個性を生かした取り組みが行われているものと承知しているところでございます。

 こういった地域の地方公共団体による個性ある景観形成の取り組みをさらに進めるために、条例等による施策のみならず、今回の景観法等によりまして法制的な手法を付与することによりまして、法制面からもこれを支援する仕組みにすることが重要であろうというふうに考えているところでございます。

 このため、景観法におきましても、景観と調和のとれた良好な営農条件を確保するための施策を農業振興地域整備計画の体系のもとで位置づけるとともに、農地法の特例等の法制的な手当てを行うということを行ったところでございまして、こういった景観農業振興地域整備計画の策定に当たりましても、市町村が地域住民の意向を踏まえつつ主体的に取り組むことができるように措置しているところでございます。

 また、景観法案におきましては、市町村、地域住民等が中心となりまして、景観協議会を設置するという仕組みも取り入れられているところでございます。こういった仕組みも活用しながら、市町村、地域住民等による主体的な取り組みを支援することによりまして、地域の個性の発揮を図っていきたいというふうに考えているところでございます。

若井委員 それから、先ほど国土交通省の皆さんにもお答えいただいたんですけれども、よく、悪名高き三面張り農業用水路、おわかりになりますよね、水路の三面をコンクリートで固めてしまうというような公共事業がかなりこれまで行われてきたと思いますけれども、これらの農業系の公共事業といいますか、そうしたものに対するガイドラインあるいは景観アセスメント、こうしたものに取り組まれる御予定はないのでしょうか。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほども御説明申し上げました水とみどりの「美の里」プラン21におきましても、設計基準の見直しや、手引書、いわゆるガイドライン的なものの作成というものについて触れているところでございます。

 これらの具体的内容につきましては、設計基準の見直しにつきましては、いわゆる工種ごとと申しますか、逐次策定を進めることとしておりまして、平成十六年度中には農道につきまして基準を改定することとしておりまして、周辺景観と調和するよう間伐材の利用を促進する、あるいは切り土、盛り土に当たりましても、できるだけそういった部分を少なくする、こういったことを、いわゆる景観に配慮したような形での事業実施をするような改定を考えているところでございます。農道以外につきましても、逐次こういった変更を進めていきたいというふうに考えております。

 また、実際のこういった事業を現場で展開するに当たりまして、現場の事業担当者のマニュアルになるようなものとしまして手引書の作成を進めているところでございまして、農業農村整備事業におきます景観保全、形成の基本的考え方、整備手法あるいはその実際の具体の事例なんかも含めましたような手引書を平成十六年度中に作成すべく、現在作業を進めているところでございます。

若井委員 一昔前は私たちも、観光といえばパリとかローマに行って、いわゆる大都市の超高層ビルを見るというようなことが盛んだった時代もあったわけですけれども、今や、いわゆる農村景観といいますか、そうした部分こそ日本の本来の観光立国を担う、そうしたフィールドになっていくと思います。何としても農水の皆さんのこうした意味でのより一層の努力をお願いしたいと思いますが、これからまたいろいろ議論を深めながら、この問題については継続的に一緒に考えさせていただきたいと思います。

 次に、今回の景観緑三法の一番の要諦になっていると思う部分についてお尋ねをしたいと思うんですが、景観をだれがつくるか、そうした部分についてのこの法律のあいまいさといいますか、その辺について少しお尋ねをさせていただきたいと考えています。

 今回の景観法案ですけれども、実は四半世紀前から自治体ではさまざまな多様な取り組みがなされてきております。県レベルで行われるようになったのは、恐らく十年か十五年ぐらい前だと思います。ようやっと国のレベルでも景観法というようなものが検討される段階に来たわけですけれども、この四半世紀にわたる各地域での努力、これを無視してはならないというふうに私は考えます。

 ですから、今回の景観法が、実は五百近い自治体が持っております景観に関連する条例、これにより力を与えられる、より前へ進めることのできる、そうした根拠になるということが私は本来の景観法の趣旨ではないかというふうに思うわけですけれども、この条文、法案を読んでおりますと、どう考えても、これはむしろ非常に先端で頑張っている自治体にとっては足かせになってしまうのではないかという部分も読み取れるやに思うわけです。その点について、この立法を考えておられる皆さんはどのようにこれを考えているのか、その点について幾つかお尋ねをしたいと思います。

 景観法、これはむしろ、それぞれの自治体の景観条例にとって、ある意味でいうと授権をする、それを要するに裏づける、その条例をどんどん進めていい、あるいは罰則については、例えばこの法律で担保をするというような部分に力を入れるべきではないかと思うんです。

 今回の法律を読んでいますと、後ほどもう少し具体的に言いたいと思いますが、都市計画法や建築基準法が先行してしまう、景観法ではとても追いつかないというようなところが幾つも出てくるわけですけれども、景観法のいわゆる本質的な部分について、条例との関係をどのようにお考えになって立法なすったのか、その辺について、ちょっと抽象的ですけれども、基本的な考え方をお聞かせいただければと思います。

    〔委員長退席、今村委員長代理着席〕

竹歳政府参考人 景観法と条例との関係についてのお尋ねでございます。

 今回、景観法を制定することになった一つの一番大きな背景は、景観に関する自主条例の数が五百二十四に上り、各地で自主条例による積極的な景観行政が展開されてきたわけでございますが、実は、この自主条例には、規制の担保というのが勧告どまりであり、なかなか強い力を発揮できなかった。

 それから、国の法律である建築基準法で規制が決められていると、それを緩和するのは国の法律でやらざるを得なかった。また、国税である相続税等の軽減措置をしようとすれば、やはり国の法律で措置する必要があるというような、今までの地域における取り組み、これについての限界があって、公共団体と複数回意見交換をしたわけでございますけれども、公共団体からの要望として、ぜひ我々のやっている自主的な取り組みをバックアップするような法律的な措置をつくってほしいということが強く述べられたわけでございます。

 したがいまして、今回の景観法におきましては、このような要望をもとに、景観計画の区域において、条例を定めることによって建築物等の形態意匠に対する変更命令を出すことができるというようなこととか、景観重要建造物に対する建築基準法の規制緩和等を条例で措置できるようにするというようなこと等々、条例を豊かにする、それを支えるというような観点からさまざまな措置を盛り込んでいるわけでございます。

 このように、景観法は、これまでに公共団体において積み重ねてこられました多様な努力を生かす柔軟な仕組みにするというのが一番大きなねらいなわけでございます。

若井委員 それでは、先般大臣が御答弁になられましたけれども、この五百二十四の条例、多いといえば多いけれども、自治体の数からすれば一部ではないか、であるからして、景観行政団体は都道府県または政令市、中核市を原則とするのだという御答弁があったわけです。

 しかし、もし、これが一部であって、ほかの市町村がそういうことに取り組むべきだという趣旨であるのであれば、都道府県、中間的な段階のところの関与は原則的な部分にとどめて、むしろ一般の市町村がさらに積極的に景観行政に取り組みができるような、それを促すための方策というものがより重要である。私は、都道府県または政令市、中核市を原則とするというこの一文は余計ではないかというふうに考えるわけですけれども、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

竹歳政府参考人 御指摘のとおり、今後の景観行政は、やはり最も住民に近い市町村が担っていくべきと考えております。

 ただ、現在の景観行政の取り組み状況を見ますと、今先生御指摘のとおり、市町村の条例は四百五十にまでなっておりますけれども、それでもこれは全国の市町村の一四%にすぎません。一方、都道府県では、半数近い二十七の都道府県で自主条例を定めているという実態がございます。

 したがって、このような実態を踏まえて、法律制度の形としては都道府県と市町村と並べておりまして、二重規制が行われることを避けるために、一つの地域において一元的に景観行政を行う主体である景観行政団体が景観計画を定める仕組みとしております。

 ただ、市町村につきましては、政令指定市と中核市は自動的に景観行政団体となり、その他の市町村についても、手を挙げれば知事の同意を得て景観行政団体となることができるということでございます。

 この同意がなかなか得られなかったら、ほかのやる気のある市町村の意欲がそがれるではないかというような御懸念があると思いますが、我々といたしましては、この同意の基準というのは、よっぽどのことがない限りは、手を挙げた市町村に対して知事は同意を与えるというようなことで、我々の技術的な助言等でも明らかにしていきたいと考えておるわけでございます。

若井委員 県は二十七、条例を持っているというふうにお話ありましたけれども、百万の都市から千の村まで持っているのが県でありまして、それぞれの自治体の中に入って、実態を明らかにしながら、県の条例を生かしていくということは、現実的には不可能です。やはり、基礎自治体がそれぞれの独自の個性を生かした景観形成をできるように、国としても、都道府県の方々とそういう流れの中で、ぜひ自治体がこの景観づくりに取り組めるようにお力をかしていただければというふうに私はお願いをしておきたいと思います。

 それでは、ちょっと時間がなくなってきましたので急いでまいります。

 いわゆる都市再生特別措置法に基づく緊急整備地域の指定というものは、これは政府が政令で行うということになっておりますけれども、これらの内容をよく見てみますと、基本的には都市計画の緩和ということが一番の柱になっている。この緩和の内容については、都市再生特別地区の決定をする都道府県が行うというふうになっていて、実際にその事業が行われる基礎自治体、市町村というところとは関係のないところでその内容が決まってしまうということが起きるのではないか、あるいは起きているのではないかというふうに思うわけですけれども、この景観計画や景観地区の決定によって、例えば建物のスカイラインが破壊されるというようなことを本当に歯どめができるのかどうか、その辺についてはどのようにお考えでしょうか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 今、都市再生特別措置法に基づく緊急整備地域の指定は政府が行う、それから都市再生特別地区の決定は都道府県が行う、そうすると、市町村の意見などが反映されなくて景観がうまく守れないのではないかというような御指摘ではないかと思います。

 若干手続的なことを御説明いたしますと、都市再生緊急整備地域は、確かに政府が指定するわけでございますが、この場合にも関係地方公共団体の意見を聞いて、その意見を尊重するというような仕組みになっております。また、この都市再生緊急整備地域、そのもとになります都市再生基本方針においては、例えば東京駅、有楽町駅周辺の地域整備方針においても、東京駅舎の保存、復元と駅前広場や街路整備により、東京の顔にふさわしい景観を確保すると言っておりまして、確かに規制緩和ということが大々的に打ち上げられたわけでございますが、この都市再生の中におきましても、景観の問題は十分配慮されているところでございます。

 また、都市再生特別地区、これは都道府県決定でございますが、これは都市計画でございますから、都市計画を決めるときには関係市町村の意見を聞きますし、公聴会の開催等住民の意見を反映する措置もあるということで、具体の地区で申しますと、札幌市の都市再生特別地区では、景観にも配慮して壁面位置の制限を行っているということでございます。

 このように、それぞれの制度についても関係市町村の意見を反映できるような仕組みになっておりますし、今回の景観法というのが成立いたしますれば、より積極的に景観が守れるというふうに考えているところでございます。

若井委員 いろいろこの法律の趣旨をよく読んでいきますと、例えば、今回の法律の中にある景観地区がもし指定ができれば、確かに、今局長がおっしゃられたようなことがこの景観法で網をかけることが可能なわけですけれども、よくよく調べてみると、この景観地区、もともとはこれは美観地区ですよね、今回の法律で景観地区に変わるわけですが、全国でわずかに二十カ所ぐらいしかありません。自治体からすれば六つぐらいしかない。非常に例外的な地区指定にしかなっていない。もし今回の景観法で景観地区を指定ができるということであれば、もう大いにこの要件をやわらかくして、一般的な自治体でも景観地区の指定が容易にできるような、そうした工夫が必要だと思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 景観地区の前身である美観地区というのが六つの自治体でしか使われてこなかった。そうすると、名前が変わっただけで、この景観地区もうまく使えるんだろうかというような御心配だと思います。

 なぜ美観地区が使われてこなかったかというのには幾つか理由があると思います。

 一つは、この美観地区の何を規制するとかどのように持っていくかということがすべて条例に任されていたということで、京都とか倉敷とか大変御熱心なところはいろいろ工夫されて、努力もされてきたわけでございますけれども、やはり公共団体にとってみれば、美観地区と景観地区というのができれば、どのような規制がかかって、どのような手続があるのかということがはっきりしていないと使いにくいという面があったと思います。

 それから、やはり景観に対する国民の意識と申しますか、なかなかそこまで来なかった。ただ、景観条例、自主条例をたくさんつくっていく中で、そのような規制も欲しいという声が多数上がってきたわけでございまして、このような、なぜ美観地区が使われなかったかという反省を踏まえて、今回の景観法においては、景観地区がより広く公共団体の御要望にこたえて使えるような仕組みとしたということでございます。

若井委員 本来的な意味での都市再生とは何かということに関係があるんだと思うんですが、昨年でしたか、東京都に二百十三ヘクタールかの超高層ビルが建ったというふうに聞いておりますが、その建物が建った周辺の地域は地価が落ち、それから床の賃貸料が落ちている。今は、昔と違って、つくればその全体のポテンシャルが上がるということはないと思います。

 むしろ、先ほどの話に戻りますと、緑地があって、そこにトンボが飛んでいたりチョウチョウが舞っているというようなものが大都市の真ん中にある、そうした町をつくることがその周辺の地価を支える、あるいは人が減ることをとめることができるという時代に入ってきたと思います。

 私は、この景観法というものは、実はそのための第一歩だと考えています。ですから、都市再生の事業が今例えば景観法とある意味でいうと抵触をするような側面を持っていることを非常に危惧している。都市再生の枠組みというものも、こうした景観法にうたわれているようなそうした考え方に基づいて、これから抜本的にその仕組みを変えていただきたいと思いますし、先般のまちづくり交付金の議論の中では、恐らくそうした部分に、非常にわずかでは、まあ、千三百億がわずかかどうかわかりませんけれども、そちらに公共事業をシフトしていくんだぞというふうに皆様が御提案をしているというふうに私は考えたいと思います。これからも大いにそちらへ公共事業のシフトということを進めていただければというふうに思います。

 今の問題、もう少し普遍化したいと思うんですが、景観法と都市計画の関係です。先ほどちょっと触れましたけれども、都市計画と景観法による景観計画で定められた制限、これは都市計画をどのように拘束することになるのでしょうか、どういう関係になるのか、その辺についてもう少し教えていただければと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 都市計画というのは、もともと、環境とか景観も念頭に置きながら、都市の健全な発展と秩序ある整備を図っていくんだということで、従来からも美観地区とか風致地区とかさまざまな制度もあったわけでございます。

 今回の景観法は、景観に関する基本的な法律として定められるということですので、今後の都市計画の運用に当たりましては、今まで以上に景観ということを明確に意識して物事を進めていく必要があると思います。

 そこで、具体的な法律の制度として、景観計画と都市計画はどういう関係になっているんだというお尋ねでございますが、景観計画というのは、厳密に言えば都市計画ではございませんで、行政計画ということでございます。いろいろな住民参加等の手続もございますが、そうやって定められた景観計画区域の中でより積極的に美しいまちづくりを図っていかなくちゃいけないというところが景観地区、これは都市計画でございまして、景観計画区域というのが届け出勧告制度に支えられて、また変更命令も一部ございますが、そういうより緩い規制の部分、それで、そのあんこに当たるような部分が景観地区として都市計画になるというような一つの大きな概念的な位置づけがございます。

 それから、景観法上、実は景観計画というのは直ちに都市計画を拘束する仕組みにはなっておりませんが、個々の都市計画というのは、住民とか関係地方公共団体の意見を聞きながら定められるということになりますので、景観計画が定められている場合に、具体的な都市計画というのは、やはり景観計画に定められているということを十分念頭に置いて、そういう決定過程の中で景観計画との調和が図られていく、このように考えているわけでございます。

若井委員 もう一つお尋ねをしたいわけですが、先ほど景観をつくる上での三つのテーマ、町を美しくするための工夫が欠けているんじゃないかというお話をしましたけれども、今回の景観法でも、ある程度は意識されると思いますが、町の中に建ちます建築物のことであります。建物が建つ場合には、建築基準法に従って建築が建つということになるわけですが、良好な景観を形成する上で、一つでもわけのわからない建物が建ってしまえば、周りじゅうの景観が台なしになるということで、今回の法律の中にも若干そのことに触れている。

 どういう格好で触れているかというと、建築物のデザインについてはこの法律の中で物を言うことができるというふうになっておりますけれども、建物というのは、一つで町の景観を形成しているわけではないわけでして、ある幾つかの建物の群といいますか、そうしたもので町並みが形成されている。町並みが形成される中の一つの建物という観点からこの建物をどうするのかということでいえば、その色がどうであるとかテクスチャーがどうであるか、形がどうであるかという以上に、どんな場所にどんな高さのものがどんな用途でできるかということが非常に重要なわけでして、先ほどヨーロッパの景観のお話を興味深く聞かせていただきましたけれども、実は景観法というのは、要するにそうした建物の群としての法律になっているわけで、今回の法律は、その点、甚だ不十分だと私は考えています。

 地域のあり方とは別個に、個々の敷地ごとに建物が建ってしまう。例えば、先ほどの話ではありませんけれども、一般の市町村で建築確認の仕組みを持っていないというところでは、自分の町がどうなるかを決めることができない。こうした建築行政のあり方と景観形成のあり方は、全くある意味でいうと分離をしていると言わざるを得ない。

 これを連動させることなしに町の景観をつくるということは大変に制約が多いというふうに私は思わざるを得ないわけですけれども、この建築確認、建築行政と景観、この関係について今後どのように改善をなさるおつもりなのか、その辺についてお考えを聞かせていただきたいと思います。

松野政府参考人 お答えいたします。

 現在の都市計画法と建築基準法では、地域ごとに、土地利用の状況あるいは公共施設の整備状況を踏まえまして、都市計画で用途地域というのを定めます。建築物の用途、あるいは容積率、建ぺい率等の良好な市街地環境を確保するための規制を定める。建築物がそれらの規制に適合するということをまさに確認するということで、建築確認で審査をしております。

 先生今おっしゃいましたように、建築群として何か定めるということが必要な場合には、よりきめ細かい規制を行うということができるような制度として地区計画制度というのがございます。建築物の高さ、あるいは壁面の位置などの制限を行うことができることとしております。

 こうした既存の制度に加えまして、今回創設されます景観計画区域におきましては、景観行政団体が周囲との関係を踏まえまして良好な景観形成をしようと判断する場合には、建築主に対して勧告、あるいは形態意匠に関する是正命令を行うことができるということにしております。

 さらに、より強力にこのことを進めていく場合には都市計画で景観地区を定めることができるということでございまして、これによりまして、市町村長による建築物の形態意匠に関する認定を義務づける、それから、都市計画で建築物の高さあるいは壁面の位置等を定めることができるということになっておりまして、従来からの制度に加えましてこのような制度ができることによって、さらに良好な景観形成が十分図られていくものと考えております。

若井委員 もしも、この地区計画制度で良好な景観が、町並みづくりが事実上可能であるのであれば、今さら景観法をつくる必要もないのかもしれません。何でこの地区計画制度ではそういうことができなかったのか、このことをもう一回、反省というと変ですが、よく考えてみながら今後の景観行政を進めていかない限り、私は、新しい法律、屋上屋を重ねるにすぎないんじゃないかというふうに考えます。

