衆議院

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第11号 平成22年4月7日(水曜日)

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平成二十二年四月七日(水曜日)

    午前十時一分開議

 出席委員

   委員長 川内 博史君

   理事 阿久津幸彦君 理事 小泉 俊明君

   理事 田中 康夫君 理事 橋本 清仁君

   理事 村井 宗明君 理事 岸田 文雄君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 竹内  譲君

      阿知波吉信君    石井  章君

      緒方林太郎君    加藤  学君

      勝又恒一郎君    神山 洋介君

      川島智太郎君    川村秀三郎君

      菊池長右ェ門君    黒岩 宇洋君

      小林 正枝君    中川  治君

      中島 正純君    長安  豊君

      畑  浩治君    早川久美子君

      馬淵 澄夫君    三日月大造君

      三村 和也君    向山 好一君

      谷田川 元君    若井 康彦君

      赤澤 亮正君    金子 一義君

      金子 恭之君    北村 茂男君

      佐田玄一郎君    徳田  毅君

      野田 聖子君    林  幹雄君

      斉藤 鉄夫君    穀田 恵二君

      中島 隆利君    柿澤 未途君

      下地 幹郎君

    …………………………………

   国土交通大臣       前原 誠司君

   内閣府副大臣       古川 元久君

   財務副大臣        峰崎 直樹君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月七日

 辞任         補欠選任

  熊田 篤嗣君     緒方林太郎君

同日

 辞任         補欠選任

  緒方林太郎君     熊田 篤嗣君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件(日本航空問題)


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     ――――◇―――――

川内委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件、特に日本航空問題について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。橋本清仁君。

橋本(清)委員 宮城三区の橋本清仁です。本日は、日本航空、JALの再建に関連して質問させていただきます。

 本年一月十九日に、長年の経営不振、債務超過を理由にして、日本航空、そしてその子会社である日本航空インターナショナル、ジャルキャピタルの三社は東京地方裁判所に会社更生法の手続を申請、受理されました。現在は、企業再生支援機構をスポンサーに経営再建中でございます。

 JALが破綻した理由、それはもちろん親方日の丸的な放漫経営にも原因はございます。しかしながら、問題の根本、それはJALだけではなく、政官業がもたれ合うしがらみだらけの日本の航空行政もその要因の一つであると考えられます。

 例えば、日本においては、航空会社が支払う高額な着陸料などを空港整備勘定としてプールし、無駄な空港を次々とつくり続けてまいりました。なぜ無駄な空港をつくり続けるのか。それは、もし空港の建設が行われるのならば、建設にかかわる地元の建設業者、そこは潤いますし、また、その場に雇用も発生いたします。だからこそ、政治家は国土交通省に働きかけ、圧力をかけ、無駄な空港をつくってきました。

 また、空港ができると、それに付随して役人の天下り先もふえてまいります。

 そして、空港ができれば飛行機も飛ばさなければなりません。航空会社は、その路線において採算がとれなくても飛行機を飛ばして、その見返りとして、採算性の高い発着枠を既得権として確保してもらったり救済を求める。JALは、経営が厳しくなった九〇年代以降、政治家や役所に救済してもらうべく、ますますその傾向が強くなってきたような気がします。

 私は、こうした政官業のもたれ合いの構図がJAL破綻の根本的要因の一つであると考えております。

 そこで、辻元副大臣にお伺いいたします。

 政権交代を果たし、航空行政の抜本的改革を目指す前原大臣とともに、しがらみだらけの航空行政をこれからどのように変えていくおつもりでしょうか。そして、JAL再建にかける思いを述べていただきたいと思います。

辻元副大臣 御質問にお答えいたしたいと思います。

 今委員が御指摘になられたような点は、多数、航空行政に対しての御批判として、さまざまな識者や専門家の皆さんも御指摘をいただいている点だと思います。私たちは、政権交代いたしまして、今までの航空行政全般をしっかり見直していく中で、この日本航空の再生を果たしていきたいというように考えております。

 一方、きょうはJAL中心ということなんですけれども、航空業界が今世界じゅう厳しい状況にもなっております。外的要因も多々ございまして、リーマン・ショック以来の不況であったり、それから新型インフルエンザなど、外的要因が出てきますと直撃されるというような構造にもなっております。そういう外的要因、それから行政との関係、そして日本航空自身の体質というところを一つ一つ抜本的に見直すことが必要だと思っております。

橋本(清)委員 辻元副大臣の航空行政の改革にかける熱い思い、そしてJALの再建にかける熱い思い、十分伝わりました。

 そしてまた、先ほど申し上げましたけれども、空港整備特会、平成二十年度に空港整備勘定として名前を変えて、社会資本整備事業特別会計の一部となりました。その仕組みは複雑であり、空港使用料や一般会計からの繰り入れなどをして空港の建設や拡張、維持運営などの費用に充ててまいりました。特別会計は、一般会計と異なり予算の使途が把握しづらいという特性がございます。空港整備特会の中ではプール制となっていて、羽田などの利用量の多い空港の収入を使うことにより採算の合わない空港をつくり続けるという、政官業のもたれ合いの一部になってまいりました。

 そこで、辻元副大臣にお伺いいたします。

 こういった前政権時代の負の遺産である特別会計の見直しも、JALにとっては高額な着陸料などのコスト圧縮につながり、JAL再建の一助となると考えておりますが、特別会計の抜本的見直しについてお答えください。

辻元副大臣 先ほど、いろいろな観点からの見直しと申し上げました。非常に難しい問題だというように考えております。ですから、これは、いろいろなしがらみや予断を許さずに、一つ一つ見直していく決意なんですが、やはり九十八ある空港をどのように、つくってしまったものはもったいないですから、活用していけばいいのか、需要をふやしていくのかということ、非常に難しいなと思いながら、しかし、ここでしっかり委員の皆さんともきょうのような議論をしながら、一つ一つ点検していかないと、この先ますます財政赤字にもつながっていく。

 その中の一つが、今御指摘の空港整備勘定、旧の空港整備特会と言われるものです。これを使って空港を今までつくり続けてきたわけです。ですから、私たちといたしましては、まずこれから、もうこれ以上無駄な空港は、この勘定を使って、空整特会を使ってつくらない、つくり続けない。その上で、見直しの一つの大きなポイントは、着陸料などの軽減をする方向で、空港に競争力を持たせるという方向で改革できないかというように考えております。

 というのは、一方でつくらないということと、それから日本の空港に競争力を持たせないと、韓国の仁川、シンガポールなど非常に競争力のある空港が近隣諸国にございます。そこはやはり着陸料の問題などで日本はネックがあるということですので、この空整特会を、競争力を空港に持たせる方向で、各省庁と調整をしながら、使い道、活用の仕方について今議論をしております。六月ぐらいまでにその結論を出したいと今考えておりますので、結論を出し次第、また委員の皆様には御報告をしてまいりたいと思っております。

橋本(清)委員 また、しがらみの中で、空港をつくるとそれに付随して天下り先もふえると先ほど述べさせていただきました。

 高速道路に天下り先であるファミリー企業がぶら下がっているように、空港にも天下り先である法人が数多くぶら下がっております。コストがかかる施設経営、そして独占営業となるビル経営や駐車場経営を分離して経営することにより、空港自体の経営、それは巨額の赤字を計上し、税金が穴埋めに使われている一方、空港関連設備の天下り法人、これは大きな黒字を生み出し、財産を膨らませていると聞いております。

 そこで、辻元副大臣に質問いたします。

 国土交通省の所轄の公益法人のうち、国からの天下り団体数、正味財産の額、天下りの人数についてお答えください。

辻元副大臣 今御指摘の、航空関係の公益法人への再就職の状況、平成二十年四月現在で二十団体ございます。そして、役職員は七百三十八名おります。そして、平成二十年度の当該二十法人における正味財産額は約二百九十億円となっております。

橋本(清)委員 今、辻元副大臣からございましたけれども、国からの天下りを受け入れている団体、これが二十法人あり、正味財産二百九十億円、さらには天下りを七百三十八人も受け入れている。これは本当にとんでもない話です。

 コストがかかる施設経営、そして独占営業となるビル経営、駐車場経営を分離しながら、空港自体の経営は巨額の赤字を計上、その一方で、空港で独占的に営業する天下り法人は大きな黒字を生み出し、財産二百九十億円ですよ、こういったものを膨らませている。この天下り天国の経営体制を正すことなしに航空行政の抜本的改革、JALの根本的再建はあり得ません。

 私は、こういったビル、施設経営と管理が一体となったような空港運営の仕方が必要であると考えますし、また、そもそも、駐車場経営、こういったものは特別な専門性は必要ありませんし、民間でも広く行われている業務でありますから、公募方式などにより、透明性、公平性、競争性を確保するべきと考えております。もしこれを民間業者に運営を任せたならば、料金はさらに安くなりますし、もうけから税金を国に納めるはずです。

 ここで質問させていただきます。

 前原大臣は、無駄が明らかな空港関連の一部の法人について、独自に整理をする意向を示しておられると伺っております。辻元副大臣、天下りの見直しについての基本的スタンス、そして、具体例を挙げてお答えいただきたいと思います。

辻元副大臣 現在、公益法人、空港や航空関係以外も含めまして、国土交通省関係は約一千百ございます。これを政務二役、副大臣と政務官が分担をいたしまして、一つ一つ、その中身やそれから意義、そして国土交通省関係のいわゆる天下りがどれだけいるかとか、点検をいたしております。

 そして、すべてを点検し、さらに行政刷新会議でもその中で幾つか御指摘をいただいた点は連携をとりながら、その公益法人が必要なのかどうか、そして、そこに補助をする必要があるのかどうかというような根本的な点からまず点検をする。公益法人ですので、政府がこれを取りつぶせとか言える筋合いではないんですね、独立してやっていらっしゃいますので。

 しかし、そこに補助金を出すとか、そこに人が行くとか、受け入れる指定席になっているとか、そういうことを政府としてしっかり改めていくことはできると考えておりますので、今、丁寧に行っていきたいと、分担して進めている最中です。

 その中で特に、御指摘の、駐車場の話がよく新聞などに出ます。これは大臣も既に記者会見などでも注目をしているという発言をしておりまして、空港環境整備協会の扱い、正味財産が百七十一億円と突出しているということで、この協会の扱いについても根本から見直していこうということで、今精査をしている最中です。これは、空港の経営のあり方と、そして駐車場等その周辺整備のあり方など、トータルに見直さないと、一つだけを取り出して見直すというよりも、トータルに見直してまいりたいということで、今進めている最中です。

 御指摘の点をしっかり踏まえてやっていきたいと思います。

橋本(清)委員 JAL再建のかぎ、それはもちろんJAL自体の努力は必要でございます。しかしながら、特別会計の見直し、天下りの見直し、政官業のもたれ合いの構造の見直し、そういった前政権からの負の遺産をきちんと処理することが必要であると御指摘させていただいて、私の質問を終了いたします。

川内委員長 橋本君の質疑を終了いたしました。

 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 日本航空の再建問題についてお尋ねをいたします。前原大臣が参議院に出席ですので、副大臣以下、御答弁をお願いしたいと思います。

