衆議院

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第13号 平成22年4月20日(火曜日)

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平成二十二年四月二十日(火曜日)

    午前十一時開議

 出席委員

   委員長 川内 博史君

   理事 阿久津幸彦君 理事 小泉 俊明君

   理事 田中 康夫君 理事 橋本 清仁君

   理事 村井 宗明君 理事 岸田 文雄君

   理事 三ッ矢憲生君 理事 竹内  譲君

      打越あかし君    加藤  学君

      勝又恒一郎君    神山 洋介君

      川島智太郎君    川村秀三郎君

      菊池長右ェ門君    熊田 篤嗣君

      黒岩 宇洋君    小林 正枝君

      斎藤やすのり君    中川  治君

      中島 正純君    中野渡詔子君

      長安  豊君    畑  浩治君

      早川久美子君    馬淵 澄夫君

      三日月大造君    三村 和也君

      向山 好一君    谷田川 元君

      若井 康彦君    渡辺 義彦君

      赤澤 亮正君    金子 一義君

      金子 恭之君    北村 茂男君

      佐田玄一郎君    徳田  毅君

      野田 聖子君    林  幹雄君

      穀田 恵二君    服部 良一君

      柿澤 未途君    下地 幹郎君

    …………………………………

   国土交通大臣       前原 誠司君

   国土交通副大臣      辻元 清美君

   国土交通副大臣      馬淵 澄夫君

   国土交通大臣政務官    長安  豊君

   国土交通大臣政務官    三日月大造君

   国土交通委員会専門員   石澤 和範君

    ―――――――――――――

委員の異動

四月二十日

 辞任         補欠選任

  阿知波吉信君     斎藤やすのり君

  石井  章君     打越あかし君

  中島 隆利君     服部 良一君

同日

 辞任         補欠選任

  打越あかし君     渡辺 義彦君

  斎藤やすのり君    中野渡詔子君

  服部 良一君     中島 隆利君

同日

 辞任         補欠選任

  中野渡詔子君     阿知波吉信君

  渡辺 義彦君     石井  章君

    ―――――――――――――

四月二十日

 海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律等の一部を改正する法律案(内閣提出第一一号)

は本委員会に付託された。

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 国土交通行政の基本施策に関する件(公共事業の仮配分問題)


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     ――――◇―――――

川内委員長 これより会議を開きます。

 国土交通行政の基本施策に関する件、特に公共事業の仮配分問題について調査を進めます。

 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。畑浩治君。

畑委員 皆様、おはようございます。民主党・無所属クラブの畑浩治でございます。

 国土交通政務三役の皆様におかれましては、新しい国土交通行政の展開に日々御尽力されていることを、深く敬意を表させていただきます。

 本日は、公共事業の仮配分の問題をテーマとしまして、これは公共事業のあり方を議論するのにちょうどいい素材だと思いますが、公共事業のあり方について幅広く議論させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 公共事業というものは、本来必要なものであります。ただ、今、公共事業というものは何となくうさん臭いものだと見られることが多くなっておる、このことは不幸だと思っております。なぜこういう事態になっているか。私は、まず何といっても、公共事業の実施過程、予算化過程について不透明なところがあること、あるいはコストとパフォーマンスが見合わないような整備が行われてきたこと、また公共事業そのものが景気対策の観点に偏ってきた、そういうことがあると思っております。

 公共事業というものは、必要なものを適正な手続でしっかり進める、こういう当たり前の視点に今戻るべきだと考えております。必要なものが整備されない反面、例えば、九十八に上る空港、あるいはダムの問題もございます。また、道路であれば、本四架橋、これは三本必要だったのかどうかという議論もあるだろうと思います。一方、ミッシングリンクの問題、これは本当は早くやるべきであった、こういうのが取り残されている。ちぐはぐであるなという気はしております。公共事業について、しっかりと適正な手続で必要なものを判断してやっていく、そういう体制を今つくるべきである、そういう考え方が求められております。

 今回は、昨年十一月に都道府県に対して事業計画を説明して、そして二月一日に事業の評価を公表した、初めてのことでございます。そして、それとあわせてさらに、まさに仮配分を公表したということでございます。私は、これは透明な公共事業手続の第一歩であると大変評価している次第でございます。

 前政権のときの箇所づけの漏えいの問題がありました。予算が決まるまでは箇所づけは出さないということを言っておりましたが、ただ実際には、予算が決まる前に非公式に一部の議員に流れていたというのは周知の事実であります。今回、民主党政権がやろうとしていることは、これは前政権のやり方とは似て非なるものである。前政権のやり方は不透明な癒着でありますが、民主党政権はシステマチックに、そしてかつ透明に情報を示しつつ、公共事業予算についての議論の糧とするものである、非常に透明な公共事業実施に対しての第一歩になるものだと考えております。

 そこで、配付資料をちょっとごらんいただきたいと思います。資料一でございます。日本の予算化過程の手続で何が問題であったか。これは日本と欧米の比較を書いております。

 日本は、これまで年度予算決定があった後、箇所づけが公表されてきた。つまり、議会で透明に議論する手続が欧米に比べてなかったというのがこの資料で明らかであります。これを、点線にしてありますが、日本の場合は年度予算決定の前に持ってきてやろうとする第一歩である、まさに今回そういう手続であろうと私は理解しております。

 一方、ドイツにおきましては、複数年度にわたる需要計画をつくるわけでございます。これは、各州政府の意見を聞きながら、連邦議会が決定してつくる。だから、議会での議決、決定、議論がなされる。この中で、道路であれば優先順位等のしっかりとした議論がなされて決定がなされる。これを踏まえまして、年度それぞれの予算の決定、まさに予算化がなされるということになります。

 アメリカの場合は、完全な連邦制国家でありますので、連邦は、連邦道であっても補助金を出して州にやらせるという体系でありますが、連邦議会で補助金の交付根拠である時限法が決定される。この中で当然、配分率と対象事業が決定されます。そして、あわせて年度予算決定がなされる、こういう手続がある。日本は、まさにこういうところがなかったのが問題であろうなと思っております。

 そこで、お伺いしたいと思います。

 前政権のときの公共事業の予算審議や事業化の手続の中で何が問題であったのか。そして、それを踏まえて、今回の仮配分の公表の背景の考え方も含めて、予算決定過程、事業決定手続過程の透明化にどのように取り組んでいくおつもりなのか、改めてお伺いしたいと思います。

馬淵副大臣 お答えをさせていただきます。

 委員御指摘のように、私どもは、公共事業の進め方に関しましては、透明性を確保するということを再三再四申し上げてまいりました。昨年の予算委員会以来、事業評価自体の充実を図るとともに、公共事業予算に関する国会審議に資する形で個別箇所ごとの事業評価の結果を公表する、このことを申し上げてまいりました。また、直轄事業の円滑な実施を図るために、事業費の一部を負担いただく地方公共団体との意思疎通を図ることも重要だと考えております。これも踏まえて、昨年十一月には、御指摘のように、事業計画を御提示させていただいておりました。

 政権交代後は、事業評価につきましては、大臣の御指示のもと、見直しに着手をいたしまして、地方公共団体の意見の反映あるいは第三者による事前審査の充実、これらを図るとともに、継続事業もすべて含めまして、二十二年度予算で実施を見込む事業評価対象の直轄事業の個別箇所について、予算審議に入る前の二月一日、評価結果を大幅に前倒しをして公表したところでございます。従前では、先ほど御指摘のように、予算案が成立後でありましたが、これを出させていただいた。

 さらに、二月九日に、予算成立後に決定される箇所づけに向けての、地方公共団体等と調整を行うための途中段階の幅を持った数値として仮配分を地方公共団体に説明するとともに、全面的に公表したということであります。

 こうしたプロセスを通じて、皆様方に透明性、客観性、公平性を持って公共事業についてしっかりと御審議をいただく、これが主眼でございまして、今後は、この平成二十二年度の予算について行った新たな取り組みについて事後的な検証を行うとともに、事業評価の改善を着実に進めるなど、公共事業のこれらの進め方の透明化に取り組んでまいりたいと思っております。

畑委員 ありがとうございました。

 この透明化については、今もう一つ法案が出されておりまして、高速自動車国道法及び道路整備事業の財政上の特別措置法の一部を改正する法律案、これが今後、当委員会で議論されることになると思います。この中でまさに、五条の二において、事業評価を行い、その結果を公表するという規定もなされております。まさに、公表された情報をもとに、国会でしっかりと議論できるかどうかが問われているわけでございます。

 ただ、若干気にかかりましたのは、国会に報告するという旨の規定がないというところであります。これは、立法例で見ますと、例えば行政機関が行う政策の評価に関する法律では、第十九条で、政策評価等について、国会に提出するとともに、公表しなければならないという規定もあります。

 こういうことを踏まえまして、高速自動車国道の整備について、一連の流れということで、国会のチェックがどのように働くのか、改めてお伺いしたいと思います。

馬淵副大臣 これも私ども、再三再四お伝えをしてまいりましたが、国幹会議が形骸化しているということから、改めて高速自動車国道の整備計画について仕組みをつくらねばならないと考えてまいりました。

 今回、整備計画の策定を行う場合に、予算審議に向けて高速自動車国道に係る事業評価の結果を公表、そして国会において十分な議論をいただき、また社会資本整備審議会、これらでの審議、関係都道府県の意見聴取、この三段階のプロセスを通じて厳正なチェックを受けることとしております。

 国会に対しては、これらの整備計画について御審議をいただくこととして、情報の開示という形で公表をこの法案で示しておりますので、この国会での報告規定というものについては、私どもは義務づけとして、個別の具体的なことという細かな計画ではなく、あくまで整備事業に係ることについて今回公表という形で示させていただいたということでございます。

畑委員 ありがとうございます。

 これは、法制上の理由もいろいろあるんだろうと思います。実態として国会の議論がしっかり担保されているということが重要だと思いますので、その方向でしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 そして、今回の高速自動車国道・道路整備事業財政特別措置法、今回通告しておりませんので、これはまた別の機会で議論というか、本筋の議論にはなりませんが、上限料金制について確かに話題になったところであります。これについて、私、上限料金制のこの法律案、これがなければ、今年度、二十三年三月で従来の料金にはね上がってしまう。だから、この法律案というものは通らなければいけないし、そして、この措置がなされないということはあってはならないことだろうと思っております。

 もちろん、この上限料金制の決め方は議論があるところは確かであります。ただ、これは現行の財政制約の範囲内で、二元連立方程式をしっかり解いた案だと私は思います。そして、当面、長距離の通行のコストを下げながら料金の簡素化を図る、財政制約の中でそういうことをやっていく、知恵を絞られた結果だろうと思っております。そして、これはあくまで試行でありまして、最終形でももちろんない、高速道路無料化に向けての第一段階のファーストステップである、あくまで暫定なんだろうと思います。

 したがいまして、世間、世の中に対する説明の仕方だと思いますが、これは、この法案が通らなければ料金がはね上がる、それを抑えるための法案である。しかも、これは暫定的なものであって、最終的には、これを第一段階として、高速無料化に段階的に至っていくんだよ、こういう二点をしっかり御説明いただきたいと思います。そのことについて、今後の議論の深まりと、また大臣、副大臣の御説明を期待しているところであります。よろしくお願いいたします。

 これは質問ではありませんので、この場で私の考えを述べさせていただきました。そして、改めて、事業手続について戻らせていただきます。

 次に、公共事業基本法の制定が必要ではないかという私の気持ちに基づいた議論をさせていただきたいと思います。

 公共事業の実施については、先ほどの議論のように、これまでの議論、これまでは、予算化に当たって、透明な評価基準に基づく国会での議論がなかったこと、あるいは、これは各事業ごとにありますが、各事業共通した費用便益分析等の一般準則というものはない、だから各事業ごとのモードの比較というのができない、そういうものもある。あるいは、そもそも、代替案を比較した上で、事業内容、事業計画の正当性をしっかりと確定させるような手続が日本においては欠けている。また、住民参加や地方の意見を聞く機会というのが体系化されていない。もちろん、ばらばらにはありますが、そのレベルはまちまちであります。さらには、特に事業見直し基準等があいまいであって、その手続も不透明な部分があるという問題があるだろうと思っております。

 例えば、八ツ場ダムの事業の議論を聞いておりますと、私は、ダムの当否は別として、これは不必要であると思いますし、やめることは合理的だと思いますが、その手続論の部分のところで思うところがございます。

 つまり、今回、住民との間でこういう迷走を生じているのは、ダムの当否というよりも、住民がこの事業過程において政治に翻弄されたという思いを持っているからではないのかなという気がします。つまり、ダムをつくる際に、いろいろ切り崩されて、不本意ながらもダムをつくることになった。そこで、納得して生活再建をしようと思ったら、今度は政治の都合で見直し、中止になるという思いを持っている。その過程で、住民は意見を十分聞いてもらったという思いがひょっとしたらないのではないのかなという思いでございます。

 必要な事業を行うこと、あるいは不必要な事業を見直すことは当たり前のことであります。これはやるべきであります。ただ、公共事業というものは、対住民に対して権利変動が大変大きい、あるいは生活の状況の変動が大変大きいものであります。でありますから、対住民に対して、事業の実施、見直し等に対しては、透明な基準と手続というものが必要なんだろうと思います。そして、これは、公共事業の信頼回復のためにも、あるいは公共事業の民主的統制という観点でも必要不可欠なことだと思っております。

 逆に、こういう個別施策の指針となるような公共事業基本法があれば、基本法というのか手続法というのか計画法というのか、これはいろいろ議論はあろうかと思いますが、こういう基本法制があれば、事業実施や見直しに迷走を生じることは相当程度避けられるのではないかなと私は思います。

 そこで、事業評価基準、国会での審議のあり方、事業実施基準、あるいは住民参加、地方の意見の反映、事業の正当性を確定させる手続、事業見直し及び中止等の指針となる公共事業基本法的なものの制定を議論すべきときではないかと思いますが、御所見を伺いたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員が御指摘の、公共事業の基本法というような事業横断的な指針ということでございますが、平成十三年に民主党が提出をした公共事業基本法、ここにおきましては、五カ年を一期とする公共事業中期総合計画を作成し国会承認を得る、再評価、事後評価を実施し、国会に報告書を提出し、再評価については事業継続について国会承認を得ることなど、公共事業に関する事業横断的な指針を定めていたものであります。

 公共事業の中期計画につきましては、平成十五年に策定された社会資本整備重点計画法に基づき、従来の事業分野別の計画を一本化した社会資本整備重点計画を策定いたしておりますし、現在、平成二十一年三月に策定された第二次社会資本整備重点計画に基づいて、公共事業評価の厳格な実施、事業の構想、計画、実施、管理の各段階における住民を含めた多様な主体の参画などの取り組みを進めているところでございます。

 また、事業評価の部分に関しましては、全体の取り組みとして、今私ども申し上げたように、社会資本整備重点計画、今後見直しも含めまして取り組んでまいりますが、既に事業評価は実施要領の改定をさせていただきました。その中では、事業の計画段階での検証というものもプロセスとして組み込んでおります。また、第三者の評価というものも新たに導入をいたしました。

 このように、一歩一歩、公共事業のあり方に対する今の制度を変えながら、今後、全体を俯瞰する形で、私どももこの社会資本整備に向けて新たな取り組みとしての制度をつくってまいりたいというふうに考えております。

 今後、二十三年度におきましては、この事業評価の新たな要領に基づいて事業評価を行ってまいりますし、また、二十三年度の予算に向けては、BバイCも含めた評価方法の見直しも含めて行ってまいりたいというふうに考えております。

畑委員 現行の制度で鋭意取り組まれていること、よくわかりました。

 もちろん、新規の法律にするかどうかは議論のあるところだろうと思います。現行の制度である程度対応できているところも事実であろうと思います。しかし、私の問題意識は、個別の制度がばらばらで、それを貫く理念が不十分であるということ、あるいは、社会資本整備計画、計画論あるいは事業評価論としては進んでおりますけれども、公共事業実施の手続論というところでは、なかなか不十分な部分もあるんじゃないかなという思いがございます。

 例えば、日本でいえば土地収用法、これであれば、事業認定を受ける際の手続がまさにきちっとした手続でありまして、あと、欧米においても、特にドイツなんかだと、事業の計画法というのがそれぞれ個別事業法でございます。その中でこういう手続というものをしっかり位置づけている、そういうことがございます。

 今、意見聴取、パブリックインボルブメントなどをやっていることもわかっておりますが、若干アリバイづくりの側面もあるし、まだ法的なきちんとした位置づけもないという問題意識もございます。こういう手続をしっかりやることが公共事業の手戻りをなくするし、また見直しにおいてもしっかりオーソライズできることになりますので、こういう点を中心に今後とも御議論させていただきたいと思いますし、また検討させていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

 次に、今度は個別論、若干細かい話になります。

 今、馬淵副大臣から、BバイC等の事業評価、しっかりやってまいるということで、大変心強いお話をいただきました。公共事業というのはまさに事業評価の透明性、客観性、そして信頼性が大前提であります。必要な社会資本整備をしっかりと選択と集中でやっていく、これもまさにそのとおりだと思います。

 そこで難しいのは、必要な社会資本とは何なのか、どういう基準で判断されるのか、これが難しいテーマで、古今東西、古くからの難しいテーマでございます。そして、これはみんなが納得できる基準でなければならない、これも確かなところであります。そして、もちろん、その基準というものは、効率性だけではなくて、地方の実情も含めてさまざまな要素が的確に反映されるようにする必要がある、そういうことであると思います。

