衆議院

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第2号 平成19年2月21日(水曜日)

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平成十九年二月二十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君

   理事 西銘恒三郎君 理事 葉梨 康弘君

   理事 山本 公一君 理事 伴野  豊君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    梶山 弘志君

      亀岡 偉民君    北村 茂男君

      木挽  司君    坂本 剛二君

      桜井 郁三君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      関  芳弘君    薗浦健太郎君

      徳田  毅君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    原田 憲治君

      松本 文明君    宮澤 洋一君

      盛山 正仁君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    泉  健太君

      黄川田 徹君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      村井 宗明君    鷲尾英一郎君

      赤羽 一嘉君    伊藤  渉君

      穀田 恵二君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      望月 義夫君

   国土交通副大臣      渡辺 具能君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   国土交通大臣政務官    藤野 公孝君

   政府参考人

   (人事官)        小澤 治文君

   政府参考人

   (人事院事務総局職員福祉局次長)         湖島 知高君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (警察庁警備局長)    米村 敏朗君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 椎川  忍君

   政府参考人

   (総務省人事・恩給局長) 戸谷 好秀君

   政府参考人

   (消防庁国民保護・防災部長)           小笠原倫明君

   政府参考人

   (厚生労働省政策統括官) 金子 順一君

   政府参考人

   (農林水産省農村振興局整備部長)         實重 重実君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 竹歳  誠君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     柴田 耕介君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        藤田 伊織君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            渡邊  東君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         中島 正弘君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     江藤  隆君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  平田憲一郎君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  中尾 成邦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 平山 芳昭君

   政府参考人

   (国土交通省航空・鉄道事故調査委員会事務局長)  各務 正人君

   政府参考人

   (気象庁長官)      平木  哲君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石川 裕己君

   参考人

   (独立行政法人水資源機構理事長)         青山 俊樹君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

二月二十一日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     木挽  司君

  小宮山泰子君     村井 宗明君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  木挽  司君     関  芳弘君

  村井 宗明君     小宮山泰子君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

同日

 辞任         補欠選任

  関  芳弘君     鍵田忠兵衛君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長竹歳誠君、大臣官房総合観光政策審議官柴田耕介君、大臣官房官庁営繕部長藤田伊織君、総合政策局長宿利正史君、国土計画局長渡邊東君、都市・地域整備局長中島正弘君、都市・地域整備局下水道部長江藤隆君、河川局長門松武君、道路局長宮田年耕君、住宅局長榊正剛君、鉄道局長平田憲一郎君、自動車交通局長岩崎貞二君、港湾局長中尾成邦君、航空局長鈴木久泰君、政策統括官平山芳昭君、航空・鉄道事故調査委員会事務局長各務正人君、気象庁長官平木哲君、海上保安庁長官石川裕己君、人事官小澤治文君、人事院事務総局職員福祉局次長湖島知高君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、警察庁警備局長米村敏朗君、総務省大臣官房審議官椎川忍君、総務省人事・恩給局長戸谷好秀君、消防庁国民保護・防災部長小笠原倫明君、厚生労働省政策統括官金子順一君及び農林水産省農村振興局整備部長實重重実君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人水資源機構理事長青山俊樹君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長崎幸太郎君。

長崎委員 自由民主党の長崎幸太郎です。

 本日は、初めて国土交通委員会で質問する機会をいただきました。本当にどうもありがとうございます。

 きょうは、地方における移動の円滑化に関する諸問題を中心に質問をしたいと思います。

 我が国経済は景気回復基調にはありますが、まだ地方にはその実感が及んでいないという、まだまだ厳しい状況にございます。十九年度におきましては、この景気回復基調をいかに地方に波及させるか、こういう点が大変重要な問題であると認識しております。地方の景気の立ち上がりが遅いのは、さまざまな要因があるとは思いますが、一つにはインフラ整備が都市部と比較しておくれているのではないか、これも大きな要因ではないかと思います。

 経済活性化には人と物と金の移動の円滑化をいかに図るか、これが大変重要なポイントだと思いますが、この点、人と物の循環に携わっている国土交通省の役割というのはますます大きくなっているんだと思います。冬柴大臣を初めとする国土交通省の皆様におかれましては、ハード、ソフト両面におきまして、その人と物の移動の円滑化について積極的な施策を展開されておりますことにまずもって敬意を表したいと思います。

 さて、本日は、人と物の移動に関する最も基本的な要素であります鉄道と道路についてお伺いしていきたいと思います。

 まず初めに、鉄道駅のバリアフリー化についてですが、鉄道駅のバリアフリー化に関しましては、昨年十二月に示されました移動等円滑化の促進に関する基本方針、これにおきまして、乗降客数が一日五千人以上の駅につきまして平成二十二年に原則一〇〇%という目標を定め、これを実現するために助成を行っているものと承知しております。

 そこで、まずお伺いしたいのは、現時点における鉄道駅のバリアフリー化の進捗状況について教えていただければと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 バリアフリー化の進捗状況についてのお尋ねでございます。

 鉄道駅のバリアフリー化につきましては、乗降客数一日平均五千人以上の駅につきまして平成二十二年までに原則一〇〇%というバリアフリー新法に基づきます基本方針を実現するために、鉄道事業者に対しまして助成を行うなどによりまして取り組みを鋭意進めているところでございます。

 この乗降客数一日平均五千人以上の駅という考え方でございますが、五千人以上の駅が、オール・ジャパン全駅九千四百九十六駅ございます、この二九%に当たります二千七百七十一駅である一方で、この五千人以上の駅を対象といたしますことで鉄道利用者の九五%をカバーするということもございまして、これを対象として重点的な支援をさせていただいているものでございます。

 進捗状況でございますが、今年度末の見込みでは、五千人以上の駅の六三%のバリアフリー化が実現される見込みとなってございます。今後とも目標の達成に向けまして一層の促進を図る必要があることから、引き続き、鉄道事業者に対しまして取り組みの加速化を求めていこうと考えているところでございます。

 また、御指摘の一日当たりの乗降客数が五千人未満の駅につきましても、バリアフリー化を進めることは重要な課題であると認識してございます。これまでも、五千人未満の駅でありましても、高齢者の方や障害者の方々の利用が多い駅でありますとか、駅周辺のバリアフリー化と一体的に駅のバリアフリー化を進めたいなどの理由から、市町村が移動等円滑化基本構想を策定される場合でありますとか、これと同等の取り組みを地域が一体となって行う場合につきましては、限られた予算の中ではございますが、支援を行ってきたところであります。

 ちなみに、平成十七年度末現在で、五千人未満の駅六千七百二十五駅中三十二駅につきましては、今申し上げました状況を勘案し、支援させていただいたところでございます。

長崎委員 ありがとうございます。

 私の地元では、山梨県ですが、JR中央本線、上野原から甲府まで大体十七駅ありますが、そのうち五千人以上はわずか四駅にとどまっております。地方では、地元の駅のバリアフリー化を求める声は大変強いものだと認識しております。しかしながら、五千人未満の駅が先ほど申し上げましたように大変多く、バリアフリー化状況が進まない状態にあるんだと思っております。

 そもそも田舎は都会と比べて高齢の方が多いわけですから、ますます田舎に対してむしろ都会よりも重点的にバリアフリー化を進めてもいいんではないかという意見もあろうかと思います。先ほど、五千人未満の駅でも三十二駅については既にバリアフリー化を進めていただいているということでありますが、なお今後一層、五千人未満の駅であったとしてもバリアフリー化を積極的に進めていただきたいと思いますが、この点に関しまして、冬柴大臣のお考えをお聞かせいただければと思います。

冬柴国務大臣 先ほど委員からの御指摘のとおり、昨年十二月十五日にバリアフリー法の基本方針を大臣として告示したところでございまして、その原則は、「一日当たりの平均的な利用者数が五千人以上である鉄道駅及び軌道停留場について」「移動円滑化を実施する。」これが原則でございますが、その後段に、「また、これ以外の鉄道駅及び軌道停留場についても、地域の実情にかんがみ、利用者数のみならず、高齢者、障害者等の利用の実態等を踏まえて、移動円滑化を可能な限り実施する。」ということがつけ加えられてありまして、そういう精神に基づいて、今局長から答弁しましたとおり、三十二駅、残念ながら山梨県はこの中に入っておりませんでしたけれども、三十二駅を五千人以下でもしているわけでございます。

 バリアフリー化につきましては、その負担は国のみならず事業者及びその地域の市町村等が三分の一ずつ負担していただくわけでございますので、地域の方々の熱意によって事業者とかそういうところが納得されるということが肝要だろうと思います。我々としましても、限られた予算でございますし、何といっても、大原則の九五%をカバーする五千人以上という駅を何としてもこの目標期間に達成しなければならないと思っておりますけれども、実情を踏まえて、先ほども言いましたように、弾力的にそこは配慮をさせていただきたいという思いでございます。

 要は、地域の方々の熱意とかそういうものが必要だと思いますので、よろしくお願いいたします。

長崎委員 ありがとうございました。

 引き続きまして、地域公共交通の活性化に関してお伺いしたいと思います。

 今、政府におきましては、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案、これを用意され、路面電車、いわゆるLRTの整備促進を行う方針であると承知しております。LRTは、住民にとって極めて身近な移動手段となり得るものでもありますし、さらに、観光客の誘導など、そういう効果も期待されるほか、もともと床が低い路面電車ということで、バリアフリーという観点からも大変すぐれたシステムであると思います。

 これはぜひ積極的に導入すべきものであると思いますが、このようなバリアフリー化されたLRTの車両導入につきまして、地方自治体が積極的支援を行うことができるように、現在、起債の対象とはなっておりますが、それのみならず、交付税措置も含めまして国として必要な施策を検討すべきだと考えますが、国土交通省の見解をお聞かせいただければと思います。

平田政府参考人 本格的な高齢社会の到来でありますとか障害者の社会参加への要請の高まりに対応するため、鉄道やLRTの車両についてもバリアフリー化が強く求められているというのは、委員御指摘のとおりでございます。

 国土交通省といたしましては、このバリアフリーの新法におきます移動等円滑化基準におきまして、車いすのスペースの設置でありますとかトイレの車いす対応化、さらには文字、音声による案内装置の設置などを新造車両に義務づけるとともに、バリアフリー新法に基づく基本方針では、平成二十二年までに総車両数の約五〇%をバリアフリー化された車両とすることを目標としてございます。その結果、ことしの三月末時点で、総車両数の約三六%がバリアフリー化される予定でございます。

 また、委員が御指摘のLRT車両の導入への支援につきましては、これまでも、路面電車の事業者が、従来の電車と比較いたしまして高い速達性でありますとか快適性を有し、バリアフリー化も図られるような低床式の車両を導入する場合におきましては、LRTシステム整備費補助という補助制度を設けまして、国と地方自治体がそれぞれ補助対象経費の四分の一を上限として支援を行ってきたところでございます。

 今後とも、地方自治体とも連携をしつつ、また、支援の方策について関係行政機関とも十分相談をしながら、LRTの車両導入に対する支援に取り組んでまいりたいと考えております。

長崎委員 ありがとうございました。

 交付税措置については政府部内で十分な調整もしていただいて、できるだけ地方自治体が負担感のないような形で積極的に導入できるように御配慮をいただければと思います。

 引き続きまして、地方におきましては、鉄道と同等、あるいはそれ以上に人と物の移動について重要な役割を果たすのが道路であります。

 私は財務省の役人をやっておりましたが、そのときは東京に住みまして、移動はほとんど地下鉄か山手線を使っているような状況です。車はたまに旅行の際に人から借りて使う程度でありまして、タクシーを使うというのも深夜残業から帰宅するときぐらいということで、恥ずかしながら、余り道路整備の重要性というものは生活実感としては感じられなかったのが正直なところであります。

 しかしながら、国会議員になりまして地元に居を移しましてから、状況認識は一変いたしました。我が地元の富士山ろくにおきましては、移動手段のほとんどが車であり、車でなければ移動ができない状況にございます。しかしながら、主要幹線道路に関しましては片側一車線のところが多く、所によっては大型車がすれ違えないような狭隘な道路が多々ございます。そうした中で、日常生活、市民の皆さん、大変渋滞の苦痛にさいなまれておりまして、単に渋滞だけではなくて、交通事故も多発するような地帯となっております。

 こういう状況では、地域の活性化というのはそもそも夢のまた夢でありまして、満足な日常生活を送るためにも、まずもって道路の整備が必要である、こう考えるに至っております。渋滞解消は市民の声であって、私としても過去を反省し、宗旨がえをせざるを得ないのが実際の現状だと思っております。

 そこで、個別の箇所の話で大変恐縮ではありますが、初めての国土交通委員会での質疑の機会ということでもありまして、市民を代表する国会議員といたしまして、国道百三十八号線の整備状況につきまして国土交通省にお伺いいたしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 国道百三十八号は、富士山ろくを通過する幹線道路でございます。先生御指摘のように、交通事故それから渋滞、これが多発している路線でございまして、特に富士吉田市内におきましては、新屋地区三キロの区間で渋滞長が千五百メーターを超える交差点が三カ所ございます。死傷者の事故の発生も県平均の五倍ということで、非常に高うございます。

 こうした課題の解消に向けまして、平成十八年三月に、山梨県渋滞見える化プラン、交通安全見える化プラン、こういうプランを立てまして、この区間を渋滞、事故対策を急ぐ対策優先箇所に選定をしております。

 現在、計画地域が富士箱根伊豆国立公園の区域に含まれておりますので、環境省と自然公園法に基づく協議を実施しております。また、文化庁と文化財保護法に基づく特別名勝富士の現状変更許可について協議を進めております。申しわけありませんが、少し手間取っておりますが、早急にこういった関係機関との協議を進めまして、できるだけ早く都市計画決定をいたしまして事業の推進を図ってまいりたい、こういうふうに考えております。

長崎委員 重ねてお伺いして恐縮ですが、環境省、文化庁との調整が調った後に都市計画の変更が行われれば事業が実施されるというようになる、こういう理解でよろしいでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 一生懸命やってまいりますが、協議が非常に順調にまいりますと、都市計画決定が平成二十年半ばぐらい、こういった時期にはできるのではないかなと思っております。急いでまいりたいと思いますが、都市計画決定後できるだけ早期に事業に入ってまいりたいと考えております。

長崎委員 ありがとうございました。

 もちろん、国道百三十八号のほかにも百三十九号あるいは東富士五湖道路など、整備を進めるべきポイントはございますが、いずれにしても、真に必要な道路は、地域の自立、活性化のためにその整備が不可欠でありまして、そのための財源確保につきましても、私といたしましても、微力ながら、国土交通省と力を合わせて尽力してまいりたいと考えております。

 この道路整備の財源に関しましては、もちろん国費も大変重要な要素ではあるんですけれども、他方で、直轄事業も含めまして、地方負担分についても十分配慮する必要があると考えております。

 都市部と比較して財政力が弱い地方の自治体におきましては、国の直轄事業を受け入れたくても地元負担分を負担できない、あるいは負担するのが大変であるがゆえにちゅうちょするケースがある、こういうことをしばしば耳にいたしております。

 実際、私の地元の山梨県におきましても、先般、知事選挙がございました。この選挙の争点の一つは、新直轄方式による高速道路整備の地方負担分、山梨県では百八十億と計算しておりますが、この負担を何とか軽くできないか、それが選挙の大きな争点でした。

 選挙では、この負担軽減を訴えて、新しく横内新知事が誕生したわけですが、いろいろ勉強しますと、そもそも新直轄方式による高速道路整備に関する地方負担分、これについては、新直轄を導入した際に、自動車重量譲与税の譲与割合の引き上げなどで国から地方に、地方負担に必要な額を既にもう財源措置をしているんだ、税源を移譲しているんだということであります。

 しかしながら、実際の配分、これに関しましては、交付税を通じた財源措置がなされておりますけれども、実際の支出とその交付税措置との間には乖離があって、この乖離を何とか是正すべきだ、これが山梨県民の声であります。

 そこで、本日は、総務省から椎川審議官においでいただいておりますが、新直轄方式による高速道路整備、これに関します交付税措置については、より地方の負担の実態に即したような算定となるように検討すべきではないかと考えますが、いかがでしょうか。

椎川政府参考人 お答え申し上げたいと思います。

 ただいま御質問のありました新直轄方式の高速道路整備事業に関します地方負担でございますけれども、御指摘がありましたように、地方道路譲与税によりまして、マクロ的には地方財源はきちんと措置されるということになっておるわけでございますけれども、交付税の算定におきまして、道路譲与税は一〇〇%基準財政収入額に算定をされるということでございますので、交付税の基準財政需要額の算定方法をどうするかということが問題になるわけでございます。

 個々の地方公共団体の地方負担に対しまして、現在は、まず地方債を九〇%充当いたしまして、その元利償還金の五〇%を交付税に、いわゆる事業費補正方式で算入をするということになっておりますので、その部分については事業実態に応じた財源措置がされる、こういう形になっております。残余の地方負担につきましては、単位費用方式、標準事業費方式で措置することを基本として考えてございます。

 このような財源措置のあり方につきましては、一方で交付税改革の議論がございまして、交付税につきましては、できるだけ単純で客観的な基準で決定できるような簡素な仕組みにするということを閣議決定しているところでございまして、そういう議論もある中で、ぎりぎりとり得る最高の措置を講じているというふうに考えているところでございます。

 しかし、昨今、各地方公共団体の財政運営が大変厳しくなってきておりまして、御指摘のような御意見があるということも十分承知しておりますので、今後、先ほど申し上げましたような交付税改革の議論の中でどのような算定を行うことが可能かにつきまして、関係地方団体の御意見もお伺いしながら検討を行っていきたいというふうに考えているところでございます。

長崎委員 ありがとうございました。

 交付税改革の方向は、簡素化するという方向ではありますが、これはすなわち、交付税を地方にとってもわかりやすく配分しましょう、こういうお考えだと思います。国から見れば、必要な財源を譲与している、しかし、地方から見ると、ちゃんとしっかりもらえていないのではないか、こういう点にわかりにくさがありまして、なるべくそういうわかりにくさを解消、あるいは、そういう実際の支出と乖離がなるべくないような算定方式の御検討をぜひよろしくお願いいたします。

 最後に、道路整備を初めといたしまして、地方のインフラ整備に携わる地方の建設業についてお伺いしたいと思います。

 地方の中小建設業は、地域の基幹産業としての性格も持っておりまして、雇用の提供あるいは災害時に対する対応の準備など、まさに地域の経済社会の維持発展に不可欠な存在、重要な役割を担っていると思います。

 私の地元の建設業者さんの中には、公共事業という国の事業に携わっているんだから、しっかりとした使命感を持って、たとえ採算が合わなくても、例えば除雪の際、これは年一回、二回しかないんですが、除雪はしっかりやろう、採算が合わなくたってやろう、仮にそれがお正月であったとしても、その待機のためにお酒を飲まずにしっかり頑張っている。あるいは、地域社会の一員として、公共事業をもらっているという点を踏まえて、各種のボランティアなんかも積極的に携わっているような状況にございます。まさに地域社会のソフトなインフラという側面も持っているんだと思っております。

 しかしながら、近年、建設投資の減少、これ自体は大きな国の政策あるいは経済動向にもよりますが、それ以上に、社会的イメージが余りにも低下している状況、ともすれば、土建屋さんとか言われて、何か悪いことをしているんじゃないかとか、余りにもイメージが悪い状況であります。さらに、名前のほかに、実際問題としても、低価格入札が行われておりまして、大変厳しい状況にある。

 もちろん、マクロ的な供給過剰構造というのは理解できるんですけれども、現在の状況は、まじめに努力している業者さんですら生き延びるのが大変困難な状況にある。このままこういう状況を放置してしまうと、地域社会のインフラが毀損し、要は、ソフトなインフラが毀損するという意味において、地域社会自体の危機に結びつくのではないか、こういう心配もしているところであります。

 そこで、この点はぜひ冬柴大臣にお伺いしたいのですが、地域の中小建設業者につきまして、これは地域のソフトインフラという性格に配慮し、建設業の社会的イメージの回復に向けて国として何か行うことはできないのか。さらに、公共工事の入札改革に際しましても、適正利潤、最低限生きていく適正な利潤を確保できるように何らかの配慮を行っていただくべきではないか。このように考えますが、御意見をお聞かせいただければと思います。

冬柴国務大臣 建設業は、立ちおくれております社会資本整備にとっても非常に必要不可欠な業種でありますし、また地域におきましても、基幹産業として雇用を、ほぼ働く人の一割弱を吸収していただいているという基幹産業でありまして、国民生活にとって、経済生活にとっても不可欠な業種であると思います。

 また、私も阪神・淡路大震災を経験しましたけれども、そのときに、みずから被災をしているにかかわらず、その復旧復興のために昼夜を分かたず頑張っていただいた建設業の方々に対して、多くの市民は非常に感謝の念を持っているわけでございます。

 近年、残念なことに、あってはならないことですけれども、談合とか低価格入札というようなことでこのイメージがダウンしていることは、まことに残念ではございます。

 しかしながら、平成十年に十四兆九千億という公共事業費が計上されていたわけですけれども、来年度、十九年度では六兆九千億まで、半分以下に落ちているわけです。大変厳しい公共事業、厳しい中で建設業は頑張っていらっしゃるというふうに思います。

 そこで、このイメージを回復するために、国土交通省としましては、一般競争入札制度を導入するとともに、総合評価方式ということで、それ以外の要件につきましてもそれに対して加味するということで、いろいろな工夫をしているわけでございます。

 その中に、例えば地域貢献度というような、先ほどおっしゃったように、過去、その地域でどれほど公共事業等に携わってこられたのか、その仕事ぶりはどうかというようなことが、非常に係数としては難しいけれども、その総合評価の項目として入れられないかどうか、そういうことも検討をさせていただきたい。私はそうあるべきだろうと思うわけでございます。

 また、このような建設業の方は仕事が減りました。しかし、民間需要も伸びていることは事実でございます。そういうことで頑張っていただきたいんですけれども、例えば、今まで公で管理をしていたものをアウトソーシングという形でこういう建設業の方に管理や補修その他をお願いするとか、あるいは農林水産業に進出をされるとか、いろいろなことをしながら、しかしながら建設業の本体を守っていこうとしておられる方もたくさんいらっしゃるわけでございます。そういう実態を踏まえて、国民の信頼を回復するために、ここは歯を食いしばって、我々も、それを所管する国土交通省として、その実態を国民にもよく理解していただくように頑張ってまいりたいというふうに思っております。

長崎委員 温かい、血の通った答弁をありがとうございます。

 以上で終わります。

塩谷委員長 次に、若宮健嗣君。

若宮委員 自由民主党の若宮でございます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 それでは、まず、先日の大臣の所信の表明に対しまして、何点か大きなポイントで御質問させていただければと思っております。お時間の許す限り、できますれば、項目といたしましては、まず国際競争力の強化、それから地域の活性化、そして海上保安、最後に全体的なバリアフリー、この四点について大きく御質問させていただければと思っております。

 まず初めに、国際競争力の強化についてでございます。

 もう皆様御案内のとおり、少子高齢化ということは、もう耳にたこができるほど毎日のように耳にしているところでございますが、二〇五〇年には、実際、日本人の総人口が約一億人を割るのではないかという予想もございます。こうした中で、いかに経済の活力を維持していくか、そしてまた、この変化の大きい国際社会の中で、アジア、特に中国、インドを初めとする成長力の著しい地域を含めた国際競争力をいかに確保していくかという点が我が国にとっては非常に大きな課題ではないかというふうに感じております。

 また、競争するだけではなく、アジアの国々との連携というものが重要であることはもう言うまでもないところでございますが、実質的に考えてみましても、貿易総額でも、東アジア諸国とのシェアが日本との貿易額では年々伸びておりまして、人の行き来を見ましても、昨年日本を訪れた外国人のうち、約七〇%はアジアからの来訪者ということも聞き及んでおります。

 こうしたような状況を踏まえまして、我が国の安定的な経済成長と、そして欧米諸国を含めました、あるいはアジア諸国を含めました国際競争力の強化といった観点から、この大きな動きの中で我が国の国益にかなった優位性を保っていくためにも、国土交通省としては今後どのような取り組みを全体としてお考えになっておられますのか、まずそのあたりをお伺いさせていただければと思っております。よろしくお願い申し上げます。

冬柴国務大臣 お説のとおりでございまして、少子高齢化そしてまた人口減少社会が現実の問題となりました。経済もグローバル化をしてまいりました。そのような中で、我が国が活力を失うことなく持続的な経済の成長を維持していくためには、周辺国家、なかんずくアジア、中国、韓国を初め東南アジアの国々、インド、そのような活力を日本の国内に取り入れる、そういうことが必要であるというふうに考えております。

 そういう意味で、アジア・ゲートウェイ構想というような、安倍内閣はそれを打ち出しているわけでございますけれども、何といっても、日本の国は四面環海、海に囲まれております。したがいまして、人の流れあるいは物の流れというものは海を越えて日本に到達しなきゃならないし、日本の物も海を越えて先方へ行かなきゃならないという交流が必要になってまいりますと、どうしても国際的な拠点空港の整備あるいは国際港湾の整備というものが急がれるわけでございますし、また、その空港なり港湾から消費地なり生産拠点へ結ぶ道路あるいは新幹線等のネットワークというものの整備が必要不可欠になってまいります。

 したがいまして、国土交通省といたしましては、そのような観点でこのようなものの整備を急いでいるところでございます。限られた予算の中でも軽重緩急をわきまえ、そのような予算の配分をしながら早急にこれを進めていきたい、このように思っております。

 また、観光部門におきましては、もう御案内のとおり、二〇一〇年には来日の外国人旅行者を一千万人にする、それが私に課せられた観光立国担当大臣の使命であります。

 本年は、日中国交三十五周年という佳節を刻みました。したがいまして、日中文化・スポーツ交流年というものを銘打ちまして、そして安倍総理と胡錦濤国家主席との間のハノイでの会談で、ことし、往復交流人口五百万人にしようではないかという合意を遂げていただきました。したがいまして、私も、これを具体化するために、昨年十二月の初め、大臣就任後初めての訪問国を中国といたしまして、そして中国の要人と会談をいたしました。トウカセンあるいはショウキイ旅游局長等、私のカウンターパートになる人との間で今のような問題について具体的な話し合いを進めたところでございます。

 韓国につきましても、ことしが朝鮮通信使四百周年という、両方の都市にとって、またそれぞれの都市にとっても非常に画期的な年でございますので、その都市の間の交流を進めようということで、私もことしの一月、早々に韓国へ参りまして、カウンターパートである大臣との会談で合意を遂げたところでございます。

 今後も、このように目標達成のために頑張ってまいりたいと思います。我が国の国際競争力を着実に強化するために、そのような物的な面あるいはソフトの面もあわせて頑張ってまいりたいと思っております。

若宮委員 早速にも中国、韓国等の方に御訪問されたとのお話、また具体的な進捗がもう既に図られているという心強いお話でありました。ありがとうございます。ますます充実させていただければと思っておりますので、よろしくお願い申し上げます。

 そこで、今大臣のお話の中にも出てございましたが、特に、国際競争力の強化という観点の中でやはり一番重要なのは、去年、実は、国土交通省の方の管轄の東京湾のコンテナ施設を洋上から視察させていただきました。確かにかなりの量の貨物の積みおろしを実際に目の当たりにいたしたわけでございますが、いろいろ御説明を受けておりますうちに、やはり基本的には、東京港には入る荷物が来る、横浜港からは逆に海外へ出て行く荷物が、この首都圏でいいますと、主に取り扱われていると。

