衆議院

メインへスキップ



第2号 平成19年10月24日(水曜日)

会議録本文へ
平成十九年十月二十四日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 河本 三郎君 理事 西村 康稔君

   理事 西銘恒三郎君 理事 望月 義夫君

   理事 山本 公一君 理事 川内 博史君

   理事 後藤  斎君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      金子善次郎君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    佐田玄一郎君

      島村 宜伸君    菅原 一秀君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      谷  公一君    徳田  毅君

      長崎幸太郎君    長島 忠美君

      葉梨 康弘君    林  幹雄君

      原田 憲治君    松本 文明君

      盛山 正仁君    若宮 健嗣君

      石川 知裕君    小川 淳也君

      逢坂 誠二君    北神 圭朗君

      小宮山泰子君    古賀 一成君

      園田 康博君    長安  豊君

      三日月大造君    森本 哲生君

      赤羽 一嘉君    斉藤 鉄夫君

      穀田 恵二君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   国土交通副大臣      松島みどり君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   国土交通大臣政務官    谷  公一君

   国土交通大臣政務官    山本 順三君

   政府参考人

   (警察庁交通局長)    末井 誠史君

   政府参考人

   (経済産業省製造産業局次長)           照井 恵光君

   政府参考人

   (中小企業庁事業環境部長)            高原 一郎君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     中島 正弘君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     本保 芳明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房運輸安全政策審議官)     福本 秀爾君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 直良君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房官庁営繕部長)        藤田 伊織君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省土地・水資源局水資源部長)      上総 周平君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局長)         増田 優一君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  門松  武君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           本田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  春成  誠君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   参考人

   (独立行政法人都市再生機構理事)         尾見 博武君

   国土交通委員会専門員   亀井 為幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

十月二十四日

 辞任         補欠選任

  逢坂 誠二君     園田 康博君

  鷲尾英一郎君     北神 圭朗君

  漆原 良夫君     斉藤 鉄夫君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  北神 圭朗君     小川 淳也君

  園田 康博君     逢坂 誠二君

  斉藤 鉄夫君     漆原 良夫君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

同日

 辞任         補欠選任

  小川 淳也君     鷲尾英一郎君

    ―――――――――――――

十月二十四日

 気象業務法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 参考人出頭要求に関する件

 気象業務法の一部を改正する法律案(内閣提出第三号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


このページのトップに戻る

     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長宿利正史君、大臣官房建設流通政策審議官中島正弘君、大臣官房総合観光政策審議官本保芳明君、大臣官房運輸安全政策審議官福本秀爾君、大臣官房技術審議官佐藤直良君、大臣官房官庁営繕部長藤田伊織君、総合政策局長榊正剛君、土地・水資源局水資源部長上総周平君、都市・地域整備局長増田優一君、河川局長門松武君、道路局長宮田年耕君、自動車交通局長本田勝君、海事局長春成誠君、航空局長鈴木久泰君、警察庁交通局長末井誠史君、経済産業省製造産業局次長照井恵光君及び中小企業庁事業環境部長高原一郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、参考人として独立行政法人都市再生機構理事尾見博武君の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。小里泰弘君。

小里委員 おはようございます。自由民主党の小里泰弘でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。よろしくお願い申し上げます。

 早速ですが、この六月、建築確認検査の厳格化を柱とする改正建築基準法が施行をされましたが、この影響を受けて、設計や建築確認手続が大きく遅延をする事態となっております。このため、住宅着工が大幅に減少し、マンションへの予定された入居日に完成が間に合わないとか、大工、工務店はもとより、設備業者、建築資材業者を初め百業種を超すと言われる建築関連業種全体にわたって、幅広く深刻な影響が生じているところでございます。

 姉歯事件を受けての制度改正論議におきましては、私どもは、この事案は姉歯氏を中心とする一部の人に限った事案であって、大方の建築士の皆さんはまじめに良心的に仕事をなさっている、その上に立って事件を通じて浮き彫りになったそれぞれの問題点を改善していかなければならない、そういった基本的なスタンスに立って論議を展開したわけでございます。

 しかしながら、今回の状況を見ますときに、建築士に対する性悪説に走り過ぎているんじゃないか、そのような感をまず強くするわけでございます。現場の運用において、厳格化に過剰に反応し過ぎて、あつものに懲りてなますを吹くことになっていないか、制度の準備不足や周知不足があったのではないか、その結果、二倍から三倍になったと言われる書類の量を初め、設計士に必要以上の負担を強いることになっているんじゃないか、そういった多くの指摘が寄せられているところでございます。

 国土交通省において、今回のような事態に至った原因をどのように分析され、また今後の対応を図られつつあるのか、その辺について大臣にお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 小里先生御指摘のとおり、大きく着工件数が落ち込んでいるということは客観的な事実でございまして、これは改善しなければならない、このように思っているところでございまして、住宅局を中心に、各地方整備局も動員をして、その対策に今一生懸命やっているところでございます。

 原因は、やはり大きな改正をいたしました、周知のとおりでございますが、その典型が、ピアチェック等今までなかったものを導入いたしております。したがいまして、これに対して過剰な反応を申請側も審査側もしていられる。それから、そういうものについて習熟度がまだ十分でないということが考えられます。

 そういうことから、我が方は、QアンドA等をインターネット等を通じてやってきたところですが、その集大成を出版物を通じて明らかにしたり、あるいは各都道府県単位で申請側あるいは審査側双方について講習会や説明会を行ったり、いろいろな手は今打ちつつあるところでございます。

 しかしながら、この改正が、ではこれはそうすべきであったのかというところまでさかのぼりますと、私は、やはりしなければならなかった、今後もこれは通り抜けなければならない一つの問題であるというふうに思っております。

 それは、大枚を、一生に一回、二回というような、マンションでも自宅でもそうですけれども、買った消費者が本当に大変な迷惑を受けるわけでございまして、このような作業をしているさなかに、つい数日前には横浜市で、藤建事務所というところが約七十件、六十九件は特定できているんですが、あと三件は今調査中でございますが、七十件前後の物件について偽装が行われたということが発覚をいたしました。これも実は民間の審査機関をパスした事案ではありますけれども、非常に大きな物件であったために、施主がこれに対する配慮からもう一度別のところにその審査を依頼しまして、それで偽装が発覚したわけでございまして、実に百七十カ所にも及ぶ偽装が見出されたわけでございます。

 こういうことをやられるということは、これほど世論が高まり、そして我々もそういうことが行われないようにということで一生懸命やっているさなかに、そういう建築をし、不心得なことが行われたということは驚きであり、大変遺憾であるわけでございます。

 こういう事案を見るにつけ、これは、六月二十日の新しい法の施行を前に駆け込みでやるという、十二日ですかの申請ということで、とにかく時間がなかったのでやむなく偽装しましたというようなことを自白しているようですけれども、その詳細についてはこれから調査をしなければならないと思います。

 それから、七十件につきまして、六十九件でございますけれども、その中にはマンションも四十数棟入っているわけでございます。したがいまして、我々としては、これを重大に考えて、特定行政庁を通じて、その内容について、特に耐震の能力がどうなのかという点についても詳細に今調査をしているところでございます。

 いずれにいたしましても、御指摘のように、今遅延していることは事実でございますけれども、ただ、私の考えるところでは、審査期間を最大七十日まで延ばしているという点があるわけでございまして、したがいまして、六月二十日から七十日間は審査の期間中ということもありまして、その期間はこれがおりるのがおくれているということ、そういう原因もあるのではないかと思います。

 今、木造住宅、そういうものを中心に確認件数は徐々にもとに戻りつつあります。したがいまして、もうしばらく見ていただきたいと思います。こちらも一生懸命頑張ります。

小里委員 ありがとうございました。

 制度改正自体は正しかったわけでございます。ただ、当初の目的と違った影響、結果が出ているとすれば、これは改善を図っていかないといけないわけでございまして、私どももその立法に携わった責任がある立場として、今後とも行政としっかり連携をして、フォローしてまいりたい、そのように思います。

 続きまして、橋梁関係の崩落事故についてお伺いをしたいと思います。

 本年八月、米国で大規模な橋梁崩落事故が発生をし、五十台以上の車が巻き込まれまして、十三人の死亡が確認をされました。大変ショッキングな事故となったわけであります。また、大きな事故には至らなかったわけでありますが、我が国でも、三重や秋田でトラス橋の鋼材が破断をするという事態が発生しております。

 米国のくだんの橋梁は築後四十年でありましたが、我が国の十五メートル以上の橋梁約十五万橋のうち、築後四十年を超えるものが約二割、築後五十年以上の橋梁も七%を占めると聞いております。今後、事故を未然に防ぐためには、定期点検の徹底や橋梁の長寿命化のための支援措置など抜本的対応が必要となると認識をいたします。

 ちょうどきょうから道路橋の予防保全に向けた有識者会議がスタートすると聞いてもおるところでございますが、国土交通省として、この問題への取り組み状況についてお伺いをいたします。

宮田政府参考人 お答えを申し上げます。

 委員御指摘のように、現在十五万橋ございます。六十歳を超えている橋が御指摘のように今現在六%でございますが、十年後には二〇%、二十年後には約五割になります。非常に速く、高齢化する橋梁の割合というのが急激にふえてまいりますので、大切な資産として長く大事に保全していくことが必要だというふうに考えております。

 直轄とか高速道路は五年ごとに定期点検をしてございますが、市区町村では定期点検の割合というのが約一割でございます。ここを何とかするという必要がございまして、平成十九年度から、長寿命化修繕計画を策定する地方公共団体に対しまして、その策定費を国が補助するという制度を設けたところでございます。

 他方、また御指摘のように我が国でも、トラス橋が、弦材が破断するという事故が二つ続けて起こっております。アメリカのような事故には至っておりませんが、いつそうなるかという課題も含んでおります。

 御質問の中にもありましたように、早期発見、早期補強を行う予防保全システムを全国、市町村も含めた橋梁に展開するということで、道路橋の予防保全に向けた有識者会議、きょう第一回目を発足して、検討を開始していただきます。この会議では、橋梁の点検の制度化や、あるいは点検を行う人の資格をどうするか、あるいは全国のデータベースと高度専門技術の集積をどうするかといったことなどを議論していただくということでございまして、その結果を順次、予算や施策に反映してまいりたいというふうに考えております。

小里委員 ありがとうございました。

 続きまして、道路関係でございます。

 申し上げるまでもなく、道路の整備は地方にとりまして観光の振興や地域の産業を振興する上で欠かせぬものでありまして、地域発展のいわばかぎを握っているのが道路である、そのように認識をしております。また、国土交通省が行いましたアンケート調査におきましては、地方で重点的に取り組むべき課題として、生活幹線道路の整備が最も望まれているところでございます。

 地方の活性化や安全、安心で快適な暮らしを確保する上で道路整備を着実に進める必要があり、そのためには道路特定財源の確保が欠かせないものと認識をいたします。その道路特定財源の見直しの前提となるのが、年内に作成をされる中期計画であります。中期計画の作成に当たりましては、地域の声を十分に聞いていただいて、地方の実情やニーズに対応したものとなるように十分な配慮を願うところでございますが、いかがでございましょうか。

 また、揮発油税を初めとする道路特定財源関係諸税の暫定税率の期限が来年三月にやってまいります。このことにしっかりと対応していかないといけないわけでございます。国会情勢を見ますときに、その対応において困難が予想されるところでございます。

 以上、あわせて大臣の見解と決意をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 昨年末に閣議決定されました道路特定財源の見直しに関する具体策、これは税率を維持しながら道路整備を進めていくというものでございますけれども、税率を維持しながらということは、国民に、国民というよりは自動車関係のユーザーに負担をお願いするわけでございます。

 したがいまして、その改革は、負担をしていただいているタックスペイヤーに対して十分納得していただくということが前提になります。十分納得していただくということは、負担に対応する受益というものを明らかにするということに尽きると私は思うわけでございまして、そういう意味で、この受益の内容を国民の前に明らかにするということが大事で、十九年中、ことしじゅうにその内容をきっちり明らかにするということを意味するわけでございます。

 そのためには、国民の声を十分にお聞きするということが大事になります。したがいまして、本年の四月から七月までの四カ月間、全国に、国民それから首長さん、学識経験者に呼びかけまして、御意見を伺いました。国民からは約十万件、それから首長さんからは千八百七十四人、すべての首長さんから意見が届きました。学識経験者、有識者からは約三千人の方から御意見をちょうだいいたしました。

 そのようなものを回答いただきましたので、その中には、おっしゃるように、重点的に取り組むべき施策と課題、そういうものを書いていただいているわけでございますが、これは地域によってすごく違うということが明らかになりました。例えば、小里委員の地元であります鹿児島県におきましては、約四〇%近い三九・七%の方が生活幹線道路の整備をやってほしい、四〇%近い人がそう言う。二番目は、交通事故対策として整備してほしい、これは三二・三%。それからあと、都市や交通拠点を結ぶ道路整備を進めてほしい、二九・六、約三〇%。あるいは、渋滞対策が二七・九というように、鹿児島ではそのようになっておりますが、他府県では、この順序が相当入れかわっているところもございます。

 したがいまして、そういうものをきめ細かに配慮いたしながら、我々としては八月中に中期計画の骨子案を作成いたしました。そして、九月二十五日までの一カ月間、改めてその骨子案に基づく国民の御意見というものを広く問いかけをいたしております。したがいまして、そのような意見を速やかに取りまとめをいたしまして、その結果を踏まえて、中期計画の素案をまず作成いたします。そしてまた、その素案に対しての地域の意見を聞きながら、年内の中期計画作成をやっていきたい、このように思っているところでございます。

 それから二番目の、道路特定財源の問題でございますが、道路特定財源は総額で、本税、暫定税率を合わせますと五兆六千二百億円という大変大きな金額でございます。そういうものが道路整備の資源に当たるわけでございますから、これがもし、特定財源に関する法案というものが日切れでございますので、切れてしまうということになりますと、国、地方ともに税収が大きく減少いたしてしまいます。地域の活性化や自立に必要な地域の基幹道路の整備のおくれなどによって、地域間格差がなお拡大してしまうのではないかということが懸念されるところでございます。

 そういうことから、私は、先ほど言いました、慎重に進めております中期計画というものを国民の方が見ていただいて、これだったらいい、これを進めようじゃないか、我々が税を負担してもこの手法で早くやってほしい、こういう御意見に集約されるということが、我々の道路特定財源に関する法改正についても追い風になるのではないか、支持をしていただけるのではないか、このように思っております。

小里委員 ありがとうございました。

 まさに道路整備の正念場であります。一緒になって取り組んでまいりたいと思います。

 近年、公共工事の入札におきまして、低価格入札、いわゆるダンピング受注による弊害が顕在化をして、その対策が急がれるところであります。

 言うまでもなく、ダンピング受注は、不良不適格業者の受注や請負業者の無理な施工を招き、公共工事の品質の確保に大きな支障を与えかねないものであります。さらには、業者の安定経営を阻害し、技術力向上に対する意欲をも失墜せしめかねない問題をはらんでいるところでございます。国土交通省におかれましては、施工体制確認型総合評価方式の試行や特別重点調査の試行を初め対策を講じていただいているところでございますが、入札の改善状況はどうなっておりましょうか。

 また、県や市町村の発注に係る分につきましては、取り組み状況が大きくおくれているということは否めないところでございます。品質の確保と同時に、地元の業者に負担のかからない、地元での実績が評価される仕組みが望まれるところであります。この観点から、特別簡易型の総合評価方式が効果的であるとされているところでありますが、その仕組みと取り組み状況について国土交通省にお伺いいたします。

中島政府参考人 いわゆるダンピング、極端な低価格入札がさまざまな問題を持っているというのは、委員今お話しになったとおりでございます。直轄でも一昨年から昨年にかけましていわゆるダンピングに悩まされたわけでございますけれども、これも、今先生お話がございましたように、昨年の四月に、まず施工段階で監督・検査を強化する対策を打ちまして、それに続けて昨年の十二月から、品質管理体制を厳格に調査する特別重点調査、あるいは品質確保のための施工体制を評価する施工体制確認型の総合評価などを導入いたしました。

 その結果でございますけれども、本年に入りまして、低入札価格調査の件数は前年比で約半分ぐらいの数字になってまいりまして、極端な低入札というのはほぼ落ちつきつつあるのかなというふうに今見ておるところでございます。引き続き対策の着実な実施を図ってまいりたいと思っております。

 そこで、公共団体でございますけれども、ダンピング対策、防止のためには、まず基本的には、価格だけで入札を行わない、価格と品質と両方で落札者を決めるという、いわゆる総合評価を導入するというのが基本だろうと思っております。この総合評価の導入、直轄ではほぼ原則として総合評価というところには参りましたけれども、公共団体は現在、都道府県、政令市を中心に導入に取り組んでいただいておりますけれども、割合という点で見るとまだまだでございますし、市町村、特に小規模の公共団体においてはまだまだこれからという状況でございます。

 そこで、私どもとしましては、総務省などとも相談をいたしまして、総合評価の実施に当たって技術的な評価が難しいという御指摘もございますので、これも先生からお話がございました特別簡易型総合評価、いわゆる技術提案よりも過去の工事の成績とか実績とか地域での活躍とかいうことを評価して価格との総合評価を行うという方式がいいのではないかということで、その簡易型総合評価方式のマニュアルをつくりまして、これの活用も図りながら、関係省庁と連携して、今後、総合評価の導入を推進、拡大していきたいと思っております。

小里委員 ありがとうございました。

 特に、自治体の部分、しっかり促進を図っていただきたいと思います。また、新たな制度の効果をよく検証しながら、さらに改善すべきところを改善いただきたい、そのようにお願いをしたいと思います。

 続きまして、災害対策関係でございます。

 地域が繰り返し水害に脅かされている、そういう状況では人は住まなくなるわけであります、産業も育たないわけであります。また、整備された河川が地域の新たな名所となり、人のよりどころとなったという話もよく聞くところであります。近年、全国的に激甚な水害が多発をしておりますが、治水対策により地域の安全、安心を確保することこそが地域振興、地域活性化の基本であると考えますが、いかがでありましょうか。

 また、昨年の鹿児島県北部豪雨災害、地域にとりましては大変な、戦後最大の水害となったところでございます。あの水害を振り返りますときに、しっかりと抜本的対策が打ってあったところは被害は軽微に済んでいるんです。そうでなかった、対策が不十分であったところが被害が大きかったわけでございまして、早目に抜本的対策を打っていく、これがいかに大事であるかということを痛感した次第でございます。

 豪雨災害の頻発によりまして、河川激特事業等の後追い対策事業費が増大をし、本来の計画的な予防防災型の事業の進捗に影響を与えているということが懸念されるところであります。被災後に復旧をするよりも、被災しそうな状況に事前に対処することが地域の安全、安心の確保に必要であるのみならず、経済的、効果的であります。そのための施策を充実する必要があると考えますが、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 論及のありました川内川のはんらん現場を私も視察させていただきまして、そのすさまじい出水状態、破堤というものの現状を見せていただきました。

 おっしゃるとおりでございまして、川というものは、安らぎや潤いを与えている反面、このようにはんらんをしたときには人命あるいは財産を根こそぎ奪っていくという恐ろしい面もございます。我々は、そのような経験にかんがみまして、おっしゃるように、施設の被害を免れた箇所でも、次期の出水で破堤等につながるおそれのある深堀れをしているところとかあるいは堆積土砂があるところは、この際、それを取り除いたりあるいは対策を講じたり、現状の制度ではそれは許されなかったわけですけれども、今回制度を拡充するということを要求しているところでございまして、お説のように、もう二度とそういうところで同じようなことは、轍を踏まない、そのような対策をとらなければならないというふうに考えているところでございまして、現在、概算要求中でございます。

小里委員 ありがとうございました。

 時間が参ったようでございます。あと、低公害車にかかわるところの地球温暖化対応の話、また関連してグリーン税制、あるいはまた地方空港の活性化、これはアジア・ゲートウェイ構想の推進のためにも必要であるわけでございますが、そういった問題、あるいはボンバルディア機の事故に絡むところの国内の対応また直接カナダへの対応等を準備していたわけでございますが、それぞれ要望にかえさせていただきまして、質問を閉じさせていただきます。

 ありがとうございました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、政府参考人として住宅局長和泉洋人君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 次に、盛山正仁君。

