衆議院

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第2号 平成18年2月24日(金曜日)

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平成十八年二月二十四日(金曜日)

    午前九時二分開議

 出席委員

   委員長 林  幹雄君

   理事 衛藤征士郎君 理事 中野 正志君

   理事 望月 義夫君 理事 吉田六左エ門君

   理事 渡辺 具能君 理事 長妻  昭君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      石田 真敏君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      岡本 芳郎君    鍵田忠兵衛君

      金子善次郎君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    後藤 茂之君

      坂本 剛二君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    田村 憲久君

      長島 忠美君    西銘恒三郎君

      葉梨 康弘君    松本 文明君

      三ッ矢憲生君    盛山 正仁君

      若宮 健嗣君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      高木 義明君    土肥 隆一君

      長安  豊君    鉢呂 吉雄君

      馬淵 澄夫君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    斉藤 鉄夫君

      穀田 恵二君    日森 文尋君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        松山 隆英君

   政府参考人

   (防衛庁防衛局長)    大古 和雄君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 岡崎 浩巳君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   松元  崇君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     柴田 耕介君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  渡辺 和足君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  梅田 春実君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  星野 茂夫君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 杉山 篤史君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石川 裕己君

   参考人

   (東日本高速道路株式会社代表取締役会長)     八木重二郎君

   参考人

   (東日本高速道路株式会社代表取締役社長)     井上 啓一君

   参考人

   (中日本高速道路株式会社代表取締役会長)     近藤  剛君

   参考人

   (西日本高速道路株式会社代表取締役会長)     石田  孝君

   参考人

   (成田国際空港株式会社代表取締役社長)      黒野 匡彦君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事長)        小野 邦久君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十日

 辞任         補欠選任

  金田 誠一君     馬淵 澄夫君

同月二十四日

 辞任         補欠選任

  田村 憲久君     岡本 芳郎君

  高市 早苗君     三ッ矢憲生君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  岡本 芳郎君     田村 憲久君

  三ッ矢憲生君     高市 早苗君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

林委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として東日本高速道路株式会社代表取締役会長八木重二郎君、東日本高速道路株式会社代表取締役社長井上啓一君、中日本高速道路株式会社代表取締役会長近藤剛君、西日本高速道路株式会社代表取締役会長石田孝君、成田国際空港株式会社代表取締役社長黒野匡彦君及び独立行政法人都市再生機構理事長小野邦久君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房総合観光政策審議官柴田耕介君、総合政策局長竹歳誠君、河川局長渡辺和足君、道路局長谷口博昭君、住宅局長山本繁太郎君、鉄道局長梅田春実君、海事局長星野茂夫君、航空局長岩崎貞二君、政策統括官杉山篤史君、海上保安庁長官石川裕己君、公正取引委員会事務総局審査局長松山隆英君、防衛庁防衛局長大古和雄君、総務省大臣官房審議官岡崎浩巳君及び財務省主計局次長松元崇君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。古賀一成君。

古賀(一)委員 民主党の古賀一成でございます。

 昨年、閉会中、幾度もこの国土交通委員会が開かれまして、きょうが通常国会の最初の質問という気がいたしませんけれども、いよいよ通常国会も始まりまして、懸案山積ということで、真剣な質疑をいたします。政府におかれましても、とりわけ大臣におかれましても、腹を割った真剣なる御答弁を心からお願い申し上げる次第であります。

 さて、所信表明におきまして、北側大臣、安全という言葉を何度使われたか、もちろん記憶にないと思いますけれども、何と十一回にわたりまして所信表明におきまして安全という言葉が出てまいりました。安心という言葉を含めますと、十六回でございました。いかに社会の安全、とりわけ国土交通行政の安全が危うくなっているかということを裏返せば意味しているのではないだろうか、こう思っております。

 JR西日本の事故に始まりまして、アスベスト問題、羽越線の脱線事故、航空会社の不祥事、そして年末にかけまして起こりました耐震偽装問題、そしてまた雪害もありましたね。本当に、国土交通省所管だけでも、この国が安全でないということを示したこの一年ではなかっただろうか。通学路におきますところの子供のあの悲惨なる異常事件、こういうものを含めますと、日本の安全神話はどこに行ったんだ、ほんのこの前まで日本が一番安全だと言われておったこの国が、本当に安全が危うくなった国になった、こういう印象を切実に感ずるところであります。

 どんなに時代が変わっても、国民の安全というのは政治の第一の使命でなければならぬと私は思っておりまして、そういう面では、ここまでおかしくなったのは、単に世相が悪いというだけではなくて、やはり政治あるいは行政というものが何らかの責任を負っているんだ、そういう自覚がなければこの問題は解決していかないだろうと思っています。

 そういう問題意識を政府とともに共有しながら、きょうは、大きく二つの問題につきまして質問を申し上げたいと思います。

 第一点は、非姉歯に拡大いたしました耐震偽装問題でございます。

 私は福岡県の選出でございますけれども、私の地元におきまして、福岡市を中心に、サムシングなる構造設計会社が偽装をやっていたという疑いが大変濃くなってまいりました。国会が召集されましたころは、耐震偽装は姉歯物件で、これでおしまいだ、よかった、広がらなかった、こういう安堵感を持っておられたのではないかと思いますけれども、福岡市のサムシング関与の構造偽装疑惑というものはかなりの広がりを持ってくる、そういうふうに感じられます。

 実は、木村建設施工でサムシングの関与の物件、これが、四件のうち三件について偽装の疑いが濃厚、こういう結果が福岡市の方から出ております。今の時点ではこれが六件に拡大をしておりまして、わかりました三件以外のほかの案件、一件は、確認図書が図書紛失で現段階ではまだわからないけれども、疑いがあるという感じであります。残り二件は、JSCAの再計算中で結果待ちということでありまして、心配するに、かなり高い確率でサムシング案件は偽装があったのではないか、これが今心配をされておるところでございます。

 このサムシングの社長は仲盛さんとおっしゃるわけでありますけれども、このサムシングのみならず、彼が管理建築士として関与した建築士事務所の案件が、このほかに、もちろん、四十件ありますし、これは物件の特定がしがたい状況に今置かれております。このほかにも、本人は、これまで一万件を超える案件を処理してきた、こうおっしゃっておりまして、私は、耐震偽装の疑い、その広がりというものは予断を許さないんじゃないかという危機感を持っております。

 そこで、姉歯に引き続きまして、こうした二人の構造設計士の問題でこれだけの案件が広がってきた、かなり高い確率での偽装案件が見つかってきた、こういう状況を踏まえまして、建築基準法の改正あるいは建築士法の改正というものが今後当然あるわけでありますけれども、問題は、二人の構造設計士の案件でこれだけの世の中を揺るがす問題になってきたというこの現実を踏まえて、私は、大臣の危機意識といいますか問題意識をこの際問いたいと思います。

北側国務大臣 今古賀委員の方からお話がございましたように、二月の八日の日に福岡市から偽装物件三件について報告があったわけでございます。詳細は省かせていただきたいと思いますけれども、姉歯元建築士でない建築士からこうした偽装物件が出たということは極めて遺憾でありますし、私としても大変残念な思いでございます。

 おっしゃいましたように、私は、こういう姉歯元建築士でない建築士の人からそうした偽装があったということ、この事実は大変重いものがあると私も考えておりまして、今、社会資本整備審議会で建築基準法、また建築士法等の見直しにつきまして御議論をいただいておりますが、当然その御議論にも大きな影響を与えていくことになるというふうに思っております。やはり私は、この際、抜本的な見直しが必要であるというふうに考えているところでございます。

 まずは、この福岡の件に関しましては、この三件について緊急に安全性が問題となっている状況ではございませんが、しかし、一つは、福岡市におきまして、この三件プラスもう一件ですね、四件につきまして、所有者に対し再度の詳細な検証を行うということで、近々その結果が出てくるというふうに思っているところでございますし、また、このサムシング一級建築士事務所が関与した物件について、建築確認申請書が保存されているものについては、その偽装の有無、耐震強度等を調査する必要があると考えております。調査すべく今やっておりますし、さらには、この仲盛建築士の事情聴取等も行っておりまして、このサムシング一級建築士事務所の関与物件の把握も今進めているところでございます。

 偽装がどこまで一体広がっているのかということをやはり明らかにしていく必要があるわけでございまして、今、国土交通省では、姉歯元建築士の関与物件につきましてはほぼ調査が終わっておるわけでございますが、姉歯元建築士が関与していない木村建設等の物件につきまして、これは全部で五百八十六件ございますが、その調査を鋭意進めているところでございまして、調査中のものがまだ二百件余りございます。

 これを年度内に、三月までにすべて調査を終わらせる、そしてまた、この委員会でも御指摘賜りましたサンプル調査もやろうということで補正予算にも予算計上をしていったわけでございますが、このサンプル調査についても四百件、これは年度内にマンションを中心に四百件やろう、さらには、指定検査機関から抽出をしました百件余りの構造計算書もございます。合計七百件につきまして、この三月までにしっかり調査をして、偽装がないのかあるのかどうか、また耐震度はどうなのか、その辺のチェック、再計算をしっかりやらせていただきたいというふうに考えております。

古賀(一)委員 今度の補正予算での措置あるいは今後のサンプル調査、それについて多い少ないととやかく申し上げませんけれども、ここでもう一点、念を押すために指摘したいのは、今申し上げましたように、わずか二人の構造設計士の件でこれだけの広がりがある。そして、施主あるいは検査機関ですね、特定行政庁、これだけの関係者がおりながら、これまでこれだけの偽装案件がまかり通っていたという現実。その中で、行政機関、とりわけ政令指定都市と福岡県庁というか特定行政機関ですね、これが確認をおろす立場にもあり、建築基準法の運用をする立場にありながら機能してこなかった。

 そういう面で、単に二人の構造設計士がたまたま悪かったというか、全体的にこのシステムはチェック機能がなかったという前提で、性善説というよりもむしろ性悪説に立った、しっかりとした調査をして制度を構築し直さないと、ほとぼり冷めて五年後にまた出た、そういう構造的な問題、あるいは世相的に言うと拝金主義、ぼったくり主義というものが蔓延しているという前提で私はこの問題に処してもらいたいと強く申し上げたいと思います。

 そこで、特定行政庁の対応について、私は一つここで指摘をしておきたいと思います。これについて、今後、国土交通省として、私の指摘を踏まえて、特定行政庁についてもやはり厳しい指導というものをお願いしたい。

 今回、このサムシングの案件が出まして、前からうわさはあったんでありますが、いよいよ発覚して、我々民主党県連として対策本部を立ち上げまして、せんだって、二月の十八日でありますけれども、現地調査、そして福岡県庁とのヒアリングというものを実施いたしました。

 この案件は、福岡市の南東にございます篠栗という町がございまして、ここにございますエイルヴィラツインコートシティ門松駅前という二棟のマンションが建っています。これが実はかねてよりおかしいということで、福岡県庁の方に、昨年十一月、こういう物件がある、訴訟も起こしております、再計算をしてほしいという話を、何度も相談を管理組合の理事長さんがされてきたわけですけれども、これについては本当に対応が行われなかった。その後、姉歯問題で忙し過ぎるというようなことでほったらかされておったわけですね。

 そこに、先ほどの話がございました福岡市が、サムシング案件四件につきまして、福岡市の管内のものでございますが、やりましたところ、三件について偽装の疑い濃厚、こういうことで実は県庁も動き出したという経緯がある。私は、やはりここに特定行政庁の動きの遅さ、無責任さ、関係ないという姿勢、これがやはり一つの問題の重要な部分を占めておるんではないかという気がしてなりません。それを申し上げたいわけであります。

 その建物はどういうものであるかというと、これは別に地震がなくても、現状はこうなんです。幾つもの部屋を見ました。十一階建ての建物で、十階の部分、結局、上の居住者の本箱なのか何か重いものかわかりませんが、天井にほとんどの部屋でクラックが入っている。そして、ビー玉を静かにおろしますと、何と部屋の中央の方にビー玉がほとんどの部屋で転がっていく。そして、雨が降れば最上階でもないにもかかわらず水漏れがする。もうある面では、地震が起こらなくても、いつの間にかこの建物は壊れるんではないか、そういう状況なんですね。

 これは、私は、本当にひどいマンションではないか。一級建築士の私の友人も同行してもらいましたが、これはひどいですねと。これについて、先ほど言いましたように、建築確認をおろしました福岡県庁に何度申し上げても、そういう先ほど申しました理由で対応が極めて鈍かったということでありまして、私は、特定行政庁、今後どうあるべきかということは非常に重要な問題と感じております。

 一連の姉歯事件、そして今度のサムシング問題、もちろん構造設計をした人が一番悪い、あれが悪いと、悪い人の無責任の連鎖でございましたけれども、特定行政庁のあり方について、大臣、これまでの所見と今後の対策についてのお考えをひとつお聞かせ願いたいと思います。

北側国務大臣 姉歯元建築士が構造設計をした物件で、現在判明しております偽装物件というのは九十七件ございます。この九十七件のうち、民間の検査機関が建築確認をしたものと特定行政庁が建築を確認したものがあるわけでございますが、この九十七件のうち四十一件が特定行政庁が建築確認をしたものでございます。特定行政庁がこの偽装を見抜けなかったということでございます。

 また、冒頭からお話しの福岡の件でございますが、福岡の三件については、これは特定行政庁、福岡市が建築確認をしたものでございまして、そういう意味では、今回のこの偽装問題というのは、単に民間の指定検査機関の見落としの問題だけではなくて、特定行政庁も数多く見落としをしているわけでございまして、なぜ見抜けなかったのか、その実態というものをやはりしっかりと掌握していく必要があると考えておりまして、今その点検、実態の掌握をさせていただいているところでございます。そうしたものを踏まえて再発防止に向けての対策をやはり打ち出していく必要があるわけでございまして、なぜ見抜けなかったのかというところについてしっかりと点検をしていかねばならないと考えているところでございます。

 今、この偽装事件を受けまして、特定行政庁とは、特に姉歯元建築士がかかわったところはもう全国に広がっておりますので、特定行政庁と日々連携を密にとらせていただいているところでございます。福岡市ともしっかりと連携をとらせていただきたいというふうに考えておりますが、先ほどの、お話ございました篠栗の件でございますが、これにつきましては、管理組合の方から、建築士の処分の申し立てを国土交通省の方に受けておりまして、昨年の十二月の十九日にその申し立てがあったわけでございますが、福岡県に対して調査をしっかりしてもらいたい、そういう要請もさせていただいております。

 福岡県は、今回の偽装の判明を受けまして、篠栗町の方はまだ偽装かどうかわかりませんが、このマンションについても構造計算の調査を実施するというふうに決めたと伺っているところでございまして、県ともよく連携をとって、早急な事実関係の解明を図ってまいりたいというふうに考えております。

古賀(一)委員 今の再計算をするという話も、あれほど当事者が県庁に赴いて言っておったにもかかわらず、そういう全国の、姉歯問題だ、国土交通省からの指導だということで、再計算をやることになっても、実は当事者には全然連絡は行かずに、周りで再計算をするという話になって、やはり対応が大変稚拙だった、まずかったという面はそれにしてもあったということをここで指摘しておきたいと思います。

 そこで、問題は、今後の建築確認制度のやはり要諦は特定行政庁にもあると思うんですね。ところが一方で、福岡でもどこでもそうです、何せ案件が多い、忙殺されている、人が足りない、人が減ってきた、こういう話をよく聞くんです。これにつきまして、いわゆる民間開放後の建築確認行政の組織、あるいは人員、定員、どういうふうに推移してきたか、住宅局長で結構でございますが、実態をお示しいただきたいと思います。

山本政府参考人 建築確認事務についての民間開放を意思決定しました平成十年とそれから直近のデータがございます平成十六年のデータを比べて、幾つかの指標を御説明させていただきます。

 まず、建築確認件数ですけれども、かつて年間百万件の建築確認という時代もあったんですが、平成十年は八十三万件でございます。最近のピークは、その翌年の平成十一年が八十五万五千件というのがピークなんですが、平成十六年は七十五万件程度になっております。大体そういうオーダーで最近は推移してきております。

 これに対しまして、建築確認を実際にとり行ったのが主事であるか民間機関であるかということですが、当然、平成十年は民間はゼロでございますが、平成十六年の割合を見ますと、七十五万件のうち三十三万件が建築主事、四十二万件が民間機関という割合で、民間の方がもう多くなってきております。

 これに対して、公共団体の建築行政を担う職員の数でございますが、建築主事を含む行政職員全体で見ますと、平成十年が七千七百八十七人、これは随時ずっとふえてきまして、ピークが、平成十四年が八千二百六十九名まで行きました。ところが、近時また減ってきておりまして、平成十六年では七千七百六十四人ということになっております。このうち、建築確認をとり行う資格を持った主事でございますが、平成十年は千八百五十四名、これに対して、直近の十六年では千七百九十五名でございます。

 それから、民間機関で働く、資格を持った検査員の数ですが、実はこれは、十二月に民間機関に総点検に入りました際に集計した数字でございますから直近の数字しか持っておりませんが、平成十六年が千二百七十七名でございます。

 そういうふうな形で推移してきているということでございます。建築主事も若干直近減りぎみである、建築行政全体に携わる職員も、少しではありますけれども低減ぎみであるという状況でございます。

古賀(一)委員 今のお話でいうと、さほど極端には人員は減っていない、件数も減っているということで、さほど問題ないようなことに見えるんですけれども、でも、現場の話を聞きますと、こういう事件が起こったってもうそれどころじゃないという感じなんですね。それほど実は現場は大変、とりわけこういう事件が起こりますと、もうパニックと言ってもいいような状況にある。

 では、検査機関に再検査してもらおうとJSCAとかそういうところに頼んでも、ここも満杯、検査料も何か、普通のマンションだったら普通は五十万ぐらいだったけれども、今や倍ぐらいに上がっている、それほど大変だという話も聞きます。

 これは、今後の建築確認制度のやはり極めて重要な部分を担う行政機関でありまして、実態をぜひ聞いてもらいたい。今の話では表に出なかった部分に、ビルの高層化、マンションの高層化という問題が一つあると私は思うんです。

 福岡市を例にとりますと、百四十万弱の人口のうち七割はマンションに住んでいるんですよ。それほど実はマンションへのニーズが高い。それが高層化しておるということでありまして、この点は、ぜひとも、今の数字に甘んずることなく、実態をしっかりと把握した上で、この特定行政庁の責任と権限というものを組み込んでいただきたい、こういうように要望を申し上げます。

 私は、もう時間もどんどんなくなりますので、次に移りたいと思うのでありますけれども、救済スキームが、前回の国会でも私はその段階での話を聞きましたけれども、東京都知事も、まあこれならいたし方なかろうと了解したという話も一部にありますけれども、今後の、偽装物件について入居された、いわば犠牲者とも言っていいと思うんですけれども、この方々の救済スキームについて、自治体の協議の状況、どこと協議して、どの段階で、どういう合意になっておるか、ひとつ御説明をいただきたいと思います。

山本政府参考人 危険な分譲マンションに居住しておられる方々に対して、危険な分譲マンションから直ちに退去していただいて、事態を改善しなきゃいかぬというのが入り口として一番大事でしたので、今回、事案を掌握してからは、その物件の所在する特定行政庁と非常に周密にやりとりをしてきました、連絡協議会を発足させて。

 その中で、どういう形で対策を講じることによって退去していただくことが可能かということを吟味する中で、単に例えば移転費用とか移転仮住まい中の家賃を支払うということだけではなくて、移転していただいた後の危険な建物を除却して、そこに新しい建物を建てかえて、そこに入っていただくということについてどういう見通しを立てることができるのか、そういうトータルな枠組みをお示しして初めて、危険なマンションに住んでおられる方々が退去する意思決定をしていただけるということが整理できましたので、その中で、公共団体と協力しながら、協議をしながら、総合的な支援スキームを設定したわけでございます。

 その総合的支援スキームを確定するに当たりましては、何しろ急いで危険なマンションから出ていただかなきゃいかぬというのが正面の課題でございますので、私どもが公共団体とともに運用しております既存の制度、地域住宅特別措置法を活用して、これを前に進めていくという枠組みにしてきたわけでございます。

 その過程で、地域住宅交付金を活用することについての、例えば国と地方の負担割合についての公共団体の問題意識でありますとか、あるいは、地域住宅交付金を危険な分譲マンション居住者対策に使うことについての法的な位置づけについてのいろいろな問題意識でございますとか、そういうことがあったことは事実でございますけれども、連絡協議会を通じて的確に意思疎通を図る中で、問題意識を受けとめることによって、先ほど委員も言及していただきましたけれども、今現在は関係公共団体と共通の認識に立って取り組んでいるところでございます。

古賀(一)委員 これは今後案件が拡大をするとかいうことも考えられる、あるいは十年後もまたこういう問題が起こるかもしれない。これは、全国普遍の恒久的な措置として今の地域住宅交付金の活用等をセットする、こういう考えでよろしいんですか。

山本政府参考人 基本的には、今回、姉歯元建築士の偽装に伴って非常に危険な分譲マンションが出てきておりますので、それに緊急に対応するということで制度の枠組みを用意しております。

 しかし、この用意しました枠組みに適合する同じ案件が出てきてほしくはありませんけれども、出てきた場合には、姉歯元建築士がかかわっていない物件であっても対処する必要があると思っております。そういう考えで取り組んでおります。

古賀(一)委員 そうしますと、先ほど申し上げました篠栗の案件というものは姉歯の案件よりも、現状として、ひびが入って、床が沈みつつあるわけですから、もっとひどい状況にある。では、こういうのも対象になると私は理解をさせていただきました。

 さはさりながら、やはりこの問題は、何か救済スキームが非常に先走っているというか、私はそういう感じを持ちます。何といっても、これは、建築確認制度の全体のスキーム、あるいは責任の所在、今後の施策全体の方向、改善の方向、例えば第三者機関のあり方であるとかその費用負担のあり方とか、そういうものを総合的に組み立てた中で救済スキームというのは出てくると私は思っております。

 今後第三者機関をつくるという方向もあるやに聞きますけれども、そうしますと、そのコストが問題になりますよね、コスト。だれがそれを、第三者機関の維持費用をどうするんだ、検査費用をだれから取るんだ、それには銀行も絡むかもしれない、保険会社も絡むかもしれない、施主も出してもらうべきかもしれない。そういう全体のスキームの中にこの救済スキームもあってしかるべきだと私は思います。

