衆議院

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第11号 平成17年4月19日(火曜日)

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平成十七年四月十九日(火曜日)

    午後三時四分開議

 出席委員

   委員長 橘 康太郎君

   理事 衛藤征士郎君 理事 萩山 教嚴君

   理事 望月 義夫君 理事 山口 泰明君

   理事 阿久津幸彦君 理事 金田 誠一君

   理事 土肥 隆一君 理事 赤羽 一嘉君

      岩崎 忠夫君    江崎 鐵磨君

      江藤  拓君    大前 繁雄君

      木村 隆秀君    河本 三郎君

      佐藤  勉君    櫻田 義孝君

      菅  義偉君    菅原 一秀君

      高木  毅君    武田 良太君

      中馬 弘毅君    寺田  稔君

      二階 俊博君    葉梨 康弘君

      林  幹雄君    原田 令嗣君

      古川 禎久君    保坂  武君

      松野 博一君    森田  一君

      菅  直人君    篠原  孝君

      高木 義明君    玉置 一弥君

      樽井 良和君    中川  治君

      長安  豊君    伴野  豊君

      松崎 哲久君    松本 大輔君

      三日月大造君    室井 邦彦君

      和田 隆志君    若井 康彦君

      若泉 征三君    佐藤 茂樹君

      谷口 隆義君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      岩井 國臣君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     鷲頭  誠君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            丸山  博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十九日

 辞任         補欠選任

  河本 三郎君     佐藤  勉君

  菅原 一秀君     大前 繁雄君

  中野 正志君     菅  義偉君

  葉梨 康弘君     原田 令嗣君

  下条 みつ君     篠原  孝君

  樽井 良和君     松本 大輔君

同日

 辞任         補欠選任

  大前 繁雄君     菅原 一秀君

  佐藤  勉君     河本 三郎君

  菅  義偉君     中野 正志君

  原田 令嗣君     葉梨 康弘君

  篠原  孝君     下条 みつ君

  松本 大輔君     樽井 良和君

    ―――――――――――――

四月十九日

 公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案(内閣提出第二五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 通訳案内業法及び外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第二三号)

 公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案(内閣提出第二四号)

 地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案(内閣提出第二五号)


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、通訳案内業法及び外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房総合観光政策審議官鷲頭誠君、総合政策局長丸山博君及び道路局長谷口博昭君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。河本三郎君。

河本委員 自民党の河本であります。

 僕の時間はわずかですので、まず大臣からずばりお聞きしますけれども、観光立国に向けた戦略的な取り組みだ、こういうことだと思うんですけれども、具体的にどういう目標を持ってこの法案を改正されようとしているのか、御丁寧にゆっくりと御答弁いただきたいと思います。

北側国務大臣 今、我が国政府は、二〇一〇年、一千万人の訪日外国人を目標にいたしまして、観光立国の施策、さまざま推進をさせていただいているところでございます。

 今回の法案につきましては、柱は大きく二つございます。一つは、通訳ガイド制度の改善をやっていこうということでございます。

 私どもも、海外に行ったときに、やはりガイドさんが非常に丁寧に上手に観光のガイドをしてくれたときというのは、非常にその後もずっと印象に残っているわけでございまして、そうすると、もう一度あそこに行きたいなというふうにまたなってくるわけでございます。量的にも、また質的にも通訳ガイドを充実しよう。これまで通訳案内業という業があったんですが、今回、通訳案内士という資格を設けまして、登録制で、また試験もやって、通訳案内士の方を育成していこう。また、各地域でも、地域限定のガイドについても創設をしようということで、こうした取り組みによりまして外国人観光旅客の接遇の一層の向上を図っていこう、これが一つ大きな目的でございます。

 もう一つは、国際競争力ある観光地を整備しようというのが二つ目の大きな柱でございます。

 今、全国あちこちで、いろいろな地方で、観光ということを手段といたしまして、地方の、地域の再生をしようという取り組みが行われているわけでございますが、そこでは市町村とそしてその地域の地元の民間団体の方々と、ここが本当に連携をし合ってそうした観光地づくりの取り組みがあちこちでなされております。そうした取り組みを国としてしっかり支援していこうという制度づくりでございます。

 こうした制度を、趣旨をしっかりと推進させていただきまして、ぜひ、一千万人という目標を達成するためにはやはりリピーターをつくっていくことが大事でございまして、リピーターづくりに、日本に何度も来ていただけるような外国人の方々をたくさんつくっていくために、そうした通訳士、また魅力ある観光地づくり、それをしっかりと支援していこうというのが今回の法案の大きな目的でございます。

河本委員 大臣、ありがとうございました。僕はもう質問しませんから、しばらく休んでおってください。

 大臣、今幾つかおっしゃいましたけれども、日本の観光の売り、目玉というのをどの辺にとらえておられるのか、これは政府参考人で結構なんですけれども。能とか歌舞伎、こういうのも一つ、そして観光地としては京都、奈良などが大きなセールスポイントだと思います。さらには、雪を見たことがない国の人たちにもそういう季節に訪れてもらう。春夏秋冬といって、日本はこれだけ季節のしゅんを楽しめる国はないと僕は思っております。

 そんな中で、まず都市基盤の整備やそれから社会資本の充実をしておかないとリピーターというのはなかなかふえないと僕は思います。こんなに渋滞をするのか、ここで道路が途切れているのか。せっかく来ていただいても、そういう目玉商品が日本にせっかくありながら、なかなか見物、見学ができないということになるのではないかなと思うので、ぜひそういう取り組みについても、道路行政も含めてしっかりと国家の方向性を示していただくことが重要だろうと思っております。

 そういう中で、外国観光客は団体が随分来ていると思うんですけれども、その団体の中には、やはり研究者、技術者、こういうものも多く含まれております。筑波学園都市や、さらには世界一の大型放射光施設があります播磨科学公園都市にも大勢来てもらっておって、そして、播磨科学公園都市などは構造改革特区の一つで、科学技術特区にも指定されております。規制緩和で滞在期間が五年に延長されておるという、規制緩和、撤廃だけにとどまっておるんですけれども、そういうところに、科学技術の振興策を日本が一番最初に取り入れたそういう姿をぜひ観光客、研究者にも見ていただきたいと思います。

 道路局長、それで、播磨科学公園都市の話をしましたけれども、まだ姫路鳥取線の一部が欠落をしております。

 二年前に播磨道が開通をしました。おかげさまでどんどん交通量もふえつつあるのですけれども、テクノから中国縦貫への十二キロほどの北進する道路をつくって初めて南北の血液が流れ、東西の中国縦貫、山陽自動車道と結節するということになりますので、局長、ここはぜひ総動員でこの道路網をつくっていただきたいと思っておるんですけれども、局長は長いこと近畿整備局にもおられたのでありまして、ぜひその辺の事情も含めて局長の決意を聞かせていただきたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、姫路鳥取線、全体八十六キロメートルございますが、今御指摘の山陽自動車道と中国縦貫自動車道の間につきましては、平成十五年三月に山陽自動車道と接続する播磨ジャンクションから播磨新宮インターチェンジ間、約十三キロメートルが供用になっております。残る山崎ジャンクション間、十二キロメートルにつきましては、現在、日本道路公団においてコスト削減の検討や環境調査等、施行に必要な調査を実施させていただいておるところでございます。

 いずれにしましても、世界に冠たるSPring8というような施設、播磨科学公園都市というような立派な施設を生かすためにも、早くきちっとネットワークを閉じるということによって大きな効果が発揮できると思っておりますので、調査を鋭意推進させていただきまして、できるだけ早い時期に本格的な事業に着手できるよう努めてまいりたいと考えておるところでございます。

河本委員 ありがとうございました。

 それで、局長とは直接関係ないんですけれども、世界の科学技術は研究施設がその国の将来を大きく左右するところまで来ております。世界一の大型放射光施設SPring8、そして次世代の放射光源というのも世界が模索しております。そういう意味で、その施設が宝の持ちぐされにならないように、道路行政にとどまらず、国益というものも考えて、ぜひインフラの整備、ネットワーク整備を進めていただきたいと思います。

 さらに、局長に質問ですけれども、今大臣の方からも、リピーターをふやしていきたいんだ、こういうお話、御答弁でございましたけれども、そのリピーターをふやすのには個人の観光客も大事にしていく必要があると思います。

 私は、ポルトガルのリスボンに一年、ニューヨークにも一年おりまして、それで、ほとんどレンタカーで移動しておりました。大変、日本の道路事情と違いまして右側通行ということでしばらく戸惑ったんでありますけれども、そういう中でも、日本人が見てわかるような道路標識が欲しいなと思うておりました。アメリカの方はそれなりに英語でわかるんですけれども、ヨーロッパは全くわからないというようなところがありまして、随分戸惑ったんでありますけれども。

 ぜひ、道路標識などをきちっと英語で、個人の観光客にもわかるように整備を進めていっていただきたいと思うんですけれども、局長、どうですか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、観光のスタイルも大きく変わってきておるんではないかと思います。今御指摘のように、高速道路等の整備にもよるかと思いますが、マイカー等がふえてきているということでございまして、すべてのユーザーにわかりやすい道路標識というようなことに努めているところでございます。外国人観光客などにもわかりやすいものとなるよう、標識令においてローマ字併記を基本とすることとしており、観光地を案内する標識につきましても、ローマ字併記を積極的に推進しているところでございます。

 さらに、観光地までの車による移動の際でございますが、地名表示のみではあいまいでわかりにくいという御指摘をいただいておりまして、路線番号による表記もあわせて推進をさせていただいているところでございます。都道府県道以上が交差する主要な交差点を、平成十九年度末に、今言った路線番号標示というようなことで概成をさせていただきたいというようなことで鋭意推進をさせていただいております。

 また、車でなくて歩行者のための地図を用いた案内標識につきましても推進に心がけているところでございまして、例えば中国語やハングル語などのその他の外国語につきましても、歩行者用の地図を用いる案内標識ということで、絵文字、ピクトグラムの活用を図るなど、わかりやすい標識の整備に努めているところでございます。

河本委員 ハングルとかこういうお話もございましたが、総合観光政策審議官、質問しますよ。

 一千万人を達成しよう、こういうことであると、やはりアジアやアメリカからの観光客を誘致するだけでなくて、これからはラテン国家が世界を席巻していく勢いであります。そういうところの人たちを呼び集めるためにも、九カ国語の勉強をせないかぬという通訳業らしいんですけれども、ぜひそういうラテンの方にも目を向けていただければなと思いますが、どうですか。

鷲頭政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、いわゆるラテン言語に該当しますフランス語、スペイン語、イタリア語、ポルトガル語の分野の通訳ガイドは合計で一千八十三名おられます。今後は、ビジット・ジャパン・キャンペーンのさらなる推進などを通じましてラテン諸国からの旅行者数の増加というものが想定されますので、今般の法改正におきましては、通訳ガイドの参入規制の緩和とか、試験問題の内容、レベルの適正化、さらには、地域限定通訳ガイド制度の創設といった措置を通じて、通訳ガイドの数が不足する言語の分野を含めて、試験合格者を増加させ、通訳ガイドの数の増加とサービス内容の多様化、適正化を図っていくこととしております。こういうような措置を通じまして、ラテン言語の分野においても、通訳ガイドの効率的な育成確保が図られるような環境整備を図ってまいりたいと思っております。

河本委員 大臣、中国のビザについて随分差別があると聞いております。もう時間がありませんのできょうはやめますけれども、大臣の趣旨はよく僕はわかっていますので、そういうことが背景になっていろいろ問題になっているのかもしれません。これだけじゃよくわからぬと思いますけれども、また時間があったらゆっくりと話していただきましょう。

