衆議院

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第8号 平成19年3月27日(火曜日)

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平成十九年三月二十七日(火曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君

   理事 西銘恒三郎君 理事 葉梨 康弘君

   理事 山本 公一君 理事 伴野  豊君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      梶山 弘志君    亀岡 偉民君

      坂本 剛二君    桜井 郁三君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      土井  亨君    徳田  毅君

      長崎幸太郎君    原田 憲治君

      松本 文明君    宮澤 洋一君

      盛山 正仁君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    渡部  篤君

      泉  健太君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      伊藤  渉君    穀田 恵二君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   内閣府副大臣       大村 秀章君

   財務副大臣        田中 和徳君

   環境副大臣        土屋 品子君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (内閣府政策統括官)   増田 優一君

   政府参考人

   (金融庁総務企画局審議官)            細溝 清史君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 椎川  忍君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房総括審議官)         宮島 俊彦君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           内山 俊一君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  平田憲一郎君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           岩崎 貞二君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  冨士原康一君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省大臣官房審議官) 谷津龍太郎君

   政府参考人

   (日本政策投資銀行総裁) 小村  武君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

三月二十七日

 辞任         補欠選任

  北村 茂男君     土井  亨君

  長島 忠美君     渡部  篤君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  土井  亨君     北村 茂男君

  渡部  篤君     長島 忠美君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長宿利正史君、道路局長宮田年耕君、住宅局長榊正剛君、鉄道局長平田憲一郎君、自動車交通局長岩崎貞二君、海事局長冨士原康一君、航空局長鈴木久泰君、内閣府政策統括官増田優一君、金融庁総務企画局審議官細溝清史君、総務省大臣官房審議官椎川忍君、厚生労働省大臣官房総括審議官宮島俊彦君、経済産業省製造産業局次長内山俊一君、環境省大臣官房審議官谷津龍太郎君及び日本政策投資銀行総裁小村武君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 おはようございます。自由民主党の小里泰弘でございます。

 今般発生をしました能登半島沖地震、地域にとりまして戦後未曾有の地震災害となったところであります。

 まず、亡くなられた方の御冥福を祈り、そして、多くの被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げたいと存じます。

 政府におかれましては、地震発生三分後には官邸対策室を設置されるなど、迅速な対応を実施されつつあると認識をいたしますが、現時点における政府の災害応急体制及び関係省庁の連携の状況はどのようになっておりましょうか。

 また、現地の状況を肌で感じて、現地で即応をし、かつ、東京と直結をするパイプ役としての現地対策本部の設置状況はいかがでありましょうか。

 あるいは、給水支援、入浴支援、炊き出しにと何かと心強いのが自衛隊でありますが、派遣状況はいかがでありましょうか。

 さらに、警察、消防を初め、周辺自治体からの応援体制はいかがでありましょうか。

 以上、あわせて内閣府にお伺いをいたします。

増田政府参考人 お答えを申し上げます。

 今お話がありましたように、去る二十五日、能登半島沖を震源とするマグニチュード六・九、大変大きな地震が発生いたしました。中越のマグニチュードが六・八ですから、非常に大変な揺れを観測したわけでございまして、気象庁ではこの地震を平成十九年能登半島地震というふうに命名をいたしたところでございます。

 この地震によります被害の状況についてでございますが、人的被害、お亡くなりになられた方一名、けがをされた方、重傷者二十四名を含め二百十四名に上っております。また、住家被害につきましては、全壊五十七棟、半壊百六十一棟、一部損壊五百六十八棟と大変多くの家屋が被害を受けているわけでございます。さらに、特に道路が各地で寸断されておりまして、今なお多くの戸数に断水の状態が続いているという、今大変な状況になっております。

 政府といたしましては、地震発生後、直ちに緊急参集チームが招集されまして、官邸対策室を設置いたしました。直ちに、総理からの御指示によりまして、被害状況の確認と住民の安全確保に万全を期す、これは総理からの指示でございますが、政府一体となった初動対応に努めたところでございます。

 具体的には、石川県知事からの災害派遣要請に基づきまして自衛隊を派遣したほか、消防や警察の広域応援部隊等が救援活動、救助活動に当たっているところでございます。さらに、防災担当大臣を団長とする政府調査団を編成いたしまして、その日のうちに現地に派遣いたしまして、被災状況の調査をつぶさに行わせたところでございます。

 今先生からお話がありましたように、現地におきましては、これも総理からの御指示がありまして、現地からの要請をしっかりと受けとめるようにということがございまして、現地に、これは輪島市役所の三階に部屋を設けまして、現地連絡対策室を設置いたしまして、現在もなお県、被災市町との連絡調整、それから要望の聴取に当たっているところでございます。

 関係省庁の連携についてでありますが、発災当日の夕方、第一回の災害対策関係省庁連絡会議を開きまして、さらに昨日夕方、防災担当大臣出席のもと、第二回目の関係省庁連絡会議によりまして、被害状況の共有、対策の共有等を行ったところでございます。

 この会議におきまして、引き続き被災公共団体と連携して被害状況の的確な把握に努めること、被災者が一日も早く安心した生活に戻れるよう災害時要援護者を含め避難者等の支援対策に万全を期すこと、道路や水道等のライフラインの応急対策や災害復旧に適切に対応することなどを確認したところでございます。

 現地では、震度五弱を含む大変強い余震が今なお続いておりまして、多くの方々が避難所での生活を余儀なくされております。今後とも、政府一体となりまして、被災者の支援、被災地の早期復旧復興に全力で取り組んでいくということを現在政府内で確認しているところでございます。

小里委員 ありがとうございます。

 現在、被災地では二千六百人余りが避難しておられると認識をいたします。避難所対策は人々の生活にかかわる問題であり、緊急応急対策の最優先事項であります。極めて不安かつ不便な状態にある避難者の皆様に、可能な限りの支援を図っていかなければなりません。

 まず、食料、毛布、衣料品等の生活必需品の確保、物資輸送ルート、保管場所、仕分け人員の調達など、供給体制の整備は万全でありましょうか。

 ふろやトイレ、洗濯機、暖房に対する要望も強く、また、避難所の過密な環境で、高齢者など災害弱者が多いことから、体調の維持や風邪の蔓延、エコノミー症候群などが心配をされ、また心のケアも必要と考えられます。衛生、医療、保健対策はいかがでありましょうか。

 以上、厚生労働省にお伺いをいたします。

宮島政府参考人 お答えいたします。

 避難所対策についてですが、現在、災害救助法に基づく応急救助といたしまして、避難所における炊き出しや毛布の供与などを行っておりまして、陸上自衛隊など関係機関の協力を得て必要な供給を行っております。また、避難所では、必要に応じて仮設トイレの設置を行っております。このようなことで、被災住民の要望を踏まえつつ、その他の生活環境の整備についても努力していきたいと考えております。

 それから、被災者の健康管理に関してでありますが、被災者の体調の維持や風邪の蔓延防止のため、石川県内の各保健所から輪島市内の避難所に保健師を派遣しておりまして、また、日本赤十字社の救護班も巡回診療の一環として健康相談を実施しているところであります。さらに、エコノミー症候群に関しては、厚生労働省から被災地にQアンドAを送付しておりまして、その予防方法等の注意喚起に努めているところであります。

 心のケアでございますが、これまでガイドラインの提示などを行っており、今回の地震後にも石川県に対し、被災者の心のケアに適切に対応するよう依頼するとともに、厚生労働省としても支援の用意がある旨の連絡を行ったところであります。

 今後とも、避難所についての必要な物資の供給に関し、最大限必要な支援を行っていくとともに、長期にわたる避難にも対応できるよう、生活環境の改善、医療、保健対策に十分な配慮を行ってまいりたいと考えております。

小里委員 ありがとうございました。

 これから、緊急対策、応急対策、復旧対策そして復興対策へと、着実にその歩を進めていかなければなりません。

 まず、震災によって家を失い、行く当てのない人たちの居住先を確保することは、生活再建支援の第一歩であり、応急仮設住宅の建設が急がれます。被災地の住民の皆様に再建への希望を持って取り組んでいただくためにも、被災者生活再建支援法の適用や激甚災害の指定を急がなくてはなりません。地震で地盤が緩んでいるために降雨対策も重要であり、特に、梅雨入りの前に地すべりや土砂崩壊対策を実施する必要があります。あるいは、頻発する余震に注意を払いながら、道路、水道等のライフラインを初め、公共施設の復旧や瓦れき処理にと、多くの課題が控えているところでございます。迅速かつ的確な対応により、一日も早い復旧復興を心から願う次第でございます。

 それでは、本来の質問に入りたいと存じます。

 米軍の横田空域及び自衛隊の百里基地に圧迫される形で羽田空域と成田空域が近接をし、この空域では非効率かつ不自由な運航を強いられ、航空需要の高まりとともに、空の混雑は限界状態に達しているところであります。

 このような中、来年九月に横田空域が一部返還されることとなり、さらに羽田空港再拡張事業がいよいよ今月末に着工し、平成二十二年十月には供用開始の予定であります。これにより、運航の円滑化や多様な路線網の形成が進み、利用者の利便性の向上や国際競争力の強化に大きく寄与するものと期待をするところであります。

 このような効果を最大限に発揮していくためには、羽田、成田の一元的管理と管制機能の強化のもとに、安全かつ効率的な空の流れをつくっていかなければならないと考えます。横田空域の返還と羽田空港再拡張に伴う関東空域再編のスケジュールと方向性についてお伺いをいたします。

 また一方で、早晩アジアが世界最大の航空市場となることが予測をされる中、EUでは特に早くに域内の航空完全自由化が実現をし、ASEANでも二〇一五年までに航空の自由化を図ることが合意されるなど、国際的な自由化の流れはいや応なく我が国にも押し寄せてきていると認識をいたします。

 そのような中、アジアの主要都市では、高まる航空需要に対応するべく、四千メートル級の滑走路を初め、空港の開設、拡張工事が急ピッチで進められております。我が国では、羽田を初め、大都市圏拠点空港の整備が図られつつありますが、今後の国際航空需要の増大と国際戦略を展望するときに、容量としてこれで十分でありましょうか。

 以上、国土交通省の見解をお伺いいたします。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 まず最初の、羽田、成田の空域再編の問題でございます。

 空港関係の管制につきましては二種類ございまして、飛行場管制といいまして、それぞれの空港の管制塔から目で見て、離着陸する飛行機あるいは空港の場面を走行する飛行機を管制しているものと、それから、航空路からそれぞれの空港へおりてくる飛行機を順番に並べて着陸させたり、あるいは出発する飛行機を航空路まで誘導したりというターミナル管制というのをやっております。こちらのターミナル管制の方の空域を、羽田、成田を統合いたしまして、一元的に管理することで効率的な運航を確保する関東空域の再編というのを検討してございます。

 一方で、昨年十月には、在日米軍との間で、懸案でありました横田空域の大幅な削減、これが合意をいたしまして、来年の九月までに実施をすることとしております。これによりまして、羽田再拡張後におきまして便数が大幅にふえましても、羽田から西に向かう航空機を安全、効率的に管制することができまして、大変効果の大きいものと考えております。

 今後、この横田の空域削減の状況も踏まえながら、関東空域の再編につきまして、羽田再拡張事業の供用開始が予定されております二〇一〇年十月に間に合うように、着実に検討を進めまして、実施してまいりたいと考えてございます。

 それから、二つ目の御質問の空港整備の問題でございます。

 先生御指摘のように、アジア各国において大規模な国際空港が着々と整備されております。このような状況を踏まえまして、我が国としても、大都市圏拠点空港の整備を最重要の課題として重点的な整備を進めておりまして、羽田空港につきまして四本目の滑走路を整備する再拡張事業、成田につきまして平行滑走路の二千五百メーター化事業、それから、ことしの八月にオープンいたしますが、関空の二本目の滑走路の整備事業をやっておるところでございます。

 ただ、これらの整備が完了した後におきましても、我が国の航空需要、特に国際線につきましては堅調に増加することが予測されているところでありまして、まずは、現在実施中の事業につきまして、その早期完成に全力を尽くすとともに、さらなる容量の拡大の必要性について幅広い視点から検討を進めてまいりたいと考えております。

小里委員 ありがとうございます。特に国際戦略につきましては、攻めの姿勢で前向きに取り組んでいただきたいと存じます。

 次に、航空機製造産業についてお伺いをいたします。

 かつて、あの名機ゼロ戦をつくったように、我が国の航空工学は世界に冠たるものがありました。戦後の占領政策の中で航空機の研究開発と生産が禁じられた、いわゆる空白の七年間があったものの、その後、我が国の技術はよみがえり、例えば、現在開発中のボーイング社との国際共同開発プロジェクトでは、設計及び部品供給において三五%の分担比率となっており、さらなるシェアのアップが期待をされております。この国際共同開発に加えて、自己責任で機体全体を開発、生産するところの、いわゆる全機開発への期待も高まっております。

 折から、七十席から九十席クラスの高性能かつ低価格の国産小型機の開発プロジェクトが進んでおります。平成二十四年度には運航開始の予定であり、今後二十年間で四千機の需要があると聞いております。航空機産業が日本経済の新たな活路を開く次世代産業として期待をされるゆえんであります。

 また、新幹線の車体や自動車のABSブレーキなどにその技術が応用されてまいりましたが、航空工学の進歩が今後とも他の産業をも世界の最先端に位置づけるものと期待をするところであります。

 国際共同開発におけるさらなるシェアアップと、全機開発に向けた取り組みの進捗状況と展望について、経済産業省の見解をお伺いいたします。

内山政府参考人 お答えいたします。

 小里委員御指摘のように、航空機産業は、市場規模の拡大が見込まれるだけではなく、中小企業も含めたすそ野の広さや他の産業への技術的波及効果の高さから、今後の我が国の成長の基盤となる産業でございます。また、防衛用途の航空機の製造や修理を通じまして、我が国安全保障の一翼を担う重要な産業でもございます。

 このような観点に立って、経済産業省といたしましては、これまで、技術開発や我が国事業者の国際共同開発への参加などへの支援を行ってきたところでございます。この結果、ボーイング767型機では一五%であった我が国の分担比率が、777型機では二一%、さらに、現在開発中の787型機では委員御指摘のように三五%へ拡大するなど、我が国の航空機産業は着実に力をつけてきております。

 今後の国際共同開発におきまして、我が国事業者がより重要な役割を担えますよう、経済産業省としても、引き続き技術開発などに対する支援を行ってまいりたいと考えております。

 また、このような国際共同開発の実績を踏まえまして、我が国事業者は、現在、委員御指摘のように、国産旅客機の開発を計画しております。

 この計画におきましては、既存の同クラスの航空機に比べ燃費を二〇%低減するなどのすぐれた性能を持ちます七十から九十席クラスのジェット旅客機を開発し、平成二十四年度中には運航を開始することを目指しております。

 事業者におきましては、来年春ごろの事業化判断に向けまして、現在、エアラインに対するマーケティング、技術開発、そして採算性の見きわめなどの課題に取り組んでおります。

 経済産業省といたしましては、このような計画は、我が国航空機産業の発展、経済全体への波及効果の観点から大変有意義であると考えておりまして、今後とも、計画の進捗に応じ、しっかりと支援をしていきたいと考えております。

小里委員 ありがとうございました。心から期待申し上げたいと存じます。

 続きまして、日本航空の再建に向けてお伺いをいたします。

 国際テロや燃油価格の高騰、そして運航トラブル等の影響によりまして、経営が悪化し、今や青息吐息の状態にあるのが日本航空でありますが、先般、新たな中期経営計画が発表をされました。

 日本航空のリストラは既に全日空に大きくおくれをとり、そもそも、中期計画であるにもかかわらず、毎年のように作成をし、修正を繰り返してきております。中身においても、財務体質の改善を進めながら機材も更新しなければいけないという難しい対応を迫られており、加えて、管理職たる機長の組合を初めとする八つもの組合の存在は、リストラやコスト削減を進める上での調整の難しさをうかがわせるものであり、昨年の西松社長への参考人質疑でも、それがにじみ出ていたところであります。