 事業評価としては、現在、BバイC、費用便益分析等を踏まえた総合的な評価が行われているということになります。そして、これはすべてを数値化できるわけではないのでありますけれども、数値化できるものはできるだけ数値化して、その困難な項目についても、BバイCの外側で点数をつけて総合評価の点数化を図るとか、あるいは、点数化がそもそも無理なのであれば、その外側で対外的に説明できるようなしっかりした流れを明確化する、そういうことであろうと思います。

 そして、ここで、現状の日本のBバイC、特に道路について議論させていただきたいと思っております。

 資料二をお開きいただきたいと思います。

 BバイCに関して、道路について申し上げますと、現在の日本のBバイC、三項目だけですが、大変客観的で透明で厳格だと思います。まさに、走行時間の短縮、走行費用の減少、そして交通事故の減少、これは数値化するにふさわしい、精度が高いものであります。一方、欧米の部分というところで表を整理しておりますが、各国はこの三要素以外にも、これは試行という部分もありますが、かなり入れているということになります。例えば、地方で言われるのは、雇用創出効果とかあるいは生産性向上効果というものであります。こういうものも工夫しながら入れております。日本は三項目でありますが、ドイツでありますと八項目になるということになります。

 そして、ドイツでいえば、実は便益の外側に、非経済的側面として、国土計画なり地域構造改善のための点数づけというのがあります。つまり、端的に言うと、田舎において点数のかさ上げなり地域係数を掛けているということも行われております。例えば、私もかつてドイツにおりましたが、ドイツが東西統一をした際に、東ドイツは、やはり地域がおくれていたということがあって、この外側でそういう補正係数を掛けたということも行っておりました。言いたいことは、諸外国においては、客観化を求めながらも、できるだけ幅広い項目を入れようとしているところでございます。

 そして、今の道路のBバイCで不幸なものは、この三項目だけでありますので、地方の人は地方の実情が入っていないと批判をします。一方、都会の人や有識者は、逆に、日本は三項目しかないけれども、実際には総合評価をやっているんだろう、その総合評価が不透明であいまいではないか、要は、両方から批判を受けるという不幸なことになっていると思います。私は、これを改善するためには、幅広い項目をできるだけ客観化したような形で入れていく、そして説明できるようにするということが必要だろうと思っております。

 そういう意味で、先日の本会議で前原大臣が、三便益以外の多様な効果の評価については、有識者より、便益の計測精度や二重計上のおそれなどの課題があるため、多様な効果の取り扱いも含めて、客観的かつ厳格な事業評価のあり方について、試行を重ねながら検討してまいりたいと答弁されました。その具体的検討方法、そしてその方向性、そしてスケジュール等はどうかについて、改めて具体的に御教示願いたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 委員の御指摘のとおり、過去の国会審議の中でも、この費用便益分析に関してはさまざまな問題が指摘されておりました。BバイC、特に道路に関しましては、走行便益のみであるということに対して、命の道あるいは観光振興、重要な要素が抜けているといった指摘もいただいておりました。

 私どもは、この走行便益について、当然ながら、過去は高速道路整備のために考えられたこのBバイC、走行便益を主とするという考え方、これは過去においては決して間違いはなかったかもしれない。しかしながら、その他一般道路の事業評価にまでこうした走行便益一辺倒となる事業評価手法をそのまま準用したことについては、大きな問題があったのではないかと考えております。

 とりわけ、地域における一般生活道路の重要性というものについては、地域の事情がそこに大きく発生をいたします。今回、この事業評価の見直し、特に道路事業に関してのBバイCの見直しに関しましては、今申し上げたような地域の事情、さらには、生活道路等で、当然ながら貨幣価値の換算がなかなか難しいものも踏まえて、地域の事情をいかに聴取するかということもあわせて、事業評価の方法をこの概算要求までにできる限り早い段階で、六月末までにはしっかりとそれを定めて、改めて事業評価を行うということを考えております。

 現時点におきましては、私ども国土交通省挙げてこうした取り組みの準備をしっかりとさせていただいているところでございます。

畑委員 ありがとうございました。

 この見直し、しっかりとまた取り組んで、そして概算要求までにいろいろキャッチボールさせていただきながら議論させていただきたいなという思いがございます。よろしくお願いいたします。

 そして、次にまた、事業の評価、進め方について、個別具体論に入りますが、お伺いしたい部分がございます。災害の安全性の確保を目的とするような事業についてであります。

 端的に申し上げますと、湾口防波堤のような、安全性の確保を目的とするような事業でございます。これは、効率とはまた違った視点が出てくるわけであり、事業の進め方というこの基準は難しいものがあるだろうと思います。こういうところは、まさに総合判断というところである程度の判断をせざるを得ない部分があるだろうと思っております。

 二月二十八日であります。チリ地震津波で、三陸の方に大きな津波が参りました。私の地元の岩手県久慈市においても、一・二メートルの津波が来たわけでございます。幸い大きな被害がなかった、人命の被害がなかったことは、不幸中の幸いでありました。

 実は、久慈湾では、湾口防波堤の整備をこれまで取り組んで進めてきております。これは平成二年に始まりましたが、予定総延長三・八キロメートルあるんですが、この中の、今の整備が七百十メーターの整備にとどまっている。地震調査研究推進本部が宮城県沖地震の発生確率を、十年以内七〇%、そして三十年以内に何と九〇%程度という予測を発表しております。ただ、この公共事業削減のもとで、今年度当初予算は約二十億円であった。二十一年度当初予算は約二十八億円あったことを考えれば、全体の公共事業費の削減率以上の削減であったのであります。これで今回、災害がなければいいのですが、大きな津波が来たこともこれありで、地域では若干というか、かなり不安が高まったところであります。

 そこで、お伺いしたいと思います。

 津波対策のための湾口防波堤のような安全対策を主目的とする事業については、優先的に進めるべきものであると考えております。事業実施判断に当たっては、災害発生の切迫性を踏まえた事業の緊急性も一つの考慮として勘案すべきではないかと思っておる次第でございます。そこのところの御所見とお考えをお伺いしたいと思います。

三日月大臣政務官 ありがとうございます。専門家でいらっしゃった畑議員の御質問、大変勉強させていただきながら拝聴させていただきました。

 おっしゃるとおり、外洋に面しております我が国の沿岸部の防災対策、そして津波対策をどうしていくのかということは大変重要な課題でありまして、その一つとして、湾口防波堤ですとか海岸堤防の整備を今進めております。特に、先生の御地元でいらっしゃいます久慈港を含む三陸沖は、文部科学省の設置いたしております地震調査研究推進本部の推測によっても、今後三十年以内の大規模地震の発生確率が九〇%程度と予測されておりまして、久慈港においても、背後地域の津波被害の軽減を図るために、湾口防波堤の整備をしております。

 しかしながら、今御紹介いただいたように、三千八百メーターの整備をする、この整備の進捗状況が、現時点八百メーター足らず、平成二年から進めているにもかかわらず八百メーター足らずということでありますし、厳しい財政制約の中で、昨年度は約二十八億円の事業費のところ、今年度は約二十億円ということで、残念ながら減少した事業費を計上せざるを得ない状況になっております。

 厳しい財政事情の中ではあるのですけれども、御指摘のとおり、こういう防災対策を確実に進めていくということは大変大事なことであると思っていますし、その事業を決めるに当たり、災害発生の可能性を踏まえた事業の緊迫性、緊急性、切迫性というものを考慮すべきではないかという先生の御指摘は、きょうしっかりと承りまして、累次にわたり前原大臣から答弁しておりますように、またきょう馬淵副大臣から答弁がありましたように、BバイCのとらえ方、三便益以外の指標をどのように加えていくのかという検討の中に加えてまいりたいというふうに考えております。

畑委員 心強いお答え、ありがとうございました。

 鳩山内閣は、命を守る政治を標榜しております。まさにこれは命を守るコンクリートだろうと思います。そして、効率だけでは尽くせない部分がございます。このことを踏まえて、しっかりと必要な予算の確保ということをお願いしたいと思っております。よろしくお願いいたします。

 そして、次にまた申し上げてまいりたいと思っております。今度は、社会資本整備費用の見通しというか、必要な事業の財源論という部分でございます。

 公共事業費に潤沢な余裕があるのであればともかく、財源が厳しい時代においては、社会資本整備水準についても合理的なラインが求められると思います。

 物事は七割から八割、つまり、これは仕事もそうですし、テスト勉強もそうですが、合格点をとるための資源投入は、ある程度の資源投入で効果的な結果が出るということだろうと思いますが、完璧を求めようとすると、その合格点から先の七、八割から十割を目指すところが大変厳しい。つまり、莫大な資源を投資したにもかかわらず、効果がそれほど上がらないという部分があります。これからの社会資本整備というものは、まさにこの七、八割というところがどこなのか、ここを見きわめた整備水準を設定することであろうと思っております。

 そういう観点から、資料三をちょっとお開きいただきたいと思います。これは、大変古くて恐縮ですが、昭和四十九年の建設白書の記述であります。利根川水系における開発水量の開発コスト曲線というものであります。かつて建設省にこのような視点があったことに深く敬意を表するとともに、今の国交省はこういうことを忘れているんじゃないかという思いがございます。

 この資料というものは、これは利水であります。水の開発容量とお金の関係でありますが、毎秒百五十立米ぐらいまではなだらかな線でいける、つまり、合理的な線はこの辺だろうなというのが、これで見るとわかるわけでございます。そして、百五十立米を超えると、急に開発コストがはね上がる。こういうことを踏まえながら、過大な投資はできない、だから、水需要のマネジメントもしながら、必要な線で整備水準を考えるべきだという趣旨の記述がございました。今、こういう視点がまさに求められているんだろうと思います。

 そして、何よりも言いたいことは、社会資本整備は、財政制約を勘案しながら、コストパフォーマンスを踏まえた整備を行うことが必要である。ここの水準論がまさに、さっきのBバイCの議論もそうですが、この決定というのが重要になってくるだろうと思います。

 また、これからの厳しい状況について、もう一つ資料をめくっていただきまして、資料四であります。

 これは、恐らくいろいろな委員会で出ている資料でございますので、大臣、副大臣もごらんになったことは多いと思いますが、これから維持更新投資がふえてくる、これも私が説明するまでもなく、皆さん御存じだと思いますが、二〇〇五年度を基準としながら対前年比プラス・マイナス・ゼロでいくと、それでも二〇三〇年には半分ぐらいが維持更新投資になる、二〇〇五年から国がマイナス三%、地方はマイナス五%でいくと、二〇三〇年前に維持更新投資も出なくなる、こういう資料でございます。確かに、これから維持更新投資の増大が大変重要な、難しい課題になってくると思います。

 そこで、これからの社会資本整備を進めていくに当たっての水準の議論に当たっては、この二点を考えなければならないと思います。つまり、合理的な整備水準の設定と、そして今後の維持更新投資の増大、この二点を勘案しながら必要な予算を確保して進めていくべきものであると考えておりますが、このことに対する御所見を伺いたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 御指摘のとおり、人口減少、そして少子高齢化、厳しい財政状況という制約要因の中で、社会資本整備に関しましては、国民が真に必要なものをしっかりと見きわめなければならないと考えております。

 その中で、私どもとしては、まずは国際的な競争力強化、成長戦略、これを現在検討中でございまして、必要な空港、港湾、道路、こういったものへの整備、さらには安全、安心の基盤づくりという意味での防災インフラの整備、そして、今も御指摘がありましたように、老朽化した、ちょうど更新時期が到来する社会資本に対する整備、これらについて戦略的な整備を行わねばならないと考えております。

 こうした取り組みの中で、厳しい財政制約がございますので、私どもとしては、積極的に、官民連携の中で民間資金、民間資本というもの、あるいは知恵、経営的な効率性というものを踏まえながら、特に昨今言われておりますPPP、パブリック・プライベート・パートナーシップ、こういった手法を取り入れながら、新たな社会資本整備の手法というものをしっかりと確立し、御提示してまいりたいというふうに考えております。

畑委員 ありがとうございました。

 あと、本日、前原大臣もおいでになっておりまして、ちょっと通告しておりませんが、総論的な、まさに今の質問に対して大臣のお考えを改めて御説明いただければ、そして大臣の思いを披露していただければ幸いでございます。よろしくお願いいたします。

前原国務大臣 畑委員にお答えをいたします。

 当初から申し上げておりますように、日本の置かれている制約要因、少子高齢化、そして人口減少、また莫大な財政赤字、これを考えたときには、今までの予算の使い方を全面的に見直していく。例えば少子化対策であるとか、あるいは増大する社会保障、これを充実させていくことも大事でございます。

 そうなりますと、鳩山内閣は、コンクリートから人へということで、予算の配分をコンクリート重視から人重視へと変えていくということで、平成二十二年度の予算を編成させていただいたわけでございますが、ただ、必要なインフラ整備はやっていかなくてはいけませんし、また同時に、今、畑委員が御指摘をされました、既存インフラをどう維持管理していくのかということは極めて大事でございます。

 先ほど馬淵副大臣から答弁をいたしましたPPPなどを使っていくということも重要でございますけれども、それに加えて、我々がやっていかなくてはいけないのは、やはりインフラの長寿命化ということをしっかり考えていかなくてはいけないと思っています。

 この長寿化につきましては、例えば、予防的な施策をあらかじめやっておく。つまりは、だめになってからそれを修理するというよりは、だめになる前に長寿命化施策をとるということによってマネジメントコストが安くなる、こういったこともありますし、また、先ほど委員の御議論を聞いておりましたけれども、BバイCを不断に見直すことによって、コスト縮減といったもののインセンティブをさまざまな事業において働かせていくということも大事だと思います。

 また、我々は、天下りあるいはその受け皿であった公益法人、特別会計、こういったものの見直しを行政刷新会議だけに任せるのではなくて、みずから国土交通省の千九十八の公益法人の見直しを今して、仕分けをしているわけでございまして、あらゆる形での予算の見直しを行って、そして、限られた中ではありますけれども、真に必要な公共事業というものをしっかりと選別しながらやっていくということで国民の負託にこたえていきたい、こう考えております。

畑委員 心強いお答え、ありがとうございました。

 まさに、新しい時代において社会資本整備の手法はいかにあるべきか、あるいは、整備水準もそうですが、必要な財源、予算水準はどういうものであるべきか、こういう議論は、骨太の議論を引き続きというか、そろそろすべきときに来ていると思っております。公共事業予算をふやすことはできない、これはもう確かなところであります。こういう中で、減っていく公共事業予算の中で、どの程度が最終的に安定的な水準として合理的なものかどうかというのが、恐らく今後の議論の焦点になるんだろうと思います。

 私は、これまでの公共事業というのは、景気対策の道具にされてきた部分があり過ぎると。つまり、思い切り金を積め積めと言われてきたのが過去十何年前のことであります。そして、今はその反動でもありますが、かなり下がっている部分もある。だから、住民、国民、あるいは実務者もそうですが、恐らく安定的なところはどこなのかという議論が必要なんだろうと思います。

 つまり、アップダウンするというのは、本来、中長期の国土のグランドデザインを描く社会資本整備にとっては望ましいことではない。したがって、それはしっかりとした切り込みをしながら、どの程度が最低限必要で合理的なところかという議論がまさにこれから必要になると思っておりますので、引き続き、いろいろな場で私も自分の考えを申し上げたいと思いますし、キャッチボールしながら議論させていただければなと思っております。

 質問時間が来たようでありますが、まさに難しい時代であります。こういう難しい時代だからこそ、新しい国土行政のあり方を追求する政務三役の皆様に、私は心から敬意を表する次第でございます。今後とも、新しい日本の国をつくるためにぜひとも頑張っていただきたいということを申し上げまして、私の質疑を終了させていただきます。

 ありがとうございました。

川内委員長 畑浩治君の質疑を終了いたしました。

 次に、赤澤亮正君。

赤澤委員 質問の機会をいただきまして、まことにありがとうございます。箇所づけ漏えい問題などの集中審議ということだと思いますので、箇所づけ漏えい問題、しばらく前の話になりますけれども、冒頭、そのお話を聞かせていただきます。

 箇所づけ漏えい問題について下された処分、前原さんが処分をお受けになった、それからその処分の対象となった行為、さらには理由、これについて簡潔にお話をいただきたいと思います。

前原国務大臣 赤澤委員にお答えをいたします。

 国土交通省から民主党に対して行いました仮配分の説明が、結果として、民主党から地方公共団体等に提供されまして、地方公共団体等に無用な混乱や誤解を招くおそれを生じさせたことは、遺憾と言わざるを得ません。

 こうした事態が生じましたのは、国土交通省から民主党に仮配分の検討状況を説明した際に、資料の取り扱いに関して十分に念押しをするなど、党との間で相互の意思疎通が十分に行われなかったことによるものでございます。

 民主党に対する仮配分の説明については、国土交通省の政務三役の合意のもとに実施されたものでありまして、意思疎通の不十分によって生じた結果については、省全体としてその責を負わなければならないものと考えております。

 このため、国土交通省を代表する私に対して、総理から、今後このような無用の混乱や誤解を招くおそれを生じさせることのないようにという注意処分が行われたものであり、私としてはこれを厳粛に受けとめておるところでございます。