 これについてはまだ検討中でありましょうから、とやかく申し上げませんけれども、やはり全体の中でしっかりとした救済スキームというものをもう一回レビューして決めていく、ただ救済先行でこれをフィックスしてこのままでいいというスタンスでは決してなかろう、かように私は思いますので、これは申し上げたいと思います。

 それでは、次に移ります。耐震偽装の件はこれぐらいにいたしまして、次の問題に入らせていただきたいと思います。

 今度の国会、あるいは今度の国会ではないかもしれませんけれども、今後の重要課題が、実は特別会計の問題だろうと思っております。今回はもちろん法案は出されておりませんし、作業は政府部内で今準備段階だろうと思っておりますけれども、一番大きい特別会計を持っておるのが国土交通省だろうと思っております。その影響は今後に物すごく大きく影響を及ぼすわけでありまして、私は重大なる関心をこの点については持っております。

 特別会計の見直しの今後の進め方、そして、見直しの理念、戦略というものは何なのか、これがまだ伝わっていないように思います。政府部内で特別会計の見直しについての窓口は財務省主計局と聞き及んでおりますけれども、この点についての政府の基本的な考え方、そして日程等についてお示しをいただきたいと思います。

松元政府参考人 特別会計の見直しにつきましての理念と進め方についての御質問でございます。

 特別会計につきましては、特定の事業等の収支を区分して明確化させるといったことから設置されてきておりますが、その数が多数に上り国民による監視が不十分となって無駄な支出が行われやすいですとか、固有の財源により不要不急の事業が行われている、あるいは、多額の剰余金等が存在して財政資金の効率的な活用が図られていないなど、多くの問題が指摘されたところでございます。

 このため、国民への説明責任を十全に果たすとともに、財政健全化への貢献を図ることなどを目的といたしまして、全特別会計につきまして、それぞれの設置要件にまでさかのぼった徹底的な見直しを行いました。今回の改革案を取りまとめ、昨年十二月二十四日に閣議決定いたしました行政改革の重要方針、これに盛り込んだということでございます。

 具体的な進め方ということでございますが、進め方につきましては、以上の改革を着実に推進するために、まずは、改革の方針を今国会に提出を予定いたしております行政改革推進法案、仮称でございますが、これに明記させていただきまして、改革への道筋を確かなものといたしていきたいと考えております。さらに、この各特別会計の具体的改革等を盛り込んだ法案といたしましては、平成十九年を目途に特別会計整理合理化法案、これも仮称でございますが、これを国会に提出することによりまして、各特別会計の統廃合等を行うことにいたしております。さらに、十九年度予算以降も着実に無駄の排除や剰余金の活用等を行ってまいりたいと考えております。

 財務省といたしましては、今後も、今回の改革案に沿い、財政健全化への貢献や縦割りの弊害の解消などの無駄の排除といった観点から、踏み込んだ改革を着実に推進してまいりたいと考えております。

古賀(一)委員 確かに、今お話のございました昨年十二月の閣議決定、行政改革の重要方針というものを読ませていただきました。特会の数が多数に上り国民による監視が不十分となって無駄な支出が行われやすい、固有の財源により不要不急の事業が行われているなど問題が指摘されている、こういう、国民から見れば何かそうなのかと思うような文章が書いてありますけれども、私は、事の本質は、特別会計を統合するとか少なくするというのはあくまで表向きの形であって、問題の本質は、先ほどもちらっとありましたけれども、いわゆる縦割りの無駄ですよ、その縦割り行政のがちがちをさらに固めているのが特会だろうと思うんですね。

 ただ、問題は、国土交通省所管の特会を五つ合わせただけでは別に何の改善も生まれない。私は、まさに局を超えて、全部とは言いません。しかし、こういうプロジェクト、こういう事業、こういう施策をやるならば、国土交通省の例えば住宅行政と旧厚生省の福祉行政とをドッキングしたら、こういう安上がりのいいスキームができるではないかとか、そういうところが今の日本の行政に一番求められている。

 七百七十兆のこの長期債務のツケというものも、やはり私は縦割り行政、縦割り行政はそれなりに、自分の所管行政はこれからの日本に必要だ、地域の要望も強いということでやっているんですよ。それが、ばらばらに、連携をされず、すり合わせをされず、総合化をされず、結局、自己肥大してきた結果に七百七十兆はある、もうにっちもさっちもいかない。

 そういう面で、本当はこれはあと一時間ぐらい申し述べたい私の構想、夢もあるんですが、簡単にイントロだけ申し上げておきます。実は、次の機会に譲らざるを得ませんけれども、私は一つの例を申し上げます。

 私の地元でなくてもいいんですよ。でも、たまたま地元に筑後川という川があります。九州一の大河であります。ところが、この近辺は国道の改築はほとんど終わっておりません。三号線も片側一車線、筑後川に並行します二百十号線も大都市久留米近辺は全く計画がない、惨たんたる状況でございます。ここに二百十号線が途中まで来ておりますけれども、これからは、国土交通省は、景観、観光、環境とおっしゃっていますよ、三Kだと。

 私は、河川の持っております治水事業と、道路が持っております道路事業とをコラボレーションすれば、すばらしい通過交通の機能を持つ、それで、ひいては観光道路にもなり、地域開発の道路にもなる、実はスーパー堤防道路というか、ライン川に沿って走っておりますロマンチック街道のようなすばらしい道路が、恐らく数分の一のコストで数倍のスピードでできるだろう、こう思っておるんです。

 私はそういう実は、他省庁とのコラボレーションまで言いませんけれども、大臣、ぜひ、これだけの財政難であります、新しい政策を求めています。国土交通行政が、特会の統合とかいう前に、形を取り繕う前に、本当の中身である政策融合というものを、国土交通省の中でいろいろな政策を組み立てる、治水特会と道路特会が手を組んで、トータルとしては国民負担はこれまでの五分の一、スピードは十倍、こういった政策を構築していくことが私はこれからの国土交通行政の一つの柱だと思うんです。

 それでは、きょうは財務省もお見えになっていますから言いますけれども、財務省もこういう形をあれするだけじゃなし、皆さんは査定権限があるんですから、省内で新しいそういうコラボレーションをすることによって、国民ニーズにもこたえる、地域の課題にもこたえる、そういうものをやはり財務省も指導すべきだと思うんですね。私はそういう時代だろうと思いまして、時間が来ましたので、最後に大臣の積極的な御姿勢をお伺いいたしまして、質問を終わりたいと思います。

北側国務大臣 今、古賀委員のおっしゃった連携をよくとれというのは、全くそのとおりだと私も思います。

 特に、国土交通省になりまして六年たったわけでございますが、旧四省庁が一緒になりました。そういう意味では、省庁統合のメリットというのをしっかりと出していかないといけないわけでございまして、今おっしゃっているように、局あって省なしではなくて、各局間がよく連携をとって事業を進めていくということは、これは国民の皆様にとっても非常に大事なことである、また、効率的な社会資本整備という観点からも非常に大事だというふうに考えております。

 御指摘のありました筑後川におきましても、河川の堤防を整備していくという事業と、そして、道路として幅員をしっかり確保していくという事業、これを今連携をとってやらせていただいております。河川管理者である、これは国土交通省、道路の方は、これは県であったりするわけですが、道路管理者と河川管理者がしっかり連携をとりまして、堤防の整備とそれから道路の拡幅の整備、これを今やらせていただいているところでございまして、こうした事業連携というものをこれからもしっかりと進めさせていただきたいと考えております。

古賀(一)委員 これで終わります。

林委員長 高木義明君。

高木(義)委員 民主党の高木義明でございます。

 今国会におきましても、耐震強度偽装問題等、同僚議員が真相の解明とそして再発防止に向けて熱心な議論が行われておりますことに、私も敬意を表したいと思います。

 私は、きょうは観点を変えまして、まずは航空行政についてお尋ねをしてみたいと思います。

 去る二月の二十一日です。北側国土交通大臣は、日本航空、JALの件につきまして、閣議後の記者会見で、経営そのものに申し上げることはないとしながらも、安全な航空輸送と安定的経営は無関係ではない、こういうコメントをされております。

 昨年から相次いで航空関係のトラブルが続いておりまして、私は経営や企業の中身に決して立ち入るものではございません。ただ、こういうトラブルが起こりますと、我が国の航空そのものに対しての信頼性を国際的にも失墜させていく。また、安全にとって極めて重要な案件でございますので、これは看過できない問題であろう、このように思っておりますが、異例のコメントでございますけれども、国土交通大臣として、こういう事態についてどのように考えておられるのか、まずはお尋ねをしておきたいと思います。

 と申しますのも、昨年の国会におきましても、例えば日航の社長が本委員会に参考人として招致をされ、いろいろ議論をされたところでございます。日航の社長も、まさに現場と一体となって風通しのいい、一日も早く安全の再構築を図る、こういう決意を示しておりますけれども、現実、このような問題がなお続いていることに対してどのように思っておられるのか、大臣の御所見を賜りたいと思います。

北側国務大臣 今高木委員の方からもおっしゃっていただきましたが、国として、JALも民間企業でございます、民間企業の経営のあり方について具体的なコメントをする立場にはございません。

 しかしながら、昨年来、日本航空グループにおきましては、航空トラブルが相次いだわけでございます。事業改善命令も出し、また再発防止策についても取りまとめ、今実施をしている、そういう中でございます。私どもは、そうした経営の混乱が安全管理体制に影響を与える、そういうことは断じてあってはならないというふうに考えておりまして、今後とも、日本航空グループの安全運航体制につきましては、厳しく監視、監督をしてまいりたいと考えております。

 先般の二十一日、そして二十二日と抜き打ちの立入検査も行わせていただきました。こうした立入検査も含めて、今後ともしっかり監視、監督をしていきたいと思いますとともに、私は、今日本航空グループは、今年度は経営的にもどうも赤字に転落しそうなわけですね。それがなぜそうなっているかというと、もちろんこの航空業界というのが厳しい国際競争にさらされているという面はあるわけでございますが、やはり昨年来の一連の航空でのトラブルが収益を下げてしまっているという側面もあるわけでございまして、やはり空の公共交通を担っている日本航空、何といっても安全の確保が最優先でございまして、そこに対する国民の信頼を確保していくことが、これは結果として経営の安定につながってくるわけでございます。

 ぜひ、今、安全確保を最優先にして、安全管理体制、しっかり取り組んでいただきたいと思いますとともに、また、先般来の経営の混乱につきましては、今そういう大変厳しい環境下にあるわけでございますので、早く収束をしていただきたいというのが、私の思いでございます。

高木(義)委員 ほとんど多くの働く皆さん方におかれては、みずからの職務そして使命感に立って利用客の皆さん方のために本当に頑張っておられる、ただ、一部経営者がおかしなことをしますと、これはもう大変な不信感につながっていく。私は、このようなことについては、お互いに留意をしながら、やはりまさにみずからの企業、みずからの交通産業は自分たちで切り開いていく、そういう決意に立っていただきたいと思いますが、国土交通省としても、この点につきましてはなお一層督励をしていただきたいと思います。

 さて、この二月の十六日に神戸空港が開港いたしました。これは、初めて市営というのでしょうか、神戸市が中心となった空港でございます。また、引き続いて三月の十六日にも新北九州空港が開港いたします。そして、我が国の航空ネットワークのかなめと言われる羽田におきましても、第四の滑走路、いわゆる羽田空港再拡張事業が進められようとしております。

 そういう中で、この羽田空港の再拡張事業、これは空港というのはかなり大きな公共事業プロジェクトでございまして、その事業については、効率を図って、そしてしかも安全で、そして工期もより早くというのが求められておるわけであります。当面、羽田の再拡張事業、この進捗状況について、そして閣議では既に二〇〇九年に完成ということが決められておりますが、この目標に向かって進んでおるのかどうか、事業費等についてもお示しをいただきたいと思います。

岩崎政府参考人 お答えいたします。

 羽田空港、先生御指摘のとおり、国内航空輸送ネットワークあるいは近距離国際線も導入しようと思っておりますけれども、そのために容量を拡大する、そのための再拡張事業を一日も早く仕上げていくということが非常に重要だろう、このように思っております。

 現在、新しい滑走路の工事の方でございますが、工事を実施するジョイントベンチャーが実施設計を行っているところでございます。それから、私ども国の方といたしましては、環境アセスメントの手続、それから、漁業関係者との調整、漁業補償の手続などを行っているところでございます。

 これらを早期に完了いたしまして、予定どおり二〇〇九年中に供用ができるよう、鋭意必要な作業を進めているところでございます。また、工事費につきましても、予算の確保を含めまして努力をしているところでございます。

高木(義)委員 この事業はどのくらいの規模になりますか、事業費でいけば。

岩崎政府参考人 第四本目の滑走路の本体の工事でございますけれども、これは、昨年の三月にジョイントベンチャーと契約をいたしました。六千億弱でございます。それはジョイントベンチャーのやる事業でございますので、そのほかに、国がやります漁業補償でありますとか、今の滑走路等々もいろいろ修復しなきゃいけない、こういうことがございますので、全体を合わせますと七千億程度の事業費になる、このように見込んでおるところでございます。

高木(義)委員 六千億規模の大型の事業になるわけでありますから、それだけに、このような財政の厳しい中ではできるだけ効率的に進めなきゃならぬ。しかし一方で、空港の使用料を引き下げることもこれまた大切なことでございます。

 そういう意味で、空港の問題は、特に海上につくる場合は、埋め立てといいますか、地盤の調査が非常に重要になってきます。この再拡張事業についての地盤調査、これは国土交通省としてやられたと思いますが、十分にやられたのかどうか、この辺の見解を聞いておきたいと思います。工事中、やってみたけれども、また地盤が予測よりは外れておったということがよくあるわけですけれども、この地盤調査の件については十分であるかどうか、この点についてはいかがでしょう。

岩崎政府参考人 御指摘のとおり、地盤調査が重要なことだと認識をしております。

 このため、平成十四年度、十五年度、今度の新しい滑走路の周辺の地域におきまして、十七本のボーリング調査を実施いたしました。地盤条件の把握に努めているところでございます。

 ボーリング調査の結果でございますけれども、事業予定地周辺には、海面下八十メートル程度でございますけれども、堅固な基盤層があるということを調査の結果わかっているところでございます。

高木(義)委員 私は、今回の羽田空港の拡張事業は、これまでの空港建設の反省の上に成り立っておると思っております。

 そこで、いわゆる関西国際空港、今二期工事が進捗されておりますが、これは一期工事については七年八カ月を要しておりまして、まず初めの事業費は計画で一兆六百七十六億円でありましたものが、実際には一兆四千五百八十二億円かかっておる。当初と実際には約四千億の開きがある。なぜかといいますと、やはり地盤沈下なんですね。

 ここに調査した資料がございますが、いわゆる関西空港は、工事開始からの沈下量は十二・四メートル、うち開港までに九・八二メートル、開港後は二・五七メートル、これだけの沈下量があるんですね。平成六年、一年で五十センチ沈下をしておる。平成七年は四十三センチ。これがずっと続いて、平成十七年は年間十センチと今なお沈下は続いておる。こういう状況でありますから、大変その後の滑走路の補修等にも経費がかかっておるのは御承知のとおりであります。

 そういう状況の中で、今回、この事業に対して国は建設工法を見きわめるために慎重になっております。

 平成十四年の三月に、羽田空港の再拡張事業の工法評価選定会議というのを設置されております。そして、平成十四年の十月に結論が出て、国土交通大臣に答申を出しております。

 二つ柱がありまして、一つは、工法については三つの工法がある。一つは桟橋の工法、それから埋め立てと桟橋を組み合わせた工法、もう一つはいわゆる浮体工法、こういう三工法を示しております。

 そして、二つ目の柱は、いわゆる追加施設を防ぐ、後から後から予定事業費が膨らんでくることを防ぐために、設計と施工を一括して行うという発注方式を採用する、これは画期的なことなんですね、こういうことをやっております。そういうことで膨れ上がる事業費を何とか抑えよう、そういう知恵がこの選定会議の設置であったろうと思っております。

 したがって、こういうことで進められていくんだろうと思っておりましたが、しかし、いわゆるリスクの分担表というものが出てまいりまして、結局、今後、地盤沈下等があったときには、これは業者の責任ではない。要するに、従来型に戻ってしまったんですね。関空の反省は生かされたのかどうか。私はそうではないと思っております。

 どうでしょう。この点について、私が初めに地盤調査はしっかりやったかとお聞きをしたのは、そのことなんです。地盤調査はしっかりやりましたと。だとするならば、いわゆる六千億の規模の事業費であれば、完成のときもほぼその事業費の範囲内で工事は完成をするんだ、こういうことになるのかどうか、この点についてお伺いをしておきたいと思います。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、今度の羽田の再拡張事業では、設計と施工を一括で発注するという方式をとっております。それに基づいて、国とジョイントベンチャーでどうリスクを分担するかという考え方も示しているところでございます。

 従来の普通の公共工事でございますと、設計を国がやりまして施工を事業者がやる、こういうことでございますので、設計に起因する追加費用は国が負担することになりますけれども、今回の場合は、設計に起因する追加費用については、これはジョイントベンチャーの負担、このようにしております。

 ただ地盤につきましては、地盤の条件を調査したのは国が調査したわけでございますから、国の調査した条件で設計をしてください、こう言っておりますので、国の設計したその前提条件が狂った場合、間違っていた場合、これは国が負担をするという考えでリスク分担を整理しているところでございます。

 なお、この地盤沈下がさらに起こる可能性はあるのではないか、それに基づく事業費が膨らむのではないかという御懸念でございますけれども、繰り返しになりますけれども、私どもとしても関西空港の反省を踏まえまして、十分なボーリング調査を実施したこと、それから、この海域につきましては、まさにそのすぐ横に羽田空港、今の空港がございますので、その空港での工事の経験があること等から、大きな地盤沈下が狂うということについては可能性は少ないものだろう、このように見込んでいるところでございます。

高木(義)委員 調査の前提が崩れた場合というんですけれども、そんなに国の調査が信憑性がないんでしょうか。この辺については、私は甚だ疑問ですね。

 それから、関西国際空港は、今第二期工事が進められておりまして、この関西国際空港は立派な空港になって、その持つ機能を十分に発揮されていかれるというように私は望んでおります。また同時に、今事業が進められていく、いわゆる羽田の四本目の滑走路の拡張事業においても、環境に優しく、そして工期も目標までに、そして事業費も極めて効率的に進められていくことを私は願っておるわけであります。

 したがって、今もう既に進捗をいたしておりますから、私は、そのようなことをただ願うわけでございますが、この工法選定の経過の中で、浮体工法というのが出ております。大臣、この浮体工法というのは御存じでしょうか。

北側国務大臣 私も詳細はわからないわけでございますけれども、メガフロートのことをおっしゃっているんだというふうに思います。浮かしてしまうという趣旨だと思いますが、このメガフロートのことを浮体工法というふうにおっしゃっているんだと理解しております。

高木(義)委員 大臣、いわゆるメガフロートなんですね。

 これは、国土交通省が支援をしておるんです。国土交通省と日本財団の支援のもとに、造船を初め、日本の技術集団が研究開発を進めてまいりました。一千メーターの飛行実証もされておりまして、これは我が国の先端技術として、今後、社会資本の効率的な整備、いわゆる環境に配慮しながら、より早く、そして確実な工事を進める、そういうものを研究開発しているんです。ただ、問題は、実用化がまだなされていない。その実用化のために、今回、羽田の第四滑走路についてもそういう希望を持っていたけれども、結果的にはそれは採用されなかった。

 このことについて私はどうのこうの言っておるわけではありませんで、大臣、こういったものは、我が国の持つ技術、これが今後さらに社会資本整備のために私は大きく役立つものだろうと思っております。こういったものについて、その実用化を目指して取り組むべきだと思いますけれども、その点、どうでしょう。

北側国務大臣 むしろ委員の方が御専門だと思いますけれども、このメガフロート工法というのは、非常にすばらしいといいますか、長所を持っております。環境に優しいだとか、また工期を短くできるだとか、安全性にすぐれているだとか、そうした特徴を持っているわけでございまして、今後、空港だけではなくて、さまざまな社会資本の整備を進めていく中で、十分よく検討、導入の検討がされるべき工法であるというふうに理解をしております。

 しっかりと、今後とも研究を進めさせていただきたいと考えております。

高木(義)委員 ひとつどうぞ、海事局長さんも来られております。航空局長さんもおられますけれども、これまで国もこれを支援してきたわけですよ。これをやはり花と咲かせることでせっかくの努力が報われるわけでありますので、ぜひひとつ、この件については改めて省内ですり合わせしていただいて、今後実用化ができるように努力をすることをお願いしておきたいと思います。

 さて、次の問題はJRの問題でございます。

 JRは、発足しましたのが一九八七年、今年度で二十年を迎える、いわゆる民営化されて二十年近くになるわけであります。JRでは、安全問題、重要な話もございます。しかし、私は、今日まで懸命な経営、そして働く現場の皆さん方も新しいJRの発展を目指して頑張っておると思いますが、この二十年、大臣として、JRの姿についてどのような評価をお持ちでしょうか。

北側国務大臣 早いもので、二十年たつわけでございます。やはりこの国鉄の民営化というのは、二十年たって、やはりこれは多くの方々のもちろん努力があったわけでございますけれども、私は大きな成果が出ているというふうに認識をしております。

 例えば、具体例を申し上げますと、民営化されることによって、この二十年間、JR東日本も西日本も東海も運賃を一度も上げたことがないんですね。また、三島会社においても運賃を上げたのは消費税のときだけでございまして、一度だけでございまして、そういう意味ではずっと運賃も維持をしてきている。

 また、さらには、そもそも国鉄の時代は大変赤字が続きました。そして、今や大変な法人税を国家に納めていただいておる。平成十六年度でいいますと、JR七社で約二千二百億円もの法人税等を支払う企業になっている。我が国を代表する企業になってきているわけでございまして、私は、この国鉄改革二十年というのは大きな成果が出ているというふうに認識をしております。