 去る一月十九日に、日本航空が会社更生法の適用を東京地裁に申請いたしました。企業再生支援機構のもとで再建が行われるわけでありますが、安全確保を第一としつつ、三年間で企業再建という目標が達成できるよう、一層の努力をお願いしたいと思います。

 さて、日本航空が抱える負債総額は、グループ三社で二兆円を超える大規模なものとなりました。金融を主力事業としない企業としては過去最大の経営破綻ではないかと思います。日本航空といえば、かつては大学卒業予定者の希望する就職のトップに挙げられておりました。優良企業というイメージが国民にあったと思います。しかし、実情は巨額負債を抱える企業であったことに、国民にある種の驚きや落胆があるのではないでしょうか。

 そこでお伺いいたしますが、これほどの巨額な負担が積み上がった主要な原因はどこにあると考えておられるか、それから、これまで抜本的な経営改善の改革に踏み込めなかった要因はどこにあるのか、簡潔にお答えいただきたいと思います。

辻元副大臣 三点あると思います。一点目は、日本航空そのものの体質、そして二点目は、先ほどから申し上げております航空行政と日本航空との関係、そして三点目は、先ほど申し上げましたように、国際的に不況やインフルエンザなどで航空業界が世界じゅう非常に厳しくなってきているというこの三点です。

 そして、一点目の体質につきましては、不採算路線がそのまま切れずにずっとあった。そして、大型機の保有など、高コストの体質を途中で改めることができなかった。余剰人員がたくさんあった。そして、やはり組織自体が非常に硬直的で意思決定が遅いというような点が、日本航空自身もこれから改めていただかなければいけない大きな点だと思っております。

中島(隆)委員 今の答弁もそうでありますが、先ほどの橋本議員の質問もそうであります。JALそのものの経営体質、それからさらには政府の責任、この責任が問われるというふうに思います。

 そこで、日本航空と企業再生支援機構が示した事業再生計画の概要でございますが、三年間の再建期間で、二〇一一年度末には営業黒字に転換をして、二〇一二年度末には営業利益を確保するとされています。

 現状からすると、V字回復を目指す内容と言えるでしょうが、しかし、世界の主要な航空会社の十月から十二月期の決算、連結決算を見ますと、米国のデルタ航空を除き、ほとんどの航空会社で売上高が前年比マイナスとなっています。乗客一人を一キロメートル運んで得られる旅客単価は、主要航空会社のすべてで大幅な下落となっております。日本航空に至っては、前年比で二一%も下がっています。

 こういう状況を見ますと、日本航空のみならず、世界の航空業界が大変に厳しい状況にあるというふうに思います。短期間で黒字体質への転換は容易ではないと思いますが、そこで、三年間で営業黒字を見込むに至った根拠はどこにあるとお考えか、お聞かせいただきたいと思います。

古川副大臣 お答えいたします。

 日本航空の事業再生計画は、専門的かつ公正中立な立場にあります企業再生支援委員会により、三年以内に事業再生が見込まれ、機構の支援基準を満たすと判断されたものと認識いたしております。

 詳細な計画内容につきましては、今後、会社更生法に基づく更生計画におきまして最終的に確定することになりますが、路線、機材、人員の大幅なダウンサイジング、コア事業への集中、バランスシートの十分な健全化等の包括的な事業再構築によりまして、抜本的な経営改善を実施することになると伺っております。

 このような内容の更生計画を着実に遂行することにより、日本航空の確実な再生が達成されることを期待いたしておるところでございます。

中島(隆)委員 これから更生計画を検討されるわけでありますが、特にこの委員会、ぜひ更生対象のJALあるいはそれぞれの関係機関の方々の出席を求めて、この問題については指摘をしていきたいというふうに思っております。

 次に、日本航空の貨物事業についてお伺いいたします。

 日本航空と日本郵船による航空貨物事業の統合が結果的に交渉打ち切りになったと報道されました。その後、日本航空は貨物専用機を全廃すると発表いたしております。

 航空貨物事業の事業収支の資料提出をめぐっては理事会でも議論になったわけでありますが、それはそれとして、この貨物事業の統合、なぜ不調に終わったのでしょうか、統合失敗がJALの再生計画に与える影響はないのでしょうか、その点をお願いします。

古川副大臣 お尋ねの件でございますけれども、JALと日本郵船との航空貨物事業の統合断念につきましては、事業統合効果並びに航空貨物事業全般の事業収益性、将来性などを十分に検討した上での結果であり、再生計画に影響を与えるものではないというふうに聞いております。

 他方で、JALは、今後の航空貨物事業のビジネスモデルといたしまして、従来の貨物専用機と旅客便の貨物室、ベリーといいますが、その貨物室利用を併用する形から、旅客便の貨物室活用に特化した形に転換することを先般決定いたしておりまして、これによりまして貨物事業の早期黒字化を目指していくものというふうに伺っております。

中島(隆)委員 次に、事業再生計画の概要によって、グループ全体で一万五千七百人の従業員を削減するとしております。既に希望退職者も進められているというふうに承知いたしておりますが、大規模な負債を抱え、運航を継続しながら、経営再建ですから、働く者に負担が及ぶことは避けられないわけでありますけれども、大規模な人員削減を余儀なくされることに胸が痛みます。

 そこで、この一万五千七百人の人員削減はどのような手法で行われるのでしょうか、また、雇用の確保に向けて政府としてどのように今後の施策を考えておられるのか、お尋ねいたします。

古川副大臣 お答えいたします。

 人員削減につきましては、定年退職等による自然減や子会社売却に伴う職員の減少、さらに特別早期退職による削減などを予定しているというふうに認識いたしておりますが、具体的には今後の労使協議におきまして確定していくものと伺っております。

中島(隆)委員 今後の労使交渉ということでありますが、大変な人員、組合員の皆さん方の整理が伴うわけでありますが、再雇用について最善の努力をお願いしておきたいと思います。今回の経営再建を通じまして、多くの労働者が路頭に迷うような局面を迎えずに済むよう御努力をお願いしたいと思います。

 最後になりますが、JALの経営破綻については、これまでの政府、政治の責任も避けられないように思いますが、不採算路線の維持、過剰な空港数、そして高額な空港使用料や航空燃料税が航空会社の経営圧迫をしてきたのではないかという指摘がされています。先ほどの橋本議員の質問のとおりでありますが、JAL再建と並行して、これら航空行政のあり方について見直しが必要ではないかと思いますが、再度、これについての決意をお願いいたします。

辻元副大臣 今までの御質問は、企業再生支援機構がJALと、このリストラの問題やそれからいろいろな貨物との統合問題などに対応しておりますので、内閣府の古川さんから答えていただきました。国土交通省としては、全般的な航空行政をどうしていくかということがJALの再生に直結していると考えています。

 そういう中で、一つは空整勘定のあり方の見直し、これは、先ほども申し上げましたように、これ以上空港をつくらず、ある空港をいかに活用していくか。空港を活用するに当たっては、オープンスカイなど、空の自由化をどの程度、どういう形で進めていくのかというのが一点。それとあわせまして、先ほど着陸料の問題で、競争力を持たせるというようなこと。そしてさらに、地方の空港を活用していくために、これは本委員会でもいろいろな方から御指摘いただいておりますが、観光立国推進など、需要をふやしていくという面と、あわせて国土交通省としては対応していきたいと思っています。

 それともう一つは、この秋には羽田の四本目の滑走路がオープンいたします。そういう意味では、ハブ的機能を持たせる空港の競争力をいかに持たせていくか。また、関空や伊丹の問題につきましても、六月をめどに一定の方向を出そうということで今総合的に議論を進めております。

 ですから、航空行政全般、これは大きな一つの曲がり角であるという認識をして、何とかある空港を活用できるように知恵を絞っていきたいと思っております。

中島(隆)委員 特に、全国九十八の空港のうち、黒字が四空港、あとはほとんど赤字だということで、まさに負の遺産とも言えるような状況にございます。これに当たっては、やはりJALの経営の責任もありますけれども、前政権を含めた政府の責任というのは、大変な責任が問われるというふうに思います。

 そういう面で、今、先ほどから改善が求められておりますが、ぜひともひとつ、この再建計画の中に当たっても、特会の見直し、航空行政のあり方を徹底的に見直していただきたいというふうに思います。

 それから、最後に一つ要望をしておきたいと思いますが、これまでのJALの集中審議の中で、参考人招致をお互いに、各党、理事会の中でも協議をしてまいりました。東京地裁に会社更生法の適用を申請中の段階である以上、資料の提供や経営状況の説明に制限がつくことはやむを得ないわけでありますが、しかし、これらの膨大な借金を抱え、しかも我々の血税を投入して再建計画をやるわけでありますので、その負債の積み上がった原因、あるいは、事業再生計画の実行に当たって、国民が知りたい情報についてはできるだけ明らかにしていただきたいというふうに思います。

 その観点に立てば、日本航空の会長あるいは企業再生支援機構の支援委員長らが、しかるべき時期に参考人として当委員会の場で公述をしていただく必要があるというふうに思いますが、私ども与党として、参考人として次の方をお願いしておきたいと思います。一橋大学教授の山内弘隆氏をぜひ招致をしていただきたいというふうに思います。

川内委員長 ただいまの申し出につきましては、理事会で協議をいたします。

中島(隆)委員 それでは、以上で私の質問を終わりますが、今の参考人招致をぜひこの集中審議の中で実現をしていただきたいと思います。

 終わります。

川内委員長 中島隆利君の質疑を終了いたしました。

 この際、暫時休憩いたします。

    午前十時三十一分休憩

     ――――◇―――――

    午前十一時開議

川内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。穀田恵二君。

穀田委員 私は、日航問題についてきょうは質問します。

 二月二十六日にも大臣と質疑を交わしました。そこで私は、日航の再建に当たって、国民監視のもとで、安全第一、公共性の確保を基本として進めなければならないという立場を明らかにしたところであります。その際に、安全運航を支えるのは現場のモチベーションの高さだと指摘しました。そして、それは、タスクフォースの調査報告書も指摘しているとおりであります。

 大臣は私の質問に対して、「働く方々のモチベーションをいかに維持し高めていくかということは最も大事なポイント」だ、さらに、「私自身も、チャンスをとらえてできる限り現場の方々と意見交換をさせていただいて、安全を確保していただき、そしてまた仕事に誇りと自信を持ってやっていただけるような、モチベーションを高めていただけるような、そういった意見交換をぜひいろいろな会社といろいろな機会で持たせていただきたい」とお答えになりました。

 大臣にお聞きします。その後、現場の労働者と意見交換はなさいましたか。

前原国務大臣 穀田委員にお答えいたします。

 企業の再建に当たりましては、第一義的には、経営者が現場の労働者の声を聞いて、経営再建に反映させるとともに、社員の力を結集させていくことが必要であると考えております。稲盛会長も、会長就任後、速やかに羽田空港などの現場に赴かれまして、社員との直接対話を開始されていると伺っております。

 私といたしましても、公共交通機関の使命たる安全運航のためには、これを支える労働者の皆さん方のモチベーションの維持、高揚が重要であると考えております。機会をとらえまして、現場の方々の意見にも耳を傾け、安全を確保し、そして仕事に誇りと自信を持って取り組んでいただけるように、意見交換を行いたいという思いは変わっておりません。

