衆議院

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第12号 平成19年4月11日(水曜日)

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平成十九年四月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 石田 真敏君 理事 後藤 茂之君

   理事 中野 正志君 理事 葉梨 康弘君

   理事 山本 公一君 理事 伴野  豊君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    宇野  治君

      浮島 敏男君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      鍵田忠兵衛君    梶山 弘志君

      北村 茂男君    坂本 剛二君

      桜井 郁三君    清水清一朗君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      徳田  毅君    冨岡  勉君

      長崎幸太郎君    長島 忠美君

      原田 憲治君    福田 良彦君

      松本 文明君    宮澤 洋一君

      盛山 正仁君   吉田六左エ門君

      泉  健太君    黄川田 徹君

      小宮山泰子君    古賀 一成君

      下条 みつ君    土肥 隆一君

      長安  豊君    鷲尾英一郎君

      赤羽 一嘉君    伊藤  渉君

      西  博義君    穀田 恵二君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      望月 義夫君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 津曲 俊英君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  平田憲一郎君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           岩崎 貞二君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月十一日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     冨岡  勉君

  西銘恒三郎君     宇野  治君

  若宮 健嗣君     浮島 敏男君

  赤羽 一嘉君     西  博義君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  宇野  治君     西銘恒三郎君

  浮島 敏男君     若宮 健嗣君

  冨岡  勉君     清水清一朗君

  西  博義君     赤羽 一嘉君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

同日

 辞任         補欠選任

  清水清一朗君     福田 良彦君

同日

 辞任         補欠選任

  福田 良彦君     亀岡 偉民君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案(内閣提出第四一号)

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案(内閣提出第四二号)

 港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四三号)


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     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省総合政策局長宿利正史君、鉄道局長平田憲一郎君、自動車交通局長岩崎貞二君及び総務省大臣官房審議官津曲俊英君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。遠藤宣彦君。

遠藤(宣)委員 自由民主党の遠藤宣彦でございます。

 この法案、本当に意義のあるものとして拝見をさせていただいております。

 私ごとですが、実はうちの家内が横浜市役所で総合交通企画という仕事をしておりまして、今回の法案の話をしましたら、本当に待っていたような法案だというふうに、家庭の中で大変褒められました。

 二〇〇一年の省庁再編まで、交通機関は運輸省、道路等は建設省という縦割りが指摘されていたものが、国土交通省になって、この法案に象徴されるように、縦割りが解消され、真に地域住民のためのものとして生み出した意義ある法律だと私は思います。

 また、高齢化が進み、そして環境への負荷が指摘されている中で、公共交通機関の再生そして活性化ということは喫緊の課題である。こういった点からも極めて意義の大きいものだと確信をしております。

 質問のスタンスでありますけれども、この法案、地域公共交通機関ということで、より実効性のあるものにするために、私の地元福岡一区の個々の事例を引き合いにしながら、これからスムーズにこれが施行されることを願いまして、質問をさせていただきたいと思います。

 まず、私の地元には、志賀島という、あの倭奴国王という金印が発見された島がございます。ここは過疎地には指定されていないんですが、極めて交通の便が悪い。高齢化も進んでいる中で、何とかならないかなということを常に地元から聞いております。

 一方で、志賀島から博多湾を横断して船が出ています。しかし、これが観光のためなのか通勤のためなのかなかなかわからない。実は、余り活用されていないために赤字になっているのか、十分生かされていない。

 水上交通というのが現代ではベネチアでも非常に発達をしておりますし、また江戸時代には、海上交通というものあるいは水上交通というものが極めて重要なものでありました。そういった中で、あらゆる公共交通機関、鉄道とバス、あるいはバスと地下鉄、さまざまな公共交通機関の組み合わせというものが行われることによって、それが最終的にまちづくりのために役に立つというふうに思います。

 こういったことから、このさまざまな組み合わせのあり方の中で、水上交通、海上交通、これとの組み合わせについてお伺いをしたいと思います。

宿利政府参考人 お答えを申し上げます。

 一般的に、地域公共交通の状況は地域によって多種多様でありますから、解決方策も千差万別だということが基本でありますが、遠藤委員御指摘のように、海上交通がその地域の公共交通にとって大変重要な意味を持つケースは日本の各地で考えられると思っております。

 例えば一例を挙げますと、これは三重県の津のケースでありますが、平成十七年の二月に、中部国際空港の開港に合わせて津と中部国際空港の海上アクセスというのが整備されましたけれども、この際は、航路開設に当たって、県と市それから船舶の運航会社など関係者が連携して新しい取り組みをしております。バリアフリーの高速船を入れたり、桟橋や港湾施設の整備をしたり、いろいろ運賃の工夫をしたり、大幅な時間短縮、それから非常に低廉なコストで移動できるというようなことが実現されております。

 これは一例でありますけれども、このように地域の関係者が連携をしながら取り組んでいくということが重要でありまして、今回の法律は、そういう地域の主体的な取り組みを国が総合的に支援しようというものでありますので、御指摘のようなさまざまなケースについてこの法律を活用していただければありがたい、このように思っております。

遠藤(宣)委員 地元では、そこに市営住宅を建てれば、そして公共交通機関がそのような観点で整備されていけば、今までの過疎化している問題、高齢化の問題等が解消される、そのように言っておりますので、ぜひ御配慮をいただければと思います。

 次に、JRについてお尋ねをしたいと思います。

 やはり私の地元に、筥崎宮という、元寇があったときに敵国降伏というのを掲げた極めて伝統のある神社があります。ここでは、お祭りで放生会というのがありまして、七百も夜店が出るようなにぎやかなところであります。また、公共機関として東区役所があります。しかしながら、需要の問題といいますか、乗降客が少ないということで、ほかの市内にはとまる急行がとまらない。こういったことが地元から非常に大きな声で上がってきています。

 しかしながら、公共交通機関というのは、収益性と公共性、この両方に対して目を配らなければならない。地元の区役所がある、そこに行きたいけれども、結局、各駅停車だと一時間に二、三本しかない、しようがないから都心の方に行こうか、中心部の方に行こうかということで、一層需要が少なくなってくる。

 そういった意味で、今回の法案の目的に記されておりますように、利用者の方の需要に対して供給をする。もちろん、JRとかあるいは私鉄、公共交通機関と言われながらも利益が上がらなければなかなかできないという事情があるにせよ、地域のためになる、あるいは需要を掘り起こすことによってさらに活性化をしていくという視点が必要だと思います。JR九州については経営安定基金等の運用もありますけれども、そういったことは別として、今回の法案を施行するに当たって、各公共交通機関に対して、そのような視点が重要だということが指摘されなければならないと思います。

 国土交通省におかれまして、この点についてどういうふうにお考えなのか、お伺いをしたいと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道事業におきましては、改めて申し上げるまでもないのですけれども、事業経営の効率性だけではなくて、利用者の要望でありますとか地域のニーズへの対応を行っていくことが常に求められております。その上で、利便性を向上させながら地域の公共交通としてサービスの維持や充実を図っていく観点からは、事業者と利用者や地域の代表が意見や情報を交換し合いながら、サービスの改善に向けた提案や、これを受けて地域として取り組むべき利用促進の具体的な方策などにつきまして、十分に協議することが望ましいと考えております。

 このため、本法案におきましては、地域公共交通総合連携計画の制度を導入いたしまして、市町村、鉄道事業者、沿線の立地企業など、利用者でありますとか住民の代表者などが一堂に会する協議会の場で、事業者、地域がそれぞれ講ずべき取り組みなどについて議論した上で、その成果を総合連携計画として取りまとめて実施に当たるという枠組みを設けたところでございます。各地域におきましては、これを積極的な形で活用することによりまして、地元の利用促進と連動した鉄道サービスの改善を実現することができるものと考えております。

 なお、JR九州を初めとするJRの三島会社につきましては、委員御指摘のとおり、長期的に経営の安定を図りながら鉄道ネットワークを維持していく観点から、経営安定基金の運用益の確保でありますとか、沿線の市町村によります固定資産税などの軽減措置などの経営支援策を講じているところでございます。したがいまして、JR三島会社におきましては、鉄道ネットワークの維持を初めといたしまして、地域のニーズにこたえてサービスの向上を図っていく上においては、この点を十分に踏まえることが必要であると考えております。

遠藤(宣)委員 私ごとばかりで恐縮なんですけれども、弟がJRグループにおりますので、最近新聞紙上でも、JRが生まれて二十年ということで、その経営の苦しさ、今までの努力というものが高く評価されていると同時に、これからの課題というものを十分承知しております。

 私が申し上げたいのは、縮小再生産ではなく、今まで眠っている需要を掘り起こしていくことによって、地域公共交通機関が公共性そして収益性というものを両立させていくことによって、今回の法案の、環境への負荷を軽減すると同時に、高齢化社会が進展する中でこのニーズにこたえていくという社会的使命を全うできるのではないかというふうに思っておりますので、その点どうかよろしくお願いを申し上げます。

 そして、三番目の質問でありますけれども、今回の法案の中に、乗り継ぎの話がございます。最近都心部でも、PASMOですか、スムーズに乗りかえができるようにということで、国土交通省の所管する分野でさまざまな工夫がなされていることは皆様方も承知のことだと思います。しかし、今までの中で、やはり乗りかえに本当に時間がかかる、そして逆にコストもまたかかっていくという事例がまだまだ散見されます。

 私の地元に名島という、やはり小早川隆景がお城を建てて、非常に伝統のある名島神社というのがあるんですけれども、ここの方々が、福岡市の中心部からさほど距離的には離れていないにもかかわらず、当初、こういう法案が先にあればこんなことにはならなかったんだと思いますけれども、三回乗りかえて非常に高い値段で向かわなければならない。距離的には近いのに、取り残された形になってしまっているということがあります。

 こういった事例に見られますように、地域公共交通の活性化について、今まであったような地元との事前の調整といいますか話し合い、こういったものが今までなかなかうまくいかなかった。そういったことがこの法案によってどのくらい改善されて、どのくらい進んでいくのか、これを改めてお伺いしたいと思います。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 今遠藤委員からお話がございましたように、一般的に、地域公共交通のさまざまな課題につきましては、関係者の利害が複雑に絡み合っているということ、したがって、何らかの活性化、再生あるいはサービスの改善といった取り組みをしようとする場合に、どうしてもその地域の関係者が共通の問題意識のもとに結集をして、合意形成を図って、それを実行するということが伴わないと、なかなかうまくいかないというのが実情だと思います。このような実情にありますから、一般的に、解決をするための調整をやろうとしますと、多大な労力であるとか時間がかかりますので、任意の取り組みでそれを進めようとする場合には容易ではないというのが実情ではないかと思っております。

 この法律では、こうした関係者による協議に関しまして、協議会への参加応諾義務とか、協議による合意事項の尊重義務とか、あるいは連携計画を作成するとか、提案制度を法定化するとかといったことで、合意づくり、合意形成や、協働して取り組むことを容易にするための仕組みを導入しておりますので、こういう仕組みを通じて取り組みが実効性あるものになると考えております。

 お話がございました乗り継ぎの改善も、極めて重要な一つの課題であると考えておりまして、この法案の中にも特定事業の一つとして位置づけておりまして、特にそういったものが、ハード、ソフト両面にわたって改善されることを期待しているところでございます。

遠藤(宣)委員 ありがとうございます。

 本当に地元に愛着を持って住んでいる方々、交通の便が悪いからといってなかなかほかに移るわけにもいかない。まして高齢化が進展していきますと、長年住んだところから簡単には移れない、お年寄りの方々が長年住んだところからは離れたくない、しかしながら公共交通機関がなければ動けない、こういったことが今起きております。まさに今回の法案は、それを解消すべく大きな大きな一歩を踏み出したんだというふうに私自身は評価をしております。

 しかしながら、今までどうしても、公共交通機関といいながら、収益を重視する余り、話し合いが十分にいかなかったり、あるいは先行してやってしまったり、あるいは公共交通機関同士の話し合いが円滑にいかなかったということで支障が出ております。

 次の質問に入りたいと思いますけれども、また一方において、地元が協力をする、公共交通機関、あるいは道路も含めてですけれども、協力をしようという姿勢を持っていたものが、場合によってはなえてしまうということがあります。

 例えば、また私の地元でありますけれども、博多バイパスというのが、実は三十八年前から計画をされてやっておるんですけれども、三十八年間で七・七キロの道路が通じない。地元の市議や県議さんは、自分たちの範囲でできるものは全部一生懸命やった、しかし、もうあとは国の問題だということで、本当に限界を感じているところでありますけれども、実際に今回の法律がスムーズにいくようにするためには、地域の方々の、公共のものに対して協力をするかいがあるといいますか、協力をすればよくなるという意識をなえさせてはいけないというふうに思います。

 そういった意味で、まちづくりと一体に行っていくべきという今回の法案の趣旨を後退させてしまうおそれがないように、地域のまちづくりに対する信頼を得る上でも、また地域公共交通の活性化を具体的に展開していく大前提と考えますけれども、大臣のその点についての所見をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 この法律の一番の根本のところは、地域の実情を一番よく理解している市町村が中心になって、交通事業者、あるいは住民、また関係者の中には道路管理者だとかあるいは警察、それからまた商店街とか大型スーパー等も含まれると思いますけれども、そういう人たちが一つの目的を持って信頼関係のもとに進めなければならない、まさにこの法律が生きるかどうかは信頼だと思います。

 御指摘をいただきましたので調べてみましたら、なるほど、一般国道三号、博多バイパスですか、三十八年間、まことに申しわけない話で、深くおわびをしなきゃならないと私は思っております。限られた予算でありますから、重点的、効率的に配分をして、着手したからには、これは早急に完成させるということでなければ、こういういろいろな法律をつくっても信頼関係は生まれてこない、まさに遠藤委員御指摘のとおりだと思います。この部分につきましても、水谷高架橋というんですか、十九年度に着手をいたしまして、香椎宮の参道のところまで早急につくろうということで、信頼回復に努めたいと思っております。

 そのようなことで、私は、地域公共交通の活性化につきましても、そのように一番実情がわかる人たちが一堂に会して、そしてこの問題に取り組んでいただく、その地域に最も最適な公共交通機関を選択していただく。これは何もLRTとかそういう大きなものではなしに、ある地域において、例えば中山間地域においては福祉タクシーとか乗り合いタクシーとか、そういうものも地域で選択されれば、最も最適なものもあると思うわけでございます。

 そういうことで、この法律によりまして、地域が選択されたそのような地域公共交通機関がうまく走るように、国としてもあるいは県としてもこれに全面的にバックアップさせていただきたい、このように思っております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございます。

 本当に今回のこの法律は、大臣おっしゃられたように、地域の信頼があって初めてうまくいくものだと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。縦割りの解消、そして行政側が住民と同じ視点に立ってやることによって、よりよい国土交通行政ができるものだと確信をしております。

 そしてまた、つけ加えて申し上げますと、美野島という地域に大臣の党の県議がいらっしゃいまして、ここのところも、今まで非常に伝統のある商店街だったのが、利益が余り上がらないということでバスが廃止されてしまった。しかしながら、次の質問に関係することなんですけれども、公共交通機関が利益が上がらないからやめるのではなくて、そこのところで需要を掘り起こすことによって経営も成り立つ、地元の人にも喜ばれる、そういう視点が、縮小再生産ではなくていわば拡大再生産につながってこの法律がうまくいく一つの重要なポイントではないかなというふうに思っておりますので、それもあわせて指摘をさせていただきたいと思います。

 そして今の、需要を拡大するという観点で質問をさせていただきたいと思います。

 御存じのとおり、私の博多というところは、山笠という非常に大きな、大げさに言えばリオのカーニバルみたいな雰囲気で、わあっとやるお祭りが七月にございます。このために一年間、一生懸命やっている方々がいっぱいいらっしゃるんですけれども、ここで、何万人も来る中で今問題になっているのは、山笠というのは、山という物すごい高いものが行くんですね。ところが、電線が地中化されていないために、昔ながらの山が動くコースというものが非常に少ない、限られたものになっている。周りの方々あるいは九州全域から来ても、その一番のクライマックスを見る場面が、少ない部分だけ需要が拡大されていない。

