衆議院

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第12号 平成21年4月7日(火曜日)

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平成二十一年四月七日(火曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 望月 義夫君

   理事 奥野 信亮君 理事 菅原 一秀君

   理事 中山 泰秀君 理事 福井  照君

   理事 山本 公一君 理事 川内 博史君

   理事 後藤  斎君 理事 上田  勇君

      赤池 誠章君    稲葉 大和君

      浮島 敏男君    江崎 鐵磨君

      遠藤 宣彦君    小里 泰弘君

      大塚 高司君    太田 誠一君

      岡部 英明君    鍵田忠兵衛君

      北川 知克君    佐田玄一郎君

      七条  明君    島村 宜伸君

      杉田 元司君    高鳥 修一君

      長崎幸太郎君    長島 忠美君

      西銘恒三郎君    原田 憲治君

      藤井 勇治君    松本 文明君

      盛山 正仁君   吉田六左エ門君

      若宮 健嗣君    石川 知裕君

      小宮山泰子君    高木 義明君

      長島 昭久君    長安  豊君

      三日月大造君    森本 哲生君

      鷲尾英一郎君    高木 陽介君

      谷口 和史君    穀田 恵二君

      糸川 正晃君

    …………………………………

   国土交通大臣       金子 一義君

   国土交通大臣政務官    谷口 和史君

   国土交通大臣政務官    西銘恒三郎君

   政府参考人

   (外務省国際法局長)   鶴岡 公二君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           坂本 森男君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  金井 道夫君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  和泉 洋人君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  前田 隆平君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 井手 憲文君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    岩崎 貞二君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  亀岡 偉民君     浮島 敏男君

  七条  明君     北川 知克君

  長島 忠美君     高鳥 修一君

  鷲尾英一郎君     長島 昭久君

  亀井 静香君     糸川 正晃君

同日

 辞任         補欠選任

  浮島 敏男君     亀岡 偉民君

  北川 知克君     七条  明君

  高鳥 修一君     長島 忠美君

  長島 昭久君     鷲尾英一郎君

  糸川 正晃君     亀井 静香君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 高齢者の居住の安定確保に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第一五号)


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     ――――◇―――――

望月委員長 これより会議を開きます。

 内閣提出、高齢者の居住の安定確保に関する法律の一部を改正する法律案を議題といたします。

 この際、お諮りいたします。

 本案審査のため、本日、政府参考人として国土交通省道路局長金井道夫君、住宅局長和泉洋人君、航空局長前田隆平君、政策統括官井手憲文君、海上保安庁長官岩崎貞二君、外務省国際法局長鶴岡公二君及び厚生労働省大臣官房審議官坂本森男君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

望月委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

望月委員長 これより質疑に入ります。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。若宮健嗣君。

若宮委員 おはようございます。自由民主党の若宮健嗣でございます。

 質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。

 実は、私の祖父母が、もう他界をいたしております。平成六年と平成十五年に他界をいたしておるんですが、そのときに、私が親子三世帯で住んでおりましたものですから、年老いた老人の、あるいはぐあいが悪くなった老人の世話や介護など、私自身も当時、孫という立場であって、仕事もしておったんですが、休みの日などは、祖父母をおふろに入れたり、あるいは病院の送り迎えに急遽、自分が車を運転して、なかなか動けない体を抱えながら車いすに乗せて病院に連れて行ったりとか、そういった体験もございますものですから、今回出されましたこの法案に関しましては、できれば、もっと早くこういった形で法案が出されて、世の中がもっといい形で、いろいろな対策が高齢者に対してできていればな、そんな思いもいたしているところでございます。

 テレビや新聞等では、埼玉県での事件もございました。昨今、本当に急速に高齢化が進んでございます。そして、私のように、介護で家族が面倒を見られればまだいいんですが、特に高齢者の方々の、ひとり暮らしの方、また御夫婦だけでそれぞれをカバーしながらお住まいをずっと続けていらっしゃる方々、そういった、子供あるいは孫が面倒を見られない世帯の方々というのが、物すごい量で今ふえてきているかと思います。また、こういった高齢化の急速な拡大によりまして、要介護の認定者の方々の数も、これまた非常に増加の一途をたどっているところではないかと思います。

 これらの要介護認定者の受け皿として、特別養護老人ホームを初めとする介護施設、またそうした計画的な整備が今、進められているところであるとは存じますが、この高齢者がこれからさらにふえていくという現状にある中で、今一番皆さんが不安に思っているのは、本当に生活がこのまましていけるのであろうか。日本の全体の閉塞感というのも、やはり若い世帯までもが、これからの将来に若干、あるいは大きな不安を持っているので、使いたいお金も使わない、それがまた経済の収縮にもつながっているのではないかな、こんなようにも感じられるところでございます。

 高齢者が安心して暮らすという観点は、住宅に住み続けながら介護、つまり、私が実際自分でもやっておりましたが、在宅介護というのが非常に重要になってくるのではないかな、このようにも感じるところでございます。また、今後、要介護状態ではないものの、日常生活で多少体のどこかが御不自由になってしまったり、だれかの手助けが必要になってくる、こういった高齢者の方々がふえてくるのは、もう確実でございます。こうした高齢者の方々が安心して暮らし続けることができるような住宅のストックというものの量、そしてあわせて質も確保されることが強く望まれているところではないでしょうか。

 こうした状況の中で、今回のこの法改正、非常に重要なものではないかと位置づけられるかと思いますが、今回の法改正の趣旨と、そして主な内容について、改めましてお伺いをさせていただければと思います。

西銘大臣政務官 せっかくの若宮委員の御質問、大臣が閣議のため、また副大臣が公務出張のため、政務官の答弁になることをお許しいただきたいと思います。

 今回の法改正についてでありますけれども、まず大きな流れとして、住生活基本法に基づいて、住生活基本計画というものがつくられておりますけれども、その四つある柱の一つの柱に基づいた法改正だと私は見ております。

 先生御指摘のように、我が国は、今後一層の高齢化の進展が予測されております。特に高齢者の単身世帯あるいは夫婦そろって高齢者の世帯、また、先生お話ありましたように、要介護認定者が大幅に増加していくことが見込まれております。二〇〇五年で六十五歳以上の人口が二千五百七十六万人、この人口は今後さらに大きく増加していくものと予測をされております。また、要介護状態ではないものの、日常生活上、手助けが必要な高齢者も多く存在しております。

 こうした高齢者の居住の安定の確保を一層推進するためには、バリアフリー化対応がなされた住宅の確保、あるいは介護サービスや生活支援サービスが適切に提供されることが強く求められております。住宅部局が福祉の部局と連携をし、総合的かつ計画的に施策展開を行っていくことが不可欠となっております。

 このため、高齢者の居住の安定確保に関する法律を改正し、国土交通大臣及び厚生労働大臣による基本方針の策定、次に、都道府県が定める高齢者の居住の安定の確保に関する計画制度の創設、三点目に、高齢者円滑入居賃貸住宅の登録を受けるために賃貸住宅が適合していなければならない基準の設定、四点目に、高齢者生活支援施設と一体となった高齢者向けの優良賃貸住宅の供給の促進等の措置を通じて、高齢者の居住の安定の確保を一層推進するためのものであります。

 以上です。

若宮委員 ありがとうございました。

 今、西銘政務官からもお話がございましたが、これからの時代、いろいろな問題が発生してくると思うんですが、現在までの、やはり過去の役所の縦割りというか、例えば国土交通省の管轄であるから国土交通省でやる、あるいは厚生労働省の管轄だから厚生労働省でやる、こういった発想ではなく、今回の法案も一つのいい例だとは思うんですが、本当にその問題の解決に当たって、何をどうすることが最もよくて、そしてそれはどの組織が、あるいはプロジェクトチームをつくるなりの形をとって一つの物事を進めていく、これは非常にいい一つの例ではないかなというふうに思っております。

 次に、従来から、今ちょっと申し上げましたが、国土交通省では、高齢者の居住の安定確保に関する法律に基づきまして、高齢者向けの優良賃貸住宅、そしてまた高齢者円滑入居賃貸住宅といった高齢者向けの住宅の供給の促進というものに非常に努力を払われてきたところではあると思いますが、両制度の今回の法改正による改正の内容のポイントにつきましてお伺いをさせていただければと思っております。

和泉政府参考人 お答え申し上げます。

 まず一番目の、高齢者向け優良賃貸住宅でございますが、これは御案内のように、民活型で高齢者向けの優良賃貸住宅をつくるときに、その整備費や家賃補助に対して国等が支援するものでございますが、特に、今後は、介護保険サービスとか生活支援サービスと一体となってそういったものが供給される必要があるだろう。

 そこで、今回の改正におきまして、そういった賃貸住宅とサービスの提供に係る居宅生活支援施設、こういったものを一体としてつくる仕組み、これは法律上は支援施設一体型高齢者向け優良賃貸住宅と言っておりますが、これを明確に法律上位置づけました。加えて、こういった支援施設があれば、単に住宅として使うだけじゃなくて、いわゆるグループホーム等としても使えるだろうというようなことがございまして、そういったものにつきましては、社会福祉法人等に認知症の高齢者の方々のグループホームとして活用する道も開いた、これが一点目でございます。

 二番目に、高齢者向け円滑入居賃貸住宅でございますが、これは、従来は、なるべく高齢者の方々を区別しない、そういった賃貸住宅をふやすという趣旨から、特段の基準は設けておりませんでした。しかしながら、ある程度制度が定着しまして、今後はやはり最低限の基準は守るべきであろう、こういった趣旨を踏まえまして、規模、設備等に関する基準を設け、そういったものについてのみ登録を受け付ける。加えて、その状況をきちんとフォローするために、いわゆる認可権者による、都道府県知事によります報告聴取といった規定を設けて、さらにその適正化を進めてまいりたい、こう考えた次第でございます。

若宮委員 ありがとうございました。

 今も御説明いただいたのですが、こうした高齢者向けの優良賃貸住宅や高齢者の円滑入居賃貸住宅の供給、あるいは付随する福祉施設の整備を推進するということは、先ほど来お話に出ていますように、高齢者の居住の安定の確保、これは確実に安定確保できなければ意味がないということだと思うんですが、非常に重要だと思っております。

 これらの住宅、そしてまた付随の施設の供給というのは、基本的には民間の事業者が主体となり運営していくような形になってくるのではないかと思いますが、国としては、この民間の事業者に対してどういった形での支援をしていくのか、そのあたりをまたお聞かせいただければと思います。

和泉政府参考人 御指摘のとおり、こういった施策は基本的には民間を中心にやっていこう、こう考えております。

 そこで、従来から、高齢者向け優良賃貸住宅につきましては、いわゆる地域住宅交付金、こういった制度を使いまして、その整備費やあるいは地震対策について助成を行っております。加えて、こういった住宅につきまして、税制としましても、割り増し償却や固定資産税の減免を行う、こういった仕組みを通じて支援してまいりました。

 また、高齢者向けの円滑入居賃貸住宅、言うなれば高齢者を受け入れる賃貸住宅でございますが、こういったものにつきましては、家主さんの不安でございますところの、高齢者に何か事故があったときに家賃について取りっぱぐれることがあるんじゃないか、こういった不安を背景にしまして、家賃債務保証制度というものを設けまして、高齢者の方々に対して家主さんが安心して賃貸住宅を貸せるような環境をつくる、こういった努力をして支援してまいりました。今後ともしてまいるつもりでございます。

若宮委員 ありがとうございました。

 ただいま、高齢者の居住に対する生活支援サービスというようなお話し向きでございましたが、今後はまさに、このような高齢者がいろいろ買い物や、あるいは病院へ行くことも含めまして、日常生活を身近で安心して暮らせるような形をとっていくことが本当に必要不可欠じゃないかと思っております。この必要なサービスがついた住宅が、公的な賃貸住宅あるいは民間の賃貸住宅に限らず、かなりの量、これから必要になってくるだろう、このようにも考えておるところでございます。

 このような高齢者居住生活支援サービスつきの住宅の整備量をふやすための具体的な支援策についてお伺いをさせていただければと思います。

和泉政府参考人 冒頭、政務官から答弁しましたとおり、今回の改正の大きな目玉は、単に箱を準備するだけじゃなくて、今委員御指摘の生活支援サービスとの連携、こういったものが一つの大きな目玉でございます。

 従来から、こういった生活支援サービスつきの住宅につきましては、バリアフリー化された公営住宅の整備と、そこに常駐等するライフサポートアドバイザーの組み合わせでありますところのシルバーハウジング・プロジェクト、あるいは高齢者向け優良賃貸住宅に緊急時の通報サービス等をつけた仕組み、さらには、今委員が言及されました、民間のみならず公的賃貸住宅団地についてもそういったものをふやしていただく観点から、団地の建てかえ等にあわせまして、その中に福祉施設等を併設することを促進する、安心住空間創出プロジェクト、こういったものをやってまいりました。

 今後とも、そういったものにつきまして、地域住宅交付金等を通じまして支援するわけでございますが、さらに加えまして、平成二十一年度予算におきまして、生活支援施設につきまして地方の負担を求めることなく国だけで支援する、そういったものをモデル的にやっていこう、そういったことを通じて生活支援サービスつきの賃貸住宅の普及を、ある意味ではそういった補助制度を通じてきっかけにしよう、そういった事業も設けさせていただきました。

 こういったものを活用しながら、委員御指摘の生活支援サービスつきの賃貸住宅をさらに拡大してまいりたい、こう考えております。

若宮委員 ありがとうございました。

 そこで、ちょっとまた視点を変えまして、先般、道路の法案に関しましての採決がなされました。今、ここ何年間か、公共事業というものが本当に毎年毎年削られてきております。公共事業というのは、私自身がちょっと思いますのは、果たして本当に削って削って削っていけばいいものなんだろうか、こんなようにも思っておるところでございます。

 先般も、BバイCの議論がございました。便益とコストだけで尺度をはかって、それが一いっていなければすべて意味のないもので、やめてしまおうと。果たして本当にそうであろうか。

 例えば、これも皆さん記憶に新しいところだと思いますが、一本しか通っていない国道で地震が起こりました。東北地方でございます。そこへたどり着けぬがために、その先の方々を助け出すことができなかった。もし、もう一本別の迂回路がそこにあったならば、その迂回路を通って、ちょっと遠回りかもしれませんが、その奥にある村落の方々の命を助けること、あるいは補給をすることができたかもしれません。ただし、普通の平常時には、そこの道路を使って通ることを考えるならば、まさにBバイCでいけば採算はとれていないのかもしれません。

 確かに、官から民という言葉のとおり、すべてコストを度外視して、採算を度外視して何もかも進めればいいという時代ではないし、そんなことはあってはならないと思います。ただ、国のやる仕事というのはコストだけではかれない、国民の生活を守る、本当に人の命を預かる、それが私たち国会議員が最も頭のしんに置いておかなければいけない発想の原点じゃないでしょうか。そんなように考えているところでございます。

 そうした公共事業という観点から考えたときに、私は実は、減少の一途をたどっている公共事業ではございますが、この法律に関してのみではないんですけれども、今回のこの法改正に基づいた高齢者施策に関する事業の拡大、これはある意味では、日本全国で広めることによって、公共事業に大いなる貢献あるいは民間に対する雇用の拡大。

 それから、昔からもそうですが、一次産業から二次産業へ就業人口がシフトしました。二次産業から三次産業へもシフトしました。それから、三次産業の中でも、かなりこれは業種によって就業人口は変わって、今求められている人材というのも大きく変わってきております。必要なところでは、まだまだ有効求人倍率はかなりのものがございます。それがうまくマッチしていない。そういったところにも産業構造の変革というのは、今この大きな御時世の中では過渡期にあるのではないかな、こんなふうにも感じるところでございます。

 今回の法改正で、高齢者施策に関連したこの事業が拡大することが、住宅の施設の整備やあるいはそれに伴う介護、医療などのサービスが拡大して、そこで、先ほど申しましたように、雇用の拡大にもつながるのではないかな、このようにも考えるところでございます。

 そう考えていきますと、これは確かに、箱物をつくって維持管理が後は垂れ流しになってしまうことの公共事業よりも、さらに人が、皆さんが、やがては、どんどん年をとれば高齢者になっていくわけですから、高齢者はこれから平均寿命が延びればどんどんふえていく、大きな意味での公共事業になるのではないかな、このように考えるところでございます。そしてまた、私はこれは大いに期待をいたしているところでございますが、このあたりについてはどのようなお考えをお持ちでしょうか。お伺いさせていただければと思います。

西銘大臣政務官 先生御指摘のように、今回の法改正によりまして、都道府県ごとに高齢者居住安定確保計画を定めることになっております。そして、住宅部局と福祉の部局が密接に連携しながら、施策の展開を図ってまいります。

 今後、高齢者居宅生活支援サービス、このサービスの受けられる賃貸住宅の供給を促進することによりまして、その数を、平成二十年度の、約十五万戸ありますけれども、これを平成二十六年度、六年間で約三十万戸へと倍増させることとしております。これに要する事業費が、六年間で約一兆円見込まれます。このことによりまして、合計で約十二万人の雇用、六年間ですから、一年間に約二万人の雇用が発生するものと見込まれております。

