衆議院

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第18号 平成17年5月18日(水曜日)

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平成十七年五月十八日(水曜日)

    午前八時三十分開議

 出席委員

   委員長 橘 康太郎君

   理事 衛藤征士郎君 理事 萩山 教嚴君

   理事 望月 義夫君 理事 山口 泰明君

   理事 阿久津幸彦君 理事 金田 誠一君

   理事 土肥 隆一君 理事 赤羽 一嘉君

      岩崎 忠夫君    宇野  治君

      江藤  拓君    木村 隆秀君

      北川 知克君    河本 三郎君

      櫻田 義孝君    菅原 一秀君

      高木  毅君    武田 良太君

      中馬 弘毅君    寺田  稔君

      中野 正志君    二階 俊博君

      葉梨 康弘君    林  幹雄君

      古川 禎久君    保坂  武君

      松野 博一君    森田  一君

      下条 みつ君    高木 義明君

      玉置 一弥君    松崎 哲久君

      三日月大造君    笠  浩史君

      和田 隆志君    若井 康彦君

      若泉 征三君    佐藤 茂樹君

      谷口 隆義君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      蓮実  進君

   国土交通大臣政務官    中野 正志君

   国土交通大臣政務官    岩崎 忠夫君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   武田 宗高君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            尾見 博武君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  清治 真人君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十八日

 辞任         補欠選任

  江崎 鐵磨君     宇野  治君

  保坂  武君     北川 知克君

  室井 邦彦君     笠  浩史君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     江崎 鐵磨君

  北川 知克君     保坂  武君

  笠  浩史君     室井 邦彦君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案(内閣提出第五六号)


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     ――――◇―――――

橘委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、総合的な国土の形成を図るための国土総合開発法等の一部を改正する等の法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省国土計画局長尾見博武君、河川局長清治真人君、道路局長谷口博昭君、住宅局長山本繁太郎君及び内閣府政策統括官武田宗高君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

橘委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。森田一君。

森田委員 ただいま上程されております法律案につきまして、若干質問を申し上げます。

 戦後、我が国は廃墟の中から立ち上がって、そして傾斜生産方式、これは石炭と鉄鋼を重点に生産するというものでございますが、あるいは復興金融金庫の融資を武器に、猛烈なインフレと戦いながら、戦前のピークであります昭和十二年の水準に一刻も早く戻ろうと必死の努力をいたしておったわけでございます。また一方では、ドッジ予算とかあるいは預金封鎖をして、そして新円に切りかえるというような荒療治をしながら、きょう一日を生きるために必死の努力をしておったわけであります。

 ちなみに、預金封鎖につきましては、近く行われるのではないかというようなことでたくさん本が売れておるようでございますが、当時は連合軍があったから、スキャップがあったからできたことでありまして、今日の日本ではなかなか実施はできないと私は考えておるわけでございますが、これは余談でございます。

 このような我が国の経済の中にあって、干天の慈雨でありましたのが朝鮮戦争であります。すなわち、大量消費、大量消耗戦が行われることによって我が国の輸出は必然的に急激にふえ、そしてそれがドルで入ってくるという、外貨不足に悩む我が国経済においては極めて好都合な事態であったわけでございます。

 しかし、我々が考えなければならないのは、韓国側から見れば、我々が朝鮮戦争で血を流しておるときに日本がひとり恩恵を受けたということに対しまして、その当時の知識を持つ人々の間には一種の怨念となって残っておるということを覚えておかなければならないと思うわけでございます。

 さて、こういうような朝鮮戦争を契機としまして、我が国が先ほど目標とした戦前の水準にほぼ達したのが昭和三十年ごろでございます。すなわち、昭和三十一年には中野好夫氏が文芸春秋に「もはや戦後ではない」という随筆を書きましたし、昭和三十一年の経済白書は、もはや戦後ではない、回復を通じての成長は終わったと高らかに宣言をしたのでありました。

 そして、これからが質問でございますが、いわゆる一連の全総計画との関連によれば、この時期に対応するのは後の一次から五次までにわたる全総計画ではございませんで、いわゆる特定地域の総合開発計画であったわけでございます。これらは、実は私自身は中学生、高校生でありましたので、後の一次から五次までの全総計画と違って必ずしもその内容をつまびらかにしないわけでございますが、その内容について、時代背景とあわせてどのような働きをしたのか、御説明をいただきたいと思うわけであります。

尾見政府参考人 それでは、お答えを申し上げます。

 国土総合開発法は、御承知のように、昭和二十五年に制定された法律でございます。当時、今お話にもございましたように、我が国は、敗戦によりいろいろな施設が破壊され、国土が荒廃し、国民の生活水準が極めて低い状況に置かれておりました。このような状況の中で、我が国の復興、経済再建を果たして国民生活の向上を図ろうというような期待を背景といたしまして法律が成立した、こういうふうに考えております。

 今お話がございました特定地域総合開発計画でございますが、これは我が国の復興等を進めるために、幾つかの類型がございますが、二つだけ申し上げます。一つは、電力、食糧その他重要な資源の開発が十分に行われていない地域、あるいは、国土保全施設、災害防除施設を特に必要とする地域等において開発目標を設定して、その目標に照らしまして根幹となる事業等を定めたものであるというふうに承知しております。

 今御指摘がございましたように、昭和三十一年の経済白書は、もはや戦後ではないという有名な言葉を発しております。日本経済が戦後の復興期から新たな成長の段階に来たということを告げたわけでありますが、この時代の我が国の復興と発展を支えたのは、今御指摘がございますように、この特定地域総合開発計画であった、これに基づくもろもろの開発政策であったということが言えるのではないかと思っております。

森田委員 それでは、その当時の二十二地域でございますか、とにかく私の印象が、どことどこというような印象は残っておりませんので、一、二でいいですから具体的に、典型的なところを二、三、地域を挙げていただきたいと思います。

尾見政府参考人 特定地域総合開発計画は全部で二十一策定されております。それで、北の方からちょっと目に入ったところを申し上げますと、北上あるいは只見、木曽、それから、西の方へ行きまして阿蘇、そのようなところがございます。

森田委員 以上の御説明のように、最初の特定地域総合開発計画にはそれぞれ切迫したニーズがあったわけであります。

 その後、世に有名な池田内閣の所得倍増計画、ちなみに、このとき私の岳父の大平正芳は内閣官房長官をしておりましたし、また、この所得倍増計画は、皆様方よく御存じのように、貴君の月給を二倍にします、私はうそをつきませんという言葉で有名になった計画でございますが、このころの国土総合開発法の当時も、これまた、この法律によりまして我が国の経済成長を実現して、そして国土の均衡ある発展を図ろうという気概に満ちあふれたものであったと私は承知をしておるわけでございますが、その当時の実情を御説明いただきたいと思います。

尾見政府参考人 お答えを申し上げます。

 所得倍増計画は、御案内のとおり昭和三十五年に閣議決定されたものでございます。十年間で国民総生産を倍増させることを目標に掲げたものでありますが、その後、日本経済の驚異的な成長ということで、計画期間を待たずに目標が達成されたということでございます。

 所得倍増計画が閣議決定された当時におきましては、全国総合開発計画はいまだ策定されていない状況にございましたが、所得倍増計画の策定を機に地域のありようについての問題が論議されました。その一環として全国総合開発計画の策定の機運が高まったというふうに承知しております。

 昭和三十七年に最初の一全総が制定されたわけでありますが、そこでは、国民所得倍増計画、ちょっと中間省略させていただきますが、それに即して、都市の過大化の防止と地域格差の縮小を配慮しながら、我が国に賦存する自然資源の有効な利用及び資本、労働、技術等諸資源の適切な地域配分を通じて、地域間の均衡ある発展を図ることを目標として、拠点開発方式、こういうのを整備手法として行っておりました。

 この一全総は、所得倍増計画がその策定の背景となったものでございまして、この所得倍増計画とともに、我が国が経済復興期から高度成長期に移行する中で政府として策定した基本的な計画であったというふうに考えております。

森田委員 それでは、それに続く新全総、三全総、四全総につきまして、それぞれ簡単でいいですが、その特色、テーマあるいは目標というようなものを御説明いただきたいと思います。

尾見政府参考人 今御説明を申し上げました一全総以来、新全総、それから次の三全総、四全総、グランドデザイン、こういう形で続いていくわけであります。

 新全総でございますが、これは昭和四十四年、佐藤内閣のときに策定をされました。ここでは、基本的な目標としては、全国津々浦々をフルに利用するということで、開発の基礎条件を整備して開発可能性を全国土へ拡大していくんだというようなことが大きな考え方になっていたと思います。それをベースにいたしまして、大規模開発プロジェクト、それをいろいろな形で進めていこうということが特色になっております。全国的な通信網の整備でありますとかいろいろなネットワークの形成、あるいは産業開発プロジェクトの実施というようなことで、大規模プロジェクト構想というものが特色であるというふうに考えております。

 それから、三全総でございますが、三全総につきましては、昭和五十二年の福田内閣のときに策定をされました。ここでは、住環境の総合的整備ということで、いわゆる定住構想というのがメーンのテーマになっておりましたが、経済成長がオイルショック等もございまして少し停滞をしたということを背景にいたしまして、全国土にわたって国民の安定した生活の基盤を整備するといったことが策定の意義として言われております。居住の総合的環境を整備していこうというようなことがテーマかと思っております。

 続きまして、昭和六十二年に、中曽根内閣のときに四全総が策定をされました。このときは、計画策定の意義といたしましては、一つは、東京を国際的な金融センターというか、そういうものとして育成していくべきではないかという議論がある一方で、東京圏への集中をどう是正するかということが大きな目標だったと思いますが、その中で打ち出されていた考え方は、多極分散型国土を形成するといった観点から、交流ネットワーク構想というものが戦略的な手段として位置づけられておるわけであります。このためにいろいろな交流の機会をつくっていく、それのベースとして交通、情報通信体系をきちっと整備していくというようなことが打ち出されたというふうに考えております。

 一番新しい国土計画といたしましては、平成十年、橋本内閣のときに二十一世紀の国土のグランドデザインを策定しております。これは現在まで続いておるわけでありますが、五全総という形では呼んでおりません。全総法に基づく計画ではございますが、今までの四全総までとは違いまして、いろいろな意味で異なった点があるということで、経済社会の大きな転機、例えば経済のグローバル化あるいは人口減少、高齢化といったようなことを前提にして、太平洋ベルト地帯への一極一軸型国土構造というようなものを問題意識としてとらえまして、それに対応して多軸型国土構造の推進を図っていくということが大きなテーマになっておりました。具体的な戦略手段として一つだけ御紹介させていただきますと、例えば多自然居住地域の創造といったようなものがテーマになっているというふうに考えております。

 以上です。

森田委員 今お伺いしていますと、委員の先生方もそれぞれについて立派なお題目があるなという感じだと思いますが、私が何となく感じるのは、それぞれ第一次の全総から新全総、三全総、四全総、五全総、デザインと来るにつれて、やはり惰性というか、計画をつくるための計画というような色彩がほんの徐々にではあるが強まってきたのではないかというような気がしておるわけでございます。これは局長、若干お答えにくいかもしれませんが、その辺についての所感をよろしくお願いします。

尾見政府参考人 今の御質問でございますが、私も、率直に言いまして今御指摘のようなことなのかどうかお答えに迷っておりますけれども、その時期その時期に、やはり時代環境にふさわしいテーマということで目標を定め、戦略的な取り組みをしてきたということは言えるのではないかと思います。

 そういうことで、それぞれの時代背景がある中で、大きくこの間時代が変わってまいっております。そういうものから見て、各次の計画が少し時代に合っていないんじゃないかという感じがもし外から見て生まれているとすれば、計画をつくるための計画になっているんじゃないかというような感想なり印象というものが出てくるおそれもあるのではないか、こんなふうに考えております。

森田委員 ところで、話題はかわりますが、全総計画のねらいは言うまでもなく一極集中を排除して国土の均衡ある発展を図るということでございますが、私が常日ごろ念頭にございますのは、しかし、こういう努力をしながら、日本ほど一極集中が激しいところはないのではないかという気がするわけであります。

 と申しますのは、アメリカをとってみましても、ニューヨークは確かに大都市でございますが、しかし、ワシントンという政治の都が別にあります。さらには、西部にはロサンゼルスやサンフランシスコという都市もあります。中国も、私はよく行くわけでございますが、確かに上海は大都市でございますが、同時に北京という政治の都もあり、さらに、最近日本総領事館が開設された重慶というのは三千万の人口を有するわけでございます。

 このようなことから見ると、小さい国は、シンガポールとかそういうところは別にいたしまして、日本に匹敵するような国で、かつ人口集中あるいは一極集中が激しい、首都集中が激しいというような国がほかにあるかどうか、その辺を教えていただきたいと思います。

尾見政府参考人 今の御指摘の点でございますが、国ごとでいろいろな歴史とか地理的な違いもございます。あるいは統計のとり方等もいろいろ制約がございまして、なかなか厳密な比較を一概に言うことは難しいのじゃないかというふうに思っております。

 人口という点で見てみますと、これも対象の都市の定義によって、例えばグレーター・ロンドンと考えるのかもっとその中で考えるのか、そういうので違ってまいりますが、大きな傾向としては、今御案内のございましたように、米国の大都市の一極集中は東京よりも低いということは言えるのではないか。あるいは、ヨーロッパ諸国の大都市の一極集中度も総じて日本よりも低いということが言えるんじゃないかと思います。アジアでは、今御指摘がございましたように人口規模が大きな都市がありますが、ベースが大きゅうございますので、これも国全体の人口比率から見ると必ずしもシェアが大きいわけではないというふうに思います。

 具体的な都市について、手元に、完全な数字ではございませんが、あるので御紹介をさせていただきますと、東京二十三区で国の人口に占める割合が六・六%になっております。東京都全体で見ますと九・七ということですから、これをベースにお考えいただきたいと思います。

 そこで、それを上回っておるところがどこかあるかと見てみますと、ロンドンが一一・九という数字があります。これもロンドンのとらえ方によって大分違うんじゃないかと思いますので、参考になるかどうかわかりません。あるいはフランスは、パリの中心のいわゆる二十区、そういうところで見ますと二・六でありますから、極めて小さい。それから、パリを含む八県、いわゆるイル・ド・フランスというところにいきますと、一八・二ということで少し集中の度合いが高いということも言えるのかなと思います。その他、韓国のソウルが若干高いという数字が出ているように思います。

森田委員 今度の質問は通告していないんですが、実は私は、東京を中心とする関東とそれから大阪を中心とする関西、これが、できれば国土の均衡ある発展という中にあって二つの中心、いわゆる二眼レフとして国土が発展していったらいいなと前から念じておるわけでございますが、なかなかそうはならなくて、本社等もどんどん東京に集中するというようなことで、あるいは情報化時代を迎えて情報発信機能等も東京が中心になるというようなことになっておるんですが、その辺の、関西の復権ということを言われたんですが、それと国土総合開発法との関係から見て、どういうような状況になってきたか、その点についてもお知らせいただきたいと思います。

尾見政府参考人 手元に資料がございませんが、今おっしゃいました関西圏のこの間の状況でございますけれども、例えば、まだまだ本社の割合だとかそういうことからすれば東京へ移っておりますけれども、例えば名古屋圏等と比べますと、相対的に言えば数は非常に多いと思います。生産力だとか生産の指数からいうと大分最近近接してきているということで、トータルにいうと、名古屋圏と例えば近畿圏、関西圏との間はちょっと接近をしてきているのかなというふうな感じがいたします。