 ところが、入る荷物と出る荷物を合計して足した貨物量の約五倍が、既に今、上海の港では常時行き来がとり行われているといったようなお話も聞いております。また、上海におきましては、さらにコンテナの数を充実させ、スーパーコンテナという形の、相当量の貨物を、許容量が多くなるような施設を建造中という話も聞いております。

 もちろん、中国大陸というのは人口が日本の十倍でございますので、一概に比較ということはできないと思うのでございますが、やはり大規模な港湾整備というものがまずは進められるべきであると思いますし、また、港湾だけできても、そこから、今大臣もちょっと触れておられましたが、港に揚がるだけでは荷物はそこから運べませんので、港からさらにその周辺の道路整備というものも含めたトータルでの物流という観点、これは非常に重要な、物流を効率的に進めるという施策の中では忘れてはならない点だと思うんです。

 このあたりについては、国交省としてはいかがお取り組みでございましょうか。よろしくお願い申し上げます。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、近年、中国を初めとするアジア地域の急激な経済成長に伴いまして、中国では上海港、韓国では釜山港などの主要港において大規模な港湾整備が進められております。また、その取り扱いコンテナの量も大きく増加しております。

 四方を海で囲まれた日本におきましては、アジアなど海外の成長や活力を取り込み、我が国の国際競争力を強化するためには、港湾の機能を強化することが不可欠でございます。

 このため、特に京浜港、東京港、横浜港でございますけれども、名古屋港、四日市港、大阪港、神戸港におきまして、平成二十二年度までにアジア主要港をしのぐコスト・サービス水準の実現を目標に、スーパー中枢港湾プロジェクトを推進しております。これらの港湾におきましては、大型コンテナ船に対応した高規格コンテナターミナルの整備や埠頭公社の民営化など、ハード、ソフト一体となった取り組みを推進しております。

 さらに、コンテナ貨物の円滑な陸上輸送を確保するために必要な基幹的な臨港道路とか、鉄道輸送と海上輸送の円滑な接続を図るための鉄道積みかえ施設の整備などを推進しております。また、国際コンテナ貨物の内航と外航との連結したものの利用促進に向けた社会実験などを行いまして、国際、国内の輸送モードの連携の強化に取り組んでおります。

 今後とも、国土交通省といたしましては、港湾機能の一層の強化を推進しまして、国際競争力強化に取り組んでいく所存でございます。

若宮委員 ありがとうございました。

 物流の整備というのは、なかなか一朝一夕でできるものではないと思います。港をつくるだけでも何年もかかりますし、ましてそれに関連する道路整備となりますと、さらにいろいろな問題が多くあるかと思いますので、ぜひ、ほかの国に負けないようなスピード感を持ってお取り組みをいただければと思っております。

 さて、同じ国際競争力という観点からいきますと、国内でのそういったハード面での整備もさることながら、やはり私自身、一民間企業にずっとおりましたが、日本という国が、いろいろな意味での魅力を感じないと、なかなか外国の企業なり人なりというのは投資をして、あるいは工場立地として検討していただけないのではないか、このように考えております。

 では、この日本の魅力というのはどういった点かといいますと、企業立地の観点あるいは産業立地の観点からいきますと、やはり今の物流に相通ずるところでもございますが、企業活動の拠点となる道路、港湾、それから、これもやはり去年視察させていただきましたが、空港の整備、こういった基盤の整備というものがやはり効率よく、しかも、単発で、ここで工場団地をつくりました、ここまではつながっているけれどもここから先はつながっていません、これでは余り意味がないわけでございまして、トータルでの、やはりいろいろな意味で、海外の企業が日本に進出をしよう、日本に工場をつくろう、日本に会社を持ってこよう、そういう気持ちにならなければ、なかなか企業立地の推進というのは進まないかと思うんです。

 このあたりは、例えば、エルピーダの例、具体的な例を挙げては恐縮でございますけれども、広島から台湾に大規模工場を今度移してしまうという事実もございますので、これは経済産業省の分野、あるいは税制面では財務省の分野ともリンクするところがございますので、なかなか国土交通省だけとして考えるというのは難しい面もあるかとは思うのでございますが、国土交通省としてはこのあたりどのようなお考えをお持ちでございましょうか、お聞かせいただければと思います。

渡邊政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のとおり、国際競争力のある企業あるいは海外からの企業を誘致するためには、迅速な意思決定を必要とします企業活動に合わせて、タイミングよく、また総合的に基盤整備を進めることが極めて重要であるというように認識しております。

 このため、民間企業のニーズに柔軟に対応して、都道府県が基盤整備を一括して行えるための地域自立・活性化交付金制度というのを予算案として盛り込んでおるところでございます。この制度によりまして、例えば、都道府県が地域に工場を誘致したい、工場が立地する、そうなりますと、その後、製品の出荷あるいは部品の納入、こういった物流が発生します。これを円滑に行うためのアクセス道路の整備あるいは港湾施設の整備、こういったものを一括して行うということで、企業の活動に合わせていくということが可能でございます。

 また、新設する地域自立・活性化事業推進費、これは主に直轄事業でありますけれども、道路等の直轄事業につきましても、民間のニーズに合わせて、あるいはまた都道府県の基盤整備に合わせまして進捗を調整するということで、事業をスムーズに行えるということでございます。

 この制度、民間のニーズあるいは地域の実情、特色に柔軟に対応する仕組みでございますので、大いに活用していただくことを期待しておるところでございます。

若宮委員 ありがとうございました。

 これもまた、先ほどの港湾と同じ、やはり一朝一夕にはできないことだと思います。今回出される法案とともに、いろいろな面での充実を図っていただければと思いますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。

 それから、冒頭での大臣のお話の中にもございました、やはり国際競争力の中で日本の魅力という点では、観光立国としての日本ということで、これはもう外せない大きな施策の一つだと思います。もちろん、例えば中東のドバイですとか欧州のモナコのようにとまではちょっとなかなか、すぐには難しい面もあるかと思うのでございますが、バブルが崩壊してしまって、ゴルフ場が非常に閑散としてゴルフ人口が減ってしまったときに、九州のエリアのゴルフ場では韓国からかなりの方がお見えになる。実は韓国では、会員制のゴルフ場で自分が自由にプレーできるようにと思うと、五千万ぐらい出さないと実際にはプレーできないというマーケット状況にあるわけでございまして、それであれば、何も日本人を、社用族の接待でのゴルフのマーケットでなく、外国からどんどん来ていただく。こういうソフトな発想というのも非常に功を奏して、実際に成功している例もあるようでございます。

 また、北海道で、いろいろ最近はなかなか難しいものが出ておりますが、やはりこれもスキー場をつくり過ぎて非常にスキー人口が減ってしまったという中で、オーストラリアの方が北海道の方へお見えくださっているというところもございますので、同じ観光という財産の中でも、観光資源の発掘ももちろんさることながら、改めて現在ある資源を再認識して、それをまた民間の知恵も生かしながら、どういったマーケット、あるいはどういったところへ売り込んでいくのかということが非常に重要なポイントではないかなと思うのでございます。

 観光客にとってというのは、日本人が日本の国内に旅行したいと思うかどうか、あるいは外国に旅行したいと思うかどうか、あるいは外国の方がほかの国に行きたいと思うか、あるいは日本に行きたいと思うか、この観点というのも非常に重要な観点だと思うのでございます。

 このあたり、いわゆる一観光客、一旅行者の観点に立ったときに、果たして本当に魅力ある日本というものが、どういった形づくりをしていけばよろしいのか、こういった点についてお伺いをさせていただければと思います。よろしくお願い申し上げます。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 観光分野の国際競争力を強化するためには、伝統、文化、自然、歴史などの地域の魅力を生かした観光地づくりを行うとともに、マーケットごとにその魅力、マーケットごとの趣向といいますか、そういうものも踏まえまして、そうした魅力を国内、国外に対して発信していくということが大変重要であろうというふうに思っております。

 昨年十二月には、このような取り組みによって観光立国を実現することを国の重要な政策の柱と位置づけた観光立国推進基本法を衆参両院で全会一致で成立させていただいたところでございます。

 我が国の観光地としての魅力を高めるため、国際空港の整備などハード面での取り組みのほか、観光ルネサンス事業やまちづくり交付金等によりまして、内外の旅行者に向けて地域の関係者が自主的に行う魅力ある観光地づくりの取り組みを支援するとともに、そのための人材育成を図ってまいっております。

 また、昨年八月には、観光まちづくりとして他の参考となる百の事例を地域いきいき観光まちづくり一〇〇として取りまとめ、広く公表したところでございまして、今後、これを外国に向けても発信するなどにより、創意工夫あふれる新たな観光振興の取り組みについて支援していきたいというふうに考えております。

 訪日外国人旅行者をふやすためには、やはり近隣諸国との関係も大変重要な要素でございまして、昨年は、韓国からは二百十二万人の方、対前年で二一%の伸び、中国からは八十一万人、対前年二四%の伸びということで、着実に伸びてきております。先生御指摘の点も踏まえまして、それぞれの地域の方々の日本に対する魅力の感じ方、そういうものも踏まえながら、先ほど大臣からもお話がございましたが、こういった取り組みをトップレベルでもお話をしていただいておりますので、そういうものも踏まえながら、さらに一層こうした方向で努力をしていきたいというふうに考えております。

若宮委員 ありがとうございました。より充実した形での施策をよろしくお願い申し上げます。

 それでは、ちょっとお話をかえまして、先ほど申し上げました二番目の、地域活性化について御質問させていただければと思っております。

 私は、東京生まれの東京育ちでございますので、都市というのが非常に経済の活力の源であると実際に思っております。これはもちろん、東京だけに限らず、その地域その地域での中心市街地というのはやはりいろいろな意味での消費地でもあり、また生活の場でもあり、人の集まる、集うところでもあるというのは、これはもう大昔からそのとおりだと思うのでございます。

 ところが、先ほど長崎委員のお話にもございましたが、最近は都市の再生という問題が、やはり東京から地方へも波及をさせていくということが非常に重要である、このように私も感じておるところでございます。

 そうした中で、特に私は、これは東京の中でもエリアが限られてきておりますが、密集市街地の解消というのは非常に大きな問題ではないかなというふうに感じております。実際に密集市街地、もう皆様御存じのところだと思うんですが、なかなか権利関係が、借家であったり借地であったりが錯綜していて複雑になっておりましたり、あるいは消防自動車や救急車も入れないような、道がかなり細くて、災害や何かあったときでも救助がしにくいような狭隘な敷地があったりとか、なかなか法的には、現状、建てかえができないような、現在は建っているけれども次建てかえすることはできないような状態の住宅であったりとか、また、現在お住まいの方々がしばらく移転をして、それを全部再開発して、また戻ってくるという、しばらくお住まいになれる、そういった意味での住宅の受け皿がなかなか不足している面、いろいろな側面が、時間をかけて進まない要因になっているところもあるかと思います。一つの例で、例えば六本木ヒルズなんかの例ですと、やはり一つのプロジェクトでも二十年以上はかかってしまっているのが現状でございます。

 こうした中での民間活力による都市再生の推進と、それから密集市街地のできるだけ早期の解消について、国土交通省としてはどのようなお取り組みでお考えかをお聞かせいただければと思っております。

中島政府参考人 お答えいたします。

 都市の再生を一体的に進めるという意味で、都市再生特別措置法を制定していただいて約五年を経過しております。この間、いろいろな地域で都市再生の取り組みが進められてまいりまして、今後とも、地方が、地域が元気になる拠点づくりといいますか、都市再生を総合的に進めるということが非常に重要だと思っております。

 また、御指摘ございましたように、都市再生の重要な柱でもございますが、密集市街地の整備。これも大体同じようなタイミングで、各地域で重点的な地区も設定していただきまして、それぞれの公共団体を中心に懸命な取り組みをしていただいておりますけれども、委員から今御指摘があったような事情もございまして、なかなか困難な仕事であります。簡単に進まないという面もございますが、それでもそれぞれの地域で取り組んでいただいて、少しずつ進んでいると思っております。我々としましても、機会をとらえまして、こういった地域の取り組みを少しでも支援できるような措置を講じていくことが必要だと考えております。

 このため、今国会において、都市再生特別措置法等の一部を改正する法律案を提出させていただきまして、都市再生緊急整備における民間都市再生事業計画の認定制度の延長、密集市街地においては、受け皿住宅の敷地に容積を移転できる地区制度の創設などを通じた密集市街地の整備の一層の推進、地域の担い手を活用したまちづくりの推進や地域ニーズに即した柔軟な道路管理の推進などを内容とした改正を行いたい。これらを通じて、都市の再生、密集市街地の整備、地域の活性化のための施策を一体的に講じていきたい、このように考えております。

若宮委員 ありがとうございました。

 続きまして、昨今、都市部で非常に集中豪雨が頻発しております。実際にこれも、私は昨年視察をさせていただきました。環状七号線の地下の神田川の調整池の視察をさせていただきまして、巨大なトンネル状態の調整池で、実際には、本当に雨が降ってしまって、実はまだできていなくて、もう最後の時期だったにもかかわらず、大雨が降ってしまったがために、重機が残っていたけれども、急遽そこに水を入れて調整できたがために被害を最小限度に食いとめることができたということで、もう早速その効果が発揮されたというふうにも聞いております。

 こういった形での、特に都市部での低地あるいは川沿いでの重点的な治水対策については、あるいは去年スーパー堤防も視察をさせていただきましたが、これも重要な観点かと思ってございますが、このあたり、国交省としてはどのようなお取り組みで取り組んでおられますでしょうか。

門松政府参考人 お答えいたします。

 委員御指摘のように、全国各地で想定を超えます異常気象とも言える豪雨が頻発しておりまして、甚大な被害をもたらしております。東京におきましても、平成十七年の九月の豪雨でございまして、時間雨量で百ミリを超えます豪雨に見舞われまして、武蔵野台地であります中野区、杉並区等で大きな被害が発生したところでございます。

 人口、資産の集中いたします都市部では、一たび浸水すれば被害は甚大となります。その治水対策を推進することは極めて重要であると考えております。しかしながら、沿川の土地が既に高度に利用されておりまして、河道の拡幅等が非常に困難でございます。唯一地下の空間を利用した大規模な調節池とか放水路を整備することによりまして水害を防御する、あるいは下水道と連携した雨水貯留浸透施設の整備、あるいは水害に遭いにくいまちづくり、これらをあわせて、都市計画と連携しながら進めているところでございます。

 今申し上げましたのは中小河川でございますが、また、荒川とか江戸川とか淀川とかの大河川におきましては、一たび浸水いたしますと日本国の中枢機能が麻痺することになるわけでございまして、まちづくりと一体となった、今委員御指摘のスーパー堤防の整備や堤防の強化、これを進めているところでございます。

 また、こういったハードの施設整備に加えまして、浸水想定区域図や洪水ハザードマップの整備等、ソフト対策にも力を入れてまいりたいと思っております。

若宮委員 関東地方、東海地方の場合、特に大震災との関係もございますので、やはり被害が大きくなる可能性のあるところといいますと、低地あるいは川沿いということも考えられますので、十分な対策を考えていただければと思っております。

 続きまして、海上保安の問題について御質問をさせていただければと思っています。

 大臣がお話しになりましたように、まさに日本は四方を海に囲まれてございます。その領海と排他的経済水域を考えますと、世界で第六位という広大な水域を持っている海洋国家でもございます。

 そうした中で、昨今、中国の調査船、あるいは、少し前でございますけれども、北朝鮮と思われる工作船の沈没した姿が船の科学館でも展示をされておりました。我が国の海洋権益の保全、つまり沿岸水域の監視強化といった面はこれから非常に重大であると考えております。

 また、先日、転覆した漁船の乗組員の方、カメラマンを含めて三名が漂流されているところを無事救出することができた、これは大きな成果ではないかなというふうに感じておるところでございます。

 ただ、こうした課題に対応していくためには、現在の海上保安体制の充実というのが不可欠であるかと思うんですが、いかんせん、ちょっと巡視船あるいは航空機等が老朽化、旧式化しているやに感じられるところがございます。また、人員の確保の面についても、真っ昼間に港に堂々と入ってくるということはまず考えにくいわけでございますので、普通は夜中にやってくるとか、密輸の場合でも密航の場合でもそういう可能性がございます。

 そういったあたりにつきまして、どういったような御方針でお考えのところがありますか、海上保安庁の方からお伺いできればと思っております。

石川政府参考人 巡視船艇あるいは航空機が老朽化あるいは旧式化しておりまして、犯罪の取り締まりであるとか海難防止、海難救助活動に支障が生じているケースもございます。さらには、今御指摘のように、海洋権益の保全などの新しい任務に適正に対応するためには高性能化を図る必要があるというふうにも考えております。そういう意味で、老朽・旧式化した巡視船艇の緊急整備ということを急ぐ必要があると考えておりまして、実は、老朽化、旧式化した巡視船艇約百二十隻、航空機約三十機、これの代替整備を図りたいと考えておりまして、十八年度予算から本格的に着手をしております。

 このため、十九年度予算では、巡視船艇、新規で十二隻、継続で十五隻、航空機では新規二機、継続十機、これの代替整備を図るための予算を予算案に計上してございまして、対前年比一・四一倍、三百九十四億円ほど計上しております。

 それから、要員でございますけれども、海上保安庁は約一万二千三百人ほど人がおりますけれども、領海警備などの強化のために大変多くの人員を要します。そういう意味で、沿岸部で三百六十五日二十四時間体制が手薄にならないように、複数クルー制の導入ということも図ってまいりたいと考えておりまして、そのために、治安対策の強化など、この厳しい国家公務員の総定員管理の中で必要な増員というものにつきましても予算案に計上しているところでございます。

若宮委員 私も昨年、尖閣諸島、それから中国のガス田の開発の部分も空から視察に行かせていただきました。そういったあたり、本当にあの海の真っただ中はだれもわからないところでございますので、充実した施策を考えていただきたいなというふうに思っております。

 バリアフリーにつきまして、ちょっとお時間の方が長くなりましたので、またの機会にさせていただければと思います。

 本日は、質問の機会をいただきまして、ありがとうございました。これにて終わります。

塩谷委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 本日は、大臣の所信に対する一般質疑ということでお時間をいただきました。

 国土交通省は、陸海空、職員も六万人以上いらっしゃるということで、あらゆる分野にわたって施策を講じている。そんな中で、本日は、時間も限られておりますので、特に住宅の問題について質問をさせていただきたいと思います。

 住宅の問題でございますけれども、これは、持ち家の方、または賃貸の方、皆さんそれぞれ住まわれているわけですが、ストックの部分ではもう足りているわけですね、世帯数より。しかしながら、満足度がなかなかない。例えば狭いですとかバリアフリー化が進んでいないとか、質が問われている時代になっていると思います。

 そんな中で、やはりミスマッチが多いということで、この問題を解消していかなければいけない。そんな観点から、実は、私ども公明党そして自民党と与党連携をしながら、今回、議員立法で住宅セーフティーネット法案、仮称ですが、これを提案させていただきたいと考えております。

 その中で、これまでも国土交通省として、住宅政策、さまざまな分野にわたって的確な手を打っていただいていると思うんですけれども、現状、なかなか厳しい問題がございまして、例えば住宅の困窮者、今回、私ども議員立法で考えているのは、住宅の確保に特に配慮を要する者、要配慮者というような定義の仕方をしておりますけれども、その中で、例えば子育て世代。これは国民生活白書、子育て世代の意識と生活という部分で、平成十七年度のデータということで、発刊したということで、平成十七年は一千二百三十八万世帯、子育て世帯がいる。少子化の中で子育て支援をしなければいけないということで、我が公明党も野党時代から取り組んでまいりまして、その中で、児童手当等、お金の部分ではバックアップをしていこうという流れが大分充実してきました。

 しかしながら、まだまだだと思うんですが、やはり住居という部分というのがかなり大きな比重を占めているな。例えば、理想の子供の数、いわゆる何人産みたい、こういうような希望があると思うんですけれども、その中で、その希望数、希望の子供の人数、なかなか子供が産めない。その理由で、家が狭いからと回答した人の割合というのが、二十五歳から二十九歳で二〇%、三十歳から三十四歳で一九・八%。五人に一人が、家が狭いから、ここはちょっとなかなか子供を産み育てられないな、こういうふうに回答している。

 さらに、経済的な部分でいきますと、子供世帯の教育関係費、消費支出の総額の一二%を教育費で占めてしまう。そうなりますと、住居に消費支出を充てていくというのがだんだんと圧迫をしてくる、こういった問題があると思います。

 その中で、これは先日の予算委員会で我が党の大口議員が質問した中でも触れられたと思うんですが、最低居住面積の水準未満率、これは民間借家の場合で子育て世代で、全国は一六・八%なんですけれども、都市部、東京都は二五・六%、大阪は二二・〇%ということで、なかなか子育て世代に対しての住居の問題というのは大きな課題があるな。

 さらに、もう一つ大きな問題は高齢者ですね。高齢者に関しまして、結構、入居制限をしている。単身の高齢者の入居を拒否する賃貸人の割合というのが日本賃貸住宅管理協会の調べで八・四%、これは単身の高齢者、高齢者のみ。いわゆる老夫婦二人ですね、こういった世帯の入居を拒否する賃貸人の割合が七・一%。これは、正直に答えて八・四%、七・一%だと思うんですけれども、もっと潜在的にはそういった問題があるだろうな。

 さらに、先ほど冒頭に、ストックは足りているけれどもミスマッチがあるというお話をしました。例えば一つの例を挙げてみますと、高齢者の方が田舎に一人で暮らしている、お子さんたちの世帯は都心で仕事がある。ただ、元気なうちはいいですけれども、大分体がいろいろとぐあいが悪くなってきた、介護が必要になってきた。そういうときに親子で一緒に住みたいな。しかし、お子さんの方は仕事がありますから、なかなか実家の田舎の方には帰れない。そうなりますと、では親を呼び寄せるかといったときに、親と一緒に住めるか。そうなると、なかなかそれだけの間取り、スペース、これも厳しい。そうなると、では近くに住めば安心かなということで、高齢者の方が単身で住める、近居する。こういったときに、近くに住もうと思って探すのですが、先ほど申し上げたように、単身の高齢者の入居を拒否する割合というのが八・四%、一割弱ある、こういった問題。

 ここら辺のところを考えますと、今例に挙げましたのは子育て世帯、高齢者でございますが、そのほか障害者など、または外国人の方、またDVの被害者、犯罪被害者、いろいろ例はあると思います。そういう住宅確保に特に配慮を要する方の居住の安定確保に向けて、先ほど例に挙げました高齢者、子供世帯との近居、同居の促進も含めまして、公営住宅のストックの有効活用、これがやはり重要だと思うんですね。

 この取り組みに関しまして、まず伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 高齢者、子育て世帯、また身体障害者等に対して、賃貸住宅を取得するにしてもいろいろな障害がある。

 二つあって、一つは、物的には大変劣悪な居住環境の中で過ごさなきゃならない。先ほど挙げられたとおりでございまして、アメリカの一人当たりの居住の面積は六十五平方メートルと言われておりますが、日本では三十六、そして都心の賃貸住宅では実に二十一平米しかないというふうに言われています。

 もう一つはソフトの面で、先ほど挙げられましたように、そのような弱い立場にある人たちが本当に賃料を払ってもらえるのかとか、単身の老齢者が入っていただくのはいいけれども、そこで亡くなられたら困るとかいうような配慮から、賃貸借契約の締結を渋る、そういうことも、人情上あれですけれども、これは大変な社会問題だと思うんですね。

 そういう意味で、我々は、今まで優良賃貸住宅制度とか高齢者向け優良賃貸住宅というようなものがありましたけれども、これをもう一度総合し直しまして、そして地域優良賃貸住宅制度というものを創設しようということでございます。

 これはどういうことかといいますと、高齢者、子育て世帯というような人たちが地域で住居を取得するについて、特に配慮を必要とする世帯に対して我々が考慮していこうという方向でございます。

 二つの方向があります。一つは、民間の賃貸住宅事業者に対して、そういう人たちを優先的に入れていただくという用意のある人に対しては、建設費について助成をしようという一つの方向でございます。もう一つは、賃貸借を円滑に進めるために、その人たちが賃料債務を不履行した場合には保証しますというような制度とか、あるいは期待される賃料が払えないような人のために家賃を補助しますというような方向。

 それからもう一つは、あんしん賃貸推進の事業のような形でございますが、そういう人たちに入っていただく民間の住宅をあっせんする、そのような情報を提供するというような事業を今、国土交通省では進めているわけでございます。

 いずれにいたしましても、そのような方々、ハンディキャップを持った人たち、あるいは弱い立場にある人たちが安心して住宅を、賃貸住宅にしても、そしてまた良質なものを手に入れていただくことができるように、我々としては頑張っていかなければならないというふうに考えているところでございます。

 与党におきましても、そういうものについて議員立法をしてやろう、これは非常にありがたい話で、我々のこのような考え方が、法的な裏づけがあれば、より一層そういう政策が進むのではないかというふうに思っているところでございます。よろしくお願いしたいと思います。

高木(陽)委員 今、大臣から全体的な取り組みについてもお話をいただきました。

 その上で、特に高齢者さらに障害者の方が安心して居住できるようにするため、これはまさにバリアフリー化が必要だと思うんですね。このバリアフリー化の問題、これは住宅だけではなくて、交通関係もそうですけれども、我が党が与党に入る前後からさまざまな法制化をさせていただきまして、そして、このバリアフリー化というのはあらゆる分野で進んでいる。もうバリアフリーという言葉ではなくて、ユニバーサルデザインの流れになってきていると思います。

 そんな中で、住宅のバリアフリーといいながらも、なかなか個人の持ち物、持ち家はそう。持ち家の場合はさまざまな税制等もできてまいりましたけれども、賃貸の部分も含めて、やはりこれは積極的に、果敢に、スピード感を持ってやらないと、この急激に進んでいる超高齢化社会の中にあって、絶対的にやらなければいけない問題だと思うんです。

 このバリアフリー化、特に住宅のバリアフリー化についての国交省の取り組み、これについて伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 お説のとおりでございまして、私どもは、バリアフリー改修促進税制というものを十九年度の税制改正の中でお願いしているところでございます。

 これによって、今までのように、大きな借金をしなければそういう税制上の優遇が受けられないというものに対して、例えば、廊下を広くする、手すりをつける、あるいは家の段差をなくすというような基本的に重要なバリアフリーの改修工事であっても、例えば三十万とか四十万ぐらいの工事であっても税制上の優遇措置を受けられる。五年間にわたって二十万円ぐらいですけれども、これは非常に大きなインセンティブを与えるのではないかというふうに考えております。

高木(陽)委員 今回の税制改正で住宅のバリアフリー化について新たな導入をされたということで、やはりしっかりとこれを促進していく。さらには、これを一つの突破口としてさらに拡充もしていく。これは、さらにことし暮れの、十二月の税制改正にもなると思うんですけれども、そういった部分も視野に入れながら、やっていっていただきたいなと思います。