 以上です。

若宮委員 ありがとうございました。

 先ほど、ちょっと災害の話を申し上げたのですが、これも、本法案や関連する施策によりまして高齢者の方々が暮らす住宅や施設の普及ということがもちろんなされていかなければいけないわけですが、一方で、これまた、つい先日も、ニュース等で皆さんも御存じのところですが、高齢者というのは、ただでさえ体がなかなかスピーディーには動けない。まして、おかげんが悪ければなおさらのことでございます。

 非常事態の場合、例えば地震ですとか、あるいは先般のような火災が発生してしまったような状態、そして、それがまして、昼間であればまだしもですが、夜中、なかなかスタッフが十分でないような状態のときにもし何か災害が発生してしまったら、これに対する対応というのもきちっとしたものをつくり上げていかなければいけないのではないかな、そんなようにも考えているところでございます。

 このような非常時の場合の対策については、これは国土交通省のみならず厚生労働省の方にもお伺いをさせていただければと思いますが、具体的な取り組みについてお伺いさせていただければと思います。

西銘大臣政務官 老人ホーム等高齢者の住まいの供給に当たりましては、入居する高齢者の安全を十分に確保することが重要な課題であることは当然であります。福祉部局、住宅部局、建築部局及び消防の部局等、関係する部局が適切に連携をすることにより、安全体制の確保を十二分に確保して、必要な対応を行ってまいります。

 具体的には、高齢者円滑入居賃貸住宅につきましては、国土交通大臣と厚生労働大臣が定める基本方針に、関係法令の遵守によって災害時の安全確保を図るべきことを明確に位置づける予定であります。また、今回の法改正によりまして創設をする報告の徴収や助言、指導に関する規定も活用しながら、適切な指導、誘導を行うよう地方公共団体に働きかけてまいります。

 さらに、先生の御指摘にありましたように、夜間の見守り体制の確保に関しましては、緊急通報体制の確保された高齢者向け優良賃貸住宅やシルバーハウジングの供給を促進するとともに、今年度、平成二十一年度に創設しました高齢者居住安定化モデル事業を通じて、高齢者の住まいに関するモデル的な取り組みを支援し、その成果を普及することで充実してまいりたいと思っております。このモデル事業におきましては、夜間の見守り体制を支援するソフトの面も活用できます。

 これらによりまして、高齢者が安心して暮らすことができるよう、老人ホーム等の高齢者の住まいにおける災害時の安全確保や夜間の見守り体制を充実してまいるところであります。

坂本政府参考人 高齢者施設の防災対策につきましては、例えば、特別養護老人ホームにおきまして、老人福祉法に基づく設備運営基準において、消火設備や非常災害における定期的な訓練、それから、建物は原則として耐火建築物とするような、そういった規定を定めているところでございます。

 また、夜間の体制につきましても、介護保険法の基準に基づきまして、入所者の数に応じ、夜勤を行う職員の数を定めているところでございます。

 また、平成十八年一月に発生いたしました長崎の認知症高齢者グループホームの火災を受けた平成十九年の消防法施行令の改正によりまして、比較的小規模な延べ床面積が二百七十五平米以上の施設について、スプリンクラーの設置が義務づけられることとなりました。

 この改正にあわせまして、地域介護・福祉空間整備等施設整備交付金という交付金の対象となっておりますこういったグループホーム等につきまして、スプリンクラーの設備の設置に要する費用を、平成二十一年度、ことしでございますけれども、ことしから二十三年度までの間、交付対象としたところでございまして、平成二十一年予算におきましても必要な額を確保したところでございます。

 厚生労働省といたしましては、都道府県等において適切な指導監督が行われまして、このような施設におきまして防災対策あるいは夜間の体制の確保が図られるよう対応してまいりたいと考えております。

若宮委員 ありがとうございました。

 それでは、最後の質問にさせていただきます。

 今回の法改正による施策につきまして、まずは、この法案が国土交通省そして厚生労働省一体となって出されましたことは評価できるものだと思っております。しかしながら、今回の法案というのは、まず初めの第一歩なのではないかな、私はこのように考えております。今回の法改正で高齢者対策が十分だとは、まだまだ決して言える段階ではないのではないでしょうか。

 これから、どんどんどんどんふえていきます。それから、平均年齢も恐らくは上がっていきます。元気な高齢者ももちろんふえていきますし、どこかお体の御不自由な方、あるいは何かしら抱えていらっしゃる方もふえていくことは間違いのないところではございます。

 この高齢者の方々が活力を持ち、そして、ここが一番大事だと思うんですが、何よりも、やはり精神的にも安心して暮らせるな、こう感じることのできる社会の実現に向けた、今後の住宅政策に関する国土交通省としてのお取り組みの姿勢をお伺いさせていただければと思っております。

西銘大臣政務官 高齢者に対する住宅政策につきましては、これまでも住生活基本計画に基づき、さまざまな施策を講じてきたところであります。

 しかしながら、今後、人口の高齢化が急速に進みますし、高齢者の単身世帯や高齢者の夫婦のみの世帯、また要介護認定を受けた高齢者を初め、日常生活に支援を必要とする高齢者が増加することが見込まれております。したがいまして、急増していく高齢者に対しまして、居住の安定確保を図ることは極めて重要であると考えております。

 このため、税制や融資の活用によりまして、バリアフリー化といったハード面の取り組みと、今回の法改正に基づきまして、福祉の施策との緊密な連携のもと、生活支援や介護サービスの確保というソフト面の取り組みも促進することによりまして、高齢者が活力を持ち、そして安心して暮らせる社会の実現に努めてまいる所存でございます。

 以上です。

若宮委員 ありがとうございました。

 本日、最初の質問に立たせていただきまして、冒頭にもちょっと申し上げましたが、年齢にかかわらず、老若男女にかかわらず、やはり、今一番皆さんが不安を、大きな不安を世の中に持っているんだと思います。特に、高齢者の方々あるいは体の不自由な方々、これは本当に不安でいっぱいな気持ちでいると思います。この不安の解消をすることがまず日本の経済の再生にもなりますし、そして、日本国民一人一人が、この日本に住んでいてよかった、暮らしていてよかったな、こう思える、そんな世の中になるんじゃないかと思っております。

 今回の法案は、厚生労働省と国土交通省との両方の合作ででき上がってくる形でございますが、これからもいろいろな問題について、役所の垣根を乗り越えて、本当にこのプロジェクトを完遂するためには何が一番いいのか、全力を尽くして頑張っていただきたい。そして、私どもも力いっぱい応援してまいりたい、そんなような気持ちでおりますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

 以上をもちまして質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。

望月委員長 次に、高木陽介君。

高木(陽)委員 おはようございます。公明党の高木陽介でございます。

 本日は、高齢者の居住の安定確保に関する法律の改正案の審議ということで質問させていただきたいと思います。

 まず、高齢化社会が進んでいる。さまざまな高齢者の対策、年金、介護、医療といった社会保障関係だとか、さまざまな形でこれまでも取り組んでまいりましたけれども、やはり、生活する上において、衣食住というこの根源的な部分、これをしっかりしていかなければいけない。これは、これまでも国交省、手を打ってまいりまして、特に、今回の法改正となる前、平成十三年四月に高齢者の居住安定確保法を制定して八年がたちました。高齢化社会、高齢社会というのが、先進国の中にあって、日本という国がすごいスピードで高齢化が進んでいる。この八年前、制定時と比べまして、高齢者の居住をめぐる状況というのは一体どう変わってきたのか、その認識について最初に伺いたいと思います。

和泉政府参考人 おっしゃるとおり、平成十三年に高齢者居住安定法がつくられました。それ以降の主要な指標で変化を見ますると、国勢調査でございますのでぴったり合いませんが、平成十二年に高齢人口は二千二百一万人が、五年後の平成十七年には二千五百七十六万人、全人口に占める割合は一七%から二〇%に増大。なかんずく、単身、夫婦のみの高齢世帯の数が六百八十八万世帯から八百五十二万世帯、百六十万世帯の増加。さらに加えて、いわゆる介護保険の認定を受ける対象の方々、これが、介護保険がスタートした平成十二年度には二百十八万人でございましたが、平成十九年度には四百五十三万人と約二倍増。

 一言で言えば、急速な高齢化、なかんずく、その中で、単身、夫婦のみ世帯の増加。加えて、介護保険等の認定を受ける。そういった意味で、生活支援サービスが必要な高齢者の方々の増加ということがこの間の変化だと思います。

高木(陽)委員 今、和泉住宅局長の方から、急激な高齢化の実態、数字をもとにして伺いましたけれども、特に単身者がふえている。高齢者になられますと、いわゆる単身になられる、夫婦で暮らしていたのが、夫の方が、もしくは奥さんの方が亡くなられる、こういうパターンもあると思うんですね。昔は三世代同居だとかいうのが当たり前だったのが、今、核家族化がずっと進む中で、高齢者だけで住む。しかも、それが単身になってくる。しかも、介護を必要とする人たちもふえてきている。こういう現状の中に、今、まだ持ち家率が高い、高齢者は。

 ところが、私自身もちょっと問題意識として持っているのは、今は持ち家率は高いんですけれども、これから、では、本当に、まさに高齢社会になったとき、これから十年、二十年、三十年となったとき、例えば今の三十代の皆さん方というのは、よく言われる年長フリーターという世代となって、十年前の不況のときになかなか正社員になれなかった。こういう方々が、今度は、今三十代でなかなか正社員になれない、しかも、経済不況が大変な状況の中で生活さえ大変、派遣切りにも遭っている。こういう方々、本来ですと、今まで、三十代ぐらいのときに結婚をし、または家を持ち、こういうパターンだったのが、そういう世代はこれからさらに大変になるだろうなと。

 だから、そういったことを考えますと、今後、高齢者の居住について、現在の課題と将来予測される課題というのはどういうふうに認識をされているのか、これも伺いたいと思います。

和泉政府参考人 今委員御指摘のとおり、現時点では、高齢者の方々の八〇・六%が持ち家でございます。これがこのまま続くのかどうか、その辺について注視する必要があると思っています。

 加えて言うと、そういう中で、冒頭もこの間の変化について申し上げましたが、そういった状況を踏まえますと、まず一点目は、いずれにしても、在宅が多いわけでございますので、在宅介護がしやすいように住宅のバリアフリー化を持ち家、借家問わず進めていく。当然その中には、住宅単体だけではなくて、町全体のバリアフリー化、こういった課題もあるかと思います。

 二番目は、先ほど言いました、生活支援を必要とするような単身、夫婦のみの高齢者がふえることを考えると、介護サービスや生活支援サービス、こういったものと一体となって住宅政策を展開する必要があるだろう、こう考えております。

 加えて言うと、最後でございますが、今の持ち家が続くのであろうかということに関して言えば、そういう状況を注視しながら、所得が低い高齢者の方々に対する、いわゆる基幹となる公営住宅、こういったものについてもさまざまな工夫を凝らしてきちんと準備をしていくということが必要かと考えられております。

高木(陽)委員 今お話のありました、例えば在宅介護をしやすい家、バリアフリー化、これは税制の部分でも優遇をしていくという流れになっておりますけれども、ここは、ある意味でいうと、もっと大胆にやらなきゃいけないのかなと。

 高齢者の皆様方、バリアフリー化の家にしていきたい、こういう思いはたくさんあると思うんですね。ところが、年金生活となって、まず生活をしっかりと維持するのが手いっぱいな状況の中で、せっかく持ち家ですから、これをバリアフリー化したいんだけれども、優遇税制があるからといって、では、一気にそれなりの工事ができるかどうか。こういうことも考えますと、もっと大胆な支援というものも今後考えていただきたいなと、これは御提案として申し上げておきたいと思います。

 そういった中で、高齢者の居住の安定確保というこの言葉は、だれもが賛成をすると思うんですね。この中で、住宅政策ということで国交省が今まで、建設省時代からずっと取り組んできた。一方、福祉政策となると厚生労働省だ。こういうような中で、まさに縦割り社会の中でその垣根を取り払わなきゃいけない、こういう認識となって今回の法改正にもなっていると思うんですが、居住の安定確保のために、住宅政策と福祉政策というのは一体これまでどうやって融合してきたのか、また、どうやってそれを一体化させてきたのか、ここら辺の連携について伺いたいと思います。

和泉政府参考人 おっしゃるとおり、今回の法改正は、平成十三年度に旧建設省専管の法律としてできました高齢者居住安定法を、厚労省との共同の法律、こういうふうに切りかえるところに一番の目玉がございますが、これまでも、委員おっしゃったように、さまざまな形で福祉施策との連携については腐心してまいりました。

 幾つか例を御紹介しますると、昭和六十二年度から、福祉施策との連携のもとに、いわゆる住宅部局は公営住宅等のバリアフリー化をする、その上で福祉部局が、ライフサポートアドバイザー、こう名をつけておりますけれども、緊急時対応について応じていただくサービスの提供をする方、そういった方についての人件費を負担する、それによっていわゆる生活支援サービスのついた公営住宅等を供給する、こういったシルバーハウジング・プロジェクトを実施してまいりました。現時点で、二万二千戸余の戸数を確保するに至っております。

 さらに、平成十四年度以降は、百戸以上の大規模な公的な賃貸住宅団地を建てかえる等の場合には必ず福祉関連施設を併設するんだ、こういったことを決めまして、現時点で千四百七十二団地、二千三百六十一施設、これは高齢者のための施設もありますし、いわゆる子育て施設もございますが、そういったことをやってまいりました。

 こういった成果を踏まえて、平成二十年度からは、さらにそういったことをドラスチックに進めるための、安心住空間創出プロジェクトを実施してまいりました。

 また、民間賃貸住宅につきましても、高齢者専用賃貸住宅、こういったものについて、一定の基準に該当すれば、いわゆる福祉サイドの特定施設としても認められる、こういった連係プレーもしてまいりましたし、さらには、高齢者の入居を拒まない賃貸住宅の制度、あんしん賃貸住宅の登録、こう言っていますけれども、そういったものについても、福祉部局との連携により、さらに活用しやすいような工夫を凝らしてまいりました。

 今後、この法改正が認められれば、さらにそういった連携を深化、強化させてまいりたいと考えております。

高木(陽)委員 今、さまざまなメニューを紹介していただきました。これも、厳しい言い方をしますと、せっかくいいメニューをつくっているんですね。ところが、現場に行くと、それが高齢者の当事者の部分においてはなかなか利用し切っていない、こういう場面というのがあると思うんですね。

 これはどうしてかなとずっと考えていると、国交省の方は一生懸命そういう角度を持っている、今回も、厚労省と共管となるということで壁を取り払おう、国の方はそういう意識になってきた。ところが、現場の例えば公営住宅の問題でいいますと、住宅部局が地方自治体で運営している。一方、生活保護ですとかまたは年金、介護、医療といった社会保障関係、こういったものを取り扱う福祉部局、これが一体化していない部分というのが結構あるんですね。こういうところをしっかりと、国からもアドバイスをしてもらいたいと思いますし、地方分権ですから、公共団体の方がしっかりとそれに取り組んでもらいたいんですけれども、なかなかそうはいかない。

 あと、民間は民間でなかなか難しいところは、なかなかボランティアで仕事はしません。住宅関係として見れば、それはお仕事、商売としてやっている。そういうような中で、こういう福祉関係と住宅関係のミックスということで、どこまでそれが広がっていくのか。これについてもさまざまなインセンティブというものをつくっていかないと広がっていかないのかな、こう思いますので、その点もよろしくお願い申し上げたいと思います。

 さて、今回の法改正で、国土交通大臣と厚生労働大臣が高齢者の居住安定に関する基本方針を策定するということになっておりますけれども、具体的には、例えば供給目標などの設定に関することについてとあるみたいですけれども、これについて具体的にどのようなことを定めていくのか、この点、ちょっと伺いたいと思います。

和泉政府参考人 今委員御指摘の基本方針で、「高齢者に対する賃貸住宅及び老人ホームの供給の目標の設定に関する事項」というのがございます。

 これに基づきまして、今後、都道府県で高齢者居住安定確保計画を定めるわけでございますが、その方針におきましては、高齢者、要介護認定者の現状と将来推計、現在の賃貸住宅や老人ホームの量、こういったことを踏まえて、将来どうなるか。その上で、どのぐらいの程度、こういった高齢者向け優良賃貸住宅や老人ホームでカバーすることを目指すのか、そういった物の考え方を基本方針に示しまして、その上で、その方針に従って、具体的には都道府県の高齢者居住安定確保計画の中で目標を定めていただく、こんなことを考えております。

高木(陽)委員 都道府県の方の高齢者居住安定確保計画をつくっていく、要は、自治体の方が主体としてやっていくというのは当然だと思うんですけれども、そういった中で、本来、これは都道府県も、この計画をつくるということを義務化すべきなんじゃないか。

 何でこういうふうに申し上げるかというと、自治体によって全く、住宅政策に関しての温度差がある。例えば、持ち家率が一番高い富山県ですか、過ごしやすい、住みやすい、住民の満足度というのが高い、こういうところはなかなか住宅という問題に切迫感がない。もちろん、それぞれ地域では違うと思うんですけれども。