 終わります。

橘委員長 樽井良和君。

樽井委員 民主党の樽井良和です。

 通訳案内業法及び外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案、引き続き質問してまいります。

 二〇一〇年までに訪日外国人の旅客を一千万人にする、こういった政府の目標を掲げているわけですけれども、一千万といいましても、これは二〇〇二年度のデータなんですが、スイスでもう一千万で何と十九位ですから、別にそれほど大した観光客の増加だというふうに思っておりません。むしろ、今までの方がそういったところに無関心過ぎたんじゃないかというふうに思います。

 観光先進国でありますフランスでありますとか、イギリスやあるいはシンガポール、こういったところは、早くから観光が持つ経済的な重要性を十分に認識して、政府が先頭に立って、外国人をどうやったら誘致に持ち込めるかということを真剣に取り組んできたわけです。

 そんな中で、小泉総理がビジット・ジャパン・キャンペーンということで立ち上げてきたわけですけれども、実際には、スローガンはいろいろ抽象的なものをたくさん掲げております。住んでよし、訪れてよしの国づくりであるとか、日本の魅力を高めるためにはどうしようということを、漠然としたスローガン、そして、先ほども言いましたように、ある程度の数字は掲げているんですが、本当だったら総理に聞きたいのですけれども、大臣にまずお伺いいたします。このビジット・ジャパンに掲げた数値やスローガン、これは実現するための具体的なビジョンや施策、こんなことをしようと思う、あんなところにこんなことをするというような、そういった具体的な案はあるんでしょうか。

北側国務大臣 二〇一〇年に一千万人の訪日外国人のお客様を日本にお迎えする、これが目標で取り組んでいるところでございます。昨年は六百十四万人、これまでで最高の外国人の方がいらっしゃいました。ことしは、まず七百万人をぜひ達成したいと思っているところでございます。

 愛知万博も今開かれております。愛知万博にできるだけ多くの外国人に来ていただいて、それだけではなくて、愛知からさらに日本の各地方にも行っていただける、中部国際空港は開港になりましたが、地方空港とのアクセスは非常にいい空港でございますので、そういうメリットをしっかり活用いたしまして、そして商品もぜひつくってもらいたいということで、今そういった商品も現実にたくさんできているところでございます。

 この法案につきましては、観光立国の推進を目指して提案をさせていただいておるわけでございますが、一つは、外国人の方々が日本に来たときに、さまざまな障害、不都合、そういうものができるだけないような日本でなければいけないと思うわけでございます。

 一番大きいのは、やはり言葉の問題でございます。通訳案内士という資格がこれまでなかったわけです。新たに今回の法案でそういう資格を創設させていただく。さらには、地域版の通訳案内士についても創設をする。外国人の方々が言葉で不自由しないように、そして日本の魅力を知っていただく、そういうふうな環境にしよう。

 また、先ほどもお話ございました、これは交通事業者の方々に御協力をいただかないといけないわけでございますが、いろいろな表示板、それは日本語だけではなくて英語それから韓国語それから中国語、この四つは私はやはりぜひそろえていただくというふうな、外国人向けの案内表示の実施についてしっかりと充実をしていく。

 さらには、やはり魅力ある観光地というものをつくっていく必要があるわけでございます。今、全国、本当にあちこちで地域の再生を目指して、観光ということを手段にして地域の再生をやろうという取り組みをしているところがたくさんあるわけでございます。それも、市町村と地元の民間の方々が一緒になってさまざまな創意工夫をされておられます。そうした取り組みを国としてもしっかり支援をさせていただきたいと思っているところでございます。

樽井委員 確かに、観光案内という面で、特に言語の面では今まで不十分であったということですので、この法律自体は私、非常にいいことだと思っております。ただ、例えばピラミッドがないエジプトに案内がいてどうするんだ、魅力がある日本をもうちょっと言うんだというんですけれども、魅力がないからこんなに人が来ていないわけです。

 魅力があるためには、何か大きな観光資源というもの、具体的なものを、例えばカジノをつくるであるとかファミリーエンターテインメントのとんでもない、世界が見たらサプライズするような施設をつくるであるとか、そういったことをしていかないと、訳すところ、案内は充実しても、案内すべき場所が充実していないといった状態になるわけですから、今、日本というのは観光ではもう三兆円赤字になっております。今後、こういった収益、二〇二〇年には全世界で実に十六億人もの外国旅行者が予測される、そんな中で、多くの国が誘致合戦をしている、アジアから日本への旅行者が増加しようとしている中で、観光資源をもっと充実していかなければ集客のチャンスをこのまま失うんじゃないか。

 先ほどリピーターと言いましたけれども、幾ら案内がよくても、行った先がしようもなかったらどうしようもないわけですから、そういったところをもうちょっと力を入れて、日本もエンターテインメントあるいは観光立国という面でも力を入れてほしい。そのことを強く訴えておきます。

 それで、このたび、外国人受け入れ環境整備のための具体的施策検討懇談会の通訳案内業の在り方検討分科会の委員名簿を見ますと、外国人を受け入れたときにどういうふうな通訳のあり方というものを考える委員会が、全員日本人なんですね。これはやはり、外国から日本に旅行に来た方がこういう面で不便だったという意見であるとか、例えば中国とかイギリスとかの添乗員の方とかからきちんと意見を聞かなければわからないじゃないか、こういうふうに思うわけですが、その辺についてはいかがでしょうか。

鷲頭政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生おっしゃられました通訳案内業の在り方検討分科会というものは、その上位の機関である外客受入環境整備のための具体的施策検討懇談会というところでちょっと幅広く議論していたわけですが、その中で、各委員から、通訳案内業制度のあり方について専門的見地から集中的に議論を行うべきであるという指摘を受けて設置された分科会でございます。

 ということで、この分科会の重点というのは、通訳ガイドサービスの具体的な内容を議論するということではなく、通訳案内業法などの制度のあり方を議論することに置かれておりましたために、委員構成につきましても、最大の利害関係者であります通訳ガイド団体の代表者のほか、通訳ガイドサービスの流通を支える旅行業者、地方公共団体、独立行政法人の国際観光振興機構の代表者を選定したところでございます。

 ただ、この中で、先生今おっしゃられました外国人旅行者の具体的なニーズというものにつきましても、事務局であります国土交通省においてアンケート調査などにより把握をしておりますし、分科会の上位機関でございます、先ほど申し上げました具体的施策検討懇談会の中には外国人の委員もおられますので、そういう方の御意見も聴取しているところでございます。

樽井委員 外国人の委員もおられるということですけれども、たしか一人だけだったと思います。これは、外国人が日本に来てどれだけ不便を感じているか、それを解消してあげようというもとでの法律ですから、それを考える上で日本人ばかりが考えても、不便とかそういったものはなかなか出てこないと思うんですね。やはりこういった制度をつくる上では、実際に日本に旅行に来た方から、どうでしたかという感想も含めて聞きながら改善していくのが筋じゃないかと思います。

 そういったことはきちんと取り組まなければ、何か学識経験者ばかり並べていたら快適な、すぐれた日本の観光ができるのかといえば、やはりそうじゃない。いろいろな楽しい国に出かけていって遊んで帰ってきた方であるとか、そういった実際に旅行を重ねている外国人の方から広く意見を聴取して、その中でこの法律をつくっていく。今後、そういったところからこの施行後もきちんと意見をとりながら対応していただきたい、その辺は強く訴えておきます。

 それで、現在の通訳案内業の免許保有者を言語別に見てみると、英語がほとんどなんです。英語が全体の六八・六%を占める。そして、最も今増加しているのはアジア諸国からの観光客なんですね。今問題になっております中国、これは九・〇%、朝鮮語四・五%という、非常に少数しか通訳案内者がいないわけです。

 こういった中で、こういったアジアの通訳ガイドをふやす必要性は当然あると考えるんですが、そういったことへの対応、対策はしているんでしょうか。

鷲頭政府参考人 御指摘のとおり、中国、台湾、韓国からの旅行者というのは近年急激に増加しておりまして、この分野での通訳ガイドサービスに対するニーズが潜在的に高まっておる中で、今先生おっしゃられたとおり、中国語、韓国語の分野の通訳ガイドの絶対数が不足している状況にございます。

 例えば、平成十六年の訪日外国人旅行者の実績に基づきますと、中国語圏からの来訪者は百七十万人であるのに対して、中国語分野の通訳ガイドは八百四十人、それから、韓国からの来訪者は百六十万人であるのに対して、韓国語分野の通訳ガイドは四百二十人と大変少ないわけでございます。

 このために、今回の改正におきまして、通訳ガイドの参入規制の緩和とか試験問題の内容、レベルの適正化、さらには地域限定の通訳ガイド制度の創設といった措置を盛り込ませていただきまして、通訳ガイドの数が不足している言語を含めて、試験合格者を増加させて、通訳ガイドの数の増加を図っていくということにしております。

 さらに、この資格につきましては国籍要件を定めておりませんので、例えば在日の中国人、韓国人の方とか、あるいは日本で勉強する中国、韓国からの留学生などにも積極的にこの資格を取っていただいて、その活用の拡大を図っていきたいと考えております。

樽井委員 こんな時期だから言いますけれども、今反日デモが起こっている中国、私、去年視察に行ってまいりました。いろいろな意見を、ぶっちゃけたことを言おうじゃないかということで話しますと、割と考え方とか文化が違うんですね。日本ですと、亡くなられた方というのはきちんと敬い、そして先祖様を祭る、そういった習慣があるんです。そういう文化なんです。ところが、中国とかですと、政治的な犯罪者であれば、亡くなった後も一発けりでも入れてやろうかというような、そういう文化なわけです。

 そんな中で靖国神社に参拝に行けば、例えば私はもろに言われました。君は、ヒトラーやムソリーニを祭り上げた例えばドイツとかイタリア、こういったものを想像してみろと。そういうふうにとらえているわけですね。ところが、そんなことを言っている人ですら、日本に旅行に来た人あるいは修学旅行に来た人は、いや、全然違うじゃないか、日本人というのはすばらしいじゃないかとか、私見てきたけれども感動したよと言って帰ってくるんです。今まで聞いてきたような日本人の情報とか国に対する観念が変わったと言うんです。

 ですから、もっと観光で行き来する、日本を見ていただく、そういうことを繰り返せばもっと誤解が解けて、いろいろな意味で交流が活発になれば、さらにアジアの中での日本の、日本というものはこういうものだという、文化的なことから何から全部理解されるわけですから、アジアの方、ぜひ来てください、ビジット・ジャパン・キャンペーンでは、中国語あるいは朝鮮語の通訳ができる方はぜひ資格を取ってくださいと、もうちょっとアピールしていただきたいと思います。その辺も訴えておきます。

 そして、料金なんですが、一日当たり通訳料二万五千円から三万五千円、その他の交通費とか宿泊費などはまた付加して支給しなければならないということなんですね。実際に、中国でいろいろな方を雇っている企業とかに聞きますと、大体五千円から一万円ぐらい、八千円ぐらいで、それも月給なわけですから、そういった感覚で日本に来て、例えば経営者の人が月給の五、六倍ぐらいのお金を一日にこの方に払って通訳してもらおう、そういうイメージがわくのかどうか、その支払うときの感覚というのはどうなんだろうかと思うんですが、その辺の認識の方をお伺いいたします。

鷲頭政府参考人 御指摘のとおり、通訳ガイドの料金は、そういう多分二万五千円とか三万五千円というレベルでございまして、特に中国、韓国などアジア諸国から来られた旅行者、とりわけ個人で来ておられる方にとっては決して負担が軽くないというふうに私ども考えております。

 今回の法改正で、先ほども申し上げましたような規制緩和だとか試験の適正化といった措置を講じることによってガイドの数がふえていく、料金面も含めたサービス内容が多様化していくということによって適正化されていくのではないかというふうに考えておりますのと、もう一つまた、都道府県が地域限定通訳ガイド制度というものを導入できることになっておりますが、特定の観光地において、比較的低廉な料金で、都道府県の観光地ですから一日単位ではなくて数時間という短い時間で、当該地域の観光の魅力に関する詳しい案内を提供する通訳ガイドの確保というものが可能になっております。