 今回の法律の趣旨の延長として、例えば観光を振興するという目的、公共性と収益性を両立させるために、観光を振興させることと連携することによって需要を拡大する、そうすることによって、公共交通機関のニーズにこたえると同時にその利用者がふえていくということを考えれば、例えば電線を地中化してこのお祭りを拡大するとか、そういった視点が極めて重要だと思います。

 今申し上げた電線の地中化のような、地域公共交通の需要拡大につながる施策も視野に入れて、今回の法律を総合的に展開するべきと考えますけれども、お考えを伺いたいと思います。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 地域公共交通につきましては、住民の日常生活や社会生活の足を確保するということはもちろんあるわけでございますが、御指摘のような需要拡大というのが極めて重要でありますし、また、そのための観光振興あるいはまちづくり、こういったものと連携をしながら進めていくという取り組みが重要だと考えております。

 特に、需要喚起、観光振興の観点から申し上げますと、地域に来ていただいた観光客に良質な輸送サービスを提供するということ自体が観光振興に重要でありますけれども、一方で、公共交通を支えてもらうという観点からは、お話がありましたような電線の地中化などの取り組み、まちづくりの取り組み、こういったものを含む観光振興によって、お客さんがふえて、公共交通の経営なりが改善される、これも極めて重要であります。

 また、富山市で昨年導入されたLRTなどは、そういう新しい良質な公共交通機関そのものが重要な観光資源になっているというようなこともあるわけでありまして、こういう取り組みを進めていく、観光振興策あるいは需要喚起策と連動して公共交通の活性化、再生を進めていくということは極めて重要だと考えております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございます。

 本当に今回の法律を一つのステップとして、国土交通省が、今までの縦割りを解消するどころか、地域を含めた総合政策の官庁に大きく飛躍をする重要な法律だと私は思っておりますので、どうかその点をよろしくお願い申し上げます。

 そして最後に、今回の法律の一番重要な部分、住民の信頼という点において、どういうふうにこれを見ているか。コストと利便性の実感、つまり、納税者、利用者、住民が、これだけお金をかけているのに何で便利にならぬのかというような声が上がらないようにすることが極めて重要だと思います。

 私の地元は、福岡空港があります、また新幹線の博多駅もある、博多湾もある。海も陸も空も玄関口になっている。そしてその中で、例えば福岡空港は、騒音対策と地代で年間百五十億も使っている。博多駅も今回、再開発で大きなお金をかける。あるいは、駅前の博多郵便局も移転をする。そういったことを市民は見ているわけですね。

 これだけお金をかけているのにどうして便利にならないのか、この疑問を解消するためには、公共交通機関が収益が上がりながらも利便性をきちっと提供するという本来の責務を全うすることが、今回の法律もスムーズにいくこと、そしてまた、国土交通行政に対しての信頼を確たるものにする重要な重要なポイントだと思います。

 今回の法案が、市町村を中心として、地域の関係者が主体的に取り組む新たな仕組みが導入された意義というものは実に大きなものがあると思います。同じ視点で、行政と住民と公共交通機関が世の中のために役に立つようにやっていく。今後、この枠組みを活用して、どのように地域公共交通の活性化、再生に取り組んでいくのか、改めて大臣の所見と決意をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、その地域地域が抱える問題、そしてまた交通事業者の立場、それを利用する住民の立場、それから交通弱者と言われる高齢者の方々、あるいは小さな子供たちの通学の便、そういうものを一番よく知っておられるのは地域でございます。

 したがいまして、その地域の方々が一堂に会する機会をこの法律でつくろう。もし嫌がる交通事業者があれば、これについては、要請すればそれを応諾する義務まである、協議に参加していただく、こういうことでございます。また、余り積極的でない市町村があれば、住民からこれに対して提案をする、それに対しては回答をする義務もある、期限を切ってやる義務もある。このようにして、みんなに集まっていただく。

 ただ、その人たちも、全国でいろいろ、先ほども局長が答弁いたしましたように、私も視察をさせていただきましたけれども、富山のすばらしい成果とかそういうものをみんな余り御存じないわけでございますから、我々がそういうものについて、国が一つのノウハウ、全国でこういうふうに成功した事例があるとか、そういうものも提供させていただく、そしてまた、できればそういう総合計画をつくるについての費用も支出をさせていただくというのがこの法律でございます。

 そしてまた、そこで決められた公共交通機関についてのいろいろな投資、費用が必要になりますが、そういうものにつきましても、国土交通省、いろいろな場面でいろいろな予算が獲得されておりますので、それを十分に活用してこれを実現していただく。それから、これが二つの地域にまたがるような場合には、県が積極的に乗り出していただくという趣旨もあります。それから、これについての地方が負担しなきゃならない部分については、起債という方法もあります。

 それから、特殊な、余り地方ではそういうことを考えられませんけれども、ある中間都市では、富山のように軌道敷と道路、軌道敷を走る比較的軽い、ライトレールというんですか、そういうようなものもする場合に、上下分離といいますけれども、軌道敷の所有と上を走る事業者とを分離するというような方法も導入できるわけでございます。

 そういうときにいろいろな、軌道敷を走る場合には軌道敷としての許認可が要りますし、そういうものも、計画をつくっていただいて、我々確認すれば一挙に許認可を受けられたことにするというような迅速な手だてもこの法律では講じておりますので、これをフルに活用していただいて、そして日本じゅう隅々まで交通弱者という人たちがなくなるように頑張っていかなければならないというふうに思っております。

遠藤(宣)委員 ありがとうございました。

 この法律を一つの大きなステップとして、国土交通省のこの法案をてこにして、地域の実感に一番こたえる、本当に地域の再生、ひいては日本の再生に資する大きなきっかけとなることを心からお祈りし、そしてまた、国土交通省そして大臣、皆様方の御努力をお願い申し上げまして、私の質問を終わります。

 以上です。ありがとうございました。

塩谷委員長 次に、赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 本日は、三十分間でございますが、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案についての質疑をさせていただきます。どうかよろしくお願いいたします。

 まず、本法律を立法する背景というか、その動機について確認をしたいと思うんです。

 少子高齢社会が進む中で、私の地元でも、神戸市ですら民間鉄道を初めとする地域公共交通は大変経営が厳しい状況にあって、私の認識では、大変な状況になる可能性がある、今から手を打たないと大変厳しい環境に陥ってしまう。

 例えば、鉄道でいうと、その輸送量というのは大変すぐれたものがあるけれども、これは今需給調整の規制緩和をやっていますので撤退することも可能だ、そこで鉄道が撤退をされると一挙に地域の住民の足が立ち行かなくなってしまう、そういう相当シビアな状況認識によってこういう体系的な法律をつくろう、そういう意気込みからなのか。

 もうちょっと、すごく皮肉っぽく見ますと、例えば富山市のLRTなんか、最初、地域でそういうものが出てきて、その中で、上下分離というようなことをお願いしたい、鉄道と同じような考えにしてもらいたいというようなことからこういう法律ができたのかということでは、立法の動機というか、そこがどうであるかで相当この法律の運用のされ方が違ってくるのではないかということを、この法律をつらつら読んでいますと思います。

 まず、地域公共交通に対する国土交通省としての現状認識はどうなっているのか、そのことに基づいての今回の本法の立法化なのかということを確認させていただきたいと思います。

宿利政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、私どもの地域公共交通に対する現状認識でありますが、赤羽委員から今お話がございましたように、各地によって状況はもちろん違いますけれども、サービスの質の低下であるとか、あるいは空白地帯の出現であるとか、あるいは事業者の経営の悪化であるとか、いろいろ極めて厳しい状況にあると考えております。その上で、我が国の社会構造自体が、急速な少子高齢化の進展を初め、大きく変わってまいりますから、そういう意味で直ちに対応しなければならない課題があると思います。

 主たる課題を考えてみますと、一つは、高齢者を初めとする地域住民の自立した日常生活や社会生活の確保がおぼつかなくなっている地域が拡大をしているということに対して早急に対応しなければならないこと。それから、活力ある都市活動の実現、まちづくり、こういう観点から公共交通の果たす役割が極めて大きいこと。観光振興を観光立国推進基本法などに基づいて国を挙げて進めていく必要がありますが、このためには質の高い公共交通のサービスが不可欠であること。それから、地球環境問題といったものも差し迫った課題であること。こういうことから、地域の公共交通の活性化、再生をあらゆる取り組みを通じて実現することが喫緊の課題である、こういう認識からこの法律を立案したものであります。

 実は、地域によっていろいろと創意工夫がされて改善されつつある事例もありますので、そういう取り組みをきちっとした制度をつくることによって容易にする、それで合意ができましたら、それを国として総合的に支援するという形をこの機会にしっかりつくっておきたいということでございます。

 簡単に申し上げますと、そういう大きな問題意識からこの法律を立案、提案させていただいているところでございます。

赤羽委員 ありがとうございます。

 法律の目的が多岐にわたるのはいいんですけれども、恐らく今局長の答弁の中でも、いわゆる高齢社会における高齢者の、自家用車を運転できない人たちの足をどう確保するかというのは、過疎地域だけではなくて、政令都市の中でも極めて深刻な問題になる、状況が進行しつつあるということ、ぜひその点の視点を最優先にして取り組んでいただきたいとまず申し上げておきたいと思います。

 次に、法律の仕組みについてでありますが、一つは、先ほどの大臣の御答弁にもありましたが、地域の実情に一番よく精通している市町村が中心となって総合連携計画をつくる、これは大変すばらしいことだと思うんですが、その中で、まず主務大臣が基本方針を作成するということになっています。地域が主体という中で、国のガイドライン、基本方針となるものを主務大臣がつくられるという、この基本方針というのはどんなこと、何をねらいとしているのか、またどんなものになるのかということを一つ確認したい。

 もう一つ、住民グループがその地域で、多分バス路線を廃止したというような空白地帯になっている地域もかなり出てくると思うんですが、その地域の住民グループがみずから協議会参加への提案制度がもらえたというのは、私は、国土交通省の行政の中で大変画期的なことだというふうに思っておりますが、提案された方の市町村は、その提案を受け入れない場合もあるわけですね。受け入れないときにはちゃんとその受け入れない理由というものを明示する必要があると思いますが、その点については今回の法案でどうなっているのか。

 二点についてお願いします。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一点目の、国が基本方針を定める意義でございますけれども、これはいわゆるガイドラインとして定めるものでありまして、地域公共交通の活性化や再生を進める意義でありますとか目標でありますとか、どういう基本的な考え方で総合的に取り組んでいくのがいいのかといった、それぞれの地域が取り組みをするに当たってよりどころとなるような方向を示すものでありまして、決して何らかの国の考え方や方針を押しつけるようなものでは全くないということを御理解いただきたいと思います。

 それから、二点目にありました、住民グループが提案ができるかというお話でありますが、この法案の七条で市町村への提案制度というのを規定しておりまして、住民グループを含めます関係者、利用者は、計画の素案を提示した上で具体的な計画策定の提案ができることになっております。

 また、この提案に基づいて計画を作成するか否かについては、市町村はこれを公表しなければならないことになっておりますし、仮に作成しないということであれば、その理由を明らかにしなければならないことを法案の中で明示して規定しているところでございます。

赤羽委員 今のお答えの中にもありましたように、これからは、地域公共交通というのは、住民の皆さんたちもみずからの問題としてどう考えていくのか、かかわっていくのかということが問われていく時代になるというふうに思っておりますし、また行政も、透明度の高い、公開性の高い行政が迫られているという意味では、私は、今回の仕組みは大変よいものだと高く評価をするところでございます。

 ちょっと順番が違うんですが、次に、地方鉄道について質問を移らせていただきたいんです。

 実は、地方公共交通には鉄道、バス、船等々あるんですが、その中でも鉄道に対する国の補助金というのは相当限られているということがあります。今、近代化補助金ということで、今年度二十三億円の予算がついているわけでありますけれども、正直言いますと、私の神戸でも、神戸電鉄とか北神急行、また、多分大手に入ると思いますが、山陽電鉄ですら、経営は大変御苦労されている状況だというふうに思います。それはもう明らかに少子高齢化の社会の波を受けていて、もうやりきれないと。さはさりながら、一方では公共の役割は大きいわけでありまして、プライベートセクターといいながらも、仕事はパブリックな仕事をしている。

 このことについて何らかの支援措置というか仕組みをつくっていかないと、私は、近い将来、民間鉄道会社というのは立ち行かなくなる状況にあるのではないかということを大変心配しております。

 これは多分、財務省の考え方は、民間所有のものについて直接国の予算を入れるということに大変抵抗しているというふうに思いますが、それはもちろん個人の家とか何かという話とは違うのではないか。民間鉄道というのは、プライベートセクターではありますけれども、繰り返しになりますが、その働きはパブリックなものですから、そこに国の予算を入れて住民の足を確保するというのは、私は、公共的な意味合いというのは大変高いのではないかというふうに考えております。

 それで、まず確認したいのは、諸外国では、プライベートセクターで走らせている鉄道でも、そこに国の予算が入っている事例というのは多分あるのではないかということについて、もしわかるようでしたら、確認をお願いしたいんです。

 それと、昨日の参考人の方々の陳述の中で、多分、富山市の話だったと思いますが、富山市の場合は、ハードの部分は市が負担する、市の税金で賄う、しかしソフトの運営は鉄道事業者にやってもらう、こういったことも一つの考え方なのではないか。その逆もあるのかわかりませんが、今までのような仕組みというのは少し考えないと立ち行かないのではないか。

 特に、財源という話が出てくるときに、ここもいろいろな議論があるのは承知していますが、道路特定財源の使用の中で、いろいろな環境対策というような中に、この公共交通を守るということが環境対策にもつながるというような視点から、今、大臣からこうするべきだ、こうしたいというような御答弁があるとは思わないんですが、地方の鉄道の存続についての仕組みのあり方というものをまず国土交通省内で議論を熟成させていただきたいというふうに私はお願いしたいんですが、この点についての御所見があれば。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方鉄道の活性化と再生につきましては、ただいま委員御指摘のように、国としても、大変厳しい財政状況の中ではありますが、従来から関係自治体と連携をしながら、地方鉄道の維持を図る観点から、経営基盤が脆弱な事業者が行います安全性の向上でありますとかサービスの改善を図るための設備の整備につきまして、近代化補助制度による財政支援を行ってきたところでございます。

 特に、平成十七年度からは、鉄道事業者と地元関係者が連携を行いまして地方鉄道の活性化を図るいわゆる再生計画を策定した場合には、パーク・アンド・ライドのための駐車場、駐輪場の整備でありますとか新駅の設置などを補助対象事業に加えると同時に、この場合の国の補助率につきましても五分の一から三分の一にかさ上げを行うなど、近代化補助制度の拡充を図ってきたところでございます。

 さらには、平成十九年度、本年度からは、このうち、自治体によります駅を中心としたまちづくりと、地域の企業でありますとかNPO、住民などによります先進的な利用促進のための取り組みに対して重点的に支援を行う方針としております。

 本法案におきましては、地域におきまして鉄道を支える意欲のある取り組みを進展させるような環境整備を行うということを主眼としておりまして、鉄道事業者と沿線自治体及び地域住民が連携をしたような意欲的な取り組みに対して、私どももできる限り支援していきたい、またその支援の充実を幅広く検討していきたいと考えております。

 具体的に申し上げますと、現在、我が国の鉄道が直面している諸課題につきまして、交通政策審議会の鉄道部会、この部会において審議を行っていただいているところでございます。この中で、ただいま委員の方から御指摘いただきました諸外国の事例とも比較しつつ、地方鉄道の活性化のための支援方策のあり方についても議論していただいているところでございます。