盛山委員 おはようございます。兵庫一区の自民党盛山正仁でございます。

 参議院選挙の後の初めての臨時国会質問ということでございますので、その参議院選挙の結果その他を踏まえまして、大臣ほか皆様にお尋ねをさせていただきたいと思います。

 御案内のとおり、参議院選挙の結果といいますのは、我々与党にとりまして大変厳しいものでございました。地方の一人区におきましては六勝二十三敗という、与党側から見ると惨敗と言っていい、国民の皆様から大変厳しい審判を受けたわけでございます。

 私がおります兵庫県は二人区でございます。あるいは、ほかの大都市圏のあります複数人区のところにおきましては、それほど大きな影響を受けていないかのように見えますけれども、私の地元神戸なんかで話をしておりましても、特にお年寄りの方を中心に大変厳しい御叱責をいただくことが多かったわけでございます。

 その内容は、地方とある程度共通しているところがあるんじゃないかと思うんですが、生活がよくなった、この国に暮らしていてよかった、ここでこういう政権与党の政策その他を支持してきてよかった、そういう実感がないじゃないか。生活感がなかなかよくなっていない、年金の問題もそうでございますし、医療その他いろいろ厳しいことが多くてなかなか生活実感としていいという感じがない、こういう大変厳しい結果だったかと思います。

 やはり、我々政権与党として、そういう国民の、有権者の皆様の厳しい御意見を十二分に尊重してというんでしょうか、受けとめて、我々の政策を見直していかないといけないんじゃないか、こう思う次第でございます。

 これまでの小泉・安倍政権の競争政策、競争原理を重視しました政策、これはこれで、郵政の改革その他、なかなかいい結果というんでしょうか、これまでできなかったことを推し進めたというところで評価すべき点は多々あるわけでございますが、あわせまして、国民の皆様に、ああ、ここで暮らしていてよかったな、こういうふうによくなっているなとやはり実感してもらえるような、そういうような目配り、これまで足りなかった部分を、この福田新政権においてはある程度政策の見直しを進めていく、こういうことが必要でないかと思っているわけでございます。

 例えば日本でいいますと、東京の一極集中、あるいは東京に本社を置きますような輸出関連の企業がひとり勝ちをするというんでしょうか、大きく空前の利益その他で潤っているわけでございますが、なかなか地方においてはその経済の好況という感じが実感できない。日本は東京だけで成り立っているところではありません。やはり地方が支えてこそ、水ですとか電気ですとか食料ですとか、いろいろなことを支えてこその日本、日本全体がよくならないといけない。

 また、働き盛りの世代というんでしょうか、二十代から五十代ぐらいの人々が一生懸命、首都圏を中心に、皆さん朝早くから夜遅くまで、また休日も、残業、休日出勤で働いておられます。しかしながら、日本というのはやはりそういう働き盛りの世代だけの社会ではありません。お子様もいらっしゃれば御高齢の方もいらっしゃるわけでございます。そういう方みんなにとってよくなっているなというふうに感じられる、そういうような社会にしていく必要があるというふうに常日ごろ感じているわけでございます。

 それで、地元の話というんでしょうか、地元の皆さんからよく言われますことの一つに、高齢者の皆さんにとって、商店街その他へお買い物に行くのもなかなか厳しいんです、買い物に行きたいんだけれどもなかなか行けないのよというような話を聞くことが多いわけでございますね。

 これまでも我々、ここの国土交通委員会で、シャッター通りを何とかしようということでまちづくり三法の見直しその他もやってきたところでございます。私の地元神戸は政令指定都市でございますので、国土交通委員会で視察に行きましたような県庁所在地のところとは違ってまだまだ恵まれているところだとは思うんですが、それでもやはりシャッターのおりている商店街が多くなっております。それは、一つには、やはりお客様がなかなか、幾ら駅前の便利な商店街であってもお越しいただけない、そういうことも一つの背景にあるんではないのかなと思うわけです。

 例えばの例でございますけれども、大臣の御地元も通っておられます国道四十三号線、第二阪神国道という五十メートルの広い幹線道路がございます。私も小学生のときに、横断歩道橋ができたというのでみんなで渡り初めをした。これで交通事故が起こらなくなってなんて、そんな時代を思い出すわけでございます。私自身も五十代になっておりますし、私の親の世代はもう七十代、八十代になっているわけでございます。そういうような高齢者の方にとりましては、昔は横断歩道橋を元気に渡れた。しかしながら、今、少しやはり足元がおぼつかなくなってきた。歩行器や何や、あるいはつえを使って歩いておられる方もいらっしゃる。そういう方にとっては、横断歩道橋というのは大変なバリアになるわけでございます。あれを渡らないといけないかと思うと、毎日行っている買い物を二日に一回だとか減らさないといけない、そういうような悲痛な叫びも聞こえてくるわけでございます。

 これまで日本は、国交省に限らないわけでございますが、戦後、追いつけ追い越せということで経済の発展を最優先にしてやってきたかと思います。例えば道路行政についても、やはり車優先ということでやってきた。その一つのあらわれが横断歩道橋ではないかと私は思うわけでございます。

 しかしながら、行政の本当の対象というのはだれのためにあるのか。産業の活性化、経済の活性化ということももちろんでございますが、それはやはり一つの手段でございまして、究極の目的は国民のためにある。国民の生活が安全、安心で潤っていくものになる、それが本当の目的ではないかと思うんです。

 道路行政にしても同じではないかと思うんです。これまでは、幹線道路の整備、そういうことを中心に行政を進めてこられたと思いますが、これからの道路行政といいますのは、少子高齢化、世界で群を抜いて進んでいる状態でございます。六十五歳以上を高齢者というならば、五人に一人が四人に一人という超高齢社会を迎えるわけでございます。これまで日本の経済発展を支えてこられたお年寄り、そういう方の今後の生活を考えても、ぜひ道路行政、人のためにということで政策転換をする。あるいは、これまでも十分お考えになって進めてこられたんだろうとは思いますが、やはり国民重視、ヒューマンコンシャスというんでしょうか、ユーザーである人間を中心に置いたということを一層考えていただく必要があるんじゃないかと思うんですが、大臣の御見解をお尋ねしたいと思います。

冬柴国務大臣 どこでもだれでも自由に使いやすくというのが我々の本当に考えでございまして、昨年十二月、高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律、いわゆるバリアフリー新法が制定をされました。道路におきましては、高齢者、障害者を初めとするだれもが安心して通行できるよう、幅の広い歩道の整備あるいは歩道の段差解消、勾配の改善、それから、おっしゃっているように、立体横断施設への昇降装置、いわゆるエレベーターの設置等を推進しているところでございます。

 特に、立体横断施設のバリアフリー化につきましては、移動等円滑化のために必要な道路の構造に関する基準というものが設けられておりますが、そこでは、高齢者、障害者等の移動等円滑化のために必要であると認められる箇所においては昇降装置、エレベーターを設けるものとしておるところでございます。

 そういうことから、現在までに、駅周辺、すなわち五千人以上の乗降客が見込まれる主要駅を中心とした道路のバリアフリーにつきましては、十八年度末の目標を、四二%にしようという目標だったんですが、四四%、二%上回って実施しているように、着実に進捗をさせていただいておりますし、十九年度は五割に向けて頑張っているところでございます。

 主要な駅だけではなしに、官公庁あるいは福祉施設など、歩いて暮らせる圏内には、そういうものが集積しているところでは道路のバリアフリー化を推進していきたい、このように思っているところでございます。商店街とかというところも入るのかもわかりませんけれども、現在のところは、こういう官公庁施設あるいは福祉施設というものを中心としたところの集積している地区について、バリアフリー新法に基づいた昇降施設をつけていきたいというのが現段階でございます。

盛山委員 大臣、ありがとうございました。

 私も、自民党のユニバーサル社会推進議連の事務局長として、常に国交省を初め関係省庁の皆様にはお世話になっているところでございますので、やはり人に優しくというんでしょうか、道路は究極の目的は人のためにあるんだということで、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 それで、今大臣がおっしゃられました横断歩道橋へのエレベーターですとか、いろいろなことで地元の政府関係者あるいは地元の自治体あるいは交通関係者というんでしょうか、県警なんかと話をすることが多いわけなんでございますけれども、私も役所に長くおりましたので、内心じくじたる思いがございまして、役所におりますときは、国はこういう制度をつくりました、ここまでやっています、あとは地元のやる気の問題ですというふうに突き放すことが多かったわけでございますが、地元でこういう調整を具体的にやりますと、それぞれの皆さんが、いや、あちらがそこまでやってもらえるんだったらうちはつき合いましょう、そんな感じで、だれがイニシアチブをとって進めるのかということになりますと、なかなか進まないことが多い。三者を一堂に呼びましても、では私がやりましょうということをおっしゃっていただけないようなことが多いというのが私の実感でございます。

 今大臣がおっしゃられましたバリアフリー化その他、道路に限らずいろいろなことがそうだと思うんですが、直接の御担当者の意欲、行政は何のためにあるのか、国民が喜ぶために何をすべきであるのか、そういったことを考えながら、ぜひ国交省サイドでも中心になって調整をしていただきたいと思うわけでございますが、御答弁をお願いいたします。

金子大臣政務官 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、基本的には、これからの行政はいわゆる総合的じゃなきゃならないというふうに思っております。

 そこで、先ほどの御質問、大臣からも答弁されましたが、いわゆる新バリア法に基づきまして、市町村がまず基本構想を大臣の基本方針に基づきまして作成するということになっているわけでございますが、これに際しまして、駅などの施設管理者や公安委員会、あるいは高齢者、障害者等から成る協議会を設置して協議をする、こういう場をつくっているところでございます。

 いずれにいたしましても、地域住民の理解、協力なくしてこれは成らないわけでございまして、今後とも、この点大変重要であるという認識のもとに、国交省としても対応してまいりたい、このように考えております。

盛山委員 金子政務官、ありがとうございました。

 最近、車道と歩道が分かれていてある程度広い歩道のところでございますけれども、自転車通行可になっているところがふえてきたように思われます。昔は走る凶器は自動車だったわけでございますけれども、現在、私は、走る凶器は自転車ではないかと思うようなことが多々ございます。

 特に、駅前、放置自転車がただでさえ多い。そこへもってきて、看板やいろいろな放置物がございます。せっかく点字ブロックが敷いてあっても、その上にそういうものが載っていて、視覚障害の方にとっても大変環境がよくない。また、お年寄りの方にとっても、自転車が横をある程度、結構なスピードで行きますと、冷やっとすることが多いわけでございます。我々でものけぞることが多いわけでございます。お年寄りの方、転ぶぐらいで済めばいいんですけれども、中には骨折される方、ひどい場合には大腿骨を骨折されて寝たきりになられるような、そんな方もいらっしゃるわけでございます。

 今、国交省の方では自転車道の整備を進めておられるというふうに伺っております。ぜひ歩車分離、この場合の車というのは自転車でございますが、自転車自体は健康にもいいですし環境にもいい乗り物ですから、自転車にとっても走りやすい、そういうようなところにしていただきたいと思います。

 また、駅前の放置自転車ということでは、自転車の駐輪場というのが、これまでもある程度都市サイドを中心にお進めいただいているところではありますけれども、やはりもっともっと必要ではないかと思われます。

 そしてさらに、昨年の六月の一日だったと思いますが、道交法が改正されまして違法駐車の取り締まりが大変厳しくなりました。それはそれで結構なことだと私は思うわけでございますが、取り締まりを厳しくしていただくのであれば、あわせまして、自動車の駐車場の整備もしていただく必要があるんじゃないかなと思うんです。

 これも、駅前の商店街その他からもう本当に悲痛な叫びを聞いておりまして、大型のスーパーその他、駐車場が整備されているところにばかりお客さんが行って、我々は売り上げが減ってしまったと。それで、これもさっきの質問とも絡むわけでございますけれども、私も一緒になりまして、自治体その他、警察にも、駐車場をもうちょっと整備してください、取り締まるだけではなく駐車場も整備してもらわないと不十分ではないでしょうかと言っても、なかなか整備が進まないというのが現状でございます。

 旧国鉄、JRの駅のように駅前広場が広いところであればよろしいんですが、私鉄の駅前というのは大体が狭いところが多うございます。そういうところにある商店街、そういうところに駐車場を整備するというのは、土地の点でもお金の点でも大変厳しいところが多いと思いますが、四輪だけではなく二輪の自動車も含めて駐車場の整備、それをしていただかないと、シャッター通りがなかなかそのシャッターが上がらない。

 あるいは、その地域を支えていただくのは、大型のスーパーなどのサラリーマンの店員さんではなくて、そこに住んで御商売をしておられる方が自治会活動、消防団活動、地域の活動を支えておられるわけですから、町が活性化していくためにも、国交省が進めておられるコンパクトシティー、これがちゃんと成り立っていくためにも、そういう駐車場の整備、駐輪場、そして自転車との安全な分離、こういったことをぜひ進めていただきたいと思うのでございますが、政務官から御答弁をいただけると幸いでございます。

金子大臣政務官 お答え申し上げます。

 まず、先ほどおっしゃられました交通のいわゆる事故、危ないというような観点からのことにつきましては、都道府県ごとに、都道府県道路交通環境安全推進連絡会議、ちょっと長い名前でございますが、各県ごとに設置をしておりまして、県警あるいは道路管理者が構成員となっていろいろな交通安全上の問題について会議をしている、そういう体制をとっているところでございます。

 そこででございますが、自転車道の整備はどうかというようなお話がございましたが、その連絡会議の体系の中でというふうに御理解いただければと思いますが、警察庁と合同で、新たな自転車利用環境のあり方を考える懇談会というものを設置いたしまして、本年七月にその結論をいただきました。

 その中で、まず第一点といたしましては、それぞれの地域において道路管理者や公安委員会等の関係者から成る協議会を設置するなど、地域レベルでの推進体制を確立すること。二番目といたしましては、自転車道または自転車レーンを設置するとともに、警察等と連携し、啓発活動や安全指導等を総合的に実施するモデル地区を年内をめどに募集いたしまして、それを指定していく。それから三番目といたしましては、市街地において道路空間の再配分を行いまして、自転車走行空間を整備する際に参考となるガイドブックを既に作成しているようなところでございます。

 そういうような観点から、自転車の走行につきましては、歩行者の安全を図るという観点に意を用いまして、歩行者と自転車と自動車の分離を基本とする、こういう考え方で進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

 いずれにいたしましても、警察庁との連携は非常に重要なものである、こういうような認識に立っているところでございます。

 もう一点でございますが、先ほどの駐車場それから駐輪場はどうか。これまでも、街路事業などによりまして、補助、融資、税制措置などを通じまして支援をしてきたところでございますが、特に、改正道路交通法の施行に伴いまして非常に駐車需要というものが高まってきている、これにつきまして、駐車場やそれから荷さばきの施設の整備についても積極的に支援をしていくということにしているところでございます。

 特に自動二輪車についてでございますが、平成十八年五月に駐車場法を改正いたしまして、計画的な整備が進められるよう補助をする、それと同時に、中心市街地における自動二輪車駐車場の不動産取得税、固定資産税の減免をするというような優遇措置を講ずることとしているような次第でございます。

 いずれにいたしましても、このような各種施策によりまして、中心市街地活性化に資する駐車場、駐輪場の整備を今後とも積極的に進めてまいりたい、このように考えているところでございます。

盛山委員 政務官、ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。

 それで、今お話をしていただいておりましたような、生活者を優先した道路の整備もそうです。それから、やはり何といっても、競争力を確保するための道路の整備も当然必要でございます。バイパス、高速道路をつくることによりまして、生活道からトラックその他が横へ動いていくということで、事故も減れば、交通環境もよくなってまいります。また、地球温暖化の点でもエネルギーの点でもよくなってまいります。それから、先ほど小里委員の質問にもありましたように、落橋その他ということで、これからは、これまで整備した部分の維持整備というのが大変大きな比率を占めてくることになろうかと思います。

 この秋から来年の春にかけて、真に必要な道路とは何かということを御議論していただくというふうに伺っておるところでございますが、これまでの道路行政、どちらかというと、道路の重要性を国民にうまくPRするということが若干足りなかったのではないか、だからこそ、道路を代表とする公共事業はマイナス三%のシーリングで、こんなふうにどんどんどんどん削られてくることになったんじゃないかと思うんです。

 やはり道路を、こういう道路は必要である、ばらまきをするわけではないけれども、生活のためにも競争力維持の点のためにも、あるいは維持整備をするという点でも必要である、そういうようなことをもっと国民にわかりやすくぜひ訴えかけていただきたいと思うのでございますが、大臣の御所見を伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 真に必要な道路とは何かということを明確に示さないと、いわゆる暫定税率ということで、揮発油税でいえば本税の倍額を納めていただいているわけでございますから、十分理解をいただくためには、どういう道路を、いつまでに、どの程度の整備費用を投入してこれをつくりますということを国民の前に明らかにすることが必要であろうと思います。それは、ことしじゅうに、十九年中に中期計画としてこれを明らかにすることにしておりまして、これを明らかにすることによって、国民、いわゆるタックスペイヤー、納税者に、安心して、それじゃ納めてやろうじゃないかということの支持をいただけるんだろうと思います。

 そのためには、国だけが勝手につくるということではいけません。そういう意味から、本年の四月から七月までかけて御意見を聴取いたしました。国民からは十万件、そして都道府県の首長さんからは、市町村も含めて千八百七十四人から意見をちょうだいいたしましたし、有識者の方からも三千人の方から御意見をちょうだいしたわけでございます。

 これに基づきまして、我々の方は中期計画の骨子案というものを作成いたしまして、これにつきましても、また八月の二十四日から九月二十五日までの第二次の、二回目の問いかけをいたしました。今これを取りまとめ中でございますが、それに基づいて素案をつくり、そしてこれに対してもまた意見をちょうだいしながら、年末にはきちっとした中期計画を明らかにしたい、これを見て国民が御納得をいただけるようなものをつくり上げていきたい、このように思っております。

盛山委員 大臣、ありがとうございました。ぜひ、国民にわかりやすく訴えかけをしていただきたいと思います。よろしくお願いします。

 それでは、今度はちょっとテーマをかえまして、来年七月は、洞爺湖で我が国が議長国としてのG8のサミットがございます。来年は、洞爺湖では環境が一番大きなテーマになるかと思っております。そしてその前、五月の末には、私の地元でございます神戸でG8の環境大臣会合が開かれます。現在、政府そして県、市、経済界の皆様と働きかけを行っている最中でございますが、環境大臣会合、これは国際会合というんですかね、政府間会合そのものでありますので、市民が参加できるような形の神戸環境サミットといったようなものを開催したいということで現在調整を進めているところでございます。

 国としての地球温暖化への取り組み、工場から出る産業部門はそれなりにある程度めどが立ちつつあるわけでございますが、民生という部分、オフィスビルもそこに入ります、住宅も当然入ります、そして運輸部門、これらについても、温暖化をどういうふうに抑えていくのか、これが大きな課題であるかと思います。

 この神戸環境サミットの環境フェアの部分につきまして、国交省の関係のところも多いかと思いますので、今、具体的なことはこれからまた追って御相談をしますが、国土交通省としましても、ぜひ前向きにお取り組みをいただきたいと思います。この点につきましては、兵庫県選出の谷政務官からぜひお答えいただけるとありがたいと思います。

谷大臣政務官 御指名ありがとうございます。

 国土交通省における環境政策の取り組みにつきましては、委員御指摘のとおり、平成二十年度から京都議定書の約束期間が始まる地球温暖化対策を中心に、自然環境の保全と創造、循環型社会構築に取り組むなど、多岐にわたっているところでございます。

 来年、神戸で開かれますG8の環境大臣会合に対しましても、もちろん国土交通省として必要な協力を行ってまいる考えでございますけれども、盛山委員御指摘の神戸環境サミット二〇〇八に関しましても、具体的なお話をよくお伺いしながら、兵庫県、神戸市を初め、関係省庁あるいは関係団体などとも十分連携を図って、例えば国土交通省における環境に対する取り組みの紹介など、可能な限り協力させていただけるように前向きに検討させていただきたいと思っております。

盛山委員 政務官、ありがとうございました。ぜひよろしくお願いします。

 先ほど小里委員からも出ました建築確認のおくれに対する取り組みその他、ぜひよろしくお願いしたいと御要望申し上げまして、私の質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、斉藤鉄夫君。

