衆議院

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第23号 平成19年5月25日(金曜日)

会議録本文へ
平成十九年五月二十五日(金曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 塩谷  立君

   理事 後藤 茂之君 理事 中野 正志君

   理事 西銘恒三郎君 理事 葉梨 康弘君

   理事 山本 公一君 理事 伴野  豊君

   理事 三日月大造君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    石田 真敏君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    梶山 弘志君

      亀岡 偉民君    北村 茂男君

      桜井 郁三君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    鈴木 馨祐君

      鈴木 淳司君    関  芳弘君

      薗浦健太郎君    谷  公一君

      徳田  毅君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    馳   浩君

      原田 憲治君    松本 文明君

      宮澤 洋一君    盛山 正仁君

      山内 康一君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    泉  健太君

      小宮山泰子君    後藤  斎君

      神風 英男君    土肥 隆一君

      長安  豊君    笠  浩史君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      伊藤  渉君    穀田 恵二君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      望月 義夫君

   外務大臣政務官      松島みどり君

   国土交通大臣政務官    梶山 弘志君

   国土交通大臣政務官   吉田六左エ門君

   政府参考人

   (外務省大臣官房参事官) 伊原 純一君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 平山 芳昭君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    石川 裕己君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

五月二十五日

 辞任         補欠選任

  鍵田忠兵衛君     関  芳弘君

  亀岡 偉民君     山内 康一君

  坂本 剛二君     馳   浩君

  桜井 郁三君     鈴木 馨祐君

  宮澤 洋一君     谷  公一君

  黄川田 徹君     神風 英男君

  古賀 一成君     笠  浩史君

  下条 みつ君     後藤  斎君

同日

 辞任         補欠選任

  鈴木 馨祐君     桜井 郁三君

  関  芳弘君     鍵田忠兵衛君

  谷  公一君     宮澤 洋一君

  馳   浩君     坂本 剛二君

  山内 康一君     亀岡 偉民君

  後藤  斎君     下条 みつ君

  神風 英男君     黄川田 徹君

  笠  浩史君     古賀 一成君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件(内閣提出、承認第二号)


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     ――――◇―――――

塩谷委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本件審査のため、本日、政府参考人として国土交通省政策統括官平山芳昭君、海上保安庁長官石川裕己君及び外務省大臣官房参事官伊原純一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。鷲尾英一郎君。

鷲尾委員 民主党の鷲尾英一郎でございます。

 早速でございますが、特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるということに当たりまして、御質問をさせていただこうと思います。

 まず初めに、海上保安庁さんに対する質問をさせていただこうと思います。

 最近、報道でございますが、海保に対する、北朝鮮を初めとする諸外国の機密情報収集活動が活発化してきておるという報道を耳にしております。海上自衛隊の方でイージス艦の情報が漏れたとか、領海の治安、安全の確保に当たっても、海保さんには特段の御尽力を今賜っているところでもございますが、入港禁止措置をそういうふうに講じているという上でも、情報の漏えいを防止するに当たっては、特別な対策といいましょうか、当然、情勢が流動的なわけですから、機密情報、これを漏えいを防止するという対策が常に有効かどうかというところについても不断の検証、分析、新たな対策を含めて必要になってくると思いますが、この辺について長官はどのようにお考えで、どのような対策を講じられているのかということについてお聞き申し上げたいと思います。

石川政府参考人 今先生御指摘のように、海上保安庁では、その取り扱う業務の性質上、取り扱う情報というもののセキュリティーの確保ということは極めて重要であろうと思っております。

 それで、私どもとしては、情報システムからの情報漏えいを防止する措置として、政府全体としての取り組みがございます。これは、政府全体として、例えば不正なパソコンの接続の禁止あるいは最新のセキュリティー対策ソフトの導入などの統一基準というものがあるわけでございますが、そういうことを守っていくことはもちろんのこと、それに加えて、海上保安庁としては、許可なく業務情報を職場から持ち出させないというふうなことなどについて、職員への指導徹底を図っているわけでございます。

 もとより、このような情報の保守、機密を守るということは極めて大事であろうと思っております。したがいまして、他の省庁で発生した各種の事案、こういうものも参考にし、あるいはそれを契機として、機会あるたびごとに、私ども、全職員に対して注意喚起あるいは点検の指導ということをやってきております。引き続き、情報の漏えいということの防止について努力してまいりたいと考えております。

鷲尾委員 先ほども申し上げましたけれども、イージス艦の情報が漏れたとか、それが海上自衛隊さん、最近は海外の奥さんをもらうという事案も多いというふうに聞いておりますが、それで上司に断りなく渡航してしまうといったことも表ざたになりましたが、こういう海上自衛隊の話を海保さんが、先ほど長官が他の省庁の事案についても情報を収集しておるという話を言っておられましたけれども、海上自衛隊さんとの、どうしてこういうことが起こったのかということに対する情報の共有といいましょうか、その連携というのはどの程度やっておるのか。

 当然、報道でそういうものは、重立ったものについてはわかりますでしょうし、政府としても、機密漏えい事案として、統一基準があるというふうにおっしゃっていましたので、当然、全省庁含めて気をつけなさいという旨の徹底というのは政府がしておるんでしょうけれども、海保さんといたしまして、海上自衛隊との連携を含めて、そういう相互の情報の共有というものはやっておられるのかどうかということについてお聞きしたいと思います。