 続きまして、先ほど冒頭の質問のところでも申し上げましたけれども、高齢者、障害者、外国人、子育て世帯、この入居制限、このケースが見られます。

 これらの入居の円滑化を図るために、もちろん、貸す側、大家さん、こちらの方もしっかりと取り組んでいかなければいけないんですが、やはり情報等がまだしっかりと行き渡っていない。せっかくありながら、一人で一生懸命探して困っている方々もいると思うんです。そういうのは、行政だけではなくて、不動産業者、NPO、こういった方々の協力というのが不可欠と考えておりますけれども、これについてどのように取り組んでいるか、伺いたいと思います。

榊政府参考人 委員御指摘のように、賃貸住宅管理協会のアンケート調査によりますと、一六%の民間賃貸住宅経営者が、高齢者、障害者、外国人、小さい子供のいる世帯等について入居制限を行っておるというふうな実態がございます。これらの方々が安心して民間賃貸住宅に居住できる環境を整備していくということが重要な課題だというふうに思っております。

 私どもとしては、去る六年前の平成十三年に、高齢者の居住の安定確保に関する法律、高齢者安定法といったものをつくらせていただきまして、高齢者の入居を受け入れることとしております民間賃貸住宅に関する情報を幅広く提供するといったような取り組みを行ってまいりました。

 さらに、大家さんが高齢者などの入居の受け入れに対しまして、家賃の支払いですとかトラブルの発生といったようなことに対して不安を感じているということを踏まえまして、その不安を解消して、入居の円滑化と安心できる賃貸借契約を構築できるようにというようなことで、実は今年度、平成十八年度から、モデル事業として、あんしん賃貸支援事業というものを創設いたしました。

 中身を申し上げますと、公共団体ですとか、福祉部局の社会福祉法人ですとか福祉関係のNPOの方、要するに、賃貸住宅に入った後のケアがどうなるかというのを大家さんは心配でございますので、こういうケアができるよというようなことを言って大家さんに安心していただく、それから、不動産関係団体も入っておりますので、そこで、この人は大丈夫ですよ、家賃をちゃんと支払いますよ、こういったような安心感を持っていただくというようなことで、高齢者、障害者、外国人、子育て世帯を対象にいたしまして、入居を受け入れることとしております民間賃貸住宅に関する情報提供をやろうということにしております。

 平成十九年度につきましては、現在、モデル事業ということで八地方でやっておりますが、これを、できれば倍増以上にふやしていきたいというふうに思っております。

 今後とも、こういったような福祉施策と密接に連携いたしまして、民間賃貸住宅を有効に活用しながら、重層的かつ柔軟な住宅セーフティーネットの構築に努めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。

高木(陽)委員 今、住宅局長の方から、あんしん賃貸支援事業の概要についても御説明がありました。これはモデル事業としてやっているということで、他の自治体、または他の不動産、いわゆる宅建業者、さらにはNPO、各地域にいろいろとあると思うんですね。こういったところにもっと、こういうのがあるんですよ、こういうのをやっていきましょうという、宣伝じゃないですけれども、やはり情報提供ですね。住みたいという人たちへの情報提供は、もちろんそういう事業をベースにしてやっていく、拡大をしていく。それにかかわっている方々に対しての情報提供も必要だと思うんですね。

 こういった部分では、整備局等々を通じながら、また各県または市町村等々の、さっき福祉部局と言いましたが、まさに住宅だけではなくて、そういった福祉部局等とも通じながら、やはりしっかりとネットワークを広げていくことが必要であるということで、今後よろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、住みかえの支援のことについて伺いたいと思いますけれども、これも先ほど申し上げましたミスマッチの問題ですね。

 これもちょっと具体的な例を一つ挙げたいと思うんですけれども、高齢者の方々が戸建てに住んでいる。子供を育てているころは、その戸建てで、スペースがしっかりあった。ところが、子供たちが独立をして夫婦二人だけになった、またはひとり暮らしになった。広過ぎるわけですね。そういった部分では、これをもう少し自分の生活のスタイルに合わせて、では移っていこう、ただ、自分の持ち家がありますから、これはこれでどうしたらいいんだろう、こういった問題があると思うんですね。

 さらに、これも先ほど申し上げた近居の問題で、田舎に住んでいる、ここは戸建てに住んでいる、子供の近くに住みたい、住むのはいいんですけれども、ではここのあいた家はどうするんだといった問題ですね。

 ここら辺のところをしっかりとマッチングしていくことによって、ストックは十分なんですけれども、自分の希望しているような、自分が満足いくような家に住めないという方々、これをしっかりそこにあっせんしていく、こういったことが必要ではないかと思うんですね。

 このミスマッチの解消に関しまして、国交省の取り組みを伺いたいと思います。

榊政府参考人 委員御指摘のとおり、賃貸住宅市場を見てまいりますと、特に大都市部を中心に、子育て世帯に適した床面積の広い住宅ストックが不足をいたしており、一方で、高齢者の単身、夫婦世帯の多くの方が管理の大変な広い持ち家に住んでおられるということで、ストックとニーズのミスマッチというのが現存しております。

 例えば、六十五歳以上の単身もしくは夫婦の持ち家世帯というのを見ますと、五四%の方が実は百平米以上の広い住宅に住んでおられます。一方で、四人以上の世帯の三分の一といいますか、三〇%ぐらいが百平米未満の住宅に居住しておる、こういうことになっております。

 したがいまして、私どもといたしましても、高齢者の持ち家を円滑に賃貸化するということによりまして、より高齢期の生活に適した住宅への住みかえを促進すると同時に、より広い住宅を必要とする子育て世帯へ賃貸住宅を供給する。いわば、高齢者の広い方がそれをお貸しすると、そこでちゃんと家賃が入ってまいります。その家賃でもって、例えば持ち家が年金にかわる可能性もございます。その家賃でもって、例えば子供さんの近くに住むというようなことも考えられるわけでございます。

 実は、これも昨年の十月から、高齢者住みかえ支援制度というのをつくりまして、中間法人をつくりまして、やってみたらどうかということでやり始めまして、有限責任法人の移住・住みかえ保証機構というのをつくりまして、そこが借り上げ主体として登録をしていただきまして、そこが一括借り上げをいたしまして、広く子育て世帯等へ定期借家で貸すというような仕組みをつくって、今やり始めております。現在、十月に始めましたが、約四カ月ぐらいで五十件ぐらいについて具体的な物件の申し込みがございまして、そのいわばマッチングの作業をやっておるところでございます。

 このほか、各地方公共団体でも、高齢者の住宅を活用した住みかえを支援する独自の情報提供ですとか住宅の借り上げ制度を開始されているところもございます。したがいまして、私どもとしても、こういったような動きを地域住宅交付金を活用してやっていっていただきたいというふうに思っているところでございます。

 このような取り組みを通じまして、国民の価値観なりライフステージに応じた良質な住宅が適時適切に選択できるといったような賃貸住宅市場の環境整備に努めていきたいというふうに思っておるところでございます。

高木(陽)委員 今お話がありましたように、自治体の方でもそういった住みかえ支援のスキームというか枠組みをつくりながらやっている。これはまさに、いいものは全国でしっかり展開をしていただきたいと思うんですね。その中で、やはり住宅政策について意識を持った自治体もあれば、全くと言っていいほど無関心な自治体、公共団体もある。そういったことも含めまして、そういったそれぞれの地域、自治体に対してもそういう情報提供も行っていただきたいなと思います。

 もう一つ、福祉との問題ということで御質問させていただきます。

 先ほどの質問の中で、福祉部局と連携をとるという話がありました。この住宅問題というのは、どうしても国土交通省住宅局というところが所管ということになっていますけれども、住宅問題というのはまさに福祉の問題でもあるな、こういうふうに思うんですね。

 例えば公営住宅、公営住宅法のもとで、低所得者に対してしっかり住宅供給をしようということでできてまいりました。しかしながら、現実問題を見ますと、例えば東京都の場合には、都営住宅に応募をする、倍率が二十倍にもなる。ということは、二十人に一人しか入れない、十九人は入れないわけです。では、その入れない方はどうしているのか。これは民間のところで何とか生き抜いているわけですね。逆に言いますと、では、その方々を入れるだけの公営住宅をつくるかというと、今そういう流れになっていません。

 では、もしそういう方々が公営住宅に入ってきますと、今住んでいる方々は出なきゃいけないわけですね。この出る人たちは、ではどこに住むか。今の民間賃貸住宅の中で、特に都市部においては、家賃も高い中で住めない。そういう中で、これもお話にありました、地域優良賃貸住宅、これまでの高優賃、特優賃を再編しながらやっていこうという、これをしっかりと活用しなきゃいけないわけですね。

 もう少し言いますと、では、公的なその住宅だけですべて間に合うかというと、今度は、家計的には大丈夫だけれども、やはり居住の制限があるということで、民間賃貸住宅に対してもしっかりとアプローチをしなければいけない。これを総合的にやらなければいけないということで考えていく。

 その上で、例えば年金の問題というのがずっと、この数年、少子高齢社会ということがテーマの中で議論されてまいりました。例えば、厚生年金にしろ国民年金にしろ、ある一定額のお金をいただく。この年金を、額が確保されていればそれですべていいのかというと、例えば、高齢者の中で、持ち家の人と賃貸住宅に住んでいる人が同じ年金をもらっても、いわゆる可処分所得が違うわけですね。使えるお金というのは、賃貸住宅に住んでいる人は家賃を取られてしまいますから、そういった中での生活というのはどうしていくのかという、まさにこの高齢社会においては住宅問題というのをしっかりと位置づけてやらなければいけない。

 ところが、縦割り行政というのは、自分の部局のことを一生懸命やる中で、国交省は一生懸命そういう福祉のところまで目を広げながらやっていただいている。ところが、何か年金で話している方はなかなか、そんな住宅は関係ない、お金だけ出せばいい、こういうような発想に陥りがちではないかなと思うんです。その中で、この住宅セーフティーネット、高齢者、障害者、子育て世帯等で充実をさせていかなければいけないと思うんですが、住宅政策だけではやはり限界があると思うんですね。福祉政策との緊密な連携、これが不可欠だと思うんですけれども、その点についてどのように考えているか、伺いたいと思います。

榊政府参考人 高齢者等に対します住宅セーフティーネットの充実ということにつきましては、住宅政策と福祉政策の緊密な連携が不可欠であるというふうに思っております。

 例えば、今までやってきました取り組みを申し上げますと、大規模な公営住宅を建てかえるとか、かつての公団住宅を建てかえる場合には、保育所とかデイサービスセンターといったような福祉施設を併設するということを実は原則化いたしております。

 それから、高齢者の生活特性に配慮しましたバリアフリー化されました公共賃貸住宅、そういうところには、ライフサポートアドバイザーによる日常生活支援サービスの提供というのをやっていこうということで、これも十数年前からシルバーハウジングというようなプロジェクトという形で名前を打ちまして供給をいたしております。

 それから、知的障害者、精神障害者等が地域での自立した生活を営む場を提供するというようなことで、実は、公営住宅をグループホーム事業という形で活用していただいて結構だということで取り組みを進めております。

 さらに、今年度からでございますけれども、先ほど申し上げました高齢者専用賃貸住宅でございますが、一定の居住水準を満たす場合には介護保険制度の特定施設の対象としていいというふうに、厚生労働省さんとお話をして、できました。これでいわば居住系サービスの充実ができて、高齢者が安心して住める住まいの供給ができるのではないかというふうに考えております。

 それから、先ほども触れましたが、あんしん賃貸支援事業といったようなことを創設いたしまして、地域における福祉をやっておられるNPOの方、社会福祉法人の方と連携をいたして、そういったような居住支援サービスに関する情報を一元的に提供しようというようなことで、高齢者の居住安定に向けました社会福祉法人の活動に対する支援もやっていきたいというふうに思っております。

 厚生労働省さんと私どもの関係ということでいえば、先生御指摘のようなところがございますので、きっちりした連携をとりたいと思っておりますし、それから、住生活基本計画をつくりました後に、実は関係省庁会議をやろうということで、各省とも、住生活安定向上施策推進会議といったようなところで関係省庁との緊密な連携も構築したいというふうに思っているところでございます。

高木(陽)委員 時間も参りましたので、最後に大臣にお伺いしたいと思います。

 昨年、住生活基本法ができました。また、地域住宅特別措置法の中で、国が基本方針をつくって、そして地域住宅計画をつくりなさいと。実は、今回私どもが考えている住宅セーフティーネットの法案で、住宅になかなか入れない、いわゆる要配慮者に対する基本方針をしっかり国でつくってもらいたい、その上で地域住宅計画にそれを盛り込んでもらいたい、こういうような形で今考えております。

 その中で、先ほど、地域優良賃貸住宅制度で、地域住宅交付金を使いながら地域でそのニーズに応じてやるというのですが、まさに住宅政策というのは、国交省が方針を出しながらも、やるのはいわゆる公共団体、地域が大切なわけですね。地域によっては、都市部とまた地方都市では全く違うニーズがあると思います。そういった中で、まさに国交省の基本方針がばしっと出ることによって、地域の、特に公共団体の地域住宅計画が、そこにどういう肉づけをしていくかというのがこれから大きな課題になってくると思います。

 その上で、高齢者、障害者、子育て世帯、こういった居住の安定を図るための住宅セーフティーネット、これはまさに、先ほどから何度も申し上げていますように、この少子高齢社会の中にあって、ある意味でいうと最も優先すべき問題、年金の問題以上に、ここをクリアしておかなければ、年金が幾らもらえてもこの住宅問題で大変な問題になってしまう、こういうふうに私は考えております。

 その中で、最後、大臣に、この住宅セーフティーネットの充実に向けての御決意を初め、伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 住宅こそ、一番長い時間そこで過ごし、子を産み育て、そして夫婦相むつまじく育つ、なごみの空間であります。そういうものが、経済が幾ら発展しても、外国からウサギ小屋などと酷評されるようなことは許されないわけでございまして、国土交通省といたしましても、今委員から御指摘をいただいたような面で、特に、弱い立場にあって賃貸住宅を求めても拒否されるような世帯というものが生ずることのないように、住宅のセーフティーネットはしっかり張っていきたい。

 その一つのツールとして、先ほど申し上げましたような地域優良賃貸住宅という、民間の賃貸住宅業者がこういう弱い人たちに優先的に入っていただくような住宅を建てよう、そういうインセンティブを働かせるような政策をしっかりと打ち出していきたい、そして、それぞれの地域の方の特性に応じてその地域地域が頑張っていただけるような政策をとっていきたいというふうに考えます。

高木(陽)委員 この住宅弱者に対して、私ども公明党も今後も全力で取り組んでまいりますけれども、大臣、ある意味では、国土交通省の施策だけではなくて、内閣を挙げてこういった問題に全力で取り組んでいただきたいことをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

 どうもありがとうございました。

塩谷委員長 次に、伴野豊君。

伴野委員 民主党の伴野豊でございます。

 本日は、冬柴国土交通大臣の所信に対する質問を一時間いただきまして、安全、安心、信頼というキーワードで、私がかねてから国土交通行政に思いをいたしているところを幾つか、できるだけポイントを絞って質問させていただきたいと思っております。有意義な、真摯な議論がこの六十分間できればいいのかな、そんなふうに思っております。場合によっては厳しい意見を申し上げなければいけないときもあるのかもしれませんが、あくまでもそれは、すばらしい国土交通行政を冬柴大臣にしていただきたい、その思いであるということをぜひ御理解いただければと思っております。

 では、まず冒頭、導入部としてちょっとおつき合いいただきたいと思いますけれども、大臣、大変お忙しいと思いますので、映画を見ている時間というのはなかなかないんじゃないかと思うんですけれども、ぜひ、これは多分もう今月いっぱいぐらいしかやっていないかもしれませんので、見ていただきたい映画があります。「あなたを忘れない」という、通告をしていませんので本当に恐縮ですけれども、これは、実は私も二年ぶりに家族で、どちらかというと妻にせがまれて先週行ってきたんです。八時過ぎに、もう本当に数少ないところでしかやっていないものですから、みずから車を一時間走らせて、家族三人で見てきたんです。

 「あなたを忘れない」というこの映画なんですけれども、これは文化庁も後援しております。このテーマといいますか主人公は、二〇〇一年一月二十六日、新大久保駅でみずからを犠牲にして人の命を救おうとされた韓国人青年イ・スヒョンさん、二十六歳のお話でございます。

 ちょうど二〇〇一年の一月に国土交通省ができましたので、この国土交通委員会ができたのもこの二〇〇一年の一月何がしだったと思います。できたばかりの国土交通委員会ですから、初めて私も配属していただきまして、この訃報に接したときは、本当に胸が詰まる思いでございました。今回も日韓議連さんのお話等々で、この映画を見ていただく方を少しでもということでやっているわけでございますけれども、ぜひ大臣も、お時間がないかと思いますが、私もここでいろいろ考えさせられました。

 実は去年の、二〇〇六年五月二十一日にもこの新大久保で女性が落ちているんですね。ここのときにも助けられたのは韓国人留学生、二十七歳の方でございました。ホームには二十人の乗客ほかの方がいたということでございますが、飛び込んでいったのは韓国人留学生の方。

 また、昨今、二〇〇七年の二月六日では、東武東上線で、これはまたちょっとケースが違うんですけれども、先ほどの方は、最初の二〇〇一年一月の場合は酔って落ちられた方、昨年の場合は女性が転落された。もう一つのといいますか、二〇〇七年二月六日の、昨今東武東上線ときわ台駅で起きたこの事件はまたちょっとケースが違いますけれども、このときは、宮本巡査部長というたっとい命がなくなったわけでございます。

 事業者側に責任があるわけではない事故だとは思いますけれども、こうしたいわゆる運輸事業におけるこの手の事件、事故、今大臣、率直にどんなふうな御感想と、それの対応に対してどういう思いを持っていらっしゃるか、お話しいただけませんでしょうか。

冬柴国務大臣 残念ながら、「あなたを忘れない」という映画はまだ見ておりませんけれども、しかし、二〇〇一年一月二十六日に、JR東日本新大久保駅における転落事故に当たって、韓国の学生さんですかね、イ・スヒョンさんがみずからの命を顧みることなく、酔客だったようですけれども、転落した人を助けようとして、日本人のカメラマンと二人が線路に飛びおりて、そして助けようとした。ところが、時速七十キロで走ってきた電車は、その四十メートルほど手前で現認はしたけれども、急制動及ばず、三人とも亡くなってしまったというまことに痛ましい事故でありまして、私としても、その勇気といいますか、みずからの命を顧みることなくその人を助けようとされたイ・スヒョンさんともう一人の日本人のカメラマンの方の勇気に対して心から敬意を表して、また哀悼の意を表し、御冥福を祈りたい、こんな思いでございます。

 もう一つの事故につきましては、本当に宮本邦彦さん、警部さんですかが、自殺をしようとされたらしい女性を助けようとして踏切から引き出そうとして、やはりこれも列車事故に遭うことになり、亡くなってしまった。殉職をされたわけでございまして、みずからの命を顧みることなく、そのように制止する、女性を二度までも追ってそこから連れ出そうとされた警察官としての使命感に対しては、本当に心から敬意を表さなければならない、また御冥福を祈りたいと思います。

 それに対して、お尋ねは、運輸事業者としてこのようなものにどう対処するのかということでございます。ひいては、国土交通行政としてどう対処するんだという厳しい問いかけでもあると思います。

 我々は、駅舎における転落という問題につきましては、本当にいろいろな工夫をされておりますが、新大久保駅におきましても、非常停止押しボタンとかあるいは転落検知マットの設置とかを行っておりまして、この事故が発生してすぐに安全対策の徹底を事業者に対しては指示をいたしましたが、今日まで七九%についてはそのような設置がされております。それから、待避スペースの確保またはステップの設置というものについては九五%までの整備率になっております。しかしながら、あと五%とか残っていることは事実でございますので、未達成となっている駅については、引き続き計画的に整備が進められるように鉄道事業者を指導していかなければならないというふうに思っております。

 ただ、言いわけがましいですけれども、未達成となっている駅の多くは、通過列車の本数が非常に多いとかあるいは当該駅での乗降客の状況等で非常に難しい面もあるわけですけれども、しかし、今御指摘のように、私も同感でございますので、そうしたいと思います。

 また、宮本警部につきましては、踏切の遮断機がおりているのにこれをということになりますと、本当にこれを防ぐのは非常に難しいと思われます。

 そういう意味で、関係団体とも連携して、自殺予防のための呼びかけの活動とか、こういうことも必要だろうというふうに思います。過去三年間で、毎年五百件から六百件程度の自殺案件があるわけでございまして、何とかこういうことを、これは本当に内閣を挙げて取り組んでいかなきゃならない課題だろうと思います。

伴野委員 最初の二〇〇一年の一月二十六日、イさんだけではなくて関根さんという日本人の方も忘れることはできない方だと思いますし、また、去年この新大久保駅で助けられた、この方はシンさんという方だそうでございますが、そしてことしの二月六日の宮本さん。私は、この四方は見て見ぬふりができなかった人々、本当に御自身の命も顧みずという、いても立ってもというお気持ちで線路に入られたんだと思うんです。

 私自身も鉄道にいた一人として、自分がその現場にいたら、鉄道事業者としてだったら何ができただろうか、あるいは一人の乗客として何をできただろうか、今、自問自答すると本当に胸が詰まる思いなんです。また、今こうして委員会の中で図らずもかかわらせていただいている一人としては、今大臣がおっしゃったように、単にハードだけに頼るのではなく、ある面、社会システム的な、ソフト的な社会福祉等々で救済も含めてやっていかなければいけないんだろうな、そういう思いをしているところでございます。

 今、見て見ぬふりができなかった方々というお話をさせていただいたんですが、残念ながら、昨今、しばし国土交通行政の中にも、この見て見ぬふりが、どこかむしばんでいるんじゃないか、病んでいるのではないかという危惧を受ける案件が幾つかございます。

 幾つか御指摘させていただきながら議論をさせていただきたいと思いますけれども、まず、二〇〇七年の二月十八日、多分大臣も一緒だと思いますが、若い方が亡くなられるというのは、本当にこれはもう、御年配の方は亡くなられてもいい、そういう意味ではなくて、特に若い方が亡くなられるという、言うまでもなく、今回、二〇〇七年二月十八日、ツアーバスの事故ということで、十六歳の方がアルバイト添乗員というお仕事の中でお亡くなりになられました。

 今回のこのツアーバスの件というのは、いろいろな方がここ数年警鐘を鳴らしてきた案件ではないかなと思うんですね。私も正直言って、新宿あたりを行くと気にして見ます。私の地元の名古屋駅のいわゆる西口というのも、これは一々私も質問して聞いたわけではありませんが、かつてそういう業界にいた一人として、バスの色とまでは言いませんが、何となく見た目の感じとかあるいはその周りにいらっしゃる方々の動きとかを見ていますと、大丈夫なのかなと思う、そういう現場にも出くわすわけでございます。

 そうした中で、特に、この暮れからも一層、多分、数字的に確認をしていただければわかると思いますが、規制前と規制緩和をした後では二倍近くも業者さんの数もふえてきていると思うんですね。どの手の、どの形態の、あるいはどの規模の業者さんがふえてきたかというのでまた特徴も出てくるんだと思いますが、非常に私もここ一、二年、大丈夫かなというふうに見ておりました。

 先ほど申し上げましたように、この暮れからも特に気にしていたわけでございまして、たしか二月五日の週だったと思います、私もやはり気になったものですから、直接担当者の方をお招きして、いろいろお聞かせいただきました。確かに通達とかいろいろ出していらっしゃるわけでございますが、やはり規制緩和と同時に、必要なのはそれをチェックする。場合によっては、規制緩和をした場合は、チェック機能というのは今まで以上に強めていかないと、スポーツでいえば、スポーツのルールを少し緩めたら、審判は特に厳正にチェックをしていかないとラフプレーヤーが多くなるのと一緒で、この手の、いわゆる競争が激しくなりつつある業界においては非常に懸念されることが多いわけでございます。

 そして今回、その危惧の中で起こってしまったわけでございますけれども、二月十八日、五時二十五分にこのあずみ野観光バスの事故が発生したわけでございます。そして、九時半に長野運輸支局担当者のところへ一報が入っているようでございます。その後、いろいろな部局に御連絡があって、大臣のお耳に入ったのは二月十九日の九時半ということだと確認をしております。

 この時間的経緯についてきょうは一つ一つ確認するつもりはございません。私の反省も含めまして、交通事故死というのがいろいろな御努力で下降ぎみにある中だといっても、いまだに一万人近い方々が亡くなられる。ちょっと我々も命を失うことに対して鈍感になっていないか。とりわけ、こういった事業としてやっていらっしゃる方の事故の場合は、人数に限らず、できるだけ早く最高責任者の大臣のお耳に入る体制が今後もとられるべきではないか。これは私自身、かかわっている人間としてもウオッチしていかなければいけないなと思うわけでございますけれども、それについては後ほど御意見あるいは御感想があればお聞かせいただきたいんです。

 そして今回も、平成十七年七月二十八日には確かに「ツアーバスに対する当面の対応方針」というのを出されました。そして、翌十八年六月三十日も同じように「ツアーバスに関する取扱いについて」ということが出されました。そして、十八年の末ごろだったと思いますが、担当者の方のところに、全日本交通運輸産業労働組合協議会さんが行った新宿の現地調査のビデオ撮影とともに、さまざまな御指摘をされております。

 そうした中で起こってしまったことではございますけれども、今率直に、大臣、今回のこの事故を受けられてどんな思いをしていらっしゃいますでしょうか。

冬柴国務大臣 まことにざんきにたえないということをまず申し上げ、申しわけなかったなというふうに思います。

 というのは、この十八日は日曜日だったわけでございまして、その早朝五時何分、日曜は夕刊もありません。十九日が月曜日で、朝刊に、しかもこれは東京マラソンが物すごく大きく取り上げられて、この大事故が小さくなっていました。しかしながら、私は、このバスという運輸手段でこのような事故が起こったということについては、やはり私の耳に入るのが一日おくれているということ自体、非常に申しわけなかったなという気持ちでおります。

 ただ、この問題については、監査等はやっているのかという話とか、直ちにやるべきだということも最初に申し上げたわけですけれども、二月五日にこのあずみ野観光バスについては監査を行って、今、それの結果を集約中のときにまたこんなことが起こってしまったという問題であったということ。それから、直ちに昨日は現地に、やはりこれは業務上過失致死等で警察その他の捜査、押収等も行われているであろうけれども、しかしながら、我々は監督官庁として求められている監査手続を早急にとるべきだという私の指示も受けてくれまして、昨日はきちっと行ったところでございます。

 新宿西口のこともお話がありましたが、国土交通省におきましても、同じような観点から、その現場についてももちろん調査も現実に行っておりますし、それから、そういうツアーバスにも担当者を添乗させて調査をしたりしてきたこともあります。それから、過労運転等の情報が寄せられた場合には直ちに監査を実施するなど、先ほどおっしゃいましたように、最近の自動車運送事業者数が物すごく大きく、平成十二年に比べて十七年、たった五年間で六〇%ふえているというようなこともありまして、我々としても、精いっぱいやってもなかなか行き届かないところがあるのかもわかりませんけれども、今後もこのようなことを教訓として頑張ってまいりたいというふうに思っております。