 なお、今まで、労働組合の幹部の方々と二度にわたりまして意見交換はさせていただいております。

穀田委員 引き続き、今、やはり事態がいろいろ推移していきますから、その節目節目で必要だと私は思っています。

 なぜこんなことを言うかというと、日航が進めているリストラで現場のモチベーションが著しく低下していると感じているからです。

 四月二日、厚生労働委員会において、我が党の高橋議員がこれらを問題にしました。大阪と福岡を拠点にしている、ある意味では基地というんでしょうか、勤務している客室乗務員五百十人に対して、七月から成田か羽田へ異動、転勤するか、それとも、四月九日締め切りの特別早期退職優遇制度に応募するよう会社が迫っています。

 六月末に基地を閉鎖するので、七月から羽田か成田へ異動を、または特別早期退職に応募をという形で、三月九日に突然一方的に提示。特別早期退職の締め切りは四月九日、ずっと決まっているわけですから、そうしますと、わずか一カ月で人生の大きな選択を迫るという、余りにも乱暴なやり方と言わなければなりません。

 この拠点、基地には、客室乗務員だけでなく、パイロットも整備関係の地上スタッフ労働者も所属していて、なぜ客室乗務員だけが対象になるのか。大阪には約四百五十人、福岡には約六十人が所属しています。多くの乗務員が大阪や福岡に自宅を持っておられ、子育てや介護をしながら働いているため、直ちに転勤に応じるのは難しいということだとお聞きしました。直接お話を聞くと、本当に身につまされます。

 客室乗務員の方がおっしゃるには、私たちは閉鎖自体に反対せず、リストラにもできる限り協力する、これまでも安全運航とサービス向上に努め、再建に向けて頑張ろうと思っていたのに、なぜ客室乗務員だけがやめざるを得ないように迫られるのか。家族も含めて、毎日本当に悩んでいる。

 さらには、再生会社になったのですから、黒字転換のためコスト削減に協力したいという気持ちは大いにあります。事業所が不採算なので閉鎖というなら理解できるのですが、大阪空港支店は存続し、整備の方もKDも空路も閉鎖にはならない、なのに、なぜ乗務員だけが引っ越しをしなければならないのでしょう。さらに、せめて四月九日の特別早期退職締め切りは延期してほしい、異動するにしても、子供の学校や親の通院などの問題もあり、猶予期間を設けてほしいと訴えておられます。

 労働組合は会社に対して、大阪、福岡に住み続けながら乗務できるよう工夫すること、当面、大阪と福岡の客室乗務員については四月九日の特別早期退職締め切りを延期することなどを求めて交渉しておられるようですが、昨日までの時点で、会社側は締め切り延期に応じていないということだそうです。

 転勤できなければやめるしかない。これは事実上の退職強要であります。高橋議員の質問に対して、厚労大臣は、「会社更生手続であるか否かにかかわらず、企業が人員や労働条件の見直し等を行おうとする場合には、労働組合と誠実に交渉を行うことが求められている」と答弁しておられます。

 日本航空は誠実に交渉しているのか。国交省としてどう確認されておられるのか、お聞きしたい。

前原国務大臣 大阪の方から、私も、二通お手紙をいただきました。一通は、私の選挙区にお住まいの方でありましたし、お一人は、直接電話でかけてこられまして、お話を伺いました。個別のお話を聞いていますと、それぞれの生活があり、大変な思いをされているということについては、私も大変胸が締めつけられる思いをいたしました。

 ただ、このJALグループというのは破綻をしたんですね。会社更生法の申請をして破綻をして、再生途上であるということでございまして、この大阪、福岡基地の閉鎖及び特別早期退職の募集については、日本航空の経営改善策の一環であるという認識をしております。

 稲盛会長や大西社長さんも苦渋の決断をされていると私は思いますけれども、こういった問題については、労使の話し合いで解決すべきものでありまして、航空行政を所管する国土交通省の立場からコメントすることは差し控えたいと考えております。

穀田委員 それだと、コメントするのは差し控えたいというふうにはなかなかいきませんよ。だって、少なくとも長安政務官だって、この事態についてはきちんと見守らなくちゃならぬということまで言っているわけですよね。それで、なおかつ、誠実に交渉することが求められているというのは、これは政府の、厚労大臣の発言なんですよ。正規の発言なんです。

 この話と同じ政府を構成して、しかも、安全の基本となるモチベーションを高めなくちゃならぬというところの肝心の方々がそんな形で悩んでおられるというのに対して、誠実に交渉しているかどうかについてはやはり見守る必要があるし、どうなのかという判断が要ると思うんです。私は、およそ誠実に交渉しているとは言えないと思うんです。

 なぜ、直ちに七月から転勤しなければならないのか。確かに、おっしゃるように、破綻した問題はあるでしょう。しかし、そのことと、では労働者をどうするのかということについては、きちんと納得できる説明がなければなりません。必要であります。

 労働組合は、しかも、たとえ基地をなくしても大阪や福岡に住みながら乗務することは可能だ、これまでやっている、全員羽田や成田に引っ越せば、大阪にフライトしたときは、全部、宿舎費などがかえってかかり、余計に経費がかさむ、経費がかからないやり方もある、こう言っておられるわけですよね。つまり、今のリストラという問題とのかかわり合いで、どうするかということについても積極的に提言しているわけですよ。

 さらに、天候の影響などで羽田から飛行機が飛べないときに、大阪や福岡に住む客室乗務員がいれば運航を確保できる。リスクをしょっているという意味でも、分担をしてきちんとやっているという、その意味でも、安全からいっても欠かせない問題なんですね。最近もそういう事態があったわけです。したがって、安全運航を確保するためにも、無理に転勤させるのはおかしいんと違うかということなんですよ。

 ところが、会社は、こうした組合の指摘に対してまともに回答せず、とにかく四月九日の期限は延長できないと、転勤か退職かの決断を迫っている。こうしたやり方で、大臣が言うような労働者のモチベーションが果たして保たれるのか。安全を確保し、仕事に誇りと自信が持てるのか。転勤できなければやめるしかないと事実上の退職を強要するやり方はやめよ、そういうことが言えないのかということを言っているんです。

前原国務大臣 繰り返しになりますけれども、日本航空は二兆円以上の負債を抱えて破綻をしたんですね。会社更生法の適用を今申請して、裁判所で更生計画を立てているところでございまして、大幅なリストラというのは不可避であります。そうしないと再生はできないわけであります。

 ただし、その過程において、働く方々のモチベーションを上げて、何よりも安全運航というのを確保していくというのは大変重要なことでございます。その意味においても、労使の問題は、両者の納得と合意をしっかりと粘り強く目指していかれることが重要であるという認識も持っております。

 しかしながら、いかなる企業であっても、労使の問題というのは、両者の話し合いというものがベースで解決されるものでありまして、航空行政を所管する国土交通省の立場からこれについてコメントすることは差し控えたいと思っております。

 ただ、一般論として申し上げれば、企業が人員や労働条件の見直しを行おうとする場合には、労働組合と誠実に交渉を行うことが重要だと私も考えております。

穀田委員 だから、誠実に行うことが必要だ、納得と合意が要るんですよ。しかもそれは、会社更生法が適用されたからといって、労働者の条件が、勝手にリストラされるから勝手でいいんだという理屈はないんですよ。今までそういったためしは一度もないんですよ。そんなことを許したら、それはもう労働者の基本的権利が奪われるという事態になってしまう。

 そういう意味でいうと、労働者の基本的権利が奪われたり、安全が損なわれたり、おっしゃるような合意と納得が得られていない状況があるとすれば、それは物を言っていただく必要があるということを言っているんですよ。一々全部関与して、こうしろ、ああしろと言っているんじゃなくて、少なくとも誠実にやれよと。

 それから、モチベーション、安全性を高めるためのモチベーションという問題がある。仮にリストラということ自体があったとしても合意と納得が必要だ、そういう時々の視点といいますか、肝心かなめの点についてはきちんと物を言う必要があるということを言っているんです。その辺はいいんですね。

前原国務大臣 私も稲盛会長とはお話をいたしましたけれども、非常に心を痛めておられますし、真摯に、やはりこういったものについては労働組合とも話をして解決をしていかなくてはいけないという御認識を持っておられると私は思います。

 いずれにしても、一般論でございますけれども、企業が人員とか労働条件の見直しなどを行う場合においては、労働組合と誠実に交渉することが重要だと考えております。

穀田委員 ですから、誠実に対応することができているのかどうかをきちんと見る必要があるということですよ。一般論というのは、少なくとも、この問題が今JALの再建問題にかかわって出てきていることなわけだから、それにかかわっている大臣として当然の仕事だということだけ言っておきたいと思います。

 では、もう一つ聞きたいと思うんです。

 会社更生手続中の日本航空と管財人の企業再生支援機構は、新たに国際十六路線、国内は三十一路線を廃止、撤退するリストラ案をまとめ、取引銀行団との交渉に入ったと日経では報道されています。また、三月から二千七百人削減を前提に特別早期退職を募集しているが、さらに四千八百人上積みし、計七千五百人と三倍近くにふやし、当初の一万五千七百人からリストラは二万人規模となるとも報道されています。

 まず、撤退する路線の上積みや人員削減の積み増し計画の報道は事実ですか。

古川副大臣 お答えいたします。

 会社更生手続の中でまだ確定しておらない事項につきましては、その事実関係を含め、コメントにつきましては差し控えさせていただきたいと思っております。

 いずれにいたしましても、今後とも、日航の抜本的な再生のために、機構が関係者との調整を図りつつ、適切な措置を実施していくことが重要であるというふうに考えております。

穀田委員 そんなあほなことはありませんで。だって、そういう報道がされているということに対して、事実であるかないかと。ということは、平気でそういう世論をつくっていくということになるじゃないですか。

 では、そういうやり方自体が間違っておるということは言えるんですか。

古川副大臣 繰り返しになりますけれども、会社更生手続の中でまだ確定しておらない事項でございますので、その事項につきましては、その事実関係を含めて、コメントする立場にはないということを御理解いただきたいと思います。

穀田委員 それは違うよ。そういうことが報道されていることについては、それはおかしいというふうに、違うんだったら違う、それから、そういうことも含めて、やり方がそんなことがあってはならないとするのか、事実があるんだったらあるのかというコメントの問題でしょう。つまり、事実について言えと言っているんじゃないんですよ。そういうやり方は、では、あなた方がやっているようなやり方とは違うということなんでしょう。そういうやり方自身が今度は問われる問題じゃないですか。そこを言わなきゃ。

 では、コメントできないって、コメントしないと言いながら、報道ベースでどんどん流していくというやり方はいいのかということが問われるわけじゃないですか。そこははっきりせなあかんと私は思うんですよ。そんなことを許しておったら、報道で何でも流してそういう世論をつくっていくというやり方が許されて、結果として、そういうものを政府が見過ごしていたという責任は厳しく問われることがあるということだけ言っておきたいと思います。

