衆議院

メインへスキップ



第19号 平成19年5月16日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年五月十六日(水曜日)

    午前九時一分開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君

   理事 西銘恒三郎君 理事 葉梨 康弘君

   理事 山本 公一君 理事 伴野  豊君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    鍵田忠兵衛君

      梶山 弘志君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    桜井 郁三君

      島村 宜伸君    杉田 元司君

      鈴木 淳司君    薗浦健太郎君

      徳田  毅君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    原田 憲治君

      松本 文明君    宮澤 洋一君

      盛山 正仁君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    泉  健太君

      黄川田 徹君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    下条 みつ君

      土肥 隆一君    長安  豊君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      穀田 恵二君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  井手 憲文君

   政府参考人

   (内閣府規制改革推進室長)            田中 孝文君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     柴田 耕介君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省国土計画局長)            渡邊  東君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省河川局砂防部長)           亀江 幸二君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  平田憲一郎君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  中尾 成邦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月十六日

 辞任         補欠選任

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

五月十六日

 公営住宅建設等に関する請願(塩川鉄也君紹介)(第一〇七三号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第一〇七四号)

 同(吉井英勝君紹介)(第一〇七五号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房総合観光政策審議官柴田耕介君、総合政策局長宿利正史君、国土計画局長渡邊東君、河川局長門松武君、河川局砂防部長亀江幸二君、道路局長宮田年耕君、住宅局長榊正剛君、鉄道局長平田憲一郎君、港湾局長中尾成邦君、航空局長鈴木久泰君、内閣官房内閣審議官井手憲文君及び内閣府規制改革推進室長田中孝文君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。長島忠美君。

長島(忠)委員 おはようございます。自由民主党の長島忠美でございます。

 きょうは、質問の機会を与えていただきまして、大変ありがとうございます。

 私は、二年六カ月前に中越地震によって被災をした当時の山古志村長でございました。みずからの被災の体験、あるいはそれからの国、県の復興に対する支援のあり方を見ながら、みずからの体験を踏まえて、私は、国土の保全あるいは国民の安心、安全という観点できょうは質問をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いをいたします。

 まず最初に、三月二十五日、能登半島地震が発生をし、国土交通省はいち早く、国土交通大臣が現地に出張され、道路等インフラの早期復旧に向けた支援あるいは激甚災害の早期指定あるいは普通交付税の繰り上げ交付等について格段の御配慮をいただきましたことに、私も同じ被災を体験した者として心から感謝を申し上げさせていただく次第でございます。

 私たち中越地方を襲った地震から二年六カ月余りが経過をしました。ことしの四月一日、やっと全地区避難指示を解除することができました。ことしの秋、雪が降る前までに全員が住宅再建を済ませて村に帰ろう、それが今の私たちの合い言葉でございます。今なお仮設住宅には百六十世帯が暮らし、その日を夢見ている次第でございます。

 平成十六年十月二十三日、午後五時五十六分に、震度七の激しい揺れとともに、私たちは一瞬にしてふるさとを失うことになりました。当時、現地を歩いた私にとって、ふるさとは変わり果てていました。何をしていいかわからない、何ができるかわからない、多分それは絶望の世界だったと思います。

 当時、公明党幹事長でいらした冬柴国土交通大臣が現地を訪れていただき、現地を歩いていただいたときには、まだ村じゅうが土石流の状況、国土交通大臣が泥んこの中をお歩きいただいた姿は今なお私の胸の中に残っている次第です。あの日、大丈夫だと一言声をかけていただいた、それが私たちの励みになって今日まで来られたような気がいたします。

 実は、私たち、地震によって住宅を失うだけではなくて、公共施設、インフラのすべてを失うことになりました。御承知のように、私たちの村を横断する芋川という一級河川において天然ダムが発生をいたし、二百六十万トンの水がたまり、十四戸の住宅が水没をしてしまいました。当時、その二百六十万トンの水がせきとめられた山を乗り越えて二次災害を引き起こすことが非常に心配をされたわけでありますけれども、国直轄の湯沢砂防事務所が機動力を生かし、全国に呼びかけていただき、本省において調整をしていただいたことによって、二次災害の事なきを得るに至りました。

 私は、大規模な土砂災害等が発生したときは国の役割は非常に重要である、専門的な技術と経験に基づいた危機管理あるいは災害対応は、自治体の手に負えるものではなく、国でなければできないということを痛感した次第でございます。国も、あの現場に立って、日ごろから事業を実施し、いざというときに本省の指揮の下に有機的に機能するという姿が被災者や被災地を助けていただいたというふうに私も実感をしておりますし、多分、国の担当者の皆さんも実感をされている、私はそんなふうに思います。

 そんなことを踏まえたときに、大規模な土砂災害が発生した際、国がどうやって責任を果たしていくべきなのか。そしてまた、近年、集中豪雨が非常に多くなり、土砂災害が多発していることを踏まえたときに、災害の予知あるいは調査等について国がどんな役割を果たしていくべきなのか。幸い、昨年、国土交通省では大規模土砂災害危機管理検討委員会を外部の団体の協力により開催し、提言をいただいたと承知をしております。

 このことを受けて、国土交通省はこれから能登災害等についてどのような対応を行っていくべきなのか、ぜひ砂防部長さんから見解をお聞かせいただければありがたいと思います。

亀江政府参考人 大規模土砂災害に対する国土交通省の対応についてお尋ねがありました。

 新潟県中越地震に伴う河道閉塞、天然ダムの形成や同時多発的な土砂災害などの大規模な土砂災害が発生した際には、国民の安全、安心の確保は国の基本的な責務であるとの認識のもと、被害の拡大防止、軽減のため、国みずから迅速な対応を行うことが重要と認識しております。

 具体的には、国は、土砂災害に対する専門知識や全国的な災害経験の蓄積、各種の災害対策用資機材等を有していることから、専門家や資機材の派遣などを通じ、地方自治体を支援しているところです。例えば、先生御指摘のように、能登半島地震による土砂災害に対しては、中越地震の経験を有する北陸地方整備局や近畿地方整備局、土木研究所等からの広域的な支援を実施したところです。

 頻発する土砂災害に対する危機管理のあり方について、長島委員を初め有識者から成る大規模土砂災害危機管理検討委員会を設置し、御提言をいただいたところでございます。今後、この提言に基づき、直轄砂防区域以外も含め、国が積極的、主体的に大規模土砂災害に対する危機管理を行えるよう適切に対処してまいる所存でございます。

長島(忠)委員 ありがとうございました。

 資料について、これが今お話をし、お答えをいただいた、左上に掲示をしてあるのが被災当時の写真です。それがわずか二年余りで右下のように道路が開通をし復旧をするということに至った。これは技術力だけではなくて、国を中心としたネットワークの力だというふうに私自身は感じておりますので、ぜひこれからも国民の安心、安全のために大規模土砂災害に取り組んでいただきたいと思います。

 次に、同じく国民の安心、安全という面では、安心、安全な道路のネットワーク、真に必要な道路ということが私は必要だと思います。その点について、少し被災地からの報告をさせていただきます。

 資料の先頭におつけをしておきました写真、国道二百九十一号線、三けたですから、当然、県管理の国道でございます。延長十キロが形をすべてとどめないほどに被災をいたしました。国土交通省はルートの変更も含めて国直轄工事として御採択をいただき、新しいトンネルが一本、新しい橋が二本、信じられないスピードで、一年十カ月と十一日で実は開通をさせていただきました。これは、国、県、そして業者の皆さんの技術力だけではなく、国民の安心そして思いということを受けとめてくれた公共事業のあり方だと私は深く感謝をしているところでございます。

 さて、今、道路のことを考えたときに、各地で新聞をにぎわしているように、道州制の導入について議論が交わされていることは皆さん御承知のとおりです。その中で、道路あるいは社会資本の管理を道州の権限とする可能性についても議論されていることは承知をしています。

 ただ、被災を受けた立場、あるいは国民の安心、安全という観点を考えたときには、私は被災者の体験から、この方向性について実は少し心配をしております。基本的な国民の安心、安全にかかわる部署に関しては国がきちんと責務を果たすべきではないかというのが、被災者として感じた私の考えです。

 道路には被災直後から救援物資や復旧支援のための業者がたくさん入ってまいります。一本だけの道路では、とてもあれだけの可能性は、できなかったと思います。中越地震の際には、国道については、八号線、十七号線、百十六号線で十二カ所、県管理の道路で二百二十四カ所、市町村道では八百四十五カ所で通行どめが余儀なくされました。そして、高速道路についても北陸自動車道が通行どめになり、迂回路がなければ支援物資すら届かなかった状況だ。幸いにして、私どものところには磐越あるいは上信越道というところから迂回をすることができたために、迅速な対応をしていただいたというふうに私自身は感謝をしているところでございます。

 また、混乱した現場においてすぐれた技術的な対応を可能にしたのも、全国的な経験や視野を持った専門家が適切に調査、判断を行っていただき、北陸地方整備局だけではなく、関東や東北の地方整備局からも現地に駆けつけていただいた、そして情報を共有していただいた、そのことが早期の復旧につながったと私自身は大きく感謝をしているし、そのことを全国の皆さんにもお伝えしたいと思います。

 そして、災害からの復興に関しては、どうしても多大な資金の投入が必要となります。地方自治体の財政規模では、どうしても財政的な問題から災害復旧には時間的に長期を要し、その間に地域の一層の衰退を招く危険性があったところでございます。そうした状況下で、被災した道路の復旧には集中的な予算と人材の投入をいただき、特に、県管理の国道二百九十一号線に国による権限代行の特別の措置がとられたことが、平成十八年九月三日、一年十カ月と十一日という早期開通につながったと私自身は感謝をしているところでございます。

 私は、以上述べたような理由から、我が国の場合、大規模災害への対応は、たとえ道州といった、あるいは基礎的自治体といった自治体であっても、行政体であっても、とても手に負えるものではなく、やはり国家としての対応が不可欠だと私は実感をしています。

 安心、安全な国民生活を支える社会資本を整備、管理することは、災害の多い我が国では国を挙げて努めなければならない国家的責務であると私自身は感じるところであります。このために、資金、人材、ノウハウの蓄積は分散をさせることなく、ぜひとも国家レベルで集中をして確保していただきたい。

 その上で、道路中期計画を現在、国土交通省ではお立てだというふうにお伺いをしています。その中で、道路中期計画を立てる上で、道路特定財源といったような財源の問題はどのように関係をしているのか、道路局長さんから見解をお聞かせ願いたいと思います。

宮田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘の中期計画でございますが、昨年の十二月に出ました具体策におきまして、真に必要な道路整備は計画的に進める、そのために今後の具体的な道路整備の姿を明らかにする、そういった観点で中期計画をつくるというふうになったものだと理解をしております。

 中期計画では、真に必要な道路整備について、中期的な整備目標とその達成に必要な事業量、そういうことを明示されることになるというふうに想定をしておりまして、今後、この中期計画の内容を踏まえまして、道路整備のための財源確保を関係各方面にお願いしていく、そういうことになると思います。

 ちなみに、現五カ年計画あるいは暫定税率は平成十五年から本年度十九年度まででございますが、現在、計画は社会資本整備重点計画でございます、この計画の中には事業量は明示されておりません。ただ、道路に関しましては、国民に対して財源二倍以上をお願いしている、暫定税率二倍以上をお願いしているということもありまして、国民への説明責任を果たすということで、道路は事業量については閣議決定をしていただいております。そういう観点で、今回も事業量を明示することになるだろうというふうに想定しておりまして、それをもって国民の皆様方にお願いをしていくということだろうと思います。

 計画の中身でございますが、具体策の取りまとめに当たりまして、与党の方から、生活者重視の視点から、災害に強い道路などについて、地域の自主性にも配慮しながら適切に措置することという申し出をいただいております。そういったことを国土交通省といたしましても中期計画の策定に当たって重要な視点というふうに認識して進めてまいりたいというふうに考えております。

長島(忠)委員 ありがとうございます。

 私は、その中で、真に必要な道路あるいは社会資本について財源の制約を受けるべきではない、やはり早期的に、目標を立てた上で、目標年度を設定した上で計画を立てたら、それについて財源を徹底的に確保していただきたいというふうに要望をさせていただく次第でございます。

 次に、道路と同じように、道路中期計画を作成することと同じように、安心、安全を確保する上で、河川についても中期的な計画が私は必要だと思いますし、そのことを戦略的に対策を進めることは国民の安心、安全につながると信じておりますが、河川局長からそのことについて見解をお聞かせいただきたいと思います。

門松政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のとおりと認識しております。近年、特に気候変動の影響等によりまして、集中豪雨が増加傾向にあります。また、世界各国が参加しております気候変動に関します政府間パネル、いわゆるIPCCという機関でございますが、ことしになりまして第四次報告書を順次公表されております。この中には、地球規模での気候変動による海面の上昇あるいは集中豪雨の激化が予測されております。

 水害、土砂災害から国民の生命と財産を守ることは国の基本的責務であると考えております。災害発生時の緊急的な対応あるいは大規模な予防的対策は国が責任を持って実施すべきものと考えております。

 限られた予算の中でありますが、頻発する豪雨災害に対処するため、人命あるいは生活に深刻な影響を及ぼす被害を解消するため、あるいは軽減するために、投資を徹底的に重点化することが重要であると考えております。

 このため、次期社会資本整備重点計画の検討とあわせまして、新規投資への余力が残された今後十年間におきまして、達成すべき安全、安心の目標を明確にいたしまして、計画的、重点的に事業を進めるため、具体的な事業の内容、必要性等を明示した中期的な計画について検討を進めているところでございます。

長島(忠)委員 少し資料をごらんいただきたいと思います。

 今、お答えをいただきましたが、まさに予防あるいは調査をして国民の安心、安全を図るということが、災害が起きたときの対応よりはるかに費用的にも時間的にも有利であるということだと思うんです。

 先ほど説明をしたダムの現場、これは土量が百三十万立米と言われました。当初、取り除くのに六年という歳月と九十億円という費用がかかりますと。これを取り除けば、もとあった十四戸の集落は村を取り戻せます。でも、六年と九十億円という費用の中では、とても年月は待てないということで、このダムをせきとめ、固定をしていただいて安全にしていただく、そのほとりに住むことを選択いたしました。

 もしこれが、予防あるいは安全、安心という観点で対策を練ることができて、対策ができていたとしたら、こんな事態は起こらなかったのではないか。その後の対応については、これだけ素早く迅速に人道的な立場でやっていただいた、それでもなおそういう思いが残る。ですから、国が安心、安全のために責任を果たしていただきたいと重ねて御要望させていただく次第ですので、どうぞよろしくお願いをしたいと思います。

 少し観点を変えて質問をさせていただきます。

 皆さんのところに「中越大震災 復旧工事の記録」という、地元の建設業協会がこの復旧工事に当たりながら取りまとめた冊子をお配りさせていただきました。もちろん災害復旧には国や県の思いを込めた支援が必要ではありましたけれども、それを受けとめた業者の皆さんの日夜を問わない活躍も、私たちにとってはとても大きな支援になりました。私は実はここにバッジをつけております。これは当時、被災地に当たる建設業協会の組合員の皆さんが作業員すべてに配って、これは缶バッジ、みんなで頑張ってみんなで復興という合い言葉でつくったバッジです。その思いを持ちながら、現地の復興に危険を顧みず当たっていただきました。

 実は、昨今、公共事業の減少あるいは効率的な入札制度の中で、地元の住民を守ってくれる業者の皆さんが少し疲弊をしつつあります。私は、このような思いのある業者の皆さんを地方からなくすことは国にとって大きな損失であるのではないかな、そんなふうに思うところでございます。

 ぜひ政策局長から、このように大規模災害発生時だけではなく、ふだんから住民に貢献をしてくださる地元建設業界の貢献の評価そして育成振興策について、もし御見解があったらお聞かせを願いたいと思います。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 地域の建設業につきましては、我が国の立ちおくれている社会資本整備の担い手であるということだけではなくて、基幹産業として大変多くの就業機会を提供するなど、地域の経済社会の発展に欠くことのできない重要な役割を担っていると私どもはまず認識しております。

 その上で、近年、先ほどお話がありましたように、中越地震や能登半島地震を初め地震や風水害などの自然災害が多発する中で、国民の生命と財産を守る社会資本整備の重要性がますます再認識、評価されているわけでありますけれども、加えて、今長島委員からお話がありましたように、災害発生時や復旧過程において地域の建設業者が果たす対応の重要性ということにあわせかんがみますと、建設業に対する国民あるいは社会の期待は極めて大きなものがあると考えております。