 さらに、私ども、通訳ガイド団体、旅行業者、地方公共団体などの関係者とも連携して通訳ガイド市場の活性化を図っていこうというふうに思っておりまして、通訳ガイドサービスを受けたい外国人旅行者とサービスを提供したい人との間のマッチングが円滑に進むような仕組みをつくっていきたいというふうに考えておりますので、これらの措置によりまして、中国、韓国からの旅行者の皆さんがそのニーズに応じた通訳ガイドサービスが受けられるということになると考えております。

樽井委員 アジアの方から見たら、金持ちの団体旅行の中でのそれだけの金額という部分でしたらさほどの負担にはならないと思いますが、少人数で来て一日三万五千円払おうとかいうことになりますと、向こうの金銭感覚からしたら、ちょっと重いな、そんなのだったらもうちょっと料理を豪華にして通訳は間に合わせでやろうというようなイメージになるんじゃないかと思うんです。

 実際に、日本語を話すことができる外国の添乗員の方が付き添ってきてそのまま通訳をすることというのは当然あると思いますし、ちょっとあわせて聞きますけれども、善意の通訳組織の活動、こういうのも実際にありますし、その位置づけも聞きたいです。

 そして、例えば帰国子女とかで、ガイドできるぐらいの語学力を持った方がいましたら、ちょっと頼むよというのを友達だったら平気で頼んで、一日ガイドしてもらって少しぐらいお礼をもらうというような、そういったケースもあると思うんですが、この辺については所見の方、いかがでしょうか。

鷲頭政府参考人 中国、台湾、韓国等からの訪日ツアーにつきましては、団体による周遊型の旅行形態が比較的多いということから、本国から添乗員がツアー客に同行して、我が国滞在中にスケジュール管理などを行っているケースというのが多いと承知しております。

 通訳ガイド団体の調査によりますと、このようなツアーにおいて、同行している外国の添乗員が通訳案内業法に基づく資格を有しないまま通訳ガイドサービスを提供しているケースがあるというふうに聞いております。

 今回、国土交通省におきましては、制度の見直しを機に、中国、韓国等、外国の旅行業者や外国人添乗員に対しまして、我が国の通訳ガイド制度について十分な周知を図ってまいりたいと考えております。また、我が国で通訳ガイド行為を行うことを希望する外国人添乗員に対しましては、我が国の通訳ガイド制度は国籍要件がありませんので、本資格を取ってくださいというふうに促していくということをしたいと思っております。

 それから、善意通訳でございますが、今、平成十七年三月末現在で、約四千二百人の方々が、全国で八十五の善意通訳組織と呼ばれております任意団体を結成して、無償で通訳ガイドサービスを提供しております。

 それで、ここで通訳案内業法の適用の対象となりますのは、報酬を得て通訳案内を業として行う行為であるというふうにされておりますので、今お話がございました留学帰りの帰国子女などの方が善意通訳組織に加入して通訳ガイドを行うという行為は、通訳案内業法の適用はないと考えられます。ただし、通訳案内をした対価としてお礼を受け取って、それを反復継続して業として行うような場合には、同法に基づく資格を有しない場合には違法行為になり得ると考えます。

樽井委員 実際に、例えばそういったケースもあると思いますが、この通訳ガイドというものの職業自体、認識されているのかどうか。

 これは、例えばアメリカや韓国あるいは中国から日本に訪れてこられたときに、これはどういう方法でこのガイドに依頼するのかとか、例えばそういった部分、具体的に、例えば普通にグループ旅行をしたりして、こういった存在自体を何で見つけて、どういうふうな交渉をして、そういうことを利用するのかということを、ちょっと具体的に教えてほしいんですが。

鷲頭政府参考人 通訳ガイドの提供するサービスにつきましては、普通は、通訳ガイド団体が中心となってホームページをつくっておりまして、こういうものを通じて周知を図ってきておりますが、関係者によりますと、外国の旅行業者とか外国人の旅行者の間における認知度というのは決して高いものではないというふうに承知しております。

 そのために、外国人旅行者が直接に通訳ガイドに依頼するケースというのは多くなくて、通常は、最初から団体型のパッケージ旅行の中にガイドが組み込まれているというようなケースがほとんどのようでございます。ただ、最近では、我が国に来た後、旅行業者とかガイド団体に依頼をして手配してもらっているケースというものもふえつつあると聞いております。

 こういう状況でございますので、ことし、今回の制度改正を機に、通訳ガイドの活用の促進を図るためというか、通訳ガイドの認知度を向上するために施策を講じることとしておりまして、具体的には、まず一つは、通訳ガイドサービスの魅力とか通訳ガイド制度の概要をまとめましたリーフレットを関係者の協力を得て内外の旅行業者や外国人旅行者に配布したり、あるいは周知のための集中キャンペーンというのを五月に実施しようとしております。

 それからまた、これとあわせて、外国人旅行者にとっても使いやすい紹介システムというものの整備を図っていきたいと考えておりまして、このため、通訳ガイド団体、旅行会社、地方自治体などから成る通訳ガイド市場活性化連絡会議というものをこの三月に設置いたしまして、具体的方策について検討を行っているところでございます。

樽井委員 どのような制度ができたからといって、それを利用するためにアクセスできなければ全然意味がないわけですから、周知徹底の方をお願いいたします。

 それで、これは地域限定ガイドとかいうのがありますけれども、地域限定にする意味ですね。これは普通に資料さえ読めば、別に全体的に可能なんじゃないかというふうに思うんです。

 それと、ガイドの中にも例えば等級みたいなのがあって、あのガイドはそれはそれはすばらしいけれども、このガイドはちょっと見習いであるというような、そういうようなのを選ぶときには基準があるか、また、選ぶときにもそれを選べるのかどうか。その辺ちょっと教えていただきたいんですが。

鷲頭政府参考人 今回、新たに導入いたします地域限定通訳ガイド制度というのは、都道府県の区域をまたぐ広域的な周遊型ツアーにも対応可能な全国版の通訳ガイドとは異なりまして、地域固有の観光の魅力についての通訳案内に対するニーズの高まりに応じて設けられる、いわば地域の語り部といったようなガイドを育成確保することを目的として導入する制度でございます。

 そういうことでございますので、この地域限定ガイドには、語学能力に加えて、その地域の歴史とか地理、文化に関する深い知識を有していることが期待されまして、行われる試験に合格することを要件としております。

 この試験を実施するのは、地域の観光の主体でございます都道府県知事が行うことにしておりますので、この資格の効力というのは当該都道府県の区域に限定されることになります。

 その方が他の都道府県の区域で通訳案内を行う場合には、また他の都道府県の試験を受けていただく必要がございますが、ただし、観光地が複数の都道府県にまたがるような場合もございますので、そういうときには受験者の負担の軽減を図る観点から、複数の都道府県が連名で一本の試験を行うことができるように運用を工夫してまいりたいと考えております。

 それから、格付についてでございますが、現在は、通訳ガイド団体内部で紹介業務の便宜上、格付が行われていると聞いておりますが、対外的には情報提供は行われておりません。

 格付につきましては、通訳ガイド個人の評価にすごく直結をいたしますので、評価の適正の確保だとか、あるいはいろいろな利害得失があるものですから、解決すべき問題が多々ございます。そういう中で、そういう資格についても私ども考えてまいりたいというふうに考えております。

樽井委員 先ほど二万五千円から三万と言いましたけれども、格付があれば、例えば、まず、見習いなので一万円でいいですという方から、本当にすばらしいのでこの方は一日十五万円ですというような、そんな方もいていいんだと思います。そういうふうなことでも、ある程度選択するシステムといいますか、そういったものをある程度つくっていった方がおもしろいと思います。

 地域の語り部、これはだれが地域の語り部を育てているのか、ちょっとわからないのですが、非常におもしろい、愛される語り部を育てていただければ、日本のイメージが上がると思いますので、ぜひその辺も力を入れていただきたいと思います。

 それで、外国人旅行者が普通、スムーズに目的地に到達するために、乗車券を購入して、乗車して、下車して、乗りかえて、目的の観光地までに行くというその行為。現場まで行ければ大概のことはできるわけですから、その行くまでにちょっといろいろ、どうしたらいいのという不安が残るわけですけれども、先ほどからも言っていますように、そういったことへの内容とか案内、こういったものには国を挙げての統一基準というものが要るんじゃないかと思いますが、その辺は基準とかはあるんでしょうか。

    〔委員長退席、山口(泰)委員長代理着席〕

鷲頭政府参考人 観光立国行動計画という観光関係閣僚会議において決定された行動計画がございまして、その中でも、「外国人が一人歩きできる環境整備」というのが重要な課題と位置づけられておりまして、外国人が利用します公共交通機関には、さまざまな場面で外国の方が迷わないように、外国語の表記とか、あるいはピクトグラムによる案内表示が適切に実施されていくことが必要であると考えております。

 それからまた、観光案内所などにつきましては、全国に国際観光振興機構におきましてi案内所というのを百二十一カ所指定しておりますが、これはマークを統一しまして、クエスチョンマークを建物の上に掲げまして、そこに行けば案内所だよというふうなことがわかるような工夫をしております。

 それからまた、公共交通機関におきまして、一部の公共交通機関は大変先進的な取り組みを進めているという事例もございますが、また別の公共交通機関は違う表現ぶりとなっているとか、そういうようなばらつきというのも現に見られております。こういうこともございますので、今回の法律では、公共交通機関における外国人向けの案内表示などの情報提供に関する統一的な基準というものを国土交通大臣が定めることとしておりまして、事業者におきましても、この案内表示の計画的な整備を促進する制度というものを導入することとしております。

 さらに、全国の観光地でわかりやすい案内標識の整備を推進するために、外国語などの表記方法のルール化や配置計画等に関する事項につきまして、観光活性化標識ガイドラインとして取りまとめようと、現在、私どもの国土交通省の中で、有識者から成る検討会で検討を進めているところでございます。

樽井委員 iボックスですかね、あのはてなマークの。そういったものも、例えば各駅に、電話ボックスみたいな形式でもいいんだけれども、例えばネットでつながっていて、駅すぱあとみたいに、どこからどこまで行きたい、自分の国を選べばちゃんとプリントアウトして出してくれるようなシステム、それも先ほどおっしゃられたように、同じ色で、同じマークで各駅にある、その情報は、例えば日本を訪れる前に自分の国からもとることができる、こういったシステムをつくっていただきたいと思います。そういったことによって、日本に行っても安心だとか、どこか行く部分では困らない、そういったことでさらに観光客がふえると思いますので、その辺の統一基準、各地域地域でばらばらでしたらさっぱりわかりませんので、ぜひ統一をしていただきたいと強く訴えておきます。

 それで、これは大臣にお伺いします。

 ICタグを利用した観光ガイドシステムの実証実験というのがスタートいたしました。これは、大臣自体が浅草観光で実際に試してみられたということなんですが、各店とかあるいは名所に近づけば、端末を持って行けば、音声とか動画でその関連された情報が表示されるような仕組みになっているという、ユビキタス・ネットワーキング研究所が実施している、それで観光ガイドシステム推進委員会と国土交通省が地元の協力やそういったものでやっているということなんですが、こういった新しい機械あるいは情報端末を使ったシステム、あるいはITの積極的な導入についてお伺いいたします。

北側国務大臣 このユビキタスという技術は本当にすばらしい技術だというふうに思います。東京大学の坂村先生という方がこの世界では第一人者なんですけれども、坂村先生が、本当にこのユビキタス技術を活用して、さまざまな取り組みを今していただいているところでございます。