赤澤委員 それで、今、厳粛に受けとめるというお話があったので、次の質問も飛ばしますけれども、基本的に前原大臣としてはその処分には納得をされているということですね。うなずいておられますので、そういう理解でいきます。

 その上で、ここは指摘にとどめますけれども、予算委員会で二月十七日、前原さんとかなりやりとりをさせていただきましたけれども、その中で問題になったのは、要は、最初の予算委員会に提出された資料が、私はにせの資料と言いました、前原さんはそうではないと言い張ったわけですけれども。今の、まさに処分を認めて納得をされている以上は、そこに問題があった、明らかに、本来念押しせずに出すべきでないものが出ていった、その結果、党からおかしな資料が各県に出ていったわけです。

 その資料を我々が問題にした行為も、まさにそこが問題であった。処分も受けて納得されているわけですから、その資料を予算委員会に出さなかった点については、重ね重ね私が指摘していたとおり、処分に納得されている以上、私はその点はやはりにせの資料だったと言わざるを得ない。私の行為は問題がなかったんだと言わんばかりに、その点について、最新の資料を出したからいいんだという物の言い方は、私は通用しないというふうに考えております。その点は、御指摘にとどめさせていただきます。

 もしあれが問題のない資料だったと言うんだったら、前原さんはしっかりと処分はおかしいということを言っていただかなければ、私は矛盾しているというふうに解釈をいたします。

 きょうお伺いをしたいのは、むしろ、高速道路の料金の方のお話なんですね。今、本当に問題になっているのはそちらの方ですので、そっちの方をお伺いします。

 まず、冒頭、マニフェストとの関係ですけれども、マニフェストで高速道路無料化をうたっておきながら、多くの利用者にとって料金値上げとなる新たな料金割引なるものを打ち出されました。国民の期待を裏切るものではないですか。

前原国務大臣 お答えいたします。

 高速道路の原則無料化につきましては、国民の理解を得ながら段階的に進めることとしております。まずは、六月より、地域経済への効果、渋滞や環境への影響、他の交通機関への影響などを検証することを目的に、全国の高速道路の約二割、一千六百二十六キロメートルの区間で社会実験を実施することとしております。

 また、新たな上限料金制につきましては、一時的で持続可能ではない、しかも複雑でわかりにくいなどの現在の料金割引の課題を改善して、平日と休日や時間帯の区別なく、広く、また恒久的に料金割引を行うという考え方に立ちまして、料金に上限を設けて、あわせて割引の徹底した簡素化を図ることとしたところでございます。また、この上限料金制によりまして、長距離の地域間移動が容易となり、休暇の分散化や物流コストの引き下げの効果も期待をしておるところであります。

 無料化の社会実験及び新たな上限料金制の試行は、ともに来年の三月まで行うこととしておりまして、一体としてその効果や影響の検証を行ってまいりたいと考えております。

赤澤委員 まず、今の答弁を聞いていて、政権交代直後、自分の言葉でお考えを述べておられた前原さんが、用意された紙を読まれるようになったなと、私は正直残念な思いです。

 加えて、国民の受けとめは、高速を無料化すると言いながら料金値上げが起きるとはどういうことだ、民主党はうそをついたのか、こういうことですよ。私の周りでもそういう声だらけです。その点についてはどうお答えになりますか。

前原国務大臣 自公政権のときにつくられましたこの利便増進事業につきまして、例えばETC土日千円、これについては、皆さん方御承知のとおり今年度限りであります。したがって、例えば、それを前提にしてそれから値上がりするというふうに思っておられる方々もおられます。

 今回の我々の案といいますのは、土日、あるいはETCを使った人に限らずに、ETCがなくても、また平日でも、上限制というものを設ける中で、長距離を利用される方については極めて安い料金で移動していただくし、また物流コストも安くなる、こういったものをねらったものでございまして、何をもとにして値上げなのかということについて、私は議論があるところだと思います。個別の利用客については、値上げになる方もおられるでしょうし、値下げになる方もおられると思います。

赤澤委員 少なくとも、幾つか指摘したいのは、我々は財源を用意して、トータル三兆円用意をしました。十年間二・五兆円、それから二年間五千億円ということですね。十年間続くものも当然あるわけですよね。それよりも上がる部分も出てくるんですよ、結局。

 私の周りの方たちの受けとめは、民主党になったら高速道路はもう全部ただになるんだと本当に信じているんですよ。しかも、我々が用意したものより現に割高になるところは当然ありますよ。この点については何も責任を感じないんですか。

前原国務大臣 我々が選挙の前にお約束をしましたのは、高速道路料金の原則無料化、そして社会実験を行いながら段階的に行っていく、こういうことであります。もともとが、首都高速道路また阪神高速道路におきましては、料金体系は維持すると申し上げてまいりましたのは、これは、都市部におきましては、料金を取らなければむしろより混雑をし、渋滞が発生をし、移動に支障が生ずる、これは我々が目指したことではないということでございました。

 今回、一部ではありますけれども、社会実験として無料区間を用意し、そして利便増進事業を使わせていただく中で上限制というものを用意いたしまして、どのような結果が生じるかということを、これも一つの試行、社会実験として受けとめて、段階的な無料化に資するようにさせていただきたい、このように考えております。

赤澤委員 非常に追及がしやすいところに逃げ込まれましたので、その話をさせていただきたいと思います。

 その前に一点指摘したいのは、原則無料化、国民は十分説明を受けていませんよ。我々も衆院選のときに、いろいろな思いでいろいろな政策を説明しましたが、説明が足りなかった部分については本当に政治的な責任を負わされて、大変つらい思いもしました。同じ責任はやはり前原さんも逃れないと思う。原則ということについて、はっきりと申し上げますけれども、国民の間に浸透していません。その点は明らかに説明が足りなかったということは申し上げておきます。

 加えて、原則ということですね。日本語の原則と例外と言った場合に、ゆめゆめ例外の方が多いなんということは、前原さん、絶対考えておられないんですよね。その点、伺います。

前原国務大臣 繰り返し申し上げますが、原則無料化の原則ということの中に、首都高と阪神高速については料金を取り続けるということを申し上げたわけです。

 我々の目指すところは一体何かというと、今あるインフラは徹底的に利活用していこうということであります。そして、できるだけ値段を下げて、無料にする区間を設けて物流コストを安くし、そして日本の経済に資するような形にしていきたいというのが我々の大きな目的でございました。

 したがいまして、それが大きな目的としてある中で原則無料化というのは、先ほど申し上げたように、首都高と阪高をまずは除いていたということは、無料にすることによってより渋滞が生ずる、あるいはそれが経済、物流にマイナスの影響を生じさせる、そしてCO2がより生ずるというものについては、まず原則として例外としたことでありますので、他の交通機関への影響あるいはCO2、そういったものも含めて社会実験をする中で最終形を決めていく、こういうことでございます。

赤澤委員 原則の話を続けさせていただきたいと思います。

 首都高延長二百九十五キロ、阪神高速二百四十二キロ、それは違うとおっしゃっていますけれども、高速は九千二百四十一キロ延長があります。原則と例外ということでありますけれども、大臣、原則で一体何キロ無料化されるんですか。

 少なくとも、前原さんは国民に対する説明責任を負っている。しかも今、国民皆が、十分な説明を受けずに、全部無料化にしてもらえると信じていたのに裏切られたと言っているわけですよ。現時点で原則といったら、九千二百四十一キロのうち一体何キロ延長するんですか。ゆめゆめ例外の方が多いなんという逃げは打たないでくださいね。これは絶対に許しませんよ。国民も許さない、私も許さない。具体的に原則とは何キロなのか、あなたはこの場で言う責任がある。よろしくお願いします。

前原国務大臣 先ほど原則と申し上げたのは、我々が高速道路の原則無料化で何を目指すのかということを御説明いたしました。つまりは、今あるインフラは徹底的に利活用する、そのことと、そして、料金を下げ、無料化にするところをつくることによって日本経済全体のプラスになるような形をつくっていくということが、我々の大きな目的でございます。

 したがって、その原則の中には、首都高と阪高を除いたというのは、大都市部において、無料にすることによってより渋滞が生じ、そして物流に障害が生ずる、経済にもマイナスになる、CO2もより排出される、こういったことがあればマイナスになるということでございまして、原則の中に、原則無料化ということの例外に入れたわけでございます。

 そういう意味において、これからいろいろな社会実験を行っていく中で、どれがベストミックスなのかといったところを我々は総合的に判断をして考えていくということで、原則ということで何キロかどうかということについては、お答えするに当たらない話だと思っております。

赤澤委員 今のは許されないですよ。マニフェストに原則無料化と書いておいて、延長で九千二百四十一キロある高速のほとんどが無料化されなかった、そんなことは国民が許しませんよ。そんなふざけた答弁をもらって、私、これは続けられないですよ。

 少なくとも、大臣がきちっと紙で、何キロの、それが原則なんだ、原則というからには何キロを想定しているんだということを出すように、これは委員長から言っていただけないですか。よろしくお願いします。

川内委員長 前原大臣、もう一度答弁してください。

前原国務大臣 繰り返しの答弁になって恐縮でございますが、原則ということで何キロということを答えろというのは、それは難しいわけであります。

 我々が目指しているものは何かというと、今あるインフラは徹底的に利活用し、そして、値段を下げたり無料にする中で物流コストを下げ、また、人の移動を多くする中で日本の経済を活性化させていくということが大きな目的でございます。

 その上で、大都市圏などは、むしろ無料化にすることによって渋滞が生じ、また物流コストも上がる、日本の経済にもマイナスになるということの中で除外をしているわけでございまして、これからどういった地域がそういったものに当たっていくのかということは、無料化やあるいは上限制などを試行していく中で、社会実験として最終形を決めていくということになろうかと思います。

赤澤委員 逆に、ひっくり返して聞かせてもらえば、実験の結果、総延長の中で、例外とされる無料化されない区間の方がはるかに多いなんということもあり得るということですね。そのことについて明確に、イエス、ノーでお答えください。

前原国務大臣 今から試行、社会実験をしていくわけですので、予断を持って今どうのこうのとお答えすることは差し控えたいと思います。

赤澤委員 今の答えはおかしいですよ、少なくとも。

 とにかく、原則無料化と書いてあって、国民は、総延長の中で無料化されない部分の方がはるかに多いとか、あるいは半分を超えるとか、そんなものはうそをついたとしか受けとめないですよ。その点についてちゃんと答えを出してくださいよ。委員長、ちゃんと答えさせてください。よろしくお願いします。

前原国務大臣 何度御質問されましても、私は同じ答えしか申し上げられません。それがすべてであるからであります。

 我々が目指している高速道路の原則無料化というのは、今ある高速道路を徹底的に活用していこう、そして、値段を下げたり無料にしていく中で物流コストを下げ、また、人の移動が多くなるようにして日本の経済の活性化につなげていきたい、これが我々の大きな目的でございます。

 そういった目的の中でどういう状況というものがいい形なのかということで、今回は、まずは二〇%でありますけれども、一千六百二十六キロメートルを無料化にさせていただき、他の部分につきましては、土日、ETC限定というものでなく、平日も含めて料金の上限制をまず試行させていただく中で、物流、車の動きがどうなっていくのかといったことをすべて調査させていただきたい。そして、それを踏まえて最終形というものを徐々に決めていきたい、このように考えております。

赤澤委員 まず、今のだと本当に、私がというよりは国民がやはり許さぬですよね。選挙のときに原則無料化と、国民はそれを聞いて、結論において無料化されない区間の方が長いなんという受けとめは絶対しません。そんな不誠実な説明をやったら、それは政党としても政治家としても、私は本当に適格性を欠くと思いますよ。

 加えて、もう一つ指摘させてください。

 マニフェストに所要額一・三兆円と書いています。このときは、延長何キロについて無料化することを想定して試算されたんですか。

前原国務大臣 これは、今までの政権で、有利子負債が三十兆、無利子負債も含めると三十四兆円ほどあると思いますけれども、それを無料化にして返していくとなると、これは何年で返すかという期間がもちろん決まってくるわけでありますが、その償還というものに我々は税金から一・三兆円ということを試算させていただいたわけであります。

赤澤委員 ということは、今の御説明であれば、原則とうたって国民に大変誤解を生じやすい表現を使ったけれども、総延長をどれぐらい無料化するかというのは、全然、試算も何もしていなかったという意味ですか。

前原国務大臣 繰り返しになりますけれども、我々は、原則無料化ということを申し上げてきたわけであります。そして、その原則無料化というものを、社会実験を行いながら最終形を決めていくということを選挙前にお訴えいたしました。そして今、有利子負債は三十兆円以上ある。そして、何年で償還するか、また、どのくらい無料にしたり料金を下げるかによって、当然ながら償還計画は変わってくるわけでございます。我々は、一・三兆円と置かせていただく中で、どのぐらいの期間返していくかということも含めて決めていく、こういうことであります。

赤澤委員 とにもかくにも、今みたいな説明でこのマニフェストに原則無料化と書くことを、私は、国民は許していないというふうに感じますよ。

 少なくとも、原則無料化と書いたマニフェストを掲げて、選挙に勝ってということをされているわけですから、現時点において無料化されない区間の方が総延長が長いことがあり得るなんという話は、これは私は、国民は許さないと思うし、その辺について、民主党の選挙の戦い方は、もう本当に改めてほしいと思うんですよ。

 要は、できもしないことを先送りして、選挙までには結論が出ないような耳ざわりのいいことを言って、勝ってから、できませんということは、もう国民の目の前にさらされているわけですよ。

 そろそろ私の言うことについても国民は耳を傾けるようになってきているんです。地元でもまさにそうですよ。だまされたという声は本当に多い。

 政権をとる前はいいんですよ、まだ。皆さんの戦略として当たったでしょう。できもしないことを並べて、結論、できなくてもやると言っているんだから、それをくさす我々の方が悪者みたいに言われましたよ。しかしながら、今のマニフェストについて言えば、そういうことについて国民は本当に今問うようになってきているんですよ。

 確実に国民がわかるように、原則無料化と言ったときに、総延長というのはどれぐらい無料化することを念頭に置いているのか、よもや原則と言いながら無料化しない延長の方が長いなんということはあり得ないということを明確に答弁してくださいよ。そこをきちっとやってくれないと、もうこれは誠意のある答弁とは私は全く思えないです。続けることができないですよ、これは。

前原国務大臣 三度、四度と同じ答弁になってまことに恐縮でございますが、我々が目指しているこの原則高速道路の無料化というのは、今までつくったインフラを、高速道路を徹底的に利活用していこう、そして、そのことによって、また料金を下げたり無料化にする区間を設けることによって物流コストを下げて、そして地域を活性化させていくということが我々の政策目標でございます。それに向かって社会実験をしていくということでありまして、社会実験を踏まえた上で最終形を決める。

 最終形で今どのぐらいなのかと言われると、まだ、社会実験をしなくては、明確にはお答えできないということでございます。

赤澤委員 原則無料化の意味をきちっと国民にわかるように表現をしてください。紙で出してもらわなければ、こんなもの、続けられないです、私。申しわけありません。(発言する者あり)

川内委員長 ちょっと、答弁していただきますので。もう一度答弁していただきます。

 前原大臣。

前原国務大臣 再三の答弁になって恐縮でございますが、我々がこの高速道路原則無料化で何を目指したのかということをもう一度御理解をいただきたいと思います。

 今までつくった高速道路を徹底的に利活用していく。そして、そのためには、例えば、議員の御地元はどうかわかりませんけれども、一般道が渋滞をしている、それでバイパス計画が持ち上がっているけれども近くに高速道路がある、そういったところに新たなバイパスをつくるというのはもったいない。

 そういう観点からすると、この高速道路というものを徹底的に利活用するということが我々は大事だというふうに考えて、無料化やあるいは料金を下げるということの中で、トータルとしてこの日本の経済の活性化に資するような形を、さまざまな社会実験を行う中で最終形を決めていくというのが我々の答えでございます。(発言する者あり)

川内委員長 それでは、大臣、原則無料化という言葉を、ちょっとお互いに解釈が違っているようですので、政府としてのきょうの御答弁だと思うんですが、紙で改めて本委員会に御提出をいただいた上で、また御議論いただければと思うんですが、赤澤君、それでいいですか。(赤澤委員「いや、それは出してもらわなきゃ。少なくとも、そういう恥ずかしいものを国民の目にさらしたから」と呼ぶ)

 いや、今、答弁はしていらっしゃいますからね。原則無料化、前原大臣の考える原則無料化とはということは、今、もう御答弁されているわけですね。赤澤先生は、原則無料化というのは距離であるとおっしゃっているが、若干そこは解釈が違っているようですから、そこは政府の解釈は政府の解釈であるということですから。

 質問を続けてください。

赤澤委員 今のことだと、私は、まあ延長だけで言っているわけじゃないんです。わかりやすくそれだけで言っているけれども、通行台数だって料金収入だっていいですよ。どれぐらいの部分を、逆に言えば、料金無料化にするんだったら、料金収入に占める割合の方が国民は関心が高いかもしれませんよ。我々が払っている料金全体を十としたときに、どれぐらい無料化してくれるんだ、そういう話かもしれないです。

 とにもかくにも、原則無料化と言ったときに、延長、通行台数、料金収入、そういったものの中で、半分以上は無料化するという話でなかったら、結論において国民は納得しないんですよ。そこは、守ると約束した覚えはないみたいな話は、このマニフェストで選挙を戦ったのは詐欺ですよ。国民に対して詐欺を働いたと言われてもしようがないんだよ。