 今、長島委員からお示しのありましたこの復旧工事の記録を私もつぶさに拝見いたしましたが、この中でも、地元長岡市の建設業者の皆さんが身を挺して復旧工事に取り組んでおられる様子が大変丁寧に記録されておりまして、心から敬意を表したいと考えております。

 ところで、お話がございました点でございますけれども、国土交通省としては、一つは、入札契約制度の改革によって公正な市場環境の整備を図るということを進めております。この中で、技術と経営にすぐれた企業がきちっと評価をされて活躍ができるような環境整備を図りたいと取り組んでおります。同時に、農業や福祉など、地域の産業に密着した産業としての建設業のノウハウを生かした新しいニーズに対応していくという取り組みもバックアップしていきたいということで、努力をしているところであります。このようなことを通じて、地元の中小、中堅の建設業が健全に発展していくということを強く期待しております。

 同時に、お話がありました、地域への貢献をどのように考えるかという点でありますけれども、私ども、地域の建設業者が災害発生時等防災活動において地域にいかに貢献していくかということを適切に評価することが、建設業、特に地域の建設業の健全な発展を促す上で重要だと考えておりまして、二つの取り組みをしております。

 一つは、経営事項審査制度の中で、災害時の防災活動に取り組む建設業者に対しまして加点評価するという仕組みを昨年の五月から導入して、実施をしているところであります。あわせて、地方公共団体が行う総合評価方式の普及拡大の中で、施工実績や工事成績に加えまして、防災活動の実績などの地域貢献を重視する、そういうより簡易な総合評価マニュアルを先般策定いたしました。これを通じて、地域への貢献がきちっと評価されるような形でその総合評価が導入されていくことをバックアップしていきたいと考えております。

長島(忠)委員 ありがとうございました。

 私は、今言われたことで、きちんと地元の業者を国土交通省が見ていてくださるということで、あの泥沼の中、危険だということで、何とか道路をつくらない限り復旧は始まらない、思いを受けとめて、泥沼の中に勇気を持ってブルドーザーを進めてくれた業者の皆さんの思いが少しはかなうのかなと、私の立場から感謝を申し上げさせていただきます。

 最後に国土交通大臣に、国土の保全、そして国民の安心、安全、これは国の大きな責務である、私はそんなふうに考えるところでございます。

 一点だけ写真をごらんいただきたいんです。国土交通大臣も幹事長のときにごらんをいただいた皆川優太ちゃんが救出をされた現場が、今年三月二十四日、二年五カ月と一日ぶりに開通をさせていただきました。住民はもちろん大きな喜びに染まりましたが、同時に、優太ちゃんのお母さんとお姉さんがここに眠られる、複雑な気持ちの中で、実はこの現地の開通の日を私も迎えさせていただいた次第です。それでも、道路を取り戻したこと、そのことに対する喜びの方が今は住民にとって大きなものであったような気がします。

 百ミリ以上の雨の降る比率が、近年十年間では過去と比べて二倍ぐらいになっている。災害が多くなる、災害が集中するということを考えたときに、安全、安心な国民生活を支える広域道路ネットワークの確保をする、大規模土砂災害や水害対策について国がきちんと責務を果たす、国土保全の観点から国がきちんと役割を果たしてほしいと私は願うところでありますけれども、国土交通大臣から御見解をお聞かせいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 長島委員から、災害を受けた直後の村長として、最高の行政の責任者として取り組まれた体験を含めて、今質問をいただきました。

 その中で、私は、国に対して不満が多い中で、長島議員からは感謝の言葉がたくさん出たということは本当にうれしい限りでございまして、国として当然のことをしたわけですけれども、それを高く評価していただいたということを本当に心から喜ぶものでございます。

 国民の安全と安心を確保するということは、国の基本的な責務でございます。大規模災害への対応は国が責任を持って対応すべきものでありまして、山古志のときもそうだったけれども、最近の能登半島の地震のときも、あの能登空港は翌日から完全に飛行可能といたしましたし、それから、あれほどたくさん壊れた道路も連休前には完全に往復で通れるようにすることもできました。国土交通省から七十五人の技術者を派遣して、昼夜を分かたず当たらせたわけでございますけれども、そのように、震災に対して果敢に迅速に対応するのは国の責務だ、基本的な責務だと思っております。

 このため、まず、気候変動による海面上昇や集中豪雨の激化に対応して、国土保全の観点から水害・土砂災害対策を重点的に行って、人命や生活に深刻な影響を及ぼす被害を解消しなければならないというふうに思っております。

 また、新潟中越地震のような大規模災害が発生した場合には、被害の拡大防止、軽減のために、専門家あるいは資機材の派遣など、国みずから迅速な対応を行っていかなければならないというふうに思っております。

 また、道路整備につきましても、災害に強い道路網の整備など、安全、安心の確保を図ることは重要な視点であると考えておりますので、こうした視点を踏まえまして、国民の幅広い意見を伺いながら、十九年中に道路整備に関する中期計画を作成してまいりたい、このように思っております。

 国土交通省といたしましては、今後とも引き続き、国の役割として、安全、安心の確保に努めてまいりたいと思っております。

 なお、三月十日だったと思いますけれども、上空から復興した山古志村を整備局のヘリで見せていただきました。非常にきれいに道路が整備され、そしてダムがつくられ、これで住んでいただけるんじゃないかということを、上空からではありますけれども、見せていただきました。今後も頑張ってまいります。

長島(忠)委員 どうもありがとうございました。質問を終わります。

塩谷委員長 赤羽一嘉君。

赤羽委員 公明党の赤羽一嘉でございます。

 きょうは、一般質疑三十分間ということでございます。

 まず最初に、先日、当委員会で審議されました地域公共交通の活性化、若干やりとりをさせていただきましたその関連で、きょうは、地域における特に鉄道事業について御質問をさせていただきたいと思います。

 先日の委員会で、地方、政令都市ですら鉄道事業が立ち行かなくなっている、こういった指摘をさせていただきながら御質問させていただいたわけでございますが、そのときに大臣から、民間鉄道の経営が非常に悪化している、その理由は乗客が減ったということでありますということで数字を示されたわけでございますが、もちろん、その傾向、そういうのが大きな一つの要因であるということは私も全く否定はしないんですが、実は、そういう乗客の数が減ったということで経営が立ち行かなくなってきた鉄道事業者ばかりではないと。

 実は、冬柴大臣もよく御存じだと思いますが、神戸市内の北区に北神急行という極めて変わった鉄道がございまして、恐らくこの委員会に出席の委員の皆さんが聞くと驚くような、新神戸から谷上駅という、六甲山脈の下を通っているトンネルの一区間だけで経営をしているという事業者でございます。資本金の十倍ぐらいの当初のトンネル費用がかかっている、過少資本で経営をしているということでございまして、実は、経常経費といいますか、毎年の経営はそこそこ赤字にはならない状況でありますけれども、やはり最初の初期投資が極めて膨大で、引っ張っている。ですから、このことについては、実は私、初当選以来、毎年毎年この旧運輸委員会で大臣がかわるたびに御紹介をし、何とかしてほしいということを訴えてまいりました。

 といいますのは、一区間七・五キロで、乗っている時間は七、八分足らずですが、四百三十円という恐らく日本で一番高い鉄道料金でありまして、ここを何とかしてほしいと。登山列車並みの料金で政令都市の中を走っている民間鉄道があるということを訴えさせていただきました。

 さまざまな取り組みがございまして、実は、国土交通省の陣頭指揮のもと、兵庫県、神戸市、また阪急電鉄、神戸電鉄、北神急行という、関係者が一つのテーブルに着かれて、そして、いわゆる上下分離の手法を駆使し、国もお金を出し、県、市もそれぞれ補助金を出すといった形で、実は、今から八年前の四月一日から八十円の運賃値下げが実現をいたしました。これは、恐らく民間鉄道の運賃の引き下げという意味では極めて珍しい事例であったというふうに思っております。

 私は、こういった意味で、上下分離という手法は今後拡大していかざるを得ないのではないか。乗降客をどうするかというのは、それは地域住民の問題であり、民間鉄道事業者の問題であるというふうに思っておりますが、構造的な問題、鉄道施設ですとか駅舎、こういったハードの面は少し公的な助成があっていいのではないか、こういうふうに思っております。

 そういったことを実現してもらったこの北神急行電鉄への取り組みというのは、まさに私は大変画期的な仕組みをつくっていただいたということを高く感謝もし、高く評価もするわけでございますが、兵庫県と神戸市が運賃助成を毎年五・四億円していただいているんですが、当初、平成二十年度いっぱいで予定期日を迎えるということになっております。平成二十年度といいますと、いよいよ来年度いっぱいということでありまして、その後この八十円の値下げが維持できるのかどうかということを、地元の住民として、大変心配の声が上がっているわけでございます。

 この北神急行電鉄も、過剰負債もクリアになり、そして毎年毎年の決算もようやく、少しではありますけれども、黒字が出せるようないい状況になっている。ショートカットできる、機能としては大変大きな鉄道ですので、何としても、兵庫県、神戸市が主体となって考えていくというのはもちろんでありますけれども、ぜひ国としても、あれだけ、八年ぐらいかけてつくっていただいた仕組みを平成二十年が終わったからといってまたもとに戻してしまっては大変残念な結果になってしまいますので、この点についての国の取り組みのお考えについて、確認をさせていただきたいと思います。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 北神急行につきましては、ただいま委員の御指摘のとおり、神戸市の北部の北摂・北神地域の住宅開発に伴います神戸市都心への通勤通学などの輸送にこたえるべく、六甲山の下をトンネルで、神戸電鉄の谷上駅と神戸市の地下鉄の新神戸駅とを連結する鉄道として、昭和六十三年に開業した路線でございます。

 こういった地域の足として重要な役割を果たしてきたところでございますが、同社の経営につきましては、北神地域の住宅開発事業のおくれによります輸送需要の低迷などによりまして経営が悪化いたしました。債務超過状態に陥ったため、平成十四年に関係者によります抜本的な経営再建措置がとられたところでございます。

 具体的に申し上げますと、ただいま委員の方から御指摘がございましたように、まず第一に、第一種鉄道事業者でありました北神急行電鉄は、その保有する鉄道施設を第三セクターでございます神戸高速鉄道に譲渡いたしました。神戸高速鉄道が第三種鉄道事業者となりまして、新たに第二種鉄道事業者となった北神急行電鉄が、施設を借り受けて運行するいわゆる上下分離方式により、鉄道営業の存続を図ることとしたところでございます。

 第二番目でございますが、一方、兵庫県、神戸市と阪急電鉄におきましては、神戸高速鉄道に対しまして、北神急行電鉄から鉄道施設を買い取るための資金の貸し付けを行うことにしたわけでございます。

 第三点目は、では国の方はどういうような関与をしたかという点でございますが、鉄道施設につきましては、旧鉄道建設公団が建設をいたしまして、北神急行電鉄に割賦譲渡したものでございます。国は、北神急行電鉄が公団に対して負っておりました債務につきまして期限前の一括の全額償還を認めることとするとともに、早期弁済受け入れに伴う鉄道建設公団の損失につきましては、国が助成を行ってきているところでございます。

 こういった関係者の支援でありますとか努力によります抜本的な経営再建措置によって、同社の経営状況につきましては、当期損益ベースにおいて毎年黒字で推移するなど安定した状況にありまして、輸送人員についても微増傾向ということでございます。

 以上のように、同社の抜本的な経営再建を支援してきたわけでございますが、地元におかれましては、神戸市の北部地域住民の鉄道運賃負担の軽減でありますとか利用者増を目的といたしまして、ただいま委員御指摘のように、兵庫県と神戸市から同社に対しまして、十一年度より運賃を低減するための補助が行われておりまして、この補助につきましては平成二十年度までと聞いております。

 以上のように、北神急行につきまして、北摂・北神地域の足としての重要な役割にかんがみまして、これまでも鉄道事業者、地元自治体の関係者が一体となってその利便性の向上に取り組んでこられたわけでございますし、平成二十年度以降の地域としての支援のあり方につきましても、関係者の合意形成に基づきまして適切に実施されるものと私ども国といたしましても期待しているところでございます。

赤羽委員 ぜひ、今るる御説明いただいたようなこれまでの経緯がありますので、その経緯が踏みにじられないような、変化を起こさないでいただきたい。運賃は今のレベルでもまだ高いという声が実態でありますので、ぜひ、兵庫県また神戸市とよく、丁寧に御相談に乗っていただきたいと思います。

 もう一つ、この点について言いますと、やはり私は、北神急行という、一区間だけの民間鉄道という形態そのものが余り正常なものじゃないんじゃないか。谷上から新神戸へのこの区間だけ乗りおりするというのは、新幹線に乗る客だけなんですね。谷上の駅の周辺というのは住民が少ないわけですので、そこから神戸電鉄で十五分ぐらい乗って大団地がある。そこの人が都会に出るとすると、三宮とか兵庫県庁前まで行くと、神戸電鉄、北神急行そして市営地下鉄と三回乗らなければいけない。初乗りが三度になるんですね。片道千円ぐらいかかってしまう。これは極めて異常な状況なんですね。

 ですから、私は、北神急行の抜本的なあり方ということも実は大きな課題になるのではないかということも、地元の議員として申し添えておきたいと思います。

 次に、関連するんですが、先日、地域公共交通の活性化の法案を出した意義として、宿利総合政策局長から、高齢化社会における自立した日常生活を図るということと、活力ある都市活動を支える、また観光振興、また環境面、こういったさまざまな面で地域公共交通の活性化を図っていかなければいけないという御答弁がございました。

 また、鉄道局長からも、近代化補助制度についても、平成十七年度からは、パーク・アンド・ライドで、駐車場、駐輪場や新駅については補助率を五分の一から三分の一に引き上げるですとか、また平成十九年度からは、駅を中心としたまちづくりを進める場合はしっかり国としても支援をしていく、こういった御答弁があったところでございます。

 私は、こういった意味での公的支援を拡充していくことは大変重要だということを先日の質問でも申し上げたんですが、鉄道事業者に対する公的支援を拡充していくという方向と同時に、私は、鉄道事業者もこれまで以上に公的な役割を果たしていく必要があるのではないか。駅を中心としたまちづくりということは、これからコンパクトシティーとかというまちづくりを考えた場合に、当然駅の果たすべき役割というのは大変大きなものがあるわけでございます。

 そういった中で、私、ちょっと具体的な例を申し上げますと、新神戸の駅が改修中なんですね。私はかねてより、新神戸の駅はもうちょっとしっかりしたものにならないのかということを再三ここで取り上げてきました。確かに今きれいになりつつあるんですが、はっきり言いますと、新神戸というのは、例えば観光都市神戸の玄関なんですね。ビジット・ジャパン・キャンペーンに対応できるような玄関口として立派な新神戸の駅であるかどうかということを、私はちょっと疑問を持たざるを得ないというのが第一点。

 また第二点として、ほとんど全国の鉄道駅が押しなべてそうだと思いますが、要するに鉄道利用客のことしか眼中にない。新神戸の駅周辺というのはかなりいい町なんですが、例えばその周辺に住んでいる人たちが新神戸の駅にあるレストランに食事に行こうとか、あそこにいいお店があるから買い物に行こうとか、当然そういうことがあってもいいはずなのに、そういった発想というのは全くないんですね。ですから、いつも駅の中にあるのは、昔の国鉄系列の何かまずいような食堂があったりとか、グルメ都市神戸で何が悲しくてこんなまずいものを出しているんだというような、何となく国鉄時代の名残をずっと引きずっているというような話で、駅ビルというのは一等地のはずなのに、その駅ビルがこんなに死んでしまっては観光都市神戸なんということは言えないというような指摘を直接させていただきました。

 私が言いたいのは、駅にこれだけ公的な支援を入れる以上は、民間事業者かもしれませんが、それはまちづくりの拠点なんだという意識をもっと持っていただきたい。商店街から見て不公平だという話があって、駅中のことは随分改善されていると思いますが、駅を中心としたまちづくりを進めていこうという中で、鉄道事業者が町のことを考えないで、自分たちの駅の乗降客のことだけ考えているというのは、いささか、ちょっとどうなのかな、こう思うわけでございます。

 こういったことについて、鉄道事業者も今後、支えていくんだから、もう少しまちづくりの中心としてそういう自覚を持って、駅前広場は自分の土地じゃないみたいなことを言って、結構混雑しているところがあるんですね。品川駅とか東京駅の前だってそうです。そういったところも、鉄道事業者も自分たちの役割を意識して、自分たちでもお金を出して、そういったことを整備することを提案するぐらいのレベルになってほしい。

 ですから、鉄道事業者として、駅舎のあり方、駅周辺のあり方をもう少し高度化していただきたい、こう私は提案したいのですが、この点について、鉄道局長の御所見をいただければと思います。