石川政府参考人 まず、私ども、職員数は御案内のとおり一万二千人ほどでございます。大変士気の高い組織であろうと思っております。したがいまして、他の省庁と比べてどうかということについても、いろいろあろうかと思いますけれども、いずれにしましても、私どもは、他の省庁のそのような事案もまさに参考にしながら、さっき申し上げたような形で、事あるたびごとにその徹底を図ってまいるということでございます。

 具体的な内容につきましては、事柄の性格上、差し控えさせていただきたいと思います。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 それでは、ちょっと話をかえまして、最近、北朝鮮を取り巻く情勢というのは大変流動的であるということは皆さんも御存じだとは思いますし、最近は、六者協議の中で大分、米国及び中国の対応というのが以前と変わってきたということも存じ上げているところではありますが、さはさりながら、核実験そしてミサイル発射、これは我が日本にとっては大変唐突的なものであった、衝撃的なものであったというふうに認識しております。

 こういう北朝鮮が暴発する可能性ということは否定できない、可能性としては否定できないわけでありまして、では、可能性として否定できないものを、どのようにして海保さんがこの領海を守るために、暴発した場合は、例えば避難民がどれぐらい出るよとか、どういう経路でとか、例えばその避難民にまじってテロリストが来るとそれを水際でどういうふうに防止するとか、船舶検査を含めてどういう体制を整えるとか、それだけではなくて、当然、不審船を含めて、どういうものが、どれぐらいの事態が起こるのかということについても、いわば半島が有事になった場合についてのシミュレーションと申し上げましょうか、やはりある程度の事態は想定しながら日本の海というのを守っていかなきゃいけないというふうに思います。

 この半島有事ということがあった場合、いろいろな物事を想定した計画といいましょうか、想定をされているのかどうかということと、想定した場合に、それの実施計画といいましょうか、そういうものは海保さんとして準備されておるのか、されるおつもりがあるのかということについてお聞きしたいと思います。

石川政府参考人 我が国周辺地域において、我が国の安全に重要な影響を与えるような事態が発生するという場合に、海でどのようなことがあるのかなということでございますけれども、いろいろなことがあるかもしれませんが、大きなものとしては、一つが、不審船が出てくるということ、それからもう一つは、大量避難民が洋上に出てくるというようなことがあるのではないかと考えております。

 それで、不審船に対しましては、防衛省との間において、早い段階からの情報共有、あるいは自衛隊との共同対処マニュアルというものを作成しておりまして、これに基づきまして、内閣あるいは内閣官房あるいは防衛省等の関係省庁と連携して対処するということにしてございます。

 それから、大量難民につきましては、大量難民が押し寄せてきた場合、これにつきましては、巡視船艇によって避難民を保護する、関係機関と連携して法令に従い対処するというふうなことになると考えております。

 ちなみに、現在、海上保安庁では、日本海側に最新鋭の高速船を配備しているところでございます。

鷲尾委員 ぜひ、今おっしゃった防衛省さんとの連携は当然のことながら、避難民が大量に来た場合はどうするかということについても、ある程度細かい実行計画といいますかマニュアルが必要になってくるんだと思いますし、それがかなり整備されているのではないかということを御信頼申し上げるということで、海保さんに対する質問は終わらせていただきたいと思います。

 続きまして、国交省さんに対して質問をさせていただきたいと思います。

 入港禁止になったというのは、北朝鮮籍船のみ対象となっておるわけですね。最近の事案としては、北朝鮮に入港した船舶及び北朝鮮籍から移した船舶、北朝鮮の船員が大部分を占める船舶、この事案というのが最近いろいろなところで報道で表ざたになっているわけですけれども、これを含めないのはどういう意味があるのかについて、大臣にお聞かせ願いたいと思います。

冬柴国務大臣 閣議決定によりましたら、すべての北朝鮮籍船のみを入港禁止の対象としたのは、我が国を取り巻く国際情勢にかんがみまして、特定船舶入港禁止特別措置法に基づく措置として、その外国を指定しなきゃならないというふうになっているんですが、北朝鮮船籍のすべての船舶の我が国への入港を禁止するということが、北朝鮮に対して適切な対応を求めるための手段としては効果的であるという判断に基づくものでございます。いろいろな選択肢はあるとは思うんですが、現在の国際情勢等をかんがみますと、それが一番適切だろうというふうになります。

 国土交通省といたしましても、政府の一員として、本措置を確実に実施していくことが重要であると考えております。港湾管理者あるいは税関、警察等の治安機関との情報交換を行うなど関係機関との密接な連携のもとに、引き続き適切に対応していく所存であります。

 いずれにせよ、北朝鮮が諸問題に対して誠実に対応することを期待しているところでございます。

鷲尾委員 北朝鮮籍船のみというのが、それ以外の、要するに、実質的には北朝鮮からの貨物を運んできているよということに対して、もしくは貨物を出すよということに対して、実効性のある措置というのが重要なのではないかというふうに思うわけであります。

 大臣おっしゃるとおり、いろいろな法律に書くとなると諸外国との調整を含めていろいろあるのかもしれませんけれども、国内といいましょうか、日本の領海において勝手なことはさせないんだということはしていただきたいですし、最近の報道では大分、北朝鮮に対する経済制裁、これは日本が経済制裁しても、中国なり韓国なりほかの東南アジアの国なりが北朝鮮と交易することによって実効力はだんだんと減ってきているのではないかという疑念も生じておるわけであります。そしてまた、そういう第三国経由で日本に北朝鮮の物品が入ってきて、間接的に北朝鮮を利する結果となってしまって実効力が薄れてしまっている。日本政府としては、断固、経済制裁、実効力をより高める方向で政策を行っていただきたいわけでありまして、このことを一言申し上げたいというふうに思います。

