衆議院

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第24号 平成20年6月11日(水曜日)

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平成二十年六月十一日(水曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 竹本 直一君

   理事 河本 三郎君 理事 西村 康稔君

   理事 葉梨 康弘君 理事 望月 義夫君

   理事 山本 公一君 理事 川内 博史君

   理事 後藤  斎君 理事 高木 陽介君

      赤池 誠章君    遠藤 宣彦君

      小里 泰弘君    大塚 高司君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      金子善次郎君    亀岡 偉民君

      北村 茂男君    佐田玄一郎君

      島村 宜伸君    菅原 一秀君

      杉田 元司君    鈴木 淳司君

      谷  公一君  とかしきなおみ君

      徳田  毅君    長崎幸太郎君

      長島 忠美君    西銘恒三郎君

      林  幹雄君    松本 文明君

      盛山 正仁君    若宮 健嗣君

      逢坂 誠二君    小宮山泰子君

      古賀 一成君    長安  豊君

      細野 豪志君    松原  仁君

      三日月大造君    森本 哲生君

      鷲尾英一郎君    赤羽 一嘉君

      穀田 恵二君    糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       冬柴 鐵三君

   国土交通副大臣      平井たくや君

   文部科学大臣政務官    保坂  武君

   国土交通大臣政務官    金子善次郎君

   国土交通大臣政務官    谷  公一君

   会計検査院事務総局第三局長            真島 審一君

   政府参考人

   (内閣官房内閣参事官)  大内 秀彦君

   政府参考人

   (内閣官房内閣審議官)  株丹 達也君

   政府参考人

   (内閣府公益認定等委員会事務局長)        戸塚  誠君

   政府参考人

   (公正取引委員会事務総局審査局長)        山田  務君

   政府参考人

   (警察庁長官官房審議官) 深草 雅利君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 須江 雅彦君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   香川 俊介君

   政府参考人

   (国税庁課税部長)    荒井 英夫君

   政府参考人

   (文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官)  岡  誠一君

   政府参考人

   (文部科学省高等教育局私学部長)         磯田 文雄君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           森山  寛君

   政府参考人

   (社会保険庁運営部長)  石井 博史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房長) 宿利 正史君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房建設流通政策審議官)     榊  正剛君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房総合観光政策審議官)     本保 芳明君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         佐藤 直良君

   政府参考人

   (国土交通省都市・地域整備局下水道部長)     江藤  隆君

   政府参考人

   (国土交通省河川局長)  甲村 謙友君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  宮田 年耕君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省自動車交通局長)           本田  勝君

   政府参考人

   (国土交通省海事局長)  春成  誠君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  須野原 豊君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  鈴木 久泰君

   政府参考人

   (環境省総合環境政策局長)            西尾 哲茂君

   国土交通委員会専門員   亀井 爲幸君

    ―――――――――――――

委員の異動

六月十一日

 辞任         補欠選任

  原田 憲治君     とかしきなおみ君

  石川 知裕君     細野 豪志君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  とかしきなおみ君   原田 憲治君

  細野 豪志君     松原  仁君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

同日

 辞任         補欠選任

  松原  仁君     石川 知裕君

    ―――――――――――――

六月十日

 長期優良住宅の普及の促進に関する法律案(内閣提出第四四号)

同月六日

 気象事業の整備拡充に関する請願(古賀一成君紹介)(第三九八一号)

 同(糸川正晃君紹介)(第四一五四号)

 同(小宮山泰子君紹介)(第四一五五号)

 同(長安豊君紹介)(第四一五六号)

 同(西村智奈美君紹介)(第四一五七号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四二七一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四二七二号)

 同(近藤洋介君紹介)(第四二七三号)

 同(村井宗明君紹介)(第四二七四号)

 長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(阿部知子君紹介)(第三九八二号)

 同(穀田恵二君紹介)(第三九八三号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第三九八四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第三九八五号)

 同(保坂展人君紹介)(第四一五三号)

 建築基準法の小規模木造建築物に関する特例廃止の凍結と国民合意の建築審査・検査体制の確立を求めることに関する請願(穀田恵二君紹介)(第四一五二号)

 国民の安全・安心の願いにこたえる公共事業を求めることに関する請願(高井美穂君紹介)(第四二七〇号)

同月九日

 気象事業の整備拡充に関する請願(笠井亮君紹介)(第四三九七号)

 同(亀井静香君紹介)(第四三九八号)

 同(川内博史君紹介)(第四三九九号)

 同(日森文尋君紹介)(第四四〇〇号)

 同(三日月大造君紹介)(第四四〇一号)

 同(森本哲生君紹介)(第四四〇二号)

 同(逢坂誠二君紹介)(第四四七三号)

 同(小平忠正君紹介)(第四四七四号)

 同(後藤斎君紹介)(第四四七五号)

 同(鷲尾英一郎君紹介)(第四四七六号)

 水管理の縦割り行政を廃し、水管理基本法の制定を求めることに関する請願(糸川正晃君紹介)(第四四七〇号)

 公営住宅建設等に関する請願(志位和夫君紹介)(第四四七一号)

 公営住宅に関する請願(穀田恵二君紹介)(第四四七二号)

同月十日

 国民の安全・安心の願いにこたえる公共事業を求めることに関する請願(赤嶺政賢君紹介)(第四六〇一号)

 同(石井郁子君紹介)(第四六〇二号)

 同(笠井亮君紹介)(第四六〇三号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四六〇四号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四六〇五号)

 同(志位和夫君紹介)(第四六〇六号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四六〇七号)

 同(篠原孝君紹介)(第四六〇八号)

 同(高井美穂君紹介)(第四六〇九号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四六一〇号)

 同(萩原誠司君紹介)(第四六一一号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四六一二号)

 同(石川知裕君紹介)(第四七二八号)

 同(小川淳也君紹介)(第四七二九号)

 同(鈴木克昌君紹介)(第四七三〇号)

 同(徳田毅君紹介)(第四七三一号)

 同(寺田稔君紹介)(第四九二七号)

 気象事業の整備拡充に関する請願(石川知裕君紹介)(第四六一三号)

 同(筒井信隆君紹介)(第四六一四号)

 同(岡本充功君紹介)(第四七三二号)

 同(徳田毅君紹介)(第四七三三号)

 同(平口洋君紹介)(第四七三四号)

 同(赤嶺政賢君紹介)(第四九二九号)

 同(石井郁子君紹介)(第四九三〇号)

 同(笠井亮君紹介)(第四九三一号)

 同(穀田恵二君紹介)(第四九三二号)

 同(佐々木憲昭君紹介)(第四九三三号)

 同(志位和夫君紹介)(第四九三四号)

 同(塩川鉄也君紹介)(第四九三五号)

 同(高橋千鶴子君紹介)(第四九三六号)

 同(吉井英勝君紹介)(第四九三七号)

 水管理の縦割り行政を廃し、水管理基本法の制定を求めることに関する請願(川端達夫君紹介)(第四六一五号)

 長良川河口堰のゲート開放等に関する請願(佐々木憲昭君紹介)(第四九二八号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 会計検査院当局者出頭要求に関する件

 政府参考人出頭要求に関する件

 長期優良住宅の普及の促進に関する法律案(内閣提出第四四号)

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

竹本委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房長宿利正史君、大臣官房建設流通政策審議官榊正剛君、大臣官房総合観光政策審議官本保芳明君、大臣官房技術審議官佐藤直良君、都市・地域整備局下水道部長江藤隆君、河川局長甲村謙友君、道路局長宮田年耕君、住宅局長和泉洋人君、自動車交通局長本田勝君、海事局長春成誠君、港湾局長須野原豊君、航空局長鈴木久泰君、内閣官房内閣参事官大内秀彦君、内閣官房内閣審議官株丹達也君、内閣府公益認定等委員会事務局長戸塚誠君、公正取引委員会事務総局審査局長山田務君、警察庁長官官房審議官深草雅利君、総務省大臣官房審議官須江雅彦君、財務省主計局次長香川俊介君、国税庁課税部長荒井英夫君、文部科学省大臣官房文教施設企画部技術参事官岡誠一君、文部科学省高等教育局私学部長磯田文雄君、厚生労働省大臣官房審議官森山寛君、社会保険庁運営部長石井博史君及び環境省総合環境政策局長西尾哲茂君の出席を求め、説明を聴取し、また、会計検査院事務総局第三局長真島審一君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

竹本委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

竹本委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。細野豪志君。

細野委員 民主党の細野豪志でございます。

 きょうは、国土交通委員会で質問の機会をいただきまして、まずは心より感謝申し上げます。ありがとうございます。

 時間も二十分と限られておりますので、大臣はここのところまた一段と答弁が丁寧になっているというお話を伺いましたので、丁寧にしていただくのは結構なんですが、できるだけ簡潔に御答弁をいただきますようにまずはお願い申し上げます。

 きょうは、恐らく国土交通委員会最後の審議になるような話を聞いておりますので、今国会で大きな問題になりました道路関係の公益法人の問題について、少し、これまでの経緯を踏まえて、一つ一つの問題について詰めて聞いてまいりたいと思います。

 きょうは皆さんのお手元に資料を配っておりますので、それをまずは大臣にもごらんをいただけますでしょうか。

 まず一枚目は、道路整備特別会計、今は社会資本特別会計になりましたが、道路勘定、そこから支出をされている独立行政法人と公益法人のリスト、金額が順番に書いてあります。

 まず初めに伺いたいのが、三十五番の国際建設技術協会。ここは私が予算委員会の中で指摘をして、一億円近い報告書がほとんど中身がないではないかということで改めていただいた件でございますが、その際に、こういう全くもって中身のない無駄な支出の場合には予責法に基づいてきちっと弁償を求めるべきではないかということも伺いました。

 会計検査院は、このことについて調査をするということを二月の二十一日の予算委員会の中でも答弁をされていますが、それから今どうなったか、まず会計検査院に伺いたいと思います。

真島会計検査院当局者 お答えいたします。

 お尋ねの国土交通省と社団法人国際建設技術協会との間の委託契約につきましては、現在会計検査を実施しているところであります。

 会計検査院といたしましては、現在進行中の検査について具体的な内容をお話しすることは、検査業務の円滑な遂行上差し控えさせていただくこととしておりますが、検査に当たりましては、国会の御議論も十分念頭に置いて実施しているところであり、今後とも十分留意して検査に取り組んでまいりたい、かように考えております。

細野委員 実に紋切り型の答弁をいただきました。

 会計検査院、一応確認したいんですが、これは質問したのが二月の二十一日ですので、それからもうかれこれ四カ月たっているわけですね。少なくとも、この件についてどういう支出の経緯があったのか、担当の方はどういう方だったのか。その辺は詳細に説明しろとは言いません。個別にきちっとチェックをしている、もう始めた、そういうことでよろしいですか。

真島会計検査院当局者 会計検査院といたしましては、現在与えられた権限を有効に活用しつつ、検査に取り組んでいるというところでございます。

細野委員 答えになっていないので。この件をきちっと調査をしているんですねということを確認しているんです。

真島会計検査院当局者 先生の御質問のとおりでございまして、現在着実に検査に取り組んでいるところでございます。

細野委員 わかりました。

 これ以上会計検査院に聞きませんが、長妻議員がこの会計検査院の問題についていろいろ調査をしていまして、それによると、会計検査院の一年間の予算というのは二百四億円、実際に指摘をしている無駄の金額は四百五十二億円、約二・二倍。同様の機関を持っているアメリカの場合には、いわゆる会計検査院に類する機関が、使っている金額の百五・二倍の無駄の金額を指摘しています。会計検査院の場合は自分たちの経費の倍にすぎない。このあり方も含めて、今これだけ国民の税金の無駄遣いに対する関心が高まっている中で、今こそ私は会計検査院の存在意義が問われていると思いますよ。もう御答弁は結構ですので。

 ですから、年末に向けてやられるんでしょうから、具体的なこういう公益法人の問題についてどういうふうな結果をお出しになるのか。我々も、これまで指摘をしただけで終わっていた部分が若干あって、私も反省をしていますので、しっかり最後まで見ていきたいと思いますので、しっかりやっていただきたいと思います。

 続いて、道路保全技術センターの問題について聞きます。

 大臣、二枚目をごらんください。これも以前にも提示をした資料でございますので大臣も見覚えがあると思うんですが、この道路保全技術センターというのは、一枚目に返っていただくと、道路特会からの支出規模でいうと第三位。一位と二位が独立行政法人ですので、公益法人ではナンバーワンの、最も巨大な、道路特定財源から支出を受けている公益法人ということになります。

 この財団法人の財務諸表を見ますと、非常に奇妙なことが見えてまいりまして、例えば、ちょっと黒塗りにしてありますが、現金預金が二十四億円以上あったり、この金額についてはちょっとおかしいのではないかということで指摘をしました。

 加えて、もう一つ積み残し課題になっておりますのは、未収金、すなわち、国からまだ受け取っていない預かり分、まだ受け取っていない仕事をした部分というのが合計約七十七億円あって、そのうち、下の部分、未払い金、これはさらにこの公益法人がほかに出しているところと想定されるわけですが、それが五十九億円、六十億円近くあると。七十七億円未収金があって、そのうち六十億円が未払い金となっている、そういう計算ですね。

 この未払い金の金額は、この財団が受けて、どこかに発注をしている金額でございまして、ここは税金の流れなんで、しっかりどこにどういうふうに発注をしているのかというのを公表してくださいということを何度かお願いをしてまいりました。

 これを考える上で、大臣、ちょっとその次の資料をごらんいただけますか。

 これは私がつくった概念図なんですが、今、この国の予算の使われ方がどうなっているのかというのをイメージで見た図です。

 まず、各省庁、例えば国土交通省がさまざまな仕事を発注するわけでございますけれども、随分と多くの金額が独立行政法人、公益法人に行っています。年間大体十二兆円という金額になっています。その多くは特別会計を通って独立行政法人であるとか公益法人に流れている。一部一般会計のものもありますが、そういう構図になっています。そして、その独立行政法人や公益法人に、今の時点で合計一万二千人の再就職の公務員、いわゆる天下りの方がいらっしゃる。

 これまで、独立行政法人のいろいろな問題、特別会計はもう随分指摘をされてきましたし、独立行政法人の問題についても少しずつ明らかになってきて、例えばURのように、独立行政法人からその先の公益法人であるとかファミリー企業にいろいろなお金が流れている部分については、URなどはかなりファミリー企業が問題になっていまして、随分手が入ってまいりました。

 ただ、私が問題にしたいのは、このお金の流れの中で、各省庁から公益法人に行っていて、公益法人とファミリー企業の関係、これはまだほとんど明らかになっていないんですね、大臣。もうお答えの中身は私も大体わかっていまして、公益法人は民間なので独立行政法人とは違うんです、ファミリー企業との関係というのは、民間と民間なので、その間のことについて契約は明らかにできないというのがこれまでの公式答弁なんですが、はっきりこれは違うんですね。

 特に、今回問題になっているような公益法人というのは、決して民間ではなくて、役員がすべて天下りで、税金でほぼ成り立っていて、独立行政法人とほぼ同じぐらい国土交通省との関係が濃い、そういう公益法人なんですよね。それがもう状況として明らかな以上、この税金の流れをしっかりチェックする意味で、ファミリー企業との関係はつまびらかにしていただきたいというふうに思うんですが、特にこの事例、具体的に指摘をしておりますので、きちっと出していただきたい。これは三度目ですが、大臣にはっきりとお答えをいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 四月二十二日に、委員から道路保全技術センターの外注先を公表するようにという質疑がなされまして、私は、できるだけ公表をして、そして御批判をちょうだいしたらいいというふうに申し上げました。ただ、相手方が民民の取引になるわけですよね、ほとんど普通は出さない、しかし、こういう事情を申し上げて協力を求め、そして公表することについても御同意をいただきながらお示しをしたい、こういうふうに当時申し上げました。

 私の方は、この答弁に基づきまして、同日この依頼をいたしました。道路保全技術センターへ外注先を公表するようにということを書面で依頼をいたしました。それにつきまして、保全センターは外注先の公表について取引企業に要請をされました。これも書面でいたしました。

 具体的には、十八年度の委託費が一千万円以上の三十六社を選びまして、文書で要請し、企業からのさまざまな疑問に対して説明するなど、できるだけ公表できるように努力をしていたところでございます。

 これまで十二社から公表について承諾を得られたところですが、五社が公表は困難というふうに回答をしている、残り十九社が現在検討中という状況であると聞いております。

 国土交通省としては、いずれにいたしましても、六月中にはこれの取りまとめをして我々の方にきちっとその報告をしてもらうように、財団法人道路保全技術センターへ要請をしているところでございます。

細野委員 六月中ということなんですが、国会はもうすぐ終わるわけですね。どうやら一週間延長されるということですので、大臣、どうでしょうか、一週間延長されるわけですから、六月はその後一週間ありますが、国会中にきちっと出していただくということでお約束いただけないですか。

冬柴国務大臣 三十六社あるわけですけれども、これが外注総額の大体九〇%になります。私の方はできるだけお示ししたいと思いますが、五社はもうだめだというふうに言っているようですけれども、今まだ十二社ですから、三分の一ですね。ですから、できるだけ残る十九社について公表していただくようにやっているところでございまして、もし一週間以内に報告するのであれば、その部分について、どれぐらいできるかわかりませんけれども、結構ですということを言われたところだけでもよければ、それはできると思います。