 今、二眼レフというようなお話がございました。私も、国土構造の中で二眼レフ論というものをどう位置づけたらいいのかというふうなことについては、正直はっきりした見解を持っておりません。今お話が出ました本社が東京に移っていくという背景には、やはり国際化というような大きな流れの中と、それから交通、通信、今までは、やはり狭いようでも日本は広うございますので、いわば西日本の拠点というような形で関西が位置づけられてきたと思いますが、やはり航空だとか新幹線だとか高速道路とか、そういうようなことで時間距離が大分短くなっておりますので、そういう点から、日本の中で関西を東京に今匹敵するような形で存続させていくことが結果として厳しくなっているのかなというふうに思っております。

森田委員 それでは、今回の法案を貫く哲学というのは、これまでの全総計画の哲学と根本的に違う点があると思うわけでございますが、この点について大臣の所見をお伺いします。

北側国務大臣 背景といたしまして、大きな違いが幾つかあるかと思うわけでございます。

 一つは、これまでは、紆余曲折はありながらもやはり経済というのは成長していく、そういう流れの中で我が国の国土の計画をどうしていくか、こういうことでございました。今は、少なくとも従来のような右肩上がりの経済成長が当然というのではなくて、そういう考え方はもう終わったということだと思います。いかに確実に経済を確かなものにしていくか、成長させていくかというふうな時代になってきていると思うわけでございます。これが一つ大きな違い。

 もう一つは、これはよく言われるわけでございますが、人口減少時代に入ってくるということだというふうに思います。これは、我が国の有史以来、このような人口減少時代が到来するのは恐らく初めての経験であるわけでございます。

 一つは、右肩上がりの経済成長というものが終えんをした、もう一つは、人口減少時代にいよいよ突入してくる。この二つのこと、大きな背景の違いがあるかというふうに思うわけでございます。

 先輩、先人方々の本当に大変な努力によりまして、我が国も、社会資本等、本当に昔に比べますと、もちろんまだまだ課題はあるわけでございますが、そうはいうものの、やはり私の子供の時代なんかに比べますと本当に社会資本というものが先輩方の御努力によりまして整備をされてきたわけでございます。そういう意味では、ある程度のストックは十分できてきたというふうに私は言えるかと思います。

 そういう中で、これからの我が国の国土のあり方をどうしていくのかということでございますが、従来と違うのは、やはりこれはまず言わざるを得ないと思うわけでございますけれども、従来、人口がどんどん増加していく、経済がどんどん成長していく、また都市化がどんどん進んでくるという中で、どうしても開発中心の国土計画のあり方であったと思います。そういう意味では、開発型から、むしろ、これまで先輩方が長年かけてつくっていただいたこの既存のストックをいかに有効に活用していくか、また、それをさまざまなニーズに対応して付加価値をつけていくのかというふうなところが非常に重要になってくる。開発から、むしろ、安全とか安心とか安定とか、そうしたことが求められてきているのではないかというふうに思うわけでございます。これが一つ大きな違いかな。

 もう一つは、やはり我が国はある意味では一定のレベルまで達したわけでございまして、こういう一定のレベルに達しますと、私は、価値観として物よりも心の方をやはり重視をしていくのは、これはもうどこの国々の歴史を見てもそうではないのかというふうに思うわけでございます。心の豊かさ、心の充足感、そうしたものをやはり求めていく時代になるだろう。そういう中にありまして、この心の問題というのは非常にそれぞれ多様でございまして、価値観も多様化しているわけでございますが、これまでの文化とか歴史とか、それからそれぞれ地域の特性とか、そうしたものを尊重していく、また、環境というものをより重視していくというふうなことになるのではないかというふうに思うわけでございます。

 それぞれの地域地域の特色がございます。そういう地域の特性をしっかりと尊重した国土の計画のあり方にしていかないといけないのではないか。何か中央の方でばんと決めて、それで全国やってもらう、こういうことではなくて、各地方地方に根づいた文化とか伝統とか歴史とかがあるわけでございます。そういうものに根差したやはり計画づくりでなければいけないのではないか、そういう意味で今回の法案の中にも規定をさせていただいております。

 地方からもさまざまな、この計画をつくるに当たって主体的な参画をしていただこう、また、地方においても広域の地方計画をつくっていただこうということで、単に中央でこの計画をつくるだけではなくて、各地方地方からの御意見もしっかりと聞かせていただく、また、地方の中で広域的に計画をつくっていただく、こういうふうな手法も取り入れをさせていただいたところであると考えております。

森田委員 ただいま大臣から説明していただいたように、これまでの五次にわたる全総計画と今回の計画とは大きな違いがあるわけでございますが、しかし、世の中あらゆる転換というのは悩みの中から発生するわけでございまして、その前の段階でいろいろ検討され、思い悩んで、そしてその結果が大きな決断としてあらわれてくるというようなものだと思っておるわけでございます。

 今回のことにつきましても私は同様に思っておるわけでございまして、表面化していなくても、今までの一次から五次までの全総計画の中で、今回こういう発想を転換するようになった萌芽のようなもの、芽のようなもの、そういうのが何らか存在するはずだと思っておるわけでございますが、その点について御説明いただきたいと思います。

    〔委員長退席、山口(泰)委員長代理着席〕

尾見政府参考人 では、お答えを申し上げます。

 このたびの制度改正は、人口減少、高齢化を控えまして、今までの人口増加、開発基調型の計画の抜本的な見直しを目指しているというところでございます。したがって、基本的に、私どもは、新たな計画はこれまでの数次にわたる全総とは大きく性格を異にすると考えております。

 一方で、今次の改正を見てみますと、国民生活の安全、安心、安定の実現を重要な柱としているわけでございますが、こういう視点で今までの計画を見てみますと、先ほど御説明しました三全総は、やはり経済社会環境がオイルショック後で少し停滞をする、経済成長が安定成長に移行するという過程の中で、ある種同様の社会経済条件というものがあったこともあると思います。そういう点で、人間居住の総合的環境の形成を目指す、国民生活の質的向上を志向するという考え方がこの三全総の中にも芽が胚胎しているのではないか、そういう感じは受けております。

森田委員 その御説明がありましたので、私は御質問を控えようかと思っておったんですが、ちょっと御質問させていただきます。

 一次から五次まで、いろいろな思いを持って、またいろいろなテーマを抱いて、それぞれ特色あるものではございますが、とにかく典型的なもの一つを取り上げるとどうかという点について、私は、最初にできた全国総合開発計画と、それからその後のものについては三全総だというふうに何となく感じを持っておるわけでございますが、その点については、所感はいかがでしょうか。

尾見政府参考人 数次の国土計画の中で、これから新しい計画をつくっていこうという点での発想の類似性という点では、今申し上げましたように三全総があると思いますが、これまでの時代をある意味で一番色濃く反映しているという計画は、私は、何といっても二番目の全総計画だと思います。

 やはり大規模開発プロジェクトというようなものを基軸に据えて、その発想は、日本全国をフルに利用できるものは利用していこう、言葉をかえますと都市的な価値、利便性、そういうものを全国津々浦々に広げていこうと。このために根幹となる交通関係の施設、通信施設、情報関係、そういったもろもろのものを計画的に強力に整備していこう、そういう発想だと思いますので、その点では、五次までの全総計画の中で最も全総計画らしい全総計画は何かと言われれば、私は二番目の全総ではないか、こんな感じを持っております。

森田委員 よくわかりました。

 それから、今回の法案は、先ほど大臣から御説明がありましたとおり、国家財政も厳しくなっておる、あるいは人口が減少する、有史以来の出来事が起こっておる、価値観が多様化しておる、これは確かに大変大きな変化でございまして、これは国土総合開発のみならず、世の中全体に対してこれから大変大きなインパクトを与えると思うわけでございます。

 ただ、こういうような変化は、人口問題というものは比較的将来予測が易しいという面もありまして、我が国の少子高齢化は、実は厚生省の人口問題研究所が予測しておったよりはより高齢化、より少子化というふうになっておることは事実でありますが、しかし、少子高齢化の予測というのは相当前からなされておったわけでございますし、また、アルビン・トフラーが「第三の波」で既に述べましたように、二十年前から情報化社会が到来するというようなことを予言していた人もいるわけでございますから、今回のこの改正というものが、今から考えて、もっと早く発想ができなかったかどうかという点について、いかがでございましょうか。

尾見政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生御指摘の人口という点につきますと、平成十年のグランドデザインのときに、既に人口減少、高齢化というようなことについて、二十一世紀の初頭から減少に向かうということを問題意識としては持った計画になっておりました。ただ、そうした中でも足元の人口は増加しているわけでありますので、そういう意味では、来年から下がっていくとか、そういうことで非常にクリアに問題をとらえ切れなかったというふうなところはあるんじゃないかと思います。

 あるいは、国際化ということにつきましても、現在のグランドデザインは、開かれた国土というようなことで大きなテーマに掲げております。ただ、この点についても、東アジアのこの大きな台頭というか勃興ということについては必ずしも十分に読み切れていなかった、そういう面もあるのではないかと思っております。

森田委員 それでは、全総計画で象徴的にあらわれておる、よく一般に言われておる国土の均衡ある発展という概念でございますが、この概念は、単に全総計画のみならず、例えば、私は批判的でありますが、竹下内閣の一市町村一億プロジェクトというような構想を生み出したり、あるいは公共事業を実施するときに各地方の開発、発展を進めていくという根本概念として、国土の均衡ある発展ということが常にその主柱として唱えられてきたわけでございます。この点について、ある意味ではもはや全総から独立してさらに進んだ概念になってきておるわけでございますが、これはそろそろいろいろな面で光を当てて考え直していかなきゃいかぬ点も出てきておるわけでございます。

 確かに、全総計画には、私が今申し上げておるように国土の均衡ある発展ということが端的にそういう言葉で書かれておるわけではございませんで、もっと屈折した、もっと多面的な言葉になっておるんですが、一般の国民の理解は非常に単純明快に、ある意味では金太郎あめみたいな発想に結びついてきた面があるわけでございますが、この点について大臣の所感はいかがでございましょうか。

北側国務大臣 この国土の均衡ある発展という言葉の本来の意味は、やはりこれは、地域の特性を生かしつつ国土利用の過度の偏在を是正していくというところに本来の趣旨があると思うわけでございます。あくまで地域の特性を生かしつつ、バランスのある、国土の均衡ある発展をしていくという意味だと思います。

 そういう意味では、これまでもさまざま取り組みをされてきたわけでございます。もう廃止がされましたが、工場等立地制限法でしたでしょうか、これは首都圏また大阪圏において工場等の立地について大いなる制約を設けて、そして工場等が地方に分散するように、また大学なんかもたしか対象になっていたかと思います。

 このような地方分散は、そういう意味では相当進んだとも言えるわけでございますけれども、一方で、今委員もおっしゃいました金太郎あめ、フルセット主義というふうな御批判もあるわけでございまして、また、この委員会でもよく御指摘がなされますとおり、相変わらず東京一極集中という状態は続いているわけでございます。先ほど先生の方から二極というお話がございました。私も本当にそのようにあるべきだというふうに思うわけでございますが、そういう意味では、まだまだそういう状況にはなっておらないというふうに言えると思うわけでございます。

 ただ、冒頭申し上げました本来の国土の均衡ある発展という言葉で描いた趣旨、そういう目標は、これはそういう意味で、本来の趣旨ではやはりこれからも維持をされていかなきゃならないのではないかと私は考えているところでございます。

 先ほど答弁させていただきましたが、今回の法案の中に、地方からも、各地域地域からもしっかりと意見をちょうだいする、また地域においても計画をつくっていただく。各地域地域の特性というものをしっかり尊重した形での国土計画にしていかねばならないというふうに考えております。

森田委員 これからちょっと局長に、その点についてさらに掘り下げたところでお伺いするわけでございます。

 きょうは後ほど寺田先生も御質問になるわけでございますが、我々お互いに今の財務省の主計局におったわけでございまして、国土の均衡ある発展という、それぞれの地域からの要望というときに、今財政が非常に厳しくて、だから皆さん方、各地方で考えておられる夢多きいろいろな事柄と、それから全体で財政が許容できる財源の範囲にいずれ食い違いが出るということをお気づきになるような場面が、将来、どの程度の近い将来かは別にして、そういうことになるんじゃないか。

 今の段階では、確かに、金太郎あめじゃなくて、それぞれの地方の特色あるものを花咲かせていくんだということで、それはそれで納得は得られると思うわけでございますが、実際にやってみると、それは、かつての高度成長で毎年財源が余って減税をしなきゃいかぬというような状況のときとは根本的に違いますから、そこのところと、それから今の国土の均衡ある発展、いわゆる財政面まで考えた国土の均衡ある発展ということについて、局長の所感をお伺いします。

尾見政府参考人 それでは、私の考えているところをちょっとお話しさせていただきたいと思います。

 今、先生おっしゃいましたように、国土の均衡ある発展という考え方、理念、それは今大臣の方からお話がありましたとおりだと思っております。それで、具体的に、財政の状況がこういうふうになっている中で均衡ある発展というのは、言ってみれば、言葉の上ではあってもなかなか現実化していかないのではないか、こういうような御指摘だろうと思います。

 私は、私ごとになって恐縮でありますが、この間、国土交通省の出先の整備局というところに行って勤務しておりました。そういう中で、その地域の方々からいろいろ、道路だとか河川だとか、そういうことについての御要望をたくさんいただくわけでありますが、なかなかそれを、新しいものを採択するとか、そういうことが極めて厳しくなっております。継続的な事業をいかに早く完成させるかということが大きな目標ではございますが、それとてもだんだん厳しくなってまいっておりまして、その完成の時期とかめどとかいうようなものがつきにくくなるという状況はもう生まれつつあるのではないかと思います。

 今回の広域計画制度というようなものの考え方の一つは、そういう場合に、例えば限られた財源の中で、全国的な見地あるいは広域的な見地から、本当にその地域にとってどういうものから整備していったらいいのかというようなことを広範な関係者の中できちっと議論していただいて、その中で合意がされたものについては、もっと具体的な形で進めるということができるんじゃないか。一つの発想の転換というようなことになるんじゃないかと思いますが、そういう可能性を追求していきたい、こういうふうに思っておるわけでございます。

森田委員 おっしゃることはよくわかるんですが、ただし、市町村というのは、基本的な市町村長の立場というのは、国全体というよりは、隣の市町村より我々の方がいい、隣の方からは劣っていない、そういうことであれば、あの市長さんは有能だ、あるいは町長さんは有能だと言われる傾向がありまして、なかなかそういう特色を持って考えるというのは市町村長という立場から難しい面があるのです。

 先ほど地方の経験がおありになるというお話がありましたが、その御経験の中で、今一般的に御説明されたのと、例えば何町のどういうことでそういうことがあったというような体験されたことがありましたら、それをぜひここで御披露いただきたいと思います。

    〔山口(泰)委員長代理退席、委員長着席〕

尾見政府参考人 今先生の御指摘は、私が申し上げましたように、市町村長さんが御自分のエリアを超えて御議論をして、具体的にこういうところからやっていこうというような合意をして物事が進んだ例があるかというお話だとすれば、私は寡聞にしてそういう経験はございません。やはりなかなか厳しいものだと思います。もちろん議会、住民の声ということもございますので、それは端的に言って非常に厳しいことだと思います。都道府県の知事さんですらやはり難しいのではないかと思います。