 それでは、きょうは外務省さんにも来ていただきまして、北朝鮮全般に対する問題について、ちょっと議論をさせていただけたらと思います。

 北朝鮮が、六者会合で決められた初期段階の措置というのが今もって実施されておらないというわけであります。二月十三日の合意で、合意から六十日以内に五万トンの重油支援と引きかえに核施設の停止、封印するよ、核施設の監視を再開するよという約束をしたわけですけれども、これがいまだなされていない。いまだなされていない理由が、BDA、バンコ・デルタ・アジアの金融問題が解決していない。こういうことを理由に、北朝鮮は初期段階措置の履行を今していないという状況なんですね。

 これについては、今アメリカが民間の金融機関を使って送金の引受先を探しておるようですが、以前、外務省さんに聞いたところでは、金融措置と六者協議の初期段階の措置の履行は全く関係ないんだ、関係ないけれども北朝鮮は難癖をつけているんだという話をお聞きいたしました。

 政府としては、今の北朝鮮が初期段階の措置を履行しないことについてどういうふうに考えているのか、御質問したいと思います。

松島大臣政務官 委員がおっしゃいましたように、BDAの問題というのは、六者協議の問題とは別建ての問題であります。

 そして、このBDA問題に対する北朝鮮の対応でございますけれども、北朝鮮外務省スポークスマンは、今月十五日に、マカオのデルタ・アジア銀行にある資金を第三国にある我が方の銀行口座に送金するための作業が現在進行中であるとした上で、資金の送金が実現すれば、直ちに二・一三合意に基づく核施設の稼働中止措置を講ずる用意があるなどと表明しております。これはいい方の表明であります。

 しかしながら、一方で、従来のように資金を自由に送金することができるようにせよというのが我が方が最初から要求した制裁解除であるといった、こういう厳しい、ひどい立場もあわせて表明しております。この点も注目しなければいけないと考えております。

 いずれにせよ、最初に申しましたように、日本としましては、BDA問題の当事者ではありません、これについてコメントすべき立場ではございませんが、引き続きこの件について注視していきたいと思っております。

 初期段階の措置の期限というのは既に過ぎたものでございます。北朝鮮が一刻も早くみずからコミットした初期段階の措置というのを実施すべきだと考えて、働きかけてまいります。

鷲尾委員 日本が関与できない話であるというのは私も重々承知なのでございますが、気になるのは、北朝鮮の態度からすると、結局、難癖をつけてこの初期段階の措置を実行しない。これについてはアメリカも、金融制裁を解除しました、実行期限の延長も認めましたと、かなりの譲歩を重ねているわけですね。こういう譲歩を重ねている中で、北朝鮮がまだ初期段階も履行していない。黒鉛減速炉及び再処理工場を含むすべての既存の核施設の無力化ということが第二段階と言われているわけですけれども、こんなことが果たして実現できるのかと、私はかなり疑念を持って見ておるわけです。

 最終的にはそれこそ核放棄というプロセスになるとは思うんですけれども、これについて、本当に北朝鮮は約束を守ってしっかりと核放棄するんだ、その実現可能性について、政府がどういうふうに考えるのかということを私ちょっとお聞きしたいんです。

松島大臣政務官 お答えいたします。

 北朝鮮は、朝鮮半島の非核化を実現することは、故金日成主席の遺訓であるというふうに繰り返し述べております。また、北朝鮮によりますすべての核兵器及び既存の核計画の放棄を含む六者会合共同声明の実施にコミットしている旨も北朝鮮はたびたび述べております。

 その一方で、北朝鮮は、六者会合共同声明を採択した後の昨年十月、核実験実施を発表いたしました。また、ことしの二月には寧辺の核施設の活動停止及び封印などの初期段階の措置を約束したにもかかわらず、BDAで凍結されていた資金の送金が実現していないことを理由にして、実施期限を大幅に過ぎた現在に至るまで何ら具体的な措置を実施しておりません。このように、北朝鮮の核放棄へのコミットメントを疑わせる行動も確かに繰り返されております。それも事実です。

 北朝鮮は、今後とも、さまざまな策を弄して六者会合プロセスの進展をおくらせる行動をとることが予想されます。しかしながら、我が国としては、北朝鮮の核保有は断じて容認できません。そして、米国を初めとする関係国と緊密に連携して、六者会合共同声明を完全に実施し、北朝鮮の非核化を実現すべく、しっかりと取り組んでいるところであります。

鷲尾委員 難癖をつけるというのは当然予想されているところでありまして、その際に重要なのが日本とその他の国々との連携ということだと思うんですけれども、私、最近の報道等の動きを見ておりますと、アメリカ、中国そして韓国は日本と温度差が大分あるなというふうに率直に思います。これは、六者会合で日本を含めた各国が連携していないということのあらわれなのではないかと私自身思うわけであります。

 日本としては、やはり北朝鮮というのは一番脅威でありますし、ほかの国々よりもより生命、安全にかかわる問題でありますので、日本としてこの六者間の連携ということに対してどれだけの努力を払っているのか、私はちょっと疑問を持っておりますので、その点についてお聞かせ願いたいと思います。