細野委員 わかりました。では、そこは資料をお待ちしたいと思います。

 ここから、もう本当に時間も限られているんですが、少し私の方で確認をしていきたいと思っておりますことは、道路関係の公益法人については一定の改革の方向性がもう既に四月の十七日に示されておりまして、それに基づいて今いろいろな作業が進んでいるというふうに承知をしているんですね。

 ただ、これは私よく感じることなんですけれども、私どもが国会でこういう個別の問題について指摘をしますと、その部分は一応何とかお化粧して直すんだけれども、根本的な問題は解決をしていなくて、同じような問題がまた新たに生じるということをこれまで国会では繰り返し繰り返しやってきているんですね。

 それで、私はちょっと気になりまして、例えば、この三年間で国土交通省所管で新たに設立された公益法人はどこがあるのかというのを調べていただきました。最後のページにつけてありますが、四つ公益法人が新たに設立をされておりまして、もう時間もないので答弁は求めませんが、そのうちの三つには公務員の方の再就職、何らかの形で関与をしています。それぞれ、天下りというかどうか、いろいろ解釈の違いはあるようですが、こういう形で再就職が既に行われているという状況なんですね。

 要するに、とりあえず名前が挙がった公益法人はそれなりに整理はされるんでしょうけれども、こういう新たな公益法人ができて、そこに再就職をするということになれば、これは全く意味がないわけですよ、大臣。そういうものをどうやってなくしていくのかということが私は大変重要だと思います。

 まず、そのことについて見解を聞く前に、きょうは総務省にも来ていただいていますので、公益法人改革についても今全体としてやっていますね、これはいつまでに出るんでしょうか。もう随分時間がたっていますが、それについて御答弁いただきたいと思います。

大内政府参考人 先生の方から総務省というお話でございましたけれども、内閣官房の方で進めておりますので、公益法人の集中点検の関係の御質問と受けとめさせていただく形で答弁よろしゅうございますか。

 四月の段階で、先生から御質問いただきました。総理の御指示もございました。また、道路関係、国交省冬柴大臣の御指導のもとでの見直しもございました。それらを踏まえまして、国所管すべての公益法人につきまして、現在、集中点検を進めさせていただいております。

 私どもとしましては、民間参入等の事務事業の見直し、要するに、今の事務事業が必要なものなのか、また、それが適切な形で参入競争が行われているのか、特に随意契約につきましては徹底的に見直していただくということで、それぞれ各府省におきまして、公益法人との関係、支出の無駄を見直していただくということで現在作業を行っております。

 現在まだ作業中でございますけれども、六月中に一定の成果をまとめたいということで、現在そのスピードを上げよということで鋭意頑張らせていただいております。

 以上でございます。

細野委員 平井副大臣から六月をめどにというふうに御答弁いただいているんですね。これも国会中に出していただけないですか、一週間延びますから。

 六月をめどにというと、普通に考えると、六月が来たらすぐ出るのかなと思うわけですよね。六月中にというのは、意図的に国会が終わってから出そうと思っているとはさすがに思いたくはありませんが、そう考えても仕方がない状況だと思います。どうですか。

冬柴国務大臣 六月末をめどに出します。繰り上げるということはできないですよ。

細野委員 繰り上げるということは難しい。(冬柴国務大臣「はい」と呼ぶ)指摘をしたのは二月なんですよね。四月からいろいろと調査を始められたということですが、私は、こういうものを国会にきちっと出すことは大事だと思いますね。ですから、私どもは出していただきたいというふうに思っています。

 時間もなくなりましたので、もう一つ行革事務局に聞きたいんですが、先ほど私が指摘したとおり、これは一応、道路特定財源からの公益法人は、今あるものについてはこういう改革が進んでいますね。ただ、新たに公益法人をつくることはできるわけです。そこに天下り先としても天下ることができるわけですね。そして、そこに公金も出すことができる。要するに、これは一見するととりあえず改革をしたように見えるけれども、実際には、これからどんどんそういうものが新しくできることを妨げるものではないんですよね。

 これから、天下りバンク、新人材バンクができるというふうに承知していますが、こういう公益法人から例えば再就職の依頼があった場合に、それをきちっと排除する、そういう形にはなっているんでしょうか。

株丹政府参考人 委員よく御承知のとおりかと思いますけれども、昨年の通常国会で国家公務員法等の改正法が成立をしてございます。各府省の再就職のあっせんは禁止をされてございます。一定の移行期間がございますけれども、官民人材交流センターの方に一元化するということでございますので、従来型の各府省による再就職のあっせんというのはなくなっていくということでございます。

細野委員 ちょっとおかしくないですか。三年間は各府省ができますよね。各所管の公益法人から再就職の依頼があった場合に、それは再就職できるんじゃないですか。

株丹政府参考人 今、三年間というお話がございました。センターの方に十分なノウハウが蓄積されるまでの間ということで、移行期間あるいは暫定期間と申してございますけれども、施行日、これはセンターが設立される日というふうに御承知いただければと思いますが、施行日から三年を超えない範囲内で政令で定める期間につきましては、再就職等監視委員会の承認を得ますと、各府省による再就職のあっせんを認めるということとなってございます。今、再就職等監視委員会によります承認については基準を設ける、これは政令でもってその基準を設けるというふうにしてございまして、内閣府の方において検討が行われているということでございます。

 いずれにしましても、新しい国家公務員法の改正法で導入されます規制については、再就職先の法人が新しいかどうか、今までのものかどうかというのは関係なしに適用されるということでございます。

細野委員 御説明を伺いましたけれども、私は、残念ながらこれで根本的に問題が解決したとは思っていません。新たな法人の設立、そこについての天下り、さらにはそこに関してのさまざまな公金の支出、そういうチェック体制も含めて、きょうの質疑の中でこれでよくなったなという感じはしません。

 時間が来ましたのでこれで終わりますが、大臣もその辺についてはしっかり自覚を持っていただいて、少なくとも政権を持っていらっしゃる間は皆さんにチェックしていただくのが、最終的にそれがまさに責任になるわけですから、最後にそれはしっかりやっていただきたいということを申し上げて、質問を終わります。

 ありがとうございました。

竹本委員長 次に、逢坂誠二君。

逢坂委員 民主党の逢坂誠二でございます。

 では、早速質問に入らせていただきますが、まず、きょう厚生労働省にお越しをいただいておりますけれども、最初に請負契約と労働契約について若干お伺いしたいと思うんです。

 御案内のとおり、労働契約というのは、労働力を提供して、使用者がその労働力に対する対価を支払う、いわゆる会社員のようなものを思えばいい。それから、請負契約は、当事者の一方がある仕事をすることを約束して、相手方がその仕事の結果に対して報酬を与えるというような契約なわけですけれども、一般論として、この請負契約と労働契約というものが同一人に対して同時に存在し得るかというところをお聞きしたいんですね。

 例えば、私がある会社の会社員である、給料をもらっている、そして同じその会社から私がいわゆる請負契約のような形で全く同じ仕事について、その一部分は請負契約を受けているというような場合、これは違法であるか否かは別にいたしまして、こういうようなことは一般論として考えられるのかどうか、厚生労働省のお考えをお伺いします。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 一般的に申し上げれば、どのような就業形態で働くかにつきましては、これは当事者間の合意によるものでございますけれども、労働基準法等の適用につきましては、その実態を見て、まさに労働者であるかどうかを判断しております。

 具体的には、その業務遂行上の指揮監督の有無、あるいは拘束性の有無、こういうものを判断いたしまして、契約の形式にかかわらず、使用従属性があるか否かを判断しております。

 そこで、仮にそういう働き方が労働基準法上の労働者と認められた場合には、当然この労働基準法が適用されまして、法定労働条件を下回らないようにする必要がございます。

逢坂委員 つまり、今の答弁からしますと、契約の内容いかんにかかわらず、共存するということは一般論としてはあり得ないのだろうというふうに思うわけです。

 そこで、きょうはタクシー事業のいわゆる名義貸しということについて若干議論をしてみたいと思うんですが、御案内のとおり、道路運送法第三十三条でいわゆる名義貸しというものは禁止をされているわけですが、昨今、どうもこの名義貸しというものが随分横行している、名義貸しらしいものが横行しているというふうに言われております。

 例えば、いろいろな形態がこの名義貸しにはあるようでございますけれども、個人があるタクシー会社の会社員として働いている、運転手さんとして働く、そして給料をもらっている。その一方で、同じ個人に対して、あたかも請負契約のように、その個人が事業収入のようなものを同じ会社から受けているというようなことで、給与は一部もらっているんだけれども、一部請負契約のような形で自由にタクシーを運転して、会社の看板をしょって営業行為をしているというようなケースがあるというふうに聞いております。

 これはまさに、先ほど私が指摘した、一般的に言う雇用契約と請負契約が同居しているようなケースなわけでありますけれども、これは普通は、何かこんなことはおかしいというふうに思うんですが、これを税法の観点から見た場合に、きょう国税庁にもお越しいただいておりますけれども、今私が言ったこういうようなことがあった場合に、違法であるか否かは別にして、課税の関係は一体どうなるのか。事業主に対する課税と個人に対する課税、所得税あるいは消費税なんかはどうなるのか、国税庁から見解をお伺いします。

荒井政府参考人 お答えいたします。

 一般論として申し上げれば、所得税法における事業所得とは、自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得をいいます。これに対しまして、給与所得とは、雇用契約またはこれに類する原因に基づき使用者の指揮命令に服して提供した労務の対価として使用者から受ける給付をいうものと解されているところでございます。

 したがいまして、タクシー運転手がその会社から支払いを受けました報酬につきましては、個々の契約内容などの事実関係から、給与所得または事業所得のいずれの所得に当たるかを総合判断することとなり、同一時期の一つの運転業務に対する報酬が二つの所得区分に分類されることはないと考えております。

 また、消費税法上、課税仕入れにつきましては、所得税法上の給与等を対価とする役務の提供は除くこととされていることから、所得税法上の所得区分が給与所得に該当する場合にはタクシー会社の課税仕入れに該当せず、事業所得に該当する場合にはタクシー会社の課税仕入れに該当することとして消費税の計算をしていただくこととなります。

 いずれにしましても、国税当局といたしましては、個々の事実関係に基づき、法令等に照らして適正に取り扱うこととなります。

 以上でございます。

逢坂委員 すなわち、今の国税庁の答弁も、両方が併存して課税されることはないということで、請負契約なのかあるいは雇用契約なのか、どちらかにシフトして課税されることになるということであります。

 次に、厚生労働省、社会保険庁にもお越しいただいておりますけれども、今のケースの場合の社会保険の関係あるいは労働保険の取り扱いというのはどのようになるのか、御見解をお伺いします。

石井政府参考人 お答え申し上げます。

 言うまでもなく、社会保険の的確な適用、徴収、これは年金権をきちんと確保するあるいは負担の公平を図るという観点から厳格な運用がなされるべきというふうに考えておりまして、そういう前提のもとでございますが、社会保険料の算定の基礎となります報酬といいますのは、賃金、給与それから俸給、手当、賞与、そのほかいかなる名称であるかを問わず、労働者が労働の対償として受けるものすべてをいうというふうにとらえております。

 したがいまして、たとえ請負のような形をとっておりましても、その実態において適用事業所との使用従属関係が認められれば労働者というふうにとらえ、適用事業所から支払われた報酬に基づき保険料を徴収することとなるわけでございますけれども、いずれにせよ、個別事案に即して判断するということが必要かというふうに考えております。

森山政府参考人 お答え申し上げます。

 労働保険料の関係でございますが、労働保険料の算定の基礎となる賃金とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うものでございます。

 そこで、具体的な判断でございますけれども、請負の形をとっておりましても、その実態において使用従属関係が認められるときは労働者として取り扱い、事業主が請負代金等として支払ったものを賃金とし、当該賃金を算定の基礎として労働保険料を徴収することになります。

逢坂委員 今、社会保険それから労働保険の関係も、どちらかに判断をして徴収することになるということでございまして、まさに国税と同じ扱いになっていくのかなというふうに思うわけですが、ところが、現実にはそうではない実態がどうもありそうだと。すなわち、会社員として給料をもらいつつ一部事業収入として得ているというようなケースがどうも社会にはありそうだということでありますけれども、こういうことをやる背景には何があるのか。

 それは、やはりタクシー会社などは経営がなかなか厳しいということで、労働保険、社会保険を払うのもつらいというようなこともありますでしょうし、あるいは、今のようなことをやれば場合によっては消費税を払わなくてもよいのではないか、そういう思いもありますでしょう。しかし一方で、道路運送法の三十三条の名義貸しというようなことになってはまずいわけでございまして、表向きは給与所得者として雇用をしている、そのことによって名義貸しというようなことについては逃れていこうというような実態があるというふうに思うわけであります。

 しかし、やはりこうしたことは、最終的には労働者にとっても、あるいはタクシーサービスを受ける国民にとっても必ずしもよいことではないというふうに思うわけであります。

 この点について、六月六日の日に国土交通省はタクシーの名義貸し行為に関する判断基準というのを示したわけでございますけれども、名義貸しそのものはそもそも法に抵触するわけでございますし、それ以外にも、税制面、社会保障面からも問題が多いというふうに思うわけです。これは各省庁連携してこの対応というのをやっていく必要があると思うんですが、大臣、いかがでしょうか。

冬柴国務大臣 私も同じ問題意識で、調査するようにこの質問をいただく前に申し上げておりました。ほかにも運輸事業者の中には、そのように、我々が免許を与えた人以外の人が独立してその人から請負という形でやっているということで、社会保険料等を逋脱する、そういう事業者がいられるということを聞いておりまして、それを調べるように言いました。

 そういうことから、これは関係省庁とよく連携をしながら、先ほど三十三条を言われましたけれども、こういう名義貸しをすれば三年以下の懲役もしくは三百万円以下の罰金に処するということでございますので、悪質な事案についてはこういうものの発動を求めることも考えなきゃならないというふうに思っております。

逢坂委員 大臣、それではよろしくお願いいたします。

 それでは、次に移りたいと思うんですが、きょうは警察庁にお越しをいただいておりますけれども、外国人の日本国内における運転免許についてお伺いをしたいんです。

 日本に来訪する外国人の運転免許制度というのは、簡単で結構なんですけれども、どのようになっているかお知らせ願いたい。それと、現在課題になっていることなどがあれば、これも簡単で結構ですので、お知らせください。

深草政府参考人 お答えいたします。

 外国人が我が国で運転する場合、二つの方法があります。

 まず、日本の免許を取得する方法がありますが、これについては、外国の運転免許を保有している人について、自動車等を運転することに支障がないことを確認した上で運転免許試験の一部が免除されることとなっております。

 もう一つの方法は、観光客や短期滞在者が主として対象となりますが、道路交通に関する条約の締約国が発給する国際運転免許証を所持し、我が国に上陸後一年間その国際運転免許証で運転することができることとなっております。

 加えて、国際運転免許証を発給していない国や地域であっても、日本と同水準の運転免許制度を有すると認められる国等の免許を有する人については、その免許証に公的な翻訳文を添付して所持することにより、一年間自動車等を運転できることとなっております。なお、要望等にこたえまして、昨年九月、イタリア、ベルギー及び台湾が新たにこの方法の対象となる国・地域となっております。

 それから、課題でございますが、外国人観光客等が安全に我が国で運転するためには、右側通行と左側通行の違いなどの我が国の交通ルールや交通事情等を理解していただくことが重要であり、国土交通省等と連携して広報啓発活動を強化することが重要であると考えております。

逢坂委員 今のお話を聞きますと、外国人の方に対して、日本のいわゆる道路運転免許というのは広く門戸は開放されているのかなというふうに理解をするわけでございますが、もう一方で、日本に来訪する外国人の方は、国内で通用する運転免許があればレンタカーの利用というのは可能なんでしょうか、このあたり、国土交通省にお伺いします。

本田政府参考人 お答え申し上げます。

 レンタカー、道路運送法上は自家用自動車を業として有償で貸し渡す、こういう行為を申し上げておりますが、日本でレンタカーを御利用になる場合に、先ほど御答弁ありましたとおり、日本国内で有効な運転免許証をお持ちであれば、外国人の方がこれを御利用になることについて特段の制約はございません。

逢坂委員 ちょっと何年ぐらい前になるか忘れたんですが、私があるニセコのペンションで台湾人の方と話をしておりました。その方は来日二度目だというふうに言っておりました。一度目はツアーで北海道へ来られたと。北海道はとてもいいところだ、でも、ツアーで来ると行き先が限定されているので、私が話したときは二度目だったんですけれども、今回は自分でJRだとかバスを利用して回ってみようと思って来たんだと。ところが、逢坂さん、実際、回ろうと思うと、JRとかバスでいろいろなところへ行くのは結構つらいですね、時間も限られているし、本数も限られている。だから、北海道のよさをもっと楽しむためには、次はレンタカーかななんという話があったわけでございます。

 まさに今、日本の国は政府を挙げてビジット・ジャパン・キャンペーンをやっているわけですが、何度も外国の方に日本にお越しをいただくためには、レンタカー利用というものを広げていく必要があるのではないかというふうに私は思っております。

 そういう点において、免許制度、レンタカーを借りるという点においては今のところほぼ問題なく行われるのかなと思うのでありますけれども、例えばカーナビのシステムが日本語対応のものだけだとするならば、それは外国の方に使いづらいわけでございますので、例えば外国人向けのカーナビを開発するなど、そういうものを普及させるなどといったことも含めて、レンタカーの外国人への利用促進について観光サイドからどのようにお考えか、まず政府参考人にお伺いいたします。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、国内でドライブができるということは、特に北海道のような地域では外国人にとって大変有効なリピーター対策として掲げているところでございます。

