衆議院

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第2号 平成24年11月9日(金曜日)

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平成二十四年十一月九日(金曜日)

    午前九時開議

 出席委員

   委員長 平野 博文君

   理事 奥田  建君 理事 柿沼 正明君

   理事 坂口 岳洋君 理事 津川 祥吾君

   理事 金子 恭之君 理事 山本 公一君

   理事 畑  浩治君 理事 富田 茂之君

      阿知波吉信君    大西 孝典君

      川村秀三郎君    沓掛 哲男君

      高橋 英行君    辻元 清美君

      筒井 信隆君    長安  豊君

      橋本 清仁君    橋本  勉君

      浜本  宏君    伴野  豊君

      藤田 大助君    三日月大造君

      三村 和也君    向山 好一君

      本村賢太郎君    森本 和義君

      谷田川 元君    柳田 和己君

      若井 康彦君    あべ 俊子君

      小渕 優子君    北村 茂男君

      北村 誠吾君    佐田玄一郎君

      徳田  毅君    二階 俊博君

      林  幹雄君    望月 義夫君

      金子 健一君    古賀 敬章君

      穀田 恵二君    中島 隆利君

      杉本かずみ君    中島 政希君

    …………………………………

   国土交通大臣       羽田雄一郎君

   復興副大臣        黄川田 徹君

   内閣府副大臣       前川 清成君

   国土交通副大臣      長安  豊君

   国土交通副大臣      伴野  豊君

   総務大臣政務官      石津 政雄君

   国土交通大臣政務官    川村秀三郎君

   国土交通大臣政務官    若井 康彦君

   国土交通大臣政務官    橋本 清仁君

   政府参考人

   (消費者庁審議官)    草桶 左信君

   政府参考人

   (復興庁統括官)     上田  健君

   政府参考人

   (総務省大臣官房審議官) 黒田武一郎君

   政府参考人

   (財務省主計局次長)   岡本 薫明君

   政府参考人

   (厚生労働省大臣官房審議官)           西藤 公司君

   政府参考人

   (国土交通省大臣官房技術審議官)         深澤 淳志君

   政府参考人

   (国土交通省総合政策局長)            中島 正弘君

   政府参考人

   (国土交通省国土政策局長)            大森 雅夫君

   政府参考人

   (国土交通省土地・建設産業局長)         佐々木 基君

   政府参考人

   (国土交通省都市局長)  川本正一郎君

   政府参考人

   (国土交通省水管理・国土保全局長)        足立 敏之君

   政府参考人

   (国土交通省道路局長)  前川 秀和君

   政府参考人

   (国土交通省住宅局長)  井上 俊之君

   政府参考人

   (国土交通省鉄道局長)  滝口 敬二君

   政府参考人

   (国土交通省港湾局長)  山縣 宣彦君

   政府参考人

   (国土交通省航空局長)  田村明比古君

   政府参考人

   (国土交通省政策統括官) 杉田 伸樹君

   政府参考人

   (観光庁長官)      井手 憲文君

   政府参考人

   (海上保安庁長官)    北村 隆志君

   国土交通委員会専門員   宮部  光君

    ―――――――――――――

委員の異動

十一月九日

 辞任         補欠選任

  高橋 英行君     本村賢太郎君

  三日月大造君     浜本  宏君

  谷田川 元君     大西 孝典君

  佐藤  勉君     あべ 俊子君

同日

 辞任         補欠選任

  大西 孝典君     谷田川 元君

  浜本  宏君     三日月大造君

  本村賢太郎君     高橋 英行君

  あべ 俊子君     佐藤  勉君

    ―――――――――――――

本日の会議に付した案件

 政府参考人出頭要求に関する件

 国土交通行政の基本施策に関する件


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     ――――◇―――――

平野委員長 これより会議を開きます。

 この際、先般の委員会において長安国土交通副大臣が欠席した件につきまして、その理由及び当日の経過の説明を求めます。国土交通副大臣長安豊君。

長安副大臣 国土交通副大臣の長安豊でございます。

 私が欠席いたしました十一月二日の本委員会当日、朝から腹部の激しい痛みなどにより、病院からの迅速な連絡を行うことがかないませんでした。結果として、委員会を欠席する旨の連絡がおくれることになり、委員会の開会をおくらせ、委員長及び理事を初めとする委員各位に対して多大な御迷惑をおかけいたしましたことについて、深くおわびを申し上げます。二度とこうしたことがないよう肝に銘じ、職務に邁進してまいる所存でございます。

平野委員長 引き続き、長安国土交通副大臣から発言を求められておりますので、これを許します。国土交通副大臣長安豊君。

長安副大臣 国土交通副大臣の長安豊でございます。

 国土交通副大臣として、本委員会の円滑な審議のために努力してまいる所存でございますので、平野委員長初め、理事、委員の皆様の格別の御指導、御鞭撻を賜りますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます。(拍手)

     ――――◇―――――

平野委員長 国土交通行政の基本施策に関する件について調査を進めます。

 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として国土交通省大臣官房技術審議官深澤淳志君、総合政策局長中島正弘君、国土政策局長大森雅夫君、土地・建設産業局長佐々木基君、都市局長川本正一郎君、水管理・国土保全局長足立敏之君、道路局長前川秀和君、住宅局長井上俊之君、鉄道局長滝口敬二君、港湾局長山縣宣彦君、航空局長田村明比古君、政策統括官杉田伸樹君、観光庁長官井手憲文君、海上保安庁長官北村隆志君、消費者庁審議官草桶左信君、復興庁統括官上田健君、総務省大臣官房審議官黒田武一郎君、財務省主計局次長岡本薫明君及び厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

平野委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

平野委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。藤田大助君。

藤田(大)委員 民主党の藤田大助でございます。

 本日は、質問の機会をいただきまして本当にありがとうございます。防災、減災の観点から、それを中心に質問をさせていただきたいというふうに思っております。

 まず、その質問に入る前に、個人的に地域を歩いていますといろいろ漏れ聞こえてくる、公共工事の入札契約制度についての質問をさせていただきたいと思います。総合評価の質問です。

 平成十七年三月三十一日に品確法ができて、価格だけではなく技術や施工能力などを総合的に評価する総合評価方式が導入されたわけでありますけれども、この総合評価方式については、評価の公平性やばらつき、あるいは工事実績の評価の妥当性など、問題点も指摘されています。地域を回っている中で、妥当じゃないのではないかとか、あるいは公平性が本当にあるのかというようなことが、いろいろなところから漏れ聞こえてきます。

 私自身もいろいろ確認するところ、国土交通省は改善も議論していただいているとは思うんですけれども、このあたりの考え方についてお聞きしたいと思います。事業者や国民、住民に対して公平性を担保する、そしてそれを何よりも納得してもらう、この二点が大切だと思いますので、その観点から質問させていただきます。

深澤政府参考人 お答え申し上げます。

 委員御指摘のように、公共工事につきましては、競争性、透明性、公平性を確保しつつ、価格と品質が総合的にすぐれた調達を行うことが重要でございまして、平成十七年度から本格的に総合評価方式を導入し、現在、その拡充を図っているところであります。

 総合評価方式の実施に当たりましては、提出いただきました技術提案等の評価について、公正かつ透明性を確保した形で取り扱うということが大変重要だと思っております。このため、学識経験者の方等から成ります総合評価委員会で、実施方針あるいは評価方法などにつきまして御審議をいただくとともに、提案いただきましたものの評価結果につきましては、その点数などの公表をしたり、あるいは具体的な評価内容を企業の方に通知したりする取り組みを行っております。

 委員御指摘のように、この制度につきましては幾つかの課題があるかと思っております。幅広く関係する方々の御意見もいただきながら、負担の軽減、評価の仕方も含め不断に努力をして、さらによりよい制度となるように努力してまいりたいと思います。御指導よろしくお願いしたいと思います。

 ありがとうございました。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 幾つかの課題があるということで、いろいろと国土交通省の方も検討していただいていると思います。ぜひこれから、事業者や建設業協会、あるいは国民からも幅広くこのあたりの意見を聞いていただいて、見直しとか改善、こういったところを進めていただきたいと思います。

 公平性が担保されていたとしても、それを納得してもらえないと、なかなか公共事業というものが、国民の目から見ても、また不透明なものに見えてしまっては、これは大きな損失にもつながってきますし、これから、この後、防災とかそういったことを質問するんですけれども、ますます公共事業の役割が必要になってくる部分というのは多いと思いますので、ぜひそういった形での今後の引き続きの検討をよろしくお願いしたいと思います。

 それでは、次の質問に入らせていただきたいと思います。

 東日本大震災や相次ぐ台風災害などで、我が国のインフラの重要性というものの認識は非常に高まっていると思います。防災、減災といった視点から、地域の人もやはりそれをかなり期待すると思いますし、そこが整備されないとなると、地域の皆さんの不安というのもかなり大きくなってくるというのが、今地域の声ではないかなというふうに思います。

 特に、平成二十四年八月に内閣府が発表した南海トラフの巨大地震による被害想定では、最悪のケースで三十二万三千人の死者が想定されています。私の地元も、三重県で、海岸線が一千キロに及ぶ地域であります。津波からどのように私たちの暮らしを守っていくのか、あるいはどのように避難していくのかといった視点で、特に海岸堤防の役割というのが非常に重要になってきていると思いますが、かなり年数がたっているところもありますし、耐震性の問題もあるかと思います。

 南海トラフ巨大地震に備えるために、特に、津波被害が想定される地域における海岸堤防の整備を早急に進めなければいけないとは思うんですが、そのあたりについてどのようにお考えなのか、先ほどの耐震性や老朽化といった視点からもお答えいただければなと思います。そのことを質問させていただきます。

伴野副大臣 おはようございます。

 藤田委員におかれましては、お地元、三重県ということもあり、東海、東南海、南海地震等、そうした大規模地震に対する防災、減災に御関心が非常に高いというふうに承っております。ありがとうございます。

 そうした上で、今の御質問、東日本大震災の教訓を踏まえた上でどうしているのかということでございますが、御案内のように、東日本大震災は未曽有の被害でございました。海岸堤防等の設計対象の津波高をはるかに超える津波が参ったことから、海岸堤防等の多くが被災し、堤防の陸側、つまりは背後地でございますけれども、そこにおきまして甚大な津波被害が生じました。そうした中でも、非常に頑張ってくれた堤防もございまして、一定の水位低減、津波到達時間の遅延、海岸線の維持というようなところの効果が見られました。

 こうした教訓を踏まえまして、今後の津波対策に当たっては、比較的発生頻度の高い津波L1、最大クラスの津波L2、こうした二つのレベルの津波を想定することといたしました。

 L1の方でございますけれども、これは人生の間に一回か二回か三回、この程度、数十年から百数十年に一度の確率で起こってくる、比較的発生頻度の高い津波に対しまして、四本の柱で対応していこうと思っております。一つが必要な高さまでの堤防のかさ上げ、二つ目が液状化等の防止のための海岸堤防、水門等の耐震対策、三つ目が水門等の自動化、遠隔操作化、四つ目が海岸保全施設の老朽化対策、この四つの柱でL1については対応していきたいと思っております。

 L2、これはいわゆる未曽有の、最大クラスの津波というものでございますけれども、これにはキーワードが二つございます。多重防御ということと粘り強く対応するということでございます。こうした最大クラスの津波に対しましては、災害には上限がないということと、何としても人命は守らなければいけないという、こうしたハード、ソフトの施策を組み合わせて、多重防御による、津波防災地域づくり法に基づく地域づくりや、津波が海岸堤防を越えた場合でも施設の効果が粘り強く発揮できるように施設整備を適宜やってまいりたいと考えております。さまざまな手段を尽くした総合的な津波対策を推進してまいります。

 藤田委員の御関心の高い東海、東南海、南海地震等につきましては、大規模地震による津波に対しまして、引き続き、地方公共団体等と協力し、国土交通省としては対策を強力に推進してまいる所存でございます。

 以上です。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。しっかりと論点を整理して進めていただいているというふうな実感であります。

 こういった分野というのは、地域の方々に伝われば、地域の中でさまざまな防災意識が今非常に高まっておりますので、避難であるとか避難路であるとか、そういう地域の取り組みにもつながってくることだと思いますので、そのあたりのことも明確に、これから国交省さんでいろいろな関係機関を通じて、しっかりと浸透するようにお願いさせていただきたいと思います。

 津波だけではなしに、豪雨や台風の被害からも国民の生命と生活というものを守っていかなければならないというふうに思いますけれども、平成二十三年は、七月に新潟、福島で豪雨がありました。私どもの紀伊半島の三重県や和歌山、奈良では台風十二号の被害がありました。あわせて台風十五号も大きな被害がありました。ことしは九州の北部で豪雨が発生して、甚大な被害が発生したということなんですけれども、例えば平成二十三年の全国の水害被害額は約一兆円というふうになっています。過去十カ年で二番目の大きな額だというふうに伺っているんですが、特に、少し地元の視点というか、その事例として、地元の台風十二号の被害が非常に大きかったので、そこを確認させてもらいますと、例えば、熊野川というのが我々の地域にあるんですけれども、昭和十二年から観測をスタートして、その観測史上最高の水位を記録しました。

 ここについては、野田総理も現地に入っていただいて、過去最速で激甚災害指定をしていただきましたので、相当早い形での迅速な対応をしていただいたと思いますし、地域の中では評価していただいている声もお聞きします。危機管理、いろいろあると思うんですが、しっかり対応していただいているのではないかなということを、あわせてこの場でお伝えさせていただきたいと思います。

 ただ、災害が起こってからの対応というものも大切ですけれども、未然に予防的な治水対策というものを、こういう水害がいろいろな地域で起こっていますから、考えて、講じていく必要があるというふうに思います。

 先ほどは海岸堤防ということだったんですけれども、河川堤防の役割についてはどのように考えているのか、お伺いしたいと思います。

伴野副大臣 お答えさせていただきます。

 たしか、藤田委員のお地元におきましても、昨年の台風十二号で、三重県の紀宝町等々、甚大な被害が出たと承知をしております。まずもって、改めてお見舞いを申し上げたいと思います。その上での、そうしたお地元の状況を踏まえた上での今回の豪雨災害に対する御関心の高さ、改めて敬意を表させていただきたいと思います。

 その上で、今の御質問でございますが、本年七月の九州地方の記録的な豪雨によりまして、御指摘のように、矢部川、筑後川の支川の花月川等において堤防決壊など甚大な被害が発生いたしました。このように、毎年、全国各地で御指摘のように水害が発生しております。

 今回、被災した河川につきましては、既に応急復旧、例えば大きな穴を土のうで塞ぐなど、もう済ませておりますけれども、引き続き、浸水被害を防止する、軽減するための堤防整備等の治水対策を速やかに実施していく所存でございます。

 また、今回の九州豪雨災害で矢部川の堤防が決壊する等、各地でさまざまな被害形態が確認されます。大まかに分けて三パターン考えられるんですが、一つはパイピング、のりすべり、二つ目が流下能力不足、これは断面が不足するということでございますが、三つ目が、水衝、水の衝撃や洗掘、この三つのパターンに大まかに形態が分かれるということが確認されておりますが、その三つのパターンに合わせた対策をもう既に考えております。

 そうした上で、全国の河川堤防の緊急点検を実施し、今後、緊急的に対策が必要なところをあぶり出させていただいたところでございます。そのうちの一部につきましては、経済危機対応・地域活性化予備費をもう既に活用するということで、堤防強化等の対策を実施することを計画しております。

 今後、背後地の人口、資産等を踏まえまして、優先順位をつけながら、引き続き必要な対策を推進してまいりたいと思っております。

 以上です。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 この治水対策について、もう少しお伺いしたいと思いますけれども、例えば紀伊半島は全国と比べて降雨量が多い地域です。発電用の利水ダムも多く設置されていて、三重県、和歌山県、奈良県で十一のダムがあると思います。このような中で、昨年の台風十二号の被害があったわけでありますけれども、その発電用のダムでは洪水調整の規定がなかったことから、熊野川で氾濫が生じたのではないかというようなことが言われております。

 利水ダムの治水目的の運用というものを、ぜひこれは国交省が主体となってやっていただきたいというふうに思うんですが、そのあたりの見解をお伺いしたいと思います。

伴野副大臣 お答え申し上げます。

 一言で言えば、藤田委員のおっしゃるとおり、そういったことをきちっと国土交通省が中心になって、さまざまな総合調整をしていかなければいけない、御指摘のとおりだと思います。

 具体的に申し上げますと、昨年の台風十二号におきまして、奈良県の吉野郡上北山村におきまして総雨量が二千四百ミリを超えるという、本当に、まさに想定外の雨量であったわけでございますが、特に紀伊半島におきまして記録的な豪雨となったわけでございまして、これは百二十二年ぶりの大洪水となったわけでございます。

 そうした中で、奈良県、和歌山県、三重県の三県を中心に、土砂災害や河川の氾濫等、浸水が発生し、甚大な被害が発生いたしました。

 このような甚大な災害時におきます被害軽減のためには、ハード、ソフト両面にわたる手段を総合的にやっていかなければいけないということでございますが、そのために、今委員御指摘のように、学識経験者、そしてまた国、三県、電源開発株式会社から成るダム操作に関する技術検討会なんかも開きまして、本来、洪水調整機能を有しない利水ダムにつきましても、これは農業的なものやさまざまございますけれども、洪水時に事前にダム水位を従来以上に低下させるという改善策を検討しているところでございます。

 御案内のように、お地元において、さまざまな電源のダムや、あるいは先ほど申し上げました農業用のダムとかというのがありますと、普通、住民の方というのは、ダムがあるから大丈夫だと思ってみたり、一方で、そのダムがいたずらをしているんじゃないかというような指摘もあるところでございます。

 今回のように、しっかりその検討結果を踏まえて、そうした集中的な大規模な豪雨になった場合には、しっかりとそれぞれのダムにおいても効果を分け合っていただけるような、今回、暫定運用としまして本年六月より実施しておりまして、九月の台風十七号の際には一定の効果をもう既に発揮したというところでございます。

 引き続き、国、三県、沿川市町村、発電ダム管理者から成ります熊野川の総合的な治水対策協議会におきまして、関係者と十分連携をさせていただきまして、委員御指摘のような、総合的な治水対策を推進してまいります。

藤田(大)委員 副大臣の積極的な答弁を聞かせていただきまして、地元の議員としても非常に期待しているところでございます。

 危機管理、防災ということですから、ここは国の果たす役割が非常に大きいだろうというふうに思いますので、ぜひ、検討会ということもしていただいているわけでありますので、引き続き、しっかりとした対応をよろしくお願いしたいと思います。

 もう一点だけ、治水対策でお伺いしたいのですが、河床の掘削。これは、例えば熊野川であれば河口から五キロとか、そういったようなところは国がやりますけれども、ほかは自治体とか、区分けがあって、防災をしていく中では、ある程度、何でもかんでも国がすればいいというわけではないですけれども、やはり緊急的に対応していく必要があるのではないかというふうに思いますので、直轄部分を拡大するとか、そういったことが検討できないのかというようなことをお伺いしたいと思います。

平野委員長 発言者に聞きますが、どなたに質問ですか。

藤田(大)委員 副大臣にお願いします。

伴野副大臣 必要に合わせて適宜適切にやらせていただきたいと思っております。

藤田(大)委員 通告したとは思ったんですけれども、済みません、失礼いたしました。

 いずれにしても、そこのあたりも今後しっかり対応していただきたいと思います。

 あと、ミッシングリンクの解消について一言、何か見解があればお伺いしたいと思います。

前川政府参考人 お答え申し上げます。

 高速道路ネットワークは、国際競争力強化のための物流や観光、広域的な連携による地域活性化を支えるとともに、東日本大震災におきましては、住民の避難場所や、支援、救助活動、物資の輸送はもとより、防潮堤としての副次的効果も果たすなど、高速道路の役割が再認識されたところでございます。