松島大臣政務官 御心配の向きでございますけれども、日本はしっかりと他の六者会合参加国である米国、中国、韓国及びロシアと緊密に連携をしております。北朝鮮が一昨年九月の六者会合共同声明及びことし二月の成果文書に従って核の放棄に向けた具体的行動をとるようにということを、こういった国々としっかりと連携をとっているところです。

 六者会合が開催される際には、これらの四カ国との間で必ず個別の首席代表協議、日本とその四カ国がそれぞれ首席代表協議も行い、緊密に情報交換や意見の調整を行っております。

 また、これは六者会合の枠内のみではありません。さまざまな機会をとらえて、これらの会合参加国との連携を強化するために外交努力を尽くしております。

 幾つかの例を申し上げさせていただきます。

 直近の例で申し上げますと、米国につきましては、四月下旬の日米首脳会談及び四月末の外相会談におきまして、六者会合を通じて北朝鮮の核兵器、核計画の完全な放棄を実現すべく努力すること、また、北朝鮮は一日も早く初期段階の措置を実施する必要があり、非核化に向けたプロセスを前進させるべく、今後とも日米間で緊密に連携するということで一致しました。日米首脳会談でも日米外相会談でもそうであります。また、ここが大事なことですが、忍耐は無限ではなく、必要があれば圧力を強化するべきであるとの認識もこのときに共有いたしました。

 次に、中国についてでございますが、四月に温家宝首相が来日された際、日中首脳会談におきまして、対話と協議を通じて朝鮮半島の非核化を実現する、そして北東アジア地域の平和と安定を維持する、こうしたことのためにともに協力して力を尽くすことを日中首脳で再確認いたしました。また、ことし二月の成果文書を六者がともに努力して全面的に実施すべきであるという点でも、日中の首脳会談で認識しているところであります。

 韓国につきましては、先般の日韓外相会談、これは五月にエジプトで行われたものでございますが、この際にも、BDA、バンコ・デルタ・アジア問題を早期に解決させた上で北朝鮮が早期に初期段階の措置を実施することが必要であること、引き続き日韓間で緊密に連携する必要があることなどで一致しました。

 最後に、ロシアにつきましては、五月初めのロシアにおいての日ロ外相会談におきまして、核問題の解決に向けて引き続き日本とロシアの間で連携協力していくということで一致いたしました。

 このように、四カ国とは六者会合以外の場所でも首脳会談及び外相会談でしっかりと認識を共有しているところであります。

 我が国としては、関係各国とのこのような緊密な連携を維持強化しながら、六者会合共同声明の完全実施という共通の目標に向けて精力的に努力しておりまして、今後ともこの努力を継続してまいります。

鷲尾委員 それは事実であることは間違いないと思いますが、要するに、建前と本音といいましょうか、各国が北朝鮮に対して日本と同じ歩調をとるためのインセンティブがないと、今政務官がおっしゃったような事柄が結実しないというふうに思っております。インセンティブという意味では、建前というか、口ではいいことを言うかもしれないけれども、日本を逆に置き去りというか、無視するというようなことがあってはならないわけでありますが、現象として若干そういう部分があるのではないかというふうに私は疑念を持っておるところであります。

 ちょっと質問をかえまして、二月の六者会合で設置されました日朝国交正常化のための作業部会について、第一回が開催されたけれども、北朝鮮は、拉致問題で譲らない日本を六者会合から排除するんだと主張しておったわけですね。今、アメリカからさらなる譲歩を引き出したというのが現状なわけですね。そう考えた場合、北朝鮮はさらに態度を硬化させるんじゃないかというふうに私などは思うわけですけれども、北朝鮮の態度を硬化させずに、拉致問題に対して積極的に取り組ませるために何が必要だとお考えですか。

松島大臣政務官 委員が御指摘されました、北朝鮮が言ったという、日朝作業部会の設置について、北朝鮮は拉致問題で譲らない日本を排除しようとしたという趣旨の方は明らかではございませんけれども、しかし、これまで北朝鮮は六者会合で、拉致問題を持ち出す日本には六者会合への参加資格はないという主張を確かにたびたび行ってまいりました。また、北朝鮮は、ことし三月の第一回日朝国交正常化のための作業部会におきましては、協議の途中で一方的に退席するなど、実際の協議の場においても非建設的な、こういうひどい態度をとっているところでございます。

 このような北朝鮮の態度はほかの六者会合参加国から全く支持されていません。北朝鮮の方が孤立しているわけです。特に米国は、ことし三月に行われた米朝作業部会におきまして、北朝鮮側に対し、日本との関係を改善することが北朝鮮の将来のためになる、将来のために重要であるということを述べたと伺っております。また、同じくこの三月に開催されました六者会合において、それぞれの作業部会について報告が行われた際には、米国側が、日朝作業部会における北朝鮮の態度に関して、協議の途中退席は誠意ある姿勢ではない、そのような発言をいたしました。

 このように、態度を改めるべきは北朝鮮であります。北朝鮮の態度の硬化を懸念して我々日本の方が行動を改めるなどということは全く考えられません。

 我が国としては、今後とも、米国を初めとする関係国と緊密に連携して、北朝鮮に対し、非建設的な態度を改め、拉致問題を含む日朝関係全体の進展に向けて誠意ある対応をとるように強く求めていく所存であります。