 今後とも、本法案の趣旨でありますとか交通政策審議会におきます審議を踏まえて、適切に対応していきたいと考えております。

赤羽委員 今の局長の御答弁にありましたね。近代化補助制度というのは、たしか私の記憶では、対象がいわゆる地方ローカル線に限られていたんじゃなかったですか。その対象となる条件というか、細かいことで恐縮ですけれども、教えていただけますか。

平田政府参考人 この近代化補助制度の適用対象の補助対象事業者でございますが、赤字ローカル線に限定されることなく、原則といたしまして、赤字路線、かつ、全事業で赤字または一定規模の黒字事業者をも対象としているところでございます。

赤羽委員 済みません、頭がよくないものですからよくわからないんですが、要するに、そういう仕組みがあって、近代化補助の中でもパーク・アンド・ライドとか新駅という新しいものに対しても補助するようにした、その努力はわかるんですが、予算総額が、多分シーリングをかけられているのでふえない、二十三億円だ。バス事業については国費が七十二億円入っていたりとか、離島航路でも三十八億円かかっているといった状況の中で、私が申し上げたいのは、このままでいくと、予算のシーリングのままでいくと、とてもじゃないけれどもギブアップしてしまうような民間鉄道も出てくるのではないか。

 関西でいいますと、阪急、阪神が一緒になりましたが、親会社が鉄道事業の赤字を補てんしているみたいな仕組みというのが多分あるんだと思うんですよ。これが、阪急、阪神ぐらいまでならあれですけれども、私の選挙区の北区の中を通っている神戸電鉄とか北神急行みたいな親会社がもっと脆弱なところは補てんし切れなくなってくるという世界が出てきて、例えば北区の中で神戸電鉄が廃線になるような話になると大変なパニックになることはもう目に見えているんです。

 だから、そこまで立ち行かなくなってから考えるのではなくて、今交通政策審議会の鉄道部会で前向きな検討が行われているということでありますが、私は、この問題に限って言えば、役所を挙げて財務省と対峙する、そういう構えをぜひとっていただきたい。それは簡単な話ではないと思いますが、今の財務省の説明で、民間のものについて国の予算は入れられないというその理由だけでは、私自身はなかなか納得しないし、問題も解決しないというふうに思うんですが、この点について、大臣、ちょっと一言だけ。

冬柴国務大臣 民間鉄道が非常に経営が悪化している、その理由は乗客が減ったということです。昭和五十年、随分昔になりますが、約三十年前になりますが、そのときは、自家用乗用車とその他の公共交通機関とは、乗客はフィフティー・フィフティー、五〇%ずつでした。ところが、平成十五年になりますと、自家用乗用車に乗る人がもう八四%になりまして、そして公共交通機関に乗る人は私鉄もバスも全部入れて一六%になっているわけです。したがいまして、これは利用する人の運賃収入というものに依拠している以上、経営が非常に難しくなるのは当然であります。

 そこで、確かに赤羽議員がおっしゃるように、国が財政支援をして支えるという方法、これは一つあると思います。今提出している法律は、そうではなしに、例えば神戸電鉄なら神戸電鉄を利用する乗客とか、そして神戸市とか、あるいは事業者である神戸電鉄株式会社等が寄り集まって、これをどういうふうにするのか。

 一つの方法としては、自家用乗用車に乗らずにこれを使おうじゃないかという住民のコンセンサスというものが非常に効くと思うんですね。高齢者の方でも、私もそうですけれども、運転免許証を持っています、乗用車も持っています。しかしながら、それを利用しなくても公共交通機関に乗って目的地に行くということは、若干不便であっても可能なんですね。ですから、地域の住民がこれを本当に支えようということになれば、運転免許証を返上して、乗用車も売り払って、以降これを利用しようじゃないか、そういう地域住民のコンセンサスができれば、これはやはりある程度回帰するであろうし、それに対する国の支援もまた呼び込みやすいわけですね。

 私どもは、そういうことをねらってのこの法律案でございまして、事実、そのようにして、廃止した私鉄路線をもう一度地域住民が復活させて運行している事例もあります。そういう発想も非常に大きいと思って今回の法律は提案しているわけでありますので、そういう点についても、我々も情報を提供し、そして地方団体もそういうものを中心に住民との間でコンセンサスを図っていただくということも大事ではないかと思っております。

赤羽委員 大臣、ありがとうございます。

 おっしゃるように、補助金を出すということよりも乗降客をふやす努力をするということの方が、それはあるべき話だというふうに思うんです。そのためにパーク・アンド・ライドを徹底的に進めるとか、要するに、自家用車の利用が少なくなることが公共交通が再生するということなんですね。

 ただ、住民の合意を取りつけるというのは、口で言うほど簡単じゃないですね。私は、やはり何らかの、これは日本ではなじまないかもしれませんが、シンガポールですとか他の諸外国を見ていましても、ヨーロッパでも各国の例を見ましても、環境という大義名分の中で相当強制的な国土交通行政の方向性というものがあるんだと思うんです。今のこの仕組みですと、では私が地元でNPOみたいなものを立ち上げてこういう提案の協議会をつくろうとしても、とてもじゃないけれども、自家用車を使わないで神戸電鉄を利用しようというようなことにはなかなか合意形成に至らない。では、神戸電鉄の値段が半分になるならいいよとかという話になると、なかなかそうもいかないということで、そんなたやすい話じゃないんじゃないか。

 私は、もちろん今回の法律で、住民が参加して自分たちの地域公共交通はどうあるべきかということを考える、声も出せるという仕組みは大変すばらしい、これは評価されると思うんですが、そこだけではなくて、少子高齢化という、乗降客の分母がまず少なくなっているという構造的な部分があるので、そこについての状況を踏まえながら、私は、補助金をただ入れるというのではなくて、ランニングコストについての助成制度をつくるとか、さっき富山市のことを言いましたけれども、これは上下分離みたいな話なんですが、ハードの部分についてそういったことをもう少し正面に据えてやっていただきたいという私の主張だということで、ぜひこれは、交通政策審議会の鉄道部会でも御議論されているようでありますので、今回の法律ができたことを機に前に進めていただきたい。答弁は要りませんので、強く要望したいと思います。

 今回、高齢社会に対応するためということで公共交通に対する考え方が進められるというのはすごくいいんですが、従来、国土交通省としては、地域公共交通に対するバリアフリー化施策を進めてきた。今回の本法はバリアフリー化施策とどのように連携が可能なのかということが一つ。

 もう一つ、駅のバリアフリー化について、国土交通省は、二〇一〇年までに日々の乗降客が五千名以上の駅に一〇〇%設置する、これは我が公明党のマニフェストでもあるわけですが、この点についての見通しと、また、残された期間がもう三年ですから、残された時間でこれをクリアできるかどうかについての課題をどう考えているのか、この点について。

冬柴国務大臣 交通バリアフリー法ができまして、今言うように、一日の乗降客が五千人を超え、段差が五メートル以上あるというものについて、優先的にエレベーターあるいはエスカレーターがつけられました。約六五%まで来ておりますが、残りは必ず一〇〇%達成しよう。

 ただ、これについては、国だけの費用ではなしに地方団体とか鉄道事業者の負担もあります。そういうことで、国が予算を確保したら必ず全部できるというものではなしに、これも地域住民の声というものが非常に大事だと思います。

 交通バリアフリー法が施行されて一番最初につくってもらったのは、実は私の地元の尼崎の立花駅でした。これも、多くの市民の署名とかそういうものを集めて、そして当時の運輸大臣に申し立てをして入れられたようなものでございまして、その後は目覚ましいスピードでこれが進んでいるわけでございます。

 交通バリアフリー法から発して、後は今バリアフリー新法まで来ました。それとこの法律との関係でございますが、この法律の五条四項というところで、「高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律」、すなわちバリアフリー新法ですね、新法の「第二十五条の移動等円滑化に係る事業の重点的かつ一体的な推進に関する基本的な構想との調和が保たれ、かつ、」云々と、今回の法律とこの法律とが調和が保たれなければならないということがそこに明記されているように、今回の法律というのは、特に高齢社会というものが急激に進んでおりまして、この方々は乗用自動車の運転とかができない方が多いわけです。そういう背景を踏まえて、この人たちが自立的に、自分の足で生活を営んでいただくためには、どうしても公共交通機関が必要なわけですね。そういうものが撤退をしていく、そういうものについて我々はどう考えるかという非常に深刻な問題が提起されて、この法律ができようとしているわけでございます。

 したがいまして、そのような高齢者あるいは障害者の移動というものと今回の法律と密接に関係しているわけでありまして、先ほど来申し上げますように、関係者の協議体は、バリアフリー新法にも協議体があるわけでございます、大体構成員は同じなんですね、そういう意味で、この地域の協議体がこの問題を重点的に取り組んでいただくということが大いに期待されるところであり、私は、そういうところから解決が図られるのではないかというふうに思っております。

赤羽委員 今回の立法化がバリアフリー化を加速させるということを強く期待したいと思います。

 この法律とは少しずれますが、今の駅のバリアフリーで私ちょっと懸念しているのは、エレベーターの設置だけしていけばバリアフリー化が完了するという駅は今大臣の御答弁どおりなんですが、エレベーターが設置できないような古い駅があるんですね。

 御地元ですと、JRの甲子園口みたいに、物すごい狭いホームが一本あるだけ。ところが、乗降客は多分一日に五万人とか七万人ぐらい。当然、最初にバリアフリー化されなければいけないんですが、エレベーターをつけるスペースすらない。そうすると、駅舎の建てかえみたいな話になって、甲子園口は、そういう意味ではうまく、大々的な工事でやるようになったというふうに聞いていますが、莫大な予算もかかりますし、今のこのバリアフリー法の仕組みだけじゃとても追いつかない。

 まちづくり交付金とかなんとかという世界になるのかもしれませんが、二〇一〇年に一〇〇%やると言っている以上、最後の難しい駅、それで利用客が多い駅というのを、これは地方公共団体に任せるだけではなくて、少し国からの働きかけというのも、ポイントを絞って、必要があるというふうに思うんですが、その点について、鉄道局としてお考えを聞かせていただきたいと思います。

平田政府参考人 ただいま委員の方から御指摘がありましたように、今後、鉄道事業者だけでは対応の難しい事例、例えば、今委員おっしゃったような事例でありますとか、地下鉄駅などにおきます空間制約を抱えるような事例が顕在化してくることが考えられます。こういったところにつきましては、地域と一体となった対応が一層重要になってくると私どもも考えております。鉄道事業者、地域の関係者の一体となった取り組みが進められ、平成二十二年の目標が達成されるよう、引き続き努力していきたいと考えております。

赤羽委員 ありがとうございます。終わります。

塩谷委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 私も、同僚議員に引き続いて、この地域公共交通の活性化、再生の法律案についての質疑に臨ませていただきたいと思います。

 まず初めに、時代認識なり、我が国の公共交通における特性については、昨日も参考人の皆様方、大体共通していたと思うんですが、少子高齢化になってきてお年寄りがふえ、交通移動制約者、交通弱者という言葉が適切かどうかわかりませんけれども、そういった方々がふえている。障害をお持ちの方々もいらっしゃる。また、地球環境問題がやはり喫緊の課題に迫ってきていて、ここへの取り組みも求められる。したがって、日本の国内においても、公共交通の役割は極めて高い状況になっている。

 しかし、今、人口が減ってきて、地方の過疎化も一方で進み、公共交通の経営は厳しい状況になっている。また、私たちの国は、こういう公共交通を、民間企業による効率的な公共交通の経営というものを原則にしてきたために独立採算制を原則にしていて、こういう需要減少局面においては極めて厳しい、サービスを維持することそのものが厳しい状態になっている。

 こういう状況をかんがみて、今回、政府だとか自治体の努力義務を定め、支援内容を定め、そして、公共交通の活性化もしくは利用促進を誘導していくような政策をこれからつくっていこうという法律案だと私は理解をしています。そういう面において、私は、この方向性についても評価し、賛成をしたいというふうに考えます。

 また、この状況下で、私たちは、地球温暖化抑制であるとか高齢化に対応するために、公共交通を生かしたまちづくりをしようということで、今回のメニューの中にも入っていますけれども、LRT、ライトレールトランジット、この導入促進が図れないかということで、超党派の推進議連を二〇〇四年二月に立ち上げて、これには、塩谷委員長もそうですけれども、衆参超党派の百六名の議員の方に所属をしていただいて、議員だけではなく、これは全国でいろいろな動きが立ち上がっていますから、事業者だけではない、行政だけではない、利用者だとか住民だとか、そういった方々も巻き込んだいろいろな運動が今全国で立ち上がってきています。

 全国・路面電車ネットワークの皆様方とともに研究会を開催したり、視察に行ったり、精力的に勉強してきて、二〇〇四年十二月から、議連内には法案検討委員会というものを立ち上げて、何とかLRTの導入促進のための法律ができないかという勉強も重ねてまいりました。

 今回のこの法律制定の情報を受けまして、議連で検討中であった内容をこの法律案の中に盛り込んでほしいという申し入れを、昨年末、冬柴大臣に対して議連として行い、軌道における上下分離方式でありますとか起債の特例でありますとか、こういうものも一定盛り込まれて、私たちはそういう面からも評価をしています。

 きょうは、限られた時間ですけれども、その目指すべき方向性ですとか、本当にこの法律の実効性が担保できるのかという観点から、質問をさせていただきたいと思うんです。

 まず、大臣に現状認識をお伺いしたいと思います。

 地域公共交通の現状と課題についてどのように認識していらっしゃるのか。あえて申し上げれば、この提案理由の説明の中に、「地域における公共交通のおかれた状況は年々厳しさを増しており、地域によっては住民等の移動手段として不可欠な公共交通を適切に維持することに困難を生じております。」という表現があるんです。これはどの地域を想定されているんですか。また、「適切に維持することに困難」というのは、どういう状況を指していらっしゃるのか、お聞かせください。

冬柴国務大臣 昭和四十年代以降でしょうか、爆発的な自家用自動車の普及が始まりました。そういうことで、先ほども答弁いたしましたけれども、昭和五十年には、自家用自動車による移動と公共交通機関による移動が五〇%ずつだったわけでございますが、平成十五年では、八四%が自家用自動車による移動、そして残りわずか一六%が公共交通機関。これは私鉄もあればバスもあるわけです。これは全国の話でございます。

 しかしながら、その地域地域が抱える問題は、例えば、三大都市圏とかあるいは地方ブロックの中の中心的市街地であるとか、それから中山間地帯であるとか、本当に深山幽谷のようなところでも住んでいらっしゃるわけですから、そういう人たちはどういう交通機関が必要かということは、一律にはとても判断できない、対応ができないというふうに思います。

 しかしながら、共通して言えることは、高齢者の方で乗用車の運転とかそういうものができない人たちにとっては、交通、いわゆる移動というものに非常に不便を感じるようになっている。公共交通機関が、そのように乗客が少なくなることによって経営が困難になり、そして撤退が相次ぐということになりますと、そこに住んでいる乗用車を運転できない人たちにとっては、移動の自由ということが非常に難しくなってくるわけです。したがいまして、これに対する手当てがぜひ必要である。

 しかしながら、全国一律に、このLRTを導入できるような場所と、山の中ということになればそれはとても無理なわけでございますから、そこは、住民の方々が相寄り、ここでは最も最適なものは何なのかということのコンセンサスを得られる、そしてそれを採用していただく。それを国も応援させていただく、あらゆる応援をさせていただく。

 その知恵とかそういうものについても、各地で成功している事例もありますから、そういうものも我々の方から提供して、まずは、一番その地域の実情に精通している市町村が主体となって、利害関係者に全部集まっていただいて、その中には、おじいちゃん、おばあちゃんが買い物に来てくれなくなった商店街の店主も入っていただいて、どういうふうにすればそういう人たちが自由に移動できるかということを考えていただく。こういうことがこの法律の提案の理由でございます。

 我々は、それに対して、一生懸命頑張って創意工夫をされた方については、その線に沿って実現できるように、あらゆる予算上、あるいは許認可等のものについても迅速に、簡単にできるような方法、そういうものを今回は考えているわけでございます。