高木(義)委員 きょうは局長も来られておりますけれども、今大臣は評価をされたと私は思っております。

 同時に、いろいろな課題もあるのではないかと思いますが、二十年たって、そして今からさらに事業を推進していって、いわゆる新しい時代の鉄道輸送、これを担う役割を果たすために、課題についてはどのように認識をされておりますか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 分割・民営して正確に言うと十八年でございますけれども、先生御指摘の課題の中で非常に大きな問題は、いわゆるJR九州、JR四国、JR北海道、こういう三つがあるものですから三島会社と呼んでおるのでございますが、これと貨物会社、この会社におきます経営問題が非常に大きな問題だろうというふうに思っているところでございます。

 この点につきまして、いわゆる十九年問題というのがございますので、私ども、現在いろいろ勉強をしている最中でございます。

高木(義)委員 今お話がありましたように、私はこれからも、二十一世紀、国民の利便性、そして産業や生活に欠かせない足としてJRの発展は大切だろうと思っておりますし、また、そういう気持ちを持って皆さん方も日夜働いておられると思います。

 そういう中でありますが、当初から想定をされておりました、いわゆる条件不利といいますか、今言われました北海道、四国、九州、そして貨物、こういったところは特別な支援策があっております。

 その一つは、経営安定基金の設置、これは一兆二千七百八十一億円でございまして、いわゆる営業損失を運用益で賄う、こういうことでありました。一九九七年度から運用益確保の支援措置がなされ、二〇〇二年度からの支援措置としてさらに対応がされておりますが、これはまた、二〇〇六年度で終わってくる、こういうことになります。

 また一方で、固定資産税の、あるいは都市計画税等の軽減措置も税制特例として行われております。これが一九九七年以降も五年間、またさらに五年間これも延長されて今日に及んでおります。また、鉄道・運輸機構の無利子貸し付けというのも三島、貨物の経営を下支えしておると言っても過言ではありません。

 今、長引く景気の低迷の中で、地域間格差も広がっておるのではないかと私は思っております。そういう状況の中で、マイカーあるいは自動車輸送、高速道路も延びております。まさに規制緩和、自由化の中で相互に競争が激しい、こういう中で、利用客の伸び悩み、輸送量の低迷もある、こういう状況でございます。

 もちろん企業でありますから、企業努力、これは当然のことであります。とにかく、安くて早くて安全な輸送機関として社会に貢献をする、公共輸送機関の使命を果たす、このことは大事でありますけれども、何としても企業努力では及ばない。結果的に、そのことによってそういう国民の利便性にマイナスになることがあってはならぬと私は思いますので、ぜひひとつ、どうですか、この経営安定基金の支援、あるいはこれは地方自治体の話でありましょうけれども、固定資産税等の減免等につきましては、さらに、ひとつ国を通じて支援をしていただく、そういう決意をお聞かせいただきたい、このように思いますが、いかがでしょうか。

北側国務大臣 JRの三島会社、また貨物会社、この四つの会社でございますが、各社とも非常に経営努力をしていただいておりまして、最近は経常黒字基調が出てきております。

 とはいうものの、今委員のおっしゃったように、その経営環境が大変厳しいものであるというそのこと自体は変わっておらない状況でございます。これまでも、各社の経営基盤の安定に向けて、今委員のおっしゃったような支援策をとってきたわけでございますが、これが十八年度に期限切れとなります。今後の金利の動向等、また、今もおっしゃっていただきました固定資産税は地方自治体に本来納めないといけないところでございまして、その地方自治体等との協議も必要だと思いますが、そうした状況、経済社会情勢の動向等をよく見ながら、今後の対応についてはよく検討してまいりたい。

 委員の今の御指摘については、よく念頭に置いて議論を進めていきたいというふうに考えております。

高木(義)委員 ぜひ前向きにとらえていただきたいと思います。

 さて、JRに関係いたしまして、整備新幹線の問題について触れてみたいと思います。

 御承知のとおり、整備新幹線は一九七〇年制定の全国新幹線鉄道整備法に基づいておりまして、既に三百四十キロは開通、工事中は四百十キロ、未着工区間は七百七十キロ、こういうことになっておりますが、我が国の公共事業のうちにこの整備新幹線が占める事業費の割合というのはどの程度でしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 平成十八年度の一般会計予算案におきましては、新幹線鉄道整備事業費、これは国費でございますが、七百六億円となっております。これは、公共事業関係費全体、これは七兆二千十五億円でございますけれども、これに占める割合は〇・九八%、政府全体の一般歳出四十六兆三千六百六十億円に占める割合は〇・一五%となっております。

高木(義)委員 直近で開通をいたしましたいわゆる九州新幹線の鹿児島ルート、この経済効果についてはどう見られておりましたでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 昨年、十六年三月十三日でございますが、先生御指摘の新八代―鹿児島中央間、九州新幹線鹿児島ルートが開業いたしました。これによりまして、所要時間は、博多―鹿児島中央間でございますけれども、三時間四十分から一時間三十分短縮されまして、二時間十分。

 それから利用者は、開業後一年間で見ますと、それまでの一日平均三千九百人が現在のところ八千八百人と、二倍以上の大幅な増加となっているところでございます。

 地域経済への波及効果につきましては、これは御地元の調査でございますけれども、開業後一年間の鹿児島県内の経済波及効果、これは百六十五億円とはじかれておりまして、また、鹿児島市の入り込み観光客の数につきましては、これは鹿児島市でございますが、年間八百七十万と過去最高を記録しております。また、鹿児島県内の観光消費額でございますけれども、対前年度で約二百億円増加したと聞いているところでございます。

 また、鹿児島中央駅におきましては、ターミナルビルでございますアミュプラザというものが開業いたしまして、計画以上の売り上げを上げておりますし、また、ホテルあるいはマンション、こういうようなものの新規着工、開業が相次いでいる、非常に地域は活性化されたということを聞いているところでございます。

高木(義)委員 よく、整備新幹線は税金のばらまきだという意見が散見されますが、私は必ずしもそうは思っておりません。安全で、高速鉄道網の整備というのは、ある意味では、重要幹線はむしろ国家プロジェクトとして取り組んでいくべきだ。もちろん、過去におけるようないろいろな事例はございますが、収支採算性を十分に見きわめて、そして効率的な事業計画を行ってやる、そういう意味では、私は公共事業の中でも投資に比べて比較的大きな効果が出る事業だ、このように認識をしております。

 ただ、やはりこういった、あとは未着工区間の建設については、北海道にしても北陸にしても、あるいは九州の西九州ルートにしても、まだ大変な課題も残っております。しかし、それは私は着々と進めていくべきだと思っております。

 そこで、問題になるのは並行在来線との兼ね合いでありまして、例えば西九州ルートは、いわゆる在来線沿線、鹿島市をはじめ沿岸の皆さん方は、在来線の運営がどうなるのか、あるいは地域経済はどうなるのか、非常に心配でございます。したがって、私は、これまでもいろいろな線区で在来線の苦しみがございましたことを承知いたしております。これまで以上に、私は、粛々と整備の一方で、例えば鹿島市を中心とした有明海沿岸道路、あるいはそのアクセス、こういったことも国の立場として最大限の支援をしていくべきではないか、このように思っております。

 それから、いわゆるフリーゲージトレーン、これは新幹線と在来線を結ぶ、鉄道を効率的に利用するという意味では私はこれから大切な案件だと思いますが、フリーゲージトレーンの進捗状況、そしてこの実用化について、どの程度まで進んでおりますでしょうか。あわせてお伺いをしておきます。

梅田政府参考人 まず一点目でございますが、九州新幹線西九州ルート、政府・与党申し合わせの表現では長崎ルートでございますが、この点につきましては、着工の基本条件の一つでございます沿線地方公共団体の同意というのが必要でございます。先生御指摘のとおり、沿線の市町におきましては、まだ同意を得るに至っておりません。したがいまして、佐賀県におきましても、今後、自治体を中心に沿線の市町と十分話し合いが行われるものというふうに思っております。引き続き地元調整が行われると思っておりますが、その中には、御地元においてさまざまな地域活性のための方策も検討されているやに聞いているところでございます。

 それから、二点目のフリーゲージトレーンでございます。

 フリーゲージトレーンにつきましては、平成十年度に試験車両が完成いたしました。アメリカも含めまして内外で走行試験を行いました。現在の車両では、新幹線区間でおおむね二百キロ程度、在来線で百三十キロ程度の走行性能はございます。しかしながら、高速域における走行の安定性、あるいはもっとスピードが出なければなりません。新幹線につきましては二百七十ないし三百キロ出すというようなことが必要でございます。

 こういった課題に対処するために、現在、改良の台車、車体の製作を進めているところでございます。十八年度後半からこの新しい車両を用いた走行をしたいというふうに思っておりまして、現在、この製作を進めながら、鋭意技術の確立に努めているところでございます。

 具体的な導入等につきましては、こうした試験の結果を見ながら、関係事業者とも十分相談して、検討してまいりたいというふうに考えているところでございます。

高木(義)委員 いずれもさらに努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

林委員長 鉢呂吉雄君。

鉢呂委員 民主党の鉢呂吉雄です。

 大臣の先週の所信表明について質問をさせていただきたい、このように思います。

 大臣は改造後も大臣を務められて、この間、国土行政に頻発する事件、事故ということで、建物の耐震偽装ですとか、あるいはJRの事故、また航空事故ということで、事故続きなわけでございます。

 私どもも、今国会、民主党は安全国会にしていこうということで、子供の安全も含めて、この所管であります交通安全あるいは建物の安全ということで、この通常国会の大きな目玉にしておるところであります。

 この間、構造改革あるいは規制緩和ということで、民間でできることは民間でやろうという形をとってきたと思います。また一方では、性善説でやること自体もかなり大きな問題があるということについてもわかってきました。また、今回の偽装事件でも、特定行政庁も含めて、行政のチェック機能というものが必ずしも有効に機能しておらないということもわかってきつつあります。

 個々の追及はまださらになされておりますが、きょうは、国土交通所管の問題についての安全ということについて、根本から見直す時期に来ておるのではないか。もちろん、単に理念なり思想というものを言っておるだけでは安全は確保されないというふうに思います。個々具体的な問題はあろうかと思いますが、大臣も所信の冒頭に安全、安心ということを大きく打ち出されて、その中身についても、安心、安全という言葉が幾度となく所信表明にちりばめられておるというふうに私は思っておりますので、まずはこの安全に対する考え方、どういった理念と方向性を持って、そして、それを行政の中に生かしていくということの大きな意味での大臣のお考えを改めてお聞かせいただきたいと思います。

北側国務大臣 政治また行政にとりまして、国民の皆様の安全そして安心を確保していくというのは、私は最も大切な役割であるというふうに考えております。なかんずく国土交通省というのは、さまざまな社会インフラ、交通インフラを所管している官庁でございまして、まさしく安全、安心を確保していくことが国土交通省の最大の使命と私は就任以来ずっと訴えてきているところでございます。

 公共交通の安全に対する信頼を本当に大きく揺るがすような事故が昨年ありました。また、航空においてはトラブルも続きました。公共交通にとっては、安全の確保というのは最優先にしていただかないといけないところでございます。また、建物の安全性に対する信頼も今大きく揺らいでおります。

 安全と安心を確保していくために、それぞれの問題点、課題というものを実態を通してよく点検いたしまして、そして再発防止に向けて、公共交通にあっても、また建物の安全性にあっても、その安全性の信頼を高めていくための再発防止に向けての対策をしっかりととらせていただきたいというふうに考えているところでございます。

鉢呂委員 大臣と私は同じ十六年六期、この二月でもう十六年が経過をいたしました。先ほどの高木先生も古賀先生も、土肥先生も同じ期でございます。

 私のこの十六年間の経験は、十年前のあの大蔵政務次官をさせていただいた当時に、金融破綻、住専という問題で、いわゆる大蔵省の護送船団的な、行政もかかわってその業界の利益というような形でやってきた方式を根本から見直す、金融庁という独立のチェック機関を発生させたところであります。また、私のもう一つの経験は、食品安全ということで、BSEに端を発して、これも農水省がチェックをできなかったということで、独立的な食品安全委員会というものを発足させた経過がこの十年間にあるというふうに思っています。

 さて、乗り物関係、交通機関の関係についてきょうは若干質疑を進めさせていただきたいんですが、先ほど高木先生がお話をされたJAL、日本航空の内紛といいますか、この問題であります。

 大臣は二十一日の記者会見で、先ほどもありました、民間企業についてコメントする立場でない、しかし心配はしておるという言い方で、これは記者さんの質問に対して受け身的に答えられた形であります。

 こういう形で、皆さんも御案内のとおり、航空法では百十二条で、安全性との関係で事業の中身の、事業改善の命令をかけることができる、こういう法律の条文になっておりまして、経営に関与するという形にはなっておりません。しかし、今も大臣がお話をされたとおり、安全と経営というのは不離一体。むしろ、今経営が悪化をしておるというのは、悪化することによって経営収支に大きな影響を与えて赤字に転落するというようなことも言われておるわけでありまして、そういった意味では不離一体の関係にある。

 同時に、公共性の立場からいけば、一たび事故になれば大量の死亡者を出すという経験もこの日本にもあるわけでありまして、交通の利便性はもちろん国民の公共性からいけば大変大きいものがあります、人の生命という点でも極めて大きい立場にあるわけでありますから、私は、法律の条文を適正に改革、改正をして、やはり先ほど言いました金融行政あるいは食品安全行政と同じような形で、今根本から見直して、経営の視点といいますか、こういったものも関与していく形が必要になっておるのではないか。

 もちろん、透明性のある中で関与しなければなりません。昔のように、護送船団方式で裏でその業界を行政が裁量でやるというようなことにはもちろんならないわけでありますが、こういう形で、航空行政がこれだけ混乱をしておる、これに対して国が、政府が積極的な関与はできない。安全が損なわれていないかということで今立入検査をしておるということでありますが、基本的には受け身的な関与の仕方であります。

 私は、裁量的にはできないと思いますが、そういった形の、JRですとか航空会社ですとか、そういうところにはもっと国、政府の透明性のある中でのきちんとした経営に対する関与というものがあっていいのではないか、こういうふうに思いますが、大臣の所感をお願い申し上げます。

北側国務大臣 JALであれJRであれ、これは今は民営化をされまして、もう完全民営化された会社でございます。その民営会社について、その経営の中に国がかかわっていくということは、やはりそれは控えるべきではないのかなと私は思っております。そこは民営会社として、その責任で、みずからの責任でやはりやっていっていただく必要がある。

 ただし、JALであれJRであれ、これは公共交通機関です。我々国民の多くが利用する公共交通機関でありまして、また、我が国の本当に大事なインフラであるわけでございまして、その公共交通にとって一番の役割は、やはり安全に輸送をしていくという要素でございます。

 この安全管理をきちんとなされているかどうか、そこはもちろんのこと、私どもは、民営化されたとしてもこれは厳しく見ていく必要があるわけでございまして、そうした安全確保の体制、安全管理体制がきちんととられているかどうか、そこはしっかりと監視、監督をしていきたいというふうに考えておりますし、また、そうした制度の見直し、より有効に監督、監視ができるような制度の見直しというものは、これは不断の見直しが必要であるというふうに考えております。

鉢呂委員 安全というのは、かけ声や号令をかけて、そしてまた一気にできるというものでは全くありません。もう御案内のとおりです。

 会社の気風、風通し、一丸となって本当にその安全に向かっておるのか。そしてまた、安全にはコストが莫大にかかります。安全のコストということ。そしてまた、今申し上げましたように、交通機関は、安全でないとすれば乗り物に乗らなくなるということで、赤字採算というようなことも考えられます。赤字採算に陥ったときに、本当に自立的に民間企業としてそれを経営の抜本的な改革に持っていけるのかどうか。

 そういったものを考えたときに、大臣として、あるいはまた副大臣、政務官、あるいは国土交通省の国土交通審議官あたりがやはりきちんと方向を定める、この時期に私は来ておるのではないかと。きょうはそういう早急な結論はならぬかもわかりませんが、一たび大きな事故になったときには、これは取り返しのつかない、行政としての厳しい指弾に遭うわけでありますから、ぜひこういう観点でやっていただきたい。

 その中で、昨年は、JALだけ見ても二十九件、これは去年の一月二十二日からことしの一月七日までで二十九件のJAL関係のトラブルが起きております。しかも満遍なく、二月を除いて一月から、一件、五件、三件、五件、一件、二件、七件、二件、一件、一件と、この十二月も一月も一件ずつ、いろいろなトラブルが起きておるわけであります。

 そして、皆さんが、大臣が去年の三月十七日に日航グループに対して事業改善命令を発出し、それに対して四月十四日にJALが、こういった改善措置をします、あるいは、しましたという報告をされました。そしてその後も、航空局は立入検査を昨年四月二十日から十二月九日まで、延べ二十六日、一日換算で百六十三人の検査官を投入して検査をしたわけであります。しかし、その検査をしていても、このようなトラブルはとどまるところがないわけでございます。

 立入検査の報告が昨年末されております。大臣も見られておると思いますから、これは事務段階に述べさせるんですが、私は大臣以外は答弁をしてもらうことにしておりませんから、私の方で言います。この実施結果は、一番最後にあるんですが、「当初計画に沿って実施されているものと認められた。これら一連の措置を通して、当該事業者の安全運航に取り組む姿勢には改善が見られている。」こういう結果報告でございます。

 しかし、先ほど言ったように、この十二月も一月も絶え間なく出ておるし、先ほど言った経営の内紛、そして、新聞報道によれば、安全対策もどうにもならなくなっておるというような日航関係者の話も出ておるわけであります。

 この国土交通省航空局の検査自体も果たして有効に機能しておるのかどうか。これは大臣、この結果の概要しか私ども聞かされておりません。いろいろな改善をした、何百回ミーティングをして安全の意識を高めたとか、そういうことはわかります。しかし、本当に一丸となってやらなければならないというふうに会社側も言っておるし、一丸の体制が見られるというような報告になりながら、今の経営体制はとても一丸というような形ではありません。これが安全に、安全だけは一丸となっておるというふうにはとても思えない状況なわけでありまして、まずは大臣、今回のJALの立入検査の報告について、本当にこれでまともに受けていいのかどうか、この点についての所感をお願いいたします。

北側国務大臣 立入検査につきましては、つい先般も行わせていただきました。二月の二十一日、二十二日と両日にわたりまして立入検査をしたわけでございます。

 これは報道等で、さまざまないわゆる内紛と言われているような報道がなされた以降の話でございますけれども、この二十一、二十二日と立入検査をした結果についても報告を受けているところでございますが、逆に緊張感を持って業務に取り組んでおられるということも報告を受けているところでございますし、また、こうした内紛問題が報道された以降においても、例えば、安全ミーティングについても開催をされておられますし、また、安全推進の担当部長でいらっしゃるわけでございますけれども、そうした方々も非常に危機意識を持ってやっていらっしゃるという報告も受けているところでございます。

 私どもは、今後とも、このJALグループに対しましては、立入検査等を含めまして、しっかりと安全管理体制が確保されているかどうか、そこはもう厳しく監視、監督をしていきたいというふうに考えているところでございます。

鉢呂委員 そこで、航空局といいますか、国土交通省の安全対策に関する検査体制の問題です。

 航空量というのは大変増加をしております。建物の偽装チェックと同じように、本当に航空検査体制というのは万全なものであるのか。これが不十分ということであっては、いつチェックがおろそかで事故が起きてもおかしくないということになるわけですから、この十分さというのはやはり大臣としてきちんと目配りをしていく必要があるのではないか。

 十八年度は二十四名の増員になったというふうにお役所からは聞いております。そして、航空会社ごとに航空事業安全検査官というものを置くという形にしております。

 ただ、若干言いますと、では、どういった安全行政の目標計画に基づいてことしは二十四名なんだ、こういう計画性と到達する具体性というものを示してくださいと言ったら、いや、まあここで言うのはちょっとおかしいかもわかりませんが、とりあえず何とか二十四名確保した、こういう中で何とか全力を挙げていきたいというような形が役所の本音。

 私は、ですから、まあこれをそのまま言うのがいいかどうかわかりませんが、大臣もそういうふうに受けとめているのではないかと思いますから言いますが、今のこの時点では、どういったチェック体制をとるのか、やはりその計画というものをしっかりつくってもらって、その中で、検査官の習熟度というのは一日ではできる話ではありません。検査するものがわからないのでは、これは検査にはならないわけでありますから。あるいは、いろいろな人員体制とか、これまでは縦割り、定員の確保なんというものは、かなり役所の中ではきちんとなされないものの一つでありました。削減の方向では今ずっといっていますが、本当に必要なところに確保するのか。金融庁や食品安全委員会はそれなりの確保をしてきたわけであります。

 そういった意味合いからいって、大臣は、この二十四名はいいとして、私は中身を見ています、例えばJALグループの担当を五名だ、あるいはパイロットの担当は二名だ、本当にこれでできるのかどうか。この辺は大臣はどういうふうに考えておるんでしょうか。

北側国務大臣 十八年度予算におきましては、航空関係では二十七名の増員をさせていただいているところでございます。

 これで十分なのかということでございますが、まずは、定員そのものは大幅に抑制される中で、このように大幅に、航空の安全について担当する職員については二十七名の増員をさせていただいた。

 さらには、航空だけではございません、ほかの交通機関もございます。交通モード横断的に、今回は、大臣官房に運輸安全政策審議官というのを設置させていただいて、しっかり各交通事業者が安全管理体制をまずとってもらって、その安全マネジメントがきちんと機能しているのかどうか、そこをチェックしていく、専らチェックしていくような部門もつくらせていただきました。

 そういう意味では、昨年に比べまして、こうした交通の安全に向けて、国土交通省全体として非常に大きく拡充をさせていただいたというふうに私は思っております。

 もちろん、これで十分だというふうには思っておりませんが、まずはこれをしっかりと実施させていただきまして、まずその検証をしていくことが大事というふうに考えております。

鉢呂委員 今大臣も十分ではないということをお認めになったわけでありますから、副大臣も政務官も助けてあげて、本当にどのぐらいの体制でいいのか。アメリカは三千三百人もいるんですよ。日本は事務段階も含めて百十六人しかいないわけで、どういった体制をとったらいいのか。

 あるいは、皆さん、例えば国土交通省所管の管制官のヒューマンエラーも出ているんですよ。これも昨年だけで五件出たんですが、その再発防止の取り組みという報告書が六月十三日に出ておるにもかかわらず、それ以降も四件も発生しておるんです。