 その点について、きちっと統一見解を出してくださいよ。その点、しかも、出していると言うけれども、いざこれを直すときに、文書を細工されてもかなわないんですよ。だから、出してもらってからやりましょうよ、これは。

前原国務大臣 先ほど委員長から御指示がありました政府としての原則無料化の考えを示せということについては、お出しをさせていただきたいと思います。

 ちなみに、選挙の前の民主党マニフェストの当該部分を読ませていただきますと、簡単ですので、短いので読ませていただくと、「高速道路は段階的に無料化し、物流コスト・物価を引き下げ、地域と経済を活性化します。」「高速道路を原則無料化して、地域経済の活性化を図る」「流通コストの引き下げを通じて、生活コストを引き下げる。」「産地から消費地へ商品を運びやすいようにして、地域経済を活性化する。」「高速道路の出入り口を増設し、今ある社会資本を有効に使って、渋滞などの経済的損失を軽減する。」「割引率の順次拡大などの社会実験を実施し、その影響を確認しながら、高速道路を無料化していく。」これが、我々が選挙前に訴えてきたこと、マニフェストに書いてあることでございます。(発言する者あり)

川内委員長 速記をとめてください。

    〔速記中止〕

川内委員長 速記を起こしてください。

 赤澤亮正君。

赤澤委員 国民の本当に大きな関心事なんですよ。原則無料化と言ったときの原則の意味は、延長、あるいは通行台数、料金収入といったものの上でどういう意味なのか、それを明らかに文書で出していただけるということでよろしいですね。

前原国務大臣 私の答弁が政府の見解でございますので、議事録を援用していただいて、それを政府の見解と考えていただいて結構でございます。

赤澤委員 そんなことは国民が許しませんよ。原則について、延長も料金収入も何が原則か示さないなんて、このマニフェストの意味がないということですよ。今のでやはり質問は続けられないです、これは。ちゃんとその点について答える紙を出すということを、委員長、約束させてくださいよ。お願いします。

川内委員長 前原大臣、答弁してください。

前原国務大臣 お出しをしろという委員会の御指示があればお出しをしますが、そのお出しをするものは、私の答弁を抜粋したものになると思います。

赤澤委員 そんなことでは、本当に答えにならないですよ。そこははっきりと、延長や通行台数、料金収入、少なくとも、それについては原則は何も意味しないんだ、原則無料化と言ったけれどもそこは何ら関係していないんだということを、だったらはっきり書いてくださいよ。それを国民の見えるところにちゃんと示してくださいよ。お願いします。

前原国務大臣 再三再四恐縮でございますが、我々が目指していたものは一体何なのかということは、今まで整備をしてきた高速道路を徹底的に利活用していこう、そのために、無料化区間をつくったり、あるいは料金を値下げすることによりまして物流コストを低減させる、あるいは人の行き来を活性化させることによって地域経済を活性化させる。

 そのための第一弾として、六月から、千六百二十六キロメートル、二〇%ぐらいでありますけれども、無料化の社会実験をさせていただき、そしてまた、軽、普通、そして中型、大型、特大、こういったものの料金の上限制を導入させていただいて、これもまた社会実験として、どういう渋滞あるいは他の交通機関への影響が起きるかどうか、CO2の排出量などの調査も行う中で、段階的に最終形を決めていくということでございます。

赤澤委員 前原さん、あなたがこんな時間稼ぎの答弁をするなんて情けないですよ、本当に。きちっと聞いたことに答えてくださいよ。

 延長だの通行台数、料金収入について、原則は何も意味していないんだ、答えられないんだというなら、それはちゃんと答えてくださいよ。全く、時間稼ぎの答弁を繰り返されることは心外ですよ。それについて書けないんだったら、書けないということをちゃんと文書にしてくださいよ。

 これは国民の関心事です。原則無料化は延長で、全然無料化しないところが長いなんていうことを国民は許す気はないですよ。その点はきちっとやってください。社会実験だって二割もいっていないじゃないですか。それのどこが原則なんですか。ちゃんときちっとやってください。

 加えて、幾つか指摘をしておきます。(発言する者あり)

川内委員長 静粛に願います。

赤澤委員 これは我が同僚議員が今後も続ける話だと思いますが、まず、前原さんが自分の庭だけきれいにしようとして、やっていることは小役人的なことになってきているんですよ。原則という言葉をとらえて、おれのところは間違えていないと。

 だったら、少なくとも地域主権のところだけでも、ほかに、二・五兆円の減税を実施する「暫定税率の廃止・減税」とはっきり書いて、二十二年度からやると書いて、原則としてなんて書いてないですよ。あなたたちは原則としてと書いていないものだって破っているんだよ。それに加えて、例えば別の分野では、「原料原産地等の表示の義務付け対象を加工食品等に拡大する。」こんな話も、現実的に考えたら、原則としてと入れておかなきゃ、全部できるわけなんかないですよ。

 自分のところだけ原則とたまたま入っていたから全部やらなくてもいいんだなんて逃れて、じゃ、本当に、原則とないものについてはマニフェストを民主党として全部きちっと実現するという見解なのか、それだって統一見解を出してほしいと私は思うんですよ。いいかげんな議論をしないでくださいよ。たまたま原則が入っていたからといって、ほかのところで原則が入っていないのを全部例外だらけにしておいて、できないでおいて、よく言うよということを一言言わせていただきたい。

 そして、加えてもう一つ、コンクリートから人へと言っておられたけれども、これは明らかに逆流していますね。公共事業を一八・三%削減すると言っていたものが、小沢幹事長の圧力に負けて、最初は不本意だと言っていたのに、高速会社に国費を投入して、国費を使って道路整備することになったじゃないですか。一・四兆円、十年間で整備するなら一年千四百億。それを加えたら、公共事業一八%マイナスが一二%ぐらいになるんですよ。コンクリートから人へと大見えを切っていたけれども、六%、人からコンクリートに逆流しているじゃないですか。そういう情けないことを党の圧力に負けて選挙対策としてやらされて、あなた、恥ずかしくないんですか。その辺のことは十分矜持を持ってやってくださいよ。とにかく、党の圧力に負けていろいろなことをやっている。

 もう一点指摘をしておきます、質疑時間が終了しているということなので。

 見事だと思うのは、長崎県知事選でおたくの党の幹部がこういうことを言いました。長崎県民が民主党推薦の候補を負けさせるようなことがあれば、党としてそれなりの対応をすると思う、それが政治だ、こうおっしゃった。今回そのとおりになっているんですよ。四車線化について検討をしていた六区間のうち、やらないところというのは、長崎県と二階先生の地元ですよ。本当に見事にそれなりの対応をされたことについては、ある意味の立派だとは思いますけれども、こんなやり方は絶対に国民が許さないということだけ申し上げて、私の質疑を終わります。

川内委員長 赤澤君の質疑を終了いたします。

 この際、休憩いたします。

    午後零時十六分休憩

     ――――◇―――――

    午後四時二分開議

川内委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。

 質疑を続行いたします。徳田毅君。

徳田委員 自由民主党の徳田毅です。

 本日は、公共事業の仮配分問題についての集中審議ということでありますが、この問題に関しては、これまでも国土交通委員会または予算委員会等でさまざまな議論がなされてきました。各委員からの追及に対して前原大臣は、箇所づけではなく仮配分だ、党に渡したけれどもまさか県連を経由して自治体に渡るとは思わなかった、国会に出して予算審議の際に使ってもらうだとか、また、自治体と協議のためのものだったというようないろいろなことを言われていますが、そもそも、こうして国土交通省から民主党を通じて、そして県連を通じてこの資料が渡ってしまった、だれが見ても政治利用だと思われるような問題に対して、後づけの論理で正当化している、開き直っているとしか本当に国民の皆様も感じていないのではないかということを思います。

 政権交代をしたわけですから、民主党政権のもとではこうやって予算審議や箇所づけの発表のやり方を変えるんだ、そういう目的、意図があったのであれば、本来は、こういう問題が起きる前にしっかりと記者会見を開いて、そして、私たちはこのように予算審議のやり方を変えますよ、箇所づけはこのような形で連絡しますよということをしっかりと説明すべきだったのではないか、内閣や国会にもしっかりと同意を得るべきだったのではないかということを思います。

 また、委員会を通じて、守秘義務や財政法上の問題、これらの解釈についても議論になりましたが、こうしたことについても、あらかじめ与野党を超えて議論するなり理解を求めるなり、そうしたことをすべきだったのではないかと思いますが、いかがでしょうか。

前原国務大臣 平成二十二年度の予算における直轄事業の予算配分は、事業の必要性、緊急性を初め、地元地方公共団体の御意見、要望や、用地確保、地元調整の状況等を総合的に勘案しながら行ってまいりました。

 具体的には、箇所づけに向けたプロセスができる限り客観、透明なものとなるよう新しい取り組みを行うことといたしまして、概算要求段階での事業計画を地方公共団体に通知して、すべての地方整備局でこれを十一月に公表いたしました。また、二月の一日には、各箇所ごとの事業の効率性、妥当性等を評価する事業評価につきまして、予算審議前に取りまとめて公表いたしました。また、予算成立後に決定される箇所づけに向けた途中段階の数値を仮配分として地方公共団体に説明し、これを公表するといった取り組みを行ってまいりました。

 委員御指摘のように、ちゃんとプレゼンテーションすべきではなかったかということにつきましては、前政権では近畿に限っていた事業計画を十一月に公表しましたし、また、予算審議に資する形で二月一日にこういった事業評価について発表させていただいたところでございまして、我々は、政権交代を機に、これからの予算の箇所づけに向けた透明度を上げるということで取り組んできたということだけは御理解をいただきたいと思います。

徳田委員 前政権がどうこうという話もありましたが、それはそれとして、皆さんの政権ではどのようなやり方をするか、そして、このような形で問題が大きくなったり、また国民の間で誤解を招いたりというようなされ方をしたのがやはり問題だったのではないか、それ自体が問題だと。こういうことをされるのであれば、やはり事前にこういう目的でこういうことをやりますよということをしっかりと示しておかないと、予算配分というものが、では、どのような形で要望を反映させるのか。

 前原大臣はよく、透明性、公平性、客観性を確保すると。しかし、今回のやり方で本当にそのことが確保されたのか。それでは、どこでこのことを出して、一つ一つの事業箇所の予算配分について議論される場があったのか。予算委員会の前にこれを出して、予算委員会の場でこんなことを一つ一つ議論しているわけではないですし、そういう意味で、私は、では今回のやり方で本当に皆さんが目指されているやり方ができたのかどうか、それでは来年度はまた同じようなやり方をされるのか、お伺いしたいと思います。

前原国務大臣 今回、初めての試みといたしまして、十一月に事業計画を発表して、二月一日には予算審議に資する形で事業評価というものもお示しいたしましたし、また、幅を持ったものでございますけれども、仮配分というものを出させていただいたわけでございます。

 今回、我々としては、党にお見せをしたものが、そこを通じて自治体に流れたということについては遺憾でございましたし、その取り扱いについて十分な説明をしなかったということで私が処分を受けたと思っておりますし、それについては反省をしております。

 そしてもう一つ、私は、これはマスコミを含めて報道のされ方が少し、今回の事例が特別だったのは、直轄事業負担金を廃止するということで、維持管理についてはすべてが廃止される、我々はその前提で予算配分をしておりましたけれども、今回は、二十二年度限りで特定事業の五百七十九億円、あるいは他のものも含めた約七百億円が余分に生まれてまいりまして、事業計画にプラスする形で配分をしたために、何か要望を受けたところに重点的に配分をしたんじゃないかというような誤解を与えたことも、この問題が大きくなった大きな要因ではないかと思っております。

 いずれにしても、来年はこの特定事業についても直轄事業負担金を廃止するということでございますので、事業計画でお示しをすること、そしてまた、この事業評価というものをベースに国会で御議論いただくということで、もちろん、最終的にどうするかということは今後詰めていきたいと思っておりますけれども、先ほどから申し上げておりますように、できる限り予算の箇所づけに向けた客観性、公平性が担保される仕組みというものを模索してまいりたい、このように考えております。

徳田委員 この問題について私が一番大きな問題点としてとらえているのは何かといいますと、この配分基準であったり、またはそのプロセスであったりという部分であります。要望があったところに重点的に配分したのではないかというようなことがマスコミの報道に大きく取り上げられたということを言われましたが、これは、マスコミに取り上げられたからそのように受け取られているわけじゃないんだと思います。

 例えば、十一月に事業計画が出ました。そして、民主党さんは、十二月の十六、十七、十八に四十七都道府県連を国土交通省に集めて、そこで要望を聞かれていますよね。そこには政務三役もおられて、そして要望については、各担当の方もお招きしてこの要望を受け取られた。そして、一月末に出されたものを見ると、やはりそうした要望があったところについては予算がふえているということがあった。そこにはまた、県連の要望ある、なしという項目まで入っているわけです。これを見たら、どう考えたって、やはり要望があったところに手厚くしたと。

 もっと言えば、民主党さんは幹事長室に要望を一元化しているというようなやり方もされている。幹事長室がどのような形でかかわっているのか私にはよくわかりませんが、先ほどの表現では、必要性、緊急性というものに加えて、地元の要望というものもかんがみて総合的に判断されていると。では、その整合性という部分について御説明をいただきたいと思います。

前原国務大臣 先ほど徳田委員に御説明申し上げましたように、今回特例になった一つのポイントというのは、直轄事業負担金の維持管理費については、概算要求の段階ではすべて廃止がされるという前提で予算を組んでおりましたけれども、特定事業につきましては、それが平成二十二年度一年間だけは残るということになりまして、それを含めた約七百億円のお金をどう配分するかといったところが、ことしの特別なポイントになっているわけでございます。

 その配分にいたしましては、確かに、地元の要望、これは別に県連だけではなくて、繰り返しお話をしておりますけれども、自民党さんやあるいは公明党さんなどからも御要望をいただいておりますし、そして知事初め首長さんからも御要望をいただいたりしております。

 その御要望の中身につきましては、御要望に沿えたところ沿えなかったところ、あるいは要望がなくてもふやしたところ、これは、事業の進捗率あるいは用地の取得状況、こういったものを勘案して我々としては決めさせていただいたということでございまして、そういう意味では、要望をいただいたところはもちろんついたところもございますけれども、要望がなくても予算がふえたところ、要望をいただいても予算がふえなかったところ、そこもあるんだということもぜひ御理解をいただきたいと思います。

徳田委員 要望をいただいても、ふえたところもあればふえなかったところもある、要望をいただかなくてもふえたところもあると。それがどのような形で、どんな配分基準があるのか、今の話は余りよくわからないんです。

 そこで、私が前々に質問させていただいたときにも取り上げましたが、奄振の事業です。

 これはもう大臣も御存じだとは思いますが、民主党さんが選挙時に奄美群島民と約束をされた奄美版マニフェスト、ここの一番最初に書いてある「奄振予算は、絶対に減らしません。」この公約が破られ、一年目からマイナス二九%、額にすると二百八十七億から二百五億まで、八十三億も大幅に削減された。これについて鹿児島の新聞などでは、民主党鹿児島県連は、幹事長室に対しても、また国交省に対しても重点要望として出されていると。出されたにもかかわらず、北海道や沖縄、一般離島に比べてもこれほど大幅に削減された理由は、では何ですか、お答えいただきたいと思います。

前原国務大臣 今回の予算につきましては、常に申し上げておりますように、人口減少、少子高齢化、また莫大な財政赤字という日本が置かれている状況を踏まえまして、予算配分を根本的に見直すということで、公共事業は全体で一八・三%、国土交通省では約一五%の公共事業費を抑制して、そして、その一方で、子育て支援策あるいは社会保障、教育、こういった人への配分へ変えなければいけないということで、予算配分を内閣全体として見直したところでございます。

 このような方針のもとで、奄美群島振興開発事業につきましては、平成二十二年度予算では、今、徳田委員が御指摘をされましたように、公共事業費は約二百一億円と対前年度当初予算比の〇・七一、二九%の減となった一方で、奄美群島における人材育成や産業振興を支援する非公共事業につきましては、対前年度当初予算比一・〇〇、つまりは、予算はへずらないということで確保をさせていただきました。

 これは、私は何度も国会で実は答弁をさせていただいているわけでございますけれども、これは徳田委員も御承知だと思いますけれども、昭和五十年から平成十七年までの三十年間で奄美における公共事業投資額がどれぐらい出されたのかといいますと、累計九千二百六十六億円公共事業費が投資をされております。では、奄美はそれで人口がふえたのか、あるいは経済が発展したのかといいますと、人口は十五万六千人から十二万六千人、三万人減っているということでございますし、なかなか地域の活性化というものには至っていないということでございます。

 これは御地元の徳田委員が一番よく御存じなところでございますけれども、奄美で一体何を伸ばしていくのかということになれば、やはり、基幹産業である農業それから観光を含めた第三次産業、こういったものをどのように伸ばしていくのかということを我々は一緒に、地元の徳田委員も含めて考えていかなくてはいけない問題だと思っております。