 移動手段は、一律ではなしに、その地域に最も適したものを選択していただくということが大事だと思います。その際、住民のコンセンサスというのが、またそして、住民の協力、協働ということが最も大事だというふうに認識をいたしております。

三日月委員 おっしゃるとおり、各地各様、その地域の公共交通のあり方というのは違うと思うんです、事情も。

 ただ、一例、きのうの参考人の質疑の中でも、富山市長が、富山市においては車を自由に使えない市民の割合が三割いらっしゃるというデータをもとに説明されていて、この状況下は、全国押しなべて高齢化が進み、大体同じ状況ではないかと思うんです。

 この法律案の第三条「基本方針」に「地域公共交通の活性化及び再生の意義及び目標に関する事項」ということがあるんですけれども、こうやって各地各様ある中で、国が、この地域公共交通のあり方、目指すべき姿として一体どのような目標を設定するのかということについて、現時点でのお考えがあればお聞かせいただけますか。局長でも結構です。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、この目標、詳細を今確定しているわけではありませんけれども、この法案を成立させていただいた暁には、直ちに検討を深めたいと思いますが、基本的には、今、三日月委員からもお話がありましたように、高齢者や障害者、とにかく自立した生活、日常生活や社会生活がきちっと各地で維持できるような、そういう公共交通サービスをやはり確保していくということが一つあります。

 それから、都市部あるいは大都市部になりますと、さらにそれに加えて、そのサービスの質の問題でありますとか、あるいは外国人に対応する、あるいは外から来た方に対応する、そういったいろいろなことも勘案をして、あるべき姿、方向というものを示していきたい、このように考えているところであります。

三日月委員 ぜひ、高齢者であっても障害をお持ちであっても、そこにお住まいの方々の足を確保するということ、都市部においては、混雑緩和も含めて、質を向上させていくということ、新たに来られた方々に対する利便性を向上させていくという視点、今局長の方から御答弁ありましたけれども、具体的な、前を向いて進んでいける目標の設定を要請しておきたいと思うんです。

 ここで一点、これまでの取り組みをどのように総括していらっしゃるのかという観点。これまでも、それぞれのモード別にさまざまな支援メニューですとか補助がありました。今回、新たに、それらを束ねた形でといいますか、部門横断でこういう法律案を設定いたします。その点は、総括をどのように生かした内容になっているのか。

 また一点、LRT導入支援のためのLRTプロジェクトというものが従来からありました。こういう既存メニューとの関係はどのように配慮をしていただけるのか。必要な限り重点配分、配慮等を行うというお言葉だけは賜っておりますが、この法的担保はいかにとられているのかということについて、お聞かせください。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、これまでの取り組みの総括でありますが、例えば、日常生活、社会生活に必要不可欠な足の確保というところに限ってお答え申し上げますと、これは、国と地方が適切な役割分担をしながら、関係省庁と連携をしてできる限りの支援措置を講じているわけであります。

 三日月委員もよく御承知のように、バスの足に関しましては、地方バス補助は約七十一億円ほど予算措置が講じられておりますし、離島航路の維持のための離島航路補助が約三十八億円、赤字地方鉄道の安全確保や路線の活性化のための近代化補助が約二十四億円といった国のメニューと、それから、バスにつきましては、生活交通確保対策として、十九年度、約七百六十億円程度の地方財政措置が講じられているというものであります。

 これは、いわば最低限といいますか、生活交通を確保するという観点から講じている施策を今申し上げましたけれども、その他、公共交通の利便性を向上させるあるいは活性化させるということで各種の他の支援措置もありますし、公共交通に関連するまちづくりの関係のいろいろな予算措置、あるいは関連する道路予算などもあるわけであります。

 私どもは、現状で十分だということではありませんが、まず、この法律で地域の合意づくりができて、それに取り組もうという場合には、今ありますメニューを可能な限り重点的に配分し、あるいは予算の執行で配慮するということを考えたいと思いますし、今後は、さらにいろいろな検討を深めまして、支援措置の拡充、あるいはより効果的なものにするためにはどうすればいいかといったことも引き続き勉強を続けていかなければならない、このように考えております。

 それから、LRTに関しましては、既に三日月委員御承知のように、私どもの道路部局が用意しているメニュー、都市部局が用意しているメニュー、それから鉄道部局が用意しているメニューがありまして、これを適宜適用していくということになっておりますが、今回の法律に基づきます地域公共交通総合連携計画の中で、LRTの導入あるいは改良といったことがきちっと位置づけられるということであれば、それらの予算を重点的に配分していきたい、このように考えております。

三日月委員 せっかく今回法律をつくるんですから、これまでの支援のあり方がどうだったのかということ、また、道路、都市、鉄道、部局横断で取り組めているのか、はたまた、国交省だけではなくて、各省庁横断で取り組みができていたのか、さらに、活性化なり再生のためにより進んだ連携が必要なのではないかという観点からも、ぜひ具体的な施策の落とし込みの段階においては検証していただきたいと思うんです。

 もう一点、確認をしたいのは、地域公共交通の安全性についてです。

 きょう私、資料をお配りいたしました。これは、国交省の方から提出いただいた資料に、一ページ目、この右側のタクシーと乗り合いバスについては、私なりに、公表されているデータを各年度ごとにプロットして、傾向、トレンドを見られるようにしたものなんです。

 地域公共交通の安全性について今どのように評価をなさっているのかということについて、全体をお伺いしたいんですけれども、これを見ていただくと、特にこの右側のタクシーについては、車両数は増加しているけれども輸送人員は減ってきている。これは昨今よく指摘をされる状況です。その中にあって、事故は、特に十一年以降ずっと上昇トレンド、余り下がらないトレンドですね。そして、乗り合いバスについては、車両数が減ってきて輸送人員も減っている、けれども事故が高どまりをしている。なかなか減ってこないという状況が、精緻ではないんですけれども、見てとれると思うんです。

 こういった状況は、特に今、規制緩和の影響、規制緩和による競争激化、それによる労働強化といったものも背景にあると私は考えているんですけれども、こういった点も踏まえて、地域公共交通の安全性についてどのように評価をなさっていますか。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、地域公共交通の事故の推移につきましては、今、三日月委員から御指摘がございましたような、こういう推移になっているのはごらんいただけるとおりであります。私どもとしては、ふえているということではなくて、横ばいで推移している、あるいは少し高いところで横ばいに推移しているものもある、こんな認識でとらえております。

 ただ、当然でありますけれども、公共交通機関の安全性の確保というのは一丁目一番地のところでありますし、この委員会でも、昨今、いろいろな事例を前提にしまして御審議をいただいてきたところであります。

 三日月委員からは、規制緩和がその背景にあるのではないかという御指摘がございましたけれども、私ども、規制緩和は経済的な規制について行いましたけれども、必要な、社会的な規制はきちっと行うということでこれまで対応してきております。

 それが、必ずしも監査その他のところできめ細かく行き渡らなかった点がなきにしもあらずとは思いますけれども、それも最近、増員を行うなど、あるいは監査方針を明確にするなどしまして効果的な監査が実現できるように取り組んでおりますし、御承知のように、昨年のこの委員会で運輸安全マネジメント評価といった新しい仕組みを導入することになりましたので、昨年の十月から実施しておりますこれらの仕組みを使いながら、監査を適切に行いながら、それから、事業者の方々に対する意識の啓蒙、法令遵守の徹底を図りながら安全確保について対応していきたい、このように考えているところであります。

三日月委員 この問題だけで一時間でも二時間でも議論したいぐらいで、きょうはこれぐらいにとどめますけれども、規制緩和の一方で社会的規制を強化せねばならない、監査についてもやってきた、不十分だけれども体制を強化してきた、きめ細かにやろうとしている。しかし、まだまだ不十分である状況について、また今後、指摘をしていきたいと思います。

 この法律案を見ていると、活性化だとか再生というのはよく出てくるんですが、安全という言葉が出てこないんです。従来の運輸安全マネジメントが導入されたときもそうでした。あの福知山線の事故が起こった後、改正された点についてもそうでした。安全というのは一丁目一番地だから当然やってもらえると思っていましたということがあるんですけれども、しかし、こうやって新たに交通に関する法律をつくるときには、精神として安全というものをやはり最初に盛り込んでいくということが大事だと思うんです。

 これは、各事業法なり軌道法を改正した、それを束ねたものですから、その目的のところに安全というのは、それぞれのところに当然入っているから、この法律案全体には入れていないんですということもあるようです。しかし、交通に関する法律については、やはり安全というものがまず最初にお題目としてあるんだと。

 特に今回のように、活性化だとか再生というものがなまじ強調され過ぎると、こういう安全の部分がおろそかになってしまうという危惧もあるものですから、私はあえて強調しておきたいと思うんです。大臣も、その点についてはよく御認識いただいていると思いますので、ぜひ具体的な施策の中で御検討、反映をしていただきたいと思います。

 もう一点、これは大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、移動に関する権利の話です。

 きのうも参考人の方にお伺いしました。私たちは交通基本法というものをつくって国会に提出し、移動に関する権利というものをやはり明文化する必要があるんじゃないかと申し上げました。残念ながら、四人の参考人の方からは、法律に明文化するとコストの問題もあるからということで、ちょっと現時点での明文化については消極的な御見解をいただいたと思うんです。

 しかし、交通空白地帯の問題もあります。そして移動制約者、先ほどの議論の中で、ふえているという現状の中で、やはり移動に関する権利、それによって、何人であっても交通を利用し、自由に移動し社会的な活動を営んでいけるという、このことをしっかりと担保していく。そのために法律に明文化していくということの必要性を私は感じるんですけれども、このあたり、大臣はどのようにお考えでしょうか。

冬柴国務大臣 移動に関する権利ということになりますと、憲法にもそれの準拠するような、例えば二十五条の保障とか二十二条とかいうところにそれらしき姿はあるんですけれども、しかし、移動に関するということになりますと、もうちょっと法概念として熟成していないのではないかということが一つ。

 それから、国が国民の一人一人についても移動ということを保障しなければならないということになってまいりますと、相当行政が肥大したり、予算が大きくなってしまったりする面もあるし、それから、移動の不自由という人たちの実態も、住む場所とか年齢あるいは体の障害の問題とか、いろいろありますけれども、そういうものをすべて国が保障するというよりは、今回の法案のように、その実情に即して、一番そういうことの内容がわかっている人たちが相寄り協議して、最も適切なものをつくっていただくというのが一番大事じゃないかなという感じがするわけでございます。

 輪島へ行ってまいりました。能登半島地震ですが、ここの門前町というところへも行きましたけれども、何と六十五歳以上の高齢化率が四六%ということでございまして、地震後の復旧復興についても、六十五歳を超えて、しかも配偶者を亡くし、独居していらっしゃる方が、壊れた家をもう一度建て直すことができるのかということを考えますと、これからローンを払って、それはもうちょっと無理だろうと。

 そうすると、ここにおいて一番適当な政策は何なのかということと同じように、こういうところの交通手段も、公共交通がもし途絶した場合に、こういう人たちの移動はどういうふうにしたらいいのかということは、本当にそこで地理も実情もわきまえた市町村が中心になって関係者と話し合って、その内容を決めていく、それを国はサポートするというようなところが適当なのかなと。

 移動の権利というところまでいきますと、そういう地域に住む一人一人にまで国が全部保障しなきゃならないということになっていきますと、これはちょっと、まだ国民のコンセンサスはそこまでいっていないのではないかという感じもするわけでございます。

三日月委員 半分納得して、半分納得できなかったんですけれども、バリアフリーなど、法に明文化されなくてもやはり一生懸命取り組もうとして、事業者なり自治体なり住民の方々、いろいろな取り組みがあることは承知をしています。国民の移動する権利というものを法に明文化することについて、法的にも熟成されていない、国民のコンセンサスを得ることも必要だ、これも理解をいたします。

 各人各様であるから、それぞれの自治体で議論をしていろいろと取り組んでもらえればいいというお話がありました。しかしそれだと、例えば財政力によって、この地域ではある程度そういう交通手段も確保できるけれども、一方の地域ではそういう交通手段が確保できないというような事例もあります。

 したがって、こういう各地の財政力による移動制約があっていいのかどうなのかという点も踏まえて、やはり一歩踏み込んだ検討が必要であると思いますし、行政肥大化を恐れる余り、さまざまなサービスであるとか権利を損なうような国のありようではなくて、今はそういう国をずっと志向してきていますけれども、しかし、一定行政というものがきちっと人なり予算なりを確保しながらこういう最低限の部分のサービスを維持していくんだという国のありようを、そろそろ日本もちょっと転換していく必要があるのではないかというふうに私は個人的にも考えています。

 現時点では認識の違いなりそれぞれありますから、我々なりにまた理論武装をしたり現状把握をしながら問題提起をしていきたいと思いますので、また建設的な議論に御参加をいただきたいというふうに思っています。

 今回の法律の実効性という点から議論をしたいと思うんです。

 いろいろなメニューはあります、手続の簡素化でありますとか、配慮でありますとか、予算の重点配分でありますとか。これが真に自治体なり住民が取り組もうとしている地域公共交通活性化に役立つ法律になるためにどのような施策を講じていらっしゃるのか、まずそこから全体的にお伺いしたいと思います。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 私どもといたしましては、真に実効性のある施策というその大前提としては、やはり地域住民のニーズであるとか意見とか、こういったものがきちっと反映された姿がその前提にならなければならないと考えておりまして、その意味では、地域の多様な関係者が緊密に連携をし、先ほど大臣からもお答え申し上げましたけれども、相互の信頼関係を醸成しつつ必要な取り組みが着実に実施されるような、こういうスキームが不可欠であるし、それなくして真に実効性の上がる地域公共交通の活性化、改善というのはなかなか図りがたいのではないか、このように考えているわけであります。

 その意味で、この法案の中では協議会制度というものを用意し、協議会への参加応諾義務というのを課し、さらにこの計画の作成に当たって住民等の意見が反映されるように、パブリックコメントを市町村に義務づけ、また、公共交通事業者や利用者などから計画の作成等について提案ができる提案制度を設けるといったことを通じて、地域にとって真に有益な計画がつくれるような、そういう仕組みを整備したわけであります。

 また、その結果につきまして関係者に尊重義務を課しておりますし、また、その計画に基づいて、実は地域公共交通特定事業というのを、国土交通大臣の認定を受けて法律の特例が働くようになっておりますけれども、公共交通事業者が正当な理由がなくてその計画に基づく事業を実施しない場合には、大臣からの勧告、あるいは最終的には実施命令といった措置を講じておりますので、ある意味では、関係者が真に目指すべきものを検討して合意ができれば、それについていろいろ、それを実行あらしめるための制度的な環境整備といったものはこの法律の中で十分手当てされていると思っております。あとはこれを関係者でよく活用していただけることが重要ではないかと考えております。

三日月委員 ありがとうございます。

 いみじくも最後におっしゃったように、関係者の間でうまく活用していただけることが必要ではないかと思いますと。そのとおりだと思うんです。

 そのために、私は二つの観点からお伺いしたいと思うんですが、まずは予算の面です。

 先ほども赤羽委員の方から、鉄道に投じられている予算が少な過ぎるんじゃないかということがありました。私の資料の二ページ目に、各モード別の、下は二酸化炭素排出原単位の比較と、そしてそれぞれの年度ごとにどの程度事業予算が国、地方合わせて投じられているのか。一部、自動車ですとか鉄道においても、とり方というか集計の、入れる、入れないという差異はありますが、しかしおおむねこのような比率で見てとれると思うんです。余りにも突出した道路予算に比して、自動車、港湾、鉄道、新幹線含めてもかなり低い比率でしか事業予算が確保できていない、国も地方も、国全体で。

 この状況下で、地域公共交通の活性化を促していこう、先ほど大臣の方からも、年をとってきたからちょっと車の運転はあきらめて公共交通を利用しようという政策に誘導していけるのかなという疑問を私は持つんです。確かに道路の予算についても、これを見ていただければ、十六年、十七年、十八年だけでもかなり減らしてきています。約二兆円規模で減らしてきていますから、この努力は私は多としたいと思うんです。