平田政府参考人 お答えいたします。

 ただいま委員の方から御指摘ございましたように、鉄道駅というのは、交通ネットワークの結節点であると同時に、まちづくりなどの観点におきましても地域において重要な役割を担っているということから、駅の整備に当たりましては、地元の意向でありますとか周辺の整備計画と十分連携を図りながら検討を進めていくことが重要であると認識しております。

 このため、従来から、私どもといたしましては、駅施設の整備を駅の周辺の整備と一体的に行うような場合にありましては、都市一体型の鉄道駅総合改善事業として補助を行うなど、鉄道事業者と地元の自治体などが連携して行う取り組みに対しまして支援を行ってきているところでございます。

 委員御指摘の山陽新幹線の新神戸駅の件でございますが、JR西日本におきまして、現在、旅客の円滑な動線の確保を図るための駅施設の改良を行うと同時に、これに加えまして、今委員おっしゃいましたように、神戸らしい商品の品ぞろえをふやすための店舗面積の拡張など、神戸の玄関口としてふさわしい駅となるような形で、ことしの夏ごろの完成を目途にリニューアル工事を進めていると聞いておるところでございます。

 いずれにいたしましても、まちづくりなどの観点も十分に踏まえまして駅整備が円滑に促進されるよう、私ども国土交通省といたしましても、ただいま委員の御指摘のように、鉄道事業者や地方公共団体など関係者を適切に指導してまいりたいと考えておるところでございます。

赤羽委員 新神戸の改修については、今おっしゃられたとおりなんですが、実は、一階と二階部分がありまして、一階部分はがらんどうのままなんですよ。金もかかるので、二階はきれいになるんですが、ぜひ一階の部分の有効利用もしていただきたい。神戸市は遠慮をするんですね、民間の話ですからと。そうじゃないだろうということを、今御答弁があったようにぜひ御指導いただきたい、こう思います。

 次に、今、北神急行電鉄に並行して走っている新神戸トンネルというトンネルが実はございまして、これは、神戸市道路供給公社、これまた高い、七キロのトンネルなんですが、六百円かかるという。そこの阪神高速と接続をするものですから、阪神高速が五百円、トンネルに乗ると六百円、千百円かかって出てくるという、神戸市北区というのは公共交通に対しては大変ハンディを背負っている状況がございまして、かねてよりこの神戸市道路供給公社から阪神高速へこのトンネルを移管してほしいという声が地元から上がっているところでございます。

 今回、聞くところによると、近々、阪神高速北神戸線から新神戸トンネルの乗り継ぎに関しまして、従来千百円かかった料金を九百五十円で社会的実験を行うというニュースが流れておりますが、こういった正確な実施内容、またその実施時期、その目的は、将来的に新神戸トンネルの移管も視野に入れたものとしての社会的な実験、私たちはそう認識しておるわけでございますが、その点についての御確認を道路局長からお願いしたいと思います。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 まさに阪神の神戸線それから阪神の北神戸線をつなぐトンネルでありまして、乗り継ぐと両方の料金がかかる、五百円、六百円かかるということで、利用者の利便性の向上のための料金施策というのが必要というふうに認識しております。

 平成十七年五月から、神戸市、兵庫県、阪神高速道路株式会社、それから国土交通省近畿地方整備局で、新神戸トンネル有料道路と阪神高速道路とのネットワーク化に関する検討会というのを設置しておりまして、料金体系について種々の検討を行っております。

 こういうものを背景にしながら、ネットワークが有効活用されるような利用しやすい料金体系、そういうものを考えて、あわせて、料金の引き下げによる交通量あるいは料金収入へ与える影響についてもいろいろな分析が要ると思いますので、近々、社会実験を始めたいというふうに考えております。委員御指摘の、料金をどうするかということと、それから管理をどうしていくか、そういうものも含めて考えてまいりたいと思っております。

 いずれにしましても、昨年の十二月八日に閣議決定いたしました道路特定財源の見直しに関する具体策の四項目めで、「高速道路料金の引下げなどによる既存高速ネットワークの効率的活用・機能強化のための新たな措置を講ずる」とされておりますので、その一環として検討を進めてまいりたいというふうに考えております。

赤羽委員 次に、今局長から御答弁がありましたが、十二月八日の閣議決定に関連して、高速道路料金引き下げに絡む話で、阪神高速の料金体系が対距離料金制に将来移行する、こういったことが平成十七年に発表されたかと思うんですが、この対距離料金制への移行というのは実質的に運賃の値上げにつながるケースが多い。特に、兵庫県での利用者にとっては実質的な値上がりになるということで、批判の声も大きかったわけでございます。

 この対距離運賃制への移行について、その後どうなっているのか。今検討が行われているかと思うんですが、その現状についてお聞かせいただきたいということ。

 私、対距離運賃制というのは、ある意味では一つの道理かと思いますが、実態として利用者の多くが運賃の値上げになるということであるならば、結局は利用者自体が減ってしまう。こういうことでありますと、何のための高速道路なのかということにもつながりますし、今局長が最後の方に御答弁いただきました高速道路の料金引き下げということも、この対距離運賃制の導入とうまく絡めて、実質的な運賃の値上げにつながらないような取り組みをお願いしたいと思うのでございますが、この点について御答弁いただきたい。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、まさに阪神の対距離制についても、具体策に沿って検討を進めるべき事項というふうに認識しております。

 そもそも、対距離制に移行というのは、平成十五年十二月の道路関係四公団民営化に関する政府・与党申し合わせにおきまして、平成二十年度を目標として、利用の程度に応じた負担ということを、相当阪神のネットワークも伸びてまいりました、均一料金だけでは、短距離と長距離、それぞれ利用される方に差があるということで、利用の程度に応じた負担、それが適当だろうという御指摘だったと思います。

 対距離料金の導入に当たりましては、平成十八年三月、昨年の三月に締結した協定におきまして、長距離利用者の負担軽減措置の導入を検討するということがあわせて協定の中に書いてありまして、昨年の十二月から距離別料金の社会実験を行っておりまして、高速道路や一般道路の交通に与える影響や効果についても検討しているところでございます。

赤羽委員 どうも道路局長の答弁は一貫して歯切れが悪いのであれなんですが、次も質問しようかと思いましたけれども、多分ちゃんとした答弁が期待できないので答弁は要りませんけれども、その中の、十二月八日の閣議決定の中で、真に必要な道路の建設と。真に必要な道路とは何ぞやと。これは私何回も、再三提案しているんですが、スーパー中枢港湾ですとか国際空港のアクセス道路というのを、例えば国際物流道路というような指定をして、それを真に必要な道路としてまず優先的な建設を進める、例えばこういうようなことをしないと、また昔の、自分の地元が一番真に必要な道路だみたいな話になってしまいますよという提案をいたしました。

 多分、きょうの段階で、どうなっているかという検討はされないと思うんだけれども、年末までには何らかの決着をしなきゃいけないので、また次の機会に答弁を求めますので、きょうは答弁保留で結構ですけれども、よく検討をしておいていただきたい。ちょっと時間の関係があって、あと三十分できればずっとやるんですけれども。

 今申し上げましたスーパー中枢港湾も、全国各地で指定されて着工が始まっているところでございます。これはそもそもアジアの、シンガポール、香港、釜山、こういったところと国際競争力を伍していかなければいけないということで、港湾コストの約三割の低減、あとリードタイムの短縮、シンガポール港並みに一日でやっていく、このスピードのアップとコストの低減、こういったものを考えてきたプロジェクトだと思います。今、具体的なハード、十六メーターバースは着工が始まったばかりだと認識をしておりますけれども、その取り組み状況について、時間が短くて申しわけないんですが、局長から端的にお答えください。

中尾政府参考人 お答えいたします。

 スーパー中枢港湾のハード面での整備でございますけれども、まず、日本から北米、欧州といった基幹航路において、八千個積みという大きなコンテナ船が主流となると見られております。そのため、上海とか釜山新港ではこれに対応する水深十六メーター級の大水深岸壁の整備が進められております。

 我が国においても、アジアの主要港と比べて遜色のないサービス、コストを実現するためのハード面の整備が必要だと思っております。

 このため、スーパー中枢港湾においては、三港を指定しておりますけれども、水深十六メーター級の大水深岸壁並びに奥行き五百メートル程度のコンテナヤードを擁する次世代の高規格コンテナターミナルの早期整備を行っております。

 また、スーパー中枢港湾で認定を受けました民間ターミナルオペレーターが実施する荷さばき施設などの整備に対しても無利子貸し付けを行うなど、ハード面の整備に努めているところでございます。

赤羽委員 もう少し時間があれば少し具体的にしたかったんですが、今言われたことのエッセンスとして、やはりコンテナバースを一貫的に使うということで、メガターミナルという新しい仕組みをつくられています。しかし、いまだにメガターミナルの会社をつくれていない港湾も、東京港湾などはまだできていないと聞いておりますので、これは、いろいろなことが乗り越えられないようだったらスーパー中枢港湾の指定を外すぐらいの強い決意を持ってやらなければ、私は国の港をつくるんだということにはならないと思うんですね。ぜひその点も御検討いただきたいということ。

 あと、深いドラフトのバースをつくった、ハード、ソフトを整えたと。しかし、やはり物流というのは物がないと、結局は、港はできたけれども実質的な魂は入らないというふうな話ではしようがないので、やはり臨海物流拠点というか、産業競争力強化ゾーンといったものを今御検討されているとも伺っておりますが、こういったことが実はすごく大事なのであって、港の建設と同時に、そういったことについて、周辺で接続というか、よりシームレスな接続ができるような取り組みが必要なのではないかと私は思っております。実際、そういった観点で国土交通省として取り組みも進められていると聞いておりますので、最後に大臣の御所見をいただいて、私の質問を終わらせていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 少子高齢化が進む我が国におきまして、引き続き我が国のGDPが持続的に成長していく環境を整えるためには、どうしても外国、とりわけ十三億人という民のある中国の活力というものを日本に取り入れる必要があるわけでございまして、私は、そういうものを取り入れるためには、四面環海の我が国におきましては、物流の九九・七%までは外航運輸に頼っているわけですから、そういうものが円満に日本の港に着くように、そしてまた陸揚げされるように、陸揚げされたものが生産拠点なり消費拠点に円滑に運ばれるように、そういう道路のネットワークをきちっとするということが大事だと思います。

 委員が、国際物流道路というもので、そういう港湾とか空港とそういう消費・生産地と、例えば大阪湾でいえば大阪湾岸道路を全部きちっと張りめぐらす、途中で切れていたのではしようがないんじゃないかという思想があると思います。私も全くそのような感じでございますので、国土形成計画の中で、広域地方計画の中にこういうものを位置づけてやっていただくということが大事だろうと私は思います。そういうことになれば、国はそれに対してきちっとした対応をしていくことができると思うわけであります。

 一方、道路の特定財源についての具体策の中で、十九年じゅうに、ことしじゅうに中期計画を、タックスペイヤーに対する説得として、受益の面として、こういう道路をつくりますという姿を示すという約束をしております。その中には、今言ったような国際物流道路という形での入れ方というのは、今までの沿革から実際なかなか難しいと思うんですよ。したがいまして、そういうものについては国土形成計画の中で、近畿ブロックとしてこういうものが必要だという位置づけを二府四県できちっと形づけるということが必要ではないか、私はそのように思うところでございます。

 いずれにいたしましても、活力を取り入れて、そしてそれぞれのブロックが外国とダイレクトに結んで、観光あるいは物流、人流というものが円滑に進まなければ、日本の我々の子供や孫たちが自信や誇りを持てるような国をつくっていくことはできないと私は思っております。今一番大事なときだというふうに思っておりますので、またいろいろな御指導をいただきたいというふうに思っております。

赤羽委員 どうもありがとうございます。道路局長への質問も御答弁いただきまして、ありがとうございました。

 特に、今官邸でアジア・ゲートウェイ構想というのが会議が持たれていて、どうも何か航空のことがいろいろニュースになっておりますが、私は、まさにアジア・ゲートウェイというのは、このスーパー中枢港湾を初めとする港湾のことが本来なら一番真ん中に来なければいけない話だと思いますので、このスーパー中枢港湾を中心としたアジア・ゲートウェイというものが確立できるように、ぜひ国土交通省としても御尽力いただきますことをお願いしまして、ちょっと時間をオーバーしましたが、私の質問とさせていただきます。

 ありがとうございました。

塩谷委員長 伴野豊君。

伴野委員 おはようございます。民主党の伴野豊でございます。

 最近、私が一般質問に立ちますと、あれをやるんじゃないか、これをやるんじゃないかということで、何かバッターに立ってからはどうもいろいろな方が構えられるようでございますが、大臣、きょうはその手のお話はしませんので。

 きょうは、どちらかといいますと、創造的な、建設的な話をさせていただきたいと思っていまして、もともと私は人間的に、自分で言うのもなんですが、どちらかというとそっちの方のタイプでありまして、余り批評したり批判したりすることは好きではありません。ただ、秘書やスタッフに対してもそういう態度なものですから、女房にときどき、あなたは甘いとしかられるんですけれども。

 それはそれとして、きょうは、国の形とか国家戦略ということについてぜひ真摯な、政治家の議論をさせていただければ、そんなふうに思っております。

 それと、けさ新聞を見まして、ちょっとどきっと気になったのがあります。これは通告しておりませんから御返答は結構でございます、多分もう大臣は取り組んでいらっしゃると思いますので。ただ、ぜひこれもいま一度注意を喚起していただきたいものですから、あえて申し上げていきます。

 十五日の日に富士急ハイランドでドドンパという、これは名前を聞いたときは、多分、大臣もドドンパというとあの歌の方を想像されるんじゃないかと思いますが、これは世界最速のジェットコースターで百七十二キロまで出るんですよ。これははっきり言って新幹線並みですね。こんなのが本当に外れたら、公共交通の事故以上のものになっちゃう可能性がありますので、多分、今もいろいろな立入検査をやっていただいていると思いますが、いま一度やっていただかないと、どんどんアミューズメント性を高めていくということが恐怖心との引きかえあるいは命と引きかえみたいなことになってくると、これはちょっと行き過ぎだと思いますので、アミューズメント性を高めていただくのもいいんですが、私は、ちょっと無謀な域に入ったものはあえて規制をさせるぐらいの時期に来ているような気がしてなりません。

 正直言って、私は、子供たちをこういうものに乗せることが本当にいいかどうか、ちょっと考えるところでございますので、ぜひこの部分は、私は規制強化していただいていいと思いますね。きちっと点検、保証がなければ動かしてはいかぬ、ここはもう強くやっていただければとぜひお願いいたします。これは御指摘だけにさせていただきたいと思います。

 では、本題に入らせていただきたいと思います。

 国土形成計画、「中間とりまとめ」が出されてまいりました。それに付随するお話をきょうはお時間の限りさせていただきたいと思います。

 そうした中で、マスコミ初め、業界、これは業界というよりも、比較的世界とのおつき合いが多い方は非常に関心事としてお持ちの案件がございます。大臣もその渦中にいらっしゃると思いますのでよく御存じだと思いますが、まず、航空政策のことから入らせていただきたいと思います。

 昨今、マスコミをにぎわしている案件の中で、オープンスカイ政策の議論がございます。私は、これについてどなたがこう言っている、あの人がこう言っているということを一々あげつらって、そこが正しい、あそこが違うというようなことを言うつもりではなくて、いい議論をしていただいて、皆がハッピーになる、かつ、国益、国民のためになる落としどころをぜひ見つけていただきたい、そのためには寝ずの、昼夜を分かたず夜中まで、かんかんがくがくの関係者の議論があって、場合によってはつかみ合いの議論をやってもいいんだけれども、決まったらみんなでそれを支え合っていい政策にしていただくということをぜひやっていただきたい、そういう観点から質問をさせていただきたいと思います。

 これは、先ほど申し上げた国土形成計画の「中間とりまとめ」の中には、ちょっと表現の仕方が違っておりまして、シームレスなアジアというような表現も使われているようでございます。概念的には比較的似てくるのかなと思うわけでございますが、では、どういうところが議論になっているか、ひとつ整理をまずしていきたいと思います。

 御案内のように政府の規制改革会議というのがございます。議長は草刈日本郵船会長がされているものでございまして、その規制改革というお名前があるわけでございますから、規制をできるだけ撤廃していって比較的自由なルールにしていかれるというのが大まかな趣旨だと思います。

 そこで、今回のオープンスカイ政策についても規制改革会議さんとしてのお考えを、最終的に取りまとめられるであろうアジア・ゲートウェイ戦略会議、これは座長が東大の伊藤先生ですけれども、そこへ、十日付ですか、これは中条先生、慶応の先生だと思いますが、メモという形で、新聞にも大きく載りましたけれども、項目としては大きく四項目、内容としては十項目、いろいろ御提案されております。