 なぜかというと、前原大臣は読売新聞のインタビューに、路線のさらなる見直しを進めてほしいと答えています。三月下旬に稲盛会長にも伝え、大筋で合意いただいたとも述べています。

 もともと、一月に企業再生支援機構が支援決定する際に提示した事業再生計画では、不採算路線からの撤退として、合わせて国内、国際四十一路線、人員削減は、先ほど述べたように、一万五千数百人としていたわけです。当初のこの計画を進めれば再生できるとしていたわけですよね。

 もちろん、途中で見直しということはあり得ると思うんです。そんなことを別に言っているわけじゃないんです。問題は、その根拠が要るわけですよね。だから、大臣はなぜ見直す必要があると判断したのか、根拠を明らかにすべきじゃないのか。

前原国務大臣 一月十九日に会社更生法が適用された時点においては、企業再生支援機構がまとめた再生計画、これを着実に実行する、これが再生への道筋だということでございましたし、それについては私も納得、合意をしておりました。

 ただ、しばらくたっておりますが、こういった問題は、議員も私から申し上げるまでもなくおわかりだと思いますけれども、航空需要の問題、世界の景気の問題、こういった問題とかかわってまいります。今までの日本航空の窮境原因の一つが不採算路線の問題でございまして、今の航空需要は残念ながら引き続き低迷をしておりまして、企業再生支援機構による支援決定後に公表された平成二十一年度の第三・四半期の決算におきましては、千七百七十九億円の赤字ということになっております。

 これらを踏まえますと、本年夏ごろをめどに策定される更生計画の内容は、窮境原因となっている要因を抜本的に改善するものでなければならないと考えておりまして、二次破綻は絶対に避けなくてはいけない、このように考えております。したがって、路線のさらなる見直しを進めてほしいという見解をお示ししたものでございまして、その方向性については稲盛会長にもお伝えをしております。

穀田委員 ただ、その一例をもってしてすべてというわけにはいかないんですよ。

 なぜかというと、この問題について言えば、透明性、国民の目線でと、わざわざ官房長官はこの問題の解決に当たっての姿勢を示しているわけです。そうなると、国民目線と公開性という問題、二点からすると、今の発言では極めて不十分だということだけ一言言っておきたいと思うんです。根拠というのは、すべからくすべての点を明らかにしてこそ、もちろん、すべてというのは一切合財の状況を明らかにせいというんじゃないんですよ、基本的にはそういうことだと。

 二つだけ言っておきたいと思うんですよ。そういう問題の際に、やはり路線を変更するとなると、地方空港の場合は地方自治体が絡んできます。それから、リストラという問題になってくると、今度は労働組合との話し合いも必要です。そういうことを含めてきっちりしなければならない、そういう点での再生計画を進めるべきだというのが一つです。

 もう一つだけ最後に言いますと、こういう問題の際に、やはり、あわせて、空港の収支、経営状況を明らかにすべきだと思っています。国管理の空港はもちろんのこと、地方管理空港の収支、経営状況を明らかにしてこそ、対策がつくられます。

 したがって、その二点についてお答えいただければ幸いです。

前原国務大臣 委員は先ほど古川内閣府副大臣に対して、新聞にいろいろリークさせて既定路線をつくってという話をされましたけれども、そういうことは我々は当然ながら政府としてしておりません。しかも、各紙見ますとばらばらのことが書いてありまして、恐らく推測記事も含めた、私は、まだ確定をしていない中での推測記事が書かれているんだろうということでありまして、そのような、既定路線をつくるためにこちらがリークしているということは一切ございません。

 その中で、二つのお尋ねがございました。

 撤退路線の上積み、人員削減の積み増しに際して地方や労働者にどう納得をさせるかという御質問でございますけれども、これも先ほどの答弁にかかわってまいりますけれども、とにかく再生を着実にやっていくということになれば、再生計画あるいはそれを深掘りしたものになるであろう更生計画に基づいてしっかりやっていかなくてはならないわけでありまして、路線や人員の大幅な縮小というのは不可避だと思っております。その際に、委員もたびたび御指摘をされておりますように、地方への説明、あるいは労働組合、労働者への誠実な対応を求めるべく、しっかりと話し合いをしていく、交渉していくということは大事なことでございます。

 また、国管理空港や地方管理空港の収支いかんということでございますが、国については御承知のとおり開示をしております。そして、地方におきましても、長野、これは松本空港でありますが、それから神戸空港、これは神戸市でございますけれども、開示をされておりまして、さらにこういった地方管理空港の経営状況もしっかり開示するように国土交通省としても促してまいりたいと考えております。

穀田委員 最後に、今お話ありましたけれども、私は、二月二十六日の際に、この質疑の中で参考人を呼ぶべきであるということを既に主張していますが、改めて、JAL会長の稲盛和夫氏、前社長の西松氏、それから働いている方々の代表である航空労組連絡会の代表者、さらには企業再生支援機構責任者の参考人招致を要求したいと思います。それで、終わります。

川内委員長 ただいまの穀田恵二君の参考人要求については、理事会で後刻協議をさせていただきます。

 これで穀田君の質疑を終了いたします。

 次に、三ッ矢憲生君。

三ッ矢委員 自由民主党の三ッ矢でございます。

 きょうの委員会は、実は私、個人的には、この委員会は本当にやる意味があるのかなという疑問を持っております。

 といいますのは、この日本航空の再建問題について集中審議をやっていただくということで、これは与野党合意してその方向で話が進められているわけでありますが、その過程で、いろいろな資料を要求させていただいたり、それから、後ほど申し上げますが、参考人の要求もさせていただいたりしてきているんですが、正直申し上げてなかなからちが明かない。理事会や理事懇の場でそういう話を申し上げても、これは表に出る話ではありませんから、与党の理事の皆さんから要求があって、ぜひ委員会を開いてその場で資料の要求あるいは参考人の要求もしてほしいということで、きょうはこの委員会が開かれたわけでございます。

 それは後でちょっと正式に要求をしたいと思っておりますが、日本航空の再建問題については、一月十九日の会社更生法に基づく申請、それ以後しばらくマスコミ等でも鳴りを潜めていたようなところがあると思います、断片的に時々マスコミに報道はありましたけれども。ところが、また最近になりまして、結構いろいろなところでいろいろな報道がなされるようになってきた。先ほど来ほかの委員からもいろいろ質問もありましたけれども、路線の縮小の問題ですとか人員整理の問題ですとか、あるいは銀行団からのいろいろな要請とか、報道ベースではありますけれども、こんな話が表に出るようになってきた。

 これはどうしてなんだろうと。本来は、一月十九日の時点で再建計画の案を出されて、それに基づいて、先ほど前原さんも、これを着実に実行していけば再建は可能ではないかというふうにおっしゃっていましたが、どうもそうじゃないんじゃないか。このままいってしまうとどうも二次破綻のおそれがあるんじゃないかということを、関係者、利害関係人の方々が中心でありましょうが、気づき始めた。その結果、いろいろな動きが出てきているんじゃないかなということを私は推測しておるわけでございます。

 これはちょっと余計なことかもしれませんが、日本航空の今日の、凋落という言葉が適当かどうかわかりませんけれども、何か私、個人的には、やはり日本という国家そのものの凋落といいますか、これと非常にダブって見えるんですね。

 どうしてそういうことを申し上げるかといいますと、日本も、戦後復興期から高度成長期、それからバブルがはじけるまで、ほぼ一直線に上昇してきた。ところが、バブルがはじけて以降、日本全体がやはりおかしくなってきていて、日本航空というのは国際線中心にやってきましたね。これは、日本の企業が海外に出ていく、物を売り、あるいはそれを追って日本の金融機関とか商社とかどんどん外へ出ていく、そういう人たちをたくさん運んで、あるいは観光客も、所得に余裕が出てきて海外に旅行に行きましょうということでどんどん出ていくようになった、そういう方を中心に日本航空は業務をしてきたわけですね。

 ところが、ここに来まして、どうも日本全体の景気、経済の問題、それからもう一つ言いますと、国内の、いつも大臣がおっしゃる少子高齢化ですとか人口減少、あるいは産業構造も変わってきているんだと思います、そういう影響を受けておかしくなってきた。

 国内線に関して言いますと、これは比較的安定しているんですね。ただし、私は長期低落傾向だと思います。じわじわと減っていくと思います。人口も減少し、高齢化が進み、国内の需要がこれ以上ふえていくか、非常に難しい局面に来ていると思います。

 国際線の方は、さっき申し上げたように、特に一昨年のリーマン・ショック以降、これは正直言いまして私はもうビジネスモデルが変わっちゃったんだと思うんですね。本来は徐々にビジネスモデルを変えていかないといけなかったのを、そこに対応し切れなかった、特に国際線に関しては。それが、古いビジネスモデルにしがみついたままで来てしまったものですから、こんなことになっているんじゃないかなというふうに思います。リーマン・ショックとインフルエンザというのは、いわばトリガーといいますか引き金を引いてしまったわけでして、これがリーマン・ショック以前のビジネスモデルに戻るかといったら、絶対戻りませんよ。

 例えば、企業の方が海外に出張に行かれる。重役はファーストクラスに乗っていた、あるいは部長クラスはビジネスクラスに乗っていた。これが、景気がもし回復したとしても、またそういうことが起こるかといったら、私はもう起こらないと思うんです。東京とアメリカの東海岸、ニューヨーク、これはファーストクラスで、正規の運賃でいいますと、多分往復百七、八十万円だと思います。ビジネスで往復しますと百万円ぐらいなんですね。エコノミーの正規で多分五十万円弱じゃないかと思うんですが、ビジネスクラスに乗るのにエコノミーの二倍の運賃を払ってください、ファーストに至っては四倍近く払ってください、企業が調子のいいときはそれでもよかったかもしれませんが、これは絶対にもうもとに戻らないです。

 ところが、再建計画の中身を、少なくとも公表されている資料で見る限りは、イールド、要するに旅客単価、これが急激に回復するという仕掛けにどうもなっているように見えます。二〇一三年の三月には、二〇一二年度ですか、九百四億円の営業黒字が出ますよというような数字も出ていますけれども、これはイールドが二〇%ぐらいまた上がるということになっているんですね。これは絶対あり得ないと私は思います。今からもう予言しておいて間違いないと思いますけれども。

 こんな計画でうまくいくはずがないと私はもともと思っておりましたが、いずれにしましても、どうもあの計画ではうまくいかないんじゃないかということをみんなが気づき始めた、その結果、いろいろな方々、利害関係者が動き始めているというのが実態ではないかなというふうに思っております。

 先ほど、最初の民主党の委員の方から、九十七も八も地方の空港をつくって、その赤字路線を押しつけてきたことが、今日の日本航空の窮境原因の一つになっていると言われました。私は、全く影響ないとは言いません。ただし、これは俗論です。もしそれが最大の原因であるのであれば、その原因を除去すればいいんです。これを除いたって、絶対黒字にならないですよ。だから、そういう俗論に惑わされるんじゃなくて、我々は、本当に今日の日本航空がこういう赤字になってしまった原因をきちんと究明しないといけない。その上で、その原因を一つ一つ取り除いていかなければ、日本航空の再建なんて絶対できないですよ。