 ミッシングリンクが残る紀伊半島沿岸部におきましても、南海トラフ巨大地震による津波の発生が想定をされ、国道が寸断するおそれもあることから、紀勢線を初めとする高速道路のミッシングリンクの解消によりまして、ネットワークの強化に取り組んでまいりたいと考えております。

藤田(大)委員 御答弁ありがとうございます。

 防災、減災の観点が非常に大切になってきますと、ここはいろいろ議論していただいておると思いますけれども、私の三重県の紀伊半島、あるいはほかの地域でもあると思いますので、ぜひこのあたりはしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 あと、耐震化もこれから議論していかなければいけないと思いますので、耐震化についての考え方もひとつお伺いしたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 御指摘のように、地震災害から国民の生命財産を守るために住宅・建築物の耐震化を進めていくことは大変重要であるというふうに思います。

 この耐震化につきましては、目標としまして、平成二十七年に住宅・建築物とも九〇%、さらに住宅につきましては三十二年までに九五%に上げていくということといたしております。この目標達成に向けまして、耐震改修促進法に基づく規制措置、それから地方公共団体を通じました耐震診断、改修への補助、あるいは税制、融資の支援を行っているところでございます。

 現在、南海トラフ大地震、首都直下地震が想定される中で、こういった施策を一層推進する必要があろうということで、社会資本整備審議会におきまして、規制や支援策をさらに強化するというようなことについて検討をしているところでございまして、この審議会の議論を踏まえまして、より実効性のある施策に取り組んでまいりたいというふうに思っております。

藤田(大)委員 ありがとうございます。住まいを守る、町を守るという視点で、ぜひしっかり取り組んでいただきたいと思います。

 若干時間がまだ残っていますので、最後に少し、話はがらっと変わるんですけれども、海上警察権の強化について質問します。

 大臣の就任挨拶でもこのあたりのことは触れていただいたとは思うんですが、尖閣諸島周辺海域をめぐる情勢というのは、今、大きく変化している状況だと思います。これに対応するために、第百八十国会で、海上保安庁法、領海等における外国船舶の航行に関する法律が改正されて、強化というものが図られたというふうに思います。

 ただ、それ以降も、今、そういった中国の公船が連日航行しているということですから、そのあたりの人員とか装備のことを含めて、あるいは、観光的にも今は中国との関係は悪いと思いますので、その視点で海上保安庁そして観光庁にお伺いして、私の質問を終わりたいと思います。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 尖閣諸島につきましては、その三島を保有して以来、先生御指摘のように、今、多数の中国公船が、台風で荒れた日以外はほぼ毎日来ているという状況でございます。

 これに対しまして、我々海上保安庁におきましては、全国規模で業務調整を実施しながら、他の業務に影響がないように努力して、担当の第十一管区のみならず、全管区が一丸となって対応に当たっております。

 また、海上保安庁は、こういう領海警備の業務だけではなく、多種多様な保安業務を遂行しておりますので、尖閣周辺の領海警備以外の事案が発生した場合、特に海難のような人命救助に係る事案が発生した場合にも、万全を期して、遺漏のないようにしているというところでございます。

 他方、今の状況というのは、中国の外務省も言っておりますが、これから長期化することが十分予想されますので、これを念頭に置いて、我々としては業務の効率化を図りながら、体制強化についてはさまざまな観点から検討を行っております。

 特に、先般閣議決定されました予備費百七十億円、これにつきましても、その観点から、もともとは平成二十五年度の概算要求に盛り込んでおりました巡視船艇ですとかヘリコプターを前倒しして整備し、また、必要な資機材も緊急に整備することとしたものでございまして、今後とも体制強化については積極的に取り組んでまいりたいと思っているところでございます。

 以上でございます。

平野委員長 次に、井手観光庁長官。

 時間が参っておりますから、簡潔に御答弁をお願いします。

井手政府参考人 お答えします。

 最近の九月の数字でございますが、訪日中国人の数、二〇一〇年に比べまして約一〇%程度減少しております。団体観光を中心としまして影響を受けているというふうに考えております。

 ただ、日中の観光交流、大事なテーマでございますので、観光庁といたしましては、引き続き訪日誘致の活動を積極的に行っていきたいと考えております。

藤田(大)委員 以上で質問を終わります。ありがとうございました。

平野委員長 次に、北村誠吾君。

北村(誠)委員 皆さん、おはようございます。

 自由民主党の北村誠吾でございます。

 質問の時間をいただき、本当にありがとうございました。通告に従いまして順次質問してまいりますから、適切な御答弁をお願いいたします。

 項目について申し上げますが、六項目にわたって、非常に広い範囲でお尋ねをいたします。まず最初にエレベーター事故の件、二番目に万里の長城、これもまた不幸な遭難事故の件、さらに三番目に、JAL、ANA二社の航空会社体制の件、そして官製談合防止の件、さらに全国防災対策の件、すなわち公共事業の必要性などについてお尋ねをし、最後に海上保安庁についてお尋ねをさせていただきます。長時間になりますが、よろしくおつき合いのほどをお願いいたします。

 まず、エレベーターにおける死亡事故の対応についてお尋ねをします。

 平成二十四年十月三十一日に、御承知のとおり、金沢市内のホテルにおきまして、再びシンドラー社製のエレベーターによる死亡事故が発生いたしました。

 この会社のエレベーターでは、既に御承知のとおり、平成十八年六月にも死亡事故が発生しており、国においても、その教訓を踏んまえて、安全基準を強化するなどの対策を講じてきたものと存じておりますけれども、今回、また同じ製造者によるエレベーター事故で、戸が開いたまま動いて事故が発生した。まことに遺憾きわまりない。

 この事故に関連いたしまして、以下についてお尋ねをいたしますから御答弁ください。

 まず第一に、十八年の事故について政府はどのように原因を究明し、対策をとってきたか。

 二番目に、対策にもかかわらず、今申しますとおり、また同じ製造者による事故が発生した。このことは、これまでの検討や対策が不十分だったと言うべきではないのか。

 さらに、前の事故の後に安全基準が強化されて、新しいエレベーターに対してのみその基準が適用されているのではないか。古いエレベーターについては放置されたままで、新しい適切な基準というものが適用されていない。これを、やはりさかのぼってでも適用していくということをすべきではないのか。

 さらに、今回エレベーターの事故が起きたわけですけれども、このエレベーターと同じ型式で、同じ製造年、前に事故を起こしたエレベーターと同じものだというふうな報道もあるわけですけれども、このようなエレベーターについては安全対策をより厳格にする必要があると重ねて申し上げたいのであります。

 国土交通省は、新たに消費者庁に設置された消費者安全調査委員会の調査と連携、協力を図る必要があるのではないかという意見を持つものですけれども、これらについての国土交通省としての見解を、五点にわたりお示し願いたいというふうに思います。

川村大臣政務官 お答えを申し上げます。

 まず、今回のエレベーター事故の被害者及び御遺族に、心からお悔やみを申し上げたいと思います。

 まず、お尋ねの、前回の港区シティハイツ竹芝エレベーター事故についてでございますが、この事故の後、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会におきまして、事故原因の調査と対策の検討を重ねてまいりました。平成二十年二月二十六日に再発防止対策等についての報告を取りまとめるとともに、平成二十一年九月八日には事故調査報告書を公表したところでございます。

 国土交通省といたしましては、これらの報告を踏まえまして、新設エレベーターについては、安全装置の二重化であります戸開走行保護装置の設置を義務化いたしました。いわゆる二重ブレーキでございます。

 それから、既存のエレベーターにつきましては、新たな技術開発を促すために、平成二十四年度予算におきましてモデル事業を実施しました。これによりまして、戸開走行保護装置の設置に関しまして、低コスト化でありますとか、工期の短縮化ということなどを目的としてこのモデル事業をやったわけでございます。それから、安全装置が設置されていないエレベーターが利用者に明らかになるように、安全装置を設置したエレベーターを表示するマーク制度を創設しました。

 そしてまた、これらのほか、平成二十年四月から、法定の定期検査におきます検査方法でありますとか判定基準の厳格化等の措置を講じてきたところでございます。

 今回の金沢市での事故が発生しまして、特定行政庁であります金沢市が、まず当日、現場での調査を実施いたしました。国土交通省としましても、その翌日に現地に入りまして、社会資本整備審議会の昇降機等事故調査部会委員の一名、それから国土交通省職員二名が現地調査に入りました。引き続き調査をやることにしております。

 そしてまた、戸開走行保護装置の必要性につきまして注意喚起、及び戸開走行保護装置の設置促進と、戸開走行保護装置の設置済みマークの活用の促進につきまして、十一月六日付で特定行政庁及び関係団体に対して通知を発出したところでございます。

 それから、シンドラー社のエレベーターは全国で八千台あるわけでございますけれども、この緊急点検ということで、特定行政庁からエレベーターの所有者に対しまして点検を求めるということで、今、専門家とその細部を詰めておりますが、来週にもやるつもりでございます。

 そして、今後は、この昇降機等事故調査部会の調査結果等を踏まえまして、さらなる戸開走行保護装置の設置促進策を検討してまいりたいと思っております。

 この義務づけを既存のものについてもやるべきではないかという御指摘もあったわけでございますが、改修のために大きな経済的負担が生じること、あるいは改修の間、非常に長期間にわたって使用制限がされるということで、国民生活に大きな支障が生じるということが予想されることでありまして、改修の機会を捉えて適合させるということを基本的な考え方として進めてきたところでございます。

 今回の事故を踏まえまして、さらに関係方面ともしっかり議論をしながら適切に対応してまいりたい、こういうふうに思っているところでございます。

北村(誠)委員 御答弁ありがとうございます。

 ただ、気になりますのは、せっかく二〇〇六年の事故の後、再発防止策として、扉が開いたまま動いたときには自動停止させる保護装置などを完成させており、これを設置することを二〇〇九年から義務化して施行させておりながら、しかし、今御答弁をいただいた中で、経済的負担等があり、なかなか難儀しておられるような御答弁をいただいたように思いますけれども、ぜひ、今年度からスタートさせた、この設置を促進する。

 これは、まさに重なる大変不幸な、しかも原因がはっきりしている事柄に対して、国が安全管理を徹底させたい、意欲と希望はありながら、その手だてを打てないというふうなことはまことに国民に対して申しわけないことではないかと思いますから、ぜひ、せっかく自動停止装置の義務化、そして設置を促進するための制度もつくってスタートしたのだから、これが十分、設置場所等々の施設の管理者、利用者が安心して利用できるように、あるいは稼働させることができるように、国がさらに手を尽くすべきではないかと思いますけれども、そこら辺についての感想があればお聞かせください。

川村大臣政務官 先ほども御答弁申し上げましたように、現在、昇降機等事故調査部会での調査を行っております。この調査結果を踏まえまして、またモデル事業等の推進もやるわけでございまして、そういうこともいろいろ踏まえながら、さらなる戸開走行保護装置の設置促進策というものが、どういうものができるかということを検討してまいりたいと思っております。

北村(誠)委員 次に移ります。

 申し上げましたとおり、次もまた不幸な、悔しい遭難事故のことで残念なのですけれども、お尋ねをしなければいけません。

 十一月三日、中国の有名な観光地、万里の長城付近で、登山ツアーに参加をしていた日本人が強風と大雪によって遭難して死亡なさるという痛ましい事故が発生しました。このツアーを企画したアミューズトラベルという会社は、三年前の平成二十一年七月にも、北海道大雪山系トムラウシ山で八名が遭難をして、低体温症により死亡なさった登山ツアーを企画していたと報道があっております。

 トムラウシ山事故の後の政府の対応として、お聞きするところによれば、平成二十二年三月、観光庁は同社に対し、この会社がとった対応策等について再検証を求めるとともに、ツアー登山の企画内容及び実施体制等について総点検や改善を求め、厳重注意を行った。また、その後の調査に基づきまして、その年の十二月、旅行業法違反により、業務の一部を五十一日間停止する処分を行ったとのことであります。さらに、報道によれば、その後数回にわたる立入検査の結果、観光庁は昨年十二月、問題ないと判断したとされ、こうした対応にもかかわらず、同様の事故がこの会社のツアーにおいて今回また発生したことは大きな問題と言わざるを得ません。

 この会社の対応はもとより、トムラウシ山事故の後において政府の対応が適切であったかという点も含め、以下、お尋ねをいたします。

 まず一つ、今回の万里の長城での遭難事故について、今の時点で政府はどのように情報を把握しているのか、事故の状況やツアー会社の対応等について説明をいただきたい。

 二番目に、観光庁が三年前の事故を受けてこの会社に対して講じた措置は十分であったのかどうか。同じ会社が企画した登山ツアーで、同じような死亡事故が再び発生したことについては許しがたい。観光庁はどのように考えているのか。また、立入検査は行われたのか。

 さらに、報道によれば、このツアーは今回が初めてでありながら、社員が現地の下見もせずに企画をし、ツアーの難易度やコースを決めていたということでありますけれども、このようなずさんな対応に問題なしとするか、所見を伺いたい。

 さらに、この会社の安全管理体制については重大な問題があると言わざるを得ないのではないか。旅行業者には安全に旅行を実施することが求められますけれども、観光庁は登録旅行業者の安全管理体制をどのように監視、管理監督しているのか、お尋ねをします。

 最後に、旅行者に対する旅行業者の安全管理体制を確実なものとするため、鉄道、自動車、海運及び航空運送事業者に適用される御承知の運輸安全マネジメント制度を旅行業者にも適用いたし、安全管理規程の策定やマネジメント評価制度を通じ、経営トップによる安全意識の浸透や、安全風土ともいうべき社風をきちっと社内に構築することが必要ではないかというふうに存じますが、所見を伺いたいと思います。

井手政府参考人 御質問の諸点につきましてお答え申し上げたいと思います。

 まず、今回、万里の長城近くで、日本人の旅行者三名の方の死亡を含めまして被害が発生いたしました。深刻な被害でございます。まず冒頭、被害に遭われた方々、また御遺族の方々に対しましてお悔やみを申し上げたいと思っております。

 その上で、今回の事故の後のツアー会社の対応、また私どもの対応、それから立入検査が行われたのかといった点の対応状況についてお答え申し上げます。

 先生御指摘のように、今回のアミューズトラベル社は、二十一年の七月、御指摘の北海道トムラウシ山で八名死亡の遭難事故の発生したツアー登山を企画、実施しておった同じ会社でございます。

 今回の事故に関しましては、ツアー会社の方は、社長初め社員が現地の方に今週赴きまして、被害者の方々あるいは御遺族の方の対応を行っているというふうに承知をしております。

 私ども観光庁の方の対応でございますが、先週の週末でございましたけれども、この事故の状況を会社の方から連絡を受けた後、直ちに、今週の月曜日でございますが、この会社からはいろいろ事情を聞き取っておりますけれども、それだけではなく旅行業界全般に対しまして、こういったいわゆるツアー登山の関係の安全についての注意喚起を、改めて今週月曜日の段階で通達させていただいたところでございます。

 なお、このアミューズトラベル社に対します立入検査についての御質問でございますが、本日、立入検査を観光庁の職員がお昼前から行う予定で、今準備をしております。

 そして、前回の二十一年七月のときの、アミューズトラベル社の企画ツアー登山による遭難事故についての当時の観光庁の対応が十分であったのかという御質問でございますけれども、これについては、先生御指摘のとおり、前回の事故の後、立入検査を何回か実施いたしまして、二十二年十二月に五十一日間の業務停止の処分を行ってございます。また、これも先生御指摘のとおり、先ほどの二十二年十二月の業務停止処分の後、二十三年にも三回にわたりまして、年末までかけて立入検査を重ねてございます。

 この件につきまして、前回の二十二年、二十三年の観光庁の対応が十分であったかどうかという御質問をいただきましたけれども、これにつきましては、今回の事件につきましてまずしっかり立入検査、きょうから行いますが、そういったものを通じて事実関係をしっかり把握し、また何が今回の事故に、再発でございますけれども、つながったのかどうかという点を、しっかり見きわめを行っていきたいと考えております。

 それから、旅行会社の安全管理についての御質問をいただいております。

 旅行会社の安全管理体制の指導監督でございますが、私どもの旅行業法の方では、旅行会社は営業所ごとに旅行業務取扱管理者を選任しなければならないという仕組みを持っております。この旅行業務取扱管理者は、旅行の安全を確保するために必要な、社内的な管理監督を行う義務を持った管理者でございます。この管理者の選任について厳しくチェックをしていく。

 そしてまた、旅行業法の遵守状況につきましては立入検査を通じて随時確認を行っておりますが、さらに、緊急時の連絡体制につきまして、社内の連絡体制あるいは対外的な連絡体制につきまして定期的に旅行会社から報告を求めております。

 また、特に登山ツアーの関係につきましてはさらに、前回のアミューズ社の事故の後でございますけれども、実は、二十一年の十一月から二十二年の三月までかけまして、山岳ガイドの専門家の方も参加いただいてツアー登山安全対策の連絡会議を開催いたしまして、安全策についていろいろと御議論をいただき、それを取りまとめました後、二十二年三月には「旅行業者が行うツアー登山の安全確保について」という通達を発し、ツアー登山について特別な監督を行ったところでございます。

 最後に御質問がございました、旅行会社にいわゆる運輸安全マネジメントを適用すべきではないかという御質問でございます。

 これにつきましては、いわゆる運輸安全マネジメント制度は、先生御指摘のように、鉄道、航空、自動車あるいは海運といった輸送機関をみずから運行する、いわゆる運輸事業者の安全確保の取り組みの強化を図るためのものでございますので、御指摘のように、輸送機関を直接運行しておりません旅行会社はこの対象になっておりません。しかしながら、今回の事故の発生もございましたし、旅行会社においても何らかの組織的な安全マネジメントを行うことの必要性あるいはその課題について、今後研究してまいりたいと考えておるところでございます。

北村(誠)委員 しっかり取り組んでください。

 そして、一つだけ私の意見を述べさせていただきますけれども、二〇〇九年に北海道のトムラウシ山で遭難なさって、八人もの方が死亡なさっている。それから三年、四年、この間いろいろな対策や手が打たれた。しかしながら、今回、結果として、これだけの方がまた同じ会社のツアーによって中国で亡くなられた。この会社に対して立入検査を行い、二〇一一年の十二月の検査では問題点が見つからずに、質問でも申しましたけれども、それ以降、検査はしていないということであります。

 私たちの社会には、人がお亡くなりになったら、三年忌、七年忌というふうなことでしっかりお弔いをする、そして、その人を思い起こし、またその人に感謝をするというふうな思いが、私たち自身や地域にもあります。

 不幸にして、このような事故で亡くなられた。自分たちの会社の不手際や、不行き届きや、不十分な準備によってたくさんの犠牲者を出した。企業者みずからがその責任において、弔いをすることはもちろんですけれども、二度と再びこういうことにならないようにと、立入検査を受けるまでもなく、みずからの自律的な努力によって、装備やあるいは自分たちの会社内の連絡体制、情報体制、あるいは安全のための監視体制、マニュアル等々を徹底してチェックをする。そういう自律的、自発的な努力というものがなされるような体制をつくっていく。そういう安全、安心、またそれらを担保する仕組みが日本人の心の中にはあるのだ。

 事もあろうに、外国に行って日本人がこのような形で亡くなった。いろいろな御迷惑を外国におかけするというふうなことは、亡くなられた御本人に対してもまことに申しわけないことではありますが、本当に悔しく恥ずかしいことでありますから、いよいよかみしめかみしめ、先ほどの答弁に基づいて、本当に実のある対策を上げていただきたい、そのように思いますから、重ねてお願いをして、次の質問をさせていただきます。