 ただ、今回の国土計画の議論の中で、東アジア、中国、韓国のこのスピード感、そういうものをやはりきちっと国民の皆さんあるいは首長さんの皆さんにも理解をしていただいて、うかうかしていると大変厳しいことになるんじゃないか、そういう認識を持っていただくことも非常に大事なんじゃないかと思います。そういう過程の中でそういう方向を目指していくということが大切だと思っております。

森田委員 それからもう一つ、今、全国では合併が大いに推進されております。それで、細かく見れば、西高東低と言われるように、西日本で合併が非常に進んでおって、東日本の方あるいは北海道では合併がそれほど進んでいないわけでございますが、これはある意味では、市町村の面積が非常に大きいとか、あるいは市町村間が離れておることとか、原因があろうと思います。

 いずれにしても、合併というのもこれはいろいろな点でいろいろ影響があるわけでございますが、今回のこの法律案を作成するに当たって、現在このように進められておる合併、あるいは遠い将来には道州制に行くんでしょうが、今回の法律案はそこまでは考えておらないと思いますけれども、合併との絡みでどういうような議論があったのか、あるいはなかったのか、その点について御質問いたします。

尾見政府参考人 お答えを申し上げます。

 率直に言いまして、市町村の合併の問題をこの計画の中で正面から受けとめて議論してきているということはございません。ただ、広域的にやはりこれから物を考えていかなくちゃいけない、そういう土俵づくりの中で、私も市町村長さんにお話を伺う機会もありますが、やはり市町村合併は、財政上の理由等々もあると思いますが、これから将来を見越していったときに、ある程度の生活のレベルというか生活サービスを享受できるようなエリアというのはどういうものかというようなことが前提となって、それが大きな動機づけになっているんじゃないかと思います。

 そういう意味では、国土審議会の中で、広域的な生活圏のあり方ということについて、ブロック的なレベルのものと、あるいはもう少し小規模な、三十万というような数字が出ておりますが、これからは一時間圏で三十万人ぐらいの規模の都市圏でないと基本的なそういうサービスをきちっと充足していくということは厳しいんじゃないか、そういう議論もあります。そういう議論と今の市町村合併というのは、考え方として軌を一にしているところがあるのではないか、こんな感じがしております。

森田委員 今たまたま三十万人という話が出ましたので、これは若干宣伝になりますがお話しさせていただきますと、実は大平総理は前々から田園都市構想ということを言っておりまして、これが、大体三十万人ぐらいの都市をもとにして、そして国との二層制というようなことを考えておったわけでございますが、まさに私もその田園都市構想というのを受け継いで今政治をやっておるわけでございますが、それと軌を一にするところがあるわけでございます。

 そしてさらに、今、御存じのように、補助金を削減して、それに見合う財源を地方に付与して、そして地方交付税を調整するという三位一体の話が進んでおるわけでございます。これはいわば、財務省の方はどうしてもこの三位一体を機会にして財政再建の方向に踏み出したいというふうな方向に走りがちでありますが、本来三位一体というのはそういうことではないはずでございますが、これとの絡みで、地方分権がさらに進んだ状態とそれから今回の全国総合開発計画、全総計画の考え方の違いというか、新しい発想によるこういう法案ということについての、これまたそれと直接的な関係はないということはよくわかっているんですが、何か議論があったのかどうか、その点についてお知らせいただきたいと思います。

尾見政府参考人 それでは、二点に分けて御説明をさせていただきたいと思います。

 一つは、現在進められている分権と今回の法案とはどのような関係に立つかということでお答えをさせていただきたいと思います。

 国土計画につきましては、分権の流れの中で、第二次地方分権推進計画、これは平成十一年三月でありますが、それから平成十四年十二月の取りまとめ、国と地方に係る経済財政運営と構造改革に関する基本方針、こういうものがございます。この中で、地方公共団体の自主性、主体性をできる限り尊重すること、地方公共団体の計画機能を阻害することのないよう国の役割を本来果たすべき事項に重点化すること、それから、計画策定過程において公共団体の意見を聴取する仕組みを設けること、こういうことが指摘されております。

 今回の法案におきましては、これらを踏まえまして、基本理念の中で、地方公共団体の主体的な取り組みを尊重しつつ、国が果たすべき役割を踏まえて、国の責務が全うされることになるよう定めるものとするということにいたしております。また、ブロック単位の地方ごとの広域地方計画につきましては、再々説明させていただきますように、国と都道府県が対等の立場で協議をする協議会というような仕組みを設けまして、国と地方とのパートナーシップということでの地域づくりを目指しているところでございます。

 三位一体の関係は、もちろん今度の国土計画の中で直接的に議論したことはございません。この三位一体の改革との関連性は、そういう意味ではあるとは思っておりません。ただ、国土計画という分野において、国と地方との新しい意思調整のメカニズム、そういうものを導入するということでありますので、今後、広く国と地方公共団体の役割分担のあり方を議論する上で、一つのステージというか仕組みとして議論の対象になり得る余地はあるのではないか、こういうふうに思っております。

森田委員 それでは、最後にちょっと人間臭い質問をして、質問を終わりたいと思います。若干まだ時間はありますが。

 今回の一部改正法律案につきましては、まさに後の歴史において局長の名前が残ると思うわけでございますが、一次から五次までのそれぞれの開発計画において、下河辺さんの話はよく知っておるんですが、ほかにそういうふうに名前が残るべき人というか、記憶に残っておる方がございましたら、なければ結構ですが、ございましたら挙げていただきたいと思います。

尾見政府参考人 大変難しい御質問でございますが、国土計画の分野では、今先生がお話しになりました下河辺先生がやはり圧倒的な、富士山のような存在としておられていたんじゃないかと思います。ある意味でこれまでの全総計画を代表する存在だというふうに思っておりまして、ほかの方々、恐らく大勢の方々が計画づくりに貢献されたんだと思いますが、私、この仕事についてから、あの方というようなことで特に今この場で申し上げられる方は、ちょっと思い出すことができません。

森田委員 はい。以上で終わります。

橘委員長 寺田稔君。

寺田(稔)委員 自由民主党の寺田稔でございます。

 本日は、国土総合開発法の改正案、この付託をされております。全総、全総という名前で親しまれておりましたこの国土総合開発計画でございますが、本日は、過去の四次にわたります全総の評価、そしてまた、それらのファクトに基づく評価も踏まえながら今後の方向性につきまして議論をさせていただければというふうに思います。よろしくお願いをいたします。

 最初の計画の策定でございますが、法律が昭和二十五年にできまして、最初の策定はその十二年後の昭和三十七年になるわけでございますが、時あたかも池田内閣でございます。池田勇人、私の義理の祖父にも当たるわけでございますが、この池田勇人、昭和三十五年から四年間内閣総理大臣を務めております。その前が岸内閣ということであったわけでございます。岸内閣は、御承知のように、六〇年安保闘争、大変大きな政治闘争がございました。そしてまた、当時は、三池炭鉱の労働争議でありますとか、あるいはまた数々の事件、下山事件あるいはまた三鷹事件等々、非常に騒然とした、国論を二分するような事態が起こった。また、山谷の暴動があったりして、非常に殺伐とした時代でございました。

 これはおじの池田行彦からも聞いたのでありますが、池田勇人は、ぜひ国論を一つにまとめて、チェンジ・オブ・ペースを図りたいというふうな発言をいたしております。これからは経済の時代である、経済のことなら池田にお任せくださいというふうな記者会見も行っているわけでございますけれども、当時はちょうど特振法に基づきまして、いわゆる傾斜生産方式、特定の重化学工業に主に視点を当てまして、太平洋ベルト地帯を中心とした開発に、やはり貴重な資源でございます、効率的、重点的な投資を行うことによって日本経済全体の底上げを図っていこうというふうな方式がとられたわけでございます。

 この傾斜生産方式が始まりまして、昭和三十一年の経済白書におきましては、もはや戦後ではないというふうな、有名な経済白書がございました。そして、この池田勇人、昭和三十五年には、いわゆる月給二倍論というものを広島の袋町小学校で演説としてとり行ったわけでございます。最初は月給二倍論という言い方でございました。しかし、月給を二倍にしましょう、非常にわかりやすい言葉であったわけでございますけれども、よりマクロの視点も入れまして、いわゆる所得倍増計画として昭和三十五年、組閣後に閣議決定を見ているわけでございます。

 これは、重要な点は、所得倍増でございます。国民総生産を倍にするとか、あるいは企業収益を倍にするということではありません。あくまで分配された結果としての雇用者所得を倍にしたいと。すなわち、労働分配率の点も考慮に入れて、そして、当時の下村理論、そしてまたさらには、論理的な支柱といたしましては、加速度原理でございますとか、あるいはギーリッヒの最小律の法則、さまざまな当時の論理を駆使いたしまして理論的には所得倍増計画が構築をされたわけでございます。そして、この所得倍増計画が閣議決定をされました二年後の昭和三十七年に初めての全総の策定になるわけでございます。

 この全総は、当時の池田改造内閣のもとで、池田内閣総理大臣、そして当時の経企庁長官でありました宮沢喜一経企庁長官の、まさに池田、宮沢コンビによりまして策定になったわけでございます。

 そして、このコンビによりましてとられました方式は、いわゆる拠点開発方式というものでございました。いわゆる新産・工特、すなわち新産業都市と工業整備特別地域、これをそれぞれ全国に新産が十五地域、そして工特が六地域指定をされまして、先ほど申しましたような傾斜生産方式の重化学工業主体の開発の考え方のもとで、太平洋ベルト地帯を中心とした拠点開発というものに取り組んだわけでございます。

 池田内閣のそういう所得倍増計画が、まず全総にいかに反映をすべきであるか、これは当時の内閣でも相当な議論になったわけでございます。すなわち、国民所得は倍になるということでございますから、当然、全体としての経済のスケールも二倍に上がっていく。当時は九%成長の時代でございました。実質経済成長率九%。仮に八%成長を十年続けますと、八パーの複利計算ではちょうど倍になるわけでございます。

 したがって、当時の経済成長率のもとでは、GDPを十年間で倍増する、あるいはまた国民所得を倍増するというのは、当然、現実性のあったプランでございまして、現に当時の社会党左派からも、四年間で国民所得を一・五倍にしましょうというプランも出されているわけでございます。それは逆に、池田の唱えました所得倍増計画の正当性を裏打ちすることに結果的になったわけでございますけれども。

 そのような所得倍増によって経済規模も倍化をする。そうした中では、では、いかに政府としての投資規模を持っていくかという議論が閣内で論議をされたわけでございます。すなわち、政府としても、当然、国民所得は倍になるわけでございますから、投資規模もそれに見合って倍にすべきであるという議論が片やありました。

 しかし、当時といたしましては、もう既にいわゆる高度成長のひずみ、よくひずみ論というふうに言われていたわけでございますけれども、ひずみ論というものが論議になっておりました。すなわち、どうしても都市への集中、特に太平洋ベルト地帯への集中、そして公害問題も既に萌芽の段階ではございますが生じていたというふうなことで、必ずしも投資額を倍増する必要はないのではないか。すなわち、国民所得全体の国民福利が倍増するんだから、逆に投資額はもっと抑制できるのではないかというふうな議論も当然閣内にあったわけでございます。

 ここで一点まずお聞きをいたしたいのは、池田内閣の所得倍増計画が全総という具体の国土開発計画の中でいかに、どういうふうな形でもってこの所得倍増が具体の投資額に反映をされたのか、お伺いをしたいと思います。

尾見政府参考人 今先生御指摘の所得倍増計画が最初の全総計画の投資額の中にどういうふうに反映されたかというお尋ねでございますけれども、大変申しわけないんですけれども、二番目の全総以降は投資額についての数字があるわけでございますが、最初の全総計画については、所得倍増計画との関係は先ほど申しましたような形で、それをベースにして拠点開発方式を進めていく、そういうことについての詳細はございますけれども、数字的なものはその全総計画そのものにも入っておらないわけでございまして、その点については今お答えするということは、申しわけございませんが、できません。

寺田(稔)委員 ただいま最初の全総計画には投資額の数字がないというお話がございました。

 実は、私はおじの池田行彦からは、これは政府内の議論として八十兆というふうな数字が議論されたんだ、一つのめどとして議論されて、八十兆という一つのこれは政府の公的資本形成額でございますけれども、そういうふうな議論があったというふうに聞いておりますが、この点については御存じでしょうか。

尾見政府参考人 確認をしておりませんが、全総計画ではなくて所得倍増計画の中で投資額に当たる数字があるのではないか、それが先生が今御指摘になられた八十兆という額ではないかという感じがいたしておりますが、昨日までにちょっといろいろ資料等を確認した段階では明確に確認できなかった、こういうことでございます。

寺田(稔)委員 これは、当時の内閣では実は大変な議論が行われているわけです。すなわち、所得倍増、これはもうかなり定量的な閣議決定を伴ったものでございます。

 所得倍増計画の昭和三十五年の閣議決定自体の中には、政府の公的資本形成という数字はあらわれてきません。あくまで所得倍増計画というのは、先ほども申しましたように、国民の所得を倍にする、当初は月給二倍論という言い方でございましたけれども、そこを定量的なターゲットに掲げたわけでございまして、あくまで全総、国土の開発計画におきまして、当然のことながら一定の投資水準が議論をされ、そしてまた、その一つのめどとして存在をしておったというふうに思うわけですけれども、今の局長の御答弁だと、そこは確認できないということでございました。

 私が言いたいことは、つまり国民所得は倍になっていくというふうな中で、一体、当時いろいろな議論もあった中で、果たしてどのような投資水準の設定が妥当であるかという議論が行われたかということを検証することは、これは非常に大きな今日的な意義もあるわけでございますので、ぜひその点は十分にこの検証を踏まえて今後の議論に生かしていただきたいというふうに思うわけです。

 この全総をひもといてみますと、そこで述べられておりますところの、基本的な課題というものが述べられております。

 先ほど森田先生への答弁で局長も言われましたように、一つの大きな課題は都市の過大化の防止でございます。当時から高度成長のひずみ論というものが出ておりましたので、都市の肥大化を防止していく必要があるというのが非常に大きな論点でございました。これは裏を返せば、過大な投資開発を都市にすべきではなくて、一定の抑制的な意味合いが当然あったわけですね。都市の過大化の防止。

 次に、いろいろなポイントがあるわけでございますけれども、自然資源の有効利用ということが述べられております。これは、当然、日本国内にあります、希少ながらある自然資源を有効に利用してなるだけ効率的な経済運営をしていこうという観点と、あと、先ほど言いましたように、やはり当時から顕在化しつつあった高度経済成長のひずみですね。特に公害問題も出てきておりました。当然、そういうふうなことを十分に念頭に置いて自然との調和を図ろうというふうな議論があった。この二つの含意があったというふうに私も聞いているところでございます。

 また、その他の重要な論点として、資本、労働等の諸資源の適正配分ということが言われております。先ほども言いましたように、国民所得の倍増でございますから、単に経済規模が倍になる、あるいは企業収益が倍になるだけでは足らない。一定の労働分配率ということを念頭に置いた国民所得の計画を閣議決定しているわけですから、当然、労働、資本の分配をどういうふうに適正化していくかというのは、当時の内閣としても非常に大きな論点であったわけでございます。