 ぜひ、そういう意味では、公共事業費は減ることになりましたけれども、非公共事業については減らしていない、その中で、どうすればこの地域が発展をするかというところを、地元の徳田委員にも御理解をいただき、またアドバイスをいただいて、持続的な経済発展が奄美で行っていくような、そういった施策というものをしっかりとやらせていただきたいし、また御提案もいただきたい、このように思っております。

徳田委員 前原大臣、適当にきれいな言葉を並べますが、やっていることはマニフェスト違反なんですよ。よくそんなことを言えるなと思いますよ。

 九千二百六十六億を奄美につぎ込んできたけれども、人口は減ったと。では、どうしてなんですか。

 この間、平均所得も私は申し上げました。全国平均は三百五万。東京が四百五十万円に対して奄美大島は百九十八万円。徳之島、今普天間基地で話題になっていますが、徳之島だけでいえば百六十万から百七十万ですよ。沖縄だって、あれだけの沖振をつぎ込んできたけれども二百五万ですよ。しかしながら、沖縄は、人口は戦後六十万人から百三十万人にふえてきた。しかしながら、奄美は二十万人から十一万人まで減ってきた。

 なぜこれほどのお金をつぎ込んでもそうやって経済は衰退してきたか。それは、離島であるハンディが大き過ぎるからなんですよ。平均所得は低い、でも物価は高い。何か物をつくって、内地に送って物を売りたくても、輸送費も高い。そういう中でみんな一生懸命頑張っているわけです。

 そして、奄美にかかわらず、公共事業というものが、疲弊する地域において、雇用や経済の下支えになっているというのは言うまでもない。皆さんがコンクリートから人へという理念のもとで公共事業を削減すると言いますが、では、奄美でいきなり二九%も切ったらどうなるんですか。そう思いませんか、大臣。雇用の受け皿、これもつくってから公共事業予算を減らすというんだったらわかるんです。しかしながら、皆さんは何もつくることなく、ただ切ったんですよ。マニフェストも破って、はっきり言えば島を切り捨てたんですよ。

 今、農業にと言われましたね。皆さんが切った奄振のほとんどの事業は土地改良の事業じゃないですか。農業所得を上げよう、生産効率を上げよう。奄美の農業は水との闘いです。だからこそ、農業用水を確保しよう、かんがい排水を整備しよう。そのための予算を切った。この間、財務金融委員会で質問させていただいたときには、菅大臣は、米の所得補償があるとばかな答弁をしていましたけれども、奄美のどこにも米なんかないんですよ。そのための事業予算を削って、どうやって農業に転化できるんですか。そんな適当な答弁をされては困るんです。

 まず、この奄美版マニフェストについては守るべきでしょう。一番目に書いてあるということは、一丁目一番地ですよ。しかも、県連から重点要望にあったのがなぜこんなに削られているのか。最重点要望ですよ。要望がないのにふえているものもある。その根拠は何なのかということをお聞きしているんです。

前原国務大臣 一番初めにお答えをいたしましたように、コンクリートから人へということで予算の使い道を我々は大きく変えたわけです。そして、奄振の中での公共事業費は減ったということでありますけれども、我々は、子ども手当、高校の無償化、さまざまな形での直接給付というものもふやしていって、そして地域にお金の落ちる仕組みというものをよりつくっていったという意味においては、単に減らした、何か切り捨てたということではありません。

 また、これ以外に、私のといいますか国土交通省所管でありますけれども、例えば離島航路の補助については、百九十三億円の内数の中に入っておりますし、この間は、これも徳田委員にお答えをしたことだと思いますけれども、今まさに、二百海里というものをしっかり守っていただいている、排他的経済水域を守っていただいているのは離島でありますので、離島の重要性というものをどのように我々は認識をしていくのかということの中で、国土交通省の中で交通基本法というものを今考えております。

 つまりは、人の移動の権利というものをしっかり確保していこうということで今議論をしておりまして、我々は今後もしっかりと、先ほど申し上げたように、公共事業、箱物というものももちろん必要なことはやっていかなくてはいけませんけれども、先ほど徳田委員がくしくもおっしゃったように、移動にお金がかかるんですよね。私も奄美に伺ったときに、ガソリンの値段が本州よりも二十円ほど高いというのに、聞いておりましたけれども、改めて驚きました。そういったことも含めて、どう移動の権利というものを交通基本法で確保し、そしてまたそういったものをベースに、奄美だけではなくて、他の離島の方々の移動を確保していくのかという方策もこれから考えていきたい、このように考えております。

徳田委員 奄振は切ったけれども、子ども手当なり直接給付は出していると。

 前原大臣が何かの記事か何かで、都会に比べると地方の方が出生率も高い、その分、多く配分されるんだと言われていましたが、例えば徳之島の伊仙町なんかは子供は多いんです。合計特殊出生率でいえば二・四二、日本で一番なんですよ。でも、その地域で一年間に生まれる子供というのは七十人ですよ。奄美全体で、ことしの子ども手当の予算を調べてみました。幾らだと思いますか。二億六千万ですよ。そのうちには地元負担も入っている。それをやっているから切り捨てていないと言うわけですか。

 この奄美版マニフェスト、さきの参議院の予算委員会において、野村哲郎議員が総理に対して質問されました。総理は何と答えられているか。

 ローカルマニフェストというものを私どもも提唱しているところであります。ローカルマニフェストは、その地域の皆様方に今までの公約以上の形でマニフェストとしてお示しをしたものでございます。国のマニフェストと同じように四年の間にしっかりと実現すると約束したものと言われているんです。

 これは、国土交通大臣として、それでは守る必要はないと言われる。総理は守らなきゃいけないと。

 きょうの参議院外交防衛委員会、ここで佐藤議員がこの奄美版マニフェストを取り上げた。そこで北澤大臣は、だれがそんなことを言って、だれがそんなうそをついたのかというのは、私には全くわからないと言っているんです。

 川内先生、委員長、川内委員長なんかがこれを出したんですよ。しかも、赤松農林大臣が選対委員長として奄美に来られて、それで群島民に対して約束したものなんです。これはどういう扱いなのか。これは、四年間で守る必要はないのか、一年目から破っていいものなのか。いろいろな言いわけをされますが、結果として破っているんですよ。あんなばかな、さっきみたいなやじも飛ぶんですよ。

 大臣としてどういう、奄美版マニフェストについて、必ず実行しなければならないものなのかどうか、どう考えておられるのか、お伺いしたいと思います。

前原国務大臣 鳩山総理がお答えをされましたように、ローカルマニフェストというのは、我々も尊重すべきものだというふうに理解をしております。

 他方で、全体の予算の中で、コンクリートから人へということで、予算全体を見渡す中で、先ほどから申し上げておりますように、公共事業費は減らしましたけれども、子ども手当、高校の無償化あるいは地方交付税の増額といったもので、私、徳之島だけの計算をしておりませんけれども、鹿児島県全体でいうと、プラスマイナスどちらなんだと言われると、これは確実にプラスであります。落ちるお金についてはプラスになります。

 そういう意味では、新政権で、地域にどういう形でお金を落としていくのかということの中で、税の使い道を変えていったということは御理解をいただきたいと思いますし、先ほど申し上げたように、奄美の実情というものについては、私もこれからまた担当大臣として、もちろん全体の予算の配分もありますけれども、先ほどお話しした、離島というのは二百海里を守ってもらっている大事な日本の主権を守る基点であるという意識は、これは本心から出ているところであります。

 したがって、先ほど申し上げたように、それにプラスして何がこれからできるのかということを考えたときに、交通基本法というものをまずつくった上で、移動の権利を確保するために、離島の方々というのはなかなか交通費が高い、こういったものをどのようにこれから総合的に考えていくのかということも踏まえて、できる限り奄美の皆さん方の御要望におこたえするように努力をしていきたい、このように考えております。

徳田委員 済みません、結論として、破っていいものだと思われているのかどうかと聞いているんです。

前原国務大臣 ローカルマニフェストというのは、鳩山総理もお答えをされましたように、尊重すべきものだと考えております。

徳田委員 では、一年目から二九%切ったということはマニフェスト違反だと認めて、そして正式に謝罪されますか。

前原国務大臣 先ほどからお答えをしておりますように、全体の予算として、コンクリートから人へということで予算配分を変えたわけです、我々は。公共事業費は減っておりますけれども、地方交付税はふえたし、子ども手当というのは直接行っている。そして、高校の無償化というのもできている。鹿児島県全体でいうと、お金がふえたのか減ったのかというと、ふえているわけです。

 私は奄美のことについては詳しく知りませんが、例えば沖縄、私、内閣府で担当しておりますけれども、内閣府担当の沖縄予算で、沖縄に落ちるパーセンテージは五一%ですよ。四九%はまた持っていかれちゃうわけですよ。(徳田委員「そんなこと聞いていなくて、守らなくていいのかということを聞いているんです」と呼ぶ)

 だから、尊重すべきものだというふうに我々は考えております。

徳田委員 そうなんですよ。尊重すべきなんです。奄美群島の人たちが少ないからといって、約束した限りはしっかりと守るべきだ。

 それと、来年からの予算もしっかりと考えていただきたいですし、これだけ減らしたことについてしっかりと補っていただきたい。子ども手当について、さっきは徳之島と言いましたが、これは奄美群島全体の予算ですよ。それで十分に、地方交付税などで全体にふえていると。大間違いですよ。

 奄振がこれだけ減らされたことについて、ことしの正月に、川内委員長や、また私と戦っている打越議員は何と言われていたか。これだけ減らされたことについて、新設された社会資本整備総合交付金などを有効に活用して、事業量は一定カバーできると言いました。これは新聞にも大きく載りましたよ。絶対にカバーすると言ったんです。しかしながら、奄振予算を開いてみれば、この交付金が含まれた額じゃありませんか。含まれた上で、二九%減らされているんですよ。

 皆さんはそうやってうそをついてきているんです。約束も破ってきているんです。委員長、そうじゃありませんか。委員長が言われたこと、これは正しかったんですか。交付金でカバーできると言われたことは正しかったんですか。それとも、この交付金は奄振に含まれていましたか。どちらですか。

川内委員長 私に質問ですか。

徳田委員 委員長がうそを言ったんですよ、はっきり言えば。国交委員会の委員長がですよ。

川内委員長 社会資本整備総合交付金は鹿児島県が申請をするもので、鹿児島県が、奄美の公共事業について鹿児島県の社会資本整備総合計画の中にどのように位置づけるかによって、あとは国土交通省が判断をするものというふうに私は理解しておりますが。

徳田委員 昨年までは、この交付金まで含まれた提示ではなかったんです。しかしながら、ことしからは含まれている。その上に二九%も切られている。

 最後に申し上げたいと思いますが、今までの箇所づけの問題や、そして要望を幹事長室に一元化する、またこうやってマニフェストに平気で違反して二九%切った。

 この経緯から、今、徳之島に普天間基地を受け入れるという話もある、そこで島民の間にどういう考え方があるか。今回受け入れなかったら、もっと奄振を減らされるのではないか、切り捨てられるのではないか、そうした強迫観念まで生まれているんです。そうしたことを抱かせている今の民主党のやり方について、これは皆さんがやりたかった政治ですか。

 私は、今回削られて、ことし奄美がどうなるか、本当に心配していますよ。倒産するところがふえ、失業もふえ、島では子供を育てられないからと奄美を出ていかざるを得ない。私は、今までの政治活動の中で、衆議院にあっては五年、父の秘書をやっているのを合わせて十五年ですが、その間にどれだけのそうした社会的悲劇を見てきたと思いますか。僕の同級生だって何人も自殺しているんですよ。こんな乱暴なやり方がそういう悲劇を生むんだ。そんな、笑って議論できるものではないんです。皆さんがそうした事態を招くんです。

 そのことをしっかりと、奄振予算、全国的に公共事業予算を減らしているからと言いますが、これは特別措置法ですよ。それとは別に奄美振興開発のための法律ですから、そうしたことも踏まえて来年度からの対応を考えていただければありがたい、お願いしたいということを思います。

 以上です。ありがとうございました。

川内委員長 徳田君の質疑を終了いたします。

 次に、竹内譲君。

竹内委員 公明党の竹内譲でございます。

 きょうは、委員会運営で御尽力をいただいております委員長に、前もって質問するということを通告しておりましたので、若干の事実確認と委員長の御見解を賜りたいというふうに思います。

 きょうは本来箇所づけの集中審議なんですが、これは後でもう一度やらせていただくとして、私は、今回のいわゆる高速道路の新料金体制の問題、それから道路財政特別措置法改正案等につきまして、委員長に若干の事実確認をさせていただきます。

 報道によりますと、十六日に、国会内で委員長は前原大臣と会い、「新料金制度について「大多数の人が値上げになり、再考を要する」と伝えた。」というふうに、これは四月十七日の毎日新聞なんですが、これは事実でありましょうか。

川内委員長 その事実関係の確認をこの場でされるとは聞いておりませんが、私の一連の報道に関する見解であれば今述べますが、一々の報道を取り上げて、これが事実か、あるいはそうでないのかということに関しては、ここの場はそういう場ではないというふうに思います。

竹内委員 それでは、質問の方法を変えまして、今申し上げた法案と新料金体制につきまして、報道によりますと、法案は通さないという発言をされたというふうにお聞きしておるんですが、この真意をお尋ねしたいと思います。

川内委員長 報道の事実関係については、私は、報道の一々の事実について、そうです、あるいは、そうでないということを答える立場には、そもそも国土交通委員長という職責はそういう立場ではないと。

 ただ、国土交通委員長として申し上げるのは、委員会の議事の公正かつ円満な運営に努める、そして、議事の進行については、与野党の理事の先生方と十分に相談した上で進めさせていただくということは皆様方にお約束を申し上げる、委員長として申し上げることはそういうことだというふうに思っています。

竹内委員 そうすると、発言の真意というのをお伺いしたかったんですが……(発言する者あり)いや、事前に通告しておりますので、見解を問うということで申し上げておりましたので、その点につきましてはいかがでございましょうか。

川内委員長 発言の真意というのは、私は、衆議院議員として、さまざまな党の会合などで自分の考え方を述べる自由を持っておりますので、さまざまなテーマについて、自分の考え方についてさまざまな場で述べている。そのことについてこの場でその真意を答えろというのは、国土交通委員長にお聞きになられることではないというふうに思いますので、そこは、私の党のいろいろな会合での発言であるというふうに御理解をいただきたいというふうに思います。

竹内委員 今の御発言で大体理解できるところもありますので、その点は了解をいたしました。

 それで、今度は大臣にお伺いをしたいんです。

 いろいろ、先ほど申し上げましたように、報道等もいろいろな報道がございまして、さまざまなところで、この新料金制度につきまして、与党内の方でもいろいろな声があるというふうに伺っております。

 先日のNHKのテレビ討論、私も大事なテレビだと思って拝見をいたしました。国民新党さんからもなかなか手厳しい御批判がありまして、国交省から国民新党の方に一切説明がなかった、苦言を呈したいとか、それから、きょうは社民党の辻元副大臣はいらっしゃいませんが、社民党の近藤政審会長代理は、白紙で見直すべきではないかとか、東京外環道まで広げていいのかとか、さまざまなお話がございました。また、仙谷国家戦略大臣におかれても、これも報道ですが、なぜ四国の我々だけが高い通行料金を払わないといけないのかというような報道もあったと聞いております。

 そんなことで、一たん閣議決定されて、本会議で趣旨説明と質疑も行った法案を、改めて政府・与党三党の首脳で議論するというようなことをお聞きしておりますけれども、これは事実でしょうか。そして、なぜこのようなことになったのか、その点につきましてお伺いしたいと思います。

前原国務大臣 竹内委員にお答えをいたします。

 私の出させてもらったテレビをごらんいただいたということで、私は後で確認という言葉に変えております。そういう意味では、協議ではございません、確認でございます。あくまでも閣議決定したものでございますし、法案については、与党の社民党さん、国民新党さんには御説明をしておりますので、確認で大丈夫かと思っております。

竹内委員 そうすると、その確認の内容は、法案の内容とそれから新料金制度、双方について、そのまま、大臣が既に発表されている方針でいいかということを確認されるという理解でいいんでしょうか。

前原国務大臣 この法律のたてつけを御説明いたしますと、利便増進事業に使っていたお金の中身を変えていくということとか、あるいは国幹会議の廃止、こういったものが主要な法律案になっているわけでございまして、料金体系については、これは法律マターではございません。

 ただ、我々としては、利便増進で例えば高速道路建設に回すということになったときに、では、一体どこに使うんだと。そしてまた、利便増進を使うということについては、有料道路に供する区間というものに、利便増進のお金を使うわけですから、そういったところに限定をしなきゃいけないということになれば、実際問題どこに使うのかということも、議論をしていただく前に、国会に対しても、国民に対してもしっかりお知らせをすることが大事だと我々は考えました。また、利便増進事業というものを使ってどういう割引体制を社会実験、試行として行うのかということについてもあらかじめお示しをする、これが我々は大事なことだと考えましたので、お示しをしたわけでございます。

 ただ、繰り返しになって恐縮でございますが、この料金やあるいはどの路線を利便増進事業を使ってやるということは、法律マターではございません。

竹内委員 めったにこういうことがないものですから、一たん閣議決定された話がもう一回確認されるということはめったにありませんので、私どもも、これはどういうことかなというふうに不思議に思ったわけであります。

 いずれにしても、しっかりとこれは内閣で完結をしていただきたいというふうに思いますし、また、まずは、与党の中でいろいろな声が出ているということにつきましても、しっかりと調整をしていただきまして、この委員会に法案を出していただき、これから審議できるように持っていっていただきたいというふうに思います。