 いよいよ待ったなしであります。ぜひとも、労使関係を超えて、社員一丸となって再建策を実行してもらいたいと存じます。

 もともと、九・一一テロ以前は全日空より経営状態はよかった。これは、努力すればまたよい会社になるということであります。国策航空会社としてナショナルフラッグを掲げ、かつては、世界一安全な翼、世界一のサービスとの高い評価を受けて、まさに世界に飛躍する日本の象徴ともいうべき存在であったのが日本航空であります。ぜひとも立ち直ってもらいたいというのが広く国民の声であります。

 基本的には民間企業の経営の問題でありますが、経営の健全性と安全の確保は表裏一体の関係であり、本邦航空事業の健全なる発展は、観光やビジネスの振興はもとより、国家の危機管理にも直結し得る極めて大事な要素であります。政治として、行政として、座視するわけにはいかないと考えます。

 日本航空の新たな中期計画をどのように評価し、再建に向けてどのように期待をしておられるか、政府としていかなる支援策、指導策が考えられるか、叱咤激励を含めて、冬柴大臣にお伺いをいたします。

冬柴国務大臣 本年二月六日に発表されました日本航空の新しい中期経営計画、「二〇〇七―二〇一〇年度再生中期プラン」につきましては、委員もおっしゃいましたように、民間企業である日本航空の経営に関するものであり、国土交通省として基本的にコメントする立場にはないと考えていますけれども、社内で議論を重ねるなどして取りまとめられたもので、関係者、例えばみずほコーポレート銀行の齋藤頭取は、人件費の削減や関係会社の売却など、過去の計画と比べればかなり踏み込んだものになっているというような、一定の関係者における評価も与えられております。

 いずれにいたしましても、我が国を代表する航空会社の一つである日本航空に対しましては、新しい中期経営計画を着実に実施するとともに、利用者に対し安全で利便性の高いサービスを提供することを期待いたしておりますし、国土交通省としても、それに対するできるだけの指導、支援をさせていただきたい、このように思っているところでございます。

小里委員 ありがとうございました。心から再建を願いたいと存じます。

 続きまして、整備新幹線建設計画の見直しについてお伺いをいたします。

 平成元年の着工以来、多くの困難を克服しながら建設が進められてきた整備新幹線であります。見直し論議のたびに、赤字垂れ流しであるとか第二の国鉄であるとか、あらぬ中傷を受けてまいりましたが、開業効果が発揮されるにつれて、広く国民に認知をされ、計画沿線住民の期待は日増しに高まっているところであります。

 平成十六年十二月の政府・与党申し合わせに向けての見直し検討作業は約一年半を要しましたが、今回の見直しにおきましても相当な期間を要すると考えられます。

 新規着工区間としましては、北海道新幹線の新函館―札幌間、北陸新幹線では金沢―敦賀間、また、今後の延伸に伴う需要を考えますと、必然的に大宮―新宿間の新規ルートの建設を考えなくてはなりません。九州新幹線におきましては、長崎ルートの諫早―長崎間を視野に入れるべきであると考えます。

 まずは、新規着工区間の財源についての検討を優先するべきと考えます。新たな財源としましては、新たに開業予定の東北新幹線、九州新幹線及び北陸新幹線の貸付料が年間一千億円前後と試算されるところであります。また、平成十六年の政府・与党申し合わせにおきまして、根元受益に関するJRの負担を精査することとなっております。さらに、JR株の売却益や地下鉄補助予算等も新幹線への充当が可能ではないかと考えられ、また、公共事業関係費の中で新幹線予算がわずか一%でしかないことも考慮されるべきであると考えます。

 収支採算性にすぐれ、建設費の何倍もの経済波及効果が期待をされ、地球環境にも優しい大量高速輸送機関としての整備新幹線。新規財源の確保と見直しに向けて、政府・与党による検討チームを立ち上げるべく、与党でも動きが始まったところであります。この問題に冬柴大臣としてどのように対応していかれるか、お伺いをしたいと存じます。

冬柴国務大臣 整備新幹線は、小里議員もおっしゃいますとおり、環境に優しく地域開発や経済活性化に大きな効果をもたらす交通機関であると考えておりまして、これまで、累次の政府・与党申し合わせに基づき、着実に整備を推進してきたところであります。今後とも、着工区間の整備を着実に推進し、まずは平成十六年の政府・与党申し合わせの完成予定年度を確実に達成してまいりたい、このように考えております。

 未着工区間の新たな着工につきましては、平成十六年の政府・与党申し合わせにおいて明らかにされたとおり、安定的な財源見通しの確保、収支採算性、JRの同意、並行在来線の経営分離等、基本条件が整えられていることを確認した上で行うこととされておりますが、こうした未着工区間の新たな着工や完成時期の前倒しにつきましては、財源をどうするかということが最大の課題であります。

 委員お尋ねの整備新幹線の見直しにつきましては、去る三月十六日、自民党整備新幹線等鉄道調査会、津島議員が会長を務めていられます、それから整備新幹線建設促進議員連盟、これは森喜朗元総理が会長を務めていられますが、それらの合同会議におきまして、整備新幹線について、具体的な財源の検討を含めて検討委員会を立ち上げる、与党内のすり合わせも検討するなどの意見の集約があったと承知をいたしております。

 今後、そうした検討委員会を設けられましたら、国土交通省としてもこれに参画をさせていただきまして、適切に対応をしてまいらなければならない、またそうすべきである、このように考えております。

小里委員 ありがとうございました。ぜひ旺盛な意欲を持って取り組んでいただきたいと存じます。

 耐震強度偽装問題につきましても質問を予定しておりましたが、時間が参りましたので、次の機会にさせていただきたいと存じます。本当にどうもありがとうございました。

塩谷委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日、事前に通告はしていないんですが、まず最初に、能登半島地震について、冒頭、大臣から御答弁をいただきたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

 能登半島地震につきましては、先ほどお話がございましたように、二十五日、朝九時四十二分に、マグニチュード七・一、震度六強という大変大きな地震が発生をしたわけでございます。全壊世帯も五十七棟、半壊が百六十一棟ということもございますし、また、土砂災害で有料道路の通行どめですとか補助河川の護岸損傷などなど、大変な被害が出ているところでございます。のと鉄道も運行中止をしたりとか、国交省でいうと旅館業についても相当なダメージも出ているということでございます。

 これは内閣府が防災担当大臣ということでございますけれども、やはり復旧復興は国土交通省が手足となって実質的に進めていかなければいけない。そういう観点から、ぜひ実質的な復旧復興の担当大臣として冬柴大臣には指揮をとっていただきたいというふうに思っております。

 中でも、やはり住宅復旧の問題というのは、高齢化が進んだ地域というのはなかなか難しい。中越地震の地域もまだまだ住宅復旧復興が進まないということでございまして、この点について、今回も相当高齢化が進んでいる地域での住宅の再建というのはなかなか困難も伴うというふうに思っておりますので、現場の被災者の皆さんの実態、状況をよく掌握していただきまして、ぜひ適切な措置を速やかにとっていただきたいとお願いするわけでございます。

 この点についての冬柴大臣からの御所見をいただければと思います。

冬柴国務大臣 今回の能登半島地震におきまして、お亡くなりになられた方の御冥福をお祈り申し上げますとともに、多くの、二十四名の重傷、二百十四名の方々がけがをされました。この方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げますとともに、いまだ不便な避難場所で避難をしていられる方々、余震も相当大きな規模の余震が今なお続いているということでございます。お見舞いを申し上げたいと思います。

 特に今、赤羽議員も言及されましたように、私も赤羽議員も兵庫県の出身でございまして、我々阪神・淡路大震災を体験した者といたしまして、本当に身につまされる思いでございます。

 このような場合に、公共施設の復旧復興ということがもちろん急がれるわけでございますが、本質的な住民のための復旧復興ということは、やはりそこに住むみずからの家をどうするのかということが最大の関心でございます。もちろん、ローンを抱えた人たちについては、新しく建てかえる場合に二重ローンという問題が起こってまいりますし、全壊し、あるいは半壊したけれどもそれを全部建てかえなければならないという人にとっては、その資金をどう手当てするのか、家族を亡くし家財を消失して、そしてその中からそのようなものをやるというときには、どうしても国からの支援が必要であります。当時、我々は、住宅再建支援について、国家がやはり支援すべきだということを強く何回も申し上げましたけれども、これはいまだ実現はいたしておりません。

 しかしながら、生活再建支援という形で一定の金員が、それぞれ所得とか若干制限はありますものの、一時金が支給されるということは相当な進歩であったと思いますし、その後も、これは改正されて、現在三百万を限度にそういう被災者に対して生活再建についての支援がなされることになっておりますが、本質的には、やはり住宅というものをどういうふうにして再建するか、それに対して国がどう支援できるのかということが、僕はやはりこういう大きな災害を受けるたびに心を痛めるわけでありますし、もう少し進んだ議論ができないかというのを思う立場にございます。

 住宅というのは、すぐれて個人資産でございます。自分の敷地の中に建っている住宅が倒壊したからといって、公費でそれを片づけることはおかしいではないか、当時言われた話でございます。しかしながら、住宅は、個人資産ではあるけれども、一方で、町並みを構成し、そしてそれが都市を構成する重要な社会資産である面もあります。したがって、倒壊した家をだれも片づけずにそのままに置いておけば、その都市は廃墟と化することは必定であります。

 そういう考えの中で、今後もこの問題について赤羽議員など先導的に熱心な議論をしていただきたいなというのが私のこれに対する感想でございます。

赤羽委員 住宅再建について相当踏み込んだ御所見をいただきまして、ありがとうございました。しっかりとフォローしていきたいというふうに思っております。

 また、特に観光業、今回も観光地で旅館業が相当被害を受けていると思います。ややもすると、災害の復旧復興のときはどうしても一番後回しにされる傾向があるというふうに思っております、観光は一番最後だというように。これは、そういうように感じるようで少しおかしいのではないかということでございますので、所管官庁としてぜひフォローの方をよろしくお願いしたいということを申し添えたいと思います。

 次に、トラック業界の現状について、少し深くやりとりをしたいというふうに思っております。

 トラック業界は、この数年、需給調整の規制緩和ということで自由競争が始まった。そこに加えて、NOx・PM法の改正ということで、この指定地域、首都圏、また名古屋圏といいますか近畿圏、こういったところに対象地域の網がかけられて、ディーゼル車の買いかえというものをかなり強制的に義務づけの法律が施行されている。加えて、全体的な経済の低迷、そして原油高による軽油等々のコストアップということで、大変な惨状であるということは私が主張するまでもないというふうに思っております。

 兵庫県のトラック事業者の推移というものを、この前データを出していただきました。平成十三年度からこの五年間で、確かに需給調整の規制緩和ができたことによって、平成十三年では千九百四十六の事業者数が二千百七十八、プラス二百三十三、約一割強ふえた。ところが一方では、百三十七件の廃業も出ているということでございます。新規参入は二百三十三件あるんだけれども、百三十七件の廃業が出ている。

 そして、すごく大事なことは、トラック事業者の保有する自動車数はどうなのか、こういいますと、これはこの五年間で、NOx・PM法ですから買いかえをしなければいけない、結局、台数は実は九九・五%に減っている。事業者数が一一二%になっていながら、トラックの保有数は一一二%どころかマイナス、九九・五%になっている。これは、いかに実態として、一軒一軒のトラック事業者が買いかえをしなければいけない、例えば三十台の買いかえを二十五台しかできないとか、そういった状況があるというふうに私は認識せざるを得ない、こういうふうに考えております。

 それで、今回、環境省がつくった法律でありますけれども、このNOx・PM法による買いかえについて、利子補給ですとか年限を少し延ばすとか、いわゆる激変緩和措置をとられたということでございますが、現場の皆さんにとっては、この激変緩和というのは明らかに不十分だと。とにかく利子補給していただいてもお金を借りられないというのが現状なんだと。だから、結局は買いかえができずに廃車をする、ひどいところは、零細のところは廃業をする。

 こういった現状というのは大変深刻だというふうに、私は地元のトラック業界の皆さんからの現場の声を聞いて認識しておるんですが、国土交通省として、NOx・PM法改正以後、この数年間のトラック業界の現状についてどのように認識をしているのか。また、このNOx・PM法による買いかえ措置についてのさらなる支援策というものを講じる必要があると考えているのかどうかということについて、国土交通省からお聞かせいただきたいと思います。

岩崎政府参考人 先生御指摘のとおり、NOx・PM法のほか、競争が激化している、あるいは原油の高騰等で、トラック事業は大変厳しい状況にあると我々も思っております。

 先生おっしゃっていただいた廃止事業者の推移でありますとか保有台数の推移なんかを見ますと、やはり兵庫県は若干数字がほかのところと違っているな、このように思っておるところでございます。

 私ども、これも先生御指摘いただいたように、税金の低減とか低利融資とか、そんなことを講じているところでございますし、車種規制の導入というのもやりました。確かにトラック業者に随分無理は言っていると我々も認識しておりますけれども、環境の問題も重要でございますので、代替の猶予期間を九年間ということで設定させていただいたところでございます。

 本当にトラック事業者、私ども敬意を表しておるわけでございますけれども、御協力をいただきまして、大都会のNOx・PM環境問題は随分よくなったと思っております。今回、ちょうどNOx・PM法が施行されて一定期間たちましたので、中間見直しのときに当たっておりますけれども、環境基準の達成に向けて確実に進行している、着実なステップを歩んでいるというのは本当にトラック事業者の方々の協力のたまものだ、このように思っておるところでございます。おかげさまで、車両代替の方のピークもほぼ過ぎてきたと思っております。

 私ども、この措置が必ずしも十分かどうかということについては評価はあると思いますけれども、できる限りの措置を講じてきたつもりでございます。今後ともこうした措置を継続していくということが重要だろう、このように考えているところでございます。

赤羽委員 買いかえのピークが平成十七年度に来て、恐らく平成十八年度で大体おさまるという予測はそのとおりだと思いますが、平成十八年度、今年度末に廃業する会社というのは物すごく出ている。

 昨日、兵庫県のトラック協会の皆さんと話していて、平成十八年度、この年度末に廃業届を出しているところが物すごく出ているということが現場の声でありますので、法律をつくった、買いかえをさせるという法律をつくりながら買いかえができなくて廃業しているというのは、僕は明らかに法律として欠陥だと思うんですよ。実態として、合わせていない。これは環境省がつくったからしようがないじゃなくて、やはりトラック業界を所管しているのは国土交通省であり自動車交通局であるから、私は、ぜひこの年度末について、現場の声を聞いて回っていただきたい、これを強く要請したいと思います。

 次に、このNOx・PM法について、確かに環境の数値は上がった。私は、環境の数値がよくなったということはすごく大事だと思いますが、これはもともと言っているし、局長も私の主張はよく理解もしていただいていると思うんだけれども、明らかに不公平な法律なんですよ。流入車規制を全くかけてきていない。

 ですから、兵庫県の幹線道路である中国道ですとか山陽道、走っているトラックのナンバーは、ほとんどとは言わないが、広島ナンバー、岡山ナンバー、九州ナンバーであるわけです。しかし、彼らは全然対象の地域じゃないから、旧来型の公害をまき散らすトラックを走らせても何も問題はないというのが状況なんですね。一方では、兵庫県の対象地域の、大臣の地元の尼崎市内もそうですし、神戸市内もそうだけれども、そこの事業者はすべて規制の対象になって、環境をよくしなきゃいけないということでやっているわけですよ。

 しかし、これは、私は思うんですけれども、需給調整規制緩和をこの数年間やってきた。需給調整規制緩和のそもそもの前提は、自由な競争の土台をつくる、自由な競争原理を働かせるということが本来の趣旨だったはずなんですよ。そして、需給調整規制緩和ということで規制緩和を進めながら、一方ではこんな不自由な、不公平な法律を施行させているということは、明らかに矛盾しているんですよ、この点は。