鷲尾委員 おっしゃるとおり、北朝鮮の態度が硬化していったとしても、日本としては、やはり首尾一貫した主張が重要であろうというふうに思います。

 それに当たって、北朝鮮のコメント等を見てみますと、日本を軽く見ておるんだなということを、正直、私は率直に思うわけですけれども、では、そういう中において、北朝鮮に言うことを聞かせるためにはどうするかというと、これはもうやはりアメリカと中国がかぎなんじゃないかな。当然、韓国、ロシアも重要なんですけれども、やはり米国というのがかなり重要な割合を占めるんじゃないかなというふうに思うんです。

 この米国が、今や資金問題では、金融問題では大分譲歩を繰り返した。さらには、国務省の方ですか、テロ支援国家指定解除への作業開始、その兆しが今見えるわけですね。要するに、米国の政策というのは、北朝鮮との関係において、日本にとってかなり重要な問題であるにもかかわらず、テロ支援国家指定解除の予兆を見ると、はっきり申し上げて、今までの譲歩を含めて何を考えているかわからない、アメリカは一体何を考えているんだと私自身は思うわけでありまして、当然アメリカに対して、強く北朝鮮にコミットメントするというか、北朝鮮のことについてアメリカが主導して言うことを聞かせてもらわないと、日本としては弱いんじゃないかなというふうに思うんです。

 この点、政務官、政府としてアメリカの対応をどういうふうに考え、そしてこの北朝鮮の脅威を北東アジアから除くということにおいてどういうことが必要と思われているのかについてお聞かせ願いたいと思います。

松島大臣政務官 この質問の答弁に入る前に、先ほど委員がおっしゃっていただきました、北朝鮮が態度を硬化させてひどい態度をとっても、日本政府としては毅然と、日本の方が正しいんだから、こちらは緩めることなくしっかりやれという御激励に対しては、感謝を申し上げます。しっかり頑張っていきます。

 今の御質問ですが、米国は、北朝鮮による核保有は断じて容認できないという立場から、一貫して、六者会合を通じて北朝鮮の核兵器、核計画の完全な放棄を実現すべく努力するという立場をとっています。また米国は、北朝鮮による拉致問題につきましても強い懸念を持っています。例えば、四月下旬の日米首脳会談におきましても、ブッシュ大統領は拉致問題に関する我が国の立場に強い支持を表明いたしました。

 そして、御指摘のテロ支援国家指定解除の問題であります。これにつきましては、確かに作業を開始するという言葉は出てきております。米国が作業を開始するということについて六者会合の場で、米朝作業部会で言って、そして六者会合もそれを認めたという状況ではございますが、作業を開始するということであって、まだそういう段階、そういう言葉にすぎません。

 そして、先ほど申しました四月下旬の日米首脳会談におきましても、ブッシュ大統領からは、この問題については、つまりテロ支援国家指定解除の問題については、日本が当面している拉致問題も考慮に入れるという立場が表明されました。またブッシュ大統領は、首脳会談後の共同記者会見におきましても、この問題に関する議論が拉致問題に関する自分の強い思いを弱めるようなことがあってはならないとはっきりと発言しております。

 いずれにいたしましても、我が国といたしましては、拉致、核、ミサイルといった北朝鮮に起因する、北朝鮮が原因となっております北東アジアの安全保障上の脅威につきまして米国と認識をしっかりと共有しておりまして、その北東アジアの安全保障上の脅威を取り除くために、引き続き米国と緊密に連携しながら努力していく考えであります。

鷲尾委員 拉致問題に関してブッシュ大統領が特段の配慮を示しているというのは私も聞き及んではおるんですが、テロ支援国家指定解除の手続を始めようと今しているわけですけれども、日本にとっては物すごく重要な問題であると思いますので、そこはもう日本外交をしっかりと見せていただいて、ブッシュさんの口から、よもや、国務省が言ったから言うとおりにしたよなんということがないように、ぜひとも御尽力願いたいというふうに思います。

 ちょっと質問の視点を変えまして、我が国の経済制裁についてお聞きしたいと思うんです。

 北朝鮮の対外輸出総額というのが実は増加しておるわけであります。北朝鮮の輸出入全体に占める対日貿易の割合というのは当然低下しておるのでありますが、北朝鮮の対外輸出入総額というのは二〇〇〇年よりも今増加しているわけですね。これはどういうことなのか。経済制裁を日本はしているけれども、北朝鮮としては対外輸出総額が増加している。

 我々としては、圧力という中では経済制裁は最も強い、諸外国よりも強い措置であり、これが実効性がなくなると、余り圧力のカードがなくなるというふうに私自身は思っているわけですけれども、かように重要な経済制裁が本当にきいているのかどうかというところについて、ちょっと最近、疑問だなというふうに思っているわけであります。

 要するに、ほかの国の対応というものをもっと積極的にやってくれというふうに求める必要があると思うんですけれども、この点はどのように御認識、お考えをされているか、お聞かせください。

松島大臣政務官 まず最初に、今委員がおっしゃいます北朝鮮の対外輸出総額が増加しているということですけれども、これがどこのデータに基づくものか、ちょっと私は不明、外務省では不明といいますか、ちょっと認識が違うんですけれども。

