衆議院

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第11号 平成18年4月5日(水曜日)

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平成十八年四月五日(水曜日)

    午前十時開議

 出席委員

   委員長 林  幹雄君

   理事 衛藤征士郎君 理事 中野 正志君

   理事 望月 義夫君 理事 吉田六左エ門君

   理事 渡辺 具能君 理事 長妻  昭君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      金子善次郎君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    後藤 茂之君

      坂本 剛二君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      薗浦健太郎君    田村 憲久君

      長島 忠美君    西銘恒三郎君

      葉梨 康弘君    松本 文明君

      盛山 正仁君    若宮 健嗣君

      小宮山泰子君    古賀 一成君

      下条 みつ君    高木 義明君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      鉢呂 吉雄君    森本 哲生君

      伊藤  渉君    斉藤 鉄夫君

      穀田 恵二君    重野 安正君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       北側 一雄君

   国土交通副大臣      江崎 鐵磨君

   国土交通大臣政務官    石田 真敏君

   国土交通大臣政務官    後藤 茂之君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房政策評価審議官)       村木 厚子君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局企画部長)         宮本 敏久君

   政府参考人

   (経済産業省大臣官房商務流通審議官)       迎  陽一君

   政府参考人

   (中小企業庁経営支援部長)            古賀 茂明君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局長)          阿部  健君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         柴田 高博君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  谷口 博昭君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  山本繁太郎君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月五日

 辞任         補欠選任

  日森 文尋君     重野 安正君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  重野 安正君     日森 文尋君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案(内閣提出第三三号)


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     ――――◇―――――

林委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、都市の秩序ある整備を図るための都市計画法等の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省土地・水資源局長阿部健君、都市・地域整備局長柴田高博君、道路局長谷口博昭君、住宅局長山本繁太郎君、厚生労働省大臣官房政策評価審議官村木厚子君、農林水産省農村振興局企画部長宮本敏久君、経済産業省大臣官房商務流通審議官迎陽一君及び中小企業庁経営支援部長古賀茂明君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

林委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 おはようございます。民主党の小宮山泰子でございます。

 都市計画法等一部改正案に対しましての質疑をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 この法案、まちづくり三法の一つということで通っておりますけれども、政府におきましては、中心市街地活性化支援のため、ホームページにも載っておりますけれども資料の方を配付させていただきますが、平成十一年度以来ですか、毎年約一兆円の支出をしてきていると思います。毎年一兆円を投じたのに、中心市街地に残ったのは、衰退がとまらないシャッター通りとなった、少数の成功例はありますけれども、シャッター通りとなった商店街が残り、中心市街地活性化という名前とはほど遠い現実が残っているんだと思います。だからこそ、今回の法案の改正につながっているんだと思いますが。

 私の地元、埼玉の川越市は、東京の中心から、大体ここから一時間のところ、おかげさまでこの活性化法以降に大変にぎわいを、ある意味これは観光立国に近いのかもしれませんが、いろいろな要素からにぎわっている商店街もありますけれども、実際私もいろいろな土地、特に選挙応援とかいろいろな機会があると行きますと、本当にシャッター通り、また、電車通勤をしていますので、車窓から見るところに、二階や三階のところにテナント募集の文字があちらこちらにある。これは本当に、年々必ずしも減るものではないし、非常に寂しい思いをしております。

 これだけ予算を使っているにもかかわらず何でこんなに衰退していってしまうんだろう、そういった思いをしていますし、やはり、本当に個人も頑張っている、みんな頑張っている中で、これだけの予算があるからこそもっともっとできることはあるんではないかという思いをしております。

 ぜひ、この中心市街地活性化法、一兆円の国費を投じていると、今お手元に配らせていただいております資料を見ても結構自慢げに書いておりますが、数千億から一兆円程度の思い切った支援措置を実施いたしますと、これだけ銘打っているものであるからこそ、この法律改正によって、本当の意味でにぎわいのある町というものが、そして均衡ある国土の発展というものが実現されたいと思っております。そして、それがされなければいけないと思っております。

 今回、法案審議に際しまして、第一に、毎年一兆円の国費を投じていながらなぜまちづくりが成功しなかったのか、まちづくり三法の運用上の反省点と教訓というものを明確にしなければいけないと私は考えております。

 そしてもう一点、この法律が成立いたしましたら、この法律に基づいて今後も税金投入がされていくことになるわけですから、再度同じような失敗を許さない、していかないというための透明度の高い税金の使い道を明らかにするべきだと考えております。国民の皆様に対しても責任を持って法案に対応していくために、今度は成功する、にぎわいはもっともっと生まれるんだというような、そういう自信を持った政府の答弁、確証ある答弁が不可欠だと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

 日本の借金、今本当に八百十三兆円あります。一人当たりでいけば六百三十七万円という大きな借金を日本は背負っているからこそ、やはり一円たりとも無駄な税金の使い道をしてはいけないんだと思います。ぜひその点をお酌み取りいただきまして、前向きな審議になることをお願いいたします。

 まず最初に、都市計画法の一部改正についての、国土利用についてお伺いいたします。

 大正八年の都市計画法制定以来、十一回ほどこの都市計画法というのは改正をしているかと思います。都市計画関連の法律、六十本以上あるようですけれども、都市計画法の第一条には、「都市の健全な発展と秩序ある整備を図り、もつて国土の均衡ある発展と公共の福祉の増進に寄与することを目的とする。」とあります。しかし、都市計画があるのは国土の二五%だけだそうです。

 一極集中から都市機能を地方に拡散するために多極分散型国土形成促進法という法律もありますけれども、その第一条には、多極分散型国土の形成を促進し、もって住民が誇りと愛着を持つことのできる豊かで住みよい地域社会の実現に寄与することを目的とすると書いてあります。

 狭い国土ではありますが、しかも、都市計画法で国土の二五%だけ指定がされているという現実もございますけれども、この都市計画法の改正に当たって改めて、国土全体の有効利用ということについて、大臣の基本的な御認識、御見解を伺いたいと思います。

北側国務大臣 今回のこの法案は都市計画法の改正案をお願いしているわけでございますが、もっと広い観点から見ますと、おっしゃっているとおり、まちづくりを含めた我が国国土の今後の整備のあり方をどうしていくのか、こういう観点から位置づけていくこともやはり非常に重要なことであるというふうに私も思っているところでございます。

 今、日本の社会が大きな転換点に来ているということは、これは多くの方々も認識をされていらっしゃると思います。昨年から人口減少時代に入りましたし、また本格的な高齢社会、これも、世界では他に類例を見ないような超高齢社会が我が国社会にこれからやってくるわけでございます。こういう、かつて我が国日本が経験したことがない人口減少社会、そして超高齢社会に大きく変わっていくわけでございまして、これは、まちづくりだけではなくて、さまざまな制度や仕組みを、これからの時代、人口減少社会や超高齢社会にふさわしい制度、仕組みに変えていかねばならないというふうに思います。

 まちづくりのあり方、都市計画のあり方についても同様でございまして、そういう意味で、そういう時代の大きな転換点にありまして、国土をいかに有効に利用するか、また、その時代にふさわしい利用にしていくのかという観点から考えますと、やはりこれまでは都市の拡大成長ということを前提として都市政策というものがなされてきたと思うわけでございますが、それを大きくこの法律案によりまして転換をしていこうというふうに考えているところでございます。

 こういう人口構造の問題、さらには環境面での問題、さらには財政面での制約の問題等々、本当に従来とは違う社会経済情勢にある中で、いかにこれからのまちづくりを進めていくのか、都市機能をどうしていくのかということを考えたときに、これからは都市機能の集積ということがやはり大事だと思っております。先輩方の努力によりまして、我が国社会も一応の社会資本はストックされてきていると思うんですね。これを、これからはいかに有効に活用するか、いかに再生していくか、やはりこうした観点が重視されるべきであるというふうに考えております。

 この改正を通じまして、都市機能の適正な立地を行っていくということが必要であるというふうに考えておりまして、国土の有効利用という観点も含めて、人口減少・少子高齢社会等にふさわしいまちづくりを進めてまいる必要があるというふうに考えております。

小宮山(泰)委員 今、大臣おっしゃったとおり、社会変化は大変著しいものがあると思います。また、人口減少・少子高齢化の時代ということで、都市の機能の集積が必要だというお言葉もありました。それは、裏を返せば、都市の無秩序な拡散や中心市街地の空洞化、そして人口減少・超高齢化社会の到来という変化を受けて、都市機能を集約したコンパクトなまちづくりを推進するということが求められているということが、今回の都市計画法の改正案を提案された理由だと私自身も理解をしております。

 ここで御紹介したいのが、ちょっと前の本なんですけれども、「英国の地方分権改革 ブレアの挑戦 自治・分権ジャーナリストの会編」というものがあるんですが、この中に、まちづくりに関して大変おもしろい記述がございました。どうしても、国土交通省の出してくる資料とかも、今までの日本の土地利用というのは、容積率の緩和であったりとか、そういう高度化をする、高度化というのもいろいろな意味があるとは思うんですが、どちらかというと高層化をすることが、それによって土地の価格なり利用率が高くなって有効な土地利用というような発想が随分あったんだと思います。

 しかし、それで本当ににぎわいが生じたのかというところは、商業地区が必ずしも商業的ににぎわわないということを考えていけば、何をもってにぎわいというふうにとるのかというのを私自身非常に悩むところでもありますし、この方向というのが、まちづくりというものが、一概に容積率をアップすることによってにぎわいができて土地が高くなるんではない、そういった現状が今あるんだと思います。

 ちょっと引用させていただきますけれども、イギリスのヒューム地区の都市再生事業というのがございまして、ここは、一九五〇年代から六〇年代に建設された高層住宅団地で、もともと工場労働者向けに建てられた典型的な産業都市の住宅という町が形成されておりました。それによって大きな団地ができて、幹線道路で分断されたりということで、どんどん衰退をしていって、やはり若者もある意味就職が厳しい、そしてスラム化をしていくことによって犯罪の多発地帯になっていった、荒廃が続いていった地域であります。

 しかし、ここで、中心市街地にふさわしい活気のある町に、居住者が安心して快適に暮らせる生活基盤を復活させるための全面的な再生事業というものが行われました。これ自体は、一九九二年にスタートし、イギリスの中央政府が創設したシティーチャレンジという都市再生プログラムにのっとったものであります。

 これによって、このプロジェクト自体の総額が当時で一億八千五百万ポンド、そのうちのシティーチャレンジの費用というのが三千七百五十万ポンドですので、百億円にはいかない、七、八十億円だと思ったんですけれども、ちょっとこの当時のレートで調べなかったんですが。PFIの手法をとって、市民参加、住民参加を徹底的にやって、高層住宅はすべて取り壊して、千八百戸の中層、低層の集合住宅や戸建ての住宅を再建、再生させて、そして、幹線道路で分断されていた町を橋をかけることによってつなげる。これによって本当に、市役所のそばということもあって、にぎわいというのが戻ってきた。

 なかなか日本ではここまでの、高層化した、ビル群と化した、コンクリートと化したそういった中心市街地を取り壊してまた低層に戻すということを今まではしてこなかったけれども、やはり、人間の住む場所、これから人口減少という中においては、こういう都市再生という方法もあるんではないか。この法案の中にも書いてある高度化というもの自体がすべて解決する方法ではないんではないかなという思いをしております。

 そこで、法案の中身に入ってまいりますけれども、まず、準都市計画の拡充についてお伺いいたします。

 都市計画法の一部改正で、五条の二に、準都市計画の拡充についての提案がございます。平成十二年の改正では、特定用途制限地域制度とともに準都市計画区域制度が創設されておりますが、いずれも余り活用されていないのは、ここにいる委員の皆さん、御存じだと思います。委員長も今にこやかにうなずいていただきましたが。

 準都市計画区域制度の趣旨というのは、都市計画区域外において相当数の住居などの建築が進んでいる地域で、無秩序な開発を抑制する目的で、農林漁業と調和を図りつつ、市町村が指定できるとされておりますけれども、しかし、この制度を実際に活用した例は非常に少なくて、わずか三例にとどまっております。

 この三例では、開発許可対象面積を引き下げたり、また、良好な住宅市街地の誘導、無秩序な開発の抑制などの目的ということで報告を受けておりますが、準都市計画区域制度の活用がわずか三件に終わっている理由とは何なんでしょうか。これまでの都市計画法の改正が、都市計画を実際に進めている地方自治体の現実とやはりかけ離れていたんではないか。その原因について御答弁をお願いいたします。

柴田政府参考人 準都市計画区域でございますが、委員が冒頭御指摘されましたように、都市計画区域は約一千万ヘクタール弱、日本全体の三千七百万ヘクタールの約四分の一でございまして、都市計画区域の外につきましては以前は原則として都市計画の規制がかからなかった、そういう中で、都市計画区域の外にもいろいろな無秩序な開発等が行われてきたというようなことを考えまして、平成十二年に準都市計画区域制度を創設いたしました。都市計画区域外におきまして相当数の建築物の建築が現に行われ、または行われると見込まれる一定の区域につきましては、スポット的に市町村が準都市計画区域を指定することができるというぐあいにいたしました。

 この指定の状況は、御指摘のとおりで、三都市にとどまっておりまして、十分に制度が活用されたかというと、決してそうではないという感じを持っております。

 利用実績が少ない理由は何だということでございますが、準都市計画区域の指定に当たりまして、一つは、農用地区域に指定された区域及び優良農地等につきましては、原則として準都市計画区域を指定しないということで運用してきたというのが一つございます。

 それからもう一つは、大規模な集客施設につきましては、広い地域で立地が可能でございますので、一つの市町村がその立地を制限いたしたとしましても、また隣の、ある近隣の市町村に大規模集客施設が立地することが可能になるわけでございまして、広域的な観点からの適正な立地を確保するということがなかなか困難であったというようなことの理由によりまして、活用が十分進まなかったんではないかというぐあいに考えております。

小宮山(泰)委員 活用されなかったわけですけれども、今回の改正によって、これはやはりもっと活用されるべき、また活用される見込みがあるのか、その点をあわせてお伺いしたいと思いますのと、特別用途地区制度による大規模店舗規制というのが九市町でまた実施されていますので、この改正案との関係で伺いますけれども、都市計画法の改正後もこの規制は有効になっているのか、あわせてお答えください。

柴田政府参考人 特別用途地区制度でございますが、これは、平成十年にいわゆるまちづくり三法を制定したときに都市計画法を改正しまして、特別用途地区制度の、それまでも以前にもあったんですけれども、そのできる範囲を非常に広げた、それによりまして、大規模集客施設等の規制もできるようにしたわけでございます。

 だから、そういう意味では、この特別用途地区は、用途地域内の一定の地域におきまして、現在ある用途地区の上に、さらに、当該地区の特性にふさわしい土地利用の増進、環境の保護等、あるいは規制という特別の目的を実現するために、本来の当該用途地域の指定を補完して定める地区でございまして、市町村が条例で用途地域における用途規制の強化を行うことは可能でございます。これは、大規模集客施設のみならず、そういう意味で幅広く利用できます。本法の改正後も活用可能でございます。

 大規模集客施設の規制という意味で、これがどれだけ活用されたかということについて申し上げますと、これも先ほど申し上げましたような観点で、用途地域の中あるいは都市計画区域の中については、原則、大規模集客施設については幅広く立地できるようなことになっておりましたので、先ほど御答弁申し上げましたように、一つの市町村で規制したとしても隣の市町村に行かれてしまうというようなこと等の理由により、余り活用されなかったことは事実でございます。

 また、先ほど、準都市計画区域、今回の法律改正によりまして十分使われるのかという御質問でございますけれども、これからは、都市計画区域の外の話とはちょっと違うかもしれませんが、原則立地ができるというものを、その都市計画の考え方を百八十度転換いたしまして、逆転させまして、原則規制をし、立地をする場合には、都市計画という透明性のある公平な手続をもって地域の住民の皆さんで立地をしていただくというようなこともやることにいたしておりますし、準都市計画地域につきましても、幅広く、今度は県の方で策定できるということにいたしてございますので、今後は、広域的な観点から活用が進められるんじゃないかというぐあいに思っております。

小宮山(泰)委員 活用されると。もちろん前のときもそうだったと思うんですけれども、ぜひ、制度をつくったからには要らないものはないとは思いますが、しっかり活用されて、無秩序な開発というものは抑えるようになってほしいと思います。

 後で伺った方なんですけれども、今もう九市町村がこの特別用途地区制度で大規模店舗規制をかけておりますので、この点、明確にお答えいただきたいんですけれども、今のかかっているものがそのまま続くのか、それは有効なのか、改正になったら有効ではなくなってしまう、またもう一回手続やり直しとか、そういうことがあるのかないのか、端的にもう一回だけお答えいただけますか。

柴田政府参考人 これは当然、現在条例でもって規制しているものでございますので、法律改正されましても、それは継続されることになります。

小宮山(泰)委員 ありがとうございます。

 やはり土地利用、市町村に関しても、いろいろ計画、一年ですべて決まるものではありませんので、そういった意味で、周知、そしてちゃんと継続性というものは担保していただきたいなと思いますし、その点で何か変わるのかな変わらないのかな、わからないようではいけないと思いますので、その方の地方自治体や現場に対しての情報提供というのは引き続きお願いしたいと思います。

 きょうは農林水産省の方にも来ていただいておりますけれども、準都市計画区域指定と農業の維持発展という観点でお伺いしたいと思います。

 非線引きの都市計画区域四百十九万ヘクタールのうち、百十万ヘクタールが農地面積となっていると思います。農業は、都市に安全な食物の供給と、特に都市近郊農業については地産地消という意味において農水省も力を入れておりますし、また、今スーパーとかに行ってもおわかりになると思いますけれども、近くや、そして日本国内、どこの人がつくった、だれがつくったという表示が多くなってきています。やはり消費者である都市住民の皆様に、こういう地産地消、住んでいるところと農地が近いということはいい結果をもたらすんだと思っておりますので、今回の都市計画法の改正と都市近郊農業との関係について何か変更があるのか、また伺っていきたいと思います。

 そして、改正によって都市近郊農業の維持発展にどのような影響を与えるとお考えになるのか。また、これから、農業と土地行政、都市農業という意味において、この計画に関して、農水省としての立場、そしてお考えをお伺いしたいと思います。お願いいたします。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、都市農業、都市近郊農業は、まさに都市住民にとりまして、新鮮な農産物の提供でございますとか、農業体験の場あるいは安らぎの場を提供しているという意味で、極めて重要なものであるというふうに考えておるところでございます。こういった都市農業の役割につきましては、今後とも適切に発揮すべく、私ども農林水産省としても努力していきたいというふうに考えております。

 今回のいろいろな都市計画制度の改定、あるいは、今もお話がございました準都市計画制度につきましてでございますけれども、私ども、こういった都市近郊農業も含め、国民に対して食料の安定供給を確保する上で、優良農地の確保というものは極めて重要であるものと考えております。このため、優良農地につきましては、農用地区域として定めまして、農地転用を原則として認めないという運用をしてきたところでございます。

 今回の準都市計画区域の制度の見直しにつきましては、営農地を含め、土地利用の整序が必要な区域を広く指定し、大規模集客施設等の立地を規制しようとするものでありまして、このような当方の農地規制の方向性にも合致し、農地の保全、農業の維持発展にも資するものというふうに考えておるところでございます。

 今後とも、私ども農林水産省といたしましても、国土交通省とも十分連携しながら、優良農地の確保というものに努めてまいりたいというふうに考えております。

小宮山(泰)委員 優良農地の確保とおっしゃっていただきましたけれども、優良農地ということは、逆に、非常に開発にも向いた場所ということが大いにあるんではないかと思います。農水省の発表等では、食料自給率四五%、五〇%に満たないのはいかがかと思いますけれども、やはりまだまだ農地面積が日本は足りないのではないか。そういう意味において、国土交通と一緒にやっていくとおっしゃいますけれども、本当にどれだけアプローチしていくのか。

 今回、私も本会議のときに述べさせていただきましたが、今度の合同審査も、経済産業省と国土交通省の共管で合同審査させていただく予定になっていると思います。しかし、民主党の中においてまちづくりプロジェクトチームを組んだときには、実は、国土交通省、経済産業省、そして農林水産省、この三つの部門が集まってやることにしております。

 なぜかといえば、先ほど言ったとおり、均衡ある、まあ都市を出れば日本は大抵は農地の場合が多いので、やはりこの三点がそろって初めて中心市街地も活性化するでしょうし、人間らしい、安心して暮らせる町もあるし、そして、もともとといえばやはり農地、優良地は平たんなところが多いわけですから、そこを切り開いて、都市計画というのや用途指定の変更とか、いろいろな問題があるからこそ、もっともっと農水省は頑張らなきゃいけないんじゃないかな。その割には、どうも蚊帳の外にいるようにしか見えないし、今もちょっと声が弱々しくて、もっともっと、そういう意味では、この都市計画、国土の均衡利用、そして、日本の、何といっても生命を維持する食物をつくる大切な分野であります。

 この農地、個人所有の問題もあると思いますけれども、この農地を、農業、生産の土地をどう守っていくのか、その点に関して、もう一度意気込み等教えていただきたいと思います。

宮本政府参考人 お答え申し上げます。

 大変御激励いただいたところでございます。私ども農林水産省といたしましては、当然のことながら、優良農地を確保し、都市近郊も含めまして、農業の維持発展を図り、食料の安定供給を図っていくということは極めて大事だろうと思っております。

 今回の都市計画制度の見直しもそうでございますが、秩序ある土地利用を進めるものであるという観点におきまして、私ども、農地法制、農振農用地制度等々、方向性を一にしまして、両者相まって、秩序ある国土の利用に努めてまいりたいというふうに考えております。