 それで、観光にも活用しようということで、先般、今委員の方から御紹介がございました、浅草で今モデル実験をやっております。端末機をICチップにくっつけますと、そこの観光案内が出てくるんですね。言葉でしゃべられるわけでございますが、その言葉が、日本語とそれから英語と韓国語と中国語と選べるわけでございます。私も実際にやらせていただきましたけれども、浅草には仲見世がございますでしょう。仲見世の一軒一軒にICタグが設置してございまして、それにくっつけますと、この店の名物は何ですということを教えてくれるわけですね。

 そうしたことをやっておるわけでございますが、これは実際、外国人の方々に使っていただきました。非常に好評でございまして、この浅草でのモデル実験、いろいろな御意見をちょうだいいたしまして、ぜひこれを全国の観光地で活用できるようにする大切なモデル実験とさせていただきたいというふうに思っているところでございます。これは浅草だけではなくて、今既に島根県の津和野とか、それから愛知万博会場でもこの五月からモデル実験をさせていただこうということで、ぜひ実用化に向けて取り組みをさせていただきたいと思っております。

 これはIT技術の一つの例でございますが、これだけではなくて、ITを活用して観光立国に向けてさまざまな取り組み、特に外国人の方々ができるだけ障害、不都合を感じないようにするためのさまざまな取り組みができるのではないかと思いますので、しっかり取り組みをさせていただきたいと思っております。

樽井委員 そうですね。日本は、言ってみれば、そういったITの技術もすばらしいんだということを海外にアピールすることもできますし、さらには、携帯電話であるとかあるいはナビゲーションもついているような、そういったシステム、新しい技術をどんどん導入して、さらにクールなイメージで観光できる国だということを実現していただきたい。その辺は、技術立国として国を挙げて取り組んでいただきたいと思います。

 それで、観光地の開発をする人、人材の育成とかはどういったカリキュラムでなされているのか。まあ、割と能力がある方が開発していけばおもしろい資源がどんどんできるんですが、実際にはどういうふうに人材の育成をしたりあるいは発掘をしているのかという面についてお尋ねいたします。

鷲頭政府参考人 観光につきましては人材の育成が極めて重要でございまして、そういう意味では、観光に対する意識が随分、世間の目というものが集まっておりますので、高等教育機関、大学等におきましても、観光関連学科の設置というものが近年増加しております。平成十六年度には、三大学が観光関連学部を、二十大学が観光関連学科を設置しておりましたが、本年度はさらに、国立大学としては初めて山口大学と琉球大学に観光関連学科が設置されるなど、新たに三つの大学で観光関連学科が設置されております。

 そのカリキュラムでございますが、基本的なものとしましては、観光産業に必要な経営学とか語学などの基本的な知識に加えまして、観光の魅力を考える観光資源論とか、観光のシナリオづくりを考えます観光計画論などが設定されておりまして、さらには、観光文化論とかエコツーリズムに関する実践的な講義なども盛り込まれております。

 以上が高等教育機関での取り組みでございますが、また一方で、地域の観光の魅力、おもしろさを掘り起こすということのできる人材を育成することも観光立国の実現には重要でございまして、このため、観光の分野で成功をおさめた、もう既に成功をした方を百人、観光カリスマということで、私ども顕彰させていただいておりまして、そういう方が、自分のいるところで、各地で観光カリスマ塾というものを開催しまして、そのカリスマの方が成功したいろいろな体験などを講義するというような取り組みをしております。

 さらには、新たに創設いたしました観光ルネサンス事業におきましても、地域の人材育成事業に対して支援をすることとしておりまして、こういうことによりまして、観光産業を支える人材の育成に努めてまいりたいと考えております。

    〔山口(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

樽井委員 高等教育で観光計画論とかあるいは文化論とか習って、いかにもおもしろいものができるというイメージは余りないんですよね。実際に、先ほどもおっしゃったように、観光カリスマという方がいらっしゃるのならば、そういった方をぜひ政府にも入れて、積極的にこういった部分には取り組んでいくべきだと思います。後で言いますが、観光資源の開発こそが命だと思っていますので、その辺に力を入れていただけたらと思います。

 それで、地域観光振興計画について、民間団体は作成や変更の提案ができると言われているんですが、市町村が必要と判断しなければ地域観光振興計画の作成、変更は行われない。そういった中で、民間の意欲がそがれないようにするためには、市町村がその必要性、どうするかということを判断するに当たっては、さっき言われたような観光カリスマなどの意見も考慮して参考にすべきだと思うんですが、その辺のところはどのように認識されておりますでしょうか。

鷲頭政府参考人 今回の法律改正の主眼の一つは、民間の知恵を最大限生かした地域の観光振興を促進することでございます。

 その観点から、市町村が作成主体であって、当該地域の観光振興ビジョンである地域観光振興計画について、民間組織が素案を添えてその作成や変更について具体的な提案ができる規定を設けることとしております。これによりまして、市町村が計画案をみずから作成できない場合であっても、民間からの具体的な計画案が提示されることによりまして地域の観光振興が進んでいくということが期待されるわけでございます。

 加えて、先生御指摘のとおり、市町村が地域観光振興計画の作成、変更の必要性を判断する際に、その判断材料の蓄積が十分ではないといったような場合も考えられますので、民間の専門家の意見を聞くということは大変有効な手段だと考えられます。それぞれの市町村の事情に応じて民間の専門家の活用も検討していただくように、市町村に対して周知してまいりたいというふうに考えております。

樽井委員 どうも、エンターテインメントとか観光という分野に関して、余り役所がやっておもしろいものができそうな気がしないんですね。その辺は、やはり第三者の意見というものをもうちょっと取り入れて、ちょっと斬新かなと思うぐらいのことを実行していくような心構えも必要なんだと思います。その辺の部分も、ぜひこの実行の部分では考慮に入れていただきたいと思います。

 それと、これはちょっと苦言といいますか何といいますか、観光協会、ここには天下りの方がたくさんいらっしゃいます。国土交通省出身の方も二十六名中十四人いらっしゃいますね。そして、第三者的な機関である、公的なお金を使う機関でありながら、一部の政党とかあるいは一部の団体に偏って活動分野がいっていないかということなんですが、その辺の部分の認識はいかがでしょう。

鷲頭政府参考人 観光協会についてお尋ねがございましたが、現在、全国法人である社団法人日本観光協会のほかにも、各地域に観光連盟、観光協会などの地方法人が全国に三百以上設立されております。それで、一般的な観光協会の定款というものを見ますと、設立目的というのは、当該地域における観光事業の健全な振興を通じて地方産業及び文化の発展と社会、公共の福祉増進に資するとともに、国際観光を通じ国際交流及び国際親善に寄与することなどを目的としておりまして、具体的には、観光案内所や特産品売店などの観光施設の運営とか、イベント開催や観光客誘致キャンペーンの実施などを実施しております。

 今先生、こういう団体でありながら特定の政党にというお話でございましたが、今回の法律で、補助金を観光協会等の公益法人に出す場合には、その認定に当たりまして当該法人の行う事業が適正な手続のもとで公正中立に実施されるものであるということをその認定の要件にしようとしておりますので、こういう形によって透明でかつ公正な事業が実施されることを確保していきたいと考えております。

樽井委員 ぜひ、人員においてもあるいは活動内容においても、公平公正な第三者機関であって観光事業のさらなる振興に尽力する、そういった立場を守っていただき、今後とも活躍していただきたいと思います。

 そして、もう時間ですので最後の質問にしますけれども、では、ちょっと大臣に最後、意気込みとして聞きますが、例えば今の日本の観光あるいは景観にしても、サプライズが足らないと思うんですね。だれもびっくりしない。どこにでもありそうな普通のものがどこにでもあるように置かれているという、そんな状態であると思っております。一々ちょっと手ぬるいし、一々おもしろくないというようなイメージを私は抱いておりますし、これはクール・ジャパンという新しい構想を立ち上げて変えていかなければならないんじゃないか、私の方はそういう意見を持っております。

 普通にお金を人が出すというシーンを考えますと、この間、例えば妻を園遊会に連れていったりしますと、ああいったすばらしい庭に行くんだからきちっと着物を着てちょっと扇子も高いものを買おうかとか、そういったことになって、ちょっと景気的にも効果があるわけです。

 どこに行くにもジャージーを着て行くような場所ばかりあっても余り効果がない。やはり、こんなすてきな場所はないぞというような場所をつくったり、そういうことが必要なんだと思うんですが、そういった観光資源の開発における意気込みとか、そういったものをつくるときにどういったことをやろうと思われるか。また、やらないのならやらないで、その辺の見解、所見の方を最後にお伺いいたします。

北側国務大臣 サプライズも必要だと思いますが、外国人の方から見て、我々日本人が当たり前のように思っていることに結構サプライズを覚える方々もいらっしゃるんですね。我々日本人自身が我々日本の魅力を知っていない部分が結構あるんじゃないかと私は思うんですね。

 先ほど委員もちょっとおっしゃっていました、観光というのは光を観ると書くんですけれども、それはその国だとか地域の文化、歴史、伝統また風土、そういうものを見る、知るということだと私は思うんですね。それは、観光客から見ると、他の地域に行ってそういう文化に触れる、その地域また国のことをよく知る、理解をするということは非常に意義があります。

 とともに、私、もう一つ非常に大事な意味があるなと思いますのは、逆に観光を手段として地域再生をしよう、観光というものに力を入れていこうとする地域の姿を見てみますと、その地域の方々が、自分たちが今まで余り感じていなかった本当はすばらしい財産、魅力というものが我が地域に、我が国にあるにもかかわらず、それに対してしっかり磨きをかけてこなかった。そういう観光振興を通じて自分の地域の歴史とか文化に対して知り、そして愛着を持つようになる、それは非常に郷土愛だとか愛国心だとかいうことにつながってくると私は思うんですけれども、観光を通じて自分たちのことを知る非常に大きなきっかけに結構なってくるのではないか、そういう大きな意義もあるのではないかと思っています。

 また、経済面でも非常に大きな効果があるんですが、特に雇用面でこの観光振興というのは非常に大きな効果がある。観光の受け皿というのは非常に幅広いわけですね。男女を問わず、また年齢差を問わず、さらには学歴のあるなしも余り問いません。また、観光の中にもいろいろな分野がございます。そういう意味では、雇用としても非常に大きな、これから期待できる受け皿でもございます。

 そういう意味で、観光振興というのは、確かに大きな、USJだとかディズニーランドとか、そういうのも大事ですけれども、一方で、地域地域のそういう魅力を掘り起こしていく、魅力を磨いていくということも非常に大事な取り組みではないのかというふうに思っているところでございます。

樽井委員 文化を磨いてそれを認識してもらう、それも非常に大事だと思いますが、三兆円赤字だというのが現状です。実際に、きれいな景色を見てきれいだと言っても、お金をそこに投げるわけじゃない。やはり、地域の振興をするためには、それなりの経済効果を持ったものも考えていくことも、もちろん大臣が言われたことも大事ですが、つけ加えて新たにやっていただけたらと思います。

 時間ですので、これで質問を終わります。

橘委員長 松崎哲久君。

松崎(哲)委員 政権準備党、民主党の松崎哲久でございます。

 ただいま、民主党の樽井委員に対して北側大臣の方から御答弁があったんですが、実はお二方は同じ選挙区で選挙を戦われているという御関係だと思います。公開討論会を聞くかのような思いがいたしました。その意味で、北側大臣、御答弁が熱心で詳しかったのはよかったんですけれども、私の時間が侵食されておりますので、そのことにも御配慮をいただけたらと思います。

 本改正案の審議に関しまして、まず最初に、国土交通省の言語感覚というものを問いたいというふうに思っております。

 本当は国土交通に限らず行政全体の言語感覚ということなんですが、去年の五月十九日に、自動車関係手続のいわゆるワンストップ法案というのが審議がございました。その際に、私は、例えば国土交通白書等に横文字の非常にわけのわからない用語が多い、横文字がやたらに多いということを指摘させていただきまして、前の大臣に伺いますとほとんどわからない、こういう御答弁でございました。