斉藤(鉄)委員 公明党の斉藤鉄夫でございます。

 きょうは、自動車を取り巻く環境に関連した質問をさせていただきたいと思います。

 ここ数年、中古自動車の整備にかかわっておられる方々からさまざまな御相談をいただきました。そして、私自身、非常に安全上重要な問題で、しかし、気づいていなかった点、社会も気づいていない点、こういう問題を抱えているということを認識いたしました。

 自動車は現代社会になくてはならない必須のものでございますし、だれもがその恩恵をこうむっているわけですけれども、交通事故の多発で多くのたっとい人命が失われているように、運転者の安全運転は最も大切ですが、自動車の整備、安全性をしっかり確保していかなくてはならないのではないかと認識しております。特に、その問題点が大きく浮かび上がってくる中古自動車においては、その安全性向上になお一層の配慮がなされなければならないとの問題意識から、きょうは、中古自動車に関連した問題について、国土交通大臣また国交省、またリサイクルに関連して経済産業省にお伺いをしたいと思います。

 初めに、車検の継続検査制度の問題を取り上げさせていただきます。

 平成七年に道路運送車両法の一部が改正されました。この法改正前においては、自動車の検査は、前整備後検査、すなわち、先に点検整備を受けてから、その後検査を受けるという仕組みでございましたが、この法改正により、整備と検査が分離され、前検査後整備、すなわち、先に検査を受けてから点検整備を行うということが可能になりました。検査の時点で基本的な性能を満足していればいい、検査に合格してから走り出して五分後にブレーキがきかなくなっても、それは問わないという形になったわけでございます。前はその逆でしたから、検査を受けたものが車検場を出た後すぐ、例えばブレーキがきかなくなる、ハンドルがきかなくなるということはあり得なかったわけですが、前検査後整備という形になって、そういうことも起こり得るということになったわけでございます。

 しかし、これは自動車の安全性を確保する上からも非常に大きな問題ではないかと思います。民間でできることは民間でとの構造改革の基本理念からすれば、継続検査を陸運支局で行うのではなく、せっかく車検ラインを工場内に持つ民間車検場、指定工場があるのですから、そこを有効活用すべきではないか、また、自動車の整備点検をしっかり行い、整備すべきところを整備した上で、最終的に公道を走らせる上で異常がないかを検査する、その考え方の方が、整備不良事故を減少させるための原則であり、大きくは人命を守っていくための必要最小限の取り組みではないかと考えます。

 民間車検場での継続検査の実施によって、前検査後整備の問題点や、ユーザー車検の名のもとに存在する悪質な業者を排除することにもつながっていくと考えますが、まずこの点につきまして国土交通大臣の御見解をお伺いいたします。

冬柴国務大臣 自動車の継続検査につきましては、指定工場において受けていただくということが非常に大事だと私は思っております。したがいまして、指定工場で行った整備率というものを高めるためにいろいろ頑張っているところでございまして、民間の能力の活用を図ることも重要でありますので、そういうところで受けていただく、指定整備率、すなわち、継続検査を受ける台数のうち指定整備工場で取り扱っていただいた台数、これを上げるように頑張っているところでございます。

 このようなことから、指定整備工場の要件につきましては、ペーパー車検等の不正を排除する、安全を確保する、環境保全への支障がないことを確認する、こういうことで随時見直しを行ってきましたが、平成十九年四月には、大型車を扱う場合を除きまして、工員数を五人以上となっていたものを四人以上に緩和する等の措置を講じてきたところでございます。その結果、指定工場の数もふえておりますし、そしてまた、そこで扱った整備率も年々ふえているということでございまして、今後も整備率の向上に努めてまいりたいというふうに思っております。

斉藤(鉄)委員 先ほど申し上げましたように、検査が終わって走り出してすぐ事故を起こす、そういうことも結局問われないというふうな事態をできるだけ少なくしていくように御努力をいただきたいと思います。

 次に、未認証事業者の問題について質問いたします。

 道路運送車両法第七十八条に、「自動車分解整備事業を経営しようとする者は、自動車分解整備事業の種類及び分解整備を行う事業場ごとに、地方運輸局長の認証を受けなければならない。」とあり、この規定に基づく認証を受けないで自動車分解整備事業を行っている事業者をいわゆる未認証事業者と呼んでいるわけでございます。「認証を受けなければならない。」と法律で定められているんですが、その認証を受けていない業者もたくさんいるということで、まず初めに、この未認証事業者の実態を国土交通省としてどのように把握されているか、お聞きいたします。

本田政府参考人 お答え申し上げます。

 先生の御指摘の未認証事業者の実態把握につきましては、私ども、関係業界を初めとするさまざまな情報入手源からいただいた情報をもとに対応しております。

 特に、今年度は、七月を未認証行為の調査、確認、指導のための強化月間と位置づけまして、未認証の状況の是正を地方運輸局、地方運輸支局の組織を挙げて進めました。具体的には、七月の間に七百五十件の情報をちょうだいいたしまして、約六百件以上の立入調査を実施し、その結果、未認証状況での整備作業が確認されました約八十の事業者の方に警告書を交付いたしたところでございます。

斉藤(鉄)委員 今、局長の答弁がありましたように、かなり未認証事業者による工場が多い、そういう実態があるようですけれども、認証を受けていない、すなわち違法行為となるわけでございますので、国土交通省としましても、今までも指導監督を行われてきたと思いますが、より一層の情報収集、調査の取り組み、そして指導監督をお願いしたいと思います。

 一方、有能な技術、技能を持ち、認証を取得する意思を持ちながらも、その取得がままならない状況、これも存在するんだということをお聞きしました。同じく道路運送車両法第九十四条には、優良整備事業者、優良認定工場の認定制度があります。すなわち、「地方運輸局長は、」「国土交通省令で定める基準に適合する設備、技術及び管理組織を有する事業場ごとに、優良自動車整備事業者の認定を行う。」このようになっているわけでございますが、この認定を受けている工場、優良整備事業者という認定を受けている工場でありながら、先ほど申し上げました認証が認められない、そういう工場があると聞いております。

 技術の優秀性は認められている一方、認証は認められていない、こういう矛盾した状況があるわけですけれども、国土交通省としてこのような問題点を認識されているのかどうか。また、認識されている場合、優良認定工場でありながら未認証工場であるというこの状況を救済する何らかの方策をお考えかをお聞きしたいと思います。

    〔委員長退席、河本委員長代理着席〕

本田政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘の車体整備の優良認定制度につきましては、自動車の板金、塗装などの作業の質の向上を図る観点から設けられた制度でございます。他方で、自動車の分解整備を行うための認証制度は、自動車の安全性の確保の観点から、それ以上に要員あるいは施設、機械に関する最低限の基準を定めております。

 したがいまして、車体整備の優良認定と自動車の分解整備の認証というのは全く異なる観点から設けられた制度でございまして、車体整備の優良認定を取得されても、直ちに自動車の分解整備を行うということはやはり問題があろうかと思います。

 ただ、私どもが調べた状態で申し上げますと、本来、自動車の分解整備を行う能力を持っておられながらも、私どもの認証に関する基準について必ずしも十分御理解いただいておらないために認証を取得されていない、そういう事業者の方も結構おられるようでございます。したがって、まさに先ほどと同じように、本年七月に、同時に地方運輸局に対しまして、こうした方々に対して、私どもの認証を取得していただくための基準を十分御理解いただく、そういった活動を開始したところでございます。

 今後も、認証取得につきまして御相談をいただきました場合には、できる限り認証取得していただけるように適切に対応してまいりたい、こう考えております。

斉藤(鉄)委員 今の説明でわかりましたけれども、高度な技術、技能を持ち、かつコンプライアンスの精神も持ちながら、なかなか法律で定められた認証が得られないという事業者の方からたくさん御相談を受けたことがございますので、ぜひこの点につきましても、その矛盾点ができるだけ解消されるように御努力をいただきたいと思います。

 次に、自動車リサイクルについてお伺いいたします。

 放置自動車それから不法投棄、これは、地方を走りますと、美しい山里をその景色を楽しみながら走っているときに、たくさんの不法投棄の自動車やその廃残した姿を見ると、本当に悲しい気持ちになることがございます。これは何とかならないのか、こういう思いになるわけでございますけれども、平成十七年に不法投棄の撲滅、放置自動車の撲滅、それから何よりも環境問題に対応して、資源の有効活用のために自動車リサイクル法が施行されました。このリサイクルの輪に入った車は今やリサイクル率が九〇%を超えるというものもございまして、大変うまく働いているというふうに考えられますが、どうしてもその輪の中に入ってこないそういう自動車もある。だからこそ、我々、地方を走ったときに多くの不法投棄の車を見かけるわけでございます。

 自動車からの廃棄物削減はもちろんですけれども、廃車の不法投棄等の根絶、それから自動車の部品のリサイクル等による循環型社会の構築へ期待された法律となっておりますが、初めに、自動車リサイクル法が実施されて約三年余りがたちますが、この間における自動車リサイクル法の施行状況、効果について、これは経済産業省製造産業局の方にお聞きしたいと思います。

照井政府参考人 お答え申し上げます。

 先生御指摘のとおり、自動車リサイクル法は平成十七年の一月一日から本格的に施行されまして、法施行後三年目を現在迎えているところでございます。

 平成十八年度におきましては、約三百五十七万台の使用済み自動車が自動車リサイクル法に基づき適正に処理されておりまして、全体として適正なルートに乗って使用済み自動車が処理されているものと認識しております。

 シュレッダーダスト及びエアバッグ類については、再資源化目標達成状況におきましては、十八年度の各自動車メーカーの実績で、各社とも大幅に法定目標を上回る実績を達成している状況でございます。

 それから、リサイクル料金の預託状況につきましては、平成十九年三月末までに約七千八百一万台を対象に約七千五百四十八億円が既に預託され、大きな混乱もなく、順調に委託されていると認識しております。

 また、自動車リサイクル法の施行に伴い、法施行前の平成十六年九月現在で約二十二万台もあったいわゆる不法投棄等の件数は、平成十九年三月現在では約三万五千台と大幅に減少しております。

 このように、自動車リサイクル法については、法施行三年を経過する中で順調に立ち上がってきたものと認識しておりますが、引き続き同法の円滑な施行に向け努力してまいりたいというふうに考えております。

斉藤(鉄)委員 不法投棄、今いろいろおっしゃったんですが、一番端的な例は、不法投棄されている車が三年前二十二万台だったけれども、現在三万台になった、十分の一近くに減ったということで、これは大きな効果だと思います。やっと三年たってうまく大きな歯車が回り出したのかな、回り出して今かなりうまく回っているのかなという認識を持っておりますけれども、引き続きしっかりお願いをしたいと思います。

 この自動車リサイクル法には最終ユーザー責任が明記されておりまして、取扱業者の最終ユーザーに対する報告の義務化の必要性、またリサイクル料金の適正化など、さまざまな実態を調査した上で、より適正に自動車リサイクル法が実施されていくよう検証していく必要があると思いますが、この最終ユーザーに対する報告の義務化の必要性、またリサイクル料金の適正化等、これ一例を挙げましたけれども、そのほかの問題につきましても、今までの三年間を見直して、ある意味でまだ総括する段階ではないかと思いますが、この三年間の経験から、今後、どこをどう見直して、どうしたらよりこのリサイクル法が我々が目指した方向で運用されていくか、そういうことについての御見解をお伺いいたします。

照井政府参考人 お答え申し上げます。

 これまで自動車リサイクル制度の安定施行に向けましては、関係者の方々からさまざまな御意見を承っております。自動車のユーザーの方、それから解体業者等の関連業者等の声を踏まえつつ、国、関係自治体あるいは関係団体は、関連事業者に対する法の徹底遵守に向けた取り組み、自動車リサイクルシステムの改善を行ってまいりました。

 今後の課題といたしましては、引き続き、関連業者やいわゆる無許可業者の違法行為それから不適正行為、これを是正するために、関係部局等と連携いたしまして、長期間にわたり一時的に登録が抹消されている車両の検査、関係自治体による監視指導の強化を図ってまいりたいというふうに考えております。

 さらに、ちょうど三年たってワンサイクル来るというタイミングになっておりますので、自動車リサイクル料金の預託につきましては、今後その使途についての理解を深めていくということで取り組みを行ってまいりたいというふうに思います。

 さらに、使用済み自動車の引き渡しの際の注意点などに重点を置いた広報活動を重点的に進めてまいりたいというふうに考えております。

 いずれにいたしましても、自動車ユーザーや関連事業者の声を踏まえまして、関係自治体、関係部局等と連携をとりながら、自動車リサイクル法の適正な執行に努めてまいりたいと存じております。

斉藤(鉄)委員 この点、しっかりお願いしたいと思います。

 自動車リサイクル法を管轄するのは経産省の製造産業局、しかし、その自動車が一たん世の中に出て、走り出して、その分解や整備等を管轄するのは国土交通省の自動車局、このように二つの省庁に分かれているわけですけれども、ぜひ協力をして、安全性向上に努力をしていただきたいと思うんです。

 一つの理想といたしましては、このリサイクル法、自動車の整備、またリサイクルということから考えまして、一つ一つの部品について、情報化、ITも進んできましたので、一つ一つの部品の履歴がわかる、所有者もかわっていきます、またいろいろな修理などの加工もなされます、そういう履歴がきちんと残って、そのリサイクルされたものがまた次の新しい車に使われたときもその情報がきちんとそこに残っているということが、最終的なユーザーからの信頼性、また安全性ということからも重要だと思いますので、これは質問いたしませんけれども、ぜひ、我々人間の体でいえば、生まれてから死ぬまでいろいろな治療を受けるわけですけれども、この治療の履歴というのは残っていきます。そういうことが次の治療の参考になるわけですけれども、自動車についても、IT化の進展と相まって、そういうシステムをつくり上げていけばいいなと私自身思っておりまして、その観点からも今後また提言をさせていただきたいと思っております。

 次に、外国人研修・技能実習制度についてお伺いをいたします。

 外国人研修・技能実習制度は、国土交通省初め法務省、外務省、厚生労働省、経済産業省の五つの省の共同管轄により、財団法人国際研修協力機構が窓口となり実施されております。

 その中で、技能実習を実施できる職種、作業については、平成十七年現在で六十二職種、百十四作業が定められておりますが、その中で、自動車に関連する職種、作業については定められていない、このように認識しております。

 現在の自動車業界の発展、またアジア地域への進展を考えたとき、自動車についての修理技術、板金塗装技術、解体技術、またその他の技術など、自動車関連の職種、作業を技能実習移行対象職種に加えることを検討していく必要があるのではないかと考えます。港に行きますと、中古自動車が船いっぱいに積まれて発展途上国に輸出されております。そういうものの修理や修理に関する技術ということも非常に大切で、それを日本で習得して帰るということも必要だと思います。

 そこでお伺いしますが、五つの省で共同管轄していることもあり、他の省との協議も必要かとは思いますが、現在、自動車関連の職種、作業が技能実習移行対象職種に入っていない何らかの理由があるのか、また、今後加えていく方向での検討は考えられるのかをお伺いいたします。

    〔河本委員長代理退席、委員長着席〕

本田政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生御指摘のとおり、財団法人国際研修協力機構が国際協力として運営されております制度、最大三カ年、外国人の方を企業が受け入れ、単純労働としてではなく、講義研修あるいはOJTの教育訓練により技術者を育成する制度と承知しておりますが、現在のところ、自動車の修理、板金、塗装あるいは解体技術といった項目は含まれておりません。

 こうした自動車の修理、板金、塗装、解体技術をこの制度の対象とするためには幾つかの課題があるようでございまして、三つばかり申し上げますと、そうした研修に自動車整備等を加えることに対するそもそも諸外国からの要望がどれだけあるかという点がまずございます。それから、日本にお越しいただいた労働者の方を企業の方で受け入れていただく必要がございます。そういった企業がどこまであるかといった点が二点目でございます。それから三点目が、研修の取得状況を最終的にチェックする必要があるようでございまして、そのためのちゃんとした評価システムを持つ外部機関、この財団法人が認定するに足るそういったチェックのための外部機関が必要。

 こうした三つの大きな課題があるようでございまして、私ども、これらの課題が今後クリアできるのかどうか見きわめながら、この問題について検討してまいりたいと考えております。

斉藤(鉄)委員 外国からの要望、また受け入れる企業の存在、それから外部評価機関の問題、三点ある、このように御答弁でございました。

 いずれもよくわかる点でございますが、そういうことがきちっとクリアされれば、受け入れる企業はたくさんあると思います。そういう意味で、外国からの要望があるかどうかというところが一つの大きなポイントになろうかと思いますが、この点について我々も少し調査をしていきたいと思います。ありがとうございました。

 最後に冬柴国土交通大臣に、この中古自動車にまつわる整備等について今質問をしてまいりました。現在の車検制度が昔の前整備後検査から前検査後整備に変わって、安全に対しての環境が大きく変わった、そのことについて最初にお伺いしましたけれども、そこに見られるように、規制緩和を急ぐ余り、安全という面に少し配慮が足らなかったんではないかということも私自身として感じております。そういうことも含めまして、この中古自動車の安全性についての御所見を最後にお伺いします。

冬柴国務大臣 中古車を再度登録する際には、新規検査を実施いたしまして、道路運送車両法の保安基準に適合していることを確認して、そしてまた登録後においても、新車と同様に定期的な検査と点検整備を義務づけているところでございます。

 しかし、それに乗らずに市中を走っているような車をもし現認した場合には、一年間に十万台以上、街頭検査というのを行っております。それによって適合していないんじゃないかということが確認されますと整備命令というものを発令いたしまして、それに違反した場合には五十万円以下の罰金ということで、これの徹底を図っているところでございます。

 これらの取り組みを通じまして、保安基準を満たした車両が適時点検を受けて、そして走っていただくということになるように頑張ってまいりたいと思います。

斉藤(鉄)委員 これで質問を終わりますけれども、きょうお話しさせていただいたような問題意識、これからも調査をし、また質問させていただきたいと思っておりますので、またよろしくお願いいたします。

 ありがとうございました。

竹本委員長 次に、川内博史君。

川内委員 おはようございます。大臣、よろしくお願いを申し上げます。民主党の川内でございます。

 三十分しか時間がございませんので、早速質問を始めさせていただきたいというふうに思います。

 他の委員からも問題意識の提起、そしてまた政府からの御答弁もあったわけでございますが、私の方からも、改めて改正建築基準法の運用の状況に関する件について若干の質問をさせていただきたいというふうに思います。

 改正建築基準法の施行に伴い、建築確認あるいは建築着工が遅延をしているという状況が報告されておりまして、建築の現場で大変な問題になっている。現場の皆さんが口々にもう大変だ大変だというふうにおっしゃっているわけでございますが、国土交通省としても、この建築確認・着工が遅延をしており、今大変な問題になっているという認識をまず持っていらっしゃるかということをお尋ねいたします。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の改正は、構造計算書偽装事件を受けまして、建築物の安全、安心を確保するための改正でございました。私どもも、施行までの間、一生懸命さまざまな形で情報の提供等に努めたわけでございますが、六月二十日の施行後、結果として、設計側、確認側ともに改正内容等についての習熟が十分でなかった結果、御指摘のとおり、建築確認・着工の遅延を招きまして、建築の現場で大変な混乱を招いております。そういった問題は真摯に受けとめております。

川内委員 問題を解決するために施策を講じようとしたら新たな問題が発生をしたということでしょうが、では、これを解決するために、建築確認・着工を円滑に進めるために、どのような方策を国土交通省として考えていらっしゃるかということについて御説明をいただきたいと思います。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 建築確認手続が遅延している状況を早急に改善するために、これまでも質疑応答集や審査マニュアルの作成、あるいは電話相談窓口の設置、いわゆるフリーダイヤルでございますが、そういったものを通じまして実務者に対する各般の情報提供等に努めてまいりましたが、七月の着工あるいは八月の着工、こういったものを踏まえまして、今後、都道府県単位での説明会の開催や窓口の設置、あるいは全国各地、これは公共団体であったり業界の団体であったりするわけでございますが、そういった場所に対するアドバイザー等の派遣などを通じまして、よりきめ細かく情報提供等に取り組んでまいりたいと思っております。

 こういったことを進めていくために、各都道府県に対しまして、都道府県としてもしっかり取り組んでほしいというようなことで、私どもと総務省で連名の通達を発し、公共団体の協力を求めております。