小宮山(泰)委員 複合的に頑張っていただきたいと思います。

 都市計画法の第五条の二の改正で、新たに「一体」を加えられました。一体の都市として、都市としてのまとまりある整備が強調されているように思いますけれども、この点の改正の趣旨、また、都市の中で頑張っている農家の農地というものが、都市をつくっていくという上において排除されていくんではないかという懸念もございます。その点に関しての御見解を伺いたいと思います。

柴田政府参考人 まず、現行の準都市計画区域でございますが、これはどういうものかということでございますが、建築物の建築等を行われる蓋然性の高い地域を市町村がスポット的に指定することを想定いたしているため、条文上は「将来における都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる区域」を指定することといたしておりました。

 改正後の都市計画法第五条の二におきましては、土地利用の整序及び環境の保全が必要な区域について広域的な観点から広く指定するというぐあいに改めてございまして、その趣旨から、将来における、都市という小さな部分じゃなくて、一体の都市として広域的な広がりを持っているわけでございまして、「一体の都市としての整備、開発及び保全に支障が生じるおそれがあると認められる一定の区域」というぐあいに幅広く指定することとしたわけでございます。

小宮山(泰)委員 また、準都市計画区域の指定権限を市町村から都道府県に今度移されました。法案では移されています。農地が関係する準都市計画区域の指定で、これまでの手続等で、何となくイメージではありますけれども、市町村で今までは決めていたのが県に行く、そうなりますと、やはり地域で計画をしていたのが少し遠くなるんではないか、また、手続上変わるんではないかという思いがあります。この点に関して何か変化等あるのか、お伺いします。

柴田政府参考人 現行の準都市計画区域につきましては市町村が決定主体とされておったわけでございますが、先ほどから御答弁申し上げましたように、広域的な観点がないということで、実際の指定がそれほど進まなかったということが問題となっているわけでございます。

 今回は、都市構造に大きな影響を及ぼす大規模集客施設については、これは都市計画区域の中でございますが、一たん立地を制限した上で、都市計画手続を通じて、地域の判断によって適正な立地を確保することが必要でございまして、そのような立地制限を行うべき地域として、大規模集客施設の立地が想定される地域に広く指定する地域が必要になるということになります。これは都市計画区域の外もでございますが。

 このため、今回の改正におきましては、指定権者を広域的な行政主体である都道府県に改めたわけでございますが、準都市計画区域の指定に当たりまして、これまで市町村がやっていたからよくわかったんじゃないかということでございますが、市町村を全く無視してやるということではございません。関係市町村の意見を聞かなければならないということといたしておりまして、この手続を通じまして、市町村の意見というものが反映されるものというぐあいに考えております。

小宮山(泰)委員 この法案の中で、また、まちづくり三法の中で大店立地法改正で規制を強化するのではなく、建築基準法改正で規制をした理由、背景は何なんだろうなと思うんです。

 特に十二条の地区計画、開発整備促進区を加えておりますが、今回の改正の中でも重要な改正部分なんだと思います。白地地域など一定の地域に市町村が開発整備促進区を指定できるとしていますが、大規模集客施設の立地を可能にしたものだと理解しています。しかし、その一方で、建築基準法第四十八条の改正で、郊外に大規模集客施設の建設を禁止すると理解するわけですが、この二点の改正について、何か、一方は開発できるようにする、一方は無秩序な開発はとめるという相反するものが同時に存在しているような気がするんです。この両方が存在することの趣旨を御説明ください。

柴田政府参考人 まず、ゾーニングでどうして規制をするんだということでございますが、大規模の集客施設につきましては、広い範囲からお客さんが来られますし、インフラあるいは都市構造に大きな影響を及ぼすということになりますから、まちづくりの観点から、住民参加のもとに、公正、透明な手続でございます都市計画の手続を経まして、その適正な立地を判断する必要がございます。

 そのため、今回の改正では、大規模集客施設について、商業地域等を除き、その立地を一たん制限しまして、立地しようとする場合には、ゾーニングの変更等の都市計画の手続を要することといたしております。当該手続を通じて、地域の判断によって適正な立地を確保することとするものです。

 一方、大店立地法、御指摘されておりますが、これは騒音や廃棄物といった周辺の生活環境への影響について建物の設置者に配慮を求めるための法律であることから、その改正で対応するということは適当でないというぐあいに考えております。

 次の、一方で立地制限をしながら一方で開発整備促進区を創設するというのは矛盾しているんじゃないかという御指摘でございますが、先ほど申し上げましたように、これまでの都市計画というのは、特に大規模集客施設について申し上げますと、都市計画区域の中で原則的にかなり広い範囲で立地ができたわけでございます。それを今回は逆転をさせまして、立地できない、規制するということにして、非常に厳しいことになったわけでございます。一たん禁止した上で、立地を制限した上で、立地する場合には都市計画の手続でもって立地を判断してもらおうということにしたわけでございますので、大幅に考え方を変えてございます。

 この考え方が、規制強化になるわけでございますが、これが適切に運用されるためには、地域の判断で、必要な場合に機動的な都市計画の決定だとか変更がなされるということが重要でございます。でなければ、規制したらしっ放しということになってしまうわけでございます。

 そのために、今回の改正によりまして、立地しようとしたときの手続といたしまして、用途地域を指定変更せずに、スポット的に大規模集客施設の立地を認めることができる新たな地区計画制度として、開発整備促進区を定める地区計画を創設したものでございます。先ほどから言っておりますように、都市計画の手続を通じて、地域の判断により立地するかどうか決めるわけでございまして、建築基準法による立地規制の見直しと矛盾するものではございません。一体となって考えられるべきものであるというぐあいに考えております。

小宮山(泰)委員 何か、最後の方力強く言っているような、歯切れがいいような全く悪いような、難しいところではあります。

 簡単に言えば、地域が判断すれば、今もそうですけれども、大店舗ももちろんできるということなのかなと思うんですね。ここが、ゾーニング強化というのは私はある一定の評価をしています。先ほど農水の方、まだいらっしゃいますけれども、日本の国土は狭い、それをきちんと有効にするという意味では、やはりきちんと強化をする。ある意味、こういうどっちもできる、規制もしているし、地域の判断があれば建てられる、規制が乗り越えられるということになっていけば、ある種の白地地区というのが残っていってしまう、非線引きが、あいまいなままが残ってしまうというふうな、とりようによっては合法的に可能であるということになるんだと思います。

 国土の利用という意味では、本当を言えば、白地地区というか非線引きのところというのは、もっと昔に、もう十一回も改正していますので、そのときに解消されているべきものがいまだにずるずると残ってしまっている。その結果、こういった事態が起こっているのではないかということを指摘させていただきます。

 都市計画法の十二条の改正で、市町村が指定した開発整備促進区によって、劇場、店舗、飲食店などの大規模施設が郊外に建設されたり、また、都市の拡散や大規模集客施設の郊外立地を禁止するという建築基準法の改正と矛盾する結果を招くんじゃないかという懸念も本当にしております。

 あわせて、今後、どういった都市再生のイメージを抱いているのか。ある意味、地域の判断があればいろいろできるという可能性が残る。ゾーニングは強化したけれども、それも乗り越えられてしまうということになれば、現実に今、それをやってきたからこそ中心市街地の衰退がとまらない。都市計画法も、再度、ゾーニング強化という意味で新しいかじを切っていこうとしている。実際には、どういった都市再生のイメージを抱いているのかということが見えないんです。ぜひその点に関して御答弁、御見解、ちょっと急ではありますけれども、大臣、伺えないでしょうか。

柴田政府参考人 これは冒頭、大臣の方からお答えがあったと思いますけれども、これまでの都市計画の体系というのは、昭和四十年代、要するに、人口が増加し、大都市に対する人口圧力が非常に高まってきた中で、それらの人口を、都市の拡張というものをどういうぐあいにうまくおさめていくかという立場でもって都市計画の体系というのはなされていたわけでございます。

 しかし、現在は、少子高齢化、今後さらに超高齢社会に向けて我が国社会は進んでいるわけでございまして、そういう中で、都市が非常に拡大し、中心市街地が疲弊し、環境問題あるいは財政の問題等々から見て、今後さらにさらに、我が国、町が抱える課題が非常に大きくなってくるということが懸念されるわけでございます。

 こうした中で、やはり町というものは、中心部に対しまして、いろいろな都市機能がそこに集積され、歩いて暮らせるまちづくり、そこには大きなにぎわいがある、そういう町を今後は目指していくべきだというぐあいに考えていまして、それについて、都市計画の制度から、あるいは中心市街地活性化法のまちづくりの支援、この両方でもって、両輪でもって支援をして実現を目指していきたいというぐあいに考えております。

小宮山(泰)委員 ぜひ、これからの都市計画は、やはりもっともっと住民参加というものに意味があると思います。

 都市計画の提案者についてですけれども、都市計画法二十一条の二にある、経験と知識を有し省令で定める団体というのが入ってきます。これはどんな団体なのかなというのが非常に疑問でもありますし、また、平成十四年の都市計画法改正では、既に都市計画提案制度というのが創設されています。実績はどうだったのか。実績と照らして、今回の改正の見通しはどうなんでしょうか。

 民間の開発会社が提案者になっても大丈夫だというような見解は伺っているんですが、実際には、最初にお配りしました、数千億円から一兆円までの予算をしているという意味では、本当に適正に運用されていくのか。経験と知識を有し省令で定める団体も含めて、ある意味、具体的にどうなっていくのかなと。

 本当の意味で住民参加がされているのか。されていくには余りにも遠い道のりなのではないかという懸念があります。その点に関して、端的にお答えいただけないでしょうか。御見解をお願いいたします。

柴田政府参考人 都市計画の提案権の問題でございますが、実績から申し上げますと、都市計画提案制度の施行後、昨年末、平成十七年十二月末時点で三十九件の提案がなされました。このうち、計画の提案を都市計画の案として決定したのが十八件ございます。計画提案を修正した上で都市計画の案を作成し決定したといったものが十件でございます。計画提案を踏まえた都市計画の決定等をしなかったというのも三件ございます。現在、計画提案を受けて手続中が七件、提案者より提案取り下げが一件というぐあいになってございまして、かなりこの提案制度というものも使われてきたのではないかというぐあいに考えております。

 それで、今回新たに、これまで提案権を付与された方々以外のところも提案権者にしようとすることにいたしてございまして、どのような方を考えているかということでございますが、現在、どういう方を対象にするか検討中でございますが、過去に一定規模以上の開発事業を行った者といった、まちづくりの推進に関し経験と知識を有する団体というのを、新たに都市計画の提案権者とする方向で検討いたしているところでございます。

小宮山(泰)委員 それでは次に移ってまいりますけれども、中心市街地活性化推進室の資料、今お手元に配らせていただいております。これの上の方に書いてありますが、これはホームページからプリントアウトしたものですが、これまで関係府省庁は、毎年、総額数千億円から一兆円程度の思い切った支援措置を実施してきたとありますね。

 それでは、毎年度、八府省庁が一兆円規模の国費を使っているということになるわけですけれども、それだけのメニューを用意しているということですが、中心市街地推進室に問い合わせましたら、では実際には、これは予算ですから、どれだけの予算を中心市街地活性化の関係で使ったんだと聞きましたら、問い合わせましたら、わかりませんとお答えをいただきました。メニューでこれだけ私たちは使いますと大々的にうたっておきながら、実際にはどれだけ使ったかわからないという答えが来る。

 国土交通省の平成十六年、十七年度のまちづくり予算がどう使われたか知るための資料も請求しました。それぞれ具体的な事業名、市町村名及び予算額を示す資料を請求したんです。答えは、中心市街地活性化推進室のホームページに掲載してありますという答えが返ってまいりました。

 そこで、ここのページを見ましても、メニューだっていうんです、書いてあるだけで、実際どれだけ国費を投入したか、さっきも言いましたけれども、日本は八百十三兆円にも上る赤字、毎年数千億円から一兆円もこの分野に使っているというのであれば、これは本当にどう使ったのか、そして、衰退がとまらないとなれば、本当にこれがどう使われたかという検証が必要なんだと思います。この点に関して、これから、できれば大臣にぜひお伺いしたいんですけれども、こういった予算の執行の仕方でいいんでしょうか。

 まちづくり、中心市街地、これで改正をして、にぎわいを取り戻そうと今言っているわけです。予算もこれだけつけますと。まだ十八年度の予算の分は出ていませんけれども、十七年度、今度は決算の問題になってまいります。これだけ力を入れていると。国土交通省だけではないですけれども、国土交通省の建物にこの推進室はあるわけですから、やはり費用対効果をしっかりとこれから見ていくべきなんだと思いますが、これはどういうふうに評価をしていくのか。これに対してどう御見解をお持ちなのか、お伺いしたいと思います。

柴田政府参考人 まず、中心市街地活性化のために一兆円使っている、それが具体的にどれだけ使われたかわからないじゃないかという御指摘でございますが、これは御指摘のとおりでございまして、国土交通省でも、中心市街地に使えますよということを絞って出しているわけでございますが、中心市街地活性化関連予算として取りまとめて公表を行っているわけでございますが、それが中心市街地の基本計画をつくられたところ以外のところにも行っているものもございますし、その辺について明確な区別ができていないことは事実でございます。

 それで、今後の話でございますが、今回の中心市街地活性化法におきまして、その点につきましては、総務省の行政評価・監視におきましても、そういうことを言われて御指摘もいただいてございます。今回の法改正に当たりまして創設いたします、今度は内閣総理大臣が基本計画の認定をすることになってございます。現行法では、特に国が、市町村がつくった基本計画について認定をするとか、何か関与するようなことは一切行ってございませんが、今後は基本計画の認定をする。

 この基本計画の認定に当たりましては、基本計画が認定された場合には、認定を受けた中心市街地について重点的に支援を行っていくことにしているわけでございまして、この場合には、その配分額というものも明確にしたいと考えてございますし、また、中心市街地活性化本部というものも設置されるわけでございますので、これらの施策の総合調整あるいは基本計画実施状況のチェック・アンド・レビュー、こういうものを行うことによりまして、より明確にしていきたいというぐあいに考えております。

小宮山(泰)委員 今答弁にありましたけれども、これからは中心市街地活性化本部ということになって移行していくということですけれども、今ちょっと聞いていて疑問に思ったんです。

 これからは内閣総理大臣が基本計画の認定をしていく、内閣に入っていく。地方分権、今行革特もやっていますけれども、そう言っている中で、こうやってまた内閣総理大臣の認定で振り分けていくというのは、逆行していくんではないかなと。何で中央省庁で、ここで計画を認定していくのか。それであるならば、先ほども、地域が認定していけば、大規模店舗もゾーニングというかそういう規制強化の枠を乗り越えられるという、地域の決定というものをある意味重視したはずなのに、ここでまた中央で決めていく仕組みが残ってしまうというのは非常に違和感を感じるんです。

 地方分権との兼ね合いで、これは質問通告ございません。大臣、今、そういう意味では、行革で審議されています、そして、大きな日本のこの流れ、地方と中央という分けであるなら、地方分権、地域主権という流れになっているはずです。ここはもっともっと地域に、まあ都道府県でも構わない段階かもしれないけれども、もっともっと自由裁量、しっかりと地域に責任を持って地域の計画を組んでいただくべきなんじゃないでしょうか。この点に関して御見解ありましたら、一言お願いしたいと思います。

北側国務大臣 今も委員もおっしゃったように、関係省庁で、中心市街地の活性化のためということでさまざまな事業があるわけですね。これは必ずしも中心市街地を前提としている事業じゃありません。例えば、我が省のまちづくり交付金をごらんになっていただきましたが、これは中心市街地にももちろん使えますが、そうじゃないところにもいっぱい使っているわけでございまして、特に、国土交通省のさまざまな事業というのは大半が必ずしも中心市街地を前提としているものではない、ただ中心市街地でも使えるという事業なわけでございます。

 ただ、中心市街地の活性化という、今我が国のまちづくりにとって非常に重要な課題につきまして、この委員の出していただいた資料でもわかるとおり、さまざまな事業が各省庁で行われている。ここをやはりもっと連携をとってやっていかないといけませんねと。やはりその事業を効率化、無駄な事業、重複的な事業をしないようにしないといけないわけでございますから、これをよく連携をとって効率的に事業を推進していきましょうということで、中心市街地の活性化の本部というものを設置し、そして基本計画について認定をしていく、このような制度をつくらせていただいたところでございます。

小宮山(泰)委員 今くしくも大臣おっしゃいましたけれども、そうなんですよ。この中心市街地活性化、いろいろなものに使えているし、いろいろなところに重複してくる、ある意味、純粋な活性化のために使われていない予算もこのリストに載ってしまうという非常に不可解なことが実は起きていて、これだけやっていますよ、努力していますよと何か自慢をするようなメニューが並んでいるんですよね。本当にそれで有効だったのか、また、もしかすると、それをきちんと統括し、本当の意味で活性化するための力を合わせていなかったんではないかという心配すらあります。

 そして、これを見ていて私びっくりしたんですが、国土交通省がやはり予算額、メニューとして一番多く持っているのは当然だと思うんですが、次が、実は経済産業省ではなくて、農水省でもなくて、厚生労働省だったんです、このメニューが二番目に大きいのは。十七年度の当初予算でいくと、ここに書いてありますが、千九百十九億円。今年度、十八年度予算では七百七十九億円と減額にはなっておりますが、内訳は、書いてあるとおり、居住環境の整備、公共施設等の整備、都市部における社会福祉施設の整備、保育環境改善事業などとあります。

 これらの予算というのは、中心市街地活性化に関するというよりかは、厚生労働省本来の社会福祉を目的とする予算なんではないか。今反応していただいていますけれども、殊さら中心市街地活性化支援の予算にうたう意味がどこにあるんでしょうか。それならば、本来、やはり厚生労働省の福祉の予算として堂々とそういう予算配分にする、当たり前のことだと思います。これらの予算ですべて中心市街地の施設に限定してきたということではないと思うので、その点に関しての厚生労働省の見解、ぜひお聞かせください。

村木政府参考人 先生御指摘のとおり、厚生労働省の中心市街地関連予算は、中心市街地だけで使えるものではなくて、中心市街地でもお使いいただける社会福祉関係の施設整備のお金がほとんど計上されておりますので、非常に見かけ上は高い金額に確かになっております。

 これは私どもとしては、自治体がまちづくり、村づくりを考えるときに、例えば商店街の中に高齢者の方やお子様たちが通ってくるような福祉の拠点をつくっていただくといったような、いろいろな活用の仕方がある。住民の福祉の向上とまちづくり、市街地の活性化、両立をさせることができるということで、自治体が使えるメニューとして気がついていただきたいということで、使えるメニューを積極的に載せているということでございます。まちづくりのためにも、ぜひ福祉施設等々も活用していきたいということでございます。

小宮山(泰)委員 本当に素直に皆さんおっしゃっていただいてありがたいんですが、公益施設の整備という項目、実は調べていただいたんですよ。その中では、例えば都市部における社会福祉施設の整備、これは、まちづくり三法、この関係だけではなくて、離島振興関係予算や山村振興関係予算、過疎対策関係予算などとしても計上されている、何重にも計上されている予算です。今おっしゃっていただいたけれども、各自治体の方に気がついていただきたいと言うけれども、逆に、これだけ複雑にあちこち載ると、気がつきたくてもわけがわからなくなる、複雑化しているんじゃないでしょうか。

 やはりこれは来年度予算のときにはもっとすっきりした、地方の方は、私も県会議員をしておりましたが、よく役所の人が、何かいい予算ないですかという言葉をかけられました。メニューがどんなのがあれば予算がとってこれるということの裏返しなんだと思います。逆に言えば、それだけいろいろ名前を変えて、手をかえ品をかえて、ある意味、各省庁とか、予算の分捕り合戦とか、そういった獲得するためのいろいろなラベル張りをした結果だからこそ、実際にこのまちづくり衰退につながってしまって失敗した予算の使い道になってしまったんじゃないか、もしくは、関係ない予算まで計上されて公表されているということになっているんじゃないでしょうか。この予算の使い道というものは、ぜひすっきりさせていただきたいということを要望いたします。

 もう時間がなくなってまいりましたので、最後になってまいりますけれども、会計検査院の特定検査、総務省の行政評価の勧告がございますが、中心市街地活性化に関する行政評価のまとめ、平成十六年九月に出ました。最後でございますので、正直言って、これによりますと、本当に、国費投入の個別事業評価ができるように見直しが必要であるとか、いろいろなことを指摘されています。補助金の効率化ということも指摘されています。やはり効果をできるだけ客観的に公表していく仕組みというものがこれから必要なんだということも、このときに指摘されています。

 そして、年度を追っていけば、この中心市街地活性化や都市計画法、まちづくり三法というものが実際ににぎわいというものにつながらなかったということは、恐らく、経済産業省よりも、各自治体や地域の計画をいろいろ見て回っている国土交通省の方が早くその現象に気がついていたんではないか。こういう意味では、この取りまとめの前に、もっと早くに着手ができて、五年目ぐらいとかで軌道修正をする着手ができたんではないか。そういう意味では、この対応は遅かったのではないかという思いがあります。

 ぜひ、その点も含めまして、これから本当の意味でにぎわいをどう取り戻していくのか、この法に関して大臣に伺いたいと思います。最後に、この法律が施行されることによって、どれだけ活性化していく、安心して暮らせる、そしてにぎわいのある、活力のある国土づくりができるのか、その点に関してお伺いいたします。