 次は、航空会社の関連のことでございます。

 JAL、日本航空の経営再建における他の会社との公平公正な競争環境の確保、並びに大手二社を中心とする我が国の航空会社体制のあり方全体のことについて思いを及ぼしながらお尋ねをいたします。いきなり質問に入ります。

 国土交通大臣は、ガイドラインの制定等、不公平を改善するための措置を講じないまま、なぜJALの上場を急いだのか。また、上場を終えた今となってガイドラインをつくった場合、公的支援がなくなったJALに適用されるのか。今後に起こるかもしれない同じようなケースへの適用であるならば、全日空など競合他社に対し適用されるものであり、この場合、ガイドラインがあることで、競合するJALに有利となるのではないか。そのような素朴な疑問が生ずるのでありますが、この辺につきまして参考人等の御答弁がいただければと思います。

田村政府参考人 お答え申し上げます。

 日本航空につきましては、我が国の発展基盤であります航空ネットワークの重要な部分を担っているということで、その再生のために公的支援が行われたわけでございます。一方で、その公的支援によって、航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられることがあってはならないというふうに考えております。

 現時点では、運賃やサービス面において利用者利便が損なわれるような不健全な競争環境にあるというふうには認識しておりませんけれども、足元の決算では、全日空と日本航空との間で業績差が生じたことも事実でございます。こうした業績の差が、今後、健全な競争環境に影響を与え、利用者利便の維持向上に支障が生じるおそれがあるということも否定できないところでございます。

 このため、国土交通省といたしましては、去る八月十日に発表いたしました「日本航空の企業再生への対応について」という方針に基づきまして、公的支援によって航空会社間の競争環境が不適切にゆがめられていないかということを確認するために、当面、再生に向けた成長戦略でありますJALグループの二〇一六年までの中期経営計画の期間、日本航空の再生の進捗状況を監視し、必要に応じて指導助言を行うこととしております。

 また、この八月十日の方針には、いわゆる不適切な競争環境のゆがみが生じないように、公的支援と競争環境について検討をしていただく小委員会というものを昨日、交通政策審議会の航空分科会に設けまして、議論がスタートしたところでございます。

 ここでは、日本航空の再生過程において講じられた支援措置、それにより生じた結果の分析、評価、それから諸外国における公的支援と競争環境の確保に関する事例の調査等を通じまして、今後の航空産業における企業再生と公的支援に関するガイドライン策定を含めた、公的支援と競争政策のあり方について検討をしていただくことにしております。

 先ほどお尋ねいただきました、ガイドラインが、今後公的支援を受けるような競合他社に不利になるのではないか、こういうお話についても、そういう問題も含めましてこの小委員会で御議論をいただきたいというふうに考えている次第でございます。

 以上でございます。

北村(誠)委員 前段、説明をせずにいきなり質問に入りました。失礼はお許しください。しかし、最後に述べられた、小委員会を設置され、この小委員会での真摯な議論と実効ある対策を講じていただけるよう大いに期待をするものであります。

 特に、意識しながら御答弁をいただきましたが、我が党におきましては、この七月に、今申し上げられたガイドラインを設けるとともに不公平を是正する措置を講じることや、国民生活に不可欠な路線維持のためそれらを支援し、利益を用いて社会的還元を行うなど、公平性が確保されて、国民の理解が得られるための事柄が速やかに実行されることを求める決議を、JALの再上場を見合わせるべきではないかという意見とともに決議をしておったものでありますから、重ねてお尋ねをしたものであります。

 ガイドラインの制定等、必要な措置が講じられないまま再上場されたことは、我が党としては極めて遺憾であったというふうなこと、そういう気持ちも含めてのお尋ねでありますから、ぜひ、最後に述べられた、小委員会を昨日設置し、これが真摯な議論等々を通じて、我々の思いを実現していくために努力していただくことを大いに期待するものであります。

 なお、また、我が国の発展基盤である航空ネットワークを維持することは大変重要なことであるとしてJALを救済したわけです。国内では多くの新規航空会社が運航を開始し、十年以上の実績を重ねて一部は国際線に参入を狙い、また、三つの会社のLCCが国内、国際線を開設し、シェアを拡大しよう、そういう努力をされている中で、昔からのJAL、ANAという二つの大手航空会社体制を展開する意義は那辺にあるのか。昨今の需要に見合わない、航空会社の過剰な供給と言われたりもしておりますけれども、第二のJALが生まれる懸念はないのか、この点についてもぜひお答えください。

 また、航空会社間の競争が激しくなれば、当然に不採算路線の維持が難しくなる。特に、我々がいつもお世話になっている離島路線の一部では国の国庫補助制度もあるが、それ以外の地方路線が切られることはJALの経営破綻を見ても明らかでございます。主要路線だけがメリットを受けるのではなく、国民全体が安心して割安に利用できる地方航空ネットワークの確立のために、さらに国土交通省は踏み込んだ施策を講ずるべきではないかというふうに考えますが、所見をお聞かせください。

田村政府参考人 ただいま御質問をいただきました我が国の航空産業のあり方、あるいは航空政策のあり方ということにつきましては、先ほども申し上げました、去る八月十日に発表いたしました「日本航空の企業再生への対応について」の中でも、交通政策審議会航空分科会において、「わが国航空産業について、今後のあるべき姿や、国・自治体・航空会社等が取り組むべき課題等をとりまとめた航空産業ビジョンの策定に向けた検討を行い、平成二十五年度中に結論を得る。」こういうことが書かれておりまして、これにつきましても、先般、航空分科会に基本政策部会というものを立ち上げまして、今後の航空政策のあり方についての検討を始めたところでございます。

 そして、後の方で御質問いただきました地方航空ネットワークの維持の問題についてもあわせて、路線維持のための支援策等について御議論をいただくこととしておりますので、しっかりと審議をしていただきたいというふうに思っております。

北村(誠)委員 次に、官製談合防止の件についてお尋ねをします。

 公正取引委員会は、今年十月十七日、国土交通省及び高知県が発注する土木工事に関し、職員による入札談合等関与行為が見られたため、官製談合防止法に基づく改善措置要求を行い、さらに、同省において入札談合等関与行為が繰り返し行われている事実を踏まえ、国土交通省に対し、入札談合等関与行為の再発を確実に防止するために効果的な改善措置を講じるよう要請された。

 入札談合は、独占禁止法が禁止するカルテルの典型的事例であり、最も悪質な独占禁止法違反行為の一つであるが、これを防止する先陣に立つべき国土交通省の職員が入札談合に繰り返しかかわったことは、まことに遺憾であります。

 よって、以下、二つの質問をいたします。

 平成十九年、平成二十一年に行われた公正取引委員会の改善措置要求に基づき、官製談合防止のために図られてきた取り組みはどのようなものであって、どういった改善が図られたと見ておられるのか。

 二番目に、今回の官製談合事件では、こうした改善策が図られたにもかかわらず官製談合が再発した。ついては、政府全体としても抜本的な改善を図り、新たなシステムともいうべきものを構築する必要があるのではないか。

 先ほど、第一番目に藤田議員が御質問なさいました。入札制度の難しさというものを常に感じておる地方議会議員出身の一人でありますので、この点につきましては、地方の経済あるいは地域社会の雇用の関係等々から極めて建設産業というものの重要さを感じておりますので、後に追加で一つだけその件について質問させていただきますが、まず、官製談合についての認識とこれからの対応についてのお考えをお示しいただければと思います。

伴野副大臣 お答えさせていただきます。

 今回の事案につきましては、まさしく先生の御指摘どおりでございまして、極めて遺憾なことであると認識をしております。

 事前通知をいただいたといいますか、報道で知ったわけでございますけれども、それ以降、大臣の強いリーダーシップのもとで、私が本部長となり、この事柄につきましていかに改善できるか、職員一同、緊張感と危機感を持って対応させていただいている次第でございます。

 その上で改めて申し上げさせていただければと思いますが、この官製談合防止法というのは、御案内のように、平成十四年に公布されまして、平成十五年に施行され、また平成十八年に改正を見ております。それ以降、先生御指摘のように、残念なことに、平成十九年三月に水門設備工事、そして平成二十一年六月に車両管理業務ということで、この官製談合防止法に基づく改善措置要求を公正取引委員会から受けているわけでございます。

 そうした二つの事例を契機といたしまして、過去、四つの視点から見直しをしているところでございます。一つ目としまして、コンプライアンスの意識の徹底、二つ目、一般競争入札の拡大、三つ目、ペナルティーの強化、四つ目、再就職の見直しに鋭意取り組んできたところでございますが、まことに残念なことに、今回、平成十八年改正以降三度目の要求を受けたところでございます。

 しっかりと取り組んできたといっても、こういう指摘をいただいたということでございまして、先ほど申し上げましたように、現在、大臣の強いリーダーシップのもとに、職員一同、極めて遺憾なことであるということで、緊張感と一層の危機感を持って、今対応策を練らせていただいているところでございます。

 以上です。

北村(誠)委員 ありがとうございます。

 それで、さきに質問するときに申しましたように、建設産業また建設業界、これらの極めて厳しい経営環境については、既に国土交通省のホームページ等にもその認識は示されております。さきに国交省の方からいただきました資料にも、国交省としても、建設産業の再生と発展のための方向性、そういったものの取りまとめ等々、取り巻く環境の厳しさを認識して、建設産業に対する投資が激減している、あるいは建設業者の数も年々極めて速いスピードで減少している、そして就業者はなおさら極めて速いスピードで、二〇%から三〇%の割合で九年平均減少してきたというふうな状況であります。

 なお、また、東日本の復旧復興対策に当たられた国交省の関係の方、あるいは現地のこの事業に携わっておられる建設業界あるいは運輸業界の皆様方のお話を聞く中ではっと思わされたのは、もし三・一一の大震災、大津波、不幸な発電所の事故などがこの五年先に起きていたとすれば、恐らく初動の動きとして、国の出先機関あるいは民間の、常日ごろから国、都道府県、市町村の公的機関の発注に従って公共工事等々をこなし、実行している建設産業関連の皆さん方が、もし五年後、五年先のことであれば、恐らく今の陣容、人材、能力というものを保持しておることは難しかったであろう。

 五年先なら、恐らく初動で、自衛隊の救援が入ってくる前に道路を啓開、開いていかなければいけない、瓦れきを片づけて、ひとまずオートバイだけでも、あるいは軽トラック一台だけでも通行することができてというふうな形で少しずつでも道をあけていく、開いていく、そういう作業に携わることは、土地カンがあり、常日ごろから国、県、市町村と災害の援助協定等々を結んで働きを重ねてきた地元の建設業界等々、関連の皆さんであるからできた仕事である。よって、もし五年も先であれば今の半分の能力しかなかったろうと思うから、とてもじゃないが、一日で車両が、自衛隊が進入していくための開削、啓開ができたというふうなことはとても危ういという話を聞いたものであります。

 よって、何を申し上げたいかというと、不幸にして官製談合が今指摘をされる結果になっておりますけれども、この関係県はどこかというと、改めて個別の名称は挙げませんが、東海、南海の地震、大津波によって、大いなる確率で多数の死傷者が出るであろうという予測が述べられている地域に所在するものでありますから、罪は罪、とがはとがとして、しっかりとその責めを負う。しかし、自分たちが平時あるいは緊急時に期待されている役割というものを、予防的措置等々のために働かなければいけない場において十分働くことができる、地域の住民の一人として、能力と資格とそして気概というものを、その存在感を示すことができる、経営努力の中で果たすことができるように、ペナルティー、課徴金等々の多大の負担はこれから生じてまいりますけれども、その経営、企業の会計運営等が立ち行くような策もまた一方で求めていく。

 予防的な、あるいは減災、防災のための働き手という認識を国においてもして、国、都道府県、市町村を一気通貫で、共通の認識で、地域のこういう能力とまた気概を持った方たちが、建設業界、消防団、警察その他の公的機関等々と一体となってふるさとを守る、人命を守る、この役割が果たせるようにしておくべきではないかと思います。

 罪は罪、しかし果たすべき役割は役割、そして、この人たちに期待される役割というものをしっかりと私たちも認識して政治の場で仕事をしていくべきではないかと思いますが、当局の所見をお聞かせください。

羽田国務大臣 今先生の言われたことはごもっともだというふうに思っておりまして、我々としても、東日本大震災の発災以前と発災以後で、国民的意識は変わってきたというふうに考えております。

 建設産業は、東日本大震災からの復旧復興、社会資本の整備や維持、更新の担い手として、さらには地域の防災という観点からも大変重要な役割を果たしているものと認識をさせていただいているところであります。

 しかしながら、建設投資の急激な減少に伴い、地域の維持や災害対応などで地域を支える建設企業が疲弊しているというふうに認識をしておりまして、入札契約におけるダンピング対策や地域への貢献状況の評価など、これまでも建設産業の活性化に取り組んできたところであります。

 また、建設産業を将来的にも地域を支え得る足腰の強い産業として、国土・地域づくりの担い手としての役割を果たせるようにするために、外部有識者で構成される建設産業戦略会議において議論を重ね、本年七月に御提言もいただいたところであります。

 この提言では、総合的な担い手の確保、育成支援や、公共事業の入札契約制度の改革が必要であること等の基本的な方向性をお示しいただいたところであり、現在、この提言を具体化するための検討会ないし委員会を立ち上げて議論を開始したところであります。

 こういう議論も踏まえながら、子供たちや孫たちの時代に誇れる国土づくりを進めていくために、その担い手となる建設産業の再生、発展にしっかりと国土交通省としても取り組んでいきたいというふうに考えております。

北村(誠)委員 大臣の御答弁、私の思いというものをしっかり受けとめていただいて、お答えいただいたものと思います。

 関連のあることでありますが、次の質問項目でございます全国防災対策についてお尋ねをさせていただきます。

 全国防災対策といい、行き着くところ、公共事業の重要性、必要性というものについての認識の事柄であると私は考えております。今、前段の質問で申し上げましたとおり東日本大震災や、また台風、そして北部九州のゲリラ的豪雨災害等々、まだまだ我が国のインフラの弱さというものが露呈をして、災害への備えというものが極めて重要であるという認識を重ねたことしでありました。先ほど申しましたように、平成二十四年八月に内閣府が発表した南海トラフの巨大地震による被害想定は、最悪三十二万三千人の想定がなされております。よって、防災、減災対策は喫緊の課題であります。

 御党におかれましては、コンクリートから人へというスローガンを掲げておられました。必要な公共事業も実施できない状況になってしまえば、人の命が守れなくなる。決して期待はするものではありませんが、来てほしくない災害の復旧復興に巨額な支出をいたす前に、事前の復興の考え方に立って、大震災等の被害額を大幅に縮めていくために、国土強靱化を行うための公共事業予算を拡大すべきではないかと考えるものでありますし、あの大震災を教訓として、緊急性、即効性といった観点から事業の必然性を精査した上で、必要性が高い防災、減災等の役に立つ施策は今後とも実施する必要があるのではないか。

 今、国土交通省が行っている全国防災対策はどんなものなのか。報道などでは、適切でない使途であるなどという指摘を受けているものもありますけれども、改めて、国交省においてはどう認識しておられるか。

 また、総理大臣の所信表明演説によれば、復興予算の使途は、被災地の復興に最優先に使い、それ以外については厳しく絞り込んでいく、こんなことを申されましたけれども、適切に防災対策を行っているのであれば、必要不可欠な防災、減災対策を進めていくために、国民に明確に、その必要性を積極的に説明して、理解を得た上で事業を進めていく必要があるのではないかという認識に立ちます。

 今回、我が党では、大規模災害を未然に防止し、持続可能な対策として国を形づくっていくために、国土強靱化基本法案を提出しておりますけれども、この法案についてどのようなお考えをお持ちか、お聞かせをいただきたいというふうに思います。

長安副大臣 今、北村委員から御指摘ございました、復興予算の中の全国防災の使い道についてでございます。

 これは、私ども、東日本大震災を教訓として、全国的な防災事業に使うという取り組みでございました。しかしながら、この間のさまざまな御意見をいただく中で、被災地に集中すべきではないかという指摘もあったわけであります。そういった中で、今後に関しては、しっかりと精査をする中で全国的な防災についても行っていかなければならないと思っております。

 今後、我が国においては、首都直下型地震、また南海トラフ地震などの大災害が想定されているわけであります。そういう中にあって、災害に強い国土づくりをすることが不可欠だと考えております。防災、減災対策等を、官民の適切な役割分担のもとに、ハード、ソフト両面から強力に推進してまいりたいと考えておるところでございます。

 このため、我が省といたしましては、平成二十五年度の概算要求におきまして、一般会計の公共事業予算につきましては、選択と集中を行いつつ、重点要求等を最大限に活用いたしまして、真に必要な公共事業予算が確保されるよう、これは対前年度比一・〇五倍の四兆一千三百四十三億円を要求させていただいております。

 また、これに加えまして、東日本大震災の教訓を踏まえまして喫緊に進めるべき全国防災についても、公共事業予算として所要の二千九百一億円を要求させていただいております。

 平成二十五年度の予算編成過程におきましては、全国的な防災、減災対策等の推進に必要な予算が確保されるよう、しっかりと努力してまいる所存でございます。

羽田国務大臣 委員申されたとおりでございます。東日本大震災の教訓を生かす、このことは大変重要なことでありまして、強靱な国土基盤を構築すること、これが重要な課題だという認識を持たせていただいております。

 このため、住宅・建築物や公共施設の耐震性の向上、津波対策の強化、ミッシングリンクの解消等、選択と集中の考え方のもとで、真に必要な社会資本整備はしっかりと進め、持続可能で活力ある国土・地域づくりを推進してまいりたいというふうに考えております。

 御党、自民党が提出されております国土強靱化基本法案についてですけれども、この重要な課題に関する御提案である、こういうふうに認識しており、国会において十分議論を進めていただきたいというふうに考えております。

北村(誠)委員 ありがとうございました。

 海上保安庁長官にお尋ねをします。時間がタイトになってきましたので、いきなり聞きます。

 私は、基本的に、海上保安庁の装備及び要員、あるいは燃油等消耗品等々の手当てをしっかりしていくために、予算の拡充が極めて必要ではないか。今回、予備費等での支出も考えておられるということであり、私は大歓迎、大いになさるべきで、国民はそれを支持しておる。私の地域におきましても、海上保安庁頑張ってくれという県民の期待は大いにあります。

 そういう中で、長官、三つ質問します。

 まず、尖閣三島の取得、保有の後、この諸島周辺海域における中国公船の動静及び海上保安庁の対応はどのようにしておるかということについて、長官としてのお立場でお答えをいただきたい。

 二番目に、現在、この尖閣諸島周辺の領海警備業務に多くの勢力を、全国から船も人も航空機も投入していますが、その他の業務に対応することにおいて、それぞれの地域や管区において支障はないか。懸念があれば、その点について率直にお聞かせをいただきたい。

 さらに、この諸島周辺海域をめぐる情勢を踏まえて、海上保安庁の体制強化を行う必要があると私は考えておりますけれども、海上保安庁長官として見解があればお示しをいただきたいというふうに思います。

北村政府参考人 お答え申し上げます。

 まず初めの先生の御質問、尖閣諸島の周辺海域におけます中国公船などの動静と、それに対する対応状況でございます。

 御承知のように、九月十一日に尖閣三島を取得、保有してまいりましてから、多数の中国公船、そして場合によっては台湾の公船も来ております。一番多い日で十八隻、公船が来ました。少ない日でも三隻でございまして、台風で周辺海域が非常に荒れて船が行けない日以外は、もう毎日来ておると言っても過言ではありません。きょうも五隻、今現在で来ております。延べで申しますと十一日間、そして延べ隻数で五十五隻、これはさらに領海内に入ってきております。