 一方、東京都も、公営住宅が最も多い地域でありながら、これは首長によって変わるんでしょうね、石原さんが知事になられてから、東京都は住宅局というのが格下げになりまして、局じゃなくなっちゃった。そうなってきますと、では公営住宅は足りているのかというと、東京都の公営住宅、都営住宅の倍率は二十倍ですよ。入らなきゃいけない、入りたい、入るべき人が入れない、こういう現状がある。しかし、自治体の方は局を格下げしている、こういう現状もある。

 そうなってきますと、本当に高齢社会というのは日本全体で進んでいるんですけれども、自治体によって、頑張りましょうというところもあれば、そうじゃないという、こういう格差ができるというのは、国民にとってみれば住んでいるところによって大きく違う、これはすごく問題だなと思うんです。

 そう考えますと、高齢者の居住安定確保計画の策定は、やはり都道府県に義務化すべきなんじゃないかな、こんなふうに思うんですが、どうでしょうか。

和泉政府参考人 今回、この高齢者居住安定確保計画は、住宅のみならず老人ホームも含み、加えて、高齢者居宅生活支援サービスについての中身を決める。そういった意味で、委員先ほど御指摘になりました、地方公共団体における縦割りをなくす大きなきっかけになる、こう思っておるんです。したがって、すべての都道府県でつくっていただきたい。

 しかしながら、現に、高齢者の住まいに関するマスタープランをいわゆる住生活基本計画の都道府県計画の下部計画としてつくっておったり、そういった実態があるところもございます。そういった意味において、地方分権の趣旨も考えれば、一律に義務づけることは制度的にいかがかなというようなこともございまして、法律上は、「定めることができる。」こういう規定になっております。

 しかしながら、一方で、高齢者居住安定確保計画を定めていただければ、例えば、高齢者向け優良賃貸住宅の認定基準について地域の実情を反映できるとか、さらには、地方住宅供給公社を地域における高齢者住宅施策の手段として活用できるとか、あるいは、二十一年度に設けました予算でございますけれども、公的な賃貸住宅団地で福祉関連施設を設ける場合に手厚い助成を受けることができるとか。

 こういうさまざまなインセンティブも二十一年度予算において準備させていただいておりますので、そういったことをてこにしながら、法律上は義務ではございませんが、すべての都道府県においてこの計画がつくられるように、我々も強力に要請してまいりたい、こう考えております。

高木(陽)委員 地方分権の流れからいうと、国の方がこれをやりなさい、あれをやりなさいということをなかなか言えない、また言わない方がいい部分、自治体の主体性に任せるというのは大切なんですが、まさにここは連携を密にしていただきたいなと思います。

 もう一つ、都道府県の方の計画というのがある一方で、福祉施策の実施主体、これは市町村でありますね。今回の高齢者居住安定確保計画、これは都道府県でやるという流れの中で、市町村もしっかりとこれをつくらないと、まさに福祉の現場で融合していかないのじゃないかなというふうに思うんですが、市町村の計画策定を可能とすべきではないかということに対してはどういうお考えか、お聞かせ願いたいと思います。

和泉政府参考人 高齢者居住安定確保計画の趣旨は、先ほど来御説明しているとおりでございます。

 まず、なぜ都道府県にお願いするかということでございますが、委員御案内のとおり、住生活基本法に基づく住生活基本計画、これは都道府県計画を法定してございます。また、高齢者向け優良賃貸住宅の認定等の事務も、都道府県が行っております。それで、福祉施策については、まさに介護保険制度の運営主体は市町村でございますが、老人福祉施設の認可等の事務あるいは介護保険事業計画を支える介護保険事業支援計画、こういったものは都道府県がやっていること、そういうことを考えまして、トータルで見て、とりあえず、この法律では、都道府県に居住安定確保計画をつくっていただくということを法律に位置づけたわけでございます。

 当然のことながら、市町村においても、介護保険の運営主体でございますので、そういった都道府県の計画を参考に市町村ベースでの計画をつくっていただくことは極めて大事でございますので、今後、国土交通大臣と厚生労働大臣がつくります基本方針の中において、市町村も積極的にこういった計画をつくるようにというようなことを書き込みます。

 また、そういった計画を策定する際の費用につきましても、地域住宅交付金の基幹事業として位置づけて支援して、すべての市町村というのはなかなか難しいかもしれませんが、特に住宅問題、なかんずく高齢者の住宅問題が深刻な市町村においては、しっかりそういったことに取り組んでいただけるように我々も要請してまいりたい、こう考えております。

高木(陽)委員 冒頭にというか真ん中ぐらいの質問でしたね、さまざまなメニューが住宅と福祉との関連の中である、あるにもかかわらず、実態は、なかなか現場で使いこなしていないという話を申し上げました。まさにこれから市町村での高齢者の住宅確保という問題、しっかり問題意識を持っていただくためにも、国の方としても、都道府県だけではなくて、市町村とも積極的にかかわりを持っていただきたいなと思います。

 この住宅問題というのは、もう本当に戦後六十年間、長年にわたってさまざまな角度から議論されてきて、さまざまな法律ができてまいりました。特に、住生活基本法というのができて、これもある意味でいうと、住宅という問題をちゃんと位置づけた基本法ができて、住生活基本計画というものができ上がっていく。

 一方で、その後に、住宅セーフティーネット法というのは議員立法でやらせていただきました。さらに、今回の高齢者居住安定法なんですけれども、これで高齢者の居住安定確保計画、さらに住生活の基本計画、ここら辺の関係性、計画はいっぱいあるんですけれども、では一体どうなっているんだと。この関係性についてお伺いしたいと思います。

和泉政府参考人 御指摘のとおり、平成十八年度に住生活基本法ができまして、住生活基本計画がつくられております。これは、従来の住宅から住生活へと大きくかじを切って、住宅政策の幅を広むべくやったものでございます。

 その上で、この住生活基本計画では大きな四つの目標を掲げてございますが、そのうちの一つが、「住宅の確保に特に配慮を要する者の居住の安定の確保」。そういったものを踏まえまして、今委員御紹介にありましたように、いわゆる通称住宅セーフティーネット法ができまして、住宅確保要配慮者としまして、低額所得者、高齢者あるいは障害者の方々、被災者、こういった幅広い対象に対して、トータルで、公的、民間を問わず、適切な賃貸住宅の供給等が必要なんだという、ある意味では、基本的な位置づけをいただいたわけでございます。

 そういった流れを受けまして、今後、先ほど御紹介しましたような急速な高齢化などの背景を踏まえて、そういった全体の中での高齢者の住宅対策をさらに深掘りする、なかんずく高齢者固有の福祉との連携といったものを徹底して行っていこうというようなことで、今回の改正をさせていただいたわけでございます。

 繰り返しになりますが、今回の高齢者居住安定確保計画の中では、住宅のみならず、高齢者の居住の場として大きなウエートを占める老人ホーム、さらに加えて高齢者の居宅生活支援といったソフト、こういったものを一覧的に都道府県の住宅部局と福祉部局がつくっていただいて、そういう中で、地方における縦割りも排除しながら、徹底した高齢者に対する住宅政策の展開をしていこう、こういった位置づけだと考えております。

高木(陽)委員 高齢者について、あるいは包括的に、住宅だけではなくて福祉施設も含めて、しっかりと計画を立てていくというお話でございましたけれども、この計画期間はどれぐらいの幅を考えているのか、何年程度を想定しているのか、伺いたいと思います。

和泉政府参考人 御指摘の居住安定確保計画の計画期間、これ自体も計画事項でございまして、都道府県が決めるということになっておりますが、我々考えまするに、いわゆる福祉施策との連携が大事であるということを考えると、委員御案内のとおり、都道府県の、介護保険事業計画あるいはその支援計画、これは三年ごとでございます。現在の計画は二十一年度からの三年間ということになっておりますので、そういったものと合わせるということは極めて意味があるのかなと。

 そうしますると、そういった三年を一つの単位にしまして、そこから先、三年になるのか六年やるのか、その辺は都道府県にお決めいただきますが、いずれにしても、特に今回は居宅生活支援というものが一つの大きな目玉でございますので、福祉関連部局の計画との整合性ということを十分配慮して計画期間を策定してほしいというようなことを基本方針において位置づけて、都道府県に対して指導あるいは情報提供してまいりたい、こう考えております。

高木(陽)委員 今、自治体の方の介護計画は三年が一つの単位になっているということで、それをベースにして都道府県の方で決める、三年なのか六年なのか。それはそれで自治体の方で決めるんですけれども、もう一つの視点が必要ではないかなというふうに指摘をさせていただきたいと思うんですね。

 というのは、これも先ほど申し上げた、住宅というのは一年、二年、三年、こういったものだけで決着がつく問題ではないと思うんですね。

 高齢化というのはどんどん進んでいく。今の団塊の世代がいよいよ六十代になってきた。これからその団塊の世代の皆さん方が七十代に突入して、ではこの住宅確保または福祉施設の確保、居宅をどうするか、こういった問題は重要な問題で、まさに介護との関係かもしれない。ただ、介護だけじゃないわけですね。

 つまり、では今の四十代、五十代、もう少し言ったら、もう少し前の三十代、まさに三十代の年長フリーターと言われている世代、こういう人たちが、今生活が大変な中で、いわゆる基礎年金、国民年金さえ払えない、無年金になってくる、生活保護になってくる、こういう可能性もある。こういう世代が持ち家も持てない。では、高齢者の優良賃貸住宅なり公営住宅なりというところに入れるかどうか。

 こういうことも含めますと、そんな先の話ということもあるかもしれませんが、もう少し中長期、例えば十年、または、まさに本当に高齢社会になってくる十五年から二十年、こういった視点というのも必要ではないかなと。

 ただ、計画をどう立てるかというのは、人口の流動化もありますから、自治体としてみればなかなか難しい。ただ、そういった角度というものを絶えず認識しながら、まさに介護計画の三年なり六年なりというところでのこの計画というものをしっかりつくっていただきたいと思いますので、この点も都道府県との連携をよろしくお願いしたいと思います。

 もう一つは、高齢者の居宅生活支援施設というのがある。これは具体的にどういうような施設を想定しているのか、伺いたいと思います。

和泉政府参考人 高齢者の居宅生活支援、そしてそれを担う施設でございますが、居宅生活支援としましては、いわゆる介護保険の対象となるような保健医療サービス、福祉サービスと、現在では介護保険の対象になっておらないですが、各地いろいろな形で試行的に試みられている食事の提供サービスでございますとか緊急時の通報サービスなどなど、相当包括的でございます。

 そういった意味で、具体的には政令等で指定するわけでございますが、前者の介護保険の対象になっている施設としましては、老人デイサービスセンターであるとか老人短期入所施設、あるいは最近出てまいりました小規模多機能居宅介護施設、一方、介護保険の対象にならないような生活支援につきましては、食事の提供とかあるいは日常の相談とか緊急時対応、こういったことを行うための施設、こういった双方があろうかと考えております。

高木(陽)委員 その上で、この高齢者の居宅生活支援施設とこれまでやってきた高齢者向けの優良賃貸住宅、これを一体化して整備していこう、または建てかえの中でやっていこうだとか、いろいろな形があると思うんですが、これまでの事例だとか、どのような形態が考えられるか、これもちょっと伺いたいと思います。

和泉政府参考人 一番歴史があるのは、先ほども御紹介しましたライフサポートアドバイザーが常駐するシルバーハウジング・プロジェクト、こういったものがありまして、今後とも進めていく必要があると思います。

 特に、今回法改正の中で、生活支援一体型の高齢者向け優良賃貸住宅というようなことを起こしました。

 そういった意味でいえば、今後、高齢者向けの優良賃貸住宅とその足元にそういった生活支援施設、具体的には先ほど御紹介しましたような施設を一体として整備する、こういったパターン。さらには、数多くある公的賃貸住宅団地を再生する際に、単に公的賃貸住宅団地建てかえで済ませないで、先ほども御紹介しましたが、そういった中に積極的に高齢者関係の施設を誘致して、当該団地が団地内の住民のみならず地域の福祉拠点になるような仕組み、こういったパターンがあるんじゃないか、こう考えております。

 いずれにしましても、すべてのパターンにおいて数がまだ足りないわけでございますので、積極的に整備をしていきたい、こう考えております。

高木(陽)委員 最後の質問になると思いますが、今御指摘を受けた一体型のさまざまな形ですね、生活支援の一体型ですとか、あと公的賃貸住宅において高齢者のさまざまな施設を融合していく。

 これはそれぞれの自治体がやる場合とまた民間がやる場合もございますけれども、それにはやはりなかなかお金もかかる話で、これを、ではどうぞやってくださいということじゃだめなんです。やはりこれはしっかりとバックアップをしなきゃいけないということで、国及び公共団体としてどのような支援が考えられるか、お聞かせください。

和泉政府参考人 従来から住宅政策の基幹的な事業でございます地域住宅交付金、これを平成二十一年度、国費千九百四十億円を準備させていただいておりますので、この中で、基幹事業としてのいわゆる公営住宅や高齢者向け優良賃貸住宅の整備、さらには、提案事業であれば、委員御案内のとおり、さまざまな創意工夫が凝らされる、これが従来の事業でございます。これも対前年ふやしてございます。

 さらに加えて、今回は生活支援一体型の施設整備を特にふやしていくというようなことで、そういったケースにおいて、国だけでそういった施設部分について三分の二の助成をする、こういったモデル事業を四十億円で設けさせていただいております。

 さらに加えて言えば、先ほど御紹介の生活支援というのはどんなものかということについて言うと、従来の介護保険の対象となるような福祉サービス等に加えて対象外もありますという話をしました。そういった試みが各地でモデル的に行われておりますので、そういったモデル的な事業、ソフト事業が中心になると思いますが、そういったものを支援するために八十億円の予算も準備させていただいております。

 加えて、税制においても割り増し償却等の準備をしておりますので、こういったインセンティブがこの段階で十分かどうかわかりませんが、とりあえず、今回の法改正をお願いするに合わせまして、交付金の確保とさらに加えてモデル事業、合計で百二十億を設けさせていただきまして、こういったことをてこに公共団体とともに努力してまいりたい、こう考えております。

高木(陽)委員 大臣が戻ってこられましたし、大臣の答弁じゃなくて最後に聞いていただきたいのは、今回の法律、今局長からお話があったさまざまなモデル事業の助成、税制等々の優遇、これはこれでいいと思うんです。これはハードもそうですし、最初のソフトの部分をやろう、ここまではいいんです。

 ところが、この高齢者の問題というのは、ではそれ一発で終わるかというと、それからその高齢者の方々は何年か生活をされる。では、途中の事業というか、それを継続していく問題は、まさに厚生労働省、介護の問題ですねということで割り切ってしまうと、そもそも、これは与党から余り言ってはいけない話なんですけれども、今の介護保険の体制の中で、介護福祉士を初め介護従事者の人たちの生活が大変、これは報酬が少ないという、こういった問題の中で、では介護保険が適用されればその施設はずっと成り立っていくのかというと、これはこれでしっかりと見直していかなきゃいけないと思うんです。

 これはまさに舛添さんのところ、厚生労働省がしっかりとやっていただかなきゃいけないんですが、今回は一緒にやっていく。最初の物、ハードをつくっていく部分においては、国交省ががっと力を入れて応援をする。

 問題は、その後ちゃんと続けないとこれは意味がないんだろうな。まさにこれから高齢社会が進む中にあって、今回のこの法律改正というのは時宜を得たもの、その第一歩だと思う。これで終わりじゃなくて、さらに次の段階、そこまでちゃんと視野に入れてこれはやっていかなければいけないんじゃないかということを申し上げまして、質問を終わらせていただきます。

 どうもありがとうございました。

望月委員長 次に、小宮山泰子君。

小宮山(泰)委員 おはようございます。民主党の小宮山でございます。

 高齢者居住安定確保に関する法律の一部を改正する法律案の質問をさせていただきます。

 まず、法案の質疑に先立ちまして、先週、大臣ともいろいろな質疑をさせていただきましたETC車載器の購入助成について、少しお伺いしたいと思います。

 三日に国土交通省は、高速道路交流推進財団によるETC車載器の購入助成について、四輪車二十万台分を追加し、合計百二十万台まで助成を行うと発表しております。これとあわせて、高速道路会社各社で二十万台に対しての助成を別途検討中との発表があり、合わせて百四十万台への助成が行われる見込みであるということで記者発表をされていらっしゃいました。

 まずお伺いしたいんですけれども、前回のときも質問させていただきましたが、百万台に上がったというのも、きちんとした裏づけがあって、また、必要な数の中からどれだけということではなく、そうなったような印象を受けております。まず、この助成台数はどのような意味があるのか、なぜ百四十万台なのか、そしてどのような経緯で決定をされるに至ったのか、お聞かせください。

金井政府参考人 お答えいたします。

 ETCの車載器助成でございますが、当初は、御承知のとおり、いわゆる今度の料金のいろいろな新しい制度を実施するに当たり一番問題となりましたのは、やはり低頻度の利用者、ふだん余りETCをお使いにならない、もしくは今までそういうことで余りおつけになっていない方々にどう利用していただくかということが一番課題であると認識をいたしておりました。