 みずからの、国土交通省直轄の管制官のエラーが再発防止の取り組みをしてもとどまらないという状況で、私はやはり、例えばJALにも国土交通省の天下りが行っておるわけであります、本当に裁量行政というようなものを排して、きちんと厳格なチェックができるのかどうか。あるいは、身内のこういう形にもチェックができない。

 私は、大幅な、焼け太りをする必要はありませんが、交通機関の安全庁のようなものが必要であれば、それは大胆につくっていくというような形で、国土交通省はみずから、公共的な投資をするという部門から、やはりそういう安全をきちっとチェックするということであれば、そういった省庁といいますか行政庁を発足させるというような形の検討もしていただきたい、こういうふうに思いますが、大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 鉢呂委員の一つの御見識ということでお伺いをしております。

 今はまず、こういう形で、先ほど申し上げた形で、安全監督また安全監視の体制を拡充させていただきました。それがしっかりと機能できるように、しっかりと見てまいりたいというふうに考えております。

鉢呂委員 次の課題に移りますが、ことしは未曾有の降雪ということで、豪雪対策というのは、雪の降らない地域は全くこれは考えられないことでありますが、豪雪地域は本当に大変な状況でございます。

 史上三番目と言われているような、死亡者が、きのうも新聞に、私の北海道でも出まして、百三十五名亡くなっておられる。しかも、その三分の二は六十五歳以上の高齢者。しかも、昔は雪崩による死亡者が多かったんですが、最近は雪おろし等の除雪作業で過労で亡くなるというような形であります。また、過疎地で除雪作業ももうできないような状況で、みずからの家の屋根もおろすことができないというようなことが、過疎地、そして高齢化というのが特徴であります。同時に、大変地方自治体も財政難ということで、除雪に対する行政サービスが滞る、できないという状況も続いております。

 大臣も今回の所信でこの豪雪について言及をいたしておりまして、必要な支援を国としても行っていかなければならないということも言っておりますし、豪雪に対する従来の対策の再点検あるいは今後の施策の拡充強化、これについても、審議会のようなものを設けてというところまで述べておるわけでございます。

 その中で、少し個別の関係でありますが、財政難による行政、自治体のサービス低下、その一番大きなものはやはり、大臣、道路なんですね。昔の、史上一番目、二番目というのは昭和の初期といいますか戦後の初期の方で、やはり今もう車でありますから、この関係の除雪費というのが、昭和三十一年に法律があるんですが、実態に合っていないというふうに思わざるを得ません。

 また、我が党も豪雪対策本部をつくって、一月十九日に小泉内閣に要請をさせていただいております。除排雪に関する費用が平年ベースを大きく上回っておって、財政負担能力の限界を超える事態も発生しておる、こういった自治体について、異常豪雪に係る対策経費を増額配分するほか、補助によってもこれをやっていただきたいという話をしておるわけであります。

 時間がありませんから、大臣に中身だけ私の方からお話をして見解をお聞きいたしたいのでありますが、直轄の国道ですとか、まあ東京都の道路はないということでありますから、道府県の道路、いわゆる府県道、この除雪費は国が補助事業という形で、平年ベースでも、こういった異常年でなくても平年でも三分の二を助成事業という形で、道路特定財源から補助ということで交付をしております。

 残念ながら、市町村道については、平年ベースでは交付税、普通交付税と、異常な年には特別交付税、こういう形でありまして、特に著しく降雪があったときに限って、町村道については国が補助、国土交通省の補助をするという形。これも、都道府県道は三分の二ですが、市町村道は、主要な幹線道で、これはほぼ市町村道の半分程度に当たるそうですが、そのうちの補助事業はまた二分の一しか補助されないという形になっておるところであります。

 ところで、もう六分しかありませんので私の方から全部しゃべってしまいますが、この根拠となっておるのは、いわゆる積雪寒冷特別地域における道路交通の確保に関する特別措置法というのが昭和三十一年に議員立法でできまして、こういう雪の多い積雪寒冷地、温度とかあるいは降雪量でその地域を指定しておりますが、そこについて、先ほど言ったような国土交通省の補助をすることができるようになっておるわけであります。

 しかし、この法律では道府県道と市町村道という区分けはありませんで、五年ごとに閣議決定をしたその道路の指定された部分について補助することができるということになって、これがずっとこの間、五年ごとに実質的に道府県道になっておるわけであります。

 私は、先ほど言いましたように、昭和三十一年に比べますと、道路における車の形はかなり比重は大きいものがある。市町村道であっても、バスの路線になっていたり、あるいは子供さんの通学路、あるいはもうどんどん車はそういう府県道、国道と変わらず走っておるという状況で、私は、ここの除雪費については、道路特定財源で、そしてまた、この法律で除外をされておりませんから、この法律を使って、きちんと補助事業で平年ベースでもこれを行うというのは至極当然ではないか、こういうふうに思うわけでありますが、大臣の特段の前向きの御発言をお願いいたしたい、こういうふうに思います。

北側国務大臣 市町村道というのは、我々の身近な生活道のところが大変多いと思うわけでございますが、それだけに大変路線数も多いわけでございます。したがって、通常は普通交付税また特別交付税で措置をされているところでございます。

 この冬の雪は、十二月から大変な雪が降りまして、雪の多い地域において除雪に大変な御苦労をされているということは、もう私も現場、幾つか行かせていただきました、小樽の方にも行かせていただいたわけでございますけれども、大変な御苦労であるということはよく理解しているところでございますが、そういうこともございまして、これはかつてなかったことでございますが、特別交付税についても前倒しで交付をするというふうな措置も総務省の方で今回なされました。

 私どもの方も、市町村道に対する補助を出させていただいたわけでございますし、また、二月末の時点で、その状況をよく踏まえまして、さらなる支援措置も打ってまいりたいというふうに考えております。

 いずれにしましても、市町村の皆さんが、道路の除雪で、予算がないがために道路の除雪ができない、そういうことがないように、そこはしっかりと措置をしてまいりたいというふうに考えているところでございます。

鉢呂委員 今、一番最後のところは少し前向きの御発言かなと思ったわけであります。

 先ほど申し上げましたように、大臣は所信のところで、従来の対策の再点検、そして拡充強化というふうなことに言及しております。

 議員の皆さんも、地元が豪雪地帯の皆さんはおわかりだと思いますが、大臣が先ほど言ったように、市町村道でも全く変わらない、いわゆる自動車、車の通行として。また最近は、一番、町村道がそういう形で、市町村、自治体も財政難ですから、まだ一回も除排雪もしない。したがって、屋根の雪おろしをしてもその行くところがない。まずは町村道をきちんと排雪しなければその行き場がないというような形になっておりまして、子供さんも大人もお年寄りも、本当に歩道も車道もない状態、しかもでこぼこ斜面、これはそういった事故も起こっておるわけでありまして、あるいはバスの通学路も、停留したらずらっとその後に車が続いちゃって、バスが発車しなければもう都会並みの渋滞になっておるという形でありまして、悲鳴を上げておるのが実態です。

 大臣はかなりお金がかかるかのような話かもわかりませんが、この五年から十年の平均を見ますと、平年ベースで、国道、道府県道で約三百億円の除雪費、それから市町村道は七百億円の除雪費用ということでありまして、後藤さんあたりは長野県ですからそういう声も聞いていらっしゃると思いますが、やはり制度化する必要があるのではないか。

 これは雪のないところは全然、何だ、消えてしまう雪にそんなに金をかけるのかという話になろうかと思いますが、もう大変な生活のマイナス面ということで、私は、一時これを前倒しでやるということでなくて、制度として、道路特定財源を今見直しもするということであります、しかし、道路でこういうふうにかかっておるのを一般財源化してあっちに財源を持っていくということではなくて、まずはこの道路に係る維持管理費についての制度化というものは、やはり必要であればきちっと北側国土交通大臣の段階で制度として定着をさせていく、創設をするということが大事なんだろうと思いますから、最後の質問ということでちょっとお聞かせをください。私の最後ですよ。

北側国務大臣 いずれにしましても、市町村にとって、この市町村道、もうライフラインそのものでございますので、その除雪に当たって予算上の面から支障がある、そういうことがないような対策はしっかり各省連携をとってやらせていただきたいと考えております。

 鉢呂委員の今の御提案につきましては、よく勉強していきたいというふうに思います。

鉢呂委員 時間が来ましたので、最後に、北海道では、道州制特区でこの法案を提出するかということに大変な道民の皆さんが不安感を覚えております。

 もちろん国土交通省所管の北海道局、北海道開発局、こういう働いている方もいらっしゃるわけで、私は、全体の道州制のあり方、これを、地方分権や身近な生活の部分は権限と予算を移譲する、こういう方向だろうと思って、何か北海道を試験の場にするような、こういう特区で道州制をやっていくことについては十分慎重に検討していただきたい。

 大臣も、そのことについては十分道民の皆さんまた働いている皆さんと協議をして、誤りのないように、小泉さんがおととし来て、いや、北海道は道州制をやった方がいいんだよ、このツルの一声で、もう九月に終わる人が目玉を残しておきたいだけの、そういう拙速なあり方というのは私はよくない、こういうふうに思っておりますので、この点についてもよろしくお願い申し上げまして、お答えは要りませんがお願いを申し上げます。

 ありがとうございました。

林委員長 長妻昭君。

長妻委員 民主党の長妻昭でございます。

 本日は、参考人の皆様方に、遠路はるばる来られた方もいらっしゃいます。きょうはお出ましをいただきまして、心より感謝を申し上げます。

 早速質疑に入らせていただきます。

 まず、東日本高速道路株式会社の会長でいらっしゃいます八木会長にお尋ねをいたしますけれども、八木会長は新日鉄のエンジニアリング事業本部長もかつてされていたと思いますが、今資料を配付いたしまして、お持ちでございますか。持っておられると思いますが、この私が配付した資料の一ページ目に新日鉄と道路公団との契約が書いてございます。この右側に、契約者のところで、エンジニアリング事業本部と道路公団が契約を交わしておりますけれども、平成十四年度と十五年度の二物件ございますが、エンジニアリング事業本部長あるいは副本部長だった時期でございますか、これは。

八木参考人 お答えいたします。

 私は、新日本製鉄に勤務しておりましたとき、平成十三年の四月から平成十五年三月までエンジニアリング事業本部の副本部長、また、平成十五年の四月から平成十七年の三月までエンジニアリング事業本部長を務めておりました。

 エンジニアリング事業本部においては公共事業も担当しておりましたけれども、私自身は、今回の日本道路公団が発注した鋼橋上部工事の談合事件には関与いたしておりません。

長妻委員 そういたしますと、二ページ目に経歴書を添付させていただきましたけれども、今言われたとおりでございます。

 そういう意味では、東京外環自動車道高州高架橋橋脚工事、六億九千三百万円、落札率が九七・〇六%、東京外環自動車道栄高架橋南工事、六億四百万、落札率九九・九四%、平成十五年度でございますが、この二件に関してエンジニアリング事業本部と道路公団が契約していますけれども、この当時、エンジニアリング事業本部の副本部長あるいは本部長だったということで確認いたします。そうですね。

八木参考人 そうでございます。

長妻委員 公正取引委員会にお伺いしたいのでございますが、この私が今読み上げました二件の契約でございますね。これは、橋梁談合事件について、この二件というのは今全く白なのか。どういう状況か、説明いただければと思います。

松山政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の、新日本製鉄に関しまして、平成十四年度に東京外環自動車道高州高架橋の鋼製橋げた工事、それから平成十五年度に契約いたしました東京外環自動車道の栄高架橋南工事、これはいずれも、昨年九月に公正取引委員会が排除勧告を行いました、日本道路公団が発注いたします平成十四年度から十六年度の鋼橋上部工工事に含まれるものではございます。

 ただ、これは、具体的に個別物件が入札談合の対象であるかどうかに関しましては、現在、課徴金納付命令の算定作業をしておりまして、その納付命令算定作業が終了した段階で対象になるかどうかということが確定するという状況でございますので、現時点においては確定的なことは申し上げられません。

長妻委員 そうしますと、今、年度の中には合致をしておりますので、この二件は橋梁談合の対象の可能性がある、そういうふうに言ってよろしいんですか。

松山政府参考人 可能性があるという意味では、結構、そのとおりでございます。

長妻委員 本当にこの二物件、今申し上げたのが談合をしたかしなかったのかというのは、これは課徴金の認定がされたときにわかると思うんですが、この課徴金の認定をする時期、そのときに物件が特定されるということでよろしいですか。時期はいつですか。

松山政府参考人 お答えいたします。

 課徴金の納付命令でございますが、これは、本案の違反行為の確定がありまして、その後に算定作業を行うということになっております。新日本製鉄に関しましては、昨年九月に排除勧告を行いましたが、現在、審判で違反事実そのもの自身を争っておりますので、まだ具体的に課徴金算定作業に入っておりません。

 したがいまして、まだしばらく、その審判が終わって違反が確定した後に課徴金納付命令の算定作業に入るということになろうと思います。(長妻委員「そのとき物件が特定される」と呼ぶ)その段階で物件が確定されることになると思います。

長妻委員 これは八木会長にお尋ねしたいんですが、落札率九七・〇六%あるいは九九・九四%、そして橋梁談合の対象の可能性がある物件で、仮にこれが、先ほど、課徴金の認定と同時にはっきりするわけですけれども、この二物件が談合だと認定をされたとき、このエンジニアリング事業本部の副本部長あるいは本部長であられたわけですから、これは何らかの、御自身の身分に関してお考えというのはございますか。

八木参考人 談合が認定されるようなことになればというお話でございますけれども、先ほど申し上げましたように、私は今回の談合事件に関与いたしておりません。

 したがいまして、談合が認定されるようなことになれば同社に勤務した一人として大変遺憾には思いますが、私、道路公団の民営化に伴いまして、昨年の四月に会長就任予定者に指名され、十月の民営化と同時に当社の会長に就任しておりまして、その職務を果たすことが私の職責と考えております。

長妻委員 今何か関係ないというような御答弁に聞こえたんですが、しかし、あなたがエンジニアリング事業本部長の物件、そしてもう一つはエンジニアリング副本部長のときの物件であります。

 八木会長が別にどこかの会社の、別の会社のところで社長をやられていたら我々もとやかく言うわけではありませんが、道路公団、談合でこれだけ揺れて、官製談合問題、そして分割・民営化されたその会社のまさに会長に就任されている。談合の対象の可能性がある物件の契約をしたその上司、その部署の責任者。これは、私は非常に首をかしげる今の御発言だと思うんですが、仮にこれが談合だと認定された場合、私は、出処進退をきちっと考えないと、国民の皆様から非常に疑いの目で見られるんじゃないかと思うんですが、それは御認識はないんですか。責任者ですよね。

八木参考人 先ほども申し上げましたように、私は、談合事件という個別物件、これに関しては全く関与いたしておりません。取締役としての忠実義務違反もございません。

 そういうことからいいますと、私の今果たす役割は、先ほども申し上げましたとおり、今の会社での職務をきちっと果たすことだと考えております。

長妻委員 法的な責任はあるのかどうか私もわかりませんけれども、そちらの、ある意味では関連したというか、契約がエンジニアリング事業本部ですから、監督責任というか、そういう道義的責任というのはないんですか。契約の名前です。

八木参考人 これも先ほど申し上げましたように、当時そこに身を置いた者としてまことに遺憾には存じます。

長妻委員 そして、もう一方、西日本高速道路株式会社の会長の石田孝会長にもお出ましをいただいておりますけれども、この同じ表で、石田会長はかつて神戸製鋼の都市環境・エンジニアリングカンパニーにおられましたけれども、この館山自動車道の橋の工事、これは都市環境・エンジニアリングカンパニーでやられたというふうに報告を受けていましたが、間違いございませんか。

石田参考人 お答えを申し上げます。

 今、先生、委員御指摘のとおり、これは都市環境・エンジニアリングカンパニーでやった案件でございますが、私自身は、この鉄骨橋梁の業務に従事したのは平成十一年の四月から平成十三年の六月までということでございまして、きょう委員が配付された神戸製鋼所に係る、下から四つの十四年、十四年、十五年、十六年というこの四物件のときに、私自身は鉄骨橋梁の担当は一切やっていないということでございます。(長妻委員「十四年の六月ですか、十三年ですか」と呼ぶ)十三年の六月まで鉄骨橋梁の関連をカンパニーの副社長としてやりました。それ以降はケミカルプラント等の仕事に私は異動いたしました。

長妻委員 しかし、エンジニアリングカンパニーであることは、お立場は平成十四年の六月まで続いていたということでよろしいんですか。

石田参考人 十四年の六月までエンジニアリングカンパニーの副社長だったことは事実ですが、一年間は、鉄骨橋梁は十四年は一切やっていないということでございます。

長妻委員 そして、この神戸製鋼の今申し上げた物件も、これは橋梁談合の対象の可能性がある物件だということで、公正取引委員会、間違いないですか。

松山政府参考人 お答えいたします。

 今御指摘の平成十四年度の館山自動車道以下の四件でございますが、これも先ほど申し上げましたとおり、平成十四年度から十六年度、日本道路公団が発注いたします鋼橋上部工工事に含まれ得るものでございまして、そういう面ではその対象の可能性はある。ただ、具体的に入札談合の対象になるか否かということにつきましては、今現在、課徴金納付命令の算定作業中でございますので、確定的なことは申し上げられない状況でございます。

長妻委員 これは北側大臣にお伺いしたいんですが、今の話で、特に新日鉄の、まさに在籍していたときの、道路公団との契約書に書いてあるエンジニアリング事業本部の責任者だった、この案件が仮に公正取引委員会で黒と認定された場合、北側大臣、そういう場合でも八木会長の人事というのは全く問題ないとお考えでございますか。

北側国務大臣 道路公団の民営化に伴いまして、この民営化会社の経営を託すにふさわしい人ということで選考させていただき、昨年の四月にその候補者として内定をさせていただいたわけでございます。そして、昨年の九月に開かれました創立総会また取締役会におきまして、ここで正式に決定を見たものでございます。

 この件については昨年も御質疑をいただいておるかと思いますけれども、全く談合にはかかわっておらないということをその春の時点で確認をさせていただいておりまして、そうしたことを踏まえて、人物、識見等を見て判断をさせていただいているところでございます。

長妻委員 そして、私ちょっと今のお話は納得できないわけですけれども、まさにその部署の責任者が、別にほかの会社におられるということはこれで問題ないと思いますけれども、しかし、これ、まさにその道路公団、官製談合で逮捕されたその道路公団が分割・民営化された後の民営化会社でありますので、非常に首をかしげざるを得ないわけです。

 そして、談合がなくなっているのかどうかということで、五ページ目でございますが、あれだけ逮捕者が出てもまだ落札率は、ちょっと丸で囲みましたけれども、PC橋上部工工事とか舗装改良工事とか、事件後も九五・四四%落札率とか九三・四九%と非常に高いわけでございますけれども、中日本高速道路の近藤会長にもお出ましをいただいておりますけれども、これは今もう談合がなくなったというふうに考えてよろしいわけですか。

近藤参考人 今回の調査結果にございますように、民営化後における全体の平均落札率、二百八十件で平均八六・七一%という数字になっておりますが、その数字と比較いたしますと、確かに委員御指摘のとおり、PC橋上部工工事、九三・四九%です、十六件です。また、舗装改良工事、九五・四四%、これは十件でございます。平均落札率が高い状況にある、これは事実として我々も把握をいたしております。しかしながら、民営化後のこの分析につきましては、まだサンプル数が非常に少ないということもございまして、報告書にもその旨記載をしておりますが、まだいろいろなチェックも必要な段階ではないかな、そのように考えております。

 現在、民営化後、入札に際しましては極めて厳格な監視を行っておりまして、その監視をさらに続けること、これがまた重要だと我々は認識をいたしております。

長妻委員 今も談合は続いているんですかということです。

林委員長 近藤参考人、手短にお願いします。

近藤参考人 先ほど申し上げましたように、民営化後、入札業務におきましてはかなり厳しい審査、監視をしております。その結果、事実また、我が社におきましても、昨年の十一月でございましたが、一件、落札の、入札案件を無効にした事例もございます。そのように厳しい監視が今後も必要だと承知をしております。(長妻委員「委員長、答えさせてください。質問できません」と呼ぶ)

林委員長 参考人、質問に明確にお答えください。どうぞ、お答えください。

近藤参考人 現在のところ監視を厳しくしておりまして、その結果、我々が入札業務を認めてきているわけでございます。

 ただ、一件、入札が終わった案件につきまして、我々として無効にした事例もあるということを先ほどお答えさせていただいたわけでございます。

長妻委員 質問できません。ちょっと時計をとめてください、委員長。速記をとめてください。

林委員長 では、速記をとめてください。

    〔速記中止〕

林委員長 速記を起こして。

長妻委員 今も談合は続いているんですか。

林委員長 近藤参考人、端的にお答えください。

近藤参考人 先ほど来るるお話ししておりますように、私どもといたしましては、談合はもう今事実上なくなっている、そのように認識をしているということでございます。

 ただ、先ほどもお答えいたしましたが、十一月に一件、無効にした事例もあるということでございます。

長妻委員 そうしたら、事実上というのはどういう意味ですか。

近藤参考人 我々としては、現在、入札業務を適切に執行させていただいているわけでございまして、談合行為は現在ないと我々としては認識をしているということでございます。

長妻委員 初めからそういうふうにお答えになればいいんですよ。談合行為はないと認識しているということですね。我々はちょっと今の御発言も疑問ですけれども。

 近藤会長が道路公団の総裁のときの年収と今の年収というのは、比較するとどちらが多いですか。

近藤参考人 端的にお答えをいたします。

 数%多くなっております、年収ベース。ただし、これはまだ支払い予定額でございます。支払い予定額でございます。これは、決算開示の場におきましてどのような開示をするのか、これから検討をしてまいりたいと考えております。

長妻委員 今、自民党の席から余計なことを質問するなという話がありましたけれども、これは非常に重要なことなんです。これは姿勢を示すものなんですよ、トップの考え方を。そういう意味では、借金を返すための民営化会社、お給料が上がっている。これだけ談合を繰り返して、私は納得は得られないと思います。

 そして、もう一つのテーマに時間もないので移りますけれども、きょうは都市再生機構の理事長、小野邦久理事長にもお出ましをいただいておりますけれども、資料をいただきました。配付資料の六ページでございますが、都市再生機構の分譲住宅等購入状況という資料がございますが、これを説明いただけますですか。