 というのが今の状況でございまして、我々、このような状況に対しては、巡視船で領海には侵入するなと言って警告をいたしますとともに、領海に侵入しました場合には、退去要求によって領海外に今までは退去させているという状況でございます。

 海上保安庁におきましては、先生も御指摘のように、今の情勢を踏まえまして、全国で業務調整をしております。そして、尖閣諸島の周辺海域に巡視船を増強配備して、状況に応じて対応しているところでございますが、これからも、関係省庁と連携を密にしながら、情報収集に努め、その時々の情勢に応じて、哨戒体制を強化して領海警備に万全を期すというふうに思っております。

 そして二番目の御質問で、そういうことをしてその他の業務に影響がないのか、支障がないのかということでございます。

 海上保安庁は日ごろから領海警備以外にも本当に多種多様な業務をやらせていただいておりまして、そういう意味で、我々は、尖閣の周辺海域以外の事案が発生した場合にも対応していきます。

 特に、この間、九月二十四日に宮城県の金華山沖で堀栄丸という漁船が遭難しました。こういう海難事案は人命救助に直結する事案ですから、やはりこれについては最優先でやらなきゃいかぬ。そういうものに支障のないように我々としては万全を期していきたい、こう思っているところでございます。

 ただ、先生御指摘のように、今の体制で本当に大丈夫なのかということにつきましては、我々としては、今の状況は正直言いまして、現場の人間に非常に、例えば休みの日を返上してもらったり、それから、ふだんであれば必要な訓練などもできるだけ最小限にしろということで今対応させていただいておりますけれども、これが長期化すると、やはりこういう状況ではなかなか難しいと言わざるを得ないと思っております。

 特に中国の方は、中国の外交部、外務省の方の報道官が、今後も島、彼らが言う、尖閣の周辺海域では公務活動を続けるというふうに公に発表しています。したがいまして、我々としては、これは長期化するということは当然予想をしておりますので、これを念頭に置いて、これからももちろん業務の効率化は図ります。図りますけれども、海上保安庁の体制強化についてはいろいろな観点から検討していかなきゃいかぬと思っております。

 その第一弾といいますか、この前の予備費、閣議決定していただきましたが、百七十億でございます。もともとは二十五年度概算要求に盛り込みました巡視船艇なりヘリコプターを前倒しして、少しでも早く整備をする、さらに、それ以外の必要な資機材も緊急に整備するために盛り込んでいただいたものでございまして、これからも体制強化についてはいろいろな必要があろうと思っております。その時々の状況に応じて積極的に取り組んでいきたいと思っております。

 どうぞよろしくお願い申し上げます。

北村(誠)委員 窮屈な時間の中での御答弁、ありがとうございました。

 これで終わります。ありがとうございました。

平野委員長 次に、畑浩治君。

畑委員 国民の生活が第一の畑浩治でございます。

 それでは、早速質問に入らせていただきます。

 私、最近、仮設住宅回りをしていますと、被災者の方々から厳しく文句とか要望を言われることが実は少なくなりました。それは、満足しているからじゃないんです。一年半ぐらいかかるこの仮設住宅暮らしの中で、被災者の方は心身ともに疲れ果てていて元気がなくなっている、そういう状況なんです。よく聞くのは、私たちは最低の暮らしですということをよく被災者から言われます。あるいは御老人の方からは、仮設ではなくてついの住みかで死にたい、本当にそういうことを言われます。

 こういうことを踏まえて、ちょっと制度趣旨をお聞きしたいんですが、仮設住宅の期間が二年になっていますが、この二年間という理由をまずお伺いしたいと思います。

西藤政府参考人 お答えいたします。

 仮設住宅の入居期間につきましては、災害救助の基準を定めた厚生労働省の告示におきまして、建築基準法第八十五条第三項または第四項に規定する期限までとしております。建築基準法においては、この期限を、特定行政庁の許可を得て二年以内とされているということで、二年となっているわけでございます。

 また、著しく異常な災害におきましては、特定非常災害の被害者の権利利益の保全等を図るための特別措置に関する法律の規定に基づき、この建築基準法の定める期限を一年ごとに延長できる制度になっておりまして、このたびの東日本大震災におきましてもこれを適用し、現在、入居期間を一年延長し、合計三年としているところでございます。

畑委員 恐らく、今のこの制度趣旨をお聞きすると、仮設というのは仮の住宅ですから、それが二年だということで、プレハブ等の構造がありますので、普通は構造上も二年だよと。そしてさらに、仮の期間というのは、つまり二年だという制度趣旨が私はあるんだろうと思います。だから本当は、その二年以内になるように一生懸命やらなければいけない。さはさりながら、今回の災害は難しい事情もありますから、それはそれでいたし方ない部分はあるんですが、そこは、現在のまちづくりと住宅再建の状況というのを、進捗状況、そしてその認識をどのように把握されているか、そこを大臣にお伺いしたいと思います。

羽田国務大臣 東日本大震災から復興におけるまちづくりの進捗状況につきましては、十一月の五日時点で、事業着手の前提となる法定手続について、防災集団移転促進事業の大臣同意が百二十九地区、土地区画整理事業の都市計画決定が二十五地区となっております。

 まちづくりの計画策定については、各市町村とも地元の調整も含め本格化をしておりまして、今年度中にはこれらの手続をおおむね完了すべく取り組んでいるというふうに聞いているところであります。

 自力での再建や取得が困難な方向けの災害公営住宅は、岩手県で約五千六百戸、宮城県で約一万五千戸の供給計画が示されており、十月末時点で、用地を確保し、事業に着手したものは約二割というふうになっております。

 これまで、まちづくりとの一体的な復興計画の検討や用地の確保のために時間を要してまいりましたけれども、本年八月に福島県相馬市において最初の災害公営住宅が完成したほか、順次設計や工事に着手しており、整備が本格化しつつあるというところであります。このような住宅再建の動きについては、民間住宅を含め、全体で、岩手県で約一万六千から一万八千戸、宮城県で約七万二千戸が見込まれております。

 国土交通省といたしましては、復興庁とも連携をしつつ、人的また技術的支援も含め適切な支援をしてまいりましたし、これからもしていきたいというふうに思っております。

畑委員 これは、役所が進めていただいているのはよくわかりますが、実は仮設住宅を回っていると、被災者の方にはどのようなタイムスケジュール、ロードマップでやっているのかというのが伝わっていないんですよね。いや、行政がやっているのは私も知っています。ただ、思いのほかに、いつまで待てばいいんですかと言われるんですよ。

 しっかりそこのところを、明確な期限を持って、この辺まであなたは我慢すれば大丈夫ですよと言ってあげれば、時間がかかったって明確な期限さえあれば我慢できるんですよ。そういうことを含めて、しっかり周知、広報を徹底すべきだと思いますが、そこのところをちょっと大臣にお伺いしたいと思います。

羽田国務大臣 今言われたとおり、被災地の復興を円滑に進めていくためには、被災者の方々に、まちづくりと住宅再建がどのように行われていくのか、このことを、予定をお示しすることが重要であるということは認識をさせていただいております。これまでも、復興事業を進めている市町村においては、事業着手が明らかになったところから順次ロードマップ等が策定されているところであります。

 今後、特にまちづくり事業の進捗や住宅の再建に着手できる時期などの将来的な見通しも含めた工程表を被災者の方々に、より具体的にお示しすることができるよう、復興庁、被災各県や市町村とも緊密な連携を図りながら取り組んでまいります。

畑委員 よろしくお願いいたします。

 それで、そのまちづくりと住宅再建がうまく進まない理由というのは、権利調整が難しいからなんです。

 つまり、これは御存じのとおり、被災した市町村の中でいろいろな事業手法を使っているわけです。防災集団移転促進事業、農水だと漁集、漁業集落防災強化事業、あるいは復興区画整理事業、あるいは単なるかさ上げというのもありますが、こういうのが入りまじって、いろいろな境界が微妙に変わってくる。だから、境界によって違う人は、これは、制度が違うということは支援制度も違いますから、支援の厚さに違いがあって、そこで住民調整が難しいというのが大きな問題の一つです。

 そういうことをうまくならしていく制度が必要だと思いまして、これは私は、現実的には、端的には取り崩し型の復興基金だと思います。これは、個人財産、住宅再建、細かいことも含めて市町村の裁量で使えるような制度でありまして、これをしっかりと措置していく、拡充していくことが私は重要だなと思っております。これは、例えば住宅だけじゃないんですよね。中小企業グループ補助金の対象にならないような小規模な店舗の補修、そういうことにも対応できる。

 これからどんどん復興が進んでいくと、いろいろな行政需要、お金の需要が出てくると思うんです。その都度いろいろな制度を直すということもいいんですが、早いのはやはり復興基金だと私は思います。七月二十六日の復興特別委員会でこのことを私は指摘しましたし、きょう来ておられますが、黄川田復興副大臣、副大臣の就任につき、盛岡の復興局での就任会見で、復興基金の拡充に意欲というか、前向きなことをおっしゃっていただいて、大変いいことを言っていただいたなと思っているところであります。

 この取り崩し型の復興基金については、恐らく検討されているんだろうと思います。思いますので、そういうことを踏まえてお聞きしたいんですが、どのようなタイミングで、どのような予算規模で、言える部分も言えない部分もあると思うんですが、拡充しようと検討なされたのか、そこをお伺いしたいと思います。

 石津総務政務官に、復興基金の拡充についての意欲と前向きの答弁を、ばしっとよろしくお願いします。

石津大臣政務官 それでは、畑委員の御質問にお答え申し上げたいと思います。

 二十三年度に、被災団体が地域の実情に応じてきめ細やかな対応をする、そしてまた、年度にとらわれず執行できる、こういうようなことで、被災県が持っております復興基金、これに対して、過般、一千九百六十億円ほどの措置をさせていただきました。これを基礎にいたしまして、生活支援そして産業支援を行っていただく、このように承知をしているところでございます。

 しかしながら、一方におきまして、いわゆる東日本大震災の場合は、面的な津波の被害が非常に大きいということを承知しております。よりまして、きめ細かに生活支援あるいは住宅の再建というものがなされなければならない、こういうようなことで、各市町村がきめ細かに対応できるというような形で、もっともっと財源的な充実というものを図っていただきたいというような御要望もいただいておるところでございます。我々も、その基本的な認識は共有しているところでございます。

 そういうような観点からいたしまして、我々といたしましては、まず、復旧復興の基本は、そこに住宅を早く再建して、そして畑議員がおっしゃるように、地域の産業が早く復興して、そして、そこでなりわいを求めながら、生活の再建がしっかりとなされるということが基本だ、このように考えております。

 よりまして、今度、各市町村等々の要望をいただきまして、御承知のとおり、今度の経済振興を含めた措置も今月中になされるということでございますので、こういうことをにらみながら、財政当局、そしてまたどのような支援措置がいいのかということをしっかりと検討させていただきたいということで、答弁にかえさせていただきたいと思います。

畑委員 これは大変心強い答弁だったと思います。十一月中にまとめられる経済対策で復興基金の拡充ということをしっかりと検討していただいているという答弁をいただいたと理解いたしまして、地方も大変ほっとすると思います。これはこれで、本当はいっぱい欲しいんですけれども、規模もあれですが、よろしくお願いしたいと思います。

 あともう一つ、これは質問というよりもちょっと意見ですが、ここで万全の措置をできればいいんですが、後、来年度以降も恐らくそういう声が出ると思いますので。

 総務省の復興関係の経費要求で、来年度、「地方の復旧・復興事業等の事業費及び財源の別枠での確実な確保」という項目も事項要求でありますけれども、これは特別交付税を要求しているんだろうと思いますが、特別交付税が原資になって復興基金になるということからすれば、そこの復興基金の部分も含めて、今回、そして第二弾ということで、引き続きその点もしっかりと議論というか検討をお願いしたいと思います。これはお願いにとどめさせていただきます。

 それでもう一つ、復興基金とともに、やはり柔軟に使えると目されるものが復興交付金です。復興交付金の中の、特に効果促進事業ですよね。これは、基幹事業に関係してハード、ソフト事業を可能とするような、かなり柔軟度の高い制度だと理解しております。

 ただ、残念ながらこれは、いろいろ聞くと、なかなか柔軟度が高くないような運用になっている部分があるとお伺いします。ここはしっかりと、柔軟な運用をするようなことを含めてやっていただきたいと思うんですが、その点をちょっとお伺いしたいと思います。

黄川田副大臣 委員御案内のとおり、復興交付金、基幹事業四十事業ということで、さらに加えて効果促進事業を設けておるということで、おさらいをしますと、この効果促進事業につきましては、基幹事業との関連性を合理的に説明いただくことを前提にしまして、国の既存施策との整合性の観点から問題がなく、そしてまた、個人、法人の負担軽減や資産形成のための事業等のいわゆるネガティブリストに該当しないものについては、これは幅広い使途に対応することとしております。

 今御指摘のとおりなのでありますけれども、この使い勝手の部分で、さまざま現場の声を聞きまして、これを抜本的に改善いたしまして、面的整備ですね、区画整理であるとか、あるいはまた防集であるとか漁集であるとか高台移転の部分で、整備事業の事業費二〇%を市町村に一括交付するというようなこともしております。

 ただ、現場に行ってきめ細かく首長さんたちとお話をしますと、やはり制度の網にかからない部分でさまざま苦労しているんだということであります。当初、復興交付金、効果促進事業、そして取り崩し復興基金ということで、特に基金の場合は自由度が高い、裁量権の高いものであるということで、何とかまちづくりをしよう、顔が見える市町村をつくろうということでありますけれども、何といっても、そのパイが使ってしまったらなくなってしまうんじゃないのかということを大分心配しております。住宅再建に全部使ってしまうと、同時進行しなきゃいけないなりわいにきめ細かなお金が使えないんじゃないのかということを心配しておりますので、今、石津政務官からもありましたけれども、この三つが一体となって、柔軟性を持ってやれるように、我々もしっかりと連絡調整していきたいと思います。

畑委員 お金がなくなってしまったら云々というのは、やはり必要だったら措置しなきゃいけないんですよ、被災地の復興のためには。ちょっとそこの答弁は、私はどうかと思いますが。

 実は、これをお聞きしたのは、一般的に自由度が足りないと私は言っているわけじゃないんです。岩手県なんかから聞きますと、復興交付金というのは、実は役所が、復興庁がポジティブリストをつくって、そして、これに当たるものに使ってください、これに当たるものにつけますということを示しているんですよね。もちろん、この資料を見ると、事前の承認は要しないものとすると書いていますが、実際聞いてみると、運用上は、それに対して了解というか同意を得てやらなきゃいけないということになっているそうです。

 野田総理が十月の二十七日に岩手県に来たときに、実は岩手県の方から要望書を出しているわけです、その点について。つまり、効果促進事業については、対象となる事業が限られていることから対象事業を拡大すること、また、事業着手前に担当省庁からの同意を得る必要があり、一括配分の目的である使い勝手の向上につながっていないことから、事前承認制を廃止することとあります。

 私は、具体的にはこのポジティブリストをやめるべきだし、あるいは当面の措置としては、事前承認というのをやっているのであればやめるようにしっかりと指導していただきたいんですが、その点、いかがでしょうか。

黄川田副大臣 県からさまざまな要望をいただいております。特にも今まさに復興元年ということで、さまざまな新たな課題も出ております。

 それを踏まえて、先ほどの答弁、ちょっと私の言い方がまずかったかもしれませんが、足らなかったら足らないままということじゃなくて、財政措置をするためにもしっかりと対応しなきゃいけないということでありますので、そこの部分はちょっと誤解のないようにしてほしいのでありますけれども。

 いずれ、復興の中で、やはりそれぞれの自治体の顔が見えるさまざまな施策ということで、しっかり使える、自由度の高いのは基金である。その上で、基本的な社会資本整備の中で使われる効果促進事業である。それから、多分後で指摘されるところがあるかもしれませんが、社会資本整備総合交付金の復興枠とか、さまざまなものを使いながらやっていかなきゃならないということで、そういう意味合いの中で、要望されている部分をどういうふうにして交通整理していくかということで今精査しておるところであります。

 いずれ、地域の復興の重い足かせになってはいけませんので、しっかりと対応していきたいと思います。

畑委員 ありがとうございました。

 それで、一点ちょっと確認したいんですが、事前承認を求めているのだとすれば、そこはしっかりそういう事前承認制を廃止するように御指導をお願いしたいと思うんですが、その点、いかがでしょうか。

黄川田副大臣 事前承認といいますか、さまざまな個別具体の事業に関しては、県、国、市町村、連携チームをつくりながら個別具体の事業を進めておりますので、我々は事前承認とかそういう思いではないのでありますけれども、そういうふうに言われるのであれば、そういうことのないようにしっかりと連携強化していきたいと思います。

畑委員 心強い答弁、ありがとうございます。ぜひともよろしくお願いしたいと思います。

 次に参ります。

 次は、鉄道の問題を取り上げたいと思います。

 JR山田線、この復旧についてちょっと議論したいんですが、これは線路のつけかえの必要性もほとんどなくて、北と南で、三陸鉄道の北リアス線、南リアス線が、平成二十六年四月再開に向けていろいろ復旧工事をしていただいております。その間にあるのがこの山田線、そして線路の移設もほとんどないわけで、その復旧は容易で、急務だというふうな認識がありまして、これを八月七日の復興特で平野大臣に質問したところ、同様の認識をいただいたところであります。

 おととい、七日に、盛岡で山田線復興調整会議が開催されたということも聞いておりますが、こういうことも踏まえまして、今後の復旧の検討状況、方向性というのをお伺いしたいと思います。

羽田国務大臣 鉄道の復旧に当たっては、津波対策を講じたまちづくりとの整合性確保等の課題について検討する必要があります。現在、JR山田線復興調整会議などの場において、沿線の自治体、またJR東日本等の関係者間で議論が行われているところでありまして、一昨日に開催されました第四回の復興調整会議においても、鉄道復旧に向けたハード面の課題整理等が行われたところであります。

 今後も、この復興調整会議の場などを通じて、関係者間で検討を深めていきたいというふうに考えております。

畑委員 地元の方では、被災から二年たつまでに何とかという、いろいろな要望がありまして、三鉄の絡みでもそういうふうに言われるんだろうと思います。

 実は、これはいろいろ復興調整会議なりJRの意向を聞いていますと、おっしゃるとおり、まちづくりの課題とか安全性の確保と調整しながらという話なんです。

 ただ、まちづくりについて言うと、まちづくりとかいろいろな移転計画で事業が入っている段階ですから、実は、地元としては、市町村としてはできているという認識なんですよね。例えば山田町ですと、駅をかさ上げして、それを核にしてまちづくりをしたいという計画までもう定まっております。

 安全性の確保については、平成二十七年の末までに、これは集中復興期間の末までに、岩手県の方では水門、防潮堤をつくるという計画もつくって、今もう実際に始まっている。だから、地元では、やるべきことはある程度、課題を整理したという認識なんです。

 問題は、やはり費用負担、分担なんですよね、こういうのを踏まえて難しいところは。JR東日本は、出さないと言っているわけじゃなくて、聞くところによると、原状復旧にかかる費用はJR東日本だ、これは当然だと。ただ、例えばルート移設があったりあるいはかさ上げしたり、そういう掛かり増し費用、そこは何とか公共で面倒を見てくれませんかということなんです。