 ただ、その手段としてカーナビは大変有効だと思うんですが、まだスタート段階というのが実態でございまして、現状では、ガイドマップに記載されましたマップコードと呼ばれるものがございますが、これを読んで自分でカーナビに入力をする、そうすると音声での案内が受けられる、こういう仕組みになっておりまして、残念ながらカーナビの表示はまだ日本語というところでございますので、もう少しいいものを開発しなければいけない、そんな段階だと理解をしております。

逢坂委員 カーナビの仕組みが外国語対応になっていくと海外から来られる方の利便性も向上していくものというふうに思いますので、この点、国土交通省もぜひ力を入れていただきたいというふうに思うわけです。

 それと同時に、先ほど警察庁からも課題として指摘がございましたけれども、利用を広げる一方で、やはり事故の防止というのは極めて大事なことだと思うんですね。これはまさに観光サイドからレンタカーの利用を広げていこうということでありますけれども、外国人観光客に対してレンタカー利用時の安全喚起というようなことについても対応すべきではないかと思うわけですが、政府参考人、いかがでしょうか。

本保政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のとおり、安全に運転していただくことが非常に大事でございますので、現在、日本の政府観光局でありますJNTOのウエブサイトで海外向けに日本の交通ルールをお教えする、こんな形で対応しておりますが、さらに徹底した案内なりあるいは宣伝というものが必要だと思っておりまして、例えば先ほど台湾についての免許証の書きかえといいますか翻訳書の添付による利用を可能にしたということがございましたが、これを契機に北海道向けではかなり細かな御案内あるいは情報提供というものをしているところでございますので、これをさらに広げていきたいと考えているところでございます。

逢坂委員 ぜひ、安全面の対応と同時に利用促進ということをやっていただければ、さらに外国人観光客がリピーターとして私どもの国にやってきていただけるのではないかというふうに思うわけですね。

 私もヨーロッパへ行きましたときに、残念ながら私は借りなかったんですが、私の友人が気軽にレンタカーを借りてヨーロッパの中を旅行して歩いたというのを見て、ああ、日本もいずれこうなればいいなというふうに思ったわけですが、外国人観光客のレンタカー利用について、最後に大臣の御認識をお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 私も自動車大好き人間でございまして、まだ議員になる前ですけれども、ハワイへ行って滞在中三百キロ、オアフですが、走りました。非常に快適でありました。ただ、日本と右側左側が違うものですから、特に交差点において右折左折する場合非常に気を使ったという記憶があります。

 今の台湾の方のニーズですけれども、釧路市長の伊東さんから、今委員がおっしゃったことと同じ、台湾の人の北海道を自分の車で運転していきたいというニーズがあるということで、そういうことから、去年の九月に実現しましたけれども、私も一生懸命その問題に取り組んだつもりでございます。

 ただ、今我々の方の審議官が答弁いたしましたように、まだ不十分です、実際問題。カーナビゲーションなんかを日本語で表示してありますので、これをもしあるスイッチを押せばそれが英語とか韓国語、中国語に出るようなものができれば非常に強力だと思うんですが、まだもうちょっと時間がかかるようですけれども、その方向で努力をしていきたい、このように思います。

逢坂委員 ぜひよろしくお願いいたします。

 以上で終わります。ありがとうございました。

竹本委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 民主党の小宮山泰子でございます。

 本日は、ぜひ大臣にもいろいろ伺っていきたいとは思いますけれども、ちょっと今いろいろ道路特会の、最初の細野委員の質疑の中で気になった点がありました。

 ところで、ことしは本当に道路の問題がたくさん出てきておりますけれども、これは通告がないので申しわけないんですけれども、道路整備中期計画の見直し作業というんでしょうか、予算委員会のときに、かなり急いで六十五兆から五十九兆円に直したりということがありましたし、また、第二回の道路の将来交通需要推計に関する検討会が六月九日に開かれていると思います。秋ごろまでに見直すなどと答弁をされているようでありますが、もっと前倒しや、また、やはり前回の中期計画、ある意味、六兆円ぱっと削れるということにおいても、非常に急がれた部分が見直しの中であったと思うので、この点に関しまして、今後どうされるのか。もっと詳しいもの、きちんとした十年なら十年の計画であるならば、もう少し詰めたものであっていいのかなという思いもありますので、秋ごろまでに見直すとおっしゃられるならば、この点どうされるのか、通告がなくて突然で大変申しわけないんですが、よろしくお願いいたします。

冬柴国務大臣 秋ごろになります。それは、我々もうスタートをいたしておりますけれども、多くの専門家、学者の方に入っていただきまして、そして検討していただく項目も非常に多くて、秋ごろになります。そのほか、BバイCについてのやり方の見直しとか便益の見直しとか、いろいろなものがあります。

 したがいまして、そういうものを、きちっとしたもの、皆様方からいろいろな御批判もちょうだいいたしましたので、そういうものを踏まえたもので出したい、それを資料として新しい中期計画をつくりたいというふうに思っております。

小宮山(泰)委員 この関係に関しては、やはりいろいろな問題もございますし、また、これから伺わせていただきますけれども、道路特定財源から公益法人への支出や無駄遣いにつながっていったんじゃないか、そういったこと。

 また、四月十七日に、道路関係業務の執行のあり方改革本部というのを立ち上げられ、そして最終報告もお出しになっておられますけれども、この中においても、なぜそれがこういったいろいろな無駄や誤解を招くのか、間違いなく、おかしなことがたくさん含まれているんだと思います。やはりそれも含めた形でないと改革とも言えないですし、この道路関係業務のあり方の「決意」というところに大臣もおっしゃっているけれども、「道路特定財源は、自動車ユーザーの皆様に、道路整備のための負担を求めることについて、ご理解頂いた上で成り立っている制度です。」ということもこの「決意」の中に書いてあったこと。まあ、一般財源化と言われるとまた随分問題が変わってしまうんですが、この決意とまた随分違うなというところはあるんです。本日はその点は詰めませんが、やはり国民が納得されるものにならないんだというふうに心配をさせていただいております。

 そこで、この道路関係業務の執行のあり方改革本部の最終報告の中にあるんですが、随意契約をなくすとか、またいろいろな細かいことを掲げていただいてはおりますが、これはあくまでこれからどうするかというベースにのっとっているんだと思います。それではなぜこのような随意契約が起こったのかという、そういったことに関しての反省というものは、私は読み取ることはできません。

 ましてや、今まで私ずっと調べさせていただいております駐車場整備推進機構、これについても、本当にこんなもの、財団が必要だったのか、この工事が必要だったのかという疑問もありますし、そういった、こういう無駄遣いや天下りと癒着のような仕組みに対しての分析というものはこの中には挙がってまいりません。あくまで道路特会の五十の団体について調べて、今後は平成十八年度のベースでいえばこのぐらいの削減になりますよというような提示があったというふうに認識しております。

 それでは、大臣にぜひお伺いしたいと思います。

 このような無駄ととられるものに支出していたことへの反省、そして真剣さというものに関して、国庫に戻すなどの対応も含め、なぜこういった、今まで使われてしまったものに予算をつけていき続けることができたのかという点に関して、どのようにお考えになっているのか、お聞かせください。

冬柴国務大臣 今おっしゃっていただいたような反省に立って、我々は改革を、私がみずから本部長となって、政治主導で、国民の目線に立って見たときに、これは違法とか法律違反とかいうことではなしに、妥当かどうか、そういうものに対して一般の方が認めていただけるかどうか、そういう視点で改革を進めるということ自体が反省の内容であると思います。

 したがいまして、当然のことながら、私の代でやったことじゃないことも随分たくさんありますが、これを清算しようという深い反省に立って、この改革本部を立ち上げ、最終報告を出しているわけでございまして、これを熟読していただきたいと思います。

小宮山(泰)委員 熟読はさせていただきましたけれども、なぜ起こったのかということ。また、これは「決意」の中にもあります、「道路関係業務の執行に関する種々の支出に対して、国会、マスコミ等の場において数々の問題点が指摘され、国民の皆様の疑念や不快の念を招いたことについて、極めて遺憾であり、率直にお詫び申し上げます。」そのことをおっしゃっているんだと思いますし、このおわびを申し上げるという気持ち、これは私は大切なことだと思いますし、この点に関してはもちろん評価をしております。

 それでは、大臣は何について国民の皆様の疑念や不快の念を招いたというふうに具体的にお考えになったのか、お聞かせいただけますか。

冬柴国務大臣 例えば、今おっしゃっていただいた駐車場関係ですね、これについてはいろいろな見方があるんですけれども、たしか二千五百台、全国十四カ所ですか、そして年間で二百万台が保管されている。しかしながら、その中には、八王子ですか、視察されたところのものは非常に過大な投資がされていて、そして、そういうところに駐車している車が非常に少ないという御指摘もいただきました。

 私は、そういうものを民間であればそういう場合にどうするだろうということを考えたときに、それが庶民の目線だろうと思うんです。ほかのところでもうかっているとしても、そういうところがあれば、これの経営改善にはどういうふうにするのかということを考えたときに、改革、この駐車場は全部もうやめてしまおう、そういう財団でやるのはやめてもらおうということで、やめることを決断し、そしてその手続に入っているわけでございまして、私は、そういう深い反省と庶民の目線に立ったときに、これを続けることは、国民からも指摘されたようなことを考えれば、これを例えば一部を処分して残りを残すというようなことはもう許されないだろう、こういう判断のもとに、思い切ってもうこれは解散をしていただく、こういうことを決めたわけであります。

小宮山(泰)委員 この最終報告書の「結び」のところに、「今回の報告書によって、道路関係業務の改革が終わるものではない。」「不断のフォローアップが必要であることは当然である。」と書いています。ぜひこの点は続けていただきたいと思いますし、また国土交通省においては、道路だけではなく、河川の問題であったりいろいろなこともございますので、全省庁的にこの発想を、今後の対応に関しては参考にして広げていただくことをお願いしたいと思います。

 それでは、本日、大きな、私としてはやはり下水道の問題にいきたいと思います。

 下水道事業というのは、現在、管路の延長でいえば大体約三十九万キロメートル、処理場数が約二千カ所ということ。生活をしていたら、生きていたら、また仕事や工場などにおいても、下水を使わない、汚水が出ないということはありません。また、多くの文化的な都市という意味においても、この下水道の整備というものは非常に必要なものだというふうに認識しております。年間でいえば、二十年度予算では大体二兆円を超す予算がつくということを考えてみましても、非常に大きな事業であるということはおわかりだと思っております。

 しかし、管路の延長でいえば三十九万キロ、布設して三十年以上を経過したものは約六万キロ、そして五十年を経過した下水管というのは六千キロを超します。これからの時代においてどうなっていくかということを考えていけば、新規のあり方だけではなく、補修とか更新というものを改築も含めてどれだけ行っていくのかというのが大変重要なのではないかと思います。

 それでは、伺いたいと思うんですけれども、補修や更新をどれだけ行うか、また、どういった年度設定とか目標を定めていくのか、そういったことに今どう対応されているのか、お聞かせください。

江藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員お話しのとおり、年々老朽化が進んでおりまして、それによる道路陥没が起こりますと交通事故が発生するあるいは機能を維持できないということになりますので、老朽管の補修、改築というのは非常に重要な課題であるというふうに思っております。

 この管路の改築に当たりましては、劣化の原因とかその程度が非常に地域によって多様でございますので、現在、地方公共団体におきましてそれぞれの施設の劣化状況を評価していただいた上で、改築の時期とかあるいは方法を定める計画を策定していただくようにお願いしております。

 目標設定というお話でございますけれども、私ども、それらの公共団体の計画の策定状況を踏まえましてこれから検討してまいりたいと思っております。

小宮山(泰)委員 老朽化の問題は大変重要だと思います。例えばこれは、平成十七年四月の国交技術会議というところ、「第三期科学技術基本計画に向けて くらしを支える科学技術政策」という中において、国交省の五つの使命と直面する課題という中において八つの課題が、また「近年、深刻化するなど、緊急に解決すべき課題」の三番目に「急激に増加する老朽化ストック」というのがあります。

 これの実例として挙げているのは、実は建設後五十年以上の橋梁の推移ということで挙げられているんですが、実際、これは平成十七年の資料ではありますけれども、同じようにこれは下水にも当てはまってくるのではないか。それは、橋梁のことを今本当にあちこちで、老朽化によって改築をしなければいけないのがこの一、二年で非常に話題に上ってきていることからも、この提言というものは正しいと思いますし、やらなければいけないことがたくさんあるんだと思います。

 それでは、特に三十年を経過したところの状態について点検を行うことも急務だというふうに考えておりますが、管路の破損の原因とか、また周囲で行われるほかの地中埋設管工事の影響であったり建築工事の影響であったりという場合もあると伺っていますが、管自体の老朽化の観点から見ると、おおむね三十年を超したころから陥没事故が多いというふうに聞いております。大体、この数年でいいますと年間どのぐらい陥没の事故が起こっているのか、お答えください。

江藤政府参考人 お答え申し上げます。

 十八年度現在で年間四千四百カ所でございます。

小宮山(泰)委員 十七年はどうですか。

江藤政府参考人 ちょっと今手元にデータを持っておりませんが、私の記憶では六千カ所だったと思います。

小宮山(泰)委員 全国で、これは三十年とは限らないものではあります。大体、平成十一年のところでは、銀座ではもう道路が陥没して、見せていただいた写真、提示のあった写真は、大型バスの前の車輪がその穴に突っ込んでいる状態というのもありました。死亡事故とか大きな事故に、そこでとまったから恐らくよかったと思うんですけれども、また別のところでは、トラックが陥没した穴にひっかかっているようなものもありました。

 やはりこうやって見ると、しかも、今お聞きになったとおり、年間六千件や四千件という大きな事故が起こっている、これは大小あるんだと思いますが、こういったところを考えていくと、やはり老朽化に対してしっかりと、これからは普及率ではなくて、既存の施設設備を改築するということにもう少し重点を早くシフトしていかなければならないんだというふうに私は考えております。

 この点に関してはどうされていくのか、お聞かせいただけますか。

江藤政府参考人 お答え申し上げます。

 今委員御指摘のとおり、道路陥没の対応というのは非常に重要な課題でございまして、陥没しますと社会的な影響も非常に大きいし、復旧するのにコストが非常にかかってしまうということでございますので、いかに予防保全的に対応していくかということで、現在、私ども、道路陥没によって非常に影響が大きい幹線道路の下のパイプについて緊急点検を行って、その対策を講じております。

小宮山(泰)委員 こんなにたくさん陥没事故があるということ、また昭和五十年代に布設したものからどんどん老朽化というものはふえていくということを考えると、これはやはり、今のような新設で延ばして延ばしていくようなというのは、私は早く方向を転換していく時代に入っているのではないか。だからこそ、私たち民主党は、参議院の方で法案も提出させていただいておりますけれども、新しい中で、合併浄化槽、農業集落排水、そして下水道、そういう経済コストも考えた上での法案ということで出させていただいております。

 こういう陥没事故など、また老朽化を考えていくと、やはり新設ではなく、ぜひ大臣に一言最後に伺っていきたいと思うんですけれども、ぜひその点、方向転換をするべきだということをお聞かせください。

冬柴国務大臣 昨日も参議院で同種の話を公明党の議員から受けました。

 ただ、人口の集中している地区がまだ残されているということは無視できないと思います。このために、地方公共団体に対しまして、住民との対話をもとに、今後おおむね十年間の整備構想を中期ビジョンとして、未普及対策、老朽化対策、浸水対策、耐震対策など重点的に実施すべき具体的施策を取りまとめることを要請しているところでございまして、こういうものを受けて、効率的な下水道事業の実施を国土交通省としては支援をしてまいりたい。

 ただ、今委員が御指摘をされたようなことももちろん考慮に入れながら検討してまいりたいと思います。

小宮山(泰)委員 これは、早急に転換をしていかない限りは、普及率を目標としている限りは、地方がやはり決めて、要望があってから出してくるんだということになると、累積の赤字というのは物すごい額になってまいりました。こうやって考えると、これからですと、普及したくても、新設を引きたくても、また改築をしたくてもできない実態が来るんではないかということを懸念しております。ぜひ、その点を変えていかなければならないと思います。

 日本下水道協会のホームページには、「国民の三分の一が下水道を使えない」、まだそういった言葉も載せていますし、下水道整備五カ年計画及び社会資本整備計画の推移といっても、これもやはり普及率で物事を書き続けております。ぜひこの点に関して、やはり早急に案文を変えるとか施策を変える。また、下水道を引くという地方自治体に関しては絶対手を下げることができない、そういう理想みたいなものもあります。この点のマインドも考えて、今後下水道の施策をやはり変えていかなければならないと思いますので、その点に関して、部長、何かありましたら伺わせていただきたいと思います。

江藤政府参考人 老朽化の対策につきましては、実は、公共団体の取り組みを促進するために、今年度、下水道長寿命化支援制度というものを創設しまして、公共団体で施設の点検とか先ほど申しました計画づくりとか、あるいは計画に基づく対策の実施に対して国庫補助をするように制度を設けたところでございます。

 今の委員御指摘の点でございますけれども、現在、公共団体において、まだ普及途上のところもあるし、整備が終わって改築のところもあるし、浸水対策等、地域ごとに多様な課題を抱えておりますので、先ほど大臣が答弁申し上げましたように、地域ごとに住民と話し合っていただいて、これからの事業の優先順位とか投資額とか方法とか、それをまず地域で考えていただくということが非常に重要ではなかろうかと思っておりまして、そういう意味で中期ビジョンというものをつくっていただいておるところでございます。