 そういうことで、委員御承知の高速道路交流推進財団につきましては、当初から、ETCそれからITS、いろいろなものに対する助成を行うということが決定されておりましたので、私どもの方から財団の方にもお願いを申し上げまして、三月十九日に理事会を開いていただきまして、できるだけ台数を積んでほしいということで、百万台ということで御了解をいただきまして、百万台の助成を当初行ったところでございます。

 その後、委員も御承知のとおり、ETCの車載器が若干品薄になりました。それで、地域によっては物が非常に入りにくい状況の中で、この助成が打ち切られてしまうのではないかという御指摘がいろいろありましたもので、四月に入っても継続するようにお願いをし、そのためには財団の方でも、三月十九日の理事会で、二十年度分だけではなくて二十一年度分についても、地域連携推進費それから予備費で百万台対応、さらに四月に入って追加対応するための予算を確保していただきました。

 やはり、その後状況を見ますと、非常にETCのセットアップ、人気が継続しているということで、私どもの方からも再度お願いを申し上げまして、追加で、予算を確保していただいた範囲の目いっぱいということで、二十万台を財団の方で追加していただくように御決定をいただいたところでございます。

 なお、高速道路会社につきましても、従来から、高速道路会社が独自に発行しておりますカードがございます。それとあわせてETCの助成をしていただいておりましたので、その辺についても二十一年度できるだけ前倒しで早くやってほしいというお願いを申し上げまして、やはり集計しますと大体二十万台という御回答をいただきましたので、合わせて、百万台に二十万台、二十万台を足しまして百四十万台、これを今回の助成規模とさせていただいたところでございます。

小宮山(泰)委員 先週質問しているわけですけれども、そのときには百万台だったわけですから、正直申し上げて、いきなり四十万台もふえるというのは非常に不思議でもあるし、やはり予測の出し方、見込みが甘かったのではないかということがあります。

 それと、先ほどから、国交省の方から財団なり道路会社各社の方にお願いをした、依頼をしたという言葉がございましたけれども、どのような形でお願いをされたんでしょうか。電話なんでしょうか、国交省の方から出向いてなのか、書面として取り交わしをしていらっしゃるのか、お聞かせください。

金井政府参考人 お答えいたします。

 ETCの助成につきましては、高速道路交流推進財団につきまして、これは前も御説明しておりますが、昨年九月にいわゆる公益事業ということでいろいろお願いを申し上げて、その中に、ETCの普及促進という項目が入っております。

 今回につきましては、それをできるだけ早く、それからできるだけ多くの台数を実現するという趣旨でお願いをいたしておりまして、具体的に何月何日にどうお願いをしたかという全部の記録は持っておりませんが、基本的に、私どもの方の担当者が財団の方に出向きましてお願いをいたしまして、理事会にそういった予算をかけていただくようにお願いをしたと理解をいたしております。

小宮山(泰)委員 具体的にお願いをしたといっても、千円、二千円とかそういう額ではないわけですから、それは随分と自由な国土交通省の依頼になったと思いますし、いつやったかわからないなんていうのは無責任な話じゃないでしょうか。

 これは天下り財団だからそんなことが許されているんでしょうが、普通の民間の別団体にそんな依頼をするのに、いつ依頼したかもわからないような状態というのは絶対おかしいと思うし、またここが、関係性のないというんでしょうか、そういうところでない団体だとわざわざ去年の十二月にホームページで発表しているようなところでもあります。

 やはりこういったところのけじめがないからおかしなことにもなるし、また、先週もお話ししましたけれども、この財団においては交通遺児の問題とかをやっています。やはり、国土交通省が出向いてきて依頼をしたら、はいはいと受ける、そういうのではなく、本当に財団として独立してきちんとその資金を使うという、もっと公益に対してやらなければならない、そういった財団でなければいけないし、それを指導する立場が国土交通省なんじゃないでしょうか。

 そういう意味では、これを千円にするためには国費を五千億円、また、去年からまちまちになってしまっている、複雑怪奇とも言えるような高速料金の割引をするのに三兆円ぐらい使っているわけですから、そのほかにも、さらに天下り財団まで使って人気取りみたいなことをする。また、自分の下請というか、これは場合によっては本当にパワーハラスメントと言いたくなるような状態だと思います。

 国土交通大臣、ちょっと通告はしておりませんけれども、所管の財団であるならば、きちんと独立をして、その趣旨にあって、独自で、ここにありますから、うちの方でETCの助成をしたいんですけれどもどうお考えですかと向こうから言ってくるぐらいの独立性がなかったら、今回やはりおかしなことになっていたんじゃないでしょうか。

 また、三月十九日の理事会ですか、そういったことで、予算の前倒しとかいろいろなことをされたということであるならば、一カ月もしないうちに再度依頼したことのメモがなくなるというその管理体制というもの、これも大臣、ちょっと見直す必要があると思うんですけれども、御所見をお願いいたします。

金井政府参考人 恐縮でございます。前段の御質問については、これは前も御説明いたしましたが、前の国会でこの財団についていろいろ御議論いただいたときに、大変多くの資産を持っている、それをどうするのかという御議論がございましたもので、第三者委員会の議論を経て、昨年九月に国交省の方から、ETCの普及促進について協力をするようにお願いをしたところでございます。今回は、それを実現するということで、実際に財団の方で、理事会を経て予算を組んでいただいて、支出をしていただいたということでございます。

 なお、全体の経緯すべてを申し上げられないということで御説明いたしましたが、例えば、先ほど御質問いただいた追加の四十万台については、三月二十六日に道路局の担当が同財団に赴きまして、理事長と協議をさせていただいております。それから高速道路会社については、これも追加分二十万台でございますが、三月二十七日に道路局の担当が各高速道路会社の担当に会いまして、要請を行っております。

小宮山(泰)委員 メモ、あるんじゃないですか。何でそれを最初から言わないんですか。ないと言っているし。そこまであれですと伺います。口頭での依頼ですか。

金井政府参考人 先ほども申し上げましたとおり、昨年に御議論いただいて、もう既にETCの助成をするということ自体は決まっておりましたので、口頭で依頼をさせていただいております。

小宮山(泰)委員 台数とかまでは多分上げていないでしょうし、ここでふえるということは、口頭で依頼するといっても、予算の枠内で前倒しとか、そういう意味ではやはり非常に仲よしの団体としか言えないし、天下りだからこそできたことだと思います。

 この辺は、財団という独立しているもの、この資格を取れるというのは、そうそう民間の中ではあり得ません。そういった意味では、所管の大臣にぜひお願いですけれども、きちんとやはり独立性を持つこと。口頭だといって、そんなもので、例えばこういう依頼もそうですけれども、口頭でちょっと言ったからといってなるというものでもないし、台数がふえるということ、これは財団の予算でするものでありますから、そこにETCの普及にするからという目的があるからといって、それが何台ぐらいなのかは財団が決めるものを、もっとお願いしますとか、どう言ったかわかりません。レクの中においては、それに対しての取り交わしの契約書とかそういうものがあるわけじゃないと。

 ある意味、国の施策に近いものですよね。それは国土交通大臣が記者発表までするわけで、本来だったら、それをやるのは財団の記者発表で終了していいわけですよ、全く別のものなら。それをわざわざ国土交通大臣がふやすと言っていること自体あるわけですから、所管の財団や、また関係の会社がやる、民間会社になったところがそんなことをやるというのは、ぜひ、その姿勢というか関係性というのは改める、見直すべき、また襟を正すことがあるんだと思います。そのことだけお伝えさせていただきます。

 さて、時間がなくなりますので、法案の方の質疑に入らせていただきたいと思います。

 地方住宅供給公社への委託に関してですけれども、第三条の二第三項には、「地方住宅供給公社による次に掲げる事業の実施が必要と認められる場合には、」「当該事業の実施に関する事項を定めることができる。」一、高齢者向け優良賃貸住宅及び認定支援施設の整備及び賃貸その他の管理に関する事業、二、住宅の加齢対応改良に関する事業と記されております。

 「必要と認められる場合」はどのようなことを想定しているのか。また、この文章ですと、どうしても民間企業では対応しづらいというふうに解釈もできますので、自治体が判断した場合、どういったことになるのか。民間の方の参入を阻害するものであってはいけないと思うんですが、こういった点に関してどのような考えなのか、お聞かせいただきたいと思います。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、この施策全般は、やはり民間の力を活用してやっていくべきものと思っています。

 ただ、今回の法改正で今委員御指摘の規定を設けましたのは、公共団体にとっての選択肢をふやしていこう、こういった趣旨でございます。決して、民間の参入を邪魔するみたいな趣旨ではございません。

 その上で、委員御質問の「必要と認められる場合」でございますが、まさに高齢者向け優良賃貸住宅の整備などについて、民間事業者だけでは不十分である、あるいは都道府県が地方住宅供給公社を活用することが効果的である、こう考えた場合に限って、都道府県の計画の中に位置づけていただいて、そういった選択肢も使えるということでございますので、都道府県において、民間事業者にゆだねるだけでは不十分かどうかというようなことを、しっかりとマーケットを見ていただきながら御判断賜りたい。決して、私どもの方から強制するものではございません。

小宮山(泰)委員 地方の公社は、昔、アニータさんの問題とかでいろいろなこともありました。今、維持できなくて解散されているところもあります。こういう景気でもございますので、やはり民間の参入ができるように制度設計もしていただきたいと思うし、また、公社法の第二十一条には、公社の業務として、施設の建設、賃貸その他の管理及び譲渡という表現が用いられております。整備と建設という違いもございますし、今、昔のように建設事業ではない、整備をする、いろいろな意味で包括的な意味を持たせるということになっている。新しい時代というか新しい発想に基づいてこの法律も、今答弁の中でも言葉を使われていたとおりだと思います。

 私自身も、この法律ができることによって、埼玉県議会議員のときに、彩福祉グループの事件というか問題の解決の特別委員会などに県議会議員として携わった関係で、福祉をするというきれいなことの中において、建設事業でもうけるという非常によこしまな思いが重なってしまったことによる不幸な事件だと思ってもおります。

 そういった意味で、建設中心ではなくて、福祉と、そして安心して暮らせる、そういう法律の整備ということで包括していただきたいと思います。

 ちょっと時間の都合もありますので先に進みますけれども、新法の施行による高齢者円滑入居賃貸住宅の登録について質問させていただきます。

 高齢者居住支援センターでは、高齢者円滑入居賃貸住宅に入居する高齢者の賃貸に係る債務の保証を行っています。附則第四条第一項により、本法律の施行により、旧法による高齢者円滑入居賃貸住宅の登録は失効いたします。附則第四条第三項で、「登録が消除された賃貸住宅にその消除前から入居していた高齢者でその後も引き続き当該賃貸住宅に入居しているものの家賃に係る債務保証については、当該賃貸住宅は、新法第十条に規定する登録住宅とみなす。」とされております。旧法では、高齢者円滑入居賃貸住宅の登録に際して、物件の床面積や構造、設備などについて登録基準が設けられていなかったことから、新法の基準に照らした場合では再登録が難しいものも含まれていると考えられます。

 附則第一項で、構造、設備などについて必要な改善を行い、改めて登録申請するために、一年を超えない範囲で政令が定める日から施行することとして、いわば準備期間、猶予期間を設けることとされておりますが、床面積が足りないとか、改良などの根本的に対応できないことが明らかな賃貸住宅に既に入居されている場合、住み続ける限りはみなすということで認められるのか、この点に関してお聞かせください。

和泉政府参考人 委員御案内のとおり、平成十三年にこの制度ができたときは、高齢者の入居を区別しない、差別しない住宅をふやしたいという趣旨がございまして、そういった基準は設けておりませんでした。御案内のとおりでございます。しかしながら、大分定着してまいりまして、今後、やはり最低基準程度のものはクリアしていただこうというような趣旨で、今回基準を設け、加えて報告徴収の規定を入れたわけでございます。

 しかしながら、そういったことに関する移行を円滑に行うために、今委員が御紹介いただきましたように、この改正法全体の施行は三カ月以内でございますが、この部分については一年間をとりまして、加えて、公布から六カ月以内に事前の登録申請をしていただくという経過規定を設けております。それがまず一点目でございます。

 加えて言うと、まさに今御指摘のように、そこに住んでいる方々の不利になっては困るというようなことで、当然のことながら、これは借家契約ですから、家賃を払っている限りはずっと継続居住できるわけでございます。加えて言うと、この円滑入居賃貸住宅の家主さんに対して、また入っている方に対しての大きな安心というのは、委員が御紹介になりました債務保証でございますので、そういったものについては、少なくともこの住宅がいわゆる基準に抵触して失効したとしても、家賃債務保証の部分についてはなお引き続き有効であるというような規定で措置させていただいております。

 まさに委員が御指摘のようなことはないように、法律上も措置してございますので、私どももしっかりと対応してまいりたい、こう考えております。

小宮山(泰)委員 ぜひ、やはり住みなれたところ、やっと落ちついたところから動くというのは、高齢者にとっては精神的にも非常なストレスにもなります。また、引っ越しをするためにも、正直申し上げまして、かなりの経済的な負担もかかる。そして、不動産の方にしては、今まで登録できていたものができないという、ある意味、それまでのメリットがないし、それまでこういう登録ができたから高齢者の方も受け入れていたけれども、登録できないんだったら、ではやめようかということで追い出しをかける口実に使われる、そういったことがないように、ぜひ気をつけて施行していただきたいと思います。

 それでは、第三十条、第三十一条で、高齢者居宅生活支援施設の供給計画の認定及び認定の基準について記述されておりますが、これについてお尋ねいたします。

 認定基準に、「高齢者居宅生活支援施設の規模並びに構造及び設備が、国土交通省令で定める基準に適合するものであること。」とあります。国土交通省令では、どのような基準を定めようとしているんでしょうか。

和泉政府参考人 法律上、予定していますのは六点ほどでございます。

 一つは、せっかくそういった生活支援施設をつくるわけですから、本体の住宅との間がバリアフリーで、自由に支障なく通行できる、こういったことが一点。もちろん、本来の施設の趣旨に応じて必要な機能があること、これが一点目のハードな基準でございますが、二点目に、そういったものを整備する資金計画等がしっかりとしてあること。まだいろいろございますが、そういったことを決めまして、生活支援施設がきちんと安定的に経営できるように、そんな基準を設けていきたいと思っております。

小宮山(泰)委員 また、省令では、高齢者向け優良賃貸住宅と高齢者居宅生活支援設備との間に段差がないこととか、また高齢者居宅生活支援施設が、保健医療サービスまたは福祉サービスの提供に必要な規模、構造、設備を有することなどを定めることを想定しているようであります。

 基準作成に当たっては、国土交通省と厚生労働省と協力して行われるものと考えられますが、役割分担などはどのように行うのでしょうか。

和泉政府参考人 今回、この法律を両省の共管にいたしましたので、お互いにおのおのの持っているノウハウを生かしながら、協力して基準をつくっていきたいと思っております。当然、協議してつくっていきたいと思っています。

 その上で、国交省の方は比較的ハードにたけていますので、今委員御指摘のような、いわゆるバリアフリーなどを中心にしっかりと取り組み、厚労省の方は、当然のことながら、生活支援施設に関するソフトについて従来ノウハウを蓄積してまいりましたので、そういったお互いの持てる部分を協力して、この基準をしっかりとしたものになるようにつくっていきたい、こう思っております。

小宮山(泰)委員 必要な規模、構造、設備について、基準が高コストになってはいないかということを懸念しております。作成に当たって、より安く、よいものをつくることができれば、そういう姿勢を持って作業を行っていただきたいし、そういう配慮をぜひ働かせていただきたいと思います。

 これは老人保健施設の場合ですけれども、施設基準や建築基準法に基づく一床当たりの建築コストは、おおむね一千万円と言われております。これは社団法人全国老人保健施設協会の資料によりますけれども、これだけかかっています。十床あれば大体一億、本当にしっかりとした安全な施設でなければならないことは当然ですけれども、加えて、しっかりコスト的に、経済的に優位であるということも、いろいろな資料を見ていると、新しくつくるというような部分も随分出てくるんじゃないか。

 先ほど私は、もう大分前になりますけれども、彩福祉グループの例を挙げました。結局のところ、高コストにこういう福祉施設をつくる、先ほども答弁にありましたけれども、国交省はハードをつくるのには非常にたけている、厚労省はソフトだとおっしゃいましたが、ソフトの方も、最近はなかなか、その辺も現実とは乖離している部分もあるのかなという思いもあります。

 そのハードをつくるところが得意でない厚生労働省が考える福祉の基準というものが、高コスト体質になってしまう。つくったはいいけれども、最初は、スタートはいいけれども、そのうちに、中のソフト、補助であったりとか報酬の規定であったりとか、そういうものが、現実に今、介護保険の施設の中でありますが、思ったより利用がいいから、どんどんどんどん下げてしまう。

 障害者のときもそうです。思ったよりも制度が非常によくできた。その分、利用者がふえたら支出が高いから、それを抑制するために改定、改定で下げてしまう。そうすると、結局のところ、そのソフトの収入を利用して償還をしたり、建築コストの負担を払っていたところが、結局のところパンクして続けられなくなるということも現実には起こっております。