 一つ目は日本主導のアジア版オープンスカイ政策の導入、二つ目が首都圏の空港容量の拡大、三つ目は外国資源の活用を阻む措置の撤廃による航空会社の競争力確保、四番目は三空港完全民営化、三空港というのは成田、関空、中部でございます。

 こういう項目で十個の大まかな提言がされておりますが、いま一度、ポイントをつかんで御説明いただけますか。きょうは室長さんにお越しいただいているんでしょうか。どうぞ。

田中政府参考人 御答弁申し上げます。

 本年一月に新たに発足いたしました規制改革会議におきまして、利用者利便の向上や事業活動の効率化、活性化の観点から航空分野の規制のあり方についても審議を進めてまいりましたが、このたび、アジア・ゲートウェイ戦略会議においてオープンスカイ政策を初めとした政策提言の報告書を取りまとめると承り、規制改革会議としての意見を取りまとめましたところ、五月十日にアジア・ゲートウェイ戦略会議において意見開陳の機会をちょうだいいたしました。御紹介のありました、規制改革会議において担当である中条委員より、おおよそ以下のような内容の意見を申し述べております。

 第一は、日本主導のアジア版オープンスカイ政策の導入であります。

 まず、現状認識といたしまして、オープンスカイ政策が世界の潮流となる中、我が国が旧来の二国間協定を基軸とする航空政策に固執すれば、消費者利便を損なうばかりか本邦航空会社の競争力の低下につながるおそれがある、かかる危機感に立っております。

 したがいまして、競争条件のイコールフッティングを図りながら、二国間路線への自由参入、以遠権の自由な交換、航空運賃の自由化などの手段を用い、まずは、日中オープンスカイを初め、日韓、日印、日・ASEANなど、アジア諸国との間で自由化を実現すべきであるとしております。

 なお、首都圏の空港に容量の制約がある中で自由化航空協定を進めることがなかなか困難であるという意見もございますが、関西空港、中部空港を初めとする地方空港の完全開放、これを地方からのオープンスカイと呼んでおりますが、そうしたことを進めること、また、自国、他国の航空会社を含めた首都圏発着枠の配分に関する透明なルールを設定するなどの施策を講ずることによって、オープンスカイ政策を推進していくことができるというふうにしております。

 また、第二は、首都圏の空港容量を拡大することでございます。

 我が国が極東アジアの経済のハブとして国際経済競争に生き残っていくためには、また、航空自由化を進めるためにも、首都圏空港の容量の拡大に向けた取り組みが不可欠であるというふうな認識に立っております。

 羽田における第四滑走路が二〇一〇年供用開始が予定されているところでございますが、それ以前におきましても、現行の公用機枠の一部活用でありますとか、発着間隔、飛行ルート、管制方式、誘導路と滑走路の改善等さまざまな見直しによりまして、二〇一〇年の第四滑走路の開始以前におきましても、羽田における昼間時間帯の発着枠の拡大に努力をすべきであるとしております。

 また、首都圏空港の二十四時間化というのを推進する観点から、特定時間帯、これは朝六時から八時三十分までの到着便、二十時三十分から二十三時までの出発便がこれに当たりますが、そうした特定時間帯や深夜早朝時間帯、これは二十三時から六時でございますが、そこにおいて、国際定期便ないし現在の羽田―金浦型のプログラムチャーター便の就航を実現していくべきであるとしております。

 また、以上のような発着枠の配分におきましては、飛行距離だけによる硬直的なペリメーター規制というのは改めるべきであると考えています。

 以上のような対応によりまして、羽田と、上海のみならず北京、香港、ホノルル等を結ぶ定期的な国際便をできれば年内、遅くとも二年以内に実現すべきであるとしております。

 また、成田空港につきましても、平行滑走路の延伸が二〇一〇年までに予定されておりますが、これにおきましても、羽田と同様なさまざまな工夫によって、できるだけ二十二万回の発着枠の実現を前倒しすべきであるというふうに主張しています。

 以上が大きな二点でございますが、以上のほかにも、機材とか運航乗務員に係る規制を見直す等のことにより航空会社の競争力確保を図っていくことというふうに提言しております。

 雑駁ながら以上でございます。

伴野委員 ポイントをつかんでの御説明ありがとうございます。

 ところで、委員長、定数は足りていますか。これはちょっとだめですよ。オープンスカイ政策というのは、一部の人で議論すればいいというものじゃないんです。だから、私はきょうあえて取り上げさせていただいた。本当に重要な国家戦略なんですよ。これは野党もだらしがないけれども、ちょっとこれはひど過ぎるな。ごめんなさい、来るまで待ちます。

塩谷委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

塩谷委員長 速記を再開してください。

伴野委員 御参集に御尽力いただきました方には感謝申し上げます。

 本当に重要な問題なんですよ。一部の方で議論しても、はっきり言って、国民的とまでは言いませんが、やはりみんなで話し合って知恵を絞って、どうあるべきかと。それで、一回決まったら、だれかのせいにするんじゃなくて、みんなが協力し合うという体制をつくりたいがために、この国土交通委員会ではやはりこういうものはきちっと議論しなきゃいけない案件だと思うので、あえて、申しわけありませんが、失礼なことを申し上げました。

 続けさせていただきます。

 それで、今の提言に対して、きょうは正直ベースで言いますが、首都圏の容量拡大については、私も正直言って言いたいことがある。もうちょっと、国土交通省の中でも航空局やあるいは港湾局ともっと積極的な議論をしていただいて、時代の要請にこたえる進捗状況を速めていただきたかったなというのが私の切なる思いではございますが、現状を踏まえた上で、しかしながら、経緯もありますし、現場の実情というのもあるでしょう。そうした上で、おっしゃりたいことが幾つかあるんじゃないかと思います。

 全体のオープンスカイの流れは、私は、今の国際化の中で、大きな流れは否定はできない、首をちょっと振っていらっしゃるけれども、大きな流れはやはりあるのではないか。ただ、どうやってやるか、時間軸とやり方はいろいろ工夫してやってもいいんじゃないかなということも思いますが、局長、今も首を振っていらっしゃいましたが、言いたいことを言ってください。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 五月十日のアジア・ゲートウェイ戦略会議におきましては、規制改革会議の中条委員だけでなく、経済財政諮問会議の伊藤隆敏委員、それから私も呼ばれまして、議論をさせていただきました。

 中条委員の、今の田中室長のお話のような御指摘につきましては、規制改革会議側からの一方的な御説明でありまして、私どもが了解しているということではありませんで、国土交通省の考え方と大きくかけ離れている部分が多数含まれておると考えております。

 五月十日の場でも説明させていただきましたので、今回は、今の御説明の中でポイントになる点だけまず御説明させていただきたいと思います。

 まず、オープンスカイが主流になっているという点でございますが、オープンスカイというのは、米国が強大な米国企業の力を背景にして各国に、企業数だとか乗り入れ地点だとか便数だとか、そういうのをお互いに全部自由にしようということで迫った、こちらもあけるからそちらもあけなさいということで迫った政策でございます。そうなると、明らかにアメリカの方が強いもので、普通の国は、それはまずい、損だということで拒否しておったという政策であります。(発言する者あり)日本も含めてでございます。

 その中で、アジアの中で、例えば韓国とかシンガポールとか、国内線がなくて国際線に打って出るしかないという国は、やってみようかということでやった国が一部ございます。それから、最近ではEUとアメリカがやったというのがよく新聞に載っておりますが、これはEU二十七カ国全体とアメリカとでオープンスカイをやったわけでありまして、EUは特に一カ国一カ国でやるんじゃなくて、EU全体でこれからはやっていこうという方針のもとで、しかも、二十七カ国全体ならアメリカと十分戦えますので、それでオープンスカイに踏み切ったということでありまして、これが主流になっているとは我々は考えておりません。今までどおり、やはり二国間の交渉で決めていくというやり方が主流だと思っております。

 その中で、我々も別に航空をどんどんオープンにしていこうというところは否定しているわけではありませんで、そういう二国間交渉の中で、自由化できるところはどんどん自由化していこう、ただし、一方的な自由化ではなくて、交渉ですから、相手からもちゃんととるものはとりながら、お互いの国益をかけてきちっと交渉して、自由化できるものは自由化していこうということでやっております。航空の自由化ということで我々も考えておるわけであります。

 その中で、今御説明があった中で、まず一番問題だと思っておりますのは、このオープンスカイ政策の導入の中で、関空、中部を初めとする地方空港の完全開放、地方からのオープンスカイというような記述がございます。関空、中部を地方空港と同列に論じておるわけであります。

 関空、中部は、御承知のように、我々は長い年月と巨額の資金と、それから地元の方々も含めました大変な努力でここまで持ってきた空港でありまして、大事な国際拠点空港であります。これはきちんと議論をして、相手とも交渉もしっかりして、大事な交渉のカードとして使っていく、その中で国際航空ネットワークの拡充に向け活用していく必要があると思っております。

 それから、首都圏の空港容量の拡大につきましては、我々も、羽田の新しいD滑走路の整備、それから成田の暫定平行滑走路の二千五百メーター化北伸工事、これを頑張って進めておるところであります。これができますと、成田は二万回ふえます。それから、羽田の方は十一万回ふえるうちの三万回を近距離国際線に回そうということで、二〇一〇年に、両方のプロジェクトができましたら、羽田にも近距離国際線を就航させようということで、平成十五年に地元の八都県市と国土交通大臣との間で合意がなされております。

 そういうことで、羽田は、そういう新しいプロジェクトができたらもう一回国際線を、近距離を入れて、成田を補完してやろうということでやっておりますが、あくまでやはり国内基幹空港でありますので、国内線をどけて国際線を入れるというわけにいきません。東京や横浜の方に成田から北海道へ行ってください、あるいは北海道の方に成田から来てくださいというわけにまいりませんので、そこは国内線をまず優先すべきだと考えております。

 その中で、例えば公用機枠を使ったらいいじゃないかとかいう非常に専門的な御議論までされておりますが、公用機枠というのは、天皇陛下や総理が専用機を飛ばしたり、あるいは外国の国賓を受け入れたり、それから海上保安庁の救難機を飛ばしたりマスコミの報道機を飛ばしたりという枠でありまして、これはある一定の余裕を持った運用が必要であります。一日、出発、到着、十五枠ずつしかありませんで、それを各時間帯に割り振ってありますので、それを使うというのは到底考えられない世界であります。

 それから、成田の二十二万回も前倒ししたらいいじゃないかという意見もございました。これも、地元と一年以上かけて百回ぐらいの協議を重ねてやっと合意に達したわけでありまして、新しい滑走路、二千五百メーターができたらやるということで合意をし、これからそのための騒音対策等を実施してまいるわけであります。

 こういう点を踏まえましても、余り実態を踏まえずに議論をされても、我々としてはなかなかできない部分があるということを御了解いただきたいと思います。

伴野委員 思いのたけを述べてくださいと言ったものですから、いつまで述べられるかなと思って、多分、相当言いたかったことがあるんじゃないかと思います。

 最後におっしゃった、現場の状況も踏まえてという言葉もなかなかきつ目の言葉でもございましたけれども、これは、局長、関空の今の状況や中部の二本目の滑走路なんかからすると、容量的には、どちらかというと、空港会社的に考えますと、今でも各国に行って営業努力されているようなことを考えると、それは確かに首都圏の容量の話はよく理解できますし、ハードがついてこないとなかなか交渉してもというのもよくわかります。だから、それをやり方、段階を踏まえてやっていくとか、よくある羽田の国際便を飛ばす距離のことを少し勘案しながら落としどころを探るとか、あるんじゃないかと思いますが、その点だけちょっとお答えいただけますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 おっしゃるとおり、関空と中部は容量に一定の余裕がございます。特に、関空はことしの八月に二本目の滑走路ができまして、また飛躍的にふえるわけであります。それから、深夜は完全に二十四時間化ということでフルオープンいたします。

 そういうことで、私ども、どんどんこれを活用していきたいという思いは変わらないわけでありますが、ただ、相手との交渉でありますので、ちゃんと相手からも十分あけさせながら、例えば、関空をあけるけれども上海をあけろ、こういう形で、お互いにちゃんと得るものを得ながらきちっと拡大の方向で活用していきたいと思っておる次第であります。

 それから、羽田の、よく言われていますペリメーター規制、国内線の最長距離を一つの目安として、D滑走路ができたときの近距離国際線を受け入れるという話でございますが、これはあくまで一つの目安でございまして、その中で羽田にふさわしい路線というものを十分考えながら選んでいきまして、それで、その三万回までどうやって決めていくかということも、これは大事なお話でありますので、相手国とも交渉しながらきちっと決めてまいりたいと思っております。

冬柴国務大臣 二国間交渉というのが大事だということの一つの例としまして、わかりやすいものですから。

 例えば、ロシアの上空を飛ぶ通過権というものはロシアがきちっと持っているわけですね。日本からヨーロッパへ飛ぶ場合に、ロシアの上空を飛ぶということは、一番近いし、燃料においてもこれは非常に有利であることは論をまたないわけですけれども、一九九七年以降、日本がシベリア上空通過便の便数、企業数の増加を要望しましたけれども、ロシア側がこれを拒否しました。非常に困ったなということになっていたんですが、ずっと後の二〇〇五年の四月に、ロシア側から、新規貨物企業を日本に乗り入れしたい、応じてほしいという申し入れがあったわけです。

 それで、交渉いたしまして、当初は成田へ入れたいということですけれども、成田が満杯なので、委員の地元ですけれども、中部の乗り入れであれば可能だというふうにいたしました。それで、そこで妥結しまして、上空通過権とカーゴの中部乗り入れというものが成立しているわけです。

 こういうものを、どうぞいらっしゃい、中部あいていますから、ロシアさん、中国さん、どんどん来てくださいと言うておったのでは、上空通過権はとることはできなかったわけです。

 したがって、こういうものは、国家戦略として、あいているからどんどん入れたらいいというものじゃない。ほかにもたくさん事例はありますよ、向こうが言ってきたから、こちらも出すから入れさせろと。北京、上海、これは今までなかなかかたいんですが、こちらもあけると言えばそうなったということがありますので、オープンスカイというのが、もう企業にどこへでも自由に、便数も全部お任せする、そういうものであるとするならば、私は国益を損するのではないかというふうに思います。

 少なくとも、関空、中部は、そういう意味で戦略的に、首都圏があくまで、これはやはりそう簡単にはいかないというふうに思います。

伴野委員 規制改革会議の御意見に対して、局長も大臣も相当言いたいことがあるということはよくわかりました。ですから余計議論をしてもらわなきゃいけないんですね。現場の実情、今までの経緯、二国間の今までの取り決め、交渉経過なんかも、やはり総合的に勘案してどうしていくんだと。

 繰り返しですが、やはり国家国民、国益を損ねないような手法でやっていただかないと。例に出していいかどうかわかりませんが、規制緩和ばかりしていって、押さえなきゃいけないところを押さえずしていっちゃったら、これは取り返しのつかないことにもなりますから、そこはよく御議論していただく。

 やはり議論というのは、一つの提案があって、それに反対も含めたいろいろな御議論があって、つまり正反合という形で、これはアウフヘーベンと言ったと思いますが、昇華という形でいい案ができてくるわけでございますから、本当に昼夜分かたずぎりぎりまでの議論を、今月中とかいろいろな御意見もあるみたいですけれども、一つの区切りはあっていいかと思いますが、やはりぎりぎり、本当に顔を突き合わせて議論を深めていただいて、これでいくというならこれでいくというようなことにしていただくのかなと思うんです。

 例えば、きのう、きょうの新聞でも、羽田の国際チャーター便の運航時間枠の拡大のお話とか、先ほどもちょっと触れましたが、これは羽田―石垣島の距離千九百四十七キロが基準になっているんですか、いわゆる羽田空港の国際定期便の就航範囲というのが、いろいろな考え方をしていく一つの基準にもなっているようでございますので、こういうことをよく御議論いただいて、落としどころを探っていただきたいなと思うわけでございます。

 そうした中で、内閣総理大臣が、これは議長という言い方でいいんでしょうか、されている、アジア・ゲートウェイ戦略会議からもきょうはお越しいただいております。今の御議論を見ていただいても、なかなか双方言い分があるようでございまして、これをどうかじをとっていかれるか、非常に個人的には、きょうお越しいただいている井手内閣審議官の双肩にかかっているような気もしないでもないんですけれども、胸の内も、あったら吐露していただくと同時に、今後の見通しなんかもお話しいただければと。どうでしょうか。