伴野委員 今ざっと三千五百社から三千七百社ぐらいですか、これを一年間に六百ぐらいやっていく。五年から六年のタームでやっていく。限られた要員の中で、しかもさまざまな書類をチェックしていく。形態もチェックする。大臣おっしゃるように、一生懸命やっていただいていても、確かにマンパワー的に不足する部分が出てくる。理解できないわけではありませんが、しかしながら、死亡事故なり起きてしまったら、もうこれはやはり取り返しがつきません。

 御案内のように、今回おけがをされた重傷の三名の方も、これはプライバシーのことがあるからここでは申し上げませんが、かなりの重傷でございますね。二十三名の方、軽傷と言われても、やはり精神的な、多分恐怖感というか、もうこういうバスや自動車に乗りたくない、あるいは乗り物自体にもというようなことになるのかもしれません。

 ですから、限られた中で今までどおりのことをやっていくにはやはりどうしても限界があるとすれば、私は、ある程度、多少センセーショナル、パフォーマンスと言われても、例えば、大臣が新宿のあるいは都庁の駐車場にきょうは視察に行くというようなことになれば、少し考えている業者さんなり少し考えている人たちはやはりぴりっとするんだと思うんですね。一過性かもしれませんけれども、それは必ずマスコミに伝わり、大臣が本気になってこういうものをチェックし出したということになれば、心ある人は動くと思うんですね。動かない人は、今度厳罰に処していただければいいんだと思うんですね。

 だから、確かに、こつこつやっていただくのと同時に、今すぐやれることと、そしてこれから抜本的にやっていかなきゃいけないこと。もう刻々と形態も業態も変わっています。はっきり申し上げて、今回のケースのように、家族ぐるみでバスを運行することが可能になってしまうというようなことは、正直言って、私もここまでは考えておりませんでした。

 要するに、十数名以下ぐらいで本当に無理無理動かすということまで想定していましたけれども、二十一歳の息子さんとその弟さん、しかもお母さんだって代用で乗っていたというような、多分非常に過酷な労働だったと思います。だから、こういう過酷な労働もさせちゃいけないと思いますし、幾らコスト競争が激しくなったとしても、そのツケというのは最後は全部乗客に参ってくると思います。

 大臣、どうでしょう。今すぐやれる、私はパフォーマンスもありだと思っているんですね。それと抜本的な解決方法の糸口。もう一度お聞かせいただけませんか。

冬柴国務大臣 今、新宿西口の視察等を御提案いただき、私は、なるべく早くそういうこともやってみたいと思います。

 国土交通省としましては、運輸安全マネジメント制度等を導入いたしまして、輸送、これは陸海空にわたっておりますけれども、そのトップから一番下の職員に至るまで、安全ということが至上命題なんだと。営利企業だから利益も上げなきゃいけないかもわからない、また、運輸というのは定時に発着をするということも一つの使命でしょう、しかしながら乗客の安全というものにまさる目標はないんだと。そしてまた、それに次ぐものは、乗客の利便性というものがどうしたら増すのかという、その観点で経営を進めてもらいたいということで、昨年の十月一日以降、相当、総動員をしながら、社長初め全従業員が一貫して安全というものを認識していただきたいということを周知すべく頑張ってきたところです。

 しかし、父ちゃん母ちゃんぐらいまでなってきますと、そこまでなかなか、もう数が多くて行き渡らないんですね。しかし、そういう方々に対しても、運輸業というものがいかに乗客の安全というものが至上命題であるかということを、我々としてもあらゆる機会をとらえて、監督官庁として指導を徹底してまいりたいということをお約束したいと思います。

伴野委員 大臣は本当に見て見ぬふりができない方だというふうにお見受けしました。今も本当にすぐ時間をつくって新宿あるいは都庁の駐車場も見ていただくと、都庁の駐車場というのは公営の部分ですよね、これは都議会でも問題にもなったらしいですけれども、やはりそこへも本当に、見ていっていただくだけでも随分変わりますから。

 私のような素人がビデオを見ても、営業区域違反の疑義、道路交通法の違反の疑義、旅行業法違反の疑義、私のような素人が見ても指摘できます。プロの方が見ていただければ、ちょっと行き過ぎている現状、見てとっていただけるんじゃないかと思いますので、ぜひやっていただければと思っております。

 運輸事業というのは、やはり命を運ぶものでございます。今も大臣おっしゃいました。安全は輸送業務の最大の使命、これ以上のものはないし、これ以下のものもない、そのために最大限の努力をする。みじんの疑いもあったらつぶしていくというのが、安全のためにはみじんのことがあってもつぶしていくというのがやはり姿勢ではないかと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 では、続きまして、これも昨今マスコミ等で大きく報道をされております。非常に残念な案件の一つでございますけれども、大臣ももう御案内だと思いますが、さまざまな報道でもございました。JR東日本あるいはJR北海道、さらにはJR貨物の主力労働組合、それらを上部組織として束ねているJR総連、その関連団体である日本鉄道福祉事業協会、こちらに警視庁の公安部が十五日に業務上横領の疑いで捜索に入った。さらには、続く数日後にも、今度はJR東労組元会長個人宅だと思いますが、同じような容疑で財団着服事件として捜査に入られております。また、JR総連の現職の幹部のお宅にも公安部の方が捜査に入っているという報道が立て続けに飛び込んでまいりました。

 まず、事実確認をさせていただきたいと思います。警察庁の米村警備局長にお越しいただいていると思いますが、事実確認のお話をしていただけますか。よろしくお願いします。

米村政府参考人 お答えをいたします。

 お尋ねの捜査の関係でありますけれども、警視庁におきまして、二月の十五日及び十九日の両日、財団法人日本鉄道福祉事業協会の関係者が、同協会のために業務上預かり保管中の金員を私的用途に充てるために横領した容疑で、同協会事務所や全日本鉄道労働組合総連合会、略称JR総連でございますが、この事務所が所在する目黒さつき会館等の関係先を捜索したものと承知をしております。

 詳細につきましては、現在まさに捜査中の事件でありまして、答弁は差し控えさせていただきたいと思います。

 以上です。

伴野委員 もう少し細かく事実関係を伺いたいところでございますが、個別案件ということだと思いますので、事実確認だけ後ほどまたさせていただければと思います。

 では、厚労省さん、これは所管だと思いますが、日本鉄道福祉事業協会とはいかなるもので、そしてその理事長さんはどういう方で、JR総連さんとの関係はいかようになっていますか。事実を教えてください。

金子政府参考人 お答え申し上げます。

 日本鉄道福祉事業協会でございますが、これは、昭和五十六年六月に当時の労働省が許可をいたしました公益法人でございます。寄附行為によりますれば、法人の施設を広く労働者に開放いたしまして、労働者の福祉の向上に寄与することなどを目的としております。具体的には目黒さつき会館、こういう施設などを運営しているものでございます。

 それから、二つ目のお尋ねでございますけれども、JR総連との関係でございます。私どもが承知しているところでは、五十六年の法人設立に当たりまして、多くの財産の寄附が、JR総連の母体の一つとなっております動力車労働組合、動労でございますが、こちらから財産の寄附を受けているということを承知しております。

 また、財団の役員の関係でございますが、JR総連その他JR関係労組の役員の方々が就任をしておりまして、理事長さんにつきましては現職のJR総連の委員長、副理事長は二名おりますけれども、いずれもJR総連加盟の労組でございますJR貨物労組の委員長さんとJR東労組の委員長さんが務めている、こういう状況でございます。

伴野委員 今お聞きしただけでも、今回の財団法人日本鉄道福祉事業協会、これはまさにJR総連の幹部の方々が理事長を初め要職についている、そういう団体であるということでございます。そこにおいて、今回のような巨額な不明朗なお金、しかもそれを横領したのではないかという疑い。

 銀行でその銀行マンがちょっと着服ということになると、経済事件として扱われるんでしょうけれども、公安さんが入ることはないんだろうと思います。やはりここの中で公安さんが出てくるということを私なりにいろいろそしゃくさせていただきますと、以前、十月二十五日のこの委員会で、そのときも大臣所信に対する質問の中で、安全、安心のテーマの一つでお話をさせていただきましたが、このJR総連には、そのときも局長さんが答弁していただいたと思いますし、JR総連及びJR東労組の中に相当浸透していると言われる革マル、こことのかかわりは避けて通れない問題であろうと私は思います。

 そうした中で、資金源とも推測される巨額なお金が横領されている。今後の捜査の経緯を見詰めたいとは思いますが、事の重大性を委員会でも確認していただく意味で、改めてお聞きしたいと思います。

 まず、革マル派というのはどういう組織でありますか。局長、教えてください。

米村政府参考人 お答えをいたします。

 革マル派、正式名称日本革命的共産主義者同盟革命的マルクス主義派でございますが、これは共産主義革命を起こすことを究極の目的としている極左暴力集団であります。現在約五千四百人の活動家等を擁していると見ているところであります。革マル派は、他の極左暴力集団と比較しても、その非公然性が極めて強い組織であります。しかも、これまでにも、火炎びんの使用等の処罰に関する法律違反事件あるいは対立するセクトとの間での殺人事件等々、多数の刑事事件を引き起こしているところであります。

 また、革マル派は、現在、将来の共産主義革命に備えるため、その組織拡大に重点を置いておりまして、周囲に警戒心を抱かせないよう、その党派性を隠して基幹産業の労働組合等々各界各層への浸透を図っているというふうに見ております。

 以上です。

伴野委員 今お聞きいただいたとおりでございます。

 そういう組織が相当数浸透している。主意書の答弁書を見れば、五千何がしという数も出ておりますが、そういった国家転覆をねらう組織に対して、これはもう政府挙げて取り組まないといけないことだと私は思います。一つの列車あるいは一つの鉄道会社が、安全、安心とかというレベルを超えた話になっているのではないかと私は危惧いたします。見て見ぬふりができない案件であり、国鉄改革二十年たった今でも、とげのように刺さっているのがこの革マル派でございます。(発言する者あり)応援をしていらっしゃるんですか、革マルを。(発言する者あり)では、ちょっと静かに聞いてください、重要なことです。

 それで、こうした懸案、今後どうなっていってしまうのか。課題についても、警備局長、お聞かせいただけますか。

米村政府参考人 先生御指摘のとおり、私ども警察は、平成八年以降、革マル派の非公然アジト二十カ所を摘発いたしております。これらのアジトの一部から押収した資料を分析するなどした結果、JR総連及びJR東労組内において革マル派活動家がその影響力を行使し得る立場に相当浸透しているというふうに見ております。

 その上で、こうした革マル派の非公然活動家がJR総連あるいはJR東労組と対立する労働組合の関係者に対する住居侵入等の違法行為を伴う調査活動を行った事件でありますとか、革マル派活動家を含むJR東労組の組合員らが、JR東労組と対立する労働組合に属する者と行動をともにするなどした組合員に対しまして、組合の脱退あるいは退職を強要した事件というのを検挙しているところであります。

 私ども、革マル派は今後も労働運動を通じた組織の維持拡大を図るため、この種の事件と同様の事件を引き起こすことが懸念されるというふうに考えております。

 以上です。

伴野委員 十月にお聞きしたときよりも、おさまることはなく、相当浸透していくであろうという懸念も含めて今お話をいただいたんじゃないかと思います。

 改めて、大臣、JR東日本は確かに民間会社でございますが、世界最大級とも言われている鉄道会社であり、しかも国鉄改革という、言ってみれば国民の皆さん方のたくさんの税金を投入して生まれた鉄道会社であり、しかも区間によってはかなり選択肢が限られた鉄道であります。また、JR北海道、JR貨物に関しては、いまだに一〇〇%政府出資の特殊会社であります。

 こういうところを上部組織として束ねているJR総連が、革マルに五千人規模で侵食されているということは、先ほどから繰り返し言っておりますが、一個列車の事故がどうのとか、あるいは旅客会社の経営問題が云々とかという次元をもう超えているんだろうと私は思います。

 今、ずっとお聞きいただいた中で、正直言って、私は、十月二十五日に御答弁いただいた大臣のお言葉を、前向きにといいますか非常に評価させていただいて、多分、JR東日本株式会社の運輸マネジメント評価の際には何らかの形でメッセージを出されるんだろう、何らかの形で助言をされるんだろうと期待しておりましたが、平成十八年十一月二十七日にそれは行われましたが、残念ながら、この点、はっきり申し上げて、革マル派の浸透に対する御助言や御指導や、あるいはそれを類推するものは皆無であったと思われます。(発言する者あり)今そういう、まあ答えるのはやめましょう。革マルを応援しているのかなと思っちゃいますから、注意をしておいた方がいいと思いますが、大臣、今、どう思われますか。

冬柴国務大臣 今、警察庁初め、驚くべき実態が報告されました。

 しかしながら、御了解いただきたいのは、完全民営化されたJR東日本の労働者と使用者、労使関係の問題であることは本質的には変わらないわけでございます。しかしながら、我々は、運輸の安全という問題にこれが支障を生じたとか、あるいはまた、先ほど申し上げましたように、乗客の利便を害するような問題が顕在化したという場合には、厳しく対応しなければならないというふうに思っております。それは、輸送の安全とか利便とかいうものを担当する官庁として当然の話でございます。

 今までも、工事やダイヤ等についての法令に基づく許認可等によるチェックをするほか、保安監査により事業所に立ち入り、輸送の安全に関する事業の管理、施設の状況等について確認を行いました。また、その結果や事故等の報告を踏まえ、必要に応じて事業者を指導監督する等必要な施策はきっちりと推進してきたと確信をいたしております。

 今後も鉄道輸送の安全の確保ということを至上命題として、しっかりと行政官庁としての責めを果たしてまいりたいというふうに思っております。

 また、運輸安全マネジメント評価に論及をされました。私どもは、東日本に対し、昨年の十一月二十七日、二十八日、そちらへ赴きまして、終日、運輸マネジメント評価を行ったところでございまして、安全管理体制の構築に係る一連の取り組みについては評価ができるというふうに感触を得ております。

 しかしながら、安全風土の構築、定着のためには不断の取り組みが必要であります。そういう意味で、今後一層、一回限りではありませんので、今後とも安全管理体制の充実強化に向けて、事故の芽情報の具体的な活用方策の確立、内部監査及び安全管理体制の見直しの仕組みの確立等について、助言も行い、そして監視もさせていただいているところでございます。

 今後、JR東日本の努力によって一層輸送の安全の強化が図られなければならない、そういうふうに考えております。

伴野委員 残念ながら、そこの部分が大臣と私は見解が大きく違うんですね、はっきり申し上げて。

 先ほど来申し上げていますように、輸送業務にとって安全というのは最大の使命なんです。それ以上のものはないんですね。とりわけ鉄道という労働集約産業において労使関係というものは、これはもう経営そのものであってもいいぐらい、あるいは安全そのものであっていいぐらい。だから、安全と経営と労使関係というのは、もうはっきり言って三つどもえと考えていただいてもいい部分なんですよ。

 わかりやすく言えば、今回のバス事故、これはきちっとした組合、労使関係があったら、多分、労の方から悲鳴が上がっていて、こんなの労働基準違反じゃないか、七時間もぶっ通しで、しかも交代がいないじゃないかというところで、きちっとチェックできるんですよ。だから、そのものなんですね。

 あえて申し上げましょう。例えば、大臣、これは通告していなくて恐縮ですが、大臣のイメージで結構です。リーダー研修と民間会社で言われた場合、どんな研修を、あるいはどんな人を育てるとお思いになりますか。今思いつきで結構です。

冬柴国務大臣 そのような面については、経験の浅い私がこのような場所で述べるのは適当ではないかわかりませんけれども、特にこの運輸事業ということになれば、労使を問わず、ここは乗客の安全あるいは利便性の向上ということを共通の目標として、対立じゃなしに、その両方が同じ方向に向かって進まれるような研修を施すであろうというふうに思います。

伴野委員 通常、民間会社がリーダーを育てていくというと、当然、社長あるいは会長、取締役会、経営陣の意思をきちっと会社に伝達し、そして、それが現場までおりていくように、その層ごとに核になる人を育てていく。あるときは係長研修だったり課長研修だったりするわけです。これはまさに安全と裏腹なんですね。特に鉄道を初め運輸事業というのは、そうしたものなんですよ。

 今、革マルに侵食されているというこのJR東日本においては、このリーダー研修すら、先ほどおっしゃった、民間会社で当たり前にできているリーダー研修すらできない状況になっているんですよ。ぜひこのあたり御認識していただいて、先ほど来警備局長がおっしゃっているような相手であり代物なんですよ。

 革マルの御認識はいただきましたね。それと、それが相当数、JR総連、東労組に浸透している。組合員の前に社員なんですよ。そこに浸透しているという御認識はいただいているということでいいですね。確認させてください。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

冬柴国務大臣 今、警察庁の方から、担当者からこの公の場で答弁されたことが真実であるという認識を私は持ちました。

伴野委員 そうした中でやはりまだ、この問題は経営の問題だと言われてしまうんでしょうか。

 そうではなくて、どこにもこの運輸安全マネジメントのマニュアルの中に、そういうことを言っちゃいけない、そういう助言をしちゃいけないなんて書いていないんですよ。法律にもどこにも書いてありません。助言なんかしちゃっていいんですよ。

 もっと言うなら、そういう何か公の立場でやりにくいんだったら、大臣がいつでも呼び出されて、きょう警備局長からこんな話も聞いたよ、こんな、大丈夫か本当にと言うだけで違いますよ。それと、普通の民間会社でできているそういった幹部候補生やあるいは各現場のリーダーをつくる研修がちゃんといっていないそうじゃないか、そんなので安全を守れるのかという一言を言っていただくだけで随分違うと思いますが、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 運輸安全マネジメントでお伺いをして指導する場合には、ただ単に経営者に会うとかいうだけではなしに、経営者と、要するに乗務員あるいは従業員との対話、交流がうまくいっているのかとか、どういう機会に話をされているのか、そういうこともすべて調査の対象にいたしております。

 ただ、思想、信条の自由ということがあります。そしてそれは、表にあらわれた行為については、これは刑罰法令に触れれば厳しく所管する者が対処していくわけでございまして、そういうことがない状況の中で、思想、信条、その人がこういう思想を持っているということだけで、我々がその心のひだの中に踏み込んでどうこうするということは、我が国の今の憲法体制の中では非常に難しい。これは御了解いただきたいと思います。

 ただ、私どもは、そういう思想、信条が発露するその場面において、運輸の安全にかかわるようなことが起こってくるということになれば、これは私ども見過ごすわけにはいきません。しかし、挙措動作の中にあらわれていない、その人たちの集団と申しますか、そういう人たちをどうこうするという、指導をする立場にはないということだけは御了解をいただきたいと思います。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

伴野委員 大臣、私は、思想、信条で指導しろなんて一言も言っていないんですよ。

 それと、私の質問主意書の中にもはっきり、具体的、個別な列車事故が起きなければ動けないというようなことが書いてありますが、これは言ってみれば、戦争が起きてだれかが死なない限りは予防外交なんて無用だと言っているのに等しくなりませんか。やれることをやっていくんですよ。事故が起きないように、インシデントを摘む。さっき言ったように、労使関係あるいは教育がきちっとできないというのは、もう安全にとって最大のマイナスなんですよ。

 もっと言えば、これだけいろいろな、こうやって委員会でも、皆さん方、全国の方が見てくださっていると思っていますが、これははっきり申し上げて、JR東日本にとってみればイメージダウンの話ですよ。こんなイメージダウンのことを払拭しなければ、民間会社であったらば、株主総会でやられるし、市場は嫌気を差しますよ。そうしたら資金も抜けますよ。そうしたら安全投資できなくなるじゃないですか。だから、白黒はっきりさせなきゃいけないんですよ。

 警察さんがそう言っているなら、どこにそういう人がいるんですかというのも一つの手かもしれませんし、あるいは、早くとげを抜くためにいろいろな情報交換をして協力していただくとか。その思想、信条とか、そんなことをチェックしてくれと大臣に申し上げているわけじゃない。先ほど申し上げたように、パフォーマンスかもしれないけれども、東日本の会社の社長を大臣室にお招きいただいて、きょう、こういう委員会であったけれどもどうだと言っていただくだけでも随分変わりますよ。

 しかも、これは革マルという、先ほど来警備局長が非常に恐ろしい集団だと言っているじゃないですか。この手の人たちというのは、潜伏して、わけのわからないうちにお金をためておいて、武器もしっかりとためておいて一気にやるというのが世界の常道じゃないですか。まさにここで大臣が書いていらっしゃる、交通事業のテロ対策の国内的な最大のことですよ。それをできないというのは、僕は、大臣、大変失礼だけれども、見て見ぬふりをするお一人になっちゃうような気がしてならないんですが、ぜひ大臣には見て見ぬふりをしない大臣になっていただきたいんですよ。どうですか。

冬柴国務大臣 非常に応援ありがとうございます。見て見ぬふりはいたしません。

 しかしながら、日本には警察組織もあります。違法行為が表に出たときには厳しく対処する組織もあります。しかしながら、私どもは、だからといって、運輸の安全にかかわる問題が生ずる場合には、私は看過しませんということを申し上げているわけであります。厳しく対処させていただきますということで、踏み込んだ答弁をしているつもりでございます。

 そういう意味で、委員の御指摘はよくわかりますけれども、ここは、民営化をしたそのような会社の中の問題について私がここで言うことは、御了解をいただきたいと思います。

伴野委員 大臣、大変恐縮ですが、そこも大臣と認識が違うんですよ。

 答弁書も読んでくださいということで、私、レクに来た方にもお話ししておきましたけれども、ここに大臣、「輸送の安全の確保に問題があるか否かに関しては、列車衝突事故等の発生するおそれがあると認められる事態等の個別の事案に基づき判断する」、これじゃ遅いと言っているんですよ。遅いから私はこんなに言っているんですよ。これが出てきたときには本当に、お一人じゃないかもしれませんよ。だから言っているんですよ。こんなのでよければ、何にもしなくたっていいということになっちゃうじゃないですか。それは違うと思うな、本当に。

 今の大臣のおっしゃることは、本当に個別具体的な事故が起きるまでは動けないとおっしゃっている。では、それが国土交通大臣だったら、国務大臣として動いてくださいよ。いかがですか。

冬柴国務大臣 私は、安全に支障が生ずるような萌芽、兆候があるとか、そういう問題については厳しく対処をしてまいります。

伴野委員 では、それは、確認させていただきますが、主意書の答弁書でお書きになった、列車衝突事故等の発生するおそれがあると認められるときまでないということですよね、残念ながら。確認させてください。

冬柴国務大臣 それは答弁書の中の一事例でありまして、いろいろな場面があるんだろうと思います。そういうものについて、私が、多くの不特定多数の乗客を乗せて運ぶ公共交通機関として不適当、これがやはり安全に支障を及ぼす事態だということを感じたときには、そういう今挙げられたことも一つでしょうけれども、もっといろいろな各段階の問題もあるのではないかと思います。そういうときには厳しく対処させていただく。ただ、それは根拠が要ります。そういう法令に基づいて我々ができることはきっちりとやらせていただくということを申し上げたいと思います。

 なお、そういう人たちが社会人として違法な行為を、法に違反する、罰則に触れるようなことをされた場合には、我が国には立派な警察組織、検察組織もありますから、そこはそこでやるだろう。ただ、私どもは、運輸の安全ということを担当する役所として、できることは全部やらせていただくということでございます。

伴野委員 今根拠とおっしゃいましたが、警察庁なり政府の主意書の答弁書で、JR総連及びJR東労組に五千人規模で相当浸透されているという、この政府答弁が最大の根拠じゃないですか。それ以外の根拠というのは何が要るんですか。逆に教えてほしい。これが根拠じゃないというんだったら、警察庁と白黒はっきりつけてくださいよ。そうじゃないと、私、鉄道にかかわっていた人間としても、こんな情けない話はないですよ。

 自分が少しでも仕事にかかわってきた、あるいは今でもかかわりのある人たち、それが、革マル問題で浸透されている、こういったことが明らかになっているのに、これが自分たちの世代で解決できずにどんどん先送りされていってしまって、そのときには、冬柴大臣もいらっしゃらないかもしれない、私もいないかもしれないけれども、たっとい命が、ちょうど列車衝突事故の発生とともに起こってしまう。そこまでは何も国土交通省として動けないんだったら、今の安全予防活動、投資、全部やめちゃっていいじゃないですか。だったら何でこの投資をやっているんですか。さっきの検知マットだってそうですよ。(発言する者あり)黙って聞きなさいよ。

塩谷委員長 御静粛に願います。

伴野委員 後で十分聞きますから、私の部屋に来てください、いいですから。

 そういうことをお願いしているんですよ。私も逃げない、だから大臣もぜひ闘ってほしいんですよ、一緒に。私は、大臣は見て見ぬふりができない方だと思っています。だから……(発言する者あり)いや、警察といっても、政府の主意書の答弁書で書いてあるでしょう。一体ですよ、内閣は。そこが違ったら、内閣不一致なの。そういうところも全部確認しているんです。

 だから、大臣、お願いです。そんなに難しいことというか、法にのっとって云々ということじゃなくて、今、例えばあしたでも結構、きょうでもいいですよ、東日本の社長さんをお招きになって、こういう委員会だったけれどもどうだと言うぐらいの、何も指示も指導もしなくていいですよ。意見を聞くだけでもいいじゃないですか、どっちが正しいんだと。あの伴野が言っていることはめちゃくちゃじゃないのかと言ってやってもいいですよ。

 だから、ぜひやはりもう白黒つけていきましょうよ、この手の話は。ぜひ……(発言する者あり)そういうことじゃないの。もっと勉強しなさいよ。そんなだったらやらないよ、こんなところで。いいか、国家の治安の問題、あなたは、治安の問題に全く無関心だということは無責任だということだ。(発言する者あり)だったら、やじるな。

 済みません、失礼しました。

 大臣、私の尊敬する大臣でもありますから、意を含んでくださったということで、私もここでこれ以上、はっきり言ってちょっと談合のこともやりたくて、たくさんの方をお招きしていて大変恐縮です、申しわけありません。伝わらないこともあったかもしれませんが、やはりそれだけ大変なことなんですよ、これは。本当に安全、安心、テロ対策の最大の事案なんですよ。ぜひさらに御認識を深めていただいて、私はいつでもお邪魔しますので、よろしくお願いします。

 時間が参りました。よろしくお願いいたします。

塩谷委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、大臣に質問をします。

 冬柴大臣は所信で、安全、安心の課題に取り組むことを述べました。国土交通省の二〇〇七年度予算の説明などを見ると、国際競争力の強化を一番目に掲げています。〇六年度は、集中豪雨やJR尼崎事故、耐震偽装などがあったことも影響したのでしょう、安全、安心を筆頭に掲げていたことと比べると、いささかちょっと方向が違うんじゃないかなと私は思ったわけです。

 行政の本来の役割としておろそかにしちゃいけないという立場から、安全、安心の課題、建築物の安全に関して幾つか質問します。

 まず、カラオケボックス火災事件です。

 去る一月二十日、兵庫県宝塚市のカラオケボックス、ビートで火災が発生し、高校生ら三人が死亡、五名が負傷するという痛ましい事件がありました。哀悼の意を改めて表明したいと思うんです。なぜ火災事故が起きる前に防ぐことができなかったのか、これはだれもが感じることなんです。建築物の防火は建築基準法や消防法で厳しく規定されているはずなのに、どうなっているのか、規制制度に問題があるんじゃないかと考えてしまうわけです。