小野参考人 お答えを申し上げます。

 私ども都市再生機構では、現在は分譲宅地でございますが、かつては分譲住宅も平成十五年度まで分譲いたしておりました。その分譲住宅または分譲宅地を私どもの機構の特に本社以上の管理職がどの程度購入をしているか、そういう数字でございます。

 これは先生から資料の請求をいただきまして調べたわけでございますが、百四十七名中、機構の住宅あるいは宅地を購入している者は四十七名ということになっておりまして、この率は、そこに書いてございますとおり三四・五%ということになっております。

長妻委員 これはいいんですかね。管理職、本社だけで三四・五%の人が機構の住宅を個人で買って住んでおられる。これは一般の方も当然買うわけでありますから、非常に流れとして、ああ、今からいい物件があと何年後に出るとかわかっている、そういう部署も当然あるわけで、これは何の規制もなく、全く問題ない話なんでございますか。

小野参考人 私どもの都市再生機構、従来、住都公団のときもそうでございますけれども、物件は公募が原則でございまして、四十五日以前にあらゆる方々にあらゆる手段を使って周知をした上で、抽せんによる当せん者の決定ということになるわけでございます。

 したがいまして、機構職員といって、例えば申し込みの資格とか抽せん等で何か優遇措置があるということは一切ございませんので、私どもといたしましては、職員がみずから居住するために機構の住宅あるいは宅地を購入するということについて、直ちに問題があるというふうには考えておりません。

長妻委員 しかし、すべての部署の方が確かにそういう情報は入らないかもしれませんけれども、非常に、いろいろな部署によっては、いつ、大体何年後にこういう物件が出るだろう、あと何カ月したらこういう物件が出るだろう、こういうことは頭の中でわかるわけで、そうすると、自分が一番おいしいというか、いいところの物件に応募していこう、こういう計算もできるわけで、これは一つの何か規約をそういう当該部署の方にはかけるとか、倫理規定をつくるとか、そういうお考えは全くございませんか。

小野参考人 確かに、部署によりましては、募集の時期とか、あるいは大体あと半年後ぐらいに売り出しになるだろうというようなことはわかるところもございますけれども、現実に、例えば、現在分譲住宅については一切募集ということはございません。宅地についてやっておりますけれども、これも二、三年前の不況期には募集割れと申しますか、実際に応募者がゼロという場合もございますし、平均倍率でいけば大体二倍ぐらい、景気回復の影響もございまして、現在は三倍から四倍ぐらいになってきておりますけれども、原則公開で抽せんということでやっておりますので、それが、何かそういうことを知り得た、あるいはその部署にいるということで直ちに自分の利益になるような、そういう仕組みはございませんので。

 自主規制ということもございますけれども、私どもでは、むしろ職員が愛着を持って、売れないものもたくさん持っているわけでございますから、買っていただくということは、私の立場でいえば、大変ありがたいというふうに思っております。

長妻委員 売れないところを職員が買うとはなかなか思えない部分もあるんですけれども、ぜひ倫理規定など御検討いただきたいと思います。

 最後に、談合の問題でございますけれども、本当に談合をなくすというのは大変なことだと思います。営々と続いてきたものを根絶するというのは本当に勇気が要る大変な仕事だというふうに思いますけれども、談合というのは本当に泥棒と同じでございますので、ぜひ、高速道路の皆様方におかれましては本当にこれをなくしていくという決意を最後に近藤会長にお伺いして、私の質問を終了させていただきたいと思います。

近藤参考人 談合、完全に排除してまいりたい、そのように考えております。そのためには、決めております措置をしっかりと実行していく、こういうことでございます。かたく決意をしているということを改めてまたこの場でも申し上げさせていただきたいと存じております。

長妻委員 よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

林委員長 三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 多くの皆様方、また成田の会社の黒野社長にも、きょうは参考人としてお越しいただきました。時間がありませんので、早速質問に入らせていただきます。

 次々と残念ながら発覚します談合問題、断ち切るのが難しいということを改めて実感しております。

 まず最初に、資料としてお配りしました一ページ目、二ページ目、三ページ目。社長、済みません。今入られて、すぐ資料を御確認いただくのは大変なんですけれども、私が用意いたしました一ページ、二ページ、三ページ、これは雑誌の記事だと思うんです。残念ながら、会社の社員の方、旧公団の職員の方が逮捕され、起訴された後の社長の御見解の記事だと思うんですけれども、まず、これは事実、そして社長の思いそのものかということについて、イエスかノーかでお答えください。

黒野参考人 おおむねイエスでございます。

三日月委員 そうしたら、委員の方々もぜひじっくり読んでいただきたいんですね。

 「談合を断つ勇気がなかった」と。一ページ目には、関与された方が「「組織のため、先輩のためにやった」としか思えない」。二ページ目を見てください。「談合によって工事価格が高くなり、そのツケを空港の利用者が支払わされていたのではないかなんて、これもまたあまりに短絡的な発想ですよ。」その次には、「そういうエモーショナルな議論を僕はしたくない。」挙げ句の果てに、再就職のところでは、「「天下りは悪」という既成概念に縛られすぎていませんか。」

 とても逮捕者、起訴された方を出した会社の責任者である社長の発言とは思えないんですけれども、いかがでしょうか。

黒野参考人 全体をお読みいただければわかると思いますが、私自身はいわゆる天下りを肯定しているものではございません。なおかつ、この時期においてこういうことを申し上げられましたのは、我々なりに再発防止策につきまして相当思い切った策を既に講じておりまして、同じような問題が我が社ではこれから起こらないという確信があったものですから、あえてこういう言い方をさせていただきました。

三日月委員 社長、済みません。旧運輸省の事務次官までお務めになっていらっしゃって、今非常に大事なこの成田空港の会社の社長をされていて、しかも、今回官製談合が明らかになって逮捕、起訴された方がいる、その会社の責任者である社長の根底を流れる認識なり思想を私は問うているんですよ。

 おおむね私の見解ですと言われながら、残念ながら、天下りの見返り、お土産として予定価格が漏らされて、そして落札価格が高どまりをして、結果的に、間接的に、利用者であったり納税者である方々に対して、国民である私たちに対して、多くの方々に対して損害、損失を与えてしまっているという認識はないんですか。どうぞ。

黒野参考人 御指摘のとおりだと思います。

 私自身は、このインタビューでは、今回の重電関係の談合についてどういう影響があったんだというかなり詳しいやりとりの中でございまして、その中で一部こういう表現もさせていただいたということでございます。

三日月委員 私が冒頭にこの記事の内容は社長のお思いのとおりですかということを問うたのは、一方的に記事の内容だけを見て私がこの質問に取り上げるということが公平でないと思ったから、最初に確認をさせていただいたんです。その旨、おおむね社長の見解ですと言われたから、あえてこういう見解なら問題だと思いますということで私は指摘をさせていただいているんです。

 この四ページ。どの談合もそうだと思うんですけれども、国、省庁、そして公団なり会社、そこに関係取引企業がぶら下がり、そこで談合が行われる。国から公団には財政支援が、これは五ページのとおり、十八年度からは政府保証債についてもなくす見込みです、予定ですということですけれども、これまで借入金も保証債も、そして政府出資金も、いろいろな形で財政支援が行われていて、そして六ページ、これが成田の十二年から十六年の工事発注状況です。先ほど長妻議員が示された道路会社の落札率よりもかなり高位に推移をしているという実態がここでもわかります。

 そして、ここには、飛んで恐縮ですけれども十ページ、そういった企業に対して再就職、いわゆる天下りをされる方々が実績としていらっしゃって、そして七ページに戻ってください。その天下り、再就職と見返りに、その企業には非常に多くの割合の工事が発注されている、こういうことが明らかに数字としても実績としてもあるじゃないですか。

 もちろん、公務員の再就職、定年制度のあり方も含めて大きな議論をしていかなければならないことはわかります。技術だとか経験が継承されることも必要だと思いますし、年金までの空白期間を何とかしなければいけないという大きな問題はありますけれども、しかし、今回、この天下り、再就職の見返りに談合が行われていて、結果的に落札価格が高く設定されていて、利用者と納税者に負担を与えてしまったということに対するまず基本的な認識を社長は持たれるべきだと思うんです。ぼそぼそっとお答えになるんじゃなくて、もう一度御見解をお聞かせください。

黒野参考人 今先生の御発言につきまして、私ども全面的に賛成でございます。

 ただ、前後関係をちょっと御説明させていただきますと、昨年の十一月に私どもの談合問題、発生いたしました。当初は、本当にこんなことが行われているのかという、私どもも半信半疑だったわけでありますが、我々なりに調べた結果、明らかにされているということがわかりました。

 それ以後、全面的に捜査当局に御協力する。もちろん大臣からの御指示もありまして、早期に全部すべて出せ、仮に検察に呼ばれた場合には全部しゃべってもいい、正直に全部話せ、組織のためとかそういうことは考える必要はないというふうに言いまして、そういうこともありまして、最終的な結論が年内に出ました。出たと同時に、再発防止策をかなり思い切ったものを講じてございます。その中には、いわゆる天下り、我々が天下りと言うのは正しくありませんで、再就職でございますが、これについてもかなり厳しい対応をしております。

 そういうことを背景にしての私の考えでございまして、まさに今先生おっしゃいましたように、空港という特殊な技術、これを持っている方々を、六十歳の定年だからもうあとあなたは家で隠居仕事をしなさいというのは、これは本人もつらいし、社会としても必ずしも得ではない、そういう方々の活躍する場を設けるというのはそれはそれで必要だろう、こういう意味でこのインタビューにお話し申し上げたんですが、一部、若干脱線ぎみなところもございまして、そのような表現になったと思っております。

 ですから、先ほど申し上げました、おおむね私の趣旨はここに書いてございますが、このすべてがその表現どおりということは若干お許しいただきたいなと思っています。

三日月委員 わかりました。

 談合がなかったら、談合なかりせば、もっと安く調達できたんです。工事できたんです。そのことによる負担がなかったんです。ほかに回せたんです。ぜひそういう認識を持っていただきたいということと、防衛施設庁の談合でもそうでした。最初はこの重電機メーカーから発覚をして、どんどん空調設備だとかいろいろなところにも実は談合が行われていたんだということが次々と明らかになりました。

 社長も、この記事の中で、「事件が発覚した時、職員一同唖然としていたぐらいです。」唖然とすることが実際あったんですよ。唖然としている場合じゃないんですよ。信じられませんでしたとおっしゃっていますけれども、信じられないことが起こっていたんですよ。そういうことを薄々感じながらも、実際調べてもわからない、いや、わかったとしても直せないということで、全然手をつけてこられなかったのがこれまでだったんです。ぜひ実態解明と再発防止のための徹底した取り組みを要請したいと思います。よろしいですか、社長。いや、もうそのままうなずいてください。本当に、これまで御経験あるんですから、内部事情もお詳しいんですから、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 その上で、この成田の談合の強制捜査が行われたときに、十一月十七日です、これは記事によれば、報道によれば、次々とこういう談合問題が発生するから、入札契約適正化法の対象法人について、国交省から、例えば水資源機構であるとか、都市再生機構であるとか、鉄道建設・運輸施設整備支援機構であるとか、こういう機構、機関に対して実態調査の実施と談合防止対策の策定を通告した、大臣から。これはどのような形で行われたんですか。期限はいつをめどにされていたんですか。

北側国務大臣 この十一月の十七日というのは私にはもう忘れることができない日でございまして、ちょうどこの日、私は成田空港から出発をいたしました。耐震偽装問題についての公表をしたのもこの日でございます。

 ですから、この日のことはよく覚えているわけでございますが、朝、成田空港に強制捜査が入りまして、私の方から黒野社長に対しまして、捜査機関に対する事実解明に全面的に協力してください、また、その上で再発防止策についてしっかり取りまとめてもらいたい、事実関係についてもしっかり成田空港会社で調べてもらいたい、そういう指示をするとともに、これは成田空港だけの問題ではなくて、国交省所管の独立行政法人等々あるわけでございます。また、空港関係もほかにもあるわけでございます。ということでございまして、ほかの独立行政法人等についても、また国が出資をしているそうした会社についても、よく調べてもらいたいということを指示いたしたところでございます。

 それで、おおむね二カ月程度を目安に対策を取りまとめた上で報告してもらいたいというふうに依頼をしたところでございますが、ちょうど昨年末に防衛施設庁の問題もございました。小泉総理の指示を受けまして、十二月の二十六日に内閣官房に関係省庁の局長級の連絡会議が設置をされまして、その中で、独立行政法人等も含めた政府全体としての公共工事の入札契約の改善について検討が開始をされました。

 実を言いますと、きょう午前中、たしか十時半だと思いますが、この関係省庁の局長会議が開かれておりまして、取りまとめがなされているはずでございます。先に先行したわけでございますけれども、政府全体の方針と整合性を図る必要があるということで、並行して進めてきたというふうに御理解いただければ大変ありがたいと思っております。

三日月委員 そうなんです。この十一月十七日、本当に私にとっても忘れられない日なんですけれども、耐震強度偽装問題も公表され、そのときに成田、この会社に強制捜査が行われ、それを受けて談合防止対策の検討を指示されたんですね、大臣が。これは、しかし口頭なんです。期限が明確じゃないんです。こういう指示、大事な問題の実態解明や再発防止対策の指示としては私は適切じゃないと思うんです。やはり文書で、期限を区切ってやるというのが常識だと思います。

 そして、その後、政府のさまざまな問題が明らかになったということを受けて、これはもしかしたら官房長官にお伺いしないといけないと思うんですけれども、またさらに総理から官房長官に対して口頭で指示なんです。

 いろいろ伺えば、偶然きょう午前中にその取りまとめ、しかし、きょうも、これは連絡会議を設置し、早期に結論が得られるよう検討に着手ということで、きょうどういう結論が得られるかということ、午前中のその会議が終了後、この委員会に間に合う形で持ってきてくださいという要請に対して、結果、間に合っていません。もしかしたら会議が長引いているのかもしれません。ぜひ徹底した解明、調査を要請したいと思いますし、その報告を私たち委員、この委員会に求めたいと思います。

 委員長におかれましては、先ほどの道路の談合問題の検証、解明、そしてこの成田の談合問題の解明、まだまだ不足をしていると思います。私の資料の九ページをごらんいただければと思いますが、民主党の要請に基づく衆議院調査局の予備的調査におきまして、国交省が、いわゆる天下り、再就職の職員数、役員数、非常に多い。そして、それにぶら下がっている団体も、そこに流れている補助金も非常に多いということが実績としてありますので、ぜひその責任はこの国土交通委員会にあるということを御指摘し、それぞれにおいてお取り計らいをお願い申し上げ、私の質問を終わらせていただきます。引き続きよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

林委員長 穀田恵二君。

穀田委員 耐震偽装の問題についてまたやりたいと思います。

 この間、福岡での偽装物件、そして熊本、横浜での強度不足物件など、非姉歯物件の拡大で、国民の建築物の安全に対する不安は深刻度を増しています。そんな中で、再発防止策を中心とした社会資本整備審議会建築分科会の中間報告が出されました。これを踏まえて、若干きょうは問題提起しながら、北側大臣と少し議論を深めていきたいと思っています。

 私はこれまで、偽装や強度不足の構造設計を生み出す背景には二つあると言ってきました。一つは検査機関の民間開放による規制緩和の問題と、コストダウン競争があるということ、二つをずっと言ってきました。

 コストダウンでいいますと、それが構造建築士へのコストダウン圧力となっていること。そのもとで、この間、いろいろな参考人質疑や、さらには証人喚問などで出てきたのは、いわゆる経済設計と呼ばれています、建築物の安全性を軽視し、建築基準法ぎりぎりの、いわゆる限界設計とか、ぎりぎり設計というものが常態化していることを指摘してきました。非姉歯物件の発覚、拡大で、この実態が浮き彫りになっているんじゃないかと私は考えます。

 まず、耐震基準すれすれ、ぎりぎりの設計がもてはやされている建築業界の実態について大臣はどのようにお考えか、お聞きしたいと思います。

北側国務大臣 建築基準法というのは、これは最低限の基準を規定しているものでございます。消費者、需要者、住宅を取得する側からしましたら、安全性は高い方がいいに決まっているわけでございまして、そういう意味で、これは、あくまで建築基準法というものは最低限の基準を示しているだけでございまして、より安全性が高くて、そして長期に使っていくことができるような良好な建築ストックを形成していくということが私はやはり大事であるというふうに思っておりまして、そういうよりよい建築が生産される仕組みというものをしっかりと整備をしていかないといけないということを痛感しているところでございます。

穀田委員 おっしゃるとおりで、建築基準法というのは最低基準なんですよね。ところが、そう思っていない、ギャップがあるということをいろいろ述べているのが、ここにあります構造計算書偽装問題に関する緊急調査委員会の報告などでも書かれています。

 そこで、私は、今、経済設計というものがやられている建物自身は、ほんまに安いのかということと、もう一つは、ほんまに安全なのかという、二つの面から考える必要があると思うんですね。

 まず、建築物のコストについて、経済設計によって建築物の初期の建設コストが低廉だったとしても、改修、補修費用、老朽化による建てかえ費用など、トータルに建築物の寿命を考えると、総費用は高くつくんじゃないかと私は思うわけです。

 今お話しした大臣の諮問機関である緊急調査委員会、この報告書によりますと、5というところで「建築ストック重視社会への転換」、いわゆるスクラップ・アンド・ビルドの体質から脱却する必要があるということで、建築ストック重視社会への転換ということを言い出し始めています。これは重要な提起だと思うんですね。

 この中には、建築物の長寿化、今大臣も長期によりよい建築がとありましたけれども、「長寿化のために、建築の初期コストは高くなっても、耐用期間の長期化により一年当たりのコストは低減する。」と八ページに書いています。これは、そのまま動いた場合なんですね。外から何か地震があったとかがなかった場合の話であって、これは、さらに地震の影響を考慮した場合には、例えば地震による倒壊は免れたとしても修復が必要となれば、その費用はさらに加算をされるということになりますよね。

 それで、調べてみますと、日本建築構造技術者協会、いわゆるJSCAの試算によると、「耐震性を基準法水準の設計から免震設計にグレードアップしたマンションの場合、建設費は一〇%高くつく。しかし、耐震のグレードが上がるほど大地震後の修復費用は少なくて済み、建設費と修復費の合計は二〇%程度安くなる」、こう述べています。

 国交省として、こういう建築物のコストを試算しているでしょうか。

北側国務大臣 今の委員の御指摘は大変重要な御指摘だと思うんですが、ちょっと具体例を私も申し上げたいと思います。

 鉄筋コンクリートの七階建てで六十戸の集合住宅につきまして、通常の集合住宅の場合と高耐久性集合住宅というのとを比べてみますと、高耐久性集合住宅の方が三%程度コストは増加するわけでございますけれども、通常の集合住宅ですと六十年間の使用期間、高耐久性集合住宅では百年間使用できるということが言われておりまして、そうすると、一年当たりに要するコストというのは、むしろ高耐久性集合住宅の方が七割程度しかならないというふうな試算もございます。

 また、耐震度についての基準でやりますと、住宅性能表示制度で耐震等級が二の住宅は一・二五倍の力の地震にも耐え得る、そして耐震等級三の住宅は一・五倍の力の地震に対しても経済的価値が損なわれない。より長い期間、大きな地震にも耐えられるものでございまして、これは建物のライフサイクルコストという観点から見た場合には、むしろコストは安く済んでいるというふうに言えると考えられます。

穀田委員 今の試算は国交省のものかどうか、それはちょっと私も聞き漏らしたので。

 そういう計算がされていることは事実でして、今、LCCといいますか、ライフサイクルコストという問題の考え方が一つ大きな流れになりつつあるということは重要だと思います。その点は、今述べました緊急調査委員会の中間報告でもこれまた別なところで書いていまして、八ページには、何世代にもわたって使えるような建築資産を形成することによって、今回の偽装事件の背景にあると見られる建築費の不当なコストダウンなどの慣行が是正されると考える、こういうことまで書いているんですね。

 私は、今お話があったように、どういうサイクルで物を考えるかということでいうと、重要な示唆が今この報告を含めて出てきているし、共有できると思うんですね。やはり、ヨーロッパなど外国の建築物の考え方も、百年の維持ないしは何代かにわたって保有を前提としています。今、大臣はその例を一つ具体的な事例を引いてやりましたけれども、私は、そういう点を、長期的視点での研究、啓蒙を政府としてしっかり進めるべきだと思っているところです。特に、経済設計という形でコストダウン競争を進める市場を放置したり、むしろ建設コスト低減をあおったりする、これが政府の仕事ではないと思うんですね。

 私は、この間、非常に考えているんですけれども、九八年の例の建築基準法改悪のときにその点を我々は指摘したわけですわな、安かろう悪かろうという。検査の点でもそんなことになったら大変なことになると言ったわけですけれども、やはり今、国民、消費者が目先の安さではなくて、トータルとして安くて、しかも生涯生活の基盤とする住宅の取得をより安心なもの、安全なものを選択できるように支援する。つまり、啓蒙し、宣伝し、支援するという方向にいよいよ行くべき時期が来ているんじゃないかと思っています。

 そこで最後に、もう一つの点ですけれども、安全かという問題を少し議論したいと思うんです。

 福岡の例の偽装疑惑で問題になっているサムシングの元社長は、書類は差しかえたけれども結果として耐震性は満たしていると言っています。あるいは、熊本の建築士は、再計算の方法がおかしい、耐震性は満たしていると反論しています。ところが、いずれもこの満たしているという言い方の中心は、保有水平耐力一・〇という建築基準法に定められた基準です。

 そこで、また引用しますけれども、緊急調査委員会の中間報告には、一番最初に私は言いましたけれども、建築物の安全性についての認識のギャップがあるということを指摘していまして、建築基準法の基準は、先ほど一番最初に私がお聞きした際に大臣がお答えになったように、建築物の安全性の最低基準なんですね、であるけれども、国民の間には、建築確認がおりた建築物であれば安全性は十分であり、それ以上の安全性は過剰なものだというような誤解もある、こう述べています。また、その後ろの方で、販売業者も、形式的に建築確認さえ通っていれば、実際に安全性に問題があっても責任がないかのような風潮が見られる。これはこの間の議論でありましたよね。通ったものをなぜ建てさせないんだという、全くそういう破廉恥な話がありましたけれども、そういうことがあります。