 その上で、次の質問に移りたいと思います。

 では、箇所づけのお話に移りたいと思います。きょうは、馬淵副大臣にちょっとお伺いしたいと思います。

 馬淵副大臣のこれまでの御発言では、前政権下では、三月末の予算成立と同時に事業評価が発表され、箇所づけが決定され、事業実施計画が認められ、執行決裁が同日に行われていた。この状況がおかしいと判断した民主党は、国会でしっかりと箇所づけについても議論していく仕組みにしていく、平成二十一年内に箇所づけを決定し、国会で議論していくことになる、議員にもでき得るだけ早い段階でお伝えできるようやっていく、このように発言をされていたというふうに思いますけれども、まず、大体こういう思いでいらっしゃったことに間違いございませんか。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 私が申し上げてまいりましたのは、かねてより、この国会審議に資するように、事業評価について、箇所づけと同時に予算成立時にこれが提示をされておりました。本来であるならば事業評価を前提に国会審議をするべきである、このように申し上げてまいりました。

 そこで、私どもとしては、事業評価結果を二月一日に公表させていただいたということでございまして、今回、私どもは、この事業評価を提示することによって、国会審議に資する形に変えさせていただいた、こういうことでございます。

竹内委員 これまでも予算委員会等でさんざんこの話はありましたので、もう事実関係はよくよく御承知のとおりだと思います。

 いずれにしても、未公表の予算配分案が一月二十八日に国交省からまず民主党に内示された、それが党の地方組織に流れた、そしてそのさまざまな配分額が地方組織から自治体に内示された、こういうことであったと思います。これが今までとは違ったということで、さまざまな議論が沸き起こったわけでございます。

 前原大臣も馬淵副大臣も、野党時代、箇所づけに関する利益誘導批判の急先鋒でいらっしゃいました。ですから、こういう今回の一連の経緯が、当然これは疑われるんじゃないか、先に民主党に非公表で内示したということが疑われても仕方がないと思われませんでしたか、副大臣。

馬淵副大臣 これは、予算委員会でも大臣から、また私からも説明をさせていただいておりますが、昨年の十一月の段階で事業計画をお示しした、それは一定程度幅を持った範囲で事業計画をお示しした。その後、本予算、当初予算が決まる中で、直轄の見直しということもありました、維持管理の部分の見直しということもございまして、負担金部分について改めて協議をしていく、そういった過程の中で我々は整理をする。

 また一方で、党からの求めに応じて、途中段階のものでありますが、その求めに応じたものにつきましては、一月二十八日の段階で説明を申し上げたということでございまして、これについては私どもは状況の御説明をさせていただいたということであります。また一方、これについて党から地方公共団体に情報提供されたということについては大変遺憾に思うということも、大臣からも表明させていただいている次第でございます。

竹内委員 もう何回もこの議論はなされていますので、よく御理解いただいていると思います。

 一方で、事業評価結果は二月一日に出されているわけでございまして、そういう意味からいうと、この事業評価結果と同時に、民主党だけではなくて、国会に正々堂々と公表するというお考えはなかったんでしょうか。大臣も副大臣ももともとそういうお考えだったと思うんですよね、これまでの御発言は野党時代からずっと。

 だから、そのときに、党から求めがあったけれども、しかしそれは、当然、党だけに有利に使うんじゃなくて、あるいは使おうとするのではなくて、国会にも正々堂々とオープンにして、国会の審議に供してもらう、こういうお考えはなかったんでしょうか。これは大臣に。

前原国務大臣 流れとしては、十一月に事業計画をお示しして、二月の一日にそれぞれの事業についての事業評価をお示しし、そして仮配分を公表する、こういう流れでいっていたわけであります。それは委員おっしゃるとおりなんです。

 ただ、事前に党に対して、要望を受けておりましたのでお示しをした、その扱いについてしっかり我々が説明をせずに漏れてしまったということでこういった疑念を持たれてしまったということについては大変遺憾だ、このように思っております。

竹内委員 ここは遺憾だということで御答弁がありましたので、そこは反省をして、これから二十三年度に向けて修正していく、こういうことだろうと思うんですね。

 そういう意味では、もうこれも何回も言われていることですが、政権交代して民主党の新しい方式に期待した方も随分多かったんですが、残念ながら、今回はオープンな議論ではなくて、やはりこの箇所づけが国交省の判断、大臣以下の判断で決まった、こういうことになるわけでございます。

 そこで、今回、さまざまな民主党県連や知事さんからの要望、随分ありましたよね。それは、客観的な基準、今までのBバイCに加えて、どういうような考え方でのせられたのか。ここの陳情、要望の扱いについての考え方というのはどのようなものだったんでしょうか。

前原国務大臣 公共事業費、国土交通省だけで一五%程度削っておりましたので、今回の方針としては、新規事業は行わない、継続事業のみに限る、まずこういった仕切りをいたしました。そして、事業計画を示したものは、これは幅を持ったものでございました。

 ただ、先ほど同僚委員にもお答えをしましたように、今回が一年限り特別であったのは、直轄事業の維持管理の負担金がすべて廃止をされるという前提で事業計画をつくっておりましたけれども、二十二年度に限りまして特定事業が残るという形になりましたので、その分も含めた配分のし直しをするというところで疑念を持たれるような状況が生まれたんだと私は思っております。

 しかし、これについても、要望があったところではもちろん採択をされたものもございますし、要望されてもつかなかったもの、そして要望されていないけれども増額をしたものもあるわけです。

 ここは、やはり事業評価と、もう一つは、事業を進めていくわけで、継続事業でありますから、用地取得等が進むところと進まないところがあるんですね。したがって、予算をつけたくても用地取得が進んでいなかったら、これは進まない。あるいは、今回、大阪がかなりがくっと落ちましたけれども、第二京阪ができましたので、ですから、もうここは逆に事業が終わって、去年まではかなりの予算がついていましたけれども落ちたというところで、そういった事業の進捗状況というものも大きな判断材料として勘案をして、事業評価も含めて、我々としては配分をさせていただいたということでございます。

竹内委員 それはそれでわかりました。

 その上で、さまざまな疑念が出されていますので、一応、一つ一つ私どもも確認をしておきたいと思うわけでございます。

 直轄事業の道路整備では、概算要求段階と比べて、最終箇所づけでふえたのが千二百四十七億円ですか。民主党県連等から要望のあった道路整備に関する三百二十一事業のうち、箇所づけに反映されたのは二百八十件、八七・二%になる。金額ベースで最も増加率が高かったのが、鳥取県の四七・一%である。そのほかにも増加率が三〇%を超えたのが、福井とか京都とか、十二都道府県になる。

 そういうことで、特に鳥取県とか福井県というのは有名になって、ここは昨年の衆議院選挙で自民党が民主党に全勝したというふうなところでもございまして、これに対して参議院選挙対策ではなかったのかという疑念が出されておりますが、これについてまずお答えいただけますか。

前原国務大臣 そういうことは全くございません。

 先ほど委員も御指摘をされました、県連や知事からの要望ありというものが三百八事業ございましたけれども、要望があって増額したものが百八十六、要望がありながら増額しなかったものが百二十二でございまして、もちろん、その百八十六と百二十二は、そういう意味では要望があった方が多いわけでありますが、これはあくまでも、BバイCと、先ほど申し上げた、すべて継続事業ですから、新規はなかったということでありますので、継続事業ですから、用地取得等事業の進捗状況を勘案して決めさせていただいた、こういうことでございます。

竹内委員 大臣から明確に参議院選挙対策ではないということをおっしゃいましたので、今後もそういうことはないという確信のもとで我々も臨んでいきたいと思いますので、ひとつよろしくお願いします。

 それで、前原大臣は、一連の、厳重注意も受けられて、陳謝もされて、その後の御発言の中で、二〇一一年度以降は、概算要求段階と予算案決定後の配分案を、それぞれ概算段階でも決定後も公表する、さらに、配分には客観的な費用対効果の指標を反映させて、その過程をガラス張りにするとおっしゃっておられます。これは非常に大事なことだと思うんですね。

 一方で、今回は残念ながらその新基準はつくれなかったという理解でいいんでしょうか。

前原国務大臣 そのとおりでございます。

竹内委員 現行の費用対効果の基準ですけれども、主には三つあって、道路の場合でしたら、もう御承知のとおりでありますけれども、一つは走行時間短縮効果、二番目が燃料代などの走行費用の節約効果、三番目が交通事故減少効果の三便益である、こう言われておるわけであります。そして、それを道路建設費で割る。こういう数値で、それを着工前と着工後十年で検証していく。こういうことは、もう皆さん御承知のとおりであります。

 それで、今後の新指標についての考え方の骨格はどのぐらいできているのか、またその内容につきましてはどうなっているのか、ちょっと詳しく教えていただけますか。

馬淵副大臣 現在も検討中でございますが、先ほど来申し上げておりますように、単なる走行三便益のみではなく、地方の実情に応じた、命の道路あるいは生活道路として必須となる部分につきまして自治体の意見等を踏まえるなど、さまざまな観点から、改めてこの費用対効果の部分につきまして、しっかりと提示をさせていただきたいというふうに思っております。

 私どもも、今まで、走行三便益だけに限ることに対しては大変問題であると指摘をしてまいりました。したがいまして、今回、事業評価の方法の見直し、こういうことにつきましては、順次事業区分別にしっかりと詰めてまいりたい、このように考えております。

竹内委員 余り中身を詳しくまだ教えていただけなかったと思うんですね。環境をどうするかとかいろいろあると思うんですが、その辺、もうちょっと詳しく答弁いただけますか。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 現在も省内で検討させていただいております。六月末までにこうしたものをしっかりと取りまとめをして、概算要求時までに改めて事業評価をこの新たな方法によって行ってまいりたいというふうに思っております。

 現時点でまだ公表する段階ではないということで、今申し上げた方向性で検討しているということで御承知いただきたいというふうに存じます。

竹内委員 どんどん時間はたっていきますし、これは非常に大事なことだと思いますので、しっかりとこれは検討していただいて、早目に、これこそ早く出していただきたいなというふうに思います。

 いずれにしても、来年は、イメージなんですけれども、要するに、新基準を設けるにしても、予算編成をどういうふうに持っていくか、またこれもいろいろあるんでしょう。しかし、公共事業の予算を組み立てるという上においては、やはり一つ一つの事業を想定しながら大体組み立てるんでしょうから、ある程度の積み上げというか、そういうものができてくるんだと思うんですね、その新方式によって。

 概算段階で公表すると、先ほど、今までも大臣はおっしゃっていますから、概算要求段階でも仮配分は公表されるのですか。ここはどうですか。

前原国務大臣 概算要求のときは、やはり総額になると思います。そして、まだ固めたわけではありませんが、イメージとして、委員がお尋ねでございますので申し上げると、ことしやろうとしていたことをさらに、より公平性、客観性、透明性を高めたいと思っていますが、十一月に事業計画を出させていただいたわけですね、幅を持って。そして、予算審議の前に新たな評価軸の事業評価というものを個別の事業で出させていただいて、その後にまたこれを、幅を持った仮配分というものを出させていただくということをことしやろうとしたわけですけれども、これをどうさらにバージョンアップさせるかということをイメージとしてお考えいただければ結構かと思っております。

竹内委員 そうすると、国会審議の前に仮配分は出てくる、オープンにされる、この理解でいいですか。

前原国務大臣 先ほど申し上げたのは、ことしは十一月の時点で幅を持った事業計画を出させていただいた、そして、予算審議に資する形で事業評価を出させていただいたということです。

 今回は、いわゆる県連を通じて少し漏れたというのがあって、そこでずれた面がありましたけれども、やはりきれいなのは、事業評価と仮配分というものが一体となって予算審議の前に提示をされるということが私はあるべき姿だと思っていますし、その方向性で努力をしていきたいと考えております。

竹内委員 わかりました。

 そうすると、来年楽しみなんですけれども、事業評価と仮配分が出てくる、それでこの場で、平場でそれを議論する、こういうイメージになると思うんですよね。それでいいですね。

前原国務大臣 この場というのは国交委員会ですけれども、予算委員会で議論をいただく、同じ意味ですね、国会で御議論いただくという意味でございます。

竹内委員 そうすると、当然与党の皆さんの意見もあるし、恐らく個別の話にもなってくるでしょうね。この事業はやるのかやらないのか、あるいは予算を積み増すのか積み増さないのかという話が与野党でいろいろ出てくる、その結果として最終的な箇所づけが決まる、こういう理解ですよね。

 これはすごいことだなと思うんですけれども、その場合、与党の皆さんの意見は当然聞かれると思いますが、我々野党の意見が無視されるとか、そういうことはないでしょうね。

前原国務大臣 国会では、与野党ともに御議論いただいて、その意見を拝聴する中で最終的に決めるということでありまして、野党の意見だから聞かないということはございません。

 ただ、先ほどから申し上げておりますように、しっかりと事業計画、そしてまた事業評価、仮配分というのを出させていただきますので、それに基づいてしっかりと御議論いただければありがたい、このように思っております。

竹内委員 今回、箇所づけの議論、集中審議ということで、かなりイメージもわいてまいりましたので、よかったと思います。来年のこの審議を非常に楽しみにして、きょうのところは私の質問を終わります。

 ありがとうございました。

川内委員長 竹内君の質疑を終了いたします。

 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私も箇所づけの問題について質問します。

 いわゆる箇所づけの問題については、私は予算委員会でも質疑をしました。その際に、個別事業の予算を確定するまでの経過を国民がチェックできるよう透明化を図る、そのためのルールを決めるべきだと指摘したところであります。例えば、今回問題になった、大臣らが言うところの仮配分資料を国会に提出し、審議に供するようにする、あるいは、ダム事業のように全体の予算案と同時に個別事業の予算案を決めて審議に供するなど、方法はいろいろあるということも申し上げたところであります。

 大事なのは透明化だ、あわせて、個別事業の予算確定に至るまでの過程で、議員や官僚などからの利益誘導と疑われる不透明な状況を排除すること、この二つが中心ではないかと私は思うんですよね。

 そこで、結局、二〇一〇年度予算が成立して、国交省は三月二十六日、地方の補助事業への予算配分を含め、箇所づけを公表しました。問題は、今も議論になっているんですが、改めて整理して言ってほしいと思うんですけれども、来年度、二〇一一年度の予算に関するいわゆる箇所づけはどうするのか。今回の問題点を反省し、総括し、どのように透明化というのをルール化するかということについて、もう一度、まず確認したいと思います。

前原国務大臣 穀田委員にお答えをいたします。

 今回の予算につきましては、昨年の十一月に事業計画を発表いたしまして、幅を持った形で個別事業の事業計画を発表し、二月一日に事業評価をこれまた個別の事業について発表させていただき、二月の九日に仮配分を発表させていただいたということでございます。

 今我々が持っておりますイメージというのは、やはり、これをさらにより透明性、客観性、公平性を高めるものにしていかなくてはいけないと思っておりまして、同様に、十一月には事業計画というものをお出しして、そして、二月の上旬になるのか、一月の下旬になるのかわかりませんが、新たな評価軸を前提とした事業評価というものをお出しし、また仮配分をお出しし、そして予算委員会での議論に供した上で、予算が決まった段階で正式な箇所づけを行う、これは財務大臣との協議の結果として箇所づけを行う、こういうイメージを持っていただければ結構かと思います。

穀田委員 この箇所づけというのは、個別事業の予算額がどうなるかという限定された話ですよね。一方で、そもそもこれらの個別事業が国民にとって必要か、事業を継続していくことがいいのか、やめた方がいいのかという問題があるわけですね。それが個別事業評価制度だと理解していいと思うんです。

 これは先ほど大臣からも報告がありましたように、二月一日に国交省として直轄事業の個別事業評価結果を公表しております。昨年までは、つまり旧政権時代には公表していなかったものであります。改めて、なぜ公表しようと考えたのか、公表の意味合いといいますか、それを確認しておきたいと思います。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 今委員御指摘のように、昨年まで、従前までは、予算成立と同時に事業評価が提出され、そして、それと同時に、箇所づけが実施計画の承認ということを受けて公表されておりました。しかし、本来ならば、事業評価を受けて、予算審議の中で十分に議論をなされながら箇所づけがなされるべきである。こうしたところから、私どもとしては、直轄事業については、一月末までを目途として、新規事業採択時評価並びに再評価、これを実施することとしたところでございます。

 さらに、実施要領の改定もいたしまして、この事業評価に関しましては、再評価は三年ごとのサイクル、従前は十年間の後五年ごとでありましたが、私どもは今回、五年たち、その後三年ごとということで、短縮化を図りました。これによって、委員の御指摘になる、事業中であってもその必要性というものを十分に不断の監視のもとで御評価いただくという形に変えさせていただいたというふうに考えております。

    〔委員長退席、橋本(清)委員長代理着席〕

穀田委員 副大臣は記者会見で、情報のない中で社会資本整備の議論を行うというのは、私から見れば極めていびつな形でありますというふうに言っていますよね。評価結果を公表することにより、また、国会での審議において新たな観点での議論をしていただきたいと。これが本来の筋だというふうに思うんですが、今のお話だって大体そういう筋ですよね。そうすると、きちんと個別事業の情報を国会に出して、オープンにして議論しようということだと思うんです。