 この点について私はすごく心配しているのは、環境というのは大事だから、日本全国で対応するべきなんですよ。地元のトラック協会も、この法律はいい法律だと。だけれども、全国の全事業者にかけてくれというのが彼らの主張なんですよ。何で私たちだけがやらなきゃいけないんですかと。こんなことをしていると、うちの地域だけ規制がかかっているんだったら、では本社は広島県に置こうとか岡山県に置こうとか、兵庫県の三木とか北兵庫とか対象地域じゃないところに置こうという脱法行為が出てくるんですよ。

 それを証明するために、たまたまなんですけれども大臣の地元の記事なので、お読みいただいたかどうかわからないんですけれども、尼崎市長が尼崎の職員に対して奨励賞というのを出しているんですよ。何を奨励したかというと、尼崎市内で今回の排ガス規制等々で使えなくなったバスとかごみ収集車の公用車を他の地域に転売した、千三百万円の売却益を上げた、よくやったという表彰なんですよ。

 これはおかしいでしょう。全国地域の環境対策をしなきゃいけないというのに、自分たちのところが使えないからといって対象外のところに売却をする。それをその地域の市長が行革のためによくやったと言って、こんな、全く明らかに考え違いをしているんですよ、この尼崎市長のやり方は。

 ということは、なぜかというと、NOx・PM法みたいなくだらない法律をいつまでも置いておくからなんですよ。明らかにおかしい、国交省関係者はみんなそう思っているはずですよ。物流という、流入車という概念のないNOx・PM法なんというのは、私は、環境省みたいな物流がわからないところがつくった法律だというふうにかねてからも申し上げていました。環境をよくするというのはいいことなんだ。しかしそれは、全国のトラック事業者が協力しなければおかしな話であって、なぜ尼崎市内、神戸市内、姫路市内というところだけが規制をかけられて、そして他の地域はその規制の網から外れているか。こんな法律をほっておくから、こういうとんちんかんな市長が出てくるんだと私は思いますよ、正直に言いまして。

 だから、このことというのはやはりもう少し真剣に考えてほしいし、行政のところまでそういう、何か自分のところがきれいになればいいんだみたいな話というのは、私は本当に情けない記事だなと思っていますし、これはトラック協会で物すごい怒り心頭なわけですよ。民間企業は大変な思いをして、一台一千五百万ぐらいのを何十台も買いかえなきゃいけないということを、法律を義務づけられてやっている。ところが、官の世界では、尼崎市長は、使えなくなったところ他の地域に売却した、それを褒めたたえている。これはどう考えてもおかしいと僕は思うわけです。

 この点どうですか、自動車交通局長として。

岩崎政府参考人 この点については、先生からたび重なる御指摘をいただいております。

 私ども、このNOx・PM法というのは、先生も御案内のとおり、全国一律で規制するのではなくて、やはりNOx・PM、これが健康被害を及ぼすのは自動車交通が集中している地域、具体的に首都圏、中部圏、近畿圏、その地域での規制をすれば十分であろう、こういうことを思っているところでございます。

 そのときに、このNOx・PMの制度は、これも先生御案内のとおり、その地域にある車を買いかえてください、こう言って、流入車に対しては厳しい規制をかけているわけではございません。我々も、この法律、環境省からお話をいただいたときに、率直に言っていろいろ悩んだところでございますけれども、流入車について、では一年に一回その地域を通れば新しい車に買いかえてくれというのか、どういう形で規制していったらいいのか、相当悩んだところでございます。その地域にある車については買いかえてもらうということでやっていこうということでございまして、一〇〇%本当にいい制度だと思っているわけではございませんけれども、現実に規制ができる実効性、こうしたことから考えて、総合的にこの制度を選択したものでございます。こうした制度は、先生御指摘のような問題をはらんでおるということについては、我々も承知をしておるところでございます。

 それから、尼崎の問題でございますけれども、尼崎市がどういう形でやられたかについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思いますが、古い車を対象地域外に売るということは、必ずしももろ手を挙げていいことだとは思いませんけれども、NOx・PMの被害というのは自動車交通が集中する地域で起こるものでございますから、古い型式の車を対象外の地域で使われるということについては、制度上も許容しているところでございます。

赤羽委員 私、制度上というのは確かに局長の言うとおりなんだけれども、今、制度としては違法行為じゃないというのはわかるけれども、精神としてどうなんですかということを言っているんですよ。おかしな話でしょうと。公平な舞台をつくって自由競争させますよ、需給調整の規制緩和だといって自由競争をさせた。その一方では、NOx・PMみたいな不公平なことをやっているわけですよ。

 環境対策としては、おっしゃられるように、数値の悪い地域に規制をかければいいというのはわかりますよ。しかし、その結果として、トラック事業者の中では、兵庫県の業者と岡山県の業者とやはり競合関係にあるわけだから、環境対策ということだからいいんだけれども、片や、強制的に法律で買いかえをさせている、片や、一方のところには何もさせていない。明らかに不公平でしょう、ここは。

 競争としてですよ。環境対策としての話じゃないんですよ。自動車交通局としてどうなのかということなんですよ。自由競争をさせていながら、一方で全く矛盾したことをやっていて、それは環境対策で制度上云々というのは、これは僕は全く納得できない、今の答弁は。おかしいんですよ、これは。

 その結果、何が起こっているかというと、要するに、結局、今一番なのは、運賃をたたいているわけですよ。これは、北側前大臣も経団連に、この物流の運賃を確保してくれということを何回か頼みに行かれた。行かれたということは、国交省としても、運賃をダンピングしないでくれということを言われているわけですよね。

 安かろう悪かろうという業者が生き残るような業界にしてどうするんですか。安ければいいというものじゃないんですよ、やはり安全ということもあるわけだから。要するに、従業員一人一人に社会保険なんか掛けていないようなところが、コストが安くできる、安くできるからそこが勝ち残るみたいな話というのは、明らかにおかしいんですよ、これは。

 要するに、今の現場では、値決めをするときに値段を言えないというんですよ、適正価格というのはあるけれども。値段を言った瞬間に荷主から、それだったらおたくはいいですよ、幾らでも運ぶところはありますからねと。こんなのはビジネスの感覚でも僕はやはり異常な現場だと思いますよ。

 ですから、もちろん自由競争ということで運賃を変えたって、私はそこまで反対はしないけれども、公共事業だって適正な入札価格というのが見積もれるんですから、輸送運賃だって適正な価格というのが当然あるはずなんですよ、原価価格というのがあるんだから。私は、当然、何でもそうですけれども、自由な値決めはしていいんだけれども、タリフ、運賃一覧表というのがやはりあってしかるべきだと思うんですよ。その値段でやらなきゃいけないという話じゃありません。しかし、そのガイドラインがあるかないかで、自由な値決めをしやすくなるというのが現場の声なんですよ。

 私がきょう言いたいことは、いろいろな逆境の中でトラック業界がたたかれている、疲弊している、それで残っているのが健全な業界じゃないということは、私はやはり相当深刻に受けとめてほしいんですよ。今の制度で合法的だなんという答弁を局長がされているんだったら、それはなかなか、僕はトラック業者はやっていけないと思いますよ、正直な話。

 環境省にも、環境省がつくった法律だけれども、そこから生じている不公平についてどう考えるのかと。だから、買いかえたところについて、支援、補助金制度をつくるとか、そういうことをやるのが国土交通省の仕事なんじゃないですか。環境対策として密集地域の事業者に規制をかけるのは合法だというんだったら、そこから生じている不公平な競争状況について支援策を講じるというのは自動車交通局の責務なんじゃないですか。明確に答えてください。

岩崎政府参考人 買いかえのときの不公平感をなくすというのが私どもの仕事だろうと思っております。そういう意味で、この間、買いかえに対して税制上の優遇措置を講ずる、あるいは政策金融の措置を講ずる、こうした措置を講じてきたところでございます。

 それから、これは買いかえ地域だけでございませんけれども、新しい車に買いかえられる際に、特にことしの十月からトラックの基準がより厳しくなりますので、その車をお買いになる方については、これについても補助制度、差額について一定分を補助するといった制度を導入しているところでございます。

 それから、我々も、トラック業界がこの間、環境の問題を初めとして、スピードリミッター等々安全も含めて相当の投資をしているということは十分認識をしております。特に、これが昨年の原油高と相まって、トラック業界の経営が大変厳しくなっておる。

 これが安全問題などに対して悪い影響が出ないかということについては非常に懸念をしているところでございまして、先生御指摘いただきましたように、昨年あるいは一昨年、北側前大臣を先頭に、経団連等々に、こうした原油価格の高騰の問題についても、トラック業界だけにしわ寄せをするんじゃなくて、きっちり運賃についても、転嫁についてよく相談に乗ってくれ、こういう話をしているところでございます。

赤羽委員 ぜひトラック業界の実情を、経済を支えているのは物流部門なんですよ。だから、ぜひそこの部分で、弱いところが泣く、そして業界として、安かろう悪かろうが生き残るというのは、これは明らかにだれが考えたって不健全なはずなんだから、その点について、やはり本当に現場の声をよく聞いていただきたい。私は、それをやってくれないんだったら、十月九日のトラックの日に全部運行するなということを提案しますよ。とまってみないとわからないんだったら、それはしようがないんですよ。行政として、ぜひ手を打っていただきたいというお願いをしたいと思います。

 財務副大臣が来ているんだけれども、これは暫定税率でわざわざ来ていただいたんですが、申しわけないんですけれども、暫定税率の問題も、これは道路特定財源を一年間かけてやると、この前、大臣からも前向きな答弁をいただいているのでいいんですけれども、そもそも論として、道路特定財源を一般財源化するというのは、いろいろな議論がある中で、トラック業界の思いは、この二・五倍ぐらいの暫定税率を決めたそもそも論ということを忘れないでくださいねということなんですよ。

 そもそも論、道路整備のために本則からの二・五倍の税率をした。それは、時代の状況がある中で、しかし、そもそも論として、そういうものがあったんだということを忘れずに決めていただきたいということなんですよ。それは私の思いも一緒です。ですから、いろいろなことがあって、トップで道路特定財源の約束事が決まりました。それは承知をしておりますが、その還元策という中で、そういったそもそも論を大事に還元策を決めていただきたいということでございます。

 副大臣、来ていただいたのに済みません。財務省の答弁はわかっていますので。

 それで、もう一つ、ちょっと時間がなかったんですけれども、これも地元の問題なんですけれども、鉄道局長に来ていただいているので。

 二十四日の夜に、阪神電鉄の武庫川―鳴尾間の踏切で、電動の車いすに乗った方がくぼみにはまって動けなくなった。大人二人が入って助けようとしたけれども、助けられなかった。特急もとめられなかった。結局はねられた、重傷を負ったということで、もう本当に痛ましい事故が起こったんです。

 私は、このときに、なぜその踏切に非常用の押しボタンというのがなかったのかと。去年のJRの尼崎の事故では、一人の婦人が非常用のボタンを押して二次災害をとめたということは記憶に新しいことでありますが、小さな踏切だったと思いますけれども、やはり非常用の押しボタンというのがあるかないかというのは、これは最低限の措置なのではないか。

 もう一つ、国交省として駅のバリアフリー化というのを物すごく進めていただいて、それは大変評価もしていますし感謝もしていますが、踏切のところの、線路と踏切、踏切というか通路のくぼ地ですね、鉄道ですから、くぼ地がないと電車は走れないんでしょうけれども、あそこに車いすがはまらないような、そこのバリアフリーということをやはり措置していただくのがこんな痛ましい事故を防ぐ防衛策だというふうに考えておりますけれども、この点について、国交省の今の御見解と方針を聞かせていただきたい。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、三月二十四日の二十時十二分ごろでございますが、阪神電鉄本線の武庫川―鳴尾駅間の踏切におきまして、電動車いすの方が列車に接触し、重傷を負われるという事故が発生いたしました。

 具体的に申し上げますと、当該踏切は、警報機と遮断機が設置されておりました、自動車の通行が禁止されている第一種踏切でございますが、電動車いすの方が踏切を横断中に、車いすが舗装面から脱輪をいたしまして、立ち往生しておりました。通行人が車いすを動かそうとしたものの動かすことができなかったということで、また、踏切に隣接する鳴尾駅の駅員に知らせようとしている間に踏切が遮断し、列車が車いすと接触いたしまして、車いすの方が重傷を負われたというような事案でございます。

 国土交通省におきましては、踏切の安全対策といたしまして、改良工事によります踏切の中の高低差でありますとか幅員差の解消を図るよう鉄道事業者を指導してまいったところでございますが、このような対策は、車いすや高齢者の方々が安全に踏切を通行する観点からも有効であるものと考えております。

 当該踏切につきまして、過去にどのような対策が講じられていたかでございますが、阪神電鉄においては、昭和二十八年には警報機と遮断機が設置されておりましたが、さらに五十九年に、幅員を一メートルから二・四メートルに拡幅するとともに、踏切の路面の材質を木製からコンクリート製に改良いたしまして、凹凸を小さくするなど、安全対策が図られてきたところでございます。

 しかしながら、今回の事故の発生を踏まえまして、私ども国土交通省といたしましては、鉄道事業者に対し、踏切において、委員御指摘のような非常時の通報用押しボタンの設置でありますとか連絡先の掲示など、踏切の実情に応じたきめ細かい対応を行うことによりまして、類似の事故の再発防止を図り、一層の安全確保に努めていきたいと考えております。

赤羽委員 ぜひ今回の鉄道事故を契機に全国の総点検をしていただきたいと強く申し上げたいと思います。

 もう時間がないのでやめにしますが、きょう本当は、都市再生機構住宅ついて、昨年年末に規制改革・民間開放推進会議の第三次答申が出たことについての御見解をただしたかったんです。この提案、答申を何するかは別に構いませんけれども、この都市再生機構住宅の居住者の居住の安定については、これまでも国会の審議というのをたび重なってしてきたわけでありまして、国民の代表たる国会議員の国会における審議をないがしろにするような決着であってはならない、私はそう思っておりますので、ぜひ国会審議とまたこれまでの経緯を踏まえた上で今後の対策をとっていただきたいと強く要望いたしまして、せっかく住宅局長には来ていただきましたが、大変失礼しますが、私の質問とさせていただきます。

 どうもありがとうございました。

塩谷委員長 次に、鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 冒頭、先日起こりました能登半島の地震につきまして、お亡くなりになられた方そしてその御家族の方に心からのお悔やみを申し上げますとともに、被災された皆様方に心からのお見舞いを申し上げる次第でございます。天災の被害を減じるべく、国土形成の施策に立法府の一員として邁進することを冒頭お誓い申し上げたいと思います。

 それでは、質疑に移らせていただきたいと思います。

 本日は、航空行政について、その中でも、最近中期経営計画を発表いたしました日本航空の資金調達の問題などについて議論させていただけたらと思います。

 きょうは、国土交通省以外にも、財務省、金融庁、そして政策投資銀行さんにも来ていただいております。建設的な議論に御協力いただけたらと思います。

 それでは、質問に入りたいと思います。

 日本航空の中期経営計画の発表が二月六日にあったところでございます。政策投資銀行にお伺いさせていただきますが、一般論として、融資が行われる際には厳正な審査が行われているというふうに思いますが、融資先の経営計画についてもしっかりと検討されているということなのかどうかの確認をさせていただきたいと思います。

小村政府参考人 私ども政策投資銀行は、融資に当たりまして、あらゆる情報を収集し、また申し述べる意見があれば一つ一つ丁寧に申し上げ、重要な決定に関しては関与していくということでやっております。

鷲尾委員 それでは、あらゆる情報を収集されるということでございますが、例えば、検討を行う際に、当然、融資する当事者として、金融機関として、融資先の経営計画についても作成に当たっていろいろと関与されることがおありかと思いますが、そういう経営計画の作成についても直接、間接にある程度携わるという理解でよろしかったでしょうか。