北側国務大臣 このまちづくり三法の見直しにつきましては、私も大臣に就任する前から問題意識を強く持っておりました。問題意識を強く持って、そして日本商工会議所なんかも、これは見直しをすべきということで相当研究もされておられました。また、関係団体からもいろいろなお話を聞いておりまして、私は、大臣に就任したその日に会見で、まちづくり三法についてぜひ見直しをさせていただきたい、一年半前の話でございますが、その日にお話をさせていただいたことを覚えております。

 冒頭の答弁で申し上げましたように、今本当に大きな時代の転換点に来ております。そういう時代の変化にふさわしい都市計画にしていかないといけないというふうに思っておりまして、そうした観点から今回の改正をお願いしているところでございます。

 このまちづくり三法の見直し、今御論議いただいているわけでございますが、一つは、中心市街地をいかに活性化していくか。これは、大前提としてやはり経済が、あのバブルが崩壊してからこの十何年間、本当に日本経済はかつて経験したことがないような長いトンネルが続きました。こういう人口減少や高齢化が進む我が国にあっても、経済が確実に維持をされ成長していく、そういう日本の経済にしていくことがまず大前提なんだろうというふうに思うんですね。まず、この経済の問題。

 二番目に、先ほど来から御議論いただいております、時代の大きな変化にふさわしい都市計画または立地を進めていく、そういう都市計画にしていくということ。

 三点目に、先ほど来も委員もおっしゃっていました。都市計画というのは、基本はやはり市町村です。市町村が主体となって、地域が主体となって進めていくものだと思うんですね。そういう意味で、市町村という基礎的な自治体や、また地域の住民の方々が、主体的に、創意工夫が本当に発揮できるような制度、仕組みにしていかねばならないというふうに思っておりまして、そうしたことも勘案して今回の制度改正をお願いさせていただいているところでございます。

 関係省庁、本当に多いわけでございますが、それだけまちづくりというのは非常に横断的なテーマだというふうに思いますけれども、関係省庁が本当によく連携をとって、今回、本部もできますし、また計画についての認定制度もできますし、無駄のないように、効率的に中心市街地の活性化が本当にできるようにしっかり頑張ってまいりたいと思います。

小宮山(泰)委員 ぜひ、法律はよかったけれども運用が悪かったと言われないように、そして、この改正でまちづくり、日本がもっともっと活力あるものになるものにつながることを思いながら、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

林委員長 長安豊君。

長安委員 長安豊でございます。

 今回、この都市計画法等の一部を改正する法律案を審議させていただくわけでございます。

 今も小宮山委員の方からお話ございました、いかにまちづくりをしていくのか、これはこれから重要な課題になるのかなと思うわけでありますけれども、この都市を秩序ある整備ということを行っていく基本というものは、まず人間の暮らし、また行動そのものにあると言っても過言ではございません。

 昨今、モータリゼーションの進展があり、今までとは違うという言葉がよく専門家の口からも発せられるわけであります。

 確かに、まちづくり、都市の発展というものを見たときに、従来、徒歩の時代、つまり人が歩いていた時代は街道筋が発展したわけでございます。その後、電車の時代になり、駅中心の町の発展というものが行われた。その後に、現在はモータリゼーションで車の時代になり、ある意味、郊外が発展、開発されるという事態になったわけでございます。

 さらには、現在では、人が動かなくてもインターネットで取引が成立し、商品を購入したりすることができる、直接消費者へ届くという状況にあるわけです。現在衰退したと言われている商店街また現在隆盛と言われている大規模店舗も、今後こういった商業モデルが持続的に繁栄を約束されているわけではないとも言えるのではないかと私は考えております。

 そういう中にあって、人の生活というものが余りにも速いスピードで変化していっているわけであります。今回の都市計画法等の改正案においても、都市計画区域あるいは用途地域を設定してまたまちづくりを行っていくというやり方自体が果たして有効なのかどうかということも、いま一度考えなければならないと私は考えております。

 行政がつくったまちづくりの計画、これによって町を整備するということは、果たして住民が満足するまちづくりになるのかどうかというのは、これは疑問であります。まちづくりというものが成功するかどうかという成否は、やはりその開発、まちづくりの計画をする主体の資質あるいは計画実行のプロセス及びコミュニケーション能力、つまり住民の方々の意見をいかに聞き入れ、いかにそれを反映させていくかということに大きく依存するのではないかと私は思っております。

 そういう意味では、市場経済であるから何でも自由というわけではありませんけれども、ある国民に受け入れられているビジネスモデルを制限しようとするときには、当然これから求められてくるのは、多くの人々が納得できる合理的な理由、また十分な説明というものが必要になるわけであります。

 そういった大局的な観点から、今回この法案について御質疑をさせていただきたいと思います。

 まず、大臣にお伺いさせていただきたいと思います。この現在の都市をめぐる問題について、御所見をお伺いしたいと思います。現象面での、どういう問題点があるのか、またその背景についてもお話しいただければと思います。

北側国務大臣 今委員の方から、モータリゼーションの進展というお話がございました。これが一つ大きな背景にあると思います。

 例えば、私がまだ二十代のころ、若いころは、車を持っているというのは必ずしも普通じゃなかったですね。今はもう車をお持ちになるというのは、ほとんどの方が車というものを保有され、そして活用されている、こういう時代になっております。

 これは、今は我々当たり前のように思っていますけれども、少なくとも私が若いころはそうじゃなかったですね。学生時代に車を運転しているやつを見たら、こいつはえらいブルジョアだなと思った時代です、私なんかは。我々はやっぱりバイクの時代ですね、それも原付の。自転車かバイク、そういう時代。そういう時代からすると、本当にモータリゼーションが大きく進展をしてきたというのがまず背景にあると思います。

 そういう中で、あと地価の高騰というのもありましたね、地価の高騰。それから経済情勢がバブル崩壊以降非常に厳しかった。こういう中で、例えば公共公益施設、例えば行政の庁舎そのものが郊外に移転をするということもよく見られました。さらには大規模商業施設が郊外に立地をされる。それで、皆さん車を持っていますから、郊外でも車で行けるわけですね、大きな駐車場も持てば。そういう大規模商業施設が郊外に立地される。こういうふうなことが進み、非常に郊外に無秩序に大規模商業施設等が立地をされる例というのが広範に見られるようになってきたというふうに思うわけでございます。

 一方で、中心市街地に住む人の人口が減る、都心部に人が夜ほとんど住まなくなってしまう、こういう傾向も多くなりました。現実に、商店街に店を出している方々、昔は商店街の店舗の二階に住んでいらっしゃった方々が、みずからも郊外にお住まいになられて、そして朝出勤されて商店のシャッターをあけられる、こういうことが多く見られるようになってきている。夜に人がそこに住んでいない、中心部の居住人口がどんどん減少していく、こういうふうなことが顕著に見られてきているというふうに思うわけでございます。

 先ほど来申し上げておりますように、人口がどんどん増加をしていく時代であればまだしも、これからは人口が減少していく時代でございます。なおかつ超高齢社会になるわけでございまして、この都市機能の立地をどうしていくのかということについては、これからはやはりきちんと規制をしていく、そういう時代にしないといけないのではないかというふうな観点から、今回都市計画法の見直しについて御提案をさせていただいているところでございます。

 こういう時代の大きな変化、さらには社会経済情勢の変化、そして環境問題、郊外にどんどんどんどん無制約に開発されましたら、これは環境にとってもよくないわけですね。また財政面での制約。郊外にいろいろな施設ができるということは、そこに道路をつくらなければいけませんね。道路というのは、一たんつくればいいというだけじゃなくて、維持管理をしないといけません。これは行政コストです。税金で負担するものでございまして、そういう財政面の制約等も考えると、これからはやはり中心市街地。中心市街地には既存ストックがあるわけですから、この既存ストックを有効に活用して、またリニューアルをして、そしてそこに多くの方々が住める、そこで住んだ方々が自分の生活空間の中で必要なものが備えられる、そういうやはりまちづくりというものを志向していかないといけない。

 こういう観点から、今回、都市計画法の見直し等々まちづくり三法の改正をお願いさせていただいているところでございます。

長安委員 ありがとうございました。

 今お話あったとおりで、大臣は御地元が堺市でございまして、私の地元、泉佐野市を初めとする七行政区、あの地域というのは本当に、まさに郊外型の店舗が多く出てきております。そういう中にあって、果たしてこれは健全な姿なのか健全でないのか。今、大臣のお立場上は、郊外に広がっていくと当然道路も引かないといけないというお話もございました。ただ、もっと長い視野で見ますと、いつまでも車を皆が乗るのか。もしかしたら、浮いて飛べるような車が開発され、太陽電池で動くんですよというようなことがあれば、道は引かなくていいということも、これはある意味考えられるわけであります。

 そういう意味では、まちづくりというのは長期的な視野に立って考えなければならないと思うわけでありますけれども、今回、この法案の審議の過程で、よく、これは国土交通省さんの方から、コンパクトシティーというコンセプトが出てまいります。コンセプトというか概念と言った方がいいのかもしれません。去年のクールビズとかいうような片仮名と同じで、なぜ突然このコンパクトシティーというコンセプトを持ってこられたのか。その点、ちょっと大臣、御所見をいただけますでしょうか。

北側国務大臣 確かにコンパクトシティーという言葉は使わなくてもいいんです。歩いて暮らせるまちづくりともともとは言っておったんですけれども。これはイギリスの方で、イギリスのまちづくりの計画の中で、このコンパクトシティーというふうな言葉が使われたということだそうでございます。

 先ほども少し触れさせていただきましたが、やはりこれから高齢社会ですね。これまでのように車にそう過度に依存できない社会になってくるのではないかと私は思うんです。これは環境面からいっても、例えば中心部には、これはもちろん地域が決めることでありますけれども、中心部には余り車を入れない、むしろ公共交通機関をしっかり活用していただく、そういうふうなまちづくりをしていかないといけないんじゃないのかと私なんかは思っているんです。

 そういう中で、自分の生活空間の中で、徒歩で、自転車で、そしてバスで、少し鉄道に乗って、そういうエリアの中で、病院もある、学校もある、文化施設もある等々必要なものは備わっている、車に乗っていかないと病院に行けないというふうではないまちづくり、都市機能の集積というものをしていく必要があるのではないかというふうに考えて、コンパクトシティーまたは歩いて暮らせるまちづくりというふうなことを言わせていただいているところでございます。

 先ほど、情報化の話だとか技術の高度化の話がございました。確かに、これからも情報がさらに高度化し、さまざまな技術が進展をしていくんだろうと思うんです。しかしながら、情報化が幾ら進んでも、最後はやはりフェース・ツー・フェースなんですよ。特に高齢社会になればなるほど私はそうだと思います。やはり、そういう意味では、技術が幾ら進展しようと情報が幾ら高度化しようと、それによるもちろん便益というのはあると思いますけれども、やはり最後はそういうフェース・ツー・フェースで自分の生活がやっていけるというふうな町にしていかねばならないと私は考えております。

長安委員 もう大臣のまさにおっしゃるとおりでございます。

 一方で、これからのことを考えたときの、この郊外大規模店ということと、現状、私のような、ある意味若干地方都市に住んでおりますと、大臣が今おっしゃられた公共交通機関、例えばバスであったり、この間富山市では路面電車なんていうお話をされておりましたけれども、そこまでいかないんですね。もうバス自体が採算に合わないという今現状になっている。バス自身、今、朝夕に二本ずつぐらいしか来ないんですよ。近所のスーパーに買い物に行く、あるいは八百屋さんが近所にあるのかというと、近くのお店が、うちの家からですと四十分ぐらい歩かないと店にたどり着けないというような状況にある。そういう中にあって、ではどうしていくのか。確かに今車依存になってしまっているわけです。これは、バスがなくなれば車に乗らざるを得ないという、今まちづくりが悪循環に陥っていると思います。

 そういう意味で、今回この法律を改正されて、何とか人々、住民の方々が安心して、また幸せに、豊かに暮らせるように変えようというのが趣旨だと思います。

 このまちづくり三法、平成十年に制定されておりますけれども、その後もこの中心市街地の衰退というのは進んでいると思いますけれども、これは歯どめをかけられなかったということですけれども、その原因についてはどのようにとらえられておりますでしょうか。

柴田政府参考人 この原因といたしましては、大きく言って二つあると思います。

 一つは、まず中心市街地活性化法でもって中心市街地を活性化しよう、支援をしようと考えたわけでございますが、現行の制度というのは、商業振興が中心でございまして、町中居住の推進あるいは都市機能の集積促進など、中心市街地を生活空間として再生する措置が少ないというようなこと、あるいは、市町村が作成した基本計画を国が支援する際に、意欲的な取り組みに対する重点的な支援ができていなかったということ、関係八府省庁の取り組みを政府一丸となって推進する体制が不十分であったこと、こういったものが課題だったと考えております。

 また、都市計画の観点でも、特別用途地区の見直しあるいは特定用途制限地域の創設等、規制のための制度を導入したわけでございますが、現在、この都市計画というのは、土地利用の原則として、広い範囲の用途地域やいわゆる白地地域等において大規模集客施設の立地が広い範囲で可能となってございますために、これらの制度を活用して大規模集客施設の立地を制限いたしましても、隣接する市町村に立地するといったようなことがございまして、広域的な観点からの適正立地を確保するということは困難であったというようなことを考えてございます。

 これらが反省点であると認識しておりまして、これらの点を十分踏まえまして今回の見直しを行ったところでございます。

長安委員 ちょっと観点を変えてお話しさせていただきます。

 先週ですか、この委員会で前橋に視察に行かせていただきました。それで、これは、私の地元の商店街もそうなんですけれども、やはり、商店街というものを考えたときに、どういった客層をとらえるかということが考えられなければならないと思います。

 商店街は当然、先ほどのお話のとおり駅前を中心に発展しております。そういう意味では、まず、電車を利用されるお客さんが一義的には一番顧客としての可能性が高い。そういう中にあって、電車で通勤される方は、じゃ、いつ電車に乗っているのか。当然、日々の電車のラッシュを見てもわかるように、月曜から金曜、平日に乗られている中にあって、商店街が水曜日休みとか火曜日休みとか、平日に休みをとっている。その方々、電車に乗って利用されている方は今何をしているかというと、平日には買い物をせずに、土日に車に乗って大型ショッピングセンターに行って、買い置きしているというパターンですね。まさに、ここは商店街の人々も知恵を絞らなければならないところだと思います。

 私の感覚からしますと、月曜から金曜あけて、土日閉めてもいいぐらいだ。土日のお客さんはショッピングセンターでとってください、そのかわり、平日、その日に買うような、例えば魚であったり、生ものであったり、軽いものであったら、駅からの帰りに買って帰ろうかとならないと、これは両者の共存というのはできない。今の状況は、まさに、大規模ショッピングセンターがある意味ひとり勝ちしちゃっている。これはやはり、商店街の方ももう少し知恵を絞って、お客様のニーズというよりも行動パターンに合わせた商売形態にしていかなければならないのかなと私は思うわけであります。

 そういう意味では、中小企業庁さんですか、この中心市街地の活性化について、人的な、ソフトの面での問題についてどのようにお考えになっているのか、御所見をお伺いしたいと思います。

古賀政府参考人 お答え申し上げます。

 中心市街地の商業の衰退の大きな要因といたしましては、いろいろな要因がございます。町の郊外化への対応が不十分だったとか、あるいは商業関係者と他の関係者との連携が不十分だったとか、いろいろございますけれども、今御指摘いただきましたとおり、町におります商業者あるいは商店街といった商業地区の担い手の経営努力というのが一番大事だろう、そして、その面が不足していたんじゃないかというような指摘がされているケースも多くございます。

 商業者や商店街が、今御指摘いただきましたとおり、顧客や住民のニーズをいかに的確にとらえるか、そして、それに対応するためにどういう経営努力をしていくか、それも、個々のお店だけではなくて地域ぐるみでどうやって取り組むかといったやる気の面、それから知恵を出すという面、これが商業を発展させていくという観点からは大前提であるということは、御指摘のとおりでございます。

 今回、法律改正、都市計画法と一緒に中心市街地活性化法を改正するということでやらせていただいているわけですけれども、やはり、商業者が努力をするという場合に、努力をすれば報われる、報われるから努力をするという好循環をつくっていかなければいけないわけですけれども、今までは、ちょっと状況を見ますと、先ほど大臣からもお話ありましたとおり、経済全体がどんどん悪くなっていくという中で、環境が非常に悪い。しかも、一生懸命努力をしているのに、いろいろな公共施設あるいは公益施設が外へ出ていってしまう、人がそれにつられて出ていってしまう、それから、大規模集客施設が秩序なくどんどん郊外に立地してしまうというようなことで、商業者が必ずしも努力していないというわけではなくて、かなり一生懸命努力をした、必死の努力をしたんだけれども、それが足元をどんどんすくわれていくような感じで成果につながらない、成果につながらなければ、もうやってもしようがないんじゃないかというようなあきらめにつながる、一つのお店があきらめると、周りのお店も、じゃ、自分だけやってもしようがないんじゃないかという悪循環に陥っていくということが生じている町も多いのではないかというふうに考えております。

 今回、都市計画法の方で無秩序な郊外開発というものがある程度抑制的に行われる仕組みができる、市町村がそれを選択し、うまく活用していくと、商業者が一生懸命いろいろな知恵を出し協力し合って努力をしていくと、それが報われやすくなる環境ができる、それが成果につながれば、さらに、ああ、もう一つ頑張ろうということで、やる気も出てくる、そして、周りで見ている人たちも、ああ、うまくいくんだなということで、そこにどんどん乗ってくるという好循環ができ上がっていくのではないか。そこを強く期待しているわけでございます。

 経済産業省としましても、国土交通省あるいは関係の省庁と積極的に協力しながら、まちづくりに積極的に取り組む商業者の営業姿勢を支えていくということで、ハード面だけではなくて、そういう人材の面、ソフト的な面に強力に支援をしていくということで、そういう好循環をつくっていきたいというふうに考えております。

長安委員 これはもう、ぜひよろしくお願いいたします。

 私は、商店街の頑張りが足りないと申し上げているわけではございません。今までいろいろ御苦労をされている。ただ、なかなかうまくいっていない、厳しい現状にあるわけです。何かきっかけがあって一つのハードルを乗り越えてしまえば、今、好循環というお言葉がありましたけれども、そこに入ってしまえば、さまざまな面でシナジーを発揮するといいますか、好循環になっていくと思います。

 私も、先日、ある商店街で、久しぶりにお肉屋さんで、いいにおいがしましたので、コロッケを買いました。でも、子供のときに食べたコロッケと違う。なぜか。あのときは、人がいっぱいだったので、揚げれば売れる、揚げれば売れるだったんですね。今は人が少ないから、揚げて置いてあるんです。そうしたら、ほかほか感もなければ、何か、おいしいなという気持ちはなかった。コロッケ一個百円でしたけれども、何か、昔懐かしい商店街のコロッケというもの、がっかりした思いがあったんですよね。

 それはやはり、好循環になれば、今、コロッケだけの話をしましたけれども、お魚屋さんでもそうだと思います。魚の鮮度というのは一日二日でもう落ちちゃう。人がいれば売れる、売れれば仕入れる、仕入れればまた売れる、この好循環になっていくということが必要ですから、ここは中小企業庁さんもぜひ知恵を絞っていただきたいなと思うところでございます。

 一方で、今の状況を考えますと、郊外型の大規模ショッピングセンターがひとり勝ちしているという言い方を申し上げましたけれども、見方を変えますと、消費者がそれを選んでいるというのも事実であります。また、地域によっては、郊外のショッピングセンターを核として、その周りに住居を整備して、ある意味まちづくりができているようなところもございます。まさに、そのショッピングセンターの周りを見ますと、ショッピングセンターに行けばすべてワンストップで物がそろう、納税なんかも税務署が出張してきてそこでできる、まさに郊外にコンパクトシティーができ上がっているというようなところもあるわけであります。

 そういう意味では、ただ単に規制をしていくということではなくて、旧市街地型でいくのか、郊外型でいくのかというのは、まさに住民の皆さんが選べるようなまちづくりの、先ほどコミュニケーション能力というお話をしましたけれども、それを取り入れていけるような、住民の意見を取り入れていけるような仕組みにすべきではないかと思いますけれども、御所見いかがでしょうか。

    〔委員長退席、渡辺(具)委員長代理着席〕

柴田政府参考人 コンパクトなまちづくりのための拠点をどこにすべきかという御質問でございます。

 中心市街地というのは、基本的にはこれまで、駅があったりして公共交通ネットワークの拠点として整備されている地域、そこには既存の社会資本整備のストックあるいは都市機能のストックというものが十分確保されているような地域でございまして、地域の核としてのこれまでの歴史、文化というものもそこに蓄積されているわけでございます。

 そういう意味では、中心市街地、拠点という意味では非常に重要な地域であるというぐあいに考えておりまして、基本的にはこれらの地域が私は再活性化の中心として再活性化されるのが望ましいのではないかと考えております。

 しかし一方で、今御指摘のように、それぞれの都市、地域によりましては、郊外に新たな拠点が形成されつつある、あるいは既に形成されているところもありまして、そこを新たな集約拠点とする場合もこれは当然あり得るというぐあいに考えております。

 ただ、そこに、この前、前橋に行ったときに、大規模ショッピングセンターが出ておりましたが、大規模ショッピングセンターがあるからといって、そこが集約拠点になるのかどうかということについては、私はちょっと疑問点を持っておりまして、拠点とするためには、やはり、そこにアクセスがしやすいのか、あるいは商業施設のほかに、ほかの都市機能がそこにどれだけ集約されているのか、あるいは社会資本整備がどれだけあるのか、十分あるのか、これからどんどんどんどんそういうものも新たにすごい投資をしていかなくちゃいかぬというのでは、ちょっと問題であろうかなという感じは持っております。