 したがって、基準法の基準さえクリアしていれば本当に安全なのかという問題についてお答えいただきたいと思うんです。具体的には、現在の建築基準法の耐震基準、保有水平耐力一・〇というのは建物に対してどんな影響を与えますか。

山本政府参考人 五十六年に導入されました新しい耐震基準の考え方でございますけれども、これは、めったに来ない著しく大きな地震、具体的には、震度でいいますと震度六強とか震度七という地震に対して、その建物が倒壊したりあるいは完全に崩壊したりはしない、持ちこたえる、そういう力を持った建物である、そういう地震に対する耐力を検証する指標でございます。

穀田委員 だから、ちゃうねんね。持ちこたえるというのは建物が持ちこたえるだけであって、要するに、説明で言うと、もう少しきちっとしてもらわなあかんのやけれども、建物が損傷を受けても倒壊しなければ住民の命は保てるという考え方なんですね、これは結局。

 しかし、大事な問題は、倒壊せず人命は保護するけれども、構造体には大きな損傷を受けるということなんですね、裏返していくと。つまり、持ちこたえるというと何かええように聞こえるけれども、先ほどの話で、最低基準という話をするじゃないですか。同じように、持ちこたえると聞くと何かええみたいに聞こえるけれども、実質そうじゃないんですよ。倒壊しないし住民の命は保たれるけれども、構造体には大きな変化を受ける、余震による倒壊の危険性がある。したがって、何が最終残るかというと、住居としての機能の完全回復は困難になる、ここが肝心なんですね。ここを見ないとだめなわけです。

 分譲マンションの購入者というのは被災後も生活できることを当然望んでいるわけで、命を守るというだけじゃなくて、生活していける建物を守ることを期待しているんですね。だから、私は、先ほど言いましたように、国民の中に最低基準だということがまず理解されていない、ギャップがある。つくる側は、これを満たしているんだからいいじゃないか、そういうギャップがあるということをしっかり踏まえてきちんと説明すべきであると思っています。それを私は、阪神大震災や中越大震災で、損傷が少なくても内部の医療設備が壊れてしまった病院を幾つも見てきたから、そのことをどうしても言いたいんです。基準法に従っただけの設計では不十分なんだということを私はきちっと据えるべきだと考えています。

 そこで、東京都を初めとして幾つかの自治体で、基準法が定める地震力の一・二五倍の割り増しで設計する指針などで行政指導していると言われています。東京のような独自の上積みを指導している自治体はどれぐらいあるか、また実際にはどれだけ守られているか、お答えいただきたい。

山本政府参考人 私どもが把握している限りでございますが、東京都を初め、神奈川県、横浜市、静岡県、愛知県、名古屋市、福岡県、福岡市と、人口が集中している地域、あるいは大規模地震が切迫しているという地域において、公共団体が行政指導によりまして、建築基準法が求める地震力に上乗せして地震力を求めているということでございます。これは、建築確認過程でこれを求めているということでございます。

穀田委員 建築確認過程で求めているわけですが、東京では、都内では敷地が狭小で変形しているようなところに建てられる建築物が少なくないということから、独自に、鉄筋コンクリートづくりで二十五メートルを超える建築物については、基準法が定めている地震力の一・二五倍の上乗せを指導している。今お話のあったように、福岡もやっているんですよね。サムシングの物件の多い福岡市でも、東京に倣って一・二五倍でやっている。

 今回の事件を受けて大切なことは、建築物の安全性、耐震強度をどうやって確保するかだと思うんですね。したがって、新しい中間報告を、問題を得ましてさまざまな改善がなされる、それは当然なんですけれども、さらに踏み込んで、私は、建築基準法の基準そのものを引き上げるべきではないか。そして、せめて地方自治体の上乗せを指導にとどめず条例化するなど、促進すべきではないかという点を政治家としての大臣にお聞きしたい。

北側国務大臣 まず、建築基準法というのは最低限の基準であるということをやはり国民の皆様にもよく知っていただく必要がある、そういう努力を私どもがしっかりとしないといけないというふうに私は思っております。今委員がおっしゃったように、新耐震基準を満たしていても、震度六強以上の地震が起これば柱やはりに一部損傷が起こるわけでございまして、そういうことをよく知っていただく必要があるというふうに思っているところでございます。

 そういう意味で、法律の基準をもっと上げろという御議論については今後よく検討させていただきたいと思いますけれども、各地域地域で各県や市が上乗せの規制をしているというところについては、今委員がおっしゃっているように、やはり条例で規定をしていくことがふさわしいというふうに考えております。

穀田委員 とても大切な答弁をいただきました。

 上乗せについてはやはり条例化してやっていくということと、同時に、検討と言いましたけれども、やっているところに対して、指導をやっている内容を上乗せして条例化したらどうだと、ここまで言うんでしたら、国もまともにそういうことでやるというぐらいのことが必要だと私は思うし、そういう時期に来ていると思うんですね。建築基準法の、特になぜ九八年の改正問題になったかというと、阪神大震災を受けてやったわけですよね、一つの側面は。そのときに、最低の基準を定めるというんじゃなくて、もう少しきちんとした基準を定めるというところに行く必要があると私は考えます。

 そこで、総括的にずっと見てみると、今お話しした問題について、やはり建築主など事業者がコストダウンを図るためにさらに早くて通りやすい検査機関がもてはやされるということだとか、大臣認定によって、つくる側にもずさんな設計ができる仕組みをつくっただとか、この間、るる指摘してきたところです。ですから、私は、今後、建築行政全般についてもう一度、あれは中間報告ですから、もちろん今度の建築基準法改正問題をめぐっていろいろ議論されるでしょう、だけれども、安全性をどうしたら担保できるかという幅広い議論を我々としてもしていきたいと考えています。

 終わります。

林委員長 日森文尋君。

日森委員 三月には建築基準法やあるいは関連する法律の改正案が出されるということなので、きょうは少し大きな観点から大臣の御所見を伺いたいと思います。

 耐震偽造問題、当初は、民間に確認検査事務を開放したことが是か非かという議論もあったと思うんですが、これが非姉歯物件まで広がってきた、これからもっと広がるかもしれないということを考えると、実はそれだけではなくて、また同時に特定行政庁も見過ごしていたという事実も明らかになった、そうすると、今や確認制度そのものの是非が問われているのではないかというふうに考えているんです。

 時間があったら最後にちょっと問題提起だけしたいと思うんですが、最初に、民間に開放した段階、九八年ですね。

 開放に関連していいますと、現在の行政の執行体制が極めて不十分である、それは仮に努力をしたとしても満足すべき水準に到達するのは難しいというふうなことを出発点にして、ならば民間に開放することによって全体としての執行体制を強化したいというふうなことでございますので、ありていに言わせていただきますと、決して行政職員を削減するというふうなことではなくて、むしろ、開放したにしても、より強力な体制と拡充は必要であると思っております。

というふうに当時の小川住宅局長は答えました。つまり、確認事務の執行体制を強化することが、民間開放のいわば目的の一つであったというふうに明確に言っているんです。

 ところが、五年以上、六年たって出てきた今回の事態は、強化どころか改善の実も上がらない、全く競争に全部任せてしまうというような野放しの状態が生まれてしまったということじゃないんでしょうか。全く法改正の時点とは逆の事態が今起きてしまったというふうに言っていいと思うんです。

 このことについて、大臣、どうお考えなのか、最初にお聞かせいただきたいと思います。

    〔委員長退席、渡辺(具)委員長代理着席〕

北側国務大臣 まず、今回の問題が、建築確認そのもの、建築確認検査という事務そのものについて、そのあり方が問われているというのは私も全く同じ認識でございます。

 平成十年の法改正の際に、その時点で既に、特定行政庁の建築主事の方々だけでは、この建築確認の事務というのが十分にできるかというと、建物が高度化していっているということもあり、これはもう容易ではないという判断がまずあったと思います。そういう中で、民間の力を活用していこうということで、民間検査機関の活用ということになったわけでございます。

 今委員のおっしゃったように、それは決して、特定行政庁の建築の職員の方々の数を減らしていくというところに目的があったわけでは決してないわけでございまして、むしろ本来、特定行政庁、行政がやるべき仕事をしっかりやってもらおう、例えば違法建築等をしっかり是正をしていくだとか、そういうところにしっかりと力を出していただこうじゃないかというふうなことでやっているわけでございまして、決して特定行政庁の建築に携わる方々の役割が小さくなったわけではない。むしろ、しっかりと本来の役割をより強化していこうという意図であったという趣旨だというふうに理解をしております。

日森委員 だから、そういう趣旨で始まったのに、六年近くたって見たら今の事態ですよ。つまり、少しも強化されてこなかった、むしろ野放し状態になってしまったということが現状あるわけでしょう。そういう認識をまず持っていただくことですよ。

 そして、今度の緊急調査委員会、この中間報告で、民間開放について、特定行政庁と民間確認機関との役割分担、民間機関が確認事務を適正に行うための動機づけ、導入後の事後的、継続的な監督のあり方等について、検討、対応が不十分だったというふうに指摘しているじゃないですか、中間報告。

 つまり、開放直後から取り組むべき課題を放棄してきたんですよ、国土交通省は。そう言えませんか。だからこんな事態が起きたということも、一つの大きな要因になっているはずです。導入のときの局長の答弁と全く違う結果になっているんだから。なぜそうなったのか、その責任は一体だれがとるのか、ぜひお答えいただきたいと思います。

北側国務大臣 その導入当時とそして現在との間で、きょう午前中も質疑があったんですが、特定行政庁の職員の方々の数そのものは、そんなに変化をしているわけではありません。決して減っているわけではありません。

 ただ、今委員のおっしゃった、民間確認検査機関が建築確認をやる場合に、その建築確認の効果が及ぶ特定行政庁との関係が、特定行政庁が指定検査機関に対して監督ができるようなそうした権限をより明確に規定すべきではないかというのは、これは私どももやはり反省をしなければならない一項目であると認識をしておりまして、今回、建築基準法の見直し作業をさせていただいているところでございますが、その一つの方向だというふうに考えております。

日森委員 大臣の思いとしてはそうなのでしょうが、しかし、事実がそうではないということを物語っていて、しかもまた、中間報告の言葉をかりると、民間確認機関が利益優先でおざなりな審査をしたのではないかという声が出ているし、さらに、改善するためには、高度な技術を持つ確認検査員の採用、標準的な検査期間と確認検査手数料の設定、違法確認の公表制度の実施など、建築確認業務の規律性を向上させ、建築物を建築基準法の求める基準に適合させるために実効性のある仕組みを構築する必要があると、もう一回組み立て直しなさいということをおっしゃっているわけでしょう。これは確認したんですよね、この中間報告について。了承したというふうに新聞に出ていました。

 つまり、こういうことをきちんとやろうとすれば、今よりもこの確認事務や安全な建物をきちんとつくらせるということをきちんとやろうとすれば、しかも効率的な確認検査体制の構築を目的としていこうということになれば、これまで以上に、人的にもさまざまな分野でも財政的な負担は大きくなるんじゃないですか。

 しかも、民間の業務に対してこういうことをきちんと行政にやれということになると、民間がもし失敗すれば、行政も責任をとるということになるんでしょう。それでもまだ民間開放というそういう意味は一体どこにあるのかというふうに私は思わざるを得ません。ぜひ、その点についてもお答えいただきたいと思います。

北側国務大臣 委員とは前回もこの議論をさせていただいておりますけれども、今回偽装された、姉歯元建築士が偽装した物件、九十七件ございますが、そのうち四十一は特定行政庁の建築確認でございます。

 また、今福岡市で新たに三件偽装が見つかっておりますが、これはすべて福岡市の建築確認でございまして、そういう意味では、委員も冒頭おっしゃいましたように、単に民間検査機関の問題だけではなくて、特定行政庁も含めた建築確認のあり方そのものに大いに問題がある。その実態を今調べさせていただいているところでございますが、そこをしっかり、あり方について見直し、改善をしていかねばならないというふうに考えているところでございます。

 民間開放されたことによって、これはもう以前申し上げたかもしれませんが、完了検査率についても、約倍でしょうか、非常に高まっておりますし、これから中間検査についても、一定の建物については義務づけをしていこうというふうな流れにあります。

 さらには、今回の事件を通して、建物の構造にかかわる部分については、これまた一定の建築物についてはダブルチェックをしっかりやっていこう、こういうふうな方向で考えていただいているわけでございまして、そういう意味では、特定行政庁だけではそうしたことが十分その役割が果たしていけるかというと、ますますそうでなくなってきているわけでございまして、むしろこうした民間機関についていかに育成していくか、また監督していくかというところを重視しなければならないのではないかというふうに考えております。

    〔渡辺(具)委員長代理退席、委員長着席〕

日森委員 これは質問通告していないんですが、先ほどもいろいろな方々から意見が出ていました、命、財産に直接かかわる問題なんだということについては、何でもかんでも官から民、官から民だというのは間違いだというふうに私も思っているんです。

 それで、確認制度そのものの是非が問われているというふうに私が言ったのは、実は、許可制度に強化すべきじゃないかという意味も含めて申し上げたんです。許可制度にする。そのためには、公が責任を持って、安心、安全な住宅をこれで建てていいぞという許可をするんですよ。外国ではそういう例があるでしょう。確認制度は、実に戦後、まあともかく家が建てられればいいやという時代にできた制度であって、今、先ほどどなたかもおっしゃいました、本当に何世代にもわたって使える住宅をつくっていくとかいうことを考えると、確認制度でいいんですかということが根底にあると思うんです。そのことをぜひ、問題提起にしておきますが、御検討いただきたい。

 私は、そのことも含めて、ちょっと時間がなくなりましたから最後にしたいと思いますが、今度の場合、建築基準法や建築士法やさまざまな法律をいじります。しかし、そういう対症療法的な対応でいいのかという問題提起をしたいんです。

 本当に、建築関係の法律だけではなくて、例えば銀行ローンの問題はどうするんですかとか、瑕疵担保責任についてもどうするんですかとか、不動産業と建設会社の関係はどうするんですかと、いろいろな、商法や民法というところまで関連するような課題を今度の問題は提起したんですよ。単なる建築上の問題だけではないというふうに思っているんです。

 だから、前回も申し上げましたけれども、建築基本法、これは仮称です、そういう法律をきちんとつくって、日本の国民に安心、安全な住宅を公がきちんと担保をとって提供していくんだという、その裏づけになるような基本法、こういうものをきちんとつくった上で、それを先行させて、そして順次関連する法律を整備するということも考え方の一つとしてあっていいんじゃないか。じゃないと、これから、あそこで出ました、ここで出ましたといったら、横浜でも出るという話を聞いています、これは不安がどんどん高まるだけという思いがありますので、その点について大臣のお答えをお願いしたいと思います。

北側国務大臣 委員の御提言については前回もちょうだいをいたしました。建築基本法を制定したらどうかという御提案でございます。

 その建築基本法にどういう内容を盛り込んでいくのか、またぜひ委員の御意見を賜ればありがたいと思いますが、まずは今は、建築基準法そして建築士法、この二つが特に大きいと思いますけれども、この抜本的な見直しを、今、社会資本整備審議会で御議論をいただいておるところでございまして、また、早急にやるべきことについては、きょう中間報告を社会資本整備審議会でちょうだいして、今国会で法改正をぜひお願いしたいと思っているところでございまして、委員の貴重な御提案につきましては、またよく勉強をさせていただきたいと思います。

日森委員 ありがとうございました。

林委員長 糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 大臣には何度も予算委員会で質問させていただいておるんですが、また国土交通委員会の方で質問させていただきたいと思います。

 最近、公共交通機関にあっては、輸送の安全の確保というのが重要課題だというふうに考えておるわけです。ただ、昨年来、JRの福知山線の脱線事故、航空分野における各種のトラブル、こういったものが続発しているわけでございます。大臣は、所信で、国民の信頼回復は喫緊の課題である、このように述べられている。安全性の向上に向けて全力でこれは取り組むべきだというふうに考えるというふうになっております。

 今後の公共交通機関の安全の確保のためのシステムの確立とか、それからヒューマンエラーを事故に結びつけないための方策、こういったものの今後の統合的な、総合的な安全対策についてどのように取り組んでいくのか、大臣のお考えをお聞かせください。

北側国務大臣 昨年四月のJR西日本の福知山線での脱線事故、また航空でのさまざまなトラブル、こうしたことが、今、事故調が入って調査をしている事故案件ももちろんあるわけでございますが、やはり今委員のおっしゃったヒューマンエラー、人為的なミスに関係すると思われる事故とかトラブルが多発をしているというふうに言わざるを得ないというふうに思っております。

 昨年、国土交通省の中に、外部の有識者の方々を含めました公共交通に係るヒューマンエラー事故防止対策検討委員会というのを設置いたしまして、今も議論をしていただいているところでございますが、昨年八月に中間取りまとめをしていただきました。

 その中で、公共交通を担う事業者、事業会社、この事業会社の中で、経営のトップの方々から現場の第一線の社員の方々まで一丸となった安全管理のための体制をまずその事業者の間でつくってもらおう、つくっていただく。当たり前の話なんですが、つくっていただく。その安全管理の体制について国が監視をしていく、これは安全マネジメント評価というんですけれども、こういう制度の仕組みを導入すべきだという御提案をちょうだいいたしまして、この趣旨に沿いまして、今国会に、運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律案を提出させていただいているところでございます。

 それぞれの交通モードごとのさまざまな取り組みももちろんしっかり進めていかないといけませんし、今申し上げた交通モード横断的なそうした監視機関も今回創設をしていこうということでお願いをしているところでございまして、今後とも、公共交通機関に対する国民の皆様の信頼回復に向けまして、しっかり取り組みをさせていただきたいと考えております。

糸川委員 ヒューマンエラーというのは本当に許せないことでございまして、公共の乗り物の、公共交通のヒューマンエラーというのはもう皆無にしなきゃいけない。ですから、その辺は、大臣、しっかりと取り組んでいただければなというふうに思います。

 ヒューマンエラーというふうになるのかどうかわかりませんが、今、航空会社では、例えばフィリピンですとか、海外に整備ということを外注化しているわけですね。その外注化が進展している結果、いろいろな小さなトラブルが出ているのかな、それも一つの問題になっているのかなと。

 では、今後、企業努力の中で当然、海外に整備を外注していくということは進んでいくでしょうから、そのときに日本として、政府として、安全確保のためにどのように取り組んでいかれるお考えなのか、お聞かせいただけますでしょうか。

岩崎政府参考人 御指摘のとおり、航空会社が整備を外注するという傾向は、これは日本だけではございませんで、欧米も含めて進んでおるところでございます。ただ、統計数字で見ますと、海外で整備した機体と国内、自社で整備した機体とで、ふぐあいが生じた率というのを推移を見ますと、そう大きな差はないという実情はございます。

 整備を外注する場合の安全確保についてでございますけれども、現在は、委託者たる航空会社がちゃんと委託先の皆さんへ、こういう形で指導しているところでございますけれども、航空の安全にとって、整備をしっかり行うということは大変重要なことだ、このように思っております。先ほど大臣が申し上げました安全に関する法案の中で、こうした海外での委託をする場合の作業を国が直接監督する、強化していく、こういうこともやっていきたいと思っておりまして、そうした内容を法改正案でも盛り込ませていただいたというところでございます。

糸川委員 これは海外に口を出していいのかどうかというのもいろいろとあると思うんですけれども、ただ、先ほど、機材はどこの国でも大体、ボーイングだったらボーイングの機材を使っているわけですから、どこで整備しても同じだというふうにお考えになられるかもしれませんが、これは各国の安全基準の差というものがあってはならないものですから、ぜひしっかりと監査をしていただきたいと思います。

 日中観光交流年等、こういうことを活用してと大臣もおっしゃられ、外国人観光客の来訪の促進を図るということでございますが、観光地において外国人の観光客を円滑に受け入れるための取り組みというのは十分なのかな、また、これに対してどのような支援を実際行っていくのか、御見解をお聞かせいただけますか。

柴田政府参考人 観光地におきまして外国人観光客を円滑に受け入れるための取り組みにつきまして、お尋ねがございました。

 日本を訪れた外国人観光客が安心して快適に観光できるためには、地理に不案内な外国人観光客が目的地まで安心してひとり歩きできる環境を整備することが重要というふうに考えてございます。国土交通省といたしましても、観光地でのわかりやすい案内標識を整備する際に留意すべき事項をまとめた、観光活性化標識ガイドラインとして取りまとめたものでございまして、これに基づきまして、地域ごとに関係者が協働して、表記の統一、設置場所の調整などを進めているところでございます。

 また、特に鉄道やバスなどの公共交通機関につきましては、外客誘致法に基づきまして、国際空港と主要な観光地を結ぶルートなど、多数の外国人が利用する区間を指定いたしまして、外国語や図表示によります案内表示の計画的な整備を図ることにしております。

 また、旅館や観光案内所での外国人観光客に対する接遇も重要な課題であるというふうに考えておりまして、観光案内所、公共交通機関、ホテル、旅館などの観光関係従事者のための訪日外国人観光案内基本マニュアルを作成いたしますとともに、観光関係従事者のための訪日外国人旅行者接遇研修会というものを各地で実施しておりまして、これを通じまして、観光関係従事者の外国人観光客への対応能力の向上を図ることとしております。

 これらの施策を進めることによりまして、外国人観光客の受け入れ体制の整備をさらに強力に進めていきたいというふうに考えております。

糸川委員 外国人が快適にというのは、我々が外国に行ったときにどれだけ快適に過ごせるか、どれだけ不安がないかということを逆に考えていただければよくわかると思うんですね。例えば、病院がどこにあるとか、日本語の通じる病院がどこにあるということを事前に調査すると思うわけですね。ですから、そういうところも、これは管轄が違うのかもしれませんけれども、一体となって考えていただければなと思います。

 最後に大臣に、ハード、ソフトの両面による国際競争力のある観光地づくりの支援措置として、具体的にどのような取り組みを行っていくのか、国土交通大臣の御所見をお聞かせください。

北側国務大臣 今、国としてはビジット・ジャパン・キャンペーンということで取り組みをさせていただいているわけでございますが、今全国のあちこちの地域で、その地域の官民挙げて、我が地域を観光立県にというふうな取り組みをしているようなところがたくさん出てまいりました。