竹本委員長 小宮山君、時間が来ております。

小宮山(泰)委員 ぜひ、地域任せではなく、きちんと全国の情報を収集し、そして現実を把握し、本当にそうなのかということをこれからも検討し、また情報公開していただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

竹本委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

竹本委員長 速記を起こしてください。

 次に、松原仁君。

松原委員 松原仁です。

 羽田問題を含めて御質問いたします。

 きょう、時間の制約があって万般はお伺いできないので、全体のアウトラインの一部になろうかと思いますが、御質問をさせていただきます。

 まず、平成十四年の第五回総合規制改革会議というものが行われまして、これは、宮内さんが議長でありまして、出席者はたくさんいたわけでありますが、その中にこういう文言がありました。「羽田空港の建設の際には環境アセスに二〜三年程度を要するようであるが、これを短縮し建設を推進することは、経済活性化、雇用創出、都市活性化に結びつくため、例えば、」という文章があって、要するに、羽田は二、三年程度の環境アセスが必要だろう、しかし、それを短縮することが経済的にも雇用の意味でも都市活性化でも必要であるというような発言も議事録に載っているわけであります。これは内閣府の議事録ですね。

 そこで、環境省にお伺いいたしますが、羽田空港のアセスの期間、どれぐらいの縦覧期間だったかお伺いいたします。

西尾政府参考人 今お尋ねいただきました、羽田空港におきましてアセスでかかりました期間は、方法書の縦覧を開始いたしましたときから最終的な補正評価書をつくりますまで一年九カ月の期間を要しておる、こういうことでございます。

松原委員 平成十六年十月二十九日から十八年七月二十日で一年九カ月、このアセスの期間というものの設定はどのようにしてなされたかお伺いいたします。

西尾政府参考人 環境影響評価法におきましては、事業者がまず環境影響評価を実施する前に評価項目、手法などにつきまして方法書というものを作成いたします。住民は、地方公共団体の意見を勘案して、こういう調査などの項目などを設定いたします。それに基づきまして必要な調査を行い、評価項目、手法等を踏まえてアセスをやっていくということでございます。

 これは、調査にどれだけかけるか、あるいは検討にどれだけかけるかという一連の手続の進行は事業者の方でやっていくということでございますから、必要な期間の見積もりは事業者において判断をする、そういう仕掛けになっております。

松原委員 つまり、最初の総合規制改革会議の中では、アセスに二、三年要するようであるが短縮しろ、こういうふうな発言があったわけですが、この発言が反映されたかどうかは別にして、一年九カ月ということで二年を切っているわけでありますが、これは事業者の方によってこのアセスの期間が決まった、こういうことであろうかと思います。

 さて、次に、宇久須産の石もしくは安良里産の石に極めて特徴的であるモンモリロナイト、前々回の質問でもいたしましたが、この特性について環境省にお伺いいたします。

 簡単にお答えください、時間がありませんから。

西尾政府参考人 モンモリロナイトにつきまして、私ども詳しく承知しているわけではございませんが、辞典等によりますれば、モンモリロナイトは粘土鉱物の一種で塊状ないし土状をなし、色は白、黄、緑色などを呈する、水中では著しく膨潤し分散する性質を有しているとされております。

松原委員 今のは小学館の万有百科大事典ですよね、局長がお読みいただいたのは。これは、モンモリロナイト、モンモリロン石ということで。これは要するに、水分を取り込んで著しく膨潤しと、膨潤という言葉は非常に難しい言葉ですが膨れるということでありまして、膨れて、最後は、それは破裂するという表現ではないんですが、時間をかけて分解するのではないかというふうに言われております。

 この百科事典の文章をさらに読みますと、よく軟弱地盤と言われる、土砂崩れや地すべりを起こしやすい地域の岩石の土壌は多くの場合この種の粘土鉱物を含んでいるということでありまして、ある学者さんが、安良里の岩の質というか石質を調べたらモンモリロナイトが三割ぐらい出てきた、これはこういう埋め立て等には余りふさわしくないということを言っておられました。それは幾つかまた後で事例を申し上げたいと思いますが、少なくともこのモンモリロナイトを埋め立てに使うというのは、下田の方で造園業をやっている方がおられまして、この人も石の関係をやっている方ですが、普通は考えられない、こういうふうなことを言っていたわけであります。

 さて、国土交通省にお伺いいたしますが、宇久須産の岩ズリの試験結果について、私の方である資料を入手しているわけでありますが、この中には、試験者Kさんという方、名称はあえて言いませんがKさん。これは国土交通省から上げてきた資料にも同じKさんが割栗石の品質試験ということで載っておりますが、まず、このKさんというのはどういう方なのか、わかったならばお答えいただきたい。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 松原議員の方が入手された資料及び私どもの方から議員の方へ提出した資料に同一のイニシャルKさんという方の名前がございますが、この方は土質の試験を専門的に実施している調査会社の担当者の名前と承知しております。

松原委員 そうした中で、この二つの資料が、我々は先にこちらの方をあるところから資料として取り寄せて、同じものが国土交通省から出てくるかと思って、こちらは伏せたまま要求したら、ちょっと違う項目のものが出てきたので、この二つの資料はどういう相関性があるのかをちょっとお伺いしたいわけであります。少なくとも、私が当初現地から入手した資料というのは何のための資料か、お伺いしたいと思います。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 松原議員が入手された平成十九年八月の試験結果の資料でございますが、これは、使用する岩ズリが品質管理基準を満たしているかどうかを事前に確認するための試験結果に関する資料でございまして、工事をやりますJVが試験を実施し、その結果を国に提出したものであると思われます。

 また、私どもが提出いたしました平成二十年一月の資料につきましては、岩ズリが現場に搬入された後、定期的に実施する品質確認試験の結果に関する資料でありまして、同様にJVが試験を実施し、その結果を国に提出したものを提出させていただいております。

松原委員 この二つの試験結果の、粒度試験とか、私が事前入手したものは入れる前ですね。平成十九年六月二十六日から八月二十九日と日付が書いてありますが、いただいた方の資料は二十年の一月十八日です。

 この二つの資料は同じものでしょうか、それとも、やはり品質はかなり違いますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 二つの資料を見比べますと、まず、日にちが違いますので当然サンプルが違うということは言えると思いますが、その使用目的も異なっておりまして、前者は岩ズリ全体の粒度を幅広くとらえることを目的に地盤工学会の試験方法を用いておりまして、後者は実際に現場に搬入されている岩ズリを厳格にチェックするためにJIS規格の試験方法を用いております。

 この違いは、地盤工学会の試験方法は七十五ミリ以上の粒径も対象にする、JISの試験方法は七十五ミリ以下の粒径のみ対象とするということで、細粒分の割合が大きく出まして、より厳しい試験となっております。

松原委員 何か、こう説明されますと納得してしまう人もいるかもしれませんが、事前の平成十九年の資料ですと、これは粒径が大体三百ミリメートルで一〇〇%になるんですね。そうですよね。それはもう局長見ていますが。そして、新しい方だと粒径が八十ミリメートルで一〇〇%になるわけでありまして、最初の方は三百ミリメートルで一〇〇%、後の方は八十ミリメートルで一〇〇%ということは、だから、明らかに当初の方が粒が、付加価値が高いものだったという表現を使うべきかどうかはわかりませんが、大きかった。片っ方は、表現はどう言っていいのかわかりませんが、より土に近いというか小粒である、こういうことになると思うんですね。

 もう一点は、お話があったところのシルト分ですよね。シルト分に関しては、最初の方のシルト分は一・六ということでありまして、大体、その中に含まれている土分というのが一・六ということでありましたが、後のものは五・六ということですから、品質は、ぶっちゃけて言えば、最初の、入れる前の検査の方がよかったのかな、こういう話があるわけであります。

 ただ、両方とも、例えばシルト分に関しては一一%以下という原則が守られているわけでありますので、それはいいんだというのが国交省の見解だというふうに思っておりますけれども。

 実は、こういうものというのは、五メートルも離れると全く違うものも出てくるというふうなことは鑑定する方は皆さん御存じなわけで、これも平成十九年と二十年の違いだけではなくて、そのときの物によって違う。もっと言えば、先回私がこの場でお見せいたしましたこういった写真の、こういう、まさに土状のものを入れて真っ赤な海になる。これは冬柴大臣にも前回間近にお見せいたしましたが、こういうものも入ったりするわけであります。

 つまり、シルト分にしても極めて上下する。それは、一一%以下であるということで、一一%以上の場合はデータが出ないのか、そういうときは調査させないのか、事前に調査がわかっているからそのときは一一%以下のものを出すのか、それは仮定の話としてはいろいろなことも起こり得るわけであって、私が今回質問している原点は、あくまでも海が実際に赤濁し、地域の漁師が騒いでいるというこの一点からスタートしているわけであります。その写真もこの間お見せしたとおりであります。これはもう大変に赤くなっているのは事実であります。

 だから、この現場で、例えば水質調査をしていなくて、広い太平洋の羽田空港の、そのときにやれば、それはすべて調査はクリアしているということもあるかもしれないけれども、今申し上げたように、シルト分だってもう全然それは違ってきているというふうなことになるわけであります。

 さて、このシルト分が一一パー以下というのはだれが決めたのか、お伺いしたい。

鈴木政府参考人 シルト分も含めて、この岩ズリの品質につきましては、JVが日本各地の岩ズリを調査した上で、羽田の工事に適切なものを基準として決めておるということでございます。

 それから、先ほどの粒径の違いは、先ほど申し上げましたように、地盤工学会の試験方法では七十五ミリ以上の粒径もすべて対象にするので三百ミリ以下のものが出てきておる。JISの試験方法は七十五ミリ以下の粒径のみ、細かいのだけ対象にするので、先生おっしゃった細かいものだけ私どもの提出した資料には出てくるということでありまして、実際はもっと大きいのも使われておるということでございます。

松原委員 シルト分のことに関しては、それは説明にならないと思うんです。

 それで、要するにこれは一括受注方式で行われている。一一%という数値もJVの方でこれだと出してきているんですね。一括受注方式というのは、責任持ってやれよ、つくった後も責任持てよということだからそこまで任せるぞということですが、この部分がやはり今回のいろいろな疑問の中にあるのは事実だと思うんです。

 ところで、私が聞いている範囲では、通常海にこういった石等を投入する場合は比重は二・四とか五じゃないかという学者の指摘もあるんですが、今回の比重は、場所によって一・九、場所によって二・一、どこかの石を入れるのを前提に、逆にこの数値が後で申告されたんではないかということを指摘する人もいるんですが、この一・九、二・一はだれがそれを決めたのか。そして同時に、普通は二・五あるという議論に関してはどういう認識かをお伺いしたいと思います。

須野原政府参考人 まず、一般的な埋立工事の石材の比重が二・四から二・五という御質問でございます。

 港湾におけます埋立工事におきましては、護岸の下部に石材が使われておりますけれども、その材質につきましては、耐久性、経済性、入手のしやすさなどを考慮して決定しております。

 使用する石材の比重につきましては、二・三程度以上のものを使用しているのが一般的でございますけれども、護岸の構造形式によりましては、通常の石材とともに岩ズリなどさらに比重の小さい材料を一部用いる場合もございます。

鈴木政府参考人 私の方から羽田の状況についてお答えさせていただきます。

 今問題になっているところは、羽田の埋立部の護岸、枠をつくる工事の一番土台をつくるところの部分でございます。

 羽田の海域というのは、手前から十二メーターぐらいから二十メーターぐらいまで、沖に行くほど深くなっておりますが、いずれにしてもかなり深い海域でございまして、その中で、護岸をつくるために傾斜状のマウンドをつくっていきまして、最後にコンクリートを乗せて護岸をつくるという形にしております。

 傾斜状のマウンドをつくる一番下の築堤部につきましては岩ズリを使っておりまして、マウンド上部の方は通常の石材を使うということでやっておりまして、その下部の方の築堤部の岩ズリの比重の基準を二・一と定めておりまして、上の方の石材につきましては、これから施工するわけでありますが、今のところ二・五以上を指定する予定になっております。

松原委員 質問は、一・九の場所と、一・九というのはないならないと言ってもらえばいいんですが。それと、この一・九や二・一はJVから出た数字じゃないですかということを聞いているんです。

鈴木政府参考人 JVがいろいろな材料を調査した上で、安定的かつ経済的に使える、しかもしっかりしたものであるということで基準を決めておりまして、二・一という基準でやっておりますので、一・九という材料は使っておりません。

松原委員 わかりました。どちらにしてもJVは強大な責任と権限を持つ、これが一括受注方式でありますから、JVがこれだと言ったら、おまえら大丈夫だなと言って使わせてしまうというのが一括受注方式のよし悪しだというふうに思っております。つまり、JV側が初めからここのものを使うと決めれば、こうなんだと言えばそうなってしまう。しかしそれが、ある学者等によれば、不適切で、場所によるんですけれども、一つの岩ズリの場所でも実際赤濁するものもかなり含まれているということを私はまず指摘したい。

 そこで、次にお伺いしたいわけでありますが、私はこの宇久須の山の登記簿謄本をとってきているわけでありますが、ある友人から調べてまいりました。

 ああいうところの山というのは、大体そんな価値があるわけではありません。ところが、この山が、平成十五年の四月一日、五栄土木株式会社という会社があるんですけれども、これは浚渫協会のメンバーでもあり、その会社が二億二千万円の抵当権の設定をしているわけであります。それが平成十五年。

 羽田の事業というものが今のJVに一括受注方式で受注されたのはいつでしょうか。

鈴木政府参考人 羽田の事業は十五社によるJVによって一括受注されておりますが、契約をいたしましたのは平成十七年の三月でございます。

松原委員 それぞれ民間会社がやることに関しては、一つの判断があって、先行投資もあろうかと私は思っておりますから、多くをそれに対して言う必要はありません。

 ただ、私が聞くところによりますと、十七年ですから、十五年というのはそれに先立つ約二年前であります。なぜその山に、それだけのものを普通の会社がするとすれば、それは必ず元が取れるという前提がなければ、そこに抵当を設定してお金を貸したりはしないのではないかということを推察する人もいるわけであります。

 そこで、私が別のところから聞いた話でありますが、実は、羽田の沖合のこの問題に関して、平成十四年か十五年とその関係者の方は言っておりますが、大手ゼネコン二社、大手マリコン二社そして大手製鉄会社、これで合計五社であります。さらに社団法人そして港湾局の関係者で、勉強会が内々行われているというふうな情報が寄せられております。そこで羽田D滑走路特記仕様書案というものがつくられているということであります。

 もちろんその中には、例えば伊豆のどこかというふうな具体的なことは恐らく載っていないでしょう、私も現物はまだ見ておりません。しかし、そこの関係している大手マリコンの中の会社とこの五栄土木は極めて関係が深いという証言もあります。

 とするならば、実はこの議論というのは、羽田の受注は一括受注の前からずっと水面下で議論がなされてきて、そして、そこに関しては投資をしても元は取れるという議論があったというふうに指摘する人がいるのも理由がないことではないというふうに私は言わざるを得ないわけであります。

 このことに関して、局長、何か御感想ありますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 JVの傘下の会社による抵当権設定等については私ども承知しておりませんが、羽田の契約というのは、先ほど申し上げたとおり平成十七年三月になされたものでありまして、それ以前にどういうことがあったかは私どもではつかんでおりません。

松原委員 私もこれに関してはそういうことがないというふうに信じたいわけでありますが、疑いを持たれる人もいるのは、時系列で、既に五億円の担保に入っているところに、一番抵当二・五億、二番抵当二・五億、三番抵当三千万、そこにさらに二・二億を抵当で入れる、それが平成十五年だということになれば、そこに大手の人が集まった極めてクローズなる勉強会もあって、そこからの情報があったというふうに指摘する人もいるわけであります。

 そういうものはないと私は信じておりますが、そこで私が思うのは、この五栄土木も含めて社団法人日本埋立浚渫協会という組織があります。この浚渫協会がどういうものかというのを私ちょっとお伺いしたいわけでありますが、この役員の中で、国土交通省の元関係職員、天下りを含めてどれぐらいいるかは把握しておられますでしょうか。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 社団法人日本埋立浚渫協会に確認いたしましたところ、同協会の役員十三名のうち、三名が国土交通省港湾関係元職員でございます。

松原委員 私が内部の方に聞いている範囲では、最盛期は二十数社入っているわけでありますが、会員企業全体で二百七十人ぐらいの、特に港湾局を中心とする関係者がいた。今は恐らく減って二百二、三十人ではないかというふうに言われているわけであります。一番多い会社、呼名はあえて申しませんが、三十人を超える国土交通省関係者がいた、こういうふうな証言を私は得ているわけであります。

 これから調査をしていきたいわけでありますが、これは理事会にお諮りしたいわけでありますが、こういう疑念を晴らさなきゃいけませんし、そういったことも含め、社団法人日本埋立浚渫協会の会社に対しての、いわゆる国土交通省の天下りを含む関係者がどれぐらいいるか、一度調べていただきたい、資料を出していただきたいと思います。