 しかし一方で、余りにもこの比率が違い過ぎるなという現状をどのように大臣はお考えでしょうか。また、局長含め、何か具体的な、そうなんです、財務省に言っても聞いてくれませんということがあれば、そういう愚痴も吐露していただいて、御答弁いただけますでしょうか。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 今、三日月委員がお示しになられましたこの事業予算額、もちろんそれぞれの行政需要、ニーズを踏まえながら、予算制度あるいは具体的な各年度の予算額として決定をされてきているものでありますから、これはそれぞれの必要性が予算制度及びその総額として反映されているものだと基本的に私どもは考えております。

 その上で、地域公共交通の活性化、再生を進める上で予算措置として十分なのかどうか、あるいはバランスを欠いているのではないかというお話がございました。

 先ほども少し申し上げましたけれども、きめ細かく見ていきますと、自動車、鉄道、それからここで港湾と分類しているもののほかに、まちづくり交付金として地域の公共交通の改善に関連して使われるようなものもありますし、道路の予算として計上されているものの中で、当然のことですけれども、地域公共交通の改善に直結するもの、あるいはそのものとして使われているものがあるわけであります。

 これは一々は申し上げませんけれども、道路の交通容量が拡大するということは、すなわちバスなどの走行環境が改善されて利便性が非常に向上する、サービスがよくなるということもあるわけでありますし、あるいは地下鉄インフラの整備、LRTの整備などに道路予算が使われたり、公共交通関連の事業の支援に使われたりいろいろしているわけでありますから、そういった現在の予算をやはりうまく有効に使うように努力をしていきたいと考えております。まずそれが私どもの基本的な考え方でございます。

冬柴国務大臣 道路についての予算が突出しております、これから見ても。やはりこれは社会資本整備という形で投入されるために、この金額がすごく大きくなるんだろうと思うんです。まちづくり交付金も社会資本の整備です。

 しかしながら、自動車とか、港湾は別ですけれども、鉄道というようなものにつきましては、これは民営化をされ、そして民間会社がその英知と努力によって収支を償うように、一般から、税金ではなしに、鉄道料金として、使用料金としていただいたお金で経営をしていくというところに、国費の投入が著しく少なく済むことになるのではないかと思います。

 この道路につきましても、今回、道路特会ということで自動的に入ってくる税収が即道路に投入されるということを、来年の国会にはそれを改める法律を提案することにしておりますけれども、一番大きな道路の建設、有料高速道路の建設は民間会社にゆだねて、今後はそれには国費を投入しないという形をとるなど、大分これが変わってくるんだろうと思います。

 私は、そういう意味で、すべてを社会資本の整備という形で税金で賄っていた部分が道路であり、それ以外の部分については、それぞれ、自己努力といいますか営業収益においてやっている。

 ただ、お客さんがどんどん減っていくために、先ほどの赤羽委員からの質問にもありましたように、民営鉄道、バスがどんどん撤退していく。これをどうするかという問題はあるわけですけれども、即そこへ税金を投入してバスや鉄道を動かすという方法もあるんでしょうけれども、そうじゃなしに、地域住民が最も最適な方法でやられるものについて我々が応援をさせていただくという方法でこの問題は解決をしていきたいというのが今回の法律案の趣旨でございます。

 そういう意味で、確かに、事業予算を比べられますと、大変な相違があるな、差異があるなということは思いますが、そういうところに原因があるのではないかというふうに私は思います。

三日月委員 原因と背景はわかりましたが、そういう状態だと、地球環境の面から公共交通をより利用してもらえるようにしていこう、移動制約者がふえてくるから、それに対応した地域公共交通を整備していこうということに果たして取り組んでいけるのかという面の不安を持つんです。

 おっしゃるように、道路予算が突出していますが、それも公共交通に充てられている部分があり、道路を整備すればバス等の公共交通に資する面あり、これは理解をいたします。また、道路は社会資本の整備だからと、鉄道だとかこういうものは利用者の方々なり事業者の努力で賄ってきた部分があるからという点はあるんです。

 しかし、今回の上下分離方式にしろ起債の特例にしろ、一部やはり、こういう鉄道であれ軌道であれ社会資本なんだ、その整備だから特例を認めていくんだという趣旨だと私は思うんですね。だから、どこからどこまでを社会資本と見るのかという点については、やはりもう少し、道路に特化することなく、柔軟な目というか、今の時代に合った取り組みが必要であり、それに即した予算づけを考えていく必要があると私は思うんですね。

 一点、各論に入るんですけれども、その中で、まちづくり交付金のようなものもつくりました、これではいろいろと幅広くやっていますということはあるんです。このまちづくり交付金も、交付対象事業というところには、もちろん、駅前整備ですとか提案事業のコミュニティーバスでありますとか、公共交通に対しても一部活用されているんです。しかし、まだまだ金額的にも比率的にも微々たるものです。それは、国でこういう予算づけをし、そして部局ごとに審査をしているがために、こういうまちづくり交付金の対象事業についてもやはり公共交通の分野というものがなかなか入ってこないのかなということも思うんです。このあたり、もう少しまちづくり交付金を活用した地域公共交通活性化策というものが踏み込んで取り組まれてもいいんじゃないかと思うんです。

 富山市長もきのう、なぜ富山はそうやって成功しているんですかという問いの中で、やはり公共交通政策をまちづくり事業の一環として取り組んだことが大きかったということを言われておりますけれども、このあたり、いかがお考えでしょうか。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 三日月委員御指摘のまちづくりとの関連でありますけれども、私どもは、地域住民の足の確保ということを実現するに当たりまして、御指摘のようなまちづくりとの連携であるとか、先ほど御質問がありました観光振興との関係とかあるいは環境問題とか、こういうものと連携をさせながら進めていくということが極めて重要な観点だと考えております。

 具体的にまちづくりとの連携で申し上げますと、LRTなどの地域の公共交通の導入に合わせて、パーク・アンド・ライドといった都市交通施策を推進していく場合、あるいは沿道の土地利用計画や中心市街地活性化策などのまちづくり施策を進めていく場合、あるいは利用しやすい料金体系などソフト施策を一体的に実施する、こんなことによりまして、利用者の利便性の向上を図り、いわば公共交通の導入や改善の効果を一層高めていくということが可能だと考えております。

 また、まちづくり交付金の具体的な活用でありますけれども、今は、既存鉄道のLRTへの転換に合わせた駅前広場や駐輪場等の整備による公共交通の利便性向上やあるいは歴史的町並みの整備による集客力の強化、あるいは街路、公園などの整備による交通アクセスや住環境向上のためといったことで、総合的なまちづくりの一環としてこのまちづくり交付金が使われているわけであります。

 市町村の個性あふれるまちづくり、それが公共交通の改善と一体となって進められるという形の中で有効に使っていただければありがたいと思っていますし、先日の富山市長さんの問題提起やお考えはその辺にあるのかなと理解しております。

三日月委員 言葉は理解します。しかし、実態がなかなか伴っていないのではないかという疑問を持っています。

 有効に使っていただければいいんじゃないかと思いますと言いながら、例えばこのパンフレットや何かもそうですし、いろいろな説明資料や何かを見ても、もちろん間接的に公共交通活性化に資するような施策もあるんですよ、下水道の整備、公営住宅の整備、公園の整備、河川の整備、駐車場の整備、市街地再開発、一部、駅前広場、交流センターとかありますけれども、やはり従来の垣根をまだまだ取っ払えていないのではないかなと思うんです。

 やはりこのまちづくりの中で交通というのは極めて重要なウエートを占める部分であり、背骨であったり、きのうは、だんごのくしだという表現もありましたけれども、もう少しそういうものを盛り込んだ形の、市町村に対して説明をする折にも、審査をする折にも、この交通の部分をもう少し出したような説明なり審査をすべきではないかと私は思うんです。

 こういう対象事業についても、ただ道路、公園、河川、下水道なんて並べるのではなくて、そこから交通というものをよくしていくためには、成功事例はこのような形になっているということも含めた情報提供があってもいいのではないかなということを私は申し上げています。

 それと絡めてなんですけれども、きのうも一部議論しました国の役割ですね。今回、国が果たすべき役割として、法律の中に、情報の収集、整理、分析及び提供、研究開発の推進、人材の養成及び資質の向上等々があるんです。これは、現状がどのようになっていて、具体的にどのように改善しようとなさっているのか、お聞かせいただけますか。

冬柴国務大臣 市町村が前面に出て、国と都道府県が余り出てこないんじゃないかという御批判もあるようですけれども、この法律の第四条には、国の、今ちょっと読み上げられたようなことが書かれてあります。それから、都道府県もその二項に書かれてあります。それから、市町村は五条ということで、それぞれの役割は書いてあると思います。

 それで、今お尋ねの、国は何かそれだけで、金の方は余り前面に出ていないようですけれども、随分いろいろな事業で、例えば、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案に関連する施策とか事業、予算というものはたくさんいろいろなところにありまして、住民がそういうものを合意していただければ、そういうものを総動員して財政支援をしていく、そういう考えでおります。

 例えば、LRTの整備関係につきましても、路面電車走行空間改築事業とか、交通結節点改善事業というようなもので予算が計上されておりますから、そういうところからも出せます。それから、都市交通システム整備事業というものでも予算が計上されておりまして、それはいろいろ、都市・地域整備局、都市・地域総合交通戦略の推進というような形で一般会計からも予算が計上されておりまして、こういうものを採用していただくということが決まれば、こういうものを総動員して国は出すべきものは出させていただく。

 それから、先ほどもちょっと申しましたけれども、地域公共交通総合連携計画というものをつくるのも大変技術的だと思うんですね。そういうものについても、地域公共交通総合連携計画策定関係としての予算が今年度予算にも組まれてありまして、そういうところからの協議会への補助とかあるいは援助とかいうものも裏打ちを予算上はされておりますので、この法律を通していただいて、そして、その地域がそのように協議、決定していただければ、バスサービスについても、あるいはBRTの整備、オムニバスの導入とかそういうものについても、各局でいろいろな予算、一般予算を組んでありますので、やらせていただくことができると思います。

三日月委員 今言われたように、各局でやはり既存のメニューとしてあり、今回の法律を整備したことにより整備されるものをきちんと、メニューをわかりやすくして、それぞれの自治体に応じて、ではこの制度を活用しようということがもっと示されてしかるべきだと私は思うんです。

 LRTの場合は、道路、都市・地域整備局、そして鉄道、それぞれのメニューを出してもらって、それが一つのプロジェクトとしてまとめられて、そして自治体なり住民の団体の皆さんが提案をなさるというようなこともありました。こういう事例の水平展開をぜひ求めておきたいと思うんです。

 最後に、このときに地方運輸局というのがかなり重要な役割を果たすと思うんです。自治体なりそれぞれの地域でこういうことを検討しているんだけれどもどうだろうか、国の制度でどうなんだ、いろいろな経験がほかにはないのかということ。

 いろいろホームページも見させてもらいました。国交省としても、ベストプラクティス集というのを平成十六年に鉄道部でまとめられているんですね。やはり、鉄道は鉄道でまとめ、それぞれで強み、弱みがあると思うんですけれども、運輸局の取り組みもぜひ一度見てみてください。かなり運輸局によって差があります。きょうはあえて申し上げませんけれども、きっちりと中身も、そして後のフォローもされている運輸局もあれば、もう何か通り一遍のパンフレットみたいなものがぱさっと張りつけられているだけの運輸局もあります。

 国を挙げて、情報も含めて、予算も含めて支援をするということに値する体制の構築を求めまして、また、せっかく御出席いただいたのに質問を当てられなかった鉄道局長にもおわびを申し上げて、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

塩谷委員長 次に、黄川田徹君。

黄川田委員 民主党の黄川田徹であります。

 四番目のバッターでありますので、重なる質問があるかと思いますけれども、改めて私もお聞きいたしますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、通告に従い、順次質問していきたいと思います。

 まず、国土形成のあり方からお聞きしていきたいと思っております。

 我が国の国土の現状を見ますと、東京圏を初めとする都市圏に人口や都市の機能が集中しております。そしてまた、一方、私が住むような東北のところでは、地方の中小都市や中山間地域等では、地域の活力の低下がどうも最近ますます問題になってきているのではないか、こう思っております。

 そしてまた、政府として、各府省が競い合って地域の活性化の法案を出しておるのでありますけれども、地域住民の立場に立った核心をついた方策、こういうものが打ち出されているのかどうかということも私はちょっと疑問に思うところがあります。

 地域の活性化を図るに当たっては、国としても、都市と地方の地域間格差をどう是正していくかとか、あるいはまた、高齢者など地域において弱い立場におられる方々の視点に立って対応しなけりゃいけない、そういうことが重要であると私は思っております。

 それで、こういう中での地域の公共交通でありますけれども、地域の経済活動や社会生活の基盤であります公共交通のさまざまな問題を考える場合に、単に立派な公共交通機関を導入したり、あるいはまた、新しいサービスということも必要なのかもしれませんけれども、それだけではやはり不十分だと思っております。

 そこで、地域の公共交通をめぐる現状に目を向けると、地方にあっての自家用車の普及によって、先ほど来議論がされております高齢者、車が運転できないという方もふえておりますし、そしてまた、バス路線の撤退、廃止等々も東北にあっては生じておるところがいまだにあります。そういう中で、少子化、高齢化の中でしっかりと地域社会が生き残れるというような政策を強く望むものであります。

 そこで、国土のあり方についてでありますけれども、総合開発計画、これをやめて、新しい国土形成計画づくりだということで、この夏に全国版の計画、それから来年の夏ですか、広域地方計画というのですか、そういうものをつくり出そうということなのでありますけれども、相変わらず一極集中ですね。国土の分散型社会をつくるという形でも、この二十年来取り組んできたけれどもなかなかできなかったという状況だと思っております。

 そこで、格差の問題がいろいろ議論されておりますので、この地域間の格差の是正、地域の自立等を可能とするための方策等々、国土交通省、専ら主要となる省庁だと思いますので、その辺の国土政策の展開を改めて大臣にお尋ねいたします。

    〔委員長退席、葉梨委員長代理着席〕

冬柴国務大臣 全国総合開発計画にかえまして、国土形成計画法が施行されました。大きな転換だと思うんです。

 この国土形成計画は、今までの全総とは違いまして、二層式になっております。全国計画とそれから広域地方計画、この二層になっております。おっしゃいますように、全国計画は今策定中で、この年央には閣議決定をしたいし、それから、広域地方計画につきましては、来年の年央にそれぞれ決定をしていきたい、このように思っているところでございます。

 今までと違うところは、先ほどちょっと一極一軸という言葉が出ましたけれども、もう今回、そうではなしに、圏域も取り払って、日本の、北海道、沖縄は除きますけれども、その余のところを八つに区画をいたしまして、そのような広域地方というものが、それぞれに圏域を越えて、自主的、自立的にどういうふうな圏域をつくっていくのかということを協議して、そして決めていこうという制度でございます。

 それぞれの圏域、例えば私どもの住む近畿地方を例にとりますと、二府四県で近畿ブロックができますけれども、そこの人口というのはオランダを超えているわけですね。そしてGDPは今物すごい発展の著しい韓国を超えています。

 そういうふうに、一国を超えるほどの力を持つ広域ブロックというものが、これは自立的に、その中でどういうところに、例えば、四面環海ですから、外国とダイレクトに交通を結ぶ、人流、物流をするという場合には、まずは港湾とか国際空港をどこにつくって、そして、それと圏域の中の消費地、生産地とどのような道路のネットワークあるいは高速鉄道のネットワークを構築していくかということも、広域ブロックで協議をして決めていっていただくというふうな考え方であります。そういうものが一つ。

 それから、今ちょっとおっしゃいましたけれども、そういう高速道路網が、将来的には一万四千キロというようなものをつくっていこうということになるわけですけれども、しかしながら、高齢社会がこんなに進みますと、自動車の運転ができない人が人口の三割を占める地域とかが当然出てくるわけです。そういう人たちにとっては、道路が整備されても自分の行動の自由というものは保障されないわけでございまして、そういう、地方の人口が五千人とか一万人までのところで生じている問題と、それから日本全国の問題、それから今言う広域ブロックの問題、いろいろな問題がそこにあると思います。