 自治体として、建築の確認という仕組みではなくて、例えば、ブロックの中、先ほど景観地区を決めるのは非常に難しいということをちょっと触れましたけれども、その中については建築を確認ではなくて許可の制度に変えていくとか、そうしたことをこれからぜひ検討していただきたい、これはお答えは結構でございます、そういうふうに私は考えています。

 最後に、今の件も含めまして申し上げたいことでありますが、都市計画や建築行政、あるいは先ほど河川や道路のお話もございましたし、農業地域の問題もありました。これらに共通をして、これから国づくりの二十一世紀のあり方のテーマとしての景観というものを位置づけるのであるならば、先ほど岩崎委員がヨーロッパの御審議をなすっているときに私もその点については考えておったんですけれども、景観権というものは、もうある意味でいえば、これからの地域をつくる、都市を再生するためのまず第一のいわゆる要諦にならなければならない。要するに、個別ににょきにょき建物が建つような町は、これからは人に捨て去られていくんだ。つまり、人口は三千万も減るわけですから、つまらない町は人が住まなくなる、つまらない農村には農業をする人がいなくなるという時代に必ずなります。ですから、この景観権というようなものを、ちゃんとした町の哲学を持った、そうした国土づくりをするためにこの景観法が出てきたというふうに考えたい。

 今のこの景観法は、単なる行政計画でありますよという御説明はありました。確かに、そこまで日本人の意識が醸成をしていなかった。しかし、これからは違います。

 ですから、私は、今回の景観法は是とするとしても、これは一つのいわゆる一里塚にすぎない。さらに先へ進むためには、先ほど申し上げたような、個別法を通じてそれが生きていくような、ヨーロッパにはありますよね、先ほど議論がありましたけれども、憲法に、憲法というので大げさであるならば、景観基本法というようなものをここでつくっていくという努力に着手をすべきではないか。その第一歩として今回の法律があるんだというふうに私は考えたいと思うんですけれども、最後に、大臣にその点について御見解を伺いたいと思います。

石原国務大臣 先ほども政府参考人から御答弁をさせていただきましたように、今回の景観法は、景観に関する基本的な法律、全国レベルでは基本的な法律として定めさせていただいております。

 委員は、都市計画あるいは建築物の基準を許可制にするような細かいこともあわせて初めてこの法律がワークするのではないかというような御指摘であったと聞いておりましたけれども、そういう法律と一体となって景観に関する具体的な取り組みを可能とする実効性をも備えたものであるということも、政府参考人から御答弁をさせていただいたところでございます。

 委員はここからさらに一歩進めまして、先ほどの岩崎委員との議論の中でありました景観権、環境権等々の憲法での明記、良好な景観を定着させるためにはさらに踏み出していけ、こういう御指摘であったと思いますけれども、憲法論議が今なされている中で、これだけを先取りして景観権みたいなことの議論はできませんけれども、やはり委員の御指摘は、この憲法論議の中で十分に私はなされているべきであると個人的には感じております。

 ただ、単に景観権というものを憲法に位置づけたとしても、内容をきょう御議論いただいているような実定法で定めていかなければ、理想でしかない。そういうことをあわせて、今委員御指摘のとおり、景観行政にとっては大きな一歩ではあるんですけれども、この一歩を二歩、三歩、四歩と進めていく努力というものを関連法律の中で取り組ませていただきたいと考えております。

若井委員 確かに、憲法について触れたのは二、三歩勇み足だったかもしれませんが、景観基本法というようなものをさらに進んで定めていくということを御提案申し上げて、質問を終わります。

 どうもありがとうございました。

今村委員長代理 高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、景観緑三法の法案の審査ということで質問させていただきます。

 まず、景観というものの考え方ですね。我が国の景観を考えてみますと、例えば、その昔、江戸時代、城下町、門前町、そういった形で町並みというのが発達してきた。しかしながら、戦後、都市化が進む中にありまして、なかなか一貫したまちづくりが行われてこなかった、そういう面も指摘できると思うんです。

 例えば、ヨーロッパの町並みを見た場合に、ヨーロッパのまちづくりというのは、五年、十年でできるわけではなくて、百年、二百年、または五百年、そういう単位で町というのがつくられてきた。そういう中にあって、お互いのコンセンサスができながら町というのがつくられてきて、特に観光の視点からいってみましても、欧米の町、特にヨーロッパの場合には、歴史と伝統を感じさせる町並みがあるというふうにだれもが感じると思います。

 その一方で、我が国の町並みを見た場合には、なかなか、特に都市化がされている町並みというのは一体どうなっているか。東京の例を掲げてみますと、例えば、屋外の建物のデザイン、高さ、ばらばらであるだとか、または色、大きさのふぞろいな看板、そういったものが無秩序に並んでいるということで、なかなか町並みがきれいだというふうな評価はされていないと思います。

 そういった中にあって、今回この景観緑三法というのが提案をされましたけれども、そもそも小泉内閣も、観光立国という視点を持ちながら政策の柱として掲げていると思います。私ども公明党も、昨年の衆議院選挙のマニフェストでもこの観光立国のことをしっかりと掲げまして、二〇一〇年までに今五百万人の訪日観光客を一千万人にしようと、政府と歩調を合わせるかのようにマニフェストで掲げさせていただきました。

 そういった部分で、例えば外国の方が日本に来たときに、そういった景観、町並み、これに対してどのような感じを抱くのか、ここら辺のところはなかなか問題があるのではないか、こんなふうに感じます。

 そういった観点から見ましても、今回の景観緑三法という法律案は、我が国の景観を美しくしていく、また豊かなものにするということで、画期的な法律であるというふうにも評価をしております。景観行政にとって大きな前進であると評価しておりますけれども、また、屋外広告物法や都市緑地保全法をあわせて改正することによりまして、景観全体の問題というのをとらえている、これも大変有意義な観点であるな、このようにも思います。

 ただ、法案の内容については、疑問または懸念、こういったものを感じるところがありますので、その点についてきょうは質問をさせていただきたいと思います。

 まず、景観法というのは、良好な景観の形成を促進するための法律であるということですけれども、どのような景観を良好な景観というか、これは地域によって異なるわけですね。また、人それぞれの価値観によって異なっていく、百の町があれば百種類の景観のよさというのがあると思うんです。

 我が国の景観行政というのは、まず、景観条例に基づいて、地方公共団体の取り組みが中心であった。今回の景観法の制定によりまして、逆に地方公共団体の取り組みに枠がはめられることになるのではないか、また、個性あるまちづくりというのが、一つの法律によって逆に画一化されるのではないか、こういう懸念を一つ持っております。

 もう一つの懸念というのが、今回の法律によって規制がなされていく、逆に、規制されることによって地域経済というのが阻害されていくのではないか、こういった問題点もあるのではないか。

 特に、私自身も考えているのは、規制というのは基本的にない方がいいんだろうな。それぞれが自立をして、そして自立した中で町ができていく、またはそれぞれのいろいろな制度ができていく、こういう方がやはりいいのではないかなと思っているんですが、景観の形成のための規制、これが私権制限にもいろいろとぶつかってくるのではないか、こういうような懸念があります。

 今までの規制というのは、特に国土交通省関連でいいますと、建築物の安全性、または国民の生命身体へ直接影響を与える、こういった部分に対してはきっちりと規制をしてきたと思いますけれども、景観というと、先ほど申し上げましたように、価値観の問題というふうになってきます。そういったところでの規制というのが果たしてどこまでできるのか、こういうところが私自身の今の問題意識の中にあります。

 そこで、私自身も、新聞記者時代、いろいろな行政の取材をしたときに、特に自治体の取材をしたときに感じたんですけれども、今から二十年ぐらい前になりますか、そのころ、いろいろな再開発というのが駅前で行われますと、どの行政、いわゆる公共団体も、再開発というとすぐビルを一個建てて、それで再開発、駅前が立派になりましたねというような感覚だけで、どの町を見ても同じような再開発が行われていた、金太郎あめみたいな形になっているな、このようにも感じました。

 そういった観点も踏まえて、まず大臣にお伺いしたいのは、今回の景観法の制定によりまして、個性あるまちづくり、これが果たして実現していくのかどうか、景観法の制定によりましてかえって画一的になるのではないかな、こういったことに関してどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

    〔今村委員長代理退席、委員長着席〕

石原国務大臣 高木委員が御指摘のとおり、良好な景観という名のもとに、画一的にこれが良好な景観だといいますと、逆に画一的なまちづくりというふうになってしまうんだと思います。

 しかし、今回の法律案は、先ほど来の御議論の中にもございますように、市町村、県が個性を生かした景観行政に条例等々の制定によって取り組んでいるものを支援するということを制定の趣旨とさせていただいているところでございます。

 具体的に若干申しますと、その手法についても、面的に建築物のデザインや色彩を制限する景観計画区域や景観地区、地域のシンボルとなる建築物を保全する景観重要建造物制度、あるいは住民が地域の景観のために自主的に結ぶ景観協定など、地域の実情に応じた施策が講じられるようバリエーションに富んだ多様な選択肢というものを用意しております。

 こういうことによりまして、各地域において魅力ある景観形成が、委員が御指摘のように、良好な景観という名のもとに画一的なものにならないようなことを期待しているところでございます。

高木(陽)委員 今大臣が答弁していただきましたように、良好な景観形成のために選択肢を用意する、それで公共団体が自由に選択し活用できる仕組み、これはこれで評価をしていきたいと思うんですが、一方、今回の景観法で、景観計画区域における変更命令、または景観地区における認定制度、いざというときの強制力を持った規制手法も導入されている。

 こういった規制手法によりまして過度の私権制限にならないように、どのような措置を講じているかについてお伺いをしたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 今回の法案におきまして、景観計画区域におきます変更命令や景観地区における認定の仕組みなど、新たな規制を導入しておりますが、これは公共団体からの要望を踏まえて、ぜひ自主条例をバックアップしてほしいという要望にこたえたものでございます。

 そして、このさまざまな新しい仕組みというものは、建築物の建築等の行為自体をとめるものではございませんで、デザインとか色彩について、地域住民の意見を反映させながら策定される地域ごとのルールに適合させていこう、こういうものであるわけでございます。

 具体の手続でございますけれども、まず最初に、景観計画の策定に当たりましては、公聴会の開催等住民の意見を反映させる、こういうことが義務づけられておりますし、都市計画区域等に係る内容につきましては、都市計画審議会の意見を聞く必要がある、これも法律に書いてございます。

 また、景観地区の決定自体につきましては、都市計画そのものでございますので、公告縦覧、都市計画審議会への付議の手続を経る必要があること、それから、条例で定めますれば、景観審議会等の第三者機関を関与させるということも可能になるということで、いろいろな角度から住民の皆様方の意見を十分に取り込める内容となっているわけでございます。

高木(陽)委員 次に、地域経済との関連について御質問したいと思いますが、先ほど、冒頭に申し上げましたように、さまざまな私権制限をすることによって地域経済を阻害してしまうんではないか、こういうふうな疑問を呈しました。

 先日、大臣が本会議での答弁におきまして、伊勢市や北九州市、良好な景観形成が観光客の増加をもたらして地域の活性化につながっている、これはこれで大いに理解はできるんです。良好な景観形成とその地域の活性化、これがうまくマッチして車の両輪のごとくいけばいいんでしょうけれども、逆に、規制の程度によりまして、反対に地域経済を阻害する場合もあるのではないか、このようにも考えますけれども、このところについてどのようにお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

石原国務大臣 うまくいった例として伊勢市と北九州のお話を本会議でさせていただきましたが、このほかにも、川越市とか近江八幡等々で見ますと、昔の町並みを保存することによって観光客が新たに来るようなものとか、電線の地中化等々で良好な景観をつくることによって経済が非常に活性化するというような例がほかにもたくさん、全国で見ますと見つけることができました。

 政府参考人からも今答弁しましたけれども、景観計画の策定や景観地区の決定手続においては、もちろん住民の皆さん方の意見を聞きますので、今委員の御懸念のような、そういう規制によって経済活動が阻害されるというようなことがあるならば、そこで声が出てまいりますので、そういうものを除去することができる。あるいは、景観審議会や第三者機関の関与などの手続を付加することも可能となっておりますので、今委員の御指摘の点は必ず俎上に上がってくる。こういうことを二重、三重にも重ねまして、規制が過度とならないように考えておりますので、その前の段階で委員の御懸念を払拭するように仕組ませていただいているつもりでございます。

高木(陽)委員 わかりました。

 続きまして、公共事業の問題なんですけれども、公共事業というのはとかく批判をされがちなんです。やはり、道路公団の民営化問題でもそうでしたけれども、ネットワークとして必要だということですとか、まだまだ公共事業としてかかわっていかなければいけない地域または施設等々があると思います。

 そういった中で、今回の景観法には、景観上重要な公共施設を景観重要公共施設、こういうふうに位置づけています。その整備に当たっては、周囲の景観との調和を図らなければならないということとされていますけれども、逆に、こういった制約が地域にとって本当に必要な公共施設の整備を阻害する、こういうことにならないか。もちろんデザイン等をしっかり考えればいいんでしょうけれども、こういった規制が必要な公共事業の実施を阻害することにならないかということについてお伺いをしたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、公共施設は我々の生活に不可欠なインフラでございます。また、一方、地域の景観にとりましては、プラスの意味でもマイナスの意味でも大変大きな影響を与えるということでございまして、先ほど来、ガイドラインの話でございますとかアセスメントの話が出ておりますが、公共事業の実施に当たりましては、歴史や文化に根差した地域の良好な景観との調和を図っていくことが非常に重要だと思います。

 したがって、景観法におきましては、公共施設を単なる規制の対象だというようなとらえ方をするのではなくて、公共団体が定める景観計画におきまして景観重要公共施設というような位置づけを与える。その場合には、公共団体は公共施設の管理者に協議して同意を得るというような丁寧な仕組みを用意しているわけでございます。

 このような制度によりまして、地域の景観と調和した公共施設の整備を促進するために、国土の保全とか経済基盤の強化といった観点から、公共施設に求められる機能と良好な景観の形成のための地域の要請との調和を図るというようなことをできるものですから、公共事業の実施を阻害するというものではないと考えております。

高木(陽)委員 時間も限られておりますので、最後の質問になると思いますが、先ほどから何度も言っている良好な景観、これは価値観によって大分変わってくる。例えば、落ちついた色彩の町並みがいいという人もいれば、派手な町並みがいいという人もいるでしょうし、そこら辺のところは本当に主観の問題である。千差万別の景観の考え方だと思うんですけれども、特に、どのような地域でどのような規制を行うかについては、景観計画区域における変更命令、景観地区における認定制度のような強力な手法を含めて、これは公共団体が判断していくということにされています。

 したがって、公共団体が主体的な判断に基づいて良好な景観の形成に取り組むといっても、その判断過程において、住民の意思を幅広く反映して、景観法に基づいてその規制が地方公共団体の恣意に基づいたものとならないよう、また規制が乱用されることがないようにする必要があると思います。

 そこでお尋ねしますが、公共団体の恣意的な規制または規制の乱用を未然に防ぐ手だて、こういったものが講じられているかどうか、御説明をお願いしたいと思います。

竹歳政府参考人 お答えいたします。

 公共団体の恣意的な運用、こういうものを防ぐためにどのような仕組みが盛り込まれているかということでございますが、例えば、景観計画を策定する際には、公聴会の開催等住民の意見を反映させる手続を義務づけております。

 また、第三者機関の関与、こういうことも条例によって付加するということで、恣意的な運用を防止する仕組みがございます。

 また、景観計画の区域よりもより厳しい規制を行う景観地区については、都市計画としてのさまざまな手続があるということで、いろいろな形で恣意的な運用が抑制されるような形になっております。

 このように、これらの手続を景観法上措置することによって、景観計画や景観地区による規制には、第三者によるチェックが可能な仕組みとなっていますので、今御指摘の御懸念はないようにと考えているわけでございます。

 なお、国土交通大臣は、市町村長が景観地区等において処分を怠っているというような場合で、国の利害に重大な関係がある建築物に関してということになりますと、市町村長に対して、必要な措置をとるべきことを指示するというような手だても講じられているところでございます。

高木(陽)委員 時間が参りましたけれども、今回の景観法の問題で、景観を整えていく、良好な景観をつくる、そのための法律ということで、これは光の部分。しかしながら、一方で、先ほどから申し上げた、逆に地域がそれによって経済が停滞をしたりだとか、逆に私権が制限される、さらには、価値観がいろいろあるわけですから、そういった中でマイナスの部分、影の部分というのもあると思います。

 特に自治体、今竹歳局長が答弁されましたけれども、事前に公聴会等々でしっかり住民の意見も反映すると言いますが、これはこれでまた大変なのは、公聴会等でいろいろな意見が出ると思うんですね。これをまた一つにまとめるというのが大変。そこに参加をする人、もっと言いましたら、例えば十万人の都市がある、十万種類の意見があるわけですから、そういった中での価値観をどうやって集約していくのかというのも大きな課題であるだろう、そういうふうにも思います。

 ただし、冒頭に申し上げましたように、今回の景観緑三法というこの法律案は、やはり画期的な、これからの日本の観光立国を含めて、さらに活性化をさせていくために重要な法案であるということを申し上げまして、本日の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

赤羽委員長 穀田恵二君。

穀田委員 法案に沿って質問します。

 最初に、景観とは何かという定義がされていないように私は思うのです。そもそも景観とは何を指すか。そして、良好な景観とはいかなるものか。そして、良好と判断する基準は何か、判断する主体は何か。この基本的な、一番最初の取っかかりになるところについて、まずはっきりさせていただきたいと思います。

竹歳政府参考人 良好な景観と申しますのは、それぞれの地域に固有の自然、歴史、文化等に基づき判断されるべきものであることから、景観法では、何が良好な景観であるかについて、地域の実情に最も精通した公共団体の判断にゆだねるということにしております。

 そして、各地域において目指すべき景観のあり方を決める上で、地域住民の合意を図っていくということは非常に重要でございますから、基本理念におきまして「地域住民の意向を踏まえ、それぞれの地域の個性及び特色の伸長に資するよう、その多様な形成が図られなければならない。」と規定した上で、景観計画や景観地区を決定するための手続として、公聴会の開催等の民意を反映する手続を経ることを義務づけております。

 また、地域における良好な景観の形成について、より積極的かつ主体的に住民が参加する機会を確保するため、都市計画と同様に、景観計画についても住民やNPO等からの提案制度も設けているということでございまして、これらの制度が適切に活用されることによって、地域固有の特性に根差し、地域住民の合意に支えられた良好な景観がそれぞれの地域で形成されていく、このように考えているわけでございます。

穀田委員 後半の方は形成される過程の話をしているんですね。ちょっと私、今の話を聞いていると、一体景観とは何かということを聞いているんですね。だから、形成される過程において住民の合意だとか、それは当たり前の話であって、後ろの方の話は少し違うんじゃないかと思うんですね、私の基本的な質問で。

 何で私、聞いているかというと、第二条の「基本理念」というのを見ますと、例えば三項に、今お話があったように、「良好な景観は、地域の固有の特性と密接に関連するものである」、こうした上で、「地域住民の意向を踏まえ、」とあるわけですね。そして、合意だとか根差したとかということを一生懸命局長は言うてはるんだけれども、その後ろの方、今から質問する話を先に言われても、ちょっと違うんだけれども。