 そうなりますと、やはり地方の補助事業については、今は三月二十六日の、予算成立後の公表だったわけであります。したがって、この補助事業についても国会で、いろいろな形式はあると思いますよ、相手の理解の問題、地方自治体の問題も当然あるわけですし、最初の十一月の発表の概要とあわせて見れば、どうするかという問題についても、それは議論の対象なわけですから、私は、国会で審議できるように、直轄と同様に公表すべきではないかと思いますが、それはいかがですか。

馬淵副大臣 委員の御指摘の補助事業に関しても、この事業評価を公表すべきではないかということでございます。

 そのことに関しましては、私どもとしても十分に議論をさせていただきました。ただ、この二十二年度予算に関しましては、補助事業の継続、中止、これは、事業評価主体である地方公共団体が決定した上で、国土交通省は、その決定した対応方針及びその決定理由を踏まえて補助金交付等に係る対応方針を決めるということでありますので、今回に関しては従前どおりの、原則として年度予算の支出負担行為の実施計画承認後に、補助金交付等に係る評価結果を公表したということでございます。

 今後、仮に一月末目途にこの評価結果を取りまとめるとすると、補助事業に関しましても、これは地方公共団体の御理解をいただかなければなりませんが、また負担を強いるということも出てくるかもしれませんが、こうした中で十分に協議をさせていただきながら、状況を勘案して検討してまいりたい、委員の御指摘の方向性も検討してまいりたいというふうに考えております。

穀田委員 条件は理解をいただき、協議してといろいろありますけれども、検討すると。

 私は、これは何も、補助事業といったって、地方自治体が全部やっているわけじゃなくて、それは国がお金を出したわけですから、みんなの税金をどう使うかという問題ですから、当然それは理解を得ながらも、そういう方向でいくということが望ましいと考えます。

 そこで、資料をいただいてざっと見たんですけれども、二月一日に公表した評価は、直轄事業だけで、新規の事業十件と、事業着手から五年、十年たった継続事業の百八十四件が対象になっています。新政権になって、コンクリートから人へという理念で公共事業の見直しを進めるということだったので、相当数の見直しや中止、凍結があるのかなと思っていました。新年度予算に向けた対象事業、合計しますと百九十四なんですが、百九十四のうち中止が一件、見直し継続が二件しかありません。

 三月二十六日に公表した補助事業等についても、新規事業採択時評価五十五件、再評価六十四件の評価結果を取りまとめていますが、再評価のうち中止が一件、宮崎県の港の小型船だまり整備事業ですか、それから見直し継続が三件、地域高規格道路などという結果だったわけですが、そういう理解で間違いありませんね。

馬淵副大臣 まず、事実関係で申し上げますと、二月一日に公表した直轄事業の評価結果、新規事業採択時評価が十件、継続事業の再評価が百八十四件、再評価のうち中止が一件、見直し継続が二件となっております。

 三月二十六日に公表した補助事業等の評価結果は、新規事業採択時評価が五十五件、継続事業の再評価が六十四件、再評価のうち中止が一件、見直し継続が三件となっております。

穀田委員 間違いないと言ってくれればいいんですけれども。間違いないと。

 今、副大臣の答弁がありましたが、これはほとんどが継続なんですよね。そうすると、ほとんどが継続な上に、新規事業はオールパス。こうなりますと、結局、前の政権のときとほとんど変わらんのと違うかという思いがしてならないんですが、それにはどうお答えになりますか。

馬淵副大臣 委員御指摘の、評価をしても何も変わらないじゃないかということでございますが、私ども、評価方法に関しては、この二十二年度の予算に向けての事業評価の中では手を加えておりません。評価方法は、従前のマニュアルに従って費用便益分析を行ったものであります。

 今回、これは大変恐縮でありますが、昨年政権交代をし、改めて予算編成をする中で、評価方法まで十分に議論し、新たな方法を定めることができませんでした。前倒しをして御提示をするということでありましたが、二十三年度に向けて、この評価方法、それぞれの事業区分ごとに定めてまいりますので、今後、二十三年度予算編成に向けては、新たな事業評価の方法によって評価結果を公表させていただく形になるということでございます。

 また、サイクルは、先ほど申し上げたように短縮化しておりますので、この短縮化したサイクルの中で、改めて継続事業もそのチェックにかかるということで、不断の監視のもとに置かれる、このように考えております。

穀田委員 評価方法は変えていない、今までの中身と同じだ、それから時間もなかった、こういうことですよね、それで来年は変えたいと。ということは、新政権が言うところの抜本的見直しは、まだされていないということになりますね、今の発言からいうと。

 それで、少し続けます。来年、二十三年度は、二〇一一年はちゃんとやるということなわけですよね。ダムにしても道路にしても、結局、BバイCなどの評価方法を見直した上のものではないということだと理解します。評価方法が変わっていないし、それはやむを得ぬことだというのは、一定わからぬでもないんです。

 では、そうすると、新規事業については、見直した後の評価方法で評価すべきじゃなかったのか。つまり、今までの事業はずっと継続しているものもあるでしょうから、それは時間もなかったし、やむを得ないという言い方も、今、馬淵副大臣がおっしゃったのはそういうことでした。でも、新規事業というのは、では、しばらく新しいそういう評価方法でやってはいかがかと思うんですね。というのも、新規事業を評価した中に、旧政権のときに決めた事業をそのまま継続するというものがある、それを新政権も認めるのかと疑問に思った事業があります。

 確認しますけれども、九十八番目の空港である茨城空港が先日開港しました。これ以上の地方空港はつくらないというのが方針だったように思うが、確認したいと思うんです。九十九番目の新たな空港はつくらないということでいいんですね。

    〔橋本(清)委員長代理退席、委員長着席〕

前原国務大臣 穀田委員は岩国空港を頭の中に入れてお話をされていると思いますが、この岩国空港は、平成十七年十月、日米合同委員会において、民間空港再開、一日四往復が合意をされ、そして平成十九年の五月には、地元自治体に対して防衛施設庁が、米軍が策定した岩国基地のマスタープランを提示、そして平成二十一年一月には、政府要望に先立ちまして、県知事が全日空の社長に岩国民航再開への全面的な協力を依頼して、全日空の社長から前向きに検討したいという旨の回答があり、平成二十一年二月、内閣官房、外務省、国土交通省、防衛省で、岩国飛行場における民間空港の再開について申し合わせを発表しているということでございまして、前政権の中での流れができているものでございます。

 この空港につきましては、今の米軍基地の滑走路をそのまま活用するということで、新たな滑走路をつくって大々的な空港をつくることではないということの中で、私は、結果として九十九番目の空港はつくられることになると。

 しかし、私が申し上げてきたのは、白地から新たな滑走路を引いて、そして大々的な空港ということは、もう基本的にはつくらないということは申し上げてきたわけであります。

穀田委員 言い得て妙というか、なかなか、白地でなければいいと。だれも、白地でなければ、九十九番目はでけへんと余り思っていないわけですね。ああ、今後はでけへんねんなと思っていて、あれが新しい空港でないとちょっと思えぬのですけれどもね。

 それで、今大臣の方から、私が九十九番目と言ったら、もうありましたから、私は通告の中で岩国の話を書いていますから、そのことでおっしゃったんだと思うんです。岩国飛行場の民間航空施設整備事業であります。これは、この事業の目的の中に、米軍再編措置に係る負担を伴う地方自治体の要望に配慮しとありまして、もちろん、これは米軍再編の見返りとして空港整備をすることになるわけですね。

 滑走路は防衛省が整備するから、今、白地のところにできるわけじゃない、こうあったんですが、国交省はターミナル施設だけをつくる。だから、国交省が発表している資料、事業評価についても、BバイCも四・七となっています。ただ、よその空港のように滑走路を移設したりする費用を入れれば、BバイCは到底足りない、単独では絶対つくれない空港なんだ。

 しかし、つくってしまえば九十九番目として国交省が管理しなくちゃならぬ。空港整備法を空港法に変え、空港の設置及び管理に関する基本方針という中で、今後の空港の「整備は全国的に見れば概成し、離島を除き新設を抑制すること」とした法令と照らしても、おかしい。

 大臣を初め民主党としても、繰り返し、九十八空港、さらには県に二つの空港があるのはつくり過ぎだと批判をしてきました。こういう事業は、前政権が、平成十七年といいますから二〇〇五年ですか、そのぐらいからやってきたということを言っているんだけれども、やはり政権がかわったという意味でいいますと、こういう事業というのはきちんと議論しなくちゃならぬと思っています。

 例えば、民主党の関係者でいいましても、いわゆる艦載機移駐予算ということでいうと、さまざまな確認すべきことがある、その説明というのが政府としてなされていないという意見も出されています。さらに、前市長は、艦載機移駐と愛宕山の米軍住宅化を進めるためのあめである民空再開については中止すべきである、こういう意見もあります。そういう意味でいいますと、しっかり議論をする必要があるんじゃないかと思うんです。

 すなわち、米軍再編の見返りで空港までつくっていいのか、米軍機などと一緒に飛ばして危ないのではないか、本来なら空港整備で実施するようになっているPI、パブリックインボルブメントなど、住民との円滑な合意形成手続もやっていない、こういう疑問と米軍再編に伴う空母艦載機移駐への怒りの声が、地元住民からも出ている現状もあります。

 こういう事業も含まれているわけで、これ以上この問題について、このあり方論の問題について議論するつもりは、時間がありませんからないんですけれども、こういう新規の案件というのは、新規なんだから、だって計画しているのは継続して動いているわけじゃないんだから、きちんと見直し後に評価すべきじゃないのかということについて、いかがでしょうか。

前原国務大臣 今回の事業は、米軍が管理する岩国飛行場の中に民航用ターミナル地区を整備するものでありまして、国土交通省所管公共事業の新規事業採択時実施評価の実施要領に基づいて、新規事業評価を実施して、事業の必要性を確認しているところでございます。

穀田委員 私は、今までの経過はあると思うんですよ、そういうことをされていると。ただ、実際動いていないわけだから、それは御存じのとおりでしょう。だから、もちろん、あそこの整備の、海のところのいろいろなことをやっているのはありますよ。でも、空港として動き出しているわけじゃないんだから、そういうやり方についてはいかがかと思うんです。

 私は、特に米軍再編とのかかわりで一言言っておきますと、岩国基地には米軍厚木基地から空母艦載機部隊が移駐する計画ですよね。是非を問う二〇〇六年の三月の住民投票は、投票の九割近く、有権者の過半数が反対を表明した経過があります。私たちもともに運動してきました。

 民主党は、〇九年の総選挙公約で、米軍再編について「見直しの方向で臨む。」と明記しているんですね。

 ですから、そういう点からいっても、これは二重に、新規という問題もそうだし、見直し。要するに、どういう見直しをするかは別ですよ、それはおたくのところの考えなんだから。だけれども、そういう見直しをすると言っている限りでは、どういう方向でやるのかということは広く議論する必要がありますよね。それなしでいくというのは二重に認められないというふうに指摘しておきたいと思います。

 新規という問題で、もう一つ問題があります。

 二月に公表した直轄事業には、昨年の補正予算の見直しで凍結された東京外環道や四車線化路線の高速道路は含まれていませんでした。再検討中だということで、三月二十六日にも公表されませんでした。結局、先日の高速道路料金制度改定を発表したときに、検討結果を一緒に出しました。中身は、今法案が提出されている高速道路の利便増進事業の拡充ということで、高速料金改定で余った分を外環道など高速道路建設に流用するという内容です。

 当委員会の川内委員長もいろいろ意見があると言うほど、一説、新聞によれば反対だというのもありましたが、問題のある法案です。

 一点だけ聞いておきたいと思うんですね。

 国会で審議してもらうために直轄の新規、継続事業について評価を早目に公表したというわけですから、東京外環道や四車線化路線というのは検討中ということで、予算審議には間に合わなかったわけですよね。それは事実です。国会で審議する材料も示さないで、予算が成立した後に、東京外環道などについては検討しました、予算もつけますというのじゃ、ちょっとおかしいのと違うか、他の事業との整合性がとれないのではないかと。

 こうなると、初めから予算をつけるつもりだったのに、国会審議を避けるために、わざと検討中として先延ばししてきたんじゃないかと思われるわけですが、その辺は、馬淵さん、いかがですか。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 今回、再検証は、整備手法について、あるいは事業主体について、これは検証させていただきました。したがいまして、国幹会議で決定されたこの事業、新規三区間あるいは四車化六区間、これについては、事業の仕方、整備手法、これを検討してきたということでございます。

 私どもとしては、年度末までにこの再検証結果は公表すべきとして進めておりましたが、この十分な検討、また、当然ながらに、この道路の主体となります道路会社とのさまざまな調整も含めまして、若干ずれ込みました。四月の九日公表ということになりましたが、これについては、我々は、あくまで再検証は整備手法と事業主体であるということで整理をさせていただいたということでございます。

穀田委員 そうなると少し違うんですよね。先ほどもそうなんですが、評価のやり方というのは、従前の評価方法によってということだったわけですね。再検討も従前の評価方法でやってきたというんだったら、同じ結果になるのは当たり前だと思うんです。今、手法と主体と言いましたけれども、それは先の方であって、「今後は改めて事業評価の仕組みそのもの、事業評価の方法そのものもまた検討し、改定も含めて検討を進めてまいりたい」、こう副大臣は会見で明らかにしているわけですね。

 だとすると、その改定したものを使って評価すべきであって、少なくとも今年度予算配分はしない、凍結のままにしておくべきではないのか。理屈としてはそういうことが考えられて、だって実際に議論の対象としては省かれているわけですからね。国会の審議の中で、検討中ということで、事実上審議していないわけでしょう。

 副大臣はいつも審議に供すると言っているんだから、検討中と言って、審議に供することはできませんわね。結果としては審議に供せなかったわけですよ。だから、そのことを私は言っているんですよね。

馬淵副大臣 お答えさせていただきます。

 これも大臣が繰り返し説明させていただいていると思いますが、昨年四月二十七日、国幹会議で、整備計画としてこれは承認をされました。民主党の議員も出席をして、形骸化されている会議といいながらも、法定会議のもとで整備計画が議を経たわけであります。

 それに対して私どもが補正予算で凍結を図ったのは、整備手法の検証、そして事業主体の検証ということでございました。したがいまして、これについては、事業評価を行うということではなく、まず整備手法の問題と事業主体について検証させていただいたということであります。

 そして、今後、継続事業に関しては、改めて事業評価の実施要領を改定しておりますので、五年以降三年ごとの事業評価がなされてまいりますので、こうしたプロセスの中でしっかりと皆さん方にまた注視をいただくことになるかと思います。

 その上で、再度、さらに加えて申し上げれば、国幹会議にかわる仕組みとして、社会資本整備審議会での議論、さらに国会審議、そして都道府県の意見聴取という三段階のプロセスを用意します。この三段階のプロセスにおいて、整備計画の変更なども当然ながら議論に供することができますので、私は、より高い透明性の中で、こうした道路のあり方についても皆様方の不断の監視のもとに置いていただけるというふうに考えております。

穀田委員 未来を幾ら言っても、現実に、ではこの問題について、東京外環道について審議される資料はあったのか、国会にその期間中に提起されたのかと言われたら、検討中と出さなかったんですよ。出ていないんですよ。それは事実でしょう。それが一つ。

 もう一つは、今、国幹会議の話が出ました、形骸化という問題が出ました。私は当時、国幹会議の問題について、あり方について質問をし、外環道の決定についても、全会一致だなとここで質問したんですね。それは、民主党が参加しているということを言いたかったわけですね。これは民主党が参加しているなということを言って、これはけしからぬと言ったわけです。

 当時、皆さんのところでいえば、それはよろしくないという意見もあったにもかかわらず、賛成した。いろいろあるでしょう。だけれども、いわば形骸化しているという問題と、当時、議員の中では、あの問題についてはよくなかったという意見もあったというのを踏まえたら、形骸化している議論を、平気でよかったと言うわけにはいかないわけですね。

 そこにこそ、形骸化している議論を変えさせるためにあなた方が登場したとすれば、形骸化したときに決定したものについてはもう一度白紙に戻して検討しようじゃないか、しかも、そのことについて国会で議論するというのが当たり前だと私は思うんですね。だから、そういうことだけ私は主張しておきたいと思います。

 最後に、きょうはこの程度にしますけれども、委員長に改めて提案しておきたいと思うんですね。

 私は何度も言っているんですけれども、今後、来年度予算を審議するときには、提出されるであろう個別事業評価や仮配分の資料などについて、集中して審議をする時間をつくるべきだと思っています。ダム事業や道路事業など、事業別に委員会として集中審議を定例化するなど、そういう検討もすべきではないかと思っていますので、提案しておきたいと思います。

 終わります。

川内委員長 理事会で協議します。

 穀田君の質疑を終了いたします。

 次に、柿澤未途君。

柿澤委員 みんなの党の柿澤未途でございます。ラストバッターで、時間も押しておりますので、簡潔に進めてまいりたいというふうに思います。

 きょうは、公共事業の箇所づけ、仮配分問題に関する集中審議ということでありますけれども、先ほど竹内委員の質疑の中で、これから予算審議に資する形で、公共事業の仮配分について提示をされるということが来年度の予算から行われるということを御答弁いただいています。大変画期的な前進だと思いますし、ある意味ではこの問題はこれに尽きているというふうに思いますので、その他の公共事業に関するさまざまなことについて、きょうはお伺いを進めてまいりたいというふうに思っております。