 一番最後の、地方、中山間地帯とか、あるいは漁村、農村、そういうようなところの交通弱者の方の移動をどういうふうにするかということが大問題なのでございまして、それに対する対応が今回の法律でございます。

 したがいまして、この中にはLRTとか最新的なことも書いてありますけれども、一方、やはり乗り合いバスとか、あるいは多目的に使われるバス、あるいはタクシー、乗り合いタクシーというようなものも射程に入れて、その地域地域が自主的、自立的にそれを決めていただく、そういうものがきちっとできるように我々は全面的にサポートさせていただくというのが今回の法律の仕組みでございます。

 したがいまして、国土形成とそういうものについての関係はどうなのかということのお尋ねに対しては、私はそのように今後考えていきたいというふうに思っています。

黄川田委員 多極分散型の社会をつくり損ねたといいますか、難しい課題であったということの中で、いわゆる道州制の関係ですか、そういうブロックの関係であるとか、国際化、東アジアとの関係とか、いろいろな枠組みなんでしょうけれども。

 共同通信社が集計したんですか、二〇〇六年の各都道府県間の人口移動を集計した結果、東京圏への人の流入が加速、特に東京都は四十三年ぶりに転入超過が九万人を突破したということであります。我々地方に住む者は、地方からの人口流出が続けば、地域間の経済格差、ますます広がる一方ではないのか、こういう危惧もするわけなのであります。

 それから、国土交通省として、過疎地域の対策をどうするかということでさまざま調査したということであります。高齢化が進む一方で後継者がおらない、そして集落の衰退、本当に、集落に住む人たちの交通手段がなくなれば集落の消滅だ、こういう現状なわけですね。

 国交省の公表された、この一月ですか、国土審議会の自立地域社会専門委員会の過疎地域等における集落の状況に関するアンケート調査の中間報告でありますけれども、現在ある全集落数六万二千二百七十一のうち、十年以内に消滅の可能性のある集落数は四百二十二にも及ぶと予測されている。したがって、マイカーが運転できないような高齢者にとっては、バスなどの公共交通機関は本当に必要不可欠であるということであります。

 そこで、先ほど大臣から、そういう部分も含めての法案だということになっておりますが、ちょっと見ると、政令市であるとか中核市であるとか、体力があるところの部分での法案がかなりの部分を占めているのかなという気がちょっとしておりますので、地域における公共交通の役割、そしてまたその認識、そして地域の公共交通の維持、活性化について、具体的に国交省の事務方にちょっとお尋ねをいたします。

宿利政府参考人 黄川田委員御指摘のとおり、急速に高齢化が進展しているような集落におきましては、地域の公共交通は文字どおり経済活動や住民の日常生活、社会生活を支える基盤として必要不可欠だと考えておりまして、こういう地域で交通空白地帯が生じつつあるといった事態については、極めて大きな問題であると私どもは認識をしております。

 こういう人口が少ない地域、すなわち交通需要が結果として少ない地域で、民間の事業によりまして公共交通サービスを提供、維持するということは非常に難しいわけでありますし、その状況が近年極めて急速に悪化しているわけでありますから、適切な公的支援が不可欠になっております。

 私どもは、先ほど申し上げましたけれども、地方公共団体と適切な役割分担を行いながら、地方のバス路線の維持のための補助や離島航路の維持のための補助、あるいは地方鉄道の維持、安全確保のための近代化補助など、必要な措置をこれまでも講じてきておりますし、また、総務省と連携をして、総務省で必要な地方財政措置を講じていただいているところであります。

 黄川田委員から、都市部の対策が正面に出ているのではないかという今お話がございましたけれども、この法律の中では、各地域で総合連携計画をつくっていただく、その内容については何ら制約を設けているわけでありませんで、大臣から答弁申し上げていますように、多様な地域の実情に応じて、あらゆる創意工夫をしていただいて、その地域に最も適した公共交通のあり方というのを決めていただくような仕組みをつくったということでありますから、過疎地域やあるいは高齢化が急速に進む地域については、それにふさわしい地域公共交通というのを見出していただくということが肝要かと考えております。

黄川田委員 過疎地域でも市町村の計画をつくればということの御答弁でありますけれども、政令市みたいに百万都市といいますか、人材も豊富で、やれるところはやれるでしょうけれども、二、三万とか、十万以下の中小都市といいますか、そういう中で、なかなか提案方までいけるかなというところもありますし、もちろん地方分権の時代、やらなきゃいけないところでありますけれども、そこにはやはり国交省のしっかりした支えなり、意気込みがなければ、具体として浮き上がってこないのではないのか、そういう気もしたものですから、ちょっと指摘させていただいたわけであります。

 それで次に、地域における鉄道、バス、それぞれの役割と課題等についてお尋ねしていきたいと思っております。

 まず、鉄道の状況であります。

 地方の鉄道、非常に厳しい経営が本当に繰り広げられております。特に最近、地方ローカル線の廃止の報道をよく耳にするわけであります。利用者が少ないとか、事業が成り立たないといっても、その地域の住民にとっては、鉄道は生活のためになくてはならない存在であることは明らかであります。

 そういうことで、民間事業で成り立たないところは、第三セクターとしてやっていくというような形の中で、いろいろあるわけなのでありますけれども、この第三セクターとしての鉄道事業の経営状況、最近どのようなものか、まずこの現状だけちょっとお尋ねいたしたいと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 地方鉄道をめぐりましては、沿線人口の減少でありますとか少子高齢化、道路整備が進む中でのマイカー利用の増加によりまして、輸送量が経年的に減少傾向にございまして、その経営状況は厳しいものがございます。

 委員御指摘の第三セクターの鉄道事業者といたしましては、その生い立ちからいたしまして三通りのものがございます。旧国鉄の特定地方交通線から転換された路線を経営する事業者、これは二十九事業者ございます。国鉄改革時に鉄道建設公団が建設中であった地方鉄道新線を経営する事業者、六事業者ございます。整備新幹線の開業時にJRから経営分離された並行在来線を経営する事業者、四事業者ございます。これらの第三セクターの鉄道事業者の平成十七年度の経営状況を見ますと、三十九事業者中八割を超える事業者が鉄道事業で赤字を計上しているところでございます。

 国といたしましては、これらの第三セクター事業者のうち、旧国鉄の特定地交線から転換された路線を対象に、転換交付金といたしまして営業キロ一キロメートル当たり三千万円を交付しておりまして、さらに運営費補助として事業開始後五年間の欠損を補助してまいりました。また、地方鉄道新線を対象に開業費補助を行い、さらに運営費補助といたしまして事業開始後五年間の欠損を補助するなど、幅広い支援を行ってきたところでございます。

 また、第三セクターか否かにかかわらず、経営基盤の脆弱な赤字の鉄道事業者に対しましては、従来より、安全確保や利用者の利便の向上に役立つような事業に対しまして、いわゆる近代化補助によります財政上の支援を行っているところでありますが、平成十七年度からは、補助対象事業の追加でありますとか補助率のかさ上げなどの拡充を図っていったところでございます。

 以上のほか、整備新幹線の開業に伴ってJRから経営分離される並行在来線を対象に、登録免許税の非課税の措置でありますとか固定資産税の軽減などの特別措置を設けまして、税制面での支援措置を講じてきたところでございます。

黄川田委員 お話しのとおり、新幹線の並行在来線あるいはまた旧国鉄時代の地方の交通支線から転換した第三セクターの経営状況は極めて厳しい、それに対してさまざまな助成策を講じておるという話であります。

 私は、地元の岩手でも、盛岡以北ということで八戸まで開通しておりますけれども、これから八戸から青森までということなのでありますが、盛岡まではもちろん県の負担はなく整備された、並行在来線で第三セクターを経営しなきゃいけない、それから県の負担金ということでたしか一千億ぐらいの負担をしたわけであります。当時は経済対策ということで、起債、地方債の発行で多分対応したと思うのでありますけれども、片方では負担金、片方では在来線の維持ということで、本当に厳しい中にあるわけであります。

 それから、もう一つ地元の話をしますと、三陸海岸には三陸リアスという、三鉄、三陸鉄道がありまして、北リアス線、南リアス線があるわけなのでありますけれども、今答弁されました転換交付金ですか、これもほとんど底をつくようなという状況も現実にあるわけなのであります。もちろん、地域の交通をどう残すかということは、首長、市町村長あるいは知事、そういう方々がどれだけ力を入れるかというところもあるわけなのでありますけれども、地方に活力を取り戻すというのであればさらなる国の対応も必要と思っております。

 それから、昨年の十一月ですか、第三セクター鉄道等への支援措置に関する要望書ということで、第三セクター鉄道等道府県協議会というのがあるわけでありまして、多分これは国交省の方に要望ということで具体が行っておると思いますけれども、全国にも第三セクターを抱えて大変な自治体があるわけでありますので、これに対する支援策も強く要望しておきたいと思っております。

 それでは、次はバスに関してお聞きいたしたいと思います。

 バス輸送についていえば、地方はもちろん、都市部においても必ずしも十分な路線が設定されているとは言いがたいところもあるのではないか。例えば、過去の高度経済成長期に開発された大規模なニュータウンでありますか、最近は子供たちも外に出ていってしまって高齢者が多いところもあるとか、あるいはまたバスなどの公共交通機関が少なくて、高齢者や体の不自由な方々は、買い物であるとかあるいはまた通院などであるとかの日常生活に支障を来している方もおるということであります。特に、丘陵地につくられたニュータウンなどでは坂道なども多く、お年寄りが移動するのは非常に大変なのではないか、こう思っております。

 こういう地域では、自治体にコミュニティーバスなどを走らせてという要望があって、それに対応しているところもあるみたいでありますけれども、先ほど来の、自治体は財政状況が厳しいわけでありまして、コミュニティーバスの運行もできないところがありますし、また、民間事業者との路線の重複等を理由に、真にニーズに合った路線設定や増便ができないなどさまざまな問題があるのではないか、こう思っております。

 そこで、具体の質問でありますけれども、地域の実態を踏まえた福祉目的のコミュニティーバスに対して国はきめ細かい支援を積極的に行っておると思いますけれども、どうなのかということと、それから高齢者を初めとする住民の足の確保について、また事務方にちょっとお尋ねいたしたいと思います。

宿利政府参考人 お答えを申し上げます。

 まず、一般論を重ねて申し上げますが、やはり地域はそれぞれ多様な課題、ニーズを抱えておりますから、それらの課題、ニーズを精査した上で、その地域にとって最適な公共交通のあり方について、市町村を中心に関係者が主体的に総合的に検討して合意形成を図って、各主体が責任を持って推進するといったことが最も大切なところかと思います。

 今、黄川田委員からお話がありました市町村主導のコミュニティーバスなどの関係でありますけれども、これは、地域のニーズに応じて多様な形態で運送サービスが各地で導入されているところであります。また、高齢者や障害者の足の確保という観点からは、いわゆる乗り合いタクシーや福祉タクシーといったものがより適する地域については、そのような取り組みが全国で見られております。

 私どもといたしましては、こうしたきめ細かな旅客運送サービスをより一層普及するという観点から、昨年この委員会に道路運送法の改正案を提案、御審議いただきまして、昨年の十月から施行しておりますけれども、コミュニティーバスや乗り合いタクシーなどの運送サービスの規制の適正化を行いまして、その導入促進を現在図っているところであります。

 また、支援のスキームでありますが、平成十九年度の予算におきまして、コミュニティーバスなどの導入に必要な実証運行、またバス車両などの整備等に対する補助制度を創設しております。また、地方公共団体がコミュニティーバスの運行等生活交通確保対策を講ずる際の地方財政措置も講じているところであります。

 国土交通省といたしましては、これらの予算措置あるいは地方財政措置と連携をしながら、現在御審議いただいておりますこの地域公共交通の活性化、再生に関する法律案を活用して、高齢者を初めとする住民の足の確保が図られるように努力してまいりたいと考えております。

黄川田委員 私も国土交通委員会は今回からでありますので、昨年の改正道路運送法ですか、そういう形の中で福祉バスとか乗り合いバスとかさまざまな有効活用ということが出ていて、法律はつくったけれども、生かされた法律でなきゃいけないものでありますから、現状どうなのかとか、しっかりと生かされるのかというところで聞きたかったものですから、ちょっと過去の話を持ち出すような話になったかもしれませんが、我々はさまざまな法律をつくるところでありますけれども、現場でそれが生かされなければ何にもなりませんので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 それでは、残り時間もあと半分でありますので、ノンステップバスの関係で一言質問したいと思います。

 地域によっては、道路事情をよく考慮して、道路交通の安全を配慮した上で、単にバスをノンステップ化するだけでなくて、別な方法といいますか、例えばバス停部分のみの歩道をかさ上げするなど、さまざまな工夫の余地があるのではないかと思っております。ちょっと具体の質問であれなんですけれども、こういうところではどうなんでしょうか。

宿利政府参考人 お答えを申し上げます。

 バス交通に関するバリアフリー化につきましては二つの観点がございます。

 一つは、バス停の側でありますけれども、これは、高齢者、障害者の皆さんがノンステップバスだけではなくて段差のありますいわゆる低床バスでありましても円滑に乗りおりができるように、道路のバリアフリー化基準というものを定めております。この中で、バス停の歩道の高さを十五センチメートルを標準とするといったことにしておりますので、現在、歩道のかさ上げなどの整備を進めているところであります。

 一方、バス車両の側でありますが、これは平成十二年十一月に施行されました交通バリアフリー法によりまして、新たにバス車両を購入する場合には低床車両を導入することが義務づけられたところであります。ノンステップバスは義務づけの対象ではありませんけれども、移動制約者の皆様にとりましてはより望ましい車両であることは間違いありませんから、バリアフリー新法に基づく基本方針におきまして、総車両数の約三〇%に当たる約一万八千台について平成二十二年までにノンステップバスにするということを目標にして、現在取り組んでいるところであります。

 国土交通省におきましては、このノンステップバスにつきまして、通常の車両価格との差額について国と地方公共団体で協調して補助金を交付して、その導入促進を図っているところであり、現在、車両総数約五万八千台のうち、ノンステップバスが約一五%まで導入が進んでおります。

 いずれにいたしましても、バス停を含む道路空間とバス車両の双方につきまして、現在、関係者の御意見を伺いつつ、バリアフリー化基準を解説したガイドラインの改定作業を行っているところでありまして、今後とも、これらの基準を踏まえながら、バス停、バス車両の両面からバス交通のバリアフリー化が強力に進むように私どもも努力してまいりたい、このように考えております。

黄川田委員 それでは、この法案の基本的課題について、大臣にちょっとお尋ねいたしたいと思います。

 今年度に入って、国交省の法案以外にも、各省の地域活性化策でありますか、これが新法として相次いで動き出すことになるわけなのであります。活性化に取り組む自治体に交付税を上乗せする頑張る地方応援プログラムですか、あるいはまた、国の認定で税の優遇を認める地域再生総合プログラムなど、支援策がたくさん出ておるわけなのであります。ただ、国の支援策に自治体が本当に対応できるのかなというところも私は心配するわけであります。

 例えば、法案の具体的な内容としては、交通事業者に対して強力な財政支援をするといったものではなく、そしてまた、今まで申し上げてきたような公共交通に関する課題を抜本的に解決することがどこまでできるのかというところも間々あるわけなのであります。

 そこで、本法案が地域の公共交通の活性化につながると大臣は考えると思っているんですが、冒頭でも話されたところでありますけれども、また一方、改革派の、改革派というんですかね、別な意味で、異論とまでは言いませんが、次から次へと法案をつくられてさまざまな国の施策の展開をするんだろうが、受け皿の首長の皆さんの中には、国主導といいますか中央集権的といいますか、地方分権の流れの中で何か逆行しているんじゃないのかというふうなことを思う方々も中にはおるわけでありますので、その辺を含めて、認識、見解をお願いいたします。