 問題は、そこでやはり今合意ということをわざわざ言ってはった意味が私はあると思うんですが、地域住民というのは、意向を踏まえるというんじゃなくて、一体だれがそれでは良好な景観と判断するのかという疑問が出てくるから言っているんですね。

 それで、判断の基準については、今一番最初の方でお話があったように、こう言っていましたね、それぞれの地域の自然、景観、歴史、文化等の事情により、それは異なるのは当然だと思うんです。問題は、良好な景観を判断する主体はその地域で生活している住民であるべきではないか、ここを聞いているんです。それでいいんですね。

竹歳政府参考人 なぜ外国でこういう景観に対する法律が前からあるのに日本でできなかったかというのは、まさに、良好な景観とはだれが判断するのかということで、国の法律で定められるかということについて非常に迷ってきたということだと思うんです。ただ、そういう中で、景観というのは地域地域でつくられていくものだということで、各地域で条例でやってきたわけですけれども、やはり条例では限界があるということで、地域から声が高まって、国がバックアップしてほしいということで初めてこの法律に踏み出したということでございます。

 したがって、地域の良好な景観、定義がないじゃないかということでございますけれども、まさにそういうことは地域地域で、公共団体、市町村中心でございますが、そういうものと地域の住民の方々がいろいろ考えてつくっていかれるものだ、こういうプロセスが非常に重要だということでございます。

穀田委員 プロセスが重要なのは、それはわかり切ったことなんですよ。私は、そこで、この考え方の基本になっている法といいますか、それから計画というもの、御承知のとおり、美しい国づくり政策大綱、それから観光立国行動計画、都市再生ビジョン、こうなっているんですね。大体その三つが基本だと思うんです。

 そこで、今参考人からお話があった、地域という問題、あるというふうに言われていますけれども、私は、この三つを読んでみて、二つ共通している特徴があるなと感じるんです。

 一つは、歴史的な景観や自然環境が何ゆえに改変されてきたのか、私に言わせれば破壊されてきたのか、そういう分析が極めて不十分だ。何とかしなければならぬ、それはわかるんですよ。だけれども、なぜそうなったのかということが極めて不十分にしか私は思えない。

 それから二つ目に、生活のにおいがないということが私はあると思うんですね。つまり、景観というのは、何か建造物やその他という話じゃないんですよ。やはり、そこに住んでいる人があって景観があるんですね。私はそういう思想を持っています。だから、町並みや良好な自然だとか、農山漁村というけれども、そこ自身に本来生活がある。それがあって形成され、それが守られてきて、それが一体となって景観を形成しているという立場が大事だ、特に私はそう思っているんです。そこだけはちょっと指摘しておきたいと思うんです。

 そこで、第八条四項で、「景観計画」に、全国総合開発計画、各圏整備計画等、国の計画との調和が保たれるものでなければならない、こう書かれていますので、その点についての説明を求めたいと思います。

竹歳政府参考人 今御指摘の景観法第八条四項は、景観計画は、国土計画等との調和が保たれたものでなければならないとしておりますけれども、この規定は、景観計画を定めようとする際、法律に基づいて既に先行的にいろいろな広域的な計画が定められております。その場合に、国土計画とかいろいろな地方計画とか、内容は、どこまで即地的、具体的か、景観計画とどういう関係になるのかということは、いろいろな計画ごとに異なってくると思いますけれども、先行的に法律に基づいて定められた広域的な計画と景観の計画というものは調和しなくてはいけないということが求められております。

 特に、より具体的なケースで考えますと、公共施設の計画について、国民にとって必要な公共施設と景観との調和を図るということが必要なわけでございまして、その公共施設に関する先行的な計画があるというときに、景観計画に景観重要公共施設として位置づけるということで、景観上よりよいものにするなどの配慮、こういうことができるようにしている規定でございます。

穀田委員 私、この条項は少し、いろいろ問題があるんじゃないかと考えているんです。

 といいますのは、今、参考人は調和と言いましたね。広域的な計画が先行しているものがあるから、それとの調和が必要だ、こう来ます。

 そこで先ほどの私が言った反省がないというところに出るわけなんですね。つまり、今まで、国づくりの方針や計画が必ずしも自然環境や景観を守ることになっていない。この間、ずっと私どもこの国土交通委員会で道路問題を議論してきました際に、私はそういう立場から物を言ってきたことは御承知だと思うんです。

 国づくりというマクロで考えた場合、私がこの間指摘してきたのは、五全総に言う二十一世紀の国土のグランドデザインなど、いわば高規格幹線道路建設や大規模開発計画を中心にした国土計画が基本に据わっているのが今の現状と違うか、これでよいのかということが随分いろいろ問題になっていて、参考人の方々も含めて、そこまではいろいろあるけれどもという前提つきでいろいろ話をしてきたわけですよ、この間。

 そうしますと、私は、調和というのではなくて、ある意味では、地域の景観計画と国の計画の双方が歩み寄り、調整するという考え方が筋ではないかと思うんですね。何か調和したら、要するに、何とかしてくれというんじゃなくて、やはり、今の新しい考え方のもとで、前のそういう先行計画も含めて、それは、公共施設の計画についていろいろ議論するのは当たり前ですよ。そうじゃなくて、そのような計画全体についても、そういう調整という角度で物を見る必要があるんじゃないかということを言っているんです。それはいかがですか。

竹歳政府参考人 公共施設の問題でございますが、公共施設、むだな公共事業をやらないということで、効率的、効果的な社会資本整備を進めるということを行っているわけでございますが、結局、そういう公共施設によっては、広域的な効果があるもの、市町村だけではなくて都道府県、地域全体に効果のあるものがございます。それは一つの公益でございます。また、景観ということで、身の回りの景観というのも一つの公益ということがありまして、これは両方の公益の調整の問題になると思います。

 なお、一般論として申し上げますと、景観法という基本的な法律が制定されたわけでございますから、国土計画や地方計画等におきましても景観というのが従来以上に重要なものになって、いろいろな機会をとらえて、そういう観点からの見直しということも行われているものではないかと思います。

穀田委員 そういう方向、つまり、新しい考え方をとっているわけですから、そういう意味でいいますと、私がこだわっているのは、何も調整と調和という言葉にこだわっているんじゃなくて、今の景観というものを、新しい角度から物を見るという、新しい意味からの再検討というのは必ず必要になるよということを言っておきたいと思うんです。

 もう一つだけ聞いておきたいと思うんです。住民の計画段階での参加の権利について聞きたいと思うんです。

 景観計画策定の手続、第九条では、「あらかじめ、公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずるものとする。」一等最初に参考人から説明がありましたけれども、同条七項において、手続に関して、「条例で必要な規定を定めることを妨げるものではない。」とあるけれども、この条文は都市計画法の十六条並びに第十七条の二と同じ表現であって、どこに住民の計画参加の権利が明示されているのか、お示しいただきたい。

竹歳政府参考人 住民参加の権利がどこにあるのかとおっしゃいますれば、それは、第九条のやはり一番最初のところに、「公聴会の開催等住民の意見を反映させるために必要な措置を講ずる」と義務づけているわけでございますから、これほどの住民参加の権利の確保はないと思います。

 それから、御指摘の、手続に関する事項について条例で必要な規定を定めるというのは、先ほど来から申し上げておりますように、いろいろな補完的な手続を地域地域の状況に応じて定めていいですよと書いてあるわけでございます。

穀田委員 そう言われると言いたくなるんですよね。これほどのことはないと大見え切っている話じゃないと言っているんですよ、だったら。そういうふうに言うと、わたしもちょっとかちんとくる。

 というのは、九条の問題というのは、計画策定の段階を言っていまして、私はそこを問題にしているんですよ。大臣、そこだけちょっと、最後に聞いておいてほしいんですけれども、都市計画法のもとで、住民の計画参加の権利というのはなかなか現実は機能していないという経過があるんですよね。そこを私は今の実態問題から言っているんですよ。そうすると、同じ条文ではさして前進が見られないじゃないかと問題提起しているんですね。

 それは、先日、圏央道の地裁判決がありました。内容は、道路計画そのものに違法性を指摘したものでして、国は、この間大臣とやりましたように、控訴して、それはやっていますよ。でも、意見の違いはあっても、お上がつくる計画に対して、住民の意見は一応聞くけれども、計画はそのまま実行する、こういう上意下達のあり方そのもの自体が問われる時代になっているんじゃないか、そういう流れを踏まえる必要があるんじゃないか、私はそういった角度から物を言っているんですよね。何も胸張ってこう言って、じゃ、こういう現在の都市計画法のもとで本当に意見を聞いてやってきたか。それじゃ、何も起こらなかったはずなんです。

 そうじゃなくて、いろいろなこと、訴訟が起きたり、住民要求が起きたり、いろいろなそごが起きているから、こういう問題について、景観法という新しい問題があったときには、計画策定の段階以前からそういうことをきちっと聞くという必要があるんじゃないか、そういう立場から物を言っているので、私は、一層住民参加を明確に認める内容にすべきじゃないかという点について、もし大臣の御意見があれば、お聞きしたいと思います。

石原国務大臣 法定主義でございまして、そういうふうに書いてあることに対して、それで十分であるか不十分であるかという議論に尽きるのではないかと思っております。

穀田委員 終わります。

赤羽委員長 午後二時三十分から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後二時三十分開議

赤羽委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 午前に引き続き、内閣提出、景観法案、景観法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案及び都市緑地保全法等の一部を改正する法律案の各案を一括して議題といたします。

 本日は、各案審査のため、参考人として、東京大学大学院工学系研究科教授西村幸夫君、金沢市長山出保君及び平安女学院大学生活環境学部生活環境学科教授中林浩君、以上三名の方々に御出席をいただいております。

 この際、参考人の皆様方に、本委員会を代表し、一言ごあいさつを申し上げさせていただきます。

 本日は、大変御多用中のところ本委員会に御出席をいただき、まことにありがとうございます。各案につきまして、短時間ではございますが、それぞれのお立場から忌憚のない御意見をお述べいただきたいと思いますので、どうか最後までよろしくお願いいたします。

 次に、議事の順序について申し上げます。

 まず、西村参考人、山出参考人、中林参考人の順で、それぞれ十分程度御意見をお述べいただき、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じます。

 なお、念のため参考人の方々に申し上げますが、御発言の際にはその都度委員長の許可を得て御発言くださるようお願い申し上げます。また、参考人は委員に対し質疑をすることができないことになっておりますので、あらかじめ御了承願います。

 なお、参考人及び質疑者におかれましては、御発言の際は着席のままで結構でございます。

 それでは、まず西村参考人にお願いいたします。

西村参考人 西村でございます。

 まず、基本的な考え方としまして、大きな地域整備の流れというのが量の充足から質の向上へと非常に大きく変わってきていて、この景観法案はそれの非常に大きなメルクマールになるのではないかと思います。

 また、それは一方、平等しかし画一的な整備のあり方から、地域ごとの多様性や個性を尊重し重視するという整備のあり方へと変わっているということも一つの基本的な考え方としてあると思います。そのことは、地方分権の中で、国による規制から、地方の主体性を尊重していくような制度のあり方が求められているということになると思います。

 そしてまた、今回の景観法案では、景観重要建造物に指定されたものに関して相続税の適正評価などが検討されておられるわけなんですけれども、こういうことは、今までの、ストックの保持がなかなかそれに見合うインセンティブを持ち得なかった、結果的に貧しい景観をつくり出してしまったということに対して新たなインセンティブを与える方向として非常に重要ではないかと思います。

 また、最近、さまざまなところで景観裁判が行われているわけですけれども、その判例がいろいろ分かれているわけですね。その分かれている一つは、やはり景観に対して基本法制がないということはそれだけ世論が熟していないのではないかというふうに考える裁判官の方もいらっしゃいまして、非常に大きく裁判の結果が分かれている現実があると思います。これはどちら側にとっても不幸なことでありますから、一つ大きな流れをつくっていただいて、全体としてこうした景観裁判がもう少し集結するような方向を目指すということは非常に重要なことではないかというふうに思います。

 今回の景観法案に関する特色を私なりにまとめますと、非常に大きいのは、地方公共団体の景観条例、これはもう五百を超えていると思うんですけれども、これに法的根拠を与えるという意味で、地方分権を後押しする形の法律になっているということだと思います。

 また、景観計画がすべての基本になっておりますので、ある意味、非常にしっかりとした景観計画を立てないといけないということが地方に求められるわけで、これは非常に大きな、計画立案能力や、そのための人的資源をふやしていくというようなことにつながっていくのではないかと思います。

 また、景観地区という地区制度が提案されておりまして、ここで形態意匠の規制というのが初めて導入されることになるわけですけれども、新しく、先ほど申し上げましたように、量の充足や画一的な規制ではなくて、質を高める、建物の形や色までコントロールしようというわけですから、そういうことができるようになるということは、非常に一歩進んだ方向だというふうに思います。

 また、それに伴って、こうした質的なものをチェックするためには、数値基準があって、それを満たせばいいということになかなかならないものですから、その判定の仕方が難しいわけです。それに対処するために今回は認定制度という制度が提案されておりまして、これは、今までの、とかく建築の確認制度にすべてを連動させなければすべてのコントロールがきかなかった開発許可のシステムに、新しい、質の評価を与えるようなシステムを導入することになるという意味では非常に重要な一歩だというふうに思います。

 また、景観重要建造物の指定制度が盛り込まれているわけですけれども、今までこうした景観に重要な、もしくは文化財となる建物は、文化行政といいますか文化財行政の中で取り組まれてきていたわけですけれども、これを建設行政、都市計画行政の中で位置づけるということはなかなか国法レベルではなかったですね。ですから、その意味でも非常に重要な一歩ではないかというふうに思います。

 また、既成市街地だけではなくて、景観農振のように農地まで対象になるということで、広く農地や山のフリンジの部分まで土地利用のコントロールができるということは、今まで、都市計画区域の中と外でさまざま所轄官庁が違うというようなこともあって、なかなかうまい全体的な景観や環境のコントロールができなかったものを一歩前進させる仕組みというふうに評価できるんじゃないかと思います。

 ただ、景観法だけで、もしくはその関連法だけですべての景観が今一挙によくなるわけではなくて、やはりこれはさまざまな一連の施策の中の一つとして考えられる必要があるのではないか。その意味でいうとやはり課題というものは残されておりまして、それもさまざまな形で今後議論される必要があるのではないかと思います。

 それは一つには、まず、認定制度と関連するわけですけれども、実際に裁量の幅のある質のコントロールというのを現在の行政の仕組みの中でうまくできるだろうか、それだけの判断ができるマンパワーや情報開示の仕組みがあるだろうか。そういうことと一緒に考えないと、なかなか質のコントロールというのはうまくいかないのではないかという問題があると思います。

 それからもう一つは、そこに恐らくは、行政担当者だけではなくて、市民やNPO団体などのさまざまな方が意思決定に参加したり、もしくは公開された情報を利用する、そういう仕組みが必要になってくると思うんですね。ですから、その仕組みをどういう形でうまくつくっていくか。これは各景観行政団体に課せられた課題だと思いますけれども、その展望がないとなかなかうまく機能しないのかもしれない。ですから、その意味では、こうした展望が必要になってくるのではないかと思います。

 また、市民やNPO団体がここで何らかの判断を下そうとすると、ある開発行為が起きたときに、一体、景観がどういうふうに変わるのかということに関して、アセスメントのようなものがないと判断ができないわけですね。その意味では、さまざまな場合によって一体どうなるのかという議論ができる判断の材料を示すように、アセスメントが何らかの形で必要になってくるのではないか。それをどういう形で入れていくかということが課題としてあるのではないかと思います。

 また、今回の法案は、先ほども申し上げましたように、地方自治体に法的根拠を与えるという後押しするような法案だということですから、逆に言うと、熱心な自治体は大変頑張られるかもしれないけれども、熱心じゃないところは何もしないでも済むかもしれない。そうすると、自治体間の差がつきかねないということがあるわけです。その問題をどうするか。その問題は、恐らく、法律だけではなくて、さまざまな事業制度も一緒に考えていかないといけないと思うんですけれども、そういう議論が同時に必要になってくるのではないかと思います。

 また、この法案は建設行為が行われたときに発動されるわけですから、何も事が起こらないとなかなか物が動かないわけですね。一部、農地の改善に関しては景観農振の中でもう少し能動的なコントロールが可能ですけれども、大半の場合はそうではない。都市計画のコントロールはすべてそういう形になっているわけですけれども、しかし、それですと、今ある望ましくない景観をどうやって変えていくかということに関して、どこまでいけるかというなかなか難しい問題を抱えていると思うんですね。

 その意味では、これは法案だけではないのかもしれませんが、さまざまな事業制度と並行して、そうした今の当たり前な風景、とりたてて非常にいいというものじゃないところをよくしていくための工夫というのも同時に必要になってくるんではないかというふうに思います。ですから、それは恐らくは、景観計画という、ここで掲げられている計画をどうつくっていくかということにかかわってくるわけでありまして、そのことが非常に重要な問題になってくるんじゃないかというふうに思います。

 一番最後に、都市計画の制度の中には、規制を緩和していくような仕組みの制度も並行してあるわけなんですけれども、こうした制度の場合は、そうした制度が使われる段階でかなりの部分の建物のボリュームやスカイラインが決まってしまうので、後で景観上いろいろ議論が出てきても、もう既に都市計画の決定をした段階で大半のものは決まってしまっているという問題があるわけです。

 ですから、その意味でいうと、現行の都市計画の制度とこの景観の仕組みとをどういうふうに整合させるかということをきちんと議論しておかないと、景観地区だけはうまくいくけれども、そうじゃないところは別の事業制度で、別の仕組みで別の容積の建物ができてしまって、後から景観で議論しようとしても、そもそも容積が認められているものを削ることができないというような問題が起きてくるんではないかと思うんですね。

 その意味でいうと、全体的な都市計画の仕組みとどういうふうに絡めるのかという議論が必要でしょうし、ここだけではなくて、大きく都市計画の仕組みを、今後、景観の観点からどういうふうに変えていくかという議論を並行して進めないと、なかなか、全市域また全都市の整備、景観上の改善というふうにいくには、少し、あと一歩議論が必要かなという気がしております。

 以上です。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 次に、山出参考人にお願いいたします。

山出参考人 金沢市長でございます。

 金沢市では、昭和四十三年以来、いろいろな条例をつくりまして、苦労しながら景観行政を進めさせていただきました。

 このたび、国におきまして景観法が制定されることになりました。景観行政の推進の上で心強いと思っています。私権を制限することができる公共の福祉にかかわるものとして景観を位置づけたわけでありまして、ここに景観法の意義があるというふうに思っています。

 特に、金沢市の条例に基づく制度なるものは、強制力のない届け出そして勧告を主とした制度でございますが、景観法では、罰則の伴う変更命令とかあるいは是正措置命令が可能になってございまして、景観行政を推進する上で大きな力になるものと評価したいと思っています。