 また、大工、工務店、建築資材関連業者等が、こういった遅延に伴いまして、いわゆる資金繰り等の経済的な問題が懸念されます。そこで、中小企業庁にお願いしまして、十月九日から政府系中小企業金融機関によるセーフティーネット貸し付けあるいは既往債務の返済条件の緩和等の措置を講じていただきました。加えて、十月十六日に金融庁に要請を行いまして、全国銀行協会等の各金融関係団体に対しまして、関係中小企業向けの資金の円滑な供給への配慮を周知徹底をいただきました。

 いずれにしましても、こういったきめ細かな情報提供等をさらに深掘りしまして、早急に現在の状況の改善に努めてまいりたいと考えております。

川内委員 これは指摘にとどめておきたいと思いますが、各役所で、特定行政庁で、構造の部分については担当者を新たに確保して設計図書の確認をするというようなことは特定行政庁でやられているようでございますが、設備の部分については人さえいない、まだそのチェックをする人さえいないというような状況が日本全国各地にあるようでございますので、これも国土交通省の方で可及的にお調べをいただいて、対応方を特定行政庁に対して通知していただければというふうにお願いをしておきたいというふうに思います。

 さらに、そもそも今回の建築基準法の改正というのは構造計算の偽装があったということに端を発しておるわけでございますが、これを改善するために、新たに構造計算のソフトを開発し、偽装ができないようにしていきましょうねというようなことも準備をされるはずだったわけでございます。この構造計算ソフトがいまだにでき上がっていないということも聞くわけでございますが、これは果たしていつごろでき上がるものなのか。これができ上がらないことには事務の流れが滞るということはもう本当にやむを得ないことになってしまうのではないかというふうに思いますが、御見解をお聞かせいただきたいと思います。

和泉政府参考人 今委員御指摘の新たな大臣認定プログラムでございますが、旧大臣認定プログラムと比較しまして、例の姉歯事件の反省を踏まえまして、構造計算プログラムの偽装防止を図るために、まず一点目は、構造計算途中での改ざんや計算結果の改ざんができない、こういった機能を求めた。また、基準法令の規定に適合しない数値の入力ができないようにした、こういったものを求めた。加えて、部材の一覧表などのわかりやすい入出力情報を標準化することを求めた。こういったものを新しい大臣認定プログラムとして準備していたわけでございます。

 しかしながら、新たな大臣認定プログラムは、今御説明しましたように、従来と違って、より高度な機能を有する。従来の認定プログラムはどちらかというと計算のツールでございましたが、今回、そういった偽装をそもそも防止する、こういった機能を求めた。加えて、構造関係の技術的基準、これにつきましても、構造計算偽装事件の反省を踏まえてより明確化した。そういったものがなかなか見えてこないとプログラムの改正もなかなかできない、こういったことがございまして、御指摘のとおり、現在まだ新しい認定は行われておりません。

 いずれにしましても、こういった遅延を招いたことについては遺憾なことでございまして、なるべく早く新しい認定プログラムを準備したいと考えております。

 現在、既に二社のメーカーが、ことしの九月十二日に、性能評価、大臣認定プログラムとしての性能を持っているかどうか、この評価を申請してございまして、うち一社につきましては、何とか年内に認定を行うことができるように準備をしてございます。また、それ以外にも、十数社がこの認定プログラムにつきまして性能評価機関の方との相談を開始してございます。

 御指摘のように、この新認定プログラムができますと、いわゆるダブルチェックを要する建築物についても最長七十日の審査期間が三十五日になるわけでございまして、これは設計側またはダブルチェックをする機関双方にとって非常に効率が上がることでございますし、ニーズもあるものでございますので、ふさわしくないものを認定しては困りますので慎重は要するわけでございますが、早急に新しい認定プログラムの認定に向けて努力してまいりたい、こう考えております。

川内委員 大臣、今の御答弁で、何とか年内には大臣認定をしたいということで、十月、十一月、十二月と、あと三カ月ぐらいは事務の流れが滞るのではないか。さらには、先ほど私が御指摘を申し上げたとおり、設備の分野については、特定行政庁にその設備の専門家さえいないという状況があるわけでございまして、これは、ある意味では、日本の経済全体に水を差しかねない状況ではないかというふうに私は思うわけです。

 もちろん、耐震偽装に端を発する、安心、安全な建物をつくりましょうねということに反対する人はだれもいないし、それを推進することはしていかなければならない。しかし、それを急ぐ余り、法律の公布から、法律改正を速やかにやったというのは大変いいことだった、しかし、公布されてから実際にそれが動き出すまでの間、施行までの間、ちょっと急ぎ過ぎたのではないか、周知の期間が短過ぎたのではないか。

 大臣認定のプログラムさえないという状況の中で、今現在このような状況になっているということについて、国土交通省として、ちょっと見込みが違ったなというような御反省というものがあるやなしや。さらには、それを踏まえて、大臣としてのこの状況を打開する決意をお聞かせいただきたいというふうに思います。

冬柴国務大臣 御指摘の現状は、我々真摯に受けとめなければならないと思っております。

 昨年六月に法が成立しまして、一年以内に施行するということで決めたのは、これをこれ以上延ばすと、本当に国民の不安、あるいはもうマンションなんか買えないというような状況があったわけでございまして、そういうものをなるべくこちらの努力によって短くしようということで、一年以内ということで、六月二十日になったわけでございます。

 では、その一年間何をしていたかといいますと、政令、省令、政令だけでも、政令を発するためにはパブリックコメントをして皆さんの御意見を伺わないとできないわけでございまして、そういうものが、政令、省令、告示等、六つのものをこの間に処理したわけでございまして、住宅局の人はほとんど徹夜状態で取り組んできたわけでございますが、先生からの御批判は世の中一般の御批判でもありまして、私どもも本当にこれは重く受けとめなければならないと思います。

 さて、それではどうするのか。これにつきましては、したがいまして、確認の期間も七十日というふうにしてあるわけでございますが、それ以内には確認をしなきゃならないわけでございまして、着工件数はそうですけれども、確認件数は徐々に回復しつつあります。したがいまして、大臣認定プログラムができ上がるまでは、従前のものについてやるものですから、より慎重になってしまうわけでございますが、一日も早くこの大臣認定プログラムを使っていただけるような状態に置くべく努力もさせていただかなければならないというふうに思っております。

 それから、先ほども融資のことも局長から答弁をいたしましたけれども、政府系金融機関で最高四億八千万までの融資、それも七カ年、そして二年間据え置きということで、金利についても一般よりは相当低くして、無担保の場合もできるように、この場合は若干金利は上がりますけれども、そういう今の中小企業の破格の融資制度も設けていただきまして、この間のつなぎを国民にお願いしているところでございます。

川内委員 大臣、受け付けたら七十日で審査をしなければならないわけでありますが、そもそも体制が整っていないので受け付けられないという状況もあるのではないかというふうに思いますので、ぜひ、大臣の今の御決意に基づいて、この現場の問題が一刻も早く解消されますように督励をしていただければというふうに思います。

 それでは、次の論点に移らせていただきます。

 平成十九年六月二十二日、ことしの六月二十二日の閣議決定文書でございますが、平成十九年度中小企業者に関する国等の契約の方針という文書が閣議決定をされております。これは中小企業者に対する国等の公共調達の発注目標を閣議決定したものでございますけれども、さまざまなことが書いてございます。中小工事等に係る発注に当たって、中小企業者の受注機会の増大を図るように努めるものとするというようなことが書いてあるわけでございます。

 これは、中小工事等に関しては、中小企業者の受注機会の増大を図るよう国土交通省としても努めるということで、大臣、よろしいでしょうか。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 今川内委員から御指摘がありました、ことしの六月二十二日付の閣議決定に基づきまして、私どもは、発注機関に対しまして、中小企業者の受注機会の増大に努めるように指示をしております。

 またさらに、平成十九年度予算の執行に当たりまして、国土交通事務次官通達を出しております。これは国土交通省所管事業の執行について平成十九年度分の指示をしたものでありますが、この中で、上位等級工事への参入の拡大や、可能な限りの分離分割発注の推進、経常建設共同企業体の適切な活用といった施策を展開することによりまして、中小建設業者がより広範な受注機会に恵まれるように措置をしているところでございます。

    〔委員長退席、西銘委員長代理着席〕

川内委員 官房長、その事務次官通達をぜひ後で私に下さい。それともう一つ、発言の冒頭で、私たちは指示をしていますというふうにもおっしゃられたんですが、事務次官通達とはまた別に何か指示している文書があるということでしょうか。では、それもあわせて後でいただければというふうに思います。

 そのように国土交通省としても一生懸命取り組んでいますよという御説明だったわけでございますが、それでは平成十八年度はどうだったのかということの検証をしなければならないわけでございます。

 平成十八年度も同様に、中小企業者に関する国等の契約の方針というものが閣議決定をされておるわけでございますけれども、では、国土交通省分の平成十八年度目標、平成十八年度の実績、数字を御答弁いただきたいと思います。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十八年度分につきまして、国土交通省といたしましては、中小企業者向けの契約目標を五〇・八%と設定をしておりました。最終的な実績といたしましては四九・八%ということで、目標に若干至りませんでしたけれども、金額で見ますと、実績額が目標額より千四百億円ほど上回っておりまして、そういう意味で、実質的な中小企業者の受注機会の増大に貢献できたと考えております。

川内委員 今御説明がございましたけれども、平成十八年度の実績としては、件数ではやや目標を下回った、金額では上回ったという御説明ですか。ちょっともう一回説明していただけますか。

宿利政府参考人 目標値は金額の比率で出しておりますので、比率といたしましては若干下回りましたが、受注額全体としてはふえております。これは、当初の目標を設定しましたときの私どもの予算総額よりも年度途中の補正などで最終的に分母がふえましたので、結果として、金額はふえたけれども率が減ったということでございます。

川内委員 官房長、私は、今の御説明は、言いわけとしては、はあ、そうですかというところでございますけれども、目標が五〇・八で実績が四九・八ですというところを見れば、それは全体がふえたからいいじゃないかというお話にはならない。なぜならば、地方は今、大変な厳しい厳しい経済の状況があることは大臣もよくよく御案内のとおりであるわけでございますし、目標をクリアしていただくようにしっかりと頑張っていただかなければならないというふうに思います。

 では、平成十九年度の目標と、その平成十九年度の目標をいかにして取りまとめたかということを教えていただきたいと思います。

宿利政府参考人 お答え申し上げます。

 平成十九年度の目標といたしましては、国土交通省としては、政府全体の目標値を上回る五一・三%という目標値を設定して取り組んでいるところであります。

 これは、どのように目標を設定したかということでありますけれども、私どもも、川内委員御指摘のとおり、中小企業の厳しい現状というのをしっかり認識しております。そういう中で、政府全体の方針としても、中小企業者の受注機会の増大を図るという大きな方針がありますので、これに沿いつつ、これまでの実績、それから十九年度の予算の内容、こういうものを勘案いたしまして、発注当局であります各地方整備局などの情報をもとに、五一・三%という目標を設定したものでございます。

川内委員 この件に関して、国土交通大臣の御決意を聞かせていただきたいわけでございますけれども、ことしの通常国会の予算委員会で、安倍先生が総理大臣であられた予算委員会でございますけれども、その予算委員会で、総理からは、官公需に関し、中小企業者の受注機会の増大に最大限努力をしていくと。努力をしていくだけではなくて、最大限努力をしていくという、最大限という言葉がついている御答弁がございます。

 私は、地元の業者さんたちとよく話をさせていただくと、地元の業者でもできる仕事なのにな、なぜか東京のでっかいところが持っていくんだよなとか、そういう話をよく聞きます。地元でもできる仕事、要するに中小企業者でもできる仕事は中小企業者に割り振っていく、仕事をしてもらう、それが建設業法にもある建設業者の育成というところにもつながっていくでしょう。

 最後に、大臣の御見解を聞かせていただきたいというふうに思いますが、平成十九年度の国土交通省の中小企業者への発注目標は五一・三%だが、それを上回るように国土交通省の各地方整備局の支分部局をさらに督励し、最大限努力をするようにしてもらう、事務次官通達のみならず、国土交通大臣も各地方整備局に文書を出すなりして、最大限努力をしているという形をとっていただきたいというふうに思いますが、大臣の御決意を聞かせていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 先ほどお聞きになりました十八年度につきましては、残念ながら一%下回ってしまいました。それは、年末に補正とかをやって発注機会が少なくなったためにこういうことが起こりましたけれども、我が方は、国が目標値を四五%台でしているときも五〇%を超えて設定し、そしてまた、そのような実績を、十三年、十四年、十五年、十六年、十七年、まあ十八年が若干それを切りましたけれども、すべて五〇%を超えております。特に十七年度は五〇・八%という目標値に対して五一・一%の実績がありまして、しっかり頑張っているということは御理解をちょうだいしたいと思います。

 そして、何よりも我が方の発注額は非常に大きくて、他省庁に比べて兆円規模になっているわけでございますから非常に大きいという意味で、大きな工事もできるだけ分離したり分割して、そして中小企業者が受けやすいようにする。それから、競争入札の評価基準も、地元に本社があるとか災害出動をしたとか、そういうものも高く評価するようにやってくれと私も申し上げて、そのようにしております。

 そういう意味で、地元で、中小企業で頑張っておられる人が伸びるような、伸ばすことができるような、そういう発注方法も頑張ってまいりたい、こういう決意を申し上げたいと思います。

川内委員 大臣、誤解がないように申し上げておきたいと思いますが、頑張っていないなんて私は言っているわけではなくて、頑張っていらっしゃる、大変ありがたいことだと。しかし、それは努力をしているという言葉であらわされることで、最大限努力をするという、総理大臣の最大限という言葉がことし新たについたので、最大限という言葉を具体的にあらわす御方策をとってくださいねということをお願い申し上げさせていただいたということでございまして、ぜひ、全国の中小企業者の皆さん方が御自分たちの仕事に誇りを持ち、そしてまたしっかりとした仕事ができるように、大臣の方で御配慮いただきたいということをお願い申し上げておきたいというふうに思います。

 それでは、最後の質問に移らせていただきます。

 特に、分離分割発注を推進するというふうにこの国等の契約の方針でも出ているわけでございますが、例えば設計の分野で、設備設計の分野を分離発注する場合において、自治体ごとには、発注を受ける側がさまざまな資格、制限が設けられているわけでございますけれども、基本的には、法的な枠組みとしては、設備設計を分離発注する場合には、発注先の資格が一級建築士である必要はないというふうに私は法的な理解としては考えているのですが、国発注の設備設計を分離発注する場合においてはどのような資格を求めているかということについて、御説明をいただきたいというふうに思います。

    〔西銘委員長代理退席、委員長着席〕

藤田政府参考人 お答え申し上げます。

 国土交通省官庁営繕部が設備設計を分離発注する場合、部内の一級建築士が基本設計を行い、設備設計の実施設計を委託する場合が考えられます。こうした場合、部内の一級建築士の責任において設計図書を作成するため、設備設計を委託する企業に対しまして、一級建築士を必須要件とすることはございません。

 以上でございます。

川内委員 終わらせていただきます。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 前回、参議院選挙前の質問に引き続き、公共交通について、とりわけ規制緩和以降厳しい環境下に追い込まれてしまっています事業用自動車、トラック、バス、タクシーの問題について質問をして、大臣初め行政当局の皆様方の見解や取り組み状況をただしたいと思います。

 お手元に資料を配付させていただきました。もう既に皆様方御存じのこともあるかもしれませんが、新たに御就任された副大臣の皆さん、政務官の皆様方にも状況を御確認いただければという思いでつくらせていただきました。

 二枚物なんですが、事業用自動車、トラック、バス、タクシーの事故件数の推移です。太い線で交通事故全体の推移も示しておりますが、それをも上回る、特にバス、タクシーについては、この十年間で四〇%事故の件数がふえて、そして、それによる死傷者も約二万人この十年間で増加をしてしまっているという状況があります。

 大臣は、過日述べられたあいさつの中で、自然災害や事故などから国民の生命や財産を守ることは国土交通省の重要な使命だと冒頭に述べられております。私もそのとおりだという思いで、全く対策がとられていないとは決して申しませんが、しかし、こういう数字をどのように見られているのか、現状をどのように御認識されているのか。特に、私は前回の質問で、この背景にある過労運転について指摘をし、答弁の中でも、掘り下げたような形で分析ができないか今後勉強するという答弁をいただいております。検討状況も踏まえて大臣の御認識をまず伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 平成十八年の事故件数、死傷者、平成九年に比べまして、この委員が提出をいただきました資料は八年ですね、一見すればわかるように、事故件数が残念ながら大変ふえているという事実が認められますし、期間中のピーク時に比べて最近は減少している車種もありますけれども、見ますと、乗り合いバスは非常に上がっていますね、大変残念な状態であるというふうに思います。そのほかも高どまりの状態であります。これは改善しなきゃならないというふうに思います。

 私は、運送事業、特に人に乗っていただく公共交通について、安全こそ最大のものである、それ以外ない、それぐらい思っているところでございまして、運行管理者試験制度の導入、これは十二年二月、それから新規参入事業者に対し六カ月以内には早期監査を実施する、これは十八年二月から、それから御指摘の過労運転、これの悪質違反を引き起こした事業者に対しては行政処分を厳格化する、これは十八年八月から、それから運輸安全マネジメントの推進、これは十八年十月からということで、逐次対策を強化はしてきております。

 また、バス事業の事故件数の増加が、その中の三割は、車内で、バスの中で急発進のために転倒したりけがをされるというようなものが三割を占めているわけでございますので、車内事故の防止のための安全対策を取りまとめて、本年の五月、バス事業者に周知徹底を図ったところでございます。

 また、タクシー事業につきましては、運転者の質を確保し、輸送の安全等を図るために、さきの通常国会でタクシー業務適正化特別措置法の審議をお願いして、成立をしていただきました。運転者登録制度、今までは東京、大阪しかありませんでしたけれども、それも拡大をさせていただきました。

 今後とも、自動車運送事業者に対する効率的かつ効果的な監査の徹底及び行政処分の厳格な運用を実施するとともに、安全対策には積極的に取り組んでいかなければならないというふうに思っておりますし、御指摘を重く受けとめたいと思います。

三日月委員 認識の部分では一にするところがあると思いますし、安全を守ることが最大の使命なんだということについて、あらゆる方策を講じて徹底しようとされている御努力については認めますが、しかし、上滑りしていないかというふうにも思うんです。

 また、大臣は、さきの委員会の答弁で、参入規制の緩和によって事業者がふえた、競争が激しくなった、ふえ過ぎる事業者に歯どめがかけられないかと思っていると。また、もう一つ、タクシーの問題に触れられて、労働者の賃金水準の改善、やはり運賃を上げるんだったら、それが労働者に配分されるようなことを省として検討していきたい、既にその対策も発表されておりますが、そういうことを述べられています。しかし、そのふえ過ぎる事業者に歯どめがかけられているのか。

 私がお配りをした資料の二ページ目のところに、さまざまな問題がある事業者に対する行政処分の状況を年度別推移でお示しいたしましたが、乗り合い旅客にしろ、貸し切り旅客にしろ、タクシーにしろ、トラックにしろ、違反はあるんだけれども、しかし、市場からの撤退を行政として厳しく行えていない、かつ、事業者もそもそも見られる範囲も大変少ない、多くの事業者がいる中で監査そのものがすべてに行き渡る状況で行えていないという状況に私は問題があると思っているんです。

 規制緩和のすべてを否定しませんが、それと両輪になるべき社会的規制の強化というものが、今述べられた事後チェックの強化ですとか無通告監査の実施、また行政処分の厳格化等々、言葉では並んでいるんですけれども、現場レベルに行き渡っているかという点で私は大きな疑問を持っています。もっとさらに進んだ安全対策をとっていかないと、私の示した事故データは、被害者データは、この裏に、これに当たられた、例えば通行者ですとか運転されているドライバーさんもいらっしゃるわけですから、そのあたりをもう少し深刻に受けとめていただいた対策の強化を求めたいと思うんです。

 さらに一点、具体的に申し上げれば、大臣の先ほどの、事業者に歯どめをかけたい、運転者、労働者に配分をしていきたいということに加えて、労働時間に対する言及と対策が不十分だと思うんです。