 そこは大臣わかっておられると思うんですけれども、何を申し上げたいかといいますと、私は、本来ですと、日本航空は、幾ら公共交通機関であるとはいっても、純粋な民間企業ですからね。今やろうとしていることは、例えば、機構が日本航空に三千億円以上出資します、DIPファイナンスで六千億とも六千五百五十億とも言われていますが、注入します、下手をすると一兆円近い公的資金がつぎ込まれて、しかもそれが返ってこない可能性がある。皆さんの政権が今やろうとしておられる農家の戸別所得補償あるいは高校の授業料無償化、これを合わせたような金額が、ひょっとすると国民負担になって消えてしまうかもしれないんです。

 我々の役目は、日本航空の再建は、もちろん私もやれるものならやったらいいと思う、やるべきだと思う。だけれども、これが二次破綻してしまう、あるいは、三年後にどこも買い手がなくて、引き取り手がなくて、三千億円の出資も無駄になってしまう、そのときにどうするんでしょうか、その責任は一体だれがとるんだ、これを真剣に考えないといけないと思うんです。

 今は非常に大事な状況だと私は思います。どうか、ナショナルフラッグキャリアなんという死語に惑わされるんじゃなくて、もうこんなもの死語ですよ。日本航空がナショナルフラッグキャリアだからと言っている人がもし今でもいるとしたら、私は相当頭がぼけている人だと思いますよ、正直言いまして。もうそんなものはない。

 今、世界の航空界を見てみますと、アメリカだってメガキャリアはもう三つしかない。ヨーロッパ、あの広い地域でどこが残っているのか。これも三つしかないんですよ。BAとエアフラとルフトハンザ、この三つしか残らないです。あとはニッチなところでローコストキャリアが飛んでいます。

 日本が二つ国際線を運航するキャリアを持っていくことが本当にいいのかどうか。数の問題ではないかもしれません。だけれども、そこはよく考えないと、私は誤った方向に行ってしまうと思うし、国民に大きなツケを残してしまうことになると思います。

 したがいまして、本来ですと、自主再建をやってもらって、その中で、本当にどうしてもここは赤字だけれども残さないといけないという路線については、私は補助金を出してもいいと思いますよ。要するに、国民負担を最小限に抑えて再建を図っていく、これが筋だと私は思っております。

 その上で、この委員会では、この問題についていずれ正式の集中審議ということでいろいろ議論をさせていただきたいと思っておりますけれども、今申し上げたことにつきまして、大臣の御感想があったらいただきたいと思います。

前原国務大臣 三ッ矢委員にお答えいたします。

 三ッ矢委員も、旧運輸省、そして国土交通省におられたので、この航空行政については精通をされていると思います。

 先ほど責任論の話がありましたけれども、責任論を今議論するよりは、いかに確実、着実にJALを再生させるかということを、これはやはり国全体でしっかり取り組んでいくことが大事なことだと思っておりますし、今責任論を云々する時期ではない、私はそう思っております。

 また、ぜひ、これは私は余り申し上げてはいけないのかもしれませんけれども、ここまで問題を大きくしてきた今までの政権の責任も、ぜひそれは三ッ矢委員含めて自民党の方々も考えていただきたいということは改めて申し上げておかないと、確かに、引き継ぎましたから、そしてスキームを今、企業再生支援機構というところにゆだねて会社更生法手続をやっていますので、ここからは我々の責任ですよ。それを逃れるつもりはありません。しかし、ここまで問題が大きくなるまでほっておいた責任というものも前政権にもあるんだということはぜひ理解をしていただいた上で、そして、責任論をとやかく言うのではなくて、どうしたらJALが確実に再生されるかということを議論することが私は大事だと思っております。

 それと同時に、私は、やはりJALの今までの経営体質というものを抜本的に見直さなきゃいけないと思っています。先ほど委員がおっしゃったように、国内線の問題だけではありません。国内線も大きな問題ですけれども、やはり国際線の問題と、企業体質の問題が非常に大きくあると私は思っております。

 稲盛さんに、今、CEOをお願いしておりますけれども、いろいろと私自身も伺ったことがありますし、外でおっしゃっていることも含めて申し上げますと、一月十九日の前後で、運航がとまることもありませんでした。いろいろな手だてをとり、いろいろな方にも御協力いただいて、余り一月十九日前後に大きな混乱が起こることはありませんでした。それについては我々よかったと思っていたんですが、稲盛さんがあるところでおっしゃった話を私は聞きました。

 何も混乱がなかったので、社員は本当にこの会社が破綻をした、経営破綻をしたことがまだわかっていないんじゃないか、そして、法的整理、会社更生法というものを申請しているということについて、つぶれた会社なんだという意識がないんじゃないか、こういうお話をされておりました。また、営業と期尾の収支なんというのはばらばら、そしてPLとBSの違いさえわかっていないというような話もされておりまして、やはり、そういう意味では、私は、この会社の経営体質そのものを変えていくということが再生をしていく上で一番大きなポイントだというふうに思っております。

 稲盛さんもマックス三年なんです。企業再生支援機構もマックス三年なんですね。その後は、まさにJALが自立して離陸できるかどうかというところまで、しっかりとやはりバックアップをしていかなくてはならないわけでありまして、そのときに大変重要になってくるのは、私はやはりDBJとかメガ三行の金融支援をするところだと思うんですね。リファイナンスをしてもらわないといけないわけですよ。企業再生支援機構は、繰り返しになりますが、マックス三年です。

 先ほど委員がおっしゃったように、出したお金を回収しなきゃいけないということから考えると、相当やはり踏み込んだ経営改革というものをやっていかないと、私はそんなに甘い問題ではないと思っておりますし、当初の再生計画を着実に実行するということは、これは必要条件であって、そして、先ほど穀田委員の御質問にもお答えをいたしましたように、その後に、かなりやはり赤字が膨れ上がっているし、世界の経済の動向というものもかなり不透明な部分もございますので、さらなる見直しを行っていただく中で、委員と同じ気持ちです、つまりは、公的資金というものが返ってこないような状況を避けるために、しっかりと更生計画を立てて、そして着実に実行してもらうように我々も支援をしていくということに尽きるのではないか、このように思っております。

三ッ矢委員 過去のことは過去として、私も個人的には反省すべき点もあります、あったと思います。甘やかしてきたと。

 ただ、今回、今大臣がおっしゃった、日本航空の社員の意識をまず変えないといけない、それはそのとおりなんですよ。だけれども、こうやって、公的資金をつぎ込みますよ、もう既に三千億つぎ込んでいる、何も変わりません、みんなそう思っていますよ。稲盛さんはこの間もどこかの新聞でインタビューに答えておられましたけれども、日本航空の社員というのは八百屋の経営もできないんじゃないか、商売人の感覚が全くないと。私は、稲盛さんはえらいものを引き受けさせられたなと思っていると思いますよ。こんなことを申し上げるのは失礼ですが、本当に晩節を汚すことのないように、それは大臣初め皆さんがしっかりと支えないといけないです、皆さんが選んだんですから。

 余りこんなお話ばかりしていてもしようがないので、きょうのこの委員会の趣旨に沿ったお話をさせていただきますが、これも先ほどどなたかからお話がありましたが、そもそも法的整理という道を選んだ理由は、透明性、衡平性、そして国民目線に立った再建が可能になりますということでこの道を選びましたという説明だったと私は記憶しております。大臣も、この問題に限らず、常々、透明性、衡平性云々ということは所信でもおっしゃっておられるし。

 ところが、この件に関しては、資料は一切出しません、参考人に関しても裁判所がだめだと言っています、そういう回答がほとんどなんです。これでは全く議論にならないです。先ほど来の質疑を聞いていましても、結局、内閣府も国交省も、経営の問題にしても労使の問題にしても、答えられませんと言っているのと同じじゃないですか。これで透明性、衡平性はどこで確保されているんですか。しかも、国民の税金をつぎ込まないといけないのに、国会の場でそういう資料も出しません、人も出しません、私は全くおかしな話だと思いますよ、これは。

 それで、まず、さっき申し上げたように、日本航空の窮境原因というのをしっかりと究明しないといけない。そのための資料を今までも要求してきましたが、再度、この委員会で要求を改めてさせていただきたいと思います。出せるもの、出せないもの、あると思いますけれども、今までも要求して出せないと言われているんですけれども、改めてこの委員会でレジスターしておきたいと思います。

 一つは、企業再生支援機構の再建計画の全容です。概要はホームページにも出ていますから、こんなものはみんな知っている。だけれども、全容を知りたいんです。これは議論のスタート台です。今進行中の更生計画の中身をぐちゃぐちゃ変えるという話じゃなくて、そもそも議論のスタート台の話でありますから、これをぜひ出していただきたい。

 それから、過去の日本航空の実績ですね。事業別の収支実績をぜひ出していただきたい。これは、国際旅客、それから国内旅客、国際貨物、国内貨物、分けて収支を出していただきたい。

 それから三番目に、国際線、国内線の路線別の収支、これをぜひ出していただきたい。これは、国際、国内両方です。

 それからもう一つ、日本航空と大手旅行社の商取引の状況。これは、具体的な企業名を言えないのであれば、それは出さなくても結構です。エージェント等の商取引の状況、これをぜひ出していただきたい。

 できれば、いずれの資料も二〇〇〇年以降のものについてお願いをしたいと思います。この委員会で登録をさせていただきたいと思います。

 それから、内閣府にちょっとお伺いしたいんですが、この再建計画というのは日本で初めての事前調整型の計画ですということを、機構が発表されたときに、胸を張って言っておられました。私のような素人が事前調整型の再建計画ですよということを聞きますと、当然、利害関係者とはもう調整が終わっていて、すぐにスタートできる、そういうものだと理解しておりました。

 ところが、もう三カ月近くたとうとしている。いまだに、新聞報道等で、利害関係者と日本航空あるいは機構との間で、いろいろなやりとりがあってすったもんだしているというふうに私には見えます。一体、事前調整型というのはどういう意味だったんでしょうか。事前調整型というのであれば、さっき申し上げたように、あの議論のスタート台になる再建計画は当然出していただいて差し支えないと私は思うし、そうじゃないんだったら、事前調整型というのはうそだったんですか。

 内閣府、古川副大臣にお願いします。

古川副大臣 お答えいたします。

 日本航空の再生支援は、機構が主要債権者等と事前に調整を行い、会社更生手続開始に伴う必要資金の準備等を行ったという意味で事前調整型でございますけれども、実際の債務調整は、会社更生法に基づき、日本航空の極めて多数の債務に対する調査や財産評定が必要であることから、会社更生計画作成までには一定の時間を要さざるを得ない事情がございます。

 なお、会社更生法におきましては、開始決定から一年以内に会社更生計画の提出が義務づけられておりますが、日本航空の抜本的な再生のためには、しっかりとした計画ができるだけ早期に作成、提出され、裁判所において認可決定されることを期待いたしております。

三ッ矢委員 さっぱりわからない答弁でしたが、結局、調整なんか全くできていなかったということですよね。話はしていた、そういうことでしょう。どこが調整できていたんですか。