井手政府参考人 御説明申し上げさせていただきます。

 私の双肩にかかるというほど、私、責任の高い立場にはございませんけれども、昨年の秋から、先生御指摘のアジア・ゲートウェイ戦略会議、都合八回会議を開いております。そして、この会議では、今まで八回やっておりますけれども、それ以外のいろいろな小さな会議もやっております。

 その中では、先ほど来出ております規制改革会議の中条先生、あるいは、規制改革会議の意見だけではなく、もちろん、きょう御出席いただいている国土交通省の方々、そしてまた、それ以外でも、経済団体の方々、そしてまた航空分野で大変御見識の深いコンサルティング会社の幹部の方等々、かなり幅広い方の御意見を伺って議論を進めてきております。

 そして、先ほど来出ておりますいろいろなテーマの中で、特に、航空の自由化の問題、そして羽田空港の国際化の問題、そして全国の国際拠点空港、この国際拠点空港、複数の空港の二十四時間活用の問題といった点等々をかなり突っ込んだ議論をしておりまして、先ほど来出ております国家戦略、そしてまた安全の確保、あるいは各空港の需要、そういったものをかなりきめ細かく見ながら、適切な取りまとめに向けて作業をしていきたいというふうに思っております。

伴野委員 本当に、両方真っ向からぶつかり合うわけでございまして、昔あったような、どちらかが抵抗勢力なんというような話でするのではなくて、やはり本当に真摯な意見をぶつけ合って、国家、国益にかなういい戦略を立てていただきたいと思います。

 個人的には、本当に、羽田の使い方の考え方と、先ほど申し上げた、いわゆる千九百四十七キロルールというものですか、ここをどう柔軟に考えるかというようなところが落としどころになってこないかなというようなことを勝手に考えておりますが、それも含めて、大臣、最後にお考えを。

冬柴国務大臣 羽田の拡張につきましては、国が決めればすぐできるというものではなしに、日本の国柄を考えていただくとわかりますが、大変関係の深い千葉県、埼玉県、そして東京都、神奈川県、こういうところの地方、これは都県と、それから政令市もあります。そういうところは重大な利害関係を持っておられます。それから、東京湾には漁業者がたくさんありまして、千葉県だけでも二十四の漁業団体がおられまして、こういう方々の御意見。それから、御存じのように、千葉の上空を通らなければ羽田には発着できないわけでございまして、その騒音の問題もあります。

 そういうことを考えますと、今まで本当に関係者が七転八倒しながら、国土交通省だけではなしに、千葉の、それぞれの要路にある方も、大変な努力をいただきながら、ようやくことしの三月三十一日に本格着工ができるようになったわけでございまして、それまでには、千葉県知事はもちろんのことですけれども、今言った都県の首長さんの御意見というのは非常に重要だったわけです。

 今後も、千葉県から埋め立ての土はいただくわけです。そして、その土は一日にダンプカーにして六千台を運ばなきゃいけない。そういう環境問題も考えたときに、我々が勝手にどうするこうするというのはなかなかできないわけでありまして、二〇一〇年十月開港までに羽田から国際便をどんどん飛ばすんだとかいうようなことは、それは逆なでをするようなことになります。――ごめんなさい。三月三十日だそうでございます。三十一日じゃない、三月三十日に本格着工ができた。

 これには沿革がありまして、さっきペリメーターということで言われている千九百四十七とかいう、要するに羽田から石垣、これはそんな約束はしていません。今言った四つの都県と政令市、この八つの首長と国土交通大臣が平成十五年六月十二日に合意をしたんですね、羽田をつくった場合にどうするかという。そのときに、羽田は十一万回飛ばせることになるけれども、そのうちの八万回は国内線に振り向ける、そして三万回を国際線にする。しかしながら、千葉の方、要するに成田の方としては、成田が本格的な国際空港だ。

 そういう意味で、羽田の三万回は成田を補完するという考えで進めようということで、国土交通大臣を含めた九者で合意をした内容が、三万回飛ばす国際線につきましては、日本の一番遠いところ、すなわち石垣空港までのことを念頭に置きまして、こういう書き方をしてあるんです。「羽田から一定の距離以内の路線とする。羽田発着の国内線の距離をひとつの目安とする。」こういうふうに書いてあるわけでありまして、それをペリメーターとかいろいろ言っているけれども、目安ですから。

 そういうふうになったときに、それを超えるところも交渉によっては飛ばすこともある。しかし、無制限に、先ほどのあれを見ますと、ハワイとかインドのムンバイまでということになりますと、これは、この合意というものを全く無視した話でございまして、人間関係が壊れてしまうわけです。私どもは、そういう実態がありますということをよく説明しておりまして、でき上がった後にこれをどうするかということは、またそのときに話し合うわけです。

 したがいまして、苦労している航空局長はその思いがあったと私は思うわけでございます。

 私は、できることは全部する。しかし、できないことはということは、約束があったり、物理的にできないこともあります。それから、羽田も、埋め立ては、夜中の十二時三十分から三時三十分の間は大きなやぐらを全部建てて、そして埋め立てをやるんですね。したがって、全部その時間は使えないわけです。

 そういう物理的なものもありますので、そういうものを含んで御提案をいただきたいというふうに思います。

伴野委員 当初は、この質問は十分程度で終わる予定でございましたけれども、よっぽどやはり言いたいことがあるんだろうなと。大臣の思いもよく理解できますので、ぜひそれを総理にお伝えいただいて、勢いでやっちゃうようなことがないように、よくよく本当に手法、時間軸を考えて、今おっしゃられたこともすべて網羅して、落としどころを見つけていただきたいと思いますし、私はやはり、国内の運輸安全マネジメントの整合性も今後とっていかないと、どこかで限界が来ちゃうと思うんですね。つまり、LCC、ローコストでがんがんキャリーしてくるところと国内とを同じ土俵で戦わせることはできなくなっちゃいますよね。

 そういう点もいろいろはらんでいますから、何でも自由がいいというわけじゃありませんから、ぜひそこをしっかりと御議論いただきたいと思います。

 本当は三十分ほど国土形成計画の話を丁寧にやりたいなと思ったんですが、あと五分しかありませんから、五つぐらいまとめて、答えも言いながら、多分一回か二回ぐらいしかやりとりできなくなっちゃうと思いますので、今から国土形成計画のお話に入らせていただきたいと思います。

 御案内のように、全総から形成計画に変わりました。私がこの全総に出会ったのは、前にもお話ししたかもしれませんが、ちょうど二十の本当に夢多き時代にこの全総に出会いまして、本当にこういう壮大な、スケールのある、いわゆる多極分散、東京一極集中是正というような、こんなタイトルのもとで仕事をしてみたいと思ったものでございます。

 そのときは、やはり、こういった国土形成、建設、運輸に携わる人の一つのバイブルみたいになっているんだろうと私も期待してずっとそのとき読んでおりまして、今、国土交通省関係者、私も含めて、ちょっとビジョンを語ることに萎縮しているんじゃないか。ある面、非は非で認めてもらって、反省してもらわなきゃいけない点もあります。だけれども、やはり国のある部分を引っ張ってきたのは事実なんですよ。社会資本整備できずして、何が国の形ですか。

 だから、もっと外へ向かって、次の世代に向かって、私はぜひ大臣にもアピールしていただきたいな、そういう議論をきょうは本当は三十分ほどやりたかったんですけれども、時間が随分来てしまっていますので、ポイントだけいきます。

 東京一極集中是正と多極分散、それから多軸形成をしたい。そのときに、いろいろな開発方式を考えてきました。だけれども、残念ながら、一時期、一九九四年を除いて、東京一極集中是正というのはちょっとできかねていますし、東京以外の極ができつつあるかなと思えば、そうでもなかったり、多軸になりつつあるかなと思ったら、ちょっとそうでもなかったり。残念ながら、なかなか大きな大きな大目標に向かって進め切れていない。その中で、少子高齢化や過疎の問題、新たないろいろな問題が出てきております。

 ただ、東京一極集中の中でも、工業立地のお話とか、それから人口の揺り戻しもあったりなんかして、うまくいきつつあるところも確かにあります。ただ、金融、放送業界なんかはやはり集中がどんどん増してしまっているようなところもありますね。

 そんなような反省を、五全総のケーススタディーでもやっていらっしゃいますが、そうした中で、今回の国土形成計画は一言で言うと何をやりますか。昔でいったら、多極分散、東京一極集中是正、これを御旗にやったと思います。それに匹敵するものといえば、多分広域ブロックのお話じゃないかなと思いますが、どうですか。

渡邊政府参考人 委員におかれましては、常々国土計画につきまして大変高い御関心と深い問題意識をお持ちでいらっしゃいますことに敬意を表します。

 国土総合開発法のこれまでの経緯につきましては、今まさに委員がおっしゃられたとおりでございまして、そういった中で、ずっと一つ大きな問題として、東京を中心とした一極一軸構造というのが続いておるわけでございます。

 これにつきましては、やはりこういったものを変えていく必要があるということでございますけれども、今の状況を考えますと、国際化が進んでいる中で、特に東アジアが非常に発展してきておる。また、我が国の各地域を見ますと、それぞれはヨーロッパの中規模国に匹敵するような規模になっているということでございます。

 そういったものを、やはり各地域が、それぞれの特色、それから持っている資源、そういったものを生かして、東アジアの発展というのを積極的に取り入れていくということが、まさに地域の全体のバランスがとれた発展につながっていくということで、これを今度の計画の大きな考え方としているところでございます。

伴野委員 「中間とりまとめ」も全部読ませていただきました。ぜひ広域ブロックが自立的発展するようにさらに計画を深めていただきたいと思いますが、ここでどうしても申し上げておかなきゃいけないのは、やはり目標年次における検証がきちっとできるように評価項目をできるだけ定量的にとらまえていただいて、そして、私は、財源の裏づけのない計画は絵にかいたもちだという、これはちょっと自分の信念みたいなものがありまして、やはりこれはある程度、大ぶろしきと言われてもいいと思いますが、これぐらいの金がかかるんだ、だから、こういう国土を目指すのだったらみんな協力してくれという姿勢の方が私は正しい姿勢だと思うんですね。

 そうした中で、大臣、私の意見も含めて、今度の、これも来年度きれいに取りまとめられて出されて、次は各ブロックごとの、ここが一番私は肝だと思いますが、その時期において、今の大臣の御決意を。

冬柴国務大臣 我が国には二千年を超える有史、歴史があります。それで、そういうものは東京だけにあるわけじゃなしに、各地方にそれぞれ、歴史や伝統や、あるいはそれに裏づけされた独特の文化があるわけでして、このようなけんらんたる文化、そしてまた経済力におきましても、例えば近畿ブロックはお隣の韓国をしのぐGDPを持っているわけですし、また人口においてもノルウェーを凌駕しているわけでして、そういうところが、近畿地方であれば本当にいろいろな、世界遺産も五つあるわけでして、多くの資源があります。

 そういうものを国が一元的に管理するんじゃなしに、そこに住むその人たちが自主的、自立的に、こういうものを中心にこの地域をどう発展させていくかということをやっていただく、そして国はそれをきちっとお手伝いさせていただく、そういうことでなければならないと思いますし、このブロックがダイレクトに、今発展途上にある国たちと直接に取引をする、あるいはその活力を取り入れる、そういう作業が必要だろうと思います。

 私は、国土交通大臣にさせていただいて、二つの大きな法律、一つはこの国土形成計画ですし、もう一つは新しい住生活基本法、こういう形で量から質へという大きな転換点に立っているこの中にあって、国土交通行政をきちっとそういうふうな形で進めていかなければならないという決意でございます。

伴野委員 時間が来てしまいましたので、最後に、この国土形成計画が、都会に共生を、地方に自立を、自然環境に保全をもたらす計画であるように心から期待しておりますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

塩谷委員長 土肥隆一君。

土肥委員 民主党の土肥隆一です。

 ごめんなさい、何回も出てまいりまして。ちょうどそういうめぐり合わせになっておりまして、恐縮です。

 きょうは一般質疑ということで、観光政策、観光行政について皆さんにいろいろとただしてみたいというふうに思っております。

 例えば私は神戸ですが、赤羽さんもさんざん神戸の話をしていらっしゃいましたが、どうも神戸が元気にならない。行ってみたい都市、三大都市というと、京都と神戸と長崎だというふうに聞いているんですけれども、あとあったら、文句言わぬでいただきたいと思います。私が勝手に言っているんじゃなくて、関西圏のコマーシャルにそう出ているわけでございます。

 ところが、夜八時になると静かになっちゃうんですね、かつてのにぎわいみたいなのがなくなって。来客は多いんですけれども泊まってくれない。したがって、もう何か観光資源がないんじゃないかというようなことで、いろいろと私なりにも考えているわけです。

 では日本全国でどうなのかというと、余りいい話はたくさんないんじゃないかというふうに思っております。きょうは、どうぞ反論もしていただいて、先ほどの伴野さんの話じゃないですけれども、大いに物を言っていただきたいと思うのであります。

 ビジット・ジャパンが出発いたしまして、そのいろいろな記録をずっと調査室につくっていただきまして見ておりましたら、おもしろいのが出てくるんですね。小泉総理が英語でようこそジャパンという演説をしたというんですね。彼がテレビに出てきて、あのライオンヘッドで、ライオンのような髪スタイルで外国人にどう映るのかな、もう少し男前のいいのを出してやった方がいいんじゃないかなと思ってみたり、石原大臣は中国語でようこそジャパンをやったんですね。石原さんはまあいいでしょう、どんな中国語をしゃべったのかわからないが。

 努力もしておられる。すごいいろいろな企画が実施されておりまして、政府も努力しているんだなというふうに思うわけでございます。また冬柴大臣もどちらかで、何国語かわかりませんがおやりになったらと。もうやりましたか。(冬柴国務大臣「日本語ですよ」と呼ぶ)日本語で。結構でございます。

 私、観光問題、日本の観光のあり方について考えるときに、やはり急ごしらえというか、これは、平成十八年に観光立国推進基本法が出まして、そしてそれ以前は、昭和三十八年に観光基本法制定が行われたわけですね。だから、昭和三十八年からぼんと平成十八年まで飛んでくるわけでございます。

 その前の前というか、平成十五年に初めて小泉首相が、約五百万人にとどまっている訪日外国人旅行者を二〇一〇年には倍増する、こういう演説をいたしまして、そして立て続けに、観光立国懇談会、観光立国関係閣僚会議、そういうところから二百四十三施策の観光立国行動計画が策定されまして、それから今度は観光立国推進戦略会議が開かれて、四つの課題、五十五の提言、そしてビジット・ジャパン・キャンペーン、こう出てくるわけです。

 だから、小泉政権から始まったと言ってもいいくらいの観光政策ではなかろうか、それまでは何をしておったんかな、こう思うわけであります。

 そういう歴史の流れを、観光立国と言いながら、国の観光事業に対する働きかけを見るにつけ、これはもう、平成十八年の観光立国基本法以前は何をしていたんでしょうかということでございまして、いよいよ小泉首相が、二〇一〇年までに一千万に倍増するんだ、こういう約束をいたしまして、そして盛りだくさんの事業項目が上がってきたのでございます。

 ついでに申し上げますと、それに予算をつけるということが始まりまして、ことし、平成十九年度は、観光予算のポイントと称しまして、外国人観光客の訪日促進と魅力ある観光地、観光産業の創出で四十一億円。私、これでお客さんがいっぱい来るようなPRができるかなと思います。ビジット・ジャパン・キャンペーンに三十五億円、その他一億円、それから観光ルネサンス事業の拡充四億円、ニューツーリズム創出・流通促進事業に一億円。

 ここでお聞きしたいんですが、今のような小泉首相の音頭取りで始まった、いわば生きたといいましょうか、これからやるぞという意気込みにつけても、貧弱な予算と私は思うのでございます。

 まず政府の方に聞きたいんですけれども、ビジット・ジャパン・キャンペーンが一番お金を使っているんですが、それは後でまたお聞きするとして、観光ルネサンス事業というのは何なんですか。それから、ニューツーリズムというのは何なんでしょうか。流通促進事業を観光政策の中でやると言うんですけれども、これは何のことを言っているのか、御答弁いただきたいと思います。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 観光ルネサンス事業でございますが、これは観光地の再生、新生を目指すという事業でございまして、特に、地方公共団体ではないいわゆる地域の民間団体、そういった方々が地域の観光地づくり、人材育成でございますとか案内板の表示でございますとか、そういう取り組みをしていただくことに対する支援を行う事業というのが観光ルネサンス事業でございます。

 それからもう一つ、ニューツーリズムのことでお尋ねがございました。ニューツーリズムにつきましては、昨今いろいろな形で、いろいろな言葉で呼ばれておりますが、エコツーリズムでございますとかヘルスツーリズムでございますとかフラワーツーリズムというようなこともございますし、農山漁村に関連してはグリーンツーリズムというようなことが言われております。