 そこで、景観行政の主体でございますが、良好な景観は地域の自然と歴史にかかわるものでございまして、地域の自然と歴史は一つとして同じものはございません。したがって、景観施策の主体は、地域、とりわけ市町村であるべきだということが私のかねてからの主張でございました。法案では、景観行政団体といたしまして都道府県と市町村を同列に扱っていることを私は評価したい、このように思っています。

 そこで、歴史的な町並み保全と建築基準法との関係でございますが、歴史的町並みの保全は大変難しい課題でございます。近年、防火性能の各種検証実験等によりまして歴史的町並み保全の条件は少しずつ整いつつございますが、町家の二階部分が道路斜線にかかるなど、建てかえて町並みを永続させるためには、依然として厳しい規定がございます。

 今回の建築基準法の改正では、景観地区におきまして、交通上、安全上、防火上、衛生上支障がないと特定行政庁が認めましたときには斜線制限は適用されないということになってございますが、その判断基準として「敷地内に有効な空地が確保されていること」、こういう文言が法案に含まれております。

 景観地区のような厳しい規制をかけるところは、地区の範囲を絞り込まざるを得ません。町家が連檐した歴史的町並みの区域で有効な空地が確保されているというのは、現実にはあり得ない厳しい条件でございます。空地の確保を絶対条件にいたしますと、この規定が適用できる地区は極めて限定されるというふうに考えております。

 法案の成立後に政令あるいは運用指針が作成されることと思いますが、地域、特に市町村の自主性が最大限に尊重される、柔軟な運用が可能となるような政令、運用指針にしていただけるように要望しておきたいと思います。

 次に、景観政策と景観法の今後のあり方についてでございますが、いい町並み景観の保全、形成のためには、建物単体の規制を個別に行うのではなくて、景観が持つ調和と統一を全体として保つ整序の論理による必要があるというふうに思います。

 この法案では、都市計画法の地域地区として景観地区を位置づけて、各種の制限を都市計画として定めることにしてございますが、景観の統一的な整序の論理をこのような体系で十分に生かせるのだろうか、今後の運用を注視したいし、本来の姿としては、景観法の中に景観の統一的な整序の論理とそれを担保する手段を書き込んで、一貫した法律とすべきではなかろうか、このように思っております。

 特に、景観基準の重要な要素の一つでございます高さの制限についてでございますが、これにつきましては、景観法とは別の都市計画法や建築基準法など他の法律にゆだねておりまして、非常にわかりにくい規制形態をとっておるというふうに思っております。

 各自治体が国に先駆けて制定してまいりました景観条例に基づく景観行政を後押しするために、色彩とか意匠とか高さ等の規制を各自治体の条例にゆだねる景観条例への授権規定、これを景観法に設けるということ、このこととともに、地方自治法十四条三項の範囲内で罰則を設けることによりまして、地域の実情に応じたまちづくりを実効性あるものにすることができるように検討をいただきたい、このように考えています。

 あわせまして、建築基準法第六条の建築確認の対象となります建築確認関係規定の中に、景観法及びこれによる条例も読み込めるように法改正を求めまして、景観条例の実効性を担保していきたい。

 ともあれ、以上のような法体系によりまして、地方の条例による自主的な取り組みとのつなぎがより直接的になるのではないかと思っております。今後の課題として提起しておきたいと思います。

 次に、屋外広告物の規制でございますが、多年にわたって景観行政を行ってまいります中で、いろいろな難しさがあることもわかってまいりました。

 例えば屋外広告物についてでございますが、まず、営業活動との兼ね合いがあります。景観について理解を示してくれる企業もございますが、全国展開している大手企業は、概して、町の特性に対する理解が低うございます。企業の社会的責任として、景観に対する配慮を求めたいと思います。

 一方、屋外広告業の企業にはアウトサイダー的な企業もございまして、行政の指導を聞いてもらえない状況もございます。今回の屋外広告物法の改正で屋外広告業に登録制が導入されるということで、屋外広告物規制の実効性が高まるというふうに期待はいたしております。

 また、色彩は個人の価値判断に係るものでございます。本市では景観審議会を設置して審議してもらっておるわけでありますが、それだけで十分とは思っておりません。イルミネーションなど夜間景観の問題、沿道の看板整序の問題もございますし、国が、指針を示したりモデル事例の検討をするなど、景観行政を先導する取り組みをお願いしたい、このように思います。

 そして、景観教育の重要性について申し上げます。

 よい景観の保全、形成は個人の価値判断に係るものでございまして、究極的には、市民や企業の美意識、景観意識を高めることでしか、よりいい景観を創造することはできません。そんな意味で景観教育は重要でございまして、景観読本の一冊もつくるべきではなかろうか、このように思っています。国の啓発活動にも期待したいわけであります。

 最後に、法案への評価と国の役割への期待を申し上げます。

 国が、景観という国民の重要な財産の保全と形成に一歩を踏み出したことに敬意を表しますとともに、景観法案について強く支持したいと思います。今後、さらにこの景観法の仕組みが強化されることを期待しています。

 法案成立後には、地方、特に市町村のこれまでの取り組みが最大限尊重される運用がなされるように政令や運用指針が作成されることを強く要望しておきたいと思います。

 一方、国におかれましては、景観法をつくって、市町村に任せて終わりということでは美しい国土はできません。景観の重要性に対する国民の理解を得るために、不断に景観意識を高める啓発活動を行ってほしいし、市町村の先進的取り組みに対しまして、景観シミュレーションの技術提供等、技術的、財政的支援をよろしくお願いしたいと思います。

 以上です。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 次に、中林参考人にお願いいたします。

中林参考人 中林でございます。

 私は、景観という問題は非常に多岐にわたる問題を抱えているので、いろいろ申し上げることもあるかと思いますけれども、現在、景観の荒廃ということが問題になっているときに、やはり、高層建築の林立という問題と自動車交通の蔓延、こういうものが、今まででき上がってきた景観の中に入り込んできた、このことが非常に大きな景観の混乱をもたらしたんだということを最初に申し上げておきたいというふうに思います。そしてまた、このことは、建築の規制や自動車の規制を怠ってきた国土計画とか都市計画の責任も大きいというふうに存じます。

 このたび出されました美しい国づくり政策大綱、これの景観に対する認識というのは非常に高邁なもので、それに基づきまして今回の景観法というものが成立しようとしていることは非常に歓迎すべきことで、以下、五点について指摘をしておきたいというふうに思います。

 法案に対しては賛成でございますので、主に運用にかかわることになるかとは思いますが、まず一点目は、非常に大きな話でございますけれども、今まで人々が親しんできた景観というのが一挙に変わったり、それから、生まれてきてずっと見てきた景観というのが一挙に変わってしまう、こういうことは非常に不幸なことであり、社会的にも損失だというふうに思います。また、これは人権にかかわる問題でもあると思います。

 ですから、私は、すぐれた景観を享受する権利、景観権というものが必要だと思いますけれども、一挙にこれができないことも事実でありまして、こういう景観権というものが確立していく第一歩となる立法であることを期待したいというふうに思います。

 それから、昨今の景観をめぐる問題で非常に特徴的なのは、ひところは、景観をとるのか経済をとるのかというような問題の立てられ方もしましたけれども、現在では、景観を守らなければ経済も守れない、地域社会も守れない、そういう議論が随分起こってきて、この立法の中にあります目的や基本理念でもこうした思想があるというふうに考えております。

 第二点目は、私が景観法というものを考えるときに、住民が景観を守ろうといろいろな運動、まちづくり運動をしているわけですけれども、その中で直面している問題に、景観の評価というのは個々人によって違うので、あなた方の反対するのはおかしいというような議論とか、あるいは、建築基準法や都市計画法を守っているのでこれはとめることはできないんだ、こういう議論が随分あって、どう見ても景観破壊だと思われるようなことがなかなかストップできなかった、こういうようなことがあると思います。これをどう助けていくのかということが立法の基本にあるべきだというふうに思いますし、運用もそういうされ方が重要なのではないかと思います。

 そして、具体的な内容にかかわって、第三点ですが、既に非常に重要だとされているような景観が、随分、この間侵害されてきました。例を挙げていますように、説明している時間はございませんが、京都の中心部の非常に高密な市街地の中に高層マンションが林立している問題、それから、世界遺産の一つにされている銀閣寺のバッファーゾーンに宅地開発がされたり、あるいは、同じ世界遺産の一つであります平等院鳳凰堂の背景に高層マンションが頭を出していたり、こうした問題があります。最近では、非常に落ちついたニュータウンであります洛西ニュータウンというのがございますが、そこでのマンション問題があります。係争中でありますが、ここの不服申請に対する建築審査会は、棄却はしましたが、事業者の社会的責任を問うというような付言もつけ加えております。それから、大阪の箕面の滝というのがありますけれども、ここの表側の山すそに六十メートルのマンションが今建って、係争中であります。これも箕面市の条例で、駆け込みで建設を始めましたので、できた段階で既存不適格ということになりますけれども、そうした問題もあります。

 ですから、非常に重要だと思われる景観が非常に侵害されているわけで、これは恐らく法が制定後には景観地区となるわけですけれども、そういうところが、より充実した計画のもとに回復されることを望みます。

 それから、西村先生もおっしゃいましたけれども、第四点目として、私は、この間重要な議論として、普通の景観、非常に落ちついた日常的な景観をどう守れるか。文化財的価値があるというふうにはされませんけれども、そういう景観をどう守っていくかということがこの景観法でどう運用されていくのかということに大変関心を持っております。政策大綱の中でも、「鎮守の森のように、その地域に住む人ならだれもが守りたいと思う景観もあり、このような地域景観への配慮も欠かせない」というふうに書いてありますことがどう実現されていくのかということがあります。

 そしてまた、普通の景観は当然のことながら、既に非常に荒れてしまった景観というものもあるわけです。日本の景観の代表として、ロードサイドショップの建ち並ぶような郊外の幹線道路の写真が掲げられたりもしておりますけれども、こうした景観をどのように修復していくのか。今回の景観法ではこういうところはどういうことになるのかということが非常に心配されるところであります。

 そして第五点目ですけれども、景観に対する合意について、どういう景観がいいのかというのは、確かにその場その場では個々人の評価は違うものがあると思います。しかし、私たち人間は、いろいろ話し合いをしたり合意形成の試みをする中で、ある種の景観に対する合意というのを生み出していく、そういうことを信じております。そうした中で住民の潜在的にも持っている美意識が醸成され、ある種の基準というのをもたらすものだと考えますが、そのためには、こういう景観に対する基準というものが住民参加で行われることが非常に重要であります。したがって、景観計画の策定の手続など、できる限り住民参加が貫かれるように望みたいというふうに思います。

 都市計画における都市計画マスタープラン、これも各市町村が定めるものですけれども、市町村によっては非常に小まめに住民の意見を問うところもあれば、非常に粗っぽくやっているところもあるわけです。こういうところで丁寧に住民の意見を聞くことによって、非常に重要なものであります景観についての計画というのを充実していくことができるのではないかというふうに思います。

 私は、今回提案されている法律というのは非常に画期的なものだと考えております。しかしながら、例えば政策大綱のねらいからすれば、それが覆う地域とか内容においては、ある程度限定的なものになるなということは否めないというふうに思っております。

 もちろん、景観法だけが景観をつくるものではありません。ほかの政策も重要なのでありますけれども、そうした点で、景観行政団体となる市町村並びに都道府県、これが、そのほかの、公共交通の充実とか地場の商工業、観光の振興など、こうした非常に体系的な、殊さら景観については、ほかのものを含めた体系的な目標像を掲げて積極的にこの法を運用されるということを期待したいと思います。

 議員の皆様におかれましても、そうした重要な景観に対する立法でございますので、十分御審議いただきますように期待しまして、私の意見を終わらせていただきたいと思います。(拍手)

赤羽委員長 ありがとうございました。

 以上で参考人の意見の開陳は終わりました。

    ―――――――――――――

赤羽委員長 これより参考人に対する質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。櫻田義孝君。

櫻田委員 自由民主党の櫻田義孝でございます。

 参考人の皆様には、大変お忙しい中を来ていただきまして、ありがとうございます。

 時間も限られておりますので、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 景観という点において大変すぐれている金沢や京都、私個人としても大変好きな町でありまして、しょっちゅう訪問させていただいているところであります。その中で、やはり金沢、京都というのは町並みが非常に整理されているといいますか、町並みというものを工夫されているなということで大変関心も持っているんですが、感心しているんですけれども、やはり最近、それでも町並みの中にマンションが近くに建ってきている、これは残念だなと思うんです。

 その中で、どうしてこういうマンションが建っちゃうんだろうかということになると、やはり固定資産税が高いのと、特に市街地にある場合は莫大な相続税を払わなくちゃならないので、相続が発生する前に古い建物を壊して、マンションをつくって相続対策にやっているというふうなことも非常に聞かれるわけであります。

 先ほど、国の役割、地方の役割というものがありましたけれども、金沢市長にお伺いしたいんですけれども、自治体においても、固定資産税の軽減措置とかいうものについてどういう考えを持って、今後どのように進めようという考えがあるのか。そして、国の役割の中で、今でも相続税のことが多少はありますけれども、もうちょっと拡充すべきではないかというふうに私自身は思っているんですけれども、その辺について御見解をお伺いしたいと思います。

山出参考人 それではお答えをさせていただきます。

 苦労しながらやっています。楽ではありません。ただ、私は、区域を決めまして、そして、守りたいというところについては、建物の改造は、中は改造しても外側は守っていってほしい、こういうことを申し上げて、外側の修復等については補助金を出すということをいたしています。税金を出すわけですから、やはり公的な地域指定、文化財指定、そういう手続がまずは必要だ、その手続を踏まえました上で外観の維持保存には助成するということをやっています。

 住んでおる人にとりますと、格子戸よりもサッシの戸がいいということになります。そうしますと、サッシの戸の方が安くて格子戸は高いわけでありますので、価格差を市が助成するということをやっています。それから、その区域内の建物の固定資産税は非課税にしたり減免をしたり、こんな扱いをしています。

 今先生、相続税のことでお触れでございますが、相続後に従前の建物あるいは景観が存続するということを前提にするならば、私も、相続税を減免しておあげする措置は大事なんではなかろうかな、こんなことを実は思っているわけであります。

 固定資産税、都市計画税は非課税あるいは減免にしておるわけでありますが、区域の外の建物というものもあるわけでございまして、区域の指定のあるなしにかかわらず、私はやはり住んでほしいわけであります。そこに住んでもらうときにはどうすればいいのかというのはやはり課題でございまして、この場合にも、固定資産税あるいは都市計画税の軽減というのは検討課題になるだろうというふうに思っています。そして、もしそういうことがなされるといたしますれば、その税収の減収補てんは交付税等でお願いをしたい、こう思っておる次第でございます。

 同時にもう一つ、指定した区域の中であろうと外であろうと、中の改造は生活様式に合わせてしていかなきゃなりません。どういう様式の変え方がいいのか、こういうことについて、実は十四年度に住宅局において研究をしてくださったわけでありまして、まだ突っ込み方が足りないのではなかろうかという思いがあります。そんなことも引き続いてお願いをしたい、こう思っている次第であります。

櫻田委員 地区を限定するときに、やはり現在よりも地区の範囲を広げる必要性というものを感じていらっしゃいませんか。

山出参考人 その必要性のあるところもあります。要請が出てくるところもあります。それはこたえたいというふうに思っていますが、指定をすることで資産価値が下がるとか、そういうこともございますので、やはり住んでいる人のコンセンサスを得ることに努力しなければなりません。

櫻田委員 地区指定のときに、我々は、京都、金沢はいい町並みだなと快適感を感じて帰ってくるわけですけれども、実際住んでいる人は、余り景観の規制を強めてもらっては困る、こういう現地の住む人たちの意見というのはどの程度存在するか、お伺いしたいんです。

山出参考人 そういう意見はないわけではありません。しかし、これは地域の皆さんとの話し合いでございまして、やはり古いものを残していくというのは、国の財産であって、市の財産であって、単なる個人の財産ではないんだ、こういうことについてぜひ理解をしてほしい。私自身は、京都とか金沢という町は日本の国土の中で歴史に責任を持つべき町なんだよ、ぜひそのように協力してほしい、こういう言い方はしょっちゅうするわけでございますし、その過程では、またいろいろなことをしておあげしなければなりません。私の町は雪が降りますので融雪の装置をしておあげするとか、いろいろな地域とのきめの細かい仕事をして、そして残す方向に努力する、こういうことであります。

櫻田委員 次に、私がよく海外へ出ていきますと、欧米の方は看板というものが余り見当たらないんですね。イギリスなんかも行きますと看板というのはほとんどない。しかしながら、日本も含めてアジアに行くと非常に看板が乱立している。町並みが随分、ちょっと余り上品な町並みとは言えないんじゃないか、こう感じるところがあるんですけれども、私自身も、自分の住むところで国道十六号線なんか、非常にけばけばしい看板が非常に乱立しているんです。

 今回の景観緑三法は、こうした看板の規制については私は一歩前進であると評価しているんですが、今後のまちづくりという観点から、看板の規制についてはどのような対策があるか。これは西村先生にちょっとお伺いしたいんです。

西村参考人 欧米は看板がなくてきれいな景観があるわけですけれども、それも最初からあったわけではなくて、やはり一九六〇年代ぐらいまでかなり看板があったわけです。それを、さまざまな規制を強化していく中で今のような景観を取り戻していったわけなので、何もアジアでそれができないということではなくて、いかにルールをつくっていくかだというふうに思います。

 そのために、今の屋外広告物法を見ますと、幾つかやはり改善点があるんではないかと思います。それは提案されていることでもあるわけなんですけれども、一つは、今の屋外広告物法は、基本的に都道府県が、これには中核市や政令市も入りますけれども、条例をつくって規制するということになっていまして、基本的に規制の主体が都道府県なんですね。しかし、こういうものは、どう考えましても、きめ細かくそれぞれの基礎自治体がやっていかないと、なかなか違反看板を取り締まったりすることはできないわけでありますから、その意味で、こうした看板の規制の行政を基礎自治体がきちんとやれるようにするというのが非常に重要なことではないかと思います。

 それからもう一つは、やはり実際に規制をやるからには、違法な看板が放置されたのでは看板の機能をなしてしまいますので、何とかそれをちゃんと撤去しないと意味がないわけですけれども、なかなか今の違法看板が撤去できない仕組みになっているわけですね、財産権の問題がありまして。ですから、何らかの形で速やかに撤去して、違法な状況を改善する仕組みを広範につくっていかないといけないんではないか。

 また、看板として、屋外広告物として取り締まれるものの表面積の規制が日本は非常に緩い、そしてまた、現在でも都道府県によってかなり状況が違っているわけなんです。ですから、これを地域の実態に合わせて強化していく必要があるだろう。そのためには、地域でどれぐらいの看板が出ていて、どれぐらい規制を強化するとどれくらいのものが違法になるのかということをきちんと調べないといけないわけでして、その意味でも、やはり基礎自治体できちんと責任を持って計画を立てて実施していくという仕組みを整えることが非常に重要じゃないかというふうに思っています。