前原国務大臣 ですから、事前調整の意味は、今、古川副大臣がおっしゃったように、機構がスポンサーとなってやるということが事前調整で決められていたということ、そして、主要債権者である金融機関五行が連名で支援の申し込みを行うということ、それから、運航を継続するために必要となる商取引債権、あるいはマイレージの保護、こういったものを事前に裁判所と相談しながら、できるだけ混乱を避けるために事前調整をしていたということで事前調整型なんです。

三ッ矢委員 私どもが理解していた事前調整型の再建計画は、例えばアメリカのGMが、あれは事前調整型ということでやったんですね、三カ月か四カ月かかけて利害関係者とも調整をした上で。実は、あれはスタートしてから四十日ぐらいで終わっちゃったんですよ。全部けりがついた、スタートしたら。日本航空の場合は、もう三カ月以上たっているのに、更生計画も全く決定していないし、逆に裁判所から督促が来ているわけですね、早く出せと。

 ここで事前調整型かどうかというのを議論しても余りしようがないかもしれませんけれども、我々の理解していたのとちょっと違うということだけは申し上げておきたいと思います。

 こんな話をしていましたら、だんだん時間がなくなってきまして、あと五分しかありませんので、参考人の……

川内委員長 資料については答弁を求めなくていいですか。さっき、四つ資料要求がございました。

三ッ矢委員 お願いします。

前原国務大臣 委員長の御指示でございますので、答弁させていただきます。

 まず、企業再生支援機構の再建計画についてでございますけれども、企業再生支援機構は、裁判所と協議をした上で、更生会社の事業及び財産の管理に関する情報を外部に提供することは、今後の更生計画の作成に支障を来すおそれがあるため、提出できないという報告を受けております。

 また、事業別収支につきましては、一定の仮定に基づき間接経費等を事業別に案分して、国際旅客、国内旅客、貨物に分けて試算した資料を既に提出させていただいております。これは、先ほど委員が国交省もしっかり頑張れということで、航空局長がかなりこれについては企業再生支援機構との間で話をして、皆さん方に提出をさせていただいているところでございます。

 それから、路線別収支及び大手旅行会社との商取引状況についてでございますけれども、これは、管財人たる企業再生支援機構と協議の上、路線別収支につきましては、重要な営業戦略上の情報であり、市場等に流出した場合、事業運営に重要な影響をこうむる可能性があることから、また、大手旅行会社との商取引状況については、民間企業同士の契約にかかわるものであり、開示された場合には市場等に情報が流出し、相手先企業との取引上の信用も損ねることなどから、民間企業の経営に重大な影響を及ぼしかねないことから資料を提出することはできない、こういう報告を受けております。

 なお、先ほど委員がおっしゃった、三カ月もたってまだ更生計画がまとまっていないじゃないかということでありますが、一般的には、会社更生法を申請してから半年、これが大体更生計画というふうなめどということで、できるだけ短くということはお願いしておりますけれども、大体半年ぐらいをめどにということではないかと我々も考えております。

三ッ矢委員 本当は答えてもらわなくてもよかったんですが。答えてもらうと、ここで資料は出せないということがはっきりしてしまうので。

 だけれども、それを出せなくて、出せないなら出せないでしようがないかもしれませんけれども、原因の分析はできるんですか。おまえらにはするなということですか、国会議員にはするなと。そんなことする必要はないんだ、国会はと。私はおかしいと思いますよ。さっきも申し上げたように、公的資金を、下手をすると一兆円近く使う可能性があるのに、国会では資料も出さない。

 次に参考人の話に行きますが、参考人の招致も、ここ何回か理事懇の場で話をさせていただきました。非常にネガティブなんですね。先ほど来ほかの党からも要求がありましたが、機構それから日本航空、特にここですね、この二つ。これはもう肝ですから。

 もちろん、更生計画の策定に支障があるというようなことで、答えられることと答えられないことがあると思いますよ。それはそれでいいんです。だけれども、私に言わせれば、機構や日本航空が記者会見をやったり、あるいは記者の取材には答えて、数字等も含めて出ておるのは御存じでしょう。月に二百億円赤字が出ていますと言っているんですから、日本航空の人は。稲盛さんが言っているんですから。これは毎日毎日五億から十億の赤字が出ているんですよ、毎日。これをほうっておくことはできないわけです。

 我々は、繰り返しになりますけれども、出てきていただいて、言えること、言えないことはあるでしょう。だけれども、方向性とか、あるいはこれからこういう方向でやっていくということについてのお話を、できる範囲でしていただきたいんですよ。そうでなければ、私は国会でこの問題について審議する意味は全くないと思いますよ。

 時間が来ましたのでこれ以上申し上げませんが、ぜひちょっと大臣、そこのところはしっかりと政府の方としてもお考えをいただいて、協力していただきたい、要請をしていただきたいというふうに思います。

 それで、具体的にだれを呼ぶか、自民党としてお呼びしたい方の名をここで挙げさせていただきます、たくさんありますので。

 株式会社企業再生支援機構の代表取締役社長西沢宏繁さん。同じく機構の社外取締役であり、企業再生支援委員長の瀬戸英雄さん。それから、日本航空会長の稲盛和夫さん。さらに、企業再生支援機構代表取締役専務の中村彰利さん。この方は、管財人代表として日本航空の中に入っておられると思うんです。それから、政策投資銀行の代表取締役副社長の藤井秀人さん。みずほコーポレート銀行代表取締役頭取の佐藤康博さん。それから、これは大臣が御指定になった例のタスクフォースのサブリーダーですか、冨山和彦さん。さらに、全日空の代表取締役社長の伊東信一郎さん。

 これらの方を参考人として呼んでいただくように要求をさせていただきたいと思います。

川内委員長 ただいまの三ッ矢憲生君の参考人の要求に関しては、理事会で協議をさせていただきます。

三ッ矢委員 終わります。

川内委員長 三ッ矢君の質疑を終了いたしました。

 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 本日は、日航問題の集中審議の予備的審議ということで理解をしておりまして、私どもも後ほど資料要求並びに参考人招致を依頼したいというふうに思っております。

 私と日本航空との関係といっても、そんな偉そうに言うようなことではないんですが、二十五年前に、私が銀行におりましたときに、大臣はまだ学生でいらっしゃった当時でありますけれども、調査部におりまして、ちょうどそのときに、一九八五年、昭和六十年にあの御巣鷹山の事故が起きたということで、私、そのときに、なぜこんな事故が起きたんだということで随分と調査をしたことがあるわけであります。そういう意味では、割合昔からこの業界のことというか、日本航空のことは存じ上げておったというところがあるわけでございます。

 それで、今回の日本航空問題の考え方の整理をする必要があるだろうというふうに思っておりまして、それは三段階に考えております。それは時間軸で、政権交代以前、それから政権交代後、そして三つ目は法的整理が決断された後、この時間軸で問題を整理していく必要があるというふうに私どもは思っております。

 政権交代前に既に経営が悪化していたことは事実であります、これは財務諸表を見ればわかることでありますから。では、既に悪化していた経営悪化の根本原因はどこにあるのかということを、やはりまず第一に突きとめなければいけない。その原因をつくったのは、経営者である日本航空なのか、それとも、先ほどいろいろ御指摘がありました自民党や、あるいは前政権に加わっていた公明党なのか。それとも、国土交通省の政策が間違っていたのか、官僚に原因があるのか。あるいは、一時的な経営環境の悪化にすぎないのか。これらをきちっと分析していく必要があるというふうに思っているわけでございます。

 そういう意味では、後ほど資料要求をしたいわけでございますが、私自身は、過去の調査のことも踏まえて申し上げますと、私の中では、主たる原因はやはり日本航空の経営にあるというふうに思っております。経営のリーダーシップの問題であると。片や全日空の方は同じような政策条件の中で何とかやっているわけでございまして、もしも政策が完全に間違っていたのならば、全日空もいずれだめになるというようなことになるわけであります。

 私の認識では、全日空に比べて経営コストが高い。やはり昔から経営が、ややというか、かなり硬直的で柔軟性を欠いていたという認識を持っております。そういうことで、改めて、この国会でも資料をきちんといただいて、それを分析しなければならないというふうに思っているわけでございます。

 まず、前原大臣に、この日航の経営悪化の原因について、どのようにお考えでしょうか。

前原国務大臣 竹内委員にお答えをいたします。

 さまざまな要因はあろうかと思いますけれども、一義的な問題は、委員が御指摘のように、やはり日本航空の高コスト体質にあったのではないかと私は思っております。その高コスト体質の原因になったのは、不採算路線の存在、あるいは大型機の大量保有、あるいは人員の余剰、こういった構造問題を放置してきたということが雪だるま式に負債を大きくしていった主要因ではないかと思っております。

 他方、一昨年秋以降の世界同時不況に加えて新型インフルエンザなどによる影響を受けて、航空需要がこれは世界全体で減少して、特に国際旅客収入が減少したことも原因になっているのではないかと思っております。

 いずれにいたしましても、複合的な要因で日本航空の経営が悪化したものだ、私はこう認識をしております。

竹内委員 それで、タスクフォースの資料につきましては既にいただいておりますので、企業再生支援機構の事業再生計画につきまして、実は、概要はいただいておるわけでございますが、どういうわけか、この事業再生計画、一月十九日付のものが、五十一ページで、番号管理もされているはずのものが、どうも出回っているんですね。おかしなことになっております。厳秘扱いのはずなんですね。プロジェクトIvyという説明資料があるわけでありますが、それも出ている。

 私ども国会としてはやはりこれはちょっとゆゆしき事態だというふうに思っておりまして、これは国会としても、概要だけではなくて詳細なものをぜひ資料としていただきたいというふうに思うわけでございます。まず、これは委員長に資料要求をしておきたいと思います。

川内委員長 さっき、その点については三ッ矢先生の質問に答えていますから、同様の答弁になると思いますけれども、もう一回答えてもらいますか、どうしますか。(竹内委員「資料要求だけで結構です」と呼ぶ)

 では、理事会で協議します。

竹内委員 それから、参考人招致のお願いでありますが、私どもといたしましては、まず、経営の実態把握という意味で、JAL再生タスクフォースの高木新二郎さん、それから冨山和彦さんをお願いしたい。それから、日本航空の前社長でいらっしゃいます西松遥さん。それから、今申し上げた資料との関連で、株式会社企業再生支援機構社外取締役、企業再生支援委員長の瀬戸英雄さんの参考人をまず要求したいというふうに思います。

川内委員長 ただいまの竹内君の参考人要求についても、理事会で協議をさせていただきます。

竹内委員 そこで、政権交代をしたときに経営状況が確かに悪かった、大臣としてはいろいろお考えになったんだと思うんですね。新たに直属のタスクフォースを結成されて、政治主導で日航再建をやるということを世の中に宣言されたということでございました。私は、並々ならぬ大臣の決意を感じた次第でありました。これはやるなと思ったんですよ、はっきり申し上げて。しかし、逆に、非常に危険性もあるというふうに思いました。つまり、もしもこれに失敗すれば、その政治責任をまともにかぶるんじゃないかという危惧もしたわけであります。