 まず、北朝鮮の輸出総額はふえているかどうかということについて、韓国の大韓貿易投資振興公社が今月十四日に発表したところによりますと、減っています。北朝鮮の、昨年つまり二〇〇六年の対外輸出総額は九億四千七百万ドルで、一昨年の対外輸出総額が九億九千八百万ドルでありますから、一昨年に比べまして五・二%減少しております。なお、一昨年の北朝鮮の対外輸出総額も、その前の年、二〇〇四年が十億二千万ドルでございましたから、それに比べて二・一%減少しています。つまり、大韓貿易投資振興公社の数字によりますと、二〇〇四年に比べて二〇〇五年が減り、二〇〇五年に比べて二〇〇六年が減っているということでございます。

 ただ、北朝鮮に限らず、一般に、一つの国の貿易額の増減の理由を特定するのは容易ではありません。特に北朝鮮の場合は、高度の情報統制を行って、多くの統計数値や関連情報を明らかにしておりませんので、その貿易額の増減の原因や理由を分析するのは困難でございます。

 ちなみに、国連安保理決議第一七一八号は、北朝鮮への軍関連及び核、ミサイル、WMD、大量破壊兵器の計画関連の特定品目や奢侈品の輸出を禁止し、また各国に対し、北朝鮮からの軍関連及び核、ミサイル、WMD計画関連の特定品目の輸入を禁止するものでありますが、しかしながら、この国連安保理決議第一七一八号は、北朝鮮への輸出入を全面的に禁止はしておりません。

 そして、今おっしゃいました、各国に対する働きかけをもっと強めたらという話ですけれども、各国が安保理決議第一七一八号に加えて北朝鮮に対して独自にどのような経済措置をとるかということは、つまり日本のようなより強い経済措置をとるかどうかということについては、各国の裁量によります。各国が独自に行っている措置につきまして、我が国としてすべて知っているわけではございませんけれども、強めている国もほかにもございます、日本以外にあります。

 例えば米国は、従来から、北朝鮮をテロ支援国家及び大量破壊兵器拡散国と認定していることから、北朝鮮に対し包括的な経済制裁を実施しています。どういうことかといいますと、例えば、北朝鮮の人の米国への入国に対しては厳格な審査が行われておりますし、北朝鮮からの輸入につきましても、輸入業者は米国政府に事前通報を行い、承認を得る必要があります。また、北朝鮮船籍の船舶が米国の領海及び港湾に入ることも一律に禁じております。

 また、オーストラリアも、昨年十月の北朝鮮による核実験後に、北朝鮮籍船の入港禁止措置や、人の移動につきましても、オーストラリア駐在外交官を除く、基本的にすべての北朝鮮人への査証発給禁止措置を実施しております。オーストラリアもこのように国連の決議を強めた形で実施しています。

 いずれにいたしましても、我が国としては、引き続き、安保理決議第一七一八号の着実な実施を各国に働きかけていくところであります。

鷲尾委員 ありがとうございます。

 非協力的というか、協力に消極的な国に対してはぜひしっかりと働きかけていただきたい。この経済制裁、水が漏れたら全くもって日本としては圧力のカードを失ってしまうのではないかという懸念があるわけでありますから、その点はしっかりと推し進めていっていただけたらというふうに思うわけであります。

 最後の質問をさせていただこうと思います。

 最近、アメリカの方で、マイク・ホンダという下院議員が慰安婦の問題に対する非難決議というのを米国下院議会に提案した。これについては、その決議案の採択が先送りになったという話を報道で耳にしたわけでありますが、この慰安婦問題について、拉致問題にどのような影響があるとお考えなのかということについてお聞かせ願いたいと思います。

松島大臣政務官 拉致問題は、日本にいる家族と連絡をとることもできずに、すべての人権を奪われている人たちが現在もいるという、そういう人権上の問題であります。慰安婦問題に対する日本政府の対応と矛盾があるわけではありません。

 このような我が国政府の立場は米国政府関係者にも理解されております。先般行われました日米首脳会談においても、ブッシュ大統領からは、拉致問題に関する我が国の立場に対する強い支持が確認されるとともに、テロ支援国家指定解除の問題については拉致問題も考慮に入れるとの立場の表明がありました。ブッシュ大統領からは、首脳会談後の共同記者会見においても、先ほど申し上げましたけれども、拉致問題に関する自分の強い思いを弱めるようなことがあってはならないとの発言がありました。

 つまり、米国の方も、この二つの問題については混同しているわけじゃなくて、別の問題だと切り分けて対応してくれている。拉致問題についての理解というのは、先ほど来私が述べましたように、ブッシュ大統領が安倍総理に自分は強い思いを抱いていると言っているとおり、不変のものであると信じております。

鷲尾委員 別の問題であるという御認識であるということをお答えいただきましたが、別の認識であれば、これは皆さん、ごらんになったことがあるかどうかわかりませんけれども、このホンダ下院議員の決議案というのは、日本にとって大変侮辱的な表現もちりばめられてあるというふうに私自身は認識しておるわけでありまして、こういう決議案が出ること自体、アメリカの同盟国日本に対する態度としては容認できないというふうに私自身は思うわけであります。

 イラク戦争についても、まずもって、国連憲章に違反しているというふうに当時のアナン事務総長が言っていたにもかかわらず、日本は賛意を示したわけでありまして、この賛意を示したあげくに、拉致問題も譲歩に譲歩を重ね、そしてこういう下院で決議が通るなんということになったら、一体何のための同盟かというふうに言われかねない、少なくともそういう気分を醸成せざるを得ないというふうに私自身は思っているわけであります。

 この点につきまして、もし別の問題ということであれば、政府としてしかるべく対応していただきたいということを最後に申し述べまして、私自身の質問を終わらせていただこうと思います。