 ここの点に関して、ぜひ持続可能な、一時的ではなく、高齢者の方が安心して住み続けられる環境をつくるのが今回の法律の一番大きなすばらしい点だと考えるならば、やはりそのときの報酬規定によってころころ変わるのではなく、安定して住めるように、建築コストという部分を、これはBバイCの討論のときもそうなんですけれども、やはりコストを下げて維持ができるようにするということが非常に大切なんだと思いますが、この点に関してお伺いしたいと思います。

和泉政府参考人 まず初めに、国交省と厚労省の役割分担について、あえて言えば国交省はハードが強いと言ったわけでございまして、決してソフトを無視するわけではございませんので、今回の法改正を契機に、我々も十分厚労省と連携して、ソフトについても知見を蓄えていきたいと思っています。

 今、委員御指摘の点でございますが、おっしゃるように、余り高度なレベルをねらってコストが高くなり過ぎて普及しないのでは、全く意味がないわけでございますから、先ほどの御質問の高齢者円滑入居賃貸住宅も、スタートは条件をつけないでスタートして、ある程度定着して、その段階で必要最小限の基準をつくるということでございます。

 今回、生活支援一体型のものをつくるのであれば、同じように、現時点での実況を十分判断して、余り高コストにならないように、そして十分な数が確保できるように、そういった基準として物を考えていきたいと思っています。

 加えて言うと、最近では、委員御案内のように、いわゆる廃校となった小学校を改修して、こういったものを供給するみたいな事例もふえておりますので、我々の事業の進め方としましても、なるべくストックを有効活用していく、それによってコストも下げていく、こういったことも肝に銘じてやっていきたいと思っております。

小宮山(泰)委員 この点に関しては、厚生労働省の方は、高コストで設備をするということの意識があるのかも、ぜひちょっと伺いたいところなんですが、どういうお考えかをぜひお聞かせください。

坂本政府参考人 高齢者居宅生活支援施設につきましては、具体的には、デイサービスや訪問介護、訪問看護といったような事業が想定されているものと考えております。

 このような事業につきましては、介護保険サービスを提供する事業所や施設である場合につきましては、介護保険が保険料や公費の負担によって賄われているということのために、持続的な供給の確保とともに、一定の質の確保ということが必要だと考えておりますけれども、御指摘の高コスト構造にならないよう、十分、国土交通省とよく相談してまいりたいと考えております。

小宮山(泰)委員 スタートはできたけれども、長期に見て維持ができないような、そういったころころと変わる改定とか、やはりそこが一番現場では苦しんでいるところでもあります。

 長期的にどうしてあげたいという入居者の方とか、サービスを受けられている方に対して、非常に苦しむところ、厚生労働省は、ぜひその点は長期的なスパンにのっとっていただきたいと思いますし、また、きちんとしたデータに基づいて行っていただきたいという思いをしております。

 昨年の週刊東洋経済の二〇〇八年十二月六日に載った記事の一節でありますけれども、老人保健施設職員が出した一通の手紙が大きく全国に、「介護政策を変える動きの一つとなり、全国に広がった。」という記事が載っておりました。

 これは埼玉の方でありましたので、この介護福祉士として働いていらっしゃる方が、現場の離職率の高さや家族を養うのも困難な低賃金など、自身が感じたありのままをつづった。そして新聞で目にした「介護は本当に賃金が低いのか。医療に比べ現場の声が上がってこない」との財務省主計局関係者の発言を引用された。

 また、この訴えを県の方の団体の会長が受けとめ、全体として、埼玉県の協会としては、三カ月で十万人分、各施設で千人以上の目標を掲げて、十万四千人分の署名を集めて上田清司知事に届け、またこれが発端で、全国老人保健施設協会会長の提案で、全国の支部でも署名活動を実施し、二月末までに百六十六万人分の署名を集められ、厚生労働省や財務省に署名とともに陳情書を提出された。介護職員に「普通の生活」を保障できるための介護報酬改定を求めたという記事が載っておりました。

 実際にこの団体の調べたデータの中では、厚生労働省が調べていますけれども、平成十七年、十八年度の介護報酬改定で根拠とされたデータの中、平成十七年三月の介護事業経営実態調査、厚生労働省がやったサンプル数というのが五百六十八。同じときに経営実態調査として全老健がされたのは母体数九百。そして、二十一年度介護報酬改定で示されたデータというのは、厚生労働省が調べたのは、介護事業経営実態調査ではサンプル数が二百八と減っています。この団体では九百五十一の経営実態調査というサンプル数をとってやっている。それによって、もとの根拠データがやはり違ってきたんですよ。

 恐らく、共催ということで、一緒にやるということによって、厚生労働省から、こういった福祉士などソフトの部分のデータを活用し、利用していかれると思いますが、こういった中で、ぜひ大臣に考えていただきたいのは、そのもとのデータが本当に必要なものだったのか、本当に正しい現実をあらわして、国交省がこういった建設などにも、これは国費も出すわけですから、税金を使っていくわけですから、ぜひこの点のデータ、やはり再調査をし、本当に必要なところなのか、ぜひこの点を、お聞かせいただきたいと思います。

 なかなか、これは実を言うと、厚生労働省の方に来ていただいていますが、お答え、やるという、もう一回ちゃんとデータを見直すと。特に、このデータから見てわかるのは、一番、六十床から百床ぐらいの間、これはかなりの範囲を占めているところのデータが違うので、首都圏とかそういったところでは、こんなに報酬が上がらない。逆に、施設に入る方にも負担を強いるというような状態が、現実には厚生労働省の発表と違うことが起きてしまっているのも聞いております。

 ぜひ、データのとり直し、もっと実態数をちゃんととり直すということをされて、都合のいいデータを出さないということに頑張っていただきたいと思いますので、その点をお聞かせいただきたいと思います。

坂本政府参考人 経営の実態の調査はいたしまして、今回、介護報酬の改定、三%の引き上げにつなげてきたところでございます。

 介護の現場、平成十二年から介護保険が始まりまして、先ほど和泉住宅局長からも、相当大幅に、二倍の要介護者が出てきているということと、三兆数千億円から始まりました介護保険が七兆数千億円まで、二倍に上がってきております。

 その間、二十三万事業所が、現在、一生懸命介護に携わっているという状況でございまして、厚生労働省といたしましても、介護現場で働いていらっしゃる介護従事者の方々の処遇の改善には意を尽くしてまいりたいと考えております。(金子国務大臣「いや、データの話」と呼ぶ)

 データにつきましても、次の介護保険の改定に向けましては、重々御指摘の点なども踏まえまして、データ整備をしてまいりたいと考えております。

小宮山(泰)委員 今、金子大臣の方からも厚生労働省の方にデータのことというふうに促していただきましたけれども、やはりこういったデータが現実と違ってしまうようなこと。三%上げるというのは今までになかったこと、でも、それまでに随分下げているものですから、結果として三%としても、そこまで職員に対して全部、とても待遇改善ができるほどの額では実はないんですよ。

 やはり今回のことを見てもわかるように、もとのデータというものがあいまい、あいまいというのではなくて恣意的になってしまうということをしない。特に、これは国土交通省が厚生労働省のデータを利用するということもある。そういった新しい、そういう意味では省庁間の壁を取り払って、次に行くためにも、ぜひ大臣の方からも、こういったデータはしっかり出すこと。思い描いたルートにならない、計画とちょっと違うようなデータかもしれないけれども、そっちの方が現実なんですから、やはり現実を採用するという意味において、この点は各大臣ごとでもぜひ気をつけていただきたいと思うんです。

 大臣の賢明なる御見解をお聞かせいただきたいと思います。

金子国務大臣 今回、こういう法案をおつくりして国会に提出させていただいているわけでありますから、本当に活用していただく、そして、先ほど委員が御指摘いただいているような、おかしなコストで負担を強いるというようなことになってしまっては、これは国民として意味のあることではありませんので、今おっしゃられたことは、しっかり受けとめさせていただきたいと思います。

 厚労省もきょうは、次回の見直しに当たってはしっかりデータを見直すと、ある意味踏み込んだ発言もしてくれたものですから、私もそれはちゃんと聞いていましたので、それも踏まえて、一緒にいきたいと思います。

小宮山(泰)委員 今、大臣の本当に見識のある、また示唆に富むというか、決断ある御答弁だったと思います。ありがとうございます。

 それでは、本案の概要説明資料には、公的賃貸住宅、団地内の高齢者生活支援施設の整備が図示されております。団地敷地内の一部を高齢者向けのバリアフリー化された賃貸住宅に建てかえを行い、その賃貸住宅をそれまでより高層化するなどして、余った土地に高齢者の生活支援施設などを整備するというイメージでどうも絵がかかれているのが、皆さんのお手元、各委員のお手元にも流れていますし、またページ上等でも、多分、資料等としては公開されているんだと思います。

 しかし、今、公的ないろいろなこういった住居のストックが余るという事態になっていますし、高齢者が多く住んでいらっしゃいます、例えばUR都市機構などの既存の集合住宅、団地などの、入居者が減ってきている物件での発想かとも思うんですが、既存ストックを生かして、改装、改築で、そして経済的に、効率的に整備を行って、完成後の賃料や利用料が利用しやすい金額におさまるようにするということが、やはり現役として働けなくなった高齢者に対しては何よりも必要なことではないかと思います。ましてや、今、年金の制度、物価スライド方式という形でもあって、なかなか上がるという見込みもありません。そういった意味で、安心した居住をできるように誘導する政策をとっていくべきではないか。

 また、規制改革会議が取りまとめた規制改革推進のための三カ年計画の再改定が三月三十一日に閣議決定され、「住宅・土地」についての中には、「公営住宅における新規入居者への定期借家契約の積極的な導入」が触れられております。そこでは「入居基準に関するチェックを定期的に実施するとともに、入居基準を満たさない入居者への住み替えを促し、真の住宅困窮者に適切に公営住宅を供給する仕組みとして、公営住宅における定期借家制度の活用を図るものとする。」と記されています。もっともらしいんですけれども、住んでいる方に退去をしていただきやすいような、そんな仕組みとも、うがって見れば見ることができます。

 この点に関して、やはり、今まで住んでいた世帯、各団地で再開発の例を見ても、高級化、高額化が確かに土地の有効利用で言われるかもしれませんが、安心して高齢者の方が住み続けられる、現在も住んでいる方が住み続けられるようにするためにはどのようにされていくのか、また、都道府県にはどのように指導、支援を行っていくのか、お聞かせください。

和泉政府参考人 まず、総論としまして、委員御指摘のように、ストックをなるべく活用して無駄を省くということが一番大事だと思います。

 今、委員が言及されましたURの賃貸住宅でございますが、これは平成十九年十二月に作成されましたが、その中で、約七十七万戸ございますけれども、全面建てかえは四万戸にとどめる、基本的にはストックの活用を進めていくというような方針が出ております。

 したがって、これから年金生活になって所得がふえないというような方々を考えれば、建てかえて高い家賃のところに移ってもらうんじゃなくて、きちんと残して、バリアフリー改修をして、なるべく安いコストで、そういった方々が安心して住めるような状況をつくっていくことが大事だと思っております。

 加えて、今、定期借家のお話がございましたが、いわゆる既存の入居者については定期借家は適用がございませんので、既存の高齢、年金で生活している方について定期借家が追加して使われることはございません。

 趣旨は、やはりその場所によっては、所得が伸びる方、あるいは、一時的にそういった公的な賃貸住宅が必要な方、それで、立地条件がいいから、そういったものについてはなるべく効率的、公平に使った方がいい場合、こういったことを踏まえて、規制改革会議等では、そういった条件のもとで定期借家を都道府県がうまく使っていったらどうか、あるいはURも使っていったらどうか、こういった指摘だと思います。

 決して、いわゆるお年寄りの方等を追い出す手段としてそういったものが使われることのないよう、私どももしっかりと注視してまいりたいと思っております。

小宮山(泰)委員 最後になりますけれども、高齢者という言葉の定義の中、また多くの方は、必ずというか、生きていれば高齢になる、加齢をしていくということもありますので、これは障害者や低所得者、生活保護受給者、また住宅確保要配慮者に対しては、どのような取り扱いになるのか、位置づけになっているのか、この点に関してぜひ伺わせていただきたいと思います。

和泉政府参考人 今回は、高齢者居住安定法の改正でございますので高齢者が対象でございますが、当然のことながら、その高齢者の中の障害者の方々、低所得者の方々、生活保護を受けている方々も当然対象でございますし、今回の高齢者居住安定法の対象外につきましても、住宅セーフティーネット法の趣旨を生かしながら、住宅政策として十分に対応してまいりたいと考えております。

小宮山(泰)委員 いろいろありがとうございました。

 ぜひ、大臣、生活弱者にならないように、高齢者の方々が安心して暮らせる居住の安定確保が可能になるかということも押さえていただきたいと思います。その思いがありましたら、ぜひ最後にお伺いさせていただいて、質問を終わらせていただきたいと思います。

金子国務大臣 今まで国交省建設部局とこういう医療部局というのが、なかなか国も地方も連携してやるという部分というのが、それぞれの立場から見ていたものですから、すぽっと抜けてしまっているようなところがあったのかと思います。

 一方で、今、高齢者だけじゃなくて障害者、低所得者というお話もありましたけれども、住宅政策全般として、今までの公的住宅の供給あるいは持ち家の促進というものだけではなくて、先ほど来御指摘いただいておりますような、今あるストックも活用しながら、年齢の構成、少子化の対応といったようなものを全般に進めていきたい。この高齢者の今回の法律は、本当にその第一歩だと思っておりますけれども、少なくとも、つくる方と医療サービスといったようなものを一緒になって考えていくという第一歩で、これから進めていきたいと思っています。

小宮山(泰)委員 ありがとうございました。

望月委員長 次に、長島昭久君。

長島(昭)委員 民主党の長島昭久です。

 質問の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 今ちょうど伺っておりました小宮山委員への答弁、これをちょっとフォローアップしたいと思っているんですが、特にきょうは、年金所得だけが頼りの御高齢の皆様方の居住の安定について、その観点から、その辺に絞ってお話を伺いたいと思っているんです。

 ことしの一月に社会資本整備審議会の答申が出されました。「高齢者が安心して暮らし続けることができる住宅政策のあり方について」、こうなっておりまして、その報告書の十三ページには、年金所得の高齢者が入居可能なバリアフリー化された公営住宅やURの賃貸住宅の整備を推進すべきである、このように書かれております。

 今回の法改正の中で、バリアフリー化に加えて生活支援サービスというものも付せられるということなんですけれども、私どもに寄せられる、例えばURの賃貸住宅に住んでおられる高齢者の方のお話ですと、この間たび重なって家賃が値上がりしてきている、それに加えて、先ほどもお話が出ておりました定期借家権というものが新たに設定されるということになって、やはり、現在暮らしておられる皆さんにとってみると、何となく、期限を区切られて、その期限が来たら追い出されるのではないか、そういう不安が非常に広がっております。

 したがいまして、私の質問はたった一つなんですが、バリアフリー化を急ぐということは非常に重要であります。それと同時に、高齢者の皆さんが安心して暮らし続けられるような低家賃の住宅をどのように確保していくかということ、この一点。もちろん、URの方からの答弁でも結構ですが、できれば大臣から、具体的な国土交通省としての施策を御説明いただければありがたいと思います。

金子国務大臣 かなりメニューは用意してあるのでありますけれども、UR住宅あるいは公営住宅ということに関して申し上げますと、まず、公営住宅あるいは高齢者向け優良賃貸住宅、これを整備していく。整備していくというのは、先ほども議論が出ておりましたけれども、今あるストックも活用するということで、民間の団地、これを高齢者向けの施設に改良するあるいは改修するというときにも、それに対して支援をしていく、そういう形で供給をしていく。

 それから、家賃の低廉化でありますけれども、地方公共団体がそういう位置づけを、これは本当に計画をつくっていただいているんですけれども、そういう場合には、数字はちょっと別としまして、地域住宅交付金というものを用意してありますので、そういうものを活用しながら、低所得者、特に年金生活だけで居宅の必要なところへの支援が、今一番大きな柱としておるところであります。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 要するに、現在住んでおられる方を期限が来たら追い出していくような、そういう仕組みではないということと理解してよろしいでしょうか。(金子国務大臣「結構です」と呼ぶ)ありがとうございます。

 続いて、話題がかわるのでありますが、今、テポドンが飛んだということで、北朝鮮に対しては、上空に対する関心が高まっております。

 私は、従来から海洋の問題に取り組んできたんですけれども、海からの脅威というのは日本にとっては非常に深刻だというふうに思っておりまして、きょうは海上保安庁長官にお見えいただいております。海上における警察活動の実態を、少し振り返って、改めて考えてみたいと思うのですが、以前質問主意書でも取り上げました、九州南西海域における北朝鮮工作船の事案について少しお話を伺いたいと思います。

 これは平成十三年十二月二十二日に起こった事案でありますが、これはもう皆さん御記憶にあると思いますが、激しい銃撃戦が行われ、不審船は自爆をして沈没した、その後引き揚げられて、北朝鮮の工作船だった、こういう断定をされた事案であります。