 これは着地型の旅行というふうに言っておりまして、従来は、どちらかといいますと、大都市の大きな旅行会社さんたちがツアーを仕立てまして、これをお客様にお売りするという形で物事が動いておりました。これを、地域地域の方々が、それぞれの魅力を持ったものを旅行商品としてつくりまして、これをいわゆる大市場に対して売っていく、こういう試みが今行われているところでございます。

 これにつきましては、いわゆる流通の分野の問題がまだまだ解決が可能とはなっておらないということで、こういったものに対する流通促進をするための仕組みづくりといいますかデータベースづくりといいますか、そういったものを進めようという事業でございます。

 以上でございます。

土肥委員 これはPRはしていらっしゃると思うんですけれども、今さら私がここで聞くのも恥ずかしいのかもしれませんけれども、いろいろなメニューがあると。流通促進というのは、先ほどの地域型の産物を普及させる、流通させるということですね。そうすると、それで大いに売りましょうということでございます。

 これで日本の観光産業、観光振興事業、これは外国からおいでになるお客さんのためにもなり得るものになるんだろうかというのが私の基本的な疑問でございます。

 これは、先ほど言いましたように、平成十八年の第百六十五国会で観光立国推進基本法というのができたわけですね。改めてというか、質問するに当たって読みまして、この基本法でございますけれども、議員立法でつくったわけでございます。

 閣法でも議員立法でもどちらでもいいのでございますけれども、そうした中でよくわからないのは、第三章でございますけれども、「国際競争力の高い魅力ある観光地の形成」。「国際競争力の高い」というのは何のことなのか。十二条から始まるのは、必ずまくら言葉に、「国際競争力の高い魅力ある」「観光産業の国際競争力の強化を図るため、」あるいは十六条では、「観光地及び観光産業の国際競争力の強化に資する」ために勉強しなさいというふうにも書いてあるんですね。高等教育の充実だとか観光事業に従事する者の知識及び能力というようなことを言っているわけです。

 一体、この国際競争力というのは何かメルクマールがあるんですか。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

柴田政府参考人 国際競争力の高い観光という概念でございますけれども、これはやはり、地域の特性に配慮し、また地域の伝統、文化、自然、歴史などの地域固有の魅力を生かした創意工夫ある取り組みによりまして、旅行者の満足度の高い観光地づくりもしくは観光を進めるということであろうというふうに考えております。また、それがそこに住まわれている方々にとりましても、誇りと愛着を持って国内、国外から多くの観光旅行者をお迎えすることができる、そういった体制ではないか、こういうふうに思っております。

 具体的なメルクマールについては、いろいろな考え方があろうと思いまして、今のところ具体的にこれだという一つのものとしては考えてございませんが、いろいろな指標を組み合わせるという形でなければその辺のところはなかなか決めがたいものがあろうかと思っています。

 結果論として、どれぐらいのお客様が来ているかというようなことも一つの指標にはなろうかと思いますけれども、それだけではないのではないかというふうにも思っております。

 以上でございます。

土肥委員 まだメルクマールをつくる段階ではないというふうにおっしゃっていますけれども、何かやはり客観的な採点表がないと、そしてそれも、国際競争力と言うんですから、外国との共通の物差しがないと、神戸に国際競争力があるのかないかとか言われても困っちゃうわけですね。

 ですから、それは将来、何かそういうふうなものを、国際的な基準みたいな、メルクマールをおつくりになるつもりなんでしょうか。ちょっとお聞きします。

柴田政府参考人 先生、大変重要な御指摘であろうかと思います。

 ただ、例えば、先般、世界ダボス会議というところで一つの指標みたいなものが発表されております。それを見ましても、いろいろな局面から、確かに、日本は必ずしも進んでいないというふうな部分、そして日本が進んでいる部分、いろいろな形のものを取り込んだ形での評価になっておりまして、なかなか簡単な指標は難しいなというふうには思っておりますが、そういうことも含めて十分に検討していくべき課題であるというふうに考えてございます。

土肥委員 図らずもダボス会議のことをおっしゃいました。次の問題としてダボス会議を取り上げたいと思うのでありますけれども、指標、メルクマールというのはいろいろなものが考えられると思うんですね。

 例えば、日本の水道の水。これは全国どこでも飲んで構わないわけですね。駅とか公園にある水を飲んでも構わないわけですね。それだけの衛生基準を踏まえている。これは大変なメルクマールと思いますね。

 私も、外国旅行をするとき、特に東南アジアなどは水に一番気をつけるわけです。ほとんどペットボトルで行くわけですが、そのペットボトルも大丈夫かなと思うときがある国もございます。

 インドに参りましたら、私どもペットボトルを手で持ち歩いてあちこち行っているわけですけれども、インド人の方もペットボトルを持っていらっしゃるんですね。どうしてかなと思って、やはり水を買うのかなと思ったら、実はトイレ用のペットボトルだったんですね。それで、外で用を足しまして、そのペットボトルの水で清潔にする。ああ、そうか、インドの人は普通の生水を飲んでも大丈夫なんだということを改めて認識した田舎者でございますけれども、水というようなものですね。

 それから、ですから外国へ行ったらサラダも危ないと言われますね。水で洗ってあるその水が危ないとか、アイスキャンデーももちろん水が危ないわけでございまして、だからほとんど水物を口にしちゃいけないというのが常識なんですが、これは大事なメルクマールだと思いますね。

 恐らく、諸外国で、どこに行っても、日本のどの地域でも水道の水が飲めますよというのは、大変なメルクマールだと思いますね。

 それから、やはり公衆衛生に関することですね。あるいは医療に関することでも、外国人の方がお困りのときには、必ず救急車も用意されていて、必ず日本の近代的な医療、治療を受けられますよというふうなことも大事なことだと思うんですね。病気が一番心配なので、おなかの薬、熱の薬、風邪の薬、薬を持ち歩くわけですね。それで全部持ち帰ってくるわけでございますけれども、そんなことをしないでもいい日本。

 もう一つは治安だと思うんですね。きょうは警察庁にも来てもらおうと思ったんですけれども、二〇%台の検挙率じゃ困るわけですよ。せんだっても、イギリスの語学教師で来ていたお嬢さんが何か受講生に殺されるという事件がございまして、まだ犯人は挙がらないんですね。あれだけ顔写真が出て、まだ挙がらない。それで、家族が日本に来る、何という国だと。そういうケースが最近非常にふえているわけでしょう。ですから、安全という、治安がいいということも大変なメルクマールだと思うんです。

 ですから、私は、国際競争力といったときに、日本が伝えなきゃならない競争力がいっぱいある。ほかの国にない競争力があると思っております。ぜひ参考にしていただきたいと思うのであります。これは答弁を求めません。

 ところが、先ほど柴田審議官の方からダボス会議の話が出まして、これに観光競争力という言葉が出てくるわけですね。ダボス会議というのは世界経済フォーラムといって大変質の高い国際的な会議でございまして、そこで初めてと言われておりますけれども、旅行・観光競争力の報告を発表しました。

 これは国土交通省の皆さんとヒアリングをしている段階で相当厳しいやりとりをしたんですけれども、きょうは審議官だけでございますからお答えいただきたいと思うのでありますが、初めてとはいえ、調査対象百二十四カ国、その中で日本は二十五位でございます。この位置づけがいいのか悪いのか。

 そのほか、空港の混雑度百十位。恐らく国際空港だと思いますけれども、すごく混雑しているというふうになっているんですね。これも後でお答えくださいね。

 それから、購買力平価に基づく観光価格競争力、つまり、その地に行ったら高くてしようがない、だからもう行かないというふうな価格における競争力は百十一位。

 それから、入国ビザをなかなか発行しないという国らしくて四十三位。これは法務省に聞いてみないといけないのかもしれませんけれども、そうなっております。

 そして、特に、政府の観光業に対する優先度、つまり、どれくらい力を入れているか、それを数え上げていくと九十八位。百二十四カ国中九十八位というと、ほとんど何もしていないということになるのではなかろうかと思うのであります。

 そういうふうに考えますと、結局、価格の競争力なども含めますと、政府がやっている観光業の優先度、どれくらい力を入れてやっているかというと九十八位、こうなっているわけであります。これは惨たんたる数字だと思うのでございますが、ダボス会議で発表されたもので、これはいかに反論するかというのは日本の国もやらなきゃいけないことかもしれません。

 この結果を聞かれて、いわゆる観光競争力というふうな形である種のメルクマールを立てたという意味では画期的な事例ではなかろうかと思うんですが、さて、今のことについてどうぞ答弁をしてください。

柴田政府参考人 お答え申し上げます。

 世界経済フォーラムというところで旅行・観光競争力報告書というのが出されてございますが、これはいわゆるダボスフォーラムというような正式の場でのオーソライゼーションを得たというものではございませんで、世界の百二十四カ国につきまして、さまざまな観点からアンケート結果や統計データに基づく比較を行ったものでございます。アンケート調査につきましては、各国の、業種を問わない、いわゆる経営者の方々を対象に、自分の国につきまして認識や評価を問うという形式で行われたというふうに聞いてございます。

 例えば、先ほど先生御指摘がございました水の問題でございますが、これについては日本は一位ということになってございます。清潔な飲料水の普及度というのは、これは一位になってございます。それから、衛生全般については、いろいろな指標がございますが、例えば医師の密度は五十三位というような形になっております。それから、流行病の被害を抑制するための政府の取り組みというのは十四位というような感じになってございまして、必ずしも日本人の持っている印象とぴったり合うのかどうかという部分はあろうかと思います。

 それから、治安につきましても、犯罪や暴力に係るコストというような言い方とか、それから、テロに係るコストとか警察の信頼度、こういった三つぐらいの指標になっていまして、それで二十三位というのが総合評価になっているというようなことでございます。

 それから、例えば航空インフラについて申し上げますと、これは自国の水準の高さを問うアンケート調査の結果では八位というふうにされております一方で、空港の数を人口で割った数値なども使われておりまして、これにつきましては、面積と人口との関係とかそういったものも踏まえないと、単純に空港の利便性を示す指標として妥当かどうかはちょっと議論の余地があるのではないかというふうに思いますが、これでありますと百十位というふうに言われております。そういった結果を踏まえまして、航空インフラ全体では十六位というような結果になっております。

 また、国としての観光への理解度につきましても、これもアンケート調査というのが二つの項目、そして国際収支をベースにしたものという形でございますが、アンケート調査の結果によりますものとしては、外国からの出張者に対して国内を観光して帰るように勧めていますかというような問いとか、これだと百六位になります。それから、外国からの旅行者を歓迎するかどうかということのアンケート調査で八十二位というような感じになってございまして、外国旅行関係の収支にかかわるデータでは百三位というような形になっております。これらを総合いたしまして、国としての観光への理解度全体では百十六位というような形になっております。

 それから、物価の問題については、昨今、為替レートが大分動いておりますので、それから、いろいろな、私ども、アフォーダブル・ジャパンと申しまして、日本に来ていただいても必ずしも高いものだけではなくて、十分安い費用で旅行がしていただけるというようなパンフレットをつくって広報させていただいておりますが、これは諸外国からも大変評判がようございまして、いろいろなバリエーション、メニューがあるんだなということについては御理解をだんだん得てきていただいているのではないかというふうに思っております。

 このようなさまざまな指標で比較した結果、総合的な競争力は二十五位ということでございます。我が国の取り組みを評価していただいている部分もあれば、取り組みが足りない部分を指摘していただいた部分もあるというふうに考えております。個々にはいろいろな問題もあろうかと思いますが、観光分野での国際競争力を高めるために何が必要なのか、参考になる部分は十分に活用してまいりたいというふうに考えております。

 以上です。

土肥委員 私は、インターネットの日経ネットでとったものでございまして、少し数字なんかが合わないところがありますけれども、また詳しくその報告書を提出して私にお示しいただきたいと思います。

 いずれにしても、日本は今や一千六百万人が外へ出ていく、外国旅行をする、一千七百万になっていますかね。二〇〇六年まででいいますと、訪日外国人が七百三十三万、七百万台を超えて、小泉さんが叫び出しましてから、五百万、六百万、七百万、こうきている。では、二〇〇七年はどうだろうかということで、八百万を目指すという国土交通省のデータが出ております。十年計画ですからまだまだ上がるということでございますけれども。

 私は、自分なりに日本の国のあり方を考えてまいりますときに、いろいろなハンディキャップが日本にはあるなと思うんです。

 もちろん、いい面はたくさんあるわけですね。とにかく、北海道から沖縄までの縦に長い、さまざまな季節感や風土や風景を持っている日本という意味では、無限の観光資源があると思いながらも、一方で、外国からやってくるお客さんが、そういう日本の情緒ある風景に接してみようというふうにはなかなか思わないわけでございまして、東京に来て秋葉原で電化製品を買って、そしてちょこちょこっと回って帰っていくというのが定番だそうでございます。これでは困るわけでございます。

 ハンディキャップというのは、やはり位置的なハンディキャップですね。何しろ東アジアの極東にあるわけでございまして、東の方からは太平洋を渡ってこなきゃいけないし、西の方からヨーロッパの人が来るとなれば大変な時間をかけて来なきゃいけない。

 ですから、やはりアジア、特に中国、韓国、台湾、もうこの三カ国がほぼ観光客の大多数を占めているわけでありまして、アジア対策といいましょうか、これを特にやらなきゃいけないのではないかというふうに思うのでございます。私の統計では、二〇〇六年でございますけれども、中国が八十一万、台湾が百三十一万、韓国が二百十二万、アジアだけでも七百三十三万中、五百二十五万、こういうわけでございます。

 私もそんなにアジアの旅行者と数多く接しておるわけではございませんが、韓国の方は温泉がお好きなようでございまして、余りいい温泉が出ていない、日本の温泉は非常によろしいというふうにおっしゃいますね。

 中国人に聞きますと、中国という国は余りお風呂を使わない国で、相当寒いところでもシャワーで、しかも水でシャワーを浴びて済ませるという、今はどうかちょっとわかりませんけれども、余り関心がなくて、ある団体に聞いてみましたら、パチンコが好きだというんですね。中国では禁止されているんですね。大挙、ツアーを組みまして、伊豆や熱海のもうつぶれかけていると言ったら語弊がありますけれども、ホテルを安く安く借り上げまして、そして東京へ出てきて日夜パチンコを楽しむというのでございます。はあと思って、私もそういうパチンコ団体を受け入れる旅行業者を自分でつくろうかなと思ったぐらいでございまして、ひたすらパチンコをやっているそうですね。

 そういう、非常に特性があるわけですね。その特性、好みに応じたメニューを我が日本の観光業あるいは観光事業として用意しなきゃいけない、こうなると非常に難しいですね。しかも、リピーターがいないとこの事業は続かないんです。新しい人だけ探して回って、次から次に新しい人を探しても、もう二度と来ないなんという、特に、もう二度と日本になんか行くものかと思うような気分を味わわせるツーリズムでは絶対にだめだと思いますね。

 そこで、今、いろいろ水とか衛生とかありましたけれども、やはり人間なんですね。人間、日本国民がどれくらい外国人に対して配慮があり、そういうホスピタリティーがあって、いい思いをして帰ってもらうような国民であるかどうかということでございます。

 これをこの基本法と照らしてみますと、やはり人間だと言っているんですね。だから、人材の育成が必要なんだ、しっかり高等教育を充実しなさい、そのほか、先ほど言いましたように、知識とか能力を向上させて地域固有の文化、歴史等に関する知識の普及の促進等に必要な施策を講じなきゃならない、こういうわけです。

 どうでしょうか、日本の地方にもし外国人が入っていって、まず、言葉が通じるんでしょうか。英語ぐらいは何とかなると思うんですけれども、韓国語、中国語となってくるとどれくらい通じるんでしょうか。大体、日本人は、外国人が来たといったらぱっと目をそらして逃げ出すというのが通例でございまして、ハローとか一言言ったらどうかと思うので、あとはもうボディーランゲージでやったらいいわけですけれども、やはり日本人に国際性がないんですね。そうすると、国際観光に頑張れと言われても、何か、もう国民性から問題があるんじゃないか。

 だから、外国語教育をやろうというので小学校から英語をやりますけれども、それはあいさつ程度の英語はできたにしても、このお寺はこういうお寺なんです、これはもう何百年にわたって守っているんですとか、お祭りがあったら、こういうおみこしはこういう意味があるんですとかというのは、ガイドがつけば別ですけれども、ガイドなしで、例えば単独であるいは夫婦だけでやってきた人とどれだけのコミュニケーションをする能力があるだろうか。これもメルクマールの一つですね。