 私どもの考え方は、通常、企業の再建方法の手法というのがありまして、それは大体、御存じの方も多いと思いますが、貸し手であるメーンバンクが中心となって、その管理のもとで、人材も送り込んで再建に当たるということをこれまでやってまいりました。

 そういう意味では、私は、はたからではございましたけれども、政策投資銀行やメガバンクには人材がいっぱいいらっしゃるわけですから、そして彼らは過去の経緯や航空業界にも詳しくて、さらにまた資産査定をやるにしても短時間でできるだろう、こういうふうに思っておったわけであります。ですから、タスクフォースを組むのであれば、銀行を中心に実行部隊をつくって、貸し手ですから貸し手責任がありますから、当然貸し手として責任をとらせるのがよいというふうに私は思っておったわけであります。

 そういう意味で、そういう方法もあったんじゃないかなというのが私の意見でありますけれども、その点、そういうお考えはなかったのかどうか、大臣の御見解をいただきたいと思います。

前原国務大臣 竹内委員は、先ほど御自身もおっしゃっておりましたけれども、三和銀行にお勤めをされていたということで、バンカーとして、金融の専門家でいらっしゃいます。その観点から、この資産査定、経営再建を金融機関にという御意見はあろうかと思います。

 私が大臣の指名を受けましたのが九月十六日でありまして、日本航空から提出された経営改善計画については九月二十四日に出てまいりまして、本当に日本航空の経営自体よくわからないということで、産業再生、企業再生の専門家である五人の方にタスクフォースをお願いしまして、徹底的な資産査定と、その資産査定に基づく経営再建計画というものをつくっていただいたということでございまして、今委員のおっしゃっているようなやり方もあったのかもしれません。

竹内委員 きょうはプレ集中審議ということでございますので、話を前に進めたいんですが、私は、公的資金を使わなければ、日航がどれほど年金を支払おうが、国としては関係のない話でありまして、民間の自由だと思うんですね。ですから、先ほどから申し上げておるとおり、最初から銀行団と日航の責任において再建を進めるべきだったというのが私どもの考え方であります。恐らく、それをやらせていると私的整理の方向に行っていたんだろうと私は思うんですけれどもね。

 ただ一方で、私的整理で不安な状態が続くと、安全性にちょっと、危険が生じるというような意見もあります。しかし、そこは一概に言えないと思うんですね。私的整理か公的整理か。公的関与があったとしても、法的整理の方が一般には多くの方々は不安を持つわけでありますし、それからまた、急激なリストラを現に迫られているわけですが、そういう意味では、安全性ということには逆に非常に意を用いなければならないというような事態が生じる。こういうことで、ここはなかなか判断は難しいところでありますが、しかし、私的整理だから一方的に危ないということにはならぬというふうに思っておるんです。

 いずれにいたしましても、このタスクフォース案は大臣は採用されないで、解散されました。企業再生支援機構にゆだねられたわけでございますけれども、先ほど御答弁が少しありましたが、大臣としては、もう企業再生支援機構に任せたんだから、あとは企業再生支援機構と日航の経営の問題だ、あとは大臣としては責任はない、政治責任はないというふうにお考えかどうか、その点はいかがでしょうか。

前原国務大臣 先ほど、タスクフォース案は採用されなかったとおっしゃいましたけれども、私的整理の枠組みという意味ではそうかもしれませんが、企業再生支援機構というもののいわゆるバックアップによってという意味においては、タスクフォース案の報告書を我々は採用した、こういうことであります。

 責任の問題ですが、先ほど三ッ矢先生にもお答えをしたんですが、いろいろな要因があって今あるわけでありますけれども、とにかく、国内あるいは国際便を含めて日本で一番大きな航空会社であり、私は当初から、いわゆる清算型の破綻というものは避けなきゃいけないということを申し上げておりましたし、また、企業再生支援機構にお願いするに当たりましても、安定的な運航の継続ということをお願いしてまいりました。

 現在、より実現可能な更生計画というものをさまざまな形で検討していただいているところでございまして、責任論云々よりは、しっかりとした更生計画をつくって着実にJALを再生させるということに、国土交通行政、航空行政を預かる者として努力をしていきたい、このように考えております。

竹内委員 そこで、政策投資銀行の問題に移りたいんですが、政策投資銀行はいつごろから日本航空のメーンバンクになったのか、まずこの点をお伺いしたいと思います。

峰崎副大臣 お答えいたしたいと思います。

 厳密な意味でメーンバンクと言えるかどうかというのは、日ごとの決済とかそういったことの業務をやっていませんので、そう言えるかどうかは別にして、非常に貸付残高がふえているということに関しては、一番大きい貸し手だというふうに思います。

 それがいつごろから始まったのかというと、もともと政投銀というのは、私の印象では、全日空に対して非常に融資をしていたという意味では、最初はそちらの方に大きな力といいますか、貸していたのかなと思ったんですが、よく調べてみますと、平成十三年度以降、例の米国の多発テロ等に対応するための緊急融資、これ以来、会社更生手続の開始の申し立て時点では、二千億円のDIPファイナンスのほかに二千七百五十億円というものを持っておりまして、銀行団の中では、さきに申し上げたように、最大の債権を有しているということは事実だというふうには考えています。

竹内委員 そこを、いつごろからメーンバンクになったのかということをお聞きしたかったものですから。

 資料要求をしたいんです。一つは、過去からのJALへの融資実績と残高推移がわかる資料をいただきたい。まず、これを資料要求したいと思います。

峰崎副大臣 これは、公表されている資料で多分十分、可能な限りにおいては大丈夫だと思いますので、それは財務省に帰って、政投銀の方に出せるかどうか、私の予測では多分大丈夫だと思うんですが、その点、もう一遍確かめてまいりたいと思います。

竹内委員 いや、以前私が実務的にこれを聞いたら、難しいというような回答があったものですから、それでここで聞いておるんですね、企画官が今走り寄っていますけれども。

峰崎副大臣 非常に打ち合わせが悪いんですが、私は常識的には、当然のことながら過去のデータも開示し得るものだと思っていましたけれども、ただ過去の、十一年度、十二年度あたりのところからはなかなか難しいところがあるやに聞いています。これは私、もう一回確かめて、もう一度国土交通委員会の皆さんに資料が出せるか出せないか、確かめたいと思います。

竹内委員 時間も迫ってまいりましたので、最後に参考人招致をもうお二方お願いしておきたいと思います。

 それは、やはり貸し手責任という問題がある。私どもは、日航と最大の債権者である日本政策投資銀行、そしてまたメガバンクというのは、やはり社会的責任があると思うんですよね。ですから、その意味で、株式会社日本政策投資銀行の融資責任者、きちっとこの国会で答弁できる実務のわかった方、並びにメガバンクの融資責任者の方にもここへ来ていただいて、いろいろお尋ねをしたいというふうに思っております。これは委員長に要求をしたいと思います。

川内委員長 追加の参考人要求についても、理事会でしっかり協議をいたします。

竹内委員 もう時間もないのであれですけれども、いずれにいたしましても、繰り返しになりますが、この破綻の原因をしっかりと客観的に認識をするということが大事でございますし、先ほどの俗論ということは本当にそうなのかどうか、やはりきちっとクリアにしておかなければ、それぞれの名誉にもかかわることだというふうに思っております。

 それからまた、私どもは基本的には、何でも政治主導ということではなくて、政治の分野では官僚主導か政治主導かというのは意味があると思うんですが、民間主導というのも世の中には存在する。だから、やはり民間主導でやってもらわなければならない問題というのはあるんじゃないかというのが私どもの考えでございますので、そういう観点から今後も審議を続けていきたいと思います。よろしくお願いします。

 ありがとうございました。

川内委員長 竹内君の質疑を終了いたします。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。

 きょうは、待っていたJALの集中審議、その事前の予備的集中審議ということでありますけれども、ここまでさまざまな議論がなされてきた日本航空の経営再建の問題について、この国土交通委員会の集中審議として初めてこうして議論の俎上にのせられるということになりました。この間、川内委員長初め、理事会の皆様方の大変な御尽力があって、資料の提出要求やまた参考人の要求などがあり、残念ながら、それがほとんど満たされない状況の中できょうを迎えたということは、私も、理事会に傍聴者としていて、大変残念に思っております。

 資料要求、結構やってきたんですね。きょう紙袋を二つ持ってきました。資料要求、出せ出せと言っていて出てこなかったものが、こんなに出てきたといって、精査をして、中身が余りないんじゃないかということになって、今度は、この紙袋を見てください、これだけ出てきたんですよ。これだけの日本航空の経営再建をめぐる資料が出てきました。

 出てきましたけれども、私が、この日本航空に関して関心を持って見ているさまざまな関係者の皆さん、またジャーナリストの皆さん、そうした方々に御意見を伺って、中身を精査してもらったら、これはほとんど公表されている資料か、あるいはほとんど経営再建について参考にならない資料かのどちらかで、大体、参考になるのはこれだけですねというふうに言われました。三ッ矢先生が大変御苦労をされて、事業別の収支を、国土交通省さんも努力をされて出してこられたわけですけれども、これを除くとこんなところかなというのが専門家の意見でした。

 何よりも、一月十九日に支援機構が支援を決定し、会社更生法の申請をするに当たっての事業の再生計画そのもの自体が出てきていない。これでは、国土交通省を初めとした政府の皆さん、そして支援機構、また関係各位が、どういう根拠に基づいて、JALが法的整理が必要でまた再生が可能であるというふうに判断をされたのか、これは私たちには全く判断することができないということだというふうに思います。

 その一方で、報道ベースではさまざまなことが言われている。先ほど来お話がありましたけれども、例えば稲盛会長はある場所において、JALは継続的に二百億円ずつ毎月毎月赤字を出している、こういう状況にあるということをおっしゃっている。また、これは二月十五日の予算委員会で申し上げて、根拠を示せと前原大臣に御答弁をいただきましたけれども、一月のキャッシュフローの流出額は一千億円に上ったというようなことも言われているわけです。

 こうした状況の中で、私たちは、日本航空に公的資金を投入する、こういう判断を、予算の議論全体の中で、最終的には認めたというか、多数決の中でそれが進んでいる状況になっているわけですので、このことについて、もっともっとしっかりとした根拠とまた資料をもって、正確な判断をするべき責任があるというふうに思います。そうしたものが全く与えられない中、JALの経営再建をめぐって議論を行ってくださいというのは到底できるはずもないですし、また的確な再生にもつながらないというふうに思います。

 その点について、前原大臣は、今こういう現状で集中審議が行われているということについてどのように思っておられるか、お尋ねを申し上げたいと思います。

前原国務大臣 政府としましても、企業再生支援機構また日本航空とも相談をしながら、日本航空の再生を確実にするということの中で、何が提出できて、できないのかというようなお話し合いもしてまいりましたけれども、先ほど三ッ矢委員にもお答えをいたしましたように、最終的に、裁判所との御判断の中で、今出せるものについては皆さん方にお示しをしたものだということで御理解をいただきたいと思います。