冬柴国務大臣 地域の公共交通が抱える課題というものは、地域の置かれた状況によって多種多様であります。その活性化、再生の方策も千差万別でございます。

 このために、地域公共交通の活性化、再生を適切に推進するためには、市町村や公共交通事業者、地域住民等の地域の多様な関係者、この中には道路管理者もあれば警察もあります、それから商店街の組合もありましょうし、そういう人たちが、公共交通機関がなくなることによって買い物に来られなくなる、従来のお客様が来られなくなるというようなことになりますと、そういうところも影響を受けるわけでございますから、そういう関係者が緊密に連携して、主体的にその地域における公共交通のあり方を考え、地域の総合的な判断に基づいて、地域にとって真に有益な取り組みを着実に実施するということがこの法律の精神でもあり、何よりも大事なことだと考えております。

 例えば、三重県に三岐鉄道、三重県と岐阜との境にありますが、これが、維持が困難になっていた路線を譲り受けて地域の関係者の努力によって路線を再生させたように、事業者の努力だけではなかなかうまくいかなかった事業が地域の関係者の一丸となった取り組みによって再び従来にも増して活性化、再生された例もあるわけでありまして、このような例は全国にたくさん見受けられます。

 本法案は、このような市町村、公共交通事業者等の地域の関係者が協働して地域の公共交通の活性化、再生のために実施する取り組みについて、この法案に基づく各種の措置、すなわち住民の提案権とか、あるいは余り意欲のない地方公共団体に対してそれを引き入れる方策とか、いろいろ講じてあります。あるいは関係予算、これについても先ほど来答弁しておりますけれども、国の予算の中にも、各局でこれをサポートするいろいろな予算が組まれておりますので、そういうものを投入する。あるいは地方財政措置、これも活用する。それからもう一つは、いろいろな許認可というものが運輸事業は非常に難しいわけですけれども、そういうものも国土交通大臣の確認があればそれは受けたことにみなす、みなし取得というような制度もこの中に入っております。

 このような本法は地方分権に逆行するとは私は全く考えておりません。むしろ、地域の公共交通のあり方を総合的に検討するためのその地域における協議会の制度等を法定化して、そして、それに対して地域公共交通に係る地域がみずから主体的に考え総合的に取り組むことを促進するための環境整備を図るものでありまして、画一的な手法を押しつけるものでは決してございません。

 この仕組みを活用することによって、地域ごとの特性を生かしながら、それぞれの地域の主体的な取り組みによる地域公共交通の活性化、再生が図られるものである、私はそのように確信をして本法案を提案しているものでございまして、ぜひ御理解をいただきたいと思います。

    〔葉梨委員長代理退席、委員長着席〕

黄川田委員 大臣からは地方分権に逆行するものではないという話でありますが、省庁の財務省に対する予算獲得とか、あるいはまた部局の補助金の権限を渡さないとか、そういう姿勢は徐々に消えてきているとは思っておりますけれども、なお国土交通省内でも、道路局とか河川局、大きな予算を持っているところと、総合交通対策がそれ以上の予算を獲得といいますか、内輪の中でもしっかりと、連携といいますか、横軸をしっかりするというか、総合交通政策は、国土交通省だけじゃなくて、他省庁との連携も当然必要でありますし、一つ一つ見えていける形が望ましいと思いますので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 残り時間がないので、総務省からお呼びしておりますので、ちょっと総務省にもお尋ねいたしたいと思っております。

 御案内のとおり、平成の大合併、大ざっぱに言えば、三千の市町村が千八百になったということだと思うわけでありますけれども、市町村は、数は減った、だから市町村当たり人口はふえたということになりますが、実は面積もかなりふえているわけですね。その中での交通政策というのも大事なことになるのでありますけれども、この地域活性化政策には総務省の役割が一番大事だし、その部分ではさまざま財政支援もするということなんでありますけれども、総務省、この法案に対して、財政支援、具体的にどんなものがあるんでしょうか。

津曲政府参考人 地域における公共交通の活性化、再生は、市町村にとって大変重要な政策課題であると認識しております。このため、本法案につきましても、総務省も共管で提出をいたしたところでございまして、国土交通省と連携して、地域の公共交通の活性化、再生に取り組む市町村を支援することとしております。

 具体的に申し上げますと、本法案に基づき市町村が作成する計画の策定経費について特別交付税措置を講じるとともに、同計画に位置づけられます民間事業者によるLRTの整備や、コミュニティーバス車両購入などへの市町村からの助成に要する経費につきまして、地方債の特例に関する規定を設けているところでございます。

黄川田委員 総務省で財政支援するとすれば、地方債の発行と地方交付税ということになると思うんですが、特別交付税で見る、あるいはまた起債対象ではないものを起債対象とするということなんであります。

 そもそも、地方交付税については、小泉構造改革によりまして、総額二十兆円あったものが五兆円ぐらい削減されて、今は十五兆ですか、基本的な地方交付税のしっかりとした財源を確保しなければ、農水省にも地方交付税の面倒を見ました、国交省にも面倒を見ました、そういう言葉だけが躍ってしまいます。地方交付税が持つ本来的な仕事といいますか、役割といいますか、財政の調整機能も大事なんでありますけれども、財源の保障機能といいますか、それらも含めて、財務省とけんかしながらも、総務省はしっかりとした財源の確保をお願いいたします。そうでなければ、国土交通省でも農水省でも、さまざま法案を出しても、実のある法案になりませんので、よろしくお願いいたします。

 残り一分でありますけれども、以上で終わります。ありがとうございます。

塩谷委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 今回の法案を議論する際に、交通政策に関する考え方、それともう一つは、地域住民の移動困難が増大するなど深刻な現状との関係で、やはり移動の権利や交通権にかかわるこういう角度からの議論が必要だろうと思っています。

 私は、そんなに時間がないものですから、皆さんの全体の議論を踏まえて、具体的な点を少し聞いていきたいと思います。

 まず、地域公共交通の現状についてお聞きしたい。

 私は、地域公共交通の衰退というのは極めて深刻な事態だと考えます。特に、過疎地など地方のバスや鉄道などの公共交通は、近年、需要減少に伴う経営悪化が急速に進み、路線廃止や廃業が相次いでいます。

 まず、二〇〇〇年以降廃止された鉄道とバスの路線数と廃止キロメートルはどうなっているか、お聞きしたいと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇〇年以降、本日までの間に廃止されました鉄軌道路線につきましては、二十八路線、五百四十五・八キロメートルとなっております。

 また、現在、廃止届け出が提出されている鉄軌道路線につきましては、二路線、六十四・四キロメートルとなっておりまして、これらを合計いたしますと、三十路線、六百十・二キロメートルとなります。

岩崎政府参考人 バスの方の廃止でございますけれども、二〇〇二年度以降の数字でございますが、年間平均約八千キロ程度の廃止がございます。許可キロの大体二%ぐらいでございます。平成十四年度から十七年度までの合計でいきますと、約三万二千キロでございます。

穀田委員 バスでいうと三万二千キロ、それから鉄道でいうと六百十キロと。

 こういう問題も実は日経グローカルという雑誌では特集をしていまして、瀕死の地方鉄道ということまで言っていて、地域がこれでは移動ができなくなる、そういう確保という問題で極めて重要な事態だということなんですね。

 先ほど来ずっと問題になっていて、この法律が持っている意味合いというのは、現状認識から出発していると思うんですね。そんなに普通の状況じゃなく、いわば大変な状況のもとに置かれているという現実を直視して、そこから出発しなくちゃならぬというのがまず第一じゃないかと私は思っているんですね。

 今の報告でも、結局、地方の鉄道やバスがなくなるという事態が、バスは二〇〇二年とありましたけれども、二〇〇〇年以降でいうともっと減っているんですけれども、非常に深刻な事態が顕在化している。

 それで、先ほど大臣は答弁の中で能登半島地震のことも触れられましたけれども、そこなどでは、一般メディアでは、陸の孤島になっていた高齢者ばかりの限界集落のお年寄りの困難も伝えられている状況でした。

 一方、三月末には、高校生らが先頭に立って存続運動を続けていた鹿島鉄道が営業を終える。依然としてこういう事態が続いているんですね。だから、この地域公共交通の深刻な現状について、やはりもっとはっきりとした認識を持つ必要があるんじゃないかということを一つお聞きしたい。

 それとあわせて、なぜこういう事態が生まれてきたのかということの原因の分析がなければ私はあかんと思うんですね。びほう策では困るわけです。だから、現状に対する認識、それから原因はこういうことなんだという二つの点が要るんじゃないかと思うんです。そこをお聞きしたいなと思うんです。

冬柴国務大臣 この原因につきましては、地域によって事情は大変異なるとは思いますけれども、一般的に申し上げれば、自家用自動車の普及それから宅地の郊外化等によりまして、日常生活における自家用自動車への依存度が年々高まってきたことにあると思います。それに加えまして、公共交通の需要の減少、公共交通事業者の経営の悪化ということで、運行便数の減少ということが公共交通サービスの低下を来すという悪循環を生んでおります。そういうことで一層の公共交通離れを招いたというふうなことが主たる要因ではないか、そのように考えるわけであります。

 それで、先ほどから言いますけれども、昭和五十年で公共交通と乗用車がフィフティー・フィフティーで使われていたものが、今は八四%まで自家用車が使われて、残りわずか一六%を鉄軌道やバスや船舶というようなものが人を運んでいる、こういうことが根本原因だろうと思います。

穀田委員 きのうの参考人質疑でも、まず、現状認識については、地域交通の危機的状況が顕在化していると。それで、戦後最大の岐路だということを私は言いました。そういう点では大体認識が一致したんじゃないかなと思っているんですね。

 ただ、原因の問題については、今るるあって、車の依存とかそれから悪循環とかありましたけれども、私は、自然現象ではなくて、後づけではなくて、では政府がどういう政策をやってきたのかという点で原因をもう少し深める必要があるんだと思うんですね。

 やはり国を挙げてモータリゼーションをやってきた。それから一方、きのうも参考人質疑でありましたけれども、公共交通について言うならば、やはり採算性重視の市場化が促進されてきた。これも政府がやってきたわけですよね。三つ目に、規制緩和もやってきた。こういう政府自身が行ってきた政策との関係で、流れの中にある事象、結果としてそういうことが起こったというのじゃなくて、それをどういう形でやってきたのかということがないと、私はちょっとだめなんじゃないかなと率直に言って思うんですね。だから、そこが大事です。

 しかも、例の交通政策審議会地域公共交通部会の中間取りまとめなどでも、「地域によっては民間事業者の不採算路線からの撤退等により交通空白地域が出現する等公共交通サービスが低下」したと。後は悪循環という問題になっているんですけれども、やはり不採算路線から撤退するというのは事業者にすれば当然あり得るわけで、だから、そういう独立採算制や、それから今言った採算性重視の市場化という問題、こちらも、政府が推進してきたことの関係を全く捨象してやるというのは私はいかがなものかと思っているところなんです。だから、ここは見解が大きく違うところなんです。

 そこで、二〇〇〇年の規制緩和でこの問題に拍車をかけたと私は思っているんですけれども、ここについて聞きたい。

 地域の同意を得なくても事業者の判断だけで路線廃止できるようになりました。今回の法案では、鉄道再生事業において、地域の支援により、事業の廃止届けが出された鉄道事業の延期が可能となる手当てがされています。これは規制緩和見直しという立場なのか。またもう一つ、鉄道はそうなんですけれども、バス事業についても同様の手当てを行うのか。この二点、お聞きしたいと思います。

平田政府参考人 ただいま委員御指摘の平成十二年の鉄道事業法の改正でございますが、鉄道事業者の自主性、主体性を尊重して、高度化、多様化する利用者のニーズに事業者が柔軟に対応できるようにすることなどを目的として、需給調整規制が撤廃されました。その一環といたしまして、鉄道事業に対する新規参入を一定の要件のもとで自由化すると同時に、利用者の減少などにより鉄道特性が失われた路線や区間につきましては、事業者の判断で届け出により廃止できることとされたところでございます。

 今回導入いたします鉄道再生事業の制度につきましては、引き続き、この退出自由の原則を前提とした上で、事業者が単独では維持できないと判断して廃止の届け出が行われた路線につきましては、沿線市町村がみずから支援を行いながら事業者と連携いたしまして維持を図る取り組みのために、両者の協議でありますとか事業実施の枠組みを新たに設けるものでございます。これは、事業者の自主的な経営判断を十分に尊重しつつ、なおかつ、地方鉄道の存続を目指す地域の意欲ある取り組みを促進するものでありまして、頑張る地域を支援することを目的とした制度であると考えております。

岩崎政府参考人 バスにつきましても、平成十四年二月に規制緩和をいたしまして、退出は届け出制とさせていただいております。ただ、地域のバスが退出しますと地域に与える影響が大きいことから、退出の一年程度前に事業者から申し出を受けて、地域協議会というのをつくって、そこで皆さんで生活交通の確保方策を議論していただく、こういう仕組みをつくっているところでございます。

 バス事業者が退出した後、引き続き路線の維持を図るあるいは代替的な交通に転換する等の議論をしていただいておるところでございますので、今後とも、こうした枠組みをつくりながら、地方公共団体と連携しながら生活交通について考えていきたい、このように思っているところでございます。

穀田委員 地域の声を上げるための環境整備を行ったということですね。ただ、そういう法改正で柔軟に対応した、その結果どうなったかということをわざわざ最初に聞いたわけです。その結果、がばっと減ったんですよ、そういう意味でふえたところはないんですよ。あれだけ、六百キロも減ったり、それから何万キロもバス路線が減っている。だから、私は二〇〇〇年からどうなったかと聞いたわけですよ。そこの意図をわかってもらわなくちゃ困るよ。そういう結果として、では地域住民のニーズがなかったか。あったんだけれども、減ったんですよ。そういう点で反省が大事だということを私は言いたいから、一番最初に聞いたわけですよ。

 そこで、私は、一番最初に言いましたように、公共交通政策の抜本的な転換が必要だと思うんです。

 一つは、やはり車社会、モータリゼーション推進政策の転換が必要だと思うんですね。交通事故、渋滞、それから環境破壊、いわゆる自動車交通三悪と言うんだそうですけれども、それらを初めとした車社会の負の部分を解消、軽減する時代に来ているという認識に立つことが必要じゃないか。

 それから二つ目に、そのあおりを受けた公共交通の重視が必要です。先ほど来、皆さんは、地域住民のニーズ、こう言うわけですけれども、前もあったんですよね。それをずっとけ散らかしてきたからうまくいかなかったのです。それは、公共交通を軽視し、市場任せにしてきた結果、先ほど一番最初に大臣が答弁なすった、公共交通機関は、乗客の減少、経営の悪化、便数などが減少、それがまた乗客減、路線廃止と悪循環が繰り返されたということなんですけれども、これを改めて、公共交通を重視するという立場に立つ必要がある。

 三つ目に、みずからマイカーを運転できない高齢者、運転免許やマイカーを持たない通学生など、移動制約者の移動の足を保障することがやはり大事なんですね。それは何も、大臣に言わせると、権利と書くと国家が保障しなくちゃならぬ、こうなるんですけれども、そういうものを目指すという立場、方向性でなけりゃ、すぐコストという話に行って、今時代がそういう時代なんだというふうに見る必要があると私は思うんですね。だから、鉄道やバスなど公共交通機関の廃止は、やはり生存権や勤労権、教育を受ける権利を奪われることになる。だから、こうした住民を置き去りにするんじゃなくて、すべての住民に移動の足を保障する、国と自治体にはその責任がある、こういう角度で物を考える必要があるんじゃないか。