 相当低いんじゃないかというふうに思っておりまして、そうすると、基本法にあるように学力をつけなきゃいけないというところまでいきますと、もはや観光産業の対応ではなくて日本国民全体の教育とか教養とかいうふうな領域のことに入っていくのではないかと思うのでございます。

 日本語というのはやはり特殊な言語でございまして、どこにも通じないんですね。しかも、日本語というのは外国人が学ぶともう至難のわざだそうでございます。例外的なのが山形弁の方言でしゃべれる外国人がいたりしますけれども、ある外国人が、日本語ほど難しいものはない、こう言いまして、その人はギリシャ人だそうでございます。ギリシャ語ほど難しい言語はないと私は思うのでございますけれども、日本語だそうでございます。言葉が通じないというのも大事なメルクマールの一つだと思いますね。そうすると、どんどんやはり下がってくるわけです。

 そういう言語のハンディ、コミュニケーションのハンディをどうするかということで、実は、これもインターネットで調べていただいたんですけれども、経団連フォーラムというのがございまして、ここで言語のハンディ、これは日本の国際化を語るとき、コミュニケーションの困難さを挙げるときにこれほどのハンディはない、こう言っておるわけです。

 日本語を使っている我々に日本語をハンディだと言われても困るんですけれども、そういう日本語なんだ、日本人なんだというふうなことを認識した上で観光政策をやらないといけないのでございますけれども、審議官のお考えを聞きたいと思います。

柴田政府参考人 外国語というのは基本的にどこの言葉でも決して簡単ではないのではないかというふうには思いますけれども、確かに日本語をしゃべられる方というのは大変少ないということもございます。日本人の方は、私も含めまして、中学、高校ぐらいから英語なんかは習っているわけでございますが、どちらかといいますと、外国人の方が近づいてこられたときに、先生がおっしゃったような、避けるというような感じのことが今まではございました。

 そういう中でも、今回、ビジット・ジャパン・キャンペーンというのを展開させていただいて、本当に今、いろいろな方々にお聞きしますと、先ほどのパチンコ屋さんの話も含めてでございますが、いろいろなところに外国人がいろいろな形で来ていただいております。そういう中で、だんだん日本人も、そういう簡単な声をかけるというようなことも含めまして、少しずつ改善されてきている部分もあるのではないか、こういうふうに思っています。

 ただ、やはり言葉の問題は大変大きゅうございますので、案内表示の問題でございますが、できるだけ多言語表示というようなことも努めながら、かつ、それぞれの方々がそれぞれの立場で受け入れる体制を構築できるように、いろいろ努力を進めているところでございます。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

土肥委員 反論するわけじゃございませんが、駅の標識でこのごろ、日本語、中国語、韓国語と出ていますね。しかし、列車の中の案内は英語だけですね。観光客の比率からいえば三分の二がアジア人、それで平気で流暢な英語で案内があるわけですね。うるさくてしようがないですね、私どもは。あれで少し会話の勉強にでもなるんだったらいいんですけれども、同じことを言うわけですからね。

 それで、次の駅は新宿ですと言ったら、次は、英語も入れていいでしょう。だけれども、中国語、韓国語で言ってあげたらどうでしょうか。何か、英語さえしゃべれば国際的だという変な偏見が日本にはございまして、そんなことを考えるときに、私は電車に乗っていて、中央線に乗っていたんですけれども、二人外国人がいまして、男の人でしたけれども、自分の行く先を、駅に着くたびに、次の駅はまだ、まだというのを確認しているわけですね。両方のドアに顔をつけるようにして、ここはまだ中野じゃないとかなんとかやっているわけですね。

 私もちょっと手伝おうかなと思ったんですけれども、余りにも風景がおもしろいので、そのまま見ていたんです。私もそれくらい言えますから、ちょっとどこに行くのと言ってあげようと思ったんですけれども、それが真剣に見ているわけです。これはやはり旅行者にとっては困った話だろうと思います。

 例えば、韓国の地下鉄に乗って、ほとんど日本語の表示はございませんし、それから英語の表示もないですね。だから、どこへ行くのか全然わからないという話でございます。

 だから、そういう細かな配慮を日本国内に、何か、初めから四カ国語も五カ国語もやれというわけじゃなくて、駅の名前ぐらい、次はどこどこぐらい言ってやった方がいいんじゃないかな、こう思います。どれだけ民間の私企業が聞いてくれるかどうかわかりませんけれども、つまり、もう少し細かい配慮で、旅行者が本当に安心できるような情報を提供すべきだというふうに思うんです。

 さて、私は大臣にお聞きしたいんですけれども、やはりアジアというときに、政治的な緊張というのがまだなお続いているわけですね。

 私は韓国の政治家とおつき合いをしておりますけれども、八月十五日になると大騒ぎです。あそこで反日大キャンペーンが八月十五日に行われるわけで、私はわざと八月十五日に韓国に参ります。ことしも行こうと思っています。日本人の国会議員が、八月十五日に韓国をうろうろしているというのはいないわけですね。だけれども、彼らが何を言いたいのかを聞くことにしているんです。

 実は、あの日は、八月十五日は解放記念日ですから、大変おめでたい日なんですね。みんな民族服を着て集まるんです。私も一着つくってもらいまして、それを着て参加するんです。ちょっと行き過ぎじゃないかなと思うことがあるんですが、みんな背広を着ていませんので。それを着ますと、みんな、ああ、よく似合うとか、私は着方がよくわからないもので、前のリボンの部分がすぐずるずるに壊れちゃうと、何人ものオモニたちがやってきまして縛ってくれるわけですね。それで交流ができるわけです。

 会自体は反日集会みたいなものです。その中に、靖国神社をつぶせなんという国会議員がいるんですよ。そんなむちゃを言うなというような話で、そういう話も続けていくわけでございます。

 ですから、本当に、その国の人たちとの政治的な緊張関係がある限り、これはなかなか難しい話で、逆に、観光を盛んにすることによって人的交流が大きくなって、政治的な緊張もおさまってくるんじゃないかなというふうに私は思っておりまして、観光というのはいわば政治的な課題を担っているということを思うわけですが、大臣の御意見を聞きたいと思います。

冬柴国務大臣 まさにおっしゃるとおりだと思います。国と国の親善友好といっても、やはり私は人と人だと思います。何人の韓国人の顔を知ってその人の名前を知っているか、何人の中国人の政治家から私の名前を、私の名前はトンツァイというふうに呼んでくれるんですが、呼んでくれるか、そういうことが必要だろうと思います。

 それからまた、私は、青少年の交流、草の根交流、そして姉妹都市交流、そういう幅広い国民が相手の国へ行ってそこの国の人と知り合う、そしてそれが非常にいい一生の思い出になり、またリピーターとしてもう一度行こうという気持ちを起こすというのが本当のものだろうと思います。

 金大中大統領と私はお話をしたときに、金大中大統領は、政治の力よりもやはり文化だね、私は大衆文化を大変な反対の中、実際、あなたも政治家で選んでいただいている立場だったらわかるだろう、僕の支持者は全部反対した、しかし僕は文化をあれしなければ本物の交流はできないんだということでやりました、政治の力で幾ら笛を吹いてもなかなか、年に一万人ちょっとしか交流がなかったのが、今はそういうことで一日に一万人の交流があるようになった、これは政治の力というよりは、文化の力、大衆文化を開放したからこういうことになったんですということをおっしゃいました。私は、全くそのとおりだろうと思うんですね。

 中国も私は何回も行きますけれども、中国の人たちとも、直に触れ合えば本当によくわかるんですね。

 この間も私はインドへ行きまして、大仏開眼の話をしたわけです。七五二年、大仏開眼をした、これは、インドの発したお釈迦様の仏教が日本に、実に今から千三百年も前に、座高が十五メートルの高さ、五階建ての建物の仏像を青銅で鋳造して、それを入れる大仏殿というのは木造建築物としては世界で一番大きなものだ、その大仏開眼が行われたときに、インドの高僧が来てそれを開眼してくれた、そういう歴史がある、だから私は釈迦が悟りを開かれたブッダガヤというところへぜひ行きたいんだということをシン首相に言ったら、今からでも案内させようかということまで言ってくれました。

 そういう古い歴史を共有しているわけですから、私どもは、そういうことを国民の一人一人が自覚して、そういう話を外国の人とできれば、ここにやはり人間的な深い交流というものが起こるし、またそれがやはり政治を変えていくんだろうというふうにも思います。

 観光はまさにそのように、土肥さんがおっしゃるように、国を変えるぐらいの力があるものだと思っております。

土肥委員 最後になります。

 アメリカの観光政策を見ておりますと、これは基本的には州政府がやるんですね。政府レベルでは何をするかというと、情報収集。TTSAという旅行・観光サテライト統計というのがございまして、観光に関する精密な統計データを作成する。それを州政府に提供するわけですね。

 国土交通省総合政策局の観光部門が音頭をとって、世界じゅう出かけて、いらっしゃい、いらっしゃいと言うのも一つの仕事かもしれませんけれども、私はやはり、日本は狭い国土ですけれども非常に多様な国土ですから、アメリカ型がいいんじゃないかなと思っているんですね。

 だから、ビジット・ジャパンのキャンペーンなんかをやりながらも、同時に、各地にある、地方自治体も含め観光業者も含めて、こういうところはおもしろいよとかこんな実態があるのよというような、いわばアメリカ型の政策をやる。情報をとにかくフレッシュなものを集める、外務省の出先も含めて、あらゆる情報の収集をやることによって初めて動きができるわけでございますから、そういう方向も検討してみてはどうかと思うんですが、これは大臣に答えてもらいましょうか。お願いします。

冬柴国務大臣 確かに観光基本法の中にも、旅行統計というものを、きちっとしたものをやった方がいいという話がありまして、統一的な基準に基づく宿泊旅行統計調査というものを本年一月から実施を始めました。

 アメリカは統計が、各州ですけれども大変行き届いているということですけれども、ただ、アメリカの、そういうふうにやられたから、では外国人の旅行者がふえたかというと、余りふえていないんですね。

 でも、日本は、先ほどおっしゃいましたように、平成十五年は五百二十一万人だったんですね。それが昨年は七百三十三万人までふえました。私は、二〇一〇年、何としても一千万人を達成したいというふうに思っています。

 その二〇一〇年というのがちょうどビジット・ジャパン・キャンペーンの最終年ですけれども、奈良のことばかり言ってあれですけれども、奈良の平城遷都千三百年がちょうどこの年に当たるわけです、二〇一〇年に。これは大変なことでございまして、世界じゅうから来てもらわなきゃならない。そういうようなキャンペーンを張って、例えばインド、びっくりしていました、ちょうど平城遷都と大仏殿開眼とは同じ年代ですから。そういう古い都が今日本にはある、それを再現できるということは大変なことだと思うんですね。

 私は、そういうことで、中国も韓国も歴史を共有しておりますので、私ども一生懸命PRをして、何としても二〇一〇年一千万を実現すべく頑張っていきたいというふうに思っています。

土肥委員 ありがとうございました。終わります。

塩谷委員長 穀田恵二君。

穀田委員 九日に続き、大阪のエキスポランドで起きたジェットコースター事故について聞きます。

 私は、十二日、事故を起こしたエキスポランド社と吹田市に調査に行ってまいりました。ちょうど事故発生から一週間。関西ではマスコミも大きく取り上げており、より詳しく報道されています。調査して、この問題の重大性を再認識しました。

 一つは、事故を起こした事業者の安全に対する反省と責任の希薄さを痛感したということです。二つ目に、自治体の建築行政のあり方の問題。そして三つ目は、一番大事だと思うんですが、法令の不備、法令を整備してこなかった国の不作為責任にかかわる問題です。

 そこで、まず第一に聞きたいと思うんです。

 事故の原因究明や再発防止について、国はより積極的に関与すべき責任があると私は考えます。敷地は万博公園の中にあって、土地は国と大阪府が所有しています。その公有地を賃貸ではなく委託契約という形で借り受け、入場料などの売り上げの一部を万博記念機構に支払っている。つまり、公有地を借りて営業して、その事業者が安全を軽視するずさんな検査で事故を起こした。だから、単純な民間企業の問題ではないと思うんですね。

 所管は財務省だろうけれども、国はより安全を重視するよう監督すべきであり、遊戯施設監督官庁として二重の意味で責任は大きいと思うが、大臣のお考えをお聞きしたいと思います。

冬柴国務大臣 建築基準法のことにつきましては、前回も答弁いたしましたけれども、建築基準法上、こういう遊戯施設について、コースターとか観覧車のようなものについての建築基準が定められておりまして、それに基づいて作製されなければ供用はできないわけですが、その後は、特定行政庁が、定める期間の間に、建築基準法に定めるそれらの条件を満たしているかどうかという検査をする、そういう枠組みが決められているわけでございます。

 したがいまして、国としては、いわゆる地方分権という考え方から、国が何もかもやるというのではなしに、外交とか安全保障とか、もちろん先ほどのお話にもありましたが、国民の安全、安心の保障とかいうことについて、そしてまた、こういうものについて統一的な基準を設けてそれを遵守させるというようなことについて国は権限を持つけれども、それから先の具体的な部分については、この場合は特定行政庁という地方公共団体が責任を分担してやっていくという仕組みになっていると私は理解をいたしております。

穀田委員 仕組みはわかっているんですよ。ただ、事故が起きて、それでは私言いたいんですけれども、国土交通省は、例えばあのエレベーター事故が起きる、そのときにも私質問したんですね。あのときにも、そういう事故情報というのは共有する必要がある、それを通知している、条例までつくれと指示している、それをつかんでもいない、それはたった三つや四つの自治体しかやっていないということを指摘して言ったわけですね。案の定、また同じことですね。これは聞いてみると、そういう新しい遊戯施設に関する事故情報も共有されていない。そうすると、一体全体何をしていたのかということを言うんですね。あわせて、人が死んでいるんですよ。

 したがって、それを何とかしようという場合については、そんな枠組みだとか、この間も局長は、地方分権の時代ですからと、そんなあほなことを言って、それだったら被害者の前に行って言ってみろと。小河原さんのところへ行って、いや、これは地方分権の時代でございますからと言ってみれるなら言ってみろ、私はそう言いたくなるわけですよ。

 そうじゃないんだと。今この問題についてどうしたら解決できるかということについては、まずお互いに責任を持とうじゃないかという姿勢が大事だということを言っているんですよ。仕分けについては、そういうことを話すこと自体が、私は今お話ししたように違うと思うんですね。

 大体、昨日、参議院の決算委員会の答弁でも、本契約に基づいて善管注意義務あるいは利用者保護義務を課している、これが果たせなかったという点では重大だと財務省だって言っているんですよ。その仕分けの話をしているということ自体が私は極めて残念だと思います。

 そこで、事故を起こしたエキスポランド社について、どういう企業か。国交省としてどう把握しているか伺いたい。

 私は、調査の際に同社の専務と面談しました。事故について申しわけないとは謝罪していました。でも、会社は、七二年発足以来、安全第一を社是としてきたということを繰り返し述べて、今回の事故については思いがけない事故だったと述べたわけですね。私、これも、局長じゃないけれども、事故を起こした当事者が思いがけない事故だなどと言えば、遺族や被害者がどう感じるか。考えると私は腹が立った。

 吹田市が、風神雷神2以外の二十八基ある遊戯施設についても探傷試験しているかどうか報告を求めたんですね。そうしたら、会社はどう言ったと思いますか。文書で出してくれ、文書で要請してくれという話で、全く高飛車で、行政をなめているとしか、私は本当に反省していない会社だなと思ったんですね。

 そこで、ずさんな検査について、同社の施設営業部長が事故後、それまで異常がなくて、延期しても大丈夫だと思った、JISで探傷検査が義務づけられているのは知らなかったなどと言っている。これは、昇降機検査資格者の資格取得講習、これはテキストのコピーなんですが、その中には遊戯施設の検査標準の授業がありまして、そこの中にちゃんと「検査方法及び判定基準」という項目もあるんですね。だから、自分が講師をしているわけだから、このテキストでやっているわけだから、知らぬはずがないんですよ。さらに、会社の元役員がこのJISの検査基準の原案作成委員会の委員であった。要するに、うそをついているんですね。

 私、そこの会社で聞いたんですけれども、過去にも探傷検査を先送りしていたこと。それから、他の三つのジェットコースターについても専務はどう言ったか。検査の先送りがありませんとは言えないと。似たような答弁をして、局長の顔をぼうっと思い出したんだけれども、要するに、していないということを言わないわけですね。検査の先送りがありませんとは言えない、こういう言い方をするんですね。本当にひどい人たちだなと思ったんだけれども、こういうありさまなんです。だから、いいかげんな検査をしていたことははっきりしているんですね。