 北側大臣にそのクイズみたいな質問はいたしませんので、聞いてだけいただければよろしいんですが、官公庁というのは、国民の生活や仕事に密接に関係する行政を扱っているということをよく考えていただいて、わかりにくさ、逆にわかりやすさというものに常に留意していただきたい、こういうふうに思うわけですね。

 そこで、本日のこの改正案なんですが、通訳案内業法はいいとしまして、及び外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する、こういうことですから、これは橘委員長が読み上げるのも大変かわいそうになるぐらい長ったらしいわけですね。

 これは、三十六条の読みかえ規定のところで外客来訪促進法、こういう略称を使っておられますが、実はこれも、意味はそういうことなのかと思いますが、このタイトルの、外客という外国人観光旅客、それから来訪地域の来訪、それから多様化の促進という意味で、それぞれの単語は出てきますけれども、外客と地域と促進の関係が実はこういう略し方じゃないわけですよね。ですから、この略称、これはよく後でお考えいただけばわかりますけれども、こういう略称というのは私はよくない、紛らわしいというふうに思っております。実は、国土交通省の官僚の方々は外客誘致法という略称をお使いになって、この方が実ははるかにわかりやすいわけですね。

 名は体をあらわすと申しますけれども、その名がわかりやすければ、法律になった場合の目的としているところの効果というものは上がってくるわけですよ。何が何だかわからない長ったらしい法案だと、これは人も言葉にも出しませんから、その目的の効果が上がらない、こういうことがあると思うんですね。ですから、そういう問題意識をぜひ役所の方々には、法案をつくる際にも、それから略称を考える際にも持っていただきたい、このように思っております。

 大臣への質問になりますけれども、本改正の目的というのは、ビジット・ジャパン・キャンペーン、これもいけないですね、英語ですから、横文字ですから。つまり外客誘致活動の一環だ、こういうふうに思っておりますけれども、このキャンペーン、先ほど、ことしは七百万を目標とするというお答えがありましたけれども、実際にどのような具体的効果が上がっているかということを大臣に伺いたいと思います。

北側国務大臣 観光立国ということを、小泉内閣になって観光立国担当大臣をつくりまして、これは石原大臣が最初でございますが、それから、二〇〇三年度から、今横文字はよくないとおっしゃいましたけれども、ビジット・ジャパン・キャンペーンという政策をとり始めました。

 二〇〇三年が五百二十一万外国のお客様がいらっしゃいましたが、昨年、二〇〇四年は六百十四万、過去最高でございました。ことしは、愛知万博も開催をしておりますので、七百万人という目標をぜひ達成したい、そして、二〇一〇年には一千万人を目標にしたいというのが現時点の私どもの数字としての目標でございます。

松崎(哲)委員 先ほど私、大臣への御質問の前に少し自分の意見を申しましたが、政府参考人の方からもし御意見をいただけるんでしたら、後ででもいただきたい。特に通告しておりませんので答弁は求めませんけれども、御意見があれば伺いたいとは思います。

 今の大臣の御答弁で、〇三年が五百二十一万人だったものが、〇四年、去年は六百十三万人になった、本年の目標は七百万人ということなんですが、この訪日外国人のベストファイブ、私も横文字を使ってしまいましたが、上位五カ国・地域をとりますと、韓国、台湾、アメリカ、中国、香港、こういう順番だというふうに聞いております。

 このうち、韓国は〇三年の百四十五万人が〇四年に百五十八万人ということで八・八%増、中国は四十四万人が六十一万人で実に三七・三%増、香港は二十六万人が三十万人で一五・四%増という伸び率を示しておるわけですね。

 昨今、韓国、中国、御案内のとおりに抗日、反日活動があるわけですね。これが激化しているのはもう我々目の当たりにしているわけです。昨年の全体一七・八%の伸び率があるんですが、同じような伸び率をことし、七百万人目標だということですが、一千万目標というのはその当時はよかったと思いますが、ことしのこの状況の中で来年というのは果たして目標達成できるのかどうかということについて、大臣、御所見をいただければと思います。

北側国務大臣 ことしですよね、二〇〇五年。

 今の中国で起こっている反日デモ等々、また竹島問題を通じての韓国での反日運動、私は、だからこそ、こうした隣国の日韓関係、また日中関係というのは極めて大事でございます。そういう意味で、こうした二国間関係について、やはり、中国も韓国も、そして私ども日本も努力をして良好な関係をつくっていかねばならない、今の状況は打開をしなければならないと思うんです。こうした状況を長く続かせてはならないわけでございまして、そういう意味で、しっかり政府としても努力をしなければならないというふうに私は考えているところでございます。

 こうした状況を早く打開して、また、先ほど来お話が出ておりますが、観光の大きな意義の一つは相互理解でございます。そういう意味でも、実際に日本と日本人というものをやはりじかに見ていただく、知っていただくということはますます重要であるわけでございまして、私は、そういう意味で、この七百万という目標につきましては、確かに今回のことがいい影響を及ぼしていないことは確かでございます、当面。しかし、この状況を早く打開して、多くの方々に日本に来ていただけるように、ぜひそういう環境、条件をしっかりと整えるように努力することがやはり政府の、また政治家の大きな仕事であるというふうに私は思っております。

松崎(哲)委員 今の日中韓の状況というのは、これは憂慮すべき事態であるということは私も認識は同じでございますし、私の申し上げました趣旨は、こういう状況になったのであるから、これまでの計画は計画として、微調整してでも、特に中国、韓国から観光客として来ていただければ、結果として日本に対する理解というのは深まるわけですから、先ほど、実は河本委員が、アジアばかりでなくてラテン地域もというお話がありましたけれども、実はそうではなくて、そうではなくてというか、こういう状況の中で、やはり上位五者の中に米国を除いてすべて東アジアの国というわけですから、そういう意味では、特にことしのこういう状況を踏まえて、まさにこの地域からの外客誘致というものが想定どおりに、あるいは想定以上に行われるように、格段のといいますか別段の御対策もお願いしたい、こういう趣旨で申し上げたことでございます。

 次の質問になりますが、基本的に本改正は、通訳案内士の問題、それから来訪地域の多様化、いろいろ対策があるわけですから、これは外国人旅行客にとっての日本観光の満足度を高めるというのが大きな目的だと思っております。その観点で、実は先ほど樽井委員の質問の中にボランティアについての質問があり、政府参考人から御答弁いただいたんですが、三十六条で、「通訳案内士でない者は、報酬を得て、通訳案内を業として行つてはならない。」こうあるわけですが、これは違反すると五十万円以下の罰金規定もついております。

 そこで、業とするのはどういうものかということについて少しお話しをいただきたい。短くて結構です。

鷲頭政府参考人 お答えいたします。

 「業として」とは、一般に、反復継続する意思を持って一定の行為を行うことと解されております。したがいまして、通訳案内業法においては、有償の通訳案内行為を知人や業務上の関係者である外国人等から個別に依頼を受けてその都度行うということであれば、それは反復継続になりませんけれども、反復継続する意思を持って有償の通訳案内行為を行った場合には罰則の適用がある、こういうことでございます。

松崎(哲)委員 その趣旨が、無資格ガイド、無資格者にガイドさせるということがガイドの質の低下、あるいは誤った知識、情報を外国人旅行客に与えてしまうということを防ぐという目的であれば、そういう規制があるというのは当然だと思いますが、逆に、低い方を見るだけじゃなくて高い方も見てみたい、こういうふうに考えまして、例えば、知識人とか文化人とかが報酬も得てというか、そういう人に報酬を払って、京都であれば京都の社寺をずっとめぐって案内をしてもらう、こういうようなことがあり得るし、企画として十分成り立ち得るんだと思うんですね。

 その場合に、第二条で、「外国人に付き添い、外国語を用いて、旅行に関する案内をする」ということがこの通訳案内士、それを無資格でやれば触れるということになると思いますが、例えば社寺について、その住職だとか神主さんが自分で自分のところを説明するのであれば、これは「旅行に関する」じゃないからいいわけだと思いますね。

 ただし、鎌倉だとか京都だとか、そういうところに造詣の深い知識人、文化人が同行して、しかも文化人、知識人ですから英語は堪能である、英語で直接しゃべれる、こういうことになって、当然その方に半日とか時間を拘束するんだから謝礼を差し上げて、さらには人気が高いということになれば、集客効果があるということであれば、それも反復してやっていただきたいと。これは、こういう形態を考えれば、外国人に対して質の高い旅行を提供するということの目的に合致していると思うんですね。ところが、これを厳格にこの法を適用すれば違法になってしまうおそれがあるんですが、いかがでしょうか。

鷲頭政府参考人 今先生おっしゃられましたとおり、反復継続して報酬を得て行う、業として行うということを業法では禁止しているわけでございますので、今おっしゃられた、一定の地域に造詣の深い知識人という方が通訳案内士の資格を持たないまま、英語がしゃべれるので旅行に関する案内を鎌倉なら鎌倉でやる、こういう場合には通訳案内士法における通訳案内に該当する可能性が高いわけでございまして、この方が外国人旅行者から直接に、あるいは旅行業者から報酬を得て行われているという場合には、通訳案内士法の三十六条に抵触するおそれがあるというふうに考えております。

松崎(哲)委員 それで、本来のこの法の目的を考えますと、質の高さ、無資格ガイドによって質が低くなる、あるいは誤った情報を与えてはいけない、こういうのを防止する目的、むしろ質の高い旅行を楽しんでいただくためのものにこれはなるわけですよね、そういう企画をしたとすれば。

 私が考えますには、質の高さを求める、与えるわけだから、多分、費用についてはそんなに余りぎりぎり詰めないということであれば、正規の資格を持った通訳案内士がその期間同行して、同行しているんだけれども実際に説明するのは文化人なりそういう方に、大学教授だとかにしていただく、こういうことであれば法本来の目的からして何も問題はないと思うので、こういうケース、正規の通訳案内士が同行しているということであればこれは法に触れないんですよというふうにぜひ運用していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。

鷲頭政府参考人 今先生おっしゃられましたとおり、知識人、高い知識を持っておられる方が一人で案内するのではなく、通訳案内士が同行している場合には、通訳案内に該当する旅行に関する案内を行っているのはこの有資格者でございまして、同行しておられる知識人というのは歴史、文化等に関する大変高い知識を旅行者に伝える、こういうことでございますので、その場合には通訳案内士法の三十六条違反とはならないというふうに考えております。

松崎(哲)委員 その御答弁を伺いまして、大変心強く思っています。現実に、本当に質の高い、そういうセミナーみたいなものを旅行に合わせて企画するということを旅行会社の方なんかでもできると思うんですね。ですから、その際に、まかり間違ってもそういう方々を、三十六条に触れるからみたいなことで嫌な思いをしていただきたくないと思いますものですから、念のため確認をさせていただいたということでございます。

 次の質問なんですが、外客来訪促進法改正案の五条以下の地域観光振興事業計画について伺いたいと思うんですが、観光協会や民間組織が創意工夫をもってそういう計画を立てる、その振興策を考えて、それが国土交通大臣に認定されると四割の補助が受けられるというふうに伺っております。というのは、この法律には書いていないわけですが、本年度の予算で措置されたというように記憶しておりますけれども、間違いないかということと、その予算額を伺いたいと思います。

鷲頭政府参考人 そのとおりでございます。

 平成十七年度予算で、観光ルネサンス事業というものを新たに認めていただきました。この事業全体は約三億円でございますが、そのうち、先生が今おっしゃられました民間に対する補助金というものは、地域観光振興事業費補助金として一億五千万円が計上されております。

 以上でございます。

松崎(哲)委員 国土交通大臣が認定すればこの補助金が受けられるということですが、大体どういう方針で行われるか、何件にどのぐらいの金額を補助するというような御方針であるのか、もし決まって、あるいは検討が進んでおりましたら伺いたいと思います。