小村政府参考人 基本的には、そのように御理解いただいて結構だと思います。

鷲尾委員 それでは、日航側なんですけれども、二月六日の記者会見で、この中期経営計画について記者さんから質問をされまして、自信のほどはどうかという質問だったのでございましょう、日航さんの方から、金融機関の理解がほぼ得られたということを発言されているわけでございます。総裁にお聞きしたいんですが、この金融機関の中には政投銀さんは入っておられるんでしょうか。

小村政府参考人 私は、その場に直接いたわけではございませんので、そのコメントに対して私の方からコメントを申し上げる立場にはないと思います。

 先ほど申し上げましたように、一般論として、中期計画を作成するときに、特に重要な案件につきましては、コストの削減あるいは事業運営の重大な問題については私どもは意見を申し上げ、それによって、中期計画でどう反映されていくかということを私どもも審査していく、こういう関係でございます。

鷲尾委員 ところで、この日航の中期経営計画の発表に当たりまして、国土交通省の事務次官が、数日後の記者会見で記者さんに対して、この経営計画については、銀行さんと十分調整の上で策定されている、後は粛々とこの経営計画を進められればよいのではないかという趣旨の発言をされております。この事務次官の記者会見における銀行と十分調整の上というのは、この銀行というのは当然、主要な金融機関ということになろうかと思いますが、ここに、この金融機関というか銀行さんの方に政投銀も含まれるという理解でよろしかったでしょうか。総裁、いかがですか。

小村政府参考人 私どもとしては、次官がどういうお考えで発言されたかというのは、直接お聞きしてみないとわからないと思います。

 具体的な案件を処理する際には、私どもは私どもの判断で行っております。国土交通大臣や次官、あるいは監督官庁である財務大臣とか、個別のものについて御指示があるとか御意見があるということではないのだろうと思います。

鷲尾委員 国土交通大臣、いかがですか。この中に政投銀は含まれているという理解でよろしゅうございますか。

冬柴国務大臣 日本航空の経営に関する問題につきまして、国土交通省としてその内容についてコメントをする立場ではないと思います。

 ですから、その再建計画につきましては、所要の手続を踏んで、民間会社の中で、利害関係者、金融機関も含めてでしょうけれども、相当練り上げて、そして労働組合もたくさんあるわけですけれども、そういう方々とも相談をされ、また保有しておられる財産、直接航空業務に関する以外の財産、例えばホテルとか持っておられますが、そういうものを処分してどうするとかこうするとかいうのは、民間会社である日本航空が自主的、自律的にされるものであります。もちろん我々については、航空の安全とかあるいは乗客の利便性というものについて重大な関心を持っていますし、その意味では監督権も持っておりますので、そういうことについて御相談があったり御報告があったり、正式なものでなくてもそういう雰囲気はあるだろうと思いますが、基本的に、我々、国土交通大臣からそのような、日本航空、我が国を代表する航空会社であっても、そのような問題については、つかさつかさでされる問題である、私はそのように思います。

鷲尾委員 いや、内容云々ではなくて、事務次官の記者会見で、銀行との調整の上でこの経営計画は策定されているということを次官が発表されているわけで、では、この金融機関には、政投銀さん、日本航空に対して三千億以上の融資があるわけですから、当然その金融機関も想定された上の話かということを聞いているわけで、大臣はその点はどう思われているのかという質問でございました。お答えいただけますか。

冬柴国務大臣 私の方の事務次官ではありますが、その会見に私、立ち会っていなかったわけでありますし、また、事務次官が言うからには、それはそれなりの根拠はあったと思います。しかし、それが政投銀さんであって、三千億の融資であってという具体になりますと、私はそういうことを指して具体に言う権限もなければ、そういうことを指して言っているのではない、私はそう思います。

鷲尾委員 お話として単純にその金融機関の中に含まれているかどうかという議論をしているのであって、そのこともお話しにならないというのは、ちょっと私は合点がいかないのでございます。

 このようにいろいろな公表をされている中で、政投銀さんにも日本航空さんの方から当然融資のお願い等々されているだろうということが巷間言われているわけでございますけれども、総裁、融資の検討を含めたお願いというのは来ておるのでしょうか。

小村政府参考人 私ども、上場企業に関する信用にかかわることにつきましては、個別具体的なことをコメントするのを差し控えさせていただいております。

 これは直ちにマーケットに反映されます。私どもの銀行がある会社にお金を貸すとかあるいは貸さない、こういう情報が伝わりますと、直ちにマーケットに反映されます。そういう意味で、信用にかかわることについては、具体的なことについてコメントを差し控えさせていただいております。

鷲尾委員 もうマーケットに反映されていると思うんですけれども、これだけ言われているわけですから。

 これだけマスコミ等々で言われていて、年度末にいろいろな資金調達の需要があるという中で、中期経営計画を含めていろいろな懸念について我々立法府の人間としてある程度の意見を表明したいと思っている中で、融資の検討を含めて何もコメントしないというのは、私は、これは総裁としてもちょっとおかしいんじゃないかなというふうに思うんです。

 きょうは大村先生もおられますから、大村先生、どうですか。だって、巷間言われているわけですよ。巷間言われていて、これだけ融資されているとちまたでは言われているわけですよ。(発言する者あり)

塩谷委員長 御静粛に。

鷲尾委員 ちまたで言われていて、年度末までもう残りわずかという時期で、何でこの時期に融資の検討をしているかどうかも言えないのか、わからないわけですよ。

 どうですか、副大臣。

大村副大臣 金融担当の立場からお答え申し上げます。

 個別の金融機関の経営内容等々はもちろんでございますが、さらにその個別の融資云々について当局としてコメントということは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

鷲尾委員 いや、別に個別の融資についてコメントしてくれと言っているわけじゃなくて、政策投資銀行の総裁として、これこれこういう企業についていろいろな懸念がある中で、金融担当として、総裁として、これに何もコメントしないというのはおかしいかどうかについての御見解を、大村先生どうですかというふうに聞いているんですけれども、どうですか。

大村副大臣 先ほど小村総裁が答弁をされました、まさに政投銀の立場として、個別の民間会社と個々に、まさに一つの民間の立場としての取引ということでやっておられると思います。それで、その際に、相手方についての融資、そしてまた、そうでないということも含めて、それが相手方の信用にかかわるという御答弁だというふうに私は受けとめました。まさにそのとおりだと思いますので、先ほどの総裁の答弁は、まさにそういうことだなというふうに私自身は受けとめさせていただきました。

鷲尾委員 済みません。大村先生には通告していなかったので、申しわけなかったです。次の質問に移らせていただきたいというふうに思います。これは別に本筋の問題ではなかったんですが、正直申し上げまして、総裁が余りにも発言を国会で拒むというのは、私は、それは総裁としておかしいんじゃないかというふうに思うわけです。

 それでは、次の質問に移らせていただきます。

 政策投資銀行が融資する根拠というのはどういう法律に基づいているんでしょうか。これは財務省さんにお聞きしたいんです。

田中副大臣 法律に定めてあるということでございますので、お話をちょっとさせていただきたいと思っておりますが、主務大臣として、私ども財務大臣は、日本政策投資銀行法の定めるところによって、日本政策投資銀行を監督することとされておりまして、具体的には、同行が行った貸し付け等について、この法律に基づくことや主務大臣が定める中期政策方針に沿って、償還確実性を前提として行われたかどうかを含め、同行の業務の健全かつ適正な運営の確保について監督を行うこととなっておりますので、私たちも、政策投資銀行が融資等々いろいろな業務を行うわけでございますけれども、それを総合的に監督をさせていただく立場でございます。

 先ほど来よりお話がございます点について、事前認可制云々ということは当然質問で出てくるのかなと思うわけでございますけれども、これは我々は、法の趣旨からしてそうなっていないということをお話ししておきたいと思っております。一応、今申し上げたとおり、やはり償還確実性を前提として行われたかどうかということを含めて我々は管理監督をする、こういうことでございます。

鷲尾委員 例えば、政投銀に対して公的資金を注入する可能性というのはあるんでしょうか。可能性というのは、制度としてあるかどうかというところをお聞きしたいんですけれども、いかがですか。

田中副大臣 個別の貸し付け等について、公的な資金を注入するということは原則ございません。

鷲尾委員 制度としてはあるんですか、個別についてじゃなくて。

田中副大臣 制度としても、なくはないかもしれませんが、判断として、今までそういう……(鷲尾委員「なくはないかもしらないじゃなくて、制度としてはあるんですか」と呼ぶ)

 私がお話ししたとおり、出資する制度はもちろんありますけれども、そういう個別の融資を何かによって補てんするという制度はございません。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 これは今、政投銀の民営化法案が審議されるところではございますが、民営化された場合に、民営化すれば当然民間の金融機関なわけですから、そうではなくて、今は政府出資の銀行であるということで、この政府出資の銀行と民間の金融機関とで、例えば公的資金の入り方というのが、当然、機動的かどうかを含めて、銀行法の関係もありますし、ちょっと違いが出てくると思うんですけれども、この点、民営化した後は当然民間の金融機関と同じような条件になるわけで、この先民営化した後も、政投銀さんが例えば公的資金を注入するということのないようにしっかりと指導監督をしていただきたいというふうに思っております。

 続いての質問に移らせていただきたいと思います。

 金融庁さんにお聞きしたいというふうに思いますが、日本航空の十八年六月の株主総会、この際に何の報告もなしに、その株主総会の二日後に公募増資が行われました。二千億ほどの募集をかけて、結局、千三百億強の資金が集まったというふうにされていますけれども、こういう、株主総会に何も報告せずにその二日後に資金調達するということについてどういうふうに思うか、お聞きしたいんです。

大村副大臣 お答え申し上げます。

 お尋ねの点につきましては、個別企業の資本政策にかかわる事柄でございまして、コメントは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、これも委員御専門の立場でもう御案内のとおりでございますけれども、一般論として申し上げますと、企業経営に当たりまして、株主に対して十分な説明責任を果たすということは、コーポレートガバナンスの観点からも重要であると考えております。

 株主総会で何ら説明をせず、その直後に、事実関係はもう委員御案内のとおり、去年六月二十八日に定時株主総会があって、その二日後に公募増資についての取締役会決議、対外公表といった点は先ほど御指摘のとおりでございますが、株主総会で何ら説明をせずに、その直後に大規模増資を行うということは、まさに授権資本の範囲内で取締役会決議ができるということで、法令にはのっとっております。法令にはのっとっておりますけれども、会社のガバナンスとか株主利益の観点といったことから、万全の体制で十分な手続を踏んだということかと言われますと、私としては疑問なしとはしないというふうに申し上げたいというふうに思っております。

鷲尾委員 大村先生、では、こういう事例があった場合に、例えば何か指導なり勧告なりはされているんでしょうか。

大村副大臣 ただいま申し上げましたとおり、個別の点につきましての答弁は控えさせていただきたいというふうに思っておりますが、先ほど申し上げましたように、法令等々に違反をしたとかいったような場合につきましては、これは私どものしかるべき部署でその監督指導等々は適切に行うということになりますけれども、今回は法律にのっとっているということでございますので、そういった点は、今回、この点について、そうしたことについてはそこまではいっていないというふうに思っております。

鷲尾委員 副大臣先ほどおっしゃったように、私としては、こういう行為が、説明責任を含めて非常に不十分であるという認識を持っている。これは、資本市場に対して、こういう企業がどんどんどんどんふえていったら、当然、いわゆる不健全な市場と言われてもしようがないわけですね。株主総会の二日後に何の通告もなく公募増資してしまうんですから、それが法令にのっとっているかいないかは別として、やはり問題だと思うんですよ。副大臣はそういうふうにおっしゃっていただいたと思うんです。

 では、その問題の行為を、例えば、個別企業のことで、法令に違反しないからという理由で何も指導、勧告しないとすれば、それはこういう企業を蔓延させることにつながりやしませんか、普通に考えて。いかがですか。

大村副大臣 この点につきましては、この委員会等々でも過去に何回か御議論があったというふうに承知をいたしております。

 私が申し上げたのは、個別の関係につきまして、法令等々に違反をしたといったようなことがあれば、これは各部署でしかるべき対応をするということを申し上げたわけでございまして、今回の件はまさに法令違反ではないということを申し上げたところでございますし、そうした点、法令違反等々でないものにつきましてそういった対応はしないということになろうかと思います。

 ただ、これについてどうか、今回の事案についてどうかというふうに言われましたので、その点については、株主利益、ガバナンスの観点からどうかといった点は、私は率直に、そういうふうに受けとめますということを申し上げたわけでございます。

鷲尾委員 いや、私がお聞きしたいのは、法令違反していなくとも、こういう企業に対して指導、勧告をしていかないということは、不健全な市場になりやしませんか、その点の理解をお聞きしたわけです。

 ライブドアの問題も、立ち会い外分売で、非常に法の抜け穴を通ってニッポン放送の株式を取得した、そういういろいろな事例もございました。それについては立法上の手当てがされております。ですから、そういう意味で、立法が後追いになってしまうんじゃないかという懸念もあるわけです。

 一つ問題点がこういうことで出てきているわけですから、これについての何らかの、市場を形成する所管として、いろいろな検討を加えなきゃいけないと思うんですが、大村先生、この点をどう思われますか。

大村副大臣 ライブドアの件は、まさにこれは法令違反があったということで……(鷲尾委員「最初、グレーと言っていたじゃないですか」と呼ぶ)いや、法令違反があったということで、証券監視委員会の方で告発をして、事件になったということでございます。

 そういう意味で、私どもは、マーケットに対する対応といたしましては、個別のものにつきまして、法令違反等々があったということについて常に監視をしチェックをしているわけでございまして、そういったところは適時適切に対応してまいるところでございます。

 そういう意味で、今回の件につきまして、個別のものにつきましての答弁は、冒頭申し上げたとおり、コメントは控えさせていただきたいということを申し上げました。そして、法令違反ではないということもあわせて申し上げました。ただ、今回のことについてどうかということでございますので、その事実関係等を申し上げて、ガバナンスとかそういった問題についていかがなものかということを私自身が感じているということを申し上げたところでございます。

鷲尾委員 法令違反じゃない限り動かないというのでは、それこそ本当に法に規定していない社会的要請はいっぱいありますよ。健全な市場のためにつくらなきゃいけないルールというのはまだあると思いますし、つくるまでもなく、市場参加者が守らなきゃいけないルールというのはあると思います。そのルールをあからさまに逸脱しているような話あるいは逸脱しているような事例があれば、ある程度積極的に監視していかなきゃいけないというのがこれからの資本市場のあり方であり、監督行政じゃないかと思うんですが、この点についての御答弁は得られなさそうなので――では、どうぞ、大村先生。

大村副大臣 私ども、マーケット、市場とどういうふうに対応していくかというのは大変大事なことだというふうに思っております。その際に、やはり透明性そして予測可能性ということは非常に大事なことだというふうに思っております。その一番のルールは、やはり法令に基づいて適切にやっているかどうか、適正にやっているかどうかということだろうというふうに思っております。

 したがって、この何年かでマーケットについてのいろいろな事件、事案がございました。それは、法令に反しているということについては厳正に私ども対処をしてきたつもりでございます。今回の件は、先ほど申し上げましたように法令には違反をしていないということでございますので、その点については、私はこれ以上申し上げることはないというふうに思っております。

鷲尾委員 重ねて、法令違反じゃないと何もしないということが明らかになったかと思います。

 続きまして、ちょっと質問を移らせていただきたいと思います。

 実は、せんだって、参議院の財政金融委員会の方で我が党の峰崎議員が指摘したところでございますが、これもまた巷間と言うと怒られちゃうかもしれませんが、巷間、日航の財務諸表については、利益操作と見まごうばかりの処理が含まれているということが懸念されているわけでございます。