 私が聞きたいのはここなんですよ。国交省は、過去にも探傷検査を先送りしていたこと、他のコースターについても先送りしていた事実をつかんでいるかということです。

榊政府参考人 過去の問題につきまして、まだ特定行政庁の吹田市の方からはそういった報告を受けてはおりません。

 ただ、先ほどの御議論から申しますれば、私どもの方も、実は、日本建築設備・昇降機センターが実施する講習がどういった内容だったか、その講師はだれだったか、そういったことは調べましたので、先日の参議院の決算委員会の御答弁のときに申し上げたところでございますけれども、担当部長がこの検査標準の講義を行っていたというふうに聞いておるものですから、そういう講義を行っているという者が属する会社でJIS規格に基づく検査が行われていなかったということはまことに問題でありますし、極めて遺憾だというふうに思っているところでございます。

穀田委員 遺憾なのはわかっているんですよ。私が行っただけで、少なくとも過去に探傷検査が行われなかった事実があるということ、それから他のコースターについても先送りしていたということ、二つの事実を私はつかんだんですよ。あなたは少なくともそういう報告を受けていない。どっちが今大事だと思いますか。

 私は、専務と話をして、過去にも探傷検査すべきだったのにしていなかったという事実と、他のコースターについてもやっていなかったという事実、これをつかんだ。あなたは報告を聞いていないということを話している。どっちが今大事だと思いますか。

 だから、私が言っているのは、何も全部責任を負えとか、その仕掛けがこうだとか言っているんじゃないんですよ。やはり直接出かけていって、話を聞いて、ほんまに一つの事故で一人の命がなくなった、大変なことだと。遺憾だなんて言っている話を、何回遺憾だと言ったってだめなんですよ。遺憾だと思ったら行ってやってこいと言っているんですよ、私は。そこを言っているということを理解してほしい。

 そこで、そういう問題について、では検査の内容その他について一つずつ検証しましょう。

 乗り物というのは、定期検査実務要綱にはちゃんと乗り物と書いているんですね、これには。ジェットコースターは乗り物なんですね。大臣も、なぜこれが建築基準法の検査かと、最初はどうもびっくりされたみたいであります。だれもが疑問に思うことでありまして、十一日の委員会でも議論になりまして、国交省は、簡単に言うと、建築基準法でも安全が確保できると答弁しているんですね。

 しかし、これも私はおかしいと思うんですね。建築基準法のどこに乗り物の安全を担保する規定があるのか。乗り物というのは、普通考えますと、電車とか自動車とかという構造の意味ですね。

 それで、鉄道局に聞きたい。

 鉄道の場合、車両検査などの安全確保の法令上の規定はどうなっているか、簡便にお答え願いたい。

平田政府参考人 お答え申し上げます。

 鉄道車両の車軸の安全確保のための基準につきましては、鉄道営業法に基づいて定められました鉄道に関する技術上の基準を定める省令において規定されているところでございます。

 この省令におきましては、施設及び車両の構造上の基準を定めているほか、車両の検査につきましても、車両の種類、構造などに応じまして、対象とする部位及び方法を定めて、行わなければならないとされているところでございます。

 車軸検査の具体的な方法につきましては、同省令の解釈基準通達におきまして、定期的に探傷検査によることといたしまして、事業者はこの方法によって実施しているところでございます。

穀田委員 要するに、省令で書いているということなんですね。

 そこでもう一度、では住宅局に聞きます。

 ジェットコースターに関して、今の鉄道に関する安全規定のような規定が建築基準法令のどこに規定されているか聞きます。

榊政府参考人 建築基準法の施行令百四十四条及びこれに基づく告示で、施設ごとに構造基準を定めているところでございます。

 具体的に申し上げますと、遊戯施設の客席部分やこれを支える主要な部分が構造耐力上安全であること、客席部分は走行時の衝撃が加えられた場合に客席にいる人を落下させず堅固な構造であること、事故が発生し、発生するおそれがある場合に自動的に作動する非常どめ装置を設けることといったような基準を定めております。

穀田委員 それは百四十四条にそう書いているんだけれども、今私が聞いたのは、ジェットコースターに関する車軸はないということは明らかですね。今お話しされたのは、一生懸命百四十四条を読んでいるだけで、そこに書いているだけの話をしていて、先ほど鉄道局が言ったように、鉄道局の場合には定期検査の検査項目及び方法という解釈基準を示していまして、その中に車輪及び車軸、そしてこれは定期的検査を行うべきものであると書いているんですね。ところが、おたくのところはそうは書いていないんですよ。一般論としてそう書いているだけだということです。それは確かです。今おっしゃった二つのことからも明らかであります。

 そこで、では、そういうもので車軸のことについてはない。乗り物の安全の確保が建築基準法でできるか、ここは大臣に聞きたいんですね。大臣もいろいろお考えで、いろいろなことで、この間の不備その他を含めてお考えなさったと思うんですね。

 私はやはり、建築基準法で無理なんだったら新たな法令を考える必要があるし、それから、建築基準法に、鉄道のような、今のような乗り物の安全規定を取り込むことが可能なんだったら、取り込むことを検討すべきじゃないか。つまり、一般論としてそういうことを言うだけではもう間尺に合わない時代に来ている。だから、そこを私は提案しているんです。いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 私も全くそのような考え方から、建築基準法の法令の中に、探傷試験を行わなければならないと。ずっと手繰っていけば、どこかで切れているんですけれども、やらなきゃならないということになっているわけですが、私は、それはだれが見てもわかるように、建築基準法令の中に、法あるいは令、規則でもいいですけれども、そういう中にこの探傷試験というものがきちっと入り込む必要があるし、また、できればその期間とかあるいは取りかえとかいうようなことも、必要であれば決めなければならないと思っています。

 そういうような考え方から、社会資本整備審議会の中の建築分科会建築物等事故・災害対策部会というものを五月十日に、五日に事故が起こりましたが、緊急にこれを開いていただきまして、その問題点について、早急にこれをまとめていただいた上、そのような建築基準法令の整備をしたいというふうに考えているところでございます。

 以上です。

穀田委員 わかりやすく言うと、先ほど局長が読んだところをもう一度引用しますと、百四十四条は、見たらなかなかわかりにくいんですね。「摩損又は疲労破壊が生ずるおそれのある部分以外の部分の構造は、」こうきている。それで、実は私、聞いたんですけれども、これはもうわかり切ったことなので言っておきますと、「生ずるおそれのある部分以外の部分」、つまり、その構造については余り書かぬでもいいという、平たく言えば、そっちの方に分類されているのが実は車軸なんですね。だから、大臣がだれが読んでもわかると言うのは、そのことを言いたかったと思うんです。

 私も、これを読んで、一生懸命聞いて、「摩損又は疲労破壊が生ずるおそれのある部分」に車軸は入るのかと聞いたら、いや、違う、それ以外の部分というのに入るんだと。したがって、別の方法で、今度は建設省告示に書いていて、さらにそういう内容は別のところに書いているんだときますので、実際はだれもわかっていないという現実になってしまうんですね。

 ですから、JIS規格に基づいてしなさいということをわかっていた、ジェットコースターを所有しているところでいいますと、四割ぐらいが知らなかったという結果になってしまう。こういうことになるわけですから、今お話があったように、だれが見てもわかるようにということの改善が必要じゃないか。しかも、そのことによって、安全規定をわかりやすく取り込むことが大事だという点ではぜひやっていただきたいと思います。

 そこで、その際、問題があるんですけれども、建築基準法といいますと、耐震基準でもそうなんですが、新たな基準は既にある建築物には遡及して適用されないというのがあります。いわゆる既存不適格というのが思い浮かびます。今度の事故に関係して、乗り物の場合にはそういうわけにはいかないと思うんです。現在あるすべてのものの安全確保が担保されないと意味がないと思うんですが、この点はどうでしょうか。

冬柴国務大臣 五月五日に起こって、五月六日付で、五月十八日までに、もうあとちょっとですけれども、全部調査して報告してくださいということを求めているわけでございます。したがいまして、そういうものを踏まえて、今ある部分について、例えば建築物とか、あるいは公共交通機関はすぐとめるとかそんなことできませんよ、でも遊戯施設だったらあしたでもとめられるじゃないですか。

 私は、そういう意味で、もし車軸というような点について強度が多少でも疑義があるということであれば、そういうものについては、今からでも試験をやるとかあるいはそれを取りかえてもらうとか、そういう指導はできるのではないかと思います。これはもちろん特定行政庁を通じてでありますけれども、そういうことはできると私は思っております。

穀田委員 この点は確認できたと思うんです。つまり、現在あるものすべての安全はやはりきちんとやるということだと思うんですね。

 そこで、事故原因に関連して、車軸の金属疲労が有力視されていることは御承知のとおりです。しかも、他の遊園地では、報道によりますと、車軸は五年から七年で交換しているのに、エキスポランドでは十五年間かえていなかったと言われています。交換を義務づける規定はあるんでしょうか。

榊政府参考人 交換を義務づけるような規定はないんですが、コースターの車輪軸の部品交換につきまして、平成十二年に私どもの方で「遊戯施設の維持保全計画書の作成手引き」というものをつくっておりまして、その中に保守・部品交換に関する事項を定めるということにいたしております。具体的には、個別の施設ごとに、定期的な交換を要するような部品ですとか消耗品についてリストを作成いたしまして、各部品ごとに交換の時期または基準、交換の責任者等を維持保全計画書に定めて、これに基づいて計画的な部品交換を行うようにということで指導をいたしているわけでございます。

 私どもも、平成十二年以来、業界団体を通じまして、この手引の活用によります適正な維持、運行管理の徹底を指導しておるところでございますが、今回の事故を受けまして、五月六日付で、特定行政庁を通じまして、改めて遊戯施設の所有者等に対し、この「遊戯施設の維持保全計画書及び遊戯施設の運行管理規程の作成手引き」をもとに、遊戯施設の点検整備なり適切な運行管理について周知徹底を指導したところでございます。

穀田委員 そこは、私何回も言うんですけれども、大臣が言っているように、だれでもわかりやすいという点でいうと、手引というのは確かに僕も見ています、ただ、義務づける規定ではないんですよ。そこが少し問題じゃないかなと私は言っているんですね。

 実は、なぜこれを言っているかといいますと、例の三菱のハブが折れたときの問題などで議論しましたように、あのときにも、製造、設計段階、さらには製造物責任の問題にもかかわるという議論を行ったわけですね。

 そして同時に、この車軸ということでいいますと、八年で交換すべきだったとするトーゴという製造元の指摘も報道されていて、ある場合には、エキスポランドとは別のところに対しては八年以内にかえてくれと推奨しているということまであったわけですね、そう報道されています。したがって、交換期間や製造者の責任などについて、これは東京新聞の五月十二日付の夕刊なんですが、そういうルールが必要だ、手引というのではなくてルールだということが述べられています。

 私は、いずれにしても、この部品交換が適切になされていない場合の処置も検討されるべきではないか。その点はいかがでしょうか。

冬柴国務大臣 先ほど申しました五月十日に開かれました社会資本整備審議会の中の部会で、定期検査の項目、方法、基準というものをきっちりやっていただいて、建築基準法上の位置づけを明確にするということを考えておりますし、また、検査時点の状態の適否判断にとどまらず、次回の検査時点までに劣化が進むことが想定される場合とそうでない場合をちゃんと区別して、どうするのかというようなこともきっちりしてほしいと思っています。

 それから、定期報告の内容でございますけれども、これも詳細な内容とかそれを裏づけるための資料等の添付をちゃんと義務づけて、それを特定行政庁が受けたときに、それで適否が判断できるようなものも必要。今だったら、これはAでしたという結論だけが書かれているわけでございますが、それはその時点のことであります。それから、過去のふぐあい、過去どうだったかというようなこともきっちりして、それをこういうふうに直してAになったというような、過去の情報というようなものもその中に織り込んでもらいたいと思っています。

 あるいは、定期検査資格者の制度についても見直すところはないのかどうかというような点についても審議をしていただいておりますので、早急にこのような答申をいただいた上で、法律上それに違反したらどうするんだとおっしゃいますけれども、やはり法制度をする以上は罰則がかかるようにしなきゃいけないと私は思っています。

穀田委員 私、吹田市に行きまして、Aというものが全部あるものを見ました。あれも本当を言うと、全部結果としてはAになるという仕掛けなんですね。それは当たり前なんですよ。ただ、そのときに、ふぐあいが見つかって、それをかえてAになったという場合には、資料を添付すると書いてあるんですね。それも怠っているということで、それは、見抜けなかった吹田市が悪いというよりも、そうじゃなくて、それはやはりそれを意図的にごまかした人が悪いわけでして、だから、添付されていない以上、単にAと書いているのは、結果として直してAにして丸にしているわけですから、それを悪いというわけにはいかないんですね、あの仕掛けというのは。

 ですから、そういう意味で、確かに添付するということも書いているので、そこはどうしたら一番やれるかというのは、きのうも吹田市の方から国土交通省に対して、法令化についての要望書が出ているようです。私は、現場とよくこういうものは、やるときは、地方分権、それから特定行政庁を通じて、こう平気で言うけれども、実際に直すときは特定行政庁とよく議論をしてやっていただく必要があるだろうと思うんです。それが一つです。

 もう一つ、ここは聞きたいんですけれども、私、実は、去年の六月のたしか十四日だと思うんですけれども、大臣にもお会いしていただきましたけれども、例の港区のエレベーター事故があったときに、その前の年に国土交通省は、そういうさまざまな事故情報というものを共有する必要がある、共有するというのは、単に部内だけじゃなくて、条例化して、消防庁だとかその他を含めて全部共有する必要があるということを通知しているんですね。

 ところが、その結果がどうかというふうに聞いたら、条例化しているのは大阪ぐらいしかなかったんですね。それで、事故が起こった瞬間にまたわっとくる。今度もまた別な事故が起こる。これもよく聞いてみると、この問題について、事故は、昇降機にかかわるセンターの情報によりますと、何百件もあったと言われている。ところが、だれも知らない。こういうことが起こるたびごとに後手になるという点が、私はちょっとまずいんじゃないかと率直に思っているわけですよ。

 私は、去年六月十四日に、改めて事故情報の収集と分析によって事故を未然に防ぐ制度的保障の必要性を述べたわけですね。したがって、政府の審議会でも強調されたと思うんですけれども、確かにエレベーターほど遊戯施設はそんなにたくさんあるわけじゃありません。でも、事故情報の収集等の制度化は改めて重要だと思うんですが、その見解について最後にお聞きしたいと思います。

冬柴国務大臣 そのとおりだと思います。そこで、今年度から、建築物等における事故情報、ヒヤリ・ハット情報、これをインターネットを通じて収集、公表し、建築物等の所有者等に対して注意喚起を促すためのサイトを開設し、運用を開始したところであります。これは、例えば観覧車に乗って上でとまったとか、そういうことが時折ありますが、そういうときに、乗っていた人がインターネットできちっとこういうところへ知らせていただくということで、情報をたくさん集めようというふうなことでございます。

 それから、これまでも国土交通省におきましては、特定行政庁から事故情報の報告を求め、この情報を分析し、必要に応じて全国の特定行政庁に対して提供する仕組みというものも準備しているわけですけれども、そういうことをもっと徹底させようと思っております。

 それから、事故情報の分析に基づく安全基準の見直し、フェイルセーフ等の安全設計思想に基づく性能の確保等に関する総合的、体系的な検討も行わなきゃならないというふうに考えているところでございまして、先ほどの社会資本整備審議会の建築物等事故・災害対策部会というところにおきまして、事故情報の収集、分析のあり方について今審議をいただいて、事故発生防止のための充実を図っていきたい。これは、委員の御提言等も踏まえまして、そういう措置をとっているということでございます。

穀田委員 くれぐれも言うんですけれども、実は私、去年こう言っているんですよ。「二〇〇五年三月の国交省の通知では、」ということで、例の回転ドアの事故から起きている教訓なんですね。そして、国交省は共有化と条例化を推奨するわけですね。そのとき、当時の住宅局長は、実際に消防機関等との連絡協議会などを設置したのはということで、岩手県、愛知県、鹿児島県といった例を挙げたんですね。そして、関係条例を整備いたしましてとやっているんですね。どこが整備しているんだと私聞いたんですけれども、そうしたら、港区はやっていなくて、実際は、私が知っているのは大阪だけだった。

 こんなことはないとは思うんですけれども、きょうは聞かないでやめますけれども、同じことを言うと、大臣はそのように、今度はヒヤリ・ハットのインターネットをやりましたと。前は、そういうことを含めて徹底するために各県にやります、条例化も進めますと言う。大して進行してないからきょうは聞きませんけれども、そういうことで、起こったときにびほう的にやるんじゃなくて、やったことを徹底してやるための努力だけはしていただきたいということをお願いして、終わります。

塩谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.