 これらの諸課題が全総の基本的課題として昭和三十七年時点で掲げられているわけでございますが、私は、これらの課題を今日的な目で見たときに、都市の過大化の防止であるとか、自然資源の有効利用であるとか、あるいは労働、資本の適正配分、非常にやはり今日的な目で見ても、まだその意義は失っていないのではないか、十分にその妥当性は、もちろん若干のモディファイは要すると思います。当時の高度経済成長の時代と今日は違います。また、当時の人口増加社会と今日とは違うわけでございますけれども、これらの目標の妥当性については十分にあるのではないかというふうに思うわけですけれども、大臣、この点、当時の全総をごらんになっていかに評価をされるか、お伺いをしたいと思います。

北側国務大臣 きょうは、先ほどの森田先生を初め、戦後政治の歴史を本当に勉強させていただいているなというふうに思っております。

 この一全総の目標に、今、寺田委員のおっしゃいましたことが掲げられている。本当に卓見であるなと改めて感じているところでございます。おっしゃいましたように、都市の過大化の防止も、自然資源の有効利用につきましても、現在もそういう意味では大きな課題であるということでは、そうだと思います。

 ただ、今委員がおっしゃいましたように、背景といいますか時代背景が全く違ってきておる。その当時の都市への人口集中というのは、これはすさまじいほどの人口集中でございました。本当に、地方、各田舎から、中学校を卒業して、また高校を卒業して、あれは何列車というんでしたっけ、集団就職ですか、そういうもので東京へ、また大阪へ上がってこられる。そういう、本当に都市に急速に人口が集中していったときにさまざまな問題、課題があったというときの状況と今とは、そういう意味ではやはり大きく違うんだろうというふうに思いますし、また、その後のさまざまな政策によりまして、確かに、工場等も地方に相当分散をされているわけでございます。今、さまざまな新しい工場ができておるわけでございますけれども、結構田舎の方に、田舎と言ったら怒られますね、地方の方に本当に各大企業が投資をして、大きな工場を立地しているという状況もでき上がっております。

 そういう意味で、その当時とは大きく背景が違ってきて、また、これから目指すべきものも相当違ってきているのではないかというふうな認識を持っているところでございます。

 ただ、今委員のおっしゃったように、自然との調和だとか、それから、今まではどちらかといいますと東京を中心に太平洋側が非常に発展をしてきて、そこにさまざま拠点があるという、やはりこれからの時代を考えたときに、例えば、今、東アジアが急速に発展していく中で、日本海側がもっと、その地理的な条件からいっても、この日本海側の地帯をどのように発展させていくのかということは、これまた非常に重要な課題。そういう意味で、地域格差の是正だとか、均衡ある発展だとか、そういうことは、やはり今でも妥当するところは十分あると思っております。

寺田(稔)委員 今日的にも、その妥当性について大臣もお認めになっておるわけでございますけれども、私はやはり、時代のそれぞれのニーズに合わせて、その当時の、その時点時点での課題に適切に対応していって、計画も、十分な柔軟性と、そしてまた評価を行っていくというふうな姿勢でもって臨むことは当然に重要なわけでございますけれども、先ほど言いましたような都市の問題、あるいは自然資源の問題、さらには労働、資本の問題等、非常に、今日的に見ても十分に取り組まなければならない課題であるし、これからの新計画においても、それらの観点を、今日的な意味でのモディフィケーションを行いながら見ていくというふうなことがぜひとも必要なのであるというふうに思う次第でございます。

 そして、この全総の時代が終わりまして、昭和四十四年には、二度目の計画になりますところの新全総が策定になるわけでございます。時あたかも佐藤内閣でございます。

 この時代、昭和四十年代も引き続き高度成長が続いております。基本的には、全総に掲げられた、先ほど申しましたような課題を継承しつつも、ここで一つの新たな踏み出しがあるわけですね。すなわち、いわゆる開発方式としての大規模プロジェクト構想というものがこの新全総によりまして大々的に打ち出されるわけでございます。

 そして、それはまさに、国土の均衡ある発展というふうなことが明示的にも計画の中に色濃く出てまいるわけでございます。すなわち、当時の新全総、昭和四十四年の計画をひもときますと、大規模プロジェクトを推進することにより、国土利用の偏在を是正し、過密過疎、地域格差を解消する、こういうふうに明示的に書いてあるわけですね。

 しかも、投資規模におきましても、昭和四十一年から、約百三十兆円から百七十兆円、これは当時の経済スケールから見ますと非常に膨大な投資額の設定だというふうに私は思うわけでございます。これは昭和四十年価格の数字でございます。ちょうど、あの昭和四十年代の十年間で経済規模は四倍近くに膨れ上がっておりますから、この百三十兆円、四十年価格ということは、大体、その後の五十年代のベースで見ますと五百兆円に迫る、あるいは五百兆円に匹敵するような規模なわけですよね。

 したがって、それだけの大規模プロジェクトの推進というのを大々的に打ち出している。しかも、そのツールとして、新幹線あるいは高速道路というふうなことを打ち出しているわけでございますが、この大規模プロジェクト構想に対します評価、これは、当時の評価のみならず今日的な目から見ても、ぜひその評価をお願いしたいと思います。

尾見政府参考人 お答えを申し上げます。

 今先生が御指摘になりましたように、新全総は、高度成長経済、人口、産業の大都市集中、情報化、国際化、技術革新の進展などに対応するために、豊かな環境の創造というのを基本目標にいたしております。そこで、新幹線、高速道路等のネットワークを整備し、大規模プロジェクト構想を推進することによって、全国に開発可能性を拡大するというようなこと、過疎過密を解消する、地域格差の縮小をねらう、そういうことだったというふうに思っております。

 新全総は、その時代に我が国の国土が抱えていた課題の解決に向けた政策の基本方向を示して、このことによりまして、大規模プロジェクトは、製造業の分野もございます、産業の分野もございますので、製造業立地の地方分散、あるいは地域間所得格差の縮小、こういう点で大きな成果を上げてきたというふうに考えております。

 ただ、大規模プロジェクトの中には、その後の社会経済情勢の変化への対応という点で若干問題がなくはないというようなものもあるということは、認めざるを得ないのではないかと思っております。

寺田(稔)委員 当時の、昭和四十四年に打ち出されましたこの新幹線計画はまだ、いわゆる整備新幹線計画ではありません。当時はまだ、東海道新幹線がようやく昭和三十九年に通って、その後、山陽新幹線ですね、「ひかりは西へ」というふうに言われていた時代でございます。また高速道路も、まだ常磐道もない、そして東名もない、そうした中でこの建設が進められていたわけで、あくまで基幹的な、非常に必須の路線に限って打ち出された新幹線計画であり高速道路計画であったことはもちろん論をまたないわけでありまして、当時の情勢から見て、そういう国土の均衡ある発展を図ろうということで打ち出されたこれらの大規模プロジェクト構想については、当然、十分是認できるし、当時の国民的コンセンサスであったことは、これはもう間違いないと思います。

 しかし、その惰性というか流れで、今まさに局長も言われましたように、その後もいろいろなものについてかなり多くの数値目標をこのとき掲げているわけですよね。例えば河川整備にいたしましても、港湾整備にいたしましても、空港整備にいたしましても、新幹線や高速道路のみならず、非常に国土の均衡ある発展という言葉にいわば引きずられる形でもって、全国的な整備展開への萌芽が見られるのも事実でございます。

 それらについては、その計画そのものが悪かったのではなく、やはりその後のきちんとしたフォローアップ、あるいは評価、あるいは経済社会情勢に対応した、きちんとした見直しの、まさに担当当局の目というのが非常に重要なわけでございます。そういった意味で、私は、当時策定をされた新全総については、そういうふうな評価を下したいというふうに思うわけでございます。

 その後、オイルショックがありました、そしてまた狂乱物価もありました。そうした中で、先ほど議論になりました三全総の時代へと移るわけでございます。時あたかも福田内閣でございます。そういったような地球資源の有限性というものが強く認識をされた三全総であったわけでございますが、そこでは、人間居住の総合的環境整備ということが大目標として掲げられておりまして、いわゆる定住構想というものが開発方式として採用になっておるわけでございます。

 当時はまさに宇宙船地球丸という言葉もあったわけでございまして、限られた資源をいかに有効に活用していくか、ストック活用というふうな観点も当時の三全総には盛り込まれているわけですが、この三全総についての評価をお伺いしたいと思います。

尾見政府参考人 それでは、お答えを申し上げます。

 今先生御指摘のとおりだというふうに思います。三全総は、やはり安定成長経済というようなこと、あるいは人口、産業の地方分散の兆しというものが生まれる中で、一番大事なことは、資源、エネルギー等の有限性、そういうものを認識するということだったのではないかと思います。人間と自然との調和ということをベースにして人間居住の総合的な環境の整備という目標が出されたわけであります。

 定住構想は、具体的には、三全総のフォローとして、全国の四十四の都府県においてモデル定住圏が選定されました。それで、定住圏の整備が進められました。その結果、こういうことを機会に地域でみずからのいろいろな創意工夫をしながら地域づくりを進めようという機運が高まったのもこうした取り組みを通じてではないかというふうに思っておりまして、地方の居住環境の向上とともに、この点は大いに評価できることではないか、こういうふうに思います。

寺田(稔)委員 この三全総において打ち出されました定住構想でございますが、当時の文献をひもときますと、全国の国土の利用の均衡を図り、人間居住の質的向上並びに総合的環境の形成を図る、まさに、当時ウサギ小屋というふうに呼ばれておりました日本の国民の住宅の質を高めていこうという質的転換の萌芽も見られるわけでございまして、そういったような中で打ち出された定住構想ですね。

 当時の投資額は、昭和五十一年から昭和六十五年、これは振り返ってみれば平成二年になるわけでございますけれども、この十五年間で三百七十兆というふうな政府の公的資本形成の設定になっております。これは、先ほど申しました新全総の額の設定とインフレアジャストメントを行いますと、かなり抑制された額であるというふうな見方もできると思います。すなわち、先ほどの新全総が五十年価格ベースだと恐らく五百兆を超えていたであろうと。しかし、五十一年から六十五年の設定として三百七十兆。

 これは、当時、五十年補正で初めての公債発行に追い込まれ、歳入欠陥というふうな事態になったことも踏まえてそういうふうな設定になったことはもちろん論をまたないわけでございますし、いわゆる財政再建を行わなければいけない、財政再建キャンペーンというふうなものも財政当局によって張られたわけでございます。そういった中でつくられました、安定経済成長を念頭に置いた三全総というものは、これも当然今日的な意義のある計画だったのではないかというふうに思うわけでございます。

 その後、四全総の時代に入るわけです。昭和六十二年の策定。時あたかも中曽根内閣でございます。中曽根民活内閣というふうに呼ばれたことを端的に反映いたしまして、投資額も、官だけの設定ではなくて、官民合わせての投資額設定となっております。すなわち、官民トータルの累積国土基盤投資額として一千兆円程度というふうな設定が昭和五十五年価格でなされております。

 この一千兆ということに対します評価をぜひお伺いしたいのと、四全総において打ち出されております多極分散型国土の構築、これはまさに東京への一極集中を排除して、当時はいわゆる首都機能の移転の話というものが論じられた時期でございます。いろいろな国の機関もこの東京から地方に持っていこうということで、多くの国の機関が地方移転になっていることは御高承のとおりでございますが、そうした中で開発方式として交流ネットワーク構想というものもとられたわけでございますけれども、その評価につきましてお伺いをいたしたいと思います。

尾見政府参考人 お答えを申し上げます。

 四全総は、人口、諸機能の東京一極集中、産業構造の急速な変化等による地方圏での雇用問題の深刻化、本格的な国際化の進展といったことに対応するために、交流ネットワーク構想、これを提起したということが最も中心的な事柄になっております。その結果として、一極集中を排除して、多極分散型国土の構築を目指したということだと思います。

 この交流ネットワーク構想は、計画の内容等を見てみますと、先ほどの二番目の全総計画、そこで全国的にいろいろ基幹的、根幹的な交通、通信情報網を整備するということをベースに、定住と上手に組み合わせて交流という概念を全面的に打ち出したということが大きな特色になっているのではないかと思います。

 その結果、国内的には、地方中枢都市、中核都市を核とする交流が非常に活発になりました。国際的にも、地方と世界とが直結するような交流、国の内外の交流が活発化した、こういう点は高く評価できるのではないかと思っております。

寺田(稔)委員 そのように、四次にわたります全総が策定をされ、そしてまた実行をされたわけでございますけれども、ここでやはりぜひ見ておかなければならないことは、それぞれにリンクをしておりますところの投資額、この実績というものはやはりきちんと押さえなければならないというふうに思うわけでございます。すなわち、この各全総においてはそれぞれの規模が示されている。

 先ほどのちょっと局長のお話だと、最初の全総については必ずしも確認できないということでございますけれども、それは確認できないで結構でございますが、先ほど申しましたように、最初の全総においては約八十兆ということが恐らく内部的なめどとしてあったのは、これはもう間違いないところでございますが、仮に八十兆といたしましょう。次の新全総が、一定のレンジはありましたけれども、約百七十兆。百三十兆から百七十兆ですけれども、百七十兆。次の三全総におきまして三百七十兆。四全総で、官民合わせた投資ベースとしての一千兆というふうなことが、ターゲットとして、目標として掲げられているわけでございますけれども、それぞれに対応します投資実績額を御教授いただきたいと思います。

尾見政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、新全総でございますが、累積政府固定投資約百三十兆から百七十兆、これは一九六六年から一九八五年までの二十年間でございますが、これに対する数字としては百三十五兆三千億という数字になっております。それから、三全総でございますが、これは累積政府投資約三百七十兆円、一九七六年から一九九〇年までの十五年間でございますが、二百四十七兆円という数字になっております。四全総からは、今先生御指摘のように、政府の固定資本形成ということだけではなくて、国土基盤投資という概念を入れまして、民間の住宅あるいは国土基盤に係る民間企業の設備投資、こういう公共性の高い分野の投資を加えることになったわけでありますが、そういうものとしては、一千兆円に対して七百三十一兆円。これは実は一九八六年から九六年の十年間ということでございまして、その一千兆円の方は一九八六年から二〇〇〇年の十五年でありまして、実は一九九六年から後の、国土基盤投資の一部である企業設備投資、この数字が、これも原因ははっきりいたしませんが、それまでは出ておったわけですが、これから後は把握できておりません。

 したがって、最終的に一千兆に対してどういう数字になったのかということを今の時点で明確に申し上げることは、申しわけありませんが、できないところでございます。

寺田(稔)委員 設備投資が出ていないというのはやや奇異な話でございますけれどもね。SNAベースで調べれば直ちにわかるのではないでしょうかね。

 それと、あと、全総について、目標額はないのはないでいいんですけれども、全総に対する実績、すなわち昭和三十七年から四十五年の実績値が欠落しておったので、それも御教授いただきたいと思います。

尾見政府参考人 申しわけありません。その点についても後刻きちっと調べて、できるだけ御報告できるように頑張りたいと思いますが、今の時点ではちょっと資料を持ち合わせておりません。

寺田(稔)委員 この点について、やはりきちっと実績を押さえないと、次につながっていく話なんですよね、ぜひとも御教授をいただきたいと思います。

 そうなりますと、今現在生きている計画でありますところのグランドデザインでも、これは投資総額を示さなかったわけですけれども、今後、これから新法によってできますところの国土形成計画においては、財政措置とのリンケージは一体どういうふうになってくるんでしょうか。それは示せないわけでしょうか、それとも一定のめどとして示されるわけでしょうか。