 私も公認会計士の端くれでございますので、どうにもちょっと疑問がわいてくる点もございますので、今回、ちょっと専門的ではあるんですけれども、この点について幾つか懸念を提示させていただこうかと思います。

 日航の財務諸表を見ますと、機材関連報奨費というのがございます。これは平成十八年三月期には消えているわけですけれども、平成十五年三月期、平成十六年三月期、平成十七年三月期と、大体五百億から六百億くらいの金額が計上されているわけでございますが、平成十八年三月期になりますと、二百五十億くらいということで、随分と減っておるわけでございます。

 一方で、営業外収益というのは、そもそも受取利息だとか配当金、有価証券の売却益とかが計上されるわけですけれども、この点について言えば、日航さんの方にそれに該当するような大きな資産というのはないわけでございまして、機材関連報奨額というのが思い切り減っていることになるわけです、財務諸表の内訳を見ますと。機材関連報奨額が思い切り減っている。

 これについて、二点ほど問題があるというふうに私自身は思っておるわけでございます。

 新聞記事でございますが、この機材関連報奨額というのを全廃する、これは全日空も、当然JALさんも、あわせて全廃するというふうに言っておるわけでございますが、この件について、西松社長、今の社長ですね、当時、経理担当の取締役だったのでございましょう、記者さんにこういうふうに答えておるわけでございます。機材関連報奨額について、会計処理上は問題ない。しかし、今期から計上を取りやめた、今期というのは十八年三月期ですね、取りやめた。航空機を購入した際に、値引きやリベートを加え、大量購入で機材などの無償提供を受けても発生するものである。値引き前の価格の膨らんだ簿価でわざわざ資産を過大計上して、値引き分など利益認識していた。これについて疑心暗鬼になっていた投資家も多かったはずで、透明性がより高まるということを言っているわけでございます。

 まず、この点なんですけれども、この西松さんのお話からすると、この機材関連報奨額というのは、値引きであり割り戻し、要するにリベートであると。そのリベートの処理として、今まで営業外収益に上げていたという話なんですね。

 余り個別企業の話をしていると、これまた答えていただけなくなってしまうので、一般化して話しますと、通常の定価で買ったものについて値引きなり割り戻しがありました。この割り戻し分が例えば利益に計上されていたら、これは企業会計原則上大変おかしいと思うんですが、大村先生、どういうふうにお考えですか。

大村副大臣 この点は、まさに個別企業の会計処理の点に尽きますので、コメントというのは差し控えさせていただきたいというふうに思っております。

 ただ、きょうは委員会で、一般論としてということでございますので、その点について一般論として申し上げますと、御指摘の例えば機材関連報奨額といったようなもの、割り戻し額というふうに今委員言われましたけれども、こうしたものを営業外収益として計上するのか、それとも営業外収益として計上するのではなくて資産計上するのか等々につきましては、これも個別の取引の具体的な実態等に照らして判断されるものでありまして、一概に申し上げるということは困難ではないかというふうに思っております。

鷲尾委員 いや、副大臣、個別の話ではなくて、企業会計原則上、取得価格から値引き、割り戻しを引かないで利益計上したら、これはどうかという話を御答弁願いたいんですが、これは会計士の立場からすると誤った処理なんですよ。

 ですから、個別の事情というふうに今おっしゃいましたけれども、それは契約を見てみなきゃわかりませんけれども、定価というものがあって、それに対して値引き、割り戻しが利益計上されていたら、これはおかしな話なんですよ。この点をまず一点申し上げたい。

 それと、財務諸表というのは当然、期間比較可能性というのを担保しなければなりません。例えばこの日航の例で言うと、平成十五年で約六百億、平成十六年で四百億、平成十七年でも六百四十億。ところが、平成十八年で二百五十億程度しか営業外収益が計上されていません。これは大きく減っているけれども、何の要因か。見たらわかります、機材関連報奨額だと。

 では、機材関連報奨額、これは全くなくなったのか。全くなくなったのではなくて、この点については、一般的なケースで言えば、期間比較可能性を担保するためにある程度の注記が必要になります。具体的に言うと、会計方針の変更というところで、こういう事象が変わりました、理由をつけて、今回については会計方針の変更をしましたよ、だから、財務諸表上には数値がちょっとおかしくなっているけれども、おかしくないんだよということをわかるように注記する、そういう慣行、基準がございます。よく見ると、この日本航空さんの財務諸表にはこういう注記情報が何もないわけですね。この点についても非常に疑問を持っているわけでございます。

 私が何を申し上げたいかといいますと、こういう奇異に感ずるところが我々からしたらあるわけです。一般の投資家さんでも、ある程度専門的知識を持っている方であれば、ある程度の分析は可能でございましょう。こういうことについて、先ほど政投銀の小村総裁の方から、あらゆる情報を収集して、鋭意、融資については検討するものだという話をされていました。こういうことも含めて検討しておるということでよろしかったでしょうか。ちょっとこの点についてコメントをお願いいたします。

小村政府参考人 先ほど申し上げましたように、私ども、知り得る限りの情報を把握し、それに基づいて適正に判断をいたしたいと思っております。

 なお、ただいまの機材購入報奨金の話でありますが、これについては、こういった問題について、公認会計士、監査法人が適正とその時点において判断はされている事項であります。単なる機材の売買ということではございませんで、リースが絡んだ我が国特有のそういう取引慣行に基づいて、これはJALだけではございません、航空会社が当時とっていた会計手法だということで理解をいたしております。

鷲尾委員 では、一般論としての理解でございますが、銀行といたしましては、当然、融資する以上、公認会計士さんとも相談しながら、財務情報を含めて、いろいろな信憑性について吟味されているという理解でよろしかったでしょうか。

小村政府参考人 基本的にはそういうふうに御理解をいただきたいと思います。

 私どもといたしましては、財務会計上の問題については公認会計士、リーガルチェックについては弁護士等々とも相談する事案もございます、あらゆる手段を講じて審査をいたしております。

鷲尾委員 同様に、小村総裁、ちょっと一つ追加でお聞きしたいんですけれども、これも峰崎参議院議員が指摘したところでもありますが、御社の設備投資研究所の研究員の方が利益操作の疑いについても指摘されておる次第でございますが、一般的に、当然、アナリストレポートなど研究者の報告というのも十分検討された上での融資という理解でよろしいですか。

小村政府参考人 基本的に、私ども、設備投資研究所は自由に研究をさせております。その論文において、私どもの担当者あるいは総務部の者とか、そういう者が一々チェックをして公に出すことはございません。その論文も、個人的意見だということを本人もきちっと書いた上での発表であります。

 私どもとしては、本人が自由に研究できる環境を整えるということが何よりも大事だと思っております。

鷲尾委員 このような懸念が表明されているレポートというのも融資の際に十分御検討されるという理解でよろしかったでしょうか。

 検討の結果、融資されているということであれば、個人的見解とはまた別に、政策投資銀行としては、そういう懸念も含めてしっかりと融資判断をした、我々としてはできる限りの情報収集をした、そういう意見表明であるというふうに認識してよろしいでしょうか。

小村政府参考人 先ほど来申し上げておりますように、私どもは、財務の内容についてはその専門家、あるいは法律については弁護士の意見等々も参考にしております。

 個別の融資について、ある人は貸すな、ある人は貸せ、こういういろいろな議論があることは確かであります。ただ、責任は私どもがすべて負います。みずからの行動については、最終的には私どもが責任を持って判断をするということであります。

鷲尾委員 では、一つまた質問させていただきたいと思います。

 日本航空の西松社長なんですけれども、十一月の社内報で、航空運送事業が実力ベースで一度も黒になっていないというコメントをなされております。これについては、資金調達能力に疑いがあり、当社への貸し付けが停止する可能性があるということを十一月の社内報で言っておるわけでございますけれども、この実力ベースで一度も黒になっていないという点も御検討されておるという理解でよろしかったでしょうか。

小村政府参考人 社長が社内向けにどういうメッセージを発するかということは、その社長が意図するところが何であるかというところも考えなければならないと思います。これは西松社長に聞いていただくしかないと思います。

 私どもとしては、西松社長が、会社のそういう状況について、みずからの職員に対して、やはり緊張感を持って当たらなきゃいかぬという趣旨で御発言されたのではないかと私自身は理解をいたしておりますが、正式には御本人に聞いていただきたいと思います。

鷲尾委員 それでは、大村先生にまた再びお聞きしたいんですけれども、実力ベースじゃない財務諸表というのはあり得るんでしょうか。

大村副大臣 まさにこれも、先ほど来答弁を申し上げておりますが、個別事案にかかわることにつきまして、答弁は控えさせていただきたいと思います。

 ただ、今言われました、先ほど小村総裁が言われましたが、社長さんがどういうふうに言われたかというのは私はあれでございますが、我々は、法令に基づいて適切に作成された財務諸表を、法令に基づいて適切に私どもはそれをチェックさせていただいているということでございますので、そういうふうに御答弁をさせていただきたいと思います。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

鷲尾委員 ここまで執拗に質問させていただいておるのは、やはり政投銀の債権というのは当然国民の財産でもありますし、融資に当たっては、当然慎重を期すことが求められているわけでございます。当然いろいろな角度からの検討をお願いしたいところであります。いろいろ報道上言われていることもあります。私自身、財務諸表を見て疑問を持っていたこともあります。この点について、杞憂ではありますけれども、杞憂だというふうにわかっておりますけれども、あえてやはり、しっかりと検討しておるかどうかというところをこの場で議論させていただきたいというふうに思った次第でございます。

 また、利益操作の懸念等々を含めまして、こういうことについては認識しているかしていないか、いろいろな意味を含めて、当然、健全な資本市場をつくるという意味では、ある程度の調査は必要になってくるとは思いますし、ルール、立法手当てが後手後手になって、それで不健全な企業を生き長らえさせる、そういうことは、やはり世界的に見ても日本の魅力というのをそいでしまっているんじゃないかという懸念もございますので、こういう点を関係各位がいろいろな角度から検討すればよりよい資本市場ができていくということを表明させていただきまして、続いての質問に移らせていただきたいと思います。

 国交省として、資金調達に大変困難であると言われております日航について、中期経営計画上、例えば国内十路線廃止という計画が打ち出されております。ところが、長野―新千歳の路線については廃止の見直しがされているわけでございまして、この変更については、大臣、どのようにお考えなんでしょうか。

冬柴国務大臣 路線の選択につきましても、民間の経営判断ということが一番大事なことであります。しかしながら、その発着する空港を抱える地方公共団体におきましても、空港の経営者におきましても、そこでお店をやっている方も、また観光業者の方も、そういうようなところが路線が廃止されるかどうかについては重大な影響を受けるわけですから、経営判断をされるにしても、地元と十分に話し合いをされまして、そしてその結果、廃止されるということについては、我々は、それをしてはいけないとかいうことは、会社の経営判断である以上、そこまでは容喙はできません。

 我々は、要するに、そういうような経営判断が公共交通機関の運航の安全にどのような影響を及ぼすのか、あるいは乗客の利便という問題も無視するわけにはいきませんが、そういう観点から我々としては判断をし、適切に対処しなければならないというふうに思っております。

鷲尾委員 このような計画が策定されましたのが二月初めで、三月へ入ってこういう計画の変更があるということは、ちょっと急であるなというふうに思ってしまうわけでございまして、収支改善、これが当初の計画でいうと六十億というふうに言われているわけですけれども、この点についての効果の減殺もあろうかというふうに思いますが、国交省として、この点はどういうふうに把握しているんでしょうか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 航空路線の開設や改廃について、航空会社の経営判断により決定されるというのは大臣が答弁したとおりでございまして、ただ、その際に、地元へ重大な影響を与えることがあることから、よく話をしながら進めていただくように我々も航空会社に指導しているところでございます。

 本件につきましては、日本航空は、松本―札幌路線について一たん廃止を決めました。これは、MD87という古い機材が全部退役するということで、ここを飛べる機材がなくなってしまうということで決めたわけでありますが、松本空港側にとってみれば一番利用の大きい路線がなくなってしまうということで、これは大変な問題だということで、両者で話し合いがなされました。それで、松本―福岡線というのが、プロペラで飛んでおる路線がありましたが、ここの週七往復のうちの四往復分を札幌に切りかえて、松本―札幌を週四往復、松本―福岡を週三往復ということで、福岡の分を分け合うということで修正がなされたわけでございます。

 したがいまして、これによって日本航空の中期経営計画に大きな影響があったということはないと私どもは承知してございます。

鷲尾委員 るる申し上げているのは、やはり航空会社の資金調達というところが、つまるところ、乗客の安全、安心というところに深くかかわってくるんじゃないかというふうに思っておる次第でございまして、日本航空は航空機の整備事業を中国の方に委託しているという情報がありますが、この辺の事実関係についてちょっとお伺いしたいんです。

鈴木政府参考人 中国のアモイにTAECO、テコと言っておりますが、そういう会社がございまして、ここに整備を一部委託してございます。

鷲尾委員 二月二十五日の報道なんですけれども、補助翼の部品をつけ忘れたという話があったと思いますが、この辺の事実関係についても教えていただけますか。

鈴木政府参考人 ただいまお答えいたしましたTAECOという会社が日本航空の整備を一部引き受けておるわけでございますが、整備したJALI767型機の整備におきまして、主翼補助翼の操作系統部品を交換する際にブッシングと言われます摩耗防止用の緩衝部品を取りつけるのを忘れていたというのが、日本航空側の方の点検で発見されたというものでございます。

 対策として、作業者等に注意喚起を行うとともに、不具合管理システム強化の検討を開始したというものでございます。

鷲尾委員 こういう整備工場とかに直接国交省が立入検査するということはあるんですか。

鈴木政府参考人 日本航空や全日空などのエアラインが航空機の整備を委託する場合に、航空法におきまして、国が作業実施能力を認定した事業場、認定事業場と言っておりますが、これに委託をしなければならない旨規定されております。

 この事業場は海外でもいいということになっておりまして、このTAECO社も含めまして、この認定事業場につきまして、まず最初に認定する際に、施設、人員、組織、品質管理制度等につきまして技術上の基準への適合性を検査するとともに、その後、定期的に立入検査を行いまして、当該基準へ適合しておるかどうかというチェックを継続的にしておりまして、直接的に私どもが指導監督しておるわけでございます。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 資金調達難はこれから先ちょっとどうなるかわかりませんけれども、今月末に融資が予定されているそうですからわかりませんが、その業績の回復を含めますと、中期経営計画はしっかりと履行されていくのかという話が一つ重要な問題ですけれども、業績の回復ももちろんなんですが、その過程において、例えばいろいろな業者にアウトソースするよ、だから整備についても中国の方で整備をやるという話がありました。この点についても、どういう従業員の構成になるかわかりませんけれども、品質管理の面で、決して日本国内の工場と引けをとらないように指揮監督というのをやっていただきたいというふうに思う次第でございます。

 では、もう一点お伺いさせていただきたいと思います。

 この中期経営計画が発表されてからの報道資料で、国交省の出身の常務が代表権を持った副社長の方に昇格されるということで、私どもからするといわゆる天下りについてお聞きしたいんですけれども、縄野さんという方でいらっしゃいますが、この方の経歴といいましょうか、どういう理由で国交省さんの方からJAL、日本航空さんの方に行かれたのか、その経緯も含めてお伺いさせていただきたいんです。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 縄野常務は、航空局の審議官、監理部長、鉄道局次長、自動車交通局長、海上保安庁長官、国土交通審議官を歴任いたしまして、平成十五年七月に国土交通省を退官いたしております。

 その後、平成十七年十月に、日本航空インターナショナル及び日本航空ジャパン、これは当時の運航会社でございますが、これの常務取締役に就任いたしました。その後、十八年六月に、持ち株会社であります日本航空常務取締役に就任し、現在に至っております。