柿澤委員 これでは本当に議論にならないというふうに思います。

 その一方で、先ほど三ッ矢先生もおっしゃっていましたけれども、支援機構もまた稲盛会長も、記者会見には応じて、さまざまな経営をめぐる問題について話すことのできる範囲でお答えをされている。こういう状況の中で、国会に対しては資料も出せない、そして参考人として出て答えることもできないというのは、これは絶対に正当化できないことだというふうに思います。最低限、参考人として稲盛会長や支援機構の皆さんに出席をしていただいて、できる範囲でこの問題について考えをお述べいただくということがやはり必要だというふうに思います。

 そういう、こんなにあるけれどもこれしかないという資料の状況の中で、私たちが判断ができる数字ベースの材料というのは、二月十五日の、私が予算委員会で質問をさせていただいた時点からほとんど変わっていないんです。そのとき出したパネルはこれなんですけれども、先ほど三ッ矢先生もおっしゃっていましたけれども、「日本航空の再建について」という、詠み人知らずなんですけれども、恐らく支援機構とJALがつくったんでしょう、そこで「着実な業績回復の実現」ということで出されたものです。

 これは、フィスカルイヤー〇九の二千六百億円の営業損失が三年後には九百四億円、これは上は数値が違いますけれども、企業年金存置になりましたので下の数値を見ていただければ。とにかく、数値はどうでもいいんです。こんなV字回復するというプランをこれだけ示して、はい、これをもって判断してくださいと。こんなことを、私たちはこれだけを根拠資料として議論を行うことはやはり不可能だというふうに思います。

 しかも、V字回復をする、こういうシナリオに基づいて支援決定を行った、こうしたことについて前原大臣は、政府の、まさにこの問題を主管する大臣として、これで再生可能だ、今回の再生計画で再生が可能だというふうに、稲盛会長同様、太鼓判を押すんですねとあのときお伺いをしましたけれども、結局どういう答弁をされたかといえば、これは支援機構が決めたことであるということで、いつの間にか、何かこの計画の策定にも、また実施にも、まるで前原大臣は責任を負わないかのような御答弁をされたのを覚えております。こうしたことで本当に大臣の認識としてよろしいんでしょうか、改めてお尋ねを申し上げたいと思います。

前原国務大臣 ちょっと今の質問は看過できないですね。だれが責任をとらないと言いましたか。

 我々は、今までの自公政権の中でこれだけ莫大な負債を背負い込んで、もう先送りできないような状況になったものを、言ってみれば、九月十六日に閣僚になって、そして九月二十四日に経営改善計画を出されて、中身がわからないという中でタスクフォースをつくって、そして、中身を精査する中で、最終的にどういう仕組みで再生をさせるのかということの中で、企業再生支援機構というものを活用するということを政府で決めたわけであります。

 そのことにおいてのプロセスには、当然ながら、私がお願いしたタスクフォースというものが関与をしているわけでございますし、ただ私は事実関係を言っているんですよ。事実関係と責任論というものをあなたはごちゃごちゃにして話をしているけれども、それこそ事実認定の間違いですよ。再生計画をつくったのは企業再生支援機構なんですよ。そのことを言ったんです。それだけのことですよ。

柿澤委員 ということは、もちろん大臣として、今後の経営再生というか企業再生に当たってしっかりと責任を持って関与をし、またその結果に責任を負っていくということで理解をしてよろしいんですね。

前原国務大臣 事実関係をしっかり認識して質問してくださいよ。

 だから、私は、このことをしっかりと着実にやるということで、今責任問題どうのこうのということじゃなくて、やることが私の責任なんだということを先ほどから答弁しているじゃないですか。そのことで私がしっかりと日本航空の再生に関与していくということで御理解ください。

柿澤委員 では、ちょっと話をかえますけれども、私たちには今の日航の、JALの経営状況というのは、残念ながら今の時点では資料として明らかにしていただいていないわけです。これは裁判所の問題があるということでそうなっているわけですけれども、前原大臣初め政府の皆さんに対しては、この営業状況、キャッシュフローがどうなっているのかというようなことについては開示をされているんでしょうか。また、時々刻々と、いろいろと報道されて、変化をしているというふうに思われます再生案というかリストラ案というか、これについても累次御報告を受けて把握をしておられるということでよろしいんでしょうか、お尋ねを申し上げます。

前原国務大臣 更生計画は企業再生支援機構、そしてJALが共同してつくる、その際にはDBJやあるいはメガ三行を含めての融資団と相談をされるということであります。

 そういう意味で、管財人とも御相談をされているんでありましょう。出せる資料、出せない資料ということは先ほど答弁をさせていただいたとおりでございますけれども、少なくとも、この更生計画についてはJAL、そして企業再生支援機構が責任を持ってつくられるということでありますので、一々我々が報告を聞くということではありません。

柿澤委員 一々報告を受けていないということでありますけれども、これは折に触れて、一々ではないですよ、定期的な報告は受けているということなのか、あるいはこの間、一月十九日から、こういう状況で進んでいますよ、今の経営の現状はこうですよということをこの三カ月間報告を受けていないということなのか、その点、確認をさせてください。

前原国務大臣 さっきお答えをしたとおり、第三・四半期にかなりの赤字が出ているということの中で、これは会社更生法の申請をされた一月十九日以降にそういった発表がなされている中で、企業再生支援機構が当初つくられた再生計画よりも、より深掘りをした方がいいのではないか、こういうことは国交省としては申し上げておりますけれども、具体的に細かな状況について一々御報告を受けているということではありません。

柿澤委員 続いて、つなぎ融資のことについてお伺いをいたします。

 政投銀また支援機構で、一兆円規模の金融というかファイナンスの支援を出資及びつなぎ融資で行われている。このうちつなぎ融資は六千億程度というふうに言われておりますけれども、今の経営状況の中で恐らく、先ほど報道ベースで申し上げたような赤字の流出が行われているわけですから、随時つなぎ融資が実行をされている状況だと思います。これこそがまさに公的資金の部分になるわけでありますので、これが毀損し、焦げついていくということがあってはならないというふうに思いますし、また、更生計画が策定された折には、メガバンクへの借りかえ等々によって置きかわっていくべきものというふうに理解をしております。

 この資金の、つなぎ融資の実行状況というのを政府としては把握しておられるんでしょうか。

辻元副大臣 今おっしゃったように、つなぎ融資をDBJ中心に今までやってきました。

 その実行状況については、既に、昨年に入って、前政権時代に一千億、そして私たちが政権交代をした後に五百五十億、そしてさらに六千億という枠を一月の段階でとったということです。これをその後どのような形で実行していくかは、企業再生支援機構が中心になって今決定しているというふうに承知しております。

柿澤委員 まさに、これからどうなっていくかということが、この点、すごく気がかりなんです。

 先日も報道されていましたけれども、みずほコーポレートと三菱東京UFJと三井住友の三メガバンクが、JAL向けの債権残高千七百二十四億円全額について支援機構に買い取りを求めたということが明らかになった。報道ベースでいえば、今の時点で、JALの借りかえにはメガバンクは絶対に応じないというふうな姿勢を示しているというふうにも言われています。

 先ほど御答弁をされていたと思いますけれども、まさにこの借りかえが最終的に行われて、それによって事業再生というのがだんだん完了のフェーズにのっていくんだと思うんですけれども、このめどがついていない、そういう状況で、しかも赤字が数百億と言われるような単位で出ていっている状況で、この公的資金の投入を、六千億枠をとったからといってずるずるずるずる続けていくべきなのかどうか、これは私は大変懸念をいたしております。

 これについて、本当であれば、私たち議会が監視をし、報告を求める、こういう枠組みをつくることができるんじゃないか、できたんじゃないかというふうに思うんです。

 アメリカで、あのリーマン・ショックがあって金融危機のときに、ベールアウトのお金を、七千億ドルでしたか、出した。そのときには、半分の実行を枠として認めて、それ以上の追加の七千億ドルの枠の実行については議会の承認を改めてとる、こういう形のスキームにしたということが言われています。

 合わせると総額一兆円に上るという公的資金の投入になるJALの再生に当たっても、今言ったような経営状況だと言われているわけですので、私は、この六千億のつなぎ融資の枠の実行に当たって、議会が、国会がしっかりとその実行状況を監視し、また、必要ならこの枠を分割して、これ以上、ここまで到達したら次の、例えば千億を実行する場合は私たちが計画を精査して承認をする、こういう枠組みを導入すべきではないかというふうに思っております。

 これは議会マターでありますので大臣等々に答弁を求めるべきことではありませんけれども、そうしたことをこれからの議論の中でぜひ、この問題については超党派でというか、民主党さんも含めて、これからの先行きを懸念されている議員が多いと思いますので、まさに国会の権能としてこのような役割を発揮していくということが私たちの責任ではないかというふうに思っております。

 資料についてですけれども、最後に申し上げておきます。委員長、この場で申し上げてもよろしいですか。

川内委員長 どうぞ。

柿澤委員 内々に何かいろいろと理事会、理事懇等々で聴取があったやにも聞いておりますけれども、まず一つは、この問題については、やはり公式な資料が出てこないということが非常に大きな問題だと思います。そういう中で議論をしていかなければいけないということで、私は、報道ベースあるいは論評ベースの専門家の意見というのもやはり聞かなければならないのではないかと思っております。

 そういう意味で、参考人から申し上げますと、各党の皆さんがもう既に要所要所の方々をおっしゃっていますので、私は、一人だけ、この問題について取材し、また報道を続けておりますジャーナリストの町田徹さん、この方をぜひ参考人招致としてお求め申し上げたいというふうに思っております。

 また、先ほど三ッ矢先生からもありましたけれども、一月十九日の支援決定に当たっての事業再生計画、五十一ページの資料だとかいろいろなことが書かれていますけれども、この資料全体。そして、支援機構及び国土交通省が保管をしている、その前段の「Ivy再生の方向性」という資料、そういう表題の資料があるはずです。これについて、そういう表題のドキュメント及び附属資料一切。また、出てくるか出てこないかわかりませんけれども、JALの路線別収支と事業別収支、過去五年間。そして、稲盛会長が御就任した後の前原大臣との会談時の内容がわかる記録一切。そして、デルタ航空CEOほか関係者と前原大臣との昨年十二月九日の会談時の内容がわかる記録一切。アメリカン航空CEOほか関係者と前原大臣との昨年十二月十六日の会談時の内容がわかる記録一切。そして、これも出てくるかどうかわかりませんけれども、これまでに実行された支援機構及び政投銀からのつなぎ融資の記録。そして、昨年及びことし一月十九日までのJALの資金繰り表、ことし一月十九日以降のJALの資金繰り表、これを週単位、月単位ということでお出しをいただければというふうに思っております。

 なお、裁判所の見解で要求資料を提示できないという場合には、ぜひ裁判所の見解というのを書面にて交付をいただきたいというふうに思っております。

 以上、るる申し上げましたけれども、これについてはまた機会もあることだと思っております。

 これにて質問を終了させていただきます。ありがとうございました。

川内委員長 柿澤君の参考人要求、資料要求については、理事会で協議します。

    ―――――――――――――

川内委員長 この際、参考人出頭要求に関する件についてお諮りいたします。

 国土交通行政の基本施策に関する件、特に日本航空問題について調査のため、参考人の出席を求め、意見を聴取することとし、その日時、人選等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

川内委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時三十七分散会


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