尾見政府参考人 現在の二十一世紀の国土のグランドデザインにおきましては、投資総額は示されておりません。それは先生おっしゃるとおりであります。

 この理由でございますけれども、一つには、二十一世紀の方向性を示す新しい経済計画、これは残念ながらというか、策定されていなかったというか、策定されなかったということでございまして、政府として明確な経済投資フレームが定まっていなかったということ等もあったのではないかと思います。こういうことで投資総額を示すことはできませんでした。

 新しい国土形成計画において財政措置とのリンケージをどうするかという点は、大変悩ましい問題だと思います。やはり一つには、七百兆に余る大きな財政上の負債を抱えております。そういう形の中で、これからの計画にどれだけそういう財政措置をリンクさせることができるかというのは、関係省庁等とも十分相談をさせていただかなきゃいけないことだと思います。

 ただ、私どもは、仮に財政措置とのリンケージということがどうなるかはわかりませんが、この計画、リンケージの意味は先生の御指摘の中でいろいろあるかもしれませんが、一つのポイントは、この計画の実効性といいますか、そういうものが見えるようになるかどうかという面もあると思います。プロジェクトの実現の時期とか蓋然性がどの程度計画の中で、あるいは計画のプロセスの中で明らかになっていくか、そういうことも大事だと思っておりますので、広域地方計画におきましては、協議を通じて具体的な個別事業名や優先的に実施すべき事業を明示して、国土基盤の具体的な姿を示すということにいたしたいと思っておりますので、そういう形で示していくことも一つの考えではないか、こういうふうに思っております。

寺田(稔)委員 ちょうどことしの頭でしたか、一月だったと思いますけれども、国土計画局のある担当課長とも意見交換をしたわけでございますけれども、その担当課長は、非常に投資効果の高いもの、まあBバイCの高いものと言ってもいいかもしれませんが、あるいはどうしても重点的に整備をしなければならない緊急を要する事業について、より実効性を高めるような形でもって、そこはもうきちっとやっていく、かつ年次も示していく、年も示していくというふうなことで、その意味で財政とのリンケージを高めたいというふうなことを言っておりますが、そのような議論が行われているんでしょうか。

尾見政府参考人 財政とのリンケージというのは、言葉をかえて言えば、この計画のいわば財政計画に当たるものであると思います。こういうフィジカルプランについてやはりきちっとした財政計画があるということは、計画の実効性というものをある意味で端的に示すものでございますので、私どもできるだけそういうことを追求していきたいという気持ちはきちっと持っておりますけれども、一方で、先ほど言いましたように、我が国の財政の状況が大変厳しい中でプライマリーバランスの達成を目指していろいろな取り組みをされるという環境の中で、トータルに今後どういう議論ができるのか、その辺は、国会での御審議等もいろいろと賜って、お知恵もおかりしながら進めていければと思っておるところでございます。

寺田(稔)委員 再度確認したいんですけれども、平成十年に今のグランドデザインをつくったときは、ちょうど財革法ができました。財政構造改革をやっていこう、それで各歳出ごとにキャッピングがなされたわけですよね。そうした中で、なるだけ財政負担を減らすためにあえて財政措置とのリンケージは示さなかったのがグランドデザインでございます。すなわち、その路線でいかれるのか。それはそれで一つの考え方ですよね。明示的に財政とのリンケージを示したら財政を縛ってしまうから、それはやめるべきだというのは一つのベクトルとして当然ある。

 しかし、そうじゃなくて、もう一つのベクトル、すなわち、ことしの頭、私が担当課長と議論をした、ベクトルとしては非常に限定する、すなわち何でもかんでも総花的に盛り込んだのであっては当然意味がありませんから、ある程度優先順位をつけて、喫緊にやらなければならないものに極めていわば局所的に限定をして、しかしその局所的限定については重点的、効率的に資源配分をしていく、そのことについてはリンケージづけを行う。これは異なったベクトルなわけですよ。どっちでいかれるのか。

尾見政府参考人 ただいま先生がお示しされたお考えも十分参考にさせていただきながら、これから考えていきたいと思いますが、財政構造改革ということが現代のグランドデザインの計画の中でリンケージがなくなった一番大きな理由であるということも認識しております。

 財政構造改革法そのものはその後廃止をされているわけでありますが、政府の基本的な方針というものがある中で、先ほど言いましたように、どういう知恵があるか、先生が今おっしゃいましたように、具体的にフィージビリティーが非常に高いもので重点的に進めるものに限ってリンケージを確保するということも一つの考え方ではないかというふうに思っておりますので、今後いろいろな議論をさせていただきたいと思っております。

寺田(稔)委員 そこは極めて重要なところでして、当然そこらの議論は既にやっておかないと、あるいは一定の方向性を示さないと、今後のグランドデザインとして、特には財政をどういうふうにしていくかというのに直結しますから、非常に大きな議論だと思うんですよ。

 それとの関連でぜひお聞きしたいのは、いろいろなブロック計画もあるわけですよね、それとの関連というのを十分考えておく必要があるわけでございますけれども、例えば、いろいろあるブロック計画の中で、沖振法に基づきます沖縄振興計画、これは当然あるわけです。法律に基づきまして沖縄振興計画ができている。

 例えば、沖縄振興計画が今後どういうふうになっていくのか、あるいはまた今回の新法によって策定されます全国計画であるところの国土形成計画と沖縄振興計画との関係はどういうふうに関係づけられるのか、お伺いしたいと思います。

武田政府参考人 沖縄振興計画につきまして、私の方からお答えを申し上げます。

 もう委員御案内のとおりでございますが、平成十四年に沖縄振興特別措置法、それからこれに基づきます沖縄振興計画というものが定められております。沖縄振興計画は平成十四年から平成二十三年までの十年間の計画でございます。

 内容的には、自立型経済の構築ということで大きくかじを切ったといいますか、そういった方向に向けて、県、市町村と一体となって計画の実施を図るということにいたしております。

 具体的には、例えば、沖縄の優位性であるとかあるいは地域特性を生かしました観光、情報あるいは農業等々の各産業の振興でありますとか人材育成、あるいは科学技術の振興といったものでございまして、県におきましても、沖縄振興計画のアクションプランでございます分野別計画というのを作成いたしておりまして、これは三年間でございますのでもう既に二次にわたって策定をしたわけでございます。

 今後の、お尋ねの点でございますが、二十三年まで計画期間がございますので、この実施に当たりましては、経済社会情勢の変化であるとかあるいは計画の進捗状況、政策の効果といったものを踏まえまして適切なフォローアップを行うことが重要というふうに考えておりまして、沖縄振興計画推進調査費といった経費も確保いたしておりまして、こういったものを活用して計画の着実な実施に努めてまいりたいというふうに考えているところでございます。

尾見政府参考人 国土形成計画と沖縄振興計画との関係についてお答えをさせていただきたいと思います。

 この二つの計画は、いわゆる相互に上下関係というものではございませんが、両者とも政府が策定する国土の整備に関する計画であるということでございますので、相互に矛盾のないように、両計画の策定権者でございます国土交通大臣と内閣総理大臣との間で所要の調整を行うスキームができております。

 具体的には、国土総合開発法の現在の条文の中では、「沖縄振興計画と総合開発計画との調整は、国土交通大臣が内閣総理大臣と国土審議会の意見を聴いて行うものとする。」ということになっておりますので、この考え方を新しい法律の中でも踏襲していくというふうな考えでございます。

寺田(稔)委員 そこは十分な調整をとっていただく必要があるわけですよ。すなわち、幾らグランドデザインができても、片やらち外の世界があるということは、それは全体のグランドデザインとしては当然おかしいということになります。また、沖縄以外にも北海道もあります、いろいろなブロックがあります。あるいはまた、各地方開発促進法のもとにある各地域のブロック計画というのがあるわけですよね。当然すべての整合性をとらないと今回の新法の意義もなくなってしまうわけで、そこらを十分調整をとって、統一性、整合性のある計画にしていただかなければなりません。

 また、計画間の連絡調整だけにとどまりませんで、各地方もそれぞれに今自治体ベースの計画を持っているわけですよね。それに対して一体どれだけ物申せるかという問題にもなってくるわけでございます。

 昨今のように地方分権が進んで、さらに地方主権へというふうな大きなシフトが見られる中で、まだまだ各地方では大規模プロジェクト基金という、いわゆる大プロ基金というふうに言っていますけれども、大規模プロジェクトを推進するための基金も保有をしております。これは、幾ら大臣が開発はやめるんだ、開発から発想を変えていくんだ、第一条の目的規定を変えるんだと言っても、では、地方の大プロ基金には一体どういうふうに手をつけていくのかとか、そこらを十分、全体の整合性のある形でもって国土形成をやっていこうというのであれば考えなければならないですよね。現に、平成十年の時点でグランドデザインをつくって具体の数値目標を外したというふうに言われますけれども、幾ら計画で外しても、国幹審は残るわけです。

 したがいまして、そこらの全体の整合性のあるプランづけを行うことこそ今必要であるというふうに思うわけでございますが、局長、いかがでしょうか。

尾見政府参考人 二点お話があったと思いますが、一つは、地方のいろいろなプロジェクトに関する計画、こういうものについてどれだけ国土計画の中で基本的に私どもが方向性を出してそれを実行に移せるのか、こういう点が疑問ではないか、こういうことだと思います。

 これは、確かに今回の法律の中でも、地方の自主性を基本的に尊重すると、大きな分権の流れの中でそれはベースにはしております。しておりますが、一方で、先ほどの広域計画のスキームの中でも、市町村もやはり単独だけでは物は進んでいかないという中で、いろいろな提案をしていただくような形になっています。

 そういう提案等も通じて、協議会全体の中で国の支分部局等もその間に入っていろいろな調整というものをいたしますので、できるだけそういう過程できちっと御理解を得られるようにしたいと思います。もちろん、全国計画の中で基本的な考え方をより緻密に構成してそれをお示ししていくということもやっていきたいと思っております。

 それから、国の道路関係の例えば計画、そういうものについても整合を図っていくべきではないかということの御指摘がございました。

 当然のこととして、国土計画が新しい観点でできました場合には、それに関連する諸計画についても必要な調整、見直しということは出てくることだと思いますし、事業も含めてそういう考え方で国土交通省の中でいろいろ議論していかなくてはいけないんじゃないか、かように思っておるところでございます。

寺田(稔)委員 最後にお伺いしたい点は、評価の点でございます。

 すなわち、本法律案では、国土形成計画のうちの全国計画につきましては政策評価法に基づきます政策評価の対象となっているわけでございますが、いわゆる広域地方計画につきましては、法律上はその対象となっておりません。

 これは国土利用計画やあるいは首都圏整備計画等々についても同様なわけでございますけれども、全国計画とその他計画で政策評価の扱いについて違い、差異を設けた理由についてお伺いをしたいのと、あと、政策評価について、今の書きぶりですと、全国計画が策定をされ、これが公表された日から二年経過した日以後に評価が行われるというふうになっております。一定の定時性を持った、一定の頻度をもって定期的にこの妥当性について検証、フォローアップをしていく必要があるというふうに思うのですが、この点についてはどういうふうにお考えか、お聞きをしたいと思います。

尾見政府参考人 それでは、お答えを申し上げます。

 まず、御指摘の最初の点でありますけれども、これは国土形成計画の全国計画が、国土の総合的な利用、整備、保全に関する国家としての基本的な方針等を定めるものである、施策の総合性を有する国の計画の中でも最も枢要なものの一つであるということで、計画の内容と社会経済情勢とが乖離が生じないように定期的な見直しをしていく、これは法律には明定はしてはございませんが、やはり五年程度を目途に見直しをしていくというふうに考えているところでございます。

 今お尋ねの広域地方計画とかその他首都圏整備計画については規定がないではないかということでありますが、まず、広域地方計画は、全国計画をベースに、それに基づいて広域地方計画が策定されます。したがって、全国計画の政策評価をするということは必然的に広域地方計画の評価もしなければ評価として全うしないということになるのではないかというふうに考えております。

 大都市圏整備計画についても、これは上位計画、下位計画という感じではありませんけれども、調和規定もございますので、これも一体的に考えていくということになると思いますので、考え方としては、すべての計画をちゃんとやっていくんだということでありますが、法律の書きぶりとしては、その真ん中の一番大きなところを押さえておけば周りのものも同じようにできるんではないか、同じように進めていくという考え方でやりたいと思っております。

 なお、政策評価につきましては、明文の規定がなくても判断で随時できることになっておりますので、そういう運用も考えていきたいと思います。

 二つ目の御質問につきましても、例えば二年を経過した後に計画の変更等がなかった場合に、次に、じゃ、やらなくていいのか、そういうことだと思いますが、これも状況によって当然きちっとやっていくということを考えております。

 今申し上げましたように、五年を目途に見直しをする、社会情勢の変化は大変厳しゅうございますので、そういうことをしていかないと実態に合わないものになってくるということは明白だと思っておりますので、必然的にそういうローリングシステムというものが生まれていくんではないかと思っているところでございます。

寺田(稔)委員 以上で終わります。ありがとうございました。

橘委員長 葉梨康弘君。

葉梨委員 おはようございます。自由民主党の葉梨康弘です。

 昨日の本会議の質問に引き続いて、本日は一時間お時間をいただいております。十一時二十分ごろをめどに、御質問させていただきたいと思います。

 実は、昨日の本会議で冒頭申させていただいたのは、創業の時代のパラダイムと、それから守成の時代のパラダイムは違いますよということを申し上げさせていただきました。実は、こういった改革ですとかあるいは開発路線からの転換ということになりますと必ず沸き起こってくる議論というのは、多分この国会でもあるだろうと思いますが、今までやってきたことに反省しろ、反省しろというような話なんです。

 ただし、私自身は、それは必ずしも建設的なことだとは思いません。そこできのう引かせていただいたんですが、唐の太宗、これが貞観十年に自分の家臣に対して、創業、守成、いずれがかたきや、こういった問いを行った。房玄齢は、これは創業の方がかたい、これは領土拡大をしなければいけない、その困難さがあると。ところが魏徴は、いや、守成の方がかたい、守成については、これは調整の困難さがある、そういう答えをした。そして、それを引き取って、創業、守成、いずれもかたい、しかしながら、今やらなければいけないのは守成の時代である、我々は一致して守成の時代に対応しなければいけないんだ、そういうことを、実は野党向けに申し上げたんですけれども、きょうは余りいらっしゃらないようでございます。

 実際問題として、戦後ずっと毎年百万人の人口がふえるという時代、これに対する対応というのは大変なことだったと思います。徳島県規模、高知県規模の県、これがふえていく。ところが、平成十九年からは毎年、二一〇〇年までにかけて六十八万人の人口が減っていく。地元で私、言っているのは、これは大変な時代になっている、四年間で私たちの茨城県がなくなるんだ、これに対する対応というのは大変なことなんだということを常々申し上げております。

 そういうことで、やはり新しい時代へのパラダイムというのは、これは本当にみんなが一致してこれからの国づくりということを考えていかなければいけないんじゃないか、そして、その中でこの法律というのも位置づけていかなきゃいけないんじゃないかなというふうに思います。