鷲尾委員 時間がなくなりましたので、そのことについて深掘りするつもりはございませんが、巷間言われておりますのは、要するに、こういう資金調達難にあって、例えば政治家とか国交省対策だとか、そういう報道もあるわけです。外観上は癒着しているというふうに見られるわけです。見られてしまうことに対して、やはり何らかの規制と言ったらあれですけれども、見られること自体嫌だなという思いもきっと国交省さんの側からすれば当然あってしかるべきだと思いますが、この天下りの規制を含めて、今非常にホットな話題でございますので、冬柴大臣のこの天下りに対する思いを最後に述べていただきまして、質問を終わらせていただきたいと思います。大臣、お願いします。

冬柴国務大臣 予算や権限を背景とした押しつけ的な天下りということは、私は、もう廃絶すべきであると。これは総理大臣もそのようにおっしゃっておられまして、今、公務員改革の一環として、内閣を挙げて取り組んでいるところでございます。

 しかしながら、個人の、いわゆる大学を卒業してから、この方も、昭和四十四年六月に東京大学法学部を卒業されてから、その年の七月には運輸省に入省して、ずっと運輸省の畑を歩いてこられた方で、先ほど局長が答弁をいたしましたように、最後は国土交通審議官を歴任して、平成十五年七月に退職をされた人でございます。

 したがいまして、その人が持つ長い間の交通行政とかそういうものの知見というものは非常に貴重なものでございまして、決して、この人を我々が天下りをして日本航空へ押しつけたとか、そういう事実は全くありません。したがいまして、それは、会社が、株主が、あるいは取締役会が、その能力、識見というものを高く評価されて代表取締役副社長にされたのであろうと私は思います。

 したがって、天下りと言われるものと、そしてその人のいわゆる転職という問題、公務員の転職という問題が混同されるということはまことに残念ですが、その峻別というのはなかなか難しいということも事実であります。したがいまして、国民からそういうものにあらぬ疑いをかけられないようにしなければならないということも事実でございます。

 私どもはそういう面を配慮しながら、この問題については、決して天下りとか非難されるものではなく、日本航空の会社が自主的、自律的に決められたことでありまして、我々は尊重しなければならない、そのように思っております。

鷲尾委員 ありがとうございました。

西銘委員長代理 泉健太君。

泉委員 民主党の泉健太でございます。

 本日、大臣、そしてまた環境副大臣にもお越しをいただいておりますけれども、質問をさせていただきたいと思います。

 まず私も、能登半島の地震におきまして数多くの被災者が出ておりますことにお見舞いを申し上げたいと思います。そして、亡くなられた方には心から御冥福を申し上げたいというふうに思います。

 私も、これは通告はしていないのですが、まず能登半島地震について数点、質問をさせていただきたいと思います。

 私の手元に今ありますのは、午前八時作成の国土交通省の第七報の概要版というものを持たせていただいております。もしかしたら、その後、第八報がもう出たのかもしれませんが、それをもとに少し質問をさせていただきたいと思います。

 吉田政務官は現地に行かれたということでございまして、我々、私たち一人一人の議員がなかなか現地に行けるわけではないという状況もございまして、その意味でぜひ、今回の現地の特徴、そしてまた、現地を見てこられて国土交通省の方にどのようなことを要請されたのかということについて、簡単にお願いをしたいと思います。

吉田大臣政務官 能登の地震のことにつきまして早速の御質問をいただきました。ちょうど私、新潟におりましたものですから、大臣からすぐに能登へ向かうようにという命令を受けまして、地元北陸整備局経由で能登へ飛ばせていただきました。

 事情は、やはり半島でありますから、道路がやられているということが一番大きな影響をもたらしているということだと思います。二四九という国道と同時に、能登有料道路、これの柳田そして穴水という、半分以上、北の部分が今通行できないということで、これらが一番の大きなダメージだと私は思っています。水道の関係その他も、徐々に復旧しつつあります。大臣の御訓令で、飛行場はでき得る限り早くにということで、きのうの、翌日の十一時の一便は着陸することができたということで、知事からは、これらの本格的な復旧についても強い要望を受けてまいりました。

 帰って、大臣に復命して、総力を上げてこれが復旧復興のために努力したい、こんなふうに申し上げております。

 以上です。

泉委員 ありがとうございます。

 私の友人も能登島に住んでおりまして、きのう、安否の確認というか、電話をかけていた途中にもまた余震が起こったというような状況もありまして、現地では、その能登島の地域では、断水あるいは水の濁りが大変まだ残っているというようなお話もありましたけれども、ぜひ今後も復旧に努力をしていただきたい、そんなふうに思います。

 この中で、もう一つ確認というか気になったのは、避難の状況のところで、わかればで結構なんですが、現在、石川県千二百七十九名、うち輪島市が千六十五名ということになっております。富山県三名となっていますが、ほとんどが石川県中心であります。そういうことでいいますと、世帯ということでは数字は出ておりますでしょうか、ちょっと確認なんですが。

冬柴国務大臣 残念ながら世帯では把握しておりません。避難の人数で、自主避難と避難勧告というものがあるわけでございますが、そういう形でしか把握できておりません。

泉委員 世帯につながるところで、石川県、この第七報の概要版の二ページ目で見ますと、その他のところに、提供可能な公営住宅等の空き室が六百二十四戸ある、そのうち、石川県は五百戸あると。

 私は、この数字を見て、ある意味非常に多いなと、ちょっと別な観点なんですが、思いまして、これは、例えば災害用のストック的な最低限のものプラスアルファ空き室だったのか、それとも、基本的に災害用としてストック的に残しておいたということではなく、普通の空き室の状態がこれぐらいあったのかという、ちょっと細かい話なんですが、わかれば答弁いただきたいと思います。

榊政府参考人 災害用に予備的に五百戸置いていたわけではなくて、年度末ということもこれあり、空き室が出ている状況がこうなったということでございます。

 なお、ちなみに、五百戸なんですけれども、県の南部の方に結構、金沢から南の方にもありますので、県の北部ということになりますと、相当数が落ちてしまう、こんな状況でございます。

泉委員 実際には、やはり御自身、それぞれ被災に遭われた方々が住んでいる地域の近くでどうしてもプレハブなりで生活をしたいという要望の方が恐らく強いのではないのか。大きな被害で、あらゆるライフラインの復旧に数カ月間かかる、阪神大震災のような事態であれば、遠方に引っ越しをする、当面の間被災の避難をするというか、疎開的な形でということもあり得るのかもしれないんですが、今回みたいなケースであれば、恐らく現地にとどまる方々が多いのではないか。

 そういう意味では、こうして数字で見ると、公営住宅五百戸といえば、何とかなるんじゃないかというふうに思いがちの私たちではありますけれども、そこは、こうしてプレハブ建築協会に依頼をされているとおりでして、やはり、なかなか公営住宅というのは、利用されるためにはまだまだ壁があるのではないのかなというふうに思います。

 その意味では、プレハブの建設というのは、ぜひこれも住民の要望をよく聞いて促進をしていただきたいということと、こうして、今、公営住宅の空き室ということは、全国各地でも災害に利用できないかということも非常に言われてはおりますけれども、例えば家財道具の面ですとか、あるいは先ほどおっしゃったような距離的な移動の面ですとか、そういうもののサポートがなければやはりこれはどうしても活用が難しいということになると思いますので、ぜひその点に配慮をしていただいて、住民の皆さんが避難生活に苦労のないように。

 きのうも、インターネットの新聞の写真なんかを見ていたら、部活動でけがをした高校生が車の中で寝ているという風景が載っていまして、足をけがしているから避難所に入れなかったという理由で一応車の中で睡眠をしていたんですが、さっきおっしゃっていたように、エコノミー症候群の問題ですとか、やはり今、車の中でというのが大変問題にもなっておりますので、ぜひその点も気をつけて、快適なというか、一刻も早くそういう日常生活に近い形の避難生活が送れるように御配慮をいただきたいというふうに思います。

 この地震については、もう一つ、現地の能登島に住んでいる仲間に聞きましたら、もともとこの地域というのは地震の可能性が低い地域とされてきたんだと。だから原子力発電所も近くにありという中でこういった大きな地震が起こったということを考えれば、やはり日本列島は、改めて、どこだけが地震の非常に起こりやすい地域ではない、本当に全国どこでも起こり得るんだということで備えを今後していかなきゃならないのではないのかな、そんなふうに思いますので、地震対策というものをぜひ全国もう一度、総点検、再点検をしていただきたいということをまずお願いしたいと思います。

 次に、大臣に、ちょっと時事ネタというか、多少お答えづらい話かもしれませんが、お伺いをしたいと思います。

 まず一つ目は、下村官房副長官が発言をされた件であります。従軍慰安婦問題で、旧日本軍の関与なしということをおっしゃられました。その言葉の趣旨は、軍による強制連行がなかったということでの発言だというふうにお話を、その後、改めて会見ではされているようなんですが、私自身は、やはりこういう発言というのは、非常に物議を醸すというか、他国にはなかなかそのまま正確に伝わる性質のものではないというふうに思っておりまして、その辺の大臣の御認識、この発言についての御感想をまずいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 私もそのような新聞報道は見ましたけれども、政治家がそれぞれ、その責任と、そして信念と申しますか、そういうもので発言されるものであろう。そして、その結果は、やはり自分が、あるいは国民からの評価を受けることになるだろうと思います。

 私どもは、政治家がそれぞれの信念に基づいて発言していられることについて、私からそれをコメントするということは差し控えさせていただきたいというふうに思います。よろしくお願いします。

泉委員 大臣の、いわゆる従軍慰安婦問題、それについて軍の関与があったかなかったかということの御自身の御見解はございますでしょうか。

冬柴国務大臣 これにつきましては、私は、内閣の一員としましても、今は議長になっていられますが、河野官房長官の談話というものに尽きているというふうに思うわけであります。

 歴史的に、私は研究したことはありませんけれども、いろいろな文献等がありますので。私も戦前生まれでございまして、ある程度戦争も知っていますけれども、そういう従軍慰安婦がおったかどうかというところまで知る年齢ではございませんでしたので、体験はありません。したがって、文献その他ですけれども、私の公式的な見解は、河野官房長官の談話に尽きている、そのように思っています。

泉委員 大臣はお若く見えますので、戦前生まれというふうにはなかなか私も見えないところもあるんですけれども。大変お元気な大臣ですので。

 もう一つ、御党の太田代表が、集団的自衛権の行使は認めないと、これは改めての発言でありますが、おっしゃられました。一方で、安倍内閣においては、集団的自衛権の研究を進めていくという中で、個別的自衛権、集団的自衛権ということ、それぞれ何が該当するのかという研究を進めていこうというお話ですけれども、大臣は、この件についてはいかがお考えでしょうか。

冬柴国務大臣 憲法第九条を読む限りにおいては、あらゆる解釈を駆使いたしましても、もちろん個別的自衛権は当然に認められます、しかしながら、集団的自衛権を認めることは非常に困難、困難というよりも不能であろう、私はそのように思っております。したがいまして、それを認めるということになれば、これは憲法九条を改正するかどうかという議論に発展すると思います。

 私は、その意味で、太田代表が言っている、集団的自衛権は行使できないと言っていることに私は左袒するものでございます。

 しかしながら、安倍総理も、どの行為が集団的自衛権に当たるのかどうかということを個別具体的に検討すべきではないか、このようにおっしゃっているわけでありまして、その文脈からいけば、安倍総理のおっしゃっていることも、集団的自衛権に当たることは無理なんだけれども、しかし個別具体の事例を拾って、これは集団なのかあるいは個別的自衛権として認め得る範疇なのかどうかをきわめたいということをおっしゃっていると私は理解しております。

 したがいまして、太田代表の言っていることとは矛盾をしないというふうにも思っております。

泉委員 大臣、かつてであるわけですけれども、日本の周辺で米国が日本の安全のためにやっている行動に攻撃が加えられたときにどう対応するかは、集団的自衛権と考えなくていいということをおっしゃっておられますけれども、これは、今もお考えは変わりませんか。

冬柴国務大臣 日本の周辺において、そのまま放置すれば日本の平和と安全に重大な影響を及ぼすべき事態というくだりがあります。日本の周辺で、日本の安全を守るために、寄与するために、例えばアメリカのキティーホークという航空母艦が周辺を遊よくしております。そういうものについて、過去においては、攻撃が加えられた場合どうするのかというようなことが設例として議論されたことがありますが、現在の法制度では、いわゆる後方地域における支援はできるということで、この周安法に基づきまして、リアエリアにおける我々の支援はできる、そういうことであります。

 しかしながら、それが、今安倍総理が言われていることの個別的自衛権の行使と集団的自衛権の行使との境目にあるような事案なのかもわかりません。どうするのか、みんなの議論が活発に行われてしかるべき事案だろうと思います。

泉委員 それでは、次の質問に移らせていただきたいと思います。

 きょうは、特に住宅政策における地球温暖化防止ということについて大臣に質問させていただきたいと思いますが、まず大臣、安倍総理は「不都合な真実」という映画を見られたというふうに私はお伺いをしておりますけれども、大臣はこの映画を見られたことはございますか。

冬柴国務大臣 なるべく早く見たいということで、その日を入れてほしいということですが、残念ながらまだ見ておりません。

泉委員 ぜひ事務方は、早くこの映画を大臣に見ていただくように日程を確保していただきたいというふうにお願いをしたいと思います。

 この映画の中でも、急激な温暖化をいろいろな切り口でアル・ゴアが説明をされています。

 例えばそれは、シロクマがずっと海の中を泳ぎ続けて、ついに上に上がれる氷山を見つけられずに水死をしてしまう、溺死をしてしまう、そんなとんでもない、あり得ないような事例が報告をされた。

 ブラジルで初めてハリケーンが発生をした。これまで南米の地域では基本的にはハリケーンというものは存在しなかったにもかかわらず、ブラジルで初めてハリケーンが出てきた。

 あるいは、氷河があらゆるところで後退をしている、そしてグリーンランドやアラスカの氷河、大氷床と言われる氷の床、そういうところに大きな水たまりみたいなものができてきている。それは、日光によって氷河そのものが温められて大きな水たまりができて、そしてその氷河に穴があいて、どんどんどんどん中に水が流れ込んでいって、今まででしたら海から波に洗われて氷河が崩れるものと思っていたのが、がばっと、中の方から、水が中に浸透していって崩れ落ちる、その面積が多大な面積、物すごく大きな面積になっているということも報告をされておりまして、そういうあらゆる地球温暖化の影響というものが今出てきているという状況であります。

 これも、世界の研究者が集まった中では、九〇%以上、二酸化炭素の排出が原因じゃないかということを結論づけてもいいというふうに言われているところでありまして、ぜひ我々も日本の中で取り組んでいかなければならないわけですけれども。

 きょうは、特に国土交通部門におけるCO2の排出ということについて考えていきたいと思うんですが、まず、国土交通部門における、特に運輸、あるいは住宅・建築物、こういうところが主に当たるかと思いますが、二酸化炭素の排出、これは、国内全体の中で国土交通部門の排出量というのはどれぐらいになるでしょうか。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通部門という形できちっと仕分けができているわけではありませんが、今、泉委員から御指摘のありました運輸部門が約二割でございます。それから民生部門、住宅・建築物のところが、ちょっと今手元に正確な数字を持っておりませんけれども、これもかなりのウエートを占めておりますが、このうち、いろいろな事情で、住宅・建築物の対策で対応できるものはその一部分だと考えております。

泉委員 今おっしゃられた、運輸でいいますと二割というお話がありましたが、特に公共交通や貨物で約一割、自動車で約一割というような状況でありまして、そしてまた、民生部門の中の住宅ですとか家庭が一割弱ということで、約三割ぐらいはいわゆる我々国土交通委員会の中でもかかわってくる問題なのかなというふうに思っております。

 その意味でいいますと、平成十四年、地球温暖化対策推進法の改正で位置づけられた地球温暖化対策推進本部というのがございます。きょうは土屋副大臣にお越しをいただいておりますけれども、副大臣はこの本部の中には入られているでしょうか。