櫻田委員 そこでもう一つは、西村先生、その看板のことでお伺いしたいんですけれども、欧米では余り看板が大きいのがどんどんなくても結構商売として成り立つということでありますが、もし規制を強化して、日本やアジアも同一のルールのもとで欧米並みに看板を規制したら、やはりそこにはショッピングセンターとかいろいろ、集客能力といいますか、看板の設置を余りやらなくなった場合、営業活動に対する効果というものに対する研究か何かなされているようなことがあったら教えていただきたいんです。

西村参考人 看板といっても幾つか種類があるわけです。一つは商品を宣伝している看板、それと、そこの仕事、業態を宣伝している看板、これは別の形態なわけですね。

 ですから、商品の看板はどこにあっても商品の看板ですけれども、自分の仕事を宣伝している看板は、やはり営業の権利がありますからそれは認めるということで、英語で言うとビルボードとサインと違うわけですけれども、商品の宣伝をしているビルボードと仕事の業態を宣伝しているサインというのを、ルールを変えて規制していくというような仕組みが必要だと思うんです。

 それからもう一つは、現場で、仕事をしているその場でサインを出すのはいいでしょうけれども、そこに行くまでのサインと現場でのサインとはやはり性格を異にして規制していくという考え方も一つはあるんじゃないかと思うんです。

 フランスの場合は誘導広告といいまして、エンシーネと言うんですけれども、その現場に行くまでに、この先に行くとこういうお店がありますという看板は、あるルールのもとで認められているんですけれども、それ以外は認められないということで、看板を幾つかルール化して、また分けて、そして、規制を強化する部分と営業活動の自由を認める部分とに分けていく必要があるんじゃないか、そういうふうに思います。

櫻田委員 それから、私の地元では、非常に大規模な、つくばエクスプレスのもとで区画整理が予定されているんですけれども、新しい町の中ではぜひ電柱のないまちづくりが非常に望ましいなというふうに思っているんです。

 景観のガンといいますか、景観というものを考えたとき、町並みに電柱がありますと、欧米人なんかから、五線譜が日本人は非常に好きなんですね、こういう皮肉っぽい言われ方をしたり、電柱の問題というのはかなり、日本の電柱がないようにすることについては大分町並みとして進めてはいると思うんですけれども、なかなか抜本的改善というものはないんです。

 西村先生の問題意識として、この電柱の地中化というものについて、どういうふうにやっていったら一番いい方法ができるのではないかというふうにお考えか、ちょっとお伺いしたいと思うんです。

西村参考人 現在も無電柱化はそれなりに予算をつけて、そして予算も年度ごとにふえてきているという事実はあると思うんですね。ただ、現実的に見てなかなか実感が少ない。

 一つには、やはり今の無電柱化は、電力需要が大きくて、かつ安定していて、歩道がちゃんとあって、配電盤が置けるという、ある幾つかの条件を満たしているところから優先的にやられておりますから、どちらかというと大都市の幹線道路が中心になるわけですね。

 ところが、景観的に非常に重要なところは必ずしもそういうところだけではなくて、やはり観光地ですとか金沢の歴史的な市街地ですとか、歴史的な町並みが残っているようなところというのは非常に重要だと思うんですけれども、必ずしもそういうところでの無電柱化というのは優先順位はそう高くなかったと思うんですね。ですから、優先順位のつけ方をもう少し考える必要があるんじゃないか。

 また、それはある意味で、今度の景観法に規定されている景観計画の中で無電柱化をどういうふうに進めていくのかというのをちゃんと市民も交えて議論して、そして優先順位がみんながわかる形で明らかになるとなれば、市民も、今のところ電柱はあるけれども、数年後にはこういう順番でなくなっていくんだということがイメージできれば、また世論も変わってくると思うんですね。今のところ、そういう情報というのは市民にほとんど知らされておりませんので、なかなか理解が進まない。

 ですから、そういう意味では、計画を立てて、そして、大きな幹線道路だけではなくて、戦略的に非常に重要な風景のところの無電柱化を進めていく、つくるということが必要になってくるんじゃないかと思います。

櫻田委員 次に、町並みの景観だけではなくて、住宅の景観というものについても非常に必要なんではないかなというふうに思っているんです。それぞれ、ヨーロッパなんかへ行くと、日本では一軒一軒は非常にすばらしい家なんですけれども、なかなか、地域の町並みということになると、欧米、ヨーロッパから比べるとやはり落ちるのではないだろうかというふうに思っているんです。

 それも、屋根の色の問題とか建物の雰囲気ですとか高さの制限とか個人の財産に及ぶもの、あるいは、先ほども参考人のお話がありましたように、好みは人によって違うんだよという話が出ますと、規制することがかなり難しい部分があると思いますが、西村先生の方で妙案がありましたらちょっとお聞かせ願えればありがたいんです。

西村参考人 やはり次第に、ルールを決めて、いい景色をつくっていくことが地域の評価の高まりにつながるんだという世論も、少しずつではあるけれども醸成されてきているんじゃないかと思うんですね。

 今までは、個々の建物がそれぞれ他人と違うものをつくって自分の独自性を見せようとしていったわけですけれども、それをやるよりも、地域としての独自性を地域間で競争していく。そのためには、一つの地域として特色のある風景をつくっていく方がいいのではないかということは次第に広まりつつあるんじゃないか。

 また、先ほど景観教育という問題がありましたけれども、世論としても高く盛り上げていくような仕組みをつくっていく。それがまた資産価値にもつながっていくような教育もしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

櫻田委員 ありがとうございます。終わります。

赤羽委員長 松野博一君。

松野(博)委員 自由民主党の松野博一でございます。

 参考人の皆さん、御苦労さまでございます。

 早速、景観三法に対する質問をさせていただきたいというふうに思います。

 今までの参考人の皆さんのお話や、午前中からも含めての審議の中で、景観というものは大事だ、今の時期、景観法というものを立法するのは非常に重要だというところはほぼ全員の方が合意をしている状況でありますが、その中において、景観とは何ぞやという議論が繰り返し出てまいりまして、これがなかなか統一的な見解が難しいということがあるかと思います。

 景観とは何ぞやという議論の難しさというのは、地域による多様性もありますし、また一方で、同じ地域でも時代の変遷で価値観、美意識が変わってくるということもあるんだろうというふうに思います。

 例えば東京の下町の風景というのは、昭和四十年代から五十年代前半ぐらいまでは、ローマとかパリとかロンドンとかの諸外国と比べると、非常に密集をしていて雑然としていてというふうなネガティブな評価であったわけでありますけれども、防火、防災の問題等々を考えるとやはり問題点は抱えていると私も思います。しかし、風情という点、景観という点からいうと、今、下町再発見なんという特集をどの雑誌でもやっていまして、下町散策ツアーなんというのも出るほど、木造で密集したあの町並みに対する景観としての評価も上がってきている。こういうことを考えても、非常に定義が難しいなというふうに思います。

 その中で、今回の三法が対象としているのは、主にいわゆる景観と言われている中の大きく二つを対象としているんだろうというふうに思います。

 本日、山出市長、お出ましでありますけれども、例えば金沢市でありますとか京都、奈良でありますとか、町並みの保全に関して、歴史的な、文化的な、そういった合意がもう既に市民の中にあって、なおかつ、どの地域をどういったコンセプトで保全するかということが合意をされやすい地域というのが一つあるというふうに思います。こういったものは観光資源にもなっていますので、ある程度法律によって規制を加えることも、これは市民の理解が得られやすいんだというふうに思います。

 もう一つは、先ほど西村先生の方から普通の景観というお話がありましたけれども、まさに日常の生活の中でのアメニティーを維持向上させていくという観点において、町並み、まちづくり、看板等でどう維持していくかという意味での景観というものがあるんだろうというふうに思います。

 そこで、三人の方に質問させていただきたいというふうに思いますが、申し上げましたとおり、今、ここで言う景観地区の歴史的、文化的な背景に裏づけられた地域であれば規制に対する住民のコンセンサスは得やすいわけでありますが、私もいわゆるニュータウンという住宅地に住んでいますけれども、こういったニュータウンがどういった景観を目指すかということに関しては、イメージを統一することもなかなか難しいと思いますし、今までの議論にありましたとおり、それぞれの住民の皆さんが思い描くこともさまざまになると思います。

 三人の参考人の皆さんからそれぞれに、この法案はやはり住民参加というのが大事なんだ、住民参加の過程の中で決めていくべきだというお話がありました。そこで、具体的なお話をお伺いしたいと思いますけれども、この三月まで私は町内会の役員をやっておりまして、町内会の議論で、ごみステーションの場所とかごみステーションの大きさ一つ決めるのに、けんけんがくがくたる、国会に匹敵するような大議論をやっているわけであります。まして、個人の美的感覚を含めた問題、また、ある種私権の制限まで及ぶような町並みの景観のイメージを住民合意の中で、住民参加のシステムの中で決めていくというのは大変だなという思いがあるわけでありますけれども、住民参加を通して具体的な合意形成をするシステムに関してどういったイメージをお持ちなのか。そのことを三人の皆さんそれぞれにお伺いさせていただきたいと思います。

西村参考人 都市計画では都市計画マスタープランというのがつくられているわけですけれども、その中で同じような実験がさまざまな都市でやられてきていると思うんです。

 一つは、自分たちの町が、どんな特色があって、何が誇れるのかというのを見つけていくというようなワークショップですとか町歩きですとか、いろいろな形での見学会をやるというようなことを各地でやられてきていて、ふだんは当たり前と思っているようなことでも、例えば地形的な特色ですとか眺望、日本の場合は関東平野を除けばどこからも山が見えるわけなので、特徴があるような山の眺望ですとか、非常に重要なお寺や神社の緑ですとか、鎮守の森ですとか、非常に特色のある街路とか、古い建物が何軒か残っているとか、何か自分たちの町にある非常におもしろいものを見つけていこう、そういうことの中で自分たちの町に対する愛着が深まっていく。それは単に非常に立派なものだけではなくて、自分たちが子供のころ遊んだような小さな、思い出のあるようなちょっとした広場が残っているとかいうようなこともあるわけですね。

 ですから、いずれにしても、自分たちの町をもう一回きちんと見直していって、よさを再発見していって、そこから何を自分たちの町は誇っていくのかということを見つけていくという作業が必要なんだと思うんです。今までの都市計画は、ないものを、これも欲しい、あれも欲しいというふうに行政にねだることが多かったわけですけれども、そうではなくて、今あるものの中で何が生かせるのか、町自慢は何なのかというのを考えていく。

 発想の転換で、そういう作業が、例えば景観計画というのを立てることが前提になっているわけですけれども、その景観計画を立てる中で全国でこういう活動が行われていくと、随分意識が変わってくるんじゃないかと思うんですね。

 そういうことが非常に重要で、だとすると、こういうことはどんな小さな町でも、特色がないと思われているところでも、子供のころの思い出はあるわけですし、子供の遊びはあるわけですから、何か出てくるんじゃないか。私自身も各地でやってみて、どんなに歴史の浅い、北海道の本当に真っすぐな道しかないようなところでも、発見するものはたくさんあるんですね。ですから、そういうことが非常に重要じゃないかと思います。

山出参考人 金沢で市長として大変いつも苦しむのは、静ひつを旨とする住宅地に、ある日突如として高級マンションの計画が出てくる。開発業者は建てさせてくれと言いますし、住む人は高い建物を認めるな、こういうことを言いまして、そのはざまに立って苦しむというのが日常であります。

 私は、その際に地域の皆さんに申し上げることは、マンション計画が出てきてから皆さん方が僕を責めてくれるのは困るので、もっとその前から、自分たちの住む区域はこういうまちづくりをしようよと約束事を交わしてくださらぬですか、こういう投げ方をいたすわけであります。

 自分たちの住んでおるところの建物の高さはこうしようよ、自販機は置かないことにしようよ、生け垣をしようよ、こういう約束事を早くから交わしたらどうか、こういうことを呼びかけまして、これを私どもは、条例によるまちづくり協定というわけであります。市民参画によるまちづくり条例という条例を既につくりまして、その条例に基づいて自分たちの地域の計画をつくりなさい、その計画をつくって、みんなで約束事を交わしなさい、判こを押し合うわけであります。そして、その判こを私のところへ持ってきて、市役所とまた判こを押しましょう、こういうことを言いまして、この地区協約を結んだのは十二地区あります。そのほかに、都市計画法の裏づけのある地区指定、地区契約というのは三十四ございます。

 私は、これが本当は都市計画の原点ではなかろうかなという思いがあります。国や県や市の役人が地図を開いて、そして一方的に線を引いて、これが都市計画街路だというのが都市計画ではなくして、住む人がみずから自分の町のありようを考える、それが都市計画の原点ではなかろうか、こんなふうに思っていまして、そういうことを今働きかけておるわけであります。

 例えば沿道景観をどうするかということにつきましても、土地の所有主でありますとか、そうした利害関係人がみんなで、ここの道の区間は看板のあり方をこうしようというふうに約束を交わしてもらう、そういう扱いをまずしてもらうということからスタートさせたい、こんなふうに思っておるわけであります。現にそういう取り組みを苦しみながら始めている、こう申し上げておきます。

中林参考人 今二人のおっしゃったことは非常にもっともなことだと思います。同じことを考えておりますが、まず、最初に西村先生がおっしゃったような、地域のまちづくりにかかわってワークショップをするとかウオッチングをするとか、こういう試みというのは、私も何度かそういうものに参加して思いますことは、やはり、住民が地域のことを考えるというようなことについては、なれていない方もいらっしゃいますし、それから、問題が起こったようなときは、先ほどのごみステーションの問題もありますように、非常に意見がまとまらないんじゃないかというような状況も生まれたりもします。しかし、集団の中に議論を重ねて、そして、前もってだれかが結論を用意しているというようなことがなければ、地域の人というのは、ある種の知恵を見出すものだというふうに考えております。

 その際に重要なのは、やはり情報がオープンにされていることと、分け隔てなくいろいろな考えを持った住民が集められて、フランクな議論ができる場をどう設定するかということだと思います。

 それから、具体的には地域の住民がどのようなことをまちづくり、景観に対してしているかという点では、金沢の例もありましたけれども、京都でも、まちづくり憲章と呼ばれるようなものが町内あるいは町内を幾つか束ねたぐらいの広さの中でできて、都市計画法上の地区計画などを定めたりする例もあります。そうしたときには、やはり、その地域に即したいろいろな形態の基準などもそこで出てくるというようなことがあります。

 そのくらいにしておきます。

松野(博)委員 本当に難しいなと思うのは、私の住んでいる団地でも、家並みを見ても、和風の家があり、地中海風の家が建っていたり、北欧風の家があったり、ばらばらなんですね、現在。それぞれの美意識に基づいて家を建てているわけですから、そういった一つ一つを考えても、なかなか住民の合意をつくっていくというシステムを確立していくことは大変だなというふうに思います。

 今回の景観法の中の新しい点として、建築物や工作物の形態とか色を制限できる、具体的な制限ができるということが重要な点だと思います。ただ、どういうふうなレベルで制限をするかというのは、個々の市町村による条例によって具体的には規定をされていくわけであります。一口にデザインとか色彩を制限するといっても、この制限の仕方をどう条例に書き込んでいくのかというのは非常に難しいなというふうに思います。

 例えば、では、この地区においては赤と黄色は使っちゃだめだよということになっても、果たして赤と黄色とは何ぞやという議論がどう条例の文言の中で規定されるのか。黄色の明度というのか彩度というのかわかりませんが、それが何%以下までの黄色しか使っちゃいけないとか、そういうような表現の仕方になるのかなというふうに思います。

 しかし、あくまでこれは条例でありますから、だれが見てもわかりやすく、守れるという表現で書き込まれていかなければいけないわけでありますけれども、このデザインや色彩等に関する規制、また、景観に関する全体規制を条例の中にどういったような表現のスタイルで落とし込んでいくのか。そのことに関して三人の皆さんから御意見をいただきたいと思います。

西村参考人 一つは、おっしゃいましたように、具体的な数値を挙げるということも可能ではないかと思うんです。そういうことをやっているところもあると思うんですね。もう一つは、具体的に目安としたものを挙げて、それ以外に、やはり、周辺とどういうふうに調和するか、調和するようなものというふうに書き込んで、そして、それは実際に調和しているかどうかというのを個別で議論していくというのが一般的な今の条例のスタイルじゃないかと思うんです。

 ですから、そこに若干の裁量の幅がある。その裁量をどうするかというところは非常に重要なんですけれども、一つ考えないといけないのは、出てきた開発案件を地域の関係者がちゃんと見て、これはいいじゃないかとか、やはりこれは調和しているとは思えないというのを、例えばそれぞれの団体、地域のいろいろな団体などが意見が言えるような仕組みが必要なんじゃないか。そうしないと、そこのところを判断するのが行政の一担当者で、それも個別の情報ですから、これは個人情報なので外に出さないということになると、全くのブラックボックスで議論しなくてはいけなくなるわけですね。そうすると、窓口の担当者に非常な圧力がかかるし、その窓口の担当者は必ずしも専門家でないわけですね。

 ですから、その意味では、さまざまな意見が言える場ができて、透明な仕組みができて、そうすると、非常にセンシティブなところではたくさんの意見が出るでしょうし、そうでもないところはそう意見も出ないと思うんですね。そうすると、やはり市民の意識、そして意見の多さ、重さが、ある種、裁量をあるバランスで決めていくことにつながっていくんじゃないかと思うんです。ですから、その透明な意思決定の仕組みがどういうふうにできるかというところが非常に重要なかぎを握っているんじゃないかというふうに私は思います。

山出参考人 私の方は、きょうまで景観条例をつくりまして、条例に基づきまして基本計画をつくって、その基本計画では区域指定をいたしまして、そして、区域ごとの景観形成のための誘導基準というものを設定しておるわけです。景観形成基準と申し上げたいと思いますが、後ほど先生にお上げしますが、かなり精緻なものにしてあります。

 この基準は公開をされていますし、建築士さんもみんな御存じであります。ですから、具体の建物等をつくります場合に、意匠とか色彩等については、建築士さんがこの基準をみんな見て、そしていろいろ判断をするわけであります。建築士さんが、基準によらない、少し意見が違うというようなときには、実は景観審議会というのがございまして、審議会の中にまた専門部会があって、そこで議論をしていただくということであります。意匠等については色見本を出してもらうというようなこともいたしたりしまして、そして議論を落ちつかせていくということをしておるわけであります。

 確かに難しい点はあるわけですが、例えて言いますと、金沢城址とか兼六園の近くでは、高さは決めます。そして色彩は、「周辺の自然に融和する色彩とする。」こういう表現です。それから広告物については、「周辺の街並みとの調和を図る。」こういう抽象的な表現ではあるわけですが、色見本を出してもらうとかというようなことをして、そして具体的にケースに応じて議論する、こういうことをいたしております。

 金沢という町は斜面の多い町でありまして、台地が三つあるものですから、その斜面の区域内で建物の色なんかの議論が出ますと、マンセル値という色彩の尺度があるそうであります、このマンセル値を使って議論するというようなこともありまして、精緻な議論もいたすわけであります。

 私は、景観というのは、いいものを見せる、そしていろいろな体験を積み重ねていく、その中から意識というものが高まっていくんだろうというふうに思っていまして、何よりも経験を積むこと、そして人々にいい事例を見せること、こう思っています。