 もう既に御案内のとおり、タクシーやバス、トラックで働かれる方々の労働時間というのは、一般、平均に比べると、四百時間を上回って労働時間がカウントされています。そして、前回の委員会でもお示ししましたけれども、労基法違反、また自動車運転者に定められる改善基準告示の違反の状況も、監査をした四千三百三事業場の中だけでも、労基法違反が七八・七%、そして改善基準告示、運転時間だとか休息時間だとかこういうものを定めた違反が五五・二%もある状況があるんです。

 安全を守るための、過労運転を防ぐためのルールをきちんと明確につくって、それを監視できる体制を行政として構築していくことが今必要だと思うんですけれども、私は、その前提にある、この運転者に課される厚生労働大臣の告示、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、いわゆる改善基準告示というものを、単なる基準というものから、告示というものから一段階上げて法制化をして、罰則も含めて、例えば連続運転時間というものをオーバーするようであれば、安全運転義務違反の対象として厳格な処罰を科すことができるような、そういう法制化が必要だと思うんですけれども、このあたり、御見解はいかがでしょうか。

冬柴国務大臣 今、後半で述べられたところは、私は、縦割り行政をやっているわけじゃありませんけれども、それがいいとは思いませんけれども、厚生労働省の所管で、この告示も、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、こういうものが、私の方が告示を出していまして、それは、厚生労働省の今言われた自動車運転者の労働時間等の改善のための基準というものを引用しているわけですね。ですから、私の方は、運送事業の許可を与えているという立場から、運送事業者に対して、違反したら、引用している告示に違反した業者に対しては、我々はこれを営業停止とか処分に処しております。七日から、長いのは六カ月、それは事業所単位でございますけれども、そういう不心得なことをやっていただいたということがはっきりすれば、我々としてはその事業を許可したという立場でやっておりまして、労働者との契約関係については厚生労働省が所管をされて、そしてそれを法律化されるかどうかは、いろいろな問題があるようですけれども、厚生労働省において配慮していただきたいというふうに思います。

 私の方は、それは法律になろうが告示であろうが、それを引用して、これに違反すれば我々は営業停止もやりますよという、そちらの方でとらえておりますので、私の方は、監査をして、違反が認められれば処分をする、厳正にやるということでございます。

三日月委員 ちょっと不十分だと思います。表向きの御答弁はそういうことになるんだと思うんですが、しかし、事業を許可する立場としても、運転時間及び過労運転の状況が大変憂慮すべき事態であるということを重く受けとめて、例えば厚生労働省と一緒に合同検討会を立ち上げて、労働時間法制をどうするんだ、そして監査の体制をどうするんだ、一部、相互通報というんですか、それぞれの労働部局との間で監査の折の情報交換もされておりますけれども、もっとルールをきちんとつくろうじゃないか、監査体制を強化しようじゃないかということを、事業を許可する国土交通省の立場としても、踏み込んで求めて検討していくべきだと私は思うんです。

 大臣、今の表向きの答弁はわかりますけれども、お立場としてわかりますが、しかし、踏み込んで厚生労働省と一緒にやるというようなことについてぜひ検討していただきたいと思います。

冬柴国務大臣 今、厚生労働省の公式的な見解は、自動車運転者の労働時間等の改善のための基準、告示については、自動車運転者の乗務の特性に応じた労働時間等の規制のあり方について、中央労働基準審議会において関係労使の方々に御議論をいただき、合意形成を図りながら定めたところでございます。この告示の法制化を行うことについては、関係労使を初め社会的な合意が得られていないものと考えており、引き続き関係労使団体を通じてその周知徹底を図るほか、的確な監督指導を行い、その遵守の徹底に努めてまいりたい、そういう立場のようでございます。これは公式的なものです。

 私どもは、では、それを乗り越えて法制化せいというよりは、それを守っていただく、我々の事業者には絶対に守っていただくという立場で臨んだ方がいいだろうということで、それぞれの立場を見ながら、私は、その告示に違反したら営業停止するよという立場で厳正にやらせていただきたいというのが現状でございますので、よろしくお願いします。

三日月委員 現状と御認識については承ります。しかし、安全を守るために、それが損なわれてしまっているおそれのある過労運転の状況がこういう状況で、大臣も事業者の増加に歯どめをかけたいとまでおっしゃっていただいたから私は申し上げているんです。

 現状でも守れていない状況はお示しをしたとおりですので、今ある緩いルールだけでも守れていないじゃないか、それをまず守ってもらうことから始めなくてはいけないんだという状況であることは認識をいたしますが、しかし、ふえ過ぎる事業者に歯どめをかけていく、適正な規模に市場をつくり直していくんだというような観点からも、この労働時間のルールをもう一度つくり直して、それをきちんと監視できる体制を構築していくべきだと私は申し上げているのであって、厚生労働所管の審議会で審議をされていますから、はい、それで終わりということだけではなくて、むしろ皆様方の方からも、国交省の方からも踏み込んだ提言をしていただきたいということだけきょうは申し上げておきたいというふうに思います。

 大阪のタクシーの問題について取り上げます。いわゆる下限割れ運賃の問題です。

 道路運送法及び通達で、タクシーの運賃については認可事項として定められて、上限を設定して、そこから一〇%の範囲内を自動認可運賃として今認可が行われております。要は、上限を決めて、一〇%は自動認可だ、それを下回る運賃については個別審査によって制度上認可可能な状況になっています。

 大阪は、この下限未満の運賃で走る車両が四十五社、三千二百七十一両、全体の一七・七%も存在するんですね。大阪だけなんです。全国で見ると、十二地域、十二社だけしかないんです。大阪だけ、四十五社、三千二百七十一両、全体の一七・七%、大阪だけなんです。この状況を大臣は、さきの決算行政監視委員会でも異常だと表現をされております。

 私が問題だと思うのは、これらの低運賃がやはり長時間労働を招いている。走らないともうからない。したがって、一部、走行距離を延ばすため、速度超過もしながら運転手さんが走られなければならない状況をつくっていたり、また、整備不十分なぽんこつ車をタクシー市場に出回らせてしまっている懸念もあるんです。これが、乗る人、そして周りで通行する人の安全を損なっている。加えて、不当な過当競争を招いてしまっているんではないか。そういうタクシーの低い運賃がより低い運賃をどんどんふやしてしまっているということについて憂慮しています。

 この個別審査の条件の中に、人件費に着目をして、労使間の合意があれば、過去二年間、労基法、改善基準告示の違反がなければ、人件費の少額査定というんですか、これを認めているという条件についても、果たして労使間の了解というのは、労働組合のないところはいかにとっているんだとか、そもそも監査自体が十分できていないのに、過去二年間、労基法、改善基準告示の違反なしというようなことが基準としてふさわしいのかどうかという疑問を私は持っております。

 タクシーが公共交通機関として利用者に安全で良質なサービスを提供するために、私は、公正な条件を整備するということが必要ですし、そのために国土交通省が設定しています自動認可運賃の幅の中に下限割れ運賃というものを収れんさせていく必要があるのではないかと思うんですが、その点御見解をお願いいたします。

冬柴国務大臣 大阪は特殊なのでしょうか、一七・七%が下限割れでございます。東京は小型は〇・一%ですから、同じ都会でもそれだけの違いがあるということは、それを異常と言うのかどうするのかは別として、今委員がおっしゃったような、タクシー業界の人のまゆをしかめるというか、そういうものを一割の範囲に収れんさせてほしい、そういう意見を強く言う人があります。片や、五百円、ワンコインで私は乗せているんですよと言う、これは女性社長でございましたけれども、そういう人もあって、市民には受けています、こういうことも言われる人もあるし、ここは法律に従って審査を、こういう下限割れの場合には財務諸表も提出させ、そして今おっしゃったような部分も十分に審査できるように考えさせていただきたいと思います。

 今回の運賃、これは東京でございますけれども、その部分についても、我々は七・二%ということにしているわけですが、それは労働者に配分されるようにということをかたがた念を押し、その担保措置も考えながらやらせていただいているわけでございまして、下限割れについても十分そのように審査をさせていただきたいというふうに思います。

三日月委員 済みません、たった二十分ですので、言いたいことの何分の一も言えなかったんですが、今大臣もおっしゃったように、審査をしていきたいんだと。私も企業努力を否定するものではありません、安くて良質なサービスを提供していただければそれはそれでいいと思うんですが、しかし、その背景で、労働環境が非常に悪化をし、それがまた不当な競争を招くという悪循環を招いてしまっている状況にもっと目を向けるべきだし、そもそも入り口の段階で、審査基準というものが今私が指摘をさせていただいたような項目でいいのか。そもそも、そういう事業者、新規も既存も、監査できる体制になっていないじゃないですか。この部分の体制整備をより進めていただいて、不良な事業者については、こういう運賃をまず認めない、撤退もきちんと行政として行っていく、撤退させていくというような取り組みを強化していただきたいと思います。

 大阪については、こういう問題を考えるために、官民、労使一体で、大阪のタクシーを考える円卓会議というものも設置をされて、今検討をされております。ぜひこの現場の意見を反映しながら、先ほど大臣が御答弁いただいたようなことについて取り組みをお願いしたいと思います。

冬柴国務大臣 早急に検討を始めたいと思います。

三日月委員 終わります。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、政治の失敗により社会的弱者をつくらない、その点に関して質問させていただきます。

 今国会も残すところ二週間となりまして、非常に短い間でございますので、ある意味、私も短い質問時間ではありますが、とんとんと聞いていきますので、どうぞよろしくお願いいたします。

 きのうは、新潟の中越地震から三年たちました。また、ことしも能登半島での地震、私も委員として視察に行かせていただきましたが、昨今の自然災害においては、高齢者そして障害者という社会的な弱者と言われる方々というのが非常に生活を再建されるのに困難を来していらっしゃいます。やはりこういった、本当に私たち、政治というものはやるべきことがある、そしてこの人たちが安心して暮らせるような日本をつくるために政治があるんだと確信しております。

 まず最初に、バリアフリー新法施行後の障害者の安心、安全な通行の確保のためのことを聞いていきたいと思います。

 昨年十二月に施行されたバリアフリー新法では、路外駐車場について、車いす用駐車施設を設けることが義務づけられております。これに対して、佐賀県や長崎県でパーキングパーミット制度が全国に先駆けて導入され、大変注目を集めております。これは、佐賀県では、駐車場利用証を発行して、身体障害者、高齢者、難病患者、妊産婦の方々が安心して障害者用駐車場を利用できるように、許可証を出して、とめやすくするという工夫をされているものでもあります。

 現状では、残念ながら、障害者用駐車場をつくっても、障害を持っていない方が駐車をしたために必要とされている方がとめられないということが起きておりますし、また、そのために、実際つくった総数よりも少ない数しか実数はないという現実もあります。また、障害をお持ちの方においても、なかなかとめるのは、そういったことがたび重なると実際にはちゅうちょをしたり、また、外見で見て障害があるということとはまた違う内部的な障害をお持ちの方、一見してはわからない方も障害手帳をお持ちになり、この障害者の駐車スペースというのを大変必要としている方々にとっても非常に心苦しい不快な思いをするということが随分起きているように伺っております。

 政府として、駐車利用証やこのアイデアというものを取り入れて、全国的に、障害をお持ちの方々が安心して駐車できるように、障害者用駐車場の利用、設置促進にさらに取り組んでいただきたいと思っております。そのためにも、パーキングパーミットのような制度の導入も検討すべきと考えております。また、導入に際しては、だれにでも共通の認識を日本国内どこでも得られるように、全国統一の基準や表示等も求められることだと思っております。

 大臣のこの点に関しましての御所見をお伺いいたします。

冬柴国務大臣 障害者用駐車スペースが適切に使われるべきである、これはもう異論のないところでございますし、その一つの方法として、今パーキングパーミット制度のようなものが行われておって、私どもも注目をさせていただいております。

 それが、今の現状は、それの効果とか、長崎、佐賀で行われているこのようなものの実効性がどのように図られていくか、もう少し見させていただきたい、注目をさせていただいております。

小宮山(泰)委員 ぜひ注目をしていただき、さらに検討もしていただきたいと思います。

 本来であるならば、こういったものがなくてもとめられる、当然そのスペースにとめられるべきでありますけれども、残念ながら、いろいろな方面にモラルの低下や、また理解の浸透がまだ深まっていないということもありますので、ぜひこの点は前向きに検討していただくことをお願いいたします。

 障害をお持ちの方、当然、車での移動というのが非常に重要にもなってまいります。私のところに埼玉県の障害者の団体の皆様がお越しになりました。国土交通省の方にも行っているかとは思いますし、埼玉県の方にも行かれております。その中において、首都高に、上りのときにはパーキングエリアなどにトイレの施設がある、しかし、下りのとき、渋滞に巻き込まれたときにそういう施設がないから、この点を何とか改善ができないかということを言ってこられました。

 外出をするときに、高齢者の方や障害をお持ちの方々というのはやはりトイレの心配を非常に多くされています。そういった中において、バリアフリー、これは交通や心のバリアフリーということもあります。移動の権利という中においては、やはりこういった社会整備というものが必要であります。大切な環境の整備の一つだと思いますので、ぜひこの点に関して、バリアフリー、障害者や高齢者の移動の自由を保障することを考えれば考慮するべき点だと思いますが、この点に関しましては、上り線だけではなく、下り線にも障害者用トイレの設置、そのためには、例えばパトロールカーの出入り口のところなど、まだいろいろな有効な施設などもう少し活用が考えられないか、この点に関しましても、ぜひ御見解を伺いたいと思います。

宮田政府参考人 お答えいたします。

 首都高速、御案内のように、八割が高架構造でございます。そうした関係で、新たにスペースを生み出すというのはなかなか難しゅうございまして、委員御指摘のように、既存の維持管理施設、そういうものを活用しながらパーキングエリアを設けてきたところでございます。

 特に、渋滞は上りの方で著しいということもございまして、上り線十四カ所、下り線四カ所、上下線一体二カ所、計二十カ所のパーキングエリアをつくっております。したがいまして、御指摘のように、下り線、非常に少のうございます。

 冒頭申し上げましたように、なかなかスペースを生み出しにくうございますが、維持管理施設を活用して、できる限りのパーキングエリアができないかという検討をしてまいりたいと考えておりますし、さらに、ETCが非常に発達、進展をしておりますので、そういうETCを活用しまして、本線外の既存の駐車場をパーキングエリアとして活用するスマートパーキング、こういうものも首都高速の方で検討を始めております。

 いずれにいたしましても、障害者、高齢者を初めとする利用者の方々への一層の利便性の向上に向けて、引き続き、首都高速道路株式会社とともに必要な検討を進めてまいりたいと考えております。

小宮山(泰)委員 ぜひいろいろなアイデアを出していただき、限られたスペースでもあります、実行していただければと思います。

 ちなみに、今、環状線、特に上り線が渋滞と言いますけれども、上りに来たら下って戻るんです。この点も、統計のとり方で見ても、一日何時間占有しているかというのを見ますと、下りのことが全然出てこない。上りは朝、確かに込んで、下りは夕方、帰るときに込んでいるんですよ。こういった指標もちゃんとあわせて、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいと思います。

 さて、この根本的な問題といたしましては、首都高の環状線のところが非常に渋滞をするから、ここのところが渋滞が緩和されれば、逆に言えば、もう少し必要なところに行く時間も短くなるという意味では、安心できる、そういった外出環境が整うんだとは思いますが、首都圏をつなぐ首都高環状線、正直申し上げて、昭和二十年代、三十年代に計画されたものがいまだにできていないという現実を考えますと非常に遅いですが、この中において、私のいる埼玉県から八王子の方に向けて圏央道ができました。しかし、所沢インターから八王子インターの区間においては、正規料金ですと、首都高を、要するに東京をぐるっと回っていった方が料金が安くつくという現実もあります。実際には、やはり込んでいようとも安い方をとるという営業の方もいらっしゃると思います。

 そうやって考えると、環状線の方にいかに誘導するかということが非常に重要な施策になると思いますが、この環状道路の利用を促進する料金体系にすることというのは重要だと思います。今後の方向性についてお伺いします。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 確かに、首都高速、放射線の整備が先行いたしまして、環状道路の整備がなかなかでき上がっておりませんが、首都高の中央環状線、圏央道あるいは外環というのが順次今から供用してまいります。頑張ってまいりたいと思います。

 いずれにしろ、環状道路の利用促進によって交通を分散させるというのがそもそもの環状道路の機能であります。それが料金によってふぐあいが生じるとまずいということでございまして、昨年の十二月八日に閣議決定されました特定財源の見直しに関する具体策におきましても、「高速道路料金の引下げなどによる既存高速ネットワークの効率的活用・機能強化のための新たな措置を講ずる」というふうに書かれておりまして、現在、環状道路等の高速道路ネットワークを有効活用するための料金社会実験をやってございます。

 具体的には、圏央道で八月から、ETC車を対象といたしまして、圏央道全線を通過する車両に対しまして圏央道の料金を三〇%割引、それから、圏央道と中央道を連続利用する車両に対しまして一律三百円の割引をやってございます。

 そういう社会実験の結果を踏まえながら、環状道路の料金については、閣議決定にございますように、鋭意検討してまいりたいというふうに考えております。

小宮山(泰)委員 障害者用の駐車場と同じようでありまして、やはり利用するべき方々が利用できるように整備するということをぜひ心がけて、海ほたるのあそこの湾岸のところもありますけれども、こちらの方もどんどん基本的な料金も下げているという、社会実験の結果をぜひ有効に活用して参考にしていただければと思います。

 本当は、バリアフリー新法の関係で、バリアフリー対応型の信号機の設置について質問をするところでありましたけれども、ちょっと時間の都合で、こちらの方を要望ということで、バリアフリー型、今十九万基信号がある中で二万四千ということでありますけれども、ぜひ二十二年度までに生活のエリアに対して一〇〇%の実施と、そして何よりも、これは都道府県警との協議また選定がありますけれども、地域の障害者の方や高齢者の方、そして地域の自治体の方などに本当に必要なところに設置をしていただき、普及していただけるよう、そして私たちも、税金の無駄遣い、やはりしっかりと徹底して追及させていただいて、そこから生み出されたお金でそういった本当に必要な設備ができるように努力していくことをお伝えさせていただき、要望とさせていただきます。

 さて、先ほどから、中小・小規模企業、大変苦しい現実というものがございます。その中において、公共事業における労働賃金のピンはね防止、その前に、都市再生機構賃貸住宅居住者の安心、安全な住宅確保について伺わせていただきます。

 六月二十二日の規制改革推進のための三か年計画が、都市再生機構において賃貸住宅七十七万戸規模は過大であるとして、平成二十年度までに今後の措置を決めるということに対して、居住者の皆様が、住宅は売却されてしまうのではないかという心配を非常に抱いていらっしゃいます。

 国交大臣は十月九日の予算委員会で、居住者の安定を脅かすようなことは毛頭考えていないので安心いただいて結構だと答弁されて、心強くお答えいただいておりますが、その答弁を再確認させていただいた上で、再編・活用計画の策定に当たっては、公団自治協さん、これは全国七十七万戸、そして二百万人の居住者、二百四十の自治協さんがありますが、やはりしっかりと話し合いをして合意を得られるように努めていただきたいということを望んでおります。

 当然、これに関しましては、居住者の方々が計画策定においてもできることならば意見を述べる、そして一緒につくり上げるという、二百万人の方々の生活がかかっている、居住場所がかかっていることですので、その点、取り入れていただけるかもあわせてお考えを伺いたいと思います。

冬柴国務大臣 冒頭御引用いただきましたように、決して一方的に追い出すようなことは絶対にいたしませんから、その点については明言をさせていただきます。また、衆参で附帯決議をちょうだいいたしました。これを遵守いたします。それから、低所得者の方、そしてまた高齢化しています、そういう人たちが安心いただけるように、家賃の抑制についても我々予算措置も講じて考えておりますので、安心していただきたいと思います。

 また、公団自治協等のお話は、私の方へも再三来ていただきまして、十分聞かせていただいておりますので、我々それを配慮しながらこれについては進めるようにしたいと思いますので、御了解いただきたいと思います。

小宮山(泰)委員 ぜひ、都市再生機構法の採択の際の附帯決議を守っていただくことを改めて御答弁がございましたし、特に、ここに来て急遽、各団地ごとの計画を年内にまとめようという動きがあるようでございます。居住者の意見を聞くといっても、もう間もなく十一月、年末というと十二月でありますので、居住者の方々の意見を反映させるというのは非常に厳しい日程になってしまう。結局のところ、また決まったことがそのままおろされてしまうのではないかということもおそれでございます。