土屋副大臣 私の記憶では、私は特に入っておりません。

泉委員 国土交通大臣はどうなっておりますでしょうか。

冬柴国務大臣 本部員でございます。

泉委員 それはぜひ認識を持っていただかなきゃならないのじゃないでしょうか。本部員でございます。

 あえて聞いたわけですが、せっかく平成十四年に位置づけられた地球温暖化対策推進本部があるわけですが、今皆さん聞いていただいたとおり、環境副大臣も本部員ではない。確かに、閣僚が集まっておられるという前提でしょう。しかし、私は、環境副大臣ぐらいは入っていていいんじゃないのかなというふうにも、事務局次長でもいいと思います、事務局でもいいと思います、入っていていいんじゃないのかなと思います。

 実は、この本部の中では環境大臣と経済産業大臣はたしか副本部長なんですね。何でその二人だけが副本部長なんでしょうかという気が私はしてならないわけです。地球温暖化、二酸化炭素の排出における、日本の国内では三割を我々が担当しているとすれば、そこはやはり国土交通大臣にも副本部長にぜひなっていただきたい。まず本部員の認識も持っていただきたいわけですが、副本部長にぜひなっていただきたいというふうに私は思っております。

 環境副大臣、いかがでしょうか。

土屋副大臣 環境問題が今大変脚光を浴びておりまして、そういう中で総理も二十一世紀環境立国戦略宣言をいたしまして、今見直しをしておりますので、今後その中で強化をしていければいいと思っております。

泉委員 副大臣、ぜひ持ち帰っていただいて、国土交通大臣、冬柴大臣を副本部長にしろということをぜひお願いしていただきたいと思いますし、ぜひ土屋副大臣も、私も入れてくださいというふうに言っていただきたいと思います。

 少し細かいお話に入ります。

 同じく十四年の推進法の改正で、地球温暖化防止活動推進員というものができました。この推進員の業務というか活動の一つとして、地球温暖化対策診断というものが盛り込まれまして、相談員というか推進員が、全国の地域の方々に対して、地球温暖化対策診断、住宅の診断をしますよという業務が、活動が組み込まれました。

 その中に、住宅の断熱措置というのがあるんですね。事務方で結構ですが、これはどれぐらい利用されていますでしょうか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 それぞれの地域におきまして、身近な温暖化対策を住民の方々と一緒になって進めるという役割を推進員の方々は担っていただいているわけでございます。

 御指摘の断熱でございますが、今手元にどの程度それぞれの地域で断熱について取り組んでいるのかという詳細なデータはございませんけれども、関係の方々とよく相談をし、御協力もいただきながら、推進員においても断熱の取り組みを進めてまいりたい、このように考えております。

泉委員 この活動推進員による温暖化対策診断、そして住宅の断熱措置というその活動の状況をぜひ知りたいと私は思っておりますので、後ほどで結構です、資料をいただきたいというふうに思います。よろしくお願いいたします。

 そして、さらにお伺いしたいんですが、同じくこの法律の中では、地域の、都道府県における地球温暖化防止活動推進センターの設置や、あるいはこの活動推進員というものがあるわけですが、これはちょっと気になったんですが、両方とも東京都は、その推進員の任命も一人もしていなければ活動推進センターもないという状況なんです。副大臣、これは何か理由は御存じですか。

谷津政府参考人 お答え申し上げます。

 地球温暖化対策推進法におきましては、国は全国のセンターを決める、こういう規定がございまして、都道府県は都道府県のセンターを決める、こういう役割分担になっております。

 国におきましては、全国センターといたしまして、東京にその主な事務所がございます日本環境協会、これを全国センターとして指定しております。

 したがいまして、全国センターのおひざ元ということで、東京都とも十分連携を図りながら所要の措置を進めてまいりたい、こういうふうに考えております。

泉委員 さらに詳しく、特に住宅のことについて質問をしたいと思います。

 大臣、日本の住宅における温暖化対策についてなんですが、実は、いろいろなところからおくれているんじゃないかというような御意見があります。まず、そのことについて御認識というのはございますでしょうか。

冬柴国務大臣 まず、住生活基本法というものを通していただきました。これによりまして、今まで日本の住宅というのは、建てては壊しと言っては悪いけれども、三十年ぐらいで建てかえをしていたわけですね。しかしながら、これは有限の資源を無駄遣いする上、いわゆる建設廃材というものを燃やせばCO2が出るわけですね。したがいまして、こういうものを長く命数を延ばそうじゃないか、少なくとも、今ある住宅を三十年で壊すのではなく、適切に手入れをして四十年はもってもらう、それから、これから新築する住宅については、数十年以上、百年を目途に建てていくようにして、そしてそれを中古住宅市場として、これが市場で取引ができるようにきっちりと手入れをして、大切に長くもつ、そういうことは非常に大きく環境に対する負荷を和らげるというふうなことが一つあると思います。

 それから、個別住宅といたしましては、例えば、天井材とか壁材、床材に断熱材を張る、あるいは開口部、窓には二重のガラスあるいは二重のサッシをつける、あるいはひさしを出す、ブラインドをおろすというようなことで、外気温と室内温とをそういうもので、自然のものによって快適で豊かな生活が保障できるようにする。

 今までのように、住宅といえば冷暖房の温度を調節することによって環境に優しいかどうかということをやっていたわけですけれども、そういうものだけではなしに、今言ったようなことが非常に大きくCO2の排出には役立つということで進めているところでございます。

 このような環境対策を講じた家を新築した場合には、我々は、それに対して公的融資の利息を〇・三%、五年間まけよう、まけようと言ったらおかしいですけれども、減額しようということのインセンティブを与えているわけでございまして、これについては、きのう成立いたしましたけれども、十九年度予算案では、実に五百億円というものを予算計上しているぐらいこれに力を入れておるところでございます。

 そういうことで、民生部門、特に住宅については、それが下がらないんじゃないかという御批判もありますけれども、一生懸命そういうところで取り組んでいるところでありまして、また、湯沸かし器とかそういうものについても、CO2の負荷を少なくするような器材の開発とか、そういうことは経済産業省において今一生懸命進められているところでもございます。

 我々は、そういう環境基準、我々の言うそういう適正な住宅については、それを評価する表示を行うことによって、中古の住宅がそういう環境基準もクリアしているんだということが一つの売りになるような、そういう表示制度も考えているところでございます。

 以上、いろいろと民生部門についても、そういうことで、一生懸命京都議定書の目的を達成するために頑張っていかなければならないというところでございます。

泉委員 今まさに、私は理想の形を言っていただいたのではないのかなと思います。

 中古の住宅を適切に手入れしてさらにその性能を高めていこう、そしてまた新築部分についてはやはりいい性能のものをつくっていこう、そういう考え方で今やっていただいているとは思うんですが、環境副大臣に点数をつけていただくと何点になるのかなということを言わなければなりません。

 二〇〇五年の家庭部門における二酸化炭素の排出量でいいますと、京都議定書の基準年が一億二千七百万トン、それが現在は一億七千五百万トンということで、家庭部門が、いわゆる商業、サービス、事業所等の業務その他部門に続いて高い率で排出量がふえているという現状が私たちの目の前に突きつけられているという状況であります。

 ですから、大臣が今おっしゃっていただいたような、例えば融資、助成ということも一つの策でしょう。そしてまた、そういった技術を開発していただいた方がメリットを受けられるように性能表示というものを進めていこう、そういう前向きな姿勢というのは非常に大切だというふうには思っております。

 しかし一方で、下支えの部分となる規制、そこが今果たしてどれだけのものなのかというところにやはり私は穴があるのではないのかなというふうに思えてなりません。

 「建築技術」という雑誌、皆さんも御存じだと思いますが、この二〇〇六年八月号で、前財団法人建築環境・省エネルギー機構企画・環境部長の唐津さんという方が「世界の省エネルギー基準の概況」という論文を書かれております。その中で、端的に申せば、日本で最もおくれていることは、省エネルギー基準が建築規制に盛り込まれていないことであるということが述べられております。

 具体的に言いますと、我が国、確かに大規模建築物、そして大規模住宅、ここにおいては徐々に、今御努力もあって、規制というか報告の義務づけという形で省エネルギー性能ということについては取り組みが進んでいるわけですが、一般住宅に関してはいまだに、新築住宅において現行基準、いわゆる断熱基準を五割の住宅が達成すればよい、それを一つの目標にしているという状況です。

 ですから、せっかく目標というか基準を設けているのに、半分の家がそれだったらいいよという、その感覚、認識というのはやはり私は変えていくべきじゃないのかなというふうに思うわけですが、その件についていかがお考えでしょうか。

榊政府参考人 京都議定書の方で確かに、私ども二〇〇四年度で見ておりますが、家庭部門について三一%増というふうになっておるんですが、京都議定書の二〇一〇年度の目標自体が、家庭部門でいえば六%増だということでございますので、他の産業部門みたいにマイナスが目標になっているというわけではないという点をひとつ御理解いただきたいということ。

 家庭部門で申し上げますと、実は実態は、暖房、冷房関係で三割なんです。給湯関係で三割。動力、要するに照明関係とかテレビとかそういうものが実は三七%もあるんです。

 この間なぜ伸びたかといいますと、例えば、カラーテレビが、九〇年に二台だったのが二〇〇四年度では二・五台になっているとか、エアコンが、一・三が二・三になっているとか、パソコンが、〇・一台が一・〇台になっているとか、温水洗浄便座、これは九〇年代になかったものが約一台になっているとか、こういったような形で実は動力関係も相当ふえている。

 給湯関係も相当ふえているということになっているわけです。暖房関係でいいますと、断熱性の向上。暖房関係、実はこれが三分の一しか占めていないわけです。この間で起きていることというのは、実はいわゆる世帯数がふえることに伴って自動的にふえるという側面もあるので、そういったような形でライフスタイルといいますか生活の仕様が変わったことによって相当ふえているという部分があるんだと思います。

 そういった意味でいえば、できることからやるという意味でいえば、この家庭部門における動力とか給湯関係とか、これの方も頑張ってもらわなければいかぬ、もちろん私どもの方も頑張らなければいかぬ、こういうことではないかというふうに思っています。

 例えば、オーストラリアでは白熱灯を禁止して蛍光灯にしちゃおうというような話が今出ているわけですね。例えば、蛍光灯に全部なるよ、電球はもうなくなるよということであれば、実は相当数、私どもの目標はそれだけで達成できることに近い、こういうような状況でございますので、いろいろなところでできることからやっていくというのがいいのではないかというふうに思っております。

泉委員 大臣、これは環境副大臣も、あるいは国土交通政務官、副大臣もそうなんですが、こういう考え方を、実は、ごもっとものように聞こえるのですが、ちょっと変えていただかなければならないんじゃないのかなと私は思うんですね。

 私たちのところは頑張っているし、ほかに要因があるんだ、だからそういうところもよく読んでいただいて、我々は頑張っている、だけれども、ほかにも要因があるからそっちの方も一生懸命やらなきゃならないというようなことをそれぞれの担当者がおっしゃるわけですね。でも、やはりそれでは本当に二酸化炭素というのはなかなか減っていかない。

 御努力はよくわかるんですが、国土交通省の資料、いろいろなものを読んでいましても、必ず私たち以外の要因が多いんですというメッセージが受け取れる資料がたくさんついてくるわけなんですね。これはやはりそういう認識からまず改めていただいて、とにかく自分たちのところでできる限りのことはするんだ、これがやはり持つべき発想ではないでしょうか。

 ですから、照明のことは照明のことです、それはいいんです。断熱のことであれば断熱のこと、運輸のことであれば運輸のこと、それぞれが一生懸命頑張って、家庭部門はプラス六%だから多少いいんですという話は絶対ないですよね。恐らく皆さんも一生懸命ここまで取り組んできたから今ここまでで抑えられているはずだと私は解釈したいので、ぜひこれからも、そこは責任を逃げずに、やはり自分たちのできる限りのことはやるんだ、ほかの要因は関係ない、ほかで減らせなくてもうちが減らした分で何とか日本のマイナス六%を達成していくんだ、それぐらいの気概を私は持っていただきたい。

 大臣、一言あったらお願いします。

冬柴国務大臣 もう全くそのとおりでございまして、我々は逃げはいたしません。運輸部門につきましても、世界に先駆けた低公害車の開発等で、運輸部門につきましてはおかげさまで徐々に環境に対する負荷は下がりつつあります。しかし、事住宅についての対策は、今までの冷暖房のみならず給湯、照明なども含めた総合的な取り組みが重要と認識をいたしておりますので、社会資本整備審議会環境部会での御論議も踏まえまして、住宅の一層の省エネ性の向上に向けて積極的に国土交通省は取り組んでまいることを言明させていただきたいと思います。

泉委員 力強いお言葉をありがとうございます。

 それで、具体的になんですが、大臣、改めてこの住宅の断熱基準、これが八〇年基準とか九九年基準とかいう言い方をします。この九九年基準、平成十一年基準が、その設定された当初は、世界的にも欧米のレベルに追いついたと言われたんですが、またその後、ヨーロッパ各地、規制を強化しております。規制というか基準を強化しております。

 一方で、先ほども言いましたけれども、ここをやはりよく覚えておいていただきたいんですが、日本では、新築住宅を建てる場合、この九九年基準という断熱基準、日本の国内では一番いい基準ですけれども、これを守る住宅が新築の中で五割達成されればよいという考え方なんですね。では諸外国はどうかというと、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、すべて規制をかけているんです。一〇〇%達成しなさいよというふうに規制をかけているんです。私は、ここが大きな違いだと思うんですね。日本の場合は、建てるときに半分の家で努力してくれたらいいですよと。新築ですらそうなんです。

 大臣がさっきおっしゃったように、新しい家がどんどんどんどん、いい家が建ってくれればいいんですが、実は半分しか目標でまず設定していない。事実を言えば、実際には、最新の数値、二〇〇五年でいうと三〇%しかこの基準を達成できていないんです。新しく建った家の十軒のうち七軒は、この新しい断熱基準のない家なんです、今ですら。これはもう一回、三十年、四十年で壊さなきゃならないんです。もう一回改修しなきゃならない。何たることだということをやはり思うわけですね。

 何でOECD加盟国で日本だけが規制をしていないという状態なのか。これは大臣、今おっしゃっていただいたような御決意で、ぜひ再検討をしていただけないでしょうか。私は、この断熱基準、どういう障害があって今まで明確に規制という形をとらなかったのか、その説明が、言いわけがあればちょっと聞いてもいいかなと思っていますが、今の私の提言についての大臣の御見解をお願いしたいと思います。

冬柴国務大臣 最大の難点は、断熱材は断熱効果はあるわけですけれどもコストが高くなるということです。したがいまして、我々としては、そういうものについてもインセンティブを与えるために、先ほど申し上げましたように、ローンの利息を補助する、いわゆる引き下げるような融資を考えるとか、そういうものが高く社会に評価されるような、評価を外部にあらわすような表示をするとか、そういうような手法でこれを取り入れているわけでございますけれども、省エネの基準というのは順次引き上げてきておりまして、それを講じていない住宅ストックというのは建てかえによって順次少なくなりつつあるのが現実でございます。

 また、十八年四月の省エネ法の改正におきまして、新築、増改築だけではなしに、大規模修繕等についても省エネ措置の届け出対象に追加されたように、今後、既存住宅の評価手法の検討を進めるとともに、高効率設備への取りかえを含めた費用対効果の高い改修方法についてのガイドラインの策定等によって誘導を図ってまいりたいということが、現在の時点の判断でございます。

 非常にいいことはわかっていても、コストがすごく高いということが難点なのでございます。

泉委員 これは、板硝子協会ですとか日本建材・住宅設備産業協会、日本サッシ協会、プラスチックサッシ工業会、全国複層硝子工業会、また多くの団体からもそういう要望が来ております。これは、業界の利益ということだけじゃなくして、やはり地球温暖化に資したい、そういう決意のあらわれだと思っております。