 どうもありがとうございました。

塩谷委員長 穀田恵二君。

穀田委員 私は、冬柴大臣と議論をしたいと思っています。

 まず第一に、特定船舶の入港禁止措置を延長する理由は何か、端的にお答えいただければと思います。

冬柴国務大臣 我が国が昨年十月十四日から実施してきたこのような措置につきまして、期限が本年四月十三日に到来することになっていたことから、四月十日の閣議におきまして、当該措置を六カ月間継続するという所要の手続をとったところでございます。

 これは、政府として、北朝鮮が引き続き拉致問題に対し何ら誠意ある対応を見せていないことや、核問題を含む北朝鮮をめぐる諸般の情勢を総合的に勘案して、当該措置の継続が必要であるというふうに考えたからでございます。

穀田委員 この法案の提案趣旨説明のところを読まれたということですね。

 私は、この禁止措置の延長が、制裁のための制裁というのじゃなくて、日朝間、そして六カ国協議の合意の誠実な履行、そのための対話を促進する手段であるということだけは確認しておきたいと思うんです。いいですね。(冬柴国務大臣「はい」と呼ぶ)

 その上で、北朝鮮のミサイル発射並びに続く核実験に対して、私どもは、国際社会の意思を無視し、六カ国協議や日朝平壌宣言などの国際的取り決めをじゅうりんする暴挙であるということで、非難、抗議してきたところであります。その上で、北朝鮮に六カ国協議の合意に基づいて初期段階の措置を完全に履行することを求めるものであります。

 私は、院における決議の問題やこれらの対応について発言をしてきました。それらを実現するためにも、国際社会の一致協力した取り組みということと平和的、外交的に解決することが重要だという立場を主張してきたところでございます。

 私どもの、また私のそういう見解、立場についての大臣の所見を伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 これは外交問題でございまして、我々は、我々の主張が通らないからといって、武力に訴えることは絶対できないわけでございます。そうであれば外交交渉で解決する、それはもう当然のことでございまして、そのためには対話と圧力、これに尽きるわけでございます。

 対話ということで、我々は、例えば平壌宣言あるいは六カ国協議というところで本当に誠心誠意この問題を取り上げてきているわけでございますけれども、これに対して、北朝鮮の方が必ずしもそれにこたえているとは思えません。したがいまして、我々としては、それの圧力という面で、本件のような北朝鮮籍船の入港禁止措置をとっているところでございます。

 今後もこのように、対話も圧力もこれは平和的解決を希求しての外交的措置である、私は本質的にはそうだと思っております。

穀田委員 五月十九日の新聞報道によりますと、「対北制裁六十八か国止まり」というのが出されています。昨年十月の北朝鮮の核実験を受けた国連安保理の対北朝鮮制裁決議第一七一八号に基づいて制裁を実施して安保理に報告書を提出したのは、外務省によると六十八カ国と一機関で、国連加盟国の三分の一程度にとどまっていることが報告されています。

 この事態についてどう見るのか、これまた大臣にお聞きしたいと思います。

冬柴国務大臣 私の方は、国連に報告書を提出したのは七十カ国と一機関、一機関はEUでございますが、そのように承知をいたしております。

 いずれにいたしましても、国連加盟国は、国連憲章第二十五条に基づきまして、安全保障理事会が決議したことにつきましてはそれに従うという国連憲章上の条約遵守義務をすべて負っておるわけでございます。特に、国連憲章の定める安保理の決議の遵守というものにつきましては例外が認められていないわけでございますし、すべての国が、それに従ってこの制裁を、一七一八の趣旨に従って措置をとるべきであるという立場だと思います。

 ただ、それが三分の一、七十カ国にしましても約三分の一強ですけれども、よく見てみれば、その周辺国、アジアとか、それから先進国はほとんどすべてその中に入っているわけでございます。遠く離れたアフリカとか、そういうところは入っていないようでございますけれども、私も国の名前とか地域とか調べてみましたけれども、ほとんど、アジア、オセアニア、六者当事国及び安保理メンバー、安保理メンバーの中で二カ国、アフリカの国で出していない国があるようでございます。ただ、実際はやっているんだけれども、報告するのは、対外的に、そういうふうにやっているということはしたくないという国もあるようでございます。

 したがいまして、三分の一だからという評価は、これはいろいろ分かれるのではないかというふうに思います。

穀田委員 経産委員会で確かに七十カ国と言っていたのは見ました。私は、これは報道によればということで、十九日の報道を使っていますので、その違いは若干あると思います。それは、お話があったように、アフリカだとかいうところではつけないという話はわかっております。

 そこで、外務省に聞きたいんです。

 今、日本が行っている船舶の入港禁止措置並びに輸入禁止措置について、アメリカ、中国、韓国、ロシアの各国はどんなふうに評価しているのか。もちろんつかみ方がいろいろあると思うんですけれども、わかる範囲内で、それぞれの国のこの問題に関しての評価について述べていただきたい。

伊原政府参考人 ただいまの委員の御質問でございますけれども、我が国が昨年の十一月に、北朝鮮の核実験を受けて、北朝鮮船舶の入港禁止等の措置を発表いたしました際に、まずアメリカの国務省は報道官の声明を出しておりまして、こういった日本の措置を支持するという立場を明らかにしております。

 それから中国については、外交部のスポークスマンが定例の記者会見において質問されて、それに対して、日本がいかなる政策をとるかは日本政府が決定すべき事柄であるというふうに述べております。