 いずれにしましても、これからのまちづくりというのは、地域が適切に判断し、都市機能の適正立地を確保する必要があるわけでございまして、このため今回の都市計画法等の改正によりまして、これまでの原則を逆転させ、一たん立地を制限した上で、立地する場合には都市計画の手続をやることにより地域が判断する制度に改めたということでございます。

長安委員 今お話ございましたように、果たして郊外型のものが既存のストックがない、つまり、中心市街地には既存のストックがあったりインフラが整っているから有効活用したらいいんだというお話ございましたけれども、一方で、私の考える今の中心市街地というのは、中心市街地の成り立ちから考えますと、ある意味無秩序に人が集まってしまった。結果、今、例えば道を広げるというのも権利調整がなかなか進まない。中心市街地の周りまでは確かにいい道はできた、でも、その中に入ろうとすると、中に入ったら駐車場のスペースすらない、道も狭い、そういう状況もある。一方で、郊外型のものは、ある意味計画された道路をつくられたりという部分もあるのかなと思います。

 ただ、今までのように、この地域はどんどん建てていいですよというやり方をしてしまった結果どうなったかというと、今おっしゃったように、道路は官がつくった、インフラは官がつくった、商業施設は勝手に設けているという状況になってしまっている。

 ここをやはり解決するためには、例えば、これは私のアイデアですけれども、この地域は出してもいいです、そのかわりに地域への貢献基金というような形で何かしらの経済負担を求めるというやり方もあっていいのかな、つまり、道路を引かないといけない、下水を引かないといけない、そういう問題のコストを出していただくんだ、それでも採算に合うならどうぞやってくださいというやり方も一つあるのかなと思いますけれども、この点、御意見いかがでしょうか。

柴田政府参考人 今開発されている、あるいは開発しようとする業者からお金を取るということはいかがか、そういう提案をいただいたわけでございますが、例えば、市街化調整区域の中で、これまでは投資的な無秩序な開発を規制しておりまして、ただ、計画的なまちづくりができる場合には、その開発しようとする民間の業者の方々が道路等を整備することによって、ある程度大規模で計画的なものについては開発許可を与えるというような制度もございましたけれども、今回そういうものは廃止していきたい、廃止する方向でお願いをしているわけでございます。

 今のように、経済的な負担といいますか、そういうものを進出している業者あるいはする業者に課す、それによって大規模集客施設等の立地も認めていこうということだろうと思いますけれども、経済的な負担、どれくらいの金額をだれにというか、多分その業者だと思いますが、どのくらいの負担をどのように課すかといったようなやはり技術的な問題がありまして、その辺が現在、感覚的にわかるんですけれども、今後さらにそういうものをよく考えていかないと、ちょっと現状直ちにそういうケースというのは余りないわけでございますので、検討課題がたくさん残されているんじゃないかなと思っております。

 それから、もう一つは、経済的負担によりまして、それを認めるといいましても、今委員の御提案では、まちづくりの観点も一部入っているのかもしれませんけれども、まちづくりの観点から、その立地を認めるという感じまではちょっといきにくいのではないだろうか。それを、しっかりした新しい拠点をつくるためのお金をあなた出しなさいというのは、莫大な額になるのではないかという感じもいたしておりまして、やはり我々が今回提案いたしておりますように、大規模集客施設の適正な立地を図っていくということは、都市計画による住民の参加による適正な手続に基づく判断というものが望ましいというぐあいに考えております。

長安委員 今お話、私がしましたのは、コンセプトといいますか大枠の考えでございまして、では、技術的にどんなお金の経済的な負担をしてもらうのかというのは、これは例えば固定資産税をいじるのか、私、財務金融委員もしておりますので、そっちで話をせないかぬのかもしれませんけれども、課税自主権というものを与えてやるというのも、これは一つのアイデアです。一気に何十億と払ってくれというよりも、何年間に分けて払っていただくというのは、当然経営者も採算に乗ってくるわけですから、それは知恵の絞り方だと思います。

 ちょっと時間もあっという間に過ぎてしまいましたので、次の法律の新住宅市街地開発法についてお伺いさせていただきます。

 この新住法、この法律をもとに全国各地でニュータウンの開発というのが行われてきたわけでありますけれども、この成功例、逆に言うとうまくいっていない例について御説明いただきたいのと、それに基づいてといいますか、今回の法改正との関連について御説明いただきたいと思います。

阿部政府参考人 お答えいたします。

 新住宅市街地開発法は、御案内のとおり、高度成長期におきます著しい人口増大に対応して、大規模な住宅地の供給を行うということを目的として、昭和三十八年でございましたが、イギリスのニュータウン法、一九四六年のニュータウン法というものをモデルとして制定されたものでございます。

 当時は、大変な三大都市圏への人口流入がありました。こういうのに対応するために事業をやってまいったわけでございまして、平成十七年度末時点で全国三十八地区、八千九百ヘクタールで事業を完了いたしております。また、現在十五地区、七千百ヘクタールでまだ実施中でございます。

 これらのうち、住宅地の需要が旺盛だったころに分譲を開始して、比較的短期間で土地の処分が終了した地区につきましては、人口が張りついた、早期熟成が図れたという意味で成功したというふうに、もし定義するならばそういうことになるわけでございます。

 一方、宅地の処分が必ずしも円滑に進まずに、事業が長期化している事例が見られることも事実でございます。その背景には、やはり新住宅市街地開発事業は大変な大規模な事業でございまして、また、住宅だけではなくて雇用の場もある程度整備していこうというようなこともありましたものですから、計画段階から、用地買収事業等々、完了に至るまで大変な長期間を要します。そうしますと、社会経済の変化に伴った宅地需給の急速な変化といったものに必ずしもタイムリーに対応できなかった面が確かにあろうかと思います。

 それが構造的な要因でございますが、そういう中で、成功している事例につきましては、利便性の高い地区、非常に堅調な需要に支えられていたけれどもというようなことがございます。こういった成功事例の中には、やはり基本的には、通勤通学、交通の利便性が高い地区についてはそういった成功した事例が非常に多いわけでございます。

 また、うまくいっていない事例につきましては、今申しましたような計画時点と事業完了時点の、要するに供給時点のずれ、その中におきまして、非常に人口減少が進んできたとか、一方で、都心居住の高まりというようなことで郊外の宅地需要が大幅に減少したというようなこと、さらには、景気低迷によって企業の土地需要が低迷であったというようなこと等が考えられるわけでございます。

 こういった状況から、今後、事業につきましては、社会経済の変化を十分見据えて慎重に事業を行っていくということがやはり一番重要なことだということで、今後は、人口減少社会に対応したコンパクトな集約型の都市構造を実現するために、新市街地の整備というものは極力抑制していくことが必要な状況になっているというのが現状であろうかと思います。

 こういうような認識のもとにおきまして、今般の改正におきましては、とにもかくにもニュータウンの早期熟成を図る、それからコンパクト化に対応していくということで、都市計画の要件に住宅需要をより厳しく審査する旨の根拠規定を置きまして、事業のコンパクト化を図っていくというようなことを第一に考えておるわけでございます。

 また、一方で、事業の早期化を図るという意味から、信託方式の導入であるとか、建築物の建築義務期間を五年に緩和するというようなことで、事業の早期完了を図るということにしたいというふうに考えておるわけでございます。

渡辺(具)委員長代理 答弁は簡潔にお願いします。

長安委員 ありがとうございます。

 今詳しく御説明いただきましたのでわかりましたけれども、昨今は、ニュータウンのオールドタウン化というのがよく報道でされます。多くの専門家も指摘しております。これは、本来はもう十年以上前から、高齢化というのがやってくる、少子高齢化がやってくるというのは見えていたわけですけれども、このニュータウンのオールドタウン化というものに対しては何ら施策は打たれていなかったのかなという気がするわけであります。

 一方で、町の発展ということを考えたときに、先ほども申しました、旧来の中心市街地というのは、ある意味、人が集まって住みついてきた。一方、ニュータウンというのは、公が、官が無理やりここに住みなさいという町をつくったわけですよね。今そういった高齢化が進んでオールドタウン化して、例えばバリアフリー化であったりというようなものを進めていかなければならないと思うわけでありますけれども、これは、つくったのは官だということを考えると、国にも地方公共団体にも何かしらの対策を講じていく責務があるのではないかと考えますけれども、御意見いかがでしょうか。

阿部政府参考人 ニュータウンの場合でございますと、供給すると、そのときに、一時にある特定の世帯の方々が、若年世帯がどっと入られる、その後、急速に、何十年間かたつと高齢化していくわけでございます。

 ただ、私ども、その後、そのニュータウンにおいては、世帯の構成が変わるに従って住みかえが行われていくんじゃないか、こういう想定をしておったわけでございますが、そういった想定が必ずしもそうなりませんで、むしろ、ずっと住み続けてしまって、それで高齢化しているというようなことがございます。その結果として、共同住宅の高齢化だとか、商業施設の沈滞化、あるいは学校の遊休化等々いろいろな問題が出てきて、オールドタウン化の問題ということで今言われておるわけでございます。

 しかしながら、ニュータウンにおきましては、良好な立地条件、あるいは社会基盤も立派であるというようなこともありまして、そのニーズもまだございます。そういったことで、今後、このニュータウンにつきましては、引き続き、都市基盤とか自然環境を最大限生かしていくというようなことでありますとか、今委員御指摘のバリアフリーのまちづくり、それから、仕事と生活のバランスのとれた多機能な地域形成、さらには生活ニーズに合った住みかえや建てかえの促進、それから、ボランティアの方々の参画や既存の遊休施設の子育てなどへの活用等々、ライフスタイルの変化に合わせた住みやすいまちづくりというものを進めることが重要だと考えております。

 こういった施策が推進され……

渡辺(具)委員長代理 簡潔に願います。

阿部政府参考人 ニュータウンが魅力ある地域として再生できますように、住民、NPO、地方団体等が積極的に連携してやっていく、そういった取り組みについて支援を検討してまいりたいと考えております。

長安委員 もうあと一分半ぐらいですので、最後に一問だけ。

 先ほど、この土地、旧来のストックというものを信託で分譲しようということを考えられているということがお話にございました。この信託をするに当たって、当然、信託会社等に土地を信託されるわけです。この信託会社が、土地分譲のインセンティブが働く形での何かしら仕組みが必要だと思います。そう言いますと、恐らく、これは信託販売できたときの手数料だというお話かと思いますけれども、信託会社等へ支払うであろう手数料の種類についてお伺いさせていただきます。

 つまり、何を言いたいかといいますと、売れたときの手数料はいいと思うんです。でも、毎月固定でかかるような、預かっているからかかるというような費用を払っていれば、信託会社は一日も早く分譲しようというインセンティブが働かなくなっちゃうと思うんですね。その辺について、どういう施策を考えようとされているのか。

    〔渡辺(具)委員長代理退席、委員長着席〕

林委員長 阿部土地・水資源局長、答弁は簡潔に願います。

阿部政府参考人 具体的な信託報酬の支払い方法は今後決定していくことになるわけでございますが、分譲促進に対するインセンティブを十分働かせるために、信託財産の管理に関する実費を超える部分については、エンドユーザーに譲り渡された際のみに成功報酬的に支払われるようになるんじゃないかと考えております。

長安委員 時間が参りましたので、これで質疑を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

林委員長 三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 私たちの役割を自覚しながら、反省を乗り越えて、自覚と気概を持って質問に立たせていただきたいというふうに思います。

 まちづくり三法、特に都市計画法ですね、大きく三点、午後から三十分いただいておりますので、午前中十五分間、午後から三十分ということで質問をさせていただきます。資料を配付させていただいておりますので、ぜひ、午後に引き続き参照いただきますように、よろしくお願い申し上げます。

 まず一つ目に、基本認識を大臣に問いたいと思うんですけれども、若干抽象的な問いで難しいんですけれども、大臣が考えられる中心市街地の活性化とはどういう状態のことをイメージされていますか。また、理想的なまちづくりというのはどういう状態にあることをお考えですか。

 といいますのも、昨日、参考人質疑をさせていただいたときに、学者の方二名、市長さん二名から非常に示唆に富んだお話をいただきました。

 中心市街地の活性化とはどういう状態ですかということを尋ねたところ、やはり住まなあかん、住んでこそ何ぼだと。これは大臣も以前、週末のこの委員会質疑の中でもおっしゃいました。また、歴史、文化、風土の積み重ねがやはり中心市街地の活性化だと。同時に、人の交流が盛んに行われる状態が活性化なんだ、多様な元気があることが活性化なんだということがありました。

 また、理想的なまちづくりとはどういう状態ですかということを聞いたところ、しっかりとしたマネジメントが行われていること、潜在能力が引き出される、そういう状態であること、また、住民の方を含めてさらによくしようと努力される状態のことをいうんだ、多くの選択肢がある状態のことをいいますという、それぞれのお立場からの御見解をいただきました。

 ちなみに、大臣はどのようにお考えでしょうか。

北側国務大臣 今の参考人の方々のお話は私も非常に同意できるところが多いと思います。

 中心市街地と言われているようなところというのは、本当に昔からの歴史、文化、伝統がある地域だと思いますね。私の地元なんかでもそうでございます。お寺とか神社とか、また過去のいろいろな歴史のときのさまざまな記念の建物だとか構造物だとかありまして、それはその地域に住む人にとってのかなりアイデンティティーになる、そういう大事なものだというふうに私は思うんですね。

 その中心市街地が今寂れている。それはさまざまな理由があると思うわけでございますけれども、これからのやはり人口減少時代、本格的な高齢社会の到来ということを考えたときに、もともとそういうポテンシャルのある中心市街地ににぎわいをもたらしていくということは、今後のまちづくりの方向性としては極めて私は大事なんじゃないのかなというふうに思っているところでございます。

 そこで、中心市街地というのは、単に商売をするところではなくて、そこで生活をしている、また、おっしゃったように交流もある、そういう空間にやはりしていかないといけないのではないかというふうに思っているところでございます。

 そのために今私も欠けていたなというふうに思いますのは、中心市街地や、また中心市街地に近接するところに人が住む、住んでいらっしゃる。やはり人口がある程度そこに集まっていることによって活性化というのはできるわけでございまして、これは町中居住というふうに我々は言っておるわけでございますが、それをしっかりと支援していくようなさまざまな制度を実施していかねばならないというふうに思っております。

 一方では郊外の方に住みたいというニーズもありますけれども、一方では、今逆に、中心部の方にUターンをしてきているような傾向もよく見られます。むしろ、かつて郊外の方に住まれたんだけれども、やはり自分は中心の市街地の中で住みたいというふうに、逆に、ある程度中高年になって思って帰ってこられるような方も多いですし、その傾向というのはこれからも続くんだろうというふうに思っておりまして、それは住民の方々のニーズにも合っていくのではないかというふうに思っております。

 これからの大きな社会経済情勢の変化を考えたときに、やはりまちづくりの一つのポイントとして、中心市街地をにぎやかにしていく、にぎわいのある町にしていく、それが単に経済だけではなくて生活空間としても十分に機能していく、そういうまちづくりをしていきたい、そのために今回の法改正もお願いをしているところでございます。

三日月委員 資料の二ページをごらんいただきたいと思うんですけれども、今大臣がおっしゃいました、中心市街地の活性化とは、また理想的なまちづくりとはという問いに対して、ポテンシャルのある中心市街地のにぎわいだ、やはり商売だけじゃなくて住むことだというお話があって、そのとおりだと思います。

 なぜこういうことを問うたかといえば、これから、中心市街地活性化本部ですか、内閣総理大臣を本部長といたします本部をつくって、ある程度国が旗を掲げながらやっていく。まちづくりの主体は地方自治体だと言われながらも国として音頭もとっていくという、先ほどの議論の中にもありましたけれども、いわば相反するかのような取り組みをしていくときに、国土交通大臣がどのような御認識をお持ちなのかということを確認させていただきたかったからです。

 そういう思いを生み出した原因にもなったんでしょうけれども、都市人口規模別の中心部の人口は、いわゆる中心部に住む方の人口は一貫して減少してきているという状態は、もう皆様御案内のとおりだと思います。

 次に、お伺いをしたいんですけれども、そういう昨今の状況の中で、都市再生、地域再生、中心市街地活性化という何となくよく似た用語がここ五年間ほどでどんどん出てきているんです。ちなみに、平成十四年にできました都市再生、まちづくり交付金の都市再生特別措置法の目的、第一条を読んでみますと、「これらの情勢の変化に対応した都市機能の高度化及び都市の居住環境の向上を図るため、」云々とあります。平成十七年に、昨年ですか、制定しました地域再生法、これも御案内のとおり、さまざまな「社会経済情勢の変化に対応して、地方公共団体が行う自主的かつ自立的な取組による地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出その他の地域の活力の再生」と。

 今回の中心市街地活性化法であり、また都市計画法なんですけれども、大臣の中では、また国土交通省では、国では、この都市再生、地域再生、中心市街地活性化、これに付随する都市計画というものをどのように概念的に整理されていますか。

柴田政府参考人 ただいま御指摘の三つの大きな政策、それぞれ、今目的をお述べいただきましたように切り口が違っております。それぞれに役割が違うというわけでございます。

 まず、今回提案いたしております中心市街地の活性化につきましては、ここで何度も御議論をしていただいておりますように、これまでの都市の拡大成長を前提としたまちづくりのあり方を転換いたしまして、現在ございます既存ストックの有効利用と、さまざまな都市機能がコンパクトに集積いたしました、来るべき人口減少・超高齢社会にふさわしい、歩いて暮らせるまちづくり、こういうものを実現しようというぐあいに考えているわけでございます。

 一方、都市再生につきましては、近年におきます情報化、国際化などの社会経済情勢の変化に我が国の都市が十分対応できていないということにかんがみまして、都市機能の高度化と都市の居住環境の向上、いわゆる都市再生というものを図るというぐあいにいたしてございます。

 地域再生とは、地域がみずから考え、アイデアを出すことによりまして、地域経済の活性化、地域における雇用機会の創出などの地域の活力の再生、地域再生を図ることを目的といたしております。

 それぞれ、まちづくり、地域づくりというようなものでございますので似通った部分はありますが、こういった切り口が違うという異なる政策課題に対応すべく必要な措置を講じており、今後も、相互に連携を図りながら、それぞれの措置が効果的、効率的に活用されますように努めていきたいというふうに考えております。

三日月委員 いや、今局長はそれぞれ切り口が違うと言われましたけれども、お聞きになっていらっしゃった方々はそうとられたでしょうか。

 都市再生というところは、情勢の変化に対応して都市機能の高度化だ、都市の居住環境の向上だと。この中にまちづくり交付金も入っているんですね。今回、まちづくり交付金も活用しながら、この中心市街地の活性化を図っていくという枠組みにされているんですね。地域の再生というものについても、地方公共団体の自主的かつ自立的な取り組みによる地域経済の活性化なんですね。雇用の創出だとか地域の活力の再生。違いますか、これ。

 国において、この国会の委員会の場で言葉でやることについては、何となく切り口が違うのかなとだまされた気分になるんですけれども、これが地方公共団体におりていったときに、行政の窓口段階で非常に混乱するんですね。

 どの枠組みを使って、今目の前にある課題をどう解決していけばいいのかというメニューが非常に錯綜するという現状をぜひ御認識いただいて、少しこの概念整理をわかりやすくする必要があるとお思いになられませんか、大臣。いかがでしょうか。

北側国務大臣 それは、ぜひそうさせていただきたいと思います。

 これは、話すと長くなるんですけれども、それぞれそのときの置かれた社会経済情勢の中で置いている重点というのがありまして、都市再生については、ちょっと私も出発点で相当かかわっておりましたので、これは平成十三年なんですよ、平成十三年の、まだ小泉内閣が発足する前にスタートしたんです、実を言いますと、この都市再生ということは。あの当時は、経済情勢が本当に悪くて、金融機関が破綻するのが続くだとかそういう状況の中でいかに日本経済を再生させるのかということで、もう各省庁必死になって、政府・与党がやっていた時代でございました。

 そういう中で、やはり我が国の都市というのが競争力というのを非常に欠如してきているのではないか、都市そのものが、競争力というのは経済的な競争力です、という視点が当時は強かったんです。そういう観点から、やはり都市の再生というのは必要だねということで、特にどちらかというと当初は大都市圏をイメージしてスタートしたんですが、都市の再生と言っている間に今度は、よく総理が言いますね、稚内から石垣までというふうな、全国都市再生というふうな概念も出てまいりまして、少しずつ都市の再生というそのものも変化をしてきているというのはあります。

 地域の再生については、これはまだ新しい話でございますが、平成十七年でございます。こちらの方は、地域の方であれこれ自分たちがしたいと思っても、なかなか自由にできないじゃないか、もっと我々が地域の方で決めたことがしっかりできるように、そういう制度にしてもらいたいというふうな、むしろ地域の主体性というものをさらにしっかりと醸成していこうというふうな観点から、例えば例の、みち交付金とか、それから下水関係もやりましたね、省庁横断的に交付金制度をつくったりだとか、そういうことをやったりしたわけですね。

 今回の中心市街地の活性化というのは、これは本当に閑散とした中心市街地、商店街が全国あちこちにある。そういうのを、いかににぎわいを復活させていくのか。また、これまでの都市計画のあり方について、やはり大きな時代の変化の中で転換点に来ているわけだから変えていく必要がある、そういう観点から考えているところでございます。