竹本委員長 理事会で諮ります。

松原委員 そして、今の専務理事さんは国土交通省の元職員かどうか、もし職員であればどこにおられた方か、お伺いいたします。

須野原政府参考人 お答えいたします。

 専務理事も元港湾関係職員でございます。十六年四月に退職しておりまして、国土技術政策総合研究所の副所長でございました。

松原委員 違う役所もあると思いますが、とりあえず、きょうはここまでにとどめておきましょう。

 そして、このことを含め、そこにこういった赤濁した羽田の海が生まれる不可避の何か動きがあったという指摘は私はあろうかと思うんですね。

 それで、この一括受注方式というものの評価の問題が問われるわけでありますが、このいわゆる設計・施工一括方式というのは、それは、同じところがやるから非常にスムーズにいくという議論もありますが、これは負担も大きいけれども権限も大きいわけですね。この妥当性に関しては、もう時間がないので簡単に答えていただけますか。どう判断しておられますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 羽田の工事につきましては、平成十四年度に開催した羽田空港再拡張事業工法評価選定会議の結論において、「工費(維持管理費を含む)・工期の確実性を担保するための契約方式として、設計段階における工費・工期を施工段階及び維持管理段階においても保証させることのできるよう、設計と施工を一体的に発注することを基本とする契約方式の採用を提案する。」とされたことを踏まえまして、この一括発注方式を採用いたしました。

 この方式では設計と施工を同一の請負者が実施することとなりますが、すべての作業を請負者にゆだねているわけではございませんで、設計段階においては設計図書の発注者による検査、承認を実施し、施工段階においても発注者による検査、承認を実施しております。

 したがいまして、従来の分離方式と同様の検査、承認体制をとっておりまして、一括発注であるがゆえに請負者の裁量が大きくなるということはないと考えております。

 また、一括発注方式を採用することによりまして、完成後三十年間の維持管理を請負者が責任を負う仕組みになっておりまして、これは設計と施工を両方やっておりますので逃げられない、何か瑕疵があったときにどちらの責任かというようなことでもめる必要もなく、三十年間きちっと維持管理するということで、請負者にとってかなり負担の重い制度だと考えております。

松原委員 この設計・施工一括方式ということで、さっき言ったように、アセスの期間も事業者が出している、岩ズリの比重も事業者が出している。こういうふうな、事業者が非常にセルフコントロールするシステムになっているので、そうすると、何か、本当の意味で、そこにやはり完全に任せ切っていいのかという議論が一方で出てくるわけであります。

 海事局にお伺いいたしますが、自家用船を営業活動に使用する場合の手続についてお伺いします。

春成政府参考人 お答え申し上げます。

 私ども、内航海運業法という法律がございまして、いわゆる自家用船を自分のために使うという場合におきましては、一定の規模以上の船舶については届け出をいただくということになっております。

 ただ、一般論として申し上げますけれども、自家用船であったとしても、それを第三者の荷物を運ぶために使う場合にはいわゆる事業ということになってまいりますので、そういう場合に若干規制は厳しくて、その場合、一定規模以上の船舶を使って第三者の荷物を運ぶということになりますと、それは登録をいただくということになっております。それ以下の小さな船舶を使う分には届け出という形になってございます。

松原委員 これは、そういう船で運ぶ側の方から直接私も聞いたんですが、彼らはどこまであれなのか、トラックにおいてはそれはオーケーなんだ、ただ、船においては、今言った登録を仮にしても、場合によったら、現場で受け入れをしてもらわないと、うちが押さえている船以外は一切もう運ぶなというふうな、ちょっと時間がないので非常に簡単に言っていますが、そういう話になっているというわけでありますが、この真偽はいかがなっておられますか。

鈴木政府参考人 お答えいたします。

 羽田のD滑走路工事で使用する船舶につきましては、経済性や船舶調達等の観点から、JVと船舶所有者との調整で決まる民民の話だろうと考えておりまして、私どもはそこは関与してございません。

松原委員 つまり、民民の話ですから、そこの二十一社のJVが関係している船以外は入れないよといえば、それは当たり前で、民民だから当然そうなんだよ、こういう話ですよね、任せているわけですから。

 しかし、その船会社の方が言うには、そういうふうにいろいろな人が競争で入った方が我々も生活はできるし、それだけじゃなくてコスト競争もできるから結果としてそこの部分の単価は下がるんだけれども、おれらが行っても、おまえら来るな、違う船で来いみたいな話になる。そんなの今までなかったと彼らは言っているんですよね。その世界で六十五ぐらいまでやっている人ですから。

 今までは全部入れた、今回だけだ、こういうふうに憤っている方もたくさんいるので、これなんかも含めて、この一括受注方式はもうがしっと縄張りを決めて、いろいろな意味において、ほかはもう除外するみたいになってしまっているのではないか。つまり、プラスもあればマイナスの弊害があるんじゃないかということを私は指摘したいわけであります。

 時間が参りましたので、こういったことを含め、きょうは時間がないのでさわりしかやっていないんですが、大臣の御所見をお伺いいたします。

冬柴国務大臣 羽田空港再拡張工事は、我が国最大の空港である羽田空港の利用を維持したまま、供用したまま行われる大規模工事でございます。

 工事方法などに多くの厳しい制約が課せられる中、二十四時間、三百六十五日、突貫工事で行っているわけでございますので、いろいろと御指摘のような問題があるかもわかりません。しかしながら、いろいろとこういうものをクリアするために英知を傾けてやっていることを御理解いただきたいと思います。

松原委員 冬柴大臣、もうちょっと前向きな、今のは国土交通省の方が書いた文章だと思うんですが、一括方式は極めて問題だと思うんですよ。今私は概念的な部分をなぞっていただけですが、これは今のことからかなり問題があることは明らかになりつつあるので、ぜひとも、そういったことも含め、二十四時間突貫工事は結構ですけれども、やはり、この問題が、きちっとアセスの問題も含め、日本の新しい公共事業のあり方の範になるようにリーダーシップをとっていただきたいと思います。

 ちょっと今の大臣の答弁は私は残念でありますが、以上で私の質問を終わります。

竹本委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 きょうは、淀川水系の河川整備計画の策定について聞きたいと思います。

 四月二十五日、近畿地方整備局が諮問した淀川流域委員会が、整備局の河川整備計画原案に対する意見書を提出しました。大臣は、一つの意見として重く受けとめなければなりませんと述べています。きょうは、その重く受けとめる内容について少し確認をしていきたいと思います。

 そこで、議論の中身に入る前に、二十七日に開かれた流域委員会で、整備局側が委員会の審議打ち切りを示唆したと報道されていることは御承知かと思います。

 九七年の改正河川法に基づいて、近畿地方整備局が学識経験者からの意見聴取の場として設置したのが流域委員会であります。〇七年八月に再開した際の委員も整備局自身が選んでいます。審議が終わっていないのに国交省側が勝手に審議を打ち切ることになるとすれば、審議に協力してきた委員の方々に大変失礼であります。そればかりか、何のために審議してきたのかということになります。

 私は、審議打ち切りなどとんでもない、流域委員会を尊重すべきではないかと思いますが、その点をまずお伺いしたいと思います。

冬柴国務大臣 淀川水系流域委員会におきましては、平成十九年八月に近畿地方整備局が作成した淀川水系河川整備計画原案につきまして、二十回に及ぶ委員会で、河川管理者から延べ二千六百ページの資料を提出、説明し、延べ九十時間にわたり熱心に議論をしていただいたと聞いております。河川管理者といたしましては、これまでの議論を通じて、環境、利水、治水の各般にわたり既に流域委員会から広範かつ十分な御意見をいただいたものと考えております。

 洪水による被害から国民の生命財産を守るという河川管理者の責務として、淀川水系の河川整備計画が策定できていない現状をこのままこれ以上続けることはできないと考えております。河川管理者としましては、流域委員会あるいは関係住民、知事を初め関係自治体の長の御意見を踏まえた上で、責任を持って適切に判断し、一日も早く河川整備計画を作成すべきである、このように考えております。

穀田委員 そこが問題でして、つまるところ、何のために法を改正したのかということになるんだと私は思うんです。

 大臣は、この問題についての答弁で、審議時間と資料の枚数が二千六百ページに及ぶという点をいつも言うんです。しかし、四月二十五日の流域委員会の意見には「これまでの委員会の審議は決して十分に尽くされたとは言えないが、」「より良い計画の策定に資するために、現時点までに委員会で審議検討してきた課題について、意見を提示することとした。」ということで、これは明らかに途中経過であるということが明記されています。

 それで、今のお話を聞くと、要するに策定しなければ命と安全が守られないと、今までずっと策定してこなかったから守れなかったのか、そんなことはないんですね。やはり今の事態の中で、どうしたらこれは一番いい案ができるのかということでみんな真剣に議論しているのであって、この間五月十五日に参議院の国交委員会でも、もう聞いたからこれでいいんじゃないの、こう答弁しているわけですね。これでは、自分のところがお願いした委員が一生懸命議論しているのに打ち切る、どうしていい計画ができるのか、何のための委員会かと言わざるを得ないと私は思うんです。

 大臣は九七年の法改正の趣旨、そしてその法に基づいて設置された淀川流域委員会についても、私は、率直に言ってよくわかっていないんじゃないかと言わざるを得ないんですね。

 河川法改正の経過と趣旨をどのように理解しておられるのか、端的にお答えいただければありがたい。

甲村政府参考人 平成九年に河川法を改正しておりますが、大きく二つございます。

 一つは「河川環境の整備と保全」を河川法の「目的」に加えたことでございます。これにつきましては、環境関係は従来から河川でもやっておりましたけれども、それを明確に法律に位置づけたということでございます。

 具体的には、河川法一条におきまして「この法律は、河川について、洪水、高潮等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする。」というふうに改正したわけでございます。

 二点目は、計画の立て方でございます。

 従来の河川の計画は、工事実施基本計画を河川審議会の意見を聞いて定めるということでございましたが、平成九年の改正におきまして、その中身を、基本的なものを定める河川整備基本方針と具体的な整備の計画である河川整備計画に分けまして、河川整備基本方針につきましては社会資本整備審議会の意見を聞いて定め、河川整備計画を定める際には、まず原案につきまして学識経験者、住民等の意見を聞き、それをもとに河川整備計画の案につきまして都道府県知事の意見を聞くということで、いろいろな人の意見を聞きながら案をつくって最終的には知事の意見を聞く、そういうふうに変えたわけでございます。

穀田委員 いろいろな方の意見を聞く、つまり、計画決定段階における住民参加を大きく位置づけたと。いろいろな不十分さはありますけれども、有識者を含む住民合意を手続として位置づけて、これまで建設省など行政だけが計画をつくって、有識者や住民などにこれですよということで押しつけるやり方を改めた。つまり、計画はお上がつくり国民は従うだけだという今までのやり方を改めて、行政も有識者や住民など国民と一緒になって河川整備の計画をつくっていこうということに改めた、これが一つの眼目であるというように理解していいと思うんです。

 九七年改正当時の建設省河川局長だった尾田栄章さんは、次のように述べております。整備計画策定に関しては住民の意見を聞く仕組みにした、関係住民を含めてみんなで議論して整備計画をまとめるのが改正河川法の趣旨だ、場合によっては、ここからが大事なんですね、場合によっては基本方針にさかのぼって見直すこともあり得ると述べておられます。これは、国会でも次のように答弁しています。「基本方針で定めた中ではこの整備計画がどうしてもできないということになれば、またこの基本方針のあり方についても再度検討をする、」としています。

 さらに、この答弁については、当時の課長だった竹村公太郎元河川局長も、ダムがだめなら次の代替案はあるということだとまで言っておられます。

 つまり、この一連の国会答弁や河川局長の見解からすると、住民らの意見で行政のダム案がまとまらなかったならば、別の代替案を考えるということなんですね。

 したがって、流域委員会の意見を無視するということは、結局、国の決めたことに文句を言うなという発想であって、国交省が住民参加の方向への一定の転換をしたという経過それから流れというものを逆戻りさせちゃいけないということを、私は指摘しておきたいと思います。

 そこで、そういう河川法改正の趣旨が生かされているかどうか議論しましょう。まず、河川整備の基本的考え方についてです。ダムと環境の問題について問いたい。

 整備局は、計画原案で、河川の整備や利用が淀川水系や生活環境に与えてきた影響を真摯に受けとめ、生態系が健全であってこそ人は持続的に生存し活動できるとの考え方を示して、これからの河川整備と管理の取り組みを転換しなければならないとしています。

 この河川整備と管理の取り組みを転換するということを示す内容は、これまで、先ほど局長も答弁したように、配慮が弱かった、わざわざ「目的」の第一条に加えた、環境への影響をこれからは重視すると受けとめるのが普通なんですね。

 これに対して、流域委員会は、意見書においては「ダム建設については、治水・利水面から先行的に計画が検討され、その上でダムが建設された場合の環境への影響についての検討が行われ、環境への影響は「小さい」あるいは「影響は回避、低減される」と結論づけており、上記の考え方が十分に反映されているとはいえない。」としているんですね。その上に「これまでの河川整備が与えてきた河川環境への影響を真摯に受け止め、治水・利水の考え方を根本的に転換するという姿勢で、環境・治水・利水を総合的に検討することを求め」ています。私は、とても大事な指摘だと思います。

 流域委員会の指摘は当然だと思うんですが、大臣のお考えはいかがでしょうか。

冬柴国務大臣 先ほどの委員会は、委員会自身は二十回ですけれども、部会は三十五回やっているんですよ、五十五回やっている。その前は、実に五百八十二回やっているんですね。それで結論が出なかったんですよ。

 それで、この間出していただいたのは、もう一遍やり直せということですけれども、それには、中に入っている有力な学者は、その結論にはずっと異論を述べておられます。私も読みました。それについて、両論併記じゃなしに、委員長だけの御意見が主文に書かれていますけれども、それは、そうではないんだという学者が三名、異論を唱えていられることが議事録の中に書かれているんですね。そういうことが積み重ねられているわけでございます。

 それで、私は、人口や資産が高度に集積している、委員も私もそこへ住んでおるわけですけれども、大阪平野を初めとした淀川沿川は高い堤防で守られております。仮に一たん破堤するということになれば、壊滅的な被害が発生することが予想されるわけです。

 淀川におきましては、破堤による壊滅的な被害は極力回避し、また、万一破堤した場合でもはんらん量を少なくし、はんらん被害を軽減することがまことに重要である、このように考えております。

 このためには、洪水時の水位をできるだけ低くすることが必要であります。淀川におきましては、洪水時の流量を低減させるために、水量とかそういうものを全部計算できるダムあるいは遊水地の整備、それから河道の掘削、それから浸透、侵食対策としての堤防強化、さまざまな手法を工夫して実施することによって、着実に治水安全度を向上させることとしているわけであります。

 それで、堤防で全部できるということは、それはできないと思いますよ、そういうふうに思っております。

穀田委員 私が今言ったのは、河川整備のあり方について議論をしているんですね。一番最初に大臣は、ダムは必要だという意見もある、こう述べられました。それは、わざわざ議事録も公開されているんですから、本当にみんなの意見がどうなっているかということを公開しているという点でも非常にすぐれた見解だと思うんですね。だから、この方式がよかったということはだれもが認めているということははっきりしていると思うんです。

 問題は、今言っているのは、「環境・治水・利水を総合的」というのがこれまでは利水、治水が優先で環境が後回しだったという話をしているんですよ。そうしますと、ダムが必要だということだけ言っているようじゃ、やはり今もってダム優先と受け取られるということをはしなくも私は明らかにしたんじゃないかなと思うんですね。

 流域委員会の意見書は、ダムについて、どうしても必要だという意見が不十分だと述べているんですよ。それは、「河川環境に与える影響や社会的影響から、ダムはできるだけ建設しない方がよい。しかしどうしても必要であるという場合には、他の施設にも増して徹底的な検討を行い、十分な説明責任を果たす必要があるということをこれまで整備局と委員会は共有してきた。」ということを言っているわけですね。しかし、「整備局のこれまでの説明は、ダムがどうしても必要であることについて十分説得的な内容になっておらず、環境への影響もダム建設を前提とした検討であり不十分」だ、ここを言っていることを、私は環境論の話をしているということをぜひ見ていただきたいと思うんです。

 そこで、わざわざこうなりましたから、次に治水の問題に入りましょう。そこからなんですね。

 流域委員会の委員が指摘しているのは、治水の考え方であります。何がどのように治水という問題について変わったかと。二〇〇一年にできた第一次流域委員会の委員長だった芦田和男氏は、「理念転換の第一は、河川環境に影響の大きいダムと河道改修による治水から容易に破堤しない堤防と流域対応を併用した治水への転換」、「もう一つの点は従来の計画規模の洪水を対象とした治水計画から、いかなる洪水にたいしても少なくとも住民の生命を守り、かつ被害を最小限にくい止める治水計画への転換」だ、こう述べているんですね。だから、こういう考え方でちゃんと議論しているわけです。それがしかも、当時の国土交通省も含めた、そういう意見だったと言っているわけですよね。みんな議論しているわけですから。

 ところが、今お話あったように、結局は何が何でもダムをつくるんだと。なぜそんなに変わるのか、なぜそうかたくなになるのかがわからぬというのが議事録にも書かれてあるし、そして意見として述べられている。

 そうすると、今までの二〇〇一年に転換した方針の考え方をまたもとへ戻しているということがこれで大体おわかりいただけると思うんですね。なぜ治水に対する考え方を変えたのか、ちょっとお聞きしたいと思います。

甲村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、近畿地方整備局が十七年七月に公表しました淀川水系五ダムの方針につきまして、その委員会の提言を具体的にあらわすために、大戸川ダム及び余野川ダムは建設しないという方針を出しました。