 きょうは、森田先生、それから寺田先生から、戦後の歴史の中で、一全総から、これは五全総と言っちゃいけないんですけれども、現在の全国総合開発計画まで、それぞれの位置づけがございました。本当にこれは歴史的な法律だと思います。

 昭和二十五年にこの法律が建設委員会にかかりましたときの自由党を代表しての質問者が、田中眞紀子さんのお父さんの田中角栄元総理でございました。昭和三十七年、全国総合開発計画が最初にできたときの総理大臣は池田勇人総理大臣、大蔵大臣も同じく田中角栄。そして官房長官が、大平官房長官から黒金官房長官に引き継いだ。そして経済企画庁長官が宮沢喜一先生。

 そして新全総は、もう先ほどお話ありましたとおり、佐藤内閣、それから田中路線ですが、第三次全国総合開発計画、これができたときの建設政務次官は小沢一郎さんでございます。第四次全国総合開発計画、これによって、先ほど来お話のあります多極分散型の国土形成。すなわち、その後、多極分散型国土形成法あるいはリゾート法などもできて、このぐらいの計画から自治省も相当かかわるようになってきたんですが、四全総ができたときの自治大臣が、私の父親であります葉梨信行でございます。そして、今の全国総合開発計画というふうにつながってくるんですが。

 そこで、その中で、私は、四全総と五全総の間、五全総と言っちゃいけないんですけれども、今の全総計画の間には相当な谷間があるというような感じを、実はやはり持っております。下河辺先生が、国土審議会の中で、この計画は五全総と言うのはやめましょうと。そういう中で、先ほど寺田先生からも質疑のありました、財政とのリンケージというのはなくなってまいります。そして、四全総の中でもありました多極分散型の国土形成、これはもうそれぞれの地域に特色をという方向だけだったわけですけれども、五全総と言っちゃいけない、今のグランドデザインの中では、新たな国土軸という考え方が出てきています。

 この国土軸の取り組みというのは、これからの新しい国土形成計画の中でどのように位置づけられていくのか。すなわち、単に思いつきでこの国土軸というのを出してきたわけではないだろうと思うんです。これからのこの新しい国土形成計画の中で、この国土軸の発想というのはどのようにやはり位置づけられるべきなんだろうかということを、国土計画局長からお伺いいたしたいと思います。

尾見政府参考人 それでは、お答えを申し上げます。

 国土軸につきましては、先生御案内のとおり、自然とか文化とか、そういう共通性に根差した地域の連なりということでございます。国土の縦断方向に長く連なる軸状の圏域、こういうふうに定義されております。太平洋ベルト地帯も百年かかってそういう一つの軸が形成されたということで、百年を超す超長期的な時間の経過の中で形成されていく、こういう考え方になっております。具体的には、北東国土軸、日本海国土軸、太平洋新国土軸、西日本国土軸の四軸を想定しているところであります。

 多軸型国土は、これらの複数の国土軸を基礎とする将来の国土像……

橘委員長 もうちょっと大きい声でやってください。

尾見政府参考人 済みません。

 複数の国土軸を基礎とする将来の国土像であり、従来の一極一軸型国土構造からの転換を図ることを企図しているものでございます。

 この中で、今後新しい計画をどうしていくのかという御指摘でございます。

 新しい思想に基づく法律をつくって、新しい計画をつくるということでございますので、基本的に、当然に今の計画をそのまま引き継ぐということになるのかどうかという点については、まずは、考え方のベースとしては、ゼロベースでまず物を考えていく。結果として、いろいろな観点から総合的に物を考えていって、そのありようを検討していくということがよろしいのではないかと思っております。

 人口減少という切り口を一つ出しておりまして、このままでは百年後に、例えば人口は半分になってしまう。もしそういうものをベースにして考えるとすれば、この百年オーダーの国土軸は一体どういうふうに頭の整理をしたらいいのか、そういう問題が多々出てくると思いますので、これから真剣に考えていきたいと思っております。それから、この委員会の中での御議論も十分踏まえて、今後検討していきたいと思っているところでございます。

葉梨委員 国土軸の発想はまさにそのとおりだと思います。当時の議論を聞いてみますと、日本海国土軸だ、それから太平洋の第二国土軸、その議論、私は決して思いつきだったとは思いません。やはり当時の時代情勢というのは、きょうの議論から少し現代に近づいてまいりますけれども、APECというのが始まりました。まさに環太平洋の経済というのが非常に大きな位置づけを持って、その中で国土計画というのがいろいろな各種の審議会の中でも議論されてきたというような感じを持っています。

 ただしかし、今現在、当時ここまでアジア、北東アジア、東南アジアにおいてこのような形の成長が行われるということがなかなか見えてこなかったという面もありますし、また、今現在、やはり本当に、当時も予想されたこととはいいながら、直前に、その目の前になってくると、本当にこれは大変なことである、人口減社会は。

 ですから、その意味では、今までの国土軸の発想もしっかり参考にしながら、やはりそれぞれの地域の特色というのを出していく、このことが必要だと思います。

 私は、今のグランドデザインについて、いろいろな批判がなされています、実は。これは四全総を引き継いだものじゃないか、例えばその例として言われるのが紀淡のトンネルなんです。紀淡トンネルなんかを書いてあるから問題だ、それから、高速道路について一万四千キロつくるというふうに書いてあるから問題だということ。それをずっとひもといてみますと、例えば紀淡トンネルなんかはあくまで検討するという形で書いてあるわけですし、それから、必ずしも財政で幾ら投資するという形では書いているわけではない。

 ですから、その意味では、今のグランドデザインというのは、本当のプロジェクト重視という形じゃなくて、国土のあるべき方向、特色の方向を示したということで、その方向性としては私は評価できると思うんです。ただし、やはり今申し上げましたとおり、その中身というのが極めて問題、これからの大きな問題になってくるだろうと思います。

 そこで、今後の全国的な計画において、どのように地域ごとの特色を出していくこと、示していくことをお考えか、そこのところを国土計画局長からお話を伺いたいと思います。

尾見政府参考人 今回の法改正案におきましては、国土形成計画の基本理念として、特性に応じた地域社会の自立的な発展というものを明記させていただいているところでございます。

 今後は、地域の特性を生かした自立的な地域づくりが進められるよう、個性ある地域の発展、知恵と工夫の競争による地域の活性化に政策の重点を置くことが重要であると考えております。

 具体的にいろいろございますが、一つの例で申し上げますと、自然とか歴史、文化、伝統工芸あるいは人材など、地域固有の資源をできるだけ活用して地域資源型産業を振興していく。それから、いろいろな形での交流がございますが、そういうことを通じて地域の活性化を図っていくというようなことを十分に検討させていただいて、それを新しい計画に反映していきたいと思っております。

葉梨委員 次の質問を用意しておったんですが、大臣は四十分ぐらいに戻られるそうですので、戻られてからまちづくりの関係の御質問をしたいと思います。

 その部分はちょっとおいておきまして、次に、既存社会資本の質的向上あるいは活用という観点から御質問をさせていただきたいと思います。

 我が国の社会資本、これについては、現在の公共事業費をそのままずっと投資したとしても、何十年かしたら今の既存社会資本、これはストックですけれども、これのメンテナンスでもう手いっぱいというような予算規模になってしまう。これはもう国土交通省の試算でもいろいろとあるだろうと思います。

 ただ、メンテナンスの時代になったからといって、単に壊れたところを直すというだけでは、やはりまずこれは、なかなか夢がない。それから、それに加えて、既存の社会資本が地域における例えば人口構造だとか産業構造、こういったものに対応できているかどうか、そういった問題もやはりあるだろうと思うんです。

 そこのところについて、方向としてこの既存の社会資本をどのような形で活用していくかということ。またこれも大臣が戻られてからお話を伺いたいと思うんですが、先般来、寺田先生からもいろいろと御議論がございました。そして、その中で、いわゆる財政とのリンケージの問題というのが非常に議論されていました。後で、広域地方計画のところで、またプロジェクトに関しての財政とのリンケージの問題については私も幾つか関連した質問を用意しているわけなんですけれども、この既存社会資本のストックについて、これのメンテナンスをやはりある程度財政とリンケージをしておかないと、これは大変なことになるんじゃないかというような感じを実は持っております。

 なぜかといいますと、新しいプロジェクトをつくるというのは新しい公共事業ということになってくるわけですが、既存の社会資本というのは、もう既に我々国民の財産なわけなんです。その我々国民の財産を、あたら何もしないでペンペン草を生やしてしまうということになってしまうと、これは本当にむだなこと。逆に、ちゃんとメンテナンスをしないと本当にむだなことになってしまう。

 大臣にそこのところを申し上げて、また御質問を用意しているのは、そういった意味ではしっかりと選別をするべきではないか、今の既存の社会資本についてしっかりと選別をするという観点が必要じゃないかということはまた大臣にお伺いしたいと思うんですが、もう一つ、やはり、いろいろな観点で既存の社会資本というのをちゃんとチェックして、これは残していきましょう、メンテナンスをしていきましょうというものについて、ちゃんとそのメンテナンスの関係についても財政とのリンケージ、そういったものが図られていないと、本当に、今申し上げたとおり、その社会資本自体にペンペン草が生えてしまう。

 ですから、そこのところを新しい計画において私自身は具体的に書いていくべきじゃないかというような感じを持っているんですけれども、具体的に書かないにしても、例えばこの社会資本についてどういう形、幾らつけるとかいう形ではなくても、少なくとも既存の社会資本についてこういう形の活用の方向は絶対にやっていかなきゃいけないんだというコンセンサスを政府部内で持っていけば、ここの部分は結構自動的に財政にかかわってくる部分になるだろうと思うんです。

 ですから、この新しい計画においてそのような配慮をどのような形で生かしていかれるおつもりか、国土計画局長からお話を伺いたいと思います。

尾見政府参考人 大変重要な御指摘をいただいていると思っております。

 今後の投資がどうなっていくかということをいろいろな形で試算しておるわけでありますが、やはり二〇二〇年ごろからは更新投資というもののウエートが非常に大きくなって、それで新規投資に対する大きな制約要因になっていく、こういうことが見通されているところであります。

 既存ストックを有効活用するということは大変大事なことでありまして、今後の人口減少、財政制約などを勘案すれば、従来以上に重点を置くべきことだというふうに思っておりますので、そういう考え方は全国計画でその基本的な方向を示したいと思っております。

 その中で、今おっしゃいましたように、ただやみくもにといいますか、ストックをそのまま右から左ということではなくて、いろいろな観点から評価をして必要なものを選別する、そういう過程の中で、具体的にそういうものについてはきちっとやっていくという方向をまず全国計画ではっきり打ち出したいと思います。それを受けて、広域地方計画では、これは各協議会の中での御議論になりますけれども、できるだけ具体的にプロジェクト、あるいはプロジェクトの草案みたいな形もあると思いますが、そういうことで記述してまいりたいと思っております。

 新しい計画制度は何を優先的に取り組むべきかというようなことを目指したものでございますので、そういう広域の見地から必要とされる施策については、全体としてもなるべく具体性を持って、個別の事業名も含めて考えていければと思っておりますので、そういう考え方の一環で措置していきたいと思っております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 それで、ちょっと具体論に移っていきたいと思いますが、実は本会議では、私、JR福知山線の事故を念頭に質問をさせていただきました。本当に改めて、事故でお亡くなりになられた方、お悔やみ申し上げます。そして、御家族の方にお見舞い申し上げますとともに、本当に、おけがなされた方の一刻も早い御回復をお祈り申し上げます。

 そして、鉄道に関してのいろいろな安全点検とかについては本会議で申し上げさせていただいたんですが、きょうもいろいろと掘り下げて本当は聞きたいところもございます。ただし、鉄道局長も大変忙しいし、それから鉄道局の方々は、私はむしろ今回の事故の対策にしっかりと専心していただきたいということで、本日はお呼びはしておりません。ただ、同じような考え方でそれぞれ考えていかなきゃいけないんですが、社会資本の安全性ということで、まさにJRの福知山線の事故は考えていかなきゃいけないなということが出たと思うんです。

 ちなみに、ちょっと申し上げますと、もともと日本の鉄道というのは狭軌で、鉄道局長さんがいらっしゃらないのですが、狭軌、約一メーターちょっとですか、開かれて、当時、戦前は陸軍が、これを広軌にしろ、広軌にしろということを盛んに言われていたらしいんです。

 ただし、これは実は後の道路の関係とも絡むんですけれども、コストダウンをして、そしてネットワーク効果を日本国内でしっかりと持たなきゃいけないということから、当時の鉄道院総裁、それから後の総理大臣になった原敬、これは山田線をつくるためだったんじゃないかというふうに言われているんですけれども、国会質問の中でも猿しか乗らない山田線というようなものが議事録に残っている線なんですが、これをつくるために、とにかく早くつくるためには狭軌でやっていかなきゃいけない。ただし、それはもう日本人というのは非常に優秀だから、安全性というのはしっかり保たれるということで、鉄道の幅としては四十センチぐらい通常の標準軌よりも狭いにもかかわらず、極めて高い安全性というのが保たれてきたのが我が国の現状でございます。

 ですから、その意味では、最終的にはそういったものの安全性というのは教育にまたなきゃいけないところも私は多いんだろうというふうに思いますけれども、さはさりながら、本当に今の社会資本で大丈夫か、点検だけではなくて、いろいろな新しい安全装置があるんだったらそれをつけていかなきゃいけない、そこのところをやはりしっかり検討していかなきゃいけないというふうに思います。

 これは実は鉄道の話なんですが、鉄道だけではなくて、河川の話でもやはり大きな問題です。

 昨日の質問では、時間の関係もありましたので、例として挙げることはしなかったんですが、地震というのは、地震でトンネルが壊れた、地震で道路が壊れた、先般、委員長と私も同行いたしまして、福岡の西方沖地震、見てまいりました。これは大変なエネルギーである。あれだけの地震が起こって道路が壊れてしまう。これは道路のつくり方が悪いというよりも、本当に地震のエネルギーが大変だなと。ただし、雨の降り方というのはある程度、昨年はちょっと予想できなかったところもあるわけですけれども、やはりいろいろな気象的なものもございますので、多少は地震よりは予想がつくところもございます。

 その中で、昨年、兵庫県あるいは新潟県で破堤、堤防決壊というのが起こってしまった。そもそも、堤防決壊というのは起こることはないだろうというふうに周りの住民も考えていたわけなんですけれども、それが起こってしまった。

 そして、実はその前の六月なんですが、国土交通省が直轄河川について調査をいたしました。そうしたところが、直轄河川について調査をした長さの約四割が浸透破壊、これは、川の水がひたひたと下から行って堤防に浸透してこっちにちょろちょろと漏れ出してくる。ですから、破壊をする一つの端緒になりますから極めて重視すべき現象だと思うんですけれども、その四割がこの浸透破壊に弱いんだというようなことが明らかになりました。

 ですから、その意味では、本当に安全性ですね、既存社会資本の安全性という意味で、河川についての非常に重要な施設である堤防、これについて、昨年もお願いを申し上げましたけれども、点検の状況、それから補修の状況、そこら辺が現段階ではどのようになっているのか、清治河川局長からお伺いいたしたいと思います。

清治政府参考人 御指摘のありました堤防でございますが、河川の根幹的な治水の機能を発揮する施設でございます。これは日本の国土の形成上でも重要な役割を担っている社会資本だという認識でおるわけでございます。