 国交省は、この民生部門における国土交通省の対策ということで、三千四百万トンのCO2削減ということを目標にしているわけですね。そのうち、いわゆる建築物が二千五百五十万トン、そして住宅が八百五十万トンなんですね。

 恐らく役人の皆さんは、この二千五百五十万トン、建築物の方は、我々は十分今取り組みを進めていて八割達成だから、これはまずオーケーだ、そして次、住宅八百五十万トンについても、まず大規模な住宅から取りかかっているから、これもほぼオーケーだ、ひいては大多数の目標は達成できるから一般住宅までは、一般住宅は、どっちかというと数は多いけれども効率は、なかなか徹底が難しいものだから、まあしようがないだろうというような感覚がどこかにあるんじゃないのかなという、これは人間ですから、だれしもが持つ感情だというふうに私は思います。

 その意味では、大きいところから取りかかるというのは確かに効率的ではありますし、国土交通省の温暖化対策、二酸化炭素排出の削減の目標値を達成させるためにはこれは近道だとは思います。

 しかし、その目標達成、数字の近道だけを追いかけるんではなくて、数、戸数の多い一般住宅、そこがこの温暖化についてしっかりと認識を持ってもらう、環境意識を持ってもらうということでいえば、やはりこういう住宅に対しても規制をしっかりとつくっていくことが必要なのではないのかなというふうに私は思います。

 ある自治体で、ごみは全部、どの種類も燃やした方が熱効率がいいからという理由で分別をしていない自治体がございます。果たしてそれで環境意識が上がるでしょうかということと同じでして、個々それぞれの国民が環境意識を持てるような施策ということでいいますと、この平成十一年の断熱基準、大臣、私は、改正に向けてぜひ動き出していただきたいということを要望申し上げまして、私の質問を終わらせていただきます。

塩谷委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 能登半島地震に関連して、国土交通大臣にお聞きします。

 今回の地震でお亡くなりになられた方にお悔やみを申し上げ、被災者の皆さんに心からお見舞い申し上げたいと思います。

 今回の地震について、どのメディアも大体、日本ではいつどこに大地震が起きてもおかしくない、地震対策は待ったなしだと報道しています。私もそのとおりだと考えます。

 耐震改修促進法が制定されましたし、国は、住宅の耐震化率を二〇一五年度までに九〇%に引き上げる方針を決めました。その進捗状況と問題点について、簡潔にお述べいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 委員がおっしゃったとおりでございまして、能登半島地震においてお亡くなりになられた方の御冥福と御家族に対するお悔やみを申し上げますとともに、今なお、重傷を負われた方二十四名を含む二百十四名の方が傷害を受けられました、また多くの方々が避難所にまだ避難をされておりまして、相当大きな規模の余震におびえておられるという状態でございまして、一日も早くこれが終息するように、我々も全力を尽くさなければなりませんし、心からお見舞いを申し上げたいと思います。

 また、耐震について、九〇%までということで目標値を定めて努力をしているところでございますが、耐震化の目標、耐震診断、耐震改修に対する助成方針などを内容とする耐震改修促進計画の策定を地方公共団体に求めておりまして、四十三都道府県では本年の三月末、もうすぐでございますが、策定する予定、残り四県につきましても本年七月までには策定を完成する予定となっております。ただ、石川県におきましては、公表予定が今回の地震によって若干おくれるとのことでございますが、住宅の耐震化目標を九〇%にする計画案が示されているところでございます。

 今回の地震では、残念ながら、全壊、半壊合わせて二百棟以上、二百四十五棟でございます。これは三月二十七日、八時三十分現在のことでございますが、被害が発生していることは事実でありまして、補助制度の整備や税制の活用が平成十八年度から適用されたこともあり、必ずしも徹底されていない現状のもとにこのような大震災が起こったことはまことに残念でございます。

 このため、今後、地方公共団体に対しまして、耐震改修促進計画に基づいた取り組みを強力に要請していくとともに、耐震診断・改修に係る助成制度の的確な運用等施策の充実を求めていきたい。地域住民や関係者と一丸となって、二十七年度においては耐震化率が少なくとも九〇%を上回るという目標を着実に実現できるように努めてまいりたいというのが、現在の心境でございます。

穀田委員 私は、こういう地震が起きるたびに、計画を本当に進行させる、それは自治体の計画というのじゃなくて、耐震化率を九〇%にするという目標に基づいて、どうしたらこれが進行できるかというのをその都度その都度考えるべきものだと思うんですね。

 それで、日経新聞はこう言っていまして、財政の苦しい地方自治体では耐震診断・改修への補助制度がおくれていると。自治体はやはり大変なんですよね。大臣はすぐ、計画ができているという状態だけはいつも、単に大臣だけじゃなくて国土交通省もそう言うんですけれども、問題は、計画をつくればいいというわけじゃ決してないんですね。それがどうしたら進むか、ネックは何かという問題なんです。だから、私は、国の支援の枠組みを広げる問題などきちんと検討しないとだめだということをあえて言っておきたいと思います。

 そこで、大臣は被災者の住宅確保などに全力で取り組むよう指示したとあります。もちろん仮設住宅は当然として、確保と言う限り、壊れた家屋を直すことも含まれると私は思うんですね、確保するわけだから。

 そうすると、これまた新聞が報道していますが、二〇〇〇年の鳥取県西部沖地震の後、鳥取県は個人住宅復旧に最高三百万円を補助する基金制度を創設した、住宅再建こそ生活再建、地域再建になるという発想だと述べています。毎日新聞でした。

 今回の被災地は高齢者が多いことも特徴です。住宅再建への援助が一層重要なことはもはや明確だと思います。その意味で、住宅本体再建への公的支援にいよいよ踏み出すべきときではないか。阪神大震災を経験してきた二人の、お互いの者として、人間として、とりわけ政治家としての大臣に改めてここは問いたい。

冬柴国務大臣 私どもも、十二年前にあの阪神・淡路大震災を体験した一人として、住宅再建こそ震災復興のかなめだというふうに思いました。公的施設の再建、整備、これはもう当然のことでございますけれども、個人の住宅が再建できるかどうかということが、その町のにぎわいを取り戻すことができるかどうかにかかるわけでございます。

 そのためには、震災で家を失い、家具を失い、家族まで失って消沈している人たちが、自分の出費のもとにあるいはローンを組んで住宅を再建するということは大変困難であります。また、二重ローンになる場合もあります。そういうことで、私どもは、関西に住む体験した議員は住宅再建支援をやろうということで相当調整をいたしましたが、残念ながら、今日までそれが実現していないのも事実でございます。

 ただし、被災者生活再建支援ということは一歩踏み出すことができまして、当面百万、その後三百万まで、そして住宅を再建する人にとって、その家を建てる間の、借家であれば転居をしている家の家賃、そういうものを見るとか、あるいは利息を見るとかいうようなものはその生活再建支援の中に入るという、いわば今までから見れば画期的な一歩を踏み出しているところはあります。

 しかしながら、個人住宅に国費を入れるわけにはいかないというのが現時点における財務関係の方々の強い意見でもあり、国民の大多数もその点には迷っておられるのではないかというふうに思います。私は、これは党派を超えてこういう場で大いに議論をやっていくべき問題だろう、テーマだろうというふうに思います。

穀田委員 現状認識、かなめだという点では一緒なんですよ。大臣はいつも、財務がどうだこうだということは理屈にならぬ。

 それと、国民の世論と言いますけれども、私、何度もやりとりして、お互いにわかっているんだ。中越地震のときに、こういう国費を投入するのはどうだと。八割近くの方がそれはいいと言っているんですよ。だから、国民はそれは納得しているんですよ。問題は、政治がそのことに対して決断を下すかどうかということが求められていると私は思っています。ですから、大臣が、それは閣僚全体の中でなかなか合意が得られないけれども私はこれで頑張るということを、私だって期待しているわけですよ。

 鳥取沖地震のときに、当時の片山知事は、実は地震直後の十一日目にして先ほど述べた救援策を明らかにしました。その際に、一刻も早く再建の希望が見えるようにということで、早期の決断の重要性を説いたわけです。私は、その時期に来ていると思っています。

 溝手防災担当大臣は、けしからぬ発言も一言ありましたが、それ以外にこう言っているんですね。この地域は高齢化が進んでおり、再建がどうなるか懸念していると述べているんですね。

 だから、地震災害が起きたこういうとき、地域社会の崩壊にもつながりかねない事態が目の前にあるときに、もとどおりの生活を取り戻す。もうお互いに経験していますから、一番大事な住宅再建こそ生活再建だという点は一致しているわけですから、その教訓をどないしてやるのか。だから、財務当局の壁を突破するために力をかしてくださいと言っていただければいいわけですよ。そこが大事じゃないかと思っています。

 次に、モーターボートをこの間質問しました。それに関連して、公営企業金融公庫の問題について聞きます。

 岩手県奥州市から岩手競馬の振興に係る要望書が来ています。簡単に言うと、岩手競馬の再生に向け、低利による長期借りかえあるいは繰り上げ償還に係る補償金の免除が出されています。競馬の赤字によって地方財政の改善に寄与しなくなる、市民の負担がふえるばかり、それを打開するに当たっての当然の要求と思うが、その経過や内容について、総務省の見解はいかがかということをお聞きします。

椎川政府参考人 お答えいたします。

 ただいま御質問の公営企業金融公庫でございますけれども、原則十年単位の債券発行によりまして市場から資金を調達いたしまして、その時点の調達コストなどを勘案いたしまして算定した利率によりまして、地方公共団体に長期の資金の貸し付けを行っているものでございます。

 この岩手県競馬組合の場合には、十八年という長期の資金を貸し付けているわけでございます。そのため、約定と異なります長期低利での借りかえでありますとか補償金なしの繰り上げ償還を相手方の事情に応じて認めるということになりますと、公庫の持っております基本的な機能を損なうことにつながりかねないということでございまして、これを認めていくことはなかなか難しいのではないかというふうに思ってございます。

穀田委員 なかなか難しいと言うんだけれども、制度的に言うと、いろいろ変化をしているわけですね。繰り上げ償還は上水道など四つで認めています。だから、政策判断で同様にすべきだと私は考えているんですね。

 では聞きますが、岩手競馬は、地方競馬の中では、水沢という競馬、私はそこで生まれたものですから、割と有名なところなんですよね。企業金融公庫には納付金で随分貢献していると思うんですが、総額どの程度納付してきたのか。歴史的に見ますと、経年でずっとたどって何ぼかということと、一番売り上げが多かった時期で地方競馬の中での比率はどの程度のものか。この二つ、お答えください。

椎川政府参考人 岩手県競馬組合の公庫に対する納付金の実績でございますけれども、制度が創設されました昭和四十五年度から平成十七年度までの間に納付されました納付金の総額は、単純に足し上げますと約百四十七億円でございます。しかし、そのうち、経営状況によりまして後年度に還付されたものが約七十七億円ございまして、これもまた単純に差し引きますと、実質的な納付額は約七十億円ということでございます。この実質的な納付額というのは、平成二年度以前の年度、あるいは黒字でございました平成八年度、さらには平成十七年度の決算未確定でとりあえず納付しているものが大層でございます。

穀田委員 地方競馬の比率。

椎川政府参考人 地方競馬全体におきます岩手県競馬のウエートにつきましては、突然の御質問でございまして、ちょっと手元に資料がないわけでございますが、売り上げでよろしければ、平成三年度の実績で申し上げますと、全地方競馬の売り上げの七%弱という形になってございます。

穀田委員 だから、今お話があったように、七十億近く貢献をしてきたということですよ。それ以外にも地方自治体その他に対していろいろな貢献をしてきたということがあるわけですから、私が聞いた、いわば繰り上げ償還に係る補償金というのは約四億円ですから、極めて小さい数字だということがみんな聞いたら大体わかると思うんですね、これだけ貢献しているんだから。

 そこでもう一点、繰り上げ償還の補償金四億円というのは、払って、もし翌年破綻したら、その金は返ってくるのか。端的に。

椎川政府参考人 現時点では事業の継続というものを前提とされておりまして、任意の繰り上げ償還ということで補償金をお支払いいただくというのが原則であろうと思っておりまして、その後に仮に事業廃止ということになりましても、繰り上げ償還によりまして既に当該債権債務関係は消滅いたしておりますので、過去に支払われた補償金を返還するというようなことは難しいと思っております。

穀田委員 難しいということだけ確認をしておきたいと思うんです。つまり、ないということですよね、簡単に言えば。だから、これほど地方財政の貢献ということからしても、それから、今困難になっているときに、どうしたらこれを本当に救うことができるかという立場で物を考えなくちゃならぬと私は思っています。そこだけ言っておきたいと思うんです。

 最後に、場外舟券売り場について、この間一言言ったんですけれども、あと一点だけ聞いておきたいと思うんですね。

 三月十八日付の四国新聞は、実は、学校近辺にもオーケーなのかという報道をしているんです。現行の施行規則は、場外設置基準として、「文教施設及び医療施設から適当な距離を有し、文教上又は衛生上著しい支障をきたすおそれのないこと。」を定めています。現在準備している法改正後の省令には、この前段部分、「適当な距離を有し、」を削除されると聞いているんですけれども、事実か。これまでも適当な距離がどの程度かということでさまざまな意見の紛争がありました。距離の記述をなくせば、ますます学校の近くでもよいとなるんじゃないですか。

冨士原政府参考人 場外発売場の設置基準に関する御質問かと思います。

 従来、告示で「文教施設及び医療施設から適当な距離を有し、文教上又は衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと」というふうに規定してまいりました。それを今回、法改正に伴います省令におきまして、先生御指摘のとおり、「文教上又は衛生上著しい支障をきたすおそれがないこと」と定めることにしてございます。

 それで、従来の基準とどうなんだという御質問であろうかと思います。

 従来の基準についての考え方でございますが、文教上または衛生上の支障を来すおそれを判断する一つの基準として距離の要素を示したものということでございます。しかし、実際、具体的な案件につきまして判断を下すときには、距離だけではなくて、周辺の道路事情あるいは小中学校への通学路など総合的に判断する必要がございまして、現にそのようにこれまで運用してきております。

 したがいまして、今回の改正は、現在の運用をより的確に表現するということで書いたつもりでございます。したがいまして、今後、位置基準の運用に当たりましては、従来の運用を変更するつもりはございません。

穀田委員 結論から言うと、変更するつもりはない、こう来るんだけれども、今までだってそういう中身のもとで随分やってきたんですよ。だから、緩くするということじゃないですか。

 千葉県のボートピア習志野というのが昨年九月にオープンしましたけれども、わずか三百メートルしか離れていないところに千葉工業大学があるんですね。学長がこんなふうに意見広告を出しているんですよ。教育環境を悪化させる場外舟券売り場設置計画は絶対に容認できませんと、新聞に意見広告まで出しているんですよ。当然、このように地域の学校関係者から問題点が指摘されたら、それこそ総合的に勘案して、設置を認めないのが当然じゃないかと思うんですね。それでもやっちゃうんですよ。

 しかも、僕が事前に聞いたときに、いや、通路がちょっと違いますという話をするわけですよ。皆さん、行ってみたらわかるんだけれども、駅をおりて、右の方へ行ったらボートピアへ行くんですよ、左の方へ行ったら大学へ行くんですね。そんなもの、毎日毎日、それは警備員はいますよ、そうだけれども、皆さんは青少年に対してこれでいいのかということについて、僕は、本当にこれは閣内でもよく議論していただいて、こういうルーズな方向には行かないんだということをどう強めるかというふうにしないと、何でもかんでもふやせばいいというものではないということをきちっとやっておかなあかんですよ。

 だから私は、この点でも、今後もこういう問題について、ともかくつくればいいという式のやり方については監視をし、本当にこれは、今出された方向の省令が変わることによって何ら変わらぬというような話を先週も今週も言っているけれども、絶対にそれはそのとおりやってもらわな困るということを含めて、今後見守っていきたいということを述べて、終わります。

塩谷委員長 次回は、明二十八日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時七分散会


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