鷲頭政府参考人 二段階ございまして、まず、国土交通大臣が民間組織が作成します地域観光振興事業計画について認定を行います。この認定というのは、改正後の法律の第三条二項第三号の「地域観光振興事業の実施について指針となるべき事項」、例えば地域の個性豊かな魅力を最大限に生かすようなものだとか、市町村の定める地域観光振興計画と密接な連携を図るとか、外国人観光旅客の利便性、魅力の向上に資するというような指針に合致しておれば、国土交通大臣は自動的にそれを認定するということになります。

 それで、さらにその上に、予算上の措置として補助金をもらえるかどうかというのは、国土交通大臣の認定を受けました事業計画のうちから、国が設置いたします第三者委員会によりまして特にすぐれたものとして推薦を受けた計画について補助金で支援するということを考えておりまして、本年度につきましては十件から二十件程度を想定しております。

松崎(哲)委員 わかりました。

 時間がもう間もなく参りますので、最後に大臣に伺いたいと思うのです。

 観光立国、こういう大方針ですね。もちろん賛成でございまして、しかし、そもそも観光とは何かということ、先ほど大臣は御答弁の中で、光を観ると書くのですよと大変文学的にお答えをいただいたわけですが、観光の定義というものを考えないと、立国の手だてを考えるというのは難しいわけです。

 実は国土交通省に、観光地の定義というのは何だというふうに伺いましたら、明確なものはないらしいのです。それなら、観光地の数というのはどのぐらいあるのかと聞いても、調べてないのでわからない、こういうお答えでした。それならば、観光協会の数ぐらいはわかるのではないかというふうに伺いました。そうしましたら、社団や任意などさまざまあって、これについては答えにくい、答えられないというお答えが事前にございました。

 さりながら、先ほど樽井委員の質問に対しまして、都道府県で三百はあるのだということが、数字が出てまいりました。もちろん、そのほかに任意等があるから総数は幾つかわからないという意味だということはわかりますが、この三百すらが私の事前の質問についてはお答えがなかったのですよ。

 私としては、これは大変遺憾なことでありまして、この質問でお答えいただけるものぐらいのことを、事前に伺うことによって質問の深さを深めていきたい、精度を高めていきたい、こういう趣旨で事前に国土交通省さんとお話をしているわけですから、今回のようなこういうことが、これは観光審議官だけの問題ではなくて、御省として、今後もこういうようなことになれば、質問について、内容について事前にお話し合いをするということが意味がなくなってしまいますので、その点、十分に御省の方で留意をしていただきたいというふうに厳重に申し上げておきたいと思います。

 ただ、実際の総数は余りわからないということは事実だというのは、それはわかるのですが、先ほどの、さらに観光地というものの数がどのぐらいかというのは、調べていないからわからないということだったのですが、それでも困るから、何か目安はないかというふうに伺いましたら、民間の方で調べた調査があって、観光資源と言われるものが二千六十カ所リストアップされている、こういうふうに伺いました。これは大臣への質問に次からはなりますが、その内容を検討いたしますと、個々の、観光資源というんだそうですが、自然資源と人文資源に分けて、特AからC、Dまでランクづけがしてあって、なかなか示唆に富むものなんですね。ただ、あくまで民間の調査でしかないということなんですが。

 国交省がというよりも政府全体として、観光立国という大方針を掲げてこれを推進していくわけですから、観光地についての定義なり、そういう意味でのガイドラインというようなものを何か定めて、政策としてやはりきちんと対応していくべきではないかというふうに思うのですが、これについて御所見を伺いまして、最後の質問とさせていただきます。

北側国務大臣 結局、外国人の方々、観光客の方々が何に魅力を感じるのかというところは非常に多様だと思うのですね。初めて日本に来る方はやはり富士山とかなるのですが、やはりリピーターになりますとそうではなくて、地方の、本当に田舎の棚田とか、そういうのを見て感動される方もいらっしゃるわけでございまして、そういう意味では、魅力というのは、観光客の側に立ちますと極めて多様、また地域の側に立っても、それぞれの文化とか伝統芸術とか、そういうものも非常に多様でございます。

 そういう意味では、一概に、これが観光地であるというふうに定義する、また何らかの基準をつくっていくというのはなかなか難しいのかなというふうに思いますが、ただ、外国人の方々であれば、やはり一つの傾向性といいますか、そういうのはあると思うのですね。

 例えば韓国の方ですね。昨年もたくさん、日本に一番来ていただいた外国人でございますけれども、結構聞きますのはゴルフですね。韓国のゴルフというのは高いらしいのですよ、今。日本は今安い、温泉がいいと。温泉つきのゴルフですね。これに結構韓国の方々が、近いということもあっていらっしゃっておられるというのをよく聞くのです。だから、例えばそういうことなんかはもっと商品として宣伝していけばいいなと。今すいているゴルフ場なんか幾らでもありますので。

 そういう意味では、本当に魅力というのはもうさまざまでございます。そういう意味で、なかなか一概には言えませんが、そういうふうに戦略的にさまざま商品を開発していく、それの支援をしていくということは非常に大事なことだというふうに思っております。

松崎(哲)委員 ガイドラインをつくっていただけないかということについて御答弁が不十分だと思いますけれども、時間ですので、これで終わります。

橘委員長 谷口隆義君。

谷口委員 公明党の谷口隆義でございます。

 本日は、テーマになっておりますこの法案につきまして、大変短いわけですが、十五分間でございますが、質問をさせていただきたいと思います。

 まず初めに、先ほどから出ておりますけれども、訪日外国人の増加対策ということでお伺いをいたしたいわけでございます。

 平成十五年の四月一日から事務局ができて、ビジット・ジャパン・キャンペーンが始まっておる。先ほど北側大臣もおっしゃっておられたように、二〇〇三年は五百二十一万人が、二〇〇四年が六百十四万人、一七・九%増加した。やはり戦略的な観光客誘致対策ということが功を奏したのだろうと思うわけでございます。

 しかし、一方で、いろいろなネックになるようなことがあるのだろうと思うのですが、まず初めに私がお聞きしたいのは、訪日の外国人を増加させていくということに対して、訪日のほとんどの人が空港を利用して訪日をされるわけでございまして、国際空港というのは非常に重要であります。

 現在、成田、関空、また先日、中部空港も開港いたしたわけでございますが、まず初めに、発着便数、キャパがどのくらいで、このうちどのくらいの方が来ていただいたのかというのはなかなかわかりにくいようでございますので、国内の発着便数のキャパに対して、現状、各空港でどのくらいの実情にあるのか、お伺いをいたしたいと思います。

鷲頭政府参考人 お答え申し上げます。

 現在、成田空港、中部空港、関西空港のキャパシティーとして、航空機発着回数は合計して年四十六万回程度でございます。そのうち、国際線、国内線を合計した利用実績というのは三十九万回程度。ですから、キャパシティーの約八五%になっております。

 これで国際線だけを抜き出してみますと二十八万回ということでございますので、キャパシティーとの比率で申し上げますと約六〇%が活用されている、こういうことになります。

谷口委員 六〇%ということで、また、先ほども申し上げましたように中部国際空港も開港いたしましたので、大幅にキャパがふえてきたわけであります。

 この運用に対しまして、今大臣の方は、成田の二本目の滑走路、二千百八十メーターの滑走路を延長しようということで大変な御努力をされておられるわけで、これが二千五百になると、その受け入れのキャパも一割強ふえるというようなことも聞いておりますが、成田にやはり乗り入れをしたいという航空会社も非常に多いようでありますので、そういう受け入れの観点からも、ぜひ一刻も早く進めていただきたいというように思っております。

 あとは、次にお聞きいたしたいのは、成田、関空、また中部という国際空港をトランジットで利用される方がたくさんいらっしゃいます。空港内で飛行機を乗りかえて、そのまままたほかの国に行かれるというようなことをされている方が多いわけでありますが、しかし、考えようによりますと、一度入国をしていただいて空港周辺を見ていただくというようなことは大変重要なんだろうと思うんです。

 私は今、アラブ首長国連邦の友好議員連盟をやっておりますけれども、ドバイの空港は、もうこのところ急激に増加をしてまいりまして、本当に短時間で周辺のところの見学もやっておられる方もおられるようであります。

 このようないろいろな積み重ねが非常に重要なんだろうと思うわけでございまして、このようなことで、北側大臣、何か考えていらっしゃるようなこと、もう既にやっていらっしゃるようなことがございましたら御答弁をお願いいたしたいと思います。

北側国務大臣 私も、委員の御質問がございましたので調べてみましたら、成田国際空港のトランジット客というのは年間二百八十五万人いらっしゃるんですね。えらい数字なんですね。関西国際空港は三十万人でございます。

 このトランジット、確かに我々も海外に行ったときに、ある空港にトランジットで立ち寄るときがあります。そのときに結構時間があく。その中に、空港の施設の中で大体いることが多いんですが、本当はちょっと市の観光でもできればいいのになと思いますよね。実際そういうことをやっている国はたくさんございます。

 成田空港につきましては、そういう趣旨もございまして、本年二月に、成田空港の周辺において、約三時間で成田山を初めとする周辺の観光地めぐりだとか、約三時間でショッピングセンターを往復し買い物を楽しむ等の、実験的なトランジットツアーというものを実際に実施させてもらいました。これはビジット・ジャパン・キャンペーンの一環として実施をしたところ、百五十名の外国人の方々が参加をしていただきまして、非常に好評をいただいたところでございます。

 今後とも、こうしたトランジットツアーの事業化というものを目指しまして、検討をしっかりとしてまいりたいというふうに思っております。

    〔委員長退席、望月委員長代理着席〕

谷口委員 今大臣おっしゃったように、成田で二百八十五万人という大変な数でございますので、ぜひまた今おっしゃったようなことを進めていただきたいというように思っております。

 それと、訪日される外国人の方は、国土交通省は所管が観光でございますから観光キャンペーンということでありますけれども、ビジネスで来られて観光されるとか、ビジネスオンリーという方もいらっしゃいます。

 統計を見ますと、例えば韓国から訪日される方のうち、観光が五九・五%、商用が二七・九%、これは二〇〇三年の国際観光白書でございますが、こういうようになっております。また、アメリカからも観光で来られた方が五六・四%、商用が三四・五%、中国は観光が二二・四%、商用が二〇・二%ということで、ビジネス客がかなり来られておられるわけでございます。

 ですから、ビジット・ジャパン・キャンペーンを、一千万人を達せられるためには、観光のみならず、このビジネス客をどうつかむかということも一つの大きなポイントなんだろうと思うわけでございます。

 私は地元が大阪でありますので、関空の稼働率を上げていきたい、こういうこともあったり、関西地域また特に大阪が大変低迷をいたしておりますので、そこで従来から私が提言をしていることがございまして、今、アジア域内で非常に連携が強化されております。それで、今後、アジアの債券市場だとか金融・資本市場がどんどん整備されるんだろうと思っておるわけでございます。そのときに、国際金融拠点、国際金融センターが、シンガポールだとかまた香港だとか上海だとか、こういうところが今大きくクローズアップされておるわけでありますけれども、東京マーケットも実は国際金融拠点になり得ていないというように言われております。そういうこともございまして、大阪でそういうようなことを手を挙げていったらどうなのかというようなことを私は提言いたしておるわけでございます。

 そういうような提言を私はさせていただいておりますが、これはまさに商用で来ていただくというようなことなんだろうと思うんです。

 この外国人旅行者受け入れランキングを見ますと、二〇〇三年に日本は三十三位でございます、これは二〇〇三年の資料しかございませんので。五百二十三万人ですね。シンガポールが六百九十万人、七百万人弱なんですね。

 シンガポールは御存じのとおり淡路島ぐらいの国土でございまして、都市国家、金融国家と言われるような国であります。もう空港も大変整備されておりまして、飛行機をおりたら三十分でバッグがとれて三十分でホテルに入れるというような、非常に効率化を図っておる国家であります。ここは観光客も多いわけでありますけれども、ビジネスでやはり来られる方も大変多いというように聞いておるわけでございます。