 この理由といたしましては、淀川水系における治水対策として、まずは淀川本川及び宇治川、桂川、木津川等の堤防強化を実施することとし、洪水時に下流の流量の増加をもたらす狭窄部の開削や河道掘削等の河川改修は基本的に実施しないということを前提といたしました。そうすると、中上流部で洪水のときにあふれますので、ダム事業の洪水調節効果が小さいことから、当面は実施しないとしたわけでございます。

 その後、近畿地方整備局が平成十九年八月に公表いたしました淀川水系河川整備計画原案におきましては、余野川ダムは実施しませんけれども大戸川ダムを実施すると書いたわけでございますが、その理由といたしまして、堤防詳細点検の結果、先ほどの五ダムの方針の公表の後、淀川本川の堤防を調査いたしまして、その本川の堤防強化がおおむね五年間で終了することが判明いたしました。

 それとともに、先ほど申しましたように、中上流部で多くはんらんしているものを、戦後最大の洪水が起こったときにはんらんしないようにするということが必要であろうし、地域からもそういう要望が出ていたわけでございます。

 一方、そういう中上流部で堤防の整備を進めますと、あふれていた水が下流の方に集まってきますから、今度は淀川本川が危なくなるということで、その影響を小さくするために、淀川本川の橋梁のかけかえだとか、さらには、それだけでは足りないので、大戸川ダムで洪水調節を行うとしたわけでございます。

穀田委員 質問の趣旨をよくとらまえていないんだよな。それは、大戸川ダムの関係について復活したのはなぜかというのは次に聞く話であって、今言ったのは哲学、思想を変えたのかという話をしているんですよ。

 やはり、今までみんなで議論をしてきて、どうも治水というのを抑え込むというやり方ではあかぬなというのが当時の考え方だったんですね。だから、私は、「最小限にくい止める治水計画への転換」、つまり、洪水が起きるかもしれない、それをどういうふうに対応しようか、それから、ダムと河道だけではあかぬ、そこから「破堤しない堤防と流域対応を併用した治水」、この二つを哲学として考えたわけですよね。その結果どうなったかという問題を聞いているのです。

 その問題を議論した当時、整備局側にいたのが宮本さんで、今の流域委員会の委員長であります。

 私は、その方に意見を聞いてきました。先ほども、命にかかわる問題と言っていました。彼は、ダムにかかわる仕事を通じて、ダムは、人々の暮らしや自然環境など、いろいろなものを犠牲にし、人の心をずたずたにする、ここまで犠牲にするのだから、納得するまでつくってはだめだ、河川法が改正され、住民の意見が反映される仕組みができた、そして、そのことによって既定路線を変えるチャンスだと思ったと彼は言うてはりました。

 だから、私は、そういう意味で、治水に対する考え方をそういうふうに改めたということに対して、また戻ったのはなぜか、こう聞いたわけなんですよね。

 そこで、大戸川ダムの話をやっていますから、これは皆さんにお渡しした、大戸川ダムの、どこにあるのかということと、一連の経過が何であったかということについて、わかりやすい資料として皆さんに配付しております。

 お話がありましたけれども、それをまとめると、先ほどの答弁からいくと、要するに、〇五年のときの七月の淀川水系五ダムについての方針では、利水者である人たちが全量撤退の見込みだ、それで、狭窄部を開削するまでは洪水調節効果も小さくて、治水単独目的の事業となることで事業費が増加して経済的に不利になる、だから大戸川ダムをやめるということですわな。そこで、お話があったように、その後どういうふうになったかという話がるるあった。

 先ほどの話をまとめると、要するに、淀川中流部での河川の掘削が必要だ、そうすると、改修後は下流で流量がふえる、だから、その調節のために上流でダムが必要だという論法なわけですね。

 しかし、もともとあなた方がやってきた大戸川ダムの建設というのは、治水、利水、発電を目的とした多目的ダムとして事業を行ってきたということを明言しているんですね。利水それから発電が撤退しているにもかかわらず、治水単独ダムに目的を変更して建設するというと、なぜこうなるのかということなんですね。利水、発電の目的がなくなったのであれば、工事実施の根拠はなくなったはずなんですね。治水単独なら、一からの計画検討をし直すべきであって、それは理解できないということなんです。

 そこで、滋賀県の嘉田知事は、そもそも利水も含め多目的ダムとして計画され、滋賀県では、さっき言ったものですよ、水没予定地の集落が移転するという犠牲を払った、利水が消え、何を犠牲にしたのかという思いだと苦言を述べておられます。

 さらに、〇五年に整備局が大戸川ダムの凍結を打ち出した際に、治水単独では事業費が増加し経済的に不利になると説明したのに、今になって治水単独ダムが経済的に有効という理由は何かとの疑問を投げかけているわけですね。当然じゃありませんか。

 また、利水や発電がなくなれば、膨大な建設費を水道料や利用料として後年度に徴収することができない。だから、治水単独では建設コストが丸々かかってくるわけだから、そういう意味で、費用便益分析など経済的評価が行われているものか、明らかにしていただきたい。

甲村政府参考人 まず、治水の思想を変えたのかということでございますが、整備計画原案におきましても……(穀田委員「そこはもう飛ばしていいよ、さっきもしゃべったんだから」と呼ぶ)はい。

 次に、大戸川ダムの費用対効果でございます。

 大戸川ダムは、地図を見ていただいてもわかりますように、天ケ瀬ダムの上流の大戸川に整備することとしておりまして、大戸川の洪水を貯留し、下流の天ケ瀬ダムに到達する洪水流量を低減させ、天ケ瀬ダムで消費する洪水調節容量を少なくすることで、より大きな洪水に対しても天ケ瀬ダムで安全に洪水調節を行うことができます。そういう意味で、天ケ瀬ダムと一体となって淀川本川及び宇治川に対して効果を発揮するものでございます。

 大戸川ダムと天ケ瀬ダムの再開発、この両者を一体といたしまして費用対効果分析をいたしまして、費用対効果は約一・四となっております。

穀田委員 では、端的にもう一度お聞きします。

 昨年十二月、ダム事業費の見込み額を示しています。多目的ダムから治水専用ダムに変更した場合、地方負担はどうなるのか、言ってください。

甲村政府参考人 お答えいたします。

 整備計画原案に基づく大戸川ダムの総事業費につきましては、平成十九年十二月に近畿地方整備局が概算事業費として約一千八十億円であることを公表しております。これは、昭和六十三年度の事業費が七百四十億円でございますので、変更額は三百四十億円の増になります。

 関係府県の費用負担につきましては、今後、現行の事業計画である特定多目的ダム法第四条に基づく基本計画の廃止手続にあわせ、関係機関と調整の上、費用負担が定められるものでございます。

穀田委員 だから、明示できていないということですわな、簡単に言えば。あれこれ言うけれども、明示できていない。問題は、地方負担が明らかでないということが最大の一つの結論なんです。

 そこでもう一つ、大戸川ダムの治水効果というのは、さっきありましたけれども、極めて限定的なんですね。二百年に一度の洪水時に淀川の水位を十九センチ下げる効果しかないんです。大戸川ダムがない場合は、HWLと言っているんですが、計画高水位を十七センチ超えるが、大戸川ダムをつくり水位を十九センチ下げても、HWLから二センチしか水位を下げることができないんです。

 最近は想定以上の集中豪雨などが相次いでいるわけで、想定以上の雨量があった場合、二センチメートルなどすぐ超えてしまうんです。だから、治水効果はいわば限定的になると彼らは指摘をしているわけですね。

 そこで、私は、時間がないから端的に言うけれども、整備局は、この流域委員会のさまざまな意見に対して、長い時間かかって幾らかかるかということについて答えるという、本当に僕は誠意がないと思うんだけれども、そこで、流域委員会側の方は、そういうことに対して新しい考え方で来ている。つまり、計画どおり整備した場合でも堤防が決壊する可能性はあるわけだから、結局のところ、今大事なのは、堤防補強をすることが必要じゃないのか、さっき言いました理論からすると。

 そして、五月までに出せと言ったけれども、出してきたと思ったら、私も見させていただきました。最大三千六百五十億円、二百年かかる、現在の職員を三倍にしても八十年かかるなどという試算を出してきています。この数字は淀川流域全域で、大戸川ダムと関係のない木津川や桂川まで対象としたものであります。

 問題は、計画高水位を超える区間は三・六キロしかないんですね。この区間の堤防強化にはどれだけの費用と期間がかかるのか、明らかにしてほしい。

甲村政府参考人 まず申し上げます。

 盛り土によってつくられた河川の堤防は、一般的に洪水時における水位が上昇するに従って破堤する危険性が高くなり、また、計画高水位をさらに上げることにより、破堤した場合の被害が大きくなること等から、淀川本川において計画高水位を上げることは適切でないと考えております。

 しかしながら、そのような課題をあえて無視して、仮に大戸川ダムが整備されなかった場合に計画規模の洪水が発生したときに、淀川本川において計画高水位を超える区間約三・六キロにつきまして、堤防のかさ上げ、それから侵食防止工事、それから用地買収、橋梁のかけかえ等を実施したといたしましたら、仮定でございますが、概算の事業費は約一千百二十億円と試算し、四月二十二日の流域委員会で説明をしております。

穀田委員 私は、今の話を聞くと、あなた方の論理をすべて悪いと言っているんじゃなくて、あっち側が全部いいというんじゃなくて、きちんとした数字に基づいてお互いに議論すべきだということを私は言っているんですよ。

 しかも、堤防が壊れるといった問題についても、どれだけの水が出たら壊れるかとか、当然、侵食した場合に下の方から壊れるとかいう話は、お互いに共通しているんですよ。問題は、その距離全部のところにやるとかいうことでない問題を提起しているのに、やはりそれにかみ合った議論をしようとせずに物すごく時間をかけて答えるというやり方が極めて不的確だと私は言っておきたいと思うんです。

 私は、結論から言えば、堤防を強化すべき範囲というのは、計画高水位を超える危ない堤防をまず強化するのが必要だと思うから聞いて、その議論をしたらどうだということをまず言っているわけですね。

 私、もう時間が終わりましたと来ていますので結論から言いますと、国交省が選んだ人物でやっているんですよ。だから、そういう人たちに諮問していながらその意見書を半ば無視するのは、法改正の趣旨と逆行するということだと思います。ましてや流域委員会というのは、先ほどありましたように、何百回という話を大臣されていましたよね。それを全部、会議の報告や資料を原則公開して住民参加でつくってきたわけですよ。だとしたら、やはりそういう立場で配慮する必要がある。大阪、京都、滋賀の三知事は、四月に、ダムの必要性について有権者が納得する説明をすべきだと国交省に対して物を申しているわけですね。

 だから、そういう点もしっかり踏まえて流域委員会の意見を尊重すべきだ、公共事業のあり方全体が問われていて、ダムありきという河川行政を改める必要がある。真の意味での住民の参加を求めて、私は質問としたいと思います。

 終わります。

竹本委員長 次に、川内博史君。

川内委員 川内でございます。三十分しか時間がございませんので、早速質問をさせていただきたいと思います。

 今国会で大変大きな話題になり、私どもも視察に参りました関東地方整備局のタクシーチケットの利用について、お伺いをさせていただきたいと思います。

 平成十八年三月二十八日付、タクシー利用等取扱要領並びに、その一カ月後に出されております、平成十八年四月二十七日付、タクシー利用等取扱要領の運用について、この二つの文書が関東地方整備局の局内で、タクシーチケットの利用について規則として使われていたわけでございますけれども、さらに、一人で年間五百万円タクシーチケットを使ったと言われる方のチケットの、個人情報は黒塗りで消してありますけれども、コピーをすべていただきました。

 これらを拝見すると、まず、このタクシー利用等取扱要領第五条、「利用者は、払出しを受けた乗車券を利用したときは、乗車券に利用者の氏名、利用金額、利用時間、経路等必要事項を必ず記入するものとする。」と書いてございます。さらには、第六条、「所属長は、毎月の利用状況を別紙様式第三に記入し総務課長に提出し履行確認を受けるものとする。」と書かれております。

 さらには、運用についてもさまざまなことが書いてあるわけですけれども、「各部筆頭課長は、」「タクシーの利用が同一職員による使用が多くならないよう、業務配分等について各課長への指導等を行うものとする。」と書いてございます。

 この乗車券を見ますと、利用時間は全く記載されておりません。関東地方整備局の方々の乗車券を何名分かいただきましたけれども、どの乗車券にも一切利用時間は記載されていない。これは、関東地方整備局がみずから定めたタクシー利用等取扱要領内部規則に違反するということでよろしいでしょうか。

    〔委員長退席、河本委員長代理着席〕

平井副大臣 タクシーチケットの半券に時間や経路が記入されていない場合は、当該要領に形式的に抵触すると思います。

川内委員 形式的に抵触すると。形式的に抵触するとは一体いかなることか。タクシー利用等取扱要領は関東地方整備局がみずから定めたもので、利用者は乗車券に必ず記入すると書いてあります。これは、この取扱要領に違反するというふうに判断するのが、私は常識的な判断だと思いますよ。

冬柴国務大臣 三月に、こういうタクシーの利用があると、たしか参議院だったと思います、指摘されました。したがいまして、私は、三月中に規則をきちっとつくって、そしてその中には、私の常識だけれども、タクシーチケットを受け取るときに、これはどこからどこまで、何時に渡したかということも記入させるべきだと思います、そういう規則をつくります、このように約束をいたしまして、四月一日以降、そのように改めさせますということを答弁いたしました。

 そして、今御指摘の規則は、十八年三月二十八日に、その私の指示に従って各整備局で、そのとおりではないにしても、こういうことをしたわけでありまして、それ以前に使われた分については、御指摘のように、私の、規則はそうあるべしというものが満たされていないものがたくさんあったようでございます。しかしながら、四月一日以降はそういうことはないように、改めさせていると思います。

川内委員 いやいや、今どうしているかを聞いているのではなくて、タクシー利用等取扱要領、平成十八年の三月二十八日付の関東地方整備局が定めた内部規則に、利用時間等を必ず記入することになっているけれども、利用時間が記載されていないのは取扱要領違反ですねということを確認しております。今どうしているかということを聞いているんじゃないです。形式的に違反するとかではなくて、違反していますねということを聞いているんですよ。

冬柴国務大臣 二月二十日とか二月十九日とか十八日、そういうものを消した分が行っているんじゃないでしょうか。ですから、四月一日以降は利用時間も書かれていると思いますよ。それを書いていなければ違反です。しかし、それ以前は、残念ながらそういう規則がつくられてなかったということなんです。

川内委員 だから、私、何回も説明している。平成十八年ですよ、おととしの三月二十八日付の取扱要領に、利用時間を書きなさいと、必ず記入すると書いてあるんですよ。それを書いていないのは内部規則違反ですねということを言っているんです。

宿利政府参考人 当時のルールに抵触していたということは事実であります。

川内委員 内部規則に違反するというのは、処分の対象になりますか。

宿利政府参考人 ルールに抵触をしていたということは確かでありますけれども、ただ、処分をするかどうかというのは、ルールに抵触していたら直ちに処分をするというような話ではないと考えております。個別の事情ごとの判断をしていくということでありますが、いずれにしても、大臣から申し上げましたように、タクシーの使用については、この四月から新しいルールにのっとって、省内にその遵守を徹底しておりますので、きちっと行われていると考えております。

川内委員 居酒屋タクシーについて、国土交通省事務次官は、道路運送法違反ではないかということで、タクシー会社に調査をかけるというふうにおっしゃっています。人には厳しく身内には優しく。ルールに違反していてもそれは直ちに処分の対象になるかどうかはわからない、そんなことを言っているから国民の皆さんから国土交通省がますます信頼を失うということになると私は思います。国土交通省の職員の方が、国会の近くですれ違ったときに、子供たちがうちのパパは国土交通省に勤めていると自慢して言えるように国土交通省を早く立ち直らせたいと言っていましたよ。そういうふうにするためには、私は、きちんと精査するべきものは精査する必要があると思いますよ。

 大臣、聞いてくださいよ。一番使った人の一日の最高額は四万円、最低額は二万円。それはどうしてですかと参議院で聞かれたときに、道路が渋滞していた、だから経路が違うんだ、帰った経路が違うんですというふうに御答弁されていらっしゃいます。

 しかし、では渋滞していたというのはどのぐらい渋滞していたんですかと、きのう、資料を出してくださいと申し上げましたらば、圏央道を経由して帰った平成十九年九月四日深夜に渋滞があったかどうか問い合わせしたところ、保存されていた首都高速道路株式会社の渋滞長の記録により渋滞が確認された、渋滞は深夜一時四十五分が二キロ、二時が二キロ、二時十五分が二キロ、二時三十分は一キロ。

 渋滞一キロというのは大体五分で通過するんですよ。渋滞一キロ、渋滞二キロですよ、たった。それを迂回するために、倍額、圏央道を使ってしかも時間を倍かけて帰ることが、果たしてこの取扱要領に書いてある「予算の効率的な執行を図ることを目的とする。」という第一条にそもそも抵触しないのかということから、私は、もう一度このタクシーチケット問題についてしっかりと調査をする、不正がなかったかどうか、処分を含めて調査することが必要だというふうに思います。

 しかし、大臣は再調査をすることが必要だとは多分おっしゃらないでしょうから、もう答弁は求めません。大変残念なことです。

 さらに、もう一つ聞かせていただきます。公用車の運転業務委託について質問させていただきます。

 昨日いただいた資料でございますけれども、平成十五年から十九年の車両業務委託実績というこの一覧表でございます。十五年から十九年までの車両管理委託業務の契約業者そして指名業者を一覧表でつくっていただきました。時間的に間に合わないということだったものですから、東北、関東、北海道開発局は除いておりますが、この一覧表にある国道事務所の数は幾つでしょうか。