 何でそんなものを、中心市街地の活性化本部をつくるんだといいますと、先ほど小宮山委員にもお話ししておりましたけれども、まちづくりというのは、これは関連している省庁が多いんですね。もちろん国土交通省が中心的な存在ではあるんですが、関連省庁が多くて、いろいろな事業をやっている。それがそれぞればらばらにやっているのではなくて、やはりできるだけ連携をとって整合化していって、また無駄のないようにしていく必要があるという観点で、しっかりと内閣で本部をつくって、そしてそうした地方から上がってきた計画については認定もして、そして認定したものについてはちゃんと重点化もし、この後質問があるのかもしれませんけれども、どれだけ予算が使われて、どうなっていったのかということもちゃんと明らかにしていこうじゃないかという趣旨で、こういう本部をつくらせていただきました。

 ただ、そうはいうものの、かなり重なるところがあるわけでございますので、そこで無駄がないように、またよく連携をとれるようにさせていただきたいと思います。

三日月委員 いや、ポリシーミックスというには余りにもわかりにくいので、ぜひ概念整理をしてくださいということに対して、冒頭、概念整理しますと言っていただいた後は、経緯も含めて非常に丁寧に御説明をいただきました。午後の質問につなげたいと思います。

 ありがとうございました。

林委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時四分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時開議

林委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。三日月大造君。

三日月委員 それでは、午前中に引き続きまして質疑をさせていただきます。

 ここからは、これまでの政策の検証という観点で、まずは都市計画、これまで行ってきた都市計画がどうだったんだということについて、三つの切り口からお伺いをしたいと思います。まず一つ目は、商業のバランス、都市計画のバランスという面でどうだったのか。二つ目は、農林漁業との調和という面でどうだったのか。三点目は、公共公益施設の立地という観点でどうだったんだ。この三点でお伺いしたいと思うんです。

 まず、私がお配りしました資料の一枚目に、小売業の売り場面積と従業員数、そして国内総生産及び耕地面積ということを、ここ十五年、トレンドをとったものをつけました。ちょっと手づくりのもので、実は、もう一つ、販売額というものをここにプロットしておかなくちゃいけなかったんですが、ちょっと抜けております。

 これを見ていただくとおわかりのとおり、一九九七年以降、GDP、国内総生産は減少局面に入っています。しかしながら、この十五年一貫して、この一番上にあります小売業の売り場面積というのが恐ろしい勢いで拡大してきています。この小売業の売り場面積が拡大するに伴ってそれぞれの小売業の販売額が拡大すれば、一定、これは成長産業というかニーズに伴ったものだということがわかると思うんですが、ここにはプロットしていないんですけれども、一九九七年をピークにこの販売額がずっと減少しているんです。ですから、この国内総生産と同じような動き、さらに二〇〇二年で上向くことなく、一九九七年からずっと低下傾向にあります。

 加えまして、この上から二番目、三番と書きました小売業の従業者数、この上の三番と下の二番がちょっとずれていて恐縮なんですけれども、小売業の従業者数を見ていただくと、一九九九年以降減少してきている。こういう状況からすれば、当然のことながら、単位面積当たりの販売というのが下がってきているという、この状態ですね。こういう小売業の売り場面積の拡大が計画を超えて行われて、そして、それが単位面積当たりの販売額の増加をもたらさずに、そのしわ寄せが例えば働いている人たちや何かに及ぼされながらこういう小売業の開発が進んできたことに対して、大臣はどのように御認識をされていますか。

 もっと申し上げれば、この四番のところに耕地面積というものが、これは一貫して減ってきています。当然、この小売業の開発だけが理由ではないんでしょうけれども、しかし、この相関関係をどのようにごらんになりますか。お考えをお聞かせください。

北側国務大臣 売り場面積が増加をしている、これは大規模店舗がふえているということだと思います。一方で、売り上げや雇用が減少をしている。おっしゃるとおり、単位面積での売り上げというのはさらに減っているということになるわけでございます。

 これをどう見るかということでございますけれども、やはりこの間バブルが崩壊して、かつて日本経済が経験したことがないような大変な景気の低迷、金融不安というのが長らく続きました。そうしたことが消費者の行動に大きな影響を与えたことはもう間違いないわけでございまして、そういうことが要因にあるというふうに思っているところでございます。これと都市計画との関係いかんということでございますけれども、私は、都市計画制度とは必ずしも直接の関係はないのではないかというふうに認識をしているところでございます。

 一方、耕地面積が減っているということでございますが、これは農業とのバランス、調和をどう図っていくのかという観点だと思うんですけれども、ここはやはり都市計画のあり方として少し問題があったというふうに思います。都市計画区域外の土地の規制を農地規制の方にゆだねておりましたので、一たん農地から他の宅地等に農地転用がされますと、都市的な土地利用規制も、また農業的な土地利用規制も適用されない状態となってしまって、そういうところに大規模集客施設が立地をされていったということではないかというふうに思われます。

 したがって、今回、こうしたことに対応するために、準都市計画区域につきまして、都道府県が農地を含む土地利用の整序が必要な区域を広く指定できるよう制度を見直しまして、そこでも大規模集客施設の立地を制限できるというふうにさせていただいておりまして、これによって農業との調和も図っていかねばならないというふうに考えております。

三日月委員 今のバランスをどう見るのかというところから踏み込んで、二つ目の、私がお伺いしようとしていたところにまで延ばして御答弁いただきましたけれども。

 まず、おっしゃるとおり、都市計画そのものは商業調整ではありませんし、また、そういうものであってはならないというふうに思うんですけれども、この状態をどう見るかという中で、よく日本経済を象徴するデフレ、デフレと言われるんですが、事小売業の販売もしくは店舗面積をマクロでとらえた場合には、明らかに飽和ではないか。この状況を、確かに国土交通大臣、専門でないのかもしれませんけれども、御認識をいただくことと、その基本認識を持って都市計画行政に当たられることというのが私は大事だというふうに思います。

 さらに、農林漁業との調和という面で、都市計画法の第二条、基本理念のところに「農林漁業との健全な調和を図りつつ、」ということがある中で、今、大臣、準都市計画区域の指定範囲が農地等に拡大される等々の今回の改正内容についてお答えをいただきました。また、その準都市計画区域というのは、市町村から都道府県に移して、より広域的な都市計画を都道府県がやるようにするんだ、そこに農地も加えていくんだということがありましたけれども、果たしてそれで実績が上がるのか。これまでの評価と反省をもう少し踏み込んで踏まえた、この改正内容についてお答えいただけますでしょうか。

柴田政府参考人 バランスの関係につきましては大臣が御答弁されたとおりでございまして、都市計画法でもって商業のボリュームを決める、あるいはそれを配分するというようなことをやっているわけではございません。これは委員の御指摘のとおりでございます。

 また、準都市計画区域制度につきましても、これまで、平成十二年に新たに導入しました現行の準都市計画区域というのは、市町村が狭いエリアにおきまして、コンパクトな地域について規制をかけていこう、そこで大規模集客施設等の立地を規制しようとするものでございますけれども、現在の状況を見てみますと、現在の都市計画では、原則、幅広い地域に大規模集客施設等が立地することが可能となっているわけでございますので、一つの市町村が準都市計画区域を決める、あるいは特別用途を決めるというようなことがされたとしても、また別のところに、近隣の市町村等あるいは近隣の都市計画区域の外の地域でも立地されるというようなことで余り指定が進まなかったということがあるわけでございます。

 今回は、その原則を完全に逆転させまして、一たん、基本的には立地規制を行うということ、そしてまた、都市計画区域の外につきましても、県が広域的な観点から幅広く規制を張ることができるというようなことができるわけでございますので、広域的な観点の調整、規制というものが可能になるわけでございますので、これらの活用が今後は進んでいくのではないかというぐあいに期待いたしておるところでございます。

北側国務大臣 都市計画としても、そういう中心市街地だとか、それから都市の中心部、その周辺に田園地帯、農地があるということは、私はまちづくりという観点からも非常に重要なのではないかと思うんですね。

 もちろん、農業生産そのものが、農業という観点からそれをしっかりと育成していくということも大切なんですが、まちづくりという観点から見ましても、都市部の周辺に現在ある、残っているそういう田園、また農地、田畑というのを、やはりある一定の計画を持って保存をしていく、保存をしていくというか、しっかりと農地として残しておくということは、これはまちづくりという観点からも非常に重要なこれからの視点であるというふうに私は思っているんです。

 そういうところに無秩序に大規模店舗等が立地をされてきたということは、やはりこれは、私は、これまでの都市計画のあり方としては見直していかないといけない、そこについては、きちんと地元の方で、地元の方々が判断できるような、そういう都市計画の手続の中で判断していかれるような、そういう仕組みにしていかないといけないと思います。

三日月委員 このテーマはさらに踏み込んでやりたいんですけれども、ちょっと時間がありませんので。

 今大臣がおっしゃったように、都市空間の中に農地がある、田畑がある。この理想的な空間が壊されてきてしまった背景や原因について、やはりもっともっと踏み込んで国交省としても分析した上で対策をとらないといけないというふうに私は思っています。

 観点を変えます。

 公共公益施設の立地について、お配りをしました資料の四ページ、ちょっと色がついていなくてわかりにくいんですけれども、左側の「公共公益施設の地域別立地状況」。これは国交省の資料ですが、上の方が郊外部です、下の方が中心市街地。要は、市役所はともかく、文化施設、病院、高校、大学や何かがどんどん郊外にあって、多く郊外にあって、しかもそれが、一九七〇年代、八〇年代、九〇年代と広がってきている。特に、真ん中の二つ、文化施設と病院というようなものがどんどん郊外に移転をされている。

 先般視察に行きました前橋や何かも、中心市街地を元気にしようと言いながら大学や高校がどんどん郊外に移転をしているという、全くもってちぐはぐな都市計画制度をやられているような気がしてなりませんでした。

 そのあたり、例えば税制の面からも、こういう公共公益施設が中心市街地にとどまれるような支援策みたいなものも、もう少し踏み込んでとっていく必要があるのではないかと思うんですけれども、御見解をお聞かせいただけますか。

柴田政府参考人 市役所あるいは公共公益施設が、一九六〇年代、七〇年代、八〇年代、九〇年代と非常に郊外部へ立地していったということは、御指摘のとおりでございますし、資料のとおりでございます。

 そういう中で、細かく申し上げますと、地方圏にありましては、病院、床面積三千平米以上は約四割が出ていっております。社会福祉施設の約七割、こういうものが市街化調整区域等の用途地域外に立地いたしている状況にあるわけでございます。また、市役所も、一九七〇年代以降、郊外に移転する事例が多く見られております。

 こういう、都市機能として非常に重要な、人がそこに集まり、なくてはならないような施設が郊外に行ってしまっていること自身が都市の外延化というものにつながっているわけでございまして、これらを今回は、できるだけ町の中心部、中心地域に持っていきたいというふうに考えております。

 都市計画における規制というのが一つでございますし、さらには、中心市街地活性化法に基づきますいろいろな施策、支援。これは、一つには予算上の支援もございます。新たに暮らし・にぎわい再生事業というものも今年度予算で認めていただきましたが、そういうものも行っていく。あるいは、まちづくり交付金。これも、中心市街地活性化法で認定された場合には、提案制度の部分が一割から二割まで拡大して、より市町村の独自性が発揮できるような使い方ができるというようなこと。そのほか、税制等も、外から中に入ってくる、あるいはそれによって簡単な区画整理事業等を行うといった場合に、幾つかの制度も中心市街地活性化のために用意をさせていただいているところでございます。

 これら一連の税制それから予算、それから都市計画というものを総合的に活用することによりまして、中心市街地の活性化、また、これらの都市機能の中心部への再移動というものを進めていきたいというぐあいに考えております。

三日月委員 今お話が出てきました中心市街地活性化のいろいろな支援策、財政面、税制面、それぞれとるんだというお話がありましたので、その中心市街地活性化策がこれまでどうだったのかということについて検証してみたいと思うんです。

 国交省だけじゃなくて経産省の方にもお越しいただいておりますので、これまで、ここ十年ぐらいで結構なんですけれども、補助金、交付金、そして政策関連金融機関の融資も含めて、この中心市街地活性化のために国としてどの程度お金をかけてきたんでしょうか、もしくはかけているんでしょうか。

 昨日私が経産省さんからいただいた資料によれば、中心市街地活性化関連予算というのは、平成十七年度で、合計して五千六百二十三億円です。しかし、きょう、先ほど午前中の質疑の中で、小宮山議員の資料で出されたのは、これはホームページからの引用でしたけれども、約一兆円。中心市街地活性化のために、一体国としてどの程度お金を使っているんでしょうか。

柴田政府参考人 八省庁によります中心市街地の活性化のための支援措置として、平成十七年度当初予算におきます国費につきましては、関係府省庁による統一の窓口でございます中心市街地活性化推進室のホームページに示されておりまして、これを足し上げますと一兆二百六十七億円となってございます。

 しかしながら、この額というのは、中心市街地で実施することが可能な施策の額をこれくらいありますよと積み上げたわけでございまして、実際、中心市街地以外で実施されるものも含まれておりまして、額となってございます。

 実際、国として中心市街地に幾ら支出したかということにつきましては、取りまとめた既存の資料が存在しておりませんし、非常に膨大な作業も必要とするというようなことなどから、申しわけございませんが、直ちにここでお答えができないというような状況になってございます。

 しかしながら、現行は特にそういうものを取りまとめていくというような仕組みにしておらなかったわけでございますが、今回は、法改正によりまして、基本計画につきまして内閣で認定をし、認定を受けた中心市街地について重点的に支援を行いというようなことで、国としても、政府としても一丸となって市町村のこういう中心市街地活性化の取り組みを応援していこうというぐあいに考えておるわけでございますので、今後は、その配分額が幾らだったかというようなことを明確にするとともに、中心市街地の活性化本部も設置されますので、そこで施策の総合調整、あるいは基本計画の実施状況のチェック・アンド・レビュー、こういうものをやりながら、中心市街地の活性化に向けて努力していきたいというぐあいに考えております。

三日月委員 いや、ちょっと待ってください。今の、非常に重要なことをおっしゃっていると思うんです。

 これまではそういう数字を取りまとめてこなかった、八府省庁にまたがるので、また、項目も、それぞれ内容、中心市街地だけに使われるわけじゃないので、これまではとってこなかった、しかし、これからは国として応援することになるので、内閣総理大臣を本部長とする中心市街地活性化本部をつくって、国が認定をして、国が応援をしていく制度に変えていくんだと。では、どんな基準で、どんな規模で、どんなメニューで、これまでの予算と補助金と比べてどう変えるんですか。

 これまでの予算規模がない状態で、そのメニューを統合します、その認定は総理大臣が本部長である活性化本部がやります、そんないいかげんな法案の提出というのはいかがかと思うんですけれども。

柴田政府参考人 現行の中心市街地活性化法に基づきます市町村の中心市街地の取り組みにつきましての基本計画というのは、市町村がおつくりになっていただく、それを国の方は送付していただく、その送付していただいたものについて、各省庁、八省庁連携をしながら、それぞれ対応していったということでございました。

 そういう意味では、かなりばらばらの部分も一部あったわけでございますが、今回さらにそれを、国としての、政府としての政策というものを、そこに強く力こぶを入れていくということで、内閣総理大臣をヘッドに全閣僚入っていただきまして中心市街地活性化本部を設置するわけでございますし、また、そこで、これが本当に中心市街地の活性化につながるというような意気込みのあるいい計画につきましては、国としても認定というお墨つきを与える、それを強力に国としては応援していく。

 そういう意味で、事業の内容等についても国としてもやはり把握していく必要がありますし、それが本当に効果があるのかどうかということもチェックをしていく、そういう観点からも、今後はしっかりと把握をしていきたいというぐあいに考えているところでございます。

三日月委員 いや、済みません、自分のお金だったら、局長御自身の家の家計だったら、そんな使い方は絶対されないと思うんです。

 今回、法改正をやるんだから、メニューを統合するんだから、内閣総理大臣を本部長にするんだから、これまでがどうだったのかという検証に基づいて、お金の使い方をどう変えるんですかということについて、私は見解を問いただすべきだと思っているんです。

 なぜかといえば、私がお配りした資料の六ページから九ページまで、これは平成十六年に総務省がやった行政評価・監視、ここでは、残念ながら、中心市街地の活性化が図られていると認められる市町は少ない状況だと。これは、サンプル百三十八市町、その中で、居住機能、商業機能、業務機能、それぞれ指標をとって見てみたけれども、残念ながら、これまでお金をかけてきたけれども、いずれの経済指標も中心市街地の数値は減少しているし、かつ、この中心市街地の割合、占有率ですね、先ほど大臣がお答えになりました、中心市街地に人も、そしてにぎわいも取り戻していくんだということが残念ながらできていないということが指摘されているんです。

 七ページ以降の会計検査院の指摘「特定検査対象に関する検査状況」というものを見れば、事もあろうか、八ページ目の下のところ「TMOによる事業の効果について」、これはTMOに対するお金の使い方を会計検査院が検査したものなんですけれども、期待される効果を記載しなければならないこととされていますが、期待される効果を定量的に記載しているものはわずか五件とか。

 これは、市町村が計画を立てて、市町村が実施するものに国がお金を出していたんだと言っても、お金を出していたのは国でしょう。全体として幾ら使っているかということの把握と、どう使われていたのかということの検証は、これは不可欠なんじゃないですか。

 これまでも不可欠でしたし、十六年に指摘されて、そのことがどう改善されたのかという評価も必要ですし、さらに、今回、こうやって法律を変えて、さらに応援していこうということの中でどう取り組まれるんですかと。この期に及んでまだ全体的な額が把握されていないというのは、私はおかしいと思います。この金額がなければ、この法案の審議はできないですよ。いかがですか。

柴田政府参考人 先ほど御答弁いたしましたように、中心市街地の活性化のための各省庁の取り組み、予算についてはホームページに掲示をしておりますけれども、これが厳密に基本計画で出されてきた地域で使われたのかどうかということについては把握していないということでございます。

 例えば、街路あるいはまちづくりでも、それを含めて使っている場合等もあるわけですので、それをもし切り分けて出せということになりますと、膨大な作業を、非常に多くの項目とたくさんな、一兆円という非常に大きな金額にわたっているわけでございますので、これからさかのぼってやるということになると大変な作業になりますので、なかなかそれをここで明らかにすることはできませんと申し上げているわけでございます。

 そしてまた、今御指摘のように、総務省からの行政評価・監視結果につきましては、今御指摘の四つの点についての勧告をいただいてございます。

 基本計画の的確な作成が必要であるということでございます。中心市街地の区域設定に当たっての要件について具体的内容を明示しなさいというようなことも言われておりますし、それから事業の着実な実施という意味では、民間連携のための体制整備やTMO構想の速やかな策定の有効性について具体的内容を明示しなさいとか、それから基本計画の見直しということでも、事業の進捗状況等の定期的把握、基本計画の見直しの必要性について明示しなさいとか、基本計画の的確な評価、こういうこともやりなさいというようなことを言われているわけでございます。

 これらを踏まえまして、我々も今回の法律改正の中で、これらの指摘については生かしていきたい、的確に対応できるようにしていきたいというぐあいに考えているわけでございます。

三日月委員 いや、非常に他人事で、局長にしては珍しく逃げの答弁であるので、私はあえて突っ込むんですけれども、おかしいと思います。金額が大きいから把握できないと。金額が大きいからちゃんと使われているかどうか、把握しないといけないんじゃないんですか。

 経産省も同じ考えですか。いかがですか。

迎政府参考人 この点につきましては、例えば、私ども経済産業省では、いろいろ、中心市街地関連の予算、中心市街地のみに使える予算もございます。それから、一般的な中小企業関係の予算で中心市街地にも使えるというふうな予算があるわけです。

 そのうち、後者につきましては、実際に中心市街地の区域の中で使われたものがどれぐらいかというふうな数字なんかははじけるわけでございますけれども、八省庁全体ですと、先ほど、午前中に厚労省の予算なんかのお話もございましたけれども、そもそも全国について支出をする予算で、そのうち、どこに、中心市街地の基本計画の区域の中に幾ら使われたかというふうなものを全部の省庁がきちっと振り分けをしていないので数字がきちっと出ていないというのが、これまでの中心市街地活性化予算の執行状況であった、こういうふうなことだと思います。

 それで、今後の中心市街地、今回お願いをしております法律におきましては、本部を設置して、施策の総合調整を行い、今申し上げたような点もチェック・アンド・レビューをする、地方の計画についてもチェック・アンド・レビューをすると同時に、国の施策の実施状況についてもチェック・アンド・レビューをする体制をきちっと整えて効果を上げていこうということでございます。

三日月委員 いや、済みません、そしたら、もう過去のことは帳消しにしてくれということなんですか。

 いや、この制度そのものを別に問題だと言っているわけじゃないんです。応援するべきは応援すること、大いに結構だと思います。頑張っているところに成功事例をつくってもらうために、これから重点的に選択と集中で応援するんだ、その精神も私は否定しません。しかし、これまで多額の一兆円というお金がどのように使われていて、会計検査院からも、総務省からも指摘されながら、これは市町村がだめだったからです、国としては把握できませんということで済むのかという話なんです。

 今、経産省の審議官が区域とおっしゃいましたけれども、総務省の指摘の中で、この区域というものが非常に明確じゃないという指摘もされているじゃないですか。その区域内でちゃんと使われていたかということについても把握をされないで、しかも、今度は、内閣総理大臣を本部長とする本部で国が一括的に認定をして応援するんだ、これはちょっと筋が通らないですよ。大臣、いかがですか。

北側国務大臣 国土交通省の事業を見ていただいたらわかりますとおり、例えばまちづくり交付金というのは、市町村がさまざまなまちづくりをするに当たって、もともとある国の補助事業をさまざま活用してやる場合もあれば、独自に提案事業としてやる場合もある、そういうときにこのまちづくり交付金を使えますよという制度なんですね。