 この委員会でも何度も取り上げてきた、スーパー堤防のお話をお伺いしたいというふうに思います。

 先日、十八日の日曜日、前原大臣が江戸川区のスーパー堤防の現地をごらんいただきました。私はちょっと同席はできなかったんですけれども、平井七丁目の、スーパー堤防の完成したところで国土交通省の方から御説明を受け、また現地を見ていただいたというふうに聞いております。また、さまざまにスーパー堤防のあり方について御発言をされた、これについての御発言が報道をされているところでもございます。

 この問題については、もともと、二月二十五日の予算委員会の第八分科会で、私、御質問をさせていただきました。そのときにいろいろな御答弁をいただいたんですけれども、このときの第八分科会の質問と答弁が江戸川区議会で大変な議論を呼びまして、これをベースに質疑が紛糾をしたという経過がございます。

 今、お手元の資料に議事録をつけておりますけれども、線を引いてある、「地元の協力、理解がなければできない。まちづくりと一体の事業でございますので、そういう意味では国土交通省河川局がやるんだと言ってできるものではないと認識して」いる。「江戸川区からは区の行政としては進めるという話でございますけれども、その点、地元住民の方々のさまざまな御意見をどう調整していただいていくのかといったところが大きなポイントになるかと思います。」こういう御答弁をされているわけです。

 実は、江戸川区はスーパー堤防推進の立場ですので、この議事録をひもといて、前原大臣はスーパー堤防を推進すると答弁されていますというふうにおっしゃったんですね。質問に立った江戸川区議会議員の方は、やはりこの質問と答弁の議事録を持って、そうではないと。地元の方の理解と協力がなければ進められないと言っているではないか、これをどう読めば、前原大臣が推進派であるというふうに解釈できるのかということで、大紛糾をしたというふうに聞いております。

 その後、参議院の予算委員会等で、共産党の小池議員の質問に対して、現地を見て、また住民とも意見交換をしたい、こういうことをおっしゃられて十八日の視察に至ったというふうに思うんですけれども、あの場所を見てどういうふうな印象を持たれたかということについて、まずお伺いをしたいというふうに思います。

前原国務大臣 柿澤委員にお答えをいたします。

 柿澤委員からの質問の、私の答弁が江戸川区議会で取り上げられて紛糾したというのは初めて伺いました。

 現地、平井七丁目の荒川のスーパー堤防を視察させていただきましたけれども、現地を見た感想と、柿澤委員に答弁した内容というのは全く変わりません。やはり、ああいう大々的な事業をやるという意味では、これはまちづくりと一体の事業でございますので、そういう意味では、地元の協力、理解がなければできないということだと思います。したがって、国土交通省河川局がやるんだと言ってできるものではないという認識を改めて持ちました。

 もう一つは、これは柿澤委員も委員会等で指摘をされておりましたけれども、極めてお金のかかる事業、極めて時間のかかる事業でございます。若干進捗をいたしまして、それでも、この間五・五%と言っていたのが、今五・八%になっているわけでありまして、重点整備区間にしても、一二・四%ということでございます。これをどのように進めていくのかということについては、民間の資本あるいは民間の知恵なんかもまちづくりに取り入れた形でやっていかなくてはいけない、そういう思いも私は強く持ったわけでございます。

 あとは、あの地域を見させていただいて、これは地元の初鹿議員やあるいはここにおられる早川議員も一緒に視察をさせていただいたわけでありますけれども、スーパー堤防ですから、若干の傾斜はありますけれども、いわゆる土地をかさ上げしたところからがくっと落ちるところがあるんですね。ですから、あれをどういうふうにこれから問題として、地域の方々、そのかさ上げをしたところの方々にとってはそれはそれで納得をしていただいているのでいいかもしれませんが、そのがくっと落ちているところ、たまたま平井七丁目のところは旧大蔵省の官舎、財務省の官舎でありますので、国が管理をしているのでそれができたということでありましょうけれども、そういったことも含めて、やはり地域一体となってどう御理解を得ていくのかということ。

 つまりは、その地域の理解ということと同時に、これは柿澤委員も指摘をされておりましたように、巨費を投ずる事業になりますので、そのやり方、そしてまた進める際のいわゆる優先順位、重点地区の決め方、こういったこともしっかり議論をしていかなくてはいけないなということを、視察をさせていただいて感じたところでございます。

柿澤委員 今、大変な時間と巨費がかかるというお話がございました。

 改めておさらいで申し上げると、首都圏の荒川や近畿の淀川など六河川で進められているスーパー堤防の事業ですけれども、計画が八百七十二キロあって、この間、六千七百九十億円の事業費を投じたわけですけれども、完成は四十八キロということで、このままのスピードでいくと完成までに四百年、十二兆円かかるということが言われているわけです。

 今、江戸川区では北小岩十八班という地域で、まさにこのスーパー堤防の事業、江戸川の流域で行われつつあるわけですけれども、用地買収の段階にまで入ってきている、そういう状況の中で、どういうふうにこれから見直しを進めていくのか。周辺住民の皆さんは、まさに前原大臣の、また国土交通省さんの、これからの御検討というものを注視しているということを御理解いただきたいと思います。

 議事録を一枚めくっていただいて、このときに前原大臣から御答弁をいただいた内容ですけれども、過大な事業であるのかないのか、あるいは、スーパー堤防にしても、例えば高さ掛ける三十ぐらいの幅でやっているわけだけれども、果たしてそれだけ要るのかどうかとか、こういう計画の見直しを限られた予算の中でやっていくということは大事なことだというふうにおっしゃられております。

 現地でも同じ趣旨の御発言をされたというふうに聞いておりますので、そういう意味で、今後、この計画のあり方の見直しをどういうふうに進めていくのかということを改めてお伺いしておきたいというふうに思います。

 これについては八ツ場ダムの集中審議でも少し触れさせていただいたんですけれども、やはり合理的な河川改修のあり方を見出して、そして、やはり周辺の流域住民の安全、安心を守るために効率的に、また迅速に計画を進めていかなければいけない。そういう中で、やはり事業のスキーム、あり方の見直しをしていかなければいけないということだと思いますので、ぜひこのところをいま一度御答弁をいただければと思います。

三日月大臣政務官 ありがとうございます。重要な御指摘だと思います。

 お示しいただいたこの議事録、線を引っ張っていただいたところの前文には、大臣の方から、百年に一度なのか二百年に一回なのかわかりませんけれども、そのときに備えて、都市機能が集中した地域をどのように守っていくのかということの大切さでありますとか、下線の後の部分ですね、大都市の首都機能を守るということは国の責務なんだということを我々認識として持っております。

 とりわけ、首都圏や近畿圏など人口、資産が集積する都市圏において、計画をしていた規模を上回る洪水に対して、堤防決壊による壊滅的な被害をどう防いでいくのか。その一つの施設としてスーパー堤防というものが進められてきたわけですけれども、委員御指摘のように、大変時間とお金を要し、かつ、まちづくりと一体的に整備しなければならない、住民の理解を得るということに大変御苦労もいただいてきたわけです。

 かねてからずっと繰り返し申し上げておりますように、人口が減って、少子長寿化が進んで、何より財政制約があるというこの極めて厳しい状況下で、こういった施設整備をどういった形で進めていくのかということについては、やはり政権交代を機に、しっかりと見直しを図っていくことが大切だと思っています。まずは徹底的なコスト縮減を図ること、さらには、先般視察に行かれた大臣も申し上げたとおり、民間投資の誘発ということができないのかという可能性をしっかりと追求していくことが必要だと考えております。

 いずれにいたしましても、現在、今後の治水対策のあり方に関する有識者会議というものを開催させていただきながら、治水対策について総合的な検討を行っておりますので、その中でスーパー堤防のあり方も柔軟に考えながら、しっかりと検討を行ってまいりたいというふうに考えております。

柿澤委員 大変いい御答弁をいただいたと思います。ありがとうございます。

 今お話がありましたとおり、スーパー堤防の事業についても、民間資金を入れてこの事業を進めていく、こういう考え方を前原大臣は現地でお示しされております。これについては、何か具体的な構想といいますかイメージというものを持っておられるのかどうか。この先の質疑にちょっとつながる部分でありますので、もしよかったらお聞かせをいただけないでしょうか。

前原国務大臣 国土交通省の中に成長戦略会議というのをつくっておりまして、五つの分野で今議論していただいておりますが、その中の一つが都市・住宅でございまして、都市の中でインフラの整備あるいは都市の再開発ということをやっていかなければならない。

 国際的な都市間競争というのは非常に今激化をしておりまして、その意味でも、特に首都東京のいわゆる首都機能の強化、あるいは耐震化、あるいはエコ化といいますか、CO2をできるだけ減らした形で都市を再生していくということは大変重要だと思っております。しかし、財政難でございますので、都市の再生というものを、民間の資金をどう入れていくのかといったことを我々は考えていかなくてはいけないと思っております。

 また、このスーパー堤防で具体的にということについては、スーパー堤防に限定をして考えているわけではありません。これは河川局や都市局に今指示をして、成長戦略会議に基づいての取り組みを行ってもらっているところでございます。

 例えば、一般論として申し上げると、東京駅が今建てかえをやっていますよね。丸の内側、古い駅ビルでありますけれども、あれは今二階建てなんですけれども、もともとあれは三階建てだったそうです。しかし、第二次世界大戦で三階部分が焼失をして二階建てになったものを、今、耐震補強を含めて三階建てにまたリニューアルされているということであります。

 私がJR東日本から伺った話だと、かかる費用というのは、約五百億円その建て直しにかかるということなんですが、JR東日本が用意したお金は基本的にはゼロであります。では、なぜそういった建て直しが約五百億円かかるのに用意したお金がゼロなのかというと、あの地域というのは容積率がありますね。その容積率を余らせているわけです。そして、ある特定の地域を指定して、これは規制改革、規制緩和になるんですけれども、空中権として売買できるという形にして、その空中権を買って、そしてその上にのせた。ある地域は指定するわけでありますけれども、そのことによってお金を使わずに建てかえができる、こういった、一つの例でありますけれども、これがPPP、民間の資金を使った手法で行えるものだと思っております。

 それは、やはり行政がそういった地域を指定して、そういった規制緩和をする中で、民間の資金が入ってくる中で、都市の再開発やあるいはビルの更新なんかができるということでありますので、さまざまな観点で我々はやはり後押しをしていかなくてはいけないなと思っております。

 東京都議会議員もやられていた議員でございますし、東京生まれで東京のことはよく御存じだと思いますので、そういった観点でのお知恵をぜひかしていただければ、東京の競争力を高め、そしてまた、美観も含めてすばらしい町に、よりよくしていくためにこのPPPの手法を取り入れていきたいと思っておりますので、ぜひお知恵をいただければと思っております。

柿澤委員 国土交通省成長戦略会議の重点項目というのが、四月十三日、ついこの間発表されたわけですけれども、まさにここに書かれているのが、今、前原大臣がおっしゃられたようなPPPの考え方です。

 これは、今の東京駅の事例などにとどまらない、港湾、道路、あるいは鉄道、上下水道、こうしたものについて、かつては、まさに公共事業ですから、官が行って運営をするということがある意味で当たり前のように頭にしみついている分野ですけれども、まさにコンセッション方式ということで、つくったものを運営する、こうしたことについて民間事業者にお任せをして、そして低コストでまた十分な、要求される行政サービスを民間事業者に提供していただく、こういうことが一つの考え方として提示をされています。私、これは本当にすばらしいなというふうに思って拝見をいたしましたし、ここは前原大臣の真骨頂だというふうにも感じております。

 私自身が、二〇〇五年ですけれども、都議会議員の選挙がありまして、そのときの民主党のマニフェストの原案をつくらせていただいたことがあったんですけれども、そのときに、東京都水道局を民営化するという話を出したことがありました。

 まさに今言われている日本版水メジャーということで、東京の漏水率の低い水道技術、そして蛇口をひねれば飲めるという浄水技術、これを生かせば他の地方自治体から仕事をとることもできる、また、国外に展開をして、東京都の職員だった人たちが民間企業の社員として世界じゅうから仕事をとる、こういうふうに発展的に民営化を行っていくことができるんじゃないかということを原案として出したんですけれども、東京都水道局労働組合の皆さんから大変おしかりを受けまして、結局それはお蔵入りになってしまったという経過がありました。

 今、こういう形で、水道事業の国際展開、これは国土交通省の所管ではありませんけれども、大変進展をしているのを見て、ああ、時代も変わったなというふうな感じを持っているんですけれども、この成長戦略会議では、今、鉄道事業などについて特に先行して、このPPPを進めていくためのワーキンググループみたいなものをつくって、議論を進めているというふうにお聞きをしております。

 時間もない中なので、ちょっとはしょっていきますと、そういう中で、二月二十八日の日経新聞で、「交通網整備に民間資金」、こういう記事が出ているんです。この中にも、PPP、PFIの拡大によって、まさに公共事業を民間資金で進め、また運営をしていく、こういう考え方が書かれていて、法改正や数値目標の設定ということが明記されているんですけれども、ここで東京外環道について、一兆二千億ほどの事業費を民間流のコスト削減で一兆円程度に圧縮をする、このうち約三千億円を民間資金で賄えないか検討するというようなことが書かれています。

 東京外環道、これも大変な巨費がかかり、また、進捗度合いからいっても、ここまで何十年も凍結されてきた期間もあって進まなかった事業であります。これは、民間資金を活用して進めていくという考え方がまさに合致をする事業だと思いますが、このような事業スキームを考えておられるのかどうかということについてお尋ねをしたいと思います。

前原国務大臣 今、個別具体の事業についてこれをPPPでということをお話しするのは差し控えたいと思いますけれども、道路、鉄道、それから港湾整備、あるいは空港、こういったものにもこのPPPというのは私は適用できると思っております。

 また、先ほど委員が言及されたコンセッション方式、つまりは営業権譲渡という形で民間に任せていく、こういった方式というのは、今後やはり主流にしていかなきゃいけない。これは私は、逆転の発想で、これだけ財政難でお金がない、今まで公共事業というのは借金とあるいは税金でやってきた、これからは民間の資金というものをどれだけ取り入れてやっていくのかということが我々は問われているし、その知恵を出すのが政治だ、こういう思いを持っています。

 この間、スーパー堤防を見た後に千葉県の高根台というところに行きまして、船橋市なんですが、高根台という、これはUR都市機構がいわゆる公営住宅をつくっているんですけれども、昭和三十六年築なんですね。私は昭和三十七年生まれですから、私よりまだ年寄りの、残っているものはひどい住宅でありましたけれども、これをリニューアルしていく。しかも、高齢化社会が進んでいきますので、リニューアルするときにどういうことをやっていくかというと、例えば、医療法人に入ってもらいます。そしてあと、建てかえたところの一階部分にはデイサービスセンターとかそういったもの、そして二階部分には要介護の人の住居、三階、四階、五階には、これは健常者であるけれども高齢者の方に住んでいただいて、すぐに医療サービスや福祉サービスが受けられるということで、三百億かかるものを、今のところ百十五億円ぐらいは民間の資金で建てかえをする。こういうことに今取り組んでおりまして、全国にこういったものは広げていきたいと思っております。

 東京外環の話でございましたが、今のところ、道路や鉄道それから空港について、具体的なことは申し上げられませんけれども、できる限り民間の資金を使ってのスキームで物事をやっていきたい、このように考えております。

柿澤委員 外環道に関しては、先日、いわゆる凍結の解除ということで、これから整備について予算配分をして進めていくことになったわけですけれども、用地買収費など、わずか五十七億円しか配分されなかったということで、石原知事などは、こんなものではというようなお話をされております。これをやはり進捗させていくためには、こうした民間資金の活用というのは、恐らく今の国の財政事情でいえば不可欠の部分が出てくるのではないかというふうに思います。

 そういう意味で、まさに今まである種の固定観念として、公共事業というのは官が行い、そしてできたものは官が運営するんだということでしたけれども、しかし、世界の潮流はやはり私たちの先を行っていて、公共事業についても民間の資金を導入し、またオペレーションにも民間のノウハウを生かしていくということがだんだん主流になりつつある。これを日本の中でプラクティスとして積み上げていけば、日本の事業者が海外に出ていって、高速の管理運営やあるいは上下水道の運営、こうしたことについて積極的に事業をとっていくことができるわけであります。これこそまさに私は成長戦略だというふうに思いますので、ぜひ推進をしていっていただきたいというふうに思っております。

 そのことを最後に申し上げさせていただいて、もしよかったら、繰り返しになりますけれども、このことについての決意というかお考えを最後にお聞きして、質問を終わります。

前原国務大臣 この件については、みんなの党というか、柿澤委員とは完全に方向性は一緒だと思いますし、さまざまな知恵を絞って、これから、財政難、人口減少、少子高齢化の中でも、インフラの更新やあるいは日本で培ったノウハウというものを国内あるいは海外へ展開していく中で、それを成長分野にしていくんだ、こういう思いで我々はやっていきたいと思いますので、合致しているところについてはぜひ御協力をいただきたいということをお願い申し上げたいと思います。

柿澤委員 終わります。

川内委員長 柿澤君の質疑を終了いたしました。

 次回は、明二十一日水曜日午前八時五十分理事会、午前九時委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後五時五十九分散会


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