中林参考人 私も、そういう景観の規定について、いろいろ既に景観条例などでされていますように、今の色彩の彩度、鮮やかさを、黄色であればこれだけの範囲にするとか、だいだいであればこれだけの範囲にするとか、そういうことはあり得ることだというふうに思います。明らかに彩度が極端に高い建物がひどいというのはほとんどの方が合意できるようなことがありますので、数的に表現したりするということはあり得ることですし、そのことが議論の中で定まっていくのは好ましいことだと思います。

 その中でも、先ほど言いましたように、建物の高さというような基準についてはこれは特別に重要だというのは、やはり周りの建物や遠くからの景観に影響を与えます。ですから、こういうことについてはやはり数的な基準というのは決めていく必要があるだろうと思います。

 それから、地域によっていろいろあるわけですけれども、その町のあり方については、やはり定性的な、質を表現したような基準を設けて、これがどういうものなのかというのを住民の間で合意を得ていくというようなことも要ると思います。先ほど出ましたような下町再発見なんということが起こってきましたら、下町景観というのはどういう言葉で表現して、私たちがいいものとして残していけるのかというようなことを議論することも重要だと思います。

 それから、これは市長も言われましたように、それを審議会というような場で専門家なり代表的な意見の人で議論をするということも有効ではありますが、これがやはりオープンな形で、みんなの中にこの議論が伝わるような形で行われるというのが景観の場合には非常に重要なことではないかというふうに思います。

松野(博)委員 どうもありがとうございました。以上で質問を終わります。

赤羽委員長 伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 本日は、参考人の三人の先生方ということで、東京大学の西村先生、金沢市長の山出先生、平安女学院大学の中林先生、大変お忙しい中にお越しいただきましたこと、会派を代表いたしまして、まずもって御礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 その上で、いろいろ質問を時間の許す限りさせていただきたいと思うわけでございます。

 まず、私ごとで恐縮でございますけれども、私が景観という言葉に触れましたのは、かれこれ二十数年前といいますか、学生時代に少し景観工学をかじったということから始まったわけでございます。その当時といいますと、大変その当時の先生に失礼なんですが、本当に駆け出しの、多分西村先生はよく御存じかもしれませんが、パソコンもそれほど発達しておりませんで、我々学生がもらった最初の課題というのは、緑のあふれる山に橋をかけましょう、そのときにどんな問題が発生するかということがたしかテーマだったなと先ほども考えていたんです。

 そのときにいろいろな学生の意見がありまして、まず、景観とは何ぞやというところから始まって、そういう哲学的な禅問答もしたんですけれども、もう少しわかりやすく言えば、だれの目から見た景観にすべきなのか。下から見上げた景観なのか、車で運転して橋を渡る人の景観なのか、あるいはもっと、鳥の高さではありませんが、飛行機から見た上の方からの、山の上から見たときの景観なのか、それはどうなのか。

 今度は、橋をかけたことによって光の角度も変わってくるでしょう、そうしたときに何をもって評価していくんだというようなこと。

 今度、では、その橋の色をどうするんだ。緑の山に対して赤という補色がいいんだという御意見の人がいれば、いやいや、それはもっと沈んだ緑に近い色にする、これはどうなんだ。

 今度、材質はどうだ。やはり木がいいんだ、山の中にかけるにはいいんだ、コンクリートがいいんだ。

 いろいろな意見があったのを今も記憶していたところなんですが、さらに、景観というものをどこまで優先させていいのか、ほかの権利とどうかみ合わせて、どういう順番にしていくべきなんだというようなかんかんがくがくの、そのときに、未熟な、浅学非才な学生同士がいろいろ闘わせたんです。

 しかし、今考えてみると、それからかれこれ二十数年、どこまで進歩したかな。確かに、コンピューターグラフィックでいろいろなシミュレーションもできます。それから、住民の物事への参加の意識というのも随分変わってきたかと思うんです。ですから、この二十数年が長くもあり短くもあり、今回の景観法というのが、よくぞここまで出してくださったという御意見もあれば、まだまだもっともっと頑張っていただかなければいけないかなという点もあるんじゃないかと思うわけでございますが、そうした中で、私、今回出てまいりましたこの景観に関する法律等々、自分なりに解釈をさせていただきまして、三つの課題がまずあるんではないか。

 一つ目は、先ほどの景観の定義から始まって、それをどう定量的に表現するか。客観的な評価基準というのがまず一点あろうかと思います。

 二つ目は、それを生かす上で、景観アセスメントという手法的なものが本当に確立できるんだろうかどうか。

 さらには、先ほども櫻田先生や松野先生の御意見の中にもあったように記憶しておりますが、それが住民を入れた民主的な議論の中できっちり仕組みとして成立するのだろうかどうかというようなことが、三つ大きく課題として自分なりに整理をしております。

 さらには、過去につくってしまったような、はっきり言ってびっくりするようなもの、先ほど高層マンションのお話も出てまいりました。それだけではなく、過去つくったけれども、これからその処理をどうするんだ。これからのものは今出てきた法律でうまく運用できるにしても、過去のものをどうしていくんだというのは、これはまた一つの、権利との絡みもありますので、非常に難しい問題をはらんでいる。

 さらには、個別の対象はできるんだけれども、今後、総合的に、トータルに判断したときに、今回の法案だけで本当にいいのだろうかというような自分なりの疑問も持っております。

 ただ、その中で、私自身もそうでしたけれども、子供に例えますと、最初からできのいい子、私はそうじゃなかったものですからあれなんですが、いろいろ成長をしていくわけでございまして、やはり法律もそうだと思うんです。年々見直して、いいものをつくっていけばいいんだという考えを私は持っているんですが、それで、希望的な方向性としてこういう方向で行ってくれたら今回の法案はよしとすべきかなと思っているんですね。

 一つは、住民の意識が高まっていく。自分がまちづくりの主体であるという意識とともに、参加していくことによって郷土愛も生まれてくるんだ。これは自分たちがいろいろ意見を言ってつくってきた町なんだ、どうですか、皆さん見てくださいというようなことが醸成できる法律になっているのかどうか。

 二つ目は、これは国土交通省の課題の一つでもあるわけでございますが、これが観光立国としての方向へ向けていけるのだろうか。そんな思いを持っておりまして、それができるならば、今回の法案、最初の第一歩としては非常にいいものではないかというふうに期待しているわけでございます。

 先ほどの住民の意識の向上ということからすれば、例えば、西村先生の論文のお言葉をおかりすれば、町の魅力をつくっていくアプローチの仕方は美しいまちづくりだ、そういうことを論文の中でもお書きになっていらっしゃるかと思います。まさに私は、そういうことをやることによって、郷土愛とか、ああ、自分のふるさとへ帰ってきてよかった、さらには、日本の美しさを次の子供たちに伝えていくんだ、そんなこともできるんだと思います。

 私の親友は金沢出身でございまして、ちょうど今ごろなんか行くと、先ほども市長さんの御説明にもあったように、私は、あの用水の美しさというのは、ほかで見ることができない美しさだと思うんですね。太陽の光線にきらきら光って、そこに水が流れて、周りのコケの緑の美しさと、しかも落ち着いた町並みときちっとマッチして、まさに金沢市民の心の美しさを象徴しているような景色にしてあります。

 そういうことにもつながりますし、そういうのが各地域で、地域と住民が一体となって取り組むことによってそれが地球規模になっていけば、中林先生のホームページにあるように、これはまさに地球規模の課題になってきて、景観の破壊というのは質的な破壊だというテーゼがございました。まさにそれに対応できていくんじゃないか、その一歩じゃないかな。方向性だけいい方向へ行けば、今回の法案というのはその第一歩になってくれるんじゃないか、これは私なりの期待を持っているところでございます。

 しかしながら、いろいろ課題もあろうかと思っております。きょうは、一つ一つ、せっかくすばらしい先生方三人にお越しいただいたわけでございまして、それぞれのお立場と観点からお話を賜れれば、そんなふうに思っているわけでございます。

 まず一点目にお聞きしたいのは、今回の法案がだれにとって一番使いやすい法律になるのかという観点から見ますと、やはり住民にとって使いやすい法律にしなければこの本質は見えてこないんじゃないかと私は思っております。

 今回の法案をごらんいただいて各先生方にお聞きしたいのは、住民サイドから見て、今回の法案は本当に使いやすくなっているかどうか。使いやすくなっているとすればそれはどの点であるか、使いにくくなっているとすればこの点はちょっとというような点があればお聞かせいただきたい。また、市長さんにおかれましては、地方行政の立場からも御意見を賜れればありがたいと思いまして、御三方から御意見をよろしくお願いいたします。

西村参考人 今回の法案の一つの特徴に、住民やNPO団体や景観行政団体からの提案制度というのが広く認められています。景観計画についても提案ができる、また景観重要建造物についても提案ができる。景観地区に関しても、景観地区そのものは都市計画の決定なので、既に都市計画法の中で住民の提案制度というのが認められているわけなので、広く、ほとんどのツールに関して提案の制度がある。それも、当事者だけではなくて、景観に関する形成の団体であれば団体として提案できるという仕組みになっていて、これは今までにない仕組みだと思うんです。ですから、それは非常に重要じゃないかと思います。

 それからもう一つは、景観計画の中で市民がどれぐらい計画に関与できるか。これは実際につくるときの問題になるわけですけれども、非常に重要ではないかと思うんですね。今、必ずしも市民の方が、非常に景観がいいところ以外ではなかなかそう関心を持っていない方もいらっしゃるわけです。先ほど山出市長さんがおっしゃったように、マンションがすぐ隣にできる可能性があっても気がつかない人も多いわけです。また、デザインに関して、建ち上がってくると文句になるけれども、計画段階では余り関心がない人がいらっしゃる。それは、単に意識が低いというよりも、今まで、そういうことに関心を持っても、どこに何を言っても、行く場所もなかったし、言っても聞いてもらえなかったわけですね。

 今度の法案の中で、ちゃんと計画の中に市民の声が反映されて、そしてどういう将来像が描けるのかということに関して市民がそれなりのイメージが持てる。となると、それは自分たちがつくった計画だと思えると思うんですね。そこがやはりかなり大きく意識を変えていく出発点になるんじゃないかというふうに思います。

山出参考人 先ほども申し上げたんですが、私は、景観というのは自然と歴史に深くかかわる、こう思います。自然は一つとして同じ土地柄はありませんし、歴史を同じくする土地柄は一つとしてありません。そういたしますと、景観行政の主体というのはあくまでも地域だ、とりわけ市町村だ、こういう思いがありまして、今度、景観行政団体の中に市町村というものの立場を強く打ち出してくださった、県と同じ扱いにしていただいた、この点を評価したい、私はこのように思っています。

 そして、景観協定という概念が出てまいりました。みんなで協定をするんだ。ここがまた大切なところであろうと思っていまして、住む人の意思が景観協定に反映するという点においてもよかった、私はこのように評価をいたします。

 ただ、先ほども申し上げたわけですが、例えば景観という概念は、多様なものを統一する概念というのは、恐らく景観というものの中に大切な要素として存在する、それを先ほどは整序の論理、私はこういうことを言わせていただいたわけであります。秩序と整うということでありまして、例えば高さなんかも、整っているというのが視覚に訴えて安らぐわけでありますし、美しいわけでありまして、整序の論理というのは極めて大事だというふうに思っておるんです。

 ところが、景観条例なるものは地区ごとに高さなんかを決めておるわけでありますが、今の扱いですと、高さについてはむしろ建築基準法とか都市計画法という方向に行くわけでございます。私が言いたいのは、景観条例で高さ制限というものをしていたら、即それを景観法が認めてほしい、景観法が条例に授権をしてほしい、そうしたら、自治体、市町村は大変やりいい、こういうことを言いたいわけでありまして、ここは、今すぐと言わなくても、これからの検討課題としてお願いしたい、こういうことなんであります。

中林参考人 住民にとって使いやすい法律になることが重要だという御質問ですが、二、三の点だけ申し上げたいと思います。

 一つは、第十一条に「住民等による提案」というのがありますけれども、ここでは三分の二以上の土地所有者の同意を必要とするということになっております。景観の場合、景観区域、景観計画がこの場合どれだけの面積になるかわかりませんけれども、非常に大きい範囲に及ぶことがあって、そこで三分の二以上の同意で提案するのは非常に大変だろうなということを一つは思います。

 それから、景観についてはNPOなどの活躍する場も用意されているようなことがありますけれども、これもまさに西村先生なんかはよく御存じのように、海外の事例のように、景観とか文化財にかかわるようなNPOが非常に公的に高い地位にありますというか、国民、市民の信頼のもとにあるようなNPOが育ってまいりますと、そういうところにいろいろな判断をゆだねるとか、それは非常に有効な方法だと思いますけれども、まだそういうNPOが育っていないとか、そういうことがありますので、なかなか難しい面はあるかもしれません。

 そういう意味では、今回の法の中には幾つかの住民がかかわれる仕組みが画されているとは思うんですけれども、どこまでそれが運用で有効に働くかというところには多少危惧する面がないとは言えないということです。

伴野委員 どうもありがとうございました。

 住民の関心を高めていく、意識の向上というのは、今法案に限らず、まちづくりにおいて非常に重要なのではないかと思うわけでございます。

 では、そういう向上をどうするんだと政府にお聞きしますと、説明会をやるとかパンフを配るというようなことをすぐおっしゃるわけですけれども、なかなかそうはいかないんだろうなと。

 私なんかは、これは財団でもうやっていることなのかもしれませんが、よく景観大賞ということで、まちづくりできれいなところを、これははっきり言って専門家が専門家のためにやっているようなところがあるわけでございまして、どこかのテレビ番組と組んで、よく、リニューアルの家、こんなに汚い家がこんなにすばらしくなりましたよと本当にビジュアルで見せて、そこにどんどん参加していく。これはおもしろい、要するに、楽しさとアミューズメント性を持たせていくことというのは啓蒙の中で非常に重要なのかなと。教育の中でやるというのも一つの方法ですが、何でも学校でやればいいというものではなくて、楽しみながら意識を高めていくという何かいい方法がないのかなといつも思うわけでございます。

 そういう観点からしましても、今回の法律のあり方を見ましても、そうやって楽しく一生懸命やった市町村は多分どんどん伸びてくるんじゃないかな、また、そう期待しているんですけれども、そうじゃなくて、どうでもいいやと思っていらっしゃるところだとどちらかというと下の方へ並べられてしまうといいますか、やる気のないところはどんどん差がついていってしまうというようなことも起こるわけでございます。

 これは、こういう時代背景もあるから仕方ないんだ、やる気があるところがどんどん美しい町になっていって、やる気がないところはどんどん、まあ、しようがないかというのも一つの考え方かと思いますが、でも、国が見ていくという中ではどこかに少し歯どめもあってもいいのかなという感じがするんです。そういった市町村の差について各先生方はどうお考えになっていらっしゃるか、三人によろしかったらお願いします。

西村参考人 やる気がないところをどうするかという問題に関しては、やはり一番重要なのは、都道府県がどれくらいの主導的な役割を果たすかだと思うんですね。恐らくそういう地域に関しては都道府県が景観行政団体になると思うんです。そして、広域的な観点からいろいろな施策をしていくということになると思います。

 その意味で、どんなことが都道府県が市町村に対してやれるのか。それも、単に地区を指定するような平面的な計画だけでなくて、もう少しマンパワーを送り込んで動いていくとか、もしくは、先ほどからあるようなまちづくり的なノウハウやワークショップ的なノウハウを伝授していくとか、もう少しダイナミックな協力というのがあり得ると思うんですね。

 いずれにしても、問題は、今の法案のフレームですと、都道府県がいかにサポートできるかというところにかかっているのではないかというふうに思います。

山出参考人 先生、教育だけでなしに、建物のありようとかそういうことについて褒美もやるようにと、仰せのとおりでございまして、私も、いい建物あるいはいい広告、こういうものについて表彰するというようなことをいたしております。

 先ほど、いいものを見せることが大事だということも申し上げましたけれども、いいものを見せることによって啓発されていきますので、このことを大事にしなきゃいけないというふうに思っています。そうすれば、広い意味で市町村ごとに格差ができるではないかという御指摘ですけれども、僕はやはり、良貨は悪貨を駆逐していくんではなかろうか、そんな思いを持つわけであります。

 規模の大きい施設、工作物等について時々物議を醸します、それから色彩についても物議を醸すことがありますけれども、私は、これは大いにやるべきである、議論をすべきだ。その中から啓発をされていきますので、行政はそれを面倒くさがるということをしちゃいかぬ、小さいことであってもよくよく聞いていく必要がある。

 私は、茶屋街が一つございますが、ガス灯にしました。そうしたら、前のコンクリート柱の方がよかったと。ガス灯にしたら、あの上にかけてある銅板がきらきらして光って困る、こういう意見を芸妓さんが私に言いました。私はそのときに、しかし、コンクリート柱の前は木柱だったろうね、木柱からコンクリート柱になってそしてガス灯になったんで、過程があるんだ、そのときそのとき議論しただろうね、こう言いました。そしてもう一つ、ガス灯の上の金ぴかの銅板は、そのうち緑青を吹いて落ちついてくるよ、こういうことを実は言ったことがあるんです。

 そういたしましたら、半年たちまして、芸妓さんは私に、市長さん、謝ります、こういうことをおっしゃって、別に謝る必要はないんですけれども、やはりいろいろな経験を積んでいかないといけないという思いであります。一つ一つ丁寧にやはり経験を繰り返していく、その中で意識が高まってくるんではなかろうかと思いまして、ある日突然に施策を講じてよくなるものではない、そう思います。

中林参考人 市町村のやる気の差とか景観の質の差などについてどう考えるかという質問ですが、非常に難しい質問かとは思いますが、私は、日本のどこの地域に行っても、地域の景観について全く誇りを持たない住民がいるところはないというふうに思っております。

 どこの地域も、そこの風土に合った自然はありますし、それぞれ町をつくってきた歴史がありますから、誇るに足るものがある。しかし、現実に、景観をどうしようというようなことは考えないのではないかと思われるような状態のところというのもやはり存在するのは事実だと思います。しかし、基本的に景観というのは大切にするものだというところから出発するのが正しいのではないかというふうに思います。

 今、金沢市長がおっしゃいましたように、物議を醸すことに恐れていてはいけないという発言は非常に的を射ていまして、やはりこういう問題というのは、議論をしていく、そういう中でわかってくるというのが非常に多い。私どもの美意識というのは、話をするということが重要な要因となって、ここが重要な場所だったんだ、景観だったんだということがわかってくるようなことがありますので、そういうことを重ねていくことによって、やる気がないとか、どうしたらいいかわからないようなところについての景観も充実していくというふうに一般的には考える、それが正しいのではないかと思います。