 こういう観点で、所管が観光ということでありますけれども、省を乗り越えて、例えば経済産業省、また財務省等々と、訪日外国人をいかにしてふやしていくのかという観点での意見交換ができるような場、また研究会、このようなものをつくっていただいて、一体的な対応がそこでやっていただけるのではないかというように私は思っておるわけでございますが、大臣、御見解をお願いいたします。

    〔望月委員長代理退席、委員長着席〕

北側国務大臣 私どもが多くの外国人に来ていただこうとしておるのは、観光客だけではなくて、今委員のおっしゃったお仕事で日本にいらっしゃる外国人の方々、その方々もできるだけ多くしよう、また、来ていただいたらできるだけ支障が、障害がないようにしようというのが、私どものこの観光立国、観光振興の目的の大きな中に入っております。そういう意味では、政府を挙げて今取り組んでいるところでございます。

 そういう意味で、国際会議なんかを誘致することも非常に大事であると思いますし、また、せっかくお仕事で来ていただいた海外の方々に、さっさと帰っていただくのではなくて、例えば一日、二日でも本当にゆっくりしていただく、文字どおり観光していただくというふうな、例えばそういうインセンティブが働くような商品を開発するだとか、そういうことも非常に重要なことであるというふうに思っております。

 いずれにしましても、ビジネスマンの外国人の方々も私どもは対象として、多くの外国人の方々に我が国を訪問してもらいたい、そのための施策を推進してまいりたいと思っております。

谷口委員 今大臣がおっしゃったことは具体的に、政府一体となって観光客の増加、商用も含めてやっていくということで、そういう協議の場というのはもう既にとっておられるんでしょうか。

北側国務大臣 はい。観光立国閣僚会議というのがございまして、そこには当然全閣僚が参加をしております。

谷口委員 さっきも私が申し上げた、やはり我が国が一体どういう方向を向いていくのか。さっきも申し上げたように、これからアジアがどんどん大きくなってまいります。そこに注目をして、国家戦略というような観点から、いろいろな切り口があるんだろうと思いますが、私が先ほども申し上げた金融・資本市場というところも一つの切り口でございます。それは、観光というところに余り焦点を当ててしまいますと、またそちらの方がぼけてくるようなところもありまして、一つのアジアを見定めた我が国の国家戦略を策定し、そこに、我が国に来訪していただく、来日の外国人の方が乗ってくる、当然一体のものですから、そういうような形でぜひやっていただければというように大臣に申し上げたいと思います。

 一応それで訪日外国人の件は終わりまして、観光ガイドの件で、先ほどから出ておりますが、どうも状況を聞きますと、この通訳案内業の方の資格が大変難しいというようなことでございまして、資格を持っていらっしゃる方が、十六年四月一日現在で九千三百五十人いらっしゃる。しかし、この資格を持っていらっしゃる方がガイド活動をやっていらっしゃるかというと、そうではない、かなりの方がその業務に携わっておられないというようなことを聞いておるわけでございます。

 今回、この改正が行われまして、通訳ガイドの試験が、合格率を引き上げるということで、より一層資格を持った方が出てまいるわけでございます。それにつけ加えて地域限定型の通訳ガイドの方も出てまいるわけで、現状、すべて業務に携わっておられないというその状況の中で、今回またこの数をふやすというようなことで考えておられるわけでありますけれども、これについてどのようにお考えなのか、御答弁をお願いいたします。

鷲頭政府参考人 お答え申し上げます。

 先生今御指摘のとおり、平成十六年四月一日現在で、通訳ガイドの資格保有者は九千三百五十人おります。実際に活動をしておられる方というのは、社団法人日本観光通訳協会あるいは事業協同組合全日本通訳案内業者連盟の二つの通訳ガイド団体に加盟しておられる千五百人弱が中心になっているということでございます。

 ビジット・ジャパン・キャンペーンの展開あるいはビザ負担の軽減などを通じまして、中国、台湾、韓国を初め各国からの旅行者が大幅に増加して、通訳ガイドサービスに対する潜在的な需要が増加しているにもかかわらず、このようにガイドの数が少ないというのは、一つには、外国人旅行者と通訳ガイドサービスを提供したい通訳ガイドとを効率的につなぐシステムが今未整備であるということ、それから二番目には、アジア諸国からの団体ツアー添乗員が資格を持たないまま通訳ガイドサービスを違法に提供しているというような実情から、意欲はあっても仕事ができないというガイドの方がたくさんおられるんだろうというふうに考えております。

 このため、今後、ガイド団体、地方自治体あるいは独立行政法人国際観光振興機構、旅行会社等の関係者の協力を得て、外国人旅行者が容易にそのニーズに見合ったサービスを提供する通訳ガイドを見つけることができるようなシステムを整備するとともに、違法な無資格通訳ガイド対策を強化していくこととしております。

 こういうことによって潜在的な需要がしっかりととらえられることになりまして、既存の有資格者、あるいは今回の規制緩和措置により新たに増加する有資格者を問わず、幅広く活動できるようになるというふうに考えておるところでございます。

谷口委員 観光客をふやすためにいろいろな努力をしていただいておるわけでございますが、ぜひ頑張っていただきたいというように思っております。

 時間が参りましたので、これで終わらせていただきます。

橘委員長 穀田恵二君。

穀田委員 私は、通訳ガイドについてまず聞きます。

 観光産業はマンパワーが大事なことは御承知のとおりです。観光客をふやすには、どうしても担い手の量と質を高める必要があると私は考えます。

 本改正に当たって、実際に通訳ガイドをなさっている方に通訳ガイドを取り巻く状況をいろいろと聞いてみました。なかなか厳しい状況であることがわかりました。唯一の国家資格で、合格率も五%ぐらい、難関を突破したにもかかわらず国家資格にふさわしい収入が得られないだとか、プロとして生活をしていけるだけの仕事を確保できるのはほんの一握り、さらには、エージェントから仕事をもらうしかルートがないので非常に立場が弱い、こういった意見が寄せられています。本改正について、資格が取りやすくなって観光通訳士がふえたら仕事の単価が下がるのではないかと、不安の声も寄せられています。

 そこで聞きます。単純に参入障害を取り払って数だけふやすことになれば、今以上に、少ない仕事を取り合う形になって単価が下がり、サービスの質の低下と既存の通訳ガイドの就業環境悪化をもたらすことになるんじゃないか、この点を心配していますが、その見解をお聞きしたいと思います。

鷲頭政府参考人 お答え申し上げます。

 通訳ガイドサービスに対する潜在的需要というのは、平成十六年で六百十四万人であった外国人旅行者の数を平成二十二年までに一千万人に増加させるということで、今、ビジット・ジャパン・キャンペーンなどに国を挙げて取り組んでいるわけでございますが、そういう意味では、潜在的需要というのは大きく伸びるという要素が一つございます。

 一方で、現状では、これらの外国人旅行者と通訳ガイドサービスを提供したい通訳ガイドとを効率的につなぐシステムが未整備であるということは、我々の反省でございますが、そういうことがあったり、あるいは、アジア諸国からの団体ツアー添乗員が資格を持たないまま通訳ガイドサービスを違法に提供しているといった事情がございまして、既存の通訳ガイドの方がこのような潜在的な需要を十分にとらえ切れていないというような状況にございます。

 これらの課題を克服するために、今回の改正法の施行に先立ちまして、通訳ガイド市場の環境整備というものに具体的に取り組んでいきたいと考えております。

 これによりまして、既存の通訳ガイドが、今後増大が期待できる通訳ガイドサービスに対する潜在的需要をきっちりととらえることができるようになるとともに、そのすぐれた知識、能力、経験といった情報が提供されるようになれば、既存の通訳ガイドが新たな競争環境の中で、創意工夫を生かしてのサービス内容の差別化を図るということで、活動の場を広げていくことも可能になるというふうに考えております。

穀田委員 私はそう簡単ではないと思うんですね。

 といいますのは、この資格ができて以来、例えばホームページで見ますと、国家資格で難しい順番に並べると上位の方に、司法試験のEランク、それからDランクにこれはなっているぐらい、結構難しいんですよね。もちろん、司法試験に受かった場合に弁護士や検察になったりする、そういう仕事の関係でそれは業が保障されるという問題があって、ここの通訳業というのは、団体の性格だとかそれから国家の援助だとかという問題との関係もあって、なかなか難しいんだと思うんです。

 そこで、今局長がおっしゃったように、潜在的需要というのは需要なのかどうかという問題があると思うんですね。潜在的に来ているということだけは確かなんだけれども、では、それがなぜ今まで喚起できなかったのかという問題について、私は非常にまだ不十分な側面があると思うんです。

 そこで、聞くところによると、イタリアとスペインなどでは必ずその国のガイドを雇わなければならない、そこまでいかなくても、ヨーロッパでは通訳ガイドを雇うシステムがあると聞いています。先ほども局長おっしゃったように、しかし、我が国でも現行法ではライセンスを持った通訳ガイドだけが通訳案内を行うことを認められているにもかかわらず、先ほどあったように、日本人のガイドを雇わずに、添乗員がガイドを兼ねていたり、留学生などをガイドとして雇っているケースもある。しかし、ここが大事なんですね。通訳ガイドがつかないことで、正しく日本を理解することなく帰ってしまったのでは、せっかく日本に来てもらっても大変もったいない。

 例えば、これは実際にあった話ですが、先ほど来観光の話で京都が出ていましたので、私、京都に住んでおりますもので、金閣寺は鎌倉時代に源義経が建てましたなんという話をガイドされておったんじゃ、それは余りにもひどいなというふうに思うわけですね。実際に、韓国人ガイドなんかが説明しているのを横で聞いてがっくりきたというお声まで出ているぐらいです。

 だから、こういうことを正す必要があります。私は、質の高い観光を楽しんでもらえるためには、通訳案内士の資格を持ったガイドに活躍してもらうのが大事になってくると思っています。

 そこで、二つあるんですね。一つは、本改正案では無資格ガイド行為に対する罰則の強化が盛り込まれているけれども、既存の通訳ガイドの有効活用のためにも違法ガイド対策が必要です。これをどうするかという問題。

 もう一点は、外国人観光客の受け入れを促進していく上で、やはり外国人観光客の多様なニーズにこたえた質の高い観光通訳サービスの提供が欠かせないと思うんですね。つまり、ニーズが多様なんですよ。だから、さまざまな形態の通訳案内を提供する。例えば、個人旅行や少人数の旅行で日本人とのフレンドリーな交流を持ちたいという需要などに対して、それならば国家資格を持つしっかりしたガイド、行き先が限定されているので地域限定ガイド、さらにはボランティアとか、そういうそれぞれ適切に紹介できる仕組み、外国人観光客と通訳案内士が互いに出会うことのできる場をなるべく多くつくることが、働く者にとっても外国人観光客にとっても双方にメリットがあると思うんです。

 したがって、国交省として責任を持って、さまざまな外国人観光客の需要にこたえる仕組み、流通のメカニズムをつくるべきではないかと思うんですが、その点はいかがでしょうか。

鷲頭政府参考人 全く御指摘のとおりでございまして、私どもも今回の法改正に先立ちまして、違法ガイド対策と、流通メカニズムをちゃんとしたものにする、こういう整備が法律の施行の前提であるというふうに考えております。

 まず、違法ガイド対策でございますが、国、自治体、ガイド団体から成る無資格ガイド対策検討会議というのを三月二十二日に立ち上げました。やることとしましては、まず一つは、内外の旅行業者に対して制度を周知し、違法行為に関与しないように指導をします。二番目には、外国人旅行者向けに制度を周知するビラを二十万枚つくりまして、これを作成して配布いたします。それから三点目に、全国の主要観光地において実態調査あるいは個別指導ということを実施して、違法ガイドを防止するというようなことに関する具体策を講じていくということで進んでいるところでございます。