 まず、海上保安庁長官、当時の状況でございますが、海上保安庁の巡視船は、不審船に対して何度も停船命令を繰り返したわけでありますが、その根拠となる法令、いかなる法令違反の疑いがあったか、これが一点。それから、その際、停船させようとして、警告射撃、威嚇射撃、最後は船体射撃もしておりますが、その射撃の根拠となった国内法、あわせてお伺いしたいと思います。

岩崎政府参考人 北朝鮮の不審船事案でございますけれども、不審な外観、これは外国漁船でございましたので、また、発見した場所は排他的経済水域の中でございますので、排他的経済水域における漁業等に関する主権的権利の行使等に関する法律の、漁業の許可が必要なところでございますけれども、これに対して無許可で行ったのではないか、その事実を確認するために、漁業法七十四条に基づきまして立入検査を実施した、それに対して忌避したということでございますので、停船命令を繰り返し発した、こういうことでございます。

 そのときに、船体の威嚇のための武器も使用いたしましたけれども、これは海上保安庁法の二十条第一項において準用する警察官職務執行法第七条に基づきまして、武器を使用したものでございます。

長島(昭)委員 今御説明をいただいたとおり、遭遇から銃撃戦、そして自爆、沈没というふうに至る一連の行動というのは、すべて領海の外、排他的経済水域の中で行われました。

 きょうは外務省の国際法局長がお見えだと思いますが、このEEZにおける、今長官から御説明があった国内法の適用及び取り締まりというのは、国際法上どう位置づけられているか、御説明いただけますか。

鶴岡政府参考人 国連の海洋法条約上、排他的経済水域におきまして、沿岸国は、天然資源の探査、開発、保存及び管理のための主権的権利及び海洋環境の保護及び保全などに関する管轄権を有しております。

 そのような権利や管轄権に基づきまして、沿岸国が沿岸国の国内法を適用し、その違反を取り締まることは、他国の権利及び義務に妥当な考慮を払い、また、国連海洋法条約と両立するものである限りは、国際法上、問題がないとされております。

長島(昭)委員 今、管轄権という言葉が出ましたけれども、先ほど、ちょっと私は触れましたけれども、相当激しい銃撃戦が行われた。相手の不審船は、機関砲やあるいは対戦車ロケット弾というようなものを撃ってきた。こちらも二十ミリ機関砲で、ある種応戦をしたと。これは、外見上、見ると、何となく武器の使用というよりは武力の行使になるのではないかというおそれがあると思われるのですが、管轄権の行使として、国内法に基づく取り締まりの一環で武器を使用するということが、例えば国連憲章第二条四項で禁じられている武力の行使に当たることはないという御説明をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

鶴岡政府参考人 委員御指摘のとおり、国連憲章第二条四項におきましては、一般的な国際法の規範といたしまして、武力の行使が禁じられておるところでございますけれども、我が国が国際法上の執行管轄権を有する場合に、我が国の海上保安官などが、海上において我が国の法令上の犯罪を取り締まるため、関係国内法に基づき武器を使用することは、国連憲章第二条第四項で禁止されている武力の行使に当たることはございません。したがって、このような武器の使用が国際法上問題となることはございません。

長島(昭)委員 つまり、外見上、これは激しい銃撃戦だった。テレビでも、私どもは見ました。それで、結果としては、海上保安官の方も三名被弾して負傷された。結果的に、沈没した不審船側は乗組員全員が死亡、こういうことになったわけですけれども、今の鶴岡局長の御答弁によりますと、こういう事案、例えば、今私が申し上げた九州南西海域の工作船事案における海上保安庁による武器の使用というのは、あくまでも国際法上認められた海外における管轄権の行使、こういう理解でよろしいんでしょうか。

鶴岡政府参考人 委員御指摘の具体的な事案に即しての御質問だと思いますけれども、既に質問主意書などにもお答え申し上げているとおりでありますが、まず第一に、対象となっておりました船が不審船である、旗国が不明であるということでございます。国際法上、不審船という概念についての明確な定義がございませんけれども、公海上におきます無国籍船や海賊船舶に対しまして、我が国が、我が国の国内法を適用し、その違反を取り締まることは、我が国が執行管轄権を有する場合における法的な執行でございまして、国際法上の問題が生じることはないと理解しております。

長島(昭)委員 そうしますと、今、鶴岡局長が御説明いただいた、国際法上認められた海外における、つまり領海の外における管轄権の範囲内で、国内法を適用し、法令違反を取り締まる、こういう点においては、先ほど申し上げたEEZ内、排他的経済水域内における不審船の対処ということと、今ソマリア沖で行われているような、公海上において行われる海賊に対する対処という行動は、同じような法的な性格を有するものと理解してよろしいんでしょうか。

鶴岡政府参考人 排他的経済水域、EEZ、あるいは公海、基本的には、排他的経済水域も、先ほど申し上げた、我が国の主権的権利あるいは管轄権がございますけれども、基本的な法的性格は公海でございますので、公海において、我が国が、無国籍船や海賊船舶に対して我が国の国内法を適用し、その違反を取り締まることは、我が国が執行管轄権を有する場合における法執行であるという意味におきまして、国際法上の法的な性質の違いはございません。

長島(昭)委員 そこで、もう一度海上保安庁長官に戻りたいと思いますが、この平成十三年の九州南西海域工作船事案におきまして、その対処に当たって、現場の海上保安官、あるいは、海上保安官は、こういう船があるぞということで管区や本庁に、ある種指示を仰ぐことになっているんでしょうけれども、海上保安庁として、その相手の船、対象となる船、船舶をどのような船舶だというふうに認識をしていたんでしょうか。

岩崎政府参考人 段階によって違ってまいりますけれども、最初は上空から航空機が見つけたわけでございますけれども、不審な行動をしている外国漁船があるということで、私ども、追尾を行ったわけでございます。

 その後、巡視船等も到着いたしまして、より詳細な、当該船舶に対し、これはどういうものかということで、いろいろな形で検証してまいりましたけれども、その段階で、やはり外形それから行動様式からして、明らかに不審な行動をやっている外国漁船であるということで、先ほど申しましたように、立入検査をしようということで試みたわけでございますけれども、それを忌避して逃げていったということでございます。

長島(昭)委員 ちょっと今、聞き取りにくかったんですが、相手の不審船の外形及び行動の態様から、不審な外国の船舶、漁船と申しましたか、漁船というふうに認識をした。もう一つ明確にお答えいただけますか。

岩崎政府参考人 繰り返しになりますけれども、その漁船が、外形、例えば、普通の漁船にはないようなアンテナをいっぱいつけたりとか、あるいは船尾部が観音開きになっているであるとか、それから、普通の漁船であれば当然、我々、立入検査ということで、とまれと停船命令を出せばとまるわけでございますけれども、逃亡を繰り返していったとか、こういうことから、この不審な外国漁船に対して、私どもの方は、繰り返しになりますが、必要な法的措置を講じていったということでございます。

長島(昭)委員 実は、平成十五年版の防衛白書によりますと、最初の不審船の発見は、防衛庁のP3C、海上の哨戒機によるものだということなんですが、ちょっとこれを読みますと、「平成十三年十二月、防衛庁は九州南西海域において、北朝鮮の工作船の可能性が高いと判断される不審船を発見し、海上保安庁に通報した。」と。これだけ素直に見ると、単なる不審な外国漁船というのではなく、現場でその対処に当たっていた海上保安官の頭の中に、いろいろな知見とか今までの経験とか、さっき長官がちょっとおっしゃった観音開きになっているとか、そういう外形を含めて、これはもしかしたら北朝鮮の工作船なのかもしれないといったような、そういう認識はあったんでしょうか、なかったんでしょうか。

岩崎政府参考人 その少し前に、能登半島沖で北朝鮮のいわゆる不審船を取り逃がした事件もございました。そういう意味で、私どもも、この船は北朝鮮の工作船の疑いは当然持っておりましたけれども、発見当初、これは別に北朝鮮の工作船と断定してやったわけではございませんで、中国漁船として偽装もしておりましたので、繰り返しになりますけれども、不審な行動を行っている外国漁船だということで、いろいろな法的な、適用海域も含めて対処したということでございます。

長島(昭)委員 つまり、これは北の船だ、いや違う、そういうことを断定してから行動に移る、移らないを判断する、そういうことではないということですね。そういうことだと思います。

 適切な法的手続に従って、まず警告、そして威嚇、そして、場合によっては、やむを得ない場合には船体射撃も行う、こういうことなんだろうと思うんですが、実は、その後、先ほど冒頭に申し上げましたように、この沈没した不審船を引き揚げてみたら、これは明らかに北朝鮮の工作船だということで、政府としては、これは後々、北朝鮮による工作船だというふうに断定をしております。そのことが政府の公刊物等々にその後書かれて、最初は不審船事案でしたけれども、今では、そういう意味では工作船事案と名前も変更しているわけです。

 伺いたいのは、後々、取り締まりの対象とした船が実は北朝鮮の工作船だったということが、引き揚げてみてわかった。それでも海上保安庁としては、先ほど長官がおっしゃった警察官職務執行法七条に基づく正当な武器使用であった、こういう認識は揺るがないのでしょうか。その点、よろしくお願いします。

岩崎政府参考人 警察官職務執行法で犯人の逃走等の防止のために、私ども、武器を使用することができますので、これは、犯罪を犯したか犯人の逃走を防止するための武器の使用でございますので、そういう意味では、特に対応が変わるわけではございません。

長島(昭)委員 先ほど私も少し触れましたけれども、防衛庁からの情報提供があった、それに基づいて巡視船を出す、そして、当該海域に到着をする。もしかしたら北朝鮮の工作船かもしれない、数年前に能登半島でもやむを得ず取り逃がしてしまった、こういう思いがいろいろある。その不審船の背後に北朝鮮の国家的な意思がありやなしや、それは当然のことながら断定できないわけですよね。しかも、これは夜ですから暗い。北朝鮮の旗でも上げていればそれは別ですけれども。そういう意味では、にわかにはそういう断定ができない。

 しかし、現場の海上保安官の目から見て、これは排他的経済水域内において適用されるべき国内法に違反をしている、こういう外形があり、そういう疑いがある以上、これは今後の話ですけれども、今後とも、海上保安庁としては、立入検査のための停船命令をかけたり、あるいは、場合によっては警職法七条に基づいて射撃をする、武器の使用も辞さない。こういうことであって、こういう武器の使用というのは、国内法上正当なものだ。国際法上ももちろんですけれども、正当なものだ。これが、海上警察を預かる海上保安庁としての、日本の海を守っていこうという、そういう意思を持っておられる海上保安庁としての明確な見解でしょうか。もう一度伺いたいと思います。

岩崎政府参考人 当時における武器の使用も、もちろん適正なものだ、このように思っておりますし、今後、こうした同種の事案が発生した場合、私ども、海の安全を守る、治安を守るという立場から、断固とした措置を、この武器の使用も含めて、きっちり適正にやっていきたいと思っております。

長島(昭)委員 ありがとうございます。

 海上の警察活動、治安の維持、まさに第一義的な責任を持っておられる海上保安庁の皆さんですから、今回、海賊の問題の中で海上保安庁の役割も、私ども、今後明確に位置づけていきたいと思いますが、ぜひ、日本の海を守り、頑張っていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

望月委員長 次に、後藤斎君。

後藤(斎)委員 委員長、冒頭、委員長にお願いがございます。

 今、国対委員長会談でも話題になっておるらしいですが、委員会の出席率、これは与野党ともなんですが、ぜひ委員長の方から、それぞれの会派に、きちっと出席方を要請していただけるようにお願いをしたいと思います。

望月委員長 わかりました。

後藤(斎)委員 大臣は、一昨日の日曜日、その前日から、大変長時間、党内の調整また政府部門の調整に当たって、いわゆる北朝鮮から発射された飛翔体というもので大変御苦労なさったというふうにお聞きをしています。

 お聞きしますと、四日から八日の発射通告ということがあって、その間だけではなく、かなり前から、国土交通省の中では、船舶、航空並びに海上保安庁のいろいろな警備体制の強化も含めて御苦労があったというふうにお聞きをしますが、なかなか、防衛省の方の、実際PAC3をどうとかということの方が非常に大きな、メディアの露出が高かった部分もあります。

 私は、そうではなくて、航空や船舶や、また海上での警備に当たった方々がどういうふうなことをしているのかというのは、やはりきちっと大臣の方から明確に教えていただいた方がいいと私自身は思っておりますので、この間、きのう、おとといには国交省の中の検討会というか対策室が一応閉じたというお話は聞いていますが、一連の時系列も含めてどのような対応をなさったのか、お尋ねをしたいというふうに思います。

金子国務大臣 ありがとうございます。

 国交省も非常に早く対応させていただけたと思います。三月十二日に、国際海事機関、IMOと言いますけれども、北朝鮮からこの国際海事機関に対して、今御指摘いただいた日程において発射するという報告がありました。外務省を通じまして連絡がありました。北朝鮮当局からの危険区域の設定ということで通報がありました。それから、国際民間航空機関、ICAOと言っておりますけれども、翌日十三日に同様の連絡が入ったということが、外務省を通じて入ってきました。

 私たち国交省としては、船舶及び航空機の安全確保ということを図る必要がありますので、海上保安庁から船について、これは十二日、航行警報を出しました。特に日本海側、国内フェリーが日本海側はばんばん走っておりますので、それに対して警戒を求め、あるいは、ルートを日本海側に寄せるといったような対応をしてもらいました。

 また、航空局からは、航空情報、これは三次元の立体的な像になるわけでありますが、ノータムという航空情報を十三日に発出させていただいております。

 いずれにしましても、国交省の中の関係局、危機管理連絡室を立ち上げまして、海事・航空事業者に対しまして、危険区域とその周辺を含めて、幅広く迂回する措置というものを、事業者への指導あるいは代替ルートの設定等を行ってきたところであります。

 四月四日九時、危機管理対策室、関係局長が職場に待機をして、警戒態勢をとってきたところであります。

 それから、当日の四日には、発射という報道に接しまして、海上保安庁の所有しております航空機、これを太平洋側、日本側、落下されたと予測されているあるいは推定されているところに直ちに飛ばしまして、海上から目視をしてもらいました。浮遊物、危険物というのは、目視に関する限りでは見当たりませんでした。

 巡視艇も、日本海側についてでありますが、二隻、海上保安庁の巡視艇を派遣してもらいまして、船からも危険物あるいは浮遊物がないかどうかチェックをしてもらったところでありますが、きょうに至るまでは、まだ何も発見されておりません。

 何よりも、被害が航空機、船舶等について現状までのところ報告されていないというのが、唯一救いだと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、きょうの住宅政策と福祉政策の連携もそうですが、やはり関係省庁や国土交通省の中の航空局、海事局並びに海保も含めて、きちっとした連携をやってきたたまものだというふうに私は高く評価をしたいと思います。ただ、これはメディアに露出すればいいというものではありませんが、そういう行政の中できちっとしたお仕事をされているということは、これからも大臣が政治的なリーダーシップをもちろん発揮していただくことは当然でありますけれども、やはり職員の方の士気が高まるような行政運営の執行をぜひお願いしたいというふうに思います。

 二点目、なかなか質問の機会がないので、お尋ねをしたいと思います。

 昨年の六月、この委員会で横田飛行場の軍民共用化の検討状況ということでお尋ねをいたしました。当時は冬柴大臣でありましたけれども、大臣、やはり羽田、成田が国際線と羽田飛行場の需要量の増大ということで、今、延伸について工事を昼夜を問わずやっておりますけれども、ここに来て、ある意味では、海外に出る、海外から来られる観光客、お仕事をされる方、需要は確かに減っているような話もよくお聞きをします。

 ただ、私は、住宅ストックもそうでありますけれども、横田や百里基地の問題というのは、確かに米軍という他の国がかかわっているものではありますけれども、あるストックを上手に使っていくということが、大臣、何よりもやはり時代に合った物事の考え方だというふうに思っています。立川という、東京都の、都心からも非常に近い飛行場でありますし、ある意味での経済活性化という面でいえば、道路の整備もさることながら、あるストックを使っていくという発想の視点に立てば、やはり一日も早く軍民共用化の対応ができることが望ましいと思います。

 オバマ政権になって二カ月強がたとうとしておりますが、国交省として、この横田の飛行場の軍民共用化について、スタディーグループがあるというお話も聞いておりますが、その辺の進展も含めて、どのような現状か、簡潔で結構ですから、お答えいただきたいと思います。

前田政府参考人 お答えいたします。

 今、先生御指摘のスタディーグループでございますが、これは平成十八年五月に、日米安全保障協議委員会のもとで、再編実施のための日米ロードマップというのが策定され、これに基づいて、平成十八年の十月ですが、結成されたものでございます。この場で横田飛行場の軍民共用化に関する検討を行っているところでございます。

 国土交通省としましても、横田飛行場の軍民共用化は非常に意義あるものと考えておりまして、関係省庁、それから東京都と調整を進めながら、このスタディーグループに参加させていただいてきたところでございます。