伴野委員 ありがとうございました。

 時間の許す限り質問をさせていただきたいと思うんですが、三つ目の共通の質問として最後にさせていただければと思うわけでございます。

 まちづくりの中で、美しいという言葉、きれいという言葉の対極にあるもの、わい雑なものというふうに規定いたしましょうか。これは、人間の営みをしていく中で、美しいものだけではだめだ、そういう心理学者の御指摘なんかが、前のあの神戸の事件が起きたときにありました。あの現場を見ていただくと、非常に近代的で、かつ整ったまちづくりなんです。人間が逃げ込みたくなるようなわい雑なものがない。人間には、やはり整ったものがある一方で、わい雑な逃げ込むものがないと非常に生きていて苦しいんだというようなことを御指摘された心理学者も、深層心理の中であるんだというようなことを指摘されたわけでございます。町の中にもやはり、特にこれは文学的な表現をされる方は、必ず町にはわい雑なものがなければ魅力を失ってしまうんだ、人間に例えれば欠点があるからよさが出てくるんだという表現をされる方もあって、済みません、非常に禅問答的なお話になって申しわけないんですが、この景観をやっていく中で、その町の中のわい雑さというのはどうとらえるべきなのか。これは本当に個人的な御意見で結構なんで、お三方から賜れれば、よろしくお願いいたします。

西村参考人 難しい質問ですけれども、私は、わい雑なものは恐らく計画してできるようなものじゃないと思うんですね。恐らくそれは自然発生的にできていくもので、人間の心理や生活様態がつくり上げていくものだと思うんです。

 今我々がここで議論しようとしている景観法は、恐らくはそこを対象として議論するわけではなくて、やはり、その対極にあるような、計画の中で、計画を通して実現することができる部分で何かできないかということが議論だと思うんですね。

 ですから、景観法ですべてのところをすべて計画できないのと同様に、やはり、わい雑なといいますか、そうではない部分というのはどうしても残っていくだろう。ですから、ここでやれる部分が地域全体をカバーしているのではないわけなので、ここで美しい都市を目指したからといって、そういうところが全部抜け落ちてしまって何か無味乾燥な、絵にかいた無菌の町ができるというふうにはならないんではないかと思っています。

山出参考人 わい雑さというのは必要だと私も思います。

 トタン屋根の飲み屋さんが並んでいて、コップ酒を飲む。人間臭い場でありまして、私はこれは必要だ。しかし、その場は汚くあっちゃいけない、衛生的でなきゃいけないというふうに思いますから、私は、わい雑という言葉と醜悪という言葉は一緒だろうかなと、ちょっと疑問に思います。醜悪というのは、視覚に訴えて、何とも言えない、見るのも嫌だというのが醜悪であって、わい雑さというのはそのことと一緒だろうか。景観に影響するのは醜悪という言葉であって、わい雑は人間臭さ、これはむしろあってしかるべきというふうに思います。

中林参考人 これはもうお二方がおっしゃること、ごもっともだと思いますが、質問が非常に文学的、哲学的なので、それに答えさせていただきますけれども、やはり人間の美意識というのは、今おっしゃられたみたいにいろいろありまして、いろいろなものについて評価を加えることができるというのが人間だと思います。例えば廃墟とか荒城の月などというものもありますけれども、そういう、人が死んだり、うらぶれてしまったところにさえ美意識を感じるのが人間だということなので、それはそれで、また別の形での文化財になったりもするわけなんですが。

 ですから、もし景観のこういう法律ができて、非常につるっとした無味乾燥な景観をつくっていくというような発想をする方がいらっしゃったら、そうではないだろう。やはり人間がいろいろなものをつくり出していく自由度をより増す方向で景観の充実がなされる、こういう基本精神が重要だということは申し上げておきたいというふうに思います。

伴野委員 先生方三人の御意見を聞きまして、私もちょっとほっとしたところでございます。ありがとうございます。

 では、続きまして、時間の許す限り個別の質問を、細部にわたるかもしれませんが、先生方お一人お一人に承りたいと思います。

 まず西村先生に対しまして、トータルのチェックについて今後どう考えていくべきか。さらには、そこに、私は、住民がわかりやすい何かケーススタディー的なガイドラインがあってもいいんじゃないか。私自身、マニュアルというのは余り好きじゃない、マニュアルされない人間を好んでいる人間でございますが、ただやはり、何か最初の取っつきとして、こういうことを考えていけばいいんだ、こういうことを提言していけばいいんだ、自分はこういうところにかかわっていけるんだというのは、それこそ最近はやりの漫画で、わかりやすい何か指針みたいなものをつくっていく。もし千代田区で御経験されている例の中で、トータルなチェックも含めてそんなようなガイドラインができないものなのか、御意見を賜れれば。

西村参考人 具体的な計画策定の中で、そしてまたそれぞれの設計者が計画を立てるときに、そこに何らかのガイドラインを示すわけなんですけれども、その示し方には幾通りか今までの景観条例の中でもスタイルがあると思うんです。

 一つは、割合、数値を明らかにしていくやり方。それからもう一つは、先ほどの金沢の例のように周辺との調和を大事にしてくださいということで、調和というのは審議会やその下の部会の中で形として決めていくやり方。それからもう一つは、千代田区ではそうやっているんですけれども、幾つかの基本的な考え方、例えば、非常に緑はつないでいきましょうですとか、余りスケールの違うものは並べないようにしましょうという、ある種の作法みたいなものですね。そうしたものを幾つか提起して、その中で地域の文脈に合った幾つかの作法を使ってくださいというような形で提示するガイドラインのあり方。

 それから、同じガイドラインでも幾つかあると思うんです。それぞれに一長一短あって、既にこうした景観条例に関した施策は十年以上の蓄積が各自治体でありますから、いろいろなところのよくいっているやり方、そして、どこかのまたよくいっているようなやり方が見えてきていますので、その意味では、こういう機会なので、きちんと全国のさまざまな知恵を寄せ集めて、ガイドラインの幾つかの類型化をやるというのは必要だと思うんです。その中で、恐らく、それぞれの設計者や事業者がやるときに、非常にうまい使い方のようなガイドラインは見えてくるんではないか。ただ、それは一つの答えには恐らくならないんだと思うんですね。地域によってかなり違いますし、コミュニティーのあり方も違うので、やはり幾つかの特色がある類型が出てきて、それをどこで自分たちのスタイルのものを使っていくかというような議論が次のステップで必要になってくるんじゃないかというふうに思います。

伴野委員 どうもありがとうございました。

 では、続きまして金沢市長にお尋ねしたいのは、実際、非常に先駆的に進めていただいている中で、やはりルールを守らない人も出てきているんじゃないかと思うんですね。そうしたときに、私は減点主義の社会というのは余り好ましくないと思っていますし、それから罰則社会というのも余り好ましくはないと思っているんですが、しかし、ルールを守っていただけない方に何らかのものをというのがないことには、やはりなかなか一つの方向性に向けていくのは難しいのかな。

 そのあたり、今回の法案の中で罰則規定というのはどの程度盛り込んでいくべきなのか、お考えがございましたら教えていただければ。

山出参考人 景観法では、罰則の伴う変更命令とか是正措置命令ができるようになりました。私は、これは確かに進歩だというふうに思っています。ただ、このことを私自身はもう少し広めてもいいんではなかろうかという思いがあります。罰則を自治法上認められるわけでありますので、そういうことができるということを景観法に景観条例への授権を書いてもらう、こういうこともあってしかるべきではなかろうか、こう思っています。

 景観の領域については、私は、規制緩和という概念は極めて限定的だ、そう思っていまして、規制緩和という概念は景観の領域ではないんではなかろうか、むしろ逆に強化すべきではなかろうか、こんな思いを持っておるわけであります。

伴野委員 どうもありがとうございました。

 では、続きまして中林先生にお聞きしたいのは、先ほど櫻田先生でしたか、京都が大変お好きだという。私も本当に京都が大好きでございまして、学生時代、名古屋で生活していた関係もあって、新幹線で五十分、今だったら四十分程度なものですから、今でも本当に時間があったら行きたいなと思っている町の一つなんですが、しかしながら、やはり私のように外から出かけていった者にとっては、この景観はぜひ残してほしい、こうしてほしいといういろいろな勝手な思いを持つわけでございます。そういうことを実際に住民の方にぶつけてみますと、そうはいってもね、住んでいる人間からすれば、このことを守ることで非常に不自由になっているんだというようなことも間々お聞かせいただきます。

 そういった中で、先ほども少し観光立国等々のお話もさせていただいたんですけれども、その代表である京都において、今後京都における景観というのはどうなっていくのかと個人的にも心配もありますし、ぜひ中林先生にそこのあたりを、オピニオンリーダーとして京都の景観を、まあ、私は外から訪ねていく人間の価値観で物を言っていくものですから、本当にそれが住民の方とマッチしていくのか。でき得るならば、住民の方とそれは一体となって日本の歴史的な町の一つである京都の景観が今後も守られる方向に行ってくれないかな、今回の法案がそれを生かされる形で行ってくれれば本当に個人的にはありがたいななんということを勝手に思っている次第でございますけれども、このあたり、時間が許す限り御意見を賜れれば、そんなふうに思っております。

中林参考人 全般的な話をしているのでいろいろな話があるわけですけれども、一つは、最初に言われましたように、外から来る者と住んでいる者という話もございますが、例えば、非常に厳格な意匠上の規制を受けているような地域と、そうでもないけれども歴史的市街地と呼ばれる部分では違う面があるんじゃないか。非常に厳格な規制を加えているところでは、やはり住んでいる者にとってはというような声が出ないことはないと思いますけれども、しかし、おおむね、そういう歴史的な景観を守りながら住んでいることに誇りを持っている場合が多いわけです。

 もう少し一般的に、京都の、行政区でいいますと上京区、中京区、下京区というような中心部の区です。ここでも人口は三十万人近くはあるわけなんですけれども、そういう一般的な市街地の人々が、個別の土地を持っていて、それに高い建物が建てられないとか建てられるとか、そういう問題はあるかもしれませんけれども、先ほど言いましたようなまちづくり憲章とか、地元でどういう高さの町がいいのかというときには、やはり三階建てとか四階建て、せいぜい五階建てぐらいまでの町にしたいということを望んでいますし、それから、大きなマンションが、そういう十メートルぐらいの高さの町の中に三十メートル、四十メートルというようなビルが建ってくると、全く町の論理が覆ってしまうわけです。そういう中では、やはりほとんどの方が、生活のためにもそれは困るというふうに考えているのではないかと思います。

 ですから、京都がどうなっていくかという質問ですけれども、まず、そういう面的な、特別に伝統的建造物群保存地区みたいなところだけじゃなくて、広い範囲で残っている都心居住地、これをやはり大切にしていくということが一つは重要かと思います。それから、言うまでもなく、周辺の山や川の状態を崩されないようにしていくというのが一つは重要じゃないかというふうに思います。

 いろいろな面がありますけれども、余り時間がありませんので、その程度にしておきます。

伴野委員 どうもありがとうございました。

 今回、四十分にわたりましていろいろ先生方に多岐にわたって質問させていただきまして、明快な回答をいただきまして、本当にありがとうございます。

 私も、今回この質疑をさせていただくということで、週末にいろいろ昔の本を引っ張り出しながら景観というものをいろいろ考えておりまして、ふと自分の庭先とか道路先を見ますと、まず自分の家の前からやらなきゃいけない、自分の家の周辺からやらなきゃいけない、もっと言うならば自分の机の上からやらなきゃいけないな、そんなことを思っていたわけでございまして、まず隗より始めよといいますか、きょういただきました御意見を参考にさせていただきながら活動していきたいと思っている次第です。

 本日はどうもありがとうございました。

赤羽委員長 高木陽介君。

    〔委員長退席、今村委員長代理着席〕

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 本日は、三人の参考人の方々においでいただきまして、本当にありがとうございました。

 また、貴重な御意見を承りまして、本当に感謝申し上げたいと思います。

 そこで、先ほどから景観法について何度か出てきた話題ですけれども、景観の概念という部分。午前中には、私たち委員が政府の方に質問をさせていただきましたけれども、景観の概念というのは本当にさまざまな形がある。もっと言いますと、十人十色、人それぞれによって価値観が違う。例えば、第十八委員室というこの部屋のつくりにしても、これが果たしてデザイン的にいいのかどうかというふうに一人一人に問いかければ、さまざまな意見が出てくるであろう。

 そういった中で、西村先生が最初にお話をされた中で数値基準がないという言い方をされまして、また、その判定の仕方というのが重要であるというような御意見がございました。また、金沢市の山出市長は整序の論理という言い方もされて、なかなか格好いい言葉だなと思ったんです。

 そういった中でお三方にお伺いをしたいのは、先ほどから、景観というものをどういうふうにとらえていくかという中で、やはり住民の話し合い、議論、こういうのが重要であるというふうに言ったんですけれども、議論をしてまとまるというふうに前向きにとらえていかなければいけないと思う反面、やはりどうしてもここは自分は違う考えだという人もいるのは確かだと思うんです。

 そういった中での景観というものに対しての概念のとらえ方として、それ以外に、最終的には多数決みたいになるのかどうかも含めて、どういう形で良好な景観というのを認定していくのか。これについてもう一度御意見を伺えればと思いますので、よろしくお願いいたします。

西村参考人 まず、景観の概念に関しては景観法の中でもうたわれていないわけで、これは、やはりある種、これとこれだけは景観ですと言うと、余りにも抜け落ちるものが大きいということもあると思うんですね。例えば、環境基本法の中でも環境というのは定義されていないわけです。

 ですから、その意味でいうと、イギリスにアメニティーという言葉があって、アメニティーは定義するより感じる方が易しいという有名な言葉がありまして、それに似たようなところが、イギリスのアメニティーはイギリス都市計画の基本的概念になっているんですけれども、やはり定義されていないわけですね。ですから、そういう意味では、定義を必ずしも法案の中でやる必要はないんじゃないかというのが私の意見です。

 具体的に、では意見が一致しないようなときにどうするかというお話ですけれども、一つは、先ほど言いましたように、基本的に非常に重要なのは、景観に関していろいろな人がいろいろな立場で意見を言う、民主的に意見を言って、言う場ができるということだと思うんです。それも、個人が言うとそれは十人十色かもしれないけれども、必ずしもそうではなくて、一つの景観に対して、例えば景観整備機構だとかNPOの認定を受けている団体だとか、ある種公益的な活動をやっているグループが、そのグループの統一的な意見として何か物が言えるとすると、それは個人が趣味で言っているよりやはりはるかに重い意見になると思うんですね。

 そういうことは、逆に言うと、それぞれの人が個人で好みで言うのではなくて、それぞれがグループをつくって、ちゃんとした公益的な活動の中で景観のコメントをどこか統一させて議論の場に臨むことが大事になってくる。まさに景観という問題を通じてまちづくりの活動が組織化されていくというところがやはり非常に重要なんじゃないかと思うんです。

 ですから、その意味では、ある段階でいろいろな活動のグループが出てきて、そしてちゃんと意見が出てきて、それでも決まらないときには、やはりそれは最終的にはどこかで多数決か何かで決断をせざるを得ないと思いますけれども、大事なのは、恐らくそういう形の中で、個人が好みが違うから、ばらばらだからばらばらの意見だというレベルじゃなくて、やはりそれぞれのNPO的な団体やそれぞれの地域の団体のような形で意見を小さなグループでまとめていって、そして大きな場に持っていくというプロセスを積み重ねていくことじゃないかと思うんですね。そのことが広くやられてくるようになると市民の景観に関するレベルも上がってくるので、次第次第に景観の問題も、こういうのが望ましいというのがもう少し具体化してくるという次のステップに行くのではないかというふうに私は思います。

山出参考人 欧米へ旅をしますと、車窓から見て、看板のたぐいは見ることができませんし、この日本の状況を見ますと、看板が乱立して、私自身は少し遅過ぎたなという感じを持っておるくらいでございます。ある人は、日本人は靴を脱いで家へ入る、だから自分の家の床の間だけがきちっとしておればいい、ところが、外国の人は靴を履いたまま家の中へ入るから外も内も一緒なんだ、そこに基本的な価値観の差があると言った人がいるんですけれども、ちょっとわかりませんけれども、一つの見解かなと思ったりもするのでありまして、私は、やはりきれいな町をつくらなきゃいけない。心が安らぎますし、心地よさを感ずるわけでございますが、ただ、景観行政を進める際には、基準は公開しなきゃいけないし、公の場での議論というのは必要だというふうに思っていますし、そして、時として専門的な領域にかかわりますので、識者の意見を聞くということの大切さを思います。

 市長という個人が好みで物を判断しちゃいけませんで、広く議論の場を持つべきだ。結果として、大方の意見の落ちつき先ではなかろうかなという点で落ちつかせることが必要ではなかろうか、私はこんなふうに思っています。

 具体的に、例えば看板の色の議論も私ども大いにするわけです。赤と白のある看板だとして、赤のスペースが随分多くて白が小さい。それを逆にするわけでありまして、白を大きくして、そして赤を小さくする。そうすると、割合皆さん方は納得してくださる。そういうことも多々あるわけでございますので、私は、議論して、そして衆知を集めたら、落ちつき先はある。多数決の原理まで行かなくとも、まあまあこのあたりでどうだろうという落としどころというのはあるし、そういうものを長い体験の積み重ねの中から求めていくべきだ、これが景観行政だ、そう思っています。

中林参考人 景観の定義に関しては、西村先生がおっしゃるように、法の中でする必要は必ずしもないと思いますが、一つは、景観が物的な状態のことをいうということと、それから、景観の評価、景観の物的な状況と景観に対する評価とか認識とか、そういうものはやはり区別して議論する必要だけはあるなというふうにいつも思っております。景観というものの中にいろいろ人間の評価も入れてしまって議論すると混乱する、そういうことはあるかなと思います。

 それから、今もお二方がおっしゃいましたように、景観の問題の場合、多数決というようなことで行くのではなく、やはりプロセスあるいはオープンな議論、こういう中で決められていくべきものだというようなことは当然のことだというふうに私も思います。

 景観の問題の場合には、大きな景観の変化、こういうものが議論になっているときは、しかしながら、今までずっとあった景観というのはみんなの財産なわけですから、大きく景観が変化させられるというときにそれに異論を唱える人があれば、やはりそれはきちんと説得するという立場がなければ景観を変えるということはできないものだというふうに私は思います。

高木(陽)委員 これは西村先生と中林先生にお伺いしたいんですが、先ほど西村先生のお話の中で、自治体間の格差是正のための措置をどうするかというのがまた次の課題であるというふうにも御指摘されました。

 山出市長みたいな、金沢市というのは本当に景観の行政については、ある意味では先進的なところですけれども、そういう市長さんを初め、やる気のある自治体は、どんどんどんどん今回の景観法を使いながらすばらしいまちづくりができていくのであろうなと思うんですが、一方、国が、これをやりなさい、あれをやりなさいということじゃないですから、そうなりますと、やはり地域によってかなりの格差が出てくる。素材としてはすばらしい、もっともっと生きていく景観の要素がありながら、結局、自治体の主体性のなさによってこれがおくれをとってしまうというか、そういう形というのは本当に考えられると思うんですね。

 本当に行政というのは、人によって、首長さんによって大きく変わっていく。こういう要素の中にあって、自治体間の格差是正、これは具体的にはどうやっていったらいいのかというのをお二人の先生にお伺いしたいと思うんです。