 一つは、民間の方々がそういう取り組みをされているさまざまな例もございます。そういう民間の取り組みを支援するために、平成十七年度から観光ルネサンス事業というのを創設させていただいて、そういう民間組織による地域観光振興の取り組みに対して支援をしております。これをさらに充実をさせていただきたいと思っておりますし、また、各市町村が、魅力ある町にしていくためにさまざまな整備をしていこう、例えば電線を地中化しようとか、そうした取り組みについては、まちづくり交付金という制度も大きく今拡充をさせていただいておりまして、それを活用していただいて、官民ともに観光地域振興の取り組みに対してしっかりと支援をさせていただきたいと考えております。

糸川委員 大臣のお考え、よくわかりました。しっかりと取り組んでいただければと思います。

 本来は、谷口道路局長にあかずの踏切の問題についてもお尋ねしようと思いましたが、時間の関係で御質問することができませんでした。また機会がございましたら質問させていただきます。

 ありがとうございました。

林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時三十五分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時十二分開議

林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。亀岡偉民君。

亀岡委員 自由民主党の亀岡偉民です。

 早速でありますが、本日は、北側大臣の所信に対する質疑ということで、限られた時間ではありますが、幾つか所感を述べて質問をさせていただきます。

 先週の北側大臣の所信を委員の一人として拝聴させていただき、これまでの行動と御英断の数々とともに敬服いたしました。

 まず、国民の皆様の安全、安心の確保は、大臣も所信冒頭で言及されておられますように、私も最も重要な問題であると考えております。特に、構造計算書偽装問題への対応は最優先の課題であり、マンションの住居者の安全と居住の安定を確保するため、相談、移転から除去、建てかえに至る総合的な支援を行うことを力強く表明いただいたことについては、まことに心強い限りです。この迅速な決断がなければ、今でも住民の皆様は不安の中にいたことと思います。

 このほか、公共交通機関の安全性の向上については、昨年来のさまざまなトラブルを踏まえて、国民の信頼回復を図るとされた大臣の明快かつ前向きな意思の表明に賛同申し上げるとともに、ぜひ我々国土交通委員も協力させていただくことが必要であると考える次第であります。

 また、国際競争力の向上は、我が国にとって将来への課題でございます。大臣もこの点について重要課題として位置づけておられ、先日の所信では、こうした課題に対し、大都市圏拠点空港や大都市圏における環状道路の整備、スーパー港湾プロジェクト、総合的、戦略的な物流施策の推進など、広範多岐にわたる国土交通行政全体において全力で取り組んでいただけることを表明いただいたところであり、非常に意を強くしたところであります。

 観光につきましては、アジア太平洋地域を初めとする国々との相互交流が極めて重要であることは、大臣も所信で明らかにしておられたところでございます。私も、世界の国々との相互交流の拡大には、官民一体となって訪日外国人旅行者の増加に向けて取り組んでいくことが非常に重要であろうと考えるわけであり、大臣の認識は、まさに今の日本に的を射ているものと思います。

 総人口が減少し、超高齢化社会を迎える中で、高齢者の暮らしやすい社会の構築も精力的に取り組むべき課題であります。北側大臣におかれても、こうした観点から、中心市街地の振興と都市機能の適正立地を図るための取り組みの推進や、豊かな住生活の実現を図るための取り組みの推進を図られると表明され、そのための関係する法案を御提出されておられます。

 さらに、小泉政権における構造改革の重要課題を推進し、先般の所信では、引き続き国土交通行政における改革を進められると強く表明いただいており、期待申し上げる次第であります。

 さて、本日は、所信表明につきまして質問を申し上げますが、今まで多くの問題点に対する質問ばかりで、特にこれからの通常施策にしっかりとした実行する姿勢を聞いていきたいと考えております。まずは道路、特に高速道路を中心に質問させていただきたいと思います。

 道路関係四公団の民営化については、平成十三年十二月にその基本的方針が打ち出されて以降、民営化推進委員会での論議、政府・与党による検討、国会での審議等を経て、昨年十月一日に実現いたしました。従来の四公団にかわり、高速道路建設や管理などを行う六つの高速道路株式会社と、高速道路資産と債務を保有する機構が設立されました。

 また、去る二月七日には、第二回の国土開発幹線自動車道建設会議、いわゆる国幹会議が開催され、さらなるコスト削減の具体化、会社が整備する区間と新直轄方式にて整備する区間の確定など、今後の整備と確実な債務返済に向けた準備が着々と整っている状況にあると考えます。今後、三月末までに高速道路株式会社と機構との間で高速道路事業に関する協定が締結され、会社の自主性を尊重した本格的な高速道路事業が展開されると理解しております。これらの達成のため、大臣初め各関係者のなされた御努力に対し、改めて敬意を表し、感謝を申し上げたいと思います。

 さて、高速道路は、単に車が通るだけの空間ではございません。時には緊急医療施設への患者の搬入、地震等の災害における移動の確保、人や物の流れの促進による経済の活性化や産業の育成等々、人の命を守り、また、地域の活性化を図る上でかけがえのない基本的な公共施設であると考えます。まさに命の道であります。

 私の地元である福島県においては、いまだ常磐道は全通しておりません。特に、新地から山元に至っては調査段階で、十分に事業が進んでいない状況です。このたびの国幹会議を経て、東日本会社が整備することとなりました。常磐道は、関東と東北の太平洋沿線地域を結ぶ上で不可欠な高速道路であり、一刻も早い供用を期待してやみません。この道路を初め、全国には早期整備が不可欠な多くの高速道路、国道があり、地域は今か今かと首を長くして待っている状況であります。その地方の声がまさに多くの国民の声であると思います。

 そこで、大臣に質問いたします。

 必要な高速自動車国道については、今般の民営化のメリットを生かしつつ早期に整備する必要があると考えますが、今後、どのようにしてこれらの整備を進めていくのか、大臣に御所見をお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いします。

北側国務大臣 道路公団の民営化、昨年の十月一日にスタートいたしました。この民営化の目的の大きな一つは、これはやはり、四十兆円に上る債務をこれから四十五年かけて償還していく、この債務償還を確かにやっていただかないといけない、ここがやはり一番の大事なところだと私は思っているんです。そこを抜きにして必要な道路を整備するというわけにはいかないわけでございまして、まずは債務償還をきっちりできるような、そうした計画的な償還をこれからしていただく必要があります。

 その上で、今委員のおっしゃったように、やはりまだまだ日本の道路というのは、道路整備をしなければならないところはたくさんございます。

 先般、国幹会議を開かせていただきまして、新直轄方式に切りかわる区間百二十三キロメートル、これを選定させていただきました。前回の国幹会議で切りかわっている区間も含めまして八百二十二キロの新直轄区間を確定させてもらいました。それから、今後高速道路株式会社で整備を行います区間、一千百五十三キロメートルの区間も確定をさせていただいたところでございます。

 やはり、まだまだ必要な道路、私も地方に行かせていただきますと、本当にニーズの強い道路整備がたくさんあるわけでございまして、それを進めていくためにも、やはりコスト削減をしっかりやっていただく必要があるというふうに考えております。

 今も取り組んでいただいているところでございますが、さらなる二兆五千億円の建設コストの縮減、または管理コストを三割縮減する、こうしたことを今実施しておりますが、民営化をされたメリットというものをしっかりと生かしていただいて、いろいろなところで収益も上げていただいて、冒頭申し上げました確かな債務償還と、そして必要な道路を早く整備していく、これをしっかりと民営化された会社でやっていただきたいというふうに考えているところでございます。

亀岡委員 ありがとうございます。

 ぜひ、高速道路は早期に、つながって初めて有効に使われるものであり、償還のためにも、会社、そして機構ともに、国土交通省一体となってぜひ整備させていただきますようよろしくお願いしたいと思います。

 それからもう一つ質問なんですが、高速道路とともに、それにアクセスする地域の幹線道路というのが重要なことになってまいります。特に道路財源ということで、今特定道路財源もいろいろと話題になっておりますが、地方にとっては、やはりインフラ整備事業というのは経済の活性化に欠かせないものであります。ぜひ、高速道路とともに、幹線道路、そして国道事業も含めて、地域活性化の道路に対する取り組みもお願いしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

北側国務大臣 おっしゃっているとおり、道路というのは、これはネットワークとしてやはり完成をする、つながることによって大きな効果を発揮するわけでございます。それは、単に高速道路のような高規格幹線道路だけではなくて、各地域地域の高規格道路等とのネットワークをつなげていくということが非常に大事だと考えております。各地域でのそうした道路整備の取り組みもしっかりと連携をとって支援をさせていただきたいと考えているところでございます。

亀岡委員 ありがとうございます。

 高速道路のみならず、地方の道路もしっかりと整備していただけるということで、ぜひお願いを申し上げたいと思います。

 それから、民営化について一つ御質問なんですが、民営化されまして、高速道路株式会社ができ上がりまして、まさに、高速道路で収益を上げるのではなくて、サービスエリアやパーキングエリア等を利用しながら収益を上げていくものと思われますが、その中で、やはり高速道路という公共性の高いところでいろいろ行われるわけですから、民間になったから独自の会社だけの利益ということを求めるのではなく、地域の活性化、または地域の産品等も利用した、地域と一体となった取り組みがぜひ望まれるものと思われるのですが、民営化で独自の利益だけというと非常に困るものですから、ぜひ、高速道路会社を代表して東日本道路会社の井上社長に、ちょっとその辺の所信を述べていただければと思うので、よろしくお願いします。

井上参考人 サービスエリア、パーキングエリアの事業でございますけれども、民間会社として収益を上げられることが認められました一番大きな事業でございます。先生御指摘のように、道路事業と並ぶ極めて重要な事業でありまして、この事業部門を伸ばすことが当社の経営上極めて重要だというふうに思っています。

 また、サービスエリア、パーキングエリア、立地条件に応じまして、地域でとれた野菜とか、そのほかお土産品など、その地域の商材を生かす、あるいはそこでしか食べられないような地場料理を提供するというようなことで、特徴ある施設づくりを進めまして、サービスエリア、パーキングエリアを魅力あるものにしていきたいというふうに思っています。

 具体的に、もう既に取り組んでおりますが、昨年の十月から常磐自動車道では守谷サービスエリア、それから上信越自動車道では松代パーキングエリアにおきまして、生産者から直接仕入れた新鮮な野菜とか果物を提供するというようなことで、地元の自治体あるいは生産者の方と協力して直売所を運営しております。運営に当たって、地元の生産者の方みずから野菜等についてPRをしていただいたり、販売を直接行っていただいたりしております。

 そういうことで、にぎわいの場、地域との触れ合いの場も、そういうことで活性化するというようなことができているというふうに思いますので、これからも、そういうことでさらに伸ばしていきたいというふうに考えております。

亀岡委員 ありがとうございます。

 民営化されて、疑うわけではないのですが、ぜひ所轄の監督官庁である大臣にも一言御答弁をいただければということで、よろしくお願いいたします。

北側国務大臣 今、井上社長の方からお話がありましたように、このサービスエリア、パーキングエリアをいかに活用して収益を上げていくかというのは、非常に大事なこれからの課題であるというふうに考えているところでございます。今、井上社長の方からありましたように、地元の産品等を販売する、これはもちろん大事なことだと思いますが、民営化されたわけでございますので、それ以外にもぜひ創意工夫を発揮していただきまして、利用者の方々が喜ぶようなさまざまなサービスを、ぜひこのサービスエリア、パーキングエリアで展開し、収益を上げていっていただきたい、そのことについてもしっかりと支援をさせていただきたいと考えているところでございます。

亀岡委員 ありがとうございました。大臣からきちんと答弁をいただきましたので、安心いたしました。

 また、サービスエリア、パーキングエリアも、これからつくっていくものもあると思いますので、そういうときには、ぜひ地域との連携というのもしっかり持っていただきまして、地域の経済の活性化に協力できるのであれば、民間といえども利益を共有するような形で、地域にも還元していただくということも、ぜひこれから考えていただきたいと思います。

 続いて、観光と地域振興の問題についてお伺いいたします。

 私の地元である福島には、奥州の三名湯とたたえられている飯坂温泉、そして豊富な湯量と泉質に恵まれた土湯温泉、高い薬効が成分の特徴の高湯温泉など、歴史のある温泉がたくさんあります。

 しかしながら、例えば飯坂温泉では、火災で廃業した旅館の焼け跡が残った建物が入り口にあったり、また、不景気によって廃業した旅館など、安全上や景観上の観点から撤去を求める声がたくさん上がっております。こうしたハード面を整備しながら温泉観光地の活性化を図ることが、特に重要な課題と各地区でなっていると思います。

 今政府は、ビジット・ジャパン・キャンペーンということで、二〇一〇年までに日本を訪れる外国人旅行者を一千万人とすることを目標として外国人観光客の誘致に力を入れておられます。その成果も順調に上がっているところと聞いております。これから地方を元気にしていくためには、ハード面の整備とあわせて、外国人観光客の誘致などを通じて地域の観光を振興することによって地域の活性化を促していくことが有効な手だと考えております。

 そこで、ぜひ、地方の経済の活性化を図るためにも、まちづくり交付金の活用など、地域づくりの政策と外国人観光客の誘致を含めた観光振興の政策を連携して、縦割りの社会ではなくて、一体となって地域活性化と観光というものの施策をあわせて考えていかれるとかなり変わると思うのですが、大臣、その辺の所感をお聞かせいただければと思うので、お願いします。

北側国務大臣 今委員のおっしゃったように、今、我が国政府は、二〇一〇年を目指しまして、ビジット・ジャパン・キャンペーン、日本を訪れる外国人のお客様を一千万人にしていこうということで取り組みをさせていただいているところでございます。今、国を挙げて取り組んでいるだけではなくて、各地方におきましても、観光を通じて地域振興をやっていこうという取り組みをしている県また市町村が本当に多くなりました。

 観光というのは、私はやはり、これは二十一世紀の重要なリーディング産業にしていく必要があると思いますし、また、その経済効果も非常に大きいものがあります。特に、雇用の受け皿として、この観光というのは非常に幅広い雇用の受け皿となってまいります。そういう意味でも、ぜひこの観光振興を国または各地域においてしっかり取り組みをさせていただきたい、また、地域の取り組みにはしっかりサポートをさせてもらいたいと思っているんです。

 今、国土交通省では、平成十七年度から観光ルネサンス事業というのを創設させていただきました。民間の方々のさまざまな、民間組織のさまざまな観光振興への取り組みを支援していく仕組みでございますが、これも充実をさせていただきたいと考えておりますし、また、市町村が、魅力ある町にするために、さまざまなまちづくりを展開します。その際には、まちづくり交付金、これも大幅に今拡充をしておりますけれども、これを活用していただきまして、官民そろって観光振興に向けてのまちづくりができるよう、しっかりと支援をしていきたいと考えておるところでございます。

亀岡委員 どうもありがとうございます。ぜひ、中心市街地の活性化のみならず、地方の経済の活性化のためにも観光とまちづくり交付金、連動した生かし方をしていただければと。

 それからまた、大臣には、本当に数多くの問題点の中で解決を図りながら、また通常施策の実行にも前向きに検討していただいていることを心から敬服申し上げ、これからも行政をしっかりとお願いを申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

林委員長 薗浦健太郎君。

薗浦委員 自由民主党の薗浦健太郎でございます。亀岡議員に引き続き、質問をさせていただきます。

 所信に対する質疑ということで、ことしの所信を拝見いたしますと、最重要課題は安全と安心を確保することだという言葉が一行目に出てまいります。その観点から、幾つか質問をさせていただきたいというふうに思います。

 まず、鉄道に関する安全についてお伺いをしたいと思います。

 以前は、踏切事故だとかホームからの転落事故だとか、こうした事故が新聞をにぎわせた時期もありまして、こうしたものは何となく、注意をすれば大丈夫とは言わないけれども、注意をすれば何とかなるんじゃないかという思いもありますが、最近は、走っている電車がひっくり返るという事故が幾つかございまして、これはもう、乗っている人間としては、どうも気をつけようがない。最近も、山手線で、レールが沈下して長時間にわたって不通になるという事態がございましたが、ああいう多くの方が乗った電車が一歩間違えば大事故になったんじゃないかと思いますけれども、この山手線の事故について、国土交通省さんはJRさんに何か御質問というか問い合わせなどをされたんでしょうか。

梅田政府参考人 お答え申し上げます。

 今月の二十日、山手線外回り、新橋―浜松町間の線路が約十五メーターにわたりまして最大二センチ沈下する事象が発生しました。約三時間にわたりまして列車の運転を見合わせることになりました。朝のラッシュ時間とも重なりまして多数の利用者の方々に影響を与えたことは、大変残念なことだと認識しております。

 今回、線路が沈下した原因につきましては、現在、JR東日本において詳細な調査を行っているところでございます。当該箇所は盛り土構造でございまして、その下に道路トンネルを新設する工事を実施しておりました。JR東日本からは、作業終了後の軌道整備が十分でなかったことが原因の一つであると考えられると聞いております。また、JR東日本からは、原因究明及び対策が確立するまでの間は当該の工事は再開しないというふうに聞いております。

 いずれにいたしましても、こういう事象が鉄道の安全・安定輸送にかかわる重大な事態であることから、私どもといたしましては、JR東日本に対しまして、徹底的な原因究明と同種の工事に起因する輸送障害などの再発の防止策の徹底を指導しているところでございます。

薗浦委員 ありがとうございます。

 私が聞いたところによりますと、この盛り土の中にトンネルというか道路を通す工事はJES工法というものによってやられていて、これを見ると、短期間に安全に施工するための新しい工法ですという、何かどこかの耐震偽装問題のときによく聞いたようなせりふで書かれているんですけれども、要は、型枠をどんどんどんどん土の中に入れていって、それでぶち抜いてしまうという工法ですけれども、これ自体、果たして本当に安全なのか、また、この工法自体は安全だけれども、JRがしっかりとその後の対策をやらなかったことによるヒューマンエラーなのか、これはどちらだとお考えでしょうか。

梅田政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、JES工法でございます。これは、ジョインティド・エレメント・ストラクチャー工法という工法でございます。角形の鋼管の枠を、先の方に掘削がついているんですけれども、掘削しながら線路の下の盛り土の部分を掘っていくやり方でございまして、できましたら、その鋼管がトンネルになっていくような構造でございます。

 今回の工事は、山手線外回りの外側の軌道のレールの下、ここのところを掘りました。掘りました結果、路盤が少し上がりました。上がりましたので、そこの部分については突き固めをしたわけでございますが、外回りレールの内側のレールの部分、盛り土の部分がございますけれども、ここにどうもすき間があいていたようでございまして、ここも、本来であれば、突き固めれば、全体として、重い電車が通ってそのすき間がつぶれてレールが下がるというようなことはないのでございますけれども、そこの部分が十分ではなかったのではないかということで、今原因を調べているところでございます。

 こうした工法自体というより、むしろこの工法を施工した後の始末の仕方が十分でなかったというのが現在までわかっているところでございまして、こういう点につきましては、引き続きまた十分に調べた上で、こうした工法を使った場合の適切な軌道補正、整備の仕方について、JR東日本を十分指導してまいりたいというふうに思っております。

薗浦委員 どちらかというとヒューマンエラーだったというふうな御認識だというふうに理解をしたいと思います。

 ちょっと時間もないので、次、航空の話でございますけれども、昨年三月のJALグループに対する事業改善命令を出されたと思いますが、これ以後も非常に重大インシデントが幾つか起こっていまして、航空機の種類を見てもばらばら、場所もばらばらということで、特定の理由によるものじゃなくて、これはもうこの会社の体質というか、そういうものを感じざるを得ないんですけれども、航空局の御認識やいかにということをお伺いしたいと思います。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、JALについては昨年からいろいろなトラブルが起こっております。

 特に我々が重視しておりますのは、ヒューマンなエラーが非常に多いというのが特徴だろうと思っております。このため、事業改善命令を出しまして、その事業改善命令を受けたJALからの報告では、こうしたものをなくしていくために、経営と現場とのコミュニケーションを図る、あるいは教育訓練をしっかりやっていく、こんなようなことの報告が提出されております。

 こうしたことをしっかりやっていくということが重要だろうと思っておりまして、私ども、昨年来、今日に至るまで、JALについてはそうした面を中心にきっちり立入検査、監査等をやっているところでございます。

薗浦委員 ぜひこれからもきちんと指導していただきたいんですが、ただ一点、先ほど経営側と現場との話し合いというのは、いわゆる安全ミーティングのことを御指摘なさったかと思うんですけれども、実際にこれがどのような形で行われて、現場の人たちがどのぐらい役員の人たちと話ができているというのは、局としては把握されているんでしょうか。

岩崎政府参考人 これまで計四百回以上、参加総数八千人弱で実施されているということを確認しております。現場から出された意見をもとに、例えば、運航のダイヤを少し余裕のあるものにしていくでありますとか、あるいは同じ機材でも客室の仕様などが異なっているのをできる限り統一していくといった形で、少しずつ改善の具体化が進んでいる、このように承知をしております。

 ただ、こうしたものはやはり長期間きっちりやって定着、継続していくことが重要だろうと思っておりますので、引き続きよく見ていきたい、このように思っております。

薗浦委員 あと、週刊誌等というのは余りよくないのかもしれませんけれども、会社の内紛ということがたびたび報じられて、ああいうのを読むと、この会社は本当に安全にお金をかけてくれるんだろうかというふうに乗る方からすると思うんですが、あくまで民間の会社であるということは重々承知の上で、大臣は、会社の内紛、どのように思っていらっしゃる、またはどのように対処していくお考えなのかというのを改めてお伺いをしたいと思います。

北側国務大臣 今委員のおっしゃったように、これは民間企業でございまして、民間企業の経営のあり方について国の方からあれこれ言う、コメントするという立場ではございません。

 しかしながら、私どもが一番関心を持っておりますのは、昨年来、このJALグループにおいてはトラブルが続きました。この安全管理体制をしっかりとつくっていただかないといけませんし、私どももそこをしっかりと監視、監督をしてまいりたいと思っておるところでございます。つい先般も、JALグループに対しまして、本社並びに羽田で立入検査を実施したところでございます。