宿利政府参考人 この資料にあります道路関係事務所は七十二事務所であります。

川内委員 七十二の事務所が五年間で三百六十回入札を、契約をしているわけでございますが、この中で、各事務所の五年間の契約のうち、契約会社がかわった事務所は幾つありますか。三百六十回の入札の中で前年と契約会社がかわった入札は何回ありましたでしょうか。

宿利政府参考人 十五年度の分につきましては前年度のデータがありませんからちょっとわかりませんが、十六年から十九年度までの四年間について確認をいたしますと、委託業者が前年度とかわった事務所は一事務所であります。

川内委員 七十二の事務所の中で契約先の会社がかわったのは一事務所。

 さらに、入札は三百六十回行われているわけでございますけれども、契約会社がかわった入札は三百六十回の入札のうち何回ありますか。

宿利政府参考人 前年度とかわったという意味では、かわった瞬間でありますから、一回ということであります。

川内委員 三百六十回の入札のうち一回しか契約先の会社がかわっていない。そこは滋賀国道事務所ですけれども、平成十八年の滋賀国道事務所の契約会社が日本道路興運株式会社から大新東株式会社にかわったのが唯一の例外。あとは、すべての国道事務所、河川国道事務所あるいは国土技術政策総合研究所などで五年連続同じ会社が落札をしている。

 さらに伺いますが、この一覧表の平均落札率を年度ごとに教えていただきたいと思います。

宿利政府参考人 この七十二事務所の各年度の平均落札率ですが、開示されているものの平均ということになりますけれども、平成十五年度が九九・四%、平成十六年度が九八・八%、平成十七年度が九八・三%、平成十八年度が九七・三%、平成十九年度が九七・〇%であります。

川内委員 ほとんど一〇〇%に近い九〇%台の後半です。

 もう一つ、入札の期日でございますけれども、平成十九年度の契約のための入札が行われたのはいつでしょうか。今把握していらっしゃる事務所だけで結構ですから、その事務所の名前と、いつ入札が行われたかということをお答えいただきたいと思います。

宿利政府参考人 現段階で把握しておりますのは、平成十八年度契約に係る六事務所の入札実施時期でありますが、中国地方整備局の鳥取河川国道事務所が平成十八年三月三十日、中国幹線道路調査事務所が平成十八年三月二十八日、四国地方整備局の徳島河川国道事務所が平成十八年三月三十日、四国技術事務所が平成十八年三月二十九日、九州地方整備局の佐賀国道事務所と九州技術事務所が平成十八年三月三十一日ということであります。

川内委員 大臣、これはどういうことかというと、ほとんど年度末に入札を行って、新しい業務は、契約は四月一日からスタートするんですね。ほかの事務所を調べても、恐らくほとんど年度末に集中する。入札が年度末に集中し、新しい契約は四月一日からスタートをする。これはどこが仕事をするかもう最初から決まっているということが大いに疑われるわけです。平均落札率も九〇%台の後半である九七、九八、九九ということですね。

 私は、これは業者の間で指名競争入札がずっと行われている、競争性もほとんどないという中での契約ですが、なぜこんな契約になるのか、大臣の御所見を手短にいただきたいと思います。

冬柴国務大臣 いろいろと御指摘をいただいたところでありますし、最近、新聞紙上で、このような契約の中で談合を疑わせるような記事が出ました。しかも具体的な名前が挙げられました。私は、直ちにそれについて調査をいたしまして、公正取引委員会にも報告をいたしました。

 私は、過去にもさかのぼって具体的に調査をしてみたい、このように思いますし、そのように担当の者には命じてあります。

川内委員 国土交通省としても調査をする、さらに公正取引委員会には報告をしてあるということでございますが、本日、公正取引委員会にも来ていただいております。この国土交通省の全国の国道事務所などの車両管理業務委託契約について、日本道路興運株式会社や日本総合サービスなどによる入札は、談合、すなわち独占禁止法で禁止されている不当な取引制限であると私は思料いたします。なぜかなら、平均落札率が異常に高い、さらには入札の期日も年度末に集中をしている、そして同じ会社が独占的に受注を続けている、これらの三点の事実によって、不当な取引制限に当たるのではないかということを思料するわけでございます。

 独占禁止法第四十五条に基づいて、この事実を公正取引委員会に申告したいというふうに思いますが、公正取引委員会として受理していただけますでしょうか。

山田政府参考人 ただいま御指摘なさった件につきましては、公正取引委員会として申告としてお受けいたします。

川内委員 今のお受けいたしますというのは、国土交通省の調査とは別個に公正取引委員会としても調査を進めるという理解でよろしいでしょうか。

山田政府参考人 申告内容を検討いたしまして、公正取引委員会としても必要な対応をとっていきたいと考えております。

川内委員 よろしくお願いします。

 それでは次に、費用便益分析マニュアル、BバイCのことについて質問いたします。

 ことしの秋、新たな交通需要予測とあわせて、費用便益分析マニュアルが今国会での議論も含めて改定をされるというふうに承知をいたしておりますが、検討状況あるいはプロセス、今後どうなるのかということについて教えていただきたいと思います。

宮田政府参考人 お答えいたします。

 道路事業の事業評価手法、BバイCも含めた総合評価等でございますが、これにつきましては、第三者の有識者委員会、第一回はあす開くことにしております。きょう記者発表を予定してございます。公開で行います。議事録も公開でございます。

 それから、委員お尋ねのどういうスケジュールでということでございますが、今後、委員会で何回か御審議をいただく必要があるだろうと思っていますが、いずれにしろ、ことしの秋までに結論がいただけるように審議をしていただく、そういうことをお願いしてございます。

川内委員 先日新聞で拝見いたしましたが、国土交通省では、公共事業の費用便益分析にCO2の排出量の削減額というんでしょうかね、炭素トン当たり一万六百円で金額換算して便益に加えるということを読ませていただきました。

 例えば道路整備については、地方の幹線道路のネットワーク整備などで具体的にどのようなCO2排出量の削減が見込めるのか、さまざまな見込みがあろうかと思います。しかし、他方で、道路建設そのもののCO2の排出や、あるいは、ミュージカルの中にあった、山も谷もアスファルト、ランランランランランじゃないですけれども、山や谷を削り、あるいは森林伐採をすることによるマイナス効果というものもあるわけでございます。

 結果として、プラス便益だけじゃなくてマイナス便益になる可能性もこれはあるというふうに思いますが、この炭素トン当たり一万六百円という金額を今パブリックコメントにかけていらっしゃると聞いておりますけれども、ちょっと御見解を聞かせていただきたいと思います。

佐藤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、炭素トン当たり一万六百円につきまして、CO2削減効果の貨幣換算の原単位の案を現在パブリックコメントにかけているところでございます。

 委員御指摘のとおり、公共事業には、効率的な道路整備等により渋滞の解消を通じて二酸化炭素排出量を削減するなどの効果がある一方、公共事業の建設に伴う資材の生産あるいは建設機械を活用した工事において二酸化炭素を排出するという負の効果もあると認識しております。

川内委員 あすから始まる第三者検討委員会では、今御答弁のあったプラスの便益あるいはマイナスの便益をしっかりと検討する、議論するという理解でよろしいでしょうか。

宮田政府参考人 お答え申し上げます。

 先ほど佐藤技術審議官が答弁しましたのは公共事業全体のCO2に関するものでございますが、そういうものも踏まえまして、今国会で費用便益分析を含む事業評価の手法についてさまざまな御指摘をちょうだいいたしました。今回のCO2削減に関しましても、プラスの要因だけではなくてマイナスの要因も考慮すべき、そういう御指摘でございます。

 国会での議事録を委員会、委員の皆様方に紹介するなどして、どのような審議がなされたか報告した上で、より厳格な事業評価手法を確立すべく検討を進めてまいりたいと考えてございます。

川内委員 より厳格な事業評価手法を確立すべく検討を進めていくということでございますが、事業官庁である国土交通省あるいは事業部局が事業評価手法を検討するだけではなく、さまざまな知恵を結集していくべきであろうというふうに思います。

 そこで、財務省にお伺いしますが、来年度から道路特定財源が全額一般財源化されるわけですから、このBバイC、費用便益分析も事業推進官庁にお任せをするだけではなく、財務省としてもこの秋に向けて積極的に評価手法の議論の過程に意見を申し上げていくべきであろうというふうに思いますが、財務省としての御見解を聞かせてください。

香川政府参考人 公共事業の事業評価に当たりましては費用便益分析が大変重要だということは、かねてより累次の財政制度審議会答申でも指摘されておるところでございます。先般、二十一年度予算に関しまして答申をいただいておりますけれども、そこでも、需要予測の見直し等による事業評価の厳格な適用により、新規採択の絞り込みなど事業見直しの徹底等を図るべきというようにされております。

 財務省としましても、費用便益分析の基準が厳格なものとなるよう、予算編成過程を通じて国土交通省とも協議してまいりたいというように思っております。

川内委員 ちょっと時間がなくなってきたんですが、事業を進める側というのはどうしても便益を大きく見積もる、費用を小さく見積もるということで、事業をやりたいという気持ちは私はよくわかります。

 そこで、BバイCをある程度高目に新規事業採択の条件にすべきではないか。具体的には、例えば三にする。中川秀直案ですけれども、三にすると、三に達しないものをつくらないというんじゃないんですよ、三になるようにルートや工法や規格を見直してコストを考えるということによって、予算の本当の効率的な執行というものができるようになるのではないかというふうに考えております。

 これは意見として最後に申し上げておきたいというふうに思います。ルート、工法、規格を見直すことによってコストが大幅にダウンするよというのは国土交通省御自身が言っていることですから、それを私もそうだねと思うから、こうして意見として申し上げさせていただきました。

 そこで最後、大臣の御見解をもう一度確認させていただきますが、関東地方整備局道路計画第一課は、一人で年間五百万円タクシーチケットを使う人、四百万円使う人、二百五十万円使う人など、計画第一課だけで年間三千万円タクシーチケットを使っていたわけでございまして、そういう使用の実態に対して、今までは適正に使用が行われていたと国会で答弁されていたんですね。今まで、問題なかったですよ、問題なく使用されていたんですよと。しかしきょうは、タクシー利用等取扱要領に違反していたということを、官房長も大臣も副大臣もおっしゃられた。

 ということは、私は先ほど答弁は要りませんと言いましたけれども、渋滞がたった二キロしかないのにわざわざ圏央道を経由して四万円もかけて、四万円タクシーに乗るといったら大変な時間ですよ。私は乗ったことがないですよ。そんな大変な時間タクシーに乗るというのは、これは、本当に適正な使用であったのかどうか関東地方整備局にもう一度本省からも人が乗り込んでいってきちんと調査をするということは、私は最後、大臣におっしゃっていただきたい。やはり改めて思い直したので、改めて尋ねさせていただきます。

冬柴国務大臣 調査をいたします。

川内委員 終わります。

河本委員長代理 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 大臣、連日お疲れさまでございます。きょうがもしかしたら今国会の最後の質疑かもしれませんので、今までの今国会の総括も含めてお尋ねをしたいと思います。

 今回の国会でいろいろな部分が、無駄や、ある意味では不適切な予算執行も含めて明らかになりました。ただし、それはそれとして、大臣も繰り返し御発言をされているように、ぜひきちっとした厳正な執行体制をこれから確立していっていただきたいというお願いと、やはりそうはいっても、国交省の存在意義というものはこれからもあると私は思います。社会資本の整備をどういう形でしていくのか、そして、国民、地域が押しなべて安心で安全に生活のできる、その基盤を担っているのが国交省の役割であります。

 ただし、これも何度も委員会で指摘をさせていただいたように、今までみずからが事業を執行し、ないしは管理監督をしていたということですね。ある意味では、産業育成とかそういう視点が非常に弱いという点も私は指摘をさせていただきました。

 冒頭お尋ねをしたいのは、今までの住宅行政についても、昨年の六月の建築基準法の審査強化ということで、GDPが何%かというのは諸説ありますけれども、四兆円近く減少してしまった、これも現実の評価であります。あわせて、その中で、ではこれから住宅行政をどうするかという視点が非常に弱かったというふうに私は思っています。

 そして、五月の四川の大地震の際に、これは前回も指摘をさせていただいたように、学校、公共施設を含めた、いろいろな意味で、地震に対してこれからどんな形で社会資本の整備をしていくのかというふうな視点を前半にお尋ねしながら、最後に、今回の国会で一番大きなテーマでありました道路の話について、大臣にお尋ねをしたいと思います。

 冒頭、国交省の方にお尋ねをしますが、前回の六月三日の日にもお尋ねをしましたが、いわゆるこれから防災拠点になる公共建築物の耐震化、実際まだ六割、要するに四割が耐震化になっていない。これから九割に向けて計画的に耐震化を実現するという話でありましたが、正直言って、全体の数字がなかなか見えません。

 そういう意味で、いろいろな前提を置いての試算でも結構でございます。住宅や公共施設について、これから九割に向けて耐震化をするとしたら、どの程度のコストがかかるのか。そして、そのうち国税としてどの程度の税投入をしなければならないのか、一括してお尋ねをしたいと思います。

    〔河本委員長代理退席、西村(康)委員長代理着席〕

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 仮定を置いた数字になりますので、漠とした数字になりますが、まず、改正耐震改修促進法に基づきまして国土交通省が示しました基本方針では、住宅とか多数の者が利用する一定規模以上の建物につきまして耐震化率を、平成十五年現在で七五%あったものを二十七年には九割、こういった目標を掲げております。

 住宅については、現在、平成十五年の直近調査では、四千七百万戸のうち耐震性が不十分なもの千百五十万戸、これを九割に持っていくためには、いわゆる耐震性の不十分なものを六百五十万戸減らす必要がある。その内訳は、建てかえが五百五十万戸、改修百万戸、こう踏んでございます。

 ちなみに、この百万戸の改修が改修費用と考えますと、年当たり八万五千戸、一戸当たり百五十万と仮定すれば、平成十六年から二十七年、合計で約一兆五千億、年当たり千三百億円、こういったオーダーになります。

 加えて、住宅以外の多数の者が利用する建築物につきまして、平成十五年現在で、総数三十六万棟のうち耐震性が不十分なものが九万棟、こう推計したものでございます。これを九割に持っていくためには、耐震性の不十分な非住宅を五万棟減らす必要がある。その実現方策として、二万棟が滅失で、三万棟が改修とこの基本方針では仮定してございました。

 そうしますると、年当たり二千五百棟でございますので、仮に一億円かかると思いますと、平成十六年から二十七年までで三兆円、年当たり二千五百億円。都合、住宅、非住宅合わせまして、年当たり三千八百億円程度の改修費用がかかると考えております。

 そこで、お尋ねの国費でございますが、すべてがすべて補助金をもらって改修するわけではございませんが、現在の耐震改修事業の補助率は、細かい話になりますが、要件によって、国費率七・六%から三分の一、こういった幅がございます。仮に、全体をならして一割と仮定して、今申し上げました事業の半分ぐらいが補助事業の対象になると仮定しますると、年当たり約百九十億円ぐらいの国費がかかる、こう仮定しております。

 先生の御指摘でございますので、あくまでも仮定に仮定を重ねた数字でございますが、その辺は御容赦願いたいと思います。

後藤(斎)委員 今局長がお答えをいただいた部分で、まとめて言えば、大体三兆八千億くらいかかるということですよね、局長。そのうち、国税投入が、これから伸ばしていけば十年間で一千九百億ということですね。わかりました。

 きょうは、文科省の方にも来ていただいております。

 実は、先般も局長の方からお答えをいただいたように、今、地震防災緊急事業五カ年計画を推進しております。平成十八年度から第三次五カ年計画ということでありますが、これは、ある資料の中で、一期計画が平成八年から十二年、二期五カ年計画が十三年から十七年でありますが、特に文科省が今直接担当なさっております公立小中学校等という部分が、第一次五カ年計画で計画額が一兆四千億ぐらいだったものが、実際、実績ベースだと七千六百億、進捗率五六%。第二次五カ年計画では、対象が五千八百四十学校ということで計画をしておりまして、約一兆円の計画額でありましたが、実績は五千九百億で五五%ということで、まだまだほかの事業の項目に比べれば非常に低い率になっています。

 先般、学校の耐震化ということで立法作業が終了し、これから国庫の負担率も上げながら、特に公立小中学校の耐震化の診断並びに耐震強化をしていくというお話になっておりますが、今の点も含めて、文科省は学校の耐震化ということについてどのような現状認識をお持ちでしょうか。

岡政府参考人 お答えいたします。

 現状認識ということでございますけれども、耐震化の現状ということで、耐震化率ということでお答えしたいと思います。

 学校施設の耐震化率については、平成十九年四月一日現在、公立小中学校施設で五八・六%、私立学校施設、これは幼稚園から高等学校まででございますけれども、六三%ということで、まだまだ耐震化を私ども進めていかなくてはいけないというふうに考えているところでございます。

後藤(斎)委員 先ほど国交省にもお尋ねをしましたが、今文科省の方では、これからその整備に要する総コスト並びに税投入の内訳も含めて、もしおわかりになりましたら、お答えをいただけませんでしょうか。