 その三つの点を今提起したいと思うんですが、大臣の所感をお聞きしておきたいと思います。

冬柴国務大臣 モータリゼーションには光と影があります。光の部分は、多くの国民がこれを共有している以上、非常に便利に使っているわけですが、負の部分は、今穀田議員が指摘されたとおり、交通事故、交通渋滞、環境破壊、こういういろいろな負の部分もありますし、それから、そういうものが公共交通機関を、もう営業ができなくなってしまうほど需給関係を崩してしまったというような面がございます。しかしながら、では、このモータリゼーションをとめられるのか。私は、国民の総意として、これはなかなか難しいと思います。

 したがって、私は、この法律が目指すところは、そこの地域の住民が、そのような公共交通機関がなくなったときの不便さ、そして移動の自由を奪われる人たちに対して配慮して、どういうふうにしたらこれが維持できるのかという知恵をそれぞれに出していただきたいと思うんです。それによって、例えばモーダルシフト、すなわち公共交通機関をみんなで使おうじゃないかというような動きをしているところもあるわけでございます。六十五歳以上の人が運転免許証を返上する運動というようなものまで出てきている。そうなると、今穀田議員が言われたモータリゼーションの影の部分というものを、国民総意によってそれを埋めていったりすることもできるのではないか、私はそういうことが望ましいと思います。

 例えば、ごみゼロという問題。我々は連立に入るまでごみゼロということを言いましたけれども、実際は笑われた面もあったわけです。しかし、今になれば、国の非常に大きな政策になっているんじゃないでしょうか。私は、そういう意味で、住民一人一人がその深刻な問題に気づき、そしてそれに自分は何ができるのかということをしたときに、ごみを分別して、そして透明な袋に入れて出そうじゃないか、袋は有料だということまでこれを是認して、ごみの量を半分、三分の一にしたという英知もあるわけです。

 このモータリゼーションも、五百メートル移動するのに自動車に乗るという近代的な人の考え方というものを改めることにより、公共交通機関というものがまたそういう役割を果たすような場面が出てくるのではないか。それは広範な地域住民のコンセンサスの醸成というものが必要でありまして、私は、この法律によって、そのようなコンセンサス醸成についていろいろな手だてを講じたのがこれであり、そしてまた、そこに出てきた結論を全面的に支援していこうというのもこの法律でありますので、そういう意味で御理解をいただきたいというふうに思います。

穀田委員 そこはいろいろ議論のあるところで、本当はもう少し基本的な、考え方の基礎にある問題をよく議論する必要があると私は思うんですね。それ自身、私どもは、今回の場合、地域住民を主体にして物を考えるという点は異議ないわけですね。ただ、そういうところにすべてがあるんじゃなくて、今までの政策的な展開があって、それを今新しく地域住民の権利として保障するという角度でやらないとだめだと思うんですね。

 モータリゼーションがとまるかというと、それはみんなでよく考えてやれば減らすことができるというのは既にきのうの参考人質疑の中でも明らかになってきましたし、世界の例はそういうことを示しているんですね。また韓国の例も、ソウルの例もきのう出ました。だから、その意味でいうと、そこに二つ流れているのは、単なる住民の知恵というのではなくて、まちづくりをやっていく上での考え方、それから住民の移動の権利、それらを保障するという立場から出てきている国と地方自治体の責任、ここが明確になっているからあるんですね。住民が第一であることはもちろんです。それはニーズということで第一であって、それの責任をとるのは、哲学を持った国と地方自治体が責任を持つということをはっきり言っておきたいと思っています。

 時間が参りましたので、終わります。

塩谷委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 昨日の参考人の御意見からも、地域公共交通の活性化そして再生、これは非常に重要な課題でありまして、本法案についても基本的にはよい法案だなというふうに感じています。ただ、地域公共交通の再生そして活性化に対して取り組むに当たっては、本当に地域の方々が喜んでいただけるようなものとなるように、できる限り幅広い地域の、そして関係者の方々に門戸を広げていただきたいなというふうに感じております。

 まず、地元の福井の話でございますけれども、平成十四年十月に京福電気鉄道の永平寺線が廃止されました。また、乗り合いバスにつきましても、福井県内で平成十三年から十六年までで輸送人員が一二%減少しております。このように、地方部の公共交通というのは非常に厳しい状態にあるわけでございます。地域の住民の足の確保のために、この法案が出されるとどのように実際役に立つのか、お答えいただけますでしょうか。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 地域公共交通の活性化、再生のための地域の課題やニーズは多種多様であるわけでありますけれども、こうした多様な課題やニーズを精査した上で、その地域にとって最適な公共交通のあり方をきちっと見きわめることが大切でありますし、それは市町村を中心にさまざまな主体が総合的に検討して合意を形成し、それを各主体が責任を持って推進するということが肝要だと思っております。

 このために、この法律では、そういう地域の関係者が協働して、ともに働く形で地域公共交通の活性化、再生に取り組む仕組みづくりをしたわけでありまして、この法律に基づくもろもろの措置に加えて、関係の予算、地方財政措置などを通じ、国として、公共交通の活性化、再生に主体的に創意工夫して頑張る地方を総合的かつ強力に応援をしてまいりたい、このように考えております。

糸川委員 そうしますと、地域の関係者がしっかりと協議をして本法律案の計画の策定が行われていくに当たって、国として何か財政的な支援ができるのかなというふうに感じるわけです。また、法律上の計画、これを作成するかどうかということはわかりませんけれども、今言われたように、とりあえず協議会をつくって地域公共交通の活性化そして再生について話し合いたいんだというような場合に、この法律が支援する方法というのがあるのかどうか、お答えいただけますか。

宿利政府参考人 まず、この法案に基づく地域公共交通総合連携計画の策定につきましては、十九年度予算で新しく補助制度を設けておりますし、先ほど総務省からも答弁がございましたように交付税措置も講じておりますので、計画の策定に対する支援は十九年度から用意しております。

 また、地域の関係者が集まって公共交通の活性化、再生の問題を検討する場を設けようという場合があるわけでありますが、これにつきましても、国としては、一つは、公共交通活性化総合プログラムというものを活用して支援することが可能になっておりますし、もう一つは、まちづくりの観点から、都市・地域総合交通戦略策定調査による支援も可能になっております。こういった支援措置を活用し、また、私どもの出先であります地方運輸局、地方整備局が連携をして、地域の皆さんの合意形成の促進についてバックアップをしてまいりたい、このように考えております。

糸川委員 この法案で、協議会の基本的な仕組み、これができたということはわかるんですけれども、特に、小さな市町村、ここでは専門的な知識を持っていらっしゃる方が非常に少なくて、そしてノウハウを十分に有しているとは限らないのではないかなというふうに思います。その点について、国として何らかの対策をされているのか、お答えいただきたいんです。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 糸川委員御指摘のとおり、地域において公共交通の活性化、再生を検討する場合に、一つは、専門的な知識やノウハウが十分あるかどうか、あるいは情報をきちんと持っているかどうかというのは非常に大きいわけでありますけれども、現実には、それぞれの地域でこういったノウハウが不足していると私どもは考えております。また、そのような指摘もきのうの参考人質疑でも行われたところであります。

 このため、国といたしましては、地域の公共交通に関する必要な情報やノウハウ、データを体系的に整理、集約いたしまして、市町村等の関係者に適切に提供できるような情報センター機能の整備を推進してまいりたいと思っております。また、必要な技術的な助言あるいは人材の育成などについても努力してまいりたいと考えております。

糸川委員 これは、もしできれば大臣にお答えいただきたいんですけれども、地域の活性化のために協議会をつくろうとかそういうことで考えられるとしても、単に地域公共交通の活性化とか再生だけでなくて、これは昨日も参考人の御意見もあったんですけれども、例えば、観光振興と一体的にやっていくことが望ましいんじゃないのかというふうにも考えているんですけれども、この点について、大臣、どのようにお考えか。

冬柴国務大臣 まさにおっしゃるとおりでございまして、これから地域の活性化に観光というものが非常に大きな役割を果たしていくだろうと思います。

 地域には、歴史、伝統、文化、そして美しい自然や温泉や、そこ独特の食材もあります。そういうものをよそから来た人が楽しめるようにするためにも、その地域内の公共交通機関がなければ、観光振興といってもやはりなかなか難しいと思います。したがいまして、その観点からも、私どもは今回、初めてお尋ねいただきましたけれども、本当に観光とも密接に、域内交通の確保というのは非常に大事な視点だと思っております。

 したがいまして、この地域での住民、市町村が中心になってつくられる、そのような相互連携のプランの中におきましても、観光というものは非常に大きな位置を占めるだろうし、そういうものに対しても、我々はまた助成する予算も持っておりますので、そういうものも、財政問題も、そこでつくられたものについて適切に予算が支出されるように頑張っていきたいというふうに思っております。

糸川委員 ありがとうございます。

 もう時間がありませんので質問はいたしませんけれども、ぜひ大臣、私の福井県、観光名所はたくさんあるんですけれども、点在しちゃってなかなか集中しておりませんので、観光客が入ってきてもどこに行こうかという、なかなかこういう交通のインフラが整備されていない。バスがあっても、その後の時間がつながっていないのでなかなか行かれない、結局レンタカーでないと回れない。そういうところを考えますと、やはり地域振興にはならないわけでして、その地方地方、その地域地域に合った地域公共交通の活性化、ぜひ大臣の方からも各地域に発信をしていただいて、住民参加型そして地域参加型の協議会、これがぜひ成功するように、国交省を挙げて応援をしていただきたいなというふうに思います。

 以上です。終わります。

塩谷委員長 これにて本案に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案について採決いたします。

 本案に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 ただいま議決いたしました法律案に対し、中野正志君外四名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ、公明党、日本共産党及び国民新党・無所属の会の五会派共同提案による附帯決議を付すべしとの動議が提出されております。

 提出者より趣旨の説明を求めます。三日月大造君。

三日月委員 ただいま議題となりました附帯決議案につきまして、提出者を代表して、その趣旨を御説明申し上げます。

 なお、お手元に配付してあります案文の朗読をもって趣旨の説明にかえることといたします。

    地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案に対する附帯決議(案)

  政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用について遺憾なきを期すべきである。

 一 地域公共交通の活性化及び再生に向け、必要な環境の整備に努めること。また、地域公共交通の活性化及び再生に関する施策の策定及びその実施に当たっては、縦割りで硬直的な対応ではなく、地方自治体の積極的な取組を支援すべく、一体的かつ効果的な支援策を講ずること。

 二 地方の山間部や離島地域等においても、また、高齢者、障害者等の移動制約者に対しても、自由かつ安全な移動により、社会を構成する一員としてあらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるべきであるとの認識の下、あらゆる地域において、また、高齢者、障害者等の移動制約者について、移動上の利便性及び安全性の向上に努めること。

 三 鉄道駅におけるバリアフリー化の重要性に鑑み、地方の乗降客数五千人未満の駅においても、地域が強く要望し、地元の協力を得られる駅等については、乗降客数に関わらず、バリアフリー化を推進するよう、必要な措置を講ずるよう努めること。

 四 バリアフリー化された鉄軌道車両導入について、地方自治体の積極的支援を促すため、国として必要な措置を講ずるよう努めること。

 五 運輸部門における二酸化炭素の排出量が増加していることを踏まえ、国際的な枠組に基づき、その削減に向け適切な対策を講ずるよう、最大限の努力を行うこと。

 六 市町村が地域公共交通総合連携計画を作成する場合にあっては、住民、地域交通の利用者その他利害関係者の意見を適切に反映させるよう、また、地域公共交通総合連携計画を作成しようとする市町村が協議会を組織する場合にあっては、その運営が適切なものとなるよう、必要な助言や指導を行うこと。

 七 地方の鉄道及び路線バスの厳しい経営状況を踏まえ、地域における公共交通の維持が適切に図られるよう、必要な措置を講ずるよう努めること。

 八 新地域旅客運送事業の円滑化を図るため車両又は船舶に係る保安上の技術基準の作成及びその運用について行われる配慮が、車両又は船舶の運行の安全の確保に支障のないよう、必要かつ十分なものとなるよう適切に措置すること。

 九 地域公共交通の活性化及び再生を推進する上で必要となる情報を収集するとともに、市町村その他の関係者が情報を適切に得ることができるよう、必要な措置を講ずるよう努めること。

以上であります。

 委員各位の御賛同をよろしくお願い申し上げます。

塩谷委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 採決いたします。

 本動議に賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立総員。よって、本動議のとおり附帯決議を付することに決しました。

 この際、国土交通大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通大臣冬柴鐵三君。

冬柴国務大臣 地域公共交通の活性化及び再生に関する法律案につきましては、本委員会におかれまして熱心な御討議をいただき、ただいま全会一致をもって可決されましたことに深く感謝申し上げます。ありがとうございます。

 今後、審議中における委員各位の御高見や、ただいまの附帯決議において提起されました事項の趣旨を十分に尊重してまいる所存でございます。

 ここに、委員長を初め理事の皆様方、また委員の皆様方の御指導、御協力に対し深く感謝の意を表します。

 大変ありがとうございました。(拍手)

    ―――――――――――――

塩谷委員長 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

     ――――◇―――――

塩谷委員長 次に、内閣提出、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案及び港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。

 順次趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣冬柴鐵三君。

    ―――――――――――――

 広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案

 港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

冬柴国務大臣 ただいま議題となりました、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案及び港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 まず、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案につきまして申し上げます。

 我が国の持続的な発展を図る上では、その活力の源泉である地域の活力の向上が不可欠であり、意欲のある地域の活性化に向けた取り組みについて、民間、公共を含め、地域の知恵と工夫を引き出しつつ、総合的に施策を展開することが重要となっています。

 一方、我が国の国土像として、東京中心の一極一軸型の構造から、広域ブロックがそれぞれの資源を最大限に生かした特色ある地域戦略を描くことにより、自立的な圏域を形成し、各ブロックが相互に、またアジア地域等と直接に交流、連携することで活力ある国土を形成する、広域ブロック自立型の国土構造への転換を目指すことが必要となっています。

 この法律案は、このような状況を踏まえ、民間と連携した地域発意の計画に基づき、広域的な経済活動等を支える基盤整備と地域づくりに対するソフト面での支援等を一体的に促進するための地方の自主性と裁量性の高い財政支援制度を創設すること等により、地域の自立と活性化を図ろうとするものであります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、都道府県は、国土交通大臣が策定する基本方針に基づき、広域的な経済活動等の拠点となる施設やこれと関連する基盤整備事業等を定める、広域的地域活性化のための基盤整備に関する計画を作成することができることとし、広域地方計画協議会が同計画の実施に関し必要な協議を行うことができることとしております。

 第二に、民間事業者による拠点施設の整備を推進するための国による認定制度を設け、認定事業に対する民間都市開発推進機構による金融支援や、認定事業者による都市計画の提案等の措置を講ずることとしております。

 第三に、都道府県が実施する拠点施設関連基盤整備事業及びこれと一体となって地域活性化を推進する、NPO、民間事業者等の多様な関係事業者の活動等を促進するため、地方の裁量度を高め自主性を大幅に拡大する交付金制度を創設することとしております。

 次に、港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案につきまして申し上げます。

 港湾においては、従来より港湾及びその周辺の環境を保全するため、当該区域から発生する廃棄物を埋立処分するための海面処分場等の整備を推進してきたところであります。

 近年、内陸部における最終処分場の確保が次第に困難となってきていることから、海面処分場における廃棄物の受け入れに対する要請がますます高まっております。このため、今後とも海面処分場を計画的に確保できるよう、その整備に係る国の負担割合を引き上げることとし、このたびこの法律案を提案することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 海面処分場の計画的な確保を図るため、廃棄物埋立護岸等を建設または改良する工事について、港湾管理者施行の場合の国の補助率及び国土交通大臣施行の場合の国の負担率を、現行の十分の二・五以内から三分の一以内に引き上げることとしております。

 そのほか、これに関連いたしまして、所要の措置を講ずることとしております。

 以上が、広域的地域活性化のための基盤整備に関する法律案及び港湾法及び北海道開発のためにする港湾工事に関する法律の一部を改正する法律案を提案する理由です。

 これらの法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

塩谷委員長 これにて両案の趣旨の説明は終わりました。

 次回は、来る十三日金曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


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