 そろそろこういう議論に入っていく、加速をすべきときだと思うんですが、まちづくりの関係で入れる費用ということになると思います。直接、黒字企業に入れないというのはわかっているんですが、まちづくりの観点でそういう掛かり増し費用というのは出てきますから、大体は。であれば、これは復興交付金なんだろうと思うんですよね。

 きょうはそこのところは通告していませんので、復興交付金でどうだと聞くつもりはありませんが、そこのところ、費用負担のところを含めてどうやって検討していくのか、どういう検討状況の感覚を持っているのか、そこだけお聞かせ願いたいと思うんですが、よろしくお願いします。

滝口政府参考人 お答えいたします。

 ただいま先生の御指摘にありましたように、原状復旧については、JR東日本は自分たちが進めるという方針を持っております。

 そこで、津波対策を講じたまちづくりとの関係で費用がふえるということが考えられるわけでございますが、この復興調整会議の場には、関係する地方公共団体とともに、復興庁の方にも御参加いただいております。

 どういった費用についてどのような解決があるのか、そういった面も含めて、今後検討を進めてまいりたいと思っております。

畑委員 よろしくお願いいたします。

 恐らく、来年度の概算要求の事項には入っていませんので、検討を続けて、再来年度ぐらいになるのかなと思いますが、既存の制度の拡充で対応できるならもっと早いんでしょうけれども、ひとつ迅速にというか、的確な検討をお願い申し上げます。

 そして次に、社会資本整備総合交付金の復興枠についてお伺いしたいと思います。

 遅い遅いと言われる復興事業の中で、道路事業は迅速に進んでいると思いまして、この点、関係者の尽力に対して深く敬意と感謝を申し上げる次第であります。

 三陸沿岸道路については、昨年度の事業化からもう一年以内で、今、一部が実際のトンカチの事業化に入っているということも、地元紙でも大変称賛されております。ありがたく思っております。これにつながる県道とか県管理の国道、これを今度は復興支援道路として、これも次々と事業化を今年度していただいております。

 特に今後心配なのは復興支援道路なんですよね、県管理とかの道路です。これは社会資本整備総合交付金の復興枠でやっているわけですが、全額国負担ということでできる制度であります。

 ただ、これが平成二十七年度までの集中復興期間までしか、とりあえず当面想定されていない。道路というのは、御存じのとおり、今事業化した場合に、三年ぐらいは計画化とか測量とか用地交渉をやって、実際にトンカチに入るのは四年後ぐらいになる。大体、平成二十七年以降にトンカチの最盛期が出てきて、そこから三、四年だから、ここから平成三十年、二十九年ぐらいまでかかるわけですね、急いでやっても。

 直轄は直轄で予算をとってやっていただくとして、この社会資本整備総合交付金の復興枠でやっている部分なんですが、ここは、二十七年度の後も数年間は社会資本整備総合交付金の復興枠の制度をしっかりと維持して支援をすべきだと思うんですが、そこに対する認識をお伺いしたいと思います。

黄川田副大臣 お答えいたします。

 委員御指摘のところ、予算の確保、これが最も大事だと思っております。

 ちなみに、復興庁の平成二十五年度概算要求におきましては、被災地からの要望等を踏まえまして、被災地の道路事業、河川事業、海岸事業等を総合的に支援する観点から、社会資本整備総合交付金の復興分として約四百三十五億円を要求しておるところであります。

 そしてまた、集中五カ年の事業の後、また新たな課題も出てくると思います。ですから、その事業の進捗状況を十分に踏まえまして、しっかりと予算を確保するように頑張っていきたいと思います。

畑委員 恐らく、二十七年度だと、それで終わると足りないと思うので、進捗に応じて確保というお気持ちの中に、それ以降も努力していくということが入っていると受けとめましたが、よろしくお願いしたいと思います。

 そして、制度官庁としての復興庁のお答えとは別に、実際道路整備を進める所管庁たる、社会資本整備の事業官庁として、やはり国交省に対する期待というのは当然あるんだろうと思いますが、事業官庁の立場からの認識をお伺いしたいと思います。

羽田国務大臣 お答えをさせていただきます。

 社会資本整備総合交付金の復興枠で実施している事業、これは集中復興期間以降も継続して支援する必要があるものがあることは、我々、認識をさせていただいております。

 国土交通省としては、被災地の復興が実現するまで全力で取り組む所存であり、復興庁を初めとする関係各省とも連携しながら、必要な支援がしっかり続けられるように対応していきたいというふうに考えております。

畑委員 大変心強い御答弁を、黄川田副大臣、そして羽田国交大臣からいただいたと思っております。

 もちろん、政治の力でしっかりと予算確保を支援することは大事だと認識しておりますので、私たちもしっかり支援、バックアップをさせていただきたいと思いますので、よろしくお願いしたいと思います。

 実は、今までこういう議論をしてきた中で、やはり国交予算というのは、公共事業費というのは、減らすことは問題だという認識が私はあります。これは何回もこの委員会で議論をしてきたんですが、これをふやしていかなければいけない。もちろん、財政審のあの新聞記事を見ると、少子高齢化だから減らすとか、何かふやせないと言っていましたが、昔みたいにふやせないのは当たり前なんですが、どの水準が適当であって、そこに向けて段階的にふやしていく努力は絶対に必要だと思います。

 こういうときに、実は私、民主党にいたころ、今は超党派になっているという理解でありますが、議連をつくりまして、伴野副大臣が会長でありました新たな戦略的国土地域政策を推進する議員連盟、通称新戦組と呼んでおりましたが、この中で、現在の公共投資、IGという経済用語で言えば、これは、直轄プラス地方の費用プラス独立行政法人等の公的企業も含んだトータルの公共事業費というのは、対GDP比で、今、日本は四・八%ぐらいなんですけれども、これは大体欧米と同じような水準です。これを、日本の国土条件を考えれば、これは先ほど来、全国防災も含めて話がありますが、災害の多い国で海岸線が長いんですよね。こういう国は絶対に理論的にいっても公共事業費はかかるわけですよ。この四・八%をやはりもっとふやさないと、今までの委員の方が議論したようなことに対応できない。だから私は、その四・八%を、この議連の幹事長をやらせていただいておりましたが、伴野副大臣の指導のもとで、八%ぐらいまでに段階的にふやしていく必要があるだろうと。これは、百兆とか二百兆とかいうよりも、はるかに現実的な打ち出し方だと私は思っております。

 対GDP比の中でこれぐらいまで確保するという定性的な考え方をまとめたわけですが、もちろん、来年度のところですぐ実現するわけではないのは私もわかりますが、これを長期目標として数年間でそれに向けて努力していく、これが絶対必要だと思います。

 この八%の評価という認識も、もちろんお答えできればこれは幸いですが、難しいでしょうから、公共事業費を今のところからスタートさせて、段階的に、ある程度理想的な水準を求めてふやしていくというトレンドをつくるべきだということに対する認識を、伴野副大臣から、元会長としてお伺いしたいと思いますが、よろしくお願いいたします。

伴野副大臣 畑理事におかれましては、日ごろから、公共投資につきましては、同じベクトルといいますか考え方、方向性で御尽力いただいておりますことを、まずもって御礼と敬意を表させていただきたいと思います。

 個人的な考えといいますか、関心も含めまして申し上げれば、若干その当時とは畑理事におかれましてもユニフォームの色が違われたということもありまして、非常につらい思いをしているところでございますが、オール・ジャパン、侍ジャパンという、WBCに対して頑張ろう、そういう考え方もございますので、今後とも御指導のほどをよろしくお願いしたいと思います。

 今、畑委員のおっしゃられました公的固定資本形成をしかるべき水準までというお考えは、私は、民間企業であれば当たり前のことだと思います。一つの営業成績あるいは売り上げを達成しようとするならば、それに見合う資本形成というのは当然必要、求められる。これは産業構造によって若干違うわけでございますが、ですから、公共投資におきましても、将来に向けてしかるべき水準であるべきという考え方は私も同感でございます。

 とりわけ我が国は、二〇三〇年前後に人口的に非常に大きな転換期も迎えますし、エネルギー政策を初めさまざまな政策もしかりだと思います。アジアの状況も、この二〇三〇年前後で非常に変わってくると思います。ですから、そこまでに我が国としてやるべきこと、当然、コンストラクションの部分もそうですし、メンテナンスの部分、高度成長期時代につくったものをきちっと次世代に引き継ぐ、これも一つの投資の考え方ができるかと思います。また、昨今、次世代の子供たちを守るという通学路に対してしっかりと予算をつけていくということも、これも一つの考え方だと思います。

 いずれにしましても、平成二十五年度予算編成過程におきまして御支援を賜りますよう、よろしくお願いしたいと思います。

畑委員 大変前向きな、率直なお考えを聞いたと思いまして、大変深く敬意と感謝を申し上げる次第でございます。

 本日は本当にありがとうございました。これで終わります。

平野委員長 次に、富田茂之君。

富田委員 公明党の富田茂之でございます。

 羽田大臣の所信に対する質疑をさせていただきます。

 大臣は所信でこのように述べられておりました。「発生が懸念される首都直下地震や南海トラフが引き起こす巨大地震などの大災害に対しては、災害に強い国土づくりを進めることが不可欠です。このため、東日本大震災の教訓を踏まえ、住宅・建築物や公共施設、交通施設の耐震性向上、津波対策の強化、ミッシングリンクの解消、初動体制の強化等に取り組む」というふうに言われておりました。

 実はこの委員会で、十月の四日、五日、高知県と愛媛県、山本公一筆頭理事がいろいろ配慮していただいて、視察をしてきました。

 特に高知県の黒潮町の視察は本当に印象的でした。大西町長さんからいろいろお話を伺ったんですが、政府の方で八月末に発表した南海トラフを震源とする地震があった場合の被災マップ、被災状況の報告がありましたけれども、その報告で、地震があった場合に最大三十四・四メートルの津波が襲うだろうというふうに言われている町ですので、どういうふうな取り組みをされているのかということで大変興味もありましたし、また、本当に大変なお話を伺ったなというふうに思います。

 国交省の方であらかじめいろいろ資料を用意してくれたりしていましたが、町長が、最初に私たちが行きましたら、町の方には三月末ぐらいに一回中間報告ということで、その三十四・四メートルの津波が押し寄せるだろうという報告があったと。これを一万二千七百人の町民の皆さんに伝えたところ、どんな反応があったと思いますかというふうに我々に町長は問いかけられたんですね。私たちとしては、避難道路をどうするんだとか、避難場所、どこへ行ったらいいんだとか、あるいは引っ越しが必要なのかとか、そういったいろいろな動きが出るのかなというふうに思っていましたら、町長は、そうではなくて、ほぼ町民の全員が諦める、そんな三十四メートルの津波なんか、どんなことをやったって逃げられっこない、もうほとんどの人がだめだというふうに思ったと。

 ただ、それでは町長としての役目が果たせないんで、ではどうしたんだというところで、高知新聞の記事をいただいたんですが、二百人いる職員を、それぞれの生まれた場所あるいは今住んでいる場所に防災担当職員としてきちんと張りつける。それで、地域の皆さんと一緒に、自分たちはどういうふうに逃げるのか、高齢者の方もいらっしゃるし、障害を持った方もいらっしゃる、その人たちが逃げるときに、その地域でどんな困難があるんだ、そういったものを一つずつ地図に落として、解決に向けてやっていこうということに取り組んだ。

 町には十四の消防団があるようですが、その消防分団ごとにまず職員を張りつけて、それではまだ広過ぎるので、六十一の地区に分けて担当者を決めた。こういうふうに、地域の人たちと一緒にいろいろ取り組んでいるんですというような写真も見せていただきました。

 もともとこれは、東北に応援に行った職員の皆さんが気仙沼で見聞きしてきたことから発想した。気仙沼に応援に行ったら、気仙沼の職員が一生懸命やっているのに、避難した住民の皆さんからかなり怒られることが多かった。こういう非常時には、やはりふだんのときから地域の住民の皆さんと役場の職員がきちんとつながっていないと、なかなか適切な行動はできないんだという職員の発想から、地域に根差した防災担当職員ということで、町長がそういう配慮をされたというふうに伺いました。

 そういう活動をずっとやってきて、九月の二日に全町で避難訓練をやったら、四千人を超えられる方が出てきた。最初は全員が諦めているのに、三分の一の方が逃げられるんじゃないかというふうに思ってきたというわけですね。

 これは、もともと政府の方の出した報告書でも、地震がおさまって避難を迅速にする、すぐ逃げる、そして津波避難タワーの有効活用、あるいは堤防、水門の耐震性強化、こういうハード、ソフトを組み合わせれば被害を四分の一から五分の一に減災できる、そういう想定も出ていたんですね。町長もやはりそれを御存じで、こういうふうにやっていくと、町民の皆さんも逃げられるというふうに思ってもらえる、そういうところで国交委員会のメンバーがみんな来たので、いろいろ要望したいというようなお話でした。

 気仙沼の教訓を生かした、防災担当職員を地域に張りつけるというすばらしい発想だと思うんですが、これはやはり、同じように太平洋に面したいろいろな市町村に活用できると思うんですね。こういったことを国交省として今後どういうふうにバックアップしていこうと思っているか、大臣の感想をちょっとお聞かせ願いたいと思います。

羽田国務大臣 委員御質問の、黒潮町における南海トラフ巨大地震による、最大震度七で最大津波高が三十四・四という、国内でも最大規模の想定がなされている場所でありますけれども、これに対し、避難場所や避難路の整備、学校や地域ぐるみの避難訓練の実施など、黒潮町の日ごろの取り組みに対しましては、深く敬意を表するものであります。

 特に、全職員を防災担当者とする町の職員の地域担当制については、地域の特性を生かした非常に工夫された取り組みである、こういうふうに考えておりまして、南海トラフの巨大地震の切迫性が指摘される中、災害に強い国土づくりを進め、巨大災害に備えることが極めて重要であり、国土交通省としては、人の命が第一、そして、災害には上限がないとの東日本大震災の教訓を踏まえ、ミッシングリンクの解消や粘り強い海岸堤防等の整備、津波ハザードマップの作成支援など、ハード、ソフト一体となった防災、減災対策を関係機関と連携しつつ、強力に進めてまいります。

 黒潮町の取り組みのように、地域の特性を生かしたすぐれた取り組みについては、幅広く情報を共有することに努めるとともに、関係府省と連携し、引き続き積極的に支援をしていきたい、こういうふうに考えております。

富田委員 ぜひお願いしたいと思いますし、そのときに大西町長が、民主党から自民党、国民の生活が第一、そして公明党、共産党、みんなの党、みんなで行ったものですから、これだけ全党で来ているんだから、いろいろ考えてもらいたいと。黒潮町は八十五億ぐらいの予算規模だそうですが、避難道路をきちんとつくりたい、また避難場所をきちんとセッティングしたい、津波避難タワーも七カ所で要望が出てきている、いろいろなこういったものを、町の八十五億の予算ではとても対応できない、何とかしてもらえないのかということで、全国防災事業の対象にしてもらって応援してもらいたいというように、具体的に要望されていました。

 全国防災事業に津波避難道を明確に位置づけてほしいという言い方で町長さんは言われたんですけれども、そのほかにも、海岸線延長に応じた普通交付税の配分なんかを考えてもらえないか、これは総務省の方の仕事です。やはり、緊急防災・減災事業債の延長などの特別枠が、対策の実現性と実効性を高めるというようなことも言われていました。

 こういうふうに、全国防災に、今の全国防災事業の基準だと、避難道路とかはストレートに入ってこない、そこを何とかしてもらえないのかというような要望が町長さんから一番多かったんですが、その点は、国交省としてはどういうふうに対応されようとしているんでしょうか。

羽田国務大臣 東日本大震災の教訓を踏まえて、津波による被害を受ける危険性のある地域において津波避難路を早急に整備すること、これは極めて重要であるというふうに認識をさせていただいております。

 既に地域の防災計画に位置づけられている津波からの避難路等において実施する、事業効果の早期発現が見込まれる橋梁の耐震補強や、のり面、盛り土の防災対策などについては、社会資本整備総合交付金の全国防災事業として実施をしているところであります。今言われたとおりであります。

 そのほか、市町村が新たに津波避難路の整備を行う場合には、通常の社会資本整備交付金の対象事業となっており、今後ともしっかりと支援をしていきたいというふうに考えておりまして、今言われたとおり、今の制度だと、一般の社会資本整備総合交付金の対象事業ということになります。

富田委員 大臣はおわかりだと思うんですが、やはり全国防災の方が町の負担が少ないんですよね。だから、町長は、自分の町の予算規模だとどうしても町の負担が多い、社会資本整備総合交付金でやれるのはわかっていても、もう少し何とかならないのか。

 そういったところを、やはり一番大変な地域のことを、全国一律の基準ではなくて、何かバックアップできるような方策をぜひ国交省の方でも考えて、これは内閣府とか復興庁の問題なんだと思うんですが、そちらの方にぜひ国交省の方からも強く言っていただきたいと思うんですが、そこはどうでしょうか。

羽田国務大臣 今御提案いただいたことについては、真摯にしっかりと受けとめさせていただきたいというふうに思っております。

富田委員 ぜひよろしくお願いします。

 もう一点、大西町長が言われていたんですが、資料としていただいてきたんですけれども、地域性に応じた支援ルート、拠点の確保をしてほしいということで、こんなふうにこの書類には書いてありました。

 基礎自治体の役割として住民と減災率を高め、しのぐ備えを進めても、機械力や資源に乏しいため、特に事後処理は対応し切れない課題が多く、外部からの支援は欠かせない。広域災害時においては、支援を求める自治体と中央をつなぐ役割としての各地方整備局の機能が重要となる。陸路、航路、空路などさまざまな命の道の整備を進めていただくことが、多様な地域で人々が暮らし続けられることにつながる。日ごろの国土管理と、予想される国難をしのぐため、基礎自治体に活力を与える国策をとってほしいというふうに言われていました。

 実は、きょうの新聞を見ますと、国の出先機関廃止の会合がきのうやられたそうで、総理は今国会で何とか法案を出したいというふうに言われたようですが、やはり市町村長にとっては、地方整備局などの廃止は大災害発生時などに国の関与が低くなるんじゃないかという懸念があるということで、きのうの会議でも新潟県のある町長さんが、現場を預かる市町村長としてはどうしても不安が拭えないというふうに発言したと伝えられています。

 この地方整備局の廃止は菅政権下で閣議決定されたようですけれども、やはりこういう災害を踏まえて、市町村長、現場を預かる現場の皆さんの声をしっかり受けとめる必要があると思うんですが、そこはどうでしょうか。

羽田国務大臣 出先機関のことでありますけれども、国土交通省としては、従来から申し上げてきておりますとおり、出先機関の移譲の制度化に当たり、地方整備局が東日本大震災で発揮したような機能や、根幹的なインフラの整備、管理などで果たしているような役割が維持されることが重要だということを申し上げているところでありまして、そういう中で検討をしていただきたいということを常日ごろから申し上げさせていただいております。

富田委員 もっと声を強くして言った方がいいと思いますよ。このままだと押し切られる可能性もありますので、しっかり対応していただきたいと思いますし、震災の後、予算委員会で、現場をずっと見させていただいたときも、やはり地方整備局の皆さんが本当によく活躍されて、啓開していったという状況も見てきましたので、そういったところを踏まえて、大西町長からの要望もあわせて、ぜひ大臣の方にも頑張っていただきたいというふうに思います。

 もう一つ、この視察のときに、山本先生初めいろいろな方から、ミッシングリンク、四国の8の字の高速道路網が全然できていないということで、行くところ行くところ同じ話をされて、あらかじめ準備していたんじゃないかと思われるようなものでしたけれども、でも資料を見させていただき、また現場に行って、基幹道路なのに台風が来たりすると通行どめにしなきゃならないような部分がたくさんある。やはりきちんとした高速道路網がないと、何かあったときに本当に大変だなというのを実感してきました。