 このスタディーグループにおける検討作業、これは当初は十二カ月で結論を得るとされておりましたが、開始から二年以上を経過した現在も、日米政府間でさらなる調整が必要であるという状況でございます。

 私ども国土交通省としても、引き続き、必要な協議、調整に取り組んでまいりたいと考えている次第でございます。

後藤(斎)委員 昨年、冬柴大臣にお尋ねをしたときには、成田の延伸工事だけで二兆円以上のコストというか、税を投入して対応しているというお話がございました。

 そういう中で、三千三百五十メートルという、ある意味では非常に長い、大型の飛行機が離発着できる飛行場でもあります。これはある意味では、事務的にスタディーグループというのも、当然そのベースとしたら対応していただかなければいけないというふうに思いますけれども、やはり大臣のリーダーシップというのが何よりも大切だと思うんです。

 大臣、早期にやることが、要するにゼロであれば、もちろんこれ以上進めることはないわけでありますけれども、やはり羽田と成田と、そして例えば横田というトライアングルが形成できれば、多分これからの航空行政というものについて違った視点で対応が進められるというふうに私は思うんです。ぜひ、大臣のリーダーシップで早期の実現を図っていただきたいと思いますが、その点について、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 後藤委員御指摘のとおり、首都圏の民間航空需要の一翼を担うという意味で大変意義のあるものであり、私自身も強く実現を望んでおります。

 残念ながら、米軍との、アメリカ側とのさらなる調整というので、少しスタディーグループの議論が、二年経過しておりますけれども、とまっている状況のようでありますので、関係省庁あるいは東京都と少し話して、さらに粘り強く、どこかの機会で弾みをかけられるようにしていきたいと思っています。

後藤(斎)委員 それでは、住宅関係に移ります。

 大臣、私は、住宅政策というときに、何が住宅政策かなというふうに実は時々、不思議というか、自問自答するんです。というのは、今まで住宅政策というのは、当然、公営住宅も含めたところに、住む場所を確保するという一つの施策が一方であるものの、ある意味では、これだけ景気が後退をし、地域経済も崩壊をしているときに、やはり一時期、二百万戸近い新築住宅着工件数があった時代はよかったなということで、景気対策をするときに、ある意味では新築の住宅をもっとつくっていこうという景気刺激の部分が今まであったというふうに思っています。

 ですから、今、人口が減少して、ストックが、ベースで考えれば供給過剰の構造になっているというふうなことが言えると思いますが、いろいろ勉強させていただくと、これは我が党でも今、住宅ビジョンということでまとめさせていただいておりますが、大臣、いろいろな諸外国の事例を見ても、住宅政策というのが国によって重点をどこにつけるかというのがかなり違っています。

 例えば、アメリカなんかは、日本と同じように持ち家政策を重視する、その大前提は政治の安定と経済活性化、二つが背景にあるというふうに言われています。

 一方で、ヨーロッパの方は、むしろ家賃補助も含めた、要するにストックの部分で公の部分が関与するのではなくて、家賃政策みたいなもので、低廉な、要するに安い住宅に住めるような政策をするというふうに、国によっても違いますし、また、経済や成長段階によってもこの施策のウエートが違います。

 これからは、国が、国土交通省として、政府として行う住宅政策というのは、どのような視点で、どのような産業政策という部分も含めて対応していくのか、住宅局長で結構ですから、御答弁をお願いしたいと思います。

和泉政府参考人 委員御指摘のとおり、住宅政策は、おのおのの国の住宅事情で変わってくると思います。今日まで、委員御案内のとおり、昭和二十五年に住宅金融公庫法、昭和二十六年に公営住宅法、昭和三十年に日本住宅公団法。どちらかというと、持ち家の促進と賃貸住宅の供給促進といった観点が強かったと思います。

 その後、御案内のとおり、おのおのの制度につきまして、例えば住宅金融公庫法であれば、自分が直接貸すのではなくて、証券化支援を通じて民間の金融機関を上手に活用していく。あるいは、公営住宅等につきましても、民間活用型をふやしていくというような意味で、既存の住宅を活用する、あるいは民間の活力を活用する、こういった方向にかじを切ってきたと思います。

 そういったことで、最終的に、平成十八年度には住生活基本法というものをつくっていただきまして、住宅という箱に着目する政策から、住宅、その中で生活する人々の生活に着目して、住宅政策をもっと幅広く考えていく。そういった計画の中で、幾つか目標がございますけれども、ストック重視、あるいは福祉、まちづくりとの連携、あるいは市場の重視、こういった方向にかじを切ってきたと思います。

 いずれにしましても、大きなポイントは、住宅市場の中で、持ち借問わず、個人の方が適切な選択ができるような市場環境を整備していく。そのためには、例えば住宅性能表示制度等の普及がございますし、その上で、市場では十分な住宅が確保できない、いわゆる住宅確保要配慮者に対する施策をセーフティーネットとして構築し、市場の活用とそういったセーフティーネットの確保、これを車の両輪としてやっていくというようなことが現時点で日本の進むべき道じゃないか、こう考えております。

後藤(斎)委員 大臣、今大体五千万戸強、一戸建て、集合住宅があるというふうに言われています。私も全部訪ねたわけじゃありませんから。そのうちの七百万から八百万戸が、今、一戸建て、集合住宅で空き部屋というふうに言われています。その部分が供給過剰だというふうに言われています。

 その七百万から八百万戸の住宅、空き部屋のうちも、例えば去年つくった新しいマンションから、何十年かたってほぼ償却が終わっている住宅から、いろいろな古さというかキャリアは当然違いますけれども、大臣、やはり私が一つ言えるのは、今局長が御答弁いただいたとおりの部分はあると思うんですけれども、ストックをどう活用するかというのも、昨年のいわゆる二百年住宅、長期優良住宅の法案についても、中古市場の活性化、要するに、資産価値が基本的には十年たったら半分になって、二十年、三十年たったら資産価値はゼロになるというのが今の日本の住宅の実際の市場でありますし、それが、今はお金を出さなければつぶすこともできないというふうなことであります。

 大臣、私が言いたいのは、公の関与、例えば、国が今直接新築をしてということは大変少なくなっていますが、やはり都道府県や市町村が、先ほどの低廉な住宅ということで、いわゆる所得が低い方を中心にその住宅を確保すると、公の関与をどうするかということを、やはり大臣、もう少し本質的に考えていかなければいけないというふうに私は考えています。

 というのは、私の地元も、例えば一年前であれば空き部屋率が、田舎ですから、大体一割から二割だったものが、昨年のやはり秋以降の、例えば大手の電機関係のメーカーが工場閉鎖をしたりリストラをしたりということで、急速にその地域の例えばマンションやアパートを持っている方々のいわゆる賃貸の入居率というのが減少しています。今、平均的に言えば、三割から、ひどいところで四割くらい空き部屋になっているところがある。これは多分、私の地元だけではなくて、地方都市ではかなりの地域でそういうことが起こっているというふうに思っています。

 そして、これからストックを有効利用するということは、むしろコストを国や地方自治体が税という形で出すのではなくて、例えばヨーロッパが今主体でやっているように、家賃補助という形で、きちっと県や市町村と契約をして住宅提供するということが、私は、例えば公営なのか、公営的ということになるかもしれませんが、国の住宅政策にも合致しますし、また、地域の活性化ということであれば、多分二割ぐらいの空き部屋であれば、基本的には、家賃がそんなに減少しなければそこの大家さんはとりあえず若干でも黒字を出せて、当然、民間の部分でありますから土地や建物の固定資産税の税収も自治体に入っていく。いい循環が、やはり大臣、入ると思うんですね。

 ですから、私は、そこの点に全部それをシフトしろとは言いませんけれども、やはり大きな政策転換が必要だというふうに思いますけれども、その点について御見解をお伺いしたいと思います。

金子国務大臣 委員がおっしゃられました前者の住宅政策、確かに、今までは、公的住宅の供給、あるいは持ち家の促進という、いわば二本立てで戦後ずっと住宅政策がとられてきました。これも委員御指摘のとおりです。

 一方で、戸数がそれなりの確保ができてくるという状況になってきていますので、今、団塊ジュニアの世代、新規取得という需要というのはもとよりまだまだありますけれども、それだけではなくて、既存ストックをどう活用するのかということがもう一つの大きなテーマになってきている、そのことも御指摘のとおりであります。

 そうして、今度は、空き部屋が多い、公的な部分の関与という、関与の仕方もいろいろあるんだろうと思います。今委員がおっしゃった家賃補助という行き方というのもその一つなんだろうなと思いますし、一方で、今既に行われていますのは、地域の計画にのったところについては地域交付金でそれなりの対応が、全部ではありませんけれども、一部行われ始めている。

 あるいは、空き部屋を活用する、ストックを活用するという観点からいえば、高齢者世帯が住みかえをする、あるいは子育て世代が子供が大きくなって新しい家を探すという、いわば住みかえといったようなことについて、やはりまだまだ情報不足、あるいは民間の市場が必ずしも育っていないのかなと。特に、中古住宅、これは前も議論がありましたけれども、こういういわば住みかえが円滑に行われていくような、いろいろな部分で公的な関与というのももっと進めていく必要があるんだろう。中古住宅自身を一方で育てていくという枠組みのところも、我々、公的関与の大事なところなのではないんだろうかと思っております。

後藤(斎)委員 大臣、昭和四十年にできました地方住宅供給公社法、これは、ある意味では、今お話をした視点から含めて、やはり抜本的な改正ないしは廃止が私は必要だというふうに思っています。分譲から管理へという形で、かなり地方財政健全化法に基づいて、総務省の、昨年の六月三十日、「第三セクター等の改革について」という御指導の中で、都道府県でいろいろな議論をしているようでありますけれども、やはり、大臣、バブルのときにかなりたくさん土地を買ったり建物を建てたということで、山梨県も含む九団体が債務超過になっている。それも、かなりの金額でなっているというところが結構ございます。

 そういう意味では、大臣、私はもう一度お話をしますが、総需要というものがどこまであって、そこに総供給というのがどこまであって、ただ新築でつくれつくれというのだけでは、やはり結局はどこかでパンクをするんですね、需給のバランスは。

 ですから、そういうもののトータルの制度設計というのは、確かに数字をすべて国が決めろと私は言いませんけれども、ぜひそういう意味での、今回の高齢者居住安定確保法というのは第一歩だというふうに私は思います。そこは評価をしますが、やはりまだ不十分だと思うんです。

 そういう意味での抜本的な住宅政策、地方の活性化、住む人の自由、そして優良住宅の供給、いろいろな角度がたくさんありますけれども、ぜひその中で、時代に合った、これから、ある意味では住宅メーカーも海外に進出をして、そこでお仕事をかなり確保してもらう時代にも入っていくというふうに思います。

 ぜひ、そんな意味での、産業振興という観点も含めた住宅政策の抜本改革、転換を求めたいと思いますが、大臣、一言だけで結構ですから、御意見を賜りたいと思います。

金子国務大臣 御指摘いただいたことは大事な課題として認識をさせていただき、これからも住宅政策を進めさせていただきたいと思います。

後藤(斎)委員 どうもありがとうございました。

望月委員長 次に、三日月大造君。

三日月委員 民主党の三日月大造です。

 質問の機会をいただきまして、ありがとうございます。ちょっと数も少なくて、何か沈滞した委員会になっていますので、元気よく質問をしたいと思います。

 私も、住宅政策について夢を語り、問題提起をしたいと思うんですけれども、今、後藤委員の方からありました、私たちは、今回、民主党の住宅ビジョンというものをつくって、住宅政策のことについて、もう一回、一からみんなで考えました。言わずもがななんですけれども、個人にとって大変大切だ、不可欠だ、生活の場でもあるし、大切な資産だ、一生に一度の買い物だ。しかし、この不景気の御時世で、実は住宅に困窮する人たちが出てきてしまった。セーフティーネットとして本当に機能しているのかという問題を突きつけられました。この整備をする必要があるだろうと。

 ミクロだけではなくて、マクロの視点でいうと、住宅投資というのは極めて大きな内需拡大策ですし、そこにさまざまな優遇支援、誘導政策をとることは、極めて有効な経済政策だと思います。また、まちづくりの観点からいくと、住居、住宅というのは、その町の景観、文化を形づくる大切な要素でもある。きょうも話題になりました、福祉の面からもそう、環境の面からもそう、恐らく、住宅政策というのはこれからの日本を形づくっていく上で本当に重要な政策だなということを改めて認識させていただきました。

 その上で、私たちは、何点かビジョンを掲げています。

 一つは、建てては壊す、そういう時代ではもうなくなったんですね。ところが、日本の住宅の寿命というのは約三十年と非常に短くあります。先般もこの国会で議論をし、法律を整備いたしましたが、長もちする家を建てること、長もちするように改修、リフォームをすること、そのための融資だとか優遇を拡充していくことがもっともっと必要だろうという観点。そうすれば、住宅が年金になるんです、住宅が資産になるんです。

 しかし、それを可能にするためには、今持っている住宅が果たしてどれだけの資産価値があるのか、どのような状態にあるのかということについてきちんと審査する目ききが、インスペクターが必要だ。しかし、残念ながら、今、日本にはこういった人たちがいないという課題があります。これを早急に整備する必要があるだろうという観点。

 もう一つは、先ほど局長からも御答弁がありましたが、持ち家もいいのですけれども、持ち家だけじゃなくて、やはり賃貸というものをもっと充実し、活用する必要があるだろう。そのためには、貸しても必ず返ってくるんだという定期借家制度の普及をしていくことが必要です。

 また、住宅ローンはノンリコースにしたい。リバースモーゲージというものも利用しやすくしなければ、住宅が資産というものになっていかない。リスクが大き過ぎるという問題もあるので、ここにも検討を重ね、早急に対策を講じていこう。

 さらには、日本で建てる家は、やはり日本でとれた木で、国産材で建てられるような制度をもっと充実させるべきだし、それを建てるに当たっては、伝統工法、木造、こういうものについてもっともっと応援をしていく仕組みをつくっていきたい。さまざまな角度からビジョンを立てさせていただきました。

 この点についての御感想なり御認識は後ほどお伺いをいたすといたしまして、まずは大臣に問います。

 世界一のスピードで高齢化が進展する中で、先ほども一部ありましたが、国として目指すべき方向性、とるべき政策というものは、大臣、どのように描いていらっしゃいますか。国として……(金子国務大臣「住宅」と呼ぶ)住宅です。それ以外のことを私は議論した覚えはないのですけれども、住宅について。

    〔委員長退席、菅原委員長代理着席〕

金子国務大臣 急速に高齢化しているという中で、持ち家は七割でありますけれども、その中でも、夫婦二人だけ、あるいはどちらか欠けちゃった単身の方というのが急速にふえてきている。今はまだまだ元気で、何とか我が家で、自宅、賃貸も含めてでありますけれども、過ごしている。しかし、介護が必要になってくる、あるいは、ひょっとしたら認知という状況もあらわれてくる、こういうような状況のときに安心して暮らしていけるという、いわば今回提案をさせていただいているこの法案そのものの一つの目的でありますけれども、高齢者が安心して過ごせる。

 それから、地方に行きますと限界集落のようなのが結構あるんですけれども、こういうところでも高齢化比率が非常に高い。こういうようなところの人たちも、やはり、特に雪の間、閉ざされてしまって、ひとり暮らしで閉ざされてしまうということになると、一体何が起こっているかというのがよくわからなくなるというようなことで、こういう地方であっても、そういう期間、お年寄りに一時的に集まってもらって集団生活をしてもらう、これは住宅というよりもそういう集まれる場、居住できる場の確保でありますけれども、そういうところが、都会あるいは地方ともどもに、我々、住宅政策の一つとして提供をしていく場だろうと思っております。

三日月委員 都市でも地方でも安全、安心に暮らせる場を提供していくこと、お一人になられる世帯、認知症だとか、あと介護が必要になった方々も安心して暮らしていける状況をつくり出していくことが、私たちに課された使命だとおっしゃったと思うんです。

 私は、ハード、設備をつくることももちろん大事だと思うんですが、やはり住まい、住居というのは、人のつながりといいますか、心のつながり、きずなというか、お隣近所、向こう三軒両隣、困ったときはお互いさま、助け合い、家族も含め、お隣さんも含めて、そういう状況というのが極めて望ましい状態だと思いますので、どうか、これから議論いたしますが、さまざまな制度をつくる際に、量的ストックの充実、さらには質的向上、ここまでも否定しないのですが、そこに心が欠けてしまっているような状態では住宅政策として非常に欠けた部分が大きいと私は思いますので、その点をお忘れなきようお願いをしたいと思います。

 局長にお伺いをいたします。国としてそういう方向を目指そうとしているのかもしれませんが、高齢者の住まいについてのニーズ、一体どのようなニーズがあると把握をされておりますか。

和泉政府参考人 大臣の方から基本的なスタンスは述べましたが、私どもは、五年に一回、住宅需要実態調査というのをやっております。そこで高齢者の方々に御不満等を聞きますと、一番多いのは、若干物的でございますが、いわゆるバリアフリーに対する不満、これが六四・五%を占めました。