 そのときは、中心市街地であることは、言うまでもなく、委員も御承知のとおり、前提にしているわけではありません。中心市街地外でも、まちづくりをしなきゃいけないところはたくさんあるわけです。

 では、そうしたら、そのまちづくり交付金の中で、中心市街地で使われたものはどれぐらいあるんだということをお聞きになられているのかもしれませんが、そうすると、市町村のそれぞれの事業を全部調べて数字を出してこないといけないわけですね。それはなかなか容易じゃないということもぜひ御理解をお願いしたいと思っているんです。

 国土交通省のさまざまな事業というのは、必ずしも中心市街地のまちづくりに関する事業とは限られておらない、ただ中心市街地でも使えるということで上がっている事業でございます。

 経産省の事業の中には、むしろ中心市街地を直接対象とした事業もあるのかもしれませんが、国土交通省の方はそうでもない、また、ほかの省庁も多分そういうのが多いのではないかというふうに思っております。

三日月委員 経産省は中心市街地ということで限定できるからいいけれども、国交省や他の省庁はなかなか難しいかもしれないということですか。いや、それはちょっと違うと思うんですね。

 もちろん、とりにくいということはあるでしょう。各府省庁またがりということで幅広くなってしまっているということもわかります。それが、国だけではなくて、都道府県から市町村にまで行っているので、そこでどう使われているかということについての効果検証、チェック・アンド・レビューというのは非常に難しいのかもしれませんが、しかし、これだけのお金が、会計検査院からも総務省からも、きちんと使われていますか、効果検証の面で疑問ですよと指摘されて、しかも、今回、大きく枠組みを変えようと、いろいろな課題があって、もっともっと有効に使えるようにしようという、この予算の使い方がこれまでどうだったのかということについて、まず検証することが必要だと思われませんか。

 これは、別に国会ではなくて、普通の一般企業でも、いろいろなお金を使うときにも、いろいろな改革をするときにも、私は当然のことだと思うんですけれども、何かおかしなことを言っているでしょうか。さかのぼって、例えば五十年調べろと言ったら大変です。すべての、千八百の市町村を全部調べろと言ったら大変なんですけれども、サンプル調査して、私は、この予算の使い方というものをもう少し踏み込んだ検証というのが必要じゃないかと思うんですけれども。

 金曜日に連合審査もあります。ぜひ、この審査に向けて、この資料、わかるところまで、各府省庁またがりの、国交省さんだけじゃないです、経産省さんも、午前中の質疑でありました厚労省さんも、この八府省庁またがりの中心市街地活性化関連予算がどのように使われていたのか、そもそも幾ら使われているんだと。当然前提条件はあるでしょう。この部分は内数です、ということはあってもいいんですけれども、全体としてどうなんだ、トレンドがどうなんだということについて、ぜひ資料の提示を求めたいと思うんですけれども、いかがですか。

柴田政府参考人 今大臣の方からも御答弁ございましたように、国土交通省に限って申し上げますけれども、国土交通省でやっている、例えば公園を整備していく、あるいは街路を整備していく、区画整理をやっていく、それらによりまして住みよいまちづくり、災害に強いまちづくりを行う、そういう事業を、予算を計上しているわけでございまして、それらの予算、それらの事業というのは、これはもう適切に執行を我々はしていっているわけでございます。

 ただ、その中で、中心市街地という切り口で見たときに、それがどれくらいあるんですかということについては、なかなか、そういう、これまでも取りまとめもしていなかった、数も膨大であった、それから市町村まで行くような事業であったということで把握ができておりませんということでございまして、我々、国土交通省として、政府全体でもそうですけれども、お金を、予算というものをむやみやたらと無駄遣いをしたということでは決してないということだけは御理解をいただきたいというぐあいに考えております。

三日月委員 いや、適切に執行されていると思います。別に、無駄遣いをしたと決めつけているわけじゃないんです。しかし、それが効果的に使われているのかという検証を国としても、内容、項目を把握した上でする必要があるんじゃないんですかと言っているんです。そのことの認識が共有できないというのは、これは全然議論の土台にのっていらっしゃらないですよ。

 例えば、経産省さんもそうなんですか。これは中心市街地の活性化法、ここは都市計画法の審議だからといって、何かよそを向いて資料に目を通されていますけれども、経産省さんの予算、たくさんあるんでしょう。こんなことで、枠組みだけ変えます、決め方だけ変えます、本部長を総理大臣でやります、通らないですよ、これ。多額だからこそ、とるのが難しいからこそ、府省庁横断だからこそ、ちゃんと把握しなくちゃいけないんです。いかがですか。もう一回、見解を求めます。

迎政府参考人 先ほども申し上げましたように、経済産業省の場合、商業関係の予算で、金額的にも他省庁さんとも比べて少ないわけでございますので、そういった仕分けは可能なんでございますけれども、各事業官庁さん全部の、先ほど国土交通省がお答えになったように、その市町村レベルにわたって区域で分けるというのが難しいという点は、八省庁全体の事情としてはそういうふうな御事情もあろうかと思っております。

三日月委員 いや、全然答えになっていないんですよ。

 ですから、府省庁またがりで区域の区分けが明確じゃない部分もあるので非常に難しいことはわかるんですが、しかし、多額の予算を使っているこの事業、そして、いろいろな使われ方や効果の面で指摘がされたり改善を勧告されたりしているこの内容で、国として、どう把握をされ、そしてその効果についてどう考えていらっしゃるのか。すべての市町村とは言いませんよ。きちんとサンプルで、項目で調査する必要があるとお思いになられませんか。大臣、いかがですか。

北側国務大臣 これは、恐らく、国土交通省だけではなくて、経産省以外の省庁というのはすべてそうだと思うんですが、中心市街地の活性化のためだけにやっているわけじゃないんですよ。さまざまな目的があって、それぞれの事業があって、そして市町村の事業、都道府県の事業、それに対する補助事業、交付金事業等々あるわけでして、中心市街地の活性化のためだけにやっているんであれば委員のおっしゃっているのも理解できるんですが、そうではありません。

 それで、市町村では、また市町村の中で、例えば食育の推進なんて入っていますけれども、食育の推進で、では、どうやって市町村で分けるんでしょうかね、その中心市街地とそうでないところと。

 だから、経済産業省のように、もともと中心の商店街の商業をしっかり活性化しようというような観点でやっている事業のところは、それは出せますよ。そうでないところは、先ほど申し上げたまちづくり交付金にしたって、街路事業だって、公園事業だって、そのためだけにやっているわけじゃありません。

 そういう意味では、そういう計上をすることというのは容易ではないと思います。

三日月委員 中心市街地活性化と厳密に区切れるテーマだけでお金をつけているわけじゃないんだ、使っているわけじゃないんだということはわかります。そんなに容易にすぐに出てくるものでないのもわかります。その上で、私は申し上げているんです。これまで指摘もされているし、しかも、枠組みを変えるんだから、これまでのお金の使われ方がどうだったのかという検証は必要ですよね。

 今、大臣がおっしゃったように、食育がどうだとかという、いろいろと幅広いテーマを盛り込んだような内容になってしまっているんでしょう。だからこそ、お金の使われ方の効果の検証が難しくなっているんですよ。

 では、そういう部分についても、そんな使い方はやめてくださいよとか、こういう趣旨で予算をつけているんですから、ちゃんとそのとおり使ってくださいよということをやらなくちゃいけないんです。その効果が検証できないんだったら、国が予算を持っていること自体がおかしいじゃないですか。そんなお金の使い方でいいんですか。

 これ、インターネットの中継見られている方や何かは、えっ、それだったらこっちにお金つけてくれよということも直観的に、中身を議論すれば別ですけれども、いかがですか。

北側国務大臣 ですから、例えば国土交通省の事業でいうならば、まちづくり交付金という制度がある、それにこれだけの予算がついている、その事業についてどうなんだというふうな検証の仕方だったら、当然そうです。しかし、まちづくり交付金自体が中心市街地の活性化のためにやっているわけじゃありません。そのために使える場面もあるでしょうということなんですよ。それを、各市町村から全部集めてやれというのは、これは到底容易な話じゃないわけでして、おっしゃるんであれば、それぞれの制度についてのお金の使い方がどうなんだということを検証していけばいいわけなんです。

 今回、中心市街地活性化本部ということで本部をつくらせていただいて、そして認定制度もつくって、そういう中で、中心市街地活性化の事業については、きちんと予算の重点化もしていくし、また検証もしていきましょうというふうに申し上げているわけです。

三日月委員 そもそも、国土交通大臣だけにかかわる話じゃありませんから、大臣は一生懸命まちづくり交付金という御自分の省の所管の方に持ってこられていますけれども、そうじゃないんです。この中心市街地活性化というのは、それぞれの省庁またがりなんですよ。ですから、経産大臣にきちんと問うた方がいいテーマかもしれませんし、総理大臣が責任を持って考えられなければならないテーマなのかもしれません。

 しかし、大臣の御認識として、これから統合してやっていこう、これまでもいろいろ指摘されている、効果の面で問題があると言われたこの内容については、すべてとはいかないまでも、お金の使われ方について見る必要がありますね、この認識も一致できないんですか。また、この法案審議の際に、連合審査の際に、そういう資料というのは当然必要ですよね、これからももちろんよりちゃんとチェックしますけれども、これまでの使われ方もちゃんと検証する必要がありますよね、そんなことすら言えないんですか。

柴田政府参考人 何度も同じようなことをお答えするのも恐縮に思っておりますが、事前に、中心市街地の活性化の部分について、これはこういうぐあいに計上、一応どこかで区切りをして、予算制度上区切りができないわけですから、どこかの、事実的に計上して上げていこうとか、そういうことをやる。あるいは、そういうことが制度的につくられているのであれば、もちろん上がってくるわけです。これからはそうやろうとしているわけです。

 さかのぼってみて、例えば街路があります、何々市に街路の補助金が何億円行きました、これはどこにどれだけ使われたかというのは、地図を見ながら、ここの部分に何メーター、ここの部分に何メーターだ、じゃ、これをどうしようかとかいうようなことをすべてやっていかなくちゃいかぬという膨大な作業をしなくちゃいかぬということがあるわけでして、さかのぼってそういうことをやること自身が非常に我々としては膨大であり、対処はできませんということを申し上げているわけでございます。

 今後やるときには、そういうものはある程度の基準をつくって、会計制度とは別の話ですよ、基準をつくってある程度任意的に積み重ねていくからわかるようになる、させていただきますということを申し上げているわけです。

三日月委員 今、局長、これからはやりますとおっしゃいましたね、これからはやろうと思っているんですとおっしゃいましたね、間違いなく。じゃ、どういう基準で、これまではできなかったのに、これまでは中心市街地ということでとれなかったけれども、これからはやられるんですよね。じゃ、その予算の検証のされ方、手法を含めて御提示をいただきたいと思います。

 そのことを申し上げて、私の時間は同僚議員の御理解をいただいて延ばさせていただきましたので、今後さらにチェックをすること、また資料提供、今の指標の分で、手法の分で資料の提出を求めて、私の質問を終わらせていただきます。

林委員長 古賀一成君。

古賀(一)委員 引き続きまして、民主党衆議院議員古賀一成でございます。

 きょうは、中心市街地の再生あるいは再活性化ということで質問をさせていただきます。中心市街地の再生も大変頭に重い問題としてありますけれども、今、我が民主党も再生を期しておりまして、きょうは一時間、四十五分ですか、深くは突っ込めないかもしれませんけれども、大局的な都市計画にかかわる問題を指摘いたしたいと思います。

 今、三日月議員の方から話がありました件、一般論として私の感想を申し上げますと、最近、特に国土交通省の法案の説明資料、今回はこういう制度改正ですと、カラー版になったのは非常にわかりやすくなったんですけれども、今回の改正はこうです、そういう改正の項目と、そしてフローチャート、こういうものが羅列されてあります。ところが、今話が出ました、じゃ、これまでの成果はどうだったんだ、積み上げてきた予算はどういうふうに効率的に使われたんだというところは、実は大変、説明資料にもないし、やはり弱い。

 省庁によって違うんですよ。省庁によって違います。とりわけ国土交通省関連はそういうふうに、法律の改正の中身と要点とフローチャートと必要性、こういうのはよく書いてあります。でも、これを企業に直してみますと、今回こういう商品をつくりました、値段は幾らです、性能はこうです、ここをこう変えました、それはいいんですけれども、じゃ、三年前売り出したあの商品の在庫は幾らなんだ、どれだけ売れたんだ、どこにクレームがあったんだというところも、実はこの立法府ではしっかりとフォローしなければならぬわけであります。

 そういう面で、もちろんできない分析はできないわけでありますけれども、でき得る限り、その問題点なり執行の状況がわかる資料というのは、法律の改正なりそういうものを出したときにはやはり出すべきだと私は思いますので、連合審査もある、今後いろいろな法律も出てくる、改正も出てくるということで、ひとつそれはしっかりと、大臣あるいは担当局長、頭に置いていただきたい、かように私からも申し上げておきたいと思います。

 さて、今回の改正の目玉は、いわゆるコンパクトシティー、あるいは中心市街地の活性化というテーマでありますけれども、本件につきましては、もう既に七年前に鳴り物入りで、まちづくり三法ということで出されたわけであります。しかし、どうも、後ほどお話があるのかもしれませんけれども、成果は芳しいものではなかったというふうに私は評価をいたしております。

 一連の都市計画法、昭和四十三年に大改正になりまして、ずっとそれをベースに一部改正、一部改正、こう来たわけでありますけれども、どうも、一言で総括するならば、時の問題に一部なり対応してきた、もっときつく言えば、場当たり的、試行錯誤的と言わざるを得ない執行の現状も実はあったんじゃないかと思うんですね。

 そこで、常に、これからの長期的な、都市の問題は何なのか、大きい意味での都市のデザインはどうなのか、地方都市にとっても大都市にとっても、東京は例えばどこら辺までの、どれだけの規模が適正であり、どういう広がりを持ち、そういうイメージが、大きい意味での都市像というものは実はわからないままに、部分の問題について改正が繰り返されてきた。これが現状ではないかと思うんですね。

 だから、私は今回も大改正と言い得る改正だと思うんです。この際、七年前のまちづくり三法、その成果も踏まえながら、やはりそこら辺の反省というものはあってしかるべきだと思うんです。

 そういう意味で、そもそも都市政策の基本課題というものは何なのか、どう認識しておられるのか、それを、ぜひ大臣の方から問題意識を御披露いただきたいと思います。

北側国務大臣 都市政策の基本的な課題は何かという御質問でございました。

 都市政策における課題というのはさまざまあると思います。例えば、災害に強い町をつくっていく、これも大事な要請だと思います。また、今、環境に優しいまちづくりを進めていくことも重要。さらには、高齢化社会になっていきますので、それだけではなくてだれにでも、人に優しいまちづくりを進めていくということも重要でございます。また、それぞれの地域にはその地域独自の、固有の文化とか歴史、伝統がございます。そうしたものに根差したまちづくりを進めていくことも非常に大事だと思います。そういう意味で、長年大切にされてきた例えば景観とかそういうものをきちんと守っていくことも非常に重要だというふうに思います。

 等々、都市政策の課題というのはたくさんあると思いますが、その中でも、人口減少、そして本格的な高齢社会の到来という、本当に人口構造が我が国の有史の中でも大きく転換する中で、これからの都市政策のあり方ということについても大きな転換点に来ているというふうに考えているところでございまして、今回の法案につきましては、都市機能の集約をしっかりとやっていこう、また町中居住をしっかり促進していこう等々の、中心市街地の振興と都市機能の適正な立地をしっかりコントロールしていく、こうしたことをやっていこうという趣旨で都市計画法等の改正をお願いしているところでございます。

古賀(一)委員 大臣の方から重立った項目の御披露がございました。おっしゃるとおりだと思います。

 その中に、私は、やはり犯罪の問題ですね。犯罪は都市計画で直接にはできませんけれども、後ほど申し上げますけれども、空き家のクリアランスの問題とか都市犯罪の問題、あるいは都市財政の問題も、私は、大きい問題として維持管理コストがあろうかと思うんです。だから、今回はそういうことで、中心市街地という発想で出ていますけれども、四十三年の都市計画法の施行以来、本当に時代は大いに大いに変わったんです。それを一部修正でその問題だけを対応してくるというパターンでは、私は、都市財政から見ても、いろいろな意味から考えても、いい都市計画にはならないと思う。

 それで、次なる都市計画法というのはいつできるかわかりませんけれども、その前に、今言ったような都市が抱える問題、総合的に、財政から治安から、もちろん災害、地球温暖化、もういろいろな課題があります。それに各施策は抜けた部分がないか、効果が上がっていないか、この組み合わせでこういう政策ができるのではないかというような、都市計画制度の総点検といいますか、それを一回省内で徹底した議論をすべき時代だろうと私は思うんです。

 だから、都市計画を都市計画という例のやり方だけの範囲で考えるんじゃなくて、やはり、都市計画が下支えする社会問題とかそういうところまで含めて、私は、今の時代、もうがらっと時代は変わっておりますので、そういうプロジェクトをしっかりと立ち上げていただきたい、かように思っておるわけでありますけれども、もう一度そこら辺、そういうお気持ちがあるか、局長でもいいですよ、ありますか。

柴田政府参考人 今回出しました法案というのは、非常に大きく都市計画の考え方というのを転換する、昭和四十三年、現都市計画法が制定されて以来の非常に大きなターニングポイントになるような改正であろうと考えております。

 これにつきましては、いろいろなところでいろいろな議論がされました。大臣御就任のときから、都市計画の制度等も改正しながら、歩いて暮らせるコンパクトなまちづくりを進めていこうという強い御意思があったというお話もされたわけでございますが、国土交通省といたしましても、社会資本整備審議会の中の都市計画の部門につきまして、二十一世紀の少子高齢化社会に対応した都市計画のあり方はいかにあるべきかということを昨年来勉強してきております。その最初の御答申が今回の都市計画法の改正につながる答申でございまして、これをことしの二月一日の日にいただいたわけでございます。

 それで終わりじゃございませんで、まだまだ、都市計画の問題につきまして、交通政策をどうしていくかとか、あるいは市街地、まちづくりの関係をどうしていくかという大きな課題があるわけでございまして、これらにつきましては、引き続き現在検討を進めているところでございます。

 今委員の方から、防災の問題あるいは財政の問題、幅広く検討すべきだというお話もございましたけれども、都市計画の持っている範囲というのもおのずからあろうかと思いますので、その範囲の中で今持っている制度というものを検証し、社会の動いている方向というのをよく見据えて、都市計画の制度あるいはまちづくりの制度というもので今後の社会にふさわしいようなものを勉強して結論を持っていきたいというように考えております。

古賀(一)委員 今、局長がお答えになりましたが、そういうことだと思うんですけれども、先ほど、総合的な施策検討の一環として、高齢化、少子化社会に対応する都市計画云々とありました。

 実は、それはまだ私は狭いと思うんです。これだけの財政難の時代で、これだけ人口構成が変わってくる、本当に大きい時代のうねりがあるわけでありまして、もっと広いスーパーグランドデザインみたいな、もっと大きい都市ビジョンというものの中から、いろいろな個別課題をスクリーンにかけて議論し組み合わせていくという大作業が必要だろうと私は思っておりまして、それは、都市・地域整備局長というよりも、まさに国土交通大臣そのもののリーダーシップの問題だろうと思います。必ずこれが必要になる時代が来ますので、私は、しっかりと念頭に置いて、責任ある国土交通省です、その使命を認識していただきたいと申し上げて、次の問題に移りたいと思います。

 二番目は、この中で特に、今回の法律は直接は関係ありませんけれども、今度の商業施設の問題よりももっと実は都市計画上深刻な問題というのはあるんだろうと思うんです、これも重要な問題ですけれども。それは何かといえば、やはり地震対策というものでございまして、これに都市がどう対応するのか、都市計画という手法でこれに対応を始める時代ではないかと私は思います。

 一九二三年に関東大震災が起こりましてから、ことしが八十三年目ですか、七十年過ぎますとそろそろ活動期に入ると言われておるこの地震の問題でありまして、説によれば、三十年以内に南関東でマグニチュード七程度の地震が起こる確率は七〇%、十年以内は三〇%と言われておるわけであります。恐ろしい試算も相次いで発表されておりまして、マグニチュード七の首都直下型地震が起こった場合、死者は最大で一万三千人、七百万人の避難者、六百五十万人の帰宅困難者が出るという試算もあります。これなんかは本当に、人の避難訓練とかそういうものもあるでしょう、建築の耐震化もあるでしょう、しかし、やはり一番対応すべき問題としては都市計画だと思うんですよ。

 今までゆとりがなかった、オープンスペース、避難路、地下貯水槽をどう配置するかに始まりまして、やはり都市計画でそういう、すべてを決めることはできないにしても、リードしていく、下支えをすることは都市計画の責任分野ではないか、私はこう思っておるわけでありまして、災害の被害を減少するという意味では減災という言葉もあるそうでありますから、都市における大震災のときの被害を減災していくというような意味において、都市計画もそろそろそういう問題意識で今の制度を考えていいのではないかと思いますけれども、この点はどういう動きになっておるわけでありましょうか。大臣、お願いします。

北側国務大臣 地震対策を考えたときに、特に大都市部における密集市街地対策をどうするかというのは極めて重要な課題だと私も認識をしているところでございます。

 これは東京都なんかも非常に苦労を今しているところだと思いますけれども、これまでももちろん、委員も御承知のとおり、さまざまな取り組みをしてまいりました。例えば、平成九年にいわゆる密集法という法律をつくらせていただきまして、防災街区を整備する地区計画制度、こういうものを創設したり、さらに、防災街区の整備事業を創設したりしているところでございます。また、土地区画整理事業はもちろんでございますし、街路事業や公園事業等によっても、避難路をつくったり延焼遮断帯をつくったり、また防災公園を整備したりというふうに積極的に進めているところでございまして、今後とも、災害に強い、安全、安心なまちづくりの実現に努めてまいりたいと考えております。