 この建築物は、鉄骨づくりで地上二階建て、事務所兼倉庫として一九八一年に建築確認されたものでした。しかし、新聞やテレビで皆さんも御承知のとおり、カラオケボックスへの変更届けはなされていなかったと言われています。こういう無届け営業や防火避難規定を初めとする建築基準法令に違反している事例はほかにもたくさんあるはずです。全国にあるカラオケボックスを調べて、緊急に対処すべきだと私は考えます。

 国交省は、一月二十三日に、各都道府県に対し緊急点検と点検結果の報告を要請しています。そのまとめた内容は現在どうなっているか、お伝えいただきたい。

榊政府参考人 御指摘のように、一月二十三日に、全国の特定行政庁に対してカラオケボックスの緊急点検を依頼いたしました。基準法令への適合状況について、二月十六日までに点検結果の報告を求めていたところでございます。

 現在、報告内容に不備がございまして、内容の確認を行っているところでございまして、早急に点検結果を取りまとめまして、公表いたしたいと思っております。

 それから、未点検の物件につきましても、引き続き点検を実施いたしまして、点検が完了した段階で改めて公表する予定であります。

 なお、いわば速報値的といいますか中間報告的な感じで申し上げますと、報告のありましたカラオケボックスが六千三百件ございまして、そのうち基準法違反が約四割でございます。口頭も含めて是正指導を行った件数がその九五%という状態になっておるところでございます。

穀田委員 ぜひ正確を期していただいて、命と安全にかかわる問題ですから、それは特定行政庁とよく突き合わせてやっていただきたいと思うんです。

 今、中間報告ということで速報値とありましたが、大体六千三百件のうち約四割が違反していると。これは、新聞報道などを私も丹念に追ってみますと、この事件があった兵庫県などでいいますと、大体八割近くは違反しているんじゃないか、こう言われている、もちろん正確の問題はありますから。埼玉では、報道によると、これはまた六割と。これは多分、建築基準法でこの程度ですから、消防法の関係の違反というともっと多くなる可能性が、普通はそうあるのではないかと推測できるということであって、驚くべき数字なんですね。これほどまでに建築基準法違反が横行している。法令遵守の形骸化は深刻だと思うんですね。

 建築基準法令はあるけれども、それが守られていないという実態が広範にある。こういう建築物の安全がないがしろにされている事態というのは深刻でして、今、是正その他ということを言い始めましたけれども、大臣はこの問題について、大枠、基本的な対処といいますか、どうするつもりか、お答えいただきたい。

冬柴国務大臣 今答弁がありましたように、六千三百件中二千五百件が違反があったということは驚くべきことでありますが、そのうち九五%については是正を命じておりまして、その結果を見たいと思いますが、大枠でというお話もいただきました。

 そういうことで、緊急点検において建築基準法令に違反する事項が認められたものにつきましては、関係特定行政庁を通じまして、当該カラオケボックスの所有者等に対して、違反の態様に応じて速やかに是正措置をさせるなどの指導を行ってまいりたいというふうに思います。

 国土交通省としましては、今回の緊急点検の結果を早急に取りまとめるとともに、今後、特定行政庁による違反是正の状況につきましても、逐次把握をし、そして皆様方に公表していきたい、このように考えております。

穀田委員 違反是正は当然であります。ただ、これは、今ようやく調べて、報告でいいますと、調べた瞬間に是正指導しているという経過もあるんですよね。今まであったものをずっと指導してきて、やっておったという話だったら別に、直っていないという問題がどうなっているのか、こうなるわけで、話としてはえらい調子いいわけですね。つまり、六千ある、二千五百がひどい、そのうち九割は是正した。そうすると、国民が見れば、では今は大丈夫なんだというふうにも聞こえるし、しかし、今すぐやったばかりだなというところもあるし、その辺はもう少し丁寧にやらないと、何か大丈夫だみたいな聞こえ方をするようでは困るんですよね。それは大臣も共有すると思うんです。

 私、指導や是正の強化というのは当然なんだけれども、この分野における建築行政の抜本的改善が必要だと思うんです。というのは、なぜここの分野で法令違反が多かったのかということや、見過ごしたのかとか、原因究明はどうだったのか、是正を指導してきたけれども従わなかったのかというあたりについては、これは、たくさんの人が住んでいるというふうな、マンションや住宅とあわせて、たくさんの若い人たちも含めて出入りをする、ある意味では、公共的に近いと言ったらしかられますけれども、そういう建物ですよね。だからこそその原因究明というのは必要だということを私は特に言っておきたいと思うんです。

 そこで二つ目に、アパの耐震偽装事件について聞きたいと思うんです。

 一昨年の十一月十七日、姉歯元建築士による耐震偽装事件が発覚し、建築物の安全性が大問題になりました。その後、福岡、札幌など、姉歯事件以外での偽装も発覚し、姉歯事件がまさに氷山の一角だったことが明らかとなったわけです。何度も言うように、国民の建築行政に対する不安と不信は広がったと思うんですね。

 こうした中、去る一月二十五日、新たな耐震偽装が発覚した。アパマンション株式会社が建築した京都市の二つのアパホテルで構造計算書の偽装及び耐震性の不足があったと発表されました。いずれも富山県の田村水落設計が構造計算したものであったわけです。偽装があったのは、主にアパグループが建築主となっている物件です。

 そこで聞きたいんです。国交省は田村水落設計が構造計算した物件を調査していますが、今月十四日までに報告されたものを含めて、調査の内容はどうなっているか承りたい。

榊政府参考人 本年一月二十四日に京都市のホテルについて耐震性の不足が判明したことを受けまして、既に調査を実施していた四十二物件の抽出物件だけではなくて、設計に関与した百六十二物件すべてについて調査を行うことといたしました。その後、富山県から追加報告ですとか通報がございまして、百六十二件が現在二百三十一物件になっておりまして、二月十四日現在でこの二百三十一物件を対象に調査を進めております。

 今まで判明しているところ、百八件についての調査を終えております。京都市のホテル二件、成田市のマンション一件、それから大阪市のホテル一件について耐震性の不足がございました。その他四件について、耐震性は満たすものの、構造計算書や構造図に誤りがあったというのが四件という報告を受けておるところでございます。

穀田委員 大要はそのとおりで、そこで、水落建築士は偽装を否定する見解をメディアに表明しています。国交省として偽装と判断した根拠は何かということを一点お答えいただき、国交省として耐震偽装と判断していることから、水落建築士やタムラ建築設計事務所など元請設計士など関係者の処分を検討しているのか、この二つについてお答えをいただきたい。

冬柴国務大臣 国土交通省は、昨年十月三十一日に京都市から偽装ありとの報告を受けたわけでございます。それで、一月十九日に京都市から偽装内容の詳細な報告を受けました。

 京都市からは、アパヴィラホテル京都駅前につきましては、NGになると指摘を受けている柱について、その場で本人が手で計算を行い、NGであることを確認して、計算書の数値や活字を修正したと答えました。すなわち、京都市が行った十月十日のヒアリングで、「Ok」の「k」という字が大文字になっていた、本来は小文字で書く。これは書きかえた、本人もその事実は認めたということが一つです。

 アパホテル京都駅堀川通につきましては、構造計算書に二種類のヘッダーが出力されており、そしてそれが張り合わされたということで、偽装と判断せざるを得ないとの指摘に対して、本人がそう思うと答えた。これは京都市が行った十月二十三日のヒアリングでそうした。こういうことで、偽装があったということがまずわかったわけです。

 では、そのときになぜ発表しないんだということを怒られるんですけれども、しかし、水平耐力というものがそのときにどうだったのか。要するに、一以下なのか以上なのか、その点についてはまだ確認できていなかったんですね。そこの点についても、それはやはり足りませんでしたという報告が一月になってからありましたので、それで、我々は即それを公表したということでございまして、どう判断したのかという理由は今のようなことでございます。

 それから、そういう問題が、まだ今言うように二百三十六という多くのものがありますので、これの調査を今鋭意やっていますが、それの成り行きを見ながら、もちろん厳正に対処しなければならない、処分をしなければならないというふうに考えておりますが、現状はまだそういうふうにたくさんありますので、調査中でございますので、今どの段階かということを申し上げるのはちょっとお許しいただきたいと思います。

穀田委員 簡単に言えば、そういう意見表明があろうが、現実には既に突合している段階で、一番肝心な点で、偽装があると判断している、こういうことですね、そう言ってくれればいいんですけれども、それはわかっているんですけれども。

 私、気になっているのは、今回、一連のケースで調査に時間がかかり過ぎと違うかと思っているんです。といいますのは、昨年六月に要請したサンプル調査四十二件のうち、まだ十六件が終わっていないんですね。報道は、東京都と千葉の例を比較して、自治体の対応が違うということまで言っているんですね。

 どう言っているかというと、都は、独自に検査し直せば相当な費用がかかるとし、建築確認した日本ERIに再確認を求めている、急ぐよう指導しているが、田村水落設計の協力が得られないようで、現時点でいつ終わるかわからない、ここまで言っているんですね。一方、千葉県は、構造計算用のソフトで独自に計算し直し、強度不足の確認を得た、こうしてやっているわけです。

 つまり、片や東京はいつわかるかわからぬ、こっちは必死になって独自にやった。これは住民やホテルの利用者の安全にかかわる問題で、これを受け取る側からすれば、国や自治体は一体何をやっているのか、もしかしたらという話をしているときに、まだ評価も出ないということでいいのかということになると思うんですね。

 国交省としては、対応を自治体任せにするんじゃなくて、検査方法を指示して迅速に終わらせるか、それとも直接検査するなどの援助をして、一刻も早く国民の不安にこたえるべきではないんでしょうか。

冬柴国務大臣 もうお説のとおりですけれども、事情をちょっと申し上げさせてもらいますと、京都市のアパホテル二棟につきましては、昨年六月以降、京都市が特定行政庁として偽装の有無と耐震性の検証を行った。その調査の内容は、構造設計者や元請設計者、工事監理者、施工者、建築主からヒアリングを約五十回実施したということでございます。これに対してもなお彼は言い逃れをしようとしたわけですね。そういう意味で、市の判断が妥当かどうかについて、有識者委員会も設置して審査をいただいた、公表まで七カ月を要したのはそういうことがあります。

 あと、技術的に高度な物件については、我々国土交通省としては、財団法人日本建築防災協会が設けた違反是正支援委員会という専門家集団を活用してほしいとか、あるいは、適切な第三者の構造技術者の確保が困難な場合には、我々が、社団法人日本建築構造技術者協会、JSCAといいますが、そことの連携をとっていただきたいということで、構造に関する高度な専門知識を有する人を活用した検証を特定行政庁にも働きかけをお願いしているところでございます。

 物件が地域的に、富山が多いのは当たり前ですけれども、物すごい偏在しているとか、あるいは検証作業が非常に難易度が高い、物件が五棟、六棟に及び、それが一万平方メートルとか五万平方メートルと大変な物件になったり、いろいろな事情がそこにはありますので、一律に全部おくれているというものではなしに、努力していますので、よろしくお願いしたいと思います。

穀田委員 努力を否定しているわけじゃないんですね。お説のとおりと言われたように、やはり事は安全にかかわる問題で、片や終わっている、片やめどが立たない、こういうところがあるわけだから。私、京都の例は知っていますよ、私はあそこに住んでいますから、それの事情もよく聞いているんですよ。問題はそういうのじゃなくて、東京や千葉という例があるわけで、そこまでやはりきちんとすべきだということを言っているんです。

 その上で、そうだとしたらちょっと聞きたいんだけれども、アパホテルが、偽装発覚後、水落建築士が計算した九ホテルの営業停止を発表しましたね。これを受けて大臣は、閣議後の記者会見で、強度が足りるか足りないかを度外視して、営業を休止するのはサービス業として良心的な判断、敬意を表したいと述べているんですね。大臣に聞くけれども、アパに敬意を表する理由というのは何がありますか、ちょっと教えてください。

冬柴国務大臣 このアパグループは、二月五日、耐力不足のホテル等の構造設計を行った設計士が担当した物件につきまして、まだそういうものが全然確定していない中で、ホテルの新規予約の停止及び三月以降の営業停止をみずから公表した。それから、既設マンションの耐震性の自主検証と、耐力不足が判明した場合の補強工事費用をみずから負担するということで、現実に負担した。工事中のマンションの工事停止及び契約者との契約を解除した。これは、我々の方も宅地建物取引業法に基づいていろいろな指導をいたしまして、契約していたものを全部解約させた、それに応じたという点は、私は、まだ確定していないけれども、やはりお客さんの安全、安心というものをおもんぱかって、利益を度外視してそういう判断をしたということは、それは認めてあげていいんじゃないかという気持ちからそのような発言をいたしました。

穀田委員 いや、契約解除するなんというのは、そういう指導は当然のことであって、別にそれに従ったからといってよかったねなんという話じゃないですよ。

 では聞きますけれども、アパがこの問題でどういう対応をしてきたか。京都の物件でいえば、今あったように二月二十六日じゃないんですよ。最初の提起は、京都市の担当者が昨年の十月二十三日に田村水落設計の水落一級建築士とアパグループの品質管理部門責任者と面談をして、下京区のアパヴィラホテル京都駅前、京都駅のすぐ西の方ですが、それが強度偽装と判断せざるを得ないと告げていた、しかし、アパグループは通常どおりホテル営業を続けていた、これは事実ですね。事実だけ言ってください。

冬柴国務大臣 それは事実です。

穀田委員 だから、少なくともこの時点で安全という結果が出るまで営業停止すべきだったんです、もしそう言うんだったら。

 そこでもう一つ。それだけじゃないんです。千葉県の物件は、埼玉の物件と同様に、建築確認を行ったイーホームズ社から、昨年の二月二十八日に千葉県に対して、そして同年三月三日に国土交通省に対して、構造計算に疑義があると通報があった物件なんですね。これらの物件は昨年当委員会でも取り上げられて、その後、工事を中止、十月には先ほど言った購入者との契約解除までしているわけです。だから、国交省にも報告があったわけです。これも事実ですか。

冬柴国務大臣 いや、それはそのようにありましたけれども、千葉の物件は全部で五棟あるんですね。建築中ですから、それはやめました、売るのもやめました。そして、その後、調査したところ、実に四棟は構造計算上問題がないということになったわけですね。そのうち一棟につきましては、耐力が〇・七四ですか、不足しているということがわかりましたけれども、そういうものをつかむのに、先ほど京都の例でも申しましたように、特定行政庁としては、面積が非常に大きい、そして棟数も五つもあるというようなことから、私は、一生懸命やった結果の、相当期間の範囲内の問題だと思います。

 それから、先ほどのアパホテルの問題については、偽装されたということはわかるけれども、耐力がどう、耐震性がどうなのかという点については、結論は全く出ていなかったんですよ。しかし、それが足らないということがわかったということを言われて、そして営業を禁止したということは、私は、それはそれなりの評価をしてもいいんじゃないかというふうに思ったわけでございます。

穀田委員 そこが普通の人たちの認識とは違うと言っているんですよ、褒めることじゃないと言っているんです。

 というのは、そのときにやめておいて、だって、京都市の担当者はわざわざ構造計算書に改ざんがあると説明し、強度偽装と判断せざるを得ないと詰めているわけだ。中身があるんですよ。単なる偽装だというんじゃなくて、もう強度偽装、強度がおかしいという話をしているんですよ。

 そういう点からしたら、そのときに、ああ、済まなんだと言って、これは危ないなと思って、やったら、それはそこそこでしょう。だけれども、ずっとそれまでやらなかった事実、要するに、営業を停止しなかった事実は残っているんですよ。だから、京都市民は、これはちょっとひどいなとみんな思っているんですよ。もちろんそうでない人もいるでしょうけれども、京都市民にとってみれば、その時点で京都市がおかしいと言っているということだけは確かだと思うんですね。

 しかも、アパグループの元谷会長は、これまでの対応を、水落建築士が大丈夫だと言うのを信用し過ぎた、認識が甘かったと謝罪しているんですね。強度が足りない、危ないかもしれないと指摘されているわけですよね。それにもかかわらず、そう言う建築士を信用して、強度不足が確定するまで放置していた、これが事実なんです、客観的には。だから、指摘されて、強度が不足しているんじゃないかということで、単なる偽装というんじゃない、強度が不足しているという指摘を受けてこのままやっていたということが、これが客観的事実なんですね。

 だから、そのグループというのは、偽装の指摘があっても、結局、先ほど大臣からもありましたし当局からもありましたように、非常に彼は言い分がいろいろあるわけですよね。そういうものを優先して、結局、安全確保の手だてを怠ってきた企業と言わざるを得ないと私は思うんですね。それが普通の常識だと思います。

 そこで、もう一つ聞きます。

 千葉と埼玉の物件に対して、アパは、昨年五月三十一日のホームページで、計算書の一部に不整合があることをイーホームズからさっき言った昨年三月に報告を受けて、工事中止するように指示をし、第三者の設計士を入れて再チェック中と、これはホームページで掲載をしています。翌日の六月一日付では、その他物件につきましては現在調査中でありますとしていたわけです。つまり、第三者の構造設計士を入れて既に一度調査していたことになるんですね、彼らのホームページによれば。

 ということは、まず一つは、自前の調査では偽装が確認されていなかったのか、二つ目は、確認されたが黙っていたのか、あるいは実際は調査していなかったのか、この三つのうちの一つなんですね、疑問がわくわけですよ。

 だから、アパは昨年三月に、水落建築士の計算書の一部不整合、つまり偽装があるということを認識しているわけですね、このホームページで明らかなように。そうすると、ホテルは京都の結論が出るまで放置していたのはなぜか、そもそも水落建築士と元請設計との関係はどうして生まれたのか、なぜ偽装したのか、そして偽装に結びつく圧力はなかったのか、これは姉歯事件のときにみんなが問題にしてきた諸点です。私は、こういう点で多々あると思うんです。

 したがって、国土交通委員会として、元谷アパグループ会長、水落建築士、元請設計のタムラ建築設計事務所など、関係者の参考人招致を行うべきだと思います。それを要請します。

塩谷委員長 今の件については、理事会でまた協議したいと思います。

穀田委員 最後に、大臣、事実はそれでそのとおりなんですけれども、この事件の背景というところに、私が一貫してこの間ずっと言ってきたのは、例のコスト削減競争というのがここにも出ているということをぜひ見ていただきたいんです。

 先ほども少しお話ししていましたけれども、例の積載荷重を建築基準法施行令の目安のほぼ半分で設定してやっていたということがあったわけですね。しかも、これは京都の例ですけれども、施工の段階でも、構造計算書で書かれていた筋交いの数を実際の施工図で大幅に減らし、筋交いの太さも細くしていた。二重にひどい手口なわけですね。

 だから、積載荷重を軽く設定することで床や柱などの材料を少なくできるために、この点で私が聞いてみますと、京都市は、コスト削減を優先した設計で、結果として耐震強度の不足につながったと見ているというふうに言われていました。だから、この事件の背景にも、姉歯事件と同様に、安全を軽視するコスト削減優先の仕組みがあったと言っていいと思うんです。

 アパの元谷会長は、アップルタウンという自社の雑誌で、欧米と比べ日本の住宅が高い理由を、日本だと、床にパチンコ玉を転がして一ミリの床の傾きまでチェックします、生活に支障がなくても、大体傾いている、ひびがある、すき間があるというのはすべてやり直しの対象になるのです、ここまで言っているんですよね。その後、この風潮の結果、みんなが割高のものを購入することになっている、こう言っているわけですね。

 だから、日本におけるそういうものがなぜやられてきたか。結局、地震対策を初めとした安全な建物という発想がずっと形づくられてきたものをこんな形でやゆしたりしているような状況があるわけですね。ヒューザーの小嶋社長も、例の、経済設計がどこが悪いと開き直った方ですよ。

 だから、私は、安全を軽視する行き過ぎたコスト削減競争、この点についていよいよ改める必要がある、そういう点での指導が必要になっていると思うんですが、その見解だけお聞きして、終わります。

冬柴国務大臣 国土交通省は、安全、安心を確保して、我々の子供や孫たちが自信と誇りを持てる美しい国をつくるのが使命だと思っておりますので、あらゆる面でその安全というものを重視する政策をとってまいりたいと思います。

榊政府参考人 委員の方から、京都のホテルの関係で、十月時点で耐力不足は判明していたのではないかというようなことの御指摘がありましたが、私どもからの報告の経緯を申し上げますと、昨年の十月六日に、ホテル二物件について不整合ありという第一報がございました。十月三十一日に、二物件とも偽装ありとの報告を受けております。ことしの一月十九日になりまして、偽装内容と耐震性の状況について詳細な報告を受けました。一月二十四日に、耐震性の状況につきまして、確定値について報告を受けました。したがって、十月の時点で耐力不足は私どもとして報告は受けておりません。

 また、京都市が昨年十月時点でアパに対して耐力不足が判明していることを伝えていたというような御指摘もございましたが、私どもは伺っておりません。

 それから、アパに対して不整合の事実及び耐震性の調査を開始する旨を伝えましたのは昨年十月時点でございますが、平成十九年の二月二十日に京都市から確認いたしましたところ、昨年の十二月二十日に、アパの担当者が構造基準に抵触し耐力不足となっている可能性があるという認識を京都市に伝えたというふうに伺っているところでございます。

穀田委員 今ので二つ明らかになっているので、十二月二十三日には、あかんということをあっちも認識しているということがわかった、そのことが一つと、それと、十月二十三日段階でそういう強度不足、これを指摘している。おたくのところの話でいうと、そういう正確な話をどうやって上げるかといったら、それは確定しないと大変だから、だけれども、これは明らかに強度不足であるという話をしているんですよ。そういう二つの例からしても、その後も少なくとも営業していたということははっきりしているということを裏打ちした点で、極めて大事な報告が上がったと思います。

 以上です。

塩谷委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時八分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時六分開議

塩谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日も、大臣の所信に対しまして質疑をさせていただきたいと思います。私は持ち時間が短いものですから、なるべく簡潔にお答えいただければと思います。

 まず、下水道の整備につきまして質問させていただきたいと思います。

 下水道は、汚水の排除によりまして、生活環境の改善ですとか河川等の公共用水域の水質の安全、そして雨水の排除による水害の防止等、国民の安全で快適な生活環境、これを実現するために極めて重要な役割を担っているというふうに考えております。

 本格的に下水道が整備されるようになりましたのは、第二次世界大戦後、産業の急速な発展、こういうものによります都市への人口の集中、また、工場排水によって河川などの公共用水域の水質汚濁が顕著となってからでございます。

 昭和三十三年に制定されました新下水道法に基づきまして下水道整備五カ年計画が始まったのが昭和三十八年でございますので、下水道整備への取り組みはたかだか四十数年。昨日私が予算委員会でやりました水道は百年以上の歴史があるわけでございます。この間、国、地方公共団体、また関係者の方々の努力によって下水道整備というものが進められてきた、こういうことは事実でございまして、私もそこには敬意を表したいと思います。

 普及率も今着実に上昇しておりまして、平成六年に五〇%を突破したわけでございます。平成十七年度末、これはもし数字が間違っていたらあれですが、六九・三%というふうに伺っております。これも一生懸命努力をされているんだなというのは認識しております。ただ、昨今の公共事業費の削減傾向の中、下水道関係予算も年々減少してきておりまして、計画的な下水道整備に大きなブレーキになるんじゃないかなということが懸念されるわけでございます。

 そこで、お尋ねをさせていただきたいと思うんですが、下水道整備に関する長期計画、これにつきましては、下水道整備に関してどのような計画と目標が設定されているのか。また、計画期末における目標達成に向けた具体的な状況につきまして、そしてまた今後の見通しにつきましてお答えいただければと思います。

江藤政府参考人 お答え申し上げます。

 下水道整備の長期計画についてお尋ねでございますけれども、下水道の整備につきまして、現在、社会資本整備重点計画に基づいて整備を進めております。

 この計画の中で、整備の目標として数値目標を掲げておりまして、下水道の普及につきましては、総人口に対する下水道を利用できる人口の割合、これを下水道処理人口普及率というふうに表現しておりますけれども、この指標で申し上げますと、平成十四年度末六五%を十九年度末に七二%まで整備を進めていこうという計画になっております。現在、先ほど委員からもお話がありましたように、この目標に対して、十七年度末時点で六九%という状況になっております。

 それから、汚水の処理につきましては、我が国においては、下水道だけではなくて、合併浄化槽あるいは農業集落排水処理施設というものと連携をしながら整備を進めておりまして、これらの施設整備も合わせますと、現在、十七年度末で八一%という状況になっております。

 それから、下水道は、都市に降った雨水を排除し浸水を防止するという役割を持っているわけですけれども、そういう観点から、おおむね五年に一回の大雨に対しまして浸水対策の必要な区域のうち対策が講じられた区域の面積の割合、これを浸水対策達成率という指標で表現しておりまして、こちらにつきましては、十四年度末五一%を十九年度末には五四%まで高めるという計画になっております。これに対しまして、十七年度末時点で五三%ということでございまして、おおむね計画に沿って進捗が図られているというふうに考えております。

 下水道を取り巻く状況、財政等の問題で非常に厳しい状況にありますけれども、目標達成に向けて、より一層の効率的な整備に努めてまいりたいと考えております。

糸川委員 ありがとうございます。

 下水道の普及率はまだまだ日本は低レベルだ、六九%ではまだまだ低レベルなところにありまして、オランダでは九八%でございます。イギリス九七%、ドイツ九五%とほぼ完備に近いわけでございますので、上水道はもう九七%が普及しているわけでございますので、ぜひ下水道の方も普及を高めていただきたい。

 その中で、この厳しい予算の中で、私のところにも、地元の福井から下水道整備の要望が数多く寄せられております。汚水処理の普及拡大ですとか都市の浸水対策、さらには公共用水域の水質保全、さまざまな役割を持ちます下水道の整備、これを関係機関との連携ですとか重点化を図りながら効率よく推進していかなければならないわけでございます。

 そこで、大臣に、今後の下水道のあり方につきましてどのように考えられているのか、お聞きしたいと思います。

冬柴国務大臣 国土交通省は、国民の快適で豊かな生活を確保するということが非常に大きな役割でありますし、また、環境保全あるいは水害の防止という意味からも、下水道、ひいては汚水処理人口の普及というものは重大な関心を持っております。限られた予算ですけれども、しっかり確保しまして、この意味では頑張っていきたいと思います。

 下水道につきましては国土交通省が行っておりますが、それだけであれば、十九年度末、すなわち来年の三月末ですが、七二%というふうになっておりますけれども、汚水処理という観点からとらえれば、厚生労働省が行っております合併浄化槽、地方におきましては、山村というところもありますので、そこへ全部下水道をつけるというのは大変難しいんですけれども、合併浄化槽で浄化する、あるいは農水省が行う集落排水というようなものを入れてきれいな水をつくろう。要するに、汚水処理人口の普及を上げていこうということの取り組みを、今お話しのように、省庁ともよく連携をとりながら、重複するようなことのないようにしながら頑張っていきたいと思います。

 そのような結果、十九年度末、すなわち来年の三月末には八六%まで上げられる。ヨーロッパの、「レ・ミゼラブル」の小説からもわかるように、古くからパリでは下水道が普及していますけれども、日本はおくれましたけれども、今八六%まで頑張ろうという計画を立ててやっておりますので、御理解をいただきたいと思います。