 代替路がない直轄区間が二百二十キロもある。津波等により直轄国道が分断された場合、二十万人が孤立するというような資料もいただいたんですね。この8の字の道路について、国交省として今後どういうふうに四国の皆さんのために取り組んでいこうとされているのか、ぜひ考えをお聞かせ願いたいと思います。

羽田国務大臣 もう既に国土交通大臣室にも何度か足を運んでいただいて、地域の要望等はお聞かせをいただいているところでありますが、高速道路のネットワークは、国際競争力強化のための物流や観光、広域的な連携による地域活性化を支えるとともに、東日本大震災では、住民の避難場所や、救援、救助活動、物資の輸送、また防潮堤としての副次的効果など、命の道としての役割が再認識されたところであります。高速道路のあり方検討有識者委員会の中間取りまとめにおいても、国土を保全するネットワーク機能の早期確保が最優先課題とされました。

 四国地方で、特にミッシングリンクが残る東南部と西南部では、南海トラフ巨大地震による津波の発生が想定されており、国道が寸断されるおそれもあることから、四国8の字ネットワークを初めとする高速道路のミッシングリンクの解消等による道路ネットワークの強化にしっかりと取り組んでいきたいというふうに考えております。

富田委員 山本先生、これでいいですか。

 ミッシングリンクに関して、私の地元千葉県でも、今、圏央道の建設が進んでいます。林先生、谷田川先生の地元ですが、ちょっと懸念されるような状況もあるんですね。

 今年度末には東金―木更津間の約四十三キロが開通して、アクアラインを経由して神奈川にきちんとつながっていくということで、経済効果も高まると思うんですが、横芝―大栄間については、ほかの区間に比べてやはり整備がおくれているんじゃないか。いつ開通していくかというのがなかなかわからない、そういう状況になっています。

 千葉県区間のうち、茨城県境、神崎町から仮称、大栄ジャンクションまでの十・七キロの区間、そして大栄ジャンクションから松尾横芝インターチェンジまでの十八・五キロの区間の整備状況、また今後の取り組みの予定について、ぜひ教えていただければと思います。

羽田国務大臣 御指摘をいただきました圏央道の茨城県境から大栄ジャンクション間十・七キロについては、一部の用地が未買収であることから、供用の目標は平成二十五年度以降としておりますけれども、土地収用法に基づく手続を進めるとともに、橋梁や改良工事を推進しているところであります。

 また、大栄ジャンクションから松尾横芝インターチェンジ間十八・五キロについては、平成十九年度に都市計画決定し、現在、設計協議を進めさせていただいているところであります。

 圏央道については、都心への交通の適切な分散導入による交通の円滑化はもとより、災害時における緊急輸送ルートの多重化を図る上でも重要な役割を担うものと認識しており、引き続き、地元自治体の協力も得ながら、早期供用に向け整備を推進してまいります。

富田委員 実は、今この時間帯に千葉の幕張で圏央道促進県民会議というのをやっているんですね。この委員会がなかったら、私も林先生も、多分、谷田川先生も、全部そこに出ていたと思うんですが、そういう意味で、県民の皆さんの思いも強いものがありますので、ぜひよろしくお願いしたいと思います。

 次に、航空分野について大臣は所信で、「航空分野では、安全運航を大前提としつつ、国際競争力の強化に向けて、首都圏空港の抜本的な機能強化、戦略的なオープンスカイ、LCCの参入促進、空港経営改革等の施策を推進します。」というふうに言われていますが、首都圏空港の抜本的な機能強化とかLCCの参入促進に向けて、具体的にどういうことを国交省としてはこれから取り組んでいこうとされているんでしょうか。

羽田国務大臣 首都圏空港については、我が国の成長の牽引車としての役割を今後とも十分に果たせるよう、抜本的な機能強化を図ることとしております。

 具体的には、羽田空港について、平成二十五年度末までに国際旅客ターミナルビルの拡張を行い、年間発着回数を四十四・七万回まで拡大をさせていただきます。これに伴い、国際線の発着回数を九万回まで拡大し、高需要・ビジネス路線が二十四時間、羽田から発着できるようにする予定であります。

 成田空港については、最短で平成二十六年度中に年間発着回数を三十万回まで拡大をいたします。また、オープンスカイの推進、専用ターミナル整備によるLCCやビジネスジェットの受け入れ体制の整備等により、アジアのハブ空港としての地位を確立していきたいというふうに考えております。

 首都圏空港のさらなる機能強化については、今後とも、あらゆる角度から可能な限りの方策を総合的に検討していきたいというふうに考えております。

富田委員 実は、通常国会のときに大臣にこの件をちょっとお伺いしたのですが、成田は夜十一時から朝の六時まで飛行制限時間があります。ここを何とか拡大していかないと、羽田は二十四時間になりましたけれども、やはり成田は立ちおくれてしまう。地元の首長さんたちからも要望があるというお話をしたんですが、私が質問したときは大臣は、三十万回で騒音もふえる可能性もあるし、地元の理解を得られるかどうかわからないから、ここは国交省は慎重なんだというふうに御答弁いただいたんですけれども、十一月六日付の日経新聞に、「午前零時まで着陸容認を」と。「地元が要望」ということで、かなり大きな記事が出てきたんですね。成田市の成田商工会議所や成田市観光協会では、LCCのために成田空港の飛行禁止時間の緩和をということを、国、県、またNAA等に要望しているというふうな大きな記事でした。

 何でもかんでもこの時間制限をやめろということではなくて、要望では、悪天候や他空港の混雑などで例えば午後十一時に間に合わなかった飛行機について午前零時までの着陸を認める、こういった運用ができないんだろうか。現実には、海外便なんかで十一時を過ぎてしまうようなときは、地元の市町村にきちんと連絡をした上で着陸を認めている例もあるというふうに聞いています。

 こういった具体的な運用で、こういう地元の要望に応えていくという方策がないものか。国交省としても、もう少し積極的に取り組んだ方がいいというふうに思うんですが、そこはどうでしょうか。

羽田国務大臣 今言われたことも含めて、まずは三十万回、この実行を行って、それを前提に地元の皆さんの理解を得ながら、緩和をしっかりと検討していきたいというふうに考えております。

富田委員 多分、地元は相当緩和を求めていると思うんですね。住民の皆さん全部の意見を聞くわけにいきませんから、また、もともとの約束でもあるということで、なかなか簡単にはできないと思いますけれども、ぜひ検討を進めていただきたいというふうに思います。

 あと、復興予算の流用問題について、ちょっと最後に確認をしておきたいと思います。

 これもまた十一月六日付の朝日新聞に、「復興予算流用ここでも」なんていう大きな記事が出ました。

 何だこりゃという感じなんですが、国交省が復興予算から補助金を出している駅前再開発事業が八件ある。本来、駅前再開発は別の予算枠でやる話だと思うんですが、今後の災害に備えてビルの耐震性を高めるためだというような理由で、一二年度当初予算で二十億ほど盛り込まれて、また一三年度の概算要求でも十七億要求している。本当に復興予算をこういうところに使っていいのかというような指摘でした。

 もう一つは、観光庁の言語バリアフリー化の事業についても批判があって、二十六地域に予算がついたけれども被災三県は三カ所だけだ、ほかの県の方にこういうふうに予算を流用していかがなものかと。外国のお客さんが来られるところでそういうふうなものを使うのはいいけれども、たまたまこの記事では、草津こまくさ病院前の写真を写して、巡回バスで病院を利用する人しか使わない停留所に何でこんな表示が要るんだというふうに、非常に鋭く指摘しているんです。

 これまでもいろいろな委員会等で予算の流用が問題になってきましたけれども、本当に再開発事業とか言語バリアフリー化に復興予算を使う必要があるんでしょうか。そこはどういうふうに考えていますか。

羽田国務大臣 市街地の再開発事業は、老朽化した木造建物等が密集している地区等において、不燃化された建築物や公共施設の整備等を一体的に行う事業でありますけれども、東海、東南海、南海、首都直下地震エリアなど、巨大地震発生の切迫性が高い地域で実施される事業については、より高い耐震性能を備えた建築物とすることが地震に強いまちづくりを進める上で不可欠であり、このための追加的な防災対策等に限定をしまして復興予算を活用したところであります。

 また、言語バリアフリー化事業は、東日本大震災後、訪日旅客需要の落ち込みが日本全体に及んでいたということもあり、状況に対応するとともに東北への旅行者数の回復にもつなげていくために、緊急に平成二十三年度第三次補正予算において、訪日旅行促進のためのプロモーションと両輪をなすものとして、交通拠点等における多言語対応を実施したものであります。

 このように、被災地の復旧復興対策に加えて、全国的な防災、減災対策等についても必要な事業を実施しているところでありますが、今後、政府全体としてしっかりと整理もさせていただきながら、国民の理解が得られるものとなるよう、しっかり対応していきたいというふうに考えております。

富田委員 今の大臣の最後の、国民の理解が得られるというところは、その前に大臣がずっと説明してきたところは多分得られませんよ。いろいろな理由づけ、役所が言っているのはわかるんですけれども、やはり国民の理解ということを考えたら、被災地にきちんと予算をつけて、今の再開発のお金とか言語バリアフリー化は別枠でやる話だと思うんですね。

 仮に言語バリアフリー化のためにいろいろやるにしても、被災地でやったらどうですか。被災地三県だけじゃなくて、東北六県の観光事業というのは本当に落ち込んでいます。秋田や青森の観光業者の皆さんに会うと、我々だって被災者だというふうに言われるぐらい大変な思いをされているので、全国にばらまくんじゃなくて、やはり東北六県に集中的にやるとか、こういったことに取り組まれないと国民の理解は得られないと思うんですが、そこはどうですか。

羽田国務大臣 そういう御指摘もしっかりと踏まえた上で、政府全体としてしっかり整理をさせていただきたいというふうに思いますし、私も、今言われたことは重々認識をさせていただいております。

富田委員 通告していた質問は以上なんですが、一つ、大臣にお礼を言いたいと思います。

 七月の二十五日のこの委員会で、小水力発電のことについてお尋ねしました。ポテンシャルがいっぱいあるのに、国の方がいろいろ再生可能エネルギーを進めようとしているのに県が邪魔していると、私、地元の千葉県の話をしたんですが、私の質問の後、千葉県の態度が変わって、小水力発電をできるようになったというふうに業者の方から聞きました。大多喜町というところで十月から設置の工事を始めて、来年からやれるようになったということで喜びの声をいただきましたので、大臣また局長さんに感謝を申し上げて、質問を終わりたいと思います。

 ありがとうございました。

平野委員長 次に、穀田恵二君。

穀田委員 私は、きょう、エレベーター事故の問題について質問します。

 アパホテル金沢駅前におけるシンドラー社製エレベーターの事故、犠牲者の前多外志子さんに、改めて哀悼の意を表したいと思います。

 二〇〇六年にあった同様の事件を思い出さずにはおられません。東京都港区のマンションで、扉が開いたまま急上昇したエレベーターの床と外枠の間に挟まれ、高校二年生の男子生徒、市川大輔さんが死亡した事故であります。

 お母さんの市川正子さんは、息子の事故の教訓が生かされず、本当に悔しいと語っておられます。私も当時、二〇〇六年六月に質問しまして、エレベーター事故の再発防止に関する申し入れの提案も行いました。その意味で、非常に残念でなりません。六年前の教訓は何ら生かされていなかったと指摘せざるを得ません。

 なぜ事故は繰り返されるのか。今回の事故も、エレベーターに乗ろうとした従業員の女性が、先ほど述べた前多さんが、かごの床と扉の上部の枠の間に挟まれて死亡した。つまり、扉があいたまま上昇した。どちらもシンドラー製エレベーター、ブレーキや制御盤なども同型。まず、この点は間違いないか、確認したいと思います。

    〔委員長退席、津川委員長代理着席〕

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 今回の事故で犠牲になられた被害者の方の御冥福を心よりお祈り申し上げます。

 今回の事故機と前回の事故機、詳細には異なるところがありますけれども、基本的には同型ということでございます。

 また、今回の事故機と基幹部分であります巻き上げ機が同じシンドラー社のエレベーターは八十五機というふうに報告を受けております。

穀田委員 しゃべる方もしっかりしゃべってくれよ、聞こえへんわ。

 だとすると、六年前に事故を起こした危ないシンドラー社のエレベーターと、簡単に言うと同じものだと。そうすると、改善もされず稼働していたということになる。私はこういう事件事故が起きたときに何回も言っているんだけれども、なぜ防ぐことができなかったのかという角度から問題を取り上げないとだめだと思うんですね。

 そこで、製造者のシンドラー社はもちろん、所有者、管理者のアパホテルは、危ないエレベーターと同じ型のものだと認識できた状況のもとで、改善せずに稼働させていたことになる。極めて責任は重いと私は思うんです。

 政府は、シンドラー社とアパホテルの責任についてどう考えているか、述べていただきたい。

伴野副大臣 穀田委員にお答えさせていただきたいと思います。

 まず、委員御案内かもしれませんが、一般論といたしまして、三つの法律で規定を受けるんだろうと思います。

 一つ目は製造物責任法において、製造業者は、この場合はシンドラー社になりますが、その製造、加工、輸入等をした製造物の欠陥により生じた損害を賠償する責任を有することとされております。

 続いて二つ目でございますが、民法においては、工作物の瑕疵により他人に損害を与えたときは、占有者、所有者は、具体的には今回の場合、アパホテルになりますが、被害者に対しまして損害賠償責任を負うこととされております。

 三つ目は建築基準法において、建築物の所有者、管理者または占有者は、この場合はアパホテルとなりますけれども、建築物を常時適法な状態に維持するように努めることとされております。

 今回の事故につきましては、現在、国土交通省の社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会におきまして原因を調査中でございまして、シンドラー社や、所有者、管理者であるアパホテルの民事上の責任については、個々の事案の事実関係に応じまして、司法の場において明らかにされると考えております。

 また、刑事責任につきましても、現在行われている警察の捜査の進展に応じまして、司法の場において明らかにされると考えております。

 以上です。

穀田委員 私、伴野さんが新しく副大臣になったから、わざわざあなたに聞いたわけですよ。もうちょっと政治家として話をすると思ったんだけれども、ちょっとはっきり言ってがっかりした。これは犠牲者の御遺族が聞いたら、がっくりくると思う。

 まず、はっきり言って、アパホテルに責任があるのかということなんですよ。そういうものについて、ないなんということは絶対ないんだよ。一般論はわかっている。それを、調査中だとか何だとかという話をもしするとしたら、僕は本当に情けないと思う。浮かばれないよ、亡くなった人たちは。

 つまり、エレベーターが勝手に動いて亡くなった。それは、前からそういうことがあるというエレベーターだった。乗った人には何の罪もない。それを放置していたアパホテルに責任があるというのははっきりしているじゃないか。それをどういう形で責任をとるかというのは、それはいろいろあるよ。なぜ防ぐことができなかったかとか、この責任は本当にないのかという問題について接近する角度が、はっきり言って不十分だということを私は指摘しておきたいと思うんです。

 そこで、メンテナンスについては、委託業者が月に一度点検し、十月中旬の業者点検では異常がなかったと言われているんですね。シンドラー社も年に一度点検し、異常はなかったとしている。

 六年前の事故ではブレーキパッドの摩耗が主因とされたけれども、今回は摩耗が見つかったのか。また、同じ型のものが同じような事故を起こすということは、メンテナンス問題以前に、機械そのものに構造的な欠陥があるという疑いも拭えないと思うんだけれども、どうか。機械自体の構造を再調査するべきではないのかということについて国交省に聞きたい。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 事故の原因究明につきましては、調査部会を中心にこれから具体的には始まるところでございますけれども、委員御指摘のように、原因究明につきましては、機械自体の異常の有無、異常を防止できなかった機械の保守の問題、この両面から調査をする必要があるというふうに考えております。

 御指摘の、機械自体の構造的な欠陥というようなものがもしありましたら、これは当然、調査の対象にするということでお答えをさせていただきます。

    〔津川委員長代理退席、委員長着席〕

穀田委員 両方の角度からやるということなんですが、私は二〇〇六年六月の質問で、当時の事故に対して、事故原因の究明は、機械そのものに欠陥がある場合や保守点検の不備に関する改善、さらに、行き過ぎた安売り、コスト削減の競争、入札のあり方など、事故につながった遠因などなど検討、解明すべき問題が多々ある、こういうことを提起しました。つまり、シンドラー社というのはどうやって伸びてきたかというと、安く入ってシェアを伸ばしてきたんですよ。そういう経過があるわけです。

 そこで、そういう当時の問題について真相究明はどこまで進んだか、簡潔に言ってほしい。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 前回の事故につきましては、当初は私どもの原因解明の取り組みが大変不足であったということは率直に認めざるを得ないと思います。その上で、その後、委員会を設けまして調査を行いました。

 その中で、機械的な部分については警察へ行って機械の再確認をいたしまして、ブレーキのコイルが途中で断線をしていて、磁力が足らないためにブレーキが半がかり状態になって、その結果、ブレーキパッドがすり減り、ブレーキがきかなくなるに至ったということが相当強く推定できるというところまで解明をされました。

 メンテナンス等につきましては、正直まだ解明できていないところがあろうかと思いますけれども、そのあたりは、どの時点でどういうふうに検査をし、どうやったかというところについては資料が不足でございまして、正直まだ解明できていないところがあろうかと思います。限界はあると思いますけれども、必要に応じて、新しい事実が判明しましたらやっていきたいというふうに思っております。

穀田委員 今お話があったように、主因は「推定される。」なんですよ。しかも、やはり調査が不足していた、はっきり言って十分でないということが言えると思うんですね。

 だから、国交省が発表したそういう調査報告に対して、先ほど述べた市川さんのお母さんである市川正子さんは、「なぜ、エレベーターの扉が開いたまま、突然上昇したのか。なぜ、安全装置は働かなかったのか。なぜ、事故を防ぐことができなかったのか。徹底的に事故原因の究明調査をし、解明・公表・勧告し再発防止に活かしていただきたい。」わざわざそういう意見を開陳されておられるところであります。私は、これを真摯に受けとめるべきだと思うんです。

 そこで、消費者安全調査委員会にお聞きしますが、この問題についての対応と、今回の事故への対応についてどのようにされるおつもりか、その構えをお聞きしたいと思います。

草桶政府参考人 お答え申し上げます。

 二〇〇六年、港区で発生した事故につきましては、今お話がありましたとおり、被害者の御遺族から事故調査の申し出を受けております。これに基づきまして、今月六日開催された第二回の委員会におきまして、本件を対象とすることとし、まずは国土交通省の事故の調査結果を評価することが決定されたところであります。

 今後は、消費者安全調査委員会におきまして国土交通省による調査の結果を評価し、それに即して国交省に意見を述べ、調査が不十分と認められる場合には、みずから調査を実施することになります。

 また、金沢の事故につきましては、港区の事故と発生状況が類似していることを踏まえながら、関連する事故として、国交省と連携して情報収集等を行っていきたいというふうに考えております。

穀田委員 情報収集は最初のことなので、当然することなわけなんですが、やはり国民の期待というのは、いわば行政の間のすき間があって、こういうことに対してもう一度きちんとしてほしいということで設けられた趣旨を生かして、きちんとやってくれな困るということだけはちょっと言っておきたいと思うんです。