 これは最終的には、委員も御承知のとおり、私権ですね、密集市街地というのは、多くの方々が権利をお持ちで、なおかつ非常に錯綜した権利関係が多い地域なんですね。この私権の制限を当然伴ってくるわけですね。そこと、この密集市街地を早く整備して、災害に強い、地震に強い町につくっていかないといけない、こういう公共性との調整の問題が非常に難しいところがこの地域でございまして、今ある制度の中で、地方団体ともしっかり連携をとらせていただいて、この密集市街地の整備、しっかりと今後とも取り組みをさせていただきたいと思っているところでございます。

古賀(一)委員 これまでは、確かに土地の価額も高い、土地に対する需要も大きなものがあった。ただ、よく町を歩いてみますと、やはりあちこちに、東京二十三区内でも、私は今、高輪という地域の、港区の宿舎に住んでおりますけれども、よくよく散歩とかしてみると結構空き家はありますよ。地方部においてはもうたくさん沿道に、都市部はそうでもないんですけれども、ある都市から都市まで行く主要地方道の右左に空き家というものがございます。

 やはり、これからは、超高齢化の人口減少の時代にそういう余地が出てくる。そういうものを活用して、こういう防災型の都市というものを目指す時期に入って、我々は、国としては目指すという、そのイメージというか、そういう発信をすることによって、民間も、あるいは今まで困難であったそういうものもおのずと道が開けてくるという面もあるんですよ。

 私は、都市計画に確たる意思というものがなくて、技術的な、役所だけがわかる線引きであるとか、用途地域のこういう指定であるとか指定がえとか、そういう世界に生きてとどまっておるところに、まちづくりというのは私は最終的に人だと思うんです、人だと思うんだけれども、そこに、そういう情熱、問題意識が伝わってこないという構図があって、どうもお役所の建築部が、市役所の建築担当課が決めていくものというイメージの中に、実は一つの混乱というか、進歩がないところの問題があるんじゃないかと私は思います。

 やはり都市というものは、最終的には、町に住む人たちが協力し、市役所がそれに呼応して知恵を出し、動いていくというものでありまして、私は、今ちょうどこれも過渡期、転換期であると思うので、ひとつ大きく都市計画あるいは都市行政の発想を変えてもらいたい、かように強く申し上げたいと思います。

 それでは、前議員の質問で時間が食われましたので、ちょっと急ぎますけれども、次に整備局長にお聞きをしたいと思うんです。

 今回、今までの現状の用途地域の面積と、今回の改正で立地規制が拡大する面積というものが当然あるんだろうと思うんですけれども、そして、大型店が出店可能な区域という面積が大幅に今度は減るんだろうと思うんですけれども、大体大ざっぱに、大都市圏、地方圏、どういう感じで、今度、適用の範囲が決まってくるんでしょうか。

柴田政府参考人 ちょっと数字の話になりますので細々するかもしれませんが、まず数字を申し上げますが、用途地域が指定されております面積は、全国で百三十三万ヘクタールでございます。その内訳は、三大都市圏、政令市で約七十四万ヘクタール、それ以外の地方圏では約百九万ヘクタールとなってございます。

 今回の改正によりまして、第二種住居地域、準住居地域、工業地域及び非線引き都市計画区域内の白地地域で大規模集客施設の立地が規制され、市街化調整区域においては大規模開発の許可基準が廃止されるということになります。これらの面積の合計は、全国で八百三十三万ヘクタール、都市計画区域の八三・七%、三大都市圏及び政令市で約百十九万ヘクタール、都市計画区域の約六四%、それ以外の地方圏で約七百十四万ヘクタール、都市計画区域の約八八・二%となります。

 数字だけちょっと言ってもわかりにくいんですが、要するに、今回の改正後は、都市計画の決定等の手続を要せずに大規模集客施設が立地できる地域は、商業地域、近隣商業地域、準工業地域に限られまして、これまでの都市計画区域の九十数%、そこが立地の規制になる。最終的に申し上げますと、現在、都市計画区域の中の約九割が立地が可能となってございます、大規模集客施設については。この制度が施行されますと、逆に九割、都市計画区域の中の九割以上の地域で大規模集客施設の立地が制限されるということになります。

 ちょっと細々数字を申し上げましたが、総論を申し上げますとそういう感じでございます。

古賀(一)委員 そうしますと、今まで例のまちづくり三法以来、大変期待が大きかったんですけれども、これが、これからはそうはいかぬよという面積がそこまで広がるということで、大変期待したいわけであります。

 でも、前回も恐らく大きな期待があったと思うんですね。ところが、実際はほとんど効果がなかった、こういう現状ではなかったかと思うんですけれども、前回の二〇〇〇年のあの法律、評価はどういうふうにお考えでしょうか。

柴田政府参考人 お答えいたします前に、先ほど、私、用途地域が指定されている面積は全国で約百三十三万ヘクタールと申したかと思いますが、百八十三万ヘクタールの間違いでございます。訂正させていただきます。

 それから、前回の平成十年のまちづくり三法関係でございますが、この関係で見ますと、まちづくり三法が全面施行されました平成十二年から平成十六年の五年間で、一万平米を超えます大規模集客施設が市街化区域の外に六十五件できております。一方、地方都市の中心市街地の店舗面積の市全体に占めるシェアは、これは統計の関係で一緒になりませんが、平成十二年から三年間でございますが、三%減少いたしまして、二十年前と比べますと一六%減となってございます。

 このように、平成十年以降、政府といたしましては、中心市街地活性化法の制定によりまして中心市街地の活性化を図ったり、あるいは都市計画法の改正によりまして適正立地を図ってきたわけでございますが、対策を講じてきたわけでございますが、依然として、中心市街地のシェアが減っていっている、外に出ていっているということが続いてきていることは事実でございます。

 これらの取り組みで一部はもちろん活性化のところはございます、多くの中心市街地で厳しい状況が続いてございますが、これは、一つは、商業振興策が中心となっていた中心市街地を生活空間としてとらえるような仕組みがちょっと薄かったというようなこと。それから、商業者の取り組みの話も経産省の方でございましたが、その辺の取り組みがちょっと不足していた、ちょっとかどうかわかりませんが、不足していたということ。

 それから、都市計画にいたしましても、原則、広い地域で大規模集客施設が立地できるという制度の中で、これまでの取り組みは、都市計画法の改正によりまして、特定用途制限地域だとか、特別用途地区を多様化するだとか、準都市計画制度というものを創設し、スポット的に立地ができない地域にしていくということをやったわけでございますが、結果、そこは規制をかけても、近隣がかかっていないとそちらの方に行ってしまうというようなことで、広域的な都市機能の拡散に対しまして、広域的な観点から、都市計画として適正立地を図るための措置が不十分であったということもあったのではないかと思っております。

古賀(一)委員 まちづくり三法というのは、やはり地方都市の当時の悲痛なる声を受けまして、鳴り物入りでつくられた法律であります。それが結局、先ほどの話じゃないんですけれども、誘導策も講じ、予算も講じ、法律も変えて、結果としては、先ほどのように全く逆の結果しか得なかったというのは、これは私は、国土交通省、しっかりと検証し、反省すべきテーマだと思いますよ。予算を講じ、法律を改正し、鳴り物入りでやったのに、それが改善されるどころか逆に加速をしたという結果であったという今の御説明であったと思うんです。

 やはりそこには、仕組みは法律でつくった、それ自体に漏れがあったわけですね。あったんだけれども、何といっても、やはり、こういう時代が来ている、都市はコンパクトにまとめていく、中心市街地は何としても守らなきゃならぬ、郊外立地はいけないんだという理念というのが実はなかったというか、伝わらなかったというふうに言わざるを得ない結果であります。法律をつくるのは大いに結構です。結構なんだけれども、結果として、実を伴わない、逆の効果があるようなその結果というのは、国土交通省として、これは別に野球でも勝負事でもないからそれは目立ちませんけれども、ある面では、戦いであればこれは完全な負け、黒星という結果ではなかったかと私は思うんです。

 それで、じゃ、今度の法制で大丈夫かという議論になるわけであります。私は、この法律、確かに抜本的な改正であり、ある面では画期的な部分もあるとは思うんですけれども、でも、相変わらず、やはり弱腰というか趣旨が貫徹しないというか、ある面では逃げのシステムを打っておるのではないかとか、それが今後、この法律の運用においてまた悪い結果をもたらすんじゃないかと心配する点が、幾つか実はこの法律にはございます。

 まずその一つが、先ほど来出ておりますけれども、準工業地域、これについては大規模集客施設の立地というものはできるわけでありますけれども、今の現状を見たときに、地方部、大都市圏ありますよ、でも全体として見たときに、この大規模な、とりわけ商業施設というものはもう行き渡ってきたんじゃないか。私の地元にもあります。今度あそこに大きいショッピングモールができた、あるいはかなり大きい靴屋さんが入ってきた、電器店も五年前にできている。大体それは数年たったら閉店ですよ。もう大体行き渡って、大規模な商業施設もこれからは、雨後のタケノコのようにとまでいかないけれども、できたものもこれから相当淘汰されていく時代になるんじゃないか。飽和感といいますか、満杯感が私にはあります。

 そうしますと、準工業地域について認める、これは、やはりニーズがこれからも出てくるから認めるというこの道を開いたんだと思うんですけれども、私は、そろそろ準工業地域については、工業が成り立たないのであれば、もっと都市側から積極的にこういうふうに活用すべきだという、商業施設が立地を求めるから、しようがないから逃げ道として許すよというんじゃなくて、もうそろそろ、準工業地域、臨海部はこうしよう、そういう都市側からの設計というものをやらなければ、またこの七年のような結果になるんじゃないかと私は心配するんです。

 私はあるところから、国交省は検討段階では、この準工業地域については大規模商業施設の立地についてはやはり禁止しよう、そういう方針だったやに聞くんですけれども、なぜこれを認めたんでしょうか。この際、ターニングポイントで、きちっと規制というものを原則にすべきじゃなかったかと思いますけれども、なぜこういうふうに許す結果になったのかをひとつここで説明をいただきたいと思います。

柴田政府参考人 現行の用途地域の中では、六つの用途におきまして、大規模集客施設が規模に関係なく立地が可能となっているわけでございまして、これをどこまで規制をかけるか、どの地域に規制をかけるかという議論をいろいろさせていただきました。結果、商業、近隣商業、それからこの準工業地域というのは、大規模集客施設の立地について、都市計画上、建築基準法上、規制をかけるということにいたしてございません。

 これは、準工業地域につきましては、そもそも住宅と工業等さまざまな多様な用途の混在を許容する地域でございます。実際にも、市街地中心部近くの住工混在したエリアで指定される例も多い用途地域でございます。こういうことによりまして、準工業地域については、都市計画上、建築基準法上、大規模集客施設の立地は制度として規制しないということにしました。

 しかしながら、中心市街地の活性化という観点に絞って言えば、三大都市圏等の大都市部と地方都市とでは違うと思うんですよね。要するに、準工業地域に大規模集客施設が立地した場合の中心市街地への影響というのは、やはり相当違うんじゃないだろうかと考えておりまして、中心市街地活性化法の方の話になりますが、中心市街地活性化法に基づく基本計画を法律を通していただきましたらつくることになりますが、特に地方都市では、この準工業地域において特別用途地区を活用していただきまして、大規模集客施設の立地規制を行っていただこうと考えておりまして、これを中心市街地活性化法に基づく基本計画の大臣認定の要件とすることを予定いたしているところでございます。

古賀(一)委員 ということは、国としての都市のあり方、全国トータルとして見るならば、準工業はやっていい、縛るならばそれは地方自治体の主体性でやっていいという体制なんですよね。でもそれは、やはり実際問題としては、これまでもう既に起こっていることですけれども、結果として、商業施設を誘致したい、雇用の問題で誘致したいところは結局やはり認めてやる。そもそも認めていいんですからね。やはり国が原則はこうだというのは逆ではないか、そういう転換期じゃないか、私はこう思うんですけれども、まあ、これは結果がどうなるか。

 しかし、この七年起こったことといえば、あの大規模商業施設が商業地域に行くんではなくて、現実として白地地域とかほかの地域に圧倒的に行ったという現実がもうこの七年間あったという中で、この準工業地域は許されるということで残ったわけでありまして、そういう仕組みは確かにあるものの、実際はそうはいかないんではないかと私は危惧をいたします。数年後のこの運用の実態がどうなるかというものを見守らざるを得ませんけれども、その点はしっかりと私も見守っていきたい、かように思います。

 それでは、もう時間が少なくなりました、本当に困りますが、次に、もう一つの抜け穴、抜け道と思われるのがございます。

 市街化調整区域や白地地域でも、地区計画の提案制度を活用すれば大規模集客施設の立地が可能になる、こういう仕組みでございます。これもコンパクトシティーという理念を強く強く出して首尾一貫させるならば、これは立地規制をかけるべきものではなかったかと私は思いますけれども、なぜこういう制度に、中途半端とまで言いませんけれども、踏み込め得なかった理由というものは何だったのか、お答えをいただきたいと思います。

柴田政府参考人 今回の措置につきましては、中途半端ということではございません。今回改正しようといたしておりますのは、平たく言いますと、大規模集客施設等につきまして、原則立地が可能である、もしそこに立地を抑制しようとすれば、都市計画の手続で市町村が特別用途地区等を張ってここは立地させないということで、現行はそういう仕組みになっているわけでございますが、今回新たな都市計画法の改正でお願い申し上げておりますのは、原則規制をかける、ただ、規制をかけるだけではこれは困るものですから、立地をしたければ、そこを都市計画の手続でもって立地をさせてくださいと。

 今は何の、何の手続もないというのはちょっと言い過ぎかもしれません、手続もなくどんどんできていっているものを、一たん原則禁止、それで、立地するニーズもあるわけですので、そのときには都市計画という手続で、透明性のある公平な手続でもって住民の意向も入れながら地域がよく判断してくださいというふうに制度を転換したわけでございますので、その立地をするときの仕組みとして、用途を変えるということもございますし、今回の新しい地区計画制度というものを用意いたしまして、立地する場合にはどちらかでやっていただきたいということをやっているわけでございます。

 また、市街化調整区域につきましても、大規模開発であれば、現在は法律上、二十ヘクタール以上の大規模開発につきましては開発許可ができるわけでございますが、それももう現状その役割は終わったんじゃないだろうか、この制度を利用して大規模集客施設等がかなり立地してきているということもございましたので、これも廃止する、今後そこで立地する場合には、地区計画に基づくものに一本化していこうというぐあいにしているわけでございます。

 そういう意味で、妥協だとか中途半端ということではなくて、物の考え方、哲学を逆転したがために必要な措置をとらせていただいたということでございます。

古賀(一)委員 確かに地方の主体性という問題はあると思うんですけれども、でも、今のお話は、ヨーロッパの都市、町から考えれば、もちろん生い立ちは違うんですけれども、コンパクトシティー、これらが広がってこれだけの問題が起こったからコンパクトにいわば集約していこうという流れからいうと、まだ私はやはり中途半端だと思うんですよ。

 提案制度で、地区計画で、そういう縛りをかけているといっても、私は、実際のところ、この制度を活用して、またいろいろなところに依然いろいろな施設が建っていくと。最近、私の地元にも、農村の畑のど真ん中に巨大なる遊戯施設場ができました。こんなところで大丈夫かねと思って今でも心配はしておりますけれども、こういう提案制度、ピンポイント的にディベロッパーの人がこの提案制度を活用して、依然、土地が安い、駐車場は幾らでもとれるということで、結局この制度を使いながら、やはり郊外立地型のそういうものが今後も実はどんどんできていく、それをとめることができないということになりはしないかと私は心配をしております。

 確かに規制は強化される方向で来ましたけれども、そういう道が残っておって、それをやはりディベロッパーなりそういう人たちは最大限使ってやっていくのではないか。そうすると、当初この法律を出したときに言うコンパクトシティーという概念は実際のところしり抜けになっていくのではないかという懸念を、今は施行していませんからわかりませんけれども、社会の実態、土地利用の実態から見てそういう懸念が残るということは、私はやはり指摘をしておきたいと思います。

 もう時間がないので最後の質問になろうかと思いますけれども、今度、道路局長お見えですね。私は、先ほど、都市計画というのは都市計画法制だけでやっても十分でないところはたくさんあるんです、やはりいろいろな手段を絡み合わせながら総合的な対応をやっていくべきだとかねがね思っておるところでございます。今回は都市計画という法制の中でいろいろな改正をされまして、郊外部ではなかなか大規模集客施設等々が、商業施設が建たないようにという方向で生まれましたけれども、こういう思想を、国土行政一般にコンパクトシティーという理念を徹底されるならば、ほかの各局の行政もこれに呼応すべきだと私は思います。

 それで、道路局長にお伺いしたいのは、一番きくのはやはり道路の立地規制だと思うんですよ。

 既にあるところにこういう商業施設が立地するということもありますけれども、大体において、私の地元にもたくさんありますよ、例が。渋滞解消を旨として改築が行われる、バイパスができる、大体数年しますとここに商業施設が張りつく。そしてそれが、本来、通過交通のためという目的で道路財源を使いながらできたにもかかわらず、十年後、十五年後には物の見事な街路に変貌し、五十メーターごとに、極端に言えば車の出入り口がある、信号機が二百メーターごとにあるという、そのようになっていくんです。そして、その沿道に立地したお店というものは、実は中心市街地に本店を持っている店屋さんというのがほとんどでありまして、結局、バイパスが中心市街地のいわゆる空洞化の原因になっているという現実があちこちでございます。

 そうしますと、道路行政の、バイパスをつくったときの最初の目的は通過交通でありますから、簡単なことであります、通過交通のためにバイパスをつくったのならば、沿道にそういうものが立地できないように規制をかける。規制をかけることが無理であるならば、道路構造令を変えまして、そういう趣旨でできたバイパスについては両方に、幅一メーターでも二メーターでもいいんですが、いわゆる緑地帯を構造令上もうつけちゃって、緑豊かな緑地線をそこに引けば、これは立地しようにも立地できないということになるわけで、道路行政の目的、中心市街地を守る、環境豊かな美しい道路ができるということも達成される。

 私は、そろそろ、こういう沿道における立地規制なり道路構造令で緑地を必ずつけていく、そういう方に、中心市街地活性化の意味からも、あるいは都市の中心市街地のあり方から見ても、そういう手だてをあわせ講ずるべきだと思っておりますけれども、こういう案に対して、ひとつ道路局、御検討される予定はございませんか。

谷口政府参考人 お答えいたします。

 委員の方から、かなり根源的な投げかけをいただいたのではないかと思っております。

 日本は道の文化、ヨーロッパは都市の文化、こう言われておりますが、そうした歴史的な都市の形成過程が異なるのではないかというようなところがバックグラウンドとして大きな問題を抱えておるのではないかと思っておりますが、いずれにしましても、沿道とどう調和していくのかということで変化してきているということではないかと思っております。

 日本では、今御指摘もいただきましたが、諸外国と異なりまして馬車交通時代を経ておらないということでございますので、モータリゼーションに対応するために、町中から通過交通を排除するということでバイパス整備というようなものが有効な手段というようなことで、かなり整備をさせてきていただいているところでございます。

 バイパス整備に限らないわけでございますが、整備する道路の構造につきましては、地元の自治体や住民の要望を踏まえて、場合によっては都市計画決定、最近は都市計画決定が多いわけでございますが、都市計画に定めるなどにより、まちづくりと調整を図りながら当該道路の役割に応じ決定をさせていただいているということでございます。

 御指摘のありました緑地帯につきましては、道路構造令におきまして、専ら良好な道路交通環境の整備または沿道における良好な生活環境の確保を図ることを目的として、第四種第一級及び第二級の道路、都市内の幹線道路ということでありますが、そうした道路には植樹帯を設けるものとし、その他の道路には、必要に応じ植樹帯を設けるものとすると規定をさせていただいておるところでございます。

 バイパス建設に際して、その沿道における立地を規制するか否かにつきましては、目指すべきまちづくりの方向や沿道住民の利便性の確保など地域からのニーズなどを踏まえ、さまざまな観点から総合的に検討を行うべきものと考えておりまして、バイパスの沿道立地規制の必要性につきましては、道路単体ではなく、まちづくりなどの観点を踏まえ、総合的に検討することが必要であると考えておるところでございます。

古賀(一)委員 局長、私は、答弁はそういうことかもしれませんけれども、全国の地方都市の現状を見ますと、実際のところ、大規模商業施設が来たという影響も確かに大きいんですけれども、でも、もっと大きいのは、バイパスができる、それが、先ほど言いましたように、バイパスの機能を全然果たさなくなり、中心市街地のうどん屋さんとかいろいろな商店がそこに支店を張り出して、結果として空洞化、そしてバイパスは渋滞という、これが一番実は空洞化の大きい現象に現実になっていると思うんですよ。

 それは、道路局は、沿道規制までという、そんな強力な権限をやったら調整が大変だという話はあるでしょうけれども、現実として、今まさに国会にかけて、中心市街地の空洞化が長年問題になっている、その原因の一つはまさに私は道路部分にあると思うんです。