糸川委員 もともと明治十七年に下水道が初めて誕生したわけですが、なかなか全国に普及しなかったわけでございます。ですから、今しっかりと取り組んでいただいて、ぜひ普及率を高めていただきたいと思います。

 次に、総理の施政方針演説におきましても、アジア・ゲートウェイ構想を五月までに取りまとめられる、こういうふうな発言がございました。大臣はその所信表明演説において、アジアのゲートウェイ機能を向上させるため、大都市拠点空港などの国際空港の整備を進める、こういうことにされていると思います。

 そこで、アジア・ゲートウェイ構想を推進するために、大都市の拠点空港のみならず、地方の空港の利用促進、活用促進、こういうものも重要であるというふうに考えております。

 地方の空港におけますチャーター便の増加、こういうものを促進する、そういう活性化に向けてどのように今後取り組まれるのか、お聞かせいただけますでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 大都市拠点空港だけでなく、地方空港においても国際航空ネットワークの拡充は重要な課題であると私ども認識しております。

 今御質問がありましたチャーター便の増加、これは国際定期便が張られるのが一番望ましいわけでありますが、定期便に至る前にチャーター便でまず実績をつくって、それから定期便へつなげるというような意味もありまして、大変これも力を入れていく必要がございます。

 ただ、御承知のように、地方空港では、CIQといいまして、税関、出入国管理、検疫のCIQ体制が整っていないというものもございますので、こちらの方も関係の省庁にお願いをいたしまして、私どもも努力いたしまして、そういう体制の整備も進めながらやっておるところでございます。

 いずれにしても、地方空港からの国際航空ネットワークの拡充に向けて、しっかり頑張ってまいりたいと思っております。

糸川委員 ありがとうございます。

 チャーター便の増加促進には税関、出入国管理、検疫等のこういう整備が必要でございますので、ぜひ取り組んでいただきたいと思います。

 次に、地方における空港の活用促進、こういうためには海外観光客の増加を促進することも重要でございますが、これまでの施策の効果はどのようになっているのか、お聞かせいただけますでしょうか。

冬柴国務大臣 私も中国へ参りまして、ことしが国交正常化三十五周年ということで、ことしは双方向で五百万人の往来があるようにしようじゃないかという約束をしました。

 それで、それを具体化するために、中国の十九の地方都市に飛行場がありまして、そこに日本の国内から飛行機が飛んでいますが、一つの都市に対しておおむね千人ぐらいを、計一万九千人に中国へ飛んでもらおうじゃないかとか、それから、日本の地方には十八の飛行場がありますが、そういうところへ向こうからも来ていただこう。そういうことで、地方空港というものを活用した人の往来をやろうじゃないかということもいたしております。

 韓国からも、日本の二十五の都市に飛行機が、定期便が入っています。そういう意味で、韓国からもそういうところへ来ていただこうということを、韓国へ参りまして向こうのカウンターパートである大臣との話し合いをした次第でございまして、地方の空港をもっともっと活用しよう、特に観光においてしようという流れでことしは頑張っていきたいというふうに思っております。

糸川委員 ぜひ地方の空港をしっかりと発展できるようにしていただきたい。

 その中で、今度、国際競争力のある観光地の整備という問題が、地方の空港を活性化させていけば当然出てくる問題になるわけでございます。

 そこで、外国人観光客の増加を推進するために、国際競争力の高い、魅力のある観光地の整備をするんだと。さきの国会で成立した観光立国推進基本法、これを踏まえつつ、国際競争力の高い、魅力ある観光地の整備をどのように進められるのか、大臣、お聞かせいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 地域には、それぞれの歴史や伝統、文化や、あるいは自然の条件、あるところには温泉もありましょう。そういうものを生かして、そこに住む住民が自主的、自立的に、こういうものを観光資源として生かしていこうという努力を期待するわけでございます。そういうまちづくりを我々は大いに応援させていただきたいという取り組みをいたしております。

 例えば、福井県の坂井市の三国湊というところでは、港町として栄えた町並みとか自然、歴史、伝統、文化等を総合的にPRするために、市民団体が木材倉庫を改装して、観光拠点となる三国湊座をオープンされたそうです。そして、名産、物産の販売のほか、芝居などの文化イベントなども発信するなど、行政、地元企業、NPOが一体となった観光振興の取り組みを進めていられるようでございます。

 国土交通省としては、こうした地域資源などを活用して成功している地域の観光振興の取り組みを全国の他の地域にもお手本として広げていただきたいという思いで、百の先進的な観光まちづくりの事例を取りまとめて出版をし、インターネットでも広く公表しているところでございます。

 そういうことで、我々としては、それを支援するツールとしましては、観光ルネサンス事業というもので市民団体が行うそのような事業に支援をする、あるいは、まちづくり交付金というものを活用いたしまして、地域の官民が一体となってこのような観光地づくりを進められることを積極的に支援していこうということでございます。

 先ほど来申し上げておりますように、何としても、観光立国推進基本法を満場一致で通していただいたわけでございますから、その精神を生かして、このように頑張っていきたいと思っております。

糸川委員 時間が参りました。終わりますが、ぜひ観光立国に向けて、地方の一生懸命取り組んでいる小さなところをつぶさないように、伸ばしていただきたいと思います。

 終わります。ありがとうございました。

塩谷委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 今国会初めての質問で、大臣初め、行政の皆さんとこの国会も頑張って論戦をしてまいりたいと思います。

 まず、多くの省庁の方が入られている途中ですので、大臣に基本的な認識をお伺いしたいと思います。

 一つは、通告しておるんですけれども、ちょっとその通告した質問の前に一つお伺いしたいんですけれども、今の政治が考えなければいけない、中長期的に対策をとらなければいけないけれども、今、所与の条件として対応しなければならない条件に、一つは少子高齢化、もう一つは地球温暖化というのがあると思うんです。

 そういう状況の中で、先般、柳澤厚生労働大臣から、女性は子供を産む機械だ、装置だという御発言がありました。私はこの発言を許せません。性別だとか年代に関係なく、御認識を疑います。そして、こういう方に少なくとも厚生労働大臣についていただくことは私はふさわしくないと考えますが、冬柴大臣はどのようにお考えですか。

冬柴国務大臣 この発言が不適切であるということは、万人疑うところがないと思いますし、私もそのように思います。

 しかしながら、この講演をされたときに、直後に本人も不適切であるということに気がついて、直ちにその演説の中で取り消しをし、謝罪をしているわけです。それが一つ。

 それから、私も予算委員会でずっと隣で座っているんですが、本当に心の底からおわびをしておられる姿を見ますと、私は、私個人として、宥恕していいんじゃないのかなという気がいたします。

 それともう一つ、柳澤大臣は、厚生労働関係以外、金融関係につきましても非常によく勉強される方でして、横で見ていても、本当に涙ぐましい努力をしています。それが一つ。

 それから、任命をされた総理が明確に、自分も不適切だと思うけれども、これからやはり厚生労働行政を一生懸命やってもらいたいということを披瀝されているわけでございまして、私も全く同感でございます。

三日月委員 そこは認識が違うんですけれども、また、御発言が不適切だった、その中にはやはり御認識としてそういうものがあるのではないかと思われても仕方のない御認識が厚生労働大臣の中にあるのではないか。

 また、午前中に伴野委員の方から、バスの事故、そして交通労働者の過重な労働、半ば労働を商品のように扱ってしまいがちな今の風潮、競争環境の中で、また大臣の御発言の中にもありましたように、人を機械だととらえてしまうような風潮、この風潮こそ、私は、少子高齢化に対してマイナスの、それが改善されていかない一つの大きな原因があるように思います。

 この部分を強く指摘して、二つ目の認識を伺いたいと思うんですけれども、地球温暖化、この問題について、大臣はどのように御認識をされ、取り組まれておりますか。

冬柴国務大臣 最近の、昨年も梅雨前線豪雨ですか、これは私もちょっと休みを利用して、鹿児島県川内川の氾濫箇所を見せてもらいましたが、十二箇所の測量点で、わずか五日の間に一千ミリの、一千二百ミリを超えたところもありましたけれども、とにかく集中豪雨がありまして、大変な事態を起こしているわけですが、過去において、何年間ぐらいなかったんだろうと言ったら、二百五十年さかのぼってもこれだけの事例はありませんという話もありました。それほどあちらこちらで、ことしの雪がないということも含めて、異常気象があるなという感じがいたしております。

 それで、我々、気象庁から、地球温暖化に伴う気候変動の実態というものを、IPCC第四次評価報告書に日本の観測結果を報告したものがあります。それによりますと、気候の温暖化には疑う余地がないということが一つ。そして、過去五十年間の気温上昇は人間活動に起因する可能性がかなり高いということ。過去約五十年間の北半球の平均気温は過去千三百年の間で最も高温になっているというようなこととか、世界の気温が幾ら上がったとか、二十世紀を通じて海面水位が上がっているとか、そういう計測結果を報告しまして、そしてそれが報告書に記載されています。

 そういう意味で、我々の日本の気象庁も、すなわち国土交通省の内局ですけれども、今言ったような大変危機的な認識をしているということでございます。

三日月委員 そこは認識を一にします。危機的な状況だと思うんです。

 そして、その地球温暖化の原因は温室効果ガスによるものだ、それは人間の生活によるものなんだ、そしてその温暖化が、多雨であるとかさまざまな自然災害をもたらす原因になっているのではないかということまで指摘をされ始めているんですね。

 大臣の所信表明の中にも、最初に、自然災害に対応するというところから入っていただいているんです。確かに中には、二十一世紀環境立国戦略ですか、政府として進められていくものに対応していくんだというお話がありました。

 私の資料にも、一ページ目、二ページ目につけさせていただいているように、気温も確実に上昇し、その結果かどうかわかりませんが、雨が確実にふえていて、しかし、国際的に決められた京都議定書の目標に向けては、二〇〇五年度においても基準年に対してプラス八・一%、国土交通省が多くを所管するであろう運輸部門においても基準年に対して一八・一%、温室効果ガスが減らずにむしろふえてしまっているという、この状況ですね。

 私は、一概に国土交通大臣の責任だけとかそういうことを言うつもりはないんですけれども、やはり大臣が御答弁の中に言われたとおり、異常気象がいろいろと起こってきているんですね。その異常気象を最初に観測するのは気象庁なんです。その気象庁が国土交通省の所管庁としてあるわけですから、もう少しそのあたりの発信を国土交通大臣が先頭を切って、内閣の中で、政府の中で、行政の中でやっていかれるべきだと思うんです。

 観測体制の充実強化も含め、私は、この異常気象レポートも、もちろん科学的なデータの積み上げですから、そんなに頻繁に出せるものじゃないのかもしれませんが、もう少し間隔を狭めて、その時々にわかったことだけでもタイムリーにまとめて知らせていく、こういう努力があってもいいんじゃないかと思うんです。ここに答弁を求めませんし、きょうだけでは議論できるテーマじゃありませんのでまた引き続き議論してまいりますが、そういう私の考えを申し上げて、次の質問に入りたいと思います。

 きょうは、いろいろ聞きたいことがあって広く伺っていきたいと思うんですが、まずは二つ、公正な取引をゆがめてしまう、そして行政への信頼を損ねてしまっている問題についてお伺いをいたします。

 午前中も一部ありました耐震強度偽装問題についてです。

 私の資料の四ページ、五ページ、六ページから八ページ、今の調査状況、その報告を記しています。国土交通省がまとめていただいたものですね。残念ながら、姉歯関連だけではなくて、それ以外のところからも偽装だとか検査機関の見逃しが出てしまっていて、さあどうなんだろう、調査せねばということに対して、本当に多数、多くの調査物件があるんですね。

 この表を見ていただければわかると思うんですけれども、この姉歯元建築士関与物件、姉歯物件に関係していた業者の関与物件、サムシング関与物件、浅沼元二級建築士関与物件、そして既存の分譲マンション等のサンプル調査、そして検査機関の確認物件から抽出した百三件の調査、そして今回の田村水落設計の調査物件、それぞれ、偽装の疑いありだとか、偽装があり、誤りがあり、不整合がありとあるんです。

 それで、大臣、これをずっと見ていただいて、一つちょっと基本的な指摘をさせていただきたいんですけれども、このばらばらの表で、一体どこにどれだけ問題があるかわかりますか。

 しかも、これを見てください。これをわかる人は本当の専門家だと思うんですけれども、六ページのところには、不整合が判明した報告物件数、耐震耐力、あり、検討中、なし。その次のサンプル調査のところは真ん中のところに波線を引いています。「このうち、偽装が確認された物件は無かったが、」偽装が確認された物件はなかったんだけれども、十五件について、構造図と構造計算書の不整合や、不自然な計算のモデル化など構造計算に疑問があると。その次のページ、ここはまず、耐震性に疑問ありが十五件、その他は八十八件、その他というのは何だと。また、耐震性に疑問があるのに構造計算書等に誤りなしだと。

 これは全くもって、恐らくそれぞれ、時々、特定行政庁も巻き込みながらやられた調査ですから、一定のばらつきがあることは認めますが、そして偽装の定義というのは、昨年六月の国土交通委員会の中で局長答弁でも一定整理をされておりますけれども、こういう基準、誤りだとか不整合、疑問、偽装など用語もばらばらで、そして、まだまだ精査、調査しなければならない物件が多い。この状況をやはり一刻も早く改善していくべきだと思うんです。

 その点について、大臣の御見解はいかがですか。

冬柴国務大臣 確かに、いろいろな、時系列的に見ても、違う段階の数字が並べられているのでわかりにくいところはありますが、御案内のとおり、姉歯元建築士の関与物件、姉歯物件に関連していた業者、すなわち、木村建設、ヒューザー、平成設計、総合経営研究所の関与物件の調査については終了をいたしております。

 それ以外の調査状況ですが、まず、サムシング株式会社関与物件については、一月三十一日現在、関与が把握された八百十七物件のうち、調査済みが二百六十二物件となっております。うち不整合があったものが四十二物件、さらにこのうち偽装の疑いがあるものが五物件となっております。うち数です。

 この四十二物件のうち、耐力不足が確認されたものは一物件となっており、その他十四物件は耐震性あり、二十七物件は耐震性について現在確認中となっています。これ以外の二百二十物件は耐震性ありとの報告を受けています。

 引き続き、五百五十五物件が調査中ですが、昨年十二月に九州地方整備局において連絡協議会を立ち上げ、設計図書が入手できない物件などを除き、年度内、すなわち本年の三月末までに調査を終了するよう関係特定行政庁に要請しているところでもございます。

 次に、浅沼元建築士関与物件につきましては、調査対象百四十三物件すべてについて調査が完了しており、うち三十五物件で不整合があり、さらにこのうち二十九件で偽装が確認されました。これら三十五物件のうち、十四物件で耐震性に問題があり違反是正を行っているほか、八物件は耐震性について確認中、一物件は未着工であり計画変更で対応、残る十二物件は問題なしと聞いております。

 また、全国のマンション三百八十九物件をサンプル抽出し、国土交通省から財団法人日本建築物防災協会に依頼して、構造計算書の再計算や実地検査、すなわち非破壊検査、コンクリートのコア抜き検査等による検証作業を行っているところですが、一月二十二日現在で二百五十物件の検証作業が終了し、耐震性に疑問があるものが十七物件判明しております。この十七物件については、現在、最終的な耐震性の状況についての判断を特定行政庁に要請しているところであります。

 また、残る百四十八物件につきましては、引き続き財団法人日本建築物防災協会において、年度内、すなわちことしの三月末日を目途に検証を終えるように作業を進めております。

 すなわち、国土交通省としましては、今後とも引き続き、各特定行政庁と十分に連携を図りながら、これらの調査を迅速に進めるとともに、事実関係を明らかにした上で、関係者の処分についても厳正な処分を行いたい、このように思っております。

 ほかに調査中のものはありますけれども、この程度にします。

三日月委員 そうやって口頭で改めて説明をしていただけないと、この表を見てそれがわかり得る状況になっているかというと、わからないんです。だから聞いているんです。

 もちろん、さきの国会で建築基準法を改正しました、建築士法もやりました。この国会で売り主の瑕疵担保責任を担保する法改正も予定されています。しかし、こういう対策をとるための法改正をやるためには、どこにどういう問題があったんだということについて、やはりわかる状況にしておかないといけないと思うんです。したがって、これをもっとわかりやすくまとめて、それぞれ委員、議員にきちんと配る、知らせるということが必要なんじゃないですか。

 そのことを指摘したいと思いますし、午前中の質疑の中にも、特定行政庁間でそれぞれ認識や対応にばらつきがあるのではないか、調査物件に偏りがある、こういう指摘がありましたし、それが調査が進まない一つの原因じゃないか。

 私は、もう一つ、技術者の偏在というものもあるんじゃないかと思うんです。東京だとか、この関東圏はいいんですけれども、関西だとか西日本の方にこういう構造技術者、自分たちの業務に加えて、こういう新たに偽装物件や何かが出てきたときに調査をする人たちが足りないんじゃないですか。ピアチェックの機関、これからつくるということですけれども、しかし、この準備も各都道府県でばらばらだと聞いています。その辺の実態。

 そして、これだけ見逃しがあれば、やはり特定行政庁を含む検査機関に対しても、調査だとか、一体どういう形で確認検査や工事監理が行われているのかということについて私は確認をすべきだと思うんですけれども、このあたりのこと、いかがお考えでしょうか。

冬柴国務大臣 確かに、一級建築士、なかんずく構造設計一級建築士等が遍在していることは事実だと思います。しかしながら、その場合には、我々、先ほどたくさん名前を挙げましたけれども、財団でそういう専門の機関も持っておりますので、そういうところと連携をとりながら、確実に申請があった物件あるいはピアチェックをしなきゃならない物件についてはきっちりやれるように準備を整えてまいりたい、このように思っております。

 それから、特定行政庁間でばらつきがあるんじゃないかという話、確かにそういうところもあるのかもわかりませんけれども、私の知る限りにおいては、特定行政庁、先ほど挙げた数字はそれぞれ膨大であります。しかも、田村水落という人がやった物件について問題があると言われますと、各行政庁から彼に、一人に問い合わせが殺到するわけです。そういう意味で、それの対応に追われ、田村さんも自分の生活もありましょうから、本当にそういう中で、困難な中で特定行政庁はこの多くの物件について検査を進めているところでありまして、私としては、弁解じみていますけれども、みんなが一生懸命取り組んでいるということは申し上げられると思いますので、御了解いただきたいと思います。

三日月委員 それぞれの御担当の方が頑張っていらっしゃらないとは私は思っていません。本当に大変な作業をなさっているんだと思います。田村水落さんにも生活があるのかもしれませんが、田村水落さんが偽装したというところで生活されている方々もいらっしゃるわけなんです。したがって、このあたりの調査はぜひ実態を踏まえて鋭意急いでやっていただきたいということを申し上げておきたいと思います。

 そしてもう一つ、こういう公正な取引や行政に対する信頼をゆがめてしまっているのではないかという事案に談合問題があります。これは、この一年に限らず、ずっと報道でも、またこの委員会でも指摘がなされ、そして私たちは問題視をしてきています。

 まず大臣にお伺いをいたしますけれども、相次ぐ談合問題、それぞれの知事さんが逮捕されたりしています。ここに、この逮捕された談合物件には、国直轄の、国土交通省が管轄する補助金や何かも入っています。大臣はこの問題についてどのように認識をされ、また、一連の談合による損失、いわゆるロス、これをどのようにお考えでいらっしゃいますか。

冬柴国務大臣 私の方の直轄でなくて、都道府県が発注者となって発注をしたというものについて、今、残念ながら三人の、三つの県の知事がかかわったとして起訴されております。

 この場合、もしそれが有罪が確定して、そしてそのものについて談合が行われたということがはっきりすれば、確定すれば、私どもは、県が原告となって、請負業者に対して、契約額の恐らく一〇%だと思いますが、こういう場合には損害賠償として、損害賠償の予定といいますけれども、損害があったかどうかということは立証しなくても、契約上、契約額の一〇%を払えという訴訟を起こすことができます。ですから、そういうもので県が、訴訟はなくても払ってくれるかもわかりませんけれども、損害賠償を受け取った場合には、我々の国が補助した額に相当する部分の一割を返還を求めます。

 もしそういうことを県が行われない場合には、我々は代位訴訟ということで行ってでも、私は、それは取り上げなければならないというふうに思っています。

三日月委員 これは都道府県発注の工事であっても、きちんとそのあたりを、代執行も含めて、代位訴訟も含めて、事実確認をして取り上げるという今大臣からのお話がありましたので、しっかりとそれはやっていただきたいと思いますし、それを私たちも見きわめたいと思います。

 また加えて、国土交通省の職員が、OBが関与したのではないかという水門工事をめぐる談合、これも報道等で指摘をされています。大臣は、予算委員会にしろ、特にこの所信表明の中でも、仮に事実とすればまことに遺憾だというふうに言われておりますが、これは何がどのように遺憾なんですか。

冬柴国務大臣 もしそういうことが確定するならば、その職員というものは我々国土交通省の職員です。そして我々は、たくさん省がある中でも、公共事業費について、それを直轄とかで注文をする立場ですね。そういう立場でありますから、私は特に、就任させていただいたとき以来、我々は決して談合ということ、官製じゃなしに、談合自体あってはならない。ですから、そういうことを、業者が談合をしたら割に合わないんだということをわかってもらうような、我々はきちっとした厳しいものを示さなきゃならない。

 したがって、発注停止も今まで十二カ月だったのを二十四カ月まで延ばすとか、先ほど来言っている損害賠償の予定も、発注額の一〇%というものを悪質なものについては一五%まで引き上げる、もう巨額でございます。そういうことをみんなに知らしめて、こういうことはしてはならないということを周知させなければならない。

 そして、我が省の職員は絶対手を染めてはならない。けれども、もしそういうことがあれば懲戒処分を厳格に適用するし、そうなれば、もし解雇ということになれば、退職金にも年金にも影響するわけですね。退職金もありません、年金も影響があります。そして刑事罰も受けます。その上、我々は損害賠償も請求するぞということも申し上げているわけであります。

 したがいまして、そういうことはまことにその人にとっては厳しいことになるわけで、そういうことを周知して、我々のコンプライアンスというものをきちっと徹底しようということでやっている中で、あってはならないことがもし起こったとするならば、これは私は国民に対して平謝りしなきゃならない立場だ、そういう思いでいるわけでございまして、その言葉を、まだ確定していませんから、もしそういうことがあれば、それは遺憾のきわみだということを申し上げたわけでございます。

三日月委員 私もそういう事実がないことを祈っています。公正な契約がゆがめられるだけではなくて、何より税金の無駄遣いなんです。払わなくてもいい税金が、談合により価格がつり上げられて、結果的に払ってしまわなければならない事案が、いつからいつまでかわかりませんよ、あったかもしれない。そして、それを多くの公共工事をつかさどることになっている国土交通省の職員が事もあろうか絡んでいたということになれば、その人にとって厳しいことであることはもちろんなんですけれども、私は、組織としての調査だとか、そのことが種々これまでいろいろ指摘をされてきたにもかかわらず、省内であったとするならば、組織としての責任も私は明確にすべきだと思うんですけれども、そのあたりのお考えはいかがでしょうか。

冬柴国務大臣 私もそのような認識のもとに、国土交通省が疑われた報道が一月の六日に初めてありまして、そのときはまだ連休でしたけれども、本当にびっくりしました。七日の日には写真入りの実名報道までされまして、それが我が省の大変高位で退職した人であるということまで示されますと、本当にびっくりしました。九日の日には、朝一番に私の部屋へ最高幹部の人に全部集まっていただきまして、省を挙げてこれは対応しなければならない。

 ただ、これは省の中だけでやったのではいけないので、外部から見ても、職員以外の有識者の方で、例えば裁判官であった人、検察官であった人、あるいは公正取引委員会の事務局長をやった人とか、そういう国民の方が見て本当に理解していただける第三者、良心的な方、こういう方に外からじゃなしにメンバーの中へ入っていただいて、そしてもちろん学者さんも入ります、そういう方に入っていただいて、そして、この調査の企画立案、それから検証、そういうことについても意見を十分伺いながら進めていこうということで、十一日の日にはこれを結成することができました。今六十名を超える陣容で、私の方は省を挙げて調査をいたしております。

 これはまだ有権的には公正取引委員会が権限を持って調べる事項です。しかしながら、私は、その指摘を受けるまでもなく、我々の省を挙げてこういう問題は取り組もうじゃないかということで、トップには事務次官を充ててこれをやらせていただいております。

 そして、調査をする、事実関係をきわめるということが一つですが、そういうものを通じて、こういうことがなされた背景とか原因とかそういうものにまで踏み込んで、そして再発防止策として、現在、一応、橋梁談合というのが、これは官製じゃないですけれども、その際に相当厳しいものを国土交通省はやりましたけれども、しかしながら、水門は時系列的にはその以前の事件なんですね。しかし、私どもは、こういう指摘があった以上、橋梁談合のときにとったことで、再発とか、これに対して国民の御理解が得られるかどうかという観点でもう一度よく検証して、そして皆様に納得していただけるような対策をとろうというふうに今思っているところでございます。

三日月委員 今言われました、一月九日に指示を出されて、事務次官をトップにする入札談合防止対策検討委員会が省内に設置された、部外の人も巻き込んで。ここでいろいろな調査が行われて、六十名を超える方々が調査をされているということだと伺っていますが、これは一体いつからいつまでのどの工事に対して調査を行われているんですか。そして、それはOBも含めた調査を当然行われていると思うんですけれども、いかがなんでしょうか。

冬柴国務大臣 もちろん当面は、新聞で実名を報道された、これはOBです、そういうことを行ったと言われていることもOBになってからの話でございますが、当然そういう人も対象になるであろうということは、今しているとかせぬとかいうことは、今は御勘弁願いたいと思います。

 それから、そういう発注に関与した人たち、これは前年も調査をしておりますけれども、そういう人たちについても、おおむね十年間さかのぼってやろうと思っております。

 そういうことで、今その内容については申し上げるべきじゃないと思いますけれども、誠心誠意やっていることは、私は、後に報告すればわかると思います。

三日月委員 そうなんです。今大臣言われたように、昨年もやっていただいているんですね。これも報道だとか委員会でのいろいろな指摘を受けて、百六十七名の方ですか、職員の方で調査をされ、しかし、このときは退職していた元職員の方々は調査対象じゃなかったということもありました。

 当然、省内できちんとした調査をやっていただくことは私はきっちり求めたいと思いますし、言われたように、やはり構造的な背景、ずっと長く続く慣行、こういうものもあったんだろうと推測をされます。このあたりまで踏み込んで調査をしていくんだ、結果を出していくんだ、対策をとっていくんだという大臣の御答弁がありました。これは間違いございませんね。

 そして、その上で、水資源機構の理事長にもきょう来ていただいていますが、これも報道で、水資源機構でもOBが関与かというような報道がありました。これは事実あるんですか、ないんですか。

青山参考人 このたび、水資源機構の前身でございます水資源開発公団の元職員が入札談合に関与したとの報道がございました。入札談合等の不正行為はあってはならないことと認識いたしておりまして、かねてから、談合行為の排除の徹底を図るべく、入札制度の改革や職員教育に努めてきたところでありますが、新聞で報道されているようなことが事実であれば、まことに遺憾であると認識いたしております。