 大臣からもお話がございましたように、なるべく住みなれた場所で、地域で住むことが希望されておりますけれども、一方ではそういった不満があるものですから、二割ぐらいの方が、住みかえとかリフォーム、こういったことを希望され、また、内閣府が平成十七年度に実施した調査においても、いわゆる身体の状況が厳しくなった場合についてはケアつき住宅とか有料老人ホームに移りたい、こういった御希望がございます。

 したがいまして、こういった状況を踏まえると、極力住みなれた地域で、これは持ち家か問いませんけれども、住み続けられるような、地域のコミュニティーあるいは生活支援というようなものを充実させながら、一方で、身体状況が厳しくなったときの受け皿についても十分意を用いて対策を打っていくことが大事なんじゃないか、こう考えている次第でございます。

三日月委員 そうしますと、私は、きょう資料を持ってきたんですけれども、今の状況は、一ページ、高齢化の状況なり高齢者の居住の場の状況についてお示しをして、二ページのところに、これも国土交通省からいただいた資料で、「各国の高齢者の居住状況」を入れています。

 「全高齢者における介護施設・高齢者住宅等の定員数の割合」、これを見まして、日本は現時点で大変定員数の割合が低い状態にあるんですけれども、国として、これはどこまで目指すように計画をされていますか。目標を持っていらっしゃいますか。

和泉政府参考人 まさに私どもが準備させていただいた資料でございますが、他の国に比べまして、いわゆる施設系は相当な勢いで整備されてきておりますけれども、ここで議論されていますいわゆるケアつきの賃貸住宅、こういったものの数が少ないことは、今委員がお示しの資料のとおりでございます。

 私どもとしましては、今回の法改正が認められれば、そういった手段を駆使しながら、特に、施設系というよりは、今回、ケアつきの賃貸住宅なり、こういったものについて増大していきたい、そのために地域住宅交付金等を上手に使っていきたい、こう考えております。

 現時点で、このグラフで何%かということについては、今後、高齢者に関する居住安定確保計画を都道府県がつくりますので、そういったもの等を精査しながら、目標を、どの辺まで申し込めるのか、そういったことについて詰めてまいりたい、こう考えております。

三日月委員 いや、大臣から国の大まかな方針が示され、そして局長から御答弁いただいたように、例えばバリアフリーについての御不満があり、住みなれたところで住みたいんだけれども、二〇%の方が住みかえだとかリフォームを希望され、さらには、いざというときのために、医療、介護のケアつき住宅への転居も余儀なくされる方々がいらっしゃる状況の中で、この二ページの上段にあるように、日本の全高齢者における介護施設、高齢者住宅等の定員数の割合が、割合として大変低い状況にあって、これをどうしますかと問うたときに、これから都道府県で計画をつくっていただきます、それを積み上げることによって国としてまとめていきたいということなんですけれども、今おっしゃった、今回、国会にかけられていますこの法律の高齢者居住安定確保計画ですか、これは、先ほども議論になっていましたけれども、義務じゃなくて、できるなんですよね。計画を立てることができる。

 そうする状態で、都道府県は計画を立てることができる、国はその都道府県で立てられたものをもとに全体の量を把握するということだと、何か抜け落ちるところが出てくるんじゃないんでしょうか。国として、やはりある程度、それぞれのニーズに応じた住宅をどの地域にどれぐらいの規模で、何年間かけて整備していくということの大まかな目標は、私は必要じゃないかと考えるんですけれども、いかがなんでしょうか。

和泉政府参考人 おっしゃるように、今回の計画はできる規定でございますので、都道府県に計画の強制はできませんが、できる規定にした理由として、地方分権の趣旨という話も御説明しましたけれども、一方で、都道府県においては、既に住生活基本計画の下部計画として、高齢者に関する計画をつくっております。したがって、そういった意味で、少なくとも、この法律の持つ計画がどうかは別にして、すべての都道府県でこういった高齢者に対する計画をつくっていただくということが絶対必要だと思っていまして、そのためのインセンティブ等についても、るる準備しているところでございます。

 また、今御指摘の、では、国としてどのぐらいのボリュームを考えるのかということにつきましては、いろいろ考え方はあるわけでございますが、冒頭の一番初めの御質問に対して、西銘政務官の方から、現在、ケアつきの賃貸住宅がまさに少なくて、十五万五千戸ぐらいしかないということについて、平成二十六年度ぐらいまで大体倍増したいという話を申し上げたと思います。

 この辺は、言うなれば、こういった高齢化社会の中で一番厳しい状況に達するであろうと考えられる、高齢単身、夫婦のみで、かつ要支援、要介護なりの方々で、賃貸住宅に入る方々について相当なカバー率を上げていくとすれば、現在の財政状況を踏まえると、この程度の目標は掲げなくちゃならない、こう思っておりまして、そういったことは今後、これは仮に法律が認められて、基本方針を私どもとして厚労省と定める段階では、そういったことも盛り込んでいきたい。

 そういったことと、都道府県の計画とのやりとりの中でリアリティーのある計画にし、もし必要な財源があれば、それについてはしっかりと確保するようなことで努力してまいりたい、こう考えております。

三日月委員 今おっしゃったようなことで、全国的な、いわゆる高齢者が住まれる住宅の量の面と質の面がどの程度確保されるのか、確保しようとしているのかということについて、私はいまいち明確に描くことができなかったんですけれども、ちょっと具体的に聞きます。

 この二ページの下のところに、「高齢者居住法における各住宅の概念図」といって、高齢者円滑入居賃貸住宅、高齢者の入居を拒否しない住宅、今回、これに登録基準を設けるということになっているんですね。もともとある制度として、高齢者向け優良賃貸住宅、これは高優賃というんですか。さきに述べたものが高円賃というんだそうですね。この真ん中にあるのは高専賃というんですか。もう何か、何を言っているかよくわからなくなってくるんですけれども。これは、本当に皆さんがいろいろと苦慮されて、考えられて、よかれと思ってやっていることなんでしょうけれども、現場に行くと、もう何が何だかさっぱりわからない状態になっている事例を私は、後で申し上げるんですけれども。

 ちなみに、これは登録基準を設けて、高齢者円滑入居賃貸住宅、高齢者の入居を拒否しない住宅というのは、何件ぐらいのストックになるんですか。今何件で、何件ぐらいになっちゃうんですか。

和泉政府参考人 言葉が難しくて申しわけございません。

 現在、高齢者円滑入居賃貸住宅は、全国で十二万五千五百九十二戸が登録されております。

 今委員御指摘の御趣旨は、多分、今回、登録基準を設けたならば、一時的に減るのではないかというようなことをおっしゃったんだと思いますが、そういった可能性はあるかと思います。しかしながら、逆に言うと、こういったきちんとした基準のものであるということがわかり、また、都道府県による報告書等の一定の監督もかかってくる。そういう意味でいえば、従来の高円賃、高齢者円滑入居賃貸住宅に比べれば信用度は高まるということになるかと思います。

 先ほども御質問ございましたが、そういったことについての経過措置についてもさまざまな規定を設けさせておりますので、一時的に絶対落ちることはないかということの御質問であれば、その可能性はゼロではございませんが、そういった信頼性の向上を武器に、全国の宅建業者の方々等とも連携しながら、こういった高齢者の入居を差別しない住宅の数をふやしていく努力をしていかなくちゃならぬと思っておりますし、そういった意味での普及啓発などについても今後さらにしっかり取り組んでいきたい、こう思っております。

    〔菅原委員長代理退席、委員長着席〕

三日月委員 そうやって登録基準を設けて信頼性を高める高円賃、それ以外に、高優賃とそれぞれあるんですけれども、これをどうやって皆さんに利用してもらおうとお考えなんですか。

 せっかくいいものをつくって、例えば、局長であれ大臣であれ、自分たちの親が住みかえをしたい、今持っている家を離れて、例えば駅前に住みたい、たしか国で高優賃というのがあると聞いた、何か私たちの入居を拒まない高円賃というのもあると聞いたと。どうするんですか、この人たちは。どこに行くんですか。

和泉政府参考人 今の委員の御指摘は、要は、どれだけ情報が本当に困った方にスムーズに流れるような準備をしているかという御指摘だと思うのであります。

 既に先進的な自治体においては、今回の改正案の趣旨を先取りして、高齢者向けの優良賃貸住宅あるいは公営住宅あるいは老人ホーム、こういった高齢者の住まいになる場所について一覧的に市役所のホームページにまとめて、ワンストップサービスをしている事例もございます。

 今後、こういったことを一つの事例として、私どもも、地域住宅交付金等でそういったソフト部門についても応援しながら、より本当に必要な方々に情報が行くようなきめ細かな提供ということについては、さらに意を用いていく必要があるかと思うのです。

 建前を言うと、現在でも、高円賃については都道府県の住宅部局でちゃんとリストがございますけれども、それで本当に困った方々に足りるのかということについては御指摘のとおりでございますので、ホームページ等みたいなITの手段あるいは地域の宅建業者の方々との協力、こういったものも随分各地でモデル的な取り組みを行っておりますので、そういったことをさらに促進してまいりたい、こう考えております。

三日月委員 私は、週末、スタッフと手分けして、自分たちの親が移り住む場合ということで、不動産業者を回ったんですよ。高円賃ってあるでしょうと聞いたら、はあ、なんですね。すべてじゃないんですよ、すべてじゃないんですけれども、はあ、もうちんぷんかんぷんのところが多く、高優賃というものについても同種の反応が多かったです。

 そもそも、ストックがそれぞれの地域に、このお手元の資料に示しておりますように、高円賃、高優賃、地域ごとにばらつきがあって、もちろん、持ち家市場だとか賃貸市場だとか、さまざまな地域ごとの特性はあるんですけれども、ホームページなんかで出していたって高齢者は見られないんですよね、そんなもの、高円賃というので。

 やはり、移り住まなあかん、おやじ、おふくろをどこか駅前に移り住ませてやりたいなというときに、まずどこに行くかといったら、私は、市役所よりも駅前の不動産屋だとかそういったところに行って、何かいい物件ないですかね、たしか国で高齢者向け優良賃貸住宅があると聞きましたと言って行かれると思うんですね。そのときの窓口が、はあというような状態だと、やはりかなり市場として私は不十分であると思いますので。

 その点、例えば高優賃のストックが、三ページを見るとゼロというところがあります。これをどうやって伸ばしていくのかということと、さらに、登録基準を設ければそのストック自体が減るという可能性にどう対応するのかということと、さらには、せっかくあるものをやはり皆さんに有効に活用していただくための方策をどのように工夫されるのかということについて、お答えをいただければと思います。

和泉政府参考人 おっしゃるように、各公共団体で住宅政策に対する取り組みに温度差は正直言ってございます。今委員御指摘の幾つかの県では、公営住宅等は昭和二十六年からやっていますのでつくっておりますけれども、まだ民活型の高齢者向け優良賃貸住宅をつくらないというようなところもあるかと思いますが、今回の改正を契機に、各都道府県で高齢者向け居住安定確保計画をつくっていただくようにお願いいたしますので、そういう中で、住宅部局のみならず福祉部局と協力して、やはり財政部門を説得しないとなかなかそういった事業は進みませんので、そういった努力もまずさせてもらいたいというのが一点目でございます。

 二番目、御指摘のそういった情報がちゃんと伝わるようにという趣旨に関して言えば、おっしゃるように、ホームページもいいかもしれません。これは子供がかわりに探してあげればアクセスできますので。ただ、一方で、普通の高齢者の方々が町の宅建業者さんのところに行って、高優賃あるいは高円賃と言ったとき、もうほとんどがわからないということじゃ困るわけでございまして、それについては、さらにそういった業者の方々との連携を深めていきたいと思っています。

 特に、住宅セーフティーネット法をいわゆる議員立法でおつくりいただきましたが、その中で、居住支援協議会、これは高齢者に限った話じゃございませんけれども、そういった住宅の確保を、要配慮者に対して、民間の賃貸住宅への円滑な入居、そういったことを進めるために、居住支援協議会をつくるという規定がございまして、これはまだまだ数は少ないわけでございますが、意のある宅建業者の団体等と公共団体が連携して、こういったものもぼちぼち出てきておりますので、今回の改正が認められれば、それを大きな契機として、さらに草の根レベルの情報提供について意を用いていきたい、こう考えております。

三日月委員 今おっしゃったように、高齢者向けの賃貸、高円賃であれ高優賃であれ、民間の不動産の方々は、宅建業者の方々は、それは市役所がやらはることでしょうというような御認識も、どうもあるようなんです。市役所に行けばわかりますよというようなところもあって、やはりここは、今おっしゃった、行政と民間業者が一体になった、高齢者に住宅を提供する、優良な賃貸住宅を提供するための支援組織、ネットワークのようなものをわかりやすくつくる必要があると思うんですけれども、その支援協議会は幾つぐらいあるんですか、現時点で。

和泉政府参考人 ちょっと手元に数字がないので、後ほど御報告したいと思います。

三日月委員 あと、やはりこの機会ですから、すべての都道府県、すべての不動産業者、宅建業者さんがそうだとは私は思わないんですけれども、一度、どのようにすれば、それぞれの方が持っていらっしゃる高優賃、これから質を高めていこうとする高円賃、こういうものがニーズを持っていらっしゃる方々により広めることができるのか。はたまた、今持っている賃貸のアパートをそういう高円賃にしてもらうため、改良して高優賃にしたらどうだという、もう聞いていらっしゃる方も何だかさっぱりわからないと思うんですけれども、いや、私、このわかりにくさも本当に課題だと思うんですよ。問題だと思うんですけれども、ぜひ、この概念的な整理もそうだし、それがどのように提供されるのかということについても、ちょっと工夫と見直しを、特に現場の皆さんの声を聞いて工夫と見直しをすべきだと思うんですけれども、どう思われますか。

 ちなみに、局長に答えていただく前に、大臣、その高円賃、高優賃とか、どうですか、これ。

和泉政府参考人 確かに、平成十三年度から創設していますので、公営住宅とかURの賃貸に比べれば知名度は低いですし、数も、公営が二百十八万戸、URが七十七万戸に比べれば、高優賃は三万戸、高円賃が十二万数千戸でございますから、知名度は低いと思います。

 ただ、今御紹介したような居住支援協議会、これは一番地道な、地に足がついた仕組みだと思いますので、御指摘もございましたので、少なくとも四十七都道府県すべてにおいて、どこかの市であれ、そういったモデル的な取り組みをしていただくように、しっかりとやっていきたいと思います。

 そういう中で、実際に困った方に情報が伝わっていくためにはどれが一番効果があるのか、あるいは、いろいろな知恵が集まっていると思いますので、そういったものをまた集約化して、また千七百近い市にお返しするというようなことをやっていきたいと思っております。

三日月委員 私は、こういう枠組みが必要だと思うからこそ言うんです。いいことだと思うから、より多くの皆さんに利用していただきたいと思うから、現場を見てきて、そこで感じた疑問を皆さんにお伝えしているので、どうか、これから制度を推進していくに当たって、もちろん、都道府県や市町村の窓口と連携していくことは必要だと思うんですけれども、より活用できる制度にしていただきたい。言葉についても、ぜひ見直しをしていただけたらありがたいなというふうに思います。

 最後に、先ほど私が冒頭申し上げました、民主党として住宅ビジョンを掲げて、その中で、やはり、今持っていらっしゃる中古住宅の質をちゃんと目ききする人、資産価値としてどうなんだ、安全強度としてどうなんだということについて、きちんと見られる人の存在が必要だということを考えて、その育成なり、基準づくりをしていこうということを打ち立てているんですけれども、国においては、この点の問題意識をどのようにとらえられ、取り組みをされているでしょうか。

和泉政府参考人 ストック重視の住宅政策の大きな基本が中古住宅の普及促進でございまして、その前提として、委員御指摘のように、中古住宅がきちんと目ききをされるということが大事でございます。一応、制度的には、御案内のとおり、住宅品質確保法で既存住宅の性能評価はあるんですが、あれは余りにも完璧を期し過ぎまして非常に使いにくくて、累積で千六百戸ぐらいしかない。片や新築の方は、大体フローの二〇%ぐらいに来ている。

 一方で、民間のインスペクターのいろいろな企業があるわけですが、これはまた、消費者から見ると信頼性に若干欠けるという点と、横並びでの整合性が余りない、こういった問題がございました。

 そこで、ことしに入って、国土交通大臣から社会資本整備審議会に対しまして、既存住宅の流通の促進及びリフォーム市場の整備のための方策というようなことを諮問させていただきました。その中で、適正で、かつ信頼性のある、ただし、ちゃんと普及し得る、そういったインスペクションの仕組みについてもこの中で議論させていただきまして、そういったものの成果を得次第、政策を含めて対処してまいりたいと考えています。

三日月委員 そういう意味でいうと、今まで私たちが指摘をしてきたことについての問題意識を共有していただいて、目きき、ハウスインスペクションの仕組みについても検討していただくということですから、私たちがビジョンを実現するために、政権を担わせていただいて、皆さんと一緒に仕事ができるような状態になったときにすぐにできる状態を、ぜひ十分検討を重ねていただいて御準備いただくことを求めまして、私の質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございました。

望月委員長 次回は、明八日水曜日午後零時五十分理事会、午後一時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時一分散会


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