 そこで、六年前の事故を受け、二〇〇九年から、扉が開いたままかごが昇降した際に停止させる安全装置の設置が義務づけられました。しかし、今回のエレベーターは一九九八年に設置の機械で、安全装置の設置は義務づけられていなかったと報道されています。それは事実か、なぜ義務づけがなかったのかということについてお願いしたい。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 建築基準法の考え方になりますけれども、既存の建築物に対して新たな基準を直ちに義務づけると、一つは、改修のために非常に大きな経済的な負担が生じる、それから、改修の間の建物の利用に大きな制約を生ずるというようなことが一般的に起こりますことから、既にある建築物につきましては新たな基準を直ちには適用せず、改修等の機会を捉えて適合させる、こういうことを基本的な考えにしております。

 本件につきましても、新たな基準であります戸開走行保護装置の設置につきましては、既存のものには適用を猶予している、こういうことでございます。

穀田委員 簡単に言うと、既存不適格だということの説明だったと思うんですね。

 しかし、今回の場合、結局、起きたエレベーターは既存不適格のエレベーターなんですよ。だから、今お話あったように、もともとエレベーターが建築基準法の対象ということ自体が、私は前回、二〇〇六年のときも、問題は、当時エスカレーターの事故もありましたよ、ジェットコースターもありました。どちらかといえば、これらというのは動く機械なんですよね、とまっている建築物ではないんですよ。それは老朽化という問題からするといろいろあるんだが、建築物より、どちらかといえば自動車に近いことだと思うんですね。だから、安全確保についてはより厳密にチェックすべきだ。

 したがって、私は、既存不適格ということで放置するべきではなくて、全機種を安全装置設置の義務づけの対象とすべきだと思うんです。早急に全てのエレベーターの安全装置設置を義務化すべきではないかと思うんですが、大臣でも副大臣でもどっちでもいいです。

伴野副大臣 先ほど来から、御指名ありがとうございます。

 まさに亡くなられた方、御遺族のお気持ちを考えると、穀田先生の御指摘、もっともなところもあると思います。ただ一方で、先ほどなぜ一般論を申し上げたかといいますと、まだこれは犯罪捜査というのが終わっていないという点と、それから、情況証拠だけで当該ホテルをということになりますと、それはやはり確定もしていないのにということもあろうかと思います。そういう意味で一般論を申し上げさせていただいたわけでございます。

 その上で、今回の、いわゆる義務化しないのかという点につきましては、これもまた言いわけだろうと言われてしまうのかもしれませんが、全て義務化をすることにおける経済的な影響、あるいはさまざまな他の同一のもの、つまり、建築基準法においても適用除外という項目がございます。そういったことを全体に考えますと、先生のお気持ち、御指摘、非常に理解したいところではございますが、そういった点があることも御理解いただけないかと思います。

穀田委員 あえて言わせていただくと、さっき言った一般論とか、現場へ行って遺族の皆さんに言ってごらん。アパホテルに責任がないと言ってごらん、今はまだわからぬと。事故が起きたのはアパホテルなんだ、そこで人が死んでいるんだよ。誰も手を動かしていないんだ、アパホテルの中にあるエレベーターで人が死んでいるんですよ。誰の責任か。それはエレベーター会社とアパホテルの責任だと、誰が考えたってはっきりしているじゃないですか。それを法律的に罪としてどうするかなどというのは後の問題ですよ。そんなこと言ってたらあきまへんで。そうすると、なぜそれができなかったかという問題になるじゃないですか。

 そこで、全部のところへ義務づけるのは無理だ、こう言うけれども、それじゃ聞きましょう。

 所有者、管理者の責任は極めて重い。そこで、ホテル業者であれば、宿泊客など顧客の安全、安心を最優先すべきなのに、危ないエレベーターや安全装置を設置すべきエレベーターだと知っていて改善をしなかったということになります。そうすると、先ほど経済的影響とかなんとか言っていましたけれども、一つのホテルからすれば、コストをかけたくなかったからと考えざるを得ない。つまり、おっしゃるように、安全よりももうけを優先させるという経営をやっていた。私は許されないことだと思うんです。厳しく対処すべきだと思うんです。

 少なくとも、安全装置の設置については、ホテルだとかそういったところについては早急に実施させるべきではありませんか。大臣、どうですか。

羽田国務大臣 不特定多数の人が利用する建築物に設けられるエレベーターについては、より徹底した安全対策が求められるというふうに考えております。

 そのために、これらの建築物の所有者、管理者の団体である社団法人日本ホテル協会、日本百貨店協会、日本チェーンストア協会などに対しては、今般のエレベーターの戸開走行事故を受けた注意喚起とともに、戸開走行保護装置の設置促進と、戸開走行保護装置の設置済みマークの活用の促進について、十一月六日付で通知を発出したところであります。

 まずは、利用者の皆さんに対して、このエレベーターが安全か、しっかりと適合しているものかどうかがわかるようにするということを実施させていただくということでございます。

穀田委員 報告書によると、「公的建築物その他多数の者が利用する建築物等に設けられるエレベーターについては、所有者・管理者により積極的に安全対策がなされるべきであり、」こういうことだろうね、それの中身を言っていると思うんだけれども、「戸開走行保護装置や地震時管制運転装置の設置について、関係部局や業界団体等の協力を得て、その推進を強く働きかけるべきである。」こういうことを言っているんですね。きちっとやったらいいというんですよ。

 最後にマークの話をしてはったわ。これがマークなんですね。これ、誰が知っているのか、こんなこと。これは安全だというものなんです、戸開き走行防止があるというわけです。ないというものを出したらまだわかるよ、これは危ないなと思うけれども、こんなの誰も知らへんし、みんな初めて見たんじゃないか。

 そんなことでやるんじゃないんですよ。これは危ないというのを言うんだったら私はわかるけれども、これが安全だと言って、誰がこれを見るのかなと私は思うので……(発言する者あり)もちろんそういう人もいるやろうけれども、僕は、これは不適格の方ですというぐらいやって、みんなの注意を喚起するぐらいやらないと、それは大変だと思いますよ。

 そこで、時間もないので、最後に論点をちょっと変えて別なことを質問したいと思うんですけれども、老朽化対策について一つだけ質問したいと思います。

 会計検査院が、十月十七日、「公共土木施設等における地震・津波対策の実施状況等について」という検査結果を報告しています。それによると、南海トラフ巨大地震と津波で大きな被害が想定される十五都道府県の堤防等について調査した結果、地震、津波対策が不十分な堤防が河川で約四割、海岸で約六割に上ることがわかったというわけです。水門、防潮施設の三分の一に当たる三千五百カ所が、津波が到達するまでに閉める作業が間に合わないこともわかった。また、その他の公共施設で耐震化が未実施だったのは、緊急輸送路上の橋のうち二六・九%、避難路上の橋のうち七三%、下水道管のうち七九%に上っている。これは大変な実態なんですね。

 国交省は、会計検査院のこの指摘に対してどう対応したのか、また、どう対応しようとしているのか、まず述べられたい。

羽田国務大臣 御指摘の報告書においては、河川、海岸、砂防、道路、港湾、下水道、公園の公共土木施設等について、耐震点検や耐震対策工事の実施等の地震、津波対策を適切かつ計画的、効率的に実施すべきというふうにされたところであります。

 国土交通省としては、地震、津波等による被害から人命、資産を守るため、社会資本整備重点計画において、重点目標の一つに「大規模又は広域的な災害リスクを低減させる」を掲げ、これまでも施設の整備を進めてきたところでありますが、地震、津波等に対して必ずしも安全な水準には至っていない施設が存在していることは事実であります。

 また、東日本大震災の教訓や南海トラフの巨大地震による被害想定等を踏まえると、早急に施設の耐震化等を推進することが必要であると認識をさせていただいておりまして、国土交通省としては、今後とも安全、安心な国土づくりを進めていくため、今回の会計検査院の報告も踏まえつつ、施設の耐震化等、適切な対策に取り組んでいきたいというふうに考えております。

穀田委員 その比率、割合は物すごいものなんですよね。ですから、それこそ、そういう一般論ではなかなか済まない、よっぽどのことを計画的にやらなければできないわけです。

 そこで、放置できない堤防だとか、その他今お話があった中身をやろうと思うと、全て改修しようと思うとどれだけの事業費が必要になると想定されていますか。

羽田国務大臣 お尋ねの費用については、今後、詳細な調査や計画の見直しが必要であり、また、地方公共団体が事業を実施する施設もあること等から、現時点で把握するのは困難というふうに思います。

 国土交通省としては、今後とも安心、安全な国土づくりを推進していくため、今回の会計検査院の報告も踏まえつつ、施設の耐震化等、適切な対策に取り組んでいきたいというふうに考えているところであります。

穀田委員 でも、先ほど、やると言っているわけじゃないですか。やると言っていて、把握するのは困難と言っておったんじゃ、それはでけへんということで白旗を掲げているみたいなもので、それはあきまへんで。だから、今どのぐらいかかるかということを試算していなければ実行もできないと私は思うんですね。

 そこで、私、予算委員会だとかこの国土交通委員会でやりましたけれども、国交省の試算で、五十年で百九十兆円の更新費が必要になる、この問題を取り上げてきましたよね。それで、維持補修費などを合わせると三百兆円を超える試算だということも明らかにしてまいりました。

 今、市町村ともというお話がありましたけれども、市町村の財政は極めて逼迫しているわけです。しかし、これは避けて通れない費用です。これまで学校は耐震改修事業を中心として進めてきたけれども、今度は老朽化対策も放置できないところに来ている。国交省の所管の公共施設についても、既存施設の耐震化はもちろんのことだけれども、老朽化対策は待ったなしだ。ですから、そのための維持、修繕、更新費用が膨大な規模になることは間違いないんですね。

 私は、その意味で、この間提案しましたように、今度詳しくやりますけれども、新規、新設の事業は抑制していかざるを得ない、まさに今、公共事業のあり方を根本から変えないとだめだということを提起しておきたいと思います。

 きょうはその程度にしておきます。

平野委員長 穀田委員に申し上げますが、先ほど資料の提示がございました。これにつきましては、委員長の許可をとってからよろしくお願いしたいと思います。

穀田委員 了解しました。

平野委員長 次に、中島隆利君。

中島(隆)委員 社会民主党の中島隆利でございます。

 最初に、私の地元であります熊本県の八代市に関係する港湾問題について質問をさせていただきます。

 去る十月二十日に、八代市では毎年開催しておりますが、全国花火大会が開催されました。今回で第二十五回になるわけでありますが、約三十万人の人出でにぎわいました。この花火大会に合わせまして、約千五百人の中国人の観光客を乗せた大型クルーズ船が、上海から八代港に入港いたしました。

 この取り組みにつきましては、経済団体と市行政が今年三月から誘致活動に取り組みまして、尖閣諸島の問題をめぐる日中間の関係が冷え切っているさなかであったわけでありますが、大変心配されていましたが、結果としては、尖閣問題発生後、中国から来日したツアーとしては最大規模になったことの意味は決して小さいものではなかったというふうに思います。今回の中国人観光ツアーは、やつしろ全国花火大会だけではなくて、熊本県の阿蘇山や、あるいは熊本県全域へのツアー観光で大変な評価をいただいたようであります。

 今回のクルーズ船は七万五千トン級の船舶でありました。来年は、このやつしろ全国花火大会に合わせまして、さらに大型の八万五千トン級の船舶を入港させたいと、もう既に打診が行われております。しかし、現在、八代港は水深十二メートルで、今回の客船、七万五千トンまでは寄港ができる、こういう港でございます。普通の貨物でありましたら、今現在マイナス十二メーターで三万トンですけれども、客船ということで、喫水が高いということで七万五千トンまでは寄港できる、こういう状況であります。しかし、八万五千トン級になりますとこの港では入港ができない、こういう心配がなされております。

 そこで、八代市は県あるいは海上保安部へお願いをして、船舶航行安全対策調査が必要ではないかという指摘を受けて、今、来年の寄港についてどうなのかというのが大変心配をされております。そこで、この船舶航行安全調査の実施が必要であるということで今検討しているんですが、これに対する国交省の協力と支援に取り組んでいただきたいと思いますが、これについてのお考えをお尋ねいたします。

羽田国務大臣 クルーズ振興は、地域の振興や経済の活性化に大きく寄与するものであり、国土交通省としても、全国七十九の港湾管理者等が設立した全国クルーズ活性化会議への協力を初め、その取り組みを進めさせていただいているところであります。

 そうした中、八代港において大型クルーズ船誘致の取り組みが進められていることは歓迎すべきことと考えさせていただいております。

 大型クルーズ船の入港に際しましては、航行の安全を確保する上で、港湾施設の安全性を確認することが重要であることから、今後、港湾管理者である熊本県が必要な検討を行う予定というふうに伺っております。

 国土交通省としても、クルーズ振興の重要性を踏まえ、航行の安全の確保を大前提として、技術的な助言を通じた支援などにより、できるだけ速やかに港湾施設の安全性の確認がなされるよう努めていきたいというふうに考えております。

中島(隆)委員 ありがとうございます。

 特に、安全航行の調査は約半年ぐらいかかるそうでありまして、またその調査についても、調査後、岸壁の強度とかあるいはビット、係柱ですね、こういう強度の問題で施設の整備等が伴うということでございますので、特に中国のこういう大型のツアーは、一年前に決まらなければ翌年は計画できない、こういうことが言われています。これだけ多くの観光が、中国からの恒常的な観光ツアーになる状況にございますので、早期にできるように、ぜひ全面的な御支援をお願いしたいというふうに思います。

 次に、八代港の整備促進についてお尋ねをいたします。

 八代港は、百三の重要港湾のうち、さらに約四十港に絞られた重点港湾の一つであります。先ほど紹介しました大型クルーズ船の入港にとどまらず、穀物や紙、チップ、石炭などバルク貨物や国際コンテナ港湾として、現在では韓国・釜山港と週二便で輸出入が行われています。相手国は、輸出国等は、中国、インドネシア、マレーシア、韓国、ベトナム等のアジアがほとんどでございます。最近では、台湾に向けた、これは非常に今後の経済には重要な課題でありますが、木材のコンテナ輸出がもう既に商談として上がっております。

 八代港は、今後、アジアの玄関口として、国際貿易港としての飛躍的な発展が期待されているわけであります。しかし、現状では、先ほど申しました三万トンを超える大型船舶は貨物輸入港入港ができないという状況にございます。

 そこで、現在、港湾整備していただいているんですが、水深十四メーターの岸壁一バースが今年度中には完成するということで聞いておりますが、さらに同規模の第二バースの新規着工が必要となっております。この点、八代港は重点港湾に指定されたわけでありますが、今後の八代港の整備について国交省としてどのような見通しを持っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。

 あわせて、ガントリークレーンについてお尋ねいたします。

 八代港に整備されたガントリークレーンは、十三年前に設置された、非常に老朽化した小さいガントリークレーンでございます。そこで、八代港湾振興協会におきましては、これまで熊本県や国に対して大型のガントリークレーンの整備を再三要望されてきたわけでありますが、いまだに整備をされていません。港湾整備につきましては県の事業であると思いますが、アジアに向けた重点港湾として国の支援が必要だと考えますが、国の対応についてあわせてお尋ねをいたします。

羽田国務大臣 八代港では、外港地区において、飼料原料となるトウモロコシ、麦等、穀物を取り扱うことを目的として、水深十四メートルの国際物流ターミナル、第一バースを平成十九年より直轄事業として進めているところであり、航路は暫定水深となっておりますけれども、岸壁の工事は二十四年度末に完了予定となっております。

 第二バースの新規着工や大型ガントリークレーンの整備については、貨物取り扱いについての確実な需要の見通しが大変重要だというふうに考えておりまして、港湾管理者である熊本県を初め、地元での官民一体となった取り組みを期待しておるところであります。

中島(隆)委員 港湾整備の方については、岸壁についてはそういう計画で進んでおります。あと、航路のしゅんせつ等も今後控えていると思いますが、港湾整備については今後、推進方をお願いしたいと思います。

 先ほどガントリークレーンについては、貨物の今後の需要の見通しを踏まえながら、地元でと。

 港湾の施設関係は県が担当するわけでありますが、若干状況を申し上げますと、熊本県には二つの港がございます。重点港湾が八代港でありますが、重要港湾として熊本港、現在、水深七・五メーター、五千トンが入港できる港であります。八代の場合は、今回、マイナス十四ですから五万トンになるわけです。両方ともコンテナ貨物の国際貿易港になっているんですが、現在、熊本港は年間三千三百TEU、八代港の場合はその三倍の一万TEUに上っているんです。

 しかし、そのような港でありながら、これは県の港湾整備の計画が非常に問題があると私は思っているんですが、七・五メーターの熊本港には既に平成十一年に薫蒸倉庫もできておりまして、今年度は大型クレーンが先日落成いたしました。熊本県としては喜ばしいことであるわけですが、先ほど八代港を申し上げましたが、アジアに向けた玄関口として貨物も増大している、しかしそれでも薫蒸倉庫もない、あるいはクレーンも十三年前に整備された小型のガントリークレーンである。

 振興協会としては、ガントリークレーンを早期整備して、もっともっと貨物をふやして、あるいは先ほど言いました台湾あるいは東南アジアに、あるいは中国に直行できる便をふやしたい、こういう願いで努力をされているわけであります。特に、国が指定した四十港の重点港湾に指定されているわけでありますから、国としても全面的な支援をして、この整備が整いますように心からお願いを申し上げておきたいと思います。これは強く要望を申し上げておきたいと思います。

 それでは次に、エレベーター事故につきまして、先ほど穀田議員からも御質問がございましたが、二〇〇六年に事故を起こして、その事故の調査も先ほど報告がありましたように十分なされていない、こういうことの報告もございました。

 この再発防止をするためには、現在ある既設の施設の徹底した調査と、それから事故を防止するための整備が必要ではないか、こういうふうに思っておりますが、これについてどのように今後進めるのか、改めて御質問をしたいと思います。

伴野副大臣 先ほども穀田先生、その前段にも北村先生、そしてまた中島先生から今回の事故に関する御指摘、御遺族のお気持ち、あるいはさまざまな国民的影響について厳しい御意見、そのとおりだと思っておりまして、私も、先生方に負けないぐらいの憤りを持って今回の事故を受けとめました。

 そうした中で、今回、国土交通省においては、平成十八年六月三日に発生した港区のシティハイツ竹芝のエレベーターの戸開走行事故を踏まえ、新設エレベーターについては、安全装置の二重化である戸開走行保護装置の設置を義務化したところでございます。

 そしてまた、今回御指摘のある既設のエレベーターはどうしているんだというところでございますが、先ほど、さまざまな国民的な影響もあるという言い方もさせていただきましたが、新たな技術開発を促すためのモデル事業を実施し、戸開走行保護装置の設置に関し低コスト化を図るなど設置促進策を講じるとともに、安全装置が設置されていないエレベーターが利用者に明らかになるよう、安全装置を設置したエレベーターを表示するマーク制度を創設したところでございます。

 また、今般のエレベーターの戸開走行事故を受けた注意喚起とともに、戸開走行保護装置の設置促進と、戸開走行保護装置設置済みマークの活用の促進について、特定行政庁、これは都道府県や大規模な市、建築確認等を行っている自治体の長でございますけれども、及び関係団体、これはエレベーターを設置する物販店等の団体、あるいはマンション管理組合の団体等に、十一月六日付で注意喚起の一層の促進ということで通知を発出しております。

 今後、昇降機等事故調査部会での調査結果を踏まえまして、さらなる戸開走行保護装置の設置促進策を検討してまいりたいと思っております。

 以上です。

中島(隆)委員 今後の対策として、新技術の開発とか低コスト化、あるいは安全装置の表示、こういうことを挙げられたわけであります。

 技術開発と低コスト化については時間的に大変かかると私は思うんですが、未設置の機械が七十万台あるわけであります。三分の一の国庫補助で安全対策の補助がなされているということでありますが、この再発防止のためには、やはり設置者あるいは機械を設置した企業に対して、全面的な改修、あるいは問題解決にも全力を挙げて指導強化をすべきではないかというふうに思っておりますので、再発防止について全力を挙げていただきたいというふうに思います。