岡政府参考人 お答えいたします。

 耐震化に要する費用ということですけれども、学校施設はいわゆる一品生産という形になっております。耐震化に要する費用というのは、その学校の規模とか形状とか老朽度合いの違いとか、あるいは、耐震補強するのか、改築などの整備方法、いろいろありまして、それぞれさまざまな状況になっております。

 このようなことから、すべての学校施設の耐震化に要する総事業費について算出することは、現在極めて難しい状況であると言えると思います。

後藤(斎)委員 通告していないんですが、先ほどお尋ねをしたように、地震防災緊急事業五カ年計画で計画額を積算しますよね。その際には、今お尋ねをしたような、この程度かかるという部分の積算はするのではないでしょうか。確認だけで結構です。

岡政府参考人 地震防災計画の五カ年計画の金額でございますけれども、四十七都道府県から出してきておりますけれども、それを私どもとして精査して、このくらいの金額ということでは今把握しておりません。

後藤(斎)委員 後で大臣にまとめてお尋ねしますが、きょう、保坂政務官にもお越しをいただいています。

 実は私、気になっているのは、さきに、地震防災対策特別措置法の一部を改正する法律ということで、公立幼稚園を整備対象に追加したり、公立小中学校の耐震診断の実施の義務づけ並びに耐震診断結果の公表の義務づけということ、さらには国庫補助率の引き上げということが決定をされております。その中で気になっているのは、実は、学校といってもいろいろな学校があって、当然、文科省が直接補助率を引き上げて促進する部分と、これは配慮規定で、私立の小中学校の耐震改修工事への配慮という規定はあるんですが、中身はまだ決まっておりません。

 今学校がどういうふうな状況になっているかというのは、釈迦に説法でありますが、あえて数字を指摘させていただくと、全国の小学校、中学校、私立だけで小学校が百八十一校、中学校が六百七十校。高等学校は全体で五千四百校、うち私立校が千二百九十校ということで、実は公立学校だけではなく私立学校も含めてお尋ねをしたいんですが、なかなか私立の状況はわからないということだと思うんですね。

 高等学校への国の支援というのが基本的には明定をされておりません。一般財源でそれぞれの県や市がやられているということで、多分、配慮規定もないというふうに認識はしておりますが、文部科学行政全体を所管されております文科省におかれましては、やはり高等学校についても耐震化ということをきちっとサポートしていく仕組みをつくっていただきたいというふうに思うんですが、政務官、どのようにお考えでしょうか。

保坂大臣政務官 御答弁させていただきます。

 公立の高等学校の施設整備に関しての補助につきましては、国と地方の役割分担などの観点がございまして、一般財源化されているところであります。

 御指摘の公立高等学校施設につきましても、生徒の安全性を確保する必要があり、避難所としての役割も十分果たさなければならないというところであります。耐震性を確保するということは非常に重要であります。このため、小中学校等と同じように、特に危険性の高い建物の耐震化を緊急に進めるよう、地方公共団体に要請をいたしているところであります。

 後藤委員が懸念をされていますように、高等学校の耐震化率は全国平均でも六〇・九%と割かし低いわけでありますので、公立高校で避難所に指定されているところも、学校数が二千四百十七というふうに比較的多いわけでありますから、設置者の御理解もいただきながら努力をしていきたい、こんなふうに思っております。

後藤(斎)委員 それと、政務官、もう一点、先ほどもちょっと指摘をさせていただいたように、私立の小中、高も含めて、小中だけは明示をしながら、耐震改修工事への配慮ということで、今後、財政上及び金融上の配慮をするということになっていますが、今いろいろな多様化の中で学校教育がなされているという現状認識の中で、やはり私立の小学校、中学校、高等学校もそれぞれの地域でかなり増加をしているということも踏まえて、ここについても、もちろん財政的な制約はあるにしても、文科省がきちっとサポートをするという姿勢は、私も子を持つ親として、やはり必要だと思うんですが、その点についてはいかがでしょうか。

保坂大臣政務官 私立の小中高の耐震化につきましてですが、学校教育法第五条によりまして、学校の設置者は、その設置する学校を管理、また、その学校の経費を負担しなければならないことになっております。学校施設の整備につきましても、私立学校については、学校を設置する学校法人がそれぞれの費用を負担する、また整備をしていただくということが基本になっております。

 ですが、御指摘していただいておりますように、施設の耐震化につきましては、児童生徒の安全性を確保する上からも特に緊急な対応が求められていること等にかんがみまして、国庫補助を行っているところであります。

 耐震関係の予算につきましては、平成二十年度当初予算におきましては十五億ほどでありますが、前年に比べまして三億円増というふうなことにはいたしております。

 したがって、学校法人の施設整備に伴う資金調達に支援をするという観点から、日本私立学校振興あるいは共済事業団において長期、低利融資を実施、指導しているところであります。文部科学省としましては、これらの支援を通じて、私立の小中高等学校の施設の耐震化が円滑に進むよう努力をしてまいりたいと存じます。

後藤(斎)委員 どうもありがとうございます。

 大臣、学校は文科省、下水も実は、せんだって日経新聞にも、下水の耐震化二五%どまりということで、特に、避難所になる想定を先ほど保坂政務官からもお答えいただいたように、学校が非常に多いわけですね。そういうところの下水の耐震化というのが実際できていない。大臣も、平成七年の阪神・淡路大地震のときにもやはりトイレという問題で非常にお困りになったというふうにお聞きをしております。

 そういう意味で、私は、中央防災会議が平成十七年に指摘をしているように、やはり各省がきちっと連携をする、耐震化という法律の所管は国交省でありますから、国交省がトータルのコーディネートをするというふうなことの中で、国民生活の安全、安心ということをきちっと担保していただきたいと思うんですが、その点について大臣の御所見をお願いしたいと思います。

冬柴国務大臣 委員御指摘のとおりでございまして、耐震化率を引き上げる、これによって、四川の大震災の結果を見ても明らかなように、ああいう悲劇が我が国で起こることのないように、我々は、阪神・淡路大震災だけではなしに、新潟中越地震、新潟中越沖地震等々大きな地震を最近も経験しているわけでございますから、その轍を踏まないように、我々もそれを進めてまいる決意でございます。

後藤(斎)委員 そして、次の建設業の話にちょっと移らせてもらいます。

 これも私は、この委員会で、今国会で何度か大臣にも御質問をしました。基本的には、副大臣もそばにいながらいろいろな部分でお聞きをいただいていると思うんですが、この一年、二年のいろいろな状況を見ると、先ほど住宅のトータルの要するコストみたいなお話を聞いたのも、三兆八千億というのは本当にこんなに少ないのかなと私は実は思っているんですが、建設業に従事されている方が倒産をしている現状、そして公共事業がこれからふえるというのは時代背景としてなかなか難しいということ、なおかつ制度が変わったことで審査に落ちたりいろいろな突き返しがあって、実際、着工件数が減った。さらには、この半年間くらいの中では、資材価格が高騰して、原価割れをしてもという昔のような赤字覚悟の入札を公共事業もできない。民間もたたき合い。そうであれば、建設業に従事されている五十万強の皆さん方が、ではこれからどんな形で仕事を自分たちでしていかなきゃいけないのかということを指摘させてもらいました。

 よくよく考えれば、よくこれも御答弁の中でお聞きをしたんですが、やはり一番ピークのときに比べてまだまだ事業者数が、建設投資は官民合わせて半減近くなっているものが、事業者数はピーク時に比べて減ってはいるもののほとんど同じくらいの比率であるということであれば、通常の需給バランスであれば、仕事がなくなってくれば、要すれば単価を非常に下げていくか、ないしは、それに耐え切れない方は市場から撤退をして、バランスがとれて適正な利潤を取れるような仕組みになる、これが基本的には市場メカニズムだと思うんです、簡単に言えば。

 ただ、それが、公共事業という部分が今は比率的にはだんだん少なくなってはきたものの、いまだに三割から四割近く地域によったら当然あるし、民間もなかなか、これから人口が減少する、そういう中で先が見通せない。いろいろな部分が交錯をしながら、建設業をこれからどういうふうな形で育成するのか否か。大臣は前回のときにも、やはり地域の災害対策の部分も含めて絶対残さなきゃいけないんだという強い意思を示していただきました。

 きょうは平井副大臣にお尋ねをしたいんですが、そういう中で、今、国土交通副大臣として、長く今国会でやられた副大臣として、これから建設業、特に地方の中小建設業を、供給と需要の観点も含めて、どういうふうな形で育成する、発展させていくのかということで御答弁をいただけないでしょうか。

平井副大臣 本当に地方の中小企業というのは今大変な状況でありまして、特に建設業は、仕事が減っているというようなこともありますし、景気の問題もありますし、金融機関の対応もあるし、法律もあるし、いわば大変厳しい状況であるということは皆様方と同じ気持ちであります。

 それで、防災協定の締結とか、地域貢献、施工実績等を重視できるような仕組みとした特別簡易型総合評価方式の導入、拡大を推進しています。これは、公共工事を受注しようとする建設業者が受ける経営事項審査、経審において、地域における防災活動への貢献を適切に評価する、つまり、点数を上げましたということを今行っています。

 あと、建設業者が経営革新に関するサービスを一カ所で受けることができるワンストップサービスセンターを都道府県ごとに設置しまして、各関係省庁と連携して支援しているほか、地域の中堅中小企業が行う新分野進出や経営の合理化、合併、統合、事業承継の円滑化等の先導的な取り組みを今年度公募していくつもりであります。

 いろいろ、一つの政策で解決できる問題ではないと思っておりますので、総合的に対応していかなきゃいかぬと思っています。

後藤(斎)委員 副大臣、おっしゃっていることは国交省から何度も聞いているのであれですが、そこは、政治として本当に、公共事業をふやすことはなかなかできないけれども、きちっと対応するという意思がこれは非常に見えにくいのかな。

 もちろん、無駄な経費や必要以上のコストをかける必要もないし、ただ、この間も指摘をさせていただいたように、今のままの価格水準であれば、もう参入をしたくもないしできない、むしろ廃業したいと。廃業促進ということも含めて、これから明確に意思を国交省として、これは自治体とも、ほかの省庁とも連携しなければいけないかもしれませんけれども、そういう部分で需給のバランスを、少なくとも、供給主体の事業者の方が緩やかに減るような状況、ないし、民間の建設投資も含めて、きちっとお仕事が確保できるような状況、やはりこの二つが両輪でなければ、何か逃げているような感じが私はしてならないんです。

 多分御答弁できないかと思うので、ぜひそういうことも含めて、これから、今構造的にもそういう状況になっているんだという、その構造を変えるということを含めて考えていただきたいと私は思いますので、要望しておきたいと思います。

 何かもう時間が来ちゃいましたので、あと三分くらいなんですね。最後に、ちょっと道路の話をさせていただきます。

 これは今の話にも関係をするんですが、今まで大臣は、少なくとも四月までは、一般財源化はだめで、特定財源を維持しながらきちっとした道路をつくっていく、道路整備する、これは社会資本という部分で。それが一般財源へと変わった。当然、これから道路整備に要する費用というものは、もしかしたら去年と同じかもしれませんけれども、通常であれば、ほかのものにも使っていくということで、予算は減っていく。ただし、きょうも冒頭お話をさせていただいたように、必要な道路や社会資本の整備というものは、当然必要なものですからやる。そこの矛盾を、大臣がこれから財務省との調整や省内の調整をどうするかというところにかかってくると思うんです。

 それをどういう覚悟をするかということと、あわせて、大臣が従来から、必要な道路はつくるんだ、私たちもそう思います。大臣にとって真に必要な道路というものは何なのかということも含めて、最後に御答弁をお願いしたいと思います。

冬柴国務大臣 私の考え方は全く変わらないのでございまして、真に必要な道路はつくらなければならない。十三日の閣議決定の中でも、「必要と判断される道路は着実に整備する。」というくだりもあります。

 私は、道路整備あるいは道路行政を預かる立場として、整備だけではなしに保守管理、これも随分な圧力になってまいります。しかしながら、私はここで何回も申しますように、地方における道路のネットワークというのができていないんですよ。そういうものはきちっとしなければ、地方の悲願と言ってもいいようなもの、そういうものはしなきゃならない。

 都市部においてどうかというと、都市計画道路でもまだ五五%しかできていないんですね。これも何回も言っていますけれども、東京都の踏切の数、六百七十三ありますよ。それで、連続立体交差できるのは、そのうちでも千四百。これは東京だけじゃないですよ、全国合わせて千四百カ所ぐらいしかできない。それでも五十九兆円というような見積もりが出てくるわけです。

 通学路においてもそうです。子供たちが毎日四十人以上使っている四万四千キロの道路が歩道がないというのは、これは本当に許されないと思うんですね。路肩を一列で歩いている。

 そういう意味で、必要な道路というのはあると思いますので、私は、道路を所管する者として、道路についての税制がどうなろうとも、この問題について必要なものは確保するように一生懸命かたい決意で取り組んでまいりたいというふうな決意でございます。

    〔西村(康)委員長代理退席、委員長着席〕

後藤(斎)委員 またいろいろな議論をする場が秋以降、もしかしてあるかもしれません。よろしくお願いします。

 最後に、三月に、いわゆるトラック業界の関係で燃料価格が高騰している、特に軽油がということで、燃料サーチャージ制が導入をされました。届け出が五月末で百二十数件というお話は聞いておるんですが、現状、やはり今まで価格転嫁できなかったのは、大臣もこの委員会で、いや、ちゃんと転嫁すべきものはすべきだというふうなことをお話ししていましたが、後でいろいろお聞きをすると、実際問題、事業者数も、また厳しい厳しいと言いながら、零細というか何台かしかトラックをお持ちになっていない事業者の方も逆にこの間ふえているという非常に不思議な現象があるわけですね。通常であれば、厳しければ淘汰をされて数が少なくなる、事業者数が少なくなるというのが普通だと思うんですが、そうではない。

 これから、トラック業界の育成という観点も含めて、やはりなくてはならないものですから、健全な育成という点が必要だというふうに思うんですが、その点、導入の今の状況とこれからの健全育成について、あわせてお尋ねをしたいと思います。

本田政府参考人 お答え申し上げます。

 まず、トラック運送業に対しての燃料サーチャージ制の導入の状況でございますが、きょう時点で二百七十九社から届け出が出ております。その中でも、とりわけ先月末に業界最大手の日本通運が燃料サーチャージ制の導入を図りました。

 また、各地域を代表するようなトラック事業者においても今順次導入が進んでおりますが、やはり、これは先生、最後は民間と民間の価格交渉の問題でございます。どうしても時間がかかりますが、私ども、トラック事業者あるいは荷主の方々に対する活動を今後とも継続してまいりたいと思います。

 それから、御指摘のとおり、我が国のトラック事業者は現在六万三千社ございます。大変熾烈な競争、しかも非常に零細な事業形態でありますので、どうしても取引上の立場が大変弱いという構造的な問題がございます。

 したがって、これも三月にまとめさせていただきましたけれども、荷主さんとトラック事業者、また、トラック業界の中でも元請と下請、この関係の取引をいかに適正化していくか、これがやはりこの産業を健全化していく一番根本の問題だと思います。そのためのガイドラインを三月十四日にあわせて決定をさせていただいておりますので、この点についても地道にその定着を図ってまいりたい、こう考えております。

後藤(斎)委員 以上で終わります。

 大臣、臨時国会もまたよろしくお願いいたします。ありがとうございました。

     ――――◇―――――

竹本委員長 次に、内閣提出、長期優良住宅の普及の促進に関する法律案を議題といたします。

 趣旨の説明を聴取いたします。国土交通大臣冬柴鐵三君。

    ―――――――――――――

 長期優良住宅の普及の促進に関する法律案

    〔本号末尾に掲載〕

    ―――――――――――――

冬柴国務大臣 ただいま議題となりました長期優良住宅の普及の促進に関する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。

 平成十八年六月に制定されました住生活基本法においては、ストック重視の住宅政策に転換することとしております。これを踏まえ、住宅が新築されてから三十年程度で取り壊されるという無駄遣いをやめ、より長く大事に使おうとすることが重要となっております。

 こうした取り組みにより、住宅の解体に伴う廃棄物の発生といった地球環境への負荷を低減するとともに、建てかえコストの削減によって国民の住宅に対する負担を軽減し、より豊かで、より優しい暮らしへの転換を図ることを目的として、この法律案を提出することとした次第です。

 次に、この法律案の概要につきまして御説明申し上げます。

 第一に、国土交通大臣は、長期優良住宅の普及の促進に関する基本的な方針を定めることとし、この基本方針には、長期優良住宅の普及の促進のための施策に関する基本的事項等を記載することとしております。

 第二に、住宅の構造及び設備を長期使用構造等とし、みずから建築後の住宅の維持保全を行おうとする者等は、当該住宅の建築及び維持保全に関する計画を作成し、所管行政庁の認定を申請することができることとするとともに、所管行政庁は、認定の申請に係る長期優良住宅建築等計画が一定の基準に適合すると認めるときは、その認定をすることができることとしております。

 第三に、長期優良住宅建築等計画の認定を受けた者は、認定長期優良住宅の建築及び維持保全の状況に関する記録を作成し、これを保存しなければならないこととしております。

 第四に、長期優良住宅の普及を促進するため、認定長期優良住宅の流通を促進する制度の創設や、高齢者が維持保全に関する工事に必要な資金を死亡時一括償還融資で借り入れる場合における高齢者居住支援センターによる債務保証の実施等の措置を講ずることとしております。

 以上が、この法律案を提案する理由であります。

 この法律案が速やかに成立いたしますよう、御審議をよろしくお願い申し上げます。

竹本委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十六分散会


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