 先人が土を基本にしまして営々と、そしてまた累々と築いてきている堤防でございますが、堤防は土であるということと、それから自然現象を相手にしておりまして、しかも、水と土との関係というようなところでなかなか難しい問題が内在しているわけでございます。そういう意味では、現在既存ストックとして蓄積されている堤防がしっかりとした信頼性の持てるような、いざというときに機能が発揮できるような状態に管理していくことは非常に重要なテーマだというふうに考えているわけでございます。

 そのような意味から、直轄の堤防の話が今ございましたが、直轄の堤防につきましては、平成八年から堤防の機能について確認のための調査を続けてきておりました。その成果の一部を発表させていただいたわけでございますが、これにつきましては、さらに今後五年くらいで全体の範囲に広げていきまして、その過程におきましても、優先度の高いところから堤防強化に努めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。

 一方、御指摘のありました中小河川、県が管理している河川等につきましては、昨年、破堤等で何カ所も被害を受けるようなことになったわけでありますが、それを踏まえまして、昨年の八月に、目視点検でございますが、緊急に危険箇所の把握を行いました。これにつきましては、全体で、直轄が七十カ所でございましたが、県管理の河川につきまして九百五カ所の危険箇所が出てまいりました。これらにつきましては、ことしの出水期までにすべて対応を完了するということで今進めているわけでございます。

 一方、その調査の過程におきまして、やはりふだんの点検等が不十分であるというような実態もわかってまいりましたので、これにつきましては、昨年の十一月に、中小河川の堤防の点検それから強化のためのガイドラインを作成しまして、これらを都道府県等に通知したところでございます。これに従いまして早急に調査を進めていただくことと、これをカルテのような形で管理の方にも生かしていくという考えのもとに、河川管理者として必要な責任を果たしていただくようにしてまいりたいというふうに思っておりまして、堤防管理の充実強化を重要テーマとして取り組んでいくよう要請しているところでございます。

 国土交通省は、これからの国土形成の中でも、この堤防につきましては、やはり信頼性がしっかり確保できるように、そして先人が土というものを基本にして築いていただいたわけでありますので、これは拡築とか補修とかそういうことが非常にしやすい、知恵が働いた施設であるというふうに考えておりますので、将来にわたりまして機能が発揮できますように努力してまいりたい、このように考えております。

葉梨委員 ありがとうございました。

 特に、堤防というか、私も勉強してみたら、今私の住んでおります取手市というのは、直轄河川ですけれども、利根川と小貝川の堤防に囲まれています。そして、その堤防の歴史を見てみましたら、これは徳川時代の初めに川をつけかえてつくったんですけれども、やはり四百年来のものである。そして、特に治水というのは極めてアナログですね。本当に、もともとの、大切なのは土のうであるということで、アナログ、大事なことだな。

 ですから、そういった意味で、基本に立ち返って、やはりかつての歴史、そういったものも見ながら本当のこれからの社会資本をつくっていただきたい。

 大臣、戻られましたので、まちづくりということで申し上げていきたいんですけれども、実は、社会資本で今堤防のお話をしておりました。堤防の話から今度まちづくりに戻ってまいるんですが、私自身は、堤防と同じで、社会資本というのも単にコンクリートで物をつくればいいというのじゃなくて、歴史的な社会資本というのをちゃんとつくっていかなきゃいけないんだろうというふうに思っています。その意味では、最近まちづくりの中で考えていますのは、昔の、江戸時代につくったお城だとか戦国時代の建物だとか、あれも社会資本なんですね、実は。そういう中で物事というのをやはり考えていかなきゃいけないというふうに思います。

 そこで、ちょっと視点を変えまして、一極集中という視点からいろいろと考えてみたいと思うんです。

 先般来、東京一極集中という話は相当いろいろと出てまいりました。それから、多分私、いろいろ考えなきゃいけないのは、それをしっかり防止、東京一極集中を是正するために、これから出てくるのは道州制の議論だろうと思うんです。ただし、道州制の議論が出てきたとしても、やはり考えなきゃいけないのは、道州の中でまた一極集中が起こってしまうということがあるんです。

 今、実は、都道府県、市町村の力が非常に弱いものですから、先ほど森田先生からもお話のありました市町村合併というのが進んでおります。県の力が非常に強くなっています。

 県の中で見てみたら、四十七都道府県の中で、人口の、先ほど東京は一割弱だという話が計画局長からあったんですが、人口の一割以上が集積している、県庁所在地に集積していない県は三つしかございません。一つは山口県。ただし、山口県は下関という大都市がございます。それから三重県。津はございますが、四日市という大都市がございます。もう一つは我が茨城県でございます。ですから、四十七都道府県のうち四十四の都道府県、しかも、数え方によっては四十六の都道府県がその県の人口の一割以上を一つの町に集積させてしまっているというのが今の現状です。

 ですから、日本全国で起こっているのが東京一極集中、各都道府県の単位で起こっているのが県都一極集中、そういう現象が起こっている。

 そこで、そこのところを、これはなぜだというふうなことを考えてみますと、やはり先ほど来お話のありました特色ということ、これは非常に大きな課題だと思うんです。

 大臣は関西でいらっしゃいますけれども、私も実は、大阪の西成警察署に一年、それから兵庫県の県警本部に二年、三年ほど暮らしたことがございます。関西というのは、大阪がありまして京都がありまして、それから神戸がある。私ども関東の人間から見ますと、本当に近いですね。町がつながっている。町がつながっていて、もしもこれが東京近郊だったら、横浜は多少違うんですけれども、例えばさいたま市とか千葉市よりも、実は神戸と大阪の間というのは東京とさいたま市、東京と千葉市よりも近いんです。ところが、東京から見て千葉市がどれだけの、まあ特色を持っていないとは申し上げませんけれども、存在感を持っているか、東京から見てさいたま市がどれだけの存在感を持っているか。

 大阪にとっての神戸というのは、単に人口比だけの問題じゃなくて、やはり町が形成された特色の問題、そういったところからも全然違う。そしてまた、京都というのは歴史的なものとして、別格なものがある。そんな印象を、私はずっと関東に暮らしておって、それが関西に初めて暮らしたときに持った覚えがあるんです。ですから、必ずしも距離が離れているから特色がないとか、そういうわけじゃないんです。

 そこで、つらつら考えてみますと、何が違うか。社会資本というと、どうしても戦後、開発の中で社会資本というのをつくってきた、そういうような考え方で、やはり我々思いますけれども、先人がつくってきたということを今清治局長もおっしゃられましたけれども、そこでいいますと、本当に先人が培ってきた歴史的な遺産、歴史的な社会資本、こういったものをやはり我々がどう生かしていくか、そういう視点が特色をつくるためには必要なんじゃないかというふうに思います。

 ところが、今町おこしということを言いますと、各市町村、私どもの取手市の中心市街地の人たちもそうです、それから、どこの町の人たちもそうです、大体バスで連ねて見学に行くんですね。川越はいいじゃないか、豊後高田はいいじゃないか、そういったことで見学に行く。同じような、じゃ、駄菓子屋をつくったらいいじゃないか、何をつくったらいいじゃないかという形でいって、結局、特色のあるところに見学に行ってそれを持って帰ってきて、同じような特色を持ったところが日本全国にたくさんできるものだから、全然特色にならない。そういうような町おこしが今行われているんじゃないかというような感じがいたします。

 これはなぜかというと、やはりビジネスモデルで特色を出そうとすると必ずキャッチアップが起こるんです。まちづくりのビジネスモデルというのは特許がとれませんから、必ずキャッチアップが起こってきます。そうしますと、ほかに勝てないもの、ほかの町が絶対に勝てないものは何だ。

 私どもの茨城県の県都、水戸というところがございます。私は、もう今は選挙区ではなくなったんですけれども、この間もお話をして、そうですね、だけれども、水戸には偕楽園という三名園の一つがある。それからもう一つは、弘道館という、これはもともとの水戸城、これは水戸藩士というのは、ずっと在府、江戸におりましたけれども、弘道館は水戸城の敷地内にある。そこをやはり結ぶような、歴史的な回遊性を持たせて、そこに何か商店街とかそういったものをつくる、そういう形だったら、まずほかの町ではやはりこれはまねすることができないわけです。ですから、そういったようなユニークなまちづくり、そういう視点も非常に大事だと思います。

 ですから、どうしてもやはり今までビジネスモデルというものに目が行きがちだった私たちのまちづくり、町の特色づくりというのを、やはりもう一度本当に立ち返って、歴史とか風土とか伝統、そしてその中で何百年間培われてきた社会資本という、もっと広い目で見ていく、そういうような視点が私は大事じゃないかなというふうに思っております。

 そこで、これからのまちづくりについての歴史、風土、伝統、その生かし方について、大臣から御所見を伺いたいと思います。

北側国務大臣 全く私も同感でございます。

 今、全国あちこちで町おこし、まちづくりが行われておりますが、私は最近いろいろなお話を聞かせていただきますと、地域地域で、まさしく今委員がおっしゃったように、その地域の特性、歴史、文化、伝統等を大切にしながら、むしろそれを財産としてそれを磨いて、ブラッシュアップしましてまちづくりをしていこうという動きは、全国あちこちで相当出てきているのではないかというふうに思います。

 それも自治体が中心となりながらではありますが、その地域にお住まいの地元の方々が、例えばNPOなんかをつくられて、そうした地元の特性というものを生かしたまちづくりをしようという動きがたくさん出てきておりまして、私は、国といたしましてしっかりそういう動きは支援を、サポートをしていかねばならないというふうに思っているところでございます。

 ちょっとこの例がいいのかどうか、最近の話なので、恐縮でございますが、つい先日、私は、週末に防災のシンポジウムがありまして、仙台に行かせていただきました。土曜日だったんですけれども。たまたまその日が青葉まつりという、仙台では二つ大きな祭りがあって、七夕まつりとこの青葉まつりが有名なんですが、青葉まつりというのをやっていまして、そこで数年前から踊りを市民の方々が踊るんですね、グループで。町の中を踊られるんです。

 その踊りがすずめ踊りといいまして、そのすずめ踊りというのは、今から四百年前に仙台城ができたんです、伊達藩でございますが、その仙台城ができたときに、その竣工のお祝いで、そのお城をつくった石工の人たちがそのすずめ踊りを踊ったらしいんですね。その末裔の方が今も仙台にいらっしゃって、すずめ踊り、これはしっかりやろうじゃないかということで、ずっと細々細々伝承してきたものをちょっとアレンジをいたしまして、市民の方々が踊りやすい、そういう踊りにしまして、そうしたら数年前から大爆発いたしまして、今やもう何千人の方々が、市民の方々が参加をして、この青葉まつりのときに町でメーン通りを踊られるということを、先週土日にやっておられました。

 そういう意味では、やはり地元の、本当に地域にはどこにでも歴史、文化、伝統というのがあるわけでございまして、そういうものを大切にしたまちづくり、またさまざまな施策を取り入れていくことが私はこれから本当に重要であると。今回の国土計画につきましても、そういう意味で、その地方の、地域の特性をやはりしっかり生かしていこうという観点から地域ごとに計画もつくっていただく、また、国の計画についても、地方の御意見をしっかりと取り入れていく、こういう形にさせていただいたところでございます。

葉梨委員 ありがとうございます。ぜひともそういう形を計画の中に出していただくように頑張っていただきたいと思います。

 本当に社会資本という中でも、こういった文化とか伝統というのは、ソフト面でのまさに社会資本の大事なものだと思います。ぜひとも頑張っていただきたいと思います。

 ただ、もう一つは、ハード面での社会資本、既存のハード面での社会資本の選別ということについて大臣から伺いたいと思います。

 社会資本を非常にもっと長い目で見ろということを今も申し上げたんですけれども、やはり戦後の異常な人口の増加、これから始まるのは異常な人口の減少ですけれども、異常な人口の増加の中で、それに対応するためには結構無理をして開発をしなければいけないところはあったんだろうと思うんです。

 昨日、国土計画というのは、「民を貴しと為し、社稷之れに次ぐ」という孟子の言葉を引用させていただいたんですが、同じ孟子の言葉の中で、治水に関して述べたことがあります。どういうことかというと、治水の専門家で非常にそれを誇りに思っている人がいて、その方が孟子に尋ねて、私の治水はいいでしょうというふうに自慢したら、おまえのはだめだ、中国で治水の神様と言われている夏の禹ですね、尭、舜、禹の禹、これは聖王ですけれども、禹の治水というのはそうじゃない、水が自然に流れるところに治水をつくる、おまえのは勝手に人間の都合で水の流れをがたがたに変えているだけだというような章があるんです。

 ただし、戦後の一時期においては、ある意味でこれは仕方がなかった面はあると思います。なぜかというと、人口が毎年毎年百万人もふえてくるんです。百万、政令指定都市が毎年毎年一個ずつできていったら、これはそんな悠長なことも言っていられない。だから、狭い日本どうしていくかということで、本当にみんなが無理をしてでもいろいろなことをやってきたということは、これはあったろうと思うし、また、そうしなかったら今の日本の繁栄はないし、また、日本人もこんなところに住んでいることはできないんだろうというふうに思います。

 しかしながら、ちょうどいい機会というか、やはりこの大変な時代を生き抜いていくためには、ここでやはりもう一つ、これから異常な減少が始まる、それに対しての新たなパラダイムをつくっていくためには、ここでもう本当に乗り切って、生かすべきものは生かす、捨てるべきものは捨てるということをある程度考えながら物を考えていかなきゃいけないと思います。

 先ほど実は、質問の冒頭の中で、既存の社会資本、これを単に直す、つまり今のものを単に直すというだけではやはり夢もない、それからもう一つは、この既存の社会資本だって、今の現在の人口構造とか産業構造にそのまま合っているかどうかということを点検しなければいけないということを申し上げました。そして、今あるインフラ、社会資本の中でも、やはり、本当に攻めのメンテナンス、これは決して守りじゃなくて攻めのメンテナンスを行って積極的に活用していくんだ、それから、現状ベースをしっかり維持してこれを使いやすくしていくんだ、あるいは、場合によって、この社会資本については維持経費ばかりがかかってくるので、ここは整理するんだ、そういったような、やはり選別する目というのをこれからは私は持っていかなきゃいけないだろうと思います。

 多分、この新しい計画の中でも、そこら辺の考え方というのが私は示されるということを期待しておるんですけれども、既存の社会資本の質的向上のために、大臣としての御所見を伺いたいと思います。

北側国務大臣 既存のストック、本当に先輩方、先人の方々が大変な御苦労の中つくっていただいたこの既存のストックをいかにして有効に活用していくのか、今委員のおっしゃった選別も含めまして、そこがこれからの国土計画の極めて重要な課題であると私も認識をしておるところでございます。

 これから人口の減少時代に入ってくるわけでございますし、また、少子高齢化、本格的な高齢社会もこれからやってくる。例えば既存のストックにつきましても、これから本格的な高齢社会が来るわけでございますので、いかに高齢者の方々に使い勝手がいいようにしていくか。これはバリアフリーの問題であります。またユニバーサルサービスの問題でも、ユニバーサルデザインに基づくまちづくりの問題でも当てはまるわけでございますが、こうした既存の社会資本をその時々のニーズに応じて付加価値をやはりつけていくということは極めて重要であると思います。

 また、少子化が進んでおります。当然これは、特に団塊の世代の方々がいたころの学校と今の学校とは全く違うわけでございますし、そういう意味で、これから学校についても使い方も違ってくるのではないか、また、ある学校については用途転換なんというようなことも出てくると思います。