三日月委員 理事長、そんなすっとんきょうな御答弁じゃなくて、遺憾であることはもうみんなわかっているわけで、実際、公正取引委員会の調査を水資源機構も受けられているんですか。もしくは、こういう報道があって、水資源機構としては今どうされているんですか。

青山参考人 水資源機構といたしましては、公正取引委員会による調査の結果を待つだけではなく、みずからできる限りのことを行うこととしまして、一月三十一日に、理事長である私を委員長とし、外部有識者を入れた入札談合調査等委員会を設置したところでございまして、事実関係の調査を行うとともに、今後の対応策に関する検討を行ってまいりたいと考えております。

三日月委員 再度国交省にお伺いしたいと思うんですけれども、これも報道で、昨年の四月十二日、「国交省「談合継続を」 廃止望む業界に」とあるんですね。今回の調査が、職員の関与があった、実名報道されたという報道をきっかけに調査をなさっているのであるならば、談合をやめたいんだというような業界に対して、企業に対して、いやいや、継続してくれへんかと、これは事実はわかりませんが、こういう省庁とそして業界、業者との関係があるやなしや。このことについても調査をすべきじゃないかと思うんですけれども、いかがでしょうか。

竹歳政府参考人 今、公取の方では、企業に対して排除命令の事前通知をしています。正式な命令が出ますと企業の名前がわかります。そうしましたら、私どもも企業の方においでいただいて、いろいろお話を伺って、そのような報道が真実かどうかということについてきちっと調査をしたいと思います。

三日月委員 その調査の内容も確認をしたいと思います。

 そして、ここでちょっと技術的なこと、そして行政の中身のことなので、局長でも結構ですのでお答えいただければと思うんですが、私の資料の中にもつけています、そもそも水門の工事はどないして行われるんやということなんですね、水門とは何やねんと。この九ページの真ん中のところに、河川用水門の新設とダム用水門の新設、そしてそれらの修繕、点検、いわゆるメンテナンスが行われる、その設計段階と発注段階があるんだということなんですけれども、このそれぞれの水門設備工事に国交省の部局はどのように関与をされるんですか、それぞれの段階において。

竹歳政府参考人 先生御提出の、我が方の資料でございますが、これに即して御説明申し上げます。

 まず、最初の計画調査の部分でございます。河川整備計画の策定は地方整備局の河川部河川計画課が実施しておりまして、その下にありますダム基本計画の策定は本省河川局治水課が実施しております。

 さらに、その右に参りまして、ダム、堰等の河川管理施設の予備設計ですが、これは事務所の調査担当課が実施しているということでございます。

 次に、いよいよ発注に向けてということで、詳細設計や積算の業務になるわけでございますが、これは、本省の総合政策局の建設施工企画課、従来機械課と呼ばれていたところでございますけれども、そこが定める技術基準や積算基準に基づきまして、各地方整備局の担当事務所の機械担当課が実施してまいります。そのうち、予定価格が三億円以上の工事につきましては、地方整備局の企画部施工企画課で内容確認も行います。

 具体的な入札契約手続になりますと、三億円以上の予定価格の工事につきましては地方整備局の契約担当課が行いますし、三億円未満の工事につきましては地方整備局の事務所の経理担当課が、関係幹部職員で構成される入札・契約手続運営委員会のチェックを受けて実施する、全体的にはこういう流れになっております。

三日月委員 今御丁寧に御説明いただきましたけれども、この九ページの表でいけば、真ん中の設計段階の予備設計、詳細設計、設計積算、この積算の段階においては、今言われました総合政策局の建設施工企画課、昔の建設機械課ですか、こういったところの定めた積算基準に基づいて行われるんだということです。

 今回報道がなされた方はこの総合政策局の建設施工企画課の方だったと承知をしておりますが、それは間違いございませんか。

竹歳政府参考人 正式にはまだ公取の方から話はございませんが、報道でそのように接しております。

三日月委員 私も報道で承知をしております。この総合政策局建設施工企画課にいた方だということなんですね。その職員の方が談合に関与した可能性があるならば、そのことに調査をなさっているならば、当然のことながら、これは水門に限らず、大臣、この建設施工企画課というのは水門のことだけやられているわけではなくて、こういう建設機械、建設工事用機械に関する積算基準を定めていらっしゃる部署なんですね。ここの方が談合に関与した可能性があるならば、当然のことながら、水門以外の建設工事用機械についても調査をする必要があると考えますが、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 そのような考えはありますけれども、何の端緒もなく、そこの席にいたということだけで、私どもは、水門に関して、そこにいた人を十年間は調べますけれども、それ以外ということになりますと、件数にしても年間一万五千件を超えるこういうものを扱っているところを片っ端から何の端緒もなしに調べるというのは、これは相当ではないのではないかと思います。

 ただ、こういう調査の結果、いろいろなことが出てきた、そういう関連があるという場合は別です、それは別です。しかし、何の端緒もなしに、ただ国土交通省のそういう機械課にいたというだけで全部過去にさかのぼってそれを調査するというのは不相当であろうと思います。

三日月委員 いや、私も何の端緒もなく申し上げているわけではなくて、この水門設備工事の入札契約に係る業務の流れでいくと、設計積算のところで総合政策局の建設施工企画課の方が携わられるんだということがわかったので、では、この建設施工企画課の方は水門の工事だけを担当されるんですかと聞けば、そうじゃない、排水溝だとかトンネル換気設備だとか、こういうことの積算基準も定める部署でいらっしゃるということを伺ったもので、それならば、その方の談合の関与が報道されたことを端緒に調査をされるんであれば、当然のことながら、水門以外のこれら建設用機械工事に対しても調査をかけるべきではないかと申し上げているんです。端緒がないことはないと思いますけれども。

竹歳政府参考人 御指摘の点でございますけれども、ここの建設施工企画課というのは、実際は発注をしないところなんです。我々これから調べなくちゃいけないのは、なぜそこに座っていた人がそのようなことになったんだろうかということでございますので、それをまず明らかにしないと先生のようなお話につながっていかないんじゃないかなということで、大臣は、まずその事実関係を明らかにして、それから関連があれば広げていくというふうに御答弁申し上げたところでございます。

三日月委員 それともう一つ、四月十三日ですか、昨年の行革特の中で、長妻委員からの指摘で、国土交通省所管の八つの公益法人が、省発注の水門工事の入札に関する業務を、入札する、応札する参加企業から出向していた職員の方々に担当させていたというお話がありました。

 当然、この水門工事の業務、入札、発注業務について調査をかけるのであれば、この公益法人との関係についても、業務実態についても明らかにすべきと考えますが、いかがでございましょうか。

竹歳政府参考人 長妻委員が委員会で取り上げられたこと、確かに建設弘済会が受託した補助積算業務に関して、出向していた会社がとっちゃったというのが二件あったという事実がございます。

 これにつきましても、先ほど申し上げましたように、やはり、まず核となる事実を中心に調べて、そこから波及していくということになると思います。

三日月委員 核となる事実の調査の結果は随時公表をいただきたいと思います。それをまた我々確認しながら、調査の状況等、背景、構造についての分析を私たちなりにも進めてまいりたいと思います。

 ここで話題をかえて、大臣、こうした談合でありますとか、省の職員が絡んだのではないか、公の部署が絡んだのではないかという官製談合と、再就職、天下りとの関係について、どのようにお考えですか。

冬柴国務大臣 天下りの問題については、今、公務員制度の問題として内閣府を中心にどのようにするかということが審議されておりますので、私どもはそれに即して、協力もし、そしてその決定には従ってやっていこう。

 それから、総理もこの問題については、天下りについて、権限や予算を背景とした押しつけ的なものはだめだということを、それは排除するということをはっきり言っておられるわけでありまして、私も全くそのように思います。

 ただし、私ども、では権限や予算を背景に押しつけ的人事ということでやった事例があるかということを言われますと、主観的には私どもの役所はそれはありません。しかしながら、相手方、その職員を受け入れた会社において、それはどういう思いで受けられたかということは、これはやはりそっちから聞いてみないとわかりません。

 例えば、ほかの省庁のことを言って申しわけないですけれども、防衛施設庁等のときにも、そういうことがあったかということについては、六十何%は、いや、そうじゃない、我々の方からお願いして来ていただきましたということを言われましたけれども、三十何%は、その点について答えをされなかった。すなわち、そういうことがあったのかもわからないということを推測されるわけでございますから、主観的に我々は押しつけはしていないというふうに思っていましても、客観的に向こうはどう判断されたかということはありますので、そういうことも全部総合考慮して、今後これはやはり考えていかなきゃならないと思います。

 ただ、本当に、組織的にOBを受け入れていただくために天下りを強要したとか、そうするために談合したとか、手を染めたとかいう事例は、私は、ひいきの引き倒しじゃなしに、国土交通省のこの事案ではうかがえない、本当にそう思うんです。したがって、これは今後、調査できちっと明らかにしなきゃなりません。私の不明を恥じなきゃならないかもわかりませんけれども、私は、現時点におきまして、そういうことは断じてなかったというふうに思っています。

三日月委員 そう思いたいと思われる大臣のお気持ちは理解をします。

 しかし、こうした慣行が、いわゆる再就職の慣行が、談合にしろ情報漏えいにしろ、こういった不正な契約や何かの温床になってしまっていた可能性は、私は否定できないと思うんです。

 そして、国土交通省は、政府の答弁書によりますと九百十一名ですか。一九九九年から二〇〇三年の五年間で、政府全体で三千二十七名、いわゆる各部局課からのあっせん、仲介等による再就職が全体で三千二十七名で、国土交通省は突出して九百十一名と多いんですよ。

 私はかねてから申し上げているように、つながりのある各業界や何かからそれぞれ専門で行政指導を受けたり、そして取引をしたり、受注をしたりする。その部局とのつながりの中で、ちょっと再就職してほしいんやけれどもだれかいいOBはおらへんかなという話をすること自体が、そして再就職をなさっていくこと自体が、私は、大きな問題だ、問題の原因になっているなと考えるべきだと思うんですけれども、このあたり、大臣、御見解を。

冬柴国務大臣 その点については、私は三日月委員とは違いますね。

 私の方の役所には六万三千人の職員がいます。そして、その中には工学博士もたくさんいます。そして、専門家でして、在職中におけるものではありますけれども、大学も公立の工業大学とか卒業した人がたくさんいるわけでして、これは世の中にあって有為な人材なんですよ、そういう知見は非常に貴重なものなんですよ。そういう人たちが、勧奨退職もできるだけ早くするのはもうやめようということで今一生懸命やっていますけれども、その人たちが六十前でやめて、そういう知見とか、それはどこかの大学の教授とかになってもいいですけれども、しかし、まだ実務もできる人たちがたくさんいるわけでありまして、私は、それを何もかも殺してしまうような制度が正しいとは思いません。

 ただ、先ほど言うように、予算とか権限を背景にして、また受注、そういうことについて有利になろうとして、下心でそういうことをやっているということがあれば、これは私は国民には申しわけないと思いますけれども、しかし、そういう六万三千人もいられる有為な人材が十把一からげに天下りはだめなんだということは、これは私は行き過ぎじゃないか。

 したがって、この問題について、公務員の再就職の問題については、本当に真剣に国民の信頼を取り戻すべく安倍内閣は内閣一丸となって取り組んでいるわけでございまして、その流れに我々は従いますけれども、国土交通省が九百十一人で突出していると言われますと、やはりそういう一つの理由も、人数から見ても、そういう能力から見ても、それは理解いただけるんじゃないかなと私は思います。

三日月委員 私は、官民の人事交流を否定しません。公務員の方々、特に国土交通省の方々も含めて、有為な人材の方々が多くいらっしゃることも認めます。職業選択の自由もあるでしょう。定年まで働けるような、早期退職慣行を改めていく、公務員制度全体を改革していくことの必要性も認めます。

 しかし、私の資料の十ページ、十一ページにつけていますように、そういう各部局ごとのつながりを排除して、より中立的に再就職をする仕組みをつくろうということで、きょうも総務省と人事院に来ていただいていますけれども、ちょっと時間がないので説明を求めませんが、申しわけございません、人材バンクもあるんですよ、例えば総務省に。これは一件しかまだ事例がないそうですね。ここには、今大臣がおっしゃったような学歴だとかいろいろな経験だとか、そういうことも全部含めてデータベース化しているんだと。それと、各企業からの要請についてマッチングしようとしているんだと。

 そして、この十一ページの、人事院が持っている公正な人材活用システム、これについても、もともとは幹部の方々が対象だったと聞いていますけれども、しかし、そういう部局ごとの、客観的に見て予算や権限を背景にしているのではないかと思われる、押しつけ的ではないかと思われるような再就職を排除していくような努力を一方で政府はしておきながら、一方で大臣、いや、それはもううちはうちでやりますわという姿勢では、私はちょっと違うと思うんです。より公正なシステムを利用するように働きかけるのが、動いていくのが、国土交通大臣としてのお役目ではないかと思うんですが、いかがですか。

冬柴国務大臣 私ども、主観的にはそういうことはなかったということを申し上げておりますが、例えば、六万三千人ということになりますと、退職時になりますとたくさんの人が退職するんですね。その人たちが全く自分勝手にいろいろなところへ行って就職活動をし出した場合にどんなことが起こるかということも、私は、退職するその日まで国士として国民の利益のために最後まで働くというような雰囲気がやはり必要だと思うんですね。

 その意味でも、現在、国土交通省が言えることは、事業者の方からこういう能力の方を欲しいということがあれば、それをその方に通知して、あとは当事者の間で話し合っていただいて、話がまとまればそこへ行っていただく。

 ただ、これも、橋梁談合にかかわったところへは一切就職しない、こういうことを申し合わせしています。それから、今度の水門談合も、結論が出れば、私はそういうことが行われるんだろうと思います。重複している会社もありますけれども、日本の有数の会社ですけれども、そこへは頼まれても行かないし、行ってはならない、そういう自粛措置を講じています。

 したがいまして、私としては、これは一番、人生、国家公務員になった人が、本当に三十年、四十年勤めて、家族もあります、そしてまだ健康でもあります、能力は物すごくある、世の中から求められているという人を、道をふさぐようなことになってはならない、そう思います。

三日月委員 いや、長年勤め上げられた方の次なる就職先について公が関与するということを私は否定していません。そして、それぞれ国土交通省に優秀な方がいらっしゃることも私は認めています。

 しかし、その方々が部局ごとに再就職される仕組みではなくて、公務員全体でそれを面倒見るような仕組みがあるんですから、わかりませんよ、使い勝手の悪さや改善しなければならないことはあるのかもしれませんが、それを一方で置きながら、国土交通省は国土交通省でそれぞれやるというようなことは、私は、今の流れからいって違うんじゃないのかなと思うんです。

 そして、談合があった企業には再就職を一切させない、そうなる前にしましょうよという話なんですよ。その温床になるべきそういう再就職は断っていきましょうよ、そういう関係とは極力無縁な再就職を促していきましょうよということをするのが、私は今求められている姿勢じゃないかと思うんです。

 ぜひ大臣もそのあたりは、心の底では御理解をいただいたとこの場では理解をしますので、引き続き推移は見守りますが、頑張って、立法府から行っていただいている大臣として立ち向かっていただきたいなというふうに思います。

 済みません、いろいろと聞こうと思っていたんですが、時間がなくて、少し予定を変更しまして、最後に二点お伺いをしたいと思います。

 資料の十九ページ、先ほど伴野委員の御質問の中にもありました、東武東上線のときわ台で、宮本巡査部長が職務の途中で女性を助けようとされ、殉職をなさいました。私も、彼の勇気ある行動に敬意を表して、そして御冥福を祈りながら、踏切のあり方について一つ問題提起をしたいと思うんです。

 この踏切にもあの踏切にも、遮断機がおりた後に人や車があったときに、それを検知する装置がついていました。この検知する装置は、信号機などの機械と連動して、踏切内に人がいますよということを知らせられるシステムになっています。

 私もこういうものを見ながら電車の運転をしていたので、こういう機械の意義については一定理解をするんですが、しかし、下の表を見ていただくと、東武は、障害物と判断する時間が連続六秒ないとそれを知らせないんですね。一方、JR西日本だとか東海だとか京阪なんかは、瞬時でも人がその中を通れば信号機に警報を知らせる仕組みになっています。この六秒というのは何の根拠なんですか。

 しかも、警報を開始して、カンカンカンカンといって遮断機がおりる前から赤外線が走っていて、こういうシステムが果たして踏切内障害物検知装置として意味をなすのかなと思うんですね。もし仮にこれが瞬時で検知できる仕組みになっていれば、もっと早い段階で運転手は、踏切内に人がいるぞ、何か通っているぞということに気づいてその踏切内に突入することができたんじゃないかと思えてならないんですけれども、いかがでしょうか。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 踏切障害物の検知装置につきましては、通過する列車の速度などを踏まえまして、踏切内に問題がある場合に列車が安全に停止できるようにするために、遮断機がおりた時点で、踏切内に立ち往生している自動車が踏切をふさいでいる状況、これは、いわゆる支障しているかどうか、こういうような言葉で、鉄道用語で言っておりますが、いわゆる支障しているか否かを検知する機能が求められております。

 三日月委員は鉄道のプロフェッショナルでいらっしゃいますから、この点はよくおわかりだと思うんですが、このため、検知する方式というものは二つございます、二つの方式がございます。

 その一つは、警報が鳴っている段階から各踏切の通行状況に応じて設定いたしました一定時間継続して支障状況にあるか否かを検知する方式、これが一つでございます。もう一つの方式は、遮断機がおりた時点において、先ほど委員おっしゃったように、瞬時に支障状況があるか否かを検知する方式。この二つがございます。

 私ども、国の定める技術基準におきましては、列車の速度などを考慮いたしまして、必要な場合は自動車が踏切道を支障したときに検知できることを求めております。いわゆる性能規定化された基準となっているため、いずれの方式も障害物検知装置に求められる性能を満足するものでございます。

 したがいまして、いずれの検知方法とするかにつきましては、各鉄道事業者の踏切の通行状況、自動車の往来の状況だとか人の通っている状況、この通行状況などに応じて判断されるべきものでございまして、先ほど委員おっしゃいました東武鉄道におきましては、先ほど私が申し上げました第一の方式、つまり、警報が鳴っている段階から各踏切の通行状況に応じて設定した一定時間継続して支障状況にあるか否かを検知する方式を導入することとしたわけでありまして、検知時間につきましては六秒としているところでございます。

三日月委員 ほかにも多くの質問があったんですが、夜遅くまで御対応、御準備いただいた皆様方に質問できなかったところは次の委員会にまた先延ばしすることをお約束して、おわび申し上げながら、今の局長の御答弁は、わかったようでわからないんです。

 といいますのは、今の基準に照らし合わせれば、それを満たしているということはわかりました。しかし、なぜ通行状況を勘案して踏切支障の検知装置をつくる必要があるのか。要は、遮断された後、人が通っているのか通らないのか、車がとまっているのかとまっていないのかということについて知らせて、それを乗務員に教えるということが目的であるならば、より安全な基準にすべきじゃないですかと私は思うんです。ところが、踏切内を横断する人が多いからとか、仮にもしそういう判断で六秒になっているんだったら、私はそれは違うと思うんです。また、そんなにしょっちゅう、くるくるくるくる知らせれば運転手が麻痺するかもしれない、そういうこともあるかもしれませんが、それも違うと私は思うんです。そういう信号があるならば、より早く知った方がいいんですから。

 したがって、この問題、また議論は継続しますけれども、その問題提起をして、ぜひ一度、実態把握の上、見直しも含めて御検討いただきたいと思います。

 以上申し上げて、私の質問を終わります。ありがとうございました。

塩谷委員長 次に、下条みつ君。

下条委員 民主党の下条みつでございます。

 本日一応最後のバッターでございますので、お疲れでございましょうが、ぜひいい御答弁をいただければとお願い申し上げたいというふうに思います。

 それでは、時間が四十五分ということでございますので、その範囲内で御要請及び御意見を聴取したいというふうに思います。

 まず、大臣が先日、所信表明の中で、国民の安全、安心について確保、これが必要であるとおっしゃっていらっしゃいました。

 そこで、今月初めに、実を言うと、こういうことがありました。

 私の地元の長野県が発表した内容がございます。端的に言いますと、長野市の長野県庁や県合同庁舎計九棟が、耐震強度が建築基準法に基づく基準値を大幅に下回っている、県庁本館は震度六の地震で防災拠点の機能が損なわれる、補強工事を急ぐ必要がある。また、住宅部によると、九棟の耐震強度が基準の一二%から六九%、長野合同庁舎など三棟は震度六程度の地震で倒壊、崩壊の危険性がある、昭和四十三年に建設され、県警本部が入っている県庁本館は耐震率が三八%。端的に言えば、この手の内容の発表があったわけであります。

 そこで、これについては、長野県としては、二十七年までに一〇〇%を目指して予算案を、十九年度は六億五千万円、これは大変いいことだと思うんですね。

 そこで、私が何を申し上げたいかというと、十七年十月に、耐震診断、耐震補強について私がいろいろこの委員会でも報告また御質問させていただいた中で、昭和五十六年の建築基準法改正時から新耐震基準が導入されて既にもう二十六年たっているわけですね。その中で、一体どういう状況に今なっているかということが、ある意味では私の足元から噴き出してきたということであると思います。

 そこで、御省発表の去年の三月三十一日の資料から、官庁基準のa、つまり地震の震動及び衝撃に対して倒壊し、または崩壊する危険性が高い建築物は全国で二十九件もある。もっとあるかもしれませんが、その中には、内閣府本府庁舎A棟や経産省別館も含まれているということであります。つまり、行政府の別館とか内閣府の本庁の部分も含まれている。それ以外に、改修検討中等を含めると十七件である。残りの十二件はまだ全然、今後どうなるか決まっていないということでございます。

 さらに、私の方で消防庁から去年の六月の資料をちょっといただきまして、それは「防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況調査結果」ということであります。

 平成十七年度末の、地方公共団体が所有または管理している防災拠点となる公共施設の総数のうち、全体で、確保が見込まれますよと思われている部分の総数に対する割合が五六・四%。十五年の五一・三からすると、これは上昇してきたな、これはこれである程度進んでいるなというのは認められると思いますが、さらにそれを、ちょっと細かくなって申しわけない、都道府県別に分けてみました。

 確保されている割合が七〇%以上、つまり、割と高い、結構もう手配をしている地域というのは、宮城、東京、神奈川、静岡、愛知、三重の六都県、これしかない。一方、割合が五〇%以下のところというのは、北海道、和歌山、愛媛、香川、徳島、五〇パー以下ですね。全然まだ手配が終わっていないところが多い。

 そこで、この関連をちょっと見ましたら、文科省の研究開発局の地震・防災研究課がハザードマップを出していますけれども、それでいくと、やはり割と高いところというのは耐震性が確保されている割合が非常にいい。比較的高いところについては地震が起こる確率が高いからよくやっているという、指示を出しているせいだと思うんです。これは非常に、御省からの指示を含めて、いい形で出てきているんじゃないかと思うんですね。ただ、半面、地震に対する確率が高いくせにできていないのは四国とか、というのは、実際、ハザードマップ上の地震の確率が高いくせにでき方が悪くなっている、簡単に言えばばらつきがあるということがこの結果に出てきていると思います。

 それ以外に、さらに、消防庁防災課の「防災拠点となる公共施設等の耐震化推進状況」、つまり、避難場所となっている公共施設の耐震化状況はどうなっているか。まず、社会福祉施設が十九年度末予定では五四%ぐらいだろう。文教施設、校舎とか体育館が五三%。庁舎が五一%。県民会館が五三%。体育館が五七。警察本部、警察署は五三%になっています。

 ですから、私が何を言いたいかがだんだんおわかりになってきたと思うんですが、確かに十五年とか十七年はちょっとずつよくなってきつつあると思うんですけれども、実際に数字で追っていくと、割と公共の行政府の中枢部隊が入っているところが結構進んでいないというのがこれは出てきちゃっているんですね。

 それで、十七年の十月に前大臣の北側大臣に建築物の耐震改修の促進に関する法律の一部を改正する法律案の質疑で御質問させていただいたときに、大臣の方から、ちょっと抜粋でございますが、地震対策に関しては地方公共団体が一番関心がある、わかっているので、その地方公共団体にしっかりと今までになかった耐震改修促進の計画、目標をつくっていただくのが一番のポイントである、また、特定建築物に対する耐震強化については、十六年六月に公布され十七年六月から施行されている基準法十条の一項、二項で改修命令できる規定になっている、この改修命令に従わない場合には罰則規定があるし、最終的にはこれを適用していかなきゃいけないよというふうにお答えをいただきました。

 そこで私は、今申し上げた、数字だけですから、いろいろな強弱があったりすると思うし、そこに住んでいる方々の人数とかいろいろあるとは思うんですが、それを全部細かくやっていくことは今ちょっとできません。ただ、数字だけでやっていくと、やはり官庁の建物、公共関係、防災避難所というのは割と進んでいないんですね。

 これはやはり私は、そういう部分に対して、御省からリーダーシップをとっていただいて、ともかく、一番にやはり公共物をきちっとやって、自分たちで指導していけば、ある意味で民間の方も、少しおくれているのも少しスピードアップしていくんじゃないかと思うんですが、その辺のことを考慮した上で、今後の方向感をちょっと大臣からお聞きしたいというふうに思います。

冬柴国務大臣 もう御指摘のとおり、中央官庁の施設であります施設が耐震的に不安だということになりますと、これはもう大変なことでございますので、例えば、今お話にもありました内閣府本府の庁舎、すぐそこにありますが、A棟というのは、耐震改修に係る設計の発注を手続中でございまして、これは耐震というか免震になるかもわかりませんけれども、そういうきっちりしたものを近くやろう。それから、経済産業省の庁舎につきましては、十八年一月に改修に着手しまして二十年度完了。それから、中央合同庁舎第一号館も、十八年九月に改修に着手して二十一年度完了。中央合同庁舎第一号館北別館は、十八年度末に改修に着手いたしまして二十年度完了。それから、中央合同庁舎第一号館別館は、二年以内に改修に着手して二十一年度には完了しようというようなことで、逐次進めております。

 まだほかにもたくさんありますけれども、代表的なものにつきまして、そのようにして、ほかの部分につきましても鋭意進めていかなきゃならない重要な課題だと思っております。

下条委員 ありがとうございます。

 省庁関係、特に日本の中枢が麻痺するという非常に大きな問題になると思います。そういう意味では、着手なさっているところは大変よいことではないかと思います。

 その一方で、地方の防災拠点というのは、私も随分調べましたが、割と地域に住んでいる人がどこが防災拠点というのを余り知らない場合も多くございます。というのは、実際歩いていると、近くにあるのは公民館か学校なんですね、もしくは体育館である。これを大体、一、二、三というふうに、住民の方はそういうふうに思い込んでいる方も非常に多い。実際は違うよとかというのがあるかもしれませんが、割とそういうことで、近くにある学校とか公民館とか公共施設を指定していると思い込んでいる節のある方が非常に多い。

 ところが、一方で、先ほど申し上げたとおり、実際にその部分については、市町村別でいろいろ上下また波はあると思うんですが、実際進んでいないところもかなりあるし、進んでいないのにそこを災害の避難所と思い込んでいる方も役場に行くと結構いらっしゃるものですから、そこで私は、これは教育していく必要がちょっとあるなというのを現実問題として考えています。