 今後とも安全な運航がきちんと確保されているかどうか、そこは厳しく見てまいりたいと思っております。

薗浦委員 ありがとうございました。

 ぜひとも今後とも厳しくチェックをしていっていただきたいというふうに思います。

 次に、耐震偽装の関係でちょっと私が気になることを幾つかお伺いをしたいと思うんですけれども、中間検査と完了検査というものがございます。これは、我々素人からしてみれば、建物がきちんとした基準を満たしているかどうか、そういうものをきちんとチェックしてくれているのではないかというふうにも感じる言葉でございますけれども、たしか完了検査が義務づけられていて、中間検査は義務づけられていなかったと思うんですけれども、この完了検査というのは、今、大体どのぐらいの割合で実施をされていて、どういうことを行っているのかということをお教えいただけますでしょうか。

山本政府参考人 完了検査でございますけれども、建築の工事が終了して建築物を使用する前に、建築主事あるいは民間確認検査機関が現場に参りまして、設計図書どおり工事がきちんと終了しているかということを検査するものでございます。

 この民間確認検査機関の制度が導入されました平成十年は四〇%を割っておりましたけれども、完了検査率は八割近くまで今伸びているところでございます。

薗浦委員 でき上がってしまってから外を見たりだとか、場所が設計図のとおりきちんとできているかということを見るよりも、建てている段階で、これが本当にきちんと中、構造ができているのかどうかというのを見るという意味では、中間検査の方が意義が大きいんじゃないかという気がいたしますが、それについての見解はいかがでしょうか。

山本政府参考人 実際に鉄筋コンクリートなどのかたい建築物について設計図書どおり施工が行われているかどうかは、おっしゃるように、特定の工程ごとに鉄筋がきちんと組み上がっているのかどうかといったようなことを現場で確認することが非常に大事でございます。

 阪神大震災の経験を踏まえて新しい耐震基準で建築したものであっても毀損したものがございました。現地で調査をして、その施工に問題があったということを明らかにした上で、平成十年の基準法改正におきましては、この中間検査の制度を導入いたしました。

 特定行政庁が、その特定行政庁の属する地方の建築物の動向など、あるいは工事に関する状況を勘案して、中間検査が必要な特定工程を指定するわけでございます。指定した部分については中間検査を受けなきゃいかぬという仕組みを導入いたしまして、今、中間検査の制度を導入している特定行政庁は全体の約七割に至っております。

薗浦委員 それほど重要視をされているのであれば、いわゆる特定行政庁に任せるのではなくて、国として中間検査を義務づけることを検討されてはいかがかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

山本政府参考人 御指摘のとおり、今回の事案を契機に、社会資本整備審議会で中間検査制度のあり方について今御検討いただいておりまして、建築物のうち、多数の方々が御利用になる建築物に対して中間検査を義務づけること、条例に任せるのではなくて法律で義務づけること、それから、中間検査をきちんと厳正に行うために、検査基準を法令上明確にすることといったような課題について御検討いただいているところでございます。

薗浦委員 ぜひそれは国の責任でやっていただきたいというふうに思います。

 あと一点が、これは大臣にお伺いしたいんですけれども、今回の問題になっているマンション以外の普通の多くのきちんと建っているマンションに住んでいる方々も、果たしてうちのマンションは本当に大丈夫なんだろうかという不安をかなりお持ちで、私の選挙区なんかでも、耐震診断をいざやってもらおうと思ったら、今、随分長い間、今回の状況で待たされるという話が聞こえてくるんですけれども、こういう方々に対する対処方法というのは何かお考えをお持ちでしょうか。

北側国務大臣 今回の偽装事件を受けまして、国民の皆様が、自分の住んでいるマンションは大丈夫なのか、住宅は大丈夫なのか、そういう不安が広がっておるのはもう当然の話だと思います。

 今、国土交通省といたしましては、今回の姉歯元建築士が設計した物件、また関連の木村建設等が施工した物件、そういうものの調査を今させていただいておりますが、それとは別にサンプル調査をやろう。無作為に抽出をいたしまして、これを、五百件のサンプル調査をやろう、そのうち四百件についてはマンションでやろう、それも年度内、この三月までにぜひ調査をしようということで、今取り組みをさせていただいているところでございます。

 そういう中で、国民の皆様の不安をぜひ解消できるようにしていきたいと思いますし、また今委員がおっしゃった耐震診断をまずやっていただくことが大事なわけでございますが、制度としては、昨年、衆議院の選挙が終わった特別国会で耐震改修促進法を改正させていただきました。そして、国の基本方針もつくり、各地方においてもこの一年内に基本計画を、耐震計画をつくっていただくということになっております。

 今、確かに現実問題として、耐震診断をする方々、専門家の方々が今回の事件を受けまして非常に忙しくなっておりまして、そういう専門家の方々に依頼をしにくいという状況があるのかもしれません。ここはしっかりそういうことが提供できるように各地方公共団体と連携をとらせていただいて、また専門家の建築士協会等々ありますので、そういうところにもしっかりと連携をとらせていただいて、そうした支障がないように、耐震診断ができるだけ早くできるように、取り組みをさせていただきたいと考えております。

薗浦委員 ありがとうございました。

 もうほとんど時間がないので、最後に、ちょっとどうしても聞きたいことだけ聞かせてください。

 首都圏の道路の中で、三環状九放射という考え方があったかと思うんですけれども、どうもその三環状の整備が非常におくれているような気がします。諸外国なんかを見ると、ロンドンにしかり中国にしかり、首都の環状道路というのは非常に整備が進んでいるように思うんですけれども、実際、首都圏における環状道路、この整備のおくれによってどのぐらいの経済的な損失が出ているのか。また、いわゆるCO2、二〇一二年には京都議定書の年度を迎えるわけですけれども、これを完成することによって排出量がどのぐらい減るのかという試算はお持ちでしょうか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 首都圏の環状道路、三つございますが、現時点の供用延長は計画の二四%にとどまっているという状況でございます。

 この三つの環状道路が完成しますと、一番外側の圏央道の内側の高速道路及び一般道路の主要渋滞ポイントについてはおおむね解消し、走行時間の短縮等による効果だけでも年間約四兆円に上るという試算を得ておるところでございます。

 また、自動車の走行速度が向上すればCO2の排出が減少するということでございまして、例えば乗用車の場合でございますが、時速二十キロメートルの走行に比べ、時速六十キロメートルの走行ではCO2排出が約四割低減するというようなことでございます。仮に、現時点で三環状が完成しているという試算をさせていただきましたが、CO2排出量が、年間でございますが、約二百五十万トン削減されるという大きな効果を得るところでございます。

 このほかにも、都市構造の改変というような意味で、三環状の早期整備につきましてしっかりと取り組まさせていただきたいと考えております。

薗浦委員 時間が来たので終わりますが、今の話は、費用対効果という面から考えてもそれから環境の面から考えても、非常に大きな効果を持つということだと認識をしますので、ぜひともやっていただきたいというふうに思います。

 ありがとうございました。

林委員長 高木陽介君。

高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。

 大臣、所信に対する質疑ということで、朝から御苦労さまでございます。私が最後の質問者となりますが、委員席も大分空席が目立っておりますけれども、最後までしっかりとやりたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

 まず、あかずの踏切問題についてお伺いをしたいと思います。

 今国会では、運輸の安全性の向上のための鉄道事業法等の一部を改正する法律案という形で踏切問題に対しても法案を提出されておりますけれども、細かい質問はその法案審議のときにもお伺いをしたいと思います。

 まず、今回の踏切道の改良促進法が五年間の期限切れということで、今回延長も含めてやるという予定となっておりますけれども、三万六千の全国の踏切、そのうちであかずの踏切またはボトルネックの踏切等々があると思います。その中で、今回この五年間で、改良促進法のもとでさまざまな手を打ってこられたと思いますけれども、これまでの事業費はどれぐらいかかってきたのか、ちょっと伺いたいと思います。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 これまで、厳しい予算の中ではございますが、毎年着実に予算を伸ばしながら対応させてきていただいております。

 平成十三年度におきましては、事業費ベースでございますが、約三千億円、平成十七年度におきましては約三千七百億円を計上しておりまして、五カ年合計では約一兆七千億円を投資してきておるところでございます。

高木(陽)委員 五年間で一兆七千億円、相当な額を投入しております。

 もちろん、それだけ踏切の改良というのは費用もかかりますし、事故等々を考えますとこの問題は特に緊急にやっていかなければいけない、そういった意味での今回の期限延長そして法改正にもなると思うんですけれども、その中で、これまで踏切の解消のために取り組んできた箇所、この五年間で結構でございます。そして、その取り組んだ結果解消されたのがどれくらいあるのか、それを伺いたいと思います。

谷口政府参考人 踏切道改良促進法におきましては、改良すべき踏切道を指定し、立体交差化、構造改良または保安設備の整備を行うこととされております。

 平成十三年度から平成十七年度までの五カ年間に、踏切道改良促進法に基づき新規に指定しました箇所は、立体交差化が約百九十カ所、構造改良約百九十カ所、保安設備の整備約二百十カ所となっております。

 平成十二年度までに指定した継続箇所も含めてでございますが、法指定箇所で、平成十三年度以降五カ年間で対策が完了する箇所数は、立体交差化約百カ所、構造改良約百六十カ所、保安設備の整備約二百五十カ所となっております。

高木(陽)委員 一昨年、平成十六年度の調査をちょっと見ますと、あかずの踏切の全国調査で六百十一カ所、さらにボトルネックを加えますと千カ所を超えると思うんですね。そのうち、今道路局長からお話がありましたように、百九十カ所、立体交差等々をやってきている。保安関係または構造の改善、こういったこともやっておられるんですけれども、やはりまだまだ手のつかないところ、また手をつけているけれども厳しいところがあると思います。

 そういった中で、やはり何のためにやるのか。もちろん、一番大切なのは安全の部分だと思うんですね。もう一つは、特に、首都圏さらには関西圏、中部圏等々、大都市におけるあかずの踏切の問題というのは経済的な問題でも大変な損失をしている。そういった観点から、例えば、この五年間、もしくはこういったことでの経済効果がある、そういったことがわかればお教えいただきたいと思うんですが。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、あかずの踏切対策等の対策は、非常に、安全面のみならず環境面、また大きな経済効果を発揮するということでございます。

 ボトルネック踏切三カ所を含み、事業費が約五百億円という平均的な連続立体交差事業を例にしまして、その経済効果を試算させていただきました。踏切待ち渋滞の解消効果及び周辺道路網の交通円滑化効果、この二つの効果だけで見ましても、約一千四百億円程度の効果があると推計をさせていただいております。

高木(陽)委員 今一つの例として、五百億円の工事で千四百億円の効果が出てくる、こういう話がございました。BバイCの感覚というのが導入されて、国交省で費用対効果等を含めていろいろな検討をされながら公共事業というのに取り組んでいると思います。そういった中で、特に経済効果を重視した場合には、やはりこの踏切の問題というのは力を入れていかなければいけない大きな問題だと思います。

 例えば、昨年からことしにかけて、道路特定財源の問題というのが議論されていると思います。例えば、ボトルネック踏切を解消する、あかずの踏切を解消するということで、道路においても自動車交通においても重要な踏切の問題ということで、特定財源のあり方というのもその大きな比重を占めてきている。

 先ほど冒頭でお伺いした、五年間で一兆七千億円も使う。じゃ、これが一般財源でしっかりと出てくるかというと、なかなか出てこないわけですね。じゃ、このまま渋滞をほったらかしておいていいのかどうか。こういった観点も、今後、特にことし、この道路特定財源の問題もしっかりと決着をつけていかなければいけないという中で、しっかりと視点を持って考えていっていただきたい。

 その上で、今後五年間の踏切の問題の見通しというのを大臣に伺いたいと思います。

北側国務大臣 国土交通省といたしましても、この踏切対策というのは、安全面、環境面、さらには今おっしゃった経済効果のことを考えましても、これはやはり重点的に実施をしていく必要があるというふうに考えているところでございます。

 今、全国のすべての踏切を対象に、踏切交通の実態の総点検を実施しているところでございます。

 この結果を踏まえまして、あかずの踏切等の緊急に対策が必要な踏切、これが約二千百カ所でございますが、これにつきまして、道路管理者、鉄道事業者に、年度内を目途に五カ年の整備計画を策定していただくようにお願いをしているところでございまして、その計画に基づきまして、対策を重点的に進めてまいりたいと考えております。

 また、抜本対策のペースもスピードアップをしなきゃならないと考えておりまして、従来より二倍にスピードアップをしていきたいと考えておりますし、また、この五年間で抜本対策がなかなかできない、容易でないというところにつきましては、今後五年間で速効対策、全箇所の対策を進めるなど、踏切対策のスピードアップに一層取り組んでまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 今、大臣の方からスピードアップというお言葉をいただきました。公明党も、この踏切対策、踏切を解消していこう、こういうことでずっと運動し、そして提言もし、動いてまいりました。

 その上で、例えば待機児童ゼロ作戦というような言葉がございます。保育施設を充実させて待機児童をゼロにしていこう。また、ごみゼロ作戦。循環型社会ですね。そういった中で、踏切渋滞ゼロ作戦だとか、それぐらい銘打って、強力に推し進めていただきたいというふうに要望を申し上げたいと思います。

 さらに続いて、海上保安庁の艦船の問題について伺いたいと思います。

 今回、海上保安庁の予算、いろいろ見ますと、緊急整備、特に艦船ですね、老朽化をしている艦船、これがございます。特に保安庁はなかなか光の当たらない部署というか、保安庁の職員の方々は、海上保安官のメンバーというのは、現場で本当に苦労している。私も大臣政務官をやらせていただいて、例えば尖閣、これは沖縄返還とともに日本に返還をされて以来、そのときから尖閣列島の周りを巡視船が二十四時間体制でずっと回っている、そういった苦労をされている。しかしながら、船は大分老朽化をしている。例えば北朝鮮の不審船問題のときも追いかけ切れなかった、こんな問題もございました。

 その中で、今後の艦船の緊急整備の内容、費用を含めまして、いつまでにどういうふうにやるのか、これを伺いたいと思います。

石川政府参考人 今先生からお話がございましたように、海上保安庁の船艇、航空機は、全体の約四割が耐用年数を超過しているような状態でございまして、大変旧式化、老朽化してございます。したがいまして、業務にも支障が生じているというようなこともございます。さらには、新しい海上保安庁の業務に対応するためにも、性能の高い船艇、航空機を整備する必要があるというふうに考えております。

 こうした状況から、私どもは、耐用年数を超過した巡視船艇約百二十隻、航空機については約三十機の代替整備等を計画的かつ緊急に行いたいと考えております。これらに要する費用でございますけれども、現在のところ、私ども海上保安庁としては、おおむね三千五百億円程度かかるものだと見積もっているところでございます。

高木(陽)委員 今後、三十機の航空機と百二十隻の巡視船艇、これがおおむね三千五百億円程度。予算の問題を考えますと、財務省の方は国交省の枠内で予算をやれ、こういう考え方をしておりますけれども、やはり日本の海上警備といった問題は、一国交省だけの予算ですべてを賄っていくかというと、なかなかできない問題があると思うんです。そこら辺のところは、大臣を含めて、私たち国会のメンバーもしっかりとこの問題を認識しながらやっていかなければいけないかな。

 例えば、イージス艦一隻で一年間の海上保安庁の予算になってしまうんです。もちろん国防という防衛の問題は重要な問題ですから、イージス艦の問題も理解はできるんですけれども、金額の感覚からいくと、イージス艦一隻で海上保安庁、人件費も含めて一年分。そう考えますと、もう少し海上保安庁の方に力を入れていかなければいけないかな、こんなことも強く感じております。

 もう一つ、保安庁にお伺いしたいのは、なかなか保安庁の仕事が理解されていない、認識をされていない。せっかくすばらしいことをやっているんですけれども、そういった広報体制、及び、あと二年で保安庁ができて六十周年になるんですね。そういった部分では、その六十周年の記念事業みたいなことを行いながら、また、そういう博物館というか、またはそういった記念館。もちろん、これ全部国費でやれとなったら無理だと思うんですけれども、そういったことも視野に入れながら、そういう事業も展開したらどうか、こういう考えを持っておりますけれども、その点についてどうでしょうか。

石川政府参考人 御指摘のとおり、海上保安庁は海の上で仕事をしてございまして、海の上というのは、なかなか国民の目が届かないというようなことがございます。そういうことでございますので、私ども、非常に積極的な広報活動が必要だろうと思っておりまして、具体の事故、事件があった場合には、速やかに積極的な広報を行っておりますし、あるいは巡視船艇の一般公開であるとか体験搭乗、あるいは海上保安レポートとかホームページの拡充、さらには映画やドラマの撮影に全面的に協力するとか、さまざまな形をやってございますけれども、なお、先生御指摘のように、一層の広報活動に努めていかなければいけないと考えております。

 それからもう一つは、今御指摘のように、実は海上保安庁は昭和二十三年に設立してございまして、あと二年後の平成二十年には開庁六十周年を迎えることになります。

 これにつきましては、ちょうど平成十年には五十周年というのがございまして、そこでは、年史の編さんみたいなことをやってまいりましたけれども、私どもとしては、平成二十年の六十周年ということに当たりましては、単に過去を回顧するのではなくて、将来にわたって、海上保安庁が行っているさまざまな業務について、より一層国民に理解をしていただく、そういう視点を取り入れたような形での六十周年のさまざまな事業を行っていきたいと考えております。

高木(陽)委員 より一層の広報の充実をお願い申し上げたいと思います。

 最後に、観光立国の問題についてお伺いしたいと思います。

 先ほども質問があったと思うんですけれども、ビジット・ジャパン・キャンペーンで、二〇一〇年までに一千万人の外国からの観光客を誘致しようということで、国交省を挙げて、また政府を挙げてやっておられると思いますけれども、なかなか、その数字というものが果たしてできるのかどうか、こういった不安をちょっと持っているんですが、まず、訪日客の現状について、どのようになっているか伺いたいと思います。

柴田政府参考人 訪日外国人旅行者の数について御質問がございました。

 昨年二〇〇五年の訪日外国人旅行者数は、まだ推計ベースではございますが、六百七十三万人ということで、過去最高を記録しております。これは、対前年比九・七%の伸びということでございます。

 国・地域別でちょっと申し上げますと、十一月までのデータということではございますが、三月からビザ免除となりました台湾が一七・二%増というのを初めといたしまして、近隣アジア諸国からの伸びが全体の増加に大きく寄与しているところでございます。

 こうした伸びの背景といたしましては、昨年三月からの韓国、台湾への短期滞在ビザ免除、七月からの中国団体観光ビザ発給地域の全土への拡大などのビザ規制の緩和に加えまして、愛・地球博といった効果があったものというふうに考えております。

 なお、愛・地球博が終了いたしました十月以降も一〇・八%の伸びを記録していることから、二〇〇三年から開始いたしましたビジット・ジャパン・キャンペーンや国際競争力ある観光地づくりといった施策の成果が着実に出てきているものというふうに考えてございます。

高木(陽)委員 では、最後に大臣にお伺いをしたいと思いますが、今、昨年比でいくと九・七%増という、伺ったところによると二〇一〇年まで八・二%ずつ伸びていけば一千万人に到達するという、こういったお話も伺っております。

 昨年を見てみますと、ビザの発給の緩和、もう一つは万博、こういったものがありました。ビザの発給については、本当に大臣が中国も訪問されたり、いろいろな、じかに手を打たれてやってこられたということで、それが大きくその成果として出ておられるんだと思うんです。

 ただ、イベントとしては、去年は万博が終わりました。では日本で何を次にやるかというと、なかなかない中で、ここはもう少し視野を広げていただいて、二〇〇八年の北京のオリンピック、さらに一〇年の上海の万博ですね。ここら辺のところをしっかりとリンクさせながら、もちろんアジア近隣諸国からの訪日客を誘致するというのも重要な部分ですけれども、逆に、オリンピックや万博でヨーロッパまたはアメリカ等々から来たときに、中国だけではなくて、そのまま日本に足を運ぶようなそういった観点も必要なんではないかなと。

 その上で、やはり今の中国との関係、韓国との関係、これは大きな問題でもございますし、そういった点で、やはり大臣のリーダーシップを発揮していただきながらやっていただきたいと思いますが、その点も踏まえまして、大臣のお考えを伺いたいと思います。

北側国務大臣 今委員がおっしゃったお話というのは、非常に大事なお話をいただいていると思います。北京オリンピック、それから上海での万博、これをしっかり活用したいと思います。ここに来られた方々を、ぜひ日本にも寄ってもらう、そういう戦略をしっかり具体化していきたいと思っております。

 それと、やはりこの一千万人というのを達成していくためには、何といっても近隣の国々からもっとたくさんのお客様を日本に迎えることをしていかないといけないと思っております。

 韓国、台湾、香港。この韓国、台湾、香港の方々というのは、リピーターの方々が大変多くなっております。そういう意味で、これからもしっかりとふやしていきたいと思いますが、やはり私は、中国。中国は昨年も、十一月までですが、訪日の旅行者数というのは約六十万なんですね。中国の人が海外に行っている数は、一説によりますと三千万人というんですね。すさまじい人が、今やはり中国も経済発展しまして、海外に行っているわけです。そのうちたった六十万しか日本に来られていないというのは、これはやはり我々のやり方もよく考えていかないといけないと思っていまして、中国はまだリピーターという段階ではないわけでございますが、やはり中国からもっと多くの観光客が日本に来てもらえるような、そういう戦略はしっかりと打ってまいりたいと考えております。

 ことし七月に予定をしておりますけれども、日中韓の観光大臣会合というのを、これは中国側、韓国側にも昨年投げかけまして、では、やろうということになりました。むしろこういう時期だから観光はしっかりやろうよと、向こうから、先方からそういうふうに言っておりまして、日中韓の観光大臣会合を、ことし日本で第一回目をやろうと。持ち回りでこれからやっていこうじゃないですかということで合意をしておりまして、七月には開けるのではないかというふうに考えておりますが、しっかりと連携を密にさせていただきまして、日本からも中国、韓国に行きますけれども、中韓からもたくさん来てもらえるように、しっかり取り組みをさせていただきたいと考えているところでございます。

高木(陽)委員 時間が参りました。

 今、中国のお話が出ましたけれども、やはり相互交流をしながら、特に民間の交流が深まることによって、今までの歴史認識を含めて共通にいろいろと友好を深めていくこともできると思いますので、そういった意味で、観光の重要性、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 以上で終わります。

林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後二時十四分散会


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