 その意味で、既存のストックについて、付加価値をつけるものはしっかりつけていく、また、施設の集約、複合化なんかもやっていく等々のそうした取り組みをしていくことが、これからの国土計画では、従来とは違いまして、従来はどちらかというとどんどん開発をしていく、新たにつくっていくというところに重点があったわけでございますが、これからは、もちろんそうした面もありますけれども、これからはこの既存ストックをいかに有効活用していくかということが重要な課題であるというふうに考えております。

葉梨委員 ありがとうございました。ぜひとも既存のストックに付加価値をつけて本当に活用していく、そういう時代にしていかなきゃいけないというふうに思います。

 ただし、そうはいっても、量的拡大路線からの転換とはいいますが、全く新しいものをつくらないというわけではないだろうと思うんです。新しいものをつくるに当たって、やはりしっかりと厳しい目でこれまた選別をしていくというようなことが必要だろうと思います。

 道路公団の民営化問題、昨年ここの委員会で議論になりました。新しい高速道路は全くつくるべきじゃない、そういう議論も確かにあるんですけれども、私自身は、やはり徹底的なコストダウンを図って、必要なものはしっかり選別した上でつくっていくべきだろうと思います。なぜかというと、さっきの鉄道の話でも言いましたけれども、狭軌にしてでもネットワークを先につくるということを優先した原敬さん、これがいたものだから今の日本の発展があったということは間違いありません。

 ただし、そうはいっても、原敬さん自身が計画した路線は、実は、今日本ですべて完成しているわけではございません。私の選挙区でも、例えば江戸崎という、稲敷市ということになりましたけれども、そこから土浦に結ぶような鉄路、これを原敬さんはつくると言ったんですけれども、それはできていません。ただし、少なくとも日本全国のネットワークが概成するというところまでは鉄道をしっかりつくった。それを、鉄道をつくらせるためにコストダウンが必要だ、陸軍が言っているような下関まで広軌を通す、これは新幹線で実現しましたけれども、日露戦争があろうが第一次大戦があろうが第二次大戦があろうが、そうじゃない、やはり日本の経済を発展させるためにはネットワークの概成が必要だということで、相当、とっかかっていったというような経緯があります。

 高速道路についても私は同様だと思います。しっかりコストダウンを図って、やはりネットワークをしっかり概成させるということも必要だ。

 それから、もう一つの視点というのは、社会資本について言いますと、国際競争力ですよね。国際競争力をどういうような形で高めていくのか、そのための新たな社会資本の投資というのも、これもやはり我が国が生き残っていくためには私は必要になってくるだろうと思います。

 それから、先ほど来お話のありました安全性、これは既存のストックということも含めてなんですが、安全性を確保、国民の安全な生活を確保するための新たな投資ということ、新たな施設ということ、これも必要になるかもわからない。

 そういった意味で、国土計画局長から、まず一般論について、今後の量的拡大、これについての考え方、それから谷口道路局長から、今後の高速道路についての整備の考え方ということを簡単にそれぞれお話し願いたいと思います。

尾見政府参考人 お答え申し上げます。

 今先生御指摘のように、これからの国土計画で一切新しいものに対応しない、こういうことは全く考えておりません。それは必要なものについてはきちっと進めていく、これは当然のことだと思っております。その際の、いろいろな、新しい人口減少等の時代を迎えて、あるいは東アジア等の大きなうねりの中で、どういう点をきちっと押さえていくかということが大事になるんだろうと思います。

 そういう観点からいいますと、今の東アジアの関係では、今の国土基盤でいいのかどうか。やはりそれに対応して物流なども含めて見直していくということは必須の課題だと思います。それから、国民生活の安全、安心、安定ということを言っておりますが、例えば地震対策でも、避難とか自衛隊等々の応援部隊を現地にいち早く運ぶということのためには、時間がかかってもきちっと高速的な道路をつくっていく必要があるんじゃないか、そういう世界もあると思います。

 そういったこと等々をきちっと大きな指針というか考え方を明確にして、国民の皆様にもきちっと理解をしていただく中で進めていくべきことではないかと思っております。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員、冒頭に全総、国土計画の概要を御紹介いただきましたが、高速道路を初めとする高規格幹線道路につきましては、国土の骨格、地域の特色ある発展、再生に必要不可欠な重要な役割を果たすと私ども考えております。そのためには、ネットワーク整備というような、今御指摘いただいた考え方が重要だと思っております。

 それで、我が国の高規格幹線道路は、四番目の全総、四全総において、高速道路、また一般国道の自動車専用道路、本州四国連絡道路を含めまして全体計画一万四千キロメートルということになっているわけでございますが、十六年度末で計画の約六割に当たる八千七百三十キロメートルが供用されているにすぎないというようなことでございまして、こういうような状況の中でネットワーク効果を上げるためには、今委員御指摘ございましたし、また道路関係四公団民営化の中でも御指摘いただきましたが、費用対効果を考えた、優先順位をきちっとつけた整備のあり方、また、今御指摘ございましたコスト縮減とか、非常に大きな重要な課題だと思っております。

 そうした考え方から、今後の高速道路を初めとする高規格幹線道路の整備に当たりましては、ネットワーク効果の高い環状道路や国際競争力強化に資する空港、港湾との連携など、必要性の高い高速道路等につきまして、徹底的なコスト縮減を図りつつ、スピーディーな整備に努めてまいることが肝要と考えておる次第でございます。

葉梨委員 ずっと午前中は高尚な議論が続いているんですが、一個だけ地元のお話をさせていただきたいと思います。

 今、ネットワークの効果ということ、それと国際競争力の強化ということというふうに申し上げたんですが、私どもの地元、首都圏中央連絡道路、これについてはその両面から非常に大事なものだろうというふうに思っております。

 すなわち、ネットワークがしっかり完成すれば、首都圏における渋滞が解消して経済効果が見込まれる。それから、つくば―成田間、国際競争力を高めるという意味では学園研究都市とそれから国際港である成田を結ぶことができる。

 そこで、今一生懸命国土交通省でもその完成に向けて努力をしていただいているんですが、そこの進捗状況と、また、ぜひともつくば―成田、これをしっかりと結んでいただく、その決意を谷口局長から伺いたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 圏央道につきましては、今御指摘のとおり、首都圏の半径四十キロから六十キロメートルに存します中核都市を連絡する、また東京外郭環状道路や首都高速中央環状線と一体となって機能する首都圏の三環状道路というふうなことでございまして、交通混雑解消はもちろんでございますが、都市構造の再編成を図る上で重要な路線と考えておるわけでございます。

 圏央道につきましては、筑波学園都市と成田空港を結ぶ区間につきましては、我が国の国際的な成田という玄関口と筑波学園都市といった頭脳拠点を結ぶ非常に重要な路線と考えておりますが、まだこれまでには、つくばジャンクションからつくば牛久インターチェンジ間一・五キロメートルを供用しているにすぎないということでございます。今年度につきましては、二百七十億円近い事業費を投入させていただいておりまして、用地買収、工事を推進させていただいているところでございます。

 特に、つくばインターチェンジ―つくばジャンクション間及びつくば牛久インターチェンジ―江戸崎インターチェンジ間につきましては、平成十七年四月現在で用地買収は概成しているということでございますので、先ほどの事業費をもって高架橋工事及び改良工事などを進めまして、暫定の形でございますが、平成十九年度供用というようなことで目標を掲げさせていただいて、鋭意事業を進めさせていただいているところでございます。

 また、江戸崎インターチェンジから千葉県境間の延長約十キロメートルにつきましては、平成十七年二月より一部用地買収に着手したということでございます。

 いずれにしましても、今後とも、今御指摘いただきましたコスト縮減にも鋭意積極的に取り組みをさせていただきながら、また、地元の皆様方の御理解と御協力をいただきながら、鋭意事業を進めさせていただきまして、環状道路でございますのでつながらないとネットワーク効果を発揮しないということでございますので、精いっぱい頑張っていきたいと思っておる所存でございます。

葉梨委員 ありがとうございます。

 ぜひ頑張っていただきたいんですが、ただ、さはさりながら、私も要求ばかりをしているつもりではないんです。やはり、選挙民それから住民にコスト意識を持ってもらうということ、これがすごく大事なんです。ですから、圏央道の通っているところ、非常に関心があるわけですから、圏央道の話を、やはり選挙民なんかといろいろとお話もします、国政報告会でもします。まず冒頭言うのは、一キロ幾らかかりますか、五十億円かかるんですよ、五十億円かけてそれでつくってもいいということを、だけれども、五十億円かかるんだから、そんなにすぐに、あしたにはできるなんてそんなことはあり得ない、ですから、みんなコスト意識を持ってくれ、だから公共事業が必要なものは必要なんだよということを言うようにもしているんです。

 あるいは、きょうは鉄道局長は来られていませんけれども、我々の要望として、いつもここで立つと言っているのは、つくばエクスプレスが八月二十四日に開業する、でも秋葉原でとまっているから秋葉原から東京駅まで延ばしたい、これは茨城県民の要望です。ただし、二キロで一千億円かかるんですよ、そんな簡単にいくわけないですよということは、やはり我々は我々で努力して、みんなに、国民に植えつけていく必要があると思うんです。

 ところが、これは、むしろ与党というより野党も含めてなんですが、何か公共事業というと、総論に反対して各論は賛成で、自分のところだけはつけます、自分のところはつけます、それはそういうわけにもいかないわけで、やはりそこの予算との関係をしっかりと選挙民にも理解していただく努力というのが私は必要なのかなというふうに思います。

 それで、あと何問かあるんですが、あと五分で終わりにいたします。

 きょうは、住宅局長さん、来られております。それで、関係する局長さんをずっとお呼びして、しかも昨日まで法案審議で大変お忙しかったということ、よくわかっておるんですが、一点、申し上げたいというかお聞きしたいことがあります。

 これからのいろいろな計画、この国土形成計画の中でも、やはり新しい時代に対応した国民生活のビジョン、ライフスタイルといったものを示していく必要があるだろうと思います。ここのところは質問等省略いたしますけれども、人口が減っていくわけです。

 人口が減っていく中で、そのままの今の住み方でやっていると、宅地は当然余ってきます。将来的に宅地が余ってくるとなれば、御存じのとおり、地価というのは将来にわたっての予想で決まってきますから、将来に、どんどん需要が少なくなって供給がこのまま、土地の供給というのは減ることはありません、となれば土地の暴落が起こります。地価の暴落が起こってくると、そうなりますと、今でもやっと不良債権処理が銀行が終わったのに、またまた不良債権が膨大に拡大して、そして日本の経済自身がまた壊滅的な打撃を受けてしまうその可能性すら指摘せざるを得ないだろう。

 そうなりますと、生産する土地、まず工業用地なんかでも、やはりちゃんと使っていただくということが大事だし、それから、住み方にしても、一人一人がやはりゆったり住んでいただく。そういう中で、流動性もそうなんですけれども、本体の需要を喚起していかないと、また地価というのは暴落してしまう。

 ですから、これは質問にしておいたんですが、まだまだこれからいろいろと話をされるということなので、そういうゆったり住むというようなライフスタイルをぜひとも、住宅局だけじゃなくてほかの局とも連携する形でこれからつくっていただきたいということを要望した上で、もう一つは、人口減じゃなくて高齢化なんです。

 高齢化に対応するためには、今まで介護保険の適用がありますから、バリアフリーというのが大分進んできたような気がいたします。しかしながら、高齢社会、それから安全で安心な社会ということになりますと、一つはやはり耐震、個人の住宅の耐震改修、これをどう進めていくかという課題があります。また、先ほど申し上げました新しいライフスタイルという中では、これはやはり環境問題、今回の計画の中でも環境の保全というのが計画事項に入っていますから、地球環境問題も考えなきゃいけない。

 そうすると、今の住宅、省エネが住宅では大変おくれているんですね。省エネのいろいろな設備というのは住宅関係ではやはり相当おくれているということを聞いています。ですから、耐震改修とか、あるいは個々の住宅の省エネとか、そういったものにやはり国の方向としても手をつけていかなきゃいけない。昨年でも税制改正を検討してくれというようなお話も伺いましたけれども、私どももまたそこのところは応援していかなきゃいけないなというふうに思うんです。

 そこで、住宅局長さんから一問伺いたいと思いますけれども、そういったような耐震、それから省エネ、こういったことを個々の住宅において進めていくために、税制等も含めて今後どのような検討をされていくお考えか、御所見を伺いたいと思います。

山本政府参考人 御指摘のように、新しい住宅政策の課題にこたえまして、住宅の質を高めていく、そのための国民的な投資を的確に誘導していく、そういう観点から、税制の果たす役割は非常に大きいという問題意識を持っております。

 住宅税制の中で一番基幹的な位置にありますのが、住宅ローン減税でございます。

 住宅ローン減税につきましては、新しく住宅をつくったり取得する場合だけではなくて、中古の住宅あるいは現にある住宅について改良投資をするということに至りますまで、あらゆる住宅投資について、借入金をして住宅投資をする場合はこの対象となるわけでございますけれども、現にある住宅を改良するという場合には、必ずしも借入金に頼らないで、自分が持っている資金を投入して住宅を改良していく、改良投資をするというケースも非常に多いために、住宅の質を改善するという観点から、実は昨年の税制要望、十七年度要望につきましては、今御指摘がありました耐震改修、省エネの改修、それからバリアフリー改修、この三点に絞って、住宅投資をされる場合に税額控除の制度を設けてほしいという要望を国土交通省としてはやってまいりました。

 税制改正要望の過程で、最終的には耐震改修に焦点を絞ってぜひ実現してほしいということをお願いしてまいったわけでございますけれども、最終的には、結論としては、十八年度要求に向けて引き続き検討していこうということが与党での御検討の結論でございました。

 私どもは、住宅の質を高めるという観点から、この改良投資減税は非常に大事だと思いますので、引き続き一生懸命お願いしてまいりたいという心構えでおります。

葉梨委員 ありがとうございました。私もその必要性をしっかり訴えていきたいと思います。

 国土計画局長、質問を用意していたんですけれども、時間で、これぐらいでと思いますが、きょうは私、質問で、計画局長、河川局長、道路局長、住宅局長、さらに場合によっては都市局長、鉄道局長ということも計画していたんですけれども、そこまでというのは考え物だということで、これぐらいに絞りました。

 ただ、大きく変わることというのは、一つの始点というのは、これはすごくいいことだと思うんです。今まで国土総合開発計画というのは、経済企画庁がつくって、それから国土庁がつくってきました、非常にある意味では形而上学的なものだったような気がします。国土交通省になって初めてつくる計画でございます。ですから、しっかりと地に足をつけた形で、やはり目配りをしながら、そして、本当のいろいろな個々の必要性というのを、単に学者さんがつくるという形じゃなくて、個々の必要性というのを踏まえた、本当に形而下学とまでは申し上げませんけれども、本当に実際に役に立つ、そういう計画をつくっていかないと、これからの人口減の大変な時代に我が国は生き残ることができないんじゃないか、そのことを御要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございます。

    ―――――――――――――

橘委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 本案審査のため、来る二十日金曜日午前九時、参考人として政策研究大学院大学教授森地茂君及び法政大学法学部教授・弁護士五十嵐敬喜君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

橘委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る二十日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午前十一時二十一分散会


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