 例えば消防の場合は、これはちょっと御省とは違うんですが、防火優良認定証とか防火基準点検済証みたいなのがどうもあるんですね。そうすると、そういう証を張って、大丈夫ですよという合格をやるとかというのがあるんですけれども、例えば耐震についてもそういう合格証みたいのをつけさせたらどうかなと、ぺったんこと。それを例えば広報などに載せて、ここは大丈夫ですよということを指導していったらどうかなと思うんですよ。

 というのは、本当に、釈迦に説法でございますけれども、大臣の御地元でも回っていただければ、逃げるのはどこだいねと言って、割と学校とか体育館ともう思い込んでいる節があって、そこがいいかどうかはその瞬間ではだれもわからないわけですね。そういうことを、例えばそういう検査をすることによって、県や町や村で耐震化率の促進にもつながるし、かつ、民間の人も一発で、ああ、張ってあるから大丈夫だなというふうなことも一つのアイデアだと思うんです。もしそれができなければ、例えば広報などに載せてもっともっと宣伝していくことが必要じゃないか。

 そうすることによって、いざというときに、逃げ場が、行こうと思ったら耐震性が悪くて壊れていたり、もしくは、入った後にさらに強い地震があって、壊れてしまって中の人が亡くなってしまったら、これはえらいミスリードをしたことになる。すごく大きな災害になると思いますが、これは皆さんのお考えをちょっとお聞きしたいなというふうに思っております。いかがでございますか。

榊政府参考人 ちょっと所管が違いますので、私の方が申し上げるのが正しいかどうかという点、若干問題がございますが、例えば地方に参りますと、御指摘のように、小中学校の体育館が避難所になっているという例が非常に多うございます。

 これにつきましては、平成十七年度より着手をいたしまして、耐震改修促進法の改正の議論の中でも議論になっておりますが、学校については、今年度までに耐震診断を実施いたしまして、数年のうちに耐震改修を終えようというようなことで、例えばことしにつきましても、補正予算をつけまして、文部科学省の方で懸命に頑張るということになっておりますし、足りない部分は私ども住宅局の地域住宅交付金も活用してやっていくというようなことをやっております。

 それから、ちょっとこれも私の所管外で、申し上げることが適切かどうかわかりませんが、地方公共団体の公共施設につきましても十年後には相当な水準に、私どもの耐震改修計画では九〇%と言っておりますが、その九〇じゃなくて一〇〇に近い数字に持っていこうというようなことで計画を立てているやに聞き及んでいるところでございます。

下条委員 ありがとうございます。

 所管についてはもう重々承知の上で御質問させていただいておりますので。文科省は文科関係の学校でありましょうし、それはあると思います。

 それとあと、私としては、今言いました広報ですね。現実として、どこに逃げたらいいかというのは、ほとんどの方が恐らく、失礼ですけれども七十歳以上の方に普通に質問したら、学校じゃないかいとか、頭の中がもう決まっているんですね。

 災害があったときに、消防団にしろ警察にしろ、最終的に自衛隊にしろ、どういうふうに誘導するかは別にして、災害があった直後に誘導する場所としての広報の徹底が必要じゃないかと思いますが、この辺、御意見いかがでございますか。

榊政府参考人 実は内閣府の方で、大規模の地震につきまして、例えば、北海道ですとか三陸沖の地震がどうなったかとか、それから首都圏の地震はどうかとか、東海の地震はどうか、東南海はどうかとかいうようなことで、大規模地震についてどの程度の被害が起きるかということを既に公表いたしておりまして、それにつきましてのハザードマップをつくるようにいたしております。

 私どもの方も、実は耐震改修計画を今年度末につくるということになっておりますので、そういった計画づくりを通じまして、先生の御指摘のような広報をやっていきたいというふうに思っておるところでございます。

下条委員 ぜひ進めていただきたいと思います。現実にはやはり、言いにくいですけれども、国の中枢からの指導がまだ浸透していなくて、本当に思い込んでいる方が多く存在していることは現実だと思いますので、ぜひ徹底していただければというふうに思います。

 次に、構造計算適合性判定機関、これについてちょっと御質問したいというふうに思います。

 十八年度の法改正で、ことしの六月から、構造計算適合性判定機関、つまり再計算機関が創設されることになった。これまでの建築確認の業務の中で、建築主事が審査した構造計算の部分についてダブルチェック、ピアチェックをしていく、こういうことでございます。これが位置づけでございます。

 去年の五月にこの委員会で、構造計算適合性判定機関についての質問に対して山本局長が、「高度な構造計算を要する一定規模以上の」「構造計算の適合性を的確に審査するためには、建築主事等が行う審査に加えて、第三者機関において一定の技術力を有する者が」要するに、「加えて、第三者機関において一定の技術力を有する者が構造計算の過程等の審査や再計算を実施することによって、」「チェックを行う体制を整備する」これはそのままでございます。こう答弁なさっている。

 また、さらに十一月に、人材確保について局長に御質問させていただきましたけれども、先ほどもちょっと、同僚議員の方からいろいろ、寄っているんじゃないかという話がありましたけれども、この件については局長の方から、建築行政会議だとか関係団体との連携を図りながら円滑にやっていく、また、都市部の構造家を地方の判定機関にあっせんしたりとか、必要な支援や出張をお願いしたりとか、そういうのをやることによって人材を賄っていきますのでというお話を去年いただきました。

 そこで、現実は今どうなっているんでしょうかという質問にちょっと切りかえていきたいと思うんです。

 まず、これは余り言いにくい話なんですが、実を言うと、幾つかの特定行政庁の方では、これは余り県名は言いたくないんですが、ダブルチェック機関があるから、もうこの六月から自分たちの陣営をなくそうと思っているという話も僕の耳に入ってきているんですよ、あえて固有名詞は避けますが。

 ということは、簡単に言えば、一つは、ダブルチェック機関がきちっとしているかという質問を僕が今したと同時に、特定行政庁の方は、ダブルチェック機関があるから私たちはやらないんだというところも今出ている。実際私が直で耳にしておりますけれども、そういう状態になっている。ということは、法律の部分でいうピアチェック、ダブルチェックが、ダブルチェックじゃなくて丸投げしちゃうというふうに認識している行政庁も中にある、現実に。

 そこで、まず一つ目の質問は、この特定行政庁から審査の依頼を受けてチェックしてもらうという構造計算再検査機関の現状をちょっとお聞きしたいと思いますが、局長、お願いいたします。

榊政府参考人 現在、各都道府県で、ことしの六月の施行に向けまして準備作業を進めておるところでございます。

 ちょっと古くなりまして恐縮でございますが、昨年の十一月末に私どもの方で調査をいたしましたところ、二十七都府県で管内の機関を指定するというふうに伺っております。それから、六道県で県みずから構造計算適合性判定を実施する予定というお答えをいただいております。現在、さらに数県、知事みずからによる実施を検討しているというふうに伺っておるところでございます。

 実は、私どもの方の、粗っぽい試算といえば粗っぽい試算かもしれませんが、どのぐらいの判定員が必要になるかということを考えますと、週一日、八時間の勤務条件ということを前提にいたしまして、全国ベースで千五百名ぐらいの判定員の方が必要になるというふうに推計をいたしております。

 それで、この判定員の方には実は講習を実施せないかぬということで、これも六月に向けてということですので、来月この講習会を実施したいというふうに思っております。その応募者が三千五百人ということでございますので、この方々が全員が判定員になるかどうかというのはわかりませんが、三千五百人の方はそういう意欲のある方だというふうに思われます。

 したがいまして、先ほども申し上げましたような各都道府県の準備状況、それから、前国会でも申し上げましたときに、広域的に展開する機関でございます日本建築センターなり財団日本建築総合試験所等がございますので、それとこの判定員の講習会の応募予定者、こういうのを考え合わせますと、ことしの六月でございますので、まあ何とかスタートできるのではないかというふうに考えておるところでございます。

下条委員 その三千五百名がぜひ多く受かるように頑張っていただきたい。そうすれば、局長と去年からやっている外部委託のダブルチェック機関の判定員の数は確保される。これは物すごくいいことだと思うんですよ。

 私がなぜこういう話をしているかというと、実を言うと、例の、ちょっと先ほども出ましたアパグループの件なんでございます。

 これは、私どもが伝え聞くと、昨年三月に、国交省の建築指導課から行政庁に対して田村水落設計が行った物件について報告するように指示を出している。さらに、六月二十三日に耐震性調査を行うように依頼している。つまり、御省から行政庁にきちっと依頼しているわけです。その結果、ことしの一月に出てきたということだと思うんですけれども、私が何を言いたいかというと、去年の三月から見れば十カ月、六月から見れば七カ月以上も調査に時間がかかっているわけなんですよ。

 だから、指導は僕はすごくいいと思うんですが、実際この球を受ける側の行政庁の方が、どうも人員の部分もしくは危機意識が徹底していないんじゃないかなというふうに思うんですよ。つまり、球投げしてから結果が出るのに随分時間がかかっちゃっている。その間にどんどんどんどん、例えば、私ははっきり言って余り今度のは細かく調べていませんが、この水落設計さんがどんどんまた同じようなことをやって、さっき大臣が、「Ok」の部分はどうだとおっしゃったあれと同じように、やって、どんどん追加しているということは、どんどん建物の中に人が入ってきて、どんどん通過していることになる。

 だから、実を言うと私はこの部分のことについて質問したいんです。つまり、特定行政庁の方の人員は一体大丈夫なのかなと。確かに、外部委託のダブルチェックがあるからということで少し気が緩んでいるかもしれません。と同時に、今、判定員の方はお話がありましたけれども、特定行政庁の方は、実を言うと、幾つかのところは私には、県名はあえて言いません、なくなっちゃうんだと、人員をなくしてしまうと言っているんですよ。ということは、ダブルチェックじゃなくて外に丸投げして終わらせてしまう。

 ですから私は、一つのアパマンの、水落設計の、御省からの指示はすごくよかったと思います、調べろ、やれと。ところが、もう半年以上たって、やっとことしになって行政庁からぽんと出てきているということに対して、非常に危機意識を私は持っております。ですから、行政庁に対してこの辺の徹底がもうちょっと必要じゃないかと思うし、もし各県の行政庁で本当に人員をなくすつもりであるというのであればとんでもない話で、法制度ではダブルチェックになっているわけですから、それに逸脱する話でございます。

 その辺を含めて、私としては、もう一度ちょっと大臣の方から徹底、だれがいけないと言っているんじゃないんです、そういう気持ちであるなら、たがの緩みをきちっとして、こういうものが余り漏れないように、そして報告をもっと早くしろと徹底させる必要があるんじゃないか。その結果が、アパマンがちょっと、半年、十カ月ずれた結果ではないかと思うんですが、いかがでございますか。

冬柴国務大臣 客観的にはそのようなとらえ方をされてもやむを得ない、時系列的に見ればですね。しかし、先ほどから申し上げておりますように、田村水落という、とんでもない人かもわかりません、まだ確定していませんからね、そういう人がいろいろなことをやった。この人は、いろいろ弁解されるんですね。そういう弁解が、考え方が違うというようなところがあったりして、大変面倒くさいことをやらなきゃいけない。それで、しかも四十一とか二とかなってきますと、特定行政庁はみんな田村水落にいろいろなことを照会するわけです、この点はどうなんだ、ああなんだと。それで大変忙殺されまして、彼も大変忙しいわけです。

 そういう中で、例えば京都の問題につきましては、実に五十回にわたって、田村水落だけじゃなしに、実施設計した人とかあるいは工事を施工した人、そういう人たちに五十回にわたって問い合わせをして、それでもなお意見が違うところは、今度は専門の審議会までつくってやったということで、最初は、これは誤りがあるということを認めさせて、その上で今度は耐震強度があるのかどうかという、それが出てきたのがようやく一月なんです。そういうこともあわせ考えていただきたいなというふうに思います。

 それから、数が膨大です、本当に膨大です。最初は四十二から始まって二百三十六まで、これは本当にどんどん広がっていったわけでございまして、それについても誠心誠意やって、このうち、先ほども言いましたけれども、これだけは安全ですとかいうことで公表しているわけでございます。そういうことで、何とか御理解いただきたい。

 また、先ほども、これはわかりにくいと、わかりやすい資料をつくって、それを委員にちゃんとまけという御指導もいただきましたから、これはやはり貴重な意見として我々も考えなければいけないと思いますが、精神誠意やっていることは事実だと思います。

 それから、ダブルチェックの方ができたら、もうおれのところは要らないんじゃないかということで、それは大変な話だと思いますけれども、しかし、仕組みとしては、構造一級建築士あるいはそれにかかわった建築士が設計図書については全部署名をして、そしてそれを確認申請を出す前にダブルチェックを受けなきゃならないということですから、そして、そういうものがそろったものがいわゆる特定建築確認審査機関とかあるいは官庁に出ていくわけでございますから、そこが要らなくなるということは、僕は考えられないんです。

 そういう意味で、ダブルチェックが、こういう事件を二度と起こさない、そういうような制度の担保になると私は思っておりますので、よろしく御理解いただきたいと思います。

榊政府参考人 事務当局としては、判定業務を外部委託して構造担当の職員を減らそうとしている都道府県があるというふうには私どもは実は聞いておらないわけですが、委員御指摘のように、実はダブルチェックだからこそ意味があるということで昨年法律を改正させていただきました。そのダブルチェックの前に責任のある設計士さんに設計をしてもらおうじゃないかということで、臨時国会でも法律改正をお願いしたわけでございます。

 したがいまして、私ども、実は、この建築主事といいますか、特定行政庁、指定確認検査機関、こういうことについての確認審査に関する指針というものをきちっとつくらなきゃいけないということで、近々この指針をつくって公表いたしたいというふうに思っております。

 したがいまして、各特定行政庁では、確認審査に関する指針に従った厳格な審査を実施した上で、先ほど御指摘のような構造計算適合性判定機関のピアチェックを受けるということにいたしたいと思っております。

 ただ、一部の都道府県、指定確認検査機関を入れたときに、私ども、民間の方がやってくれるので特定行政庁の方の人数を減らしたというような特定行政庁があったやには聞いておりますが、我々は、それは減らさずに、むしろ違反建築物の是正のための要員として活動してほしいというふうに実はお願いをいたしておるところでございまして、委員の御心配のようにならないように、私ども頑張っていきたいというふうに思っているところでございます。

下条委員 大臣を含めて、大変いい御意見をいただきまして、ありがとうございます。

 ただ、榊さん、もう一回ちょっとお約束してください。実際、手薄かどうかはわかりませんが、減らしているところ、それから、要は、預けちゃえば、もう違う人がやるだけで、人員をなくしてしまいそうなところも実際あるので、これはあえて言いませんが、今徹底してお願いするという部分について、もう一度、徹底をしていただくことをお約束していただきたい。よろしくお願いします。

榊政府参考人 実は、先ほども申し上げましたように、民間開放をいたしましたときに、特定行政庁において、建築確認が当然のことながら特定行政庁が確認していた部分が減少しているということを踏まえて人員を減らしたというようなことを聞いております。一方で、違反を是正するといった業務は、実は今回のアパを見ましても確実にふえておるわけでございますので、そういった業務が増大していることも十分に考慮した上で、ぜひ要員の確保をお願いしたいというふうに私どもお願いしておりますし、実は、前の臨時国会でも申し上げましたが、そういったような人件費についての適切な経費の措置に関しまして、総務省に対してもぜひお願いをしたい、配慮をしてほしいという旨を申し上げているところでございます。

下条委員 ありがとうございます。

 本当に一つ一つ、皆さんが知能を使い、そして知識を使い、経験を使ってつくった法律を、実を言うと、網になっていれば抜けていってしまうということです。僕は、このダブルチェックはすばらしい法律だと思いますけれども、私は直に耳にしましたものですから、えっと思って、これはダブルチェックじゃなくてワンチェックだ、ぶん投げて丸投げになっちゃうといけないと思って、あえて現状を御提案させていただきました。ぜひ引き続き徹底的に奨励していただきたいというふうに思います。

 次に、法律ができてかなりたってからの問題について、ちょっと御提案をさせていただきたいと思います。それはどういうことかといいますと、大臣も所信で、密集市街地を解消する必要があるとか、国民の住生活の安定の確保、向上の促進とおっしゃっておりました。そのとおりでございます。私は、その中で商業地域という点についてちょっと申し上げていきたいと思います。

 釈迦に説法でございますけれども、商業地域というのは、都市計画法に基づく用途地域の一つであり、商業、業務の利便性を増進させるために自治体が定める。都市計画は各都道府県、市町村、それぞれの都市計画審議会を経て決定する。商業地域は、その地域の歴史、経緯、実態等を踏まえて設定されると聞いております。

 その中で、日照権について、建築基準法では、一定の高さの建築物を建築する際に、近隣住民の日照権を侵害しないよう用途地域別に日影規制を設けている、これは昭和五十一年の改正によって定められた、商業地域、工業地域、工業専用地域は日影規制の対象外になっている、こういうことでございます。住宅地域ということに限られている。

 私もちょっと法律審議を、不勉強なんですが、いろいろ繰り返し読みまして、建築基準法の一部を改正する法律案における国会質問が、昭和五十年の十二月三日の衆議院の建設委員会であって、中村茂委員というのがこうおっしゃっています。

 商業地域でも工業地域でも住宅があって人間が住んでいます。特に商業地域の場合には家が密集している、逆に密集している。商業地域だから人間は住んではいけないというわけではないのでありますし、現実にこの商業地域ほど多くの人が住んでいる。なぜ商業地域や工業地域は規制の対象外なんだというふうに議論を持ちかけた。

 そのときに、時の山岡住宅局長という方ですか、随分昔の方だと思いますけれども、今回の日影規制については、いわゆる日照権を全般的に確保しようという趣旨ではなくて、日照を確保しながらその他の通風、採光、プライバシーを守りながら環境のいい住宅をつくっていくための公法的な規制を行うものであり、住宅系地域における紛争はますます熾烈になっており、それを念頭に置いた公法的規制が必要だと考える。そこで、日影規制は住居系の地域に限るという答弁を局長がなさっています。

 これはもう僕も全部見ました。つまり、昭和五十年、今から三十二年前においては、紛争が多くなっているのは住宅地域だよ、だから住宅地域に限って公法的なものをやったんだ、こういうことだと思うんですね。

 では、現在、三十何年たってどうなっているかということになると、やはり商業地域ほど建て主と住民の紛争が物すごく多発しているんです。これはある程度お耳に入っていると思いますけれども、密集住宅の耐震問題、それから災害、いろいろなものを含めて物すごい問題が住民と建て主さんの間で起きちゃっている。

 商業地域というのは、ともかく、もともとは商業、業務の活性化のために容積率を最高限度まで高く設定して、それに加えて建築基準法の日影規制が適用されない、高層をどんどん建てて容積率を高くしてという方法ですよね。ところがこれは、実を言うと、マンション業者にとっては最高の、絶好の場所でありまして、住宅がいろいろあったとしても、ともかくどんどん建てられるわけです。それによって、各地区でいろいろな、建て主さんと、五十年の以前から住んでいる方もいらっしゃいますし、その後に住んでいる方もいらっしゃいますけれども、そこは住居になっているわけですね、それによっていろいろ今問題が出てきている、こういう問題の提起でございます。

 例えば、ある程度のマンションが建っていたとします。そこの北側には何もなかったから、それは争いになっていなかった。だけれども、その後に、そのマンションから物すごい間近にまたマンションが建つことになった。それが真南であれば、完全にそこの前回建っているマンション、これは、商業地域でも住んでいる戸数は一般の住宅より多いわけですよ。私のところに入っている幾つかのあれでは本当に多くの方が住んでいて、商業地域だからそのマンションを買った。でも、買った後にまた違うマンションが建って、採光、プライバシー、それからいろいろなプレッシャーを受けた。その上、交通渋滞も下で起きたりして、子供が危なかったり老人も歩けなくなっちゃった、いろいろな問題が起きちゃっている。

 そこで、いろいろなケースを私はさらに細かく追っていきますと、確かに商業地域は法律的にそうだ。だけれども、それを細かくおろしていくと、自治体によっては、もうちょっとしっかりやろうじゃないか、そんな勝手にやっていいんかいなというのが出てきています。

 例えば、千葉市、函館市、横浜市、静岡市、仙台市、岐阜市とか、私の地元、松本もそうですけれども、良好な近隣関係を保持するために、安全で快適な居住環境を保全するためにという目的によって、中高層建築物の建築にかかわるものについて条例をしいています。これはあくまでも市の条例でありますね。

 これは、今ので追っていくと、近隣住民に対して、建築計画や文書の配布、その他適切な方法で説明しなければならないよという程度ですごく弱い。もともとの法律が商業地はいいよとなっちゃっていますから、だから争いが大変多発しているので、自治体の方で、それについて、いや、こんなに多発したんじゃ、あっちこっちで裁判起きて大変なことになっちゃう、だから、ある程度条例をしいて、もう少し良好に近隣関係やりなさいよという、弱い自治体からの要請条例なんですね。

 そこで、私が追っていって、地元を含めていろいろなところから、いろいろな非難そして悲鳴が聞こえてきているのは、商業地域というのは人間は住んじゃいけないのかいと。もともとは、実際は、商業やっている場所というのは、釈迦に説法ですけれども、お店があって、その後ろに人が住んでいたり、いろいろな方々が住んでいるところを商業地域でばんと指定して、そこに、三十年前はいいですよ、三十年前はいろいろまだあった。

 でも昨今は、もうマンション業者が、あえて名前は言いませんが、いろいろな業者がいて、いろいろな悪者がいて、ともかくいいじゃないか、やっちゃえと。自分たちは説明会もやらないで、検査機関に判こを押してもらえば、自治体の建築指導課長はぽんと押さざるを得ないんですね、今のシステムは。そこで、紛争が余りにありますから、各自治体が仕方なくて条例をしいて、これはちょっとどうだいなというのが、実を言うと今の現状でございます。

 これは、法律の大専門家である大臣は、もうお耳に相当御自身の周りでも入っていらっしゃるでしょうし、民事問題でもいろいろ起きております。

 私は、これは、今までの法律がどうだというんじゃないんです。僕は批判しているわけじゃない。これだけ時間がたって、これだけ非難が起きて、個別に今自治体が制定をしている中で、もう少し司令塔である御省の方から指示を出してもいいんじゃないかなと私は思っています。

 つまり、もう一度最後に申し上げますと、日照権はもちろんのことでございますけれども、プライバシーの侵害があったり、騒音があったり、景観がなくなったり、そこにマンションが乱立すれば道路だって物すごいことになります。そういう部分について、もう少し住民の環境に配慮したり、良好な近隣関係を保つための指導を国が自治体に対して行う必要性が少し高くなってきたと私は思います。

 ぜひ、そういうのを含めて、大臣の方から指導性を持っていただいて、法律を改正しろと僕は言っているわけじゃないです、指導していただいて、これは、実を言うと、問題が起きれば、すごくそこの自治体が膨らませて条例を置き、これから起きるところをねらって業者がどんどんマンションを今建てています。これは、私のところに全国からばんばんに入ってきております。

 ですから、ぜひここで、もうちょっと良好にしなきゃいかぬぞというふうに、そうしなきゃ法改正になっちゃうよというぐらいの強いメッセージを送れたらなと思っておりますが、この辺、大臣からぜひ前向きな御答弁をいただきたいというふうに思いますが、いかがでございましょうか。

冬柴国務大臣 国の法律としては、都市計画法上、商業の地域ということを地元がいろいろ決めるわけでございまして、それを我々が承認をもちろんするわけですけれども、商業地域とは何ぞやということになりますと、容積率や建ぺい率、あるいは高さ等の制限は緩やかに定める、そして、そこを活力あふれる商業地として開発したいという地域でありますので、そこへ住居が建つとかということは、本来は予想していないんですけれども、二つあります。

 一つは、今までずっと建っていたところが商業地域に指定される、これは相当住民との間で摩擦が生ずると思うんです。しかしながらそういう手続を進めるという場合に、そういうふうに商業地域にするにしても、良好な住環境を保全するのが必要だという住民の声が集約されるならば、そこを地区計画ということで定めて、そしてそのような利害を調整するという方法が一つあると思います。

 それからもう一つは、東京都もそういう条例を持っていますけれども、建築業者の事前説明の機会を必ず与えなさいということと、そういう中でどうしても話がつかない場合には調停とかあっせんを申し立てをすることができる。しかし、それも合意がなければ強制できないんですね、調停やあっせんでは。そういう方法があると思います。

 それから、成熟した商業地域の中へマンションを建てる、そして後からそこへ住む人が、日陰、日が当たらないというのは、例えばニューヨークのマンハッタンを見たらわかるように、これはちょっと、後からそういうことを納得してその地域に住んだ方は、やはり日陰というよりはその便利さを、便利さのある都心に住むということを求めて来た人たちだと思われるわけでして、そういうことが利害調整のかぎになるんだろうと思います。

 いずれにいたしましても、私は、商業地域の中で日照権をというのは、ちょっと今私の考えでは難しいというふうな考えがあります。

 当時、住居一種、二種の中で大きなマンションを建てるということで、昭和五十年当時にたしか建築基準法五十六条の二とかなんとかができてこの日影補償というのができたと思うんです、調整として。私は、そういう流れを見ても、商業地域の中で日照権の問題を国土交通省がそういう形で指導するというのは、非常にちょっと、法の建前あるいは構成から非常に難しいような感じがいたします。

 ちょっと前向きじゃなくてごめんなさい。よろしくお願いいたします。

下条委員 ありがとうございます。

 ちょっと時間がないので最後にしますけれども、私が言っているのは、日照権だけではなくて、指導部分の中にもうちょっとお入れして、日照権以外にですね。結局は、商業地域といっても住居がたくさんあって、今住んでいるわけですね。ですから、事務所がある商業地域の建物もあれば、マンションということでたくさんの方がもう随分従前から、この法律ができる前から住んでいる方もたくさんいらっしゃるわけです。そこに商業地域と指定されていきなり目の前にぼんと建てられたのでは、これはもちろん日照権だけではなくて、プライバシーの問題とか、良好な自然の部分を侵してしまうとか、そういういろいろな部分を含めて指導をしていっていただければという意味でございますので、ぜひその辺を含めて、最後に局長、もう一言いただきたいんですが、お願いします。

榊政府参考人 基本は多分、地価が安くなったために商業地域にマンションが建つようになったということが最大のきっかけじゃないかと思うんです。

 例えば、銀座にマンションが建つというのは、私ども、ほんの十年前は想定されなかったんですが、実はもう既に日本橋とかそういうところにもどんどん建っていく。地方でもそういったような形で、中心市街地の地価が安くなりましたので、それでそこにマンションが入ってくる。

 ところが、中心市街地の活性化ということを考えますと、やはりそこに人が住んでいかないとにぎわいもできないということでございますので、多分、今大臣が申しましたように、商業地域みたいなところは、そういった中心市街地活性化法をやる際に、いろいろな再開発地区計画なりなんかをあわせて、そういった総合的な環境を担保してそういう事業をやっていくというのが一番いいのではないかというふうに私なんぞは思います。もしそうでなければ、用途地域を、若干住居が入るような用途地域に変えていくということも一法かもしれません。

下条委員 わかりました。

 時間が来ました。ありがとうございました。

塩谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後三時十三分散会


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