 かつては、沿道型商業施設というのは日本の経済成長を引っ張った時期もあります。でも、現状を見ると、もうそういうものは大体、不必要というか、将来はやはり閉店になる、倒産するようなところでありまして、今こそは中心市街と都市交通を守る、そして、ガソリン税の問題もありますけれども、税金を取った趣旨、その趣旨を貫徹するには、そこまで道路行政が考える時期だろうと私は痛切に思います。

 先ほどのは非常に遠慮した、一部、環境でニーズがあるところはと、いろいろなまちづくりが優先しますとおっしゃっているけれども、道路行政が、ガソリン税をもらいながら、こうして何百億、何千億かけて、通過交通という名目で、自動車ユーザーから取った金でつくりながら、実際は双方に迷惑をかけていっておるという現実はしっかり受けとめて、もう少し真剣にこの問題をとらえて、今後の大きな検討課題として省内で、道路局内で議論をぜひいただきたい、かようにお願いを申し上げまして、もう一点実はあったんですけれども、きょうは終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

林委員長 穀田恵二君。

穀田委員 都市計画法の改正について質問をします。

 今回の都市計画法の改正案は、まちづくり三法の一つとして見直されるものです。ですから、私はこの際、まちづくり三法についても、大きく、広くこの点を大臣と議論をしたいと考えています。

 これまで当委員会でも、中心市街地の疲弊、そして都市の無秩序な拡散のひどい実態が議論されてきました。さらに、先日、前橋に、私ども委員会として調査視察に参りまして、そこでもそうなんですけれども、全国どこでも深刻な状況が広がってきています。この点での認識については大体異論がないと思うんです。

 では、問題は、なぜこうなったかという点に私は議論が必要だと思うんですね。こういう中心市街地の疲弊、それから都市の無秩序な拡散、いわば町壊しをしてきたその原因はだれであり、だれがやってきたのかという問題についてはっきりさせないとだめだ、そして、それを放置してきた政治と行政の責任についてどうなのか。この辺のいわば大きな議論といいますか、その立て方が大事であると思うんです。

 したがって、私は、政治と行政の責任について、まず、大臣がどのように認識しておられるか、お聞きしたいと思います。

北側国務大臣 多くの地方都市におきまして、大規模集客施設の郊外立地等によりまして都市機能の無秩序な拡散が進行して、中心市街地の衰退傾向に歯どめがかからないという状況でございます。

 この背景は、一つは、あの九〇年ころまでの本当に異常な地価の高騰、そして、その後のバブルの崩壊による経済の長い低迷、これが大きな背景にあると思いますが、一つは、やはりモータリゼーションの進展による大規模な集客施設の郊外立地が進んだこと、さらには、役所や病院や学校という公共公益施設までが、建てかえ等のときに、狭いということで郊外の方に移転してしまう、この郊外移転などが公共公益施設でも進んでいること、さらには、そうした公共公益施設が郊外に移転するわけですから、当然居住する人口だって減ってまいります。中心市街地での居住人口が減少して、そもそも中心市街地というのはコミュニティーとしての魅力が低下をしていること、そしてまた、中心市街地の中の商業者の方々等が顧客のニーズに合った対応が必ずしも十分できていない地域もあると思われること、こうしたさまざまなことが要因となって中心市街地の衰退傾向というのが続いているというふうに思います。

 平成十年の際に中心市街地活性化法の制定や都市計画法の改正をしたわけでございますけれども、しかし、こうした施策におきましては、商業振興策が中心となっておりまして、中心市街地に住むなり生活するなりという、こうした生活空間としての中心市街地としてのとらえ方が十分でなかったというふうに考えておりまして、町中居住の促進や都市機能の集積というものをこれからしっかりとやっていく必要があると考えております。

 また、今は自動車交通が発展していますので、一つの市町村でさまざまな規制をやっても、隣の市町村で大規模集客施設が来れば大きな影響をこうむってしまうわけでございまして、やはり広域的な観点からの適正立地が必要だと思います。

 そうした措置が十分でなかったというふうに考えているところでございます。

 今回、こうした反省点を認識しまして、中心市街地の振興のための支援策の充実や、都市機能の適正な立地のための都市計画制度の充実について改正をお願いしているところでございます。

穀田委員 まず、現象はそのとおりだと思うんです。

 二つ目に、ただ、要因も、それはあったと思うんです、モータリゼーションを初め、経済の変容、また広域都市化などあったと思います。反省も一定された。でも、一番大事な点は、行政と政治に責任があるということを深く認識するかどうかだと私は思うんですね。

 といいますのは、日本商工会議所、全国商工会連合会、全国中小企業団体中央会、全国商店街振興組合の四団体は、まちづくり三法の改正を提案し、そこには、まちづくり三法の効果は得られなかった、そして、中心市街地の衰退を地域全体の危機と言える状況だと、現状を厳しく指摘しています。これは、大体お互いにそういう認識だということは、そのとおりです。そこから、大型店を含むアミューズメント施設等も対象にした大規模集客施設立地法の制定を求めている。つまり、政治と行政に今、新しい、その意味で、まちづくり三法というところに問題があった、そして、それを行政に責任ありと訴えたと言っても過言ではないと思うんです。

 この間の委員会の中でも、各党それぞれ、焼き畑商業という話までありました。それで、私も自民党の機関紙を見ますと、焼き畑商業と書いていまして、批判をしているんですね。

 だから、きのうもあったんですけれども、町というのは、まちづくりというのは文化なんだ、風土なんだ、それを一時のもうけだけでどんと来られては、それでやられてしまった日にはもう壊滅だという話もありました。

 問題は、その意味で、商店街や住民が長い間築き上げてきた町、生活の場を、もうけのためならそれを壊しても構わない、さらには、もうからなくなれば平然と撤退する、こういう身勝手な商法を大手商業資本がとってきた。ここにこそ、私は町壊しの最大の罪があるということを考えています。

 そして同時に、こういう町壊しに対して、それに対応するルールをどうしたらできるかということで努力せずに、それを改めるような有効な手だてをとってこなかった政治の責任が大きい、こう私は考えています。

 そこで、九八年に大店法を廃止し、規制緩和が行われました。今、その点を今度は見てみたいと思うんです。

 今私が言いましたように、大型店規制の有効なルールをつくらなかっただけではなくて、十分ではないけれども今まであった規制をさらに緩和し、大手商業資本の身勝手な町壊しに手をかしてきた。

 きのうもこれは参考人質疑でありましたけれども、当時の大店法の改正というのは、アメリカの市場開放の要求だったことはもう紛れもない事実です。今日の事態というのは、その三法が機能しなかったというんじゃなくて、町壊しを加速したと考えるべきだと私は思うんですね。

 当時、私どもは、大店法を廃止するのに反対をしました。強化すべきだということを提起した。なぜなら、当時も既に中心市街地の空洞化は深刻であったし、大型店の郊外への出店ラッシュ競争もすさまじいものでした。中心市街地から、さらには既存の大型店の撤退が相次いだりする。そのもとで、まちづくり三法では大型店の身勝手な出店はとめられないという不安が多く商店街や国民からも上がっていたわけです。

 それでも、出店規制というのは都市計画法の用途規制で行って、空洞化した中心市街地活性化のために一兆円規模の支援をするから大丈夫だ、これは先ほども随分議論になりました。一兆円の使い方の話も出てきました。そう言って、大型店の立地そのものの是非を問わない大店立地法に変えました。

 その結果はどうか。大型店の出店は野放しとなって、中心市街地活性化は見るべき成果がないということが今日の事態ではないかと思うんです。だから、大店法廃止が町壊しを加速させた、この総括と反省が私は政治には必要だと考えています。

 大臣は、この町壊しの現状、状況というのをつくり出した要因として、大店法の廃止そのものが影響しているという認識はあるでしょうか。その辺を問いたいと思います。

北側国務大臣 旧大店法でございますが、これは廃止をされたわけでございますけれども、これは中小小売業の事業活動の機会を確保するための経済的規制でございまして、これを継続することは適切ではないという判断に基づいて行われたものというふうに承知をしておるところでございます。商業調整について行わないという趣旨だと思うんですね。

 今回私どもが考えておりますのは、そういう商業調整の次元ではなくて、都市計画という観点から、まちづくりという観点から、やはりこの大規模な集客施設の立地というのは、都市の構造やまたインフラ整備に少なからぬ影響を与えていくことになるわけでございまして、そういう観点から、立地について、きちんと都市計画という観点から適正な立地を確保しなければならないというふうに考えて、今回の法律の改正をお願いしているところでございます。

穀田委員 いや、大店法の影響については余りなくて、商業調整を行わないということなんだと。

 ただ、きのうも議論になっているんですけれども、二つ言いたいと思うんですね。

 まちづくりというのは、やはりその町の商業も含めた文化もあるわけですよね。そのところに例えばどんと乗り込んでくるということは、町がずたずたにされるということも、きのうの参考人質疑で議論になっているんですね。商業も含めたのがまちづくりなんだ、その一構成部分だということなんですね。

 それともう一つは、商業調整を行わないということが何かあたかもいいことかのように言うんですけれども、肝心の市場開放を要求しているアメリカはどうかというと、商業調整、社会経済規制は行わないというふうな議論がありますけれども、そうじゃないんですね。社会的規制や経済的規制というのは混然一体とやっておって、地方自治体を中心としたところで、アメリカ全体の政府はやらないけれども、それぞれの自主的な力に基づいてやっているんですよね。それがまちづくりなんですよね。

 だから、私は、まちづくりと商業、その及ぼした、大店法の廃止による事態があるじゃないか、ここを言っているわけなんですね。だから、国交省は、商業調整を行わないという議論から始まって、まちづくりなんだと論理展開をすぐ切りかえるわけですけれども、そうじゃないんですよ。まちづくりの中に商業調整もあるんだということが世界の考え方なんですよ。そこをしっかり見ないとだめだ。そうでないと、逆に、なぜ町壊しが進行したのかということが説明できないわけですよ。

 だから、簡単に言えば、商業調整、規制というのはなくして、どんどん大型店が入り込むようにしちゃったという結果なんですよ。私は京都なんかにいますと、その事態がどういう事態になっているかということを本当に感じますよ。いわば町壊しが京都で行われて、京都が京都でなくなるような事態がずっと生まれる、その先兵としてそういう役割を果たしたところがあるということが多くの方々が思っておられるところです。

 しかも、昨日の参考人質疑において、矢作参考人はこう言っていますし、彼の著書でもそう書いています。「この十余年、大型店問題に関して日本は、世界の先進諸国・都市が目指してきた方向とは、ひたすら逆に疾走してきたという事実である。その認識からスタートしなければ、効果的なまちづくりははじまらない。」と発言しているんですね。

 だから、今私が言いましたように、規制緩和万能でいって、商業調整はしないんだ、こういうやり方が実は世界の流れから逆行している、そのことが、やはり効果的なまちづくりをする上では、その反省から始めないとだめだと言っているのについても少し着目していただきたいと思っているところです。

 そこで、今、私はアメリカの例を言いました。大店法を廃止しただけじゃなかったんです。かわりにつくった大店立地法、大規模小売店舗立地法の十三条では、自治体が条例などで大型店出店に対して商店街に与える影響を勘案するということを事実上禁止したんですね。大型店出店の抑制策をとろうとする自治体の手足を縛ってきた。

 今回のまちづくり三法の見直しでは、大店立地法については手をつけていません。これはまちづくりの原則といいますか根本にかかわる問題ですが、まちづくりというのは、きのうも青森そして富山の両市長が参加されましたが、地方自治体や住民、NPO、そういういろいろな方々が参加をして、主体性を持って計画を実施してこそ意味があるということが強調されました。

 その意味で、今回の法案の提案理由でも次のように書いています。地域の主体的な判断により的確に対応するためと言っているわけです。だとすると、こういった大店立地法の十三条というのは、この精神自身も真っ向から否定する条文であって、廃止が必要とちゃうのかというふうに思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

北側国務大臣 大規模小売店舗立地法、これは経産省の所管の法律でございます。合同審査の際に経済産業大臣にぜひ答弁をお願いしたいというふうに思いますが、やはり、まちづくりに関しては、これは、都市計画の策定手続を通じて、地方公共団体が、住民の意見というものを十分に反映して、適切に判断を行っていくことが適当というふうに考えているところでございます。まちづくりという観点から都市計画等の規制ができるように考えております。

穀田委員 肝心な点は、それはそっちに聞けと。だから、私、ほかの局長じゃなくて大臣に答弁を求めたわけですよ。それは、大臣、確かに所管はあっちなんですよ。だけれども、先ほど大臣も最後に、まちづくり、まちづくりと言わはるわけでしょう。まちづくりにとって、主体がここにある、その主体がやろうと思ってもこれはできない仕掛けにある、こういう問題はどうなのか、こういういわば仕掛けに関する議論なんですよ。だから、その辺は言ってもらわなくちゃだめじゃないでしょうか。

 先ほど、私、アメリカの例を述べましたけれども、欧米諸国では、大型店などの抑制策というのは、建築のサイドからも禁止しているんですよね。原則禁止による土地利用の規制とともに、中心市街地への影響がない場合のみ郊外立地を認められるなど、厳しく規制をしている。これはイギリスの例です、御存じのとおりです。だから、地域商店への影響も、今お話ししたように、まちづくりの一つとしてとらえて、大店立地法のような、商業調整を排除する、それを自治体がやっちゃならぬというふうなことについての法令は存在しないんですよ。

 だから、私が今言っているのは、二つの角度から言っているんですよ。まちづくりということからすると、商業というのは大事な部分を占めている。それから、まちづくりという観点からすると、地方自治体がかぎだ。そういうものをやった場合に、独自にいろいろなことをできる権限を失わせているのはおかしいんとちゃうか、こう言っているんですよ。だから、大臣に聞いているんです。だから、それは何も、あっちに聞いてくれじゃないんですよ。その辺、いかがでしょうか。

北側国務大臣 商業的な需給調整として大規模店舗の立地を規制していくというのは、私は、率直に申し上げて、やはり違うんじゃないかと思うんですね。

 私は、都市計画、まちづくりという観点の中から、この地域についてはこういう都市のあり方をしていくんだ、それを都市計画の中で市町村がつくっていくということ、こういうあり方がやはり正しいのではないかと私は考えております。

穀田委員 どうも舌足らずのように思いますけれどもね。ちょっとえらいはしょって言ってはるから、それだけでは本質的議論になりませんわな。

 というのは、商業調整と今言わはるけれども、ゾーニングでやれ、要するに、簡単に言えば、都市計画でやれ、ゾーニングでやれということですわね。それは、都市計画のサイドからいうとそうなんですよ、それもあり得るんですよ。だけれども、まちづくりというのは、商業も含むまちづくりだということを私は言っているんですよ。

 しかも、アメリカなんかの場合には、おらが町、おらが町、その商店街もおれらの町だと。そういうのにふさわしいかどうかという商業調整をするんですよ。社会的規制、経済的規制、混然一体となってやっているんですよ。だから、私はそこを言っているということを、ぜひこの機会に少し理解していただきたいと思うんです。

 それほどゾーニングと言うんだったら、大型店出店規制というのは、先ほどあったように、商業調整から、土地利用の規制、ゾーニングで行う、こう言っているわけですが、九八年の特別用途地区制度だとか二〇〇〇年の準都市計画区域制度の導入で、では、どれだけ大型店出店規制が実施されたかというと、ほとんど有効に働いていないわけです。だから、今回も見直そうということになっているわけです。

 そこで、なぜ有効に働かなかったかということの総括も必要だと私は考えます。

 調べてみますと、九八年、二〇〇〇年の都市計画法の改正というのは、店舗の規模制限を可能とした特別用途地区や特定用途制限地域の導入もあった。しかし、これはほとんど使われなかった。一方、当時の中心的な改正内容である市街化調整区域の開発基準の緩和、これはよう使われたんとちゃうか、こういう規制緩和が中心になったんじゃないかという点では、局長、いかがですか。

柴田政府参考人 都市計画のゾーニングの点につきましては、先ほどから答弁いたしておりますように、現行の都市計画法におきましては、広い地域で大規模集客施設の立地が可能であるというような状況の中で、一つの市町村が特別用途地区等によりまして規制をしたところで、近隣の市町村の方で立地がされるというようなこともございまして、なかなかうまく機能しなかったということは事実でございます。

 それから、市街化調整区域についての規制の緩和という御指摘がございますが、平成十二年には幾つかの市街化調整区域についての改正をいたしてございます。

 これは、いわゆる既存宅地制度を廃止しております。これは、市街化区域に近接、隣接する地域等において、市街化調整区域が決定された際に既に宅地であった土地について、これは都市計画法第四十三条の許可を受けずに建築行為ができるとする制度でございます。これによりまして、市街化調整区域におきまして、非常に大規模な建築物だとか、周辺環境と調和しない建築物が無秩序に立地するなど、大きな問題となっておりました。そういった中で、この既存宅地制度というものを廃止しました。

 あわせて、新たな立地基準を追加しております。これは、既存宅地制度の対象とされておったような地域、要するに、市街化区域に近接し、あるいは隣接する等の土地の区域につきまして、その区域と周辺の地域の環境の保全上支障があると認められるものを禁止する用途制限を条例で限定すれば、例えば第一種住居専用地域と同様の用途制限を条例で限定すれば、当該条例に適合するものについて開発許可の対象となるとしたものです。

 ちょっと複雑でございますが、この改正、一見、開発許可の基準を緩和したようにも見えるんですが、実際は、問題の大きかった既存宅地制度を廃止するとともに、当該制度の対象地域に相当する地域において、これまでのように無秩序に立地するんではなくて、許可対象となる用途を限定しまして無秩序な開発を抑制しようとするものでありまして、むしろ逆の方向であったというぐあいに我々は考えております。

穀田委員 そういう言い方もようあるなと私は思いますが、現実を見たら、実際は、例えば特別用途地区の導入なんかでも、全国市でも、広く見積もっても全国でわずか六市町村だ、活用されていない、こういう問題もありますし、それから、後半の方で言うならば、実際は無秩序に広がったという現実が意味をなしていないということだけ言っておきたいと思います。

 時間があと五分なものですから、では、一つだけ質問しておきたいと思うんですけれども、私は、制限地域という問題で、まず、商業地域も含めて、本来、原則禁止しなくちゃならぬと思っているんですね。ただ、今回の場合、準工業地域は大型店の出店が急増している地域であり、原則禁止すべきだというふうに考えています。

 そこで、二〇〇〇年以降、準工業地域に一万平米以上の大型店が立地した実績はどうなっているか、地方都市と三大都市別にお答えいただきたいと思います。

山本政府参考人 平成十二年から平成十六年までの五カ年間ですが、全国で一万平米を超える大規模商業施設は五百二十五件立地しておりますが、このうち、準工業地域につきまして、地方圏で五十六件、三大都市圏で五十二件でございます。

穀田委員 そういう非常に大きなところで、準工業地域にも出ている。だから、ここにやはり歯どめをかける必要があるということを言っておきたいと思います。

 では、もう一つだけ。

 法案では、床面積一万平米以下の大規模集客施設は規制の対象外となっています。そこで、今回一万平米を超えるものの規制対象となる地域に、九六年から二〇〇四年までの間に、三千平米を超え一万平米以下の大型店の立地状況は、地方と大都市、先ほど言いました点でそれぞれどうなっていますか。

山本政府参考人 数字だけ申し上げます。

 地方圏で千六百四十二件、三大都市圏で五百八十七件でございます。

穀田委員 今、地方圏で千六百四十二ですね。三大都市圏で、山本さん、五百八十七ね。

 それで、一万平米を超えるところと比較するとよくわかるんですよね。地方圏では六百四十件で二・五倍、大都市圏では四百十件で一・五倍もある。つまり、今回規制対象となる地域の立地が全体の立地の半分以上。だから、先ほど問題にした、規制から外れた準工業地域を含めると七五%にもなる。したがって、このうち多くが一万平米以下の大型店で規制対象からは除かれたことになる。こういうものになっちゃうわけですね。

 だから、今二つ、準工業地域、そして今言ったように一万平米を超えるというだけでは不十分じゃないか、この点がすごく大事だと私は思うんですね。その点、大臣、最後、こういう点についても規制を強化すべきではないかという点、いかがでしょうか。

北側国務大臣 準工業地域にも規制しろ、また一万平米以下についても規制を検討すべきではなかったか、こういう御質問でございます。

 これは、率直に言うと相当議論がありました。相当議論がありまして、政府・与党間の最終的な取りまとめの際に、準工業地域については規制対象といたしませんが、ただし、準工業地域に大規模集客施設が立地した場合の中心市街地への影響が異なることから、特別用途地区の活用によって準工業地域における大規模集客施設の立地規制を促進することとしまして、これを中心市街地活性化法に基づく基本計画の大臣認定の要件というふうにさせていただいたわけでございます。

 したがって、中心市街地活性化法に基づく認定を受けませんと支援が得られないことが多いわけでございまして、そういう認定を受ける要件として、地方都市の場合については、そういう特別用途地区の活用によって立地規制を促進するということを前提とさせていただいておるということでございます。

穀田委員 一言だけ。

 ただ、私が言いたいのは、何でこれ、議論があったことは知っています。ただ、準工業の問題でいうと、やはり報道によると、不動産協会をバックにした日本経団連の強い意向に配慮した自民党の政治裁定により、最終的には三大都市圏と政令市に限って準工業地区での立地が引き続き可能となった、こういう報道もあるぐらいなんですね。

 私は、やはりこの問題というのは、事実とすれば、不動産協会などの圧力で規制対象から外されたんと違うのかという点を、あえて、私は問題意識を持っているということだけお伝えをして、終わります。

林委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

     ――――◇―――――

林委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 国土交通行政の基本施策に関する件調査のため、来る十一日火曜日、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

林委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、来る十一日火曜日委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時五分散会


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