 やはり賃貸借契約では相互の信頼関係が大変重要なことでもありますので、この点に関しては居住者の皆さんと合意が得られるように努めていただくことをぜひ御要望もいたしますし、その点に関しての御意見を伺いたいと思います。

尾見参考人 お答えをいたします。

 まず、再生・活用計画と私ども呼んでおりますが、その策定が年内である、唐突ではないかというようなお話がございましたけれども、私どもは、ことしの七月にホームページで、現在、再生・活用計画について、大きな社会構造の変化を踏まえていろいろな角度から検討しているということと、年内にはそれをまとめて公表させていただく、そういう趣旨のことをホームページ上で提供して、さらに居住者の方々にもそれをもって御説明をさせていただいております。

 そうした中で、今先生御指摘のことに関してお答えをしたいと思いますが、個々の団地の再生・活用方針につきましては、団地の現況とか地域の住宅需要とか客観的な要素もあります。そういうことと、国民共通の財産をどう活用していくかということでもありますので、そういうことを踏まえて、一義的には機構が責任を持って策定することといたしております。

 ただ、計画の実施に当たりましては、居住者の方々の理解と協力、あるいは地方公共団体の方々の御支援、これが不可欠でございますので、今後、今の計画の進みぐあいなども勘案しながら、地方公共団体への情報提供や意見交換を行うということを考えてまいりたいと思っておりますし、同時に、個別の団地の整備計画につきましては、居住の安定に配慮する観点からも、整備の着手の段階、こちらは各論になりますが、その段階で団地にお住まいの方の御意見、御要望を伺いながらさらに配慮していきたい、このように考えております。

小宮山(泰)委員 整備の着手では遅いんですよ。計画の段階からちゃんと入らなきゃいけないんじゃないですか。その点、簡潔にお願いします。

尾見参考人 ちょっと言い方が悪かったかもしれませんが、計画全体について、その考え方については、作業の進捗状況を勘案して、公共団体や居住者団体の方々の情報提供や意見交換、ですから、計画を最終的にまとめるまでにそういうことはやっておきます。こういうことでございます。

小宮山(泰)委員 居住の皆様の意見がちゃんと反映される、またちゃんと取り入れられるということだというふうに解釈をさせていただきます。

 最後、時間がないんですが、ぜひ大臣に伺いたいと思います。

 公共事業における労働賃金ピンはね防止、これは私が既に決算行政監視委員会で質問しましたが、入口段階の入札の改革はこれから建設業法を遵守して徹底するという内容で、答弁としては前向きであるということは理解いたしますが、現実はそうなっていないわけですよ。イギリスとかフランス、アメリカにおいては、法律には、元請が請け負った公共工事においては下請の賃金を少なくすれば元請の工事を停止させるという非常に厳しい条項さえ設けてもおります。日本は批准をしておりませんけれども、ILOの第九十四号条約でも、公共事業、公共契約の国際基準となっているというふうに聞いております。

 ぜひ大臣には、労働賃金の確保に対して、入札改革はもちろん必要ですけれども、末端労働者まで積算された賃金が減額することなく支払われているか、実態調査を実施していただきたいと思います。そこからが、日本の景気をしっかり下支えしている中小零細そして地域の公共事業の本当の意味での信頼につながるんだと思っております。

 この点に関して、大臣の御所見を伺わせていただきたいと思います。

冬柴国務大臣 ピンはねなどはもってのほかでございますので、法令遵守、建設業法第十九条三におきまして、下請についても、労働賃金を含む、通常必要と認められる原価に満たない金額を請負代金の額とする請負契約を締結してはならないという規定がありますので、そのような規定をきちっと守らせるべく、建設業法に基づく勧告、監督処分等を通じて法令違反行為への対応を強化してまいります。

小宮山(泰)委員 心強い言葉、ありがとうございました。ぜひ実行されることを期待しております。

竹本委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、長時間お疲れさまでございます。午前中最後でございますので、簡潔に何点か御質問申し上げたいと思います。

 建築基準法の改正の問題で、私も大変関心を持っていまして、特に先ほど来同僚議員からもお話がありましたように、過度に規制が加わり過ぎてしまったんではないかという話もあり、実際、いろいろな研究所や、きょうの新聞では、建設経済研究所が、全体の建築投資額が〇七年は三・一%減額をしてしまうと。先週には、野村証券金融経済研究所の試算では、七月から九月の四半期で住宅投資がGDPを〇・三%、年率で一・三%押し下げるというふうなことで、マクロ経済的にも大きな影響を与えているというふうに思っています。

 先ほども大臣からも御答弁がありましたけれども、これはまだまだ現場もなれていないから、いずれ習熟をしていけば通常に流れていくというふうな御趣旨の発言もございました。しかし、本当にこの制度改正によって、本質の部分で何か負荷がかかり過ぎて現場が非常に混乱をし、それが年内に収束をするという意見と、まだ少し来年以降も継続するという、有識者の方も二つの見方があるようであります。これは、習熟度ということであれば、大臣がおっしゃるように、少し時間がたってくれば、余り厳格ではなく、通常のベースに戻っていけばなれてきて時間も短縮をされるということでありますが、GDP全体を年で一・二、三%下げていくというのは多分予期しなかったことではないかなというふうに思うんです。

 衣食住という部分が人間生活の当然最低限の達成をしなければいけない欲望の一つでありますし、特に住というのはその中でも一番、一生に一度か二度というふうな御発言もさっきありましたけれども、そういう中での関連産業も含めたすそ野の広さでは住宅産業というのは非常に大きいわけですよね。

 後でまた御質問をしますが、衣食住の食の部分では、水というものも含めて国土交通省さんが水の資源の管理ということをされております。特に住という部分では、その基準というものが余り規制が強化をされ過ぎて現場や関係業者の方々が萎縮をしてしまっては、要するに法の目的というものは達成されないわけです。もちろん目的自体は、不正をしたら厳罰に処する、それには時間もかかるということはわかるんですが、それが制度の問題なのか運用の問題なのかということも含めて、そこの議論も中できちっとしていただいて、できるだけ早く、そうではない形、ソフトの問題も先ほど川内議員からもお話がありましたが、その問題も含めて、早く収束というか通常の形に、国交省が中心になってやっていただきたいと思うんですが、その点につきましてどのような御見解をお持ちでしょうか。

冬柴国務大臣 一日も早く正常な状況に戻り、そしてそういうものが国民の経済全体に及ぼす影響というのは非常に無視できません。したがいまして、そういうことについて省を挙げて頑張ります。

後藤(斎)委員 大臣、ただ国交省の皆さんにお聞きをすると、大臣がおっしゃったように国交省を挙げてやっているというお話なんですが、市町村ないし県の建築主事の方々を中心とした、いわゆる設計業者さんと窓口で接している方々、そこでの萎縮というのも、変な話、建築士法にも業法にもその責任と義務というものは当然明定をされていますが、例えば国交省の皆さんが一生懸命やっているのはよくわかります、市町村や県の方も一生懸命なのはわかるんですが、問題になったときどういう責任を問われるかというその責任の主体がないから、では時間をかければいいやということになってはいけないと思うんですね。

 その点についても、国交省が頑張る頑張るというのはよくわかるんですが、自治体の方々も含めて現場の方がどういう接し方をするのか、早く審査を終えるためにはどのような工夫が要るかとか、いろいろな総合的な知恵を、やはり自治体とも連携しなければいけないと思うんですが、その点、大臣にもう一度お尋ねをしたいと思うんです。

冬柴国務大臣 その点についても各地方整備局を総動員して、各県、そして検査会社、それから設計士、関係者、あらゆる人を集めて講演会をしたり、早く習熟していただくように、いろいろな手は今打っております。それから、受け付けのときのマニュアルとかそういうものについてまで細かくしているところでございまして、今、周知徹底期間といいますか、そういうような状況にあると私は見ております。

 幸いにして、建築に対する、家に対する需要というものは旺盛でありますし、小さな一戸建てとか木造住宅等につきましてはこういうものの確認件数ももとに戻りつつありますので、やはり大きなものについて、国民のあのときの不安というものを思い出してほしいわけですけれども、本当にマンション業界は成り立たなかったんですね。欲しいけれども買うこともできなかった。そういうものを一日も早くなくするために、我々として皆様方にあのような制度改正、ピアチェックというような新しいものも取り入れたものをお願いしたわけでございまして、一日も早くこれが正常に作動するように頑張るということでございまして、その頑張るのは、そういう受け付けをする市町村に至るまで我々も周知徹底を図っていきたいという努力でございます。

後藤(斎)委員 大臣、これは要望にしておきたいんですが、やはり期間が長くなるということは、結局は、例えば設計士さんの業務量が多くなって設計料にはね返るとか、それで施主の消費者の方々が例えば銀行から借り入れをして、なかなか審査というか許可がおりないということになって着工ができないということになると、金利もその分かかる。これは、もっとディベロッパーみたいな大型のマンションとかいうものになると金利みたいな問題もかなり大きいことになっているようですが、ぜひ個々の小さな、本当に一生に一度か二度の部分で、やはり六月二十日までは、その部分が百だとしたら、それが二百になっている、三百になっているということがあれば、それは、先ほどもお話しした、一部の法目的は達したかもしれませんけれども、トータルとして消費者の方にまた負担を強いるということではいけないと思いますので、ぜひその点も含めて、これからの検証、検討をお願いしたいというふうに思います。

 次に、タクシーの規制緩和について御質問を申し上げたいと思います。

 先ほど、三日月委員からもタクシーの問題、お話がありましたが、私も毎日タクシーに最低一回か二回は乗っておりますので、これからタクシーの値段が上がるというのは、自分自身も含めて大変関心があるんです。

 大臣、これは、〇二年の法改正から規制がある意味で非常に緩和されて台数がふえて、その中で、確かに福祉タクシーであるとか、当時〇二年、まだまだ全体経済が厳しいときに失業者の吸収ということも、プラスの面もあったものの、結局、乗る消費者、利用者の方に負担増になってしまった。この間に、全国的にも、この東京もそうですが、タクシー台数がふえ、そして、先ほどのお話じゃありませんけれども、ドライバーの皆さん、運転手さんの賃金は減り、結局は、今、バレル九十ドルを超しました原油価格の高騰ということもあって、燃料費も上がった。総原価であれば、今例えば千円とすると大体七割以上、七百円。だから七割以上が原価の人件費だということで、その人件費を、給与が減っているということも何とか解決しなきゃいけないということで、六百六十円の初乗りが今度七百十円になる。何で七百円にしないのかなという、庶民から見ると非常に素朴な疑問もあるんです。

 やはり、総原価主義ということをこれからも物価関係閣僚会議からも条件をつけて、タクシーの料金の改定の仕方をこれから検証していくというお話も報道等で聞いておりますが、大臣、だれがこの規制緩和でメリットがあったのか。結局は、先ほどの建築基準法の改正じゃありませんが、利用者、消費者だけが最終的に負担増になって、今度初乗りを例えば七百十円にして、ドライバー、運転手さんの給与が上がっていく、その検証までだれがフォローするのか。

 いろいろなことがあるんですが、大臣はタクシーに余り乗られないかもしれませんけれども、多分奥様やお子さんたちはお乗りになると思うんですけれども、普通であれば、競争条件が強化をされて、安いところに集中するという話も当然あって、やはり構造的な、デフレ構造のタクシー業界だという定義もあるようなんですが、では、規制緩和をしてだれがプラスになって、なぜ規制緩和の効果というのが料金引き上げということで今を迎えたのか、大臣、率直なお考えをちょっとまず冒頭お聞かせいただけないでしょうか。

冬柴国務大臣 なぜ七百円にせずに七百十円だという話もわかるんですが、十二年上げていないんですね。

 それで、労働賃金は全国平均から比べて本当に二百数十万円安いわけです、年収において。そういうことを回復するためには、我々の計算では、労賃も七・二%引き上げる必要があるだろうということがありました。それから、原油価格は二二%上がっているんですね。そういうものを吸収するためには、今言うように最低七・二%を、七・二二でございますけれども、引き上げざるを得ないということで、東京についてはそういうふうにしたわけです。

 では、規制緩和してだれが得したのかということを言われますと、ちょっと委員も例に挙げられましたけれども、福祉タクシーとか、今までなかったような業態とか、そういうサービスもしているというところはあると思うんです。ただ、本当にふえ過ぎて、これでいいのかなというところがありますので、先ほども三日月委員からも言われたように、これはやはりちょっと思い直さなきゃならないという段階に来ているんじゃないかという場所もあります。私は、それを今十分検討している最中でございます。

後藤(斎)委員 大臣、先ほどもお話をしたこの物価安定政策会議に提出した資料によりますと、人件費の比率が運賃原価の七二・九%、そして、今大臣がおっしゃられた原油価格が上がっている、これはよく私もガソリンスタンドでガソリンを入れるのでよくわかるんですが、燃料費というのは五・七%なんですよね。では、値上げをして運転手さんたちの労働環境がよくなるかどうかというウオッチというのは、経営全体の話ですからなかなか難しいと思うんですね。

 私、一つ言えると思うのは、先ほど三日月委員からも話がありましたように、今基本給もなかなかなくなったそうで、ほとんど歩合でやっている。きのう乗った運転手さんによると、四万円を超すと、六割自分が取って四割会社に行く、四万を切ると五対五で分ける。ただ、やはり、週でいうと二回、せいぜい多い方で三回くらいしか法人タクシーだと乗る機会がありませんから、それが二十四時間の場合と、八時間とか十二時間で割る場合でいろいろ違いますけれども、個人で見れば、月でいうと手取りで二十万を前後するみたいな話の会社が多い。

 ですから、数字的に国交省さんからもいただきましたけれども、タクシーの場合は、運転手さんの年収は大体三百万ちょっと。全体が五百万くらいとすると、かなり低い水準だというふうにも言われていますよね。

 でも一方で、運転手さんが足りないということで、タクシー乗務員募集というのが結構いろいろな新聞に毎日のように載っているんですよね。ですから、大臣、普通であれば、経営が大変で、労働者の方の一人当たりの手取りが少ないということになれば、タクシーの運転手さんをまず減らして回すような、いろいろな工夫も含めて、タクシー業界の経営者の方はやはり考えなきゃいけないと思うんですよね。

 でも、なかなかそうなっていないし、実際、この新聞でも、日給二万円、月収四十万以上可みたいなことで、四十万くらい取れるよということで、結構これは過大広告かどうかわかりませんけれども、そんな取っている方、なかなか皆さんいらっしゃらないという話なんですね。

 だから、これからタクシー業界をどういうふうにしていくのか。結局は、今総原価主義ということで、今のルールであれば、大臣がお話しした七・二二%上げざるを得ないという現状なんでしょうけれども、将来の五年後、十年後のタクシー業界というものがどういうふうにあって、できるだけ利用者、私たちが乗るときに負担増にならない形で対応するというのがやはり基本でないといけないと思うんですが、その点についてはどういうふうにお考えでしょうか。

本田政府参考人 補足して御説明をさせていただきたいと思います。

 まず第一に、今回の運賃改定の趣旨は、先ほどから議論がございますとおり、運転者の労働条件の改善が最大の眼目でございますので、運賃改定後も、事業者及びその団体に対しまして、収入の増加に応じ、これを確実に賃金に反映させるということ、そして、その実績を利用者の皆さんほかに明らかにするということを強く要請するとともに、問題のある方々に対してはそれなりの対処をさせていただくということにしております。

 それから、委員が先ほど来おっしゃっておられますとおり、タクシー事業の構造あるいは規制のあり方をめぐっては、この間、非常に多くの議論が出ましたので、この問題につきましては、規制緩和の成果を生かしながら、マイナス面の是正を図るという観点から、しかるべき場を設けて、しっかり議論、検討してまいりたいと考えております。

後藤(斎)委員 今局長が御答弁いただいたように、ぜひ大臣、やはり最終的に、目標というか、負担増にできるだけならないような構造や目標というものをまず掲げて、そのために、この規制緩和で台数をふやすことがいいのかどうかということも含めて対応していかないと、自由だからどうぞ勝手におやりください、でも総原価主義で、上げるときは上げますよということではなかなか利用者の方は納得しないと思いますし、また、私自身、個人的には非常に嫌なことで、一月からタクシー全面禁煙になるということで、何かサービスも悪くなる、料金は上がる、ちょっと違うんじゃないかなというように思うんですが、それはちょっとおいておいて、たくさんきょうはお呼びしていますから、これで、ではタクシーの問題はまたいずれきちっとフォローしていただければというふうに思います。

 さっきも同僚議員から橋の問題がありました。市町村の特に九割の橋の定期点検せずということでありまして、これから国交省さんも調査をしながら全体像を見ていくというお話もございましたが、大臣、今は、道路特定財源の話もありますが、少なくとも、今後何年間は継続して、公共事業という部分は予算的な手当てというのは減少せざるを得ないというのが前提だと思うんですね。

 政府でも、コスト縮減ということで、PとQの関係だと私思うんですよ。橋も古くなったからかえなきゃいけない、道路も、市町村やいろいろな関係者の方々、私自身もそうですが、国道や県道、市町村道、やはりあった方が当然利便性が上がるわけですから欲しい欲しい、でも一方の財源は減っていくという形だと、あと残すはもうQの部分、要するに、必要量というのはまだまだたくさんあるわけですから、ではPの単価の部分をどう下げていくかというふうなことがやはりこれから大きなテーマになると思うんですね。

 契約手法を変えていく、もちろんこれもよくわかります。そして、平成十五年までに工事コストも、一三・六%ですか、平成九年から下げられて、そして十五年から十九年度まででさらに一五%公共事業のコストを下げていこうというプログラムをつくって、一昨年度までは九・九%下がった。あとまだ五%くらいあるので、十九年度、今年度が結構きつい数字になっているようなんです。

 そういうふうなもろもろの動きも含めて、大臣、私、単純に勉強不足で、最近いろいろ知ったんですが、ほとんどの公共事業は積算単価、建築単価があって、いわゆる積み上げ方式をやられています。これは、お聞きをしたら、日本と韓国と台湾、この三カ国がやって、アメリカやヨーロッパの国々はこの積み上げ方式という手法をとっておらない。いわゆる施工単価方式という、例えば平米幾らでやってくださいということで対応なさっているそうです。

 これは、伝統的に国交省は、建設省、運輸省の時代からそういう専門家の方々が国にもいて、県にもいて、市町村にもいて、ただ大臣、普通考えれば、この積算をやるというのがメーンの仕事になっていれば、国交省さんだけで何人いるのかよく知りませんけれども、多分、全国市町村まで入れると、公共事業という部分に、積算だけやっている方が何か逆にたくさんいるような感じが私はするんですよ。これを行政改革とどうつなげるかというのは、ちょっと議論は別においておいて、いわゆる調達手法の最適化ということで、入札の契約の見直しというのはかなりいろいろな部分で進んできたとは思います、まだまだ十二分でないかもしれませんが。

 もう一方で、積算と見直しというところで工夫をすれば、もっと違った形で、例えば市場価格を反映するような形で見直しができる。そこでは人件費がいずれ、先ほど関係者の方々が、少なくなる計画をつくっていって、そういうふうな改革と相まって、Pの単価の部分をできるだけ減らしていくということもしないといけない時代に入ってきたなというふうに思うんですが、大臣、その点についてどのような御見解をお持ちでしょうか。

冬柴国務大臣 大変いい御指摘だと思うんです。それで、国交省としましても、現在、道路の舗装とか道路の改良、それから築堤護岸という三工種につきまして試行的に行っております。そして、案外これはいいからということだと思うんですけれども、ユニットプライスといいますか、この試行状況が、平成十九年度では、金額ベースで四一%、件数ベースでは四四%までこれを採用しておりますので、今後も、こういうことで、引き続いて他の工事区分についても取り組みの拡大を考えてまいりたいと思います。

 すばらしい提案だと思いますので、その方向で進めたいと思います。

後藤(斎)委員 必要な数量というのは、やはりいろいろな地域性、またいろいろな関係者の方々から見れば、これからもっと量的には必要になるというふうに私自身も思いますので、単価、プライスの部分でそういう工夫をぜひこれからも最大限努力をしていただくようにお願いをしたいと思います。