 韓国、それからロシア政府につきましては、私どもの承知している限り、我が国の措置に関して公式の論評等は出してはおりません。ただ、ロシア政府、韓国政府との意見交換等を通じまして、こうした我が国の措置について、我が国の立場については両国とも理解しているというふうに受けとめております。

穀田委員 すべての国が理解をしているという意味ですね。だから、それは評価というよりも、日本側のとっている措置について、そういうことですねというような話ですね。わかりました。

 そこで、それらを踏まえて大臣に、もとへ戻りますが、最近の六者協議の動きをどう評価するのかということですね。六者協議の現状と、この枠組みの将来的展望についてどう考えるかということを少しお聞きしたいと思います。

 政府は、この六者の枠組みというのが北朝鮮の非核化並びに拉致問題の解決にとっては一番いい枠組みだというふうに認識していると答弁しています。

 私は、もちろん焦眉の現在の課題について、北東アジアを構成するすべての国が参加するこの枠組みが大事だというだけではなくて、私が考えているのは、将来の平和と安定に寄与する可能性がある、これを生かして、今現実にある核問題、拉致問題を解決しながら、朝鮮半島全体の非核化という道筋を通じて、北東アジアにおける平和の枠組みに発展させるという展望が必要なんじゃないかなというふうに考えているものですから、その辺の所見をお聞きしたい。

冬柴国務大臣 前半の問題につきましては、この問題を解決するにこの六者会合というものが最適の枠組みであり、ここで解決を図るべきである、私はそのように心から信じております、努力すべきだと。

 後半の問題につきましては、これはいろいろの考え方があろうと思いますが、私も委員と同じような考えで、このような枠組みで北東アジアにおける部分的な地域的安全保障というようなものが図られるような将来展望が開ければ、それは非常にすばらしいことだと思っております。しかし、現在は、六者協議によって当面する焦眉の問題について解決を図ることに全力を傾注すべきであるというふうに思います。

穀田委員 では、時間ですから、最後に一つだけ聞いておきたいと思うんです。

 今私は、平和の枠組み、それから朝鮮半島の非核化という問題と将来的な北東アジアの平和の方向ということを目指したい、これはお互いの共通の認識だと思うんです。

 そこで、安倍首相が言っておられる集団的自衛権の行使というのが、この間、かまびすしくやられていまして、有識者会議の発足もありました。そういった一連の関係についての問題が今浮上してきています。集団的自衛権の行使に関する発言についての大臣の認識をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 委員は、安倍首相が集団的自衛権行使を容認するような趣旨の話に受け取れるような発言をされましたけれども、安倍首相は、集団的自衛権は行使しないということを前提に、個別的な問題について、それが集団的自衛権に当たるのか当たらないのか、すなわち個別的自衛権の範囲として、あるいは武器使用、武力行使ではなしに武器使用という範疇とかいろいろな面で、集団的自衛権には当たらないのではないかというような観点での協議が進められていると私は思います。

 安倍総理も、集団的自衛権に当たらないかどうかという、当たるものはできないという前提で議論が進められていると私は理解をいたしております。

穀田委員 少し踏み込んだ話がもう少しあるかなと思いましたけれども、どうもその前提が違っているみたいでして、私は、少し違うんじゃないかと思うんですね。

 というのは、この間、新聞紙上で秋山元内閣法制局長官がこの問題について発言をしています。これは当時も、二〇〇四年でしたか、安倍さんが幹事長の時代に質問した問題で、そのときの答弁というのは、政府見解では日本が自衛権を行使するには三つの要件が必要だと。一つは我が国への急迫不正の侵害、それから二つ目には他の適当な手段がない、三つ目に必要最小限度の実力行使にとどめる、この三要件だと。問題は、「特に「わが国への」という点が重要で、他国が攻撃されても自衛隊が応戦できるという解釈はできない。」と。

 今かまびすしく議論されているのはこの問題なんですね。自衛隊が応戦できるかどうかというのが世の中で言われていて、冬柴大臣は違う話を、前提を違うところに持っていって話をされたわけですけれども、そういう議論が今されているのは事実だと思うんですね。したがって、彼はその最後の方で、「時の政府の判断で解釈を変更できるのなら、公権力を縛る憲法の意味が失われてしまう。」とまで述べています。

 ですから、研究の余地はないというのが政治家としての私の見解であります。

 私、なぜこんなことを言っているかということを最後に言っておきたいと思うんですけれども、北東アジアの平和と安定を考える際に、アジア諸国が、この集団的自衛権の行使研究に対して、アジアにおける新しい脅威だと言って憂えている事実をしっかり見てほしいということをあえて言っておきたいと思います。

 以上で終わります。

塩谷委員長 これにて本件に対する質疑は終局いたしました。

    ―――――――――――――

塩谷委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がありませんので、直ちに採決に入ります。

 特定船舶の入港の禁止に関する特別措置法第五条第一項の規定に基づき、特定船舶の入港禁止の実施につき承認を求めるの件について採決いたします。

 本件は承認すべきものと決するに賛成の諸君の起立を求めます。

    〔賛成者起立〕

塩谷委員長 起立総員。よって、本件は承認すべきものと決しました。

 お諮りいたします。

 ただいま議決いたしました本件に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

塩谷委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

    〔報告書は附録に掲載〕

    ―――――――――――――

塩谷委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時二分散会


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