 それから、二点目の流通メカニズムの整備につきましては、国、自治体、ガイド団体、旅行業者などから成ります通訳ガイド市場活性化連絡会議というものを、これも三月二十二日に立ち上げまして、都道府県による登録簿の適正管理、公開、それから、通訳ガイド団体、自治体、独立行政法人国際観光振興機構などによる紹介システムの強化、個々の通訳ガイドについての客観的な評価、情報公開の促進といった課題について今後取り組みをしまして、外国の旅行者側から、あるいはガイドとして仕事をする側からの、お互いのニーズあるいは資質がしっかりわかるような、そういう場を、メカニズムをつくっていきたいというふうに考えております。

穀田委員 私、今二つの三月二十二日に立ち上げた問題ですけれども、本当にこれが現実に機能しているかどうかということを一年間やはり確かめていただきたいと思うんですね。というのは、昭和二十四年にこの制度ができて以来、ある意味では、結局、通訳ガイドの方が多くて需要は少ないという実態があったわけですよ。だから、それを根本的に変えようと思ったらよっぽどの手だてを打たなくてはならぬということだけは、私言っておきたいと思うんです。

 そこで、別の角度からあと二つだけ聞きたいんですけれども、一つは観光立国懇談会が二〇〇三年四月にまとめた報告書なんですが、その中で、名所見物型から、最近では参加・体験型の観光旅行が注目されるようになったと。また、日本の魅力はどこにあるか。それは、伝統的なものと現代的なものが共存している、自然の景観に恵まれている、そして、日本のブランドの輝きを高めようと述べられている。

 言うまでもなく、我が国日本には、日本らしい町並みや風景、また伝統産業や文化など、外国人観光客が魅力を感じるものが多数存在しています。しかし、一方、私何度もこの委員会で指摘してきましたように、乱開発や、そして伝統産業がなかなか危機的な状況に陥っている事態があります。

 したがって、地場の伝統産業などの振興や町並み保存も観光振興において重要だと考える。これらをどのように促進していくかについてお聞きしたいと思います。

鷲頭政府参考人 おっしゃるとおり、地域の観光振興というのは、ハード整備を進めていくだけではなく、体験ツアーなどソフト面の観光振興を強化していくこと、さらには、土産品として購入されることも多い工芸品などを生産する伝統産業を観光という切り口から振興していくということと相まって、トータルの観光振興ができることだと考えております。

 そういう中で、ソフト施策という観点からは、ビジット・ジャパン・キャンペーンにおきまして、地方自治体などと協力をして、海外の旅行代理店やマスコミ関係者を招聘して、例えば、京都で抹茶体験、岐阜、美濃での紙すき体験とか、さらには富山にある国宝瑞龍寺での座禅体験など、多彩な体験プログラムを全国各地で実施して、そういう方に、本国に帰って日本へのツアーをつくってもらうというような取り組みを進めております。

 このほかにも、中国、韓国の旧正月に合わせまして、外国人を対象とした観光施設の特別割引とか、例えば京都の平等院観音堂を初めとするふだん公開していない施設の特別観覧だとか、外国人に人気の高い富士山のふもとにある大規模遊園地での外国人向けイベントといったような、さまざまなソフトを総合的に盛り込んだ、ようこそジャパンウィークスといったものも展開をしております。

 それから、伝統産業の分野におきましても、先般、ビジット・ジャパン・キャンペーンの一つ、魅力ある日本のおみやげコンテストというのを私ども実施いたしまして、外国人から見て評価の高い工芸品とか和菓子などの地場産品の発掘、育成を推進しているところであります。

 以上のような施策を総合的に取り組むことによって、地域の特色ある観光振興というものを進めていきたいというふうに考えております。

穀田委員 今、京の抹茶とか和菓子とか、随分京都の問題が出ましたので、最後に大臣にだけ一言質問しておきたいんです。

 やはり観光地の交通問題、これがとても大事です。京都では、大臣もよく御承知かと思うんですけれども、嵐山が今ちょうど、先週などは桜の時期でもありましたし、今は仁和寺を初めとして御室の桜がとてもきれいなところです。ただ、いつも渋滞になったりして、すぐれた景観を見に来たのか排ガスを吸いに来たのかわからないというふうなこともあります。

 外国人客は、やはり先ほどありましたように、自分からは、確かにレンタカーというのもありますけれども、バスやタクシー、公共交通機関に頼らざるを得ないわけですよね。そうしますと、交通渋滞に巻き込まれたり、そして公共交通機関で観光スポット間を移動できないというのでは、せっかくの観光が台なしです。

 日本の観光のメッカである京都は、ちなみに地球温暖化防止世界会議の京都議定書を発効した都市でもありますし、CO2の排出削減の面でも注目を集めています。京都市は、交通社会実験として秋の観光シーズンにパーク・アンド・ライドを実施し、有効な方法を模索しています。また、LRTの導入のための検討を始め、本年度にその内容を公表する段階に来ていると言われています。

 そしてもう一つ、観光の観点として、フランスのストラスブールやイタリアのミラノのように、そういう意味でLRTが新たな観光シンボルとなっている、それ自身がなっているという問題も私はあると思うんです。

 したがって、観光の面からも環境の面からも、京都の場合には、車両の総量規制とパーク・アンド・ライド方式により、市内中心部からの車を締め出す。それから、その上でLRT、低床路面電車の導入などを国交省として積極的に援助していく必要があるんじゃないか。この間も補助のあり方については改善されて、努力は認めているのですが、例えば、この法案にもいろいろありますけれども、さらに一層の拡大解釈をするなどして、車両基地などの補助をするなど一層の改善を求めたいと思います。

 そういう点での一定の御見解をお示しいただければ幸いだと思っています。

北側国務大臣 京都の路面電車はなくなったんですかね。(穀田委員「そうです、なくなったんですよ」と呼ぶ)なくなったんですよね。

 あれ、何でなくしたんですかね。私も京都に二年間ぐらい住んでいたんですけれども、よくあの路面電車は乗っていましたけれども、本当に京都の町並みに合う路面電車だったなというふうに思います。いずれにしても、これは京都の方々が決める話でございますが。

 今おっしゃったように、地域の公共交通の活性化というのは、おっしゃっているとおり、外国人の方々はやはり公共交通機関を使う場合が大半なわけでございますので、その活性化をしていくこと、これは環境対策の面からも非常に重要な課題であるというふうに認識をしておりまして、国交省といたしましても、この地域公共交通の活性化のためのさまざまな施策を今講じているところでございます。

 これまでも、公共交通活性化総合プログラムの充実を行ってまいりました。これは、各地域交通の関係者に集まってもらいまして、活性化のためのプログラムの充実をやっておりますし、また、LRTにつきましては、今年度から、国交省の中の鉄道局それから都市局、道路局が一緒になりまして、LRTの総合整備事業というものも創設をさせていただいたところでございます。

 いずれにしましても、公共交通の利用円滑化、活性化というのは非常に重要な課題であると考えておりまして、しっかり積極的に推進をさせていただきたいと思っております。

穀田委員 今ありましたが、私どもは二十年前に、京都市電を守ろうということで私は運動していた側にいたものですから。その後、モータリゼーションのもとで、なおかつ京都市政のもとで、なくなったというのは非常に残念なことだと思っています。

 先ほどありましたように、三局が共同していただいて、現実的な、そういう意味でいいますと、京都にそういうものを取り戻すという役割を私も果たしていきたいと思っていますし、その決意も聞きましたので、残念だったなという声を聞くということは、そういう復活がいいんじゃないかということにつながるだろうと思うので、そういう点を述べまして、終わります。

橘委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

橘委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 通訳案内業法及び外国人観光旅客の来訪地域の多様化の促進による国際観光の振興に関する法律の一部を改正する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

橘委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

橘委員長 次に、先刻付託になりました内閣提出、公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案及び地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣北側一雄君。

    ―――――――――――――

 公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案

 地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

北側国務大臣 ただいま議題となりました公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案及び地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 まず、公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。

 最近における住宅及び宅地の需給状況等の社会経済情勢の変化を踏まえ、住宅政策上の課題に柔軟かつ機動的に対応する住宅及び宅地の供給体制づくりが喫緊の課題であります。

 この法律案は、このような課題を解決する観点から、地方公共団体、住宅金融公庫、独立行政法人都市再生機構または地方住宅供給公社による住宅及び宅地の供給体制を整備するため、所要の措置を講じようとするものです。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、地方公共団体または地方住宅供給公社は、事業主体の同意を得て、公営住宅の管理をかわって行うことができることとしております。

 第二に、公営住宅の指導監督交付金を廃止することとしております。

 第三に、住宅金融公庫について、平成十六年度までに受理した申し込みに係る資金の貸し付けの一部に係る業務について、特別勘定を設けるとともに、当該業務に係る政府貸付金のうち主務大臣が財務大臣と協議して定めるものの償還期限は、主務大臣が財務大臣と協議して定める日とすることとしております。

 第四に、独立行政法人都市再生機構について、宅地造成等の経過措置業務に係る特別勘定を設けるとともに、当該業務に係る政府貸付金の償還期限は、国土交通大臣が財務大臣と協議して定める日とするほか、資金調達の多様化を図る観点から、その金銭債権の証券化等を行うことができることとしております。

 第五に、地方住宅供給公社は、設立団体以外の地方公共団体が事業主体である公営住宅の管理をかわって行おうとするときは、あらかじめ、設立団体の長の認可を受けなければならないこととしております。

 第六に、地方住宅供給公社は、設立団体が議会の議決を経て国土交通大臣の認可を受けたときは、解散することができることとしております。

 第七に、公営住宅の家賃収入補助を平成十七年度までとすることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 次に、地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案につきまして申し上げます。

 少子高齢化の急速な進行等の社会経済情勢の変化に伴い、子育てしやすい居住環境の整備、高齢者や障害者の地域居住の要請、まちづくりと一体となった良好な居住環境の形成等の地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備及び管理を推進する必要があります。

 また、三位一体の改革を着実に推進するため、地方の裁量度を高め自主性を大幅に拡大する国庫補助負担金の改革を推進する必要があります。

 これらの必要性を踏まえ、地方公共団体が、自主性と創意工夫を生かして、既存ストックの有効活用を推進するとともに、福祉施策との連携、民間活力の活用を図りつつ、地域の実情に応じた公的賃貸住宅等の整備及び管理を推進することができるよう、所要の措置を講ずるものでございます。

 次に、この法律案の概要について御説明申し上げます。

 第一に、地方公共団体は、国土交通大臣が策定する基本方針に基づき、地域における住宅に対する多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等を推進するための地域住宅計画を作成することができることとしております。

 第二に、地域住宅計画に基づき実施される公的賃貸住宅等または公共公益施設の整備に関する事業や、これらと一体となってその効果を増大させるために必要な事業等を推進するため、地方の裁量度を高め自主性を大幅に拡大する交付金制度を創設することとしております。

 第三に、公営住宅と高齢者向け優良賃貸住宅、グループホーム等の一体的な整備を推進するための公営住宅建てかえ事業の施行要件の緩和、既存ストックの有効活用を推進するための特定優良賃貸住宅の入居者資格に係る認定基準の特例等の措置を講ずることとしております。

 その他、これらに関連いたしまして、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、公的資金による住宅及び宅地の供給体制の整備のための公営住宅法等の一部を改正する法律案及び地域における多様な需要に応じた公的賃貸住宅等の整備等に関する特別措置法案を提案する理由でございます。

 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

橘委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

     ――――◇―――――

橘委員長 次に、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 国土交通行政の基本施策に関する件調査のため、明二十日水曜日、参考人として定期航空協会会長・株式会社日本航空代表取締役社長兼CEO新町敏行君及び株式会社日本航空常務取締役松本武徳君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、明二十日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時二十三分散会


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