 それから二点目は、消費者安全調査委員会と国交省との連携でありますが、先ほど質問があり、答弁もございました。

 前回の六年前の事故も含めて消費者庁の調査があります。ですから、国交省の調査だけではなくて消費者庁、あるいは警察も今回は事件として取り上げておりますので、この三者が十分に連携をして、再発防止の対策を全面的にとるべきだというふうに私も思っておりますが、その点の関係の取り組みについて、再度決意を述べていただきたいと思います。

井上政府参考人 お答え申し上げます。

 昇降機等に関する事故が発生した場合、事実関係の把握につきましては、消費者庁の方にも委員会ができておりますので、国交省と情報を共有して、相互に協力していくことといたしております。

 さらに、社会資本整備審議会昇降機等事故調査部会において事故原因の究明と再発防止策の検討を行う場合には、その調査結果は、消費者安全調査委員会の求めに応じまして提出し、説明等、これも協力をすることといたしております。

 消費者安全調査委員会はこの調査結果を評価し、必要があれば意見を述べ、さらに、必要に応じてみずから調査を実施することとされておりますし、また、委員会みずからが別途の調査を行う必要があると判断した場合には、私どもの調査部会の調査結果を待たずに、みずから調査を行うこともあるというふうに承知しております。

 消費者安全調査委員会は、内閣総理大臣への勧告、意見具申、関係行政機関の長への意見具申の権能を有しておりますので、国土交通省としましても必要な協力を行うとともに、委員会から意見具申がなされた場合には、必要な対応をしっかり図ることによって、消費者事故の拡大防止、再発防止に努めてまいりたい、こういうふうに思っております。

中島(隆)委員 今後、万全な対策をとっていただきたいと思います。

 それでは次に、震災復興関連について、復旧復興事業に係る繰り越し手続の弾力的運用についてお尋ねをいたします。

 特に復興事業につきましては、流用問題が今大きな問題になっています。御承知のとおり、東日本震災復興には二十三年度だけで十五兆円の予算が組まれました。その中で六兆円が未執行、一兆一千億が不用予算、そして使用されたのが九兆円、その中で一兆円が全国の防災等に、当然必要なところもございますが、必要ない、あるいは災害とは全く関係ないところに流用されている、こういう状況でありました。我が党としても、この見直しについては徹底的に行っていただきたいというふうに思います。

 そこで、被災地の自治体の復興計画の事業状況でありますが、先ほど来質問がなされておりますが、計画どおり十分進んでいない、こういう状況にもありますし、特に防災住宅の移転等、あるいは個人の住宅の移転等について、今大きな問題が上がっております。

 それは、浸水地のかさ上げ事業が進められているわけですが、この区域外に対する対応がどういうふうになっているのか。あるいは事業が進まずに繰り越しが行われているわけでありますが、この繰越事業が、現在は一回までとなっております。これは一年ということでありますが、その後、長期化する場合の今後の対策等が必要だと思うんですが、これの問題点について担当部にお尋ねをいたします。

岡本政府参考人 お答えを申し上げます。

 先生から、復旧復興事業に係ります繰り越しについてのお尋ねでございました。

 この繰り越しにつきましては、法律上、その年度に支出負担行為を行った後に、大災害等の避けがたい事故のため年度内に支出が終わらなかった場合、一回に限って認められているということでございます。

 また、この法律上の要件となっております避けがたい事故ということにつきましては、一般に、物事の正常な運行が妨げられるような出来事という意味に解されておりますが、典型的な例としては暴風や地震などの異常な天然現象ということでありますが、これ以外の事例につきましても、これまでも個別に判断をして事故繰り越しを行っている事業もございますので、今回の復旧復興事業におきましても、この実情を十分に把握して適切に対応してまいりたいと考えております。

 また、いろいろな事務手続といったような問題もございますので、このあたりも、被災地における実情の把握を関係省庁と連携をして十分に行いまして、適切に対応してまいりたいと考えております。

中島(隆)委員 繰り越しの条件というのは、いろいろな条件があるというふうに聞いております。資材の価格や人件費の高騰、あるいは入札の不調が二〇%から三〇%あるということも聞いておりますし、それから、先ほど言いました防災移転住宅による土地の確保、あるいは個人が住宅を取得する場合の大変な課題等があってこの移転がおくれる、こういうこと等で予算の執行がおくれる、こういうことがございます。

 そういう課題がございますが、被災地の生活再建のためには、やはり地元のそういう計画を着実に推進できるように、あるいは財源確保ができるように、ぜひ今後とも十分配慮いただきたいと思います。

 ちょっと時間がございませんでしたので、残された質問については後ほどさせていただきたいと思います。

 これで終わります。

平野委員長 次に、杉本かずみ君。

杉本委員 みんなの党の杉本かずみであります。

 先ほどニュースが入ってまいりまして、中国、万里の長城の遭難事故に関して、観光庁がアミューズトラベル社に対して立入検査を実施したというニュースが入ってまいりましたが、厳正に措置をしていただきたいと、ある意味でエールを送らせていただきたいし、しっかり仕事をしていただきたいとお願い申し上げます。

 さて、私は、今回、道州制あるいは道路の渋滞などについての質問をさせていただきたいと思います。

 幼いころから、テレビを見ていて、あるいは自分自身もおやじに連れていってもらって、何でこんなに高速道路はゴールデンウイークに渋滞するのかな、あるいは、何でいつも通勤時に新宿でラッシュアワーで人の背中を押しているのかなという問題意識を持っておりましたが、その問題がいまだに余り解決されていないような気がしてならないわけであります。

 そんな意味から、きょうは一般質疑という中で、そういった問題意識について現状を把握させていただきたいと思います。

 さて、その前になんですが、昨今は、道州制の議論がかまびすしくされるような日々になってまいりました。しかし一方で、バブルの時期に首都機能移転の議論がありましたけれども、それ以降、最近は学者でも言う方が減ってきて、ほとんどいなくなってみたいなことで、最後までおっしゃっていたのが堺屋太一先生だったと思いますが、それ以降注目されなくなった首都機能移転議論なんですが、震災があって、その前後からですが、首都機能のバックアップ機能というものが極めて重要だという認識も高まってまいりました。

 そんな意味から、改めてこの首都機能移転問題というものを考えたいと思っておりますが、本来、首都機能移転がいいのか、あるいは首都機能が分散した方がいいのか、あるいはバックアップ機能という形だけでいいのか、その辺の議論も十分される必要があると思いますが、現在、政府が所管しているセクションはどちらになって、どういう検討がなされているかの現状を教えていただきたいと思います。

橋本大臣政務官 杉本委員から質問をいただきました。お答え申し上げます。

 首都機能移転につきましては、国会における国会等の移転に関する決議、平成二年になされましたけれども、それ以来、一貫して国会主導で検討されております。

 国土交通省といたしましては、議員立法であります国会等の移転に関する法律及び超党派の国会等の移転に関する政党間両院協議会座長取りまとめ、平成十六年十二月、これに基づきまして、国会における検討に必要な協力を行うため、分散移転や防災に関する調査などを行っているところでございます。

 また、首都中枢機能のバックアップに関しましては、委員が先ほど御指摘なされましたとおり、東日本大震災を契機に喫緊の課題と認識されておりまして、国土交通省におきましては、本年四月に有識者による検討会で基礎的論点などを取りまとめたところでございます。

 これらも踏まえつつ、内閣府防災担当が事務局を務めております中央防災会議のワーキンググループにおきまして、本年七月に政府全体としてのバックアップ機能の確保方針について一定程度明確化した次第でございます。

 いずれにいたしましても、これらは、国会、政府を含む首都機能全体にかかわる課題でございまして、国土交通省といたしましては、引き続き、調査検討などを通じて協力してまいる所存でございます。

杉本委員 御回答ありがとうございます。

 この首都機能移転等については、こちらにもいらっしゃる沓掛先生が議員立法に向けていろいろ御尽力をくださっているというようなことも聞いておりますし、先生からも御指導をいただきたいと思います。また、今お話があったとおり、国交省さんの企画調査機能を大いに生かしていただいて、この検討を前向きにしていただきたいと心からお願いを申し上げます。

 さて次に、冒頭申し上げました、ゴールデンウイークに殊に感じるんですが、最近は休日の分散化とかいろいろな提案がされておりますけれども、どうも我々日本人は、正月だとかお盆だとかゴールデンウイークだとか、決まったときに休みたいという気持ちもまた強く持っている民族なのかなと思っております。

 そんなところである中で、東名高速でいつも聞く言葉が、大和トンネル付近とか、その昔は大和バス停付近というような表現で、いつもそこがゴールデンウイークのようなときは渋滞をする、大変な渋滞の距離になるということが言われておりますし、今もそうなっているかと思います。

 また、日常的に私の地元の愛知の東名の岡崎―豊田間、ここが常に渋滞をして、いらっしゃいます伴野副大臣も同じ悩みを抱えておられると私は認識しておりますが、そんな意味から、この渋滞の問題の現状認識、それに対する対応、緩和策等は、現在、国土交通省としてどういうことをされておられるのか、教えていただきたいと思います。

若井大臣政務官 杉本委員にお答えをいたします。

 NEXCO三社及び本四会社の管理する高速道路においては、本年のゴールデンウイーク期間中において十キロメーター以上の渋滞が全国で三百二十三回発生するなど、繁忙期や休日、平日の通勤時間帯などに各地の高速道路で渋滞が発生しているところです。

 お尋ねの東名高速道路ですけれども、平成二十四年の四月十四日に新東名高速道路、御殿場ジャンクションから三ケ日ジャンクションの間が開通したことによりまして、両高速道路が並行する区間における本年のゴールデンウイーク期間中の渋滞は昨年度の六十回から五回に減少するなど、高速道路ネットワークの整備が渋滞緩和策として効果があることが示されており、引き続き、残る事業中区間の整備を進めてまいります。

 また、新東名高速道路の開通に合わせて、東名高速道路の音羽蒲郡インターチェンジから豊田ジャンクション間において、路肩の活用等における車線の増設を行いました。おおむね渋滞が解消するなど、さまざまな対策を実施しているところでございます。

 また、高速道路のあり方検討有識者委員会による中間取りまとめにおきましては、つなげてこそのネットワークという視点から、具体的な対応としまして、渋滞の名所とされているようなボトルネック箇所への集中的対策等が示されているところであります。

 これを受け、本年六月より、国、都道府県、公安委員会等で構成される協議会を各地で設置をいたしまして、ボトルネック箇所の抽出、必要な対策等について検討しているところでありまして、引き続き、渋滞対策に積極的に取り組んでまいりたいと思います。

杉本委員 政務官、御回答ありがとうございます。

 大分渋滞が減っているというお話を聞いて少し安堵をしたところでありますが、やはりさらなる企画調査、こういったことをしていただきたいとお願いを申し上げます。

 さて次に、ちょっとこれは問題提起になるのかもしれないんですが、民主党政権が高速道路の一律無料化ということを訴えられました。その昔は、麻生総理の政権のときに、土日の自家用車千円ということが行われました。

 この二つの案と、それが実施されたこととあわせて鑑みますと、実は日本国の物流を活発化させる。しかも、お金を余りかけずに経済効果を生むということを鑑みますと、高速道路を一律千円にして、そして平日も含めた全日程一律千円、しかも、自家用車だけではなくて、バスやトラックも対象とするということを考えてみると、極めて物流コストあるいは観光、こういった意味で、人、物、金の流れの中で、物の動き、あるいは人の動き、これが活発化する可能性があると私は考えております。

 漏れ伝え聞くお話ですと、国交省さんの関係でやっておられる有識者委員会なのか有識者会議は、どういう方で構成されているのかをまず知りたいんですが、そういった方々が、何か距離に応じた料金体系がいいというような見解を多くお持ちだと聞いておりますが、実際そういうことなのかどうか。その有識者会議なのか委員会の御見解あるいは構成員、この辺を教えていただきたいのと、現時点での国交省の見解を知りたいと思います。

 加えて申し上げたいのは、お金を取る側の論理で道路の交通費というものを考えていては、決して日本の経済は活性化しないということだと思います。お金を払う側の論理、使う側の論理で物を考えていただくことが本質的な国土交通省の役割ではないかと思っておりますので、大変僣越ですが、問題提起をしつつ、現状を教えていただきたいと思います。

若井大臣政務官 お尋ねの、高速道路料金を全日、全車種で一律千円とした場合の効果についてでございますが、シミュレーションこそ行ってはおりませんけれども、全国ネットワークで利用距離や車種によらず一律の料金とすることは、利用者側の視点からいっても格差が大きく、公平性の観点で課題があるのではないかと考えられます。

 高速道路のあり方検討有識者委員会ですが、座長は寺島実郎財団法人日本総合研究所理事長、その中間取りまとめにおきましても、今後の高速道路料金の具体的方向性として、「負担の公平性や他の交通機関との関係を踏まえ、対距離制を基本とすべき」とされているところでございます。

杉本委員 寺島さんが中心でやっておられるというので、少し安堵感は持ったんです。

 おっしゃるとおり、他の交通機関である飛行機であったり船だったりというところも考えなければいけませんが、日本国全体で、いかにこの資源のない国が活発に経済を動かしていくかという意味では、織田信長公ではありませんが、楽市楽座のごとき、街道を整備し、人の流れ、物の流れ、そしてそれによってお金の流れといったものを、ぜひとも優秀な方々がたくさんいらっしゃる国交省でお考えをいただきたいと心からお願いを申し上げます。

 次の質問でございます。

 また高速道路に関連するんですが、スマートインターチェンジということも民主党政権で提唱されたと記憶をしております。提唱された一方で、現実的にも導入がなされているやに聞いております。

 現状のスマートインターチェンジの設置状況、開通状況あるいは建設中の状況等を、どこがどうなっているかというのを実は知りたいんですけれども、あえて申し上げれば、交通量の多い順に、例示を含めてちょっと教えていただきたいとお願い申し上げます。

若井大臣政務官 お尋ねのスマートインターチェンジですけれども、我が国におけますインターチェンジの平均間隔十キロメーターを欧米諸国と同等の水準五キロメーターに改善をする、このことを念頭に置きつつ、高速道路の有効活用や地域活性化を図るため、従来のインターチェンジよりも低コストで整備できるETC専用のスマートインターチェンジの整備を進めているところでございます。

 今年度には新東名高速の浜松サービスエリアのスマートインターチェンジ、西名阪道の大和まほろばスマートインターチェンジ、北陸道の栄スマートインターチェンジ等が供用いたしまして、平成二十四年十月末現在ですと、供用中のスマートインターチェンジは六十三カ所、事業中が三十一カ所となっており、引き続き必要性を見きわめながら整備を進めてまいります。

 利用者の数については、後ほどお知らせをさせていただきます。

杉本委員 どうもありがとうございます。

 この道路の問題ですが、先ほども御回答ありましたけれども、御殿場―三ケ日間の新東名が通ったということなんですが、ちょっと戻って恐縮ですが、私の問題意識は大和トンネル付近というところに結構ありますので、そこのところもぜひ通していただきたいのと、ちょっとこれは警察の関係になるかもしれないんですが、国交省さんとしてもそういうことを考えていただきたいんですが、地域によって、交通の右折のレーンというんですか、これが設置されている道路とそうでないところの道路で、右折車があることによる変な形の渋滞というのが、渋滞というか車の進行の障害みたいなのがあると思っていますので、ちょっとこれは警察庁さんとの協力も必要かとも思いますが、右折レーンの整備等もぜひ進めていただきたいと思います。

 それでは次に、鉄道関連の質問をさせていただきたいんですが、先ほども冒頭申し上げたとおり、新宿駅のラッシュアワー、これは大分、いろいろな電車が走るようになって緩和されているとは思っておりますが、私も現在、地下鉄千代田線で国会に通わせていただいておりますが、結構な混雑でございます。そういうことを鑑みますと、この混雑の緩和はどうなっているのか。

 あるいは、混雑の一つの原因として、転落事故等によって、場合によってはみずからの意思で命を絶つという方もいらっしゃいますけれども、こういった転落防止のための柵の設置であるとか、あるいは駅の中をたしか青い光にすると、そういったみずから命を絶つというような方が減っていくというやに聞いておりますけれども、そういったものの設置状況あるいはそれの勧奨、お勧めをいただいているぐあいといったところを教えていただきたいと思います。

滝口政府参考人 お答えを申し上げます。

 三大都市圏の混雑率は、さまざまな混雑緩和対策の実施などによりまして改善が図られてきたところでございます。しかしながら、東京圏を中心とした一部路線、区間には今なお高い混雑率が存在しておりまして、例えば山手線の外回り、上野―御徒町間は、体が触れ合い相当圧迫感があるとされます混雑率二〇〇%などとなっているところでございます。引き続き、このような区間につきましては輸送力増強等の取り組みを進めまして、一層の混雑率の改善を図ってまいりたいと思っております。

 さらに、ただいま先生の方から、ホームドアの設置などによる転落防止対策を進め、列車の遅延等による混雑を防ぐことも重要ではないかという御指摘を賜りました。

 ホームドアの設置につきましては、現在、全国五百三十九駅に至っておりまして、ここ半年間で二十駅で設置されております。着実に整備を進めているところではございますが、今後とも、ホームドアの設置や技術開発に対する支援により、一層の普及拡大に努めてまいりたいと思います。

 また、青い灯火などにつきましては、具体的な効果などを見まして、その対応について考えてまいりたいと思います。

杉本委員 次に、またちょっと自動車に戻ってしまうんですが、自動車ショー等でも超小型の自動車、超小型モビリティーともいうんでしょうか、そういったものが開発され、実用化に向かっているということを報道等で知っておりますが、こういったことに対する国土交通省さんとしての現在の認識、開発の状況、実用化の時期等をお教えいただきたいと思います。

 あわせて、これは経済産業省の分野になるかもしれないんですが、役所の縦割りを忘れて考えていただくと、自転車の効用といったものもあると思います。小型のモビリティーに加えて自転車等の活用も含めて、健康志向も含めてなんですが、そういった部分についての検討状況を教えてください。

平野委員長 橋本国土交通大臣政務官。時間が参っておりますので、簡潔に御答弁をお願いします。

橋本大臣政務官 杉本委員からの質問にお答え申し上げます。

 超小型モビリティーは、交通の省エネ化に資するとともに、人口減少、高齢化時代に対応するコンパクトなまちづくりにも適した新たなカテゴリーの乗り物でございます。地域の手軽な移動の足として、低炭素まちづくりの実現、高齢者や子育て世代の移動支援、観光地や地域の振興などに貢献し、国内外の自動車市場で新たな需要を創出することが期待されております。

 昨年開催された東京モーターショーにおきましても多数のコンセプトカーが提案されておりまして、現在、自動車メーカーによって実用化に向けた開発が進められているところでございます。

 国土交通省といたしましては、まず、公道走行を簡易な手続で可能にするための道路運送車両法に基づく認定制度を今年度中に創設いたします。また、その先導、試行導入を地域のまちづくりとともに一体的に推進することによりまして、超小型モビリティーの早期普及に取り組んでまいります。

 そして、あと、この超小型モビリティーの実用化の見通しにつきましては、自動車メーカーにおきましては、今年度中に創設する認定制度に合わせながら開発を進めていると伺っております。今年度末をめどに実用化されると考えております。

杉本委員 以上で終わります。どうもありがとうございました。

平野委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。

    午後零時四十五分散会


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