 それから、最後になりますけれども、時間がもう、済みません、たくさんの方をお呼びしたんですが、私、この水、今もこれちょっと飲んでいるんですが、これは水道水だそうですけれども……(発言する者あり)私もそう思ったんですが、なかなかそうではないらしくて、やはり安全で安心な水をどう提供するかというのは、やはり非常に大きな問題だと思います。特に、地球温暖化の中で、これから渇水、ことしの夏もそうですけれども、例えば雨が降り過ぎて洪水が起こる。これは裏返しみたいな関係で、そういう研究開発の努力も国交省さんとしてもしているということでありますが、大臣、日本は一部そういう渇水の時期もありますけれども、平均的に見れば非常に水資源には恵まれているということです。

 アメリカなんかは、全体的に見れば、一部砂漠の地域もありますけれども、日本以上に水資源に恵まれている国にもかかわらず、水道を新設するときに節水蛇口みたいなことを義務化みたいな形にして、量をできるだけ使わないような仕組みを考えているというふうな工夫をやっているというお話を聞いています。

 あわせて、ドイツでも、一九九〇年代に一日二百七リットルくらい使っていたものを二〇%減らして、百六十リッターくらいまで節水の努力、要するに、自分たち個人個人が消費する量を工夫して減らすということです。

 まだ日本はそこまでいっていませんし、水道水であっても氷を入れれば自由においしく飲めますので、それはそれでいいんですけれども、やはりこれはトータルとして、水資源をどう確保していくかということだと思います。

 アメリカなんかは、一九八〇年代から九〇年代に、特にクリーン・ウオーター・アクトと称して、きれいな水をどう法的に整備するかというフレームができたそうであって、アメリカ人は、すべての川、すべての湖、すべての沼、沼だと余りきれいじゃないかもしれませんが、水泳ができて魚釣りができるというのを大きな目標にしようと。私も本当に小さいときに川で水泳ができましたけれども、今は川で水泳をするようなきれいな川というのはなかなかないと思うんですね。釣りは、コイなんかは汚い川でも釣れますから、最近そういうのでやるんですけれども。

 やはりそういう大きな目標を、量の部分と質の部分で何か明確に目指して、私は四万十川には行ったことがないんですが、ああいう川というものは観光資源にもなってしまうほどきれいなもの。でも、ほとんどの川というのは、水泳ができたり、そこを少し飲んでみようかというインセンティブが働くようなものはまだかなり少ないと思うんですよ。でも、何十年か何百年、まあ百年くらい前までは、ほとんどの河川ではそういうことができたということで、地球温暖化という大きな変化も踏まえて、やはりこれからは、量的なものをどう確保して、それが安全で安心でおいしい水であるということをこれから大きな目標にして、すべての日本人がすべての河川で、湖で泳げて、例えば魚釣りもできて、そこで飲めるみたいな、そういう目標を掲げて、これから水問題にぜひ国交省全体で、自治体とも協力して対応していただきたいと私は思うので、その点について、時間も来ましたので簡潔にお願いします。

上総政府参考人 お答え申し上げます。

 今御指摘のように、水資源に関しましては、近年の気候変動によりまして、最近百年を見ても、年間の降水量が減っております。したがいまして、それに伴いまして利水安全度が低下している。

 さらに、将来的に見ますと、地球温暖化に伴いまして降水量は若干ふえるという予測がされておりますが、その変動幅が大きくなる、さらに雪の量も減る、こういうような予測もされておりまして、水の使い方、時期、場所、量、こういったことが大変変化してくるだろうと予測されておりまして、水不足などによります国民の生活への支障が心配されるところでございます。

 こういったことから、今御指摘ございましたように、その対応といたしまして、水を使う方々みずからの節水をさらにしっかりとしたものにしていただく、さらに、渇水が起こったときの利用者間での調整を円滑に進めるようにする、こういったことも大事だろうと思っております。

 量的なことからいきますと、必要な施設整備に加えまして、これまでの既設のダム等のストックの有効利用をさらに図っていく、こういうことも大事だと思っております。

 質の問題でございます。飲み水の、いい質の水という国民のニーズが大変高まってございますので、下水道など関連する事業と連携を図りながら、ダム湖や河川の水質改善対策をこれから進めてまいりたいと思っております。

 今御指摘のありましたように、水全体として、遊べるものも水の資源でございます。そういったことを含めまして、今後、地球温暖化を踏まえた形で、水資源の政策を進めてまいりたいと思っております。

後藤(斎)委員 人間生活に欠かせない部分でありますので、ぜひ最大限のお取り組みをお願いします。

 残った質問、たくさんあるんですが、また次回に回しますので。どうもありがとうございました。

竹本委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。

    午後零時十二分休憩

     ――――◇―――――

    午後一時一分開議

竹本委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。穀田恵二君。

穀田委員 大臣に質問します。

 先ほどもありましたが、今月の十五日に、横浜市の積水ハウスの物件で構造計算の偽装が行われていたことが発表されました。藤建事務所の遠藤一級建築士が百六十七カ所も偽装をした。遠藤建築士が構造計算した物件は約七十件にもなると言われています。

 一つ聞きたいのは、偽装された物件の耐震性は大丈夫か、そして審査はどれだけ進んでいるかということです。

 まとめて言いますけれども、もう一点は、先ほど大臣が述べられていましたけれども、私はこの問題は結構深刻だと思うんですね。というのは、改正法施行前に建築確認された案件ということだけれども、施行前といっても、姉歯事件以来、設計する側も検査する側も慎重を期していたはずなんですね。それで、検査側は、姉歯物件で見落とした経歴を持つ民間検査機関の東日本住宅評価センターでありました。姉歯のときに問題になった構造計算の下請への丸投げ、これも行われていた。ですから、あれだけ問題になっていたのに、何の教訓も生かされていないという点は私は見逃せないと思うんですね。したがって、常識では考えられない事案であって、どこに問題があると考えるのか。

 この二つについて、まずお聞きしたいと思います。

冬柴国務大臣 建築界を挙げて建築物の安全、安心に対する国民の信頼回復に取り組んでいるこの時期に、このような関係者の努力を踏みにじるような行為が行われたことは極めて遺憾でございます。考えられない。

 それで、この物件は幸いにして、基礎の部分だけで、着工といいますか、上へ建て上がるとかそういうことはまだ行われていない段階でございましたし、一切販売はしておりませんので、そういう意味で、一般の方が被害を受けるということは免れたということで、幸いだったなというふうに思っております。

 しかしながら、百六十七カ所が偽装されるというのはもうむちゃくちゃだな、そういう人がどうしてこの時期にと。しかも、この人の名前は設計図書の中に入っていなかったみたいですね。

 そういう意味では、今回の改正はやはり必要だったし、そして、各所に大変御迷惑をかけておりますが、しかし、これはなるべく早く正常な状況で、このような厳しいものが実行されるように努力を重ねなきゃいけないと思っております。

 それで、この藤建事務所の関与物件でございますが、現在、六十九件につきましては所在場所とか物件名がきちっとわかっております。したがいまして、これについては特定行政庁に既に、偽装があったのかどうか、これが全部あるとは思いませんけれども、あったのかどうか、あるいはそれに対しての、特に耐震性の調査を重点にやってほしいということで、六十九件について特定行政庁に対して耐震性の調査を要請しております。

 なお、ほか三件について、その物件がまだ特定されておりませんので、至急これを調査し明らかにした上で、これの問題についても特定行政庁に調査を依頼しようという段階でございます。

 以上です。

穀田委員 いや、私が言ったのは、どこに問題があるのかという点ですよね。そこが余り解明がなくて、事実経過はわかったんです。

 やはり背景にそういう法施行前の駆け込み申請があって、本人も、メディアに対する釈明によれば、時間がないから偽装した、こう釈明したと言われている。いわゆる駆け込みということなんですね。私は、ここにも問題があると思っているんですね。

 もう一つは、基本的には、私何度も指摘しているんですけれども、市場競争優先といいますか、コスト削減競争にひた走る住宅メーカー、今回の場合には積水ハウスの物件ですから、そういう意味ではやはり大きいと思うんですね。だから、そういう産業のあり方の弊害があらわれているということをしっかり見据えていただきたいということだけは、あえて言わせていただきたいと思っています。

 私は、いつもこういう点で大臣とやり合いをしていましたし、その点になると何かもごもごとなっているので、改めて言っておきたいと思うんです。

 そこで、きょう皆さんからもありましたが、一方、法改正が施行されて、今度は、行き過ぎた審査の厳格化によって住宅着工件数が激減し、先ほど来ありましたように景気への影響が懸念され、そして住宅業界が大きな悲鳴を上げ、混乱をしています。私は、特に町場の工務店などは死活問題になっているという点は大事だと思うんです。

 そこで、先ほど来いろいろ話があったんですが、私は、現場の混乱を生んだ原因をどう認識し、さらに大事な点は、国交省としての責任をどない考えているのかという問題だと思うんですね。そこは、原因の点について言うと、双方の習熟の問題だとかという話になるんだけれども、やはり法全体を施行して、そのことが予測された省の責任とは何だったのか、そこをどう考えているのかということが問われていると思うんですね。ですから、そこをはっきりさせていただきたいと思っています。

冬柴国務大臣 六月二十日に改正建築基準法が施行されております。これは、一年間で施行しようということから、相当内部的にも無理な点があったのかもわかりません。政省令、告示等七本についての改正をし、そしてそれをするためには、多くの人の意見を聞いたり、いろいろな審議会にかけたりという作業があったわけでございます。しかしながら、こういう混乱が起こっていることは、設計側、建築確認側双方とも改正内容に習熟していないという点が大きかったと思います。

 そしてまた、それが、建築確認側の問題ですけれども、単純な誤字脱字程度しか訂正が認められないというふうに誤解をしていたというところがあります。こういう問題については運用の問題で、我々直ちに、そうではないんだということで、改めていただくように指導をずっとしております。

 それから、本来訂正させる必要のないささいな事項についてまで補正作業を求めている、これも運用の問題でございます。こういう点についても、また我々の方から相当きめ細かく、そういうことではないんだという指導をさせていただいております。

 それから、設計側、建築確認側双方とも構造基準の見直しの内容について理解が進んでいない。これは技術研修という形で我々は乗り越えられるということで、今一生懸命あちこちでやっているところでございます。

 せんじ詰めれば運用面の問題だったというふうに思いますが、建築確認手続が遷延して、このために着工が大幅に減少しているということは、これは事実でございます。それについて我々は真摯に受けとめ、そしてそれを回復するために努力することこそ我々の責任のとり方だろうと思っております。

 したがいまして、全国各地で審査担当者向けの研修会、あるいは設計者、施工者向けの講習会を開催するとともに、改正内容の周知に努めて、結果的に、改正法の施行後、建築確認手続が遷延しているということを真摯に受けとめながら、今、省を挙げて、住宅局だけではなしに整備局も全部努力してやっているというのが現状でございます。

穀田委員 現状はわかりました。それは先ほど来言っていることを繰り返しているにすぎないと言ったらちょっと失礼ですけれども、問題は、運用面の問題だとか、それから、理解が進んでいないとかいう話は予測されたわけなんですよ。だって、これだけの内容なわけですから。しかも、多くの作業があったということを最初に言ってはりましたように、その多くの作業も、これはわかっている話なんですね。だから、あえて言わせていただければ、私は二つの点があったんじゃないか。

 私は、例の偽装事件のときに、その背景にある問題というのを掘り下げないとあかんということを繰り返しここで議論してきました。特に、安かろう悪かろうというものを助長した規制緩和路線があって、市場原理によるコスト削減競争を優先し、建築の安全確保をないがしろにしてきた、そういう行政に問題があると私は言ってきました。だから、この点を抜本的に改めることなく確認検査制度だけを厳しくした。したがって、現場の実態を十分に反映することができず、行き過ぎた厳格化が横行した、ここの点が大事なんじゃないかと思うんですね。

 確かに、双方の習熟という問題では、例えば日本建築士事務所協会連合会なんかでも言っているのは、双方の習熟は最後言っていますよ。でも、当初、最初の時期に、やはり現場の意見が反映されていない。それから、周知期間が短過ぎる。これはやはり、現場や建築する方と、それから検査する側に問題があるんじゃなくて、これをつくる、実行する省の側に責任があったということをいみじくも言っているわけですよね。そこはやはり真摯にという内容の前提になるんじゃないかなと私は思います。

 ついでに言っておきますと、日経新聞も、責任は省の準備不足にあると。そして、新基準の公表が大幅におくれ、軽微な変更をめぐって建築業者、審査機関の双方に混乱が生じたとわざわざ社説まで書いているぐらいですからね。やはり真摯にというのはそういうことだと受けとめたいと思います。

 そこで、では、検査を厳格化する場合、先ほど大臣のお話がありましたように、当然、検査する側のそういう問題もあります。そこで、検査する側の体制や能力も問われることになるわけですが、確認検査する特定行政庁などの体制や技術力は強化されたんだろうか。そのことをお聞きします。

和泉政府参考人 お答えします。

 平成十年の基準法改正で指定確認検査機関制度を導入しました。その結果、トータルの建築行政の執行体制は年々充実が図られてきておると思います。例えば、建物の完成後の完了検査率、これは委員御案内のように相当低かったわけでございます。平成十年は三八%でございましたが、これが、こういった体制整備で、十八年には七九%まで倍増した。こういった成果が上がってきておるところでございます。

 また、特定行政庁、要するに行政側の執行体制につきましても、特にこの耐震偽装事件の発覚以降、特定行政庁においても全体としての建築行政職員の増加を図っていただいております。これは全国のトータルでございますが、全国の建築行政職員数は、十七年度、七千七百六名と聞いておりましたが、地方で行政改革が進む中でも、この合計は、十八年度、七千八百十名とふえております。

 指定確認検査機関と特定行政庁が車の両輪で確認検査をしているわけでございますが、特定行政庁にいる建築主事は長らく千八百人強ぐらいで推移してございました。これを補完する形で、指定確認検査機関が、現在、十九年四月、百二十七機関ございますが、この指定機関にいる建築確認検査員の数、これはちょっと古いデータで恐縮でございますが、平成十七年度で千三百六十七名。これは年々二百名ずつぐらいふえておりますので、そういった意味で、主事、確認検査員、トータルの合計の数値は、かつて千八百人強であったものが三千人を超す体制になっておる、こういったことでございますので、それなりに、基準法の体制整備、こういったものは図られておるものと考えております。

穀田委員 では、その結果、審査がふえたかというと、特定行政庁の審査は明らかにこれは減っているわけなんですね。充実したんだったらそっちへきちっと行っていいはずじゃないか、こういうふうになるわけだけれども、結果はそうなっていないということをよく見ておかなくちゃならぬと思うんですね。

 だから私は、先ほど大臣が述べたように、この質問の際に地方自治体の人材育成の問題や検査体制の強化について述べました。それは、九八年の確認検査の民間開放以降について言えば、自治体の一つ一つの例を挙げて、弱化しているということも言いました。ですから、それはトータルとしては若干ふえていることは紛れもない事実です。しかし、今度の内容を見ましても、そういう内容に適合できる形で対応できたかというと、そうなっていないという事実を示していることも私は指摘しておきたいと思うんです。だから、ほんまの意味で研修、教育体制の整備などを行うことを初めとして、真剣に取り組む必要があるということを述べておきたいと思うんです。

 いずれにしても、中小工務店などは仕事が激減しています。そこで、私は一つ聞きたいんですけれども、国交省は、中小企業庁に要請し、セーフティーネット貸し付け及び既往債務の返済条件の緩和措置などをとるとしています。

 中小企業庁に聞きます。

 この措置を受ける場合、どういう条件、要件が必要か、既往債務がある場合も借りることができるのかなど、少しお話しいただきたいと思います。

高原政府参考人 お答えを申し上げます。

 国土交通省より、本年六月の改正建築基準法施行に関連した中小企業者の皆様への影響につきまして御相談がございました。これを受けまして、できるだけ早くということでございましたので、十月の九日でございますけれども、関連中小企業に対する支援策として、まず第一に特別相談窓口、これは政府系金融機関ですとか商工会議所、商工会等でございますけれども、全国で九百四十三カ所ほどできております。この相談に応じさせていただくということ。

 それから、御指摘がありました、影響を受けるいわゆる中小企業者の方々、これは非常に広い範囲でございまして、流通業者の方々も含め、あるいはもちろん工務店の方も含めて、そういう方々に対して、例えば中小企業金融公庫の例で申し上げますと、融資限度の枠を通常の二億四千万から四億八千万にふやすということでございますとか、あるいはまた返済の据置期間というのは通常は一年以内なんでございますけれども、これを二年以内に延長させていただくというようなことをさせていただいております。

 それから、御指摘がありましたとおり、御相談があった場合には、既往債務の返済条件の緩和につきまして、この状況を十分伺いまして対応させていただくということにさせていただいております。

 以上でございます。

穀田委員 今の内容はとても大事でして、国交省の要請に基づいて三つの今お話があった対策を打つとしているわけですね。ただ、私が言いたいのは、これは現場でいうと、工務店さんなんかが実際に相談に来るといったものに対して、ほんまにこれ、中小企業庁任せにせずに、建築関連の事業者の実態を知る国交省として、また、国民金融公庫などの政府系金融機関だとか、それから民間検査機関、さらには保証をつける保証協会など、融資をするかどうか直接判断する金融機関に対しても、事業者に対して親身になって対応するように積極的アプローチをすべきであると思っています。それは……。

冬柴国務大臣 もうおっしゃるとおりでございまして、我々も、国土交通省におきましても、今のセーフティーネット貸し付けあるいは返済猶予、リスケジュールですね、こういうものについての実施にあわせまして、地方整備局、都道府県、住宅・建築関連団体等に対して通知を行い、関係市町村、会員企業等に対する周知もお願いをしたところでございます。

 そういうことできめ細かくやらせていただいておりますし、各都道府県の建築行政担当部局、そういうところにも相談窓口を設置し、そして、相談窓口においてもセーフティーネット貸し付けについて情報提供を行うなどやっているところでございます。

 したがいまして、先ほど言いましたように、国金は二千四百が四千八百ですけれども、中小企業金融とか商工中金は二億四千の限度を四億八千までして、そして七年間、そのうち二年は据え置き、それで無担保でも融資ができるように、ただし、ちょっと利率が上がりますけれども、低利で貸しています。そういうことですから、我々としてはできるだけのことをやりながら、頑張ってほしい、そしてこれが定着するように努力したいということでございます。

穀田委員 それはわかりました。

 では次に、URの問題について少し聞きたいと思うんです。六月二十二日に閣議決定された規制改革推進のための三カ年計画が、安定した居住を求める居住者の方々に不安を与えています。同計画は、都市再生機構の賃貸住宅は多過ぎる、戸数削減の目標を明確にして、資産売却を進めようという内容であります。

 そこで、まず、都市再生機構に確認をしたいと思います。例えば七十七万戸を何年までに何戸減らして何戸にすると決めるのか。また、団地ごとにこの団地は売却するといった内容をはっきりさせてほしい。そうして、あわせて、そういった問題、この計画の確定作業というのは、先ほど同僚委員からありましたように、決めた段階であったってだめなんだという話がありましたが、居住者の代表などがどのように関与することになっているのか、もう一度はっきり言ってほしいんですよ。そこをきちんと押さえておきたいと思います。

尾見参考人 お答えを申し上げます。

 賃貸住宅の再生・活用方針については、現在鋭意検討中でございまして、先生がお尋ねの七十七万戸をしからば幾つにするんだということについては、まだ数字が固まっておりませんので、お話しするわけにはまいりません。

 さらに、今回の計画の中では、一つ一つの団地に即して、団地の状況だとかそういうものをきちっと見きわめた上で整備の方向を決めていくということでありますけれども、具体的にそれらをどういう範疇として例えば整理していくのかということについても今作業をしているところでありますので、今の時点ではお答えは申し上げかねます。

 さらに、先ほど、計画を決めるときに、居住者の方々とかあるいは公共団体だとか、そういう方々との間でどのような手続をとるのか、こういうお話でございます。先ほど申し上げましたのは、まず、この計画そのものは、基本的に、団地の置かれている状況とか住宅事情などというものを客観的な要素で決めていきます。同時に、国民共有の財産である、これは現在の居住者だけじゃなくて将来の居住者のことも考えて、全体としてこのストックをどうしていくべきか、こういう観点だと思いますので、まずここの点については機構で責任を持って決めさせていただきたい、こういうふうに思っております。