西村参考人 先ほどは、都道府県の役割が一つ重要だろうと申し上げました。つけ加えて言うと、もう一つは、景観問題を発議するのは必ずしも行政じゃなくてもいいわけです。地域の住民の方もあるし、もしくは商工会議所だとか町村の商工会みたいなところで大変熱心なところがあるとか、JCみたいなところで大変熱心にやられているとか、まちづくり団体があるとか、歴史的な建物の保存のグループがあるとか、建物を活用しようというグループがあるとか、さまざまなあり方があるので、そういう方々が中心になって、先ほどからありましたけれども、この法律の中では提案制度がありますので、下からきちんと提案を持ち上げていくということは必ずしも不可能じゃないと思うんですね。そして、その提案を取り上げないときにはどうして取り上げないかということをきちんと説明するような責任も行政側に問われている、そういう仕組みもありますので、ちゃんと手続を踏んで、さまざまな団体からさまざまな声を上げていくということが必要なんじゃないかと思います。

 そういう形で今まで進んできて、民主導でまちづくりや景観整備が進んできたところもかなり日本の中で多いわけで、ある段階からさまざまな形で官民の協調が生まれてくるということはよくある事例なので、そういう意味では、民の側にさまざまな可能性があるんだということを、これで官だけに頼らなくて、どうも法律ができると、全部行政が進めてくれるんじゃないかと思うのと今度は逆で、もう少し民がきちんとした形でやるということもそれなりに強調していかないと、やや誤解を生じるおそれがあるなという気はしております。

中林参考人 これも西村先生がおっしゃるとおりだと思いますが、町並み保存運動というようなものも、もともとこういうものが始まりましたのは、もっと古い時代にもあったのかもしれませんけれども、近いところでは一九六〇年代ぐらいだと思います。そういうところで下から町並みを保存するというようなことが起こってきて、今日ではそういうことが非常に重要な営みなんだということになってきたわけなので、やはり、そういう伝統的な町並みが存在しないようなところもあるかもしれませんけれども、基本的には下のところからそういうものが生まれてくるように、生まれてきた場合には行政がそれを育てていくという姿勢を持つ、そういうことが重要かと思います。

高木(陽)委員 次の質問は三人の方にお答えいただければと思うんですが、これも西村先生が、現状、開発行為が起きないと発動されないという受動システム、いわゆる望ましくない景観をどうしていくか、これも課題であるということと、あと、これは中林先生のお話の中にあった、これは四番目の項目ですね、河川や歴史的建造物を台なしにしている大都市中心部の高架道路周辺、これらを景観区域に含めることができるかどうか、いわゆるもう既にある構造物に対してどうしていくか、こういった問題もいろいろと論議していく。最初から住んでいる人はそういう意識もあるでしょうけれども、そこに移ってきた人たちも、やはりこれはおかしいんじゃないかだとか、そういった部分の中で議論は起きてくると思うんです。

 そういった中に、これからやっていく部分には積極的にかかわれますけれども、もう既にある問題、これに対してどう対処していったらいいのかということについて三人の参考人の方の御意見をお伺いしたいと思います。

西村参考人 一つは、景観計画の中できちんと位置づけることだと思うんですね。公共施設でも、景観重要公共施設という概念が導入されていますので同意が必要なんですけれども、そうした公共施設を、道路や橋なども重要な公共施設であるということを認め、計画の上で位置づけて、次に何かやるときにはその方向でやってもらうということを担保するような、景観計画の中で位置づけるということがあると思います。

 ただ、何もしない土地利用をどうしようかというような問題があるわけで、それは一つは、こうした法律のシステムからいって、なかなか能動的に何かをすぐに変えさせるというのはやはり制度的に難しいわけです。ですから、その意味では、やはり景観計画なんですけれども、景観計画の中できちんと位置づけられたものに関して、例えばまちづくり交付金とか、さまざまなほかの制度や事業制度、それから交付金制度、補助制度が位置づけられたものに優先的に使うというようなことを自治体が判断するようなことがあれば動いていくわけですね。

 ですから、その意味でいうと、ほかの事業制度や交付金制度をうまくこの計画と連動させることによって、今動かないものを動かしていくということを自治体側がそれぞれの政策としてやっていく必要があると思うんです。それは法律そのものとはかかわらないわけですけれども、少なくとも景観計画がそういう意味を持っているということはきちんとした形で自治体に伝わらないといけないと思うんです。

 ですから、その意味では、景観計画というのは、何か、普通考えると、基本計画で、憲法みたいなものだ、だからまずつくるんだという感じに思われがちなんですけれども、ある種、非常に重要な戦略的意味を持っているというふうに思います。

山出参考人 日本の名勝と言われるような公園等へ参りまして、周囲に高い建物が建ってしまっている、それをどうこうすることはもうできぬわけで、困ったものだなという思いは率直にいたします。だとすると、我々は、これからつくるものについて、やはり最大の取り組みと配慮をしていかなきゃいかぬなという思いがあります。

 そこで、看板のたぐいでありますけれども、醜悪な看板で、場合によったら取りかえてほしいというときは、私は補助金を出して撤去してもらうというような扱いをしておるんですが、なかなかこれとても、そう容易でありません。一番難しい課題だなと思います。

 それから、私は、看板につきましては、これから、集合看板、一つ一つ看板をつくるのではなくして、看板を一カ所に集めるというような扱いはできぬだろうかなという思いは持っています。今、広告塔は道路占用物件として位置づけられておるわけですが、集合看板のたぐいも電話ボックスとか電柱と同じ公益性がありますので、占用物件の扱いなんというのはできぬだろうかという思いがありまして、こういうことは、これからの看板を変えていく一つの契機になるのではなかろうか、そんなことを思っています。

中林参考人 今、名園の周りに高い建物が建ってしまったりとか、大都市の中の高架の道路の話、こういう簡単には撤去できないようなものの場合と、今お話しになりましたように、看板とか比較的修復しやすいものがあると思います。決して看板とかそういうものは小さな問題だと思っているわけではございませんが、こういう丁寧な、きめ細かい努力ができていくようなことにこの法律が使われるというのは非常に重要だというふうに思っております。

 ただ、一つ、私自身が持っている疑問でありますので、高架の道路について少し申し上げますと、なぜ日本の大都市の中に高架の道路が非常に多いのかということは、もう少し問題になってもいいのではないかというふうに思われます。

 諸外国を見ていましても、ヨーロッパにはほとんどございませんし、アメリカでもニューヨークなどは決して高架の道路が日本の大都市のようにあるわけではございません。お隣の韓国のソウルなどでは日本に近いような状態になっているなと思っておりましたら、御存じかとも思いますけれども、去年あたりから清渓川という川の上に建っていた高架の高速道路が撤去の工事に入っている。

 そういうことが景観法の対象になるかどうかという問題はありますけれども、そんなこともやはりもう少し議論を国民的にしていく必要があるんじゃないかというふうに思います。

    〔今村委員長代理退席、望月委員長代理着席〕

高木(陽)委員 時間が限られておりますので、最後に山出市長にもう一度お伺いしたいんですが、市長のお配りいただいた資料の中で、金沢市のまちなみ広告景観賞の写真をずっと見せていただいて、今お話があった、赤を基調にしていたのを白を基調にして、例えばこれはボーダフォンの金沢仕様広告、まさにひっくり返ったことによってしっかりと建物の中に入り込んでいる。

 ただ、これも、話し合いの中で決着がついている、または、そういう補助金を出しインセンティブを出してあげるということでうまくいっている部分もあると思うんですが、企業によっては、一つのロゴマークというか、これがこの会社の象徴なんですというような部分もあるのではないかなと思うんですね。そういったときの解決方法というのは何かありますかということで、最後にお伺いしたいと思います。

山出参考人 大変難しい御指摘なんです。

 私もこのことについては苦労していまして、一般的に全国チェーン店というのはなかなか協力していただけません。そうしますと、私自身は、支店長さん、営業所長さんとお話ししてもだめだな、東京の本社へ行ってお話ししなきゃいかぬな、そういうことを思うこともありまして、そういう努力もして、そして一つ一つ解決していかなきゃいかぬだろうなというふうに思っています。

 しかし、今先生御指摘のとおりでして、ちょっとした工夫で物すごく原色が和らいだりしますので、そういう配慮はこれからしていかなきゃいけないというふうに思っています。

    〔望月委員長代理退席、委員長着席〕

高木(陽)委員 三人の参考人の皆様方の貴重な御意見、これはまだ法案の審議は続いてまいりますので、参考にさせていただきながら、しっかりとしたすばらしい法律にしてまいりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 どうもありがとうございました。

赤羽委員長 穀田恵二君。

穀田委員 私は、日本共産党の穀田です。

 三方の参考人、本当にありがとうございます。きょうは貴重な御意見をお聞かせいただきまして、参考にさせていただきたいと思います。

 きょう、私は、景観法というのは今の日本の景観を守る上で一歩前進の法であると考えています。しかし、私が考えていますのは、景観や町が壊れていった要因を見定めないと、仮にそういう法律をつくったとしてもいろいろなことが起きるんじゃないかという危惧を抱いているものですから、各地の個性豊かな都市景観が失われ、画一した町をつくってきた大きな要因は何かという問題について私はお聞きしたいと思っています。

 私自身は、今、政府や行政が、行政といっても、もちろん金沢の市長も行政を担当されていますから、一概には言っていないわけですけれども、現実は経済効率優先を志向してきたために、身勝手な開発や建設というのが容認されてきたのではないかと私は考えています。

 私の住む京都でも、先ほど随分京都が問題になりましたけれども、大型店出店や大規模開発を容認してきましたし、一方で、建築指導要綱などを初めとして景観に携わるさまざまな条例などもつくってはきましたけれども、中林参考人が紹介されていますように、事業者は、景観は個人個人の主観にすぎないとか、建築基準法、都市計画法は守っていると言って、現実は町並みが破壊され続けてきたのがこの数十年間ではなかったかと思います。

 西村参考人も、規制緩和型の他の都市計画法制度の整合性とおっしゃっておられました。また、山出参考人も、高さの問題については他の法律にゆだねられている、そういう意味では景観法での授権をして規制こそとおっしゃっていましたし、私は、この辺は本当に同感するものであります。

 そこで、先ほど言ったように、今、都市景観やまちづくり、町の景観というのが壊されてきたという現実についてどうお考えか、その要因も含めて、お三方にまずお答えいただければと思っています。

西村参考人 基本的には、今の都市計画の規制値が緩いんだと思うんですね。やはり現状からかけ離れている部分がある。

 それは、土地所有者にとっては、自分の土地の地価にはね返るわけですから、資産価値の問題からしてなるべく緩い規制値、建ぺい率や容積率が欲しいということがあるわけですね。ところが、隣に何か建物が建つとなると、それでは自分たちの環境が悪くなって景観が悪くなるということで困るという、居住者としての側面と土地所有者としての側面がやはりあって、土地所有者としては緩い規制を望むし、周りのことから影響を受ける居住者としては周りには厳しい規制を望むという、非常に二律背反的な状況があるんじゃないかと思うんです。

 ですから、その意味でいうと、緩い規制、そしてまた景観の問題が、景観地区ができて、景観地区だけの問題として矮小化されてしまうと、ほかのところはもう変わってしまうということになると、せっかくの高邁なねらいが非常に小さな地区だけにとどまってしまうというおそれもやや心配するわけです。その意味で、全体として緩い都市計画の規制というのが一つは問題としてあるんじゃないかと思います。

山出参考人 私は何度も申し上げてきましたけれども、自然と歴史を軽視してきた、そのことに尽きるというふうに思っています。

中林参考人 要因ということでありますが、より本質的には、やはり、他の先進国にも見られないような土地の商品化といいますか、投機的な扱い方をされてきたことによると思います。

 今委員は経済効率優先と言われましたし、それから、政府の出す文書にも経済効率優先というような言葉はありますけれども、これはもう少し限定する必要があって、一定の狭い敷地の短期的な経済効率の優先であって、私がちょっと書いていますように、長期的に見ると個別の敷地ではマンションを建てると経済効率はいいかもしれませんが、ずっと並べてマンションを建てるわけにはいきません。そうはならないので、そういうところはマンションの価値も下がりますし、そういうことを考えますと、言葉の問題でありますが、長期的な経済というものも景観の破壊とともに起こってきたというふうに思っております。

 もう少し直接的には、最初に西村先生がおっしゃいましたように、容積率とか建ぺい率が非常に過大だった、町にとって必要だった床面積を超えて指定されてきているということは非常に都市計画法上は大きいかなと思います。

 京都の都心部でいえば、幹線道路沿いが七〇〇%、それからその中が四〇〇%、これが非常に景観を壊す要因になったのではないかと思います。周りの二〇〇%のところを見ますと、かなりいい状態が残されていますし、三〇〇%でも効果がある。これは現象論的ですけれども、容積率についてはそういうことが言えるかと思います。

穀田委員 私も住んでいまして、やはり、先ほど西村先生からもお話がありましたけれども、二律背反、確かにあるんです。でも、七〇〇%というふうな感じほど望んではいないんですね、住民の方々というのは、結構。ですから、景観破壊というのは実は住む人も含めて追い出されちゃうという結果になりまして、私自身の哲学としては、景観というのは、すぐれたものであるという意味での価値と同時に、住まいする者にとっても価値があるんだという意味合いもしっかり見たいなということを思っています。

 結局、バブルの時代に住専などが京都をばっこしまして、実際上、乱開発で、住む人々が追い出されるという結果になったことを私は忘れることができませんし、その底流に、高さ制限の緩和と、そして民間活力という形が呼号されたということが一つ大きかったことを私は思い出しているところです。

 今、まちづくりとの関係で、逆説的に実は景観という問題について取り上げて言わなければならない時代になっているのかとも思ったりしているぐらいに感じているわけです。

 そこで、先ほども市長からもありましたように、自然と歴史の軽視だと。さらに文化も私は軽視しているんじゃないかと思うんですね。したがって、この法案によるところの良好な景観というものを判断する主体はだれなのかという問題が私は問われていると思うんです。私自身は、その地域で生活している住民であるべきではないかと考えるわけです。

 そこで、まず西村教授、中林教授にお聞きしたいのは、良好な景観というものの判断の主体をどう考えるかということが一つ。二つ目に、西村教授は、意思決定に市民やNPOが参加する仕組み、また中林教授も、今度の法案が住民参加が限定的だということで、いずれも住民参加の問題についておっしゃられています。したがって、住民参加のあり方についてどういうふうに前進させるべきかということをお聞きしたい。

 山出市長には、先ほど、議論すれば落ちつくと。そうなんですね。私もそうだと思うんです。行政がそういう立場に立ってくれると本当に助かるなと率直に思うんです。私などは、京都に住んで、自分の経験を言うのもなんですが、せっかく条例をつくっても、それで町がやられるときに話し合いをせずにもうぱっぱぱっぱやっていくというのを何度も見てきたもので、そういうふうにおっしゃっていただくと落ちつくといいますか、したがって、景観条例づくりや運用の面での住民参加の実情について行政の長からの立場でお答えいただければということで、三方にお聞きしたいと思います。

赤羽委員長 残り時間五分でございます。済みません、端的に御答弁をお願いしたいと思います。

西村参考人 良好な景観をだれが判断するのかということですけれども、一つは、先ほどから言っていますように、景観計画をつくるわけで、景観計画の中で市民参加をしながら、その地域の景観はどうあるべきかということをきちんと議論する中で、ある程度の指針というのは決まっていくんじゃないかというふうに思います。

 それから、住民参加のあり方は、そこも一点なんですけれども、もう一点挙げるとすると、今、建物が建てられるときに建築確認申請のための書類が出てきますけれども、この書類が普通の形では市民は一般的に閲覧できないわけです。しかし、そこに建ってしまうとそれが非常に大きな影響を及ぼすわけなので、少なくともある種の地域の中に関しては、やはり一つのそこの地域の判断材料として公開されるようなプロセスがないと議論が進まないんじゃないかと思うんですね。ですから、そこが一つ改善点としてあるんじゃないかというふうに思います。

中林参考人 西村参考人が言われたとおり、やはり住民の参加するプロセス、そして、今までいろいろ試みをされてきていますから、そういう手がかりを大切にして住民が意見をまとめるやり方、これもやはりいろいろな努力を積み重ねないとできませんので、一概に住民が参加するのはいいというふうに言っても、いろいろな技術もありますから、そういうことを積み重ねることが重要だと思います。

山出参考人 私は、まちづくり協定、そして都市計画法による地区計画、これをベースにして景観についての住民参加を進めていきたい、こう思っています。

穀田委員 まだ三分ありますのでお聞きしたいと思いますけれども、私は、中林参考人からお話がありました、では、荒廃した景観をどう再生するかということが一方では問われていると思うんですね。つまり、今後そういうものについて、破壊されつつある景観を守ると同時に、破壊されてきたものの荒廃した景観をどう再生するか。

 皆さん、外から見て京都はという話をされるんですが、実際は、この間委員派遣で行ってこられて、多分すてきなところを見てきたでしょうけれども、まさに、私、何回も言いましたように、あの西本願寺の前のところに高速道路が来るんですよ、これが破壊にならぬかということを何度もここでやってきたわけです。ですから、守ると同時に、荒廃を再生するというところも含めてやらなくてはならない事態に来ている。そういう点を特におっしゃっておられる中林先生に最後にお聞きしたい。

中林参考人 建物の高さ規制というのは一つは重要で、先ほどから議論になっているとおりで、今ある高い建物を壊せというわけではありませんけれども、やはり町を守ろうとする人々を力づけるような形で町のルールを決めていく。

 今お話にありました高速道路は、京都もそれなりにいろいろな景観施策も積み重ねているんですけれども、高速道路だけはどうしても計画が白紙にならない。実際、京都の高速道路は、郊外、南の方では高架で立ち上がりつつありますし、あと、都心部に入る高速道路も、地下を通って入ってきて地下を通って出ていく。いわば京都の都心部をインターチェンジの一部にするかのような高速道路計画がある。この自動車の制御というものもきちんとしないと、これは景観法の中でやるということではありませんけれども、このことと連動して景観が守られていくような議論、仕組み、討論、こういうものができていくということが望ましいというふうに考えております。

穀田委員 この間、道路公団の民営化の最後の議論のときに、小泉首相も、京都には高速道路は似合わないと言っていまして、我が意を得たりと思ったのですが、そういう意味でいいますと、今、中林先生からお話がありました問題については、我々も含めて努力して解決を図っていく、景観を守るための努力としたいと思っています。

 本当にどうもありがとうございました。

赤羽委員長 これにて参考人に対する質疑は終了いたしました。

 この際、参考人の皆様方に対し、本委員会を代表いたしまして、一言御礼のごあいさつを申し上げさせていただきます。

 まず、本日は、大変御多忙中の中、三名の参考人の皆様方におかれましては、わざわざ本委員会に御足労を賜り、そして、夕刻のこの遅い時間まで御出席をいただきましたこと、本当にありがとうございました。また、意見陳述の時間、大変限られた時間でございましたが、それぞれのお立場から大変貴重な御意見を賜りましたことを心から感謝申し上げる次第でございます。本日皆様方からちょうだいいたしました貴重な御意見を今後の議論の参考として、より一層深まった議論を展開してまいる所存でございます。どうか、今後ともよろしくお願いいたします。

 本日は、本当にありがとうございました。

 次回は、明十二日水曜日午前九時五十分理事会、午前十時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二分散会


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