 その上で、計画の実施に当たりましては、居住者の方々の理解と協力を得ることが不可欠でありますし、地方公共団体の御支援もいただかなきゃならないというふうに思っておりますので、計画を最終的にまとめていく過程で、地方公共団体や居住者団体への情報提供や意見交換を行うことを検討していきたい、こういうふうに思っているところでございます。

穀田委員 だから、まとめていく過程の上で情報提供ではだめなんですよ。尾見さんがおっしゃっているように、一つ一つの団地に即してということを決めるわけでしょう。そこの一つ一つの団地には生きている人がいるんですよ。その人たちの意見も聞かずして、将来もくそもあったものじゃないんですよ。そこをはっきりさせてくれなくちゃだめだということですよ。大体、それはあかんよ、そういうのは。だって、一つ一つの団地の将来を決めるときに、決まったからよろしく、まとめた過程で情報提供、違うんだよ。情報提供じゃなくて、その方々が関与するということがあって初めて国としての責任を果たせるんだということですよ。そこは大臣、そう思いませんか。

冬柴国務大臣 まず大原則として、一方的に追い出すようなことは絶対させませんし、しません。それははっきり申し上げておきます。先ほども申しました。当たり前の話です。

 それで、閣議決定の中にも、居住者の居住の安定に配慮した上で削減目標を明確にしなさいということをやっているわけでございますから、十分に居住の安定に配慮します。それから、建てかえた場合に家賃が上がるという心配は当然の話で、それについても我々は負担がふえないような配慮をいたします。

穀田委員 負担がふえない、毛頭考えていない、これは二つのキーワードでいつも言うてはりますわ。でも、規制改革会議の議論、見てはりますか、どんなことを言っているか。規制改革の会議では、基本的には改革期間中に全部廃止の方向に持っていくのが基本理念なんですと。廃止なんですよ、彼らが言っているのは。

 それから、建てかえの際の戻り入居に関して、高齢者の多い実態を説明すると、おたくの住宅は福祉でやっているわけじゃないんですよ、戻り入居の希望が多いということは安いということであって、安いということはやはり民業を圧迫していることになりますよと。さらには、どうして民間にどんどん払い下げてやらないのか、つまり家賃が安いからその人たちが戻ってくる、だから、その人たちを受け入れるためのというのは福祉ですよ、そんなことをやれとはだれも言っていないんだよとまで言っているんですね。

 これに対して、やはり明確な、こういう立場と違うということをはっきりさせないと、何か毛頭しないんですなんて言っているけれども、実際、彼ら、やろうとしている側、規制改革会議の本質的な意見は廃止なんですよ。そして、それをやっていく。みんなそこに不安を抱いているわけで、大臣が、毛頭考えていない、それは考えないでしょう。でも、やる方はそういうふうにやっている。あっちの方も、明確な話として、きちんと話は聞いてもらうべきだと思います。

 その意味で、そういう点は、つまり大臣がおっしゃるように、毛頭考えていないということは、居住者の意見をきちんと聞きながらやるということにつながると思うんですね。そこだけ最後に確認しておきたいと思います。

冬柴国務大臣 規制改革・民間開放会議が執行するんじゃないんですよ。そこは議論しているだけであって、その中で私も入れられないような発言、ありますよ。それはあります。しかし、それを受けて閣議決定した内容を読んでください。閣議決定した内容は、先ほど言ったように、居住者の居住の安定に配慮した上で進めなさいということをやっているわけです。ですから御心配には及びません。それから我々は、機構がやることでありますが、私はそれはきちっと監督しております。

 したがいまして、そういうことで私の立場というのを明確にここで申し上げているわけですから、一方的に追い出すようなこと、また、出ていかなければならないような、結論的にですよ、そういうことはいたしませんということを申し上げているわけであります。

穀田委員 その保障が代表者や住民の意見を聞くということに前提があるんだということを言っているんですよ、私は。そこが違うんですよね。そういうことだというふうに理解しろと言うんだったら、そう言うんだけれども、それは規制改革会議の意見で勝手な意見だと言うけれども、そういう見解を受けて実は三カ年計画を決めているわけですよ、やはり国会の閣議決定では。

 だから私は、一番大事な問題は、要するに、人を追い出しはしないと言っている、削減はすると言っているんですよ。やはり、その削減に根拠があるというところにみんなが不安を抱いているということもよく承知していただきたいと思うんです。

 だから、その規制改革会議の中で何の責任もとらない方々が自由に述べて、それが事実上決定されたものは、それは閣議決定だと言うけれども、やはり削減という中身は決定しているんですよ。私は、逆に言えば、その閣議決定自身を撤回すべきであって、もう一度考え直すべきだということだけ主張して、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹本委員長 次に、糸川正晃君。

糸川委員 国民新党の糸川正晃でございます。

 本日は、参議院選後、私は初めての国土交通委員会での質問になるわけでございます。

 やはり、地方の活性化、これをどのようにこれから進めていったらいいのかということが私の地元でも議論になるところでございます。まず、きょうは、観光の観点から質問をさせていただきたいなというふうに思っております。

 政府は、ことしの六月に、観光立国推進基本法、これに基づいて観光立国推進基本計画を策定されたわけでございます。この計画は、具体的な数値目標、それからこれを達成するために必要な取り組みが盛り込まれております。いわばこれがマスタープランであるというふうに思うわけでございます。本日は、そのうち、外国人旅行者の誘致について取り上げたいと思うわけです。

 政府は、二〇〇三年からビジット・ジャパン・キャンペーンを開始しておりまして、二〇一〇年に一千万人だ、こういう目標を掲げられて取り組まれているというふうに思います。訪日される外国人の旅行者数を見ますと、このビジットキャンペーンを開始しました二〇〇三年には五百二十一万人でございましたが、昨年は七百三十三万人と過去最高を記録して、着実に増加しているというふうに思います。

 ただ、外国人旅行者の受け入れ数のランキングというのを見ますと、世界ではまだ日本は三十番目だ、アジアでも第七位だということでございます。まだまだシンガポール等、マレーシアであったりタイであったり、そういうアジアの諸国に及ばないところでございます。この取り組みの強化について考えなきゃいけないわけです。

 まず、お尋ねいたしますが、外国人の旅行者を誘致するためには、引き続き、海外へのプロモーションを積極的に展開することが必要だというふうに思っております。国内においても、例えば案内標識の多言語化というんですか、英語であったり中国語であったりというような多言語化に取り組む必要があるというふうに思っております。

 また、訪日された外国人の方が、例えば大阪の関空に着かれた方が京都だけを観光して帰るのではなくて、私は今福井におるわけですが、近隣の諸県にも来ていただきたいな、そういう地域を周遊していただくということが重要ではないかな、そうすることがリピーターにもつながってくるというふうに考えております。

 これらの点について、国土交通省の取り組みについて、まずお尋ねをしたいと思います。

本保政府参考人 お答えをさせていただきます。

 まず、観光立国推進につきまして御理解を賜りまして、ありがとうございます。

 我が国の魅力宣伝のために一層のプロモーションが必要であること、あるいは、一つの目的地だけではなくて近隣の地域も含めて周遊していただけるように、地域の多様な観光魅力を組み合わせて海外に発信することの必要性、いずれも御指摘のとおりだと思っております。

 このため、国土交通省におきましては、ビジット・ジャパン・キャンペーンによりまして、海外のメディアによる広告宣伝や国際観光振興機構の海外事務所等を通じて日本の観光魅力を発信させていただくとともに、海外の旅行会社を招いて日本向けの旅行商品の造成を支援するなどの取り組みを積極的に進めているところでございます。

 また、外国人が旅行しやすい環境の整備につきましては、日本語、英語、それから案内図記号による表示を基本とする観光案内標識の指針を策定いたしまして、これを地方公共団体に周知しているところでございます。また、外客来訪促進法に基づきまして、公共交通機関に対しまして、外国語による案内表示などの計画の策定を義務づけて、その実施を促進するように取り組んでいるところでございます。

 また、訪日外国人観光客が集中します観光地から他の観光地へ誘客することは、地域振興という観点から大変重要と考えておりまして、このような観光地の間での広域的な連携による観光振興の取り組みに対しまして、ビジット・ジャパン・キャンペーンも含めて総合的に支援をしてまいりたいと思っております。

 こうした取り組みによりまして、観光立国の推進のため、二〇一〇年に訪日外国人旅行者数を一千万人にするとの目標を達成すべく尽力をしてまいりたいと思っております。

糸川委員 ぜひ、リピーターをふやしていただけるように、また日本に来よう、また日本に来ようという方をふやしていただけるように、大臣を初め取り組んでいただきたい。特に、近隣の県に周遊していただけるように取り組みもしていただきたいなというふうに思っております。

 このビジットキャンペーン、今、一千万人を目標だというふうにおっしゃられておりますが、最近、世界的に航空燃油の価格高騰が起きているわけでございます。国際航空運賃の燃油サーチャージも値上がり傾向にあるわけです。これは恐らくビジットキャンペーンの推進の中で一つの障害になり得るものではないかなというふうに思います。

 燃油サーチャージの個人負担、例えば全日空さんにしても日本航空さんにしても個人負担をしていただくというようなことになっているわけですが、この燃油サーチャージの個人負担を減らせば、例えば日本の航空会社を利用して国外のお客様が日本に来ていただけるというようなことにもなるのではないかなと思いますが、この個人負担を減らすという観点、国土交通省はどのようなお取り組みをされているか。

鈴木政府参考人 燃油サーチャージの関係について御説明させていただきます。

 先生御指摘のとおり、昨今の燃油価格は急激な高騰が進んでおりまして、平成十五年にはジェット燃料の標準的な価格でありますシンガポールケロシンの平均価格が一バレル当たり三十二・八ドルでありましたが、ことしの一月から十月十六日までの平均価格が八十一・四ドル、しかも最近の十月十六日の価格が九十八・四ドルという形で、大変な高騰を見せております。航空会社におきましては、各種の経営改善施策を推進してコスト削減に努めておりますけれども、燃油の高騰には十分対応できないという状況になっております。

 このため、世界的にも一般的に行われているやり方でございますが、燃油サーチャージという制度がございまして、これを我が国の関係でも平成十七年二月より導入しております。これは、燃油価格の急激な変動に伴い発生する追加費用の一部を利用者に御負担いただくということで、本体運賃に特別付加運賃をプラスしていくというやり方でございます。

 ただ、これはあくまで急激な燃油価格の高騰に対する措置でありますので、あらかじめ燃油価格に対応したサーチャージの水準というのを設定しておりまして、それを三カ月おきに見直しをいたしまして、直近三カ月の平均の価格が上がるか下がるかということでサーチャージも増減させたりしております。さらに、昔のような水準に大幅に下がれば廃止をするというようなものでございます。

 国土交通省といたしましても、現在の燃油の状況を考えますと、直ちにこれを軽減するというのは困難と考えておりますけれども、航空会社におきましても、燃油サーチャージ制度の周知を行いまして利用者の御理解をいただくとともに、安全に配慮しながら自助努力としてのコスト削減を行って、利用者負担の全体としての軽減に努めていただくことを期待しておるわけでございます。

糸川委員 今、非常に燃油が高騰しているということをお話しいただいたわけですけれども、いつまで燃油が上がっていくのかというのはわからないわけですね。市場の動きに任せるわけですけれども、ぜひ大臣にもこの御懸念の部分をまたお話しいただきたいなと。きょうは結構ですけれども、経産省を含め、この燃料の問題は飛行機だけじゃないんですよ、例えばトラックの業界であったりタクシーの業界であったり、一般の御家庭でもかなり家計に響いてきていることですから、原油の高騰、こういうことについても、国交省は関係ないよじゃなくて、先頭に立ってしっかりと取り組んでいただきたいなというふうに思います。

 規制緩和による航空会社の競争の結果、新規航空会社というのが参入しやすくなって、航空運賃の低下、こういうものが進んできているわけでございますが、その反面、この委員会でも何度もやらせていただきましたが、弊害として、例えば地方における不採算路線が撤退するということであったり、飛行機の安全に関するトラブル、こういうものが発生するというようなことがありまして、地方住民にとっては非常に厳しい結果になってきているのかなというふうに感じます。

 このような状況を踏まえて、今後、リージョナルジェットそしてコミューターの活用、こういう地域航空の活性化策に積極的に取り組むということが、これも地方の活性化の一翼を担うのではないかなというふうに思いますが、航空会社の取り組み状況と、このような取り組みに対する国交省の評価、それから今後の取り組みについてお伺いをしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 地方路線の維持というのが、なかなか需要が少ないこともあって困難な状況にあるということは私どもも十分理解しております。

 ただ、エアラインがどういう機材を用いているかというところは、航空会社が需要動向等を勘案して経営判断により決定するというのが原則であります。ただ、最近では、航空会社におきまして、そういう需要の少ない地方路線を維持するために、先生おっしゃった、リージョナルジェットといいますような五十席から百席ぐらいの近距離用のジェット機、あるいはコミューターと言われますような小型プロペラ機、そういうものをどんどん活用して取り組んでいるという事例がふえてきております。

 具体的には、例えば伊丹から四国の路線につきまして、従来ジェット機でやっておったものをプロペラ機に切りかえまして、そうすると席数が少ないものですから便数は倍ぐらいにふやせるということで利便性をよくしたり、あるいは、日本航空は最近、ブラジル製の七十八人乗りの小型ジェット、エンブラエル社のジェットを導入することを決定いたしまして、こういうものを活用していこうとしております。

 国土交通省といたしましても、地方路線の維持、充実は重要な課題と認識しておりまして、このような観点から、需要の少ない路線でも十分活用できるリージョナルジェットあるいはコミューターの活用方策を十分検討してまいりたいと思っております。それによりまして、地方路線の維持、充実が図られるということを期待しております。

糸川委員 では、大臣にお尋ねしますけれども、この規制緩和による競争の結果、地方における不採算路線の撤退が進む中、今お答えいただきましたけれども、地方路線を維持そして活性化するために、航空会社の取り組みだけではなくて、国交省においてもさまざまな観点から地方とも連携をする必要があるわけですね。そこで、積極的に国交省も取り組んでいかなきゃいけないというふうに思いますが、大臣はどのようにお取り組みされるつもりなのか、御見解をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 国内航空路線の就航につきましては、事業会社である航空会社がその路線の需要動向等を勘案して経営判断によって決定するということがもう大原則になっております。しかしながら、国土交通省としましても、地方路線の航空サービスの維持、充実は重要であるという考えのもとに、例えば地方路線に係る国管理空港の着陸料の引き下げ、あるいは国内線就航機に対する固定資産税の軽減措置というようなことはとっております。

 しかし、大事なことは、その空港活用のために、地元による需要喚起ということも、これはもう非常に大事だと思います。

 例えば、能登空港のことをちょっと例を挙げさせていただきたいのですけれども、能登空港と羽田線の二便目を確保するために、地元が航空会社に対して一定の搭乗率を保証しているんですね。搭乗率というのが現在の五八から六六%を下回った場合には地元が航空会社に保証金を払う。この保証金は、県はそうですし、これに関する市町村まで資金を拠出いたしまして基金をつくって、そこから払っているんですね。ところが、それを上回った場合は航空会社が地元に販売促進協力金をその基金に入れるというおもしろいこと、これは三年間、全部入れてもらっているんです、もうかっているわけです。これは大変なことでございまして、リスクとリターンを共有しようという、そんな取り組みをやっておられるわけです。

 それ以外にも、空港から、例えば近くの温泉場がたくさんありますけれども、そういうところにジャンボタクシーによる相乗りを運行させているんですね、能登空港ふるさとタクシーという名前で。こういうこともやっていらっしゃいますし、また、空港に情報センターを設置したり、役所もその空港のビルの中に入っていまして、住民がしょっちゅう出入りする。

 こういう働きかけがあったればこそ、能登空港は、乗客がいつも、あれだけの震災がありましたけれども、きちっと維持して、そしてやっておられる。

 ですから、私は、こんな大事な飛行場を、その線を廃止するのは我々反対だとか住民が言われましても、では、もうからない路線を事業会社である航空会社に損をさせてでも飛ばさせるのかということになってきますと、そうはいかないわけでございまして、やはり地元と、トップセールスをしたり、地方団体あるいはそこの財界、商工会も協力をして支えるということが必要ではないかというふうに思います。

糸川委員 おっしゃるとおりなんですが、成功例というのはいつも能登空港が表に出てくる。今大臣、私の地元のそばだということで能登空港を挙げていただいているんだと思いますが、ぜひそれ以外も成功事例をもっともっとたくさんつくっていただけるように努力をしていただきたいなと思います。

 最後、もう時間がございませんので、あと一問、地域公共交通についてお尋ねします。

 地域住民の自立した日常生活の確保、それから地域間交流の促進のために、今の飛行機だけでなくて、鉄道、バス、旅客船といった地域公共交通の活性化そして再生というのが必要であるというふうに考えております。

 さきの通常国会でも地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が成立したわけでございますが、今後この点どのように取り組んでいくおつもりなのか、お尋ねしたいと思います。

谷大臣政務官 糸川委員御指摘のとおり、さきの通常国会で地域公共交通の活性化及び再生に関する法律が成立し、今月一日に施行されたところでございます。

 今後、この法律が積極的に活用され、基礎的自治体たる市町村を中心とした多様な地域の関係者による地域公共交通の活性化、再生を図るための合意形成がより円滑に進み、合意に基づく取り組みがより推進されることを期待しているところであります。

 国土交通省といたしましては、この法律を活用した地域の自主的な取り組みを支援するために、来年度予算要求において、この法律に基づく地域の協議会が取り組む、鉄道、バス、旅客船等の実証運行であるとか、コミュニティーバスや乗り合いタクシーの導入、セミナー開催等の公共交通利用促進活動など、多様なニーズに対応したさまざまな取り組みをパッケージで総合的に、協議会に対して一括支援する制度の創設を予算要求しているところであります。

 あわせて、やはり全国各地域によっては、そういう地域公共交通の活性化、再生を図るに必要な情報あるいはノウハウの蓄積がないとか、人材が必ずしも十分でない、そういう状況がございますので、そういった状況を踏まえて、国としても、公共交通の担当者向けのマニュアルの配付、それから情報提供への取り組みとか、地域の関係者に対するセミナー、研修の実施、あるいは公共交通問題に詳しい学識経験者などをアドバイザーとして活用する、そういう制度を新たにつくる、そういった取り組みについても来年度取り組んでまいりたいと考えているところであります。

糸川委員 ありがとうございました。

 時間が参りましたので、また次回以降引き続き質問させていただきたいと思います。

 終わります。

     ――――◇―――――

竹本委員長 次に、本日付託になりました内閣提出、気象業務法の一部を改正する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣冬柴鐵三君。

    ―――――――――――――

 気象業務法の一部を改正する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

冬柴国務大臣 気象業務法の一部を改正する法律案につきまして、提案の理由を申し上げます。

 ただいま議題となりました気象業務法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 我が国は、災害をもたらす地震や噴火がいつ発生してもおかしくないという切迫した状況にあります。このため、地震及び噴火による被害を軽減し、国民生活の安全、安心を確保することは極めて重要な課題であります。

 この法律案は、地震及び噴火による被害の軽減を図るため、近年の気象業務に関する技術の進展及び観測体制の充実に対応し、気象庁に、各地の揺れである地震動及び火山現象についての一般の利用に適合する予報及び警報の実施を義務づける等所要の措置を講ずるものであります。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、気象庁は、地震及び火山現象の観測成果に基づき、地震の最初のわずかな揺れから予想する各地の地震動及び火山現象についての予報及び警報をしなければならないこととしております。

 第二に、気象庁以外の者が地震動または火山現象の予報の業務を行おうとする場合は、気象庁長官の許可を受けなければならないこととしております。

 第三に、気象庁以外の者は地震動及び火山現象の警報をしてはならないこととしております。

 その他、所要の規定の整備を行うこととしております。

 以上が、この法律案を提案する理由です。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

竹本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後一時五十五分散会


このページのトップに戻る
衆議院
〒100-0014 東京都千代田区永田町1-7-1
電話(代表)03-3581-5111
案内図

Copyright © Shugiin All Rights Reserved.